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#1
第120回国会 物価問題等に関する特別委員会 第6号
平成三年四月二十五日(木曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 村山 富市君
   理事 青木 正久君 理事 赤城 徳彦君
   理事 岸田 文武君 理事 高橋 一郎君
   理事 細田 博之君 理事 小川  信君
   理事 武部  文君 理事 倉田 栄喜君
      石原 伸晃君    木村 義雄君
      佐藤 信二君    福田 康夫君
      福永 信彦君    穂積 良行君
      森  英介君    岡崎トミ子君
      川島  實君    外口 玉子君
      目黒吉之助君    大野由利子君
      菅野 悦子君    柳田  稔君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      越智 通雄君
 出席政府委員
        経済企画庁調整
        局長      末木凰太郎君
        経済企画庁国民
        生活局長    加藤  雅君
        経済企画庁物価
        局長      田中  努君
        経済企画庁総合
        計画局長    冨金原俊二君
        経済企画庁調査
        局長      田中 章介君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局保
        安部生活経済課
        長       松原  洋君
        警察庁交通局高
        速道路課長   小池 登一君
        環境庁企画調整
        局環境研究技術
        課長      角野 祥三君
        環境庁水質保全
        局水質規制課長 久野  武君
        国税庁直税部法
        人税課長    栃本 道夫君
        厚生省生活衛生
        局企画課生活化
        学安全対策室長 鶴田 康則君
        厚生省生活衛生
        局食品保健課長 野村  瞭君
        厚生省生活衛生
        局食品化学課長 牧野 利孝君
        厚生省生活衛生
        局水道環境部環
        境整備課長   坂本 弘道君
        通商産業省産業
        政策局消費経済
        課長      大野 栄一君
        通商産業省生活
        産業局紙業印刷
        業課長     井田  敏君
        中小企業庁小規
        模企業部小売商
        業課長     沖   茂君
        運輸省地域交通
        局陸上技術安全
        部技術企画課長 樋口 忠夫君
        労働省職業安定
        局雇用政策課長 野寺 康幸君
        特別委員会第二
        調査室長    岩田  脩君
    ─────────────
四月十七日
 消費者保護基本法の一部を改正する法律案(倉田栄喜君外四名提出、衆法第一三号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 物価問題等に関する件
     ────◇─────
#2
○村山委員長 これより会議を開きます。
 物価問題等に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福永信彦君。
#3
○福永委員 きょうは大変貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。時間もございませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
 我が国経済を見ますと、今回の景気上昇は、昭和六十年から六十一年の急激な円高による不況の後、六十一年十一月を底として好転に転じたことに始まったものでありますが、この景気上昇は昨年末で既に五年目に入っておりまして、過去の景気上昇に比べると大変息の長いものとなっております。特に、最近の我が国経済は、個人消費、設備投資などの内需を中心とした自律的な景気上昇局面にあると言われておりますが、景気上昇が長期化する中で、このところ景気の先行きが不透明になったという指摘も一部には見られているところであります。
 先般発表された平成二年十月から十二月の国民所得統計速報では、成長率は年率二・一%と鈍化してきておりますし、特に内需の伸びはマイナスとなっております。このような最近の諸状況を踏まえて、今後の我が国の景気動向についてどのように考えておられるのか、経済企画庁長官にお尋ね申し上げたいと思います。
#4
○越智国務大臣 福永先生御心配のように、景気が今日で五十二カ月といいますか三カ月目と申しますかになっていますものですから、今までのような勢いのいい成長が続いておりません。その点ではいろいろ懸念する要素も出てきておりますが、私どもとしましては、ことしも政府が考えておりますような三・八%の成長ができる、少なくともマイナス成長になるような気配は今のところない、こう考えております。
 御指摘の去年の十月―十二月というのは日本経済としては一番迷いの多かった時代でございまして、湾岸紛争がどうなるんだろうかとか、石油はかなり上がってきておりましたし、そんなようなことから経済の状況が最近の中では一番振るわなかった四半期、三カ月間じゃないかと思っております。あの状況が四倍と申しますか、ずっと一年間続いたとしたらという計算が成長率二・一でございまして、実は昨年、平成二年は一月―三月が一・六、四月―六月が一・四、それから一・一でございましたか、それで最後が〇・五でございますので、それだけをずっと足したといったらおかしいですけれども、一年間見ますと、平成二年暦年だけでは五%、五・六でしたかの成長でございまして、私どもとしてはちょっとスピードの速過ぎる成長でございますので、今申し上げた三・八ぐらいがいいところじゃないか。
 一―三月はどのぐらいになりましたかわかりませんが、〇・五よりは多く、一・〇よりは少ない線でおさまるんじゃないか。間もなく、間もなくというか五月に入って数字が出てくるわけですが、そこでもって大体その線ならば私どもの考えているような経済成長のペースにはまってくる、このように考えながら見ているわけでございます。
#5
○福永委員 次に、アメリカ経済の動向が日本経済に与える影響についてお伺いいたしたいと思います。
 アメリカ経済は、生産の低下、雇用の減少など景気指標の悪化が続いており、景気は後退局面にあります。アメリカの実質経済成長率は、昨年十月から十二月期には前期比年率でマイナス一・六%となったほか、雇用者数の減少が続いておりまして、昨年十月から十二月期にはリセッション入りしたと言われております。こうしたアメリカ経済の動向は世界経済全体にも影響を及ぼす可能性があると思われますが、特に我が国とアメリカとは貿易面などで密接な関係にあることなどから、アメリカの景気後退が我が国の景気にも悪影響を及ぼすことを指摘する声も一部に見られます。この点について経済企画庁ではどのように考えているのかをお尋ねいたしたいと思います。
#6
○越智国務大臣 先生御指摘のとおり、アメリカは昨年の十月からリセッション入りいたしまして、向こうでは四半期が二度マイナスになりますとリセッション宣言するのでございますが、今回はいち早く一期だけでリセッション宣言に入りました。
 問題は、先生が御指摘のように、どこら辺で抜け出るか、ないしはこの谷がどのくらい深いものかということなんですが、どうやら今までの傾向でございますと、そんなに深い谷、重いリセッションではなくて済みそうだ。ただ逆に、それだけに長く続きやせぬか、どこから立ち直れるかというとこら辺が一番の問題でございますが、アメリカの政府当局者が湾岸紛争が終わりまして三月から四月のはなにかけまして発言しておりますのは、皆さん何といいますか強気でございまして、夏にはリセッションから立ち直る、こういう見通しでございまして、ことし、一九九一年が仮にマイナスが立っても、一九九二年は三%ぐらいのプラスの成長が可能だという説明をされておりまして、ついこの間も回復の兆しが見えてきた、こう言っておりますが、例えばアメリカで自動車が余計売れてきた、住宅の着工が多少余計になってきたとか、そんなことを端緒に彼らも強気と申しますか、明るい見通しを言っております。
 このアメリカの景気が日本にもちろん影響するわけでありまして、日本からいえば輸出の三割くらいがアメリカ向けでございますから、大変大事なところでございますが、目下のところはまだ日本経済にそういう暗い影は来ておりませんで、実は日本の世界全体との貿易収支からいうと、ちょっとここのところ、三月あたりは石油の値段が下がったことなどを受けまして、実はかなり黒字が出てきておりまして、また黒字が積み上がると世界的には日本としては非難を受けますものですから、今の国際収支の面でむしろプラスが、黒字が出ているということなんかを注意しながら見ているという状況でございます。
#7
○福永委員 ありがとうございました。
 次に、最近の物価をめぐっての問題点についてお尋ねをいたしたいと思います。
 昨年八月のイラクのクウェート侵攻以来石油が高騰し、石油関連製品の便乗値上げ等、物価への悪影響が懸念されたところですが、政府の適切な対応や企業努力により、物価の安定基調は維持されました。ところが、この数カ月間、キャベツや白菜、大根等生鮮野菜の高値が続き、一般家庭の台所に大きな影響を及ぼしております。物価全体を見ても、生鮮食品の高騰から、消費者物価の東京都区部の三月速報値で見ますと三・七%と高い数字になっております。
 そこでお伺いをいたしたいのでありますが、最近の物価情勢についてどのように見ておられるのか、また、今後についてどのように見通しておられるのかをお尋ねしたいと思います。
#8
○田中(努)政府委員 お答え申し上げます。
 最近の消費者物価の動向についてでございますけれども、御指摘のように、湾岸危機が始まりましたころから増勢が高まりまして、大変懸念をされたわけでございます。数字で申し上げますと、昨年の八月からことしの一月ぐらいまでの間、毎月の上昇率が季節調整をならしてみまして〇・四%とか〇・五%とか、そういうふうな勢いで上がった時期があったわけでございます。
 これは、その前の昨年度の前半におきまして非常に高い経済成長が遂げられたというような一般的な背景もございましたし、それから、年度前半はかなり円安が進行したというふうな影響も働いていたと考えられるわけでございますけれども、そうした基調の上に、湾岸危機に伴います石油製品の上昇、それの消費者物価への波及が加わったということがあったわけでございます。御指摘のような経過をたどりまして、その後、幸いに石油製品の影響というのは一巡をいたしておりまして、現在ではむしろ物価の引き下げ要因として働いているというような状況になりまして、東京都区分の速報値で申しますと、やはりことしの二月以降上昇率が〇・二%とか〇・一%という姿になっております。
 今申し上げましたのは、季節的な動きをいたします生鮮食品の動きを一応別にして申し上げたわけでございますけれども、その上にさらに生鮮食品の急騰というものが起こりまして、これは昨年の九月以来のいろいろな悪天候の影響、九月に台風が三回上陸をしたとか、その後暖冬が続いて野菜の出荷が前倒しぎみになって、その後品薄傾向が生じたとか、その後二月の下旬になりまして、今度は寒波が来たというようなことがございました。最近におきましてはまたちょっと天候がぐずついておりまして、日照時間がやや足りないというようなこともございまして、かなり上昇を見ておるわけでございます。
 その一番のピークは十一月ごろにございまして、このときには四割以上生鮮野菜が一年前と比べて上がったというような時期もございました。その月により異なりますが、概して二割、三割の上昇があったわけでございますけれども、最近に至りましてこの二月、三月は、前月との対比で申しますと幸い低下をいたしておりまして、そうしたことから、前年比の上昇率も一割前後というところに低下をしてきておるわけでございます。それで、春野菜の本格的な出回りが四月の中旬以降期待をされるわけでございますが、中央卸売市場の野菜の価格の動きを見ますと、四月九日がピークでございまして、十日以降は下がりぎみに推移をしておりますので、今後連休等の影響もあると思いますけれども、連休明け以降は本格的に価格が安定する時期に入るのではないか、こういうふうに野菜については期待をしておるわけでございます。
 野菜以外の物価上昇要因につきましても、経済成長率が今後次第に落ちついてくるというようなことが好影響をもたらすということが考えられますし、それから石油製品が一巡し、今後はそれがむしろ物価引き下げ要因になりまして、石油関連製品の値下げという形で好影響が出てくるだろうというようなことも期待されるわけでございますし、円レートの動きも変動しておりますけれども、一年前に比べますとまだかなり円高の水準にあるというようなこともございまして、今後引き続き安定基調を維持するだろう、そういうふうに考えているところでございます。
#9
○福永委員 大変安定しているという結構なお話でありましたが、今後物価のさらなる安定を図る上でどのような政策をとっていかれるのか、長官に物価の安定に向けての御決意を承りたいと存じます。
#10
○越智国務大臣 福永先生も御先代以来埼玉県にずっとお住まいでございますので、実は一番物価が敏感に反応しやすいところでございます。私も東京の政治家として身近に感じております。
 一つは、やはり物価の根本は生産段階での値段が上がらないように、これはいろいろな工夫が必要だと思いますが、例えば石油等は通産省を通じまして厳重にと申しますか、いろいろ指導をされておりますし、その他の公共料金等は私どものところに協議が来るわけでございますので、厳重にいたしまして、むしろ引き下げの効果を出したい。電話などは下がっておるわけでございますので、こういうものをやってまいります。
 しかし、物価に一番影響しやすいのが流通コストでございますので、やはり流通コストは、かさばらないように、流通の仕組みと申しますかあるいは輸送の形態と申しますか、そういうことについてもさらに一段と関係省と工夫を凝らして、人件費がある程度生産性の向上の中で吸収され、消費者の生活が豊かになりながら、しかし、物価が上がらないという格好に持っていきたい。
 また、為替をなるべく安定させたいと思っております。製品輸入がかなりふえておりますので、途中で吸収するすべがなかなかございません。原料でございますと為替の変動を途中で吸収する可能性があるのですが、製品輸入はそういうすべがございませんので、為替もなるべく通貨当局と御協力しながら、今ちょっと円安に振れ過ぎているような感じがいたしますものですから、百三十円前後のところまで為替がうまく動くように考慮していきたい。
 いろいろ各般のきめ細かい手段を真剣にとらしていただきまして、政府としては平成三年度二・四%の消費者物価上昇の目標達成のために努力をさせていただきたい、こう思っております。
#11
○福永委員 商品を大量に仕入れれば仕入れるほど仕入れ価格が安くなるのは当たり前のことでありますが、今後貿易の自由化が一層促進、拡大されると、いわゆるアメリカ型の競争システムが導入され、大きな資本により大量に、しかも安価な仕入れが可能になり、消費者にとっては大きなメリットではありますが、一方では資本力による格差が生じ、中小小売業を圧迫し、極めて大きな打撃を与えることになるわけであります。
 その結果、消費者にデメリットが生じる可能性もあり、自由競争の原則を守ることは当然のことでありますが、今後は仕入れシステム、あるいは仕入れ価格調整というようなことが必要になってくるのではないだろうかと思うわけであります。また、長期的に小売業者にとっても消費者にとっても適正かつ安定した価格が保たれるために、例えば中小小売業者による今後の共同仕入れ等、安定した発展のための対応策を通産省にお伺いをしたいと思います。
#12
○沖説明員 お答えを申し上げます。
 小売業におきましては、事業規模の大小にかかわらず、消費者ニーズを正確に把握いたしまして、それを実現する上で最も適切な商品の調達先を確保いたしまして、よりよい商品をより安く提供していくということが基本的な使命ではないかというように考えております。
 一方、中小小売商業を取り巻く環境を見ますと、社会的、経済的な構造変化が生ずるとともに、大店法の規制緩和措置というのを推進しているところでございまして、こういう状況におきまして中小小売商業者におきましても大型店と対抗して前向きの事業展開を図っていくためには、例えば仕入れ面などにおきます事業の共同化であるとか情報化などにより、合理化、効率化を積極的に進めていくことが極めて重要であるというように認識しております。
 こういうことから、通産省におきましては、従来からこうした中小企業者の近代化を図るべく、ボランタリーチェーン事業、連鎖化事業でございますが、そういう事業を積極的に支援しているところでございまして、これによりまして中小小売業者の経営の独自性を維持したまま、本部による新商品の開発あるいは共同仕入れといったことにより、経営の合理化、効率化などを推進しているところでございます。
 現在国会にお諮りいたしております中小小売商業振興法の改正案におきましても、このような支援対象を拡充いたしますとともに、認定を受けたものにつきましては、中小企業事業団からの高度化資金につきまして今回新たに無利子にするという措置を講じているところでございまして、このようなボランタリーチェーン事業につきまして特段の措置を講じてまいる所存であります。
 さらに情報化関係につきましては、今回の中小小売商業振興法の改正案におきまして、電子計算機利用経営管理計画というのを新たに導入いたしまして、中小小売商業者が共同で情報化を推進していくということにつきましても、特段の支援をしてまいるということでございます。
 以上でございます。
#13
○福永委員 先ほど長官が流通コストについてもお触れになっていらっしゃいましたが、湾岸戦争後の消費者物価は、先ほどのお話で全体で大体四%前後の上昇にとどまり、当初予想された戦争の悪影響による物価上昇を下回るものである。政府初め関係各機関の御努力の結果であると考えておりますが、日常生活に不可欠な食料品等は、実際には当時七、八%も上昇しておったものもあり、消費者の実感としてはかなりの負担増になっていたと思われるわけであります。
 そうした物価が上がってくるということは、戦争の影響によると言われる一方、その原因は、実は先ほど長官がおっしゃいました物流、流通のことである。小売段階での慢性的な人手不足、労働力不足に起因していて、この戦争を機にコストに反映し、物価の上昇を招いているという見方もあるわけであります。物価と人手不足の関係について、さらには労働行政との関連で、やがて来る高齢化社会をも踏まえての対応策はどのようなことを考えていらっしゃるのか、労働省にお尋ねをしたいと思います。
#14
○野寺説明員 先生御指摘の点でございますが、労働力が引き締まり基調で推移しております。その中で、賃金は比較的落ちついた動きを示していると考えております。物価も基調として安定した動きをしていると考えておりまして、今後とも労働力不足がこういった経済面に与える影響につきましては、十分注目してまいりたいと思っております。
 ただ、最近の持続的な景気の拡大が、やはり特に中小企業の方に人手不足感が非常に強くなっているということでございまして、例えば日銀の短観について見ますと、六十二年十一月に労働力が不足するというふうに判断している企業の割合が過剰と判断している企業の割合を上回って以来、一貫して人手不足感が強まっているわけでございます。平成三年二月の調査におきましても、ことしの六月までの予測につきましては、人手不足感は同水準で推移すると答える企業が多いわけでございます。
 こうした不足の背景でございますが、企業側の旺盛な労働力需要に加えまして、供給側の要件といたしまして、労働条件ですとか雇用環境とか、魅力が乏しい業種へ就職する希望者が少なくなっていることが挙げられるわけでございます。こういった労働力需給のミスマッチが存在することが大きな原因でございます。
 このため労働省といたしましては、ミスマッチを解消するということに主眼を置きまして、例えば中小企業におきます魅力ある職場づくり、これは三K職場の追放でありますとか時短の推進でありますとか、そういうことを含むわけでございますが、労働力の確保、定着の施策、さらには地域におきましてUターンの希望者を就職させるような魅力ある雇用機会づくり、さらに高齢者の活用といたしまして、六十歳定年の定着、六十五歳までの継続雇用制度の普及、さらには女性の働きやすい就業環境の整備、それから職業能力の開発によります質の高い労働力の供給といったような施策を今後とも推進してまいる所存でございます。
#15
○福永委員 それでは、最後に国民生活センターの機能についてお尋ねをしたいと思います。
 現在の消費者を取り巻く環境を見ると、国際化、ハイテク化、高齢化等の進展が急速に進んでおります。その結果、数多くの商品が消費者の前にあらわれており、消費者がより豊かで多様な生活を楽しむ機会がふえているわけでありますが、しかし一方では、消費者が商品を購入しようとするとき、困難に直面することが多くなっております。例えば、輸入食品の急増が消費者の安全性に関する不安を高めており、数多く出現するハイテク製品、高齢者向け商品の性能を一般の消費者がこれまでの経験と知識で理解するのは非常に困難になっております。もちろん、企業は毎日大量の情報を消費者に出しておりますが、情報のはんらんと客観的な情報の不足が消費者の合理的選択を困難にしているものと思われるわけであります。
 消費者が合理的に判断し、行動するためには、政府、特に商品テスト設備を持つ国民生活センターが商品比較テストを初めとした客観的商品情報をより広く、より多く消費者に提供することが重要と考えられるわけでありますが、経済企画庁ではどのようにお考えであるか、お答えいただきたいと思います。
#16
○加藤(雅)政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、国民が合理的に判断し、行動するためには、私どもの方から消費者に対して商品・サービス購入の際に判断材料になります価格、品質、機能、安全性等の点に対しまして、客観的な情報を適切に提供していくということは大変大切なことだと考えております。先般、第十二次の国民生活審議会の消費者政策部会でも、そのような御指摘をちょうだいしているわけでございます。
 国民生活センターにおきましては、先般御視察いただきました淵野辺の商品テスト研修施設にございますテスト機器を中心といたしまして、商品の比較テストを従来から実施いたしておりまして、このような情報等を中心といたしまして、使用方法あるいは商品の品質等々に関しますさまざまな情報を公平、中立の立場から消費者に提供するという努力を従来からやっておりました。また、今年度から国民生活センターにおきますテスト機器を一層整備拡充したいと考えておりまして、そのための予算上の配慮もそのようになっているところでございます。
 また、このような情報、ただ結果が得られたということではなくて、これを消費者に一層よく知っていただくということは非常に大切なことでございます。私ども国民生活センターでは、ラジオ、テレビを初めとして、いろいろな形での情報提供を従来からやっているわけでございますが、特に今年度の仕事といたしましては、「たしかな目」という商品テスト誌を隔月発行いたしておりますが、これを内容を一層わかりやすく、かつ充実したものにしたいと考えておりまして、しかも、それを隔月刊ではなくて月刊にしたいということで、今取り組んでいるところでございます。
 いずれにいたしましても、先生御指摘のような趣旨で今後とも一層努力していきたいと考えておりますので、よろしく御指導、御鞭撻をお願いしたいと思います。
#17
○福永委員 以上で終わります。ありがとうございました。
#18
○村山委員長 次に、岡崎トミ子君。
#19
○岡崎(ト)委員 私は、日本社会党・護憲共同の岡崎トミ子でございます。よろしくお願いします。
 昨年の六月、私は当委員会で内外価格差問題について質問をさせていただきました。経済大国日本が、国民の日常生活の面では依然として高い物価水準、貧弱な住宅と高い住宅価格、長い労働時間など、経済大国にふさわしい豊かな国民生活を実感できない状況にあります。その豊かさを実感できない一つの要因が内外価格差であると思います。かつての円高以降、我が国の円の価値の高まりによって、賃金の名目比較では、日本の勤労者はアメリカなどの勤労者の賃金と遜色がなくなりましたが、実際に物を買う場合は、それだけの価値が与えられていないというのが実態です。つまり、内外価格差によって、同じ物を買うのに、日本の勤労者はアメリカやヨーロッパの勤労者よりも三〇%から四〇%も高い価格で買わされております。何よりも物価の安定と世界に比べて格差のない物価水準にしていくことを強く求めたいと思います。
 そして、当委員会で集中的にこの内外価格差問題について審査を行った結果、昨年の六月に全党一致により「内外価格差の是正と国民生活の充実について」の文書をまとめ、経済企画庁に申し入れを行いました。そして、その申し入れの中で、物価問題については抜本的にメスを入れて、物価全体の監視、チェック、指導などに向けて物価対策実行機関の設置を提唱いたしました。内外価格差の実態は既にもう明らかにされております。問題は、実態の報告や調査の実施ではなくて、これまで明らかにされたことに基づいて、消費者の立場に立って消費者の利益につなげるため、どう具体的に実行していくかにあるのではないでしょうか。
