くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第120回国会 内閣委員会 第5号
平成三年四月九日(火曜日)
   午後一時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二日
    辞任         補欠選任
     田村 秀昭君     久世 公堯君
     瀬谷 英行君     角田 義一君
 四月三日
    辞任         補欠選任
     久世 公堯君     田村 秀昭君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         井上  孝君
    理 事
                板垣  正君
                高橋 清孝君
                小川 仁一君
                吉川 春子君
    委 員
                大島 友治君
                大城 眞順君
                田村 秀昭君
                永野 茂門君
                村上 正邦君
                翫  正敏君
                角田 義一君
                深田  肇君
                三石 久江君
                山口 哲夫君
                太田 淳夫君
                吉岡 吉典君
                磯村  修君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  村岡 兼造君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  佐々木 満君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  池田 行彦君
        ─────
       会計検査院長   中村  清君
        ─────
   政府委員
       内閣参事官
       兼内閣総理大臣
       官房会計課長   荒田  建君
       内閣官房内閣内
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房内政審議室
       長        公文  宏君
       内閣官房内閣外
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房外政審議室
       長        有馬 龍夫君
       日本学術会議事
       務局長      舩津 好明君
       皇室経済主管   永岡 祿朗君
       総務庁長官官房
       審議官
       兼内閣審議官   小山 弘彦君
       総務庁長官官房
       会計課長     菊地 徳彌君
       防衛庁参事官   上原 祥雄君
       防衛庁長官官房
       長        日吉  章君
       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
       防衛庁教育訓練
       局長       小池 清彦君
       防衛庁人事局長  坪井 龍文君
       防衛庁経理局長  村田 直昭君
       防衛庁装備局長  関   收君
       防衛施設庁総務
       部長       箭内慶次郎君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
       外務大臣官房審
       議官       川島  裕君
       運輸大臣官房長  松尾 道彦君
   事務局側
       事 務 総 長  佐伯 英明君
       常任委員会専門
       員        原   度君
   衆議院事務局側
       事 務 次 長  谷  福丸君
   裁判官弾劾裁判所事務局側
       事 務 局 長  生天目忠夫君
   裁判官訴追委員会事務局側
       事 務 局 長  澁川  滿君
   国立国会図書館側
       館     長  加藤木理勝君
   説明員
       国立公文書館次
       長        溝口 喜久君
       北海道開発庁計
       画官       牧野 光博君
       外務省中近東ア
       フリカ局外務参
       事官       野上 義二君
       外務省国際連合
       局外務参事官   小西 正樹君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成三年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成三年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成三年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管(総理本府、日本学術会議、宮内庁、総務庁(北方対策本部を除く)、防衛本庁、防衛施設庁))
○運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(井上孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 去る三月二十九日、予算委員会から、四月九日午後の半日間、平成三年度総予算中、皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、日本学術会議、宮内庁、北方対策本部を除く総務庁、防衛本庁、防衛施設庁について審査の委嘱がありましたので、御報告いたします。
 この際、本件を議題とし、順次予算の説明を聴取いたします。
 予算の説明につきましては、国会所管、会計検査院所管及び総理府所管のうち防衛本庁、防衛施設庁以外は去る二月二十五日の本委員会におきまして既に聴取しておりますので、この際、国会所管、会計検査院所管及び防衛庁関係の予算の説明を聴取いたします。
 まず、国会所管のうち衆議院関係予算の説明を求めます。谷衆議院事務次長。
#3
○衆議院参事(谷福丸君) 平成三年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成三年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は五百三十億一千百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと八億四千三百万円余の増加となっております。
 次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして五百十三億八千二百万円余を計上いたしております。
 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費
並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し四億八千五百万円余の増加となっておりますが、その主なものは、永年在職表彰議員特別交通費の増額、議員歳費並びに議員秘書及び職員の人件費等の増加によるものであります。
 第二は、衆議院の施設整備に必要な経費といたしまして、十六億二千百万円余を計上いたしております。これは、第二議員会館の昇降機改修、国会審議テレビ中継関係経費、第一議員会館議員室内装改修費及びその他庁舎の諸整備に要する経費でございます。
 また、国会周辺等整備に必要な土地購入費は、引き続き一億円計上することといたしております。
 第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。
 以上簡単でありますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#4
○委員長(井上孝君) 次に、参議院関係予算の説明を求めます。佐伯参議院事務総長。
#5
○事務総長(佐伯英明君) 平成三年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成三年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は三百六億四千七百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと約四億三千百万円の増加となっております。
 次に、その概略を御説明申し上げます。
 第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、二百九十六億三千七百万円余を計上いたしております。
 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し約三億九千七百万円の増加となっております。これは主として、人件費の増加によるもののほか、永年在職表彰議員特別交通費の増額等によるものでございます。
 第二は、参議院の施設整備に必要な経費でありまして、十億四百万円余を計上いたしております。これは、議員会館昇降機改修費、本館等テレビ中継放送設備整備費、本館その他庁舎等の整備に要する経費でございます。
 第三は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。
 以上簡単でありますが、参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#6
○委員長(井上孝君) 次に、国立国会図書館関係予算の説明を求めます。加藤木国立国会図書館長。
#7
○国立国会図書館長(加藤木理勝君) 平成三年度国立国会図書館歳出予算について御説明申し上げます。
 平成三年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は百三十八億四千百万円余でありまして、これを前年度予算額百三十三億五千八百万円余と比較いたしますと四億八千三百万円余の増額となっております。
 要求額の主なものについて、その概略を御説明申し上げます。
 第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は百十六億三千四百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと四億九千七百万円余の増額となっております。これは主として、資料保存対策関連経費、図書館業務の機械化に必要な経費、立法調査業務に必要な経費、関西図書館プロジェクトの調査を実施するために必要な経費及び職員の人件費等について増額計上いたしたことによるものでございます。
 第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、五億三千二百万円余を計上いたしております。
 第三は、施設整備に必要な経費でありまして、十六億七千四百万円余を計上いたしております。これは、主に新館整備及び本館改修に要する経費で、前年度予算額と比較いたしますと二千三百万円余の減額となっております。
 なお、新館整備に関しまして、平成三年度を初年度とする二カ年の国庫債務負担行為十億七百万円余、本館改修に関しまして、平成三年度を初年度とする二カ年の国庫債務負担行為六億五千百万円余を要求いたしております。
 以上、国立国会図書館歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#8
○委員長(井上孝君) 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を求めます。生天目裁判官弾劾裁判所事務局長。
#9
○裁判官弾劾裁判所参事(生天目忠夫君) 平成三年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成三年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は一億二百九十二万二千円でありまして、これを前年度予算額九千五百四万七千円に比較いたしますと、七百八十七万五千円の増加となっております。
 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、裁判員の旅費及び事務局職員の給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費、庁費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは、主として職員給与関係経費等の増加によるものであります。
 以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#10
○委員長(井上孝君) 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を求めます。澁川裁判官訴追委員会事務局長。
#11
○裁判官訴追委員会参事(澁川滿君) 平成三年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成三年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は一億一千九百七十三万四千円でありまして、これを前年度予算額一億九百八十五万二千円に比較いたしますと、九百八十八万二千円の増加となっております。
 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは、職員給与関係費等の増加によるものであります。
 以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
#12
○委員長(井上孝君) 以上をもちまして国会所管の予算の説明聴取は終わりました。
 御退席いただいて結構であります。
 次に、会計検査院所管の予算の説明を求めます。中村会計検査院長。
#13
○会計検査院長(中村清君) 平成三年度会計検査院所管の歳出予算について御説明いたします。
 会計検査院の平成三年度予定経費要求額は百二十六億八千八百十万八千円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。
 今、要求額の主なものについて申し上げますと、人件費として百十億二百九十二万九千円を計上いたしましたが、これは総額の八七%に当たっております。これらのうちには、会計検査の充実を図るため、一般職員十一人を増置する経費も含まれております。
 旅費として七億四千六百四十六万六千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が七億一千九十三万七千円、外国旅費が二千二百八十二万六千円であります。
 施設整備費として二億三千三百十九万三千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、庁舎別館受変電設備改修工事費一億六千三百八十六万円、王子書庫改修工事費四千八百三十四万二千円であります。
 その他の経費として七億五百五十二万円を計上
いたしましたが、これらのうちには、検査の円滑な実施を図るための会計検査活動費九千三百七十万七千円、検査業務の効率化を図るための経費一億九千三百七十五万五千円、並びに会計検査の充実強化のための経費八千七百五十二万円及び検査手法開発のための経費二千百五十万三千円が含まれております。
 次に、ただいま申し上げました平成三年度予定経費要求額百二十六億八千八百十万八千円を前年度予算額百二十一億五千九百八十二万五千円に比較いたしますと、五億二千八百二十八万三千円の増加となっておりますが、これは人件費において四億一千四十九万六千円増加したことなどによるものであります。
 以上、簡単でありますが、本院の平成三年度予定経費要求額の概要の御説明を終わります。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
#14
○委員長(井上孝君) 次に、防衛庁関係予算の説明を求めます。池田防衛庁長官。
#15
○国務大臣(池田行彦君) 平成三年度防衛予算につきまして御説明させていただきます。
 平成三年度の防衛予算は、本委員会において先般御報告申し上げた新中期防衛力整備計画の初年度として、厳しい財政事情の中ではありますが、国の他の諸施策との調和を図りつつ、正面と後方において均衡のとれた質の高い防衛力を整備するために必要最小限の経費を計上したものであります。その具体的内容としては、正面装備の質的充実のみならず、各種後方施策の推進、さらには、基地対策の充実に配意したところであります。特に、隊舎、宿舎等の生活関連施設の整備を初めとする隊員施策の推進には重点を置いております。
 なお、平成三年度防衛予算につきましては、御承知のように今般の国会での御議論等を踏まえ、国庫債務負担行為を含め、約一千億円の削減が行われましたが、この措置は、防衛庁・自衛隊にとってまことに厳しいものであることを御理解願いたいと存じます。
 平成三年度防衛予算の概要につきましては、村田経理局長から説明をいたさせます。
#16
○委員長(井上孝君) 村田経理局長。
#17
○政府委員(村田直昭君) 平成三年度防衛予算について、その概要を御説明いたします。
 まず、防衛本庁について申し上げます。
 平成三年度の防衛本庁の歳出予算額は三兆九千二百八十四億八千六百万円で、前年度の当初予算額に比べますと二千六十六億九千九百万円の増加となっております。
 次に、新規継続費は平成三年度甲W型警備艦建造費等で二千二百二十二億七千五百万円、国庫債務負担行為は武器購入、航空機購入、艦船建造、装備品等整備等で一兆三千六百六十三億二千万円となっております。
 次に、防衛本庁の予算の内容について申し上げます。
 平成三年度予算は、厳しい財政事情のもと、国の他の諸施策との調和を図りつつ、「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準の維持に配意して閣議決定された「中期防衛力整備計画(平成三年度―平成七年度)」の初年度としてふさわしい、正面及び後方において均衡のとれた質の高い防衛力の整備に努めることとし、正面装備の質的充実に加え、指揮通信・情報機能の充実、隊員施策の推進等後方部門を重視し、所要の経費を計上したものであります。
 特に重点を置いた事項について申し上げると次のとおりであります。
 第一に、陸上装備、航空機、艦船等の主要装備については、質的充実を中心としてその整備を進めることとし、九〇式戦車、対潜哨戒機P3C、要撃戦闘機F15の調達を行うほか、イージスシステム塔載護衛艦(七千二百トン型)等の建造に着手することとしております。
 第二に、防衛力を効果的に発揮させるため、弾薬の備蓄、魚雷・機雷の管理運用態勢の改善を初めとする継戦能力・即応態勢の充実に努めるとともに、基地防空火器の整備等抗堪性の確保のための諸施策を引き続き進めることとしております。
 第三に、指揮通信・情報機能の充実を図るため、引き続き防衛統合ディジタル通信網、超長波送信所、衛星通信機能及び固定式三次元レーダー装置の整備等を図ることとしております。
 第四に、教育訓練用装備の充実等練度の向上等を図るため、油購入費、修理費、教育訓練経費等について所要の経費を計上し、教育訓練の推進に努めることとしております。
 第五に、隊員施策については、隊舎、宿舎、体育館等の生活関連施設の充実を図るとともに、諸手当の改善、被服の充実、生活勤務環境の改善等きめ細かい配慮を行い、隊員の処遇改善に努めることとしております。
 第六に、将来装備の動向等を勘案し、装備品の研究開発を推進するため、引き続き次期支援戦闘機等の研究開発を実施するとともに、新たに遠隔操縦観測システム、投棄型電波妨害機等の研究開発に着手することとしております。
 以下、機関別の主な内容について申し上げます。
 陸上自衛隊の歳出予算額は一兆五千六百三十一億五千四百万円、国庫債務負担行為は三千六百三億二千四百万円となっております。
 陸上装備については、九〇式戦車二十六両、八九式装甲戦闘車九両、七三式装甲車九両、百五十五ミリりゅう弾砲FH70三十三門、八七式自走高射機関砲六両等の調達を予定しております。
 誘導弾については、〇・五個高射特科群の改良ホークの改善を予定するとともに、八八式地対艦誘導弾八基、携帯式地対空誘導弾(新携帯SAM)十三セット等の調達を予定しております。
 航空機については、対戦車ヘリコプター六機、観測ヘリコプター九機、多用途ヘリコプター十二機、輸送ヘリコプター三機、練習ヘリコプター五機、合わせて三十五機の調達を予定しております。
