くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第120回国会 本会議 第11号
平成三年三月一日(金曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十一号
    ―――――――――――――
  平成三年三月一日
   午前十時 本会議
    ―――――――――――――
 第一 国務大臣の演説に関する件
 第二 湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、新議員の紹介
 以下議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(土屋義彦君) 開会に先立ち、御報告申し上げます。
 去る二月二十三日、議長は、皇居において天皇陛下に拝謁し、また、東宮仮御所において皇太子殿下にお目にかかり、立太子の礼につき、賀詞を奉呈いたしました。
     ―――――・―――――
#4
○議長(土屋義彦君) これより会議を開きます。
 この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第百七番、選挙区選出議員、青森県選出、松尾官平君。
   〔松尾官平君起立、拍手〕
#5
○議長(土屋義彦君) 議長は、本院規則第三十条により、松尾官平君を運輸委員に指名いたします。
     ―――――・―――――
#6
○議長(土屋義彦君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件
 日程第二 湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案(趣旨説明)
 以上両件を一括して議題といたします。
 日程第一について、大蔵大臣から平成三年度予算の修正について及び財政について発言を求められております。
 また、日程第二について、提出者の趣旨説明を求めます。橋本大蔵大臣。
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(橋本龍太郎君) 最初に、平成三年度予算の修正につきましては、後ほど財政演説の中でその概要について御説明いたしますが、去る二月二十五日、衆議院の御承諾を得ましたので、御報告させていただきます。
 政府は、さきに平成三年度予算を国会に提出いたしたところでありますが、今般、平成二年度補正予算(第2号)の御審議をお願いするとともに、平成三年度予算の修正を行うことといたしましたので御説明申し上げます。
 当面の財政金融政策につきましては、去る一月二十五日の財政演説において申し述べたとおりであり、その基本方針には変更のないことを改めて申し上げる次第であります。私は、我が国を取り巻く諸情勢を踏まえ、適切な財政金融政策の運営に引き続き取り組んでまいります。
 ここで、湾岸地域における平和回復活動に対する我が国の支援について申し述べます。
 政府といたしましては、湾岸地域における今般の事態が早期に終結し、中東において永続性のある平和と安定が一日も早く達成されることを強く望むものであり、さきに、このための関係諸国の行動に対し、国連安全保障理事会決議に従ってできる限りの支援を行う決意を表明し、また、我が国として国際社会におけるその地位にふさわしい支援を行うとの観点から、湾岸平和基金に対して、従来の拠出分に加え、新たに九十億ドルの資金を拠出することを決定いたしました。このための財源措置については、先般、従来の特例公債によることなく、新たに臨時的な税制上の措置を講ずることを基本として政府の考え方を取りまとめたところでありますが、今国会での御論議等を踏まえ、今般、政府としても、歳出の節減合理化等に最大限の努力を行うこととし、なお不足する財源について、新たに臨時的な税制上の措置を講ずることといたしたところであります。
 これらの措置を実施するため、平成二年度補正予算(第2号)を国会に提出するとともに、平成三年度予算の修正を行うことといたしました。
 また、これらに関連する法律上の措置について、湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案を国会に提出し、御審議をお願いしているところであります。
 今般の支援は、平和を希求する国際社会において主要な地位を占める我が国が積極的に果たすべき責務であり、これを適切に果たしていくためには、今日の国際社会の中にあって我が国国民があまねく平和を享受していることにかんがみれば、国民の皆様方にも広くその御負担をお願いせざるを得ないと考えております。御理解と御協力を切にお願いする次第であります。
 次に、平成二年度補正予算(第2号)の大要を御説明いたします。
 今回の一般会計補正予算(第2号)におきましては、歳出面において、以上申し述べました湾岸地域における平和回復活動に対する我が国の支援を実施するため、湾岸平和基金拠出金一兆一千七百億円を計上いたしております。他方、歳出の節減合理化に最大限の努力を行うこととし、既定経費について百十六億円を節減するとともに、予備費について二百五十億円を減額することといたしております。
 また、歳入面におきましては、その他収入について、その確保に努め、一千六百四十五億円の増収を見込むとともに、今般の支援に係る平成三年度以降の財源を確保するまでの臨時的措置として、臨時特別公債を九千六百八十九億円発行することといたしております。
 これらの結果、平成二年度一般会計第二次補正後予算の総額は、歳入歳出とも第一次補正後予算に対し一兆一千三百三十四億円増加して、六十九兆六千五百十二億円となっております。
 特別会計予算につきましては、国債整理基金特別会計及び外国為替資金特別会計において所要の補正を行うことといたしております。
 次に、平成三年度予算の修正の大要について御説明いたします。
 一般会計歳出予算におきまして、臨時特別公債に係る償還財源の国債整理基金特別会計へ繰り入れ二千十七億円を修正増加するとともに、この財源に充てるため、防衛関係費十億円、公務員宿舎施設費七億円及び予備費二千億円を修正減少することといたしております。
 また、防衛関係費に係る国庫債務負担行為を修正減少することといたしております。
 国債整理基金特別会計予算におきまして、歳入面において、今般創設される法人臨時特別税及び石油臨時特別税並びに臨時特別公債に係る償還財源の一般会計より受け入れ等を修正増加するとともに、歳出面において、臨時特別公債に係る償還費等を修正増加することといたしております。
 以上、平成二年度補正予算(第2号)及び平成三年度予算の修正について御説明いたしました。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。
 次に、湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 湾岸平和基金に対する新たな九十億ドルの拠出のための財源措置につきましては、従来の特例公債によることなく、平成二年度において税外収入の確保等を行うとともに、平成三年度一般会計予算の歳出予算等の節減を図り、なお不足する財源については、臨時的に国民の皆様方にも広く御負担をお願いせざるを得ないとの考え方から、一年限りの税制上の措置を講ずることとしたものであり、歳出予算等の節減による財源及び臨時の税収が入るまでの間はつなぎのための臨時特別公債を発行することにより、所要の資金調達を行うこととしたところであります。
 本法律案は、このための法律上の手当てについて、一括した法案により措置するものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、平成二年度補正予算(第2号)の歳出の財源に充てるため、同年度の外国為替資金特別会計から一般会計への繰り入れの特例措置を定めることとしております。
 第二に、臨時特別公債の償還に充てるため、平成三年度から平成六年度までの間の一般会計からの国債整理基金特別会計への繰り入れの特例措置を定めることとしております。
 第三に、税制上の臨時の措置として、一年限りの法人臨時特別税及び石油臨時特別税を創設することとしております。
 第四に、平成二年度補正予算(第2号)の歳出の財源に充てるため、一般会計からの繰入金及び臨時特別税の収入によって償還すべき臨時特別公債の発行を行うこととしております。
 第五に、平成三年度及び平成四年度の臨時特別税の収入は、国債整理基金特別会計の歳入に組み入れることとしております。
 以上、湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(土屋義彦君) ただいまの演説及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。小林正君。
   〔小林正君登壇、拍手〕
#9
○小林正君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、財政演説に関連して総理並びに関係大臣に質問いたします。
 昨年八月のイラクのクウェート侵攻という暴挙に端を発した湾岸危機は、国連安保理の十二に及ぶ決議を経て、一月十五日のデッドライン直後からの空爆開始によって湾岸戦争となりました。二月二十五日の地上戦突入によって最終局面に入ったこの戦争は、昨日、多国籍軍側のイニシアチブで事実上の停戦となり、イラクによる安保理全決議の受諾表明によって湾岸戦争は終結の段階を迎えました。国民がひとしく望んでいた停戦の実現を安堵の思いで受けとめるとともに、戦闘員、非戦闘員を問わず、戦争の犠牲になられた方々に哀悼の意を表します。
 戦争の悲劇を繰り返さず、この戦争を人類最後の戦争とするため、平和主義を国是とする我が国の立場から、平和への貢献をともに誓い合いたいと思います。
 七カ月間にわたるこの地域の情勢の推移への対応と、新たな段階における課題について、総理の御見解をお聞きしたいと思います。
 以下、中東危機発生以来今日に至るまでの政府の対応について質問いたします。
 まず、私ごとで恐縮ですが、私は一九三三年、昭和八年生まれでして、この年、日本は国際連盟を脱退しております。子供時代は、いわゆる十五年戦争のさなかでした。当時は非常時と言われ、子供たちの願いも非常時だからということでかなえられず、私は母に非常時はいつ終わるかと聞いたことを覚えています。また、物不足から代用品ばやりで、ランドセルは牛革からボール紙のしんにかわり、着るものはスフ、ステーキもビーフからホエールになりました。自来、私の記憶の中に非常時と代用品が結びついています。
 湾岸危機の発生以来、臨時、緊急、非常などの言葉が多く使われるようになりました。それと同時に、羊頭を掲げて狗肉を売るたぐいの代用品が横行し始めました。国連憲章上の国連軍でない多国籍軍が安保理決議の実現のために活動していること、国連、平和、協力と、三つのあらがいがたい言葉を積み重ねて憲法に違反する自衛隊の海外派遣を行おうとしたこと、国会開会中であるにもかかわらず、人道的を理由に国会を無視して特例政令によって自衛隊機の派遣に道を開こうとしていること、多国籍軍への追加支援九十億ドルの戦費を平和回復活動への支援としていること等々、七カ月間にわたる中東情勢の推移の中で多くの国民が心配し、中東への貢献について一致してできる課題を求めているとき、政府はこれを奇貨として四十五年にわたる憲法上の問題の決着を図るため、多国籍軍の性格は別として、平和、人道的立場などの美名を冠して意図を隠そうとしてきました。これはまさに羊頭狗肉と言わざるを得ません。
 ちなみに、ドイツでは基本法の問題は中東情勢の終局後の課題とすると聞いております。これは一つの見識ではないでしょうか。
 最近の新聞の歌壇の欄に、マレーシア在住の日本人の短歌が載っていました。「戦争に金みつぎたる我が祖国スイスになるとは夢のまた夢」。「東洋のスイスのむなしさ。」という選者の短評がありました。
 多国籍軍への追加支援九十億ドルについてお尋ねします。
 大蔵大臣、九十億ドルは財政にとって巨額であると思いますが、いかがですか。私の住んでおります横浜市三百三十万人の暮らしと教育、福祉などを賄う平成三年度一般会計予算とほぼ匹敵する額であります。日本は世界のGNPの一五%を占める経済大国として、国際社会における責任分担からすれば当然の支出ということになるのでしょうか。しかし、我が国は同時に借金大国でもあります。平成二年度末の国債と借入金を合わせた政府の長期債務残高は二百兆円を突破する見通しとなっており、大蔵省も財政の弾力性は回復できないと述べております。提案されている二次補正後の国債依存度も一〇・五%に上昇します。また、九十億ドルは我が国のGNPの〇・三%に相当し、一つの試算としては〇・六%GNPを低下させるとの指摘もあります。このことから、円安、金利高、景気後退というシナリオも予測されております。
 私は、前回の二十億ドルとともに、この追加支援の使途について、財政民主主義の原則から、国民は納税者として知る権利があり、政府は明らかにする責任を負っていると思います。また、憲法の立場からも、戦費調達のための国債の発行はつなぎであっても許されないと思いますが、大蔵大臣の御答弁をお願いします。なお、九十億ドルについては三月末までの戦費と言われてきましたが、戦争の終結という新たな情勢において、日本政府として、GCC、米国に対してどのような対応をされるのでしょうか、あわせてお伺いします。
 国民にとって重い負担となる平和への貢献策が、まさに破壊のためでなく戦災復興、建設、環境の回復への支援、貢献、さらに周辺諸国、アジア各国のこれと関連する経済的困難に対するものの一部となるならば、国民の支持と合意が得られるのではないでしょうか。
 次に、湾岸危機に伴う避難民の輸送に関する暫定措置に関する政令について、人道的立場を強調された首相にお尋ねします。
 我が国に法体系上特例政令というのは存在したのでしょうか。憲法四十一条では、国会は国権の最高機関で唯一の立法機関となっています。明治憲法においても、緊急勅令には立法府のチェックが明定されております。国会開会中に白昼堂々と国会の機能を無視し、議会制民主主義、文民統制の基本を危うくする挙に出たことは断じて認めることはできません。特例政令は直ちに撤回すべきだと思います。議会の子を師に持つ首相としてどうお考えなのか、承りたいと思います。
 なお、自衛隊機を派遣することについては、自民党サイドから、政治的なシンボリックな意味で戦闘地域へ日の丸を立てることが必要だといった意見もあるようであります。避難民のためというよりは湾岸貢献への政治的なアリバイづくりであれば人道的とは無縁だと思いますが、あわせてお伺いいたします。
 目に見える人的貢献への対応として、昨秋、医療先遣隊が派遣されました。関係者の言葉として、現地の実情について情報収集の不足から現地の事情に疎いという初歩的な問題で歓迎されず、以降の対応も困難になっていると聞いております。物資についても、右ハンドルの救急車などは象徴的な事例だと思います。現地の人々が真に求めているものの情報収集と対応、医療チームの現状について、外務大臣にお尋ねします。
 次に、政府の中東政策について伺います。
 この七カ月間の経過において、内外から外交不在、蚊帳の外、アメリカ・プラスワンなどの批判が出されました。この地域と日本との関係は、過去において植民地支配の歴史もなく、武器輸出への負い目もありません。第四次中東戦争とその後の石油危機のさなか、七三年、政府は二階堂官房長官談話の形で新中東政策を表明し、さらに七九年、第九十国会、本院においてパレスチナ問題について積極的な大平首相答弁がなされ、イラン・イラク戦争では和平の可能性を探るなど、歴代内閣は独自の中東政策を進めてきました。私は、我が国として、こうした歴史的経過を大切にし、国是としての平和主義に基づいて、この地域に恒久的な平和を確立するためのイニシアチブを発揮すべき段階だと思います。
 過日の首相の国会答弁をお聞きしていましたところ、湾岸危機に関して西側の一員としての責任を果たすという趣旨のことを言われました。冷戦の終えんという状況で、東西イデオロギー対立の構図をそのままに、この地域において西側という立場で臨まれるべきではないと思います。日本はやっぱり東洋、アジアの中の日本として、東の心でイニシアチブをとるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 既に、湾岸戦争の停戦と戦後処理、復興開発援助への対応について各国の動きが顕著になってきています。国内においても、宮澤私案、我が党の土井委員長の岩手談話が出されております。我が国のこの地域への平和の貢献として、戦後処理と復興開発援助を独自の貢献策として早急に策定すべきだと思います。そのために、国論を二分するような問題提起ではなく、国民各層に幅広い合意が得られるような条件整備を政府の責任においてすべきだと思います。平和の貢献に対する海部首相の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、私は、国連中心主義、国連の平和維持機能を前提に成立している我が国の外交という面から、一九四五年、第二次世界大戦末期に歩み出した国連が、九〇年代のポスト冷戦構造の国際社会に的確に機能し得ているか、検証すべきときにきていると思います。湾岸戦争は国連決議が引き起こした戦争だと言われています。しかし、多国籍軍による平和回復活動について国連は終始蚊帳の外に置かれ、デクエヤル事務総長も、湾岸戦争に関する知識は米英仏の三参戦国が二、三日ごとに安保理に報告するのを聞いているだけだ、この戦争は国連による作戦上の権限がなく、国連による戦争ではないと不満を述べたと伝えられております。
 冷戦の終えんで本来の機能を取り戻すことが期待された国連が、地域紛争解決の場面でこのような状況になっていることは、本来の平和維持機能が力による正義の実現に取ってかわられることを含んでおり、我が国の立場からも重大視しなければならないと思います。国連中心主義を唱え、多額の拠出金を分担している我が国がドイツとともに十分な発言の機会を与えられていないことは、敵国条項の問題とともに早急に改善されるべきだと思います。
 二十一世紀へ向けて存在感のある国連への改革について首相の見解をお伺いし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(海部俊樹君) お答えを申し上げます。
 中東情勢というのは、昨日のブッシュ大統領による多国籍軍の武力行使を停止するという提案、それをようやくイラクがすべて受け入れるという意思の表明があり、間もなく安全保障理事会でも政治的な合意が生まれてくると思っておりますから、完全な停戦とあの地域の平和回復に向かって強く進展していくことを私は願っております。
 この機会に、多国籍軍に参加している諸国がこの適切な時期に停戦を決断して提案をしたこと、この決断をたたえますとともに、同時に、犠牲になられた方々及びその御家族の皆さんには哀悼の意を表したいと思います。そして、これを契機として、湾岸地域における真の国際平和、真の安定というものが達成されていくように、皆が国連を中心にしてできる限りの協力をして、これを確固たるものに推し進めていく努力を引き続き積極的に続けていかなければならないと私は考えております。
 自衛隊の輸送機派遣に関する特例政令についてお述べになりましたが、あれはあくまで避難民の輸送という人道的かつ非軍事的な分野において、国際機関から要請を受けてとった対応策でございます。新たな政令を制定して政府の責任を果たした次第でありまして、この行為の取り消しは考えておりません。
 また、東西イデオロギーの対立の中でと言われましたが、御指摘のように、冷戦構造の発想を乗り越えつつあるということは私は何度もお答えをしてまいりました。同時に、今、世界は自由と民主主義と市場経済というものを普遍的な、基本的な価値として、みんながそこに集まってき始めた。その価値のもとで行動をしてきた我々としては、その今日までの旗印が間違いなかったということに誇りと自信を持つと同時に、志を同じくする諸国と協力して新しい国際秩序づくりに努力をしていかなければならぬという基本的な立場で臨んでおるところでございます。
 今、小林議員はここで、今後は東の心でイニシアチブをと仰せられましたが、私はその東の心というものが何を指すのか十分理解できませんが、もし自由と民主主義の価値というものに対抗した今までの東側のイデオロギーの心であるとするなれば、私はそれはとる考えはありませんし、また、地理的に西と東と分けて東の日本だとおっしゃるなれば、そういった東の、東洋のという地理的立場も私は超えて、世界の日本、国際社会の中の日本として、地球の日本として頑張りたい、このように受けとめておるわけでございますから、御理解をいただきたいと思う次第でございます。
 また、我が国として引き続き平和と安定のために協力してまいりますけれども、これは域内諸国のイニシアチブを一番尊重していかなければならぬと思いますから、あの地域の国が何を求め何を望んでおるかという要望等も十分踏まえながら、関係諸国や国連などと協力をし、まさに御指摘のように国民の皆さんの理解と御協力も強く求めながら政府としては対応を進めていきたい、こう考えておる次第であります。
 なお、湾岸戦争は国連決議が引き起こした戦争だと言われていますとおっしゃいましたけれども、私はイラクのクウェート侵略が引き起こした戦争であって、累次にわたる国連の決議は、このイラクのクウェート侵攻から起こった決議であると私は受けとめておりますので、その点は議員のお考えとはいささか違うわけでありますけれども、ただ、国連の機能を強化して、国連を中心にしながら世界の平和の新しい秩序をつくっていかなければならぬという御指摘や、なお、お触れになった敵国条項の問題等は、これは我が国としても極めて不本意な条項でございまして、我が国の役割に見合った地位を国連において確保していくことは極めて重要なことであります。
 今後、国際社会のためには国連を中心に積極的な協力もしていかなければならぬし、今日までも許される面で日本は国連に対しては十分な協力もしておるわけでありますから、今後とも一層人的、物的な両面で効果的な協力を行い、実績を積み重ねていくことによって国連の機能強化にも役立たせていきたいと考えておる次第であります。
 残余の質問は関係閣僚から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私からお答えを申し上げるべき点は三点ございます。
 第一点は、九十億ドルの金額について、財政にとって巨額であるかどうかという御指摘でありました。
 今回の支援は、国連安全保障理事会決議に従いまして、湾岸の平和と安定の回復のために行動しております関係諸国がさらに大きな負担を余儀なくされている湾岸情勢の現状、及び、安全保障理事会決議六七八に従って国連加盟国として我が国が国際社会における地位にふさわしい支援を行う必要があることなどを総合的に勘案し、九十億ドルの追加支援を決定したものでございます。
 我が国の財政につきましては、三年度末の公債残高が百六十八兆円にも達するなど、依然として極めて厳しい状況にあることは御指摘のとおりであります。今般の支援の財源措置につきましては、このような財政事情等も踏まえまして、後世代に負担を残す従来の特例公債によることのないよう、政府としても、従前に増して歳出の節減合理化などに最大限の努力を行いました上、なお不足する財源について新たに臨時的な税制上の措置を講じたところであります。
 また、前回の二十億ドルとともに今回の追加支援の使途についてという御指摘がございました。
 今回の九十億ドルの追加支援は、湾岸平和基金に対しまして拠出され、湾岸地域における平和回復活動を行っております国際連合加盟国の活動に対し資金協力を行うことを予定しております。具体的使途につきましては、国会でこれがお許しをいただきました後におきまして、湾岸アラブ諸国協力理事会及び関係諸国と協議の上、最終的には湾岸平和基金の運営委員会で決定されることとなりますが、政府としては、輸送関連、医療関連、食糧・生活関連、事務関連などの諸経費に充てる方針でございます。以上の点につきましては、政府といたしましても、前回の二十億ドルの支援と同様、国会での御論議等を通じて明らかにしてきたところでございます。
 また、憲法の立場から、戦費調達のための国債発行という御意見がございました。
 戦費調達のための国債の発行は許されておらないという御指摘でありますが、今回の九十億ドルの追加支援というのは、湾岸地域における平和と安定を回復するための国連加盟国の行動に対し、我が国の国際社会における地位にふさわしい支援を行おうとするものでありまして、憲法の掲げる平和主義、国際協調主義の理念に合致するものであると考えております。また、今回発行を予定しております臨時特別公債は、歳出予算などの節減による財源及び臨時特別税の収入により償還されるものでありますから、特定の償還財源の定められていない従来の特例公債とは相異なるものであると考えております。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(中山太郎君) 小林議員にお答えをいたします。
 まず第一に、九十億ドルの支出につきましては、既に大蔵大臣からお話がございましたので、重複を避けさせていただきたいと思います。
 第二に、自衛隊機の派遣問題でございますけれども、この湾岸危機に際しまして、日本は金の面のみならず人の面でも貢献を行うことが必要であり、我が国が行う人的な面での協力の分野として、避難民の救済は国際的な期待が極めて強い分野でございます。どの国にいかなる避難民輸送を要請するか等はIOMが決めることでございまして、政府といたしましては、IOMから要請があったその時点で検討をすることにいたしております。そのような要請があった場合に、政府としてまず我が国の民間機の利用可能性について探求することとし、我が国民間機が活用されないような状況においては、人道的見地から緊急の輸送を要する場合には、必要に応じて関係国際機関及び関係諸国からの必要な協力、支援を得て、自衛隊輸送機による輸送を行うこととした次第でございます。
 第三に、医療チームの現状についてというお尋ねでございましたが、サウジアラビアに派遣いたしました医療先遣隊の経験から、本邦に本務を有する医師、看護士等を最低でも三カ月派遣しなければならないというサウジアラビア政府の必要な条件がございまして、その条件を満たすには日本の医療事情がそれを許さなかったわけでございます。こういうことで私が決断をいたしまして、現実問題として、戦争が始まる前にその危険の高いところに医師が行くという自発的な御意思の方が極めて少なかったというのが、今回のこの湾岸戦争を通じての我々が得た貴重な経験でございました。
 こうした経験を踏まえて、我が国医療関係団体の御意見も承り、その後、被災民を対象とした活動を念頭に置きつつ、関係国や国際機関等を通じ現地事情の把握に努めますとともに、国内医療関係機関に協力を求めながら体制の整備に現在努めております。
 現在、湾岸情勢の推移も踏まえながら、実際の医療需要、相手国の意向などを勘案しながら、難民の方々を対象に我が国がどのような協力ができるかということを、WHOあるいは国際赤十字等とも連絡をとりながら準備を進めているところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(土屋義彦君) 大木浩君。
   〔大木浩君登壇、拍手〕
#14
○大木浩君 私は、自由民主党を代表して、ただいま報告のございました財政演説及び湾岸平和支援財源法案の趣旨説明について、総理及び関係大臣に御質問を申し上げます。
 今回のイラク軍のクウェート侵入は、自己の軍事力を過信した一人の独裁者によって引き起こされた不幸な事件でありましたが、幸いにして、武力による他国の侵略、併合は断じて許されないという国際世論の支持と、米国を初めとする多国籍軍の迅速な行動により、少なくとも軍事的には終結の段階を迎えております。私はここに、サダム・フセイン大統領の暴挙を許さず、国際正義を守るために敢然として戦場に赴いた多国籍軍兵士諸君の犠牲と勇気と使命感に対し、深甚なる敬意を表するとともに、新しい世界平和の秩序確立を目指して毅然として決断を下した多国籍軍派遣国の首脳の勇気ある行動を高く評価するものであります。
 本格的な地上戦の展開ともなれば、これまでの空爆とは異なり、多大な人的損害を伴うことは必至と思われておりましただけに、我々としてもできる限り地上戦への突入が避けられることを祈念したのでありますが、たび重なる多国籍軍側の呼びかけに対して誠意ある回答もないままに、クウェートに居座り住民に対する殺りく行為を続けるイラク軍に対し、多国籍軍が地上戦の展開により局面打開を図ったことはやむを得ない選択でありました。
 一部には、交渉の手段を尽くさないまま地上戦に入ったのは早過ぎたのではないかという意見もありました。確かにソ連とイラクからは和平に向かって種々の条件提示がありましたが、提案は、無条件撤退と言いながら、経済制裁の解除や国連決議の失効など、その真意を疑わせる条件が盛り込まれており、交戦中の軍隊として到底受け入れることのできるものではございませんでした。
 八月二日のクウェート侵攻以来、イラク軍は外国人を人質として拘束するという暴挙から始まって、ジュネーブ条約を無視して捕虜を人間の盾とし、またイスラエルの住宅地にミサイルを撃ち込み、さらには原油をペルシャ湾に流出させて環境を大きく破壊するなど、狂気の限りを尽くしてまいりました。和平協議を行う一方で、サウジアラビアにスカッドミサイルを発射し、クウェートの油井に火を放って焦土作戦に出ました。これ以上いたずらに日を送ることは、クウェートの国土とその生産施設の完全な破壊につながる情勢が生まれつつございました。
 私は、多国籍軍が国連決議の完全実施をイラクに迫り、平和回復のため地上戦に踏み切ったことが、結果として去る二月二十六日のフセイン大統領の撤退声明とその後の停戦条件受諾につながったものと考えます。総理は、この間の経緯をどう受けとめ、今後どう対処されるのか、御所見を承りたいと存じます。
 次に、我が国の国連協力と日米関係についてお伺いいたします。
 我が国は、安保条約により、米国の同盟国として自由、民主主義という共有の価値を積極的に守る立場にあり、同じ平和愛好国とはいっても、例えばスイスのように永世中立国としての道を選び、国連にも参加しておらない国とはいささか立場を異にするのであります。日米安保条約は、平和憲法、国連との協力とともに日本外交の基軸をなすものであり、戦後日本の平和と経済的繁栄に大きく寄与してまいりました。また、東西冷戦の解消がもたらされるまでの時期に、米国の軍事力がグローバルな抑止力として大きく作用してきたこと、また、当面このような米国の軍事力が引き続き国際警察力としての機能を果たすことも否定できない事実であります。
 他方、今回の多国籍軍の行動は、国連憲章第七章に基づく国連安保理決議により認められた武力行使でありました。国連の一員である我が国がこれに協力することは、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」することを宣言するとともに、「いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と述べている日本国憲法の規定にも一致するものと考えます。すなわち、我が国外交の二本の柱である日米関係と国連への協力とが今回の多国籍軍への協力に際しては一体となって機能しているものと考えますが、総理の御見解を伺いたいと思います。
 資源の少ない我が国は、相互依存の世界経済体制の中で生きていかなければなりません。貿易立国、科学技術立国を標榜する我が国は、文字どおり世界との協調の中でしか繁栄の道はなく、自主的に世界の平和と繁栄に協力していかなければならないことは当然のことであります。
 今回の湾岸戦争という事態に対処して、国際社会は、世界第二の経済大国となった我が国が平和憲法のもとでその国際責任をどう果たすのであろうかと注目しております。言葉をかえて言えば、憲法に基づく日本国民の平和主義外交は今大きな試練にさらされており、国際情勢の現実に対応した、より明確な位置づけを求められていると考えねばなりません。
 多国籍軍の兵士が血を流して戦っているときに、日本の国際協力は金だけでは不十分であり、自衛隊を含む人を派遣して汗を流すことも必要という議論がある一方で、一部の学者の間では、日本人はいわゆる良心的兵役忌避者の立場に立って、一切の軍事行動に協力すべきではないとの極論を吐く人もあるわけであります。しかしながら、日本は国家として自衛権を放棄したわけではなく、また、欧米におけるいわゆる良心的兵役忌避者たちは、宗教的信念に基づいてみずから武器をとって人を殺すことは拒否しておりますが、その代償として、戦火の激しい戦場で衛生兵として勤務し、あるいは自分の体を医薬品の実験に供するなどの危険な行為に従事しているのであります。
 いずれにしても、日本国憲法の掲げる平和主義は、他人にのみ危険な仕事を押しつけてみずからは一切危険に近づかないという思想を示すものではない、そのような思想は国際社会においても到底受け入れられないと考えますが、いかがでありましょうか。
 次は、湾岸対策であります。
 今回の湾岸の平和回復活動においては、米国を中心とした二十八カ国の多国籍軍が参加し、中でもクウェート奪回の先頭に直接加わった国々の血と汗を流しての努力を思いますとき、国連中心主義を標榜する日本外交は、人の面でも国際貢献を積極的に果たさなければなりません。前国会において国連平和協力法案が審査未了となった現在、さしあたり我々のなし得ることは湾岸戦争後の避難民流出に対処することであります。今後は、場合により数十万とも言われる避難民流出に有効に対処できる準備が必要であります。
 さきの国会において、自民、公明、民社の三党は、国連平和協力法案の論議を踏まえて、日本はその力量にふさわしい国際貢献が求められていると確認し、資金や物による協力ばかりでなく人の面で汗を流す必要があるとして、法制面の整備を行うことで合意しております。日本が国際社会の中で信頼されるためには、憲法の枠内においてでき得る最大限の国際協力を果たすべきだと考えます。政府では、既に北欧のPKOの実情などについて調査されているようでありますが、この法制化についてはどういう構想を持っておられるのか、今国会提出の見通しを含めてお伺いいたします。
 戦後、我が国は目覚ましい経済的発展を遂げ、今や世界一の援助大国となっておりますが、思い起こせば、第二次大戦直後から約十年間にわたり食糧や生活物資の不足に苦しんだ日本は、アメリカなどの友好諸国から食糧、肥料、医薬品等の援助を受け、これが復興の原動力となったのであります。こうした歴史を振り返るならば、湾岸戦争の終結後我々がまず実行すべきこととしては、戦争により被害をこうむった住宅、道路、橋などの施設の復旧作業や、子供や傷ついた人々に対する人道的立場からの食糧供与、医療活動等を挙げることができると思います。さらに、今回のイラクによるペルシャ湾への大量原油流出という環境テロは許しがたい暴挙で、深い憤りを覚えるのでありますが、我が国は、環境先進国として率先して技術、資材を提供し、汚染の回復を図るべきであります。
 今回の戦争に至る経緯を顧みて強く感ぜられることの一つは、何ゆえにイラクはあのような侵略に走るまでの軍事大国となったかということであります。ソ連、フランス、中国等からの武器供与がなければ、事情は大きく異なっていたのではないでしょうか。幸い我が国は武器輸出を禁止している国として、核、生物・化学兵器はもちろんのこと、通常兵器を含めた武器輸出の禁止、軍備管理について国連等の場でこのことを強く訴え、冷戦後の地域紛争の防止に貢献すべきではありませんか。
 以上の諸点を含め、我が国として湾岸地域の国際的な平和維持にどう対応するのか、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
 次は、九十億ドルの財源問題であります。
 いかに緊急の予期せぬ事態とは申せ、既に巨大な債務を抱えている政府としては、赤字公債の発行に頼って、この負担を我々の子孫に回すべきではありません。多国籍軍の若者がとうとい血を流して平和の回復に努力していることを思えば、我々日本国民も、安易な方法で財源を確保するのではなく、直接痛みを分かち合う覚悟が必要であります。同時に、政府としても既定経費の節減合理化になお一層努力せねばなりません。
 政府は、今般の財源措置として石油税及び法人税の増徴を予定しておりますが、何ゆえこの税を選んだのか、広く国民全般が負担を分かち合うという考え方と一致するのか、また国民生活や中小企業を含む日本経済に与える影響についてはどう見ておられるのか、総理及び大蔵大臣の御答弁をお願いいたします。
 最後は、湾岸戦争後の外交的対応であります。
 八月二日の危機発生以来の各国の動きを見れば、中東における域内及び域外諸国の立場は極めて複雑であり、東西冷戦の解消が直ちに安定した国際関係を形成するとは言い切れない国際社会の現実を改めて我々に見せつけたと言うべきであります。今後は、この地域における域内諸国間の合従連衡と、米ソを初めとする欧米諸国の影響力争いが始まると考えられますが、日本政府としてはどのような方針でこの地域の安定と復興に寄与しようとするのか、総理のお考えをお伺いいたしたい。
 また、外交当局としては、具体的な政策立案のためにどのような調査研究を進めておられますのか、外務大臣の御答弁を得たいと思います。
 なお、湾岸戦争が終われば、中東における諸問題の解決のために関係国による国際協議が行われると存じますが、どうか日本政府としても積極的にイニシアチブをとって、九十億ドルの貢献に見合う力強い外交を展開していただくようお願いする次第であります。
 質問を終えるに当たって、一言申し上げたいと思います。
 本日議題となっておる九十億ドルの支援を定めた第二次補正と関連法案は、今後日本が国際社会で信頼される一員として活動するためのいわば重要なパスポートであります。私は、参議院における与野党逆転という政治情勢の中で、国政の責任の一端を担う公明党、民社党の御賛同を大いに評価いたすものでありますが、最大野党の社会党が、イラクも悪いがアメリカも悪いという二者同列視の立場から、多国籍軍とイラク双方の即時停戦を主張してこられたのは、まことに理解に苦しむところであります。
 社会党の議員の中にも、反戦を叫ぶだけで済ませたり、絶対平和の手段のみで対処することは、武力行動を結果的に容認し、利することにつながり、逆に戦争への道に近づいてしまう、一番喜ぶのはフセイン大統領ではないかとの御意見があったと聞いておりますが、私も全く同感であります。良識の府と言われる参議院の議員諸君が、こうした同僚の訴えに十分耳を傾け、一党一派の枠を超えた高い立場から、国連決議に基づく多国籍軍の正義と秩序の回復を目指す行動を正しく評価し、一致して支援されることを心から期待するものであります。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(海部俊樹君) 大木議員にお答えをいたします。
 多国籍軍が地上戦に踏み切ったことが今回の撤退声明につながったと思うが、この経緯をどう受けとめるかというお尋ねでございましたが、私は、今率直にここで申し上げるなれば、もう百時間早くイラクが要請を受け入れて無条件完全撤退の決意表明と行動に移ったならば、地上戦もなく、犠牲も少なかったのではないかと、遅過ぎた決断をむしろ今は残念に思うわけでありますが、大木議員がおっしゃるとおり、決議だけでは何も行われなかったというのがこの五カ月以上にわたるイラクの態度でございました。反省も行動もない態度に対して、決議するだけでは、結果として武力による侵略、併合を認めてしまうことになるわけでありますから、地上戦は全くやむを得ない措置であったと私は考えておりますし、それが今回の撤退声明につながっていったというお考えは私も同感でございます。
 また、我が国外交の二本の柱である日米関係と国連への協力が今回の多国籍軍への協力に対しては一体となって機能していると考えてよいかと、こういうことでございますが、私は、今回のアメリカを中心とする多国籍軍の国連決議に基づく平和回復への行動というのは、それぞれの国がそれぞれ経済的な苦しい事情も乗り越えて、また人間的な犠牲をも顧みずに、国際社会の大義に従って行動をとったというその決断に対しては率直に敬意を表しながら、しかも一刻も早く平和的解決が訪れるように願い続け、求め続けてまいりました。
 私はブッシュ大統領と二十三日にも話をいたしましたが、そのとき電話で、人間的な悲劇を避け戦火を収束するためにさらに一層の努力もしていきたい、イラクに対しては無条件完全撤退を速やかに受け入れるように我が方もできるだけの努力をしていきたいと思っておるが大統領はどうかと言ったときに、大統領も、自分は楽観はしていないけれども、イラクの撤退と平和解決に向かって希望は捨てていないということをはっきりと言い、日米間がその他の多国籍軍との協調の中で平和解決に向かって結束し行動することができたということは、国連決議に基づいた行動であるだけに、これはともに今回の場合大きく成果を上げたものと私も考えております。
 また、お触れになった、さきの国会における平和協力法案の論議を踏まえて、人の面でも汗を流す必要がある、新しい国際協力についての法制面の整備を急げという御指摘でございますが、私は、あのときの議論を踏まえ、自由民主党、公明党、民社党の三党合意に基づいた新しい国際協力のあり方についての指針も示していただいておるところであり、また過日のNHKテレビの全国放送を聞いておりましたが、世論調査のあの速報値を見ても、国民の皆さんも徐々にこの問題についての御理解と御認識を深めていただきつつあるものと、心から感謝の気持ちであのテレビ放送を私も見ておりましたけれども、そういった内外の意向を踏まえて、できる限りの国際社会に対する貢献を今日の日本の立場として最大限に行っていかなければならない、そのために三党合意に基づいた成案をできるだけ早く得たいと思って政府はただいま努力をしておるところでございます。
 また、武器輸出の問題につきましては、核兵器、生物兵器、化学兵器、これはもちろんのこと、通常兵器をも含めたいわゆる武器輸出の軍備管理等について国連の場で強く訴えていくべきであるという御主張には私も全く同感でございますし、また、そのため、過日の施政方針演説におきましても、またニューヨークにおける私の講演の際にも、これらの問題について日本は、武器輸出禁止三原則を持っておる国として、また通常兵器の移転についても、透明性、公開性の増大や各国による適切な管理の強化が必要であることを訴えておりますけれども、今後とも、この問題については国際的な取り組みの強化が図られていくように、我が国として積極的に行動をとっていきたいと考えております。
 また、湾岸地域の国際的な平和維持、安定と復興にどのように対処していくつもりかと。私はあくまであの地域の持つ特殊性や、あの地域のイニシアチブというものを尊重して、その意向と要望を十分踏まえながら我々は協力、支援をしていくべき立場であるというのが基本でございますけれども、今回幸いに湾岸地域においての武力行使は終わりましたが、それは経済の復興と軍備管理のみですべてが終わるというものではありません。行き先には中東問題についての大きな不安定要素があり、かつ恒久平和達成のためにはパレスチナ問題についての解決が不可欠なものとなってまいります。
 先日の国連事務総長の最後の心血を注いだアピールの中にも、また九月に私が国連で聞きましたミッテラン大統領の提案やブッシュ大統領の提案においても、やはりここで局面を打開して中東の平和を今取り戻したときには、さらに次の段階としてアラブ・イスラエル間のパレスチナ問題を含む恒久的な解決の国際的な話し合いが必要であるということは皆それぞれ触れておるわけであり、我が国はまた二百四十二号の決議、三百三十八号の決議、これはともに支持をして、地域の恒久平和達成のために今日までも意見は表明してまいりましたが、今後も中東和平達成のためにこれらの問題と積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 残余の質問については関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大木議員にお答えを申し上げます。
 二点ございますが、第一点、既定経費の節減合理化に一層努力すべきという御主張につきましては、そのとおりでありまして、私どもは従前から、行財政改革を初めとして歳出の節減合理化等の努力を心がけてまいりました。今回の九十億ドルの追加支援の財源措置につきまして、今国会での御論議などを踏まえながら、今般、すべて増税措置によるのではなく、政府としても従前にも増して歳出の節減合理化などに最大限の努力を行うこととし、なお不足する財源について新たに臨時的な税制上の措置をお願いすることとした次第であります。
 歳出面における諸措置を講じましてもなお不足する財源について、臨時的に国民に広く御負担をお願いせざるを得ないという状況の中で、私どもは、国民の御協力を得る上でわかりやすい内容であること、国民生活などへの影響、また税収確保の確実性や納税者の便宜、そういった観点なども総合的に勘案し、法人臨時特別税及び石油臨時特別税を創設させていただきたいとお願いをいたしております。今般の財源措置は、その規模などから考えてみましても、現在の我が国の経済の基調に影響を与えるものとはならないと考えておりますが、いずれにせよ、政府としては、今後ともに内外の経済情勢などを総合的に勘案しながら、国民生活の安定等に万全を期していく覚悟であります。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(中山太郎君) 大木議員にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、日本国憲法の掲げる平和主義は、他人にのみ危険な仕事を押しつけて、みずからは一切危険に近づかないという思想を示すものではない、そのような思想は国際社会においても受け入れられないと考えるがどうかというお尋ねでございました。
 歴史的変革期に当たっての世界におきまして、国際社会で主要な地位を占めるに至りました我が国としては、みずからの役割と責任を自覚し、新しい国際秩序づくりのために積極的に世界に貢献していくことが我が国自身のためにも重要だと考えております。平和とは、国際社会を構成している各国が互いに力を合わせて協力しながら獲得し、また守っていくべきものであり、平和国家とは、国際社会の一員としてこのような平和を守る責任を果たす用意がある国のことであると考えております。そして、私は、我が国憲法の掲げる平和主義はこのような理念にのっとったものであると確信をしております。
 このような考えに基づきまして、我が国は、この平和憲法のもと、持てる経済力、技術力、経験を生かして世界に貢献していく方針であり、従来より平和のための協力を含む国際協力構想を強力に推進してまいりましたが、今次湾岸危機におきまして、我が国は国連を中心とする国際社会の一致した行動を積極的に支持、支援してきたこともその一環でございます。これは、まさに平和を守る責任を果たしていくとの決意のあらわれでありまして、これが平和国家日本として我が国が名誉ある地位を築いていく道であると信じております。
 我が国としては、今後とも、国連を中心に志を同じくする諸国と協調しつつ、平和憲法の理念のもとでなし得る役割を積極的に打ち出し、世界の平和と繁栄のための外交を積極的に展開してまいる覚悟であります。
 次に、政府は湾岸戦争後の具体的な外交政策立案のためにどのような調査研究を進めているかというお尋ねでございました。
 イラクがクウェートから撤退をし、戦闘が停止されたことは極めて喜ばしいことでございますが、今後なお、戦闘の本格的な停止、安全保障理事会での政治的解決等が残っているわけでございます。我が国といたしましては、引き続き、湾岸地域の平和と安定の回復のため、積極的に努力をしていくことが必要であると考えております。湾岸に平和が回復された後にも、我が国としては域内諸国の努力を尊重し、支援しつつ、経済の復興、安全保障、軍備管理、パレスチナ問題の解決等の面での国際協力に対し、関係諸国とも協力しつつ適切な対処を行ってまいる所存であります。
 二名の外務審議官を既にイスラエルとエジプト、サウジアラビア、シリア、アルジェリアの四カ国にそれぞれ派遣し、我が国の立場からいかなる対応が可能であるかについて先方政府関係者と既に協議をさせておるところでございまして、一方では情報調査局長を米国に派遣し、米国政府関係者とも協議をせしめております。さらに、在外公館等を通じまして情報収集を行うとともに、関係国に駐在をしております各大使より特に意見を聴取し、これらを分析、検討しているところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(土屋義彦君) 片上公人君。
   〔片上公人君登壇、拍手〕
#19
○片上公人君 私は、公明党・国民会議を代表しまして、ただいま議題となっております平成二年度補正予算(第2号)及び湾岸地域支援財源確保臨時措置法案につきまして若干の質問を行うものであります。
 昨日の米国ブッシュ大統領の戦闘停止宣言により、湾岸戦争は事実上終結を迎えました。一月十七日の多国籍軍による空爆開始以来一カ月半ばを経て、ようやく湾岸戦争の戦火が静まり、クウェートは解放され、中東に平和がよみがえりましたことは、まことに喜ばしい限りであります。しかし、この間、多国籍軍、イラク軍将兵はもとより、中東湾岸地域において一般市民を含めて多数のとうとい人命が失われ、また傷つき、さらに原油流出、油井火災に象徴される大規模な環境破壊など、悲惨な状況が現出いたしましたことは遺憾のきわみであります。この湾岸戦争の責任は、すべて国際ルールを完全に無視し続けたイラク政府にあると言わざるを得ません。
 もとより我が党は、戦争には反対でありますが、平和解決への懸命の努力の後とらざるを得なかった国連決議に基づく多国籍軍の行動を理解するとともに、クウェート解放への努力を深く多とするものであります。また、今回の多国籍軍への九十億ドルの追加拠出についても、増税の痛みを伴うものではありますが、我が国の国際的責務を果たす観点から、やむを得ないものと考えるものであります。これは、何よりも多国籍軍が国際の平和と安全を維持するという国連の理念を実現すべく努めたからにほかなりません。
 昨年八月来の湾岸危機、引き続く湾岸戦争は、ひとえにイラクのクウェート侵攻に起因するものであり、これに対し国際社会が国連を中心に一致して対応したことは、ポスト冷戦期における地域紛争を解決するための初めてのケースとなったのであります。最終的には国連決議に基づき武力行使に踏み切らざるを得なかったのでありますが、戦争が終結した今、総理は、今回の湾岸戦争のこれまでの経緯を振り返って、ポスト冷戦時代における国際紛争解決のあり方はどうあるべきだと思われているのか、また、今後日本の対応はいかにあるべきか、率直な御認識を伺います。
 米国は、イラク軍事力の徹底破壊の上に、フセイン政権の打倒も意図しているようにも見受けられましたが、昨日のブッシュ大統領の演説に示されるように、イラクの軍事的脅威がなくなった以上、戦後の地域安定を図る見地から、多国籍軍の駐留は短期間とすべきと考えます。戦後処理について総理の考えをお示し願いたい。
 事実上停戦が実現した現在、戦火を浴びたクウェート、イラクの一般市民や避難民に対する人道上からの救済と、原油流出、油井火災などの環境破壊対策を講ずるため、要員派遣を含む緊急援助に速やかに着手すべきであります。国連などと協力し、緊急援助物資の即時提供はもとより、救急医療団の派遣や、環境破壊対策や都市機能を初め経済社会基盤の復旧整備に当たる専門家派遣など、我が国の今こそ目に見える形での協力が国際社会から期待されていると考えますが、総理の見解を伺います。
 既に我が党は、戦後の中東湾岸地域の復興や民生安定、環境破壊対策などのため、中東平和復興基金を設立し、思い切った資金協力を行うよう提案いたしておりますが、政府は戦後の復興協力にどのような構想を描いておられるのか。また、今回の多国籍軍への九十億ドルの追加拠出は残余が生じる可能性が極めて高くなったと思いますが、残余が生じた場合には戦後の復旧の費用に充てるべきと考えますが、GCCに対し具体的な支出項目を示されるのか、伺いたいのであります。総理の御認識をお示し願います。
 国際社会は、今回の湾岸戦争から、先進諸国を中心とした歯どめのない武器輸出が軍事大国を出現させ、地域紛争を惹起する重大な要因となるという教訓を得たと思います。そこで私は、戦後の中東湾岸地域の安全保障を確立する上からも、またポスト冷戦期の国際的な安全保障を国連を中核として形成していく上からも、武器輸出禁止三原則を厳守してきた我が国の経験を踏まえて、国際的な武器移転規制の枠組みを樹立するよう、広く国際社会に訴えるべきであると考えます。総理の御認識を承りたい。
 今後も、地域の覇権をねらう軍事大国が出現するおそれは十分考えられます。そのため、私は、必要最小限の防衛力を超えて軍事費を拡大している国には、我が国ODAの供与を制限することも考えるべきであると思います。また、ODAが軍事的観点とともに環境破壊につながっているとの指摘もありますが、地球環境に関する観点をも踏まえた国際協力基本法を早急に確立すべきであると主張いたしますが、総理の見解を明らかにしていただきたいと思います。
 さて、今回の補正予算の眼目である多国籍軍への九十億ドルの追加拠出は、明確な積算根拠が示されておりません。先般発表された米国の補正予算には、米国の湾岸危機、湾岸戦争に関する経費として、我が国からの九十億ドルが計上されておるとも伝えられております。政府は、九十億ドルは湾岸平和基金に拠出され、その使途も我が国の意向が反映される旨、繰り返し答弁しておりますが、米国の認識とは相違があると感じるのであります。今回の九十億ドルは、国民に新たな負担をお願いすることになるのであります。九十億ドルの追加拠出の経緯、使途について、明確に説明いただきたいと存じます。あわせて、九十億ドルの支出結果について、国会、国民に対しその詳細を報告することを約束願いたいと思いますが、総理の明快な御答弁を求めます。
 次に、九十億ドルの財源についてお尋ねします。
 政府が、当初の全額増税による負担の方針を、我が党の主張を入れて、防衛費の一千億円削減について政府として誠実に措置すると答弁されております。これは、新中期防の三年後の見直しに際して防衛費が実質一千億円削減されることを政府が明確に約束されたものと確認しておりますが、総理の明確な御答弁をお願いいたします。
 なお、あわせてただしたいことは、防衛力のあり方であります。
 ここ一、二年間の国際情勢は、米ソ関係を中心とする東西関係が対立から協調へと変化し、冷戦の終結を見ているところであります。我が国周辺でも、対中国・ソ連との関係、朝鮮半島情勢が好ましい方向に向かっております。このような状況下で、今後五年間に現中期防を上回る二十二兆七千五百億円の新中期防を決定したことは理解に苦しむところです。内容的にも、イージス艦といった米国しか保有していない最新の正面装備を調達することとしておりますが、これらは、ソ連脅威が減少しつつある今日、どうしても必要な装備とは考えられないと思います。新中期防は三年後に見直すことになっておりますが、その際大幅に下方修正すべきであると思いますが、総理の見解を伺いたい。
 中東への自衛隊機の派遣問題について伺います。
 政府は、去る一月二十五日、新政令を制定して自衛隊に避難民の輸送の任務を与え、今回は緊急事態であり、臨時応急の措置は百条の五の予定する範囲であるとしています。自衛隊法の改正を行わずに政令のみで行おうというのは、我が国の法体制を無視した、国民主権を否定する重大な問題であります。緊急事態といいながら、政令制定後一カ月を経過するのに、国際機関から輸送の要請は来ておりませんし、臨時応急的な措置というのも納得できません。しかも、湾岸戦争が事実上終結した今日、自衛隊機でなければならないという必要性自体、既になくなってしまったと考えます。法治国家、民主国家として世界の国々の信頼を得るためにも、このような政令は廃止すべきであると思いますが、総理の明確な答弁を求めます。
 次に、財源関連法案について伺います。
 第一に、本法案は、九十億ドルの財源調達を図るため、臨時特別公債の発行をもって充てることとしております。その発行額は九千六百八十九億円と、当初の全額を増税で充当する政府案を、我が党の要求を受け政府みずからが修正して減額いたしました。この点は高く評価するものであります。しかし、公債依存度は、当初予算の八・四%、第一次補正予算後の九・三%からさらに高まり、一〇・五%となっております。政府の進める第二次段階の財政再建は一層困難になったのではないかと懸念するものであります。当面の財政再建の進め方について明らかにしていただきたい。
 第二に、本法案では、支援拠出金はその償還のため、法人税、石油税の増税収入をもって充てることとしております。今回の増税の税目を法人税や石油税に限定したのはいかなる理由によるか、明らかにしていただきたい。
 第三に、国民生活や中小企業への影響であります。法人税の二・五%増税は中小企業にとっては負担となり、石油税の増税は石油関連製品の値上がりにつながり、物価上昇を招く懸念が払拭されておりません。具体的な便乗値上げ防止策、物価抑制にどのような対策をお持ちなのか、総理の御見解をお伺いいたします。
#20
○議長(土屋義彦君) 片上君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
#21
○片上公人君(続) 次に、エネルギー問題について伺います。
 世界の石油資源は有限であり、代替エネルギーへの研究開発は長期的展望に立って積極的に対応すべきと考えます。技術的にも発達している我が国は、その開発に全力を入れるべきであります。このことが世界のエネルギー供給を安定させ、ひいては世界の政治・経済的な安定に貢献することとなるのではありませんか。総理の所見をお聞きしたい。
#22
○議長(土屋義彦君) 片上君、簡単に願います。
#23
○片上公人君(続) 最後に、戦後復興のための日本の貢献策について。
 血を流さない日本が、商売になると真っ先に手を挙げるという誤解と批判が一部にあることも事実であります。今、まさに、自己犠牲の精神に徹する覚悟が必要だと思います。そういう意味で、日本は、戦争と紛争の火種を除去し、世界から恐怖と欠乏を追放するために渾身の努力をすることが、国際社会で信頼され尊敬される真の平和国家になると思いますが、総理の所信をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(海部俊樹君) 片上議員にお答えを申し上げます。
 ポスト冷戦時代における国際紛争解決のあり方はどうかとおっしゃいますが、私は、何よりも大切なことは、国連を中心として、力による侵略は絶対に許さないという国際社会の正義の立場を、国際社会において皆が認めてこれを守っていくことにあると、こう考えております。今後ともその方針で、志を同じくする諸国と日本も積極的に努力をしてまいります。
 また、戦後の地域安定のために、多国籍軍の駐留は短期間とすべきと考えるとおっしゃいました。私は、戦後の地域安定のためには一定期間は多国籍軍の駐留が必要であると思いますけれども、現に国連の安保理事会において今いろいろな動議が出されたり提案がなされておる。その中で、戦後処理については国連を中心にいろいろなことが考えられていくと思います。私は、そういった関係国の要請やあるいは国連の努力によって、あの地域の戦後処理問題については、関係諸国のイニシアチブを尊重しつつ協調が図られて対処さるべきものであると、このように考えます。
 また、中東平和復興基金の構想もお述べになり、いろいろとこれに対してどう考えるかということでございます。私は、まず今は戦闘を本格的に停止させなければなりませんので、安保理での政治的解決の問題などが残っておりますが、それが終われば引き続き我が国も平和と安定の回復のために努力をしていくわけでありまして、具体的にどのような方策が一番適切であるかということは、国連との協力や関係諸国、当該地域の国々の要求や考え方を尊重しながら、できるだけ対応を進めていきたいと考えております。
 九十億ドルの問題につきましては、政府は、関係諸国が湾岸の平和と安定の回復のための活動に要する諸経費のうち、輸送関連、医療関連、食糧・生活関連、事務関連などの諸経費に充てる方針で湾岸平和協力基金に出しておるものでございますから、戦後の経済復興の問題に関しての活動に係る経費にも、もし余ればそれは充当されることになると、私はそう受けとめております。
 また、国際的な武器移転規制の枠組みについてお触れになりましたが、政府といたしましては、そのお考えに全く賛成でございます。私も施政方針演説の中で明らかにしたところでございます。
 また、ODAの供与を必要以上の防衛力を持とうとしておる国には制限すべきではないか、あるいは環境破壊につながっているという議論もあるから、このODAの問題は仕組みその他も考え直したらどうかという御質問でございました。そのことについては、私も、御質問の御趣旨を念頭に置きまして、現在行っております仕組み、枠組みの中で十分配慮し、今後の供与に当たってはそういった配慮をしながら行っていきたいと考えます。
 九十億ドルの使途については、運営委員会を通じて資金供与後、その使用について報告を受けることになっております。報告が参りましたら、適切な方法で皆様に明らかにしたいと考えております。
 また、防衛費について一千億円の削減となるかどうかと仰せられましたが、私は、既に申し上げましたとおり、政府としては、このことを措置いたしまして、誠実にこれを実行してまいりたいと思っております。
 新中期防は、国際情勢の変化等を勘案しつつ、効率的で節度ある防衛力の整備に努めるものでありますが、いずれにしても、憲法及び専守防衛の基本的防衛政策に従うとともに、昭和六十二年の閣議決定の節度ある防衛力の整備という基準を精神とともに引き続き尊重することは言うまでもございません。
 また、湾岸危機に伴う避難民輸送につきましては、今後とも、避難民の発生状況などを踏まえて、関係国際機関から具体的な要請があれば、我が国民間機が活用されないような状態においては、人道的見地から対応しなければならないと思っております。
 石油製品の問題についてお触れになりましたが、私もその動向に十分な注意をいたしておきます。ただいまのところは、幸いにも原油価格は安定というよりも値下がりぎみの状況もあり、また一般の物価問題については、御指摘のように便乗値上げを許さないというところで価格行政の指導も今政府は率先してやっておりますから、最近の四カ月だけでも毎月一リットル当たり二円余りガソリンの小売値段が低下してきておるという事実等も踏まえながら、こういったことについてさらに一層の努力をして、物価の安定には万全を期していかなければならないと、積極的に取り組んでおります。
 また、エネルギーについてお触れになりましたが、長期的な展望に立って代替エネルギーの開発導入を行うことは、エネルギーの安定供給を確保するために必要なことであり、御指摘には同感でございます。
 また、商売になると日本はすぐ手を挙げて出ていくのはよくない、世界から恐怖と欠乏を追放するために渾身の努力をすることが国際社会で信頼される真の平和国家になる道ではないかとおっしゃいましたが、この点も全く同感でございます。
 残余の問題は関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(橋本龍太郎君) 片上議員にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、今回の臨時特別公債と当面の財政再建についてのお尋ねでありました。今般の措置は、湾岸平和基金に対します新たな拠出のための財源措置として、歳出の節減合理化などに最大限努力を行いました上、なお不足する財源につきましては新たに税制上の措置を講ずることとして、税収が入ってまいりますまでの間のつなぎのための臨時特別公債を発行させていただくものであります。同公債は、歳出予算等の節減及び臨時の税収による財源をもって適切に償還されるものである点で、従来の特例公債とは異なり、また長期的に公債残高を累増させるものではございません。
 したがって、今後の中期的な財政運営に当たりましては、来るべき高齢化社会に多大の負担を残さず、再び特例公債を発行しないことを基本とし、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げることを目指すという基本方針には何ら変化を加える必要はありませんし、引き続き財政改革を強力に推進していく所存でございます。
 また、今回の増税のお願いをいたしますについて、法人税と石油税に限定した理由というお尋ねがございました。歳出面における諸措置を講じましてもなお不足する財源につきまして、臨時的に国民に広く御負担をお願いせざるを得ないという時点におきまして、まず私どもが考えましたのは、国民の御協力を得る上でわかりやすい内容であること、また国民生活への影響など、あるいは税収確保の確実性や納税者の御便宜といった観点なども総合的に勘案しました結果、法人臨時特別税及び石油臨時特別税を創設させていただきたいとお願いを申し上げております。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○議長(土屋義彦君) 市川正一君。
   〔市川正一君登壇、拍手〕
#27
○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の湾岸戦費調達のための第二次補正予算案及びその財源確保法案に対し、総理並びに大蔵大臣に質問いたします。
 湾岸戦争は、昨日、事実上終結を見ました。日本共産党は、イラクのクウェート侵略、併合に終止符が打たれ、戦争が終結することを歓迎するものであります。
 その上に立って、初めに総理に伺いますが、今後の終戦処理と戦後の復興などの諸問題は、特定の大国の覇権主義の思惑によるのではなく、この地域のすべての諸国、諸民族の自決権の厳格な尊重を基礎に、国連の責任のもとに推進さるべきであります。そのことによってこそ、中東に真の公正な平和の回復を実現することができると考えるのでありますが、所見を承りたい。
 日本政府は、今こそこうした立場に立って、武力行使と戦力保持を禁止した我が国憲法の平和的、民主的原則に基づいて、自主的な努力を尽くすべきときであります。その見地からすると、今回の多国籍軍への九十億ドル支出はそれに反するものと言わなければなりません。国民の間では、戦争が終結したのになお戦費の九十億ドルを支出するのか、昨日、衆議院でこの九十億ドル支出に賛成した党はそれが応分と見ているのかなどの疑問が広がっております。
 総理は、戦争が終わればこの九十億ドルは戦後の復興に充てるなどとも言われておりますが、しかし、本年二月二十二日、アメリカ議会にブッシュ大統領が提出いたしました湾岸戦争補正予算の関係文書、ここに現物がございますが、それによりますれば、この九十億ドル全額が「砂漠の盾」、「砂漠のあらし」作戦に充てられ、すべての経費を支払ったあとの残額は全部アメリカの国庫に返入されると明記されております。戦後の復興に使われる仕組みなどにはなっていないということを御存じなのでしょうか、総理に承りたい。
 その上に立って、第一に明らかにしなければならないのは、この九十億ドルがアメリカの軍事予算の中に組み込まれた湾岸戦争の戦費そのものであるという点であります。そのことは、ただいま引用いたしました湾岸戦争の支出を求めるアメリカの補正予算関係文書の中に明記されているところであります。すなわち、同文書には、このアメリカの補正予算は、湾岸における「砂漠の盾」、「砂漠のあらし」作戦のコストの追加支出のためのものであり、国防長官が執行する、文字どおりの戦費であることがはっきりと書かれてあります。
 また、総理、あなた御自身も、先日の衆議院予算委員会での我が党吉井議員の質問への答弁で、この九十億ドルは国連決議に従った共同行動である武力行使に対する支援であると述べられました。言うならば、戦費の負担にほかならないということをみずから認める答弁をされております。したがって、この九十億ドルというのはアメリカの戦費への支出なんだということをきちんと確認していただきたいと思うのであります。なお、あわせて伺うならば、日本国民の血税が仮に政府の言うとおりにGCCを経由したとしても、結局は、そっくりそのまま戦費としてアメリカの予算に計上されていること自体、まさに異常とは言えませんか。総理、あなたもそうはお思いになりませんか、伺います。
 第二に、憲法との関連でありますが、憲法第九条は、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と明記しております。これをまともに読むならば、我が国が直接武力を行使することはもちろん、他国の行う戦争、武力行使に対して戦費を出して援助することも禁止されているのは、これまた当然のことであります。そもそも、憲法が、日本が武力を使うことはだめだが他国の武力行使に金をつぎ込むことはよろしいなどというようなことを決めているはずがないではありませんか。海部内閣は憲法上軍事援助は許されないという当然の立場を貫くべきであると考えますが、総理の明確な答弁を求めます。
 仮に、国連憲章第四十二条に基づいて国連が行う武力行使という場合を想定したとしても、同憲章第四十三条に明確に規定されているように、この武力行使に各国の憲法上の手続に従って各国が対応することになります。したがって、日本の場合は憲法上の規定によって、仮に国連の武力行使であったとしても、いかなる形にせよそれに協力し援助することが許されないこともまた自明の理であります。
 ましてや、今回の湾岸戦争の場合には、デクエヤル国連事務総長自身が、作戦には国連の指揮がなく、国連の旗やブルーヘルメットもない、また、安保理が報告を受けるのは軍事行動が行われた後ばかりだ、さらに、これは国連の戦争ではないなどと語っていることからしても、多国籍軍の名によるアメリカ軍が行った戦争というのがその実態ではなかったのですか。
 以上述べたように、いかなる意味においてもこの九十億ドル支出の根拠は全くなく、明白に憲法に違反するものであると考えますが、総理の所見を伺いたいのであります。
 第三に、国民の暮らしとのかかわり合いであります。
 九十億ドル、一兆二千億円の六分の一の二千億円があれば、全国の老人医療無料化が実施できる金額でもあります。しかも海部内閣は、その財源として九〇年度中に赤字国債を発行して戦費を賄い、九一年度以降、石油税や法人税の増税でこれを埋めようとしております。石油税が、あらゆる石油製品の価格上昇を通じて国民生活に重くのしかかることは言うまでもありません。その上、大企業は、例えば東京ガスの安西社長が、ガス料金への転嫁を前提に検討を進めたいと述べておりますように、法人税の増額分まで国民にしわ寄せしようとするなど、国民には二重苦、三重苦の強要であります。
 こうした手法は、ほかならず、戦前、国債乱発と増税の組み合わせであの侵略戦争に突入していった道、この道はいつか来た道の再現ではありませんか。総理並びに大蔵大臣、あなた方はその道を繰り返そうというのですか、お答え願いたい。
 最後に、政府が難民輸送を理由に中東地域に自衛隊機を派遣することを一片の政令で強行したことは、法治国家としての根本を覆す重大問題であります。本院においては、二十五日、日本社会党、日本共産党など三会派と無所属議員が署名し、……
#28
○議長(土屋義彦君) 市川君、時間が超過しております。簡単に願います。
#29
○市川正一君(続) 土屋参議院議長に対して、この政令を廃止するための適切な措置をとるよう申し入れました。私は、戦争が終結し、戦火がおさまったこの際、この政令を潔く廃止することを海部総理に強く要求し、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(海部俊樹君) 市川議員にお答えを申し上げます。
 湾岸戦争後の処理や復興の問題について、国連の責任のもとに推進されるべきだとおっしゃいますが、現にただいま国連の安全保障理事会で政治的解決のための努力が進められておるところであり、現場における戦闘の本格的な停止とともに、国連安保理での役割は大きくなってくるものと私も考えます。いずれにしろ、この問題は関係国の具体的な要望を踏まえた諸国の努力によって、関係諸国、国連等とも十分協議した上で、我が国としても積極的に対処してまいりたいと考えております。
 今回の追加支援九十億ドルは、国連安保理の決議に従って湾岸の平和と安定の回復のために活動をしている関係諸国を支援する目的で、これらの経費に充てるために支出を考えておるものでありまして、停戦が達成される場合にも引き続いて湾岸地域の平和回復と安定のための活動は支援をしていくことが重要でありますから、いずれにしても九十億ドルを拠出するという政府の方針には変わりございません。
 また、今回の九十億ドルはあくまでも侵略を排除するための国際社会の共同行動に対して行うものであり、平和回復のための国連安保理の諸決議に従って行われておる問題であります。あくまで平和回復を支援するということで、国際的に責任のある一員として我が国が応分の負担をし、平和回復のために協力をしなければならないという、こういった考え方に基づいたものでございます。
 憲法が他国の武力行使への援助を禁止しており、また国連の行う正規の武力行使の場合であったとしてもそれは禁止しておるとおっしゃいました。武力の威嚇または武力の行使を伴う武装部隊の他国領土、領空、領海への進出は、これは海外派兵と呼ばれて憲法の禁止しておるものであるということは、これは私もそう受けとめておりますけれども、国家の実力行使というものはその武力行使であって、国連が決議した国際の平和回復活動への資金の拠出ということは国家の実力行使ではございませんし、また湾岸平和協力基金に拠出をして、そこの理事会で協議の上、平和と安定に役立つようにこれを充当するわけでありますから、逆に憲法の前文で言う平和主義、国際協調主義の理念にも合致するものであると私は受けとめております。
 侵略戦争への道を繰り返すのではないかとおっしゃいますが、そういう御心配が本当にあるとしたら、その御心配は全く御無用でありまして、侵略戦争をやろうなんということをいささかも考えてもおりません。むしろ、イラクのように侵略戦争をやる国を二度と許してはならないという国連決議に対して、我々は万感の支持をしておるところであります。そういった意味で、戦後の問題についての私どもの政府の対応してきました問題については、今撤回をしたり廃止する考えは持っておりません。
 残余の質問は関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(橋本龍太郎君) 市川議員にお答えを申し上げます。
 先ほど総理からも御答弁がありましたように、我々は、かつての戦争、侵略戦争に突入した道を再びたどるつもりは毛頭ありません。(拍手)
#32
○議長(土屋義彦君) ただいま議院運営委員会の理事が協議中でございます。しばらくお待ちを願います。
    ―――――――――――――
#33
○議長(土屋義彦君) 中村鋭一君。
   〔中村鋭一君登壇、拍手〕
#34
○中村鋭一君 きのうの午後二時、ついにペルシャ湾岸に平和が訪れました。世界じゅうの人たちとともに、我々もこのことを心から喜びたいと思います。
 私は、連合参議院を代表いたしまして、この平和回復に伴う中東地域の復興と安定について、さらに、この事態と深くかかわる九十億ドルの支出に関する補正予算案並びにその関連法案についての質問と提言を行いたいと思います。
 停戦は大いに歓迎するものでありますが、ここに至るまで、政府は多国籍軍に対し、率直に言えばアメリカの実力行使に対し、確固たる支持を与えるのみで、平和回復についての積極的な活動はほとんどなされなかったと思います。私は外務委員会に所属しておりますから、中山外務大臣に大いに頑張っていただきたいと常に思っておりますが、しかし、例えば中山さんのアメリカに対する思い入れほどにはアメリカは、またブッシュ大統領は、海部総理や中山外務大臣のことを考えていないと、そのような印象がございます。甚だ残念であります。このようなことは、政府の対応が、言いにくいことでも、たとえ仲のいいアメリカでも思い切って言う積極的な姿勢に欠けているからこのようなあしらいを受けるのだと思います。これについての反省を込めた御所見をお伺いいたします。総理並びに外務大臣にお願いいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 GCC、多国籍軍に対する九十億ドルの支出は戦費であることは明白であります。したがって、戦争が終わった現在、拠出の意義は失われたと言わざるを得ません。我々は、当然、補正予算案と関連法案の双方に反対をいたします。政府はなおこの補正予算案の成立をあくまでも求めようとするのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
 先ほど海部総理は、公明党の片上議員の質問にお答えになりました際に、NHKの世論調査では多数の人がこの九十億ドル支出に賛成であったと、このことを言っておられましたが、たまたまきのうの深夜のテレビを見ておりましたら、これは民放でございますけれども、圧倒的多数の人たちが、既に停戦が訪れた現在、九十億ドルの支出はその意味を失った、このような町の声、国民の声が圧倒的であったことも申し上げておきたいと思います。
 次に、私は改めて自衛隊機の海外派遣計画の中止を求めるものであります。このことは憲法違反でありまして、かつ国会の参議院決議にも反することでありますから、絶対になすべからざることであります。加えて、一方に、ヨルダン等アラブ各国の自衛隊機派遣についての、これに反対し迷惑であるとする現地政府の姿勢や国民の世論があり、他方、多くの我が国の国民、民間ボランティアの皆さんの情熱的な行動で続々と民間機がチャーターされ、輸送が現実に実現されているという事実があります。今や政府の自衛隊機派遣計画は、その意義も目的も全く失ってしまったと言わざるを得ません。
 これまでの政府の対応を見ておりますと、ただただ日の丸をつけた自衛隊機を中東に送り込むというプレゼンスにのみその目的があり、避難民の救援は優先順位がその下に置かれているとしか思えません。ここで政府は、潔く自衛隊機の派遣を撤回し、自衛隊法百条の五の特例政令を廃止すべきであります。これについて、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、これにつきまして連合参議院は、新たに議員立法といたしまして自衛隊法の一部を改正する法律案の提出を予定していることを申し上げたいと思います。これは、今回の特例政令に見られる政府のこそくな、牽強付会でその場しのぎで、一方的な手前勝手な、さらにまた、国権の最高機関である国会と法律を無視したたくらみを二度と繰り返すことのないように、これまで政令に委任しておりましたものを明快に法律に規定し、政府の恣意による拡張解釈などを封ずるためであります。
 自衛隊機で輸送できるものは、これまで法律で定められておりました国賓と内閣総理大臣のほか、その他政令で定める者とされておりました天皇及び皇族、それに衆参両院議長、最高裁判所長官、国賓に準ずるものを法律事項としたものでありまして、政府の裁量で定められる政令への委任は行わないというものであります。これを一言にして申せば、現行法に規定される「国賓等」の「等」を取りまして、これに立法府の意思を反映してはっきりと法律に規定しようというものであります。上程されました暁には、本院同僚議員の皆さんの御賛同をよろしくお願い申し上げます。
 次に、中東の復興と平和回復についてお尋ねと提案をいたしたいと思います。
 まず第一に、武器輸出を禁じております我が国といたしまして、湾岸地域に対する厳しい軍備管理を提唱するものであります。さらに、湾岸にとどまらず、国際間の武器輸出や技術の移転を統制するよう、また核兵器や通常兵器を思い切ってその生産や配備を削減するよう、政府は国連等を通じて率先提唱すべきであると思いますが、総理、外務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 また、クウェート、イラクを含む中東地域の戦災復興、避難民の救済、ペルシャ湾における重油流出を含む環境保全に関しては、人や金も含めた貢献をなすべきであると思いますが、これも政府の見解をお尋ねいたします。
 また、ODAの実施に当たりましては、今回の戦争で大きな災害をこうむった中東各国はもちろんでありますけれども、我が国はアジアの一員でもありますから、多くの避難民が帰国したアジア各国に、その間の事情を十分に考慮した上で、重点的、積極的にこれを行うべきであると考えますが、外務大臣の御見解をお尋ねいたします。
 第二に、国連主導のもとに、クウェート、イラクを含めた中東諸国を中心といたしまして中東和平会議を開催し、具体的な復興策、環境回復、国連諸決議の実施などを協議し、また、近い将来にはアラブ、パレスチナ、イスラエル問題等々を協議することを日本政府が積極的に提唱してはいかがでありましょうか。我が国は、多国籍軍を構成しております各国、そのほか中東の国々、またイスラエルとも良好な関係にありますから、この会議の開催にはイニシアチブをとれると思います。総理のお考えをお伺いいたします。
 次に、我々は、中東地域の復興のために中東安定復興基金の創設を提唱いたします。この基金は、国連に信託し、国連が停戦と平和の到来を確認し、国際的保証を得てから解除し、その後、我が国会の意思決定を受けた日本政府と国連がその配分、金額、使途を決定するものといたします。また、この出資金等につきましては、既に社会党の土井委員長の提言、あるいは自由民主党の宮澤私案、本日の新聞を見ておりますと安倍代議士もまた私案として計画を発表されているところでもありますから、国会の合意は形成されると思います。その財源といたしましては、防衛費の思い切った圧縮、消費税の見直しなどが考えられますが、いずれにしても、国民に増税など短期に過大な負担を強いるものであってはならないと思います。総理並びに大蔵大臣のお考えをお尋ねいたします。
 以上述べてまいりました幾つかの復興、安定の提案を、現実、具体的に果たすために中東復興安定対策両院合同協議会を設けることを提案いたします。これは、国会の全党全会派によって構成し、人と金を含む貢献策の実施、そのほか、平和と復興、環境保全に資する具体的な問題をこの機関によって協議しようというものであります。政争は水際までと申します。人道と平和の名において超党派で真剣な話し合いの場が生まれたらすばらしいことであると思います。これは、既に消費税につきまして税制両院合同協議会が設けられているという先例もあることでありますから、同僚議員の皆様の御検討をお願い申し上げたいと思います。また、この提案についての総理の御感想をお聞かせいただけたら幸いでございます。
 最後に、総理並びに外務大臣にお尋ねいたします。
 平和を回復したことは喜びとするところではありますが、今次戦争を振り返るとき、圧倒的な多国籍軍の武力の前に国連はなすところが少なかったという印象を否めません。そしてまた、前途に難問は山積しています。まさにこれからが国連を主舞台とする国際外交の正念場であろうと思います。政府は、これまでの対米一辺倒、事なかれ主義の外交に別れを告げて、誇るに足る平和憲法を持つ国として、国連を中心として国際協力の先頭に立ち、世界じゅうの人たちが快適な環境で戦争や争い事を心配せず、飢えや苦しみのない地球をつくるために、国連内での平和確立の局面で発言権を確保し、増大し、敢然とリーダーシップをとっていただきたいと心から願うものであります。
 これについての御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(海部俊樹君) 中村議員にお答えをいたします。
 多国籍軍による停戦提案とクウェートの解放によって、平和と安定の回復への道が開かれたことは、私もともに全くいいことであったと期待をし、それが確実な平和につながっていくように心から強く求めておるところであります。我が国は、安全保障理事会決議をイラクが早急に完全に受諾し、国連の安保理においてこの問題についての政治的解決が決着されるように、今後とも国連大使を通じて努力もしていきたいと考えております。
 また、九十億ドルの問題でありますが、今回の九十億ドルは、国連安保理の決議に従って適切な協力を求められ、湾岸の平和と安定の回復のために活動している関係諸国を支援する目的で出すものでありますから、武力の行使は終わっても、引き続き湾岸地域における平和回復活動は支援しなければならないテーマでありますから、政府はこれを撤回する考えはございません。
 また、自衛隊機の中東派遣は憲法違反だとおっしゃいましたが、あくまで避難民の移送という人道的かつ非軍事的な分野の問題でありますし、また、要請が来ないとおっしゃいますが、避難民の数が少ないということがその背景にあるわけでございまして、これは要請を受けた場合に対応しなければならないときにはどうするかということで、民間会社に当初は要請をし、既に四機、これはベトナムへの難民移送を民間の協力を得て行ってまいりましたが、今後は要請を受けたときに民間で対応し切れないときの場合をも考えて、政令を内閣の責任において制定したわけでありますから、撤回することは今のところ考えておりません。
 この政令に対して法律案を出すがどうかということでございますが、まさに国会が立法機関でありますから、国会で各党各会派において御判断なさるべき性質の問題であると考えております。
 また、武器輸出を禁じている我が国としては、国際間の武器輸出や技術移転を統制するように国連等を通じて提唱する気はないかということでございます。私は、平和国家としても、また従来から武器輸出によって国際紛争等を助長しないように三原則で武器輸出禁止を行ってきた我が国としては、これは御指摘のように今日までもその考えで来ておりますし、私も施政方針演説でそのことは既にここで明らかにしたとおりでございますが、今後とも、国際的な取り組みの強化が必要であるという考えは同じでありますから、国連等を通じて積極的に努力を続けてまいるつもりであります。
 また、武力行使は終わりましたが、我が国として平和と安定のためには今後どのような努力をしていくのか。これはやはりあの地域の関係国の具体的な要求、具体的な意見などを踏まえて、また域内諸国のイニシアチブを尊重しながら、関係諸国や国連とも十分協議した上で行うべきことであり、我が国としては協議をしながら積極的に対処してまいる所存であります。
 また、戦後における中東地域の復興と民生安定のための平和維持活動への貢献は、これは御指摘をいただくまでもなく必要なことであり、いかなる貢献が可能かについては、前国会の法案処理の結果をも踏まえ、また自民党、公明党、民社党の三党合意をいただいたその趣旨をも踏まえて、いかなる形の国際協力が可能であるかということにつき、ただいま成案を得るべく政府として努力をしておるさなかであります。皆様方に、成案を得たならば御理解と御協力をいただきたいと存じます。
 また、中東の平和の安定、これが永久的なものになるためには、ただ単に戦闘行為、武力行使が終わるというだけではいけないわけで、経済の復興や軍備の管理が大切でありますが、さらに進展していく先にはパレスチナ問題の解決というものも避けて通れない問題でございます。私は、国連事務総長があのぎりぎりの最後の場面で諸国の意見をまとめて世界に訴えたあのアピールや、あるいはブッシュ大統領の提案、フランスのミッテラン大統領の提案など、局面を打開したその次には、アラブ、イスラエルの問題、パレスチナの問題を含めて、さまざまなことがやはり議論されていかなければならない、その機会が提唱されると言われておることは、まさにこの問題の根本をつくものであると受けとめておりますから、中東問題の恒久和平のための話し合いは力を合わせて行われていかなければならないテーマであると思います。
 また、中東地域の復興のための問題については、いかなる基金がどのような方策で行われていくのが適切であるか。やはり各国とよく協調もし、国際機関等とも協議をして、我が国としては、戦後復興に資するためにどのようなことが一番いいのかということを十分見きわめながら積極的に対処をいたしてまいります。
 また、中東復興安定対策両院合同協議会を設けることについて御提案がございましたが、これこそまさに国会が国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関でありますから、各党各会派の中で適切なお話し合いが行われ、どのようなことが国会でお取り決めになられるかについては、政府はとやかく申し上げることをここでは避けさせていただきたいと思いますが、その方針で政府も国際機関といろいろ努力をしながら中東の復興安定対策には全力を挙げてまいるつもりであります。
 最後に、飢えや苦しみのない地球をつくるために、国連を強化して、国連の中で敢然とリーダーシップをとって頑張っていく考えはないかとお尋ねになりました。そのお考えについては私も全体の方向として同感でございますから、国連のつくられた目標は、世界の平和、それを守るということでありまして、今回も、平和破壊者であるイラクに対して、みんなが決議をして平和を守るために努力もしてきたわけであります。我が国としては、今後とも、新しい世界の秩序の中で、力による侵略は許さないという国連の大きな基本を高く掲げながら、人的、物的両面で効果的な協力を行い、国連の中の活動で実績を積み上げていく方針でございます。
 残余の質問については関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(橋本龍太郎君) 中村議員にお答えを申し上げます。
 今回の追加支援は、総理が御答弁申し上げましたとおり、戦争協力の資金といった性質のものではございません。戦闘行為が終了した時点におきましても、今後の平和維持や経済復興に際しての活動を含め、湾岸の平和と安定のため湾岸平和基金に拠出を行う意義は全く変わっておりません。
 また、中東安定復興基金を創設したいという御提言がございました。今、さまざまな角度からそうした御論議がマスコミを飾っておることを承知いたしております。しかし、我々は、クウェートを初めアラブの方々の提案、気持ちというものをまず聞くべきではありませんか。そのアラブの方々の声を全く無視して、我々が勝手に青写真をつくり、それを押しつけることは避けるべきであると私は思います。このため、今後関係各国ともさまざま議論をしていくべき課題だと考えておりまして、現段階においてその後の対応について何らかのことを申し上げる状況にはないと考えております。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(中山太郎君) 中村議員にお答えを申し上げます。
 この今日の平和が訪れる機会まで、政府は、率直に言えばアメリカを確固たる支持をするだけで、平和回復について積極的な活動は全くなかったという御批判がございましたが、政府は、昨年の八月二日以来、外務省の小和田外務審議官を初め関係局長を海外に出して、関係諸国、特にある時期においてはイラクの非常にハイレベルの人たちとも接触をさせ、この国連決議に従った平和への努力をやってきたことは現実の問題でございます。
 また、私自身は、一月十四日にアメリカに参りまして、ブッシュ大統領やベーカー国務長官に対しまして、最後までひとつ平和的に解決するように努力をしてもらいたい、しかし、どうしてもイラクが撤退をしないということになって日限が切れて、平和を回復するために努力をするということが各国で合意がされた場合には、我々日本政府は支持をするということを申したわけであります。私はまた、一月十五日にはニューヨークへ飛んで、国連本部でデクエヤル事務総長に、最後まで和平のために努力をしてくれということを私みずからが申し、デクエヤル事務総長といろいろ協議をしたことも事実であります。
 また、一月二十三日にはモスクワへ行って、モスクワでソ連のベススメルトヌイフ外相とこの湾岸問題について一日かけていろいろ議論をし、明くる日にはゴルバチョフ大統領にお目にかかって、大統領に対しても、国連決議六百七十八を遵守するということで、日ソ間には全く考え方の違いはなかったということをこの機会に明確に申し上げておきたいと思います。
 続いて、第二のお尋ねでございますが、武器輸出を禁じている日本としては、通常兵器を思い切って生産、配備を削減するように国連を通じて率先提唱すべきではないかというお話でございました。
 今回のイラクのクウェート侵攻の背景の一つには、イラクに対する大量の武器輸出があったことは現実の問題でございました。平和国家としての日本の立場から、政府としては従来から、武器輸出によって国際紛争を助長することを回避するために、武器輸出三原則を遵守し、武器の輸出に関しては厳格な対応をしてきており、右は国際的な平和と安全の維持に日本も大きく貢献していると思います。
 政府としては、この国会の総理の施政方針演説や私の外交演説でも述べましたように、核、生物・化学兵器やミサイルの拡散防止を徹底的にやるとともに、通常兵器の移転についても透明性、公開性の増大や各国による適切な管理の強化が必要であり、これに関する国際的取り組みの強化が重要かつ急務という考えを持っております。本件につきましては、私が昨年秋の国連総会演説においてその重要性を指摘し、また、一九八八年の国連総会決議に基づいて設置されている国際的武器移転の専門家スタディーグループに、日本からは大塚前駐ニュージーランド大使が参加し検討を行っておりまして、今後ともこの方針で努力してまいりたいと考えております。
 ODAの実施の問題にお触れになりましたが、御案内のように、既に湾岸の周辺三カ国、エジプト、トルコ、ジョルダンといった周辺国には協力をしてまいっておりますけれども、多くの避難民が発生したアジアの国々に対しても、日本政府としてはこれからもいろいろと協議をし協力をする方針を固めております。
 続いて、最後にお尋ねでございましたが、国連を強化して、国連内での発言権を確保、増大して、敢然とリーダーシップをとってもらいたいというお話がございました。
 国際の平和と安全の分野において安定的な新しい国際秩序を築くために、国連の権威と機能を高め、各国がこれに積極的に協力していくことが重要であると考えております。我が国としても、平和のための協力として、国連の平和維持活動に対する協力等を行ってきており、また、紛争が起こる前にその危険性につき警報を発し、緊張の水準を下げる予防外交の分野で、国連の機能強化に他の加盟国とともに努力をしたいと考えております。
 なお、常任理事国制度の見直し及び旧敵国条項の削除は、国連憲章の改正を要する極めて難しい問題でございますけれども、我が国の役割に見合った地位を国連において確保していくことが極めて重要でありまして、日本といたしましては、国連の活動に対し人的、物的両面で効果的な協力を行い、実績を積んでまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#38
○副議長(小山一平君) 山田勇君。
   〔山田勇君登壇、拍手〕
#39
○山田勇君 質問に先立ちまして、イラクの侵略行為によって亡くなられたクウェート国民の方々、また、今回の湾岸戦争で命を落とされた多国籍軍兵士、イラク軍兵士及び御家族の方々に、謹んで哀悼の意を表するものであります。
 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、ただいまの財政演説並びに湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案について、総理及び関係大臣に質問を行うものであります。
 イラクのクウェート侵攻、併合から約七カ月、ついにクウェートが解放され、世界じゅうの人々が一日も早く達成されることを願っていた中東地域での平和がようやく訪れようとしております。今回の停戦に当たって、私はイラク政府に対して、国連決議を誠実に履行するとともに、今後国連の一員として新たな平和国家として再出発することを強く希望するものであります。
 だれでも戦争には絶対反対であります。しかし、国際的に無法がまかり通り、国連の権限がじゅうりんされるのを見過ごしてしまうならば、国際社会はルールと秩序のない暗黒と無法の弱肉強食の世界となってしまうのであります。クウェートの主権回復のため、いわゆる多国籍軍を初めとする各国がイラクに対して行った戦闘行為は、必要やむを得ぬものであったし、また正当なものであったと思うものであります。
 そしてまた、今回の湾岸危機は、平和回復のための各国の努力に我が国としてどのような貢献ができるかという、極めて重要な問題を我々に提起したのであります。世界第二の経済大国として、世界のGNPの一四%、世界貿易量の九%を占め、世界じゅうにエネルギーや資源、食糧を依存し、特に中東の石油依存度が七一%と、先進国中最も中東の石油の恩恵を受けている我が国が、この中東湾岸危機に際していかに貢献するのかを全世界が注視していたと言っても過言ではないでありましょう。
 私は、この立場から、政府の九十億ドルの財政支援については、これを評価するものであります。この支援措置に関しては、今国会においても既にいろいろと論議が行われていると承知しておりますが、戦争終結という新たな事態を踏まえ、以下数点にわたりお尋ねをしてまいります。
 まず、戦後の中東地域の復興支援策についてお伺いをいたします。
 クウェートはもちろん、中東湾岸諸国は相当な経済的打撃をこうむっております。これらの地域における戦後復興に我が国としていかなる取り組みをしていこうとしておられるのか、政府としての具体的な方針をお示しいただきたい。特に、九十億ドルが多国籍軍だけではなく中東地域の復興のための財源として使用されることが可能なのか。可能であるとすれば、それはどの程度の規模のものか。また、不可能だとするならば、新たな支出が必要になると思いますが、これらの点についての総理の御見解をまずお尋ねしたいのであります。
 次に、我が国の危機管理体制について、財政的な見地から総理の御所見を求めるものであります。
 九十億ドルの支出は、国民に対して増税という痛みを伴うものであります。しかし、この痛みは、世界の平和秩序の維持のため、避けて通れないものであったと思うのであります。私は、これからの国際情勢を展望いたしますときに、今回の中東問題ばかりではなく、今後、国連決議に基づく平和回復活動、戦災復興、災害復旧、難民・避難民救済などのために、我が国も一層の貢献をしていかなければならないでしょう。そのたびごとに財源対策を考えるというのでは、今後の国際情勢の変化に機敏に対応していけないのではないかと考えるのであります。こうした事態に対していつでも対応できるように、例えば毎年一定額を基金として積み立てるといった、新たな財政的な危機管理制度を創設してはいかがかと思いますが、海部総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、エネルギー確保に関する中長期的ビジョンについてお伺いをいたします。
 昨年八月にイラクがクウェートに侵攻した後、国連は経済制裁を実効あらしめるため石油製品の輸入を禁止しました。全世界の主なる産油国のシェアを見ますと、イラク一〇%、クウェート九・四%となっており、この地域からの供給がすべてストップしました。サウジアラビア、イラン、アラブ首長国連邦などが増産しており、原油需要は緩和し、価格も低水準にありまして定着をいたしました。
 しかし、イラクは、クウェートの油田の多数を炎上させたと伝えられています。クウェートの原油施設の復旧には最低一年かかるとの懸念があり、中長期的な石油需給に影響を与えるとの見方もあります。しかも、現在量産しているOPECも今後減量に踏み切るとの予想が強い状況にあります。こうした状況から、中東にも七〇%強の石油を依存している我が国にとって、中長期的な石油の安定供給に問題が生じることがないのか、通産大臣の御見解をお伺いいたします。
 さらにイラクは、クウェートの油井を炎上させただけではなく、精製設備の破壊を行ったのではないかとの危惧の念が強まっております。クウェートは、サウジアラビアと並ぶ、灯油、ガソリンなど石油製品の輸出国であります。仮にクウェートの精製設備が破壊されたとすると、その復旧には時間がかかり、長期的には需給の逼迫要因となります。政府は当然情報収集に全力を挙げているとは思いますが、その現状分析と今後の石油製品の安定確保の具体策について、通産大臣に答弁を求めるものであります。
 最後に、環境問題についてお尋ねをいたします。
 イラクはクウェートの原油積み出し施設を破壊し、加えて二百余りの油井を炎上させるという暴挙に出ました。これは地球に対する犯罪であり、絶対に許すことができません。我が国としては、ペルシャ湾と大気汚染の状況を正確に把握するとともに、公害防止技術先進国として、オイルフェンス、原油回収船の派遣、化学薬品の提供、淡水化プラントの維持などに協力すべきだと強調したいのであります。
 金や物資を供給するだけで汗を全く流さない日本人との汚名を返上するためにも、また平和国家としての責務を果たすためにも、日本人が現地へ行って直接調査や環境保全に携わるべきだと考えますが、海部総理にその約束を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(海部俊樹君) 山田議員にお答えを申し上げます。
 湾岸地域の平和と安定の回復のために積極的に努力していくこと、私も同感でございます。そのため、どのような方策をとることが現段階で一番適切であるかということについて、目下検討しておるさなかでありますけれども、いずれにいたしましても、関係国の具体的な要望を正しくとらえて、また域内諸国のイニシアチブを尊重して、日本としては国連やその他の国際機関とも十分協議して、お役に立つ協力をしてまいりたいと思っております。
 また、今回の平和と安定のため、九十億ドルをどうするかということでありますが、確かに武力の行使は終わって、平和と安定が回復されつつあるという非常に好ましい状況でございます。ただ、あの地域で活動をしておる関係諸国の、輸送関連、医療関連、食糧・生活関連、事務関連等の諸経費に充当する方針で九十億ドルを出したのでありますから、あくまでこのような方針に従って、平和の回復、平和の安定、経済復興等に際しての活動に係る経費にも充当されることになっていこうと私は思っております。
 また、今後、国連決議に基づく平和回復活動、戦災復興活動その他で新たな財政的な危機管理制度を創設しろという御提言でございます。率直に申し上げまして、国費の効率的な使用という面や、あるいは現在非常に厳しい財政事情の中で我々が対処しております現状からいって、あらかじめ多額の資金を確保して基金をつくって置いておくという御提案、これも一つの対応であることは事実でございますが、しかし、緊急の必要が生じた場合には補正予算や予備費の制度により適切に対処することが適当と判断して今日まで政府は対処してまいりました。危機管理の問題は、財政のみならず、あらゆる面で今再検討を迫られておるところでございますから、いろいろ御質問の御趣旨等も念頭に置きながら、政府としても研究を重ねていきたい、こう思っております。
 また、原油の流出と油井炎上に関する御指摘は、私もあのテレビの報道を初めて、一月二十三日でしたか、見まして以来、新しい環境破壊につながっていく、非常に心を痛めております。同時に、油井の炎上についてはどのような技術で対処し、日本にそれに対処する技術があるのかどうか。あるいは、あの地域に出しております淡水化装置はその大半が日本から出ていったものであるということ等も踏まえて、それをどのようにしたら防御できるのか。技術的な問題や知見の通告などできるだけのことをしてまいりましたが、今、議員は、日本人が現地へ行って直接環境保全に携わり、調査に携われ、こういうことでございました。今、民間の協力も求め、我が国専門家による現地調査団等を前向きに検討しておるところでございます。
 残余は関係大臣からお答えします。(拍手)
   〔国務大臣中尾栄一君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(中尾栄一君) 山田議員にお答えさせていただきます。
 まず、クウェートの油田の炎上で中長期的な石油の安定供給に問題が生じるのではないか、こういう御質問でございました。
 クウェートの油田の炎上の影響につきましては、油井破壊の程度にもよりますけれども、復旧には、山田議員は一年という言葉をお使いになりましたけれども、これはいろいろ説がございまして、ある専門家は九カ月と言う方もおります。しかし、九カ月から十年と言う人もおりますし、いろいろございますけれども、私どもの研究でございますと、数カ月から数カ年という程度の期間を要することが懸念をされております。その間には、クウェートからの石油輸出に影響が生じることとなるわけでございます。
 また、OPECにつきましては、三月十一日に関係閣僚監視委員会の開催を予定していると聞いておりますが、具体的にはどのような対応が行われるかという点につきましては、現時点では不透明な状況であると申さなければなりません。
 これらを踏まえました上で、石油の安定供給について述べますと、当面は、国際的に高水準の石油在庫があること、あるいは産油国からの供給が順調に進んでいるということを踏まえまして、我が国は一月末現在百四十二日分の備蓄を議員御案内のとおり有しておりますから、特段大きな影響は生じないものと考えておる次第でございます。
 長期的に見ましても、あるいはまた先ほど中長期的にという言葉がございましたが、中長期的に全体を見ましても、国際石油マーケットの需給に一定の影響が発生する可能性はございますけれども、具体的な影響につきましては、各国の石油の需要の推移あるいは各産油国の生産状況等により、現時点で一概に見通すことはなかなか困難なことかなと、このように判断をするわけでございます。いずれにいたしましても、内外の石油需給動向を十分に注視しながら、石油の安定供給に万遺漏なきを期したいと思っております。
 また、御質問の中に、石油精製設備の破壊現況及び石油製品需給に与える影響はどうか、あるいはまた今後の石油製品安定確保の具体的な問題はどうか、あるいは地球環境の問題等はどうか、こういう御質問もございました。
 この点につきましては、クウェートの石油精製設備につきましては、その相当部分が破壊されたとの報道もございますが、その詳細は現在のところではまだ不確定要素がございます。我が国のクウェートからの石油製品の輸入は、昨年八月の禁輸措置の実施以来行われてはおりませんけれども、通産省としましては、かかる事態に対応するため、国内の石油精製量を増加させる等の対策を講じてきたところでございます。この結果、現在のところは国内の石油需給上の問題は全くございません。また、今後におきましても、石油の不需要期に向かうことも考慮をするとするならば、当面問題はないのではないか、これが私どもの考え方でございます。今後とも、内外の石油需給動向等を十分注視しながら、石油の安定供給に遺漏なきことを期したいと思っておる次第でございます。
 最後に、地球環境破壊の問題もございました。
 これは、先ほど総理も御答弁賜りましたが、二十三日を期して全く考えられないような油井の破壊がございました。こういう中にありまして、環境汚染は申すまでもございません、そういう点においてオゾン層の破壊等もあるわけでございまして、こういうことを踏まえまして、代替エネルギーはどのようにやっていったらいいのか。地球環境衛生の問題というものは、全地球人にとりまして、あるいは我々地球に生存する人類あるいは動物その他も含めまして、すべてこれは大きな挑戦を受けていると考えなければなりませんので、これはオゾン層の法案なども今回出しておりますように、あらゆる観点から、地球に対する汚染の問題は私どもに対する大きなチャレンジである、こういう意味におきまして全力投球をして解決にいそしみたいと考えておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#42
○副議長(小山一平君) 村田誠醇君。
   〔村田誠醇君登壇、拍手〕
#43
○村田誠醇君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、多国籍軍に拠出する九十億ドルの財源確保のための法律案について、総理並びに大蔵大臣に質問いたします。
 停戦に至るまでの緊迫した駆け引きの中で、ブッシュ大統領がイラクに対し十二の国連決議遵守を武力を背景に強要し続けた経過の中で、フセイン体制が今後二度と立ち上がれないようにと、また、中東地域でのアメリカの覇権の構築に向けたアメリカの真の目的が明らかになってまいりました。私はそこに強者の論理を感ぜざるを得ないのであります。国連決議が守るべき重大なにしきの御旗であるならば、また、武力を背景にしてまで遵守を強要するものであるならば、中東地域の恒久和平を確立するために重要でかついまだに実行されていない他の国連決議の誠実な実行を、海部総理、あなたの親密な友人であるブッシュ大統領に忠告すべきだと思いますが、総理大臣の所信をお聞かせ願いたい。
 さて、財源法案に対しては、我が党は戦費支出の裏づけ法案であることから基本的に反対の立場でありますが、既に土井委員長が発言しているとおり、避難民、被災民の救援活動や戦後復興資金支出への協力を惜しむものではありません。
 このような前提に立って以下幾つかの疑問点を指摘いたしますので、誠意ある御回答をいただきたい。
 政府は、自衛隊法改悪反対の意思を堅持する国民の反対を押し切り、海外派兵反対の参議院の決議を無視して、何が何でも日の丸をつけた自衛隊機の海外派遣という実績をつくろうとして政令改悪を強行しました。この手法と同様に、今回の一兆一千七百億円に上る米軍の戦費調達に当たって、予算編成の根拠である積算内容や使途目的を国民の前に明らかにしないまま国会に提案しております。この体質、手法は、まさに戦前、陸軍省の佐藤賢了軍務局員が国会審議中、国会議員に対し黙れと一喝して臨時軍事費を要求した、あの軍部の姿をまさにほうふつとさせるのであります。総理大臣、いかがお考えでございましょうか。
 また、戦費負担と似た性質のものである思いやり予算でさえも、支払いをすべき手当の種類と金額について交換公文に明示されており、かつ国会の承認を得て予算編成されております。支出内容については国民の前に常に明らかにされているのであります。なぜ、今回のような増税をして国民に多額な負担を強いるものを、内容を明示せず提案されたのか、この点について大蔵大臣の真意をお伺いしたい。
 さらに問題なことは、いかに海部総理が直接戦費に使用しないと国会で胸を張って言明されても、残念ながらそれを証明するすべがないということであります。通常、国が支出する経費は、憲法第九十条に明記されているとおり、会計検査院が厳密な検査を行い、その結果を国会に報告し、予算執行結果が国民の前に明らかになるシステムとなっております。しかるに、今回のこの九十億ドルの支出は、湾岸協力会議、いわゆるGCCに拠出され、それから先の追跡はできないことになっております。宇宙に存在し、あらゆる物質を吸い込んでしまうといわれるあの巨大なブラックホールが、今や議会の予算審議権をも吸い込んでしまったと言えるのであります。
 総理、もしそうでないと言われるのならば、いつ、どのようにして国民に、国会に、支出した金額の結果について報告されるのか、明らかにしていただきたい。この要求は、納税者の権利であり当然の要求であります。国民の税金を使用する行政府の立場としては、当然行わなければならないものと思われます。総理大臣、いかがお考えでしょうか。
 次に、財源上の疑問点についてお尋ねいたします。
 まず第一に指摘できることは、困ったときの競馬頼みということであります。名馬オグリキャップと名手武豊のおかげでふえた売上増による第一国庫納付金の自然増収分五百二十億円であり、骨身を削って財政努力をした結果とは言えないものであります。過去、財確法、農業改良助成法による貸付金の財源に充てるための臨時措置法等により、中央競馬会の積立金の中から強制的に歳入を確保する方法がとられてきました。今回、これと同様に臨時措置を採用すれば、さらに歳入をふやすことができたのではありませんでしょうか。
 さらに、中央競馬会には、決算後の利益の五〇%を国庫に納入する第二国庫納付金という制度がございます。平成元年度では六百十億円が納付され、空前の競馬ブームであった平成二年度におきましては、昨日の中央競馬会の決算発表によれば、何と九百五十億円の歳入増が見込めるのであります。この納付金をなぜ今回の補正財源として計上しなかったのでしょうか。大蔵大臣の御意見をお聞かせください。
 競馬については、ファンへの配当率が現行七五%となっており、かねてからこの引き上げが多くのファンから要望されていると聞いております。そこで、この際私は、配当率を八〇%に引き上げることとし、この引き上げられた五%分、金額にして約一千五百億円、二年間で三千億円を向こう二カ年間に限り中東復興の経費としてファンに寄附していただくということはいかがなものでございましょうか、大蔵大臣の御感想をお聞かせください。
 外国為替資金特別会計についてお伺いをいたします。
 本特別会計は、議員各位御承知のように、政府の行う外国為替等の売買及びこれに伴う円資金の円滑な取引を経理する大蔵省所管の特別会計でありまして、決算上の剰余金は、積立金として保有するほか、予算に基づいて一般会計へ繰り入れられることとなっております。
 そこで、大蔵大臣に伺いますが、本来決算後の利益金を一般会計に繰り入れるのでありますから、平成二年度の決算が未確定の段階で一千百二十五億円もの金額を平成二年度の補正財源とすることは無理があると言わねばなりません。さらに、本特別会計は一九八九年度で六千九百九十五億円、一九九〇年度では何と一兆六十三億円、二年間合計すると一兆八千億円もの利益金を計上していながら、びた一文たりとも一般会計に繰り入れることなく、全額積立金に繰り入れたのであります。しかも、積立金の累積額は六兆九千八百三十八億円にも達しているのであります。今回特別立法を行うのであれば、この巨額な積立金を取り崩して賄えば、あえて増税をする必要がなかったのではありませんか。私が大蔵大臣であるならば当然これを採用いたしますが、この点に関して橋本大蔵大臣の所見をお伺いしたいと思います。
 次に、平成三年度の歳出予算の修正による財源対策についてお伺いをいたします。
 ここ数年、炭酸ガスの濃度は上昇し、地球の温暖化が進んだと言われ、我が国でも高温多雨の異常気候が続き、災害が続出しております。さらに、湾岸戦争の結果、大量の炭酸ガスや石油のすすが発生し、核の冬ならぬフセインの冬の影響が心配されています。過去五年間の予備費からの支出実績から判断をして計上された予備費の額では、まことに心細いと言わざるを得ません。
 また、公務員宿舎費七億円の削減については、老朽官舎の建てかえ費用だと説明されています。日夜公務に精励している公務員の皆さんの憩いの夢を召し上げるという、まさに弱い者いじめの政策としか考えられません。それよりもむしろ、自然を破壊するとして世論の反対の強い、そしてまた本院でも反対の強い、長良川河口ぜきの建設工事などを即時中止し、その経費を回すべきではないでしょうか、大蔵大臣の見解をお伺いしたい。
 以上、数点にわたり私の質問、意見を真摯に申し上げました。
 今や、ペルシャ湾岸を覆った硝煙はおさまっても、焼けただれた国土と、天を焦がす油井の黒煙とペルシャ湾の原油流出による環境破壊、そして何よりもアラブの人々の心に深い傷が残ったことについて、心から憂うるものであります。また、この戦いで不幸にして亡くなられた多くの将兵と市民の皆さんのみたまの安からんことを心からお祈りいたすわけであります。
 湾岸地域では、傷ついた人々、荒廃した国土が残されています。この現状は、四十五年前の我が国の姿と同じであります。戦争の悲惨さと平和のとうとさを体験してきた我が国は、アメリカが主張する戦後の中東和平構想に羊のごとく従順に従うのではなく、日本独自の判断で戦後中東和平構想を今こそ世界に向かって発表すべきことを強く訴えまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#44
○国務大臣(海部俊樹君) 村田議員にお答えをいたします。
 中東和平に関する国連決議の遵守を、日米、特にブッシュ大統領と話し合えとおっしゃいますが、そのことはいつも話し合いをいたしておりますし、同時に、私自身も、国連決議の二百四十二号と三百三十八号を基礎にして、日本政府の基本的な考え方を踏まえて、フセイン大統領が局面を転回したら、次のステージではこの問題を通じて中東の恒久和平を達成していく、そういった大きな願いを持っておるということは繰り返しここで申し上げ続けてきたとおりであります。また最近、米国も、米ソ外相声明においても、この武力行使の終了後はアラブ、イスラエル間の平和のための共同努力を大いに促進しようと指摘しておることは御承知のとおりと思います。
 また、九十億ドルの使途と自衛隊輸送機に関する政令の問題についてお触れになりましたが、私は、今回、国連決議というものに従って多国籍軍の首脳は、それぞれの国が抱えておる苦しい経済状況を乗り越えて、その国の青年男女の犠牲をも覚悟しなければならない状況のもとでも、なお国際社会の大義だけは守らなければならぬというので、決断をして、国連決議に従い多国籍軍を出したのです。そのとき我が国が、憲法によって多国籍軍に参加することができないという立場の理解を求めるためにも、平和の中でこれだけの暮らしをするに至った日本の立場からいって、許される限りの応分の支援はしなければならないと判断して九十億ドルは決めたものでありますから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
 また、政令についても、これは全く非軍事面の、あくまで人道的な立場に立っての対応でございますから、この政令を撤回しろと言われても、そうは撤回するわけにはまいりません。
 また、九十億ドルをどのようにするかということですが、最終的にはこれは湾岸平和基金の運営委員会で決定されますが、資金供与後その使用につき報告を受けることになっておりますから、その内容については、政府として、湾岸諸国協力理事会とも調整の上で、適切な形で明らかにしていく考えでおります。
 残余の質問は関係大臣から答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(橋本龍太郎君) 村田議員にお答えを申し上げます。
 今回の追加支援につきまして、私どもは、湾岸の平和と安定の回復のために行動している関係諸国に対し、国際社会におけるその地位にふさわしい支援を行うという観点から行うものでありまして、この点は財政演説で申し述べたとおりでありまして、御理解をいただきたいと存じます。
 また、中央競馬会の納付金に特例を講ずべきという御指摘がございました。これは特別積立金の取り崩しのことかと思いますけれども、特別積立金はその大部分が競馬開催に必要な土地、建物の固定資産などであること、また、これ以外の流動資産につきましても当面必要な設備投資に充てるための積立金として保有しているものであるという性格から、その取り崩しはなかなか難しいと言われております。
 また、第二国庫納付金の増額補正という御指摘をいただきましたが、常に、歳入の見積もりを行うに当たり、把握し得る最新のデータに基づいて、真に確実に確保できるものと見込めるものに限って計上すべきと考えております。今回の中央競馬会の納付金につきましても、ぎりぎり直近の売得金の実績に基づいて増額を行ったわけでありますが、この時点におきまして、第二国庫納付金について中央競馬会においていまだ決算作業中であった、こうしたことからもその増額を行わなかったものと聞いております。
 御提案の中央競馬会納付金制度の変更につきましては、実は私は競馬のルールに余り詳しくないものでありますから、今初めて伺った限りで申し上げますと、将来の税外収入の確保などの問題におきましては大変大きな問題になると思われます。今回の追加支援のような臨時、異例の事態に対応するために納付金制度の根幹に触れるような措置をとることは実質上難しいのではなかろうか、そのように考えております。
 また、外為特会について御指摘がございました。今般の措置は、外為特会における二年度剰余金見込みの増加額を進行年度である二年度一般会計に繰り入れるものでありますが、これは同額の予備費の減額を行うことによって生ずるものであり、歳出権を減額したという点で確定的に見込むことのできるものであります。このように二年度に見込み得る財源について、あえて三年度一般会計の歳入として二年度における特別公債の発行額を増額する必要はないものと考えております。
 また、外為特会の積立金について、議員が大蔵大臣であればという前提のもとの御意見をちょうだいいたしました。恐らく私は、近い将来において議員が私と同じ立場になられましたときには、今回私がとりましたと同じような措置をおとりになると思います。というのは、外為特会の積立金は赤字決算の補てんを除いて取り崩すことはできないものでありますし、この積立金は特会の健全性維持の観点から外貨評価損の見合いとしても必要なものでありまして、私は今日時点において残念ながら議員と意見を異にいたしております。
 また、予備費の削減について御注意をちょうだいいたしました。私どもは、予算編成時において、議員が御指摘のとおり、前年度同額の三千五百億円を計上したわけでありますが、今回、国会の御論議等をも踏まえながら、従前にも増して歳出の節減合理化などにぎりぎりの努力ができないか検討いたしました中で、予備費を二千億円減額する決心をいたしました。この千五百億円という予備費の枠組みの中ですべての事態に対応していくことは大変苦しいことでありますけれども、全力を尽くしてこの任に当たりたいと考えております。
 また、公務員宿舎についての御指摘をいただきました。これまでの財政改革の過程におきましても、公務員宿舎施設費につきましては厳しく抑制を行ってまいりました。三年度予算におきましてもこのような観点から所要額を計上したわけでありますが、政府みずからも痛みを感じろという強い御意見をいただいてきた中で、さらに一層の厳しい節減をお願いせざるを得ないという決断をしたものであります。
 既定経費の見直しの例として、議員は長良川の河口ぜきをお挙げになりましたが、このような公共事業費につきましては、地元の地域の実情や御要望等もあり、必要な配慮が必要であると私は考えます。
 いずれにしても、従来より行財政改革を進めていく過程において節減合理化に努めてまいりましたが、今後とも我々としては努力をしてまいりたい、そう考えております。(拍手)
#46
○副議長(小山一平君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時六分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト