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第120回国会 予算委員会 第11号
平成三年二月十三日(水曜日)
    午前十一時開議
 出席委員
   委員長 渡部 恒三君
   理事 大石 千八君 理事 鹿野 道彦君
   理事 近藤 鉄雄君 理事 二階 俊博君
   理事 増岡 博之君 理事 加藤 万吉君
   理事 佐藤 敬治君 理事 松浦 利尚君
   理事 草川 昭三君
      愛野興一郎君    粟屋 敏信君
      内海 英男君    越智 伊平君
      狩野  勝君    倉成  正君
      後藤田正晴君    佐藤  隆君
      志賀  節君    田邉 國男君
      津島 雄二君    戸井田三郎君
      林  義郎君    原田  憲君
      松永  光君    松本 十郎君
      村田敬次郎君    村山 達雄君
      綿貫 民輔君    小澤 克介君
      串原 義直君    嶋崎  譲君
      新村 勝雄君    新盛 辰雄君
      辻  一彦君    戸田 菊雄君
      中西 績介君    野坂 浩賢君
      藤田 高敏君    武藤 山治君
      和田 静夫君    石田 祝稔君
      日笠 勝之君    冬柴 鐵三君
      木島日出夫君    佐藤 祐弘君
      菅野 悦子君    古堅 実吉君
      吉井 英勝君    神田  厚君
      中野 寛成君    菅  直人君
      楢崎弥之助君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  海部 俊樹君
        法 務 大 臣 左藤  恵君
        外 務 大 臣 中山 太郎君
        大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君
        文 部 大 臣 井上  裕君
        厚 生 大 臣 下条進一郎君
        農林水産大臣  近藤 元次君
        通商産業大臣  中尾 栄一君
        運 輸 大 臣 村岡 兼造君
        郵 政 大 臣 関谷 勝嗣君
        労 働 大 臣 小里 貞利君
        建 設 大 臣 大塚 雄司君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     吹田  ナ君
        国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 佐々木 満君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (沖縄開発庁長
        官)      谷  洋一君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 池田 行彦君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      越智 通雄君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      山東 昭子君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 愛知 和男君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 西田  司君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 大島 理森君
        内閣官房内閣安
        全保障室長
        兼内閣総理大臣
        官房安全保障室
        長       米山 市郎君
        内閣法制局長官 工藤 敦夫君
        内閣法制局第一
        部長      大森 政輔君
        公正取引委員会
        事務局審査部長 柴田 章平君
        総務庁長官官房
        会計課長    菊地 徳彌君
        北方対策本部審
        議官      池ノ内祐司君
        防衛庁参事官  内田 勝久君
        防衛庁長官官房
        長       日吉  章君
        防衛庁防衛局長 畠山  蕃君
        防衛庁教育訓練 
        局長      小池 清彦君
        防衛庁人事局長 坪井 龍文君
        防衛庁経理局長 村田 直昭君
        防衛庁装備局長 関   收君
        防衛施設庁長官 児玉 良雄君
        防衛施設庁総務
        部長      箭内慶次郎君
        防衛施設庁施設
        部長      大原 重信君
        防衛施設庁建設
        部長      黒目 元雄君
        科学技術庁研究
        開発局長    井田 勝久君
        科学技術庁原子
        力安全局長   村上 健一君
        科学技術庁原子
        力安全局次長  長田 英機君
        環境庁長官官房
        長       森  仁美君
        国土庁長官官房
        長       八木橋惇夫君
        国土庁長官官房
        会計課長    森   悠君
        国土庁土地局長 藤原 良一君
        外務省アジア局
        長       谷野作太郎君
        外務省北米局長 松浦晃一郎君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   渡辺  允君
        外務省条約局長 柳井 俊二君
        外務省国際連合
        局長      丹波  實君
        大蔵省主計局長 保田  博君
        大蔵省主税局長 尾崎  護君
        文部大臣官房長 坂元 弘直君
        文部省高等教育
        局長      前畑 安宏君
        文部省学術国際
        局長      長谷川善一君
        厚生大臣官房総
        務審議官    熊代 昭彦君
        厚生省健康政策
        局長      長谷川慧重君
        厚生省保健医療
        局長      寺松  尚君
        農林水産大臣官
        房長      鶴岡 俊彦君
        農林水産大臣官
        房予算課長   山本  徹君
        通商産業省貿易
        局長      堤  富男君
        資源エネルギー
        庁長官     緒方謙二郎君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       向 準一郎君
        運輸大臣官房国
        有鉄道改革推進
        総括審議官   大塚 秀夫君
        運輸省運輸政策
        局長      中村  徹君
        運輸省地域交通
        局長      佐々木建成君
        海上保安庁長官 丹羽  晟君
        海上保安庁次長 豊田  実君
        郵政大臣官房経
        理部長     吉高 廣邦君
        郵政省通信政策
        局長      白井  太君
        労働大臣官房長 齋藤 邦彦君
        労働省労働基準
        局長      佐藤 勝美君
        建設大臣官房長 望月 薫雄君
        建設大臣官房会
        計課長     小野 邦久君
        建設省建設経済
        局長      鈴木 政徳君
        建設省都市局長 市川 一朗君
        建設省住宅局長 立石  真君
        自治大臣官房審
        議官      二橋 正弘君
        自治省行政局選
        挙部長     吉田 弘正君
        自治省税務局長 湯浅 利夫君
        消防庁長官   木村  仁君
 委員外の出席者
        会計検査院長  中村  清君
        予算委員会調査
        室長      多田 俊幸君
    ─────────────
委員の異動
二月十三日
 辞任         補欠選任
  浜田 幸一君     狩野  勝君
  小澤 克介君     五十嵐広三君
  野坂 浩賢君     中西 績介君
  佐藤 祐弘君     吉井 英勝君
  古堅 実吉君     木島日出夫君
  中野 寛成君     神田  厚君
  楢崎弥之助君     菅  直人君
同日
 辞任         補欠選住
  狩野  勝君     浜田 幸一君
  中西 績介君     野坂 浩賢君
  木島日出夫君     菅野 悦子君
  吉井 英勝君     佐藤 祐弘君
  神田  厚君     中野 寛成君
  菅  直人君     楢崎弥之功君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 平成三年度一般会計予算
 平成三年度特別会計予算
 平成三年度政府関係機関予算
     ────◇─────
#2
○渡部委員長 これより会議を開きます。
 この際、申し上げます。
 政府の答弁は、誤解を生むことのないよう十分注意されることを強く要請しておきます。
 平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。
 日本社会党・護憲共同の質疑は、来る十九日に行うことといたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木島日出夫君。
#3
○木島委員 日本共産党を代表して、質問をいたします。
 これまで当委員会では、今回の特例政令が自衛隊法百条の五の授権の範囲を超えるものである、許されない拡大解釈であるということで、我が党の不破委員長からも厳しく指摘をされました。ところが、昨日内閣法制局長官から、さらに在外邦人の救出も特例政令をつくれば百条の五で可能であると、とんでもない拡大解釈が公然となされました。重大なことであります。明日からの集中審議で徹底した討議がなされることを冒頭私からもお願いをして、以下、湾岸問題に関する質問をしたいと思います。
 湾岸戦争が開始されて四週間になるわけであります。三つの視点からこの戦争をとらえることが重大だ、重要だと我が党は考えています。
 第一は、湾岸危機の元凶は、何といってもイラクのクウェートに対する無法、野蛮な侵略、併合にあることは明白である、これを糾弾してクウェートからの撤退を求めることは国際的な正義の要求だということ。
 第二は、この問題は、あくまで平和的解決を追求することが世界平和と諸国民の利益にかなった道であったのにもかかわらず、アメリカが開戦を急ぎ過ぎたということ。そして第三には、日本政府がアメリカの武力行使を絶対化して、自衛隊の派兵、派遣、九十億ドルの戦費支援という形で日本を戦争協力の道に引き込もうとするのは、平和憲法の立場から絶対に許されないことだということであります。
 そこで、早速九十億ドルの財政支援の問題についてお伺いをいたします。
 昨日総理は、多国籍軍への九十億ドルが輸送、事務、食糧、医療、生活関連という五分野の経費に充当されるものだ、そしてこの輸送という中には、多国籍軍の武器弾薬は含まないようにしたい、結果として含まないようにしたいという答弁をいたしました。
 そこで、総理に伺います。
 この輸送の中に、多国籍軍の武器弾薬は含まないようにしたいというその保証、具体的な保証はどうするんですか。
#4
○海部内閣総理大臣 国連決議に基づいての平和回復活動の終局的な武力の行使に日本も相応の協力をするということで資金協力の九十億ドルを拠出をする、私は何回も申し上げてきましたけれども、輸送関連、医療関連、食糧関連、生活関連、事務関連などの経費に充当する方針であります。そのことは、きょうまでここでもいろいろな質疑がございますけれども、武器弾薬の購入に充てるのではないかという角度の御質問がありましたから、それには結果として充当しないようにこれらの関連に充てるということをきのうも申し上げたわけで、――ですから、そういう基本的な考えで臨んでまいります。
#5
○木島委員 私の質問をよく聞いておいてください。その五項目の中に輸送が入る、その輸送という言葉の中に多国籍軍の武器弾薬を運ぶことが入るのかという質問に対して、それは入らないようにしたいという答弁をきのうしたんじゃないですか。公明党の日笠委員の質問に対する答弁は、じゃ、どうだったのですか。
#6
○海部内閣総理大臣 本来ならば、九十億ドルの支援は国連の決議を受けての平和回復活動に対する応分の支援でありますから、私としてはそれでお答えしておったのですが、それは武器弾薬の購入を含まないか含むかということを、その前からもいろいろ討議を通じてありましたから、私は、充当するものとして例示的に輸送関連、医療関連、食糧関連、生活関連、事務関連などの経費に充てる、そういったことは逆に言うと、ここで皆さんが懸念を表明された、いわゆるその他のものに充てていくのではないだろうなという武器弾薬の購入に対しては、日本政府の考え方はそういったものを除くということでここで御説明したわけでありますというのですから、改めて申し上げますが、日本が充当を予定をしてといいますか、これに充当してほしいという意向を述べるのはここで私が申し上げた分野で、輸送関連もそこには入っております。その内容については、私は立ち入ったことは申し上げませんでした。
#7
○木島委員 それでは、それを前提にして改めて、じゃ伺います。
 その五項目の輸送の中身として、多国籍軍はみずからの所有する武器や弾薬を運ぶということはお認めになるんですか、ならないんですか。
#8
○海部内閣総理大臣 この問題については、きょうまでここで具体にお答えしてきた経緯もありますし、また湾岸協力基金の運営理事会で最終的には関係諸国との話し合いの中で行われていくことでございますので、そういった具体の問題については政府委員から答弁をいたさせます。
#9
○松浦(晃)政府委員 従来湾岸平和基金に十九億ドルを拠出いたしまして、それは資金協力と物資協力に充てられておりますが、その資金協力は運営委員会で輸送関連経費に充てる、具体的には航空機及び船舶の借り上げ経費、その他の輸送関連経費を対象とするということが決められておりまして、それに従って各国を支援することにしております。
 今、先生御質問の具体的に何を運ぶかという点でございますが、私どもは、この何を運ぶかにつきましては制約を付しておりませんので、それで何を運ぶかということにつきましては、昨年の国会でも何度も申し上げましたけれども、私どもは云々しないという立場でございます。
#10
○木島委員 重大な答弁がなされたと思います。要するに、日本政府は九十億ドルを提供する、その使い道の一つとしては輸送というのがある。そしてその輸送で多国籍軍が何を運ぶかについては制約がない。そうしますと、多国籍軍は日本から提供を受けた九十億ドルでみずからの所有する武器弾薬や兵員をどんどんと輸送することが全く可能であるし、そのことに対しては日本政府は何もチェックする手段を持っていないし、チェックする意思もないということが明瞭に今答弁されたと思います。これはもう明らかに日本の、多国籍軍が行っている武力行使、戦闘行動、まあ一般的に言う戦争に対する財政面での参加だと言わざるを得ないと思います。これは憲法九条の大原則から踏み外れるものだと厳しく指摘をしなければならない、こういう金の使い方は断じて許されないと私は思います。
 そこで、次の質問に移りますが、総理は、将来どんな事態があっても絶対に九十億ドル以上の財政追加支出、支援はしないということを国会に対して、また日本の国民に対してはっきりとお約束できますか。
#11
○海部内閣総理大臣 湾岸の武力行使は一日も早く終わることを私は強く望んでおりますが、それが終わりまして、なるべく早く終わりたいが、終わる後には、平和回復とかあるいは今非常に汚染されておる原油の始末の問題とかあの地域の平和安定とか、いろいろなことが出てまいります。だから、平和回復とあの地域の安定のための協力は、将来に向かってもできる限りいろいろな角度でしていかなければならぬ場面が想定されると考えております。今回の支援については、当面これ以上のことは考えておりません。
#12
○木島委員 当面今回のような支援は考えていないという答弁ですが、今のような状態が不幸にして長くなってしまった場合については、停戦がなされて戦後復興ではなくて、残念ながら今のような状態が長続きしたときに、アメリカの方から追加財政支援を求められた場合に、それははっきりとお断りするということを言えますか。そういう質問です。
#13
○海部内閣総理大臣 何か湾岸の武力行使がいつまでも続くような前提の御質問には私はお答えしたくないし、また一日も早く終わることを期待して願っておるということも申し上げておりますし、当面はこれ以上のことは考えておらないということを先ほど申し上げたとおりであります。
#14
○木島委員 私は一日も早く湾岸戦争が終わることを願っているわけであります。ただ、私がこういう質問をするのはなぜかといいますと、ブレイディ・アメリカ財務長官は、偽証が絶対に許されないアメリカの議会で、九十億ドルは三月までの費用だとはっきりと証言しているからであります。さらにアメリカのブッシュ大統領も、一月二十九日の一般教書演説で、一九九一年の最初の三カ月分として四百億ドル以上もの負担が提供の申し出があったと述べており、さらにブッシュ大統領は、今月六日ニューヨークの経済クラブでの演説で、戦争のコストがさらにかさめば一層の協力を期待したいと言っているからですよ。
 一日も早く戦争が終わることは総理も私も願っていることは共通だと思います。しかし、既にアメリカの最高の幹部からこういう発言がなされているからこそ、私は総理に、もし不幸にも今のような事態が長引いたときに、アメリカから、アメリカの大統領が言っているようにさらに一層の協力を求められたら、もうそれは困りますと、九十億ドル以上は出せませんと言えるかという質問をしているのです。ここ、今聞いておかなければならない大事な質問だと思います。明確に答えてください。
#15
○海部内閣総理大臣 一日も早く終わるように願っておるということは何回も申しましたし、また当面これ以上のことは考えていないということも明確に申し上げました。ただ、その後のこととかいろいろなことはどのように変わっていくのか、今ここで具体的なことが言えません。ですから、当面これ以上のことは考えていない、何回も申し上げております。
#16
○木島委員 従来政府の答弁はいつもそういう言い方で逃げる。当面はやる気はない、そしてまた事態が変わると、事態が変わったから支援する。じゃ将来どうするかと聞くと、当面はやるつもりはないと言いつつ、ずるずるずるずると要求に押されて追加支援をやってきたんじゃないんでしょうか。
 そんな政府の態度だから、既に財界の一部から、財源としてもう消費税も考えろ、要するに税率の引き上げも含んで考えるべきだという発言が飛び出しているわけであります。消費税については、廃止を求める世論がまだ圧倒的であります。そんな段階、まだ決着がついていない段階で、既に税率の引き上げを求めるかのような財界の発言が相次いでいることは総理も御承知かと思います。どうなんですか。絶対に消費税の税率を上げない、どんなことがあっても上げないと約束できますか。
#17
○海部内閣総理大臣 何回もここで御議論がありましたが、国会は国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関であるということは、ここの議論で何回も私も確認し、御質問にも出てきた言葉でございます。財界の意見もいろいろ新聞に報道されたことは知っておりますが、政府はそのようなことを考えたり言ったりしておりません。
#18
○木島委員 絶対に税率を上げるようなことはしないという答弁としてお聞きをいたしました。じゃ聞きます。絶対に上げるつもりはないと言えますか。
#19
○海部内閣総理大臣 消費税の問題は、今、今度は共産党さんも入っていただいておる両院協議会で各党各派の御議論の最中、継続中でありますから、行政府としてはそこで適切な結論が見出されるように期待して見守っております。結論が出たら誠実、迅速に対応しますということは私も何度もここで申し上げておりましたし、それから消費税のそれを上げてやろうということを今政府が考えておるわけではありません。国会の御議論に注目をしておるところであります。
#20
○木島委員 まことに不明朗だと私は思います。そういう言い方で、情勢が変わって必要だからといって、消費税にも手をつける、また追加支援をするということがこれまでの政府の政治手法であったのではないかと思わざるを得ません。
 押し問答をしても仕方がありませんから、次の質問に移りますけれども、歯どめなきアメリカの要求に対しての財政的追加貢献、追加支援という問題が今問題になっているわけでありますが、同じ問題として、歯どめなき負担の拡大という問題で、私はもう一つ大きな問題があると思います。それは在日駐留米軍の経費負担の問題であります。
 ことしの一月十四日、ちょうど中山外務大臣がアメリカを訪れまして、一方では国連安保理でフランス提案が出され、平和解決のための模索が続けられていたそのときに、武力行使が行われた場合には日本としてやれることはやっていきたいという発言がなされたわけでありますが、その同じ日、地位協定二十四条についての新たな特別協定が日本とアメリカとの間に締結をされました。その中身は、要約いたしますと、これから五年以内に、在日米軍駐留経費の負担として、ここに働く日本人労働者の本給も含むすべての給与を日本が肩がわりする、負担するということ、それから電気、ガス、水道、下水道、暖房用、調理用、給湯用の燃料、これらのものも全部日本が負担するという協定であります。
 そこで、この在日米軍駐留経費の負担の中でも私はとりわけ問題なのは、在日米軍基地の建設にかかわる経費負担の問題だと思います。これが一つ大きな問題だと思います。
 そこで、伺います。八八年及び八九年度の在日米軍基地の施設建設整備費について、日本側の負担が幾らであったのか、並びにアメリカが負担した金額は幾らであったのか、金額をお示しいただきたい。
#21
○海部内閣総理大臣 最初に基本的な考え方だけ私から申し上げておきます。
 日本とアメリカの間の日米安全保障条約というのは、ただ単なる安全保障のみならず、昭和三十五年の改定以来、相互協力及び安全保障条約であって、これは経済協力を促進する、平和友好の関係を強化する、経済安定及び福祉の条件を助長するということで、幅広い基本的な関係を決めたものであって、この安全保障条約、これが有効に円滑に機能することがお互い日本の平和と安全に大変役立ってきたということ、非常に大切な関係であるということ、同時にアジア・太平洋地域の平和と安定のためにもこれが枠組みとして効果的に作用してきたという事実もありますから、日本としては円滑な運営のためにできる限りの協力をしていくという基本的な姿勢でおります。
 具体的な金額等については、これは政府委員から答弁させます。
#22
○松浦(晃)政府委員 先生御指摘の提供施設の整備にかかわる経費は、御案内のように地位協定の二十四条の二項に基づいて行っているものでございますが、一九八八年度、これは日本とアメリカは御承知のように会計年度が違いますけれども、八八年度を比較いたしますと日本側の予算は七百九十一億円、それからアメリカ側は円に直しまして約二十二億円。それから八九年度につきましては、日本側は八百九十億円、そしてアメリカが、これも円にいたしまして約三十一億円ということでございます。
#23
○木島委員 数字の大略は一致しているのでしょうが、細かい積算について若干異なってくるのではないかと思うので、私が持っている資料を一つだけ開示をしておきたいと思います。
 一九八八年三月三十一日にアメリカ上院軍事委員会に対してアメリカ国防長官補佐官代理のホイッグ氏が提出した資料によりますと、在日米軍基地建設費用の負担状況は、八八年ですが、アメリカが千六百十八万ドル、円換算しますと三十五億五千九百六十万円。同じ年、日本は三億九千三百八十三万ドル、円換算しますと八百六十六億四千二百六十万円になります。数字のとり方のせいかもしれませんが、ホイッグ氏の出した資料の方がただいまの答弁よりも日米とも若干ずつ多いわけでありますが、割合を見ますと、ホイッグ氏の数字で計算いたしますと、八八年日本が負担している部分が九七・三%、アメリカの負担するのがわずかに二・七%ということになります。
 一九六〇年、昭和三十五年に在日米軍地位協定が新安保条約とともにつくられたときの大原則は、日本はアメリカに対して土地を無償で提供する、しかしそれ以外の経費は日本には負担させない、全部アメリカが負担するという大原則でこの地位協定が出発したことは御存じのとおりだと思います。ところが、この大原則が崩されてまいったのも御承知のとおりです。当初年間六十億から始まった金額が、先ほど答弁したとおり八九年度で八百九十億円になっておるという、すさまじい、まさに限度なき歯どめなき拡大と言わざるを得ないと思います。
 ついでに、これは数字をもしつかんでおればお答えいただきたいのですが、それじゃ九一年度、日本はこの在日米軍の基地建設のために幾ら出そうとしているんですか、お聞きをいたします。
#24
○松浦(晃)政府委員 先生御指摘の九一年度、これは平成三年度のまさに政府予算案でございますけれども、これには提供施設整備関係は歳出ベースで九百五十七億円を計上させていただいております。
 ただ、先生、念のために申し上げたいと思いますけれども、先ほどちょっと私申し上げましたように地位協定の二十四条二項に従って施設の提供を行ってきておりますが、これは地位協定の二十四条二項によりまして米側に負担をかけないで日本が提供するということになっているわけで、それに従ってまさにやっているということでございます。
#25
○木島委員 もしおわかりいただければお答えいただきたい。新たな年度で、じゃアメリカは在日米軍基地の建設、維持のためにどのくらいの負担をしようとしているのか、政府はつかんでおりますか。つかんでいたら答弁願いたい。
#26
○松浦(晃)政府委員 九一年度に関係いたしましては、権限を付されました予算額としてはゼロであると承知しております。
#27
○木島委員 今、ゼロだという答弁がありました。そうするともうこれは一〇〇%、在日米軍の建設関係費はもう全額日本持ちだという、本当にこれは歯どめがないどころか天井までいっちゃったということの御答弁で、重大な事態だと私は思います。
 ちなみに私の調べたところだけ一つだけ御披露いたしますと、九一アメリカ国防権限法の適用についてアメリカ議会が承認をした報告書があるのです。これは全世界の米軍基地について今年度どういう施設をつくるか、そのためにアメリカとして幾ら出すかという資料があるのですが、これを見ますと、日本の場合、嘉手納のエアベースにKC135用の消防施設二百九十五万ドル、たった一つだけ日本の在日米軍基地には金を出すということを議会が認めたという資料があります。これを仮に入れて、ことし日本が先ほど答弁されたように負担する金額と比較いたしましても、もう九九・何%と、限りなく一〇〇に近い負担を日本が負担することに今現実の問題としてなっている。これは丸ごと日本負担という状況がもうつくられている。出発点は一九六〇年、こういう費用は日本には負担させないんですよ、全部アメリカ持ちですよということで安保条約と地位協定が出発したにもかかわらず、今日自民党政府の施策のもとでここまで行き着いちゃっている。この問題について総理の御所見を伺いたいと思います。
#28
○海部内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、日米関係というものは、日米安全保障条約、それに基づいて円滑な適用を行っていくということが日本の安全保障のみならず日本のあらゆる面において極めて重要であると認識をいたしておりますから、できる限りの協力はしていくべきである、こういう基本的な考え方に立っております。
#29
○木島委員 それじゃ具体的に、九一年、日本はアメリカ軍のためにどんな設備をつくってやろうとしておるのか、その概要を簡潔に答弁願いたい。
#30
○渡部委員長 簡潔に答弁する人、防衛施設庁、児玉施設庁長官。
#31
○児玉政府委員 平成三年度に予算案に計上いたしまして計画しておりますのは、隊舎、家族住宅、それから汚水処理施設などの環境関連施設、そのほか倉庫であるとか、管理棟、厚生施設などを予定しております。
#32
○木島委員 数字については答弁がありません。実は既に外務省、防衛施設庁から「在日合衆国軍施設の整備について」と題する文書があります。在日合衆国軍施設の整備に関し、平成三年一月三十一日に日米合同委員会において次のように合意されたとして、三十六基地に対して多数の施設をつくることを合意をしております。
 そこで、順次中身についてお聞きいたします。この合意の中にはごみ処理施設が入っておりますか。わかるでしょう、合意したんだから。――もう答えられなければいいです。一つだけ入っています。横田基地にごみ処理施設をつくるということであります。新聞報道等によりますと、今回の在日米軍地位協定二十四条にかかわる新協定をつくるに際して、電気、ガス、水道、光熱費を日本が持つか持たないかで大論争をしていた。そしてとうとう日本はアメリカに押し切られて、先ほど私が述べたように電気、ガス、水道、光熱費全部持つことになってしまった。しかし、政府はごみ処理については頑張って日本が負担しなくて済むようにしたと言って誇らしげに言っているかのごとき新聞記事が出ているわけです。そうにはなったでしょう。しかし、これは米軍基地から出てくるごみをよそへ搬出するための経費だと思います。しかし、現実にはことしの日米合同委員会において、横田基地の中にごみ処理施設をつくる、それも全額日本の金でつくってやるということが入ったわけです。既にここで働く日本人労働者の給与は手当まで含めて全額日本持ちと、そしてここのごみ処理施設で使われる水、電気、ガス関係、全部日本持ちと、そうしますと、何ということはない、ごみ排出に関してはまず横田では全額日本負担というルールがしかれていくということにことしなっていくわけであります。恐らくこれは、これから三沢の基地、岩国の基地というふうに広がっていくことが懸念をされます。ごみ問題というのは日本の、今、国政上大問題でありまして、全国の自治体がごみ処理について大変悩んでいるわけでありますが、米軍には大変至れり尽くせりが始まってきつつあると言わざるを得ません。
 次に、じゃ、もう端的に答えてください。今度の合意で病院、診療所は幾つつくる約束をいたしましたか。
#33
○児玉政府委員 一、二カ所ございますが、今調べてお答えをいたします。
#34
○木島委員 きょう私は在日米軍駐留経費の問題について質問するという通告をしてあったわけですから、こんな大事な問題、事前に全部調べておいて臨んでいただきたいと思います。
 病院、診療所については、今年度は三沢の基地に病院、普天間の基地に診療所と、二カ所つくられることになっております。既に厚生省の十カ年戦略では、国公立病院の数をこれから七十四も日本は減らすという計画が出されているわけであります。日本の国民が最も望んでいる医療診療施設を七十四も削っておいて新たにアメリカ軍のために二つも全額日本負担で出すというのは、まことに許すことができないと思います。
 家族住宅は今年度何戸つくってやる約束をいたしましたか。
#35
○児玉政府委員 家族住宅は三百四十七戸計画しております。
#36
○木島委員 正解であります。既に日本政府は七千七百戸ほどつくってやっておる。さらに加えて三百四十七戸つくってやると。しかも、これは日本人が住んでいるような小さな住宅じゃないわけです。アメリカ人が住む規格があって、四LDKとかすばらしいものであります。総理は日米安保がいかに必要か、先ほどとうとうと述べられました。NATOはこういう米軍のための住宅をつくってやっているかどうか、わかりますか。簡潔に。
#37
○松浦(晃)政府委員 先生御指摘の在日米軍経費の負担の現状につきましては、NATOといいましても具体的にはドイツですけれども、日本と横並びで比較は必ずしもできませんので、全体の数字は承知しておりますけれども、先生御質問の今の個々の点について私ども把握しておりません。
#38
○木島委員 私の調べでは、もうNATOは米軍のための住宅なんというのは、もう断じてそんなところへ自国の金は出していない。それだけではなくて、NATO駐留の米軍の軍人の住む貸借住宅の賃料までアメリカ軍は負担しておるということが現状のようであります。北大西洋条約機構NATOですらそんなところへは一銭も金出していない。しかし日本は、これだけの住宅事情で、今、日本の勤労者、国民が多大な苦難を強いられているにもかかわらず、米軍のためには、まあことしこれが実行されますと約八千戸になるわけであります。ちょっと総理の言う必要性から外れるのじゃないですか、どうでしょうか、NATOとの比較で。総理の所見をお聞きいたします。いや、もういいです。聞いてないです。総理の所見。
#39
○松浦(晃)政府委員 総理の前に、先生ドイツの比較をされましたので念のため申し上げたいのですけれども、ドイツはNATO条約のもとで対米防衛義務をまず負っているということがございます。それから、NATO体制のもとでドイツは国家予算の約二六%を防衛予算に充てております。これはドイツのGDPの約二・三%になります。徴兵制もしいております。それから軍隊として約四十七万を有しておりまして、これはNATOの共同防衛に充てております。したがいまして、先ほど先生の御質問はいわゆる接受国支援の比較でございましたので、私どもも金額をあえて申し上げませんでしたけれども、詳細を承知しないで申しわけありませんが、そこだけ比較して日本とドイツの負担について論ずるのは間違っていると私どもは考えております。比較するとすれば、今申し上げたように全体を比較する必要があると思います。
#40
○木島委員 全体を比較しろといってぼやかすからいかぬ。具体的に一つ一つの項目について、日本の国民の税金がここへつぎ込まれているわけですから、こんなことが許されるか許されないか、きっちり歯どめをかけなければならぬ。本来それは日米合同委員会で歯どめをかけなきゃいかぬのでしょうけれども、それが全く事前に国会に報告もされなければ、事後的にもまともな報告がされないと今の質問に対する答弁を見てもわかるから、私は一つ一つきちっと比較検討して質問をしているわけであります。
 もうこれで終わりますけれども、実際ことしやろうとしていることがどこまで膨れ上がったかについてちょっと指摘しますと、例えば郵便局三つつくってやる。上瀬谷、岩国、富士です。消防署二つつくってやる。横須賀と佐世保の基地のそばにある針尾というところです。それから教育、学校関係の施設。これは厚木の小学校、岩国の多目的学校、針尾の小学校、嘉手納の情操教育保育園ですが、保育園児のための情操教育としてすさまじい施設をつくってやろうとしております。嘉手納基地の機関紙「カデナ・ショーグン」という書類によれば、こういう保育園ですよ。幼児のための囲われたハイハイ・ルームを六つもつくってやる。キッチン、事務室と引き渡しエリア、学習センター、音楽室、電動式のエリア、それから創造遊びのエリア、給食エリア、美術及び知覚エリア、こんなものまで全部兼ね備わったものが今年度嘉手納の保育園、情操教育施設の中身であります。瑞慶覧に高校十三教室。
 それから今年度の新しくつくられる施設で、どうも私は特徴的なのは運動施設だと見ざるを得ません。体育館が一斉に中に入ってきている。硫黄島、厚木、富士、岩国、佐世保、針尾、沖縄シュワブ。体育館が一斉に今度出てきた。横田はゴルフ場のネットなんというのがありますが、要するに米軍の要求は、住宅が終われば次、これはもう体育館だ。どんどんどんどん要求のレベルが上がっているというふうに分析せざるを得ません。こんなものにどんどんどんどんと認めていったら、まさに私は歯どめない在日米軍駐留経費の支援になってしまうと思わざるを得ないと思います。私は運動施設、郵便局、消防署、こんなものまで総理の言う日米安保の効果的運用に資するために必要だなどとは到底言えないと思います。そのことを指摘しておきたいというふうに思います。
 最後に、これは日本だけの問題でありますが、目をもうちょっと広く世界を見たときにどうかという問題を最後に私の方から触れて閉じたいと思います。
 太平洋米軍は、これは日本だけじゃなくてハワイ、フィリピン、グアム、南朝鮮、アリューシャン、アラスカまで極めて広範囲に展開しているわけです。この中にいる全部の米軍の数は三十七万、在日米軍は五万であります。にもかかわらず、九〇年二月二十八日のアメリカ下院歳出軍事委員会建設小委員会で、ハーディスティという米太平洋軍司令官の証言等を見ますと、この太平洋全体のアメリカから見た在外基地に対してかかっている基地建設費用全体のうち、七割は日本に集中しておる。七割のうち、先ほど言ったように一〇〇%日本が負担してやっているということになるわけであります。
 私はこういう歯どめない在日駐留米軍経費の負担は、これは憲法にも反するものでありますし、国民生活をも大きく圧迫するものでありますから直ちにやめられたい、やめるべきだ。同時に、一月十四日締結された新特別協定もこれは認めるわけにいかない。そしてさらに戻りますけれども、今回の九十億ドルの財政追加支援も断じて認められないということを述べまして、私の質問を終わりまして、残与の時間は吉井委員からすることをお認め願いたいと思います。
#41
○渡部委員長 この際、吉井英勝君 菅野悦子君から関連質疑の申し出があります。木島君の持ち時間の範囲内でこれを許します。吉井英勝君。
#42
○吉井(英)委員 私は二月の十一日に、寺前議員とともに美浜原発二号機事故の現地調査に入りました。関電の方からは副社長、発電所長などの皆さんから三時間ほど事故の状況を伺い、制御室で一時間ほど事故当時の計測器のチャートなどを見てまいりました。今回、あわや空だき状態になるというときにECCSが作動したわけでありますが、我々の指摘に対して発電所長らは、これは重大事故であったということを認めました。
 まず最初に総理に伺いたいのですが、総理も重大事故と認識していらっしゃるか、この点をまず最初に伺いたいと思います。
#43
○海部内閣総理大臣 この問題につきましては、きのうも申し上げましたように、非常用炉心冷却装置が初めて作動した事象であったという報告がございました。私は、これが作動してくれたことは不幸中の幸いであったと思いますけれども、それが作動するに至る前提にいろいろなことがあったはずです。正直言って私は専門家でございませんから、国民の皆さんとともにわからない点が多いので、原因をきちっと究明して、なぜそれが作動するようなことになったのかということを調査してほしいということを各省に厳しく指示をいたしました。いろいろな原因が取りざたされておりますけれども、それをきちっと究明することがまず最初でありますが、原子力の問題については一にも二にも安全をきちっと大前提に置いて対応していかなければならぬことだ、これが基本的な考えでございます。
#44
○吉井(英)委員 その事故調査、事故原因の徹底究明とともに、私はやはり調査内容及び関連データの公表が大事な問題だと思うわけです。まず事故原因の方につきましても、問題になっている蒸気発生器だけでなくて、一時間前に事故の前兆が見つかってからどういう対応をしてきたのかとか、また運転操作の実態がどうであったのかとか、やはり徹底究明という中には、狭く絞らないで広い観点からの徹底究明がぜひなされなければいけないと思うわけです。
 それから、エネルギー庁の発表によりますと、加圧器の逃し弁が作動しなかったということでありますが、その場合、圧力が高まっても逃し弁が作動しないということは、当然この圧力上昇がチャートの上で見ればわかるわけなんです。ところが、私どもが制御室で見せていただいたチャートなどでは、その圧力上昇が実は見られないわけです。十三時四十数分から百五十七気圧ぐらいのが急速に低下しているのが見られるのですが、圧力上昇が見られないわけです。これはデータが改ざんされていたのかなという疑問も出てくるわけでありますが、それは疑問は疑問として、だからこそデータの公表が非常に大事なんだということを一つ申し上げたいわけなんです。
 そこで、先ほども原因究明のお話がありましたが、今大事なことは、まず原因の広い観点からの徹底究明と、それから同時に公開の原則を守るということ、公開の原則を守るということですね。このことが大事だと思うわけでありますが、この二点についての総理の基本的な見解をまず伺っておきたいと思います。
#45
○緒方政府委員 お答えをいたします。
 美浜発電所の二号機の事象につきましては、現在御指摘のように詳細な状況の把握と分析をしているところでございまして、今後徹底した原因の究明と再発防止策の確立に全力を挙げたいと考えておるところでございます。
 御指摘の情報の公開の問題につきましては、今回の事象に関しまして国民の皆様方の不安というものを解消していただくためにも、正確な情報を広くお知らせするということが非常に大切なことであるというふうに私ども考えております。資源エネルギー庁といたしましても、既にこれまで確認ができた事柄につきましては適宜発表させていただいておりますけれども、今後とも適宜適切に情報の提供に努めてまいりたいと考えております。
 なお、情報の公開の原則というお話がございましたが、私どももちろん原子力基本法の基本方針にありますことはよく承知をしておりまして、原子力の研究開発及び利用について、その成果を公開するということが法律にうたわれているということは十分承知しておるところでございます。
#46
○吉井(英)委員 今最後におっしゃったその成果の公開という、つまり調査結果の公開、これはもちろんのことなんですが、私が今申し上げた一つの事例でも、やはり疑問に答えていくという点では、関連するデータの公表、これは今国民はみんな心配をしておるわけですから、そのことが大事だということを指摘しているわけです。
 実は総理、二月九日のチャートも私見てきたのですけれども、その日、R19という蒸気発生器の二次冷却側のブローダウン水の放射線量をはかる計測器がありまして、その計器によりますと、大体私が見たところでも、当日の十二時を過ぎたころから少し立ち上がり始めているのですね。会社側の方も、十二時四十分に異常を確認されて、午後一時からこの水をサンプルして化学分析にかけて、そして十三時二十分にはこの化学分析の結果が出てきたのですが、その後十分な対応が二十分ほどはされていないのです。つまり、最初の異常を会社としても見つけられてから一時間の間は十分な対応がなされていないわけであります。
 これにも少し関連するのですけれども、実は平成二年原子力安全年報、昨年の十二月に原子力安全委員会が発行されたばかりのものでありますが、この中にこういうことを指摘しているのです。「例えば、運転中に蒸気発生器の伝熱管にピンホールが発生し一次冷却材の二次側への漏えいが生じた場合、その放射性物質の漏えいが微小であっても検出できる自動監視装置が設置されており、原子炉を停止して補修することになっている。」微小であっても検出する装置がついているということだったのです。
 ところが、実は目で見て、確かに少しデータの値が上がり出しておかしいな、それはしかし、この微小なものをはかる測定器できちっと確認されないで、実は化学分析に別に出しているのですね。それで、原子力安全年報の方では、これは微小なものでも検出できるものがついていて直ちに原子炉の停止、そして補修作業に移っていけるようにということを指摘しているわけなんです。ですから、事実はこの微小であっても検出できる自動監視装置がなかったということと、原子炉を停止してというそこへいっていなかったからこそスクラムが働き、ECCSが作動というふうになったわけなんです。
 そこで総理、この安全委員会の認識はこちらだった、ところが現場の実態というのはやはり少し違うのですね。私は、こういう日本の原子力行政にとって安全委員会の認識と現場の実態とが違うということでは、これはやはり困った話だと思うのです、安全委員会はこうなっているはずだと思っているのですから。ですから、これは大変なことだと思うわけなんですが、まず、こういう基本的なところから今日の原子力行政のあり方について、正すべきところは正していっていただきたいと思うし、それをやはり総理として、そういう点についてのお考えというものをお聞かせいただきたいと思うのです。
#47
○向政府委員 お答え申し上げます。
 今、蒸気発生器のリーク、微細なものを検知するというお話がございましたが、当美浜発電所につきまして、十二時四十分ごろ、常時、蒸気発生器、二次側の水の放射性物質の量をはかっている蒸気発生器ブローダウン水モニター、これの指示値が若干上昇したということでございます。通常値が約三五CPM程度でございます。それが数CPM程度上昇したということでございますので、プラントの主要パラメーターにも異常がなかったので、二次側の水のサンプリングを行いまして、化学的に分析をする、さらに精緻に調べてみようということで進めたものでございます。
 その結果、十三時二十分でございますが、A蒸気発生器の二次側のガンマ線総量が通常のバックグラウンドよりわずかに高いということで再度サンプリソグの準備をしていたところ、十三時四十分でございますが、復水器の空気抽出器のガスモニター、ガスの方の警報が出て、さらに十三時四十五分に、蒸気発生器のブローダウン水のモニターの注意警報が発生したということで、こういうような対応をしてきたわけでございます。
 そういうことで、我々この経過等、現時点で調べたわけでございますが、運転員のとった措置というのは、プラントのパラメーターの確認あるいは状況の把握ということに努めておりますので、その時点の判断としては妥当であったというふうに我々認識しております。
 以上でございます。
#48
○吉井(英)委員 私は、そこに自動監視装置が設置されており、原子炉を停止する仕組みになっているのだということを年報ではお書きになりながら、しかし現場の実態は違ったんだということを指摘しているのです。細かい議論は、私もいろいろ見ておりますから、またもっと時間のあるときに細かい議論をやりますが、大事なことは、日本の原子力行政の基本的な問題として、こういう点はぜひ総理も心していただいて、そしてきちっと対応していただきたいということを指摘しておきます。
 今度、通産大臣に関係したところを少しお伺いしておきたいのですが、蒸気発生器細管の施栓というものですね、栓をするというのは、もともと細管に損傷が生じてその対策としてとってきたものです。つまり施栓がどんどんふえるということは、損傷箇所がふえているということですから、いわば事故の予兆を示しているということになるわけですね。その施栓率すなわち損傷率が定期点検ごとに高くなっていっているのです。それに合わせて、ここまでなら大丈夫という、今度は安全解析施栓率というのを高めてきたわけです。
 それで、美浜一号機の場合は施栓率一八・四%、かなり危ないということで栓をしてしまったのですね、全体の細管の中で。これに対して安全解析施栓率というのは二八%ととられたわけです。一方美浜二号機は、一号より新しい方ですが、安全解析施栓率を二〇%というふうにされて、実際にあの炉は六・三%だったのですね、もっと低かったのです。しかし、重大事故を発生したわけです。つまり、国も関電もこれまで安全だとしてきた基準値内で事故が発生したというのが事実でした。私は、ここで改めてアメリカのスリーマイル島事故のケメニー報告、この中で、安全の過信こそが事故の最大の原因であったという指摘、これは非常に重たい意味を持った指摘だと思うわけです。
 そこで通産大臣、私は、これまでやってきたような施栓率が高まれば安全解析施栓率も高めて、大丈夫だ大丈夫だという、これは一例でありますが、こういうふうな安易な対応というものをやはりこれからは改めていくという、そこが今原子力行政の中で求められているのじゃないかと思うのです。この点についての通産大臣のお考えを伺ってみたいと思います。
#49
○中尾国務大臣 まず、専門家であられる委員が直接に行かれたということで、大変に感謝申し上げておきたいと思います。
 我々、考え方の分母はみんな同じでございまして、どうしてもこういう形で危険が発動するということは大変なことだ。特定にある程度のところまで行ったならば作動するものが作動し得なかったということ自体もこれは大変なことでございましょう。しかし、今の話を聞いておりましても、当然のこと、私ども安全弁だと思っておったことが、なおかつそういう点で危険信号を発するというようなことになりますると、これは大問題でございますから、これはまだ私のところに報告が全部届いておりませんけれども、全部の報告が逐一、この二、三日のうちには入ると思いますから、それを究明いたしまして、そして十分なる私どもの措置を行いたい。また先ほどの御指摘でありますように、しかるべき報告だけは必ずさせていただきますから、よろしくお願い申し上げたい、こう思います。
#50
○吉井(英)委員 今回の事故で加圧水型軽水炉、PWRのアキレス腱と言われてきた蒸気発生器の問題が浮き彫りになってまいりました。施栓しているPWRについては、運転をとめて直ちにやはり調査する必要があると思うのです。それから、施栓していないもの、つまりまだ損傷が見つかっていないものですね、これらのPWRについても引き続いて、定期点検の時期を待たないで、やはりそういう時期をゆっくり待たないで緊急に点検に入るよう指示をされるべきだと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
#51
○緒方政府委員 昨日もお答えをしたわけでありますけれども現在原因の究明とその再発防止策について検討を進めているところでございます。この結論が出たところを待ちまして、その上でどういう対応をとらなければいけないか判断するのが適当であろうと思っております。御指摘の問題も含めまして、その段階で慎重に検討させていただきたいと思います。
#52
○吉井(英)委員 もう時間が参りましたので、最後に、まず定期点検を待たずにこれは速やかに、特に施栓を施しているものについては、運転をとめてでも直ちに点検をやっていただきたい。それくらい大事な問題だ、重大な問題なんだということを重ねて指摘しておきたいと思うのです。
 安全技術が未確立の中で、軽水炉で原発をどんどんふやしていっている今日の原子力政策、二〇一〇年までに現在の二・三倍にふやすという方針でありますが、やはりこの方針は転換をするべきときに来ていると思うわけです。また、本当に責任の負えるような原子力安全基準や審査監視体制に変えていかなければならないと思うわけです。
 重大事故だという御認識の総理に、ぜひこういう点を本当に心して、そして今後の原子力行政というものを進めていただきたい、このことを申し上げまして、時間が参りましたので終わります。
#53
○渡部委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時一分休憩
     ────◇─────
    午後一時開議
#54
○渡部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。菅野悦子君。
#55
○菅野委員 私は、湾岸戦争についての日本政府の対応について、まずお伺いしたいと思います。
 各種の世論調査を見ておりましても、国民、とりわけ女性の中に、今のこの自衛隊機を海外へ派遣するとかあるいは九十億ドルという大変なお金の支出について、非常に強い反対があるというふうに思うわけです。ですから、率直に言いまして、日本政府のこれらの対応について非常に疑問や不安を持っているということだと思うわけです。やはり女性というのは命を生み育てるということがあるわけで、その点で、戦争のための費用、人殺しのお金はやはり出したくない、これが非常に強いというのが率直な気持ちだと思うのですね。その点で、本委員会でもいろいろやりとりがありましたけれども、この間の総理の答弁を聞いておりましても、その女性たちの不安や疑問にはまともに答えていらっしゃらないんじゃないかというふうに思うわけです。
 例えば、総理は平和回復活動ということをよく繰り返しおっしゃいます。そのための九十億ドルだというふうにおっしゃるわけなんですけれども、しかしこれ自身、あの湾岸でやられている戦争の費用の一部には違いないということじゃないんでしょうか。武器弾薬には使わないというその言葉ですけれども、これ、どれほどの意味があるのかなと本当に思ってしまうわけなんですよ。後方支援の費用だとか、あるいは輸送とか食糧とか医療とかいうふうにおっしゃいますけれども、例えば輸送の問題でも、この武器弾薬を運ぶ経費ではないという保証がやはりないんだというのが午前中の答弁のやりとりの中でもあったわけなんです。
 私はここに二月九日付の日本経済新聞、これに持っているのですが、ここにこう書いているのですね。「米政府に頼み込んで「後方支援にしか使わない」とタトワイラー国務省報道官に発言してもらい、「これで公明党にも賛成してもらえる」と政府・自民党首脳がにんまりしているのが現実だ。」というふうな指摘があるのですよ。だから私は、やはり何やかんや言っているけれども、国民というのは案外鋭く本質を見ているのではないかというふうにも思うわけです。
 ですから私は、総理が幾ら九十億ドルは武器弾薬に使わないというふうに言っても、戦費の一部には違わないし、それもかなりの部分を日本国民が負担をするということがあるわけなんです。ですから、この戦争費用の負担だけは嫌だというこの声にどうお答えになるのか、お伺いいたします。
#56
○海部内閣総理大臣 平和を願っておるという気持ちは、私も人様に負けない強いものを持っておると確信をしております。そうして、これはあくまで国連という機関が決議をした平和回復活動であることも間違いありません。そしてきょうまで戦後四十五年間、ソ連とそしてアメリカを頂点とする東西対立のころはイデオロギーの対立があったから国連の安保理では決議ができなかった、平和回復のための機能が果たせなかったことは、これは委員も御承知願えると思います。イデオロギーを乗り越えて、冷戦時代の発想を乗り越えて、新しい平和の枠組みをつくっていきたい。ようやく国連が機能し始めたんです。そして、ぜひ御理解願いたいことは、平和というのはやはり公正な平和でなければなりません。日本の憲法にも「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求」、憲法九条にもちゃんとこう書いてあるわけであります。
 私は、そういった意味で、力でもって他国を侵略するような行為を横に置いて、ただ戦争に賛成か反対かだけの議論じゃなくて、この平和の破壊、国際社会が認めた侵略という事実を国際社会の努力でこれを排除して平和を回復しようというのが国連の諸決議だと私は信じておりますから、その意味で平和回復活動だ。その武力の行使は一日も早く終わることを強く願っております。
    〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
#57
○菅野委員 平和回復の活動のためと、そして総理がいつもおっしゃるのは、そもそもイラクがけしからぬ、このイラクの手を縛るために頑張らなあかんのやと、大阪弁と違いますけれども、そういうふうにおっしゃる。これは私はみんなの思いだし、そのことを否定する人はだれもいない、こういうふうに思うのです。問題は、力の、これを武力でやっているイラク、これをやはり何としてももとに戻さぬとあかんというふうにおっしゃると思うのですが、問題は私、その手段だと思うのです。総理がおっしゃっていることは、私は、それはだれもが否定しない共通の願いだ。問題はその手段。例えばアメリカのブレジンスキー元大統領補佐官、そういうふうなアメリカの政府の人たちでも言っていますけれども、ブッシュは開戦を急ぎ過ぎた、こう言っています。総理は、期限が来たということでアメリカによって開戦が急がれたわけなんですけれども、そのときもクウェートの人たちのためということで全面支持を表明なさいました。
 しかし、私本当に、今、じゃそのクウェートがどうなっているかということを本当に私たちみんながやはり心にとめる必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。空から海から爆弾が撃ち込まれている。雨あられのように降り注いでいるわけなんです。そして、そのクウェートの国土が破壊されている。人々がその中を命を脅かされて逃げ惑っている。海はどうか。原油で汚れて、あの海鳥などの生物が死んでいるということがあるわけです。油田も燃えて空が汚れているということがあるわけです。もしこの上、地上戦も近いんじゃないかと言われておりますけれども、そうなったらそのクウェートがやはり戦場になる。市街戦の中を子供やお年寄りが逃げ惑うことになるんじゃないか、こういうふうに思うのですね。これが戦争だと思うのです。
 ですから、本当に私はそこで思うのですけれども、しかも化学兵器とか核兵器の使用、これも今言われていますね。こうなったら本当に大変だと思うのです。アメリカも、どうあろうともこちらもやる用意がある、核兵器を使う用意があるというふうに発言しているわけですから、そうなるとクウェートだけでなくて、中東だけでなくて、地球そのものが本当に大問題になってくるというふうに思うわけです。そういう点では、この委員会の中でも総理への質問がありました。核兵器だけは使うなということを言う気持ちはないかということもありましたけれども、こういうふうな今戦争がますます大変な様相を帯びてきているという状況があるわけですけれども、それでも総理は平和回復のために、クウェートの人たちのためにということでなお全面支持、断固支持ということをおっしゃるんでしょうか、お伺いします。
#58
○海部内閣総理大臣 物事の原因と本質を私はやはり御議論の大前提に置いていただきたいと思いますし、私はイラクの手を縛るためにやれとは一言も言っておりませんから、私の言わないことを言ったように断定してお使いになることは私にとっては不本意であります。国連決議の内容に示されておること、それは国際社会の大義を守ること、それから、私の言う新しい平和秩序というのは、力でもって他国を侵略、併合することを許してはならない、これが根本だと思うのです。ですから、新しい時代の平和の枠組みの中では、少なくとも他国を侵略することだけは絶対に認めないという大きな地球的規模の理念で物を言っておるんですから、ただ単にイラクの手を縛ればいい、そのために頑張れと言っておるわけではありません。
 同時にまた、いろいろな事象で現在行われておることについては、私も非常につらい思いで日々のニュースを見るわけですから、一日も早く武力の行使が終結することを強く願っている、そして公正な平和が回復することを強く願っている、このことは何度も申し上げておるところでございます。
#59
○菅野委員 ですから、私がお訴えしたいのは、その平和回復のための手段、これを今の戦争の継続、それに手をかすような方向ではなくて、やはり平和憲法を持っている日本なんですから、ですからそういう日本としてのとるべき立場というのがやはりあるんじゃないか、そういうところにこそ今おっしゃっている日本としての働きかけ、これをやっていただきたいというふうに思うわけなんです。
 私は、ここでこれも注目すべき投書を見つけたのですけれども、俳優の渡辺謙さん、この方の投書です。この方は御病気中なんですけれども――朝日新聞です。そして、その御病気中の自分の命と向かい合っている渡辺さんが、こう言っているんですね。
  戦争をめぐって使われる人道的な援助という美しい言葉の裏には何とかペルシャ湾に日の丸をはためかせなければ格好がつかないという思惑しか、私には、見えてきません。
 なぜ、政府は人殺しはよくないことです、と声を大にして言えないのでしょう。何十万人も死者を出しあって、それが国益につながるなどとは、どんな論理を積み重ねても人を納得させることは出来ません。
こんなふうに訴えているのです。本当にそのとおりだと思います。こういうふうに思っている人たちに総理の平和回復活動などという言葉は私は通用しないと思うんですね。こうした戦争協力だけはしてほしくない、そういう人たちは、今、日本が出すお金はその戦争継続のための費用になるんですから、何としてもそれをやめてほしいというふうに言っているわけなんです。この国民の声にどうお答えになるのか、この声をどう受けとめられるのか、そのことをお尋ねいたします。
#60
○海部内閣総理大臣 人殺しはよくない、その面だけ見ればそのとおりでありまして、人殺しはよくありません。しかし、侵略戦争をやったのはだれですか。クウェートの現状について、その責任はだれが持つんですか。ああいったときにも、仕方がない、侵略されたら無抵抗でなされるがままにしておれとあなたはおっしゃるのですか。国連が集まって、平和の破壊はこのような仕組みでこうしましょう、早過ぎるとおっしゃるが、去年の八月二日から何回も何回も世界の人が集まっていろいろと努力をして、平和の破壊はこれ以上やっちゃいかぬのだと五カ月以上にもわたって言ったはずです。クウェートでは毎日そういった残虐行為が続いてきておるということも事実です。ですから、一日も早く武力の行使が終わって平和回復が、正義と秩序を基調とする国際平和を日本も誠実に希求するのですから、そして憲法の前文には「いづれの国家も、」と、世界じゅうの国に向かって、自国のことのみを言っておっちゃだめだ、一国平和主義ではだめだよということを日本の憲法も宣言しておるじゃありませんか。国際協調主義というのは、他国のことをほっておいてはいかぬと言っておるじゃありませんか。ですから、武装部隊を出すととのできない日本は、せめて平和回復が一日も早く行われるように分に応じた資金協力をする、こう言うんですから、それを人殺しだとかなんとか、いけないことはわかっているから早くやめろというのは、イラクのフセイン大統領にこそ言わなきゃならぬことであろうと思う。平和回復は世界の多くの人が願っておることであって、それに対してはアメリカもソ連もイデオロギーを乗り越えて、国連の場で国際の正義と秩序を守れという立場で言っておるんです。
 私は、願わくは未来というものは国の力で侵略、併合が行われないような、そういったことを許さないような世界秩序でありたいと強く願っております。
#61
○菅野委員 ですから、私が繰り返し言っているのは、その手段なんですよね。本当にこの軍事行動という、これでやられていると、これが早過ぎたということをアメリカの中でも言っているわけなんですから、ですからそこのところを言っているわけです。そして、平和憲法を持っている日本ですから、この戦争を長引かせないためにこそやはり日本が果たすべき役割があるんだということを言っているわけです。ですから、そういう点では私はいまだにこの国民の願い、それにこたえる御答弁をいただけてないということを思うわけです。
 それでは続きまして、この湾岸地域への医療団派遣の問題についてお尋ねをいたします。
 政府は、湾岸戦争開始直後に全国の病院に通達を出しております「医療団派遣の協力要請」という中身なんですけれども、国立病院には厚生省から、公立病院には自治省から、民間病院には一月二十五日付で厚生省健康政策局長名で社団法人日本病院会会長あてに出されています。その日本病院会会長さんから今度は一月三十日付で全国の病院に協力依頼文が送付されております。こうした通達は、こういうことですから相当な数の病院に送られてきているわけなんですね。しかも、その内容を見て本当に驚いたんですけれども、これには別紙というのがついておりまして、「医療団要員の身分関係・処遇・補償について」ということで「災害補償として (1)死亡もしくは療養後死亡に至った場合」ということで「遺族特別支給金三百万円 遺族特別援護金四百七十万円」、こういうことが書いてあるわけなんですよ。ですから、亡くなったときにはこんな補償をしますよという、こういうことまで書いて、それが全国の病院に送りつけられているという状況があるわけなんです。
 ですから、今私どものところに寄せられている声は、その全国の病院の皆さん方、看護婦さんたちがまるで召集令状が来たようやというふうにびっくりしているわけです。受け取った側が率直にそう言っているわけですね。
 そして、それを受け取った自治体の方が医師や看護婦、これを推薦させるという動きがあるわけです。岐阜県が総務部長名で市長村長あてに通達を出しているわけなんですけれども、これにはこう書いているんです。「貴職管内の公立病院において医療団に協力の意向を持たれる医師等の推薦方について御配慮いただく」ということになっているわけなんですね。ですから、そういう点では湾岸に行けそうな医師、看護婦を推薦しろということになっているわけで、国がそう言うんやから推薦せぬとあかんかなというふうな動きになっているわけです。
 そこで、私お尋ねしたいのですけれども、なぜ死亡時の補償金額まで明示したような通達、これを国立、公立、民間、この全国ほとんどの病院に送りつけたんでしょうか、どこへどんな規模の医療団を派遣しようとしていらっしゃるのか、そのことをお伺いしたいと思います。
#62
○中山国務大臣 日本政府としては、国連の加盟国の一国として国連からこの安保理決議の六百七十八を受けてこれに協力を要請されている立場でございますが、日本国も憲法のもとで我々が協力し得る限度というものはもちろんございます。そのような中で、難民を対象に医療活動をやる方々が日本のいろいろな医療機関でどの程度おられるか、その方々の御意思も承るべく所管の閣僚である文部大臣、これは大学病院関係です、あるいは地方自治体の病院には自治大臣、あるいは厚生省関係では厚生大臣にお願いをして、それぞれの所管官庁として希望者があればその参加を求めるということでございまして、目的は難民の医療援助、これに絞られているということをこの機会に明確に申し上げておきたいと思います。
#63
○菅野委員 そこで、私、本当率直に疑問に思うのですけれども、国際赤十字の要請によって日赤が医療チームというのを派遣しているのですよね。なのに、それ以外になぜ国家総動員体制をほうふつとさせるような独自のルートでそういうふうなことをやらなあかんのか。全国の病院に、しかも死亡補償まで明示したような通達をなぜ出さなあかんのか、率直に疑問に思うのです。ですから、難民のためだ、その医療のためだというふうにおっしゃいますけれども、やはり本当のところは、日本政府として湾岸でのお金だけでなくて人的な貢献もしてますよ、しますよと、まるでその実績づくりというんじゃないかということを率直に疑問に思うわけなんです。湾岸に日の丸揚げる目的の医療団、そういうことになるのじゃないかというふうに思うわけです。
 私は湾岸の問題でいろいろ聞かしていただきましたけれども、総理もいろいろ御答弁いただきましたけれども、この九十億ドルの戦争費用の負担、それから自衛隊機の戦争地域への派遣という、そういう協力の仕方で日本がなぜ乗り出さなあかんのかという点でのこの重大問題への国民の不安について、まともにお答えをいただけなかったというふうに思うわけです。これでは私は、湾岸戦争への政府の対応に不信を抱く女性、これを納得させることはできないというふうに思います。
 次へ参ります。私は、続いて公共事業について質問をいたします。
 今後十年間で四百三十兆の公共投資、これが予定されていますね。この計画には多額の税金が使われるわけです。そういうこともありますから、最近の公共事業についてお尋ねをいたします。
 昨年一月に、新幹線の御徒町トンネル、ここで陥没事故がありました。労働省は、労働安全衛生法違反ということで熊谷組を東京地検に書類送検をしております。事故の原因というのは、このトンネルを掘るときに、地盤が弱い、それで凝固剤を注入して地盤を固めて掘り進むというふうな工事なんですが、その凝固剤の注入工事に手抜きがあったということで事故が起こったということなんですけれども、労働省、どの程度の手抜きだったと認識しておられるのか、お尋ねをいたします。
#64
○小里国務大臣 御指摘の御徒町事件につきましては、昨年の一月、事件発生以来、上野の労働基準監督署をいたしまして鋭意捜査を進めてまいりました。その結果、労働安全衛生法違反の疑いがございましたので、昨年の十二月、東京地方検察庁に書類を送検いたしたところでございます。
 この種の事件は、二回と起こしてはならないという重要な認識のもとに、労働安全衛生関係法令に照らしましてこれが事件を再度起こさないように厳正に監督指導を行ってまいっておるところでございまして、また、この種の違反等が発生いたしましたときには厳正に対処しなけりゃならぬ、かように考えておるところでございます。
 手抜きの程度についてのお話でございますが、実はただいま答弁申し上げましたように、捜査の経過におきましては、当該加害会社と申し上げましょうか容疑会社と申し上げましょうか、熊谷組の本社等を初め八カ所家宅捜索をいたしました。しかしながら、この捜査の中身につきましては、ただいま申し上げましたように東京地検におきまして捜査中でございますから、現在の段階におきましてこれ以上私の立場でコメントすることはできない、かように申し上げる次第でございます。
#65
○菅野委員 非常に無責任な答弁だと思うのですね。これは一月に起きた事故で、相当調査進んでいるわけなんですから。そして、ここで言われていることは、確かに空穴、穴をあけて薬液が注入してないというのは八三%あるけれども、しかしそれだけで八三%手抜きということにはならないだろうということでよく調べたら、四九%しか入ってない。五割以上手抜きがされているということで言われているわけです。
 じゃ、続いてお尋ねしますけれども、新聞報道ではその手抜きのやり方として吸い取り横持ちとか持ち帰りという用語が使われておりますけれども、これはどういうことなのか、簡潔にお答えください。
#66
○佐藤(勝)政府委員 ただいまの御質問でございますが、中身につきましては大臣から申し上げたとおりでございますけれども、今おっしゃいましたその術語につきましては土木建設工事上の技術用語でございますので、私の方からお答えいたしますが……
#67
○菅野委員 非常にふざけていると思いますね。この間調べているわけですよ。それを何で今の時点でまだ責任ある答弁ができないのか。これ、まずそもそもの入り口ですよ、調査の。本当に失礼だと思います。
 吸い取り横持ちというのは、そこへ入れているのを、タンクローリー持っていって、そしてそれを抜き取って、しばらくそのタンクローリーを置いておいて、時間がたったらまた入れに行く、こういうことなんですよ。一体今まで何を調べてきたのかと、率直に疑問に思います。
 そうしたら、この手抜きの偽装工作なんですけれども、これは薬注の下請業者だけではとてもできないのですね、そんなふうにやられているわけなんですから。元請とか薬液メーカーとか商社が一体になってこそこれはやれることなんです。しかも、今言いましたように、吸い取り横持ちとか持ち帰りとか写真撮りとか、こういうふうな手抜き用語が堂々と業界にまかり通っているわけなんです。ですから、これまだ全然調べてないとおっしゃるような今の話でしたけれども、新聞ではもう五月の時点でどんどん書かれているのですよ。五月の三日の読売ですけれども、こんなふうに言っています。この大手建設会社二社の首脳や薬液注入会社の幹部が、手抜き工事は過去十年来多くの工事現場で行われている、この自動記録紙、チャートというのですけれども、この改ざんが行われない工事現場はない。また、ある建設大手の副社長ですけれども、最も抜きやすいのは凝固剤注入工事だ、こんなふうに言っているのですよ。この業界で、この点ではこういう手抜きが横行している、しかも常態化しているということを、これずっともう言われているのですね。報道もどんどんされている、この辺は連日されているのです。そういう点で、こういう状況について建設大臣はどう認識されておられるのか、お伺いをいたします。
#68
○大塚国務大臣 お答えいたします。
 ただいま御指摘の問題については、労働大臣からもお答えのように現在捜査中でございますし、専門的なことにつきましては私も知識を持ち合わせておりませんが、ともかく建設工事は発注者と受注者の高い信頼関係、これを前提とするものでございまして、このような問題の施工に関して信頼を失うようなことがあったことはまことに遺憾なことだと思っております。今後このようなことがないように厳重に指導をしてまいりたいと思います。
#69
○菅野委員 そういう点では、建設関係、こういう公共事業などについて責任を負う所管の大臣としては、それくらいの認識では本当に困ると思うのです。
 私どものところで、業界の関係者から告発があったのですけれども、その証拠にこの業界で使用されている運転日報あるいは請求書とか領収書、こういうものを見せられました。ここには手抜き用語、吸い取り横持ちとか吸い取り持ち帰り、これがあらかじめ印刷されているのですよ。そしてこの手抜き工作の運賃も決まっている。さっきも言った持ち帰り運賃とか吸い取り横持ち運賃というところ、これは具体的に凝固剤の売買はないわけですよね、空のタンクローリー持っていって抜き取って、またそれを返すだけなのですから。ですから、そういう料金表、この手抜き工作の用語がこの請求書にもあるわけですけれども、その数量とか単価のところは全く記載なしで、そしてお金だけが請求書には打ち込まれるというふうな状況があるわけです。
 こんな、この業界で出回っている、しかも基本的な書式にそういうふうな手抜き用語が印刷されて、これがずっとやりとりされてきている。しかもこれはきょうやきのうの話じゃないのですよ。その関係者のところに聞きますと、十年前からこういう書式を使うていると言うているのです。ですから、これを今ごろ知らぬかったとか、捜査の段階でまだわかりません、答えられません、これはちょっとどうかと思いますね、本当に。こういうふうな業界の体質、それをあらわすのが私はこの証拠だと思うのです。
 労働省、今捜査しているということですけれども、こういうふうな請求書、領収書、調べていますか、お伺いいたします。
#70
○佐藤(勝)政府委員 昨年一月の事故発生以来、任意捜査を続けてまいりましたし、また十月に強制捜査をいたしました。その場合に必要な証拠物は収集をいたしておりまして、その結果が十二月の書類送検ということになったわけでございますので、今いろいろ報道のことあるいはその書類のことを申されましたが、証拠物としてそういうものも入っているということだけ申し上げておきたいと思います。
#71
○菅野委員 こういうものを手に入れてお調べになっているのだったら、やはり労働大臣、その辺を踏まえて御答弁いただきたいと思います。
 じゃ、建設省にお聞きしますが、建設省はこういう業界を指導する立場にあるわけですから、こうした運転日報、請求書、領収書、これを使用されていたということ、御存じでしょうか、お伺いします。
#72
○大塚国務大臣 具体的な問題でございますので、政府委員から答弁させます。
#73
○望月政府委員 御指摘の具体の点でございますけれども、私どもそれについては詳細に承知しておりません。
#74
○菅野委員 とんでもないですね。これ、本当に秘密文書でも何でもないのです。出回っているのですから、毎日使っているものなのですから。だから、これを知らぬというのは本当にちょっとこれ、どれだけ間が抜けてらっしゃるのかなと、こんな状況では全く手抜きはなくならぬなと、本当に率直に思います。
 そこでお尋ねしたいのですけれども、建設省に引き続きお聞きしましょう。
 この薬液注入工事ですけれども、これは私ども、建設省さんがこれはこの業界に、協会に問い合わせていただいてつくっていただきましたこの年度別施工数量表というのを持っているのですけれども、薬液の注入量を見てみますと、この十年間、ほぼ年間百万キロリットル、そういう工事量になっています。報道されている単価など粗っぽく私どもで計算しましても、これで見ると、大体年間ここの薬注関係では一千億ぐらいの規模の工事になるわけですね。それで、この点では薬注協会、業界にその点を聞きましたけれども、否定しませんでした。
 そこでの話では、これだけ手抜きされている薬液注入工事というのは圧倒的に公共事業でやられているということなんですね。トンネルだけでなくて、例えば下水道などもこういう工事がどうしても必要なんだそうです。そういうことになりますと、御徒町の熊谷組がやったようにもし五割の手抜きをしたら、これは年間五百億円の手抜きになる。しかも十年間、もっとそれ以上と言われているのですからね、これ、五千億円。まあちょっと多いのじゃないか、二割ということでも二千億円、その半分としても一千億円。しかも、それがほとんど公共事業だということになると、かなりの部分の国民の税金がとんでもないことになっているなというふうに思うわけです。
 この重大な問題について、建設省さんは実態さえ十分つかんでいないということになったら、これは本当に大変なことだ。これでは安心して公共事業を任せられぬというふうに思うのですけれども、建設大臣、どうでしょうか。
#75
○大塚国務大臣 凝固剤の工事につきましては、仰せのとおり公共工事にかなり多く使われることは十分承知をいたしております。
 今御指摘の問題の細部につきましては、残念ながら資料を持ち合わせておりませんけれども、非常に大事なことでございますし、今後手抜き工事を防止するという点からも、さらにまた薬液注入工事の施工管理のあり方につきましても抜本的に検討をいたしまして、既に関係業界等には十分指導はいたしているところでございますけれども、さらに注意をいたしまして、今後事故の起きないように対処をしてまいりたいと思っております。
#76
○菅野委員 それでは、会計検査院にお尋ねをいたします。
 これ、本当に大問題ですよね。計画的、組織的に手抜きが行われていて、それが事故につながったわけなんですから、本当に大変な問題だと思うのですけれども、検査報告で不当事項にしておりません。なぜそれをしなかったのか、お伺いをいたします。
#77
○中村会計検査院長 昨年の七月と八月の二回にわたりまして、このトンネルの建設工事の実地検査を実施いたしました。しかしながら、工事関係書類のほとんどが労働基準監督署あるいは警察に押収されておりましたので、十分な検査ができないままに今日に至ったものでございます。
 しかし、事態が重大ですし、また社会的にも大きな関心を集めておりますので、この押収された書類が戻ってきた場合はもちろんでございますが、戻ってこない場合につきましても、その検査結果につきまして何らかの形で本年の決算検査報告の上で明らかにしたい、こう考えております。
#78
○菅野委員 これは、六月の一日のときの法務委員会で我が党の橋本議員の質問には、検査院の認識、「私どもの認識をもしお聞きになるんであれば、これは不当に該当するんではないかという認識は私は持っております。」とこの時点で答えてらっしゃるのですね。にもかかわらず、不当事項にしていない。今のお話では、いや、書類が戻ってきたらというふうにおっしゃいますけれども。
 そこで、私、労働省にお聞きしたいのですけれども、この間ずっと調査をしていらっしゃるのですから、そこで調査して入手した資料というのを会計検査院に見せる、あるいはコピーとして渡すというふうなことがなかったのかどうか、これをお尋ねいたします。
#79
○佐藤(勝)政府委員 捜査の過程で集めました証拠物は、その調査をいたしましてその後の手続に必要なもの、つまり送検をする場合に必要なものは留置いたしますけれども、それ以外のものは会社の方に返しております。そういう処置をいたしております。(菅野委員「渡してないんですか、検査院には」と呼ぶ)そういうことは私の方からはいたしておりません。
#80
○菅野委員 渡してない。本当にそういう点では、今の検査院の話なんかも聞いていても、何だか書類が押収されてそして調査不能、だから不当にできなかったということであれば、まるで刑事事件になるようなひどいものほど不当事項にはできないというふうに聞こえるのですよね。本当、これ大変なことだと思いますよ。そうしたら会計検査院、こんなのどういうことになるんですかね。全くでたらめな話だと思うのです。会計検査院に私もっとお尋ねしたいのですけれども、これ、なぜ不当事項にできなかったのか、もうちょっと詳しくお尋ねをいたします。
#81
○中村会計検査院長 不当事項にするということは、やはり三人の検査官で最終的には検査官会議の議を経て決定するわけでございますが、不当事項として会計検査院が国会に御報告するというためには、やはりその中身としまして、JR東日本にも果たして責任があったのか、あるいはその施工管理体制がどうであろうか、そういうふうな観点も十分に検討した上で不当事項というものにするわけでございまして、そうした十分な検討ができないために今日に至っている、こういうことでございます。
#82
○菅野委員 そこが問題なんですよね。その発注元のJRに何か責任がないかのようなそういうお話なんですけれども、この新聞、十月十七日付の読売ですけれども、「手抜き注入JRも黙認か」、こういうふうに書いてます。これ、はっきり言いまして、手抜き工事のために二カ月も早く工事が完了しているのですよ。そして、薬液を注入する機械があるわけですけれども、この機械の能力の二倍というハイペースで、全く異常なペースで日常の工事が進んでいるわけなんです。そういう、明らかにこれはおかしいんじゃないかというふうな作業日報というのは、この間五カ月間JRには届けられているのですよ。これ、ここに書いてます。「業界関係者は「提出された日報を一度見れば手抜き具合はわかる。手抜きが行われた昨年二月から六月まで約五か月間も日報をチェックしていないのは信じられないことだ」とほとんどフリーパスのJRの検査体制に驚いている」、こう書いてますよね。だから、「JRも黙認か」、もっと言うと、わかっていて共犯か、こういうふうなことが言われるのですよ。しかも、JRというのは世界にも誇る技術を持っているんでしょう。そのJRが本当にそんなめちゃくちゃな作業の進みぐあいがわからぬかったと、これはちょっと通用しない話ですし、だからJR責任なしという会計検査院のあなたのお話は全く納得できないというふうに私思うわけです。
 だから、そういう点で、本当に私はこのやりとりの中で痛感させられますけれども、これだけもう堂々と手抜きが組織的に、しかも常態化して長いことやられている。そういう手抜きを示すものはもう堂々と大っぴらに出回っている。にもかかわらず、建設省の方は全くようわからぬ、そのことを歯どめかけるような何か姿勢にない。しかも「それだけのめちゃくちゃな手抜き工事がやられても、それが公共事業であっても会計検査院は不当事項にもしない。こういうふうなそれぞれ政府の姿勢で本当に、一体どうなるのかな、これじゃますます公共事業の手抜きを横行させてしまうのじゃないかということを率直に疑問に思うわけなんです。
 ところで、この建設業界なんですけれども、事は手抜きだけじゃないのですよね。談合も重大問題になっております。これは八八年の十二月に公正取引委員会がやられたことですけれども、米軍の横須賀基地関連の工事、この談合に対して独占禁止法違反で関係六十九社に約三億円の課徴金をかけられております。
 ところがその後、米司法省の方から、この談合で損害賠償が請求されました。このアメリカ側の主張によりますと、八三年から八七年まで受注工事金額が三百七十億円ありまして、談合による水増し二五%、これでいくと損害は九十億円やと。アメリカの国内法に基づいて、その三倍、二百七十億円の金額をはじき出して、それに金利をプラスして二百九十億円ぐらいのペナルティー、これを請求してきたという経過があるわけですね。その後、日米間の交渉の中で、この損害額三倍というのは向こうも引っ込められて、結局日本側は大成建設、清水建設、鹿島建設、大林組など大手中心に四十七億ですか四十九億ですか支払ったというふうに報道されてますけれども、建設省、経過は大体おおよそこういうことで間違いありませんか。
#83
○鈴木(政)政府委員 ただいま御指摘のいわゆる星友会事件でございますが、旧米国海軍極東建設本部の発注する工事につきまして受注予定社を決めていたというものでございまして、この星友会そのものは五十九年の三月に設立され、既に六十二年の八月に解散しております。これに対しまして、ただいま御指摘のように公正取引委員会が昭和六十三年の十二月に、会員百四十社に対しまして、今後このような行為をしないようにという文書警告が行われますとともに、そのうちの七十社に対しまして課徴金の納付命令があったところでございます。
 その後、平成元年になりまして、アメリカ政府から関係企業に対しまして、順次損害賠償の催告があったわけでございます。関係企業はこれに対しまして、一昨年、平成元年十二月に百社、約四十八億円を和解金として支払ってこの事案が終わっているところでございます。
#84
○菅野委員 この談合事件では日本の大手の建設会社がずらりと名前を連ねているのです。アメリカの政府に対して、総工事費三百七十億円に対して四十八億円支払ったということですから、一三、四%に当たりますかね。結果的にはこの談合で、ですから十数%の価格つり上げをやったというふうに結果としては認めたことになっているわけなんですけれども、談合というのはさらに、これだけじゃないよということで、米軍の横田基地関連でもアメリカ議会で問題になっているということが言われてます。
 ということになると、こうした談合というのは米軍基地関連だけなんやろか。そうじゃないというふうに考えるのが普通ですよね。談合によって総工事費の十数%をつり上げているということになると、私はやはり今後十年間の公共投資四百三十兆、これが本当に心配になってくるわけなんですよね。十数%、四、五十兆円になるわけです。半分としても二十ないし二十五兆円、たとえ一割でも四、五兆円ですよね。いずれにしても本当、大変な額だと思うのです。その分国とか地方自治体とか公団が損害を受けるわけですね。もとを正せば、それはもともと国民の税金なんですよ。
 ですから、私そこで総理にお尋ねをしたいのですけれども、公共事業での手抜きや談合、この横行をどう思われるか。もしこれを放置していたら国民の血税がむだになる、また、不正に使用されると言わざるを得ないと思うのですけれども、こういうふうな莫大な血税がやみに消えていくということになったら大変だと思います。これを絶対許してはおけないというように思うのですけれども、どうでしょう。
#85
○海部内閣総理大臣 いろいろ御議論がございますが、手抜きなんということはこれはいけません。したがって、手抜きの項目をあらかじめつくって領収書を出すとか請求書を出すというようなことがもし事実であるとすれば、それはよくないというので、労働省もきちっとそれは調査をしてしかるべき措置をとっておるはずでありますから、法に照らして適正な措置がとられなければならぬことは当然でありますが、手抜きということはよくない。また、談合につきましてはこれを禁止する法律もあります。独占禁止法なんかではそういったことは許してはいけないこととなっております。そういったことが現実に起こったということは、これは極めて遺憾なことでありますから、そういったことが行われないように十分監督、指導をしていかなければならぬのは当然のことだと受けとめております。
#86
○菅野委員 ぜひ各関係省庁の皆さんもそういう立場で頑張っていただきたいというふうに思います。
 あと、私は、看護婦問題について若干触れたいと思うのですが、この問題は当委員会でも取り上げられまして、看護婦不足の問題、これは本当に大変だということで御議論があったかと思うのですけれども、政府は「世界とともに生きる日本」ということで経済五カ年計画を作成しておられます。その中では労働時間短縮について触れておりまして、完全週休二日制、それから有給休暇の完全取得、所定外労働の削減などによって週四十時間、年千八百時間の実現というのを決めておられます。八八年六月にも同様の内容で第六次雇用対策基本計画というのを同じように閣議決定をされているわけなんですけれども、そこで総理に伺いますが、こうした閣議決定とは行政府の最高決議機関における決定ですから、政府の最重要方針ということだと思うのですけれども、そうですね。
#87
○海部内閣総理大臣 閣議決定は政府の決定でありまして、政府が行政を行っていく上においてこれは重要な指針として示すものであります。
#88
○菅野委員 そこで厚生大臣にお伺いいたします。
 看護婦の需給見直し、これをやるということで、この間もうずっと論議もされているわけですけれども、そこでは、二・八体制、複数で夜勤は八日以内というこの二・八体制の一〇〇%完全実施はもとより、夜勤の削減とか週休二日制とか、あるいはまた有給の完全消化、それから週四十時間の実現、育児休業の取得の保障、こういうふうな労働条件改善をこの需給見直しに盛り込むのは当然の前提だというふうに思うのですね、閣議決定もあるわけですから。
 そこで私は、先日、この問題でこの委員会での同僚議員とのやりとりを聞いていて、あれっと思うて不思議に思うたのですよ。週休二日、有給の完全消化、それから年千八百時間、これは閣議決定であるわけで、二・八体制の実現についてはこれは二十五年前の人事院の判定ですよね。ですから、あのときそのやりとりの中でこれらの問題、検討するというふうに厚生大臣おっしゃったんですけれども、これはもう今さら検討なんという事項じゃないと思うのです。検討の余地なくやる課題だというふうに思うのですけれども、厚生大臣にお伺いします。
#89
○下条国務大臣 お答えいたします。
 看護婦の需要、供給の現状は、今お話の中にありますように、需要が上回り供給がこれに十分についていけない、要するに非常に厳しい状況にある、これが現実でございます。そのためには、予算の面で養成施設その他の面に特段の配慮をするように、平成三年度の予算の中には相当そのものが考慮されているわけでございます。
 今おっしゃいましたいろいろな条件の問題、これも私も重々承知しておりまして、おっしゃったように二・八問題にいたしましても、週休二日制の問題あるいは四十時間の問題等々は、これは全部実現できればもう満点でございますし最も望ましいわけでありますけれども、そこに至る過程というものがあるわけでございます。例えば日本全体の労働時間の現状との横並びの問題もございましょうし、あるいはまた看護職自体の現状、これは例えば本看と准看の配分の問題等、夜勤に関連してもあるいは病状の特殊性に関連いたしましてもそれぞれ条件が異なります。そういったものを含めまして、実は平成元年に一度この需給の見直しをやったわけでございます、御承知のとおり。ところが、その後今度高齢者のゴールドプランが設定されまして、これが実施されることによりましてまたさらに看護婦の仕事の量がふえる、こういうようなこともございますので、現在そういう各般の労働条件で最も望ましい姿はどうか、しかもその中で実際実現可能な線はどうかという諸般の事情を十分検討しながら、新しい基準に基づいてもう一回需給の見直しをする、こういうことになっているわけでございます。
#90
○菅野委員 厚生大臣、ですからもう一度お尋ねしたいのですけれども、そういうふうな時間短縮の閣議決定とか、そういうふうな二・八体制、二十五年前の人事院判定と、政府、行政府みずから決めているこの決議、決定ですね、これを需給見通しの算定基準、計画の算定基準には入れるのですね。ここのところを明確に御答弁をいただきたいのです、計画に入れるかどうか。
#91
○下条国務大臣 お答えいたします。
 今いろいろ挙げられました条件、その条件もございますし、その他の条件もございます。それらを全部今検討いたしまして、理想的に全部入れることができるかどうかもあわせて検討して、その上でこの計画を――閣議決定のものを尊重しながら、それを尊重し、すぐにできないものもございます。ですから、時間を……(発言する者あり)
#92
○増岡委員長代理 静粛に願います。
#93
○下条国務大臣 いや、それは私の方で十分検討をしながら、できる分を入れながら、どういう姿が最も現状に即しているか、あるいはまたそういう閣議決定の線に沿って望ましい姿での需給はどうかと、いろいろな点を考慮しながら基準を今策定中でございまして、その基準によってこれから調査を行う、こういうことでございます。
#94
○菅野委員 総理にお尋ねします。
 総理は所信表明の中で、女性が職業生活と家庭生活を両立できる政策を推進し、子供を持つ意欲を積極的に支えていくことに日本の未来をかけて努力するというふうにおっしゃいました。このことに私たちは大いに賛同いたします。ぜひそのことを貫いていただきたいというふうに思うのですけれども、日本看護協会の実態報告の中では、現在の労働条件が大幅に改善されない限り既婚者のこれ以上の就業促進は困難だというふうに言っているわけなんです。ですから、今言われているこの所信とか閣議決定に基づいた、それを前提にした需給計画を立てるということは、これはもう行政府としては最低の責任だというふうに思うのですけれども、そこのところ、この総理の所信、閣議決定に基づいたそういう計画にする、そのことをぜひ責任を持って指揮監督していただきたいというふうに思いますけれども、ぜひ総理の答弁もお願いします。
#95
○海部内閣総理大臣 所信表明でどう言いましたか、一字一句はちょっと違うかもしれませんが、私は最近の出生率の低下を非常に憂うるとともに、これは人間性の尊厳にも触れる問題ですから、やみくもにふやせふやせではいけない。だから、若い方が子供を持ち、育て、また育てながら能力を発揮して生活もできるような環境をつくっていかなければならぬということを私は常に思っておりましたから、そういった角度で政策を進めていかなければならない。
 それからもう一つは、そういった看護婦さんの立場というものに絞って言いますと、前回もここでいろいろ御議論がございましたが、実態をよく調べて、そしてそれらの方々が需給計画に沿うような、今不足しておるわけでありますから、方向に向かっていくように、私も厚生大臣に鋭意そのことを指示をして、努力をともにしていきたいと思います。
#96
○菅野委員 本当に看護婦の労働条件、これが抜本的に改善されなければ、今も総理が出生率の問題、この向上についておっしゃっておられましたけれども、それはもう望むべくもないというふうにも思うわけです。私も、実はこの質問をする上で実際に夜勤を体験してまいりました。厚生大臣もぜひ一遍現場を見ていただきたいということをつくづく思うわけですけれども、本当にもう大変です。そういうことで、やっぱり看護婦さん、現場では人の命を守るということで、そういう仕事のすばらしさということを誇りに本当に頑張っている。そういう献身に支えられて今の日本の医療は何とか持ちこたえているなというふうに思うのですね。
 今も厚生大臣がおっしゃいましたけれども、しかし、今から高齢化社会が来るということがあるわけで、今の時点でこの看護婦さんの問題に本当に積極的に対応していかなければ、これはもう日本の医療は大変なことになるというふうに思うわけです。地域医療も本当に破綻せざるを得ない、これはもうお医者さんたちの率直な声なんですよね。ですから、そういう点で、ぜひこの労働条件の改善、そして看護婦さんたちが子供を持っても働き続けられるような、そういうような条件をやっぱりつくっていただいて、看護婦さんになる方がもっとふえるように、そういうふうにぜひ行政として努力をしていただきたい。せめてお母さんのいない夜が週一回くらいで済むように、格段の努力をお願いして、質問を終わります。
#97
○増岡委員長代理 これにて木島君、吉井君、菅野君の質疑は終了いたしました。
 次に、楢崎弥之助君。
#98
○楢崎委員 私は、財政は詳しくないので総理の御指導をいただきたいのですけれども、この第二次補正予算、九十億ドルが入りますね。それで、これが衆議院通る、参議院はどうなるかわかりません。しかし、予算については衆議院が優先しますから、結局その本予算が、補正予算の本予算が通ったら形式的には支出できるのですか。
#99
○橋本国務大臣 総理へということでありますが、財政当局の責任者としての立場からお答えをさせていただきたいと思います。
 私どもは、今、平成二年度補正予算(第2号)につきどう組み上げていくか、最後ぎりぎりの悩みのさなかでありますが、それとは別に、委員が御指摘になりましたようなケース、予算案は通過、成立をする、しかしその財源として考えられる対応策が法律案として国会に提案をされ、その法律案が通過、成立をしないという状態になりました場合に、理論的にはその補正予算の範囲でお許しをいただく金額は支出できることになりましょうけれども、現実にそれだけの財源がないわけでありますから、執行不能の状態に陥らざるを得ないという状況が現出をいたします。理論的にはそういう状態が現出をいたします。
#100
○楢崎委員 当たり前のお答えですよね。それが財政当局としては当たり前だと思いますが、今の海部内閣は当たり前でないことをやるから念を押しているのです。つまり、超法規的な考えで――じゃ、もうくどくど言いませんけれども、私が当たり前でないと言うのは、特例政令で自衛隊輸送機を出すことです。こんなことは当たり前じゃありませんよ。だから、私は念のために――地声ですから済みませんね。あなたよりは冷静です。
 じゃ、もう一遍念を押しておきますね。赤字決算などはしませんね。
#101
○橋本国務大臣 そういう事態に立ち入りませんように、院の御協力を心からお願いを申し上げます。
#102
○楢崎委員 わかりました。念を押しておきましょう。
 それから――いや、あなた、まだ九十億ドルの積算根拠やら示さぬで何が審議できますか。まあ、お示しになったら検討しましょう。
 それから、私はもう一遍念を押しておきますけれども、この問題になっておる特例政令ですね、輸送することができるというふうになっていますね。だから何か防衛庁長官の答弁を聞きますと、二機考えて百二十人、四機の場合は二百四十人自衛隊員を送るというような答弁がありましたね。輸送することができるということになっておりますけれども、そういう部隊を送ることができるというのは、この特例政令のどこから出てくるのです。どういう法律に基づいてそういう部隊が出ていくのですか、防衛庁長官。
#103
○池田国務大臣 お答えを申し上げますが、まず最初に、ただいま委員の方から、私が何機、百二十人とか二百四十人出すという御答弁を申し上げたという御発言がございましたけれども、これまでの議事録を精査お願いいたしたいと存じますが、私、何人派遣するということはお答えしたことはございません。これは、今の段階ではまだ具体的な輸送任務に当たるということは決まっておりませんので、そのようなことはまだお答えできるような段階ではございませんという御答弁で終始しておりました。そのことをまず申し上げたいと存じます。――まだ答弁の最中です。後半があります、後半が。
#104
○増岡委員長代理 楢崎君、委員長に発言を求めてください。
 防衛庁長官。
#105
○池田国務大臣 それから、輸送に当たることはできるけれども部隊を派遣するとは書いてないという点でございますけれども、これは、自衛隊がこの法に基づきまして、また、その法に基づく政令に基づきまして輸送の任務に当たるときには、それに必要な要員を派遣できるということは、その法理上も当然のことかと存じます。
#106
○楢崎委員 何人送るという基準はどこから出てくるのですか。つまり、航空機のクルー以外に地上の整備員とか、あるいはある程度泊まるところなんか設営するかどうか知りませんけれども、そういう設営員とかあるいはそれを維持する隊員とかそういうものが必要になるのでしょう。どのぐらいまでが許されるのです。その基準は何です。はっきりしてください。
#107
○池田国務大臣 お答え申し上げます。
 これまでもたびたび御答弁申し上げておりますけれども、私どもは具体的にまだ輸送機を送るという計画を詰め切っておるわけではございません。これは繰り返すようでございますけれども、国連の委任を受けた国際機関からの要請を受けて、また、日本の政府内で一定の手順を踏みました上で輸送の任務に当たるかどうか決めていくわけでございます。現在そういったような前提条件がまだ整っておりませんので、私どもといたしましては、実態的な面ではいろいろ検討し、また準備をしておりますけれども、具体的に何人送らなくちゃいけないとか、何機送らなくちゃいけないということは、やはり具体的なニーズが発生し、それにこたえて我が方でどのように対応していくかということが決まったときに初めて具体的に積み上げられるものでございます。
 しかし、その基準というお話でございますけれども、仮に輸送します場合に必要なものは、今御指摘もございましたパイロットを初めとするクルーなり、あるいはその整備に当たる人間等々が考えられるわけでございますが、そういった人間が具体的に何人要るかという点も、一体どの場所で、どのような状況のもとでそういった輸送の任務に当たるかによっておのずから違ってくるわけでございますので、現在の段階でその要員の規模等につきましてお答え申し上げるのは適切ではないし、またお答えできるほど固まってもいないということでございます。
#108
○楢崎委員 いずれはっきりした段階ではこの問題蒸し返しますけれども、総理、お聞き及びのとおり、特例政令は早々とつくられました、中身はさっぱり見えてこない。しかもこれは当然予算を伴うはずです。どういう項目から支払われるのか、それもまだわからないという。したがって、当衆議院予算委員会が開かれておる間ならよろしゅうございますけれども、当予算委員会が開かれてない段階でそういう問題が出てきたときは、もう一遍この予算委員会にお諮りになるつもりはありますか。その自衛隊をやるに伴う予算あるいは項目、そういうものをお諮りになる気持ちはございますか、総理。
#109
○池田国務大臣 お答え申し上げます。
 先ほど申しましたように、まだ具体的に要請もない段階でございますので、一体どのような形で、どのような期間、どのような規模での任務になるかということが詰め切らないわけでございますから、ましてやそれにどの程度の経費が所要であるかというのも詰め切れないわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、もしそのような任務に当たることになり、そしてそれに所要の経費を支弁するということになれば、これは財政法なり、あるいは予算なり、そういったものに十分根拠を持った形で対応するのは当然でございます。しかし、具体的にそれがどの程度の経費になるか、またどの費目かによりまして、それは委員会にお諮りしなくちゃならないものなのか、あるいは政府の判断の中で対応できるような規模のものかによって、いずれにいたしましても、法律的にも、またその他あらゆる面から合法かつ適切な対応をしてまいる所存でございます。
    〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕
#110
○楢崎委員 まだ今わからぬからと盛んにおっしゃるから、私、今そんなふうに聞いているのです。総理、予算を伴う問題が出てきたら、この予算委員会に諮りますね。
#111
○渡部委員長 防衛庁長官。
#112
○楢崎委員 あなた、いいです。いや、そんな答弁、時間ないから、同じだったらしないでくださいよ。
#113
○池田国務大臣 所要の経費が幾らになるか、またどのようなものかによりまして、財政法あるいは会計法あるいは予算等によっていろいろ手順なり権限なりが定められておるわけでございますから、その中で合法的かつ適切に対応していくわけでございまして、予算委員会に諮るかというお話でございますけれども、新たに補正予算をお願いするとか、そういった話でございますならばこれはお諮りしなくちゃいけないのは当然ではございますけれども、そういうことでない場合に必ずしも予算委員会の一つ一つの項目についてのお許しをちょうだいしなくては経費が支弁できないものではないと存じます。既に御承認をちょうだいしております予算の範囲内におきまして対応する場合には、それは財政法上もそれからまた国会法上も予算委員会に諮ることを求められておるとは承知しておりません。
#114
○楢崎委員 むだな答弁はやめた方がいいんじゃないですか。そういうことをあなたわからぬから、それがはっきりしたときには、予算を伴いますから諮るのは当然じゃございませんか。今通っている防衛庁の予算は、今度の場合のような予算は項目として含まれてない、当然でしょう。だから、もう一度審査をするのが当たり前じゃないかと聞いているんですが、あなた、首振ったってだめですよ。まあそれじゃ、それは出てきたときいたしましょう。
 それじゃ、明日もわずかな時間ございますから、湾岸問題はそちらに譲りまして、実は私は大変遺憾というか、けげんに思っている事件があります。それは、先月の十一日に丹羽文雄という冒険家の方ですけれども、房総半島から太平洋に向かって単独の飛行を試みられて、それで十一日朝飛ばれて、七時間ぐらいで機械の故障か何か知りませんけれども、急降下、着水をされて、とうとう亡くなられたという事件についてであります。
 それで、来年度予算、今、当予算委員会が審議いたしております来年度予算にも、宇宙開発事業団の予算案の中で技術試験衛星六型の開発予算、これはETSと言っていますね、この技術試験衛星は。これが百四十億二千五百万円組んであります。もう大蔵大臣の答弁は要りません、組んであります。それで私が伺いたいのは、今度の六型は予算にのっておるが、その前の五型ですね、五型。五型は六十二年の八月に既に打ち上げられましたね。そして、今宇宙を飛んでおります。それとこの今度の気球の事故と関係があるから、私はこのETSVの利用実験に無理があるのではないか、焦りがあるのではないか、その一つの例としてこの事故を観察したいのであります。
 それで、どういう事故かというと、長くなりますからあれですけれども、要するに、ここに海上保安庁の正式の報告書をいただきました。この5の「救助状況の概要」のところの(2)のところにこういうことが書いてある。「捜索の結果、」十一日のことですね、「十三時四十八分海上自衛隊US―1がゴンドラを発見、十三時五十一分当庁LA機がゴンドラ及び乗員を確認、US―1より救難キットを投下、当庁航空機によりラジオブイを投下し監視を続けた。 なお、気球乗組員」、これは丹羽さんのことです、「気球乗組員は身体をゴンドラに結びつけておりゴンドラのすぐ近くを通過したラフトに移乗できなかった。」この海上保安庁の報告のくだりであります。
 本当に体がゴンドラに結びつけられておったんですか。私は大きな疑問がある。丹羽さんはいわゆるこの、私が先ほど申し上げましたETSVの利用実験計画、これの生体実験の材料にされたのではないか、そういう疑いがありますから、それを解明していただきたい、以下申し上げることについて。
 どういうことかというと、これはやはり郵政省の電波システム開発センターが出しておる資料です。これは政府の資料。人命にかかわっておるから私は申し上げるんです。政府がかかわっておるから申し上げている。つまり、簡単に申し上げますと、ETSの利用実験のための機材をこのゴンドラは積んでいた。ここに、海上保安庁の報告書にはこう書いてありますね。その日の明くる日、十二日の午前七時ごろにそのゴンドラから遺体を釣り上げた。それだけしか載ってない。釣り上げた。どのような状況であったかというのはこの報告書にはない。何でゴンドラにその丹羽さんの遺体が結びつけられておったように見えたか。これはゴンドラに今言いましたETSVの実験材料の機器をたくさん積んでおって、しかも五体には、これは東海大学医学部が絡んでおります。五体には心電図をはかるその他のものが、後で言いますけれども積んである。それが絡まってゴンドラから出られなかったのではないか。そういう疑いが濃厚です。これは私は相当詳しく調べました。つまり、この実験は、この気球の丹羽さんの実験は、このETSV利用実験連絡会のメンバーであります東海大学医学部が中心となって行っております。これは医学部のどういう先生が担当であるかも私は調べております。
 私が申し上げたいのは、こういう実験をすることを非難しているんじゃないんですよ。こういう気球に乗っている、幾ら冒険家であっても、本人がイエスと言ったかもしれないが、こういうことは危険過ぎるのではないか、こういうやり方は考えるべきではないかということを言っているんですよ、誤解しないでください。こういう実験は必要でしょうが、その実験のやり方に私は問題があるのではないか、それを言っているんです。どういう機材がゴンドラに積んであったか、海上保安庁、わかってますか。
#115
○丹羽政府委員 お答え申し上げます。
 先生ただいま御指摘の機材につきましては、まだ私ども報告を受けておりません。
#116
○楢崎委員 これはもう溺死という報告になっておりますけれども、どういう状況で溺死に至ったか、それの解明は進んでいるんですか、海上保安庁。
#117
○丹羽政府委員 現在までのところ私どもがいただいております報告は、十三日に横浜市立大学の医学部におきまして、死亡推定時刻十一日の二十一時ごろ、死因は溺死、そういう報告だけをいただいております。
#118
○楢崎委員 それじゃ私が疑いを持っている疑問点については解明はできていないわけですね。
 私が調べたところでは、ゴンドラにはこういうものが積んである。心電図の測定機材あるいは静止画像コントローラー、静止画像撮影用コントローラー、制御器、アマチュア無線機三台、デュアルバンダー、それから航空用トランバー、一・二メートルのパラボラアンテナ、八ミリビデオムービー、GPS、遭難信号発信器、バッテリー。バッテリーは十二ボルト、一日の使用限度は四時間。だから、あのゴンドラの重量というのは相当考えなくちゃいけない。今私が申し上げた機材のうちの半分以下しか必要でない、本当なら、この実験が行われなかったら。だから、重量がオーバーしておるのではないか。
 念のために、私はどうしてこういうことを言うか、まず一つずつ証拠を挙げたい。郵政省と厚生省が関係なさっている。あえて言えば警察も絡んでらっしゃる。だから法務省の方もよく聞いておっていただきたい。
 これは日経の昨年十一月二十八日の夕刊であります。「世界初の気球による太平洋単独横断に十一月末から十二月にかけて挑戦する横浜市の冒険家、丹羽文雄さんは、気球の上から健康状態を示すデータを通信衛星を使って無線で東海大学医学部に送ることになっている。」これは災難を受けられた方の医療情報を病院に直接伝送するシステムの初の応用実験である。東海大学医学部と郵政省通信総合研究所の研究グループが開発を進めておる。これが昨年十一月二十八日。
 そして、この郵政省の、先ほど申し上げたこの電波システム開発センターが出しておる資料によりますと、郵政省内にETSV利用実験に関する調査研究会が設置された。本利用実験には下図の推進体制のもとに東海大学を初め十九機関が参加しておる。郵政省通信総合研究所、宇宙開発事業団等が協力している。その中にこういう項目がある。「東海大学医学部は、心電図や患者患部の静止画像等医療情報の伝送の可否について検討を行うための実験を行っている。」また次のような実験が行われた。ずっとあります。その中に「今後東海大学は気球やブイを用いての医療情報伝送実験を行う予定である。」これは昨年の十月三十日、電波システム開発センターが出した資料であります。郵政省の資料です。去年の十月。そして、今申し上げたとおり、行う予定である、気球を使って。それがまさに今私が指摘しました丹羽さんのこの気球に応用された。これはもう客観的な事実ですよ、政府の資料からも。
 だから、生体実験という言葉が悪いならば適当な言葉があるかどうか知りませんけれども、私は、もちろん丹羽さんも冒険過ぎると思いますよ。それは前提にあります。本人が嫌がることを、自衛隊じゃあるまいし、自衛隊は命令に服さなければいけませんけれども、冒険家は断ろうと思えば断れる。どうしてこういう冒険をなさったかという疑問は残ります。それにしてもこれだけのものを、危険なものを載せて実験させるには、やっぱりさせた方も責任があるのではないか。単なる溺死で片づけられている。これは考えようによっては故意ある過失あるいは未必の故意ですかにも思われるような、私は、責任を問われなくちゃいけないという感じがしてなりません。
 そこで、私はこれは海上保安庁にお願いをしますが、その前にこういうことになっているんですね。防衛庁が、海上自衛隊が捜索機を飛ばしたのはこうなっておる。現場に着いたのはこういうことですね。今言いましたとおり、先ほど言いましたとおり、十一日の午後一時四十八分、海上自衛隊US1がゴンドラを発見、こうなっておりますが、実はその前に防衛庁長官、海上自衛隊のこのUS1は午前中に現場を通っているんじゃありませんか。そしてゴンドラを見ているはず。そして丹羽さんがゴンドラの中から手を振っているのを確認しているはず。よその国の避難民を救援するのもいい。どうして今度のような場合すぐ救援に、救援活動に入らなかったのか。基地へ帰ったんでしょう。そしてまた飛び直したんじゃないですか。これだけのことを個人にさせるならば、私は、いざというときの救助システム、そういう態勢をとってやるのがしかるべきじゃないか。防衛庁長官、そういう報告を受けていますか。
#119
○池田国務大臣 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘の件につきましては、海上自衛隊は海上保安庁の方から災害派遣要請を受けまして、US1でございますか、自衛隊の機材でございますが、それを現場に派遣いたしました。現場に派遣いたしまして、ただいま御指摘のとおり、十三時四十八分、そのゴンドラを発見いたしまして、そうしてライフラフト等の必要機材を投下したわけでございます。しかし、それに対しましては、それは先ほど申しましたようにつかまれなかったということでございます。そういうことは承知しております。
#120
○楢崎委員 今おっしゃったようなことは、あなた、ここにもらっているんだから、それをここで読まれたってしょうがないんですよ。私が聞いているのは、その前に海上自衛隊のUS1がそのゴンドラの上を通っているんじゃないかということを聞いているんですよ、救助依頼を受ける前に、午前中に。それを聞いているんです、防衛庁長官。聞いてないんですね、そうすると。
#121
○畠山(蕃)政府委員 お答えいたします。
 救援の要請がありましたのが十一日の九時二十分でございまして、現場で、十一時四分ごろに到着をいたしまして、十三時四十七分に発見した。その間に手を振ったということはありますが、その前の飛行、出発前の飛行ということではございませんで、現場に行って相手方が、丹羽さんという方が手を振ったということを契機として発見に至ったというふうに聞いております。
#122
○楢崎委員 それは私の調査との違いがありますが、それはまあおきましょう。
 それで、海上保安庁長官、見えておるかどうかわかりませんが、こういう疑問があるし、今私が言ったようなことにほとんど答えられない、海上保安庁は。一つの海難事故とも見られる。したがって、もう少し詳しく溺死の状態、ゴンドラがどこにあるか知らないが、私が言ったような機材を積んでおったかどうかの確認、そういうことをもう一遍調査してください。再調査を要求します。どうですか。
#123
○丹羽政府委員 先生のただいまの御指摘のお話は私もこの場で初めてお聞きした話でございますので、まずは先生からもよくお話をお聞きしたいと考えております。
#124
○楢崎委員 非常に真摯なお答えで満足します。ぜひ再調査してください。私も協力をいたします。
 それで、この九十億ドルで、話がちょっと飛びますけれども、いろいろ増税の問題もあるし、物価への影響もあるし、それがせっかくつくられつつある土地政策にも影響してくるのではないか。そういうことで、菅直人君に差しかえをお願いします。
#125
○渡部委員長 この際、菅直人君から関連質疑の申し出があります。楢崎君の持ち時間の範囲内でこれを許します。菅直人君。
#126
○菅委員 この予算委員会は、湾岸問題を中心に議論が大変白熱をしておりますけれども、国内の政策課題の中で、総理の所信表明の中でも最重要というふうに何度か言われているのを私も聞いておりますが、この土地政策についても、この機会をいただきましたので、土地政策について幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に総理に、もう何度も総理自身地価を抑えるとか下げるとかいろいろ言われておりますけれども、現状をどんなふうに把握し、どういうふうな方向で考えておられるかをお聞きしたいわけですが、ここに私のメモを、あるいは皆さんの手元に行っているかと思いますけれども、日本の土地の総額というのをある人が試算をしましたら大体二千兆円になるというのですね。これは世界じゅうの土地の値段の六〇%、六割を占めるというのです。ですから、もし日本の土地をだれかが全部買ってくれたら、アメリカ全部、ヨーロッパ全部、ソ連全部、中国全部、つまり日本以外をすべて買っても相当におつりが来る金額になっているというのです。ということは、これはちょっとまともな数字ではないわけですけれども、なぜこんなことになったのか。ある人は、これは国営のネズミ講だ。確かに値段がつくから二千兆なんという数字が計算できるわけですが、確かに値段はついているけれども本当に価値があるのかといえば、一種のネズミ講のようなもので、どこかで崩壊をするんだ。それがもっているのはいわば国営のネズミ講のようなもので、単に、まさにバブルが膨らんだだけだというふうに言われているわけです。
 私は、いろいろな機会にこの議論をするときに、土地の値段が下がるということは、じゃ逆に言うと何だろうか。数字の上からいえば資産が減少することになると思うのです、日本の資産が。しかし、じゃ資産が減少するから日本は貧しくなるのか。私は逆だと思うのですね。土地の値段が下がれば、例えば十年分の年収でなければ買えなかった家が五年分の年収で買える。逆に労働の価値がその分相対的に上がることになる。ですから、土地の値が下がるということは、資産が数字の上では減ることですけれども、国民生活からいえば労働の価値がその分上がることになって非常に望ましいことだということは、これはだれしもが否定をしないと思うわけですね。そういったことを含めて、総理にこれからの土地政策についての考え方なり決意を改めてお聞きをしておきたいと思います。
#127
○海部内閣総理大臣 土地問題について私は、再三、これが内閣の最重要課題として取り組んでいかなければならぬということを申し上げてまいりましたし、またこの一月の二十五日には、土地政策審議会から昨年いただきました答申を踏まえて、新たに総合土地政策推進要綱を閣議で定めて取り組んでおりますのは、何としても土地そのものの異常な値上がりというものに対して政策努力をいろいろなところからしていかなければならぬ。土地利用の問題あるいは土地の規制の問題あるいは関連融資を抑えていく問題、いろいろ多方面から作業をしてきたわけでありますが、要は土地を投機の対象としない、これは一昨年国会でお決め願った土地基本法の理念に従った政策をできるものから次々とやっていかなければならない、こういう考え方で取り組んでおるところでありまして、適正な価格というものに土地がなることが極めて望ましいことでございます。
#128
○菅委員 そこで、この国会にも税制を中心にいろいろと提案を政府も出されているわけですが、大蔵大臣とはこの間大蔵委員会を含めて何度かこの土地政策における税制の議論をさしていただきました。
 今例えば東京を含めて少し地価が下がっているのは、主に金融の引き締めといいましょうか、総枠規制が効いているというふうに言われているわけですが、これは釈迦に説法かもしれませんが、金融というのは当然他の要素によっては緩めなければいけないときも来るであろう。そうすると、緩めたときにまた地価高騰になるんじゃないか。一部にはそれを期待している筋もあるいはあるというふうなことさえ言われているわけですが、そうならないためには、まさに土地が資産として他のものに比べて決して、さほど有利ではない、本当に使いたい人は買うけれども、資産としての有利性でそれを求めるというようなことにならないようにするためには、私は税制の役割というのは非常に大きいものがあると従来から主張してきたわけですけれども、その税制の改革がこの国会に幾つか出されております。基本的には保有税の強化、そして譲渡益課税の強化という方向でして、私はその方向は正しい方向であろうというふうに考えております。しかし、残念なことに、いわゆる地価税という形になりました従来の新土地保有税は、税率が当初政府税調が予想したという一%ぎりぎり、低くても〇・七%程度というようなことも聞こえてきておりましたが、〇・三%という非常に低い水準になって、果たしてこれで十分な効果を上げられるのかということに非常に疑問が持たれるわけですが、こういった点を含めて、大蔵大臣に今後の土地政策における税制の考え方といいましょうか、そういった問題についての見解を伺っておきたいと思います。
#129
○橋本国務大臣 土地というものについての基本哲学が決まらない時点から、委員から何回かこの問題についての御指摘を受けてまいりました。そして、そのたびに土地政策についての基本の決まらない中で税についての役割を論ぜられても、なかなか議論がかみ合いませんということを申し上げたことを今振り返っております。
 そうした中において、土地基本法が生まれましてから、これは税あるいは御指摘を受けました金融のみならず、各般の施策がとられつつあります。その中におきまして、まさに今委員からその保有税強化あるいは譲渡税強化という形で御指摘を受けたわけでありますが、今般私どもとして土地税制を見直してまいります中に、一つは土地に関する税負担の適正、公平の確保という観点と同時に、土地ほど有利な資産がないというその人々の意識、すなわち土地神話というものが形成されてしまい、土地の利用価値よりもその資産価値が重視されている現状というものに対し、土地の資産としての有利性を縮減するという視点から保有・譲渡・取得の各段階にわたって、土地について総合的な見直しをしてまいりました。具体的には、地価税の創設を初め、固定資産税の評価の適正化、譲渡課税の負担の適正化というものでありまして、私どもとして、御指摘のようにこうした措置が他の土地政策全体と相まって、土地の資産としての有利性の縮減を図り得ると期待をいたしております。
 今委員から、その中において、地価税につきまして税率についての御論議がございました。しかし、これはもう委員がよく御承知のように、税制調査会の基本答申の中におきまして、税率については「事業経営の継続に配意すると同時に土地の資産としての有利性を縮減する程度のものであることが望ましい。」という指摘をなされております。政府としてこの答申を受けまして税率を設定するに当たりましては、この指摘の上に立って基礎控除の水準、また、今般の土地税制改革における固定資産税の評価の適正化が行われること等、そうした要素も総合的に勘案した上で〇・三%、平成四年度につきましては〇・二%でありますが、とすることと決したものでありまして、私どもとしては適切なものと考えております。
#130
○菅委員 そこで、自治大臣、今も大蔵大臣の方から固定資産税の評価の適正化ということも、横目でといいましょうか、含めて、トータルとしては適正なものというふうな答弁があったわけです。自治大臣は、新たに大臣になられたのでこの問題での議論は私とは初めてかと思いますが、何度か歴代の自治大臣に対して、固定資産税評価のまさに適正化といいましょうか、実勢との余りにもの乖離がいろいろな問題を生んでいる大きな原因になっているという指摘をこの間続けてきたわけです。
 この間、政府税調あるいは自民党の党税調の皆さんの議論を私も詳細に聞いている中で、たしか自民党の地方行政部会で、ある時期に、固定資産税の評価を公示価格の七〇%程度に引き上げていく、そういうことによって保有税の適正化をやるんだということが一時期確認をされたというふうにも聞いておりますし、数字は入っておりませんけれども、その後まとめられた大綱の中でもそういった方向が打ち出されてきているわけです。私は、地価税については、先ほども言いましたように、税率は不十分だと思いますけれども、保有税というのは地価税だけではない、まさに固定資産税がベースにあるわけですから、あわせて保有税が効果的な水準になることが望ましいだろうと思っているわけです。
 そういった意味で、今後の固定資産税の改革についてどのような方針を自治大臣としてはお持ちか、特に今の評価の問題を中心に明確にお答えをいただければと思います。
#131
○吹田国務大臣 お答えいたしますが、固定資産税は、戦後の地方税制の確立の原点であるシャウプ勧告によって、御承知のとおりでありますが、地方自治の充実発展に資するために、市町村の安定した財源としての位置づけされた基幹的な税目となっておるわけでありますし、税源の普遍性や税収の安定性に富む税として、市町村税に最もふさわしい税であるというふうな観点に立っておるわけであります。
 しかし、固定資産税につきましては、近年、著しい地価の高騰の中で、土地の評価の地価公示に対する割合が実は非常に低下してきておるということでありますが、その市町村税収の全体に占める割合が長期的に見ますと低下の傾向にあるということ等にかんがみまして、土地基本法の趣旨を踏まえまして、地価の公示制度の改善とも相まって、地価の公示価格の一定割合を目標に土地の評価の均衡化あるいは適正化を推進するとともに、急激な税負担の増加をもたらさぬように適切な負担調整措置を講ずることによりまして、中長期に固定資産税の充実を図る方向を基本とすべきであるというふうに考えております。
#132
○菅委員 重ねて自治大臣にお尋ねしますけれども、ことしは固定資産税評価の三年置きの書きかえですよね、大臣。その書きかえによって、評価がえによって六千億とか七千億ぐらいの増収になる。それは地方税、住民税の減税に充てる、そういう方針をとられたというふうに理解をしておりますけれども、私は、この方針は一つの考え方としては納得のできる内容だと思うのです。つまりは、税議論の中で所得・消費・資産という言葉が本当に耳にたこができるほどこの場でも聞かされてきたわけですが、総体的に言えば所得においては比較的平準化をしているけれども、特にこの数年、資産の格差、先日皆さんの資産公開も見せていただきましたけれども、そういう意味ではかなり土地を中心にした資産を国民的に見ればお持ちの人も多いなという感じがしたと思うのですが、資産格差は非常に大きいものがあるわけです。そういった意味では、資産に対して課税が多少強化されて、その部分が所得課税である、地方税である住民税減税に充てられるというのは、資産と所得のバランスをとっていく上で私は正しい方向ではないかと思っておるわけです。
 そういった意味では、今後、先ほどその数字は言われてませんでしたけれども、公示価格の一定割合を目標に適正化していく。まあこれまでの経緯でいえば引き上げていくということになると思うわけですが、その引き上げによって得られた増収分をそういった所得課税の減税に充てれば、大部分の国民にとっては、私はもろ手を挙げて賛成される税制になるだろうというふうに考えるわけです。その点についての見解をもう一度伺っておきたいと思います。
#133
○吹田国務大臣 全くおっしゃるとおりでありまして、私もそういう方向でこれから鋭意努力することにいたしたいと思います。自治省もそういう考え方でこれからの住民税減税に振り向けていく、こういう考え方であります。
#134
○菅委員 この問題は、私は実は、今回の土地税制の改革の中でこれからの問題としては最大の問題として、課題として残った問題だろう。ですから、大臣も基本的にはそういった方向でいくという見解ですから、その方向を空約束に終わらせないようにぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
 これと関連して、今回地価税ができたときに、先日の土地特の議論、私も質問に立ちましたけれども、一体どのくらい課税がされるのかというふうに聞きますと、大蔵省の方は、土地台帳がないからわかりませんという答えなんですね。結局のところ、自治省、自治体は土地台帳を持っているけれども、まさにシャウプ勧告の当時に国税庁、大蔵省から自治省に台帳を移した後、土地台帳は大蔵省にはない。じゃどこにあるんだ。自治省、自治体にはある。国土庁にはあるのかと言ったら国土庁にもない。国土庁長官にもお尋ねをしたいのですが、最近、国土庁の方でそういった土地台帳を、何といいましょうか統一的にといいましょうか、つくっていきたい、管理をしていきたいというようなことも言われておりますけれども、そういった方向をどういうふうに進められるのか。
 あわせて、これも何度もこの委員会を含めて申し上げてきたわけですが、いわゆる公示価格あるいは固定資産税評価額、相続税評価額といった、政府が関係しているだけでも三種類もあるこの土地評価、地価評価をそういうものとも関連をさせて一元化をしていくということについてどういうテンポでやっていかれるつもりか。国土庁長官の見解を伺っておきたいと思います。
#135
○西田国務大臣 お答えをいたします。
 土地情報に対する取り組み方をどうするかという問題でございますけれども、国土庁といたしましては、土地政策の的確な実施を行うためには何としても正しい情報というものをつかんでおらなければやれない、現在までそれができておらなかった、こう思っております。
 そこで、国土庁といたしましては、まず土地を持っておる所有、それからもう一つはどのように利用をしておるかという問題、それから取引の実態、それから価格、こういうような問題をこれから総合的に土地情報として収集をしていくことに現在既に取り組んでおるところでございます。
#136
○吹田国務大臣 この問題は私の方にも関係非常に大きい問題でありますので。
 この一元化というお言葉ですが、この地価の公示価格、固定資産税の評価額、相続税の評価額、こういったものの一元化ということにつきましては、考え方としてはわからないわけじゃありませんけれども、これを直ちに一元化するということにつきましては困難ではないかなというふうに考えておりますし、今般の固定資産税の評価に当たりましては、土地基本法の趣旨を踏まえまして、また地価公示制度の改善とも相まちまして、その一定割合を目標の評価に均衡化、適正化を計画的に図らなければならないという考え方に実は立っておるわけでございまして、御理解いただきたいと存じます。
#137
○菅委員 自治大臣、大臣は一生懸命今読まれたようですけれども、自己矛盾なんですよ、実は。先ほど大臣自身が、公示価格の一定割合を目標に固定資産税評価を引き上げると言われたでしょう、大臣。例えば、一定割合というのが従来言われているように七割だったら、事実上公示価格そのものを使って逆に税率を七割にしておけばいいわけですよ。一・四%の税率を一%にすればほぼ七割ですから。つまり価格で何でそんなにこう差をつけておかなければいけないのか。まして一定割合ということになれば、今言いましたようにわざわざ価格を七割にしなくたって、価格は一つの価格にして税率を七割にしても全く同じ効果なわけですよ。つまり、これまで自治省がやってきたことは、法律改正はしないで行政のいわば恣意によってコントロールできる。各役所がばらばらにやっておるわけです、それを。だから国民からいったら、一体何が土地の価格なんだ。今一元化が非常に難しい云々言われましたけれども、土地基本法の中身をよく読んでください、あるいはその附帯決議を読んでください。附帯決議の中にはちゃんと院の意思として、一元化に努力するという方向が出ているんです。それが国会の意思ですから、それを受けて自治大臣は今後のそういった問題に対する取り組みを進めていただきたいということを申し上げて、次の問題に移っていきたいと思います。
 建設大臣、今回この東京から建設大臣が生まれて、私ともいろいろな機会に土地問題で議論をさしていただいてきているわけですが、土地政策の中でまさに二本の柱といえば、言うまでもなく今議論をした税制と都市計画だと思うわけです。私は、総体的に言えば今回の国会で税制についてはかなりの法案が出てきている、不十分な点は今言ったようにまだあると思いますが、かなりの法案が出てきている。それに対して、都市計画のあり方についてはまだ必ずしも十分な議論が進んでいない。一部生産緑地法の改正とか多少のものは出ていますけれども、基本的な考え方に対する改革の方向性が出ていないと思うわけです。
 よく言われることですけれども、ヨーロッパの都市計画の原則は、計画がないところには開発がないんだ、基本的には開発をする場合あるいは建物を建てる場合は禁止をする、そして所定の計画があって、それが合意されたときだけ許可をする、そういうのが原則にヨーロッパの場合なっていると言われているわけですが、我が国はその考え方が全く逆転をしていて、基本的には地権者、つまり土地所有者の意思に任せる、例外的に一部いろいろな条件づけをする、そういう形がとられているわけですね。私は、基本的なその考え方をやはり改めていくことが必要ではないかというふうに考えているわけですが、その基本的な問題についてまず見解を伺っておきたいと思います。
#138
○大塚国務大臣 お答えいたします。
 今日までも菅委員からはいろいろと御指摘をいただき、また出版物等も読ましていただきまして、日ごろ敬意を表しておる一人でございます。
 今、都市計画の計画なきところに開発なしと仰せのことにつきましては、私は、我が国の住宅政策あるいは都市計画というものは従来木造中心主義で推移をしてきた時代が長かった。いわゆるコンクリートの建物が導入されてまだ半世紀という程度でありますから、確かに都市計画というものの位置づけが十分でない点もなしとはいたしません。しかし、国土全体の第四次全国総合開発計画あるいは国土の利用につきましてはもろもろの計画があるわけでございまして、その中で市街化区域と市街化調整区域に分けた、市街化区域の中にはさらに都市計画区域が定められ、建物等についてもそれぞれの規制を加えるような計画があるわけでありますが、これらの問題が十分住民の納得なしに推移している面もなしとはいたしませんけれども、今後、都市計画のあり方につきましては十分検討をして二十一世紀の未来につながっていくようなものにしていきたい、このように思っているところでございます。
#139
○菅委員 総理大臣、一つだけお聞きをしたいのですが、総理大臣は国会ないしは首相官邸までどのくらい時間がかかりますか、通勤に、総理自身。
#140
○海部内閣総理大臣 これは御参考にならないと思いますが、隣の公邸におりますので、大体三分ないし四分でございます。
#141
○菅委員 公邸ではなくて、じゃ総理大臣になられる前でもいいですが、自宅からだと国会に何分ぐらいかかりますか。
#142
○海部内閣総理大臣 大体車で十五分前に出れば間に合います。
#143
○菅委員 お手元に都心三区に通勤する東京都の通勤時間のデータをつけておきました。大体三十分未満、つまり二十九分以内で着く人が二・七%だそうです。ですから、総理はその二・七%の大変恵まれた通勤範囲に住んでおられるわけです。実際は六〇%以上の人が一時間以上かかっているんですね。あるいは二〇%以上の人が一時間半以上かかっているわけです。今労働時間の短縮の議論が盛んですが、片道二時間なんていうと往復四時間、二百五十日働けば千時間なんですよ。だから私は、労働時間の短縮という考え方じゃなくて、労働時間プラス通勤時間の短縮でなければ、本当のそれこそ生活の豊かさにはつながらないと思うのです。そのためにはどういう都市をつくっていくのか。
 私、昨年ドイツに行って、少しこういう議論を幾つかの町でしてきたんですが、ドイツのほとんどの町は、通勤どのくらいかかりますかと言ったら、三十分以内で大体皆さん通っていますよと言うんですよ。ある意味じゃ総理大臣と同じぐらい便利のいいところにみんな住んでいる。そんなに皆さん裕福なのか。もちろんドイツは日本よりも基本的なものは非常にしっかりしていますけれども、それを見ると、都市の大きさを余り大きくしてないんですね。例えばミュンヘンにしてもフランクフルトにしてもハンブルクにしても、都市の大きさが、ベルリンはちょっと例外にしても、大体百万人前後からそれ以内。しかも、都市と都市の間が離れているのです。東京みたいに、東京から川崎から横浜から全部つながってない。ですから、ミュンヘンで仕事をしている人はミュンヘンに住んでいる。そして、百万ぐらいの都市ですから、その中で動くだけですから、大部分は三十分以内で生活できる。都市を野方図に広くしないというのが都市計画の第一の原則になっているわけですね。しかし、日本の場合、東京に限らず大阪を含めて、野方図にどんどん広がっているわけです。
 そこで、「都市の成長管理」という言葉をこのメモの中に書いておいたんですが、今こういう考え方が非常に必要になってきているんじゃないか。つい二、三代前の総理大臣のときには民活、民活と言って、何でもかんでも自由に任せればうまくいくというふうな議論もあったわけですが、決してそうじゃなくて、都市というものを野方図に広げない。広げない中で職住近接の町づくりをどうやっていくかということを考えて、そして通勤時間の問題は私は一つのそのメルクマールになるんじゃないかというように思っているわけです。
 そういったことを含めて、建設大臣、こういった都市の成長管理という考え方を建設省としても明確にお持ちになる必要があるんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
#144
○大塚国務大臣 御指摘のとおり、東京の一極集中はいろいろな弊害を持っていることは御承知のとおりであります。今お話しのように、多極分散型国土形成促進法を六十三年に制定をいたしまして、その後総合土地政策要綱を二度にわたって改定をいたしました。つい一月の二十五日に改定をいたしましたが、その中に、これからの都市のあり方についてどう進めるべきか、余り時間がないようですから端的に申しますと、先ほど来御論議のある都市計画のあり方そのものをぜひ見直して、そして未来に備えた都市をつくっていこう。都心が過疎で、集中して事務所が多いためにいろんな弊害がありますから、どういうふうにしたら人口の適正な配置ができるか、こういうことも含めまして、経済社会の変動に伴う都市計画のあり方につきまして、つい先日、私から都市計画中央審議会に諮問をいたしたところでございます。その答申を待ちまして、今もろもろお話がありましたような良好な環境の住宅を供給できるような方向に努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#145
○菅委員 これは本当に建設省だけではなくて、総理にもぜひ本当によく聞いていていただきたいのですが、つまり考え方が明確でないわけですよ。つまり、その都市計画というものに対する考え方が、私は日本はまだ定まってないと思うのです。ですから、あるときには民活をと言ったり、あるときには規制緩和と言ったり、あるときには逆に都市計画をきちんとやれと言ったり、そのときそのとき目の前のことを何かやっているけれども、トータルとしてでき上がった町は決して住みやすい町ではない。トータルとしてでき上がった町はますます通勤に時間がかかっている、そういうことになるわけです。なっちゃったというんですね、みんな。そうなってしまったんだと。しかし、そうなってしまったというんだったら、それは都市計画じゃないわけですよ。都市計画というのは、ある意味じゃ人間の理性というか、人間がいかに都市というものをコントロールするかというのが私は都市計画だと思う。いかにコントロールするか、コントロールするという意思をどうやって働かせるかというのが都市計画であって、こうなったら仕方ないんですというのは、都市計画という考え方を事実上放棄していることだと思うのです。
 そこで話をもとに戻して、先ほど必ずしも大臣から明確な方向性が出されなかったわけですが、いわゆる従来型の建築自由の原則から、計画なきところ開発なしと言われるような原則禁止の方向に変えていくという、私はやるべきだと思っているわけですが、そうするためにはどういうところのどういう制度を改革していけばいいかということになるわけです。
 私なりにいろんな方の意見を聞いてみて、一つは建築確認制度、この建築確認制度というものを基本的に変える必要があるんじゃないか。これは大臣もよく聞いていていただきたいのですけれども、我々の地元でも非常に多く建築に絡む陳情があります。両面からあります。確認がおりないから何とかしてくれ、あるいは確認がおりた隣の家が違法建築だからあれをとめられないか、いろんなことがあります。いろいろ調べると、知事に決定権があるのか市長に決定権があるのか、ないんですね。つまり建築は許可制じゃないわけです。じゃ届け出制かといったら、届け出制でもないんですね。確認行政。つまり。ある基準の幾つかの法律をクリアするかしないか、クリアすれば自動的に許可する。ですから、例えばこんなところに幾ら何でもワンルームマンションは困るとか、こんな景色のいいところにこんなリゾートマンションは困るとか、あるいはこんなところにラブホテルはちょっと困るなとか、いろんな住民の声があっても、確認はそういうものが法律になっていませんから全部通っていくわけです。建設省は、いや、そんなことだったら地区制度でやればいいじゃないかと言われるけれども、実際にはそういう事件が起きたときに、後になっていろんな手法を持っていこうと思っても、事実上確認という制度の中ですり抜けられてしまっているわけです。ですから私は、基本的に建築確認制度を建築の許可制度にすべきだと。当面は都道府県知事あるいは大きい市は市の首長の許可にすべきだと。これは御存じでしょうけれども、都市計画法の中には開発制度というのは許可制に現実になっているわけです、知事の許可制に。建築だけは確認制度になっているわけです。
 と同時に、許可をするということは、今度は許可をする基準が要ります、当然ながら。この人には許可するけれどもこの人には許可しない、あるいはこういう建物は許可するけれどもこういう建物は許可しないと言うには基準が要ります。その基準こそがまさに土地の利用計画になるはずなんですね。その利用計画を現在どういうふうに決めているか。都市計画審議会が答申をしたものを知事が決定するという手続にたしかなっているはずです。つまり議会を通してないわけです、議会を。地方議会もどこも通ってないわけです。ですから、東京なんかでも計画決定して三十年も四十年もつくれない道路がたくさんありますけれども、だれも責任感じてない。だって議会で通ったという気はないからです。もし感じるとすれば何代か前の知事なのか途中の知事なのかわかりませんけれども、そういう意思がないわけです。
 ですから私は、都市計画決定もそういう行政手続だけ、いわゆる審議会と知事決定という形ではなくて、議会を通して決めるべきじゃないか。そういう建築確認制度を許可制にすることと、都市計画の決定を議会手続でやる。もちろん議会手続の前には公聴会とかいろんな市民参加の制度は当然つくるべきだ。これは御存じのように決して特別なことではなくて、ドイツなどの都市計画のやり方はまさにこうなっているわけですね、現実に。原則禁止、例外許可で、そして都市計画はすべて自治体の条例手続で全体計画、詳細計画がつくられているわけです。こういう方向で都市計画の根本を変えていく必要があるのじゃないかと思いますが、建設大臣、いかがですか。
#146
○大塚国務大臣 お答えいたします。
 ただいま先生御指摘の確認制度を許可制度にすべきではないか、こういうことでございますが、現行の建築確認は、建物がそれぞれの建築基準法の諸条件に合致しているかどうかということを確認する制度でありますが、その前に都市計画のあり方につきまして、例えば用途地域とかあるいは容積率とか建ぺい率とか、それぞれの基準になる大もとにつきましては都市計画審議会の議を経て知事なり建設大臣が決めるということに相なっているわけであります。
 都市計画審議会の制度につきましては、当然のことながらその委員の選出等は議会から出されてくるという形になっておりますから、間接的には議会の意思が盛り込まれているものと私は思っておるわけであります。それを一つ一つ許可制度でやるということになりますと、その辺は多少整合性を図る上でも余りにもぎくしゃくし過ぎるような感もしないではございません。しかし、良好な都市を形成していくためには、一つの御見識と思いますので、また検討をさしていただきまして、少しでも住民の意思や議会の意思が反映されるような都市をつくっていく方向に誘導をしてまいりたい。
 先ほど申しましたように、過般、都市計画中央審議会に都市計画の二十一世紀に向けてのあり方については諮問をいたしましたので、その答申に基づきまして、今仰せのようなことにつきましても十分検討をしてまいりたいと存じます。
#147
○菅委員 先ほど大臣は、市街化区域と市街化調整区域のことを言われましたよね。最近、ちょっと皮肉な言い方で、市街化調整区域の方が都市計画がやりやすいというのですよ。本来、市街化調整区域というのは開発が禁止なわけです。市街化区域を開発しましょうということになっているわけです、計画をしましょうということになっているわけです。市街化区域の方が本来ならきちんと計画を立ててやるようになっているのかと思ったら、市街化調整区域の方がやりやすいというのですよ。それはなぜか御存じだと思うのです。つまり、市街化調整区域は、原則、開発が禁止なんです、建てるのが禁止なんです。ですから、その禁止を許可してもらうためには、ある程度良好な住居環境等でつくる計画がない限りは例外的に許可がおりないから計画をしやすいのですね。
 だから私は、都市計画法にある開発は知事の許可制になっていて、建築は確認制になっているというのはどうも腑に落ちないのですが、これはどなたでもいいですから、どういう趣旨でこれは分かれているのですかね。
#148
○鈴木(政)政府委員 ただいま御指摘の件でございますが、先生御承知のとおり、調整区域におきましては開発許可、それから建築確認は確認であるということになっているわけでございます。
 その趣旨といたしましては、まず都市計画の前提といたしまして、整備、開発または保全の方針というマスタープランがございまして、それに基づいて御指摘の市街化区域及び調整区域という線引きがなされ、その中には用途地域の指定等がなされて、そして土地の利用に関する計画が決められているところでございます。
 調整区域につきましては、これまた御指摘のとおり、開発を抑制する。一方で、よいものにつきましては技術的基準等を定めまして、それを満たす良好な開発行為については許可をするということで開発を認め、計画に従った開発しか認めないわけでございます。
 また、建築の方につきましてはいろいろの法律がございますが、それに合っていればということで確認制度をとっておりまして、この両制度、二つの制度が両々相まちまして、マスタープランに従った良好な都市計画を実現していこうということで両方の制度ができているというふうに私ども理解しているところでございます。
#149
○菅委員 これは大臣、私ももう少しこれから勉強しようとは思っていますけれども、建築確認という制度の中に、個別の単体に対する条件といわゆる都市計画的な条件と両方入っているわけですよ。例えば、こういう場合は非常階段をつけなければいけないとか、こういう場合はスプリンクラーをつくらなければいけないとか、そういういろんな個別単体としての条件と、それこそ用途地域とか、ここのところは建ぺい率これだけだとか、そういうのがあるわけです。一方、開発許可制というのは、何か地面を少し造成した場合は開発許可が要るけれども、もう地面が平らになっているところに家を建てるのだったらそれは要らない。一方は許可制で、一方は確認制になっているわけです。どう考えても何となくぴんとこないのですね。ですから、個別単体は個別単体で、それは確認制なら確認制であるいはいいのかもしれません。しかし、そうではない、いわゆる容積率とか建ぺい率とか、そういうものについては、今のような確認制度というのは私は十分に機能していないと思うのです。
 それで、もう一つ言いますと、私がドイツに行って調べたときに、自治体によって条件が違うのですよ。あるところの自治体では、あるところを造成して、従来から生えていた木があった、ある何とかいう木が。そうすると、そこに建てる家のいわゆる生け垣はその木でなければいけないなんという条件までつけているわけです。ですから私は、基本的には都市計画で立てるべき、いわゆる条件づけるべき最低基準を五項目か七項目か決めて、プラスアルファの条件は、自治体が自由にプラスアルファで条件づけをできるようにすべきだ。その条件づけを前提としてその許可制をきちんと導入すべきじゃないか。もう一度それについての意見を伺っておきたいと思うのです。
#150
○大塚国務大臣 先ほど御答弁を申し上げた中で、建築確認というのはあくまでも建物そのものの単体の建築の中身がその法の定めるところに合致するかどうかということを確認する制度である。したがって、今いろいろ御意見を拝聴させていただきましたが、都市計画で定められたもろもろの商業地域とか住居地域とか住居専用、そういうそれぞれの基準の中で建物そのものがどうであるかということを、建築確認の方は建物を確認するという意味でありますから、それを一体として許可をするということになると、やはり山間僻地の場合とか、まあ山間僻地は大げさですけれども、例えば寒い寒冷地であるとか、あるいはそうでない都市とか、あるいは過密な都市とか、それぞれで建物そのものは大体安全基準というのは同じでございますから、建物は建物で定める、都市計画で定めるものは都市計画で定める、こういう制度で今日まで来たものと思っております。
 しかし、先ほど申し上げましたように、先生の御意見も一つの御見識でありますので、それも含めて検討をさしていただきたい、このように考えております。
#151
○菅委員 それでは、終わります。
#152
○渡部委員長 これにて、楢崎君、菅君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明十四日午前九時より委員会を開会し、湾岸問題等を中心とする集中審議を行います。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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