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#1
第120回国会 科学技術委員会 第4号
平成三年四月二十三日(火曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 中馬 弘毅君
   理事 佐田玄一郎君 理事 渡海紀三朗君
   理事 光武  顕君 理事 村井  仁君
   理事 山本 有二君 理事 関  晴正君
   理事 辻  一彦君 理事 近江巳記夫君
      大野  明君    河野 洋平君
      塚原 俊平君    森  英介君
      渡瀬 憲明君    大畠 章宏君
      松前  仰君    森井 忠良君
      長田 武士君    金子 満広君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      山東 昭子君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     平野 拓也君
        科学技術庁長官
        官房審議官   石田 寛人君
        科学技術庁科学
        技術政策局長  須田 忠義君
        科学技術庁科学
        技術振興局長  林  昭彦君
        科学技術庁研究
        開発局長    井田 勝久君
        科学技術庁原子
        力局長     山本 貞一君
        科学技術庁原子
        力安全局長   村上 健一君
        科学技術庁原子
        力安全局次長  長田 英機君
 委員外の出席者
        原子力安全委員
        会委員長    内田 秀雄君
        科学技術庁原子
        力安全局核燃料
        規制課核燃料物
        質輸送対策室長 田辺  実君
        環境庁企画調整
        局地球環境部企
        画課長     濱中 裕徳君
        外務省北米局北
        米第一課長   田中 信明君
        外務省中近東ア
        フリカ局中近東
        第二課長    大木 正充君
        外務省国際連合
        局軍縮課長   神余 隆博君
        文部省高等教育
        局大学課長   泊  龍雄君
        文部省高等教育
        局私学部私学助
        成課長     渡邉  隆君
        文部省学術国際
        局国際学術課長 板橋 一太君
        工業技術院総務
        部研究開発官  後藤 隆志君
        工業技術院総務
        部研究開発官  広瀬 研吉君
        資源エネルギー
        庁長官官房省エ
        ネルギー石油代
        替エネルギー対
        策課長     上田 全宏君
        資源エネルギー
        庁長官官房省エ
        ネルギー石油代
        替エネルギー対
        策課省エネル
        ギー対策室長  松山 孝基君
        資源エネルギー
        庁石油部開発課
        長       望月 晴文君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全審
        査課長     森  信昭君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全管
        理課長     倉重 有幸君
        海上保安庁警備
        救難部警備第二
        課長      柳田 幸三君
        郵政省放送行政
        局衛星放送課長 團  宏明君
        参  考  人
        (宇宙開発事業
        団副理事長)  船川 謙司君
        科学技術委員会
        調査室長    松尾 光芳君
    ─────────────
委員の異動
三月八日
 辞任         補欠選任
  大畠 章宏君     井上 普方君
  森井 忠良君     井上 一成君
同日
 辞任         補欠選任
  井上 一成君     森井 忠良君
  井上 普方君     大畠 章宏君
同月十一日
 辞任         補欠選任
 森  英介君     小此木彦三郎君
  渡瀬 憲明君     加藤 紘一君
  森井 忠良君     戸田 菊雄君
同日
 辞任         補欠選任
  戸田 菊雄君     森井 忠良君
同月十二日
 辞任         補欠選任
  森井 忠良君     野坂 浩賢君
同日
 辞任         補欠選任
  野坂 浩賢君     森井 忠良君
同月十三日
 辞任         補欠選任
  大畠 章宏君     嶋崎  譲君
  森井 忠良君     野坂 浩賢君
  永末 英一君     和田 一仁君
同日
 辞任         補欠選任
  嶋崎  譲君     大畠 章宏君
  野坂 浩賢君     森井 忠良君
  和田 一仁君     永末 英一君
同月十四日
 辞任         補欠選任
 小此木彦三郎君     森  英介君
  加藤 紘一君     渡瀬 憲明君
同月十五日
 辞任         補欠選任
  森  英介君     木部 佳昭君
  渡瀬 憲明君     小林 興起君
  大畠 章宏君     緒方 克陽君
  森井 忠良君     秋葉 忠利君
  永末 英一君     米沢  隆君
同日
 辞任         補欠選任
  木部 佳昭君     森  英介君
  小林 興起君     渡瀬 憲明君
  秋葉 忠利君     森井 忠良君
  緒方 克陽君     大畠 章宏君
  米沢  隆君     永末 英一君
    ─────────────
三月二十二日
 高レベル放射性廃棄物施設の貯蔵工学センター設置反対に関する陳情書(北海道函館市東雲町四の一三函館市議会内松本博)(第八六号)
は本委員会に参考送付された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術振興の基本施策に関する件
     ────◇─────
#2
○中馬委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として宇宙開発事業団副理事長船川謙司君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ─────────────
#4
○中馬委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本有二君。
#5
○山本(有)委員 私は、本日、新エネルギー、特にソーラーエネルギーにつきまして御質問をさせていただきたいと存じます。
 まず、日本の経済は飛躍的に発展を遂げまして、世界のGNPの一割を満たすようになりました。この背景にはエネルギーを着実に確保できたということがございます。しかし、最近の湾岸危機におきますように、中東情勢はなお不安定化を示しております。そこにいわゆる着実なエネルギー確保の危険を感じるわけでありますが、その一方で、例えば一九九一年四月十七日、つい先日のあのゴルバチョフの衆議院本会議場での演説の中には「地球上の生命は危険にさらされています。エコロジーの危険に直面しています。これからの数十年間、何の手も打たなかったら、地球上の気候、生態系全体にとり返しのつかない変動が生じるだろう。もっと多くのエネルギー、意志、才能を人間の居住環境の救出へと切り替え、それによって地球上生きとし生けるものの救出に向ける時がきている」というような演説がございました。政治体制は違っておりましても、地球規模の問題認識は共通であると私もゴルバチョフ演説に感銘を受けたわけであります。
 さらに、つい最近出ました平成三年版の環境白書、これのテーマは「環境にやさしい経済社会への変革に向けて」であります。そしてその中に「地球温暖化防止行動計画」、そしてその具体案の中には「世界各国が協調して科学的基盤の整備、省エネルギー・省資源の推進、クリーンエネルギーの導入、革新的な環境技術の開発、温室効果ガス吸収源の拡大、次世代エネルギー技術の開発等に取り組む総合的かつ長期的ビジョン(地球再生計画)づくりの共同作業の必要性」があるというようにその「行動計画」の中にもあります。
 こういうようなことを考え合わせ、そしてもう一つ、総合エネルギー調査会、いわゆる「地球規模のエネルギー新潮流への挑戦」という報告書の中には、我が国は経済大国であるが生活小国である。したがって、今後ますます物やサービスへのニーズが高まって、エネルギー需要は拡大をするという報告をされております。
 るる引用いたしましたけれども、私がここで言いたいことは、まず、どうしてもエネルギーの問題においては三点考えておかなければならぬということでございます。
 一つは地球の温暖化、酸性雨等の地球環境問題であります。もう一つは、安定的な供給あるいはエネルギー安全保障と言ってもいいようなその安定的供給であります。そして三番目には、経済発展をなお遂げなければなりませんし、生活小国を脱皮して経済大国、生活大国にならなければならぬわけでありますから、このことにおけるエネルギーコストの問題、この三つの観点を踏まえて今後エネルギー問題に取り組む必要があると思うのでありますけれども、そう考えますと、これまでの化石エネルギーや原子力、さらにその次へというようなニーズがおよそ地球規模で高まっていると思います。
 そこで御質問いたします。
 新エネルギーの導入に積極的に取り組む必要があると思いますけれども、この政府の考え方を尋ねさせていただきます。
#6
○上田説明員 お答え申し上げます。
 我が国は、先生御指摘のように、一次エネルギーの大半を輸入石油に現在依存しておりまして、エネルギーの供給構造が極めて脆弱でございます。このため、各種の石油代替エネルギーの開発導入が急務であろうかと存じておるわけでございます。このため政府といたしましては、従来より石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律に基づきまして、いわゆる供給目標を定めまして、また特別会計制度も整備いたしまして、例えばサンシャイン等の新エネルギー、太陽光等の新エネルギー技術開発等各般の開発を進めておるところでございます。
 先生御指摘の新エネルギーでございますが、例えば太陽光発電、風力、燃料電池とございますけれども、これらはいわゆる世界的な地球環境問題に対しまして大変期待の持てるエネルギーであるということで関心が高まっているところでございます。昨年十月に、政府におきましても石油代替供給目標を改定いたしまして、新エネルギーについては二〇一〇年で五・三%の見通しを立てて、それに向けて鋭意施策を進めているところでございます。
#7
○山本(有)委員 これから頑張っていただけるということでありますが、今後エネルギーを供給する上において重要な役割を果たすと期待されておるものが幾つかあると思うのです。その新エネルギーの種類と特徴、これから供給に使われるべきものとしてのそういう特徴をちょっと御説明いただければと思います。
#8
○上田説明員 お答え申し上げます。
 新エネルギーのうちで現在実用化に近くて重要なものと判断されておりますのは、いわゆる太陽エネルギー、風力エネルギー、それから燃料電池が挙げられるかと存じます。これらはいわゆる石油代替エネルギーであると同時に、CO2等の発生がゼロまたは少ない、こういうクリーンなエネルギーだということで注目されておるわけでございます。
 ただ、反面、エネルギーの密度が希薄でございまして、また自然条件に左右されるという面もございますので、現時点では残念ながらコストが割高であるという制約がいずれの新エネルギーについても共通して言えると思います。
 種類と特徴を述べよということでございますので若干敷衍させていただきますと、まず、太陽光発電につきましては、シリコン等の半導体を用いまして太陽エネルギーを直接電気にかえる、こういう性質のものでございまして、技術的には一応確立されてございますけれども、例えば日照条件等によって出力が変動するといったような問題点も抱えているわけでございます。
 それから風力でございますが、これも小型、中型のものについては一応技術的な点では確立しておるわけでございますけれども、これは立地点、風が吹かなければ風力発電にならないという意味で密度が極めて低いものでございまして、その点が若干難点であると言われておるわけでございます。
 それから燃料電池につきましても、例えば効率性がいいとか、それから需要地に近い、環境への影響が小さい新エネルギーである、それから天然ガスとかいろいろな熱源も利用可能であるという割と便利な新エネルギータイプのものであるというふうに言われておるわけでございますが、まだ普及の程度が低くて割高であるというのが現時点での状況でございます。
#9
○山本(有)委員 なかなか難しい点が多いようでありますが、つい先日NHKが放送衛星を打ち上げようとして失敗したというセンセーショナルなニュースがありました。それは放送衛星ゆり三号aの太陽電池が性能が劣化して衛星放送に支障が出るということが原因で打ち上げに臨んだわけでありますが、そう考えてみますと、既に宇宙の世界では太陽電池というものが不可欠であって、そしてこの太陽電池の開発や耐久性というものが
我々の生活にも物すごく影響しているということが明らかになったわけであります。
 もう一つ日常的なことでいえば、電卓のエネルギーはこれまた太陽電池でありまして、そう考えてまいりますと我々の日常には既に随分生かされておるということが言えるわけでありまして、南国の方に行きますとソーラーの機器、おふろを沸かすのに太陽熱を利用しているとかいうこともあります。我が四国では仁尾町には太陽熱の発電プラント、西条市では太陽光の発電プラントがそれぞれ研究をされております。また、今度石川県ではソーラーカーのラリーがあるそうでありますけれども、そんなこともこれからの新しいエネルギーへの示唆になるような気がいたします。
 そこで、現在どういったものがどういうように使われているのか、ソーラーエネルギーの利用の現状をお伺いいたします。
#10
○上田説明員 お答え申し上げます。
 ソーラーエネルギーにつきましては、太陽光発電、これにつきましては先生御指摘のように従来電卓用というのが一番ポピュラーな形でございますが、現在存在しますものの例としまして、例えば白馬山の山小屋、いわゆる白馬山荘のところに大体七十キロワットぐらいのものが実験的に設置してあるとか、例えば甲府のあるガソリンスタンドの電源、これは十キロワットぐらいのものでございますが、そういったものについて導入事例がございます。それから民生機器をいろいろ家電業界も開発しておりまして、その中でソーラーエアコンというような太陽電池を組み込んだ新商品も開発努力をしておると聞いております。
 それから、太陽光発電のほかにもう一つ、太陽熱というものがございますが、これにつきましてはソーラーシステムというのが全国で大体三十五万台ぐらい普及しております。このほか、もっと簡単な、いわゆる屋根なんかに取りつけてございます太陽熱を利用した温水器でございますが、これは全世帯の一割ぐらいの普及でございまして、全体で四百六十万台ぐらい全国で普及しているのが現状でございます。
#11
○山本(有)委員 まだまだ利用の状況というのは芳しいとは言えません。これからもっと利用していただかなければ、冒頭申し上げましたいわゆる環境の問題等々の問題をクリアできることにはならないわけであります。
 そこで、ソーラーエネルギーの普及を国がもっと積極的に推進すべきではなかろうかと私は思います。これは民間だけに任せておりますと、どうしても先ほど申し上げました新エネルギーの中の太陽エネルギーの難点、いわゆるコストの問題、そこにぶつかってしまいます。したがいまして、このソーラーエネルギーを利用するときには国がもっと支援をしていくというような積極性が要ると思いますけれども、国の現在の支援策と将来の支援策、これを尋ねさせていただきます。
#12
○上田説明員 お答え申し上げます。
 国のいわゆる支援策につきましては、大きく分けまして技術開発段階のものと導入普及のための施策とあるかと思います。
 まず、技術開発段階のものにつきましては、いわゆるサンシャイン計画の中で太陽エネルギーも力を注いでおるものでございまして、例えば平成三年度予算で約七十四億円の措置を講じて鋭意技術開発に邁進しておるところでございます。
 それからもう一つ、実現に向けての導入普及に当たっては、先ほど来申し上げておりますように経済性の克服、割高問題の克服というのが重要でございまして、現在政策的に初期市場を人為的に創出する、こういう努力を行っております。このために、例えばいわゆるローカルエネルギーモデル補助制度ということで国の方が二分の一補助をしていく、こういうようなモデル事業を推進しているのが一つ。
 それから税制面でも対応いたしておりまして、いわゆるエネルギー環境変化対応投資促進税制というのが現在ございますが、その中で太陽電池とか太陽熱利用機器などを対象としておるところでございます。それから平成三年度新たに、例えば地方税、固定資産税の軽減を内容といたしますローカルエネルギー税制、これは従来から税制自体はあったわけでございますが、その中に太陽光発電、太陽電池でございますが、それとか風力発電機もその対象にするとか、それから燃料電池につきましては開銀の低利融資をするとか、こういったものを平成三年度新たに施策を加えておるところでございます。今後ともこれらの施策を通じまして太陽エネルギーの導入普及に最大限の努力を傾注してまいりたいと存じております。
#13
○山本(有)委員 現状も支援策はある程度やっており、今後も取り組んでいただけるということでありますが、次に私は、ソーラーエネルギーの今後の見通しあるいは研究開発についてお伺いしたいと思います。
 その私の考え方のポイントは、要は普及をさせていただきたいという考え方のもとにこのことをお聞きするわけでありますが、そのときに当たって新エネルギーというものをどういうように活用し、利用していくべきなのかということを考えております。例えば先ほどは太陽、ソーラー、それから風力、そして燃料電池、こういうように言っていただきましたけれども、さらに私は地熱とか波力とかいうようなことを考えてまいりますと、風力は風のないところでは起きないわけでありますから、例えば群馬県の空っ風、北関東の空っ風とかいうことであれば、その地域は風力を中心に研究開発をする。そしてまた、地熱ということになりますと別府とかあるいは箱根とかいう温泉地帯で地熱の発電を考える。さらには玄界灘とか佐渡島とか波の高いところで波力の発電を考える。 そういうことになりますと、ソーラーを考えてみますと、私の選挙区の高知県というのは日照時間が全国で三番目に長いわけでありまして、一番が香川、二番が宮崎、三番が高知県、その差はほとんどありません。そういうことを考えてみますと、そういった地域にはソーラーの研究開発及び将来的にはそういうソーラーエネルギーで町が維持できるというような研究開発システムを考えていくべきではないかというように思っております。
 そこで、現状の研究開発と今後の見通しについてお伺いさせていただきます。
#14
○後藤説明員 お答え申し上げます。
 太陽エネルギーの技術開発につきましては、私ども通商産業省のサンシャイン計画におきまして、昭和四十九年度から、太陽光発電技術それから太陽熱を用いましたソーラーシステムというものの研究開発を実施してきております。
 太陽光発電技術につきましては既に原理的には確立をされておりますけれども、実用化というものを考えていく上でやはり経済性を向上させるということが重要なかぎになると考えておりまして、現在進めております技術開発におきましては、発電コストで見まして、西暦二〇〇〇年に現在の家庭用電気料金並みの水準というところまで低下をさせていきたいと考えております。
 具体的には、太陽光発電の中核になります太陽電池を大量かつ安価に製造するための技術開発、また太陽電池の変換効率を上げる技術、さらに太陽電池を中心とした太陽光発電システム全体につきましても、その利用分野、例えば離島ですとか山小屋ですとか防災用というような分野、さらには都市における各家庭またはビルの屋上に設置しての利用というような分野での技術開発を進めております。
 また、ソーラーシステムにつきましては、既に民生用のものにつきましては実用化されておりまして、現在は私どもサンシャイン計画の中では産業用ということに絞りまして技術開発を行っております。
 具体的に申し上げますと、システムの効率を向上し、またコストを低下させるということのために、例えば集熱器のような要素技術というものを開発しておりますし、また太陽熱を利用しまして冷凍するというような技術開発、さらにはパッシブソーラーという新しい概念でのシステムの構築というものの研究開発に取り組んでおります。
 今後ともこれらの研究開発を着実に進めていく所存でございますけれども、さらに長期的な課題といたしましては、現在の二倍以上のエネルギー変換効率を持ちます超高効率太陽電池というものも開発していきたいと考えております。
 以上です。
#15
○山本(有)委員 次に、長官にお伺いをさせていただきます。
 カワウソという動物を御存じでしょうか。これは北海道から沖縄まで生息しておりましたけれども、今現在残っているのは三匹だけ高知県に残っているのです。しかも、川の魚しか食べませんし、自然環境のいいところにしか住めません。ということは四国の南端の高知がカワウソにとって一番自然環境がよかった、こういうことでありますけれども、四万十の清流とか、そういう自然環境が経済発展の中に取り残されたがゆえに残っている。
 そこで、そういったところでいわゆるソーラーエネルギーを活用し、しかも日差しの強いところでありますから、そういうような地域地域での新エネルギーの開発というものが、先ほど申し上げましたように非常に大事になってくるだろうと私は思います。大阪ではどういうものが大事か私もわかりませんけれども、そういった地域での新エネルギー活用ということにつきまして、御意見があれば少しだけお聞かせいただきたいと思います。
#16
○山東国務大臣 私も十代のときから日本全国を歩きまして随分いろいろな地方も見てまいりましたけれども、やはりその地域の特性というものはそれぞれあるだろうと思います。それは、農林水産の問題ももちろんでございますけれども、地域の実情というものを把握しながらこうしたエネルギー問題というものも考えていかなければいけないということは承知いたしております。いろいろな環境問題あるいは経済活動ということだけではなしに、それぞれの地域の観光であるとかそういうものもございますので、いろいろ考えていることと直接結びつけてすぐエネルギーといった問題に果たして通用するかどうかはなかなか疑問の点もあるかと存じますけれども、今後もいろいろ多角的にこうしたエネルギーという問題を考えていかなければならないなと考えております。
#17
○山本(有)委員 ありがとうございました。
 最後に、長官にお伺いいたします。
 種々のエネルギーの研究開発をしなければならない、これから新エネルギーに取り組んでいかなければならないということが明らかになってきたわけでありますが、私が冒頭申し上げましたように、地球環境問題そしてエネルギーの安定的供給、安全保障の問題そしてコストの問題、こういった点につきまして、今後のエネルギー研究開発に対する科学技術庁長官としての取り組みにつきましてお伺いさせていただきます。
#18
○山東国務大臣 エネルギーの安定供給は、我が国の最重要課題の一つでございます。政府といたしましては、科学技術政策大綱に基づきまして積極的にエネルギーの研究開発を進めておりますけれども、具体的には原子力及び太陽、地熱、海洋、風力など、それぞれの特性に応じて多様な利用ができるよう、長期的観点から幅広い研究開発に取り組んでおります。
 さらに、地球環境問題など内外の情勢変化などを踏まえまして、現行のエネルギー研究開発基本計画を改定するべく現在科学技術会議において審議中でございますけれども、今後ともエネルギーの研究開発を一層強力に推進してまいりたいと思っております。
#19
○山本(有)委員 終わります。ありがとうございました。
#20
○中馬委員長 大畠章宏君。
#21
○大畠委員 日本社会党の大畠でございます。私は、この科学技術委員会での初めての質問でございますので、日本の科学技術に関する全般的な課題について質問を交えていろいろ討論したいと考えます。
 最初に科学技術の研究についてでございます。
 私はある企業の出身でございますけれども、企業は人なりということを言われるわけであります。科学技術もどんなに科学技術、科学技術と言ってもやはり人を育てること、それなしに日本の科学技術というものはあり得ないのじゃないかと思うのです。そこで、日本の科学技術というものを支えている人づくりという面では今、日本はどうなっているかということについて少し御質問したいと思います。
 今、皆さん御存じのとおり、産業といいますか製造部門、科学技術、そういうものに対する学生の興味というのも非常に少なくなってきて、例えば工学系、理工学系を卒業した学生もサービス産業あるいはまた銀行、保険会社等に流れつつある状況でございますけれども、私は非常にその状況を憂えております。そこで、今科学技術立国と言われている日本を支えている理工系の大学の研究室の実態というのはどうあるのかということを、いろいろ御質問の中で討議させていただきたいと思うのです。
 私は、今の大学の研究室、理工学系の研究室の研究内容あるいは研究室の状況というのは非常に寂しい状況にあるのじゃないか。そういうことで、そこで一生懸命やったとしても、科学技術あるいはそういう状況になかなか興味を見出せなくて、金融業界あるいはサービス業界というところに流れてしまうのじゃないかという感じがします。私も理工系のある大学の研究室を出たものでありますけれども、非常に予算は厳しい、あるいは使っている機械が古い。その中でも一生懸命やってまいりましたけれども、現代の科学技術の発展というものを考えると、大学の研究室の状況が現在の科学技術の状況と異なって非常に低いレベルにあるのではないかという感じがいたします。そういうことから、今国立大学の理工学系の研究室の年間の平均予算というのは一体どれぐらいとってあるのか、まずお伺いしたいと思います。
#22
○泊説明員 国立大学の理工系学部の研究費等についてのお尋ねでございます。
 国立大学の一研究室当たりの研究費につきましては、各大学自体における予算の配分方針あるいは研究室の研究状況等によってもさまざまでございますけれども、予算上の積算を基幹的な教育研究経費でございます教官当たり積算校費ということについて申し上げますと、例えば博士課程を置く理工学部の一講座当たりの年間の校費が七百五十七万円、平成三年度でございます。
 それからまた、旅費という面で見てまいりますと、研究旅費につきましても予算の積算上は、博士課程を置く理工学部の場合で申し上げますと、理工学部の教授一人当たり積算単価が十四万五千九百四十円、これはいずれも平成三年度でございますが、積算をいたし、そして教員数に応じ配分をしているところでございます。
#23
○大畠委員 年間予算七百五十七万円ということですが、これは人件費とかそういうものは全部除いた純粋な研究に用いられる、いわゆる機器の購入ですとか材料の購入ですとかあるいはその研究に必要な機材の購入とか、それも全部含んでおるのですか。
#24
○泊説明員 ただいま申し上げました教官当たりの積算校費、これは人件費等は除いてございます。したがいまして、一般的に研究室を運営していくために、光熱水料でございますとか備品等の消耗品でございますとか、場合によっては簡単な設備とかいったものをこれで措置をする、こういう内容でございます。
 これはいわば基幹的研究経費について例を申し上げたわけでございますが、ちなみにこのほかに、例えば研究室によりましては、いわゆる外部資金ということで奨学寄附金ということで外部からの寄附金等、あるいは受託研究、共同研究といったような形での外部からの資金が入ってまいります。それからまた、研究者によりましては御案内の科学研究費補助金の交付を受けて運営に当たっている、こういう実情でございます。
#25
○大畠委員 今外部から研究補助費といったいろ
いろなものが入っているということですが、それは大体どのくらい入っているとつかんでおられますか。
#26
○泊説明員 今申し上げました分野で平成二年度で国立大学全体ということで、内訳がございませんので総体で申し上げますと、奨学寄附金という形で外部からの寄附金が丸い数字で約三百九十一億、トータルで入っております。また受託研究費ということで七十一億余り、それから大きなところで科学研究費というのは御案内のとおり平成二年度で五百五十八億、今年度は五百八十九億計上されている、こういう状況でございます。
#27
○大畠委員 総額で言われても一研究室になるとどのくらいだかちょっとわからないのですが、この研究予算というのは、アメリカあるいはヨーロッパの理工学系の一大学院の研究室の方の予算に比べてどうですか。
#28
○泊説明員 研究費等につきまして諸外国との比較、それぞれの国の例えば設置形態なり学校の運営のあり方というのがまちまちでございますので、一律な比較はなかなか難しいのではないかと思っております。私どもも一部分一部分につきましては時たま関連のデータ等眺めるわけでございますが、なかなか十全な比較というのは難しいという気がいたしております。
 ただ、先生多分御指摘の点は、今の国立大学の教育研究条件がなかなか十分ではないのではないかということを御心配の上の御指摘だと思います。そういう意味合いでは、例えば民間の研究所等の研究条件といったようなこと、これはお金の面あるいは設備の面といったような問題等からその国立大学の教育研究条件が不十分である、将来の日本にとって非常に憂慮すべき状況になりつつあるというような御指摘を私どもも関係者あるいは審議会等からいただいているところでございます。これらの点につきましては、私どもとしてもやはり今後の日本の人材養成あるいは学術研究の進展ということを考えますと、今後の非常に大きな課題であるというふうに考えておりまして、これらの関係予算等の確保といったようなものに最大限の努力をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
#29
○大畠委員 総論はわかるのですけれども、本当に危機感を感じているのかどうかということはちょっと感じられませんね。というのは、文部省が小学校から大学まで、それも文系から理工学系まで全部抱えていて、特に科学技術立国日本の技術関係の実態というものが大学においてどんどん低下している。そういうことまで含めて、そこに手を差し伸べようとする余力が文部省にないのではないかと私は思うのですよ。
 私はもうちょっとお伺いしたいのですけれども、現状を非常に危惧しているということ、それを今これからどう改善されようとしていますか。施設面あるいは研究室の、今の話では旅費も十四万円ということでありますが、一体十四万円で何人の人がどのくらい、科学技術関係の国内の発表もあるでしょうし、海外の発表もあるでしょうし、それで十分な研究活動ができると思っていますか。
#30
○泊説明員 私どもとしても現在が十分であるとは決して思っているわけではございません。ある意味で、これは新たな措置を講じてこういった事態を解決してまいらなければならないというふうに思っているわけでございます。
 御案内のような現下の行財政事情等もございますので、今年度も、例えば先ほど申し上げましたような教官当たり積算校費、それからまた学生に着目した学生当たり校費とかいったようなものについて単価改定等を含めまして増額を図るとか、あるいは施設等予算につきましても、わずかながらではございますけれども増額を図るといったような努力をさしていただいてきているところでございます。
