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1990/02/27 第120回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第120回国会 予算委員会 第19号
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1990/02/27 第120回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第120回国会 予算委員会 第19号

#1
第120回国会 予算委員会 第19号
平成三年二月二十七日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 渡部 恒三君
   理事 大石 千八君 理事 鹿野 道彦君
   理事 近藤 鉄雄君 理事 二階 俊博君
   理事 増岡 博之君 理事 加藤 万吉君
   理事 佐藤 敬治君 理事 松浦 利尚君
   理事 草川 昭三君
      相沢 英之君    愛野興一郎君
      粟屋 敏信君    内海 英男君
     小此木彦三郎君    越智 伊平君
      金子 一義君    倉成  正君
      古賀  誠君    後藤田正晴君
      佐藤  隆君    志賀  節君
      田邉 國男君    戸井田三郎君
      浜田 幸一君    林  義郎君
      原田  憲君    増子 輝彦君
      松永  光君    松本 十郎君
      村田敬次郎君    村山 達雄君
      綿貫 民輔君    五十嵐広三君
      石井  智君    串原 義直君
      嶋崎  譲君    新村 勝雄君
      新盛 辰雄君    辻  一彦君
      常松 裕志君    戸田 菊雄君
      野坂 浩賢君    藤田 高敏君
      武藤 山治君    和田 静夫君
      遠藤 和良君    日笠 勝之君
      冬柴 鐵三君    山口那津男君
      木島日出夫君    佐藤 祐弘君
      伊藤 英成君    中野 寛成君
      楢崎弥之助君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  海部 俊樹君
        法 務 大 臣 左藤  恵君
        外 務 大 臣 中山 太郎君
        大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君
        文 部 大 臣 井上  裕君
        厚 生 大 臣 下条進一郎君
        農林水産大臣  近藤 元次君
        通商産業大臣  中尾 栄一君
        運 輸 大 臣 村岡 兼造君
        郵 政 大 臣 関谷 勝嗣君
        労 働 大 臣 小里 貞利君
        建 設 大 臣 大塚 雄司君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     吹田  ナ君
        国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 佐々木 満君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (沖縄開発庁長
        官)      谷  洋一君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 池田 行彦君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      越智 通雄君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      山東 昭子君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 愛知 和男君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 西田  司君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 大島 理森君
        内閣法制局長官 工藤 敦夫君
        内閣法制局第一
        部長      大森 政輔君
        総務庁長官官房
        審  議  官
        兼内閣審議官  小山 弘彦君
        防衛庁参事官  内田 勝久君
        防衛庁参事官  宝珠山 昇君
        防衛庁長官官房
        長       日吉  章君
        防衛庁防衛局長 畠山  蕃君
        防衛庁経理局長 村田 直昭君
        防衛施設庁総務
        部長      箭内慶次郎君
        防衛施設庁施設
        部長      大原 重信君
        防衛施設庁建設
        部長      黒目 元雄君
        国土庁長官官房
        長       八木橋惇夫君
        国土庁長官官房
        会計課長    森   悠君
        外務省北米局長 松浦晃一郎君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   渡辺  允君
        外務省条約局長 柳井 俊二君
        外務省国際連合
        局長      丹波  實君
        大蔵省主計局長 保田  博君
        大蔵省理財局次
        長       田中  寿君
        文部大臣官房長 坂元 弘直君
        文部省高等教育
        局長      前畑 安宏君
        文部省学術国際
        局長      長谷川善一君
        厚生大臣官房総
        務審議官    熊代 昭彦君
        厚生省保健医療
        局長      寺松  尚君
        農林水産大臣官
        房長      鶴岡 俊彦君
        農林水産大臣官
        房予算課長   山本  徹君
        運輸大臣官房長 松尾 道彦君
        運輸大臣官房会
        計課長     岩田 貞男君
        労働大臣官房長 齋藤 邦彦君
        建設大臣官房会
        計課長     小野 邦久君
        自治大臣官房総
        務審議官    紀内 隆宏君
        自治大臣官房審
        議官      二橋 正弘君
 委員外の出席者
        予算委員会調査
        室長      多田 俊幸君
    ─────────────
委員の異動
二月二十七日
 辞任         補欠選任
  加藤 紘一君     金子 一義君
  倉成  正君     古賀  誠君
  津島 雄二君     増子 輝彦君
  嶋崎  讓君     石井  智君
  和田 静夫君     常松 裕志君
  石田 祝稔君     遠藤 和良君
  日笠 勝之君     山口那津男君
  吉井 英勝君     木島日出夫君
  中野 寛成君     伊藤 英成君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 一義君     加藤 紘一君
  古賀  誠君     倉成  正君
  増子 輝彦君     津島 雄二君
  石井  智君     嶋崎  讓君
  常松 裕志君     和田 静夫君
  遠藤 和良君     石田 祝稔君
  山口那津男君     日笠 勝之君
  伊藤 英成君     中野 寛成君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 平成二年度一般会計補正予算(第2号)
 平成二年度特別会計補正予算(特第2号)
     ────◇─────
#2
○渡部委員長 これより会議を開きます。
 平成二年度一般会計補正予算(第2号)、平成二年度特別会計補正予算(特第2号)の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
#3
○野坂委員 平成二年度の補正予算等について質問をしたいと思うのでありますが、まず、世界の注目を浴びております湾岸戦争の問題について見解をただしていきたいと思います。
 国連の決議が、六百六十号から六百七十八号まで決議をされておるわけでありますが、フセインは、遅かった決断でありますが、イラクはクウェートから撤退をするという声明を発表し、現実にイラク軍はクウェートから撤退をするということか、あるいは敗走なのか、あるいは退却なのか、いろいろ見方はあろうかと思うのでありますが、現実にはクウェートから姿を消していくというのが現状であろうかと思います。まさに最終局面に入った。テレビニュースを通じていえば、終わりの始まりである、こういう表現が使われておるわけでありますが、この問題について総理はどのようにお考えになるかということが一つと、さらに、本日の早朝からといいますか夜中から国連の安保理が開かれて、アメリカ、フランスを中心にする諸国と、一方はソ連なり中国を中心とする諸国との間で議論が交わされておるということを聞いておるわけでありますが、従来から総理は、イラクがクウェートから撤退をすればと、六百六十号をのむことが先決であるということを何回もこの委員会で表明をされております。
 撤退か敗走かは別といたしまして、それらについて現在どのようにお考えになっておるのか。あるいは湾岸危機対策本部がけさこの本院で開かれたという話でありますけれども、それらを情勢分析をしてどのように考え、どのように日本政府としては対応するか、その点についての御答弁をいただきたいと思います。
#4
○海部内閣総理大臣 この問題の根本的な解決は、イラクが無条件にクウェートからの撤退をすること、これが局面転回のかぎになるということを私は盛んに申し上げてまいりました。そして、あの地域に原則に従った恒久和平を打ち立てるために、そのことの決断を強く求めると言い続けてもまいりました。
 今行われておることは、いろいろな情報が入ってまいりますから、ここであの地域がこうなっておると断言することは非常に難しい状況ですけれども、放送その他によると、いろいろな言い回しはありましょうけれども、とにかく、国連の安全保障理事会もちょうど日本時間のけさの四時ごろまで行われたという報告も来ておりますが、アメリカもイギリスもフランスもドイツもイタリアもソ連も、イラクは安保理の十二決議すべてを遵守すべきである、こういうことで主張は重なっておるようであります。そして、やはり私は、イラクが今回の武力による侵略、併合という行為に対してみずから厳しく省みて、国連決議を無条件で全部受け入れてあの地域の平和のために行動をする、その行動の第一歩、局面転回の第一歩がクウェートからの無条件完全撤退である、こういう考え方は変えておりませんので、御指摘のけさの対策本部でも、私はそのことを発言をし、全員でそのことに対する確認をして、今後ともあらゆる場所を通じて、イラクに対しては国連決議を無条件ですべて受け入れて和平のために決断をするように求め続けてまいりますし、またそのような立場に立って努力をしておる諸国のいろいろな動きを注視するとともに、国連が中心となって、これらの問題について今安全保障理事会でいろいろな動きをしておるわけでありますから、そこで和平へ進展していくような兆しが出てくることを強く期待しながら、ただいまここに来ておるわけでございます。
#5
○野坂委員 国連の安全保障理事会では、ほとんどの国々が十二の決議案完全履行という格好に固まりつつあるという情勢分析でありますから、イラクも報道によりますと具体的に六百六十号は受諾表明をしておるということになれば、平和は秒読みの段階に入った、こういうふうに私どもは理解をすべきなのかどうか、その点についてもう一度お願いします。
#6
○海部内閣総理大臣 六百六十については、これに対応するということは、この間の十五日の発表以来いろいろ言われておりますが、それ以外のものについてはこれは効力を失う、無効であるということをイラク代表自身が、安保理事会にも出てきて発言をしたというような報告があり、同時にまた、イラクがこの全部の国連決議を受け入れるということが国際社会の総意に従う、国連で平和の破壊者は許さないという決議に対して反省の意を示して、それにこたえるということは、私は、単に六百六十号決議の撤退だけで、あと全部無効にしますよということではこれは解決ができない、国際社会の総意もそうであろう、日本の気持ちもそうであるということでございます。
#7
○野坂委員 わかりました。
 多国籍軍がクウェート市内に突入をした際に、数千人のクウェート人の皆さん方が死亡されておる、数千人の諸君たちが死んでおるという放送もあったわけでありますが、そして二万ないし三万人というイラク軍の捕虜、それが、おれたちは五日間も飯も食っておらぬ、水だけで生きてきたというようなことを述べておるわけですが、そういう状況であれば、クウェートの市内には七十万人と言われた人々がいた、しかし今は三十五万人だということも伝えられておるわけでありますが、イラク領内にクウェートの諸君たちが勾引をされておる状況があるのかどうかということが一点と、そして軍人が、イラク軍がそういう食糧難に陥っておるということになれば、その市内における民間人の皆さんは、あるいは食糧をとられたり、あるいは言葉は悪いんですが略奪をされたり、そういうこともあり得ると思うのでありますが、そのような状況というもの、惨状というものは、皆さん方は把握されておればここでお話をいただきたいと思うんです。
#8
○渡辺(允)政府委員 最初に、クウェートの人々がイラクにいわば連行をされておるかどうかという御質問でございますが、今回のイラクによるクウェートの占領以来、そのようなことが行われているという報道その他の情報は各種ございましたそれからクウェートにおける食糧事情、特にイラク軍の中の食糧事情についてもいろいろな情報がございます。ただ、私どもとしてはそれを直接最終的に確認をするということではございませんけれども、そういう各種の情報に接しておることは確かでございます。
#9
○野坂委員 外務省というのは非常にかたく踏んで、何というか公式な発表なり声明がないとここでも物を言わぬ。いろいろな情報というふうな話ですけれども、そういう連行されたり勾引されたりという情報としては受けとめていらっしゃって、市民生活はどういう状況なのかということについても、もちろん公式的にはないと思いますが、情報としてどの段階まで、そういう厳しいということだけではなしに、死者数千人あるいは軍人の食糧難、そういうことから考えると民間人はもっとひどいじゃないかなということを心痛をするわけです。そういう状況というのは、今局長からもお話があったのですが、情報としては受けとめておるというものの内容を少し詳しくこの席でお話をいただければと思うのです。
#10
○渡辺(允)政府委員 昨年、アムネスティー・インターナショナルという国際団体がイラクの状況の調査をいたしまして、その中には、裁判あるいは司法手続によらない刑の執行それから拷問、それから例えば幼児病院の保育器が引き出されて三百人の幼児が死んだというような事例が各種報告をされております。アムネスティー・インターナショナルは、もちろんこの紛争についてどちら側という立場には立たない中立的な立場からそういう報告をいたしておるわけでございます。
 それから、さらに私ども、クウェートの大使館の例えば従来関係のあったクウェートの人たち等から、その人たちが例えばサウジアラビアに出てきた場合等にいろいろ話を聞いておりますけれども、非常に苦しい状況にある、食糧不足、物資不足、それから身辺の危険等についていろいろな話も聞いておるわけでございます。
#11
○野坂委員 今総理は、この中東地域に恒久的な和平の確立をしなきゃならぬ、こういうことを御答弁されました。中東地域の恒久的和平策の日本政府における具体的な内容、その点についてどのようなことをお考えになっておるのか、明らかにしてもらいたい。
#12
○海部内閣総理大臣 中東地域の歴史的な背景とか、きょうまでそれをめぐるいろいろな戦争が続いてきたということや、また最近はアメリカのベーカー国務長官の提案による和平工作とかエジプトのムバラク大統領提案の和平工作とか、いろいろなものが続いてきたことを思い起こしますと、あの地域の和平というのは、ただ単に武力行使が終わるというだけで確立されるものではありませんので、武力行使が終わった段階で、要するに局面が打開して落ちついたときに改めてそれらの問題についての話をしていかなきゃならぬ、それが中東の恒久和平であり、そのポイントは国連決議の二百四十二号に私は凝縮されてきておると、こんな受けとめ方をしましたので、私自身としても、総理になってから、例えばPLOのアラファト議長、あの人も中東和平には一つの役割を果たしていかなきゃならぬ人でありますが、イスラエルという国を承認しない、自分の意向に合わないことはテロを行ってでもこれは貫くんだという路線を変更しない限り和平は来ないわけですから、アラファト議長がその二点については約束するから日本の政府と一遍話し合いたいということでしたので、初めて政府賓客として来てもらって、私は首脳会談もしました。そのときにそのことを確認をいたしております。同時に、パレスチナの問題を含む解決をきちっと枠組みをしませんと、中東の恒久和平は来ません。そのために、アラブとイスラエルの直接対話もベーカー提案のようにこれは進んでいかなきゃなりません。
 そういった複雑な問題が絡み合っておるのが中東問題でありますけれども、一つ一つ片つけることは、イスラエルの存在を承認すること、テロをなくすること、イスラエルは占領地からの撤退をすること、そういったことを含めた国連決議の二百四十二号のあの内容というものが恒久和平をするときの大きな下敷きになること、これは間違いないし、また、それを支持しておる日本政府としてはその線に従っての歩み寄りのために何ができるのか、できる限りの対応をしていかなきゃならないと考えておるところであります。
#13
○野坂委員 御答弁をちょうだいしましたが、イスラエルの生存権なりあるいは占領地からの撤退なりパレスチナ問題、パレスチナの建国問題なり、いわゆる国連決議二百四十二号に基づいて具体的にこの問題を解決しない限り中東の和平はあり得ない、こういう御認識はよくわかりました。
 日本の場合に、何をすべきか、何をしなければならないかという立場に立つと、演説としてはわかりますが、具体的に何をされますか、何をしなきゃならぬというふうにお考えですか。話し合いをせい、やってくれ、言うことは言うけれども相手は聞いてくれぬかもしらぬ、まあ言ってみるということではなしに、戦後の問題については総理はどの国よりも積極的に対応するというお話を何回もされたわけですから、そういうことは、最終場面に至った現在の湾岸戦争から見て、その終息が行われた後に直ちにこれらの問題をしなければ中東地域の恒久和平というものは実現できない、またこれをやらない限りは本当の意味の中東の平和はないだろうというふうに我々も考えておるわけですから、総理はそういう展望と洞察力を持って具体的に何を行動しようとするか、どういうことのさいを投げますかということを聞きたい。
#14
○海部内閣総理大臣 申し上げておりますように、この湾岸の紛争が起こるちょっと前でしたけれども、湾岸紛争が起こる起こらないにかかわらず中東の恒久和平には積極的に協力をしなければならぬという気持ちを持っておりましたから、先ほど例としてお話ししたアラファト議長との問題は、あれは中東和平に対して、アラファト議長の果たす大きな役割というものを我々も認識しておりますし、そこに一つの、日本としての接点で努力をしたということの一つでございます。
 それからさらに、これは国際的な大きな枠組みの中で、あの地域にはアメリカとかエジプトとか、きょうまでいろいろ努力をしてきた国がたくさんあるわけであるし、また国際的な協力のもとで話し合いが行われていかなければ、日本だけが今こういった状況の中でこうしろああしろと言っても、それは直ちにそうなるものでもありません。多くの国々との共同作業の中でこれは図られていかなきゃならぬし、また九月の国連総会のときにも、何回もここでも議論になっておりますが、ブッシュ大統領もその提案の中で、イラクとクウェートの間の問題とかあるいはアラブとイスラエルとの間の問題は、これはこの国連決議に従った解決があれば、その後さまざまな機会が提供されるであろうということを提案しておるし、また、フランスではミッテラン大統領が提案しておることも、何回もここで御議論があって御承知のとおりでありますが、重ね絵のように合わせてみますと、結局中東の問題は、今のこの力の状況の中でリンクして片つけるというのではなくて、この問題はこの問題で、イラクが国連の決議に従って完全に撤退をする、無条件で撤退をする、これが一つ。
 局面が打開された暁には、さまざまな機会が提供されて、そこでは中東和平の問題について話し合わなきゃならぬ。パレスチナ人とアラブ人との直接対話の方針もある程度まで進みつつあったものが、今度のイラクのクウェート侵略によってあれが中断してしまったという、極めて残念な事実もあるということも既によく知られたところであります。これはやっぱり国際社会の場で、私は、でき得れば国連のようなところが中心になって、この局面打開された後においては、国連総会におけるいろいろな首脳の演説の中にもそれがある、また、御記憶と思いますが、ぎりぎりの、たしか一月十六日のぎりぎりまでかかって国連の事務総長が世界に出しましたアピールの中にもその問題は含まれておって、これが解決をすれば、国連事務総長の立場でも恒久和平について努力をするんだと、このことはきちっと声明されておるわけでありますから、私は、国連加盟国の一員としての日本、同時に国連加盟国のアメリカやフランスやあるいは当事者であるアラファト議長までが、もうテロはやめる、イスラエルの生存権は認める、そのかわりパレスチナの問題についても国際的な合意を得たいという、いろいろな願いというものは重なり合ってきておるわけでありますから、それを重ね絵のように合わせてみて、どこにポイントがあるのかということはおぼろげながら、表現とか幾らか違うところはまだ残っております、完全一致とは申しませんけれども、そういったものを大切にしながら、その接点を大切に育てていく努力を国際社会ですべきであって、日本はそれに対しては積極的に参加もするし、やるべき役割があったならばこれは行動にも移していきたい、またきょうまでもそういうつもりで努力をし続けております、こういうことも申し上げた次第であります。
#15
○野坂委員 総括的なお話をちょうだいして、具体的ではないと思いますが、まあ努力をされておるようですけれども、耳には聞こえますけれども、よく目には見えませんが、そういう考え方であるということはわかりました。
 そこで、クウェートからは撤退をした。しかし、今も総理がお話しになりましたように、中東の地域における平和の考え方ですが、現実に撤退をした、しかし、恒久平和のために多国籍軍はいわゆるイラク領内に進攻する――アメリカ側が言っておるのは、いわゆるこれは敗走なり撤退じゃない、将来の軍の立て直しのために一時イラクに帰っただけだ、こういうような認識も示されておるわけであります。総理は、アメリカを中心とする多国籍軍がイラク領内に進攻をする、将来にフセイン体制というものがある限りは不安を残すではないかという格好でイラク領内に進攻する場合は、日本政府としては、国連決議との関連でどのようにお考えであろうかということを聞いておきたい。
#16
○海部内閣総理大臣 フセイン大統領の声明というのは、どちらから読んでも、私は、今おっしゃるように国連決議に素直に従って撤退をしていくんですということにはなっておりません。勝利をおさめたとか、多国籍軍がむしろ侵略をしておるんだとか、その侵略の口実に国連決議を使っておるんだとか、我々流に素直にこれを読めば、まだまだ反省が足りない。無条件で即時撤退するなれば、もう少し言い方や態度があるではないか、そういったことがよくないんだと。我々が願っておるのは無条件な撤退でありますから、侵略者としていろいろな国から国連の決議を再三にわたって受けたんでありますから、その国連の決議はすべてやっぱり無条件で忠実に受け入れる、従うということを私はきちっと声明しなければ、これはこの問題の根本的解決にならない。うやむやのうちに問題を片つけたのではこれはいけませんから、明確な意思表示をして、そして国連決議を受けて無条件に撤退をする、きちっとそれを態度で表明し、それをすべての国が認めるようにしなければならぬと思うんです。
 繰り返すようでありますけれども、きょう四時まで続いた国連における、そして各国のそれぞれ政府報道官が対外的に報道しました問題、意見、それらを集約を見てみましても、これやはり、イラクは安保理の十二の決議をすべて遵守すべきである、撤退演説は不十分である、安保理決議を制限なしに明確に受け入れなければならない、こういうことがアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、そしてソ連も、ソ連もこういうことを言い、ECは全部が集まって、イラクはすべての国連決議を受け入れない限り、これは新しい要素が生まれたとは考えないと、これがやっぱり世界の国々が、安保理へ出しておる国々の意見であり、私自身も何回も申し上げておるように、国連決議を受け入れた原則的な解決をしなきゃなりませんから、まず局面転回するためには無条件に撤退をすべきである、その基本姿勢でございます。
#17
○野坂委員 そのことは私もよく理解をします。安保理で全世界の理事国がそのような方向、十二の決議の遵守ということは当然だろうと思います。
 そこで、今まではイラクの方が何やかんやと言って引っ張ってきた。この際に、アメリカを中心にする多国籍軍というか、米軍は一気にそのことを声明をする前にイラク領内に突入をして、そしてフセイン体制というもの、軍部の弱体化といいますか解体を図っていく、再びイラクがアラブに大きな影響力をもたらさないようにという立場に立つ可能性はあろうと思います。その場合、具体的にイラク領内に進入する、進攻するということについては、日本政府は具体的にどうお考えかということを聞いておるわけです。
#18
○海部内閣総理大臣 国連決議を誠実に遵守をして原則的な解決をするということが、日本政府が期待をするというか、力でお役に立てないけれども、それだけは平和回復のためにやりなさいよというような願いを込めておるのは、クウェートの正統政府の完全な復帰であり、同時に、イラクがクウェートを侵略、侵攻したことに対して国連が、平和の破壊者だ、それに対する率直な反省を示すこと、そこから局面が転回して和平につながっていくのでありますから、そのことをまずきちっとしていただきたい、こういう気持ちであります。
#19
○野坂委員 イラク側が公式に六百六十号以降の諸決議を明確に、現在は現実に撤退をしておる、しかし、その公式声明を出さない限りはバグダットでもバスラでもアメリカ軍が、いわゆる多国籍軍が進攻するということは、日本政府としてはどうお考えですか、具体的にその辺はどうですか。入ることを許容するのか、やはりそこはしばらく待って政治的な解決をすべきか、そして安保理で十分議論をして政治的に解決をすべきかということについてのお考えを聞きたい。
#20
○海部内閣総理大臣 安保理でいろいろ議論をしていますけれども、それによって解決しておりませんし、安保理の常任理事国でない日本は、しかし国連の加盟国の一員として事務総長やイラクの代表やその他関係国にいろいろ物を申しておるわけでありますし、私のメッセージも事務総長にきちっと届けてありますし、それはあくまで原則に従った解決のためにはイラクがすべての安保理決議を誠実に受け入れることである、この一点に尽きるわけです。
 ですから、イラクの大統領の演説を聞かれて、誠実に受け入れる態度であると受けとめられるのでしょうか。私は、どうもそこのところはまだ確信を持ってそう言い切れない面があるから、世界の国々が先ほど御紹介したような態度をとっておるので、あくまで国連決議をきちっと受け入れるという物事の基本と原則に従った解決がなければこれはいけません。その解決をすることが大前提であって、そこから次の恒久和平の方に話は進んでいくのは、これは私も積極的に認めておるところでございます。
#21
○野坂委員 後ろからやじがありますように、我々はアメリカ軍を信じないでイラク軍を信じておるというようなことは考えておりません。やはり一番悪いのはフセイン大統領であるということはだれもが一致しております。したがって、ああいう声明を見て、輝ける撤退とか将来の展望があるとかいろいろ言われておりますけれども、我々が太平洋戦争の末期的なときとよく似ておるなというようなことを、しみじみとあれを見ながら感ずるわけであります。
 総理は、とにかくクウェートから無条件で撤退をすることだ、しかしアメリカ軍は公式声明がない限り入っても当然だ、こういうことになるわけですか。いわゆる受諾をするという公式な声明をイラク軍側が、イラク側がしない限りどこまで入ってもそれは当然だということになりますか。
#22
○海部内閣総理大臣 よく話が私は理解できないのですけれども、私は、国連の決議を明確に受諾するということ、そしてそういう態度を示すということが何よりも大事で、それを国連の安保理で諸外国が明確に認めるような声明と態度が必要だということを重ねて申し上げておるのでありますが、どうもいろいろな御意見の中に、アメリカが始めたのじゃなくてイラクが始めた問題であるということと、それから、アメリカはどうしても戦争をしたいのじゃないかとか、あるいは攻撃を受けながらの撤退という軍事的にも不可能な条件を突きつけて何が何でもできないようにしておるとかおっしゃいますけれども、――いやいや、社会党の党代表としてきのう本会議場で私に対する詰問された質問がこれでありますから、そういう間違った見方、つけてもいないような条件で議論されてはいけないということをきのう私が申し上げましたけれども、私の方は、国連決議をイラクが明確にきちっと守るということ、六百六十だけしか守らない、あとは侵略の口実に使っておるからいけないのだという、そういうイラクの態度を支持するわけにはいきませんし、そこは明らかにあきらめなければいけない、それでなければ恒久の平和は来ない、こういうことを申し上げておるわけであります。
#23
○野坂委員 私が言っておりますのは、総理、六百六十号だけではなしに十二の決議の遵守をする、これは世界の世論だ、だから日本もそれは支持をする、そのことはよくわかります。ただ、クウェートから撤退をした、この辺から、国連において公式な声明をし、停戦決議をするというところまでいくのは、政治的な解決という方法が残っておるのではないのか、その点はだめなのかということが一つと、いわゆる報道関係のニュースによりますと、いわゆるフセインの体制がある限り話し合いはなかなかできない、フセインとは交渉しない、フセインにかわるものの代表がイラク側に出てこなければアメリカとしては接触ができない、問答無用ということになるのかということを、その点について、フセインを打倒するということが中東地域の恒久的平和につながる一環であるから、この体制を打倒しない限り平和は来ないというふうな認識でアメリカは今言っておるわけです。そういう点についてはどうお考えかということなんです。政治的解決か、軍部で進めていくかということです。
#24
○海部内閣総理大臣 ブッシュ大統領の演説もチェイニー国防長官の演説も、私は注意深く全部聞いて採録しておりますけれども、やはりイラクの誤った行動に対して厳しく国連決議をもって行っておりますけれども、そこまで、今委員がおっしゃるようにフセインを打倒するのだというところまでいつ言ったでしょうか。いつそういうふうに受け取られたのでしょうか。私はそういうようなことは決めておりませんし、またそれを決めるのはイラク国民であって、私は、アメリカのブッシュ大統領ではないと思うし、ブッシュ大統領がそういうことを言ったとも承知いたしておりません。
#25
○野坂委員 この問題は後にして、いよいよ具体的に多くの被災者がたくさんおるし、国々が非常に荒廃しておるというのが現実でありますから、この後の復興対策が一番重要になってくるだろう、こういうふうに思うわけです。それに対する復興対策は湾岸危機対策本部等で十分お考えであろうというふうに考えますけれども、大蔵大臣の談話等も出ておりますが、当面すぐしなければならないこと、物だけを出して人も汗も出さぬといういろいろな批判があるということですけれども、すぐにその対応は必要に迫られておるだろう、こういうふうに思うわけです。その点はどのように措置をされ、準備をされておるのか、その内容が決まっておるといいますか、準備が着々と進んでおるということであれば、その内容についてお話をいただきたい。
#26
○橋本国務大臣 今、談話というお話がございましたけれども、私は、中東の平和が回復した後においてかくあるべしという談話等は出しておりません。
 ただ、本院において御質問が何回かございました。それに対してお答えをしてきたことはございます。そして、その中で私が申し上げてまいりましたのは、質問者の御提案が、例えばこういう構想はどうかとかいろいろなお話がございましたのに対し、さまざまな構想はあるが、例えば新しい組織をつくっていたのでは間に合わないのではないか、そして、既存の国際機関を活用する方がより早いということを申し上げてまいりました。
 と同時に、今この時期になりましてあえて一つつけ加えさせていただくならば、今肝心の中東のアラブの方々から、戦後復興についてどうあるべきかという意見、さらには、その中において例えば日本に対してどういう支援を求めるといった構想は示されておりません。私は、やはり一番大事なのはその周辺国をも含めて今混乱をしているアラブ世界が、一体他の地域にどのような支援を求めるかということがまず優先すべきではないかと考えております。そして、そうした提案が、あるいは要望が出てまいりますときには、当然外交当局のチャネルを通じてさまざまなお話があると思いますので、他の国々とも相談をしながら、日本が経済的な侵略を考えているといったそしりを受けないように注意をしつつ、全力を尽くさなければならない、そのように考えております。
#27
○野坂委員 日本の立場は、戦力に対する支援とか軍事的な協力というのは難しい。したがって、戦争終結後は直ちにそれらの積極的対応策が必要であるということは、だれもが意見一致するところであります。したがって、相談をして、被害状況の調査というようなこともいろいろありましょう。ありましょうが、先ほども議論がありましたように、食糧は不足しておるということは今の現状から事実だ、あるいは医薬品ということが必要に迫られておる、医療はないというようなことから考えれば、どの国よりも先に当面一番の被災地であるクウェートというところに送付をして、あるいは皆さん方の機関の中から派遣団を出して、早期にそれに対する対応策というものは今我々がとるべき一番大きな課題ではなかろうか、こういうふうに思うわけです。あなたも、医薬品やそういうようなものについては緊急に対処する必要があろう、ただ被害状況はわからない、こういうことですけれども、今も中近東アフリカ局長がお話しになりましたように、極めて重大な事態を迎えておりますというお話でありますから、それらに対する対応策は緊急に対処すべきではないかということを申し上げておるわけであります。それについての御見解を。
#28
○中山国務大臣 委員も御指摘のように、クウェートにおける被災民の救済という問題は、極めて大きな国際的な課題であります。そこで国際機関、つまり国際赤十字社とかといったようなところが既に活動を始めておりまして、それに呼応して日本赤十字社も既に人を出しております。今、クウェートは御案内のように相当な地雷あるいは火器が敷設されているということで、まず安全を確保するために軍事調査団が入ることが必要ではないかというのが国際的な常識になっているわけであります。もちろん安全保障理事会、国連を中心とした各国の機関がいろいろ動きますけれども、日本政府としては十分緊密な連絡をとりながらこれに対応していきたいと考えております。既に外務省からは渡辺外務審議官、小和田外務審議官を中近東及びヨーロッパあるいはイスラエル等にも出張させておりまして、刻々現地の情勢を収集しておりますから、万遺漏なきを期してまいる万全の体制をしいていることを申し上げておきたいと思います。
#29
○野坂委員 外務大臣は万全の体制であるということでありますけれども、過去の経緯を考えてみると、万全の体制ではないではないかというふうに思われます。
 例えば、昨年の九月に我々の医療団がサウジアラビアに派遣をされました。当時、百名の目標でありましたけれども、二十五名で、そのうち医者は七名、そして看護士といいますか看護婦さんは四名、調整員がたしか十四名、こういう格好で、向こうでも、一カ月で帰らなければならぬからなかなか十分な話し合いができぬで、日本から行った皆さんも不満を持ってお帰りになる、そしてあなたは途中から引き揚げるように指示をされた、こういう経過があります。
 しかし、現実にフィリピンもあるいは韓国もスウェーデンも、たくさんの国々が五百名から百名程度の皆さんを送って、その医療活動等に当たっていらっしゃる。そういうものと比較をすると、日本の場合はこれからで、たったこの間文部省からは七名の医師の報告があった。他はまだ全然ありません。万全対策ですか、これで。よその国は、他の国はたくさんの皆さんが行っていらっしゃる。日本はだれも行かない。そして今の募集は七名程度だ。何の目標もないというような格好から見れば、私どもは万全の対策ということは、過去の経緯から見てそれは万全の対策にはなっていないじゃないか、こういう疑念と疑問が残るわけであります。
 それらについて、医療問題や食糧問題あわせて、そういうボランティアを含めた大量の皆さんが――たったこの間も二名の方々がいらっしゃるということが大きなテレビニュースで出ておりました。しかし他の国はもっともっとたくさんの皆さんがおる。そういう状況から見て、日本ができることはしなければならぬ、今何をやらなければならぬのかという意味で、医療団の派遣なりそういう調達品、あるいはたくさんの皆さん方を出していくということが万全の体制で、今終局が秒読みの段階に入っておるということについては総理大臣もお話しになったわけですから、それらの体制を確立すべきではないのか。関係大臣も、この間私の質問に対して、ゼロであります、七名です、ゼロです、こういう格好では万全の対策ということは言い得ないではないかということを私は指摘せざるを得ないわけであります。
#30
○中山国務大臣 韓国、フィリピン、タイあるいはポーランドとか、いろいろな国からたくさん出ておりますが、これは全部軍関係であります。もし日本の国会が拍手をもって、日本の自衛隊の防衛医官を一時外務公務員としてこの難民救済のために出せという御決定がいただければ、直ちに出せるわけであります。これができないところに日本の苦しみがあった。我々は、サウジアラビアに医療団を派遣するために大変な苦労をしたわけであります。しかし、あのアル・コバルのところでも、この間、きのうですか、スカッドミサイルが撃ち込まれて米軍が二十人死んだということが言われております。そこへ拠点をつくるといったときに、日本の医療団からはそのような危険なところに行きたいという人は極めて少なかった。命令系統がないわけであります。日本赤十字社も、戦乱の起こるところには出さない、こう言っているわけです。この現実を踏まえて御議論をいただかないと、一方的に日本の医療団を出せなかった政府の責任を追及されましても、それはむしろ少しお言葉が過ぎるのではないか、私はそう思います。
 私どもは、いつでも出せる体制は、防衛医科大学にしたって、あるいは自衛隊の医官にしたっておるわけであります。ところが、この人たちを海外に派遣することは認めてもらえない、こういうことになりますと、フィリピンから出ていくテレビの姿を見て、外務大臣としては、一体何と日本というものは難しい国になったのか、あるいは韓国からの医療隊が出るときも私、テレビを見ておりました。ずっと世界じゅうが協力した姿を見ておると、全部軍関係の医官であります。ここいらのところを御理解いただかないと、これから日本が国際社会に協力をするといった場合に非常に難しい。
 ただし、この戦乱が終わった後の被災民を救うために人を出そうということになりました場合には、私は、前回のように、これから戦争がおっ始まるからそこへ行ってくれというような条件とまた変わった条件のもとで、既に二十名を超える方々がこれに積極的に参加しようということの申し出がございますから、その点はひとつぜひ先生方にも御理解をちょうだいいたしたいと考えております。
#31
○野坂委員 今、言葉が過ぎるのではないかという話がありましたが、防衛庁なら行かせる、しかしほかにはないじゃないかと、そういう手だてが日本政府でできておるかどうか。例えば外務省の外国に勤務するという職員の任命は、決まってから、一週間前ですよね。自衛隊というのは小牧に来て何カ月も訓練をしておる。日本の気候とサウジやヨルダンとは気候が全然違う、それもなれていない、何の訓練もしないで行く、そして外務省の職員としての給与、民間会社はやめてあなたのところに採用される、そして賃金も非常に安いということが現実であります。そして災害があって死んだ場合は、二十四歳で十年間ぐらいの看護婦さんは八百万円の一時金しかもらえない、年金も二百八十万円だということの条件も書かないで募集をする。
 日本人の名誉のために申し上げておきますけれども、自衛隊でなければ、民間は行けないかということは、何のこともやらないで、何の条件も出さないで行かぬか行かぬかということだけでは、それはどういう条件ですかと言って聞かざるを得ないわけです。それらのことをきちんとして募集をすれば、日本人の皆さんは、率直に民生の安定のためなら平和憲法下にあって当然我々も立候補するという方々が私はあるだろうと思います。条件も示さない、一週間もやらないというようなことについては我々は納得できない。たくさんの民間人の皆さん方は、積極的に世界の平和のために尽くすべきは尽くそうという考え方の方も多くあるということは信じて疑っておりませんが、自治省は自治省、厚生省はその系列の病院、文部省は文部省管轄の大学病院、こういう格好だけで集められておるということでなしに、広くこういう情勢で民生の安定のために、今でも遅くないと思いますね、もう秒読みに入ったということを総理も確認をしておられるわけですから、そういう情勢の際に日本の国民が憶病で行かないということは私はないと思います。積極的にそれは対応してくれるだろう。そういうことを十分に理解して日本政府としてはその労働条件や、あるいは訓練や、そして向こうとの折衝や、サウジでは一カ月ではだめなんだということの認識はできておる、しかし募集は一カ月しかしないという格好になっておるわけですから、日本の国民の名誉のためにもそういう点については十分幅広く、外務省が統括をされておるようでありますから、それらの点については配慮して、防衛医官でなければ行けないというような状況ではない、私はそういうふうに認識をしております。その点については十分理解をして作業を進めてもらいたいということを申し上げておきます。
#32
○中山国務大臣 率直に申し上げまして、昨年サウジアラビアのいわゆる医療施設に人を派遣するといった場合に、方法が幾つかございました。例えば防衛庁の武官を海外の大使館に勤務させる場合には、いわゆる外務公務員として職責を与えるわけであります。つまり身分を外務省の職員にかえるわけであります。だから、防衛医官を外務省の職員に仕立てて送り出すことは一応可能であったわけであります。
 しかし、私は外務大臣として、そのようなこそくな手段をとるべきではない、つまり防衛関係の人たちを出す場合には、かねてから国会で御議論がある、しかも一人や二人出すような問題ではこれはないのです。何十人というチームで出さなきゃならない、しかも戦場になるかもわからないところで治療に当たる人たちは、これは普通の医師ではできない、これはやはり外科医が必要である、それはチームが必要である、こうなってまいりますとなかなか、先生も御案内のように、各大学病院あるいはそれぞれの地方自治体の病院もございますけれども、みんな実際に医療活動をする人は患者を抱えているわけです。その患者を抱えている先生を、行ってくれ、こう言った場合に、その先生が一カ月か二カ月サウジアラビアに行っている間のその補完をどうするのかと。これはもう一般の公立病院でも私立の病院でも医師の確保、看護婦の確保ということは、この国会の御議論を通じても大変難しい日本の課題になっているわけです。その中から何十人も送り出すということは現実の問題として不可能でありますし、戦争が起こるというときに、そこへ弾が飛んでくるかもわからないというところへこの先生方に行ってくれということを言い得る院長はほとんどいないわけであります。この現実を先生よく御理解いただきたい。これが日本の現実なんです。私は外務大臣として徹底的にやってみました。しかしできなかった。このできなかった日本の抱えている課題、この苦い経験を通じて、御議論をいただいて、どうしたらこれから国際社会に貢献できるかということの結論を出していただくことが、これからの日本の国際社会に対する協力のあり方、それが私は大きな課題としてこの我々の国会に与えられたものだ、この経験を通じてぜひ国際社会から信頼される日本になるように努力するべきであると外務大臣としては考えております。
#33
○野坂委員 時間がありませんが、私は、信頼されるべき日本、そして今何をなすべきかということを問われておる日本、そういうことになれば、日本の国民の皆さんを私は信頼をしておりますが、もちろん外科医でなきゃならぬ、チーム編成でなければ系統的な治療ができない。私は今言っておるのは、傷兵だけではなしに、民生の状況から見てクウェート人の民間人が診られるように、あるいは内科的にもいろいろな問題もたくさんあるかもしらぬ。そういう意味で広く、チームの編成等はいろいろな問題があるかもしれませんが、他国では五百人も百五十人もそれぞれ出ているわけですから、そういう点について十分貢献ができるという、その気持ちですね、その考え方、そしてその意思というものを十分尊重して、こういう状況なんですがということを広く国民の皆さん方にやって積極的に対応するためには、広く日本の国民の皆さんにいわゆる戦場に行くんではないということを強調しながら、これからの対応といいますか対処を、善処をしていただきますように私は強く訴えておきたいと思うのです。
 それでは、時間がありませんが、多くを申し上げませんが、ここの九十億ドルの内容についてですけれども、今や終息の段階に入っておりまして後追いになるような状況ですけれども、いずれにしても日本の憲法の問題やあるいは自衛隊法の問題、そういう問題があるから九十億ドルについては明らかにしておかなきゃならぬ、そういうふうに私どもは思うわけであります。
 考えてまいりますと、九十億ドルの拠出というのはいわゆる日本政府が自主的に決めた、こういうことになっておるわけですね、自主的に決めた。それで、きのうも同僚議員から議論がありましたように、九〇年度の補正予算としてアメリカでは、この湾岸戦争に対する経費がかかる、そして百五十億ドルを計上した、その内容については、各国から協力資金として五百三十五億ドルあるということになっておるわけです。そこで、サウジアラビアからは二回にわたって百六十八億ドル、クウェートからは百六十億ドル、アラブ首長国連邦からは三十億ドル、日本からは百七・四億ドル、ドイツからは六十五・七二億ドル、こういうふうにもらうことになっておりますということが予算局長から説明をされておるわけであります。それでこの百五十億ドルの承認方を要請をしておるわけですが、それは早く終わったらこの百五十億ドルは使わないかもしれません、他の国からいただいたものについてはこれはお返しはいたしません、こういう説明がなされておるわけであります。したがって、この九十億ドルは、当初、きのうも話がありましたが、湾岸の平和協力基金に行って、そして運営委員会で事務局長と恩田大使によって運営が決まる、それで配分されるということになっておるわけであります。まだ議決がないから送っていないということはわかりますが、それらについては計画として受けとめて、配分をアメリカでは予算計上しておるということになっておると思うのでありますが、その点についてはそのとおりでしょうか。
#34
○橋本国務大臣 現に国会で御審議をいただいておる補正予算の内容でありますから、九十億ドルが支出をされておらないということは当然のことであります。そして、仮に議決をちょうだいをし、その費用の調達ができました段階において、湾岸平和基金にこの金額は拠出をされるわけであります。そしてその湾岸平和基金において、先般来御論議に対し総理からお答えをしておりますような日本政府の意向というものを表明しつつ、当然、交換公文に基づいて議論が進められ、各国に対しての配分が行われることになろうと思います。
 昨日来いろいろな角度からの御論議がありましたけれども、これは非常に素朴な申し方になりますが、現に日本政府が審議中ということも記載をされているアメリカの附属資料というもの、これはいわば枠取りといいますか仮置きといいますか、米国に対して結果的に幾ら配分をされるかわからない現段階において、日本の多国籍軍に対する平和回復に対する努力に拠出される金額そのものを仮に置いている、私は実は素直にそんなふうに感じておりました。そして、米国自身の閣僚の国会における証言の中におきましても、それがアメリカに全部充当されるという答弁がされておらないわけでありますから、私はまさに仮置きという感じでこれを見ております。
#35
○野坂委員 はっきりこの予算書に載っておるのは、今私が読み上げましたように五百三十五・四五億ドルが各国が米国に約束をした湾岸協力の金額として明示されておりますね。そういうことから考えて、使途についても全部、戦闘に伴う費用、戦闘終結後の兵力の問題、兵員、軍備の本国送還というような一つ一つの項目別にその内容が明らかになっておるわけであります。そういたしますと、日本の九十億ドルというものはアメリカの国防協力基金の中にGCCを通じて入っていくわけですから、それは事前に輸送関連なり食糧関連なり医療関連なりあるいは事務関連という格好で、方針ですよと言って日本が出しておったにしても、その運営の中では全部九十億ドルは行くことになっております、こういう内容になっておるわけですね。それについては、私はそのつもりで出したのですがそこで運営されて九十億ドルは向こうに行っちゃったんです、そこまではできません、こういうことですか。
#36
○橋本国務大臣 事務的な点につきましては、外務省の方から説明をしていただきたいと思います。
 ただ、九十億ドルがアメリカにと仰せられますけれども、アメリカの財務長官自身が議会の予算委員会において他の国名も挙げて配分について言及しておられることは、委員も御承知のとおりであります。日本はアメリカに九十億ドルの拠出を約束いたしておりません。湾岸平和基金に対して、多国籍軍が行う湾岸の平和と安定の回復の努力のために負担をする資金としてこれを拠出するという内容であることをもう一度明確に申し上げたいと思います。
#37
○松浦(晃)政府委員 先生御質問の、日本が湾岸平和基金に出しましたお金がアメリカに流れた場合に、それが日本が考えている具体的な使途に充てられる保証がどういうふうにあるのかという御質問でございます。
 国際的なレベルと国内的なレベルで申し上げますと、まず国際的なレベルで申し上げましては、湾岸平和基金におきまして運営委員会で具体的な使途を決定いたします。これは総理が繰り返し申し上げておられますように輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連等ということを私ども考えておりますが、これに基づきまして決定を運営委員会で行っていただきまして、それを踏まえまして運営委員会がアメリカ政府と話をいたしまして、アメリカ政府の具体的な要請に基づいて運営委員会で決めまして、まさにこういう使途に使うということでアメリカ政府に湾岸平和基金からお金を流し、アメリカ政府は事後的にまさにこういうことに使いましたという報告を湾岸平和基金にするというメカニズムが国際的にできております。
 それから、アメリカ国内での処置ぶりでございますが、今先生がお触れになりました防衛協力基金に関しますアメリカの国内法がございまして、この国内法によりますと、この防衛協力基金に外国から寄贈を受けた資金につけられました条件、つまり具体的な使途を議会に通報しなければならないということになっておりまして、したがいまして、従来の輸送関連経費に関しまして、行政府はアメリカの議会に対しまして、湾岸平和基金から受けましたこの輸送関連経費はまさに輸送関連費に使うということになっていますという通報を行っております。今度の九十億ドルについて当てはめますと、まさに今申し上げましたような具体的な使途に充てるということをまさに防衛協力基金の法律の第h項でございますけれども、ここに従って行政府は処理するという国内的なメカニズムがアメリカにもできております。
#38
○野坂委員 この題目は戦費経費ということになっておりますね、アメリカの場合は。公表する、何に使ったということを報告をするということでありますが、日本は会計検査院もそういうところについて何に使ったかというような検査はできないということを明確にしておるわけです。だから、GCCに出すということになって、そこで運営委員会で決まる、各国からの要請があるということになると、どこに配分するかということは言わないにしても、この方針でということになっておるその方針どおりにいくかどうかということは、それは監察することはできない。一方アメリカは、歳入として九十億ドルといいますか百七億四千万ドルというものを帳簿に載せて受け入れる。使途はこういうことで戦費ですということを明確にしておるわけですから、それについては後で報告を受けると言っても、すべてが終わってからということになります。それについては、湾岸協力機構ですか会議に方針として伝えるよりも、具体的にこうではないか、このようにしてもらいたいということはお伝えになりますが、内容としては戦費ということになりますが、そういうふうに我々は認識してもいいのか。戦費であるのかないのか。戦費というのは、この間、公述人の皆さんからお話をいろいろと聞いたわけですけれども、そういうものについてはもう時間がありませんから説明はできませんが、戦費ですということを明確にしておるわけであります。
 それについては、そのように戦費であろうという御認識に、もう戦争は終わりかけておるわけですから、どういう状況なのかという点を率直にお答えをいただきたい。
#39
○橋本国務大臣 日本政府としては、湾岸における平和と安定の回復のために負担すべき経費と考えております。
#40
○野坂委員 きのうは大蔵大臣は平和回復のための資金である、平和回復活動資金だ、こういうふうに言ったのですが、総理は平和回復と安定だ。――わかりました。いわゆる回復と安定だと。そうすれば九十億ドルは、いわゆる四十日なり五十日で終わると仮定をすれば、返してもらわない、返さないと言っておるわけですから、その安定のために使ってもらうということになりますね。いわゆる平和を回復した、今度は安定をするために使うということになれば、九十億ドルのうちの五十億ドルなり四十億ドルなり三十億ドルというものは安定のために使う、だから後方支援ではなしに、今後の経済復興のための方に使うということになりますかということだけお尋ねしたい。
#41
○橋本国務大臣 これは、私は今、状況の把握、先刻総理が報告をされた以上に出ておりませんので何ともわかりませんが、いずれにせよ、湾岸の平和、安定の回復のために現に多国籍軍がクウェートからイラクを排除するために戦っております。そして、イラクという大国がクウェートという独立国の主権を国連決議において求められているとおりに認めないという結果、混乱が続いておるという状況でありましょう。
 いずれにしても、日本は湾岸の平和と安定の回復のために、行動の支援という視点からこの九十億ドルというものを拠出するわけでありますから、その目的に従って使われるものと信じております。
#42
○野坂委員 時間がありませんが、日本はこのことを戦費として認めるか認めないか。前方とか後方とかは一体となって軍というものはあるわけでありますから、そういう面でアメリカは戦費であるということを明確にしておる。アメリカはそう思っておる。日本ではそうではない。これについては、アメリカははっきり戦費だという断定をしておるわけですね。日本はそれについてどのようにお考えですか。戦費ではありませんか、戦費ですか。
#43
○橋本国務大臣 アメリカの会計規則の中でどのような分類が行われているかということ、それと日本政府の意思とは別のものであろうと思います。
#44
○野坂委員 それでは、アメリカと日本の政府との考え方は、使用方法についてはいわゆる食い違いがあるということですか。一致はしないということですか。
#45
○橋本国務大臣 違っておらないと思います。私は正確なお名前を忘れてしまいましたけれども、たしか国務省の報道官ではなかったかと思いますが、アメリカ側のさまざまな数字の中において、日本の主張に対してそれを十分、どういう言い回しでありましたか、日本が負担をしていただく部分というものはこういう部分であり、問題はないと考えるという発言があったと記憶をしております。食い違っているとは思いません。
#46
○野坂委員 私は、時間がありませんから、総理に最後にお尋ねをしておきたいと思いますが、今私が読み上げましたように、後方支援であっても、兵員の輸送とかあるいは給料とかそういうものが全部この中に入っておりますよということを予算局長は説明して、題目も戦費及び経費ということを明確にしております。それで、アメリカはそういう認識で、予算委員会には、戦費として議会には提出をしておるというのが現状です。しかしあなたは、日本政府は輸送関連なり事務関連なり四つの項目に分けて、この方針で出します、こういうふうにおっしゃっております。だから、入った金はアメリカの戦費として使われますが、日本の政府とアメリカの政府は、私は、食い違いがあるということが浮き彫りになっておるということを認識しております。その点についての食い違いを認めるか認めないか、お話をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
#47
○海部内閣総理大臣 私は――聞いてください、聞いてください、私が答えているんだから。私は、食い違いはないと何回も申しております。というのは、アメリカは、あの武力の侵略があったときにいち早くサウジに防衛線を張って平和の破壊を食いとめ、その後も多国籍軍の大宗をなす、その主役を果たしてきた国でございます。だから、アメリカの考え方というのは、ああいったときは力でもってでも抑えてやらなければやられた方がかわいそうだ、抑えなければ侵略がどこまで広がるかという使命感に燃えて出てきたのだろうと私は推測をしておるのです。ですから、かかる費用すべてもアメリカとしてはそれはおっしゃるように見るでしょう。日本はその全額を負担すると言っているわけではないのです。応分にその一部をささやかに負担して支援金を出そう。そしていろいろな国内の事情等もあり、国会の与野党の議論を踏まえ、私は、申し上げたように、与野党の議論を踏まえて、国民感情等も配慮せよということでありますから、ぎりぎりの選択としてこれだけのことをいたしますとここでお答えしました。けれども、目指すところは平和回復であり、国連の平和回復活動に対する多国籍軍に対しての部分的の支援である、それができる限りの範囲であるということで、日本の立場は日本の立場であります。だから、全体としてそれをとらえたときに、どこも食い違いがない、終点は国際平和の回復と維持である、こういうことであります。
#48
○野坂委員 委員長、私はこれでやめますけれども、納得はできませんね。アメリカはアメリカですから、普通、初めにやっておればこの辺でとまらなければならぬのですけれども、時間が来ております。言うなれば、非常に戦費と食い違いがあるということだけを、一致はしていないということだけは明確に申し上げておきます。
 以上です。
#49
○渡部委員長 これにて野坂君の質疑は終了いたしました。
 次に、新村勝雄君。
#50
○新村委員 総理の御努力に敬意を表しながら質問を申し上げたいと思います。
 そこで、補正(第2号)、これは一〇〇%戦争予算でありますので、まず最初に、総理の戦争観といいますか、戦争に対する哲学といいますか、これを伺いたいと思います。
#51
○海部内閣総理大臣 戦争は許すべからざるいけないことである、こういう大前提をまず置きます。そして日本は、過去における歴史の反省に立って、侵略戦争は二度としないという誓いを立てた国でもあります。同時にまた、戦争というものを未然に防ぐ努力をいろいろしておりますけれども、しかし世の中には、わからず屋といいますか無法者といいますか、とにかくそういう大きな時代の流れがあり、しかもソ連とアメリカの二大超大国が、その持つ大変な力によって世界を抑えつけて、あるときは力の均衡、あるときは恐怖の均衡と言われるような平和を保ってきましたが、この冷戦時代の発想を乗り越えて、さらに話し合いによるいい時代をつくろうと流れかけておるときに、イラクがクウェートに攻め込んだこと、あれは侵略戦争と言っても私はいいと思うのです。それは絶対にいけないことだ、許すべきでないという国際世論がほうはいと起こって国連決議になったことも、これまた事実でございます。
 私は、最初申し上げたように、戦争はいけないことである、今後絶対、力による他国への侵略、併合を許すような世界であってはならない、こう思っております。
#52
○新村委員 今回の多国籍軍の開戦といいますか武力行使、これに当たってドイツのコール首相は十七日に、攻撃開始の報を受けて、極めて当惑している、これで平和解決への努力はすべて無に帰してしまった、この上は関係国と協力して早急な停戦を実現したい、こう言っているわけですね。これは、原文が正確にどういう表現であるかはとにかく、こういう意味のことを言われたわけです。それに対して、海部総理は、待ってましたとは言いませんけれども、断固戦争を支持する、多国籍軍を支持すると言われましたね。ですから、この日独両首脳、指導者の表現を見ますと、その間にかなりの違いがある、戦争に対する認識あるいは戦争に対する考え方に違いがあるのではないかというような感じがするわけであります。
 コール首相は、極めて当惑しているという言葉の中に、戦争に対する苦渋に満ちた選択、それからまた開戦に至るまでいろいろと悩み抜いた、あるいは、万策を尽くしたけれどもついに開戦になった、こういう開戦に至るまでの、あるいは開戦を支持するまでの心理的ないろいろの葛藤というか変遷なりというもの、そういう苦しみを経て、しかしこれは国連の決定であるから国連には従わなければならない、そういう選択を、同じ選択をするにしても、やはりそこに平和への飽くなき追求というか、それを追求し抜いた、そして苦しみ抜いた末の苦渋の選択ということが、この言葉の言外ににじみ出ているわけですね。それに対して、何か海部総理の御発言は、真っ先に、何のためらいもなく武力行使を支持をされたというような印象を国民は持っておるわけですね。その間に日独両首脳の違いが、なければ幸いでありますけれども、あるのではないかという印象を国民は持つわけであります。
 申し上げるまでもなく、日本とドイツは、かつて第二次大戦で同じような間違いを犯し、同じようなその後経過を、国際社会の中における似たような経過をたどっておるわけであります。しかも、両国とも武力を放棄して戦争をしないということを国際社会に誓っているわけでありますけれども、そういうことを踏まえた場合に、総理のお考えをもう一回伺いたいと思います。
#53
○海部内閣総理大臣 戦争に対する考え方は、今申し上げたとおり、それは許されない、いけないことだということを今ここで申し上げたばかりでありますし、私が待ってましたとばかり言ったというのは、これは明らかに言い過ぎでありますから、それは私は、できたら私のこれからの発言を素直に聞いていただきたいと思うのです。
 苦悩をしたのはコール首相だけでありません。一番苦悩したのは、ブッシュ大統領初め、多国籍軍に自分の国の有為な青年を送り出し、生命の犠牲をも顧みることなくその事態に突っ込まなければならぬ、そのときに、その犠牲を払ってでも国際社会の大義を守らなきゃならぬという決断をするときの各国首脳の苦悩というものはいかばかりなものであったろうかということは、私も先生に落ちないように、人後に落ちないように厳しく受けとめておるつもりであります。
 このことははっきり申し上げておきます、人間の生命の尊厳というものはそれほどとうといものだということを。だから、私はときどきここで言いますが、難民輸送の問題でも、総理大臣並びに政令で定める者というときに、私は総理大臣だけれども、あのイラクから周辺に出てきた難民の人々も、人間としての尊厳からいったら同じではないかという痛い思いをして発想したことも何度も申し上げておることでありますから、私が喜んで真っ先に武力行使賛成、支持すると言ったわけでは決してありません。そのような事実がもし御必要ならば、追って全部ここでお話をいたします。
 同時に、ブッシュ大統領初め多国籍軍の首脳があれだけの苦悩の決断をするために、八月二日から五カ月以上も待ったんです。その間なぜイラクの大統領は決断をし、反省をしなかったのでしょうか。そのことをなぜ一言もお責めにならぬのでしょうか。こういう物事の大きな流れ、戦争とおっしゃった、それなればイラクがクウェートに攻め込んだ戦争をなぜお責めにならぬのでしょう。それから四カ月以上の間のこの時間というものは、みんなが苦悩をして、早くそれを受諾せよと願って言ってきたのは事実じゃないですか。(発言する者あり)
#54
○渡部委員長 静粛に願います。
#55
○海部内閣総理大臣 私は、そういった角度からいって、今度のこの決定には、イラクが撤退に従うべきである、無条件完全に撤退をすればそれが局面転回のかぎになるということは何回も申し上げ続けてきたんです。それは戦争は避けて局面を平和的に解決したいからという願いで、イラクに対して無条件撤退、国連決議を受け入れろということを何回も言ってきたわけであります。だから、そういった四カ月以上にわたる大前提がありながら、最後の決定に至ってもなおイラクが撤兵をしない、それどころか、フセイン大統領のあの演説や放送を聞いてみますと、侵略してくるのはむしろイラクじゃなくてアメリカや多国籍軍だと。私はそういうような基準になって物を言われたのでは、これは原理原則に従って片つけないと、それでも苦悩をして腕を組んで世界の国が何もしなかったならば、じゃ侵略された方はどうなるのか。あのような状態はほっておってもいいんだ、されたらされっ放しにしておれということになる。私は、そういった態度をとりたくないと思っておるんです。
 ですから、やむを得ず、国連決議の趣旨を実行するために、日時を区切り、イラクが反省をし撤退の行動に移らないからやむを得ざる手段として武力行使に出たんでありますから、やむを得ざる手段としての武力行使は平和解決のためには時には必要なこともあるんだ、そういう立場に立って私はこれを支持したというのでありまして、そういったような心情は少し私の真意と離れておりますので、はっきりここで申し上げさしていただいた次第でございます。
#56
○新村委員 私の言い方が過ぎたとすればそれは誤解でありまして、総理のおっしゃったお言葉も今お言葉が過ぎていらっしゃいませんか。社会党は、決してフセインを正しいと言っていませんよ。正しいどころじゃなくて、それはサダム・フセインが引き起こした事態であるし、これはすべての責任はサダム・フセインにあるということは社会党は言っていますよ。言っていますし、同時にまた国連の権威を、いいですか、国連の権威をおとしめるような発言をしたこともございません。さらに、六七八の決定に従ってというか、国連のオーソライズに従って行動する多国籍軍の行動は、その正当性を全く否定することはできないということは私はここで前にも言っております。言っていますよ。総理、ですから今のお言葉はお言葉が過ぎますよ、それは。私はそういうことを言っていないんですから。サダム・フセインを弁護する、あるいはアメリカを非難するというようなことを一言も言っていませんから。総理のお言葉が過ぎますね、それは。どうでしょう。サダム・フセインを正しいと言ったこともなければ、アメリカを不正だと言ったことありませんよ、それは。総理は今、なぜ責めないかということ、逆転しているではないかということをおっしゃいましたけれども、私はそういうことを一言も言っておりませんし、今も言っておりません。ただ、日独両首脳の発言がニュアンスにおいて違っているではないかということを申し上げただけですよ。それから、総理がこの事件発生以来御苦労されていることについても、冒頭私は敬意を表しておりますよ。いいですか。それに対して、先ほどのお言葉は過ぎておりませんかということです。
#57
○海部内閣総理大臣 私は、昨年の八月二日から休暇もすべて返上して、私なりに精いっぱい努力をし、平和解決を願ってやってきたつもりでありまして、冒頭に先生がそれは評価するとおっしゃっていただいたことに対しては、率直にありがとうございましたと改めてここで申し上げさせていただきます。
 また、社会党はそんなこと言ってないじゃないかとおっしゃいますが、先生は確かにおっしゃいませんでした。だから、今委員の質問に対する答弁として言ったとすれば、言葉が過ぎたと言われればそうかもしれません。その点は率直に認めましょうが、昨日本会議で社会党を代表してと言って明らかにおっしゃっていたことが私の脳裏には残っておりますので、アメリカは戦争をしたかったのだと言えます、アメリカ主導の中東形成に都合が悪い、イラクが自主的に撤退してしまうと中東最強と言われるフセイン体制が手つかずのまま残ってしまう、アメリカは戦争をしたかったのだと言えますと。そうでなければ説明がつかないというのが社会党代表の本会議の演説です。まだまだたくさんございます、繰り返しませんが、委員の意見ではございませんので。
 したがって、私は何も喜んで、私は最初から武力行使を賛成するといきなり言い出して、待ってましたのように言ったとおっしゃいましたから、そんなことはありません、いろいろ平和解決のための努力をしてきて、最後はブッシュ大統領を初めすべての国の首脳が自分の国の青年男女の犠牲まで顧みずに決断をしたということは大きな苦労であった、そういったことを申し上げたわけでございましたから、どうぞその点については、言葉のやりとりがいろいろあるというならば、私もそういった行き過ぎたことに対しては訂正をさせていただいておきます。私の真意はそういうことでございました。
#58
○新村委員 総理の今の御答弁についてはまた改めて会議録等を拝見をいたしますが、私は、待ってましたとは言いませんよ。ただ、両首脳の言い方が違うのは、これは世界あるいは国民から見てそのニュアンスの違いをどう思われるかということについては若干の懸念があるということを言ったわけでありますから。それは待ってましたとは言いませんよ。待ってましたとは言いません、それは。それで、この問題はこれで終わります。総理も、社会党に対する偏見はないと思いますけれどもね、ないと思いますが、先ほどのような御発言は穏当でないと思いますから、今後ひとつお気をつけをいただきたいと思います。
 そこで次に、補正二号の中心は、これは防衛費の削減ということでありますが、この防衛費の削減について、既にここでも論議がありましたけれども、総額で約一千億、本年度で十億くらいですか、これを直すということでありますけれども、それをこういう内容に従って訂正をするという表が出ておりますが、次期防の総額は二十二兆七千五百億でありまして、これは閣議決定を経て、安保会議にもかけて決定をされたと思いますが、この一千億を減らすということについては当然二十二兆七千五百億も改めなければいけないのではないかと思うんですね。そして閣議決定をし直して、安保会議の決定をし直して、それで内容を変えるというのが順序であろうと思いますけれども、そういう手続をおとりになっていないようありますが、その理由はどういうことでしょうか。
#59
○池田国務大臣 お答え申し上げます。
 今回の九十億ドルの財源措置の一環として、平成三年度に計上いたしました防衛費予算の中から、万やむを得ざる措置として歳出ベースで十億、それから、平成四年度以降に支払うべき国庫債務負担行為を含めまして一千二億円の削減をいたしました。これは予算の措置でございます。
 さて、それで新中期防との関係でございますが、新中期防と申しますのは、平成三年度以降五年間において行います主要装備の整備であるとか、あるいは防衛費の総額の限度というものを定めておるものでございます。また、そういったものが一々各年度ごとに決まっておるわけではございませんので、平成三年度の予算の削減というものが直ちに新中期防そのものの修正に連動しなくてはならないという性格のものじゃございません。そういったことで新中期防の修正とかはやっておりません。
 しかし、これまでの委員会でも御答弁申し上げましたように、今回の削減の措置というものを私ども十分念頭に置きましてこれからの各年度年度の予算編成に当たってまいるわけでございます。そしてまた、新中期防には、三年後にそのときの国際情勢であるとか、技術水準の動向であるとか、経済財政事情であるとか、そういった内外の諸情勢を勘案して、必要があれば計画を見直す、修正するという、こういう条項がございますので、そのときに今回のその一千億円の削減措置がなされたということも重要な一つの要素として勘案してまいろう、こういうことでございます。したがいまして、結果として今回の措置が総額にも反映されるだろう、このように申し上げておるところでございます。
#60
○新村委員 これはいわゆる総額明示方式ということでしょうから、二十二兆七千五百億円を五年間で使うということですから、これは総額が動かない。総額が動かないけれども一千億円は減らすというのは、何か手品みたいな話になるわけですね。ですからそこのところを、大蔵大臣どうなんですか、総額明示方式というのは五年間でこれだけ使う、その中から一千億を減らすということではないんですか。
#61
○池田国務大臣 お答え申し上げます。
 新中期防で決めておりますのは防衛費の総額の限度でございます。そして、先ほども申しましたように、そういった中期防のいわば五カ年の計画の性格から申しまして、今年度の予算が変動したから、それが連動してこれは変えなくちゃいけないという性格のものじゃございません。しかしながら、事実問題としましては、先ほども御答弁申しましたように、各年度年度の予算編成に当たりまして、もとより経費の節減に努めてまいりますし、また今回の措置も十分念頭に置いて対処をしてまいりますので、結果として今回の措置が総額にも反映されるであろう、こういうことを申し上げておるわけでございます。
#62
○新村委員 そうすると、その枠内で新中期計画というのがありますね、新中期計画で具体的に火砲が幾ら、戦車が幾ら、装甲車が幾らというのがありますが、これも当然減るということになりますか。
#63
○池田国務大臣 お答え申し上げます。
 今回平成三年度で契約をする予定にしておりましたいろいろな装備を削減することといたしました。この削減措置がなければ現実にそういった装備の契約をし、その契約に基づいて平成三年度以降四年間にわたっていろいろな支払いが出てくるわけでございますが、したがいまして、現在の平成三年度の予算編成という時点で見ますと、現実にそういった千億円の契約ができない、そうしてその契約に基づく支払いも行われない、こういうことになっておるわけでございます。
#64
○新村委員 ですから、その新中期計画の最終目標とそれから新中期計画で調達をするものがここに列記されているわけですね。ですから、この中からこの差額は減る、最終的には減るというふうに考えていいんですか。
#65
○畠山(蕃)政府委員 御質問の趣旨は総額の話かと思いますが、これにつきましてはただいま大臣からもるる御答弁申し上げましたとおり、結果として今回の措置がその総額に反映されるというふうで御理解いただきたいと思います。
#66
○新村委員 そうすると、新中期計画に明示をされているこの各兵器の数、これはこれには直接連動しないということですか。
#67
○畠山(蕃)政府委員 新中期計画におきます別表に掲げております、装備についての数量が掲げられておりますが、これにつきましては、今回の措置は平成三年度におきます契約についての措置でございますので、そこのところは総額について結果として反映される限度において反映されるということはございますが、ただいま現在のところこれを修正するということに連動するものではないと先ほど来答弁申し上げているとおりでございます。
#68
○新村委員 そうすると、この表は、これは三年度においてこれだけ減らすと。三年度において減らすということは、これは新中期計画の、三年度は一部でしょうから、これだけ三年度で減らすということは新中期計画の一部が減るわけですから全体も減る、こういうことにはならないですか。その辺はよくわからないのですがね。
#69
○池田国務大臣 お答え申し上げます。
 新中期防は、五年間においてその整備すべき主要な装備をこれは定めておる、あるいは防衛費の総額の限度を定めておるわけでございますけれども、しかしどの装備をどの年度で購入するとかあるいはどの年度にどれだけの防衛費を使うとか、こういうことは決まっているわけじゃございません。そういう意味でございます。したがいまして、今回平成三年度できちんと千二億円の、国庫債務負担行為も含めての減額措置をいたしました。
 しかしそのことは、先ほどから申し上げておりますように結果として総額にも反映される、こういうことでございますけれども、それがどのようにどのもので具体的に反映されるかということは、これからまたいろいろ各年度各年度の予算編成においてその今回の措置を念頭に置きながら検討してまいらなくちゃいけない、こういうことでございます。
#70
○新村委員 そうすると、今回の措置は最終目標は変わらない、それから総額においても変わらない、総額二十二兆においても変わらない。それを変更する手続はとらないということですね。そうしますと、この後の五年間の変化の中で一千億円が結果的には減らなかった、こういう事態も起こり得るということでしょうか。
#71
○池田国務大臣 お答え申し上げます。
 結果として減らないということが起こり得る、そういったふうに考えているわけじゃございませんで、私どもは今回の削減の措置は、これはしっかりと受けとめておりまして、これからの各年度年度の予算編成においてそのことを十分に頭に入れまして経費の節減にも取り組んでいく、こういうことを申し上げております。そうして結果においてそれらのことは反映されるようにしてまいる、こういうことでございます。
#72
○新村委員 要するに、この一千億減ということを打ち出したわけでありますから、それが途中であいまいにならないようなきちんとした今後の運用、これをぜひお願いをいたしたいと思います。 次は、財政というか、その運用の問題でありますが、これは前にも申し上げたんですけれども、今回の予算の編成あるいは審議が極めて異例な形になったということを前に申し上げました。それは、三年度の予算が提案をされた、そして委員会審議に入るわけでありますが、委員会審議の冒頭、まあ冒頭ですよね、二月の一日ですから。二月の一日に政府から「湾岸地域における平和回復活動に対する我が国の支援に係る財源措置について」という文書が出されまして、三年度予算が変更され得る可能性があるということをこの中で示していますね。この問題については既に党としては、予算委員会の冒頭で藤田部会長からこの点が指摘をされまして、政府の予算に対する極めて不適切な運営については指摘をされたわけであります。
 申すまでもなく予算の編成権は、これは政府に専属をするわけでありまして、政府としては施政上の基本的な、最も重要なこれは権限であると同時に責任であるわけであります。したがってこれは、そのときの状況はありますけれども、国会に提案をし予算委員会に付議をするということになれば、言うまでもなく、その提案の時点においてベストな予算を、最終的に確定をしたベストな予算をそこで提案をされるのがこれは常道であります。ところが、今回は提案をされて幾ばくもなく二月一日に既に三年度の予算を、その内容を変更することを示唆するそういう政府の意思表示があったわけですね。それからさらに、二月十五日になりますとさらに、二月一日の内容とは変わった形で、補正予算と同時に三年度の予算が変更されるという、こういう方針が出されたということでありますから、そうしてその最終的な結論ともいうべき三年度予算の修正、これが二十五日に本会議で提案説明をされたということでありますから、その一連の経過を考えてみますと、何か政府は右へ行ったり左へ行ったり、いわゆる右往左往というような感じもするわけですね。
 そういう点について、もちろんそれは新しい事情があったにしても、その提案の仕方あるいは審議の仕方において極めてこれは異例の、残念な結果になったと思うわけであります。そういった点について大蔵大臣のお考えを伺いたいと思います。
#73
○橋本国務大臣 異例な結果ということでおしかりを受けるなら、私はそれは甘受をいたします。しかし、委員がよく御承知のように、予算が決定いたしましてからこの予算書を印刷いたしますまでの時間差というものは、一定の時間はどうしても必要になることは御理解がいただけると思うのでありますが、昨年末平成三年度予算を編成いたしました時点におきましては、私どもは、イラクが本当にクウェートから無条件で立ち退いてくれることを心から願っておりました。
 ところが、残念ながら安全保障理事会の決定いたしましたタイムリミットが参りましてもイラクはクウェートを占拠し続けるという状態になり、やむを得ず多国籍軍が実力をもって国連安全保障理事会の諸決議を実行するためにクウェートからイラクを排除するという状況が生まれたわけであります。全く異質の情勢というものが生まれ、我が国もその中で財政的にも対応を迫られることになりました。
 そして、その場合に幾つかの考え方はあり得たわけでありますが、私どもとしては、その時点における最善と思う考え方を院にもお示しをしてまいりました。そしてその上で、主として本院の本委員会における御論議というものを踏まえ、我々がもう一度考え方を整理し直したということも事実であります。そして平成二年度の補正予算(第2号)を今御審議を願っておるわけでありまして、一つは国際情勢の劇的な変化、もう一つはその情勢を踏まえた中で院における御意見というものを我々が誠実に受けとめて対応したことでありますが、それがおとがめを受けるということであるならば、私は甘んじてそのおしかりは受けたいと思います。
#74
○新村委員 それは異例の事態があったということは事実であります。しかし、それは院のというか国会の審議のルールを乱してもいいということではないわけでありまして、最終的な確定した予算を提案をした段階から、委員会あるいは国会、まあ委員会でありますが、十分の審議のチャンスが与えられなければいけないわけですよ。ところが、十五日というともう実質的に予算委員会が終わった段階で最終的な案が出てきたということですね。国会の中の論議を踏まえて提案された予算が、あるいは修正をされるあるいは修正の必要があるという、そういう事態では今回はないわけであります。
 例えて言えば五十二年の場合には、それは委員会の審議の中で減税を中心にして各党の間からそういう修正の動きが出てきた。それに対して政府が対応をされたというのが五十二年だと思いますけれども、今回の場合にはそうではなくて、新しい事態に対応するためではありますけれども、政府の方から予算修正の提案をされる、こういうことですよね。ですから、それはいい悪いではなくて、政府は国会に対して十分審議ができるようなそういうチャンスを与えなければいけないし、また委員長にはこの間申し上げましたければも、委員会が十分審議できるような状況でやってもらうように政府に要請をするということが必要ではないかということを申し上げたわけですけれども、そういう点からして、これは形式の上からいえば委員会が審議のチャンスを失ったということが言えると思うのですよ。ですから、そういう点でひとつ政府におかれても国会の審議を尊重する姿勢を持っていただきたいと思うわけでありますが、総理はいかがでしょうか。
#75
○橋本国務大臣 総理がお答えになります前に、所管閣僚として一つ申し上げたいと思いますのは、法律的に見ますと、予算の修正は、予算修正書の提出によりまして既に議案となっております予算にその修正書の内容が議案として織り込まれるという性格のものでありますから、議案としては継続いたしておるわけであります。
 それで、本日までさまざまな角度から本院において御論議をいただきました中で、我々が誠実に対応していかなければならないと考え、政府自身の判断によって予算を修正いたしましたことが、私は議事手続等細かい細則に精通いたしておりませんので、おしかりを受けるような点があるとすれば私は甘んじておしかりはちょうだいをいたしますけれども、同時に、院における御論議というものに政府が真剣に耳を傾け、みずから提案した予算というものをみずからの手で修正するということは、院に対しても政府として誠実に対応しておる証左と受けとめていただくことができないものか、率直にそのような気持ちも持っております。
#76
○海部内閣総理大臣 連日このような形で御審議を願っておるということも事実でございますし、また予算の修正等につきましては、国会の論議その他を踏まえながら誠意を持ってこれに対処するために行った措置であるということは、ただいま大蔵大臣が申し上げましたとおりに私も考えております。
#77
○新村委員 今後の問題として、ぜひこれは一つの先例というか、教訓というか、にしていただいて、政府と国会の審議との間の関係をもっと円滑にしていただくように、今後の問題としてお願いをいたしたいと思います。
#78
○橋本国務大臣 イラクのクウェート侵略といった事態、さらに国連の諸決議が無視をされ続けるという事態、結果としてその決議の実施のために多国籍軍が実力をもってイラクをクウェートから排除しなければならないといった事態が二度も三度も起こっては本当にたまらぬと思います。そうした意味におきまして、私もこうした事態が先例にならないことを心から願っております。
#79
○新村委員 いや、そういう問題がしばしば起こることを予想してじゃなくて、やはりこれは国会と政府との間の関係でありますから、国会の審議権と政府の提案権、これが調和をしていかなければいけないわけでありますから、そういう点で申し上げたわけであります。イラクのようなああいう湾岸問題が今後起こるということを予想してのことではないわけでありますから、その点は誤解のないようにお願いをしたいと思います。
 次に、補正のこれまた最大の問題であります九十億ドルでありますが、これについては既に論議が尽くされておりますけれども、GCCに拠出をする場合、GCCにおいて論議をされて配分をされるということでありますけれども、その場合に日本政府の意図は交換公文等において明記をされると思いますが、その点はもう一回確かめておきたいと思います。
#80
○松浦(晃)政府委員 従来から御説明しておりますけれども、交換公文におきましては、湾岸の平和と安定の回復のため国連安保理の関連諸決議に従って活動している各国を支援するために日本政府として一定の金額を拠出するということを明記させていただきます。
 それから、今回は具体的には資金協力ということを考えておりますので、交換公文上は資金協力というふうに明記いたしますが、その具体的な使途に関しましては、総理が繰り返しおっしゃっておられます輸送関連以下の具体的な分野に関しましてはこの運営委員会で決定するということになっておりますので、運営委員会で日本政府の意向を踏まえまして対応をしたいと考えております。
#81
○新村委員 これは外務省の資料でありますが、デザートシールド一九九〇から一九九一年、外国の援助ということになっておりまして、その中に九十億ドルということがありますけれども、これはアメリカの予算との関係ではどういうことになるのですか。
#82
○松浦(晃)政府委員 先生言及されましたのは、ホワイトハウスが今回砂漠の盾、あらし作戦に要する経費といたしまして、補正予算という形でございますが、百五十億ドルを議会に補正予算案として提出いたしましたその概要を盛りましたホワイトハウスのプレスリリースの別表と存じますけれども、この補正予算案の主目的は、先日以来御説明しておりますように、まさにアメリカ政府として百五十億ドルの運営基金口座を設けるということが主眼でございます。それにあわせまして、各国からの支援を得ました防衛協力基金というものがございますけれども、そこから資金を移転する権限を一般論の形で求めたものでございます。その関連で、参考資料として各国からアメリカ政府として期待している貢献額を盛った表が、先生が言及された表と存じます。
#83
○新村委員 ですから、この予算との関係でどういうつながりになるのかということです。
#84
○松浦(晃)政府委員 ただいま申し上げましたように、今回の大統領が議会に送りましたこの補正予算案の主眼は、アメリカの砂漠の盾、あらし作戦にかかわる経費といたしまして百五十億ドルの予算を求めたというのが主眼でございます。それにあわせまして、諸外国等からの支援を、防衛協力基金というのが財務省に設けられておりまして、そこに払い込むという体制になっております。その防衛協力基金のお金を移転するにもやはり議会の了承が要るということになっておりますので、それを一般論の形で議会に対しまして、そういう権限を付与するようにということでこの補正予算に盛っております。
 この具体的な金額に関しまして申し上げますと、アメリカ政府として期待している具体的な外国からの貢献額というものは五百三十五億ドルという数字が挙げられておりますけれども、あくまでもアメリカ政府として、これは各国とも調整しない形でアメリカ政府として期待する額として参考資料に掲げているというものでございます。
 繰り返しになりますけれども、補正予算案の主目的は、アメリカとして百五十億ドルの経費を計上するということでございます。
#85
○新村委員 これはまた繰り返しになりますが、そうすると、明らかにこれは戦費ということになると思いますね。総理、いかがですか。
#86
○海部内閣総理大臣 これは、国連決議に基づいて関係諸国が行っております平和回復活動を支援するための我が国の拠出金でございます。
#87
○新村委員 国連の平和回復活動、それと戦争との関係ですね、その区別はどこにあるのですか。
#88
○海部内閣総理大臣 国連決議六百七十八に基づいてアメリカを中心とする二十八の多国籍軍が行っておりますのを私は武力の行使、このように受けとめて、それは国連決議に基づいて平和を回復するための武力の行使である、こう理解しております。
#89
○新村委員 そうすると、武力に二通りあるということですか、武力に二通りあると。総理は、武力には二通りあって、いい武力と悪い武力と二つある、こういうことですか。
#90
○海部内閣総理大臣 二通りあっていい武力と悪い武力があるというようなことは私は一度も申し上げたことございませんので、改めてはっきり申し上げさせていただきますが、これは国連決議に基づいた共同の武力の行使である、こういう言い方をしておりまして、あくまで平和回復を目的とする武力の行使であるということのみを申し上げ続けてまいりました。
#91
○新村委員 そうすると、この場合には武力の行使であるけれども、その武力の行使を支援することは合憲だとおっしゃいましたね。ですからこれは、この場合に六七八に基づいて行う武力の行使、戦争、これに対する支援は合憲である、こういうことですか。そうすると、武力の行使を支援することも合憲である、これは一般的にそう考えていいわけですか。
#92
○海部内閣総理大臣 国連決議に基づく平和回復を目的とする武力の行使というものは一つしかないわけでありまして、国連が決議をして悪い武力の行使を決めるなどということは全く考えられぬことでありますから、武力の行使というものは平和回復のためのものである。
 それから、私がこれに対して支援をしますのは、国連決議によって適切な支援を求められ、同時に日本の立場としてもあのような武力による侵略、併合を許してはならない、要するに侵略戦争を許しては絶対にいけない、こういう立場でございますから、国連の決議に従った平和回復活動に支援をするということは、ここへ武装部隊が出ていくことは憲法との間でいろいろな御議論があったとおり許されないことであり、しないと申し上げておりますけれども、そういう国家による実力の行使でございませんから、国連決議に基づいた平和回復を強く願う日本の政府としてはでき得る限りの許される範囲の協力をする、これが今回の九十億ドルの支援活動の考え方の根本でございます。
#93
○新村委員 戦争をしている国、今多国籍軍は戦争をしていますね、戦争をしている国に支援をする。平和回復活動にしてもですよ、武力の行使をしているわけです。これは九条に違反するという解釈があるわけです。九条では、陸海空軍及びその他の戦力でありますね。その他の戦力というのは英文ではウオーポテンシャルといいますよね。ポテンシャルというのは、これは戦力、大砲とか軍艦とか、こういう武器よりははるかに広い概念だというふうに理解されております。そうしますと、交戦国に資金援助をするということは、これはウオーポテンシャルの補給ですから、だから九条に違反するというふうに我々は理解するわけですけれども、それはどうでしょうか。
#94
○海部内閣総理大臣 憲法が禁止しておるのは、国家による実力の行使、武力による威嚇または武力の行使を禁止しておるのでありますが、同じ憲法の第九条には、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求」すると書いてもございます。私たちは、国家による実力行使、武力行使を伴わない方法で、すなわち今日のような状況で一日も早く平和が回復することを心から願っておるわけであって、このことをもいけないとなってしまいますと、これは平和回復活動というものに対しても支持ができない、こういうことになりまして、私どもは許される範囲内の支援の活動である、こう受けとめます。
#95
○新村委員 そうしますと、総理の論法でいきますと、戦力を補給してもいいんだ、安保理の決議に基づく行動に対しては戦力を補給してもいいんだということになりますよね。戦力を補給してもいいんだということになりますと、それはどこで歯どめがかかるのかといいますと、戦力を補給してもいい、あと一歩進めば、今度は実際の直接の純粋の戦力を補給してもいいんだということにつながっていきませんか。ですから、それは国連決議であっても、日本は戦力を、陸海空軍はもちろんのこと、戦力を補給することも九条に触れる、こう厳しく考えるべきではないですか。
#96
○海部内閣総理大臣 憲法が禁止しておりますのは、国家による実力の行使、武力による威嚇または武力の行使を伴うことはいけない。ですから、国会の議論も長い間に、武装集団を武力行使の目的を持って他国の領土、領海、領空に出すことはこれは許されない、これはきちっと確立されておりますが、国家による実力行使でありませんし、また国連の平和回復活動に対してその全額を出すというのではなくて、自主的に分に応じた拠出をする、こういうことでありますから、これは平和回復のための協力でございます。
#97
○新村委員 国権の発動による戦争はもちろんだめですよね。しかし、総理の論理からすると、国権の発動ではないとおっしゃっていますね。この安保理の決定に基づく武力行使は国権の発動ではない、国権の発動ではない戦争というふうに総理はおっしゃっておりますけれども、そうしますと、国権の発動ではない戦争に対しては協力もできる、金を出すこともできる。現在は金を出すことを考えておられるわけですけれども、国権の発動ではない戦争に対してはやがて何でもできるということにつながっていきませんか。
#98
○海部内閣総理大臣 私は国権の発動ではない戦争とか、そうじゃなくて、協力するのは、国連決議に基づいた平和回復を目的とする武力の行使に対して日本はでき得る限りの支援をする、国家の実力行使をしてはいけない、力によるお役に立ちましょうということもこれは許されない、こう申し上げておるわけであります。また、国権の発動たる戦争というのは、これは日本国憲法が禁止し、憲法に書いてある文言でありまして、私はここではもう何回も何回も国連決議に基づく平和回復活動に対する支援である、こう言い続けてきております。
#99
○新村委員 国権の発動によらない戦い、今多国籍軍が発動している武力は、あれは日本の国権の発動ではないんですよね。日本の国権の発動ではないから、その場合には戦力を補給してもいいんだ、こういうことになりませんか。これは安保理の決定に従って、安保理の決定に基づいてやっている武力だから国権の発動ではないんだ、国権の発動ではない武力行使に対しては戦力の補給もできる、あるいは場合によったら軍隊の派遣もできるということになりませんか。
#100
○海部内閣総理大臣 その途中までは全く一緒なんですけれども、途中から分かれてしまいまして、だから何でもやってもいいと私は決して言いませんし、思ってもおりません。
 それは、国家による実力の行使、武力の威嚇もしくは武力の行使を伴うことを日本の政府としてやっては決していけないわけで、そこからちょっと分かれるわけでありまして、今行われているのはあの地域の平和回復のための国連決議に基づく平和回復活動でありまして、それは、早く平和が回復されるということを日本も強く望むわけでありますし、国連加盟国の一員でありますし、二十八にも及ぶ多くの国々の首脳が、先ほど来いろいろ御議論ございましたけれども、それぞれ苦悩に満ちた選択をして、自国の青年男女の犠牲までも顧みながらなお決断したのは、あの地域に平和を持ってこなきゃならぬ、侵略を排除しなきゃならぬというのが国際社会の大義だと思ってやっておる行動でありますから、日本も応分の協力をするというのはこれは加盟国として当然の義務である、こう思ったわけでございます。
#101
○新村委員 私が言いたいのは、ですから国権の発動による武力行使、戦争、これはもちろんできない、できないし、同時にまた、国権の発動によらない武力行使であってもそれは憲法九条は禁止しているのではないですかということを聞いているわけですよ。ですから、今行われている湾岸の武力行使は国権の発動による戦争ではないわけですよ、それは。日本の国権の発動ではないんです。日本の国権の発動ではなくても、武力行使に対して日本の戦力を補給することあるいは戦力を派遣すること、これは九条に触れませんか、こう言っておるわけです。
#102
○海部内閣総理大臣 日本の憲法がきちっと認めておりますのは個別的自衛権でありますから、みずからの国が侵略を受けたり危害を受けたりみずからの国がやられるとき、そしてそれは日米安全保障条約というものがあって、それは二国間条約としては世界の中で希有な、バンデンバーグ決議の唯一の例外とも言えるそういう取り扱いになっておる中で、日本はみずからをこう守っております。
 ところが、国権の発動によらなければ参加してもいいかとお尋ねですが、国権の発動ということの前提いかんにかかわらず、私は、武力の行使または武力による威嚇、武力の行使の目的を持って武装部隊を他国の領土、領海、領空へ出すことはいけないことだ、これは許されないことであると考えておると何回も申し上げておりますので、日本の実力行使が海外において行われるということはこれは想定しておりません。
#103
○新村委員 今の問題については保留しておきますから。
 次の問題は、この前総理はいらっしゃらなかったわけですけれども、二十一日に、既にほかの委員からもお話がありましたけれども、イラクが軍事大国になったことについては世界各国が責任を持つべきではないか、たくさんの武器をイラクに売り込んだ、あるいは意図は違うけれども日本も七千億円ものODAをあそこに供与しているわけですから、そういうことでODAあるいは対外援助、このことによって特定国の武力を育成するような結果になってはまずいではないか。今後のODAの運用については、相手国の状況をよく精査をして、その国が軍事大国にならないように、あるいはまたその国が核の開発をするようなことがないように、あるいはまた麻薬を栽培をするようなことがないように、そういったこと、国際社会に害悪を流すようなそういう政策をとっているかどうかをこの相手国の状況をよく調査をしてODAを初めとする対外援助を決めるべきである、それからまた武器輸出あるいは武器の技術の移転、こういったことについても厳しくこれは日本だけではなくて各国が自粛をすべきである、そのODAの方針をそういう方針で確立をすべきである、それからまた世界各国も武器を輸出をしたり武器の技術を移転したりするようなことがないようなそういうルールを国際社会につくるべきであるし、その問題についての先頭に立って日本が努力をすべきであるということを外務大臣に申し上げたわけですけれども、外務大臣はそれに賛成をされたわけであります。同じような発言もほかの委員からもありますけれども、ぜひそういう方向で日本政府も努力をしていただきたいと思うんですけれども、総理はいかがですか。
#104
○海部内閣総理大臣 その問題の御指摘は、私は、全体として私どもの考えておることと目標を同じくしておる、こう受けとめさしていただきます。したがいまして、必要以上に軍事力を強化するあるいは他国に軍事援助をするとかいうようなことに日本は援助をすべきでないと思いますし、武器の問題につきましては、核兵器、化学兵器、生物兵器というものに関しては、これはもう今日国連でも大きな懸念が表明されて、それの拡散防止とかあるいは製造禁止の条約に対するいろいろな努力、作業が進んでおることは御承知のとおりでございます。
 また、核の問題については、拡散禁止を私どももいろいろなところで主張もしてまいりました。私自身も南西アジアを旅行しましたときに、インドとパキスタンの首脳には核拡散防止条約やあるいは核の査察受け入れについてもっと積極的に、前向きに協力することを強く求めてきたところでありますが、そういった考え方に立ちまして、日本の持っておる武器輸出三原則というものを踏まえて、ODA等の今後の施行に当たりましても事前にそういったことを十分検討しながら、あくまで世界の平和と繁栄と、自由と民主主義の確立に役立っていくような方向で政策努力を続けていきたい、御指摘のとおりだと私も受けとめております。
#105
○新村委員 最後ですけれども、これは今国会の最大の問題の一つになった特例政令の問題がありますね。特例政令の問題については論議が尽くされておりますけれども、実りはないわけです。
 そこで、先日、予算委員長の御発言、御指摘をされまして、最後に、各党におかれてもこれについてよい知恵がありましたら出していただきたい、こういう委員長の御発言があったわけです。この問題についてはこれから我が党も検討してその案を出すことになると思いますが、その場合にはひとつ委員長におかれても、国会とこれは行政府の最も重要な関係でありますから、行政府の恣意を抑えるという趣旨から有効適切なシステムがつくられるように、委員長におかれても御努力をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#106
○渡部委員長 理事会で協議してまいります。
#107
○新村委員 ぜひこれは実りある成果が得られるように、委員長におかれましてもお願いをいたしたいと思います。
 以上で終わります。
#108
○渡部委員長 これにて新村君の質疑は終了いたしました。
 次に、山口那津男君。
#109
○山口(那)委員 私に与えられた時間は二十分でありますから、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
 昨日イラクから撤退声明が出されて、一部撤退の事実もあるようでありますが、このイラクの声明に対して総理はどのような評価をされておられるでしょうか。
#110
○海部内閣総理大臣 先ほども御議論がここでありましたように、あれを撤退と見るのかあるいは敗走と見るのか、いろいろな見方がまだたくさんございます。しかし私は、あくまでイラクは無条件に即時撤退をするということが局面打開のかぎであると言い続けてまいりましたけれども、いろいろな決議をすべて受け入れて明確に撤退の意思を国連の安保理で具体的に表明するとともに、具体的にそういった行動に移ることが平和への進展の端緒となるわけでありますから、そのような行動に移っていくことを私は強く求めておきたいと思います。
#111
○山口(那)委員 一部の報道によりますと、撤退に当たって多数のクウェート市民を人質として連れ去っている、このような報道があるわけですが、このような事実を確認しておるでしょうか。
#112
○渡辺(允)政府委員 今回の場合につきましてもそのような報道がございますし、この話は、実は昨年のイラクのクウェート占領以来、クウェートの人々がイラクに連行されているというような報道は非常に多数あったわけでございます。
#113
○山口(那)委員 今回の撤退に当たって連れ去っている事実があるかという質問だったわけですが、まあ多数そのような報道が以前からある、こういうお答えだったようですが、仮にイラクが国連に対しても撤退を通告し、国連決議の履行としての撤退をなすかのような行動をとったとして、その多数のクウェート市民を伴って、連れ去って引いていくような行動がこの国連の決議の履行と言えるのか、撤退と言えるのかどうか、それをどう評価されますか。
#114
○柳井政府委員 お答え申し上げます。
 詳細に入ることは避けますけれども、国際法上、人質をとる、また捕虜あるいは占領地における文民の人々をその支配下に置くという場合におきましても、これを人道的に取り扱うということが決められておるわけでございます。したがいまして、仮にイラクがそのような人質を連れ去るあるいは報ぜられているような虐待というようなことをしたといたしますれば、これは明らかに国際法に違反するというものでございます。
 また、今般の事態に関しまして採択されました安保理諸決議の中にもそのような行為を非難する、またそのような行為から生じた責任はイラクにあるということが明らかにされておるわけでございます。
#115
○山口(那)委員 今回のイラクの声明にもかかわらず国連決議の完全な履行がなされていないと私は考えるわけでありますが、今後この完全な履行をあくまで求めて、なお地上戦の継続を支持していくお考えかどうか、総理としてどのようにお考えになるでしょうか。
#116
○海部内閣総理大臣 国連決議を原則的に受け入れて、そして無条件に撤退すると同時に、今はその他の決議は皆無効だというような言い方もされておるわけでありますから、その他の決議も含めて完全に履行するということが原則に従った平和的解決であると思いますから、その平和的な解決に向かって国連が決めた決議に従って行動をとっておる侵略の排除というものは、これは当然続いていくべきものであると考えております。
#117
○山口(那)委員 今回の地上戦の継続、開始というものは、あくまで国連決議に従った行動として我が国も支持をするという立場であろうと思いますが、この国連の決議の範囲というものが、一体どこまでなのか、クウェート地域の平和の回復ということが決議で、明文でうたわれているわけでありますが、その決議の範囲というものが、果たして領土としてのクウェート国境からイラク軍を撤退させることなのか、それともこのクウェート地域の平和の回復のためには、それ以上のイラク領土内への進攻というものも含めて考えるのか、それについてのお考えはいかがでしょうか。
#118
○渡辺(允)政府委員 現在行われております多国籍軍の武力行使は、安保理決議の六七八に基づくものでございます。安保理決議六七八は、この武力行使の目的として、決議六六〇を初めとする累次の安保理決議を堅持かつ実施し、湾岸地域における国際の平和と安全を回復することを目的とするということを言っておるわけでございます。したがいまして、この安保理決議の目的を実現するために行われているものであります限り、その武力行使が、例えば一部クウェート領外に出るといたしましても、少なくともこの決議上そのことについて限定をしておる規定はないわけでございます。
#119
○山口(那)委員 六六〇の決議によれば、イラクは昨年の八月一日現在駐留していた地点まで撤退せよ、こういうことになっておるわけです。ですから、その地点まで撤退すればこれで決議を履行したことになるわけでありまして、それ以上の撤退を求めてこの多国籍軍の進攻、進攻といいますか制圧といいますかを容認するものなのかどうか、その点について明確なお答えをお願いします。
#120
○渡辺(允)政府委員 安保理決議六六〇は、御指摘のとおり昨年八月一日の位置までの即時無条件の撤退を要求しておるわけでございます。なお、そのほかにこの関係では決議六六二、これはイラクが行いましたクウェートの併合を撤回することを要求しております。その関係ではそういう状態になると思います。
#121
○山口(那)委員 私の質問はそんなことを聞いているのじゃなくて、六六〇の決議を履行させるために、実現させるために六七八の決議がありまして、必要なあらゆる措置を認める、こうなっておるわけです。そのもとの六六〇の決議は、八月一日時点での駐留地域まで撤退をせよ、これを言っているわけでありまして、今アメリカでいろんな議論がありますが、一部では軍事的な必要から、例えばイラク南方バスラ地域の制圧ですとか、あるいは事によってはフセイン政権の破壊、壊滅を目指してバグダッドまで進攻すべきである、このような議論もあるわけでありますから、この点、どこまでが国連決議の範囲なのか、明確にお答えいただきたいと思います。
#122
○柳井政府委員 ただいま山口先生から御指摘ございましたとおり、六六〇自体につきましては、この第二項におきまして「イラクが全ての部隊を一九九〇年八月一日に駐留していた地点まで即刻かつ無条件に撤退させることを要求する。」というふうに規定しているわけでございます。他方、これも御案内のとおりでございますが、六七八号決議におきましては、第一項におきまして「イラクが決議六六〇及び全ての累次の関連諸決議を完全に遵守することを要求する」ということをまず言っておりまして、そしてこれを受けて第二項で、途中は飛ばしますけれども、「六六〇及び全ての累次の関連諸決議を堅持かつ実施し、同地域における国際の平和と安全を回復するために、あらゆる必要な手段を取る権限を与える。」ということで、多国籍軍による武力の行使を認めたわけでございます。したがいまして、イラクが求められておりますのはこの十二本の決議すべてであるということでございます。
#123
○山口(那)委員 そういう観念的なお答えはわかっていることでありまして、現実にイラク軍の、特に大統領警護隊と言われる強力な軍隊を戦力なからしめるために多国籍軍はイラク領内に立ち入ってこれを破壊しよう、こういう意図もあるかのようでありますから、どこまでの地上戦の継続が国連決議の範囲なのか。それに対して、我が国の対応もこれから異なる可能性があるわけでありますから、その範囲がバグダッド進攻をも場合によっては許すのか、あるいはバスラへの進攻も許すのか、占領を許すのか、その点を明確にお答えいただきたいと思います。
#124
○柳井政府委員 若干重複することになると思いますが、結論を先に申し上げますれば、先ほどお答えいたしましたように、イラクはすべての国連諸決議を遵守する義務があるわけでございます。
 そこで現状に照らしてみますと、イラクがクウェートからの撤退を表明したとはいえ、現時点におきましてはイラクがクウェートからの即時無条件撤退、クウェート正統政府の権威回復を含むすべての安保理決議を明確に受諾してはおらないわけでございまして、その意味で国際社会の共同行動の目的が達成されたわけではないというふうに考えております。
#125
○山口(那)委員 全然答えになっておりませんよ。そんなことを言っているんじゃないのですよ。
 総理いかがですか。現実に多国籍軍がこれからクウェート地域からイラク軍を排除して、さらにその後バスラ地域まで進攻するとしたら、それは国連の決議の範囲と考えるかどうか。もう時間の問題かもしれませんよ。あすそういう事態が起こるかもしれない。それに対して政府として明確な方針が決まってないとすればこれはおかしなことでありまして、明確なお考えを聞かしていただきたい。
#126
○海部内閣総理大臣 政府の明確な方針は、国連決議十二をすべて無条件で受け入れることであって、六百六十だけは受け入れる、クウェートからだけは外へ出るが、そうしたらあとのものを全部受け入れなくてもそれ以上攻めてきてはいけないとか、それは武力行使はそこでとどまるべきだ、武力行使はとどまるべきだ、そういうような考えは――それを聞いておられるんじゃないですか。そうじゃないんですか。そんなことじゃないとおっしゃるからやめようかと思ったのですが、だから、国連決議をすべて公式に受け入れることをイラクが決めるまでこれはその六百七十八号の決議の精神で、趣旨で国連は行動を認めることになる。すべての国連決議を受け入れるときまで行われるものであるというように解釈しますが、それは国連軍または多国籍軍に日本は参加しておりませんので、予断と憶測をもって、あすそこへ行くとか時間の問題でどこへ攻め込む、バグダッドまでいつ行くということまでは予断と憶測でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
#127
○山口(那)委員 ただいまの総理のお答えは、イラクが完全に国連決議を受け入れるまで、つまり損害賠償の責任の履行ということまで含めて受け入れるまで地上戦の継続を認める、そういうお答えのようですが、地理的範囲は特に限定してない、こういうふうに受けとってよろしいですか。
#128
○海部内閣総理大臣 国連が認めました武力の行使というのは、国連決議を明白に無条件で受け入れろ、こういうことでありますから、その目的が達成されるまでそのことが行われるというのは、私は、日本政府としては支援する立場として認めますし、また現在も一部クウェートから離れてイラクの中に出入りがそれはあるでしょう、こういう武力行使ですから。それはイラクがきちっとすべての国連安全保障理事会の決議に従う、何の条件もつけずに従ってもらってこそ局面が転回できて前進していく、それが本筋である、私はこう受けとめております。
#129
○山口(那)委員 六七八の決議はクウェート地域の平和の回復のために必要な措置ということを明言しているわけでありますから、おのずからそれに必要な、必要最小限の範囲というものがあると私は考えます。
 時間がありませんので、次の質問に移ります。
 九十億ドルの財政支援と憲法の関係でありますが、従来、武力行使というのは実力に係る概念であるから、財政支援は実力の行使に何ら当たらず憲法上許されるものである、こういう答弁が繰り返されているようでありますが、過去の集団的自衛権と財政支援が問題になった事例を見ますと、いずれも一般論としては、実力の行使に係る概念であって、財政支援はそうではない、こういう答弁になっているようであります。現実に、実際に武力行使をしている軍隊あるいは国家というものに対して財政支援がなされた実例があるかどうか、これについてお答えをいただきたいと思います。
#130
○松浦(晃)政府委員 昭和五十六年のときの政府答弁書は、先生も御承知のように、まさに仮定のことに基づいてお答えしておりますが、具体的にそれでは、武力行使に対しまして日本が財政支援をしたことがあるかということでございますが、私が承知しておる限り、ないと思います。
#131
○山口(那)委員 今回の多国籍軍に対する支援というのは、まさに現実に武力行使をしているものに対する財政支援が問題になっておるわけです。ですから、過去の一般論としての答弁は必ずしも妥当するかどうか疑問であったわけでありますが、総理は今回についても同じ答弁を繰り返しているようであります。これに対して、戦費であるからどうのこうの、違憲である、こういう主張もあるようでありますが、これは政府の答弁とは全くすれ違いの議論でありまして、核心をついてないと私は思います。問題なのは、多国籍軍が武力行使をしているもの、我が国の財政支援はそれと一体となるような協力に当たるのかどうか。これは昨年政府にお示しいただいた基準でありますが、この財政支援というのは、現実に武力行使をしているものに対して直接お金を出すということになるかどうか。私は、これが武器弾薬に使いなさいと、明確に使途を定めて、これを直接それらの組織または国に支援をすることは、これは武力行使と一体となるような協力になり得る、このように考えるものでありますが、そういう余地がないのかどうか、お答えをいただきたいと思います。これは具体的な問題でありますから、よろしくお願いいたします。
#132
○海部内閣総理大臣 日本の憲法で禁止されております国家による実力の行使、それが伴うと個別的自衛権の範囲を超えることになるという考え方は、何度も申し上げてきました。
 それから、きょうまでの地域で起こった戦争と、今回の国連の決議に基づく平和回復活動とは、私は質が違うと思っておるのです、質が。したがいまして、これは初めての経験じゃないでしょうか、国連決議に基づいて適切な支援を求められたということも。また、求められたならば、それに応ずることができるような立場に日本がなったということも初めての経験であったと思います。そこで、適切な支援をするために応分の協力をすべきである、こう判断をして、その平和回復活動資金の一部を日本が提供する。全額を出すということになりますと、また今御指摘のように、その武力の行使の、武器の、弾薬のという議論になってまいります。けれども、日本が出すのは、日本が自主的に決めた分に応じた一部でございますし、国会の御議論等も随分ございました。そういったことを踏まえて、あえて、私どもが湾岸平和協力基金にこの一部の資金を提供しますときも、それは輸送関連、医療連、食糧、生活関連、事務関連などに充当するように拠出国としての意向を伝えて、その意向が反映されるような仕組みになっておりますので、結果として武器弾薬には充当されないことになるようにいたしますということを私は何度も申し上げてまいりましたが、今もその考えは変わっておりません。
#133
○山口(那)委員 武器弾薬に使用しない、拠出国としての使途に対する意向を伝える、これはこれで何らかの根拠があるわけですね、なぜそういう意向を伝えるかというのが。それからまた、積極的に支援をすべきである、国連の要請である、これもまた憲法の国際協調主義という一方の柱に沿うものでありますから、これ自体は否定すべきことではないと思います。しかし一方で、平和主義というのも両立すべき原則でありますから、それとの関係が問題になっているわけですね。
 そこで、今私が申し上げましたように、武力行使と一体となるような協力になり得るのかどうか。これを仮に武器弾薬に使いなさいとはっきり明白に定めて、そして直接武力行使をする組織に渡す、あるいは政府に渡すということが憲法上何ら問題ないことなのかどうか。これは法制局長官の御答弁を明快に求めたい。
#134
○工藤政府委員 お答えいたします。
 ただいま委員御指摘のように、従来憲法九条の規定する武力の行使、これは国家によります実力の行使に係る概念である、したがいまして、我が国が単に経費を支出することはそのような実力の行使には該当しない。したがいまして、憲法九条の規定する武力の行使には抵触するものではない、かようにお答えしているところでございます。
 それで、今武力行使との一体化というふうなお話がございました。武力行使との一体化、昨年秋の国会でいろいろと御議論がございました。私どもの方として、例えば輸送協力とか、そういう武力行使をそれ自身伴わない、行わない活動につきましても、武力の行使と一体となる、いわばそれと同一と見られるようなこと、これはいわば武力の行使を禁じている、それにまた評価されるというふうなこともございます。
 そういうことで申し上げてきたわけでございますが、ただいまの御質問のように資金協力という形でございましたら、また冒頭申し上げましたようなところに戻りまして、そういう国家による実力の行使という概念、これとはかかわりないということで、許されるものと考えておりますし、また国際の平和と安全に貢献する、活動する国に対しまして、我が国がその活動のための資金を拠出する、これは憲法の掲げる平和主義あるいは国際協調主義、こういうものに合致するものでありましても、反するものではない、かように考えております。
#135
○山口(那)委員 今回の現実の武力行使に当たっても、財政支援は何ら憲法上問題ない、そういう見解を維持されるわけですな。それについては私は重大な疑問があるとこう考えておりますが、時間が参りましたので、次の舞台に論戦を移した
い、こう考えております。
 また第二ラウンドやりましょう。よろしくお願いいたします。
#136
○渡部委員長 これにて山口君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして両案に対する質疑は終了いたしました。
    ─────────────
#137
○渡部委員長 これより討論に入ります。
 両案を一括して討論に付します。
 討論の通告がありますので、順次これを許します。二階俊博君。
#138
○二階委員 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となっております平成二年度一般会計補正予算(第2号)外一案に対し、賛成の討論を行うものであります。
 今回の補正予算は、独立主権国家であるクウェートに侵略したイラクに対して、即時全面撤退を求めた国連決議を実現するため、本年一月十七日、ついに武力の行使に踏み切った多国籍軍による平和回復活動を支援するための緊急不可欠な措置であります。
 今回のイラクによるクウェートへの侵攻と併合、さらにはクウェート国民に対する大量虐殺や自然環境等に対する常軌を逸したような破壊行為は、国際法上も断じて許すべからざる非人道的行為であり、人類そのものに対する挑戦と言わざるを得ません。
 我が国は、湾岸危機勃発以来、国連中心主義を堅持し、一連の国連決議を断固これを支持し、イラクのクウェートからの無条件即時、全面撤退をあらゆる機会を通じて強く訴えてきたのであります。しかしながら、平和的解決を願う国連を中心とする各国の懸命の努力もむなしく、フセイン大統領がこれをかたくなに拒み続けたために、湾岸危機はついに地上戦という重大な局面を招き、昨日ようやく実質的な敗北を意味する撤退表明を行うに至ったのであります。
 政府は、湾岸におけるこのような不幸な事態が早期に終結し、中東において永続性のある平和と安定が一日も早くよみがえることを一貫して強く求めてまいりました。これが実現のために、多国籍軍に対し確固たる支持を表明するとともに、今回、さらに追加支援として九十億ドルの湾岸平和基金に対する拠出を決定したものであります。このことは、国際的な平和と国際協調を最重要政策とする我が国が果たさなければならない当然の措置として、政府の決断を高く評価するものであります。
 なお、我が国の拠出は、国連決議に基づいて平和回復のために活動している各国に対し、湾岸平和基金を通じて行うものであり、さきの大戦において多くの犠牲者を出し、国際紛争を解決する手段として、武力の行使は永久にこれを放棄すると世界に誓った我が国がなし得るせめてもの国際協力であります。このことは、もとより憲法第九条に何ら抵触するものでないことも明白であります。
 また、拠出する九十億ドルの財源措置については、今国会における各党の論議をも十分に踏まえ、歳出の節減合理化など、政府としても最大限の努力を払い、なお不足する部分については、新たに臨時的な増税措置によることとしたものであり、これまた極めて適切な措置であります。
 以上、賛成する理由を申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)
#139
○渡部委員長 次に、五十嵐広三君。
#140
○五十嵐委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、湾岸戦争にかかわる九十億ドルの支援支出に関する政府提出の平成二年度補正予算二案に対し、反対の立場から討論をいたします。
 今次湾岸戦争の原因は、サダム・フセインによるイラクのクウェート侵略であり、イラクは国連六百六十号へ六百七十八号決議を全面的に受諾し、直ちにクウェートを撤退すべきであることをまず申し上げます。
 申すまでもなく、我が国は、平和憲法のもと、国権の発動たる戦争と武力行使は、国際紛争の解決手段としては永久にこれを放棄している国家であり、戦争支援はみずから厳しくこれを禁じているところであります。戦争の響きが強まるときこそ、平和憲法はその存在の重要性を増すものであります。また、経済大国たる今日こそ、軍事大国化指向への欲望をみずから確固として抑えなければなりません。
 九十億ドル、一兆一千七百億円の多国籍軍への支出は、GCCを通過し、米国財務省国防協力基金に支出されるものであり、明らかに戦費への支援であります。
 政府の再三の弁解にもかかわらず、九十一年度米国補正予算の「一九九一年の米国に対する外国の契約」には、戦費協力を明言しているドイツの五十五億ドルなどとともに、日本の九十億ドルが契約額として明記されています。
 また、各国の協力金は基金の口座に一括して振り入れられ、実体としては、プールされた基金から湾岸戦争の必要性に応じて米国の意思によって支出されるものであり、拠出金を用途別に仕分けることは不可能であり、内閣の説明は欺瞞というほかなく、この支出は戦費支援そのものであります。
 もとより、私たち日本社会党・護憲共同は、悲惨な戦禍の中にある湾岸地域の住民の救済や経済社会の安定のための復興援助には全力を尽くし、国際的な貢献をいたしたいと考えます。そのために、日本社会党・護憲共同は、避難民などの救済対策、国際機関への支援、紛争周辺国への支援、停戦にかかわる費用、戦災者への食料・医療等の復興対策について五カ年計画の具体的提案を用意し、また、その財源は防衛費の削減と株の売却、節約などを主軸としていることも、この際、申し上げておきたいと思います。
 改めて、戦争協力のための費用の支出には反対、戦災者救済や復興対策など非軍事、民生安定のためには積極的に賛成であることを強調し、よって、本補正予算案には反対であることを表明いたします。
 また、この際、不法な特例政令による自衛隊機の中東派遣の計画は明白な憲法違反であり、三権分立の民主政治を崩壊させるものであって、国民とともに断じて反対であることもあわせて申し上げ、私の討論といたします。(拍手)
#141
○渡部委員長 次に、山口那津男君。
#142
○山口(那)委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました平成二年度補正予算(第2号)二案につきまして、賛成の討論を行います。
 昨年八月のイラクの武力によるクウェート侵略は、平和を破壊する行為であって、いかなる理由をもってしても許されるべきものではありません。私は、この際、政府に対し、湾岸戦争の停戦、和平のために、今後あらゆる努力を尽くされるよう、まず要求するものであります。
 以下、平成二年度補正予算(第2号)二案に賛成する主な理由を述べます。
 その第一の理由は、我が国としても、国連を中心とした平和回復活動のための国際貢献活動が必要であるということであります。
 今、国際社会は、イラクのクウェートへの武力侵略によって破壊された平和を、国連を軸としてどう回復するか、ポスト冷戦後の国際平和の新しい枠組みをどうつくり出すかという試練に直面をしております。こうしたときに、我が国が、世界の中で日本だけが平和でよいとする一国平和主義を唱えていたとすれば、これは全く許されないことであり、国連を中心とした新しい平和創造に我が国も一定の役割を担うべきである、こう考えます。今回の補正予算は、これにこたえるものと確信をいたしております。
 その第二の理由は、今回の九十億ドルの拠出は、国連の決議に基づく支援要請にこたえたものであるということであります。
 多国籍軍の武力行使は、国連安保理決議六百七十八号に基づくものであり、九十億ドル支援は、この国連の要請にこたえるものであり、その前提で湾岸平和基金に拠出するものであります。したがって、国連を中心とした国際平和づくりに協力する本補正予算に賛成するものであります。
 本補正予算に賛成する第三の理由は、今回の九十億ドルの財源について、我々の主張を取り入れ、すべて増税で行うという当初の方針を転換し、防衛費を初めとして五千億円の歳出削減をするとともに、この九十億ドルの使途については、幸いにも武器・弾薬に使用しないことが確認をされたのであります。
 九十億ドルは一兆一千七百億円であり、決して少ない額ではありません。今回の拠出が国連の平和回復活動の一環であるとはいえ、この拠出を行うには国民の理解と納得が必要であります。その意味で、国民に広く負担を求める前に政府みずからが歳出削減などに努力すべきであり、今回の措置については評価できるものであります。防衛費については一千億円の削減が行われたのでありますが、東西の冷戦構造の崩壊により、我が国の防衛政策の転換が迫られております。私は、今後の我が国の防衛政策を根本的に見直して、防衛費はさらに削減していくよう主張するものであります。
 また、政府は、血税の一部が戦争に使われるのではないかとの国民の不安に対し、今回の九十億ドルの使途について、武器弾薬に使用しないと明言し、湾岸協力理事会との交換公文で明記されている日本の意向については、これを日本政府も確認できるシステムになっていると、こう述べております。政府がこの発言を履行するよう、改めて要求をするものであります。
 以上、本補正予算に賛成する理由を述べ、討論を終わります。(拍手)
#143
○渡部委員長 次に、佐藤祐弘君。
#144
○佐藤(祐)委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の第二次補正予算に対する反対討論を行います。
 本補正予算は、来年度予算の修正とあわせ、湾岸戦争で地上戦を展開した米軍中心の多国籍軍に対して九十億ドルの戦費を提供するためのものであり、憲法の平和原則に照らして断じて認めることはできません。
 イラクのフセイン大統領は、昨二十六日、イラク軍のクウェートからの同日中の撤退をみずから声明しました。これに対してアメリカは、戦争継続を表明しています。湾岸問題の元凶であるイラクが、無条件完全撤退を実行し、それによって速やかな戦争終結と問題解決への展望が開かれることを強く求めるものであります。
 この状況のもとで我が国がとるべき態度は、殺りくと破壊に一刻も早く終止符を打ち、中東の公正な平和の実現のために必要なあらゆる政治的、外交的イニシアチブを発揮することであり、戦費拠出の強行など戦火拡大加担の道を歩むことではないのであります。
 海部総理は、多国籍軍の武力行使を平和回復活動などと言って、無条件、全面的に支持し、九十億ドルの追加支援を行おうとしています。支援の内容について海部総理が輸送関連、医療関連云々と言葉を重ねても、輸送は武器弾薬を含み、医療も食糧も戦争遂行に不可欠な経費であり、戦費そのものであることを覆い隠すことはできません。
 日本国憲法は「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と厳然と定めております。これは、みずからの武力行使はもちろん、他国の武力行使に加担、協力することも明白に禁じているのであります。海部総理が好んで引用する「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」という憲法前文も、その本旨は、他国の主権を無視して侵略戦争を行った日本がその反省の上に平和の道を歩むということであり、戦争への協力、加担を合理化できるものでは絶対にないのであります。
 さらに、この九十億ドルの支援は、審議の中で明らかになったように、湾岸平和基金を通じてアメリカ政府が砂漠の盾、あらし作戦のためにつくった防衛協力基金に振り込まれ、アメリカの必要とする戦費に充てられるのであります。しかもこの基金は、戦争が終結して不用額が出ても拠出国に返還しないと明記されているのであります。
 このような戦費調達のために政府は赤字国債を発行するとしていますが、それは戦時国債そのものではありませんか。かつて日本軍国主義が三百十万日本国民と二千万人を超えるアジア諸国人民に犠牲を強いた言語に絶する惨害の反省に立って、憲法の平和原則とともに、公債なくして戦争なしの考え方のもとに財政法四条は赤字国債の発行を禁止したのであります。今回の赤字国債の発行と戦争増税は、まさに歴史の教訓を踏みにじるものであります。
 以上述べたように、憲法にも財政法にも反する戦費調達のための補正予算に断固反対するものであります。我が党は、一刻も早い戦争の終結と中東の公正な平和実現のためにあらゆる努力を重ね、憲法違反のいかなる企ても許さない決意を表明して、反対討論を終わります。(拍手)
#145
○渡部委員長 次に、伊藤英成君。
#146
○伊藤(英)委員 私は、民社党を代表して、平成二年度補正予算二案に対して賛成の討論を行うものであります。
 イラクのクウェート侵略は、米ソの冷戦後の社会においても、国家間における戦争や軍事バランスまで削減しないことを如実に示しました。この事態を受け、国連は、平和解決のため、ぎりぎりまでの調停を行いましたが、サダム・フセイン大統領は、これをことごとく拒否し続け、地上戦にまで至ったことはまことに遺憾でなりません。この戦争は、国連の平和努力を拒否したイラク側にすべての責任があると私は断ぜざるを得ません。
 我が国は、平和を願う国際社会の一員として、国連の平和活動に対し積極的な貢献を求められているのであります。政府は、昨年、遅きに失したとはいえ、四十億ドルの資金協力を決めました。民社党は、四十億ドルの貢献策に賛成をし、第一次補正予算にも野党では一党だけでありましたが賛成したのであります。それは、我が国憲法の前文でうたう国際社会の中で名誉ある地位を占めたいと思うという崇高な理念を具体化したからであります。
 同様の見地から、今回の九十億ドルの追加にも賛成をするものであります。その財源についても、我が党の要求が十分取り入れられたと考えます。政府は、当初、約一兆二千億円を全額増税で賄う考えでしたが、我が党は、まず政府自身が汗を流し、歳出削減に努力することを粘り強く要求いたしました。その結果、五千億円は歳出削減等で賄うこととし、六千七百億円の増税にとどめた政府の努力に対し、我が党は素直に評価したいと思います。石油税増税の半減、法人税増税の圧縮、たばこ税増税の見送りなど、国民の負担は大幅に緩和されたのであります。また、これら財源措置により、赤字国債が増大し、財政再建がおくれるという事態が避けられたと考えます。
 湾岸戦争が終結すれば、巨額な経済復興資金が必要となり、我が国も積極的にこの支援をしなければなりません。その財源については、今回と同様、まず政府自身が汗を流すという基本姿勢を堅持していただきたい。
 同時に、今回、人的支援については見るべきものが全くありませんでした。これはまことに残念であります。自公民合意に基づく貢献策の速やかな立法化を行うべきであります。
 最後に、私は、イラクが一日も早く国連決議に従って無条件即時、全面撤退し、世界平和が早期に実現するよう希求し、賛成討論を終わります。(拍手)
#147
○渡部委員長 次に、楢崎弥之助君。
#148
○楢崎委員 私は、進歩民主連合を代表して、政府提案の二案に対し反対の討論を行います。
 九十億ドル追加支援金は、依然として積算根拠はすべて不明であります。既にベーカー米国務長官が明らかにしたとおり、この九十億ドルは米軍の戦費を補充する臨時軍事費の性格を持つものであります。これによって、日本は戦費を通じ名実ともに多国籍軍に加担することになり、自衛隊輸送機とその関係部隊の派遣により、湾岸戦争に日本は完全に参戦することになります。私どもは、断じてこの支出を認めることはできません。反対に伴う私どもの代替案は既に二月十五日、本委員会において明らかにしたとおりであります。
 なお、反対理由の一つとして申し添えたいことがあります。
 過ぐる二月二十一日、東京地裁民事九部において自衛隊機等派遣禁止仮処分の第一回の審尋が行われました。その第一回の審尋で、昨日私が問題にいたしました自衛隊法第百条の五、「国の機関」が争点の一つになっておりました。第二回目は明後日三月一日に行われます。私は、昨日のこの委員会における「国の機関」の政府見解に対しては承服しがたいものがあることを申し添えて、反対討論を終わります。(拍手)
#149
○渡部委員長 これにて討論は終局いたしました。
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#150
○渡部委員長 これより採決に入ります。
 平成二年度一般会計補正予算(第2号)、平成二年度特別会計補正予算(特第2号)の両案を一括して採決いたします。
 両案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#151
○渡部委員長 起立多数。よって、両案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#152
○渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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    〔報告書は附録に掲載〕
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#153
○渡部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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