くにさくロゴ
1990/01/30 第120回国会 参議院 参議院会議録情報 第120回国会 本会議 第8号
姉妹サイト
 
1990/01/30 第120回国会 参議院

参議院会議録情報 第120回国会 本会議 第8号

#1
第120回国会 本会議 第8号
平成三年一月三十日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第八号
  平成三年一月三十日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(土屋義彦君) これより会議を開きます。
 この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、国家公安委員会委員に那須翔君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#4
○議長(土屋義彦君) 過半数と認めます。
 よって、これに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(土屋義彦君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。鶴岡洋君。
   〔鶴岡洋君登壇、拍手〕
#6
○鶴岡洋君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました総理の施政方針並びに外交、経済、財政の各政府演説に対し質問をいたします。
 二十一世紀まであと十年、まさに人類は未曾有の転換期に差しかかっており、新しい世紀に向かって何をなすべきかを真剣に考えなければならない歴史的な岐路に立っていると言っても過言ではありません。今や、国家、イデオロギー優先の時代から人間中心の時代へ、国益優先から地球益優先の時代への大転換期と思うのであります。
 それにつけても、一九九一年の幕あけを、多国籍軍によるイラクに対する武力行使、そして戦争という悲しい悲惨な事件で迎えたことは、まことに残念であります。今日、世界は東西の冷戦構造に終止符が打たれ、新たな世界秩序が模索されようとしていたやさきの戦火は、それが新たな秩序形成のための陣痛であるとしても、余りにも痛ましい事件と言うほかありません。同じ地球上に生存する者として、人間の英知と勇気ある決断によって、この戦争が一刻も早く終結し、再発防止はもとより、これを未来へのとうとい教訓として新しい国際秩序が構築され、安定した揺るぎない平和が確立されることを切望するものであります。
 初めに、湾岸危機について伺います。
 イラクのクウェートへの武力による侵略と併合は、いかなる理由をもってしても正当化されるものではなく、平和への破壊行為であります。国連の十二回にわたる決議を無視し、クウェートからの撤退という国際世論に耳をかそうとしなかったイラク政府の姿勢は厳しく追及されなければなりません。私は、多国籍軍による武力行使は、いまだ外交による説得の余地もあり、拙速に過ぎたのではないかなどの問題を指摘しつつも、やむを得ないものであったと考えております。
 しかし、開戦以来の経緯を見ますと、湾岸戦争は、戦域の拡大、長期化という最悪のシナリオも憂慮されるのであります。原油の大量流出、砲弾による人的、物的犠牲は、テレビを見て知るだけの私どもにとっても目を覆いたくなるような惨状であります。私は、中東湾岸戦争の拡大と長期化は、環境破壊を初め、はかり知れない人類的な犠牲をもたらすものであり、一日も早い終結が必要であることを強く主張するものであります。
 総理は、国連への働きかけ、関係諸国への呼びかけなど外交努力を強力に行うべきであります。総理にその決意はあるのかどうか、具体的な行動を示していただきたいのであります。また、戦争の早期停止への展望を持っているのかどうか、ブッシュ大統領と停戦について話し合うことは考えていないのかどうかもあわせてお伺いしたいのであります。
 湾岸戦争とこれに対する我が国の対応は、まさに国際社会における我が国の平和観、国際観など、今後のあり方、生きざまが問われている極めて重要な問題であると思うのであります。私は、湾岸情勢や国連決議、国際世論など、我が国が置かれている国際的な立場から、多国籍軍への支援に対してはただ反対だけでは済まされないと思うのであります。我が国の平和主義が、自分のことだけを考えている一国平和主義であったり、都合の悪い国際紛争に無関心であったり、傍観者的態度であってはなりません。不幸にも戦争が行われている今日、できるだけ戦禍を抑制し、早期停戦と平和回復のために我が国もある程度の負担も必要であります。
 また同時に重要なことは、我が国が平和憲法のもとで営々と築き、積み上げてきた国家としての平和原則を崩してはならないと思うのであります。
 さて、政府は、今回の湾岸危機に対する多国籍軍への支援策として、財政面で九十億ドル、日本円で約一兆一千八百億円の追加支援と、難民救済として自衛隊の輸送機派遣を決定いたしました。私は、この政府の支援策については多くの疑問を持つものであります。九十億ドルといえば膨大な額であります。
 その理由と根拠について総理は、関係諸国が当面要する経費に充てるためであると説明し、我が国が国際的役割を果たしていくために必要であるから、国民の皆さんに負担をお願いすることになるので御理解と御協力をいただきたいと施設方針で述べられました。果たしてこれだけの説明で、新たな増税も含めた国民負担を求めたことになるのでありましょうか。少なくとも、なぜ我が国がこれだけの支援が必要なのか、どうして九十億ドルなのか、その使途はどうなっているのか、説明していただきたいのであります。
 戦争が長期化するようなことになれば、再追加支援、再々追加支援が要求されかねないことも心配されるのであります。際限のない財政支出を求められることに対する歯どめはあるのかどうかも、あわせて伺いたいと思うのであります。
 総理、湾岸危機に対する我が国の支援が最重要な課題であるというなら、政府みずからが財政措置について身を削るような努力をして、初めて国民の理解と支援を求めるのが筋であります。戦争が起こる前に編成された平成三年度予算を全面的に見直すくらいの姿勢が必要であります。いわんや、平成三年度をスタートとする新中期防衛力整備計画を大幅に再検討していくべきことは当然であります。海部内閣からそうした緊迫感が伝わってこないのは私一人ではないと思うのであります。私は防衛費、特に中期防の見直し、平成三年度の歳出の洗い直しを行うべきことを主張いたしますが、財源措置に対する総理並びに大蔵大臣の見解を示していただきたいのであります。
 私は、財政支援を行うとしても、原則を明確にすることが必要であると思うのであります。少なくとも、第一に、戦争の早期終結に全力を挙げること。第二に、国民に十分説明し理解を求めること。第三に、難民、医療など人道面を中心とし、武器弾薬等には使わないこと。第四に、安易な増税を行うべきではなく、防衛費を含めた不要不急の経費を見直すこと。第五に、社会的に弱い立場や国民生活への影響を最小限にすることなどは最低限度の措置であると思うのでありますが、これらの点について総理の見解を伺いたい。
 自衛隊の輸送機の派遣は、これまでの経緯から許されるものではありません。さきの国連平和協力法案の審議の結論は、自衛隊の派遣はノーというものでありました。これが国会の意思であります。政府もこれまで、自衛隊法の改正なしに自衛隊の海外派遣はできないという見解を示してきたのではありませんか。国権の最高機関である国会で決めた意思、方針が無視され、法律の基本的な枠組みを政令の追加で政府が勝手に行えるとするならば、政府の裁量は無制限、国会の権威、機能は形骸化されるという、我が国の法治国家としてのあり方、民主主義の基本にかかわる問題であり、自衛隊の輸送機の派遣を撤回するよう強く要求いたします。
 また、IOM、国際移住機構からは、難民を輸送する一般的輸送機の要請であって、特に自衛隊機を要請しておりませんと伝えられておりますし、輸送経費さえ出してくれるところがあれば、ヨルダン航空機で十分輸送できるとの報道もあります。この点についていかがですか。
 さらに、自衛隊機を派遣する前に、我が国としてできること、しなければならない支援策があるのではないかと思うのであります。それは戦争による原油流出対策であります。原油流出による海洋汚染が拡大し、深刻な環境破壊に発展しております。これは、戦争が地球環境を脅かす最大の加害者であることを示すものでもあります。我が国も、かけがえのない地球環境を守るため、技術協力等を含め速やかに対応すべきだと思いますが、いかがですか。
 次に、ソ連情勢と日ソ関係について伺います。
 ソ連国内においては、リトアニア、ラトビアの両共和国への武力弾圧、さらにはソ連国内の政治、経済状況の混迷といった憂慮される事態が伝えられているのであります。ソ連国内のこうした不安定状況は、ただソ連一国にとどまらず、米ソ関係、デタントへと動き出した国際政治、欧州情勢にも重大な影響をもたらすものであります。また、この四月に初めてゴルバチョフ大統領が訪日することになっておりますが、総理はソ連の国内情勢、ゴルバチョフ政権の安定度、ペレストロイカの前途、民族問題についてどのように認識されているのか、御説明願いたいのであります。
 今日のソ連の政治状況から見れば、ゴルバチョフ大統領の来日によって北方領土問題への明るい展望はあるのでしょうか、その見通しはいかがでございますか。経済的な支援策もどうするのか、明らかにしていただきたいのであります。
 外交問題の最後に、ガット・ウルグアイ・ラウンドについてお伺いいたします。
 ガット体制下で最も恩恵を受け、繁栄を享受してきたのは我が国であります。何としても今年二月末に交渉期限を迎える新ラウンドを成功させ、保護貿易の台頭を防がなければなりません。日本は、経済大国として、自国のエゴイズムのみにとらわれることなく、積極的にリーダーシップを発揮すべきものと考えますが、総理の御所見を伺います。今後の交渉において我が国が食糧安保論を押し通すことが可能であるのか、特に、最悪の事態である日米二国間交渉は避けられるのかどうか、政府の基本的な見解を明らかにしていただきたいと存じます。
 さて、総理、二十一世紀を目前にして、我が国は今こそ国民一人一人が心の豊かさを実感できる生活者重視の社会を構築していかなければなりません。心の豊かさとゆとりを実感するための最大の基盤は、住宅対策であります。近年の大都市圏における地価高騰は、努力次第で我が家が持てるというサラリーマンのマイホームの夢を絶望的にし、一方では住宅家賃の高騰をもたらし、都市生活者の家計を著しく圧迫しております。本来サラリーマンのための公共住宅である公団住宅の家賃が異常に高くなっており、東京では二LDKの家賃が二十八万円もするところもあります。また、一LDKで十三万円もする公団住宅に新婚夫婦が入居できるでしょうか。
 総理、このように高い家賃の公団住宅に一体だれが入居されるとお考えでしょうか。私は全く憤りを覚えるのであります。
 そこで、このように高い家賃負担に悩む生活者を守るため、我が党がかねてより主張している家賃控除方式と家賃手当制度をあわせた家賃補助制度を速やかに創設すべきだと考えますが、いかがですか。また、住宅に関する基本理念を明確にするとともに、住宅問題解決のための基本的方途を示した住宅基本法を早期に制定すべきだと考えますが、あわせて総理の所見を伺いたい。
 次に、土地対策についてであります。
 土地問題の解決は、内政における最大の政治課題であります。その土地対策の成否のかぎを握るものが土地税制改革であります。ところが、政府が平成三年度税制改正要綱で提案している地価税は、税率、課税対象、課税方式など大幅に後退したものであり、国民の期待を裏切るものであります。これでは土地神話を打破し、地価の引き下げと土地の有効利用を促進することはできません。この地価税を実効あるものとするためには、専門家等が当初考えていたとされる税率一%、課税最低限五億円とし、税収は所得税や法人税の減税に充てるべきだと考えますが、総理並びに大蔵大臣の所信はいかがですか。
 次に、生活、福祉問題の初めに、育児休業法についてお伺いします。
 我が国の平均出生数を見ると、十年連続で最低記録を更新し、出生率が平成元年度には一・五七人と史上最低となってしまい、人口減少が始まるとされる二・一人を大きく割った状態になっております。出生率低下の原因は、女性の社会進出、住宅難、若い世代の子育てに対する価値観の変化などが挙げられていますが、子供を生み育てる環境が整備されていないことが最大の原因であります。
 かかる視点から、私は育児休業法の制定が急務であると思いますが、総理のお考えをお伺いいたします。
 第二に、児童手当制度についてであります。
 児童手当制度は、公明党の強い主張によって昭和四十七年に発足し、今日に至っております。その経過を見ると、現在の第三子月額五千円という金額は昭和五十年以来十五年間も固定され、その支給期間も、制度発足当初は中学卒業まで支給されていたものが、昭和六十年度には支給を第二子まで広げたかわりに小学校入学までと制度が縮小されています。子供は国の宝であり、社会全体ではぐくむものであるという視点から、制度の思い切った充実が必要であります。私は、そのためには、支給対象を第一子から、支給額一万円以上とし、支給期間は諸外国のように義務教育終了まで支給して、次代の日本社会を担う児童を育成するのにふさわしい制度に改善すべきだと考えますが、総理並びに厚生大臣の御見解を伺います。
 第三に、老人医療の問題についてであります。
 政府は、今国会において老人医療費の一部負担を、外来について八百円を千円に、入院については四百円を八百円に引き上げ、さらに医療費の上昇に合わせて一部負担をスライドさせるルールの導入を考えているようであります。しかし、多くの老人が年金収入のみに頼っていることを考えれば、受診抑制につながる安易な一部負担の引き上げや、国会のチェック機能を奪ってしまうことになる医療費スライド制の導入には反対であります。
 高齢化社会の進展に伴い、老人医療の充実は年金制度の充実とともにますます重要になってきます。これからの我が国の老人医療対策をどのように進めていかれるのか、総理並びに厚生大臣の御決意のほどをお伺いします。
 第四に、救急救命医療体制の充実についてであります。
 交通事故の激増、高齢化社会の急速な進展に伴う急病者と在宅医療の増加、国民の疾病構造の変化等を反映して、救急隊の出動件数は年々増加の一途をたどっております。白書によれば、平成元年の年間出動件数は二百六十五万件余、搬送人員は二百五十九万人にも上っております。全国で一日平均約七千二百七十九件、十一・九秒に一回の割合で救急隊が出動したことになります。
 こうした状況の中で、今最も緊急を要する課題は、人命尊重の立場から救急救命医療体制の抜本的充実であり、なかんずくプレホスピタルケアの充実であります。救急専門医の育成を初め、救急隊員の応急処置の範囲の拡大とドクターカーシステムの全国ネットワーク化など、総合的な体制の整備が急務だと考えますが、総理並びに厚生大臣のお考えと、今後の取り組みについて伺いたい。
 第五に、消費税についてであります。
 私は、消費税はあくまでも廃止すべきであると考えております。しかし、昨年の両院協議会で益税、運用益、逆進性の緩和等について与野党の認識が一致した部分は、国民生活重視の立場から緊急是正の措置を講ずべきであります。食料品、公共料金等の非課税についても最大限の努力をすべきでありますが、今回、緊急是正措置が全く無視されたのはまことに遺憾であります。いかがお考えか、総理並びに大蔵大臣の明確な所信をお示しいただきたいのであります。
 最後に、政治改革についてお伺いします。
 現在の日本の政治は、国民の意思が十分反映されているかどうか、極めて疑問であります。政治に対する国民の信頼は不可欠の条件でありますが、リクルート事件以来、政治改革が言われながら、具体的な成果がないばかりか、元環境庁長官稲村利幸代議士の株取引に関する所得税法違反事件は政治不信を増大させているのであります。この現実をどう認識されていますか。
 総理は政治改革に内閣の命運をかけるとまで明言されましたが、総理の言われる政治改革とはどういうことなのか。政治の金権腐敗構造の責任を選挙制度に転嫁することですか。政治資金の規制強化、政治倫理の確立、国民の政治への信頼回復をどう進められますか。具体的に示していただきたいと思いますが、いかがですか。
 以上、当面する内外の諸課題について伺ってまいりましたが、今日の歴史的とも言うべき大きな変革のときに当たり、我が国を取り巻く課題はいずれも難題が多く、そのかじ取りを行う政治の役割と責任はますます重大であります。
 以上、総理の明確な答弁を求めまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(海部俊樹君) 鶴岡議員にお答えを申し上げます。
 湾岸における戦闘行為が一日も早く終結して公正な平和が回復されることを私も強く望むものでありまして、そのためにはイラクが速やかにクウェートからの撤退を決意することが第一の方途であり、それによって公正な湾岸の平和が回復されなければならないと強く求めるのは議員の御指摘のとおりでございます。我が国としては、外交ルート等を通じてブッシュ大統領を初め米国や関係諸国との協議、連絡に努めておりますが、さらに情勢の推移を見きわめつつ、御指摘の国連等への働きかけを含めて平和回復に向けての外交努力を続けてまいりたいと決意しております。
 九十億ドルの支援の必要性と使途についてというお話でございますが、我が国は、御承知のように、国際社会の一員として、平和な環境の中で戦後生活をしてまいりました。同時にまた、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求してまいりました。日本のこういう平和主義というものは、議員御指摘のように、自分の国だけよければいいという一国平和主義であってはならないということは私もそのとおりに考えております。
 傍観者になってはいけないというならば、日本国憲法で許されない武力の行使を伴う面ではお役に立てませんが、軍事面ではない面で可能な限りの協力をして、国際の平和、秩序を回復するため日本が協力をするということは、これは果たさなければならない役割であり、どの国も自国のことのみに専念して他国を顧みないのはいけない、国際協調主義の考え方に立ってでき得る限りのことはすべきであるというのが今回の措置をとった考え方の基本でございます。
 同時にまた、それはどうするのかということでございますが、具体的な使途については、今後、湾岸アラブ諸国協力理事会及び関係諸国ともいろいろ協議をいたしまして、その上、湾岸平和基金の運営委員会で決定されることになっております。政府といたしましては、戦闘行為が一日も早く終結することを願っておりまして、現在のところこれ以上の追加支援は考えておりません。