 海上自衛隊の歳出予算額は一兆八百五十三億八千三百万円、新規継続費は二千二百二十二億七千五百万円、国庫債務負担行為は三千二百八十七億五千九百万円となっております。
 艦艇については、護衛艦七千二百トン型一隻、護衛艦四千四百トン型一隻、潜水艦二千四百トン型一隻、掃海艇四百九十トン型一隻、合わせて四隻の建造に着手することとしております。
 航空機については、対潜哨戒機二機、救難飛行艇一機、試験評価機一機、初級操縦練習機九機、対潜ヘリコプター五機、掃海ヘリコプター一機、救難ヘリコプター三機、合わせて二十二機の調達を予定しております。
 航空自衛隊の歳出予算額は一兆一千百八十二億一千八百万円、国庫債務負担行為は五千五百七十九億二千万円となっております。
 航空機については、要撃戦闘機八機、中等練習機二十一機、飛行点検機一機、輸送ヘリコプター一機、救難ヘリコプター四機、合わせて三十五機の調達を予定しております。
 なお、F4EJについて、延命に伴う相対的な能力不足を改善するため、引き続き改修を行うこととし、また一部について偵察機転用のための改修を行うこととしております。
 地対空誘導弾については、ペトリオット一個高射群分、八一式短距離地対空誘導弾二セットの調達を予定しております。
 内部部局、統合幕僚会議、施設等機関等の歳出予算額は一千六百十七億三千万円、国庫債務負担行為は一千百九十三億一千六百万円となっております。
 これは各種装備品等の研究開発費、その他各機関の維持運営に必要な経費であります。
 以上のうち、昭和五十一年十一月五日に閣議決定された「防衛力の整備内容のうち主要な事項の取扱いについて」に基づき、安全保障会議に諮り決定されたものは、九〇式戦車等主要陸上装備の調達、地対空誘導弾ホークの改善、八八式地対艦誘導弾、地対空誘導弾ペトリオット及び八一式短距離地対空誘導弾の調達、対戦車ヘリコプター、輸送ヘリコプター、対潜哨戒機、対潜ヘリコプター、要撃戦闘機等航空機九十機の調達等、護衛艦七千二百トン型等艦艇四隻の建造の着手であり
ます。
 なお、自衛官の定数及び予備自衛官の員数の増加については、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案が継続審査となっており、別途、御審議をお願い申し上げております。
 続いて、防衛施設庁について申し上げます。
 平成三年度の防衛施設庁の歳出予算額は四千五百七十三億四千四百万円で、前年度の当初予算額に比べますと百九十九億八千万円の増加となっております。
 また、国庫債務負担行為は提供施設整備及び提供施設移設整備で九百七十九億七千二百万円となっております。
 次に、防衛施設庁の予算の内容について申し上げます。
 平成三年度予算において、特に重点を置いた事項は次のとおりであります。
 第一に、基地周辺対策事業については、住宅防音工事の助成に重点を置き、基地周辺地域の生活環境の整備等を図ることとしております。
 第二に、在日米軍駐留経費負担については、日米安全保障体制の効果的な運用に資するため、従来の提供施設の整備及び労務費の一部負担等のほか、新たに在日米軍従業員の基本給等及び光熱水料等の一部負担を加え、その充実を図ることとしております。
 以下、各項別の主な内容について申し上げます。
 施設運営等関連諸費は、三千四百六十四億五千六百万円となっております。このうち、基地周辺対策事業については、基地問題の実態に有効に対処し得るように、個人住宅の防音工事費六百九十八億九千七百万円を含め、一千六百二十一億五千三百万円を計上しております。
 このほか、日米安全保障体制の効果的な運用に資するため、提供施設の整備として歳出予算に九百五十七億二千八百万円、国庫債務負担行為で九百七十六億一千五百万円をそれぞれ計上し、さらに、新たな措置として光熱水料等を負担するために要する経費二十七億四百万円を計上しております。
 調達労務管理費については、在日米軍の効果的な活動を確保するため、従来の在日米軍駐留経費負担に加え新たな措置として在日米軍従業員の基本給等を負担するために要する経費七十五億三千三百万円を含め、基地従業員対策等に要する経費として八百十六億三千三百万円を計上しております。
 提供施設移設整備費については、提供施設の整理統合の計画的処理を図るため、歳出予算に五億六千百万円、国庫債務負担行為で三億五千七百万円をそれぞれ計上しております。
 その他、相互防衛援助協定交付金一億四千五百万円、一般行政事務に必要な防衛施設庁費二百八十五億五千万円を計上しております。
 以上申し述べました防衛本庁及び防衛施設庁予算に安全保障会議予算を加えた平成三年度防衛関係費は、四兆三千八百六十億三千五百万円となり、前年度の当初予算額に比べますと二千二百六十六億九千四百万円、五・四五%の増加となっております。
 以上をもちまして、防衛本庁及び防衛施設庁の予算の概要説明を終わります。
#18
○委員長(井上孝君) 以上で予算の説明聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#19
○山口哲夫君 海部総理が四月の五日にブッシュ大統領との会談で日米コミュニケーション改善構想というのを提案したというふうに報道されておりますけれども、事実でしょうか。
#20
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。
 先般の首脳会談でございますけれども、いろんなことが話に出たのでございますけれども、その中で日米双方の相手国に対する認識といった問題について意見交換が行われた次第でございます。
 具体的に申しますと、ブッシュ大統領から米国が日本の重要性を認識しているという状況には基本的に変わりないとしつつ、一部にある日本批判についての懸念の表明があったということでございまして、これに対しまして海部総理からは日米関係の重要性について日本国民の認識は高まっていると考えているが、米国内の一部にある日本批判の動きについては日本の中には残念に思う気持ちがある、こういうふうに答えられたわけでございます。この関連で、総理から日米関係強化のためにさまざまなレベルにおけるコミュニケーションの改善というものが必要であろうということを指摘された、それが今御質問のありましたコミュニケーション改善構想が出た脈絡でございます。
#21
○山口哲夫君 事実関係だけで結構ですから、中身の説明は要りません。
 この構想の中で、国際理解教育の推進、こういうものが具体的に提起されておるというふうに聞いておりますけれども、その中の重要なテーマに、少数民族問題を挙げているというように報道されておりますけれども、それも事実でございましょうか。
#22
○政府委員(川島裕君) お答え申し上げます。
 コミュニケーション改善構想自体は、実はその前の総理の訪米、昨年のアトランタで行いました演説の中で打ち上げたものでございます。それで、この構想自体、多分にアメリカにおいて見られます日本異質論とかそういうものも念頭においた演説だったわけでございますけれども、具体的にそれをどうフォローアップしていくかということにつきましては、まだ具体的な作業は動いていない状況でございます。
#23
○山口哲夫君 報道によりますと、国際理解教育の充実を重視し云々、これは日本の政治家のたび重なる人種差別発言も日本人の少数民族問題への認識の甘さから出たものとして、この問題を国際理解教育の重要なテーマにすべきだと提言をしている、こういうように書かれておりまして、私は大変結構な提起だと思っているわけです。ただ問題は、もしそういう問題を提起してこれから具体的に論議をするのであれば、まず日本政府は少数民族に対する認識というものをもっとやっぱり国際的に通用するものにしていかなければいけないだろう、そう思います。
 そこで、官房長官にお伺いいたしますけれども、いまだにアイヌ民族は少数民族であるということを言明していないわけです。これでは、今申し上げたような国際理解教育の推進という中で、少数民族問題を非常に重視してこれから話し合いもしていくんでしょうけれども、そういう問題を提起すること自体、非常に私はおこがましいとさえ言わなければならないと思うわけでして、まずやはりこの際アイヌ民族は少数民族であるということをはっきりと明言することから始まるべきだろうと思いますけれども、そのことは明言できるでしょうか。
#24
○政府委員(公文宏君) お尋ねの少数民族の問題でございますけれども、そもそも少数民族の概念というのは一義的に今確定しておるわけではございませんという点が一つ問題でございまして、そういう意味では難しい問題でございますけれども、仮に民族というものを、独自の言語、習俗、慣習その他の文化的伝統を有しているということが一つ、それから同一の集団に帰属しているという意識を持っているということが一つ、その二つの要件を持っていることを仮に民族だというふうに考えれば、政府としては、アイヌの人たちを民族と考えているということは言えると思います。
 それからもう一つ、国際人権規約のB規約というのがございまして、その二十七条で言われている「少数民族」には該当するということを政府としては言っておるわけでございます。
#25
○山口哲夫君 初めて政府の方からアイヌが少数民族だというお答えを私は聞いたわけでございまして、大変結構なお答えだと思うわけです。
 それで、今度は先住民の問題にちょっと移ってみたいと思うんですけれども、国連は、一九九三年を世界先住民のための国際年とすると決めたと。これは御存じだと思うんですけれども、ここで言う「先住民」、先住民族でも同じでしょうけれども、どういう民族のことを言うのか、その定義
についてお答えをいただきたいと思います。
#26
○説明員(小西正樹君) 国連におきましては、これまで先住民についての定義が行われておりません。先生が御指摘になられました一九九三年を世界先住民のための国際年と定めました第四十五回国連総会決議も定義については触れておりません。
#27
○山口哲夫君 まだ国連の中で先住民とはこういうものであるということは明らかにしていないことは知っていますけれども、それでは政府の方として先住民というのはどういうふうにお考えですか。
#28
○説明員(小西正樹君) 現時点におきましては、国連においてまだ定義が確立しておりませんので、今後そういうものについての議論を踏まえながら政府としての考え方も検討していきたいというふうに考えております。
#29
○山口哲夫君 それでは、アイヌ民族の問題、今政府の方として検討委員会までつくってやっているので、入り口の最初の問題だと思うんです。それを政府の方として明らかにしないでアイヌ問題を論議しようといっても無理なので、それじゃお聞きしますけれども、世界的に代表的な定義というのがあるんです。これはおたくの方も知っていらっしゃると思うんですけれども、世界先住民族会議が出したものです。
 これは、先住民とは次の民族を言う。すなわちAとして、ある地域に植民地国家が形成される、または既存の国家が統治権を及ぼす以前から居住しており、かつ、Bとして、当該地域にその後も民族として継続的に居住しており、云々と書いておる。これからいきますと、既存の国家、日本ですね、日本政府が統治権を及ぼす以前からアイヌというものは北海道とか千島に居住しておったわけです。ですから、この世界的な代表的な定義からいけば、当然アイヌというものも先住民であるというように解釈できると思うんですけれども、どうでしょうか。
#30
○説明員(小西正樹君) 先生が御指摘になりました世界先住民の会議については、詳細を私承知しておりませんので、どういうコンテクストで、どういう文脈でそういう定義が行われたかということについて検討した上でないと、今先生の御指摘の点についてはお答えできないと思います。
#31
○山口哲夫君 ちょっとそれは不親切でないですか。私はきのう、先住民の定義について聞きたい、こういうふうに通告しているんですよ。
 だから、こういう問題は、さっき言ったようにアイヌ検討委員会の入り口の問題でしょう。それじゃ公文さんどうですか、あなたの方でやっているんですから、お答えください。
#32
○政府委員(公文宏君) 先住民族というものの定義については、私どもとしては内外において明確な定義があるというふうには承知しておりません。ですから、これから先住民族という概念について検討していかなければいけないということだと思いますけれども、ただアイヌの人たちが北海道にいわゆる和人より先に古くから住んでいたということは文献等から通説になっておりまして、その点は承知しておるということは言えると思います。
#33
○山口哲夫君 ということは、先住民であったということを認めていることになると思うんです。
 それで、余り回りくどく言わなくたって、教科書であなたの方ちゃんと書いているんですよ。これは文部省が全部見ていらっしゃるわけでしょう、この教科書というのは。
 昭和でいいますと六十五年から六十七年度の中学校の社会科の歴史教科書、これにアイヌのことについてこう書いている。これは学校図書の出版ですけれども、明治初期の北海道の開拓について、「明治以前の北海道では、本州に近い、南部の渡島半島に松前藩があり、函館が港町としてにぎわっていたほかは、広大な自然のままの山野がひろがり、そこがアイヌの人々の生活の地となっていた。開拓がすすむにつれ、北海道全域にいた先住民のアイヌの人々の生活舞台は、しだいにせばめられていった。」、こう書いてあります。いろんな教科書に出ているんです。中教出版で出しているこれも同じ年度ですけれども、これの中にも北海道の開発として「アイヌの人々」というところに、「政府は、先住民であるアイヌの人々を平民に組み入れ、本州などから移住してきた人々と同化させる政策をとったが、アイヌの人々に対する差別は改められなかった。」。
 「先住民」という言葉が教科書の中にたくさん使っているので、だから今さら先住民はどうのこうのなんていうことではないんで、今、公文さんがおっしゃったように、少なくとも北海道、千島には和人より先にアイヌの人々が住んでいたということだけはお認めになりましたので、それでは先に進みますけれども、アイヌの人たちが先に住んでいた、先住民であったということからいけば、先住民に対する権利、先住民族に対する権利、先住権とも呼んでますけれども、これはどういうふうに定義づけなさいますでしょうか。
#34
○政府委員(公文宏君) 先住権の問題は、政府の中でどの役所が定義をすればいいかという問題はございますけれども、私ども新法問題を検討している立場から申しますと、先住権という概念につきましては、御承知のように、現行法制上は特に明確に出てきている部分はございません。また、内外においてそういう意味で明確な定義があるということでもございませんので、そういう意味で、今後の検討課題である、今後詰めていかなければいけない問題であるというふうに考えております。
#35
○山口哲夫君 これから申し上げることが先住権の一般的な定義というふうに言われているんですね。それは、先住民族には次のような先住権がある。一つは先住民族が居住しないしは居住していた土地に対する権利、二つ目がその土地にある資源に対する権利、三つ目が先住民の伝統文化を維持し発展させる権利、四つ目には政治的自決権を包含する内容の権利、こういうものが大体先住民に与えられている権利、先住権である、こういうふうに一般的に言われているわけですけれども、これら一般的に認められている内容についてはお認めになるでしょうか。
#36
○政府委員(公文宏君) 今、先生がおっしゃられたその先住権の考え方は、私ども勉強いたしますと、北海道ウタリ問題懇話会で、その報告の中にそういうふうに触れられているということは承知しております。ただ、そのウタリ問題懇話会でも、先住権の概念はいまだ法的に明確に確立されておらず、またその内容についても検討すべきことが残されているというコメントがございまして、よくこれから詰めていかなければいけない問題だというふうに私どもは考えております。
#37
○山口哲夫君 それなら具体的な問題について申し上げますので、それが事実かどうかお認めいただきたいと思うんですけれども、一八七二年、明治五年、地所規制というのがあります。これは第七条で、従来アイヌが漁業や狩猟、それから伐木していたそういう土地を区分して持ち主を決めた、和人に対してですね、和人に対してのみ持ち主を決めた。これは有償で与えた所有権的なものであるというふうに言われているんですけれども、この場合、アイヌは全然持ち主の中に入れていないわけでして、単に利用権だけしか認めていない。これは明らかに和人とアイヌとの差別をあらわしている事実だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#38
○説明員(牧野光博君) 戦前の歴史、いわゆるアイヌに関する歴史に関しましては、今、公文室長お話しになりましたように、検討委員会において北海道庁からいろいろお話を伺って、鋭意勉強しているところでございまして、今先生御指摘のお話については、これからお話を伺う部分として、まだ聞いていない部分でございます。
#39
○山口哲夫君 これは歴史的な問題ですよ。これもきのうきちっと通告してます。先住権については歴史的な諸問題があったので、そういう問題について事実確認をしたいので、と通告しましたら、それは外務省ではちょっと難しい問題だし、内閣の方でも無理だから、北海道開発庁が事実問題を
ずっとやっているんで、北海道開発庁に答弁をさせたいと思うからと言われたんで、北海道開発庁の方にわざわざ答弁に出てきてもらっているんです。ちゃんと通告してあります。こんな歴史的な事実さえ認めないんですか。どうですか。
 それじゃ、もう一つ聞きましょうか。一八七七年、明治十年、北海道地券発行条例の第十五条、これはもう有名な条例ですから知らないとは言わないと思うんですが、第十五条で、山林原野などは官有地としたわけです。アイヌが先住していたということは公文さんさきに認めていらっしゃったんで、その先住していた人たちを無視して、その山林原野等は官有地として、第十六条で、アイヌの居住していた区域も官有地第三種、これは宅地、田畑、公園、墓地、開墾予定地等として保留される土地のことを言うんですが、第三種に編入されたというんです。アイヌの人たちが先住していたのに、それを全然無視して官有地として全部没収しちゃったわけです。これは差別じゃないですか。
#40
○説明員(牧野光博君) 北海道における開拓の歴史の中でさまざまなことがあったことにつきましては、今お話ありましたとおりいろいろ聞いておりまして、そういった歴史の中の事実の一つとして今先生御指摘のような事例があったということにつきましては、道庁からの説明として聞いているところでございます。
#41
○山口哲夫君 聞いているんでなくして、あなた方はどうお考えですか。こういう歴史的な事実まで認めないんですか、こんなもの教科書にあるでしょう。何もそんなこと隠す問題でも何でもないですよ。
 それでは、例えば私が住んでいた土地に第三者が乗り込んできて、私の土地に勝手にうちを建ててしまった。これは私に対する侵害でしょう、どうですか、今の事実どうですか。
#42
○説明員(牧野光博君) 先生御指摘のようないろいろな法律等がありまして、内地から移住してきた方々に対して土地が払い下げられてきたということについては承知してございます。
#43
○山口哲夫君 いや、そういうことではなくして、私の土地に関係のない第三者が入り込んできてうちを建ててしまったら、私に対する侵害でしょう。それはそうでしょう、お答えください。
#44
○説明員(牧野光博君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
#45
○山口哲夫君 それと同じことなんですよ。アイヌの人たちが先住していたところに日本人が入っていって、政府が乗り込んでいって、そして今言ったように勝手に条例をつくってその土地を取り上げてしまった。これは侵害であり、アイヌに対する差別でしょう、和人との間に。どうですか。
#46
○説明員(牧野光博君) 北海道開拓の歴史の中におきまして、ただいま御指摘のような史実が、そういったことがあったということについては、そのとおりだと思います。
#47
○山口哲夫君 早くそうやって認めればいいじゃないですか。
 それでは、もう一つ聞きます。一八八六年、明治十九年、北海道土払下規則というのがあるんですが、これは官有の未開地を一人当たり十万坪和人に払い下げをした、無償で貸し下げしたわけです。ところが、アイヌにはそれから十六年くらい後になって初めて一万五千坪だけを与えたんです。これは和人とアイヌとの間に差別があったというふうに見てよろしいですね。
#48
○説明員(牧野光博君) いろいろな規則等によって必ずしも扱いが同じでなかったということは、そのとおりかと思います。
#49
○山口哲夫君 扱いが違っていたということは、差別であるというふうに解釈していいですね。公文さんどうですか。
#50
○政府委員(公文宏君) ちょっと具体的な事実について私としては勉強しておりませんので、大変恐縮でございますけれども、お答えを差し控えさせていただきます。
#51
○山口哲夫君 それでは、もう少し例を挙げましょうか。
 一八九七年、明治三十年、北海道国有未開地処分法というのがある。開墾、牧畜、植林等の用地一戸当たり百五十万坪から二百五十万坪を和人に無償で貸し付けた。成功後は無償付与するというんですけれども、これはアイヌは対象外になっているんです。ただ、四十一年になりますと、それから十一年たつと法改正で一部はアイヌにも下付したんですけれども、しかしその下付を受けたアイヌは極めて限られた者であった。これだけ膨大な用地を一方的に和人だけに払い下げしているんです。アイヌには払い下げしていない。十一年たってからほんのわずかだけ下付したけれども、限られた者だけだった。これも差別でしょう。これは歴史的な事実で、アイヌ問題を勉強するとすれば有名な法律だけを私は抜粋して申し上げておるんで、アイヌ検討委員会がこの入り口論から入らないはずはないというふうに常識で考えられます。
 こういう事実があったということ、差別があったということを、官房長官、窓口は公文さんのところですから当然お認めになるはずなんですが、どうですか。
#52
○政府委員(公文宏君) 今、山口委員の方からるる御指摘のあります点につきましては、当アイヌ新法の検討委員会の方では北海道庁の方から事実、それからそれに対する考え方についてヒアリングをしておるところでありまして、まだ道庁との間で結論を得るに至っていないというのが実情でございますので、今後よく勉強していきたいというふうに思います。
#53
○山口哲夫君 一年半もかけて勉強しているんです、そんな入り口論を勉強しないで素通りですか、そんなこと理由にならぬですよ。しかも、少数民族の問題というのは今非常に重要な問題でしょう。冒頭に申し上げたように、総理みずから国際的な立場でもって論議しましょうと、少数民族の問題をあえて取り上げているんです。そんな中で、少数民族が何であるか、アイヌが先住民であったかどうなのか、どんな差別をされていたか、そんな事実関係さえ勉強していないなんていうことになりますか、ちょっとそれは不親切だというものではないんですか。それとも、意識的にそういう答弁をされているとしか私は考えられませんけれども、どうなんですか、そういう点。
#54
○政府委員(公文宏君) 新法問題の検討委員会は一昨年の十二月でございましたか、山口委員を初めとする当委員会での御要請も受けまして、政府部内につくられたものでございまして、それ以来一月に一度ぐらいのペースで議論を進めてきております。
 そこで、今御指摘のありましたようなことにつきましては、北海道庁の方から御説明があったことは事実でありますけれども、それを踏まえてどういわば評価していくか、あるいはその事実についてもう少し詳しく事実を確かめたいというような作業を今やっておるというふうに御理解いただきたいと思います。そういう意味で今、道庁と意見のいわば交換をしておるという状況にあるわけでございます。
#55
○山口哲夫君 そういうことは私としては詭弁としか受け取れません。そんな不親切なことないでしょう。外務省も少しこういう問題について、国際的にそういう問題をあえて日本側から提起するくらいなんですから、先住民に対する権利とかそういう問題についても真剣に検討してほしいし、特にアイヌの人たちがどれだけ和人から、日本政府から侵略されていたのか、不当な差別をされていたのか、こういう事実関係を外務省も少し私は勉強してほしいと思うんです。
 官房長官にお聞きしますけれども、今言ったように、差別をされたり不利益を与えられたことは事実なんです。そういう問題に対しては、当然これは政府として何らかの形で補償するのが当たり前のことだと思うんです。どうですか。
#56
○国務大臣(坂本三十次君) 過去の不当な支配を受けたり、あるいは差別を受けたりというような歴史の存在というものは、それは研究しなければならぬでしょう。そういう問題も今よく北海道の方と話をしておる、こういうわけであります。
 しかし、何らかの償いをしろ、こういうわけで
ありますが、それはやはり過去の歴史を振り返ってみて、そしてそういう不利益な扱いを受けたいわゆる少数民族であろう、そういう方々に対しては特別ないろいろなやっぱり配慮というものはあってしかるべきであろうと。これはもう格差とかそういう差別なんということは一般の中にあってもいけないことなんですから。しかし、それが過去の歴史の中にあった。それは過去のことだからというわけにもいかぬでしょうが、それを先住権と見て、特別の権利と見て、そして今の人々の中において優越する権利として認めるかどうかというような法律論とか、それは私は今申し上げません。
 だけれども、常識的に見て、もう今では完全に同じ日本人なんですから、それが過去の歴史においてそういう不幸な事実があったということについてはそれはやっぱりよく考えて、そしてこれからの行政については温かい配慮をするということはそれは普通の考えじゃないかなと、私は常識を申し上げておるわけです。
#57
○山口哲夫君 官房長官のおっしゃるとおりだと思うんです。だから、先住権というものはちょっと今は別に置いて、官房長官のお答えですよ、別に置いて、もしそういう差別や不利益を与えたというんであれば一般的に何らかの配慮はしなければならないだろうなということですね。それはそうだと思うんです。私としてはちょっと違いますけれどもね。先住権というのは当然認めるべきであるという考えに立つけれども、それはちょっと横に置いといて。
 それで、今官房長官がおっしゃったようなことからいきますと、実はアメリカでもそういうことをちゃんとやっているんです。一九八五年というとまだ六年前の話ですけれども、ミシガン州のサギノー・チッピワ族というんです、サギノー・チッピワ族補償金配分法というのがありまして、一九七七年から七九年にかけて請求権委員会及び請求権裁判所が連邦政府の一八〇五年、七年、一七年の条約による同部族、というのはチッピワ族からの土地取得に対する補償金として支払いを命じた二千百三十九万ドルのうち、個人への配分を除く約五百万ドルを原資として投資基金を設立した。その運用は部族評議会に任せる。要するに、条約で先住民族の土地を取り上げた中でさえやっぱり補償というものは考えるべきだろうということで、投資基金をちゃんと設立をしてやっているわけですね。
 それからもう一つ、同じアメリカですけれども、これは十一年前ですけれども、一九八〇年、アメリカ・メーン・インディアン請求権解決法という、これはこういう問題では一番有名な法律なんだそうですけれども、これはメーン州がインディアンから取得した土地、メーン州の六〇%なんだそうですけれども、これについてペノブスコット族というんですが、この人たちの土地の返還及び損害賠償を求めたのに対して、連邦議会が各部族の先住権を消滅させるかわり、というのは先住権がやっぱりあるということを認めているわけですね、しかし、その先住権というものを消滅させるかわりに二千七百万ドルの解決基金及び五千四百五十万ドルの請求地取得基金を設立した。それで、運用益については部族が自由に使用できるようにしたという、アメリカではちゃんとこういうふうなことをやっているわけなんです。
 日本でも土地の侵略というか、日本政府がとにかくアイヌが先住していた土地を取り上げたわけですから、それに対する補償として当然北海道のウタリ問題懇話会が出しているアイヌ民族自立化基金、こういうものはやっぱり政府としても考えるべきだと思うんですが、官房長官、いかがでしょうか。
#58
○政府委員(公文宏君) 今御指摘のありましたアイヌ民族自立化基金の構想につきましては、先生おっしゃられましたように、北海道知事からの新法の制定についての要望の中でも触れられておりまして、「アイヌの自立的な活動を促進するために「アイヌ民族自立化基金」を設置すること。なお、その基金の運営にはアイヌの自主性が最大限に確保されると共に、国の適切な監督が及ぼされるものとする。」という要望を受けております。したがいまして、私どもとしてはその検討委員会の中でこの新法問題の一環として今後検討していきたいというふうに思っております。
#59
○山口哲夫君 官房長官、そういうことを頭に置いて、補償ということを頭に置いて十分検討を命じていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#60
○国務大臣(坂本三十次君) 十分検討させます。
#61
○山口哲夫君 それで、実は北方四島、ゴルバチョフ大統領も近々いらっしゃってこの問題の交渉に当たるんですけれども、アイヌの方々がいわゆる北方四島、千島全域なんですけれども、ここでは北方四島ということに限って申し上げますけれども、当然先住権が北海道と同じようにあったわけです。これは認めますね、先住していたということ。北海道、それから樺太、それから千島、ここに先住していたという事実はお認めになりますね。公文さん、どうですか。
#62
○政府委員(公文宏君) 今の問題はちょっと私の所管ではございませんけれども、北海道を初め千島等においてもアイヌの人たちが古くから住んでいたということは、文献等から見て通説になっていると承知しているというのが政府の見解でございます。
#63
○山口哲夫君 そこで、北海道ウタリ協会のアイヌの方々は、北方四島の返還運動が先住民であるアイヌの人たちを全然度外視して交渉を進めていることに対しては大変遺憾の意を表しているわけなんです。
 それで、聞くところによりますと、何か日本政府とソ連政府に対して具体的な先住民としての要望を、要請をこれからしたいというお話を私は聞いているんです。北方四島が将来返還されたときにおいては、政府としてもいろいろな施策をここに講じていかなければいけないと思うんですが、その場合には当然先住していたアイヌの人たちのそういったことを頭に入れまして、例えば漁業権であるとかあるいは土地の所有権の問題だとか、そのほかたくさんの施策をこれから検討するんでしょうけれども、アイヌの人たちが先住していたということを頭に置きながら検討していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#64
○国務大臣(坂本三十次君) さっき私が申し上げたような気持ちからすれば、一番先にいたのはアイヌの方々であろうと思いますから、そういう気持ちはわかりますけれども、しかし、四島がソ連に行ったときにそこにいた人が、これがやっぱり一番近い、先住の後の先住民族ですから、ということにもなりましょう、この方々は生身でソ連軍の占領によってほうり出されたんですから。ですから、この辺のところは、それはアイヌの方々はその先の先住民だということもわかりますけれども、この辺のところは今私はここでどっちを優先するかとかということはちょっとこれは申し上げかねます。
 また、返還してからと申しましても、今私どもはそれに全くまさにここ数日一点集中のような状態でありまして、返ってからというよりも、返させるまでに今全力を振り絞っておるところでありまして、この問題はひとつまた勉強させていただきたいと思っております。
#65
○山口哲夫君 ちょっと事実は違うと思うんですけれども、ソ連の人が入ってアイヌの人たちが追い出されたんでなくして、アイヌの人たちが先住していたところに日本が入っていって、そして追い出したわけでしょう。土地も取り上げた。だから、北海道と同じなんです。それは事実認識を間違われたら困る。
 確かにこれからの交渉の問題ですけれども、我々はいずれ間違いなく返ってくるだろうという考え方でおりますので、返ってきたときには本当にこういうことを頭に入れておかないと、今あそこには日本人はいないんですから、アイヌの先住していた人たちの権利というものをできるだけ補償していくためには、非常に私はいいところだと思うんです、時間的にも。そういうことで、ぜひ考
えていただきたいと思うんです。
 サハリンでは、やっぱり同じように一部族であるニブヒの人たちが、これはおれたちの先住民族としての権利があるということで州政府と話し合って、これは昨年十一月十六日の朝日新聞に出ていたんですけれども、北海道教育大学の田中という先生があちらの幹部の方と会ったときに、そちらの少数民族委員会の委員長がこう言っているんですね。「先住少数民族の一部族であるニブヒと州議会執行委員会が九月二十九日付で返還協定に調印した。返還された土地はサハリンの北部で、」「面積は約百三十平方キロメートル」であるということで、先住権を認めて土地をちゃんと返しているんです。こういう事実もあるんです。
 これからは白紙の北方四島ということになるでしょうから、そういう点ではアイヌの先住権を認めて補償するには非常に私は政府としても取り扱いやすい地域になると思うので、そういう点で十分ひとつ配慮を頭の方に入れてこれからの施策については検討をしてみたいということぐらいはお答えできると思うんですけれども、いかがでしょうか。
#66
○国務大臣(坂本三十次君) あなたのおっしゃることは、お気持ちはよくわかりますから、ひとつまた勉強させてください。
#67
○山口哲夫君 時間がないんで次に移りますけれども、アイヌ民族の代表に国会及び地方議会において特別議席を与えるという問題について、北海道のアイヌ問題懇話会でも結論が出なかったんですけれども、ソ連とかニュージーランド、アメリカの一部の州では特別議席を与えております。中には投票権のない特別議席を与えているところもあるんですね。ウタリ協会の人たちからぜひ特別議席を与えてもらいたいという強い要求が出されているんですけれども、この投票権のない特別議席ということについてはこれまで一回も検討もされたことがないんで、公文さんどうですか、こういう問題についても検討はする余地はあるでしょう。検討してみることぐらいについては当然のことだと思うんですけれども、どうでしょうか。
#68
○政府委員(公文宏君) 政治的な関与をどうするかという点につきましては、率直に申しましてちょっと政府でこの問題を受けとめていけるかどうかという問題もあろうかなというふうに思いますので、この点は慎重に考えていくべき問題ではないかというふうに思います。
#69
○山口哲夫君 それで官房長官、せっかくアイヌ検討委員会というのをつくったんですが、さっきお話ししたように肝心の居留地論さえきちっと論議されていない、北海道庁からただ説明を聞いているだけだ、これでは話にならないと思うんです。現地にも行ったことがない、アイヌの代表の意見も聞いていない。
 時間があればこの問題でもやりたいんですけれども、時間がないのでこんなことをいつまでも続けていては話になりませんので、アイヌ問題に対しては政府として一体どう対処するべきなのか、それから具体的な方策はどう確立していくのか、アイヌ新法を制定する場合にはどういう問題があるのか、そういうことについてきちっとアイヌの代表や学者等を入れて政府がつくる審議会、例えば脳死臨調のようなそういう審議会をきちっとやっぱりつくらなければもう話が進まないと思うんです。そういう審議会をつくることについていかがでしょうか。
#70
○国務大臣(坂本三十次君) 今の体制では連絡協議会ですか、それで全般的な格差の是正というような問題、生活の向上というような問題については努力しているというように聞いておりますが、新法をひとつそこに導入しようということにしてもらいたいと北海道の方から聞いておる、そこで検討委員会というものも設けたわけでありましょう。ですから検討委員会、一年ちょっとたっておるようでありますが、その中で新法問題に今取り組んでおるということを聞いておりますから、その検討委員会の中でその新法という問題について、幾つかのここに新法の検討項目というものがございます、人権を認めるとか差別をなくするようなこととか文化を大事にせよとか、いろいろあったようでありますが、それらの問題について発想をひとつ大きく転換して、新法というものも考えていかなきゃならぬというふうなことになれば、今までの検討委員会というものよりもそこでもっと幅広い審議会をつくればいいという結論になればそういう審議会の方向で努力してみるのもこれまた一法だ、そういうふうに思っております。
#71
○山口哲夫君 今、官房長官おっしゃったように、発想の転換が必要だと思います。一年半かかって何回も会議を開いているけれども、単に説明を聞くだけで何にも進展していない。さっき言ったように具体的な問題でさえ明らかにしていない。
 しかも、おかしいんですよ、このメンバーを見たって。前の委員会で私、アイヌの子弟に対する総合的な教育問題についていろいろと質問している。差別がある、そういうものがないように教育の分野でもってしっかりやってもらわなければならない。そういうことに対して公文さん、あなたが、今後の検討委員会の中で十分検討していきたいと思っていると答えているけれども、文部省から出ている人はだれかと思ったら、文化庁の文化財保護部の伝統文化課の課長さんなんですね。これじゃ、単にアイヌの教育文化の問題を風俗の問題としかとらえていない。もっとやっぱりきちっと民族教育という分野でとらえるということになると、初等中等教育局とか高等教育局から出なきゃならないのに、全然別なところから出ているんですよ。肝心なところから出ていない。だから、審議も内容がおかしいんですね。
 そんなようなことで、本当はどんなことを検討しているのか具体的に今聞きたかったんですけれども、時間がもう来ましたので、十回ぐらいやっているそうですから、本当は一週間に一回ぐらいやってもらいたいと思っているんですけれども、いつどういうメンバーでどういう具体的な内容について話し合いをしたか、どういう結論が出たのかを文書でもって後ほどぜひいただきたいと思います。
 そして最後に、一九九三年、これは世界先住民のための国際年ですから、この年までにはアイヌ民族の人権がきちっと確立されるように審議会等をつくってもう少し審議を急いでいただきたい、官房長官おっしゃるように発想の転換をしていただきたいということをお願いし、それに対する官房長官の決意のほどをお伺いして、私の質問を終わります。
#72
○国務大臣(坂本三十次君) ただいま申し上げましたように、新法の問題というのは、なかなか大きな、幅の広い今日に至るまでの歴史の大きな視野が必要でありましょう。現実の認識はもちろんでありましょうけれども、文化から人権から伝統の問題まで含んでおる幅の広い問題でしょう。ですから、検討委員会で今一生懸命にやっておるわけでありますけれども、そういう検討委員会の熱心な審議の過程で、審議会などもつくってやれ、そして新法をつくれ、時あたかも国際先住民年ですか、そういうときであるからもっと積極的に考えろというようなお考えでありまするならば、そういう趣旨に照らしても、ちょっと申し上げたようにいろいろこれから角度も変えて、そして役所の平面的な発想だけではなしにもっと幅広く掘り下げた研究をするように、まず検討委員会やっておるのですから、そこにもっと突っ込んだ検討をまずしてくださいというふうには指示はいたしておきます。
#73
○深田肇君 深田でございます。先輩の山口先生の時間を私が少し短くして、他の会派に迷惑かけないように努力いたします。
 私は一年生でございますから、しかも内閣委員会での質問は初めてなので、先輩諸氏のひとつ御協力をお願いいたしておきたいというふうに思います。
 先ほどもアイヌ民族の問題について人権問題を大変勉強させてもらいましたが、やはり日本の憲法に基づいて考えますときに、国際的にも人権問題や反差別の問題が大変話題になっているときであるだけに、ぜひひとつこの内閣委員会で長期間
にわたってこれから連続的に討論をさせてもらったり意見をお聞かせいただいたりして、我が国の人権政策がよりよりスピードを速めて積極的に進みますようにお願いをいたしておきたいというふうに思います。
 そこで、申し上げることもないと思いますけれども、日本国の憲法では基本的人権の問題をしっかり確認をされておるわけでありますし、十一条においては基本的人権が保障されることを確認し、十四条では国民が法のもとで平等であって、政治的にも、経済的または社会的関係においても差別をされてはならないということが明確にされておることを踏まえた上で、ちょっといろいろと感じたことを申し上げてみたいと存じます。
 先ほどアイヌ民族の人権問題なり差別問題のお話がありましたが、どうも私たち周辺には差別問題がたくさんあるのではないかというふうに率直に思います。これから私は、中心的に部落差別の問題をお話ししたいのでありますが、お話がありましたように、女性の差別問題もありますし、アイヌ問題から始まって、外国人の方々、日本に定住されている外国人の方々の差別問題もあると思います。特に在日の朝鮮の籍、韓国籍をお持ちの方々に対する差別問題、権利問題なんかも大きな問題が国際的にも話題になっているだろうと思います。特に朝鮮半島から強制連行されてきたという歴史的事実をしっかり踏まえますと、この方々の人権問題、差別問題は大変積極的に解決すべき段階に来ているのだろうというふうに思います。
 きょうは、大変尊敬申し上げている政治家の池田先生ここにいらっしゃいますので、この間、朝鮮人の日本における人権問題や民族権利の問題についてお話しするときに、大変御理解が高くて朝鮮側が大変喜んでおることを思い出しながら、今そういう人権問題について、これは防衛庁にもちろんお話しすることではないんですが、そういうことを感じていることを申し上げたいと思います。
