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#1
第120回国会 本会議 第5号
平成三年一月十八日(金曜日)
   午後三時六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第五号
  平成三年一月十八日
   午後三時開議
 第一 常任委員長の選挙
 第二 国務大臣の報告に関する件(湾岸危機対策について)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(土屋義彦君) これより会議を開きます。
 日程第一 常任委員長の選挙
 これより欠員中の議院運営委員長の選挙を行います。
#4
○高木正明君 議院運営委員長の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#5
○稲村稔夫君 私は、ただいまの高木君の動議に賛成いたします。
#6
○議長(土屋義彦君) 高木君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、議院運営委員長に伊江朝雄君を指名いたします。
   〔拍手〕
     ―――――・―――――
#8
○議長(土屋義彦君) 日程第二 国務大臣の報告に関する件(湾岸危機対策について)
 内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。海部内閣総理大臣。
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(海部俊樹君) 湾岸危機に関連する重大緊急事態への対処について政府の基本的な考え方を明らかにし、皆さんの御理解と御協力を得たいと思います。
 昨日、米、英、アラブ諸国を含む国連加盟国は、イラクのクウェートからの全面撤退とクウェート正統政府の権威回復を求める国連安保理諸決議の実現を図るため、武力の行使に踏み切りました。
 我が国は、これまで、この湾岸危機の解決にできる限りの貢献をすることが国際社会における責任であると認識し、国連安保理決議に先駆けて対イラク経済制裁措置を実施するとともに、湾岸の平和回復活動に対する総額二十億ドルの支援、周辺国に対する二十億ドル程度の支援、二千二百万ドル強に上る避難民援助を柱とする中東貢献策を決定し、着実に実施に移してまいりました。あわせて、イラクに対しても、国連安保理決議に従い、クウェートからの全面撤退を求める一連の外交的措置をとってまいりました。国際社会においても、米国とイラクの直接の外相会談や国連事務総長のイラク訪問など事態の平和的解決に向けてのあらゆる努力がぎりぎりまで行われたことは御承知のとおりであります。
 しかるに、イラク政府は、終始安保理決議を無視し、一月十五日までの猶予期間を超えてなおクウェートの侵略と併合を続けてきました。我が国は、このようなイラクの暴挙を強く非難するとともに、本件危機を平和的に解決するための国際社会の努力が無に帰するに至ったことを深く遺憾とするものであります。
 隣国に対するイラクのあからさまな侵略と併合は、国際の平和と安全の維持に大きな責任を有する国際連合の権威に対する挑戦であり、これをこのまま見過ごすことは、我が国がその生存のためにぜひとも必要とする公正で安定した国際秩序の根幹を揺るがすものであります。また、これは、自由と民主主義を基礎とした対話と協調による新しい秩序づくりへの希望を打ち砕くものでもあります。我が国は、かかる視点に立って、安保理決議六七八に基づき、侵略を排除し、平和を回復するためのやむを得ざる最後の手段としてとられた今般の米国を中心とする関係諸国による武力の行使に対し、確固たる支持を表明するものであります。
 今般の事態に際し、政府は、直ちに安全保障会議を開催し、緊急事態への対処方針を速やかに決定するとともに、その後の臨時閣議において、内閣に湾岸危機対策本部を設置し、同本部において早速所要の対策を取りまとめ、政府が一体となって総合的かつ効果的な緊急対策を強力に推進することといたしました。
 我が国は、国際の平和と安全を回復するための関係諸国の行動に対し、国連安保理決議に従って、我が国憲法のもとで、できる限りの支援を行う決意であり、既に決定した湾岸の平和回復活動に対する支援策を着実に推進するとともに、関係諸国などに対する新たな支援を行うこととしております。さらに、我が国は、関係国際機関とも協力して、避難民の救済のため可能な限りの援助を行うこととし、既に実施に移しつつあり、資金・物資面では、国連災害救済調整官事務所が国際社会に要請した被災民救助初動経費三千八百万ドルを速やかに拠出し、さらに毛布などの救援物資を周辺国政府の要請に応じて供与することといたしております。また、特に避難民の移送という人道的かつ非軍事的な分野においては、安全確保を前提として民間航空会社に要請を行うこととするとともに、ほかに方法がない場合には、必要に応じ、自衛隊輸送機の使用についても、その可能性を検討することといたしました。
 我が国は、イラク政府が、国際社会の一致した意思を尊重し、直ちにすべての関連安保理決議を受諾するよう強く求めるものであります。我が国としては、湾岸地域における戦闘行為が早期に終結し、我が国が原油輸入の七割以上を依存している中東において、永続性のある平和と安定が一日も速やかに達成されることを強く望むものであります。
 政府としては、湾岸や周辺地域に在留する邦人や周辺海域を航行する船舶の安全に万全を期すべく既に所要の措置をとってきておりますが、今般の情勢の展開により不測の事態が生ずることのないよう、邦人などの保護のため引き続き可能なあらゆる手段を尽くしてまいります。また、内外におけるハイジャックなどの緊急事態の発生があり得ることに備え、その防止のため必要な措置をとっているところであります。
 また、政府は、国際協調のもとで、日本経済への悪影響を最小限に抑止し、国民生活の安定に努力してまいります。幸い、過去二回の石油危機のときと比べ、我が国経済の石油に対する依存度が大きく低下しており、また、我が国の百四十二日分の石油備蓄を国際的にも連携をとりながら機動的に活用することにより、当面、国内の石油需給ひいては国民生活に大きな影響を与えることはないと判断しています。石油のほか国民生活に関係の深い物資の需給や価格についても調査、監視に努めるとともに、的確な情報を迅速に提供してまいります。国民の皆さんにおかれましても、より一層の省エネルギーへの努力や冷静な行動をお願いいたします。
 政府は、以上の政策が、我が国の国益にかない、かつ国際協調のもとに恒久の平和を希求する我が国憲法の理念にも合致するものであると確信し、皆さんの御理解と御協力を切にお願いする次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(土屋義彦君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。岩崎純三君。
   〔岩崎純三君登壇、拍手〕
#11
○岩崎純三君 私は、自由民主党を代表いたし、ただいま総理より報告のありました湾岸危機対策についての発言に関し、若干の質問をいたします。
 昨年八月二日、イラクは民族紛争を装った形で不法にもクウェートに侵攻し、これを併合したことは、他国の領土全域を軍事的に占領するのみならず、国際法を無視し、イラク及びクウェート在留の日本人を含む外国人を人質として、本来自由であるべき出国を制限した事実は、人道主義にもとるものであり、許しがたき言語道断な行為であると断ぜざるを得ません。
 一昨年来、ソ連、東欧は大変革を遂げ、共産主義、社会主義は音を立てて崩壊しました。ヨーロッパにおける冷戦の象徴であったベルリンの壁が崩れて一年を経ずして、東ドイツは西ドイツに吸収、統合をされました。そして、東西の冷戦構造は緊張緩和へと大きく変化し、対話と協調による新しい国際秩序が今まさに確立されようといたしておるさなか、今次イラクの暴挙はこうした対話と協調を基調とした国際秩序に真っ向から挑戦したものであり、中東地域のみならず国際社会全体の平和を破壊する行為であります。
 これを受けて、国連の安全保障理事会はこぞって抗議をし、イラクの暴挙を国際の平和と安全の破壊と認定、クウェートからの即時無条件の撤退を要求するとともに、経済制裁措置を行ったほか、さらには累次の国連安保理決議を受けて、イラクの軍事行動の拡大を阻止するため多国籍軍を派遣いたしましたことは、中東湾岸地域の平和解決のため、また国際正義を守るための当然なる行動であろうと存じます。
 こうした国際社会の要求やたび重なる外交努力にもかかわらず、イラクは全く聞く耳を持たず、事件勃発以来五カ月半、イラクは侵略と併合の既成事実化をねらってクウェートに居座り、国連決議六七八に基づく撤退期限の一月十五日を過ぎても撤退の兆しを見せず、ついに多国籍軍は平和的解決に向けた外交努力を断念、イラクの侵略の排除のため、あえて武力行使を余儀なくされたのであります。
 もとより、今度の湾岸危機が軍事的解決でなく平和的解決を求めてまいったものでありましたが、それはサダム・フセインを除く全人類の悲願であったからであります。しかし現実は、力を絶対的に信奉するサダム・フセインの野望が変わらない限り事態の解決はありません。我々は、平和回復のためとられたこの多国籍軍の武力行使を断固として支援するものでございます。
 事ここに至るまでの間、我が党政府は事態の推移をいたずらに傍観していたのではなく、湾岸地域の平和の確保に役立つべく、輸送、物資、医療、資金などの面で総額四十億ドルの中東貢献策の協力を行うこととしたほか、さきの臨時国会に、国際連合が行う決議を受けて行われる国際連合平和維持などの活動に対し適切かつ迅速な協力を行うため、平和協力隊の海外派遣の実施体制を規定した国連平和協力法案を提出いたしましたが、遺憾ながら審議未了となりました。
 振り返って、皆さん、世界の平和にとって最大の脅威が目前に現出した今、せめてこの法案の成立があれば、相互依存の世界経済において最大限の恩恵を受けている日本が国際社会でそれなりの貢献が果たし得たものと考え、残念でなりません。いかんせん、結果は金だけの協力に終わっております。
 政府は、今回の湾岸危機における我が国がなした貢献策をどう受けとめているか、そして今後危機管理にどう臨む方針であるのか、総理の御見解をお伺いいたします。
 国連協力法案の審議が参議院で行われなかったことは極めて遺憾でありますが、私としては、同法案は武力による威嚇または武力の行使を伴わないものであると明言しており、ひたすら平和的手段によって国際平和の維持に協力するものでありまして、憲法にも昭和二十九年の本院決議にも違反するものではないとかたく信じております。協力法案は衆議院で廃案となりましたが、少なくとも国会審議を通じて得られた成果は、国連を中心に平和を維持すること、国際国家日本として国力にふさわしい人的貢献を含む国際的協力を行うことは共通の認識となったことであります。
 政府として、さきの国会審議を踏まえ、今後の国際貢献にいかに臨むのか、その基本姿勢をお伺いいたします。
 そこで、将来の法的対応は今後精力的にお願いすることといたし、今回の開戦を受けて、政府では海部総理を本部長とし、十五閣僚から成る湾岸危機対策本部を設けられて、追加貢献策に着手されましたことを高く評価いたすものであります。
 まず、我が国が直ちに協力すべきことは、国際の平和と安全のために血を流し汗を流している多国籍軍への支援であります。政府としても、湾岸平和基金への追加拠出を決めたようでありますが、どの程度を考えておられるのか。また、その財源については、赤字公債に依存するのではなく、別途既存税目の枠内で処理できないものかどうか、大蔵大臣のお考えを示されたいのであります。
 また、総理は、関係国際機関とも協力して、避難民の救済のため可能な限り援助を行う旨言明され、国連災害救済調整官事務所が国際社会に要請されました被災民救済初動経費三千八百万ドルを速やかに拠出することとしておられますが、被災民を直ちに救済する見地から、どうか救援物資を早急に周辺国政府に支援するよう強く要請をいたします。
 これとあわせ急を要することは、被災民の移送であります。不幸にして戦火を浴びられた方々を人道的見地から速やかに安全で希望する場所へ移送することは、現在の我が国が人の面でなし得る現実的な貢献策であります。できるだけ求めに応じられるよう民間航空会社に要請していただきたいのでございますが、前回のように協力が得られないような危惧はないのでしょうか。
 政府では、いろいろな場合を想定し、必要に応じ自衛隊輸送機の使用を検討するようですが、これは国連平和協力法案の審議における政府答弁と整合するのかどうかという問題もありましょうが、今回の自衛隊輸送機の使用は多国籍軍を移送するものでもありません。ましてや自衛隊員を移送するものでもありません。戦火を浴びた方々を移送する平和のハトであると言っても過言ではないのであります。
 あわせて、避難民の受け入れについて我が国としていかなる対応をされるのか、外務大臣及び防衛庁長官の御見解を伺います。
 戦争状態はなるべく早期に終息に向かうことを強く望むものでありますが、予測のしようもございません。現に、きょうもまたイラクのイスラエルに対する攻撃は、湾岸戦争を中東戦争にまで拡大する様相を呈し、混迷を加えております。ただ、このところの中東危機は膠着状態であったことにより、石油節約型への転換が進んだ日本経済は、物価や景気への影響は軽微で済んでおりますが、軍事衝突が起きた今日、原油価格の高騰は予断を許しません。
 政府として、日本経済への影響をどう見ておられるのか。また、油が当面ストップするのはペルシャ湾内奥部から積み出している油で、実際の影響は二割程度、備蓄を取り崩せば心配ないと報ぜられていますが、石油供給についてどう対処されるのか、総理の御所見をお伺いします。
 今、アメリカは三つ子とも四つ子とも言われる赤字問題を抱えており、景気も思わしくありません。加うるに、中東湾岸危機における平和回復のための貢献による財政負担ははかり知れぬものがあろうと思います。こうした状況が長期化すれば、ドル安からドル不安、国際通貨の危機にまでつながらないかという懸念をいたすものでありますが、この点、大蔵大臣の見解を承ります。
 終わりに当たり、一言申し上げます。
 イラクの即時撤退は今からでも遅くはありません。我々は、一日も早く湾岸に平和がもたらされるよう国連を中心に各国と相協力し、あらゆる努力を続けていかなければなりません。世界が相互依存の体制にあるこのときこそ、我が国が国際社会の一員として具体的に何をなすべきかが問われております。今いかなる貢献をし、ともに汗を流すことが、世界における日本の長期的国益を確保するのみでなく、国際社会において名誉ある地位を占める上で最も大切な時期であることを強く訴えるものであります。総理の決断と実行を心から期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(海部俊樹君) 岩崎議員にお答えをいたします。
 冒頭にお述べになりました今回の湾岸の一連の出来事に対する御認識は、私も同じ思いを持っております。すなわち、今回は、国際社会の総意に基づいて国連が決議をし、ここに平和の破壊者がいると指摘をし、五カ月以上にわたっていろいろな原則を踏まえ決議を守るように要請をし続け、その間、各国のあらゆる立場の努力が続けられたことも御承知のとおりでありますし、また、ぎりぎりの最後の瞬間には夜を徹しての国連事務総長のアピールも行われたことは記憶に鮮やかなところでありますけれども、そのいずれをも反省せず聞き入れず、今日まで力による侵攻と侵略というこの事実を変えないイラクの態度に、私は岩崎議員とともに深く憤りを感ずるものであります。
 そして、この問題を早く解決するためには、前回の、金だけの協力に終わってはいけない、いろいろな努力をせよという御議論等も踏まえまして、今回のこの危機の質的な変化に直面して緊急対策の会議を開き、新たな事態を受けて、国際の公正な平和と目指すべき安定した社会をつくるためにこれからもできる限りの貢献をしていかなければならないと考えておる次第でございます。
 また、どの程度のことを考えておるのかということにつきましては、財政当局から後ほど詳しく御答弁をいたしますが、あくまでこれは公正な国際平和の回復のための日本としての協力であります。
 また、戦争状態はなるべく早期に終局に向かうことを強く望むとの御指摘でありますが、そのとおりでございます。私はあえて、今からでも遅くないので、イラクのフセイン大統領は直ちに決断をして、国際社会の総意である原則を受け入れて行動に移り、局面を転回していくことを私もここで強く再び主張しておきたいと思います。
 また、中東危機が膠着状態になったことにより、石油では日本経済に影響がないかという御指摘でございましたけれども、二度にわたる石油危機のときと今日とでは、その後の産業構造の変化や各界における省エネルギーの努力によって石油の消費量が少なくなってきておることもこれは事実でございます。
 しかし、乱高下が続いてきたこともまた間違いなく、いかなるかげんか、きのうからきょうのニューヨークのスポット市場は十ドルの値下がりになっておりますけれども、私は、将来はどのような動きがあるのか慎重に対応しながら、国民生活や国民経済に影響が及ばないようにしていかなければならないという御指摘はそのとおりでございまして、きのうから担当官会議や、きょうはエネルギー関係閣僚会議も開き、また国際的に備蓄を放出することによって、この状況に対して悪い影響が及ばないように努力しようという国際的な共同作業を行うことを既に決定し、始めておることを申し上げさせていただきます。
 また、岩崎議員から御指摘をいただきました、できる限りの努力をせよということでございますけれども、私どもは、国連災害救済調整官事務所が既に要請されました被災民救助初動経費三千八百万ドルは速やかに拠出することを決定し、また被災民を直ちに救済する見地から、物資協力も周辺諸国の要請に応じて行ってまいります。
 避難民の移送ということは、人道的立場から速やかに行わなければならない対応でありますが、御指摘のように、でき得るだけ民間航空会社に要請してまいるわけでありますが、いろいろな場合からこれが不可能なときには、非軍事面の人道的な避難民の移送という面について自衛隊の輸送機を使用することがいかがなものかということについて、その可能性につき検討をしておるところでございます。
 最後に、イラクの撤退は今からでも遅くないから、一日も早く湾岸に平和がもたらされるように国連中心、各国と相協力し、あらゆる努力を続けろという御指摘はそのとおりに受けとめさせていただき、今後ともあらゆる機会を通じて政府は努力を続けてまいりたいと申し上げます。
 残余の質問は関係閣僚から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(中山太郎君) 周辺国への支援につきましては、戦火の拡大いかんによって影響も広がることが予想されている、従来の枠組みにとらわれずに非産油開発途上国にも及ぶような配慮をするべきではないかという岩崎議員のお尋ねでございます。
 日本は、中東関係国に対する支援として、今次事態発生以来経済的な損失を深刻に受けておりますエジプト、トルコ、ジョルダンといった周辺諸国に対しましては、総額二十億ドル程度の経済協力を実施することを決定しており、現在実施中でございます。
 一方、事態の帰趨を予断することは時期尚早であると考えますが、いずれにいたしましても、非産油開発途上国等の域外国に対しましては、各国の事情に応じ、西側諸国及びIMF、世銀等の国際機関等を含めた国際的な協調体制のもとに日本政府としては支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、被災民を直ちに救済する見地から、救援物資を早急に周辺国政府に支援すべきではないかというお尋ねでございます。
 我が国は、被災民への人道的な支援を積極的に行うという立場から、十四日、国連災害救済調整官事務所より要請のございました避難民救済・本国帰還計画の初動経費全額相当分の三千八百万ドルを緊急援助することを決定いたしております。
 また、我が国は、被災民の周辺国への流出が拡大をいたしました場合には、救援物資として、UNDROが行った要請に応じまして毛布六千枚を供与する旨、既に伝えております。
 さらにこれに加えて、食糧等を供与すべく準備を整えているところでございまして、被災民の動向を現在慎重に見きわめておるということでございます。
 被災民の移送につきましては、先ほど総理からもお話がございましたが、できるだけ求めに応じられるようにIOMの国際機関等も通じながら、日本政府として民間航空会社を中心に積極的に努力をいたしてまいりたいと考えております。
 被災民の受け入れについて日本はいかなる対応をとるのかというお尋ねでございますが、被災民がこれからどのような状況になるか、政府は国際移住機関、国連災害救済調整官事務所、また国連難民高等弁務官事務所等とも十分連絡をとりながら、日本政府としてできるだけの努力をいたしたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私からお答えを申し上げるべきは、多国籍軍への支援についての関連の問題でございます。
 しかし、国際の平和と安全を回復するための関係諸国に対する追加的な支援というものは、確かに日本として行わなければならないことは事実でありますが、昨日戦闘が開始されたという状況の中におきまして、なおどの程度の必要な金額になるものか全く見当のつく状況ではございません。また、その財源につきましても、その状況と考え合わせて判断をいたすべきこととして現在検討を進めておりますが、いずれにせよ赤字国債の発行というものは適当でないと考えております。
 また、米国の財政負担の増加あるいは米国経済の減速がどの程度になるか、また、その影響についての御質問がございました。
 しかし、これは現時点において予測することは大変困難でありますし、為替市場はさまざまな要因によって動くものでありますため、特定の要因のみを取り上げて、その為替相場に与える影響というものを申し上げることは適当ではないと考えております。
 最近の為替の状況は、中東情勢の展開などによりまして多少の振れはございますけれども、おおむね百三十円台での比較的安定した推移となっております。今後ともに為替の動きには十分注意を払ってまいりますと同時に、為替相場の安定に向けて各国と協調し、適切に対応してまいりたいと考えております。
 恐らく、明後日そして二十一日と続きます今回のG7におきましてもこの問題は主要な議題の一つとなると考えておりまして、その中におきまして各国と十分協調してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣池田行彦君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(池田行彦君) 私に対する御質問は、自衛隊輸送機使用の検討とさきの国会における国連平和協力法案審議経過との関連はどうなのか、また避難民受け入れに対してどのように対応するか、この二点でございました。
 先般の臨時国会で国連平和協力法案が審議されました際にも、国際の平和と安全のために我が国として金の面のみならず人の面でも貢献しなくてはならない、こういった認識が広く示されたものと理解しております。
 今般の事態に際しまして、湾岸の平和回復及び被災民の救援等についてできる限りの努力をすべく政府として現在鋭意検討中でございますが、防衛庁といたしましても、その一環として、人の面での貢献という観点から、人道的見地に立って、被災民の輸送に関する自衛隊機の使用の可能性について現在検討を行っておるところでございます。検討の対象となっております移送が被災民の移送であって多国籍軍への支援でないことは、御指摘のとおりであります。
 また、武力行使を目的としないいわゆる海外派遣が憲法上許されないものではない、そういうことは従来から政府答弁で繰り返し明らかにしてまいっておるところでございます。
 また、被災民の受け入れへの対応につきましては、先ほど外務大臣から御答弁があったとおりでございますが、防衛庁といたしましては、検討の結果輸送の任務を担うことになりますならば、外務省、国際機関とも協力いたしまして、その任務遂行のために万全を尽くしてまいる所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(土屋義彦君) 佐藤三吾君。
   〔佐藤三吾君登壇、拍手〕
#17
○佐藤三吾君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、昨日の中東湾岸における戦闘勃発に伴う政府の重大緊急事態への対応について、緊急質問を行うものであります。
 今回、多国籍軍がイラクを攻撃し、湾岸で戦闘が開始されたことは極めて残念であります。
 我が党は世界の人々とともに一心に平和解決を求め、土井委員長は直接フセイン大統領に平和の扉を開くよう求めてまいりました。こうした平和解決への努力が、余りにも性急なアメリカの戦闘開始決定によって無に帰してしまったことはまことに遺憾であります。たとえそれがイラクによるクウェートの侵略と併合を排除し、クウェートからの全面撤退を実現するための行動であったとしても、武力行使が問題の真の解決につながらないことは、あの朝鮮戦争、ベトナム戦争あるいはアフガン戦争などを顧みれば余りにも明らかではありませんか。そればかりか、武力の行使は大量破壊をもたらし、何の罪もない人々に悲惨な結果を強いたのは御承知のとおりであります。
 政府は今直ちに、米軍を中心とする多国籍軍とイラク軍の双方に対し、これ以上戦闘を拡大することなく、即時停戦を求める一方、国連とも協力して停戦の実現のためにあらゆる可能な外交努力を行うべきであります。
 双方で百二十万人を超える兵力が投入され、近代兵器が使用されるだけでなく、生物・化学兵器や核兵器までもが使われかねない今回の事態が、かつての戦争をはるかにしのぐ被害と悲惨をもたらすことはだれの目にも明らかであります。そればかりか、世界経済に取り返しのつかない大混乱を惹起し、石油施設の破壊などによって地球環境をも破壊し、人類にとってはかり知れない被害を与えることが危惧されるのであります。即時停戦はまさに急務であります。
 この事態に際して、政府は多国籍軍の武力行使に確固たる支持を表明したのであります。これは、平和解決を願う我が国国民の意思に沿うものではございません。また、国際紛争の解決で武力の行使や威嚇を禁じた憲法の精神からしても許されません。政府の立場に立っても、多国籍軍支援に一定の枠と限定つきの制約があることをこの際明確にしておきたいと思います。
 昨年の中東国会で、政府・自民党が中東湾岸危機に便乗して、平和憲法をねじ曲げてでも成立をと願った国連平和協力法案が国民世論の厳しい批判を浴びて廃案になったことは、総理、よもやお忘れではありますまい。この事実は、いかなる場合にも軍事的な協力、支援に対する国民の意思はノーであることを明らかにしておるのであります。我が国の行動基準は平和憲法であります。総理は、こうした国民の意思を深く心に受けとめ、平和憲法の原則に立って今回の事態打開にイニシアチブを発揮すべきであります。
 平和憲法の枠組みの中で、今我が国として具体的に何をなすべきか、事態が急迫すればするほど慎重に真剣に考慮されるべきであって、どたばた劇や、戦争に便乗して軽挙妄動に走って国の将来に悔いを千載に残すことは絶対に避けなければなりません。
 既に我が党は、国連中心の平和協力の推進を柱とした国連平和協力機構の設置を提唱しているところでありますが、今回の事態に対応して、我が国は被災民の救援、食糧・医療援助など、非軍事・民生面への貢献を積極的に展開すべきであります。こうしたところへ金や物も人も大いに出すべきであります。
 大量発生が予想される避難民の移送にも、我が国は進んで貢献すべきであります。しかし、伝えられるように自衛隊機の派遣であってはなりません。たとえ輸送業務に限るとはいえ、紛争周辺地域への自衛隊機の出動は、平和憲法が認めるところではないからであります。このことは、中東国会で既に結論が出ていることでもございます。今回また、国や自治体からの委託業務について定めた自衛隊法第百条を持ち出すことは言語道断であります。避難民の移送はあくまでも民間航空機で行い、自衛隊には依存しないことを明言していただきたいのであります。
 医療チームの派遣も同様であります。治療の対象は被災民に限定すべきであります。(「具体的に言え」と呼ぶ者あり)具体的に言っておるわけですから、よく聞いておってください。防衛医官の参加は絶対に排除し、民間人で構成すべきであります。
 また、政府は多国籍軍への追加支援も検討していると言われますが、私はこうした支出には反対であります。特に、戦闘状態に立ち至った今、多国籍軍への支援は軍事援助そのものであり、許されません。多国籍軍への追加支援は行うべきでなく、もしそれだけの財源的ゆとりがあるならば、被災民の救援、食糧・医療援助などに回すべきであります。
 既に政府は多国籍軍支援として二十億ドルの供与を約束しているところでありますが、その使い道さえ国民にははっきりと示されていない、まさに使途不明金なのであります。政府はまずこの点を明らかにすべきであります。さらに驚くべきことは、政府は多国籍軍への追加資金の使途を無条件とする意向だと伝えられておりますが、真偽のほどはいかがでしょうか。
 我々は、国民の貴重な血税が多国籍軍の武器弾薬に化けることを黙って見過ごすわけにはまいりません。橋本大蔵大臣、中山外務大臣はそれぞれ昨年末の国会答弁で、武器弾薬の購入に使われることは絶対にないと断言しているではありませんか。違いますか。両大臣の答弁を求めます。
 このことを総理も再度確認していただきたいのであります。そして、少なくとも政府は、そうした使い方がされないようなしっかりした歯どめを設けるべきであります。
 新聞報道では、中東湾岸危機が戦争に突入したことに関連し、多国籍軍への追加拠出金は、拠出済みの二十億ドルを大きく上回り数十億ドル規模に達すると伝えられております。これほどの巨額の資金提供は国民に重い負担となってはね返ることを忘れてはなりません。
 ここで、政府に二点を申し上げます。
 まず、財源調達を特例国債の発行で行うことは、戦費調達を国債発行で賄った苦い経験にかんがみてもとるべきではありません。また、建設国債発行による財源入れかえの構想も、こそくであるばかりでなく特例国債同様後世代に負担を押しつけるものであります。さらに、現行財政法の精神並びに従来の政府解釈運用を逸脱するものであって、許されません。
 次に、追加拠出金が多国籍軍の武器弾薬調達に直接使用されることは、金の面で完全に集団的自衛権体制をしいたことになりましょう。集団的自衛権は日本国憲法の認めないところであります。よもや中東での戦争を契機に憲法を逸脱する行為を政府はなさらないと思いますが、資金援助についても、憲法の重さを知り、国民の不信や誤解を招かないことを強く要請しておきます。
 もし必要であるならば、資金調達は四兆円を超える防衛費の中から捻出することを最優先にすべきであります。正面装備調達予算を削減することを検討、実行した上で国民に協力を呼びかけるべきであります。戦争といった異常事態なら何でも許されると言わんばかりの政府の姿勢や総理談話等に、厳しい反省を求めてやみません。
 ところで、自民党内の一部には、日本国憲法第九条を空想的平和主義と決めつけて、今回の事態を千載一遇のチャンスととらえ、この機に平和憲法を改悪しようとの策謀が渦巻いているようであります。武力行使を断固支持したり、自衛隊機の派遣、武器弾薬購入の容認などにそれは顕著にあらわれておりますが、こうした動きは危険であります。我が国の進路を誤りかねない元凶でございます。
 我が国が世界の危機に臨んで、その地位にふさわしい貢献をすべきは当然であります。今まさにその具体的な行動が求められているわけでありますが、その行動基準は平和憲法でなければなりません。東西冷戦が終えんし、世界が新しい国際秩序を構築しようとしている今こそ、世界の指針であり、かがみとすべきものであります。
 私は、自民党内から聞こえてくる危険な声の高まりにあえて警鐘を鳴らし、改めて平和憲法に対する総理の認識をただしておきたいのであります。
 さて、私はこれまでにおいて、まず即時停戦の実現に努力する一方、被災民の救援などに積極的に貢献すべきことを主張してまいりましたが、中東和平をいかに実現するかということは、より重要であります。
 今回の不幸な事態が、フセイン大統領が国際社会の要求であるクウェートからの撤退に応じなかったことに直接起因していることは言うまでもありません。しかし同時に、アメリカが中東和平のための国際会議開催をかたくなに拒んできたことも大きな理由であります。今回の戦闘行為が、湾岸にとどまらず中東地域全体に拡大すれば大変であります。それは直ちに地球的規模の危機であります。そうした事態は絶対に回避しなければなりません。
 そのためにも私は、即時停戦を実現し中東問題の包括和平を目指した国際会議を直ちに開催するため、我が国はあらゆる外交努力を展開すべきだと思うのであります。特に、アメリカを説得して国際会議の開催にこぎつけることが肝要であります。総理にその決意がございますか。
 最後に私は、一日も早い停戦が実現し、真の平和が到来することを願います。また、邦人の保護、各種の安全対策、国民生活への直接的影響の回避など、各方面にわたり政府が万遺漏なき施策を講じるよう強く求めまして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(海部俊樹君) 佐藤議員にお答えを申し上げます。
 平和憲法の原則に立って今回の事態打開に取り組め、こういうことでございます。私も、今日までその考えで取り組んできたつもりでございます。
 ただ問題は、今回の事態解決の糸口は、やはり国連決議に基づいた、原則に従った順を追った解決でなければならない、私はこのように考えます。ほっておきますと、クウェートの現状をこのまま認めてしまうということになりますと、国際社会の総意や国連の決議はどうなるのでしょうか。突然の力による侵略と併合を黙って見過ごすということになりますと、それは弱肉強食の世界となって正義と道理の伴わない世界の秩序を認めることになりますから、これは国連決議の原則に従って、まず第一にイラクがクウェートから撤退するということをフセイン大統領が決断をして、それを行動することがまず第一であり、その次には今議員御指摘になりましたように、今回の事態を打開するためには、例えば九月の国連におけるブッシュ大統領の演説の中にあったように、あるいはミッテラン大統領の提案の中にあったように、あるいは土井委員長も過日私にも党首会談で申されたように、まずイラクがクウェートから兵を引きなさい、引けばそこから新たな話し合いが始まるんだということを主張してこられたそうでありますが、そのことが極めて大切なことであり、私も再三にわたってその考えは国連の事務総長にもイラクのフセイン大統領にも伝えてあるわけでありますから、そういった努力を続けるとともに、イラクのフセイン大統領が、今からでも遅くない、直ちに決断をして撤退するという決意を固めることがまず大切であると思い、今後あらゆる機会を通じて努力をしてまいりたいと私は考えております。
 二番目の私に対する御質問を拝聴いたしましたが、佐藤議員は、平和協力機構、これは国連中心の協力で我が国は被災民の救援、食糧、医療など非軍事・民生面への貢献を積極的に展開すべきであり、こうしたところへ金も物も人も大いに出すべきである、避難民の移送にも我が国は進んで貢献すべきでありますとお述べになりました。
 私は全く同感でありますから賛意を表しながら承ったのでありますが、ただ、避難民の輸送はあくまでも民間主体で行い、自衛隊には依存しないということと言えとおっしゃいます。私も既に民間には要請しておりますし、できれば民間を利用してそれで行えることが、いろいろな議論の前提からいっても、その方が素直に受けとめていただけるだろうということは、議員の御議論を聞きながら思っておりました。いつごろ、どの地域で、どれほどの輸送すべき避難民が出てくるかということはまだ全く不透明でよくわかりませんから、そのときになって民間に行ってもらうようにまず要請はいたします。どうかその実現のために御協力をくださるように心からお願いを申し上げる次第であります。
 政府はそれがどうしてもできないというときに自衛隊の輸送の手段等の可能性を検討しておるということでありますから、大前提の達成への御協力を強くお願いしておきたいと思います。
 また、平和憲法に関する総理の認識はどうか、こういうことでございました。
 申し上げるまでもないことと思いますけれども、私は、憲法の掲げております平和主義、基本的人権尊重主義、民主主義、こういった諸理念に対しては極めて高い評価をしておりますし、この平和憲法を守りながら、そのもとで総理大臣としての職務を遂行していく考えでございます。
 また、即時停戦、中東問題の包括的和平を目指した国際会議への展望に対する総理の考え方を述べろ、こういう最後の御質問でございました。
 私は、基本的に賛成でございます。なぜかというと、この中東の平和的な解決というのは、クウェートからのイラクの撤退だけで実現するものでないということは、私も考えを同じくしております。同時に、国連決議の二百四十二号とか三百三十八号もございます。そういったものを踏まえて、中東に本当の恒久和平が来ることを展望しながら、ブッシュ大統領もミッテラン大統領も国連の事務総長の最後のアピールも、まず現状の膠着状態を変えていくことが大切だと。ブッシュは国連の演説でも、撤退をすればそれによっていろいろな問題が転回されると言っております。私自身は、このことの考え方はイラク大統領に直接書簡をもって通達しましたし、また、過日のラマダン副首相との二時間にわたる対談の中でも、このような展望が開けるということも、日本とイラクとの今日までの関係を再構築するためにも、まず現状を転回することが一番大切で、現状転換のかぎは、まずイラクがクウェートから引いて、原理原則に従った国連決議の趣旨の第一歩を踏み出すことだと、このことも明確に伝えてございますので、佐藤議員のお考えとこの点については同感でございますから、どのような方法でどのような機会をつくり出していくかということを今後心がけ、あらゆる機会にさらなる努力を続けていく決意でございます。
 残余の問題は、関係大臣より答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(中山太郎君) 総理から既にお答えになりましたが、一点、日本の海部総理は中東の平和の構築のためにどのように具体的にやっているかというお尋ね、御指摘もございましたが、一昨日、ニューヨークでデクエヤル事務総長にお目にかかりました。ちょうどこのデッドラインの十四時間前だということを事務総長はおっしゃっておられましたが、二日前に自分はイラクへ行って、バグダッドでサダム・フセイン大統領と直接、和平についてお話をしてきた、そのときに、海部総理からの親書も言づかっておるものを渡してきた、できるだけの努力を我々はやっているというお話も私は直接聞いてまいりましたから、この点も私から御報告を申し上げておきたいと思います。
 なお、避難民の移送につきまして、あくまで民間主体でやって自衛隊には依存しないこととしたらどうかというお尋ねでございます。
 これは、現状を申しますと、国際移住機関、IOMというものがございますけれども、これが全世界に対して、航空機を難民輸送のために提供することを要請いたしております。しかし、現在の航空機の業界では、飛行機がほとんど余っておりません。今現在確保されているというのは、ソ連のアエロフロートが三機と報告を受けております。なお、日本の航空会社も、政府は依頼をいたしておりますが、エジプトのカイロまでは飛ぶという話は承っておるわけでありますけれども、問題は、イラクからの難民がジョルダンに出てくるという場合、このジョルダンのアンマンとエジプトのカイロ間の航空機輸送というものが、現在、普通の民間航空機は一切飛んでおりませんし、保険会社は一切保険を掛けないことに相なっております。このような状態の中で、難民をどのように輸送するかということが我々の国にとっても一つの大きな宿題となっておりまして、政府としてはいろんなことを検討し、まず民間航空機にお願いをしておるという現状であることも御理解をいただいておきたいと思います。
 多国籍軍への追加支援につきましては、現在、できるだけ速やかに考え方を取りまとめたいと思っておりまして、現在まだ具体的に申し上げられる段階には相なっておりません。
 なお、さきの国会で、多国籍軍への追加資金供与について武器弾薬の購入に使われることはないと言ったというお話でございます。
 確かに、先般拠出いたしました二十億ドルにはそのような使途はございません。これからの協力につきましては、先ほども申し上げましたように現在検討中でございまして、現在まだ申し上げる段階にないと申し上げておきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(橋本龍太郎君) 佐藤議員から私に四点のお尋ねがございました。
 まず第一点は、多国籍軍に対する追加支援の問題でございます。
 これは、今我々としてできるだけ速やかに考え方を取りまとめたいと考えておりますけれども、昨日戦闘が開始されたばかりという状況の中でありまして、まだ何とも申し上げられる状況にはなっておりません。
 また、追加協力について昨年末の国会答弁を引用されてその考え方をただされましたが、現在、その使途も含め、その内容などについて検討を行うこととしておるところでありまして、現在のところ、これの結論をまとめておる状況にないことを御理解いただきたいと思います。
 また、多国籍軍の追加支援の財源として特例公債、建設公債によることについては必ずしも好ましいものではないという御指摘がございました。そして、四兆円を超える防衛費の中から捻出することを最優先すべきではないかという御意見をちょうだいしたわけでございます。
 先ほど来申し上げておりますように、私どもとしては追加支援の内容について目下検討いたしておるさなかでありまして、その財源についても今後速やかに検討する必要がありますけれども、その規模自体が決まらない中で財源といったところまで特定できておる状況ではございません。
 ただ、各種の経費というものは、それぞれの施策の緊要性、必要性を勘案し予算措置が行われているものでありまして、単純にその一部を削除して他の経費に充てるといったことは、私は適当ではないと考えております。また、赤字公債の発行も適当ではないと考えておりまして、いずれ結論をまとめ次第、国会で御審議をいただくことになろうかと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(土屋義彦君) 峯山昭範君。
   〔峯山昭範君登壇、拍手〕
#22
○峯山昭範君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました海部総理の湾岸危機対策についての報告に対しまして、総理並びに関係大臣に対し、若干の質問を行うものであります。
 昨日、湾岸地域において、私どもが最も恐れていたイラクに対する多国籍軍の戦闘が開始されましたことはまことに残念であります。
 平和的解決という全世界のあらゆる人々の強い願望にもかかわらず、イラクは、十五日提案されたデクエヤル国連事務総長の和平提案を初め、さまざまな働きかけをも無視し、かたくなな姿勢を崩さなかったことが武力衝突を招来することになったのであり、まことに遺憾のきわみであります。我々はこのような武力衝突に至った事態を深く悲しむものであります。
 戦争を欲する人はいないと思います。戦争の拡大、長期化は、関係諸国の人々の多大の血を流させるのみならず、一般市民にも耐えがたい犠牲を強いるものであります。さらに、世界経済に大きな打撃を与え、先進国はもとより、発展途上国をもはかり知れない苦境に追い込むことになります。この武力衝突によって利益を得る者は一人としていないのであります。我々は、この戦闘が一日も早く終結され、速やかに和平交渉が行われ、平和的解決が図られることを強く要求するものであります。
 我が党は、武力衝突に至った今日にあっても、なおイラク政府に国連決議の受諾を求め、かつ、国連並びに関係諸国に和平実現を働きかけるべきであると考えております。
 総理は今後、和平に向けていかなる外交努力を行おうとしておられますか、御所見をお伺いします。
 また、今回の戦闘行動の終結の見通しをどう見ておられますか。また、イラクがクウェートから撤退することを条件に停戦を呼びかけるべきだと思いますが、そのお考えがおありかどうか、お伺いします。
 申すまでもなく、このような事態発生の最大の責任はイラクにあります。昨年八月二日、イラク政府は、折から東西緊張緩和状況の間隙を突くようにクウェートへ武力侵攻し、主権国家の併合という暴挙に出たのであります。これに対し、平和的解決のための国連の再三にわたる決議を全く受け入れようとせず、国連事務総長の調停、説得などにも応じなかったことによるものであることは明らかであります。
 我々は、米軍を中心とする今回の行動がいささか拙速に過ぎるのではないかとの疑念をぬぐえないのであり、平和的解決の余地も残されていたのではないかと思うのであります。しかし、武力によって他国を併合し、クウェートから撤退する意思を表明しないイラクの姿勢からして、やむを得ない措置であったとも考えるのであります。
 しかしながら、同時に、武力行使による制圧のみをもって湾岸危機の本質的解決を図ることは困難であることを十分認識する必要があります。あくまでも話し合いと外交交渉による中東の平和の道を開くべきであると思うのでありますが、いかがですか。
 総理は、今回の多国籍軍の軍事行動に対し全面的支援を表明し、でき得る限りの支援を行うことを明らかにしておりますが、あくまでも平和憲法や長い間の国会論議の中で確立された平和諸原則を逸脱するようなことがあってはならないと思うのであります。我が党は、今後の事態の推移によってはある程度の追加支援を検討せざるを得ないと考えてはおりますが、だからといって無原則、無制限な支援は行うべきではなく、特に武器弾薬などへの資金協力には、さきの国会の答弁にも反するものであり、強く反対するものであります。
 もし追加支援を行うとしても、十分に国会の論議を尽くし、国民の理解を得ることを前提にすることは当然でありますが、総理いかがですか。
 また、先ほど総理から自衛隊機を使用することを検討しているとの御報告がありましたが、さきの国会における論議を十分踏まえるべきであり、自衛隊の海外派遣につながる措置は一切行うべきではないと考えます。自衛隊法第百条によって自衛隊機等の派遣が可能であるとお考えになっておられるようでありますが、第百条はその前提として、「自衛隊の訓練の目的に適合する場合」と明確に規定しております。今回想定している難民等の輸送とは全く結びつかないものであります。こうした拡大解釈はすべきではありません。総理のお考えをお伺いします。
 多国籍軍の資金協力について、大蔵大臣は、これまでに拠出した二十億ドルをかなり上回る数十億ドル規模になることを示唆したと報道されております。加えて非産油途上国への支援も考えますと、巨額の予算措置が必要になります。財源措置として、赤字国債の発行、石油関係諸税の増税が伝えられておりますが、総理の真意をお伺いします。
 さらに、第二次補正予算を提出する意図をお持ちかどうかもあわせてお伺いします。
 また、多国籍軍への資金協力は、多国籍軍にストレートに提供されるべきではなく、従来のようにGCCを窓口にし、使途につきましても、難民、医療などの人道面に限定すべきであると思いますが、いかがですか。
 次に、武力衝突に伴う経済問題について伺います。
 今回の事態によって、石油価格の高騰、需給関係の不安などによって我が国並びに世界経済への影響が強く懸念されております。原油供給の見通しはどうでしょうか。原油の値上がりにより、便乗値上げ、買い占め、売り惜しみといった行為の防止対策を早急に立てるべきだと思いますが、いかがですか。
 また、周辺諸国、発展途上国への経済的影響は極めて深刻なものとなることが予想されますが、我が国としてはどう対処されるのか、政府のお考えをお伺いしたいと思います。
 イラクは、戦争になれば世界的にテロ行為が起こるであろうと、いわば脅迫的なことが報道されております。罪のない多くの人々を巻き込むテロ行為は絶対に防止すべきであります。政府も空港などの警戒をしているようでありますが、現状と今後の対策をお聞かせ願います。
 我が党は、公明党湾岸危機緊急対策本部を設置し、戦争の早期終結、湾岸危機の早期解決のために全力を挙げて取り組んでまいる決意であります。湾岸危機対策に当たっては、国会において十分論議を尽くし、国民の理解と合意のもとに対応すべきことを強く主張して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(海部俊樹君) 峯山議員にお答えを申し上げます。
 今後、和平に向けていかなる努力を行おうとしておるかとお尋ねでございますけれども、私も議員と同様に、この戦闘が一日も早く終結されて、速やかに和平交渉が行われて、平和的解決が図られることを今もなお強く求めておるものであります。
 武力によってクウェートから撤退させることだけで恒久の和平が来ないことはそのとおりであります。その先に恒久和平を求めての平和解決のための国際的な話し合いが必要です。けれども、その前にまず現状を、局面を変えていくためには、イラクがクウェートから撤退することを条件に停戦を呼びかけるべきだと主張される議員のお考えに私も全く同感でございます。あらゆる機会を使って、国連を中心に、国際社会の総意でもありますから、私も働きかけを続けていくつもりでございます。
 また、二つ目に、湾岸危機の本質的解決を図れ、それは武力ではだめであって話し合いと外交交渉だと。これは、国連総会で私はブッシュ大統領の演説も聞きましたし、ミッテラン大統領の提案も聞きました。また、お触れになっておるこの湾岸の諸問題についての国連事務総長の最後の提案もございました。私自身も、クウェートから撤退をし、そしてイラクが主張しておる中東の和平のためには、日本は国連決議二百四十二号の決議のあの趣旨に賛成しておりますから、あれに従って恒久和平にしていくことに努力をするという意思は明確に伝えてございます。
 今後ともそういった努力をしていくことが、あの中東地域の恒久的な和平、安定のためには欠くことのできない解決策だと思っております。
 また、追加支援の問題につきましては、金額、内容その他は政府部内で検討中でございますが、関係閣僚から答弁をいたさせます。
 自衛隊機の問題についてもお触れになりましたが、これは国連災害救済調整官事務所の要請を受けて、被災民の移送という大事な事業について、まず資金協力はそのままお引き受けをし拠出をいたしました。国際機関も飛行機を出して被災民の移送ということに協力せよと要請もございます。私は、民間航空にそのことをお願いしていくのが第一義である、それは当然心得ております。それができるように既に要請もいたしておりますが、どうしてもそれが不可能であるとなったときには自衛隊の輸送機をこれに利用することができるかどうか、その可能性について政府で検討を始めておるところでございます。
 いずれにしましても、非軍事面の人道的な行為に限定して検討しておることを申し添えさせていただきます。
 また、石油関係の問題について、石油の値段が上がり需給関係が不安になり国民生活に悪い影響が及ぶのではないかという御懸念の御指摘でございました。
 私もともに懸念をいたしておりますが、石油の関係というのは、ここへ来ます直前に新たに受けました報告によっても、いかなるかげんか、きのうはニューヨーク市場も一バレル二十五ドル前後が十五ドル台と、十ドル下がっております。私は、そのこと自体をもって直ちに不安がなくなったとは言いません。また上がるかもしれない。先行き不透明な面はじっと見てまいりますけれども、こういう動き等を踏まえながら、国際社会ではそれぞれの備蓄を提供することによってそれぞれの国際的な経済、国民経済への影響を阻止するように提案がなされております。日本は、割り当てられた三十五万バレル・パー・デー程度の問題について、これは誠実に日本も参加をし、それに協力をしながら、国際的な安定に努力をするとともに、ほかの品物についても便乗値上げや買い占め、売り惜しみといった行為で国民生活に悪い影響が出てこないように、昨日、本日と続いて担当官会議や担当閣僚会議を開いて十分な対応策を考え、それを実行に移しつつあるところでございます。
 残余の問題は関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(中山太郎君) 武力行使による制圧のみをもって湾岸危機の本質的な解決を図ることは困難であることを十分認識して、話し合いと外交交渉による中東の平和の道を開くべきではないかというお尋ねがございまして、総理からも既に御答弁がございました。
 私、外務省といたしましても、中東が抱えておる問題、いわゆるパレスチナ問題、あるいはまたこの地域における膨大な債務、それから民族問題、こういうものを考えますと、このイラクと今回の多国籍軍の戦闘行為がおさまることが一日も早いことを希望しますが、これが停戦が行われ、クウェートから撤退が行われるという事態の中で次に来るものは、中東の和平に関する国際会議の設置が恐らく議題となって上がってくるものと思います。日本政府といたしましては、この中東地域の平和をつくるために、今後とも一層努力をしてまいる考えでございます。
 多国籍軍への資金協力につきましては、現在検討中でございまして、ただいま申し上げられるような段階にはございませんが、この我が国の支援策が我が国憲法の枠内で行われるように考えております。
 武力行使に伴いまして周辺諸国、特に発展途上国への経済的な影響が極めて深刻になるものと予想されるが、日本はどう対処するかというお尋ねでございました。
 日本は、中東関係国に対する支援として二十億ドルの拠出を決めております。エジプト、トルコ、ジョルダンといった周辺国でございますが、他方、その他の非産油途上国の経済も大変大きな打撃を受けておりまして、これらの国々に対する経済的な協力につきましては、各国の事情に応じまして西側諸国及びIMF、世銀等の国際機関と協調しながら協力をいたしてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(橋本龍太郎君) 既に総理また外務大臣が答弁をされましたところに多少重複をいたしますけれども、私どもといたしまして、いわゆる多国籍軍に対しましての追加的支援につきましては、昨日戦闘が開始されたという事態を踏まえまして、できるだけ速やかに考え方を取りまとめたいと考えております。
 しかし、私自身全くその金額がどの程度の規模になるかについての見通しを現在持ち得ない状況でありまして、数字を私の口に上せたことは今日までございません。もちろんその財源につきましても今後速やかな検討を行う必要がございますが、いずれにいたしましても赤字公債の発行は適当ではないと考えております。
 また、今後の取り扱いにつきましては、その結論を得ました段階において御相談をいたしますことでありまして、現在まだ何とも申し上げられる状況にないことを御理解いただきたいと思います。(拍手)
#26
○議長(土屋義彦君) 答弁の補足があります。海部内閣総理大臣。
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(海部俊樹君) 峯山議員の御質問の中に、罪のない多くの人々を巻き込むテロ行為は絶対に防止すべきであります、政府はどのような対策を考えているかと、こういう御質問がございました。
 それにつきましては、緊急対策本部を設置いたしまして、今度の事項に対する対応の一つに、テロに対する予防措置その他について関係大臣に指示をして、このようなことが起こって罪のない人に迷惑のかからないように政府は万全の対策をとることを決定いたし、それを実施に移しておるところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○議長(土屋義彦君) 立木洋君。
   〔立木洋君登壇、拍手〕
#29
○立木洋君 私は、日本共産党を代表し、湾岸地域での開戦という重大な事態とそれに対する日本政府の態度について質問をいたすものであります。
 湾岸地域の平和的解決を願う国際世論と国際社会の努力の中で、十七日午前、アメリカ軍などの大規模な空爆によって湾岸戦争が開始されるに至ったことは極めて遺憾なことであります。
 言うまでもなく、今日の問題の根源が昨年の八月二日イラクの野蛮なクウェート侵略と不法な併合にあることは明らかであります。国際的な厳しい糾弾にもかかわらず、イラク大統領フセインはあくまで侵略主義の立場をとり、その合理化を図り続けてきました。これは絶対に容認されるものではありません。この日本共産党の立場は明確であり、海部首相が衆議院での不破委員長への答弁の中で、どっちもどっちの態度などと述べたことは全くの歪曲であります。イラクが侵略主義を放棄すべきであることは当然であります。
 しかし、二つの世界大戦による人類の深い反省に基づいた国連憲章が、紛争の徹底した平和的解決を求めていることの重みは言うまでもありません。一たん戦争を開始すれば、その後どのような展開をとるにしろ、侵略者のみにとどまらず重大な犠牲をもたらすことは明らかだからであります。
 海部首相は、昨年十二月十二日、衆議院予算委員会で、平和的解決を粘り強くあくまで追求すべきであるというのが私の基本的考え方であり、あくまで戦争は避けるべきだというのが私の信念でありますと、このように明確に述べていました。
   〔議長退席、副議長着席〕
そこでお聞きしますが、日本政府はブッシュ米政権の要求に応じて多国籍軍を支援するという方向に力を入れたことは明らかですが、平和的解決に一体どういう努力をされたというのでしょうか。
 アメリカの議会でも、まだ平和的解決への努力は十分に行われていないという発言が繰り返され、ブッシュ大統領の武力行使の容認も上院ではわずかの差であったという状況でした。日本共産党の不破委員長は、衆議院本会議で、一月十四日国連安保理事会におけるフランスの平和的解決の提案をめぐる事実経過とその内容を示し、戦争を避けるための努力に言及しました。そして、それをブッシュ政権が閉ざして戦争を急ぎ過ぎたことを厳しく指摘したのに対して、海部首相は、アメリカの態度に全く触れようとしませんでした。
 海部首相、フランスの提案を平和的解決への努力としてあなたが肯定されるなら、それを拒否したアメリカの態度をどう評価するのでしょうか。はっきりしていただきたいのであります。あなたが信念とまで言っていた、あくまで平和的解決のための努力の余地はこれ以上全くなかったというのでしょうか。
 中東湾岸地域におけるパレスチナ問題は、イラク問題の有無にかかわりなく、当然解決されなければならない重要な問題であります。イスラエルのアラブ占領地からの撤退をこれまで放置してきたことは、今回の戦争がどうなったとしても、今後の国際社会の許すことのできない問題として残り、この開戦で一層深刻な事態となることは明白であります。国連憲章の基本的精神に立脚して日本政府はこの問題をどのように考えるのか、この際、明確にしていただきたいのであります。
 日本政府は、こういうアメリカの急ぎ過ぎた開戦を無条件に、しかも始まる前から支持し、その上、アメリカ軍を中心とした多国籍軍への追加財政援助を無条件に行う、武器弾薬の購入にもそれの使用を容認するとしていますが、これは日本国憲法の精神はもとより、さきの国会での審議及び政府の見解にも反するものであって、絶対容認できません。まして、政府自身、さきの国会では参加と協力の区別などという口実を持ち出しながらも、資金援助について武器弾薬を一切購入しないことはアメリカとの間で明確に話し合いができていると述べ、中山外相も、武器の購入に使用されることは絶対にございませんとさえ強調して、武器への使用を不当で誤ったものとの立場をとってきたではありませんか。それを、この戦争勃発の時期に突如として変更するというのは言語道断であります。
 日本国憲法は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と明記しているところであります。日本政府が進めようとしていることは、戦争への具体的な経済協力、参加にほかなりません。このような戦争への政府の積極的な関与がどうして憲法のこの精神に違反しないというのでしょうか。これは、憲法の精神の逸脱であり、はっきりした答弁を求めるものであります。
 また、政府は、国際緊急援助隊を利用した要員派遣、邦人保護や難民救援のための航空自衛隊輸送機派遣などを検討するとしています。国際緊急援助隊の派遣は自然災害に限定されており、武力紛争が生じている地域への派遣は厳に慎むというこれまでの政府見解に反するものであります。ましてや自衛隊機の派遣などは、さきの国会で国民の強い反対を受けたものであり、重大な憲法違反であります。政府が自衛隊法百条を自衛隊派遣の根拠にしようとしていることは、全く成り立ちません。内閣法制局長官が、現行法では自衛隊海外派遣は不可能の旨指摘しているところであります。首相自身、昨年、廃案になりましたことを厳しく受けとめと述べていたことをも覆すというのでしょうか。
 結局、こうした海部内閣の態度は、主権者である国民の熱い平和の願いに背を向け、アメリカ政府の要求には無条件で積極的に応じていくということを重ねて示したものではありませんか。
 湾岸戦争がどのように展開するにしても、アメリカの指導者は中東湾岸地域における米軍の存在は続くと述べ、ペルシャ湾岸地域での紛争を抑止するNATOとは別の新しい安全保障体制が必要だと強調しています。こうした力の政策の展開による新たな軍事ブロック構築の方向は新しい世界平和の秩序に反するものであり、決して真の問題の解決にはならないのであります。
 ましてや、あくまで世界の流れに反して日米軍事同盟の枠組みにしがみついてアメリカの力の政策に追随する態度は、日本国憲法の基本的精神をないがしろにし、財政的にも国民経済に大きな犠牲を強いることになることは明らかであります。日本の豊かな経済力で行う真の国際的貢献は、力の政策に基づく軍事同盟的に対応するということとは全く無縁であります。私は、このことを厳しく指摘し、米軍の戦争への支持、協力は直ちに中止すべきことを強く要求するものであります。
 この点について海部首相の明確な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(海部俊樹君) 立木議員にお答えをいたします。
 私は、おっしゃるように、問題の平和的解決を粘り強く追求すべきであると言い続けてまいりました。そのように努力をしてきたつもりでありますし、また、我が国も政府を挙げて、米国やソ連を初めとする安保理常任理事国やアラブ諸国、国連事務総長、さらにはイラクに対しても、さまざまなレベルでの対話を通じて平和解決のための努力を行ってまいりました。特に最近においては、私もフセイン大統領への親書、国連事務総長による、あるいはジョルダンのフセイン国王へのいろいろな働きかけなど、和平への努力を続けてきたところでございます。しかし、それらのすべての努力がフセイン大統領によって聞き入れられることがなかったというのは、まことに遺憾なことであります。
 また、フランスの提案に対する米国の態度についてのお尋ねがありましたが、十五日の国連安保理非公式会合においてはさまざまな議論、さまざまな話し合いが夜を徹してなされ、国連事務総長はその声明としてまとめて発表しておるのでありますから、国連事務総長のあの声明は、国際社会におけるすべての人々の願いをまとめたものであり、米国の態度もこの中に当然含まれておると私は理解をいたしております。
 また、決議に従って原則的にクウェートから兵を引くという決定をイラクがすれば、それが中東問題の解決のきっかけになるわけであります。私はその決断を、今からでも遅くない、強く求めたいわけであります。
 また、多国籍軍に対する財政援助の問題については、あれは平和的な回復のために行っておる国連加盟国の行動に対して平和回復のために日本が協力をしていこうというものでありまして、この問題についてのさらなる追加の問題については、今財政当局とも政府部内で鋭意検討を続けておるところであります。
 また、緊急援助隊の問題については、これは現在いろいろな段階で、どのような貢献ができるのだろうか、このことについての検討をしておりますけれども、邦人保護や難民輸送のための問題については、これは国際機関の要請がございましたので、国際機関の要請に応じて人道的な立場に立ってただいま検討を続けておるものでありまして、その輸送その他についても、これは非軍事面での協力であり、人道的立場に立ってのいろいろな検討を続けておるということでございます。
 また、主権者である国民の熱い平和への願いに背を向けてアメリカの要求には無条件で積極的に応じていくのはいけないというお話ですけれども、今湾岸で起こった問題は、これはイラクも悪いがアメリカも悪い、どちらも同じ次元においての話ではなくて、国際社会の総意というものがイラクに、あなたは平和の破壊者だということを国際社会の総意として決めておるわけでありますから、国際社会の総意に従って、決議の原則に従ったクウェートからの撤退ということがまず行われませんと、これは公正な適正な道理に基づいた国際平和になるとは言えない、これが私の認識でありますから、あの地域における平和回復はあくまでも国連諸決議の原則に従って、しかもその先には中東の恒久平和の展望も開かれてくるような努力を私も行っていく決意でございます。
 また、日本の豊かな経済力で国際貢献を行うことは、軍事同盟的に力の政策に対応させることとは無縁であり、米国の戦争への支持、協力は直ちに中止すべきであることを要求すると最後におっしゃいましたが、私はあれは米国の戦争と見ておりませんので、国際社会における国連の決議に従った公正な平和を築き上げるための関係諸国の一致協力した努力である、こう見ておりますので、御理解をいただきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#31
○副議長(小山一平君) 池田治君。
   〔池田治君登壇、拍手〕
#32
○池田治君 私は、連合参議院を代表して、海部総理の湾岸危機に関連する重大緊急事態への対応につきましての演説に対して、次の質問をいたします。
 第一に、中東湾岸の和平を求める国際世論やデクエヤル国連事務総長の和平への懸命な努力にもかかわらず、ついに恐るべき戦闘が開始されたことは、まことに遺憾でございます。
 今、この現在におきましても多国籍軍によるイラクの爆撃が続き、イラクによるイスラエルとの戦端も次第に拡大されつつあります。このように、戦争の継続と拡大は、とうとい人命を犠牲にするだけでなく、石油資源やその施設の破壊による世界経済への影響は重大であり、環境破壊など人類社会の受ける損害は莫大なものがございます。
 我が国にとっても、原油輸入量の七〇%を湾岸地域に依存している事実を思うとき、国内の産業経済や国民生活に重大なる影響を及ぼすことは必定であります。
 したがって、我が国は、国連安保常任理事国を初め関係国が緊急に安保理を開催し、即時停戦、クウェート問題の平和的解決、パレスチナ問題等を議題とする中東和平会議を招集することを提案して、積極的に和平への道を探るべきであると考えます。
 この点につきまして、総理並びに外務大臣の所見をお伺いします。
 次に、今日の不幸な事態を招いた根本原因は、イラク軍の武力によるクウェートの侵略であり、この侵略を非難し無条件撤退を求める一連の国連決議を全面的に無視したサダム・フセインのかたくなな態度にあったことは否定できません。したがって、イラクに対する多国籍軍の武力行使を認めた安保理の決議もやむを得ないところであり、我が国が安保理決議六七八を支持することもまたやむを得ないことでございます。
 しかしながら、政府がアメリカに対し多国籍軍への全面的な協力を表明し、超法規的な協力措置を検討して、自衛隊輸送機C130を派遣する方針を打ち出したことは、国家の基本法である平和憲法並びに領土、領海、領空の専守防衛を任務とする自衛隊法に違反することは明白であります。したがって、我が国の多国籍軍に協力する方法や手段は、憲法と自衛隊法の許容する範囲で、またその限界内で行わなければなりません。難民救済、医療行為、医薬品や食糧等の救援物資や、破壊された施設の復旧建設資材の提供、運送業務等によって国際協力をなすべきでありまして、軍事的側面の協力や自衛隊の海外派遣につながるような行為は厳に行うべきではございません。
 この点についての総理並びに外務大臣の御所見をお伺いします。
 次に、多国籍軍に対する追加資金の拠出についてお尋ねいたします。
 拠出金の使途については、これは社会党の佐藤三吾先生の質問にもございましたが、私の質問にもまた若干違ったところもありますので追加したいと思っております。
 政府は、我が国の多国籍軍への全面支援の具体策として、大規模な資金の追加支援を行うやに伺っております。そして、資金の使途については戦闘行為に入った場合は条件をつけても仕方がない、武器弾薬に使わせないと言っても仕方がないのじゃないかという安易な考えがあることも伺っております。
 平成二年度の補正予算の審議の際、外務大臣は湾岸平和基金の十億ドルについて、武器弾薬に使用されることは絶対にないと言明されております。戦闘開始前の湾岸平和基金と戦闘開始後の平和基金の性格について、このような変更があるのは全く理解に苦しむところであります。使途、目的も限定されず、拠出の根拠法もないまま無原則で際限のない拠出を続けることは、憲法上も財政法上も問題のあるところであり、私は反対でございます。
 この点について、外務大臣並びに大蔵大臣の御所見をお伺いします。
 次に、財源につきましては、平成二年度の補正予算で、本年度内の税の自然増収として一兆一千二百七十億円を見込んで右予算は成立しました。このため、第二次補正予算を組んでも、現在の税収を前提にすると湾岸平和基金の名目で多国籍軍への支援拠出金を出す財源を確保する見通しはありません。そこで政府は、石油関係の間接税である石油税、揮発油税、石油ガス税、航空機燃料税等を増税して財源に充当する方針であるやに伺っております。
 これは、石油供給を依存している中東の平和のために国民が負担するものという形をとれば合理的説明ができるとの考え方のようでございますが、石油関係の増税ということになれば、石油業界は価格の値上げをすることは必定であり、結局、石油を消費する国民の負担が重くなるだけであります。戦争が拡大し長期化すれば、原油の供給量が心配され、価格の上昇が予想される不安のある中で、なぜに石油税の増税をされるのか、全く理解に苦しむところでございます。
 この点について、大蔵大臣の御所見をお伺いします。
 次に、政府は、国際エネルギー機関との合意に基づき、同機関からの通知があり次第、民間石油備蓄義務を現行の八十二日分から二月末までの間は七十二日分に緩和し、一日三十五万バレルの割合で民間備蓄を取り崩すとの方針と伺いました。
 石油価格の高騰を避けるためには、まことに結構な方策であると理解しております。今後も、政府は石油供給に対する国民の不安と混乱の解消に全力を挙げ、石油関連製品の便乗値上げを阻止し、石油の安定供給に万全の対策を早期に確立する必要があります。このために、業界への指導と監視に当たることや、国民への正確な情報を提供することが要求されます。また、一般の商品及びサービス業関連の価格につきましても、石油価格の高騰を理由とした安易な価格転嫁を防止するため、政府はすべての業界や団体に対し強力な便乗値上げ防止の要請を行う必要がございます。
 この点について、通産大臣の具体的な御所見をお伺いします。
 最後に、今回の多国籍軍の軍事行動は国連安保理の決議によるものではありますが、武力による制圧だけで中東湾岸地域に真の平和をもたらすことはできません。アラブ諸国の歴史と伝統、民族の文化と慣習、アラーの神に代表される宗教、経済的利害打算等を考慮し、湾岸諸国固有の諸問題はアラブ人同士の間での解決にゆだねなければ真の平和を実現することはできないと考えます。
 我が国は、石油資本と深い関係を有するアメリカやイギリスと異なり、イラクとの間に歴史的にも文化的にも深い関係はなく、一九六〇年になって初めて大使館を設置し、現在は経済・技術協力をしつつ、原油輸入量の総枠の一〇%に満たない貿易を続けているのでございます。
 したがって、我が国が湾岸地域の平和と安全の回復に貢献するためには、多国籍軍への超法規的、全面的協力を続けることは得策でなく、いわば第三国としてイラクと多国籍軍を構成している諸国との間に入り、双方に対して即時停戦を呼びかける外交を展開すべきことを総理並びに外務大臣に強く要求して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(海部俊樹君) 池田議員にお答えを申し上げます。
 国連安保理事会を開催して、即時停戦、クウェート、パレスチナ問題等を議題とする中東和平会議の招集を提案すべきではないかということでございます。
 お話の中にありますように、武力を行使して今行われておることは、中東の恒久和平のためではありましょうけれども、その入り口の国連決議にあるクウェートからの撤退、イラクが侵略し併合しておるというこの事実を既成事実化してしまったのでは国連の権威も、恒久和平の話し合いもできないということで行われておる行為でありますから、私はあれを認めたのは、そのような公正な国際秩序が保たれるようにしなければならない。あのような不法行為が定着してしまって、これは仕方がないことだというような受けとめ方をするのでは、将来の国際社会の秩序が乱れてまいりますし、国連の権威にも関係の出てくる問題でありますから、まずイラクが撤退をして国連決議を受け入れる、このことが何より大切であります。そこさえ乗り切れれば、御指摘の中東和平会議の問題についても、国連の事務総長自体が徹夜をしてまとめたあの各国の要望を入れたアピールもそのことが明確に出ておるわけでありますから、私もそれには同感でありますから、大いに御指摘のように努力を続けさせていただきます。
 また、自衛隊の問題についていろいろお話がございましたが、これも結局、武力を行使したり、あるいは武力による威嚇に使うものでは絶対ございませんし、人道的な非軍事面での協力、国際機関から要請を受けたあの被災民の人々に対する救済支援の問題でございまして、これはやはり日本の国が被災民救援に当たっていくということは国際社会に対する非軍事面の人道的な面でのなし得る協力であると私は受けとめて、その可能性についての検討を現在しておるところでございます。
 また最後に、中東和平に対してもう一回、武力だけではこれはいけないから、決議に従って侵略と併合という許すべからざる現状をまずもとに戻し、撤退があれば停戦も起こり、さらには恒久和平が行われるだろう、その話し合いに我が国は率先してその任に当たるべきではないかと。
 実は、平和的解決のために粘り強い話し合いの努力をつい直前まで続けてき、また今からでも遅くないということで、この場を通じてフセイン大統領にも直ちに決断されるように強く求めるとともに、今後あらゆる機会を通じて中東の恒久和平にもつながっていくような、撤退、停戦、話し合いという循環が進んでいきますように、政府としてもできるだけの努力を続けていきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(中山太郎君) 池田議員からお尋ねの三点は、総理から既に御答弁がございましたので、私は少しだけ補足させていただきたいと思いますが、この地域の一番の大きな問題は、何と申しましても現在のクウェートへのイラクの侵攻ということと併合ということであろうと思います。
 私は、先日、デクエヤル事務総長とお目にかかったときに、事務総長が最後にサダム・フセイン大統領に和平を求めて話をされたときに、クウェートはイラクの十九番目の州である、ここから手を引くことはないというのが返事であったということを直接お話を承りましたが、私は事務総長に対して、最後まで努力をしていただくことを日本政府としてはお願いをしたい、この時点ですべてが終わるということではなく、今後事務総長がこの地域の和平の構築のために努力をする日が必ず来ると私は信じておるので、日本政府としてはデクエヤル事務総長の今後のこの地域の和平への努力を支持してまいるから、どうぞ御活躍を願いたいということを言って、一昨日別れてきたところでございます。
 御案内のように、日本政府はパレスチナ問題の解決のために、イスラエルの政府に対しましては今日までガザあるいはジョルダン川の西岸地区からの軍の撤退を強く求め、そしてパレスチナの自決権を認めて、イスラエルの存在もパレスチナに対して認めるようにPLOのアラファト議長に私は直接話をしてまいった経過もございます。日本政府は、平和が来ればそこに経済協力もやろうということも既に一昨年申しておりまして、このような中で今回のクウェートに対するイラク軍の武力による制圧という国際法に違反した行為が起こったわけでございまして、国連決議を踏まえて、一日も早いクウェートからの撤退が行われれば、ここでこの中東地域全域の将来の和平へ向けての国際的な枠組みの会議が行われるものと私は心から期待をいたしております。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(橋本龍太郎君) 池田議員から御指摘を受けたことでありますが、この追加的な支援を行うというものが憲法上、財政法上問題があるのではないかという御指摘でございました。
 仮に拠出金の追加をいたすという決断をいたしました場合におきましては、憲法及び財政法の規定に沿って適切に対処していくことは当然のことであると考えております。しかし、先刻来御答弁を申し上げておりますように、追加的支援につきましては、昨日戦闘が開始されたという状態を踏まえ、できるだけ速やかに結論を出さなければなりませんけれども、私どもがかつて経験したことのない情勢の中でありまして、私自身何ともまだ判断をまとめ切れておりません。
 特定の税目を挙げてのお尋ねでありましたが、その財源等につきましても今後できるだけ早く検討する必要がありますけれども、結論を出しておる状況ではないということだけは申し上げたいと思います。同時に、いずれにせよ赤字公債の発行という手法には頼りたくない、そのように考えております。(拍手)
   〔国務大臣中尾栄一君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(中尾栄一君) 池田議員にお答えさせていただきたいと思います。
 石油供給に関する国民の不安と混乱を解消するという一点と、それから同時にまた、石油並びに一般商品の便乗値上げというものをなるべく防止したいものだ、こういう具体的な方策についてのお尋ねかと思います。
 御案内のとおり、我が国は湾岸地域から全石油輸入量の約六〇%強、これを輸入しておるわけでございまして、当然のことながら戦闘行為が長期化していくということになりますると、国民生活や経済活動というものにも影響が生ずることだけは必至であろうと思うのでございます。
 しかしながら、我が国は現在百四十二日分の石油備蓄だけはしております。そして、国際エネルギー機関、すなわちIEAを通じました国際協調のもとにおきまして備蓄の活用を図ることにしております。昨日は、そのIEA合意に基づきまして、石油備蓄法に基づくところの備蓄義務量の引き下げを行ったというところでございます。今後とも、国民経済、国民生活そのものへの悪影響というものを最小限のものにしようということから、石油の安定供給に遺漏なきを期してまいりたいと考えておる次第であります。
 また、石油製品価格につきましては、昨年、石油会社からコスト変動の報告聴収を行うということの行動等とともに、石油製品を含む主要物資の価格動向というものについてはきめ細かく注視しているところでございまして、どうかその点も御認識賜りたいと思う次第でございます。
 これらの措置を今後とも継続してまいる所存でございます。
 ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#37
○副議長(小山一平君) 勝木健司君。
   〔勝木健司君登壇、拍手〕
#38
○勝木健司君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、ただいま行われました海部内閣総理大臣の演説に対し、質問を行うものであります。
 世界じゅうの国民の平和への願いもむなしく、イラクが国際世論や国連決議を無視し続けた結果、多国籍軍によるイラクへの攻撃開始という最悪の事態を迎えたことは、まことに遺憾だと言わなければなりません。残念ながらイラクは、中東和平に向けた各国の外交努力をことごとく踏みにじり、国際法に違反して侵略したクウェートからの撤退をついに行わなかったのであります。開戦のやむなきに至らしめたイラクの責任は極めて重大であります。
 我々は今、世界が緊張緩和へと動いていこうというやさきにありまして、なお世界には他国を力で侵略するイラクのような国家が存在し、またこれからもあらわれる可能性があるという国際政治の現実を改めて認識しなければならないのであります。その意味で、今回の措置はまことに残念ではありますが、国連の権威を守り、世界の平和を回復する意味でやむを得ないものであると考えます。
 そこで私は、この問題に対する政府の基本姿勢につきましてまずお伺いいたします。
 総理は、国連によるイラクのクウェートからの撤退要求決議の期限切れを目前に控えた時期にASEAN各国の歴訪を予定しておきながら、これを取りやめられました。ASEAN諸国との友好関係は極めて大切なことではありますが、私は、総理がこの重要な時期に我が国を離れるという外交日程を組まれたことに対し、疑問の念を禁じ得ませんでした。中東湾岸問題の解決は、現下の最重要課題であります。政府が総力を挙げることはもとより、与野党で真剣な対応を検討すべきときであります。
 私どもは、中東貢献策を主な柱とする平成二年度補正予算に賛成するに当たり、ねじれ国会のもとでこうした重要事態に対して一党一派で対処するのは不十分、不適切である、今後は各党首脳への事前の話し合いを行うことが必要であることを政府に申し入れ、総理も賛成されました。昨日行われました与野党党首会談は、その意味で評価いたすものであります。今後の対応はますます重要になってまいります。これからも適宜適切に与野党の協議を行っていくべきであると思いますが、まず、総理にその意思がおありになるのかどうか、お尋ねいたします。
 以下、政府の具体的施策につきまして、総理の明確なる御答弁を求めるものであります。
 第一は、経済支援の問題についてであります。
 既に米国のバウシャー会計検査院院長は、戦闘行為が行われた場合、開戦当初は一日二十億ドルの財源が必要になると指摘をいたしております。政府は米国からの新たな財政支援要求に対して積極的にこたえるべきでありますが、これまでにも我が国は湾岸諸国に対する経済協力分も含めまして四十億ドルの貢献を表明し、実行中であります。我が国が今回重ねての資金協力を行うことによりまして、関係国の中でも引き続き最大の協力国であろうことは間違いないと思います。これらはすべて国民の税負担によるところのものであり、これらの協力には国民の幅広い理解の背景がなければなし得ないものであります。
 そこで、今回さらにいかほどの追加支援を行う心づもりなのか、またその財政措置はどのように講じられるのか、お伺いをいたします。政府部内におきましては建設国債の増額や短期国債の発行も検討されているようでありますが、総理のお考えをお聞かせいただきたい。
 また、来年度におきまして多額の財政拠出を求められた場合、その捻出方法については与野党協議の場を設けるべきであると思いますが、総理の御見解を求めるものであります。
 また、我が国の資金協力は当然憲法の精神を踏まえ実施されるよう努めるべきであると考えますが、あわせてお答えいただきたい。
 第二に、難民問題への貢献であります。
 政府は難民協力のため自衛隊機の派遣を考慮中と伝えられております。さきの臨時国会における自公民三党合意で、国際平和協力隊の設置を進めることとし、それを通じて湾岸危機等の国際紛争の解決に貢献することを決めました。しかし、その具体策の策定の作業はまだ進んでおりません。人道的見地から、被災民及び避難民救済のための緊急措置につきましては、迅速にかつ実効ある措置を講ずるべきであります。しかるに政府は、こうした事態が十分予想されていたにもかかわらず、かかる問題に対する法的裏づけを初め、危機管理体制の確立を怠ってきたことは極めて遺憾であります。政府として今後いかなる方針で対処されるのか、明確にしていただきたい。
 第三に、政府が既に公約をしていながらいまだに実現をしていない医療チームの派遣についてであります。
 国際公約は守らねばなりません。民間にも協力を求め、医療チームの派遣体制を早急に整備すべきであります。同時に、なお必要な場合には、人道的見地から防衛医官の派遣を検討すべきでありますが、総理は派遣する意思がおありかどうか、お伺いいたします。
 最後に、我が国国内の経済対策についてお尋ねをいたします。
 中東における戦争勃発は、同時に石油危機を招くものであります。したがって、エネルギー資源の乏しい我が国として、この際特に省エネルギーへの努力をすることは何よりも重要なことであります。政府は業界、企業並びに国民一般に対して速やかに具体的な要請を出すことが必要であります。同時に、便乗値上げの監視など物価安定に全力を尽くし、インフレを生じさせないようにすべきであると考えますが、これらの措置について政府の見解を明らかにしていただきたいのであります。
 国際正義を貫き、クウェートの主権を回復するためには、多くの国々とともに我が国自身もまた積極的にその役割を果たさなければなりません。世界平和は、ただ口先だけで平和を唱えるだけで守れるものではありません。自由と民主主義、そして平和主義という人類の普遍的な価値観に立って、正邪を明確にし、正義を守るための具体的行動が今や必要であります。このことを強く訴えまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(海部俊樹君) 勝木議員にお答えを申し上げます。
 戦争は長期にならず最小の犠牲で済むようにとお述べになりました。全く同感でございます。
 私は、この不幸な状況が一日も早く終わることを重ねて心から期待いたしますとともに、同時に、そのかぎを握っているのはサダム・フセイン大統領その人でありますから、国際社会の総意に基づいて、侵略、併合を行い、そのままの既成事実の上にあぐらをかいておる態度を一刻も早く転換して、停戦をし、撤退をし、中東和平のために態度を変えながら、世界平和のためにいろいろな話し合いの場に出ることができるような、その決断を議員とともに強く求めたいと思っております。
 二つ目は、中東湾岸問題の解決は現下の最重要課題、政府は総力を挙げるのは当然であるけれども、与野党が真剣な対応を検討すべきであるとお述べになりました。
 私もそう思いまして、政府は早速昨日から安全保障会議を開き、臨時閣議を開き、対策本部をつくり、そして緊急に党首会談をお願いしていろいろな意見の交換もさせていただきました。
 今後、その意思があるかとのお尋ねでありますが、必要なときは私はいつでもお願いをしながら、私どもの気持ちも聞いていただいて、御理解と御協力を求めていく意思を持っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。
 三番目は、経済支援の問題についてお尋ねになりました。
 あの地域の平和を回復するために、国連決議に従った多くの国々の行動については、我が国は積極的に支援をしていくという決意を表明いたしております。その金額、その内容については、財政当局とともに現在政府部内で検討を続けておるところであります。
 また、難民問題への御言及がありました。国際平和協力隊の設置のための努力を政府はどうしておるかという御指摘もございました。
 私は、新しい国際協力のあり方について成案を得るべく政府は現在努力をしておりますけれども、そのときお触れになりました自公民三党合意の精神、考え方を踏まえて行っていくことはこれは言うまでもないことでございますから、御協力を賜りますようにお願いをいたします。
 また、人道的見地から、難民救済のため、国際機関の要請を受けて政府はあらゆる事態に対応すべきことを検討しております。移送のみならず医療チームの派遣についても御発言がございましたが、今日まで医療チームの派遣もいたしましたけれども、さらに今後どのような形で医療協力をしていくことができるのか、引き続きこれも人道的な見地から検討を続けてまいりたいと思っております。
 石油事情につきましては、仰せのように、十五年前の石油ショックのころと現在とは、国民各界各層の皆さんの御理解と御協力によってエネルギーの消費量が大幅に石油に依存しなくなってきたという事実も御承知と思いますし、また、最も新しい報告では、昨日のニューヨークの一バレル当たりの原油値段が二十五ドル台から十五ドル台に下がった、十ドル下がったという報告も来ておりますが、これに一喜一憂することなく、どのような状況が起こるかわかりませんから、政府は慎重にこれに対応しながら、また、備蓄問題等を通じて国際会議において日本にもそれなりの要望が寄せられました。政府は、この与えられた日本の役割を石油備蓄の解除によってきちっと果たして、国民生活に最悪の事態が来ないように万全を期していくつもりでございます。
 同時に、御指摘のように、国民の皆さんに対しても、私は先ほどの報告の中で省エネルギーに、例えば暖房温度の調整などで御理解と御協力をいただくことをお願い申し上げましたが、どうぞよろしくお願いをいたします。(拍手)
#40
○副議長(小山一平君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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