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#1
第120回国会 地方行政委員会 第10号
平成三年四月二十六日(金曜日)
   午後一時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     井上 章平君     佐々木 満君
     野村 五男君     小野 清子君
     岩本 久人君     村田 誠醇君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     小野 清子君     野村 五男君
     佐々木 満君     井上 章平君
     野別 隆俊君     大渕 絹子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         野田  哲君
    理 事
                竹山  裕君
                松浦  功君
                渡辺 四郎君
                諫山  博君
    委 員
                井上 章平君
                岩崎 純三君
                大塚清次郎君
                加藤 武徳君
                後藤 正夫君
                須藤良太郎君
                野村 五男君
                大渕 絹子君
                栗村 和夫君
                篠崎 年子君
                野別 隆俊君
                村田 誠醇君
                常松 克安君
                神谷信之助君
                高井 和伸君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    吹田  ナ君
   政府委員
       警察庁長官    鈴木 良一君
       警察庁長官官房
       長        井上 幸彦君
       警察庁刑事局長  國松 孝次君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹村  晟君
   説明員
       総務庁行政管理
       局企画調整課長  河野  昭君
       法務省刑事局刑
       事課長      但木 敬一君
       法務省刑事局青
       少年課長     古田 佑紀君
       大蔵省銀行局銀
       行課長      永田 俊一君
       建設省建設経済
       局建設振興課長  吉井 一弥君
       建設省建設経済
       局不動産業課長  藤田  真君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○小委員会に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(野田哲君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十五日、岩本久人君が委員を辞任され、その補欠として村田誠醇君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(野田哲君) 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明につきましては、前回の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○渡辺四郎君 実は時間が非常に短縮になりましたので、私の方も非常に簡単に御質問申し上げたいと思うんです。
 まず、冒頭私は本法の目的が、第一条に示すとおり、「市民生活の安全と平穏の確保を図り、もって国民の自由と権利を保護することを目的とする。」、この目的達成のため、暴力団員の行う暴力的要求行為を初めとして、これを阻止するためのあらゆる行政手段をもって今日までの法制面での限界があった部分あるいは不十分な点を検討されて提案されたものと信じております。このことについては国民そのものに全く異存はなく、そして急がなければならない大事な法律案だ、そういうふうに私自身も実は自覚をしておるところです。
 しかし、急がなければならないということと法案審議を十分に行う、そして国民と一体となって立ち上がって暴力追放運動の効果を上げる、そういう今日までの歴史から見ても非常にやはり国民的な立ち上がりが重要だということについては既にお互いが認識しておるところです。
 ところが、その中で特に今回の場合、三十八条から成る新しい法律の制定でありまして、特に四月十二日の閣議決定以降、国会の審議が始まるにつれて日弁連の皆さん初め学者、文化人の方たちあるいは多くの皆さんたちが国会の方にお見えになりました。その中で特にやっぱり御心配なさっておる部分が人権侵害問題やあるいは他の刑法との整合性の問題、あるいは行政権限でありますが、警察権力の拡大適用になってくるのではないか、こういう心配等がされてまいりました。地方からも連日のように私どもの部屋にそういう方たちが危惧をされて実は参っておるところです。ですから、確かに時間はございませんが、私らやっぱり立法府の役割としてそういう国民の皆さんの危惧をどう払拭をしていくか、そして国民の皆さんと御一緒になって暴力追放運動に立ち上がっていただく、こういうことをこの委員会の中でもお互いに確認をしていきたいと思うんです。
 そういう中で、特に時間が短いわけですけれども、私は後ほど決議案も出しますが、法律の運用面等についても十分ひとつ行政の方とも立法府の私らの方とも協議を重ねていって、そしてそういう国民の皆さんの御心配なりあるいは危惧の点を払拭をしていかなきゃいけない、そういうふうに実は感じておるところです。
 まず、そういう点について国家公安委員長と、これは通告していなかったわけですが、警察庁長官の御意見をお伺いしたいと思います。
#5
○国務大臣(吹田ナ君) ただいまの先生のお言葉はまさに私どもが一番申しわけなかったと思っておるところでありまして、この法律の提案につきましては、早くから暴力団追放問題というのは協議はしておったものの、なかなか法案として提出するということが種々の事情から非常に時間がかかりましたものですから、提出がおくれたということから審議権に対して非常な制約を加えたではないかというふうな解釈をされましたことはごもっともであると思っております。
 しかし、本来そういう気持ちは毛頭なかったわけでありまして、何とか国会で御審議いただけるに十分な内容を持った法律にしなきゃならぬということでいろいろ検討し、憲法との関係の人権、自由というような問題等も整合性を持たなきゃならぬという法制局との協議がなされたようでありますが、そうしたことで警察庁の方でも随分苦労しましてやりましたものですから若干おくれたわけであります。
 特に私はこういった面では全く素人でありますが、暴力団の威力の行使に伴う問題というのは、はっきりと犯罪になる問題であればこれは見やすいのですけれども、犯罪にならないで威力を行使して社会に非常な迷惑をかけておるという問題があります。こういった問題等をいかにして処理するか、いかにして善良な国民の皆さんがこれに対して平和で安全な生活を脅かされないようなそういうことに持っていくかということからの発想でありまして、どうぞひとつ真意のほどをお酌み取りを願いたいと思うわけでありまして、おくれました点につきましては、何と申しましてもこれは申しわけなかった、審議権を持っております委員会に提出がおくれたということは、私が右代表いたしましてお断りを申し上げる次第であります。
#6
○政府委員(鈴木良一君) ただいまお話しございましたように、いろんないきさつがあったとはいえ大変提出が遅くなりました。事務の代表者としてまことに申しわけないと、こういうふうに思っております。
 ただ、言いわけを申し上げるわけではございませんが、新法であるということと、この法律に先ほどいろいろお話がありましたような危惧の念を抱かれる方々があってはいけないということで、その点で慎重に作業を進めてきたということもございましておくれてしまったわけでございます。御指摘の点は重々今後の反省、検討に生かしていきたい、かように考えておるところでございます。
#7
○渡辺四郎君 他の委員の方からもいろいろ御質問があろうと思いますから、私は法案の内容について入っていきたいと思うんです。
 まず、二月二十七日に公表された暴力団対策法の素案が七本の柱から組まれておったようですが、その中で特に新しいやり方だというふうに言われておりました不正収益の剥奪と一定営業からの排除が素案段階から落ちていった理由をお聞きをしたい。どういう理由なのか。
 これは四月十日の読売新聞ではこう書いてある。刑法に没収規定がある。さらに麻薬新条約の批准に伴って国内法を整備し、その中で収益の没収について検討していること。なお、この問題について法務省と協議をしたが、収益の没収の規定と恐喝まがい行為法案のいわゆる暴力的不法要求行為の利益を行政的に剥奪する仕組み、これとの整合性をどうするかの問題となり、先送りして削除したというふうにこの読売新聞は言っておりますが、そういう理由なのか、あわせてひとつお伺いしたいと思います。
#8
○政府委員(國松孝次君) 御指摘のとおり、当庁におきまして当初立法の作業を進めております場合に、暴力団対策のための新しい行政上の手法といたしまして不正収益の剥奪の制度について準備を進めますとともに、また一定の営業から暴力団員を排除するために指定営業制度というものを設けてはいかがかという点を含めて検討を進めたのは事実でございまして、本年二月に警察庁刑事局案として発表いたしました基本的考え方の中では、そのとおり示しておるところでございます。
 このうち不正収益の剥奪の件につきましては、これは暴力団の資金源を枯渇させるという観点からはやはりどうしても必要な制度であるという認識は私ども今でも持っておるわけでございますが、ただ、当時から麻薬新条約批准のための国内実施法案におきまして不正収益没収制度が検討を続けられていたことにもかんがみまして、それとの整合性等についての調整を含めて今後さらに検討を行い、不正収益の剥奪のための法制度としてよりよいものをつくっていくという配慮から、今回の法案においては見送ることといたしたものでございます。
 また、一定の営業からの排除という点につきましても、当初の私どもの基本的な考え方に置いておったわけでございますが、この件につきましても、九条に十一項目にわたって列挙いたしておりますが、暴力的要求行為を禁止し、これにその都度的確な中止命令その他の措置を用意することで相応の規制目的を達成することができるものと考えました。また、かたがた営業行為に対する制限は可能な限り抑制的にすることが望ましいということから今回の法案においては見送ることにしたものでございます。
 不正収益の剥奪につきましては、先ほど申しましたとおり、やはり暴力団の資金源を枯渇させるという観点からはどうしても必要な制度であると考えておりますので、そういった他の制度との整合性を十分考慮しながら、今後引き続き検討してまいるつもりでございます。
#9
○渡辺四郎君 法務省にお尋ねしますが、本日の本会議で麻薬新条約の国内法が決定をいたしましたが、この国内法について今申し上げました不正収益の剥奪規定が立法化されていると思うんですけれども、その概要について御説明いただきたいと思うんです。
#10
○説明員(古田佑紀君) 委員御案内のとおり、没収は犯罪を犯した者に対する刑罰ということで現在構成されておりまして、刑事裁判において犯罪事実を認定した上で、その犯罪行為により得られた収益などを剥奪するものでございます。
 ところで、御指摘の麻薬新条約関係の国内担保法案におきましては、麻薬新条約の要請にこたえまして、薬物犯罪それから薬物犯罪からの収益についてのいわゆるマネーロンダリング罪に関しまして、このような刑罰としての没収の範囲を拡大するということと、それに必要な手続の整備を図るということを内容としております。
 具体的に申し上げますと、没収の範囲の拡大につきましては、現在の没収規定では物の形になったものしか没収ができないわけでございますが、これを例えば銀行預金などの債権その他の財産まで一般的に広げる、それからまたその利息とか、それが売却されあるいは別な形に変わったもの、例えば銀行預金をおろして買った株でありますとか、そういうふうなものにまで範囲を広げるということが一点でございます。
 それから次に、没収のための手続の整備でございますが、これは没収を確実に行いますために、没収の対象となるいろんな財産を裁判所の命令によりまして民事で申しますと仮に差し押さえるといいますか、仮処分をかけるといいますか、そういうふうな制度がございますが、それと同様の制度を刑事手続にも導入する。あわせて民事関係の強制執行手続との調整、それから善意の第三者の保護に関する調整規定を置いてあります。
 以上が、簡単でございますが、麻薬新条約の国内担保法案の中での没収規定の概要でございます。
#11
○渡辺四郎君 私が申し上げたいのは、さっき局長からもお話がありましたけれども、この素案の段階で、当時の新聞の社説を読んでみますと、行政手段で不法な収益を剥奪するなど、特に資金面からの活動を規制していく点に新味があり、私たち国民の主張に沿うものだというふうに実は評価をされておったんですが、これが削除されたものですから、今法務省の方からお話がありましたように、そうすれば、不正収益の剥奪規定そのもののまず環境の整備が大筋大体できつつあるのじゃないか。そうしますと、さっきおっしゃったように、この法律案が成立した後も直ちにいわゆるその部分についての改正をしていくということに受け取りましたけれども、それでよろしいんでしょうか。
#12
○政府委員(國松孝次君) そのとおりでございまして、麻薬新条約の批准のための国内実施法案につきましては、基本的な考え方をお示しいたしました段階では、まだどういうものかということにつきまして明確な考えを私ども存じておらなかったわけでございますが、今そちらの法案があらまし固まりまして、ただいま御説明のありましたような形が整ってきたということは私どもにとりましても大変ありがたいことだというように思っております。そうしたものも参考にしながら、不正収益の剥奪の制度が全体としてどのように構築されるのか、その中で本法がどのように位置づけられるのか、また本法の体系の中で剥奪の規定をどのように位置づけていくのかといったようなことにつきまして直ちに速やかに検討をいたしまして、そういった必要と思われる制度の実現を目指して努力をしてまいりたい、かように考えております。
#13
○渡辺四郎君 それに関連して大蔵省にちょっとお聞きをしたいわけですけれども、平成元年度の警察白書によりますと、暴力団の年間収入が約一兆三千十九億円程度見込まれるというふうに言われていますが、その収入源の中心が暴力団の民事介入暴力事件あるいは不法に得る利益で、これが年々増加をしておるというふうに白書の中の資料は説明をしております。
 そこでお尋ねをしたいのは、先ほど法務省の方からもお話がありましたが、確かに金には色はついていないわけですね。ですから、どのような手段、方法であろうと、集めた金を一回銀行に預金をするということになりますと、後は引き出せばきれいな金になって返ってくる。この金で株の買い占めに乗り出したり、あるいはありましたようにリクルート事件で大変な利益を上げた方もおるわけですが、今までどこに欠陥があったからそういうことができたのか。あるいはそういう裏金が、裏でもうけた金が表の世界で堂々とまかり通っている。これは何も暴力団だけでなくて、さっき言ったそういう問題もあるわけですが、不正収益の剥奪規定あるいはマネーロンダリングの規定整備の欠如があったからこういう実態が今日まで進んできたというふうに大蔵省の方は感じておるかどうか、伺いたいんです。
 ついででありますから、そういう点について、諸外国で組織犯罪によって得た金についていわゆるマネーロンダリングを許さない規定等があれば、あるいはあるというふうに聞いておりますが、その内容についてもひとつお聞きをしたいというふうに思うわけです。
#14
○説明員(永田俊一君) お答え申し上げます。
 御指摘の点でございますけれども、今回私ども大蔵省といたしましても、先ほど法務省から御説明いただきましたように、マネロン防止法におきまして、マネーロンダリングを行う者に対する直接の規制にあわせまして、金融システムがマネーロンダリングに悪用されないような、そういうための金融機関等に対する規制、これを導入するということにさせていただいたわけであります。
 御指摘のとおり、大蔵省は金融といいますか、預金の形態で資金洗浄が行われることについて今までどういうふうに考えていたかということでございますが、御案内のとおり、国際的に麻薬の問題が特にロンダリングという問題を通じまして大きな議論になりまして、したがいまして、国連で麻薬新条約あるいはサミットで金融活動作業グループというのが設けられまして、そこでこのマネーロンダリングがいろいろ検討されたわけであります。そういう議論の過程におきまして、当省としましても本問題の重要性にかんがみまして、早期に今回のような法的措置をとることを推進させていただいたわけであります。
 それから、お尋ねの各国でどういう状況になっているかでございますけれども、これにつきましては、詳細な調査が完璧なものはないわけでありますが、概略をちょっと申し上げますと、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスあるいはスイスの諸外国について見ますと、マネーロンダリングを犯罪として処罰する、こういうことがあるわけですけれども、これについてはアメリカ、イギリス、フランス、スイスでは既に法制化されていると聞いておりますし、ドイツでは準備中と聞いております。
 それから金融機関との関係でいきますと、例えば取引開始などの際におきます本人確認、この問題につきましては、先ほども申し上げました四カ国に加えましてドイツにおいても既に実施されております。
 それから、今回法案の中に盛り込んでいただきました疑わしい取引の報告制度につきましては、アメリカ、イギリス、フランスにおいて既に実施されておりまして、ドイツ、スイスでも法制化の準備中と聞いております。
#15
○渡辺四郎君 じゃ、結論だけお伺いをいたしますが、規定の整備を急ぐ必要があるというふうに思いますけれども、今のお話では整備について着手をしておる、急いでおるというふうに判断していいんだろうか、聞かせてほしいと思います。
#16
○説明員(永田俊一君) 既に金融活動作業部会の勧告を受けまして、このうち先ほど申し上げました本人確認の制度につきましては、既に昨年の十月から金融機関の店頭におきまして本人確認作業に入っておりますし、今回法案の整備も行われ、疑わしき取引の報告制度も導入されるわけでございますので、こういうことを一体となって今後適切な運用に努めてまいりたいというふうに考えております。
#17
○渡辺四郎君 次は、建設省にお聞きをしたいわけですが、なかなか恐縮な質問になるわけですが、実はこの法案の第二点目の問題になります一定営業からの排除の問題で、排除規定から落ちた理由として考えられるのが、一つは弁護士法に類似規定があるからだと、これは警察庁の方ですが、二つ目が各営業を管轄している各省庁との調整が難航したのかというのがどうも私ら自身が考えられる点であるわけですが、難航した官庁というふうに考えてみますと、どういう問題があるのかということについても実は知りたいわけですが、なかなか他の諸官庁の問題については言えないと思うのです。
 それで、建設省に伺いたいのは、建設省として暴力団の一定営業からの排除規定を設ければ、どのような点が問題になると考えられるのか。例えば建設業営業許可申請とかあるいは不動産業営業許可申請、そういう部分について何か問題点があるかどうか。
 それから二つ目の問題ですが、昨年の十二月九日付をもって実施に踏み切りました建設業界からの暴力団排除対策、確かに期日は非常に短いわけですが、その後の経過について、例えば今申し上げました建設業営業許可申請あるいは不動産業営業許可申請が出されて、これを却下した件数があるかどうか。あるいは更新の要求がありましたが、経営者が暴力団員だというようなことで、例えば取り消しになったり、そういう件があれば、件数についてお伺いしたいと思います。
#18
○説明員(吉井一弥君) お答えいたします。
 私ども建設業関係の行政を担当する者といたしまして、建設業者を信頼産業として育成することが一つの大きな目的であると考えておりまして、特に暴力団の排除というものはそういうふうな観点から極めて重要な課題であると認識しているところでございます。先生今の御指摘にもございましたとおり、建設業を営む場合には建設業法におきまして許可を受けることが必要とされているわけでございますが、建設業法の規定によりまして許可の申請を行った会社の役員等が暴力団の構成員である場合には、許可基準といたしまして「請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。」というのが許可要件に書いてございまして、その許可の基準に適合しないというふうな扱いをしておりまして、建設業の許可は行わないというふうな手だてを講じているところでございます。また、暴力団が経営を支配しておりますような不良業者が公共工事の指名を受けることのないよう十分資格審査を行いまして、公正かつ的確な指名を行うよう各都道府県に対して指導しているところでございます。
 先生今御指摘のとおり、このような通達は警察庁と十分連絡をとりました上、私どもの方から各都道府県知事、それから主要な発注機関等に対して六十一年十二月に通達を出したところでございまして、その後全部の都道府県におきまして建設業団体、それから警察に入っていただきまして、それと発注者側、建設業行政の担当部局等とで構成いたします連絡協議会が結成されておるところでございます。
 その通達が出されて以降、暴力団であることを理由に許可をしなかったりあるいは更新を拒絶したというふうな事例、あるいは行政指導により解消させたというふうな事例が、これまでのところ約百件ほどあるというふうに私ども報告を受けております。
 以上でございます。
#19
○説明員(藤田真君) 宅地建物取引業の関係についてお答えをさせていただきます。
 今、建設業についてもお話がございましたけれども、宅地建物取引業におきましても、国民の財産を取り扱う業であるという意味で、これをいかに信頼産業として指導、育成するかということにつきましては、私どもも大きな課題として認識しておるわけでございます。
 このため、昭和六十三年に宅地建物取引業法を改正させていただきまして、暴力団などの悪質な地上げ行為を排除するという、こういう趣旨を明らかにするために、傷害、暴行などの粗暴な行為を行った者については、罰金刑以上の刑を受けた場合に五年間免許を取得できないというように免許の基準を強化したところでございます。
 御指摘の宅地建物取引業からの暴力団の排除につきましては、御審議いただいております法案の中の九条の暴力的要求行為についての禁止でありますとか、さらに十条にその依頼についての禁止がなされております。これと六十三年に改正させていただきました宅地建物取引業法の厳正な執行におきまして目的を達成することができるのではないかというふうに考えておるところでございます。
 なお、昭和六十三年に宅地建物取引業法を改正いたしましてこの基準を強化したことによりまして排除された件数でございますけれども、昭和六十三年に十件、それから元年に十四件という件数になっております。
 以上でございます。
#20
○渡辺四郎君 それじゃ警察庁の方にお尋ねしますが、今お聞きをしました一定営業からの排除規定が削除されましたが、警察庁としては、個々の暴力的要求行為の禁止で今言われましたような効果が期待ができるというふうに確信なさっているかどうか。伺いたいのは、警視庁の確認でも、山口組の東京進出企業が昭和六十年は六カ所で構成員が四十八人だった。これが平成二年八月には四十五カ所にふえて、構成員も百八十人と急増しておる。このような状況の中でも、さっきから申し上げておりますように、一定営業からの排除規定がなくても対応できるというふうに確信を持たれておるか、伺いたいと思います。
#21
○政府委員(國松孝次君) 若干具体的な例として御説明をいたしたいと思うわけでございますが、一定の営業からの排除ということを考え、その過程で指定営業制度というのを設けたわけでございます。それじゃ一体どういう営業あるいはそのもととなる業務を考えておったかということになりますと、私ども一番典型的に考えておりましたのは、一つは地上げでございます。最近そういうものに非常に暴力団が絡んできておる。地上げを業務とするような営業、そういうものからは暴力団を排除せぬといかぬではないか、そのためにそういう営業からの排除規定があった方がいいのではないかということが考えられました。
 また、もう一つ典型的にありますのは、貸金業のまたその下の方にある業でありますが、いわゆる債権取り立てというやつでございます。こういうものにつきましても、最近暴力団の介入が非常に多いということがありますので、端的にそういう例えば貸金業なり地上げ業――地上げ業というのがあるかどうかわかりませんが、そういう業をやっているような営業があった場合には、そこからあらかじめといいますか、事前に排除しておくというのがいいのではないかということでやったわけでございます。
 かたがたこれは結局九条に列挙いたします暴力的要求行為の中身がどうなってくるかということとの相関関係にあるわけでありますけれども、例えば今申しました地上げにつきましては、九条の九号におきまして、「正当な権原に基づいて建物又はその敷地を居住の用又は事業の用に供している者に対し、その意思に反して、これらの明渡しを要求すること。」と、暴力団が実際に地上げをやっているのはまさにこういう実態で行っているわけでございます。指定暴力団員が威力を示してやれば、これが一つの禁止行為となるという規定がここにできた。それから、あと債務者に対する債権取り立てにつきましては六号に書いてあるということで、そういう業をやる前に一つ一つの単発行為と申しますか、こういうものを禁止することができる。
 それに対しまして十一条の一項、二項で中止命令もかけることができますし、あるいは一年を超えない範囲内で期間を定めて、そうした地上げ的なことが行われるということあるいは債権取り立てが行われるということについて、それを防止するために必要な事項を命ずることができる。
 こういうことでありますので、一つ一つの行為をきちっと押さえていけば、そういう営業には当然、営業であろうと営業でなかろうと、そういう行為があれば、これは我々の措置命令の対象になってくるわけでありますから、そういう意味では十分にここでできるのではないか。あえて営業と言わなくてもある程度は相応の効果が出てくる。
 もう一方、営業から排除するあるいは営業そのものを場合によっては停止を命ずるというようなことになりますと、これはやはり相当の権利侵害を伴う行為でありますので、新法を立案するというような過程においてはやはり謙抑的であるべきであろうということになりまして、そうしたいろんな考量の結果、指定営業の制度は設けなくても、単発行為を着実的確にやっていくことによって一定の営業からの排除をしようとしていた私どもの法の制定目的と申しますか、規定の制定目的は達せられることになる、それを行えばそういった効果は十分に出るのではないかという判断でそういう結果になったということでございます。したがいまして、当面この単発行為の中止命令なりあるいは再発防止命令なりを的確にかけることによって法の目的は十分に達せられる、十分といいますか、当面できるというように考えております。
 ただ、暴力団と申しますものはやはり法を免れていろんな形で資金源活動をやっていくというのが常態の組織でございますから、将来にわたりましてまたいろんな資金源活動の形態も変わってくると思います。そうした場合に、やはりそういった推移を見た上で一定の業から排除をするというような規定を置いた方がいいというような判断になりますれば、その段階でまた検討することもあろうと思いますが、当面はこの規定でやっていけるし、それで十分であろうというように考えておるところでございます。
#22
○渡辺四郎君 はい、わかりました。
 それでは次に、法案の内容について若干、他の先生からもあろうと思いますが、まず第一点は犯罪経歴の要件についてであります。
 本法の第三条で暴力団の指定要件として三点が挙げられているわけですが、その中で最も客観的な基準となると思われるのが二号の幹部または団員に占める犯罪経歴者の比率であるというふうに思いますが、そのとおりであるかどうか。
#23
○政府委員(國松孝次君) まさに二号の要件は端的に数字で出てまいるものでございますので、わかりやすいという意味では確かに明確な要件であろうと思いますが、やはり私どもとしては、一号の実質目的要件というものも大変重要な要件でございまして、この要件をきちっと判断することによりまして暴力団をほかのいろんな団体からきちっと切り出すというような効果もあると思います。また、三号の要件につきましても、彼らの実態に即した組織というものをここでほかの団体から切り出すということでございますので、私どもといたしましては、一号、二号、三号相まって指定をしておくということであろうと思います。
 ただ、御指摘のように、二号の場合は数字でぴしっと出ますので、ある程度ほかの要件よりも何となく具体性があるということはそのとおりだと思います。
#24
○渡辺四郎君 そうしますと、犯罪経歴についての基準というものを今度の新しい法律で何かの基準に基づいて考えたと思うんですけれども、それについてどういう基準で考えられたのか伺いたいと思います。
#25
○政府委員(國松孝次君) 基準と申しますか、ある意味ではこれは私どもの局員の一つの創作でございまして、今までにこういう基準のようなものがあるわけではないわけでございます。とにかくこの基準を設けましたいわれと申しますものは、要するに我々は暴力団を暴力団以外の組織から何とかきちっとわかるような形で切り分けなければならない。その場合にどういう要件があるかということで、一号とか三号もあるわけでありますが、二号をこのような形でかけましたのは、結局のところ、暴力団と申しますものは言ってみれば一種の犯罪者集団でございますので、その構成員の中に占めるいわゆる前歴者、犯歴を保有している者の割合というのがほかのいかなる団体に比べましても異常に高いわけであります。そういう実態が現実にあるわけでございますので、そういった前歴者率と申しますか、犯歴保有者率、犯罪の経歴を持っている者が非常に多いという点に着目いたしまして、それをもって何とかほかの諸団体といいますか、いろんな組織との切り分けができないかということで考え出したものでございます。
 そして、ここにも書いてございますように、具体的にはある暴力団の構成員のうち暴力的不法行為等またはこの法律に規定する罪と書いてありますが、この法律に規定する罪というのは今のところまだございませんので、結局、二条の一号に定義をしてある暴力的不法行為等を行った者、禁錮以上の刑については十年間、罰金以下につきましては五年間、どのくらいやっているやつがおるかというのを計算いたしましてその比率を出す。その比率が政令で定める比率よりも上であるということで暴力団を切り分けよう。その政令で定める比率というのは、要するにほかのいかなる任意の国民の集団をとりましても、そんな高くなる、その比率に達するような確率は十万分の一以下である、要するにほとんどあり得ませんという比率を政令で定めておきまして、それより上に暴力団がある、こういう構成といいますか、考え方をとって切り分けようということで考え出したものでございます。
 ただ、その場合にいろいろと参考にいたしましたものといたしましては、犯罪を起こしたといたしまして一体どの程度の期間カウントするのかということにつきまして、参考にいたしましたというか、そういう類似のものとして参考にいたしましたのは、刑法の三十四条ノ二という規定がございまして、これは「禁錮以上ノ刑ノ執行ヲ終リ又ハ其執行ノ免除ヲ得タル者罰金以上ノ刑ニ処セラルルコトナクシテ十年ヲ経過シタルトキハ刑ノ言渡ハ其効力ヲ失フ罰金以下ノ刑ノ執行ヲ終リ又ハ其執行ノ免除ヲ得タル者罰金以上ノ刑ニ処セラルルコトナクシテ五年ヲ経過シタルトキ亦同シ」という規定がございます。これは、要するに世の中で前歴者と言われている者が前歴者としていわば評価をされるといいますか、そのように法律上位置づけられる期間というのは、平たく言いますと、禁錮以上の刑では十年ですよ、罰金以下では五年ですよ、それ以上は、それより昔のやつはカウントしませんよと、こういうことをここで書いてあるわけでございますので、私どもの場合、暴力団員そのものの要件をここで書いているわけではございません。暴力団の団としての属性をここでやるということでありますので、ちょっとこの規定とは目的が違うのでありますけれども、これを参考にいたしまして先ほど申しました十年、五年というカウントするスパンを決めたということでございます。
#26
○渡辺四郎君 そうしますと、今おっしゃったように刑法三十四条ノ二の規定を参考にしてやった。とすれば、三十四条ノ二の第二項に、刑の免除を受けた場合、二年経過すれば刑の言い渡しが消滅するという規定がありますが、本法では刑の免除を受けた場合は一体どうなるのか、お伺いしたいと思います。
#27
○政府委員(國松孝次君) 刑の免除を受ける場合と申しますのは、例えば殺人を犯したけれども、それは過剰防衛であるというような場合には刑の免除があるということがあると思いますが、そういった場合はそもそもカウントをする中に私どもは入れておりません。したがいまして、刑の免除を受けた者というものはそもそも初めからカウントをしないということでやっておるところでございます。
#28
○渡辺四郎君 これは諫山先生なり高井先生の方が本職だからまた後の方であると思いますので、私は次に憲法十四条との関係についてちょっとお伺いをしたいと思うんです。
 本法で言います犯罪経歴は、現行法で例えば公務員選任に当たっては国公法の三十八条あるいは地公法の十六条あるいは裁判所法の四十六条、いわゆる官職につくための欠格条項がありますが、選挙権での問題としては公職選挙法の十一条、これらとは扱いが異なっていると思うんです。例えば本法三条二号のハ、ニでは執行猶予を取り消されずに刑の言い渡しが消滅した者について、そしてホ、ヘでは恩赦ですね、いわゆる特赦、大赦によって刑の言い渡しが消滅した者についても犯罪経歴として扱うことになっておるんじゃないか。この点はそういうふうに解釈していいのかどうか、お伺いしたいと思います。犯罪経歴として扱うのかどうか。
#29
○政府委員(國松孝次君) 三条の犯歴者、犯罪経歴保有者要件を考える場合には執行猶予というものはカウントしない、しないといいますか、そういうものは考慮をしないというのがこの法の建前でございまして、それはあくまでそれぞれその人と申しますか、暴力団員のいろんな資格について書いた各法文であれば、それはやはりそういう執行猶予というのは刑の言い渡しの効力がなくなるということでありますけれども、この条文の場合にはそういった三十四条ノ二を参考にいたしまして、参考にいたしましてというか、一つの物差しにいたしまして暴力団という団の属性と申しますか、こんなに犯罪者が多くいるんですよ、こんなのは暴力団しかございませんよというそういう組織の属性をきちっとするために参考にしたものでございますので、むしろ執行猶予というような、そういう個人の資格に関する他の政策的な配慮で刑の言い渡しがなくなるというようなものをカウントするのはかえっておかしいということにもなるわけでございます。あくまで一人一人の暴力団員のことをここで書いているわけではございません。暴力団の属性をこういう形できちっとやろうということでございますものですから、個人の資格に関する規定とこの規定というのはちょっと別に考えなければならぬのではないかというように考えております。
#30
○渡辺四郎君 ちょっと私も不勉強で申しわけないんですが、そうしますと、大赦、特赦でいわゆる刑の言い渡しが消滅した者については犯罪経歴としては扱わないというように見ていいわけですか。
#31
○政府委員(國松孝次君) それぞれその一人一人の暴力団員についての恩赦があったということについては、それはそれなりの効果というのはその本人については生じるでございましょう。しかし、そういうものは恩赦という全然別の刑事政策的な配慮でそういう効果が生じているものでありますけれども、暴力団の属性を考えるという場合にはそのことはカウントしない、あくまで十年、五年というスパンで考えてまいりますというのがこの規定の趣旨でございます。それは、繰り返しますけれども、そういうことにいたしましたのは、一人一人の暴力団員の資格要件なりなんなりをここで規定しているわけではございませんので、暴力団というのはこんなに多いんです、実際に恩赦を受けましても執行猶予がありましても、犯罪を犯したという事実はあるわけでございます、そういう犯罪を犯したという事実のある者がこんなにたくさんおりますということを組織の属性としてここにきちっと書くというための条文でございますから、個人の資格要件に関する規定とはちょっと別である。したがって、そういうものはカウントしないように考えたというのが私どもの考え方でございます。
#32
○渡辺四郎君 大筋見えてきましたが、そうしますと、団の構成の中にこういうふうないわゆる犯罪経歴を持った人間がどのくらいおるのかということを示すためのものだということですね。
#33
○政府委員(國松孝次君) はい、そういうことです。
#34
○渡辺四郎君 そうしますと、これは他の法律の取り扱いとは若干違うのではないか。例えば今おっしゃったように、個人を対象としたのではないというお話ですから、そういう点では理解できないこともないわけですが、もしもこれによって例えば法のもとの平等というようなことで、不利益取り扱いであるというようなことで行政訴訟なんかを提訴されるような懸念はありませんかね。
#35
○政府委員(國松孝次君) それは全くないと考えております。と申しますのは、暴力団は指定をされますと指定暴力団という一つの法律的な地位を得るわけでありますが、それだけのことと申しますか、そういうことでありまして、その段階において個々の暴力団員がその指定を受けたことによって直ちに何らかの不利益を受けるということはないわけであります。そういう指定を受けた暴力団の構成員である指定暴力団員が一定の違法行為を行う、個々に暴力的要求行為とかそういうことを行う、そういったときに初めていろんな制限といいますか、禁止が出てくるわけでございます。ここで書いてございますのはあくまで指定の要件をここに書いただけでございますので、暴力団個人個人に対して何ら不利益処分といいますか、そういうものが起こるわけではないわけでございます。したがいまして、先ほど申しておりますように、これはあくまで組織について物を言っているだけでございますから、そういう意味で、法のもとの不平等であるとか、あるいは大変不都合な人権侵害の規定であるといったようなことにはならないと思います。あくまでこれは組織に関する、組織の属性と申しますか、悪性と申しますか、そういうものを端的に示すというためのいわば数字的な操作というようにお考えいただいてよろしいんじゃないかと思います。
#36
○渡辺四郎君 それじゃ、犯罪経歴となる罪の中で、本法で新たに規定された罪と別表で定める罪の二つになっておるわけですね。しかし、実際上別表で定められる暴力的不法行為の罪、これは二十八項目が特定されておるというふうに見られますが、これを基準にして指定が考えられておると思うんですが、となれば別表の罪の内容が大変重要になってくると思うんです。そうしますと、警察庁としてはどのような基準で、あるいは線かなんか引かれて別表の罪を選んだのか、そこらについて少しお伺いしたいと思います。
#37
○政府委員(國松孝次君) 別表にはいわゆる暴力的不法行為等に当たる罪が規定されている法律を列挙しておるわけでございます。この場合、暴力的不法行為と申しますものは、要するにその手段、方法において暴力的な手段をもって生命、身体、財産に加害行為が行われるような違法行為ということでございます。殺人であるとか傷害であるとか、そういうものが当たります。それで、その「等」と申しますものは、暴力的不法行為と、それからもう一つ、暴力団員によって典型的に行われるその他の不法行為というものをここに列挙しておるわけでございます。暴力団員によって典型的に行われるその他の不法行為と申しますものは、必ずしも暴力的手段を使うわけではないわけでありますが、例えば賭博であるとかのみ行為であるといったように、何となく暴力団が彼らの威力を背景にしながら典型的に行っている犯罪行為というようなものでございまして、これは特別法にいろいろたくさん規定があるわけでございます。そういった両方のものが含まれる法律名をここに列挙いたしましたということでございます。
 その中には、この二十八項目を見ますと、何か暴力団とは関係なさそうな法律がずらずらっと並んでおるわけでありますが、これらの犯罪の中に含まれております特定のこれから国家公安委員会で一つ一つ決めていく罪種は、これはすべて私どもが今まで暴力団員を検挙いたしました検挙の実績というのがあるわけでありますが、全体の検挙人員あるいは検挙件数の中に暴力団員が非常に多くを占めている、今のところ私ども大体一五%ぐらいの線で切っておるわけでありますが、そういう全体の検挙人員の中に占める暴力団員の検挙人員の数が一五%を超えるというような非常に多いものをここで別表に掲げようと、それを含む法律を書いておるわけでございます。
 例えば、最初の方で申しますと、二番目に商法というのが出てまいります。これは商法の中にいわゆる株主権行使に際しましての利益収受罪というのがございます。これは暴力団員の検挙されている率というのは四割近いというようなことでございまして、それぞれの法律の中で規定されている罪、中でも暴力団員のシェアの多いものを選んでいっておるということで二十八項目を選んでいるわけでございます。これはいずれも全部検挙実績をもとにした、その検挙実績の中に占める暴力団のシェアの多いものというものを基準にいたしまして選んでおるものでございます。
#38
○渡辺四郎君 今の若干の説明にありましたが、三条二号に規定する犯罪経歴等の作業の主体の問題についてちょっとお伺いしておきたいと思うんです。
 先ほど申し上げましたように、別表の犯罪を見ますと、例えば六項は労働規定違反、九項は行政法違反、二十二項は経済規定違反、あるいは刑法並びに特別刑法違反等々が実は考えられています。また、これらの類型があって出てきたというふうに思うんですけれども、第三条二号に規定する犯罪経歴をこのような限定した犯罪の中から選び出すというのは、私みたいな素人の考えでは非常に大変な業務じゃないかというふうに思うわけです。
 そこでお聞きをしたいのは、このような作業は、各都道府県の公安委員会が実施をするのか、それとも警察庁あるいは科学警察研究所の大型コンピューターでそういうものについてはふるい分けをしていくのかというのが一つですね。
 それから次は、広域暴力団の問題で、団員の犯罪歴の調査なんかが各都道府県で可能なのか、あるいは管区警察でそれをやって県の公安委員会が指定をするのか、こういう部分についてもあわせてお伺いしたいと思います。
 私らみたいな素人は、犯罪経歴と言えば通称前科者、いわゆる犯罪経歴者であるというふうに思うんですが、それを対象にできなかった理由は何かあるかということについてちょっと伺ってみたいと思うんですけれども。
#39
○政府委員(國松孝次君) 犯歴についての調査等の事務は、これはすべて都道府県公安委員会及びそれを補佐いたします都道府県警察において行うものでございます。もちろんそのデータにつきましては、広域暴力団の場合はいろいろなところからデータを集積せぬといけませんので、そういう場合にはもちろん将来はこういうものにつきましてコンピューターで全部処理をしてまいりましてやっていくということになるのだろうと思いますが、その場合、警察庁あるいは管区が調整をいたしまして全国的に情報を流通させまして、この法律にもそういった報告といいますか、相互の連絡ということについては根拠規定もあるわけでありますが、いずれにいたしましても、そういった警察庁、管区で調整をしながらではありますけれども、あくまで都道府県の公安委員会及び都道府県警察において行うものでございます。
#40
○渡辺四郎君 全体的に協力する立場から、これは通告をしていなかったわけですけれども、この間ある週刊誌を読んでおりましたら、元警察首脳のOBの方がこう言っておるわけです。今日までの経過からして、警察権限が強化され罰則が強化されたからといって、暴力団が一掃できるとはもちろん思っていません。それは暴力団対策にはもっと根の深い問題があるというふうに言われています。このOBの方は、ホワイトカラー族は暴力団に建前で反対、本音で必要悪として利用して育てている。彼らとうまく交際することが社運隆盛のかぎだと思っている経営者もたくさんある。その資金源は銀行や大企業だ、こういうふうに警察首脳のOBの人が打ち明けたというふうに報道されたわけであります。
 いろいろお聞きしてまいりましたが、私は本国会での銃刀法の一部改正の段階でも申し上げましたけれども、やっぱりその根の深い部分をどう解決するかというのは、これはとても警察だけの手では大変だと思うし、冒頭申し上げましたように、国民的な立ち上がりそして企業団体の協力がなければ、本当に善良な国民が安心して生活ができ、あるいは暴力追放の戦列にもなかなか参加しにくい状態等もありますから、そういう点は安心して国民がこの法律の趣旨に向かって賛同できるように、ぜひひとつこれから後の取り扱いについても、冒頭申し上げました人権侵害とかそういう国民の危慎を払拭をしながら多くの人が結集できていく、そういうふうな法の運用にぜひしていただきたいということを最後にお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#41
○常松克安君 委員長、まことに申しわけございませんが、この常松と國松がよく似ておるものでございますから、その辺のところを鮮明にお呼びつけください。申しわけございません。
 私は端的に一般論の上から御質問を申し上げます。
 本法の成立については、今日までやはり警察官と暴力団の癒着関係がしばしば指摘されてきておりますが、暴力団対策の根本は、まず警察の毅然とした態度こそが一番肝要かと存じます。まず、この辺のところから長官の御決意のほどをお願いいたします。
#42
○政府委員(鈴木良一君) 九九%の者は懸命な努力を続けておるわけでございますけれども、残念ながらごく一部の者がそういう問題を起こしまして、その点は私どもとしても大変申しわけなく思っております。
 今お話しのように、やはり暴力団の取り締まりを警察が本気でもってやるのかやらないのかということが国民に疑念を持たれるような形では、これは警察の取り締まりも徹底いたしませんし、国民も納得されない、任せておけないという感じになるわけでございますから、決してそういうことがあってはならないということで、この法案をお認めいただきました暁には、我々全体の体制なり取り締まりのやり方なり、あらゆる点について真摯に反省、検討を加えまして新たな出発点として暴力団の壊滅に向かって努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#43
○常松克安君 それでは、二十条に関しての質問をいたします。
 この推進センターの指定ということを各都道府県でされるということでありますが、指定の要件及び具体的な活動内容はどういうふうになっているのかお知らせ願います。
#44
○政府委員(國松孝次君) 暴力団追放運動推進センターの指定要件といたしましては、二十条の一号と二号に既に書かれておりますように、一つは民法上の法人格を有するものであるということ、それからもう一つは、後で申します事業の中で大変重要なこととしていわゆる暴力団被害に遭った場合の相談業務を行うというのがありますが、そういう相談業務に当たってもらうためには、その専門の暴力追放相談委員というものがなければならぬわけであります。そういうものが置かれているという二つの点が法律で書かれておるところでございます。
 それで、三号で国家公安委員会規則でその基準ということを書くわけでございますが、この基準につきましては、また後刻詳しく御説明する機会もあるのかもしれませんが、今のところ考えておりますのは、そうした二項に書いてございます事業を適正かつ確実に行うために必要なものといたしまして、そのセンターの資産的な基礎であるとか、経理的な基礎であるとか、あるいは技術的な能力とか、あるいはこういうものが入っていてはいけませんよという欠格要件というようなものを書きまして、そういう三号をクリアしたものが指定の対象になるというように考えております。
#45
○常松克安君 大体こういうセンターというものは本来の業務は警察が行うべきものであり、また行ってこられたというふうに信ずるものでありますが、これを新設しなきゃならない理由は突っ込んだらどういうところにあるんでしょうか。
#46
○政府委員(國松孝次君) 暴力団対策というのは非常に総合的なものでございますが、その中で警察が行う役割が一番大きいし、一番責任の重いものであるということはもちろんそのとおりでございます。ただいま申しましたような暴力被害相談というようなものも、これはある意味では警察もやらなければならないことでありまして、現実にどこの県におきましてもそういった暴力被害の相談電話とかいろいろなものを設けましてやっておるところでございます。
 ただ暴力団対策と申しますものは警察だけがやりましてもどうにもならないという面もあるわけでございまして、やはり官民一体となったといいますよりも、むしろ民間の方の暴力追放運動というものがその県内におきましてほうはいとして起こってくるというような形になりませんとなかなかうまくいかないというところがあるわけでございます。そういった暴力追放運動というものを非常に内容、中身の濃いある程度きちんとした形でやっていただくということを確保するために、やはり公安委員会が指定をいたしまして、もちろんそのセンターの運営とかそういうものはすべて当該センターの運営者に任せられることでありまして、私どもがとやかく言うことではございませんが、指定を行うことによりましてそういった事業の内容がきちんとしたものになっていく。例えば暴力相談一つとりましても、これはかなり人のプライバシーに関する非常に微妙なところを扱うようなことでもございます。そういった場合にはある程度秘密保持をしていただかなけばなりませんし、そういうものを扱う専門的な技術能力のある人がきちんと置かれておるというようなことが必要になるわけでございまして、そういった公益性の高い活動をきちんとやっていくことのできるような形に、その県内のいろんな形であります暴力追放運動というものをそういう形でやっていくというためにセンターを指定いたしまして、そのセンターを中心にして民間の暴力追放運動が大きく住民を巻き込んだ形で広がっていく、そういうことを望みましてそういう方向に沿って公安委員会としてもいろんな援助ができないかということで考えついてこういうような規定にしたわけでございます。
#47
○常松克安君 あわせてまたこの追放相談委員は、任務からすると当然専門的な知識、経験を有する者として国家公安委員会規則で定めるとされているわけでありますが、これはすべての人たちがやはり警察関係者に限定されているということでしょうか。
#48
○政府委員(國松孝次君) 全然そうではございませんで、もちろん警察官の中にも長い間そういった暴力追放相談というようなものに携わってきた者もありますので、そういう者もこの相談委員の中に入っていくということは、それはあると思います。しかし、私どもが一番考えておりますのは、やはり一番にはどういうことになりましても弁護士であります。先ほど委員御指摘のとおり、暴力相談なんというものはやはり警察のやる仕事じゃないかと、そのとおりの面がございます。私どもやるわけでございますが、私どもはやはり行政機関といいますか、司法機関でありまして、暴力相談の中で民事、もちろん民事不介入などと言って腰を引くようなことはいたしませんが、全く民事、純粋民事のような形で持ち込まれるようなものはどうしても警察としてはなかなか扱いにくい。そういう場合にどうするかということで悩むわけでございます。そういう場合に弁護士さんがある程度引き受けてやってくれるというのが大変ありがたいわけであります。
 そういうことで、日弁連には今民事介入暴力対策委員会というのが置かれておりまして、全県にそういうものが置かれております。そして、弁護士さんが一生懸命そういう警察ではなかなか扱いにくいような民事あるいは民事崩れのようなものにつきましていろいろと親身な相談をやってくれているというところもあるわけでありますが、それもいわば行われているところと行われていないところがあるということでございまして、こういうセンターを指定いたしまして暴力相談委員にというのをある程度公安委員会で決めていく、きちっとした方になっていただくという場合に、やはり一番念頭にあるのはそういう弁護士さんでありまして、そういう弁護士さんにこのセンターの相談委員になっていただく、そしてそういったものをやっていただく、かたがた警察もやっていくということによってこの暴力相談の実を上げていきたいということでございます。
 そのほか保護司さんであるとか、あるいは少年指導委員ということで指定をされておられる方々とか、そういう方々もこの中に入ってくるのではないか。公安委員会で書く場合にはそういった方々から選べるような、そういう規定ぶりにしてまいりたいというように思います。
#49
○常松克安君 といたしますと、こういう方々のこれは委嘱なんでしょうか、任命なんでしょうか、人事でございますけれども、これは国家公安委員長の任命なのか、都道府県公安委員会の委員長任命、どちらになっているんでしょうか。
#50
○政府委員(國松孝次君) それはセンターの方がお決めになることでございます。
 なお、先ほど暴力相談委員につきまして公安委員会規則で定める場合には、その任期とかそういったものも書くわけでございまして、その他先ほど申しました私どもとしては弁護士さんとか保護司さんとか、そういう方になってもらいたいと思っておりますが、それは一体具体的にどう選んでいくかということは、それはそのセンターの権限でございます。若干答弁を訂正させていただきますが、そういうことでございます。それで、いろんな運営に関しますことはあくまでセンターで行うわけでございます。
#51
○常松克安君 じゃ、そのセンターの長あるいはセンターの構成人員をつくり上げていくのは国家公安委員長なんでしようか、都道府県の公安委員会なんでしようか。
#52
○政府委員(國松孝次君) それは当該センターにゆだねられるということでございまして、その機構その他につきまして……
#53
○常松克安君 いや、そのセンターをだれが命令してつくらせるんですか。
#54
○政府委員(國松孝次君) それは既にあるものもありますし、これからつくろうとするものもありましょうけれども、そういう一定の資格があるということでお申し出がありました場合に、そのお申し出を受けまして各県において一つずつ指定をしていくということでございますので、私どもの方はその指定をするだけでございますので、その長をだれにする、相談委員をだれにするというようなことを私どもの方で任命するといいますか、指定をするという、任命あるいは指定をするというようなものではないわけでございます。あくまで民間の発意によって行われてくる、そういう組織であるということであります。
#55
○常松克安君 そういうふうな趣が、結局こういうものは官主導型になりがちなそういうものを避けて、あくまで民間の自主性と申しますか、それを第一に尊重しなければならないという姿勢、基本をお守りはわかるんですが、そうしますと、都道府県からそういう要請のないところはいつまでたってもできぬ。そのままでよろしいんですか。それとも、やはりこういうふうにおつくりになったらいかがかという行政指導はされるんですか。