 そのほか、最近大変話題になりますのは、障害を持った方々がやはり差別を大変自覚的に感じてきているし、そのことを我々は政治の問題としても、社会的生活の問題としても偏見を外して変えていかなきゃいかぬというふうな声も高まっていると思います。私、たまたまこの前は社労にいましたので、我々の同僚の中に堀議員がいまして、堀議員は目が不自由でして、そのために起きるいろんな問題を御本人が直接的に話をされているのをそばで聞いておりまして、健常者と言われる我々の方が大変これは積極的に受けとめないと、口では人権だとか反差別だとかということを言っている割に我々の側に問題があるのではないか、我々の思想の側に問題があるのではないかと感じたことも反省の一つとして、先輩諸氏の前でありますけれども、申し上げておきたいと存じます。
 同様に、社労の委員会でもお話をする機会があったのでありますが、いわゆる原爆を受けた広島、長崎の被爆者の方々の今日までの苦痛、しかも本人たちが直接的に差別と意識しているかどうか、たくさん問題がありますけれども、やはり原爆を受けたということが言えない、これがいわゆる遺伝するのではないかと人に言われるんではないかと思ったりして言えない。そういったことまで含めて精神的苦痛を聞かされたときに、やっぱり被爆者に対する我々の差別、彼らの人権問題というものも我々国として、政治として考えるべき問題だろうというふに考えます。
 それに、先輩いらっしゃいますけれども、私の同僚も沖縄県からたくさん来ているんでありますけれども、沖縄の方々が就職問題でやはりこちらで受けるハンディキャップといいますか、これは大変なものがあるように率直に思います。我々、労働組合の中でもそういったことをよく討論するのでありますが、などなど、どうも平和憲法という世界に誇るべき民主的憲法、基本的人権をしっかり尊重している憲法を持っている日本において、列挙すれば幾らでも出てくるような問題があるだろうということを率直に今感じているわけでありまして、そういったことを感じながら、これから内閣委員会におりまして長い間この差別問題や人権問題を専門委員の一人として少し勉強をさせてもらってお役に立ちたいと考えているところでございます。そういったことをひとつ申し上げた上で、先輩諸氏の御了解をいただきながら、いただけた時間の中でお話をしてみたいと思います。
 そこで、一番最初に申し上げたいのは、私などはまだまだもちろん生まれていない段階でありますが、一九二二年の三月三日に全国水平社が創立されるわけですね。これはどうなんでしょうか、私なんかは学校時代だとか家庭教育でそういったものを少し勉強する機会があったのでありますが、大変失礼なことを言うようですが、水平社宣言というものについてはもちろん長官たちは十分御理解の上で今日の人権問題をやっておられると思いますけれども、私、先輩諸氏の前で恐縮でありますが、自分の子供時代から、そして青年時代に受けました水平社創立宣言の中で感じましたことを一、二、たくさんの文章がありますから多くを語るわけにはいかないんでありますが、彼らはこう言うんですね。
 「吾等の中より人間を尊敬する事によって自ら解放せんとする者の集団運動を起せるは、寧ろ必然である。」と、こう彼ら自身が言うんです。その次に、大変これは率直に言いますけれども、彼らが書いた文章ですから、「吾々がエタである事を誇り得る時が来たのだ。」、こうみずからが宣言をした上で、それで自分たちの運動の歴史を語りながら、「そうして人の世の冷たさが、何んなに冷たいか、人間を勦る事が何んであるかをよく知つてゐる吾々は、心から人生の熱と光を願求礼讃するものである。水平社は、かくして生れた。人の世に熱あれ、人間に光あれ。」ということを家族の家庭教育や学校時代に学んだことを思い出しながら、私はこういう人権宣言を、一九二二年ですから大正の十一年にこういったことを行った彼らも偉かった。
 しかしながら、歴史の中ではそのことが大変弾圧の対象になったり認められなかった苦労がたくさんあったように思います。私はこういったのは本質的に今なおこれは高く評価できるものだし、こういったことが日本にあってはいけないんだし、あったことを悲しみながらこれから我々は人権擁護のために頑張っていくべきなんだ、同和行政もその精神でやってもらうべきものだと思いますが、いかがでしょうか。まず最初に、できれば長官の御感想を賜りたい。
#74
○国務大臣(佐々木満君) 私も、今おっしゃられました水平社宣言を読ませていただきました。また、いわゆる水平社運動、私どもも物の本でいろいろこれまで読ませていただいたことがございますけれども、先輩の皆さんが本当に血のにじむような努力をしてこられた。これはいろんな形の文章で読ませていただいておるわけでございますけれども、そういうことでそうした先輩の御努力、そういうものは高く私自身評価をしておるつもりでございます。
 これまた御承知のとおり、同対審がございますけれども、この同対審の御答申の中でもこの宣言というのは基本的な人権、こういうものを確保していく、そういうものであるし、また水平社運動というのはそういう不合理な社会的な差別、こういうものに対する全国民の認識というものを高めていく、そういうことのために大変この運動は成果を上げた。こういうことで、同対審におきましても、この水平社運動というのは評価すべきものだ、こういうふうな答申もございまして、私は先輩のこうした御努力に感謝をしながら、その精神というものは私ども評価しながら、こういう問題の一日も早い根絶のために努力していかなければならない、こう思っておる次第でございます。
#75
○深田肇君 大変いいお話をいただきまして、ありがとうございました。ただ、ちょっと気になりますから、こういうことを一年生議員だから言えるのかもしれないし、言っちゃいけないのかもしれませんが、不合理な差別という言葉はちょっとひっかかります。いい差別があるとは思いません
ので、その点は言葉のあやとしてのことと思いますけれども、一つ私が感じましたことを……。
#76
○国務大臣(佐々木満君) これは私の考えで申し上げたのじゃございませんで、同対審の御答申の中でこの宣言、それから水平社運動、こういう先輩の御努力を評価しておられる、その答申の中の文章にございます、基本的人権に関する自覚を高めたと、この運動が。そうして、部落差別の不合理性についての社会的認識を普遍化した、こういう面で非常に役割を果たしたと、こういうふうな記述がございますので、それを引用したわけでございますので、御了承をお願いします。
#77
○深田肇君 そうなんですよ。不合理性なんですね。不合理な差別じゃないんです。その点だけはしっかりお酌み取りいただければいいと思います。
 そこで、これも一年生議員ですから御勘弁いただきたいのでありますが、埼玉の地域をずっと歩きますと部落解放同盟という組織がもちろんあります。そして、中央でのおつき合いはあったのでありますが、私は今度選挙に出るに当たっていろんな地域を歩かせていただいて、その中で現場で感じましたことを御披露申し上げて、もう長官はよく御存じと思いますが、なるほどそこまでまだみんなが頑張っているなということを御理解いただくために紹介を申し上げるんです。
 一九四六年に参議院の大先輩の松本治一郎先生が組織された都落解放同盟というのがあるわけなんですが、いろんなことをお話し申し上げる時間はありませんから簡単に一つだけお話しします。言いたかったことはこういうことなんです。中央では全国大会があります。それから、埼玉県だと県がありますね。地域分会があるんです。町に全部小さな集落がありますから、そのたびごとにいろんな小さな集会がある。そこへ参りますと、部落解放同盟の旗がありますね。この旗は荊冠旗という名前で呼ぶんですが、それはもう時間がありません、省略しますが、その旗がずっと大小の会合のときに必ず入場してきたりバックに飾られるんです。
 そして、その次に何をやりますかといいますと、全員が起立しましていわゆる解放歌という歌を歌うんです。解放歌という歌は、これももう時間がありません、多くを話しませんが、いわゆる水平歌であって、大正時代にお互いがつくり上げた水平歌を今、解放歌として歌うんです。「ああ解放の旗高く」という句から始まって、「自由のためにたたかわん」と、こういうのです。そして、「友愛」のところから、「全人類の祝福と飾る未来の建設に殉義の星と輝かん」と、こういうことを全員が、大小の集会全部ですよ、どんな小さな集会へ行ってもやられる。その最後に、今度は、今言う水平社宣言を全部読み上げるんです。全員が立って、ずっと合わせて朗読するんです。
 こういう事実を目の当たりに見ますと、後から同対審の話もしますけれども、答申が出ている、それから日本国憲法がある、そして水平社宣言がある。こういう状況の中で、差別をされている側が今なおかつ同じ気持ちでみずからが団結をしている、みずからがそのことを全国民や全県民、市民に訴えているという状況を私はいつも涙が出るような思いで感じるんです。そのときに、私のような立場からしますと、みずからの側の人権意識やみずからの側のいわゆる反差別という言葉を気楽に使うんだけれども、果たしてそういうことができているだろうかどうだろうか。実は私も小川先生にお願いをして、私がとにかく内閣委員会で発言するときは反差別、人権問題をやらしてもらいたいんだということできょうの日まで時間をいただいたわけでありますが、そういう状況をまず報告申し上げますので、現状認識としてしっかりとひとつ、御存じかもしれませんけれども、御理解を賜っておきたいというふうに思います。
 それで、そのときに彼らが使う言葉は三百万人と言うんですね。我々差別されている部落民は三百万だと。三百万人のこの要求をいわゆる松本治一郎先生が使われた八千万人の要求にしようと。八千万というのは、現在一億二千万ですから数がふえているわけでありますが、まさに自分たちの要求を日本国民全体の要求にしていくんだ、日本国民全体の中に平等や自由がどう保障されているか、こういう訴えを、私どもに言わせてもらうと一番差別され痛めつけられているはずのメンバーの方がそのことを訴えているということを実感で感じるんです。したがって、そのことは私はこれは大変大事なことだし、そのことを我々はよく知っておかないと、いや部落のメンバーがやっているんだとか、この世の中いろいろあるけれどもとかということではいけないんではないかということを率直に申し上げておきたいと思います。
 その意味合いで、私は大変なまいきなことを申し上げるようでありますが、こういう形で闘っている方々や、そして粘り強く今日まで頑張ってきているメンバーや組織に対して本当に尊敬の念を持ちながら、私自身は生活の信条として反差別や人権や人間が人間らしくという形の中でやっていきたいと思いますので、そのことを踏まえまして、今、生の話をしましたので、もう一遍長官、初めて聞かれた話もあるかもしれませんが、そういう痛めつけられている側が、差別されている側が全体に広げていきたい、全体の国や県の行政としてお互いのものにしていきたいということをやっていることにつきまして、ひとつできれば御感想をいただければありがたいというふうに思います。
#78
○国務大臣(佐々木満君) いろいろお話しいただきましたとおり、いろんなそういう運動を展開しておられるわけですけれども、この問題は全国民の私は問題である、こう思います。お話のとおり、日本国憲法を申すまでもなく、日本は人権尊重の国でなければなりませんし、それが国づくりの基本であるというふうに思いますので、私は全国民に向かってこれからも引き続きまして人権尊重、そういう差別、そういうもののない、そういうような国づくりができますように精力的な啓発運動を続けていかなきゃならない、こういうふうに思っておる次第でございます。
#79
○深田肇君 先ほどお話が出ましたように、同対審の答申というのがあるわけでありまして、これは大変評価できると思います。私が僣越なことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、そういう地域末端の活動家や集会や、そしてもちろん組織としての全国的な評価や決定も出ておるようでありますが、一九六〇年に同対審ができて六五年にその答申がなされた。まさにこれは国として初めてこの日本に部落差別が存在していることが明確に位置づけられたということからしまして、これはまさに基本的人権をしっかりと確認できる、そのために私たちが憲法の精神にのっとってこれから全国民のものにしていこうということでありますから、大きな評価ができるというように思います。
 その意味からしますと、私の方から同対審の内容についてお話し申し上げることはないと思いますから多くを申し上げなくていいと思いますが、現場の末端におるメンバーまで含めて、ここが強調したいんです、現場の末端におるメンバーまで含めて、この同対審の答申というのは一九二二年の水平社創立以来の歴史的な出来事であって、歴史的な評価であって、大きな成果であるということを、出たときも感じたようだし、今日まで同対審答申同対審答申と。それは全部が全部とは言いません、それは不十分な点もありましょう、意見の違いもありましょうが、同対審答申というものを大事にして、これによって行政が、国民が、我々自身がどのように人権の問題を、差別の問題を考えていくか、これからそのための成果づくりをやっていこうということになっていることをこれまたひとつ喜ばしい報告として申し上げながら、したがって、これから同対審答申をどう大事にして具体化していくのかということが大事なんだということをまずは申し上げておきたいというふうに思います。
 以上、そういうふうに申し上げた上で、私はこれは長官もう十分御存じのことと思いますが、私たちが現場で感じますこと、ついこの間まで一市民でいたわけでありますから、現場で感じました
ことは、やはり部落は汚ないとかというのがあるんです。現在確かに俗に言うハード、ハードと言われる改善によってよくなったことがたくさんあるんですけれども、汚ない。したがって、言葉をきれいに言いますと、環境を改善するということ、これがないとどうしても言葉で教わらなくても目で見て汚ない、そこで汚ないものに対する差別というのが自然に教育されていくというのがあるだろうと思います。
 したがって、ぜひ環境改善というものを国や自治体はもっともっとやってもらわなきゃいかぬ。もう大体できているだろうというのがよく新聞に載ったり記事に出ますけれども、七割方なんとかいう話じゃなくて、いや末端はもっと――何なら私は長官と一緒に行ったっていいと思うんだ。ここはどうですか、これでもあなたはもういいと言いますかというところまで言ってもいいようなものが一つあっても私はだめだと思います。それまで国民の側にずっと長く植えつけられた差別思想というものを変えていくためには、一つ残ってもいかぬということまで申し上げた上で環境改善が必要だろうと思います。
 その次はやはり仕事の関係です。働く意思があるでしょう。働かなきゃ飯が食えない。そういう中で、仕事に対してこれはなかなか雇用は不安定です。パートへ回されてみたり、臨時工に回されてみたりということもあります。もちろん、戸籍を調べて云々という差別もありますが、そこへいくことと別にしても、仕事の安定性、これだけでも大変な問題があると思います。同時に、そのためには本人たちを含めた教育問題があるんです。周りの教育もありますが、本人たちが今までの経過の中で余り勉強できなかった、最低の義務教育も満足にしてもらえる機会がなかった等々の中でくるところのハンディキャップがあります、学歴社会もありますから。そういう状況の中では、仕事の保障というものが二番目の大きな課題ではないかというふうに現場におって感じます。
 三つ目の現場の感じは、何といってもこの社会に差別思想がまだあります。これは政府の方の官房長官に申し上げるけれども、御存じだと思うけれども、本当に差別思想というのは、我々は目に見えないように見えるけれども、実にあるということを申し上げて、差別意識や思想というものをどうなくしていくのかということは、これはまさに社会的に自治体や国がもっと本格的にやらないといかぬのではないか。意見の違いがあっても、今、日本は平和、いろんな意味があっても日本は民主主義、こういう状況の中で、本当の意味における平和だとか民主だとか考えるときに、こういう差別思想や、そして現場の中で怒りを持って、しかし怒りを持ちながらこういうことで愚痴を言ったり、おれ一人が暴れるのではなくて、全国民的にやろうではないかというような雰囲気がある中で我々は何をなすべきかというのが政治ではないかというふうに実は思っているのです。これも一言ちょっと御感想をいただけますか。私がそう思うことは間違いですか、どうですか、いかがでしょうか。
#80
○国務大臣(佐々木満君) 御案内のとおり、いろいろ同対審の答申やらあるいは地域改善に対する協議会の意見具申等に基づきまして我々は仕事を進めておるわけでございますが、今お話のございました物的な面と申しますか、環境の整備、これは確かに必要なことでございまして、これはここ二十年間あるいは最近非常に進んできている、まだまだ完璧とは申しませんけれども、私どもはそういう認識をいたしております。
 ただ一方で、今お話のございました仕事の面の、就職の面での差別とか教育の面での差別とか、あるいは結婚面での差別とか、そういう心理的な面での差別というものがいろいろ問題として指摘されておることは事実でございまして、私どももそういう話を間々耳にすることがございます。これはもちろんいかぬことでありまして、今までもいろいろそういうことはあっちゃいかぬということで、政府の関係機関一緒になって努力をしてきておりますけれども、まだ根絶までには至っていない。そういうことで、間々そういう事件と申しますか、トラブルと申しますか、そういうものが伝えられる、こういうことでございまして、非常に残念なことでございます。
 これはもう引き続いて粘り強く、私どもは考えられ得る啓発活動をいろいろ知恵を出してやっておりますけれども、これからもひとつ知恵を出して粘り強く啓発をしていかなきゃならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
#81
○深田肇君 これもお言葉を返すようで失礼なんですが、確かに先輩や同僚議員が質問して政府の皆さんが答えられる、それからまた印刷物もあるが、今お話に出ているようにハードの面などは大体よくなりつつある、完全ではないがなりつつある、こうおっしゃるんです。ところがどうですか、いわゆる差別というものが人間によって行われた。そのマイナスを取り戻すのですから、これはよくなっているという言葉を余り使わない方がいいと思う。これは意見ですが、申し上げておきます。
 だけれども、ゼロからこれはよくなっていると、こう言いたいのかもしらぬ。それは認める。認めるけれども、そのことを強調すると、それがいわゆる反差別をやる、それが人権運動を擁護している、権利拡大になっているんだというところへ物がすりかえられる。そういう意味じゃなくて、歴史的に人間が人間をいじめて、いじめられた側をどうするかというのだから、よくなったかよくなっていないかを聞けばよくなっていますよ。そんなことはわかっています。しかし、よくなっていることを強調することによって、すりかえているつもりはないんだろうが、第三者から聞くとすりかえになるということを私の現場の側の意見としてこれは申し上げておきますから、しかしハードが進んでいることを否定しているのじゃなくて、ぜひその点はよろしくお願いをしておきたいと思います。
 それから、確かに心理的な問題はおっしゃるとおりそうなんだよと言われるのだが、この心理的な問題は、これは長官が他の委員会でいろいろ発言された議事録も読ませてもらったけれども、努力しようとか、基本的人権の問題だから何とかしようという決意だけじゃできないと思うね、私はできないと思う。それは、決意はなくちゃいけない。なくちゃいけないけれども、方針もつくらなきゃいかぬ。そのとおりどういうふうにしていくのかという具体的な実に細かい施策がないとできないほど壁は厚い。そこへ、でき上がった歴史的な差別の思想とかというものは物すごいものがあるということを感じます。
 これは時間がないのでそのことを話をしてもしようがありませんが、御指摘があったように心理的な面ではおくれている、それを何としても基本的人権の関連で頑張るんだとおっしゃるわけですから、その意味合いではお互いの問題として、これは長官なり政府だけの問題ではなくて全国民の問題として我々は一緒になってこれを解決するのに努力すべきなんだということを強調申し上げて、次の機会で何か具体的な話を申し述べさせてもらうことができればありがたいと思います。
 そこで、私は今度このことのためにいろいろ本を読ませてもらいますと、いろんなことが載っておりましたが、また私のやり方で恐縮なんですが、一つのことだけ申し上げます。
 寝た子を起こすなという言葉をよく使うのですね。私もよく母親から言われたことがあります、寝た子を起こすなと。寝た子を起こすなんという言葉を部落問題や差別問題で言うと、事がでかくなるから静かにしておいた方がいいんだよというのが本当の意味の改善になるかならないか。私は逆な意味で、そういうことがあるということをたくさん、本を読ませてもらったり仲間や現場の人の意見を聞いてみたりしますと、やっぱり本人たちが宣言しているように、寝た子を起こすんじゃなくて、もう必ず起こされるんだから、いろんな差別思想によってこの世の中でやられちゃうんだから、そういうふうにつくり上げられちゃうんですから。生まれた子供は最初から差別思想を持っ