 今日の家計の実態を見ましても、政府の消費者物価見通しは消費税が導入された一九八九年度より実績は常に上回っておりまして、一九九〇年度は消費税の導入の影響は消えているにもかかわらず、見通しの二倍を超えております。国民の家計は非常に圧迫されております。物価の上昇によって、賃金や年金の引き上げがあっても、生活改善にはつながっておりません。国民の生活水準を切り下げさせ、豊かさを奪っていることは、政府の責任ではないかというふうに思います。特に、一九九〇年度は、消費税導入の影響は消えているにもかかわらず、見通しの二倍ということを今触れましたね。この点について政府の重い責任であるという認識について伺いたいと思います。
 続けて、消費者物価指数、八九及び九〇年度の見通しと実績の違いの理由と、九〇年度の見通し一・六%と実績三・三%の違いの理由もお伺いしたいと思います。
#20
○越智国務大臣 広範な御質問を賜りましたので、多少整理をしてお答えをさせていただきたいと思います。
 まず第一に、日本としての物価の動き、これは先生御指摘のように、例えて言えば平成二年度が当初一・六と確かにいたしました。実はまだ実績は出ておりません。東京都区部の速報値で計算いたしますと、平成二年度一年間で三・二という暫定的な数字が出ております。私どもは去年の暮れに訂正を考えたときに三・一と言っておりまして、似たようなものでございますが、そうなっております。理由は、昨年前半の思わぬ円安傾向、後半の石油、そして冬場から春にかけての天候不順と申しますか、そうしたことが原因であろうかと思っております。
 物価に関しましては、私どもは安定させるということを強く意識いたしております。ただ、手段といたしましては、あくまでも自由主義経済の中でございますので、例えば公共料金等は十分注意いたしておりますし、公共料金等では、先ほども申し上げましたが、電話などは下げているわけでございます。そしてまた、物価形成の過程においてよろしくない方法がとられているようなものは、それは十分に監視をいたしまして、便乗値上げ的なものとか、そういうものは直接にあるいは関係省を通じて監督をいたしております。
 ことし、平成三年度は卸売物価で大体横ばい、マイナス〇・一という数字を使っておりますが、消費者物価で二・四という数字を使っておりまして、春闘の賃上げ、大体五・五、六%だったかと思いますが、それがすべて物価で飛んでしまったというようなお話が今ございましたが、そういうことにはなっておらぬ。昨年の春闘が五・九五ぐらいでございますか、多少それに物価の分が食い込み過ぎているのではないかという御指摘は受けておりますが、できるだけ物価をとどめておきたい。世界的に見ればナンバーワンではございませんが、今物価の落ちついている意味では、西ドイツがいいかと思っております。いい方の、まあまあ物価の動きの落ちついている方の一、二でございます。
 もう一つの全然違う面で、今最初に先生が御指摘になりましたよその国と比較したときにどうなんだ。要するにレベルですね、絶対レベル。動きではなくて絶対レベルのところが一番問題でございます。ただ、これは内外価格差の問題でお申し入れもありましたので、政府の方では内閣総理大臣を長とする内外価格差対策推進本部をつくりまして、既に四回会合をいたしまして、九十四項目にわたって細かくチェックをいたしておりますが、一つは、同じ品物がアメリカで買った場合と日本で買った場合にどうして値段が違うのか、この問題が一つございます。これについてはそれぞれの、例えば総代理店制度がどうなのかとか、その間の輸入業者のマージンがどうだとか、そういうところはチェックいたしておりますけれども、先生のおっしゃりたかったと申しますか、主としておっしゃったのは、その国で生活費として計算されるものがどのくらい違うかということでございますので、日本にいて日本でできたものを食べ、日本でできたものを着て、日本の住宅に住んでいて、同じような生活をニューヨークでした場合とどれだけ違うかということかと思うのです。
 これは非常に比較は難しゅうございますが、あえていろいろな仮説を立ててやっておりますと、大ざっぱに申しまして、これは国と国という比較はできないものですから、どうしても都市と都市という格好になりますが、東京とニューヨークでございますと、向こうの方に比べて三割から四割ぐらい生計費が高くつくのではあるまいか。それは拡大傾向にあるかというと、むしろ今一生懸命縮小傾向に持っていっておりますが、ただ何分にもこれは為替の換算が間に挟まるものですから、非常に測定が難しいという状況になっておりまして、私どもも十分その点を注意して、先生がおっしゃった物価を安定させるのは政府の責任であるという点は、一生懸命意識して努力をさせていただいている次第でございます。
#21
○岡崎(ト)委員 ただいまの長官のお話の中に、九〇年度の消費者物価上昇の見通しを三・一%というふうに立てていらっしゃいましたが、物価対策についての百二十通常国会衆議院予算委員会第六分科会の中で、野坂議員の質問に対して、一・六%を三・一%に修正した理由、今おっしゃいましたように、円安であるとか石油製品価格の高騰であるとか暖冬による生鮮食料品の上昇を挙げてくださって、しかし、成長率や生産性の絡みで三%は望ましくない、三%を切る努力をしたい、三%を超えたときは安定とは言いたくない、こういうふうに答弁されていらっしゃるわけなんですね。
 そして、今のお話の中でも、九〇年度賃上げ上昇率五・九五%、今年度は多分試算の段階で五・五、六%ぐらいではないかなと。消費者物価上昇率、政府の見通しが二・四%ですが、実績として来年の三月に出てきたときには多分三%台は行くのではないかということになりますと、私たちはやはりこれは大変だな、苦しい生活であろうな。政府は物価安定というふうに言っているかもしれませんけれども、そのことの実感というのは働く人や主婦の皆さんたちにはとれていないわけなんですね。ですから私は、前にも申し入れをいたしましたとおり、国民生活水準の改善がなかなかされていない、豊かさ、ゆとりから非常に遠いところに置かれているという状況なんかを見ますと、物価引き下げのための実行機関を置いて、もっと身近な人たちの声を聞いてくださる物価対策実行機関が必要ではないかなというふうに思います。
 それで、ちょっともう一つさきに戻りますけれども、今の生鮮食料品のことを天候不順によるというふうなことで、それの影響が出たというふうにおっしゃいましたけれども、現在の野菜の高値の背景は、天候不順だけではなくて、農家の高齢化とか産地の集中化とか労働力不足とか、構造的な不安材料があるというふうに玉川大学の農政学の戸田教授がおっしゃっています。農村の労働力が減って、しかも高齢化していることが最大の問題ではないかと。いろいろな方がいろいろなことでおっしゃっていますけれども、天候不順だけが原因ではなくて、やはり構造的不安材料が背景にあるということですから、もう少し物価の政策ということをきちんとすれば抑制できるし、物価を下げることもできるのではないか。そういう声をきちんと聞いてほしいというような思いがあるのですけれども、いかがでしょうか。
#22
○越智国務大臣 最後の野菜のところをお答えさせていただきたいと思いますが、先生御指摘のように、実は出荷量全体が下がっております。野菜の生産地は東日本にやや偏っておりまして、実は西日本の方がより高いわけで、先生も福島の御出身でございますけれども、西の方に言わせると、もっとつらいような状態でございます。
 それで、実は都市の農家を農地の問題でいろいろと不安定な状態にさせておりますものですから、大都市周辺の農家というのは多く野菜農家でございますが、率直に言いまして四、五%ずつ作付面積が年々減っているわけでございます。自然にと言ったらおかしいですけれども、傾向として減っているわけでございまして、供給量が落ちている。今野菜が上がっているのは何だと申しますと、露地物ばかりでございまして、国民の方が実は健康食ということでございましょうか、俗に言う菜っぱの方を余計食べられます。菜っぱの方はハウス物でやったのでは値段が合わないわけでございまして、上に施設をつくらなければならぬ、中を暖めなければならぬというコストをカバーできるだけのお値段はつけられませんものですから、いわば一個二百円のものが三百円になったということでも、パーセントで言えば五割増しということになるわけです。
 それに対しまして一生懸命露地物を、去年の暮れにはお大根の前倒しを約二千トンやりまして、それから、一月から三月まで七回に分けてキャベツの特別出荷をやりました。安定基金の持っているキャベツ、これで三千トンぐらい出しましたのですけれども、やはり保存しているキャベツ等はかたいとか小さいとか、消費者の方にも御議論がありますものですから、これからは野菜の生産を増加する方法はないのかということで農林省にもいろいろお話ししておりますが、米作農家がおやめになった後に野菜農家に転換するときの最大のネックは、野菜の値段が安定していないということなんです、生産者の方からいうと。キャベツなどは、ひどいときには包装費と運送費も出ない、それもカバーできないという状態になって、実は嬬恋のキャベツの農場などは、キャベツそのものをトラクターで踏みつぶすというときもありました。
 そんなことで、むしろ農業政策として、これから生鮮野菜を殊に需要地である大都会の周辺でうまくつくらないと、あれは遠く運んでいたのでは到底輸送費は、コストが出ませんから、需要地の近所から供給する方策をいろいろ検討してみたい、こう思っているところでございます。
#23
○岡崎(ト)委員 今いろいろ説明をしていただきましたけれども、やはり生鮮食料品問題は、市場原理の活性化を制約している流通機構のあり方ですとか、輸入制限や規制のあり方ですとか、あらゆる角度からメスを入れて、物価の引き下げを阻害する原因をなくすために、政策というか、その樹立と実行をぜひともお願いしたいなというふうに思っております。
 物価について実際にいろいろな国民から声を吸い上げていく、その実行機関のことについて一言触れていただきたいと思います。労働者の団体が入っているところはありますけれども、実際問題として本当に国民の声を吸い上げるというようなところはどこにもないというふうに思われますけれども、いかがでしょうか。
#24
○越智国務大臣 実は先ほどの内外価格差対策推進本部、これは政府と与党が入っておりますが、その前に経済企画庁といたしましては物価安定会議というのを持っておりまして、これは民間の方ばかりでございまして、大学の先生が座長さんで、これはかなり歴史は古うございます。昭和二十年代くらいからありまして、途中お名前は変えてありますけれども、ずっとやっておりまして、部会の方は毎月開いていると心得ております。
 そのほかに我々の物価関係閣僚会議でございまして、これは公共料金の審査をして決定をする段階でございまして、三つの機関でそれぞれに目的を持ってやっておりまして、今御提案と申しますかお話のございましたのは、私どもとしてはそうした三つの機関のフル活用によって何とかやっていきたい。殊に今民間の方々だけでやっていらっしゃる物価安定会議だったと思いましたが、途中で名前が変わったものですから、前は政策会議と言ったのですが、これで十分何とかまずはやらせていただきたい、こう思っておるところでございます。
#25
○岡崎(ト)委員 現在政府、行政の機関である関係閣僚会議ですとか省庁担当者会議ですとか内外価格差対策推進本部は、国民の代表や野党の代表は構成メンバーには入っておりませんから、広く意見を聴収する機構とはなっておりませんし、物価安定政策会議は経済界、労働界の代表を含めておりますけれども、会議の実態は経済情勢の報告と公共料金の改定に対して意見をもらうところであって、物価全体についてあるべき方針、調査、チェック、指導、勧告などの機能、権限については限界があって、つまり、権限がそのようになっておりますので、国民の期待にこたえるというのは現状では非常に難しいのではないかというふうに思います。
 それで、やはり国民の皆さんの意見を反映させる、受けとめるということをこれからも努力していただきたいので、私どもが提起をしてまいりました物価対策実行機関をぜひとも発足させていただきたいな。一つ一つそういう努力を積み重ねていただけるかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#26
○越智国務大臣 まず訂正というか申し上げますが、今が物価安定政策会議でございまして、前が推進会議でございまして、名前をちょっと取り違えましたが、先生のおっしゃったような趣旨を生かしたいと思って今の会議をやっておりまして、もしその会の運営そのものにもっと活発な議論をとかいうようなことでございましたら、あるいはもし必要ならば、メンバーにさらにどういう方を追加するか等のことは考えてもよろしいかと思っております。ただ、政治家の方は入らずにやっております会議でございますものですから、野党の代表と言われましても、我々も入っておりませんけれども、その点はお許しをいただきたいと思いますが、そうした運用の改善の問題として今後も一生懸命努力をさせていただきたいと思っております。
#27
○岡崎(ト)委員 今の運用のことで私はいいと思います。つまり、本当に国民の皆さんの声を吸い上げる。チェックするだとかどうなっているかというのは、本当に細かく吸い上げていくという機関が必要なわけですから、現在あります物価安定政策会議ですか、これを解散しまして、新しく改組するという形でもいいのじゃないでしょうか。どうしてそこを前向きにそういけないのでしょうか。
#28
○越智国務大臣 再度のお尋ねでございますけれども、私どもとしましては、せっかく今つくっております物価安定政策会議、委員四十五名でございますが、労働界も消費者団体もすべて網羅しておりますので、今お話のございましたように運用の仕方、あるいは四十五名の構成員の問題等があれば検討させていただきますが、この組織そのものを改廃するという考え方は今のところ持っておりませんで、一層有効に活用することによって御提言の趣旨、意図するところを生かせるように努力させていただきたいと思っております。
#29
○岡崎(ト)委員 ぜひとも国民一人一人が文字どおり豊かさとゆとりを実感できる社会づくりを目指して、長官にも御助力をいただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 次に、最近新聞などで悪徳商法の被害に遭っている人の記事を読むにつけまして、社会的立場から考えていかなければならないと考えております。悪徳商法の中でもマルチ商法は、被害者がそれまで築き上げてきた人間関係まで破壊してしまって、被害者は社会の中で孤立してしまうということから、これにまさる悲劇はないと思います。特に今は春でありまして、若者が大学に行ったり社会に巣立っていく時期です。この時期にトラブルに巻き込まれる可能性が多いと聞いております。そこで、私はこの場をかりまして、悪徳商法、特にマルチ商法、マルチまがい商法について質問をしたいと思います。
 国民生活センターが扱いました問題商法の相談件数を見てみますと、これは都道府県、政令指定都市、国民生活センターを結ぶコンピューターオンライン、パイオネットの調査結果なのですが、八九年度第一位がマルチ・マルチまがい商法四千二百四、第二位アポイントメントセールス三千九百二十、第三位SF(催眠)商法三千八百四、九〇年度第一位マルチ・マルチまがい商法四千百六十、第二位ネガティブオプション三千九百十八、第三位アポイントメントセールス三千七百六十三ということで、いずれも第一位はマルチ商法、マルチまがい商法になっております。
 これら悪徳商法は、いずれも社会的に弱い立場と言われている人、心の弱い部分をターゲットにしてきております。しかも契約金額が多いために、三社以上の立てかえ払い契約を結ぶことも多くて、クレジット契約に関する知識の不足も加わって、問題が深刻化する傾向があります。この第一位のマルチ商法は、アメリカから昭和四十年代の半ばに我が国に侵入して以来、何回か被害多発で社会問題化してまいりました。被害の特徴も借金絡みで、組織に入会することが多くて、その支払いに追われることになります。経済的被害にとどまらず、友人、知人の信頼関係で勧誘することから、その後、人間関係が壊れます。また、定職をなげうったりして、社会から転落することもあります。何よりも恐ろしいのは、被害者でありながら、善と信じてこのシステムを広めてしまうという反倫理性、反社会性にあります。
 ところで、経済企画庁にお伺いしたいと思います。マルチ商法、マルチまがい商法の消費者相談状況とその内容はどのようになっておりますでしょうか。また、マルチ商法、マルチまがい商法についてどのような認識を持っていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
#30
○加藤(雅)政府委員 お答え申し上げます。
 平成二年度におきまして全国の生活センターが受け付けましたマルチ・マルチまがい商法に関する相談件数は、四千百六十件でございます。これは昨年度末までにこのオンラインネットワークに入力されたものの件数ということでございます。
 相談の内容といたしましては、御指摘のように、紹介販売の販売員となる契約を結びましたが、商品が売れないので解約したいというような内容のもの、あるいは紹介販売の販売員となった知人、友人から執拗に商品購入を勧誘されて困っている、これは売られる側でございますが、そういうような内容が多くなっておるわけでございます。私どもといたしましては、このようなマルチ・マルチまがい商法につきましては、具体的な取引について積極的に対応していきたい、それが必要であるというふうに考えておりまして、特に青少年と高齢者を中心としたトラブルの未然防止ということが重要ではないかというふうに考えております。
 マルチ・マルチまがい商法につきましては、今御指摘がございましたように件数としても非常に多うございまして、この被害を防止していくということは非常に重要なことでございますので、昨年の十二月に消費者保護会議、これは内閣総理大臣を初めとします閣議とほとんど同じようなメンバーの方々によります消費者政策、国民生活政策の決定機関でございますが、その中で具体的方策につきまして「「訪問販売等に関する法律」に基づき、適確かつ実効的な運用を行い、消費者の利益の保護を図る。」ことということで決定をいたしまして、そのように関係各省庁にお願いしているところでございます。
#31
○岡崎(ト)委員 そのことについてはまた後で触れたいと思いますけれども、同じ質問を通産省にお願いしたいと思います。
#32
○大野説明員 私ども通産省におきましては、通産省本省、それと地方通産局に消費者相談室を設置いたしまして、消費者からの苦情、問い合わせあるいは要望といったものを受け付けているわけでございます。
 先生のおっしゃいましたマルチ関係につきましては、私ども連鎖販売取引としてとらえておりますが、私どもの相談室に参っております連鎖販売取引あるいはこれに類似する取引に関する相談件数につきましては、昭和六十年度以降の数字を見ますと、六十年度におきましては四百二十五件あったわけでございますが、六十一年度以降はおおむね二百五十件程度で推移をしております。最近三カ年間の相談件数を申し上げますと、昭和六十三年度が二百五十二件、平成元年度が二百七十五件、平成二年度が二百三十九件というふうになっております。ただ、これらの相談件数のうち苦情だけについて取り上げてみますと、昭和六十三年度は二十二件でございまして、平成元年度は二十四件、平成二年度は二十件、全体の相談件数の一割程度が苦情という内容となっております。
 また、苦情内容としましては、いろいろございますが、いわゆる勧誘の問題、つまり、強引な勧誘であるとかあるいは事実と異なるセールストークによって勧誘されているという問題もございますし、また、法律に決められた書面を交付しない、あるいは法律に決められた書面の記載事項が全部記載されていないという問題、クーリングオフをしたいけれどもなかなか業者が応じてくれないという問題、解約する場合にその解約の手続がどうも規約どおりにいかないというさまざまな内容となっておると承知しております。
 ただ、私ども、マルチ商法につきましては、先生のおっしゃった趣旨にかんがみまして、件数の多寡にかかわらずこの被害の未然防止に努めるべきであると考えておりまして、訪問販売法の厳正な運用に努めている所存でございます。
#33
○岡崎(ト)委員 本当にたくさんの問題があるというふうに私は思いますけれども、マルチ商法の特異性といいましょうか、被害者が訴えるのは非常にまれで、被害者が被害者意識を持たないことが特徴です。ですから、実際には今の件数が例えば少ないとしても、その何十倍もあるというふうに考えなければいけないのではないかと思います。
 被害者の特徴は、例えば商売の知識も経験もない若者ですとか主婦ですとか、若い会社員、OLらが誘われてだまされることにあります。彼らは事の本質が見抜けないままにだまされて、一度信じますと、まるで宗教に取りつかれたようになって、病理学的に言いますと躁状態になって駆け回って、前日午前二時まで駆け回って、次の日は朝早く起きてまた駆け回るというような状態になって、人狩りに走るということになってしまうわけです。
 平均して三カ月は目が覚めず、この間に被害者が加害者になってしまうというのが通常です。目が覚めても自分が悪いというふうに信じ込み、つまり、努力が足りない、もっと努力をしなければいけないのじゃないかというふうに信じ込んでしまって、またはそのように思い込まされることが多く、被害が潜在化してしまいます。被害は単にお金だけでは済まないで、人間関係が破綻したり、会社や学校をやめざるを得なくなったりするなど、社会から脱落して自殺にまで追い込まれる悲惨なケースまであります。例えば一九七五年ですが、大阪で十七歳の高校生が自殺に追い込まれました。一九七七年には愛知県下で主婦が割腹自殺未遂にまで追い詰められて、八九年には広島で母子心中という悲惨な例まで出ております。
 ところで、ことし四月十八日付福井新聞によりますと、福井市内の会社員が自殺を図っております。警察庁にお伺いしますが、私どもの調査では、このAさんは日本アムウェイの販売員であるというふうに聞いておりますが、調査しておられますでしょうか。
#34
○松原説明員 お答えいたします。
 本年四月十七日、福井県越前町内におきまして、日用品の訪問販売をしておりました二十六歳の男性の方が乗用車内で排気ガスによる自殺を遂げたという事実は把握をいたしております。この方が御指摘の日本アムウェイの販売員をしていたということについても、確認はいたしております。
 以上でございます。
#35
○岡崎(ト)委員 通産省は把握しておられますでしょうか。
#36
○大野説明員 私どもも、実は先生からその事実を知らされまして、日本アムウェイを呼びましてその関係の事情を聞いております。確かにその方が日本アムウェイの会員であったということは事実であると承知しております。
#37
○岡崎(ト)委員 通産省は、日本アムウェイについては、マルチ商法形態ではあっても、訪販法第十一条の定義の中の特定負担が二万円未満なので、連鎖販売取引ではないと見ているというふうに伺っておりますけれども、初め八千円のスターターキットのほかに、加入者が二万円以上の洗剤を買うことが通常のパターンになっております。であるとすれば、訪販法上の連鎖販売取引に当たると思いますが、通産省、いかがでしょうか。
#38
○大野説明員 訪販法上の連鎖販売に該当するかどうかについては、大きなポイントとしまして、特定負担と特定利益の問題がございます。
 日本アムウェイの場合について申し上げますと、特定利益につきましては該当すると思われますが、特定負担につきましては、具体的な取引の内容いかんによってその解釈も変わってくると考えております。したがいまして、私ども、日本アムウェイが訪問販売法上の連鎖販売取引に該当するかどうかについては、その具体的な取引の実態によっては、場合によってはなり得る可能性もあるものと考えております。
#39
○岡崎(ト)委員 個々に調べて、もし二万円以上であるということであれば、それは連鎖販売というふうに認めていらっしゃるわけですね。
#40
○大野説明員 入会時におきます特定負担が具体的に二万円を超えるという条件づけとなっておる場合には特定負担に該当しますから、日本アムウェイの販売方法は連鎖販売取引に該当すると思われます。
#41
○岡崎(ト)委員 警察庁もこのことをはっきりと知っておいていただきたいと思います。
 ところで、かつては単価が安いものを販売員として抱え込まされるケースが多くて、新たな販売員の勧誘に行き詰まって、売れない商品が四畳半の部屋に山のように積まれているというようなことで被害者意識に目覚めやすかったわけです。しかし、現在は単価の高い商品を単品で消費者として購入させる形が多くて、この結果、新たな消費者の紹介、勧誘に行き詰まったときに、その商品を自分が使用すればよいという気持ちになってしまう。つまり、被害意識が発生しにくくなっております。
 こういった紹介型の商法は、ダイヤモンドや浄水器、浴用器具などなんですが、本来は欲しくもない商品を架空のもうけ話でクレジットやサラ金を抱え込まされるわけで、これは明らかに被害ではないかというふうに思います。現実に、おふろがなくてアパートに住んでいる学生さん、若者が浴用気泡装置を抱えたままになっているケースがありますけれども、こういうような現実を通産省はどのようにとらえておいででしょうか。
#42
○大野説明員 先ほども申し上げましたように、連鎖販売取引に該当するかどうかにつきましては、特定利益と特定負担をどう解釈するかという問題でございます。
 確かに、現在におけるいわゆる連鎖販売取引あるいはこれに類似する取引の中には、特定負担を二万円未満にする、あるいは今先生がおっしゃいましたように体験した上で会員に登録させる、いわゆる愛用者制度と呼ばれておりますが、こういったものもございます。ただ、マルチ商法であるかどうかにつきましては、外形のみで判断することは極めて困難でございまして、取引を行う事業者の取引のやり方いかんに左右される面が非常に多いと考えております。したがいまして、具体的なその取引の内容を見た上で判断をしたいと考
えております。
#43
○岡崎(ト)委員 では、続いて警察庁の方にお伺いします。
 改正訪販法施行後、連鎖販売取引業者の摘発は、山口、福岡、香川、富山の四件あるというふうに聞いておりますが、それぞれの被疑事実を明らかにしていただきたいと思います。
#44
○松原説明員 お尋ねの四事件は、いずれも訪問販売法の連鎖販売取引に関する規制に違反する容疑などで検挙いたしたものでございます。
 まず、山口の事件でございますけれども、時計やかばんなどの連鎖販売会社の販売員がこれらの商品の販売のあっせんをする方を勧誘して、契約を締結するに際しまして、その契約の概要について記載した書面を交付せず、かつ、解約を申し入れた方を威迫して困惑させた、こういう容疑によりまして、平成二年一月から五月にかけまして四名、一法人を検挙したという事件でございます。
 次に、福岡県警の事件でございますけれども、健康機器の連鎖販売会社の販売員が販売のあっせんをする者を勧誘して、契約を締結するに際しまして、取引に関する重要な事項につきまして故意に不実のことを告げた容疑等によりまして、平成二年九月に三名を検挙したという事件でございます。
 それから、富山の事件でございますけれども、ダイヤモンドの連鎖販売会社の販売員が同じく販売のあっせんをする者を勧誘して、その契約を締結するに際しまして、契約の概要について記載した書面を交付せず、かつ、取引に関する重要な事項について故意に事実を告げず、不実のことを告げた容疑ということで、平成三年一月に三名、一法人を検挙いたしております。
 最後に、香川県の事件でございますけれども、羽毛布団セットの連鎖販売会社の販売員が販売のあっせんをする者を勧誘して、契約を締結するに際しまして、契約の概要について記載した書面を交付せず、かつ、取引に関する重要な事項について故意に事実を告げず、不実のことを告げた、こういう容疑で平成二年九月に九名を検挙した、こういうことでございます。
 以上でございます。
#45
○岡崎(ト)委員 ありがとうございます。
 こういうふうな警察の動きがあって、それぞれ検挙というところまで行っているわけですけれども、最近大阪と広島の例を申し上げますと、いずれもベルギーダイヤモンド社なんですが、ことしの三月十一日に大阪地裁で、また、四月五日に広島地裁で、原告が損害を受けた被害者と認定して、マルチまがい商法被害訴訟では初めて慰謝料を支払うよう命じる判決を出しました。
 また、同様の訴えが各地にございます。エム・ビー・シー、フロンティアミップ花咲会、サンフラワーサークル、三社なんですけれども、少し長くなりますけれども、ちょっとお聞きいただきたいと思います。
 まず最初は、川崎市にあります株式会社エム・ビー・シーの被害者です。この方は二十四歳の男性の会社員です。川崎市の例です。エンジンオイルの添加剤の商品実験をまずつき合わされまして、この商品を使用するとエンジン内部の騒音が少なくなって非常に性能がよいと、これを見せられるわけです。そして、その後で、最初メンバーであるならば六万七千円、エリートメンバーならば十五万五千円の資本金を出して、経験を積み、上の特約店やその上の代理店になっていきます、メンバーならば二万から三万、特約店なら三十万から五十万、代理店なら六十万から百万の収入が得られますという説明がありました。
 そして、成功例として、車がなくて二カ月で三百万円の収入を得た千葉県の二十の女性の話と、説明をしている人が、私は外車のポルシェ、BMWに乗っているという話もありました。さらに人を紹介してメンバーをふやす方法などの説明がありましたが、中でも特に、紹介したメンバーが二店目の特約店になったときに、自分には十万円が入ることになって、説明どおり月三十万円から五十万円の収入になると思いました。メンバーのときの六万七千円と特約店のときの八十二万円と合わせて合計八十八万七千円の損害を受けたという例です。
 次に、フロンティアミップ花咲会ですが、これはヘルシーバンク協会から分離独立したグループで、システムはほぼ同じです。福岡県警が連鎖販売取引業者として昨年摘発をしておりますけれども、ここでは会場には連れていきますが、何をするのか目的を言いません。商品が届かない場合には、申し出をしない限り商品は送られてきません。販売会社の解約についての方針は、クーリングオフ以外は絶対解約させないという回答をしてきます。いろいろなA子さん、B子さん、C子さんとそれぞれ被害の相談、申し出があるわけですけれども、そのやり方としては、いとこから電話がある、いい話があるから一緒に来てほしいと言われて、車に乗って県内のある都市に行く。行くまでの間、何の話かと内容を聞くと、行けばわかると何も聞かされずに、行きたくなかったら引き返してもよいというふうに突き放されたりする。そこで人を幸せにするのが目的だと言われ、とにかくよい話だと強調される。よい話だから、とにかく商品を買うように勧められて書類に署名をした。翌日商品代金は現金一括で支払ってしまっている。これはちょっとというふうな思いで、契約後一カ月以上たちますけれども、商品が届かずに解約を申し出たという例です。
 もう一つ、やはりこれはフロンティアミップの人ですけれども、これは高校時代の同級生から電話がかかってきています。その人は、その人がいかに頑張ったかを、男性自身の貯金通帳を見せてくれる。毎月五十万から百万円入金になると言われました。自分にとっては余り関心のない商品ですが、仲のよい友人が勧めるのがきっかけでしたので断ることができなかった。しばらくして、お金がないからやはり購入できないと言うと、お金を立てかえてあげるからどうしても購入してほしいと誘われた。仕方なく購入を了承した。その場では契約に関しては書類は渡されませんでしたということですね。これは飯田の消費生活センターに入った相談の例です。
 そして三社目は、これは東京都の消費者センターに入ったものなんですが、ファクシミリ機器と浄水器関係なんです。友人から仕事をしないかと誘われて、これは大手商社がバックについているというので、サークルに入会したということなんです。やはりこの人も高校時代の友人から仕事をしないかと誘われました。相談者は二十の無職の女性です。そのときに、大手商社がバックについているサークルだから大丈夫と言われて、入会の説明会に行っています。それで入会金八千円で会員になって、四人を紹介し、そのうち一人が商品を六十万円以上購入すると、紹介者と商品購入者が協力店に昇格する。協力店になれば月五十万円ぐらいの利益があるからと勧められましたが、とにかく余り理解できないので、その後二、三回説明会に行っているわけです。
 ともかく四人を紹介することになるのですが、その情報を入れるために必要だからと、まずファクシミリ機器の購入を勧められるわけです。その説明の中で、浴用器具は消費者センターの推薦品という紹介がありまして、さらに協力店にならないとなかなか収入にはつながりませんとの説明があります。そこで入会することにして、ファミリーレストランで代理店クラスの人たちと会って、手っ取り早いのは自分で購入した方がよいと、月締めまであと一週間しかないからと、せかされて入会するわけです。そして、そのとき自分とその家族、両親とお姉さん、三人分の名義を借りて、もう一人は自分の友人を紹介したというものなんです。
 こういうことで、これは訪問販売等に関する法律第十一条の連鎖販売取引に当たるととれるものですし、四人以上の入会者を紹介すること、会員、協力店、代理店、販売会社とランクづけされていること、これは物品または役務の提供、再販売、受託販売、販売のあっせんをする者に当たります。また、仕事をしないかとか、月五十万円ぐらいの利益があると勧誘しておりますが、販売利益率をランク別に設けていること、これは特定利益を収受し得ることをもって誘引するということになりまして、十二条違反の行為ではないかと思います。そして、入会金八千円と同時に商品およそ六十四万円を購入させていること、これは特定負担、政令では二万円以上ということになっておりますが、この特定負担をすることを条件とする取引に当たります。こういうことが当てはまるのではないかというふうに思います。この例は本当にまたほんの一例ではないかというふうに私は思います。
 通産省にお伺いいたしますが、これらは訪販法第十一条の連鎖販売取引の定義に該当すると思いますけれども、いかがでしょうか。
#46
○大野説明員 ただいま先生がいろいろな事例を説明なされたわけでございますが、私どもとしましては、その個々の具体的な事例を精査しませんと確定的な回答はできないと考えておる次第でございます。ただ、ただいまの説明を聞く限りにおきましては特定負担、特定利益が明確でございまして、誘われているのであれば、連鎖販売取引に該当すると一応考えることができようかと思います。
#47
○岡崎(ト)委員 この連鎖販売取引の定義に当たるということですと、連鎖販売取引について訪販法第十二条に、ちょっと読ませていただきますと、「禁止行為」として
 統括者又は統括者がその統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について勧誘を行わせる者は、その連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の締結について勧誘をするに際し、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、その連鎖販売業に関する事項であつて、連鎖販売取引の相手方の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない。
 2 統括者又は勧誘者は、その連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約を締結させ、又はその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。
というふうにあります。これははっきりとした犯罪になるのではないかと思うのですけれども、警察庁、このことについて動いていらっしゃいますでしょうか。
#48
○松原説明員 お答えいたします。
 お尋ねの会社につきましては、そういった会社があるということは承知をいたしておりますけれども、警察として具体的な実態につきましては現在把握をいたしておりません。警察といたしましては、消費者保護の立場に立ちまして、刑罰法令に触れるような行為があった場合には厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。
#49
○岡崎(ト)委員 ぜひ調査をしていただきたいというふうに思います。
 警察のことでいいますと、特に先ほども山口、福岡、香川、富山の四県で逮捕者を出しているということで、地方で頑張っているようですけれども、こういう業者が大変集まっております警視庁、神奈川県警、そして愛知県警、大阪府警は、かつて摘発実績がありながら、改正訪販法によってマルチ業者の摘発はありませんね。ぜひとも積極的に取り組んで取り締まっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#50
○松原説明員 悪質商法一般について申し上げますと、いわゆる悪質業者が大都市に多いということは先生御指摘のとおりでございます。警視庁におきましても、この悪質商法の取り締まりというものを重点課題として取り組んでいるところでございます。確かに御指摘のように、最近警視庁におきまして連鎖販売取引関係の事犯の検挙はございませんけれども、昨年一年間で、原野商法などで十三事件、五十六名を検挙するなどの活動も進めているところでございます。警察といたしましては、今後ともこういった事犯につきましてあらゆる法令を活用しながら、徹底した取り締まりを推進してまいりたいと考えております。
#51
○岡崎(ト)委員 経済犯罪に強い警察にいま一段と頑張っていただきたいなと思います。摘発にまさる啓発なしではないかと思っております。
 次に、通産省に伺います。
 地方の警察が頑張ろうとしたときに、地検から要求されて通産省当局の解釈を文書で求めることがあるように聞いておりますが、そのときに通産省が積極的でないとも伺っております。そもそもこの法律の趣旨は、行為規制法であっても、悪質なマルチ商法を実質的に禁止する目的のものであるということに間違いありませんか。ここで確認させていただきたいと思います。
#52
○大野説明員 御指摘のように、地方の警察あるいは検察庁などから当方に問い合わせがあるわけでございますが、私どもは訪問販売法を施行する立場から、これにつきましては厳正に対処していると考えております。ただ、個別の問題については一概には言えませんで、やはり個別の具体的ケースに即して正確な分析が必要と考えておりまして、特に罰則の構成要件に該当するかについては、十二分な判断が必要かと考えております。
#53
○岡崎(ト)委員 であるならば、通産省に立法の趣旨どおりの行政姿勢が余り具体的に見られておりません。かつての例ではありますけれども、担当課内の直通電話をマルチ一一〇番にしたということもありますね。それから、きめの細かい啓発の呼びかけをしたこともあります。マルチ業者と認定した二十二社を公表して、各都道府県や文部省などに対して、被害者がこういった業者の甘い言葉に引っかからないようにPRを依頼する文書を送りました。一九七七年当時、通産省産業政策局商政課長の野々内隆さんは、マルチ業者の手口はますます悪質、巧妙化しており、被害が学生、主婦、就職間もない地方出身者にまで広がっている、これ以上の被害を出してはならないと二十二社の公表をしているわけで、営業妨害と言われても監視を続けるということがございます。
 今、私のところには、これは一九八三年四月一日の新聞なんですが、マルチ商法の業者一業者を公表しています。これは一九七九年以来三年半ぶりに公表しているわけですけれども、商法の改善指導を行うとともに、一般消費者に対してマルチ商法に手を出さないように呼びかけております。公表されましたのは、エム・ビー・シーという先ほどお話をいたしました神奈川県川崎市に本社のある会社です。
 ところで、神奈川県警では六十三年九月に訪販法詐欺罪摘発の事実があるかどうか、ちょっとお聞きしたいと思いますけれども、今おわかりになりますか。
#54
○松原説明員 現在までのところ報告を受けておりません。
#55
○岡崎(ト)委員 これはちょっと小耳に挟んだものですので、この摘発の事実があるのかどうかということで、ぜひとも後ほど教えていただきたいと思います。
 ところで、これからは今後の対策ということでいろいろとお伺いをしていきたいと思いますけれども、通産省は今後の対応をどのようにしていくおつもりか、伺いたいと思います。
 というのは、これまでいろいろと挙げてまいりましたけれども、法律ができたということで、厳正な対応をしていくという、言葉ではわかりますけれども、現実にいろいろと被害者が広がっているということもあります。これは最初の答弁のときにも、それは人が少ないから、件数が少ないからということが問題ではなくて、それが例えば一人であっても二人であってもそういうことがあるということ、旧マルチが残っている、マルチまがいがあるということ、そのことでどんどん広がっていくというものですので、ぜひとも具体的な十分な対応策をお聞かせいただきたいと思います。最初の段階で、あるという事実について予防策をしていきたいというふうにおっしゃっておりましたので、そのことについて本当にわかりやすく説明をしていただきたいと思います。
#56
○大野説明員 マルチ商法といいますのは連鎖販売取引の一形態であると考えておるわけでありますが、非常に多種多様でございます。したがいまして、客観的な要件を設けまして、訪問販売法下の連鎖販売取引と厳密に区別することは非常に困難なわけでございます。したがいまして、マルチ商法のみをターゲットとして、これをどうこうするという方法はとっておりませんで、現在の法体系のもとでは、マルチ商法を含む広い概念としまして、連鎖販売取引というものを訪問販売法で定義をいたしまして、このうち悪質なやり方を是正するという行為規制の方法を採用しているわけでございます。
 昭和四十年代、五十年代にマルチまがいという言葉がございましたが、これにつきましても昭和六十三年の訪問販売法の改正によって対応しているところでございます。具体的に申し上げますと、再販売形態以外にも、受託販売あるいは販売のあっせんということも含めておりますし、従来物品の販売だけに限定しておったものを役務の提供にまで広げたということがございます。したがいまして、私どもの姿勢というものは立法以来一貫しておると考えております。
 今後の問題として、現在の訪問販売法のもとでは要件を満たさないものについてどう考えるかということでございますが、これについては、現在の法体系のもとでもなかなか訪販法の対象にならないというものが個別具体的に明らかになった場合には、今後具体的に連鎖販売取引の定義の問題について検討を加えていきたいと考えておる次第でございます。
#57
○岡崎(ト)委員 警察庁の方の今後の対応もぜひお聞かせいただきたいと思います。
#58
○松原説明員 お答えいたします。
 連鎖販売取引あるいはこれに類似する取引をめぐりまして、相当数の苦情なり相談が警察あるいは関係行政機関に寄せられているということは、警察としても承知をいたしているところでございます。
 消費者がこういった取引の内容を十分に理解しないままに契約を締結した場合には、不利益をこうむる場合が少なくないといったようなこと、あるいはこの種の取引においては強引な勧誘が行われがちであるといったようなことから、訪問販売法においていろいろな規制が設けられているところでございますけれども、この種取引に伴う違法行為につきましては、警察として今後厳正な取り締まりを行うとともに、関係行政機関等とも連携を図りながら、広報、啓発活動等にも力を注ぎまして、消費者被害の未然防止、拡大防止に努めてまいりたいと考えております。
#59
○岡崎(ト)委員 地方では四件の摘発ということで、本当によく頑張っているなというふうに私は思います。中央でもぜひとも頑張っていただきまして、摘発体制を一段と強化していただきたいと思います。お願いいたします。
 次に、国税庁にお伺いしたいと思います。
 先ほどの公表されたこともあるエム・ビー・シーの例ですけれども、商品がどのぐらいあるか、先ほどの川崎市の会社員、二十四歳の方がこんなふうに言っております。
  商品六〇セット中六セットは現在寮にあり、二セットは商品実験に使い、あとの五二セット中一二セットは三鷹営業所に、四〇セットは川崎の本社近くの倉庫にあると聞いています。
  このように商品を実際に渡すのは一部だけで、あとは保管証書をもらうだけです。倉庫は一度つれていかれましたが、十数坪位しかない狭いところで、とても全員分あるとは思えません。契約をしている人は、月に一度の飲会でも五〇〇名位は集まっており、また那須に行ったときも一五〇〇名ほど集まっていましたので大変な人数になると思います。
 このようなことを言っているわけなのですけれども、この川崎市の自動車用品の会社、商品を二重売り、三重売りしている可能性があるのではないでしょうか。まともに申告しているとは思えないのですが、この辺の調査はなさっておりますでしょうか。
#60
○栃本説明員 お答え申し上げます。
 今御質問の事柄は個別にわたる事柄でございますので、恐縮でございますが、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
#61
○岡崎(ト)委員 やはりこれは私は二重売り、三重売りの可能性があるというふうに思うのですけれども、国税庁には税金だけ取ってよいというふうにするのではなく、犯罪性があれば警察や通産省にぜひ連絡をしていただきたいというふうに思います。それが公務員の方の告発義務ではないかというふうに思います。しかも、告発をしなかったために、豊田商事の国家賠償請求では国税庁は被告になっているのではないかというふうに思いますので、この調査を公にすることができないということであれば、ぜひとも進めていただきたい。そして、被害を少なくするためにぜひ努力をしていただきたいというふうに思います。
 次に、愛知県では「ヤングセミナーもっと素敵に」というタイトルで、これがそのパンフレットなんですけれども、この豊かで便利な時代に悪徳商法に遭わないようにというパンフレットをつくっております。何よりも消費者の権利として安全を求めております。
 ところで、経済企画庁は、消費者の権利として、安全を求める権利、知らされる権利、選ぶ権利、意見が聞き届けられる権利、そして消費者教育を受けられる権利を守ることが大切ではないかというふうに思います。日本では昭和四十三年に消費者保護基本法が制定されておりますけれども、消費者自身の責任と同時に、文部省の中でも、巧妙になった法の網の目をくぐる悪徳商法に対して被害に遭わない教育をどんな形でしているのか。また、これからの教育の中でどのように取り入れていくおつもりか、お聞かせいただきたいと思います。
#62
○加藤(雅)政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘のように消費者教育、消費者に対して、このような商法があるから注意してほしいということを知っていただくということは非常に大事なことであると考えておりまして、私どもも国民生活センターの活動の中で、この情報活動の中で随時そのような事件について消費者にお知らせし、注意を喚起しているところでございます。
 ただ、先ほどからのお答えにもございますように、非常に内容がデリケートな問題がいろいろございまして、そのために非常に歯切れよく、これは法的に問題であるというような御指摘がなかなかできにくいというところに私どもやや難しさを感じているわけでございますが、同様の努力は今後とも続けてまいりたいというふうに考えております。
 それからもう一つ、特に若い方が被害に非常に多く遭われているという点の問題でございますが、これに関しましては、私ども現在学校で消費者教育をやろうということでその準備を進めておりまして、御案内のとおり、平成四年度から小学校、五年度から中学校、六年度から高等学校でそれぞれ家庭科、社会科の中で消費者教育をやっていくということが決まっております。そういうものの中で、こういう問題について学校の段階から皆さんに知っていただくというようなことも将来考えていかなければいけないのじゃないかということで、現在この教育をどのような内容にしていくかということについて検討をしておりますので、そういうこともあわせて検討させていただきたいというふうに考えております。
#63
○岡崎(ト)委員 ありがとうございます。ぜひとも徹底して、本当に被害に遭う人たちを少なくする努力を続けていただきたいと思います。
 ところで、こういうようなパンフレットなんですけれども、これはそれぞれの県の消費生活センターが独自に出しているというものですけれども、通産省とか経済企画庁などでは学校の卒業生全般に教育以外に配ってというようなことは、今は努力はされておりますでしょうか。
#64
○大野説明員 私どもこういった取引関係の問題につきましては、法規制とあわせまして業界の自主規制、それと消費者の啓発活動、この三本柱として考えておるわけであります。
 啓発関係につきましては、日本消費者協会あるいは日本アドバイザーコンサルタント協会におきまして、教師用の研修プログラムをつくるなどの努力を現在傾注しているところでございますし、また、これとあわせまして、一般の消費者に対しましても、「くらしと契約の知識」あるいは「かしこい消費生活へのしおり」あるいは「消費者相談苦情処理マニュアル」、そういったものを刊行いたしまして、公にしているところでございます。
#65
○加藤(雅)政府委員 お答え申し上げます。
 先ほどお示しになりましたパンフレットにつきましては、国民生活センターの方でこういうパンフレットをつくってほしいというお願いをいたしまして、それを地方に配布いたしまして、地方の各センターでは大体それに従った形でパンフレットをつくって、配っていただいているというふうに承知をしておるわけでございます。それからそのほかに、例えば「月刊国民生活」という雑誌、三千部ぐらい出しておりますが、これで地方の消費者行政担当職員あるいは消費者団体の方に、こういう問題が今起こっているというふうなことを、これは月刊誌でございますが、お知らせするとか、テレビの「消費者ミニ情報」、これは五分番組でございますが、毎週やっております。その中で、例えば「警戒―今広がりつつある新手の商法」というふうな番組をつくって、流すということもやっておるわけでございます。
#66
○岡崎(ト)委員 私は、宮城一区から選出をされまして国会に参りました。宮城県の消費生活センターの方にも、職員の方がどんな悩みを持っているか伺ってまいりました。それは本当に予算が少ないということでした。こういうものをつくってPRしたいと思っても数も足りない。そして、できたパンフレットは消費生活センターに置いてある。しかもその消費生活センターのある場所は、なかなかみんなが行かないような場所にあります。ですから、つくったとしても、それは本当にみんなの役に立っていないという現実があります。何よりも本当に予算が少ない。このために本当にやる気があるのかどうか。
 こんな公の場所で本当は言っていいかどうかわかりませんけれども、そういう悩みは宮城県だけではなくて、いろいろなところで、第一線で地元で頑張っている消費生活相談員の方々がひとしく持っている問題ではないかというふうに思いますので、これこれこんなことをやっているということだけではなくて、本当にそれが役立っているかどうかということを確かめながら歩いていただきたいなというふうに思います。
 ところで、マルチ商法やネズミ講問題は、一九七五年以来、本物価問題等に関する特別委員会において何回も何回も審議が行われ、その結果、規制法、禁止法の制定、取り締まり及び啓発の経過がありまして今日に至っております。
 ここにも一つの記事がありまして、これは今私の隣におります武部先生の写真が載っている新聞なのですけれども、昭和五十二年三月二十三日と二十四日付中日新聞には、衆議院物価特別委員会で武部文先生がマルチ商法について質問をしていらっしゃる記事が載っております。当時、マルチによる自殺者が四人、うち高校生が一人、潜在者も含めますと被害者総数は二百万人に及んで、大きな社会問題になりました。今、そのころと同じ状況が生まれているというふうに思います。何回も同じことを繰り返しているということがとても残念に思われます。今後も私は通産省、経済企画庁、警察庁など当局の姿勢について何回もお伺いをしていきたいというふうに思っておりますけれども、最後にこの一時間のまとめとして、長官としてマルチ商法やマルチまがい商法の取り締まりの姿勢について御答弁をいただきたいと思います。
#67
○越智国務大臣 さすが岡崎先生はアナウンサーとして、あるいはそうしたマスコミの面で、鋭い目で社会の弱い立場の人、つらい立場の人の味方になってきたということで、随分勉強されていらっしゃるということで、大変感心しながら伺っておりました。
 また、今先生がおっしゃいましたように、実はこの問題、十五年前ごろに法律をつくったわけでございまして、本来でございますと、それによってかなりおさまってこなければならないものがなかなかおさまっていない、そういう点を非常に残念に思っております。まがいということで法の網を逃げているということで、三、四年前でございますか、さらに一段と強化しているわけでございますが、今おっしゃいましたようなお話をよく承りましたので、直接の御担当は通産省、警察庁等になろうかと思いますけれども、経企庁もそれら官庁と協力しながら、殊に先生のおっしゃいました、かからないようにする、そういうことはいけないんだということを殊に若い方々がもっとわかっていただくように特段の努力をさせていただきたい、このように思っている次第でございます。
#68
○岡崎(ト)委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
#69
○村山委員長 次に、武部文君。
#70
○武部(文)委員 去る三月七日の当委員会の席上で、物価の現状とこれからの見通し等についてお伺いをいたしました。あれから一カ月半ほど経過をしたわけでありますが、当時やりとりをいたしました具体的な見通しの数字について、さらに日時がたち、ほぼ確定的な数字が出てきたようでございますので、そのことについて経企庁のお考えを最初にお伺いをしたいのであります。
 平成二年度の目標は、先ほど来やりとりがございましたように、一・六%の上昇という見通しがございましたが、年末に急遽三・一%に上方修正をされた。その原因は三つばかりございましたけれども、確かにそれがないとは言いません。案外原油の値段は安定をしておりましたし、そういう面からいうと、円安は確かに進んでおりますが、天候不順による野菜の問題というのは、これから申し上げますが、何年もこのやりとりをしてきた最終的な話の中で、いつも天候不順、季節商品というのが出るわけであります。
 それはそれとして、一・六が約二倍の三・一になった。最終的に二年度の数字はどうなるか、あしたじゃないとわかりません。あしたはわかるわけでありますが、今のところ大体三・三という数字がほぼ確定的だと言ってよかろうと思います。したがって、これはまさに二倍をちょっと超えておるという数字になってきたわけであります。これはあしたになればはっきりと出てくるわけですから、それを見ればおわかりになると思います。
 そこで問題は、この間やりとりいたしました平成三年度の目標、経企庁、政府としては二・四%をお立てになった。ぜひこれを実現したい、こういうことでございました。あの際に、それならば一体げたは幾らかということでやりとりいたしまして、私の数字と経企庁の数字との間には若干差がございました。私は一・一ぐらいかなと思っておりましたら、局長は一・七ということをおっしゃった。これはちょっと大きいなと思っておりましたら、やはりそれより若干下がったようです。これまた明日はっきりいたしますが、げたは一・四と見て大体確定的だと私は思います。これはきょうとあしたの関係ですから、あしたわかりますが、一・四。
 そういうことになると、あなた方がお立てになる二・四%の三年度の目標のうち、既に一・四%は値上がりしておる。残りは一年間に一%しかないということになるのです。結果的にそうなるのですが、今の情勢の中で、平成三年度の消費者物価の上昇率を実質的に一年間で一%に抑えるということはどういう理由で、またそれだけの確信がおありなのか、この点をまず最初にお伺いしたい。
#71
○田中(努)政府委員 お答え申し上げたいと思います。
 げたの数字につきましては、確定的な数字は明日にならないとわかりませんので、今申し上げることを差し控えたいと思いますけれども、前回のお尋ねのときに私が申し上げました数字はあの時点での計算でございまして、その後多少下がっているのではないかというふうに思います。ただ、その中にはかなり生鮮野菜の上昇による部分がございまして、これを除きますと、いわば実質的な意味でのげたというのはもう少し低目になるだろう。それから、やはりお話にもございました石油製品の値上がりに相当するげたの部分、こういうものがございまして、これも多少その中に含まれているだろうということでございまして、それらを除きますと、見かけよりはげたの数字は低いだろう、見かけ上の計算よりは実質的な意味での来年度に持ち越されるげたの部分というのはそれほど大きくはないのではないか、こういうことが考えられるわけでございます。
 現在、全国の数字で申しますと、二月の全国で三・七%の対前年上昇率ということでありますが、東京の三月まで判明しておる数字で申し上げますと前年同期比で三・二%、この中に含まれておる生鮮食品の寄与の分を除きますと二・七%、さらに石油価格の上昇の部分が含まれておりますので、これを引きますとそれよりまた多少低目に出るということでございます。
 今後の物価の動向につきましては、成長率が次第に落ちついてくる、こういうことになりますと、今まで、昨年の前半に起こっておりましたような極めて高い成長率のもとで生じた人手不足によるもろもろの賃金あるいはサービス価格の上昇、そういうものも落ちついてくる。それから、昨年の同じころと比べますと、かなり円高で推移をしているというようなこともございますし、それから、石油製品の値段は今既に落ちついてきているわけでございまして、これまで上昇して、その後下落に転じたこの下落の局面の影響が、今後石油を使ってつくられるいわゆる石油の関連二次製品、例えばプラスチックスであるとか繊維製品であるとか、そういったものに対して好影響を及ぼしてくるであろう。
 こういうふうなことを考えまして、さらに生鮮食品の影響については、これは御指摘のように長期的、趨勢的な影響というものが一部あるかとは存じますけれども、昨年からことしにかけて起こっておりますような非常に急激な生鮮食品の上昇というのは、やはりそれを超えまして季節的な影響あるいは天候の影響ということがかなりきいている、これも事実でございまして、構造的な影響の部分というのは恐らくじわじわと長期にわたって影響を及ぼしてくる、そういう部分ではないか。こういうふうに考えますと、昨年度から今年度にかけまして、生鮮食品についてはかなり落ちついた動きになってくるということが期待できるのではないか。そういうふうなことから、見通しで考えております二・四%、この達成は現時点では十分可能な範囲にある、こういうふうに考えております。
#72
○武部(文)委員 今あなたのおっしゃったげたの問題の見かけと実質ということは、私はどうしてもよくわかりませんね。このげたというものは、きちんと出てきた一年間の数字が最終的に次年度にどう繰り越していくか、こういうことでげたというものが存在をして、大変これが大きな影響を物価の数字の中にもたらすのですね。
 今あなたのおっしゃったのは、見かけと実質が違うんだということをおっしゃったわけですが、私はちょっとこれは理解できませんが、どういうことでしょうか。
#73
○田中(努)政府委員 お答え申し上げます。
 私が申し上げたかったのは、げたというのは先生おっしゃるように確かに過去の実績でありまして、これ自体は変わるわけのものでございません。しかし、げたの計算というのは、あくまでも年度の最後の特定の一つの月、例えば三月という月のそれに先立ちます一年間の平均的な水準、これと比べて三月の水準がどれほど高かったか、こういう計算でございますので、その三月という特定の時点におけるもろもろの特殊な影響からこれは逃れられない性格を持っているものでございまして、そういう意味で、げたの中にはいわば何といいますか、先々どうしてもそれが下がってこないげたの部分、つまり、趨勢的な物価の上昇を反映した部分と特殊な影響を反映した部分とあるであろう、そういう意味で申し上げたわけでございます。
#74
○武部(文)委員 わかりました。あなたのおっしゃりたかったことがわかりました。わかりましたが、季節商品、特に生鮮食品ですよ。これはさっき申し上げたように、毎年毎年ここでやりとりした中でいつも出てくる問題だということを言いましたけれども、構造が変わってきたということを考えていただきたいと思うのです。
 特に、都市近郊の農家が転換をした品物は、メロン、イチゴ、それからトマト、豆類、こういういわゆるハウス栽培に転換しまして、これはごらんになっていただけばわかると思いますが、大都市近郊だけじゃないのですよ。中小都市も大体それに似たような状況にありまして、ハウス栽培が非常にふえてきた。それは値段の点も非常にいいからです。イチゴだって化け物みたいなイチゴが今ごろできるようになりましたね。ああいうものがまた見ばえがいいものですから高い値段で売れるというので、普通の野菜をやめてそういうものにどんどん転換をしておるのです。
 そういうことを考えますと、いつも言うように、ここで二月、三月ごろになると季節商品の問題でずっと物価の指数の中にこれが取り入れられまして、だから上がったけれども次は下がるんだ、こういうようなことをずっと答弁ございましたけれども、もう時代は変わってきて、そういうことではなくて、作付面積の問題というのが大きな影響をもたらしておるわけですから、どうぞそういう面では農水省ともひとつ十分な検討をされて、作付面積の転換や人手不足の問題がこういうふうに今べらぼうに野菜を押し上げておるんだ、そういう観点に立って物価の問題というものを見詰めていっていただかなければならぬ時期に来ておるんだということを私は申し上げたいのであります。
 したがって、今物価局長は、目標の二・四%は何とか実現をしたい、その気持ちはよくわかります。ぜひそうあってほしいのだけれども、残念ながらげたが一・四あるということは、もう残りは一%しかない。しかも、今原油の価格は安定をしておるといっても、プロパンガスは値上がりしておるのです。特に石油化学製品は値上がりしつつある。こういうことを考えますと、一%の上昇というのはとても至難のわざだ、このように私は思います。したがって、年末になってがらりと上方修正というようなことではなくて、もうそういう情勢が変わってきた、とてもこれは一%どころの話ではないということが推定されれば、早急にやはりこの物価の指数というものは修正されてしかるべきだし、そういう決断は経企庁としては当然私はやるべきだ、こう思うのです。
 特にこの物価の指数というのは、年金生活者の人は非常に関心を持っておるのです。それと、勤労者の皆さんは賃金との、可処分所得との問題で大変重要な関係があるわけですし、私のところにも年金生活者の方からいろいろな話がございますが、やはり物価の問題、一番関心を持って見ておるのは年金生活者です。ですから、こういう低い数字で、先になって、年末になってぽんと修正をするというようなそういうことではなくて、現実は現実なんですから、一生懸命努力されても数字が上がれば仕方がないわけですから、それに対応した解決策をとるのが政治なんですから、そういう意味では、私は一%というのは非常に困難だし、難しいから、現実に即応した体制を経企庁はいつでもとれるような、そういう決意でおってもらわなければならぬ。先になって、十二月ごろになってまた変えた、それが結果が出たらまた違っておったというようなことのないようにしていただきたい、このことを特に強く要望しておきたいと思います。
 いずれ明日具体的な数字が出ますから、それに基づいてまた改めて論議をしたいと思います。その点ひとつ長官の見解を。
#75
○越智国務大臣 物価にお詳しい武部先生の御指摘で、確かにごもっともな点がございますけれども、私どもといたしましては、正真正銘何とか二・四を守りたい、またそれは可能なんじゃないかと考えながら、今一生懸命作業しているところでございます。
 まず第一点に、経済成長が五%を超える成長をいたしました平成二年度に比べまして、皆様が逆にある意味では景気は大丈夫かということをおっしゃっているような中でございまして、三・八%の成長ができるのかと言われる中でございますと、やはり物価押し上げ要因は和らいでくるという点がございますし、また、本年に入りましてから卸売物価の方は非常に落ちついた格好になってまいりまして、これが二、三カ月のうちに消費者物価の方にも当然影響してくるのじゃないか。
 げたの計算は、物価局長は数字は申し上げませんでしたが、もしかすると先生のおっしゃった一・四を下回る程度までいけるのじゃないかなという感じはいたしておりまして、そんなものですから、そういたしますと、今後の毎月におきましてかなり気をつけていけば大丈夫じゃないか。
 また、生鮮食料品は、実は昨年が大変落ちついておりましたのですが、ことしはこういう状況になりました。来年はどうなるかというと、対前年比の計算をいたしますと、実は数字的にはそう上がってこない理屈になるわけでございますが、実は消費者生活という意味では、高値でそのままとまってしまっていたんでは困るので、今先生がおっしゃいましたような農業政策的な配慮も入れながら、むしろ今日のここ何カ月かの高値の水準を下げる努力をしていきたいと思っておりますので、物価といたしましては、何とか二・四を守るように努力をさせていただきたい、こう思っておるところでございます。
 今注意がございまして、先生のおっしゃった一・四を下回るのではないかと申し上げましたのは、生鮮食料品を除いての話を申し上げさせていただいております。
#76
○武部(文)委員 説明はわかりました。決意もわかりましたが、やはり日本銀行と経企庁の間には特に消費者物価の上昇の認識について若干の開きがある、これはどうも事実のようでございますから、ぜひ今の点はひとつ決意を新たにして取り組んでいただきたい、こう思います。
 次に、短い時間でございますので、私はもう一つだけお伺いをしておきたいと思いますが、消費者の皆さんが一番心配しておる輸入食品の監視体制の問題であります。
 これは話が非常に古くて恐縮でございますけれども、消費者保護基本法を昭和四十三年に当委員会で議員立法でつくったわけですが、当時、与野党ともこの輸入食品について大変たくさんの皆さんから御意見が出て、我々は横浜の検疫所まで調査に行ったことも記憶にございます。当時は横浜が中心でございました。それで、その当時の議事録を読み返して、二十三年も前の話でございまして、成田が当時なかったわけですから、横浜が代表的な輸入食品の監視体制が整っておるかどうかということをやりとりしたのであります。
 当時、横浜その他の十の港で、監視員は十九名しかいなかった。年に輸入される件数が十二万件。莫大なものが輸入されるのに、検査するのは横浜でたった二%だ、これじゃ何が入ってくるかわからぬじゃないかというようなことがあって、増員の要求もしなければいかぬとか、法律が通ってからいろいろなことで努力していただいたわけです。その後、今度は成田に国際空港ができて、今成田漁港なんというようなことが新聞の活字に出まして、なるほどうまいことを言っておるわいと思って見ておるのです。今は飛行機でどんどん食品が入っておる。特に海産物が成田へ来るから成田漁港だというような言葉が出たと思うのですけれども、成田の体制も大変心配でございまして、いろいろ聞いてみますとこの検査体制というのも非常にお粗末といえばお粗末、人数が少ないわけですから、思うに任せないという状況のようでございます。
 今、日本全体で輸入食品は六十八万件、金額にして四兆二千六百億円という数字を私は聞いたわけですけれども、この監視体制は一体どういうことになっておるのか。二十三年前に我々がここでいろいろ論議をして、何とか監視体制を充実しようということを言ったわけですが、この間監視体制がどういう強化をされて、今皆さんは国民にどういうことを約束できるのか、これをちょっと聞かせていただけますか。
#77
○野村説明員 お答えを申し上げます。
 先生お話しいただきましたように、輸入食品につきましては、全国の検疫所におきまして水際でその安全性をチェックいたしておるところでございます。
 先ほどのお話の中にございましたように、四十三年当時は十二万件程度ということで、二十名弱ぐらいの監視員であったわけでございますけれども、現在は、平成元年度の数字でございますが、六十八万件を超える届け出件数が輸入食品についてございます。食品衛生監視員という専門技術者がこのチェックを行っているわけでございますが、現在は九十九名がこの業務に従事しておるところでございます。しかしながら、先生お話しいただきましたように、輸入食品が非常に多くなっておりまして、今後もさらに増大をすることが予想されているわけでございます。輸入食品の安全性の確保という問題は、国民の健康を守る上で極めて重要であるというように私ども認識をしておりまして、従来から輸入食品の監視体制の整備充実に努力をしてきたところでございます。
 平成三年度におきまして、特にこれまで以上の大幅な検疫所の監視体制の強化をいたしたところでございまして、食品衛生監視員につきましては先ほど申し上げましたように現在九十九名でございますが、これを百四十三名にということで、大幅な増員を図りたいということでございます。検疫所におきましては、特に人を対象にした検疫業務というのがございますが、検疫業務につきましては現在非常に航空機が発達している段階になっておりまして、昔の検疫業務とかなり異なった様子を示してきておりますので、その検疫業務からの振りかえというようなことで十九名、合わせまして四十四名の増員を平成三年度で考えておるところでございます。
 それから、検査そのものにつきましても、ポストハーベスト農薬等、今いろいろ問題指摘も受けているところでございますので、集中して高度の検査ができるようなセンターをとりあえず今年度は横浜に設けたいということで、来年度につきましてもさらに西の方にセンターを設置したいと考えております。そのほか届け出の監視窓口、これは現在全国に二十二カ所ございますけれども、これを今年度四カ所ふやしまして、二十六カ所にいたしたいと考えております。
 平成三年度におきましてはそのような内容の充実強化を図ることにしておりますが、今後とも、水際における輸入食品の監視体制の充実強化にさらに努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#78
○武部(文)委員 四十三年当時から比べますと、大変難しい定員の増加ということは承知しておりました。努力されてここまで来たようでございますが、それにしても輸入食品の件数はどんどんふえつつあります。例えば成田にしても届け出だけで十六万件、監視員は十七人しかいない。どんどんふえる、一日百五十便の飛行機があそこへ着く、それはほとんど食品も持っておるというような状況のようですから、成田も大変のようですし、横浜にかわって成田は特に注目すべきところだと思いますが、せっかく御努力していただいておるわけですから、さらにこの監視体制の強化に向けてお取り組みを願いたいということを特に要望しておきます。
 もう一点、当時話が出ましたのは、全国の保健所にある食品衛生監視員でございました。これも大変重要な、今度は第一線でございますから、食品を扱う箇所が非常に多いので、この監視員の体制をふやさなければいかぬじゃないかという話がこの当委員会で出まして、いろいろやりとりしたわけです。四十三年当時、専任の食品衛生監視員は八百四十七名でございました。残りは全部兼務で、四千二百十一名が兼任、全部で五千五十八人だ。これは地方交付税の算定で人数を割り出してございましたけれども、地方交付税で算定した標準よりみんな低いという状況でございまして、ほとんど兼任だという状況でございましたが、今日ではどういう状況になっておるか、それをちょっとお伺いしたい。
#79
○野村説明員 国内で流通をしております食品の安全性のチェックにつきましては、各都道府県、それから保健所を設置しております市の食品衛生監視員がチェックを行っているところでございますが、平成元年末で申し上げますと、その数が七千百六十七名ということでございます。そのうち専任者が千九百八十四人ということで、残りの五千百八十三人が兼務者ということでございます。これにつきましては、総体的には人数はふえておるわけでございますが、先生御指摘になりましたように、兼務者が多いということにつきましては以前と同様ということを認めざるを得ないわけでございます。
 私どもは、これであってはいけないということで、各都道府県、関係市に対しましては、必要のたびにこの兼務者の専任化につきまして強く指導を行っております。先生御指摘になりましたように、国内流通の食品につきましても輸入食品と同様、やはり私どもの健康を守る上で非常に重要だというように考えておりますので、私どもももちろんこの都道府県等の食品衛生監視員の専任化、もちろん総数もふえるということも必要でございますが、特に専任化につきまして今後とも努力をいたしたいと考えておるところでございます。
#80
○武部(文)委員 あの当時の厚生省の答弁の中に、今の件数、当時の二十何年前の件数ですよ、今の件数でも専任の衛生監視員は四千名ないし五千名必要だ、このように思っておるという厚生省の答弁がございました。件数はもう何倍もふえておるわけですから、その意味からいうと、確かにあの当時の専任よりもふえてはおりますけれども、とても及びもつかぬような数字になっておるわけですね。困難はよくわかりますが、ぜひこの輸入食品の監視あるいは地方における第一線の食品の監視、これは生命や健康に影響するわけですから、これについては最大の努力を今後とも続けてもらいたい。
 きょうは時間の関係でできませんが、我々は成田は大変重要と思っておりまして、成田へ一遍行ってみようかと思っていますが、ぜひひとつこの次にまた改めてこういう問題で質疑をさせていただくということで、ちょうど時間になりましたので、終わります。
#81
○村山委員長 この際、休憩いたします。
    午後零時十二分休憩
     ────◇─────
    午後三時八分開議
#82
○村山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。小川信君。
#83
○小川(信)委員 先般四月十三日、新聞にも発表されておりましたけれども、経済企画庁の物価局長の諮問機関であります第八次流通問題研究会の報告が発表されております。内容は、「国際化時代に対応した流通機構の構築に向けて」という副題をつけて御発表なされておりますけれども、私も内容をつぶさに見させていただきました。いろいろと問題が提起されております。既に各方面から提起されたもの等も含めておりますけれども、非常に興味を持って見させていただいたわけでございますし、今から物価政策をやっていく上で非常に重要な問題点の指摘もされております。
 この問題について、報告を受けられた物価局長の御感想等も含めまして、この報告に対する御認識をまず聞かせていただきたい、このように思います。
#84
○田中(努)政府委員 お答え申し上げます。
 この第八次流通問題研究会の報告は、国際化時代に対応した我が国流通機構の構築に向けてということで、具体的な検討の中身といたしましては、我が国の流通機構の特徴を明らかにするために新しい枠組みで国際比較を行ったということが一つ。もう一つは、そうした分析を通じまして、国際化の中で競争条件の整備と消費者利益の確保のために我が国流通機構をどのように改革していくべきか、その方向を示唆している、こういうふうな内容になっております。あわせて二つアンケート調査も行なっておりまして、その結果も興味あるものになっているかと存じます。そういう意味におきまして、分析的にも充実した内容でございますし、政策的にも示唆に富んだ内容になっているというふうに考えております。
 私どもといたしましても、明日物価安定政策会議の政策部会が開催されますけれども、そこで御披露申し上げて御議論いただくというふうな検討を行うほか、関係省庁に対しましてもこの報告書を配付いたしておりますので、政策の参考に供してもらうということも考えております。そういったいろいろな意味におきまして今後の物価政策に活用してまいりたい、このように考えております。
#85
○小川(信)委員 特にこの分析の前段のところで、私も非常に興味を持つと同時に一つの問題点として理解をしてみたところがあります。
 これは日本的な商慣行というものに対するこの研究会の分析、認識の問題です。確かに欧米諸国と日本との商慣行が大きく違っておるということ、歴史的なものもあるかと思います。また、都市というものの発達の違いというものでの日本の卸、小売、流通業界等々の発達の外国との違いというようなことも出てきておるだろうと思います。
 もう一つは、外国の人たちが日本の商慣行をどのように正しく理解をし、認識をしておるかという問題も私は非常に見たわけです。特に、日本の商慣行が流通業の競争を阻害しているのかしていないのかということについての認識ですけれども、日本の人たちは、阻害をしておるというのが二六・四%、阻害してないというのが四五・六%、どちらとも言えないというのが二六・四%、日本人の方では阻害してないというふうに見ておられる関係の人たちはそういう数字になっております。外国ビジネスマンは、八一・七%が日本の商慣行が競争を阻害しておるというふうに見ておるということです。
 競争阻害の一つの大きなものとして、日本の卸、小売関係の流通業界の中に長い間の慣行としてある返品とかリベートとか建て値の問題、流通系列化の問題とか長期取引契約というようなもの等を非常に大きく取り上げておるわけですね。こういうふうなものは、日本の都市の発達と、その中から生まれてきた日本の商業の一つのルール、その中には共存共栄的なものもあるかと思いますけれども、そういうふうなものが外国人の目からは非常に厳しく見られておる。それがいわゆる新規参入の障壁になっておるんだというようなことで、流通系列化の問題とか長期取引の問題が取り上げられておるというようなこともあります。それから内外価格差の要因の問題というふうになっております。
 私がまず局長にお尋ねしたいのは、こういうふうな日本と外国の関係者の方々の日本の商慣行に対する認識の違いというものが確かにあるわけですけれども、今までの日本の商慣行というものはそれなりの役割と意義を持っていたと私は思うわけです。それに対して物価局長としての御評価、それから、これはやはりこういうところに問題があるんだという問題点、その辺を聞かせていただければと思います。
#86
○田中(努)政府委員 外国人が我が国の商慣行をどう見ているかという点につきましては、ただいま御指摘があったような調査結果になっているわけでございます。私ども、外国人の目から見た場合に日本の商慣行がどう映るかということは一つの注目すべき点ではあるわけでございますけれども、外国人がこう見ているからそれはすべていいとか悪いとか、そういうふうな考え方でこれを行ったり受け取ったりしているわけではないわけでございまして、日本の商慣行はもう長年続いているもので、それなりの合理性があるということも認識をしているわけでございます。
 そこで、具体的に日本の商慣行の問題点として指摘されている点について若干申し上げますと、例えば建て値の問題でございますけれども、これはメリットといたしましては、建て値ということに消費者がなれてまいりますと、商品選択の場合の一つの基準として非常に利便性が高いというようないい点があるわけでございます。しかし反面におきまして、これがメーカーから卸、小売という縦の系列で競争を阻害するというふうな効果もあるわけでございますので、建て値につきましては、あくまでも一つの参考価格であって、需給、消費者と販売者の間で決まるものであるということを明確にしていくという改善が必要ではないか、そういうふうなことが指摘をされております。
 それから輸入総代理店制度につきましても、外国の輸入業者が日本市場に新規に参入する場合にはその参入を容易にするという点で競争促進効果があるとも見られるわけでありますけれども、ともすれば並行輸入が阻害されるというふうな効果も生じますので、この点についてはそういうことがないように公正取引委員会で独禁法の適正な運用を図っていただく必要があるだろう、そういうことが指摘をされております。
 それから、リベートというふうな日本的な商慣行がございまして、これはある意味では需給に応じた弾力的な支払いということを可能にするものではございますけれども、やはり縦の系列で競争制限的に働く可能性が強いので、これも非常に不明確な点が多いというようなこともございますので、その透明性を確保するとかいった改善が必要である。
 また、返品というようなこともございまして、これについても、新しい製品の開発のリスクを軽減すると申しますか分散するというふうな効果がありますけれども、これがまた過度にわたる、あるいは不明確な形で行われる、一種の在庫調整の一つの手段として乱用が行われることに対しては改善が必要ではないかということで、いろいろな点につきまして、日本的な商慣行のいい点を認めながらも競争促進という点で問題点を指摘し、改善の方向を示している、こういうことではないかと受けとめております。
#87
○小川(信)委員 確かに日本的商慣行というのを、いろいろと角度を変えた見方もあるわけですし、返品が可能だということは小さな小売屋さんにとってみれば不良在庫を抱えないという意味からの有利性もありますし、リベートというのは販売促進意欲を高めるという意味で積極的に競争の中に入っていくというような、いろいろな面もあると私は思います。そのようなことで、外国のビジネスマンから見た日本の商慣行というのを頭から否定するわけにもいかないものもあるだろうと思いますし、流通系列化なり長期取引契約関係というのは、安定的な商活動が確保されるというような意味で、特に中小零細商業者にとっては一面では必要だというふうなことも考えられるわけですが、特に日本は、この報告の中にもありますけれども、人口千人当たりの店舗数等を見ましても、日本が十三・三店、アメリカが六・五店、西ドイツが四・〇店ということですから、日本はアメリカの倍、西ドイツの三倍の店舗、小さな店舗だということですし、それから、国土面積に対する店舗の割合も日本は非常に多い。いわゆる小さなお店が広い範囲で散在しておるというような形で日本の小売活動というものが行われ、いわゆる消費者との結びつきの中で、顔の見えるつき合いの中でやってこられたということだろうと思います。同時に、日本の小売店の売上高なんかを見ましてもそういうようなことですので、卸は一店当たりのあれはアメリカとそう変わりませんけれども、小売になるとやはりアメリカなどと違って売上高は半分ぐらいになってくる。だから、非常に売上規模も少ないということですし、それから従業員一人当たりの売上高も少ない。そういうふうな状況で規模の小さなお店屋さんが各地に点在して、そしてそこで消費者の方々との結びつきというものが行われておるというようなのが従来の日本の商業活動といいますか、小売活動だ。
 そのような中に今量販店というものが入ってきておるということで、とはいいながら、日本は小売店全体に占める店舗数というのは〇・九三店ですから約一店、一%ぐらいですけれども、売り上げは二七・九%、二八%、三分の一ぐらいを持っておるということですので、数は少ないけれども相当大きいシェアを持っておる。逆にアメリカなんかは、約四%ぐらいの店舗の割合で三五%の売り上げというようなことですので、日本ほど量販店が寡占化してない、量販店があるとはいいながら。
 そういうふうなことを考えると、今からの国際化時代に対応した流通機構の構築を日本で考える場合に、いわゆる欧米型の流通を是として、それを前提として流通を考え、消費者との関係を考えていくということが必ずしも妥当であるのかどうかなというような感じがするわけですけれども、そのあたりをどのようにお考えになっておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
#88
○田中(努)政府委員 お答え申し上げます。
 この研究会では、流通機構の合理化ということが必要である、そのためには公的規制の緩和等を通ずる競争の促進、それから日本的な商慣行につきましてメリットは認めながらも改善すべき点がある、そういうふうな指摘が行われておるわけでありますけれども、同時に、メーカーに対する消費者サイドの対抗力というものを強めていかなければならない、こういう見地から、ともすればそういう対抗力が小さい中小の小売店の育成というものに積極的に取り組む必要がある、こういう点もはっきりと指摘をいたしているわけでありまして、具体的な指摘といたしましては、中小の小売店が主体となった共同化の推進が必要である、また中小小売店が輸入品の取り扱いを円滑に行えるように、第三セクター方式による共同輸入機構の整備を行う必要がある、それからまた、卸業者による中小小売店への経営ノーハウの支援、いわゆるリテールサポートというようなことの積極的な実施、またこれらに対する公的な支援、これが必要だ、こういう点を指摘しているわけでありまして、私どもとしましても、こういう中小小売店の育成が必要であるという認識に立っているわけでございます。
#89
○小川(信)委員 確かに今おっしゃること、必要だと思いますし、この報告書を読ましていただいてもう一つの特徴点として、日本の小売業界の九九%を占める中小の小売の人たちの努力だろうと私は思いますけれども、報告書の中にありますように、マージン率なんかを見ますと日本の方が低いわけなんですね。アメリカなり西ドイツのマージン率は三〇%を超える。日本は二〇%であり、低い。消費財マージン率などを見ましても、流通コストもそれから輸送部分も全部含めてのトータルでのマージン率でも日本の方がアメリカよりずっと低いというような数字が出てきておりますし、それから在庫の回転期間なんかを見ましても、日本は西ドイツなんかに比べて半分くらい、回転率が非常に高いというように、非常に経営努力をしておられるということと、ある意味では系列、長期契約というような中での経営管理指導というものがその系列の中で進められてきておるというメリットがこういうところへ出てきておるのではないかと私は思います。
 そういうふうなことを考えると、大規模小売店舗即消費者にプラスと必ずしも言い切れない部面があるんじゃないか。やはりそれぞれの地域、特に地方都市等においては大規模小売店舗と小規模の小売業との役割分担というものが必要ではないかというような感じがするわけです。
 ここにありますそういうふうな数字から見ての私の独断的な分析なので必ずしも適切ではないかと思いますけれども、やはり日本的な商慣行のよさは生かしながら、そして中小零細の小売業者を地方では積極的に支えていくということが必要だろう。そういうふうな意味でいろいろと御努力もされておりますけれども、残念ながら大店法の一部改正ということで、大店舗の進出を容易にするという法律がこのたび出されて決まっておるわけですけれども、一面で、特定商業集積の整備促進とか、民間業者の能力の活用による特定施設の整備の促進とか、中小小売業振興法の一部改正とかいうような法律の改正がどんどん出されるということで、整備もされております。
 その中に出てきている言葉を取り上げてみますと、どの条文、どのものにも消費者の利益の一層の保護または増進という表現が使われておる。それから小売業の正常な発達または健全な発展、一層の振興、こういう言葉が使われておるわけですね。だからこの法律は、一つは小売業の振興だ、一つは消費者の保護増進だ、利益の増進だ、こういう二面性を持って進められてきておる。さらには農水省がこのたび新しい法律で出しました食品流通構造改善促進法も、一般消費者の利益の増進と農林漁業の振興、こういうふうになっている。全部一般消費者の利益云々というものが一連の法律の第一条に皆書いてあるわけですけれども、そういうふうなこと等を考えてみても、きちんとしたすみ分けをすることが必要ではないかというふうに、特に私は、地方の中小都市における大量販店と小売店との関係ではそのようなことが政策的にも、また行政指導的にも必要ではないかというふうに考えますが、そのあたり、いかがでございましょうか。
#90
○田中(努)政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘のように、やはり日本の流通制度というのは日本の風土に根差して形成されておるわけでございますから、ほかの国の、例えばアメリカ型の流通制度一色にこれを変えてしまうというふうなことは適当でないというふうに考えるわけでございますが、この報告書でもそういう点につきましてはやはり今申し上げましたような認識に立っているというふうに私ども受けとめておりまして、報告書の言葉で申しますと、いわゆる流通システムの多元化というふうなことを提唱しておりますけれども、その言葉の意味するところは、今御指摘のような量販店、大規模店舗と中小小売業が併存し、そして流通システム全体がバランスのとれた形で形成されていく、こういうことがねらいではないか、そういうふうに考えております。
#91
○小川(信)委員 報告書の最後のまとめで、一つは競争条件の整備、流通の公正、透明性の確保の問題がございますが、今お話しの流通システムの多元化による中小小売店の育成ということで、例えばPOSシステムとかVANとか、こういうふうなものをどんどん積極的に進めてやっていくということですけれども、これは中小小売店の経営の安定なり経営の改善にはなってくるけれども、消費者にその経営改善なり経営努力のメリットを正確、確実に還元できるような仕組みというところまでは必ずしもなっていない。もう一つは、ここのその次に書いてあります消費者に対する情報提供と啓蒙指導といいますか、現在の消費者に対する啓発というものも必要じゃないかと思います。ですから、新しい流通の仕組みを構築するということは、流通業界の経営の合理化、改善による追加的な利益を留保するというのじゃなくて、それが消費者に還元できるような方向での促進を図っていくということと、それからもう一つは、消費者に対して積極的な情報の提供をしていくということが必要だろうと思います。例えば原価公開をするとか、流通の原価がどうなのだとかいうようなところまでを含めた消費者に対する情報の公開をしていく必要があるのではないか、こういうふうに思っております。そういうふうなことに対してやはり積極的に取り組んでいかなければならない。
 それから、内外価格差の問題についてけさほどからもいろいろ議論されておりますけれども、内外価格差の問題については、私は自分が長年そういう立場におったから思うのかもわかりませんが、いつでも内外価格差の問題でやり玉に上がるのが食料品なのです。確かに食料品も内外価格差があるでしょうけれども、内外価格差水準の非常に大きいのは、例えば電気でいきますと、日本を一〇〇としてアメリカが八六、ガスでいきますと日本が一〇〇でアメリガが六〇、ガソリンは日本が一〇〇でアメリカが三五、こういうふうな基礎的なもののところに大きな内外価格差がある。これは牛肉の内外価格差とか、家計費の中の二%程度しか占めてない米の内外価格差と違って、大きいウエートがあるわけです。こういう内外価格差があるということ等についてもっともっと消費者なりにアピールして、この内外価格差をなくするというような積極的な情報提供活動を経済企画庁としてやる、そして物価が上がるのを抑えるのじゃなくて、基礎的な分野における内外価格差をなくすることによって物価を下げるというような取り組みをやっていただくことが必要だろうと私は思います。
 そのためには、先般見せていただきました国民生活センター、ここは現場ですが、スタッフの皆さん方の数等を見ましても、あれでは国民の期待にこたえられるような十分な情報提供活動や商品等の試験活動とかいうようなものはできないんじゃないか。例えば今も議論になっております製造物責任法なんというのがありますけれども、こういうふうな問題等に対して、あそこの国民生活センターで検査をやった結果ここに問題があるというのが指摘されて、それが例えば法廷でもそのまま取り上げられるくらいの機能や能力を持つ、それから業者やメーカーや業界では公表できないような情報を集めてきてでも国民に提供していく、これぐらいの機能と権威を持つためには、国民生活センターへもっともっと思い切って金を出すというような取り組みも必要ではなかろうか、このような感じが二つ目としてするわけです。
 それから最後になりますけれども、けさほどからいろいろとお話の中にありました、私もメンバーとして参加いたしました去年の六月二十一日の物特の委員会で、全員がフリーにディスカッションをしてその結果としてまとめたものを前の経済企画庁長官に申し入れをいたしましたけれども、これらについて一つ一つ具体的に取り組みをしていくことを経済企画庁が中心になって働きかけていただくと同時に、物価の値上げを抑える、物価の安定を図る、引き下げをするというためには、相当強力な官民一体となった権威のある審議検討の場と、そしてそれを即実行する機能と権限を持たすような機関をぜひつくらなければならないということを痛感したわけです。
 時間がございませんので最後にまとめていろいろ申し上げましたけれども、これらについてお考えを聞かしていただきまして、質問を終わりたいと思います。
#92
○田中(努)政府委員 消費者に対する情報提供という点でいろいろな角度から御指摘をいただいたわけでありますけれども、内外価格差につきましては御指摘のとおり、この点での情報提供というのは非常に重要であるという観点から、内外価格差の調査の充実に努めているところでありまして、私どものやっております調査について申し上げれば、従来からニューヨークとハンブルグについてやっておりましたけれども、今度それをロンドンにも広げようということで、大臣の御指示がございまして、ただいまそういう点にも取り組んでおります。
 それから、消費者として合理的な行動ができるようなそういう意味での情報提供ということになりますと、やはり内外価格差だけでなくて地域間の価格の差でございますとか、あるいは売られている商品がその中身と包装にどれだけのコストが振り分けられているかというふうな点についても正確な情報を消費者に提供する必要がある。さきに御指摘になりました消費者の行動についてのアンケート調査の中でも、消費者の大部分が中身と包装は別々にお金を払いたい、こういう希望を持っているわけでございますので、そういう点でもそういうことをやっていかなければならないだろう。それからまた、物流コストの上昇の背後にございますのは、やはり新鮮なものを常に手に入れたい、こういう消費者の欲求が高いということがあるわけでございますけれども、その点につきましても、賞味期間についてメーカー側でもっと正確な情報を消費者に提供するということが必要で、やみくもに新しいものばかりを求めるという行動が合理的とは必ずしも言えないんじゃないか、そういうふうなことも報告書の中で触れられている点でございます
 センターにつきましては、またちょっと別のお答えをいたしたいと思います。
#93
○加藤(雅)政府委員 お答え申し上げます。
 センターにつきましては、先般御視察いただきましたときにも御説明いたしましたように、二億一千二百万円の出資を本年いただきまして、センターのテスト機器の整備拡充に努めるということでございます。あの席でもちょっと申し上げましたように、私どもとしては、できますれば来年度以降も御出資をいただいてさらに一層拡充をしていきたいというように考えております。それとともに、先ほどもちょっと申し上げましたが、商品テスト誌の「たしかな目」というのを、今年度から隔月刊を月刊に改め、さらに一層読みやすいものにしたいというふうに考えております。
 予算の点につきましては、大変申しわけございませんが、私どもも力及ばずして、なかなか思ったような増額ができないわけでございます。これは私どもだけの問題ではなくて政府全体の問題でもあろうか、あるいは企画庁全体の問題でもあろうかというふうに考えておりますが、もしできますれば、月刊誌「たしかな目」を毎月刊にいたしますことを機会に、これを売りますとセンターの自主収入になりますので、ぜひその増販にお口添えいただきたい。これは勝手なお願いでございますが、そういうことでもって一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#94
○小川(信)委員 終わります。どうもありがとうございました。
#95
○村山委員長 次に、倉田栄喜君。
#96
○倉田委員 まず、私は、これは大臣にでございますけれども、経済企画庁の消費者行政を御担当いただいておるわけでございますけれども、その消費者行政における消費者の位置づけというものについてどういうふうにお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思います。
 我が国はいわば経済大国と言われておりますけれども、経済大国から生活大国へと、生活大国の実現を目指したいというのが国民すべての合意であろうかと思います。そういう意味で、消費者行政がどういうふうになるのか、平成三年度の施策の中で生活のゆとり、豊かさを実現をしていきたいということでいろいろな施策を展開しておられるわけでございますけれども、その根本的な視点として、消費者というものを消費者行政の中においてどのように考えておられるのか、位置づけておられるのか、この点をまずお伺いをしたいと思います。
#97
○越智国務大臣 我が国の戦後の経済の中におきまして、幾つかの段階があったと思います。最初の段階がまずは復興、その意味ではまさに生活がいかにしてできるかという線での経済活動だったと思います。それから後に、やはり経済力をつけていかなければならぬというので、おっしゃるように生産という点に力の置かれた時代もあったと思います。そして今日におきましては、国民すべてがひとしく消費者であるという点もございますけれども、本当にその経済を生活のゆとりの方にどうやったら結びつけられるか。殊に、世界が国際化してまいりました。単に物が国際的に流通しているだけではなくて、国民、その人々も世界的な視野を持つ状態になってまいりまして、世界に比べて遜色のない生活をどうやって築き上げるかということになってきたわけであります。そしてまた、そうした消費者のニーズというものが、経済的に見れば、実は日本経済のGNPのいわば半分近い一つの原動力にもなりまして、これが自律的な日本経済の繁栄の一つのエネルギーにもなっているわけでございますので、私どもとしては、今お話のございましたように、消費者というのを経済政策の非常に大きなポイントとして据えながら進めていかなければならない、このように思っているわけであります。
#98
○倉田委員 消費者行政と言っていいのかわかりませんけれども、今大臣は、消費者というものを大きなポイントとして考えていかなければいけない、このようにお答えいただいたわけですけれども、経済企画庁の消費者行政等々あるいは平成三年度の予算概算要求事項の中にあらわれてくる文字等々を見てみますと、やはりまだ消費者というのは弱い者であるという視点があるのかどうかわかりませんけれども、消費者保護の推進という形でいろいろな項目が出てくるわけでございますね。確かにそういう視点からの施策も個々進めていただかなければいけないと思いますけれども、これから二十一世紀に向かっては、ある意味では消費者というのを行政の保護の客体あるいは保護する対象、そういう視点からとらえるだけではなくて、消費者を権利者として位置づけていくことも必要なのではなかろうかと思うわけでございます。私どもも、四月十二日に消費者保護基本法の一部を改正する法律案を提出して、これを十分御議論を願いたいと思うわけでございますけれども、ぜひとも消費者を権利者として位置づけていく視点からもお考えいただきたい、これは要望して、次の質問に移りたいと思います。
 まず経企庁でございますけれども、予算の中に「危害の防止」というのがございます。「危害の防止」の中身、ちょっと主要内容を見てみますと、食品・食品添加物等、医薬品等、家庭用品等、化学物質、それから建築物等々書いてございます。危害の防止ということについては各省庁間にまたがる問題であろうかと思いますけれども、経済企画庁としてその危害の防止、どのような役割を果たしておられるのか、お伺いしたいと思います。
#99
○加藤(雅)政府委員 お答え申し上げます。
 今御指摘の危害の防止の主要内容につきましては、各省庁でやっておられる事項について関係予算として計上させていただいておるわけでございます。これは分類の都合上そういうふうになっているわけでございますが、私どもとしては重要と考えておりますのは、この危害情報の提供ということを非常に重要な内容であるというふうに考えているわけでございます。
 これは申すまでもございませんが、危害の再発を防止する、そのためにはどのような危険なものがあるかということを知っていただくことが非常に重要なわけでございまして、その意味で私どもの所管しております国民生活センターの情報提供活動が非常に重要な位置を占めておるというふうに考えております。国民生活センターにおきましては、被害の再発防止、未然防止という観点から、全国二百九十八カ所の消費生活センター及び全国八カ所の協力病院から、商品、サービスによる人身事故、これを危害情報といっております、それからそれに至るおそれのある事故、これを危険情報といっております、そういう情報を収集いたしまして、それらを分析、評価いたしまして、その結果をテレビ、ラジオ、出版物等を通じて一般に公表しております。また、必要と考えます場合には、関係の地方公共団体あるいは中央の行政機関、地方公共団体等にも御連絡して措置をお願いしている。そういうことをやっているわけでございます。
#100
○倉田委員 今国民生活センターについてお答えをいただいたわけでございますが、当委員会でも、この間国民生活センターに視察をさせていただきました。国民生活センターは、昭和四十五年に国民生活センター法ができているわけでございます。もう二十年近くを経過しているわけですけれども、これだけいわゆる消費生活というものが拡大をしていく中で、生活大国ということを目指さなければいけないという国民的な要望が強い中で、消費者の側からいろいろなことをしておられるのが国民生活センターかなという気もしないでもないわけでありますけれども、昭和四十五年と現在においていろいろな要求というものは多分異なってきているのだろうと思いますね。そこで、国民生活センターを今の時点でどんなふうにお考えになっておられるのか、位置づけておられるのか、その基本的なところを少しお伺いをしたいと思います。
#101
○加藤(雅)政府委員 お答え申し上げます。
 国民生活センターにつきましては、センター設立のためのセンター法が昭和四十五年に制定されたわけでございます。その際、設立の目的といたしまして、国民生活の安定及び向上に寄与するための総合的な見地から国民生活に関する情報の提供等を実施するということが法として決定されているわけでございます。
 したがいまして、この目的自体が適切であるかどうかという御質問でございますと、これは大変難しい御質問になると思いますが、私どもは、この法の目的に沿って情報の提供あるいは調査研究という内容を実施するに当たりましては、時代の変遷に伴いまして新しい機種等も入れるというようなことで、例えばパイオネットというネットワークシステムを構築しておりますし、今後、例えば検査機器も入れかえるというふうなことで、この目的自体については年々それに対応するべく努力をして新しい内容を入れてきているということでございます。
#102
○倉田委員 国民生活センター法によりますと、第一条に目的があって、第十八条にその業務を規定してあるわけですけれども、情報の提供あるいは情報の収集、これが主に規定をしてある。国民生活センターに寄せられる国民からの要望、要求というのは非常に多岐にわたっているのではなかろうかと思うのです。いわゆるボーダーレスみたいな状況の中で、国際商品というか輸入品も相当ふえてきている。国際的な情報の取り扱いも出てくるであろう。また輸入製品の増大もあるだろう。それから、現在の国民生活センターのいわゆる直接的な窓口の苦情処理というのは、情報収集をして情報提供をするために苦情を受けるということが何となく主になっているみたいな気がしないでもありません。苦情そのものにどう対応していくのか、そういう部分も含めて、現在の国民生活センターのあり方は十分なのかどうか。これはぜひ御検討をいただきたいという思いをしたわけですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
#103
○加藤(雅)政府委員 お答え申し上げます。
 情報の収集、提供の業務の一環といたしまして苦情相談の受け付けをいたしております。苦情相談の受け付け、処理につきましては、必要と考えます場合には、商品テストあるいは関係法令等の確認、あるいは、相談顧問を置いておりますが、その顧問等の見解を伺いましてあっせんという手続をとっております。これはあっせんでございますので法的な行為ではないというふうに御理解いただきたいわけでございますが、このあっせんでかなりの程度苦情相談処理はなされている。ただ、これで処理できない場合には裁判等の手続に移行していただかなければならないわけでございます。これは、国民生活センター自体がそのような法的な処理を行う機関ではございませんので、私どもとしては、現行法でできるのはここまでではなかろうか、それ以上の対応をセンターが行います場合には法的な地位がセンターに与えられなければならないということになるわけでございますが、果たしてそれが適切かどうかということについては十分検討しなければいけない問題ではなかろうかと思っております。
    〔委員長退席、小川(信)委員長代理着席〕
#104
○倉田委員 私も国民生活センター法の条文をずっと一つ一つ読ませていただきながら勉強させていただいたわけでございますけれども、これからも一つ一つ勉強して、また問題提起をさせていただきたいと思いますので、ぜひこれも、いろいろな意味で問題がないのかどうか、十分に国民の皆さんの要望にこたえていけるような体制、対応になっているのかどうか御検討をいただきたいと思いますが、大臣お答えいただけますか。
#105
○越智国務大臣 国民センターは本部が品川の方にございまして、実はあの施設をあそこにきちんと整備するのにも大分苦労もいたしました。そして、厚木の方の検査、これは単に苦情の情報を集めてそれをまたほかの人に流すという格好じゃなくて、あそこでは、いろいろ持ち込まれております、今先生御指摘の危害なんかでも、火花が出たとか手を切ったとかいろいろ問題があるような商品がございまして、そういうものは全部現品を取り寄せて、評価といいますか、テストといいますか、それをやっております。そういうことのために、センターに入っております機材が古くなって効果がよくないというので、平成三年度では二億円予算を計上いたしまして、経済企画庁というのはどちらかというといわば事務費だけでできているみたいな官庁でございますけれども、新しい施設を入れました。ですから、また新しいのが入った段階でごらんいただければありがたいと思いますけれども、そういう意味では、私も、現場を見た限りではかなり活発にやってきていただいていて、いわば全国のセンターからいえばある意味で大変頼りにされているのじゃないかな、こんなふうに思いますので、さらに一層中身を充実させるようにいたしたい、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。
#106
○倉田委員 次の質問に移らせていただきます。
 いわゆるポストハーベスト農薬、これは輸入食品の安全性の問題ですが、厚生省はこのポストハーベスト農薬について調査を進められておる、こういうふうに聞いております。アメリカなどの輸出国のポストハーベスト農薬の使用の実態、調査の状況はどうなっておるのかお伺いをしたいと思います。アメリカの環境保護庁ですか、この農薬登録の見直しも一月ごろなされているように聞いておりますけれども、現行のポストハーベスト農薬の調査の状況はいかがなっているのか、お聞きしたいと思います。
#107
○牧野説明員 ポストハーベスト農薬の使用実態でございますけれども、アメリカ以外の輸出国につきましては法文上必ずしも農薬の使用方法を、収穫前、プレハーベストでございます、それから収穫後、ポストハーベストでございますけれども、収穫前、収穫後で区別しているわけではございません。現在、国外で使用されていると言われます数百種類の農薬がございますけれども、どのくらいがポストハーベスト使用されているか把握するのは大変困難でございます。ただ、米国につきましては、CFR・米国連邦規則集というものがございまして、その一九八八年版によりますと、ポストハーベスト使用できる農薬といたしまして六十品目がリストアップされてございます。
 いずれにいたしましても、厚生省といたしましては、農薬の使用する時期が収穫の前か後か、そういったものにかかわらず、農産物に残留する農薬の安全性が確保できる基準を急ぎ設定したいと考えております。
#108
○倉田委員 調査の内容については、すっきりした時点で、公表できる時点になったらぜひ明確にしていただきたい、こう思うわけですけれども、この間ほかのところで質問したことがあるわけでございますけれども、現行はっきり把握ができていないから日本の防疫体制がきちんと対応できていない部分があるのではないのかな、こういう疑問を実は持ったわけでございます。例えばアメリカで使用されているポストハーベスト農薬と日本で現行法上検査をしている農薬、これはきちっと対応しているものになっているのでしょうか。
#109
○牧野説明員 先ほど御答弁いたしましたように、ポストハーベスト使用されている農薬につきましては必ずしも十分把握しているわけではございませんけれども、ポストハーベスト農薬を含めまして食品中に残留する農薬、そういった問題の重要性といったところから、輸出国におきまして使用されていると考えられるものにつきましては必要に応じ輸入時に検査を実施しているところでございます。
#110
○倉田委員 わからないということですか。対応しているのですかしていないのですか。
#111
○牧野説明員 すべてを把握しているわけではございませんけれども、わかっている範囲につきましては検査を実施しているということでございます。
#112
○倉田委員 厚生省は、本年度からポストハーベスト農薬の基準の作成を進めることになっている、こういうふうにお答えをされておられますけれども、何を検査するのか、この問題と、それからどういう基準をつくるのか、こういう二つの問題があると思うのですね。現行法上まだ全然把握をしていない部分について、あるいはその基準がない部分について、これは基準がない部分について検査をしているものについては、何を基準にして検査をされておられるわけでしょうか。
#113
○牧野説明員 私ども厚生省といたしましては、農作物の安全性を確保するという観点から、ポストハーベスト農薬も含めまして現在残留基準を設定する考えでございます。平成三年度を目途に今検討しておりますものは、小麦、バレイショ等の主要穀物でございますけれども、現在基準設定作業を急いでいるところでございます。
 基準が設定されるまでの間にありまして、仮に輸入農産物から農薬が検出されたといたしますと、その農薬に関します安全性等の知見あるいは国際基準など参考にいたしましてそのものの輸入の適否を個別に判断するわけでございます。
#114
○倉田委員 例えば小麦の検査については、これは厚生大臣の指定機関かどうかわかりませんけれども、食糧庁が自主検査を財団法人の日本穀物検定協会というところに委託をされてやっておられるというふうに承知しておりますが、例えばその小麦の検査について、現在厚生省が規定してないものもここでは検査をしていると承知をしております。これは例えばどういうふうなものをどういう形というか基準にして検査をしておられるわけでしょうか。
#115
○牧野説明員 検査は国際的に、例えば分析がございますけれども、そういった分析に従いまして検査機関で検査するわけでございます。その結果につきましては、先ほど御紹介いたしましたように、安全性に関するデータあるいは国際基準等を参考にして評価をしているわけでございます。
#116
○倉田委員 今お答えの中で国際基準を参考にしてと。参考にするということがどういうことなのかわかりませんけれども、今厚生省が恐らく本年度を目途として基準の作成を進めておられる過程の中で、いわゆる国内基準というものが今まであって、それから国際基準というものもある。この国際基準と国内基準というのをどんなふうに考えていくのかという問題が一つあるのだろうと思います。例えば、一方では自由貿易推進のもとに、この基準自体が国際基準といっても緩いのかあるいは厳しいのかという問題もありましょうし、一概には言えないだろうと思うのですけれども、一般に心配されておるのは、国際基準の方が緩やかなのではなかろうか。そうすると、国内基準と国際基準、あるいはその全然ない部分もいわゆる国際基準にすり合わせていくような、近づけていくような基準の仕方をもし基本に考えておられるとすれば、これは非常に重大な問題になるのではなかろうか、こういうふうに心配するわけですけれども、この点について厚生省は基本的にはどんなお考えでございますか。
#117
○牧野説明員 農薬の使用方法であるとか食生活パターン、これは当然各国によって違っているわけでございます。したがいまして、残留基準値も国によって当然異なるわけでございます。
 厚生省といたしましては、農薬の残留基準は、それぞれ農薬につきまして得られております安全性に関する知見あるいは日本人の食生活パターン、こういったものをもとにいたしまして、食品を摂取した場合に安全性が確保できる基準値を設定する考えでございまして、国際基準等は参考とはいたしますけれども、国際基準であるとか諸外国の残留基準値を科学的な根拠なくそのまま採用する考えはございません。
#118
○倉田委員 そうすると、少し確認をさせていただきたいと思いますけれども、今のお答えでは、基準の作成というのはある意味では日本の食生活に合わせて食の安全を最優先としながら日本のものをつくる、できたものについてはいわゆる現行ある国際基準と違いがあってもそれは日本の安全性を有した基準をつくるのだ、こういうことでいいわけですか。
#119
○牧野説明員 御指摘のとおりでございます。
#120
○倉田委員 これからますます輸入食品というのが増大をしていく中で、消費者の方々の食の安全に対する不安感というのは非常に多大なものであろう、こう思います。そういう意味で、今厚生省で進めておられますこのポストハーベスト農薬の基準の作成については非常に厳格なものを求めておられると思いますし、私もぜひこの点は、例えば厳格なものをつくり過ぎると新たな自由貿易の障害になるのではなかろうかとかそういう議論も出てくる余地はあるだろうと思いますけれども、これは本当に命の安全にかかわる問題でございますので、現行ある国内の基準もより見直しながら、ぜひ十分な厳格な基準を作成していただきたい、こういうふうに強く要望をしたいと思います。
 もう少し時間がございますけれども、一応これで私の質問を終わりたいと思います。以上です。
#121
○小川(信)委員長代理 大野由利子君。
#122
○大野(由)委員 きょうは、私、消費者の立場から車の安全にかかわる質問をさせていただきたい、そのように思っております。
 交通安全の対策に関しましては交通安全特別委員会で審議され、また政府におかれましても三月に第五次交通安全基本計画が決定されてその推進に取り組んでいらっしゃる、そのように伺っておりますが、平成元年に交通事故非常事態宣言が出されました。そして交通事故死が十五年ぶりに一万一千人を突破、現在既に一万人を突破しているのが三年続いているわけでございますが、この第二次交通戦争ともいう大変深刻な事態に今至っているわけでございます。
 私はきょうこの委員会で指摘したいと思いますのは、消費者の立場から、ユーザーに本当に安全な自動車なりトラックが供給されているだろうか、また、国の定めます車の保安基準そのものが今の時代にマッチしたものになっているのかどうか、そういうことについてお尋ねしたい。もしそうでなければ、車の事故というのはもう起こるべくして起こっているというか、人為的にさえ起こっていると言って過言ではない、こういう状況ではないか、そのように思います。
 初めに警察庁にお尋ねしたいと思いますが、高速道路を走るトラックやバスに後ろからトラックなりいろいろな車が追突をするという事故が年間どれぐらい起こっているか、その数をお尋ねしたいと思います。
#123
○小池説明員 お答えを申し上げます。
 平成二年中の走行中のトラックまたはバスが追突された事故の発生状況でございますが、トラックが追突されたものが二千九十二件、バスが追突されたものが六十件でございまして、計二千百五十二件となっております。これは高速道路における全事故三万九千二百十一件の五・五%を占めるということでございます。
 御参考までに、これらの事故において追突した方の車両の内訳でございますけれども、これは、普通トラックが八百六十八件で四〇・三%、普通乗用車が二六・三%、その他、こうなっております。
#124
○大野(由)委員 事故の原因についてはどのようなものが挙げられるか、よろしくお願いします。
#125
○小池説明員 事故原因の主たるものは、前方動静不注視、これが七百九十二件ということで三六・八%でございます。それからわき見運転が六百二十二件で二八・九%、スピード超過が二百二十九件で一〇・六%、車間距離不保持が二百二十八件で一〇・六%ということでございまして、前方不注視、わき見運転、こういう前方をよく見ていないという事故原因が全体の六五・七%、七割近いということでございます。
#126
○大野(由)委員 今、前方をよく見ていない、それによる事故が七割近い、そういうお話がございましたが、その中で、高速道路で前を走るトラックやバスが急激に減速したにもかかわらずストップランプが点灯しなかったために気がつかないでブレーキを踏むのがおくれた、そういう事件はどれぐらいありますでしょうか。
#127
○小池説明員 先生おっしゃるような事故の形態が現実には恐らく起こっておるだろうと思われますが、警察庁における現在の事故統計においてはその種事故の実態は把握をしておらないということでございます。
#128
○大野(由)委員 そういう具体的な理由については把握していらっしゃらないというお話でございますが、今のような具体的な事故原因の中のさらに詳細なものについてぜひ把握をしていただきたい。そういうものがなしにして本当の安全対策の取り組みはできないんじゃないか、不十分なのではないか、私はそのように思うわけでございますが、これからの対応をどのように考えていらっしゃるか、運輸省並びに警察庁の方の御意見をお伺いしたいと思います。
#129
○樋口説明員 お答え申し上げます。
 自動車の事故の調査を行うということは、先生今御指摘のありましたように、大変やっていかなければいけないものだというふうに我々も考えてございまして、そういった意味で効果的な事故防止対策を図るためには、実際の交通事故の実態を的確に把握してそれに対する適切な方策を講じていくということが重要だと考えております。運輸省におきましては、昭和四十八年度から自動車工学あるいは医学者というような専門家によって自動車事故の実態の把握に努めるとともに、自動車事故における自動車の構造、装置と乗員の傷害との関係を中心とした事故分析を行っておりまして、その結果を踏まえて自動車の安全基準の拡充強化に努めているというところでございます。
    〔小川(信)委員長代理退席、委員長着席〕
#130
○小池説明員 お答えを申し上げます。
 適切な交通安全対策を講ずるために、高度で科学的な事故分析が必要であろうというのは先生の御指摘のとおりでございます。
 実は私ども昨年度から、自動車安全運転センターという当庁所管の法人がございますけれども、この自主的な研究として、ここにおられる運輸省等と一緒になって調査委員会を組織いたしました。そこで東京、神奈川、愛知、大阪、この四都府県において綿密、詳細な交通死亡事故の現場調査、現在その調査を終わりまして、集計、分析、報告書を作成しておるというところでございます。
#131
○大野(由)委員 現在高速道路での死亡事故は毎年三〇%以上増加している、そういう現状でございます。そういった意味での高速道路での事故というものをなくしていく、第二次交通戦争に本気になって取り組んでいく、ぜひやっていただきたいわけですが、私、今の御答弁を伺っておりまして、果たして本当に総合的な交通安全対策がこれで図られるのかどうかということを非常に危惧するわけでございます。
 ところで、経済企画庁長官にお尋ねしたいと思います。現在総合交通対策担当大臣でいらっしゃるわけですが、今日の深刻な状況についてどのように考えていらっしゃるか、安全対策をどのように考えていらっしゃるかという御意見をお伺いしたいと思うのです。
#132
○越智国務大臣 総合交通体系の担当大臣を決めましたのは昭和四十五年が最初でございまして、当時、自動車の重量税を新設いたしましてその重量税で道路の予算に充てる、そこらから、当時非常に経営状態が悪うございました国鉄と、競争手段としての道路、自動車による運送はどういうことになるかということで、あと飛行機、船等も含めまして総合的な判断をするということで始まりました。
 したがいまして、私どもとしましては交通手段ごとの調整をしなければいかぬわけでございますが、基本的には、域内交通は路面の自動車と、あるいは当時は自転車は余り考えていなかったと思うのですがオートバイ的なもの、そして殊に都市においては地下鉄を推進する。地域間の交通、遠いところは、交通安全という意味ではもう汽車にまさるものはございません。自動車の死亡率の方が飛行機より高うございますので、本当を言いますと汽車による大量安全輸送ということがよろしいわけでございます。
 その後もう約二十年たちまして、途中で一遍五十五年か六年に総合交通体系の一部見直しが行われましたが、今日におきましては実は考えていたことと必ずしもそのとおりでない点があります。例えば今お話しになっていらっしゃいます、多くがトラック輸送でございまして、当時は高速道路の上はいわば人が主のような感じがしておりましたが、今は荷物が非常に多くなってきました。遠距離間の安全輸送としての汽車に、実は貨物が非常に落ちておりますので、そうした点から考え直さなければいけないのかな。また都市内交通では、実は手近なところの自転車が大変ふえまして駐輪場の問題が出ております。駐車場の方はこのたび法案を出しまして、かなり大きいところの駐車場の、必ず駐車場をつくらなければいけないというのをたしか二千平米から千平米に下げましたり、路上駐車の規制も強化いたしておりますけれども、そうしたもの全体を含めて総合交通体系見直しのための作業に今着手しかかっているところでございます。
 まず審議会を開きまして御協議する。その中で、かつて考えました手段ごとの交通安全度というものをもう一遍見直す。恐らく交通安全のウエートは非常に高まるということになろうと思います。先生御指摘の、今一万一千人全国で亡くなっているというのは、飛行機でどかっと亡くなった年もありますけれども、主としてこれは汽車交通ではないまさに道路交通でございまして、ただそれが一番下がりましたのは、実は私が副長官をしていた五十二年か三年のころは、それでも七千人でございますからやはり年間の死者としては無視できない状態でございますので、そうしたお声を反映して今検討に着手しているところでございます。
#133
○大野(由)委員 今越智経済企画庁長官がお話しされましたその総合的な輸送の諮問はいつごろまでに結果が出るんでしょうか。
#134
○越智国務大臣 済みません、まだ諮問という格好じゃなくて審議会の構成を今急いでいるところだものですから、大体審議会をつくりますと向こうが自主的に回数その他、テーマ等をお決めになりますものですから、今答えは、いつというのはこの場では申し上げかねますのですが。
#135
○大野(由)委員 今日本はほとんど、今大臣がおっしゃいましたように、長距離列車輸送からトラック輸送に切りかわっておりますが、これも環境問題、また事故の問題、さまざまから非常に問題があるかと思いますので、大臣、ぜひお願いをして、早急に一つの結論というか、そういうものが出るようにお願いをしたいと思います。
 きょうは私は、そういう総合的なことよりも具体的なことを質問させていただきたいと思いまして、具体的な問題に入らせていただきたいと思います。
 実は私もハンドルを握っているわけですが、いつもトラックとかバスの運転手の方のお話を聞いて私もいろいろ知ったわけでございますが、ブレーキペダルを踏まなくてもスピードを落とすことができる、例の排気ブレーキ、そういうのがございます。この排気ブレーキは従来のエンジンブレーキよりもその効き目が非常に強くて、これを使ったときはストップランプがつかない、そういう問題点がございます。トラックやトレーラーは大変重い荷物を載せるものですから、通常のエンジンブレーキだけでは余りきかないということで、補助用としての排気ブレーキがつけられているわけですが、この排気ブレーキが非常に威力を持っている、そして後続車にそれを知らせないという、そういう問題がございます。国会に見学で見えたバスの運転手さん等に伺いましても、前の車が制御ランプがつかないために追突しそうになって非常に危ないという思いをしたことが何度もある、そのようなことを伺いましたけれども、どうして排気ブレーキがストップランプに連動してないか、またストップランプに連動させるのが無理であれば、別個の制御ランプがどうしてつかないのか、そういうふうになっていないのかということについてお尋ねしたいと思います。
#136
○樋口説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のように、排気ブレーキあるいは最近実用に供され始めておりますリターダー方式というものがございますが、そういった補助的なブレーキ装置を作動させたときに、ブレーキランプにより後続車に知らせることは、いわゆる後続車に注意を喚起するという意味で、安全運転上望ましいという御意見はもっともだと思います。しかしながら一方、減速度の低い排気ブレーキを作動させたときにブレーキランプを常時点灯させるという方式にいたしますと、通常のフットブレーキが作動しているかどうかの判断が非常に難しくなりまして、制動灯としての効果が薄れてしまうのではないか、こういう御意見の方もおられるわけでございます。
 しかしながら、最近、ある程度の減速度が得られる、排気ブレーキよりもリターダーの方が減速度が厳しいものでございますから、そういったリターダー方式のような補助的なブレーキが普及しつつあるということから、制動灯の要件を一定の
減速度以上で点灯すること、あるいはこれに伴う技術的な課題について、現在開催されております運輸技術審議会の場において所要の検討をお願いしているところでございますので、その結果を待ちまして対応してまいりたいというふうに考えております。
#137
○大野(由)委員 検討を始めていらっしゃるということは、すなわちこれは制御ランプなりストップランプなりがつくように検討されている、そのように理解してよろしいでしょうか。
#138
○樋口説明員 ただいまの御質問につきましては、私、個人的には、検討して、つける、ある一定の条件以上のものは、減速度がある数字を超えたものについてはやっていくべきかなというふうに考えてございますが、そういった点につきましては現在運輸技術審議会の方で検討していただいておりますので、先生の御意見もそういった審議会の中に報告させていただきまして、検討していただくようにお願いしてみたいと思っております。
#139
○大野(由)委員 外国ではどのように排気ブレーキがされているか、お尋ねしたいと思います。
#140
○樋口説明員 海外におきます排気ブレーキあるいはリターダーの装備の実態につきましては、詳細について我々把握している状況ではございませんが、一般には排気ブレーキの装備は余りされておりませんで、リターダー方式の装置が装着といつのが多い、日本よりも普及しているというふうに聞いてございます。
 なお、海外におきます排気ブレーキ等の作動時に制動灯の点灯に係る規制を行っている国といいますのが米国とフランスでございまして、この二つの場合につきましては運動させてもよろしいという規制になってございます。それ以外の国々につきましては、日本と同様に制動灯の点灯を禁止しているという状況にございます。
 また、国際的なハーモニゼーションという観点からちょっと御報告申し上げますと、自動車の国際的な基準を検討しております国連の欧州経済委員会に自動車安全公害専門家会議というのがございまして、実は日本もオブザーバーで出席しているところでございますが、その場におきまして、この問題に関しまして検討をやろうじゃないか、緒についた、そういったところでございます。
#141
○大野(由)委員 外国では青いランプがつくようになったり黄色いランプがつくようになったりしているような国も伺っておりますが、ぜひこの点の検討もお願いしたいと思います。
 それから、先ほどちょっと、排気ブレーキは大したことない、リターダーブレーキは威力があるけれども、そういうお話がございましたが、排気ブレーキがどれだけ威力を持っているかということについて、いろいろ研究なりそういう実際の調査をやられたことがおありでしょうか。
#142
○樋口説明員 ただいまの御質問に対するお答えといたしましては、直接排気ブレーキあるいはリターダーの減速度がどのくらいであるかということで、運輸省としてその目的のみで確認したことはございませんが、自動車の型式を認証する業務を当省で行っておりますが、その際に結果としてチェックをしておるわけでございます。その中で見てまいりますと、大型トラックの排気ブレーキの能力といいますのは、排気ブレーキをきかせる速度が五十キロで走っているとき、その場合最大で〇・〇四G程度の減速度ということになっております。ちょっと専門的になる言葉なんですが、簡単に申し上げますと、車に乗っておりましてブレーキをかけますと、乗っている人間が前のめりになりますけれども、その状態を速度の変化率であらわした数字でございます。これが〇・〇四G程度ということでございまして、通常の場合ですと、五十キロから急ブレーキを踏みますと〇・四から〇・五Gぐらいでございますので、ほぼ一割程度の能力かな、このように認識してございます。
#143
○大野(由)委員 今大変専門用語を使って説明していただきましたが、これはグラフにしたものがあるので、ちょっと見ていただきたいと思います。これなんですけれども、これは運輸省が自動車メーカーとNHKと一緒になって研究されたものだというふうに伺っているわけですが、今一割程度とおっしゃいましたけれども、これは二千回転ですので、高速ですと二千回転から二千三百回転、その間ですと、排気ブレーキ、新型は普通のエンジンブレーキの四倍ぐらい威力を持つわけです。ほとんどフットブレーキと同じぐらいの威力を持っている。旧来の、昔の排気ブレーキですと一割程度。今一割程度の御答弁がございましたが、一割程度というのは、普通のトラックが昔は大体時速四十キロなり五十キロで走るということを想定されて、余り高速を走ると想定されていなかった、そのときのデータじゃないか、そのように思うのです。最近はどんどん高速を大変な勢いでトラックが八十キロ、百キロで飛ばして荷物を運んでおりますけれども、その段階におきましては新型の排気ブレーキはエンジンブレーキの大体四倍近い威力を持ち、もうフットブレーキとほとんど変わらない、そういう威力を持っている。また、先ほどおっしゃいましたりターダーブレーキに関しましては、この新型の排気ブレーキよりももっと威力を持つ。
 そういう現状がございますので、こういう現状の中で、それで私はまた非常に疑問に思っていることがあるわけですけれども、道路運送車両の保安基準の第三十九条というところに、「制動灯は、主制動装置を」、この「主制動装置」というのは普通のフットブレーキですね、それを「操作している場合にのみ点灯する構造であること。」制動灯、つまりストップランプはフットブレーキ以外にはつけてはならないという、そういう決まりがこの三十九条の中にあるわけですね。私は、今言いましたそれだけの威力のある排気ブレーキなりリターダーブレーキが、そのランプがつかないこと自体が大変な問題があって危険きわまりない。しかもその上に、この保安基準の第三十九条でランプをつけてはいけないというそういう規約がある。これがこのままほっておかれる。ほっておかれるというと大変語弊があるかもしれませんが、今の時代と余りにも違い過ぎている。これは審議会の諮問の結果を待つというのではなくて、早急に見直していただかないと大変なことになるんじゃないか、そのように思いますが、御見解を伺いたいと思います。
#144
○樋口説明員 お答え申し上げます。
 ただいまの御質問につきましては、先ほど回答申し上げましたように、ただいま先生から御指摘もありましたように、保安基準の三十九条をどのように改正すべきであるか、運輸技術審議会におきましてこういった点を検討しておるところでございます。
 それで、先ほど申し上げましたのですが、自動車といいますのは国際商品でもあるというようなこともございまして、国際的な基準の調和という問題もございます。そういったことで、先ほど申し上げました欧州経済委員会の自動車安全公害専門家会議、こういった場でも運輸省としては、こういう交通実態、事故実態があるので規制を強化していくという方向でやりたいということで国際間にも了解をとっていこう、このように考えておるところでございます。
#145
○大野(由)委員 大体いつごろまでにこれは結論が出るのでございましょうか。
#146
○樋口説明員 確たることをちょっと申し上げられないのですが、我々の目標といたしましては平成三年度末ごろには答申をいただきたいというふうに考えてございます。その後、答申に基づきまして改正を行うということになると思います。
#147
○大野(由)委員 答申が出ましてから実際にそのような制動ランプがつくように改善をされてそういうふうに実施されるのには、大体目安として見通しをお伺いしたいと思います。
#148
○樋口説明員 大変難しい質問なんでございますが、できるだけ努力してまいりたいと思っておりますが、メーカー側の、特に部品メーカーの、こういった規制を行いますと生産体制の問題、それからその前に認証ということでチェックをしなければいけない問題等ございまして、それなりの期間を要するかと思っておりますが、おおむねと申しましても一年から二年というような単位でかかるということになろうかと思います。なお、部品メーカーの生産体制いかんに大分かかわってくるかと思っております。
#149
○大野(由)委員 日本交通科学協議会という団体がございますが、その「トラックの追突事故等の防止に関する研究」という、そういう報告書がございます。この中で、いろいろ排気ブレーキと追突事故との因果関係等が指摘されていますが、十数年この運輸省初め関係省庁に対して排気ブレーキと事故との関連をずっといろいろ指摘をされてこられた日本交通科学協議会の委員でもいらっしゃる日本ハイウェイのセーフティー研究所の加藤正明所長がいらっしゃいますが、運輸省もよく御存じだと思いますが、この方は、排気ブレーキをストップランプに連動する、もしくは制動ランプをつけることによって、高速道路での追突事故は現在の三分の一ないし四分の一にまで減少させることが可能だ、そのように提言をされていらっしゃいます。
 そういった意味で、今高速道路での事故が毎年三〇%ふえている。そして交通事故死は今一万一千人を超えた。交通事故死と申しますと、二十四時間以内に亡くなった方がもうそれだけいらっしゃるという、本当に大変な事態に至っているわけでございますので、この排気ブレーキ、またリターダーブレーキが制動ランプがきちっとつくということをもっと全力を挙げて取り組んでいただかないと、本気で交通事故死を防ごうというふうに思っていらっしゃるのかどうかということが非常に疑わしくなってくるわけでございます。もちろん周りの体制とかいろいろなことで難しい面もあるかと思いますが、ぜひ全力を挙げて早く、これも答申も、来年の三月まで答申を待つというのではなくて、これだけでも早く審議をしていただくとかというふうなことも不可能ではないと思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。
 それから、今自動車の教習所とか免許証の更新のときに、免許証の更新に行きますけれども、この一年ほど、要するにストップランプがつくようになる前のとりあえずの措置でございますが、排気ブレーキなりリターダーブレーキを使ったときにはランプがつかないから後ろの車は気をつけるように、そういう指導が今全くされていないのですね、その辺の指導が必要なんじゃないかと思いますが、この辺は御見解はいかがでしょうか。
#150
○小池説明員 先生の御趣旨を十分体しまして、今後そういった教育が教習所等で十分行われるように十分努力してまいりたいと思います。
#151
○大野(由)委員 いろいろ時代の変遷、また技術革新に従って保安基準の見直しなり、また車の、きょうはちょっともう時間が来てしまいましたので、もう少し本当は質問したいことがあったわけですけれども、前に走る車が大きく明るい車だと追突する事故も少ないというデータもございます。そういった意味で反射板を取りつけるとか、そういういろいろな工夫によって事故を防ぐことが、うんと少なくできるわけでございますので、こうした総合的な交通安全の対策をぜひお願いをしたい、そういうことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#152
○村山委員長 次に、菅野悦子君。
#153
○菅野委員 環境、農薬汚染あるいは食品添加物による健康障害、これらが非常に今大きな社会問題になっているわけなんですけれども、愛媛県の川之江市の製紙工場付近の河口でとれた魚から非常に高濃度のダイオキシンが検出されたということがあって、再びこのダイオキシン汚染が非常に大きな国民の不安になってきているわけなんです。
 ダイオキシンといいますと、すぐベトナムの枯れ葉剤のべトちゃん、ドクちゃんを思い出すわけですけれども、これはいろいろなところで実は発生するというんですか、できてしまうということが言われておりまして、一つは、農薬とか殺虫剤をつくる過程で発生したり、あるいは高温燃焼によって生成されるということで、ごみ焼却炉の中で発生したり、それから紙パルプの工場で塩素漂白とともにできるというふうなことで、本当に困ったことだなというふうに思っているわけです。
 それで、厚生省にまずお伺いしたいのですけれども、このダイオキシンの毒性、特に2・3・7・8四塩化ジベンゾダイオキシンというこの毒性、それから人体への影響、致死量などについて御説明をいただきたいと思います。
#154
○鶴田説明員 ダイオキシン類につきましては、有機塩素化合物の一つでございまして、化学構造の違いによりまして各種の異性体があるわけでございます。このうち先ほど先生がおっしゃいました2・3・7・8四塩化ダイオキシン、通称2・3・7・8TCDDと言われているわけなんですが、これにつきましては極めて強い急性毒性があることが知られております。また、慢性毒性につきましては幾つかの報告があるわけなんですが、ダイオキシンの毒性につきましては、毒性発現機序など不明な点も多く、厚生省としては今後ともこのダイオキシン関係につきまして科学的な知見の収集に努めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけです。
#155
○菅野委員 史上最強の猛毒と言われているということなんですけれども、そういう点で、昨年の十月の愛媛大学の脇本教授らのこういう調査研究発表以来、環境庁などで調査に取り組んでいらっしゃるようなんですが、その調査の内容とか箇所数とか対象とか方法、それから調査人員とか期間など、簡潔に明らかにしていただけたらと思うのです。
#156
○角野説明員 ただいま先生から御指摘のありました、環境庁としてダイオキシンの汚染状況をどのように調査しているかということについて御説明させていただきます。
 環境庁では、紙パルプ製造工程からダイオキシンが発生するという先生からお話がありましたような指摘が行われまして、紙パルプ製造工場におけるダイオキシンの排出実態等を把握するための調査を行っているところでございます。そして、この調査は全国の主要な紙パルプ工場立地地域を対象としておりまして、当庁が実施している調査項目及び検体数についてお話しいたしますと、工場排水について六十一工場、廃棄物処理場にかかわる浸出水、処理水及び周辺地下水について三施設、ボイラー排ガスについて二施設、工場周辺環境大気について三地域におきましてダイオキシンの濃度を測定することにしております。
 実施の体制でございますが、環境庁のほか厚生省等の関係省庁の御協力をいただきまして、調査に当たりましては各地方自治体の協力を得て行っているところでございます。
#157
○菅野委員 先ほどちょっと述べました愛媛県の川之江市に製紙工場群があるのですけれども、この近くの川でとったボラからは九・四pptというダイオキシンが検出されている。このボラを百グラム食べれば一日の摂取許容量、WHO基準なんですけれども、これを相当超える、何倍も超えるということになるというふうに指摘されているのです。
 その点で大変なことだなと思うのですが、この地域住民に対してどのような対策を具体的にとられたのかなということをお聞きしたい。また、脇本教授が、これはほったらかしていると大規模な海洋汚染に広がる可能性があるという重大な指摘もされているのですけれども、環境庁としてはこのような警告をどのように受けとめていられるのか、お伺いしたいと思います。
#158
○久野説明員 先般、愛媛県の川之江市の河口付近で採取されたボラからは、九・四pptのダイオキシンが検出されたということでございます。環境庁が過去に調査した結果に比較すると、レベル的には同じでございますが、やや高い値になっているということでございます。ただ、現時点では人間の健康に影響を及ぼすようなものとは私ども考えておりませんで、また、脇本先生も同様のことをおっしゃっておられます。
 ただ問題は、私どもやはり未然防止の観点から対応していくことが必要であろうというふうに考えておりまして、ダイオキシンについては今後とも慎重に監視していくことにしております。そのため、この検出されたダイオキシンが製紙工場から排出された疑いがあるということでございまして、環境庁といたしましては、この研究者の脇本先生も含めまして検討会を設置し、その指導を受けまして、昨年十一月から全国の主要なパルプ製造工場について、その工場排水の緊急実態調査ということで、現在調査を実施しているところでございます。今後これらの調査結果を踏まえまして、環境保全上遺漏のないように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#159
○菅野委員 このダイオキシンについては、あわせて高温燃焼の際ということで、ごみ焼却炉からも出るわけなんです。
 それで、厚生省にいろいろお聞きしたいのですけれども、八〇年代前半にもこのダイオキシンについての質疑が行われまして、厚生省は八四年に、「廃棄物処理に係るダイオキシン等の問題について」という通達を出したりしていらっしゃるのですが、簡単に言えば、人体に影響はない、心配ないという内容だと思うのです。しかし、その後、神奈川県の津久井町のごみ焼却場とか土佐清水市の清掃センターで検出されておりますダイオキシンの数値は、厚生省の調査した全国平均の二十倍もあるということで、安全評価基準に照らしても実際に非常に高いという状況があるわけです。こうした勢いで増加するなら、人体に影響がないというふうなことを言って楽観しているわけにはいかぬなと思うのです。川之江市の汚泥も恐らく同様の事態ではないかと思うのですけれども、そういう点で、調べていらっしゃるのかということをお聞きしたいのです。
 発生源対策として、例えばごみ処理施設の全国的な調査を早急に実施すべきではないかと思いますし、また、ごみ焼却に従事している労働者の安全の問題もちょっと心配になってくるわけで、その辺の安全管理の点検、例えば労働者の健康診断なども含めて、労働省等とも連携をとりながらそういう点を実施すべきではないかというふうに率直に思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
#160
○坂本説明員 昭和五十八年十二月に、今先生おっしゃいました点でございますが、医学、それから化学分析、燃焼工学、衛生工学の専門家七名から成ります廃棄物処理に係るダイオキシン等専門家会議というものを設置いたしまして、ごみ焼却施設において検出されたダイオキシン等に関する評価等について御検討いただいた結果が五十九年の五月に取りまとめられたわけでございます。
 厚生省では、この報告を受けまして、昭和五十九年五月に報告の内容及び留意事項につきまして都道府県知事あてに通知いたしまして、報告書を送付するとともに、市町村への周知を指示したわけでございます。
 通知の内容といたしましては、ごみの焼却処理に伴う一般住民及びごみ焼却施設内の作業に従事する職員への影響については、ダイオキシンの考えられる最高の濃度であったとしても、現段階では健康影響が見出せないレベルにあったということが一つでございます。それから二点目が、焼却灰等の埋立処分については、覆土等によりまして飛散、流出を防止すること等、法令の基準に従い適切に実施すること等でございました。
 それで、今の津久井のお話、いろいろ御質問があったように思いますので、抜けておったら後でまた追加でお答えしたいと思いますが、津久井は、神奈川県の津久井郡衛生センターで検出されたダイオキシンの濃度が厚生省の基準をオーバーしていると言われるがどうかということだったと思いますけれども、集じん灰中の濃度は、昭和五十九年に厚生省が行いました全国調査の結果よりも高い値とはなっておりますが、周辺住民に摂取された可能性のあるダイオキシンを算定いたしますと、専門家会議の評価指針値と比べて十分に低い値となっておる、こういうことでございます。
 あと抜けております点がございましたら、また追加でお答えいたします。
#161
○菅野委員 では、続けてすぐ聞きます。
 周辺住民が吸い込んだ云々という話ではなくて、あわせて私がお聞きしたのは、ごみ処理施設の中で発生するわけですから、ごみ処理施設の中でどの程度の濃度で発生しているのかということを含めて、施設全体の全国調査、これが必要ではないかということと、あわせて、その処理施設の中で働いていらっしゃる、そこに従事していらっしゃる労働者の安全管理というのですか、健康診断ということも含めてその労働者の問題ですね。これに対してやはりきちっと健康診断なども含めて、そういうことを実施すべきではないかということをお尋ねしたいのですけれども、その点の御見解を。
#162
○坂本説明員 全国調査については、今のところ私どもの方で直接やっておるというわけではございませんが、事業体の方が自主的にやっておる分につきましては、こちらの方に報告をしてもらうようにしておる段階でございます。
 それから、従事する作業員に対する対応はどうかということでございますが、五十九年五月のこの専門家会議報告によりますと、焼却施設に従事する作業員の健康影響が見出せないレベルであると報告されておりまして、厚生省といたしましても特段の措置が必要であるとは今のところ考えていない、こういうことでございます。
#163
○菅野委員 この点では、横浜国立大学環境科学研究所というところの花井助手らの研究グループによっても、ごみ処理場のダイオキシン発生の問題が研究されているのですね。そこでは、発生源が電気集じん機にあるということが明らかにされました。これは八五年です。この花井氏らの主張するところによりますと、これは排ガスの急冷や電気集じん機の低温運転などで、ダイオキシンの環境排出はほとんどなくせるというふうに指摘しているわけなんです。
 先ほど来から聞いておりますと、値そのものは大したことない、そういうお考えのようですから、その点自身が私は問題だと思うのですけれども、そういう点ではこの脇本さんにしろ花井さんたちにしろ、相当な毒性のあるダイオキシンだから、これはやはりきちんと対応しなければいかぬというふうな姿勢で対応していらっしゃるわけです。その点で、この間、発生のメカニズムなどについても研究されてきたようなのですけれども、昨年末示されたガイドラインによって今後具体的に自治体などに対してどのような措置をとるのか、指導されるのか、あわせてぜひ厚生省さんにお聞きをしたいと思います。
#164
○坂本説明員 厚生省では、発生メカニズムの解明等の研究を推進すべきであるというこの専門家会議の報告の御提言を踏まえまして、昭和六十年度から平成元年度までの五カ年にわたりまして、廃棄物処理におけるダイオキシン等の発生メカニズム等に関する研究を実施したところでございます。この研究の成果等を踏まえまして、技術的に実施可能な限りダイオキシン類の発生を抑制するという観点から、ただいま先生のお話ございました昨年十二月のダイオキシン類発生防止等ガイドラインを策定いたしまして、市町村に周知を図ったところでございます。
#165
○菅野委員 そのガイドラインの策定に当たっては、関係者に御苦労いただいたと聞いているわけなんですけれども、私は実はこの質問に当たって、ことしの二月二十一日の社会労働委員会のやりとりの議事録を若干見させていただいたのですけれども、そこでADI、つまり、一日当たりの摂取許容量について論議がされていますね。
 ここでは、一日当たりの摂取許容量の数値なんですけれども、ある先生の指摘では、スウェーデンは五、ドイツは一、カナダが一番高くて十、アメリカは〇・一というふうな、これはピコグラムというADIの数字なのですが、確かに世界的にも非常にアンバランスはあるわけなのですけれども、ところが日本の場合は、こういうよそに比較して百だというのですね。一番高いカナダのさらに十倍だというふうな指摘があるのですけれども、私は、こういうところに一日当たりの摂取許容量の数字を置いて、それで大丈夫だ、大丈夫だなんと言われていることになると、これはちょっとえらいことだなと率直に思うわけです。
 だから、そういう点ではやはり問題が問題ですから、非常に大変な毒性を持っているこのダイオキシンを相手にしての話なんですから、こういう点では、きちっと日本のデータについても国際的水準におくれをとらないようにすべきだというように思うのです。ですから、そういう点で、ADIを早期にきちっとしたものに定めるための研究などもしていただかなければならないと思うのですけれども、そういう点で何か見通しというのですか、あるのでしょうか、お尋ねをいたします。
#166
○鶴田説明員 外国におきましては2・3・7・8四塩化ダイオキシンのADI、いわゆる一日摂取許容量、これにつきましては、体重一キログラム当たり一日当たり〇・一ナノグラムから〇・〇〇一ナノグラムと広い範囲にわたって設定しておるのが現状でございます。
 このように国際的にまだ定まった評価がないのが現状であると私は考えておるわけなんですが、この廃棄物処理に係るダイオキシン問題を評価考察するための評価指針として、現在、体重一キログラム当たり一日当たり〇・一ナノグラムを定めているわけなんですが、これは当時の毒性学、公衆衛生学等の御専門の先生方の評価により判断されたものでございまして、現時点ではこれを変えることは考えておりません。なお、今後ともダイオキシンの毒性に関する科学的所見につきましては、収集に全力を挙げて努力していきたい、そういうように考えておる次第でございます。
#167
○菅野委員 御苦労いただいているのはよくわかるのですけれども、国際的な水準などにもおくれをとらないように、ぜひ引き続き努力をしていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
 それから、あわせて今度は通産省の方にお伺いしたいと思うのですけれども、製紙工場のダイオキシン対策、特に漂白工程の問題点などが指摘されているわけです。そこで発生するということなんですけれども、この製紙業界に対する全国的な実情調査とか指導、対策、これは多分進めていらっしゃると思うのですけれども、その内容をお伺いしたいと思います。
#168
○井田説明員 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、製紙工程におきましてダイオキシンが発生するのではないかということが言われておるわけでございますが、現在のところ、その発生メカニズムにつきましては必ずしも詳細になってないというのが現状でございます。ただ、内外の研究を見ますと、パルプを漂白する工程で、どうもパルプ中に含まれますリグニンという物質と漂白剤であります塩素が結合反応いたしまして、ダイオキシンが発生する可能性があるのではないか、こう言われておるわけでございます。
 こういうような状況にかんがみまして、我が国の製紙業界におきましては、世界に先駆けまして、漂白工程に使います塩素の使用量の削減にいろいろな努力をしておるわけでございます。例えば、パルプをつくる工程におきまして、塩素にかえまして酸素によって漂白を行う、このための設備の導入、あるいは塩素ガスにかわりまして二酸化塩素という違う物質によります漂白を行う、あるいは排水につきまして活性汚泥処理、こういったものを使いまして徹底した処理を行う、こういう数々の諸対策を講じておりまして、この諸対策は諸外国と比較いたしましても極めて進んでいるものと我々は承知いたしているところでございます。
 しかしながら、事は人体の健康に関する非常に重要な問題でございますので、こうした現状に満足してはおれないということでございまして、なお一層このダイオキシン対策を促進するために、昨年十二月、日本製紙連合会におきまして自主的にダイオキシン対策指針というものを業界独自で定めました。その指針の水準は、世界の現在の各工場がとっております対策と比べましても、相当進んだ最高のレベルにあるというふうに我々も考えております。なお、同連合会におきまして、あわせまして工場排水、パルプをつくっております全製造工場の排水、それからいろいろな紙製品につきましても、ダイオキシン類の測定調査を現在実施中でございます。
 こういうようないろいろな対策をやっているわけでございますので、通産省といたしましては製紙連合会とも緊密な連携をとりまして、製紙業界に対しまして今後とも各種対策の一層の促進あるいは徹底化のための指導を続けてまいる所存でございます。
#169
○菅野委員 随分御努力いただいているなということを思うのですが、私どもも、愛媛県の紙パルプ工業会が九三年末までに今おっしゃった塩素漂白を酸素に切りかえるというふうなことで、大分ダイオキシン発生防止対策ということでは積極的に取り組み始めているということもお聞きしているのです。
 ただ、ちょっと心配だなと思ってお伺いしたいのですけれども、例えば愛媛県の直接問題になっているここなどについても、五十八社ある中で、その大多数が中小企業という実情がございますね。その辺はどうなのかな。こういうふうに大きく変えるというような場合でも、資金力などが問題になって、なかなか単独でそういう設備投資ができないというふうなことはないのかどうか、ちょっとその辺をお聞きしたいなと思うのです。もしそういうことがあるのならば、中小企業に対して何らかの援助体制というものを国としてもとる必要があるのじゃないかななどと思ったりするのですけれども、通産省の御見解、実情の把握といいますか、その辺お聞かせいただきたいと思います。
#170
○井田説明員 御指摘のとおり、この問題の発生源になりました四国の川之江地区には、中小の製紙メーカーがたくさんあるわけでございます。ところが、先ほど申し上げましたとおり、ダイオキシンというのは、木材チップからパルプをつくる製造工程で発生の可能性があるというのが今現在わかっている知見でございまして、この四国にございますたくさんの中小製紙メーカーは、木材チップからさらしクラフトパルプというパルプそのものをつくっている企業は全くございません。そういうことで、我々全く心配はないと思っておりますが、ただ、今後ともこの中小メーカーにおきましても排水処理の徹底に努める等、環境保全対策には一層の努力を行うように指導してまいる所存でございます。
#171
○菅野委員 ぜひお願いしたいと思います。
 これは排水による汚染にとどまらずに、国立環境研究所の調査によりますと、日常生活で使用されているコーヒー用のろ紙とか紙おむつ、トイレ紙などからもダイオキシンが検出されているという報告があるのですね、もちろん微量だとは思うのですけれども。しかし、微量とはいえ、物が物だけにちょっと心配だなと思うのですが、その点で通産省の管理監督、調査という点で目配りがやられているかどうか。その点では技術開発も含めて、できるだけそういうものが、ダイオキシンの汚染というのですか、検出されるというようなことにならないように、ぜひもっと突っ込んだいろいろな御努力をいただきたいと思うのですけれども、その辺はいかがなのでしょう。
#172
○井田説明員 先ごろ国立環境研究所の発表によりますと、身の回りのいろいろな紙製品から微量のダイオキシンが検出されたという報道がございました。今現在、先ほども申しましたように、我が国の製紙連合会におきましては、コーヒーフィルターとかティーバッグの用紙とか、ティッシュペーパー、トイレットあるいは新聞用紙、こういった我々の身の回りの紙製品につきましてダイオキシンの測定調査を進めているところでございます。
 なお、昨年の七月に、こういう問題が起こる前に、実は製紙連合会がさらしクラフトパルプ、それから我々一般に使います上質系の紙、事務用紙等でございますが、こういうものにつきましてダイオキシンを測定したことがございます。これによりますと、ごく徴量のダイオキシンの含有が認められてはおりますけれども、いろいろなWHOの基準あるいは我が国の定めますダイオキシンの摂取許容量、こういうものから見ましても大きく水準を下回っておりまして、全く問題はないというふうに考えておるところでございます。
 いずれにしましても、微量であり、問題はないと思うわけでございますが、重ねて申し上げますが、人体に影響するものでございますので、何とか製造段階で、パルプをつくる段階で出さないのが全くいいわけでございますので、先ほど申しましたような塩素使用量の削減等の諸対策を一層強力に進めてまいりたいと思っております。
#173
○菅野委員 それでは、最後に環境庁にさらにお尋ねしたいと思うのですが、ダイオキシンが一般環境規制の対象にも入っていないということで、定期点検の水質検査とか大気汚染の測定などでも、これは検査項目になってないのですね。これは一般的な規制値も示されていないのはおかしいのじゃないかというふうに思うのですけれども、一般環境規制の対象にすべきだというふうに思いますが、御見解はいかがでしょう。
#174
○角野説明員 ダイオキシンの環境中での汚染の状況につきましては、六十年度から調査を行っておるところでございます。六十年度から毎年有害物質汚染実態調査というものを実施しておりますし、六十一年からは、未規制大気汚染物質モニタリングの中で、それぞれダイオキシンの環境濃度を調査しておるところでございます。
 そういうわけで、環境中でのモニタリングによりましてダイオキシンの推移を追いかけてまいったわけですが、今回の新たに実施しております紙パルプ工場にかかわる実態調査の結果等も含めまして、これをもとにダイオキシンによる環境影響について総合的に評価するということと同時に、適切な保全対策のあり方について検討をしていくこととしております。この中で環境保全上の各種基準のあり方につきましても検討を行ってまいる予定でございます。
#175
○菅野委員 それでは、最後に長官にも申し上げたいのですけれども、この問題は非常に大きな環境汚染の問題でありますし、具体的な問題では、食べる魚から野菜、これが汚染されている。微量であっても、コーヒー用のろ紙とかまた紙おむつやトイレットペーパーなど、生活必需品への影響などもあるということがあるわけで、毒性が強いというダイオキシンだけに、これは見過ごせない問題だというふうに思うわけです。
 発生源の規制の一つとして、いろいろあるわけなのですが、ますます今重要性を増しておりますごみ処理、困ったことにこの焼却炉がダイオキシをつくるというふうな状況があるわけなのです。廃棄物処理施設への国の助成というのは四分の一ということになっておりますけれども、生活関連公共投資最優先という点から考えても、この助成の引き上げ、とりわけダイオキシンの除去施設、バッグフィルターというのをつけると随分違うとかいうふうな研究の発表もあります。そういうものに対する助成とかということもぜひ検討するべきではないか、ぜひ検討していただきたいというふうに思うわけなのですけれども、長官の御見解をお尋ねいたします。
#176
○越智国務大臣 菅野先生は大阪の御選出と伺っておりましたのに川之江のことを大変よく御存じで、私はもとが愛媛県でございますから、よく御存じだなと思いながら伺っておりました。
 ダイオキシンという名前は、本当に私どもの耳に焼きついている大変なものだということを感じておりますが、今食品にいたしましても何にいたしましても、累積した結果がどう出るかというのが一番怖い。また、評価といいますか測定がしにくい。これがまた人により、いろいろな状況によりまして、その出てくる悪影響の大きさが違うという点で大変難しい問題でございますが、そういう点を十分関係官庁と協力しながらやっていかなければならない。
 また、先生が御指摘になりましたごみの問題は、私どもこれからの十年間、四百三十兆円の社会資本の増強をしていく中で、いわば最重点の一つでございます。ただ、立地その他で大変もめるものですから、やらねばならない箇所がうんと残っておりまして、それの採択に今非常に苦しんでおりまして、おっしゃいましたようなバッグフィルターのところだけを取り上げて何か考えるという方法はあり得るかどうか、関係官庁にもいろいろ御検討していただきたいと思いますが、補助率を上げることよりも、いち早くなるべく各地区、各箇所を採択することに努力を傾けていきたい、このように思っているところでございます。
#177
○菅野委員 終わります。
#178
○村山委員長 次に、柳田稔君。
#179
○柳田委員 私は、経済企画庁に質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず最初ですけれども、経済計画について質問させていただきます。
 八八年度から九二年度まで、現在そうですけれども、「世界とともに生きる日本」ということで経済計画が実施をされているわけであります。先日新聞に「新経済計画一年前倒し 政府、九二年度スタート「地球へ貢献」柱に」という見出しで、あたかも来年から新しい経済計画が実施されるという記事が載っておったのですけれども、そういうことが今後行われるかどうなのか、まず最初にそこをお聞かせ願いたいと思います。
#180
○越智国務大臣 それはある一紙だけがと申しますか、ほかの新聞は全く書かずに、その新聞だけが日曜日の、どちらかというと記事のない日の朝刊に突然書かれまして、書いたと思われます記者にもお会いいたしまして伺いました。その方はその方なりに考えてお書きになったようでございますが、私ども経済企画庁の中におきましては、全くそのようなことはございません。
 御存じと思いますが、五カ年計画をつくるのは経済企画庁の一つの大きな仕事でございまして、そのベースの上に乗ってまた毎年の経済見通しをつくってまいります。たまたま経済審議会の中の一小委員会、二〇一〇年委員会というのを相沢経済企画庁長官のときにつくりまして、これが二十年分、二十世紀の最後の十年と二十一世紀の最初の十年の二十年分を計算してみようじゃないかという、今までに例のない大変長い計画をやっておりまして、これは計画というよりはもっとソフトなものだと思いますが、それが今大体作業が煮詰まってまいりました。宮崎勇さんという元の経済企画庁の事務次官が主査みたいな格好になっておりますが、この夏前ぐらいに一つの試案が出ることになっておりますので、恐らくそれにひっかけて、それじゃその後すぐ五カ年計画にと思ったかもしれません。
 経済計画を立てますときは総理大臣が経済審議会に諮問するわけでございまして、今日において、従来今まで行われております現行経済計画が大変ふぐあいになったという状態でもございませんものですから、恐らく通常でございますと来年の声を聞いてから諮問が行われて、来年中に結論が出る。大体審議会は最低六、七カ月、長ければ一年ぐらいかかっておりまして、一番有名なのは池田内閣で出ました所得倍増計画でございますが、これも諮問をしたときは岸内閣でございますので、そういう意味では、その記事はどうぞ読み飛ばしておいてください。
#181
○柳田委員 わかりました。
 では、今現在実施されております「世界とともに生きる日本」ということで、折り返し地点も過ぎて、そろそろ仕上げの段階に近くなってきたというふうな気がするわけでありますけれども、現段階におけるフォローアップといいますか、いかがでございましょうか。
#182
○冨金原政府委員 先生御承知のとおり、現在の計画につきましては毎年フォローアップをすることになっておりまして、一番新しいフォローアップ報告は昨年の六月に行われている報告でございます。
 現在の計画の大きな考え方と申しますのは、現在日本の経済社会が取り組むべき課題というのは三つほどある。一つは、対外不均衡の是正と世界に貢献していくことである。二つ目は、豊かさを実現できる多様な国民生活をいかに実現していくかということだ。三つ目は、経済構造調整を円滑に進めて地域社会の均衡ある発展を図ることである、こういう考え方になっておりまして、これらを同時達成するためには、内需拡大を続けながら、経済構造調整を円滑に進めていくということによって、それぞれの課題が達成できるという考え方になっておるわけでございます。
 そこで、フォローアップ報告の中で、こういった問題について毎年実施状況とか問題点を指摘していくわけでございますが、先ほど申し上げました昨年六月の報告においては、こういった課題については基本的にはその方向で改善が行われている。例えば内需主導型の経済というのは、非常に順調に経済の拡大を続けてきているわけでございますし、対外不均衡の是正についても着実に行われている。ただし国民生活に比較的かかわりの深い分野についてはいろいろ問題が残っている。一つは、内外価格差の是正の問題であるとか、あるいは地価の適正化の問題であるとか、労働時間の短縮の問題であるとか、こういった問題についてはまだいろいろ問題が残っている、不十分な点が多いという指摘を受けているわけでございます。
 しかし、その問題につきましても着実な進展が図られていると私ども考えておりまして、これは御承知のとおり、土地問題につきましては、政府は土地基本法という理念のもとで総合的な土地政策推進要綱をつくっておりますし、つい先般は税制の改正に伴いまして地価税も通していただいたということで、だんだんと改善の方向で努力をしておるわけでございますし、労働時間の短縮につきましても、大きな流れとしては、ことしの春闘などを見ましても、一つの流れとしてはっきり示されてきているわけでございます。この道を進める必要はあると思いますけれども、着実な進展が見られている。内外価格差の是正の問題につきましても、政府・与党内外価格差対策推進本部というのをつくっておりますし、日米のSIIの交渉などでも議論も行われております。いろいろ問題に取り組んできているわけでございますので、まだまだ努力は必要かと思いますが、そういった問題について改善を進めているというふうに考えているわけでございます。
#183
○柳田委員 一応来年でこの「世界とともに生きる日本」という経済計画は終了して、また新しい経済計画を来年つくるというお話でありました。世の中は、昨年の六月の時点から考えますと、世界的にも国内的にも大分変化をしてきております。また、この経済計画自体も少し今の現状にはそぐわないといいますか、大分よくなってきたところもありますので、逆に新しい面として、こういうこともしなければならないなというのが去年からことしにかけて出てきたような気がするわけなんです。
 今後、来年のことになるわけですけれども、新しい経済計画策定に当たって、現在までに取り残してきたこと、まだ進んでいないこと、これからこうしなければならないということがありましたらば、ちょっと教えてください。
#184
○越智国務大臣 局長からもお話し申し上げさせていただくと思いますが、全体としまして「世界とともに生きる日本」ということでやってまいりました。表題はそうでございますけれども、根っこにありましたのは前川レポートの内需主導型でいこうということでございまして、それはそれなりに達成できてきた。
 ただ、非常に手のつきにくかった問題が土地とか農業とか、そういうところに残ってしまったという観点はありますけれども、残されたものをやるというだけではなくて、新しい問題を考えるときに、今先生がおっしゃいましたように何が変わってきたかというと、もっと世界に貢献しろ、世界とともに生きるよりも、もうちょっと世界に役立つ日本という格好を求められているのではないか。きょうの本会議でも御党には掃海艇の派遣について御賛成をいただきましたけれども、まさにそこに流れている思想といいますか、それは内需主導型、日本だけ何とかうまくやりますということよりも、そういう世界に向けて日本は何をなすべきかという視点が恐らく強く出てくるのではないかな、こういうことを感じておるわけであります。
#185
○柳田委員 高齢化社会が来るということで、一方では子供の数が少なくなる。一・五七ショックというのもありましたが、それ以上に進んでいるということで、日本の将来、労働力不足、さらには高齢化社会を支える若い人たちを今からでも、いろいろな施策を通じながらでも、つくるという言葉はよくないかもわかりませんが、そういう社会を目指してやるべきことがあるのではないかな。子供に対する対策といいますか、政策も大いに考えていただきたいなという気が私はいたしております。
 次に行きます。
 先ほど御答弁にありましたけれども、地価のことで地価税。消費税を導入するときには、この消費税が日本の経済にどれほど影響する、物価がどれほど上がるということで、いろいろと経企庁としてもシミュレーションいたしていただいたわけであります。今回の地価税、成立をいたしまして実施されるわけでありますけれども、事務所代、特に都市圏の事務所賃貸料の値上がりとか、デパートの品物の値段にも影響するのではないかという懸念も一方ではあるわけなんですが、今回のこの地価税の導入による物価、経済に対する影響のシミュレーションというのはなされないのでしょうか。
#186
○田中(努)政府委員 お答え申し上げます。
 なかなかこれは定量的につかまえるのが難しい問題でございまして、定性的に考えてみますといろいろな側面があるわけでございますけれども、土地の保有コストが上がるということに伴いまして土地の流動化が進む。つまり、土地の供給が促進される効果が期待できる。また、土地の利用の形態といたしまして高度利用が促進される。そのことによりまして事務所のフロア等がふえるというような供給面での効果が期待されるということが一つございます。
 こういう面に着目いたしますと、これは長期的に見ますと物価、地価双方を引き下げる効果が働くだろう、こういうように考えられるわけでございます。まず、地価が下がることによりまして、その土地を利用してつくられる財貨あるいはその土地を利用して行われるサービスの提供、こういうもののコストが低下をいたしまして、地価の低下が物価の影響につながる面があるだろうというふうに考えられるわけでございます。その反面におきまして、直接的な影響としましては、地価の保有コストが上昇した分が、その土地を利用して行われる財貨の生産あるいはサービスの提供の価格に転嫁をされるというようなことが行われますと、むしろ物価の上昇要因として働く、こういう両面がございます。
 片方はかなり長期的な要因であり、片方は、もし行われるといたしますと短期的な効果がございますけれども、その場合、土地のコストがどの程度の割合を占めているかというふうなこと、あるいは需給関係というふうなことによりまして、その転嫁が行われる難易度というものが変わってまいりますし、その影響も変わってくる。そういういろいろな複難な要素がございますので、消費税のときのような形でのシミュレーションというのは行っておらないわけでございます。
#187
○柳田委員 地価税を導入したら土地が下がるのか、または抑制策になるのか、我が党としても非常にわからないところがあるわけであります。ただ、はっきり言えることは、一部のところにはこの地価税がかかるであろう。かかれば、今局長おっしゃっていただきましたように、短期的には物価にも影響するかもしれない。しかし、長期的には多分いい方向に向かうであろうというお答えでありましたけれども、正直言いましてそうあってほしいなと思っております。あとは追及といいますか、質問はいたしません。
 次に、内外価格差なんですけれども、我が党の参議院の同僚議員が長官に、国民の生活を充実していくという観点から、物価の内外価格差を欧米並みにすべきではないかという質問をしたわけでありますが、その際に、先ほども出ました内外価格差対策本部で、総理大臣を長として、閣僚ほぼ全員が入って各省庁ごとに努力をしておりますという御答弁を賜ったわけです。いろいろと要因はあるかと思うのですが、例えば五年先とか十年先、二十一世紀には内外価格差はなくなりますというふうな目標もあっていいのではないかという気がするのですけれども、いかがでございましょうか。
#188
○越智国務大臣 内外価格差の取り組み方その他につきましては、予算委員会で中野寛成委員からもいろいろ御質問を賜りました。
 機構といたしましては、今政府と与党でつくっております内外価格差対策本部の活用、また、民間人の御意見としては、物価安定政策会議をさらに内容の充実というようなことで、皆さんの御意向を反映していくように持っていきたい、こう考えております。
 そこで、先生の今の御提案といいますか、お話のございました内外価格差をゼロという格好は、どういう段階でゼロと言えるのかということもございますし、目下のところでは何年内にということを出すよりも、実は全般的な東京とニューヨークを比べて何割増しだというところよりも、個々の異常に突出している日本の問題点を個々に解決する。その一つが今も出ておりました土地でございまして、そうした問題を一つ一つ構造的な要因として解決していくということでまず対応させていただきたい。物価全体の上昇率、流れという、表面的というか現象的な面と構造的な部面とを分けまして、また構造の中でも外国に比べて低いものもあるわけです。だからこそ例えば日本の電気製品なんか売れているわけでございますが、異常に突出して高いというところをまずやっていきたい。殊に、それに公的な問題が絡んでいるところは、その規制を緩和するとか、あるいは公的な問題として下げていくということでやっていきたい、このように思っているわけでございます。
#189
○柳田委員 国民の感覚からしますと、二十一世紀になったらば市場経済も開くし、保護政策もとらないということなので、アメリカに行ってもドイツ、ヨーロッパへ行っても、日本で買っても余り値段が変わらないよという感じがつかめれば、なるほどというのが多分国民の感情ではないかなと思うのです。いろいろと難しそうではありますけれども、年月を切るのは難しいということであれば、目標は目標で今後も努力をしていただきたいと思います。
 次に、最近また新聞をにぎわしておりますバブル経済ということに移らせていただきたいと思うのですが、今新聞をにぎわしております問題について特別どうのこうのというわけではなくて、全般的に見まして、今まで大分株や土地ということでバブルが繁栄といいますか、非常に大きなウエートを占めてきたかなという気がいたしております。また、そのバブルのおかげでいろいろと経済も伸びてきたのではないかなという要因があるようには思うわけでありますけれども、現段階で政府としてはこのバブル経済はどれぐらい解消できたと御判断されているか、教えてください。
#190
○越智国務大臣 数字をもって何%とお答えできるような状態じゃございませんが、株式その他に関しましては、むしろ一たんバブルの清算が割と早くに行われまして、今御存じのとおりある程度上昇機運の方に向かってまいりまして、まあまあかなり整理できていると思っております。
 土地につきましては、二年前から金融の引き締めを始めまして、実際に効いてきたかなという感じは去年の夏ごろからでございますが、今日でも一般の貸し出しの伸びが六、七%のときでも、不動産向けの分は二%ぐらいにしましてぐっと引き締めておりまして、これが大体かなり効いてきたかなという感じでございますが、そこら辺さらに今度の地価税の問題もございますし、既に土地の譲渡所得の問題は、税については変更いたしておりますので、規制をいたしておりますので、こうしたものがいつごろ逆に言うと手を離せるかは、これからの何カ月かの中でよく見定めなければならない一番難しいところだろう、こんなふうに思っておるわけでございます。
#191
○柳田委員 地価についてはだんだん効いてきたかな、株価についてはまあまあ整理ができたかなというお話でありました。
 先ほども申しましたように、このバブル経済がすべてがマイナスというふうには思っておりません。それの影響で少しは経済の成長に助けが入ったといいますか、それなりのことをしていたのかなという面もあるかと思うわけであります。
 そこで、今地価も株価もまあまあということでありましたけれども、今後もそれが地価についてはさらに進むであろうということを考えますと、今後このバブル経済が徐々に解消されていくと、日本の経済にどれぐらい影響していくのか。どれぐらいというよりは、どのように影響していくのかと考えてございましょうか。
#192
○越智国務大臣 株とか土地というのは、現象として非常に目立った動きでございました。しかし、経済全体の大きな動きの中でそれが大勢を占めるような問題にはなってなかった、こう私どもは考えておりますので、そうしたバブルの部分を取り除くことによって、より健全な経済運営がやっていけるようになったのじゃないか。
 ただ、先生もおっしゃいましたように、それでは昭和六十三年から平成元年、二年の間にあったことで例えば今残っている問題は何があるか、悪い意味じゃなくて。日銀の公定歩合が二・五%であんなに長い間、史上一番低い状態で続きましたのは日銀の歴史でもなかったことでございまして、日銀の公定歩合の最高は九%でございますから、その間に実は大変に優良企業などは社債とか転換社債を出しまして、非常に金利の安くて長いお金を借り込んでおります。言うなれば手元流動性が非常に高くなっておりまして、最大手と申しますか、例えば皆様と御関係の深いトヨタ自動車などは銀行借り入れゼロでございます。形式はどうか知りません、実質的には銀行借り入れゼロで運営できているというぐらいでございますので、そうしたことはある意味では日本の経済体質を強化したと申しますか、ただ、それが偏ったというところが問題になっているかと思います。
 バブルが消えていったら日本の経済が足をとられる、そういうことはない、このように考えております。
#193
○柳田委員 最後に、ソ連や東欧の経済支援について質問させていただきます。
 先日ゴルバチョフ大統領が来られて、政府の方も再三にわたって協議をされました。このことについては私の方も心から敬意を表したいと思っております。ただ、結果については、若干がっかりしたなという感じを持たざるを得ないわけなんですが、このことはこのこととして、今後政経不可分ということもあるかもわかりませんけれども、やはり日本としては、ソ連や東欧の経済発展に応援をしていかなければならないということは、余り変わりはないかと思っております。今後また、あの共同声明も含めまして、経済の支援、市場経済の発展のために日本がどういうふうに協力をしていくのか、お考えがあれば教えてください。
#194
○越智国務大臣 まず、ソ連との関係でございますが、共同声明のほかに、たしか十五本でございますか協定を結びました中に、私どもの関係いたしておりますのは、長いせりふでございますが、ソビエト社会主義共和国連邦における市場経済への移行のための改革に対する技術的支援に係る協力に関する日本国政府とソビエト政府との間の協定、この分でございまして、これは経済計画のつくり方とかいろいろなことをお教えしましょう、そのために人の行き来もいたしましょう、あるいは会議も持ちましょうということでございまして、この協定を結びました。三年間の協定でございます。
 ですから、余り時間的余裕はないのですが、これはこちらから押しかけていくというよりは、向こうがお帰りになった後、外交チャネルを通じてこの後の取り決めをするということになっておりますので、向こう様の方からいろいろお申し出があってやっていかなければならないんじゃないか。よくわかりませんが、私どもの類推では、向こうのゴスプランが動き出すのかな。そうすると受けて立つのは、こちらは経済企画庁かな、あるいは関係各省の連携でやらなければいけないかな。なお、民間の団体等も参加して構わないという協定になっておりますので、場合によりましてはそういうものが窓口になってやっていくかもしれませんが、向こうの市場経済へ移行する決意のほどはまだ十分読み取れないものですから、先方の出方待ちという感じの点はございます。
 それから、東欧につきましては、一応六カ国でございますけれども、ポーランド、ハンガリー、チェコ、それからブルガリア、ルーマニア、ユーゴスラビアという六カ国のうちで一番インフレが激しかったのはポーランドでございまして、ズロチという通貨でございますが、その経済安定を、通貨安定を図るためにかなり無理をしましたので、海部総理が去年の正月に参られまして、たしか一億五千万ドルの資金供与をされました。
 国によってかなり状況が違います。ユーゴは今経済状態が大変よくない。それが八つの国というか八つの部分でございますので、それがまた今大変に分裂しているというか、相争っている点がございます。ハンガリーなどは、私は大体各国回っておりますが、ルーマニア以外回っておりますが、ハンガリーなどは割とうまくいっている国の方でございますので、もっともっと協力はしていけるのじゃないかなと思っております。
 どちらかと申しますと東欧六カ国は、ヨーロッパの諸国、殊にドイツを中心として自分たちが面倒を見なきゃいかぬという認識が強うございまして、商品等を見ましても、現地へ行ってみますと、ほとんどの輸入商品がドイツ製を筆頭にヨーロッパ製が入っております。そんなことですから、もうちょっと様子を見ながら東欧の支援対策を考えていきたい、このように思っておるところでございます。
#195
○柳田委員 ソ連に関しては出方待ちというお話でありましたけれども、いらっしゃる前は大分前向きで、やろう、やろうという感じで私は受け取ったのです。今、出方待ちということであれば、少しトーンダウンかなという気がしないでもないのですけれども、以前と全然変わりがないという受けとめ方をした方がよろしいのでしょうか。
#196
○越智国務大臣 大変言い方が難しい問題でございますが、例えばヒューストン・サミットのときには、みんなでソ連を助けてあげなければいかぬという熱気が感じられた。今度七月にロンドン・サミットがございますけれども、果たしてそこまでいくかなという感じが、私自身の個人的な感触でございますが、ございます。やはりその間に、ソ連の中におけるペレストロイカのスピードといいますか、勢いがかなりなえているのじゃないかとか、いろいろバルト三国との関係とかございましたものですから、世界全体の空気が今ちょっとヒューストンのあの熱さのまま続いているようには思えないというところがございます。
#197
○柳田委員 どうもありがとうございました。
#198
○村山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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