 なぜそんな細かいことを言うかと申しますと、これで一番配慮が抜けておるのは、都道府県の条例化が要るんです、またこれは、費用弁償がつきますから。こういうふうなことになってきますと、前回も警察庁の交通安全指導員というところで論議があったわけなんです。そのところまで配慮していなかったんです、最初は。ところが、そういうふうな方向でやはり突き詰めていきますと、都道府県が中心になってまいりますと、そのときに調べましたらやはり必要であると。そうすると、よく似たものでは、なければいいですよ、よく似たものとなりますと、センターの人、相談委員はじゃ無料なのか、費用弁償は要らないのかというと、これは要りますでしょう。実費は要ります。要るとしたら、これは公務員の扱いなのかあるいは直結の国家公安委員会のあれなのかということで、論議が前回これでちょっと行き詰まったときがあったものですから、老婆心ながらその辺のことをよく精査をしておかないと、都道府県議会を無視してそういうことは絶対前へ進まないという、この懸念を申し上げておるわけです。いかがでございましょうか。
#56
○政府委員(國松孝次君) 私どもが指定をしようと申しますものは、例えばまだ指定法人ではもちろんないわけでございますけれども、現在既に全国で財団法人組織をとりまして、県によってはいろいろ違うわけでございますが、こういうのができましたのは広島がある程度先駆的なあれでできているわけでございますが、財団法人暴力追放広島県の県民会議というようなものができておるわけでございます。こういうものはまさに暴力団追放のためにできた組織でございますので、そういう中で、先ほど申しました暴力追放相談委員とかそういったようなものを置くという形できちっとした規定をつくった上で、お申し出があればこういうものを指定していくという形になると思います。
 それで、こういったもう既に法人格を持っておりますものが全国で七県ございます。それから、まだ予定でございますが、これからもやはり七つほどの県がつくっていくというような形になっております。それからまた、この新法ができますれば、さらにこの新法に触発をされて財団法人としてつくっていこうというようなところがいろいろ出てまいると思います。そうしたものがあります場合には、そういうところから指定の申し出がございましたら、それにつきまして私どもの方でそれを指定していくという形になると思います。
 ただ、なかなか県の事情でいろいろとそうはいかないというようなことになりました場合には、県にはそれぞれ防犯協会というものが既に財団法人としてどこの県にもあるわけでございます。これはもちろん県の方でいろいろとお決めになってくることでございますけれども、やはり防犯協会をある程度暴力団排除のいろんな、こっちで言う要件でございますね、二十条にある要件のようなものをひとつ備えつけた上で御申請がある、こういうことになりましたら、そういうものを指定してまいるというようなことにもなると思います。いずれにいたしましても、そういったものにつきましては県の御事情によりましてやっていくということになるというように思います。
 ただ、先ほど交通の方の例がございましたけれども、例えば地域交通安全活動推進委員であるとか、またいろんな指導員につきましてもいろいろその委嘱等その他の形態が違うわけでございまして、私どものこの暴力センターにおきます相談委員につきましては、今のところ当然県費を出してやっていくというようなものではございませんで、報酬とかそういうものについてどうするかということは、それぞれセンターの方でお決めになるというようなことであろうと思います。
#57
○常松克安君 そういうお話としてはよく理解できるんですけれども、相手が相手でございますから、よほどこれはしっかりしたバックアップというものがなければ、せっかくこんな新法をつくってその中へ列挙してあるべきものの姿がただ字句だけに終わるんだったら、別に何も要らないじゃないかという論議になるわけです。ですから、よほどしっかり足腰を地方においても根差していけるように御配慮があってしかるべきであるということをひとつ頭の隅に置いておいていただきたい、かように思います。
 じゃ次にまいります。 やはり一番わかりづらいなと思いますのは指定要件の問題なんでございます。本法は大体暴力団にウエートを置いておるのか、それとも暴力団員の方に置かれておるのか、むしろ両方に置いておるんだとか、いろいろあるんですが、その辺のところを明確にすっきりとびしっと納得するようにおっしゃっていただきたい。
#58
○政府委員(國松孝次君) どうも御指示のようなお答えにはなかなかならぬのかもしれませんが、私どもがこの法律で考えておりますのは、もちろん暴力団員にウエートを置きまして、暴力団員の不当な行為を規制していこうというのが眼目でございます。ただ、暴力団員の不当な行為を規制するわけでございますが、その主語になるところがはっきりいたしませんと、この法律は成り立たないといいますか、憲法違反であるというような御議論も出てまいるわけであります。したがいまして、暴力団というような言葉は大変古くから使う言葉でありますが、もちろん法律用語でも何でもございませんで、あいまいもことしておるというところがあるわけでございます。したがいまして、特定の暴力団員の行為を規制はするんだけれども、一体どういう暴力団員なんだということを明確にしないと法律は成り立たない。その場合に明確にする、つまり土俵をつくるのにどうしたらいいかということで、その限りにおいて土俵を明確にするという意味で暴力団を指定する、その暴力団の構成員を指定暴力団員として、それに対していろんな規制をかけていくということでございます。
 もちろん暴力団の指定と申しますものは大変重要な行政処分でございまして、これがいわばこの制度の根幹をなすものではございます。したがいまして、決して軽いものであるとかそういうつもりは毛頭ないわけでございますが、指定が行われましても、それは指定暴力団として法律上一定の地位を与えられるにすぎないわけでありまして、それから直ちに何かが出てくるということではない。そういう意味では、それに伴う法律効果というのは直接には余りない。そういう意味では、我々としては土俵づくりという意味での指定というのを考えている。あといろいろあれやっちゃいかぬこれやっちゃいかぬというのは、全部その土俵の中に入ってきた指定暴力団員につきまして九条とかそういうのをやっていくということでございますので、あえて答えますれば、暴力団員の不当行為をやるのが主眼でありますと言っていいと思いますが、もちろんその指定も大変重要でありますということでございます。
#59
○常松克安君 本当に素人臭い話で申しわけないんですが、この指定から外れた暴力団の方は、まさかこっちが悪いこっちがいいという、そんな論法はおっしゃらないんですから、だからこういう指定を外れた場合については現行法でびしびしやれるんだと、こういうふうに理解していいんですか。
#60
○政府委員(國松孝次君) そのとおりでございまして、我々が暴力団として今把握しております二条二号に掲げます暴力団の中から三条の各号の法律要件に該当する、ありていに言えばより悪性の高い暴力団を指定暴力団として指定いたしまして、その指定暴力団員に対していろんな規制をかけていこうというものでございまして、悪い暴力団の中からより悪い暴力団を選んだ、指定をしたということでありまして、もとの暴力団がよくなるものでは全然ございませんし、我々が暴力団対策ということで総合的に進めております対象からは、その指定を受けなかった暴力団、指定をされていない状況にある暴力団が外れていくというようなことはないわけでございます。
#61
○常松克安君 じゃもう一つお願いします。
 よく言う親分とか組長というのは、この団員の中なんですか、別格なんでしょうか。
#62
○政府委員(國松孝次君) この法律の取り扱いではあくまで暴力団の構成員でございますので、暴力団員の一人でございます。
#63
○常松克安君 そうしてもう一つは、親分があそこへ行って金取ってこいと、こう命令します。不法行為ですね。この場合は、これを命じた方はどうなるんでしょうか、そして罰則はどうなっているんでしょうか。
#64
○政府委員(國松孝次君) これは十条がございまして、十条といいますものは、ごく通常の場合は暴力団以外の方がいろいろと依頼をするというようなことがありますが、ここには「暴力的要求行為をすることを要求し、依頼し、又は唆してはならない。」という規定がございますので、そういう親分なるものが行ってこいと、親分が行ってこいと言えば、これは要求か唆しか、まあ親分が子分に依頼するということは余りないんでしょうけれども、要求か唆しかどちらかでこの十条の禁止行為に当たりますので、当然十二条の措置命令がかかってくるということになると思います。
#65
○常松克安君 罰則は。
#66
○政府委員(國松孝次君) それにつきましては、措置命令違反がありました場合には、罰則といたしまして三十五条の一号、「一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」ということになるわけでございます。
#67
○常松克安君 もう一つお願いします。
 暴力団が指定されました。それから、構成員では暴力団員が指定されましたとして、例えばおととい入った組員だとか一カ月前に入った組員で、構成メンバーの一人でありますけれども、過去の今いろいろ並べられましたデータ的なものには一回も引っ張られておらぬ、一回も刑事罰も受けていない、こういうのは、そうしますと、団というものが指定されますと、もうよかろうと悪かろうと、そこの構成員全部一網打尽にかぶせられるんですか。それとも団はしたけれども、構成員、どっちかというと団員の方ですわね、この人たちは、この法律は彼らにとってまことに脅威的な法です。ところが、一たん受けてしまうと、ある面では格子なき牢獄、このしゃばを歩く一つの色づけをされる、こういうふうなことも覚悟の上で彼らは彼らの世界で葛藤があるんでしょうが、私の心配するのは、えらいところに入った、親が引き離そうと。しかし、もうその団は指定の団だと。その構成員に入ったと。ところが、三日後に脱したけれども、一生これは構成メンバーだからずっと色づけされた人生を送らなきゃならないのかなという心配、いかがでしょうか。
#68
○政府委員(國松孝次君) 端的に申しまして、暴力団の構成員ということで例えば杯をもらったというような形になりました場合には、たとえ前歴がございませんでも、その指定暴力団の暴力団員でございますので、例えば九条の要件を満たせば、それに対しては措置命令がかかってまいるということになるわけでございます。
 ただ、これは九条の「暴力的要求行為」、これは本法の一番中心になるわけでございますが、この立て方を御説明するのが一番わかりやすいと思うのでございますが、要するに、本法で規定をするのは暴力団員の不当な行為であるということでありますが、私どもがそこで何を一番眼目にするかといえば、今大変寡占化が進んでいる山口組、その他住吉、それから稲川といった三団体の、我々代紋と呼んでいるものでありますが、その組織の威力、そういうものを少しでも減殺させたいというのが一つの眼目であるわけであります。
 したがいまして、この九条の一つのポイントになりますものは、そういった組織の威力を示していろんなことを行うというところが一つの眼目でございまして、そういう威力を示させない。この威力を示すというのは、具体的に申しますと、暴力団としての特定の組の名刺を出すとか、おれは特定の組の者だということを相手に認識させるとか、そういうことを言うわけでありますが、そういうことをやらせないということでございます。そして、ただそれだけがあれではございませんで、それを指定暴力団員が行う。かつここに一号から十一号までに列挙されております行為というのは、これお読みいただければわかるように、いずれもややいかがわしい行為であるわけであります。だれがやってもいかがわしい行為であるというものでございます。したがいまして、この九条の組み立てと申しますものは、三つの要件が重なって一つの禁止行為になっているわけでありまして、指定暴力団という代紋を使って方々やっておるというようなそういう暴力団、いかがわしい団体の組員である。そして、そのいかがわしい団体の組織の威力を示して行う。それからもう一つは、各号に列挙されておるようなどう見てもいかがわしい行為を行う、こういう三つの要件が重なれば……
#69
○常松克安君 ちょっと済みません。私にも言わせてもらえませんやろか、時間ありませんので。
#70
○政府委員(國松孝次君) 済みません。
 それでやっているわけでございますので、これは構成員であったから直ちにどうなるというものではございません。私の言いたいのはそこでございまして、総合的にやっておるということでございます。
#71
○常松克安君 本当に申しわけございません。
 結局、もう一つ際立った言い方をすると、ごの法が例えば成立する。施行日が来る。その時点で指定が始まる。このときに今悪巧みをする人たちは客分扱いで分散をする。兄弟分のところへ、いろんなところへ身分を人口移動させまして構成をばっと散らしてしまう。そうすると、施行した期日をもって法律は生きるわけですから、それまでに全部分散されるとか、あるいはまた何か記章を丸にするとか、やっぱり人間ですからいろいろこういうものの怖さを知った上で考えに考えている場合があるとしましょう。そういうふうなことまで、これはあくまで前に察知して脱法する行為であるとしてその取り締まりはできるんでしょうか。簡単にお答え願いたい。
#72
○政府委員(國松孝次君) とにかくそういうことで委員御指摘のような形でもし偽装行為がされておるとすれば、それを見抜いて実態に即して規制をしてまいるのが私どもの仕事である、かように思っております。
#73
○常松克安君 じゃ最後に。
 やはり同僚議員の方からも申されましたように、法というのは一たんでき上がりますと、これは生き物として考えもしないようなところへ行くとすると、これは一面また非常に厳しい法であるがゆえに違った面を想定される場合もあるわけでございます。さような基本的人権というものを加味して非常にきめ細かくおつくりになった御心配のほどは痛いほどわかりますが、この運用に当たりまして国家公安委員長の大臣としての御決意のほどをあわせてお伺いさせていただきたい。
#74
○国務大臣(吹田ナ君) そういった面が私どもとして運用の面において極めて大事なことであると思っております。特にこういった法律をつくるのは、警察権を強めるということでなしに、いかにして善良な国民を守るか、生活を幸せな方向に引き出していくかということにすべてをかけるわけでありますから、これが法律のいわゆる運用において正確性を欠くということになりまして変な方向に動くということになりますと、これは大変なことでありますから、そこは国家公安委員会といたしましても、当初長官も言っておりますように、運用に当たりましてはきちっと厳正に処理していきたい、こう思っております。
#75
○常松克安君 以上です。
#76
○諫山博君 四月十九日付で日弁連がこの法案に意見書を発表しました。この中で法案の提出の仕方に日弁連は遺憾の意を表明しています。そして、対案を提出したいと考えているというふうに書いています。ところが、対案どころか、もうきょう採決されるという状況です。私は改めてこの法案の提出の仕方に抗議をします。
 私の質問時間は一時間です。準備している質問テーマは数十テーマあります。そこで、私は誘導尋問的な質問をしますから、一分ないし二分で答えていただくということを最初に要望します。
 まず、第二条関係。これは暴力的不法行為等の定義です。「別表に掲げる罪のうち国家公安委員会規則で定めるものに当たる」云々という規定がありますけれども、なぜこれを法律で規定しないのか、なぜ公安委員会の規則で規定しようとしているのか、これが共通に出されている批判です。そこで、誘導尋問的な質問をしますけれども、これは別表に掲げられている罪の中で、暴力団が一般に行うような犯罪をえり抜いて公安委員会の規則に定めるというふうに理解していいですか。
#77
○政府委員(國松孝次君) えり抜くといいますか、先ほど申しましたように、おおむね検挙シェアが一五%以上ぐらいの罪を挙げているということでございます。
#78
○諫山博君 常松委員から暴力団の構成員について質問がありました。これも日弁連が指摘していることの一つです。構成員の定義が明確を欠くというふうに言っております。そこで、暴力団から正式に抜けた、名目的ではなくて実質的に抜けた。この人はもう構成員ではありませんか。
#79
○政府委員(國松孝次君) 本当に抜けたのであれば構成員ではございません。
#80
○諫山博君 暴力団として指定を受けた、その後に改めて暴力団員が加入した。これは構成員ですか。
#81
○政府委員(國松孝次君) 暴力団の指定でございますか。
#82
○諫山博君 はい。
#83
○政府委員(國松孝次君) 指定暴力団の構成員である以上、指定暴力団員でございます。
#84
○諫山博君 この指定暴力団の要件について、目的、それから組織の構成、さらにこの組織の組織性、簡単に言ったら三つが指定の要件になっていると思います。
 問題は目的です。暴力団は金もうけを目的とすると同時に、政治目的を掲げている団体がたくさんあります。私たちは右翼暴力団という言葉を使っていますけれども、この右翼暴力団を指定暴力団にするかどうかというのは、主たる目的が金もうけにあるのか、それとも政治目的にあるのか、こういう基準で分かれますか。
#85
○政府委員(國松孝次君) 名目が何であれ、この三条一号に書いておりますような目的を実質上の目的とするものであるというものであり、かつ、先ほど申しました名目的に政治目的を掲げてありましても、それがまさに名目にすぎないという実態であるということであれば、それは指定暴力団の要件に上がってくるわけでございます。その辺のところは国家公安委員会が確認をする際に、第三者である審査専門委員の御意見を伺いまして慎重に指定をしてまいるということでございます。
#86
○諫山博君 半分が金もうけを目的としている、半分ぐらいは政治目的を掲げている。この場合は指定しますか。
#87
○政府委員(國松孝次君) 半分といいますか、これはケース・バイ・ケースでございますが、暴力団も右翼もやっておるという組織がありまして、右翼活動というものが決して名目ではない、実質的に右翼活動をやっておるという、そういう認定ができますれば、指定暴力団の対象からは外れるものと思います。
#88
○諫山博君 右翼暴力団の一つの例として、長崎市長を銃撃した正気塾があります。この構成メンバーを見ると、明らかに指定されても仕方がないような団体です。ところが、彼らは政治目的も掲げているんですね。一方ではいろんなことで暴力団特有の金もうけもしております。この正気塾を例にとりますと、指定要件に当たりますか。
#89
○政府委員(國松孝次君) 具体的な名前を挙げて、それに指定が当たるか当たらないかということを私がここで申しますのはまことに潜脱行為でございますので、それは御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
#90
○諫山博君 そうすると、名目的に政治目的を掲げていても、中身が金もうけを目的としているような団体は指定の要件に当たる、こう聞いていいですか。
#91
○政府委員(國松孝次君) 金もうけ以外の目的が名目にすぎない場合には指定の要件に当たってまいると思います。
#92
○諫山博君 なぜこれを聞くかというと、今暴力団は政治団体にすればいいんだという言い方をして、政治目的を掲げつつあるわけですよ。同時に、どの程度本気か知りませんけれども、政治的なことを言ったりしたりするんですね。この問題は厳密にしないと、金もうけを目的とした暴力団がいかにも政治団体のような顔をして指定を免れる、こういうことがあると私は思いますが、その点は念頭に置いておりましょうね。
#93
○政府委員(國松孝次君) もちろんそういうことは念頭に置いた上で、あくまで一号要件というものにつきまして審査専門委員の御意見も承りながら厳正に指定をしていくということでございます。右翼に逃れるというようなことを言われますが、私どもの感じは、例えば右翼活動と申しましてもそう簡単にできるものではないわけでありまして、ただ何となくおれは右翼だということで看板を掲げる、何かそれらしい制服もつくるというようなことをしたからといって、直ちに右翼であるというものではないというふうに思います。
#94
○諫山博君 わかりました。簡単に質問しますから、簡単に答えてください。
 暴力団が指定されて、この暴力団を真っ二つに分けた、二つの組に分かれてしまった。この場合は指定の効力はどうなりますか。
#95
○政府委員(國松孝次君) そういう場合には、その実態が違ってくるわけでありますから、分かれたそれぞれにつきまして新たに指定の要件に当たるかどうかというのを検討しなければならぬという問題だろうと思います。
#96
○諫山博君 指定暴力団の幹部の半数以上が交代した、あるいは半数近い組員が入れかわった。この場合は指定の効力は続きますか。
#97
○政府委員(國松孝次君) 結局、実態の問題だと思いますが、一号、二号、三号に当たっていると認められる限りは、それは指定暴力団であり続けますし、それがそうでなくなるというようなことであれば、それは違うということでございます。ケース・バイ・ケースであろうというふうに思います。
#98
○諫山博君 暴力団指定に果たしてどの程度の効果があるのかということが議論されておりますけれども、今の問題が一つの課題なんですよ。せっかく時間をかけて暴力団として指定した。ところが、真っ二つに割ればこの指定の効力はなくなるわけですね。改めて指定の手続をとる。相当の組員が入れかわれば大変ややこしくなる。そういう点で、この法律の実効が世間で大変疑われているということを指摘するにとどめます。
 第五条、「聴聞」の規定がありますね。公開による聴聞が原則だ、個人の秘密の保護のためにやむを得ない場合には非公開にすることができる、これが規定です。本人があくまでも公開を希望すれば、これは非公開にするのはよほどの場合でないといけないと思いますけれども、どうでしょうか。
#99
○政府委員(國松孝次君) その個人がいいと言ったからということではなくて、やはりこれは聴聞いたします公安委員会の判断であろうと思いますけれども、ここはあくまで聴聞の場合には個々のだれが暴力団員というような話がぽんぽん出ますので、そういう人のプライバシーというものを考えての規定でございますので、その点はしんしゃくしながらやっていこうと思っております。
#100
○諫山博君 公開の典型的な例は裁判なんですよね。裁判も非公開の場合があります。裁判で非公開というのはよほど例外中の例外です。ところが、個人の秘密ということを口実にしながら、非公開が当たり前のような運用になることを懸念します。
 この聴聞手続で、「有利な証拠を提出することができる。」となっていますけれども、これは物証だけではなくて人証も提出できますか。
#101
○政府委員(國松孝次君) それは、「有利な証拠を提出することができる。」となっておりますので、その証拠に特段の制限はないと思います。
#102
○諫山博君 ちょっともっと大きな声で言ってくださいよ。
#103
○政府委員(國松孝次君) 「有利な証拠を提出することができる。」と書いてありますので、人証であれ、物証であれ、それはどちらでもいいものだと思います。
#104
○諫山博君 当事者が求めれば、証人尋問が行われるというようなことが予定されるわけですね。
#105
○政府委員(國松孝次君) 聴聞手続につきましては国家公安委員会規則で定めることになっておりますが、その聴聞を受ける方がどうしてもやってくれと言ったからそれを全部やるというわけではございませんで、やはりその場合にも公安委員会が判断をいたしまして、相当と認めればやるというような形になるのではないかというように思います。
#106
○諫山博君 どうも最初の答弁と幾らかトーンが落ちたようですけれども、やはり「証拠を提出することができる。」という限りは、物的な証拠ではなくて、人的な証拠も予定されているということを前提にしなければ、証拠の提出というのが非常に名目的になると思います。これは私の意見です。
 次に、この聴聞で代理人が予定されています。これは弁護士以外の代理人も可能ですか。
#107
○政府委員(國松孝次君) 正式に代理権が付与されておれば、弁護士である必要はないと思います。
#108
○諫山博君 正式な代理権が付与されておればというのは、適法に委任状が提出されておれば弁護士でなくてもよろしいということですね。これも現に労働委員会の審問などでは弁護士以外の人が代理人になるわけです。とかく代理人は弁護士に限るというような言い方をするところがありますから、そういう制限はしないようにということを要望します。
 次に、第六条の関係です。
 これを見ると、公安委員会がある団体を指定しようとする場合にはあらかじめいろいろな書類を準備することになりますね。そこでお聞きしたいのは、暴力団として指定するための要件づくりのためにいろいろ団体の調査をするということが必要になると思いますけれども、そういう団体がやはりいるんでしょうね。
#109
○政府委員(國松孝次君) 団体がいる――恐れ入ります、もう一度お願いいたします。
#110
○諫山博君 団体を指定するためにはそれなりの材料が必要でしょう。そこで材料を集めるという活動が広範に警察官によって行われるのではなかろうかということです。
#111
○政府委員(國松孝次君) これは暴力団取り締まりの一環といたしまして今までもやってきたわけでございますし、暴力団につきましていろんな調査活動が行われるということは、それはあり得ることでございます。
    ─────────────
#112
○委員長(野田哲君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、野別隆俊君が委員を辞任され、その補欠として大渕絹子君が選任されました。
    ─────────────
#113
○諫山博君 懸念されることの一つはそこです。ある団体を暴力団として指定するかどうかという材料を集めるためには、その団体の内偵をする必要があります。どういう人がいるのか、さまざまなことを調査する必要があります。そこで、およそ指定暴力団と関係ないような団体まで調査の対象にされるのではないか。こうなったら結社の自由に対する重大な侵害だということが懸念されているわけです。
 もちろんあなたは否定されるでしょうけれども、例えば破壊活動防止法というのがあります。暴力主義的破壊活動をする団体に対しては解散を命令することができる、こういう規定がありますけれども、解散を命令するための材料集めと称して日本じゅうで共産党や労働組合に対するスパイ活動が行われているわけです。つまり、団体として指定されなければ大丈夫だというんじゃなくて、指定の前段階においてさまざまな団体に対する内偵活動が必然的にこれは伴う。その点で非常に懸念されているということを、答弁要りませんから私は要望だけ申し上げておきます。
 第六条の関係でもう一つ聞きます。
 二項に、「審査専門委員の意見を聴かなければならない。」というのがありますね。この審査専門委員というのは一人ですか、複数の人ですか、それとも委員会制度になりますか。
#114
○政府委員(國松孝次君) 今のところ十数名になるのではないかというように思っております。なお、委員会形式をとるものではございません。
#115
○諫山博君 十数名の委員の中から一人の委員が選ばれて、その人の意見を聞くんですか、それとも複数の人の意見を聞くんですか。
#116
○政府委員(國松孝次君) その辺をこれから詰めないといかぬところでございますけれども、やはり幾つかのグループ分けをするということで御審議をいただく、御意見をいただくということになるんだろうと思います。ただ、どういうように分けるかというのはまだ決まっておるわけではございません。
#117
○諫山博君 これもいろいろ意見が出ているところです。どういう委員にするのかということは何も書かれていません。結局公安委員会の規則で決める。その場合に単独の委員が決めるのか、複数の委員が決めるのか、それとも委員会が決めるのか、委員会の中で意見が分かれたらどういうことになるのかということが法律に書かれずに、すべて公安委員会規則に任されているというのが非常に憂慮されるわけですよ。だから、これは「審査専門委員の意見を聴かなければならない。」という限りは、一人の意見ではなくて、やはり委員会の総合的な意見を聞くという制度にしないと公正を期しがたいということを要望として申し上げておきます。
 次に、第九条の「暴力的要求行為の禁止」について。
 これは法律家の仲間で議論すると一番問題が出てくるところです。ここで十一の暴力的要求行為が列挙されておりますけれども、これはすべて現行法では犯罪にならないという建前で立法するんですか。
#118
○政府委員(國松孝次君) まだ犯罪行為に至らないものでありましても、この要件に該当する場合には禁止行為とするということでございます。
#119
○諫山博君 どういう議論があるかといいますと、犯罪行為になるのがあるじゃないかという議論です。
 例えば第九条の二、寄附金を求めるという問題を例にとりますと、次のような要件があれば暴力的要求行為になるとされていますけれども、それは指定暴力団の威力を示してみだりに寄附金を要求する、その結果相手の生活の平穏または業務の平穏が害されているとき、これはまさに威力業務妨害罪の要件そのものではないか、あるいは強要そのものではないかという議論があります。あるいは七号の債務の免除。暴力団員が暴力団の威力を示してみだりに債務の免除を要求し、そのために業務の平穏が害されているということになれば、現行刑法の威力業務妨害罪とどこが違うのかという議論があります。答弁は要りません。
 私が懸念するのは、ここに書かれている十一の行為は、犯罪になるものがあるし、あるいは犯罪になり得るものが非常に多い。ところが、これは犯罪行為ではないんだという建前で警察が取り締まりをするとすれば、かえって犯罪行為が見逃されるのではないのかという議論があるわけですよ。私は今寄附金の問題とそれから債務の免除の問題を指摘しましたけれども、こういうことがあれば、こんな中止命令とかなんとかをするまでもなく、これは犯罪だということで検挙できるはずだという非常に大きな法律家の意見があるということは念頭に置いておいてください。そうでないと、今私が言ったような行為が、いや、あれは犯罪にはならないんだ、中止命令をかけなければ処罰できないんだという考え方が警察官の間に広がったら、かえって暴力団がばっこするという問題が起こり得るということです。これは答弁は要りません。
 もう一つ別なことを聞きます。
 指定暴力団の団員がこの十一の行為をしたら中止命令が出る、従わなければ処罰される、こういう規定ですね。ところが、同じ行為を暴力団員がやっても、指定暴力団の団員でなければ、これは処罰されないという仕組みですね。この理解は間違いありませんか。
#120
○政府委員(國松孝次君) そのとおりでございます。
#121
○諫山博君 私たちの仲間で議論したときに、指定暴力団の暴力団員がやれば中止命令で処罰、指定されていない暴力団の団員だったら野放し、こんなことでいいんだろうか。全部指定するというなら別です。この点で非常に疑問が提起されているということを取り締まりに当たる警察の方で念頭に置いていただきたいと思います。同じ行為が、ある人の場合には処罰される、ある人の場合には野放し、これでいいんだろうかというような問題です。
 次に、この警察官の中止命令、特に暴力的要求行為に対する中止命令、これがこの法案の一つの柱をなしておりますけれども、この発動は警察官が現認することによって始まる場合が多いのか、それとも被害者が通報することによって発動されるのか、どの場合を考えていますか。
#122
○政府委員(國松孝次君) 現認の場合も通報の場合も両方あると思いますが、こういった要求行為に対する措置というのは、これは公安委員会から中止命令につきましては警察署長の権限におろされているわけでございますので、警察署長の判断において行われる。個々の現場の警察官の判断で中止命令を出すということはありません。
#123
○諫山博君 その中止命令は文書によりますか、口頭ですか。
#124
○政府委員(國松孝次君) 原則として文書で行うというように考えております。
   〔委員長退席、理事渡辺四郎君着席〕
#125
○諫山博君 この法律は刑事法としては異例な規定の仕方をしているわけですね。普通の刑事法だったら、何々の行為をしたら処罰をされる、これが普通です。刑法などはそう規定されております。人の物を盗んだら窃盗罪だと。これは暴力的要求行為をしても、それ自体は罪にならない。署長が中止命令を出す。この中止命令に従わなければ処罰をされる。そうすると、犯罪構成要件の明確化を欠くことになるのではないかという議論があります。
 例えばある人が警察官の言い分に従ったか従っていないのか、これは全く警察官の一方的な裁量で決まるわけです。おまえ言うことを聞かぬと処罰するぞというような言い方で罪になるかならないかが決まる。この問題は刑事法の規定の仕方としては異例だと思いますけれども、乱用のおそれが多いという点はぜひ念頭に置いておいてください。
 結局、第一線の警察官が非常に力を強くするわけですよ。中止命令に従うか従わないか、従わないなら処罰するぞということで犯罪構成要件があいまいになる。この点は取り締まる側ではよほど慎重にやってもらわないと人権侵害のおそれがあるということを申し上げたいんですけれども、一言だけ答えてください。
#126
○政府委員(國松孝次君) この法体系と申しますものは、そういった暴力的要件行為というものが行われて市民の生活が大変害されておる、それを中止する、再発を防止するということにやはり意味があるわけでございまして、その罰則と申しますものは、そういう場合に出す命令を担保するものとしての罰則があるわけでございます。それに従わなければ罰則が科せられるということでございます。これはこの法律が発明したやり方でも何でもございません。そういう場合、もちろん御指摘のように乱用にわたるあるいは不明確になるというようなことがあってはならないと思います。
#127
○諫山博君 この法案の第十条に、依頼し、教唆するという言葉が出てきます。この教唆というのは刑法で言う教唆と同じ意味ですか。
#128
○政府委員(國松孝次君) 同じでございます。
   〔理事渡辺四郎君退席、委員長着席〕
#129
○諫山博君 第十三条で、被害者に対する「必要な援助」ということが記載されています。これも日弁連で大変問題になったことです。大体被害を回復するというのは、今の法体系からいけば、裁判の手続によるというのが原則ですね。これはその原則的な手続をとるのではなくて、警察が介入して被害を回復させるという手続をとっていると思います。ここで処理を誤ったら、警察の不当な介入が起こり得る。今まで警察は民事問題に対しては不介入ということを言ってきましたけれども、過度な介入が生じてくるのではないかということが懸念されておりますけれども、そういうことがないように要望したいと思います。どうですか。
#130
○政府委員(國松孝次君) この規定は、民事関係の実態に立ち至って私どもが必要な援助を行うというものではございませんで、この「必要な援助」と申しますものは、例えば弁護士さんを紹介してやるとか、これは相手が暴力団でありますから、いろいろと怖いとかなんとかという方が多いわけでありますから、そういう場合の心構えといいますか、そういうものをアドバイスしてやるといったようなことが主となるものでございまして、民事の関係の中身に立ち至って援助をするというようなものではございません。
#131
○諫山博君 被害回復というのは司法手続によるというのが日本の法制度の大原則だということです。そして、警察官が被害回復に手をかすというのは本当は例外中の例外だということを忘れないで処理していただきたいということであります。
 次に、第十五条の関係で、張りつけられた標章を損壊する、または汚損する、こういうことが禁止されております。公安委員会が張りつけた標章を壊す、あるいは汚損する、これは何もこういう法律をつくらなくても現行刑法の器物損壊罪で処罰されるはずです。はぎ取ればもちろん器物損壊罪でしょうけれども、はぎ取らなくても標章としての効用をなくすれば、恐らく器物損壊罪になると思います。その点との関係はどう理解されておりますか。
#132
○政府委員(國松孝次君) これはそもそも器物損壊と申しますものは個人の財産権の侵害であります。保護法益はそちらでございますが、ここは私どもの公安委員会の行います命令を担保するという意味でございまして、公共の秩序の維持というものが保護法益になるわけでございますので、全然違う立て方でございます。
 中身的に言いましても、標章を損壊したという場合には、これは物の効用を失わせる行為でありますので、損壊した場合には器物損壊の損壊と同じ概念であろうと思いますので、両方が観念的競合になってくるという場合があると思います。ただ、器物損壊に当たらなくても汚損をすると、汚損の状況によっては器物損壊に当たらないという場合もあり得ると思いますけれども、そういうものであっても、本法におきます社会公共の秩序の保護法益を侵害しておるということであればこちらは成立してくるということで、若干範囲にずれがあるのじゃないかというように思っております。
#133
○諫山博君 器物損壊というのは非常に範囲が広くて、物理的に壊すだけではない、物の効用をなくすることが損壊だと。例えば食堂の食器に小便をかけたら、どんぶりは割れないけれども、どんぶりとしては使用できなくなる、これは損壊だというのが大審院の判例にありますね。だから、ここで言われているような損壊が物の効用をなくするという状況まで至れば、これは器物損壊になる。そうすると、損壊したり汚損したりするというのは、この法律で中止の対象になると同時に器物損壊罪にも当たるということになりますか。
#134
○政府委員(國松孝次君) 両方当たる場合があるということでございます。ただ、こちらだけが成立する場合もあるでしょうということでございます。
#135
○諫山博君 非常に奇妙なことになるのは、例えば標章の損壊を例にとります。標章の損壊だったら紛れもなく器物損壊、中止命令に従わなくて処罰される罰則よりかはるかにこっちの方が重いんですね。はるかに重い刑法犯で処罰されるのに、なぜわざわざ中止命令などを出して処罰しなきゃならぬのかという疑問です。損壊するようなやつがおったら、すぐにこれは検挙すればいいじゃないですか。
#136
○政府委員(國松孝次君) 御質問の御趣旨をよくとっておるかどうかわかりませんが、これはあくまで標章を損壊した場合には、これは直罰がかかってくるわけでございまして、何と申しますか、器物損壊にも当たるし、しかしこの法律にはこの法律としての保護法益があるわけでございますから、標章損壊罪といいますか、そういうものがこちらで成立をする。その両者は観念的競合である。その前提としての中止命令ということとはちょっと切り離して考えぬといかぬ問題だと思います。
#137
○諫山博君 わかりました。これは中止命令違反じゃなくて直罰規定だと。そして、罰則の方は器物損壊の方がはるかに重いと。いいです、これ。次に移ります。
 次に、暴力追放相談委員について常松委員が質問されました。これは一つの県に何人ぐらい予定しているんですか。
#138
○政府委員(國松孝次君) 今のところ私どもでこれという数字があるわけではございません。これはあくまで当該センターの規模であるとか、そういうものでセンターの方がお決めになることでございますので、今ここで特にどの県には何人というようなことではございません。ただ、その県の実情に応じまして暴力相談が適切に行われる規模の人間、人数ということになるのではないかと思います。
#139
○諫山博君 これは相談に対する助言は暴力追放相談委員に行わせなければならないと書いてありますけれども、相談委員でない人は助言してはならないという意味ですか。
#140
○政府委員(國松孝次君) 暴力相談の場合には大変微妙な人のプライバシーであるとか、場合によっては犯罪になるかもしれないといったようなことについて受けますので、やはりきちんとした方にやっていただくのがいいだろうということで暴力追放相談委員に行わせるということでございます。したがいまして、センターにおきます暴力追放相談というものはこの方々にやっていただくというのが望ましいと思います。
#141
○諫山博君 相談委員に助言をさせるのは結構ですけれども、相談委員の資格がなければ助言してはならないという意味だとすれば、これは大変問題だと思います。何も弁護士とか司法書士とか、あるいは保護司だけがこの種の問題の専門家ではありませんよ。さまざまな民間のボランティアが現に相談活動をやっているわけでしょう。そういう人は助言してはいけないということまで書いているんでしょうか。
#142
○政府委員(國松孝次君) 指定をされたセンターの相談業務としてやっていただく場合には暴力追放相談委員に行わせなければならないということでございまして、そのほかいろんなボランティア活動というのがこれと並んで出てくるわけでございます。そういうところでおやりになる分について私どもがいろいろと言うというものではございません。
 ただ、やはり暴力相談と申しますものは、専門的な知識を持つ弁護士さんであるとかそういう方がきちんとした形でやりませんと、アドバイスと申しましても、適切なアドバイスになっているかどうかというのは大変問題でありまして、むしろアドバイスしたことがやや混乱のもとになるというようなこともあるわけでございます。したがいまして、やはりセンターが弁護士さんを指定していただいて、その人にやっていただくというのが私はベストだと思います。
#143
○諫山博君 はい、わかりました。
 これは民間人に対する信頼が薄過ぎますよ。暴力追放のためにたくさんの人が一生懸命やっているわけですよ。あの人たちは素人だから助言してはいけないというような発想というのは全くお上第一主義ですよ。
 そこで、この条項の第七項に「都道府県センターの役員若しくは職員」という言葉が出てきます。この「役員若しくは職員」の中には相談委員でない人もありますね。この人たちも助言してはいけないんですか。
#144
○政府委員(國松孝次君) センターの相談業務としてやる場合には、相談の申し出に対する助言については暴力追放相談委員に行わせなければならないというように考えております。
#145
○諫山博君 つまりセンターの役員でありあるいはセンターの職員であっても、暴力追放相談委員でなければ助言してはならないということですね。
#146
○政府委員(國松孝次君) くどいようでございますが、センターの相談業務としてやる場合には暴力追放相談委員が行っていただきたいということでございます。
#147
○諫山博君 全く奇妙な規定だと思いますけれども、相談委員は常勤になる予定ですか、そして給与をもらいますか。
#148
○政府委員(國松孝次君) それはあくまでセンターがお決めになることであろうと思います。
#149
○諫山博君 財政はどう考えているんですか。
#150
○政府委員(國松孝次君) そういう財政的基盤があってきちんとした事業が行われるように私どもといたしましてはいろいろと指導してまいるつもりでございますが、個々の具体的な場合にだれに幾らどういった報酬を出すといったようなことは、それぞれ今でももう既に各県にいろんなセンターの母体になるような財団法人としての県民会議その他があるわけでありますから、そういうところの主体的な判断でお決めをいただくということになると思います。
#151
○諫山博君 この問題でみんなが心配しているのは、自主的に民間の人たちが行っている暴力追放運動をすべてお上が掌握するというような発想があるのではないか、自主的な民間の相談活動というのが軽視されるのではないかというふうに言われています。
 日弁連の意見書を読み上げてみます。暴力追放運動は本来民間の自発的で柔軟な運動によって担われるのが望ましい。この運動が官主導のみの運動になるおそれがある。――どうしてこういう懸念が出るかというと、例えば相談委員とか職員とか役員には守秘義務まで課せられるんですよ。この人たちに個人のプライバシーを守るという名目で守秘義務をかける。こういう相談者というのはまさに公安委員会主導の民間運動になってしまうのではないかという声が日弁連からも出ていますし、たくさんの人からありますから、今後運用する場合にぜひこれは心してもらいたいということを要望します。
 ついでに言いますけれども、このセンターの役員もしくは職員は公務員もしくは公務員に準ずるものですか。
#152
○政府委員(國松孝次君) いわゆるみなす公務員とかそういうものになるものではないと思います。
#153
○諫山博君 純然たる民間人、そして恐らくボランティア活動を今までやってきたような人、そして、現在何一つこのことによって弊害は生じていない。ところが、民間人であるのに守秘義務を負わせるわけですね。これも非常に奇妙な規定です。お上が前面に出過ぎるじゃないかという批判が出るのは当然です。
 次の問題に移ります。
 警職法というのがあって、警察官の職務行使にはさまざまな法律的な制約があります。この警職法は、この法律を執行する警察官には適用されますか。
#154
○政府委員(國松孝次君) この法律を執行する警察官は、例えば立ち入るような場合、二十二条の規定によって立ち入るということになると思います。
#155
○諫山博君 警職法には次のような人権保障の規定があります。第一条第二項、「この法律に規定する手段は、」「必要な最小の限度において用いるべきものであつて、いやしくもその濫用にわたるようなことがあってはならない。」、この規定は適用されますか、この法律を執行する警察官に。
#156
○政府委員(國松孝次君) この法律を執行する警察官はこの法律によって職務を行うわけでございますけれども、今言ったような趣旨はもちろんここの規定にも生きておりまして、例えば二十二条の三項といったようなものもあるわけでございます。したがいまして、この二十二条でいく場合には、二十二条の規定の適正な運用を行うというのがこの法律を執行する警察官の任務であろうと思います。
#157
○諫山博君 今度は基本的な問題ですから長官に答弁を求めます。
 警察官の職務執行には警職法という規定があって、今言ったような人権保障の規定もある。そして、例えば質問する場合も、どこそこに立ち入る場合も、あるいは制止する場合も、いろんな制約規定がありますね。ところが、この法律にはこれに類するような規定がないんですね。警察官が職権乱用しないということは何によって担保されますか。
#158
○政府委員(鈴木良一君) 警察官職務執行法というのは我々が職務を執行する場合の基本でござい‐ますから、その考え方は当然いろんな職務の執行の場合に適用になると思います。
 それからまた、今お話しの二十二条の関係につきましては、刑事局長が申しましたように、第三項のような形で、決して「犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」という押さえのほかに、二十二条の一項そのものが、ここのところがいろんな条件で縛ってあるわけであります。と申しますのは、「この法律の施行に必要があると認めるときは、」という一つの必要性、それから「この法律の施行に必要な限度において、」ということがございます。そしてあと、やる内容を絞っておるということでございまして、私どもは、これは制限的に、決してそういうふうな形で乱用されることのないような形で規定されたものと、かように考えております。
#159
○諫山博君 そうすると、この法律に基づく警察官の職務執行には警職法の適用はあるというふうに聞いていいですか。
#160
○政府委員(鈴木良一君) 警職法の立ち入りの問題とはこれは違うと思うのでございます。ただ、警察官職務執行法というのはやはり職務執行に関しての我々の基本的な問題でございますから、その精神は生きておる、かように考えます。
#161
○諫山博君 これは非常に将来問題になり得ることですけれども、警職法の規定は立ち入りを除いて適用されるということが結論でしょうか。
#162
○政府委員(鈴木良一君) 警職法というのと、ここでやっております仕事と、ちょっと面が違うんではないかという感じがするのでございます。
 警職法はやっぱり直接に犯罪なりあるいは避難の措置なり、そういう場面場面に当たってこういうことだということを決めておるわけでございますから、それはそういう場でこれ自体がそういう場合も全くないとは申しませんけれども、やや切り口が違うのではないか、かように考えておるところでございます。
#163
○諫山博君 私の質問にずばり答えられたかどうか疑問ですけれども、これは非常に重要なところで、この法律の執行によって警察官の職権乱用が起こり得るかどうかという問題ですから、ぜひ慎重に検討していただきたいと思います。
 この点で日弁連はどう言っているかといいますと、警察官の事務所立ち入り、物件検査、質問権は令状主義との関係も問題であり、警察官職務執行法に定める質問権、立入権の要件を著しく緩和するものである、こう言って批判しているわけですよ。つまり国民に対して警察官が質問するのは勝手に質問してはならないわけです。一定の要件が要る。あるいはどこそこに立ち入る場合にも厳しい要件が規制されている。ところが、この警職法の要件がこの法律で緩和されているではないか。そこで、警職法は適用されないのかという問題が提起されているということを私指摘をしておきます。
 この法律は、残念ながら警察官が職権を乱用してはならない、国民の基本的人権を侵してはならないという一番肝心の規定がないんですけれども、これは当然のことといって理解していいんですか。
#164
○政府委員(鈴木良一君) それは当然のことでございます。
#165
○諫山博君 それに関連してもう一つ聞きます。
 国家公安委員会規則で犯罪捜査規範というのがありますね。これは犯罪の捜査を行うに当たって警察が守らなければならない規範ですね。この法律で規定しているのは、今までの御説明では、犯罪にならないという場合が多いわけです。そうすると、犯罪捜査規範はこの法律の執行に適用されるのかどうかという問題が出てきます。例えば犯罪捜査規範の中には、第二条の二に、基本的人権を尊重しなさいと書かれています。第三条に、個人の自由及び権利を不当に侵害してはならないということも書かれています。これは国家公安委員会の規則です。これはストレートにこの法律の執行に適用になるんでしょうか。
#166
○政府委員(鈴木良一君) この法律のやりますのは一つの行政上の措置でございますので、犯罪捜査ではないというふうに理解をしております。したがいまして、犯罪捜査規範というのはこの場合には適用にならないというふうに考えております。面が違うというふうに考えております。
 ただ、お話のありました内容は、これは職権乱用の問題を含めまして当然我々が守らなければならない規範でございますから、その精神は生きておるというふうに考えております。
#167
○諫山博君 これは犯罪捜査ではなくて、単なる行政行為だと言われますけれども、一般国民にはこんなことはわかりませんよね。警察官が動けばみんな犯罪捜査の一環だなと理解しますよ。だから、ストレートに適用されないということのようですけれども、やはりこの精神は守っていただかなければならないと思います。
 ところで、私たちが心配するのは、暴力団だけではなくて、一般国民が巻き添えを食うことはないのかということです。もし警察官が指定暴力団の団員でもないのにいろいろこの法律で不当な規制をしたとすれば、その警察官に対してはどういうことになりますか。
#168
○政府委員(國松孝次君) この法律は指定暴力団、暴力団員に対して規制をかけるわけでございますので、そのようなことは絶対ないように運用していかなければ、そのようなことと申しますのは、それ以外のことに不当にその範囲が広がるということのないように厳にやっていかなければならぬことでございます。
#169
○諫山博君 これは一般国民が不当な巻き添えを食う心配があるんじゃないのかということと同時に、ある団体を指定するという前段階としていろいろ団体の内部を調査することができるわけですね。指定の要件に当たるかどうかということを警察が内偵をする。まさか民主団体とか、労働組合とか、あるいは普通の団体を内偵することはなかろうと思いますけれども、さまざまな過去の実例があるだけに私は心配です。
 どういう実例があったか紹介いたします。
 戦前、治安維持法という法律がありました。この法律がつくられるときの建前は、共産主義運動、無政府運動などを取り締まる。労働運動とか農民運動とか、そういう問題は全然関係ありません、こう説明しておりました。ところが、実際はどうですか。あの治安維持法が、確かに初めは共産党に適用されましたけれども、どんどんこの適用の枠が広がって、労働運動、平和運動、宗教運動にまで適用されたでしょう。だから、一たん危険な法律がつくり上げられると、運用の仕方によってとんでもない方向に行きかねないというのが治安立法の運命ですよ。
 暴力行為等処罰ニ関スル法律というのがあります。これも暴力団を取り締まるというのが表向きの名目でした。政府答弁にはっきりそのことが出ております。ところが実際は、暴力団にも適用されましたけれども、一番この適用を受けたのは労働組合運動です。私は、三井三池の労働争議の刑事事件を何件も担当いたしましたけれども、一番たくさん適用された法律は、労働運動などには適用されないと言われていた暴力行為等処罰ニ関スル法律です。
 軽犯罪法あるいは屋外広告物法というのがあります。この法律ができるときにも、平和運動とか民主運動とか労働運動に適用される心配はないのかということがさんざん議論されました。そして、そういうことはないというふうに政府は言っております。例えば、ビラ張りを例にとりますと、あれは町の風致、美観を取り締まるのが目的だ、別に労働運動とか平和運動に干渉するつもりはありません、こう言われておりましたけれども、実際はなかなかそんな甘いものではなかったというのが日本の現実です。
 そこで、私は法務省にお聞きしますけれども、この三つの法律ができ上がるときに、政府は今私が言ったようなことを答弁していたんじゃないでしょうか。
#170
○説明員(但木敬一君) まず、治安維持法は大正十四年に制定された法律でありますが、いわゆる国体を変革し、あるいは私有財産制度を否認する行為等を防止することを目的として国体の変革等を目的とする結社の組織や国体の変革等の行為の扇動などを処罰の対象としておりました。
 続いて、暴力行為等処罰ニ関スル法律でございますが、この法律は大正十五年に制定された法律でございますが、当時において団体を背景として威力を用いた暴力事犯や、面会強要、強談威迫等の行為が多発して国民生活に多大な被害が及んでいた一方、当時の法制上それらの行為を処罰する罰則の法定刑が軽かったためなどから、この行為を取り締まることを目的としたものでございます。暴力行為等処罰ニ関スル法律の取り締まりの対象の一つとして、団体的背景を自己の暴行や脅迫等の用に供して、団体的背景をもって暴行や脅迫等を行うことを団体構成員が常習としているような団体の構成員等が想定されていたということでございます。
 軽犯罪法につきましては、昭和二十三年に制定された法律でございますが、この法律はもともとございました警察犯処罰令にかわるべき法律でございました。一部特殊の行政目的遂行のための取り締まり規定がございましたので、その部分を除きまして、日常生活における卑近な道徳律に違反する軽い罪を処罰することを目的として制定されたということであります。
#171
○諫山博君 表向きはそのとおりですね。そして国会論戦の中では、これを乱用してはならないということが非常に大きな議論になったんです。ところが、乱用はしませんと政府側は答弁しているのに、結果的には非常に大きな乱用を見ているというのが現実です。
 警察庁長官にお聞きしますけれども、暴力的な団体でないのに指定をされたり、不当な干渉を受けたり、あるいは指定のための材料集めとしてさまざまな一般の団体に介入したり、そういうことは絶対にあってはならないと思いますけれども、絶対にそういうことはしませんと断言できますか。
#172
○政府委員(鈴木良一君) この法律はあくまでも暴力団から国民を守るというためにつくるわけでございますから、適用はあくまでも暴力団のみ、暴力団以外の団体には絶対適用しないという厳格な法の運用を図ってまいりたいと思います。
#173
○諫山博君 暴力団以外の団体が指定されるかどうかという問題と別に、指定の条件を探すということでさまざまな団体を内偵することを私は心配しますけれども、そういうことはないと断言できますか。
#174
○政府委員(鈴木良一君) 暴力団でもないのに内偵をするというようなことは絶対いたしません。
#175
○諫山博君 もう一つは、組織ではなくて一般国民が犯罪行為ではないのにいろいろ警察官から介入されるのではないかということが懸念されます。犯罪行為だったら、これは取り締まられても仕方がありませんけれども、この法律は今の法律では処罰されないような行為について警察が介入できるという法律ですから、使い方によっては大変危険なわけです。一般国民に不当に影響を及ぼすようなことは絶対にないということを断言してください。そしてこの点は公安委員長からも答弁をお願いします。
#176
○政府委員(鈴木良一君) 一般国民に適用するというようなことは断じてないという形で運用してまいります。
#177
○国務大臣(吹田ナ君) 善良な国民を守るための法律であるということからいたしましても、絶対にそういうことの行為があってはなりませんし、ないように国家公安委員会としては配慮いたします。
#178
○諫山博君 終わります。
#179
○高井和伸君 あちこち飛ぶと思いますが、まず条文の方からいきますと、二十四条の「仮の命令」というのをお尋ねしますが、私が弁護士をやっておるときにやくざの方々に三日間追いまくられまして、追い込みをかけられまして、事務所にも帰れず、自宅にも帰れず、倒産した会社にも戻れず、三日間ワープロを担いでホテル住まいをしたことがございまして、お兄さん方の威力については、ベンツ三台、ポケットベル付、それから自動車電話付でいろいろ私を追いまくりました。その趣旨は基本的には面会強要なんですね。弁護士として、倒産した会社の不動産がいっぱいあるものですから、債権者の代理と名のりまして面会強要をしているわけです。私はその方々につかまりますと、倒産手続の破産宣告がもらえなくなってしまいまして、倒産会社がめちゃくちゃになってしまうという状況になりますと暴力団が入ってきやすくなってしまう。そういう状況をつくり出そうとして私を追っかけました。こういった面会強要は、どうも今の条文を見ますと載っていないんですね。九条の暴力的要求行為の禁止に入っていないんですよ。これは正当な行為なんですよ。債権者の代理といいながら、裁判所にも追っかけ、倒産した会社にも追っかけ、私が関与している会社更正会社にも追っかけ、自宅にも追っかけ、私の法律事務所にも追っかけるわけですよ。そういう威力業務妨害みたいなときなんですが、それに対して仮の命令を出してもらいたいと、私はもうすぐさま間髪入れずに面会強要はいかぬという仮の命令をぱっと出してもらいたいんですよ。そうすると、その前提条件として暴力団の指定がなかったらいけない。そしてこの暴力的要求行為の概念に当たらなきゃいけない。さらに、スピードアップした仮の命令をぱっと出してもらわなきゃいかぬという状況があったわけですね、具体的に。
 今のとおりの解釈で、まず暴力団の指定がなかったら仮の命令は使えませんね、処分が。そして次に、九条の暴力的要求行為で面会強要がどうも一号から十一号までいっぱい書いてあるところを見ましてもないんですよ。これは法律の欠陥とは申しませんけれども、やはり面会強要ということを余りしつこく書き過ぎると余りにも広がり過ぎるから落としたんでしょうか。
#180
○政府委員(國松孝次君) 仮の命令は確かに指定暴力団員でなければかからない問題であるのはそのとおりでございます。
 それから、面会強要というそのこと自体をとらえてここに書いてあることはございません。ただ、今委員御指摘の中に、面会強要する傍らで威力を示して、例えば債務をちゃんと免脱しろというような行為があれば、それはかかってくるということでございます。面会強要そのもの、面会を強要することということがここには書いてないということでございます。
#181
○高井和伸君 書いてないことは残念なんですが、暴力団はちゃんと知的な頭を持っていまして、弁護士に対して債権者の代理だと言って、お前のところ不渡り手形出したのけしからぬじゃないか、なぜ払わぬのだと言ってくるわけですから、私は倒産した会社の代理人ですから、それは当然受けて立たなきゃいかぬ立場にありますが、先ほど言ったように威力業務妨害的な側面で来るわけですよ。私を拉致しちゃうと彼らの成功なんですね。私たちは逃げ切らなきゃいかぬ。ところが、裁判所側は、私はそのときは頼み込みましてようやく破産宣告を通例一週間以上かかるのを早く出してもらって助かりましたけれども、そういった要件はちょっとよけておいて、この九条の暴力的要求行為に当たる行為で仮の命令を出してくれと言ったら、何日ぐらいで出るんですか。
#182
○政府委員(國松孝次君) これは仮の命令の場合は緊急の必要がある場合でございますので、ケース・バイ・ケースでございますけれども、それこそ直ちにやっていかなければならぬ場合が多いだろうと思います。
#183
○高井和伸君 それは現実的にはどのようにするんですかね。私が先ほどのような場面で、例えば債務免除を迫られた、債務免除というのは私の方が求める方ですから逆ですね、例えばこの九条の中の該当する行為が一つあって、どれでもいいですけれども、建物の明け渡しでもいいですが、そういう行為があって仮の命令をいただいた場合、それは現実的にはどのように、私の家には立ち寄っちゃいかぬだとか、事務所に行くことを妨害しちゃいかぬだとか、つかまえちゃいかぬだとか、がっと書いてもらえるんでしょうか。
#184
○政府委員(國松孝次君) 仮の命令というのは、これは例えば九条関係で申しますと、十一条二項で再発防止命令がかかる場合がございます。ただ、今先生いろいろおっしゃっておられるのがもしこの各号のどこかに当たる行為があって、それに対する我々の措置命令がかかるということになりますと、まさに中止命令がかかる場合ではないのかなと、やめるということが言える状況ではないのかなと思います。あくまで仮の命令の場合は緊急でございますが、あくまで十一条二項の再発防止の命令の方についての仮の命令でございますが、聴聞しなくてもよろしいと、よろしいといいますか、後でやってもらいますけれども、当座はいいんだという例外的な規定でございますが、ただ、その場合に中止命令の対象になる場合があるんではないかというように感じます。
#185
○高井和伸君 それで、今のようなケースの場合において、ところが、暴力団としての指定がおくれていたというような場合では使えないということになりますね。先ほどから各委員の御指摘のとおりですが、そうすると、この法律が施行されたら直ちに精力的に暴力団を指定してもらわないと、日常的に実際この法律は何も機能しないというようなことが予想されるし、現実的にそうだろうと思うんですね。そこら辺の腕力ある警察庁の方針はどんなものなんですか。
#186
○政府委員(國松孝次君) おっしゃるとおり、指定がございませんと、指定をいたしませんとこの法律のほかの規定は動かないということでございますので、この法律が施行され、そしてまず最初にやらなければならないのは指定でございます。その指定を迅速に行っていく、しかも法律の規定の要件に当たるものをなるべく迅速にやっていくということであろうと思います。
 ただもちろん、この間も御指摘がございましたけれども、我々としては何としても重要な悪質なものから順次やっていく、こういう優先順位はつくと思いますけれども、迅速にその指定をしていく。指定がありませんと、指定のない団体についてはこの法律は全然動かないということは御指摘のとおりでございます。
#187
○高井和伸君 続いて今度は刑事手続と今の大体行政行為で行われる暴力団に対する対応でございますけれども、暴力団の指定に、頭のいい暴力団がおられまして、要件がないのに指定した、けしからぬといってまず初め聴聞のところで大分ごねまして、まあそれは指定行為が出ました。指定が出たら、今度は不服で指定行為がけしからぬということで、また公安委員会に対して不服審査申し立てをしますね。そこでも敗れるかもしれませんけれども、敗れたら今度は行政事件として裁判所に対して行政訴訟として指定行為取り消しの訴えをやって、またごちゃごちゃいつまでも、ある意味では確定するまで、どうなのかちょっと別として、ごちゃごちゃするうちに現実的にいろいろな暴力的な要求行為がなされていって、そんなときに現に中止命令は出せるんですか。
#188
○政府委員(國松孝次君) そういう形で向こうがいろいろな対抗措置をとってくるということはあるわけでありますが、私どもとしては所定の手続を済ませまして都道府県の公安委員会が指定をいたしました以上、その指定の効果は公示をいたしましたその段階で効力が発生するわけでありますが、発生いたしました以上、それに従って所要の手続をしていくという形になるわけでありまして、裁判が進んでいるということはもちろんそれはそれで対応しないといけませんが、措置命令その他はどんどん必要があればかけていくということになると思います。
#189
○高井和伸君 そうすると、効力としては官報かなんかに出した瞬間に効力が出るということになりますから、その指定行為は公定力が出て、ある意味では最高裁判所までいって確定するまではちゃんと威力をもって生きておると、こういうことになるわけですね。
 ところが、最高裁判所の話で上審の方でそういう指定行為自身が取り消されてしまった場合、先ほど言った中止命令違反の直罰じゃない間接罰の条項は結果的には発動できなくなりますね。
#190
○政府委員(國松孝次君) そういうことのないように私どもとしては自信を持ってといいますか、確実な資料に基づいてやるわけでございます。その訴訟が起こっておりましても、その間に私どもとして必要のあるものはどんどんやっていくということになるわけであります。不幸にしてその裁判が確定したときというのは、確定をしてしまってその指定が効力を失うというふうなことになれば、それはその段階からまた別の考えがありますけれども、それまでは私どもとしては一つの行政行為としてやっていくということになるわけでございます。
#191
○高井和伸君 概念の遊びをしているわけじゃありませんが、抵抗する方の立場からすれば、かなりやると思うんですね。結果的に罰則規定が発動できて行政命令違反の罪で刑事事件を起こしたとしても、指定を争っているうちは裁判所は勇気を持って判決できないと思うんですね。そちらの方の団体指定の取り消し訴訟が確定するまで、これは根っこから崩されてしまうからちょっとやりにくいんじゃないか。そういうわけで判決言い渡しを先に延ばしたり、いろいろな面で裁判所の抵抗じゃありませんけれども、実質的な運用の場面での隘路があるように考えますが、私の考えは間違っていますかね。
#192
○政府委員(國松孝次君) そういうことがあるいはあるのかもしれませんけれども、私どもがこの法律で一番目的といたしておりますことは、罰則を適用してどうのということよりも、その一つ一つの行為が現実の形において暴力的要求行為で大変国民の皆さんが困っておる。そういうものに対して今まで犯罪にならぬから何もやらないということを言っていたのを、そうではなくてやっていこう、中止または再発防止命令をかけていこうというところに意味があるわけでありますので、私どもとしてはこの法律によってそういう一つの行政目的と申しますか、治安維持目的でありますけれども、そういうものをあくまで追求をしていくということであろうと思います。
#193
○高井和伸君 ちょっと場面を変えます。
 先ほどの指定行為とかそれから中止命令に対してそれぞれ聴聞ができる、聴聞を行う、こういうことになっていますね。仮の命令の場合はやらぬでもいいけれども、あと事後的にやるという面では、私は行政手続法という問題について非常に興味を持ってほかの委員会ではかなり各省庁の法律の中でどのようになっているかということでたくさん聞いてきました。そういう側面からいいますと、この警察庁関連の聴聞規定というのはかなり充実した方向に一応あると私は思っています。
 しかしながら、先ほどのように緊急の場面にまで聴聞をやっているわけにいかぬから仮の命令を出してもらわなきゃいかぬというのは、私は必然性は大変高いと思うんですね。しかしながら私の心配するのは、どんどん進んでいく場合、相手方にとってみれば、警察庁というより国家公安委員会からの相手方にしてみれば、いろんな事実認定の書類を警察というか公安委員会が認定するときに使った事実認定書類というものを争う方向では見たいわけですね。文書の公開という意味、文書へのアクセスという意味も込めまして自分の不利益なことを認定されている書類は、最終的にはそういう不服を受け付ける方法で、審判のところだったら公安委員会、その途中では専門の方がおられましてその方々の意見確認というのをとるというようなことでいろいろそれなりの保障はされておりますけれども、基本的には相手方はどんな証拠が出ているのか、それに対して反論したいものですから、いろいろ裁判手続で言うと証拠の開示をしてもらいたい、こういう気分になるわけですね。いろんな命令に対しても指定に対しても、それを争うときにですね。そういった面での規定が全くないわけなんですよ。日本国の法制の中にはないのが今普通のようですが、情報公開あるいは侵害処分という側面からいったら、人権保護あるいは九十九人正しくても一人間違ったらいかぬという側面からかなり充実した扱いをしてもらいたいと思うんですが、今のように争う側から見て、公安委員会側手持ちの書類はどのような扱いを受けるのでしょうか。見せてくれと争う方が言った場合は見せるんでしょうか。
#194
○政府委員(國松孝次君) いろいろな場面があるのを包括的な御質問でございますが、一般論といたしまして、いわゆる我々の指定に関しますその指定の基礎となったデータ等につきまして開示請求をする権利があるのかというような一般的な御質問であるといたしますと、それはないのではないかというように思っております。
 それは詳しく言うといろいろと長くなるわけでございますけれども、例えば暴力団員が自分が暴力団員であるかないかというようなことについて知らせてくれというようなことを言ってくるといたします。そういたしますと、そもそもそういうことを、本人が暴力団の構成員というのはある程度客観的に決まっておるものでありますから、わかっている本人が見せてくれというのもおかしな話であるとともに、そういうものを余り認めますと、かえって当該暴力団員のプライバシーを侵害する形にもなるというようなこともありますので、そういった開示請求権を認めるということはないんだろうと思います。
 ただ、先ほど来出ておりますように、その場面場面でいろいろあるわけでありますが、聴聞をやりました場合は、その聴聞につきましていろいろと向こうでお話しになる。その聴聞の段階でいろいろ有利な証拠を出すということでやられるわけでありますが、そういう場合には聴聞調書というようなものがつくられるわけでございます。そういったものにつきましては、やはりほかの聴聞のシステムでもなっているようでございますし、そういうものについてはやはり閲覧請求があればそれは認めていく。
 いずれにいたしましても、聴聞の手続というものは国家公安委員会規則でやっていくわけでありますが、そういう個別個別の場合で出すべきデータということで、あるものについては、例えば今の聴聞の場合には聴聞調書を出していくというようなことがあろうと思います。ただ、そのトータルとして、いろんな場面がありますけれども、一般的な開示請求権が認められるべきだというのは、私ども立法の過程でとっておらないわけでございます。
#195
○高井和伸君 暴力団を指定するという行為はある種の侵害処分であると私は考えますが、そうしますと、一般的にそういった聴聞を行う場面において、この法律を見ますと、五条の中で指定をしようとする理由を、第二項の二行目にありますが、理由をあらかじめ通知すると、こうなっています。通常侵害処分の場合、行政手続法の中では特に理由付記をしっかりしなさいという意向があります。この指定しようとする理由は、おたくは暴力団員が何名いていろんな面で暴力団的な適格性があると。おたくには何人のいろんな前科持ちがいっぱいいて、その前科持ちは国家公安委員会規則に定める暴力団としてシェアが一五%以上のかくかくしかじかの犯罪者を抱えておられる。そういったことによっておたくを暴力団に指定しようと思うんだけれども、何か文句ありますかというのが本来の理由だろうと思うんですが、そのぐらい細かく書くのでしょうか。
#196
○政府委員(國松孝次君) 実はそういうところにつきましては私どもの方としてそれほど細かく詰めておるわけではありませんが、理由を言うという以上、何が理由になっているかわからないというのでは困りますし、少なくともその指定しようとする理由を通知することによりまして、指定のもとになる事実の概要が告知されておるというぐらい、相手が少なくとも何らかの主張を聴聞においてする、十分に主張ができると、おれはそういう理由で聴聞があるのかということがわかる程度にはその理由を付さなければならぬというように思っております。ただ、それが具体的にどういうことかといいますとあれでございますが、今委員御指摘のようなそう余り細かいことをやるわけではございませんで、例えば二号要件について言いますと、政令で定める区分あるいは比率でやるわけでありますが、まあおまえさんはどこに当たるというようなことぐらいは言ってやらぬといかぬのかなというように思っておりますが、具体的なところはもう少し詰めさせていただきたいというように思います。
#197
○高井和伸君 そうすると、今度は聴聞とか、特に聴聞する以上は、言い分を言いなさい、有利な証拠があるなら出しなさいというわけですから、基本的には何が我々にとって不利なのかというのは暴力団の方の争う最大のテーマですから、かなり言ってあげないと向こうの反論ができないし、向こうの有利な証拠は何を出していいかわからないということになりますから、それとの関係でかなり決まってくるだろうと私は思うわけです。
 それで、そういう聴聞が終わっても、やはりこれは指定しなきゃいかぬと、こういった場合官報に公示するということになりますけれども、ところが当事者にも通知が行くわけですね。おたくを立派に指定暴力団にいたしましたから、以下さよう心得なさいと、こうなるわけですね。そのときにはちゃんと理由を付記せよというのが一般的に侵害処分するときの鉄則というふうに学問上言われているわけですよ。おたくの場合はこうこうこういうわけで、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の第何条によってかくかくしかじかの理由によって指定をすると、こういうのが本来他人の、本来正業かもしれないところを間違ってやることはないとは思いますけれども、非常に不利な立場に追い込むという側面から見ますと侵害処分になるわけですから、それに対してきっちり理由を書いてやるのが礼儀だろうと思うんですが、それについては、どうも答弁によると、これから考えますというような話になるんじゃないかと思いますが、ちょっと答弁してください。
#198
○政府委員(國松孝次君) 七条の三項で通知をするわけでございますが、その指定をした旨その他の公安委員会規則で定める事項というのがございます。それはこれから公安委員会規則で書くわけでございますが、そのときには委員の御指摘の御趣旨もございますので、処分理由というものは当然書かなければならないというように思っております。
#199
○高井和伸君 もうちょっとこだわったことを申し上げますと、今度は中止命令を出す場合においてもやはり聴聞を行う、同じようにやるという場面においても、今までの議論はみんな大体そっくりそのとおり当てはまりますね。理由付記の問題だとかあらかじめ聴聞するのに、おたくに対しては中止命令を出しますよというふうになっているんですね。
#200
○政府委員(國松孝次君) 再発防止命令言……。
#201
○高井和伸君 再発防止のための中止命令だとか、そういった中止命令を出すときにおいては、やっぱりかくかくしかじかでおまえさんちにはこういう命令を出すよ、これは行政命令で、国家が、お上が言うんだから違反したらこれこれの罰則になるよ、以下気をつけなさいよ、やったらちゃんと処罰するよというようなことでやらないと威力がないわけですね。そうすると、そういった中止命令を出す前の聴聞にも同じように理由をかなり書き込んでおやりにならないと、相手方の反論ができないことになる。聴聞が終わった後ちゃんと命令を出した後においても、同じように命令を出すときはきっちり理由を書くということは同じ、パラレルに考えてよろしいですか。
#202
○政府委員(國松孝次君) おおむねそのとおりでございまして、少なくとも措置命令をやる場合に聴聞を行う、その聴聞も何で呼ばれたかわからぬようなことでは困るということでありますので、それはちゃんと来まして有利な証言をすることができるようにきちっとして、おまえさんはこういうことをやったんだから、それについてやりますよというふうに、先ほど委員が言ったように余り懇切丁寧に全部言うのかどうかは別といたしまして、とにかく相手が防御権を行使する、あるいは有利な証言を引き出すということに必要な程度はやっておかないといかぬと思います。また、それぞれの後で出します命令につきましても、相手が何を守ったらいいのかということがきちっとわかるような形でなければならぬことは当然のことでございます。
#203
○高井和伸君 あと今度は証拠の問題と、行政手続上の証拠というんですかね、書類と、最後に刑事事件になった場合における捜査資料というか、犯罪立証のための資料の兼ね合いを聞きたいんです。
 先ほどから諫山委員が御質問になっていたように、ある意味では行政手続が一般にずっと進んでいて、その段階ですべて満足な市民の秩序が平穏に守られればそれで万歳ということなんですが、万歳といかなかった場合、やっぱりちゃんとそういう制度を保持している以上、証拠で立証しなきゃいけなくなりますね。そうすると、当初行政手続の中で行政処分としていろいろやっているときにつくられる書類は、捜査じゃありませんから、ある意味では強制力のない場合がほとんどですし、本来任意捜査と同じように任意調査だろうというふうに考えるわけですね。そこらで相手方の言い分だとか、通常犯罪の場合捜査の端緒なんかを聞き出して、そこからいろいろ積み上げていかないと後々立証するときに困るというときに、そういう刑事書類というものと行政書類というものの色分けだとか、ある日ころっと刑事事件用の書類になる可能性もあるわけです。それは一つの証拠にどのような価値を認めるかという評価の問題で終わるかもしれませんけれども、行政手続上つくられる書類というのはそんなに立証には役立たぬだろうと思うんですね、私に言わせれば。
 そうすると、先ほど諫山委員がおっしゃったように、いろんな行政目的の達成のためだけれども、結局は初めから犯罪捜査のような雰囲気でいろいろ行われる可能性が非常に強いだろうというところで市民が畏怖してしまったり、当初のこの法律の制度目的が達せられなかったり、非常に警戒されてしまったりする場面が多いんじゃなかろうかと想像するわけです。そこらあたりについて易しく安心できるような答弁はどんなふうになるでしょうか。
#204
○政府委員(國松孝次君) なるほど、まさに相手は暴力団を扱うわけでございますので、捜査をする場面と行政目的でやる場面というのが両方出てくる場合というのは当然あると思います。ただ、私ども基本に考えておりますのは、この法律の執行によっていろいろやることは、これはあくまで行政行為でございますから、そこで得られた書類というのはやはり行政目的の書類でございます。それを安易に捜査の方に利用するというようなことはあってはならないと思っております。したがいまして、やはり行政と捜査というのはこれは峻別をいたしまして、捜査行為は捜査行為、それで行政目的でやっていてある程度捜査行為に移行する場合にはその移行がきちっとわかるように裁断をして、何かいつどうなったかわからなくなるというようなことは絶対にないようにしなければならないというように思います。
 そのために私どもとしてはこれから体制その他を考えるわけでありますが、この法律の執行に当たる部門といいますものは、やはりそれ専門の、何と申しますか、部門を設けましてそれがやっていく。少なくとも指揮班はこの法律の例えば暴力的要求行為を規制していくための部隊と申しますか、セクションというのがある、それと捜査部門というのははっきり分かれた形でやっていくというような、そういう方向で検討してまいろうと思います。
 とにかく行政と司法がごちゃごちゃになるというようなことがあってはならないわけでありまして、ただ、もちろんその場合でも措置命令をかけていく、命令をかけて違反行為があったとしたら、それは犯罪行為になるわけでありますから、そこから先は確かに捜査に移行していく場合があるわけであります。その場合も、今まで得ていた資料が安易に何かいつの間にか行っている、それで行政目的で得た書類が何の適切な転換を明示するような措置もないままそっくりいつの間にか捜査書類として使われてしまっておるというようなことは絶対にあってはならぬことでありますので、そういうことはないようにする。
 もちろん、こちらの行政目的でやられた書類を捜査に使う場合があるわけでございます。例えば措置命令があった、それについて措置命令違反があって犯罪として捜査をする場合には、そのもととなった措置命令書と申しますか、公安委員会のそれはどうしても必要でございます。それをこっちへやる場合どうするかという問題があるわけでございます。それをはっきりした適切な方法によりまして、捜査と行政がはっきり分かれておるんだということが後々例えば裁判所においてごらんになりましてもそれがわかるような形で転換していかなければならぬ。それは両方はっきり分けて運用してまいりたいというように思っております。
#205
○高井和伸君 ちょっと話が飛びましたげれども、総務庁の方来ていただいていますね。
 実は、総務庁の方で行政手続法の制定へ向けてというか、その基礎的な研究、あるいは行革審の中で取り上げられておりまして行政手続法研究会という行政管理局長の私的諮問機関がありまして、その中で第二次中間報告というのが出まして行政手続にそれなりの指針があらわれております。そういったようなことで私が総務庁にお尋ねしたいのは、なかなか警察庁の方もおられるのでしゃべりにくいかもしれませんので妥当なところで結構でございますが、そういった行政手続上の侵害処分の一種としてのただいまの議論の中のもろもろの行政命令的な行為は、そういった中間報告に出ております研究会の一般的な意見の趣旨と比べるとどんなふうな御感想をお持ちなのか、客観的な事実の比較で結構ですが述べていただければありがたいと思います。
#206
○説明員(河野昭君) 私ども本法案の立案過程で警察庁から御協議がありまして、その段階で例えば五条の聴聞規定でありますとか、そういう手続規定についても検討させていただいたわけですが、結論だけ最初に申し上げますと、行政手続法研究会が求めている方向に沿ったものであるというふうに考えております。
 例えば中間報告では、侵害処分につきましては事前手続に関する規定を整備する必要があると。その場合、事の軽重によって弁明手続あるいは聴聞手続というものの規定を求めているわけです。私ども今回のこの三条の「指定」というものが、中間報告では侵害処分というものを「特定の者を名宛人としてこれに義務を課し、又は権利を制限する処分」と言っておりますので、恐らくこれに当たるんだろうと。ただ、この中間報告の検討当時はこのような処分というものは検討の対象にしておりませんので必ずしも明確なことは申し上げられないんですが、中間報告では、この侵害処分に対する聴聞手続については処分性の非常に強いもの、その例示として例えば許認可等の取り消しとか団体の解散命令あるいは団体の役職員の解任、こういう国民の資格や権利を剥奪する処分、あるいは建築物の除去といった著しく回復困難な処分、こういうものについては聴聞の規定を設けるべきだと。
 ここで今回の処分が、こういう指定が重い方に当たるかどうか、そこがちょっと私ども判断いたせませんが、いずれにしても結論から申しますと、こういう中間報告の方向に沿った規定である、そのように考えております。
#207
○高井和伸君 最後に、時間も参りますのでまとめの御質問をしたいと思っておりますが、実はこれはいろんな団体からいろんな意味でこの法案が成立した後の運用について非常にいろいろ心配されております。
 そういうことはまたちょっと後で申し上げますが、当面のところ、今まで御答弁がありましたように、この法律を運用する上で警察官に、いろんな面での民事上、刑事上かなり高度な行政行為が入ってくるわけですから、高度な執務能力が必要になってくるんだろうと私は今御答弁を聞いて思っております。先ほどの答弁の中でも、行政行為と犯罪捜査行為はもう峻別すると、証拠の世界では峻別するという話を聞きまして、そうじゃないとやっていけないんだろうというようなかえって安心した側面がございますが、そういったこれを運用する警察の窓口一つですらかなり明るい雰囲気で受け付けなきゃいけないし、例えば先ほどの仮の命令だって受付をどこに持ってきてどこへ持っていったらいいかわからないような状況ではとても市民の困惑を救うわけにいかないわけですから、そういった面での人的な配置、あるいは裁判所で皆さん方が令状請求すれば、二十四時間いつでも逮捕状を取れるようになっているような執務体制だとか、そういった体制面でもかなりの充実がなかったら、私はこの法律は運用できないだろうと思うんです。そういう面ではこれは物すごいでかい法律というイメージがだんだんわいてきまして、その運用する当事者が、卑近な例で申し上げますと、今刑事局長さんが御答弁になっていますけれども、これはやっぱり行政局長みたいなのが警察庁に要るんじゃないかと思ったりもするわけですよ。刑事局長さんが答弁されると、何となしに刑事事件が先に行っちゃいますものですから、かくかくしかじかの状況からいろんな面での迫力ある対応をしないことには腰砕けになってしまう。
 そしてこれは、特にこの適用を受ける相手方は、逃げようとする手段で脱法行為というか、潜脱行為は物すごく激しくなるだろう、追っかけられないだろうというイメージがあるわけです。つかみ切れないだろう。先ほどの暴力団の指定行為でも、余り細かく次々と理由を書いてやると、それに反するような事実をいっぱいつくってしまって、とてもじゃない、つかみ切れぬうちにどんどん逃げていってしまうという状況が考えられます。
 そういう意味では、この法律の目的と暴力団対策という面ではみんなこれは賛成というふうになりやすいわけですけれども、その実効性を保つことには大変なエネルギーが要るだろうということと、その危険性はその後に来るというのが私のイメージですけれども、そういった危険性も含めた上でその運用の慎重さをぜひとも、いろんなところからあらわれてきているのは、やっぱり政治活動の弾圧的な言葉で書いてある文章もありますし、暴力団じゃないところも暴力団的に取り込められてやられてしまうというような危惧がいろんな文章に入っております。そういうことのないように望みますので、まずその各論的な各物的、人的いろんな施設を充実する上で警察庁長官の御答弁、そして総括として国家公安委員長の御答弁をいただきたいと思います。
#208
○政府委員(鈴木良一君) お話しのとおり、この法律の施行には本当に精力的に全警察組織を挙げてかからないといかぬと思います。特に刑事部門は、どちらかといいますと今まで犯罪捜査をやってきた部門でございますから、それに行政的な手法を加えてやるというのは、ある意味では刑事部門はやや不得手な部門だったかもしれません。ただ、幸いに私どもの組織は交通で免許の聴聞等をずっとやっている経験もございますし、保安部門でもって各種の業法を持っていろいろそういう聴聞もやっておりますから、そういうことはノーハウは私どもの警察にはあるつもりでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、これはかなり大変な運用になるということで、体制につきましても、なかなか増員というわけにいかぬものですから中でやりくりしなきゃいけませんが、そういうことをもう人的、物的な体制をきちっと確立して、そうしてそういうふうな国民の皆様に御迷惑のかかるような形にならぬように、やっぱりこの法律があって暴力団の壊滅に向かって進めることになったという、それをお示ししなきゃいかぬというつもりでやってまいりたいと思います。
#209
○国務大臣(吹田ナ君) 先ほどもお答えいたしておりますが、これはもう善良な市民を守るという前提に立っておるわけでありますから、そういう趣旨に基づいて皆さん方も、昨日私が趣旨説明を申し上げてきょう既に審議を終了しようとしておるということは、非常に暴力団というものに対して何とかしなきゃならぬという意気込みでございますし、これからの内容を詰めていくのにさらに皆さん方の御意見をちょうだいして立派な内容にしながら、これが現実の問題として市民を守る活動にそのまま当てはまるように努力をしていかなきゃならぬと、こう思いまして、さらにこれから国家公安委員会の各位とも協議をしながら警察の当局に対して鞭撻をしていきたい、こう思います。
#210
○委員長(野田哲君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#211
○委員長(野田哲君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、渡辺君から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺四郎君。
#212
○渡辺四郎君 私は、ただいま可決されました暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の諸点に留意し、その実効に遺憾なきを期すべきである。
 一、暴力団の不法、不当な行為による国民の権利、自由への侵害はいまや放置することができない実情にあることにかんがみ、関係機関の協力を緊密にし、暴力団の壊滅のための総合的かつ有効な対策を確立することに努めるとともに、本法の的確な運用を含めて暴力団の犯罪及び不当行為の摘発・取締りを強化し、その解体と団員の更生を推進すること。
 二、本法の運用に当たっては、国民の人権を侵害し、事業者の営業の自由を損なわないよう特段の配慮を払うとともに、いやしくも職権が濫用されることのないよう十分留意すること。
 三、本法に基づく質問権、立入権等については慎重に運用すること。
 四、法の精神に基づき、公開による聴聞の原則を遵守し、例外規定の行使に当たっては慎重な検討を行うこと。
 五、本法が、事業者に対して責務と負担を求めるものでないこと及び事業者に対する公安委員会の援助等の措置は事業者の申出に基づき、任意に行われるものであることに留意すること。
 六、都道府県暴力追放運動推進センター等の設置と運営については、国民や事業者の誤解を招くことのないよう十分な配慮を払うこと。
 七、警察官の綱紀粛正に努めるとともに、警察官、警察事務職員等の待遇改善を推進すること。
 八、本法に基づく政令及び国家公安委員会規則並びにその運用については、本委員会に設置される小委員会において意見を聴くなどの措置を講ずるほか、本法の運用に当たっては、広く国民の意見を反映させるため必要な措置を講ずること。
 九、警察庁は、法案の提出に当たっては、立法府の審議権を損なうことのないよう、その時期等について改善を図ること。
  右決議する。
 以上でございます。
#213
○委員長(野田哲君) ただいま渡辺君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#214
○委員長(野田哲君) 全会一致と認めます。よって、渡辺君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、吹田国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。吹田国務大臣。
#215
○国務大臣(吹田ナ君) ただいま暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案について、慎重御審議の結果、議決をいただきましてまことにありがとうございました。
 ただいまの附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして法律を運用してまいりたい所存でございます。
 ありがとうございました。
#216
○委員長(野田哲君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#217
○委員長(野田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#218
○委員長(野田哲君) 次に、小委員会に関する件を議題といたします。
 現在設置されております風俗営業等に関する小委員会につきましては、この際、その目的に「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の運用について調査検討するため」を加え、それに伴い、名称を暴力団員不当行為防止法及び風俗営業等に関する小委員会と改めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#219
○委員長(野田哲君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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