ているわけじゃないんだから、もっと純だけれども、そういう社会構成の中で、同対審にあるように、社会や経済やその状況の中でつくられていると書いてあるのだから、そうなるとその子供はそうなっちゃうんだから、されちゃうんだから、寝た子を起こすのじゃなくて、いわゆる正しく起こされる、これの事実を知らせる、こういう歴史で差別されたと。
 その歴史は何があるか。あえて申し上げれば日本の天皇制という問題もある。そういったことも含めてずっとあることを明確にした上で、水平社の問題があり、そして今日の戦後のいわゆる憲法四十五年があり、しかも同対審がその中で一九六五年に出てきた。しかも日本政府はその努力をしてきている。いろんなことをずっと踏まえた上で、それで我々はどうやって全体のものにするのか。みずからが発言をしたように、三百万を八千万のものにというようなことをみずからがやるし、我々もやる。みずからが自律的に立ち上がる、我々はそれを一緒のものとしてやる。こういうふうな国民運動をまさに政府の力によってやるし、我々議会側がやることが必要なんじゃないか。
 それで、だれかが書いた文章を読んだんです、寝た子を正しく起こせ。これは子供のときに聞いた言葉じゃないんですが、寝た子を正しく起こすことが必要なんだということを印象として持ちました。これは答弁は要りません。そういうことを申し上げて、ちょっと時間が足りませんので早口で申しわけないですが、次の具体的な問題に行きます。
 これは事前にお話し申し上げておりますから、どこまで皆さん手元に入っているかわかりませんが、ちょっと事前に事務当局とお話しした段階ではその事実は余り御存じなかったので、少し私の方がしゃべる必要があるのかなと思いますが、まず見出しとしてお伺いしたいのは、埼玉県で起きました東京電力の差別事件、この事実は報告が上がっていますか、それをまず教えてください。報告が上がっていますか。一九八八年八月の分です。
#82
○政府委員(小山弘彦君) 私、その件につきましてちょっと存じ上げておりませんでした。
#83
○深田肇君 このことをたくさん話すためにも時間が足らないので焦りますが、一九八八年ですから、八九年がちょうど選挙のときですから、私はいろんな地域活動の過程の中でも味わったことなのでありますが、きょうやっと発言するチャンスがありましたので八八年八月のことを申し上げ、そこからスタートさせてもらうわけであります。答えを先に言いますが、このいわゆる差別発言もしくは事件というのは大変本質的問題を含んでいると思うのですね。
 そこでひとつ、官房長官もいらっしゃるし、それから我が長官もいらっしゃいますから、簡単にぱっぱっと言いまして、それから委員長以下同僚の皆さん方にもお耳を汚しますから御了解いただきたいのでありますが、いわゆる公共料金ですね、電気代ですから、公共料金を払わないのでとめる。とめると、今度とめられた方が何だというので、そこでがたがたトラブルが起きる。そこで、たまたま殴ったということから始まるんです。東京電力側からしますと、そこでそういうことがあったというので、東京電力が結局一つの事件報告書というのをつくって出すんです。
 まずここで言いたいのは、これも驚いた、埼玉県公共料金暴力対策会議というのがあるんです、埼玉県には。県がやっているんじゃないんでしょう。民間の会社がやっているんでしょう。埼玉県公共料金暴力対策会議、公共料金を払わない、そこで暴力が起きるやつをどうやるかということらしいんだね。公共料金というものを払えないというのは今の社会性の問題だからいろんなことを考えなきゃいかぬよと。それは生活保護法の問題もあればいろんなこと、それは一応棚に上げておいて、別にしておいて、時間がありませんから入りませんが、そういう会議があって、その会議の席上に、東京電力側が、うちの公共料金が払えないのでいろいろやったら殴られたという暴力事件があったと出すわけです。こういう会議体があって、そこへ報告を出すことが一つ大きな問題でしょう。
 しかも、そのときに、その人のことを古物回収業と書く、その殴った人ね。古物回収業だと職業を書く。職業の次に同和と書いてある。古物回収業は同和かね、断定していいかね。こういったことを東京電力がやっているんだ。一九八八年よ、大正じゃないよ、この話は。ということをまず私は驚いた。東京電力というのは、御存じのとおり、だれも知っているような社会的に認知されているところですよ。そういう状況のところがある。しかも、殴ったその人はいわゆる部落の者だ、こう言ったわけだ。ところが、調べてみたら部落の人じゃないし、その部落の集落にも住んでいないんだ。全く関係ないことがわかっちゃった。それを調査もせずに、職業に対して括弧部落とつけて本人を部落だ。やっぱり金を払わずに殴るやつは部落だというのがあるんじゃないの、東京電力側には。ということをここで言いたい。
 公共料金だからNHKの料金もある、ガスもある、時間がありませんから、本当は平等に言うためには全社言わにゃいかぬかもわからぬけれども、調べてもらえばすぐわかります。六つです。東京電力が呼びかけた公共料金暴力対策会議というのは、あと六社。七社が入って、ガス、NHKそれから水道等々の企業を集めてやるんです。これはやっぱり言っておかなければいかぬかな。東電以外の六社、NTT、日本通信サービス、東京ガス、埼玉ガス協会、県南水道、NHKこの六つと電力と七つで会議を開いて、そこへ資料を配っているわけです。ところが、もらった方のこの六社は、ああそうかねとあり得るような顔をして、それでそのままずっと帰るわけです。おれのところも気をつけにゃいかぬと思ったかもしれぬ、NHKも。それで帰っている。
 ところが、後からわかったことは、今申し上げたように、そういう同和だと決めつけも問題だし、事実と違う。別件逮捕とか誤認とかあるけれども、ひどいもんだ。埼玉ではあの石川一雄さんの問題もあるから、余り大きいものと小さいものと一緒にしたくないけれども、そういうことが現実にある。そうして、その他の社の方々はそれに気がつかずにということなんです。しかも、今挙げた六社というのは東電と並ぶようないわゆる日本的に言えば、余り好きな言葉じゃないが、社会的レベルが高くて、学卒で一定の方々がいらっしゃるところでしょう。しかもこれだけの文書を出すんだから、取締役も全部御存じ、一営業の窓口がつくったタイプじゃない。後からわかるんですね、やりとりして。そういう状況があって、そこに他の六社の方々もそうだそうだと持ち帰って、それでそのまま何にもなく、むしろ、気をつけよう気をつけようという雰囲気で終わっている。
 しかし、そのことはわかります、新聞に載りますから。それで、部落解放同盟のメンバーの方から、これはどういうことですかと東電に聞く。東電の方はそれなりの説明をする。説明が納得できない。やりとりする。どんどんどんどん事実が明らかになってきて、現在は東京電力は、大変自分たちの方の側に具体的事実としては反省すべきようなことがあるし、なおかつは、自分たちの会社の中の研修、いわゆる差別的問題や同和問題に対する認識不足がありましたということなどを話した上で、ひとつ我が東京電力内に研修会を設置します、意見交換しましょう、学習会をやらせてもらいましょうというような格好になって解決されつつあるようだし、それから他の六社についても、全く応答がなかったけれども、あなたたちは全然応答がないけれどもどうしたんですかという質問をしたら、その事実は認めて、自分たちのところもそれは気がつかなかったな、言われてみればそうかというふうにあとの六社の方々も言われ、今日の段階では六社の方々も言うところの公的には反省をされ、それで研修会を持とうという格好になっているんです。
 時間がないんであれですが、埼玉県の県の中にある同和対策課はこの事実は承知していますから、したがって、何を考えたかわかりませんが、私
がこの耳で聞いた限りで言うと、東電プラス六社という七社の固有名詞を挙げずに、埼玉県全企業に対して同和問題についてかくあるべきだという啓発指針だけを出しているんです。それは、下から見れば、また来たかだな、企業から見れば、はっきり申し上げて。ああ、来たかと。どのことかわからないんだから、一般論だ。一般論は随時出ているんですから、随時出ているものとして一般に出たということで物事は終わっているらしいんです。ところが、このことは埼玉の埼玉新聞にも、それから普通の新聞の埼玉版にもばんばん出ているし、部落解放同盟の新聞にはもちろん出ているし、我々は全部知っていることなんです。
 そういう状況が今ありましたということを申し上げて、御存じないのであれば時間を多く話してもどうかと思いますが、なぜこういうことが起きるのか。これは今度は答えてください。なぜこういうことが起きたと考えますか。そのときに何をこれからすべきだと思いますか。その点ちょっと教えてください。
#84
○政府委員(小山弘彦君) まず、なぜこういう事件が起きたのかという点でございますが、やはりこの問題の歴史的社会的経緯というものが深く長く根差しておるわけでございますから、いろんな角度からの要素が絡み合ってこのような事件が起きるということがあるんだろう、このように思っております。
 その辺につきましては、先ほど委員おっしゃいましたいわゆる同和対策審議会の答申、これが出ました後、昭和四十四年にいわゆる同和対策事業特別措置法という法律に基づき、行政を国主導として実態的面、心理的面、両面でやっていくということにしまして、それが十年の限時法であったんですが、三年延ばし、昭和五十七年まで続いた。そこのところで、今度は、同じ法律の流れでございますが、地域改善対策特別措置法、それをやりまして、そのような形で現在までの二十年以上にわたる期間、啓発、これも力の尽くせる限りやってきたところでございます。
 やはりこれを防ぐためには、国民全体のコンセンサスを得るという観点で、国としましても啓発活動の充実、これは広い角度からやっていくということでなければいけない、こういうふうに認識しておりますし、今後ともその推進を図っていくということを考えているところでございます。やはりこういう心の問題というのは、啓発中心に深く根強くやっていくということであろうと思っております。
#85
○深田肇君 ちょっと私の意見を申し上げる前に、もう一つ具体的に質問します。
 冒頭伺ったように、埼玉県の行政から報告が来ていないということですね。市民の側からしますと、来ていないなんていうことは考えられないことだ、埼玉県というところでこれだけのものが起きて。これはひょっとしたらお役所の感覚で、これは官房長官の方がいいのかもわからぬけれども、いや深田はそういうつまらぬことを質問しているけれども、我が国のシステムはそうなっていないんだ、そんなものは県がやることで、中央は関係ないんだとおっしゃられるかもわからぬけれども、我々国民や市民の側から見たら、そういうものが起きたら政府はどうしてくれるんだ、埼玉県はどうしてくれているんだと埼玉県でわあわあやれば、埼玉県では当然上へ上がって、この問題はもっと早く質問通告しているんだから、四日ぐらい前に言ってあるんだから、それは当然そのことについてはいろんなことがあるだろうと思うんです。あるだろうと思うんですが、今改めて聞いたら、確かにここ二、三日のうちにあったかもしれませんが、具体的になかった。
 なぜこういうことが詰まるんですか。これは報告する義務があるのかないのかわかりません。それから、同時に皆さんの方から報告を取り立てなきゃならぬという義務があるかないかも別のことでしょう。しかし、いわゆる地域改善室としては、そういう全国的な啓発をせにゃいかぬ、粘り強くやらにゃいかぬとおっしゃるんなら、それが北海道から沖縄まで、どこでどんなことが起きているかというのは日常的に、まあ日本の情報社会だからマスコミでも何でも集めることはできるだろうけれども、みずから自身が動員をされて組織的に対応されて物事をきちんと押さえておく、それについて正しい指導をしてもらうということがあっていいと我々は思うんです。それがなぜできないんですか。なぜこれができてなかったんですか。これは小さな問題だからやらなかったんですか。それとも、それはそういうシステムになっていないからこれからもできないことなのか。その点どうですか。
#86
○政府委員(小山弘彦君) いわゆるこの種の問題に関します事情が生じたときには、私どもできるだけ広く認識をしたいという気持ちでおります。ただ、起きた事柄が、この問題がどうかということとは別にしまして、起きた事柄の精粗とか、それから深さとかございますので、一律に基準を決めて報告を取り上げるというようなことにつきましては、これはちょっと難しい側面があろうというように思います。
 ただ、事柄に応じまして、私どもこの行政を関係省庁と一緒にしいているわけでございまして、当該省庁の方には報告が上がっているというケースがいろんな場においてあると思います。その辺のことは現実あるわけでございますから、私どもは今後とも一層関係省庁との間の、心の問題を中心とした面の特に実態の交換というようなことについては意を払いたいと思いますし、また地方公共団体と一体となっていわゆる啓発の推進というものを一層図っていくとともに連携を図ってまいりたい、このように思っております。
#87
○深田肇君 ちょっとあと一分ください。もう時間がありません。意見は申し上げません。
 ここに私ははがきを持ってきたんです。今のが八八年、埼玉でこれだけ問題になっている。八九年のはがきを持ってきたんです。これは本人の名前も入っています、町も入っていますから見せませんが、書いてあるんですね。えた、死ね、本人あてに手紙が来ているんです。非人、部落民、四つ足、えた。これは何かといったら、消防署の今度役員になるんです、町の消防署の。おまえらに消防署が勤まるか、やめろ、おれの町をおまえらに任すわけにいかないという手紙がぽんぽん消防署の人のところへ来るんです。時間がありませんから多く申しません。これは事実ですから。これまた新聞に載っています、もちそん名前とか書いてありませんけれども。一九八九年、新しい話です。こんなことはもう幾らでもあるんです、この東京の隣の埼玉で。
 そうなりますと、この近代社会において何が今我々の周りにおいて起きているのかということは、平和だ民主主義だと語っている側からしますと物すごく深刻に考えなきゃいかぬのではないかと思います。もう時間がありませんから多くは語りませんが、官房長官、ぜひ、くれぐれもよろしく、人権国家日本ですから、後々国際的な連帯もありましょうけれども、よろしくお願いをして私の側の発言を終わりたいと思います。
 以上で終わります。どうもありがとうございました。
#88
○田村秀昭君 自民党の田村でございます。連日、総務庁長官、官房長官、防衛庁長官、御苦労さまでございます。
 昨年の八月二日にイラクのクウェートの侵攻ということで湾岸戦争が起こりましたけれども、これは平和を謳歌している我々日本人にとって大変大きな教訓を与えてくれたものと考えております。
 治にいて乱を忘れず、備えあれば憂いなし、そういう古今東西の教訓もありますけれども、今回、九〇年代の我が国にとって非常に重要な点は、不法きわまる国際法への挑戦に対して平和的解決を幾ら努力しても解決が不可能と考えられた場合に、戦争に訴えても国際ルールや契約を守り抜くという国際社会における価値判断と、日本人の中に、平和を祈り武力行使はいけないという考えに基づき、侵略や国際法の侵害に対して極めて鈍感というか、国際ルール違反に対して甘い感覚を
持っているという、この国際社会と我が国との認識の大きなギャップというものが、九〇年代の経済大国日本にとって考えられないような大きな問題を国際社会から突きつけられる大きな原因になるのではないだろうかと私は考えております。
 戦前といいますか、昭和二十年までの日本で何が一番間違っていたかといいますと、私は日本だけ正しくてよその国は間違っていると信じていたことではないだろうかと思います。一九三三年、昭和八年の三月に松岡代表は、四十二対一で国際連盟が日本非難決議を行って、脱退をいたしまして、そのとき多くの日本人はこれに拍手をしました。正しいことを主張している日本になぜ英米を初め世界の国々が意地悪をしているんだろうか、そういうことで、百万人といえども我行かんと勇み立ち、世界の孤児になったことは記憶に新しいことであります。
 今回の、多国籍軍と言っていますが、これはアメリカ、イギリス、フランスを初め、合わせて三十カ国の国が多国籍軍に参加しております。日本は、中立ではなくて、国連の決議をきちんとやらせるために武力行使に入る連合軍の側にいるのだということをよくわきまえておく必要があるんではないかと思うんです。国際社会という世界で通用する姿勢をとり続けなくては、日本はやっぱり変な国だ、一緒にやっていけない国だと世界の人々に思われる可能性もあります。
 日本人は悪いことなんか何もしていないんだ、平和を祈り、戦争は嫌だと言っているのが何が悪いんだと。だれだって戦争は嫌いです。その嫌な戦争をどうしてもやらなければならない立場になった国から見ると、嫌だと言って何も手助けをしてくれない日本はひどいじゃないかということになるんではないでしょうか。また同じような国際社会の中の孤児にならないように、我々は常に相手の立場に立って物を考える習慣をつけていく必要があると私は考えております。
 それで、クウェートは三十カ国の多国籍軍に参加した人たちに対して感謝の意を表しておりますけれども、我が国は入っておりません。外務省の方にお聞きしたいんですが、人的貢献をしなかった我が国の国際社会における評価はどのようになっておるのか、外務省の見解をお聞きしたいと思います。
#89
○説明員(野上義二君) 今先生の御指摘になりましたのは、我が国の中東貢献策が諸外国からどういうふうに見られているかという御趣旨だと思いますが、御承知のように我が国の中東貢献策は、湾岸地域における平和と安定の回復のための国際的な努力に対して我が国としてどのような協力ができるかということから行ったものでございます。
 これに対して、先生御指摘の多国籍軍の参加国を含む各国からいろいろ前向きな評価を得ております。例えば先般の海部総理の訪米の際、日米首脳会談後の記者会見におきましても、ブッシュ大統領の方から、日本が連合諸国の一員として支援してくれたことに深い感謝の意を表し、日本は砂漠のあらし作戦に対して著しい財政的貢献をしてくれたと、こういったような公的な評価がございます。また、周辺国支援と申しますか、今度の中東の危機のために経済的な被害をこうむった周辺国に対しても二十億ドル相当の経済援助を行っておりますが、こういった国からも非常に評価を受けておると思います。
 それから、例えば湾岸で油が流出いたしましたが、その流出した油を除去するために急遽オイルフェンスでございますとかそういった資機材を、これは貢献策の一環として行ったわけでございますけれども、そういった点についても、量的にも早さの点においても湾岸各国は非常に高い評価を与えているというふうに理解しております。
#90
○田村秀昭君 昨年の十一月の三党合意で国連の平和維持活動、PKOですね、これの新しい組織を検討中と聞いておりますが、私は、世界のどの国でもPKOに参加している装備、人員は軍隊でありまして、自衛隊が参加しないと任務を遂行できないというふうに考えておりますけれども、官房長官にその辺の御意見をお伺いしたいと思います。
#91
○国務大臣(坂本三十次君) 先般の臨時国会で国連平和協力法というものを政府が法案を提出いたしました。国会における論議は皆様の方が御承知のことだと思うております。しかし、日本は憲法の建前から武力を出すというわけにはいかない。武力の行使または武力の威嚇ということはこれは憲法の精神から禁じられておるということでありまして、制約があります。ほかの多国籍軍のようなわけにはいかなかった。そこでできるだけの資金援助をやったということであります。
 しかし、日本とすればでき得る限りと思って貢献をしたつもりでおりますけれども、国際的な目から見ればやはりお金だけ出して、物だけ出して、それ以上の貢献はなかった、人の貢献がなかったということで、我々は武力を出す、軍隊を出す、自衛隊を出すということはできない、こういうことは皆知っておりますけれども、世界的な目から見れば、識者は理解をしておりましても、世界的な国民感情から見れば変わった国だなとこれは思っただろうと思います。そういう面で、しかし軍隊は出さなくても人の面で貢献ができないかというようなことも私どももよく考えてみたわけでありますが、国会の論議はなかなか難しかったということでありますし、やっぱり国内的なシステムもなかなかそういうふうになっていなかったということであります。
 そういうような状況のもとにおいて、しかしやはり人の面でも貢献をしなければいけないという気持ちは、やっぱり我が国の中でも許される範囲内において人の貢献は大事だという私はコンセンサスが今高まりつつある、そういうふうにも思うております。それで、平和協力法案が廃案になりましたが、そのかわりにと言うては何ですが、三党合意のPKOに対する協力ということが話題になりました。三党の合意はこれはもう皆様も御承知のとおりであります。PKO活動に対して、人道的な救援活動に対しても応援をしたい、こういうことであります。
 この三党合意につきましても、それぞれ各党中へ入れば、自分たちはもっとこうやりたい、いやこっちの方はこうやりたい、いやまあこの程度がいいというふうにいろいろ差があると思いますけれども、しかし皆がいろいろな意見を言われるのはそれも結構でありましょうけれども、日本の国としてやっぱり国際的貢献をやるということになりますると、国民的コンセンサスの上でやらないと民主主義の国ではできませんから、そういう意味で三党合意というものは私は意味があったと。