 中期防の見直しにお触れになりましたが、中期防は、御承知のように、大綱に定めておる平和時において有する防衛力の水準がおおむね達成される現状を踏まえて、最近における国際情勢の変化を勘案しながら、節度ある防衛力の整備に努めてまいりました。この中期防の計画のときには、厳しい財政事情等を勘案して、今回は正面装備費の伸び率をマイナスにするなど、他の諸施策との調和を図りながら、節度ある防衛力の整備のために必要最小限の経費を計上したものでございます。
 また、湾岸危機に対する我が国の支援が最重要であるというならば平成三年度予算の歳出の節減合理化を考えるべきではないかとお尋ねでありますが、これはもう御指摘のとおり、節減合理化をしていかなければならないということは常に政府が心がけてきておるところでございまして、これ以上後世代にツケを残す赤字公債の発行に頼らない予算の編成というものに全力を挙げて取り組んできておるところであります。各種歳出は、厳しい状況のもとで真に必要な財政需要に適切に対応するために、またいずれも国民生活に密接に結びついているものでございまして、そのような削減努力を平成三年度予算編成についても政府は続けてきておるということをどうぞ御理解いただきたいと思うわけであります。
 そして、財政支援を行うための原則を五つお述べになりました。私は、御質問の御趣旨等を考えながら、今後ともこれらのことによって戦争が一日も早く終結するように、公正な平和があの地域に一日も早く回復するように心から願っておるところであります。
 また、法律の基本的な枠組みを政令の追加で政府が勝手に行えるのはいけないのではないか、撤回せよというお話でございますが、避難民の輸送という極めて人道的な、そして非軍事的な分野において、関係国際機関から要請のあるもののうち、民間機が活用されないような状態において人道的見地から緊急の輸送を要する場合には、現行の自衛隊法の第百条の五の規定に基づきまして新たに必要な政令を制定して、具体的な要請があった場合に必要に応じて対応しようとしたわけであります。これが政府の方針でございます。
 なお、IOMからは難民を輸送するため一般的に民間・軍用輸送機の要請があったことはこれは事実でございます。ただ、国際機関から要請を受けて関係国の協力を得ながら行うという前提でございます。なお、二十一日にはさらにカイロからベトナムまでの輸送の具体的な要請も参りましたので、本件においては日本航空で対処したことは御承知のとおりでございます。
 また、原油流出の問題につきましては、アハマディ沖ターミナルから石油が海上に流出をいたしております。イラクは、海上を含む自衛のために石油を使うことは正当化されると大統領が発言をいたしましたが、これは環境破壊という面からいって極めて重大な問題であり、私は極めて憂慮をいたしております。我が国は、早速この問題に対して、海洋汚染ということに対する我が国の対応という経験も生かしながら、具体的協力について何ができるのか、例えばオイルフェンスの提供とか、海水淡水化装置については技術情報の提供とか、あるいは原油流出による環境汚染調査に関する協力等が考えられますので、政府としては既に具体策を検討し、できたものから関係諸国と協調の上、具体的に協力を進めてまいる考えでおります。
 ソ連についてお触れになりましたが、ソ連の経済改革はただいま停滞し、連邦諸国との間柄も混乱をいたしております。私は、ゴルバチョフ大統領がこれまで推進してきたペレストロイカの真価が問われる状況だと考え、またバルト諸国に対する一度ならずの武力行使、これについては深く憂慮をし、事態の民主的、平和的解決を強く求めているところであります。
 なお、日ソ関係の抜本的改善のためには、北方四島の返還を実現し、平和条約を締結し、あらゆる分野で質的に新しい関係を構築していくことが大切であるのは御指摘のとおりでございます。私は、今後とも必要に応じて、例えば経済調査団の受け入れとか、知的技術の交流、人物交流、いろいろな協力は拡大均衡の方針で今日までも進めてまいりましたが、今後とも四島一括返還の基本的方針及び無原則な政経分離はとらないとの考え方を堅持して関係の打開に努力をし、四月のゴルバチョフ大統領の訪日をそのような日ソ関係の突破口にして抜本的関係改善をしたいと考えておる次第であります。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドについては、これがもしまとまらなければ、保護主義の急速な台頭など世界経済に深刻な影響を与えることが予想されます。我が国としては自由貿易体制の維持強化が必要であり、そのために政府は、成功裏に終結することができるようにガット・ウルグアイ・ラウンド交渉に全力を注ぐ考えでおります。我が国は、食糧安全保障などの観点から、基礎的食糧については所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講ずるようウルグアイ・ラウンドにおいて提案を行っているところでありますが、今後とも、この交渉において食糧輸入国としての我が国の立場が適切に反映されるよう全力を挙げて取り組んでまいる考えでおります。
 住宅政策の基本については、重要性は同じく我々も考えており、ただ、家賃控除制度の創設の問題については、家賃は食費や被服費などと同様、典型的な生活費でありますから、これだけに特別の控除を設けることには基本的な問題があるものと考えております。
 住宅費負担を軽減すべきであるという貴党御提案の御趣旨については、融資、税制の活用等により賃貸住宅供給コストの低減を図るとともに、特に低額所得者等の世帯については公共賃貸住宅の的確な供給などの施策の充実に努めてきたところでありますが、平成三年度予算案においても、一般的な家賃補助制度ではありませんけれども、貴党御提案の御趣旨をも踏まえて、民間賃貸住宅の公的管理を通じて家賃軽減を図る借り上げ公共賃貸住宅制度の拡充、並びに公営住宅及び密集木賃住宅の建てかえ促進を図るために家賃激変緩和のための補助制度の創設等を盛り込んでおり、住宅政策に取り組む政府の考え方も御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 住宅基本法の問題につきましては、住宅建設五カ年計画を策定し、良質な住宅ストック及び良好な住環境の形成に努めてきたところであります。基本法を制定することについては、その目標、国・地方公共団体の責務、住宅費の負担の取り扱い、居住水準のあり方等に関しコンセンサスがいまだ未形成と考え、引き続き研究を続けてまいりますが、今後とも居住水準向上のための施策の充実に一層努力をしてまいる考えでございます。
 地価税につきましては、土地に対する負担の公平を確保しつつ、その資産としての有利性を縮減するために、土地の資産価値に応じた負担を求める観点から創設するものでありまして、土地保有コストに対する意識を高め、地価の低下、抑制、有効利用の促進等土地対策に資するものと考え、その内容は最善のものであると考えております。
 育児休業法の問題につきましては、これは職業生活と家庭生活との調和を図ることが、子供を育てながら働く人にとって、その能力と経験を生かしていただくためにも大切なテーマであると認識をいたしております。今後とも、検討小委員会の結論等も踏まえて育児休業制度の確立に向けて鋭意努力をしてまいる考えでございます。
 児童手当制度は、その充実を図る必要があると考えており、世代間の助け合い及び児童養育家庭に対する育児支援の強化という観点から制度改正を行うこととしており、また老人医療対策では、安心して老後生活を送ることができるよう、保健医療、福祉など全般にわたる施策の充実を図ることが重要と考え、老人保健制度について介護に関する総合的な体制づくりや老人医療費の費用負担のあり方の見直しを行い、制度の長期的安定を図ることにいたしております。
 救急医療については、救急現場、搬送途上における医療の充実が緊急の課題でございます。平成三年度予算において、より救急医療体制の成果を上げるために努力をしてまいりたいと考えております。
 消費税につきましては、先回の国会における法案処理の結果を踏まえて設置されました両院合同協議会において引き続き協議が行われるものと承知をいたしますが、政府といたしましては、全体的、長期的な利益といった観点から具体的な合意が得られることを期待し、その御趣旨に沿って誠実かつ迅速に対応していく考えでおります。
 最後に、政治不信、政治改革についてお尋ねがありましたが、私は個々の政治家の政治倫理の確立というものが大前提であることは当然のことと考えますが、政党中心、政策本位の選挙制度の確立も大切であり、また資産、政治資金の透明性の確保、これも極めて重要なことと考え、先般来、選挙制度審議会の答申や自由民主党の政治改革大綱の党議決定を受けて野党の党首の皆さんとも党首会談を開き、私からその考え方をお伝えし、御協力をお願い申し上げたところでありますが、御指摘の政治資金の規制の強化、政治倫理の確立を通じて、信頼回復のためには積極的に不退転の決意で取り組んでまいりたいと思っておりますので、どうか御理解と御協力を賜りますようにお願い申し上げる次第でございます。
 残余の質問につきましては関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(橋本龍太郎君) 鶴岡議員からの御指摘に対し、総理の御答弁に補足をさせていただきます。
 第一点は、この湾岸危機に対する支援の財源措置につき平成三年度の歳出の見直しを行うべきではないか、大蔵大臣としての見解を求められました。これにつきましては、基本的に、先ほど総理がお答えになりましたように、歳出の節減合理化というものは政府としても常に心がけてきているところでありますが、今般の追加支援の財源につきまして、歳出の削減をもってその財源に充てるべきではないかという御意見につきましては、非常に厳しいものがあると私は考えております。また、平成三年度予算につきましては、厳しい概算要求基準をまず設定いたしましたものの中から、予算編成過程におきまして十分精査をいたしましてようやく内容を確定したところでございまして、これからの御審議の中におきまして十分お答えをしてまいりたいと考えております。
 また、地価税につきまして、地価税における課税最低限は資産規模の小さな土地について配慮する観点から設けられたものでありまして、税率水準につきましては、土地の有利性を政策的に縮減するという観点と、我が国の経済に与える影響や個々の納税者に対する負担に配慮するという観点を総合的に勘案して定めたものでございます。いずれにいたしましても、地価税の創設は、土地の保有コストを増加させ、保有コストに対する意識を高め、地価の低下、抑制、土地の有効利用の促進など、土地対策に資するものと考えておりまして、その内容は土地政策、土地税制全体の中におきまして適切な位置づけをしたものと考えております。
 また、地価税の税収の使途につきましては、税制調査会の「平成三年度の税制改正に関する答申」におきまして、平成四年度の税制改正、予算編成時までに検討すべき旨を提言されているところでございまして、政府としては税制調査会の答申を踏まえて適切に対処したいと考えております。
 また、消費税につきましては、政府は見直し案を国会に提出いたしましたが、衆議院においては可決されましたものの、参議院において審議未了、廃案となりました。野党の廃止関連法案は衆議院で否決という第百十八国会における法案処理の結果を踏まえて、与野党がその責任を果たすというお立場から税制問題等に関する両院合同協議会が設けられ、その専門者会議を中心に御議論が行われてきているところでございます。私どもは、両院合同協議会におきまして、消費税の必要性を踏まえて建設的かつ具体的な合意が得られることを期待しながら、引き続きその御協議の状況を見守っております。協議会におきまして具体的な合意が得られれば、その趣旨に沿って誠実かつ迅速に対応してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣下条進一郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(下条進一郎君) 鶴岡議員にお答え申し上げます。
 お尋ねは三点あるかと存じます。
 第一点は、児童手当は、第一子から支給額一万円以上、支給期間は義務教育終了まで、こういうような主張が中心の御質問だと思います。
 この児童手当制度につきましては、児童や家庭を取り巻く環境変化を踏まえ、世代間の助け合い及び育児支援の強化という観点から、我が国の実情に即して制度を充実する必要があると考えております。今回の制度改正では、児童手当の支給対象を第一子に拡大し、支給月額を倍増して、第一子、第二子にそれぞれ月額五千円、第三子以降月額一万円とするとともに、育児に特に手がかかり、経済的な支援の必要性の高いと考えられる三歳未満の時期に給付を重点化することとしております。
 第二点は、老人医療対策をどのように進めていくかというようなお話だと存じます。
 この点につきましては、本格的な高齢社会に向けて、お年寄りの介護体制の充実や医療の確保が重要な課題であると認識しております。このため、老人保健制度の見直しを行い、老人訪問看護制度の創設を初めとする、保健、医療、福祉にわたる総合的な介護体制の充実を図り、あわせて、増大が見込まれる老人医療費について介護に着目した公費負担の拡充を図るとともに、定額負担の方式を維持しつつ、必要な受診を抑制しない範囲でお年寄りにも適切な負担をお願いすることとしております。また、将来にわたり老人医療費に占める一部負担の水準を維持して、お年寄りと若人との間の負担の公平が確保されるよう、医療費の伸びに合わせて一部負担の額を改定する仕組みを導入することとしております。
 今回の改正は老人保健制度の長期的安定を図るために必要なものであり、御理解を賜りたいと思います。
 第三点は、救急専門医の育成、救急隊員の応急処置等の問題でございます。
 この救急医療体制につきましては、受け入れ医療機関の体制はおおむね整ってきておりますけれども、救急現場、搬送途上の医療の確保が大きな課題となっております。このため、平成三年度予算案において、ドクターカー制度の普及を図るための救急現場医療確保事業の実施、救急医療に従事する医師等の研修の充実を図ることとしております。また、一定の教育訓練を受けた救急隊員について、応急処置の範囲を拡大するとともに、搬送途上において救急救命処置を行う救急救命士制度創設のための法律案を今国会に提出することとしておりますなど、関係省庁とも連携をとって救急医療体制の充実に向けて努力をしていく所存であります。よろしくお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(土屋義彦君) 沓脱タケ子君。
   〔沓脱タケ子君登壇、拍手〕
#11
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 平和解決への願いに反して、今、湾岸戦争の真っただ中であります。私は、刻々と報道されるミサイルやトマホーク、まさにハイテク兵器の威力を誇るかのようなあのテレビの映像を見ていて、本当に心臓の凍るような思いがいたしました。四十六年前、爆弾の雨をくぐり、焦土の中での悲惨な体験をしてきた私どもは、再び惨禍が起こることのないようにすることを決意したのであります。一刻も早く中東に平和をと願わない人はいないでしょう。
 加えて、原油の流出は地球環境破壊の重大問題として人々の心を痛めております。我が党は、戦争になればこういう事態は避けられない、このことを早くから警告して、あくまで平和的に解決するよう、イラク、アメリカ及び国連安全保障理事国に訴え続けてまいりました。にもかかわらず、こういう事態になったことはまことに遺憾であります。
 今回の湾岸危機の根源は、イラクの乱暴なクウェート侵略・併合にあることは明白であります。しかし、国連安保理事会の多数が賛成し、国連のイラク大使も歓迎したフランス提案による平和解決の道を断ち切り、アメリカ政府がみずからのシナリオに沿って戦争開始を急いだことには重大な問題があります。
 今何よりも求められていることは、平和解決への局面転換を図り、中東の公正な平和を実現するためにあらゆる努力を尽くすことです。これこそ憲法の平和的原則にのっとった日本が果たすべき真の国際的貢献の正しい道であり、海部総理に求められているのはこの道ではありませんか。ところが、自民党・海部内閣は、平和解決を口にしながら、実際には開戦前からアメリカに対して武力行使への全面的支持を表明し、開戦への後押しをする役割を果たしたのであります。
 今日、明らかになりつつある湾岸戦争の実態で最も重要なことは、アメリカの軍事力行使が国連決議にいうクウェートからのイラクの撤退という枠を超えているという問題であります。戦争目的の変質に抗議して、昨日はフランスのシュベーヌマン国防相が辞任をいたしました。米軍による核施設の破壊、フセイン政権の打倒、中東の安全保障体制の構築などは、一体どの国連決議に含まれているのですか。
 総理の施政方針演説では、このようなアメリカなどの武力行使に確固たる支持を表明し、さきの二十億ドルに加えてさらに九十億ドル、日本円にして一兆二千億円、国民一人当たり一万円という途方もない追加支援を決定し、そのために財政法の禁止する戦時国債の発行、大幅増税を行うことを明らかにしたのです。総理は、開戦を急いだアメリカの態度や日本がこの武力行使を支持することが唯一の早期決着の道だと考えているのですか、はっきりとお答えをいただきたいのであります。
 この追加支援なるものは、戦後初めての戦費分担であります。これが憲法に違反することは議論の余地はありません。しかも、昨年の国会では、憲法上日本の支援による武器弾薬の購入はあり得ないと言明をしていたのに、今度はそういう使途の制限は設けないというのですが、なぜこういう態度の変更を行ったのか、明確に答弁を求めます。
 さらに総理は、この九十億ドルについて、関係諸国が当面する経費に充てるためのものと言っていました。ところが、アメリカのベーカー国務長官はこれはすべて米国の経費に充てられると述べ、これはアメリカ議会への報告書に明記されることになっております。総理の言うことと違っておりますけれども、実際は一体どうなっているのか、はっきりとお答えをいただきたい。なお、我が国の負担は戦費の二〇%と言われていますが、アメリカは何%負担なさるのですか、明確にしていただきたいのであります。
 総理は、九十億ドルの資金援助を日本の応分の負担だなどと答弁しています。しかし、国の財政そのものは大変な赤字ではありませんか。大企業は巨額の利益をため込んでおりますが、国力の基礎である国民の生活は、住宅も手に入らない、長時間労働を強いられ、消費税などの重税、社会保障の削減などで苦しんでおり、とても豊かとは言えないのであります。その国民から大増税で取り上げる巨額の戦費を、日本の応分の負担などと言えるのですか。また、政府が勝手にアメリカに約束をした巨額の戦費について、国民がひとしく共同で負担する責任があるかのような言い方も、まことに身勝手な政府の言い分ではありませんか。総理の認識をお伺いします。
