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#1
第120回国会 地方行政委員会 第9号
平成三年四月二十五日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         野田  哲君
    理 事
                竹山  裕君
                松浦  功君
                渡辺 四郎君
                諫山  博君
    委 員
                井上 章平君
                岩崎 純三君
                大塚清次郎君
                加藤 武徳君
                後藤 正夫君
                須藤良太郎君
                野村 五男君
                岩本 久人君
                栗村 和夫君
                篠崎 年子君
                野別 隆俊君
                常松 克安君
                神谷信之助君
                高井 和伸君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    吹田  ナ君
   政府委員
       警察庁長官    鈴木 良一君
       警察庁長官官房
       長        井上 幸彦君
       警察庁警務局長  安藤 忠夫君
       警察庁刑事局長  國松 孝次君
       警察庁刑事局保
       安部長      関口 祐弘君
       警察庁交通局長  関根 謙一君
       警察庁警備局長  吉野  準君
       自治大臣官房長  森  繁一君
       自治大臣官房審
       議官       二橋 正弘君
       自治省行政局長  浅野大三郎君
       自治省行政局公
       務員部長     滝   実君
       自治省財政局長  小林  実君
       自治省税務局長  湯浅 利夫君
       消防庁長官    木村  仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹村  晟君
   説明員
       北方対策本部参
       事官       村木 裕隆君
       法務省刑事局刑
       事課長      但木 敬一君
       外務省欧亜局ソ
       ヴィエト連邦課
       長        東郷 和彦君
       外務省条約局法
       規課長      小松 一郎君
       大蔵省主計局主
       計官       太田 省三君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部環
       境整備課長    坂本 弘道君
       気象庁地震火山
       部地震火山業務
       課長       森  俊雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方行政の改革に関する調査
 (地方行財政の拡充強化に関する決議の件)
○暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(野田哲君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○野別隆俊君 おはようございます。
 地方財政問題につきましてはずっと続いておりますので、要点だけに絞りまして質問をしたいと思います。
 まず最初に、国庫負担金を五十九年度ベースに引き戻さなければならないという立場から申し上げたいのでありますが、自治体としては地方交付税は固有の財源であるという立場に立っているわけでありまして、国は当然この責務に基づいて支出をすべきでありますが、同時に、この十年間既に暫定措置と言いながらカットが行われてきたわけであります。今ただいまは六十一年度ベースになっておりますが、さきの関係大臣の覚書が出ておりまして、この趣旨は三年間で何かできるものからやるということになっているやに伺っておるわけでありますが、自治大臣、いよいよこのやるということについての説明をお伺いしたいのです。
#4
○国務大臣(吹田ナ君) ただいま先生のお話しになりましたことにつきましては、これまでも各先生方の御質問でこういった点は非常に厳しく問われておるところでありまして、私もその都度お答えもいたしておりますが、確かに五十九年度のベースに早く引き戻さなきゃならぬ、そのことが地方公共団体をして立派な行政推進の上においての財政面についても力をつけることになるんだということで考えております。ただ、現状におきましては六十一年度ということのベースで、当分の間ということで三年間程度の余裕を持たしてくれということで、今日そういった状況にあることも御承知のとおりであります。我々としましては、できるものからというのは、それなりに関係省庁での協議の上において、大蔵省との協議の上でやれるものからという意味だと思いますが、それにしましても自治省の場合は交付税やあるいは起債というような制度を持っておりますから、そういった面でできるだけ単独事業等でこれに推進力をつけてもらうということで、地方自治団体にも最近は、単独事業でひとつ公共問題についても促進しなさいということも言っておるわけであります。
 そういった場合に、それに対する起債の充当率をできるだけよくして地方の財政の負担を軽減していこう、さらにまたそれに対しては交付税等で償還については元利をある一定のものを見ようというようなことで、自治省としてはそれなりに地方公共団体の味方でありますからできるだけの配慮をしようという考えでありまして、補助率を直ちに五十九年度に引き戻すということを前提として云々しておるというふうには全体的にはなりませんが、そういった面から少しずつでも地方財政の健全化ということに寄与していこうという、そういった意味に解釈していいのではないか、こう思っておるわけです。
#5
○野別隆俊君 今後三年間以内に検討できるものからやると言われているわけですが、平成四年度はもうすぐであります。七月、八月には概算要求が始まるのではないかという気がしますが、この三年間以内に考えていくわけですが、重要なものから考えるとすれば平成四年度からやるものがある、ここまでやってもらえるということになるのかどうか、お伺いをしたいんです。
#6
○政府委員(小林実君) 国庫補助率につきましての取り扱いでございますが、先般国会で補助金特例法が御議決いただいたばかりでございます。今後の取り扱いにつきましてはこれからということになるわけでございまして、自治省といたしましては、この問題は関係省庁も多うございますので、できるだけ早く相談をいたしまして検討に着手するように働きかけていきたいというふうに思っております。
#7
○野別隆俊君 次に、地方財政の現状の認識について、この前もちょっと申し上げたんでありますが、大蔵省は依然として裕福になったと富裕論を唱えておられるわけでありますが、確かに一部の大都市並びにその周辺の自治体においては財政的によくなっていることは認めるわけでありますが、全体的には六十二年を起点にいたしまして平成元年には逆に自主財源の比率というものは三〇%以下が非常に増加をしている。それから、四〇%以上も一部増加をいたしておりますが、全体的には、数字を挙げて申し上げますが増加をしているのであります。六十二年度に三〇%未満の地方財源の市町村の数は二千九十六でございます。そして三〇%以上は千百八十三でございます。約六三%が、これは全国平均の数字でございますが、三〇%以下である。ところが、六十三年から平成元年にかけまして、今度は三〇%未満の町村が二千二百三十九、約百以上も今度は増加をしているのであります。そして三〇%以上が千三十ですから、百五十もこの部分において今度は減ってきているのであります。そういう状態でありますから、特にこの過疎県においては大変な状態が出ているわけでありまして、自治大臣、こういった悪化の傾向、ここで説明をしていただいてお認めになりますかどうか、これをお尋ねいたします。
#8
○政府委員(小林実君) 平成元年度の市町村の決算におきまして、地方税の歳入総額に占める割合の団体につきましてのお尋ねでございます。
 一〇%未満の団体数は六百七十九団体で全体の二〇・八%、三〇%未満の団体は二千二百六十九団体で全体の六九・四%、五〇%未満の団体は二千九百三十三団体で八九・七%というふうになっておるわけでございます。こうなりましたことにつきましては、消費税の導入に伴いまして地方の消費税が譲与税にかわったという面もあるわけではございますが「御指摘のとおり、ここ六十二年、六十三年、あるいは元年等におきましては経済情勢が反映いたしまして、一部富裕な団体に税収がさらに特化したといいますか、そちらの方で上がった、そういうことは事実であろうかと思うわけでございます。
#9
○野別隆俊君 ここでもう少し具体的にお尋ねをしたいのでありますが、平成元年の決算についてでありますか、地方税収のうち東京都及びその市町村、それから東京、大阪、神奈川、愛知県及び市町村の税収は何%を占めているのか、この点についてお尋ねいたします。
#10
○政府委員(小林実君) 平成元年度決算におきます地方税の総額は、三十一兆七千九百五十一億円であります。このうち東京都において、都それから特別区、都下の市町村が徴収いたしました地方税の合計額は六兆二千百三十一億円でございまして、地方税総額に占める割合は一九・五%となっております。
 同じように、東京都に加えまして大阪府、神奈川県、愛知県の四団体につきましての都府県、それから都府県下の市町村が徴収した地方税の合計額は十三兆七千四百四十八億円でございまして、地方税総額の四三・二%になっております。
#11
○野別隆俊君 都道府県、市町村。
#12
○政府委員(小林実君) ただいま申し上げました数字は両方合計したものでございまして、東京都につきまして申し上げますと、都分につきましては全体の二〇・六%、市町村税につきましては全国の一八・六%、こういうことになっております。
 それから、四都府県のいわゆる四都府県分につきましてだけ計算いたしますと全都道府県の税収の四四・三%、市町村につきまして見ますと全国の市町村税の四二・三%、こういうことになっております。
#13
○野別隆俊君 さらに引き続き、この地方税の減税額について今の関係都市、東京、大阪、神奈川、愛知、この付近のものをお示し願いたい。
#14
○政府委員(小林実君) 平成元年度と六十三年度の決算を対比いたしまして税収がどのぐらいふえたかというお尋ねかと思うわけでございます。
#15
○野別隆俊君 いや、地方税の増減額。
#16
○政府委員(小林実君) 増収といいますか、増減税額、六十三年度と平成元年度の比較で申し上げたいと思いますが、先ほど言いましたように、地方税全体では平成元年度は三十一兆七千九百五十一億円、六十三年度は三十兆一千百六十九億円でございますので、全体の伸びは一兆六千七百八十二億円の増収でございまして、伸び率は五・六%、こういうことになっておるわけでございます。
 そこで、東京都の場合どうかということでございますが、東京都の地方税の増収額でございますが、都と区市町村を含めまして三千二百九十九億円で、これは全地方団体の税収の伸び率と同じく五・六%の増、こういうことになっておるわけでございます。
 それから、四都府県の団体について見ますと、これも都府県と市町村合計で申し上げますが、増収額は七千五百十五億円でございまして、伸び率におきましては全国平均の五・六%より若干高い五・八%、こういうことになっておるわけでございます。
#17
○野別隆俊君 今答弁をいただきましたように、全国の税収の約四三%は今申し上げました四大都市、東京、大阪、神奈川、愛知でもっているわけでありまして、そのほかの、特に過疎県等については極めて厳しい状態にある、こういうことが私は言えると思うのでありまして、ここでそういった過疎県の事例をもう一つ示していただきたいわけであります。
 平成元年度の決算でよろしゅうございますから、宮崎県の例を一つ挙げてお示しを願いたい。一〇%未満、三〇%未満、それ以上ということで結構でございますから、お示し願いたい。
#18
○政府委員(小林実君) 宮崎県下の市町村につきましての地方税の歳入構成費の状況を見てみますと、県下四十四市町村平均では二四・四%となっておりまして、全国平均よりは一五%ポイント以上低いものとなっております。
 お尋ねの税収ウエートにつきまして段階別に述べてみますと、一〇%未満の団体数は十五団体ございまして、全団体の三四・一%でございます。これは全国平均では二〇・八でございましたが、それよりも数が多いということでございます。それから三〇%未満の団体数は四十一団体でございまして、全体の九三・二%に相当いたします。全国平均ではこれが六九・四ということでございます。五〇%ということになりますと全国平均は八九・七でございますが、宮崎県下の市町村の場合は全団体が五〇%未満、最高の宮崎市で四二・九%、こういうことでございます。
#19
○野別隆俊君 ただいま答弁をいただきましたが、これは私は宮崎県だけではないと思うのであります。過疎県は押しなべてこういうことになっているのではないか。宮崎県の場合を見てみますと、三〇%未満の市町村は全体の九〇%に及ぶわけでございます。そして、先ほども申し上げましたが、昭和六十二年を基点といたしまして六十三年、平成元年、これは逆に三〇%未満が増加をしてきつつあるという状態にございます。六十二年度は三〇%以上が六市町村ございました。ところが、それから下がって今日では三市町村になっている。そして、逆に四十一市町村が三〇%未満、しかも、その中の三〇%は一〇%未満であります。これも六十二年を起点にいたしまして、六十二年には九市町村でございましたが、六十三年は十一市町村、平成元年には十五市町村。また、今度の減税等が行われてくればこの数は増加をする傾向になるのではないか、いわゆる二〇%未満の町村が七〇%に及ぶような状態になるのであります。
 どうです、自治大臣、こういう実態の数字を見て、平均が四六%になったといっても、それは大都市の大きいところが既に総体の四〇%も五〇%も背負っているわけですから、これはよくなったという富裕論の話はできないのではないかという気がするんですが、自治大臣の御見解をお尋ねいたします。
#20
○国務大臣(吹田ナ君) お尋ねの御意見のとおりだと私も思っております。決して全般的によくなっておるという状況ではありません。特定な地域にはよくなった地域もありますけれども、相対的に非常に弱い市町村も多いということで、これらに対しましての財政力というものが弱まれば弱まるほどその主体性を失うわけでありますから、自治体としての主体性を失わないようにしていかなきゃならない。それはやはり交付税等によって我々の方からそれに十分補完していくということの努めがさらに必要になっていくであろうというふうに思っておりますし、そういった面でのカバーによってある一定の状況は保っておるわけでありますが、いずれにしましても非常に残念なことでありまして、地方によっては今先生のお話のように自主財源が非常に弱い一〇%以下というような町村があることは、本当にその地方自治体の運営は容易ならざるものであるというふうに拝察いたしております。
#21
○野別隆俊君 これから公共投資の四百三十兆などが予算化をされて地方に回されても、二〇%以下の市町村ではとりたくてもとれなくなる、こういうことになるのではないか。
   〔委員長退席、理事渡辺四郎君着席〕そうなれば、これからこういう市町村に対して自治省としてはどういう対応をされるのか、起債の問題や補助率の傾斜配分などを考えていかなければ解決できないのではないかという気がするのでありますが、その点についてお尋ねをいたします。
#22
○政府委員(小林実君) つい最近でございますが、経済企画庁の方から、資料が若干古いわけでありますが、六十三年度の県民所得につきましての発表がございまして、御指摘がありましたようなことで、東京都とそれ以外のところの所得の格差が生じておる、それが税収にも及んできている、それが御指摘のような事態になってきているのではないか、こう思うわけであります。
 自治省といたしましては、税源が偏在いたしますので、それがあります以上どのような税制をとりましてもある程度の税源の偏在が出てくることはやむを得ないわけでございます。そこを交付税でカバーする、こういうことにしてきておるわけでございます。従来に比較いたしまして、さらに交付税につきましては傾斜配分を強めるということで、御承知かと思いますが、僻地補正とか、あるいは遠隔地補正とか、あるいは人口が減ったときにはその急減補正をする、過疎債、辺地債等も対象事業の範囲を広めまして額もふやす、それから起債の償還等につきましても財政力を加味いたしまして、財政力のない団体に交付税措置が手厚くいくような措置を講じてきておるわけであります。
 先ほど申し上げましたように、税収につきましては、消費税の導入に伴いまして一部消費譲与税にかわったものがございますということを御理解いただきたいわけでございます。
   〔理事渡辺四郎君退席、委員長着席〕また、元年度から法人事業税につきましての分割基準の見直し等も行ったようなことでございます。これが結果的には地方団体間の財政力の格差の是正にも寄与いたしておるわけでございます。
 税制等も含めまして、今後とも財政力のない団体、特に交付税を中心にしながら、的確に行政運営ができるように財源のない団体に財源賦与ができるように最善の努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
#23
○国務大臣(吹田ナ君) 今局長からも答弁させましたが、私もやはりこういった財政力の非常に弱いと言われておる市町村、これはえてして山間部あるいは離島、そういった立地条件に恵まれない地域が多いと思うんですね。そういったところは今日までも社会資本の充実がおくれておるものですから、交通整備の問題にいたしましても、交通体系におきましても通信体系におきましてもすべてがおくれておりますから、したがって生活環境も悪いということから勢い過疎化が進行するという面も常に言われておるところであります。
 それだけに、むしろこういった地域にこそこれから社会資本充実のために異常なほど投資していかなければならない。いわゆる行政でありますから経済効果を云々ではないのでありまして、地域の住民の福祉と地域の発展ということが前提なのでありますから、経済効果があるところへ金を突っ込むという問題ではないという前提から考えてまいりますと、私はこの四百三十兆の今後の生活関連の公共事業というものは、そういう一つの町、一つの地域としての構成を欠くのではないかという激減地域に対してはなお一層の努力をして配慮しなければならぬのじゃないか、こういう感じから、自治省はこういう点に特別に目を向けて、今財政局長が申しましたような形で、今後、関係地域に対して傾斜配分に努力をしていく、こういうふうに御理解をいただければと思っておるわけであります。
#24
○野別隆俊君 自治大臣は、かつて町長さんをしておられましたからよく地方財政の実態を御理解いただいておると思いますが、今のお話のように、本当に国全体から見たら、平均で見たら確かにいいように見えるけれども、現実の中身はそうではない、大変深刻なものがございます。
 実は、きのうもここで参考人の方々を呼んで聞いたのでありますが、中にはやっぱり技術的な話もございまして、私どもが考えているようなところまでさわれなかったという実態もございますけれども、実際の市町村の実態は、これから四百三十兆の公共投資が出されても自主財源のない市町村は全くやれなくなりますから、自治省としてひとつそういう面を積極的に取り上げていただきますように要望を申し上げたいと思います。
 もう一つ、今御答弁をいただきましたが、私は、地方自治体の財政の確立と分権を強化するためには、どうしても税財源の国と地方との配分率をある程度変えなければ実際地方自治体はやれなくなってくるんではないかという気がしてならないのであります。現在の三税は三二%、それから最近入りましたたばこ税が二五%、消費税が二四%、この比率を一〇〇にしろということはできませんから、少なくとも三七、八%まで引き上げるべきではないかという気がしてならないのです。そうして、地方財政が健全に、地方分権が確立できるような方向に進めるべきではないかというふうに考えるわけでありますが、この点について自治大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
#25
○政府委員(小林実君) 地方団体の財政問題といたしましては、何よりも自主財源の拡充が第一でございまして、あわせまして地方交付税等の地方一般財源の充実が必要と考えておるわけでございます。地方財政の最重要課題といたしましては、地方一般財源の安定的確保に努力をいたしまして財政基盤を確立し、地方分権の強化を図ってまいることであるというふうに思うわけであります。
 御質問の交付税率の引き上げもそれに関連する問題でございますが、今後の財政状況等の推移を見ながら判断すべき問題である、こういうふうに考えておるわけでございます。
#26
○野別隆俊君 次に、消防防災体制の整備についてお伺いいたします。
 平成二年度の消防白書によりますと、平成元年には全国で十分二秒間に一件の割合で火災が発生し、一日に何と四・八名の方々が焼死をされているのであります。また、一日に四億一千万円の財産が灰と化して、この一年間では火災件数でも五万五千七百六十三件の火災が発生し、千七百四十七名のとうとい人命がお亡くなりになっているのであります。また、この被害総額は一千四百四十九億円に上っています。
 また、救急車のこの一年間の出動回数は二百六十五万六千九百三十四回、対前年比十万九千三百三十四回の増であります。四・三%一年間に救急車の出動がふえている。また、輸送人員は何と二百五十九万三千七百五十三名、対前年比十二万五千五百十四名、五・一%も増加をしています。
 さらに加えて、風水害対策その他広範な消防活動の実態が報告をされているようでありますが、その中で、この任務に当たっている全国十三万三千六百十名の消防職員は、自分の身の危険を省みず、水火を問わず全国各地で一億二千万国民の生命と財産を災害から守るために日夜その任務遂行に当たっているのであります。私は、この点について敬意を表するとともに感謝を申し上げたいと思います。
 さらに、最近の消防業務は、社会の進展に伴いまして、新たな長期休暇等によって海浜の監視や山での事故の救援や複雑多様化する災害、多発する救急業務の増大、福祉施設や旅館、ホテルを初め各種企業などの防災上の安全対策等それぞれの調査確認、そして基準を守らせるための指導業務など仕事量は年々増加をしておりまして、五十年を起点といたしましても業務量も倍増に近くなっています。そして、救急出勤件数も一・七三倍に上っていますが、人員、機材の確保は必ずしもそれに伴っていないように思うのでございます。消防庁はこれをどのように受けとめて対応してこられているのか、この点についてお伺いをいたします。
#27
○政府委員(木村仁君) 消防設備全般につきましては、いまだ消防力基準に対する達成率が非常に低い装備や施設があるというような状態でありますし、また職員の充足率も高くない状態でございます。そういう点につきましては今後さらに鋭意指導をいたしまして、消防力基準に達するように努力をいたしてまいりたいと存じておりますが、お尋ねの救急問題につきましては、御指摘のように昭和五十年を一〇〇といたしますと平成元年の二百六十五万六千九百三十四件というのは一・七三倍の増加でございます。ただ、この間におきまして救急自動車も一・五四倍に増加いたしておりますし、職員数もまた二万六千二百五十五人から四万六千九百二十五人、一・七九倍に増加しておりますので、救急につきましては需要の拡大に見合った整備が整いつつあるということは言えると存じます。しかし、専任職員の比率がまだ低いとかいろいろな問題は残されていると存じますので、需要に見合った機敏な救急活動ができるように指導をしてまいりたいと考えております。
#28
○野別隆俊君 今人員的にも増加が行われているようでもございますが、この人員増加の大半は例えば新しくできる広域消防であるとか、こういうものが新設をされての増加が主体であって、今度の週休二日制等に伴う人員増加は消防庁がお示しになりまして二千六百何人か増加をされることになっておりますけれども、今消防庁が言われたのは既存の各消防署間の事業量の増加についての人員増と私は受けとめていないのでありますが、その辺はどうでございますか。
#29
○政府委員(木村仁君) 御指摘のように、消防職員の増の非常に多くの部分は常備消防の新設によるものでございまして、この十年ほどは行政改革等の厳しい環境の中で実質的な人員増は非常に困難であるということは、私どもも認識をいたしております。部門別には、救急部門が非常に急速に発展いたし、一方火災は若干減るとか、あるいは予防の徹底のために大きな火災が少なくなったとか、また消防機器の改善によってやや乗りかえ等が容易になったとかいうことのために、一番急速に成長いたしました救急部門に人員の増加が多いわけであります。これは全体のやりくりでやってきた部分があると思います。したがいまして、御指摘のように消防職員がまだ十分な体制になっていないということは私どもも承知しております。
#30
○野別隆俊君 では、消防の器具、機材は消防庁が示している基準に対してどの程度充足しているのか、お尋ねします。
#31
○政府委員(木村仁君) 消防力の基準との対比で見ますと、昭和六十二年四月一日現在の数字を申し上げますが、消防ポンプ自動車はおおむね九〇%、小型動力ポンプは七〇%、消防水利は七二%等でございますが、はしご自動車等はまだ六一・一%程度でございます。なお、救急自動車につきましては九九・六%充足いたしております。
#32
○野別隆俊君 器具、機材の整備は、私が数年前に調べた当時はまだほとんど六〇%前後でありまして、この数年間で一定度進んだと思いますが、今度は、人員配置状況は基準に照らしてどのようになっているのか、お尋ねします。
#33
○政府委員(木村仁君) 消防職員の基準との関係でございますが、私どもは数字としては現有車両をもとに基準に当てはめて算出したものの充足率で把握しておりますのでその数字を申し上げますが、昭和六十二年四月一日現在でありますと職員の配置はおおむね七五%でございます。
#34
○野別隆俊君 現在全国で消防署員は十三万三千六百十名と伺っておりますが、仮に一〇〇%確保をするとすれば何人ぐらいが必要なのか、お尋ねします。
#35
○政府委員(木村仁君) これは各団体を細かに分析して積み上げていきませんと本当に何人ぐらい必要かということはわからないのでございますが、現有車両をもとにして考えれば七五%ということですから、理想的にはあと四分の一ふえなければいけないということでございますが、これはちょっと気の遠くなるような数字でございます。
#36
○野別隆俊君 気の遠くなると言われるけれども、私は、消防庁は大体十七万名ぐらいおればこれを十分賄える、十分とは言えませんが一定度賄える基準の目標はあるのではないかという気がしていたんでありますが、その辺はどうなんですか。七五%ですから、あと二五%いきますとそういう数字になるんですが、そこら辺はどうなんですか。
#37
○政府委員(木村仁君) この現有車両を基礎とした基準の充足率からいけば、そういう数字が理論的には出てくるわけでございます。
#38
○野別隆俊君 私は、例をとらなければ数字がはっきり出てきませんからお尋ねをしますが、まず、九州各県で結構ですから、県別の比率と申しますか、こういう形でも結構です、一人当たりの消防署員に対して何名で、どの県では平均九百名とか千名とか、いろいろございますが、そういった数字で結構ですからちょっと挙げてお示しを願いたい。
#39
○政府委員(木村仁君) ちょっと消防庁としては各県別にそういう数字をつくっておりませんのでわかりませんが、ちなみに宮崎県の場合でありますと充足率が六五%でございまして、職員一人当たりの管内人口でいきますと九百三人、こういうことになっております。この数字は、全国平均の充足率が七五%でございますので、幾らか低目の数字でございます。
#40
○野別隆俊君 宮崎県の場合が六五%程度だというふうに聞いているわけでありますが、私もちょっと調べてみましたが、もう少し消防庁で御指導願いたい点は、いわゆる広域消防も含めてでありますが、消防署間の格差が非常に大きいということに気づいたわけです。
 例えば、宮崎県の串間市、これは貧乏な市でございますよ、本当に苦しい市です。ここでは人口八百七十何人かに一人なんです。宮崎県は今平均九百五、六十名になりますか、平均を私は出しておりませんが、に一人ぐらいなんです。ところが、宮崎市、都城市、この二つは極端でございます。宮崎市の現状では、恐らくこれは六十年の基準をとった人口で示してあるのでありますが、これでいきまして千五百五十七人なんです、一人当たりに対して。苦しい市町村でも千人ぐらいに一人ぐらいの消防署員は配置されているんです。ところが、宮崎市のようなところでは、これは宮崎市は宮崎市だけではありません、広域の五力町村を含めた広域消防をやっております。そうしますと、ここは四十万圏域であり、現状では三十九万幾らになります。そういうところで計算しますと、現在の状態では千六百何人に一人なんです。これはちょっとひどいんじゃないか。
 そこで、私はもう一つお尋ねしますが、なぜこんなに職員配置が少ないのか。財政的に困るのかということを見てみますと、そういう状態ではありません。これは時間が相当かかりますが、例えば宮崎市の場合、現有人員は二百四十五名です。実際必要なのは何人ですか。ここをちょっとお尋ねします。
#41
○政府委員(木村仁君) 最初に訂正させていただきますが、先ほど職員一人当たり管内人口九百三名が平均だと申しましたが、これは私の勘違いで、現有の消防職員の宮崎県下の数でございまして、先ほど御指摘ありましたように、宮崎市の場合には職員一人当たり管内人口千五百五十九、平均すると大体千三百人ぐらいになろうかと思われます。
 それから宮崎市の場合でございますが、現有が二百四十五人、御指摘のとおりでございますが、消防力基準でまいりますと三百九十二人という数字になっております。
#42
○野別隆俊君 数字が大分違うようですが、宮崎県の平均は千三百人にはなりません。千二百名前後で、県内全部平均いたしますとそうなります。
 この宮崎市には、自治省は一体何名分の、金額で幾らの交付金を出しているのですか、ちょっとお尋ねをします。
#43
○政府委員(木村仁君) 交付税上の算定人員は四百十八名分というふうに聞いております。
#44
○野別隆俊君 四百十八名で三十四億六千八百九十七万二千円という金が流れているのです。それに対して実人員は何と二百四十五名でございます。私はこのことをちょっと取り上げて、まだたくさんの問題を抱えているわけですが、一つ申し上げますが、完全に消防機能が発揮できていない。
 ちょっとここでもう一回お尋ねしますが、ある分署に消防車両が一台、救急車両が一台、二台あった場合には非番を入れて常時同名必要なのか、お尋ねします。
#45
○政府委員(木村仁君) 消防力の基準に当てはめて申し上げますと、消防ポンプ自動車等につきましては五人ということでございますので、一台配置いたしますと二部制で十人ということになりますが、これに休日あるいは年次有給休暇に係る所要人員の増がございますので十二人、こういうことになります。それから、救急自動車の場合でございますと、三人搭乗して二交代でありますので六人、それに休日等の余分を見まして七人でございます。したがって、足しますと十九人ということになりますが、消防自動車等につきましては、他に何台かあります場合には、使用頻度の低いものに係る操作作業員等を兼務によって適宜乗りかえを行うということがございますので、ぎりぎりでいけば十二人ぐらいで運行できるというのが常識でございます。
#46
○野別隆俊君 救急車と消防車が同時に発進をしなければならないときには、まさに消防力を発揮することができないんです。
 実は四年前と十年前、二件事故がございました。これも宮崎です。訓練をやるのに、下にネットも何も張らずに、下はコンクリートのままのところで訓練をやって落ちて亡くなった事件がございました。それから、普通は消防車には五人乗らなきゃならないんです。山の火災に行きました。消火に行く場合は二人はホースを握っておりるわけです。一人は機械の操作をやらなきゃなりませんからそれをやる。本当は五人そのとき乗っていなきゃならぬのでしょうけれども、仮に四名は絶対必要なんです。上から見て指導をしなきゃならぬわけですね、どうしろ、こうしろという指導を。これができなかったためにとうとい人命を亡くしたんです。本人が火の回りが全然わからなかった。これは、非常に高い草山の中に入っておったわけです。そういうことから見ても、これは最低の人員は確保していただかなければ問題だと思うんです。
 今四百十八名分を基準にした交付金が流されていながら、私はこれは都城市にも該当すると思うんです。延岡市を見てください。延岡市は国の基準よりも人員が十名から多いのです。自主財源を手持ちから三七%、消防の予算の三七%は自主財源を出しているのです。ところが、この宮崎、延岡消防管内では、特に宮崎は何億という金が残ってきておるわけです。この金を交付をすれば、一般の費用には使えない、消防に関係する金にしかほとんど使えない、広域消防でやっていますから。余った金を分けようかなどという論議がされたこともあるのです。こんな交付金の出し方、問題じゃないですか。それは、交付金は何でも使えるという、それはわかりますけれども、少なくとも最低人員の確保を、基準の何%ですか、宮崎、都城は。ちょっと示してください。
#47
○政府委員(木村仁君) 宮崎市の場合には充足率六二・五%。延岡ですか。
#48
○野別隆俊君 延岡、都城。
#49
○政府委員(木村仁君) 延岡市の場合には六六・八%、都城広域の場合には六四・四%というふうになっております。職員数でございます。
#50
○野別隆俊君 時間が余りありませんから次回に譲りますけれども、当面この問題について自治大臣も含めまして消防庁長官は、全国的には七五%も確保されていながら、予算は支出されながら、六一%などという状態では困るのではないか、予算はあるんですから。今度私はこれを具体的に調べてきますけれども、大きな財源が積み立てられているのです。それは、退職者が一時にぽんと出た場合に困るからという金額なら一億か二億あれば済むことであります。なぜ基準に沿うような指導を、特に消防関係は、そういう面ではこれだけ格差の多い省庁はないです。市町村でも今行政改革でほとんど基準人員を守っています。市町村は多いのを減すのはありますけれども、消防の場合は基準に全く達してない。これは今後の指導をどうするのか。
#51
○政府委員(木村仁君) 消防庁といたしましては、全国的に消防力基準に達するように、計画的に人員、施設、設備等の充実を進めていくよう指導をいたしております。したがいまして、特にこういった充足率の低い地域につきましては、さらに指導を進めてまいりたいと考えております。
#52
○国務大臣(吹田ナ君) ただいま長官から御説明いたしておりますが、先生は特に具体的に地元の問題についても御指摘になりました。伺っておりましても、財政的な面についての交付税関係はそれなりに交付しておるわけでありますが、現実問題としてこうした充足率の非常に落ちておるという点はまことに残念であります。ただ、現実問題として、消防車が常に出動しなきゃならぬという事態は決していいことじゃないのでありまして、本来は消防車が一台もなくてもいいような状態が一番いいわけであります、それは極端な話でありますけれども。ですから、そういった意味からいたしますと、全体的な地方公務員の働いている状況からいたしましての行政機関あるいは一部事務組合等の関係においてのバランス問題等もこれあり、多少の問題があるんではないかと思いますが、いずれにしましても、一たん緩急あったときにきちっと対応できるような状態というものは、先生御指摘のとおり、これは平生からできる体制をつくっておく、あるいはそういう準備がきちっとなされていなきゃならぬ、こういうことであると思うんですね。
 そういう意味において、今のような相当膨大な積立金があるなどというような話は今初めて私も伺ったものですから、こういった点はよくわかりません、どういう面にその積立金が使われようとしておるのか。ただ、消防署員に大きな事故が起きたとかいろいろな問題のためではあろうとは思いますが、そういった意味からいたしますと、今のは特に具体的に地元のことを取り上げて全国的な問題もそういうふうになっておるんではないかということでの御指摘だと思いますから、この内容は私も全国的に調べまして、消防署の持つ意義、そしてその任務、そういったことからいたしまして、いやしくも財政面で云々ということがないようにそれだけは努めてまいりますが、今後の指導を十分果たしていけるように消防庁長官にも私から指示を与えることにいたしたいと思います。
#53
○野別隆俊君 時間が参りましたので、あと消防署員の高齢化の問題、週休二日制の問題等もございますが、次回に回すことにいたしまして、今の問題も私はまたさらに検討を進めて、次にこの問題は残していきたいと思います。
 最後に、私は、ぜひひとつ消防庁にお願いをして速やかに指示をしていただきたいのは、今申し上げましたように、全国的にはもう既に基準の八割以上もいっているのに、地方によって、地域によって、また消防署によって非常におくれている。予算が出してある以上は、当面その予算人員の少なくとも七割ぐらいには直ちに増員しなさい。どこの市町村も何も困りゃしません、予算があるわけですから。この積立金はほかに使えないような金になっておるわけでありますから、ぜひひとつそういう指導を。これは宮崎、延岡だけじゃありませんよ。仮にそういうところがあったとすれば、七割以下のところはやっぱり最低七割を直ちに確保するべくやってもらいたい、ここ一、二年間でそうやりなさいという指示をしたらどうですか、財源があるんだから。
#54
○政府委員(木村仁君) ただいまの御指摘の中で積立金があるという点につきましては、先ほど大臣もお答えいたしましたように、私ども初めて伺うことでございますので、宮崎県の事情を私どもももう少し調べさせていただきたいと思います。
 いずれにしても、この消防という行政組織もいろいろな沿革の中ででき上がってきておりますので、現在の厳しい行政改革の動きの中で現状を一朝一夕にがらりと変えていくことは難しいと私どもは認識しておりますが、御指摘のような点を精査し、さらに指導を強めてまいりたいと考えております。ただいまのお話は宮崎県だけのことではございませんで、全国いろいろあることと存じますので、全国的にそういう指導を進めてまいります。
#55
○篠崎年子君 初めに、大変地元的なことでございますけれども、雲仙岳の噴火について気象庁の方にお尋ねをしたいと思います。
 一七九二年以来百九十八年ぶりに雲仙岳が噴火をいたしまして、長崎県民は大変憂慮をしているわけでございますけれども、そのときには島原大変肥後騒動といったような大変大きな被害が出たわけでございます。特に、島原市内にあります眉山というところは、山が崩壊いたしまして一万五千人の命を失ったわけでございます。
 その当時と比しますと現在は科学が大変進んでおりますので、いろいろな観測体制が行われていて事前にこういったようなものをキャッチすることができるようになっているかと思いますけれども、現在の観測体制の状況はどんなふうになっているのでしょうか、そのことをまずお尋ねいたしたいと思います。
#56
○説明員(森俊雄君) 報告させていただきます。
 雲仙岳では昨年十一月十七日に百九十八年ぶりの噴火がございまして、その後一時活動は低下いたしましたけれども、今年二月十二日から再び活発化し、火山灰を含む噴煙を断続的に上げております。また、有感地震や火山性微動が引き続き観測されておりまして、地下活動も活発な状態が続いております。
 気象庁では、昨年の噴火前から観測の強化に努めまして、常設の地震計に加えまして火山を囲む形で臨時の観測点を増設いたしまして厳重な監視を続けております。また、噴煙の遠望観測や温泉噴気活動などの現地観測を頻繁に行いまして、大学等関係機関とも緊密な連絡をとっておりまして、火山活動の監視に努めておるところでございます。これらの観測の成果に基づき適宜火山情報を発表いたしまして、地元自治体など関係機関に伝達し、火山活動への注意を呼びかけているところでございます。
 今後とも、関係機関と緊密に連帯いたしまして、厳重な火山監視を続けるとともに、迅速、的確に火山情報を発表して防災に努めてまいりたいと存じております。
#57
○篠崎年子君 観測体制をただいま御説明いただきました。
 そうしますと、気象庁が置いております火山観測機器と、それから各大学が今入っていって観測機器を置いていると思うんですけれども、その数は大体どのくらいになっておるんですか。
#58
○説明員(森俊雄君) 気象庁の地震計は現在五台でございます。そのほかに大学が研究的な意味でかなりの数を配置しておりますけれども、申しわけございませんが、正確な大学の数は今ちょっと持っておりません。
#59
○篠崎年子君 専門家の方が置いていらっしゃるので、その五台というのは地質学的に見て大変重要な地点に置いてあるんだろうと思うんですけれども、眉山の方には幾つ置いてあるんでしょうか。
#60
○説明員(森俊雄君) 火口に近いところに、眉山といいますか、地震計を置く場合には、監視体制をとる場合に観測点の無線の状態とかそういうもので条件がかなり限られてまいりますので、今、眉山のかなり近くには二点置いてございます。それから、それを囲むようにしてまた三点ほど置いてございます。
#61
○篠崎年子君 眉山の方に二点で、それを囲むような形で三点、それが合わせて五点ですか。
#62
○説明員(森俊雄君) はい、そうでございます。
#63
○篠崎年子君 噴火をしている地点、そこを中心に五点ではなくて、眉山の方に中心を置いてあるわけですか。
#64
○説明員(森俊雄君) どこから噴火をするかということについては非常に難しい問題でございまして、今現在活動してございますのは地獄跡火口というところでございますけれども、全体の五点という配置は山全体をにらむような形で配置してございます。ですから、必ずしも噴火地点のすぐ近くになければならないという問題ではございませんで、地震がどこで発生しているかというのをつかめるような状態であればよろしいというような配置にしてございます。
#65
○篠崎年子君 私は、その辺は専門家じゃありませんのでどうもよくわからないんですが、やはりこういったような場合にはマグマの動きというものが大変地震計に影響してきているんじゃないかと思うんですね。
 眉山というところは、雲仙の普賢岳がありまして、その前の方に別の一つの山になっているわけですので、その辺の体制がちょっと十分かなと思うんですが、これに時間をとっても先がありますので、今後十分に観測体制を整えて、そして住民が不安を抱かないようにこれからも十分気をつけていただきたいと思いまして、この質問はこれで終わります。
 続いて、松戸のOL殺人事件が先日逆転無罪になりましたので、そのことについてちょっとお尋ねいたしたいと思います。
 四月十六日にソ連のゴルバチョフ大統領が来日されまして、十九日に日本を離れられました。その間警備陣の方々は大変御苦労されたことと、深い敬意を表するとともに御苦労をおねぎらい申し上げたいと思います。ゴルバチョフ大統領が十九日に長崎に入られまして、私もその前後何遍か長崎空港に、地元でございますので帰ったわけです。そのときに警察官の方にお聞きいたしましたら、ここ二週間ばかりは二十四時間体制でずっと警備についていると。大変だろうなと、その御苦労に本当に頭の下がる思いをいたしました。御無事にお帰りになりましたので、本当によかったなと思っているわけでございます。そういうように一方で人命を守るために、あるいは国の権威を守るためにということで大変御苦労していらっしゃる方々もおありでございますので全員が全員とは申しませんけれども、中にはやはり今度の松戸のOL事件のようなことが起こっているということについてちょっとお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。
 四月二十三日の新聞によりますと、松戸のOL殺人事件で東京高裁は、無期懲役とした一審判決を破棄して、改めて無罪とする逆転判決を言い渡したということでございますけれども、この点について長官はどんなふうな御感想をお持ちでしょうか。
#66
○政府委員(國松孝次君) 御指摘の事件は、昭和四十九年八月八日、松戸市の馬橋の宅地造成地におきまして信用組合の事務員が遺体で発見をされました。当時、別の窃盗、強姦事件で逮捕勾留中の被告人をこの信用組合事務員に関する強姦、殺人、死体遺棄事件の被疑者として再逮捕をいたしました。逮捕事実についてはいずれも起訴をされ、昭和六十一年、第一審の千葉地方裁判所松戸支部において被告人に有罪、無期懲役の判決が下されていたものでありますが、平成三年四月二十三日、東京高裁におきまして窃盗、強姦事件については有罪、懲役六年、強姦、殺人、死体遺棄事件について無罪の判決が下されたものでございます。
 この事件は、大変物証に乏しい難しい事件でございました。当時できる限りの捜査を尽くしたものと報告を受けており、また第一審におきまして有罪判決が下されていただけに、今回の判決結果につきましては非常に残念に思っております。私どもといたしましては、判決文を入手した上、十分に検討を加え今後の捜査に生かしてまいりたいと考えております。
#67
○篠崎年子君 長官に連絡しておりませんでしたので、ただいま御答弁いただいたのですけれども、大変残念に思っているということでございましたが、私たちから考えますとよかったなと思うわけでございます。その辺は大変考え方が違っていると思うわけです。
 その中で、特に唯一の証拠である自白が警察での厳しい身柄拘束と取り調べの結果であり、その自白が任意になされたものでない疑いがあると言わざるを得ないということで一審判決が覆されて無罪になった、こういうことでございますね。そのとおりでしょうか。
#68
○政府委員(國松孝次君) 御指摘のとおり、控訴審判決におきましては、被告人の逮捕勾留中における目白の任意性及び信用性に疑いがある、したがって証拠能力がない、こういうことで、それが主な理由として無罪判決があったというのはそのとおりでございます。
#69
○篠崎年子君 この取り調べの舞台となりましたのはどこでしょう。
#70
○政府委員(國松孝次君) 主といたしましては、印西警察署という千葉県警察の警察署でございます。
#71
○篠崎年子君 この警察署はいつできた警察署ですか。
#72
○政府委員(國松孝次君) いつできたかということはちょっとわかりません。印西署に留置いたしましたのが四十九年九月三十日でございますけれども、当時まだ本当にできて間もない新しい警察署であったという報告は受けておりますが、何日にできたというのはちょっと今手元に資料がございません。
#73
○篠崎年子君 日時はいつかはわからなくて結構なんですけれども、できたすぐの警察署であったということですね。そして、その取り調べの舞台となったそこではこの被告の方一人が留置をされていたということですけれども、そのとおりでしょうか。
#74
○政府委員(國松孝次君) そのとおりでございます。
#75
○篠崎年子君 その留置期間は何日間でしょうか。
#76
○政府委員(國松孝次君) 四十九年九月三十日に印西署に留置をいたしまして、まず拘置所に移監されたのが五十年の三月十二日でございますから、その間でございます。今ちょっと日にちはあれでございますが、四十九年の九月三十日から五十年三月十二日までの期間でございます。
#77
○篠崎年子君 その日数が百八十二日間であったというふうに計算をしているところで、新聞にもそう出ておりました。
 そうしますと、例えば窃盗などで留置されます場合には何日ぐらい留置するのが普通でしょうか。
#78
○政府委員(國松孝次君) これはもう事件によりまして何日というようなことがあるわけではございませんが、通常逮捕されましてから勾留が始まりまして二十日間、逮捕を入れて二十一日かあるいは二十二日といったぐらいが一つの事件の締めくくりとしての期間であると思いますが、それより早く事件の終結する場合もありますし、その後再逮捕がされるというような形で勾留の期間が延びるというようなこともございまして、一概には何日というようなことは言えないのではないかと思います。
#79
○篠崎年子君 普通二十一日間ぐらいということにしますと、百八十二日間ということであれば九倍ですね。そういう長い期間に、しかも新しくできた警察署で一人だけ留置をされている、そういうときの本人の気持ちというものは非常に苦しくまた恐ろしいものがあったんではないだろうかと思うわけです。
 それに、そういった場合には看守がつくと思うんですけれども、看守はどんな方がついていらしたんですか。
#80
○政府委員(國松孝次君) この事件の最初の捜査本部がありましたのは松戸警察署というところであったわけでございますが、その松戸警察署は国道六号線に面しておりまして、騒音が厳しく取り調べに支障があるのに対しまして、当時の印西警察署は新設されたばかりで静かな環境にあるということで、そちらに移監をいたしまして取り調べをしたわけでございますが、その当時印西署はまだ新設されたばかりでもありますし、看守勤務者というのがその署にはそもそもおらなかったということであったわけでございますので、松戸署にありました事件の捜査本部の方の捜査班から一人回しましてこれの看守につけたという報告を受けております。
#81
○篠崎年子君 そうすると、看守ではなくて捜査本部の方が一人ついていたという形ですね。
#82
○政府委員(國松孝次君) あくまで看守勤務員でありますが、捜査本部の方から配置がえになってそちらに行ったということでございます。
#83
○篠崎年子君 そうしますと、結局その留置場が代用監獄になっていたと言っても言い過ぎではないと思うんです。真実解明に向けて自白は重要な要素であり、捜査全体の便宜のために代用監獄は必要と捜査当局は主張されているようですけれども、過去の冤罪事件を見た場合に、いろんな事件、死刑判決を受けた方、無罪判決を受けた方がありまして、その中で無罪になった事件がたくさんありますね。どんなふうな事件があったでしょうか。
#84
○政府委員(國松孝次君) 無罪事件というものが残念ながら時々あるわけでございまして、かつて長期の勾留をしておりました間に取り調べを受け、その認意性が疑われたというような事件は幾つかあると思います。ちょっと今記憶を繰っておるのでありますが、財田川事件であるとかその他松山事件、免田事件、それから赤堀事件というんですか、静岡の事件といったようなものが幾つかあると思います。
#85
○篠崎年子君 今おっしゃったような免田とか財田川とか松山あるいは島田、こういったような事件、これはほとんど死刑、再審などで冤罪事件ということで無罪になっているわけですけれども、このほとんどがさっきも申しましたように留置場とかあるいは代用監獄での拘置取り調べから生まれている、そういうことになっていると思います。
 そこで、代用監獄において、今回の判決も示すような強引な取り調べがなされることがあるとすれば、これは一九八二年に提示されて以来、継続、廃案、再提出、継続、廃案と繰り返されておりまして、さらに今回の第百二十国会に提出されております留置施設法案というものに大変大きくつながっているのではないだろうか。そこで、こういう法案は、今も申しましたように昭和五十七年以来継続になり、廃案になり、また継続、再提出ということになっているわけですけれども、国連の人権委員会や差別防止小委員会からも経済大国における人権侵害との批判も受けているわけですので、この際この法案は撤回されるお気持ちはありませんか。
#86
○国務大臣(吹田ナ君) 撤回する意思はありません。
#87
○篠崎年子君 ただいまの答弁、木で鼻をくくったような御答弁でございまして、これはこれから先の審議にまたなければならないと思うんですけれども、やはりこの際今までのそういう事件をもう一遍洗い直していただいて、本当に人権が守られているかどうか、そういった場合にみんながみんなとは言えないかもしれませんけれども、非常に拷問を受けたりしたことはないんだろうか、そういうことを綿密にお調べいただいて、このことについては慎重に討議していかなければならないだろうと思っております。
#88
○国務大臣(吹田ナ君) お尋ねが極めて率直でありましたものですから、私の方も率直に申し上げたので大変失礼であったかとも思いますが、私どもが今出しております留置場の新しい施設につきましての問題は、留置される方々についての人権というものを十分尊重していけるような意味において内容改正を図っておるわけでありますし、今日までの問題につきましても今御指摘がありましたような諸問題がございますから、そういう点を十分反省して、さらに内容の検討もすべきところはまた委員会での御審議の場で十分それなりの検討はできることであろうと思います。一応我々としては最大限の人権尊重という観点からこの新しい法律を提出しておるわけでありまして、今後の審議に当たりましては十分また各先生方の御意見にこたえていかなきゃならぬというふうに思っております。さらに、決してこの代用監獄というものの延長で人権を侵害するなどというような考え方から発想しておるものでないということだけは御理解を願いたい、こう思っておるわけであります。
 最初の答弁が極めて木で鼻をくくったような回答であったという御指摘でありましたが、この点は私も他意はありませんので撤回いたしまして、今御答弁申し上げたようなことで御理解いただければ、こう思います。
#89
○篠崎年子君 わかりました。
 それでは次に、少年非行の問題についてお尋ねいたしたいと思います。
 前の地行委員会のときに所信表明の中で大臣は、「我が国の将来を担う少年の非行を防止し、その健全な育成を図ることは、国民すべての願いであります。」とおっしゃいました。これは国家公安委員長としてお述べになりましたことで、私もまさにそのとおりだと思うわけでございます。
 ところが、警察白書を見てみますと、刑法犯少年が平成元年度においては一四・六%減少を見ておりますけれども、全体的に見るとちょうど今戦後三つ目のピーク時にかかっているのではないだろうか。ピークが少し過ぎかかっているかとも思いますけれども、このことについてはどういうふうに受けとめていらっしゃいますでしょうか。
#90
○政府委員(関口祐弘君) お尋ねの少年非行でございますけれども、少年非行は刑法犯少年が戦後第三のピークで過去最高を記録いたしました昭和五十八年を過ぎた以降も増減を繰り返しながら高い水準で推移しているということでございます。
 過去三年間の刑法犯少年の数字的なことを申し上げますと、昭和六十三年が十九万三千二百人ほどでございました。それから平成元年が十六万五千人、平成二年が十五万四千百六十八人と減少傾向にはあるわけでございますけれども、成人を含めました刑法犯全検挙人員に占める割合というものを見てまいりますと、昭和六十三年では四八・五%であったのに対しまして、平成二年に至りましては五二・六%と過半数を占めているということでございまして、まことに深刻な状況にあるということが言えようかと思います。
#91
○篠崎年子君 ただいまお話しのように少し下がっておりますけれども、年齢的に見てみますと上がっているところがある。その中で特に十四歳から十六歳の刑法犯少年、この数が全体の七五%を占めているということで、非常に高いのではないだろうか。この十四歳から十六歳と申しますとちょうど中学校の三年生から高校の一年ぐらいにかけての年齢ですね。では、なぜこの年齢の子供たちがこの辺でふえてきているんだろうかということについて、警察と、文部省から見えていらっしゃるでしょうか。見えていなかったら、警察の方の御見解をお承りしたいと思います。
#92
○政府委員(関口祐弘君) 御指摘のとおり、平成二年中の数字を見てみますと、十四歳から十六歳ぐらいの低年齢層の非行が中心となっているということが出ております。
 それで、先生の御質問のそうしたものがどうしてふえているんだろうかということでございますけれども、これを端的に申し上げるということはなかなか難しい問題であろうかと思います。少年自身の問題といたしまして規範意識が低下をしている、あるいは家庭におけるしつけがきちんとなされていないというふうな家庭の問題もあろうかと思います。それから、校内暴力事件とかあるいはいじめといった事象に見られるような学校における問題、さらにまた享楽的な社会風潮を反映しました有害環境の増大とかあるいは地域社会の連帯意識の希薄化に伴いまして非行を抑止する機能というものが低下をしているそうした社会環境の問題等もあろうかと思います。こうした幾つかの要因というものが相互に絡み合いましてこうした事象が出てきているのではなかろうかというふうに考えているところでございます。
#93
○篠崎年子君 これはちょうど学校に在学中の年齢でもありますので、学校教育との関係も非常に大きいのではないだろうか。私は、きょうちょっと文部省の方に連絡するのを忘れておりましたので、この点はまた別の機会に譲りたいと思いますけれども、ただ考えられますことは、やはり今の社会全体が余りにも輪切り型になっているのではないだろうか。それが小さいときからだんだん大きく、大人になってしまうとまた別だと思いますけれども、ちょうどこの成長期のときに何か格差をつけられてしまって、そしてもう自分はだめなんだ、そういうふうに思い込んでしまっている子供たちがこういったような方向に走っているんではないだろうかというふうに私は思っていたわけです。
 ところが、子供たちの家庭の状況を見てみますと、非行少年の家庭の生活程度というのは九割が普通の、中流以上の家庭ということですね。そうしますと、教育程度の格差、そればっかりでは割り切れないものがあるんじゃないだろうか。そうすると、今度は家庭内の問題が出てくるのではないだろうか。家庭のしつけの問題になってくると、これはもう親の問題になってくるわけですけれども、親の考え方もいろいろありますので一概にどうと言うことはできないけれども、これもまたその家庭の関係の中にいろいろな原因があるんじゃないだろうかということですね。
 それからもう一つは、友人関係の問題があると思う。このことについては、何か問題があったときにあなたはだれに一番早く相談をしますかというときに、友人というのが一番多いわけです、この年齢では。そうすると、結局言ってみれば同じような仲間の子供たちがそこに集まってしまって、その中で非行に走ったり、あるときは後戻りさせることができたりということになってくるかと思いますけれども、こう考えてまいりますと、やはり社会全体が目を向けていかなければならない。これは警察だけの問題ではなくて、文部省あるいはそのほかの社会教育の中でも問題が出てくると思いますので、これから先、そのことについてはまた別の機会に触れていきたいと思いますが、今端的にということはちょっと難しいかもしれませんけれども、こういう少年非行を少なくするということについてどういう対策をとろうとしていらっしゃるのか、それをお示しください。
#94
○国務大臣(吹田ナ君) これは公安委員会としても非常に重要視しておる問題であります。
 特に我が国の次の時代を背負ってくれる、そういう重要な方々であります。子を持つ親としましての私の立場からいたしましても、今先生御指摘になりましたように、中学校の二年生ぐらいから高等学校一年生ないし二年生ぐらいまでの反抗期をどういうふうに上手に子育てするか、これは極めて難しい問題であります。もちろん幼児教育からの問題でありますけれども、その時期が非常に難しい問題でありまして、親に対しましての反抗もいたしますし非常に困難である。これは現在の社会を構成している大人もみんなその時代を通ってきたわけでありますから人ごとじゃないのでありまして、みんなわかっていることであります。
 そういうことを考えてまいりますと、今先生が御指摘になった学校教育、家庭教育、さらには社会の環境というものが非常に大きな影響をしておると思うんですね。特に、我が国のように急速に経済が成長したということから、物には不足はないけれども、心にいささかおくれておる面があるのではないか、そういった面についての今後の配慮というものが、教育上からもあるいは社会全体からも子供たちを包んでやるということに力を入れなきゃならぬのではないか、こう私は思っておりまして、公安委員会としましても、これから関係機関とよく協議をしながら、子供のそうした非行というものが一人でも減少するような方向の社会環境整備について努力をしていきたい。あるいは、一たんそういう犯罪あるいは事故を起こしたという子供たちをどうして更生さすかということもまた大きな仕事でありますから、そういう点につきましてもそれなりに関係機関で努力をしてまいりたい、このように存じております。
#95
○篠崎年子君 ただいまの御答弁を聞きまして安心をいたしましたが、とかく今指導層の方々とかあるいは学校の現場の先生方とかという方々は、大学入試が難しくなってきたものですから、小さいときからずっとストレートに優等生教育を受けながら来ているので、挫折感とかあるいは横道にちょっとそれたとか、そういう人たちがいなくて、すっと行った人たちが上の方で指導層に入っていっている。だから、横道にそれようとしている子供とか、落ちこぼされている子供とか、そういう子供の気持ちのわからない方々が、十分理解できない方々がいらっしゃるということも問題じゃないだろうかといったようなことで、今後十分御検討いただきながら、この問題については本当に大事なことですのでみんなで力を合わせていかなければならないと思っております。
 次に、消防の問題についてお尋ねいたしたいと思います。
 このことにつきましては、先ほど来野別委員の方から大変詳しく御質問になっておりますので、私は特に消防のはしご自動車の件について少しお尋ねをいたしたいと思います。
 最近、各都市におきましては建築物の高層化が大変進んでまいりまして、火災が起きました場合に、はしご車というものが必要欠くべからざるものとなっております。
 はしご車の設置基準についてお尋ねをいたしますけれども、はしご車の設置基準というのは大体どんなふうになっているんでしょうか。
#96
○政府委員(木村仁君) 半径一・五キロメートルの範囲内に高さ十五メートル以上の建築物があって、その数がおおむね十棟以上あるというような市街地の場合には最低一台を配置するという原則でございまして、第二に、これ以外の場合でありましても、当該市町村の区域内に高さおおむね十五メートル以上の建築物の数が十棟以上ある場合や、百貨店、ホテル、旅館、劇場、映画館、病院等不特定多数の者が集まる高さおおむね十五メートル以上の建築物が五棟以上ある、こういうような場合には実情に応じて一台配置する、そういうのが消防力基準の基本的な考え方でございます。
#97
○篠崎年子君 はしご車の基準ですけれども、達成率は今どのくらいになっているんですか。
#98
○政府委員(木村仁君) 基準で全国的に計算いたしました充足率は、約六一%でございます。
#99
○篠崎年子君 六一%と申しますと、私表をいただいたんですが、ちょっと古いんで、昭和六十二年四月一日現在となっておりますが、先ほど人員の方でお話をやっておりまして約七五%ということですが、そのほかのものの中では救急自動車が九九%、約一〇〇%に近いのですが、はしご車で見ますと大変低いようですね。この低い原因というのは一体何でしょうか。
#100
○政府委員(木村仁君) これは財政的な問題もあると思いますし、また、地域の実情によっては、一般的にまだはしご車を購入するよりはほかの一般のポンプ自動車を充実したい、そういうような経緯があってこういうことになっていると存じます。私どもとしては、鋭意はしご車については導入を促進しております。
#101
○篠崎年子君 はしご車の場合には、特にだれでもこれに乗れるというものではなくて、先ほど何か人数が足りないときには充当してあちこちかえられるというようなことをおっしゃっておったようでございますけれども、そう簡単にいくものじゃないのだろうと思うわけですね。特にはしご車の場合には高いところに上がっていきますので、それなりの訓練が必要かと思いますが、そのことをちょっと抜きにいたしまして、はしご車を使用する場合に、いろいろな問題点があると思うんですね。
 この問題点について一、二、私が聞きましたところでは、例えばはしご車をつけようと思っても、そこに電線が手前の方にあって、それではしご車がそこまで、その窓のところまでかけにくいところがあるとか、あるいは、せっかくその近くまで行ったけれども、はしご車の長さは八メートルぐらいですか、長いの。私、ちょっとよくそこら辺わかりませんけれども、はしご車の長さと幅、それがちょうど道路に合わなくて中まで入っていくことができなかったといったようなことを聞いたのですけれども、この状態、どんなふうでございますか。
#102
○政府委員(木村仁君) はしご車は、十メートル級のものから一番高いものは五十メートル近いものまでございますので、高さについてはその保有している消防はしご自動車の状態によって、足りなかったり十分であったりするわけでございますが、困難と申しますのは、第一はただいま御指摘の電線等が邪魔になって、届かないというのが第一。それから第二に、違法駐車をしているような車がたくさんあります場合には、はしごが届くまで建物に接近できないというようなこと。それから第三点に、建物の構造自体が閉鎖的なものがあって、消防士の侵入するバルコニー等が十分でないというような場合にははしご車が余り効用を果たさないというようないろんな困難があるようでございます。
#103
○篠崎年子君 先ほどの電線の話ですけれども、これはあるところで訓練をしているときに、上からおろすときに普通の方に乗っていただいた。その方が、大変うれしかったものですから、下で見ているお友達に手を振った。ところが、ちょうどそこに高圧線があって、その高圧線に上げた手が触れて、そして大やけどをした。人命を亡くすというところには至らなかったので不幸中の幸いだったと思うんですけれども、そういうことから考えてみますと、いざというときに、やはりみんな大変慌てるわけですね。そうしますと、建物と電線との関係、あるいは道路との関係、こういうものは非常にこれから先考えていかなければならない問題じゃないかと思いますので、これは消防上だけの問題ではなくて、やはり日本の都市計画全体の中で、このことは考えていかなければならないと思うんですが、いかがでしょうか。
#104
○国務大臣(吹田ナ君) この電線問題は、今消防庁長官からも話が出ておりましたが、実は私もせんだって東京消防庁を視察いたしましたら、まさしく先生のおっしゃるようなことが出まして、これ非常に困っていますと、早く地中化をお願いしますという話がありました。
 実は私は、そういったこととは別の問題で、昨年はわざわざ党の命によってヨーロッパを地中化問題で視察をしてきたわけであります。それは、道路の地中化がどのようにヨーロッパではできているかと。ほとんど一〇〇%できているわけであります。しかも、ヨーロッパの場合は、御案内のように歩道が皆あるわけでありますが、日本の場合は歩道のない道路が多いわけであります。そういう状況でもありますが、いずれにしましても、地中化しているわけであります。
 そういったことで、私が調査した範囲内からしますと、通産省関係、これはガスとか電気の関係であります。それから、郵政省関係ではNTT等であります。あるいは有線放送等であります。それから、いろいろと電線を上に引いていますが、これは建設省が中心になりまして、自治省の消防庁と通産省、それに郵政省と、関係省庁が集まって、この地中化問題を早急にひとつやっていこうというようなことが、今検討を始めるところでございますから、恐らくこれから促進が急速にいくであろう。
 私がイギリスやイタリー等を調べた状況から見ますと、非常に雑な地中化ではあります。確かに土層ですからそのまま埋めておるんですけれども、ただ、歩道で一番サイドから何メートルのところの何ぼの深さのところに電線がある。それから幾らいったところに今度はガス線が入っておる。それからNTTのような電話線が入っているということがきちっと決まっておりまして統一されているんですね。ですから、工事のときに線を切断するなどということが起きないようにある一定の基準ができているんですね。
 私は、そういうことを調べて帰ってきまして、早くこれを促進したいという気持ちでいっぱいなものですから、私の場合は環境の問題から入ったのですけれども、実は先日の東京消防庁では、環境だけじゃない、私どもは人命や火災から守るために困っているんですよという指摘を受けましてはっとしたわけでありまして、御指摘のような面については、これから関係省庁と精力的にひとつ検討して、大いに促進できるようにいたしたい、こう思います。
#105
○篠崎年子君 そこで、さっきのはしご車の充足率が六一・一%ということで、これははしご車購入の費用にもかかわってくるんじゃないだろうかと思うんですけれども、大体はしご車に対する一台の金額、聞くところによりますとピンからキリまであるということですけれども、高いものになってくると一億数千万円とかということですが、こういった場合に交付税あるいは国の補助金、これはどんなふうになっているんでしょうか。
#106
○政府委員(木村仁君) 国の補助金の基準額で御説明をいたしたいと思いますが、平成元年から三年度にかけましては、十メートル級でありますと三千二百七十二万四千円から始まりまして、三十八メートル級は八千九百三十五万八千円というのが補助基準額でございます。
 実績で申しますと、五十メートル、これはもう一番高いものでございますが、元年度に予算ベースで計上いたしている実績、これはある市の実績でございますが、一億一千九百万円ほど計上いたしております。実際に購入します場合には、各消防機関によって自分なりの工夫でいろんな艤装の工夫を注文したりいたしますので、値段には若干の上下があるようでございます。
#107
○篠崎年子君 そうしますと、やはり補助金だけではどうしても足りないということになってまいりますね。その場合にはやはり単独予算を足すということになるんでしょうか。
#108
○政府委員(木村仁君) 大都市の大きな消防機関におきましては、単独あるいは起債だけで国庫補助を待たずに購入する場合も多いのでございますが、いわゆる小規模な市町村の消防の場合に、はしご車を購入するということは大事業でございますので、おおむね国庫補助金を待って、それに起債等を得て購入するということになろうと思います。
#109
○篠崎年子君 国庫補助金のことについては、率あるいはほかの関係等もあると思いますけれども、これはもう人命にかかわる問題でございますので、できるだけ補助金を高くしていただくようにということを要望したいと思います。
 次に、廃棄物の処理についてお尋ねしたいと思いますが、今日ごみ処理等の廃棄物処理の対策は国政の最重要課題となっておりまして、最近の廃棄物はどんどん量がふえてきているという状況だと思いますが、この量の推移について御説明いただきたいと思います。
#110
○説明員(坂本弘道君) 家庭だとかオフィスから出てまいりますいわゆる一般廃棄物でございますが、昭和五十年代には少しずつふえておった、こういう傾向でございますが、六十年代に入りまして急にふえ出しまして、例えば昭和六十三年度の統計を見ますと、全国で年間四千八百万トン余りということでございまして、これを後楽園にございますプロ野球をやっている東京ドームのところへ仮に全部集めるとしますと、年間百三十杯分、こういうことになっておりまして、前の年に比べて五杯ほどふえておるということで、昭和六十三年度は統計によりますと過去最高、こういうことになっております。
 また一方、工事等から出てまいります産業廃棄物でございますが、排出量が昭和五十五年度は全国で二億九千万トンということでございましたが、昭和六十年度には三億一千万トンということで、五年間に約二千万トン、七%ほどふえておる、こういう状況でございます。
#111
○篠崎年子君 平成三年度から廃棄物処理施設整備五カ年計画が進められようとしているようですけれども、国の補助の改善など今度の計画で進めようとしているそのポイントを簡単に御説明いただきたいと思います。
#112
○説明員(坂本弘道君) 従来から補助制度につきましては、焼却場をつくりますとか、かつまた埋立地をつくりますとかいうようなことに対しまして補助整備をやってまいったわけでございますが、これからはどちらかといいますとごみを減らしていくというようなこと、それからまた一遍ごみとして出てまいりましたものを再生利用するというような意味から、そちらの方の例えば粗大ごみ施設だとか、かつまた再生利用総合施設と言っておりますが、そういうものについても、従来以上に補助の方をしっかりやっていきたい、かように考えております。
#113
○篠崎年子君 できるだけごみの量を減らすということがこれから先の大変大切な問題だろうと思いますので、このことにつきましては十分徹底方をお願いを申し上げたいと思うわけです。
 そこで、廃棄物の量ですけれども、これが増加をしておりますけれども、交付税にどのように反映されているのだろうかということについてちょっと調べてみますと、標準団体の清掃職員の数だけでちょっと見てみますと、五十年代が七十四人ぐらいで推移しておりましたのが、五十九年度になりまして七十人、六十年度で六十六人、それから六十二年度六十三人、それから六十三年度は六十四人というふうに、五十年代からしますと十人ほど減ってきているようですね。それから、ごみ収集車について見てみましても、六十一年度までは二十一台でずっときてまいりましたのが六十二年度では二十台、元年度では十九台というふうに減少してきているんですね。ごみの量はふえてきているのに、人員とかあるいは収集車とかについては減ってきているというのはどういうわけなんでしょうか。
#114
○政府委員(小林実君) ごみの処理に対する交付税の見方でございますが、厚生省の五カ年計画がございまして、それに対応して積算いたしておりまして、それに対応するその措置能力、ごみ車両その他につきまして必要な経費を見込む、こういうことできておるわけでございます。
 車両と人員につきましてのお話でございましたが、これにつきましては、交付税積算上の委託率が実態と比べまして著しく低かったわけでございまして、そういうことで直営から委託に振りかえるということで委託率を実態に近づける、こういう関係で車両の方は減ってきておるわけでございます。
 それから職員数についてでございますが、これもやはり国会で御指摘がございまして、実態調査をいたしました結果、収集車両一台につき二・六人の配置を行うということを行ってまいりました。また、先ほど申し上げましたように、委託に振りかえたということで減少いたしております。
 そういうことではございますが、交付税措置全体といたしましては、五カ年計画に基づきまして必要とされる車両その他につきまして十分対応できるように措置をしておるわけでございます。
#115
○篠崎年子君 大体基準としては一台について三人いなければならないということが基準だと思うんですけれども、それが二・六人として計算をされているということでさえ少ないのに、よそに委託をしているので数が減ってきているということですけれども、その委託をした先に対してはどのような措置がとられているんですか。
#116
○政府委員(小林実君) 地方団体と委託を受ける業者との関係になりますので、委託経費という形で交付税措置をいたしておるわけでございます。
#117
○篠崎年子君 やはりこの問題については委託ということになってまいりますとあれこれ問題が出てきているようですので、今後ちょっと検討していかなければならないと思うわけです。
 ところで、大変小さなことをお尋ねして申しわけないんですけれども、積算の基礎の中で、十万人が標準ですが、その中でごみ収集の人数が九万九千八百人、一日のごみ排出量を千五十グラムとして三百六十五日を掛けて計算をするわけですけれども、そこに何か係数として〇・八七という係数が掛けられているんですね。そうすると、この〇・八七という係数の意味は何なのか、そしてその残りの〇・一三というのはどういうふうに計算をされているんでしょうか。
#118
○政府委員(小林実君) 〇・八七の方は全体の排出量の中で家庭系のごみ率が〇・八七になっておりますので、これは五カ年計画でそうなっておりますのでその率を掛けておるわけでございます。
#119
○篠崎年子君 そうしますとこの九万九千八百人というのは家庭系じゃないんですか。
#120
○政府委員(小林実君) 人口十万の標準団体でございまして、収集人口は九万九千八百人でありますが、この標準団体全体の中で出てくるごみというのは恐らく千五十グラムでしょうか、これはすべての廃棄物を含んでおるわけでございまして、この中で家庭系のごみ率は〇・八七でございますのでそれを掛けておる、こういうことでございます。
#121
○篠崎年子君 さきの三月十五日の地行委員会の中で私は斜面都市の問題を取り上げまして、斜面都市におきましては特に収集の場合に非常に人数が足りない、普通では三人、計算では二・六人になっているけれども斜面都市などでは三・一七人というふうになっているので、この点についてやはり交付税で斜面都市は、ほかの道路とか公園とかの問題もありますけれども、見るべきではないだろうかということをお尋ねしたわけですね。そのことにつきましては大臣が御答弁に立っていただいたんですけれども、その中でこのことについての御答弁がありませんでしたので、今度は当局の方の方へこのことについて交付税で何とか見る方法はないだろうかということについてお尋ねしたいと思います。
#122
○政府委員(小林実君) 普通交付税の基準財政需要額につきましては、一方でなるべく簡素化をしてわかりやすくしなさいという御意見と多様な実態に合わせましてきめ細かに措置をしなさいという御意見、二つあるわけでございます。
 御指摘の斜面の多い都市につきましては、平たんな都市に比べまして行政経費が割高になるということで、そういう団体から実際こういうふうに割高になっていますという資料もいただいておるわけでございますが、普通交付税につきましてはこの割高になる財政需要を反映する客観的な指標が必要でございまして、現時点では三千三百団体の方々が皆なるほどというふうに納得していただける適当な指標というのは難しいわけでございまして、せっかくの御質問ではあるわけでございますが、普通交付税に算入するというのは困難ではないかというふうに思うわけでございます。
#123
○篠崎年子君 最後に、ごみの減量化ということについては国民全体が努力をしていかなければならないと思うわけですね。産業廃棄物の問題はまた次の機会に質問さしていただきますけれども、一般家庭のごみの分別収集のことについて、これから先このことを十分やっていかなければごみはふえる一方ではないだろうかと思うわけですが、この家庭から排出されるごみの分別収集についてはどのような啓発活動をされようとしているのか、お尋ねをいたします。
#124
○説明員(坂本弘道君) ごみの分別収集でございますが、これはごみの効率的な処理及び減量化、資源化を進める上で大変有効な手段というふうに考えております。
 今国会に提出いたしております廃棄物処理法の改正案におきましては、法目的といたしまして廃棄物の分別、再生を明記いたしまして、廃棄物処理の一形態として再生を位置づけますとともに、三つばかりございますが、一つは市町村の策定する一般廃棄物処理計画の中に分別収集に関する事項を定めること、二点目が市民の中から廃棄物減量等推進員を委託すること、三点目といたしまして廃棄物再生事業者の都道府県知事登録制度を創設いたしまして、市町村がごみの再生等に関して必要な協力を求めることができること等々の規定を設けまして、分別収集等によりごみの資源化を推進することといたしております。また、さらに平成三年度には新たな補助制度を創設いたしまして、市町村によるごみの分別収集の推進、住民団体による古紙、空き瓶、空き缶等の集団回収の支援等を行うこと等としております。
#125
○篠崎年子君 最後になります。
 長い間国民の中にはそのようなことに関心を持って何とかしていかなければならないと思っている人たちがありまして、だんだん数がふえてきているわけですね。今そういう法案ができてくることは大変結構なことだと思いますけれども、とかく法案がつくられますとそれが上滑りになってしまって本当に住民のところまで届かないわけですね。そのことについての啓発活動というものを十分していかなければならないと思いますが、少々お金がかかっても公共広告機構などを使いましてテレビでもって、こういったような問題点がある、そしてこうするとこういうふうに減っていくんだといったような数字等を国民によくわかるように指導をしていく、啓発をしていく、このことが大事じゃないだろうかと思いますので、そういう点にも十分経費をかけて指導をしていただきたいと思います。
 終わります。
#126
○委員長(野田哲君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#127
○委員長(野田哲君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#128
○渡辺四郎君 私は、御連絡申し上げておりました質問の順番を少し変えて、大蔵省もお見えのようですから、これからずっと質問申し上げてまいります。今までもやってまいりましたが、あるいは交付税法の六条の三の二項の問題、あるいは附則の三条の問題等々で、本年度の場合五千億円の交付税が減額をされておりますから、こういうことに関連をして、まずもって地方財政計画の方から先に申し上げて、ぜひひとつ今この自治体の財政事情について、もう少し状態をあるいは実態をよく知っていただきたいという立場から少し申し上げてみたいと思います。