 こういった事態につきましては、私どもの大学審議会におきましても、やはり今後の日本の高等教育の整備を図る上で行財政上の措置というものが非常に大事であろうということで、実は鋭意御検討をいただいているところでございます。そして特に、御案内のとおり平成四年度がいわば日本の十八歳人口、高等学校卒業者という意味では最大規模で、これらにこたえなければならないという一面の要請もございます。しかしその後これが急減いたしてまいります。こういった中で、この二〇〇〇年に向けた高等教育全体のあり方はどうあるべきか、その中で行財政措置といったものはどうあるべきかという御検討もいただいております。
 その中で、現在審議中ではございますけれども、一般的に言われておりますのは、広く基盤的な整備を図ると同時に、やはり世界に伍してこれまでの活力を維持していくということであれば、それに対応していわゆる重点配分といったような新たな財政措置も必要ではないかというような多方面にわたる御指摘もいただいておりますので、こういったものを踏まえまして、私どもとしても可能な限りの努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#31
○大畠委員 精神論はわかるのですが、文部省は、これから学生がだんだん少なくなる、したがって、少なくなった人数の中で予算も一人頭多くなるからそれで何とか対応していきたいということでしょうけれども、大学で理工系の学生がいい状況で研究できればいいということじゃなくて、卒業してからも製造業とかこの科学技術の分野におれは一生をかけてやっていこうという学生を生み出すことが文部省の責任だと私は思うのです。要するに、自分のテリトリーの中でパーフェクトな仕事をすればいいというのではなくて、そこを卒業された学生が、よし、おれもこの分野で頑張っていこう、そこまで踏み込まないと、今のような総体的な考えではなかなかこれから科学技術立国日本というのを維持していくのは私は難しいのじゃないかと思うのです。
 アメリカのような国になっては困る、これを私申し上げているのですけれども、アメリカはだんだん物をつくるということに対する学生さんの興味といいますか、それはもうどんどん低下しています。それで経済といいますか、経理関係がナンバーワンのところになりまして、技術者というのはナンバーツーのところといいますか、下のレベルだというふうな社会通念ができてしまったそうでありますけれども、この日本という国は資源もないし、あるのは知恵しかないのですね。一生懸命海外の原料のある国から輸入させていただいて、加工しては売っている。いわゆる知恵を売っているということですから、そういう意味でぜひ文部省も今のような総体的な観点じゃなくて、もっと危機感を持って、これから学生さんが例えば二十二で卒業したとして、使い物になるのが十年後三十二ぐらい、そしてそれが本当に力をつけるのは四十歳代ですから、二十年後の日本の科学技術の分野を支えるのは今卒業している人なんですね。したがって、今一生懸命手を打っておかないと、二十年後の日本というものは大変な状況になる、あるいはアメリカと同じように物をつくれなくなる、そういう国になるんじゃないかということを私は非常に憂えています。
 そういうことから、これはなかなか難しいでしょうけれども、文部省が本当に幼稚園から大学の理工系まで全部テリトリーを持って対応しているというのは無理なんじゃないか。
 そこで、私は科学技術庁の方にちょっとお伺いしたいと思うのですけれども、そろそろこの状況から少し科学技術庁の方も突っ込んで、技術者養成というものについて文部省の方といろいろ連携をとりながら責任を持って、自分の方は卒業した学生さんを受け入れてそして科学技術の技術を確立させればいいんだということじゃなくて、人づくりの段階から手を差し伸べなかったら、トータルとしての科学技術立国日本というのが崩れるんじゃないかと思うのです。突然だと思いますが、長官、この点どういうふうに考えておられますか。
#32
○山東国務大臣 大学の理工学部は、教育行政の一貫性を重視する観点から文部省が所管をしてい
るところでございますけれども、他方、科学技術政策の中で大学が果たすべき役割というものにつきましては、文部大臣もメンバーの一員となっております科学技術会議の場で所要の審議を行いまして、科学技術政策の遂行上支障が生じることがないよう配慮しております。
 このようなことから、現在、科学技術会議が進めております二十一世紀を展望した科学技術の総合的基本方策に関する審議におきまして、我が国の科学技術人材の養成確保の問題につきましては、大学における人材の養成も含めた検討を進めております。
 科学技術庁といたしましては、科学技術人材の養成が科学技術政策における重要な課題であることから、大学の理工学部の問題にも重大な関心を持ちながら科学技術会議での審議をこれからも進めてまいりたいと考えております。
#33
○大畠委員 大臣はそういうふうな御意見だと思うのですが、事務当局にちょっとお伺いしたいのです。
 今大臣からお話がございましたけれども、現在の科学技術を支える人的な基盤について、どんどん理工系の学生が銀行あるいは生命保険会社等に流出しているという現象をどういうふうにとらえておりますか。
#34
○須田政府委員 先生御指摘のとおり、理工系に最近非常に入学志願者が少なくなっているという問題、それから理工系の卒業生が製造業に行かなくなった、これからの科学技術立国を目指す日本の全くの基盤を損なうわけでございますので、非常に危機感を持っております。
 したがって、我々、今文部省と一緒に次世代を展望した今後十年間の科学技術政策の展望について科学技術会議で審議しておりますが、人材の養成確保、これを重要な一つの課題として今鋭意審議しているところでございます。この答申を踏まえ、文部省とも相談した上でいろいろな施策を講じてまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。
#35
○大畠委員 文部省から、特に科学技術部門の大学の学生の教育の件については科学技術庁がリダーシップをとってやる、そのくらいの気概はないでしょうか。
#36
○須田政府委員 先ほども大臣から御答弁があったように、理工学部、これは大学にかかわる問題で、これは教育行政の一貫性を重視する観点から文部省所管ということになっておりますが、科学技術振興とのかかわり、これは非常に重要だということで科学技術会議が設置され、その科学技術会議の中に文部大臣がメンバーとして入っております。これは議長が総理でございます。したがって、その辺で今後の人材問題、養成問題を大いに議論して、文部省に適切な施策をとっていただきたい、そういうふうに願望しておるところであります。そういう方向で努力したいと思います。
#37
○大畠委員 私は文部省を信用していないわけじゃないのですが、とにかく文部省は百貨店ですから、百貨店というところはたくさん品物があります。したがって、その一部分の分野をなかなか、多分売っている商品をすべて理解するというのは難しいと思うのですね。したがって、この科学技術の分野については、単品の専門店である科学技術庁が本当に一生懸命やらないと、文部省に任せっきりにした場合には第二のアメリカになる、私はそう思いますので、ぜひこの科学技術関係の学生を育てる分野については越権行為をしても、とにかく西ドイツと東ドイツも壁がとれたのですから、文部省と科学技術庁との間には人を育てるという点ではそれ以上に分厚い壁があると聞いておるのですが、ぜひそれを打ち破って、文部省だ、科学技術庁だというのじゃなくて、本当に日本の将来をどうするんだという観点から積極的な人材育成策をとらなかったら大変になるということで、今お話がありましたので、ぜひそういう方向で頑張っていただきたいと私は思います。二十年後の日本を育てるためにぜひお願いしたいと思います。
 それから、ちょっと視点を変えますが、今日本の国際貢献策というのがいろいろ言われているのですが、この科学技術の分野についても同じようなことが言えるのじゃないかと思うのですね。海外からの研究者の受け入れ態勢という件についてちょっとお伺いしたいのです。
 実はここに新聞がありますが、先日、山東科学技術庁長官が筑波の方に行かれまして、外国人の研究者との懇談会を行った。そのときの記事をたまたま読ませていただきました。そういうことから海外からの研究者の受け入れ態勢についてちょっとお伺いしたいと思うのですが、この長官とのやりとりの中で幾つか外国人の研究者の方から意見が出されています。
 一つは招聘制度に不公平がないのか。いわゆる先進国と発展途上国の間でどうも受け入れ枠に開きがあるのじゃないかということが一つ言われていますね。
 それからもう一つ、受け入れ態勢が悪い。受け入れたんだけれども、一体これからどんな研究をやるかという対応策が示されていない。したがって何をやったらいいかわからない。日本に来てもなかなか研究ができないのじゃないかという声も出ている。
 三つ目には、研究補助員が平均一人しかいない。通常先進国では二、三人はつけてくれる。ところが、日本では研究補助員が一人しかいない。そういう受け入れ態勢しかない。
 それから四番目には、先ほどいろいろありましたけれども、出張費が非常に少ない、十分な研究活動ができないということも言われています。
 それから、そのほかの声でありますが、研究所の女性職員が全体の一〇%しかいない。これは諸外国に比べても女性の登用数が少ないのじゃないか。これはちょっとまた科学技術庁とは違いますけれども。
 いずれにしても、こういう声が出ている中で、掃海艇を派遣することも一つの貢献策として考えているかもしらぬけれども、私は科学技術の分野で、こういう外国からの、一生懸命学ぼう、日本の科学技術を学ぼうという人を受け入れて一生懸命それを育ててあげること、これはもっと大きな国際貢献策だと思うのですが、現在の海外からの研究者の受け入れ態勢、これは欧米と比較してどうなのか、あるいは今後この現状を、いろいろ幾つか問題点が出されましたけれども、この点に対してどういうふうに改善していこうというのか、事務当局の見解を求めます。
#38
○林(昭)政府委員 まず最初に、先日筑波で行われました大臣と外国人研究者との懇談会のことでございますが、これは私ども、むしろ外国から来ております研究者がいろいろ注文を持っておられるだろう、そういうものを吸い上げて今後の対策を考えたいということで企画したわけでございまして、出てこられた方も前置きとして皆さん言っておられましたけれども、基本的には日本での研究生活というものに満足をしておられる、ただ、こういう機会だからいろいろ問題点を指摘したいということで御意見をちょうだいしたわけでございます。
 いろいろ厳しい御意見も出てきたわけでございますが、中には若干の誤解に基づく御発言であるとか、あるいはこれは海外から来られております研究者だけの問題ではなくて日本の研究機関全体の問題、共通の問題というようなものも含まれておりまして、こういうものを一挙に解決するというのはなかなか難しゅうございますけれども、私どももそういういろいろな改善点というようなものを指摘していただくことが目的でございましたので、あった御意見、これを大いに参考にしまして、今後の受け入れ態勢をさらに改善していくということにしていきたいと考えております。
 また、欧米との比較でございますが、これはなかなか正確な比較はできないわけでございますが、私ども国際貢献ということを踏まえまして、昭和六十三年度に国立の研究機関に外国人の研究者を受け入れるという科学技術庁のフェローシップ制度を創設いたしまして、六十三年度は百人であったわけですが、平成三年度の予算ではこれを
百八十人に拡大をしておりまして、今後ともその拡大を図っていきたいというふうに思っております。
 また、せっかく来ていただいた方にできるだけ快適に所期の目的を達成できるような研究体制をつくりたいということで、平成元年度には新技術事業団において国際研究交流促進事業を開始いたしまして、先ほど申し上げましたフェローシップ事業とあわせまして外国の研究者及びその家族のための宿舎の整備でございますとか、あるいは日本語の研修でございますとか、生活相談とか生活情報誌の提供といったような生活環境の整備事業をきめ細かく行う体制に努めてきているところでございます。今後ともそういう形で施策の拡充を図ってまいりたいというふうに考えております。
#39
○大畠委員 私が今申し上げたのは新聞に出ていることを申し上げたので、ここで取り上げたからといって、余りああいうのをやるといろいろ不満が出て困るからもうやめようかなんということを考えないで、どんどん問題点をとらえては、必ずみんな何かの問題を、気持ちを持っていますから、それを受けとめてはどんどんつぶしていくということで、ぜひ欧米並みの受け入れ条件をつくるべく努力していただきたいと思いますし、そういうことでこれからも何回もぜひやってください。こういう企画はいいと思うのですよ。
 それから、あと一つちょっとお伺いしたいのです。
 私も私立大学の出身でございますけれども、私学振興ということじゃないのですが、私立大学の理工系の研究室も非常に今、国立大学も厳しいでしょうけれども私立大学も厳しい条件にあります。そういうことで、これは文部省の管轄だと思うのですが、私立大学の理工系の研究室に対する今後の支援計画についてお伺いしたいと思うのです。
#40
○渡邉説明員 私学助成の面でこれまでいろいろお話がございました科学技術の振興と申しますか、そういう理工系学部の研究を推進していく上でどういう施策を今後とるのかというお尋ねかと存じます。
 私学助成につきましては経常費補助が中心でございますが、その配分に当たりましては、一般補助のほかに一割程度特別補助という形で、特に社会的要請の高い、特色のある教育研究を行っている大学を支援するというような措置を講じているところでございます。この特別補助の中に、ただいま先生の方からお話のございました私立大学の理工系学部に対します振興策というようなものをいろいろ盛り込んでいるところでございます。
 幾つか申し上げますと、例えば大学院、これは理工系大学の大部分が設置しているわけで、大学院を設置している場合には特別に補助をする。あるいは研究所ですとか、これを全国の大学のために共同利用の施設として設置して研究を推進している場合ですとか、あるいは大学の内外の研究者と共同研究を進めているとかいろいろなケースにつきまして、その整備状況に応じまして特別補助という形で特に理工系の研究の推進を図るという形で配分をしているわけでございます。
 文部省といたしましても、こういった特色のある研究の推進を図っていくということは大変大事なことであると考えておりまして、特にこの特別補助につきましては、全体の経常費補助の中の割合をどんどん伸ばしているところでございます。現在一割強でございますが、さらにそれを伸ばすという方向で施策を検討しているところでございます。
 それから研究のためのいろいろな設備、これも必要なわけでございますが、そういう設備の購入費そのものにつきましても、これは経常費補助金の対象外でございますが、それにつきましては整備費補助金という補助制度を別に設けておりまして、百億程度の予算でございますが、その整備の促進も図っているというようなことでございます。
 こういった施策を通じまして、文部省といたしましては私立大学の理工系学部を中心といたします研究活動が一層推進されるように今後とも努力を重ねていきたい、こういうように考えております。
#41
○大畠委員 ひとつよろしくお願いします。
 それで最後に、一点だけに絞ってもう一回文部省にお伺いしたいのです。
 大学の研究室の教授、助教授あるいは大学院生まで含めていいかどうかわかりませんが、どうですかね、交通費というのをもうちょっと、予算といいますか、幅を広げることはできませんかね。私は今の日本で、科学技術立国日本といいながら、日本国内の研究発表の旅費さえ窮しているという状況をいろいろ聞いておるのですが、今は日本国内の研究発表だけではだめなんですね。ヨーロッパへ行ったりアメリカへ行ったり、そこで大いにディスカッションして、もちろん言葉も英語でやらなければいかぬでしょうけれども、そうやって大いに海外へ出ていってディスカッションしていくというような状況をつくってあげなかったら、大学の教授も助教授もみんな精神的にダウンしてきますよ。
 民間企業はもうどんどんやっている。私の知っている企業なんかも毎日ぐらいアメリカへ十人単位ぐらいで行っていますよ。そういう状況のときに大学の先生はなかなか海外へ行けない。学会の中で一人か二人やっても旅費は私費で行ってくださいとかなんかで、そういう状況が非常に寂しいと私は思うのですが、どうですか、思い切って交通費についてはどんと緩和するというような方針を、ここはなかなか難しいかもしれませんが、そういう方針を出してくれませんかね。そうじゃないとおかしくなりますよ。
#42
○板橋説明員 ただいま御質問の点、非常に重要なことであるというふうに認識しております。
 現在、主として海外で学会等に出席される場合の旅費等につきまして、私どもの方で措置しておりますのは国際研究集会派遣研究員制度というものを設けておりまして、これに基づきまして大学の研究者が外国でいろいろな集会に出席される便宜を図っておるわけでございますけれども、現在のところ、本制度の場合に国際的に権威のある学術研究機関等が主催し、あるいは研究者自身がそこで直接学術発表する、あるいは座長等の重要な役割を担う国際会議に国立大学の助手以上の教官を派遣するというふうな趣旨で設けております。 このほかに、現実には科学研究費の国際学術研究の補助金を使ったり、あるいは日本学術振興会の研究者交流制度というものがございまして、あるいはまた委任経理金の制度等を利用してそういう会議に出席されておるというのが現状でございます。
 しかしながら、先生御指摘のように、できるだけたくさんの先生方がそういう国際の場でいろいろなレベルの高い先生方と御議論いただくというのは非常に大事なことでございますので、努めて私どももこの予算の拡充に努めておるということでございます。よろしくお願いいたします。
#43
○大畠委員 予算の獲得に本当に真剣さを持ってぜひ当たっていただきたい。一生懸命私もパトリオットを出しますからぜひ頑張って、パトリオットは迎撃だからまずいのかな、いずれにしても一生懸命応援しますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 その次に、視点を変えまして宇宙開発についてお伺いしたいと思います。
 私も子供時代に非常に宇宙開発については夢を持っていまして、ケネディ大統領がアメリカが最初に月に人類を送るというような発表をしたときには、本当にできるのかな、いやすごいなアメリカは、こういう感じがしたのですね。私は宇宙開発というのは非常に日本人の子供たち、あるいは私たち大人にとっても夢がある分野でございまして、日本も国際貢献という意味からも宇宙開発の分野に大きく貢献していただきたいと思うのですが、今予算面のお話を申し上げますと、日本の科学技術面での宇宙開発という予算を見ますと、これはある雑誌に出ていたのですが、一九八五年の予算で見ますと日本はGNP比○・〇三六%、ア
メリカが〇・一八五%、フランスが〇・一二八%、西ドイツが〇・〇四五%ということで、この中では一番低い比率になっています。
 私はこういう観点から、もっと宇宙開発に力を入れるためにもこの予算をふやすべきじゃないかと思うのですが、国際比較してこの宇宙開発の予算というのをどういうふうに科学技術庁はとらえて、かつこれからどうしていこうと考えておられるのか、それからまず伺いたい。
#44
○井田政府委員 今先生御指摘のように、我が国の宇宙開発予算、米国や欧州と比べますと決して十分でない、数字で見ますとそういうことでございます。
 ただ、我が国の宇宙開発の歴史を見ますと、大変欧米諸国からおくれて出発したわけでございまして、ほとんどゼロに等しいところから今日まで来たわけでございまして、これまで人工衛星でございますとかロケットの開発に必要な姿勢制御技術、慣性誘導技術等の要素技術の研究からシステムのインテグレーション技術の開発まで着実に進めてまいりまして、これを通じて技術基盤の確立を図って、今日国際的水準に達しているというふうに言えるまでになったわけでございます。そういう意味では、今予算が大変少ないということでございますが、大変効率のいい開発をしてきたということが一面では言えるわけでございまして、そういう評価も国際的にはあるわけでございます。
 ただ、これでいいのかと申しますと、これから国際的水準に達したわけで自前できちっとやらなければいかぬ、こういうような状況もございますし、国際的な要請も大変強い、こういう状況の中で我が国の宇宙開発活動をこれから推進していくためには、効率性だけじゃない、やはりこれから研究開発活動の拡充が必要である、こういうふうに考えているわけでございます。
 そういうわけで、私どもといたしましては平成三年度におきまして、大変財政事情厳しい中でございますが、政府全体の一般歳出の伸びが四・七%でございますが、宇宙開発予算は政府全体として対前年度比九・六%増の千七百七十七億円を計上したところでございます。今後とも宇宙開発、大変重要な分野でございます。そのため、その基盤の充実を図る、あるいは国際的地位にふさわしいような国際貢献ができる、こういうことからいたしまして、全力で予算の確保に努めてまいりたい、このように考えているわけでございます。
#45
○大畠委員 今、予算の伸びが九・六%増ということですが、アメリカでは一三%の伸びでもって宇宙開発事業に予算を投入しているという話を聞いています。日米構造協議で日本の科学技術の予算は少ないじゃないかとまたつつかれてからばたばたしないように、自主的にもっと予算の拡充に向けてぜひ努力していただきたいということを申し上げたいと思います。
 それから、宇宙開発というと、いろいろロケットあるいは人工衛星あるいは通信衛星というものに目が移りがちでありますが、その物をつくる前提の基礎物理といいますか、宇宙工学面での基礎物理という面の技術蓄積が非常に弱いということを聞いています。これはもちろん今お話がありましたように、日本の宇宙開発というのはペンシル型ロケットから始まったと思うのですが、非常にまだ日が浅いのですね。そういうことから何回もロケットを打ち上げていませんので、宇宙空間での基礎物理の研究の蓄積というのは非常に弱いと思うのですが、弱いながらも一生懸命各分野で頑張っています。
 しかしながら、どうも分散して研究しているものですからなかなか、先ほど効率がいいという話がありましたが、より効率が悪くなっているような感じがするのですね、この宇宙工学の分野の基礎物理という研究においては。私はそろそろそういうものを集大成して、確固たる通信衛星あるいはロケット、そういうものをつくっていく、バックアップする支援体制をもっと科学技術庁が中心となって整えてあげるべきじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
#46
○井田政府委員 先ほど御説明しましたように、我が国の宇宙開発は、技術導入を中心にこれまで効率のいい開発ということで今日の水準まで達したわけでございますが、今後はやはり御指摘のように技術基盤の強化ということが非常に大事であるかと思います。特に御指摘の基礎物理の分野でございますが、これはもう研究のユニットも大変小さい。その中で宇宙をやっている方がばらばらといるということで、それをどう結集していくか、これからなかなか大事な問題だと思います。
 そういうわけでございまして、これからそれをどう結集していくかということで、宇宙開発委員会におきましても今度は宇宙ステーションの部会があります。これはもう先生御承知のように宇宙環境利用でいろいろ物性研究するということで、これをどういうふうに大学の方も基礎物理の方も参加していただくかということが非常に大事なことでございますが、この部会におきましても大学のそういった方が入っていただく、それから大学からもいろいろ公募しましてテーマをいただく、こういうことで、そういうものもきちっと進めていきたいと考えているわけでございます。
 今後も宇宙開発、先生先ほど御指摘のようにロケットだとか衛星だとか、構造材料あるいは部品材料ということになりますと、本当にそういった基礎物理の知識をどう結びつけるかが大事でございます。こういうこともきちっとこれから全体の中で位置づけて進めていくことが必要である、そのように考えているわけでございます。
#47
○大畠委員 わかりました。
 あと、これから日本の宇宙開発の技術についていろいろ進展されていくと思いますが、十年間ぐらいを展望しますと、これから一体日本はどういう分野に力を入れて推進していくのか、また、そのための十分な予算措置をどういう形でとっていくのか、そういうことについて改めて御質問したいと思うのですが。
#48
○井田政府委員 まず第一に、これからの宇宙活動、大変広範、多様化するわけでございますので、宇宙への輸送手段、これが一番大事だと思っております。そういう意味におきまして、今我が国におきましては、欧米の水準に並びます二トン級の静止衛星打ち上げ能力を有します、全段我が国の自主技術で開発いたしましたHUロケットというものを一生懸命開発しておりまして、平成四年度の初号機打ち上げを目標に進めているところでございます。
 それとともに、今後広がりますのは宇宙空間における環境利用ということがまた大事な分野でございます。御承知のように、そこは無重量等の特殊な環境でございまして、新しい材料を開発するなどの実験が行われるわけでございますが、我が国におきましては、今後これらに積極的に取り組むこととするため、その代表的なものといたしまして、西暦二〇〇〇年ごろに本格的に運用されます、アメリカ、欧州、カナダとの共同の国際プロジェクトでございます宇宙ステーション計画、こういうものに参加することといたしまして、我が国の実験モジュールというものを今一生懸命つくっていて、これに我が国の宇宙飛行士も乗せまして、そういうことでこういうものをきちっとした成果を上げたいと思っているわけでございます。
 それから、もう一つ大きな問題といたしましては地球環境問題でございますが、これは国際的に貢献していく非常に大きなテーマでございます。そういう意味におきまして、平成六年度に打ち上げられます地球観測プラットフォーム技術衛星というのがございます。これはアメリカやフランスのセンサーも積み込んで、環境問題解決に大変期待されている衛星でございますが、こういった大型の衛星の技術、そういうものを開発いたしまして衛星技術の開発ということも図ってまいりたい、このように考えているわけでございます。
 こう並べてきますと、予算も大変たくさんかかるわけでございますので、先ほどから御指摘のあるような宇宙開発の予算、そういうものの確保に
これから一生懸命努力してまいりたい、このように考えているわけでございます。
#49
○大畠委員 わかりました。
 この宇宙開発の計画については確かにかなりお金もかかります。したがって、それを支えていこうとする民間企業の方でも大変な設備投資も必要なわけでございまして、民間企業が将来とも安心して科学技術庁の指揮のもとにどんどん設備投資をして、かつ技術者を投入してその技術の蓄積を図っていくというような、仕事が安心してできるという環境づくりをぜひ今後とも推進していただきたいと私は思います。これについてもお願いしたいと思います。
 それから、あと幾つか御質問したいと思ったのですが、その他の項に入りますけれども、後ほど私どもの辻議員の方から核融合の問題についてもいろいろ御質問されますが、この年間予算というのが今二百七億円ということであります。これが欧米に比較して非常に少ないのじゃないかという感じがするのです。この核融合の問題について、現在、欧米と比較してこの予算は妥当なのかそれとも少ないのか、そこら辺の比較だけちょっとお伺いしたいと思います。
#50
○山本(貞)政府委員 我が国の核融合関係の予算でございますが、先ほど先生二百七億とおっしゃいましたが、政府全体では、私どもが把握しているところでは平成三年度で二百九十九億円でございまして、そのうち科学技術庁関係が、四捨五入の関係がございますが二百八億円というか、日本原子力研究所を中心にして二百八億円でございまして、それから文部省関連予算が八十八億円、それから国立試験研究機関が四億円ということでございます。
 額のことはこのようなことでございますが、まず、日本原子力研究所におきましては、現在既に臨界プラズマ試験装置、JT60を用いまして、アメリカあるいはECと並びまして世界の最先端レベルの研究開発を実施中でございます。かつまた、その他のいろいろな核融合の方式につきまして、各大学、国立試験研究機関でも基礎的な研究を、世界の先端的なものを実施しておるわけでございます。また国際的な協力でも、御案内のとおりと思いますが、ITER計画に日本が主体的かつ積極的に参加しておりまして、貢献をしておることは御承知のとおりでございます。
 成果という点では、今申し上げましたように、国際的に見ても決して遜色のない、むしろトップを走る成果を上げておると考えております。金額面では、確かに、形式的な金額の比較をいたしますと、例えばアメリカは四百数十億円、あるいはECが全部で七百億円程度という数字もございますが、これらは人件費が含まれております。そういう意味で直接比較することもできません。そういう意味で、私どもが今申し上げましたように、成果という点ではこれでかなり十分なものができておる、ただ、今後ともさらに努力を進めてまいりたいと思っております。
#51
○大畠委員 国際比較ができないで十分だと判断するのはちょっと尚早だと思いますけれども、いずれにしても、ぜひこれは頑張っていただきたい分野なので、今お話がありましたような方向でやっていただきたいと思います。
 時間が参りましたけれども、最後に科学技術庁長官にお伺いしたいのです。
 いずれにしても私は、この科学技術というのは、長官もおっしゃっておるように、国民に本当に夢を与えるような分野なんですね。先ほどのケネディ大統領の話じゃないですが、日本としてこういうものをやりますよとどんと打ち上げるのは難しいかもしれませんけれども、そういうものが何か日本でも必要だと思うのです。例えば海底開発、宇宙開発、核融合開発。本当に国民みんなが、ああ日本がやっているな、よし、おれも将来科学者になってこの分野でやってみようかなと子供たちが思うような環境をつくらなければいかぬと私は思うのです。それは文部省ではなくて、文部省はもう当てにならないというわけじゃないのですが、期待することはなかなか難しいと思うので、これはやはり科学技術庁だと思うのです。
 そういうことから中小企業の製造業とかなんかも、物をつくるというのは、収入とかなんかの関係もあるけれども、非常におもしろいのだ、そういう興味を持っていただいたり、または、大学の研究室を出て、よし、おれはこの分野で頑張っていこうというふうなことを考えたり、いずれにしても何か国民が夢と希望を持つようなプロジェクトをぼんぼんやる、そういうのは私は科学技術庁が中心となってやらなければならない問題だと思っています。そういうことで、この科学技術分野で日本国民に夢と希望を与え、そしてまた世界に大きく貢献するということが必要だと思うのですが、科学技術庁長官、これからどういう形でこの国民の夢と希望と、そして世界に貢献しようという策を持っておられるのか、そこら辺を最後にちょっとお伺いして、終わります。
#52
○山東国務大臣 未来の科学技術の振興には、やはり人材養成ということが一番大切ではないかと思います。委員のおっしゃるように、そのためにはやはり小さいときからの科学に対しての夢、そういうものを膨らませていくことが必要ではないかと思います。そのために、科学技術週間を通じましてもいろいろな催しをいたしました。子供たちの発明であるとかあるいはいろいろな発想、そういうものによって、いろいろポスターであるとかそういうものもございましたけれども、大変幼少のころからのそうした科学に対しての心というものを大切にしていくために、科学技術館などでもいろいろな催しをいたしまして、子供たちの心をとらえるように努力をしているわけでございます。そしてまた、もう少し成長した段階では、そうした若手の研究者の人たちに、ああこの科学技術の分野を選んで本当によかったなと誇りを持っていただけるような環境整備というものに特に力を入れていかなければいけないなと考えているわけでございます。
 そういう意味で、昔は研究の現場も、高名な学者が零細企業の長のように、社長から小使まで何でもやるというような時代もございましたけれども、これからは少しずつ脱皮をしている最中でございますので、予算の充実というものにも力を入れまして、本当にすばらしい環境、そしてまた日本というものが世界の中で科学技術の分野をリードしていくのだ、そういう姿勢でこれからも科学技術庁としてはいろいろな分野で多角的に大いに力を入れてまいりたいと思っている次第でございます。
#53
○大畠委員 ありがとうございました。
#54
○中馬委員長 松前仰君。
#55
○松前委員 それでは、質疑をさせていただきたいと思います。
 きょうは、まず宇宙関係のことについて、それからエネルギーの問題、原子力発電所、核融合、こんなような問題について多少ディスカッションさせていただきたい、質問をするというのじゃなくて、ディスカッションという形にしていただきたいと思うのですが、時間も制限されておりますからそうなりますかどうか。多少ほかのところへはみ出すかもしれませんので、その点は担当者、よろしく御答弁いただきたいと思います。
 まず最初ですけれども、宇宙関係。先ほどケネディさんのお話がありましたけれども、宇宙については随分最初から私は取り組んでいまして、ケネディ大統領の暗殺のときの映像を私は見ております。というのは、東京オリンピックの最初の日米間の宇宙中継、あれに携わっておりまして、最初の向こうからの映像がケネディ大統領の暗殺のニュースでありました。大変将来が暗いことを予測するようなそういう感じでありましたけれども、今日ちょっと中東で問題が起こっておる、こういうこともあったりして、私どもしっかりしなければいかぬ、そういう気持ちでおります。
 そこから次元は大分下がりますけれども、今日の日本の宇宙技術、この中でいろいろ私も提案をしてまいりました。二トン級のロケットを打ち上げなければいかぬというのは私の提案でございまして、未来工学研究所のプロジェクトの中で、だ
れ一人そんなばかなことを言う人はいなかったのだけれども、五百五十キロで固執する宇宙開発事業団、それではだめだ、将来の情報化社会時代、これを支えるには二トン級でなければだめではないか。ところが、いまだに二トン級と言っている。技術開発がそれから全然進んでいないという。日本は、全くロケットについては新しい技術、もっと軽いロケットをつくる技術はやっていないのか、残念ながらそういうふうに思うわけです。
 その話はいたしませんが、四月十八日、BS3H、この衛星を載せたアメリカのアトラス・セントール、これが爆破されました。それからその前の、昨年二月二十二日、BS2Xとスーパーバードを載せた欧州のアリアンロケット、これも爆発した。そして、アメリカの衛星メーカーがつくったスーパーバード、これは失敗しました、南北軌道制御のときの失敗。私は、もう口酸っぱくこのときは問題だぞ、これはしっかりしなければいかぬというので、後に宇宙開発事業団の方に宿題を置いていったのだけれども、それが全然達成されていないということもあります。
 BS3b、3aですか、3bと書いてあるのを3aだと修正されましたけれども、3aの太陽電池、これが低下している。これも最初のBSが、太陽電池が大変能力が低下してきている、これは問題だから、太陽電池についてはしっかりこれから技術開発しなければいかぬというのに、今回こういう問題が起こっておる。スペースシャトルは爆発している。いろいろなことを考えると、外国から、アメリカから、アメリカ・プラス・フランスですね、そういうところのやっている宇宙開発というのが大変問題を起こしているということなのでございます。
 日米構造協議と書いたら、これも違うというので、何か専門者会議らしいのですが、そこで宇宙開発技術についてRアンドD以外のものはアメリカから輸入しなさい、こういうことになった。何で輸入しなければいけないのか私はちっともわからないのだけれども、たくさん買っているじゃないか。買っているのにまだ輸入しろ、日本は何だか国産技術で全部つくってしまっているみたいに言うけれども、しかしそんなことはない。たくさん買っているのになぜ輸入しなければいかぬのか。それで、何かOKしてしまったらしいのですが、どうも最近の宇宙技術のふぐあいを考えますと、アメリカやら外国のものを買っていると不安でしようがない。ですから、こういう点について科学技術庁長官は一体どう考えているか。どう考えているかといったって、急に考えろというのは難しいのですけれども、今どう考えているか、とにかく考え方をまず聞かせてください。
#56
○山東国務大臣 宇宙開発利用の円滑な推進を図る立場から、今回の放送衛星BS3Hの打ち上げ失敗を初めといたしまして、最近の宇宙活動におけるふぐあいは大変残念でありますし、宇宙開発利用の困難さを痛感しているところでございますが、人工衛星に関する日米政府間の合意は、政府及びNTTなどの機関が実用的に利用する衛星につきまして、内外無差別、公開かつ透明な手続によって調達することを約束をしたものでございまして、我が国としても、今後とも宇宙開発利用を円滑に発展させていく必要があり、このために必要な技術基盤につきましては、その確立を目指して引き続き積極的に研究開発を推進してまいりたい、そんなふうに考えております。
#57
○松前委員 宇宙技術、これについて先ほどから申し上げているように、外国から買えば安いということがある、それからアメリカの経済の活性化みたいなものもある。いろいろあるのだけれども、こんなに問題が起こる。私はアメリカのメーカーのやり方をほとんど知っていますけれども、とにかく製作技術、信頼性管理技術、品質管理技術といったら、はっきり言ってだめなんですよ。そんなことを皆さんわからぬで、ただ政府レベルで買えということになってしまうと、これはちょっと問題だ。問題だというより、将来民間がかわいそうですよ。それでNTTなんか本当は自分でやりたいと言っていたんだ。ところが、それをだめといっていろいろいちゃもんがついた。だけれども、今回やるのでしょう、いろいろごたごたしておりますけれども。
 とにかく日本の宇宙開発技術、先ほど話がありましたけれども、一生懸命地道にやっている、これをもっともっと、宇宙開発事業団の分担でしょうけれども、ほかのところはこういう問題が起こったがおれは知らぬよ、あれはメーカーやらNHKやらNTTの責任だよなんて言っていないで、問題があったのなら、ここのところはちゃんとアセスメントしなさいよと私は思うのです。アセスメントしていますか。宇宙開発事業団はアセスメントしていないと思う。そういうアセスメントをして、そういう結果によってこの調達をするかどうかということを政府レベルで決めていかなければならぬ。その辺どういうふうになっているのですか。
#58
○井田政府委員 先生、先ほど日米間の合意についていろいろお話がありました。この日米間の合意と申しますのは、我が国メーカーが米国市場に参入し得ると同じように、政府及びNTT等の機関が研究開発衛星以外のいわゆる実用衛星でございますが、これを調達する際には、国内外を問わず、オープン、透明かつ無差別の手続によるということにしたものでございます。
 そういうわけで、この後の評価がどうなるかというお話でございますが、これは郵政省の中でそういった評価をするということはやっておりまして、このメンバーの中には宇宙開発事業団の者も入って評価に参画している、こういうことでございます。
#59
○松前委員 参加しているだけじゃだめなんで、アセスメントした結果において、それが調達とどう関係あるか、そういうところまですべて政府レベルの交渉に生かしてくれなければいけない。これは絶対、向こうから簡単には買えないぞと言えますよ、もう今の段階では。こんなにやられた、こんなに損害をこうむっている。これは日本国民として大変問題があります。
 それから宇宙関係でもう一つ。先ほど、宇宙飛行士を乗せて成果を上げるということですが、これは余りにもちょっと、成果を上げる、それだけでは困るわけです。その成果を一体どういうふうにするんだ、将来どういうふうにするんだ。これは何の思想で、どういう考え方で社会に還元していくんだ、世界のためにしていくんだ、そういう思想がないとだめなんだ。ただただ夢を乗せて飛ぶなんというのだったら秋山さんで十分ですよ、あれだけで。ああいう調子じゃもう話にならない、そういうふうに思います。
 話はかわりましてエネルギーの問題ですけれども、中東からの石油の輸入依存がすごいわけですが、今それはちょっと問われているというようなことがある。ところが、問われていても余り石油価格は変わらないものだから、ちっともどうしようという議論になってこない。まあこのままでいいじゃないか、掃海艇でも派遣すればそれで済んでしまう、そういう感覚でいる。しかし、この現状のままでは化石燃料が枯渇するのが早いということはもう十分御承知のとおりであると思います。と同時に、私、前回の科学技術委員会でも、前回だか前々回だかわかりませんけれどもお話ししましたけれども、世界はどうなるかということを考えれば、世界じゅうの人口が二倍や二・五倍やになってくる、そういうときに、全部の開発途上国の人が日本人並みにエネルギーを使うなとは絶対言えないから、使うように私たちはしていかなければならぬ、先進国ですから。していった場合に一体どうなるか、エネルギーの消費量はどうなっていくかということを考えれば、私の計算では三・七倍ぐらいエネルギーを消費してしまうということになる。
 そういうふうになると、エネルギーがそんな今の状況のままでいいなんて思ったら大間違いでありまして、中東がどうのこうの、掃海艇どころの問題じゃない。もっともっと大きなレベルで日本は、特に科学技術庁は取り組んでいかなければな
らぬと思うのでございます。そういう意味で科学技術庁長官、エネルギー開発のあり方についてちょっとお考えをお聞かせいただきたい。
#60
○山東国務大臣 エネルギーの安定供給の確保は我が国の最重要課題の一つでございます。政府としては科学技術政策大綱に基づきまして積極的にエネルギーの研究開発を進めておりますが、具体的には原子力及び太陽、地熱、海洋、風力などのそれぞれの特性に応じた多様な利用ができるよう、長期的観点から幅広い研究開発に取り組んでおります。
 さらに、今御指摘のように、発展途上国でのエネルギー需要の伸びあるいは地球環境問題など内外の情勢変化を踏まえまして、現行のエネルギー研究開発基本計画を改定するべく現在科学技術会議において審議中でございますけれども、今後ともエネルギー研究開発を一層強力に推し進めてまいりたいと考えております。
#61
○松前委員 大変心強いお言葉でございますが、研究開発を進めてまいりたいというところですべて終わってしまうんです、政府がやっていることはすべて。その先をどうするか。大体これは実際に実用化していかなければいかぬ。そこのところはだれがやるんだというと、これは任せてしまう。それは商業化してしまうんですよ。だから、コストの安いところしかいかなくなってしまって、しっかりした将来のエネルギーができていかない。枯渇すればどうせ石油は高くなるだろう、そのときまでは石油を使っているなんということをやるわけ。日本がそんなことをやってしまうんですよ。
 これは、本当は日本は金があるんだから率先してそういうことは、まず石油などは開発途上国の方に持っていかなければいけない、安いエネルギーを。ところが、我々の方は先端的に科学技術を研究をして新しいエネルギーを開発してそれを利用していくということをしなければいけないのに、電力会社はほとんど民間ですからコストの安いものを使ってくる、そして公害をぼんぼんまき散らすというようなことになって、市民運動があって問題を起こして、そうして政治問題になって選挙で我々が負けてしまう、そういうことになるんですよね。そういうようなことが出てくる。それは余計ですけれども。
 いずれにしても、エネルギー、これは日本としては責任を持って、将来、世界のためにやっていかなければいかぬ。というのは、これまでは追いつき追い越せだったからいいけれども、今は経済は先頭に立ったんだから、そうなったら科学技術庁も考え方を変えろというのです。全体の予算の考え方も私はそういう観点からやってもらいたい。これを全部見ると、どうも今までと同じ。創造技術などと言っているけれども、大体創造技術といったら何だ。創造技術、これはどういうふうに役立つんだよと私ら思うのですね、やらなければいけないけれども。ただおくれているから、おくれているからと言うけれども、おくれているのはわかり切っているのですよ、それはやってくれるのはいいけれども。
 しかし、その創造技術を一体どういう観点からお金を渡すのに選ぶか。これは世界のため貢献するのか、社会のためにどういうふうに役立つか、開発途上国のためにどういうふうになるのかとか、やはりそういう観点から選んでいく必要がある。ただ個人の名誉のためにやるだけのものであったらだめだと私は思います。いろいろな考え方はあると思いますけれども、そういうレベルで選んでくれていると思うのだけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 それで、エネルギー問題ですね。もっと小さい話になりますけれども、こういうのもやはり科学技術庁できちっと考えなければいかぬ、システムとして物事を科学技術庁は考えていかなければならぬということなんですが、東京一極集中排除というのが盛んに言われておる、東京問題というのがあるのですが、その中で自動車、こういう自動車社会で環境劣化になっておるということがだんだん認識されてきた。今までみんな言わなかったですよ。自分が自動車に乗って便利ならば、自分が公害をまき散らしていることは全然言わないで、原子力発電の方が悪いとか、何か石炭火力の煙が悪いとか、そんなことばかり言っている。ところが、実は自分の自動車が物すごい公害を出していることがようやくわかってきた。それで電気自動車をやろうじゃないかなどという話になってきました。電気自動車にすることが本当にいいかどうかということを科学技術庁は考えたことあるかどうか。ありますか。
 大体どうしてそんなことを言うかというと、電気自動車、トータルシステムで世界のレベルから見ると、世界じゃない、地域でも同じですけれども、東京はきれいになりますね。それが開発されてやりますと東京はきれいになる。電気自動車というのは電池ですよ。今やっているのは電池らしいけれども、太陽電池はまた別、普通の充電する電池。そうすると、東京の空気はきれいになる。ところが、電池に充電する電気はだれが発生しますか。その電気を新しく発生しなければいけない、それをどこで発生しますか。そうしたら、私どものような静岡県とかそういうところに発電所をつくるでしょう。二百万キロワットの石炭火力をつくるというので今住民運動が大変なんですよ、実はもう市を二分してしまって。そんなようなことになってしまう。
 東京ばかりよくなって、そのために地方がそういうものを発生するためにどんどんいろいろな問題を起こしていく。そうしてさらに、これによって総トータルの電気の発生量はふえなければいけない。となれば、石油だってまたもっと使わなければいけない。このままでもってこんなことをどんどん進められたのじゃ、これはもう片手落ちですよ。やはりトータルのことを考えて、それでこれをやりますということを言ってくれないと、ただ単に東京ばかりよくなるなんて、みんな電気自動車はいいななどと言っているけれども、これは必ず後で問題になりますよ。
 だから、やはりこういうようなものはシステムとしてきちっと科学技術庁は考えてくれなければいけない、そういうふうに思うのですけれども、この辺どう考えていますか。自動車は、大体あんなものやめた方がいいように思うけれども、自動車やめるわけにいかないから、それの技術開発などもやらなければいけないと思うのだけれども、ちょっとその辺どう考えているのですか。
#62
○須田政府委員 エネルギーのトータルシステムとして研究開発も議論しなければいかぬという認識は十分持っておるところでございますが、先生のおっしゃるとおり、したがって電気自動車をどういう観点から研究開発していけばいいのかという結論にはなかなか今達していないところでございまして、今、科学技術会議エネルギー部会で今後のエネルギー戦略を議論して、この夏までにも答申を得たいという中で議論しておりますが、まだ結論めいたことは……。
#63
○松前委員 検討を全然してないだろうと私は思うんですけれどもね。そういう観点から物事をすべてこれから考えなければいけない。特に先進国になった日本としては、自分だけよくなればいいということはもうやめろ。自分だけよくなればいいというのは開発途上国、多少やっても仕方ないとは思うけれども、発展したんだから、それはみんなの、ほかの国の理解によって発展したんだから、そういうようなことで考えていただきたい。
 それから、原子力発電所、事故が多発しておりますね、最近たくさん。もう細かいことは皆さん専門家の方々いらっしゃいますから言うまでもないのですが、私どもの浜岡でも緊急停止したりしております。一々どこがどうだとは申し上げませんけれども、こういうふうに事故が最近出てきておるということになると、これは問題が何かあるんじゃないか、これからちょっと考えなきゃいけないんじゃないか、こう思いますが、科学技術庁長官、その辺はどういうふうに考えているか、簡単に。
#64
○山東国務大臣 原子力の開発利用に当たりましては、厳しい安全規制を実施することなどにより
安全確保に万全を期しておりますけれども、昨今大変事故が続いておりまして大変残念でございます。こうした発電所の故障、トラブルなどが再発しないようにこれからも万全の安全対策がとられることが重要である、そのように考えている次第でございます。
#65
○松前委員 毎回同じようなお答えしか科学技術庁長官からはないのでありますが、いずれにしても昔と今とは違う。最初つくられたときと今とは状況が違う。経年、年がたっておりますから、人間も年がたつとやはりいろいろ壊れますけれども、機械はもっと壊れる、そういうような状況に今ある。そういう時点に来ている。この時点をしっかり考えないと、これは大変になりますから、よろしくお願いします。
 それで私はそういうような問題がたくさん起こっているから新しいエネルギーを考えなきゃいかぬと思ってますが、日本は海洋国であります。日本は周辺に海を持っておる。この海というものがほとんど利用されておらない。これをエネルギーに利用しなきゃいけないというようなことを感じております。一生懸命研究も私のところでやっておりますけれども、なかなかうまくいかない。それは将来は必ず物にしてみせるというような意気込みもあるけれども、一つは、海洋国となれば、海というのは重水素をたくさん持っていますね。これは無限の資源であります。
 これは何に使うかというと核融合ではないでしょうか。核融合の研究、これはどうしても私どもがやるべき、我々の日本という国が責任を持って、先ほどお話がありましたけれども、責任を持ってやるべきことだろうと思っております。研究を急げ急げという話もありますけれども、私は急いでも結構でありますが、しかし十分慎重に、急いで慎重にということは、アセスメントをきちっとしながら、そしてそれがシステムとして成り立つかどうかということをきちっと考えながら進んでいってほしいということでございます。
 原発の核分裂の方は、実用化ができそうだなんという話が国会でありましたら、研究開発の段階でずっとやらなければいけなかったのに急に商業化の道に進んだ、それが今日の問題を起こして不信感を買っているということもあるんだから、この核融合についても大変な技術なんですから、大変というのは難しいということですよ。核分裂より難しい。もっとも核分裂は今は難しいことは避けちゃっていますけれどもね。最後の廃棄物処理は避けちゃっていますけれども、そのような難しいところ、それを避けちゃえば核融合の方が難しいことになる。核融合というのは大変難しい技術ですから、しっかりとアセスメントをやりながら、アセスメントと言うと言葉は古いですけれども、今もう一度思い出して、いい言葉があれば別につくって、その評価をしながら実用化に結びつけていくということをやっていただきたい。
 私どもは、そのことについてそういうやり方で進むなら、商業化でもってばんばんどこかがもうけるようなやり方でいくなら反対しますが、しかしきちっと進めていって、そして商業化を最初のものはさせないということ、私はそう思います。そして、すべての国が共通の将来のエネルギーという形でもって、国がまずしっかりと管理をしていくという形にしていかなければいかぬのじゃないかと思うけれども、その辺はどなたかお答えいただけますか。
#66
○山本(貞)政府委員 先生今御指摘ございましたが、核融合、無限と言っていいくらいの海水からの重水素を燃料にすることができるわけでございますから、私どもとしては、人類の究極のエネルギーとして、もちろん太陽エネルギー等もございますが、主要な究極エネルギーとしてぜひ長い目で研究開発を進めなければいけないと思っております。御案内のとおり、相当前から日本原子力研究所を中心に、トカマク型を中心にいたしまして、実験装置で研究を進めております。かつ、大学とか国立試験研究機関でもいろんな方式の研究を、自主的かつ世界の先端を行く研究開発を進めております。
 ただ、先生今御指摘ございましたように、非常に難しい技術でございます。かつ、それに伴うアセスメントと申しますか、そういう安全性あるいは環境への影響あるいは技術的な可能性、いろんな意味で難しい問題もございますので、そういう評価も含めまして、日本が中心になって、かつ国際協力をしながら、かつ長い目で力いっぱい努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
#67
○松前委員 大変いいお話を聞きましたけれども、いずれにしても私は宇宙開発ではもう嫌と言うほど懲りておりますから、アセスメントといいますか、これはきちっとやらないと、とにかく前向きに進めと言うのはお役人なんですよ。早く早くこれを打ち上げろとかなんとか言って、多少技術がこっちでまだだめだと言ったって、打ち上げ時期が迫っているからやれとかそういう話になってきちゃうんですよ。そういうことは絶対ないように慎重にこの核融合は進めていただきたい。
 それからまた、核融合ばかりではなくて、そのほか海の水を分解する、バイオテクノロジーによって分解するようなものも今研究開発されている。そういうものについても十分目をあれしてもらって、そして育てていただきたい。これは世界のためになると私ども思っているから、そういう目で科学技術庁は進んでいただきたい。
 大きなことばかり言いましたけれども、すべて一番先頭に立ったなら少しは自覚しなければいかぬのだなと思って質問いたしました。
 以上です。終わります。
#68
○中馬委員長 関晴正君。
#69
○関委員 濃縮ウランのことについてお尋ねをしたいと思いますが、私どもの青森県の六ケ所村の濃縮ウラン工場も近く運転する方向にあります。ぜひこれはとめてもらいたいなと思っているのが私の考えであります。
 そこで、簡単なことから聞いていきます。
 国際的にウランの濃縮生産の能力というものはどのくらいございますか。
#70
○山本(貞)政府委員 お答えいたします。
 ウラン濃縮につきましては、ただいまガス拡散法と遠心分離法によります濃縮技術が実用化されておりまして、現在運転中の濃縮工場における世界の容量は次のとおりでございます。
 まずガス拡散法でございますが、アメリカが一万九千二百トンSWUパー・イヤー、それからフランスが約一万八百トンSWUパー・イヤーの工場を持っております。
 それから遠心分離法につきましてはウレンコ、英国、オランダ、ドイツの共同事業体でございますが、ウレンコが英国、オランダ、ドイツの三カ国において総計約二千五百トンSWUパー・イヤーの規模の濃縮工場を持っております。
 以上でございます。
#71
○関委員 間違っていませんか、今の数字は。私のトータルでは、今の例で言えば少なくともトータルで三万七千トンSWU、こうなっておりますよ。あなたの方の計算では二万三千程度でしょう。全然間違っているのじゃないですか。
#72
○山本(貞)政府委員 今申し上げました数字は、アメリカが一万九千二百トン、フランスが一万八百トン、それから遠心分離法が二千五百トンでございますから、合計では三万二千五百トン程度でございます。
 そのほか、実は今正確な数字は把握しておりませんが、ソ連それから中国にも濃縮工場があるというふうに言われておりますが、正確なところは発表されておりませんで、今ここで容量を申し上げることはできません。
#73
○関委員 大変な数字の間違いがあるように思えますが、別にそれを問おうとは思っていません。トータルにおいて私どもは欧米を合わせますと四万トン近いものがあるな、こう見ているわけです。ソ連を含めますと、またもっとふえると思います。
 そこで、あなたの方で把握しているこういう濃縮ウラン工場の操業率はどう見ていますか。
#74
○山本(貞)政府委員 各工場ごとあるいは各企業とも操業率につきましては公表されておりません
で、そういう意味できちっとした数字を申し上げることはできません。
#75
○関委員 発表していないからわからないと言っておるのですが、言われているところは、ウランの濃縮の生産状態というものはもうだぶついて大変な状態だ、操業停止しているところもある。そういう中で見ますときに、我が国が今一千五百トンSWUのものを青森県の六ケ所に持ってくる、そのうちの一割の百五十トンSWUをことしのうちにやろうか、こうなっているわけです。毎年ふえていって十年で千五百トンSWUということになるのでありましょう。
 それで、そのウランの濃縮のためには六弗化ウランを我が国として入れなければならない。その六弗化ウランを人形峠にあるいはまた青森県の六ケ所に持ち運ばねばならぬわけです。きょうはその持ち運び方が適切であるかどうかということに重点を置いて聞きたいと思うのです。
 濃縮ウランの輸送に当たってはある程度の警備体制がある、ある程度の届け出もまたある。ところが、この天然六弗化ウランの輸送体系というものは全く野放しではないのか。そんなに六弗化ウランというものは心配のないものだと見ておるかどうか、この認識ですね。そうして、事故の発生は全くないもの、そういう想定のもとに事を考えているのじゃないだろうかと思うのですが、これはどうなのですか。
#76
○村上政府委員 お答え申し上げます。
 輸送の問題の前に、天然六弗化ウランのいわゆる化学的な問題ということについてちょっと御説明申し上げさせていただきたいと思います。
 先生御案内のとおり、六弗化ウランといいますものは、物理的には常温で無色の揮発性固体でございます。これは私どもとしては、時々例えて言いますのは、しょうのうのようなものだと申し上げておるわけでございます。したがいまして、大気圧においては五十六度で昇華するものでございます。したがって、通常の状態では固体でございまして、仮に容器等に穴があいたとしても液体のように直ちに流出することはしにくいものでございます。
 それから、化学的には酸素、窒素等の気体及び乾燥空気とは通常の条件では反応しませんが、空気中の水分と反応した場合は徐々に弗化ウラニルと弗化水素を生じる性質を有してございます。
 それからまた、六弗化ウランは腐食性を有しているので使用材料に注意を要するわけでございますが、銅、ニッケル、アルミニウム、アルミ青銅などの合金は弗化の被膜ができまして、その保護作用を利用して広い温度で使用可能であります。
 また、室温でのいわゆる槽、箱みたいな槽でございますが、槽や配管等には低珪素や低炭素のステンレス鋼が使用できるものでございます。
 以上のとおり、六弗化ウランの基本的な特性について御説明申し上げました。
#77
○長田政府委員 先生御質問の安全規制の点についてお答え申し上げます。
 六弗化ウランの陸上輸送でございますけれども、これにつきましては、まず輸送物につきましては輸送物の技術基準を科学技術庁が決めておりまして、これに適合することによって安全の確保を図るということにしております。また、いわゆる輸送方法につきましても運輸省が技術基準を定めまして、それに基づいて安全が図られるようになっております。そのほか、輸送に当たりましては公安委員会がいろいろ安全のための役割を果たしておりまして、例えば輸送については隊列輸送を行って注意深く輸送をしていくというようなことをやっておりまして、それらのことを通じまして天然六弗化ウランの陸上輸送について万全を期しているということでございます。
#78
○関委員 とにかく、この委員会で聞けば、万全を期すとか絶対に近いものであるとかとよく言いますが、その後みんな事故が起きていますね。
 そこで私は、きょうは時間も余りありませんから細々とした話はしません。しませんけれども、今の局長の答弁、この六弗化ウランというものは平常の温度では大したことがない。だれも平常の温度を聞いているのじゃないのですよ。事故があるときにはどんな温度になるか、どんな温度のときには事故があるか、こういう一つの想定がなきゃならない。
 しかも、人形峠まで八百キロも輸送するのでしょう。今度は青森の六ケ所といえば、また同じくらいのキロ数ですよ。このキロ数の長距離輸送に当たって、いつも温度が低ければいいですよ。温度の高いときもあるでしょう。真夏なんか走ったらどうなりますか。温度が高くなって、四十八Yシリンダーに入っている六弗化ウランが五十六・五度を超したらガス化するのでしょう。ガス化しても事故がなきゃいいですよ。しかし、物体がぶつかってくる、上から物が落ちてくる、横から自動車が走って衝突する、そうなった場合は大変な状態になるのじゃないですか。白砂糖じゃなくて、今何だって、しょうのうとか言ったな、しょうのうみたいなものだからという認識で見ておるのでしょう。危険な状態というような認識が一つもなくて臨んでいるのじゃないでしょうか。そういうことだから何の対策もない。六弗化ウランの輸送については野放しですよ。警察が警備する、どこに警備するとありますか。濃縮ウランの場合は警備の体制もあるでしょう。届け出の状態もはっきり決められてあるでしょう。だが、この六弗化ウランの場合は全然ですよ。
 しかも、この六弗化ウランがアメリカから来る、各国から来る、そういう場合に、大井の埠頭にどんな格好でおろされるかというのです。これがトラックに入ったところの写真ですよ。見てください、これがいわゆるフラットラックコンテナ、こういうものですよ。上が何もない、横も何もないですよ。守られていませんよ。前、後ろだけですよ、守っているのは。上から物が落ちてきたらどうするのです。横からぶつかったらどうするのです。自動車をとめて走れますか。これが走っている場合、そういう規制できますか。そういうときには火災も発生する、破損もする、温度も上がる。さあ大変ですよ、ガス化が始まる、空気中に漏れる、空気中の水素と化合する。化合したら何が起きるのです。弗化水素でしょう。弗化水素というものがどれほど恐ろしいものかということはわかっているのでしょう、毒性において、腐食促進において。そう考えますと、言うなれば無防備体制でこのトラックを走らせて輸送しますなんということは常識では考えられない。考え直す必要があるじゃないですか、輸送体制について。
 聞きたいところは、きょうは原子力安全委員長に聞きたいと思っているのです。こんな姿で青森県の六ケ所の濃縮工場の許可をしたのかと思えば、大変なお粗末なことじゃありませんか。これは委員長にかわってでも答えられるなら答えてください。
#79
○村上政府委員 お答え申し上げます。
 まず輸送中のUF6の温度のことを先に御説明申し上げますが、先ほど五十六度までは固体であると申し上げましたが、実は液体になります温度はそれよりさらに高うございまして六十四度でございます。それで私どもは仮に試算をしまして評価しました結果、輸送車が夏の炎天下で走ったときにUF6の温度がどうなるかということを評価しました結果は、全く断熱保護カバーのないという仮定で四百ワット毎平方メートルの日差しがあったといたしまして、それから走ります場合は当然空冷の効果があるわけですけれども、そういうものを全部無視いたしまして計算いたしましても、五十八度になりますまでに十二時間以上かかるわけでございます。そういうことでございますので、通常の状態で容易に液体になることはございません。
 それから、それでは事故に遭ったときどうするかということにつきましては、ただいま次長が申し上げましたように、容器の設計がまず壊れないように設計されていることは、シリンダーの設計がそうなっていることは当然でございますけれども、先生御心配のようなことが起こらないように警備、それから隊列誘導等を図るわけでございますので、先生がおっしゃいますように六弗化ウラ
ンが外に漏れて出るということは考えられないと考えております。
#80
○関委員 考えられないとかあり得ないということばかり出てきているじゃありませんか。第一あなた、こんな上に物も置かない、横に防ぎもない、こういう格好で輸送させて安全だと思っていますか。
 それからあなた、真夏の場合には空冷の効果も生ずるとかと言うけれども、真夏なんか走るのには覆いがない方がいいという意味でおっしゃっているのでしょうけれども、十二時間と言いましたね。何キロで走って十二時間と計算しているのです。また、真夏の時間に走った場合にはどのくらいの温度になるのかということも考えなければなりませんよ。しかもこれを覆っている包みというのは何です、ビニールのカバーみたいなものでしょう。そして、あなた今何度とかと言いましたね、いつの日の実験でそういう温度を測定したか知りませんけれども。
 それからもう一つは、自動車の衡突の事故があって火災が発生して、それでも何ともない、そんなことはないでしょう。この四十八Yシリンダーというものがどんなに丈夫にできているかといってみたところで、厚さ何ぼあります。十六ミリ程度でしょう。もっとありますか。特別長距離、日本を走るんだからといって特別厚いものに包んで持ってこい、こうなっていますか。全然なっていないでしょう。
 それから、さっきあの答弁の中に、警察が守ってくれるとか体制をとっているとかというんだけれども、それはどの程度のものですか。
 それから、自治体の市町村にこの輸送の月日についての連絡や伝達等がなされていますか。濃縮ウランの場合と違ってこれは全然等閑視されたまま置かれているんじゃないでしょうか。どうです。
#81
○村上政府委員 輸送の話は次長から答弁申し上げますが、先ほど何キロメートルで走ったかという御質問ございましたけれども、私が申し上げましたのは安全評価をしました結果でございまして、最も厳しくとまったままの計算をしてございまして、したがいまして、走ったときに空冷の効果があるとかということは無視した計算でございまして、十二時間停車したという計算をいたしますと五十八度になる、こういうことでございます。
#82
○長田政府委員 質問がたくさんございましたが、まずこの天然六弗化ウランは濃縮ウランと比べて規制がないじゃないかという点でございます。
 若干繰り返しになりますが、この核燃料物質の輸送につきましては国際原子力機関の基準がございまして、この基準に準拠しまして我が国も輸送に対する規制をやっているわけでございます。そこにおきましては、天然六弗化ウランは、核分裂性の物質――これは濃縮ウランと比べてでございますけれども、分裂性物質とはならないというような面、そういう点を配慮しまして規制は濃縮ウランよりも緩いと申しますかきつくない規制になっているわけでございまして、今先生御指摘の四十八Yシリンダー、この輸送容器を使って欧米でもやっているわけでございますけれども、これも大体二十年以上の輸送実績がございますけれども安全に輸送されているということで、安全性は実証されているのではないかというふうに考えているわけでございます。
 なお、天然六弗化ウランにつきましてどういう規制をやっているかは、先ほど私が答弁申し上げたことでございますので省略をさしていただきます。
 それからもう一点、自治体への連絡をしないではないかという点でございますが、今私が申し上げておりますように、この容器は基準に合致したものである、それから輸送のやり方も隊列輸送ということで前後に車を入れまして用心深く道を進んでいく、こういうようなことで、申し上げましたように安全を期しておるわけでございまして、また、事故の場合にも連絡体制あるいは所要の措置をとるということが事業者に義務づけられておりますし、そういう点から考えまして、輸送している途上にあります自治体個々につきまして連絡をとるという必要性はないのではないかというふうに考えているわけでございます。
#83
○関委員 今のお答えを聞いたとおり、天然六弗化ウランの扱いと濃縮六弗化ウランの扱いとでは放射能の問題で違いがあるからそういうふうにしたということの意味のようであります。これは放射能だけが恐ろしいわけじゃないですね。これがガス化されて拡散された日には大変な死傷者をそこに生ずるわけです。猛毒ですね、これは。ですから、そうならないんだという前提であなた方がやっているのでしょうけれども、そうなった場合にということもなければならないでしょう。それを防ぐためにはどうするかということがなければならないでしょう。これは走行中にそういう事態が生じた場合にはどう処置するのです。したがって、処置の仕方もあなた方は考えてないのでしょう。
 ガス化して漏れた、そしてそこ一帯に弗化水素が発生した、そうなった場合にどうするのです。対応策を教えてください。
#84
○長田政府委員 今申し上げましたように、安全には安全を期して輸送するわけでございますけれども、もし万が一交通事故に巻き込まれるとかいうようないろいろな事態が生じましたときには、事業者は関係の機関に直ちに連絡をとる、あるいは事業者は災害防止のために迅速な措置を講ずるということで、原子炉規制法に基づきまして事故の届け出あるいは危険時の措置を行うというような義務づけがなされております。
 それからさらに、具体的な関係省庁がいろいろ生ずるわけでございまして、関係省庁間におきましてどういう役割分担をやるか、あるいは連絡通報体制、あるいは専門家を現地に派遣する、そういうようなこともあろうかと思います。そういうことを頭に置きまして、関係各省庁が集まりまして、昭和五十九年に「放射性物質輸送の事故時の安全対策に関する措置について」ということを決めて、各省分担と責任を明確にしてそういう緊急事態に対応する、こういう体制を整えているところでございます。
#85
○関委員 聞いていることと答えていることが全く違います。そういう事故が発生したら技術的にどう抑えるのですかということが聞きたいところなんです。抑える方法。水をまくのですか、何をするのです、そういう事態が起きた場合に。消火の方法はどうするのです。どうやって消すのです。どうやって抑えるのです。そこを教えてください。
#86
○長田政府委員 化学消火器を使って被害をとめるということで、それを車両に積んであるわけでございます。
#87
○関委員 どんな消火器を何本積んでいるのです。
#88
○田辺説明員 お答えいたします。
 ABC消火器というものをそれぞれ一台ごとに二基ずつ積んでございます。
#89
○関委員 二基というのは何キロなんです。そして、そういう事態が発生したときに必要とするそういう消火器はどのくらい必要なんです。どういう想定で二基ということになっているのですか。二基の内容。
#90
○田辺説明員 いわゆる一般に想定されます事故に対応するものとして、そういう三・五キロのもの二台をそれぞれ積んでいるところでございます。二基でございます。二基を一合に積んでいるということでございます。(関委員「一基の能力は」と呼ぶ)三・五キロの消火器でございます。
#91
○関委員 じゃ、七キロで片づけることができるということですか。
#92
○田辺説明員 三・五キロのものを積むことによって、まず事業者がそれぞれ第一次消火、それから必要な措置をとる。それから、関係各省庁等はそれぞれ連絡会議等を持っておりまして、それらの事業者からの通報等に基づきましてそれぞれの措置をとるということになってございます。
#93
○関委員 何をするかにをすると言っておるけれ
ども、その二基でそういうことが発生した場合に鎮圧することができるのかということです。そういうような大きなものを持っていって、これは十二・五トンでしょう、シリンダーの中身が。それがガス化して、故障が起きて、事態が発生したということになった場合、ABC消火器で消火の作業に当たる、こう言うけれども、そういう当たることについて、今度は運転者がよく承知してなきゃなりませんよね。また、本数も相当な本数を持たせなければならないだろうと思うのですよ、これまでの例からいけば。ですから、二基というのはどこから来たのだろうな、こう思うし、三・五キロのものを二基、七キロで片づけるということですよね。それはどこから学んでそういうものを導き出してきたのか。ございますか。
#94
○長田政府委員 この天然六弗化ウランの容器でございますが、先生の今の御質問と関連いたしますので答弁いたしますが、実際にこの輸送に使っております四十八Yシリンダーといいますのは、現実には八百度の温度で三十分の耐火試験に耐えるということが確認されております。そういう点から、火災が発生した場合でも対応できるというふうに考えているわけでございます。
#95
○関委員 衝撃力はどうですか。
#96
○田辺説明員 お答えします。
 A型輸送物でございますので、〇・六メーターからの落下試験を課してございます。
#97
○関委員 とにかくお聞きのとおり〇・六メーターだから六十センチですか、九メートルじゃないですね。二・五メートルでもないですね。〇・六メートルですね。そんな程度のところに耐えるものだというのでしょう。この高さ、走っていってぶつかっての衝撃力、ぶつかるものによっても違いますよ。しかし、わずか十六ミリの鉄の厚さですよね、これは。四十五キロで走っている自動車でぶつかったらたちどころでしょう。高速自動車は百キロで走る、あるいは速度を少し制限して八十キロで走る。それでも相手の方がぶつかってきた場合は、あるいは自動車事故があった場合にはたちどころにこれは破損するでしょう。その衝撃力にも耐えるような器物じゃないでしょう。でも、あなた方はそんなこと想定していないから、きっと答えて平気でおられると思うのです。
 ですから、これはもっともっと重視をして、そうして我が国のように八百キロも走るようなところに濃縮の工場を置いているというのも問題なんです。各国においてはどの程度走らせて置いているか、もし知っておるならばお知らせいただきたいと思います。それぞれの距離数というものがどのくらいになっているか。
 いずれにしても、こういうコンテナですよ、フラットラックコンテナというのは。これは長官、見ておいてくださいよ。大事なものならもっと包み方があるはずだとあなたもすぐ思うでしょう。上の方はあいていて、両わきもあいていて、前後ろだけなんです。こういうコンテナで来るんです、外国から。これを大井の埠頭でつり上げ、つり下げしてトレーラーに積むわけなんです。このまま走っていくんです。真夜中ばかり走って温度の低いときだけ走らせるようにするというならそれも一つの方法でしょう。しかし、長距離を走る間には、また東京のような交通の激しいところを走るときにはそれぞれ警戒しなきゃならないでしょう。ところが、そういう警戒というものが全くない。
 しかも、今安全局長が答えたんだけれども、私は安全委員会の委員長として答えていただければ答えろと言ったのだが、あなたが答えたあの内容というものは全くなっていませんよ。だから、きょうは委員長にぜひ出てきていただいてお答えを聞こうと思っているんですが、委員長は腰が痛くてきょう来れないというのだから、腰の痛みを治療してその後おいでになるならばそれまで待ちましょうということで日程も直して、三時から十分間また委員長に聞きますけれども、原子力安全委員会の最高の長たる者がこういう輸送の安全性についてどの程度吟味しただろうか。村上局長の言葉のとおりに、それでよろしゅうございますと進めてしまったのか。もっともっと慎重でなきゃならぬのじゃないでしょうか。そう言われたらそうだなと思って、考えてみなきゃならないなということぐらいあっていいんじゃないでしょうか。あなた方のやることなすことすべて万全なり、このおごりが間違っているんですよ。
 青森県の選挙では北村が勝ったからもう何もかにもいいだろうと思っているかもしらぬけれども、そんなものじゃないでしょう。知事選挙で推進派が勝った、参議院選挙で推進派が勝った、もう青森県恐るるに足らず、こういう気持ちが幾らかでもあるんじゃないでしょうか。慎重に物を考えるということが大事だし、安全第一に臨まなきゃならない行政庁ですよ、科技庁というのは。
 そういう点からいけば、私は科技庁長官の山東氏に、今聞いたところで考えていることがあるならばお考えを述べていただきたいし、この間のときは、何の実験もしないで大丈夫だというあの非科学的な態度、許可してしまったから後戻りできないという態度があるかもしれぬが、でもやってみるかということがなければ科学というものは進んでいきませんよ。権力的なことじゃいけません。そういう点で、これはまた三時にもう一遍、ここに委員長が来れば委員長にもただします。大体あなた方、委員会でこれを何も論じないできたというじゃありませんか。諮問事項に当たっていないと言っているでしょう。とんでもない態度だと思いますよ、それも。そういう点で所感があれば、長官、言ってください。
#98
○山東国務大臣 私は、こうした核燃料に関する処理施設全般を青森県民が受け入れてくだすったということ、これは、いわゆる未来のエネルギー問題ということを含めまして大変すばらしい選択であったと感嘆をしております。これは私だけの考えではなく、昨年の八月にちょうど私はカナダのウランの鉱山を視察に行っておりましたところ、そのウラン鉱山の代表者がこの青森県のことを知っておりまして、青森エリアの人たちは非常に先見性があってすばらしいというようなことを言っておられました。
 これからのさまざまな問題、今、関先生がいろいろな御心配がおありのことはもう本当に承知でございますけれども、やはり大切なものであるからこそこうした核燃料物質の輸送などにつきましても、原子炉規制法などによりまして当庁が輸送物の安全規制を、あるいは運輸省もさまざまな安全規制を実施しておりますし、また都道府県の公安委員会も輸送経路などにつきまして安全規制を実施しております。ですから、こうしたことは、もちろん事故というものはあってはならないことでございますけれども、交通事故などに巻き込まれないよう先導車、後尾車などを配しまして隊列輸送を行うなどいろいろと万全が期されておりますので、こうした対策というものもなお一層力を入れていきたいと考えておる次第でございます。
#99
○関委員 何の答弁にもならない答弁だと聞きました。何も青森県民を褒めるところはない。青森県民がばかにされていることですよ、あなたの言っていることは。青森県民よりすぐれている県があるならなぜとらないのです。いいというものならどこの県だって持っていくでしょう。よくないものを設けてすばらしい県だと褒められてみたところで、その評価は全く当たらない。そんないいかげんなことで物を眺めてもらいたくないですよ。
 科技庁長官というのは、もっと厳粛に行政というものと青森県民の考えというものを知ってもらわなきゃならない。青森県の過半数は反対なんですよ。反対の署名が八十万もあるでしょう。選挙では推進の知事が勝っただけの話。しかも、とった票というのは全体の何割ですか、半分以上もとってないでしょう。そういうようなことは全部、権力と権力のあの物すごい攻撃の前に青森県が原子力団体に侵略されたと我々は見ているのですよ。こう言えばまた極端だとお思いでしょう。極端なことでも言わなきゃぴんとこないんだもの、今。
 時間が来ているようですから、これは午後に回
しますので、ここで終わります。
#100
○中馬委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時二十六分休憩
     ────◇─────
    午後三時三十一分開議
#101
○中馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。関晴正君。
#102
○関委員 原子力安全委員長が見えておりますから原子力安全委員長にお尋ねしたいと思います。
 実は午前中、六弗化ウランの輸送についての体制が万全であるのか、極めて軽率な防備体制じゃないのか、これで安全に輸送ができるというふうには思えないんだが、どうなんだろうかということでいろいろ質問してきました。
 そこで私は、原子力安全委員長にお尋ねしたいのは、いわゆる天然六弗化ウランの輸送と濃縮の六弗化ウランの輸送とでは差がある、扱い上は大変な違いがある、そういうことでおるんだけれども、それは放射能の問題で、片一方は放射能の心配が余りない、片一方は放射能の心配が強い、こういうことでの差のように受け取っておるわけですけれども、六弗化ウランがガス化した場合に、そしてそれが漏れた場合に大変な事故状態が発生するだけに、それへの関心、注意というものが全く払われていないような運び方、輸送体制になっているんじゃないか、そういうことでは極めて心配ですし、これは十分気をつけなければならないものだと思うんだが、原子力安全委員会としては、この点についてはどう検討し、分析し、そして判断したんだろうか、その点を委員長よりお聞きしたいと思っているところですので、お答えいただければと思います。
#103
○内田説明員 天然の六弗化ウランの輸送並びに輸送物の技術的基準につきましては、安全委員会にあります放射性物質安全輸送専門部会が審議しているところでございまして、IAEAの基準等に準拠してその専門部会の審議の結果を採用しているところでございます。その輸送基準に含まれる中において、輸送そのものは科学技術庁、運輸省等がそれぞれ担当しているというふうに認識しておるところでございます。
 六ケ所村のウラン濃縮施設の安全性につきましては、総理大臣の諮問を受けまして安全委員会の核燃料安全専門審査会の技術的な審議を踏まえて安全委員会が審議、答申したところでございます。したがいまして、天然ウランの六弗化ウランの輸送そのものにつきましては、先ほど申し上げました放射性物質安全輸送専門部会の技術基準にのっとりました行政庁の規制によりまして十分安全が確保されると判断しているところでございます。
#104
○関委員 内田委員長にお聞きしたいのですが、フラットラックコンテナというのは御存じですか。
#105
○内田説明員 ウランの濃縮輸送物を運びますトラックそのものを実際見たことはございませんが、写真等で一応理解しております。
#106
○関委員 これは委員長も写真で見たことがあるというわけなんですが、これですね。
 そこで委員長、今のお話によりますと、委員長は、我が委員会としてはこれについてはきちんと分析し、診断をし、そしてよしとするような対象のものとしては扱っていないんだ、こういう内容のお答えに私はとったのですが、そのとおりでよろしゅうございますか。
#107
○内田説明員 ちょっと御質問の趣旨がよくわからないのでございますが……。
#108
○関委員 安全委員会としてこのフラットラックコンテナの内容について、これでいいんだ、この輸送でいいんだというふうに吟味をしたのですかしないのですかということです。
#109
○内田説明員 輸送物の安全の問題は、輸送物が遭遇します例えば環境とか荷重とかそういうものの中において安全が確保されるという技術基準を定めていると考えておりますので、専門部会で決めました輸送の技術基準にのっとった十分な安全が確保できるトラックが利用されるべきものと考えております。
#110
○関委員 それじゃ委員長、こういうような横に何らの防護がない、天井の方にも何も防護がない、落下物が落ちてきた場合あるいは自動車の衝突があってこれが破損した場合、そして特にシリンダーの中がガス化されているような場合には大変な事故になることは委員長もわかりますよね。そういうような想定をして対策をとることが必要になるんじゃないだろうか、こう思うのですけれども、委員長は、あなた方の委員会では人任せでおって委員長としては関与してないんだというふうになっているんじゃないんですか。どうなんです。
#111
○中馬委員長 村上安全局長。
#112
○関委員 いや、あなたに聞いているんじゃない、委員長に聞いているんだ。
#113
○村上政府委員 ただいま先生がお示しになりました写真の件と、それから今委員長が申し上げました基準は安全委員会の専門部会で決めておるという基準に関連しましたお話で、実は午前中、タイミングを失しまして御説明申し損ねた点がありますので、委員長の御見解の前に事務的にちょっと御説明させていただきます。
 まず、午前中に御説明申し上げましたのは、天然六弗化ウランの輸送物というのはA型輸送物という国際基準で運搬しておりまして、特に四十八Yシリンダーというものの場合には、約十五トンの重量に対して六十センチの落下テストで、先生は六十センチじゃひどいじゃないかというようなこともおっしゃったわけですが、耐衝撃性にも十分耐え得るという結果でこのシリンダーが使われているということを御説明申し上げました。
 それからまた、他方、欧米でもこの国際基準にのっとってもう二十年以上の輸送実績があって、事故例もなくて安全性が実証されているということについても次長の方から御説明したものでございますが、ここで御説明申し損ねました点は、さらにこの基準に加えまして事業者の自主基準といたしまして、どの程度の強靭性を持っているかというテストを行っておりまして、このテストは九メートルの落下試験を実際に行っているということを実は御説明をし損ねたところでございます。
 それからなお、そのほかに今先生がお示しになりましたトラックの青色のカバーの内側にグラスウールをつけた耐火保護カバーをつけることになっておりまして、国内輸送の際はこれをつけることによって、午前中御説明申し上げました八百度、三十分の耐火試験にも耐えることが確認されているということでございますので、委員長の御見解の前に御説明申した次第でございます。
#114
○内田説明員 先ほど来のお答えを繰り返すだけでございますけれども、この放射性物質の輸送容器は、国際的な輸送の中で行われるものでありますので、IAEAの基準に主によりまして専門部会で決めているところでございます。さらに、局長が今説明されましたように保護カバー等、日本の国内の輸送はさらに慎重を期しているように聞いておりますので、十分に安全が確保されると思っている次第でございます。
#115
○関委員 委員長のお答えは大変自主性がないと私は思うのです。基準をパスしている、それぞれの国においての基準があるからということだけであって、実際にこの内容についての吟味をどうしたかということが大事だと思うのですよ。ヨーロッパにおいてはどのくらいの距離を運ぶのか知りませんよ。しかし、我が国においては八百キロも運ばなければ届かないような場所まで、また、帰りには一千キロも行かなければ持ってこれないような場所に、そして今度は六ケ所の方になりますと同じくまた八百キロ以上運ばなければなりませんよね。そういうような場合にこの輸送体制というものが非常に弱いところにある。
 実際に今の答弁を聞いても、原子力安全委員長がどのくらいタッチしたのだろうか。きのうの私どもとの話によりますと、これは科技長官の諮問に接していないんだ、こう言っておられますよ。だから原子力安全委員会としては何もそれには責
任がないんだ。責任がないなら責任がないでいいですよ。諮問に接していないんだからということで答えておけばいいだけのことです。うそであるならば、間違いであって、諮問に接していまして答えたというなら別です。諮問に接していないでしょう。どうです。
#116
○内田説明員 先ほど来話しておりますように、輸送そのものの安全規制は科学技術庁、運輸省等がそれぞれの責任において担当しているところでございまして、その技術的な基準については専門部会が審議したところでございます。したがいまして、輸送そのものは安全委員会の対象ではございません。
#117
○中馬委員長 関委員に申し上げます。質疑時間が終結しておりますから……。
#118
○関委員 時間がありませんからこれで終わりますが、安全委員会の審査の結果許可した内容というものに私は不備があったと思うのです。輸送体制について何らの諮問にも接しないで、そしてそれはおれのところではないんだ。でもあなた、許可する場合においては当然そのことも吟味されていなければならないでしょう。ですから私は、あなた方の許可というものはやはり不十分である、そういう意味からいけばなお吟味して当たる必要があるのではないだろうか、こう思います。そういう点については科技庁長官の方からなお吟味すべきであるのではないだろうか、こう思います。これは返事は要りません、求めておきますので、終わります。
#119
○中馬委員長 近江巳記夫君。
#120
○近江委員 私は、まず初めに宇宙開発の問題についてお伺いしたいと思います。
 まず、先般NHKが打ち上げました衛星、アトラスTロケット、これはGE社から購入したBS3H、これをケープカナベラル基地から打ち上げたわけでございますが、残念ながら失敗したわけでございます。簡単にまずその報告を聞きたいと思います。
#121
○船川参考人 宇宙開発事業団からお答えいたします。
 NHKの方で、これは国の計画と別に補完衛星の準備をするということでアメリカのGE社に契約されまして、GE社の方でどのロケットがいいかということも選定されたようでありまして、その結果アトラスセントールを使うということで、BS3Hをアトラスセントールに載せて打ち上げたわけでございますが、大変不幸なことに二段目の液体エンジンの片っ方が着火しなかったということのようでございまして、事業団は必ずしも詳しい状況を把握しておるわけではございませんが、残念ながら非常に軌道がそれてきたので爆破されたというふうに伺っております。
 以上でございます。
#122
○近江委員 これは同じく補完衛星のBS2X、アリアンロケットが昨年の二月、ギアナで打ち上げているわけですね。これについて報告をまず聞きたいと思います。
#123
○船川参考人 これにつきましては、やはりNHKの方で補完衛星ということでNHK独自の計画で、同じGE社にちょうど計画が中止になった衛星があったということで、その衛星をNHKの方で契約されたわけでございますが、当時アリアンロケットの実績が非常に上がってきておりまして、これは恐らくNHKがGEと協議してアリアンロケットで打ち上げるということにされたと思いますが、これも大変残念なことに打ち上げ間もなく失敗いたしまして軌道に上げることができませんでした。アリアンといい、アトラスセントールといい、最近は非常に安定したロケットになったのでございますが、非常に運の悪いことに二つそういうことが重なったということでございます。
#124
○近江委員 これは局長にお伺いしますが、同目的で続けて打ち上げているわけですね。これがうまくいかなかった。今までの世界各国の宇宙開発の現状にかんがみまして、続けてうまくいかなかったというケースはあるのですか。
#125
○井田政府委員 全体から見ますとアメリカの今度のロケットも非常に信頼性が高いと言われておりまして、成功率と申しますかそういうもので申しますと大体九割五分ぐらいの高い成功率を持っている、そういうことでございます。そういう意味で、そのたまたま失敗の部分が当たってしまったということで甚だ残念だ、こういうふうに思っているわけでございます。
#126
○近江委員 御承知のように、NHKの衛星放送、これは契約しているのは約四百万世帯と言われております。それからまた、JSBが四月からやっておりまして、デコーダーを供給しておるのが十三万件、申し込みが三十万件、このように聞いておるわけでございますけれども、今日の情報化時代の中におきましてこれだけ多くの人が利用しているわけですね。そうしますと、どうしても三チャンネル要るわけです。今、我が国のNHKそしてまたJSB利用の状況というものはどうなっておりますか。
#127
○團説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、BS3Hの打ち上げが失敗いたしましたので、BS3aの運用が五月中旬から八月中旬まで二チャンネルということになるわけでございます。この間の、現在行っておりますNHK二チャンネルとJSBの放送につきましては、3aの二チャンネルとそれからBS2bがございまして、これは五月の末日までBS3aの予備設備として免許しておりますが、この運用が六月以降もできないかということを含めまして検討していくということにしているところでございます。
 具体的な運用につきましては、3aにつきまして権利を有しておりますNHKとJSBにおきまして、この間の3aの運用をどうしていくか、それに関連しまして2bの運用をどうしていくかということを現在協議中でございまして、この協議の結果に基づきまして必要な行政的な措置をとってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#128
○近江委員 これは宇宙開発事業団が昨年の十一月二十二日に発表されているのですけれども、ゆり三号aは少なくとも平成三年夏に打ち上げられる放送衛星三号bの運用開始時期までは三チャンネルの運用に支障がないものと考えておる、こういう発表をされているのですね。今二チャンネルしか使えない。これはどういうことですか。
#129
○船川参考人 放送衛星ゆり三号aにつきまして大変不測の事態が起きまして、関係の皆様に御心配をかけておりますことを事業団としまして深くおわびいたします。
 昨年打ち上げましてすぐテレメーターでチェックしまして、太陽電池の四分の一がショートで電力が四分の三しか送られていないということを発見したわけでございますが、そのときのテレメーターの状態等から考えまして、ことしの夏に予定されておりますBS3bの打ち上げまでは四分の三になっても三チャンネルの放送ができると推定していたわけでございますが、実は太陽電池の出力の劣化傾向を推定いたしますのに、一つは自然現象が非常に関係いたしまして、太陽爆発に伴います太陽フレアが非常に大きいと太陽電池が劣化するという現象がございます。
 それで、設計のときには平均的な太陽フレアの発生率を入れましてそれで計算して推定するわけでございまして、打ち上げ直後の推定も平均的なものを使いまして推定して、夏至の時期に太陽電池の電力が一番減るわけでございますが、多分ことしの夏至は大丈夫だろうというふうな推定をしましてそのように発表したわけでございます。
 しかし、その後三月に入りまして非常に大きな太陽フレアが起こりまして、予想外に太陽電池が劣化しているということがテレメーターデータからわかりまして、それのデータを解析いたしましたところ、先ほど郵政省の方から御報告がありましたように、どうもことしの夏至のときにも三チャンネル放送に若干電力が足りない状況が予想されるということで発表させていただいたわけでございまして、事業団としましてこのことにかんがみまして、この次のBS3bには十分な対策を
施して、絶対こういうことが二度と繰り返されないように準備しているところでございます。
#130
○近江委員 それでこの補完としてBS2b、これは本来的にはこの二月ということになっておったのを五月いっぱいいけるだろう、こういう判断ですね。あと頼りになるのはいわゆるBS2b、ふらついている衛星ですね。これは燃料とかどのぐらい残っているのですか。例えば軌道修正をしてうまくいくならば、夏打ち上げる次の期待される最後のBS3bの到着まで間に合わせられるのじゃないかとも思うわけですけれども、それはどういう見方をしているのですか、BS2bの軌道修正なりそれを行う燃料またその成功の確率。そうしなければ三チャンネル確保できないでしょう。今やこれだけの情報化時代になって、国民生活に大変な影響を及ぼしますよ。どう考えておられますか。
#131
○船川参考人 実はBS2bの燃料は、現在のテレメーターの値では多分二キロぐらい残っているだろうと推定しておるわけでございますが、軌道の保持につきましては実は二つ大きな問題がありまして、一つは御承知のとおり静止衛星でございますので、赤道の上を地球と同じように回って百十度のところにちょうど相対的に静止するようにしておるわけでございますが、軌道面が赤道の真上じゃなくてだんだん傾いてくるという問題もございまして、我々、軌道傾斜角と呼んでおりますが、この軌道傾斜角の修正をやるのに相当燃料が必要になるわけです。軌道傾斜角の修正をするほどの燃料は実はもうずっと前になくなっておりまして、現在軌道傾斜角の修正はしておりません。
 ただ、軌道は少し傾斜しておりますが、百十度のところに東西の位置に合うような修正だけをしておるというわけでございまして、こういう東西だけの修正ですと燃料を余り食いませんので、二キロぐらい残っておりますとまず当分いけるのじゃないかと我々考えております。
 ただし、軌道傾斜角の修正ができませんので、衛星の地球に対する軌道は8の字形を描きまして、それに従いましてアンテナパターンも8の字形に振れますので、日本の本土はよろしいのですけれども、南の方と北の方では一日のうちに電界の変動が起こりまして若干受信のできにくいところが多分起こってくるだろうと考えております。それで今の予測では、少なくとも五月いっぱいは何とか使える程度の位置を保持できるだろうと考えておりますが、先ほど申し上げましたように東西の軌道修正というのはまだ多分もう少し続けられると思いますので、五月末になったらがたんと悪くなるということでは多分ないのじゃないかと考えておりますが、いずれにせよ南北の聴視者の方には若干御不自由をおかけする、電界の変動が起こって御不自由をおかけするというようなことがあり得るかと思います。
#132
○井田政府委員 ちょっと補足さしていただきます。
 郵政省からお答えいただいた方がいいと思うのですが、BSの2bというのは、BSの3の予備装置としてNHKに免許が五月まで与えられているものでございます。ただいま船川副理事長から御説明したように技術的にはそういう問題がございまして、ただいまのところこれを管理しておりますのは通信・放送衛星機構というものでございますが、この衛星機構とNHKの現在までのこれに対する対応といたしましては、南北制御に必要な燃料はほとんど残っていない、これは今副理事長が御説明したとおりでございます。
 そういう状況でございますので、姿勢が喪失するに至る危険性を考慮いたしまして、今後の南北制御は行わない、ただいまのところはそうなっているわけでございます。しかしながら今回、緊急事態、こういうことが起きましたので、これでどういうふうに対処するか、今後の運用、使用についてどうするかということにつきましては、この機構あるいはNHKにおきまして五月中旬に結論を出すということで今検討しているということでございます。
 以上でございます。
#133
○近江委員 BS3bの今後の予定ですね、これはどういうスケジュールでいかれるのですか。
#134
○井田政府委員 BS3bでございますが、これは本年夏に打ち上げることを目標に開発を進めているわけでございます。現在、宇宙開発事業団の筑波宇宙センターにおきまして各種試験を実施しているところでございまして、今月末には宇宙開発事業団の種子島の宇宙センターに輸送いたしまして、打ち上げに向けて各種作業を行った上で八月中旬に打ち上げることを予定しているわけでございます。私どもとしましては、BS3bはBS3aにおいて生じましたようなふぐあいがあってはならないということでございまして、この原因を十分究明いたしまして、その対策に万全を期して上げるという態度で一生懸命今やっているところでございます。
#135
○近江委員 その打ち上げ準備というのは、慎重なそういう準備ということはよくわかるわけですが、こういう状況の中でできるならば短縮をして上げるというようなことはできないものかどうかということが一つ、これにつきましてはどういう判断ですか。
#136
○井田政府委員 打ち上げのための作業スケジュールでございますが、現在全体の作業スケジュールを検討いたしまして、しかもこれは安全に上げるという要請が今度は非常に強いわけでございまして、そういうところからまいりますと、やはりこれは打ち上げの時期を早めることは不可能である、このように考えているわけでございます。
 ただ通常、打ち上がりますと運用までに約三カ月間ぐらいかかるわけでございますが、この運用の期間につきましてはできるだけ早めるよう努力してまいりたい、このように考えているわけでございます。
#137
○近江委員 そういう実用化を現実にやっているわけでございますが、この予備といいますか、そのために二つ続けてロケットを打ち上げて失敗をしたわけですけれども、そういう努力はわかるわけでございますが、本来的にはこれは相当な余裕を持ってやっていくのが本筋じゃないかと私は思うのですね。この辺の考え方についてはどういうふうに判断されていますか。
#138
○團説明員 お答え申し上げます。
 BS3のシリーズにつきましては、今お話がありましたように、BS3のaを昨年打ち上げまして、その予備としてbの打ち上げがことしということで予備体制をつくるということであったわけでございますが、BS3a一機の時代がございますので、その間の補完として3Hを打ち上げようということで、いわば二重の予備体制ということで進めてきたわけでございますが、不幸にしまして3aにも一部ふぐあいが生じましたし、3Hが失敗したということで今日の事態を迎えているわけでございます。
 これは放送衛星に限らずに、先生御指摘のとおり通信衛星につきましても予備体制ということがありませんと実用につきましては非常に難しい問題がございます。したがいまして、BS3につきましてもそういう準備をしたわけでございますが、今後とも放送衛星、通信衛星につきましてどういうふうな予備体制をとって実用化をしていくかということは大きな課題として検討してまいりたいというふうに考えております。
#139
○近江委員 まことに厳しいそういう状況であるわけでございますが、今の状態をお聞きしますと、二チャンネルで今後推移していく、このように思うわけですが、これはうまくいくのですか、どうなんですか。
#140
○團説明員 お答え申し上げます。
 五月中旬から八月中旬まで二チャンネルしか運用できないということでございまして、その中で今の三チャンネルの放送をどうやっていくかということにつきまして現在協議をしているということでございますが、先ほど御答弁もございましたが、2bにつきましても五月の末までということで予備設備として免許しておりますが、さらに実効上この使用につきまして検討しておるというと
ころでございます。2bにつきましては、先ほど御答弁のとおり十全な運用ということは八月中旬までは望めないわけでございますが、その影響の度合いを見まして、3aの二チャンネルと2bの一チャンネルというものを使いまして、何とか最大限に放送の継続を図っていきたいということで検討しておるところでございます。
#141
○近江委員 まことに綱渡りといいますか、なぜもっと予備のそういう完全な体制のもとにスタートしなかったのか、非常に残念な気がするわけでございますが、それについては局長どうですか。
#142
○井田政府委員 これはどちらかと申しますと放送行政の問題でございますので、私の方は開発をしているということで直接責任がある御答弁ができないのは残念ですけれども、事態として起きたのは大変残念だというのが私の率直な見解でございます。
#143
○近江委員 じゃ、その件についてもう一度郵政省。
#144
○團説明員 多少繰り返しになりますが、3のシリーズにつきましては、3aを基本としまして3bはバックアップ、さらに2bが五月末まで使用できるということで、3Hを六月から運用できる、そういう計画を持ちまして予備の体制もとってきたということでございますが、その中で3aが計画に反しまして二チャンネルしか運用できないということで非常に御迷惑をおかけしている実態になっておる次第でございます。こういう中では、先ほど申しましたように現在使える衛星を最大限に使いまして放送の継続を図っていくというほか対処はないわけでございますけれども、この実態につきましては、今後の放送衛星の打ち上げ等につきましてこれを教訓としてさらに検討していくということにいたしていきたいと考えております。
#145
○近江委員 BS3bというのはまさに背水の陣の打ち上げだと思うのですけれども、このBS3bの打ち上げにつきまして特に留意すべき点といいますか、どういう点を一番注意されておるのですか。
#146
○船川参考人 御指摘のとおり、BS3bをぜひ成功させたいということで鋭意努力しておりますが、一つは先ほども申し上げましたように、BS3aで起きました太陽電池がショートしていたという、こういうふぐあいを絶対起こしてはいかぬということで、これに対しましては非常に十分な対策をとりましたし、また綿密な試験をいたしまして、今度は全くそういう心配はないということを確認しております。現在筑波宇宙センターで最終チェック中でございまして、これから間もなく種子島へ運びまして射場作業に移るわけでございますが、今までのHIの打ち上げ、大変順調にいっておりますが、ぜひ今度も万全の体制をしいて、間違いのないような打ち上げをしたいというふうに事業団全員で努力していくつもりでございます。
#147
○近江委員 宇宙のいわゆる利用体制の問題、今局長の答弁を聞いていますと、それは利用であって郵政省の管轄だというような、何となし白々しい無責任なような感じを私は受けたんですよ。今宇宙開発の問題というのは非常に私は問題だと思うのですね。どこが本当に責任を持って、これはやはり国民生活に重大な影響を及ぼしているわけでしょう。しんになって、本当にフォローをして、責任を持って、国民に迷惑をかけない。柱はどこなんですか、これは。どこだと思いますか、局長。
#148
○井田政府委員 この御議論は宇宙開発委員会をつくる際に非常に政府部内、国会でも議論していただいたところでございます。その結果として宇宙開発委員会設置法ができたわけでございますが、この宇宙開発委員会設置法におきまして、「宇宙の開発に関する国の施策の総合的かつ計画的な推進とその民主的な運営に資する」機関として宇宙開発委員会をつくるということで、「宇宙開発に関する」というふうな限定をつけまして、その上で「人工衛星及び人工衛星打上げ用ロケットの開発並びにこれに必要な施設及び設備の開発」を一といたしまして、二といたしまして「人工衛星等の打上げ及び追跡に必要な方法、施設及び設備の開発並びに人工衛星の打上げ及び追跡」、こういった宇宙開発につきまして企画、審議、決定する機関として宇宙開発委員会が設けられたわけでございます。
 また国会におきましても、宇宙開発委員会設置法第二条の宇宙開発に関する利用の取り扱いについて御議論をいただいております。昭和四十三年の四月十九日の衆議院の科学技術振興対策特別委員会における審議におきまして、その審議の際に、宇宙利用のために行うそれぞれの人工衛星の開発が終了し、当該人工衛星が実用に供し得るものとなった後、これを製作し、これによってそれぞれの実利用を行うことは、各省庁で実施するのは当然であり、その具体的内容にまで宇宙開発委員会が関与することはない旨の各党の統一見解がなされているわけでございます。
 こういった経緯で我が国の宇宙開発の全体の進め方が決まっておりますので、政府といたしましては国会におきますこういった統一見解、こういうものも踏まえまして委員会の運営に当たってきたところでございます。この際、NHK等の機関が独自の資金と計画によって行う開発は国の施策には含まれないということでございまして、宇宙開発委員会としての審議対象とはなっていないわけでございます。
 こういったことでございますが、自主技術を行う際に、やはりその実利用には相当密接な関連があるわけでございますので、宇宙開発委員会におきましては、必要に応じましてそういうものも十分踏まえていろいろ方針を決定している、こういうことでございます。
#149
○近江委員 この開発委員会のあり方について今御答弁があったわけでございますが、先般、日米両政府間におきまして、人工衛星につきまして合意がなされたわけでございます。その結果、我が国内におきまして宇宙開発利用体制に大きな変化が起きてきておる。それでなくても、今申し上げた利用ということになってくると、非常に政府全体の無責任さということが浮き彫りになっているわけですが、より一層私はそれが顕著になってくる、このように思うわけでございます。
 実用分野を含む人工衛星の発注につきまして宇宙開発事業団の手から離れる、また宇宙開発委員会のコントロールの外に出ることになるわけですね。また、この現状というのは純民間会社によります通信衛星等の発注、利用も増加しつつある現状であります。そういうことを勘案しますと、いわゆる研究、開発、利用の総合推進に非常に大きな問題が今出てきておる、このように思うわけです。さらにまた、平和利用の確保、宇宙条約の遵守等の観点からも非常に問題があるのじゃないか、このように思うわけでございます。また、ロケット調達会社が誕生する、そのように聞いておるわけですが、そうすると、民間からの宇宙開発事業団への委託の可能性が生まれてきておるのじゃないかと思いますが、その場合の仕組みはどうなるのかというようなさまざまな問題があるわけです。
 そういう状況の中で、この宇宙開発体制、発足してちょうど二十年を経ておるわけでございます。そこで、大きくもう一度洗い直しをして、どうするんだ。このままでは非常に無責任な存在、各省庁、そういうものが結局国民生活に重大な影響を与えるわけですよ。常に言われておることは、これから情報化の時代だ、一番大きな波がそれだ、こう言われているのでしょう。そういう中で、政府自体がこんな無責任な、どこに責任があるかわからないような、そういうことを放置しておいていいのかということなんです。今こういう場面に出くわして、どうするのですか、二十年たってきて。どういう見直しをするのですか。ひとつきょうは事業団副理事長さん、また局長からお伺いしたいと思います。どちらからでもよろしい。
#150
○井田政府委員 ただいま御指摘のとおり、昨年日米間の合意がございまして、政府及びNTT等
の機関が研究開発衛星以外のいわゆる実用衛星を調達するときには、国内外を問わずオープン、透明かつ無差別の手続によるものとなったわけでございます。これはまた同時に、我が国メーカーが力がつきますれば米国市場に参入し得る、こういう可能性もあるわけでございますが、こういう意味で、宇宙開発の分野では、一つはやはり国際的な競争、こういう分野が出てきたわけでございまして、この分野でやはり先進国間の競争、これはこれからなかなか激しくなるのではないかと思うわけでございます。そういう中で、実利用の分野におきましては、これはあくまで実利用として、ただいま放送衛星の問題で非常に国民の皆さんに御心配をかけているということは大変残念なことでございますが、実利用が問題なくいくようなそういった行政措置が非常に必要ではないかと思っているわけでございます。
 私どもといたしましては、宇宙開発、従来自主技術基盤に立って進めるということを一生懸命やってきたわけでございまして、今後とも自主技術開発ということを一生懸命やっていきたいと思っているわけでございます。今回の日米間の合意におきましても、研究開発衛星につきましては、我が国の判断でこれに必要な研究開発を実施することができるとなっているわけでございまして、私どもといたしましては、研究開発衛星の積極的な開発といったものを通じまして我が国のそういった自主技術によります技術力の強化というものに努力をしたい、こういうふうに思っているわけでございます。
 また一方、そういった成果をどういうふうに民間につなぐかということも大変大事な問題でございまして、今先生御指摘のございましたロケット会社、その中にもそういう問題が起きているわけでございまして、そういった自主技術開発をきちっと進めながら、それをどういうふうに民間に移転していくかということは大事な問題でございます。そういうわけで私ども、先般、技術移転検討会というものをつくりまして、こういったもので今勉強しているわけでございますが、こういったことを通じまして、我が国の宇宙開発が円滑にきちっと進むよう今後努力していきたい、このように考えているわけでございます。
#151
○船川参考人 政策的なことは事業団の方から余り申し上げる立場ではございませんので、我々が技術的な面で感想として持っていることを少し申し上げまして責任を果たしたいと思います。
 過去二十年の国の政策によりまして、宇宙開発の各機関、これはメーカーを含めまして技術的なレベルは大変上がってきておると思っております。この数年、衛星はほとんど国産化されておりますし、またこの次に開発されますHUロケットといいますのは、世界水準に十分達するロケットでございます。そういうことで、実用的な面でもポテンシャルが大変上がってきていると思いますが、外国の産業に比べまして、残念ながらまだ日本の規模が大変小さいということが、どうも各契約者といいますかロケットメーカー、衛星メーカーの悩みのようでございます。これはやはりこれから日本がだんだん先進国としての義務を果たしていく中で、例えば地球観測衛星をもっと上げるとかそういうことである程度実績がついていくのじゃないかというふうなことを考えております。
 以上でございます。
#152
○近江委員 宇宙開発全体を見ますと、予算にいたしましても、アメリカのNASAと比較しましても、これは本当に全然規模が違いますし、ヨーロッパと比較しましてもそうですね。ですから、やはりこれからのそういう将来ということを考えたときに、我が国としてももっとそういう予算面におきましても考えなければならぬ問題ですし、今私が申し上げましたいわゆる研究開発、利用、それの総合的な推進、これが非常にばらばらになってきておる。そのばらばらなこと自体が、今回の私が指摘したこういうことに出てきておるのですね。これは政府総力を挙げて、どうするかということを真剣に取り組まなければいかぬと私は思うのです。結局迷惑を受けるのは国民でしょう、これは。その点、どう考えられるか。局長、そしてその次に大臣に御答弁いただきたいと思います。
#153
○井田政府委員 今先生お話しのように、宇宙開発は国民生活のかなりさまざまな分野に浸透してきているわけでございまして、そういう意味ではなかなか国民生活に欠かせないものであるということは、これから我々宇宙開発に携わる者にとりましても、そういったものがきちっと国民の皆様に御利用いただけるような技術基盤をつくっていく、これは大変重要なことだと思っております。
 そういう意味におきまして、宇宙開発、これからさまざまな活動が将来開けているわけでございますが、そういうものをきちっとやっていく、そのためにはやはり必要な予算を確保してやっていかなければいかぬ、このように考えているわけでございまして、そのような形で今後とも頑張っていきたい、このように思っております。
#154
○山東国務大臣 宇宙開発の推進に当たりまして、我が国はやはりあくまでも軍事利用ということではなく、平和利用であるために、ある意味では予算面でもあるいは技術の面でも確かにおくれている部分もあろうかと存じますけれども、やはり委員の御指摘のように、これからの私たちの生活にとって衛星というものは、放送衛星、気象衛星、また地球環境問題というような地球観測の面から申しましても、欠くことのできない大切なものであろうと思っております。
 そのために、これから利用者が極力不便などをこうむらないように、十分いろいろ関係省庁とも話し合いながら、自主技術の基盤の確立に最大限の努力をしていきたい、そのように考えている次第でございます。
#155
○近江委員 外務省さんが何か予定があるようですので、問題を変えまして、先にちょっとお聞きしたいと思います。
 湾岸戦争がございまして、大量破壊兵器という問題が非常にクローズアップされたわけでございます。そういう中で、最大の大量破壊兵器というのは、これはやはり今のところ核だと思いますね。そういう点で、核拡散の防止というのは極めて重要な問題であります。
 我が国はこれだけの高度な技術国家として今日発展してきておるわけでございますが、そういう中で、原子力問題につきましても平和利用に徹して、我が国はかなりの、世界の中でもトップラインを走っておるような状況であります。そういう技術力の高さということを世界もよく認識しておると思うのですが、米国での世論調査によりますと、米国人の三人に一人は日本が将来、それも大多数が五年、十年といった近い将来に核武装をすると考えておる。日本のプルトニウム計画を懸念する向きもある。今の状況において、我々は絶えずそういう監視の目を向けておりますし、政府も平和利用に徹しておられるわけでございますし、そういう危惧は全然ないわけですけれども、しかし、諸外国においてはこういう見方をやはりしておるということも事実なのですね。
 そういうことで、日本としましては、この原子力計画の推進に際しまして平和利用の基本姿勢、これを改めて内外にあらゆる機会に鮮明にしていく必要がある、このように思うわけでございます。
 そこで、我が国が平和利用に徹するという意味におきまして、核拡散防止上、我が国の果たすべき役割というのは非常に大きいと思うのですね、貢献すべきだと。それで、湾岸戦争後、中東また世界の平和と安定のために新しい秩序づくりの努力が行われようとしておりますし、一層それに力を入れなければならぬ、このように思うわけです。
 そこで、我が国としてはそれだけ平和利用、これだけの技術を持っておる我が国、しかも平和利用に徹しているわけですから、大いにそのことを言わなければならぬ。
 具体的には、まず核物質、原子力資機材などの輸出規制等についてはどのように考えているか。
ロンドン・ガイドライン等があるわけでございますが、これの見直し、強化等もやはり必要だと思います。それから、原子力関連資機材の軍事転用防止のための国際協力、こういう枠組みを整備することも非常に急務である、このように思うのです。それから、いわゆるIAEAの査察制度、これの一層の強化を図るべきじゃないか、このように思うわけでございます。特別査察ということも結局、相手国が受けなければこれはできないわけですから、この辺のことを一体どう考えておるか。現実に受け入れない国が、疑惑がありながら進まない国が何カ国かあるでしょう、御承知のように。そういう点、今後日本が先駆的な、そういう主導的な立場をとらなければいかぬ、このように思うわけでございますけれども、この点につきまして御答弁いただきたいと思います。
#156
○神余説明員 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、核の不拡散問題に関しましては、昨今の湾岸情勢等々でございますが、こういった情勢を背景にしましてその重要性がますます認識されるようになってきておることは委員御指摘のとおりでございます。
 先般も三月二十日に、政府より、湾岸後の中東貢献策の一環といたしまして、大量破壊兵器の不拡散の強化と、そのために、例えばIAEAの査察制度に関しましても、保障措置制度に関して、そういった制度の改善あるいは強化について検討してまいりたいという点を申し上げて、発表したわけでございますけれども、日本といたしましても、不拡散体制の維持強化、これにつきましては従前より主要な役割を果たしておりますし、また国際的に主要な役割を果たしております国際原子力機関、IAEAでございますが、これの保障措置制度の有効性を一層高めるということが大変重要だというふうに考えておりまして、我が国としても、このために積極的な貢献を行っていきたいというふうに考えております。
 なかんずくIAEAの保障措置制度の強化という点につきましては、昨年の八月から九月にかけまして第四回のNPTの再検討会議、核不拡散条約の再検討会議というのがジュネーブで行われました。そこにおきましても、この査察制度の問題につきましていろいろと議論が行われたわけでございますけれども、特別査察の手続につきましてIAEAが研究を行うということを歓迎するんだということがNPTのその再検討会議のところで得られました共通の認識でございまして、今それに基づきまして、ウィーンにありますIAEA事務局におきまして検討が進められております。我が国も、先ほど冒頭に申しましたように、中東に対する湾岸貢献策の一環としての不拡散の強化という観点から、IAEAの事務局のこのような検討には積極的に協力していきたいということでございますし、また外務省といたしましても、四月五日に研究会を発足させましていろいろとその可能性を検討しておるところでございます。
#157
○近江委員 この問題は外務省を中心に、また科学技術庁もよく力を合わせて、私が申し上げたそういう点、ひとつ我が国としてしっかり先駆的な役割を果たしてもらいたい、このように思います。要望しておきます、長官。
 それから、プルトニウム輸送、政府は海上保安庁で護衛するんだというようなことを決めたようでございますけれども、今、御承知のように掃海艇を派遣するというような、歯どめもない、そういうことを政府はやろうとしております。私どもは反対であります。こういうことになってきますと、またこれはなし崩し的に、海上保安庁ではだめだ、海上自衛隊だ、こういうようにどんどん広がってくる、そういう危険性があるわけでございます。その点、どういうことを考えておられるのか、それをお伺いしたいと思います。
#158
○山本(貞)政府委員 科学技術庁から一言申し上げます。
 プルトニウム輸送の問題につきまして申し上げますと、今先生御指摘ありましたが、数年前に政府部内でいろいろな議論がございましたが、結局海上保安庁の護衛船で護衛をするということで予算措置も講じて、護衛船を今海上保安庁の方で建造中であります。私どもとしては、そういう体制でプルトニウムを輸送、護衛するということで今後とも考えてまいりたいと思っておる次第でございます。
#159
○近江委員 今回のそういう掃海艇の派遣等からかんがみて、そういう、今言うようになし崩し的にどんどん拡大していくという政府全体の姿勢が今問われているのですよ。だから私はこの問題をあえて言っているのです。海上保安庁は今どういう計画をしているのですか。
#160
○柳田説明員 お答えいたします。
 海上保安庁といたしましては、プルトニウムの九二年秋に予定をされております海上輸送を安全かつ円滑に実施いたすために、今年の四月に警備第二課にプルトニウム海上輸送護衛対策室を設置いたしまして、護衛計画あるいは各種マニュアルの作成及び十月に予定されております警乗隊並びに来年四月に就航いたします護衛巡視船の訓練計画等を作成いたしまして、準備に万全を期しております。
#161
○近江委員 この海上輸送の問題につきましては、相当私たちも懸念しております。そういうことで、この問題はまた次の機会にしたいと思いますが、今政府の姿勢というものはなし崩しにそういう姿勢があるということをここで指摘しておきたいと思います。
 次に、原子力のいわゆる安全性に関する国際協力の問題でございますが、安全性につきましては、我が国一国だけで安全を確保しても十分ではないということは、チェルノブイルの例を見るまでもなくこれはもうよく認識されておることでございます。そういう意味で、特に我が国の近隣諸国を中心としまして諸外国のこの原子力利用につきましても安全性の確保ということが非常に重要なことでございます。
 私の資料で見ますと、現在運転中、韓国が九基ですね、インドが七基、台湾が六基、パキスタンが一基。建設中、中国が三基、韓国が二基、インドが七基。計画中が中国が二基、韓国が三基、台湾が四基、パキスタンが一基、タイが一基。こうしますと、合計でどうなるかというと、中国で五基、韓国で十四基、インドで十四基、台湾で十基、パキスタンで二基、タイで一基、こういうデータがあるわけでございます。そういう点で、諸外国の原子力利用について安全性の確保ということが非常に大事であります。
 そういう点で、我が国としては、トラブルが美浜の例を見るまでもなく続出して非常に国民に心配を与えておる、まことにこれは遺憾なことであります。本当にさらに襟を正してこの安全性に注意してもらいたいと思います。現状は、非常に世界の中でも我が国としては原発が進んでおるわけでございます。そういう点におきましてこの安全性に対する国際協力といいますか、これは本当に真剣にやらなくてはいかぬと思うのですね。これが非常にまだ、年に一回ぐらいの会合であるとか、それで事足れりとしているのですよ、現実聞いてみますと。そんなことで、諸外国とお互いもっと緊密にやっていかなければ、我が国が本当に得たそういうノーハウにしろ何にしろ、あらゆることをお互いが交換もしてこの安全性を一段と高めていくという努力をしていかなければいけない。儀礼的に、そんな一回ぐらいの国際会議をやっておりますとか近隣諸国で打ち合わせをやっております、そんなことで確保できるわけがない。国際協力に対する姿勢というものは非常に私は甘いと思うわけです。
 そういう点、どのように反省して今後さらにそういう交流をしていかれるのか、それについてお伺いしたいと思います。
#162
○村上政府委員 お答え申し上げます。
 原子力の安全確保につきましては、基本的にはそれぞれの国が責任を持つべきものでございますけれども、これが高いレベルで実施されるようにするための国際協力が重要であると考えております。このため、国際原子力機関、IAEA及び経済協力開発機構原子力機関、OECD・NEAな
どにおいて安全確保のための国際的な基準、指針の策定、技術情報の交換、研究協力などの協力活動が活発に行われているところでございますが、我が国も従来よりこれらの活動に積極的に貢献してきたところでございます。
 また、日米、日仏、日独等の二国間でも安全規制に関する情報交換及び多数の安全研究協力が実施されてきたところでございます。
 さらに、今先生御指摘になりました近隣諸国に関しましては、昨年五月には韓国と原子力協力取り決めが締結され、十一月にはこの取り決めに基づく原子力協議が開催されるとともに、また本年四月には日中原子力協力協定に基づく原子力協議が開催され、原子力安全にかかわる情報交換及び専門家の交流などを進めていくことの重要性について合意されたところでございます。また、一方途上国につきましては、技術者を日本に招聘して安全確保のための技術研修等も実施しているところでございます。
 なお、今月もそれから来月も、日米それから日仏等の専門家が、安全の問題について会合にやってまいりましたり、いろいろ意見の交換等をやることになっておりまして、私どもといたしましては、このような原子力の安全確保のための国際協力については特に、国境がないという問題もございますので、今後とも積極的に対応してまいる所存でございます。
#163
○倉重説明員 通産省の方からお答え申し上げます。
 原子力発電の安全性についての国際協力、特に近隣諸国への協力の話でございますが、今、村上局長の方からありましたように、通産省としましてもマルチの場、それからバイの場でそれぞれ協力しているわけでございます。
 特に通産省の方でやっておりますものにつきまして補足させていただきますと、ことしの二月に、韓国との間では、資源エネルギー庁とそれから韓国の原子力発電安全規制当局であります韓国科学技術処との間で、原子力発電安全分野におきます協力の実施のための取り決めを締結しまして、定期的な会合の開催それから技術専門家の交換などの協力を行うこととしたわけでございます。また、中国との関係では、向こうの安全規制当局であります国家核安全局とは、これまで専門家の受け入れ等々を通じて協力も行ってきましたけれども、中国初めての原子力発電所であります秦山一号機の試運転におきます協力のため、昨年の十二月に資源エネルギー庁から専門家を派遣したり等々しまして、最大限の協力をしているつもりでございます。
 今後とも、これらの技術協力等を通じまして、原子力発電安全分野での国際協力に前向きかつ適切に対応してまいりたい、このように考えております。
#164
○近江委員 毎回このことを指摘いたしておりますが、非常にこれは大事な問題であります。そういうセレモニー的な打ち合わせとかそういうことじゃなくして、ひとつ真剣な、本当に実のある、お互いが緊密な連携をとることが大事だと思います。この点、大臣のそういう決意といいますか、それをお伺いしたいと思います。
#165
○山東国務大臣 委員が御指摘されましたように、我が国の原子力の安全というような面のレベルは大変高いということは各国からも評価をされているわけでございますけれども、やはり国際協力ということはこれからいろいろな角度から必要欠くことのできないものでございますので、なお一層関係各省とも力を合わせて、全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
#166
○近江委員 大臣おっしゃったこと、ちょっと違うのですね。我が国の安全性、それが高い、評価されておる、そうじゃないのですよ。この間から美浜のあんな細管の破断とか見ておりまして、そんなこと国民はだれも思っていませんよ。とにかく不安で仕方がないというのが国民の気持ちなんです。ですから、冒頭に私は、そういう国民に心配を与えることについて重大な反省をして、襟を正して関係者はこの安全性に力を入れてもらいたいということを申し上げておるわけでございまして、そういう失敗例というもの、今までのそういうことをうんと公開をして、そういうことのないようにひとつ他国に対しても協力をしてもらいたい、こういうことを私申し上げておるわけでございますので、今後とも、そういう情報の交換を初め国際協力、本当にあらゆる細かい面にわたってよく緊密な連携をとってもらいたい、このように思うわけです。
 局長、答弁してください。
#167
○村上政府委員 御指摘を十分承りまして、そのように努力してまいりたいと思います。
#168
○近江委員 次に、テクノロジーアセスメントの問題でございますが、科学技術の研究開発を進める場合、プラスの要素の評価だけが何か突出しているように思うわけでございます。あらかじめむしろマイナスの影響というものを評価して対処することが必要だと思いますね。そういった認識に基づきまして、米国やドイツにおきましては技術評価が実行され、強化されておるわけです。我が国におきましては、そういう機能というものがほとんど見られないわけでございます。国民生活重視の観点からテクノロジーアセスメントの制度化、これをぜひやらなければいけないんじゃないか、このように思うわけでございます。この点についてお伺いいたします。
#169
○須田政府委員 テクノロジーアセスメントについては、政策の決定段階、研究開発等のそれぞれの段階におきまして各所掌、行政庁はもとより科学技術会議、原子力委員会、宇宙開発委員会等、それぞれで実施されてきているところでございます。
 特に、新しい技術の社会への適用について、御存じのように近年科学技術はますます高度化、複雑化してございますし、科学技術と社会とのかかわり、非常に緊密になってきております。こういうことに当たりましては今後ますますテクノロジーアセスメントが重要になってくると認識しておりますし、今後とも積極的にこれに取り組んでいきたい、そういうふうに考えております。
#170
○近江委員 今後とも積極的に取り組んでいきたい、言葉では言えるのですよ。何もやってないじゃないですか、政府は。本当に真剣にこういうことに積極的に取り組んでいきますとおっしゃるならば、それをきちっとした結果で今後示してもらいたい、このように思います。
 大臣、私申し上げたテクノロジーアセスメントのそういう制定につきまして、大臣はどのようにお考えかお伺いしたいと思います。
#171
○山東国務大臣 我が国におきましては、行政庁はもとより科学技術会議あるいは原子力委員会、宇宙開発委員会などにおきまして、これらにつきまして総合的に検討を行って各プロジェクトを実施してきておりますが、今後とも時代の要請に的確に対応した研究開発というものが実施されるよう努めてまいりたいと考えております。
#172
○近江委員 今申し上げたこの課題、極めて重要なことでございますので、長官を中心に科学技術庁としては真剣にひとつ受けとめて力を入れていただきたい、このように思います。
 次に、超大規模国際協力プロジェクトの問題であります。
 核融合、宇宙ステーション、超大型加速器、ヒトゲノム等、最近科学技術の諸種の分野で超大規模な国際協力プロジェクトが組織されようとしておるわけでございます。これに参加するにいたしましても、巨額の費用負担というものが必要になるわけでございます。しかしながら、そういう中で国際貢献を考えますと、そういう参加に対して消極的であってはならぬ、このように思うわけですね。むしろ、プロジェクトによりましては我が国が中心となって推進していく必要があるんじゃないか、このように思うわけでございます。
 この大規模な国際協力プロジェクトについてはどういう考えを持っておられるかお伺いしたいと思います。
#173
○須田政府委員 大型国際プロジェクトに対する基本的な考え方ということで、我々もそれを非常
に重要問題として考え、科学技術会議の中に国際問題懇談会ということで検討いただき、せんだってその基本的な考え方が示されたところでございます。
 それによりますと、大型国際プロジェクトは、一般に、大型の設備、多大の経費、多くの人的資源を必要とするために一国ではできないというものでございます。しかし、一国でできないというものだけを国際共同研究でやっていくということではなく、その成果が人類共通の知的財産になるとともに、科学技術のブレークスルーをもたらし、人類の未来に対する新たな可能性を開拓するものでなければいかぬということが一点でございます。
 二点目として、大型国際プロジェクトへの我が国の対応について検討するに当たっては、個々のプロジェクトの目的、性格、内容、協力の形態等に十分留意しつつ、研究者間の意見交換を行うことが非常に重要だということ。
 さらに、大型プロジェクトへの対応に当たっては、我が国が先進国としてふさわしい役割を国際社会において果たすとともに、他の研究開発活動を圧迫することのないよう、資金の確保のあり方等を含め計画的な取り組みについて検討していくことが重要であるという三点が示されてございます。
 科学技術庁としても、この国際問題懇談会の取りまとめに沿って今後努力してまいりたい、そういうふうに思っております。
#174
○近江委員 これは何回も申し上げておりますが、政府研究投資の拡大を今後さらに力を注いでいかなければいけない、このように思うわけでございます。欧米先進国のデータを見ましても、政府の負担割合というもの、これはやはり非常に低いわけですね、細かいデータは申し上げませんけれども。これについてはもっと真剣に今後――今申し上げた国際協力プロジェクトあるいは福祉型の技術開発あるいは基礎的、先導的研究の展開等非常に今要請されているわけですから、そういう点から考えると、この政府の研究投資ということは非常に重要な問題になってくる。それにつきまして今後どういう取り組みをされるか、それをお伺いしたいと思います。
#175
○須田政府委員 先生御指摘のとおり、我が国の研究開発費はトータルでは十一・八兆円、相当の額でございますが、その中で政府の占める割合というのはトータル二・二兆円、これは二〇%を割ってございます。これは御指摘のとおり、諸外国との比較においては、比率としては非常に少ない。これについて大いに努力していかなきゃいかぬというふうに考えておるところであります。特に、政府の研究開発の投資額の増額、充実、これは我々は非常に重要な課題だと認識して、財政事情厳しい折ですけれども鋭意努力しているつもりですが、先生御指摘のとおりの成果はまだ上げられてない、もっともっと努力しないといかぬ、そういうふうに考えて、なお一層努力する所存でございます。
#176
○近江委員 大分時間が迫ってきたようでございますので、最後に大臣にお伺いしたいと思います。
 大臣が所信表明におきまして「私たち一人一人の夢のある国民生活を実現していくため」として新しい表現で強調されたわけでございますが、大臣の私的懇談会としてゆとり・優しさ・快適さを考える懇談会を発足させるなど、国民生活重視の姿勢を示されておられるわけでございます。国民生活重視といいましても、人間中心主義、福祉型重視、弱者の立場尊重、消費者の立場の尊重、経済成長の影の部分への手当て等々いろいろなことがあるわけでございますが、今後この懇談会でどういうことを考えておられるのか、これをお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
#177
○山東国務大臣 社会情勢が刻々と変化していく中で、国民生活も物質的あるいは量的なものから感覚的なものを望む時代になってまいりました。そのため、今後科学技術面におきましても、生活のゆとりあるいは人間への優しさ、また環境の快適さといった国民のニーズに適切にこたえていくことが重要な政策課題であると思っております。
 このため、生活者の視点に立ちまして私たちの生活の豊かさに貢献する科学技術のあり方について考えることを目的といたしまして、本年三月以来ゆとり・優しさ・快適さを考える懇談会を開催いたしまして、各方面の有識者による意見交換を行っていただいているところでございます。今後、この懇談会においていただいた意見を参考にしながら、やはり科学技術を国民生活の中でどのように生かしていくか、これをいろいろな角度から真剣に考えていきたいと思っている次第でございます。
#178
○近江委員 それでは終わります。
#179
○中馬委員長 金子満広君。
#180
○金子(満)委員 私はまず長官に伺いますが、湾岸戦争と環境問題についてです。
 湾岸戦争は終わりましたけれども、残された環境破壊、被害というのは人類史上いまだかつて例を見ない甚大なものになっている。これは御承知のとおりだと思うのですね。二度とイラクがあのような蛮行を繰り返さないように、また世界のいずれの地でもああいうようなことが起こらないようにすることは当然なんですが、やはり今言えることは、まさに戦争というのは最大の環境破壊だ、このことに尽きると思うのです。
 そういう中で私は、この環境破壊の問題はこの科学技術委員会でも取り上げなければならない大きなテーマだし、積極的にやはり取り上げるべきだ、こういうように思うのですね。今原油の流出それから油井の炎上、これがいかにひどいものかというのは新聞、マスコミ、テレビその他を通じても国際的にも非常に明らかになっている。やはりこの問題は限定されたあの湾岸地域だけの問題でなくて、まさに地球的規模の問題として取り上げなければならない、こういうふうに思うのです。
 そこで、まず湾岸戦争における環境破壊の事態、こういう事態を引き起こしたことと、それからそれに対してどう科学技術庁として対応しているか、この基本的なものについて長官の考え方をお聞きしておきたいと思います。
#181
○山東国務大臣 今般の環境汚染は、これは今御指摘のように非常に重大な問題でございます。やはり地球的規模で人類に影響を及ぼすおそれがあると認識をいたしております。
 我が国といたしましては、今般の問題に対しても積極的な国際貢献をしていくことが重要であろうと考えておりますが、政府といたしましては、関係省庁においてオイルフェンスなどの資機材を供与するほか、原油除去作業などのため専門家を派遣するなど当面の対策を実施しておりますが、科学技術庁といたしましては、過去に関係省庁と協力をいたしましてオイルフェンス、化学処理などの海洋汚染防止対策の研究を行っており、今回の対策におきましてもこれらの成果が生かされているものである、そのように考えておりますが、今後とも関係省庁とも緊密な連携のもとに適切に対処していきたいと考えております。
#182
○金子(満)委員 積極的な対応の問題は後で具体的に質問したいと思いますが、湾岸の環境問題は大きく分ければ三つの問題があると思うのですね。一つは油井の炎上による大気の汚染と石油資源そのものの喪失という問題がある。もう一つは原油の流出と海洋の汚染という問題、それから三番目はそれと関連した水鳥などの生物資源の保護問題という大きい問題があると思うのです。
 そこで、まず油井の炎上について、これは環境庁に伺いますが、まずその規模はどのようなものか、またその影響は湾岸地域だけに限定されてないわけですから、どのくらいの範囲に及んでいるのか、また消火のめどはどういうようになっているのか、その点まず環境庁から報告してもらいたいと思います。
#183
○濱中説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御質問のクウェートにおきます油井の炎上の問題でございますが、この油井の炎上自体戦闘行為中に発生したということもございま
して、いまだに正確な炎上量といいますか、どのぐらいの油が燃えているかということについて必ずしも正確な見積もりがない現状でございますが、およそ五百以上の井戸、油井が炎上しているというふうに言われておるわけでございます。
 炎上の量につきましても諸説ございますが、私ども政府といたしまして三月に調査団を派遣いたしまして現地の関係者に接触した感じでは、一つの見積もりといたしまして一日当たり二百五十万バレル程度、あるいはもっと多いという説もございますが、そういう説がございます。これだけを見ましても相当な大量の炎上でございます。
 この影響につきましても現在いろいろな機関が調査、把握に努めているところでございます。必ずしもその実態が明らかになっているわけではございませんけれども、現在のところ煙そのものはそれほど、不幸中の幸いと申しますか、そう上空には達していない、せいぜい数千メートル程度のところであろうと言われておりますので、周辺のいわば地域的な影響は非常に深刻なものが予測されるわけでございますが、地球規模の影響につきましては、現在の状況であればそう地球全体に深刻な影響を及ぼすというほどのことではないのではないかという見方が最近多くなってきております。
 しかしながら、私どもといたしましては、この問題は大変深刻でございますから、これに対して積極的に取り組んでいくべく、まずクウェートの油井炎上に伴う大気汚染によりましてクウェートにおきまして健康への影響が心配されるわけでございますから、私どもからぜひ専門家を派遣したいということで、外務省を通じクウェート政府と接触を図っておりましたところ、今般、先方より受け入れ可能であるという御連絡もいただきましたので、二十五日から当庁関係者四名の専門家を現地に派遣をいたしまして、現地の大気汚染の状況あるいは健康への影響の状況を調査、把握いたしますとともに、今後の協力の方策を検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 なお、油井そのものの消火につきましては非常に特殊な技術が要るというふうに言われておりまして、現在これについてはアメリカ等の特殊な技術を持っておるほんの数社がクウェート政府からの請負によりましてこの消火に当たっている状況でございます。その関係者の説によりますと、全体の消火をするまでにおよそ一年半、場合によってはそれ以上の期間がかかるというふうに言われているところでございます。
#184
○金子(満)委員 今月の二十五日に出発する四名というのはどういう専門家ですか。
#185
○濱中説明員 御説明申し上げます。
 私どもが派遣を予定しておりますのは、かつて我が国でも先生御案内のとおり四日市などで大変公害が激しい時代がございまして、その当時大気汚染の健康への影響あるいはその影響を受けました住民の診療に大変活躍をされました専門家といたしまして、三重大学医学部の名誉教授を今されておられます吉田克己先生、それから大気汚染の測定の分野で大変専門的な知見を有し、かつ長い御経験を有する大喜多敏一先生、現在桜美林大学国際学部教授をされておられますが、こういった我が国を代表する大気汚染の専門家を筆頭にいたしまして環境庁関係四名、それからその他全体を含めまして六名の調査団を派遣する予定でございます。
#186
○金子(満)委員 この油井の炎上での被害の問題ですが、微粒子がハワイとか日本の上空にまで達したという報道もあるわけですね。今お話しになられたように、消火までにどのくらいかかるか定かではない、一年半ぐらいあるいはそれ以上になるかどうかわかりませんが、非常に長期にわたるということになると、これは大気の汚染、それから地球環境の破壊、及ぼす被害というのは非常に広くなるわけだし、それはさらに広がっていくわけですね。科学技術庁としてこの油井の炎上について、この消火の問題について、我が国の科学技術の水準から見てどういうようなことをするのか、しなければならないのか、どのくらいのことができるのか、そして科学的、専門的にどんな貢献ができるのか、そしてそれを進めるために科学技術庁として独自の予算というのが組んであるのかないのか、そういうような点についても、ひとつどなたからでも結構ですからちょっと話してくれませんか。
#187
○井田政府委員 ただいま委員御質問の油井の炎上というのは、我が国ではああいう非常に大きな油井の炎上というのは経験がないことでございまして、そういう意味では残念ながら私どももどういうところにその知見を求めて解決するか、ちょっと私も今ここでお答えするほどの知恵を持っていない、大変申しわけないわけでございますが、そういうところが現状でございます。(金子(満)委員「予算の方はどうですか」と呼ぶ)これは私ども科学技術振興調整費という調整費がございます。これにつきましては、今環境庁さんがおやりになっているいろいろな調査等踏まえまして、これをやるということでまとまってきますれば、それは対応できるような体制はございます。
#188
○金子(満)委員 経験もない、知恵もない、金も余りないような状態だというと、見ているだけというようなおかしな格好になってしまうわけですが、やはり独自の予算も科技庁は積極的に十分にとって、と同時に油井の火災などについて日本の消火技術というのは全然だめだなんてだれも思っていないと私は思うのですよ。もしそうだったら、日本の科学技術水準というのは相当なものなんだ、低い方で。そんなことをだれも思っていませんし、戦後も秋田や新潟での、これは小さい規模でも油井の消火に当たった経験もあるわけだから、古い話ということで今それが適用するかどうか別として、経験もあるだけじゃなくて、今消防研究所というのは消防庁ですか、そこで研究しているような話も承っておるのですが、やはり消防庁だけでなくて、総合的に研究機関を動員して、こういう問題についてはだれかどこかの国がやるだろうとか、そのうちにぼちぼちじゃなくて、毎日燃え続けているわけだし、先ほどお話しにありましたように一日に二百五十万バレルですか、毎日燃えているわけですから、そういうものを早くとめるというのが私は非常に大事なことだと思うのですね。だからそういう点で、科技庁がイニシアチブをとって、国内でも総合的な研究が至急できるように体制をとることが一つ。
 それからもう一つは、国際的な協力体制というのを国連を中心にしてももっと積極的にやるべきだということも含めて、さっき長官も積極的な国際協力をしていきたいということですから、私はそれぞれの専門分野でもその点を積極的に出さないと、何かそれこそ川向こうの火事、対岸の火災視というか、そんな言葉が言えるような状況になると思うのですね。その点について積極的な対応、国内的、国際的にどうですか。
#189
○井田政府委員 今環境庁さんからも御説明ありましたように、本問題、環境庁さんが中心になって関係省庁を集めて、専門家の派遣あるいは調査団を派遣するなどして対応しているわけでございます。私どもといたしましても環境庁さんと今後相談いたしまして、多分消防研究所、委員御指摘があって、そういった方の知見があるということで、消防研究所の研究内容も洗ってみまして、そういうものが対応できるかどうか、そういうものをこれから検討してまいりたい、このように考えております。
#190
○金子(満)委員 それで、先ほどもちょっとお話がありました三月に現地へ調査団を派遣したという問題ですね、これは湾岸諸国に環境問題調査団を派遣したと報道もされているのですが、報道によれば三月八日から十九日までですが、五つの省庁で行ったわけなんだが、これは科技庁が入ってないのですよね。何でこういう構成になるのか。外務、環境、通産、農水、運輸と、五省庁で、科技庁はここから抜けているわけですね。私はこういう点は積極的に入って、今日本の科学技術をどこで生かすかという点で、本当に対岸の火災視しないで積極的に取り組むべきだと思いますが、今
後の調査団その他についても僕は科技庁は入るべきだと思うのですが、長官どうです。
#191
○山東国務大臣 先ほど局長からもお答え申し上げましたように、技術的なノーハウというものをきちんと科技庁として持っていれば直ちに参画をするわけでございますけれども、適切な、ただいまどのような形で技術的に協力していったらいいのかという具体的な案もございませんので、これからまたいろいろと各省庁とも話し合った末何か具体的に協力できることがあれば、これは積極的に対応していきたい、このように考えております。
#192
○金子(満)委員 模索、足踏みという状況はわかるのですが、やはりこれは早く脱皮しないと事態は深刻になるばかりですから、そういう点はひとつ取り組むように私どもの考えを伝えておきたいと思うのですね。
 次に環境庁ですが、原油の流出の現状ですね。流出の規模それから実態、どの辺まで来ているか、それから完全にこれが除去されるめどはどうなのか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
#193
○濱中説明員 御説明申し上げます。
 ペルシャ湾への原油の大量流出の問題でございますが、これにつきましてもなかなか当初原油の流出の量の正確な見積もりができない状況でございました。極端なケースでは一けたぐらい見積もりが違っていた時期がございましたが、最近ではおおむね三百から四百万バレル程度の原油が流出したのではないかというふうに言われておる次第でございます。
 この流出した原油は、現在ペルシャ湾の中は時計の針とは逆の方向、反時計回りに大体海流がございまして、したがいましてクウェート沖からサウジアラビア沖合、沿岸の方向に大体南下するような形で徐々に移動をしてまいりまして、二月の中旬には、サウジアラビアのちょうどクウェート国境から、カタールあるいはバハレーンという隣国がございますが、そこに至るまでの間のちょうど中間ぐらいの位置にございますアブアリ島という島の北岸に漂着をいたしまして、しばらくの間その島を天然のシェルターといたしましてその島の南には原油の影響は見られていなかったわけでございますが、三月初旬からその島を回り込みまして南側にも油膜が見られるようになり、三月中旬にはジュベール、これが我が国が技術援助をいたしまして海水淡水化装置を設置したところでございますが、そのジュベールからダンマンにかけて油膜が発見されるようになり、さらにバハレーン北岸に廃油ボールが漂着するようになったというふうに言われております。
 このような状況で、いろいろな生態系への影響なども懸念されているわけでございます。現在、現地ではさまざまな、例えばサウジのアラムコ社でございますとかいろいろな機関があるいは専門家が集まりまして、原油の防除、原油によります汚染の防除に大わらわで今当たっているところでございますが、何せ流出した量が極めて多いということがございまして、なかなか万全な防除作業ができていない状況でございます。我が国としても、現在、国際緊急援助隊のスキームによりまして専門家を派遣して油汚染の防除に当たっているところでございます。
#194
○金子(満)委員 この原油の流出でペルシャ湾の水鳥問題はよくテレビにも映りますから皆さん御存じのとおりだし、それから生物への影響ですね。アオウミガメやタイマイなんか絶滅の危険の高い生物があそこにすんでいる。これはもうワシントン条約でも国際的な輸出、輸入が禁止されている、そういう生物ですから、非常に大事な生物がそこにいる。こういうことと同時にもう一つは、油の汚染の影響を受けやすいマングローブ林があそこにあるわけですね。そういうものがどうなっているか、簡単に答えていただけますか。
#195
○濱中説明員 御説明申し上げます。
 生態系への影響につきましては、私どもで把握しております資料はやや古うございまして、二月末の段階で世界自然保護モニタリングセンターというところが明らかにした資料でございますが、これによりますと、油づけになりました鳥の総数についてなかなか信頼のおける推定値はございませんが、既に二万羽程度に達しているのではないか。それは二月末の段階でございます。
 それから、ジュゴンにつきましては、今のところまだ死亡した個体の報告はないと言われております。
 それから、先生のおっしゃいましたウミガメにつきましては、これは営巣活動、いわゆる砂浜に上がってまいりまして、そこに穴をあげて卵を産みつけるわけでございますが、これがちょうど今の時期、四月から産卵の時期に入ると言われておりまして、最も重要な産卵地であると言われておりますカラン島と呼ばれる島がペルシャ湾の沖合にございます。ここが油膜によりまして汚染されているという情報が入っておりまして、現在、国際海事機構、IMO、ロンドンに本部がある国際機関でございますが、ここが我が国からも拠出をいたしました基金によりまして、このカラン島の海岸の油汚染の防除の対策を既に始めております。今月末あるいは来月初めぐらいまでの間におおむねその作業が終わるかと思いますが、そういった形で緊急の対策も現在とられておるところでございます。
 また、マングローブにつきましても、ペルシャ湾岸各地に散在しておりまして、これらについても現在極めて緊急の事態に直面しておりまして、一刻も早くこうした油汚染の危機に瀕しておりますマングローブ林を保護すべく対応が必要であるという状況でございます。
#196
○金子(満)委員 それからもう一つ、魚介類の問題ですが、このペルシャ湾岸地域から、これは去年一九九〇年ですが、約七百五十万トンのキャビアそれからモンゴウイカ、エビ、タチウオなどが日本に輸入されているわけですね。そうすると、この輸入が継続しているということになりますと、当然この原油流出の影響を受けていることは間違いないですね、流出以後は。そういうものについて実態は掌握されていますか。
#197
○濱中説明員 私ども環境庁におきましては、輸入食品の、例えば先生今御指摘の油の汚染によるいろいろな汚染状況でございますとか影響でございますとか、そういった点については私どもの業務としては現在実施してございませんので、ただいまの先生の御質問の内容につきましては私ども環境庁では承知してございません。
#198
○金子(満)委員 私はやはり大変重大なミスだと思うのですね。食品ですからね。こういう点についてはそれぞれの省庁が責任のなすり合いみたいな、何か自分の領地でないような考え方でなくて、積極的にやはり感づいたところからやるべきだ。まあきょうは科学技術委員会ですから、ここで科学技術委員会としても当然常識的に、魚いるな、食べるな、日本は輸入しているな、モンゴウイカはなと、すぐ連想できるわけですから、そういう点では各省庁とも連絡とって至急やってほしいと思うのですね。
 そこで、おっしゃるとおり確かに緊急の対応が必要だというのは言葉では出てくるわけですよ。そこで、これは外務省になりますかね。原油流出対策で送ったあの三十名が間もなく帰ってくるという話ですけれども、戻ってくればまたいろいろな新しい事態もわかりますが、流出した原油の除去のめどが立っていないんだから第二陣、第三陣は送るべきだと思いますが、これは外務省それからその他環境庁でも科技庁でもいいですけれども、どうですか。
#199
○大木説明員 お答えいたします。
 御存じのように原油回収のための国際緊急援助隊専門家チーム、第一陣十八名が行きました。そして第二陣を引き続き派遣中でございます。この結果を待って、引き続きどのようなニーズがあるか、それを見きわめた上でこの後の対応ぶりを考えたいと思います。
#200
○金子(満)委員 ですからその点は、第二陣、第三陣は送るべきだし、これは積極的でなければいけないと私は思うのですね。
 そういう点をやるように求めておくと同時に、今ずっと言われる具体的な対応の中で、一つは水鳥などの保護の問題、それからマングローブ林の保護の問題、海洋生物資源の保護の問題、こういう問題を含めて、一つは国連環境計画への資金の拠出の問題ですね。現状がどうなっているか、それから今後どういうように考えているのか、この問題が一つ。
 もう一つは、野生生物のことについてレスキューセンターの問題があります。ここに専門家等を派遣するあるいは推薦してやるというようなことは大いに積極的にやるべきだ。
 それからもう一つは、マングローブ林の調査、これも専門家をもっと積極的に派遣しないと、油は流れているわけだし、どんどん侵されていっているわけですから、これも緊急を要するので、これが三番目。
 それから、湾岸戦争の戦費九十億ドルのときに、戦争が早く終わってしまえば九十億ドルの中身の点で、これは環境対策にも使われるとかあるいは今後使われるのかとか、この点について、これはどなたでもいいですけれども、外務省になるんですか。
#201
○田中説明員 お答えいたします。
 先生御指摘の点は湾岸平和基金の使途の問題だろうと思いますけれども、この一兆一千七百億円の具体的な使途の問題につきましては、繰り返し予算委員会でも述べておりますとおり六分野ということで、私どもそれらの経費に充当される旨考えております。運営委員会によって、そういう諸経費のうち輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連、通信関連、建設関連、この六分野に行くことになっているわけですが、今後環境対策に関する活動の中でそのような経費に当たるものがあれば、関係国の要請があれば、それに充当することは理論的には可能だろうというふうに考えております。
#202
○金子(満)委員 もう一つ、国連環境計画への基金の拠出問題とか、あるいはレスキューセンターへの専門家、技術者の派遣。
#203
○大木説明員 お答えいたします。
 国連環境計画に対しては百十一万ドルの資金を拠出いたしております。そして、この国連環境計画、UNEPが実施する緊急行動計画策定作業チームに専門家を参加させるべく先方と調整中でございます。
 それからレスキューセンターの方は、我が国のボランティアグループが二十二日に派遣されたということでございます。
 それからマングローブの件ですが、生物資源の保護という観点から専門家の派遣を準備中でございます。
#204
○金子(満)委員 それでは、時間が参りましたから最後に一言だけ。
 動物保護のため今派遣されているのはアメリカ、イギリスの専門家六人というのはよく新聞に出ているわけです。水鳥を救済したのは九百羽で、七五%が助かるというのは一般新聞に出ています。これはそれなんですが、民間のボランティアの問題で、希望者が出ているのは予算委員会でも政府答弁であるわけです。この点について新聞報道なんかによりますと、アメリカ、イギリスは送っているんだが、欧米諸国の動きに比べると日本の対応は一、二カ月おくれている。まだ送っていない。これが二十二日、きのうですか、これは水鳥関係の専門家ですか。今後獣医その他も要請が出ていることはもう既に明らかにされていますけれども、どんどんこれは派遣するような計画があるかないか。
 一遍で答えていただきますが、そういう点で私は何か消極的なような気がするのです。いろいろ調整困難と今ありますけれども、例えば掃海艇の問題なんかを出すときには、いろいろあっても、機雷がどうなっているか実態を調べなくとも早く出そう、どこからも頼まれないのに意欲的なんだが、こういう生物保護の問題なんかではどうしても、受け入れ条件が何だかんだでごたごたして足踏みしているような感を持つのですが、こういう点について実態はどうか、それで積極的にやること、これをひとつ最後に答弁を聞いて終わりたいと思います。
#205
○濱中説明員 お答えいたします。
 レスキューセンターへの専門家の派遣、ただいま外務省から御説明がございましたとおり昨日派遣をいたしまして、実はこの中に水鳥の専門家のみならず獣医さんも入ってございまして、私どもとしては合計三名の専門家を現地に長期滞在させる予定でございまして、大いに活躍してもらえるものというふうに期待をしておるところでございます。
 先生御指摘のとおり、これが大変派遣がおくれたではないかということでございますが、私どもといたしましては、外務省とも協力をいたしまして、一日も早くこれを派遣すべく努力してまいったところでございまして、戦争終結後一日も早く送れるようにということで努力を重ねてまいりました結果、私どもから実はいろいろ現地の、アルジュバイルというところにレスキューセンターがございますが、こちらに受け入れの可能性について打診をしておりましたところ、今般ようやく受け入れが可能だという御返事をいただいたものですから早速派遣した、こういう次第でございます。今後とも私どもとしてできる限りの努力をしてまいりたいと思っております。
#206
○金子(満)委員 終わります。
#207
○中馬委員長 辻一彦君。
#208
○辻(一)委員 ちょっとしんがりになって恐縮ですが、きょうは、エネルギー政策と、また引き続いて美浜の原発の安全問題についてしばらく質問したいと思います。
 まず第一に、きょうはエネルギー庁の長官の出席を求めたのですが、なかなかいろいろダブって困難であって、エネルギー政策の責任者から意見が聞かれないのが残念ですが、かわってひとつ通産の方に頼みます。
 エネルギーの問題として私も、産業が発展をし経済が発展をする、その中でエネルギーの需要がふえていくということは当然であろう、必要であろうと思っております。しかし地球環境という点から考えると、化石燃料にこれからどんどんと依存していくということもなかなか難しいことであって、避けなくてはならない。それでは原子力かというと、これも多くは論議はしませんが、安全性の問題が一つあります。と同時に、やはり廃棄物それから廃炉、将来子孫に廃棄物のツケを残すという問題がある。これを考えると、これにも高い依存をしていくということはやはり避けなくてはならない。
 こういうふうになってくると、それでは増大するエネルギーをどういうように考えていくかということが非常に大事ではないかと思っております。そういう認識に立って、まず省エネルギーを徹底するということがひとつ大事じゃないか。第一次石油ショックの前に、我が国は二億九千万キロリッターの原油を輸入をしておりました。それが六十年ごろ、あれだけの経済拡大を図りながら一億九千万キロリッターまで圧縮した。だから、一億キロリッターの原油をこれだけ経済が発展した中で節約したということは、世界のエネルギーの歴史でもある意味では画期的な出来事ではないか。
 ところが、せっかくの省エネ政策がいつの間にかだんだん忘れられて、昨年末の原油輸入量は再び二億二千八百万キロリッターというように約四千万キロリッター、一時よりもまたふえてきている、こういう状況。エネルギーの増大が避けられないにしても、のど元過ぐれば熱さを忘れる、こう言いますが、余りにも急速にまた原油輸入がふえている。こういういき方に対して、やはり世界に冠たる省エネ政策を打ち立てた我が国、また省エネ技術をこれだけ確立した我が国が、まずもってもっと本格的に省エネ政策に取り組む必要がある、こういうふうに考えますが、これについてどういうように考えていらっしゃるか、お伺いいたしたい。
#209
○松山説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、第一次石油ショック以降官民を挙げて省エネルギー対策をやってまいりまして、実績という点で見ますと、産業界を中心にエネルギーの対GNP原単位で三七%改善されたという数字になっておりまして、これは著しい成果を挙げたと思っております。ただ、最近、ただいま御指摘のとおり、エネルギー価格の低位安定ということもありましてエネルギー需要が増大いたしております。したがって、GNP原単位も停滞ぎみになっておりまして、さらに地球環境問題もありまして、私ども一層省エネ対策が必要だと思っております。
 それで、昨年六月に、通産大臣の諮問機関であります総合エネルギー調査会というところで、今後の省エネ対策について中間報告をいただいておりまして、それに沿いまして現在のところ、例えば住宅の断熱化の問題とか、それから自動車の燃費の問題とか、その他、平成三年度からでございますが、未利用エネルギーに対する助成措置とか、その中間報告の中身、内容、提言の具体化に努めているところでございます。今後も一層の省エネルギー対策をこういうことで推進してまいりたいと思っております。
#210
○辻(一)委員 産業界はかなり省エネ政策を具体的にやってきたと思うのです。しかし民需の方に使う電気冷蔵庫あるいはテレビ、こういうものはかつての三倍ぐらいの電力を使うように大型化をしてきたのですが、エネルギー資源の少ない我が国で、いろいろな需要にこたえるということは大変大事であるけれども、こういう方向でどんどん進んでいくということが省エネというような観点から考えてもどうなのかという、そこいらのことを民間の、民需に十分こたえるという点と、そして省エネ、これは世界の問題ですから我が国が率先してやる必要があると思うのですが、そこいらの関係をどういうように考えられるか、お伺いしたい。
#211
○松山説明員 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、産業界につきましては省エネルギーがかなり進んだという数字になっておりますが、私どもも、産業界以外の、例えば民生部門それから運輸部門につきましては省エネルギーがまだ必ずしも十分ではないのじゃないだろうかと思っております。先ほど申し上げました中間報告でも、今後民生部門をさらに省エネルギーという観点から努力するようにということになっておりまして、具体的には、先ほどちょっと申し上げましたが、家庭における断熱化だけでなくて、家庭における電気機器の省エネということでも努力してまいりたいと思っております。
#212
○辻(一)委員 本格論議にはいろいろな面から見てきょうは十分いかないように思いますが、なお二、三尋ねてみたいと思います。
 そこで、省エネを徹底する政策、技術を確立して努力する、これは日本が世界に貢献できる非常に大きな分野でないかと思うのですね。こういうのをぜひ広げてほしい。公害の問題もありますが、中国大陸でも石油や石炭をぼんぼんたけば地球環境上の大きな問題がこれから出てくる心配がありますので、日本のそういう努力、技術、政策をほかの国にもいろいろな意味でぜひひとつ伝えて、こういう面の国際貢献をうんと努力してもらいたい、これは特に望んでおきたいと思います。
 そこで、化石燃料の一つではありますけれども、地球環境に割と影響を与えるのが少ない液化天然ガス等の開発、これもサハリンあるいはシベリア等におけるソビエトとの関係、また海南島を初め中国との関係、こういうことを考えて、液化天然ガスの開発に我が国はもう少し力を入れる必要がある。通産大臣がいらっしゃればこの間中国に行ってきたのもまたいろいろ聞きたいのですが、通産省も今液化天然ガスの開発等にいろいろ努力をしていると思いますが、どういうめどを持っておるのか、ちょっとお伺いしたい。
#213
○望月説明員 お答えいたします。
 天然ガスは、先生おっしゃいましたように、燃焼時のCO2の排出量が他の化石燃料に比べまして相対的に少ないということでありますとか、供給の安定性が比較的高いということで、今後とも私ども積極的に導入促進を図っていきたいと思っております。
 具体的には、昨年十月に閣議決定いたしました石油代替エネルギーの供給目標におきましても、一次エネルギーに占める天然ガスのウエートというのを高めることにいたしておりまして、一九八九年の実績で一〇%ぐらいのものが二〇〇〇年には一〇・九%、二〇一〇年には一二・二%というような形になっております。
 これに対応いたします天然ガスの供給につきましては、一応既存のLNGのプロジェクトなどによりまして、二十一世紀の初頭までの調達につきましてはほぼ見通しがついている状況でございますけれども、それから先の展開も考えまして、今御指摘ございましたようなソビエトとか中国あるいはオーストラリアとかマレーシア等々につきましても、民間ベースでいろいろプロジェクトの模索がされているところでございます。私どもといたしましては、こういった幾つかの新規LNGプロジェクトの検討に当たりましても、中長期的な観点から、石油公団の投融資制度などを通じまして天然ガスの開発に積極的に努めてまいるつもりでございます。
#214
○辻(一)委員 供給のめどがついていると言うけれども、それは一定の量をこれからずっと何年間か、十年とか確保するにはめどがあるのでしょうが、新エネではないけれども、やはりこれでもって石油や石炭の需要をカバーしようとすれば、現在めどのついている程度では問題にならないわけであって、ソビエトとか中国との開発を協力してやっていくという本格的な構想がなければいかぬと思うのですね。ソ連との関係は政治的ないろいろな環境が整わないとなかなかこういう面も容易ではないと思いますが、これは並行して進められるべきであるとも思うし、そういう点で通産省は、現職の第一線の課長でしょうから、その本格的な政策検討は皆さんのところでやれるわけですから、大いにひとつ取り組んでもらいたい、これも希望しておきます。
 それから、天然ガスを原料にもしますが、燃料電池の可能性がかなり大きいのではないか。私は去年の七月の下旬に、大阪の方に我が方の議員団と一緒に勉強会に参りまして、そして大阪のあるホテルの屋上に五千キロワットぐらいか、三千キロだったですか、かなり大きな燃料電池が備えられて、ホテルの相当な電力をもうこれで賄っておる、一部は外からも入れておるようですが、ということの実態を見てまいりました。
 これは水を電気分解する、逆に水素を確保すれば大気の酸素と一緒にして電気をつくれるわけですから新しい分野と思いますが、通産省も、資料を見ると二〇一〇年、二十年後に五百五十万キロワットの燃料電池の開発を図るというような計画をちょっと聞いておるのです。百万キロワットの発電所の五つ分ですが、私は、この燃料電池のこれからの可能性があれば、これは公害であるとか地球環境等に与えるものはほとんどないわけでありますから、非常に大事なエネルギー源であると思いますが、それらのめどをちょっと聞きたい。
#215
○広瀬説明員 お答え申し上げます。
 燃料電池発電技術につきましては、通産省におきまして昭和五十六年度からムーンライト計画等におきまして、燐酸型、溶融炭酸塩型及び固体電解質型の三種類の燃料電池につきまして、研究開発を推進しているところでございます。先生が大阪でごらんになりました燃料電池、燐酸型でございますが、大阪のホテルプラザでムーンライト計画の中で実施をしているものでございまして、順調な運転を行っておるところでございます。
 このうち特に燐酸型燃料電池につきましては最も研究開発が進んでございまして、五十キロワットから二百キロワットの小規模な燐酸型燃料電池につきましては、数年のうちに商業化が開始される見通しであるというふうに考えてございます。これまでに二百キロワット級のプラントの運転研究を終了いたしましたけれども、また本年度から
五千キロワット級の大型プラント等の実用化の開発を実施しているところでございます。
 また、溶融炭酸塩型の燃料電池、それから固体電解質型の燃料電池につきましては、引き続き積極的に研究開発を実施していきたいというふうに考えてございます。
 先生御指摘のように燃料電池はエネルギー安定供給の確保、それから地球環境問題への対応等の観点から重要な技術であると考えてございまして、今後とも積極的な技術開発を進めて、所与の目標を達成していきたいというふうに考えております。
#216
○辻(一)委員 コストが余り高ければなかなか難しいわけなのだけれども、そのコストが今の普通の電力と大体つり合うようになるには、時間的に見てどれぐらいのめどを置いておるのですか。
#217
○広瀬説明員 現在、燐酸型の燃料電池の建設コストでございますが、大体キロワット百万円かそれを超す程度でございます。私どもが目標としておりますのは、競合する発電技術を考えまして、やはりキロワット二十万円から三十万円を達成したいということを目標にしてございます。この間にはまだ大きなギャップがあるのでございますが、この数年、一九九〇年代の半ばまでには、何とかこの目標とするコストに近づけていきたいというふうに考えております。
#218
○辻(一)委員 水素、燃料をどういうように確保するかという問題があろうと思いますが、燃料電池はもう実用化に入りつつある時期ではないかと思うので、これは政策当局もぜひ強力に進めてもらいたいと思っております。
 もう一つ、太陽光電池があるのですが、私はこの間予算委員会でちょっと論議をしたのですが、宇宙の太陽を生かす意味で太陽光電池、それから地上の太陽をつくり上げるという意味で核融合というものがこれからのエネルギーの分野で大変大事ではないか、こういうことを若干論議したことがあります。問題は、太陽光電池はまだコストが非常に高いわけですが、このコストがある程度安くなって、見通しがついていくというにはどんなめどを持っておるのかちょっと伺いたい。
#219
○後藤説明員 お答え申し上げます。
 私ども通産省では、サンシャイン計画の中で太陽エネルギー技術につきましては、太陽光発電、それから太陽熱を用いましたソーラーシステムというものの研究開発を実施してきております。
 この中で太陽光発電につきましては、現在鋭意研究開発を進めておりますが、現在の目標といたしましては、西暦二〇〇〇年において発電コストというもので見まして現在の家庭用の電気料金、各御家庭が一般的にお買いになる電気料金というものの水準まで低下をさせていきたいというふうに考えております。そのために具体的には太陽電池を大量に、また安く製造する技術ですとか、太陽電池の変換効率を向上させる技術というような太陽電池にまつわるような技術開発、と同時にその太陽電池を使いまして、実際にこれを用いて電気をつくるためのシステムとしての技術開発、例えば離島用ですとか山小屋用ですとか防災用といった用途、またさらには都市内の住宅に設置をいたしまして電気を発生させるというような技術開発を行っております。
 今後はこういった技術開発とともにさらに低コスト化を進め、また普及を進めるという観点から、太陽電池のエネルギー変換効率というものを二倍以上に引き上げるような革新的な技術開発というものにも積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
#220
○辻(一)委員 ある雑誌でちょっと見たのですが、白馬荘というかアルプスの方の山荘、山小屋ですね、相当なホテルですが、そこの電気を全部太陽光で賄っている、こういうことを記事で見ましたが、今のお話のように、やはりこのコストを下げるということが大事である。そのためには大量生産を行って、どんどん使う場所が多くなければいかぬ、そうすればコストが下がっていく。
 そういう意味で、この間予算の暫定のときにもちょっと論議をしたのですが、自治体の公共の建物、これは市役所やいろいろ建物があります。それから、学校の体育館や講堂であるとか、私らのように雪の多いところはなかなか無理でありますが、雪の余りないところは、公共の自治体の建物あるいは学校等にできる限り太陽光のパネルを張るようなことを考えれば相当量使うようになるのじゃないか。そうすれば当然コストも下がるし、技術開発も進んでいくのじゃないか。こういう点で通産当局はもっと公共団体やあるいは学校あたりに、これは所管が自治省、文部省という関係でありますが、そういうところで太陽光電池をもっともっと使うようなことの何かいい知恵が出ないのかどうか、そういうことを考えていないのかどうか、いかがですか。
#221
○後藤説明員 お答え申し上げます。
 先生おっしゃるとおり、コストを下げるという観点からは、大量生産をするということと、それと技術開発という両面で対処をしていきたいと思っております。特に、公共団体につきましては、先ほど申し上げましたような防災用の施設というもの、これは私どもサンシャイン計画の中で実施しているものでございますけれども、静岡県と協力いたしまして、特に地震が多いということで防災に役立つ、特に地震が来て電力が来なくとも、そこで太陽電池でもって電気を発生させていろいろな情報を伝達できるというような役割を太陽電池に期待をするというようなシステム開発を行っております。
 またさらに、公共団体の方にこういうものがあるということを知っていただくために、先月、公共団体の方全部ではありませんけれども、何県かの方に集まっていただきまして実際に静岡県の防災用の施設をごらんいただきまして、また各メーカーからは種々のシステムについてどういうものがあり得るのかというような御紹介もいただきまして、現在まだ啓蒙を図っているということでございます。
#222
○辻(一)委員 もう一つ伺いたいのだけれども、それは、太陽電池があって電気を起こす、余った電気を電力会社が買い上げるというようなこういうシステムができないとなかなか有効にはならないのですが、これは法的な、電気事業法とかいろいろあるのです。通産は最近そういうことを考えているとも聞いておるのですが、太陽光で各家庭が、いろいろ学校が起こす、余分な電力を買い取る、そのかわり、夜は電気が出ないわけですから、夜とか雨が降ったときには電気をどうしても売らないといかぬわけですからそこに難しさがありますが、政策的に、余裕の出た電力を買い取るようなこういう法制的な整備を考えておるのかどうか、そこらはどうなっておりますか。
#223
○後藤説明員 お答え申し上げます。
 まず、太陽電池で発生いたしました電力を、電力会社から買う電力、いわゆる系統とつなぐということにつきましては、この三月にガイドラインというものができまして、制度的にはつなぐということが可能になりました。ただし、その場合も太陽電池で発生をいたしました電力につきましては系統の方へは流せない、逆潮と言っておりますけれども、逆潮流がないという状態での連携でございます。逆潮流ありの連携につきましては、平成五年度までに資源エネルギー庁の方で技術開発をしておりまして、その技術開発の成果を踏まえてからそのガイドラインづくりを検討するという予定になってございます。
#224
○辻(一)委員 それはぜひ強力に進めてほしいと思います。
 そこで、地上の太陽、言うまでもなく核融合の問題ですが、これは何人かの委員の方からもきょうはいろんな論議があったと思いますが、私も簡単に触れたいと思うんです。
 核融合は日本の那珂研究所で、日本原研でかなりいい成果を上げておりますが、去年の七月にECのJET、いわゆるロンドンの郊外にありますそれを見に行ったのです。あそこのレビューという所長さんが、日本の方も今度改造をしておる、改造が終わればECと同じような成果があらわれるだろう、こう言ってかなり評価をしておるよう
に感じたわけであります。いろいろ聞いてみると、改造が行われていよいよこれから実験に移るようですが、ぜひひとつ立派な成果が上がるように期待をしたいのですが、国際協力等も考えても、やはり自分の国でしっかりしたものをやるということが一番の大事な点でないかと思うのですね。日本の独自の核融合に対する研究開発をさらに強力に進めていくべきであると思いますが、これらについてちょっと状況を、どう考えていらっしゃるかお伺いしたい。
#225
○山本(貞)政府委員 御説明申し上げます。
 今先生御指摘ございましたが、原研の那珂でJT60というトカマク型の臨界実験プラズマ装置を運用しておりまして、現在その改良というか改造工事もほぼ終わりまして、大電流化及び重水素化ということで国際的にもまさに先端を行く施設になっておるわけでございます。
 今申し上げましたのはトカマク型でございますが、そのほか各大学とか国立試験研究機関でトカマク型以外の核融合の研究開発あるいは装置をつくって実験をするというようなことを進めておられまして、核融合についてはいろいろな方法で上るというか研究を進めておるのが現状でございます。私どもとしては、先ほど先生も言われましたが、まさに人類の恒久的なエネルギーを、まさに地上の太陽と言えるようなものをつくり上げるということでございますので、長い目でじっくり、しかも力を入れて努めていきたいと思っておる次第でございます。
 一方、国際的にも今先生もおっしゃいましたが、ECそれからアメリカ、ソ連でもトカマク型の大きな施設を持っております。競合しておるというか競争しておるわけでございますが、一九八八年からITERの概念設計の作業を三年がかりでやりまして、昨年末にそれが一応終わりました。現在次の段階の工学設計段階に入るべく今四極で協議中でございます。それにつきましては、中身についての、あるいはどこに中央設計チームを置くかというようなこともまだはっきりいたしておりませんで、第二段階には正式にまだ入っておりませんけれども、各極とも第二段階に入るということは合意しておりますので、遠からず何らかの合意を見て進めてまいりたいと思っております。
 先生御指摘ございましたが、やはり日本は、国際協力はやるんですが、日本独自の技術を持って参加する、かつ主体的に参加する。その中に埋没するということではなくてやはり自分の自主的な研究というのを、相まって両方進めていく。もちろん資金の効率的な活用とかリスクの分散というようなことから国際共同研究になるわけですから、一本の実験炉を将来つくるという目標に向けていくわけですが、日本としては原研を初めあるいは大学、国立試験研究機関の助けも得まして、私どもとしては自主的かつ積極的に進めてまいりたい。ただ、これは大変時間がかかりますので、今のところはいつどうということがまだ申し上げられませんけれども、人類の恒久的なエネルギー源としては今から力を入れていかなければいけないと思っておる次第でございます。
#226
○辻(一)委員 国際協力のためにも日本の独自の研究はしっかりしてなければならないと思いますから、そういう点ではひとつまず我が国の核融合の体制をしっかりつくってもらう、それが第一だと思います。
 そこで、今お話がありましたが、ITERの問題は、概念設計から工学設計の段階に入って、第三段の建設とありますが、まずは工学設計の基地をどうするか、三極で今引っ張り合いという状況になっております。二回会合をやって、次回はアメリカでまたやるというのですが、なかなか難航しておるようであります。しかしこういう基地は、大変ではあるけれども日本自体も水準を引き上げるのに非常に大きな力になるし、また科学技術ただ乗り論と言われていろいろ国際的にも批判を受けておるのでありますから、この際に我が国にこういう基地を誘致を図って、そしてそういう声にもこたえるということが大事じゃないか。我々もこれはぜひ推進すべきである、このように思っておりますが、ちょっと状況を見ながら、めどはなかなか難しいでしょうが、そこらの気持ちをちょっと聞きたい。
#227
○石田政府委員 ITERの四極協議に出ております私から状況をお答え申し上げたいと存じます。
 先生今おっしゃいましたように、ITERの協議の現状は、二月に第一回の協議を行いまして、先週第二回目の協議をいたしました。今お触れになりましたように、我が国は、茨城県の日本原子力研究所那珂研究所のサイトを工学設計段階の中央チームのサイトとして提案いたしておりますけれども、アメリカは、カリフォルニア州のサンジエゴの主としてカリフォルニア大学サンジエゴ校の敷地等を、その近くと申し上げた方が正確かと思いますが、中央チームサイトの候補地として提案しております。それからECは、概念設計段階に引き続きましてドイツ・ミュンヘン郊外にございますガルヒンクのサイトを提案しておることは御承知のとおりでございます。
 二回協議を重ねまして、いずれの当事者、極ともぜひ我が方にということを強く主張し合っておるというのが現状でございます。このままの状況が続きますと、いつまでたっても話し合いがつかないということになることがだんだん見えてきておるわけでございますが、今先生のおっしゃいましたように中央設計チームの誘致ということが非常に大事なことであろうかと思っております。ただ、三極そういう話し合いをしておりますので、何とか折り合えるような知恵を出す必要があるのじゃないかということも現在当事者間で話し合いが始まったところと申し上げてよろしいかと思います。
 なお、協議がまとまりませんと研究がおくれるというおそれも出てきておるわけでございますので、私どもといたしましては、差しさわりのないもの、それほど厳密な約束をしなくても学問的に若干勉強し合えるというところもあるわけでございますので、そういうものにつきましては三極の、あるいはソ連も交えまして最終的には四極でございますけれでも、最終的な合意がなくてもできるものにつきましては、ワークショップ等もやってもらおうという合意も実質的にいたしたところでございます。
 そういうことでございまして、今から知恵を出し合いまして、次回会合は七月の八日、九日でございますけれども、それに向けまして鋭意知恵を出し合っていきたい、かように考えておるところでございます。
#228
○辻(一)委員 長官、ちょっとお考えを伺いたいのです。
 一、二回予算委員会でも触れたのでありますが、これはいろいろな面で相当な覚悟をしないとなかなかできないことですが、全般をいろいろ考えてこれは日本に誘致をしてやるということが大変いいんじゃないかと思います。政府の中でも大分ねじを巻かぬと容易でないと思いますし、長官に大分頑張ってもらわぬといかぬと思うのですが、いかがですか。ちょっとお気持ちをお伺いしたい。
#229
○山東国務大臣 人類究極のエネルギーとも言われておりますこの熱核融合の問題につきまして、特に日本が国際的にもリードしていかなければならないという時代に入ってまいりましたし、私といたしましては、とにかく積極的にこの問題には取り組んでいきたいと考えておりますけれども、委員も御承知のように、人材であるとか予算であるとか、あるいはいろいろな環境整備、また相手もいろいろとあるところから、いろいろ困難な点も多々あるかと存じますけれども、その困難というものを少しでも打開しながら、少しずつ着実にこの問題を推し進めていきたいな、とにかく私どもとしては何とか我が国に誘致をしたい、その目的に向かって一生懸命努力をしていきたいと考えておる次第でございます。
#230
○辻(一)委員 これはぜひひとつ閣内でも頑張っていただきたいと思います。我々も、批判もしま
すが、この面はひとつ大いに推進にねじを一緒に巻きたいと思っておりますから。
 これでやめれば皆さんもいいのかもしれませんが、もうちょっと問題がありますから、あとしばらく話題をかえてお聞きをしていきます。
 核融合の問題はそれとしまして、前々から問題になっている美浜の発電所の安全問題について、きょうは内田委員長もおいでいただいておりますので、二、三引き続いて伺いたいと思います。
 これはちょっと素人的な考えなんですが、関西電力が出した、また通産省から出された資料をずっと見て、この間、暫定予算のときにも、三月二十八日に資料が出されまして、炉の頂部においては、十分間ほどでありましたが一部炉内の沸騰があったということが一応確認をされたのですね。あの事故一時間後の時点において圧力があの程度下がって、これは圧力の関係ですから、炉内の一部が、上部が沸騰した。とすれば、この初期の十分とか十五分、もっとさきに原子炉の圧力は百五十数気圧から三十気圧ぐらいどんと百二十数気圧に下がり、さらに百気圧ぐらいにまで下がって、あれだけの圧力が急激に下がれば、圧力と沸騰の関係からすれば初期においても炉の頂部においても沸騰があったのではないか、これは非常に素人的な常識的な考えですが、そう思うのです。そこらについてはそういう疑念がなおあるのですが、いかがでしょうか。
#231
○森説明員 御説明いたします。
 確かに先生のおっしゃるような御疑念、わからないではないのでございますが、この美浜のプラントにつきましては、トリップ直後約三十秒間、これは一次冷却材ポンプがまだ動いております。そういう意味で、こういった冷却材が回っておりますと炉の頂部の方に実はある流路が開いておりまして、そこからわずかながらでも一次冷却材、通常の炉心の温度よりも低い水が流れておりまして炉頂部を冷やしております。
 そういう段階でございますので、急激に圧力が下がりましても、その三十秒間というのは、この一次冷却材ポンプによりまして温度の低いものが炉頂部にも供給されておりますことから、それに応じまして炉頂部の温度も下がっている。あとは検査の結果によるわけではございますが、その炉頂部におきます圧力に対応しました飽和温度と検査によります実際の炉頂部での温度を総合比較いたしますと、飽和温度に達していないと思われますことから、トリップ直後におきましても一応沸騰状態ではなかったと私ども考えております。
#232
○辻(一)委員 こちらの方は素人ですからそこらはあれですが、あれだけ急速に圧力が落ちれば、初期の状況が、十分間ほどデータ上の空白がある程度あるのだから、それはあった、なかったと言ってもなかなか確認できぬわけですが、そのデータがきちっと、実測のようなデータが出てくれば問題はない。ただ、そこがブランクになっているところになお疑念の晴れない点がありますが、それはまた今後の解明のいろいろなデータ等も出てくると思いますからそれに任せたいと思います。
 そこで、同様の問題ですが、炉心内に同様な沸騰が一時的にもあったのではないかどうかということが非常に関心を持たれております。この点についてちょっと聞きたいと思うのです。
 関電と通産から出されたいろいろな総合的な一枚のデータがあるのですが、あのところに三つの山が初期にあったのです、三角形の頂点が。そして時間は、メモを見ればいいのですが、今ちょっとはっきり記憶しておりませんが、十四時二分か三分か、その前後に一度差、二度差まで接近した状況があったわけですね。二十八日に私の方がもらったこのデータでは初めの山は出ておるのですが、あと二つの山は消えてしまっておるのだけれども、なぜこれが消えているのか、ちょっとお伺いしたい。
#233
○森説明員 御説明いたします。
 私どもが提出いたしました資料、ちょっとどれか今推測がつきかねますが、二通りございまして、一つは、当初いろいろなチャート類からつくりましたいわゆる生データというのがございます。これの結果によりますと、確かに十三時五十三、四分あたりに一回、Aループの高温側の温度が若干上がっております。これが飽和温度に近づいている。それから十四時前後で二回ほどピークが出ておりまして、これがまた飽和温度に近づいている。このことをおっしゃっていることだと思います。
 それからもう一つ、私どもで提出させていただきましたこの飽和温度とその他の高温側のAループあるいはBループの温度の関係でございます。これはシミュレーションによりまして計算上出しました結果でございます。
 それで、なぜこういう山があらわれているかということにつきましては、現在私ども事務レベル、あるいは今後調査特別委員会でもこの現象についていろいろ説明できるように検討したいと考えておりますが、極めて個人的ながら、恐らく加圧器の方からこの段階で、これは数十度通常の一次冷却材の温度よりも高目にヒーターで加熱してございますので、これが吸い出されますとこういう現象が起き得るのかなというふうには考えております。一方、計算で出しましたものは、ここまで精密にシミュレーションできないものですから、この山がちょっと出てないというようなことではないかと考えております。
#234
○辻(一)委員 前にもちょっとこの論議をしたのだけれども、加圧器の方から熱い水が返ってきてこの温度が上がったのではないか、こういう推測ですね。だけれども、加圧器はこの初期の段階で水が抜けて水位はゼロになって、そして四十三分間回復してない。その間、加圧器の上のところにはもう熱い水がないということ、それから上の方のヒーターも一時四十分かなんか、時間をちょっとはっきり覚えてないのですが、ヒーターを切っているのですね。だから上に熱源はないし、それから満杯であった熱い三百度の湯はもう外へ出てしまった。水位は四十分回復していない。だけれどもこういう形ですから細いところに残っておったのはあるでしょう。しかしそれが逆戻りをして、そしてその温度を押し上げるというそれだけの加圧器の熱量があるのかどうか。これはこの前も大分論議をしたところですが、なお依然として疑問ですが、そこらはどうなんですか。念のためにもう一度伺いたい。
#235
○森説明員 御説明申し上げます。
 加圧器水位がゼロの状態になりましても、細いパイプ以外に若干、下の方に、おわん型でまだ加圧器の水が残っている部分もございます。それからこのAループの方につきましては、若干これは一次冷却水が滞留していることもございます。そうしますと、加圧器の方から吸い込まれた熱い水がそこで滞留している可能性もあるのではないかなということも一つ考えられます。
 また一方、健全側のSGでございますBループの方につきましては、こういう山が実際のデータにおきましても出ておりません。したがいまして、AのSGの高温側の温度をもちまして、確かに飽和温度に近づいてはおるのですけれども、Bの方が飽和温度よりも相当下の程度を推移しておりまして、これは十分冷却状態にあったというふうに思っております。
 なお、なぜAの方だけがこういうふうになっているのかというのは、調査特別委員会等も含めまして現象を追求していきたいとは思っておりますが、私ども現在での考え方は以上のとおりでございます。
#236
○辻(一)委員 AとBの両方を見ると、事故を起こした方はAですね、それから健全な方がB、このBは出口の高温側と入り口の低温側の資料を求めて見ると、二十度とかあるいは場合によっては三十度あるいは十五度というようにかなりな温度の差があるわけですね。ということは、水の自然循環によって冷却効果がずっと出ているということ。ところが、この事故を起こしたA側は二、三度とか数度の差にすぎないということは、水がとまって動いてない、多少は動いたでしょうが、流れがほとんど冷却効果がないということですね。
 そういう中でA側は沸騰点にもう一度というところまで近づいた、何か押し上げた力ですね。それは今加圧器の方からと言われるが、水がずっととまっているというような状況の中で、余り流れがないという中で、どんと加圧器の方に水がいっぱいあって、その圧力があるならこっちへまた来るだろうけれども、水位ではゼロだけれども、しかし、中をのぞけばおわんの底の方にたまっているという、それがこの温度を有効に引き上げるようにはちょっと理解しがたいのです。むしろ炉心の方に余熱や崩壊熱によって一部のところに、Aの方は水の循環がとまっているわけだから冷却効果はない、Bの方は余熱や崩壊熱があってもそれを冷却していく、しかし、Aの方はそれができずにより熱い熱源があってそれが突き上げて山場をつくったという、こういう見方は全然ないのかどうか、いかがですか。
#237
○森説明員 御説明申し上げます。
 十三時五十分に原子炉トリップ、そして安全注入、こういうことになっておるわけでございますが、この安全注入系は高温側に直接注入される部分と、それから炉心上部というのか、炉頂部ではございません、燃料集合体の上部でございますが、ここに直接注入されるものはございます。しかもなお、トリップ直後には急速に出力は低下しておりますし、新たな熱源というのはそう考えづらい、そういうことでいろいろなことが憶測されるわけではございますけれども、先生御疑問の点もいろいろ踏まえまして、今後こういったことがきちっと説明できるように調査検討してまいりたいと考えております。
#238
○辻(一)委員 なお調査中ということで、なかなかそれは難しい問題ですが、内田委員長の参議院の予算委員会における御答弁を見ると、圧力が急に下がる、そういう初期の段階において、一般的に言えば圧力と温度の関係から沸騰が起こっても不思議ではない、こういう意味の発言をされておりますが、安全委員会の委員長として、炉心における燃料棒に重大な損傷を与えるような状況は、これはまあヨードの放出から見れば余り考えられないけれども、しかし、上の沸騰点に近づけただけの、下から押し上げた熱源として、一部における炉心の沸騰ということはないというようにお思いか、あるいはそれも一つあり得るともお考えか、いかがですか。
#239
○内田説明員 私は、個人的な見解といいますか感想を申し上げたいと思うのです。
 加圧水型の原子炉でありますけれども、通常運転中から燃料被覆管の表面には部分的には泡が出ているわけでございます。その泡は出てすぐに冷たい水でつぶれるという、サブクーリング沸騰といっておりますけれども、そういう現象がもともとあります。それから圧力容器の頂部は本来の冷却材の流れにそう影響ない、そこだけ高温になっている部分があると思っております。
 したがいまして、今回の事故を考えますと、十三時五十分にスクラムいたしまして出力は落ちましたから、燃料管の核分裂としての発熱量はほとんどないと思いますが、もともと燃料被覆体の持っております保有熱がございます。それは一時的に水に出るわけでありまして、圧力が下がりますと燃料の表面に部分的な沸騰が常時運転よりも多くなる可能性はあると思います。それはこれから解析上、十分検討しなければわからないと思いますが、しかし、ここに沸騰がありましても、それが炉心全体のいわゆるバルク沸騰を続けるということではございませんので問題はないだろうと思います。問題があるかないかは解析によって燃料の温度の履歴を見ることによってそれはわかると思いますけれども、恐らく先生も御存じかと思いますけれども、ざっとした報告を受けますと、燃料被覆管の温度は事故前からそう上がっていないということでありますので、まずそういう心配はないだろうと思います。
 それから、圧力容器の上部のところに、確かに通常運転中から温度が非常に高いところでありますから、圧力が下がれば部分的なボイドができるのは当然だろうと思いますが、それがいつ、どういった時点でできたか、どのくらいできたかというのはその解析を詳細に見ませんとよくわからないと思っております。
 以上でございます。
#240
○辻(一)委員 通常時の沸騰、泡よりもちょっと多くなる可能性はある、炉心においても。それは一部沸騰と言えるのですか。それはどういう表現なのですか、正式に言うと。
#241
○内田説明員 これは解析を詳細に見ないとわかりませんが、これは泡が既に飽和温度の、要するに加圧水型の原子炉でありますけれども、燃料の表面温度はそこの圧力の飽和温度よりも高いわけでありますから、燃料の表面の膜のところでは泡が出ておりまして、それが中の水に入るとつぶれるわけであります。卑近な例を申し上げて恐縮ですけれども、ちょうどやかんに水を入れて先にガスの上に乗せますと、最初は音がしません。そのうちに湯沸かし器の底の温度が百度以上になりますと、水全体の温度は低いのですけれども、ぶうっと音がします。あれはサブクール沸騰と言っております。それで、バルクの沸騰をいたしますと、むしろ音はなくなるわけであります。そういうサブクール沸騰というのは加圧水型の原子炉でありましても常時起こっているわけであります。ただ、炉心の出口になりますとほとんど泡は消えておるわけであります。
 でありますから、今度はスクラムの時点の前に出力を下げておりますから、それがどの程度効果があるかは解析を見ないとわかりませんが、私の感じからいいまして、燃料被覆管の表面で今度の事故によって泡が、要するに沸騰がなかったと今すぐに言えるかといいますと、そうは申せませんで、沸騰があっても別に差し支えないという感想を持っておる次第でございます。これは沸騰でございます。
#242
○辻(一)委員 その場合に三回初期に山が出ていましたね、あのグラフによると。沸騰点に一度や二度まで迫ったという。それを押し上げるのにその泡は効果はあったのですか、なかったのですか。影響はあったのですか。
#243
○内田説明員 それは先ほど通産からお話がありましたけれども、恐らくそれほどの泡は出なかったろうと思っております。泡が仮に出ましても、それは炉頂部にたまるわけでありまして、それで三つの山が出てきているというのは、先ほど通産が加圧器の影響ではないかと言っておりますが、要するに多分加圧器はこの穴があいたAのSGの方についておりますので、加圧器の影響がBのSGよりも余計にあったということ、これは当然だと思いますが、炉心の中でバルクの沸騰があって、それを押し上げたということはないだろうと思っております。
#244
○辻(一)委員 加圧器の水は、初めに瞬時破断で大体だあっと流れていったわけですが、時間的に見るとずっとかなりな時間残っておって、こちらの方に出てくるというような可能性はあったのですか。さきの方に大体出てしまったのじゃないですか、その加圧器の水は。
#245
○森説明員 御説明いたします。
 先生御指摘のような点について、実は内部でもいろいろ議論しておりますので、今どうなったかという推測をここで申し上げるのはちょっと困難かと思いますので、御理解いただきたいと思います。
#246
○辻(一)委員 泡がどれぐらいの影響を与えたかということはなおいろいろ解析を、これから調査をしてもらわぬとわからぬようでありますから、その結果によっていろいるまた尋ねたいと思います。
 そこで、同様の関係なのですが、ECCSが働いて冷たい水が入ってくる、そのときに冷たい水が炉壁等にずっと伝わったりすれば熱衝撃が起こると思いますが、それについてどういう状況であったかということについて二、三お尋ねしたい。これは通産の方から出してもらった資料で、原子炉の図がまず一枚目にありますから、ちょっとこれを見ながら質問をいたしたいと思います。
 まず第一に、ギネイの原発等ではいろいろ問題
になったのですが、この右側の原子炉容器安全注入管台にサーマルスリーブ、そでですね、冷たい水が入るときに緩衝装置といいますか、それによって温度を緩和している、こういうのをアメリカでは皆つけたりしておるのですが、この美浜の場合にはついているのかどうか、いかがですか。
#247
○倉重説明員 お答えいたします。
 当然美浜の容器につきましてもサーマルスリーブはついてございます。
#248
○辻(一)委員 それではどこにどうついているのか、ちょっとこの図によって簡単でいいから説明してほしい。
#249
○倉重説明員 お答えいたします。
 サーマルスリーブといいますのは、入ってきた水がその入るところの配管につきまして熱影響といいますか、それを下げるために設けているわけでございます。それで今御指摘のことにつきましては、安全注入管台の入り口のところについているというふうに聞いております。
#250
○辻(一)委員 いや、私が今聞いているのは、左の方はそれは入り口の低温側配管ですね。これにECCSの入り口がつながっている、これはわかるのですね。今私が伺っているのは、右側の方、原子炉にじかに穴をあけて冷たい水をつぎ込むパイプがあるのですが、ここがどうなっているか。
#251
○倉重説明員 今手元に詳細な図面がございませんので、もし必要でしたら、確認した上で先生にまた御連絡したいと思います。
#252
○辻(一)委員 これは私はいろいろ聞いて、ついていないというように聞いておるのだが、ついているのかどうか。安全審査をやられたのは内田委員長だと思いますが、いかがですか。
#253
○村上政府委員 お答え申し上げます。事務的な話でございます。
 先生御承知のとおり、こういったたぐいの安全審査の場合には、いわゆる今の注入口みたいなものも含めまして、容器が定常負荷だとか過渡運転状態の温度や圧力変化に耐えるという基本的設計方針について審査を行うのが一義的な問題でございまして、したがって、今のようなお話につきましてはいわゆる工事計画段階での審査の問題だというふうに考えております。
#254
○辻(一)委員 ギネイの原発でもなかなかここらは皆問題になったところなのだから、前の安全審査においてそういう点が大きな問題がなかったとすれば、その後の経験を生かす改造であるとか変更申請等々によってこれは当然対処されていると思うのですが、だれか、ついているかいないか、まずそれだけでいいのだけれども、それは今のところわかりませんか。
#255
○森説明員 御説明いたします。
 申しわけございませんが、ちょっと確認に時間がかかるかと思いますので、後ほど御連絡させていただきたいと思います。
 ただ、私ども考えておりますのは、通常冷たい水が入ったときに加圧熱衝撃というような現象が起きることで先生多分御心配なさっているのだろうと思いますが、ここの直接炉心の上部に入りますところは燃料集合体面からの中性子照射等が余り及ばないところでございますし、そういう意味での脆化等によりまして、こういう冷たい水が入ったときに加圧熱衝撃で壊れるのじゃないかというような議論についてはそう心配ないのではないかとは思っておりますが、一応御指摘の点がございますので、確認の上また御回答したいと思います。
#256
○辻(一)委員 すぐに壊れるなんて言っているわけではなくて、ひびが入ったりする、この熱い原子炉の壁、熱くなっておるのですから、そこへ冷たい水を一遍に突っ込めば、それが熱い壁でも伝えばひびが入る、それは大きなひびじゃなくても小さなひびが入るとかこういう懸念は十分あって、溶接部の審査というか、問題は非常に大きいと思うのです。大体通産が今度は指示をして美浜二号を定期検査を前倒しにやって、その指示の中に、十年ごとにやる溶接部の点検等を指示しておるのですが、これはそういうところを調べる考えはないのですか。
#257
○倉重説明員 お答えいたします。
 美浜の二号機につきましては、ISIといいますか、供用期間中検査ということで計画的に運転を開始してからその材質といいますか、それが劣化していないかどうかということを確認するということにしております。通常十年に一回そこを確認するということにしておりまして、たまたま今度の定検でそれを確認するということにしておる次第ではございます。
 当然当該機につきましては原因を究明し、その健全性を確認するということは必要であろうかと思いますので、必要な箇所すべてチェックの上、私ども対応したいと考えております。
#258
○辻(一)委員 たまたま十年目が来たということですが、この通達に、既に通産は出しておるのですが、十年目に一回調べる溶接部の点検がありますね。その溶接部としては、今言ったサーマルスリーブがついているかどうか確認した上のことですが、しなければいかぬですが、これがついていないとすると、冷たい水の通るECCSのパイプが原子炉の壁を貫いておるわけですから、その熱いところの壁と冷たいパイプが溶接されているわけですね、そこらにひびが入る懸念がアメリカあたりでは随分されているのですね。だからこういう問題は、今言ったサーマルスリーブがついているかどうかによってかなり違うと思うので大事な問題ではないかと思うのですね。この点を指摘しておきたいと思うのです。もっともこの図を見ると、炉心槽というか、このパイプの左の方に細い層で区切っていますから、これを越えて水が出るならここの場合は炉壁に伝わるわけはない、こういう配慮はあると思うのですね。
 そこで、左側の安全注入管台、これはECCSの冷たい水が上から来て、そして入り口の配管の中に入ってこれが中へ入ると思うのですが、このときにつぎ込まれた冷たい水は左へ行くのですか、右へ行くのですか。これは全部右へ行くのですか、いかがですか。
#259
○倉重説明員 お答えいたします。
 この図の上では左側一カ所から入るような形に見えますけれども、炉心槽といいまして円筒形の中で、圧力容器もちょうど円筒形をしておりますが、炉心槽ということで円筒形の形をしておりますので、その外側をずっと回って下の方から燃料の方に、上に上がっていく、そういう構造になっております。
#260
○辻(一)委員 いや、私の聞いておるのは、では冷たいECCSの水は全部右の方へ、当然入り口ですから右へ行くのでしょうが、右の方へずっと水は流れるわけですね。それは確認できるのですか。
    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕
#261
○倉重説明員 お答えいたします。
 当然安全注入管台から右の方へ行きまして原子炉圧力容器の中へ入って炉心の方に入っていく、そういうふうになっております。
#262
○辻(一)委員 それは当然だと思うのですね。
 配管の低温側の温度計が注入管台の左の方にあるということを確認したのですが、その温度と、右の、右になるかどこかわからないが出口の高温側の温度の差は事故を起こしたAループでは余りないということですね。だからその中で、水が恐らく右の方へ、炉内へ冷たい水が入っていくだろう。この場合はその水はずっと右の方へ流れて、炉心槽があるからその炉心槽の外側、原子炉容器の内側ですね、ずっとその間を通って下へおりて上へ上がるのでしょうが、そのときに冷たい水が熱い原子炉の容器の表面をずっと伝っておりる、そういう可能性はあるのかないのか、いかがですか。
#263
○倉重説明員 お答えいたします。
 当然水の流れがあればその流れに従ってそれと希釈されながら中に入っていくということになろうかと思いますし、水の流れが余りなければ炉心槽の圧力容器の内側に近いところを通っていくということもあろうかと思います。
#264
○辻(一)委員 水の流れといっても、これは事故が起きてAの方は高温と低温側の温度差が余りな
いということは、冷却効果がない、水が余り動いていないということだから。そうすれば冷たい水は右の方へ行って原子炉の擁壁を、炉を伝って、炉心槽の内側を伝ってずっと下がっていく。冷たい水が大量にこういう形で熱い原子炉の擁壁をずっと伝っておりるときに心配されるのは、ひび割れであるとかこういう問題があるわけですが、そういう問題はどうなんですか。
 二十年もたった原子炉においては劣化現象、中性子が長い間照射をして、原子炉の容器の壁なんかが照射を受けて脆性破壊という心配ですね、もろくなっていくということが論議をされておるのだけれども、そこに大量の冷たい水がずっと壁を伝っておりる、しかも二十年中性子に照射された原子炉の容器の壁であるとなると、ひび等がいけばまたいろいろ心配な点が起きてくるので、そのときの冷たい水の動きがどういう影響を与えるかということは原子炉容器の安全上非常に問題があると思うのです。そこらはどういう考えなのですか。
#265
○倉重説明員 お答えいたします。
 ECCSの冷たい水が中に入ってきてそれが脆性破壊の原因にならないかどうかというお話かと思いますが、先生御指摘のECCSの水の入ってくる、左から入ってくるところの水の付近といいますかそのノズルの付近は、実は炉心から出てきます中性子による脆化、中性子脆化という点から見ますと余り問題にならない点であろうかと思います。
 通常原子炉圧力容器の炉心のすぐそばの部分が一番中性子が当たるわけでございまして、脆化という点からは中性子量に大きく依存するものでございまして、このノズル部分はこの一番大きな部分から比較しますと三けたぐらい、約千分の一ぐらい中性子量が少ないかと思います。そうしますと、今おっしゃったように中性子による劣化といいますか、その点は余り問題になるような部分ではない、このように考えております。
#266
○辻(一)委員 中性子の脆化の問題は、これは試験片をまた調べてやるわけでしょう。それはそういうものを見なければいかぬのですが、問題は、熱い原子炉容器の壁を相当量の冷たい水がずっと流れていく、水の循環があればこれはがあっと回ってしまうわけだけれども、その循環がないときに冷たい水がずっと下へおりていく、それによるところのひびが入ったりする、そういうことの懸念というものは全然ないのかどうか。
#267
○森説明員 御説明申し上げます。
 先生現在御指摘の点につきましては、多分この原子炉圧力容器の溶接ラインを含めて傷が入っていればそこで急激な熱の変化によって悪さをするのではないか、この点、私どもも調査検討すべき項目として念頭に置いております。したがいまして、この安全注入によりまして冷たい水がどのように拡散していくのか、その結果どのような温度分布になるのか、そこでこの溶接ラインとの関係で悪さをし得るのかどうか、これも含めて現在検討しておるところでございますので、御指摘の点も踏まえて今後とも調査特別委員会でやっていきたいと思っております。
#268
○辻(一)委員 ちょっと雑音で聞いたのだけれども、三菱が、ここの水が炉壁を伝わるというか、炉心にどういう影響を与えるかについて新しいコンピューターを開発して資料をつくっているということも聞いたのですが、そんなことはあるのですか、全然ありませんか。
#269
○森説明員 御説明いたします。
 現時点では、少なくとも私どもそういった事実関係についてはまだ承知しておりません。
#270
○辻(一)委員 すべては調査中、いろいろまた解析を待たなければということになるのですが、これは私は、原子炉の安全上やはり非常に大事なところではないかと思いますから、徹底して調査をして、よく検討してもらいたいと思うのです。指摘をひとつしておきたいと思うのです。
 それから最後に、三つ目ですが、ECCSのポンプの能力が十分であったかどうか、時間が相当来ましたから簡単に論議をしたいと思うのです。
 そこに三枚のグラフを差し上げたのですが、これは関電と通産省から出された資料ですね、それをもとに専門のある学者にいろいろと依頼をして試算をしてもらったのですね。だから、そんな全然無責任な数字ではない、いろいろな論拠に基づいた責任ある数字です。そこで、これは通産の方から、五分間置きに水がどれだけ今度事故のときに流れたか、それから五分間置きにECCSでどれだけ水が入ったか、こういう一覧表をもらったのですね。それで、それをもとにして、一つはチャート紙の面積といいますか、これをいろいろ試算をして比較してみたのですね。このもとになる棒グラフもありますが、それはもう時間がありませんから割愛して、その線のグラフだけでちょっと伺いたいのです。
 それで、計算コードMARVELによる発表をもとにつくってありますが、ECCSの注入量は計算コードによると流出量を、初期ではちょっと足りないのですが、後はモニター量を超えている。だから、これを見れば機能を発揮しているということになりますね。ところが、これは既に公にされておりますが、もう一つの関電からのチャート紙による水の入った量が出ている。これは面積で計算をするわけですが、それを計算をすると、今度は流出した量よりも注入量が少ないのですね。だから、モニター量をECCSは補っていない。あとはこれは恐らく充てんポンプですね、補ったのでしょうが、ECCSでは補っていない、こういう数字が出ているのですね。これを見ると、コードによるところの数値は幾つかを見てもかなり甘い感じがするし、まして、チャートによって計算したこれを見るとかなり辛い数字が出ているのですが、これについての見解をちょっと伺いたい。
#271
○森説明員 御説明いたします。
 チャートによる注入量の計算でございますが、確かに、チャートによりますと線の幅であるとか、あるいはあれはたしか対数表示のような格好になっていたと思います。若干の誤差があろうかと思います。そういう意味でこの注入量の差というのがある程度出てきているのではないかなと考えております。一方計算コードによりますのは、これによりますと現実の現象をよくシミュレートできているものですから、総合的に見てこちらの方を採用して全体の解析を行った方が適切ではないかと私どもは考えております。さりとて、このチャートのデータというのを全く否定するわけではございませんが、こういう傾向で入っているということで誤差を含んだものと理解しております。
#272
○辻(一)委員 この計算コード、それで関電が前に出したところの色刷りの実測の、実際の数値がありますね。それから、通産がこの間三月二十八日に私の方へ出したいわゆる炉頂部の飽和点、一部一致したという、これに伴うデータがあるのですが、その二枚を重ねてみたのですね。これは@、Aというのは、@はいわゆる計算コードの方、MARVELですか、それからAは通産が出した数値ですね。これを重ねるとこういう差がちょっと出てくるのですね。一つ問題は、@の高温側の温度、A、Bですが、このループですね、これと、それからこれはMARVEL、いわゆる計算コードによるもの、それから関電が出している実測値によるところのAループの高温側の温度、これには、この線を見ると@とAはかなりな差が出ておるのですね。それをちょっと拡大したのがもう一枚のこれですね。グラフで高温側ループAと実際の実測された数値、コンピューターに残った数値と、それから計算コードから出された高温側Aを比較してみると、こういうずれが出ているのですね。
 そうすると、計算コードはそれだけ万全な数字の玉手箱かどうかという問題があるのですね、この表を見ると。だから、計算コードが絶対正しいものであるとすれば、今言ったECCSは十分機能を発揮して、そして漏れた水だけを補ってなお余りがあった。しかし、その計算コードは実測と比較したときにこういうような誤差というか、差
が出ている。これを見ると、この計算コードは絶対のものとは言えない。そうすると、さっきのいわゆる注入と流出は、チャートから計算したこれを比べたときに、やはりECCSのポンプ能力に十分機能を持っておったのかどうか、圧力負けをして必要なときに十分水が入らなかったのではないか、こういう疑問にはなかなか答え切れないのですが、そこらはどう考えますか。
    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕
#273
○森説明員 御説明いたします。
 ここで使いましたMARVELというコードは、必ずしも現実の現象を忠実に正確にあらわすものではなくて、私どもが安全解析上使っているコードでございます。この安全解析の際私どもが最終目標として出しておりますのは、例えばDNBR、熱限界流束比、こういったものは基準値と比べて安全サイドにあるか、あるいは燃料被覆管温度がどうであったか、こういうのをこの解析によりまして出しまして、そして基準と比較して安全であれば安全審査上オーケー、こういう結論を出しておるものでございます。したがいまして、このコードによりましても、今申しましたような観点から実は今回のものもシミュレーションいたしまして、そして炉心の健全性というものを確認しておるわけでございます。
 先生御指摘のように、確かに現実の現象を数度たがわず、私どもこれをベストエスティミッツと言っております、そういうコードができれば一番よろしいわけでございますけれども、ここで使っておるコードはそういう安全審査上、安全解析上のポイントをチェックするためのものということで御理解いただきたいと考えております。したがいまして、若干の差はあっても、これは安全を確認する上では私どもそう差し支えはないというふうに考えておるわけでございます。
#274
○辻(一)委員 それは審査のときはそうかもしれない、私は専門でないから詳しいことはわからぬですが。だけれども、流れ出た水は五十五トンというのは具体的な数字でしょう、外へ漏れた水は。それから入った量も具体的に五十トンとかそんな、割合とかあるだろうけれども具体的な数字ですね。それがいわゆる第七図というところに具体的に出た水の量、それから具体的に入った水の量があらわされているのですね。これは具体的な数字でしょう。
 それで、その上の方は、MARVEL、計算コードは安全審査のときにはそれでいいのか知らないけれども、実際水が入った量を示すときにはちょっと、何と言っていいか、確実性からいうと誤差があってもいいというような問題ではないと思うのだけれども、やはりそうなるとそれぐらいの誤差が出てもこの計算コードやむを得ないんだとするなら、こっちのチャートの数値の方がより正確ではないかと思うのです。これはいかがですか。
#275
○森説明員 御説明いたします。
 高圧ポンプによりましてどれだけ水が注入されたかの点につきましては、以前にも御説明いたしたかと思いますが、高圧注入ポンプの特性カーブによりまして、受け入れる側の圧力に対して、その圧力に応じて注入される量というのが決まるわけでございます。
 今回そのチャートを見ましても、あるいは計算結果によりましても一次側から二次側に漏えいする量に応じまして、これは必ずしも正確というわけではございませんが、その漏えいする量に応じまして高圧注入ポンプでしかるべき水の量が注入されておるということで炉心が冠水状態にあったのではないか、こういうふうに考えておりまして、確かにチャートを用いて差があるではないかということでございますが、現実の現象としましては破断管を通じまして一次側から二次側に漏れた量に見合って高圧注入ポンプで注入されているからこそ、と申しますか、炉心の健全性は確保されて、あのような実データの温度の推移、特に炉心の温度あるいはホットレグの温度、それから飽和温度、こういった関係で推移しているものと理解しております。
#276
○辻(一)委員 いや、この六図の方が具体的な数字であるなら、それは漏れた量を補っておると言えるよね。だけれども、下の方の七図がチャートから――チャートというのは実測というかコンピューターに記録された事実の数値ですね、それから計算しておる。この方が正しいとするなら、これは漏れた量を十分満たしていないということになる。恐らくそれは充てんポンプを使えば水は入れたと思うけれども、ECCSとして初めの大事な段階に漏れた量をどんどん補っていくということが安全上一番大事じゃないか。その点において機能上欠けてないかどうかということを私は問題にしておるのですね。
 そこで、時間が来ましたからこの問題についてはもう一、二伺いますが、例えば安全解析で、美浜二号の高圧注入ポンプ二台については百十気圧で大体ECCSが動く、こういう数字が出されている。それから、安全注入の特性、高圧注入ポンプ二台積んで、これは実際は百三気圧でようやく泣き泣き動き、入っておるのですね。そして、百気圧を切らなければ実際はチャートを見ても水が入っていないのですね。ところが、これを見ると、安全審査で百十気圧ぐらいの解析で出している。だから、高い百五十気圧からどんと圧が落ちるときにどこで注入ポンプが、ECCSが動くかということですから、圧力の高いところにセットされておれば水がより早く入るということでしょうね。そうすると、百十で安全解析をして、実際は動いたのは百三。百三でもほとんど水が入っていない、チャートを見ると。百を切って、百気圧を下がってようやく動き出している、こういうことがあるのですね。私はさっきから申し上げていることは、これを見ると、どうもECCSが十分な機能を本当に発揮しておったのかどうか、助かりましたけれども、疑問を持たざるを得ない。
 そこで、美浜第二号以後の原子炉の建設に当たって、その審査の中で、全部この圧力はこれより高いですね、このECCSの入る圧力は。例えば伊方一号、二号は百十八気圧ぐらいで入るようになっていますね。これは通産に出してもらった資料。それから伊方三号では、これは大きいのでしょう、だから百六十気圧。それから玄海一号、二号はやはり百十八気圧。それから玄海三号、四号、いずれも充てんポンプを使わないで高圧注入ポンプ二台の同じレベルですが、玄海三、四号は、これは大きいのか、非常に高くて百六十気圧。それから大飯三、四号、これは百より大きいですね、百六十気圧。そして美浜二号と同様に気圧の低いのは美浜一号、百三気圧ですね。解析の審査のときの資料でしょうね。
 これを見ると、美浜以後はみんな注入ポンプの動く圧力を高いところにセットしておるのですが、これは百十気圧、これでは不十分と見て気圧を高いところにセットしたのか、これはどういう理由なんです。もし心配ないのなら、美浜と同じ百十でとめておいてもいいわけなんです。これはいかがです。
#277
○森説明員 御説明いたします。
 高圧注入ポンプの容量につきましては、その後、充てんポンプと先ほど先生おっしゃいましたように、充てんポンプと安全注入系を兼用することによりまして、必然的にその結果として高い圧力のもので注入するようなプラントが出てきてもおります。これは兼用によりまして合理化を図るという思想だと考えております。
 美浜の方では、では圧力が低いから不十分かということ、SI信号を発しましてどの時点で注入が開始するか、それは圧力が高ければそれだけ早い段階で注入動作には入るわけでございますけれども、これは破断管を通じまして一次側から二次側に漏えいする量と見合っていると先ほど来説明いたしておりますが、圧力が高い段階でございますと、これはほっておきましても一次側から二次側の方にどんどん漏えいしてまいりまして、圧力が下がってくる。ある下がった時点でポンプの特性曲線とちょうど交差したところで初めてポンプが作動します。そのときはちょうど一次側から二次側に漏えいする量、これに対して高圧注入ポン
プで注入する量、これがバランスするように自然とそういうポイントに収れんするような特性になるわけでございます。
 したがいまして、高ければ高いほどいいというわけではなくて、高ければその時点で注入開始しておりますとどんどん漏えい量がふえますし、これとの兼ね合いで決して高ければいいというわけではございません。要は、漏えい量に見合う注入量が確保できればいいということで、この美浜の高圧注入ポンプについてはこれで役目は十分果たしておると考えておるわけでございます。
#278
○辻(一)委員 ちょっと一、二分だけお願いしたいのですが、今説明で、美浜の圧力程度で十分役目を果たすならばなぜそれ以降のECCSの圧力のセットを上げているかというと、それは充てんポンプとの組み合わせだというけれども、今私が読み上げたのは全部これは高圧注入ポンプだけの――充てんとの組み合わせになれば今は二百気圧ぐらいになっておるのです。だから、それは除いて言っているんですからね。だから、それで十分機能があるのなら何も圧力を上へ上へ上げていかなくていいはずです。それはどうなんですか。
#279
○森説明員 御説明いたします。
 恐らく、ほかのプラントは出力がまた増加してきておると思います。この高圧注入ポンプは今回のような蒸気発生器の細管破断ということだけをカバーしているものではございませんでして、小LOCAと言われるような細管からの破断、これは一次系の管でございますが、こういったところでの一次冷却水の漏出をカバーするという役割も持っております。そちらの方がメーンで考えておるわけでございます。そうしますと、出力が増加しますと、そういったときにはより多くの漏出量をカバーしなければならないということで必然的にそこにつけております高圧注入ポンプの圧力容量もふえてきている、こういうふうに考えております。
#280
○辻(一)委員 時間が来たので、もうちょっと伺いたいのですが、やむを得ないですが、最後に内田委員長に伺いたいのです。美浜のECCSは機能上十分能力を持っておるというように判断されておるのかどうかということが一つ。
 それから、調査委員会ですね。安全委員会はスリーマイル、チェルノブイリ等のときにはきちっとした調査報告書を出していますね。今度は通産が当面扱っておるわけですが、私は、これはダブルチェックの安全委員会の機能からいってしっかりした独自の調査をやって、いわゆるダブルチェック機能というものを十分発揮すべきでないか。そういう点でしっかりした報告書をつくって出すべきであると思いますが、いかがですか。
#281
○内田説明員 まずECCSの性能、容量の問題でありますけれども、今通産からも触れましたように、ECCSの機能、性能というものは、本来大LOCAから小LOCAに至る冷却材喪失事故の場合に適切な機能、性能を持つかどうかということをECCSの評価指針に照らして評価をしているところでございまして、蒸気発生器伝熱管破断事故だけを対象にしているものではないわけであります。したがいまして、ECCSの機能、性能というものは、今申しましたようにLOCAを中心とした容量なり性能を持つことを第一前提にいたしまして、それを適用して蒸気発生器伝熱管破断の事故に対して適切であるかどうかを評価できるわけでございます。また、その設計の歴史的な変化から見まして、充てんポンプと高圧注入ポンプとを併用するかしないかということは、例えば最近の泊でありますと、これはやはり充てんポンプと別だったと理解しておりますが、これらはECCSの評価指針を満足する範囲においては電力会社あるいはメーカーのオプションである、こう理解しているところでございます。今回の美浜の蒸気発生器伝熱管事故の結果から現在考えますと、ECCSの機能、性能は十分であったと判断しております。
 それから、原子力安全委員会原子炉安全専門審査会の発電用炉部会に設けましたサブグループでは鋭意検討しておりますが、これはもちろん結果が出ましたならば通産の報告書とは別に独自の報告をするつもりでございます。
#282
○辻(一)委員 問題はちょっと残しておりますが、時間ですから終わります。どうもありがとうございました。
#283
○中馬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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