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#1
第120回国会 地方行政委員会 第7号
平成三年四月二十三日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     大島 慶久君     後藤 正夫君
     西田 吉宏君     山東 昭子君
     会田 長栄君     栗村 和夫君
     庄司  中君     野別 隆俊君
     三石 久江君     篠崎 年子君
     山口 哲夫君     岩本 久人君
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     野村 五男君     下条進一郎君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     下条進一郎君     野村 五男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         野田  哲君
    理 事
                竹山  裕君
                松浦  功君
                渡辺 四郎君
                諫山  博君
    委 員
                井上 章平君
                岩崎 純三君
                大塚清次郎君
                後藤 正夫君
                須藤良太郎君
                野村 五男君
                岩本 久人君
                栗村 和夫君
                篠崎 年子君
                野別 隆俊君
                常松 克安君
                神谷信之助君
                高井 和伸君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    吹田  ナ君
   政府委員
       警察庁長官    鈴木 良一君
       警察庁長官官房
       長        井上 幸彦君
       警察庁警務局長  安藤 忠夫君
       警察庁刑事局長  國松 孝次君
       警察庁交通局長  関根 謙一君
       警察庁警備局長  吉野  準君
       自治大臣官房長  森  繁一君
       自治大臣官房総
       務審議官     紀内 隆宏君
       自治大臣官房審
       議官       二橋 正弘君
       自治省行政局長  浅野大三郎君
       自治省行政局公
       務員部長     滝   実君
       自治省行政局選
       挙部長      吉田 弘正君
       自治省財政局長  小林  実君
       自治省税務局長  湯浅 利夫君
       消防庁長官    木村  仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹村  晟君
   説明員
       国土庁長官官房
       参事官      上野  裕君
       法務省刑事局刑
       事課長      但木 敬一君
       大蔵省主計局主
       計官       太田 省三君
       厚生省健康政策
       局指導課長    篠崎 英夫君
       厚生省保険局国
       民健康保険課長  辻  哲夫君
       林野庁指導部造
       林保全課長    村田吉三郎君
       建設省都市局下
       水道部公共下水
       道課長      村上  健君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○地方行政の改革に関する調査
 (平成三年度の地方財政計画に関する件)
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(野田哲君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る四月十六日、三石久江君、庄司中君、会田長栄君、山口哲夫君、大島慶久君及び西田吉宏君が委員を辞任され、その補欠として篠崎年子君、野別隆俊君、栗村和夫君、岩本久人君、後藤正夫君及び山東昭子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(野田哲君) 地方行政の改革に関する調査を議題といたします。
 平成三年度の地方財政計画について、政府から説明を聴取いたします。吹田自治大臣。
#4
○国務大臣(吹田ナ君) 平成三年度の地方財政計画の概要について御説明申し上げます。
 平成三年度の地方財政につきましては、近年中期的な財政の健全化のための措置が講じられてきたものの、なお多額の借入金残高を抱えている状況にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調により、歳入面においては、地方債の抑制に努めるとともに、地方一般財源の所要額の確保を図り、歳出面においては、地域の特色を生かした自主的、主体的な地域づくり、住民生活の質の向上のための社会資本の整備及び地域住民の福祉の充実などを積極的に推進するため必要な事業費を確保する等限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹することを基本としております。
 以下、平成三年度の地方財政計画の策定方針について御説明申し上げます。
 第一に、地方税については、住民負担の軽減及び合理化等を図るとともに、土地に関する税負担の公平、適正化を図りつつ土地政策に資するため、必要な措置を講じることとしております。
 第二に、地方交付税については、地方財政の円滑な運営に支障が生じないよう、その総額を確保するとともに、地方財政の中期的健全化を図ることとし、交付税特別会計借入金の返済措置のほか、五千億円を減額する特例措置を講じることとしております。
 第三に、国庫補助負担率の見直しにおいて暫定措置とされたものに係る影響額については、地方債等により所要の補てん措置を講じ、地方団体の財政運営に支障が生じることのないよう措置しております。
 第四に、地域経済の振興や雇用の安定を図りつつ地域づくりを進めるとともに、公共投資基本計画を踏まえた住民生活に直結した社会資本の整備、地域住民の福祉の充実、住民生活の安全の確保等を図るため必要な事業費の確保等所要の措置を講じることとしております。
 第五に、地方行政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化及び一般行政経費等の抑制を行うとともに、国庫補助負担金について補助負担基準の改善を進めることといたしております。
 以上の方針のもとに、平成三年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は七十兆八千八百四十八億円となり、前年度に比し三兆七千四百四十六億円、五・六%の増加となっております。
 以上が平成三年度の地方財政計画の概要であります。
#5
○委員長(野田哲君) 次に、補足説明を聴取いたします。小林財政局長。
#6
○政府委員(小林実君) 平成三年度の地方財政計画につきましては、ただいま自治大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、なお、若干の点につきまして補足して御説明いたします。
 地方財政計画の規模は、七十兆八千八百四十八億円で、前年度に比較いたしまして三兆七千四百四十六億円、五・六%の増加となっております。
 まず、歳入について御説明いたします。
 地方税の収入見込み額は、道府県税十五兆二千七百四十四億円、市町村税十七兆四千三十六億円、合わせて三十二兆六千七百八十億円であります。
 前年度に対し道府県税は九千三百五十一億円、六・五%増加し、市町村税は九千五百二十二億円、五・八%増加しております。
 なお、平成三年度の税制改正としては、住民負担の軽減及び合理化等を図るため、個人住民税の減税、土地の評価がえに伴う固定資産税等の負担の調整及び特別地方消費税の免税点の引き上げ等を行うとともに、市街化区域農地に対する固定資産税の課税の適正化、特別土地保有税の見直し等土地税制について全般的な見直しを行うこととし、六千三百四十七億円の減収を見込んでおります。
 また、地方譲与税の収入見込み額は、総額一兆七千七百四十六億円で、前年度に対し六百六十三億円、三・六%の減少となっております。
 次に、地方交付税につきましては、平成三年度の所得税、法人税、酒税、消費税及びたばこ税のそれぞれ一定割合の額の合計額十六兆四千七百四十九億円に返還金を加算した額から地方交付税法附則第三条の規定に基づく特例措置額四千五百二億円、昭和六十年度分の地方交付税の総額の特例措置額のうち返済を要する額の一部返済額四百九十八億円、交付税特別会計の借入金の返済額一兆七百十九億円及び同特別会計の借入金の利子負担額六百二十七億円を控除した額十四兆八千四百四億円を計上いたしました結果、前年度に対し一兆八百十億円、七・九%の増加となっております。
 国庫支出金は、総額十兆六千八百三十億円で、前年度に対し四千三百九億円、四・二%の増加となっております。
 次に、地方債につきましては、普通会計分の地方債発行予定額は五兆六千百七億円で、前年度に対し百三十四億円、〇・二%の減少となっております。
 なお、地方債計画全体の規模は九兆八百十五億円で、前年度に対し二千七百七十一億円、三・一%の増加となっております。
 また、使用料及び手数料並びに雑収入につきましては、最近における実績等を勘案した額を計上いたしております。
 以上の結果、地方税、地方譲与税及び地方交付税を合わせた一般財源の合計額は、四十九兆二千九百三十億円となり歳入全体に占める割合は前年度に対し〇・四ポイント増の六九・五%となっております。
 次に、歳出について御説明いたします。
 まず、給与関係経費についてでありますが、総額は、十九兆六千四百四十八億円で、前年度に対し一兆三千三百四十二億円、七・三%の増加となっております。職員数につきましては、教育関係職員、警察職員及び消防職員について所要の増員を見込むとともに、一般職員については、国家公務員の定員削減の方針に準じ、定員合理化を行うことといたしております。
 次に、一般行政経費につきましては、総額十三兆八千三百九十億円、前年度に対し九千七百五十二億円、七・六%の増加となっております。このうち、国庫補助負担金等を伴うものは六兆九百九億円で前年度に対し二千四百八十七億円、四・三%の増加となっております。
 国庫補助負担金を伴わないものは、七兆五千三百八十一億円で、前年度に対し五千百六十五億円、七・四%の増加となっております。この中では、社会福祉関係経費を充実するほか、高等学校以下の私立学校に対する助成経費として三千四百五十二億円、地域づくり推進事業に要する経費として三千三百億円、災害等年度途中における追加財政需要に対する財源として七千五百億円等を計上いたしております。
 また、高齢者保健福祉施策を充実するため、地域福祉基金二千百億円を新たに計上いたしております。
 公債費は、総額五兆八千四百二十一億円で、前年度に対し六百二億円、一・〇%の減少となっております。
 次に、地方財政の健全化に資するため、財源対策債等償還基金一兆九千四百六十億円を計上いたしております。
 維持補修費につきましては、前年度に対し百五十四億円、二・〇%の増、七千八百四十六億円を計上いたしております。
 投資的経費は、総額二十二兆七千三百五十億円で、前年度に対し一兆三千八百億円、六・五%の増加となっております。このうち、直轄・補助事業につきましては、九兆四千六百四十八億円で、前年度に対し一千七百三十六億円、一・九%の増加となっております。
 地方単独事業につきましては、地域の経済の振興を図りつつ、地域の特性を生かした自主的、主体的な地域づくり、住民生活の質の向上のための社会資本の整備等の積極的な推進を図ることができるよう所要の事業費を確保することとし、前年度に対し一兆二千六十四億円、一〇・〇%増の十三兆二千七百二億円を計上いたしております。
 公営企業繰出金につきましては、上下水道、交通、病院等の国民生活に不可欠なサービスを供給している事業について総額二兆四百三十三億円を計上いたしております。
 また、計画的な公有地の取得等を推進するため、土地開発基金五千億円を計上いたしております。
 最後に、地方交付税の不交付団体における平均水準を超える必要経費については、脱収入の状況等を勘案して所要額を計上いたしております。
 以上をもちまして、地方財政計画の補足説明を終わらせていただきます。
#7
○委員長(野田哲君) 以上で説明の聴取は終わりました。
    ─────────────
#8
○委員長(野田哲君) 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。吹田自治大臣。
#9
○国務大臣(吹田ナ君) ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
 地方財政の状況にかんがみ、平成三年度分の地方交付税の総額について特例措置を講ずるとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため地方交付税の単位費用を改正し、あわせて、新産業都市の建設、首都圏の近郊整備地帯の整備等に係る財政上の特別措置を引き続き講ずることとする等の必要があります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。
 次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、地方交付税法の一部改正に関する事項であります。
 まず、平成三年度分の地方交付税の総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額から、特例措置額四千五百二億四千万円、昭和六十年度分の地方交付税の総額の特例に係る一部返済額四百九十七億六千万円、交付税特別会計借入金利子支払い額六百二十七億円及び同特別会計借入金償還額一兆七百十八億九千五百万円を控除した額とすることとしております。
 また、このうち特例措置額四千五百二億四千万円に相当する額については、平成四年度から平成十三年度までの地方交付税の総額に加算するほか、五千八百十一億円を平成六年度から平成十一年度までの地方交付税の総額に加算することとしております。
 次に、平成三年度分の普通交付税の算定につきましては、自主的な地域づくりの推進、地域経済の活性化等地域振興に要する経費、高齢者の保健福祉の増進、生活保護基準の引き上げ等福祉施策に要する経費、道路、街路、公園、下水道、社会福祉施設、清掃施設等住民の生活に直結する公共施設の整備及び維持管理に要する経費、教職員定数の改善、学習用教材の拡充、私学助成の充実、生涯学習の推進等教育施策に要する経費、消防救急業務の充実等に要する経費並びに地域社会における国際化及び情報化への対応に要する経費の財源を措置することとしております。
 さらに、土地対策の推進に資するため土地開発基金費を、高齢化社会に対応し地域福祉の向上を図るため地域福祉基金費を、地方財政の健全化を図るため財源対策債償還基金費を設けることとしております。
 第二は、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部改正についてであります。都道府県分の利子補給措置について新規に発行を許可される地方債の利子補給の基準となる利率の改定を行うとともに、市町村分の国庫補助負担率のかさ上げ措置について財政力による調整の割合を高めることとした上、同法の適用期間を五年間延長することとしております。
 第三は、首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部改正についてであります。都府県分の利子補給措置について新規に発行を許可される地方債の利子補給の基準となる利率の改定を行うとともに、市町村分の国庫補助負担率のかさ上げ措置について財政力による調整の割合を高めることとした上、同法の適用期間を五年間延長することとしております。
 以上が地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#10
○委員長(野田哲君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○岩本久人君 おはようございます。
 ただいまから質問をさせていただきますが、既に通告をいたしております中で若干順序が変わるところもありますので、よろしくお願いをいたします。
 さて、大変厳しかった第十二回の統一地方選挙もようやく終わりまして、私も第一線の現場の修羅場をくぐり抜けて昨夜出てまいりましたので、若干声を痛めておりますが、よろしく御理解のほどをお願いいたします。
 まず質問の第一は、今から四日前、十九日に私は参議院本会議で初めて質問させていただきました。当日も気がついて異議の申し立てをしたのですが、最終的にそれが成らなかったという経過であります。その後精査をしてみましたら、明確に質問に対する答弁のないところが三カ所、それから極めて不十分だと断ぜざるを得ない箇所が五カ所、合計八カ所あったわけです。誤解のないように言っておきますが、極めて不十分だというのは私の主張に対する答えが百点に近いかどうかということでは全くありません。一生懸命訴えていることについて真剣にそれを考えていただいたかどうかというその誠意のほどが極めてうかがえなかった、こういうことでございます。
 そこでまず、自治大臣にお伺いをいたします。唐突ですが、自治大臣はプロ野球は好きですか。差し支えなかったらどこのファンかを含めてお聞かせ願いたいと思います。
#12
○国務大臣(吹田ナ君) 私もテレビ等でよく見させていただいておりますが、山口県なものですから近いところで広島カープを応援しております、余り強くありませんが。
#13
○岩本久人君 実は私も中国ブロック、地元代表ということで熱烈なカープファンでございます。野田委員長の地元でもありますし、一緒になってことしはカープの優勝を祈ろうではありませんか。
 なぜプロ野球の話を出したかといいますと、私が一生懸命質問をして、議席に帰りまして一生懸命政府側の答弁を聞いておりまして、瞬間に野球のことを思い出したのです。つまりそれは何かといいますと、ペナントレースで優勝が決定した後、あれを消化試合というんです、もう勝敗にほ全く関係ないけれどもとにかく決められた日程は最後まで消化しなければならないんだ、だから勢い、応援団もほとんどいないし、それから選手も一流は出してこない、来年のために肩ならしをして、それ相当の対応にしかなっていない。私は答弁を聞きながら実はそのことを感じたのです。
 私にしてみれば初めての質問でもあるし、またあの本会議場の壇上に立つためにどれだけの多くの苦しみがあったか、そう思って、大変熱い期待を寄せて質問したつもりです。
 私は過去十年間の県議会のときには、生意気だと言われながら原稿なしでずっとしゃべっておりました。だから、今回もそれでいこうかと言ったら先輩が、そんな生意気なことはここでは許されないと。なぜかと聞きましたら、恐れ多くも日本で一番偉い総理大臣の答弁をもらうんではないか、そしてあの世界に通用する橋本大蔵大臣の答弁をもらわなきゃいけない、同期の中では出世頭の自治大臣の答弁をもらわなきゃいけない、そういうことが一つ。そしてそれにも増して、より正確な答弁をもらうためにはやはり文字にして出すことが極めて重要なんだ、だから将来にわたって文字にしたものを質問項目としてその全部を出さなければならないということを強く言われまして、それならということで私は一晩ほど徹夜をしまして、私の気持ちをその一字一字に込めて一生懸命書いたんです。そしてそれを出しました。その結果がさっき言ったような内容なんです。私は下手な字ではいけないと思ってわざわざワープロを打って、きっちり質問項目も出してやったにもかかわらず、何で答弁漏れが出てくるのか、極めて残念でならぬのです。
 そのときにさっき言ったように感じたのは、ああそうか、既にこの地方交付税は衆議院では通過しておるし、質問をしておる社会党も、所属する党もどうせ賛成するんだから、ともあれ会期内に何とかおさめるためにそれなりの格好づけをすればいいんだ、こういうことが答弁の中にありありと私は見えた。実に悲しい思いでいっぱいでありました。いわゆる勝敗が決まるまでのプロ野球のあの緊張感がない。どこか弛緩している、たわんでいる、それが私は感じられたものだから物すごく腹の底から憤って、頭の中が真っ白くなるほど気持ちが混乱をいたしましたが、まあそうはいってもと思いながら一生懸命おのれをなだめてずっと耐えに耐えておりました。しかし、考えてみると、私自身が耐えるということは私を一生懸命支えてくれた何百人何千人何万人という多くの有権者に申しわけない、せっかく島根県でたった一人そこへ参議院では立たせてもらっているわけだからやはり最後までそれは追及しなければならない、そういう思いに駆られて今回やるわけであります。
 なぜこの場で取り上げたか、それは総理大臣の答弁漏れがあるわけですが、それも言う者に言わすと、そんなむちゃを言うなと。考えてみろ、十九日は朝一時まで総理大臣は日ソの交渉で大変だった、だから超多忙でもうそれどころではない、心身ともに大変な疲労の中にあったわけだから許してやれやという意見もないことはなかった。しかし、私がそこで思ったのは、海部総理大臣は私の質問に対する答弁で答弁書を読んでおられたんです。ということは、その答弁書はだれかが書いた。それで、その後だれが書いたかということを聞いてみましたら、内閣官房の方から、あれは自治省でつくった、こう言われたものだから、自治省の大幹部がおられるところで一回、そこのところはなぜそんな誠意のない答弁を総理大臣に与えたかということを聞きたい。
 日本の政治というのは、世界からも言われていますように、また国民が十分承知しておるように、文字どおり官僚政治だということを思った場合、やはり今回そのことをきっちりたたいておかないと日本の国権の最高機関である国会の機能というものが健全な発展をしないと思ったからであります。後からどこがどうであったかということはそれなりに申し述べたい。もちろん総理大臣に対する質問ですから自治大臣にどうこうということを最後まで詰めていくことは難しいと思いますが、いずれにしてもその点は後から申し上げます。
 今私が主張していることについてどのようなお考えをお持ちか、自治大臣にお伺いいたします。
#14
○国務大臣(吹田ナ君) ただいま岩本先生から厳しく我々政府側に対しましての御指摘がございまして大変恐縮しておるわけであります。さも衆議院を通過した関係からもう全く緊張の緩みではないかというような意味のお話もございましたが、我々政府側といたしましてはそんな気持ちは毛頭ございませんし、特に政府委員においては本当に緊張の連続であります。国務大臣の側は同僚でもあるという国会議員という立場もありますから時には緩みがちなところもありますが、それにいたしましても、法案が衆議院から参議院へ送られ、あるいは参議院から衆議院へ送られるという場合が法案ごとにございますが、決してそんな生意気な姿勢を持っておる閣僚は一人もいないと思っております。
 いわんや総理大臣は、本当に我が国の責任者として現実に政治活動を続けておるわけでありますし、閣議を統括しておられるわけでありまして、特に今お話がありましたように、せんだって十六日からお迎えしましたゴルバチョフ大統領、離日十九日でありましたが、私どももはたから見まして、その間の緊張というものはまさに大変なことであった、ソ連大統領もまたそれなりの御苦労であったと思っておりますが、我が国の総理大臣としましても非常な御苦労をされたわけであります。
 しかし、それはそれとして、そのことがあったからどうこうという意味でなしに、やはり岩本先生に対しましては一点のすきのないきちっとした御答弁をされるべきであるという建前をとっておりますし、私もされたと思っておりますが、しかしその中で答弁漏れがあったとか、あるいはそこに受けとめ方として総理大臣の説明あるいは自治大臣の説明が十分でなかった、こういうことであるとすればそれは大変残念なことでありまして、きょうはこの委員会で改めていろいろな点について御指摘をいただければ真剣に取り組んでまじめな御答弁をさしていただこうと思っております。先日の本会議において、私ども政府関係の態度がよくなかったという印象をもし与えたとすれば、これは私は深くおわびをしなきゃならぬことでありまして、決してそういう不心得と申しましょうか、不まじめと申しましょうか、緊張を欠いた衆議院と参議院という立場に立っての考え方はみじんもないことをこの席から表明をいたしまして御理解をいただきたい、こう思っておるわけであります。
#15
○岩本久人君 けさほどあの答弁は自治省で書いたということを言ってきたものだから、では自治省のだれとだれが決裁をしてどうなったのか、こういうことを聞きたいと思っておりましたが、ただいまの答弁がありましたので一応了解をすることにいたします。
 いずれにしても、政治の世界は結果責任というものが最優先されるということはもちろんわかるのですが、世の中の仕組みをつくるという大変重要な仕事に携わっておられるわけでありますから、今できなくても、今後建設的な議論を積み上げていく中で時期が来れば一つ一つ積み上がってくるということもあるわけですから、私はその間における議論の経過、そのプロセスというのは大変重要だと思っております。ひとつ担当政府委員の皆さんの今後の御奮闘を特にお願いしておきたい、こう思っております。
 それでは改めて具体的な問題で質問をさせていただきたいと思います。
 四月十九日の本会議で私が取り上げました例の一兆円減税の問題について、総理大臣の答弁はこうなっておるわけであります。「都知事選においての問題にお触れになりましたが、私は減税そのものには賛成の立場を述べて候補を激励したわけでありますが、結果があのようなことになり、厳粛に受けとめております。」、これだけなんです。私はここのところは、あなたは、このようにマスコミ報道でなっておるというようなことをいろんなことを言いながら、特に地方自治法、地方財政法等との深いかかわりというものを無視してはできないと。また、その経過において自治省首脳の意見として新聞に、そのようなことはあり得ない、とても難しいことだというようなことも随分出ておったわけです。そういうことで質問したにもかかわらず、今のような答弁が返ってきておる。特に私がそこで質問の中に入れたのは、自治体が本来持っている課税自主権を行使しにくくしている起債制限制度を撤廃するために努力すると、これを自民党総裁海部総理は言っておるではないか、新聞に書いてあるではないかということを言ったわけですが、どうも当日の議運のやりとりの中では、そのようなことは言った覚えがないとかというようなことを言われたということを漏れ承っておるわけですが、それならそれでその場で言ってほしかったというのが私の本音なんです。
 そういう中で、こういうことが新聞に書いてあります。減税公約の実現は責任を持つということが一つ。海部総理と磯村さんとの対談の記事はこうなっている。二つは、地方税の税率は各自治体が条例で定めているもので、条例改正で引き下げられる。三つ目が、引き下げに伴う起債制限についても起債に頼らない財政を目指し、同時に起債を制限している地方財政法の改正を働きかける、こう言っておられるということが新聞に書いてあるんです。お忘れではないと思うのです。書いてある。ということになると、当然主管省である自治省と事前のすり合わせというものがない限りこのようなことが発表できるわけがないというのが私の判断する常識です。このことについて、大臣でもいいですし、自治省のいわゆる新聞紙上でいう首脳でもいいんですが、この点についての相談があったのかどうなのか、そして今後どのようにこれを考えていかれるのか、お伺いしたいと思います。
#16
○国務大臣(吹田ナ君) 自治省の首脳でありますから私から申し上げます。
 この点につきましては、私どもには何らの相談はなかったわけであります。岩本先生は首をかしげられますが、これは信じてもらわなきゃならない、事実でありますから。私どもには磯村陣営からも、あるいは推薦団体でありました関係党からも、いずれからも全然御連絡はございませんでした。したがいまして実はびっくりしたようなことでありますし、ごあいさつもありませんものですから、私は私なりに自治省はこれには一切関知しておりませんということを本会議では御答弁したわけでありまして、これは事実をそのまま申し上げたわけであります。ですが、海部総理の場合は総裁という立場がありますから、総裁としての立場は総裁の立場として激励はされたのでしょうけれども、それでは党と何かの協定を結んだか政策協定を結んだかということについての内容は私のうかがい知るところではありませんが、党としてそういう話し合いが決められたとは伺っておりません。
 ですから、恐らく候補自身あるいはスタッフがそういうことでの発言をされたのではないかなという感じで私どもは受けとめておるわけでありまして、それじゃ責任がどうだという問題になってきますといかにも残念なことであるというふうに思いますが、今日ああいう結果になりましたものですから、それはそれとして別にしまして、ただ自治省がこれに関与しておったんではないかということについては、全くその事実がなかったということだけは私はこの席でしかと聞きとめておいていただきたい、こう思っております。
#17
○岩本久人君 三月二十六日の読売新聞にこう書いてありますね。これは読売だけじゃない、ほとんどの新聞に書いてある。東京都知事選に立候補している磯村尚徳候補は二十六日午前、自民党本部で海部首相と約二十分間会談し、同候補の公約の目玉である都民税の一兆円減税について改めて協力を要請した。これに対し、海部首相は、全面的に協力すると答え、一兆円減税の実現に強い意欲を示した、こうあるんですね。
 それで、私も本会議で言ったのですけれども、選挙に出る者がどのような公約を掲げるか、これは私は全く自由だと思うんです。その責任はその立候補者自身にすべて帰属するからです。しかし、行政の最高の長である総理大臣がそれを保証したという言質を与えたということは、これはたとえその衝にある自治省があずかり知らないことであっても、私は政治家海部俊樹としてやはり最後まで責任を持っていくべきだろう、こう思うんです。その点についてどのような御意見をお持ちでしょうか。
#18
○国務大臣(吹田ナ君) 私は総理でないものですから、総理にかわってというような答弁はできませんが、あの場合はあくまでも自民党総裁という立場で自民党総裁室でお目にかかられたというふうに伺っておりますし、官邸ではなかったわけでありますし、そういった意味でそこらの問題につきましてはここで私がこう思うああ思うというふうに申し上げるのも大変失礼な話でありまして、これはちょっと答弁を差し控えさせていただきたい、こう思っております。
 ただ、そうであったから自治省も責任があるんではないかとおっしゃいますが、自治省もうかがい知るところであるとすればそれは別でありますけれども、何らの御相談もないし、そういう御指示もいただいておりませんし、そういう点についてはかかわっておらなかったものですから、私どもとしては本会議で答弁したことで御理解を願わなければならない、こう思っておるわけであります。
#19
○岩本久人君 自治大臣の答弁はまあその辺が限界だろうと私も思いましたので、あえて本会議で直接聞いたわけなんです。ところが、全く答弁がないものだから、どうだったかということを聞いたわけです。
 そこで、今大臣が、あのときは総理大臣でなくて自民党総裁として約束されたものだ、こう言われますが、一般の国民の受け取り方はそんなものじゃないです、間違いなく総理大臣が約束したというふうに受け取る。また、そういう会談をセットしたりいろんなことをされた方というのは、総理大臣として約束をしたというイメージが欲しいためにそういうことをされたということであると私は思っております。その意味で言えばお互い選挙を戦う者としてフェアでなかったな、こう今思っておりますが、その点については厳粛に受けとめておると言っておられますからそれはそれとしておくにしても、いずれにしても起債制限といったようなことについて長い間そういうものはいかがなものかという議論がされてきた中で、そういった極めて大きな発言力を持つ方がそのようなことを言われたということにおいて、この問題について大変大きな提案になったということだけは事実だろう、こう思うんです。
 今までのことはなかったことにしても、せっかく総理も意欲を示されたわけでありますから、今の地方財政法、自治法の改正を含んで起債制限の問題というのを今後取り組まれるお気持ちはありませんか、お伺いいたします。
#20
○国務大臣(吹田ナ君) 大綱だけを申し上げますと、私が存じております前後の状況から見ますと、私も昭和二十年代から村長を勤めたわけでありますが、たしか昭和三十九年の時点で住民税の税制改正が行われたというふうに思います。いずれにしましてもそういったことで地方財政の確立のためにずっとやってきたわけでありますが、その基本はやはり基準財政需要額に対する基準財政収入の問題から来る特に地方税の問題でありますが、これが住民税の場合は数段階ありまして、財政が苦しいところは一番高いところの税率をとり、それから非常に裕福な市町村は一番低い税率をとるという事態がありまして、随分混乱した時代があります。特に昭和三十年代の当初はそうであったと思います。
 そういうことでいろいろとございましたが、今の税法改正が三十九年、これによって一定の標準税率というものをつくるということに、これは岩本先生も地方をお勤めになりましたからよく御存じでありますが、それでようやく地方財政というものが弱い地域と非常に強い地域があるけれども何とか均衡化というものを保つというような状況になり、それから堅実な地方財政というものが確立されてきたというふうに思っておりますので、この問題を、今急に標準税率を左右するというようなことは現時点で私ども考えておりませんし、今後の問題としましてはまたそれなりに、自治省には自治省としまして政府関係の審議会もございますから、そういったところの意見等も聴取しなければならぬことでもありますから、こういった点は慎重に対処すべきではないかなというふうに政治家としては考えております。きょうは財政も税制も担当しておる両局長がおりますから、この辺についてはまた説明してくれると思いますが、私はそういうふうな気持ちで今日はいるわけであります。
#21
○岩本久人君 ということは、現段階、自治省としてそのような考えは全くないということですね。
#22
○国務大臣(吹田ナ君) 私どもとして申し上げれば、今日の時点ではこれを直ちに手を入れて標準税率を左右するとか、起債の充当問題についての法文を左右するということについては考えておりません。
#23
○岩本久人君 ならば、そのようなことをなぜということになるんですが、堂々めぐりになりますからその点は一応おいて、また海部総理大臣には別のところで直接聞いてみることにいたしまして、この問題をおきたいと思います。
 次、第二点目として私が取り上げました陳情行政の問題についてであります。
 私は、あのときにもるる申し上げたように、県庁の職員に入ったのが昭和三十七年でして、それから約三十年間、そのうち十二年は議員をやったわけですが、地方の行政というものに深く携わりながら常に東京を見ることにならされてまいりました。一定の役がつくと東京に行くということは、多くの職員の中で大変優越感を感ずることであるし、ああ自分もここまでになったのかということを思いながら、何の疑いもなく陳情行政と言われるものに携わってまいりましたが、約十年ぐらい前から大変な疑問を持つようになったんです。
 それは、直接自治省とか大蔵省とか農水省とか、その他いろんなところに行ってみて、そこの担当の職員の皆さんが心から歓迎をするという顔に出会ったことが一回もないからなんです。冷たい視線で、また来たか、何のために来たかというようなふうに受け取れたものだから、その帰りにいろいろな人とたくさんいろんな話をしました。そして、その後一生懸命勉強してみた結果、そのように十人で来れば間違いなく一回の旅費が百万円かかるんです。そんな大変なお金をかけて島根県庁を留守にしてわざわざ来ても、それだけの効果がないということならそのようなことはやめたらいいんではないかと思って周辺を見たら、実は東京に陳情に来る人は県庁の職員だけではなかった。市町村の職員、県会議員、町村議会議員、農協、漁協、青年団、婦人会、その他各種スポーツ団体、もうありとあらゆる考え得る団体が、物すごいお金と物すごい時間をかけて東京に来る。
 私も東京というところに来まして一年半になりますが、果たして去年一年間で私の部屋に何人来られただろうかと思ってみると、少なくとも百五十人以上です。私は半分は地元におるのだけれども、それでも百五十人。私の同僚の衆議院の人に聞いたらその倍来ていると言う、政権政党でなくても。なぜだろうか。さっき言った消化試合の関係もあるのかもわかりません、やっぱり衆議院がなにだということで僕に来るのかもわかりませんが、政権政党でなくともその場合は行っておる、社会党でも。ということは、政権政党の皆さんのところとか、また国会周辺の霞が関の十数省庁のそれぞれの役所には、恐らくおびただしい数の陳情が次々押しかけてきておるんではないかと思うんです。
 中には、私が直接聞いた話ですが、大型バスに乗って来るんですよ。それでここの会館の前まで来て、そうはいっても入れないから代表十人にしようやと十人来るわけです。バスの中で五十人待っているわけですよ、六十人来たら。ということは、あとの五十人は何しに来たのか、こういうことになるわけですね。それよりもっともっと極端な例がたくさんあるんですよ、いわゆる陳情行政というものについて。
 そこで、まだあといろいろのことを申し上げたいのですが、十数省庁にまたがって、陳情の対象は補助金だけではないと思いますが、補助金だけでも約二千三百件あって十五兆円以上ある。それらを中心にいろんなところから来ると思うんですが、それらの配分というものは、陳情が強いか弱いか、陳情団が多いか少ないかで結果に違いが出るものですか。それをまず自治大臣にお伺いいたします。
#24
○国務大臣(吹田ナ君) これはまた大変難しい話でありますが、私はそういうことで今先生おっしゃるように数字が変わるというふうには思いませんが、ただ、民主政治というものは世論政治である、世論の背景というものが非常に大きな意義を持っておる、こういうふうに受けとめるべきであると思うんですよ。そういう意味で、陳情がすべて悪であるという受けとめ方は私もしておりませんし、先生はもちろんしておられないと思うんですね。ただ、そこには若干の、地方公共団体あるいはそういう団体からのいろいろな陳情運動には、オーバーと申しましょうか、あるいは多少のむだと申しましょうか、そういうものがないとは言い切れません。ですから、そういう行動については十分行政的な面ではそれぞれ地方公共団体で効率的な活動をするということで措置すべきであろうと思うんですが、陳情そのものを、私は受けとめ方として、全面的にノーという解釈はしておりません。これはそれなりに世論政治の一つの方式である、こう思っておるわけであります。
 それでは、そのことで役所の補助金の額が、あるいは自治省で特別交付金の額が上げ下げするのか。それはそれですぐ右左になるものではない。ただ、説明を十分聞く機会をそこでつくるということは、それはそれなりに理解と協力の上ではプラスになると思うんですね。ペーパーの上で見る場合と、現実にバッジをつけた町長さんが来られて、実はここに出ておる書類はこういう理由があるのですということを直接詳しく真に迫る話をされる場合とでは、役所の人といえども人間でありますから、行政は公平でなけりゃなりませんし、政治も公平でなけりゃなりませんが、人情はまた別なものでありますから、そういう意味で解釈していかないとどうも世の中というのはぎすぎすしてくるのではないかなという感じがしておるわけであります。
#25
○岩本久人君 私も、今言われた人情の点はそれなりに理解いたします。しかし、大変な数の陳情団の、今言われた直接実情を聞くという話ですよ、そのうちの何割が直接担当者と会って話をして帰ったろうか、これを調べてみてもらいたいんですよ。私も一生懸命勉強してみました。私の推察では、直接会って話をして帰ったのが二割以下です。あと八割は何の気なしにそこへ立っておるとか、玄関の外で待っておるとか、留守中に名刺を置いて帰るとかということなんですよ、その実情というのは。
 だから私は、現在の陳情行政というものが全然必要ないとは言ってませんが、余りにも常軌を逸しておるということを言いたいと思うんですが、その点についてはどのような感想をお持ちですか。
#26
○国務大臣(吹田ナ君) 御指摘のような点は、私も政治家として長い活動をしておるわけですから、そのように受けとめております。ですから、それはそれなりにこれから規制すべきものは節度ある陳情として規制するように、しかもそのことが関係団体や、いわんや地方公共団体という市町村、県に大きな財政的な負担をかけておるんだ、累計していけば年間相当の大きなお金を東京に落とすことになるというお考えでのお話だと思いますから、ひとつよく部内でも検討しまして、そういう点は節度ある行動をとっていただくような方法をこれからまた検討させていただこうと思います。
#27
○岩本久人君 節度ある陳情を検討したいということですが、一年と五カ月ほど前ですか、私この問題を取り上げたときに、では果たして幾らぐらいの経費がそれに使われているだろうか。私が一生懸命試算をしましたら、大体年間三百億円というのが出たのです。それで、三百億円以上かかると思うがどうですかという質問に対して、当時の持永財政局長もその程度要るだろうということを認められました。
 その後、私も、いろいろ計算してみると実はそれ以上かかるということも聞いて、再度これは取り上げなければならない、こう思った次第ですし、また今はタイム・イズ・マネーで、お金だけでなくてそれに要する時間がどれだけかということです。しかも、率直に言って、俗な言葉ですが、単価の高い人ばかりだから、それぞれの地域では責任者としてそこで頑張ってもらわなければいけない方が三日、四日、一週間、十日と留守にするわけだから、社会経済的な活動にもかなり大きな影響があるということでございますので、今の答弁で結構ですので、ひとつ早急に節度ある陳情に持っていくようにぜひとも私は力を入れてもらいたいと要望いたしておきます。
 三つ目はいわゆる天下り人事の問題ですが、私は総理大臣への質問に、現状について伺うということを事前のレクチャーでも厳しく言っておいたんですが、ここのところが完全に抜かれておりました。
 自治大臣でなくても結構なんですが、現状どのようになっておるのかお伺いをしたいと思っております、全省庁。
#28
○政府委員(森繁一君) 各省庁から地方公共団体に出向している者の現状の話でございます。
 大変申しわけございませんが、私どもでは各省庁から地方公共団体に出向している者の具体的な数につきましては全体を掌握いたしておりません。ただ、自治省の関係について申し上げますならば、自治省と地方公共団体との人事交流によりまして地方公共団体の幹部職員として在職しております自治省関係者の数は、特別職を除きますとおおむね百七十名程度でございます。
#29
○岩本久人君 自治大臣、今答弁聞かれましたか。ということなんですよ。私はきのうこのことを質問するからということを言っておいたのに、持ち合わせてないわけですよ。そういうことが全くもって不誠意きわまりないと言うんですよ、私は。どういうことなんですか、それは。
#30
○政府委員(森繁一君) 各省庁と地方公共団体との人事交流は各省庁それぞれのお考えによりまして行われておると存じております。したがいまして、これは各省庁それぞれでお考えいただくべきことでございまして、私どもの方でそれを統一的に数字を把握するということは極めて困難でございます。
#31
○岩本久人君 極めて困難と言われたけれども、実は私は一日で全部集まったのです。たまに東京に来る私が一日で集まったものを、自治省の官房長という物すごい権限のある人が、しかも優秀なスタッフがたくさんおって、なぜ困難ですか。
#32
○政府委員(森繁一君) 自治省の官房長が大変権限があると仰せられましたけれども、役所というのはおおむね縦割りでございまして、私どもの方で各省にお願いいたしましても、これは人事の秘密等の問題もございますし、容易に出てまいりません。国政調査権等の関係がありますればそれは別かと存じますが、役所ベースではなかなか難しいということを申し上げたわけでございます。
#33
○岩本久人君 私は質問の通告をするときに、答弁漏れの問題は言うよということを言ったけれども、官房長に答えてもらいたいということを言っていなかったもので、それ以上詰めることはやめます。しかし、私は、全体としてそういうところに誠意がないということを言う一つの要因がありますよということだけを指摘しておきたいと思います。
 では、次の問題に入ります。
 質問の順序が変わりますが、一昨日段階で統一自治体選挙がようやく終了いたしました。そこで出された問題を二、三取り上げてみたいと思うんです。
 それは公選法の関係です。今回も長い長い半年間にわたる選挙活動が全国一斉に熾烈に戦われました。選挙というのはまさに筋書きのないドラマでありまして、それは本当に大変です。その過程の中でさまざまな選挙違反というようなものも、これは宿命的必然といいますか、存在をするわけでありますが、その中でも私は特にいわゆる戸別訪問という問題については、そろそろ全国民的な合意のもとに戸別訪問禁止というものは廃止をしていく趨勢にあるのではないか、こう思うのですが、去年一年間、公選法百三十八条の戸別訪問禁止で検挙をされた数がどの程度あるのか、そしてそれが裁判等を通じてどういう結果になっているかということをお伺いいたします。
#34
○政府委員(國松孝次君) 検挙件数でございますけれども、平成二年の年間を通じましての検挙件数に関します統計数字は今のところまだございません。ただ、二年に衆議院選挙が行われました。そのときの検挙件数につきましては、百九件、二百六十名ということになっております。
 なお、平成二年は年間を通じての検挙状況は出ておりませんが、平成元年につきましては、六十二件、百四十三人の検挙ということになっております。
 なお、これの処分状況につきましては一つ一つフォローいたしておりませんので、ちょっとお答えする数字を持たない次第でございます。
#35
○岩本久人君 恐らく結果は略式で済んでおるだろうとは思うんですが、いずれにしても司直の手に触れなければならないということは大変な重圧なんです。だから、その点を特に聞いてみたということでございます。
 そこで、公選法の主管省としての自治省にお伺いしたいんですが、私は戸別訪問という方法は今日の国民の日常的な生活の中における最も簡便で、かつ最も有効な方法だろ「つ、こう思うんですが、選挙制度を熟知している自治省は、この戸別訪問というものについて現在どういう評価をしておられるか、お伺いしたいと思います。
#36
○政府委員(吉田弘正君) 戸別訪問についてのお尋ねでございますが、御案内のように現行の公選法上戸別訪問は禁止をされておるわけでございますが、この問題につきましては、戸別訪問はこれを認めるべきであるというような御意見もございます。しかし一方では、現状では政策普及中心の戸別訪問とはなり得ないで、むしろその候補者、選挙人双方にとりましてなかなか煩にたえないというようなこと、あるいはまた戸別訪問によって買収等の選挙の自由、公正を害する犯罪の機会となるおそれがあるというようなこと等の弊害の懸念もあるということで、これを認めるにはまだ時期尚早だというような御意見、さまざまございます。認めるという御意見の方では、積極的にフェース・ツー・フェースによって自分の政見を訴えることができるというようなことを言われる方もございます。
 しかし、さまざまな御意見があるわけでございまして、ただ、我が国の戸別訪問につきましては選挙制度におきまして極めて長い歴史を持っておりまして、その間禁止をされてきているという経緯がございます。したがいまして、これを認めるかどうかにつきましては、やはり今後各方面において十分その御論議を尽くしていただくことが重要なのではないか、かように存じております。
#37
○岩本久人君 民主主義が発達をしていると言われる国で、日本以外でこうした戸別訪問を禁止している国というのはどことどこがあるんですか、それを聞きたいと思います。
#38
○政府委員(吉田弘正君) 私も諸外国の制度全部を承知しているわけではございませんが、一般的に言えば戸別訪問は諸外国では禁止をされておりませんで、むしろそれが選挙運動の中心になっている国もあるように聞いております。
#39
○岩本久人君 私は、事ほどさように戸別訪問を禁止していることの意味というのは今薄れていると思うんです。
 それで、さっき言われた煩にたえないとか、どう言われたか。
#40
○政府委員(吉田弘正君) 候補者の方々もそれから受ける方の選挙人の方々も、煩にたえないというようなことを通例言われているわけでございます。そういうことを先ほど申し上げました。それが一つの戸別訪問の禁止の理由にもなっているということを申し上げたわけでございます。
#41
○岩本久人君 今言われた煩わしいとかあるいは買収の温床になるとかというようなことが、今までは禁止の一番大きな理由にされていた、私もいろいろ裁判にかかわっておりますのでわかっておりますが、というふうに言われているんですが、戸別訪問の禁止の法律というものはいつごろ決まったものですか、お伺いいたします。
#42
○政府委員(吉田弘正君) 戸別訪問の関係の禁止の規定は、これは御案内のように、大正十四年の衆議院議員選挙法の改正でございます。このときにいわゆる普通選挙法が施行されたわけでございますが、そのときに戸別訪問の禁止の規定が設けられました。以下ずっと禁止をされてまいりましたが、戦後一時、公職選挙法の制定のときに一部戸別訪問が緩和されたというようなことがございましたが、再び、これがまたいろいろ問題も生じまして、戸別訪問は禁止をされてきておるというようなことでございます。
#43
○岩本久人君 いずれにしても、私は、選挙を戦う過程において候補者が有権者に政策を訴える、それから支持を訴えることも当然ですが、そういった手段としては最も簡便でかつ負担も少ないということで大変有効なことだろうと思うんです。そういったことを禁止しているということが、私は今回の統一地方選挙で投票率が、例えば市長選挙の場合は七割を割って六六・五八%になって史上最低を記録した。あるいは市議選は六五・三九%、特別区長選は四九・二一%、区議選は四八・九七%とそれぞれが五割を割ったということが大々的に報じられておるわけですが、それの原因の一つにこのようなこともあるのではないかと思うんですが、その点はどのようにお考えですか。
#44
○政府委員(吉田弘正君) 今回の統一地方選挙は、押しなべて投票率の低下傾向が見られたわけでございます。投票率がなぜ下がったかということでございますが、これは投票率の要因につきましては、選挙の争点でございますとか、候補者の数でございますとか、あるいは当日の天候等さまざまな要因がございますので、何がということにはなかなかならないと思いますが、全体的に低下傾向にあるということでございます。必ずしも戸別訪問が禁止されているからこれが下がったということに結びつくかどうかはわからないわけでございますが、いろいろな要素で投票率は変わってくるというようなことかと存じます。
#45
○岩本久人君 現在戸別訪問が禁止をされておる理由として、今までのさまざまな多くの裁判の中で出されてきたこととしては、要約をすると次のようなことになるんじゃないかと思うんです。
 一つは、戸別訪問は買収、利益誘導の温床になりやすい。二つ目が、さっき言われた選挙人の生活の平穏が害される。三つ目が、候補者側が訪問回数を競うことを強いて煩にたえない。さっき言われたことですね。四つ目が、多額の出費を強いられる。五つ目が、投票が情実に支配されやすい。六つ目が、現職議員にとって不利となる。これが大体戸別訪問がいいのか悪いのかというようなことを議論する学者の間でも言われておる大まかな基本的な要素です。
 しかし、先ほどあるように、日本以外のさまざまな先進国家では戸別訪問禁止というものが全くない、戸別訪問を禁止されているのは日本だけだということを考えてみた場合に、今私が挙げた六つの禁止条項を存在させるための積極的な意味がなくなってきておるというふうに思うんですが、その点について一つ一つよろしくお願いします。
#46
○政府委員(吉田弘正君) 諸外国に比べまして、日本の選挙運動全般に、これは戸別訪問だけではございませんが、規制が厳しくされているということでございます。これは、選挙についてやっぱり公平、公正ということが要請されますので、そういうものを選挙運動の面でも制度的に手当てをしていこうということで設けられているものと承知をいたしております。
 そういう中で戸別訪問も、先ほど来申し上げたような理由でいろいろな御意見もあるわけでございますが、また裁判での判例の中では、ただいま先生お挙げになりました幾つかの点が戸別訪問の禁止の理由として挙げられているわけでございます。それぞれの問題としてお話がございましたが、これがすべて現在はもうそういう問題は生じないんだというふうに言い切れるかどうかは、私どもまだ選挙の実態をきちっとよく承知をしておりませんので、これが直ちにすべてそういう問題は解消し切っていると言うまでにはなかなかこの場で断定することはいたしかねるというふうに思っております。
#47
○岩本久人君 いわゆる選挙運動の本質は何だろうか、こう考えてみた場合、私は、単なる表現の自由の問題ということのみではなかろう、そこには憲法十五条で言うところの国民の公務員選定あるいは罷免する権利の一環であるというふうに思うんですが、その点どういう見解をお持ちですか。
#48
○国務大臣(吹田ナ君) 選挙についてのやり方はいろいろあると思うんですね。ただ、今先生おっしゃるように、戸別訪問というのが本質的には選挙だと私は思うんですよ。戸別訪問を禁止する選挙などというのは本来はおかしいと思いますよ。しかし、これは、法治国家ですから守らなければいけないんです。そもそも自動車に乗って大きな声を上げる方がおかしいのです。戦後ずっと私もやってきましたが、トラックの時代もありましたから、そういうことから考えると今かなりスマートに、自動車で手を振るぐらいでいいわけですが、それにしましてもああいう姿がどうかということと戸別訪問を禁止しておる姿がどうかということを考えますと、私は本質的には戸別訪問というものが選挙なんだ、こう思うんですね。
 ただそこには、どうも日本の家庭の中というのは複雑なものですからとかく問題が起きるということもありましょうし、あるいは先ほど先生も指摘されておりますように、体力の違いから、かなり頻繁に戸別訪問ができる体力と、そうでない方もありますから、そういうことでいろいろなもので検討されているわけでありますが、これはいよいよこれからいろいろと選挙資金の問題、選挙方法の問題、その他の問題を総合的に検討される段階に入っておりますので、そういう際にもさらに戸別訪問問題も検討していきたいものだなと思っております。十分配慮しなきゃならぬ問題であるということだけは私も認識しておるつもりであります。
#49
○岩本久人君 歯切れのいい答弁で私も意を強くしましたけれども、そういうふうに私も動いていると思うので、ぜひとも法律の改正に向けて積極的に取り組んでもらいたいと思います。
 そこで、、事務当局が足を引っ張ってはいけませんのでちょっと言っておきますが、四年前の統一自治体選挙で、調べてみたら戸別訪問の検挙が九十三件なんです。しかし、買収は一万八百五十三件です。ということは、戸別訪問は買収の温床だという論理が成り立たないのではないか。戸別訪問しながらお金を配ったりする者はだれもおりはしません、私も経験がないからわかりませんが。そういうようなこともありますので、せっかく大臣が前向きな発言をしておられますので、改正のため一緒になって、諸外国もそうなっているわけだから、ひとつ検討を早急に始めてもらいたいということを特にお願いしておきたいと思います。
 それから、警察庁長官にお伺いいたしますが、今議論をしたようなことなんです、戸別訪問ということのいわゆる犯罪性というものを追求する論拠というのは。そうは言っても、学者の一部には戸別訪問は本来もっとあるのではないかということを言われながらも、検挙がその程度になっておるというようなことを考えてみると、警察庁としても、この戸別訪問禁止ということについて捜査を開始する、やるということについては、第一線の警察官を含めて、さあきょうは戸別訪問禁止のための捜査が始まると聞いただけで血沸き肉躍るというようなものではなかろうかと思うんです、ほかに巨悪はまだたくさんあるわけだから。だから、そういう意味からいえば、全国の例を見ると戸別訪問禁止のために容疑者として出頭を求められる、任意同行を求められるといったようなことがまだ今でもあるわけですが、さっきから言っているようなことですから、ひとつそこのところはやっぱり趨勢に合った対応をしてもらいたい、こう思うんですが、その点についてよろしくお願いします。
#50
○政府委員(鈴木良一君) 警察は決められたことを決められたとおりやらなきゃならぬ立場ではありますけれども、しかし私ども、選挙違反につきましてはやはり買収等の実質犯を中心にやっていくということを主眼に置いております。
 ただ、形式犯につきましても違反内容の態様だとか、あるいは組織性等で悪質なものにつきましては検挙の措置を講じていかなければならない、これがやはり選挙の公正を保つゆえんだと思います。しかし、軽微なものはできる限り警告でもってとどめる、そういうことで違反状況の除去に努めてまいりたい、かように考えております。
#51
○岩本久人君 次の問題に行きますが、公選法百九十九条の二のいわゆる政治家の寄附禁止規定についてお伺いいたします。
 改正された公選法でこの問題が入ってきたわけですが、警察庁長官にまず最初に伺います。改正以来検挙とか逮捕とか含めて、そういう状況がその後どのようになっているか、また、それがその結果どうなっているかということをちょっとお伺いいたします。
#52
○政府委員(鈴木良一君) 寄附の禁止の関係でございますけれども、昨年の二月一日に改正になりまして、ことしの四月二十二日現在、一年有余でございますが、この間に法百九十九条の二の違反として私どもの方に報告のありましたものは四件五名でございます。このうち三件三名が起訴猶予でございまして、あと一件二名が未裁という形でまだ措置が決まっておらないという状況でございます。
 なお、警告でございますが、これは実はまだ半年分しか調べていないのでございますが、昨年の二月一日に施行されて以来、昨年の八月三十一日までの半年間に五十八件六十七名の警告をしておるというところでございます。
#53
○岩本久人君 その内容というのは祝儀とか陣中見舞いとか香典とかといったようなたぐいも入るわけですが、今検挙されたのが何件何件と言われましたその中身はわかりますか、どういう内容か。
#54
○政府委員(鈴木良一君) 違反として検挙をしました者は、清酒を供与した、あるいは塩マスを供与したとか、それから現金を供与した者も入っております。
#55
○岩本久人君 率直に言って、今言われたようなことは去年の二月一日以降、私を含めて、天地神明に誓って絶対ないぞと言い切れるかどうかというと、実はいささか疑問もあるわけです。だからといってどうこうではないんですが、私はやっぱりそこのところももう工夫の時期に来ていると思うんです。
 例えば、今回の選挙だけでも毎日のように新聞記事に出ています。「江戸川区長陣営「エール交換」と二万円」、新聞の見出しを読むだけでも二十ぐらいあるんです。「区議候補四十六人に「のし袋」に入れ配る」。宮城県では、「市、町長が候補者に現金「陣中見舞い」などと五千円」を配る。「多賀城市長も候補に″祝儀″配る」。土浦市議選では、市長が現金で陣中見舞いを一万円から三万円、告示の前の日に三十人に配った。それから、陣中見舞いで千葉の「印西町長も配る」。それからさらに、茨城県知事が再度配ったとか、その他いろんなことがたくさんたくさんある。
 それで、この法律というのは政治家が中心なのですから、政治家というのは率直に言って一般の国民より法律関係等には詳しい、しかも直接の利害も絡むということですから、このようなことは本来あってはならないことだろうと思うんです。だから、その点自治省は周知徹底の仕方をどのようにやっておられるか、まず最初にそれを聞きたいと思います。
#56
○政府委員(吉田弘正君) いわゆる候補者等の寄附禁止の強化措置は御案内のように昨年の二月から施行されておりまして、この関係につきまして自治省といたしましては、政治家の方々はもとより御承知なわけでございますが、一般国民、住民もよくこのことを、受け手の側も知ってもらうことが寄附禁止の強化措置を定着化させていく上で非常に大切という認識を持っておりまして、実は私ども啓発予算というのがございますが、それもこの関係で倍増いたしまして、それぞれ明るい選挙推進協会という明るい選挙を推進する財団法人がございますが、そういう団体と協調したり、あるいは都道府県、市町村の選挙管理委員会を通じまして積極的に国民への周知徹底をしているというような状況でございます。
 具体的な手法といたしましては、テレビのスポット放送でございますとか、あるいは新聞広告でございますとか電車の中づりでございますとか雑誌の広告でありますとか、そういういろいろの媒体を使いまして時期折々に、例えばお歳暮の時期でございますとかお中元の時期でございますとか春の入学時期というようなときに集中して出すというようなことで定着を図っているというような状況でございまして、今後とも積極的にそれを進めてまいりたいと思っております。
#57
○岩本久人君 であるにかかわらず、例えばそれぞれの県とか市町村にはもちろん選挙管理委員会というのがあって委員長というのは別におりますが、その実は知事なり市町村長がちゃんと決裁していると思うんですよ。自分が決裁しておきながらなぜこんなものが次々と出てくるかということでしょう。それはどうしてだと思われますか。
#58
○政府委員(吉田弘正君) 個々具体の事情があるのかと存じますが、現行の公選法上、先ほど先生も御指摘になりましたように、公職の候補者等が、政党やその他の政治団体あるいは親族等を除きまして、一般に当該選挙区内にある者に対していかなる名義をもってしても寄附をすることは禁止をされているということになっているわけでございます。いわゆる陣中見舞いについても、選挙区内にある者に対してする場合には、候補者等が個人的に行う場合についてはこれはできないというふうになっております。ただ、団体として地方公共団体がこれを行う場合については、その団体自体が禁止されておるわけではございませんのでそれはできるわけでございますが、そういう場合でも、やはり公益上必要があるという場合に本当にその公益性を十分勘案し、また代表者の氏名をそういうことには出さないような格好でやるべきだというような趣旨の指導も今までしておるわけでございますが、まだ新聞等で散見することは残念に思っておる次第でございます。
#59
○岩本久人君 いずれにしても苦しいところですね。
 そこで、政治家の寄附というのは公選法の何条の違反になって罰則は何条でどの程度か、政治家を名義人とする寄附は何条の違反でどういう罰則があるか、お伺いしたいと思います。
#60
○政府委員(吉田弘正君) 政治家の寄附につきましては百九十九条の二の規定で禁止をされているわけでございまして、また罰則につきましては二百四十九条の二の方で罰則が設けられておる次第でございます。
#61
○岩本久人君 そこで、法のもとの平等という見地から次の点をお聞きしたいと思います。
 首長が公的な交際費から支出した場合と個人のポケットマネーから出した場合とでは法の適用は異なるのかどうなのか。私は、本人自身の自覚、そういったものも含めて考えると、個人の金より交際費から出したということの方がより悪質だと思うんですが、その点どうか。
 また、一度出したけれども誤りに気がついて即そのお金を回収した。回収した場合と回収しない場合とでは罰則の適用が変わるのかどうなのか、警察庁の方にお伺いしたい。
#62
○政府委員(國松孝次君) 罰則の適用につきましては私からお答えすべきかもしれません。
 罰則の適用そのものは、構成要件に該当する犯罪行為があればその罰則が適用されるわけでございます。ただ、今委員御指摘のように返した返さないというようなことがあるわけでありますが、そういうものは一般的に申しましていわゆる一つの情状ということではしんしゃくされるものになると思います。ただし、罰則そのものの適用を左右するものではないわけで、罰則を適用した上でその量刑をどうするかということになりましたときに、これは裁判所がお決めになることでありますが、返した場合返さない場合は若干違いが出てくるかなというようには思います。
#63
○政府委員(吉田弘正君) 公職の候補者等の寄附の禁止につきましては、百九十九条の二に先ほど申し上げましたような規定がございまして、公職の候補者等は、政党その他の政治団体や親族等に対する場合を除いて、選挙区内にある者に対していかなる名義をもってするを問わず寄附をしてはならないというふうに規定をされておる。また、百九十九条の三の方では、公職の候補者等がその役職員または構成員である会社その他の法人または団体は、選挙区内にある者に対して、いかなる名義をもってするを問わず、候補者等の氏名を表示し、または氏名が類推されるような方法で寄附をすることが禁止されている、こうなっているわけですが、ここで地方公共団体はその性格上この法人または団体には含まれないと解されているわけでございます。したがいまして、地方公共団体そのものが公益上の必要がある場合に、その代表者としての長の氏名を表示して寄附すること自体は公選法上は禁止されていないわけでございます。
 しかしながら、立法の趣旨にもかんがみまして、そのような場合には長の名前を表示することを差し控えることについては既にいろいろ指導しておりますし、また実際にこういう長が、当該地方公共団体が寄附をする場合は公益上の必要性を十分勘案してやるように、そして寄附をする場合であってもさっき言いましたように団体名でするようにというような指導をしてきているところでございます。
#64
○岩本久人君 大事なところなのでもう一回聞きますが、ある市長が市長の肩書で、もちろん名前を入れて寄附した、それは明確に言えば違反ではないということですね。さっきあなたが言われたのは、差し控えたい、こう言われた。個人は違反だけれども、肩書をつけたら明確に言えば違反ではない、こういうことなんですね。そこのところを。
#65
○政府委員(吉田弘正君) 市長が政治家として個人の立場でこれを寄附したということになれば、これは違反になるわけです。地方公共団体がしたという場合には、これは公選法の規定が働かないということで違反にはならないという意味で、市長自身が自分が主体でやる場合には違反になるということになります。
#66
○岩本久人君 だから、個人か肩書かということの一つの重要な条件としては、そのお金が公金から出たかどうかで明確に分かれるわね。市長が公金で出した場合はいいわけですか。
#67
○政府委員(吉田弘正君) 一つのメルクマールとして、やはり公金から出したということは当該団体が出したということだろうと存じますから、地方公共団体が、そういう場合には公選法上の問題は生じないということになろうかと思います。
#68
○岩本久人君 警察庁、今の判断でいいんですか。僕はそう聞いてなかったのですが、お伺いします。
#69
○政府委員(國松孝次君) 私どもも、そのように理解をいたしております。
#70
○岩本久人君 それじゃ、いいですか、ちゃんと聞いておってください。もう一回確認しますよ。
 市長が、どこどこ市長何々のだれべえと書いて、その中に例えば一万円ずつ入れて、そのお金は公金だと配った、これは違反にならない、こういうことですね。
#71
○政府委員(國松孝次君) そのような場合は、当該公共団体が寄附をしたということになると思われますので、この寄附禁止の違反の問題は生じないというように私ども理解をしております。
#72
○岩本久人君 そうすると、ここの新聞にある、市として大変お世話になっておるので、議員さん方には、三十人なら三十人の市会議員の立候補者には市長の名前で公金を出して一万円ずつ、一万円が二万円でもいいですよ、入れて全部配った、これは違反ではない、こういうことですね。
#73
○政府委員(國松孝次君) お尋ねの報道にあります件は私ども承知をいたしておりますが、現在まだ私どもの方で所要の捜査活動をいたしておるところでございますので、その内容について、報道がなされている件につきまして犯罪になるとかならぬとかというようなことにつきまして今言えるような段階ではございませんが、先ほど自治省選挙部長が御説明になりましたようなことをもとにしながら、本件が犯罪になるのかならないのかということを判断してまいることになるのだろうと思います。
#74
○岩本久人君 それは極めておかしいことじゃないですか。法律の解釈というものは、当然科学的にきっちりされるものでしょう。今私が言ったのは、そんな判断をちゅうちょしなければならぬようなことではないわけでしょう。市長が公金で祝儀を包んで陣中見舞いを市会議員選挙の立候補者全員に一万円ずつ配った、それは違法か違法でないか。そんな簡単なことを、今この段階で、去年二月からやっておってまだ判断があいまいだというようなことでは極めてよろしくない。不満でありますのでもう一回やってください。
#75
○政府委員(國松孝次君) 重ねて御答弁申し上げますが、具体的な事実につきましてはどうなっているのかということを私どもまだ詳細につかんでおらないわけでございますので、そのことについては御答弁を差し控えさせていただくということでございます。
#76
○岩本久人君 私は、どこかのそうした行為を特定して言っているわけじゃないですよ。市長が、市会議員選挙に立候補した者に対して、市という地方公共団体として世話になっておるから、今後も世話になるからということで公金を入れて陣中見舞いを配った、これはどうですか、こう言っているわけだから、どこかの捜査中ですから云々ということは全く関係ないということでしょう。だから、明確にその辺を言ってください。一般論です。
#77
○政府委員(國松孝次君) 先ほどから申しましたように、公金を出すか出さないかということは、公共団体が寄附をしたのか、あるいはそのポストにある例えば市長さんなら市長さん、あるいは町長さんなら町長さんが出したのかということを判断する場合の一つのメルクマールであるということを御説明申し上げているわけでございます。公金を出したなら必ずすべて違反にならない、一般論でございますが、ならないということを申し上げているわけではございません。
 したがいまして、例えば仮にそのような公金を使ったといたしましても、これは一般論でございますが、当該公共団体の寄附とは認められないような、その市長さんが、むしろ公金の使い方の問題になると思いますけれども、全く自分の売名行為なりなんなりというような形でやったということがもし具体的にあるとすれば、それは公金を使っていたからといって当該寄附行為の違反が成り立たないということにはならないというように思います。それはあくまで具体的なケースの場合でございまして、先ほど来御説明を申し上げておりますのは、公金を使ったということになれば、それは市長が個人でやったというよりも、むしろ公共団体の寄附であるということを判断する一つの材料になるであろうということでございます。
 いずれにいたしましても、具体的な場合につきまして一体どっちなのかということは、どの程度の範囲に配ったのか、どういうチャンスで配ったのか、そういうことを一つ一つ立証いたしませんと何とも申し上げられませんということを申し上げているわけでございまして、その辺についてどうか御理解をいただきたいと思います。
#78
○岩本久人君 つまりこういうことですか、公共団体が公金として支出するに足る十分な理由があるかどうかにおいて変わる、その判断は異なる、こういうことですね。
 しかし、そのような例というのは全国津々浦々にいっぱいあるわけだね。そういったときには自治省はどういう指導をしているわけですか。
#79
○政府委員(吉田弘正君) この問題につきましては、先ほど来申し上げておりますが、地方公共団体が団体として寄附をする場合につきましても、これは地方自治法上「公益上必要がある場合に」ということになるわけです。それがなければ本来寄附はできないということになるわけでございます。そういう趣旨も踏まえて、寄附については特に節度を持って対処してほしいという旨の通知も、既に昨年の夏に私どもの方から各都道府県知事なり選挙管理委員会の委員長の方に通知をしているところでございます。その中には、今言ったような当該団体でやる場合においても公益上の必要を勘案して節度を持ってやっていただきたいということと、それから紛らわしいものですから、そういう場合には個人の市長の氏名を書かない、表示しないで団体ということで寄附をするようにというようなこともしているわけでございます。
#80
○岩本久人君 ということは、地方公共団体が、その団体にとって公益性があると判断したときにはよろしいと、こういうことですね。というと、どこかの市長さんが判断したように、市にとって市議会議員の皆さんはその市にとって年がら年じゅう大変お世話になっておるわけだから公益性がある、こう判断したら配ってもいい、こういうことになるわけですね。
#81
○政府委員(吉田弘正君) これは地方自治法の問題で、地方自治法上「その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。」という規定がございまして、その地方自治法の規定をあれでございますので、私の方からお答えをするのがいいかどうかはわかりませんが、当該団体がその公益性を判断した上でその寄附なり補助を実行するということになるだろうと思います。
#82
○岩本久人君 それじゃ、その当該団体が判断をしたらいいということですね。それでその問題を終わりますから、そう判断したということならいいということですか。
#83
○政府委員(吉田弘正君) 判断したらいいとか悪いとかというよりも、先ほど言いましたように、公選法では政治家、候補者等が行う寄附について禁止をしているということでございまして、地方公共団体が行う寄附については公選法の問題ではないということでございます。
#84
○岩本久人君 それでは違う問題ですが、この公選法の改正というのは、全国的に政治にはお金がかかり過ぎるというごうごうたる非難、批判のもとで、日本の政治を少しでもよくしたいという切なる願い、その真剣な政治改革への願いからできたことであるから、私もそれなりに評価をするものです。しかし、画一的にすべての寄附を禁止しているということは現行法律上ちょっと無理があると思うのです。
 おととしの暮れから去年の春にかけて、例えば私たちのところにも、全国の共同募金会とか日本赤十字とかいろんなところから、ひとつそれほどは禁止しないでくださいという大変な陳情があったのも御記憶に新しいと思うのですが、そういったものもあるわけです。そういったことについては、やはり私は議員というのは神社やお寺の総代であることも多いし、自治会長であることもほとんどだし、それからいろいろな社会福祉施設にも率先して寄附をしていくということも実は政治家として最低限の義務ではなかろうかという見方もあるというようなことを考えた場合、それからさっき言った歳末助け合いとかといったようなことを考えてみた場合、そういったことまでも一律に禁止している現在の公選法というものはやはりその許容範囲というものを定めて大胆に改正する必要があるのではないかと思うのですが、これは大臣の方でその点についてひとつ。
#85
○国務大臣(吹田ナ君) これは非常に難しいことで、ついせんだってこの法律は寄附行為の問題を厳しく締めたわけです。ですから、旧来の陋習を破って、行きがかりを破って新しい一つの方式をつくっていこうということでこうい・つことになったわけでありますから、これを直ちにどうするこうするということを今こういう席で私は申し上げることはできませんが、確かに選挙区内においての寄附行為の禁止というのは、今までの生活環境や生活の流れからいきますと、不自由さというか非常に違和感を感ずるものがたくさんあります。
 例えば、私のことで申しますと、私は一つ社会福祉施設を持っているわけであります。精神薄弱児と者を二百人抱えておる施設を持っているのですが、この理事長をやっておりますものですから、少なくとも私が亡くなれば城南学園が受取人になってもらおう、城南学園という学園なのですが、ということで生命保険に入ったわけです。ところが、予想外に生命力がありまして、まだ元気なわけであります。亡くなって寄附になれば、受取人が城南学園にしてあるわけですからこれは問題ないのですね。ところが、私が健在な姿で満期が来ますと、城南学園にこれが寄附として、寄附というか受取人としていくわけであります、私に来ませんから。それはどうだと聞いてみると、それは違反であります、こう言うのですから、これは大変なことになったな、死ななきゃならぬのかなというような感じすら実は持っておるのでありますが、またその時期までにはこれはこれなりによく検討しなきゃならぬ問題だ、こう思っているのであります。
 そういうように、確かにこの寄附行為の禁止規定というのは、従来の考え方からいきますと相当問題があるということは私もわかります。特に比例区でお出ましになっておる方々は日本列島すべてが選挙区でありますから、これは大変なことだなというふうな感じがするわけであります。そういう意味で、この点は検討は専門家でされておると思いますが、今直ちにこの席で、それは不都合な点が多いからどうするこうするというようなことを私の立場で申し上げることはとてもできる話じゃありませんから、よく検討だけは、研究はこれからも続ける要素がある、こういうことだけを申し上げて御理解いただきたいと思います。
#86
○岩本久人君 それでは今の問題、以上で終わりたいと思います。
 次の問題に入ります。
 平成二年度の参議院地方行政委員会におきまして特別決議をいたしております。そのときには恐らく奥田自治大臣だったと思うんですが、特に発言を求められて、五項目の地方財政の拡充強化に関する決議について、大臣としての決意表明を行われました。この種の決議がどのような効果を後にもたらすか、これは私どもにとって大変重要な関心事であります。したがいまして、去年の六月十四日に決議のありましたことについて一つ一つお伺いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず第一は、
 国庫補助負担率の暫定措置の廃止等を図り、国庫補助負担制度の充実を期すること。また、下水道等をはじめとする生活基盤投資に係る地方交付税の配分の充実を図ること。
こうありますが、これはその後どうなりましたか。
#87
○政府委員(小林実君) 昨年の六月十四日に本委員会におきまして御決議をいただきました。御質問がございましたように、
 公共事業に係る国庫補助負担率の暫定措置の廃止等を図り、国庫補助負担制度の充実を期すること。また、下水道等をはじめとする生活基盤投資に係る地方交付税の配分の充実を図ること。
という御決議をいただいたわけでございます。これを踏まえまして、国庫補助負担率につきましては、暫定措置の廃止等を主張いたしまして関係省庁との折衝に入ったわけでございますが、一方、財政制約が厳しい中で公共投資基本計画が策定されまして、事業量を拡大することが求められることになってまいりました。これはいわば国際的公約にもなるというような大きな事情の変化でもあったわけでございます。
 折衝は難航いたしましたが、最終的には大臣折衝まで持ち込まれた上で、一部ではございますが、六十一年の水準まで復元をする、その後の扱いにつきましては三年間の暫定措置といたすわけでございますが、その期間内に体系化、簡素化の観点から関係省庁間で総合的に検討を進め、可能なものから逐次実施に移すということで決着を見たわけでございます。今まで、六十年度に補助率カットが行われましてカットの上乗せ等が行われてまいったわけでありますが、公共事業につきましては、今回一部ではございますが、初めて補助率を復元することができたわけでございます。また、残る影響につきましても、地方債等により補てんをいたしておりまして、地方団体におきまして公共事業の執行に支障のないようにいたしておりますので、御理解をいただけるものというふうに考えております。この補助率関係の法案等につきましては、既に国会等でも御可決をいただいておるわけでございます。
 それから、下水道を初めとする生活基盤投資に係る問題でございます。国におきましても、生活関連重点化枠二千億を設けまして、下水道等につきまして重点的に配分をされたわけであります。私どもといたしましては、国庫補助事業の裏負担につきましては当然に財政措置をいたしておりますし、また生活に関連する社会資本の整備というのは地方単独事業によるものが多いわけでございまして、したがいまして住民生活の質の向上のための社会資本の整備を積極的に推進できるように、地方単独事業につきましては一〇%増ということで大幅な拡充をいたしたわけでございまして、この御決議に従いまして物事の解決を図ったということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
#88
○岩本久人君 第二点目の福祉基金の問題は、今回提案されておりますので省略をいたします。
 三番目の、
  特定大都市への過度の集中を抑制し、地域住民の生活と産業の均衡ある発展を図る観点から、事務所・事業所の立地抑制、地方分散のため、税制の整備等諸施策の推進を図ること。
これについてはどうなりましたか。
#89
○政府委員(湯浅利夫君) 我が国の一極集中を排除して、これをできるだけ多極分散型の国土形成に持っていくということは、国土政策上の基本的な考え方でございます。そういう見地から、税制上で御協力のできるものにつきましてはこれを推進していくという立場で、かねてからいろいろとそういう政策の線に沿っての政策税制も行っているところでございます。
 しかしながら、税制というのは御案内のとおり、基本的には公平な税制というものが最も望ましいわけでございますから、一定の政策目的に応じて政策税制をつくるといたしましても、おのずからそこには限度があることはもう言をまたないところでございます。そういうような見地から、公平の観点というものを一方でにらみながら政策的な税制というものをどこまでできるかということで、この均衡ある国土の発展という見地につきましても今後とも御協力をしてまいらなければならないと思っておるところでございます。
 では、平成三年度で一体具体的に何をやったのかというような問題につきましては、例えば多極分散型国土形成促進法の中核的民間施設についての一定の非課税措置が特別土地保有税とかあるいは事業所税について行われておりますけれども、これにつきまして期限の到来したものを二年ずつ延長していくというようなことを今回やらせていただいておりますけれども、税制の公平確保と政策税制というものの重要性というものの均衡をよく考えながら今後とも運用してまいりたいと思っているところでございます。
#90
○岩本久人君 四点目の、
  平成三年度の固定資産税の評価替えに当たっては、評価の均衡化、適正化を推進するとともに、評価替えに伴う負担の増加が急激なものとならないよう、適切な負担調整措置を講ずること。
この点についてはどうですか。
#91
○政府委員(湯浅利夫君) 固定資産税につきましては、土地と家屋につきましては三年に一回ずつ資産の評価がえを行いまして課税の公平を期することにしているわけでございます。平成三年度の評価がえにおきましては、最近の地価の高騰を反映いたしまして、特に大都市地域において非常に評価の上昇が見られたわけでございまして、恐らくそういうことを予想して負担が急激なものにならないようにという御決議をいただいたのではないかというふうに考えております。
 私どもも、この点につきまして相当の評価の上昇は見られたわけでございますが、これを直ちに税負担に反映させるということになりますと非常に問題があるということで、今回につきましてはこの負担調整措置を三つに分けまして、特に住宅用地について、従来は三年目には評価額課税になるものをおおむね五年かけて評価額課税にするような、そのぐらいのなだらかな負担調整措置を行う。それから法人の持っている非住宅用地については、これは最近の保有課税の強化という要請もございますので、これはむしろ前よりもきつい負担調整措置を講ずるというような形で、三つの負担調整措置に分けてきめの細かい調整措置を講じたところでございます。
 そういうことで、住宅用地についての負担をなだらかにすると同時に、今回は特に、この評価がえに伴う増収分につきましては、その全額を個人住民税の減税に充てるということにさせていただいております。これはもちろん、税目が違いますから、固定資産税の増収分がそのまま個人の住民税の減税になるというものではございませんけれども、固定資産税の評価がえは法人についても行われるわけでございまして、法人についての評価がえの増収分もすべて個人の住民税の減税に充てたということで、個人の方々にはかなりの減税の効果が行き渡ったのではないかというふうに考えているところでございまして、こういうことで今回の固定資産税の評価がえをできるだけ円滑に実施できるように、私どもといたしましても検討を重ね実施させていただいたものでございます。
#92
○岩本久人君 第五点目の、
  住民の課税及び納税にかかわる手続並びに異議申立ての権利保障を明確にするための法制度の整備に努めるとともに、固定資産税における課税内容の明確化等を図ること。
これについてはどのようなことになりましたか。
#93
○政府委員(湯浅利夫君) 住民の方々に税を納めていただく場合に、税を公平に負担していただくためには、納税のためのいろいろな手続や、あるいは不公平があったときの異議の申し立てというような住民にとっての権利というものを保障することは当然のことでございまして、こういうことのないような制度を常々心がけて税制度を整備していかなければならないというふうに考えているところでございます。
 特に、昨年この決議をいただいた背景になりましたのは、固定資産税の課税誤りがいろいろと各地で出てまいりまして、これは自治体が実際に自分で調査をして、それによって住民の方々に幾らずつ納めてくださいという形で納税通知書を出すということでございまして、それを信用して住民の方々は税を納めていただく、それが結果的に誤って、しかもそれは時効の五年も経過してしまった、こういうようなことで、いろいろとこの固定資産税の課税誤りについて、これを救済する措置がないかというようなことは当時随分議論がなされたというふうに理解しております。
 この誤りのきっかけになりましたのは、固定資産税の納税通知書に一部の団体が課税資産の内訳を添付したわけでございます。この資産の内訳を添付したことによって、納税者みずからが、この資産はもう自分は持ってないはずだというようなことがわかって、それが課税誤りの発見に役立ったということを考えますと、市町村だけが調査をするのではなかなか遺漏が出てくる。やはり課税内訳というものを納税通知書に一緒につけて送るということが納税者のためにもサービスになるのではないか、こういうようなことで、私どもといたしましては、こういうことは手続も事務処理もなかなか大変でございますので全団体が直ちにはできませんが、体制のできたところからこの課税内訳を添付するように実は今お願いをしているところでございます。できるだけ早く全団体がこういう体制になっていただくようにこれからも努力をしてまいりたい、こういうことで、この決議に示されました後段の課税内容の明確化という点について今後特に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#94
○岩本久人君 ここで自治大臣にお伺いいたします。
 昨年の六月十四日に参議院の地方行政委員会、つまりここでありますが、交付税審議をした後、この決議が全会一致で成ったわけです。私は、この種の決議というものはその後どのような効果を生むものなのかということについて大変心配しておりましたが、今いろいろ聞きますと、それぞれの省でしっかり検討していただいてそれなりの成果も出ておるということで評価をする次第ではありますが、去年の六月十四日にあなたの前任者の奥田自治大臣が、一生懸命頑張ります、こういう決意表明もされた。そのときの決意表明の意気込みに対して、期待に対して、一年たったきょう現在、それを受けられた現在の自治大臣として、その思いに対して何%の達成率になったというふうに思われますか。
#95
○国務大臣(吹田ナ君) 数字でどうこうという問題じゃありませんが、私も前大臣からこういった点は伺っておりましたし、それからまた、特に今答弁しております双方の局長からもそれぞれの状況は伺っておりますし、内部での研究と努力がされておる事情を十分把握しております。非常な努力を自治省はいたしておりますし、また早く復元したいという前提での議会の総意というものもよく自治省もわかっておりますし、関係省庁もわかっておるわけでありますが、財政的な面もこれあり、直ちにということで五十九年度まで参りませんけれども、いずれにしましても自治省は、先ほどからお話が出ておりますように、地方公共団体に単独事業でこたえていこうというようなことも盛んに検討し、新しい一つの方式もつくっていこうというような意気込みでやっておるわけでありますから、私は他省庁のことは十分わかりませんが、我が省にしましてはもうすばらしい前進である、こう思っております。
 恐らくことし三年度の執行期間にさらに前進する内容を自治省は検討し、結果を生み出すのではないかというふうに思っておるわけでありまして、先生の御心配になっております考え方、いわゆる地方自治体の主体性、自主性というもの、財政的な問題、そういった面について大きく前進できる内容に必ず三年度の末までには到達でき得るような配慮をしてくれるものだと、こう信じておるわけでありますし、ある程度、私は点数でどうこうということを数字では申し上げませんが、まず相当ないい成績である、及第点であるということだけは言えると思うのです。
#96
○岩本久人君 それでは、来年のこれと同じ審議をするときにも、それ以上の満足度が得られるように頑張ってもらいたいということだけ言っておきます。
 次に、今から五日前の四月十八日に、平成三年度の衆議院地方行政委員会における特別決議がなされております。この内容と、これを今後どう生かされていくのか、自治大臣の決意のほどをお伺いしたいと思います。
#97
○政府委員(小林実君) 衆議院の地行委員会におきまして、四月十八日に決議がなされております。地方交付税に関するもの、公共事業に関するもの、地方財政計画に関するもの、地方団体がこれから仕事をしていく際の高齢者保健福祉関係に対する体制、地方公務員の給与水準等々、それから国民健康保険につきまして、さらには今お願いいたしております地域福祉基金等々についてと数多く、それからさらに公共施設の中では下水道等を初めといたしまして充実を図るようにというような観点から、いずれも地方団体が抱えております課題、それから我々が真摯に受けとめて地方団体がそれにこたえられるような行政を展開できる財政措置に絡むものばかりでございまして、ここに掲げられました点につきましては、地方行財政の長期的な安定と発展を図るというこの決議に書かれておりますことを体して今後とも最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#98
○国務大臣(吹田ナ君) 今財政局長から説明をいたしましたが、この決議文につきましては私どもは非常に重く受けとめておりますし、むしろ我々からすればすばらしい応援をしていただける決議であるというふうにも理解できるわけであります。したがいまして、今抱えておる地方公共団体の問題点を全部えぐり出してこの項目に出しているわけでありますから、これはどこからどういうふうに手をつけて、一点でも二点でも一日も早く改善が加えられればというふうな考え方でおりますので、大事に、私どもはこの国会が終了いたしましても検討を始めまして所期の目的を達成するように努力するつもりであります。ただ、関係省庁とのかかわりもありますものですから、我が省だけでどうこうということでない問題もございますので、そういった点は総合的に判断していかなければならぬ問題である、こういうように思っておりまして、努力することをここにはっきりと申し上げておきます。
#99
○委員長(野田哲君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#100
○委員長(野田哲君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#101
○岩本久人君 地方交付税法等の一部を改正する法律案そのものについて入ります。
 まず、地方交付税の性格についてでありますが、先般の参議院本会議、先般といってもことしの一月三十日でありますが、この本会議で大蔵大臣は地方交付税の性格についてこのように言っておられます。議事録をそのまま読みますと、「これは国が地方に交付するものでありまして、本来地方が徴収すべきものを国がかわって徴収しているという性格でない」、ここのところが問題だと思いますが、この点は後から指摘をしたいと思います。こういう前提を置いた上で、今度は地方の固有財源であることを述べておられます。
 そしてその後の答弁で、一月三十日同じ本会議、自治大臣は大蔵大臣と同じ意見であるというふうに答弁されておるわけでありますが、それはおかしい。何がおかしいかというと、前段では、これは国が地方に交付するものだ、交付金的な考え方だと、それで後段は、そうでなくて地方の固有の財源だ、こういうふうに言っているわけです。そこのところを、私は大蔵大臣の答弁そのものについても後から聞きたいと思うんですが、性格づけとしてその言い方が矛盾するというふうに思うんですが、その点についての自治大臣の改めての見解をお願いしたい、こう思います。
#102
○国務大臣(吹田ナ君) 地方交付税は、今先生もおっしゃいましたが、私は地方公共団体の財政面から申しましてもこれは固有の財源であるというふうに考えておりますし、これは一貫してそういう申し上げ方を私はいたしておるわけであります。特別に大蔵大臣との考え方に大きな差があるとは思っておりません。ただ、大蔵大臣のように非常に長くやっておられますといろいろな面から配慮されるものですから、発言の表現の仕方というものが若干前段があったりしますものですから多少のそういうふうな受けとめ方をされたかもわかりませんが、結論的には大蔵大臣もこれは地方の固有の財源であるということはちゃんと認めておられるわけでありますし、私どもとそんなに特別に大きく差異があるというふうには思っておりません。
#103
○岩本久人君 この際、明確にしておきたいと思いますが、昭和二十九年五月四日の地方行政委員会、この議事録がここにあるんですが、このように正式な逐条説明がなされております。柴田護という当時の財政課長がこのように言っておられます。
 地方交付税法の目的に関する規定の改正でありますが、地方交付税が従来の算定方式と異なりまして、国税の一定割合になります結果、その地方団体の独立財源としての色彩が明瞭になっております。それでこの法律の目的の条項のうちで、従来は「地方自治の本旨の実現に資するために、地方団体に対し適当な財源を供与し、もつてその独立性を強化することを目的とする。」という規定がありましたけれども、この規定の中で「地方団体に対し適当な財源を供与し、」という、国から地方団体に対して財源を与える、言わば国が地方団体に恩恵的にやるんだといったような臭いがしております条文を落しまして、地方団体の独立性を強化するということに改めたのであります。
つまり、従来の地方財政平衡交付金とそれから二十九年に改正されました地方交付税法との性格がこのときからこのように変わったんだ、こういうふうに明確に言い切っておるのがこの二十九年五月四日の地方行政委員会における当時の財政課長の説明であります。
 そのことからいくと、さっき自治大臣は、大蔵大臣の答弁について若干の弁解をされましたが、大臣経験が長ければ長いほどこの本質的な問題を踏み外すということはちょっと考えられないのではないか、こう思ったわけです。しかも、優秀な官僚がたくさんついておられて文字にされたものを読んでおられるわけですから、そこのところで再度今度は大蔵省に聞きたいと思うんです。
 自治大臣の答弁はさっきのことで私はいいと思います。大蔵大臣は、こう言っておられるわけです。ここのところは非常に重要な問題です。ことし、平成三年一月三十日の参議院本会議、私どもの渡辺議員が質問されたことに対しての答弁であります。大蔵大臣の答弁をそのまま議事録を読みますと、こう書いてあります。「また、地方交付税の性格ということについてのお尋ねでありますが、これは国が地方に交付するものでありまして、本来地方が徴収すべきものを国がかわって徴収しているという性格でないことは議員が御承知のとおりであります。」。これは先ほど私が読み上げた二十九年の改正時とは全然違うことを言っている。それから、先ほど自治大臣が言われた自治大臣の認識とも、本質的な性格というものが私は違うと思うんです、異質だと思うんですが、その点について大蔵省の見解を改めてお伺いしたいと思います。
#104
○説明員(太田省三君) 今先生御指摘の点でございますけれども、地方交付税につきましては、地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように、たくさんございます地方団体の財源調整のために国が地方に交付する、しかもこれは使途の制限のないいわゆる一般財源でございます。それからもう一つは、例えば国税三税につきましては三二%とか、消費税につきましては二四%とかいうふうにその率が法律で決められておる。そういうふうに使途制限がなくかつ法律で決められておるという意味におきまして、法律で当然に例えば国税三税の三二%は地方に帰属をするという意味におきましてこれは地方団体に権利のある財源である、そういう意味で地方の固有の財源というふうに申し上げて差し支えないかと思います。
 ただ、今私が申し上げましたような意味ではなくて、さらにもう一段、本来地方が徴収すべきものを国が地方にかわって徴収してそれをただ地方にお渡ししているんだという意味において、そういう意味も加えての地方の固有財源というふうには理解をしていないということを大蔵大臣が申し上げたわけでございまして、これは古く申し上げますと、昭和四十四年に当時の福田大蔵大臣が御答弁を申し上げまして以来の大蔵省の一貫した見解でございます。
#105
○岩本久人君 ちょっとわかりにくかったので、今の後段をもうちょっとわかりやすく言ってください。
#106
○説明員(太田省三君) 地方固有の財源という意味でございますけれども、繰り返しになって恐縮でございますが、使途制限のない、法律上当然に地方に帰属するという意味で地方に当然権利のあるお金である、そういう意味で地方の固有の財源ということはそのとおりなんでございますが、そういうことに加えまして、さらに本来地方が徴収すべきものを、極端に申し上げますと、地方税であるのだけれども国がかわって徴収をしてそれを地方にお配りしているというような、そういう意味での固有財源ではない。本来国税三税というのは国税でございまして、国税として国が徴収をしてその三二%を法律上当然に地方交付税として、地方に権利のあるお金として交付しておる、そういう意味でございますということでございます。
#107
○岩本久人君 確かに、それは地方税ではない、それはわかっておりますが、国が地方に恩恵的に与えてやるというような交付金とは性格がもう全然違って、使途制限のない地方固有の財源であるというふうに二十九年から変わったわけでありますから、今言われたような表現は誤解を招くと思うんですよ。だから、そういうことになると誤解を招かないような表現にされた方がよかったのではないかと思うんですが、その点どうなんですか。
#108
○説明員(太田省三君) 今先生御指摘のような理解で結構でございまして、別に恩恵的に国が地方にお渡ししておるとかいうことではなくて、法律上当然に地方に権利のあるお金として、そういう意味では固有の財源と申し上げて差し支えないというふうに申し上げております。
 ただ、先ほど先生が大蔵大臣の答弁についてお聞きになったものですから今のような御説明を申し上げたということが一つと、それからかねてから、そもそも地方交付税というのはそれでは交付税特別会計に直入したらいいんじゃないか、それは本来国税というよりも地方税として当然権利のあるお金なんだからというふうな御議論もございまして、いや、そういうことではなくて、一たん国税として徴収してそれを一般会計の予算の歳出項目として地方交付税という歳出項目を立てているんだ、そういう関係もございまして、大蔵大臣の方がそういうただし書きといいますか、御説明も申し上げたということでございます。御理解をいただきたいと思います。
#109
○岩本久人君 今の点了解しました。
 次に、五千億円の特例減額の問題ですが、この問題はいろんなところでいろんな議論がされております。大まかに言えば、自治省と大蔵省の間で極めてあいまいな形での決着がつけられたものというふうに私は理解をせざるを得ないと思うんですが、どういう経過でこうなったのか、自治省の見解を伺いたいと思うんです。
#110
○政府委員(小林実君) 交付税の減額についてのお尋ねでございます。
 私どもは、各年度の地方財政対策に当たりまして、地方団体が当面する諸課題に対しまして十分対応できる一般財源、特に交付税を確保するということを主眼にいたしております。ここ二、三年の間におきましては、特に一方では、歳出面ではふるさと創生、平成三年度の場合には生活関連社会資本につきましての充実、あるいはゴールドプランの策定等もございまして、地域福祉の増進を図る、こういう面で十分に財政措置を講ずるということをいたしたわけでありますが、こういうことで歳出面で地方の御要請に対応できる財源を確保することに最大限の努力を講じてまいりました。一方で、五十年代以降、地方債の増発を余儀なくされておりまして、それが累積しておりましたものですから、交付税特別会計でたまっておりました借金を返す、あるいは地方団体が事業を行う際に増発を余儀なくされました地方債の償還に備えて基金を積み立てる、こういうことで地方財政の健全化のための財源措置を講じてまいりました。平成三年度もそれと同じ点につきまして力点を置いたわけでございます。そういうことの中で、国庫当局から地方交付税につきまして減額の協力要請があったわけでございます。
 私どもといたしましては、今申し上げましたようないろいろな諸課題に対する財政措置につきまして、特に地方単独事業を中心にいたしまして大きな伸びを確保することができましたし、財政再建の面におきましては、五十年代の借金につきましては実質上返済のめどが立つというようなことになってまいりました。その上で大蔵省に協力する方式といたしまして減額ということが出てきたわけでございますが、これも昭和六十一年の際に交付税特会で借りましてまだ残っております借金につきまして、それの身がわりといいますか、それに相当するものをお貸しする、将来は返していただく。それから、六十年度の交付税におきましてやはり国庫当局から借りておるものにつきまして、まだ残っておりましたので、この際一部返済をする。合計いたしまして五千億の減額で協力をする、こういうことでございます。言ってみますれば、これは地方団体側にいたしますといずれは国庫当局に返還をしなければいけない性格のものでございまして、実損はない、国の要請にもこたえ得るものである、こういうことで協力をするということで話し合いがついたわけでございます。
#111
○岩本久人君 つまりこういうことですか。大蔵省は、附則三条による年度間調整だということ。それから自治省側としては、附則三条の交付税の総額の安定的な確保に資するための必要な特例措置だと思っておる。いずれにしても、今言われたように結果として実損を地方に与えるものでないからいいんではないか、こういうふうに思ってすり寄ったというふうに受けとめていいんですか。
#112
○政府委員(小林実君) 私どもは、交付税につきましては地方団体の固有の財源であるという基本的な性格を踏まえて考えておるわけでございまして、今回の措置も、附則第三条をごらんいただきますと、「交付税の総額の安定的な確保に資するため必要な特例措置を講ずることとする。」、こう書いてございまして、あくまでも今回の措置は交付税の総額の安定的な確保に資するものであるという観点から、地方に実損を与えない形での知恵も出てまいりましたので協力をした、こういうことでございます。
#113
○岩本久人君 仮の話ですが、平成四年度においてはどういうことになるんですか。同じような事態が起きたとき、三条との関係どうなるんですか。
#114
○政府委員(小林実君) 平成四年度の見通しにつきましては、現時点で申し上げられる状況がございませんので、ここでどうこうなるということを申し上げられる状況ではございません。
 ただ、第三条に基づいての特例措置ということを基本といたしまして、この第三条を逸脱するような形の特例措置というものはあり得ない。これにつきましては、そのつど国会にお諮りをいたしまして御承認いただくということにしておるわけでございまして、今後の取り扱いにつきましても、交付税の総額の安定的な確保に資するため必要な特例措置を講ずる、こういう観点からの対応を続ける、こういうことになると思うわけでございます。
#115
○岩本久人君 時間がなくなりましたのでちょっとはしょらしていただきますが、大蔵省に再度確認ですが、今回の特例減額を行った理由の中に財源余剰ということが出てきておるわけですが、何をもって財源余剰といったようなことが示されることになったのか、それをお伺いしたいと思います。
#116
○説明員(太田省三君) 地方財源不足あるいはまた地方財源余剰というふうに考えておりますところのものは、通常の地方財政収支見通しを行いまして、いろんな歳出項目あるいは歳入項目を見積もりまして、その結果、歳入超過になっております場合には財源余剰、歳出超過になっております場合には財源不足というふうに考えております。
 これは昭和五十年の補正以降、地方財源が非常に不足時代に入りまして、そのときにも通常の歳出、歳入項目を見込んで収支見通しをまず立てまして、そのときに巨額の財源不足がある、それに対して地方財政対策をどうするかということになりまして、それは先生御案内のように交付税特会の資金運用部からの借入金で賄う場合もございますし、通常の充当率以上に地方債を増発するというような施策をとったこともございますし、国の一般会計からいわゆる交付税の特例加算ということでやったこともございます。そういうことでございまして、平成三年度の収支見通しに当たりまして、従来と同じような通常の歳出、歳入項目を見込んだ時点で歳入が超過していた、それが財源余剰だというふうに考えております。
 ただその結果として、財源余剰について、過去の借金の返済を例えば繰り上げ償還するといったようなものは、それは財源余剰の処理といいますか、それの措置というふうに認識をいたしております。といいますのは、通常は繰り上げ償還をしなくても、毎年毎年元利償還の決められている分以上に借金を繰り上げ償還するわけでございますから、それは財源に余剰があったときにはやるものだというふうに我々は認識をいたしております。
#117
○岩本久人君 三条の問題で最後に自治省に伺いますが、今の答弁も含めての話ですが、交付税の総額の安定的な確保に資するという趣旨に基づいて特例減額を行っているのであれば、この法律によらなくともその都度法律の改正案を出してくれば済むのではないかということですね。六条の三の第二項に該当しないが、附則第三条で特例減額したということは私は理解に苦しむというふうに言いたいんですが、その点はどう思いますか、法改正の問題。
#118
○政府委員(小林実君) その前に、先ほど大蔵省の方から答弁がございましたわけですが、私どもは交付税特別会計借入金の返済、それから財源対策債等の償還基金の積み立ての財源措置につきましては、過去の特例的な借入金につきまして累積した借入金の解消のための措置でございまして、これをもって財源余剰の状態であるというふうに判断するのは適当でないというふうに考えておるところでございます。
 それから今の御質問でございますが、五十九年の改正前におきましても、国庫当局から交付税を特例的に加算してもらう、あるいは交付金という形で繰り入れをしてもらう、一方、交付税を減額したという例もあるわけでありますが、五十九年のときにおきましては、それまで交付税特会で資金運用部から借り入れるというような措置を講じておりまして、そういうことをいつまでも続けることは適当でない、原則として借り入れはやめることにして、必要があれば一般会計からの特例加算等の措置を講ずればいいではないかということでできたわけでございます。
 この法三条に基づかなくて、個々に額を決めていけばいいではないかという趣旨かと思いますが、この附則三条におきましても、「法律の定めるところにより、」ということで、特例措置の内容につきましてはその都度交付税の総額の特例ということで法律に明記をいたしまして国会で御審議をいただいて決めていただいておるわけでございまして、そういうことで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#119
○岩本久人君 次に進みます。
 けさほどの提案理由の説明の中の二ページにこう書いてありますね。「五千八百十一億円を平成六年度から平成十一年度までの地方交付税の総額に加算する」、こうありますが、これの内訳と、なぜ六年度からなのか、この二点についてお伺いいたします。
#120
○政府委員(小林実君) 従来と変えた点につきましては後ほど調べてお答えいたしますが、平成四年度以降加算する額につきましては、今回の附則四条四項に表として将来加算をするという金額がお示ししてございまして、各年度この金額で加算されるということでございます。
 それから、なぜ平成六年度から加算することにしたかということでございますが、これは法定加算で予定しておりましたもの、それから特例的に約束をしておりまして加算すべきものにつきまして合計いたしますと五千八百十一億になるわけでありますが、今回の場合、平成六年度以降に繰り延べ加算にしております。これは従来、法附則の四条におきまして加算しております金額につきましては、交付税特別会計に借金がございまして、それを返済しなければいけない。そこで交付税特別会計の借金の返済の計画に見合って加算をするというような考慮も入っておったわけでありますが、今回交付税特別会計の借入金は実質的には全額返済することになったわけでございます。
 それから、これからのやはり地方団体の財政需要、特に高齢者保健福祉推進十カ年戦略とかあるいは公共投資基本計画というようなものが出てまいりまして、ますます財政需要が伸びるわけでございます。従来の計画に基づく加算額につきまして見てみますと、平成六年以降額ががたんと下がる計画になっておりましたので、将来的に交付税の総額の安定的な確保をはかるということであればその加算額につきましても平準化する必要がある、こういうことで六年以降に加算したわけでございます。その結果が法附則の四条の表に掲げてあるわけでございます。
#121
○岩本久人君 いずれにしても、法律で決まっているものをやらないというのはおかしいという趣旨で尋ねたわけでありますが、次に進みます、時間がありませんので。
 今回新たに地域福祉基金を設けることになったわけでありますが、その趣旨と使途の方法、需要額への算入の方法はどうなるのか、また県、市町村の人口段階でおおむねどの程度配分されるかお伺いいたします。
#122
○政府委員(小林実君) 地域福祉基金につきましてのお尋ねでございます。
 平成三年度の地方財政計画では二千百億円を計上いたしております。このうち七百億は道府県、千四百億は市町村、こういうことになっておるわけでございます。標準団体で言いますと、道府県の場合に十一億でございまして、これは果実運用型の基金ということで考えておりますので、計算いたしますと五千万から六千万程度の金額が出てくるわけでございます。それから、市町村につきましては標準団体で八千万でございまして、果実にいたしますと四百万から五百万程度、こういうことになっておるわけであります。
 計算の仕方といたしましては、人口を測定単位といたしまして、単位費用は道府県六百四十七円、市町村八百円ということでございます。先ほど標準団体で申し上げましたが、道府県で申し上げますと、人口百万の団体で八億程度、人口五百万の団体で二十四億程度になるわけであります。市町村について申し上げますと、十万で八千万というふうに申し上げましたが、人口四千人の団体で二千万、人口二万人の団体で四千万、人口四十万人の団体で二億円程度になるわけでございます。この基金につきましては、設置の趣旨を踏まえまして、老齢人口比率の要素も若干加味をいたしまして、老齢者の多い団体には余計に行くようなことにいたしておるわけでございます。
 この基金の運用につきましては、民間事業を想定いたしておるわけでございまして、在宅福祉あるいは健康づくりあるいはボランティア活動等、民間活動の活発化を図るということで、民間の活動の先導的な事業につきましてインセンティブを与えていただくことを想定いたしまして交付税措置をいたしておるわけでございます。
#123
○岩本久人君 次に進みます。
 新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政特別措置法改正案についてお伺いしたいと思いますが、それに入る前に、まず自治大臣にお伺いいたします。
 今回の地方交付税法等の一部を改正する法律案というのは一本の法案のように見えますが、実は違う法律が四本入っている。本来なら四つある法律ですから一本ずつ別々に提案をし、審議をするというのが建前だろうと思うんです。百歩譲って考えてみても、法律的にやらなければならないということを考えてみても、一条と二条はくくってもそうおかしくはないかもしれないというふうに思います。また、三条と四条についても同一の内容だからよかろうと思いますが、それを全然内容の違うのをまとめて四本を一本の法律にしてかけるということになると、やっぱりその一つ一つの法律についての意見がそれぞれさまざまなわけだから余りにも画一的過ぎて国会軽視ではないか、こういうふうにも思われるんですが、なぜ四本の法律を一本にして出されたか、それをまずお伺いしたいと思います。
#124
○政府委員(小林実君) 法技術的な点もございますので私の方から答弁をさせていただきたいと思いますが、実は前回延長時の昭和六十一年のときにも同様の取り扱いをさせていただいたわけでございます。
 一本にいたしました理由は三つございまして、一つは、地方交付税は標準的な行政水準を確保するために必要な一般財源を賦与する制度でございます。今回お願いしております財特法の国庫補助負担率のかさ上げ措置につきましても、かき上げ額が翌年度に交付される方式をとっていること等もございまして、事実上一般財源の確保を図る制度となっておるわけでございます。そういうことで、交付税も財特法もともに地方公共団体に対し一般財源賦与を行うという趣旨、目的を同じくするというふうに考えられること、これが一点でございます。
 二つ目は、財特法におきます財政措置が地方交付税制度で算定されます基準財政需要額と基準財政収入額を用いて算出されます財政力指数及び標準財政規模をもとにして決定される仕組みとなっております。こういうことで、これらの法案はその条項が相互に関連して一つの体系をなしている「ということでございます。これが第二点でございます。
 それから三つ目でございますが、これらの法案がいずれも地方行政委員会の所管に属する法律であるわけでございます。これが三点目でございます。
 こういうことから一つの法案として一括して取り扱うことといたしたものでございます。最初に申し上げましたように、前回もこのような扱いをさせていただいておりますので御理解を賜りたいと思います。
#125
○岩本久人君 前回もそうしておるからということは、私は説得力に欠けると思っておりますが、時間がないから前に進みます。
 法の中身に入りますが、国土庁にお伺いいたします。
 新産・工特地区の整備の現状と、それから拠点開発方式の都市づくりと言われる基本理念、これが平成三年度から始まる第五次建設整備計画の中にどのように生かされているかお伺いいたしま
す。
#126
○説明員(上野裕君) 先生御案内のように、新産・工特の制度は、昭和四十年前後に全国で二十一地区指定されておりまして、今日まで国、地方公共団体等が連携を図りつつ積極的な建設整備を進めてまいったわけでございます。
 この間の成果でございますが、まず工業出荷額で見ますと、全地区合計になりますが、昭和四十年に四兆二千億円であったものが統計のとれます昭和六十三年で見ますと四十三兆八億円、約十一倍に増加をしております。これを工業出荷の日本全国のトータルに占めますシェアについて見ますと、昭和四十年の一四%から昭和六十三年には一六%へと着実に増加を見ております。また、この地区の人口で見ますと、昭和四十年から平成二年にかけましてトータルで四百万人の増加を見ておりまして、この間のこの地区の人口増加率はトータルで二九%ふえておりまして、全国の二三%というものを上回っておるというように概括いたしますと、相応の成果を上げたというふうに見ております。このように、繰り返しになりますが、現在御審議いただいております財政特別措置等の支援もありまして、建設整備が進められ、大都市への人口、産業の過度の集中の防止、地域格差の是正等に相応の成果を上げてきたというふうに考えております。
 それにもかかわりませず、ただいま東京一極集中というものがなかなか大きな問題になっておりますけれども、そもそもこの新産・工特制度の基本理念でございますけれども、産業基盤の整備を通じまして地方にいわゆる産業の集積拠点をつくるということ、それからあわせて都市施設の整備を図るというような手段を講じまして地方の開発発展の中核となるべき地区を整備していく、これによりまして、先ほど申し上げましたような人口とか産業の大都市への過度の集中を防ぐ、あるいは地域格差を是正するということをねらったものでございます。
 このように一定の成果を上げたわけでございますけれども、なお近年、東京圏への人口及び諸機能の集中傾向が続いております。引き続きまして地方振興の要請も強く望まれております。したがいまして、法の趣旨でございます、制度の趣旨でございます人口、産業の過度の集中の防止、地域格差の是正に向けてなお整備を進めていく必要があるというふうに考えております。今年度から見込んでおります新しい計画におきましては、現状それからこれまでの社会情勢の変化というものを勘案しまして、幾つかの対応を図った上でさらに建設整備を進めていきたいと思っております。
 具体的には、地域の産業構造がいわゆる基礎素材型のウエートが高いというようなこともございますので、成長力のある産業へと産業構造を高度化していくというようなことをまず第一点に考えております。それから第二点目には、国民生活におきます生活関連施設の充実の要求が非常に大きくなってございますので、下水道等を初めとした公共施設の整備もさらに進めてまいりたい。さらには、都市の魅力というものをもう少し形づくっていく必要があるというようなことで、にぎわいの場を初めとして都市的魅力を増進するというような点に重点を置いてさらに建設整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
#127
○岩本久人君 次に、地方財政白書についてお伺いいたしますが、これは地方財政法の三十条の二に基づいて毎年内閣が国会に報告するものでありますが、まず第一に、これは何のために行われると思っているのか、これが一つ。それから二つ目は、平成三年度の白書のポイント、特徴は何か。それから、最初の質問とも関連するのですが、二月に集中をしております地方議会の前に、できたら一月中に出すべきではないかと思いますが、以上三点についてお伺いいたします。
#128
○政府委員(小林実君) 地方財政白書でございますが、地方財政法三十条の二によりまして、毎年度の地方財政の状況を明らかにして国会に報告しなければならないということにされておるわけでございます。これは、財政につきましてはやっぱり時系列で見ていく必要がございますので、毎年度大体同じ構成で出しておりまして、大きく分けまして第一部、第二部に分かれておりまして、一部におきましては、地方財政の状況につきまして決算を中心にいたしまして歳入歳出を分析いたし、あるいは公共施設の状況等を明らかにいたしたわけでございます。それから第二部におきましては、地方財政計画等あるいは毎年度の地方財政対策によりまして財政の見通しが明らかになっております。そのことを報告するとともに、最近の地方財政の動向あるいは当面する重要な課題等につきまして問題点を掲げておるわけでございます。
 内容そのものが財政を取り扱うものでございますから、特に最初に申し上げましたように時系列的にどう変わってきているかというところが重要でございますので、基本的なところは同じような分析をいたしておりますが、各年度におきまして、特に平成三年の場合で言いますと、経常収支比率につきましての傾向についての分析とか、あるいは普通建設事業費の用地費につきましての分析を行っておりますし、公共施設の整備水準につきまして、財政力指数の区分ごとに分析いたしまして表に出して説明をする、あるいはこれをごらんになる方々に便利になるような工夫もいたしておるわけでございます。何せ財政の分析が中心でございまして、なかなか親しみにくいという御意見もあるわけでございますが、その点につきましてはなるべく努力をいたしておるわけでございます。
 それから、財政白書の発表時期でございますが、これは二十六年五月以降行っておりますが、いつも三月末ぐらいに発表いたしておるわけでごいます。現実問題といたしましては、都道府県の決算につきましての分析あるいは概要の発表ができますのは十一月ごろでございますし、市町村につきましては一月中には分析発表できる、こういうことでございまして、これらの資料もお配りをいたしておりますので、各都道府県あるいは議会等におきまして御議論いただくに際しましては、十一月なり一月に発表しているものを参考にしていただければと思うわけでございます。
#129
○岩本久人君 次に、下水道整備に関する問題で建設省に伺います。
 おおむね二〇〇〇年をめどに総人口普及率を七割にするというのが出ております。平成二年度は御存じのように第六次の五カ年計画の最終年度になっておるわけでありますが、計画に対する実績見込み額、また普及率の見込み等についてお伺いをしたいと思います。
#130
○説明員(村上健君) 第六次下水道整備五カ年計画は、昭和六十一年度を初年度として平成二年度までを計画期間とするものであり、平成二年度まで五カ年間の投資額の実績は十一兆五千七百七十七億円となる見込みでございます。これは、第六次五カ年計画の計画投資額九兆九千八百億円に対しまして約一一六%、調整費を含む計画総額十二兆二千億円に対しまして約九五%の達成率となるものでございます。
 また、処理人口普及率につきましては昭和六十年度末三六%を平成二年度末までに四四%に引き上げることを目標に、雨水排水整備率につきましては昭和六十年度末三五%を平成二年度末までに四三%に引き上げることを目標にしておりましたが、いずれも達成できる見込みでございます。
#131
○岩本久人君 次の問題に移りますが、茨城県日立市の山林火災について消防庁長官にお伺いいたします。
 この火災の被災状況とその原因についてどのように把握しておられますか。
#132
○政府委員(木村仁君) 日立市の林野火災被害状況でございますが、三月七日に起こりまして、焼失面積は二百十七・七四ヘクタール、それから焼損家屋でございますが、全焼十三棟、住宅八棟、物置四棟、旧火葬場が一棟となっております。それから部分焼十三棟、住宅十二棟、ゴルフ練習場一棟、延べの焼けました面積は千四十平方メートル。罹災世帯及び人員は二十一世帯七十九人でございますが、幸い死傷者は出ておりません。
 原因につきましては現在なお調査中でございますが、御承知のように年間三千件ほど林野火災が起こりますが、三月、四月でその半数近くが起こるというような状態で、春に一番火災が起こりやすい状態になっております。
 以上でございます。
#133
○岩本久人君 林野火災特別地域対策事業の実施状況はどのようになっていますか。
#134
○政府委員(木村仁君) 林野火災特別地域対策事業につきましては、林野庁と共同で行っておりますが、現在、平成元年度まででありますが、全国三十七都道府県、二百地域で実施をいたしております。
 仕事の内容は、御承知かと存じますが、巡視、監視等による林野火災の予防、林野管理、消防施設等の整備、火災防御訓練を総合的に実施する等のことを行っておりますが、消防庁としては特に林野火災用消防施設等の整備に関する補助を行っておりまして、平成二年度の予算額は二億六千八百六十五万一千円でございました。なお、消防庁としては、これと関連してヘリコプターによる空中消火が効果的でございますので、広域応援体制等の整備を進めております。
#135
○岩本久人君 林野庁にお伺いいたしますが、今回のこの事故で防火帯の設置とかといったような問題で林野管理が大きくクローズアップされておりますが、この点をどのように対応しておられますか、お伺いいたします。
#136
○説明員(村田吉三郎君) 御説明をいたします。
 先生御承知のように、林野火災は一たん発生いたしますと貴重な森林資源が焼失するだけではなくて、住宅等にも延焼する危険があること、またその出火原因の大部分がたき火の不始末あるいはたばこの投げ捨て等の過失によるものでございますので、その予防対策が極めて重要でございます。このため、林野庁といたしましては、消防庁等と密接な連携をとりまして、防火思想の普及啓発あるいは森林パトロールの実施、それから航空機によります空中巡視、また防火帯道の整備、消火機材の配備、それから地域住民等による自主的な予防活動の推進等の林野火災予防対策を山火事の多い時期あるいは地域において重点的に実施しているところでございます。
 今後とも、林地を転用して造成されました住宅地も多いことを念頭に置きまして、今先生から御指摘のございました防火帯道の整備等につきましても、山火事の発生のおそれの高い地域を重点といたしまして推進をしてまいりたい、このように考えております。
#137
○岩本久人君 自治大臣にお伺いいたしますが、今国政の課題として中東への掃海艇の派遣の問題が出ておりますが、そのこともさることながら、油田が物すごく燃えているということがありますね、現在。全世界の人々が大変注目をしておるということでありますが、日本の消防力で何とか消すことはできないか、高い評価を受けると思いますが、その点はどのように考えていますか。
#138
○政府委員(木村仁君) 技術的なことでございますので私からまずお答えさせていただきたいと存じます。
 現在クウェートで燃えております油井は極めて自噴圧の高い油井の大火でございまして、このようなものは日本にはございませんし、過去これを消火した経験もございません。したがいまして、現在の日本の消防の技術、経験では効果的な鎮圧ができないであろうと考えられます。これが国内の事故でありますならば、技術、経験がないからといって放置できませんので直ちに現地に赴いて何らかの対応をするわけでございますが、これは国際問題でございますので、専門家が別にいるのに技術、経験のない者が押しかけてまいりましてもかえって混乱が生ずるのではないかと考えられます。
 もちろん、世界的にあるいは全国的にいろんな技術を結集してこれに対応しようという段階では消防も十分な貢献をしなければいけないと考えまして、私どもの内部では専門家もお願いして研究を重ねております。現在の段階では、御承知のように、クウェート政府がアメリカ、カナダ等の幾つかの会社、企業に請け負わせてこれを消しているという状態でございますので、その体制の中からなかなか情報そのものも私どもには伝わってこないというのが現状でございます。
#139
○岩本久人君 時間が来ましたので最後の質問になりますが、僻地医療の問題について自治省と厚生省にお聞きいたします。
 一つは、僻地の自治体病院の医師の充足状況について、これは自治省にお伺いいたします。それから次に、厚生省にお伺いいたしますが、自治医大の卒業生の僻地医療に対する貢献度は非常に大きい、このように思っておりますが、この点どのように評価をされておるのか。それから、自治医大の入学が現在各都道府県原則二名という割り当てになっていますが、やはりそこは医師の必要度に応じて割り当てるといったようなことが必要ではないかと思いますので、その点の見直しをどう考えておるか、自治省として検討をいただきたい。そして、現在次善の策として僻地医療は巡回医療という方法をとっていますが、この巡回医療という問題と僻地への医師の派遣制度、これがどのようになっており、またそれがどのような成果を生んでいるかということを厚生省にお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
#140
○政府委員(二橋正弘君) 最初に、僻地におきます医師の充足状況はどうかというお尋ねでございます。
 自治省といたしまして独自に各地域の医師の充足状況を調査いたしておるということはございませんが、全国自治体病院協議会がございまして、ここが独自にそれぞれの病院ごとの実情から考えてどのくらい医師を確保するのが望ましいか、それに対して現状はどうかということを調べておられまして、平成二年四月現在で調べられたものが最新でございますが、これは全体を通じてお医者さん全部で充足率が九一・三%、常勤の医師で八三・五%ということでございまして、五年前の昭和六十年四月現在の数字と比べますと、医師全体では三%程度充足率が上昇しているという状況にございます。ただ、これは全体がこうでございますが、規模別に見ますと小さいところではやはり充足率が余り上昇していないということでございますので、僻地におきましては引き続き医師が不足するという状態が続いておると思っております。
 それから、自治医科大学の入学者数が各県おおむね二人ということになっているのは何とかならないかというお話でございますが、御承知のように自治医科大学は各県が共同で均等の費用分担をして設立、運営をいたしましたこともございますし、それから設立されました経緯が各地域の僻地に勤務する医師を共同で確保しようという発想からスタートいたしました関係もございまして、これまでのところ原則的に各県二名、多いところで三名、年によって違いますけれども、そういう状況になっております。
 現在、自治医科大学の今後のあり方につきましては、関係者が集まった検討委員会が持たれておりまして、今お話しになりましたようなこともその中の話題にはなってはおります。話題にはなっておりますが、まだ方向を見出すというところまでいっておらない状況でございます。
#141
○説明員(篠崎英夫君) 自治医大卒業生の僻地医療に対する評価の問題でございますが、私ども厚生省といたしましても、自治医大の卒業生は大変優秀でございますし、また僻地医療に対する大変強い情熱をお持ちでございまして、高く評価をいたしておるところでございます。しかしながら、自治医科大学の卒業生のみによって僻地医療を確保しようということは現在の段階では困難であると考えておりまして、医科大学や公的病院から僻地医療に従事する医師を供給するいろいろな方策などを検討したい、このように思っておるわけでございます。また、来年度医療対策の事業といたしましても、医師の派遣等の新たな事業を組んでおるところでございます。
 巡回診療との差異でございますが、先ほど申し上げました僻地のお医者さんのことにつきましては、その地域にある一定期間定住をいたしまして住民のための医療サービスを行うわけでございますが、巡回診療につきましては、無医地区の医療を確保するために年に何回とかいうことでおおむね自動車等で医科歯科等含めましてその地区に行って限られた診療を行っておるという現状でございます。
#142
○常松克安君 冒頭でまことに恐縮でございますが、大臣は国保加入者でしょうか、それとも健保加入者でしょうか、まずお伺いいたします。
#143
○国務大臣(吹田ナ君) つい先般までは国保加入者であります。大臣になりましたものですから変わっております。御了承いただきたいと思います。
#144
○常松克安君 きょうは、国民健康保険という問題を基軸にいろいろお教え願いたいと存じます。よって、まず小さいことから先にお尋ねをいたしておきます。
 国民健康保険税は、今回最高限度額が四十二万から四十四万ということに相なった。ただし、税徴収は約九〇%で、料として徴収していらっしゃるところが一〇%あるわけでありますが、この料の値上げも自動的にやはり四十四万に政令改正になってるんでしょうか。
#145
○政府委員(湯浅利夫君) 保険税の関係につきましては、先般の地方税法の改正によりまして四十二万円を四十四万円に引き上げていただきました。この際、厚生省におきましては同様に保険料につきましても、従来は明確な基準がなかったわけでございますけれども、平成三年度の保険料からはこの限度額を政令で定めるということになりまして、その政令におきまして四十四万円と同額で定められたというふうに承知いたしております。
#146
○常松克安君 それでは、税の場合は時効が五年であります。これにかかわる幾らパーセントの延滞金が取られるか。同じように料の場合は二年間で時効になっておりますが、これに対して延滞金は何%になっているのでしょうか。――わからなきゃ後ほどで結構ですよ、慌てないで。
#147
○政府委員(湯浅利夫君) まことに恐縮でございますけれども、手元に資料がございませんので、後ほど御報告させていただきます。
#148
○常松克安君 じゃ、後ほどお教えください、それで結構です。
 厚生省――いない。じゃ質問とめますよ。いいですか、時間とめますよ。そんなのできやしない。通告ちゃんとしてあるでしょう。じゃ委員長、こういう場合どうなりますか、時間ストップしていただけますか。
#149
○委員長(野田哲君) 休憩いたします。
   午後二時三十六分休憩
     ─────・─────
   午後二時三十七分開会
#150
○委員長(野田哲君) 再開いたします。
 質疑を続行してください。
#151
○常松克安君 それでは自治大臣にお尋ね申し上げます。
 高齢化社会を迎え、まことに国保の制度が揺らいでいるということで全国自治団体の方が非常に苦慮していらっしゃる。一名これをオリンピックデーということは、四年を待たずして地方では値上げは国保か水道か、もう必ず国保の値上げという問題でいろいろと苦慮していらっしゃる。これに対しまして大臣としての御所見をお伺い申し上げます。
#152
○国務大臣(吹田ナ君) 先生おっしゃるとおり、国保関係は主として高齢者の方々が被保険者であり、あるいは財政面におきましても所得の非常に低い方々が多い。一般の社会保険の方は主として働き手の方々の保険会計ですから保険を利用する面も比較的少ないということで、内容的にはうんと違うわけです。そういう意味で、国民健康保険の内容というものは非常に悪いということで、関係市町村がこれに対しまして実に憂慮しておるところであります。我々の方も、こういった財政的な面についてもできるだけ配慮していかなきゃならぬということで鋭意努力しておるわけでありますが、詳細にわたりましては局長の方から答弁をさせます。
#153
○政府委員(小林実君) 大臣からお話がございましたように、国保の財政基盤は極めて脆弱でございまして、毎年度各地方団体におきましては一般会計から財源補てん的な繰入金を入れまして赤字が出ないように努力をいたしておるわけでございます。こういう一般会計からの財源補てん的な繰入金を除きますと、平成元年の場合も約千八百四十億の赤字というような状況でございます。このために政府におきましては、例えば昭和五十八年に老人保健制度を創設する、五十九年に退職者医療制度を創設する、六十三年に保険基盤安定制度を創設する、さらに、高額医療につきましての共同事業を実施するというようなことを行ってまいりました。医療保険制度間を通じた給付と負担の公平化ということを講じてまいりまして、これが国保の財政の助けになったことは事実でございます。
 国保財政は引き続き厳しい状況にございますので、私どもといたしましては、特に問題になっておりますのは国保料の平準化ということでございますが、基本的には医療費の適正化とか、あるいはさらに一歩進めて各医療保険制度間の給付と負担の公平化等、これらにつきまして的確な対策を講じていくことが必要というふうに考えておりまして、主官庁が厚生省でございますので、関係省庁と連携をいたしまして努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#154
○常松克安君 それでは、もう少し突っ込んでお教えください。
 相当いろいろな手直しをしてきた。しかし、まだ赤字という団体があるわけです。そこで、一番気になりますのは、私は地方議員の経験のある中で、特に値上げを抑えるために最終的には一般の加入者の値上げと一般会計の繰り入れが論議になると思うんです。よって、三千二十五億円の一般会計繰り入れ、この中には保険基盤安定繰入金も含まれていると思いますが、このうちの一般会計からのその赤字を埋めるために充当する金額は幾らぐらいになっているんでしょうか。
#155
○政府委員(小林実君) 私どもの決算で申し上げます。国民健康保険事業全体につきましての事業勘定での繰り入れでございますが、財源補てん的なものといたしましては平成元年度の場合二千三百七十三億になっております。
#156
○常松克安君 では、厚生省にお伺いしますが、先ほど来られる前に、国保を論ずる場合は構造的な問題をいろいろ抱えている、またその点を大臣の方からも低所得者が非常に多いと、こういうようなことですが、国保は大体昭和何年からスタートしたのでしょうか。
#157
○説明員(辻哲夫君) 国民健康保険制度の沿革でございますけれども、制度そのものといたしましては戦前からございまして、昭和十三年に国民健康保険法は制定されております。それが戦後引き継がれまして、戦後一時非常に保険者が減ってしまったというような経過を経ましたが、昭和三十六年に新法として全面改正いたしまして、今日の国保に至っているという経過でございます。
#158
○常松克安君 では、構造的問題はどういう問題を抱えているんでしょうか、御指摘ください。
#159
○説明員(辻哲夫君) 基本的には被用者以外の方を受け入れておるというのが国保でございますけれども、被用者以外と申しますと、自営業者、農業者あるいは無業者ということになるわけですけれども、産業構造の変化に伴いまして被用者がふえる。したがって、だんだんと加入者が減っていく。分けても被用者のOBたる高齢者がふえまして、年金受給者となると思いますけれども無業の方がふえてくる、高齢化が進む、その裏腹でそれはとりもなおさず所得の低い方がふえる、こういった状況が昨今の国保の構造的な状況でございます。
#160
○常松克安君 そういうふうなことを考えると、非常にやりくりが大変である。よって時として、お年寄りの方へ退職者の方、低所得者等の方を国保からすっきり切り離して別な枠組みを決めた方が、マンネリ的なそういう論議を重ねるよりいいではないか、そして別に国保、純然たるそういうふうなものの経営はいかがなものかというふうに意見を述べる学者がいますが、こういう問題についてどのようにお考えでしょうか。
#161
○説明員(辻哲夫君) 基本的には我が国の医療にかかわります制度は国民皆保険ということで、被用者と地域住民ということで大きく分けまして二本建てになっておりますが、私どもといたしましては国民皆保険というのを守っていくんだということで保険のシステムを維持しながら、高齢者が多いあるいは低所得者が多くなってきておるという状況に対応して、それぞれの要素について改革を重ねるという形で対処してまいりました。高齢化に関しましては老人保健制度の創設あるいは退職者医療制度の創設、低所得者の増加に対しましては保険料の軽減措置に対して公費をいわば今までの財源と別に切り離して新たに国、地方で導入するといったような施策を進めております。
#162
○常松克安君 というふうに言葉を並べてみても、現実はだめなんです、内容は。
 ひっくり返して言うなら、では高齢者高齢者とおっしゃるならば、なぜゴールドプランの中にこの国保を入れなかったんですか。
#163
○説明員(辻哲夫君) 高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランでございますけれども、これは高齢化に備えまして高齢者の保健福祉の分野における公共サービスの基盤整備を進めるということで、保健福祉サービスの今世紀中に実現を図るべき十カ年の目標を掲げたということで、社会保険の方式により医療を供給する性格を有する国民健康保険制度については仕分けとしてゴールドプランにのせていないということでございます。
 しかしながら、実は高齢化に向けて寝たきりをゼロにする、老人を寝たままにさせない、そして地域の中で安心して過ごせるようにするということを目標としているゴールドプランの推進は、裏腹といたしまして高齢者の大部分を抱える国保にとりまして極めて有意義なものであるということで、国民健康保険制度といたしましてもこのゴールドプランの推進に国保サイドからも全力を尽くしてまいりたいと考えております。
#164
○常松克安君 では、立場を変えて問題提起をさせていただきます。
 国民保険には耐えがたい、辛抱できぬという非常な格差があるわけですが、まず給付面においての格差はどのように認識していらっしゃいましょうか。
#165
○説明員(辻哲夫君) 給付に関しましては、各制度の沿革により相違があるわけでございます。現時点におきましては、健保につきましては本人十割、家族五割であったのが、四十八年、五十六年、五十九年という改正を経まして、本人九割、家族七割、家族の入院八割というふうになっておりますが、国保につきましては三十六年、三十八年あるいは四十一年の改正を経て被保険者一律に五割から七割に引き上げたというような給付の形になっております。ただ、昭和四十八年に、医療にかかったときに最も大変な高医療費につきましては、一定額以上は保険給付で全面的に行うといういわゆる高額療養費制度を導入しまして、これは国保も健保も同じような限度額で適用することになりまして、その結果、国保の実効給付率は八割近い水準となっております。
#166
○常松克安君 なぜ同じようにできないんですか。
#167
○説明員(辻哲夫君) 基本的に大きな流れといたしましては、公平な負担、公平な給付という形で改革を行ってきておりますけれども、そしてまた実効八割というところまできておるわけですけれども、法定給付率をさらに引き上げるということにつきましては国保財政の立場からもなかなか問題がございますし、これから給付の公平化ということが一つの大きなテーマになっておりますが、そういう状況の中で今後検討を進めることにいたしております。
#168
○常松克安君 いや、検討じゃないんで、もう現実そうなんです。
 もう一つ言います。健保の方は病気になれば六割傷病手当が出る、国保の方はそんなものを入れたら今でも赤字なのにだめだというふうなこともこれあり、よろしゅうございますか。
 第二番目に、負担面で申し上げます。そちらが提示いたしました資料がございます。これは四百万の人と五百万の人の国保と政管健保、この場合の差額がございます。これを御説明ください。
#169
○説明員(辻哲夫君) 国保と政府管掌の健康保険、この保険料負担の比較について御提出申し上げた資料のお尋ねかと存じます。
 平成元年度ベースの試算でございますけれども、国保の中にも零細な企業等における被用者が含まれておりますので、便宜被用者であえて政管健保のために比較をいたしますと、収入ベースでございますけれども、四百万円の場合に国保の保険料負担は二十七万八千円、これに対しまして政管は事業主負担を除きますと十四万一千円。それから収入五百万円の場合、これは今申しました四百万円も含めまして夫婦、子供一人の三人世帯でございますけれども、国保の場合で保険料負担三十五万円、政府管掌健康保険の場合で本人の保険料負担十七万二千円でございます。
#170
○常松克安君 結局約二倍、一・九七倍ですね。言うならば、普通の健保の方が負担が少ない。国保は多い。多いそれを背負わされる方は老人あるいは低所得者だ。というと、また残っている資力の方からどんと取らぬことには総トータルのバランスがとれぬ。この大きい差をどのように感じていらっしゃいますか。
#171
○説明員(辻哲夫君) 国民健康保険制度につきましては、先ほども申しましたように高齢化が非常に進んでおる。それから、一般被保険者につきましても、やはり平均的には年齢水準が高うございまして、七十歳以上を除いた場合におきましても、例えば政管健保は平均三十二・四歳でありますものが国保は三十九・六歳といったように年齢構成が高いとい「つことが一つは給付費の水準の大きな要因になっており、それがまた保険料の差につながっているという面がございます。しかしながら、保険料が相対として国保の方が高いのは事実でございます。そういう状況のもとで、高いことの要因で解決できるものから、例えば今申しましたように、高齢化につきまして一連の改革を行うとか、あるいは低所得者につきましては軽減分に対して公費を導入するといった形で最大限の努力を図っておるところでございます。
#172
○常松克安君 済みません、私は三十分しか時間がないものですから、いろいろ勉強されたりレクされたことを全部読まぬように、言うたことだけにお答えください、御協力のほどを。
 国保の方が負担が大きいということは認めますか。
#173
○説明員(辻哲夫君) 相対として健康保険の個人負担分に比べて高いことは事実でございます。
#174
○常松克安君 保険料としての差額でありますが、地域によって大きく違っています。全国トップと最低とを教えてください。
#175
○説明員(辻哲夫君) 全国の最高の保険料額、一人当たり保険料で申しますと、平成元年度でございますけれども、トップが八万九千九百七十八円でございまして、一番の低額が一万二千七百六十二円でございます。
#176
○常松克安君 同じ国に住みながら大きな差額、これはどう思われますか。
#177
○説明員(辻哲夫君) 今大きな保険料の格差について申し上げましたが、この保険料水準の差には人口構成の差とかベット数等医療供給体制の差とかさまざまな要因がありまして、絶対額的な医療費の水準に地域差があることにつきまして、それ自体が直ちに問題であるというわけではございませんが、基本的には、医療費の水準が同じであり、また所得が同じであれば、やはり日本のどこに住んでおっても同じような保険料ということが望ましいと私どもは考えております。
#178
○常松克安君 そういう場合の答えは、何々県は医者が何名おって、べット数が何床で、医療費がこうだ、こういう説明が一番説得力があるんです。今後そうしてください。
 じゃ、もう一度別な角度で言います。いずれにしても、保険料は六・七七倍という差が生じているわけであります。これは地域の特異性などがございますから、これをもってすぐさま論断はできません。しかし、非常に大きな差であるということも、これは現実でございます。今ここで論じておりますのは、格差というものをまず認識したい。これが終わりますと、直ちに私は決算委員会で今度は厚生大臣に向けます。それが終わりまして、一年間勉強して、来年度予算委員会でこれをやります。そういう順繰りを含めてやっておりますから御承知ください。
 その次に行きます。
 国保の料金というものは、税というものと料というもの、こういう両面がございますが、まず自治省にお尋ねします。
 税ということ、目的税、これは好ましいという言い方はちょっと角が立ちますけれども、果たして税というもの、医療というものをどういうふうにとらまえるのでしょうか。病気しても税、薬も税というふうに、一般の方の認識としては保険料だ、医者代だ、こう思っているんですけれども、それを税金で取る、取りやすいから。いろいろ過去の経緯はございましたけれども、この点について御意見をちょうだいしたい。
#179
○政府委員(湯浅利夫君) 基本的には御指摘のとおり、これは健康保険でございますから、性質としてはやっぱり保険料という形で取るのが一番すっきりした形だと思います。しかしながら、いろいろな経過がございまして税という取り扱いを一部しているわけでございますけれども、これはやはり長期的な観点から見て、このあり方については十分検討すべきものと考えております。
#180
○常松克安君 税ということで取った方がいい、料とした方がいい、その一つの差は徴収しやすい。ところが、徴収の決算額を見ますと、料でも税でも差額は一%しか違わないですね。そうすると、税ということは、やはりこれから大きな論議の問題として制度上考え直していくことが時代の対応として必要じゃないか、こういうふうに感じておるんですが、もう一度お願いします。
#181
○政府委員(湯浅利夫君) 仰せのような問題意識を私どもも持っております。しかし、今までの非常に長い経過がございますことも頭に入れて、今後この問題については検討してまいりたいと思っております。
#182
○常松克安君 今度は方向を変えまして、最初にぽっと言いましたけれども、時効の問題でございます。税は五年間、料は二年間でございますね。そうすると、税の方はそれに対する延滞金を取る、料の方は取らない。そこへもってきて二年間という猶予では、もらえぬようになって一年経過してすぐ督促に入ってみたってもうどうしようもない。税というふうな形は今後検討していただくとして、料というものも五年という時効はやっぱり同一であるべきじゃないか。それでなくとも三カ月に一遍保険証の色を変えて、納めてなきゃもう判こ押しません、病気になったらあなた実費でやってください。もう怒られて怒られて、払うのも精いっぱいでやらなきゃいけない。こういうふうな料の場合と税の五年の差というものは、体系的にいかがなものか。そもそも税体系という点からいって、国民健康保険税というものは糾弾されてもやむを得ないと思うんですよね。この時効の問題、どうぞお願いします。
#183
○説明員(辻哲夫君) 国民健康保険料の方でございますけれども、この時効は二年となっております。この二年につきましては、いわば社会保険ということで一年ごとの短期計算を基礎とするという短期保険の性格上余り長期に置くべきではない、あるいは厚生年金、健康保険等他の社会保険制度もこのような考え方で一律に二年となっておる、こんな形で料の方は時効を二年とさせていただいているわけでございます。
#184
○常松克安君 もう一つ、今度は、隣の重役さんは大きな所得がありながら低い、こっちは二十七、八歳で左官屋さんだけれども、最高四十四万取られておる、現場へ行きますと常にこういう論議で我々が問われるわけです。それは当然課税をするベースが違います。第一方式、第二方式、第三方式、こうなっております。これはその市町村が決めることなのでありましょうけれども、これすら余りに応益、応能という論議の中でいろいろ問題になってきております。そうしますと、税の公正という立場からして、この問題というのは国家的なある程度のそれに対するものをしなきゃいけない。いま一つは、病気にならないように地域健康という問題も考えてしてあげなきゃいけない。その点について、本当にこの方を褒めたい。この人にレク受けたい、私。竹之内信雄さんという自治省の方、見事に明快に論断をしていらっしゃる。
 そういうふうな読んだものを基軸にしながら、この税を取るときの第一、第二、第三方式、これをわかりやすく一本化できないものだろうか。片っ方では資産を百分の五十、片っ方では百分の十五、なるたけようけもらえる方にちゃんとメニューは考えてあげるから、あんたのところの市町村でようけ徴収できるようにこの中から選びなされとばかり言わぬようにと考えるのです。もっと平等でなくちゃいけない。いかがでしょうか。
#185
○政府委員(湯浅利夫君) 保険税の課税の方式につきましては、ただいま三つの方式があるわけでございますが、これはやはりそれぞれの市町村の医療の状況あるいは所得の状況、資産の分布状況、それらを全体的に勘案して、どの方式をとるのが一番適切なのかということで選んでもらっているわけです。
 これは先ほど来議論が出ている住民税につきましても、以前は五つの課税方式がありましたが、これは今までのそういう御議論も踏まえて課税方式を一つにしたというような経過もございますけれども、国民健康保険税については住民税とはやはり違った立場で考えるべきだということで現在この三つの方式を使っているわけでございまして、課税方式を統一するかどうかという点については、これはよく検討すべき課題じゃないかというふうに考えているわけでございます。やはり市町村ごとに独自にお決めになるというのが、先ほどからお話しのように、これは本来保険料的な性格が非常に強いものでございますので、そういうことを考えた場合に、住民税のように課税方式を直ちに統一するということが果たしてできるのかどうかという点については、もう少し私ども検討したいと思っているわけでございます。
#186
○常松克安君 よろしく検討してください、長く検討してください。といいますのは、私がこういう提起をいたしますのは、国民健康保険制度という制度を広域的にしていかなきゃいけないという考えがあったりつぶれたり、出たりへこんだり、もっと県単位の大きなものにしたいとか、そうした場合にひっかかってくるのがこれなんです。隣の村は第一方式、こっちの町は第三方式、そうした場合に統一せいと言ったところで、私のところは一生懸命に村の健康を考えて国民健康保険税を黒字にして黒字にして、皆村のことを考えておる。こっちはこっちで赤字を五年も十年も続けておる。そんなところを一緒にされると「私の方の今までの努力はどうしてくれるんだ、それが大きな隘路になって、その広域化というもの、国が抜本的に改革を提言しようとするんですが受けとめられない。その前にこの一本化したものが必要ではなかろうかという論議になるんですが、これは検討しますといって五年も十年もかけておったら改善なんてできはせぬという意味で、時間が参りましたので最後に大臣にお尋ねいたします。
 あれこれと申し上げましたけれども、これらの保険料の格差の是正あるいはまたこれの法改正、今後制度化をどうする、自治、厚生両大臣が覚書を交わされまして、平成三年度実施を目途に検討を進める、こういうふうにお読みいたしました。これに対する御決意のほどをお伺いいたしまして質問を終わりたいと思います。
#187
○国務大臣(吹田ナ君) 先ほどから先生の厚生省あるいはまた我が省の税務局長との御論議をずっと伺っておりまして、お説に対しまして非常に共鳴するところが多いわけであります。関係省庁が厚生省でございますから、またひとつ厚生大臣ともよく協議をしまして、今お話がありましたような問題についての是正を一日も早く推進すべく、やれることから進めていかなきゃなりませんので検討さしていただきたい、こう思っております。
#188
○常松克安君 以上です。
#189
○諫山博君 地方交付税法第六の三第二項の解釈について、かつて政府委員であった松浦功氏が予算委員会で次のように答弁したことがあります。「引き続き」というのは、二年以上ずっと赤字であり、それから見通される三年以降も赤字だということである。続いてまた、「著しく」というのは、大体一割程度のことである。こういう説明もあります。これは一九七五年の予算委員会における答弁ですけれども、この解釈は自治省としては一貫したものでしょうか。
#190
○政府委員(小林実君) 御質問にございましたように、地方交付税法第六条の三第二項は、普通交付税の総額が引き続き財源不足額の合算額と著しく異なることとなった場合においては、地方行財政制度の改正または交付税率の変更を行うものといたしております。今御質問がございましたように、ここでいう「引き続き」とは、その過不足が二年度連続し、三年度目以降もこれが続くと見込まれる場合でございます。また、「著しく」とは、過不足が特例分を含まない普通交付税の総額のおおむね一割程度以上になる場合を指すというふうに解されておるわけでございます。
#191
○諫山博君 答弁は簡潔にお願いします。
 私は、松浦政府委員の答弁は一貫したものですかと聞いたんです。どうですか。
#192
○政府委員(小林実君) 一貫したというか、同じ趣旨であるということで答弁をいたしました。
#193
○諫山博君 第六条の三第二項は、松浦政府委員の説明したような要件のある場合は、地方財政もしくは地方行政に係る制度の改正をするか、または税率の変更を行うものとするという規定になっています。行うことができるという表現ではありません。つまり制度の改正または税率の変更をするかどうかについては、裁量権を与えずに、当然そうしなければならないというふうに読めるのですけれども、自治省の解釈、運用はどうだったんでしょうか。
#194
○政府委員(小林実君) この六条の三第二項に規定する地方行財政制度の改正についてでございますが、法文に書いてあるとおり、御指摘のあったとおりと解釈をいたしております。
#195
○諫山博君 一九七〇年代のオイルショックのころ、地方財政が大変逼迫したことがあります。赤字団体に転落する自治体が続出しました。このときの地方自治体の財政状況というのは、今あなたが説明したような交付税法第六条の三第二項の要件を満たすものだったと思います。当時我が党は、地方自治体の財政難に対処するために、第六条の三第二項による制度の改正あるいは交付税率の引き上げを要求しました。
   〔委員長退席、理事渡辺四郎君着席〕
しかし、政府は、このことを行いません。当時としては法律に基づく当然の要求でしたけれども、これは認められませんでした。そして交付税会計の借り入れ、あるいは地方債の発行、こういう将来に禍根を残すような方法で処理してしまったわけであります。このときの政府の処理の仕方は、明らかに交付税法の趣旨に反します。この誤った処理が、自治体の巨額な借金あるいは公債費の累積を生み出して、その後の地方自治体の財政に非常に大きな禍根を残したわけです。
 今年度の地方交付税で特別減額あるいは当然加算さるべき交付税を後年度に先送りするというようなやり方、これは地方に配分すべき交付税を一兆円減額したということであらわれているわけですけれども、その過去の後始末を今私たちが迫られているということだろうと思います。
 今年度の処理について、この問題で政府部内、特に大蔵省と自治省との間で大きな意見の食い違いがあったと報道されていますけれども、その経過を説明してください。
#196
○政府委員(小林実君) 平成三年度の地財対策に当たりまして、大蔵当局からは、私どもが五十年代に借りました交付税特会の借金、あるいは五十年代にやはり地方団体が増発をいたしました地方債の償還のために財源措置をしてまいりましたその交付税措置につきまして、財源余剰というような認識を示しておりました。そういうことの認識につきましての意見の相違があったと思います。
 それから、財政対策そのものにつきましては、国庫当局からは地方交付税につきまして協力をしてほしいという要請があったところでございまして、結末は今回お願いしておる交付税法のとおりでございます。
   〔理事渡辺四郎君退席、委員長着席〕
#197
○諫山博君 大蔵省の地方財政に余裕があるという言い分に自治省は反対されたようですけれども、この問題については自治省はどういう理解ですか。
#198
○政府委員(小林実君) ただいまお答えいたしましたように、交付税特会の借入金の返済や財源対策債等償還基金の積み立てに対する財源措置、これが大蔵省が地方財政に余剰があると主張している理由ではなかろうかと思います。しかし、私どもといたしましては、これらの措置は過去におきまして地方がみずからの負担で借り入れをしてまいりました巨額の特例的な借入金を解消して、地方財政の健全化を図るために講じられたものでございまして、決して地方財政に余剰があるので行ったものではございません。地方財政におきましては、なお六十八兆を超える借入金を抱えておるわけでございますし、また今後やらなければいけない仕事が山積をいたしておるわけでございます。
#199
○諫山博君 オイルショックのときのような地方自治体の財政が非常に厳しいときには当然発動すべき第六条の三第二項の規定を発動しなかった、そして今になって大蔵省がそういうことを言うのは全くの自治体いじめだと私は思います。結局、法案のような趣旨で落ちついたということですけれども、大蔵省に押し切られたという結果になるんですか。
#200
○政府委員(小林実君) この五千億の減額につきましては、地方団体におきまして抱えております財政需要につきまして十分必要な財源を確保することを第一といたしまして、また第二には、地方財政の健全化のための措置を講ずることといたしました。その上でこの五千億につきまして実損をかけない方式で協力をすることといたしたわけでございます。
 こういう協力をいたしましても、交付税の総額は七・九%の伸びを示しておりますし、何よりもいつかは返さなければいけない借入金の振替ないしは償還でございますので、地方団体からも御理解をいただけるもの、こういうふうに思っておるわけでございます。
#201
○諫山博君 大臣にお聞きします。
 今の経過は新聞でも広く報道されていますけれども、私が心配するのは、来年も同じようなことになるんじゃないのか、大蔵省が同じような主張をしてきて、結局大蔵省が強かったというような結果になるのではないかということを心配するわけです。自治大臣として、地方自治体の財政を擁護するためにぜひ頑張ってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#202
○国務大臣(吹田ナ君) 私もそういうふうに心配しておりまして、そういうことがないようにしなきゃならぬ。ぜひひとつ地方公共団体にも、財政力の非常に弱い状態で多くの市町村を抱えておりますものですから、今後そういう方向で最大限の努力をしていきたい。さらに、四年度に云々という問題は、この席で私が予言をするわけにはまいりませんけれども、全力を挙げて御趣旨に沿うような方向で頑張っていきたい、こう思っております。
#203
○諫山博君 別な問題に入りますけれども、日米構造協議で向こう十年間四百三十兆円の公共投資が約束されました。公共投資基本計画も策定されましたけれども、地方の負担が大変大きくなるのではないかということが憂慮されています。
 そこで、四百三十兆円のうち、地方自治体の負担はどのくらいになるのか、比率もしくは金額で御説明ください。
#204
○政府委員(小林実君) 公共投資基本計画におきます地方負担の割合がどの程度になるかというお尋ねでございます。
 公共投資基本計画は、これからの公共投資の枠組みあるいは今後の方向を示すものでございまして、事業主体、事業部門ごとの内容、内訳等が明らかにされておりません。したがいまして、地方負担につきまして的確にお示しすることができないわけでございます。しかし、過去十年の公共投資につきまして決算統計等によりまして推計いたしますと、地方団体が負担した割合はおおむね六割程度というふうに見込まれるわけでございまして、これを機械的に四百三十兆に掛けますと二百六十兆から二百七十兆ということになるわけでございます。
#205
○諫山博君 地方自治総合研究所の沢井研究員の試算というのが公表されています。これを見ると、四百三十兆円のうち自治体が負担すべき金額は大体二百七十兆円ぐらいではなかろうかと書かれています。大体この線と一致すると聞いていいのですか。
#206
○政府委員(小林実君) 公共投資基本計画の具体的な内容は、各省が持っております十五の公共投資関連の五カ年計画がございますし、それの内容が固まってまいります、あるいは改定がされますものとか、あるいは各年度の予算で決まってくるわけでございます。先ほど言いましたように、事業主体、事業部門ごとの内訳がはっきりしておりませんから的確な数字を申し上げるわけにはいかないわけでありますが、いずれにいたしましても国民生活の質の向上に重点を置いた分野にこれから配意するということでございますので、地方団体の役割はますます高まるもの、こういうふうに思いまして、先ほど言いましたような数字あるいはそれ以上になるのかもしれないというぐらいの認識でございます。
#207
○諫山博君 今公共投資の内容、方向に触れられましたけれども、この点が非常に大事だと思います。例えば、投資の対象が生活関連中心の公共事業に充てられる、生活道路の整備とか上下水道の整備とか公営住宅の大量建設とか、とにかくやらなければならない仕事はたくさん残っているわけです。
 それにしても憂慮されるのは、事業が大きいものであるだけに自治体がやっていけるだろうかということです。そのためには、私は国の補助率を昔に戻すということが緊急に必要だと思います。
今の状態で一定の公共事業を、至上命令的にやれやれと言うだけでは地方の財政はもたないと思います。私は生活関連中心に公共投資の方向を変えると同時に、もっと国にたくさん負担させる、これが必要だし、これがなければ自治体は破産するのではなかろうかと思いますけれども、これは大臣の見解を聞かせてください。
#208
○国務大臣(吹田ナ君) このことは常に各先生からもお伺いしておるところでありますが、御案内のように、五十九年度の補助率に復元するというのはいましばらく検討させてもらいたいということもこれあり、今のところ六十一年度の時代に復元したわけでありますが、今後三年の間に十分検討しまして、できるものからひとつ速やかに復元していこうという構えでおります。
 ただ、自治省といたしましては、それとはまた別の立場からできるだけの、地方公共団体が生活関連としてやるべき問題については単独事業で出していくということで生活の基盤整備あるいは生活環境というものを進めていかないと、あるいは山村地域においても過疎がますます拡大されますし、島嶼部におきましても非常に生活が困窮してくるというような状態で人口の激減という問題も出てまいりますから、社会資本の充実が少なければ少ないほど過疎化やその他の生活環境は悪くなるわけでありますから、そういう意味では、私は今後自治省が特にとるべき態度は、単独事業ででもこれを促進していくということについて財政的な裏打ちをしていくような、そういった相談を今財政局ともしておるわけでありまして、最大限の努力をこの三年度のうちに皆さん方にも関係市町村にお示しができるようにしよう、こういうことでおります。
#209
○諫山博君 次は、選挙の問題です。
 午前中に選挙の公正を害するものとして買収選挙に対する批判がありました。私は全く同感です。自治大臣からは、本来戸別訪問こそがあるべき選挙運動の最も典型的なものではなかろうかという趣旨の発言がありました。全く同感です。私は、自治大臣が戸別訪問禁止規定を削除するために積極的な指導性を発揮していただきたいということを要望いたします。
 きょう私が指摘したいのは、選挙の公正を損なうもう一つの問題、企業ぐるみ選挙についてです。ことしの三月二十八日、企業ぐるみ選挙に反対し、選挙の自由を守る八王子連絡会、こういう団体が八王子市選挙管理委員会に文書による申し入れを行いました。八王子市内の沖電気と東電とNTTの企業ぐるみ選挙を具体的に挙げまして、実情を調査して、こういうことはやめるように指導していただきたいという申し入れ。
 その一、二を紹介しますと、沖電気では幾つもの協力工場、関連会社、子会社に利益誘導を伴いながら集票活動を押しつける、こういうことがやられておる。労働者に対しては、選挙カンパが半ば強制的に割り当てられる。普通の組合員だったら一口五百円のものを二口負担してくれ、主任、係長の場合には三口、四口負担してくれ、こういうことをお願いした集金表が職場で回覧されるのだそうです。断れないような仕組みで半ば強制的に選挙寄金の強要が行われている、これが沖電気です。
 NTTは、会社従業員名簿を労働組合に提供して選挙運動に使用させる、あるいは下請、関連会社、子会社に利益誘導を伴いながら票集めを押しつける、こういうことです。
 この申し入れに対して、八王子市選挙管理委員会事務局長から申し入れた高木弁護士に半月後に電話がありました。ここに書かれているようなことがあれば極めて重大だということで、幾つかの問題についての市の選管としての見解が示されたようです。そういう事実があったのかどうか、選挙部長おられましたら答えてください。
#210
○政府委員(吉田弘正君) お尋ねの件でございますが、私ども通告がございましたので東京都選挙管理委員会を通じまして問い合わせいたしましたところ、三月末に、企業ぐるみ選挙に反対し、選挙の自由を守る八王子連絡会から八王子市選挙管理委員会に対しまして、企業ぐるみ選挙を中止させることなどの申し入れがあり、同選挙管理委員会におきましては、具体の行為が公職選挙法に違反するかどうかについてはその実態に即して判断をされるべきであり、取り締まり当局において対応されるべき問題である旨の回答をしたというふうに聞いております。
#211
○諫山博君 市の選管としては事実を調査しましたか。
#212
○政府委員(吉田弘正君) そこのところは、今お答えしたとおり、市が事実を調査したというふうには私は聞いておりません。
#213
○諫山博君 次は神奈川県です。企業ぐるみ選挙を告発する神奈川県連絡会というのがつくられて、神奈川県下の大企業八社で行われているさまざまな企業ぐるみ選挙について、文書で指導を要請しました。
 その幾つかを紹介しますと、日本冶金川崎工場、ここでは川崎区の各地区ごとに職場の分担を決め、割り当て表までつくって労働者を強制的に票集めに動員しております。全戸を対象に戸別訪問をさせるようですけれども、一日の動員数が五百人、動員に応じた人には一人二千円、自動車持参者には二千五百円の支払いをしている、こういう告発です。
 旭硝子京浜工場では、工場の体育館で特定候補の集会が二回行われた。五百人ないし六百人が参加した。会費をはるかに上回る酒食の提供がなされた、こういう告発です。
 日本鋼管京浜製鉄所、ここでは労働組合の組織内候補の選対に、ある従業員を専従として派遣しようとしました。労働者は、今職場は人不足だから自分が欠けるわけにはいかぬと言って断りましたけれども、工場長がこれは社命だ、こう言って強制をしています。さらに、選挙専従者には就業時間中の組合活動と同じ取り扱いをして給与を支払う、こういうことが指摘されています。
 この告発に対しても、神奈川県選管から星山弁護士に対して電話がありました。訴えられた事実があるとすれば選挙法上問題ですというような内容だったそうです。そういう事実がありましたか。
#214
○政府委員(吉田弘正君) 神奈川県の関係でございますが、この関係につきましても、神奈川県選挙管理委員会に問い合わせをいたしました。三月上旬に、企業ぐるみ選挙を告発する神奈川県連絡会から県の選挙管理委員会に対しまして、企業ぐるみ選挙を中止させるなどの申し入れがありました。県の選管は関係企業に対しまして、申し入れもあり十分留意願いたい旨伝えたというふうに聞いております。
#215
○諫山博君 選管として事実の有無を調査していますか。
#216
○政府委員(吉田弘正君) 事実の有無を調査しているとは聞いておりません。
#217
○諫山博君 市の選管、県の選管は、選挙の公明かつ適正な運営を図るために、そういう問題が告発されたら事実を調査してしかるべき指導をすべきではないでしょうか。
#218
○政府委員(吉田弘正君) 県の選挙管理委員会あるいは市町村の選挙管理委員会は、選挙の管理執行並びに啓発等を担当しているわけでございますが、具体的の事実が個々の法令に違反するかどうかというものについて実質的な調査をするという権能は持っておりませんので、なかなかそういうわけにはまいらないかと存じます。
#219
○諫山博君 公職選挙法を見ると、自治大臣、中央選管、都道府県選管、市町村選管は、「選挙が公明且つ適正に行われるように、常にあらゆる機会を通じて」云々ということになってますね。さらに、「選挙人の政治常識の向上に努める」ということもあります。そのほか、選挙運動に関し、「必要と認める事項を選挙人に周知させなければならない。」という規定もあります。当然、選挙が公明正大に行われるようにさまざまな啓蒙活動をすべきだし、問題になるような行為があれば是正の措置を講ずるのは当然ではありませんか。
#220
○政府委員(吉田弘正君) 公選法の第六条に、自治大臣、中央選挙管理会、都道府県の選挙管理委員会及び市町村の選挙管理委員会は、選挙が公明かつ適正に行われるように、常にあらゆる機会を通じて啓発するという趣旨の規定がございます。これに基づきまして、私ども初め選管当局も、選挙が明るく正しく行われるようにということで常日ごろから啓発活動に努めているわけでございまして、また実際の選挙に当たりましては、きれいな選挙が実施できるように啓発活動を図っているところでございます。今後ともそういう方向で対応をしてまいりたいと考えております。
#221
○諫山博君 選管がそういう責任を持っているとすれば、問題になるような行為が指摘され、調査を求められた以上は調査するのが当然じゃないですか。調査する権限がないというのは私は無責任過ぎると思います。調査をせずにどうして啓蒙活動ができますか、答えてください。
#222
○政府委員(吉田弘正君) ちょっと繰り返しになるかとは存じますが、選挙管理委員会は選挙の管理執行、それから選挙の啓発をしているわけでございまして、具体の事実、ある行為が法令に違反するかどうかというものについてこれを実質的に調査する権能は持ち合わせておりませんので、法令に違反するかどうかという問題について、法令に違反すれば取り締まり当局において厳正に対処するということになろうかと存じます。
#223
○諫山博君 法令に違反するかどうかというのは、恐らく、公職選挙法違反になるかどうか、刑事罰を科せられるかどうかという話だと思いますけれども、刑事罰の対象にならなくても選挙の公正を害する行為というのはさまざまあり得るでしょう。それはないという考えですか。
 私は、事例を引用します。
 一九七四年七月の参議院選挙、これは企業ぐるみ選挙が大変問題になった時期です。このときに中央選管委員長が、企業ぐるみ選挙を厳しく批判する談話を発表しました。これがさまざまな波紋を呼んで、最後には自民党の橋本幹事長が中央選管委員長を刑事告訴するというような問題にまで発展しました。このときに選挙管理委員会と企業ぐるみ選挙の関係をどう見るのかというのはさんざん議論されたはずです。恐らくその経過は御存じだと思いますけれども、中央選管委員長が、目に余る企業ぐるみ選挙を見るに忍びず、個人的な見解だと言いながらも批判的な発言をされたのは御存じですか。
#224
○政府委員(吉田弘正君) 今ちょっと手元にその当時の資料を持っておりませんので定かなことは記憶しておりませんが、そういうような動きがあったということがあったのかなというふうに思っております。
#225
○諫山博君 毎日新聞を引用しますと、当時の中央選管委員長は次のように言っております。「いわゆる「企業ぐるみ選挙」の行き過ぎについて国民の批判が高まっており、新聞などの報ずるところによっても雇用関係や取引関係を利用した企業選挙の実情が伝えられているが、もしこれらの関係を通じて何らかの強制が伴えば憲法で保障された国民の基本的権利である思想・信条の自由、公選法の投票の自由の原則が事実上阻害されるおそれがある。」こう言って、ずっと発言は続いておりますけれども、中央選管の委員長ですよ。こういう権限は中央選管あるいは地方の選管にはないんですか。
#226
○政府委員(吉田弘正君) 個々の具体の行為が公職選挙法等の法規に違反するかどうかということは、やはりその行為の実態に即して個々に判断をしなければできない問題でございます。そういう問題について、選挙管理委員会なり中央選管というものは実質的な調査能力を持っておりませんし権能もございませんので、そういうことはいたしかねるということでございます。
#227
○諫山博君 同じ年の七月の参議院選挙で、やはり大阪府選管も同じような問題を取り上げております。そして、大阪府選管は、委員会としての見解を出すというような発言までしているんですよ。
 そこで、私は自治大臣にお伺いしたいのですけれども、公職選挙法では、自治大臣と選挙管理委員会の責任として選挙の公明かつ適正な運営ということが出ておりますけれども、選挙管理委員会というのが、例えば企業ぐるみ選挙がどういうふうに行われているのかという実態も調査しない、どうも答弁を聞いていると調査する権限がないみたいな発言だし、そうしたら選管というのは実務的なことしかやれないのかということになりますけれども、どう思われますか。いや、大臣にお聞きしているんです。
#228
○国務大臣(吹田ナ君) 私も選挙をやる身でありまして、一面では日々選挙をやっておるというふうに言われてもしようがないわけでありますが、企業ぐるみという問題がどういうような問題までを企業ぐるみと言うかというのはいろいろ内容によって異なるだろうと思いますが、今先生の御指摘になっておられる問題は、確かに企業ぐるみ選挙という、選挙違反であるという内容だろうと思いますが、私も中身をよく承知しておりませんので何ともようお答えいたしませんが、いずれにしましても、個人の自由意思というものはいずれの場合でもこれは尊重されていかなきゃならぬということは確かに基本的にあります。
 そういう前提に立って選挙管理委員会も、選挙の公明、公正ということについて常に意を用いるということで啓蒙、啓発運動を進めておるわけでありますが、今の問題についての調査の問題等御指摘がございましたので、私の方もまたそれなりに検討を加えていきたい、こう思いますが、権能があるかどうかという点につきましては、ちょっと私も不勉強でここで何ともお答えできませんが、検討させていただきたいと思います。
#229
○諫山博君 今度は警察庁長官にお伺いいたします。
 一九七四年七月の参議院選挙、これは本当に企業ぐるみ選挙が日本じゅうで大問題になったときですけれども、今言った中央選管の委員長の発言などを受けて、高橋警察庁長官の談話が新聞に発表されております。「具体的な違反あれば取り締まる」、これは当然のことでしょうけれども、こういう企業ぐるみ選挙について警察としてはどういう見方をしているんですか。
#230
○政府委員(國松孝次君) 取り締まりの実際に関することでございますので私からお答えをさせていただきますが、企業ぐるみの選挙というもの、まさにどういうものか必ずしも明らかでございません。私どもの理解といたしまして、例えば企業の経営者などがその企業の組織を利用して選挙違反の行動を行うというようなものがもしあるとすれば、それは大変悪質な選挙違反であろうと思いますので、こういうものにつきましては厳正に取り締まりを行うということでございまして、これまでにもそういう形態での取り締まり、あるいは検挙の事例というものは各選挙におきまして少なからず存在するところでございます。
#231
○諫山博君 企業ぐるみ選挙罪というようなのはありませんからね。結局法律に当てはめれば利害誘導罪になったり、あるいは選挙自由妨害罪になったりすると思います。企業ぐるみ選挙をそういう罪名で検挙したことはあるんですか。
#232
○政府委員(國松孝次君) 自由妨害で検挙というのはちょっと今思いつかないのでございますが、いろいろと、例えば詐偽投票であるとか買収であるとか、そういう犯罪になるのは幾らかあるわけでございます。
#233
○諫山博君 選管にもう一遍要望します。企業ぐるみ選挙というのは広範に行われているんですよ。そして、選挙の自由を実質的に圧迫しているわけですよ。おまえが票をこのくらい集めてこないと下請の仕事はさせないぞ、これが典型的な企業ぐるみです。だれだれ候補の運動をしないとおまえは昇給できないぞ、これも典型的な企業ぐるみ選挙です。これは法律に違反するかしないかのすれすれのケースが多いんですね。私は、法律に違反する問題については警察がびしびしやらなければならないし、すれすれの問題について処理するのは私は選挙管理委員会だと思います。
 そういう点で、もっと実態を調べて、一般的な啓蒙で結構です、かつて中央選管委員長が一般的に企業ぐるみ選挙に警告を発したような何かそういう対策をとらないと、選挙を腐らしているのは買収だけではないということになるわけです。意見を聞かせてください。
#234
○政府委員(吉田弘正君) 先ほどから申し上げておりますが、中央選挙管理会とかあるいは各選挙管理委員会、やはり公正中立に選挙を管理執行すべき公の機関でございまして、選挙運動の具体的な形態の適否について意見を述べることは基本的には慎重であるべきであるというふうに考えているわけでございます。
#235
○諫山博君 今の発言は、公職選挙法第六条を無視していますよ、あなたの発言どおりだとすれば、選挙管理委員会というのは事務的な仕事をするところだというふうにしかなりません。しかし、これはもう議論しても結論が出ませんから次の問題に移ります。もう結構です。
 次に私が問題にしたいのは、暴力団と警察との癒着です。
 暴力団を追放するというのは非常に大きな世論で、政府は新しい法案も用意しました。しかし、法律をいじれば暴力団を追い詰めることができるのかというと、もう一つのその前にやるべきことがある。例えば、暴力団と政治家の癒着、暴力団と財界との癒着、もう一つは暴力団と警察との癒着です。
 具体的にどういう状況になっているのか、幾つか私は例を挙げます。
 最近、東京高等裁判所で東京地方裁判所の有罪判決が破棄差し戻しになって現に東京地方裁判所で審理されている事件があります。簡単に言いますと、覚せい剤で起訴された被告が保釈中に、暴力団の組長の自白に基づいて暴力団事務所の敷地から短銃一丁と実弾二発が発見された、これがけん銃の不法所持として裁判にかけられ、有罪判決になっていました。ところが、東京高裁は、裁判のやり直しを命じたわけです。
 何が問題になったかというと、被告が訴えたのは、あそこにけん銃を埋めたのは警察官から言われて埋めたんだ。おまえがけん銃を持っていたことを自白すればそれだけ同情されて刑は軽くなる、こう言われて、けん銃と実弾二発をビニールと銀紙に包んで暴力団の事務所に埋めた。これは警察官から言われてやったわけですから自分には罪はないと思っているわけです。ところが、この事件で起訴されて有罪判決を受けた。裁判になって、被告はこの事実を訴えました。警察はこの事実を否認しました。ところが、高等裁判所は警察官の言い分ではなくて暴力団の言い分を認めたはずですけれども、東京高裁の判決はこの点どう言っていますか。
#236
○説明員(但木敬一君) お尋ねの件は、昨年一月三十日、東京高裁において判決宣告のありました覚せい剤取締法違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火薬類取締法違反被告事件であると承知しております。
 判決は、公訴事実が幾つかございますが、その中の一つであります被告人が平成元年一月十二日、栃木県下の暴力団事務所において、けん銃一丁及び実包二個を所持したとの点につきまして、被告人が覚せい剤取締法違反の事実で逮捕された後、被告人が警察官に対して覚せい剤取締法違反の事実を見逃してくれるならけん銃を出してもよい旨述べたところ、捜査官が面会や差し入れ等に関し不当に優遇してくれたり、けん銃を出せば覚せい剤取締法違反の事実を不問にしてやる旨ほのめかすなどしたので、被告人が他に指示してけん銃を土中に埋めさせた上、捜索でこれを発見させたとの被告人の供述等をあながち不自然、不合理とばかりは言えないとしました上、被告人が本件けん銃にかかわるようになった経緯について、原判決が有罪事実を認定した基本となっている証拠であります被告人の自白と異なる疑いが強いといたしまして原判決を破棄し、本件を東京地方裁判所に差し戻すとの宣告をしたものでございます。
#237
○諫山博君 警察はそういうことをした覚えはないと否定していましたけれども、東京高等裁判所は警察が短銃を埋めさせたというとんでもない事実を、認めたとまではいかないにしても、否定できないと言っているわけですね。これについて警察はどう思いますか。
#238
○政府委員(國松孝次君) お尋ねの件につきましては、現在差し戻された裁判所で事案係属中でございますので、具体的なことを私が申し上げるべき筋ではないと思いますが、私どもとしては、そういうことはなかったということで裁判におきまして私どもの主張が認めていただければありがたいというように思っているところでございます。
#239
○諫山博君 この事件では、けん銃をそういうふうにしてでっち上げさせただけではなくて、ある巡査部長が転勤するときに暴力団員からお金をもらったでしょう。私の調査によれば、五万円と二万円、二回にわたってせんべつをもらっているはずです。違いますか。
#240
○政府委員(安藤忠夫君) 今御指摘のせんべつの件でございますが、保釈中の被告人宅に情報収集に捜査員二人が参りました際に、帰り際に転勤祝いとして祝儀袋を二つ、一つには、後からわかったわけですが、被告人から五万円、それから被告人の友人から二万円の二つの祝儀袋を強引に渡されて断り切れずに受領した。中身を見ますと各金額が入っておりましたので同行の捜査員に預けまして返還を依頼したのですが、預かった捜査員が机の引き出しに入れたまま失念してしまったという経緯がございます。
#241
○諫山博君 そのほかに、組長が経営している焼き肉屋で警察官が接待を受けたでしょう。間違いありませんか。
#242
○政府委員(安藤忠夫君) その同じ日に捜査員二人がけん銃、覚せい剤等についての情報収集に被告人宅に赴いたわけでありますが、被告人から昼食しながら話をしようということで近くの食堂で一緒に食事をしたという報告を受けております。
#243
○諫山博君 暴力団員と警察の癒着はかくのごとしですよ。
 この警察官に対してどういう懲戒処分、どういう刑事処分が行われましたか。
#244
○政府委員(安藤忠夫君) 二人の捜査員につきましては懲戒処分をいたしまして、一人を減給百分の一、一カ月、一人を戒告処分にいたしました。そのほか、その上司である監督者三人に対しましても減給等の処分をいたしております。
#245
○諫山博君 刑事処分はどうしましたか。私の聞いたところではこれは検察庁に送らなかったようですけれども、どうですか。
#246
○政府委員(安藤忠夫君) 確かに起訴保釈中に被告人に会って食事をともにしたりあるいはせんべつを受領するなど誤解を招く軽率な行為がありましたが、その点についてはまことに遺憾でございますが、犯罪行為はなかったというふうに承知しております。
#247
○諫山博君 暴力団の組長の経営しているところで焼き肉を食べているわけですよ。七万円ももらったんですよ。しかもけん銃を埋めさせたわけですよ。これを刑事事件として警察は調べなかったのですか。
#248
○政府委員(國松孝次君) 最後の埋める埋めないという点につきましては、私どもそういうことはなかったと思っておるわけでございますが、いろいろな飲食あるいはせんべつというようなことがあったというのは承知をいたしております。そういうものにつきまして厳正な調査活動をいたしたわけでございますが、犯罪行為となるような事実を確認するに至らなかった、したがってそのような処分をしたというわけでございます。
#249
○諫山博君 今聞いただけでも犯罪の疑いは濃厚ですよ。警察は犯罪にならないと思っても、やはり検察庁に調べさせるのが当然ではありませんか。検察庁に送りもせずに握りつぶしたということに私は抗議します。
 別な事件です。
 一九八二年、昭和五十七年の六月、枚方市のパチンコ店で暴力団員が四人の警察官に連行されました。奈良県五條市に連行する途中ですけれども、暴力団におどされて暴力団の組事務所に行きました。そして、暴力団員の要求に従って捜査書類をわざわざ警察にとりにいって捜査書類を暴力団に見せました。なぜそういうことをしたかというと、暴力団員が、自分が枚方にいるということをだれが通報したのか知りたい、こう言ったところが、それは供述調書を見ればわかると言って関係者の供述調書をわざわざ警察までとりにいきました。そして結局この暴力団員は逮捕されないまま釈放されています。この事件というのは殺人事件です。そういう事実がありましたか。
#250
○政府委員(國松孝次君) お尋ねの件、ただいまございましたような件が昭和五十七年六月ごろでございますが、事実としてあったということでございます。まことに残念な事件でございまして、全国で身を挺して暴力団捜査に当たっている多くの捜査官の手前まことに遺憾な事件でございます。ただ、ただいま委員御指摘のような事実が本件にあったことは事実でございます。
#251
○諫山博君 新聞はどういう見出しをつけたかというと、「殺人犯「連行中に解放」」、解放したのは警察官です。「警官に逃がしてもらった」、こういう新聞報道もあります。「脅されて、調書は見せる、共に酒飲む」。
 この暴力団幹部は、どのくらいの時間四人の警察官と同行していたんですか。
#252
○政府委員(國松孝次君) 当時の記録を見ますと、約二十時間だと思います。
 なお、ただいま御指摘のありました事実のうち、逃がしてもらったとかあるいは釈放したというようなことはちょっと事実とは違うわけでございまして、これはそもそも初めからなっていない事件ではありますけれども、釈放とかなんとかいうことでなくて、そもそも初めから被疑者の身柄を確保していないというのが実態でございます。確保しなかったことについても私どもの手落ちであるということは認めますが、一回逮捕した者を釈放してしまったというのはちょっと事実と違うように感じます。
#253
○諫山博君 四人の警察官が二十時間も暴力団員に同行しているんですよ。なぜ警察に知らせないのですか。自分で逮捕できないならなぜ逮捕してもらわないんですか。これはまさに犯人隠匿じゃないですか。この警察官に懲戒処分はされたようですけれども、刑事処分がされましたか。
#254
○政府委員(國松孝次君) 先ほど申しましたように、まことに遺憾な事件でございます。四人も行っていて一人の被疑者を逮捕できなかった。しかも、上司に報告すらしていないということであります。もし適切な報告がなされれば別の結果が出ていたのだろうということではまことに遺憾でございました。全国ほかの捜査官の手前まことに遺憾な結果になっておるわけでございます。
 ただ、犯人隠避あるいは犯人蔵匿というような犯罪がこの警察官に成立するかどうかということにつきましては、まことに不適切きわまる事案ではございますけれども、逃がしてやるとかそういった犯人蔵匿の故意というようなものは初めからないわけでございます。したがいまして、そういった犯罪が成立する事件というようには当時のいろんな調べの中からも出てまいりませんので、これを犯罪事実として送致するとかそういうようなことはやってはございません。懲戒処分につきましては適切にされておるわけでございますが、そちらの方につきましてはされておらないということでございます。
#255
○諫山博君 警察庁長官にお聞きします。
 私がこういう質問をしている趣旨は、暴力団に対して警察は物が言えないのか、暴力団に対して供応接待をしてもらうというような関係が残っているのに新しい法律ができて暴力団を追及できるのか、こういう観点で聞きたいわけです。
 どう思われますか。暴力団員と二十時間四人の警察官が同行しているんですよ。だれが見ても犯人隠匿です。これを刑事事件として立件しなかったというのです。もし警察がまじめにこの事件を追及しようとするなら、なぜ検察庁に処理を任せませんでしたか。長官の説明を聞かせてください。
#256
○政府委員(鈴木良一君) 今お話のありました二つの件でございますけれども、前段につきましては、確かに警察官は情報収集のために暴力団と接触する必要があるわけですが、これが安易に、軽率に流れますとこういう相手方に乗ぜられるすきをつくるという形の典型的な例だと思います。それから、後段のお話の関係は全く厳しさが足りなかった例というふうに、私どもは厳粛にこの問題を受けとめております。
 やはり、お話しのとおり、暴力団対策というのは、全国で警察は懸命に頑張っておりまして、一部こういうふうな一面で安易な形、一面では厳しさが足りないというような形が出ますと、まさに暴力団取り締まりというものが信用を失うわけでございまして、この点につきましては、私どもは心を引き締めて体制なりあるいは取り締まりの方法なり我々の意識なりというものを変えていかなきゃいかぬ、かように考えております。特に、暴力団は変質してまいりました。非常に悪質、巧妙化してまいりましたし、一般社会、経済社会にも大変迷惑をかけております。そういう意味で我々も、今申しましたようにきちっと心構えを、意識を持ちましてそういう形で厳正に対処していくということで、あらゆる面で改革をしてまいりたい、かように思います。
#257
○諫山博君 この二つの事件で共通点があります。それは、警察は事件をひた隠しに隠していたんですよ。ところが、裁判の進行中に、実はこういうことがあったんだと被告が訴えた、これで表面化したわけです。私は、被告が暴露しなかったらこれは恐らくやみからやみだと思います。
 私は、この問題は非常に重大だと思いますから、さらに後日改めて別な問題を質問するということを申し上げてきょうは終わります。
#258
○高井和伸君 昨日をもちまして統一地方選挙の結果がすべて出ました。それで私は、投票率の問題もございますけれども、無投票当選ということが今度の統一地方選挙の中でかなり、どんなものだろうかという疑念を持ちました。
 そこでまず第一問は、今回の統一地方選挙における無投票当選の数、そしてそれが全体に占める割合はどのくらいなのか、そして今までのそういった傾向はどういった方向にあるのか、その点をまず事実問題としてお尋ねしたいと思います。
#259
○政府委員(吉田弘正君) 今回の統一地方選挙における無投票当選の人数及びその割合でございますが、都道府県知事選挙は無投票当選はございません。都道府県議会議員選挙は五百八十七人でございまして、全体の二一・八%でございます。政令市の市長選挙は、無投票当選はございません。政令市の市議会議員選挙で十一名ございます。一・五%でございます。一般の市長選挙でございますが、これは四十人でございまして、比率は三二・〇%。市議会議員選挙が二百三十九人、二・一%。町村長選挙でございますが、三百二十人、四九・五%。町村議会議員選挙ですが、三千七百八十五人、一八・四%ということでございます。
 無投票当選の統計をとり始めましたのは昭和三十年の統一地方選挙でございますが、‐それ以降の無投票当選の状況を改選定数に対する割合で申し上げますと、都道府県議会議員選挙については昭和五十四年と今回を除きましては一〇%未満で推移しておりまして、今回は過去最高の二一・八%となりました。政令市の市議会議員選挙につきましては、特段の傾向は見られません。それから市長選挙でございますが、昭和五十年まではおおむね十数%台で推移をしておりました。五十四年に三二・七%となりまして、以降減少をいたしましたが、今回は三二・〇%ということで五十四年に次ぐ高さとなっております。市議会議員選挙につきましては、〇・三から一・四%で推移をしてまいりましたが、今回は過去最高の二・一%となりました。町村長選挙でございますが、これは昭和五十年までは三〇ないし四〇%台で推移をしてまいりましたが、昭和五十四年には五三・九%、五十八年には五五・三%と高くなりましたが、その後は減少しております。町村議会議員選挙でございますが、これは昭和五十年まではおおむね減少の傾向にございましたが、昭和五十四年以降は毎回増加をいたしまして、今回は過去最高の一八・四%と相なったわけでございます。
#260
○高井和伸君 今のお話を聞きますと、特に町村長が非常に多い、そして一般市長が多い。そのほかデータ的には、絶対数は少ないとしても過去より多い方に統計としては出ているというお話でございました。こういった無投票当選が多くなっている理由というのは、どのように分析なさっているんでしょうか。
#261
○政府委員(吉田弘正君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、今回の統一地方選挙で都道府県議会議員選挙とか市長選挙とか市議会議員選挙とか町村議会議員選挙で無投票当選人の割合が前回よりも上回って大きくなっているわけです。無投票当選となりましたのは、やはり選挙ごとに事情はさまざまであろうと思います。したがいまして、その増加の理由を一概に断ずるわけにはなかなかまいらないということでございます。
 ただ、一般的に言われておりますことは、地方選挙は国政選挙と異なりまして政党間のイデオロギー的な対立が比較的少ない、むしろそれを持ち込むべきではないという考え方が強くなってきたということ、それから選挙の争点が少なくなって、現職に対する有権者の信任が厚い場合にはそれに対抗する新たな候補者が出にくくなっているというようなこと、あるいは、過去の過熱した選挙戦から生じた選挙後の地域のしこりを回避しようというところもあるというようなことが言われております。
#262
○高井和伸君 そこで最後に、私の考えているところ、投票率も今回の統一地方選挙ではすべての数字が低くなっているという前提でお話を申し上げますけれども、地方自治という制度が憲法によって定められていて、地方自治の本旨ということで地方の住民がみずからの手でみずからの代表を選び、みずからの団体で地方の公共事務をやっていくという制度を担保しているのが選挙の制度だろうと思うんです。そういった選挙制度がこのように無投票になっていくということは、抽象的に言ってしまえば地方自治の本旨がおろそかになっているんじゃないか、どこかでおかしなことが行われているというよりは、進行しつつあるんじゃないか。むしろ、地方の議会に余り期待されていない、住民自身が政治的なことに慣れていない。よく言われることは、しこりを残すような選挙はしたくない。対立候補を立ててやるとしこりが残るから、そういったことはあと四年生活する上で大変苦痛だからそういうことはやめたい、一方ではそういう意見もあるという状況であります。
 中央志向が強くなって、地方自治体自身に課税権あるいは財政権というものが少なくなってきているんじゃないか。自主行政で行っていく世界が少なくなってきているんじゃないか。自主立法も同じですが、そういった地方自治体自身に魅力がなくなってきているんじゃないか。余りそんな調子で進んでいくと、本来自治省が存在していること自身もおかしくなってくるんじゃなかろうか、さまざまなことが考えられます。
 特に、私の選挙区のことなんか考えますと、田舎の方へ行けば行くほど無投票が進み、都会化しているところがあればあるほどそれは無投票がないという必然的なことになっているわけですが、そういったばらつきからいうと、むしろ過疎というかそういった場面での無投票当選という問題が一番大きいのじゃなかろうか。先ほど幾つかの要点の中で分析されましたように、地方と国政とは違って、争点が少なくて政党的な政策論争を持ち込むべきじゃないというふうなこともございますけれども、何かしら中央集権的なものが進み過ぎているんじゃないか。そういったことが投票にあらわれているんじゃないか。都道府県レベルで言うと、県庁あるいは府庁というところに権力が集中し過ぎているんじゃないか。市町村へ行けば行くほどそういったものがないんじゃないか。財政力の強い市などにおいてはわりかたしっかりしているけれども、財政力基盤のないところにはもう余り地方自治というのは現実的にないんじゃないかというようなイメージを持つわけでございます。
 最後に、大臣に聞きたいのですが、その前に選挙部長の方で私の見解に対して何かあればひとつ御答弁願って、大臣の御見解を伺いたいと思います。
#263
○政府委員(吉田弘正君) 先ほどもちょっと御答弁申しましたように、やはり無投票になるかならないかは、選挙の個々の事情による要素が非常に強いのだろうと思いまして、一概に私どもの方からこれだというふうに決めてかかるのはなかなかいたしかねるのかなというふうに思っています。先ほど一般的に言われていることとしてはこれこれこういうことが言われておりますと申し上げたわけでございますが、そんな感じがいたしております。
 なお、現在の選挙制度は、本来自由に立候補した中から選挙人が投票によって議員や長を選ぶという仕組みになっておりますが、しかしながら、立候補制度をとっている以上、候補者が長の場合には一人であるとか、あるいは議員の場合には定数以下なり未満ということもあり得るわけでございまして、このような場合には、選挙人がその候補者をもって当選人とすることについても一応暗黙の同意を与えたものとして、投票手続を省略して候補者をそのまま当選人と定めることとしているわけでございますが、立候補制度を前提とすれば、例外的にこのような制度を設けることもそれなりの合理性はあろうかと考えております。
#264
○国務大臣(吹田ナ君) 今の無投票当選の問題ですが、私は首長の場合と議員の場合ははっきりと分けなきゃならぬと思うんです。
 首長の場合は、無投票であるということになりますと、これはまさに信任投票を仰ぐわけでありますから、現役からすれば、要するに無投票ということは全面的に信任するということになります。それから、選挙をやるにいたしましても、現役が当選するということは信任投票で勝ったということに解釈としてはなると思うんです。新人が現職を倒したという例が今日もたくさんございますが、これは信任投票に敗れたという解釈をすべきであろうかなというふうに私は思うわけであります。首長の場合はそう考えます。
 議員の場合に無投票であるというのは、私は非常に首をかしげるところで、最近の人たちは自分の町というものに対する愛情がなくなったのかな、活力がなくなったのかなという感じがするわけであります。自分の町に対する愛町精神というものを高めていくということにこれから努めていかなきゃならぬのではないかという感じがするわけであります。それともう一つは、あるいはその公共団体においての議員の活動というものが魅力を感じないような状態になったのかなという感じもするわけであります。
 そういう意味において、今回の統一地方選挙の問題をめぐって、私どもも自治省として選挙部長を中心に検討してみる必要はあります。大いにあります。各党各会派におかれましても検討されると思いますが、私は、自治省においてそういう点に今後の問題として検討をさす必要があるんではないか、こういうふうに思うわけでございまして、決して無投票がすべてよしという解釈をしているわけではございません。大いにこういった点については民主主義の原点に立って考えるわけでありますから、首長の場合と議員の場合とを分けて検討する方が正しいのではないかなという気持ちでおるわけでございます。
#265
○高井和伸君 次、第三セクターについてお尋ねしたいんですが、今大体どんな実態になっているのか、特にその数からまず教えてほしいと思います。
#266
○政府委員(紀内隆宏君) 先生御案内のとおり、第三セクターの定義については確立されたものはございません。そこで、仮に地方公共団体と民間の双方の出資を伴うものすべてを第三セクターと呼ぶとしますと、こういうものを網羅的に私どもは調査しておりません。
 私どもは、一つの地方公共団体が二五%以上出資している民法法人あるいは商法法人、それと別のカテゴリーとして特別法に基づく土地開発公社、地方住宅供給公社、地方道路公社について三年ごとに調査を行っているところでございます。この調査によりますと、一つの地方公共団体が二五%以上出資している民法、商法法人で同時に民間からも出資を受けている、こういうものの数は、一番新しい調査である平成二年一月一日現在では約二千百となっております。
#267
○高井和伸君 民法、商法、特別法というので色分けの数わかりますか。
#268
○政府委員(紀内隆宏君) ただいまの二千百のうち、民法法人が約千二百七十、商法法人が約八百四十、特別法に基づくものはゼロでございます。
#269
○高井和伸君 第三セクターという確立した概念はないということですが、今までの前提で結構ですが、数は漸増なんですか、急激にふえているんですか。
#270
○政府委員(紀内隆宏君) 具体的な数字で申し上げたいと思います。三年ごとにやっておりますので九年前の数字から申し上げますと、九年前、つまり昭和五十六年の一月一日現在では総体として約千でございます。昭和五十九年には約千四百、昭和六十二年には約千七百、平成二年で約二千百、こういうようになっているわけでございます。
#271
○高井和伸君 この数はだんだんふえている、三百ないし四百を三年間でやっていますから一年に百ぐらいずつふえているということになります。これは主にそれぞれの目的があって行われていることになるわけですけれども、私に言わせれば、第三セクターを使って地方の行政目的の一部を活性化しようという努力の結果ふえ続けているんだろう、こう解釈するわけですが、これと地方自治法上の関係で言えばどのように理解したらいいんでしょうか。
#272
○政府委員(浅野大三郎君) 現在の法律上、直接第三セクターと当該地方公共団体の関係について規定をしている条文はないわけでございますけれども、その地方公共団体が出資しておる程度によりまして、いろんな関与あるいはいろんな例外規定というものを置いております。例えば、二分の一以上を出資している場合には、普通は請負禁止になるのだけれども、首長が兼務をしてもよろしいというような規定を置いておりましたり、あるいは四分の一以上出資している法人には監査委員が監査をできるという規定を置いております。それから、二分の一以上を出資している民法法人あるいは株式会社等につきましては、経営状況の報告というものを議会にしなければいけないというような規定を置いております。それから、地方公共団体の長の方でいろいろな調査をするということもできるようになっております。例えばそういうような規定を置いておるわけでございます。
#273
○高井和伸君 そういう法制のもとで、なぜそういった第三セクター方式がとられるのか、メリットとデメリットは何かという質問になりますが、現実的にはどのように分析しておられますか。
#274
○政府委員(紀内隆宏君) 第三セクターは非常に種類が多うございまして、その事業を展開される分野とかあるいは形態もいろいろございます。したがって、メリット、デメリットはそれぞれについて本当は細かく申し上げておきたいのですけれども、それでは切りがございませんので一般的に申し上げますと、メリットの方といたしましては、全く民間によって行われる場合に比べますと、公共性とか計画性が確保されやすい。また、全部を行政が行う場合に比べていいますと、民間の事業能力とかあるいは経営能力とかそういうものを活用しやすいという点が挙げられるのではないかと思います。
 一方、デメリットとして挙げられますのは、何分寄り合い世帯でございますから、関係者間の調整が難しくて運営が円滑に進まない、そういう場合がございます。また、公共性という観点と収益性という観点を両立させるのはなかなか難しい局面もある。この辺が一般にメリット、デメリットとして認識されているところじゃないかと思います。
#275
○高井和伸君 そういった第三セクターと公共団体との財政的な関係でいいますとどうなりますか。
#276
○政府委員(小林実君) 最近は地域の振興とかあるいは住民福祉の向上のために第三セクターを利用されることが多いわけでございます。
 具体的にどういう関係になるかといいますと、地方団体から出資をするとかあるいは第三セクターの債務に係る損失補償をするというようなことで、この第三セクターと当該地方団体の財政が緊密に影響し合うといいますか、関係しておるという場合があるわけでございます。
#277
○高井和伸君 今のお話ですと、公益を追求する以上もうけの話は後ろへ引っ込む。公益性のあるということになりますけれども、出資及び債務保証というようなことが、債務保証を今損失補償とおっしゃられましたけれども、こういったものが公共団体の財政に及ぼす影響というのはそんなにないんでしょうか。
#278
○政府委員(小林実君) 第三セクターの運営がうまくいかない場合に、それに関連する地方団体にも間接的ながら影響を及ぼしてくることがあるわけでございます。
#279
○高井和伸君 数字でわかればありがたいのですが、出資の総額あるいは損失補償の総額というのはわかるんでしょうか。
#280
○政府委員(紀内隆宏君) 私ども、損失補償の総額は承知しておりませんけれども、先ほど申し上げました一つの団体が二五%以上出資しているいわゆる第三セクターへの出資金の状況は把握しております。
 それについて申し上げますと、平成二年一月一日現在では、これらの法人に対する出資金が合計額で――失礼しました、これは土地開発公社等の三公社を含んでの数字しか持っておりませんけれども、それが八千五十六億円でございます。
#281
○高井和伸君 こういった第三セクターを野方図にしていくこと、そして野方図な債務保証、損失補償ということは、やっぱり地方自治体の財政にも影響してくるということは当然のことだと思うんですが、こういった問題で事故というか、簡単に言うと倒産、債務超過、そういったようなケースというのはあるんでしょうか。
#282
○政府委員(小林実君) 全国なべて調べたということはございませんが、第三セクターにおきまして経営がうまくいかずに地方団体が相当程度の財政負担を強いられているという例は聞いておるところでございます。
#283
○高井和伸君 具体的な数字はわからぬようですけれども、特に地方公共団体が乗り出せばしめしめという人たちがいるのじゃなかろうか。まあ簡単に言えば、でっかい担保つきの保証人がついたようなものですから、いろいろなことで巻き込んで金を使わせておいて、後はありがとうということで去っていく人も中にはいるのじゃなかろうか、こう思うわけなんです。
 そこで、自治省としてはこういう第三セクターに対しては、事故が起きぬようにコントロールする立場もあるでしょうし、地方の自主性を尊重してほっておく手もあるでしょうし、中間もあるでしょうけれども、大体どういうスタンスになっているのでしょうか。
#284
○政府委員(小林実君) 最近の第三セクターの増加の原因の中には、民間活力を活用した施策を実施したいということで設立する場合が多いわけであります。私どもといたしましては、通達等におきまして、地方団体が第三セクターに出資、融資等を行う場合におきましては、第三セクターの予定しております事業の性格とかあるいは運営方式、事業の成熟度、採算性を十分に検討して適正に対処するように指導しておるところでございます。また、この損失補償等の債務負担行為の設定につきましては、当該地方団体の将来の財政に大きな影響を及ぼしかねないので慎重に行うように指導をいたしておるところでございます。
#285
○高井和伸君 岐阜県の穂積町というところがございまして、ここに民法法人の穂積町開発公社という名前だったと思いますが、その開発公社、これは第三セクターの一種だというふうに理解しておりますが、ここがいろいろ問題を起こしました。自治省はどのぐらいのことを承知して、どんなふうに考えておられるのか、概括的にまずお尋ねします。
#286
○政府委員(紀内隆宏君) 穂積町の件は、穂積町開発公社でございますけれども、この問題をめぐる中心人物が、御承知と思いますけれども、起訴を受け公判中でございます。したがって、関係書類等も押収されているということで、県もその実態の細部までは把握していない状況でございます。
 ただ、これまでの新聞報道等によりますと、事件の概要は、穂積町の嘱託職員であった人物が、用地買収を容易にするために、地主らに公共用地として町に売れば税金がかからない、こういう持ちかけをいたしまして土地を安く買収したり、さらには実際には町に売却されたものでないにもかかわらず町に売却されたように虚偽の所有権移転登記をするなど、不正な土地の取引を行っていたものだと聞き及んでおります。
#287
○高井和伸君 私も大体そのように聞いておりますが、特に問題なのはそういった第三セクターという公が絡んでいるという仕組みをある意味では悪用して、しかし中には公益性のある、公益目的の土地の先行取得にも使ったり、また民間企業誘致のためにあらかじめ土地を取得しておいたり、民間の企業誘致のために土地を提供するというような、いろんな面で結果的にはオーライという側面もあるのでしょうけれども、ある意味では公の器をかなり恣意的に使ったということで刑事事件になった。税金を払わなくてもいいというような甘い言葉を使う、あるいは登記を中間省略、あるいは登記自身をほうっておく、あるいは虚偽の登記をするというようなことで、公の信用を利用してやった。そういったことが結果的には選挙ということで選ばれる町長、そういったところの点数稼ぎだとか、再選をねらう手段として行われただとか、いろいろ考えられるわけでございますが、こういったものに対する監督の機構は、事前にチェックする機構は一般的にどのように理解したらいいのか。穂積町開発公社を、さっきおっしゃられましたけれども、理論的には民法法人だと一応私は理解しているんですが、こういった場合の監督のしよう、あらかじめこういったことを未然に防止するような仕組みというのは大体どうなっているんでしょうか。
#288
○政府委員(紀内隆宏君) 穂積町開発公社は、御指摘のように民法に基づく財団法人として設立されております。したがいまして、その指導監督の権限というのは認可官庁である岐阜県知事ということになります。
 この問題に関しましては、事後的にでございますけれども、岐阜県知事から資産管理のための土地台帳の整備についてであるとか、あるいは寄附行為に基づいて適切に理事会を運営すべき旨であるとか、あるいは登記の事務処理や会計処理等の項目につき改善するように指導されたと、このように承知しております。
#289
○高井和伸君 そこで、最後は大臣にお尋ねしますけれども、今の岐阜県の指導内容を見ましても、中身はかなりいっくらいだというか、めちゃくちゃというか、帳簿もないような状況で行われていた、最後はつじつま合わせがだんだん矛盾してきて事件になったというふうに私も聞いております。
 こういった使い方次第によっては何ともなりますし、私に言わせれば、第三セクターというのは本来は危険負担があるわけですから、公益ならばみずからがやればいいのに、わざわざもう一つそういった第三セクターというものを、公益法人などというものを使わざるを得ないような地方行政の仕組みという自身がおかしいんじゃないか、使わなくて済むんじゃないか。要するに、民間にやらしてしまっておけばいいのがわざわざ公の地方自治団体が乗り出していって赤字ばかりつくって、あるいは首長の政策の人気取りに使うだとか、結果的にはそのツケが住民にいくような結果になる可能性がかなり含まれている。今穂積町の例でもかなりのものだったようでございますけれども、そういった場合の第三セクターというものを私自身はかなり謙抑的に運営ないし設立していかなきゃいかぬのじゃないか、こう思うわけですが、村おこしの政策も一つございます。それとの関連を含めながら、どのように対処なさっていくつもりなのか、お聞かせ願えればありがたいと思います。
#290
○国務大臣(吹田ナ君) この岐阜県の問題はまことに遺憾なことでありますが、一般論として考えられますことは、官民一体でその地域社会においての問題を掘り起こしていくということは、これは私は非常にいい意味にとってこの第三セクターというものを支持するわけですけれども、ただ、先生御指摘になりましたように、内容が野方図になる、あるいは目的が別の方向に動くなどというようなことになりますとこれはもうとんでもないことでありまして、特に町に大きな御迷惑をかけることになってくるわけでありますから、そういう点につきましてはやはり県当局が、知事がある一定の監督権を持ってこういう点については十分状況把握というようなものをする必要があるんじゃないかと思うんですね。
 ただ、自治省が地方公共団体の諸問題について、平たく言えばはしの上げおろしまでするというようなことになるようなことは自治権を侵すことになりますから、これはやはりある一定の控えた立場にいなきゃならぬと思うんですけれども、県と市町村の場合というのはそういう関係にあるわけですから、十分県あたりにもそういう点については我々の方からもこれから注意するような指示をしていかなきゃならぬ。
 特にふるさと創生等活力倍増でプランを立ててやろうという、今それぞれの地域の活性化ということに向けて、みずから考えみずからそれを推進する、これを我々はバックアップする、こういう自治省の考え方なんですが、そういう意味からいたしますと、よほどよくそこらは地方公共団体で注意をしながら、また我々も県当局に注意させながらいかないと、今のような事件発生ということに結びつきますと、これはもう所期の目的とは全く反対の方向に動くわけですから大変な事態が発生いたしますので、これは今後も注意をしてまいりたいと思います。
 要は、やはり野方図な運営というのは一番困るわけですから、そこには住民から選ばれた首長と住民から選ばれた議会というものがきちっとして第三セクターというものの組織体制というものを組んでいく、こういうことに配慮を加えてもらいたいものだと思いますが、私どもも十分これからまた注意を払っていきたい、こう思っております。
#291
○委員長(野田哲君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#292
○委員長(野田哲君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 地方交付税法等の一部を改正する法律案の審査のため、明日午後一時から、参考人として、焼津市長服部毅一君、立教大学教授和田八束君及び法政大学講師中西啓之君の出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#293
○委員長(野田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 次回の委員会は明二十四日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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