 私は、一月三十日の本会議の代表質問の中でも申し上げましたが、地方の時代と言って非常に久しい。そして政府も一体となって、国会も一体となりまして東京一極集中を排除をしよう、こういうことで努力を積み重ねてまいっておりますけれども、やはり依然として東京を中心とした大都市集中は進むことはあっても解消にはほど遠いようなのが現状ではないか。逆に、午前中からもありましたが、ますます自治体間の格差は非常に増大をしておるというのが現状だ、こういうふうに実は私自身も認識をしておりました。これも本会議で申し上げましたが、九州の農政局の実態調査でも、過疎の自治体の集落あるいは村が、それ以前の十年から見て調査時点の十年間は三倍以上のスピードで消えておる、こういう実態も本会議の中で実は申し上げてまいりました。
 そういう中で、先ほど野別委員からも質問があり、局長初め御答弁があっておりましたが、財政面の問題として幾つか述べてみたいと思うんです。平成元年度地方税の主要団体別収入の資料をいただいておりますが、これによれば、平成元年度の地方税収入総額は三十一兆七千九百五十一億円。そのうち東京、大阪、神奈川、愛知の四都府県で何と全体の四三・二%、十三兆七千四百四十八億円を占めておる。残りの五六・八%の十八兆五百三億円が残りの四十二道府県の地方税の収入総額だ、こういうことが一つ。
 それからまた、歳入中に占める税収割合を市町村数で見てみますと、三千二百六十八団体のうち二千二百六十九団体の六九・四%が三〇%以下で、そのうち何と二〇%未満が全体の五〇・九%、千六百六十三団体。いわゆる三割自治でなくて二割以下の自治、過半数以上の自治体が歳入中に占める税収割合から見ててもこういう実態にあるということです。それから、これらの自治体の中で、本年の四月一日に指定をいたしました過疎指定団体が何と千百六十五団体ある。この過疎団体の中の七四・六%、八百六十九団体が公債費負担比率一五%以上であって、二〇%以上が二百三十三団体ある。
 私らは今まで都道府県におってまいりましたから、特に自治省の指導からもそうですけれども、公債比率が一六%あるいは一八%になると最も危険だ、二〇%になりますと民間企業でいえばいわゆる倒産だ、破産だ、こういうふうに言われて、財源の節約等についてもかなり厳しく自治省の指導もあってきたわけです。こういう実態の中で、基準財政需要額の中での公債費償還金の比重が非常に重くなってきておる。今も申し上げましたように、財政面から見ても自治体間の格差はどんどん開いておるというのが実態であるわけです。ここを十分ひとつ御認識をいただかなければ、確かに過疎なりあるいは山振、離島振興法あるいは産炭地あるいは同対審に基づく事業関係については、それなりに一定の措置はされておりますが、もともとこういう団体というのは元桶がないわけです。高額補助はあってもやはりわずかな自主財源に悩んでおるというのが実態であります。
 昨年の六月に福岡県で集中豪雨がありました。私は災害特別委員ですから調査に行きました。ところが、その後お聞きをしましたが、そこは激甚地に指定をされてないという村で、かなりな護岸が決壊をして、災害復旧工事が行われたわけですが、それに対して、地元の負担金が要るというだけで昨年度はあとの公共事業は一切実施ができないということを実は村長が悔やんでおる。これが今過疎の自治体の実態ではないかというふうに私は思うわけです。
 これについて、まず自治省の方に、この格差をどう解消していくのか。午前中もありましたが、あるいは縮める方策について、確かに二通りの意見があるというお話も局長からありましたが、各自治体それぞれ違った状態にある、そういう中で細かく分析をしなければ私はなかなかこの自治体間の格差は縮まらないんじゃないかと思うんですが、そこらについて、まず自治省の方の見解をお伺いしたいと思います。
#129
○政府委員(小林実君) ただいま先生の方から地方団体間の格差の実態、それから最近の傾向につきまして的確な御指摘がございまして、私どももその御指摘の点につきましては十分承知をいたしておるわけでございます。
 基本的には、地方団体の格差というのは結局そこの経済力というようなことから出てきているわけでございまして、政府全体といたしまして、各地方団体における所得の格差の縮小とか、あるいは人口につきましても五十年代半ばから比較いたしまして人口減が出るような地方団体がまた出てまいりまして、そういうことから当該地域におきます産業の振興とかあるいは雇用増に結びつくような施策の展開が必要であろうかと思うわけでございます。そういうことで政府全体が産業政策といたしまして取り組む、あるいは国土政策の観点から取り組む必要があると思っております。
 現時点におきましては、四全総がございまして多極分散型国土の形成が基本になっておりますので、私どももそれに即応いたしまして財政対策を講じてまいっておるわけであります。微力ではあるわけでございますが、このふるさと創生関係の施策もそういうことで地域おこしはその地方団体みずからがまず考えて実施しなければいけない、それに対して国が支援をするというようなことで行ってまいりましたし、この一律一億円の事業で出てまいりました芽につきましては、その後も引き続き財政措置を講じまして育てるように努力をいたしておるわけでございます。
 税財政全般につきましてそういう考え方でございまして、消費税の導入に伴いまして地方譲与税制度ができましたり、あるいは法人事業税の見直し等も行われたことがあるわけであります。また、この交付税の配分につきましては、もう既に御承知のように、私どもは傾斜配分に大分力を注いでおりまして、各年度わずかずつではございますがその傾向を強めておるわけでございます。財政対策だけでは限りはあると思いますが、税の制度も含めまして各地方団体が抱えております課題につきまして対応できるような仕組みにつきまして検討し、また今までの措置を拡充していかなければいけないというふうに思っているわけでございます。
#130
○渡辺四郎君 大いに検討していただいて、今各自治体の首長さん方の御意見を聞きますと、確かに御相談して起債をする方法もないことはない。しかし、人口は減少する、税収の伸びは見込めない、そうすればやっぱり後世代に借金を残すことになる、だから辛抱せざるを得ないというのが特に小さな過疎の自治体の現状でもあるわけですから、ひとつ十分これを頭に入れていただいて御検討を急いでいただきたい、こうお願いをしておきたいと思います。
 次に大臣、先ほどの財政計画提案の概要説明の中で、特に職員の定数問題、警察なりあるいは消防両職員は確かに若干の増員を今度の場合計画されておりますが、一般職員については行政改革に基づき、国に準じて減らしていくんだというような内容の概要説明があっております。
 私は、長年自治体運動もやってまいりましたけれども、特に第二次オイルショック以降自治体財政が厳しくなる中で、組合の中でも私らは問題提起をしたわけですが、自分の仕事あるいは職場全体で仕事を見直そうじゃないか、スクラップ・アンド・ビルドという問題を提起しまして、そして自分の行政事務自身、事務あるいは事業がどうなのか、スクラップの部分は自分たちで整理をしようじゃないか、そして多様にニーズが広がっておるものですから、そのビルドの部分にどうシフトがえをしていくかということをお互いに職場の中で議論をしてやっていこうじゃないかという取り組みをやってまいりました。そういう中でも、行政改革による定数減をどんどん実はやってきたわけです。しかし、やっぱり今もう限界に来たのではないか、その証左としてやっぱりここ一年間に二千数百名職員がふえておるという実態もあるわけです。
 今の政府自身も、高齢化社会に向けて、例えばゴールドプラン、福祉十カ年計画の問題とかマンパワー問題とか四百三十兆のいわゆる社会資本整備の公共投資の問題、あるいは大蔵、自治省も言いましたように、自治体の単独事業の拡大問題、これは地域の活性化という一つの目標に向かっている、そういうのをやっていけばいくほどやはりどうしても人間が要るわけです。
 そうしますと、もう今の行政改革を始めてからかなり長い年月がたっておるわけですけれども、これも首長さん方の御意見ですけれども、特に県の地方課からかなりやかましく怒られる。しかし、もう背に腹はかえられない。住民のニーズに対応するためにはやっぱり職員を増員せざるを得ぬのだというのが現在の実態であるわけです。そういう結果、先ほど申し上げましたように約二千名ばっかりの職員がふえたのではないか。もちろん、教職員もおりますし、あるいは看護婦さんなんかもおりますけれども、そういうことでありまして、私が求めたいのは、国の方の行政と自治体の側の行政とは全く違うわけです。直接住民の生活に直結する仕事でもあるわけです。そういう観点から見れば、国の行政改革で定数を減らすんだ、五%減らすんだ、三%減らすんだ、それに準じて自治体をやった場合にはとても対応ができないというのが実は現状であるわけです。そういう中で、やっぱり地方財政計画そのものをもう少し抜本的に見直す時期に来たのではないか、こういうものを含めて、そこが実は第一点です。
 警察がおればあれだったんですけれども、国家公安委員長ですから大臣にお聞きをしますが、今度の場合、警察官五百四名の増員計画が出された。しかし、これは滋賀県と大阪と奈良の三県です。首都圏域とこういう大都市の関係は、確かに行革後も幾らか警察官の増員もされてきました。この間も私若干申し上げましたが、本委員会の調査の段階でも、県警本部の大幹部の皆さんが、これほど暴力団が広域化する、あるいは麻薬問題、青少年の非行問題、交通事故の多発、あるいは国際交流が非常に多くなりまして外国の高官がお見えになる場合の警備の問題とか、警察そのもののいわゆる行政部門業務も非常にふえてきておるわけです。
 私は地元のことを言って大変恐縮ですが、私は福岡県の太宰府に住んでおります、三十年ぐらい前から。私の方は筑紫郡という郡でありまして、五町で成っておりましたけれども、その郡が今四市一町になった。当時は六万人ぐらいの人口だったのですけれども、今は三十万人を超えておるわけです。ところが、駐在所とか派出所の数は依然として昔のままなんです。地元の皆さんが市と一緒になって警察署、県警本部に、たくさんの大学があるものですから少年非行もあるということで、ぜひひとつ派出所をつくってもらいたいという要請を何回もやりました。しかし、県警へ行きますとどうしても一番にひっかかるものが、警察官のやりくりがつかないという実態であるわけです。ですから、土地もここにありますからと土地まで実は示してお願いをしますけれども、ひっかかるのがやっぱり定数問題、それで警察官のやりくりがつかない、こういう実態でもあるわけですね。
 ですから、一般部門でも申し上げましたけれども、これは行政部門のニーズにどう対応するかという視点に立って、行政需要にどう対応していくかというそういう立場から私は定数問題もやはり見直すべきじゃないか。確かに、行政は最小の経費で最大の効果を上げなきゃいけないというのは自治体の役割ですから、あるいは公務員の役割ですから、それに向かって進めていきますけれども、もう既に限界に来ておるというふうに実は思うわけですけれども、大臣、国家公安委員長としてのひとつ御所見を伺いたいと思います。
#131
○国務大臣(吹田ナ君) ただいま渡辺先生のお話を伺っておりまして、全く私も同感の面がたくさんあるわけであります。特に、近時の我が国における地方公共団体の役割と申しましょうか、仕事の内容というものは極めて多様化し、多岐にわたってきました。そして、住民のサービスということに向けて、どの程度までのサービス向上を図るかということについて非常な努力をしなければならない状態になってきておることも事実であります。そういったことから考えてまいりますと、ある一定の人員を確保しなきゃならぬということも事実であります。同時に、また新しい意味においての通信機材やその他の最近のハイテク産業を入れてのそういった機材を市町村役場へ備えていくということでの合理的な運営ができるような方法もこれまたとらなきゃならぬことでもあります。
 そういった意味から、いろいろこれから確かに検討する面が非常に多いものですから、今お話がありました地方財政計画についての見直しの問題ということについての御指摘ありましたが、我々の方もさらに年々歳々状況は変わっていくわけでありますから、これにつきましても十分これからの検討課題として努力していきたい、こう思うわけであります。
 さらに、今警察関係のお話がございましたが、皆様方の御理解によって関西地区でああした定員をふやしていただきましたが、今日も決して充足率が高いわけではないのでありまして、非常に不足しておるところが多いわけでありますから、国民の生命と財産、そうして治安維持という面に日夜非常な努力を警察官してくれておるわけであります。
 そういった意味から私ども常に警察官に感謝しておるわけでありますが、国家公安委員長でありますと同時に、この問題は階級と定数の問題になりますから、どうしてもこれに手を入れるということになりますと、御案内のように閣議で、政令で決めなきやなりません。それが決定いたしましたならば、今度は自治大臣としてそれに財政を賦与するということになってまいりますから、その面では両方私が一人でやっておるものですから、右と左の手を上手に使ってやれば御説のようなこともできないことはないわけでありますが、これにも限界があるものですから、これからまた私もよく御指摘のような点については考えまして配慮していくように、自治省の財政担当と警察庁のそうした定員関係を扱っておる幹部とよく協議ができるように調整を加えていき、今お話がありましたような人口が非常に膨張しておる地域についての不安材料というものが極めて多いというところに、これはにっちもさっちもいかないということがないようにしなきゃなりませんので、またそれなりに検討を加えさしていただきたい、こう思っております。
#132
○渡辺四郎君 自治大臣、国家公安委員長という両方の立場がありますので、ぜひひとつ財政計画そのものをそういう視点に立って見直すということを含めてお願いをしておきたいと思うんです。
 では、交付税関係について少し入っていきたいと思うんですが、釈迦に説法みたいで、大先輩がたくさんいらっしゃる中でこういうことを言っては大変失礼かと思うんですけれども、私は、交付税の性格あるいは位置づけ、ここを明確にしなければ今度みたいな六条三の二項の問題とかあるいは附則の三条の問題ということで議論になってくるんじゃないかという気がするわけです。少なくとも、憲法の第八章で地方自治の原則が定められている、九十二条で地方公共団体の組織運営が保障される、それでその憲法に基づいて地方自治の本旨が定められて地方自治法なり財政法あるいは地方交付税法が定められておるわけですね。
 そういう中で、交付税制度そのものについて少し調べてみましたけれども、歴史を振り返ってみますと、これもお話しなさっておりましたけれども、二十九年の改正前では、地方団体に対し、適当な財源を供与するというのが旧条文であったわけですけれども、これが削除されたわけです。そして平衡交付金がなくなりました。この間大臣ともちょっとお話をいたしましたが、地方交付税にかわってきたわけです。このかわった中で、現在の国税三税の三二%、あるいは消費税の二四%という、いわば今国税五税といいましょうか、こういうことが決められておるわけですが、この交付金そのものは私は当然あるいは自動的に交付税となる仕組みだというふうにこの法律は解釈をすべきだと思っておるわけです。
 そういう中で、本会議の中でも私は、地方自治体固有の財源だということを総理なりあるいは大蔵大臣、自治大臣にもお尋ねしたわけです。大臣も固有財源だということについてお認めになりました。ですから、一部ありましたように、今度の五千億減額問題の段階で、大蔵省の中にいわゆる自治体財政に余裕があるんだというような意見があったというのが新聞報道されておりましたから、私はそういうことはまあ別といたしまして、交付税というのは自治体の固有財源だ、これを政府機関全体が再認識をしていただく、これが当面自治大臣を中心にした大きな役割ではないかと思うんです。
 そういう点で、今日まで本委員会は再三にわたって附帯決議も特別決議もやってまいりました。そういう決議の趣旨を生かしていただく立場から、大臣が先頭に立って政府部内で、交付税は自治団体固有の財源だという立場での運動をひとつやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#133
○国務大臣(吹田ナ君) ただいまの交付税の問題につきましてでありますが、これは国と地方の事務配分と経費負担区分に見合った国と地方との間の税源配分の一環として設けられたる地方団体の固有の一般財源であるということの性格は、もうこれは変わりません。したがいまして、私どもは、この地方交付税というものは、今先生のお説のとおり、地方の固有の財源であるという基本的な姿勢、これはもう政府統一の見解であるというふうに考えてもらっても私はいいと思う。これを動かすことはできません。
 そういうふうに考えておりまして、これからもそういう意味で地方交付税というものは地方公共団体の共通する固有の財源として考え、また地方の団体もその認識はきちっとしておると思いますし、大蔵省においてもその点についてはいささかも違う解釈をしておるとは私は考えておりません。今後も問題があるとすれば、今先生のおっしゃいますように、いずれの省庁にまいりましてもこの点はきちっと私も詰めていかなきゃならぬ、こう思っております。
#134
○渡辺四郎君 そこで、交付税の減額問題について少しお尋ねしてみたいと思うんですが、いわゆる法定による交付税総額の中から本年度の場合二段階の手続で五千億円が減額をされておる。まず四千五百二億円を交付税法の附則の第三条によって特例措置として減額がされた。確かに六十一年度の補正による借入金等でありますが、私、問題にしたいのは、なぜ一般会計から交付税特別会計に繰り入れないで九一年度の国の一般会計の財源に充当したのか。これはこの間大蔵省もお話しなさっておりましたけれども、消費税二〇%の譲与税は直入しておるわけでしょう。そして八〇%は国の一般会計に入れておるわけですから、そういう点から見れば特別会計に繰り入れても何もおかしくあるいは矛盾したことはないと思うんですが、そこらについて、まず大蔵省の方の見解を聞きたいと思います。
#135
○説明員(太田省三君) かねてから御説明申し上げておりますように、平成三年度につきましては、地方財政収支見通しを行いまして、歳出面については投資単独事業でありますとか高齢化社会に伴います地域福祉基金でありまとかいろいろな所要の歳出を十分見込んだ上で、そういう意味では所要の交付税総額を確保した上でなお財源に余裕があるというような状況だったものですから、過去の債務であります交付税特会の借入金の返済でありますとか財源対策債の償還基金の積み立てとかといったようなものに充当した上で、さらに余裕がございました分につきまして、国の財政事情が非常に厳しいということで一般会計が交付税特会に五千億円繰り入れないで国の予算編成に御協力をお願いしたということでございます。
 ただし、これは先生御案内のように、地方交付税法の附則の三条に基づきますいわゆる年度間調整という効果を持つ措置でございまして、これは中期的に地方の交付税総額を安定的に確保するという趣旨でございまして、この五千億円を国が地方から端的に申し上げれば取り上げるといったようなことではなくて、将来これは地方にお返しをするものだ、そういう意味で、先生お話ございましたように、四千五百二億円につきましては過去の地方の交付税特会の借金の返済のスケジュールに応じて御返済をする、一般会計が繰り入れるというふうな措置を講じることとしているところでございます。
#136
○国務大臣(吹田ナ君) 今大蔵省から御答弁がありましたが、その言葉の中にいささか余裕があるような話がありましたが、これは聞き捨てならぬ話でありまして、これは私はそういう言葉は自治省としてはいただける言葉ではありません。したがいまして、大蔵省の極めて強い御要望もこれあり、万やむを得ぬ策として、我々はかつての五十年代に借り入れておりますいわゆる財投に対しまして償還していかなきゃならぬけれども、そのものをとりあえず大蔵省の方にお渡しするということになり、大蔵省がこれを財投に償還していただくという肩がわりの形をとっていただいておるわけでありまして、いささか余裕があるなどという考え方であれば我々の方はこれからの方針というものは全く変えていかなきゃなりませんものですから、この席で私もはっきりと申し上げておきます。
#137
○渡辺四郎君 私は大蔵省に念を押してそうじゃないということを強調しようと思っておりましたら、大臣から言われた。その認識はやはり変えていただかないと、ですから私が一番最初に地方財政計画の中での現状を申し上げたわけです。自治体の状態とはこういう状態だ、だから余裕があるなんてとても現実に合った認識ではない。起債総額そのものを御存じだと思うんです。地方自治体は、六十八兆円の借金を持っておるわけです。そういう実態の中ですから、絶対に大蔵省自身もそこらは地方の財政の状況をよくひとつ頭に打ち込んでいただいてこれから自治省との折衝に当たっていただきたい、強く私は求めておきたいと思うんです。
 先ほどから言いますように、交付税というのは固有財源だ、大臣もそう明確におっしゃっておるわけですから、そういう点から見れば、今度の減額そのものについては私はやっぱり法律違反じゃないか、あるいは場合によっては暴挙じゃないかというふうに実は言いたいわけです。きのう、参考人の三人の先生方からもお話がありました。二人の参考人は、特に中西参考人はいわゆる法律違反だということを言わざるを得ぬという表現もありました。
 ですから、そういう等々の問題がありますから、私は交付税法の第三条の第二項、ここで、「国は、交付税の交付に当たっては、」この交付税とは、これは御承知のとおり、第六条の第二項に基づいての総額なんです。ですから、大臣がおっしゃる、私が言います、この総額が固定財源だと。この交付税について条件をつけたり、あるいは制限をしてはならないというのが交付税法の第三条の第二項にあるわけです。こういう点からいっても、きのうの参考人の先生方もやはり法律違反じゃないかという御意見もあるんです。私らも非常に大きな実は疑問を持っておりますけれども、これはひとつ自治省の方に私の見解が、考えが間違っておるかどうか、お聞きをしたいと思います。
#138
○政府委員(小林実君) 今回の措置につきまして法律違反ではないかという御指摘でございます。
 平成三年度の対策につきましては、歳出面におきまして必要とされる財政需要を的確に見込むとともに、財政の健全化につきましても一層その推進を図った上で、国の予算編成の段階で国庫当局から強い協力要請がありまして、交付税特別会計の借入金の繰り上げ償還等に実質的にかわる措置といたしまして減額をすることとしたわけでございます。私どもは、今回の措置は交付税の総額の安定的な確保を規定している附則三条等に基づいて講じたものでございまして、交付税の性格から見ても許容されるというふうに思っておりますし、地方団体の御理解も得られるというふうに考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、附則三条に基づく措置につきましては、法律の改正を国会にお諮りして必要な措置を講ずるということでお願いをいたしておりまして、その辺のところは御理解をいただけるのではなかろうか、こう思うわけでございます。
#139
○渡辺四郎君 先ほど大蔵省の方からもお話がありましたが、余剰という考えの中に、余剰はないということはもうわかったと思うんですけれども、地方団体では交付税特別会計の借入金の繰り上げ償還をやった、あるいは地方での財源対策債の償還基金の積み立て、こういうものを指して余剰があるというふうに考えたのではないかと思うんですね。ですから、前倒しの返済ができるということになれば、金がなければ借金返しはできないわけですから、そういう点から見れば何か余裕があるかのように錯覚を持つと思うんですよ。しかし、これは今言いましたように、借金の返済金ですから、これを余剰金というふうなことになれば、民間の税務処理上の問題は一体どうなっておるのか。借金償還に計上された歳出、これは費用として税務上は構成されておるわけです。ですから、一般通念としてはそういうことなんです。借金返済の準備ができた、努力してたまったから少し前払いをしよう。それによってその企業自身が余裕があるとかいうことじゃないわけですね。ですから、税務処理上の問題としても費用としてこれは認めておる。そういうやっぱり今の自治体の実態なんです。たまたまここ一、二年全体的な景気に刺激をされて税収の伸びがよかったという状況の中で、さっきから言っている五千億の措置を自治省と大蔵省のお話の中でやってきたと思うんです。
 私は、今度の措置を、地方からいえば百歩譲って認めたというふうにしても、それはなぜかといいますと、国が多額の赤字国債を持っておる、そういう中で国の財政再建に地方は協力をしたんだというやはり考えがあるわけです。ですから、先ほどから何回も申し上げますが、交付税制度の本来の趣旨からすれば、私は税収がずっと残っていく、交付税総額、計算した総額がたくさん余るというのであれば、本法、いわゆる交付税法の六条の三の二項を変更して、交付税率そのものを三二%、三四、三六に引き上げていくというのが法律の趣旨ではないかというように思うんですが、ここらはひとつ自治省の見解をお伺いしたいと思うんです。
#140
○政府委員(小林実君) 法六条の三第二項に関しての御質問でございます。
 交付税法第六条の三第二項に該当する場合には、地方行財政制度の改正または交付税税率の変更を行うものとされております。しかし、この六条の三第二項に規定する地方行財政制度の改正というのは、必ずしも恒久的な制度改正のみを予定しているものではないわけでございます。例えば、経済情勢が変動期にあるために将来に向かっての的確な財政の見通しが予測しがたい状況にあるような場合には、さしあたり当該年度の地方交付税の総額を増額する特例措置を講ずることもこの制度改正に該当するというふうに解されておるところでございます。
 こういう考え方から、過去におきましても、昭和五十二年度には単年度の措置といたしまして交付税特会の借入金の二分の一を国が負担することといたしましたし、さらに昭和五十三年度にはこれを制度化することとしたところでございます。また、昭和五十九年度には、交付税総額について特例措置を講ずる制度を設ける、先ほど来御質問がございました附則第三条の規定を設けるなどの措置を講じたわけでございます。過去におきまして、この六条の三第二項の規定に該当するような時期におきまして交付税率の引き上げは行わなかったけれども、六条の三第二項の趣旨に沿う措置を講じてきたものというふうに考えておるところでございます。
 最近におきましては、五十九年度の制度改正によりまして設けられました附則三条によりまして、それ以来これまで特例加算がされてまいりましたし、今回は、お願いをいたしておりますように、実損をかけない形での減額というようなことでお願いをしているところでございます。
#141
○渡辺四郎君 今交付税措置問題で、五十九年にこの附則三条が設けられて、いろいろ調べてみましたところが、石原信雄さんのいわゆる「地方財政調整制度論」という冊子がありまして、読ませてもらいました。これによりますと、地方の財源不足に対処し、総額安定確保のため、一般的には特例増額が前提とされているものです、というのがこの附則三条の内容だと。この条文をずっと読んでみますとそういう趣旨で設けられておりますが、減額についても実は次のように触れておるわけです。特例措置の内容は、地方財政の現状では、当面交付税の特例加算しか考えられない。が、将来、地方財政の収支が好転する場合には、交付税特別会計の借入金残高の軽減による交付税安定確保のため、必要な範囲で特例減額を行うことも理論的にはあり得ると、これが石原さんのこの特例措置に対する解釈なんです。
 ですから、交付税特別会計の借入金の残高を軽減するための範囲内にとどめるべきだというふうにこれは解しておりまして、私自身はそう解するわけですが、ですから、今回の特例減額措置を、先ほどから言いますように例え認めたとしても、ここで自治省にぜひ明快にしておきたいというのは、本年度の措置によって特別会計借入金の残高は理論的にはゼロになったと思うんです。私は、附則第三条の趣旨に沿って、今申し上げました石原さんの解釈等引用しましたけれども、お聞きをしたいのは、あるいは確認をしておきたいのは、九二年度にはこの附則第三条によって特例減額はもうない、できないというふうに確認をしたいと思うんですが、自治省の方も同じ考えかどうか、ひとつここは明快にお伺いをしておきたいと思う。
#142
○政府委員(小林実君) 平成四年度のことにつきましてここで申し上げられるだけの資料もございませんし、的確に申し上げられる段階ではないわけでございますが、交付税法附則第三条につきましては、ただいま御質問がありましたように、五十九年度制定時におきましては、財源に不足を生じた場合に特例加算をするということを主として想定をしておったということでございますけれども、当時におきましても、状況によりましては、この交付税の総額の安定的な確保に資するものであるならば特例減額を行うこともこの規定の趣旨から見て適切を欠くものではないかというふうに考えているわけでございます。
 いずれにいたしましても、明年度以降どうなるかということを現時点で申し上げ得る状況にはないわけでございますけれども、基本的に地方団体が財政運営を円滑に実施できるよう、特に地方団体の固有財源であるという性格を踏まえて対応していかなければいけないと思っております。
 第三条の適用につきまして、特に総額につきましては、各年度の財政状況に即して法律の改正を国会にお諮りして必要な特例措置を講ずるということでございますので、この程度で御了解いただきたいと思うわけでございます。
#143
○渡辺四郎君 確かに立場があるからそういう御返答だろうと思うんですけれども、私は、今度は認めたとしても、これから後はこの附則三条による今回みたいな措置は絶対に認めるわけにはいかないということはひとつ念を押しておきたいと思うんです。なおかつ、ことしの場合、非常に税収が伸びたというのであれば、さっきから言いますように、交付税そのものの基本の率を引き上げていく、こういうところにやっぱり視点を持っていくべきだということを、ひとつこの関係の部分では最後に強調しておきたいと思うんです。
 次に、これも何回か質問がありましたし、岩本委員からもありましたが、東京の都知事選挙の中で出されました磯村候補の一兆円減税問題で、実は私も福岡の選挙事務所におりまして、ぜひひとつ地方税の減税闘争を起こそうじゃないかと、かなりな労働組合の幹部とか党の幹部の皆さんがそういう話をしてきたわけです。私は、これはやむを得ないことだ、いわゆる地方自治体の財政の仕組み、そういうものがどういうものかよくわからないから、東京でできて何で福岡で地方税の減税ができないのか、ぜひひとつ議会請願、署名活動を起こしていこうじゃないかという話がありましたから、本当のところ、私は口が悪いものですから、まあ待てということで実は抑えてきたわけですけれども、総裁のお墨つきまで出たものですから、特に全国の自治体諸君の中にはかなり広がっておるわけです。ですから、もしもそういうことで、請願権を皆持っておるわけですから、あるいは条例改正権を持っておるわけですから、地方税減税の請願が出されて議会が採択をした、そうなれば大きく基準財政収入額に影響するわけですが、もしも不足をすれば交付税で補てんをするかどうか、まず第一点聞きたいと思うんです。
#144
○国務大臣(吹田ナ君) まあまあ先生、減税問題で全国的に声を上げるなどというようなことはひとつ御勘弁願いたいわけです、それでなくても、さっき大蔵省が言うように、余裕があるなどというような話が時に出るわけですから。やはりそういう東京都とか特別な、先ほどもちょっと話が出ておりますような、財政的には非常に強い、財政力指数一〇〇以上のところもあるわけでございますから、そういったことも候補個人が言ったことでもありますし、自治省は何らこれに関与していないわけであります。ただ、自由民主党総裁としてこれを激励したということから今日まだ尾を引いていると思っておりますが、これはやはり地方財政の健全な確立を図っていかなきゃならぬということと、長い今日までの地方行政の起債と交付金との組み合わせの歴史というものがありますから、こういった歴史を尊重しながら事を進めていき、基本的には全域にわたって財政的に弱い町村が余りないようにしていかなきゃならぬ。そこには、先ほどからも述べておりますが、単独事業ででも、あるいは交付税で面倒を見ても大いに社会資本を充実して、生活の基盤あるいは生活環境というものを充実しないとこれからますます人口の減少というものを加速をさすところが出てきます。
 そういうことで、三十八万平方キロの日本列島を均等にひとつ整備し、立派な地域社会をつくっていこうという建前からいたしますと、今日の状況でこれから我々に対しましても御支援を願いたいわけでありまして、どうぞそういう点で御理解をいただきたい、かように考えるわけであります。
 以下、詳細には、局長がおりますから、局長から答弁をさせます。
#145
○渡辺四郎君 私が心配をしたのは、確かに総理じゃない、自由党総裁だ。ですから、磯村候補自身の公約であれば、候補者ですからこれは別です。しかし、政権党の総裁のお墨つきを与えたというやっぱり重みがあるわけです。
 私はなぜそれをくどいように申し上げるかといいますと、これはお聞きをしたいわけですけれども、実は私はアメリカに行って調査をしてきたわけです。一九七〇年代の後半から、いわゆる通称提案十三号あるいはジャービス提案と言われた住民運動が発端になって、アメリカ全土の各州を中心とした自治体が猛烈な減税闘争に入りました。自治体が倒産したところもあります。アメリカの場合は財政がなければいわゆる倒産できる仕組みになっておるものですから、東部海岸のメーン州のセイコという市が破産をしてなくなってしまったわけです。
 こういうことを現地で調査をして知っておるものですから、この提案十三号によってアメリカ全土にどういう影響が起きたのか、この提案の目的は一体何だったのかというようなことについて、わかっておる部分があればお聞かせ願いたいと思います。
#146
○政府委員(湯浅利夫君) 御指摘の提案十三号事件は、アメリカのカリフォルニア州におきまして、当時の地方税が、具体的には財産税を中心にしておりますが、これが非常に高いということで、それの大幅減税を求める住民発案が出されたわけでございまして、住民投票によりまして財産税の最高税率を一%にするとか、あるいはこの財産の評価額は一九七五年の台帳価額として、以後の評価の上昇率を年率二%を限度とするというようなものとか、それらを中心にいたしました内容の案が成立をしたわけでございます。この提案が出ました直接の動機は、先ほども申しましたように、歳出要因が非常に大きくなったということで、一つはやっぱり住民の行政簡素化の要求というものが住民投票によります減税という形をとってあらわれたというふうに私どもは理解しているわけでございます。
 それが引き金になりまして、今御指摘のようにアメリカの全土におきましてこの減税要求の運動が出たわけでございます。これが結果的に自治体の行政改革とか、あるいは歳出削減の契機になったということは、これは否定できないわけでございますが、反面におきまして税収が非常に激減した。ただいま御指摘のように破産したというようなところもございますけれども、一般的に見ましても、例えばカリフォルニアの地方団体におきましても非常に税収が激減いたしまして、それを州の政府が緊急の財政措置としてとりあえず援助したというようなことで当面の財政危機は回避されたわけでございますが、それ以後、歳入面におきまして地方団体が州政府に対して非常に依存度を高める、補助を当てにするというようなことになったと言われているところでございますし、また連邦政府からの州に対する助成金なり交付金というものが減ってきたということもあって、州の財政が各州において非常に難しくなってきたというようなお話も聞いております。
 また、財産税そのものの内容につきましても、この固定資産の価格が、先ほど申しましたように価格の評価を一定割合以内に押さえるというようなことで、一種の凍結状態になっている関係で再評価が非常に難しい、やったといたしましても非常に不公平な状態が出てくるというようなことで、現在財産税の運用につきましてもいろいろと問題が出ているということを私どもも調査によりまして承知しているところでございまして、自治体のこの減税運動というものは、それぞれの地方制度の違いがございますから一概にこれを税の面だけで評価するということはなかなか難しいわけでございますが、我が国の地方税制の場合には、特にやはり同じ行政サービスをどの地域でも受けられるということを前提にして、税負担につきましても、基本的には一定の基準で全国一律に負担をしていただくということで地方税制をつくっているわけでございますので、こういうことを踏まえてそれぞれの自治体の課税自主権というものを運用していくべきではないかというふうに考えているわけでございます。
#147
○渡辺四郎君 結果論として悪い部分を余り言わなかったわけですけれども、私はここにこれほど資料を持っておるわけです、提案十三号の内容の資料は。これらを勉強させてもらったわけですが、カリフォルニアを初め多くの州あるいは自治体で警察官から消防職員からたくさんの人員整理、解雇がされていったわけです。それがいわゆる人種差別問題まで発展をしていってアメリカ全土で大変な問題になってきた。住民は減税ということで飛びついていった。結果としては、自治体の収入がなくなった、減ってきたというんですから、教育、福祉関係を含めた使用料、手数料というものは猛烈に逆に上がっていったというようなことで、だまされたんだというふうに気がついた。そのときは結果的にはおそかったという事実があるわけです。
 ですから、私が大臣申し上げたのは、確かに立候補者というのは公約は自分勝手にいいでしょうけれども、そこにやっぱり一国の総理である総裁がお墨つきを与えるということについてはやっぱり慎重にしてもらいたい、これはもういろいろ言いませんが、最後に私の方から要望して質問を終わりたいと思います。
#148
○常松克安君 私は、大蔵省とお話をさしていただくのはこれが生まれて初めてでございますので、いろいろお教えください。
 今回の五千億減額について、大蔵省、自治省の話し合いの中で、交付税税率下げということを求められましたでしょうか。
#149
○説明員(太田省三君) 地方財政収支見通しを年末の段階で両省で行いまして、それを踏まえて地方財政対策をどうするかということの中ではいろんな話し合いを行いましたけれども、今先生御指摘のようなことについて特に議論をしたということはございません。
#150
○常松克安君 それでは四千五百二億円、これについて、四年度から十三年度まで国が責任を持って肩がわりして借金返しをしてやる、こういうことでございますけれども、これの利子はこの中に含まれているんでしょうか。
#151
○説明員(太田省三君) 六十一年度の補正で交付税特会が借り入れをしましたその金利につきましては、元本は地方の負担ということになっておりますが、金利につきましては国の方で負担をするということになっておりますものですから、今回の措置によってその金利の負担が変動するということはございません。
#152
○常松克安君 では、もともとから、金利については国の方で責任を持つということであったわけですか。
#153
○説明員(太田省三君) 借り入れをした時点で、地方財政対策の結果、そういう措置をとったということでございます。
#154
○常松克安君 じゃ、自治省に聞きます。
 この四千五百二億円、これが今回の措置なくして年度別に返済するときには、利子は加わらなかったんでしょうか。
#155
○政府委員(小林実君) これは六十一年度の補正のときには、そのときの折衝の過程を申し上げますと、まず附則三条というのはそのときにできておりましたから、本来であれば一般会計から出すべきものであったわけで、それで結局国が利子を負担するということで借りたわけでございます。
#156
○常松克安君 じゃ、四月十一日に大蔵大臣が胸を張って我が党の小谷委員に述べられていることについて、逐一大蔵省にお尋ねいたします。ここでははっきりと「財源に余裕がありますことから、御相談をしてとった措置」、こう大臣答弁していらっしゃいますが、この「余裕」というのはどういう意味なんでございましょうか。
#157
○説明員(太田省三君) 先ほども議論になりましたが、所要の地方交付税総額を確保したということでございまして、特例減額をするに当たりまして、本来必要な交付税総額まで削減をして国の予算編成に御協力いただいたということではなくて、所要の歳出を、十分歳出項目を見込んで、それで所要の交付税総額を確保した上で、さらに過年度の債務の返済にも充当した上でという意味で余裕というふうに申し上げているわけでございます。
#158
○常松克安君 じゃ、余裕といいますのは、単年度における計数上の余裕で、地方財政も六十八兆も借金がたくさんある、あるいは過去において金がなかったときにどんどん起債を起こして地方は大変苦しい、そういうことは抜きにして、単年度の数字だけ見た上の余裕という、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
#159
○説明員(太田省三君) かねてから地方財源の余剰とかあるいは財源不足とかいうふうに申し上げておりますのは、単年度単年度の地方財政収支見通しの結果、当該年度において財源不足が幾ら、何兆円生じるとか、あるいは余剰が幾らあるとかいうふうに議論をいたしておりまして、一般的にもともと債務が、地方債残高が幾らあるからとかいうようなことを特に念頭においてそういう言葉を使っているということではございません。
#160
○常松克安君 じゃ、自治省にお尋ねいたします。大臣、怒るときは怒って言ってくださいよ。
 そういうふうな言い方、両面をここで、委員会でおっしゃっているわけです、大蔵大臣は。片方では余裕という言葉が出るし、片方ではこういう意味においては固有の財源と言うし、しかしまたこういう見方からすれば固有の財源とは認めないと、多面的な答弁が出ているわけですね。
 その余裕ということについてもう一度、私が申し上げる単年度の数字だけから見るならば余裕というふうなことの意味合いが通るのかどうか、お答え願います。
#161
○国務大臣(吹田ナ君) これは、私は自治省を代表しておる者ですが、少なくとも余裕というふうには見ておりません。大蔵省の極めて強い要望に自治省が御協力申し上げた、こういう解釈で今日まで毅然としておるわけでありまして、前大臣からもそういうふうな話で私は引き継ぎをいたしております。
#162
○常松克安君 いま一度大蔵省にお尋ねいたします。
 大臣の答弁の中には、「地方の固有の財源ではない」、こういうふうに申されておりますが、主計官のお感じはいかがでございますか。
#163
○説明員(太田省三君) 今先生御質問の点につきましても、一昨日の当委員会におきましてもお答えいたしましたように、大蔵大臣が申し上げましたのは、地方交付税は地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように、地方団体の財源調整のため国が地方に交付する使途制限のない一般財源である。また、その総額が国税三税……
#164
○常松克安君 そういうことわかって言っているんですから、結論だけおっしゃってくださいよ、時間がないんだから。
#165
○説明員(太田省三君) 国税三税の三二%というふうに法律に決められておる。したがって、その法律に決められた部分は、当然地方団体に帰属するいわば地方の権利のある財源であるという意味で地方の固有の財源であると申し上げておりました。
 ただ、……
#166
○常松克安君 座ってください。
 じゃ、自治省にお尋ね申し上げますが、別の面を考えて、次の四百九十七億円、これはあるとき払いの催促なしという趣旨においての借金であるかのように私は認識しておりますが、いかがでしょうか。
#167
○政府委員(小林実君) 六十年度の補正のときに出た交付税の国に対する借金でございまして、御指摘のとおりといいますか、御質問のとおりと解釈しております。
#168
○常松克安君 じゃ、もう一度大蔵省にお教え願います。
 万々一に、本年度こういうふうな地方財政計画上から、いろいろな数値から見て、そちらがおっしゃいますところの余裕があるとした場合は、これに対して国は借金がえらい苦しい、国際化にも生きにゃいかぬ、いろんなもので金が要る、だからもう一度こういう論議の話し合いということが想定されるでしょうか。
#169
○説明員(太田省三君) 先ほど申し上げましたように、かねてから財源過不足というのは当該年度についての収支見通しの結果生じたものについてということで考えておりまして、そういう所要の交付税総額を安定的に確保するということで、地方交付税法附則の三条に基づいて特例加算あるいはまた特例減額を行うというふうに理解をいたしておりまして、今後どういう事態になるかわかりませんが、それぞれの状況に応じて、必要があれば所要の交付税総額を確保するということで附則の三条の適用もあり得るというふうに考えております。
#170
○常松克安君 今度は逆に自治省にお尋ねいたします。
 本年度末にかような事態が生じた場合、そういうような話し合いに入っていった場合、今度はどういうふうな措置をされるんでしょうか。
#171
○政府委員(小林実君) 平成四年度のことにつきまして今申し上げられる状況にはないわけでございますが、三条の趣旨、交付税の総額の安定的な確保に資するための必要な特例措置ということで、あるとすればそういうことで対応していくということでございます。
#172
○常松克安君 この資するという読み方は、我々ごときが云々申し上げるべきじゃないかとは思いますが、少なくとも地方が苦しんだときに資するということの読み方であって、国がえらいから地方から金を吸い上げる、資する、そういうふうな逆説的な読み方というものは、この法の読み方自体が私は誤っていると思いますが、いかがでしょうか。
#173
○政府委員(小林実君) 交付税が地方団体の共有の、固有の財源でございますので、私どもはあくまでも今後の地方財政運営に支障が生じないという観点から判断をするわけでございまして、そういうことで御理解をいただきたいと思います。
#174
○常松克安君 少なくともこの五千億ということがありました場合、地方がどれほど政策の実現のために供することができるか、いずれどういう形、どういう内容でありましょうともこれはカットでございますから、それだけこれから公共の事業なりいろいろな背負わされているものでこれだけのものがあればというふうな一面の考え方もございます。しかし、国と地方とこれは分けられるものじゃございませんで、少なくとももう国税五税、八〇%の税というものが地方交付税の対象金額ということからしますと、この計らいもこれから非常に厳しい状況になってくると思います。何も大蔵省も自治省をいじめてやろう、力が弱いからちょっとひねり出したら金出すやろう、こういうふうな横着なことは一切ございませんのであって、ただ、剰余したときにもう一つ論議をしていきますと、例えばこれから基準需要額の算定だとか補正率だとか、こういうものが非常に硬直しているんじゃなかろうか、こう考えるんです。
 消防庁長官、ぜひ事例としてひつとお教えください。例えば、そちらで基準財政需要額の中に、救急車は一台三百四十万、こう言っているんですね。ところが、現場へ行くとそんな金で買える救急車は一台もないわけでございますね。それから第二番目には、人口十万を対象にしてやっていますと、予備軍を含めて三台、こうでございますね。ところが、現場へ行くと三台どころじゃない、三台で今の救急業務はやっていけないわけでございます。こういうようなことで、基準財政需要額というふうなものが非常に今様の時代に合っていない。それでなくとも地方の方は超過負担で苦しんでおります。こういうときにこそ、こういうふうな五千億のやりくりを、こう薬張りというようなことをせぬとしっかりとしたものを、ここでは現実中央でお考えなさっているのと第一線でやっているのと差がある。こういうふうなことで、これらとあわせて基準財政需要額は検討の段階に入っているんじゃなかろうかと私は危倶申し上げますが、いかがでございましょうか。
#175
○政府委員(小林実君) 平成三年度の場合にも、多極分散型国土の形成、ふるさと創生関係の経費とか、あるいは投資的事業につきましては単独事業の経費を一割ふやす、あるいは一般行政経費におきましても社会福祉系統の経費を七・四%に伸ばす、こういう措置を講じたわけであります。地域福祉基金の創設とか土地開発基金の増額もお願いをいたしておるわけでございます。
 今後とも、ふるさと創生あるいは公共投資基本計画あるいはゴールドプラン等々、その他消防ももちろんでございますけれども、多様な財政需要がありますので、それにこたえられるようにまず財政計画をつくり、それに対応して交付税措置をするというふうに努力をしてまいりたいと思います。
#176
○常松克安君 それはよくわかるんですけれども、基準財政需要額の見直しというものが制度的に言ってもある面ではぼろぼろだと、現実に合ってないという例を先ほど申し上げたのです。
 それではまず、消防庁長官の方からその辺のところのお答えをいただいてから論議を進めます。
#177
○政府委員(木村仁君) 交付税措置におきましては三百四十万円の単価が使われておりますが、実際にはその対象とされている以外の器具等をつけ加える場合等がございまして、そのために契約額は相当多額になっております。ただ、国が補助対象としておりますものの経費を調べてみますと、百万近く高いものもありますが、ほぼ三百三、四十万で購入しているものもたくさんあるというのが実情でございます。
#178
○常松克安君 再度また、例えで申しますと、今ここでそう答弁されているんですね。ところが、現場へ参りますと全然違うのですね。しからば、同じように基準財政需要額も、自治省として現場の調査を何年になすったのが今の基準になっているんでしょうか。
#179
○政府委員(小林実君) 基準財政需要額につきましては、これは毎年度地方団体からの御要請がございますし、それから各省庁からの御要請がございますし、また国庫補助制度につきましては国庫補助基準というものがございますので、それを基本にいたしましてこれは毎年見直しすべきものは見直しておるわけでございまして、この点につきましては一応標準的な行政経費ということで標準的なところに視点を置いておりますので、個別具体の地方団体におきまして実態に合わないとかそういう御意見は出てくるかと思いますが、そういう全体の点につきましては、各地方団体では各省庁の御意見も聞きながら必要があれば直すべきものは直してまいらなきゃいかぬ、こういうふうに思っているわけでございます。
#180
○常松克安君 その意味合いはよく存じた上で申し上げたのです。
 じゃもう一つ、本年一度、何かの税務調査じゃないですけれども、どこかの何々担当事務官とある一覧表を持って現場へ行かれて、どういう、いかがなものの誤差があるかということの調査をやはり私はすべきじゃないか。ところが、レクばっかりなんですよ、数値が合わないのです、現場と。こういうふうなものをして、きちんと需要額というものがかくあり、そしてこちらに借金があり、計数的には景気不景気の動向に、五税によるとこういうようになった。だから現実を、これを変えていけば、国が借金だからといってそういうふうなものを持っていかなきゃならないような――自治省としてはこの五千億というのは胸を張った措置では私はないと思うんです。苦渋して苦渋して、もう悩んで悩んで悩んだ上、ただ一点、両大臣の覚書。しかし、過去何年間、覚書がございますか。しかし、それがまともにいったことがないから何度となく行く、掘り下げてみますとそういうふうなところがあります。
 もっと具体的に申しましょう。例えで申しますと、耐用年数というのがございます。消防車にしても救急車にしましても。この耐用年数というのは、現場へ行きますと五年の耐用年数を認めて計算しているところもあります。七年もございます。しかし、現場へ行くとこれは十二年使っているのもあるんです、現に。ところが、需要額で定められてもこれは一般財源に入ってしまいますから、首長さんがそういうようにいろいろバランスを使っていくのは当然であります。そうしますと、この基準財政需要額というものをもう少し本当に、これから高齢化社会を迎えるとか福祉が重要になってくるとか、こういう面からしますと、その辺のところでしていかないと屋上屋を重ねる、そういうことがありますから、高齢化社会に向けて福祉基金を二千百億円積みました、それによって高齢化の部分はこれだけふやしました、この間聞かさせていただきました。こういう部分的じゃなくてもっと基礎というものを、真っ暗やみのトンネルへ入った、トンネルから出るともう一遍原点へ戻るということもあるんですから、この基準財政需要額というものは、もう皆さんがお示しになることは下にとっては神様仏様、鉛筆で一つ書き直しても相ならぬという命令書みたいなものですよ。そこで超過負担が生じたりいろいろするわけなんでございますね。
 ですから、もう一度くどいようでございますけれども、私はそういうふうに個々の見直しの努力はしていらっしゃると存じますけれども、基準財政需要額、こういうふうな問題というものを相改めて、現実の調査の上で組みかえをしていくというような策定があってしかるべきかと存じますが、いかがでございましょうか。
#181
○政府委員(小林実君) 基準財政需要額につきましては、とにかく地方財政計画で大枠が決まりまして、個別の費目ごとに地方負担額、単独も含めまして積算をいたしまして標準団体に落としていくという作業をいたしておりまして、その段階におきまして、あくまでも標準的な経費というのが基本になっておりますので、今御指摘がございましたようなことでいろいろな御意見があると思います。そういう御意見は、今も御指摘も受けましたし、また地方団体からもたくさん要望がございますので、それを踏まえて私どもは常に見直すという態度で臨んでおりますので御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#182
○常松克安君 じゃ、警察庁の方へ移ります。
 昨日は全国の交通部長会議を緊急に招集し、今後の対策をいろいろな形で命令を下されたようでございます。御苦労さまでございました。
 なお一点、道交法の改正に伴いまして駐車対策を物すごく力を入れていらっしゃるかに思いますが、このことによって出てきた現在までの効果、ひいては交通事故対策がこれに匹敵するんだという自負を持っていらっしゃるようでもございます。お話を伺いたいと思います。
#183
○政府委員(関根謙一君) 昨年、道路交通法の改正をしていただきました。その施行がことしの一月一日からでございます。今回の法律の施行につきましては、吹田大臣からもしっかりやるようにとの御指導をいただいておりまして、警察といたしましても、現在可能な限りの執行力を駐車対策面に投入をして駐車問題に当たっているところでございます。
 その成果でございますが、現在は警察庁に高速道路課長をキャプテンとするプロジェクトチームを設けまして、そのもとに各都道府県でも特別なチームをつくって対応しているところでございますが、特に東京、大阪にその成果があらわれつつあるように感じております。これは、駐車の待ち時間の問題でございますとか、駐車台数の削減、減少等の面であらわれているわけでございますが、それにあわせまして、交通事故防止といった観点からも成果が出ているように存じます。
 昨日現在でございますが、昨年に比べまして死者数五十一人の減でございます。統計で見てみますと、三月中まででございますから、一般的な傾向を年の四分の一の期間で判断するのはやや早計かとも存じますが、特に、若者で私の用途のために自動車を使っておりましてそれによって事故が生じた結果生じた死者数、これが昨年に比べまして三月までで六十人の減でございます。運転免許を取得して一年未満の方が起こした事故によって生じた死者数は四十五人の減でございます。
 駐車対策の副次的な効果ということもあろうかと存じます。それにあわせまして考えられますのは、一昨年の十二月に道路交通法を改正していただきまして、初心運転者期間制度というものを設けさせていただき、これを昨年の九月から施行しております。その成果もあろうかと存じますが、いずれにしましても現在交通警察、比較的スムーズに運営ができているようにひそかに考えているところでございまして、ぜひこの傾向を今後とも持続させていきたいと考えているところでございます。
#184
○常松克安君 ちょっと飛び飛びになってまことに恐縮でございますが、交通対策については格段の御尽力を尽くしていただきたいと存じます。
 もう一度戻りますのは、地域福祉基金の件について、かねて私も主張してまいりましたけれども、過疎の村や町で高齢の比率が多いところは幾分なりともこの基金というものを通して厚目にしていかねばならぬ、こういうふうに主張いたしました。それを大きく受け入れていただいたわけでございますが、与えられる金額は一千万あるいは中には五百万というところもあるのかなと。しかし、元金を食うわけにいかず、金利でやりくりせよということで、金利はどのぐらいの想定で、いかほどまでの効果があるんだろうか。
 それから第二番目は、これは同僚議員からも質問がございましたけれども、どうしたところで一応民間ということを想定しての率が建前、しかしそんな利息を一年間ためて五万円や十万ぐらいで民間を探そうと思っても、また協議会をつくって月一回会議した、会議費でお流れになって何にもいかないというような非常に不測の事態もございます。この辺の二点だけ確認をさしておいていただきます。
#185
○政府委員(小林実君) この福祉基金は、昨年の決議もございまして、その意向を踏まえましてお願いをいたしておるわけでございます。何せ初めての試みでございまして、これで十分かどうか自信はないわけでございますが、各地方団体の取り組み、基金の活用状況等を見まして今後の対応を考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
 それから、この基金は、果実を運用する形で想定をいたしておりまして、民間の先導的事業への助成を想定しているものでございますが、これは実は地方団体が直接自治する施策につきましては、先ほども申し上げましたが、一般行政経費で七・四%の増、二兆四千億の財政計画を組んでおりまして、まあそれはそちらで対応していただいて、この基金による果実はそのほかに民間の先導的事業への助成に使ってもらったらいかがなものであろうか、こういうことで考えております。
 しかし、これはいずれにせよ最終的には地方団体が御判断になることでございまして、自主的にどういうふうにお使いになるかは決めていただければよろしいわけでございます。
#186
○常松克安君 最低の場所は幾らぐらいなんでしょうかね。
#187
○政府委員(小林実君) 人口が一番少ない村が愛知県の富山村というのがございまして、ここは老齢人口比率も高いんでしょうか、一千三百万ぐらい参りまして、全国三千三百の市町村の中で最低でも一千万は行くようにしようというふうに考えているわけでございます。
#188
○常松克安君 じゃ、最後のけじめといたしまして、やはり同僚議員の方々も、今回の五千億の減につきましてはある面では非常に憤りがあり、ある面ではやむを得ないという声これまたあり、いろいろございましょうけれども、大臣として今後の問題も、私は推測するに来年度も必ず起こり得る問題であると、交付税、率、こういうところの本質的な問題にも必ず論議がいろんなところから醸し出されるものであろう。一面、大臣は胸を張って、固有の財源だ、こうおっしゃいますけれども、片っ方では既にそれは固有ではないというような見方、立場が違えばいろんな言い方あってもこれは自由なんです。しかしながら、これはもう営々と積み重ねられてきたこの問題が、地方自治体にとっては大変大きな問題。じゃ、そういうふうになったときにどういうふうにして防げばいいのか、この辺のところを大臣のお考えをきょうは最後のまとめとしてお伺いしておきたい。
#189
○国務大臣(吹田ナ君) 大蔵省も固有の財産であるというのを否定しておるわけじゃないのであります。だから、固有の財産であるということは認めているわけであります。ただ、こういうような解釈からすれば多少の言い分があるということであって、決して固有の財産に傷のつくような発言を橋本大蔵大臣もしておるわけではない、こう理解しておるわけでありますが、いずれにしましても、明年度の問題は、先ほどから局長も述べておりますように、まだはっきりしたことの状態をここで申し上げるような状態ではありませんが、過般来から衆参で御協議されておる福祉の問題からしましても、ホームヘルパーの問題やその他の確保の問題等からしますと、今のような状態でいいのかというような話が出ますね。
 私もこういうところで個人的な発言をしてはどうかと思いますが、いずれにしましても、ある一定のお勤めをしてもらうということになれば、それなりの勤務の安定性と申しましょうか、ある程度は月給制とかいうような形で、それが公務員であるかどうかというのは別にしまして、一つの日給月給のような支払い方法でなしに、ある一定の生活の基盤が保障されるようなそういう制度というのは、やがてつくられていく時期が来るんではないか、こう思うんですね。
 そういうようなことを考え合わせていきますと、これからの福祉関係等には相当の経費も必要であります。それから、単独事業も必要になってまいりますし、そういったいろいろなもろもろのことを考えてまいりますと、それは確かに余裕があるというような県もありましょう。ありますが、総体的には非常に弱いわけでありますから、こういった点もよく検討しながら、また大蔵省からの御相談があるとすれば、それはそれで話し合いにはいつでも応ずると。
 ただし、それは応ずるから金を出すという意味じゃないわけでありまして、話し合いもしないというのは、これはもう民主主義のルールに反するわけで、やはり国家財政というものは一つの基本でありますから、これは大事なものであります。国家財政を考え、そして地方財政を考え、そこに調整を加えていかなきゃならぬという時期が来るか来ないか、この辺につきましては、今私はこの席でどうこうということではないと。ただ、さっき局長が言うように、基準財政需要というものは年々見直していけば、かなり大きな基準財政需要というものの単価更正をしなきゃならぬ状態にあるのではないか、こういうふうな解釈であります。
#190
○常松克安君 終わります。
#191
○諫山博君 一昨日に続いて、暴力団と警察官の癒着について質問します。
 たくさんの事件が出てきますから、簡単に、大きな声で答弁してください。
 一九八六年の五月、東京都内のホテルで富士銀行の幹部が五億円恐喝されました。恐喝したのは蔵内元参議院議員の秘書と自称している人物です。この事件で何名逮捕され、何名起訴され、起訴の容疑はどういうことだったか、簡単に説明してください。
#192
○政府委員(國松孝次君) 逮捕は四名でございます。起訴は一名でございます。
#193
○諫山博君 恐喝の金額は幾らですか。
#194
○政府委員(國松孝次君) 約五億円でございます。
#195
○諫山博君 この恐喝事件は富士銀行の融資に絡む事件です。そして、この恐喝の現場に巡査部長が同席したはずですけれども、間違いありませんか。
#196
○政府委員(國松孝次君) たまたま同席をしていたという事実はあるようでございます。
#197
○諫山博君 恐喝をしたのは暴力団員です。暴力団員から呼ばれて、現職の巡査部長が恐喝の現場に来て恐喝の場に同席した事実がありますか。
#198
○政府委員(國松孝次君) 当時の話では、もちろん恐喝の現場に同席をするというような意図は警察官の方にはございませんで、たまたまその現場で、後であればそういうおどしがあったということのようでありますが、そのことは事前にもちろん警察官は知らされておりませんし、たまたま同席する形になってしまったという事実関係であったように報告を受けております。
#199
○諫山博君 恐喝の現場に同席したことはあるけれども、恐喝の認識は持たなかったということですか。
#200
○政府委員(國松孝次君) そういうことであろうと思います。
#201
○諫山博君 朝日新聞の記事を紹介します。
 「暴力団員使い圧力」「恐喝の場に警官呼ぶ」、これが現実です。そして警視庁の談話として、被告から利用されたことは間違いないと言っているようですけれども、この点は事実ですか。あなたは恐喝の意思はなかったと言われているけれども、被告から恐喝の場で利用された、この事実は否定されませんか。
#202
○政府委員(安藤忠夫君) その巡査部長につきましては、たまたま知り合いの暴力団員から富士銀行の幹部を紹介したいから……
#203
○諫山博君 詳しい経過は要りません。
#204
○政府委員(安藤忠夫君) ホテルに来てください……
#205
○諫山博君 それは聞いておりません。利用されたかどうかを聞いているんです。
#206
○政府委員(安藤忠夫君) したがって、結果的には恐喝に利用されているかわかりませんが、本人は呼び出されて、たまたまその席に行き、自己紹介の後退席したという経緯でございます。
#207
○諫山博君 この巡査部長に対して行政処分及び刑事処分はどうされましたか。
#208
○政府委員(安藤忠夫君) 懲戒処分につきましては、特定人物との交際、それから結果的にはそういう利用されるに至ったということで減給処分にいたしております。
#209
○諫山博君 刑事処分はどうですか。
#210
○政府委員(國松孝次君) 先ほど来御説明いたしておりますように、本人は結果的には利用されたということになるのかもしれませんが、恐喝の行為につきまして一切何の関知もしていないということでございますので、これは犯罪になるのではないというように判断をいたしておりますので、立件送致等はしておりません。
#211
○諫山博君 私は弁解を聞いているのではないです。刑事処分がなされたかどうかということを聞いたんです。送検しましたか。
#212
○政府委員(國松孝次君) いたしておりません。
#213
○諫山博君 五億円の恐喝ですよ。恐喝の現場に警察官がいたんですよ。そしてこれが恐喝に利用されたことは警察が認めている。なぜこれを送検しませんか。共犯の責任があるかないかをなぜ検察庁に判断させませんか、答えてください。
#214
○政府委員(國松孝次君) 送致するまでの刑事責任を追及するような事実を把握するに至りませんでしたので、送致をいたさなかった次第でございます。
#215
○諫山博君 警察庁長官には後で聞きますけれども、五億円の恐喝の場に現職の警察官が立ち合ったんですよ。懲戒処分は受けたんですよ。ところが犯罪にならないという身内かばいから検察庁に送ることをしなかった、これが警察の現状なんです。
 別なことを聞きます。
 昭和六十一年六月ごろ、山口組系暴力団松本組の組員だった田中という人が詐欺事件の被害回収を依頼されました。ところが、この暴力団員田中は、加害者に被害金の返還を請求するときに、京都の園部警察署の巡査部長に同席を求めました。そして巡査部長はこの場に立ち合いました。この事件は刑事事件になりましたか。
#216
○政府委員(國松孝次君) なっておりません。
#217
○諫山博君 この巡査部長は、暴力団員の田中某から京都市内の祇園などで十数回の接待を受けているはずですけれども、接待の事実はありますか。あるとすれば、幾らぐらいの接待を受けたんでしょうか。
#218
○政府委員(安藤忠夫君) 接待の事実はございますが、金額についてはただいま手元にございませんので。
#219
○諫山博君 接待は十数回にわたるはずです。場所は祇園が中心です。わずかな金ではないでしょう。幾らぐらいの接待を受けたのかわからないんですか。
#220
○政府委員(安藤忠夫君) 十数回という回数で、金額は把握してございません。
#221
○諫山博君 この巡査部長に対する懲戒処分及び刑事処分はどうなりましたか。結果だけでいいです。
#222
○政府委員(安藤忠夫君) 懲戒処分につきましては、六十三年四月懲戒免職といたしております。
#223
○諫山博君 刑事処分も聞きましたよ。
#224
○政府委員(國松孝次君) 特段の刑事処分はございません。
#225
○諫山博君 十数回にわたって祇園で接待を受けた、しかも暴力団員から恐喝の場に立ち合わさせてもらった。どうしてこれが刑事事件になりませんか。送検しませんでしたか。
#226
○政府委員(國松孝次君) 送検をいたしておりません。
#227
○諫山博君 この二つの事件について警察庁長官の見解をお聞きします。
 懲戒処分はしたんですよ。だれが見たってこれは刑事事件の疑いがある。祇園の場合は紛れもなくこれは刑事事件ですよ。これがなぜ送検されないんですか。刑事事件があればすべて原則として検察庁に送らなければならないというのは刑事訴訟法の大原則でしょう。警察が握りつぶしていいということにはなっていません。これは警察庁長官が答えてください。あなたは長官じゃないでしょう。長官、答えてください。
#228
○政府委員(鈴木良一君) 前の富士銀行のケースは確かに呼ばれていったわけですけれども、また自己紹介をしたわけですけれども、富士銀行と当該暴力団員が会うときには席を既に外しておるわけでございまして、話の内容はわからないという状況にあるわけでございます。したがいまして、大変軽率な行動をしておるわけでございますから、そういう意味で懲戒処分をする。しかし、それはやはり恐喝の共犯というようなことには事実上ならないわけでございまして、刑事事件として立件すべきところにまではいってない、こういうことだと思います。
 それから、後の京都の事件でございますけれども、これは朝日新聞で報道されているのと私どもの調査が若干違うようでございまして、弁償しなければならないというふうに相手方に口添えをしたというような形でもって報道されておるようでございますけれども、この点はこういう事実はなかったということのようでございまして、そういうことでこれにつきましては格別の刑事事件として問擬できないということで送らなかったということでございます。
#229
○諫山博君 二つの事件に共通しているのは、警察官という職業を利用したことですよ。暴力団員が恐喝の場に行けば暴力団員だということで恐喝の原因になり得るわけです。警察官がそういう場に同席するということは、そのこと自体が問題なんですよ。
 しかし、次の事件に移ります。
 一九八九年七月の参議院選挙のときに、札幌中央署の巡査部長が情報収集と称して暴力団幹部の家を訪れました。そこでいろいろ話し合っているわけですけれども、暴力団員がけん銃を見せています。テーブルの下からベルギー製のけん銃一丁を手にとって見せながら、これは本物だよと巡査部長に話した。ところが、巡査部長はこれを刑事事件として取り上げようとしなかった。ところが、この問題が別のルートで函館中央警察署から検挙された。そして、この調べの中で、いや実はかつて警察官にこのけん銃は見せたことがあるんだということでばれました。そういう事実がありますか。
#230
○政府委員(國松孝次君) ございます。
#231
○諫山博君 次々に巡査部長が出てきますけれども、この巡査部長に対する行政処分、刑事処分はどうなりましたか。
#232
○政府委員(安藤忠夫君) 行政処分につきましては、当該職員から辞任したい旨の申し出がございまして引責辞職いたしております。
#233
○政府委員(國松孝次君) 当該警察官を平成元年八月十四日、犯人隠避罪により函館地方検察庁に送致をいたしております。
 なお、同人は送致後、平成元年十一月三十日、同検察庁で不起訴処分となっていると承知をいたしております。
#234
○諫山博君 罪名は犯人蔵匿だけですか。けん銃は関係なかったですか。
#235
○政府委員(國松孝次君) けん銃を所持している暴力団員が目の前におりながらそれについて何らの措置をとらなかったということについて、これはもしかすると犯人隠避になるんではないかという容疑で函館地方検察庁に送致をしたということでございます。
#236
○諫山博君 今度は、兵庫県の尼崎西署の問題を質問します。
 この西署は、尼崎競艇場を警備しています。尼崎市あるいは伊丹市と競艇場警備という名目でしばしば打合会、宴会などを行っています。その中で金銭の供与が行われ、さまざまな不祥事が発生しました。そういう事件があったことは間違いありませんか。
#237
○政府委員(安藤忠夫君) 大筋において間違いございません。
#238
○諫山博君 どういう不祥事件があったかというと、ホテルとか料亭でしばしば接待が行われた、尼崎市の予算書の中には競艇場警備のための予算が組まれております。その中には、警察官との懇親会費が年間百十六万円、警察官弁当代が二百六十八万円、年間の費用がその他も含めて四百三十二万円、これは一九八八年度の予算です。八九年度の予算は四百五十万円、いろいろな宴会が市側の負担で行われていますけれども、この事実はつかんでおられますか。
#239
○政府委員(安藤忠夫君) つかんでおります。
#240
○諫山博君 供応接待だけではなくて、例えば柔剣道大会があると押し売りが来る、何かの行事があるとやはり暴力団取り締まりに対する謝礼として包みが来る、そういうことがしばしばあっているようですけれども、これも間違いありませんか。
#241
○政府委員(安藤忠夫君) 間違いございません。
#242
○諫山博君 そういう公的な金が警察に流れるだけではなくて、例えば地元の町内会の婦人部などが競艇場の中で盆踊り大会をすると、警備のお礼だと称して何がしかの金が包まれる、これはもう年中行事になっているということのようですけれども、これも間違いありませんか。民間からそういう金が来ていたかということです。
#243
○政府委員(安藤忠夫君) 町内会の盆踊り等のことについてまでは把握してございません。
#244
○諫山博君 警察署の備品を市の金で買ってもらうということが相当広範囲に行われたようです。私の調査によれば、警察が使用するロッカー、暗幕、そのほかいろいろな警察の備品が市の金で購入されている。その金額は判明しているだけで百四十三万円だ。これはどうですか。
#245
○政府委員(安藤忠夫君) 六十年度から三カ年を合計いたしますと百四十三万円相当の備品を寄附していただいております。
#246
○諫山博君 こういう関係が市と警察の間にできたのは、警察が暴力団を取り締まってやるんだ、こういう発想からのようです。暴力団を取り締まるのは本来警察の当然な職務です。ところが、おれたちが暴力団を取り締まってやっているから競艇場が円滑に進んでいるんだという発想が警察側にあったとしか思われません。この問題で市の理財局長は辞表を出したようですけれども、警察の内部の行政処分、刑事処分はどうなりましたか。
#247
○政府委員(安藤忠夫君) 事案があった当時の署の警部が懲戒免職になっております。
#248
○諫山博君 何名懲戒免職になりましたか。
#249
○政府委員(安藤忠夫君) 一名でございます。当時関係者は二名ございましたが、署長は既に退職いたしておりましたので、責任を問うことはできませんでした。
#250
○諫山博君 これは刑事事件として検察庁に送りましたか。だれが見ても明らかな刑事犯罪の疑いのあるものがありますけれども、送検しましたか。
#251
○政府委員(國松孝次君) 決してやっていいこととかということではございませんが、刑事事件として立件送致するのには犯罪にならなければならないわけであります。そういうものにつきましては、当時いろいろと検討をもちろんいたしました。これは既に全部事件は公になっておったあれでございますから、私どもの方といたしましても、包み隠すことなく、いろんな観点から捜査活動を行ったわけでありますけれども、犯罪として立件をするような事実を把握するに至らなかったということでございます。例えば、署長がクーラーをもらうというようなことがありますが、これは署長個人が個人としてクーラーをもらったのであればこれはいろいろ問題になりましょうけれども、署長公舎の備品としてもらった。備品としてそういうところからもらっていいのかという別の観点からの問題はございます。しかし、それを犯罪として、収賄罪として立件するためには、署長個人としてもらったというようなことが立証されない限り犯罪にはならないわけでございますので、そういう点は全部厳正に捜査活動を行いましたけれども、犯罪として立件送致するものは発見できなかったということでございます。
#252
○諫山博君 これだけの事実があるとすれば、警察が勝手に犯罪にならないと決めつけるのではなくて検察庁に送るべきだ、検察庁に判断をさせなければならない、私はこれを言っているんです。
 次の事件です。
 昨年の秋、西成警察署で大問題が起きました。あいりん地区の人たちが数百名あるいは千数百名警察署に押しかける暴動状態が発生しました。この原因をなす事件について聞きます。
 私の調査によれば、芳賀という巡査長が山口組系暴力団員二人から合計千二百万円の現金、そのほかに腕時計、ゴルフ道具など八十七万円相当の物品、これを受け取りました。どうして暴力団員がこれほどたくさんの金や品物を巡査長に贈ったかというと、競馬場ののみ行為に目をつぶってもらいたい、あるいは情報を知らせてもらいたい、こういうことを頼んで、その見返りとして金や品物をもらった。この人が捕まったときにどう言ったかというと、警察の方が捕まえるようなことはさせぬと約束をしていた、約束に基づいて金を渡していたんだ、何でおれを捕まえるのか、こう言って暴力団員が開き直りました。これが西成警察署事件の発端をなしたわけです。
 この事件では、警察官も贈賄した側も起訴されたようですけれども、そういう事実は間違いありませんか。
#253
○政府委員(國松孝次君) おおむねそのとおりでございます。
 なお、収賄金額は千二百万円でなく千百二十万円と聞いております。
#254
○諫山博君 これが発端になって大騒ぎになりましたよね。放火も行われました。投石も行われました。たくさんの人がこの事件で逮捕されました。これは西成警察署に対する抗議行動として行われたわけです。暴力団から金をもらって暴力団の犯罪は見逃す、我々については小さな問題でもほじくり出して追及する、我慢ならぬ、これがみんなの心情だったようです。もう警察に我慢できない、こういう言い方がされております。この西成署に対する抗議行動で何名逮捕され、何名裁判にかけられましたか。
#255
○政府委員(吉野準君) お答えいたします。
 この事件で現行犯逮捕した人数は五十三名でございます。
#256
○諫山博君 裁判は。
#257
○説明員(但木敬一君) お尋ねの事件につきまして、逮捕中送致を受けた住民等の人数は十三名であるとの報告を大阪地検から受けております。その後調査したところを合わせますと、現在までに起訴された人員は六名でありまして、起訴された者のうち三名は公務執行妨害、一名は公務執行妨害及び銃砲刀剣類所持等取締法違反でそれぞれ公判請求に、一名は暴行により、一名は銃砲刀剣類所持等取締法違反によりそれぞれ略式請求になったものと承知しております。
#258
○諫山博君 今度も別な事件です。
 一九八七年福岡県久留米市のスーパーで殺人事件が起きました。犯人は伊豆組内の原田組の行動隊長原田剛という男です。対立抗争中の道仁会の組員二人をけん銃で射殺しました。一人に対しては三発発射して二発命中、一人に対しては十発発射して九発命中、これは殺人事件だけではなくて、けん銃不法所持でも裁判になりました。殺人事件は有罪、けん銃不法所持は無罪、こういう判決が福岡地裁から言い渡されましたか、ことしの三月十四日。
#259
○説明員(但木敬一君) 御指摘のとおりでございます。
#260
○諫山博君 そこで、無罪になったけん銃不法所持について質問します。
 被告は、このけん銃というのは警察官に言われて警察官が立ち会った上で、自分のもとの家の庭に埋めたんだ。つまり、警察も承知の上だ、こういう弁解をしました。結果的にはこの事件は無罪になったわけです。
 そこで私が問題にしたいのは、この裁判の中で警察と暴力団がいかに醜く癒着しているかということが生々しく判断されています。一つ一つ聞きます。
 被告が、巡査にお世話になったと言って自分の持っていたベルトを譲り渡したという認定がされていますか。
#261
○説明員(但木敬一君) されております。
#262
○諫山博君 被告人が、原田組の組長の経営している福岡市のスナックを紹介した。そこで警察官数名で組長経営のスナックに飲みに行ったという事実が認定されましたか。
#263
○説明員(但木敬一君) 御指摘のとおりであります。
#264
○諫山博君 正規の手続をとらずに布団とか現金などを宅下げしたという事実が認定されましたか。
#265
○説明員(但木敬一君) 認定されております。
#266
○諫山博君 被告は、警察官に物品を与えたり、飲食の便宜を供与するという特別な関係を持っていた、この事実は認定されましたか。
#267
○説明員(但木敬一君) 認定されております。
#268
○諫山博君 二人の警察官は、通常の被疑者と取り調べ担当官の関係を越え、取り調べ官が正規の手続を踏まずに事実上の便宜供与を与えた、この事実が認定されましたか。
#269
○説明員(但木敬一君) そのような認定をしております。
#270
○諫山博君 今度は取り調べの方法についてです。
 被告は、接見禁止をされているのに、福岡県警本部の取り調べ室において、妻及び愛人と面会をした。久留米署においても同様だったという認定がされましたか。
#271
○説明員(但木敬一君) 前者については、そのとおり認定されています。後者については、そのように推認されるということであります。
#272
○諫山博君 推認ですね。
 警察から取り調べられる取り調べ室において二十万円を受け取った。十万円は愛人の誕生祝いに充てた。十万円は刑事に預けた。これは普通の方法ではなくて、取り調べ室でこういう授受が行われたという認定がありますか。
#273
○説明員(但木敬一君) そのような証言をしましたその証言につきまして信用性があるというような判断を示しております。
#274
○諫山博君 被告の愛人が久留米署の取り調べ室において缶ビール五、六本を差し入れた、こういう事実はどうですか。
#275
○説明員(但木敬一君) そのような供述をしているということを記載した判決部分がございます。
#276
○諫山博君 久留米署の監房の中で、被告がアルコールのにおいをさせながら戻ってきたということが四、五回あった。取り調べに出ていくときに、酒を飲んでくる、うまいものを食べてくる、こう言って出ていった。房に戻ってきた被告人が飲み過ぎてトイレで嘔吐した、こういう事実が認定されましたか。
#277
○説明員(但木敬一君) そのようなことについて供述をしている証人がおりまして、その証人の証言と被告人の供述とは符合する部分があるというような判断を示しております。
#278
○諫山博君 この判決では、暴力団員の川添という人の法廷証言が信用できるかどうかが問題になりました。川添証言の中で、被告は取り調べ室で愛人や妻と会わせてもらった、さらに被告人が性行為をしてきたと言っていた、さらにトイレで性器をふいているのを見た、こういう証言をしました。この証言について、福岡地方裁判所は信用性が高いという認定をしましたか。
#279
○説明員(但木敬一君) 御指摘のとおりであります。
#280
○諫山博君 驚くべきことですよ。面会する場所は特定されていますよ。ところが、刑事の取り調べ室で面会したんです。だれもいないような状態にしたんです。愛人と性行為をしたというんですよ、ここで。被告が訴えるだけだったら何だということになるでしょうけれども、裁判所はこの証言が信用性が高いと言っている。
 今警察のあり方が非常に問題になっております。拘禁二法というとんでもない法律案も提出されました。ところが、実際は二人も射殺したような犯人が警察官の立ち会いなしで、面会すべきところではないのに愛人と面会をした、性行為を行った、トイレで性器をふいているのを見たと、この証言は信用できるというんですよ。
 警察庁長官、これはまだ刑事事件としては未確定ですけれども、福岡地方裁判所の合議部がこういう認定をしたというのは極めて重大です。どう思いますか。
#281
○政府委員(鈴木良一君) まだこの事案そのものの内容は未確定でございますので軽々に申し上げることもできませんが、いずれにいたしましてもそういう疑いといいますか疑念を持たれた、そういう行動があったということは厳粛に受けとめております。
#282
○諫山博君 一昨日の私の指摘の場合も同様でしたけれども、問題はこういう事実がなぜ白日のもとにさらされるようになるかということです。これは警察は極力もみ消そうとしましたよ。ところが、被告が、警察からだまされたと言うんですね。そこで、法廷に出てきて初めて、実はこうでございました、私はけん銃不法所持で今裁判を受けておりますけれども、このけん銃というのは警察官立ち合いのもとに穴に埋めたのです、そして取り調べ中にこういうことがありましたと、被告が法廷で訴えて初めてこれが表に出てくる。これが日本の警察の現状です。
 この被告の供述調書は信用できると言われましたか。信用できないから証拠には採用しないとされましたか。
#283
○説明員(但木敬一君) 供述調書ですか。
#284
○諫山博君 供述調書と証言。
#285
○説明員(但木敬一君) その点に関しまして、裁判所は、警察官の便宜供与の影響下に作成された疑いが強く、証拠能力を欠くという判断を示しました。法廷の供述については、必ずしも全面的にこれを信用するという判断ではございませんが、しかし信用性を否定しがたい面があるという判断を示しております。
#286
○諫山博君 本当にこういう事件を調べていったら切りがないんですよ。私は事件を挙げることはこれでやめます。しかし、これが氷山の一角だということは警察庁長官もあるいは公安委員会もぜひ認識してもらいたいと思うんです。私は、この状態を根本的に改めない限り、法律を幾らか変えただけでは暴力団問題は解決をしないんだということを言いたかったんです。
 そこで、次に移ります。
 私は、一昨日新宿の歌舞伎町で暴力団がどのような動きをしているかを視察に行きました。うっかり足を踏み入れにくいようなネオン街も歩いてきました。大人のおもちゃを売っている店にも入りました。そして、何人かの業者から暴力団の実情を聞きました。
 新宿には暴力団が幾つぐらいあって、どのくらいの暴力団員がいますか。
#287
○政府委員(國松孝次君) 警視庁において把握をしております新宿警察署管内の暴力団の事務所でございますが約百二十カ所、これらの事務所を活動拠点にしている暴力団員は約千七百人と把握をいたしております。
#288
○諫山博君 警察は、時々一斉手入れを行うそうです。この一斉手入れというのは、新宿で一カ月あるいは一年に何回ぐらいやられますか。あるいは、そのときの警察官は何名ぐらい動員されますか。
#289
○政府委員(國松孝次君) 暴力団取り締まりにつきましては、これは常時組織を挙げて取り組んでいるところでございます。一斉手入れ、我々は集中取り締まりという言葉も使うことがあるわけでありますけれども、例えば麻薬事案なら麻薬事案、あるいは売春事案なら売春事案ということである程度集中的に取り締まりを行うということはございますが、一斉というような形でやるという、つまり先ほど申しました事務所が新宿署管内に百二十カ所ほどあるわけでありますが、それを全部やるというような意味での一斉取り締まりというのはやったことはございません。そうした集中取り締まりというようなもの、これはもう取り締まりを効率的、機動的に行うために随時やっておるわけでございますが、したがいまして月何遍とか、そういう統計数字というのはないわけでございます。
#290
○諫山博君 集中取り締まりでいいでしょう。その場合は、どこの店、どこの家、だれそれというように、ある程度目星をつけて現場に行きますか。
#291
○政府委員(國松孝次君) もちろんそういう場合もあると思います。
#292
○諫山博君 そういう場合もあるというけれども、目標なしに集中取り締まりをするわけにはいかぬでしょう。犯罪の嫌疑があるかないかわからぬのに調べにいくわけにもいかぬでしょう。何かの情報に基づいて行くのじゃないのですか。
#293
○政府委員(國松孝次君) そういう場合もあると申しましたのは、それ以外に例えばポン引きが非常に一つのところに出ておる。そういうような場合に、それじゃ集中的にちょっとポン引きの取り締まりをやってみようかということになるわけでありますが、これはどこのだれがやっているかということを別に事前に予想しているわけではございません。そういったものをある一定の区域について、新宿なら新宿の管内についてやってみようということの集中取り締まりはあるということでございますので、いろんなやり方があるという意味でございます。
#294
○諫山博君 私が新宿の歌舞伎町に行って一番訴えられたのは、一斉手入れと新宿の人は言っていますけれども、一斉手入れが行われても公然とポーカーゲームなどをやっている店で絶対に手入れを受けないところがある。これは暴力団にみかじめ料を払っているところだ、そうでないところ、あるいはみかじめ料が安いところは集中的に取り締まりを受ける、こういう話をしております。集中的に捜査に入った場合に、目当てにした店が意に反して閉店していたというようなことはしばしばあるんじゃないですか。一斉検挙の裏をかかれたというようなことがよく新聞に出ますけれども、そういう事実はありますか。
#295
○政府委員(國松孝次君) そういうことはたまにはあるのかもしれませんけれども、そういうことのないように我々は効率的な捜査をやるということでやっているわけでございまして、今先生御指摘のありましたような事実、暴力団にみかじめ料を払っているから手入れを受けないなどということはあり得ないことだというように思います。
#296
○諫山博君 そうだとすれば認識不足ですよ。歌舞伎町では常識だそうですよ。例えば暴力団と結びついている店がさっさと店じまいをする、あるいはきょうは店は開かないというようなことがあると、それを見て、ああきょうは警察が来るんだなというのでみんな警戒をする。これは常識だというんですよ。
 そこで、取り締まりの情報がなぜ暴力団にわかるのかというのが問題です。みんな言っているのは、それは警察から情報が来るんだ、暴力団と警察はちゃんとつながりがある、だから暴力団にみんな金を渡さざるを得ないんだと言っていますよ。そういう状況は全然聞きませんか。
#297
○政府委員(國松孝次君) 警察と暴力団というものは、これはもう私どもはこの組織の壊滅を目指して取り締まりをしているということでございますが、暴力団はいわば犯罪者の集団であります。したがいまして、彼らは何とかして自分たちの組織を守ろうとして、警察の取り締まりがある場合、その取り締まりをくぐるというようなことはやりましょうし、あるいはその取り締まりを少しでも和らげるために警察の威信をおとしめるような情報を流して、いかにも常時警察が暴力団と癒着をしておる、そんなだらしのない警察であるということを吹聴いたしまして、それによって取り締まりの勢力をそぐというようなことを組織としてやる、それが暴力団であります。我々はそれと闘っておるということであります。
 先ほど来何件かの事例がありました。それらはすべて事実でございますので、私どもはそれを一つ一つ教訓としながら、そういうことの絶対ないように前進をしてまいりたいと思いますが、ひとつぜひ御理解をいただきたいのは、九割九分九厘の警察官が身を挺して暴力団と闘っておるという事実があるということを御理解いただきたい、それをそういう形でいかにも全部が全部警察の取り締まりが暴力団と癒着をしておるというような形で吹聴されることは、ひとり暴力団を利するだけでありまして、何の益もないことであろうというように思います。
 我々は、一つ一つの不祥事件、そういうものにつきましては謙虚に反省をしてまいります。しかし、暴力団というのは、とにかく警察官に対して常にすり寄ってきて、何とかして取り締まりを避けよう、そういうことでやってくるわけでありますから、たまたま不幸にして警察の方でそれに乗ってしまってやや不適正な事例があるということはあると思いますが、それは全く例外のことであります。警察全体として暴力団取り締まりについて指弾を受けるようなことは、私は刑事局長としてないというように感じておりますが、もちろんそうは申しましても一つ一つの事案についての反省を忘れるという意味ではありません。ただ、トータルとしての警察の暴力団に対する取り締まり、規制につきましては、ひとつどうか御理解いただきたいというように思います。
#298
○諫山博君 私は、警察官が全部暴力団と癒着しているというふうには言っていないつもりです。ただ、こういう事実があるんだということを知ってもらいたかったんです。
 そこで、これから警察庁長官と国家公安委員長に主として質問します。
 とにかく暴力団の横行というのは目に余るものがあります。私たちは、暴力団を根絶するというのは緊急な課題だと思っております。しかし、暴力団の横行を許している背景に、例えば一部の政治家と暴力団の癒着、財界、業者などと暴力団の癒着、これはいろいろ世間でも言われているとおりです。同時に、暴力団に対する警察官の対処の仕方に問題があるのではないかと思うんです。例えば、警察の方では暴力団から情報源をもらいたいということで暴力団とつき合います。そして、暴力団と私的につき合うのが当たり前のようになっております。ここから私が今まで指摘したようなさまざまな腐敗問題が生まれてきております。あるいは金を受け取ったり、供応を受けたりというのが当たり前になっているんですね。この点も改めなければなりません。つまり、警察は暴力団を利用する、暴力団は警察を利用する、この関係が明らかにありますよ。例えば、麻薬の摘発のためには暴力団の情報源に頼る、けん銃を摘発するためには暴力団の情報に期待する。私は、この関係は根本的に改めないと、警察は暴力団を利用しているつもりであっても、逆に警察が暴力団から利用されている、そういう問題があると思います。
 そこで、私は、具体的な提案です。警察官が暴力団と接触するときには、事前に上司の許可を得るとか、事後に必ず上司に報告するとか記録を残させるというようなことが必要だと思います。今私が指摘したようなさまざまな不祥事というのは、こういうことが行われておれば防げたはずです。私は、警察と暴力団の一切の接触をやめなさい、こう言うのが適当かどうかというのは捜査の経験がありませんから簡単に言えません。しかし、警察が暴力団と接触する場合には一定のけじめが要る、一定の手続が必要だ、私はこれを提案します。どうでしょう。
#299
○政府委員(鈴木良一君) 先ほど刑事局長が申しましたように、全体が懸命にやっておる中で、一部の不心得な者が出まして全体の暴力団捜査に対します信頼を傷つけておるというのはまことに残念でございます。今いろいろお話がございました。確かに警察も暴力団といろいろ接触しないことにはしようがない面もあるわけでございますから、そういう面の捜査のやり方は全部が全部それをやめるというわけにはいかぬと思います。しかし、先ほど御指摘がありましたように、暴力団に警察が利用されておるという面が確かにあるということだと思います。先ほど幾つかの不正な事案がありましたのは、おっしゃるとおり逆に警察が利用されたような形になったという感じがやはり私どももしておるわけでございます。
 御提案のありました暴力団との接触の仕方、事前にあるいは事後にそういう形で許可を得るなりあるいは報告をさせるなりということはおっしゃるとおり大変大事なことだと思います。私どもはやはり捜査のあり方として、捜査の管理の仕方として、そういう面はさらに御意見を踏まえながら検討してまいりたい、かように考えるところでございます。
#300
○諫山博君 昨年沖縄で暴力団の抗争が行われたときに、私は現地に調査に行きました。暴力団対策はどうすればいいのかということを私も真剣に考えましたけれども、あのときに沖縄県の幾つかの自治体は、暴力団の経営している飲食店とか建設業とか貸金業とか不動産業などの名前を公表したことがあります。これは暴力団の経営している店だ、暴力団の関係している店だ、こういう公表をしたわけです。これは沖縄では非常に好評でした。私は検討に値すると思いますけれども、どうでしょう。警察庁長官に答えてもらいます。
#301
○政府委員(鈴木良一君) これはおっしゃるとおり非常に好評な面がありますので、検討に値すると思います。その際に、やはり人権の問題も十分考慮しながらやっていかなきゃいかぬ、かように思っております。
#302
○諫山博君 同じようなことですけれども、暴力団に不当に金を出している企業があります。あるいは暴力団を貸し金の取り立てとか地上げなどに利用している企業もあります。こういうところにも毅然たる態度が必要だと思いますけれども、何らかの形で警告をするとか、あるいは企業名を公表するとか、これは検討できませんか。
#303
○政府委員(鈴木良一君) 先ほどのように暴力団自体が経営していることと若干わけが違いまして、これはやっぱり暴力団の威力を恐れてやっているような面が非常に多いわけでございますから、その点についての配慮は必要だと思いますけれども、今の御意見を参考にしながら検討を進めたいと思います。
#304
○諫山博君 警察官と暴力団が個人的に親しくなり過ぎるというのが問題ですね。検察官だったらある任地に長い期間継続してとどまることはないそうです。何年サイクルか知りませんけれども、とにかく一定の時期が来たら転勤する。いろんな理由がありましょうけれども、住民と余り親しくなり過ぎるのは問題だということが原因の一つだと聞いております。警察官も余り暴力団員と親しくなると仲間のような気持ちが出てくるんじゃないでしょうか。私はこの点も検討すべきだと思いますが、どうでしょう。
#305
○政府委員(鈴木良一君) 仲間のような意識ということは私は決してないと思いますけれども、ただ、やっぱり乗ぜられるすきを与えるということはあり得ると思います。したがいまして、私どもも、一定の期間の勤務でやはりポストをかわっていくという、必要な人事異動はやっていかなきゃいかぬ、現に各府県でもそういう形で運用をしておるわけでございますけれども、やはりそこら辺のところをさらに検討を進める必要があるのではないか、こう思います。
#306
○諫山博君 国家公安委員長に質問いたします。
 あなたの指揮監督下にある警察がこういう現実も持っているというのを御理解いただけたと思います。私は、公安委員会が警察に対して実際にどのような権限を行使しているのかよく知りませんけれども、法律的には大きな権限があるわけですから、今国家公安委員長が言われたような問題を警察に任せるのではなくて、国家公安委員長あるいは地方の公安委員長が積極的に取り上げて、暴力団壊滅のために本気で努力していただきたいと思いますけれども、公安委員長はどうお考えですか。
#307
○国務大臣(吹田ナ君) 先生も御存じのように、私も昭和二十年代から地方政治を初めとして四十年政治の道を歩んでまいりました。そして今日、我が国の国家公安委員長という職を拝命いたしまして、すばらしい仕事であると誇りを持って就任しているわけであります。そういった私が、今先生からいろいろと実情の事実をえぐられて指摘されました。特に私は、警察官のそうした不心得な人もいるということを極めてはっきりと頭におさめることができました。まことに残念であります。
 しかし、さっき刑事局長からお話を申し上げたように、少なくとも私が承知しております警察官というものは、先日のゴルバチョフ大統領の訪日にかけまして昼夜を分かたぬ努力をしてくれた。一昨日も夜半、警備の途中に不心得な者に撃ち殺される。そして、家庭には奥様と一歳の子供が待っている。こういうような事実を私も承知しまして、一部の極めてわずかな不心得な警察官のために、すべての警察がそうであるかのような解釈を国民がとり、警察の信頼が失墜するなどということは、我が国にとって極めて遺憾なことであります。特に治安維持ということと国民の生命と財産を守るという大使命があります。
 そういった意味で、これから私も国家公安委員長としまして、全力を挙げてその信頼の確保、そうして任務の重大性を再認識しまして頑張っていくということをここでお誓いいたします。
#308
○諫山博君 最後に警察庁長官に。私は、警察官の全部が腐敗しているとは言っていません。ただ、不心得者が多過ぎるということを言っているんです。
 そこで、警察庁長官に最後にお願いしたいんですけれども、警察官の行為で犯罪の疑いがあるものは、警察限りで握りつぶすのではなくて、やはり事件として調べて、検察庁に送るべきだということを提言いたします。一昨日あるいはきょう私が指摘した事件の中でも、だれが考えてもこれは犯罪行為になり得るなと思われる事件が幾つかあります。刑事訴訟法では、そういう事件はすべて原則的に検察庁に送れ、裁判に回すか回さないかは検察庁が決める、この大原則があります。ところが、警察が自分で握りつぶして検察庁に送らなければ、警察官の犯罪行為はやみからやみに葬り去られるということになりかねないと思います。だから、警察官が犯罪を犯したと疑われるような場合には、警察だけで処理するのではなくて、検察庁に送ってもらいたいということを最後に要望します。
#309
○政府委員(鈴木良一君) いろいろお話が出ました中で、私は握りつぶしたものはないというふうに確信をいたしております。少なくとも犯罪のおそれがあるというふうに思料するときは、私どもは必要な捜査を遂げて、これはやはり検察庁の判断を仰ぐということをやってまいりたい、かように思います。
#310
○高井和伸君 地方行政と北方領土というテーマでございますが、今回のゴルバチョフ大統領と海部総理の交渉、日ソ会談におきまして、北方領土がテーマとなりましていろいろ声明が出され、それなりのひとまずの決着がついているという段階で、今後の地方行政を進めていく上にどんなかかわり合いがあるかということで、特にそういった視点からこのたびの日ソ交渉の経過、結果、特にその間に示されましたソ連側の中間的な取り扱いなどの提案があったのじゃなかろうか。日本側は四島の主権を認めてもらうことが先決問題だということで終始したようでございますが、そこらの日本の国土として正式に日本の行政権が及ぶようになったという前提でどんな交渉があったのか、御質問します。
#311
○説明員(東郷和彦君) お答え申し上げます。
 今回の総理、それからゴルバチョフ大統領との間の会談の概要及びその結果でございますが、領土問題に関しましては、総理の方からまさに御指摘のように、四島の返還が必要であるという非常に明確な強い議論をゴルバチョフ大統領らに対して展開いたしました。歴史的、法的な正当性から説き起こしまして非常に強い議論を展開されました。これに対してゴルバチョフ大統領の方からは種々の議論がございましたけれども、最終的に御案内のように共同声明が発表されたわけでございます。
 その中で幾つかの点が今回明確に合意されたわけでございますが、まず第一に、「歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の帰属」、これが平和条約の対象であるということが明確に確認されたわけでございます。そういう平和条約が、まさに「領土問題の解決を含む最終的な戦後処理の文書である」ということも共同声明の中に明記され、そういう「平和条約の準備を完了させるための作業を加速することが第一義的に重要である」ということまで規定されたわけでございます。さらに、一九五六年の日ソ共同宣言の確認という問題につきまして、総理の方からゴルバチョフに非常に強い議論を何度も展開しました結果として、日本国及びソ連邦が「戦争状態の終了及び外交関係の回復を共同で宣言した一九五六年以来長年にわたって二国間交渉を通じて蓄積されたすべての肯定的要素を活用しつつ建設的かつ精力的に作業するとの確固たる意思を表明した。」というところが共同声明の中に入れられるに至ったわけでございます。
 次に、御質問の後半でございます北方四島との交流等についてどういう議論があったかということでございますが、これは詳細な議論はございませんでした。ソ連側の方から採択されました共同声明の中にまさに明記されておりますように、「日本国の住民と上記の諸島の住民との間の交流の拡大、日本国民によるこれらの諸島訪問の簡素化された無査証の枠組みの設定、この地域における共同の互恵的経済活動の開始」、こういう点についての提案をしたいということがございまして、これに対して日本側はまさにこの共同声明にございますように、「これらの問題につき今後更に話し合うこととしたい旨述べた。」ということでございますので、今回ソ連側の方から出された提案について、今後政府としてはどういうような形でこの問題を考えていったらいいのか、特にそれとの関連では北方四島がソ連に不法占拠されているということに関連する法律的な問題、さらにはこういういろいろな形での交流といいますか問題というものが北方領土返還という観点からどういう影響を与えていくのか、ソ連の不法占拠の政治的な既成事実化につながることのないような視点、こういう点も十分踏まえまして、しかし早急にソ連側と話し合いを行ってまいりたいというふうに考えております。現時点で具体的な交渉の内容というものは我々の方でも今検討中でございます。
 以上でございます。
   〔委員長退席、理事渡辺四郎君着席〕
#312
○高井和伸君 あと残り二つちょっと細かい点ですが、主権を認めさせるという概念は、地方行政をする者の立場からいえば、主権を認めた瞬間から日本はそこに対して事実上も形式上も法律上も地方行政の権限が及ぶというふうに理解していいのかどうか。それから、主権を認めなかったかどうかという議論になれば、今の段階ではそういった面ははっきりしなかったけれども、いずれ先々返ってくるような枠組みはできたというふうに理解できますけれども、主権を認めて実際に返ってくるまでの間というのはそれなりに時間的な差異が出てくる場面があるんじゃなかろうか。そういったときの行政権ないしは主権というのはどんなふうに理解したらいいのか。共同管理ということもあるんじゃなかろうかと思ったりするわけですが、そういったときは通常の地方行政権が及ぶのかどうかというような点についてお答え願いたいと思います。
#313
○説明員(小松一郎君) お答え申し上げます。
 国際法上主権とは、国家の最も基本的な権利でございまして、属地的に他の権力に従属することのない最高の支配ないし統治の権力であると一般的に考えられておりまして、したがいまして国家はみずからの領域におきまして、その主権の作用としてそこにあるすべての人及び物を支配し、かつ他の権力に従属しないで活動できるわけでございます。このような国際法上の主権の概念に照らしますれば、我が国が主権を有する北方四島を含みます我が国の全領域におきまして、本来主権の行使として施政を行い得ることは当然でございます。
 他方、外国の不法な占拠のもとにある北方四島及び竹島におきましては、我が国が国際法上当然に行い得べき主権の行使としての施政が遺憾ながら妨げられているために現実には行い得ない状況にあることは御案内のとおりでございます。
#314
○高井和伸君 そうすると、今の御答弁の中でわかったことですが、共同管理という概念は、主権を認めさせた後ではなかなか難しい取り扱いになるんでしょうか。
#315
○説明員(小松一郎君) 私がお答えすることが適当かどうかあれでございますけれども、先ほどソ連課長の方から御答弁申し上げましたとおり、先般の日ソ首脳会談におきます交渉の現状はそこまでいっていないというふうに理解しております。
   〔理事渡辺四郎君退席、委員長着席〕
#316
○高井和伸君 ありがとうございました、外務省。
 続きまして、今度総務庁の方にお尋ねしたいんですが、この交渉の結果を踏まえて、北方領土に対する日本国政府の対応というのは今後どのようになるんでしょうか。
#317
○説明員(村木裕隆君) 私どもは北方領土返還要求運動を推進しておる立場でございますけれども、その立場から申し上げますと、やはり日本国民の悲願である北方四島の一括返還という北方領土問題の解決にこのたび至らなかったのはまことに残念と思っておりますけれども、しかし両国間の首脳の粘り強いお話し合いによりまして、ソ連側も公式に北方領土問題の存在を認めた。それから、歯舞、色丹、国後、択捉の北方四島の帰属について今後交渉を加速することを認めたということで、北方領土問題の解決に向けて一応のレールが敷かれたという成果もあると考えております。したがいまして、この結果を踏まえまして、政府の基本方針であります北方四島の一括返還を実現して日ソ平和条約を締結するという方針を堅持する、この基本方針に従いまして北方領土問題の解決のためにさらに努力することが重要であると思っております。
 総務庁といたしましては、今後の日ソ交渉を支えます最大の力となる国民世論の結集を図るために、関係返還要求団体との連携協力を密にして返還要求運動を粘り強く進めてまいりたいと考えておるところでございます。
#318
○高井和伸君 あと一つ、返還が本決まりになった場合の日本の主権を及ぼす、先ほどの言葉によれば、主権の行使をする順番は、政府の機構的、組織的な面からいうとどんなふうになるのかおよそ考えられておられると思いますが、どうなりますか。
#319
○説明員(村木裕隆君) 私からお答えするのが適当かどうかあれでございますが、私どもは今のソ連側の基本的な態度というのは非常にかたいものと思っておりますので、総務庁といたしましては何よりもまず、やはり北方領土の返還を実現させる、こういう一点に絞って力を注ぐべきではないかというぐあいに当面は考えております。
 以上でございます。
#320
○高井和伸君 沖縄の復帰あるいは小笠原の復帰それからいろんなケースが過去にあったということになぞらえて行われるんだろうことを想定しながら、総務庁さんありがとうございました。
 自治省にお尋ねしますけれども、本来日本の主権が及んでいるはずなのにソ連の不法占拠によって日本の主権の行使が妨げられているという状況だという外務省の方の説明がございました。日本の今の地方行政上の主権というのはどのような見解になるわけですか、北方四島に対して。地方自治法は今の状況では適用は妨げられているんだろうというような解釈が外務省の答弁では考えられますが、自治省ではどのようにお考えなんでしょうか。
#321
○政府委員(浅野大三郎君) まず、北方領土が我が国固有の領土であるということははっきりしていると思います。そこで、今度は法律の適用問題を考えますと、一般原則として言われておりますのは法律の場所的効力は領土に及ぶということでございますから、そういう一般原則から考えまして地方自治法がこの北方領土にも適用されているということだと私は思っております。ただ、行政権の行使が現実にできない状態にある、こういうことだと思っております。
#322
○高井和伸君 北方領土の行政区画は、今のお話ですと、行使できないから区画も考えてないというようなことになるんでしょうか。それとも、聞きますところ歯舞島は根室市の一部だというような手続が行われているというような話も聞きますし、戦前には花咲郡歯舞村あるいは色丹島のあたりは色丹郡、国後島のあたりは国後郡、それから択捉は三つの郡があったというような記述がありますけれども、そういった過去の行政区は現在は死に体だけれども一応あって、復帰と同時にぱっと浮き上がってくるというような理解でよろしいでしょうか。
#323
○政府委員(浅野大三郎君) その点につきましては従来の、従来のといいますのは戦前のといってもよろしいかと思いますが、そういう市町村が地方自治法で市町村としてずっと引き継いできているわけでございますから、特段そういう村をその後廃止するとかなんとかという手続がない以上はそういう村が存続しておる、私はこういうふうに考えております。
#324
○高井和伸君 続いて、地方交付税法の審議が今回のこの委員会の主目的でございますが、地方交付税法の適用はどのように考えたらよろしいでしょうか。
#325
○政府委員(小林実君) 交付税の算定上、北方領土につきましての扱いが行われておりますので、御説明をさしていただきたいと思います。
 まず、面積につきましては、北海道の面積に含めて普通交付税に算入をいたしております。また、北方領土の一部を根室市の面積に含めてこれも普通交付税を算入しているところでございます。面積以外の人口等につきましては、基礎数値が把握できる状況にはございませんので算入をいたしておりません。
 具体的に申し上げますと、まず歯舞諸島でございますが、昭和三十四年に根室市と合併をいたしまして、歯舞村というのは北海道の本土部分と歯舞諸島からなっていた村でございまして、そういうことで昭和三十四年度以降その面積を北海道及び根室市の面積に含めて普通交付税を算入いたしておるわけでございます。
 色丹、国後、択捉の三島についてでございますが、これにつきましては戦前六つの村がありまして、これはそのまま存続しておる、こういうことでございますが、この三島につきましては昭和四十四年度以降、その面積を北海道の面積に含めまして普通交付税に算入をいたしておるわけでございます。これら三島の市町村分としての取り扱いにつきましては、これらの島はかっては独立の地方公共団体であったわけでございますが、現在はいずれの市町村にも属していないというか、人も住んでおるわけではございませんで、市町村分としては算入していないところでございます。
#326
○高井和伸君 今の御答弁に対して、地方交付税というものの考え方の一つの展開事例としてお尋ねしますが、そういった要素を算定して北海道に交付する、あとは北海道はそれを自由自在にひもつきじゃないから使えるということになるんだろうと思うんですが、現実的には北海道はどんな施策を歯舞、色丹、択捉、国後にやっているんでしょうか。
#327
○政府委員(小林実君) 平成二年度の場合で申し上げますと、北海道に基準財政需要額として算入しておる金額が十三億七千万ほどございます。それから市町村分といたしまして歯舞諸島、これは根室市に算入しているものが二千三百万強あるわけでございますが、具体的にどういうことに使っているかということまでははっきり掌握はいたしておりませんが、世論の啓発事業とか、あるいはもと住んでおった方で現在北海道に住んでいる方等がございまして、それらの援護事業等にお使いになっているのではなかろうか。どの程度の金額を使っているかというのは掌握をいたしておりません。
#328
○高井和伸君 北方四島の領土というか、面積というのはかなり大きくて、遠いところにあるところは小さく見えるんですが、聞くところによると、千葉県と同じぐらいの大きさである。こういったところに本格的に戻ってきた後、旧住民というんですか、島民というんですか、そういった方々が戻って住み始め、そして地方行政が行われていくという手順になると思います。そういったときに、いきなりいろんな面で、例えば公職選挙法が適用されたり地方自治法が適用されているという話ですけれども、人がいないのに議会はできないし、村長も町長もできないしというようなことになってくるんじゃなかろうかと思ったりしています。
 そうしますと、考えるところ、北海道の中に今便宜上いろいろ入れておられますけれども、例えば北方県だとか、沖縄県と同じように北方県という概念も出てくるんじゃなかろうか、そして別個の扱いにする立場もあるんじゃなかろうかと考えるわけでございますが、確信を持って我々も国会決議をして、北方四島は我が国固有の領土である、早く返還してほしいという意思表示をしている立場上、自治省も本格的にいろいろ考えておられると思うんですが、そこら辺の構想というのはあるのでしょうか。
#329
○政府委員(浅野大三郎君) 先ほど来関係の省庁からお話があったとおり、それが現在の政府の姿勢でございます。そういう政府の一員として私どももおるわけでございまして、政府全体の対応方針の中で私どもとしては適切に対応してまいりたい、こう考えております。
#330
○高井和伸君 過去に私たちが経験したのは、沖縄が戻ってきた、小笠原が戻ってきた、ある意味では八郎潟もいきなり陸地ができたということで、いろんな経験を積み重ねていると思うんですが、具体的に小笠原や沖縄や八郎潟が地方行政の中に本格的に入ってくる手順というのは大体どんなふうだったんでしょうか、おわかりでしょうか。
#331
○政府委員(浅野大三郎君) まず小笠原の場合でございますけれども、これは昭和四十三年に復帰に伴う特別の法律をつくっております。非常にたくさんございますが、ごく簡単に申し上げますと、もともと小笠原には五つの村があったわけでございますけれども、特別の法律によりまして、小笠原村一村を置くということを定めております。それから、執行機関、議事機関、それから村を設置したことに伴う選挙が必要になるわけでございますが、その選挙を行うべき時期などについて経過的な特例措置を講じております。
 それから、沖縄の復帰、これは昭和四十七年にやはり特別の法律を制定いたしております。その法律の中では、従前の沖縄県が県として存続しておるということ、それから復帰の際、現に存在する沖縄の市町村が自治法上の市町村となるというようなことを定めておりますし、また県議会議員、知事の選挙、それから市町村のいろんな機関に関する経過措置などを定めてございます。
 さらに詳細必要でございましたらまた申し上げますが、およそそんなことが決められております。
#332
○高井和伸君 今お話を聞いていますと、北方領土の場合は、現に、住んでいないし、それなりの自治がその場所において行われていないということからすれば、今までの二つの例とは全然違うようにも思いますし、また同じようにも思えたりするわけでございますけれども、経過措置を定めるという面で、主権が及んで、日本の地方自治法が及んでいるとしても経過措置が行われるように一応理解できると思いますが、そういったことで、私が勝手に解釈することですからよろしいですが、そう誤りがないんじゃなかろうかと思いますが、いかがですか。
#333
○政府委員(浅野大三郎君) 北方領土についてどうであるかということについてはなかなか微妙なこともあろうかと思います。私としてどうだということを申し上げることも困難でございますけれども、小笠原でありますとか沖縄の場合、ただいま御説明を申し上げましたようなそういう特別の措置が復帰の際にやはり必要であったということでございます。
#334
○高井和伸君 最後に大臣にお尋ねしますけれども、北方領土が我が国の固有の領土であるという立場から、例えば戻ってきた場合、聞くところによりますと私有地が少なくて国有地が大変多い。そういったところで、日本の非常に広い領土が返ってきて、そこに対して、やはり地方自治ないしは地方行政としてはある一定の視点からかなりいろいろ当初は視野に入れて特別な手当てをしなきゃいかぬのじゃないかと一応思うわけでございますけれども、遠い話だから考えていないということはまさかないと思いますけれども、近い将来の場面において北方領土に対する地方自治を預かる大臣としての御所見をお聞かせ願って、私の質問を終わります。
#335
○国務大臣(吹田ナ君) お説のように、完全に我が国に返還されて施政権が移るということになりますれば、こんなうれしいことはないわけでありまして、全国民の喜びだと思いますが、これに対しまして、今後そういうことになれば地方自治体としての活動を展開することになっていくでしょうから、それはその際の問題として十分配慮していかなきゃならぬ。特に、あの島からは今北海道その他に島を離れて上がっていますから、そういう人たちのことも考えながら、自治権というものが執行できるような体制を一日も早くつくらなきゃならぬことになるだろうと思いますが、今のところまだ、まずとにかく返してもらうということから始まるわけでありますから、これ以上のことを今私がここで申し上げるというわけにはなかなかまいりませんので、御理解願いたいと思います。
#336
○委員長(野田哲君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#337
○神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 そもそも地方自治体は、住民による住民のための住民の暮らしを守る組織であり、とりでであります。その自治権は、憲法により保障されているとはいえ、政府の行財政の両面にわたる枠組みのもとで極めて限定された自治権であります。したがって、財政自治権も極めて限定されたものとなっています。
 その制約された現状のもとでも、本年度の地方財政対策は、政府の都合により、違法的措置を含んだ極めて重大な内容となっています。これが本法案に反対する基本的理由であります。
 以下、主要な点について具体的に反対理由を述べます。
 反対の第一の理由は、地方交付税法附則第三条による交付税の減額をしていることであります。
 今回の改正では、交付税法附則第三条による減額で四千五百二億円がカットされていますが、八四年度に特例制度が導入されて以来、初めての減額であります。しかし、この措置は極めて違法性の強いものであります。交付税法附則第三条は、地方財政の安定的確保のためとあります。安定的確保のため減額するとは、全く道理のないものと言わなければなりません。また、これを許すことは、将来に禍根を残すであろうことを強調するものであります。
 地方交付税は、言うまでもなく地方固有の財源であります。自治省自身が認めるように、今日地方自治体は六十八兆円もの累積借入を抱え、この間の地方行革による行政需要の抑制から住民要求は山積しており、地方交付税の削減など到底許されるはずもないことであります。さらに、今年度加算される予定であった五千八百十一億円が昨年度と同様に安易に次年度以降に先送りされていることも、地方独自の多様な財政需要にこたえられない状態を地方に押しつけていることであり、認めることはできないものです。
 第二の理由は、地方財政の中長期的健全化を理由に、本来国が負担すべき交付税特別会計借入金の一兆七百十九億円や財源対策債等の将来の償還のために一兆九千四百六十億円の返済を優先させ、地方固有の一般財源をこれに充てていることであります。
 これら借入金や負債は、七五年度以降の地方の財源不足に端を発したもので、当然国が交付税法第六条の三第二項による措置をとり対処すべきものでありました。それを怠ったばかりか地方財政法第二条で禁止している負担転嫁を強行した国の責任は重大であります。
 減収補てん債、財源対策債、地域財政特例債、臨時財政特例債は、いわば赤字地方債であり、地方自治体に何らの責任もないものです。九〇年度基準財政需要額によれば、この赤字地方債が公債費総額の四〇%、六千百二十億円にも達し、自治体の財政を圧迫しているものであり、断じて許すことはできません。
 第三には、一部復元されたとはいえ、八五年度以降の国庫補助、負担金カットが依然継続していることであります。
 八六年度水準に復元された公共事業の復元額は、普通会計、企業会計などの合計で千六百億円程度にしかなりません。国庫補助事業はそもそも国の責任で財源措置されるべきものであります。交付税措置によって地方の一般財源を補助金カットの穴埋めに使うことは許されないことであります。
 まして、民生、福祉関係の国庫補助の切り下げを恒久化する一方で、地方固有の財源である交付税は、減額や安易な先送り、補助金カットの穴埋めなどに使うことは、地方自治の破壊と言わなければなりません。
 なお、新産・工特財政特例法、首都圏等財政特例法は、港湾など産業基盤整備に地方債が重点的に投資されており、そのひずみを救済するための生活環境整備が年々後退していることは問題であります。
 以上を指摘して、反対理由とします。
#338
○岩本久人君 私は、日本社会党・護憲共同を代表してただ今議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、賛成の討論をいたします。
 平成三年度の地方財政対策につきましては、多くの問題点を含んでおります。昨年、当委員会において採択いたしました特別決議にある国庫補助負担率の暫定特例は、残念ながら延長となり、決議は守られませんでした。さらに、地方交付税法附則第三条に基づくとされる四千五百二億円の交付税の特例減額が実施されようとしております。私どもは、地方財政と国家財政が切断されたものでないことは十分に承知いたしておりますが、いたずらに国の財政事情の都合によって地方財政、すなわち地方自治が犠牲とされることに対して、単なるお金の問題ではなくして民主主義の問題として、憲法に規定されている地方自治の問題として強い危惧を持つものであります。
 地方交付税は、国と地方の事務事業の配分に基づき、税源配分の一環として地方団体共有の固有財源として保障され、定められている制度であります。それが、一方的に地方財政は余剰があるといった間違った認識のもとで、しかもあたかも交付税はその年度ごとの国の財政事情によって自由に変更、調整してよいかの議論が政府においても、国会においても横行するとするなら、これは極めて重大な自治の危機であると言わざるを得ません。
 附則三条問題は、昭和五十九年度に政府が制度改正であるとしたものでありますが、これは地方財政の健全化を図るため、安易な特会借入をやめて財源不足が生じた場合は特例加算することを前提として議論されてきたと考えます。その背景においては、本則に基づく財源保障ができず、事務事業や税源の再配分もにわかにできないという国の事情があったからであります。国と地方の最終支出の状況を見れば、むしろ補助金の整理合理化や税源の再配分を行うべきであったにもかかわらず、安易な財政対策をあたかも制度改正であるかに粉飾してきた結果が今日の議論をもたらしたとも言えます。また、地方団体に国の施策に対する発言権を正式に認めていないことに問題があります。
 地方財政は六十八兆円に上る借金を抱え、高齢化、国際化、情報化などの進展により行政需要、財政需要も高まる一方であります。こうしたニーズをゆがめて抑制しようとすれば、それは国家の基本政策の破綻につながることは明らかであります。しかし、実際には、地方財政計画が現実の地方団体の歳出の実態や財政需要を反映していないことは決算等を見ても明らかであり、地方団体は基準財政需要額の算定方法や国保や公営企業、地域福祉充実のための財源保障などに対して多くの切実な要望を寄せています。こうした声に真摯に耳を傾けることこそ自治の保障であり、また地域の振興と住民福祉の向上という国の政策目的にもかなうことを銘記すべきであります。
 私どもは、今回の特例減額については、本来反対であります。ただし、今回の特例については特会借入金の繰り上げ返済という性格を持っており、今後かかる措置が安易にとられたり、交付税制度や地方財政対策に重大な後退がないという何らかの担保が得られるなら、また、平成四年度からの交付税措置等について現状からの積極的な改革が図られるという約束が得られるなら、譲歩して今回限りの特例とすることもやむを得ないと判断をいたしました。
 そして、ただいま申し上げましたことについては、この後特別決議という形でまとめられております。今度こそこの決議の趣旨を遵守していただきたいと思います。これは、私ども野党との約束というよりは、全国三千三百自治体、一億二千万住民との約束であります。私どもは、今回、この法案に反対し、いわゆる筋を通すことよりも、政府がこうした自治体、住民との約束を誠実に履行することについて、来年度以降の交付税制度の運用や地方財政対策がこの決議に沿って進められることを見守りたいと存じます。したがって、今回の私どもの法案に対する態度は、政府がいかにこの決議を実行していくかにかかっていることを申し上げておきたいと思います。
 特に、地方交付税制度の趣旨と根幹を守り発展させることは我が国の将来像にとって必要不可欠であり、また保健医療福祉にかかわる施策、公共投資にかかわる施策は国が国民に約束し、地方自治体にも責務を付している問題であり、国の責任こそ重大であることを強調いたしまして、私の賛成討論を終わります。
#339
○委員長(野田哲君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#340
○委員長(野田哲君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これ
を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#341
○委員長(野田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#342
○委員長(野田哲君) 次に、地方行政の改革に関する調査を議題といたします。
 渡辺君から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺君。
#343
○渡辺四郎君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院の各派共同提案による地方行財政の拡充強化に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   地方行財政の拡充強化に関する決議(案)
  政府は、高齢化、国際化等の進展により地方団体を取り巻く環境が大きく変貌しつつある現状にかんがみ、地方行財政の長期的な安定と健全な発展を期するため、左記事項について善処すべきである。
 一、地方交付税は、国と地方の事務分担、経費負担区分に基づき国、地方の財源配分の一環として設けられている地方団体の共有かつ固有の財源であることにかんがみ、国の財政事情の都合によってその税率の変更等を行わないこと。
 二、地方交付税法附則第三条に基づく特例措置については、昭和五十九年度における改正の経緯及び地方交付税制度の趣旨にかんがみ、地方交付税総額の安定的な確保に資する観点から、その慎重かつ適正な運用に努めること。
 三、公共投資基本計画等の実施に伴う公共事業の拡大とそれに係る地方負担の増大にかんがみ、国庫補助負担制度の充実を検討すること。
   また、公共事業に係る国庫補助負担率の暫定措置については早急に総合的検討を進め、速やかに結論を得るとともに、零細補助金等の整理合理化を推進すること。
 四、地方財政計画の策定に当たっては、地方団体の長期計画及び具体的施策に伴う財政需要の動向等を的確に把握し、より地方の実態に即したものとなるよう一層の充実を図ること。特に、高齢者保健福祉の増進等のため、保健、医療、福祉関係職員等については、地方財政計画等における人員の充実や処遇改善を検討し、必要な人員の確保が図られるようにすること。
 五、地方公務員の給与水準については、他の地方団体等と比較し著しく水準の低い地方団体についてその改善に努めるとともに、公務員制度の一環としての実効ある育児休業制度の早急な確立を図ること。
 六、国民健康保険事業における住民負担の軽減を図る見地から、国保財政の在り方について改善を図ること。
 七、地域福祉基金の財源の充実を検討するとともに、その運営に当たっては、地方交付税法第三条第二項の趣旨を尊重すること。
   また、地方団体が自主的に地域福祉の充実に取り組むことができるよう財源措置を充実するとともに、よりきめ細やかな地方交付税措置を検討すること。
 八、下水道等の財源措置の充実を検討するとともに、上下水道、交通、病院事業に対する一般会計からの繰出金の充実を図ること。
  右決議する。
 以上でございます。
#344
○委員長(野田哲君) ただいまの渡辺君提出の決議案の採決を行います。
 本決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#345
○委員長(野田哲君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、吹田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。吹田自治大臣。
#346
○国務大臣(吹田ナ君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。
    ─────────────
#347
○委員長(野田哲君) 次に、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。吹田国務大臣。
#348
○国務大臣(吹田ナ君) ただいま議題となりました暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明いたします。
 この法律案は、最近における暴力団員の不当な行為によって市民生活の安全と平穏が脅かされている実情にかんがみ、国民の自由と権利の侵害を防止するため、構成員等が集団的にまたは常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれが大きい暴力団を指定する制度を設け、この指定された暴力団の暴力団員の行う暴力的要求行為等を禁止し、その違反に関する所要の措置を定めるとともに、暴力団の対立抗争等による市民生活に対する危険を防止するため必要な措置を講ずるほか、暴力団員による不当な行為の防止及びこれによる被害の救済に資するため暴力追放運動推進センターを指定する制度を設けること等をその内容としております。
 以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。
 まず、第一に、指定暴力団等の指定等についてであります。
 これは、都道府県公安委員会が一定の要件に該当する暴力団を指定暴力団または指定暴力団の連合体として指定することにより、規制の対象となる暴力団員の範囲を一義的に明確にするものであります。
 この指定に当たっては、都道府県公安委員会は国家公安委員会の確認を求めなければならず、この確認は審査専門委員の意見に基づくものでなければならないこととするとともに、聴聞及び不服申し立ての制度を整備すること等により、指定処分の適正を最大限確保することとしております。
 第二に、指定暴力団員の暴力的要求行為の規制等についてであります。
 これは、暴力団員が暴力団の威力を示して一般市民や事業者に対して不当に金品等を要求する行為を行っている実態にかんがみ、暴力団員が行う典型的な不当な要求行為を規制するものであります。
 その一は、指定暴力団員が、その所属する指定暴力団等の威力を示してみだりに金品等の供与を要求する等の暴力的要求行為を行うことを禁止し、その違反に対しては、公安委員会が、当該違反行為の中止を命じ、または再発防止のために必要な事項を命ずることができることとするものであります。
 その二は、指定暴力団員に対して暴力的要求行為を依頼する等の行為を禁止し、その違反に対しては、公安委員会が、再発防止のために必要な事項を命ずることができることとするものであります。
 第三に、暴力団員の不当な要求による被害の回復等のための援助についてであります。
 これは、暴力団員による不当な要求による被害の回復または防止を図るために、公安委員会が一定の援助を行うものであります。
 その一は、指定暴力団員による暴力的要求行為の相手方からその被害を回復しようとするに当たって援助の申し出があったときに、公安委員会が、その申し出人に対し、当該指定暴力団員への連絡その他必要な援助を行うこととするものであります。
 その二は、事業者に対し、暴力団員による不当な要求による被害を防止するための措置が有効に行われるようにするため、公安委員会が、資料の提供その他必要な援助を行うこととするものであります。
 第四に、対立抗争時の指定暴力団等の事務所の使用制限その他の規制についてであります。
 これは、暴力団の事務所の使用及びその事務所に係る行為並びに暴力団への加入の勧誘等の行為について一定の規制を行うことにより、市民生活の安全と平穏の確保を図ろうとするものであります。
 その一は、指定暴力団等の間に対立抗争が発生した場合に、その事務所が多数の指定暴力団員の集合等の用に供されているときは、公安委員会が、その事務所をこれらの用に供すること等を禁止することを命ずることができることとするものであります。
 その二は、指定暴力団員が、少年に対して指定暴力団等への加入を勧誘すること、人を威迫して加入を強要すること等を禁止し、公安委員会が、その違反行為の中止を命じ、または脱退妨害の防止等のために必要な事項を命ずることができることとするものであります。
 その三は、指定暴力団員が、その事務所等において付近住民等に不安を覚えさせるような行為をすること等を禁止し、公安委員会が、その違反行為の中止等を命ずることができることとするものであります。
 第五に、暴力追放運動推進センターの指定についてであります。
 これは、暴力団員の活動による被害の予防等に資するための民間公益活動の促進を図るため、都道府県ごとに暴力追放運動推進センターを指定し、これらのセンターに民間の活力を発揮して暴力団追放運動、暴力団員による不当な行為に関する相談に応ずること等の事業を行わせることとするものであります。
 その他、仮の命令、不服申し立て、審査専門委員、罰則等について所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律は、公布の日から一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
 よろしくお願いいたします。
#349
○委員長(野田哲君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 この際、国家公安委員長、警察庁長官に一言申し上げます。
 本法案については、当初の提出予定が大幅におくれ、会期末において本委員会に付託されることとなりましたが、今後、法案の提出に当たっては、参議院での審議日程が十分に確保できるよう、適切な時期に提出を行うよう御注意申し上げます。
 本案に対する質疑は明日の委員会に譲り、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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