 今、委員がおっしゃるように、PKO活動といってもその本体は軍隊でなきゃできないんではないか、それは国際的な常識だとおっしゃる。それは確かに平和維持軍もこれは全く軍隊でありますし、停戦監視団もこれは軍人が全く主体であるということは、これはもう今度の湾岸危機における停戦監視団の構想を見ましてもやはり軍隊が中心になっておるということはこれまた事実であります。しかし、我が国は憲法上の建前、それから戦後半世紀にわたる幸せな平和というものの中の国民感情というものはなかなかそこまではいかない。民主主義の国でありまするから、できるだけひとつみんなで話し合って人的貢献のどの点ならできるかということを勉強する。PKOに対してどうすればいいかというコンセンサスをつくるという意味では三党合意は私は大きな前進であろうと思います。三党合意でなくて、そのほかの政党の方々もお入りいただいて、そしてもっと合意に達せられれば私はまたなお結構であろうと思うております。
 いろいろ三党合意につきましても、それはもう国際的には日本のやっておることはまだまだ通用しないという御批判もあろうと思いますけれども、しかしここは皆、中で小異を捨てて大同ができなければ日本という国の貢献は結局はゼロになる。それではやはりこれから通用しないんではないか。最初は一歩でも二歩でも前進をしていった方がいいのではないか。最終的に何もできないと
いうことになるよりも、私は一歩でも二歩でも前進した方がいい。小さく産んで大きく育てていけばいいじゃないかという気持ちもいたしておるわけでありまして、とにかく三党の公党が合意をされたことでございますので、私どももこの合意の線に沿ってできるだけの御援助がどうすればできるかということを政府なりに今勉強しておるというところでありまして、政府が前面に立って協力をしようというようなことになれば、私どもの方でもっと積極的にまた作業を進めるということもできるのではないかなというのが最近のちょっとした私の考えでございます。
#92
○田村秀昭君 国際的にひとりぼっちにならないようにぜひ前向きに御検討願いたいと思います。
 時間がございませんので、ミッドウェーが六カ月ぶりに横須賀に入港をいたします。同盟軍の戦士たちが帰ってまいりますので、ぜひ防衛庁長官は彼らの労苦をねぎらっていただきたいと思います。
 それと、学術会議の方に一つだけお尋ねしたいんですが、六十年から会員の選出が選挙制度から学会の推薦制度に変わって非常に学術の向上に寄与をする活動を展開されておられると聞いておりますけれども、国際的な貢献を通じての、学術を国際的な場で貢献していくという国際化の方向が今の国際化時代にとっては必ずしも十分でないような気がするんですが、学術会議の方から御答弁を願って、質問を終わります。
#93
○政府委員(舩津好明君) 日本学術会議は、世界の学会と提携して学術の進歩に寄与するために、国際的な学術団体への加入でありますとか、国際会議の主催、後援、あるいは海外における学術関係国際会議への代表派遣でありますとか国際協力事業の研究連絡等を行っております。
 この中でもとりわけ国際的な学術団体への加入は従来四十三件でございましたが、平成三年度にはこれを四十六件にするよう予定しております。また、国際会議の主催につきましては従来年間四件でありましたが、平成二年度からこれを六件に拡充するなど国際化の推進に努力しておるところであります。また、ことしは我が国で初めて日本学術会議主催の地球環境に関する国際シンポジウム、これを開催する予定になっておりまして、各界から関心が寄せられているところであります。
 以上でございます。
#94
○田村秀昭君 長官の方にはお願いをいたすだけで、もう時間がございませんので、ぜひ防衛問題の方を。
#95
○吉川春子君 まず最初に、公文書館の問題についてお伺いします。
 一番最初に官房長官にお伺いいたしますが、図書館、博物館と並んで公文書館は歴史資料、文化遺産の保存の立場から先進国も途上国も文化の三点セットの一つとして多くの国で整備されています。公文書館の整備は、最も古いフランスでは一七八九年、イギリスでは一八三九年、アメリカが一九三四年、西ドイツは一九五二年です。我が国は公文書館あるいは文書館の歴史は各国に比べて大変大きなおくれをとっています。関係団体の努力で公文書館法が議員立法として成立したのが一九八七年の十二月ですが、まだ魂が入っていない状態です。
 この公文書館には図書館における司書のように公文書館専門職、アーキビストとか公文書保管官というふうに言っていますけれども、これが必要なんですが、この専門官は保存すべき記録資料を管理する人のことなんですけれども、諸外国では非常にこの職業は社会的に地位が高く、またほかのいかなる人にも取ってかわることのできない独自の専門職という認識が一般になっています。日本では法律で置くことが義務づけられておりますけれども、現在一人もおりません。このアーキビスト、公文書保管官の養成についても非常に重要な緊急な課題ですが、官房長官におかれましては公文書館の必要性ということについてどういう認識をお持ちでしょうか。
#96
○国務大臣(坂本三十次君) 率直に言って、私も国会に結構長いですけれども、公文書館というものの重要性、それから公文書館をつくれというようなお話は余り昔は聞いたことは本当はありませんでした。ところが、そこに大島さんもおりますが、私の非常に尊敬する剣道の友人で岩上二郎さんという人がおられて、この人がけいこをして、その後にすぐ、我が国は公文書館がない、これでは先進国として恥ずかしいという話を私どもにして聞かせてくれました。それで私も、なるほどな、こう思っておりまして、岩上さん初め皆さんの御協力で我が国も先進国並みに公文書館ができたな、結構なことだと思うておりました。
 今御指摘のような、公文書館という組織はできたけれども、肝心のそこにスタッフ、人がしっかりしたのがいないというお話であります。これは歴史が浅いですから一気にできなかったでしょうけれども、人がいなかったら公文書館も本当に生きた活動ができませんので、今せっかく人員養成をしておるということを聞いておりますが、私としてもできる限りそういう人員の養成については応援をしていきたいな、こう思うております。
#97
○吉川春子君 今、長官がおっしゃいました専門家の養成ですが、一九八九年に国立公文書館長の諮問機関として公文書館における専門職員の養成及び資格制度に関する研究会を発足させて、この答申を待って専門家の養成に着手するとしていますが、国立公文書館にお伺いしますが、これまでこの会議の持たれた回数、一回の会議の時間、研究結果について報告してください。
#98
○説明員(溝口喜久君) お答え申し上げます。
 国立公文書館といたしましては公文書館に置かれる専門職員、いわゆるアーキビストの必要性にかんがみまして、アーキビストの業務に関連するところのいろいろの各分野の高い見識を持っておられる人々を集めまして研究会を発足させたことは先生先ほどお話しになったとおりでございます。
 この会議の第一回を平成元年の十一月二十四日に行いまして、以後平成二年の三月九日には二回、同年の十月十五日に三回、それからことしの三月二十八日に四回ということで過去四回研究会を開催してまいってきております。各回にそれぞれ二時間ないし三時間程度の検討会を積み重ねまして、専門職員の業務の範囲といいますか、どのような業務を担うべきであるか、あるいはまたその職員を養成するための方策はどうあるべきか、またその資格の認定と付与のあり方をどうやったらいいかなどの問題につきましていろいろと検討を重ねてまいってきているところであります。
 今後とも公文書館に置かれるアーキビストの重要性をよく認識しまして、なるべく早く結論を出すように努力を重ねてまいりたいと考えております。
#99
○吉川春子君 つまり一年に一回か二回なんですね。今三時間とおっしゃいましたけれども、うそでしょう。一時間半から二時間まででしょう、一回の会議の時間が。養成問題についてはようやく四回目で入ったところと。ここでもレクのときと同じことをおっしゃってくださいね。
 それで、いつ結論が出るかというのは本当にほど遠いわけで、これでは百年河清を待つに等しいのです。私はこういう専門家の養成を本気でやるのかどうか疑わしい。今世紀は日本はもうアーキビストなしで送るのか、こういうことにもなりますので、ぜひことしじゅうに結論を出してください。月に二回ぐらい会議をやったらどうですか。年に一回か二回でそんな一時間半か二時間ぐらいやって結論が出るとも思われません。だから、月に二回ぐらい会議をやってことしの十二月までに結論を出す、それを強く要求します。どうですか。
#100
○説明員(溝口喜久君) 会議の開催につきましては、その開催の間におきまして関連するいろいろな基礎的な調査というものを行う必要がございます。そういったことでその準備をしながら従来開催をしてきているところでございますが、なるべく回数の頻度も上げるような努力をすることが必要だろうと考えております。
 しかし、結論を出すまでの期間として考えられますのは相当かかるというようにも思われるわけでございます。その理由といたしましては、全く
新しい職制としての専門職員制度、アーキビストというものを我が国で導入するわけでございますので、これに関連しますいろいろな問題がございます。過去の研究会の中でも……
#101
○吉川春子君 ちょっといいです。会議の回数をもっとふやせないかどうかということです。
#102
○説明員(溝口喜久君) ただいまお答え申し上げましたように、開催までの準備のためのいろいろな調査をなるべく早くしまして、できるだけ回数を上げるように努力はしたいと思っております。
#103
○吉川春子君 そんなのんびりしたことでいろいろ理屈つけてもやる気がないということは数字がはっきりしているじゃないですか。だから、私はことしじゅうに結論を出すということを強く要求して、また次の国会でも質問します。
 現在、国立公文書館に各省庁が使わなくなった文書を移管しておりますけれども、情報公開制度との関係で、文書として残る以前に行政各局によって独断的に廃棄される危険性が指摘されているわけです。アメリカでは、各省の大臣などが参加する国家公文書保管委員会あるいはアーキビストが国立公文書館へ移す強制力を持っていますのでそういうことが防げるんですけれども、日本は今こういうことを防ぐ手だて、何か保障がありますか。
#104
○説明員(溝口喜久君) 各省庁から私どもの館へ公文書を送ってくるための基礎となりますところの各省申し合わせ事項というのがございます。その中には、永久保存と指定された公文書は三十年以内、また有期限の公文書は期限到来後一年以内、その他の保存期限の指定のないものにつきましては、各省庁で行政上の利用から外れていく、すなわち非現用になった段階で歴史的に重要なものと判断されるものは、これを公文書館に送るようにということが規定されてございます。
#105
○吉川春子君 強制力はあるんですか。
#106
○説明員(溝口喜久君) その精神に従いまして、私どもは館の開館後二十年を経過しておりますけれども、その間に約五十万冊の、これは四センチの厚さに換算しましたものでございますが、その移管を受けているわけでございます。そのように努力を重ねておるところでございます。
#107
○吉川春子君 質問に答えてほしいんですけれども、移管されていることは知っています、そういう委員会があるのも知っているんですけれども、それ以前に都合の悪い文書は各行政庁で廃棄しちゃう可能性もあるんですが、そういうことを防ぐ手だて、強制力を伴った手だてが今あるのかないのかと聞いているんです。それはどうですか。
#108
○説明員(溝口喜久君) 先生御承知かと思いますけれども、例えばフランスにおきます公文書館法あるいはアメリカなどでございますが、たしか法律の中に、公文書をつくった各行政機関が一定期間経過後、これを公文書館に送るべきことが法でうたわれている立法例が間々ございます。我が国の公文書館法におきましてはそのような規定がございません。ということでございます。しかし、その法律の中に歴史的な重要な公文書は国が保存すべき責任があることを書いてございますので、その精神を十分徹底し周知して、その趣旨に従って各省庁から我が館の方に送ってもらうようにいろいろと連絡会議なり調整なりをいたしまして、実行されますように努力しているところでございます。
#109
○吉川春子君 いかに努力されても強制力がないわけですから、そして今防衛庁と外務省の文書は現に国立公文書館には来ないわけでしょう、大部分は。だから、やっぱり法律でもって強制する、その前提として専門官あるいは専門機関の設置というのはどうしても必要になるわけなんです。
 例えば記録資料、公文書の完全な保管は国の責任なんですけれども、強制連行された朝鮮人の名簿がなくて国際的にも今問題になっていますし、前回私、満蒙開拓団について質問して、団員の名簿さえない、日本に帰り着いた人の人数さえわかっていない、こういうことについて質問したわけなんですけれども、もし仮に日本にちゃんとした国立公文書館があってこれらを保存していたら、朝鮮人の名簿も満蒙開拓団の人の名簿も残っていて、悲劇は悲劇ですけれども、その後の処理の仕方がまたかなり変わってきたと思うんです、二重の悲劇を起こさなくて済んだわけなんです。だから、そういう意味で、公文書の保存について諸外国のような強い権限を持った公文書保管機関がなければ、時の権力によって都合の悪い公文書というのは抹殺されてしまうんです。もう私たちはそれを経験しているわけなんです。
 私は、去年、ワシントンDCのナショナルアーカイブズを見てきましたけれども、アメリカの国立公文書館というのはなかなか大したものです。こういう点はアメリカをまねてほしいと思うんですね。日本は四十人しかいない、アメリカの国立公文書館では職員が五千人以上いるんです。それでやっているわけですから、やっぱり民主主義の度合いが違うなということをあそこへ行って実感したわけなんですけれども、日本も本当に平和で民主的な、しかも文化国家となるためにも公文書館の整備、中身の充実、専門官の養成というのを大急ぎでやるように私は強く要請して次の質問に移ります。
 次は、T4ジェット練習機訓練問題ですけれども、まず最初に防衛庁長官にお伺いします。
 去る三月十二日の午前、静岡県浜松市の航空自衛隊浜松基地の第一航空団所属のジェット練習機が訓練中に遠州灘に墜落して、乗員二名が死亡いたしました。浜松基地では、八二年の航空祭のブルーインパルスで、航空機T2が墜落災上して十三名の死傷者を出すという大惨事がありました。それで今回の事故です。この航空機はこれまでもエンジントラブルを続発させています。市民は大きな不安を抱えているんです。そもそも人家が密集する五十万都市の真ん中に基地がある、この上空で訓練を行っていること自体問題で、極めて危険なわけですが、それを今度浮き彫りにしたわけなんです。一歩間違えば市民を巻き込みかねない重大な事故だったんですけれども、この事故の責任についてまず最初に長官にお伺いします。
#110
○国務大臣(池田行彦君) 先般の浜松基地におきますT4の事故につきましては、まことに遺憾なことで残念なことである、このように考えております。しかし、幸いにしまして一般の市民の方々に対する被害というものが避けられたという点は不幸中の幸いだと思っておりますけれども、しかし、有為の自衛官二名を失ったということはざんきにたえないことでございます。
 原因等につきましては、目下調査の最中でございまして、まだ現在の段階で確たることは申せませんけれども、原因を究明した上、今後とも安全対策につきましては万全を期してまいりたい、このように考えている次第でございます。
#111
○吉川春子君 どういう訓練をしているときに墜落事故が起きたんでしょうか。
#112
○政府委員(小池清彦君) 航法の訓練をいたしまして基地に帰投するときに起きた事故でございます。
#113
○吉川春子君 岐阜の基地でタッチ・アンド・ゴーをやって、そして幾つかのポイントを回って帰るときということですか、どうですか。
#114
○政府委員(小池清彦君) 一定の航路を決めまして、そこで航法の訓練をいたしまして、そして帰投したわけでございます。
#115
○吉川春子君 以前にもトラブルを起こしているこのT4なんですけれども、そのときのトラブルは原因は何だつたんですか。
#116
○政府委員(上原祥雄君) 御指摘のトラブルは飛行中のT4がエンジンに対してトラブルを起こしました場合のことだというふうに考えておりますが、これは双発でございますが、そのときの一台についてふぐあいが発生したものでございます。そのトラブルの主要な問題はタービンブレードが折損したということでございますが、いずれの場合におきましても当該機は無事に着陸しておりまして、搭乗員等に対する被害は出ておりません。
 このふぐあいの発生原因と申しますのは、タービンブレードの振動等によるものでありまして、防衛庁としましては、このふぐあいの発生の都度
エンジンの検査、振動低減機構の装着等を実施いたしまして、それによって現在T4型機の全エンジンが、その振動低減機構の装着を行っておりました関係上、それ以降はタービンブレードの折損といったふぐあいは発生しておりません。
 いずれにせよ、防衛庁としましては、T4型機及び本エンジンの安全な運用ということを図ってまいりたいと考えております。
#117
○吉川春子君 その四回の事故はそれぞれ別の機体ですか。
#118
○政府委員(上原祥雄君) 業務改善は一応全機に対して実施しております。
#119
○吉川春子君 まだそれは聞いていないんです。
 四回事故を起こしたのはそれぞれ別の機体ですか。
#120
○政府委員(上原祥雄君) さようでございます。
#121
○吉川春子君 それで、四回そういうタービンブレード折損事故があって、すべての機体に対して全部直したわけですね、事故を起こしていない機体についても直した、こういうことですね。
#122
○政府委員(上原祥雄君) そのとおりでございます。
#123
○吉川春子君 そうすると、T4はエンジンに欠陥があった飛行機だ、機種だというふうに言えると思うんですけれども、今回また同じT4で事故があったわけなんですけれども、やっぱり同じ原因で事故が起こったのかもしれないじゃないですか。それを原因は究明しないですぐに飛ばすということはおかしいと思うんですが、事故の原因については今度は何だというふうに考えていますか。
#124
○委員長(井上孝君) 小池局長、もうちょっと大きな声で答弁してください。
#125
○政府委員(小池清彦君) 事故の原因につきましては、現在調査中でございますが、ただいまのエンジンにつきましては、墜落した場所が浅かったこともありまして、エンジン二基とも回収することができました。中を調べてみましたところ、エンジンが原因で墜落した可能性は極めて薄うございます。
#126
○吉川春子君 エンジンが原因ではないらしいということですけれども、しかし原因もはっきりしないうちにまた訓練を再開したというのはおかしいじゃないですか。少なくとも事故原因ははっきりさせてからでないと、また同じような事故が起こる可能性があるんじゃないですか。
#127
○政府委員(小池清彦君) ただいまも申し上げましたように、墜落したところが浅かったこともありまして、エンジンを二つとも回収をいたしましたし、機体も大半を回収いたしております。その調査をいたしましたところでは、エンジン、機体が原因でこのたびの事故が起きた可能性は極めて薄うございます。そういうこともございまして、私どもといたしましてはこれから申し上げますような措置を講じました上で訓練を再開したということでございます。
 どのような措置を講じたかと申しますと、まず事故の発生後このT4型機全機につきまして操縦系統、燃料系統、エンジン系統等の特別点検を実施いたしました。その結果、異常は認められませんでした。これが一つでございます。次に、T4型機の操縦者全員に対しまして、飛行安全のための教育を実施いたしました。これが二つ目でございます。それから、これらのことを実施いたしました後、全機、あらゆるT4型機につきまして、ベテラン操縦者による確認飛行をそれぞれの機体について実施をいたしまして、確認飛行を終了した航空機から要務飛行及び訓練飛行を再開した、こういうことでございます。
#128
○吉川春子君 一番早く飛行を再開したのはいつですか。どこの基地ですか。
#129
○政府委員(小池清彦君) 確認飛行を一番最初に実行いたしましたのは二十日でございます。確認飛行の後、飛行をいたしましたのは――どうも申しわけございません、二十日ということでございます。
#130
○吉川春子君 もう事故が起きて一週間ぐらいたってから、すぐまた再開をしているということはけしからぬと思うんですけれども、そうすると、その原因はパイロットのミスというふうに見ているんですか。
#131
○政府委員(小池清彦君) 原因につきましては、現在鋭意事故調査中でございますので、発言を控えさせていただきたいと存じます。まだ現在事故調査中でございます。
#132
○吉川春子君 都合の悪いときになると事故調査中で逃げるんですね。
 搭乗していた教官はブルーインパルスのパイロットでもあって、非常に技量の高いパイロットだというふうに聞いていますが、そうですか。
#133
○政府委員(小池清彦君) かつてブルーインパルスの一員であったことがございます。
#134
○吉川春子君 事故調査委員会のことですけれども、この事故調査委員会というのは、要するに自衛隊の中につくられていて、第三者も入っていない、ういうことですね。明らかになった後、全部国民に公表するようなそういうシステムにもなっていないのじゃないですか。
#135
○政府委員(小池清彦君) 事故調査の結果は、私どもはその都度公表させていただいておる次第でございます。
#136
○吉川春子君 事故調査委員会のメンバーはどういう人なんですか。
#137
○政府委員(小池清彦君) 事故調査委員会のメンバーは、これは航空幕僚監部の教育課長、防衛課長、運用課長、整備課長、技術第二課長、専任副監察官、次席衛生官、航空安全管理隊航空事故調査部長が委員でございまして、そのほかに主任調査官、調査官、専門調査官が任命されております。これが航空自衛隊における、航空幕僚監部に置かれた事故調査委員会でございます。
 なおこのほかに、防衛庁におきましては、自衛隊航空関係事故防止対策委員会というものが別にございます。これは事務次官を長といたしました全庁的な組織でございます。このただいま申し上げました自衛隊航空関係事故防止対策委員会が事故原因の調査の総括をいたしますとともに、航空安全対策を総点検し、今後の航空事故の防止対策を検討するというシステムになっておりまして、航空自衛隊における事故調査委員会だけがこの事故を取り扱うということではないことを御理解いただきたいと思います。
#138
○吉川春子君 前回のエンジントラブルのときは、少なくとも四十日間飛行訓練を停止して、そして改修措置をとったわけですけれども、今回伺うと、十二日に事故があって二十日からは飛んでいるわけです。しかも、いろいろ伺うと、いや今事故の調査中です、こういうふうにおっしゃるわけです。事故の原因がはっきりしないうちに訓練を開始し、あるいは訓練機をいろいろな用途で飛ばしている。こういうことはおかしいと思うんです。非常にT4というのは新しい練習機で、新しいものがそんなにたびたび事故を起こすということ自体おかしいわけですから、欠陥機の可能性も指摘されているわけですし、もっと慎重に事故の原因究明が二つの委員会で行われて、それを国民に発表した後、本当に大丈夫だということになってから訓練なりその他の飛行を開始すべきであるわけです。
 時間がなくなりました。最後に防衛庁長官に伺いますけれども、私は、それまではT4の飛行訓練は中止すべきだ、このことを強く要求いたしますが、長官の御見解はいかがですか。
#139
○国務大臣(池田行彦君) 先ほど来局長の方から御答弁しておりますけれども、T4についてたびたび事故が起きたという話でございますけれども、四回起きたというのは事故というよりもエンジンのふぐあい、トラブルでございます。そして、現実にその四機とも帰還しているわけでございます。そして、そのエンジントラブルの原因というものは、いろいろ調べましたところ、ブレードの破損ということで原因が究明されましたので、それを改善するための措置をとったわけでございます。そういうことをひとつ御理解ちょうだいしたいと思います。
 それから二つ目に、今回の事故につきましては、
現在まだその委員会で調査中でございます。それはそうでございますから、まだ原因がわからないわけでございますけれども、これも先ほど申し上げましたように、エンジンは二個とも回収され、これはチェックの結果、エンジンに故障なりトラブルが生じたのではないということがほぼ明らかになっておる。それからまた、機体についてもかなりの部分が回収されておりまして、エンジンも含めて機体のふぐあいが事故の原因になったという可能性は非常に薄いんじゃないか、ここまでわかっておるわけでございます。
 そういった二つの点、かつてのエンジントラブルの原因は排除されたということ、それから今回の問題について、エンジンなり機体が事故の原因になった可能性は少ない、この二つをまずその助因といたしまして、さらにその上に機体についても、エンジンについてもちろんチェックした上に、一つ一つ確認飛行をやった。それからまた、要員につきましても安全運航のためにその再教育その他に必要な措置はとった。それだけの措置をとって飛行を再開したわけでございますので、私どもといたしましては、現段階においてとり得る限りの安全対策また配慮はしているつもりでございます。なおこの上も安全のためには万全を尽くしてまいりたい、こう思っております。
#140
○吉川春子君 終わります。
#141
○太田淳夫君 それでは、最初に防衛大学校の卒業生の問題についてちょっとお尋ねしたいと思うんですが、防衛大学校の卒業生は今何期になっているんでしょうか。
#142
○政府委員(小池清彦君) 三十五期でございます。
#143
○太田淳夫君 そうしますと、三十五期も重ねますと、もう第一期生なんというのは相当な高い地位につかれているんでしょうね。どういうような地位、一番上の人は大体今どの辺になっているんですか。
#144
○政府委員(小池清彦君) 陸海空、それぞれの幕僚長が第一期生でございます。
 なお、もはや第一期はほとんどの者が退官をいたしております。
#145
○太田淳夫君 特にことしは卒業生のうち任官拒否、いわゆる辞退をされる方が非常に多かったと聞くんですが、実態はどうでしょうか。
#146
○政府委員(小池清彦君) 本年の任官辞退者は九十四名でございます。
#147
○太田淳夫君 今年度の卒業生は、入学されたときは何人ですか、それで途中で中退された人もみえるんじゃないですか。
#148
○政府委員(小池清彦君) 入校いたしましたのは五百九十一名でございます。その中で中途退校者は八十五名おりました。
#149
○太田淳夫君 そうしますと、中退者、任官拒否者を含めますとその数は百七十九名ということになるわけですね。入学をされた人は五百九十一名で、途中でやめられた方あるいは最後にやめられた方を含めますと百七十九名でございますので、約三〇%の人が防衛大学校にせっかく入学をされながら去っているわけでございます。そして、今回が過去最高の数字だと言われているわけです。この問題につきましては、きょうばかりではありません、今までもこの内閣委員会ではいろいろと同僚委員からも取り上げられてまいりまして、防衛庁としても、政府としてもこの問題については対処を考えていくべきではないかということがもう何回も取り上げられておるものですね。どういうような対応をされてきたんでしょうか。
#150
○政府委員(小池清彦君) 今までも私どもはこの任官辞退の防止のためにでき得る限りの努力を続けてきたつもりでございます。
 まず、防大におきましては、入ってこられた大切な御子弟たちができるだけ快適なかつ充実した学生生活を送れるようにいろんな施策を講じてまいりました。また、これらの人たちが防大を卒業いたしました後、幹部自衛官になりましてからも自信を持ってやっていける、そういう職場をつくらなければならないということで、国民の方々の自衛隊に対する親しみを増していく、そういうためのいろんな施策も講じてきたわけでございます。また自衛官の処遇改善につきましてもいろんな施策を講じてきたということでございます。
#151
○太田淳夫君 私もかつて卒業式に同席をしたこともございます。ただ残念なことは、任官拒否をされた方々の三分の一の人が、自衛隊に魅力がない、こうおっしゃっているわけですけれども、この理由についてはやはり防衛大学としても真剣に考えて対応されてるんでしょうか。
#152
○政府委員(小池清彦君) 防衛大学校におきましては、ただいま私が申し上げましたように、本当に懸命な努力を続けてきたわけでございますけれども、何分にも、別の観点から見てみますと、国防の重要性を十分認識して入校してくる者というのがそもそも入ったときには少数でございまして、例年一〇%に満たないというような状況のところから防大の教育が始まるわけでございます。そういうことが一つあると思います。
 それから、最近の好景気のもとで民間企業の就職動向が依然として好調であるというようなこともあると思います。また、最近の若者に厳しい仕事を嫌う傾向があるということもあるわけでございまして、私もかつて防衛大学校の総務部長を二年弱やらしていただきましたけれども、防大生の生活は、朝から夜まで集団生活ということで、また訓練も課されますし、やはり一般の大学生に比べますと相当に厳しいものがございます。そういういろんなことが原因となっておるというふうに考えられます。
#153
○太田淳夫君 防衛大学の学生に対しましては学生手当等で一人当たり年間約五百万円の金が、国費がかかっているとも言われているわけでございますけれども、それにかかわらず任官をしない、しかも何らの償還金も返却しないということになりますと、やはり一般の国民感情としてもなかなか納得できない点がいろいろあるんですね。その点でいろいろと言われているわけでございますが、この点については依田事務次官も記者会見の中で、国を守る職業を選ぶのに、お金を払えないから残るとか、おれは払えるから出ていけるという関係はいかがなものかということでお話しされているようですが、ちょっと意味がよくわからないんですが、防衛庁長官としてはどういうふうにお考えでしょうか。
#154
○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。
 まずその前に、任官辞退が非常に多いということ、まずその原因について今いろいろ御質疑もあり、また局長の方から御答弁いたしましたけれども、私なりに考えてみますと、基本的にはやはり日本の社会というものが極めて自由な社会である、そういった意味では、職業選択の自由なども完全に保障された社会であるということが一つこれはあると思います。さらに、近年民間でもどんどん転職をされる、これがいわば当然というような風潮もある、それがまた可能な社会の状態でもある。いわばソーシャルモビリティーというものがずっとふえているという、こういうこともあると思います。
 さらに申しますと、先ほど局長の方からございましたけれども、何と申しましても入校いたしますのは十八歳のまだ若いところでございますから、そこで完全に進路を決めるというのは無理があるんだ、こう思います。そういったいろいろな要素が入りまして、さらに現在のところは大変な好景気で就職も非常に簡単であるということも影響していると思います。そんなことがいろいろありまして任官辞退がふえているんだと思うのでございます。
 しかしながら、確かに今回のような九十四名の任官辞退ということを考えますと、いろいろな内外情勢の変化、その中での自衛隊のあり方について疑問を持ったという面がなかったとは言えない、このように思います。
 さあ、そういったことを踏まえて、一体どういうふうに施策を講じていくかということはいろいろな面からやらなくちゃいけないのでございます。具体的には、防衛大学校なり自衛隊、あるいは防衛庁でなすべきことについては先ほど局長からも若干ございましたけれども、私は一番大切なの
は、自衛隊の処遇改善をするとかあるいは防大生の居住環境であるとか手当をよくするということだけではなくて、やはり防衛というものの意義、あるいは自衛隊というもののレーゾンデートルというものが国民の皆様方の中でしっかりと適正に位置づけられるということが一番じゃないか、それがやはりやりがいがあり誇りを持ってその任務につける。そしてまた、防衛大学を卒業して入る、こういうことになるんだろう、このように考えておる次第でございます。
 そして、ただいま具体的な御質問の、かなりの国費がかかっておるじゃないか、それはそのとおりでございます。それの返還等の措置を講じたからいかがかということでございますが、確かにこれも一つの御意見でございまして、私どもといたしましても過去にそのようなことも含めていろいろ長期的な課題として検討したことはございます。しかしながら、現時点でいろいろ考えてみますとどうなんだろうか、確かに辞退は多いけれども、しかし一たん任官しました者の定着率というのは大体八割ぐらいになっておりまして、これは各国の状況なんかに比べましても非常に高い率でございます。そんなこともある。
 それからまた、何と申しましょうか、ほかのいろいろな機関を見ましても、防衛大学校と全く同じではございませんけれども、政府の各省あたりにもいろいろな教育機関がございます。そういったところでもやはり国費を支弁して養成しているわけでございますけれども、やはりいろいろな理由で期待された道へ進まない者もいる。そのときに、これを返せということはやっていないようでございます。いろいろ調べてみますと、やっておりますのは、国の関係では我が方にございます防衛医科大学校、ここの場合は返還を求めております。そして、似たものとして自治医大でございますね。自治医大もやはり返還を求めているようでございます。しかし、これはやはりお医者さんという特別の資格につながるものでございますので、そういった意味で、それにつながる部分を返還しているということでございます。そういうこともやはり横並びも考えなくちゃいけないんじゃないかと思います。
 それから、事務次官がお金を返せばということを言ったという御指摘がございましたけれども、そういう観点もあると思うのでございます。金を返せばもうどんどん転職してもいいという風潮がいいのかどうなのか。また、そういったことが、あるいは言葉は適切じゃないかもしれませんけれども、こういう雇用情勢等でございますから、防大生には随分優秀な者もおりますから、民間の方から引き抜きなんということもあるいは広がってくるかもしれない。
 あれやこれやございますので、私どもも長期的に一体どうするかということを考えていくときの一つの可能性として考えておりますけれども、現段階ではこういったものを返還を求めるという方策は任官辞退を減少せしめるとか、あるいは防大生の意識を高めるということには必ずしも結びつかないんじゃないかというふうな感じを持っている次第でございます。
#155
○太田淳夫君 いろいろ抜本的な対応も考えていただきたいと思うんです。
 もう最後ですけれども、官房長官に政府専用機の問題でちょっと御質問しようと思ったんですが、時間がなくなりましたので、政府専用機、またこれを防衛庁が運航管理をするというようなことも一部に報道されているようですが、そうなりますと自衛隊法等の改正というのがまた問題になってくると思うんです。
 そこで、その問題にはきょうはちょっと触れる時間はございませんけれども、前回の予算委員会でも私は総理に申し上げましたけれども、例の自衛隊機の輸送です。自衛隊輸送機の派遣の特例政令、あの問題については、もうニーズがなくなったならば、これは必要な時期に必要な手続をとってなくすということを総理は約束されていますね。この問題についてどうでしょうか、外務省のいろんな報告を聞きましても、避難民輸送のニーズというものがもうなくなりました、もう戦争も終結をしました、国連の決議をイラクも受諾する方向にあるようでございます。そういうことを考えますと、もうこういう特例政令は必要ない。これは今までのように残しておく、政令は必要なくなっても残すということじゃなくて、完全に手続をしてなくすということを総理は約束されているわけですが、その点どうでしょうか、どのように手続をとりますか。
#156
○国務大臣(池田行彦君) この政令は私ども防衛庁の方の主管でございますので、私の方から御答弁さしていただきます。
 御承知のとおり、この政令は、その対象は湾岸危機に伴って生じた避難民の輸送、そして国際機関からの要請に応じてと、こういうことになっておるわけでございます。そういったニーズというものが完全になくなってしまいますと、これは廃止という措置をとるまでもなく実際上その効力を失う、そういった法律的な性格を持つものでございます。
 しかしながら、ただいま委員御指摘のとおり、これまで総理の御答弁の中で、そういう効力失効云々ということは別として、そこはきちんとした処理をとるつもりだからと、こういった趣旨の御答弁をしておられますので、私どももそのように考えております。ただ、現在そういったニーズがまだ完全になくなったとは申せません。国際機関の方の意向も定かじゃございませんし、その辺の状態を見ながらまたよく考えてまいりたい、このように考えております。
#157
○磯村修君 ただいま防衛大学校の任官拒否者あるいは中退者のお話がありました。こういうふうに大勢の方が任官を拒否したりする一つの理由を考えた場合、自衛隊というのは自衛隊法で定められている任務がございます。そうしたいわゆる国防という任務以上の、いわば海外派遣というふうなことが今回の湾岸危機の問題によって出されたわけです。
 そうしたいわゆる学生たちの持っていた国防意識というものと、それから忽然として特例政令によって海外に派遣するというふうな一つの根拠を持つような対応の仕方、そういうものに対する学生たちの信頼といいましょうか、防衛行政に対する信頼、あるいは防衛大学校における教育の中の信頼、そういったものに対する不信感というものが持たれて、何か自衛隊というものに対するあきらめといいましょうか、そういうものがあったんではないかというふうに一つの理由の中には考えられる点もあるんですけれども、長官その辺どういうふうにお考えになりますか。
#158
○国務大臣(池田行彦君) 確かに、今回の九十四名の任官辞退者の中で、理由というものをいろいろ聞いてみますと、家庭の事情であったりいろいろあるわけでございますけれども、その中に自衛隊の魅力が云々というのもございましたし、また湾岸情勢を挙げる者が十名ぐらいでございましたか、ございました。しかし、これもこういった世の中の動きの中で答えるものでございますから、本当にそれが原因なのかどうなのか、これは必ずしも適切な表現じゃないかもしれませんけれども、本人自身もわからない部分もこれはあるんだと思うのでございます。しかし、やはり一連の内外情勢、その中でのいろんな議論というものが影響したという面は否定し切れないと思います。
 そうして、それは自衛隊の本来の任務についての防衛庁なりあるいは政府としての対応に問題があったんじゃないか、そういう御趣旨の御指摘だと存じますけれども、私は必ずしもそのようには思わないのでございます。もとより、自衛隊の任務というものは自衛隊法三条にもございますように我が国の防衛でございます。それが主たる任務でございますけれども、しかし同時に、自衛隊の持つ力なり組織なりというものを活用していろんな仕事をしていく、これは国内においては例えば土木であるとか輸送であるとか、体育大会なんかの支援とか、あるいは海外におきましては南極の話とかいろいろあるわけでございます。そういった任務もあるわけでございます。そういったこと
は防大生もきちんとよくわかっておると思います。
 それから、我が国の憲法との関係でどうかということも、防衛大学校におきましては法文系だけじゃなく理工系もきちんとした憲法の講義もやっておりますので、そういうことについてはわかっております。
 それから、今回政府がいろんなことを考えましたC130の避難民輸送の問題についても、これは私どもももとより憲法の認めるところであるし、それからまた法律の関係でいろいろ御議論はございましたけれども、私どもは法律で議会、国会から授権を賜ったその範囲内だと思っております。だから、そういったことは防大生も非常にちゃんと理解しておるんだと思います。だから私は、そういった政府の対応というよりも、そういった問題についていろんな議論がございました。その中では、これは憲法の範囲内の話であるにもかかわらず、いかにも憲法の枠外の話であるとか、それから派兵ではない派遣なのでございますけれども、派兵であるというような議論が出たとか、そういった自分たちのこれまで信じておった自衛隊のあり方というものが必ずしも十分に国民の皆様方の中に御理解できていないなというところにいろいろ複雑な思いをしたんじゃないか、このように考えております。
 そういった意味では、こういった御議論を通じて自衛隊のあり方に対する御理解が深まっていき、適正な位置づけがされていくならば、防大生の気持ちにもまたいい影響を与えるんじゃないか、このように考える次第でございます。
#159
○磯村修君 次に、自衛隊の定員の問題なんですけれども、今非常に景気がよいというふうなことで民間企業への就職が大変……
#160
○委員長(井上孝君) 磯村君、もうちょっと声を大きく。そちら近いでしょうけれども、みんな聞いていますので。
#161
○磯村修君 自衛隊の募集の件なんですけれども、定員の件なんですけれども、非常に今景気がよいために若者たちがみんな民間企業に走る、そういう傾向が強いと思うんです。統計面から見ましても、ちょうど隊員の募集適齢人口という年齢に当たる十八歳くらいの人たち、これが非常に少なくなって、年々これは少なくなっていく、あるいは高校卒業生の就職もだんだん年を追うごとに数が少なくなってきます。
 そうした中で、今でも大変厳しい環境の中に置かれている隊員の募集も非常に将来さらに悪化していくというふうなことが考えられます。こういう状況につきましてどういう認識を持っておられるか、まずお伺いしたいと思うんです。
#162
○国務大臣(池田行彦君) 御指摘の点はそのとおりでございまして、平成二年度におきます募集も大変従来に比べて難しくなっております。応募者の数は一割程度減ったという状況であります。ただ、これは果たして自衛官だけの話なのかどうか。政府の各機関でもいろいろ御苦労、御苦心なさっておるというふうに聞いておりますし、民間でも同じようなことはあると思います。
 しかし、いずれにいたしましても、現在もそういう状況でございますし、今後その適齢者が減っていくのはそのとおりでございます。我々が士、曹の対象としております十八歳から、この間延長しまして二十七歳までにしましたけれども、その層で見ますと、大体五年後ぐらいにピークを打って、それからずっと下がってくるのだと思います。十八歳はことしあたりがピークだと思いますね。そういったふうにいわば人的な面からの制約、これは今後ますます強まってくると思いますので、その辺は私どもも真剣に対処してまいりたいといろいろ方策を講じている次第でございます。
#163
○磯村修君 そういう意味において、大変隊員が不足してくるという状況の中でもって、現在、例えば陸上自衛隊の隊員の充足率というふうな問題をお伺いしたいんですけれども、各師団の充足率とそれから装備の充足状況、これをお伺いしたいと思います。例えば、充足率が非常に低ければ余る兵器もありますね。そうしますと、大変これはむだではないか。そういう面から考えてももう少し予算を縮小できるんじゃないか。こういうこともとらえられるんですけれども、その辺の実情とお考えをお聞きしたいと思うんです。
#164
○政府委員(畠山蕃君) 陸上自衛隊の人員の充足率と主要装備の充足率という御質問がまず第一点でございますが、主要装備につきましては、普通科、戦車、特科、その他おおむね一〇〇%とお考えいただいて結構でございます。それに対しまして人員の方は、普通科が一番低くて七〇%程度、戦車ですと八〇%程度、大体そんなような感じになっておりまして、平均では陸上自衛隊は今八四・五%という形になっているわけでございます。
 それで、御指摘の第二点でございますが、そのような装備品の調達を人員の充足に合わせる程度の充足率にした方が効率的ではないかという御指摘だと思いますが、実は装備品の方は調達に数年を要するものが結構多くございまして、したがいまして平時からといいますか、ふだんから必要なものを装備しておく必要があるということでございます。それに対しまして人員の方は、常日ごろの部隊の訓練に支障を生じない、来さない限度におきましてこれをある程度充足を下げておるということもやむを得ないのではないかということから、普通科を中心に充足を下げた状況を甘受しているという状況でございまして、装備品が将来、例えば有事といったときに緊急に充足しなきゃならないというときに備えまして調達期間がかかるものをふだんから装備しておくということでございまして、決してこれがむだになっているということではないと信じております。
#165
○磯村修君 隊員の充足率が一〇〇%までいかない状況の中で、例えば二月の新聞報道によりますと、お互いに隊員を融通し合って、それぞれの隊が融通し合って訓練をしているというふうなことも報道されております。そういう状況の中で、精鋭部隊と支援部隊、精鋭とそれから教育を主とした支援部隊といいましょうか、そういう組織を精鋭と支援に区別して隊を編成するというふうなことが報道されておりますけれども、それは事実ですか。
#166
○政府委員(畠山蕃君) ただいまの委員の御指摘は二月二十日付の読売新聞で出ました「基幹部隊を再編成」という点のお話かと思いますけれども、その報道は存じておりますけれども、防衛庁としてそのような方針を決定した事実はございません。今後、新中期防の中に自衛官定数を含む防衛力のあり方の検討ということで、その一環といたしまして中長期視点に立って部隊編成のあり方について所要の検討を行っていきたいというふうに考えておるところでございます。
#167
○磯村修君 もう一つお伺いしたいんですけれども、隊員の人的なことでなかなか定員に満たないというような面もございます。
 そうしたことから考えて、部隊編成というものを少し考えたらどうか。例えば、隊員が定員よりか少ないわけですから、ですから師団をある程度削減したり、あるいは部隊編成を改編したりというふうなきちっとしたことをやる必要があるんじゃないかと思うんです。そして、欠員の多い部隊をあちこちに駐屯させるんではなくて、もう少し効率的に機動的に動ける機動部隊というふうなものをつくっておけば、今のような散在している基地あるいは演習場というものは縮小できるはずだ、こういうふうに私は思うんです。効率的に運用できると思うんです。無理に、欠員があるにもかかわらずいっぱいあちこちに部隊編成しているということよりか、もっと効率的に組織編成というものを考えていけば、それだけ余る駐屯地あるいは基地、演習場というものが出てくるはずなんですね。それはやっぱりこれを開放することによって地域に貢献することもできるわけですから、その辺のお考えはあるかどうかお伺いしたいと思うんです。
#168
○国務大臣(池田行彦君) まず申し上げたいのは、例えば現在充足率が陸上自衛隊の場合八四・五%としておりますのは、決して募集ができないから
落としているというわけじゃないのでございます。これはやはり、平時においてはそのぐらいでやっていこう、こういう話であるということをひとつ御理解いただきたいと思います。
 そして、やはり人数がそんなに少ないのならば、集めてしまってもう少し動かせばいいじゃないかという話がございますけれども、それはやはり現在の日本の防衛をいかにすべきかということは、御承知のとおり五十一年に策定いたしました大綱で決めておるわけでございまして、そこではやはり師団数はこれだけ要る、こういう装備、こういう配置とやっておるわけでございますので、現在の段階ではそれをまとめてしまって師団数を減して動かせばいいというわけにはまいらない、このように考えております。充足率というのは先ほど申し上げたような性格のものであると御理解いただきたいと思います。
 ただ、将来の問題といたしましては、先ほど防衛局長の答弁の中にもちょっと入っておりましたけれども、人的制約がますます強まってくるということも勘案いたしまして、この新しい中期防、ことしから始まりました、この期間中にそういった点を、定員の面も定数の面も含めていろいろ考えていく、そういうことになれば定数がどうなるか、それに伴って編成がどうなるかということも将来の問題としては考えておるわけございますが、これはこの新中期防の終わるまでに、すなわち平成七年度の終わりまでにいろいろと検討していこうということでござます。
#169
○田渕哲也君 私も、まず防衛大学の問題で質問をしたいと思いますが、入学の応募者というのはたくさんあるわけですか。
#170
○政府委員(小池清彦君) 今突然のお尋ねでございますので、正確な数字は御容赦いただきたいと思いますが、毎年八千名は超えていたと思います。
#171
○田渕哲也君 そうすると、非常に倍率は高いといいますか、応募者は多いわけですね。それだけたくさん希望者があるという理由はどこにあるとお考えですか。
#172
○政府委員(小池清彦君) やはりまた自分の経験になって恐縮でございますけれども、私が防大の総務部長をやっておりましたときの経験からいたしますと、確かに自衛官にふさわしいというようなそういう青年が本当にたくさん入ってまいります。やはりそういう人たちが世の中にたくさんいるということが一つあると思います。同時にまた、防大の試験が普通の国立大学、私立大学よりも早いこともありまして、小手試しに受けてみようという方がおられるということも、それはやはり事実だと思います。そのようなことがいろいろ原因となりまして、非常に多数の方々が受験されるということになっているのだと思います。
#173
○田渕哲也君 それから、卒業生の中で任官を拒否された人たちは民間企業へ就職されるわけですか。
#174
○政府委員(小池清彦君) 民間企業へ就職する者もおりますし、大学院を受験して大学院へ入る、そういう者も中にはおります。
#175
○田渕哲也君 これは確かに任官拒否者は非常に年々ふえているわけですけれども、ただ任官数そのものは減っておりませんね。だから、実際上の差し支えはないということになりますか。
#176
○政府委員(小池清彦君) 本年の卒業者について申します限り、任官者は過去七年間で最高でございます。したがいまして、先生のおっしゃいますようなことも当てはまるかと思います。
#177
○田渕哲也君 自衛官の中の人の配置その他を考えると、大体四百名前後の任官者があれば十分というふうに考えていいわけですか。
#178
○政府委員(小池清彦君) 大体で申し上げますと、現在の自衛隊の全幹部のうち防大出身者は三割弱でございます。この辺の数字はなかなか妥当な率ではないか、そのように考えております。
#179
○田渕哲也君 そうすると、やっぱり九十四名ぐらい任官拒否者がいてくれた方がちようどいいということになるんじゃないですか。全部任官されたら幹部候補生が多くなり過ぎるということになりませんか。
#180
○政府委員(小池清彦君) そのようなことはございませんで、全体の幹部の三割弱でございますので、これが四割になったらいけないか、そのようなことはないわけでございまして、現在の実情からいきますと、一般大学出身者の方々で自衛隊を目指される方で幹部自衛官としてふさわしい資質を持った方が多数来ていただくということがかなり困難な状況にもございますので、任官をこのたび辞退されました九十四名の方が任官を拒否されなかったらその方がはるかによかった、このように考えております。
#181
○田渕哲也君 卒業生の数自体がずっとふえておるわけですが、これはやっぱりある程度任官拒否者が出るということを見込んでふやしてきておるということですか。
#182
○政府委員(小池清彦君) そのようなわけではございませんで、防大の学生定員はもうこのところ、最初の開校当時は若干違いますが、ずっと五百三十名できておるわけでございます。大体五百名をめどに毎年採っておるということでございます。
#183
○田渕哲也君 それから、任官拒否者の理由は、魅力がないというのが三分の一というふうに言われておるわけですが、この魅力がない原因も先ほどから大臣からも答えがありました。私はやっぱり、少なくとも自衛官になる人というのは、一たん緩急のときには国のために命をかけなくてはならない、なまはんかでできる仕事ではないと思うんです。それだけに、日本の国というものがどういう国か、どういう人間の集団なのかという性格が非常に影響してくると思うんです。エコノミックアニマルと言われるように、金もうけのためなら何でもするお互いに非常にエゴイズムの集団だというようなことでは、私はそういう集団のために命を張ろうという人はまず出ないのが常識だと思うんですね。国の理念とかあるいはその国民性の持つ一つの倫理観とかそういうものがしっかり確立しないとやっぱり国防というものはできないのではないかと思います。それから同時に、やっぱり国を守るということの基本理念というか使命というか、そういうものも明確でないといけないと思うんです。そういう点で私は、今の世相というものも影響しますけれども、防衛、国の防衛政策のあり方も大きく影響してくると思うんです。
 それから、湾岸問題をめぐる国会の論議を見ても、何となく自衛隊が振り回されたという感じがします。これはもう一番まずいことじゃないかと思いますね。やはり自衛隊の任務の範囲というものを明確にしないといけないし、それから、もし国際的な役割を果たすならどの限度で果たせるのか、果たすべきなのか、これも明確にしないといけないと思います。先般、自衛隊の被災民救済のために派遣が政令で決まる、私はこれもまずいことではなかったかと思うんですね。ほかの任務が自衛隊法で明記されているのに、何となく御都合主義に決められるような印象を与えたのではないか。しかも、法律で定めるということは国民のコンセンサスに支えられているということになるわけですから、その辺もきちんとしておくということがやっぱり自衛隊の士気には影響すると思うのですが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#184
○国務大臣(池田行彦君) やはり自衛官と申しましょうか、国防の任に当たる者が誇りを持ち、またそれだけの使命感を持ってその任務につける、いろんな要因があると思います。その一つは、やはり世間といいますか一般社会、社会一般のあり方というものもあると思うのでございますが、そういった意味では、昨今やはり国際社会の中における日本のあり方が国民の中で真剣に考えられたり、また日本の国内にあっても物金万能の生き方でいいのかという問題が今大きな問題として出ているということは大切なことだ、このように考えております。
 そういった意味で、いろいろな議論がこの間からあった。その中で自衛隊が振り回されたという御表現がございましたけれども、そういった面もあるいはあるかもしれませんけれども、全体として言えば、安全保障に対する国民の御関心、そうして自衛隊のあり方がいかにあるべきかというこ
とについて国民がいろいろお考えになり目を向けてこられたということは、中長期的に見れば私は決して悪いことではないと思っております。いろんな議会での論議、あるいは世論の動きの中で必ず適正な位置づけが得られるんじゃないか、それを期待しているところでございますし、私どももそういうふうに努力してまいりたいと思います。
 さて、そういった中で政府の対応にも問題があったのじゃないか、とりわけこの間の政令でやるといったやり方には問題があったのじゃないかという御意見でございますが、この点につきましては私も、それは基本的には自衛隊のあり方、どういう役割を果たすべきかという問題については堂々と国会にもお諮りし、そうして国民の皆様方の御納得を得ながらやっていく、これは当然のことだと思っております。
 ただ、申し上げたいのは、私どもは今回の政令は決して、何といいましょうか、授権の範囲を超えたとか、あるいはそういった議論を回避したという意識は全くございません。私どもは、今回の自衛隊機を避難民輸送のために活用しようということは実態面においてももとより正しいことだと思っておりますし、法令的に見ましても、法律的に見ましても憲法上認められていることである、また法律的にも自衛隊法で認められておる、授権の範囲内であるというふうに考え、そのように御説明してきたわけでございますので、どうかその点は御理解ちょうだいしたいと思います。
#185
○田渕哲也君 法律の解釈よりも、国会でいろんな論議がある、国民の間にも意見が分かれておることですから、やはり堂々と国会で法律を成立させて送り出すという方が、法律的な解釈は別としまして、少なくとも自衛隊の士気という面ではよかったと、私はそう思います。
 それから、時間もありませんから次に行きますが、湾岸戦争が起こりまして、近代兵器を駆使した大戦争というものが行われたわけです。それで、各国はやはりその戦争の様子を見て、防衛計画とかそういうものの再検討というものを進めておると思いますし、特にソ連、中国などでは装備のハイテク化にこれから重点を置くというふうなことも報道されております。我が国のこの中期防は去年策定されておりますから、湾岸戦争の前であります。この湾岸戦争の結果を見て我が国の防衛計画でやはり考えねばならない点、そういうものも多々あると思うんですけれども、そういうものはどのようにこれから反映させようとされておりますか、お伺いしたいと思います。
#186
○国務大臣(池田行彦君) 私ども、御承知のとおり、自衛隊のあり方と申しましょうか、あるいは日本の防衛のあり方というものは他国とはちょっと違ったところがあるというのは御理解いただけると思います。節度ある防衛力、専守防衛というのが基本でございます。
 しかし、そういった中にありましても、やはり各国の技術水準の動向等を十分勘案しながら進めていくということは、大綱にもそのように明記しておりますし、今回の新中期防を策定するに当たりましてもそのことを十分念頭に置いてやったところでございます。したがいまして、今回の新中期防におきましては、基本的に装備の面、防衛力の水準が大綱の水準にほぼ達したものでございますから、装備の面では更新近代化を主体としてやってまいりますので、そのときに技術水準の動向というものを十分念頭に置いてやっております。二、三具体的に申しますと、例のペトリオットであるとかAWACSあるいはMLRSといったようなものを中期防で考えておるというのもそういった観点からだというふうに御理解いただきたいと思います。
#187
○田渕哲也君 それから、大臣の予算に対する説明の最後に、約一千億円の防衛費の削減が行われた、これは防衛庁、自衛隊にとってまことに厳しいものであるということをわざわざつけ加えてあるわけですが、これが我が国の防衛力の整備に及ぼす影響についてどう考えられますか。
#188
○国務大臣(池田行彦君) それはつけ加えたんじゃありませんで、本当に重要な部分でございます。私どもといたしましては、節度ある防衛力ということでやっておりますし、それから財政事情等も勘案いたしまして必要最小限度のものを政府に当初出しました原案でも盛り込んだわけでございますから、それからさらに一千億を削られたということはまことに何と申しましょうか、本当に耐えられないところなんでございます。
 したがいまして、もとよりこれが防衛力整備に悪い影響を与えるおそれ、可能性はあるわけなんでございますけれども、それは極力そういった影響を少なくしていく、ミニマイズするために我々一丸となってこれから工夫もし努力もしてまいりたいと思いますし、また国会の諸先生にも防衛力整備の必要性について御理解をちょうだいしたいと思う次第でございます。
#189
○田渕哲也君 終わります。
#190
○委員長(井上孝君) 他に御発言もなければ、これにて平成三年度総予算中、皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、日本学術会議、宮内庁、北方対策本部を除く総務庁、防衛本庁、防衛施設庁についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#191
○委員長(井上孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#192
○委員長(井上孝君) 次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、去る四月二日に質疑を終局しておりますので、これより直ちに討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#193
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、運輸省設置法の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。
 運輸省は、臨時行政調査会の最終答申に基づき、八四年に交通機関別の縦割りから運輸機能別の横割り組織への大幅な改編を行っています。今回、これを再び横割りから縦割り組織に戻すと同時に、本改正案は、運輸省に国際問題についての対外交渉などを担当する次官クラスの運輸審議官を一名設置するというものです。
 運輸審議官の設置について、政府は、国際問題の的確な処理と国際運輸行政を強力に推進する体制を整備するためと説明していますが、具体的には、日米間の中心問題の一つである日米構造協議、日米建設協議のフォローアップ会合や折衝などに当たり、結局、アメリカの圧力と財界の要求にこたえ、空港や港湾の整備促進等の大型公共事業に米国企業の参入を進めるための役割を担うものです。
 また、今回の法改正とあわせて、政令による運輸省組織の大幅な改編が行われ、鉄道行政組織の一元化を図るとして鉄道局が新設されます。
 そのねらいは、効率化の名のもとに、国鉄の分割・民営化後のJR事業をさらに合理化し、採算ベースに乗らない鉄道を整理していく、あるいは事業主体を第三セクターにしていくことであり、これは国民生活の足の確保及び安全性という点からゆゆしい問題です。
 今回の機構改革は、一方で効率化の名のもとに横割りからもとの縦割り組織に戻し、かつての国鉄の民営化のように国民に対する行政サービスを切り捨て、他方、アメリカや大企業の要求に基づき、日米構造協議や日米建設協議などの懸案事項を強力に推進するためのものであることは明瞭であり、賛成することはできません。
 以上、本案に反対する理由を申し述べ、私の討論を終わります。
#194
○委員長(井上孝君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#195
○委員長(井上孝君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 運輸省設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#196
○委員長(井上孝君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#197
○委員長(井上孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト