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#1
第120回国会 本会議 第7号
平成三年一月二十九日(火曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第七号
  平成三年一月二十九日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(土屋義彦君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十五日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。赤桐操君。
   〔赤桐操君登壇、拍手〕
#4
○赤桐操君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、海部総理の施政方針演説を中心に、問題山積の政治、外交、防衛、経済関係について質問を行います。
 まず、海部総理の政治姿勢について伺います。
 世界は今、脱冷戦構造がだれも予想できなかったほどの速さと内容で進む一方、今月十七日、世界じゅうが最も憂慮していた、多国籍軍がイラク、クウェートの攻撃に踏み切り、湾岸戦争が始まるという最悪の事態が起きております。脱冷戦と戦争という全く正反対の極に向かって激動する世界の歴史の中で、海部総理は日本国の指導者、責任者としてどのような役割と責任を果たそうと考えておられますか。
 国際的な地位の高まった我が国は、いや応なしにその一挙手一投足が世界の注目を引くことは避けられません。大変難しく、かつ困難な時代の政権を担当される総理に、以下ぜひお尋ねをいたしたいと思います。
 総理、あなたは、湾岸戦争を通じ、歴史的で崇高な使命を担う御決意と姿勢をお持ちでありましょうか。この戦争を人類最後の戦争にすべきだという御決意で臨んでおられますか。一月十八日、両院における戦闘勃発に伴う政府の重大緊急事態への対応の総理演説並びに緊急質問への答弁では、この決意は一言半句聞かれませんでした。大変気がかりであります。
 多国籍軍の攻撃開始という急迫した事態に、政府は、我が国の国際社会に生きる理念を忘れ、少々慎重さを欠いていたように思えてなりません。多国籍軍への断固支持の前に、冷静に真剣に考慮していただきたかった点であります。
 この戦争を人類最後の戦争にとの願いを基盤に対処される場合の我が国の行動規範は、当然に、イラクと多国籍軍の双方に武力行使を即時やめさせ、そして一刻も早い和平のテーブルの準備でなければなりません。百歩譲って多国籍軍援助の政府の立場でも、同時並行的にこの努力を怠ってはならないはずであります。やがて開戦半月を過ぎようといたしております。この間、政府は停戦のための努力や国連への働きかけなど、どのような具体的な行動をされたか、総理にお伺いをいたします。
 湾岸戦争を契機に、日本国憲法を空想的平和主義との批判や、一国平和主義とは決別のときなどとの声も聞こえてまいります。そうでありましょうか。冒頭申し上げたように、平和を求める世界の大きな流れは、戦後の冷戦構造と好戦的体質を大きく変えたことは否定できません。この流れを後戻りさせてはならないのであります。これが平和国家日本の進路であります。私どもは、東西冷戦が終えんし、新しい国際秩序を構築しようとしている今こそ、平和憲法が来るべき世界の指針であり、かがみにすべきだと信ずるものであります。
 武力による威嚇または武力行使を永久に放棄して世界の先駆者となった日本が、武力に頼って事を決しようとする今回の戦争にどんな姿勢で臨むのか、国際社会で名誉ある地位が占められるか否か、大きな岐路に立たされていると言っても過言ではありません。総理の決意を承ります。
 続いて、主として内政問題で総理の政治姿勢をただしたい。
 昨年末の海部改造内閣の政治方針は、清新、実行だそうであります。しかし、昨年末の内閣改造時期をめぐっての二転三転や、ガス抜き改造などという新聞の酷評を見ますると、清新にはほど遠く、また総理の指導力と実行力に多大の疑問が出されております。昭和生まれで、新憲法下の戦後の新しい教育を受けた総理に、多くの国民はそれこそ清新な政治運営と新たなる手法を期待したと思います。しかしながら、今日その期待はことごとく裏切られたというのが大多数の国民の実感でありましょう。海部総理が国民に約束した政治改革、欠陥消費税の見直しは、放置されたままであります。持つ者と持たざる者の不公平是正を掲げた土地保有税は骨抜き三昧であります。政治浄化のクリーンイメージも、リクルート議員排除は大臣限り、党の要職や国会役員はお構いなしであります。
 昨年の中東国会で、憲法を曲げてまでねらった自衛隊海外派兵は、国民世論の反対と野党の追及で完全ノーに決しました。しかるに、湾岸での開戦を奇貨として、当時の国会答弁をほごにして、自衛隊による全面協力、海外派兵を行おうといたしております。
 国民の目には、古い派閥政治と、歴代総理同様、おのれの政権欲にきゅうきゅうとしている姿しか映りません。その上、総理、あなたは国民に公約したことを実行しない責任と、逆に国民と国会の意思に反することを強行する責任をどうなさいますか。
 議会制民主主義を支えるものは、政治責任の明確化であります。みずからの掲げた方針や政策が行き詰まったり、国民世論とそごを生じた場合には、責任をとるのは当然であります。総理は責任感覚が麻痺しておられませんか。私は、改造内閣の第一に責任を追加することを要求いたします。
 海部内閣の改造を、英国のサンデータイムズは回転木馬と論評しておりました。総理、改造にとどまらず、あなたの政治は、同じところをぐるぐる回りながら、政策課題の木馬が上がったり下がったりしているだけで、激動する世界情勢にも暮らしの安定や生きがいを求める国民の期待にもこたえられないまま、一回転してもとに戻っているのではありませんか。
 政治改革で伺います。
 海部総理は、就任に当たり、政治改革を公約されました。昨年秋の議会開設百年の節目までに実行する、これに政権の命運をかけると断言されました。しかしながら公約は破られ、昨年暮れの内閣改造と引きかえに、政治改革基本要綱を与党自民党の了承を得たにすぎません。総理、公約違反の責任はどうなさいますか。
 さらに問題は、この要綱が衆議院に小選挙区比例代表制並立型を導入し、党利党略の自民党単独政権ねらいの代物であります。総理は政治に金がかかるのは中選挙区制のためと述べておられますが、一人区の奄美群島区でどれほどの金権腐敗選挙が行われたか、これは既に周知のところであります。野党つぶしの小選挙区制を持ち出した総理の本心は、野党の反対で政治改革が進まないと、自分の指導力の欠如と公約違反を野党にかぶせようとの魂胆が見え見えではありませんか。
 総理は政治改革の手順を間違えております。ロッキード事件、リクルート事件、稲村元環境庁長官事件を見れば明らかで、選挙区制の前に政治資金の規制強化、政治資金と所得の区分及び課税の明確化、政治資金の入りと出の一〇〇%透明度化、政治倫理等こそ喫緊の課題として解決すべきであります。
 いま一つ、最高裁判所から違憲状態と判断された一票の格差解消を早急に行うべきであります。民主主義政治の根幹である投票権に何人も容認できないほどの不平等を温存させていたのでは、正しい民意の反映ができないのはもちろん、政治そのものが死に体となるのは必定であります。過去の国会決議を尊重、定数是正法案の提出を強く要求いたします。
 定数再配分の抜本是正を行うとなれば全国の八割前後の選挙区に異動を生じるので、いっそ小選挙区制に改めた方がいいなどというのは暴論と言わなければなりません。もともと選挙区制度と定数是正は別次元の問題であり、また、政府の怠慢で放置してきた一票の格差是正とすりかえるやり方を認めるわけにはまいらないのであります。さらに、報道では参議院の選挙制度にも手をつけるとのことですが、総理の考えをお示しいただきたい。
 次に、外交問題で伺います。
 現在、世界各国は火を噴いた湾岸戦争の行方を憂え、対処に追われている点で共通をいたしております。各国は透徹した外交方針としたたかな外交戦略を踏まえて臨んでいるのに、我が国外交は無策に過ぎませんか。この機に臨んで我が国は何をなすべきか、まさに平和国家日本の外交が試されているのに、憂慮にたえません。
 国連が決議したから、多国籍軍が出撃したからと、自主性のない追随外交であり、総理の姿勢や方針はその都度揺れ動いて、確固不動の方針は全然示されておりません。その上、最近は戦争に便乗し、どさくさに紛れ、平和憲法のもとでの戦後日本の外交や防衛政策、それを支えてきた法体系等を破り捨てるやり方は絶対に認められません。湾岸戦争に関連する国際貢献で、できることとできないことを戦後四十五年にわたる国づくりを踏まえ、自信を持って堂々と世界に向かって訴える外交がなぜやれないのか、伺いたいと思います。
 戦争に悪乗りして、政府が憲法で厳格に義務づけられた法令遵守を放棄するような外交は、法治国家の外交とは申せません。ちなみに、政府が、自衛隊法百条の五の「国賓、内閣総理大臣」の例示で対象に絞りをかけた自衛隊機による輸送の定めを、荒唐無稽の解釈による政令改正で難民輸送に自衛隊機を派遣することは許されません。これは明らかに自衛隊の海外派兵であります。自衛隊法の精神に反することを認めるわけにはまいらないのであります。自衛隊派遣の政令改正の撤回を要求いたします。
 歴代総理の、シビリアンコントロールの保障は最終的に議会の意思に従うことだとの答弁からも、昨年秋の中東国会での国連協力法案が廃案になったことで、海外派兵に対する国会の態度は明確にノーであります。シビリアンコントロールの大原則からも、政令改正の撤回を求めます。
 避難民の帰国については、自衛隊機を使っての危険な空路ではなく、ヨルダンから幾つもの陸路または海路による帰国ルートがあることが確認をされております。これに必要なバスや船のチャーター、要員確保等、早急に対処すべきだと考えます。政府の対応を伺います。
 さらに、多国籍軍への九十億ドルの追加支出も、その調達を戦時国債の発行という、憲法も財政法も認めていない化け物国債で賄おうといたしております。そして、貴重な国民の税金が何らの歯どめなしに多国籍軍の武器弾薬に化けることを認めるわけにはまいりません。その上、国会開会中であるにもかかわらず、追加支出を国会に諮らず、論議もせず、一方的に米国との間で取り決めたことは、外交は政府の専権とは申しながら独善外交に過ぎませんか。
 総理、国民は戦争の長期化と負担の一層の増加を心配いたしております。湾岸戦争に対する支援は今回の九十億ドルで打ちどめと、確信を持って国民に約束できますか。国民が心配する際限なき負担にどのような歯どめを日米間の外交交渉できちんと行われたか、答弁願いたいと思います。独善外交の結果は、特例国債発行の根拠法案不成立の可能性が大きいと思います。総理はそのときどうなさるか、明確な答弁を求めます。
 私どもは、非軍事、非自衛隊で民生の分野で人道的立場からの徹底した国際貢献をすべきだと主張してまいりました。難民移送は民間機で、そして人道的な医療や食糧援助等に全力投球すべきで、そのためなら予算の支出も十分行うべきであります。政府は既に周辺国援助に二十億ドル供与を決めましたが、実施は緊急商品借款と円借款が大部分であります。しかし、エジプトは数十万人の出稼ぎ労働者が帰国し、インド、フィリピン等のアジア諸国も大量の出稼ぎ者の帰国で、雇用、住宅、医療等、無償の民生対策の協力を切望いたしております。これら緊急の救済対策に直結しない金を貸してやるといった方式は再検討すべきではありませんか。御答弁願います。
 今、政府がやろうとしていることは、火事場泥棒的手法で自衛隊と税金を使っての集団自衛権体制づくり以外の何物でもありません。日本国憲法が認めない、そして歴代自民党政府が否定してきた集団自衛体制を、湾岸戦争を機に超法規的事態などという言い方で既成事実化しようとする外交政策は許されません。総理は、日本外交並びに国内体制を戦時即応体制に切りかえる方針ですか。それが総理の考える国際貢献の唯一最大の対策でありますか。ここは真剣勝負で明確な答弁を求めます。
 防衛問題について伺います。
 冷戦構造の激変と軍拡競争への歯どめがかけられたというのが昨今の国際軍事情勢でございます。たまたま我が国の中期防の終了年次と一致しており、多くの国民はポスト中期防は軍縮に大きく踏み出すものと期待をいたしておりました。しかし、総額二十二兆七千五百億円、現行中期防衛計画を四兆一千七百億円も上回っております。政府は伸び率が半減すると宣伝しておりますが、既に世界第三位の防衛支出を行っている現状を直視するならば、防衛費総額を現行水準にとどめるくらいの方針決定がなぜなされなかったのか。これでは世界の流れに逆行し、アジア諸国の不安を増幅させるばかりであります。緊張緩和と軍縮で世界の先頭に立ってこそ国民の理解が得られることを知るべきで、国民の信頼と協力こそが安全保障の基盤であります。
 総理は脱冷戦時代における我が国の防衛政策のあり方をどう考えておられるか、御答弁願います。
 新中期防衛計画の策定段階で防衛計画の大綱見直しが論議を呼びましたが、政府は改定しない方針のようであります。それは、現在の情勢を十四年前に決めた大綱当時と同じだと判断されてのことでありましょうか。当時は各種の対立要因が存在いたし、我が国周辺において限定的な武力紛争の可能性を否定することができないとの認識であったと思います。今日の国際情勢とは雲泥の差があることは多言を要しません。当時の政府が強調したソ連脅威論も、昨年五月本院予算委員会で修正答弁を行い、防衛白書も同様に軌道修正をしたはずであります。
 これほどの変化があるにもかかわらず、必要最小限の基盤的防衛力に固執し、防衛計画大綱を維持しようとするのはいかなる根拠によるものか。私は大綱並びに別表の下方修正こそ新しい中期防衛計画で行うべきだと考えますので、総理に再考を要求いたします。
 在日米軍駐留経費の強化についてただしたいと思います。
 米国の財政赤字とも関連して、在日米軍経費支援の要請がますます強められようとしており、従来の協定を一年繰り上げて改正し、三年度予算では百二億円を追加負担することとし、合計では一千七百七十五億円の負担となります。しかし、脱冷戦の影響で、米軍は海外基地の整理縮小を進めているはずであります。これに逆行する米国の負担増加要請は再検討すべきで、沖縄を初め米軍基地の返還縮小を促進し、軍事費自体の削減を日米協調して行うべきではありませんか。御答弁願います。
 次に、経済問題でただしたい。
 戦後二番目の五十カ月を超えた今回の大型景気の特徴は、株価の高騰と地価の異常暴騰に象徴されるとおり、財産を持っている人々に大きな利益をもたらしました。そして、これを支えたのが超低金利と超緩和の金融政策でありました。昨年の株価低落を機に、バブル経済が流行語になった感じがいたします。バブル経済は決して自然現象ではありません。政府の経済金融政策が後手後手に回った結果でありまして、国民の間に資産格差と階層格差拡大を生み出し、戦後、格差縮小、平等社会を目指して発展してきた日本の経済社会に大きな深手を負わせたのであります。
 資産格差の拡大や、年収の十倍以上にもはね上がって、一生働いて自分の住む家も持てない一般大衆と、他方では一部金持ちや投機家のぼろもうけといった構図であります。これは、我が国の政治経済の運営が国民大衆を無視し、大企業や資産家中心に行われていることの証左ではありませんか。バブル経済及びバブル破裂後の数々の矛盾をどのような政策で解消していくお考えか、御答弁を願います。
 景気拡大をもたらした円高、金利安、原油安は、今や金利高、原油高、加えて湾岸戦争の開始もあって、経済の先行きに不透明感が濃厚であります。目下、戦後最長のイザナギ景気の五十七カ月を超えられるか否かが注目の的でありますが、これは単に記録更新の問題というよりも、的確な政策発動タイミングのメルクマールとして重要だと存じます。政府は景気の転換点でどのような見通しをお持ちか、御答弁を願います。
 政府は、来年度経済をこれまでの五%前後の成長実績から三・八%に低下する調整過程ととらえているようでありますが、調整過程に対応する政策の用意はございますか。中小企業対策費はわずか〇・三%の伸びであり、公共事業費や国庫債務負担行為に特段の工夫がなされておりません。さらに、オーバーキル論も出されている現在の高金利政策に調整期経済の中でどのような役割を担わせ、いつごろまで続ける所存でありますか。現在の経済運営は何もかも金利政策で済まそうとの気配が強過ぎませんか。御答弁を願います。
 さて、国民生活との関連で、バブルで泣かされた国民大衆は、バブルが消えた後も政府の無策と政策の貧困で泣かされることになりませんか。土地は庶民がある程度努力すれば手に入るようになるのでありましょうか。生活はバブル経済下より暮らしやすくなりましょうか。労働時間は短縮され、ローンの支払いのためにやむなく働いている主婦は働かなくてもよくなりましょうか。老後の住まいや生活の心配は解消いたしますか。お答えください。バブルが消えれば国民生活が豊かになるかのような政府の言い方に、疑問を禁じ得ません。国民大衆の生活に調整期のしわ寄せをしないという約束ができましょうか。経済大国をつくり支える勤労者に豊かで安心して暮らせる生活をどう保障するか、政府の明確な御答弁を求めます。
 次に、財政関係についてただしたい。
 まず、第二段階を迎えた財政再建について伺います。
 昭和五十年度の特例国債発行から十五年目の今年度、ようやく新規発行を脱却いたしました。この間、幾たびかの財政再建計画が失敗に帰しました。昭和五十九年度からの財政再建七カ年計画も、当初は特例国債削減が計画の半分にも届かないありさまでありました。しかし、六十二年度からの大型景気の到来で毎年度五兆円を超える大幅な自然増収が発生したこと、財政当局の意図的とも言わざるを得ない税の過小見積もりのテクニックを利用したこと、当初予算編成では毎年度、版で押したように概算要求枠とマイナスシーリングを利用したこと等の組み合わせによって、補正予算と決算段階で特例国債の削減を行ってきたことは周知のとおりであります。
 何といってもこの財政再建は大幅な自然増収という追い風に助けられたもので、政府の政策運営の努力は微々たるものであったことは多言を要しません。
 政府は、三年度予算を財政再建第二段階の初年度と位置づけ、五年後に国債依存率五%を目標に、毎年度四千億円の建設国債発行削減を目指しましたが、二千五百二億円しか削減できず、最初からつまずきを起こしております。その他、二年度までに行われたいわゆる隠れ借金の償還も三年度はゼロであります。その上、地方交付税との関係では五千億円の又借り措置すらとられておるのであります。財政再建は、税収増加の追い風がとまって、とんざしたのではありませんか。政府は、第一段階の財政再建が到達できたことを過信してはおりませんか。本気で第二段階の財政再建を進めるためには、第一段階以上の苦労が伴うはずであります。
 内外から歳出需要が高まる中で、政策的経費に割り当てられる一般歳出は、十年前の六八・五%が三年度は五二・九%で、年々確実に低下いたしており、予算総額の五〇%を切るのは目前であります。国際的な責任と国民生活の向上を果たす政策経費をどのように確保するお考えであるか、伺います。
 第二段階の財政再建では、惰性の予算編成を排し、導入後九年目を迎えるマイナスシーリング方式を見直し、防衛費等の突出による二極分化型予算の是正を行う必要があるのではないか。また、地方交付税についても、三年度予算のような特例減額といったわかりにくい措置ではなく、国と地方の役割分担の見直しという根本に立ち戻って、権限と財源の再配分を憲法の地方自治の本旨に従って行う必要があるのではないでしょうか。さらに、建設国債の新規発行削減努力はもとよりでありますが、約百七十兆円の国債残高の減額の方途を講じない限り、国債費の重圧から逃れることは不可能であります。NTT株五百万株の売却収入を充てることは当然でありましょうが、さらに工夫して繰り上げ償還財源づくりに努める必要があると思います。
 政府はどのような手順と方法で第二段階財政再建を進めようとされるのか、御答弁を願います。
 次に、社会資本整備で伺います。
 我が国の社会資本整備の立ちおくれは今さら申し上げるまでもありません。特に、産業ないし生産向けの社会資本に比べ、住宅、下水道、公園、福祉、文化教育施設等々の生活に直接関連する社会資本が著しく劣悪で、それゆえに国民生活にゆとりと豊かさが実感できないことも毎日経験させられているところであります。
 昨年の日米構造協議で四百三十兆円の投資が決まりましたが、これは政府の宣伝ほど巨額なものでありましょうか。私はそうは思いません。四百三十兆円を丸々実施いたしましても、十年後の対GNP比は七%台前半がやっとでありまして、五十年代半ばまでの対GNP比九%前後の水準を大きく下回っております。二十一世紀を見据えた社会資本整備のラストチャンスの十年にしては、その規模はむしろ少額に過ぎると言わざるを得ません。加えて、この十年間は戦後整備の多くの社会資本が集中的に更新期を迎え、新たな社会資本整備がこの面からも抑制が避けられないとの民間調査機関の貴重な報告も出されております。
 更新投資を除く新規投資の額がどれほど見込めるのか伺いたいのと、必要ならば五十兆円程度の追加上乗せも考えるべきではないかと思いますが、答弁をお願いいたします。
 三年度予算編成で政府は生活関連重点枠二千億円を設けましたが、これは公共事業費総額七兆八千億円のわずか二・五%、四十分の一にしか当たりません。これでは二階から目薬でありまして、生活関連公共投資に重点配分はしょせん望むべくもないと思います。この方式を見直し、実効あるやり方に改めるべきだと存じますが、御答弁を願います。
 また、地方自治体との関係では、補助率の引き下げで負担を地方に転嫁していたことをようやく見直したものの、完全復元ではなく六十一年度水準にとどめた理由はなぜでありましょうか。もともと国の計画と責任で公共事業の推進を図ることにしておきながら、負担を地方に転嫁するのは間違いであります。百歩譲っても、財政再建が達成された以上、完全復元を行うことは国と地方の信頼関係上もまた中央政府の車の両輪論からも当然であると存じます。御答弁願います。
 公共事業費の配分比率を改めない限り生活重視型に改革することはできないというのが国民世論であります。しかし、三年度予算でもほとんど配分比率は変わっておりません。既得権の擁護に各省庁、業界、それに自民党の部会がスクラムを組んで分捕り合戦を繰り広げたと新聞は報じておるのでありますが、これが事実で改まらないとすれば、日米構造協議の結果を受けてつくられた公共投資基本計画の、生活環境・文化機能の分野に従来の五〇%台前半の配分を九一年度から二〇〇〇年度に六〇%程度に引き上げる計画は画餅に帰することになりますが、この機能別配分比率の実現にどのような対応をされようとしておられるか、明確に承りたいと思います。
 次に、税制に関し二点ただしたいと思います。
 第一は、消費税問題であります。
 昨年の第百十八特別国会で税制問題合同協議会が設置されて以来、専門者会議等で合計二十四回に及ぶ協議が重ねられ、所得税の総合課税移行に向けて合意が見られたことは、関係者の労を多とするものであります。しかし、焦点の消費税につきましては、運用益や益税問題については各党間でほぼ合意に達しながら、食料品等非課税の逆進性緩和問題については、与党自民党がかたくなに反対意見を貫こうとしたため、せっかくの改正案がまとまり切らず、その責任はすべて与党自民党にあると言っても過言ではないと思います。
 かつて竹下元総理が消費税導入の際に九つの懸念のトップに逆進性の解消を挙げておきながら、共産党を除く野党が一致して食料品等を非課税にすることによって消費税が本質的に持つ不合理をわずかでも改めようとしたにもかかわらず、自民党が反対の急先鋒に立ち改正案つぶしを行いましたが、これこそ選挙公約とは百八十度違う国民に対する背信行為と言わざるを得ません。
 総理、自民党総裁として、国民に公約した消費税見直しをどうやって行うのでありますか。常に懸念のトップに挙げてきた消費税の逆進性をどう緩和いたしますか。明確にお答えください。
 第二は、地価税についてであります。
 土地を持つ者と持たない者との間に大きな格差を生じたことが契機となって土地所有者の課税が検討されてきたことは、所得、消費、資産への均衡ある課税の観点からも当然のことと言わなければなりません。しかし、政府税調の基本答申の後、自民党が取りまとめた素案は、土地を持つ者と持たない者との格差を縮小しようという土地への課税の趣旨を全く忘れたものとなっております。
 地価税のあり方は、その本来の趣旨からして、まず第一に、課税最低限度額が大きくなってはいけないのであります。宅地一千平方メートル、または一平方メートル三万円以上、あるいは総額十億円、なお個人と資本金一億円以下の中小法人は十五億円という巨額な控除では、納税者はごく少数の富裕者あるいは大企業に限られます。これでは格差の縮小などできるはずがありません。都市部と農村部の調整が難しいなら、限度額の基準を大都市と地方に区分して課税すること等は、当然工夫されてしかるべきではありませんか。
 第二は、税率が低過ぎてはいけないのであります。巨額な控除を受けた上に税率が〇・二%や〇・三%では、税の負担感をほとんど感ずることができず、格差の縮小も全くできません。
 第三は、地価税が転嫁できるものであってはいけないということであります。残念ながら、自民党案では、そのほとんどは大企業に課税される税となり、それは尽きるところ製品やサービス価格に転嫁可能な税であり、これでは格差の縮小どころではありません。結局、回り回って消費者、国民大衆の負担になりましょう。
 総理、まさか地価税は自民党案をそのまま国会に提出することはないと思いますが、いかがでありましょうか。百歩譲って、自民党案の地価税が政府提出の地価税法案となった場合は、国会の修正に応じる用意がございますか。いかがでありましょうか。明確な御答弁を求めます。
 最後に、新たな議会政治の推進についてであります。
 与野党逆転の政治情勢と、これを与えてくださった国民の負託にこたえるため、本院は新たな議会政治の構築に努めてまいりました。参議院の野党各党の話し合いによって育児休業法案の制定を進めてまいりましたが、これを政府提案にすべく、与野党各会派の合意を得て政府との共同作業が進行中であり、今国会に提出の運びであります。さらに我々は、野党共同で情報公開法案の提出を準備中であります。また、社会党は今国会に、環境保護、ごみ問題に関し、廃棄物適正処理法案、循環型社会システム促進法案等を提出することの用意をいたしております。
 国民が安心して暮らせる社会をつくるために、与野党が競争、協調しての政策づくりは、議会制民主主義の成熟に不可欠であると思います。明治以来の政府提出法案に賛否を決する通過型議会から、政治と政策をみずからの手で創造し、立法し、議会人による議会につくり変えることこそ、国民の負託にこたえることだと信ずるのであります。
 第二院である本院において、与野党の協調、協力を得、議場の議員各位の英知をここに結集し、真の議会制民主主義が大きく前進されることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(海部俊樹君) 赤桐議員にお答えを申し上げます。
 冷戦状況を乗り越えつつある世界の中に起こった戦争という状況の中で、どのような役割を、そしてどのような責任を果たそうと考えておるのかというお尋ねであります。
 私は、世界が冷戦状態を乗り越えて平和と安定を目指して一つの大きな流れに向かいつつあるそのとき、みんなが今模索しているものは、かつて米ソの巨大な力によって力の均衡、ある意味では恐怖の均衡で守ってきた平和の枠組みというものを、今度は話し合いと道理によってつくり上げていく新しい秩序を模索しておる最中だと思っておりますし、私はそれは国連を中心にして、国連の機能を強化しながら確立させていくことが極めて大切であると認識をいたしておりますから、その方向で努力をしようと思っております。
 この際、第一に立てるべきそして確認をすべき原則は、そのような新しい世界の秩序というものは、力によって一国を侵略、併合するというようなことは断じて許してはならないということであります。国連は、この侵略の排除と、侵略の原因者であるイラクに対してクウェートから撤退せよということを再三にわたって決議を行っておるわけでありますから、私は国連の権威のためにも、また二十一世紀を目指す新しい世界の平和秩序の道理に裏づけされた公正な枠組みをつくっていくためにも、この武力による侵略という事実だけを仕方がないといって見逃すことは許してはならぬことだと考えておるわけであります。
 その意味で、今度、このような戦争を人類最後のものにすべきではないか、その決意はあるかというお尋ねでございますが、私は、これは断じて繰り返してはならないことであると私自身も決意しておりますから、国連の決議に基づく多国籍軍の武力行使に対しては、これに確固たる支持を与えるとともに、我が国は武力によって役に立つことはできないわけでありますから、武力によって役に立つことができないならば、せめて我が国の許される範囲内で協力できることは何であろうか。二度と再びこのような状況を繰り返さないために武力による威嚇または武力の行使を伴わない、その限度を厳しく守りながらこの問題の解決のために協力をしたいと思うわけでありますが、何よりも大切なことは、この半月近くたった現状を、局面を転回して、これだけ多くの世界の世論、世界の願いで変えるためには、イラクの局面打解への決断、具体的に言えばクウェートからの撤退ということを反省に立って行うことでありますから、それが行われることを今日までも強く呼びかけてまいりましたし、お互いにイラクに対してもそのことをあらゆる機会に強く求めてまいりたいと考えております。
 また、日本は、二十を超える多国籍軍のこの行為は、あくまで公正な平和を求めそして平和回復のための努力であると私は考えておりますし、日本国憲法にも、平和を愛する諸国民の信義と公正にゆだねて我が国は生存と安全を確認したわけでありますし、憲法九条にも、日本は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求すると書いてございますし、自分の国のことのみに専念してはならないと宣言をしておるわけでありますから、それに従って我々もできる限りの平和回復のための努力に対して協力をすべきだと考えております。
 また、議会制民主主義というものは政治責任の明確化であり、責任をどう考えておるのかということでありますが、私は政治家になりましてから毎日責任を考えながら行動をしてまいりました。特に内閣総理大臣に就任してからは責任を感じながら毎日職務に励んでおるわけでありまして、今度の改造内閣におきましても責任を加えろということでありますが、私を初め関係閣僚はすべてその日からもより一層の責任を厳しく感じて職務に励んでおってくれるものと私は確信をいたしております。
 また、政治改革の問題につきましては、昨年、おっしゃったように議会制度百年の節目の年でありましたので、政府としては答申に従っていろいろと成案を得る作業を進めておりますが、政府自民党も政治改革基本要綱の党議決定いたしました。同時に、政府の審議会の答申の趣旨も説明いたしました。野党各党の党首の皆さんにも私はこのことを御説明して、政治改革というのは行政府の決めた案でこれでやれというのではなくて、各党各会派の御議論をいただきながら、政党政治のよって立つ基本でありますから、御意見を参照し参考にさせていただきながら議論を進めていくのが筋であると考えておりますので、今後とも各党ともに御意見をいただき、この成立に対する政府の努力に対して御理解と御協力を賜りたいとお願いを申し上げておく次第でございます。
 また、政治改革というのは政治倫理の確立が大前提である、そのとおりでありますが、同時に政治資金の制度の改革、これは選挙や政治のあり方と密接な関連を持っておるものであります。金のかからない政治や選挙を実現するためにいろいろな手段、方法がありますけれども、御指摘の公開性、公明性を高めること、あるいは政治資金の調達の問題、収支の明朗化の問題、これらについては審議会から答申を受けた中にもその趣旨のことが十分書いてありますから、その趣旨を尊重して実現できるように努力を続けてまいります。
 さらに、公私を厳しく峻別すべきこと、御指摘のとおりでございます。政治家個人の政治資金と課税所得との関係は保有金制度によって明らかにされなければならないと考えますし、また、政治家一人一人の資産公開などの問題につきましては、事柄の性格上、国会において各党各会派によって御検討がなされておるところであると承知いたしておりますが、適切な結論が得られますことを強く望んでおります。
 また、定数是正法案を過去の国会決議を尊重して出せ、参議院の選挙制度にも手をつけるのかとのお話でありますが、衆議院議員の定数是正は国会決議に基づき速やかな検討が求められておる重要な課題であると受けとめており、これは議論を進めておるところでありますが、選挙制度審議会の答申によれば、新しい選挙制度の中で選挙区間の一票の格差を一対二未満とすることを基本原則にしておりまして、投票価値の平等の要請に国会決議の趣旨にも沿ってこたえることになるものと考えておりますし、また、参議院の選挙制度につきましては、審議会答申において望ましいあり方に関する考え方を示されるとともに、指摘されておる問題点を解決する見地から改善のための具体策も示していただいておるところであります。
 政府としては答申を尊重する立場にありますが、事は参議院の構成や議員の身分にかかわる問題でありますので、参議院各党各会派においても十分御検討をいただき、その御理解と御協力をいただきながら政府は改革の実現に向けて努力をしてまいる考えでおります。
 外交につきましては、今回の湾岸問題に対処して、一貫してイラクのクウェートからの撤退を求め、クウェート正統政府の権威回復を含む安保理決議の完全実施が基礎となるということを述べ続けてまいりました。我が国といたしましては、あらゆる外交努力を今後も重ねるとともに、経済政策や貢献策を含め、国際協調のもとに各国との共同行動に対して我が国としてもできる限りの支援を憲法のもとで行っていこうというのが基本的な考えでございます。
 また、避難民の輸送という問題について自衛隊機使用の問題をお触れになりましたが、これは避難民の輸送という人道的な非軍事的な分野に限り、関係国際機関から要請のあるもののうち民間機が活用されないような状況において、人道的な見地から緊急の輸送を要する場合に、自衛隊法第百条の五の規定に基づき、新たに必要な政令を制定して、関係国際機関及び諸国から必要な協力要請のあった場合に、自主的に対応できる準備を整えたところであります。
 IOMからは、民間機、船舶の提供を一般的に要請を受け、軍用機の要請の手紙も来ております。ただ、その中に陸路のバス輸送という具体的な方法については書かれておりませんでしたが、具体的にカイロからベトナムへの輸送の問題についてはIOMから要請が参りました。民間航空にお願いをして、カイローベトナム間の輸送に今既に着手をしておるところであることを含めて要請があったものでございます。
 また、九十億ドルで打ちどめかという問題でございますが、政府としては戦闘行為が一日も早く終結することを願っており、現在のところこれ以上の追加支援は考えておりません。
 また、特例公債の根拠については、九十億ドルの追加支援の財源措置につきましては、いわゆる赤字公債に頼ってツケを将来の国民に回すのではなく、平和を享受しておる今日の我々がこれを負担しようということで御理解と御協力を得ながら、臨時的な税制上の措置を講ずることを基本とし、税収が入るまでの間はつなぎのための臨時的な国債を発行せざるを得ないものと考えております。
 今回の追加支援は、さきに申しましたように、国際の平和を守る新しい枠組みづくりのために侵略者は許さないという国際社会の正義の立場から、我が国が国際的な役割を果たしていくために必要なものであると考えて努力をし、最大限国民の皆さんの御理解がいただけるように訴えてまいりますから、どうぞ各党の皆さん方にもその成立に対して御理解いただくようにお願いを申し上げる次第でございます。
 また、今回の問題について戦時即応体制に切りかえる方針かとおっしゃいましたが、そういう方針ではございません。一日も早くこの武力の行使が終わることを強く願っておるのは当然でございますが、国連の決議によって侵略が排除され、平和の回復のために行われておる武力行使に対しては、国連の決議によっても適切な支援を求めるということになっておりますから、国連加盟国として、また今日ここまで平和な環境の中で世界的に大きな影響と責任も有する国になっておる日本として応分の対応をしていかなければならないということであり、同時に憲法九条にも書いてあるように、正義と秩序を基調とする国際平和を日本は誠実に希求しておるのでありますから、そのための他国の行動というものに対して許される限りの支援をすることは、これは当然のことであろうと考えております。
 また、我が国の防衛政策のあり方をどう考えるかということでありますが、私は今日まで、我が国は平和を守り、日米安保体制のもとでみずから適切な規模の防衛力を保有することによって侵略を未然に防止し、平和を守ることを我が国の防衛政策の基本といたしてまいりました。
 この情勢は、御指摘のように、十四年前に定めた大綱と同じだと判断したのかと御指摘でありますが、同じだとは申しておりません。大綱が定められたとき、世界は安定のための努力をし、東西は対立から協調に流れが始まりかけたという背景のもとで、我が国は平和時において保有すべき防衛力の節度ある水準を示したのであります。
 大綱制定以来今日まで、国際関係は安定化の方向に向かって流れがより一層進んだ形であらわれつつあることが認められるわけでありまして、大綱の基本的な考え方に基づいて、政府は平成二年十二月十九日、防衛の基本方針とともに、その後の国際情勢の認識について安全保障会議で決定をし、閣議で決定をし、その決定に従って、東西対立にカウントされてこなかった日本の防衛力でありますけれども、日米安保条約のもとで、安保条約と相まって、我が国の平和と安全をしっかりと確保し、この地域の平和と安定に尽くすために今後とも節度ある防衛力を整備していこう、こう考えておる次第でございます。
 地方交付税についてのお話でありますが、地方団体の財政運営に支障を生ずることのないように所要額を確保し、交付税の総額の安定的な確保に資する必要な特例措置等を講ずることにしたところでありますが、交付税制度は、地方団体の財源の均衡化を図り、地方行政の計画的な運営を保障することによって地方自治の本旨の実現に資するとともに、独立性を強化することを目的としているところでありまして、制度の目的に沿って適切に対処してまいる考えであります。
 消費税につきましては、百十八国会に見直し法案を提出いたしましたが、さまざまな御議論があり、結果として廃案となりました。引き続き両院合同協議会において御指摘の逆進性の問題をも含めて協議が行われるものと承知しておりますが、政府といたしましては、消費税の必要性を踏まえて、全体的、長期的な利益といった高い次元から協議が続けられ、建設的な合意が得られますことを心から期待しておりますと同時に、具体的な合意が得られましたならば、その趣旨に沿って誠実に迅速に政府の対応をしていく考えであります。
 地価税は、土地に対する負担の公平を確保しつつ、その資産としての有利性を縮減するため、土地の資産価値に応じた負担を求める見地から創設するものでございます。政府は、地価税の創設は土地の保有コストに対する意識を高め、地価の低下、抑制、土地の有効利用の促進など土地政策に資するものと考えて、その内容は最善のものを提出する考えで準備をいたしておるところであります。
 残余の質問につきましては関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(中山太郎君) 赤桐議員にお答え申し上げます。
 このままでは世界の孤児になると与党は声高に叫んでいるが、今次湾岸危機に際し支援策を実施しなければ世界の孤児になるということはどういうことかということでお尋ねがございましたが、我が国は戦後、国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄して、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、みずからの安全と生存を確保することを決意してまいりました。それだけに、公正で安定した国際秩序の維持は我が国の生存と発展にとり不可欠でございます。このような認識に立ちまして、我が国の責任と役割を自覚して、持てる力を結集して平和と繁栄をもたらす新しい国際秩序づくりに貢献しているところでございます。
 イラクによるクウェート侵攻と併合という暴挙は、公正で安定した国際秩序を破壊する試みであり、断じて許すべからざるものであります。このイラクの行為に対して、米国を初めとする多くの国が、国内の経済困難を抱える中で、国民の犠牲と膨大な軍事支出を覚悟して多国籍軍に参加をいたしております。主要先進国の中でこの地域の石油に最も多く依存している日本が、国連安保理決議の履行を確保するためにこれらの諸国の努力にできる限りの協力をみずから進んで行うことは、我が国の当然の責務であるとともに、我が国の外交の基本方針に沿うものと考えております。
 第二のお尋ねの多国籍軍への追加支援につきましては、総理から既に御答弁がございましたので省略をさせていただきます。
 次に、在日米軍経費の問題でございます。
 最近の国際情勢の変化の中にありまして、日米安保条約は、引き続き日米関係の基礎をなす強固なきずなであり、我が国がみずからの平和と安全を確保して、広くアジア・太平洋地域の発展を図っていくための不可欠な枠組みとして機能いたしております。このような意義と重要性を有する日米安保体制の効果的な運用を確保していくことは極めて重要でありまして、このために在日米軍の円滑な駐留を確保することが不可欠であろうと考えております。
 米国は、国防予算の削減という状況の中で、在外米軍施設の閉鎖、再編の計画があることを明らかにしておりますが、同時に、米国としては、同盟国との関係において、米国の前方展開に対するコミットメントは不変であるとの立場を明らかにしております。
 沖縄における米軍施設、区域の円滑な安定的使用を確保することは日米安保条約の目的達成のために緊要でありますが、他方、沖縄県において米軍施設、区域の密度が極めて高く、その整理統合について地域住民から強い要望のあることは十分承知をいたしておりまして、沖縄における施設、区域の整理統合問題については、従来どおり、引き続き米側と十分調整をしていく考えでございます。(拍手)
   〔国務大臣越智通雄君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(越智通雄君) 赤桐議員にお答え申し上げます。
 最初に、経済問題の中で今日までの大型景気の性格についての御質問でございました。
 日本経済は昭和六十一年の秋以来、イザナギ景気に次ぎまして戦後二番目に長い景気拡大を現在続けております。今回の景気拡大は、国民の消費と技術革新を中心とする設備投資を中心とした内需主導型のものでございまして、国際収支の面でも黒字幅は着実に縮小し、外需依存型から内需依存型に切りかわっております。また、物価も安定基調を続け、雇用者数も大幅に増加するなど、全体としてバランスのとれた経済成長を続けているものと評価いたしております。
 しかし一方で、御指摘のように金融の緩和がございました。これは円高不況のもとにおきまして内需の拡大を図るという必要性から行われたものでございまして、その結果が株式及び土地の価格が異常に高騰したという状況を現出したわけであります。これにつきましては、年初来諸般の施策をとりまして、昨年、既に株価は大幅に下落いたしておりまして、最高時から比べますと約四割、きょう現在二万三千円台でございます。地価の方も大都市圏では既に鎮静化に入っておりまして、都市郊外におきましてまだ幾分の騰勢が見られておりますが、大体としておさまってきた感じでございます。
 しかしながら、その地価がなお高水準を保っているというところが問題でございまして、これの根本は、対症的な療法よりも、日本列島の中におきまして各ブロックにおきましても、あるいは東京、大阪などの大都市圏に対しましても経済、住民が集中しがちだという傾向でございますので、これを直すために国土の均衡ある発展を図るということが最も重要かと考えておりまして、そのために内政の最重要課題として土地政策を位置づけ、本年一月二十五日に総合土地政策推進要綱を決定し、これに基づいて総合的な土地対策を早急かつ強力に推進していく所存でございます。
 御質問の第二は、これからの経済の見通しについてのお問い合わせでございました。
 今まで申し上げましたような景気の上昇局面にあります経済を今後とも着実に運営していくために、湾岸情勢の推移等につきましての大変不透明な要素がございますけれども、個人消費は雇用者所得の増加を背景に着実に増加しておりますし、設備投資につきましても依然として技術革新や情報化の進展を背景として堅調に推移すると思われ、景気はなお底がたいものを感じておりまして、平成三年度も引き続き内需を中心として堅調に推移するものと考えております。
 しかしながら、政府といたしましては、その政策を全うするためには、主要国との政策協調を推進し、為替レートの安定を図りながら物価の安定を基礎として、依然内需主導型としました景気の持続的な拡大を図るという方針でございます。
 本年度平成二年度は実質五・二%の成長でございました。成長がなだらかに緩くなってまいりました。平成三年度は三・八%と先日御報告したとおりでございますが、この数字は、昭和六十三年につくりました経済運営五カ年計画の中の「世界とともに生きる日本」でございますが、その中で平均三・七五と推定しておりましたいわゆる巡航スピードに近いものでございまして、決して景気が急激な調整局面に入ったものと考えておりません。したがいまして、今後も、内外の経済動向を十分注意しながら、金融政策を含めまして適切かつ機動的な経済運営に努めていくことが極めて重要と考えております。
 第三に、経済問題の中で国民生活についてのお問い合わせがございました。
 我が国においては、戦後の経済発展の結果、労働時間はいまだ長いものの、一人当たりの所得は世界の最高水準に達しております。また、昨年五月調査いたしましたものによりますと、国民の現在の生活に対する満足度は約三分の二が満足している状況にあります。このため、ゆとりの実現が国民生活において大きな課題となっており、今日の労働組合の春闘要求案を拝見いたしましても、賃上げとともに時間短縮が重要な要求項目として挙げられているところであります。
 このような状況を踏まえ、経済企画庁としましては、相対的に立ちおくれている居住水準や生活環境面の充実を図るとともに、労働時間を年間千八百時間程度に向けて短縮していくことにし、物質的にも精神的にもゆとりのある、豊かさを実感できる国民生活の実現のための施策を進めてまいりたいと存じます。
 最後に、社会資本の計画について、いわゆる四百三十兆円についての御質問がございました。
 公共投資基本計画の投資規模の設定に当たりましては、まず第一に更新等を含めた社会資本整備の今後の見通し等を十分考慮しつつ、他方において経済全体とのバランスなどに配慮していくことが必要との認識のもとに多面的な検討を行い、その上でこれらを総合的に勘案した結果、過去十年約二百六十兆円の投資に対しまして、これからの十年間おおむね四百三十兆円とすることとしたところであります。
 なお、その中の新規投資と更新投資の額は、計画の中であらかじめ設定されているものではございませんが、社会資本の整備水準が欧米諸国に比べましてそれほど遜色のない水準となるよう新規投資を確保するなど、適切に対応していく所存でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(橋本龍太郎君) 赤桐議員にお答えを申し上げます。
 オーバーキル論を初めとして高金利政策についての御指摘がございました。
 しかし、現在の我が国の経済は、個人消費、設備投資を中心とした内需主導型の持続的な成長を続けているわけであります。今後につきましては、原油価格の上昇など不透明な要素は確かにございますが、引き続き内需を中心とした自律的な拡大を続けていく、そのように見込んでおります。しかし一方、物価の動向を見てみますと、これまでは安定的に推移してまいりましたが、依然引き締まり基調にあります労働力需給、さらには原油価格の上昇など物価をめぐる諸要因には十分これからも注意をしていかなければなりません。
 我が国の金融政策につきましては、インフレなき内需中心の持続的成長というものを確保するという視点から運営しておるわけでありまして、現在の景気、物価の動向を見ます限りにおいて、引き続きこれまでの金融政策の効果の浸透を見守っていく必要があると考えております。これから先におきましても、そのときどきの経済情勢を踏まえながら、インフレなき内需中心の持続的成長というものを確保するために、適切かつ機動的な運営に努めてまいりたいと考えております。
 また、財政再建についての御指摘がございました。
 平成三年度予算におきましては、これまでの好調な税収をもたらしてきた経済的諸要因がその流れを変えてきている状況の中で、新しい中期的財政運営の目標のもとの初年度の予算でありますから、さらに歳出の徹底した見直し、合理化に取り組むなどによりまして、公債発行額を可能な限り縮減し、公債依存度を、前年度の当初予算八・四%でありましたが、これを七・六%に低下させるなど、我が国の財政健全化に向けて新しい第一歩を踏み出すことができたと考えております。
 しかし、議員御指摘のとおりに、連年の公債発行によりまして公債残高が平成三年度末に約百六十八兆円という巨額に達する勢いでありました。国債費が歳出予算の二割を超えて他の政策的経費を圧迫するなど、我が国の財政状況は依然として厳しい状況にあることは御指摘のとおりでありまして、引き続き財政改革を強力に推進していく必要があると考えております。
 なお、概算要求基準についての御指摘がございましたが、昨年三月の財政制度審議会の報告におきましても、「時代の要請に応じて効率性の高い歳出構造としていく努力が引き続き必要であり、そのためには、今後とも概算要求基準の設定により、概算要求段階から制度改革、歳出の節減・合理化を進めるべきである。」と指摘されているところでありまして、今後とも各年度の予算編成に当たりましては、社会経済情勢などを踏まえながら概算要求基準を適正に設定することによりまして財源の効率的、重点的な配分に努めてまいりたいと考えております。
 多額の建設公債に依存する現在の財政構造というものが、一度景気の落ち込みなどによりまして大幅な税収の減を、あるいは鈍化を生じました場合には、再び特例公債の発行に陥らざるを得ないという脆弱性を有していることは事実であります。
 したがって、今後の財政運営におきましては、来るべき高齢化社会に多大の負担を残さず、再び特例公債を発行しないことを基本としながら、公債依存度の引き下げなどによりまして公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げることを目指す。そして、国債費が他の政策的経費を圧迫する状況を改善していくことによりまして、今後急速に進展する人口の高齢化や、あるいは国際社会における責任の増大など、今後の社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応するように努めてまいりたいと考えております。
 また、生活関連重点化枠につきまして御指摘がございました。
 平成三年度予算におきまして、大変厳しい財政事情のもとではありますけれども、概算要求基準で設定をいたしました生活関連重点化枠というものを通じ、国民生活の質の向上に重点を置いた社会資本整備にできるだけ配慮したところであります。このような試みを今後どのように扱うかにつきましては、三年度予算を国会に提出し、これから御審議をいただくべき現段階において何ともまだ申し上げられませんが、そのときどきの経済情勢や財政事情などを踏まえて検討すべきであると考えております。
 いずれにいたしましても、各種の経費につきまして、今後とも、国民生活に密接に結びつく経費に配慮しながら、全体としても時代の要請に応じた重点的、効率的な配分に留意してまいりたいと考えております。
 また、この生活関連重点化枠を設けました結果、公共事業の分野で見てみますと、下水道あるいは公園、環境衛生などの事業につきましては、前年の予算と対比いたしまして全体の一般公共事業を上回る伸び率を確保いたしております。例えば、下水道につきましては六・二%、公園につきましては七・一%、再開発につきましては一八・九%、環境衛生につきましては六・一%と、いずれも一般公共の五・三%の伸び率を超える配分をすることができました。今後とも公共投資基本計画の考え方に従いながら、重点的、効率的な配分に努めてまいりたいと考えております。
 また、今回、公共事業に係る補助率などの平成三年度以降の取り扱いにつきましては、関係省庁間において総合的に検討を加えました結果、依然として極めて厳しい財政状況、また事業費確保の強い御要請等、こうしたものを踏まえながら、過去の経緯などの諸事情を総合的に勘案し、財政当局としては大変厳しいものではありますけれども、六十一年度に適用されました補助率などまで復元することといたしました。
 また、地価税について御指摘がございましたが、地価税に係ります課税最低限の水準につきましては、税制調査会の「土地税制のあり方についての基本答申」において、土地の資産価値に応じた負担を求めるという地価税の趣旨に照らし、一定の資産規模以下の土地保有について課税対象から除くことが適当である旨の提言をいただき、これを踏まえて設定することとしたわけでございます。
 地価税は、基本答申が述べておりますように、地域を限定せず、納税者が有するすべての土地の資産価値に応じた負担を求める税でありますから、課税最低限の水準を地域によって異なった水準にすることは、趣旨に照らしましても適切ではないと考えております。
 なお、地価税においては更地価格が一平方メートル当たり三万円以下の土地を非課税とすることとしておるわけでありまして、比較的地価の低い地域の土地は課税対象から除かれる点にも御留意をいただきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(土屋義彦君) 岩崎純三君。
   〔岩崎純三君登壇、拍手〕
#10
○岩崎純三君 私は、自由民主党を代表いたしまして、当面する内外の重要課題につきまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 まず、本論に入る前に一言申し上げます。
 昨年十一月には、即位の礼及び大嘗祭が厳かにもつつがなくとり行われました。このことは、日本国の平和と繁栄のあかしとして、また日本の文化、歴史、伝統を新たな視点から広く世界に御理解いただけたことは極めて喜ばしいことであります。ことに百二十五代天皇陛下を中心とした皇室のいやさかを念じますとともに、いつまでも国民とともに歩む、親しみのある象徴でありますことを願ってやみません。
 さらに、今年二月二十三日には皇太子殿下がその地位につかれますことを改めて内外に示される立太子宣明の儀が行われますことに対し、重ねての御慶事であり、国民挙げてお祝いを申し上げる次第であります。
 さて、激動期における日本外交の進路と国際国家日本としての国際責務についてお伺いいたします。
 昨年八月、イラクはクウェートへ侵攻、武力によって国際秩序を破壊いたしました。これはまさに、戦争を放棄し、平和を信奉する我が国憲法の精神を真っ向から踏みにじるものであって、断じて許すわけにはまいりません。国際正義にのっとり断固排斥すべきであり、このため立ち上がった米国を初めとする多国籍軍の果敢な行為を全面的に支持し、日本としても法の枠内においてでき得るぎりぎりの協力を惜しんではなりません。
 今、イラクはジュネーブ条約を無視し、多国籍軍の捕虜をイラクの重要施設に人間の盾としている、そのような非人道的な行為は断じて見逃すわけにはまいらないのであります。さらに、破れかぶれとも言うべきペルシャ湾へ原油流出を行い、自然環境の汚染、破壊という暴挙に走りました。全く狂気の限りであります。この上は、イラクの野望を粉砕して一日も早く戦争を終結し、世界の平和の確立を願うものであります。
 世界は第二次大戦後の米ソ冷戦の時代に終わりを告げ、先般、欧州において東西対立の終えんが宣言されました。世界がより安定した秩序を求めて真剣な努力をしているときだけに、イラクの国際秩序破壊と国際法違反を正すことは、平和で安定的な秩序を構築していく上からも極めて重要であります。戦後の米ソ超大国を中心とする冷戦構造の中では、局地紛争が世界的な紛争に拡大することを回避する見地からこれが封じ込められていた側面もありましたが、世界構造が大きく変化する過渡期にあって、大国の抑制から離れて紛争が起こりやすい要因があることを今次のイラクの暴挙は如実に物語っているのであります。
 世界の不安定的要因はこれにとどまりません。世界全体に好ましい動きをもたらす契機となったソ連の改革につきましても、経済的困難や民族問題などから、今後予断を許さない状況となっております。また、一昨年世界を沸かせた東欧の民主化、自由化にしても、不透明なものがあります。
 氷は解け始めるときが一番危険であると言われますが、まず、総理がこのような変動期にある今日の国際情勢に対しいかなる認識をお持ちなのか、また、その認識の上に立ち、今後日本の進むべき進路と国際責務についてどのようにお考えか。日本だけよければよいという一国平和主義では、世界の孤児となってしまうのであります。御所見をお伺いいたします。
 次に、風雲急を告げる湾岸戦争であります。
 イラクによるクウェートへの武力侵攻という断じて許されざる暴挙は、国際社会の平和への願いを踏みにじり、多くの国々を巻き込んだ戦争突入という事態を招きました。まことに遺憾であります。戦況は拡大し、ついにイラクは一方的にイスラエルに対しミサイル攻撃という新たな暴挙に出ました。現在、イスラエルは米国の説得により報復を抑え自制をしておりますが、もし反撃行為が起これば、戦域は湾岸から中東全域にまで拡大する危機をはらみ、ひいてはパレスチナ問題までリンケージし、新たにアラブとイスラエルという国際問題が浮上し、戦局は混迷、泥沼化いたしかねません。
 事ここに至った責任は、挙げて国際社会の総意である国連安保理の諸決議を黙殺し、その履行を拒み続けてきたイラク側にあることは申すまでもありません。この無法なイラクの行為を見過ごすことになれば、世界人類や我が国憲法が希求する恒久平和と公正な国際社会の構築は望むべくもありません。今般の米軍を主力とする多国籍軍による武力の行使は、こうしたイラクの侵略を排除して、ペルシャ湾岸の真の平和を取り戻すための最後の手段であります。公正で安定した国際秩序の維持の見地から、我々は、やむなくクウェート解放に立ち上がった多国籍軍の行動を断固支持するものであります。
 この点について、総理は、湾岸事態の本質をどう認識され、日本としての基本的立場をお持ちなのか、明らかにしていただきたいのであります。私は、初めにイラクの暴挙ありきを強く訴え、国民の御理解をいただくべきと存じます。いずれにしても、全世界はイラクに対し速やかにクウェートからの全面撤退を強く要求しています。そして、一日も早く湾岸に平和がもたらされることを強く望んでおります。現在の状況では戦争がいつまで続くのか全く予想はつきませんが、人類は必ずや暴挙を退け、社会正義のもと、英知を発揮して平和のともしびをともすことでございましょう。
 総理、我が国として早期停戦に向けていかなる方針で臨まれるのか、お伺いをいたします。
 今、湾岸戦争は激戦のさなかにあります。この事態に対処して我が国がなすべきことは、平和回復のため立ち上がった米国を中心とする多国籍軍と連帯を深め、我が国としてなし得る最大限の支援、協力を行うことであります。国民世論も、多くの人々が何らかの協力は必要であるといたしております。
 そこで、貢献策の一つは、民間航空機による避難民の救援であることは論ずるまでもありません。それが不可能な地域にあっては、憲法の枠内で日本が貢献し得ることは、武力行使を伴わない人道的立場に立った避難民救援に限定をした自衛隊機による輸送であります。しかし、遺憾ながら、自衛隊機の派遣を、憲法の制約を逸脱し海外派兵につながるという見解が一部に見られまするが、これは武力行使のための海外派遣と混同した甚だしい曲解と断ぜざるを得ません。したがって、避難民救助に携わる国際移住機構からの要請にこたえて自衛隊輸送機の使用可能についての論拠を明確に御説明願いたいのであります。
 なお、本件については、非武装の自衛隊機がイラクより攻撃されるおそれはないか、テロ、ハイジャックの懸念などの問題がありますが、総理の答弁をお願いいたします。
 こうした被災民の移送とあわせ、日本としての支援活動は医療団の派遣であります。
   〔議長退席、副議長着席〕
昨年、先遣隊として医療団の派遣を実施いたしましたが、準備不足や規模が小さく、所期の目的を果たすことができませんでした。この経験に照らし、医療団を送るからには現地の情報の収集と調査を行い、ある程度の規模が必要だと思います。そのためには、防衛医官を中心として国立病院などより御協力をいただいて、戦闘地域ではなく、被災民キャンプを中心に医療協力、赤十字協力を行うべきと考えますが、総理はどう受けとめておられましょうか。
 湾岸戦争は開始以来十三日目を迎え、多国籍軍の負担する戦費も巨額に上っています。今般、我が国が湾岸戦争に伴う多国籍軍に九十億ドルの追加財政支援を決定いたしましたことは、日本としても平和の維持のコスト負担という見地から当然のことと受けとめております。この財源調達については、関係諸税の増税によることとし、当面、償還期限の短い新型の短期国債を考えているようですが、その構想を示されたいのであります。財政支援が多国籍軍に対する負担でありまするから、その使途と期限、さらに積算根拠についてお伺いをいたします。税金による負担でありますので、国民の理解と協力を得るためにも必要であろうと思います。
 関連して、十五年に及ぶ努力の結果、平成二年度、我が国財政はようやく赤字公債から脱却し、今後は百六十八兆円に達する国債残高の削減に向けた第二段階とも言うべき財政再建に着手しなければならないときに、こうした臨時応急の財政負担が追加されましたが、後世に負担を残さないためにも、本来の財政運営の基本を忘れることなく、その健全化を図るべきと考えます。政府の方針はいかがでしょうか。大蔵大臣の御答弁をお願いいたします。
 総理、今湾岸では血みどろの戦いが展開されています。イラクの暴挙を許すまじと米国、英国など多国籍軍の多くの青年が血を流し、平和の旗のもとに命を失っております。それにもかかわらず、中東の油で支えられている日本国民の中には、人も出さず、金を出すことにも異議を唱えている向きも少なくはありません。欧米のマスコミの多くは、日本人は経済の観点のみで見ており、ある種の道徳心の欠如を感ずる、また、日本は現在が歴史的瞬間であることを全く理解せず、起き上がらなければならないときに眠っているという厳しい批判があります。
 総理、世界は対話と協調、平和と軍縮に向かって歩き始めたのでありますが、この世界の潮流に逆らって他国を侵略し併合することは許しがたき罪悪と暴挙であることを国民に訴えてください。その平和を回復するために立ち上がった多国籍軍に協力を惜しまぬ決意であることを、テレビなどを通じて国民に強く訴えるべきではありませんか。決意をお伺いいたします。
 さきの臨時国会において政府提案の国連平和協力法案が成立を見るに至らなかったことは、まことに残念であります。しかし、法案の審議を通じて得られたことは、第一に、我が国はその力量にふさわしい国際貢献が求められていること。第二に、国際社会に対する貢献は憲法の原則を堅持し国連中心主義を貫くべきこと。第三に、国連に対する協力は、資金、物的協力に限らず、要員の派遣により世界の人々とともに汗を流す必要があり、そのため法制面の整備が必要であることであります。国民の皆さん方にもこの点は十分御理解いただけたものと思います。自民、公明、民社三党合意は、このような観点から国連平和協力のための組織づくりを行おうとするものであります。
 湾岸危機が不幸にも武力衝突に至った今日、避難民救援はもとより、湾岸戦争解決後の平和維持、復興に対する協力、カンボジア和平の具体化に対する協力など、国連から我が国に対する協力要請がやがて遠くない時期に来るものと予想されます。そのためにも国連平和協力のための組織の法制化が急務であると考えますが、総理のお考え、政府の立法の検討状況をお聞かせください。
 日米の友好協力関係は我が国外交の基盤であります。昨年、構造問題協議、湾岸危機に対する対応などをめぐり両国間に一時厳しい局面も生じましたが、これも日米の相互依存関係が深まったがゆえのものであります。日米間に不要な摩擦を生じないようにするためには、両国の国民各層にわたる相互理解の深まりが欠かせません。総理の提唱による日米コミュニケーション改善構想の着実な進展と、さきの補正予算により創設の運びとなった日米親善交流基金の活動に大きな期待が寄せられております。
 また、今般署名されました地位協定新特別協定は、日米関係の基盤である安保条約、在日米軍の運用のより一層の円滑化に寄与する時宜を得た措置であります。私は、今後とも相互の率直な意見交換と互譲の精神の発揮により諸懸案を解決し、日米の友好協力関係を発展させていくことは両国にとって不可欠のものと信じます。特に、米国が国際秩序回復のためにあえて実力行使という苦渋の決断を行ったことに対し、これを評価し、日本はパートナーとしてでき得る最大限の協力を惜しんではいけないことを強く訴えたいと存じます。そして、自由と民主主義という同じ価値観を有する米国と責任を分担していくという姿勢を具体的に示すことが、日米にとって重要ではないでしょうか。
 ブッシュ大統領の訪日を控え、今後の日米関係をどのように進めていく所存か、総理及び外務大臣にお尋ねをいたします。
 次に、激動のソ連情勢に移りたいと思います。
 ゴルバチョフ大統領のペレストロイカは、経済改革において大きな成果を見ることなく、むしろモスクワやレニングラードでは深刻な食料不足を招き、政治面におきましても、多くの死傷者を出した今般のリトアニア、ラトビアにおけるソ連軍の武力行使は、民族の自決と自由への希求をじゅうりんするものとして世界じゅうから激しい非難を浴びています。このような弾圧は、これまで我々が支持してきたペレストロイカが根底から崩れるのではないかとの危惧を抱かせます。こうしたソ連の相次ぐ武力行使に対し、G7、ECなど西側諸国が非難声明を発表するとともに、対ソ支援見直しの動きを強めており、ある程度のブレーキがかかる状況にあります。
 総理は、今後ペレストロイカはどうなると見通しておられるのか、ソ連情勢をいかに認識し対応されるのか、お伺いをいたします。
 ただいま申し上げた厳しい国内の問題を抱えて、この四月十六日にゴルバチョフ大統領の訪日が予定されております。総理はソ連のこうした国内情勢を踏まえて日ソ首脳会談を行うこととなります。訪日までにリトアニア、ラトビア等の問題が解決しておれば別の展開もあろうかと存じますけれども、現状のままでの日本訪問となりますると、世界のソ連への批判を背景に、ソ連の国内情勢を的確に把握した上での困難な両国首脳会談となりましょう。しかも、昨今のソ連要人の発言は、北方領土問題の解決は困難であると繰り返し、領土問題を先送りし、経済協力関係のみを進めようとしているやに見受けられることは甚だ残念であります。真の日ソ関係の改善のためには北方四島の返還の実現が必須であるとの日本国民の魂の声を、ゴルバチョフ大統領の心の底に響かせねばなりません。
 そのためには、半世紀にわたる一億国民の北方四島返還の声を肝にしっかり銘じ、政経不可分の原則を堅持して、ソ連との平和条約交渉の正念場を乗り切らねばなりません。対ソ交渉に臨まれる総理及び外務大臣の御見解を示していただきたい。
 最近の我が国経済を見交すると、個人消費、設備投資を中心として景気が着実な拡大を続けており、景気拡大期間もイザナギ景気に次いで息の長いものとなっています。しかし、こうした中で、昨年八月以降、湾岸情勢を背景に原油価格の上昇が見られ、また、米国経済の減速が明らかになってくるなど、経済環境には不透明な面があります。加えて、湾岸危機は戦争勃発という事態に至りました。
 こうした情勢を踏まえて、政府は、今後の我が国の景気の行方、経済に与える影響についてどう見ておられるのか。あわせて、金融政策を初め今後の経済運営の方針を総理にお伺いいたします。
 また、近年の内需拡大に伴い、中小企業の労働力の確保は最大の課題であります。今後の労働力不足を補うためには外国人労働者を積極的に受け入れてはどうかという考えが一部にありますが、政府は、今後の中小企業における労働力確保にどう取り組み、その振興を図るのか。
 さらに、中小小売商業は、日米構造問題協議による大店法の規制緩和により厳しい環境に置かれておるのであります。この対策に当たっては、大胆にしてかつきめ細かい配慮をお願いいたします。
 通商産業大臣の御見解を承ります。
 土地問題は、九〇年代における内政の最も緊急な問題であります。我が党としてもここ数年間国民的課題としてとらえ、六十二年十月には総合的な土地対策として緊急対策の提言を行い、各般の施策を行ったほか、一昨年暮れには土地基本法が制定されたところであります。
 しかしながら、期待したほど実効は上がらず、我が党は四たび地価高騰を起こさせないためにも、この際徹底した土地緊急対策が必要との認識に立ち、昨年十一月、土地取引及び土地融資の規制、土地利用計画の充実、住宅宅地供給の促進、土地税制及び首都機能の移転を柱とする総合的な土地対策を再び取りまとめ、発表したところであります。これにより地価高騰を早急に鎮静化し、勤労者の住宅取得を可能にするためにも、今回の地価高騰以前の水準まで引き下げることを目標として土地対策を強力に推進いたさねばなりません。
 政府として、今後、土地問題にどう対処するのか。特に地価は高騰後の高値安定では困るのであります。高騰前の価格に戻すという国の意思を明らかにすることが重要ではないかと思います。総理の御決意のほどをお示し願いたいのであります。
 やっと金融面での総量規制を初め監視区域制度による地価の規制等が始まったばかりであり、本格的な土地政策の総合的展開による効果はこれからであります。そこでお願いしたいのは、今回の地価高騰には銀行が金余りの中で行った大量の土地担保融資が原因でありますので、ノンバンクを含む金融機関の土地関連融資につきましては金融面からの規制強化を引き続き行うことであります。政府の方針を伺います。
 土地問題の解決が国民的課題となっている中で、土地税制は土地政策の極めて重要な手段であります。我が党は、これについて精力的な審議を行い、昨年十二月六日、土地税制大綱を決定いたしました。すなわち、土地住宅問題解決の一環としてこの際土地税制について抜本的な改革を図ることとし、国税としての新たな土地保有税の創設を含め、土地の保有、譲渡、取得の各面にわたる総合的見直しを提言いたしております。
 政府では、この改革大綱の内容に従い、今国会に所要の法律案を提出する運びと伺っております。そこで、今般の土地税制の総合的見直しに関する趣旨、基本的考え方を明らかにしていただきたいことと、あわせて新土地保有税の創設は、現行の固定資産税などや譲渡課税、取得課税の見直しと相まって、土地神話を打破し土地問題の抜本的な解決に資することは間違いないものと考えますが、新税創設についての基本的考え方、意義について、総理及び大蔵大臣の御所見を承りたいのであります。
 地球環境問題について入りますが、今日、地球環境は大きな危機に直面しています。世界の人口の増加や先進諸国における資源やエネルギーの大量消費により、オゾン層の破壊や地球の温暖化、酸性雨による影響は地球規模にまで広がりを見せ、人類の生存を脅かす重大な問題となっております。この問題は、一定地域に限定される従来の公害問題と異なり、被害が国境を越えますので、その解決には国際的な対応が必要であります。幸い我が国は世界で最もすぐれたレベルにある公害防止や省エネルギーに関する経験や技術力を持っており、これを生かして国際的地位にふさわしい責任と役割を果たしていく必要があります。政府は、今後の国際的な取り組みの中で地球環境問題にどう取り組まれるのか。
 冒頭触れましたが、イラクによる無謀なペルシャ湾原油流出作戦は依然として続いており、このままでは湾内全域において海洋汚染による自然環境に致命的な被害が発生するだけではなく、海水の淡水化により飲料水、生活用水を得ている湾岸諸国に深刻な打撃を与えかねません。この事態に対処してイギリス、ドイツなどの諸国から早速汚染除去の技術協力の申し出があるようですが、我が国として、この事態をどう受けとめ、協力するのか。世界の環境大国として、思い切った貢献をぜひお願いいたしたいのであります。
 今、各種のごみ、すなわち廃棄物の処理をめぐって各地において問題が深刻化いたしております。産業、生活両面から排出される廃棄物は、量の増大、質の多様化により、ごみ焼却施設や埋立処分場の確保が困難となっています。そして不法投棄が後を絶たず、廃棄物が県域を越えて移動する一方、地方公共団体による受け入れ規制の事態が発生をいたしております。この問題を放置するならば、日本列島はごみで埋もれ、企業活動はもちろん、人命や国民生活そのものにも重大な影響が生じかねません。地球環境保全の観点から資源の有効活用が叫ばれていますが、今こそ廃棄物の減量化や資源化、再生利用、廃棄物処理施設の整備等、総合的な廃棄物対策を講ずる必要があります。
 総理、青く美しい地球は我々人類共通のかけがえのない財産であります。史上最高の繁栄にある今こそ、国の新たな目標の一つに美しい国づくりを定めるべきではないでしょうか。その美しさを、この緑の地球を次の世代に引き継ぐことは、今生きる我々に課せられたとうとい使命であります。総理及び厚生大臣はこれにどう取り組もうとされておるのか、御所見をお伺いいたします。
 昨年十二月、ブリュッセルで開かれたウルグアイ・ラウンド閣僚会議は、アメリカ、ケアンズグループなど農産物の大量輸出国と、明年市場統合を控えたECが農業のあり方をめぐって対立したため、問題解決を本年に持ち越しました。これを受けて事務レベル協議はこの十五日に再開されましたが、交渉の山場は今後にゆだねられております。
 もとより、我が国は世界最大の農産物輸入国で、世界の農産物貿易の安定と拡大に対しそれなりに大きな貢献をいたしております。したがって、一億二千万人に基礎的な食糧である米を安定的に供給することは、食糧安全保障の観点からも必要であるとともに、我が国農政の原点でもありましょう。日本の食糧自給率は世界の主要国に比べ極めて低く、日本の農家は、牛肉・かんきつの自由化や輸入農産物の増大、さらには農産物価格の引き下げという苦しい状況のもとで、稲作については三割減反を強いられております。ここで米市場開放が行われましたならば、一体どうなるのでありましょう。日本農業の崩壊につながり、地域経済は大きな打撃をこうむり、瑞穂の国の伝統文化は消滅するでありましょう。
 ウルグアイ・ラウンドの交渉は近く正念場を迎えます。どうか新内閣におかれましては、ウルグアイ・ラウンドの成功に努力するとともに、国際協調を図りつつも、日本は大きな農産物の輸入国であるとの意見を十分反映させ、理解を求めて、三たびの国会決議を踏まえて、国内産で断固自給をしていただきたい。総理の姿勢をお伺いいたします。
 こうした内外の農業をめぐる厳しい諸情勢が、ともすれば最近における農村の活力をそいでいることも事実であります。今必要なことは、農業の活性化を通じて活力ある農村社会を再生することであります。このためには、農村地域の持つ食糧の生産のみならず、国土、自然環境の保全、伝統文化の継承などの多面的な役割、機能を発揮しなければなりません。今後の日本農業は、これまでの基盤整備や構造改善あるいは保護政策の踏襲にとどまるのではなく、絶えず事態の進展に対処して地域の実態に応ずるとともに、生産者のみならず消費者のコンセンサスも十分踏まえることが重要であると考えます。
 総理、これまでの我が国農業、農政をどう見直して二十一世紀へ向けた新しい農政を展開されるのでありましょうか。
 次に、社会保障について伺います。
 すべてのお年寄りが健康で生きがいを持ち、ゆとりのある生活が送れるような、お互い助け合う日本型の長寿福祉社会をつくることは、我々に課せられた重要な政策課題であると受けとめております。私たち自民党政府がさきに決定いたしました高齢者保健福祉推進十カ年戦略は、まさしくこれに対処するものであります。その実現のためには、ホームヘルパーや保健婦、看護婦さんなどのマンパワーをいかにして確保するかが制度運営のかぎを握っております。これらについて厚生大臣の御所見を承りたいと存じます。
 障害者対策につきましては、一九八一年の国際障害者年以来、世界じゅうで障害者対策の充実に取り組んでまいりましたが、その推進のための「国連障害者の十年」は来年一九九二年で終結することとなっています。我が国の障害者対策はこの間相当の進展を見たもののいまだ十分とは言えず、終結までさらに大きな政策努力が必要と考えます。また、国連が次の世界的な行動に向けて大きく動き出せるよう、我が国としても大いなる貢献をする必要があると考えます。これについての総理の御見解を承りたいと存じます。
 平成元年におきましては、一人の女性が一生の間に子供を生む出生率が明治三十二年の調査以来最低の数値を示しました。確かに、生む生まないは個人の、特に女性の選択であるという意見もありますが、その見地からすれば出生率の問題を単に人手不足や将来の超高齢化社会の到来という次元で論ずべきではないことは十分承知をいたしております。しかし、事はそれで割り切れるものではございません。それは将来の日本の社会と家庭に大きな影響を与えるからであります。
 政府は今こそ、出生率低下の背景を十分分析して、女性が安心して子供を生み育てることができるよう、働くことと育児との環境づくりを整えることが必要であります。これにどう取り組まれるのか。
 関連して、異常な出生率の低下は、当然ながら高齢化のピーク到来の前倒しを初め、将来の年金、医療などあらゆる社会保障の給付と負担のあり方に少なからぬ影響を与えかねないと考えますが、政府はこれらについてどう試算しておられるのでしょうか。
 さきに、本院社会労働委員会育児休業制度検討小委員会は、精力的な検討の結果、与野党一致で育児休業制度の確立と介護休業制度の普及促進についての法的整備を政府に進言いたしております。政府はこれをいかに受けとめてその実現を図る決意でありましょうか。以上、総理及び厚生大臣の御所見をお伺いいたします。
 与野党逆転の本院におきまして、すべての野党が結束すれば法案の提出はもちろん、可決が可能という政治状況において、あえてこれをとらず、与野党が一年有余にわたり協議を行い、各党一致して政府に法案提出を確約させるという今回の方式は、与野党逆転下の本院における一つの現実的な政治選択としての成果であるとともに、私はよき先鞭と受けとめ、関係者各位のこれまでの御努力に惜しみない賛辞を送るものであります。
 さて、我が国会は次の百年に向かって今新しくスタートいたしました。私は、国連と民主政治の発展に尽力されました先人の御労苦に思いをいたすとき、その使命を厳しく受けとめ、責任の重きを感じ決意を新たにいたすものであります。そして、このときこそ次なる飛躍への大きな節目といたさねばなりません。それには、何にも増してまず重要なことは政治に対する信頼の確保であります。
 我々は、政治と金をめぐる幾つかの忌まわしい事件の反省の上に立って、一昨年以来、政治倫理の確立、選挙制度の改革、政治資金制度の改正及び国会の改革などについて政治改革大綱を取りまとめ、これまでできるものから実行に移してまいりました。そして昨年暮れには、これらの基本的事項をさらに具体的に盛り込んだ政治改革基本要綱を党議決定いたしたところであります。金のかからない、政策本位、政党主体の選挙制度の確立は政治改革の基本であります。政治に対する信頼を得て新しい創造性に富んだ議会政治の展開のためにも、避けて通れない課題であると認識しております。これに取り組む総理の決意をお伺いいたします。
 終わりに、総理の政治姿勢について一言申し上げます。
 さきにも申し上げましたように、今世界は歴史的に大変革いたし、東西の冷戦構造の枠組みは怒濤のように崩れかけ、対話と協調を求めつつも、湾岸戦争が勃発し、世界は新しい混迷と模索の時代に入りました。一方、国内的には、これまで質問申し上げましたように、政治に対する信頼の確保の問題から、国力に応じた国際責任への対応、さらには活力ある二十一世紀に向かって克服しなければならない課題など、まさに難問山積の状況であります。
 一内閣一仕事という言葉がありますが、二十一世紀を指呼の間に迎え、特に外交と内政は一体であるというこのとき、第三の新しい国づくりに向けて、それのみでは不十分であります。国民が求め、時代が要求し変化すれば、新しい発想のもとで政治が速やかにもろもろの問題に責任を持って対応しなければならないのであります。総理、確かに今日の政治情勢は、イラクの暴挙に起因した湾岸戦争やソ連の国内情勢等の、国際社会にとって先行きの定まらない複雑にして困難な時代を迎えるに至りました。しかし、総理はこれからの政治を行うに当たって、短期的な視点で政治に携わるのではなく、事態を的確に把握して、国民に真実を語り、たとえそれが国民に痛みを伴うものであっても、それが将来の国家にとって必要であるならば、どうか身を挺する勇断と忍耐を持って進めていただきたいのであります。
 マックス・ウェーバーの言葉に次のことがあります。「不可能なことをなし遂げようとする試みがなかったならば、可能なことすらもなし遂げることができなかったであろう。どのような事態に陥ろうとも、それにもかかわらずという不屈の精神の持ち主だけが政治を天職となし得る人間である。」。海部総理、あなたは第七十六代目の首相であります。首相の評価はその任期の長さではありません。在任中何をなしたかが問われるのであります。どうか国民のための政治に不退転の決意を持って取り組み、歴史に残る仕事をしていただきたいのであります。そうした総理のみずからをむなしゅうした責任の政治こそ信頼の政治として評価され、国民は総理にさらなる期待を託することでありましょう。
 総理の御決意をお伺いいたしまして、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(海部俊樹君) 岩崎議員にお答えを申し上げます。
 国際情勢をいかに認識しどう対応しようとするかという最初のお尋ねでありますが、冷戦時代が終わって、今、世界は新しい秩序を構築し、力による平和ではなくて話し合いによる公平な平和を世界に打ち立てたいと努力をしておる、その模索のさなかであると思います。私は、自由と民主主義と市場経済の価値観を大切にする多くの国々と力を合わせて、この普遍的な世界平和への原理を打ち立てるために今後とも日本は大いなる努力を続けていかなければなりませんし、国連を中心とする新しい世界の枠組みは、まず第一に力による侵略は許さないという原則を打ち立てるとともに、国連の機能を強化する方向に向かってさらに努力を続けていかなければならない、このように考えておるものであります。
 イラクの暴挙が今回の湾岸事態の本質ではないか、まさに御指摘のとおりでございます。私もそのとおりに受けとめております。そうして、たび重なる安全保障理事会の原則を踏まえて、クウェートからの撤退、クウェート正統政府の樹立、そういったきっかけから本当の中東の恒久和平の話し合いも生まれてくる、あらゆる可能性が生まれてくると信じておりますから、やはり局面を転回するための国連決議の受け入れというものがイラクに対して強く求められなければならないのはそこに根本があるからでありまして、議員の御指摘に私は同感でございます。
 今後とも、国連の場を通じ、その他あらゆる場を通じて、世界の国々とともに一日も早い安保理決議の実現がかなうように努力を続けてまいります。
 また、避難民の救助に携わる国際移住機構からの要請、これにこたえて輸送機の使用が可能になる根拠とのお尋ねでありますが、要請を受けましたときに、特にこれは避難民の輸送というのは人道的な、そして非軍事的な分野でありますし、日本の憲法が禁止しておる武力による威嚇や武力の行使に全く当たらないものであります。
 同時にまた、国際機関から要請を受けたときに現行の自衛隊法を調べてみましたが、第百条の五の規定に「自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、航空機による国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者の輸送を行うことができる。」、第百条の五にこのように書いてあるわけでありますから、新たに必要な政令を制定して、関係機関及び関係諸国からの要請があったときにこれにこたえることのできるような準備と対応をした、こういうことでございます。
 また、避難民の輸送については、要請のあるもののうち、人道的見地から緊急の必要が出た場合に、関係諸国から協力支援を得ながら実施するとした次第でありまして、現在、もしそのような状態になったときには所要の準備、所要の調査はどうしたらいいかということを検討しておるところでありますが、いずれにせよ、自衛隊の輸送機による避難民の輸送を行うにしても、安全の確保には万全を尽くしていく所存でございます。
 また、防衛医官を中心に医療協力を行うべきと思うがという御見解でございましたが、御指摘の赤十字を通じての協力は、既に我が国からも、協力を得て第一弾は出発をし参加をしてもらっておりますし、現在、サウジに先ごろの先遣調査員が一名残って現地事情の把握に努めますとともに、国立病院や大学など関係機関に協力を求め、体制の整備に努めているところでございます。
 また、九十億ドルの追加財政支援の財源調達構想を示せとのことでございますが、今般決定しました追加支援の財源については、いわゆる赤字公債によるのではなく、平和を享受しておる今日の我々が国民の皆さんの理解と協力も求めながら新たに臨時的な税制上の措置を講ずることが基本であると考えますが、ただ、税収が入るまでの間は、つなぎのための臨時的な国債を発行せざるを得ないと考えております。具体的にどのような税制上の措置をとるかは、ただいま政府部内で検討を急いでいるところであります。
 また、九十億ドルというのは、今回我が国が関係諸国の行動を、平和回復のためのもの、侵略を排除するためのもの、国際秩序を国連の決議に従って回復するためのものと見ておりますので、当面要する経費に充てるため行うこととしたものであり、我が国があらゆる置かれた立場、経済的条件等を踏まえて決定した額でございます。具体的な使途については、今後湾岸アラブ諸国協力理事会及び関係諸国と協議の上、最終的には湾岸平和基金の運営委員会で具体的な決定をすることとなっております。
 このイラクの暴挙やこのような支援の考え方は、御指摘のように内閣総理大臣談話を発表するなど、テレビ等を通じ国民の皆さんに理解と御協力を求めてまいりましたが、今後ともあらゆる機会を通じて積極的に対応してまいりたいと思います。
 また、体制を整備するにはどうしたらいいか。前国会の結果を踏まえ、我が国が平和のために資金、物資面のみならず人的側面においても貢献すべきであるという点については共通の理解が確認されつつあると認識をいたしておりますが、現在、内閣官房が中心となって関係省庁とともに新たな国際協力のあり方につき検討を進めておりますが、当然、自民、公明、民社各党間の合意をも尊重して、新たな国際協力のあり方について一日も早く成案を得て御審議をお願いできるようにしたいと考えております。
 また、日米関係は日本の重要な外交の基軸であります。しかも、自由と民主主義と市場経済の価値観をともにし、また日米が安全保障条約のもとで日本の平和を守り、またアジア・太平洋地域の平和と繁栄にも役立ってきたのは歴史の示すところだと考えております。来るべき大統領の訪日を機に、日米関係の一層の発展に向けての大きな契機にしたいと考えます。
 ソ連につきましては、議員御指摘のように、私はソ連のペレストロイカがその真価を問われる重要な局面に到達していると認識をしております。特に、最近のバルト諸国における武力行使を私は深く憂慮いたしております。事態の民主的な、平和的な解決を強く求めておるところであります。
 日ソ関係全般について申しますと、これまで真に友好的な隣人関係をつくるために、ゴルバチョフ大統領の来日はその抜本的改善のための突破口にしたいと考えております。今日までも、ペレストロイカの正しい方向性は支持しておりますから、でき得る限りの知的協力やあるいは経済調査団の受け入れやいろいろなことをしてまいりました。最近は、宇宙における共同行動や、やけどの坊やの治療という問題まで幅広く日ソ間の関係は拡大均衡の形で進んでおりますが、大切なことは、国民の願いである四島一括返還という基本と平和条約の締結という問題を横に置いて経済だけを進めるなという御指摘でありますが、私も無原則な政経分離の方針はとらない考えで対処してまいります。
 湾岸情勢を受けて、我が国の経済に与える影響、今後の経済運営をどうするかということでありますが、幸いに皆さんの御理解と御努力で、現在五十カ月に及ぶ内需主導型の景気拡大を持続しております。個人消費も着実に増加すると考えられ、設備投資も堅調に推移しておりますが、しかし湾岸情勢は、今後の経済動向に予断を許さないものがあります。
 我が国は、過去二回の石油危機のときと比べますと石油への依存度は大きく低下しており、石油備蓄もあり、また国際的協力のもとでいろいろな対応をいたしておりますから、条件は石油危機の当時と比べると小さなものにとどまると考えられますが、一層内外の諸情勢を注視しつつ、特に物価の安定を基礎として内需中心の景気拡大をより息の長いものとすべく、御指摘の金融政策を含めて適切に対応してまいる考えでございます。
 地価につきましては、内政上の最重要課題の一つに土地問題を据え、土地取引の規制、土地関連融資の規制、住宅宅地の供給の促進、有効高度利用の促進など需給両面にわたる施策を続けてまいりました。また、去る二十五日には総合土地政策推進要綱を閣議で決定し、土地神話の打破と適正な水準への地価の引き下げ等を土地政策の目標として明らかにいたしました。税制、金融、利用計画など総合的に展開し、政府は一体となった取り組みを今後とも引き続き展開してまいる決意でございます。
 また、土地税制の見直しにつきましては、土地に対する税負担の適正、公平を図る観点及び土地の資産としての有利性を政策的に縮減するという観点を基本にいたしまして、土地の保有、譲渡、取得の各段階にわたり総合的な見直しを行うこととしたものでございます。
 地球環境問題につきましては、地球環境は内政、外交上でまた最優先の地球的規模の課題だと考えます。関係閣僚会議で申し合わせた基本方針に従い、国際協力及び国内政策両面にわたり強化に取り組んでまいりますが、今後ともエネルギーの効率的な利用、リサイクルの総合的推進など行動計画に盛り込まれた施策の着実な実施、開発途上国支援の強化を初めとした必要な措置を講じてまいります。
 ペルシャ湾の湾岸原油流出事故の実態については、議員の御指摘のとおり、私も極めて憂慮すべき事態と認識をいたしております。二度と繰り返してもらってはならない許されない行為でございますが、我が国は、国内での海洋汚染とこれに対する対応という過去の経験を生かして、今般の原油流出に対し関係諸国と連絡をとりつつ可能な限りの協力を行いたいと考え、既に具体的な協力について検討に入っておりますが、例えばオイルフェンス等の機材の提供、海水淡水化装置については技術情報の提供など、いろいろなすべきことがあろうと思います。さらには、原油流出による環境汚染調査に関する協力等も考えられます。これらの具体策について政府の部内で鋭意検討を進め、まとまったものから着手していきたいと考えております。
 青く美しい地球を次世代に受け継がせろと。同感でございます。今日、有史以来未曾有の経済的繁栄の反面において、有限な地球の環境資源が損なわれ、我々の生存基盤が脅かされていると認識しております。地球は我々だけのものではなく、新しい次の世代に移していかなければなりません。リサイクルの総合的推進を初め、環境保全型社会づくりに今後とも努めてまいりたいと考えます。
 ウルグアイ・ラウンド交渉と農業問題にもお触れになりましたが、多角的自由貿易体制の維持強化、これは必要不可欠であります。ウルグアイ・ラウンド交渉の全体の成功の終結に向けて、引き続き御指摘のように努力を続けてまいります。
 米を含む農業交渉に関しましては、従来よりの我が国の基礎的食糧は国内産で自給するという基本的方針を踏まえて、食糧輸入国としての我が国の立場が適切に反映されるように全力を挙げて取り組んでまいります。
 また、これまでの農政を新しい農政へどう展開するかとの御指摘でありますが、昨年一月、閣議で決定しました「農産物の需要と生産の長期見通し」等を指針として、農業構造の改善、すぐれた担い手の育成、バイオテクノロジーなど先端技術の開発普及など、諸般の施策を総合的に推進し、生活環境の整備等も含めて住みよい農村づくりに努めてまいる考えであります。
 また、障害者の対策につきましては、国際障害者年のテーマである完全参加と平等の実現を図るために、政府は後期重点施策を策定し、福祉、教育、雇用、生活環境など各種施策の推進に努めているところでございます。今後とも一九九二年に向け、障害者の自立と社会参加の一層の推進が図られるよう、各般にわたる施策を総合的に推進します。従来、我が国は国連を通じていろいろ協力をし、また国連障害者の十年基金にも拠出をするなど積極的に貢献もしてまいりましたが、さらに「国連障害者の十年」の目標である障害者の社会生活への完全参加と平等を目指して、諸活動に対して今後とも引き続き協力をいたしてまいります。
 出生率の低下の問題につきましては、政府部内においてもこの問題の将来に思いを寄せて連絡会議を設け、その要因や対応等について先般検討をし、取りまとめを行いました。特に、仕事と育児の両立を支援するため、保育需要の多様化に対応した保育サービスや子供たちの放課後対策の充実、育児休業制度の確立に向けての一層の普及促進に努めてまいります。
 また、育児休業制度の確立とともに介護休業制度の普及促進についてもお触れになりましたけれども、これは重要な問題であると政府も受けとめており、今後ともその促進を図ってまいる考えであります。
 金のかからない、政策本位、政党主体の選挙制度の確立は政治改革の基本である、まことにそのとおりでございます。私は御指摘のように政策本位、政党中心の選挙が実現できるような仕組みが必要だと考え、政府は審議会からの答申の趣旨も十分尊重し、ただいまの御質問の趣旨等も念頭に置きながら、改革実現に向けて不退転の決意で取り組んでまいりますので、各党各会派の御協力もお願い申し上げたいと考えます。
 最後に、将来の日本国民のために勇断と忍耐で進めろ、国民のために取り組むべき問題は思い切って取り組め。御激励をいただきましてまことにありがとうございました。御激励を受け、決意を新たにして取り組んでまいるつもりでございます。
 残余は関係大臣から答弁いたします。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(橋本龍太郎君) 岩崎議員にお答えをいたします。
 総理からもお触れになりましたけれども、今般決定いたしました九十億ドルの追加支援の財源措置につきましては、いわゆる赤字公債によるのではなく、国民の御理解と御協力を得ながら、新たに臨時的な税制上の措置を講ずることを基本としたいと考えております。ただ、税収が入るまでの間は、つなぎのための臨時的な国債を発行せざるを得ません。具体的にどのような税制上の措置を講ずるか、また、どのような国債を発行するかなどの具体策につきましては早急に検討してまいりたいと考えております。また、我が国の財政がなお百六十八兆円にも達する公債残高を抱え、依然として極めて厳しい状況にあり、公債残高が累増しないような財政体質を目指して引き続き財政健全化の努力を払わなければならないという点につきましては、御指摘のとおりであります。したがいまして、そのような観点からも、今回発行する予定の臨時的な国債というものはあくまで税収が入るまでのつなぎの意味の国債として、償還財源の裏打ちを税財源によって適切に行うことによりまして、従来の赤字公債に頼ることのない、財政の健全化が図られるような対応をしていきたいと考えております。
 また、地価高騰における金融の関係についての御指摘がございました。
 今回の地価高騰は、都心部におけるオフィスビル用地の需給不均衡など、さまざまな要素が複雑に絡み合って生じたものではありますが、金融緩和を背景にして、経済全般に潤沢な資金が供給される中で土地に対する需要が支えられたという意味からは、金融的な側面も否定できないことは御指摘のとおりであります。
 こうした中で、大蔵省としては、金融機関の土地関連融資につきまして、昨年四月にいわゆる総量規制を導入するなど、その適正化に努めてまいりました。また、いわゆるノンバンクが行う土地関連融資につきましても、その資金の供給者であります金融機関を通じた間接的な方法でありますが、可能な限りその適正化を図るべく努めてきたわけであります。この結果、全国銀行の不動産業向け貸出残高の前年比伸び率を見ますと、総量規制導入前の平成二年三月末一五・三%でありましたものが、十月末には六・一%へと急速に低下をしてまいりました。また、一部で地価下落の動きが報じられるようになるなど、その効果は着実に浸透しつつあると考えております。
 今後とも金融機関の適正な業務運営の確保を図るべく厳正な指導に努めてまいりますとともに、今後の土地関連融資につきましては、先般閣議決定をいたしました総合土地政策推進要綱に沿いまして、御指摘の不動産担保融資、ノンバンクの土地関連融資の実態などを踏まえた上で、適切に対処してまいりたいと考えております。
 また、土地税制に関連して総理のお答えを補足させていただきますが、地価税というものは、土地税制の総合的な見直しの一環として、公共的性格を有する資産であります土地に対し、負担の公平を確保しながらその資産としての有利性を縮減するために土地の資産価値に応じた税負担を求めるものであります。これによりまして、土地の保有コストを増大させる、保有コストに対する意識を高める、その結果として地価の低下、抑制、土地の有効利用の促進など土地政策に資するものと考えておりまして、地価税の創設は大きな意義を有する、そのように判断いたしております。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(中山太郎君) 岩崎議員にお答えを申し上げます。
 我が国外交の基盤である日米の友好協力関係を、ブッシュ大統領の訪日を控えて今後どのように進めていくかというお尋ねでございます。
 ただいま、世界は新たな国際秩序の構築に向けまして国際情勢が極めて不安定な状況になっておる現在でございまして、我々は、基本的な価値観を共有し、志を同じくする日米が安保条約を堅持しながら友好を深めていくことは大変重要なことだと考えております。政府といたしましては、来るべきブッシュ大統領の来日を、こうした日米関係の一層の発展に向けて大きな契機としていく方針でございます。
 なお、ゴルバチョフ大統領の訪日に関しましては、基本的に日ソ関係の抜本的な改善を図るために、我々国民が願望しております四島の返還を実現して平和条約を締結してまいる、そして両国の関係を質的に発展させるということを日本政府としては強く期待いたしておるわけでございまして、ゴルバチョフ大統領の来日がそのような日ソ関係の抜本的な改善の突破口となるようにいたしたいと考えております。
 私の今般の訪ソにおきましても、このような我が国の考え方を明確にソ連政府に伝達いたしますとともに、我が国としてもこの平和条約締結のためにできるだけの努力を行う旨を強調してまいった次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣中尾栄一君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(中尾栄一君) 岩崎議員にお答えいたします。
 質問は二つに及んだと思いますが、一つは、今後の労働力不足を補うためには外国人労働者を積極的に受け入れてはどうか、こういうお考え方が一部にあるということの御指摘でございました。政府は今後の中小企業における労働力不足にどのように対応するのか、こういう御指摘であったと思いますが、現在の経済情勢及び今後の中長期的な労働力需給の動向にかんがみますと、労働力確保対策は中小企業における重大なる課題である、このように考えるわけでございます。
 御指摘のように、労働力不足対策のために外国人労働者を積極的に受け入れるべきではないかという意見も一部にあることは十分に承知しております。しかし、昨年六月から施行されておりまする改正入管法におきましても、単純労働者の受け入れは行わないという従来からの政府の方針が堅持されておりまして、今後とも慎重に検討を加えていくことが必要であろうと考えておる次第でございます。
 また、通産省としましては、魅力のある職場づくりを通じまして労働力の確保を図るために、労働省と協力しまして中小企業における労働力の確保のための法案を提出しまして、まずは労働時間の短縮、俗に三Kと言われております、きつい、あるいはきたないとか、あるいは危険であるとか、こういうような職場環境の改善という問題も含めまして、福利厚生施設の整備等、雇用管理の改善に取り組む中小企業を総合的に支援していこう、このように考えているところでございます。
 第二の質問でございますが、中小小売商業というものが日米構造問題協議による大店法の規制そのものの緩和により厳しい環境に置かれているので、その対策に当たっては大胆かつきめの細かい配慮が必要なんじゃないか、こういう御指摘であったと思います。
 そのとおりでございまして、これに対応しましては、私どもは、近年の流通業を取り巻く環境変化を踏まえまして、昨年六月の日米構造問題協議の最終報告にございますように、大店法規制緩和に関する措置が盛り込まれたところでございますが、かかる措置の実施に当たりましては、中小小売商業者等にとりましても痛みを伴う場合も予想されるところでございます。通産省としましては、平成二年度補正予算及び平成三年度予算案における思い切った支援措置や関連の税制措置を講じていく考え方であることも、御承知おき願いたいと思う次第でございます。
 これにより、商店街等の活性化のための計画策定やコミュニティー、ある意味における商業基盤の設備整備というものの助成強化、例えば先ほど申しましたコミュニティーホールなどもその一つでございますが、あるいは魅力ある商店街あるいは商業集積づくり等を推進する考え方でございます。また、個々の商店の体質強化、さらには中小店と大型店とが共存共栄を図る等の観点からの高度な商業集積の整備などを十分に図っていく考え方を私どもの考え方として、推進の段階にかかりたいと思っているわけでございます。
 また、これらの措置を体系的、総合的に実施していくための所要の法的措置の立案を行っている現段階でございますが、これらの各般の施策を通じまして積極的な小売商業対策を展開していく所存であることも明快にしておきたいと思っておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣下条進一郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(下条進一郎君) 岩崎議員にお答え申し上げます。
 御質問は三点にわたっていると思います。
 その第一点は総合的な廃棄物対策でございます。
 廃棄物の問題に対処するためには、御指摘のように、減量化や再資源化の推進、廃棄物処理施設の整備の促進を図り、国民の理解と協力を得ながら規制の強化などを総合的に実施することが重要であります。このため、廃棄物処理法の改正案を今国会に提出するとともに、必要な諸施策を積極的に推進してまいります。
 第二点の御質問は、ホームヘルパー等のマンパワーの確保についてでございます。
 高齢者保健福祉推進十カ年戦略においては、ホームヘルパー等の在宅福祉サービスや施設福祉サービスについて、平成十一年度までの具体的な目標を設定して、高齢者の保健福祉分野の基盤整備を進めることとしております。この事業の推進に当たっては、ホームヘルパー、看護婦等、保健医療・福祉分野のマンパワーを確保することが極めて重要であると認識しております。このため、平成三年度予算案においても、福祉人材の情報提供機能の強化や、看護婦等養成施設への支援の強化を初め、保健医療・福祉マンパワーの処遇の改善、就業対策の強化、養成力の拡充強化等を進めることとしております。
 第三点は、出生率の低下は将来の社会保障の給付と負担に影響を与えるが、どう試算しているかということでございます。
 社会保障の将来の給付と負担の展望については、御承知のように昭和六十三年三月十日に、平成二十二年度には社会保障給付費は百九十五兆円から二百四十兆円程度、社会保障負担は百二十五兆円から百五十五兆円程度と推計されるとの試算をお示ししたところでございます。これは試算時点の社会保障制度を前提に、国民所得の伸びについても一定の仮定を置いて試算したものであり、今後の社会経済の動向等により変動するものであります。なお、近年の出生率の低下が直ちに社会保障の給付や負担に影響を及ぼすものとは考えておりませんが、こうした傾向が長期にわたって継続すると社会保障制度等にもさまざまな影響が生ずることも懸念されます。
 いずれにいたしましても、第二次行革審答申において、国民負担率は高齢化のピーク時においても五〇%を下回ることを目標とすると指摘されているところであり、この目標は容易ならざる課題であると考えられますが、活力ある福祉社会を形成していくために、その趣旨等を踏まえ今後とも努力を払ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。(拍手)
#16
○副議長(小山一平君) 質疑はなおが、これを次会に譲りたいと存じます。ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○副議長(小山一平君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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