 次に、国民の憤激を買っている重大問題は、国会にも諮らず決定した自衛隊機の湾岸派遣の暴挙であり、これは撤回すべきです。直ちに撤回することを求めます。難民輸送といいますが、いかなる理由をつけようとも、戦争地域への自衛隊の派遣は従来政府も認められないとしてきたものです。自衛隊機の派遣は、国際的にも軍事行動と見られることは明らかであり、これが憲法上許されないことは明白ではありませんか。小沢自民党幹事長に至っては、記者会見で負傷兵の輸送をするとまで言っているようでありますが、総理はこのような明白な憲法違反の戦争参加に同意をするのかどうか、また、ヨルダン政府が自衛隊機派遣を拒否した場合に、政府は一体どうするつもりなのか、明確な答弁を求めます。
 こういう重大な問題を、内閣法制局の疑義をも強引に押さえ込んで、一片の政令で強行しようというのは一体何事ですか。まさにこれは議会制民主主義破壊のクーデター的暴挙と言わざるを得ないわけであります。総理、なぜ国会に諮らないのか、それをしかとお伺いしたいのであります。
 次に、湾岸戦争への財政負担ともかかわりのあります軍事費問題であります。
 政府は、自衛隊増強の口実にしてまいりましたソ連の潜在的脅威が言えなくなった状況下でも依然として軍事費増大、自衛隊増強の道を進めており、次期防衛力整備計画は二十二兆七千五百億円、うち来年度防衛費は五・四七%アップの四兆三千八百七十億円となっております。これは時代の流れに逆行するとは思いませんか。しかも、在日米軍駐留経費は、日本人従業員の本給と基地で使用する光熱水費など、地位協定にもない新たな負担をすることになります。米兵一人につき八百万円の負担になっておりますが、安保条約、地位協定の取り決めさえも無視するつもりですか。また、世界じゅうにこんなに高額の分担をしている国がほかに一体あるのですか。明確な答弁を求めます。
 軍事費の増大に加え、湾岸戦争の戦費負担は、必然的に国民生活を大きく圧迫しております。軍事費を削って福祉、教育に回せ、湾岸戦争のための一兆二千億を国民生活に回せという声は当然ではありませんか。総理、今求められているのは、国の政治を軍拡から軍縮の方向へ抜本的に転換し、国民生活を向上させることではありませんか。
 そこで、まずお伺いをいたしたいのは、老人医療問題であります。
 政府は、軍事費を増大させる一方、老人医療費に対する国の負担は一貫して削減し、お年寄り本人と国民の負担を大幅に増加させてきました。その上、七十歳以上のお年寄りに世界で類例のない別建ての制限医療の制度化をしたのであります。今回さらに、外来八百円を千円に、入院負担を一日四百円を八百円にするなど、本人の一部負担の引き上げと医療費増額に伴うスライド制の導入が計画されています。わずか五万や六万足らずの年金で入院費二万四千円の自己負担を取られるという、お年寄りには本当に余りにも冷たい仕打ちと言わなければならないではありませんか。湾岸支援のうちの十億ドル、千二百億円を振り向けたら、今回の老人本人負担の引き上げはやらなくても済むのです。
 非人道的な差別医療をやめ、老人医療費増加分への対応のために国の負担を医療費の五割に引き上げ、老人医療費をもとの無料に戻すべきであると考えますが、総理の見解を求めます。
 また、国保料の負担も国民にとっては耐えがたいものになっております。政府は、これまた国庫補助を減らし続けて、国保料はこの十年間に二倍に引き上げられてきたのであります。その結果、保険料が支払えないために健康保険証が交付されない世帯は、政府の答弁でさえも三万一千にも及び、まさに国民には、金の切れ目が命の切れ目というひどいことになろうとしているではありませんか。住民負担の軽減のために、国の補助率を四五%に戻すとともに、黒字の自治体に対しては保険料の引き下げを指導するのが当然だと思いますが、この点もあわせて答弁を願います。
 教育もまたゆとりのないものになっていて、詰め込みと管理の教育は子供の全面的発達をゆがめています。欧米では二十五人前後の学級編制が普通であり、日本は欧米に比べて四十年近くもおくれているのが現状であります。落ちこぼれや勉強嫌いを解決するためにも、三十五人以下の学級を早急に実現し、教師がゆとりを持って教育できるよう条件整備を急ぐべきであると思いますが、総理の認識をお伺いいたします。
 勤労者の家計にとって教育費は過大な負担になっています。これを解決するため、私学に対する助成もふやすことです。私学経常費の五〇%国庫補助という国会決議があるにもかかわらず、私学経常費に対する国庫補助率は、八〇年の二九・五%をピークに毎年低下し、八九年には一五%に落ち込みました。総理は国会決議の目標を一体どう達成するおつもりであるのか、明確な答弁を求めます。
 私はここで、働く女性をめぐる問題についてお伺いをいたします。
 今、出生率の低下が社会問題化していますが、その背景の一つに働く女性のための施策のおくれがあるのであります。働く女性が強く求めております育児休業の制度化は、全産業に働く労働者を対象にし、所得保障、現職復帰、代替要員の配置を義務づけ、利用しやすい制度を一刻も早くつくるべきですが、あわせて介護休暇の制度化もぜひ約束をしてもらいたいのであります。
 看護婦不足も深刻な問題になっています。少ない配置基準のもとでの重労働、低賃金、それが招く病気や退職が看護婦不足に一層拍車をかけています。そのため、全国的に病床の閉鎖などが起こり、国民医療に重大な不安が広がっています。看護婦不足の根本的な原因は、政府が計画的養成と労働条件の改善を怠ってきたところにあります。この際、思い切った対策の強化を求めるものです。
 また、子供たちの健やかな成長を保障するため多くの期待が寄せられている子供の権利条約は、国内法の整備を急ぎ、早期批准を行うことを求めます。
 また、児童手当をせめて小学校入学までは支給すべきであると考えますが、見解をお伺いします。
 次に私は、消費税の廃止を強く要求します。同時に、異常な地価高騰の一方的被害者である庶民に対して、固定資産税、都市計画税の引き上げも許せません。来年度の評価がえを中止し、次回以降の一層の引き上げ計画を撤回することを求めます。また、緑と防災、新鮮野菜の供給に寄与している都市農民の営農意思を無視した宅地並み課税は、中止するべきです。これらについて、総理の見解を求めます。
 水俣病問題の早期全面解決は、人道上の緊急課題であります。だからこそ、一高裁、四地裁は、生きているうちに救済してほしいという願いに切実なものがあることを認めて、和解の勧告を行ってきたのであります。これが国民世論の求めるところなのであります。加害企業であるチッソや熊本県は和解に応じているのに、なぜ国がかたくなに和解のテーブルにさえ着かないのか。このような冷酷、非人道的な態度は断じて許されないのであります。直ちに和解のテーブルに着くよう、総理の決断を要求いたします。
 大気汚染公害は、窒素酸化物、特に自動車排気ガスによる幹線道路沿道住民の健康被害は全国的に拡大して、一刻も猶予できない緊急課題となっています。今こそ、骨抜きにされた環境基準をもとに戻し、公害指定物質に窒素酸化物などを加え、公害健康被害補償法の指定地域を、従来のものに道路影響などを加えて拡大することが急務になっています。また、汚染の元凶である大型ディーゼル車を初め、自動車の排気ガス規制を、直ちに実効ある強化を図るべきであります。総理の見解を求めます。
 戦後四十六年、被爆者は高齢化し、一日も早い被爆者援護法の制定を切望しています。莫大な湾岸戦争支援を国民の反対を押し切って出そうとしながら、なぜ水俣病患者の救済や被爆者援護法制定に踏み切れないのですか、総理の決断を求めたいと思います。
 最後に、我が党は、世界に誇るべき日本国憲法の平和的原則に基づいて、湾岸戦争の一日も早い解決のために力を尽くすとともに、国民の生活向上を目指す諸課題実現のために奮闘することの決意を表明いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(海部俊樹君) 沓脱議員にお答えを申し上げます。
 湾岸の事態に関して、公正な平和を実現するためにあらゆる努力を尽くすべきである、私はそのとおりに考えますが、しかし、国連を中心とした累次の決議や、五カ月以上にわたり我が国を初めあらゆる国が努力をし、アメリカ、イラクの直接対話や国連事務総長の最後の提案などをことごとく無視したその力の侵略というものは、私はこれ以上許しておいては、新しい世界の平和秩序というものは力の侵略は許さないという大原則を皆で守るようなものでなければならない、こう考えておりますので、その原因をつくっておるイラクに対して一刻も早く反省と決断をすることを引き続き呼びかけてまいりたいと考えております。また、唯一の早期決着の道がそれでありますから、私はそれらの問題についてはイラクの撤兵をさらに重ねて強く求めるものであります。
 また、憲法が禁止をしておりますのは実力の行使であります。武力による威嚇または武力の行使を現状でとらえて考えれば、追加支援というものは湾岸平和基金への費用を拠出することであり、実力の行使に係る概念ではありませんので、平和解決のための関係諸国の当面の経費を追加支援することは、私は憲法違反には当たらないと考えております。また、米国は種々の数字を取りざたしておりますけれども、見積もりや負担割合について説明を受けたことはありませんし、あくまで我が国として相ふさわしいと総合的に判断をした経費を決めた次第でございます。
 また、勝手に約束した金を国民が共同で負担する責任はというようなお話ですが、今日、日本の国は日本の国民が支持する民主国家でありますし、また日本が享受しておる国際社会の秩序の中の平和は、国民のすべての方が享受しておられるのでありますから、日本の平和主義、国際協調主義に従って、国民の皆さんにも御理解と御協力をお願い申し上げた次第でございます。
 また、今回の避難民の輸送というのは、あくまでも避難民の輸送であって、武力を伴う威嚇や武力の行使と人道的な避難民の輸送はきちっと分けて考えられる問題であると私は理解いたします。そして、避難民対象の輸送ということで決めたわけでもあり、また要請を受けたときに関係諸国の協力を得ながら行うものであるということを改めて申し上げさせていただきます。そしてその根拠は、現行の自衛隊法第百条の五の中に「国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者」との規定がありますので、政令で避難民ということをきちっと限定して定めたわけでございますから、御理解をいただきたいと思うのであります。そのとおりに書いてございます。
 また、軍事費の問題は、新中期防は大綱に定める防衛力水準の維持に配意して、効率的で節度ある防衛力の整備に努めることとしたものでありまして、平和時において我が国の安全を確保するための必要最小限度の経費を計上したものでありまして、時代に逆行するとの御批判は当たらないと考えます。
 また、日米安保条約は、引き続き日米関係の基礎をなすきずなであり、我が国自身の平和と安定のためにも、またアジア・太平洋地域の発展のためにも不可欠な枠組みとして機能しております。私は、この効果的な運用を確保していくことは大切と考え、在日米軍の駐留支援のための新たな措置を講ずることとし、必要な特別協定を今国会に提出して御審議をお願いする考えでおります。
 老人保健のことをお取り上げになりましたが、高齢社会においてお年寄りにふさわしい保健医療を提供するとともに、その費用を国民が公平に負担するための制度である。この制度では、お年寄りにも一部負担をお願いしておりますが、これはお年寄りと若者の負担のバランスを図るなどの見地から必要なことと考えて、制度の長期安定化を目指していきたいと考えております。
 また、学級編制のことについては、お約束してあった四十人学級を初めとする第五次改善計画の推進に努めてきましたが、平成三年度予算において計画どおり達成される予定であります。なお、三十五人学級の問題については、引き続き研究、検討を続けてまいりたいと考えます。
 私学助成につきましては、ここ数年間効率的な配分に配意しつつ、その確保に努めてきたところでありますが、今後とも私学の役割の重要性を考え、適切に対処してまいる考えであります。
 子供の権利条約につきましては、批准できるように現在政府部内での検討作業を急いでおるところであり、最大の努力を重ねてまいります。
 児童手当は、子供が健やかに生まれ育つための環境づくりのため必要があると考え、世代間の助け合い及び児童養育家庭に対する育児支援の強化という観点から、制度改正を行うことといたしております。
 消費税は、両院合同協議会において引き続き協議が行われているものでありますが、消費税の必要性を踏まえ全体的長期的な利益といった観点から具体的な合意が得られることを期待しており、政府としては、各党間の合意をいただいて、誠実、迅速に対処していく考えでございます。
 また、固定資産税については、負担の公平が図られること、したがって評価替えを行わないことはかえって不公平を生じ適当ではないと思料いたします。宅地並み課税のあり方については、都市計画の中で対象農地を保全する農地と宅地化する農地とに明確に区分して、その上で措置をしていく考えでございます。
 水俣病の問題につきましては、早期解決に努力すべきものと認識いたしており、これまで二千九百名の患者の方々を認定し、公正な救済を推進してまいりました。また、関係閣僚会議を設けて、各種対策も実施いたしております。訴訟に関しましては、当事者間の主張が余りにも隔たっておりますので、法に基づく国の行政のあり方の根幹にもかかわる問題であり、現時点で直ちに和解勧告に応ずることは困難であると考えております。
 また、被爆者援護法の制定は、政府としては原爆二法を中心とする施策の充実により対処していく考えであり、来年度においては諸手当の大幅な改善を行うとともに、新たに原爆死没者の慰霊等のための諸事業を実施することにしておる次第であります。
 残余の質問は関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(中山太郎君) 沓脱議員にお答えをいたします。
 まず第一に、米軍による核施設の破壊、フセイン政府の打倒、中東の安全保障体制の構築等は、一体国連決議のどこに含まれているかというお尋ねでございました。
 国連安保理決議六百七十八は、クウェート政府に協力している加盟国が累次の安保理決議を堅持し、実施し、湾岸地域における国際の平和及び安全を回復するため、武力の行使を含むあらゆる必要な手段をとる権限を与えたものでございます。米、欧、アラブ諸国を含む国連加盟国によるイラクに対する武力行使は、まさにかかる安保理決議六百七十八に基づき、同決議の定めるところに従って行われているものと理解をいたしております。なお、米国及び英国は、イラクに対する武力行使は、累次の安保理決議に基づきクウェートの解放を目的として行っており、イラクの破壊、占領もしくは分割のために行っているものではない旨を安保理に通報していると承知をいたしております。
 次に、追加支援に関する戦費分担の問題でございます。
 イラクによるクウェートの侵略と併合という暴挙は、我が国がその生存のために必要とする公正で安定した国際秩序を危うくするものであり、断じて許すことはできません。今般の米国を中心とする関係諸国による武力の行使は、武力により国際紛争を解決せんとするものではなく、国連安保理決議六百七十八に基づき、侵略を排除し平和を回復するためのやむを得ざる最後の手段として行われたものであり、我が国は確固たる支持を表明いたしました。
 安保理決議六百七十八は、すべての国家が同決議を履行するためにとられる行動に対し、適切な支援を与えることを要請しております。湾岸地域には、現在、パキスタンやバングラデシュといった途上国を含む二十カ国を超える国が兵力を派遣しており、また韓国、フィリピン、ポーランド等の諸国も医療団を派遣しております。かかる事態のもとで、現在の安定した国際秩序のもとで大きな経済的繁栄を享受し、しかも中東地域に原油の七割以上を依存する我が国といたしましては、国際社会におけるその地位にふさわしい支援を至急行う必要がございます。
 以上のような考え方に基づきまして、また、湾岸の平和回復活動を行っている関係諸国がさらに大きな負担を余儀なくされている湾岸情勢の現状を踏まえ、我が国としてできる限りの措置として今般九十億ドルの追加支援策を決定いたしました。これは湾岸平和基金に拠出され、同基金より関係諸国の平和回復活動に対し資金協力を行うことを予定しております。具体的な使途につきましては、今後、湾岸アラブ諸国協力理事会及び関係諸国とも協議の上、最終的には湾岸平和基金の運営委員会で決定されることと相なっております。
 なお、御指摘の戦費という概念は必ずしも明確ではございませんが、九十億ドルはあくまでも関係諸国が安保理決議六百七十八に基づいて行っている平和回復活動を支援するための所要経費の一部でございます。
 次に、在日米軍駐留経費についてお尋ねでございました。
 最近の国際情勢の変化の中にあって、日米安保条約は、引き続き日米関係の基礎をなす強固なきずなであり、我が国がみずからの平和と安全を確保し、広くアジア・太平洋地域の発展を図っていくための不可欠な枠組みとして機能いたしております。このような意義と重要性を有する日米安保体制の効果的な運用を確保していくことは極めて重要であり、そのためには在日米軍の円滑な駐留を確保することが不可欠であります。
 このような観点から、新中期防衛力整備計画の中で在日米軍の駐留支援のための新たな措置を講ずることとし、これに必要な特別協定を今国会に提出して、御審議をお願いすることといたしております。今般の措置は、日米地位協定第二十四条に定める経費負担の原則そのものを変更するものではなく、同原則に対する特則として特別協定を締結することによって、一定の新たな経費を日本側が負担できるようにするものであり、安保条約、地位協定を無視しているとの御指摘は当たりません。
 なお、米国の同盟各国が駐留米軍に対して行っているいわゆる接受国支援は、それぞれの国の国情や駐留米軍との共同対処の態様等により異なった状況のもとに置かれており、単純に駐留米軍の経費の負担額を比較することは差し控えたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣下条進一郎君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(下条進一郎君) 沓脱議員にお答え申し上げます。
 御質問は二点でございます。
 第一点は、国民健康保険の国の補助率を四五%に戻すとともに、黒字自治体に対し保険料の引き下げを指導すべきではないか、こういう御趣旨でございます。
 国民健康保険制度については、給付費の五〇%という高額の国庫補助を行っているほか、昭和六十一年の老人保健制度の改正や、保険基盤安定制度の確立、国庫補助の増額等を内容とする昨年六月の国民健康保険法の改正等、一連の制度改正を実施し、財政の安定化を図ってきたところであり、国庫補助率を医療費の四五%に戻すことは考えておりません。また、国保の保険料については、医療費の増加傾向が続く中で中長期的な観点に立った財政運営が不可欠であることから、黒字であるということをもって直ちに保険料を引き下げるよう市町村を指導する考えはございません。
 第二点は、看護婦の増員対策でございます。
 国民に適切な医療を提供していくためには、資質の高い看護職員を十分確保していくことが重要であります。看護職員確保対策については、現在看護職員の不足が大きな問題となっていることを踏まえ、平成三年度予算案において、養成施設への助成の強化、離職の防止、潜在看護職員の再就業の促進、看護に対する理解を深めるための「看護の日」の制定等を柱に、一般会計ベースで約三八%の大幅増を図ったところであります。今後とも、長期的視点に立って看護職員の確保対策に努力してまいります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣小里貞利君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(小里貞利君) 沓脱議員にお答え申し上げます。
 お尋ねは二点であったと思うのでございますが、まず第一点は、家庭におきまして子供を育てながら、あわせて社会に進出をいたしまして職場人としていわゆる職業生活を行っておられる方々の両面の円滑なる調和を図りながら、そして本来の経験あるいは能力を十分に発揮しながら、そのような一つの目的が達成できるための環境整備を行うべきではないかというお話であると思います。
 この問題につきましては、私ども、この参議院におきまして、かなりの期間をかけまして関係委員会等で鋭意検討を進めておいでになりました経過も十分承知いたしております。なおまた、野党四党におきましていわゆる育児休業法案の共同提案もなされまして、目下継続審議中とも承っております。私ども労働省といたしましては、婦人少年問題審議会にこの問題のいわゆる制度の確立に向けての法的整備のあり方についてただいま検討をいただいておるところでございまして、近々これらの建議を私どもは期待を申し上げておるところでございます。
 なおまた、沓脱議員は、中身におきまして、いわゆる休業中の所得保障の問題あるいは現職復帰の問題、あるいは代替要員を義務づけるべきではないかのごとく示唆をなさったのでございますが、それらの具体的項目につきましては、先ほど御説明申し上げましたような段階でございまして、今日明快に責任を持ってお答えする状況に至っておりませんけれども、十分それらのことにつきましても注目しながら進めてまいるつもりでございます。
 第二点は、介護休業制度の問題についてお尋ねでございます。
 今日、申し上げるまでもなく、人口の高齢化あるいはまた核家族化が進んでまいっております。殊に、婦人労働の社会進出の増加等によりまして、老人介護、いわゆる親しい家族の老人の皆様方に対する介護責任が非常に増加いたしてまいっておりますことも承知いたしておりまして、これらの制度強化についても十分検討を進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣愛知和男君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(愛知和男君) 沓脱議員から御質問のございました窒素酸化物対策、公害健康被害補償制度の問題についてお答えをいたします。
 現行の二酸化窒素の環境基準は、昭和五十三年に、その時点までの最新の科学的知見を検討、評価した中央公害対策審議会の答申に基づき改定されたものであり、国民の健康を保護する上で適切なものと考えております。その後の調査研究においても基準を改定すべきとする知見は得られておらず、現行の基準を改定する必要はないと考えております。
 また、御指摘の公害健康被害補償制度の地域指定につきましては、現在の大気汚染の状況は、個人に対して民事責任を踏まえた補償を制度的に行う合理性が失われているとの判断から、指定地域の解除が行われた昭和六十三年当時の状況と基本的には変わりがございませんので、指定地域の再指定や拡大の検討を行う必要があるとは考えておりません。
 もとより、環境庁としましては、大都市地域における窒素酸化物汚染の現状は、道路沿道を中心に非常に厳しいと認識しておりまして、御指摘の自動車排出ガス規制について、平成元年十二月の中央公害対策審議会答申に沿って、ディーゼル車を中心とした大幅な規制強化をできるだけ早期に実施するなど、各般の施策の推進を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。(拍手)
#17
○議長(土屋義彦君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開議
#18
○議長(土屋義彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。星川保松君。
   〔星川保松君登壇、拍手〕
#19
○星川保松君 私は、連合参議院を代表して、質問をいたします。
 湾岸戦争は、当初の予測に反し、日増しに戦火が拡大し、長期化、泥沼化し、その深刻な影響は世界に広がりつつあります。こうした事態に、我が国は冷静に情勢を判断し、的確に対応していかなければなりません。戦争になりそうなときは戦争の防止に全力を尽くし、不幸にして戦争が始まったときは一日も早く停戦と和平が実現するよう努力する、これが戦争に対する基本的な態度でなければなりません。
 しかるに総理は、戦争が開始され日ごとに激化している現在も、イラクのクウェート侵略を非難するのみであります。それを幾ら繰り返しても戦争はやみません。国民が期待するものは、不幸にして始まってしまったこの戦争をやめさせるための総理の不断の努力とその具体的方策であります。残念ながら総理の施政方針の中にその言葉は一つもありません。今、停戦や和平の提案一つせず、無条件で戦費負担に応ずることは、結果として戦火の拡大や長期化に手をかすことになります。
 我が国は、歴史的に中東で手を汚しておらず、公正な立場に立つことができ、経済大国として大きな力を持っています。この有利な立場と力を停戦や和平のために生かせないはずがないのであります。地上戦に入る前に、多国籍軍の攻撃を中止し、開戦前と同じく経済封鎖の効果を待ちながらイラクのクウェート撤退を求めるよう、米国に提案してはどうですか。政府は金だけでなく人も出すと言いますが、人よりも停戦案や和平案を出す方が平和国家日本としてはより重要であり、賢明な行為であると考えます。
 日本国憲法は、戦争を放棄し、国際紛争を解決する手段として武力の行使をしないことを国是としています。この国是をいささかでも傷つけるようなことは、断じて避けなければなりません。自衛隊は軍隊であります。これを湾岸戦争の地域に派遣すれば、政府がいかに弁解しようとも、国際社会では日本が湾岸戦争に軍隊を派遣したと見られるのは必定であります。これは、国内的には憲法のなし崩しと批判されるのみならず、多国籍軍に参加していない国として、停戦や和平提案を行うのに有利な立場をみずから放棄するものであり、得るところ少なく失うものすこぶる多い行為にほかなりません。
 憲法第九条を盾に兵力を出さないのは一国平和主義だと言う人もありますが、一国一国の平和主義が広がって世界の平和が達成されるものであり、日本国憲法第九条は国連憲章の精神とも合致し、国際性を備えたすぐれた平和条項であると考えますが、総理はどのように理解されますか。
 さらに、全世界の平和を維持する国際機関として国連があり、我が国もその加盟国の一員でありますから、国際平和維持の活動は国連中心が大切な基本であります。しかるに、最近の日本政府の動きは、国連中心の路線からも逸脱して、専ら米国中心の行動になっております。日米関係はもちろん重要ではありますが、グローバルパートナーシップと称しながら、全く米国言いなりの追随の外交を続けている姿勢に多くの国民が不安を覚えています。お互い節度を持って言うべきことは言い、対等に協力し合ってこそ、よきパートナーでありましょう。米国が冷静さを失っているときは率直に忠告し、聞き入れなければ協力を断るぐらいの勇気を持って接しなければ、真のパートナーとは言えません。
 米国は、双子の赤字も景気後退をも顧みず、他国に戦費負担を求めながら戦争を続けており、米国経済は果たしてどこまで落ち込むかと危惧されております。米国に冷静さを取り戻すよう求め、戦争をやめ和平の道を探るよう、平和国家としての主体性ある提案をすべきだと考えますが、総理の答弁を求めます。
 政府は、米国を中心とする関係諸国に九十億ドルの支援を行うことにしました。この積算の根拠と使用目的を国民にわかりやすく、もっと詳しく具体的に説明していただきたい。この資金が多国籍軍の戦費となって、人を傷つけ殺し、あらゆるものを破壊する戦争に使われるとすれば、第二次大戦の戦災から立ち上がり、ひたすら平和を願いながら汗を流してきた日本国民にとって、到底容認できるものではありません。湾岸に対する財政支援については、国民の生活に大きな支障を来さない範囲のもので、あくまでも難民や被災者救済のための人道的活動及び平和維持活動の資金援助として行われるべきであります。
 今回の九十億ドルのみならず、政府は重要なことを国民と相談せず、すべて米国と決めている、これは国会を軽視し民主政治をないがしろにするものだという強い批判の声が高まっておりますが、総理はこの声にどうお答えになりますか。
 また、難民輸送のために湾岸へ自衛隊輸送機を派遣するとのことでありますが、派遣するに当たり、国会開会中にもかかわらず自衛隊法の改正案を提出せず、政令をつくって実行するというこそくな手段をとりました。これは国会無視であり、法治国家にあるまじき行為として総理の責任が厳しく問われなければなりません。
 自衛隊の海外出動については、昭和二十九年の参議院における「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」があります。「本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照し、海外出動はこれを行わないことを、茲に更めて確認する。」という決議文に、詳細にわたる趣旨説明が付されております。
 さきの国会において、総理は、この参議院の決議について、有権的な解釈は参議院でお決めになることであろうと思うがと前置きして、総理の解釈を述べられました。総理のこの発言が発端となり、参議院議長は予算委員会から有権解釈を求められるということがありました。行政府の責任者が立法府の決議を都合のいいように解釈し、今まで解釈の必要すら感じなかった立法府に逆に問題を持ち込むというようなことは、三権分立の建前からいって、まことに不謹慎ではないかと思います。国権の最高機関たる国会が自衛隊は海外に出さないと決めたならば、素直にそれに従うのが行政執行者の責任であり義務ではありませんか。戦争の放棄を全世界に宣言した国家の執行責任者としての確たる答弁を求めるものであります。
 次期防衛計画について、総理並びに防衛庁長官に質問いたします。
 まず、防衛大綱策定当時の世界の冷戦構造が崩壊し、国際情勢が大きく変化したにもかかわらず、防衛大綱の見直しをせず、防衛計画の基本的考え方という単なる政府見解によって次期防を決定した理由は一体何かということ。
 次に、世界は今新たな国際秩序への過渡期にあり、国際情勢が激しく変化し、中長期の見通しのきかない時期であります。防衛の将来構想は時間をかけて見直すべきだという意見も多かったのに、なぜ急いだのかという点。
 三年後には必要に応じ計画の修正を行うとありますが、これは将来の見通しが立たないためこうした修正予告つきの計画になったのかどうか。
 さらに、組織、編成、装備、あるいは定数を含む防衛力のあり方も計画期間中に検討するというのでありますが、これは重要事項先送りで、兵器だけは今のうちに買っておこうというだけの計画ではありませんか。米国の強い要請によってAWACS、イージス艦などを購入するといった新兵器購入の前に、そのようなものが今果たして我が国の防衛に必要かどうかの検討こそ先行すべきであると考えますが、政府の責任ある答弁を求めます。
 次に、国土の均衡ある発展について質問をいたします。
 総理は、多極分散型の均衡ある国土の発展と申されますが、これは四全総以来の課題でもあります。昨年の国勢調査の速報値によると、我が国の総人口は前回の調査に比べ二・一%増加しましたが、十八道県では逆に減少しております。また、首都圏への一極集中の流れは依然として続いております。人口減少の道県は、北は新潟県以北、一道五県、南は和歌山県以南、四国、九州合わせて十二県となっています。つまり、日本列島の北と南の人口が減少し中央部の人口が増加しておりますが、こうした現実を国土庁長官はどう受けとめておられますか。
 人は住みにくいところから住みやすいところに移動いたします。したがって、人口減少の地域分布は住みにくさの地域分布でもあります。地域発展の不均衡が人口の移動を促し、人口の移動はさらに不均衡を拡大するという悪循環を繰り返しているのであります。人口減少の最も激しいのは農村、特に山村であります。若い人々が出ていって年寄りばかりになった村は活力を失い、田畑は耕す人もなく、地価は次第に下がっています。こうした過疎の村に大金を抱えて訪れてくるのは、廃棄物処理の土地探しの人だけであります。山紫水明の山手の村は、次から次にごみ捨て場になっております。お金と人は中央に集中し、ごみが地方に分散され、国栄えて山河はごみ捨て場という状況であります。
 山村の人々は、山の多い我が国の国土を守ってきました。守る手を失った山は荒れ始めています。例えば、杉の林は手入れがよければ三十年ぐらいは花をつけませんが、放置されますと五、六年でやたらと花をつけ花粉を振りまくと言われております。
 こうした国土発展の不均衡是正のために、国の行政のすべての分野において優先的な配慮を行うよう、総理から各省庁に指示するつもりはないか、お尋ねをいたします。
 最後に、政治改革について質問をいたします。
 今日までの総理の発言をまとめてみれば、政治が腐敗するのは選挙に金がかかるからで、選挙に金がかかるのは現行の中選挙区制に原因がある、したがって小選挙区制にすれば金もかからず政治も浄化されるというもののようであります。
 私は、政治腐敗の最大の原因が選挙制度にあるとするのは、政治家や政党の政治倫理責任を制度に転嫁するものであって、本末転倒ではないかと考えております。大中小の選挙区あるいは比例代表、それぞれ制度には一長一短がありましょう。しかし、選挙区の大小そのものには何の罪もありません。政治に腐敗をもたらしたのは制度を利用する人の側にあります。古今東西を問わず、人の倫理を狂わす最大のものは金でありますから、政治家や政党の金の出入りを規制すること、これが先決であると思いますが、いかがでしょうか。
 去る二十二日の新聞に、自民党と経団連がことしの経団連経由で国民政治協会に納める政治献金について話し合い、自民党側は百六十億円の献金を要請し、経団連側は全力を挙げてこれを実現すると回答したと報道されています。
 また、国税当局が、昨年六月までの一年間、資本金一億円以上の大企業の一六%を調査しただけで、使途不明金が五百六十三億円あり、そのうち使途の解明されたのはわずか二一%であるが、やみ政治献金が十六億円あったと公表しています。企業全体では巨額のやみ献金が推定されます。
 こうした表と裏の企業からの膨大な政治資金の流れをそのままに放置して、政治倫理の確立や政治の浄化を小選挙区制に求めるというのは見当違いではないかと考えますが、政治浄化を訴え続けてきた三木元総理の後継者を自負される総理の明確な見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(海部後樹君) 星川議員にお答えを申し上げます。
 停戦案とか和平提案を出すべしというお話でありますが、もう御承知のとおりに、今日まで五カ月半にわたって、ブッシュ大統領やミッテラン大統領も国連の事務総長も、また私どもも、直接何回も何回も和平の提案もいたしましたし、平和回復をするためには原則に従った公正な解決が必要であるという立場で、このことは今の国際の平和の秩序を乱した、力で侵略を行ったイラクがみずから兵を引くという行動によって初めて和平が実現するんだということは、たび重なる国連決議で明らかなことでありますから、私は、一日も早い平和回復のために、引き続きイラクに対してクウェートからの撤退を呼びかけるとともに、平和が一日も早く回復されることを強く願っておるものでございます。
 また、憲法第九条と国連憲章第二条の平和主義の理念についてお述べになりましたが、その点は私も全く同感であります。日本国憲法は平和を強く求めておる。国連憲章もまた、お互い隣人同士、平和的に問題を解決していくべきであるという平和主義の理念を高く掲げておるわけであります。私は、日本国憲法が求めておるような信義と公正に基調を置いた平和が貫かれるように、すべての国が、自分の国のことだけを考えないで、他国を無視しないで、この平和の理念を守っていこうという憲法と国連憲章の理念を、身をもって実行してくれることを強く期待しておるものでございます。
 アメリカに対しても、もちろん今日までも平和的解決についての問題をいろいろと主張してまいりました。同時に、今大切なことは、その転換のかぎを握っておるのはイラクだということ、そして公正な平和の回復を皆が求めておるということでありますから、我が国としても外交ルートを通じて、アメリカはもちろんのこと、関係諸国とも協議連絡に努めながら、外交努力を通じて公正な平和回復が一日も早く訪れるように努力をしてまいる考えでおります。
 また、九十億ドルの根拠と使用目的ということでございますが、我が国は平和を前提として今日まで生きてまいりました。諸国民の公正と信義に信頼してすべての国民が平和の中で生きてまいりました。すべての国が力に頼らない公正な平和を求めていくためには、多くの人々の合意に従った国連決議に基づく平和が必要であります。我が国は憲法の制約があって武力でお役に立つということはできませんので、それ以外の方法でできる限りの協力をするべきであるという考え方に立って、国際の平和回復のために九十億ドルの追加支援を考えたわけであります。
 その積算の根拠というものは、あくまで我が国の置かれておる国際的な地位、国際的な立場ということを十二分に総合的に判断して自主的に決めた金額でございまして、政府がまず決めたのでありますから、それを今こうして国会に御説明をし、また党首会談でも各党の党首の皆さんにお話しを申し上げておるところでありますから、どうか御理解と御協力を賜りたいと思う次第でございます。
 また、自衛隊の輸送機によって避難民の輸送をするという問題について、その根拠はどこかと言われましたが、現行自衛隊法第百条の五の規定に基づきまして、「国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者」と、こうなっておりますので、その授権の範囲内で政令を内閣でつくり、安全保障会議の議を経て、具体的な要請が国連から、国際機関から来たときにはそれに対応できるようにあらかじめ政令を決めたということでありまして、法治国家として手続を無視しておるわけではないのでございます。御理解をいただきます。
 また、海外出動をなさざるということは、確かに昭和二十九年の参議院本会議の御決議もあり、その有権的解釈は参議院によって行われるものである、私もそのとおり考え、前国会でそう申しました。ただ、当時の参議院の本会議の御決議については、武力行使の目的をもって武装部隊が他国の領土、領空、領海へ行くことを海外派兵と呼び、いわゆるこの御決議の海外出動もそういったことを念頭に置いて決められたものではないかと私は考えたわけでありまして、国際機関の要請を受け、人道的な見地から避難民の輸送をするということもここに言う海外出動に当たるのか当たらないのか、人道的な問題まで許されないものであるかどうか、これはどうか参議院において有権的な御解釈を賜るべき問題であろうと行政府としては考えております。
 また、防衛大綱の見直しを行わずに防衛計画の基本を決めたのは何かとおっしゃいますが、これは情勢が変化しつつあることは閣議決定でも率直に認めておりますが、しかし、平和時における基本的な防衛力を整備しておいて我が国の平和と安全を確保するという責任も政府にはございます。みずからを守るためにはどのようなものが必要で、どのようなことが国際情勢や国内諸情勢などを踏まえて必要な、そして節度ある防衛力の整備かということを考えて、平成三年度以降の基本的な考え方を策定したわけでございます。
 また、国土発展の不均衡是正、これは、東京一極集中を是正して多極分散型国土の形成を図るということは、国土政策の上からいって極めて重要なものであると考えております。また、活力ある地域づくり推進本部の設置を検討して、みずからの創意と工夫を生かした地方の努力に政府も協力をしてまいりたいと考えております。
 政治改革につきましては、御指摘のように、金の問題が政治改革にとっては一番重要であるというお考え方に、私もそれはそうだと思います。ただ、政治家一人一人が政治倫理の確立をすることも極めて大切でありますし、なぜ必要以上にお金がかかるかという問題についても、よく考えてみなければならぬ問題だと思います。選挙が政策中心、政党本位によって争われておらないというこの一部面を見ますと、制度の改革もまた選挙とお金との関係については大切な問題でありますし、だからこそ選挙制度審議会は、そのような見地から、現行の中選挙区制のもとでは個人中心の選挙とならざるを得ないので、衆議院議員の選挙制度としては小選挙区の比例代表並立制をとることが適当であるという答申をしてくれたわけであります。自由民主党の政治改革大綱に従って、これとおおよそ同じ方向を見ることの決定もしてあります。
 同時に、政治資金については、これを節度あるものとして、公正と公開の確保が必要なことも当然でございます。政治資金の収支の公開の強化等を基本とした改革もまた答申の中には盛られておるところでありますし、一票の価値の問題についても、答申並びに政府の考え方は、一対二以内におさまるなればそれはどうしたらいいだろうかという点で、今成案を得るべく鋭意努力しておりますが、事は政治家、政党のよって立つ基本に関する問題でありますので、行政府も努力しておりますが、各党各会派においてもこれらの問題についてはどうぞ御議論をいただいて、そして適切な結論が出るように御理解と御協力を賜りますよう、お互いの問題として御理解をお願いしたいと思います。
 残余の質問については関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(中山太郎君) 星川議員にお答えを申し上げます。
 イラクが、御指摘の経済制裁を含む国際社会のあらゆる平和解決への努力を拒否して、クウェートの撤退に応じなかったということは御承知のとおりでございまして、今お尋ねの、地上戦に入る前に多国籍軍の攻撃を中止して、開戦前と同じく経済制裁の効果を待ちながらイラクのクウェート撤退を求めるよう米国に提案をしたらどうかということでございますが、八月二日の侵攻以来、国連の十数回に及ぶ決議を受けて各国が努力をした結果がこのようなことになったわけでございます。
 日本は、湾岸地域における戦闘行為が一日も早く終結して平和が回復されることを強く望んでおりますけれども、そのためには、イラクが速やかに安保理諸決議を受諾すればこのことが実現をするわけでございます。日本といたしましては、外交ルートを通じ、米国、ソ連を初め関係諸国との協議、連絡に努めておりますが、さらに情勢の推移を見きわめつつ外交努力を続けてまいりたいと考えております。
 次に、自衛隊は軍隊であり、これを湾岸紛争の地域に派遣すれば、政府がいかに弁解しようとも、国際社会では日本が湾岸戦争に軍隊を派遣したと見られるように、内外に影響は大きいのではないかというお尋ねでございます。
 国際社会は、イラクによるクウェート侵略に対しまして、国連の権威のもとに、たび重なる安保理決議の採択や多国籍軍の活動、国際的な経費の分担を通じ、先例のない協力関係を行っております。こうした中で、国際社会で重要な地位を占めるに至りました日本が積極的な貢献をすることは当然の責務でございます。このような観点から、我が国としては、資金、物資の面での協力のみならず、人的な支援を行っていくことがぜひとも必要かと考えられます。
 かかる観点から、特に、避難民の輸送という人道的かつ非軍事的な分野において、関係国際機関からの要請のあるもののうち、民間機が活用されないような状況において人道的見地から緊急の輸送を要する場合には、必要に応じて関係国際機関及び関係諸国からの必要な協力、支援を得て、自衛隊輸送機により輸送を行うことといたした次第であります。我が国が国際社会において人道的、非軍事的な面でこのような責任を率先して果たしていくことは、国際社会において名誉ある地位を占めたいという憲法の基本理念に合致するものであろうと考えております。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(橋本龍太郎君) 星川議員に総理の御答弁の一点のみ補足させていただきます。
 今般決定いたしました九十億ドルの追加支援の財源措置でありますが、これはいわゆる赤字国債によることなしに、国民の御理解と御協力を得て新たに臨時的な税制上の措置を講じさせていただきたい、これを基本といたしております。
 ただ、税収が入るまでの間はつなぎのための臨時的な国債を発行せざるを得ないと考えておりまして、具体的にどのような税制上の措置を講ずるか等の具体策につきましては、現在鋭意検討を行っているさなかであります。(拍手)
   〔国務大臣池田行彦君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(池田行彦君) 星川議員の御質問のうち、総理からの御答弁に補足いたしまして私からお答え申すべきは四点あろうかと存じます。
 そのまず第一番目は、国際情勢がこのように激しく変化している中で、中期防を策定する必要性はどこにあるのか、こういう点でございます。
 まず一般論といたしまして、防衛力の整備というものは、中期的な見通しに立って、継続的にまた計画的に進めることが合理的であるということでございます。このことは、例えば艦艇とか航空機の契約から取得までに通常三年ないし五年を要する、こういったことをお考えいただきましても御理解をちょうだいできるかと思います。
 それから第二に、文民統制の充実といった観点がございます。これは、現在の平成二年度までの中期防、これはかつては五九中業と申しまして、防衛庁内部の資料であったわけでございますけれども、文民統制の充実という観点から、昭和六十年九月に政府計画でございます中期防衛計画に格上げされた、こういった経緯があるわけでございます。
 それから第三に、国際情勢は、御指摘のとおり、現在激しい変化の過程にございます。将来の見通しがなかなか難しい、こういう時期であることは確かでございますが、そのような状況下でございましても、でき得る限り的確に国際情勢の変化をとらえまして、その上で防衛力の整備の方向を国民の皆様方に対しても明らかにしてまいり、御理解を得るということが大切であろうかと存じます。
 ただいま申しましたような観点に立ちまして、平成三年度以降の防衛力の整備につきましても中期計画を策定する必要があると考え、先ほど総理からも御答弁がございましたが、閣議決定をもって、国際情勢の変化への認識を明確にし、また、これと大綱の基本的考え方との関係も整理いたしました上で、新しい中期防を策定したところでございます。
 二番目の御質問は、計画の修正にかかわるものでございます。
 中期防の策定に当たりまして、政府といたしましては、「平成三年度以降の防衛計画の基本的考え方について」という閣議決定をいたしました。この決定は、政府として国際情勢の変化に関する認識を明確にいたしまして、またこれと大綱の基本的考え方との関係を整理したものでございます。新中期防は、この閣議決定に基づいて、大綱の基本的考え方のもとで効率的で節度のある防衛力を整備しようとするものでございます。したがいまして、計画の中で三年後に必要に応じ修正としておりますのは、決して将来の見通しが立たないからというわけではございませんで、現時点において国際情勢に対する明確な認識は有しつつも、なお三年後の時点におきまして、今後の内外情勢の変化により的確に対応し弾力的に対処していけるようにとの配慮に出るものでございます。
 三つ目の御質問は、防衛力のあり方等に関する検討、これも中期計画の中にあるわけでございますが、この御質問でございます。
 新中期防では、「自衛官定数を含む防衛力の在り方について検討を行い、本計画期間中に結論を得るもの」、こうしております。これは、将来、特に新中期防の終了後におきまして自衛隊隊員数の確保に非常に制約が加わってくる、こういう事情がございますので、そのような事情に的確に対応するために、あらかじめ新中期防期間中から検討を行おうとするものでございます。
 具体的に申しますと、自衛隊の応募に適格な年齢、現在、士でございますと十八歳から二十六歳としておりますが、人口推計によりますと、これが平成十年ごろから急激に落ちていく、こういうふうに見込まれております。そういった状況に今から備えまして十分な検討を加えておく、いわば新中期防の先の次々期防ぐらいの中ごろの状態に対する対応を今からしておこうという話でございます。
 このような性格の検討でございますので、検討の結果は直ちに措置するという性格のものではございません。したがいまして、平成三年から平成七年を対象といたします今回の新中期防に定められました事業と、この検討とが直接の関係を有するものではないわけでございます。また、この新中期防におきまして取得いたします装備は、いずれも将来にわたって必要なものでございます。したがいまして、重要事項を先送りしたり、装備だけを買っておくといったものではないという点は御理解をちょうだいしたいと思います。
 それから最後に、AWACSとかイージス艦などにつきましての御質問でございますが、新中期防で計画いたしております装備につきましては、まさに専守防衛を旨といたします我が国の防衛にとって適切かつ必要なものである、そういった観点から十分なる検討の上に立ちまして自主的に判断したものでございまして、米国の要請があったからという御指摘は当たらないものと考えます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣西田司君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(西田司君) 星川議員から、国勢調査を踏まえて、多極分散型の国土形成にかかわる御質問にお答えをいたします。
 昨年行われました国勢調査の速報値において、五年前の調査と比較した都道府県別の人口増減の動向について、十八道県については人只減少を示しておることはまさに御指摘のとおりであります。これは、全国的に出生率が低下していることに加え、地方において人口の流出が続いているということによるものであると考えております。他方、ここ二、三年の動きを見ると、内需主導の景気の拡大が全国的に行き渡り、地方での就業機会の増加等が見られておるところであります。
 国土庁といたしましては、このような状況を踏まえ、関係省庁との密接な連携のもとに、地域づくりへの支援、国土基盤の整備等の全般にわたって施策を講じていこうとしておるところでございます。そして、四全総の基本目標である多極分散型国土の形成に引き続いて努力を払っていく考えであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○議長(土屋義彦君) 小西博行君。
   〔小西博行君登壇、拍手〕
#26
○小西博行君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表いたしまして、さきの海部総理並びに関係大臣の所信演説に対し質問を行うものであります。
 世界の国民が平和解決を望み、国連を中心とする諸外国の懸命な外交努力が積み重ねられましたが、フセイン大統領は、これらの努力をことごとく踏みにじり、今日の戦闘になった責任はすべてイラク側にあると断ぜざるを得ません。今回の多国籍軍の戦闘は、国際的な平和維持の唯一の機構である国連の権威を守り、世界平和を回復するための戦いであると言えましょう。
 我が国は、憲法前文にあるように、国際社会において名誉ある地位を占めるためにも、憲法の精神を踏まえ、世界平和実現のため積極的な貢献を果たさなければなりません。したがって、今回の資金協力についても、また人的支援に対しても、最大限の協力を行うことが国際社会の中で世界から信頼をかち得る道であると信じます。
 私は、以上の基本方針に立ち、具体的に総理に質問を行います。
 まず、資金協力の面についてでありますが、現在クウェート支援のために戦っている諸外国に対して九十億ドルの追加支援を行うことは、現在の日本の立場からして、やむを得ない措置であると思います。しかし、その資金協力は、あくまで平和主義の憲法の精神を踏まえたものでなければなりません。国民の心配は九十億ドルの追加支援がどのような根拠によって決定されたかでありますし、また、この種の援助を何の歯どめもなくアメリカの要求のたびに今後も無条件で受け入れなければならないのか等につきまして、政府は明確に答える義務があると思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、財政措置でありますが、私も安易な増税や赤字国債の発行は避けるべきであると思います。まず政府みずからが行政経費の節減などを図るなど、最大限の努力を尽くすべきであります。有識者の中には、行政経費を一%節減すれば七千億円の財源が生み出されるなどの発言がありますが、行政経費の削減を行う意思があるのかないのか、総理の明快なる答弁を求めます。
 政府の身を切るようなあらゆる努力を積み重ねてもなお新たな財源が必要となる場合には、国民がひとしく負担すべきでありまして、国民の合意の形成に努めるべきであります。その際、与野党協議や各界の責任ある立場の方々への要請を行うべきと思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 第二に、避難民の救済や医療チームの派遣等の人的支援措置は、国際社会への我が国の積極的な貢献策でありまして、人道的見地からも積極的に行うべきであります。政府は、人道的見地からの緊急措置として、自衛隊機の派遣を決定しました。その法的根拠として、自衛隊法第百条の五にかかわる政令を改めることで対処しようとしておりますが、かえって誤解を招くことにはなりませんか。この際、一歩踏み込んで、自衛隊法の改正によって自衛隊機の海外出動に対するシビリアンコントロールを確立することが筋であると確信するものでありますが、総理の見解をお尋ねいたします。
 次に、中山外務大臣がソ連を訪れ、ゴルバチョフ大統領と会談が持たれ、その際、大統領の訪日について話し合われたと聞いております。対ソ関係の改善は、北方領土の解決なくしては前進いたしません。伝えられるところによりますと、ソ連側は、領土問題は長期的課題との見解を示したと聞きますが、解決の糸口が開かれたのか否か、外務大臣にお伺いいたします。
 私は、ゴルバチョフ大統領の訪日を契機に、多年にわたる国民の切実な願いであります北方領土の返還を実現すべきであることを強調してやみませんが、総理の決意をお伺いいたします。
 また、ソ連はバルト二カ国に対し武力で弾圧を行いましたが、これは人道上許されない行為であります。こうした弾圧が今後も続いた場合、対ソ経済支援は見直すべきであると思いますが、総理の御見解を求めます。
 次に、山積している国内問題についてお伺いいたします。
 まず第一は、土地の問題であります。
 地価の異常な高騰は、サラリーマンや庶民のマイホームへの夢を打ち砕き、資産格差をますます拡大させるなど、我が国の社会経済システムをゆがめております。したがって、地価問題の解決こそ当面の重要な政治課題であります。今日の地価高騰は、政府の無為無策によるところに最大の原因があると断ぜざるを得ませんが、その責任を総理ほどのように受けとめておられるのか。土地問題に対する総理の政治姿勢をお伺いいたします。
 政府はこのたび、土地対策の柱として地価税の導入を提案しておりますが、この法律の導入によって土地問題が解決されるとでも考えているとしたら、その姿勢そのものが間違いではありませんか。まず、地価税は、土地保有税としての目的や理念をゆがめ、単なる税の増収対策になりはしませんか。課税対象を骨抜きにし、その結果、生産やサービスを提供している業者に負担が偏り、地価の引き下げや土地供給に結びつかず、むしろ諸物価の高騰によって国民生活を圧迫することは必至であります。このような地価税はやり直すべきであると考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
 土地政策は、税制と相まって、金融の見直しや、都市計画法や建築基準法等の抜本的な改正なくして、その解決は不可能であります。この際、担当省庁並びに責任省庁を明確にして、国民が待ち望んでいる土地対策が一日も早く進められますように総理の強い指導力を求めたいのでありますが、総理の決意をお伺いいたします。
 次に、消費税問題についてお尋ねいたします。
 我が党の積極的なリードによりまして、消費税の欠陥を是正する案が与野党でまとまりました。
   〔議長退席、副議長着席〕
これを実現すれば現行消費税の欠陥を相当部分改正できることになり、国民の不満の解消のためにもその実現が期待されました。例えば、消費者の支払った税金はきちんと国に納められ、預かった税金を自分のものとして財テク等に投資できなくなり、家賃、車いすなどは非課税となります。しかし、一部の政党が食料品が非課税とならなかったことを不満として、すべてをぶち壊す結果となりました。そのために、欠陥だらけの現行消費税がそのまま続いております。我々も食料品を非課税とするよう今後とも努力していく決意でありますが、まず、与野党で合意した改正点を一日も早く実現させるべきであると思います。
 国民の利益を守る立場に立って、やる気のある政党で成案をまとめ、消費税の欠陥是正を早急に実現すべきと思いますが、総理の決断をお伺いいたします。
 次に、政治改革、選挙制度改革についてお伺いいたします。
 選挙制度は、政党間の競争ルールを定めるものであり、あくまで公正なものでなければなりません。また、その改革はたびたび行えるものではなく、国民の合意を得つつ、正しい手順に沿って慎重に行われなければなりません。私は、この政治改革と選挙制度改革は切り離し論議すべきだと考えます。一部の政治家による不正事件が報道されるたびに、政治家の一人として肩身の狭い気持ちにさせられるのは私だけではありますまい。そのたびに国民の政治に対する信頼は著しく失墜し、政治に対する期待がますます失われつつある現状を総理はどのように感じておられるのでしょうか。
 みずからを戒めるためにも、一日も早く諸対策を進めなければなりません。まず、政治家の資産公開などの内容を柱とする政治倫理法の制定、政治資金の公開性、透明性を高めるための政治資金規正法の改正、政党への公費補助制度の確立など一連の政治改革を実現し、国民の政治への信頼を回復していくことが重要であると考えます。
 総理は、選挙制度改革と政治改革を一体的に行うとの見解を表明されておりますが、この立場をとり続ける限り政治改革は一歩も進まないことになりませんか。総理は、あくまで一体的改革に固執し、段階的改革を拒否するつもりなのか、お伺いいたします。
 さらに、次期参議院議員選挙は一年半後に迫っております。平成二年の国勢調査速報値によりますと、選挙区間の最大格差は六・四二倍となっており、早急な是正が求められております。我々は、参議院選挙制度の抜本的改革案として、比例区、選挙区をともに廃止して、ブロック別個人名投票に一本化することを提案しておりますが、少なくとも次の選挙までに選挙区定数の是正、比例区については選挙制度審議会の答申でも触れられている個人名投票、党名投票いずれも可とする改正を行うべきであると考えますが、総理の御見解をお伺いしたい。
 次に、育児休業法についてお伺いいたします。
 近年、働く女性はふえ続けています。家族的責任の大部分を女性が担っている我が国の現状で、働く女性が切実に願っていることは、安心して子供を生み育て、働き続けることのできる条件整備でありまして、そのことによって多様な生き方を選択できることであります。そのためには育児休業制度の確立が重要課題であります。
 昨年末、本院の社会労働委員会の小委員会において、育児休業法について政府に立案に当たらせることで与野党が合意し、現在、その作業が進んでおります。また、労働大臣は、就任早々の記者会見において、休業期間中の所得保障について前向きの発言をされました。働く女性の強い要望にこたえるために、我々が三回にわたって提出した育児休業法案の内容が最大限取り入れられますよう求めるものでありますが、労働大臣の決意をお伺いいたします。
 次に、教育問題についてお伺いいたします。
 今日、我が国は米国に次ぐ経済大国として揺るぎない地位を占めております。これは、額に汗し、こつこつと物づくりにいそしんできた日本人の努力と勤勉さのたまものと言えましょう。しかし、最近、経済の礎である物づくりを嫌う風潮が高まりつつあり、将来を担う若者たちの間でも製造業離れが進み、労働力不足と相まって深刻な社会問題となっております。産業界の一部では外国人労働者の受け入れでその場をしのいでいるようですが、根本的な解決にはなりません。職場の環境改善、労働条件の向上など企業としての努力は当然でありますが、もう一度教育のあり方を見直し、青少年に物づくり、創造の喜びが実感できるような創造的教育の場を与えることが大切ではないかと思います。総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、文化財の保存と修復についてお伺いいたします。
 我が国の文化財は、神社仏閣は言うに及ばず、絵画、彫刻、歌舞伎あるいは全国に散らばっている遺跡など、歴史の考察上からも世界に冠たるものであることは衆目の一致するところであります。しかし、予算の少ないことや修理技術者の養成不足から、修理、保存が十分ではありません。特に、日本の文化財の特徴は、材料が木や布、紙といった脆弱なものでつくられているために、修理のタイミングを失すると貴重な文化財を失うことになります。政府は基金制度を導入して対応しようとしておりますが、修復のための専門技術者の養成や修復作業がスムーズに行えるような条件整備を急がねばなりません。文化先進国を目指す立場から文化行政を積極的に推進すべきと思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 最後に、被爆者援護法について総理の見解をお尋ねいたします。
 既に野党各会派は、国家補償の精神に基づき、被爆者年金の支給などを柱とした被爆者援護法案を国会に提出し、本院において継続審議になっております。戦後四十六年目を迎える今日、被爆者の多くが老齢化が進む中で、援護法の制定を悲願として一日も早い成立を待ち望んでおります。この援護法が成立するか否かは、一にかかって与党たる自民党の判断にあるのです。折しも、平和を望む世論が高まる中で、原爆被爆者に国家補償を行うことは、平和国家としての日本の姿勢を内外に強くアピールする上でも必要であると考えるものであります。総理の決意をお伺いします。
 私の質問を終わるに当たり、以上の諸課題が一日も早く解決され、国民の期待する政治の実現が第一であります。総理の決断と強い指導力を期待して、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(海部俊樹君) 小西議員にお答えを申し上げます。
 追加支援の考え方について、あるいはその積算根拠について述べろ、こういうことでございます。
 私は再三申し上げさせていただいておりますが、今、世界は新しい平和の秩序を求めております。冷戦時代を乗り越えた新しい平和の基本的な原則は、力でもって他国を侵略しないということを打ち立てなければならない大切なときであります。そのときに、相次ぐ国連の決議を無視して行われたイラクのクウェート侵略と併合に対して、撤兵とクウェートの正統政府の復活を求めて、多くの国が平和回復のために共同の行動をとっております。
 我が国憲法も、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求していく、平和主義、そして国際協調主義で、他国のことを顧みないのはいけない、一国平和主義をみずから戒めて国際協調をしようと言っておるのです。
 ただ、憲法の制約で、武力の行使を伴うような力でお役に立つことはできないというのが立場でありますから、せめて各国の多くの行動に対して、平和回復が一日も早く行われるように、それぞれの国が国内の抱える経済問題とか、あるいは多国籍軍に参加することによって膨大な費用を負担しながら、それでも世界平和のために行動をとっておるわけでありますし、我が国が享受しておる平和な毎日を続けるためにも、公正で安定した国際秩序というものは不可欠なものでございますから、追加支援をその点に立って考えて、我が国としてなし得る範囲で応分のことをすべきである、こう考えたわけでございます。あくまで、総合的に我が国の国際社会における立場から判断して、金額はできる限りの措置として決定をしたものでございます。
 また、今回の措置は関係諸国の活動に対しての適切な支援でございますから、これは政府として戦闘行為が一日も早く終了することを願ってやっておりますから、歯どめがあるのかないのかというお話よりも、現在のところは、戦闘の早期終結を願いつつ、なし得る限りのことを自主的に行ったということで、これ以上の追加支援は現在のところ考えておりません。
 また、行政経費の節減の御指摘は、私はお考えはよくわかるわけです。同時に、政府も常にそのことを心がけて今日までやってまいりました。今後とも、行政経費の節減ということは、その考え方を持ち続けていかなければならないことだと私も受けとめております。
 また、必要な場合は国民の皆さんに負担をお願いすべき問題で、国民合意形成に向けて、与野党協議や各界の責任ある立場の方々へ要請を行っていくべきではないかと御指摘をいただきました。私も、今後とも、与野党の皆さんとの協議や、あるいは国会の御議論、あるいは仰せのように各界の方々に御理解を求め、国民的な合意を求めながら、国民すべてが享受しておるこの平和というものを、さらに国民皆さんみんなの理解と協力によって守り抜くための体制を組んでいきたい、私はそのように考えております。
 また、自衛隊の輸送機を使うことについて、シビリアンコントロールの確立はどうかということでございました。
 避難民の輸送という非軍事的な人道的な面について、現行の自衛隊法百条の五の規定に基づいて、その授権の範囲内で、安全保障会議の決定を経て、同時に内閣の判断によって新たに必要な政令を制定した上、国際機関の要請に応じ、関係諸国から必要な協力を得て支援を行っていくために輸送機により輸送を行うこととした次第でありますから、シビリアンコントロールの観点から問題があったとは考えておりません。
 湾岸地域の戦闘終結の見通しはどうかと言われましたが、私は一日も早く終結することを強く願っておるところでございますが、今般の武力行使の目的は、安保理諸決議の実現というところにあり、公正な平和の回復というところにあるわけでありますから、そのかぎを握っておるイラクが一日も早く決断をし、反省をし、クウェートから撤退することが必要な大前提でございます。一日も早くそれが行われるように期待をし、引き続き受諾を強く呼びかけてまいりたいと考えております。
 また、ソ連についてお触れになりました。
 私は、ゴルバチョフ大統領の訪日を、議員と同様に北方領土問題解決、抜本的に改善していくための契機にしたい、こう考えております。あらゆる分野で質的に新しい両国関係を構築することが大切だと考えますから、ゴルバチョフ大統領の訪日をそのような突破口にしたいと考えております。
 ただ最近、私が率直に申し上げると、ペレストロイカの非常に大きな節目にソ連は立っておるのではないか。先般のバルト諸国における武力行使が再度行われたということに、私も深く憂慮をいたしております。事態の民主的、平和的解決を強く求めており、このことはさまざまの機会にソ連にも明確に伝えてございます。対ソ支援については、ソ連の今後の国内情勢等を勘案しながら今後のあり方は検討をしていくべきものであると考えております。
 また、土地問題についての私の基本的な考えでありますが、去る二十五日に、土地基本法を踏まえた今後の基本指針として総合土地政策推進要綱を閣議で決定いたしました。これに従って今後とも一層土地問題に取り組んでまいりますし、特に具体的にお触れになった地価税については、これは公共的性格を有する資産である土地、これに対して、負担の公平を確保しつつ、資産としての有利性を縮減するために土地の資産価値に応じた負担を求める観点から創設する税でありまして、土地の保有コストに対する意識を高め、地価の低下、抑制、土地の有効利用の促進など、土地対策に資するものと考えており、その内容は最善のものと判断して政府は提出をいたします。
 担当の省庁及び責任省庁を明確にせよということでございますが、私は、土地対策担当大臣も任命いたしておりますし、国土庁長官にその総合的なまとめを要請し、そこを窓口に、土地対策関係閣僚会議等も積極的に活用いたしまして的確な推進に当たっていく考えでございます。
 消費税につきましては、見直し法案を政府は提出いたしましたが、去る国会で法案処理のあのような結果となりました。それを踏まえて、両院合同協議会において引き続き協議が行われるものと承知をいたしております。政府は、消費税の必要性を踏まえつつ、全体的、長期的な利益といった次元に立って、御指摘の立法の方法等の問題も含めまして建設的な合意が得られることを心から期待いたしておるところであり、合意が得られたら、迅速に、誠実に対応をしてまいります。
 また、政治不信の増大については、まず政治家の政治倫理の確立は重要だと思います。一人一人の資産公開等を含む政治倫理法をどうするか、これは各党においてただいま御議論をいただいておると聞いておりますが、政府としても適切な結論が出されますことを強く期待いたしております。
 同時に、政治改革は、政策中心、政党本位の公正な競争ルールに従った選挙の制度を考えること、同時に政治資金の透明性を確保すること、そして一票の格差を是正するという国会決議の問題もございます。私は、審議会の答申も踏まえて、これらの問題を、すべて密接な関連を有するものでありますから、一括して答申の趣旨を尊重し、整合性を持って実現していくために全力を尽くしていきたいと考えますが、事は政党と政治家の基本に関する問題でもございます。各党各会派の皆様の御議論と御協力、御理解も心からお願いを申し上げる次第でございます。
 参議院選挙のことについてお触れになりましたが、審議会の答申においては、その望ましいあり方に関する考え方を示すとともに、比例代表選挙における個人名投票の導入や選挙区選挙における定数の再配分という、御指摘のような具体的な策も示しておるわけであります。政府といたしましては、答申の趣旨を尊重する立場にありますが、事は皆様の身分にかかわるものでもあるので、各党各会派における十分な御検討をいただきながら、御協力を得て改革の実現に向けて努力をしてまいる考えでございます。
 なお、青少年に対して物づくり、創造の喜びが実感できる教育が大切ではないかとお述べになりましたが、私も全く同感でございます。先般の学習指導要領の改訂において、児童生徒の発達段階に応じて、手を使って物をつくる活動とか、あるいは勤労生産活動などの体験学習を通じて創造の喜びを体得させるような方向を一層重視して改善をしたところでありますが、これが現場で定着していきますようにさらに努力をしてまいる考えでございます。
 文化財の保存と修復については、御指摘のとおりでありまして、我が国が誇り得る貴重な文化財が数多く残っておりますから、適切な保護、保存を図ることは重要であります。このため、文化財の保存、修復に必要な財政上の措置を講じました。同時に、文化財保存技術の選定制度を設けて後継者養成のための助成を行うなど、保存のための技術者の養成、確保に努めておりますが、今後とも文化財行政を積極的に推進してまいる考えであります。
 最後に、原爆被爆者援護法の問題は、政府といたしましては原爆二法を中心とする施策の充実により対処する考えでありまして、来年度においては、諸手当の大幅な改善を行うとともに、新たに原爆死没者の慰霊等のための諸事業を実施することといたしております。
 残余は関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(中山太郎君) 小西議員にお答えいたします。
 先般、私がソビエトを訪問いたしてゴルバチョフ大統領と会談をいたしました際に、日ソ間の領土問題について日本側の考え方を明確に申し上げました。それは、戦後四十五年間、隣国である日ソ間に平和条約が結ばれていない、その一番の大きな問題は四島返還問題が解決していないからであるということで、私どもは新しい日ソの関係を発展させるために、大統領の訪日を機会にぜひこの領土問題解決の突破口にいたしてもらいたいということで、ソ連側に強く決断を迫りました。
 今後とも、四島一括返還の基本的方針並びに無原則な政経分離はとらないとの方針を堅持して、関係の打開に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣小里貞利君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(小里貞利君) 小西議員にお答え申し上げます。
 育児休業に関連をいたしまして、三点お尋ねでございます。
 一つは、端的に申し上げまして、この法制定を急ぐべきではないかというお話でございます。
 午前中の答弁でも触れたところでございますが、子供を育てながら家庭生活の主役を果たす、あわせて、社会に出まして職業を持ち、その職業生活と家庭生活の円滑なる調和を図りながら、そして経験と能力を十分に発揮していただきやすい環境の整備は、本来、私ども労働省におきましても積極的に注目をしてまいっておるところでございます。
 したがいまして、今日におきましては、婦人少年問題審議会にこれらの問題の法制定のあり方等を中心にいたしまして検討をいだたいておるところでございまして、近々これらの建議がなされる次第でございます。私どもは、でき得る限り早期にこれらの意見を取りまとめていただきまして、そして各方面の意見を集約して、でき得る限り今国会におきまして法案の提出を急ぎ、そして皆様方の御意見あるいは御批判をいただく機会をつくろうと念願をいたしておるところでございます。
 もう一つは、その立法に当たりまして、さきに提出をされました野党四党の共同提案の中身を最大限尊重して取り入れるべきではないかという御意見でございます。
 もちろん、野党四党の共同提案の中身は見させていただきましたし、最大に注目をいたしておるところでございますけれども、率直に申し上げまして、その中身におきまして野党と与党の意見が大きく隔たっておる面もないではないのであります。例えて申し上げますと、休業中の所得保障等につきましては、自民党ではノーワーク・ノーペイを原則といたしましょうという意見も出てまいっております。しかしながら、野党四党におきましては、休業中の賃金も六割程度は見てあげるべきではないかという、その負担区分等も含めまして聞かせていだいておるところでございまして、私どもは、それらの各方面の意見の可否も含めまして、多角的視点から鋭意目下検討中でございます。
 なおまた、先ほど申し上げましたように、婦人少年問題審議会の答申等も出てまいりますから、それらの意見も十分に踏まえながら、さらにまた、お聞きのとおり、昨日来、本会議場におきまして海部総理もこの問題については力を込めて抱負をお聞かせいただいておるところでございますから、近々皆様方にその機会を得たいと、かように考えておるところでございます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#30
○副議長(小山一平君) 渡辺四郎君。
   〔渡辺四郎君登壇、拍手〕
#31
○渡辺四郎君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、総理の施政方針並びに今日の諸問題について質問いたします。
 まず、中東湾岸戦争など国際問題については各党の先輩議員から集中的に質疑が行われましたので、私は、今後の国際社会における日本の進路について総理の御決意を伺います。
 私は、今回の中東湾岸戦争には、いかなる名目であろうと日本は絶対に加担してはなりませんと冒頭に申し上げておきます。今こそ総理は先頭に立って、日本国憲法の戦争放棄という高遠な理念を全世界に繰り返し訴える絶好の機会であります。とにかく、総理は我が国の憲法を背景に、即時停戦、平和を求めてあらゆる外交努力を大胆にかつ執拗に展開すべきであります。明確な御答弁をいただきたい。
 次は、内政問題について順次お伺いをいたします。
 海部総理、あなたが総理就任以来、国民に公約された重要政策、すなわち高額脱税の稲村利幸前議員に象徴される政治倫理問題を初め、衆議院の定数是正、土地対策、逆進性の強い消費税問題等々、そのほとんどが解決されておりません。そこで総理、海部内閣の歩みについて総理御自身どのように評価をされていますか、お伺いします。
 次に、地方の時代と言われて久しいが、それは言葉のみが先行し、現在は逆の方向に進んでいるのではないかと指摘をしたい。
 なぜなら、さきの国勢調査の結果でも、日本の総人口は二・一%、二百五十六万人ふえていますが、約四割に当たる十八道府県の人口は減少しているからであります。特に町村の人口減が目立ち、過疎化はますます拡大し、深刻になっています。
 総理は、昨年の全国町村長大会でのあいさつの中で、ふるさと創生は引き続き推進するとともに、個性豊かな地域づくりの実現等に一層努力しますと述べられ、多くの拍手を受けましたことを御記憶のことと思います。地方自治体は、申すまでもなく国の内政を受け持ち、住民の生活基盤整備を初め、教育、衛生、保健、清掃、あるいは農林、商工業の振興など、行政のほとんどを実施しています。ところが、近年特に目立ってきたのが、急速に進む高齢化社会への対策、寝たきり老人や痴呆症老人問題等が、また車社会の中での道路整備と事故防止、広域化する暴力団抗争、麻薬対策、青少年犯罪防止、あるいは高層ビル化に伴う災害防止と救助、そのほか国際化社会の中での自治体の役割、また住民ニーズの多様化による行政の任務と役割はますます増大するばかりであります。
 一方、過疎の自治体では、第一に人口の流出防止対策を初め、高齢者の増加に伴う医療・介護対策、財政の窮迫、その他数々の問題が山積しています。
 そこで、先ほど申し上げました総理のふるさと創生の推進と個性豊かな地域づくりについて、具体的に財源措置を含めてどのような方針なのか、お伺いいたします。
 次は、九一年度歳出予算の中で、地方交付税法で算定される総額から七千五百四十五億円が減額されている点について、大蔵大臣にお尋ねいたします。
 報道によれば、減額の理由として、交付税特別借入金を二年間で約三兆二千億円を返済できたからと大蔵省内部で言われているとのことですが、私は、もしそのような認識が大蔵省内部にあるとすれば、それは余りにも地方行政の実態、現状を知らないことなのか、知りながらの発言であれば許されない発言だと思います。地方団体の今日までの借金は九〇年度末で六十七兆二千九百八億円の巨額の残高であることを見ただけでも、地方財政の厳しい実態について推察できると思います。大蔵大臣は地方財源に余剰があるとお考えですか。また、政府に対する地方団体からの本年度予算要求の中心は何であったのか、お伺いをいたします。
 次は、大蔵、自治両大臣に伺います。
 近年、国の財政硬直化要因の一つに地方交付税があるかのように言われています。その原因は、今日まで再三にわたって地方制度調査会の答申で、地方交付税が国の一般会計歳出予算に計上され、他の歳出項目と同列扱いにされることは、地方交付税制度の本質からして誤りであるとの指摘が繰り返されてきました。そもそも地方交付税は、国と地方との事務分担と経費負担区分に見合った国と地方との間の税源配分の一環として設けられているもので、性格的には地方公共団体固有の財源であると私は思いますが、両大臣の地方交付税の性格についてのお考えを伺います。
 次は、補助金カットについて伺います。
 国の財政事情で一方的引き下げを実施した補助金、負担金カットに対し、我が党は厳しく反対してまいりました。それは一九八五年以降、毎回国会で追及し、その中で、歴代自治大臣もが八四年ベースに復元するのが当然だと答えられ、時には大蔵、自治両大臣の覚書を担保にしながらその決意を述べておられました。しかし、新九一年度予算を含め、あと三年間カットを継続するとされていますが、両大臣はこれまでの国会での答弁、さらに全国民に対する約束をどう思いますか。このことは国会の信義に反し、全国民と全自治体に対する背信だと指摘せざるを得ません。したがって、我が党は、今日までの経過からして直ちに八四年ベースに復元すべきと思いますが、両大臣の決意のほどを伺いたい。
 私は、仮に現状のままカットを続けるならば、自主財源の乏しい自治体は公共事業受け入れ実施も困難となり、また、新年度から始める社会資本整備事業についても負担に耐え切れず、社会資本の整備もおくれ、いわゆる自治体間格差がますます開き、過疎化もさらに進むでしょう。
 両大臣に伺います。このような格差をなくすため、どのような施策を具体的に講ずるかを明確にお示しいただきたい。
 次に、消費税問題について総理にお伺いいたします。
 現在、消費税については、昨年の社会党を初めとする野党の消費税廃止法案と政府・自民党の見直し法案がともに廃案となったことを受けて両院税制協議会が設置され、その場において協議が続けられているところであります。しかし、消費税の緊急是正については、国民が最も関心を持ち、切実な要求として掲げている、逆進性緩和策の基本である飲食料品の非課税問題について与野党間で合意に至らず、現時点においてもまとまっていないことは非常に残念であります。
 だからといって、政府が何もしなくていいということでもありません。自民党政府は消費税の思い切った見直しを選挙公約として国民に約束した以上、海部総理は総理の責任として、みずからさきの国会において提出した消費税見直し案を発射台とし、両院協議会での議論を踏まえ、同時に野党側の主張である飲食料品の全段階非課税等の措置も十分に配慮した緊急是正措置を政府提案として国会に提出する義務があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 税制といえば、昨年政府が決定した地価税、いわゆる新土地保有税の問題についても触れたいと思います。この新しい土地税制は、大蔵省原案から自民党税制改革大綱までの経過を見守っていた多くの心ある国民は、この極めて不公平な自民党の税制大綱に落胆と同時に強い怒りを覚えたのではないでしょうか。それは、今さら指摘するまでもなく、大口土地所有の企業や個人に対し、大幅に優遇したことです。具体的には、基礎控除を五億円から十億円に引き上げ、税率を〇・五%から〇・二%に引き下げたからであります。この結果、一説には約二兆円の税収減をもたらしたとも言われています。
 我が党は、以前から土地増価税の創設を主張し、それらの財源によって低家賃の公共住宅を大量に建設し、あわせて地価の引き下げを図ろうと努めてまいりました。しかし、自民党政府がこのような反勤労者的姿勢では、一生働いても一軒の家さえ持てないという大都市の納税者市民に、いかんともしがたい失望感を与えるものではないでしょうか。大臣、この新しい地価税は明九二年度から実施すると言われますが、それまでに再度検討し直すかどうか、お伺いいたします。
 次に、厚生大臣に社会保障政策について伺います。
 政府は、一昨年十二月、高齢者を対象にした在宅福祉や施設福祉等を含めた高齢者保健福祉推進十カ年戦略を策定いたしました。しかし、十カ年戦略もその中身を見ると、現状の把握も戦略への道筋も全くお寒い限りでございます。例えば、ホームヘルパーについては二〇〇〇年に十万人を確保するという目標を打ち出してはおりますが、その具体的確保の目途すら立っておりません。さらに、十万人が確保できたとしてもスウェーデンの十分の一にも達せず、圧倒的に不足しており、ましてやその他の看護婦及び保健婦等のマンパワーについてもいまだにその需給見通しすら示されていません。具体的需給見通しを出すのは一体いつごろですか、お答えください。
 また、老人福祉の現場である市町村に対する国の財政補助が不十分であることも問題です。ホームヘルパーへの国庫補助を現在の二分の一から四分の三に引き上げることは、十カ年戦略が国の計画であることからしても当然だと思いますが、明確な御答弁を求めます。
 次に、老人医療費の患者負担が大幅に引き上げられようとしていますが、安心して暮らせる老後を目指す老人福祉政策に全く逆行しており、政策の誤りは明らかであります。さらに、老人医療費患者負担に医療費の伸びを指標にスライド制を導入しようとしていることは、老人を医療サービスから排除しようとする老人虐待政策で、絶対に認められません。政府はなぜこれほどまでに老人を排除しようとするのか、明確にお答えください。
 次は、国民健康保険について伺います。
 我が国は世界一の長寿国、二十一世紀前半には国民の四人に一人が六十五歳以上という高齢化社会を迎えることが見込まれていますが、悲しいことに、高齢者の自殺がなぜ世界一なのかを考えなければなりません。本日は、国民医療制度の中の重要な柱の一つであります国民健康保険の現状について厚生大臣にお尋ねいたします。
 国民皆保険の一環として、国の制度として発足した国民健康保険は、今日まで地方自治体や各健保組合の財政的支援を得ながら運営されてきましたが、もう限界に達し、最大のピンチを迎えています。その中で特に深刻なのが過疎の自治体組合です。厚生省の一九八九年の調査でも、国保加入者は総人口の三六%が加入し、これはサラリーマン健康保険と並んで日本の医療保険制度を支える二本の柱であることは、大臣御承知のとおりでございます。国保加入者の内容を分析すれば制度的に多くの問題点があります。六十五歳以上の全高齢者の六八%が加入し、年齢構成が他の健保組合とは全く異なっているのが特徴であります。
 収入面では、最高の保険税率を適用していますが、加入世帯の三三・五%が無職、そのうち四二・五%が所得なしの状況で、保険税も減額、免税等の対象世帯も増大し、収入は一向に伸びていません。また、被保険者世帯には低所得者層が多く、厚生省の調査でも、国保税の長期滞納による健康保険の適用差しとめが昨年六月一日現在で何と三万一千世帯にも上っています。一方、支出は高齢者の増大に比例して増高しています。
 このような厳しい状況の到来を予測した地方六団体は、制度改革と国の負担率の引き上げ等を関係省庁に要求し続け、また我が党も早急に補助負担率の引き上げと制度改革を強く要求してまいりましたが、就任早々の厚生大臣は、こうした状況についてどのような認識と対策をお持ちか、御所見を伺いたい。
 次に、環境問題について伺います。
 我が国の企業が海外で資源の乱開発や環境悪化に手をかしているとの批判を耳にしますが、政府はODAの決定に当たり、環境への影響調査をどの程度行い、それをODA決定の上にどのように反映させていますか。間もなくパリで開催されるOECD環境担当大臣会議で、二酸化炭素税が提案されようとしていますが、日本も独自に、海外進出企業に対する環境保護に関する何らかの新税を検討すべきではないかと考えますが、御見解をお聞かせ願いたい。
 翻って、国内における大きな環境問題の一つは、ふえ続けるごみ処理問題であります。企業のごみ、すなわち産業廃棄物の不法投棄が後を絶ちません。産業廃棄物を中心とするごみ処理について具体的な政策を伺いたい。
 総理、政治は常に国家百年の大計を見通しながらの政策目標を定め、一つ一つ着実に実行に移していくことであると私は信じています。そこで政府も、戦後の日本政治の方針を大きく変革しなければと、九一年度予算に社会資本整備費として二千億円を新たに予算計上したものと理解します。総理、あなたは先年、今後の日本の政治は、経済効率一辺倒に陥らず、心が通い合い、生きがいのある社会をつくり上げたいと提唱されましたが、その政策の柱は、今国民が求めているゆとりある生活を目指すための福祉の充実と、おくれている社会資本の整備が中心となっていると理解してよろしいか、お伺いをします。
 総理、次に国土保全について伺います。
 我が党は、政府・自民党の農林業政策をこのまま推し進めるならば、農林地は荒れ果て、大規模な自然災害を招くことを予言しなければなりません。農業にあっては、世界の国々が、経済効率優先ではなく、自給自足を政治の基本としています。FAO、国連食糧農業機構の宣言にあるように、各国は自国民の食糧に責任を持とう、できるだけの自給努力をして自国民の食糧は他国に頼らないよう努力しようということが採択されています。総理、くどいようですが、農は国の基、起源であり、山は国の礎、その土台であることが政治の原点でなければなりません。それが人類生存の摂理であり、それがまた自然との共生ではないでしょうか。総理の御見解を伺いたい。
 次も総理にお伺いします。
 今日までの日本の政治は、その原点を見失い、旧態依然とした経済効率中心の政策です。総理、その特徴的な一つが国有林野事業に対する政府の対応であります。顧みれば、経済効率一辺倒だった一九五〇年代の国有林は乱伐に乱伐を続け、その結果、山は荒れ、全国各地に山崩れによる災害が発生したことはお互いに記憶に残っているところです。政府は、林野事業に独立採算制を持ち込み、木材価格の急騰期には伐採を強要し、その結果、収支のバランスが崩れ、その上外国材の輸入による木材価格の低迷等を招き、そのダブルパンチで年々赤字を累積させてきたのが今日の国有林野財政の実態です。いわば、国有林は政府の経済効率中心政策の犠牲にされたと言わなければなりません。
 そこで私は、今、その赤字解消策として年末の林政審答申に沿った新たな改善方策が準備されていますが、公益機能発揮に対する国の財政支援など国土保全等から重要であると思うが、総理のお考えを伺います。
 総理、今、奥地の山村は、今日まで幾多の困難な諸条件の中にあって営々と自然を守り育ててこられた勤勉な山村住民の方々が消えています。昨年、九州農政局の調査で明らかになりましたが、九州だけでも過去十年間で七百二十八の村、集落が消え、過疎化は過去十年間の三倍のスピードで進んでいる結果が出ています。この影響をもろにこうむっているのが国有林、民有林です。とにかく、山村での農林業の条件や環境は悪化するばかりです。
 今、立法府、行政府が国家百年の視野に立って考えなければならないことは、農林業が経営上成り立たないからといって放置できるものではないということではないでしょうか。しかし、現実は、さきにも申し上げたように、今日、山間僻地の村、集落は崩壊し、残された跡地も荒れ果て、過疎化が急速に進んでいるのが実態です。この現実を何としても食いとめなければ、それこそ想像を絶する自然災害をこうむることを私は恐れています。
 総理、今からでも遅くない、この自然災害防止のためには、農林業に対するこれまでの施策と発想を転換することです。農林業には、生産と、いま一つの重要な役割があります。それは治山治水による国土の保全と、水を初めとする天然資源の確保、自然の景観と大気の浄化であります。そのためには、積極的な財政援助を行えば、将来、日本経済全体に、また国土保全など自然的資源の蓄積等にも効果があることは間違いないと私は信じます。林政審答申で言う新たな林政の展開に向け、長期的投資計画を策定し、積極的な財政投資、援助を含む、総理の将来展望を含む基本的方針を伺います。
 国家の将来を展望してのもう一つの重要な施策は、人口の見通しであります。本日は、関連する出生率の低下と育児休業制度について伺います。
 ILO百五十六号条約や百六十五号勧告は、男女を問わず職業と家庭の調和を図らせるもので、今や国際的に確立されています。これについての総理府の調査でも、女性が働き続けるために最も障害になっているのが育児であると発表されています。裏返せば、この最大の原因は、欧米先進国に比べ労働条件や子供の育児に対する保障制度が余りにもおくれているからであります。スウェーデンでは、子育てに対し負担を少なくした施策から出生率を向上させたという事例もあります。
 昨年、本院の育児休業制度検討小委員会は、労働省と一体となって法律案作成に当たることを決定しています。総理、国家百年を展望し、総理が先頭に立ち、官民、職種を問わず、男女全労働者を対象とした育児休業法案を本国会で成立させるべく、総理の決断を求めます。
 最後に、人権問題に移ります。
 昨日、衆議院において総理は、同和問題について憲法上の重要事項との認識を示されましたが、差別の現実を無視し、特別な手当てを必要とする約一千カ所の未指定地区が今も放置されたままです。法の対象となっている地区にあっても残事業があり、国民生活の向上にマッチし得ない住環境整備事業の古い基準が新たな格差の原因となって、いわゆる差別観念を温存し、再生産する根拠となっています。総理の部落差別についての基本的認識を伺いたい。
 続いて、子供の権利条約の批准時期の見通しと、既に世界百三十カ国が批准している人種差別撤廃条約の批准はどうなっているのか。政府は常に国連中心を主張しながら、この条約だけをおくらせているのは、世界の民主主義秩序の確立についてどう考えているのか、明確な御答弁をお願いいたします。
 以上で私の質問は終わりますが、内外ともに重大な時局のため、明確な答弁をお願いし、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(海部俊樹君) 渡辺議員にお答えを申し上げます。
 私も、現在の湾岸における多国籍軍とイラクとの武力行使が一日も早く終結し、湾岸地域に公正な平和が回復することを強く願っておりますから、今後とも、御指摘のように公正な平和の確立を目指して、できる限りの外交努力を続けたいと考えております。
 また、就任以来、政治改革には何をしたかとお話がございました。金のかからない政治の実現と、選挙の公正の確保に資するためにいろいろな幅広い努力をしておりますが、例えば昨年、寄附禁止の強化等を内容とする公職選挙法の改正案が成立し、昨年二月の衆議院選挙から適用になっておるところでありますし、また四月及び七月には選挙制度審議会の答申を受け、この趣旨を尊重して、その成案化に向けてただいま鋭意取り組んでおるところであり、このことについては昨年末党首会談を開いて、各党党首の皆様にも御協力をお願いしたところでございます。引き続き皆様の御議論も強く期待申し上げておるところであります。
 また、土地問題の解決は内政上の最重要課題であると申し上げてまいりました。これまでも土地取引の規制、関連融資の規制、住宅宅地の供給など、需給両面にわたる各般の施策を実施し、近時においては東京、大阪等で地価の鎮静化傾向が見られるなど、土地対策の成果の兆しも見え始めてきておるところでありますが、二十五日には、総合的な土地政策の基本指針として総合土地政策推進要綱を閣議で決定し、今後とも引き続きこの成果を上げるべく努力を続けていくべきものであると考えております。
 消費税につきましては、見直し法案を政府は提出したのでありますが、第百十八回国会においては御承知のようにさまざまな議論の末、審議未了となり、今、両院合同協議会において引き続き協議が行われておるところであります。国権の最高機関である両院の合同協議会の御議論を踏まえて、合意が得られましたならば、政府はそれに従って誠実に迅速に対応してまいる考えでおります。
 ふるさと創生、個性豊かな地域づくりについては、御指摘のとおり私も申し上げてまいりました。国、地方を通ずる重要な課題であります。国は、地域の自主的、主体的な取り組みを支援するために、地方交付税や地方債を活用した財源措置を講ずるなど、地域主導の地域づくりのための諸施策を今後とも総合的に展開してまいりたいと考えております。
 また、心が通い合い、生きがいのある社会を提唱したがそれはどうか。私は、それは、本格的な高齢社会を迎えようとしておる状況を踏まえて、すべての国民が充実した福祉の中で、長い生涯を健康で喜びを持って過ごすことのできる、明るい、活力に満ちた、生きがいのある長寿福祉社会の建設を柱にしていかなければならないと考えております。また、これを支える基盤として社会資本の整備が重要と私は認識いたしております。これを通じて、国民生活あるいは国民のニーズを踏まえて、公共投資基本計画を今後十年間にわたって着実に前進させながら、生活環境・文化機能に係る公共投資額の割合を増加させるように努めたところでございます。
 また、農業について、農は国の基、起源であり、山は国の礎、その土台であると言われましたが、私はその御趣旨について同感でございます。人類生存の摂理、自然との共生が必要ではないかとおっしゃいますが、そのとおりでございまして、農業に対しては十分心して対処していかなければならないと考えております。
 国有林野事業は、国土、自然環境の保全等の公益的機能の発揮、木材の安定的供給、地域振興などの重要な使命を果たしていると私も認識をいたしております。このため政府は、国有林野事業の経営改善の総括的対応策について審議会の答申を受け、これを踏まえて国有林野事業経営改善大綱を閣議了解し、これらに従って各般の政策を続けるものでございます。
 また、農林業の治山治水、天然資源の確保などの役割に着目した積極的な財政援助を行うべきではないかとのお尋ねでございましたが、農林業施策の推進に当たっては、携わる方々が、将来を見通しつつ、希望を持って農林業を営める環境をつくり上げることが重要であると考えております。このため、農業構造の改善、すぐれた担い手の育成、先端技術の開発普及などの施策を総合的に展開し、林業については、国民の要請にこたえる多様な森林の整備と、国産材時代の実現へ向けての条件整備を図るとともに、さらに、生活環境の整備によって住みよい農山村づくりに努めてまいりたいと考えております。
 育児休業法案につきましては、職業生活と家庭生活との調和を図ることができるよう、働きやすい環境づくりを進めることが重要であると私も認識いたしておりますので、育児休業制度の確立に向けて鋭意努力をしてまいる考えでございます。
 また、政府は、昭和四十四年以来、二十年余りにわたって、三たび特別措置法に基づき、今日まで関係諸施策の推進に努め、相当の成果を上げてきたところでありますが、現行の法律は地域改善対策の一般対策への円滑な移行を図るための最終の特別法として制定されたものでありますので、平成四年三月三十一日限りで失効することとなっております。この法律に基づく事業については、この期間内に全力を挙げて推進してまいる所存でございますし、また心理的差別の解消につきましては、今後とも努力を続ける必要があり、啓発事業を引き続き粘り強く推進してまいりたいと考えております。
 児童の権利条約は、内容が重要かつ広範でありますけれども、できるだけ早期に批准するように現在政府部内で検討作業を進めさせております。
 また、人種差別撤廃条約につきましては、本条約に規定される処罰義務と表現の自由など憲法の保障する基本的人権との関係をいかに調整するかなど困難な問題がありますので、この点も含め、現在も引き続き検討を進めておるところでございます。
 残余の質問については関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(橋本龍太郎君) 渡辺議員からの御質問にお答えを申し上げます。
 まず申し上げたいことは、国として地方財政を考えますときに、地方財政の方が楽で余裕があるのだなどと、そんな甘い考え方を申したことはないということであります。
 ただ、平成三年度の地方財政収支見通しでは、歳入面におきましては、地方税、地方交付税の高い伸びが見込まれる一方で、歳出面におきましては、国、地方などを合わせた公共投資の伸びを確保するために投資単独事業の大幅の伸びを見込むほかに、高齢者福祉や社会資本整備のための所要の歳出を見込んでおります。そして、その円滑な地方財政運営のための所要の交付税総額を確保いたしましてもなお、元年度、二年度に引き続いて大幅な財源余剰が見込まれましたことから、地方財政の中期的な健全化を図りますために、まず交付税特会借入金の繰り上げ償還を行うなど、地方財源不足時代などに講じました特例的な借金の返済を実質的に完了させ、次に年度間調整としての地方交付税の特例減額などを行うこととさせていただいております。
 地方公共団体からの平成三年度の予算要求については、大変多岐なものがございました。しかし、その中心としては、私は、地方財政対策、中でも地方交付税総額の確保と国庫補助負担率の復元ではなかったかと考えております。地方交付税につきましては、平成三年度におきまして地方財政の健全化策を講じながら、円滑な地方財政運営のため所要の交付税総額を確保いたしております。
 また、公共事業に係る補助率などの平成三年度以降の取り扱いにつきましては、関係省庁間におきまして総合的に検討を重ねました結果、依然として極めて厳しい財政状況、事業費確保の強い御要請などを踏まえながら、過去の経緯など諸事情を総合的に勘案をいたしました上、財政当局としては非常に厳しいものでありましたけれども、六十一年度に適用されました補助率などまで復元することといたしました。
 また、地方交付税の性格ということについてのお尋ねでありますが、これは国が地方に交付するものでありまして、本来地方が徴収すべきものを国がかわって徴収しているという性格でないことは議員が御承知のとおりであります。
 その上で申し上げますならば、地方交付税は地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができますように、数多くある地方団体の財源の調整のために、国が地方に交付する使途制限のない一般財源であります。この交付税は、その総額が国税三税の三二%及び消費税の二四%、たばこ税の二五%と法律に定められているものでありますから、このように定められた国税の一定割合が法律により地方団体に当然に帰属する、いわば地方の権利のある財源であるという意味におきまして、地方の固有財源であると申しても差し支えないものと思います。
 また、補助金あるいは負担金の率についての問題を御提起いただいたわけでありますが、今回、公共事業に係る補助率などの平成三年度以降の取り扱いにつきましては、関係省庁間におきまして総合的な検討を加えました結果、先ほども申しましたような事情の中におきまして、財政当局としては非常に厳しいものでありましたが、六十一年度適用の補助率などまで復元することといたしました。
 国の補助率などの引き下げ措置の対象となります地方公共団体に対しましては、その財政運営に支障を生ずることのないように、投資的経費に係るものにつきましては従来と同様に臨時財政特例債の発行を認め、その元利償還に要する経費について財政上の措置を講ずるなど、所要の措置を講ずることとしておりまして、地方団体の円滑な財政運営が図られるものと考えております。
 また、地価税について再検討という御指摘をいただいたわけでありますが、地価税は、公共的性格を有する資産であります土地に対する負担の公平を確保しながら、その資産としての有利性を縮減するために、土地の資産価値に応じた負担を求める観点から創設するものであります。
 この地価税における課税最低限は、資産規模の小さな土地について配慮する観点から設けられたものでありまして、税率水準につきましては、土地の有利性を政策的に縮減するという観点と、我が国の経済に与える影響や個々の納税者に対する負担に配慮するという観点を総合的に勘案して設定したものであります。地価税の創設は、土地の保有コストを増加させ、保有コストに対する意識を高めて、地価の低下、抑制、土地の有効利用の促進など土地対策に資するものと考えておりまして、その内容は土地政策全体、土地税制全体の中において適切な位置にあるものと考えております。
 また、環境関係の税制についての御指摘がございました。
 昨年の七月に行われましたヒューストン・サミットにおきまして地球環境問題が主要テーマの一つとなり議論をされ、また、このような環境問題に対する意識の高まりの中で、OECD租税委員会や環境委員会でも、いわゆる環境対策に関連する税制を重視していく必要があるという議論は私もよく承知をいたしております。そしてまた、それに対し各国がそれぞれの立場からさまざまな税制を工夫しておられることも承知をしておりまして、これまでも適宜各国の実態の調査はいたしてまいりましたが、今後とも地球環境問題の重要性にかんがみながら、諸外国の動きなどを参考にしつつ必要な調査はしていきたいと考えております。
 議員がよく御承知のとおりでありますが、我が国におきましては、環境対策に資する税制上の措置として、既にエネルギー環境変化対応投資促進税制や公害防止用の設備の特別償却、さらに特定の公害防止施設等に係る固定資産税の軽減などの措置を講じているところであります。しかし、発生源に対して重課をするという観点からの税制は今日まで採用いたしておりません。(拍手)
   〔国務大臣吹田ナ君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(吹田ナ君) 渡辺議員の御質問にお答えするのですが、ただいま大蔵大臣からお答えになっておりますが、自治省としましての立場からお答えをさせてもらいます。
 まず、地方交付税の性格についての御質問がありましたが、これは地方公共団体の固有の財源ではないかという御意見でありました。全く同感であります。長くは申しません、もう大蔵大臣が非常に詳しく御説明になりましたから。私も議員と同じような気持ちで、この交付税につきましては地方公共団体の固有の財源である、こういうふうに考えております。
 次に、第二問でありましたが、それは補助金あるいは負担金、こういったものを直ちに、先生のお話では八四年ベースに復元すべきではないか、いわゆる昭和五十九年度ベースに復元すべきではないか、こういうような御意見であったと思うのでありますが、これにつきましては、公共事業に係る補助金の率につきまして当面は昭和六十一年度の水準までに復元することとしておりまして、三年間の暫定措置としているわけであります。
 直ちに今議員のおっしゃったように五十九年度のベースに云々ということはなかなかいろいろな事情がありますが、その第一は国の財政の制約が極めて厳しい、これが一点であります。それから第二点は、やはり公共投資基本計画の目標達成等のために事業量の確保ということの要請があります。これが非常に強くなっておりますから、こういった状況下ではやむを得ない措置であるというふうに私は考えております。しかしながら、これからの取り扱いの問題につきましては、関係省庁で総合的によく検討を進めまして、暫定期間のこの三年間の中でできるだけ早く結論を出しまして、最大限の努力をして可能なものから逐次実施に移したいものである、こういうふうに考えておるものであります。
 第三問につきましては、補助金のカット等によっていわゆる自治体の格差、こういったものが進んでまいりまして、過疎もいよいよ進むのではないかというような御意見でありまして、私もそういったことがあってはならない。特に、地方自治体に対する御理解のある非常に温かい御意見でありますし、私もぜひそういう方向にならないように全力を挙げて尽くしていかなければならない。
 したがいまして、平成三年度の地方財政計画の策定に当たりましては、国庫補助負担率の暫定措置に伴う地方財政への影響額につきましては、地方団体の財政運営に支障を生ずることのないよう、所要の財源措置を講ずることにいたします。
 また、地方団体が実施する社会資本の整備につきましては、補助事業と単独事業に分かれますが、この補助事業につきましての地方負担額についてできる限りの財源の確保をいたしたい、こういうふうに考えておりますし、地方団体のいわゆる単独事業につきましては積極的に展開できるように、その拡大を図るような的確な財源措置を講じようとしておるところであります。さらに、地方団体の財政力格差の是正につきましては、かねてより地方交付税によりまして財源の均てん化ということを言われておりますが、特に傾斜配分というようなことで、これから努めてそういう過疎地に対しまして厚くなるような方法を考えていきたい、こう思っておる次第であります。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣下条進一郎君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(下条進一郎君) 渡辺議員にお答え申し上げます。五点あると承知しております。
 第一点は、ホームヘルパー、看護婦、保健婦等の具体的需給見通しをいつごろ出すかというお話でございます。
 高齢者保健福祉推進十カ年戦略、すなわちゴールドプランの推進に当たっては、ホームヘルパー、看護婦、保健婦等、保健医療・福祉分野のマンパワーを確保することが極めて重要であると認識しております。ホームヘルパーについては、ゴールドプランにおいて平成十一年度までに十万人を確保することとしており、このため、平成三年度においても前年度と比べて五千人増の約四万一千人とするなど、毎年度着実に増員を進めているところであります。また、看護婦、保健婦等看護職員については、平成元年五月に看護職員需給見通しを策定したところでありますが、ゴールドプランの実施、勤務時間短縮等の労働条件の改善などに伴う需要にも対応するため、現在、見直し作業を進めているところでございます。
 第二点でありますが、ホームヘルパーの国庫補助を現行の二分の一から四分の三に引き上げるべきではないかという御趣旨だと思います。
 このホームヘルプサービスに関する国庫補助率は、国と地方の機能分担や費用分担のあり方について関係者の意見を踏まえて、平成元年度より三分の一から現行の二分の一に引き上げられたものであり、適切なものと考えております。
 第三点、老人医療費の患者負担の引き上げ及び医療費スライド制は、老人を医療から排除するものではないかという御心配の点でございます。
 政府においては、本格的な高齢社会に向けて老人保健制度を改正し、介護についての総合的な体制づくり、介護に着目した公費負担の拡充と患者負担の見直しを行うこととしております。患者負担については、お年寄りと若人のバランス、他の施設や在宅のお年寄りとのバランスなどを考慮し、定額負担方式を維持しつつ、無理のない範囲での負担をお願いすることとしております。また、将来にわたり老人医療費に占める一部負担の水準を維持して、お年寄りと若人との間の負担の公平が確保されるよう、医療費の伸びに合わせて一部負担の額を改定する仕組みを導入することとしております。今回の改正は、お年寄りの必要な受診を抑制するものではなく、現役世代の負担軽減を通じて制度の長期的安定を図るために必要な改正と考えております。
 国民健康保険制度の状況についてのお尋ねでございまして、どういう認識を持ち、どういう対策を考えているかということでございますが、国民健康保険制度については、加入者の年齢構成が高いなどの要因を抱えていることから、これまで老人保健制度や退職者医療制度の創設等、一連の制度改革を実施してきたところであります。また、昨年六月には国民健康保険法の改正を行い、保険基盤安定制度の確立や国庫負担の増額など財政の安定化措置を講じたところであり、今回の老人保健制度の改正についても国保の財政の安定化に資するものと考えております。このような制度改正の効果等を踏まえながら、今後とも適切に対処してまいりたいと考えております。
 最後は、産業廃棄物を中心とするごみ処理についてでございますが、廃棄物の問題に対処するためには、国民の理解と協力を得ながら減量化や再資源化を進めるとともに、廃棄物処理施設の確保や不法投棄等の場合の規制強化などを総合的に実施することが重要であると考えております。このため、廃棄物処理法の改正案を今国会に提出するとともに、必要な諸施策を積極的に推進してまいります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣愛知和男君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(愛知和男君) 渡辺議員から御質問のございました、ODAや企業の海外進出に伴う環境保全の問題などにつきましてお答えを申し上げます。
 我が国のODAの実施並びに海外への企業進出に際し、現地の環境保全に配慮することは極めて重要でございます。そのため、政府といたしましては、平成元年六月三十日、地球環境保全関係閣僚会議において申し合わせをいたしました。政府開発援助の実施に際しての環境配慮の強化を図るとともに、民間企業の海外活動につきましても適切な環境配慮が行われるよう努力しているところでございます。これらを踏まえて、援助の実施機関である国際協力事業団及び海外経済協力基金では、環境配慮のガイドラインの策定、体制の強化等を進めつつあり、ODAの決定に当たって、これらのガイドラインによる審査、環境への影響調査等を行い、ODAに関する環境配慮の徹底を図っているところでございます。
 また、我が国の経済団体におきましても、昨年、環境保全に配慮した指針を作成し、投資先の国の環境保全に努めるべく努力しているところであると承知いたしております。
 環境庁といたしましては、引き続き関係省庁及び関係機関との連携を図りつつ、適切な環境配慮の確保に向け一層の努力を図ってまいりたいと考えております。なお、地球環境保全施策を効果的かつ円滑に推進するための政策のうち、税制につきましては先ほど大蔵大臣から御答弁がございましたが、環境庁といたしましても、経済的手段を含め新たな政策については、OECD等における国際的な動向も踏まえつつ、十分検討を加えてまいりたいと存じております。
 以上でございます。(拍手)
#37
○副議長(小山一平君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト