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#1
第120回国会 逓信委員会 第5号
平成三年三月六日(水曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 野中 広務君
   理事 園田 博之君 理事 原田 義昭君
   理事 前田 武志君 理事 松浦  昭君
   理事 上田 利正君 理事 武部  文君
   理事 伏屋 修治君
      赤城 徳彦君    小林 興起君
      古賀 一成君    佐田玄一郎君
      佐藤 守良君    鈴木 恒夫君
      長勢 甚遠君    真鍋 光広君
      御法川英文君    武藤 嘉文君
      森  英介君    山口 俊一君
      山崎  拓君    山本  拓君
      秋葉 忠利君    上田  哲君
      田中 昭一君    田並 胤明君
      山下八洲夫君    坂井 弘一君
      鳥居 一雄君    菅野 悦子君
      中井  洽君
 出席国務大臣
        郵 政 大 臣 関谷 勝嗣君
 出席政府委員
        郵政省簡易保険
        局長      西井  烈君
        郵政省通信政策
        局長      白井  太君
        郵政省電気通信
        局長      森本 哲夫君
 委員外の出席者
        大蔵省主税局税
        制第一課長   黒田 東彦君
        大蔵省銀行局保
        険部保険第一課
        長       北村 歳治君
        逓信委員会調査
        室長      辛島 一治君
    ─────────────
委員の異動
二月二十二日
 辞任         補欠選任
  赤城 徳彦君     越智 伊平君
  佐田玄一郎君     浜田 幸一君
  鈴木 恒夫君     武村 正義君
  長勢 甚遠君     三塚  博君
  真鍋 光広君     渡辺美智雄君
  森  英介君     瓦   力君
  中井  洽君     塚本 三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  越智 伊平君     赤城 徳彦君
  瓦   力君     森  英介君
  武村 正義君     鈴木 恒夫君
  浜田 幸一君     佐田玄一郎君
  三塚  博君     長勢 甚遠君
  渡辺美智雄君     真鍋 光広君
  塚本 三郎君     中井  洽君
三月六日
 辞任         補欠選任
  小林 興起君     山本  拓君
  長勢 甚遠君     御法川英文君
  武藤 嘉文君     山口 俊一君
同日
 辞任         補欠選任
  御法川英文君     長勢 甚遠君
  山口 俊一君     武藤 嘉文君
  山本  拓君     小林 興起君
    ─────────────
二月二十二日
 郵便局の用に供する土地の高度利用のための簡易保険福祉事業団の業務の特例等に関する法律案(内閣提出第五一号)
 簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)
同月二十六日
 郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)(予)
 郵政官署における外国通貨の両替及び旅行小切手の売買に関する法律案(内閣提出第六二号)(予)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 電気通信基盤充実臨時措置法案(内閣提出第三三号)
 簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)
 郵便局の用に供する土地の高度利用のための簡易保険福祉事業団の業務の特例等に関する法律案(内閣提出第五一号)
     ────◇─────
#2
○野中委員長 これより会議を開きます。
 電気通信基盤充実臨時措置法案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田利正君。
#3
○上田(利)委員 郵政大臣、既に郵政大臣に御就任されまして相当日時がたっておりますけれども、本当にこのたびはおめでとうございます。関谷郵政大臣とは逓信委員会の中で御一緒させていただきまして、非常に高い御見識をお持ちでございまして、常々本当に敬服をいたしておりました。どうぞこれからも、今まで逓信行政に携わっておられました大臣でございますから、その力量を十分発揮していただきまして、高度情報化時代を迎えるわけでございますから非常に重要な段階に来ております。本当に郵政大臣に期待をいたしておりますから、そんなことを申し上げて質問に入らしていただきます。
 私は、本法案が目的といたします高度通信施設の整備及び特定専門技術の能力向上による電気通信による情報の流通の円滑化につきましては、基本的に賛成でございます。しかし、この法律の必要性については私なりに問題意識を実は持っておるところでございまして、以下質問をさしていただきたいと存じます。
 その第一は、昭和五十四年、十二年前になりますけれども成立いたしました通信・放送衛星機構法、略称機構法と言っておりますけれども、この法が制定されました目的は何であったのか、もう一度法制定の原点に立ち戻っていただきまして考える必要があるのではないか、こう思うわけでございまして、その目的とするものは何か、改めて郵政当局にお尋ねをいたしたいと存じます。
#4
○白井政府委員 お答え申し上げます。
 先生が御指摘のように五十四年に通信・放送衛星機構法ができたわけでありますけれども、当然のことながら機構法の目的につきましては法律の一条に規定が置かれておるわけでありまして、当初は通信衛星及び放送衛星の管制等の業務を行うことによりまして宇宙における無線通信の普及発達と電波の有効な利用を図るということを目的として法律が制定され、また具体的にそのような業務を行う組織として機構ができたわけでありますけれども、その後幾つかの法律によりまして特例的に業務の追加がなされておりますので、現在におきましては機構法に定める目的に加えまして特例業務として追加された業務を行う限度においてそれぞれの法律に定められた目的もあわせてこの機構は背負っているということになろうかと思い
ます。
#5
○上田(利)委員 今、通信政策局長から御答弁いただきました。明確に機構法につきましては第一条にその目的が、局長がおっしゃったようにございます。ただ、後のつけ加えた問題の御答弁もございましたけれども、その後十二年たつ段階の中で、今日業務の追加特例と申しますか、そういうものを含めまして改正をされてきておりますけれども、具体的にこの十二年間どのように改正をされておるのか、年次別にちょっと明らかにしていただきたいと存じます。
#6
○白井政府委員 昭和五十四年に通信・放送衛星機構法ができまして以降、機構の業務に関する改正といたしましては、昭和六十三年に機構法自体の一部を改正いたしまして、機構が衛星を所有し、その衛星を他の放送事業者等に利用させることができるというような規定を置かせていただいております。それからさらに昨年の三月にやはり機構法の一部を改正いたしまして、いわばテレビ難視の対策のための助成金を交付するという仕事を機構に追加いたしております。さらに昨年の六月の法律によりまして特定通信・放送開発事業の実施に関しましてさまざまな支援措置を機構が行うということが業務として追加されております。したがいまして、業務に関しましては法律が成立いたしまして以降三回にわたって業務の追加が行われてきたということになろうかと思います。
#7
○上田(利)委員 局長から御答弁ございました。業務の追加が六十三年そして平成二年の三月と六月という形で、これが特定業務あるいは付加業務というような形の中で改正をされてきております。
 私は昨年の円滑化法案の中でも御質問申し上げましたけれども、機横法の当初の目的からかなり変わった中で業務の追加あるいは特例という形、法改正という新しい法律が出てきて、そして機構法という公的認可されている法人を媒体としていろいろな法律が出てきておる、そして運用されてきておる。
 円滑化法のときにも論議されましたように、機構法は組織法でございます。そういう中で、組織法の中にそのような特例という形の中で法律が制定されてきておる。円滑化法の中では、私は木に竹を接ぐようなものじゃないかということを言った記憶があるわけでございますけれども、法体系から言ってできないわけではないのでございますが、しかし、機構法を制定したその制定の目的からだんだん離れていく、こういうふうな感じを持つわけでございまして、この点につきましては円滑化法のときにも、郵政側といたしましてこれをどんどんそういう形でやっていくようなことはしてはいきません、言うなれば何か権限がだんだんそちらの方に移っていく、本体である機構法が薄れていく、そういうようなものについてはこれから今後どんどんやっていこうというふうな考え方はございませんという答弁を出されております。鳥居委員の方からもそういう点につきまして本委員会の中で御指摘がございまして、御答弁もいただいておるわけでございます。
 そこで、大臣にお尋ねをしたいのでございますけれども、今日、我が国における政治的あるいは社会的重要な課題は、国際化時代あるいは情報化時代であるとか、さらには高齢化時代に向かっておる、このような時代に向けてどのように対処するか、こういうことにあるのではないかと思うのでございますが、こうした中での高度情報化社会を構築していく、そのために電気通信基盤整備の充実に向けて努力していかなきゃならない。その場合に、一元的な情報通信政策と同時に一元的な行政が特に重要だろう、こう思うのであります。そのためには、公的法人による一貫した、しかも総合的支援体制、そういうものが不可欠だと思うのでございます。
 行革審で、新設の法人は一応ストップなんだという基本方針が決まりました。しかし、これに縛られておりますと、その限りにおいてはどうにもならないという状態になる。特に郵政省は、平成元年の末でございましたか、地域情報化と情報機能の地方分散に関する研究会報告というのを最終的にまとめて、私も読ませていただいておりますけれども、相当立派なものを研究会報告で出しました。二十一世紀に向けての高度情報通信のあり方であるとか、あるいはテレコムタウン構想であるとか、さまざまなものが出ておるわけでございますけれども、そういう報告などの具現化、部分的にはできるでしょうが全体的な具現化は不可能ということになってくるのではないか、こう思うわけでございます。この点につきまして郵政大臣の御所見をお尋ねをしたいと思うのです。
#8
○関谷国務大臣 先生御指摘の、この通信・放送衛星機構法の中に次々と追加をしていくことは、その法律の原点から考えると、そういつまでもこの状態を続けていくことはできないのではないか、また、そうすべきではないのではないかということでございますが、私も確かにこれは鋭い御指摘をいただいておるわけでございまして、今後これを越えるためにはどのような方策があるかということでございます。
 先生御指摘のように、この行政的な需要があらゆる角度から増大しておる今日でございますが、行革審の答申がございますので、現時点におきましてまた新しいものをつくるということが非常に難しい現状にございます。また、あらゆる分野におきましても、スクラップ・アンド・ビルドという形式であればそういうようなこともできるわけでございます。ですから、そういうような形でまた大きなものにしていくことができるのであれば、私はそういうようなことも考えていかなければならない、その時期に来ておるのではないかと思いまして、今後、郵政省といたしましてもいろいろ研究をし、先生御指摘の、いつまでもこのような形であらゆるものを追加するということは、私はいいことではない、またすべきことであるとは思いませんので、今後鋭意考えていきたいと思います。
#9
○上田(利)委員 大臣の御所見、わかりました。とにかく努力をしてもらわなければならぬ、主体性を我が郵政が持っていかなければならぬ、こう思うわけでございます。
 ただ、その中で、行革審答申を忠実に履行していこう、こういう立場に立ちますと、人的な面であるとか予算的な措置であるとかという面からして、新しい公的法人はつくらないけれども法律をつくって、そこで人もある程度補充しなければならない。例えば、円滑化法が昨年通りました。聞くところによりますと、放送衛星機構の中に四人ぐらいの一つの課を設けて、課長以下五人ということになる、そういうふうに要員を配置していかなければならぬ、これは人件費がかかるということになる、あるいは予算措置もしておる。ですから、忠実にやろうとすれば、新しいそういう法案というものは特例業務であってもやってはいけないということに実はなるんですよ。しかし、それをやっているわけでございますから、もっと総合的に一元的にそれをやった方が、さらに少ない経費で、あるいは少ない要員で、十分な二十一世紀に向けた高度情報通信の諸施策ができる、こう思うのです。やらないのなら、全然やらないでいいのでございます。
 そういう面では、特例業務を付加するということ自体につきましても行革審から見れば問題がないわけではない。常に大臣もおっしゃっておりますけれども、グランドデザインをつくっていかなければならない、それをつくって、それに向かって一歩一歩前進をしていかなければならない、こういう立場に立たなければならぬと思いますから、どうか、ぜひその辺も御配慮、御考慮をしていただいて、そして今言ったような形で明確な対応ができるように御努力を願いたい、こう思います。
#10
○関谷国務大臣 振り返ってみますと、この通信・放送衛星機構法ができましたのが五十四年でございますから、それからもう十二年という歳月が流れている。その間の電気通信事業の進展というのは目をみはるものがあるわけでございますから、当初と比べますとそういう大変内容の違った
ものを追加するというところは、先生御指摘のようにおかしなところといいましょうか無理がそこにはあるわけでございますから、そういうようなことも考えますと、また先ほど答弁させていただきました方向でるる研究をしていきたい、そのように私は考えております。
#11
○上田(利)委員 それで局長にお尋ねしたいのでございますけれども、昨年の本委員会、先ほどもちょっと触れましたが円滑化法のときに、ここに当時の附帯決議がございますけれども、附帯決議の第二項の最後のところに、今のような論議がございまして、そして、「今後の機構の在り方について総合的に検討すること。」こういうふうにあるわけでございます。法案が施行されまして満一年はたっておりませんけれども、どのような検討をされたのか、その辺をちょっと明らかにしていただきたい、こう思います。
#12
○白井政府委員 先ほど来先生から御指摘をいただいております機構に対する特例業務の追加の問題につきましては、このような形で今回のような法律案を提案させていただくという過程の中では私どももさまざまな角度から検討いたしたわけでございまして、特に、昨年の通信・放送開発法の御審議のときにも、先ほど来先生がおっしゃっていますようにいろいろな御議論がございました。また、さらに通信・放送開発法の採決をしていただきましたときに御指摘のような附帯決議もなされておるということも承知しておりまして、そういうようなことをいろいろ考えたわけでありますけれども、今回の法律が十年を限った臨時措置法であるということ、あるいはこの通信・放送関係の基盤整備というのが非常に緊急の課題であるというようなことも考えまして、あえてそうした御議論があったということは十分承知の上で今回のようなことをお願いをさせていただいたわけであります。
 ところで、昨年のこの附帯決議に関連してどのような検討を進めてきたのかというお尋ねでありますけれども、率直に申し上げまして、ただいま大臣の方から御答弁がありましたように、この情報通信をめぐる事情というのも非常に目まぐるしく変わってきておりまして、情報通信の分野というのが非常に想像以上に発展をしてきているというような事情もございます。それから、衛星を使いました通信とか放送などというのも次々といろいろな事態が出てきておるわけでありまして、通信・放送衛星機構のあり方については、それらの事情というのを十分念頭に置いて、どういうふうな機構にしていったらいいのかとかあるいはどうした組織にしたらいいのかということを考えなきゃならぬわけでありまして、検討すべき点は実は大変多いわけでございます。
 それらの点について結論を出すということにつきましては、まだちょっと先を正確に見なきゃいかぬとか、あるいはいろいろな点でこの認可法人のあり方というものも考えなきゃいかぬとかというような検討すべき課題が非常に多くあるものですから、この辺については引き続き検討を続けさせていただきたいというのが率直なところでございます。
#13
○上田(利)委員 そこで、関連しますけれども、円滑化法が昨年施行されましたけれども、その施行された以降の実施状況について、どんな状況になっているか教えてもらいたいと思います。
#14
○白井政府委員 法律は昨年の六月に成立をさせていただいたわけでありますが、実はその後、例えば民間からの出資、出損などもしていただかなければならないというようなこともありまして、そうしたお金を集めるというような準備作業も随分ございまして、法律の実施といいますか法律の運用を実際に始めたというのは、実は昨年の秋になりましてからでございます。したがいまして、昨年の十月からということで考えますと、まだ何カ月も実は経過していないというのが実情でありますが、現在のところ既に、つい一、二週間前に、新規事業につきましてこの事業認定を一件行っております。この事業に対しては、法律に基づきまして出資をするとかあるいは債務保証をするということを決めたわけであります。
 さらに、地域の通信・放送開発事業につきましても、十件近いものについて現在具体的な検討を進めておりまして、これらについては、そう遠くない時期に利子補給をするという形での支援を講じたいというふうに考えております。
 先ほどの繰り返しになりますが、実際の法律の実施をしてからというのはまだ何カ月もたっておりませんので、そのようなことから考えますと、私どもといたしましては、かなり順調な滑り出しをさせていただいているというふうに申し上げてよいのではないかと考えております。
#15
○上田(利)委員 わかりました。私のところにも、通信・放送の新規事業という形の中で、三つに区分できますものですから、その一つの新規事業という形で、衛星PCMラジオ放送ということで私も資料をいただいておりますけれども、いよいよあの円滑化法によってスタートを切ってということで、今白井局長からもお話がありましたように、あと十件ぐらい利子補給の問題を含めてそういう申し込みといいますか、そういうものもあるということですから、ぜひそれは積極的にそれが有効に機能するようにさらに御努力を願いたい、こう思います。
 そこで、問題が一つあるのでございますけれども、今回の法の目的であります「電気通信による情報の流通の円滑化」、これは今申しました昨年の円滑化法案と基本的にはそう違っていないと私は思うのでございます。まあ趣旨は同じではないか、こう理解をしておるわけでございます。だとするならば、今回の法案を提出するに至った中で、法案の中身に触れますと、施設整備事業と人材研修事業、この二つになるわけでございますけれども、これへの支援ということになりますけれども、新しく立法措置をとるのでなくて、昨年の円滑化法の事業対象の拡大というふうな、そういう認識で一部改正していけば対処できたのではないか、こう思うのでございます。独立法として今回もまた出てきているわけでございますけれども、この辺はどうでございましょうか。
#16
○白井政府委員 まさにただいま先生おっしゃいましたように、この法案を提案させていただく前の段階でいろいろ検討をさせていただいておりましたときには、先生のおっしゃる円滑化法あるいは通信・放送開発法の一部改正でいくのか、あるいは新しい法律案を提案させていただくのか、どちらがいいのかということも、実は私どもとしてもいろいろ検討をさせていただきました。
 確かに、情報通信の振興という点から考えますと両者には大変共通するものがございますし、また実際の支援策というのも、特に通信・放送衛星機構を介して行う支援策についてはダブるものもありますので、確かにその限りにおいては、昨年の法律の一部を改正するというやり方も理論的にはなかったわけではないと思うわけでありますけれども、ただ、その本来のねらいというのが、昨年お願いした法律案というのは、新しい事業分野を開拓するという角度からいろいろな法律の規定が盛り込まれておりまして、他方、今回御審議をお願いしております基盤法の方は、まさに情報通信基盤の整備をするという角度からいろいろな規定を考えておりますので、その点では両者はかなり異なるということもあるわけでありまして、それやこれやを考えまして、今回は別個の法律案ということで御提案をさせていただいたわけでございます。
#17
○上田(利)委員 わかりました。
 それで次に、高度通信施設についてお尋ねをしたいのでございますけれども、この法案の中では中身は明確になっておりません。どういうものが高度通信施設かということで具体的なものはございませんけれども、私なりに考えますと、影像の伝送が可能になっていく、あるいは高速化を図る、そういうための施設というようなことになりますと、光ファイバーであるとか超高速ディジタル伝送装置であるとかそういうようなもの、あるいはインテリジェントネットワークを実現をしていくというような問題やら、その実現をしてい
く、そういるためには、新しい形の制御装置が必要になってくる。さらには、マルチメディア通信を可能にするような施設、中にもございますけれどもマルチメディア交換機というようなもの、そういうようなものというふうな定義ができるのではないかと思うわけでございますけれども、具体的な高度通信施設というのを、そんなふうなイメージ、そんなふうなものというふうに解してよいのかどうなのか。
 それからもう一つはISDNとの関係でございますけれども、その関係はどんなふうになっているのか。なお、社会経済にはどのような影響をもたらしていくものなのか。こんな点につきましてお尋ねをしておきたい、こう思います。
#18
○森本(哲)政府委員 高度通信施設と申しますのは、先生がただいま述べられたような形で、端的には本当の高度の、これから要求されるいろいろな電気通信設備を用いて、手軽に大量のコンピューターとのデータ交換とかあるいはうんと精密な動く画像も交換ができる、そういうイメージでございます。
 ただ、これを法律的に具体的に書くために、今御指摘にございましたこの法律二条で、高度通信設備とは何かということを具体的に三つにわたって、電気通信業の用に供する施設であって、電気通信の利便性を飛躍的に高めるための次のような施設ということで、お示しのとおり光ケーブル初めさまざまな設備という点でとらえてネットワークというものを定義をいたして、これにいろいろ支援をしていこう、こういうことでございます。 確かに、これから先のことでなかなかわかりにくい点はございますが、今進捗しておりますISDNとこれとの違いということのお尋ねもございましたが、一言で言えば、このISDNもまだ、今の電話網に比べればうんと進んだ設備ではございますけれども、いわばこの高度通信施設はさらにこのISDNより発展させたものだ。端的な違いを申せば、ISDN網で送れる通信の限度というのはやはりどうしてもあるので、例えば静止画、写真のようなものを送ることには適しておりますが、それが瞬時に動いて、おっしゃるようにテレビの映像のようなものをこのネットワークで送るというのは難しゅうございますので、御指摘のような高度通信施設に依存せざるを得ないということでございます。
 こういう施設が整いましたらば、社会経済的に、今日は現実にその実現を見ていないのでございますが、相当大きなインパクトが与えられて、いろいろな面で改革が行われるだろうなと我々は期待いたしておるわけでございます。
 幾つかございますが、二、三申し上げれば、一つは、やはりこうした高度のネットワークが整備されるということになりますと、今日日本の大きな問題でございます都市と地方との情報格差というものの是正には大きな寄与をするだろう、とりわけ医療だとか教育だとか文化だとか、そうした面での地方での格差というのがこの逓信委員会でも大変議論にもなっておりますが、こうした点が地方からもアクセスが大変容易になる。
 さらには産業経済という面でも大きな貢献をするのではないか。とりわけそうした意味では、産業全般もさることながら、地方企業、地方の中小企業であってもこうしたネットワークを介していろいろな地方の異業種との連携も可能になる、あるいは東京のデータベースを随時に活用することによって、自社にないノーハウというものを直ちに取り入れることも可能になる、そんな形で中小企業と大企業の格差是正にも大きく寄与するのではないか。
 もう一つ、家庭生活の面でございますけれども、こうしたネットワークは当然のことながら高度な端末というものも伴うわけでございますので、そうとすれば、家庭におりながらこうしたネットワークと直接アプローチができることになりますので、老人だとかあるいは身障者等で社会に直接出ていけない、あるいは今日大勢の御婦人方が職場に進出されておりますが、女性特有の出産だとか育児だとかということである程度家庭にいざるを得ない時期もございますが、こうした点で在宅で仕事ができる、社会参加ができるというような点も期待ができることになる、こんなふうにイメージをいたしておるところでございます。
#19
○上田(利)委員 森本電気通信局長から、今後のイメージを含めて御見解を賜りました。そこで、法案の第三条になりますけれども、基本指針についてお尋ねをしたいと思うのでございます。
 この基本指針につきまして、二項に基本指針については「次に掲げる事項について定める」ということで、一号、二号、三号、四号、こういうふうにございます。法案は出されておりますけれども、問題は基本指針が明らかにならない。基本指針が具体的にこれを動かしていくわけでございますから、そういう中ではやはりこれだけの、一号から四号までというマクロ的なものでなくて、法案提出時にセットで出すべきではなかったか、こう私自身は思うわけでございますけれども、基本的な例示だけで法案は出ておる。具体的な内容についてはどのようなものになるのか、これが一つでございます。
 それから二つ目の問題は、基本指針は電気通信審議会にはかけないということになっております。昨年の円滑化法のときには電気通信審議会に諮問をするということになっておりますが、それがなぜ抜けておるのか。それから、この法律三条の五項で通産大臣を特に明記をいたしておりますけれども、円滑化法では関係行政機関の長と協議をするということになっておりますが、特に通産大臣を名指しで今度の法案は出しておりますけれども、この点についてその理由を明らかにしていただきたい。
 三つ目の問題は、基本方針に基づきまして事業者が認定のために提出する実施計画の中身、あるいはその手続、こういうものはどんなものになるのか。私が懸念しますのは、煩瑣なものであると、事業者が支援を受けたくてもこんなに煩瑣では、こんなに細かい事業計画とか全体的な資産の状況だとかさまざまなものがたががはまってまいりますと、支援を受けたいけれどもそんなに面倒だったら受けるのはちょっと見合わせよう、こういうことにどうしてもなりがちなのでございまして、その点では通産省などはかなり緩やかな形になっていると思うわけでございますが、この認定につきましてどのような配慮をするのか。
 以上三点につきまして明らかにしていただきたい、こう思います。
#20
○白井政府委員 まず第一に、基本指針の内容でございますが、基本的には実はまさに法律についての考え方をできるだけ利用していただく方にわかりやすいように示すというのが基本指針の内容でございまして、そんなに事改めて別の事項がこの基本指針の中に書かれるということはないものと思っております。したがいまして、内容につきましてはこの法案の御審議の中でいろいろ先生方から御指摘をいただいたり御質問をいただいたりしているものがいわば内容になるということでありまして、この基本指針によって法律に対する考え方を何か変えるとか、あるいはまた別の新しいものが基本指針として出てくるというようなことはないものと考えております。
 なお、手続的には、基本指針を定めるにつきましては、法律を幸い通していただきましたならば、その御審議の過程で出たいろいろな先生方のお話も十分念頭に置きまして関係の省庁と打ち合わせをさせていただいて決めていくということになるわけでございます。
 それから、審議会などの付議事項になっていないのはどういうわけかというお尋ねもございました。この種の基本指針をつくるというのは、一般的には俗に振興法と言われている法律においてはよく見られるわけでありますが、実際にはそういう振興法の中の規定では審議会にお諮りするというようなことにしていないのがむしろどうも普通のようでございまして、昨年通していただきました通信・放送開発法の場合は審議会にお諮りするという規定を入れさせていただいているわけですが、これは実は新しい事業分野を開拓するという
ことから、どのような事業が出てくるかちょっと不確定なところが多いというようなこともありまして、昨年の場合は審議会にお諮りをするということを法律の中にわざわざといいますか、きちっと書かせていただいたということでありますが、いわば法律的な義務づけという意味では今回は一般の振興法の例に倣ったというようなことにさせていただいております。
 それから、基本指針を定めるにつきまして関係の省庁と協議するのはいいとしても、通産大臣その他の関係行政機関というように通商産業大臣をわざわざ代表例として抜き出したのはどういう理由によるのかというお尋ねかと思いますが、御案内のように、通商産業大臣というのは電気通信機械器具の生産、流通あるいは消費というのを所管するということになっておりまして、そのようなことから、今回私どもがこの法案でお願いをしております施設整備事業とかあるいは人材研修事業についても特に調整を要する部分が非常に多いということにかんがみまして、代表例といいますか、そうしたものとして通商産業大臣を挙げさせていただいたということでございます。
 それからもう一点、支援を受けるためにいろいろ申請をするときに、余り手続が煩瑣になるとか、あるいは面倒くさい手続を要するとかいうようなことになってはいけないという御指摘でございますが、まさにこれは先生の御指摘のとおりでございまして、もともとこの法律というのが情報通信の振興を図るというのを目的にしておりますので、できるだけ簡便な手続で、わかりやすい手続でこの支援が受けられるような方法というのを私どもとしても十分考えていく必要がありますし、一法案を通していただきました暁には大いにの法律案の支援策というのを利用していただきたいというような角度から、御指摘の点については十分配意をしてやってまいりたいと思います。
    〔委員長退席、松浦(昭)委員長代理着席〕
#21
○上田(利)委員 わかりました。それで、あと、人材研修事業の関係であるとかあるいは労働省との施設の関連などについて御質問する予定でございましたが、もう時間がなくなりました。
 最後に大臣にお尋ねをしたいわけでございますが、私は、高度情報社会とは、通信と放送それから情報処理が有機的に結合しあるいは融合していく社会であって、したがって総合的な知識やあるいは技術を習得する、それが求められていると思うわけでございます。このような視点から見て、労働省や通産省の施策と郵政省の施策。労働省もそれぞれやっております。職業能力の開発であるとかさまざまなことをやっておられます。あるいは通産省もやっておられる。そういうものとこの郵政の施策が個々ばらばらに行われるということになると問題があると思うわけでございます。したがって、事業者であるとか自治体、国民の立場から総合的、一体的な高度情報社会への行政対応が求められておると思うのでありますけれども、縄張り争いやあるいは既得権の拡大意識、そういうものでなくて、真の行革と申しますか、そういう立場に立った施策を講ずべきである、こう私は思うわけでございますけれども、大臣の所見を最後に伺いたいと存じます。
#22
○関谷国務大臣 この高度情報社会の基盤の整備というものが国民の生活をますます豊かにするという基本的な考え方、そのもとでございますから、関係省庁とお互いがそれぞれの整合性を図りつつこの基盤整備を進めていくように努力をいたしたい、そのように考えております。
 そしてまた、民間との関係もるるあるわけでございますが、採算性ということを考えますと、そのイニシアチブをとって、また両々相まって発展をしていくというようなこともやっていかなければならないと思っておるわけでございまして、官民の役割の分担も配慮をしつつこれを進めていきたい。
 先生御指摘のように、そういうふうにそれぞれの持っております特異性をそれぞれの分野で、それぞれの立場でお互いが協調し合って発展をしていくところに、初めて私は国民の幸福をまた達成することができると考えておりますので、自分のテリトリーをどうとかという考え方はさらさらございません。
#23
○上田(利)委員 関谷郵政大臣のこれからの御活躍、特に情熱を持ってこの逓信事業に取り組んでいただくことを強く期待をいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#24
○松浦(昭)委員長代理 次に、田中昭一君。
    〔松浦(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
#25
○田中(昭)委員 具体的にこの基盤法の中身に入る前に一つだけ、二月十四日に大臣の所信表明に対する質疑を行いました。
 この中で、電気通信事業の今後の発展に関連をいたしまして、私は、今後高度情報化社会の中における移動体通信の役割というものが極めて重要になる、こういう立場から、移動体の今後のあり方について、特に今移動体通信の中心になっておりますNTTの分離の問題などについて御質問を申し上げたわけです。
 私も、移動体の分離の問題でNTTと郵政省が非常に御苦労しながらお話し合いをされておるということについては、その推移については十分理解をしております。また、移動体の分離の問題については関心を持っている有権者の皆さんも非常に多いという状況ですから、最終的に詰めの段階に来ているんではないかな、こういう立場で最終的な郵政省の考え方をお聞きをしたわけです。
 私、中身についてはとやかく言うつもりはありませんし、反対をする立場でもございません。ただ、私が申し上げたいのは、二月の十四日が質問の日になっておりまして、この中で、例えば「日経コミュニケーション」に載った森本電気通信局長の記事なども参考にしながら、最終的な郵政省の見解いかがか、こういうふうにお聞きをしたわけですが、局長の御答弁では、例えば「日経コミュニケーション」の記事などについては、これはマスコミの記事だから、先生もマスコミの記事などについては十分御理解していただけると思うとか、あるいは今鋭意検討中である、こういうふうに言われたわけです。私はそれはそれなりにいいと思うんですけれども、それが二月の十四日。十六日が土曜日で十七日が日曜日、二月十八日の日経新聞に、移動体の分離の問題については郵政省とNTTが合意をしたという中身でかなり詳しい報道がなされておりまして、そして翌々日の日にNTTの児島社長が、最終的にこの移動体分離の問題については郵政省との間で合意をしたということで、具体的な内容がマスコミに正式に報道される、こういう状況になっておるわけです。
 私は、先ほど言っているように、この問題について反対をする立場でもありませんし、郵政省とNTTの努力については敬意を表しておる立場です。しかし、関心を持っている方がたくさんおられまして、私の質問の内容が流れたとき、着いたころには新聞とかで正式に合意の問題が出されてくるということになりますと、私が申し上げたいのは、国会における議論という権威の問題についてはもっと考えなければいけないんじゃないかという観点とか、こういう対決法案ではありませんからお互いに理解をし合うというような問題の場合には、適当に質問をして適当に答えておるんではないかと有権者などがとられた場合にはやはり非常に印象が悪いと思うんですね。ですから、そういう意味では、こういう問題についての討論というのはお互いにきちんとしなければいけないんじゃないかな、こういう気がいたします。私も素人ですから、いろいろわからない点について質問をいたしますけれども、こういう討論については多くの有権者の皆さん方が関心を持っておられるということを考えた場合に、この移動体分離の問題における郵政省の答弁というのはいささか問題があったんではないかな、こういう気持ちがいたします。
 この点について、国会における議論の権威の問題ですから、大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。
#26
○関谷国務大臣 この御指摘のありました問題に入ります前に、田中委員の御趣旨、委員会の討論
というものは真剣なものでなければならないということ。私は大臣に就任いたしまして特に自分自身に言い聞かしておりますことが一つあるわけでございますが、答弁は正直にそしてしっかりと自分の信念でもってお答えをしたい。わからないことはわからない、現在わかってないことはわからないし、そしてまた言うべき内容、その時点におきまして言うべきことではないということはまたそこでは発言はすべきことではないと思っておるわけでございます。
 そういうような基本的な考え方から考えまして、日時のことにつきましては後から事務的に局長から答弁をさしていただきたいと思うわけでございますが、この問題につきましては、昨年の春以来、NTTとそのあり方につきまして意見交換をしてまいっておるわけでございます。先生御指摘のように、この内容自体には決して反対ではない、その答弁の時期そして内容について不審があるということであるわけでございまして、これは本来、二十日の取締役会で最終的に決まった話であるわけでございまして、したがいまして、局長が答弁をいたしましたことがその時点におきましてはもうつついっぱいの答弁であったと私は思うわけでございます。しかし、その新聞に事細かく記事が報道されたということは、どこからどういう話として出たのか私も存じませんが、こういうことは実際に不愉快な話でございまして、そういうリークをしたといいましょうか、私はそういう方の考えを本当に疑うわけでございます。
 そういうようなことでございまして、あの二月の十四日の時点におきましては、やはりこれは政策的な考え方、またNTTの会社の経営にも密接に関係をすることでございましょうし、あるいはまたそういうようなことによって株価もいろいろ動いてくるということもあるわけでございますので、局長の答弁は私は非常にやむを得なかったことであると思っております。ただ答弁というものは、今後このことに関してどうこうということではないわけでございますが、私たち答弁する者は、正直に真摯な気持ちで今後答弁をしていきたいと思っております。
 日時のことにつきましては局長から報告をさせます。
#27
○森本(哲)政府委員 ただいま大臣から申し上げましたとおり、答弁については政府委員も同じ考え方で臨まなければならないし、またそういう立場で私どもも対処しているつもりでございます。
 ちょうど十四日の日に御質問がございまして、正直言いまして相当程度煮詰まっていることは事実でございますが、確定という意味にはまだ日時が要るわけでございまして、ただいま大臣が申し上げましたように、このことが決定されたというのはNTTとしては二月二十日の取締役会でございます。
 したがいまして、私その当時申し上げましたのは、まだ具体的な構えのことを申し上げるわけにはいかないけれども、しかし幾つか視点を考えなければならない。つまり、NCCはもう既に地域的に発足している点をどう考えるか、あるいはNTTとしての技術的な能力をどう維持していくか、あるいは全国的なシステムの統一性というものをどう考えるか等々、いろんな観点から多面的な点で検討をしておる段階で、今詰めておりまして、いずれ明らかになった時点で御報告をさせていただきたい、こういうふうに申し上げたわけでございますが、ただいま大臣からも申しましたとおり、この問題はNTTの経営の重要事項でございますので、かつての電電公社の時代と違って株主という方も大勢いらして、このことに関してこれまでも報道が何度かございましたりして、私ども大変神経過敏に対応してまいったわけでございますが、そうした意味合いで、決まった時点では直ちにということで取締役会が終わるという時点で、株式市場が閉鎮になる三時にNTTが発表いたしまして、私どももその日の夕刻五時に、NTTから発表した時点をさらに政府の立場としても補完をしながら説明をした、こんな状況でございます。
 大変、一連の経過を見れば先生にとってあの答弁は何だったかという点についていろいろ御批判もあることは十分理解ができるところでございますが、今のような経過をたどったということをまたひとつあわせ御理解を賜りたいと存じております。
 同時に、この新聞の記事に対しては、当事者であるNTTも私どもも相当厳重な情報管理をしたつもりでございますが、結果としてこういうことになっております。ただ、中には社長の人事まで書いてありまして、そういう意味ではこの記事自体が正確な責任者から発表されたものでないというふうに私どもは信じておるところでございます。
#28
○田中(昭)委員 まあ言いたいことも若干ございますけれども、今の大臣なり局長の答弁を受けとめまして、私を含めまして国民の皆さんの期待に沿うようなそういう委員会にするように努力をしていただきたい、こういうふうに思います。
 次に、電気通信施設の整備なりあるいは特定専門技術者の育成を中心とする今回のこの電気通信基盤法については、私は賛成の立場でございます。そのことを前提にして幾つかこれをめぐる今日的な情勢などについて御質問をいたしたいと思います。
 まず一つは高度情報化社会の基盤整備ということが中心なんですけれども、一九九〇年代から二十一世紀に向けましていろいろな国の政治のキーワードがあると思いますけれども、私は高度情報化社会の基盤整備というのもそのキーワードの重要な一つである、こういう立場に立つわけです。 今、高度情報化社会の基盤整備の流れというのは幾つかございますけれども、私は特徴的なことを三つ申し上げたいのですが、一つは郵政省が積極的にテレトピア構想というものを打ち出して具体的に御指導なさってやっておる面があります。それから建設省もインテリジェントシティー構想というものを打ち出しておりまして、これもアンバラがあるようですけれどもかなり進まれているのではないかと思っております。それから通産省もニューメディアコミュニティー構想というものを出しておりますし、また性格はちょっと違いますけれども農林省もグリーントピア構想というものを出しておる。各官庁が高度情報化社会の中でみずからが所管する範囲についてこれをどう充実するかということでいろいろ御苦労されておるし、またいろいろな企画を立てておられる。これが一つの状況としてあると思います。
 それから二つ目の情勢は、日米構造協議というものがなされまして、この日米構造協議に基づく公共投資というものがあると思います。これも重要な今後の一つの課題である。この中で、高度情報化社会に向けてどういう公共投資、設備をしていくのかというのも非常に大きなポイントになるだろうと思います。
 それから三つ目の大きな流れというのは、電信電話公社がNTTということで民営化をしてきた。これは民間の一企業として日本の電気通信事業を進めていく、こういうことと同時に、この民営化に伴って第一種事業者として幾つかのNCCが参入をしてきた。競合体制、いわゆる競争原理が導入をされてきた。これがお互いに切磋琢磨、競争していく、こういう情勢、流れがあると思います。
 幾つかあると思いますけれども、大きく分類しますと高度情報化社会というものに向けてこの大きな三つぐらいの流れの中で進んでいくのではないかな、こういうふうに判断をするわけです。
 そこで、先ほども上田委員から御質問がございましたように、こういう将来の高度情報化社会づくりに向けていろいろ取り組まれるものについて、これが各個ばらばらという形でなくて総合的な一元的な情報通信行政というものが必要になってくるんじゃないかな、これは非常に重要だな、そのポイントはやはり郵政省だ、こういうふうに思うわけでありまして、そういう意味では今後の強力な高度情報化社会づくりに向けての一元的な情報通信行政、それと今回出された法案との関連
など含めましてひとつ所見をお伺いしたいと思います。
#29
○関谷国務大臣 先生御指摘の大きな三つの問題があるわけでございまして、その基本の御指摘はそれぞれの分野のものが協調してやっていかなければ、相乗効果を出していかなければならないという御意見であろうと思うわけでございます。
 まず一つは、先ほど上田先生の御質問にもございましたが、各省庁がこの電気通信事業をいろいろな分野で利用し、そしてそれぞれの範囲の発展を図っていくということでございます。したがいまして、これは先ほど答弁もさせていただきましたが、各省庁協力し合ってやっていきたいと思っております。
 二番目の日米構造協議から参りました公共投資の問題でございますが、これは先生御承知のように十億円ばかりでございますが、生活関連特別枠の中で初めて郵政省に公共事業予算を獲得することができたわけでございまして、電気通信の地域間格差を是正していく事業、これを進めていこうといたしております。これは予算の額は三年度は十億ということでまだ小さなものでございますが、今後これをまた大きなものに伸ばしていきたい、そのように思います。
 それから今度は、いわゆる第一種通信事業者そして第二種通信事業者は昭和六十年の自由化以降今日まで約九百幾らでございますから千社に近い新規参入者があるわけでございますが、これは何といいましてもNTTとの関連がなければ事業としてできないわけでございますから、その新規参入者の方々とNTTがどのように協調をしていくか、いわゆるいい意味での公正な競争条件をつくり上げていくために我が郵政省は指導もまた現在行っておるわけでございますが、これはそういう立場からやっていきたい、そのように思っております。
 すべてがそういうようなことで、いい意味でのお互いの競争そしてまたある部分は協調し合っていく、そういう環境づくりをしていかなければならないと考えております。
#30
○田中(昭)委員 そういう基本的な立場に立って少し高度情報化基盤整備事業という枠の中で質問をさせていただきたいのですが、高度情報化基盤整備事業においてその柱となるといいますか、あるいは具体的な集約点といいますか、それは一つは通信網のディジタル化だと思います。もう一つは、これも究極になると思いますけれども、加入者線の光ケーブル化だと思うのですね。そういう立場から、一つは、通信網のディジタル化それから光ケーブル化計画というものについて、今日的な状況、今後の促進計画についての基本的な郵政省の考え方をお聞きをしたいというのが一つで
す。
 それとの関連で、今回出されておる基盤法の対象というのは、先般レクチャーの際にもお聞きをしたのですけれども、むしろNCC、第二種事業者、ここがやはり基盤法というものの対象になるのではないかな、こういうふうに思うわけですね。先ほど言いましたように、NTTが民営化されていわゆる競争原理が導入された、こういう状況の中でNTTも八九年の九月に中長期のディジタル化計画というものを発表しておりまして、これはかなり進捗状況が速いものですから、前倒しをしながら、ディジタル化の完了見込みというのを二〇〇〇年から二〇〇五年に置いて今取り組まれておるのではないかな、こういうふうに今私は理解しておるのですが、いずれにしてもNTTの場合には網にしてもあるいは交換機設備にしても、それぞれ今日逐次計画が進んでおるわけですね。こういう中で、先ほど申し上げました一元化との関連もございましてNCCも今後ディジタル化の問題とかそういう問題については取り組んでいく、こういうことになると思うのですね。
 そういう意味では、総合的な日本におけるディジタル化網をどうつくっていくのかというような問題を含めまして、お互いに競争原理、競争はしますけれども、全体として調整、指導というものが必要になってくるのじゃないか。そうでなければかなりばらばらになって、民営化した、競争原理が働かなければいけないという点ではそのとおりでありますけれども、国全体から見た場合にロスとかあるいは調和がとれてないとか、調整がなかなかついてないとか、こういう問題が出てくるのではないかなというふうに考えるわけで、この点についての郵政省としての見解といいますか指導理念といいますか、そういうものについてお聞かせをいただきたいと思います。
#31
○森本(哲)政府委員 この基盤整備事業はNCCに限らずNTTも含めてひとしく電気通信事業者全体を対象にしておるわけでございます。それぞれがディジタル化を進めていった際に、御指摘のように全体としてこの調和がうまく持てるのか、あるいは政府はその間に何をやっておるのかという御質問かと受けとめたわけでございますが、基本的には、昭和六十年の電気通信制度改革というのは、各事業者が競争を行っていく中で、できるだけ効率的な設備投資を促進して、これによって国民利用者全体がなるたけ低廉な料金で高度なサービスを受けるというのが目的で、現在この線に沿って、事業者の経営の効率ということを通じて、そのことが国全体の設備投資の効率性の追求という形を目指して動いておるのだろう、こう思っておるわけでございます。
 ただ、今お示しのディジタル化あるいは加入者系の光ケーブル化というような問題を完全に事業者任せということにいたしますと、やはりこれは一種の大きな社会インフラでもあるわけでございますので、この点について、さればといって一挙に国が青写真を示して事業者にこのとおりやれという性質のものでは断じてないだろう。そうとすれば、やはり国としてはいわば概論的にと申しますか、大きく一定の方向性を示す、あるいは各般の支援措置を具体的に行って、そこで全体としての、国全体のあらまほしい方向へ持っていく、こんな方策というのが現実にとられる、またとられなければならない、こう思っておるわけでございます。
 端的に、具体的に今お話しのディジタル化の問題については、これは加入者系まで及んでおりますのは現在NTTが直接やっておるわけでございますが、当初これはまだ二、三年前は今お話しのように二〇〇〇年を超える計画でございましたが、去年のNTTのあり方というような論議の中で、これはもう少し高度なサービスを国民が受けるためにも、あるいは事業者間の接続のためにもディジタル化を思い切って前倒しをしてほしい、お願いしたいということで、御案内のとおり「政府措置」にもうたいました。
 その後NTTも大変御努力をなさって、現在のところの計画ではクロスバーの全滅というものを、クロスバーというアナログ方式の交換機がございますが、これは九四年にすべてなくしてしまう、そしてまた電子交換機のうちのアナログの方も九七年にはこれまた全体をなくして、全体のディジタル化を図るという計画が具体的に固まっておるわけでございますが、政府としても六十三年以降、こうしたディジタル交換機の導入については、税制上特別償却あるいは税額控除という税制措置を講じて支援をしてきたわけでございます。
 なお、光ケーブルというのは本当にこれからのことでございまして、まだ家庭まで入っている部分は全体の中でほんのコンマ何%ぐらいでございますので、むしろこれからが本格的な取り組みということに相なりますが、私どもとしては、光ファイバーについてはNTTの事業者のみならず、放送事業者、CATV事業者も大変関心を持ってございます。昨年から光ファイバーシティー推進懇談会というようなことで、将来光ケーブルを推進するについてどういう問題があるか、どういう障壁があるのか、あるいは政府としてどういうことが期待されるのかというようなことを各般にわたって検討しておるわけでございまして、いずれにしても、お示しのように競争原理に任せながらその弊害をどういうふうに取り除き調和を保っていくかというのは、今後常に政府として取り組ま
なければならない課題だと考えておるところでございます。
#32
○田中(昭)委員 今の議論との関連ですが、国内においてそういう競争原理を働かせながら、お互いに競争し合いながら、基盤整備をしながら電気通信事業をやっていく、こういう状況だと思うのですが、高度情報化基盤整備の最終的な目標といいますか、集約点といいますか、そういう言い方がいいかどうかは別にしまして、これはばらばらになったディジタル網を統合した、いわゆる一般に言うISDNではないかなというふうに理解をするのですが、国内ISDNサービスと、さらにどれが国際化社会の中では国際ISDNサービスに発展をしていくということが将来必ず出てくるし、また必要である、こういうふうに思うわけです。
 この場合、お互い相互接続の問題とか技術の基準化の問題とか、そういう問題などがいろいろ出てくるのではないかな、こういうふうに思っておりまして、断片的には理解しておる点もございますけれども、郵政省の中にもISDN時代の技術基準等のあり方に関する研究会なども設置をされていろいろ報告も出されておるようでありまして、そういう意味では、将来を展望した今後における国内ISDNなり国際ISDNに至る今後のプロセスなどについてどういう展望をお持ちなのか、この点をひとつお聞きをしたいと思います。
#33
○森本(哲)政府委員 お話しのとおり、これからのネットワーク、とりわけISDN時代における標準といいますか基準といいますか、高度な設備だけにお互いのネットワークが、いろいろな異業種のネットワークがうまくつながるということ、あるいはそれに高度な端末が自由にうまく接続できるかという問題は大変大事でございまして、この点に関しましては、特にISDNにつきましては、ITUの下部機関でございますが、CCITT、国際電信電話諮問委員会というのがございまして、そこで大枠を決め、そして各国がそうしたものをにらみながら各国独自のものをやってまいっている、こういう状態でございます。
 だからといって、これは政府ですべての基準を決めてしまうというのも問題でございますので、我が国では御案内のとおり、ネットワークの技術基準あるいは端末との接続のための技術基準、これは事業法で非常に大ざっぱな形で、例えばネットワークに損傷を与えるものであってはならないとかそうした大枠を決めて、さらに事業者が独自にその技術基準では十分でない部分は技術的条件ということで今定めておる、こういうことでございます。
 ただ、技術的基準なり技術的条件だけでは今お話しのような接続がうまくいくということを万般にわたりましては担保し切れないものでございますから、そこではできるだけ民間の基準を活用しようということで、日本では、これは民間団体でございますが、電信電話技術委員会、略称TTCと言っておりますが、ここに事業者だとか機器のメーカーだとか利用者だとか、こんなものに入っていただいて、国内標準の策定化ということに努力を願っておるところでございます。
 現在のISDNのナローバンド、現在のISDNについては、さっき申しました国際標準も決まっておりまして、ほぼでき上がっております。今NTTとかKDDもこれについてTTCの標準をつくって、これに準拠した形でもう既にサービスを開始いたしております。国際間でも同じような、ヨーロッパではETSIと略しておりますが、欧州電気通信標準機構、あるいはアメリカではアメリカ国家標準機構、ANSIというふうな形で国際標準をにらんで各国独自の標準をつくっておりまして、そうした形で今進捗をいたしておりますので、お示しのような国際間のISDNネットワークの構築も次第に進んでおります。
 現在KDDが提供しております国際ISDNについては八対地、アメリカ、イギリス、フランス等がもう既にこの三月時点ではできておるわけでございますが、この年度末にはさらに香港とかドイツとかベルギー等々、十六対地を追加する計画にもいたしております。いずれにしても、各国の標準化あるいはそれぞれの国の標準化の努力というのが大変重要である、政府としてもできるだけそうした環境づくりについて鋭意努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#34
○田中(昭)委員 今、ある面ではハードの面について、今後の高度情報化社会に向けての基本的な考え方をお聞きしたわけです。
 それで、これは電気通信事業法の場合でも、冒頭の第一条にその目的として「国民の利便」であるとか「公共の福祉」というものが明記されているわけですし、また、例えばNTTの会社法などの場合にも、あまねく公平なサービス提供というものが明記されていると思います。そういう意味では、今申し上げ、いろいろ御説明をいただきましたように、高度情報化社会の中でハードの面で進んでいくわけですが、私は、その目的というのは、一つは、高度情報化社会というのは国民の生活なり福祉により寄与するためのものでなければ意味がない、これが単に大企業だけが利用するみたいなものであってはならない、そういう意味では国民の福祉、生活により密着したものとして位置づけることが必要であると思います。
 そのためには、地域間格差を解消していく、そして断層を埋めるということが極めて必要であるし、やはりそこに焦点を置いた取り組みが必要ではないかな、こういうふうに思うわけです。この場合、例えば競争原理を導入したということですが、あまねく公平にサービスを提供する公共性という立場と、それから企業性という問題が出てくるわけですね。
 率直に申し上げますと、企業が赤字で大損をしてまでいろいろな設備を施設してサービスを提供するということはあり得ないわけでありまして、そういう意味では、ペイをするサービスを提供するという面に企業性という面では力がかかってくる。いわゆる公共性と企業性というものについては矛盾がある。競争原理の導入という面では、そういう意味では確かにいい面もありますけれども、そういうマイナス面もあるということだと私は思うわけです。
 これは大変難しい問題でありますけれども、ハードの面でテンポが速い形でどんどんと進んでいく中では、そういう面についての配慮を十分考えていくことが極めて必要ではないか。そうしなければ、単に法律の第一条で「公共の福祉」であるとか「国民の利便」であるとかいうことだけを訴えたとしても、現実的には、企業が赤字になって倒産してまでサービスを提供したり設備を施設することはないということになった場合に、先ほど申し上げましたように郵政省の監督官庁としての行政指導というものが非常に重要になってくるのではないかと考えるわけでありまして、そういう意味では、ソフトの面から、この点についての郵政大臣などのお考えをぜひお聞きしたいと思います。
#35
○関谷国務大臣 田中先生御指摘の点があるわけでございまして、そのためにも、先ほど述べさせていただきましたように公共事業の生活関連の特別枠で予算化することができたわけでございまして、おっしゃいますように、公共性と企業の方からの立場を考えますと矛盾するところがあるわけでございますから、そこを私たちが指導していきたいということでございます。
 そういうようなことでございまして、まずこの地域格差をなくしていくということで、電気通信格差是正事業というのを始めております。そういうようなことでイニシアチブをとって、また民間の方の協力もいただくということで進めていきたいと思っておりますし、僻地であるとか離島であるとか、そういうところにサービスを提供していって、国民がどこにいても同じ利便さ、幸福を享受することができるということに努力をしていかなければならないと思っております。
 それから、先生御指摘のソフトの面でございますが、おっしゃいますように今回の法律でもって人材を育成していくということでございまして、
これもなかなか中小企業におきましては、そういう研修に力を入れるというものも大企業に比べますと何十分の一だろうと思うわけでございますから、企業でも十分な力を持っていない、そこの人材をまた研修させていくということは、この法律をつくるときに私たちが頭の中にまず第一に浮かべたそういう意味での人材の養成、特に地方ではハードの施設をいかに立派なものを行いましても、それをハンドリングするだけの技術者がいないということではどうにもならないということで今回この法律を提出させていただいておりますので、その点は特に肝に銘じて対処してまいりたいと考えます。
#36
○田中(昭)委員 今、私の質問に対しまして大臣の御答弁をいただきましたので、前段の基本的な立場についてはさらに御努力いただきたいと思いますし、私たちもそういう立場で、これは非常に矛盾のある問題でありまして、難しい問題がありまして、現実的に地域間格差、サービスの断層というのは非常にあるわけで、そういう点では努力をしなければならないと思います。
 そこで二点目に、人材の問題について御答弁が今ございましたので関連いたしましてお聞きしたいのは、これはレクチャーなどでもある程度理解しておるつもりでございますけれども、第十一条では、NTTそれからNHKに協力を要請しておるということで、人材研修事業については第三セクターないしは公益法人ということでイメージさせていただいておるわけでありますが、例えば学習塾などの場合は、単に部屋があって机を並べて、そこに先生が来れば実施できるという面があると思うのです。しかし、今回提起されておる将来を見通したような相当高度な技術を習得するという研修センターなどの場合には、優秀な教官だけを招請したとしても、NTTやNHKから来たとしても、いろいろな設備が必要になってくるのではないか。
 例えばNTTの研修センターがございます。これは百年くらいの歴史があるわけです。逓信省時代からの歴史があるわけで、相当充実した設備などもあるわけです。そういう意味では、第三セクターとか公益法人で新しい研修センターをつくるというけれども、そういう充実した研修センターが現実的にできるのかどうかという問題がイメージの中で出てくるわけです。
 それで、例えばNTTとかNHKのような歴史のあるところで、研修センターがきちんとしたものがあるわけです。NTTの場合にも、全国十カ所を今回経営の効率化などの問題もあって五カ所に統合する、こういう問題なども現実的にあるわけですが、NTTとかNHKあたりのそういう充実した研修センターなどに委託するというような発想はないのかどうか、そういうものの利活用という問題についての発想はないのかどうか、そして、第十一条で言うNTT、NHKの協力というのは単なる精神論的なものなのかどうか、そこらを含めてイメージをもう少しはっきりさせていただきたいと思うと同時に、今いろいろ御説明いただきました高度情報化社会が進んでいく中で、今後、技術者というのですか、それをきちんと担当できるような技術者というものは大体どの程度のものを予測しながら考えておられるのか、少しお聞かせいただきたいと思います。
#37
○白井政府委員 まず最初に、法案の第十一条にNTT及びNHKに対してこの法案の施行についていろいろ御協力をお願いしたい旨の規定を置かせていただいておりますが、これは申し上げるまでもなくNTT、NHKは通信・放送の分野で我が国において先導的な役割をずっと果たしてきておられたわけでありますし、また、特にNTTなんかについては民営化されたとはいえ、かなり公的な使命も担っておられるわけでございます。かつまた、これらの二つの組織は全国的な組織も持っておられまして、そのようなことから、この法律案でお願いしております情報通信基盤の整備というものの重要性にかんがみまして、特にNTTとNHKに対してはこの法律の実施について協力をお願いしたいということで、このような条項を入れさせていただいたわけでございます。それで、先生がお話しになりましたように、特に人材研修事業につきましては第三セクターなどが事業主体として実施をするということを私どもも念頭に置いております。
 ところで、このような支援策を講ずる必要があるというふうに考えましたのは、まさに先生がおっしゃいましたように、この種の人材研修事業を行うというのは、ただ講師の先生をお招きするということだけではもちろん足りるわけではございませんで、実際に実習のようなものを行うためにはそれ相応の施設というのがどうしても必要なわけでございます。これが実はかなりお金がかかるということを考えまして、そのようなことを前提といたしましていろいろな出資などの支援を講ずる必要があるということで、この法律案をお願いすることになったわけでございます。
 ところで、NHKもNTTもそれぞれ実際の研修センターのようなものを持っておられることは、これも先生の御指摘のとおりでございます。しかもNHK、NTTとも、一部は部外の研修生なども受け入れまして研修をしていただいておるということもございます。ただ、このNHK、NTTにおける研修というのは大変高度なものでございまして、受け入れる数もかなり限られたものがございまして、NHKの場合はもちろん東京だけでございますし、NTTの場合は部外の方の受け入れは、私どもで承知しております限りでは東京と鈴鹿の学園の二つのところで部外の研修員を一部受け入れておられるようにお聞きしておるわけでありますが、当然限度がございます。
 それで、実ははっきり申し上げますと、NHKやNTTの研修センターで系統的に、かなり専門的に受けられるような研修までは、ちょっと私どもが考えておる人材研修事業ではそこまではいかないと思いますけれども、もっとそれぞれの地元で、実際に企業で働きあるいは地方自治体で働いておられる方がそれぞれの御自分の仕事に合わせて必要な研修をもう少し手軽に受けられるようなことを考える必要があるということが、実は今回の法案の人材研修事業の中身になっております。それ以上にもっと系統的、専門的に教育を受ける必要がある、あるいは研修を受ける必要があるという方は、場合によるとNTTやNHKの研修センターあるいは学園などで勉強をしていただくというようなことも出てこようかと思いますが、私どもの方で考えておりますのは、もう少し地元でそれぞれの企業とか自治体の仕事に密着した形で実務的な研修を行うというのが主な内容になっておるということでございます。
#38
○田中(昭)委員 それでは、もう少しございますけれどもちょっと中途半端になりましたので……。
 いずれにいたしましても、高度情報化社会というのは我々が考えている以上に今後速いテンポで進んでいくのじゃないかな、こういうふうに思います。その中においては、先ほど申し上げましたように、やはりあまねく公平にサービスを提供する、そして離島におっても僻地におっても都会に住んでいる人たちと違わないような希望するようなサービスが受けられるというような、国民生活に密着をした、公共の福祉に適合した、やはりそういう社会でなければいけないのじゃないかな、こういうふうに考えておるわけでありまして、そういう意味では、郵政省としてはそういう国民の期待に沿うように今後鋭意努力をしていただきたいということを重ねて申し上げたい、こういうふうに思います。
 それで大体終わりたいと思うのですが、最後にそういう点で大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
#39
○関谷国務大臣 大変貴重な御指示をいただきましてありがとうございました。おっしゃるとおりでございまして、全国どこにいても平等にその利便さを享受することができるという体制をつくっていくということがまたこの法律の目的でもございますから、一生懸命頑張っていきたいと思います。
#40
○田中(昭)委員 終わります。ありがとうございました。
#41
○野中委員長 次に、秋葉忠利君。
#42
○秋葉委員 質問をさせていただきます。
 この電気通信基盤充実臨時措置法案の内容については、いろいろと御説明をいただきまして、基本的には賛成したいと思っております。それに関して、法案の内容について、それからこれから行われようとしている事業の内容、その大枠をもう少し明確にするという目的で幾つか質問をしたいと思います。
 まず最初に、これは前に円滑化法、俗称ですけれども、その審議のときにも質問したことなんですが、今回の法案の第六条、通信・放送衛星機構についてのかかわりが書いてあるところがあります。そこに「この法律の目的を達成するため、次の業務を行う。」ということで一、二、三と三つの項目が挙げられているのですが、前回質問したことと同じなんですけれども、いわゆる機構法の目的に照らして、機構法の目的は第一条ですね、ここに書かれている一、二、三がどういう脈絡を持ってその目的を達成することになるのか、ちょっと私の法律の読み方が悪いのか、常識に欠けているのか、あるいはその他の理由によるのかよくわかりませんけれども、一読しただけではその目的を達成することになるのかどうか判然としない部分がございますので、できたらその部分についてまず御説明をいただければと思います。
#43
○白井政府委員 今回御審議をお願いしております法律案におきましては、通信・放送衛星機構を介しましていわゆる情報通信基盤の整備のための事業について支援をしたいというのが主な法律案の骨子になっておるわけでございます。
 ところで、通信・放送衛星機構を介するということについて、そのようなやり方が必ずしも妥当ではないのではないか、あるいはもし通信・放送衛星機構を介してやるとした場合においても、通信・放送衛星機構法そのものを改正するというようなやり方で行うべきではないか、そういうような御趣旨での御質問というのが昨年の通信・放送開発法の御審議の際もいろいろ先生方からいただいておったわけでございます。今回もそうした御指摘が昨年あったということも十分念頭に入れまして私どもとして検討させていただいたわけでありますけれども、結論としてはまた今回も通信・放送衛星機構に特例業務を追加するというような形で法律案を出させていただいたわけでございます。
 もちろん法律論としては、このようなやり方というのはほかにもございますので、それが理屈としていいとか悪いとかいうことは、そういうやり方が悪いということには私はならないと思いますが、ただ、いろいろ先生方の御指摘を私なりに理解をしてみますと、一つは、今秋葉先生おっしゃいましたように、もともとできたこの通信・放送衛星機構法という法律を見ても、この今回提案をしておるような内容の業務を機構が行うということはどこにも書いてないではないかというような意味での御指摘もあろうかと思いますし、それからまた別の角度から考えますと、もともとその通信・放送衛星機構というのは衛星の管制等の業務を行うというようなことでできた組織であるのに、今回の法律案の内容になっているような支援策を講じるというのは、衛星の管制というようなことからすると、かなり離れた内容の仕事を機構に行わせるということになるのではないか、そういうようなのが先生方のいろいろな御指摘の御趣旨のように拝察をするわけであります。
 結論的に言いわけがましいことを言わしていただきますと、昨年の御審議のときにも申し上げておったわけでありますが、やはりこういうような支援策というのは国自身が直接行うということができないものですから、どうしても特殊法人等を介して行うより仕方がない。ところで、私どもの郵政省で管轄をしております法人ということになりますと実際にはこの通信・放送衛星機構しか結果的にはないということになるわけでありまして、たまたまこの通信・放送衛星機構というのが昨年の法律でも業務の追加が行われておりますし、今回の法案で考えております支援策の内容というのも、昨年の法案とダブるというのもかなりありまして、そのようなことから、この通信・放送衛星機構にやはり同じ形でお願いをするしか方法はないのではないか。特に、今回の法律案につきましては、十年間を限っての臨時措置法ということにさせていただいておることもありまして、いろいろ検討しなければいかぬ点は確かにあろうかとは思いますけれども、今回のような形でお願いをして、急を要するといいますか緊急の課題である情報通信基盤の整備を進める必要があるということでお願いをした次第でございます。
#44
○秋葉委員 事業そのものが社会的に意義のあることで、しかも今という時点でやっておかなくてはならないことである、そういった認識は私も持っておりますし、その点でやり方としては特殊法人といったものを使う以外にないということも十分理解できます。急を要するし臨時的な措置であるから十年間を限度としてこういったものをとにかくやりたいのだ、使えるのが通信・放送衛星機構だけであるということもよくわかるのですが、ただ、ここで問題にしているのはそういったところではなくて、いわば法治国家の原則といいますか民主主義の原則ということを問題にしているわけです。
 ほかにも実はこういう例があるということを言われましたけれども、そこが問題点の一つですし、それから今おっしゃいましたように前回の円滑化法案、それを審議する際にやはり同じことが問題になったのですけれども、やはり同じような理由で、この円滑化法案は特殊法人を通してやる以外にはない、社会的にはどうしても必要な仕事である、だからこれを使ってやろうということで、いわばそれは臨時的な措置として認めてもいいんではないかという理由でこの点がクリアされたというふうに私は考えるのですが、今のお答えですと、実はその臨時的な措置でクリアされたことが前例になって、そういう前例があるからもう大手を振ってどんどん法律の目的から逸脱してしまっていいのではないかというような議論に、どうも発展しつつあるような気がいたします。
 それを意図的にやっているかどうかという問題ではなくて、最終的な結果としてそういう法律の拡張解釈が行われるということは、やはり法治国家の本来の原則から随分おかしなことになるのではないか、それが一つの点ですけれども、これを特に今回問題にしたいのは、ほかにもある例の一つとして例の自衛隊法百条の五という問題があったからです。
 改めて申し上げるまでもないと思いますが、自衛隊法の百条の五というのは「国賓等の輸送」ということで、その「等」の部分に避難民を入れる。特に中東危機に際してあるいは戦争に関連してどうしても避難をしなくてはならないようになった人人を輸送する。その「等」のところに含めるということで、それが拡張解釈である、授権の範囲ではないということが問題になりました。
 例えば、イギリスの例ですと、こういった政令とかその他省令、さまざまないわば委任された立法権というものを監視する立法府内の委員会というものがあって、例えば常識を外れたもの、あるいは本来意図されていなかったような解釈に関してきちんとした判断を下して、最終的には立法府で授権の範囲かどうかという決定を行うという一応メカニズムがあるのですが、どうも我が国ではまだそういったきちんとしたメカニズムができていないというふうに私は理解しておりますので、特にこの点を改めて問題にしたいと思います。
 つまり、ここで確認しておきたいことは、やはり目的を逸脱しているのだということをはっきりと理解した上で、しかもそれを超法規的にやらざるを得ないというところだと思うのです。今申し上げた自衛隊法の百条と比べますと、この通信・放送衛星機構法の第一条は、最終的なところは「宇宙における無線通信の普及発達と電波の有効な利用を図ることを目的とする。」ということになっています。今ここに提出されている法案、臨時
措置法の第六条の一、例えばここは「実施に必要な資金を調達するために発行する社債及び当該資金の借入れに係る債務の保証を行うこと。」それが、「宇宙における無線通信の普及発達と電波の有効な利用を図ること。」にどういうふうに寄与するのか。やはりそこのところの乖離をはっきり認めていただいた上でその先を考える必要があるのじゃないかと思うのですけれども、その点について再度解釈をお願いいたします。
#45
○白井政府委員 最初に申し上げにくいことを申し上げたいと思います。
 先生のただいまのお話の中に超法規的な措置でこのようなことをやったのじゃないかというようなお話もございましたけれども、実は私どもとしては、法律としての理屈は、これはこれであり得ると思っておるわけです。ただ、先生方の御指摘は御指摘として、私どもとしても十分考えなければいかぬところがあるわけでありまして、特に先ほどの繰り返しにもなりますけれども、もともとの通信・放送衛星機構ができたときの経緯からして、今回特例業務として追加する業務の内容というのはかなりかけ離れているのではないかという御指摘については、そういうお話は十分にあり得るというふうに私ども考えておるわけでありまして、そういう意味では、特に支援策を講ずるための法人を別につくってやりますと形としては最もすっきりするわけでございます。ただ、そのようなことは現下の行財政事情からするととても許されない、新しい法人をつくるということはとても現実問題としてはやれないということで断念せざるを得ない。ところが、ではそれが無理であるならば通信・衛星機構法そのものをむしろ変えて、もっとあえて言えば、第一条の目的もきちっと書きかえてやるべきじゃないかというのが先生方のもう一つの御指摘ではないかと思うわけであります。
 この点につきましては、あえて私どもの言いわけをさせていただきますと、この通信・放送衛星機構というのは、特に衛星の管制等の業務を行う機構という組織をつくるということに主として主眼を置いた法律でございます。他方、昨年成立いたしました通信・放送開発法という法律は、情報通信関係の新規の事業分野を開拓するという観点から国がいろいろな措置を講ずるということを内容としていろいろな規定を置いた法律であるわけでございます。
 これらを全部一つの法律に今度合わせようということになりますと、目的とか業務の内容とかいうのも実は大変膨大な、また場合によると複雑なものにもなるという面もないわけではございませんで、事業分野の開拓という目的については目的に沿ったような法律案として一本の法律がある、それから今回御審議をお願いしております基盤整備というものについては、基盤整備という角度からいろいろな問題点あるいは支援策を内容とするような法律案で一本の法律案となっておるというようなことにする方が逆にはっきりわかりやすいのではないかという面もあると思うわけでございまして、結果的には新しい法人をつくるというのが現実問題として非常に難しいということからさまざまな御指摘になっておると思うわけでありますけれども、いろいろな事情があってのことだということで、ぜひ先生方の御理解をお願いしたいと思うわけでございます。
#46
○秋葉委員 いろいろな事情があることは十分お察し申し上げているわけなんですが、例えば、またこれは今国会での焦点の一つであった自衛隊機の海外派遣ということと並行して議論をしたいのですが、自衛隊機を派遣したいという気持ちを持つ背後、あるいはそれを自衛隊法百条の五の「等」という解釈を新たにつけ加えることによってやりたいということにもいろいろな事情があるわけです。
 ただ問題なのは、やはり法治国家ですから、行政が行う仕事の範囲というのは法律によって定められている。それの一番大きな枠組みが憲法ですけれども、その法律がある以上、憲法も含めてその法律の範囲内で仕事をしなくてはいけない、あるいは法律に定められた義務をきちんと果たさなくてはいけないというのが行政の仕事だと思います。それが、前にも申し上げましたが、非常に細かいところまできちんと一字一旬間違わないで行うということは恐らく現実的には不可能だと思います。しかしながら、これほど大きな逸脱をそのまま放置して、新しい法案が出るたびに現実と法律との乖離がますます大きくなっていくということは、法律そのものの存在を危うくすることになると思いますし、政治に対する不信感が大きくなる一つの原因であると思います。
 この問題は、どちらかというと自衛隊法に比べれば、そういった意味での憲法に抵触するといったことは、どこかで出てくるかもしれませんが、恐らく可能性は少ないだろうと思いますけれども、現実にここに出ている以上、その乖離を問題にして、乖離ができるだけ少ないように努力をしていく義務が行政の側にもあると私は思いますし、私たちにもあるんじゃないかという立場から質問しております。
 実は、もうこれは一年近くにもなると思うのですけれども、円滑化法案が提出されて以来、五月ですからまだ一年にはなっていませんが、その円滑化法の審議の中で同じような乖離を指摘いたしました。それは必ずしも理想的な状態ではなくて、法律と現実との乖離は埋めていった方がいいといった趣旨のお答えをいただいたわけですけれども、それ以来、例えば私が一番簡単だと思いますのは、今お答えの中にありましたように「目的」をある程度修正する、通信・放送衛星機構法の「目的」に、例えば「等」を入れるというのはおかしいかもしれませんが、ある程度、開発事業を行う、あるいは基盤整備を行うといったような本当に必要な事業も目的の中に盛り込むことは十分可能だと思いますし、それがある意味で行政の仕事ではないか、そういったところの準備を行うといったところも行政の仕事の一部ではないかと思うのですけれども、目的を変更することにそれほど大きな障害があるんでしょうか。
#47
○白井政府委員 今回の法律案を提出させていただく前の過程で実は私どもとしていろいろ検討したわけでありますが、その検討した内容の一番大きなものが、この通信・放送衛星機構に特例業務を追加するという形でやることについて、昨年の御審議の経緯もありまして、こういうやり方でやらざるを得ないということについてどういうふうに御説明すれば先生方の御理解がいただけるかということが非常に大きな一つの検討のテーマであったわけでありますが、このようになったということは、先ほど来るる申し上げたような事情によるわけでございます。
 ただ、法律論としてあえて言わせていただきますと、確かに五十四年に機構ができたときは、現在の機構法の一条にありますような目的、あるいはその他の条文に書かれておりますような機構の業務の内容であったわけでございますが、その後二、三回、新しい法律ができたり、あるいは場合によれば機構法自体が改正されるというようなことによりまして機構の業務が追加になってきたわけでございます。したがいまして、現在においては通信・放送衛星機構は、通信・衛星機構法に定められておる業務のほかに、ただいま申し上げました、その後法律が改正されたり新しい法律ができることによって追加された業務も機構の業務となっておるわけでありますし、また、その業務を遂行する限りにおきまして、それぞれの法律で定められた目的というのも、あえて申し上げますと機構の目的としてまた加わったというふうに理屈としては考えるべきではないかと思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、自衛隊法の方は私申し上げる立場にございませんが、私どもとしてはあくまで法律案ということで今回の場合も先生方に御審議をお願いしておるわけでありますので、国会の意思を無視して私どもが行政府の立場で、まあはっきり言って勝手なことをするという考えは毛頭ないわけでございまして、こうした法律案を提出させていただいてそういう御審議をいただ
く中でいろいろな先生方のお考えも参考にさせていただいて法律の実施をしていこうということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#48
○秋葉委員 次の問題に移りたいのですが、最後にもう一度今のお答えに関連して、実は今私が伺ったことの直接的な答えにはなっていないような気がするのですが、今おっしゃったその現状の認識についてはそのとおりだと思います。実質的には法律にさまざまな業務が加えられ、そして目的も変わってきている。ですから、その実態に法律を合わせるために通信・放送衛星機構法の少なくとも第一条「目的」の部分を修正するなり、また一行くらい追加するなりといった形で現実と法律との乖離を埋めるということが私は必要だと思うのですが、次の国会とは言いませんけれども、近い将来、そういった形で法律の整備を行って実態に合わせるような形でこの法律を改正する、そういった法案を提出されるということをお約束していただけますか。
#49
○白井政府委員 余り無責任なことを申し上げるというわけにもまいりませんのでお許しをいただきたいと思いますが、ただ、機構のあり方については私どもとしてもいろいろと検討していく必要があると考えておりますので、御審議の中でいろいろ先生方から御指摘をいただきました点については十分頭に入れまして、これから私どもとしては機構のあり方全体について検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
#50
○秋葉委員 それはぜひお願いしたいと思いますし、この次の法案がまた通信・放送衛星機構法に、あるいは機構に関連することですとまた同じような質問をせざるを得ない、そういった状態が起こらないようにぜひ御協力をいただきたいと思います。
 実は、今のことと関連しているのですが、これは前回のやはり円滑化法案の審議の中で出てきたことですし、附帯決議にもつけられたことなんですけれども、さまざまな技術の進展に伴って社会的な弱者、いわゆる社会的弱者と言われている人たちの自立のために、あるいは社会の中でそういった人たちの能力が本当に発揮できるような環境づくりのためにも技術を使っていくことが必要になってきていると思いますけれども、この現在の基盤法、その基盤法を出発点として行われる事業の中に、そういった社会的弱者の自立あるいは社会的な弱者の視点から見たさまざまな展望というのが当然入っていると思うのですけれども、その展望について、あるいはこの基盤法、あるいはもっと広く通信だけではなくて郵政省全体としてどういった展望を持ちながらこういった事業を推し進めていこうとしているのか、その辺の基本的な考え方について伺いたいと思います。
#51
○関谷国務大臣 今回の法案は、二十一世紀の情報化を支える基盤を全国に行き渡らせるということ、また高度化、多様化する情報ニーズにこたえていくというのが基本的な考え方でございます。
 そういうようなことでございまして、秋葉先生御指摘の高齢者あるいは身体障害者の方々もこの恩恵が十分に受けられるように配慮を特段にしてまいりたい、そのように思います。
#52
○秋葉委員 去年の六月にこの法案が、円滑化法の方ですが通りました。それで附帯決議、今郵政大臣が答えられたような内容の附帯決議がつきました。まだ一年はたっておりませんが、半年以上たっております。郵政省としてはその附帯決議の精神を生かすために具体的にどういったことを行われたのか、その具体的な内容を知らせていただきたいと思うのです。
#53
○白井政府委員 今回御審議をお願いしてありますその法律案の中に、先生の御指摘のような、特に恵まれない方々の立場に立った施策というのが具体的な条文として書かれているわけではございません。
 ただ、その前提にあります基本的な私どもの考え方でありますけれども、私どもがいろいろ受け持っております通信とか放送に関します限りは、少なくとも全国どこででも、だれでもが同じように新しく開発された技術の恩恵を受けることができる、あるいはどのような方も平等にこの通信手段を利用することができるというのが基本になければならないと考えております。したがいまして、例えば地域間の格差を是正するというのもそうした考え方の一つのあらわれでありますし、それから地方においてもあるいは家庭においても、できるだけ手軽に新しい情報通信手段を利用できるようにするというのが、ある意味では通信・放送をめぐる行政の一番の大きな柱でなければならないと思うわけでございます。
 そうした考え方を徹底していくということが、ほかならず、例えば身体に障害をお持ちの方々も健常者と同じように情報通信を利用することができる、場合によればその情報通信を利用することによってハンディキャップを少しでも少なくすることができるということにお役に立ち得ると思うわけでありまして、そういう考え方で法律案も出させていただいておりますし、いろいろな仕事も進めてまいりたいというふうに考えております。
#54
○秋葉委員 この法律案を作成するに当たって、あるいはこれが出発点となって行われる事業計画を策定するに当たって、例えば高齢者あるいは心身障害者、その他いわゆる社会的弱者と言われている人たちが現在どのような社会的な問題を抱えているのか、社会的弱者から見て通信政策に一体どういう注文があるのか、そういったことについて、少なくとも昨年の六月以前にもこういったことを調べる必要はあったと思いますけれども、六月以降、そういった人たちの声を具体的に法律案に反映させるために、例えばアンケート調査をするとかあるいは具体的に聞き取り調査をするとか、そういった具体的な社会的弱者の声を聞く努力はされているのでしょうか。
#55
○白井政府委員 昨年法律を通していただきました後、私どもとしても研究会を設けまして、これからの時代において、特に心身に障害をお持ちの方なども念頭に置いて、通信とか放送のサービスがどういうふうにあるべきかということも勉強させていただいておるところでございます。
#56
○秋葉委員 勉強会は確かに結構だと思うのですが、その勉強会の成果、ここに「九〇年代の通信政策ビジョン」というのがございます。この中に、そういう勉強会が行われて、いわゆる社会的弱者と呼ばれている人たちのことも当然お考えになったというふうに私は常識では考えられると思うのですが、この「九〇年代の通信政策ビジョン」、一言一言漏らさずに読んだわけではありませんが、私が読んだ限りでは、そういった社会的弱者をこれから社会の中で一体どういうふうに、その人たちの自立のために例えば通信政策としては考えていったらいいのか、あるいは郵政事業としてどういうふうに考えていったらいいのか、そういう視点が残念ながらないわけですけれども、ないというふうに私は読んだわけですけれども、その辺のところはどういうふうにお考えになっているのでしょう。
#57
○森本(哲)政府委員 先生お示しの九〇年代の情報化政策についても、トータルとして日本のこれからの社会のあり方ということについて各般の視点があるわけでございまして、特にその中で、人口の高齢化というのが一つの大きなポイントになっていると思うのであります。今回の高度電気通信網というのは、こうした先行きの展望に即応できるように高度な技術というものを十分駆使してこうした社会のニーズにこの通信網がこたえられるようにしたいということになっております。
 私どもといたしましては、今のこうしたことを受けまして、高度化、高度情報網ができることによって、先ほども御審議のときに申し上げたのでございますが、こうした高度情報網の機能を家庭にいながらにして活用ができるようになれば、社会的な弱者ということで、高齢化ということで社会活動に直接参加できない方々が、在宅のまま持っている技能あるいは経験というものを生かしていろいろなデータベースとのアクセスも可能になる、あるいは直接いながらにしてアウトプットが、その方がネットワークを通じて寄与されると
いうことができるだろう。
 そうした意味合いで、女性が進出している職場で、相当なノーハウを持ちながら女性特有の出産だとか育児だとかということで家庭にいなければならないときにもその人の能力を十分活用できる。あるいはまた障害を持つ方が、例えば端的な例で聾唖の方は今は通話ができないわけでありますが、もし画像通信というのが自由になるならば、これは画像で手話という形でコミュニケーションが可能になる。場合によっては、ネットワーク側でインテリジェントネットワーク機能というものを活用しますれば、手話を自動認識してそれを音声に変えるということも可能になるということで、いずれにしても御指摘のような社会的な弱者の方にこうした高度のネットワークをエンジョイしてもらえる道というのは十分開けるものだ、こういうふうに考えているわけでございます。
 ただ、私どもの御提出申し上げておりますこうした法案というのは、あくまでも高度通信サービスが可能になるような、いわば基盤を支援しよう、こういうことでございますので、お示しのような具体的な話は、こうした社会的なインフラの上に、こうした個々の社会的ニーズにどうこたえていくか、これは郵政省のみならず国全体としての視点で、大きな支援策で考えていかなければならぬことは多々あろうか、こう思っておるわけです。
#58
○秋葉委員 今、まずインフラを整備してから、その上でどのように利用するかということを考える、そういうお答えの筋だったと思いますけれども、実は私が申し上げているのは、その順序を逆にする必要があるのではないか。少なくとも社会的弱者と言われるような人たちの社会的役割を考える上で、あるいはこれから二十一世紀の新しい社会をつくっていく上で、まず社会全体をどういうふうに変えていくのか、そのビジョンがあった上で、そのために技術をどういうふうに使っていくのか、技術はあくまでも従であって、目的は別のところにきちんと設定した上で技術の利用あるいはこういった政策を立てていく必要があるのではないかという問題提起をしているわけです。
 そのために私は、さまざまの方法がとれると思いますが、とりあえず具体的な方法としては、例えばこういった通信政策ビジョンをつくる、あるいは今白井局長の方からお話がありました勉強会、そういったところで社会的弱者の声を直接反映させる必要があるのではないか。
 例えば社会的弱者がなぜ生まれるかといいますと、それは弱者と言われている人たちの声が社会全体の中で比較的弱い。したがって、そういった声が行政の面にもさまざまな面にも届かないということに非常に大きな原因があるわけです。それを例えば具体的に、行政力でも政治力でもいいのですけれども、力を持っている側が、そういった現在の不均衡、ゆがみということを十分認識した上で、こちらから手を伸ばして発言の機会をつくっていく、その発言の機会が平等になるように機会をこちらからつくっていくということが必要だと思うのです。
 例えば勉強会とか、こういったさまざまなビジョンをつくるための懇談会とか審議会とか談話会とか、いろいろなものがあると思いますけれども、そこに例えば女性をより多く、本当は五〇%ぐらい必要だと思いますが、それから障害者の声を反映させるために具体的に障害者の参加を求めていくといったようなことをこれから積極的に考えていらっしゃるのでしょうか。
#59
○白井政府委員 ただいまの先生の御指摘、十分真摯に受けとめさせていただきたいと思います。
#60
○秋葉委員 一応ほかの質問もあったのですが、この二つのことで大体時間が尽きましたので、いろいろと注文を申し上げましたけれども、やはりこの基盤の整備ということは緊急不可欠なことでありますし、人材の養成ということの重要性も私はわかっているつもりでございます。ですから、この本来の目的に沿ったきちんとした事業を展開されるようにお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#61
○野中委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ─────────────
#62
○野中委員長 本案について日本共産党から討論の申し出がありましたが、先刻の理事会において協議の結果、御遠慮願うことになりましたので、さよう御了承願います。
 これより採決に入ります。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#63
○野中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ─────────────
#64
○野中委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、園田博之君外三名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。上田利正君。
#65
○上田(利)委員 ただいま議題となりました電気通信基盤充実臨時措置法案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    電気通信基盤充実臨時措置法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、電気通信分野における競争原理等の導入の趣旨を踏まえ、各事業者の自主的な創意工夫を尊重するとともに、電気通信による情報の流通の円滑化のための基盤の充実を図るため、次の各項の実施に努めるべきである。
 一 電気通信は、あらゆる社会経済活動の中枢機能を担うものであり、それを支える電気通信基盤の充実を図るため、これに係る各種支援措置の一層の拡充に努めるとともに、そのための必要な資金の確保等に努めること。
 一 通信・放送衛星機構については、現在及び将来の電気通信・放送に係る諸施策を勘案し、今後の情報化の進展により有効な役割を果たせるようそのあり方について総合的に検討を行うこと。
 一 地域の情報化に当たっては、情報の地域間格差、地域の実情等に十分留意し、均衡のとれた地域の情報化を推進するよう努めること。
 一 電気通信基盤充実事業の実施に当たっては、家庭や中小企業、心身障害者もそのサービスを十分享受できるよう努めること。
 一 実施計画の認定等に当たっては、事業者に過度の負担を課すこととならないよう、十分に配意すること。
以上のとおりであります。
 この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明を省かせていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。
 以上であります。
#66
○野中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#67
○野中委員長 起立多数。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
 この際、郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。関谷郵政大臣。
#68
○関谷国務大臣 ただいま電気通信基盤充実臨時措置法案を御可決いただき厚くお礼を申し上げます。
 本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分
に尊重してまいりたいと存じます。
 まことにありがとうございました。
    ─────────────
#69
○野中委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○野中委員長 御異議なしと認めます。よって、
さよう決しました。
    ─────────────
    〔報告書は附録に掲戦〕
    ─────────────
#71
○野中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十七分休憩
     ────◇─────
    午後一時開議
#72
○野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。関谷郵政大臣。
    ─────────────
 簡易生命保険法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#73
○関谷国務大臣 簡易生命保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
 この法律案は、近年における社会経済情勢の推移及び保険需要の動向にかんがみまして、簡易生命保険の年金に係る加入限度額の引き上げを行おうとするものであります。
 次に、この法律案の内容を御説明申し上げます。
 現在、年金に係る加入限度額は、被保険者一人につき年額七十二万円までとされていますが、改正案は、この加入限度額を年額九十万円までとするものであります。
 なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日からとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#74
○野中委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
    ─────────────
#75
○野中委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田並胤明君。
#76
○田並委員 それでは、何点か質問をさせていただきますが、今回の簡易生命保険法の一部を改正する法律案の内容を見ますと、郵便年金加入限度額の従来の七十二万円を九十万円に引き上げようとする内容でございまして、大変結構なことだと思います。特に、郵政省が行っております簡易保険事業にしても郵便年金事業にしても、社会経済情勢の変化であるとか国民のニーズであるとか、それとあわせて民業を圧迫しないという一定の制約のもとで調整を迫られる場面が非常は多いと思うのです。そういう中で、今回の限度額の引き上げについては今日まで省が非常に努力をされたということを多としながら、次の幾点かについて御質問をしたいと思います。
 一つは、七十二万円を九十万円に引き上げた、そのことについては大変結構なことなんですが、例えば定年退職をされたお年寄り、あるいは既に働くことが不可能になったお年寄り、そういういわゆる高齢者と言われる方々が平均的な暮らしをするためには一人一カ月どの程度の生活費が必要なのか、その辺、郵政省の方でいろいろな調査があろうと思いますので、平均的な額で結構ですからお教えを願いたいと思います。
    〔委員長退席、松浦(昭)委員長代理着席〕
#77
○西井政府委員 お答え申し上げます。
 高齢者一人当たりの一カ月平均的な暮らしをするために必要な額というお尋ねでございますけれども、御案内のとおり長寿社会が進展してまいっておりまして、そういう中で生涯生活設計に対する国民のニーズも非常に多様化しておるわけでございます。
 そういう中で、お一人お一人の老後における生活の必要額というのは、いろいろさまざまであろうかと思いますけれども、一応私どもといたしましては、総理府の平成元年度の家計調査年報によりますと、世帯主が六十五歳以上の世帯の一カ月当たりの消費支出の平均的な額は約二十二万円というふうに聞いておりますし、それからもう一つ、私どもが年金について市場調査をいたしておりますが、その中の六十二年度のアンケート調査によりますと、老後の夫婦の生活のために必要な最低必要額は一カ月当たり約二十一万円という調査結果になってございます。
 こういう点から見ますと、一応老後の生活を送るために必要な夫婦の生活額というのは約二十一万円か二十二万円ではなかろうかというふうに推察いたしておるところでございます。
#78
○田並委員 総理府の調査でも、あるいは年金のアンケートでも、おおむね一カ月平均二十二万円、これはもちろん一人一人の生活態様によって違いますし、あるいは置かれている環境等によって違うと思うのですが、一応二十二万円というふうに押さえてみて、今回、加入限度額を九十万円に引き上げられたわけです。
 もちろん、公的年金あり民間の生命保険等々あって、あるいは退職時の退職金とか、そういうものの積み立てもあるでしょうから、この九十万円に引き上げられたことによって月二十二万円の充足率がどの程度になるかということについてはなかなか出ないかもしれませんけれども、郵政省としては平均的な暮らしをするために必要な金額に対しての郵便年金の額というのは大体どの程度に見られるのか。孫のお小遣い程度になるのか、あるいはおばあちゃんと年に一回くらい旅行するための、あるいはいいものを着るための費用にするとか、いろいろな需要があると思うのですが、平均的な暮らしに対する充足率というのはどの程度に見られたらいいのだろうか。単純計算すれば、二十二万円に対して月々七万三千円程度でしょうから、その程度の割合ですよということならそれまでなんですが、一応どの辺に充足率を見られておるのか、お伺いしたいと思います。
#79
○西井政府委員 先ほども申し上げさせていただきましたけれども、一応平均的な夫婦の老後の生活を送るために必要な生活費は約二十二万円程度といたしますと、この額は、私どもが今回引き上げをお願いいたしております年金の限度額、九十万円でございますが、これを月に直しますと七万五千円になるわけでございまして、その必要額二十二万円に対して約七三%ということになるわけでございますけれども、ごく一般的に申し上げまして公的年金がございますので、厚生省の社会保険庁の統計によりますと、六十三年度で厚生年金をもらっておる平均的な額が十三万二千円程度、そのほか奥さんの方が国民年金に入っておるとすれば二万九千円程度ということのようでございますので、合わせますと十六万円ちょっと、それに私どもの今回の年金月額七万五千円がプラスされるということになろうかと思います。
#80
○田並委員 局長の答弁でいきますと、全部足しますと二十三万五千円くらいになりますから平均的な暮らしに対しては十分だ、こういう解釈をされておるわけですか。
#81
○西井政府委員 お答えいたします。
 先ほど私が申し上げた中で、ひょっとしたら私どもの年金の七万五千円が二十二万円に対しまして七三%と申し上げたかもしれませんけれども、
間違いでございまして三四%でございますので、訂正させていただきたいと思います。
 ただいまの点につきましては、一応そういった形で公的年金を含め、さらに郵便年金の七万五千円を足しますと、ちょうど老後の安定的な生活が図れる額ではなかろうかというふうに考えております。
#82
○田並委員 局長の方で大体充足する、こういうお話なんですが、これは先ほど言ったように公的年金のほかに民間の保険もありますし、これらを圧迫しないようにという一つの基本方針が簡保にしても年金にしてもあるわけです。しかし、二十二万円というのが調査では妥当なわけですけれども、恐らくこれからまた生活の態様とか社会経済事情の変化とかいうものも出てくるわけでありますから、当面この九十万円の引き上げで郵政省としては十分満足しておるのだと。
 はっきり言って国民のニーズはどの程度まで郵便年金に対してニーズがあるのかどうか、これは調査したことがあると思うのです。当然できれば九十万円でなくてもう少し引き上げたいというお気持ちもあるのかどうかわかりませんが、とにかくこの九十万円に引き上げられた加入限度額について、これは国民ニーズに十分こたえたものなんだ、こういうふうに理解をしてよろしいのかどうか、それともニーズが高いのだからもう少し引き上げるような努力をするつもりなのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
#83
○西井政府委員 九十万円で十分だと考えているのかどうかというような御趣旨の御質問であろうと思いますけれども、一つの例といたしまして、生命保険文化センターという民間の調査機関というか研究機関がございまして、平成元年度、そこの調査によりますと、夫婦で豊かな老後を送るのに必要な平均的な額は三十三万円というような数字も出ておるわけでございまして、そういう点から見ますとまだ乖離があるということは言えようかと思うわけでございますけれども、私どもといたしましては、現行の限度額の七十二万円というのは五十六年の新郵便年金制度発足のときに決められた額でございまして、その後の社会経済情勢の変化、所得の状況といったようなものを勘案いたしまして九十万円ということに決めさせていただこう、こういうことでございますので、さしむきそういう意味では十年間の必要な支出に相応する、生活向上分も含めました支出の向上分に見合う額というふうに考えておるところでございます。
#84
○田並委員 わかりましたが、今後とも、国民の皆さんの豊かな暮らしを求める気持ちというのは非常に強いわけですからそれに対応し、さらに社会経済情勢の変化等に対応して、暮らし向きもまた変わってくるわけですから、それに合わせて適切な限度額の引き上げ等についてもひとつ一層の努力を要請をしたい、このように考えます。
 次に、郵便年金の新年金制度の発足が昭和五十六年ですか、したがって、まだ非常に年数が浅いものですから、簡易保険と比較をするとまだまだ普及率がそんなにも高くないというのはよくわかります。この年金の現在の普及率、特に過去五年程度の普及率がどういう形で推移をしているのか、もちろん年平均かなり伸びているというお話も聞きますが、その努力を多としながら、郵便年金普及率の推移と、民間保険が年金をやっておりますが、これの普及率の対比をひとつ教えていただきたいということと、先ほど申し上げましたように簡易保険と違って歴史が浅いものですから、まだまだ簡保と比べて加入率が低いわけですが、これに対する今後の普及策について郵政省ほどのようにお考えになっているのか聞かせていただきたいと思います。
#85
○西井政府委員 御指摘のとおり、高齢化社会が急速に進展をいたしておりまして、そういう状況のもとで郵便年金の販売も好調に推移をいたしておるところでございます。
 最近の五年間の伸びの状況ということで御説明させていただぎますと、郵便年金の方でございますけれども、昭和六十年度末の保有契約件数、約四十四万件でございましたが、平成二年十二月末現在で約百八十六万件という件数になってございまして、この五年間で約四・二倍になっておるという状況でございます。
 それから民間保険の方でございますけれども、同じように六十年度末の保有契約件数では約二百十九万件という状況でございまして、これが平成二年十二月末現在では約七百四万件という状況になってございまして、五年間で約三・二倍になっておる、こういう状況でございます。
 そこで、その個人年金全体の世帯の加入率について見てみますと、データは若干古くなるわけでございますけれども、郵政省、私どもで実施をいたしております六十二年の個人年金に関する市場調査によりますと一三・五%という普及状況でございます。それから六十三年の簡易保険に関する市場調査によりますと、生命保険の方の世帯別の加入率は九二・二%という状況でございまして、保険の方の普及率と比べますと個人年金の普及率というのはかなり低いものになっておるというのが現状でございます。私どもといたしましては、今後ともこの個人年金の普及に向けまして一層努力をしてまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。
#86
○田並委員 個人年金の加入率の六十二年度の調査で一三・五%、生保が九二・二というお話でございますが、これは、年金というのは本来公的年金で十分間に合うようにしてもらいたいわけですが、今制度的にそうなっていないので、それを補完する意味で民間の生保であるとかあるいは郵便年金がやっているわけですね。もちろんこれは現実的に現状ではそうならざるを得ないわけですから、当然、年金に対する理解度というのでしょうか、先ほど言った歴史的な深い、浅いがありますから仕方がないことかもしれませんが、ぜひこの一三・五%というのを一層伸ばすための努力をしていかなければいけないと思うのです。
 そこで、この郵便年金の加入者の年齢分布というのはどういうふうになっているのだろうか。例えば青壮年層の加入状況、特に若年層の人は著しく加入する割合というのが低いだろうと思うのですね。これらの若い世代の年金の販売対策、特に若いうちから入っておけば掛金も少なくてこれだけの実が結ぶのですよということもあるでしょうから、その辺を、若い世代の年金販売対策などというのは先の話だからそんなものはいいやというようなことがあるいは多いかもしれませんが、ぜひそれらの層に対する販売対策にどのように郵政省は取り組もうとしておられるのか、先ほど言った加入者の年齢分布とあわせてお聞かせを願いたいと思います。
#87
○西井政府委員 先ほども申し上げましたけれども、郵便年金は装いを新たにしまして五十六年度から新しく出発いたしたわけでございまして、そういう意味では歴史的にもまだ浅いということで普及状況が先ほど申し上げましたような普及率になっておるという状況でございますが、特に先生御指摘になられました年齢階層別の普及の状況でございますけれども、端的に申し上げまして、平成二年一月末の新規契約の販売実績という点から見てみますと、年齢が高いほど加入率が高くなっておりまして、五十歳以上の加入率が六七・四%という状況でございます。また青壮年層、三十歳から四十四歳までの加入の状況はぐっと低くなっておりまして一三・六%という状況でございます。
 こういう状況を考えてみますと、老後の生活設計に比較的関心の高いのはこれまでは四十歳、五十歳代が中心であるということで、私どももそういう年代層に力を入れながら年金を販売してきたわけでございますけれども、今後の高齢化社会の進展ということを考えますと、豊かでゆとりのある老後に備えるために長期間にわたって生活資金を準備していくということがますます必要になってくるのじゃなかろうかなというふうに思うわけでございまして、そういう観点から、御指摘をいただきましたとおり若いうちから生活設計をすることの必要性についていろいろこれから周知、P
R等をしていきたいと考えておりまして、若い人向けに特別のガイドブックを作成するとか、あるいは私どもの営業関係の職員に対しましては、研修会、講習会などを通じまして、そういった若いときから長期にわたって生活設計、生活費を確保するようなことについてのコンサルティングの能力を高めるように指導していくとかといったようなことも実施をいたしまして、今後若い世代層への積極的な年金の販売に努めてまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。
#88
○田並委員 局長の今の答弁でよろしいのですけれども、特に若い人たちに対するPRとかあるいは普及策なんというのは、本当に若い世代に合った、フィットするようなものを宣伝物として出さないとだめなんですね。例えば加入限度額九十万だ、予想すると、あなたが何歳になって、もらうときになると配当金だとかその他あって実際にはこれだけの金額になりますよ、こういうようなことも含めて出さなければいけませんし、あるいは後で聞きますが、いろいろな福祉施設もありますから、若者向けの福祉施設なんかもつくったりして、こういうものもありますよ、大いに若い人たちも利用してください、年寄りだけが利用するんじゃなくて。そういう総合的な施策というものをやっていく必要があるのではないだろうか、このように強く思いますね。
 それと、特に若い人たちが長い間掛けても、もしインフレだとかあるいは貨幣価値が変わったりしますと、これはもう我々は終戦のあのころのことを覚えておりますからね。戦争がもう絶対あってはいけないことなんですが、物すごいインフレが戦後ありましたよね。私なんかも簡易保険、郵便局のへ入りましたから。当時二万円か三万円のに入ったのですね。当時は二万とか三万、満期になればこれは大した金額だと思っていたところが、とんでもない。インフレでもって貨幣価値は下がるわ、何のことはない。そういう思いをしている人たちもいる。年寄りはおるのですが、若い人はそこまで考えておるかどうかわかりませんが。
 とにかく簡易保険にしても年金にしても、これはもう郵政省の仕事じゃなくて政府全体が、物価の安定であるとかあるいはそんなに大きな経済の変化だとかないような施策をやっていかないと、もちろん先行きわからないような状態では、これは入りませんからね。そういう面は郵政省だけじゃなくて大臣にもお願いをして、政府全体で安定的な経済の発展とあわせてインフレを抑制して、将来にわたって安全だ、こういうものももう一つはやっていかなくてはいかぬ、こういう気がしますので、これはあえて要望、意見として出しておきたいと思います。
 そこで次は、郵便年金の普及を一層促進するための税制面の支援策、現在でも掛金に対しての所得控除の限度額というのがありますが、これをさらに引き上げていく必要があるのではないだろうか。これは簡保にしてもほかの民間の保険にしても年金にしても全部適用されるわけですから、別に郵便年金だけ特別にというわけにはいかないのですが、全体の問題として簡易保険であるとか郵便年金の掛金の所得控除の限度額の引き上げなどについても配慮する必要があるのではないだろうか、このように思いますが、郵政省としてはどうお考えですか。
#89
○関谷国務大臣 田並先生御指摘の、若い方々にこの郵便年金に加入をしていただくということを全体のあらゆる角度から、もちろんこれは教育面においてもそうであろうと思いますけれども、今後は長寿社会になってくるわけですから、若いときから自分の生涯の設計を描いていろいろな問題に対して対処をしておく、こういうようなことはこれから必要になってくると思います。
 私たちの年代、田並先生と同年配でございますが、私たちも振り返ってみましても、なかなか老後のことというのは余り考えていなかったし、また貨幣価値も大きく変わってきたというようなこともございましたが、御指摘のようにぜひ私はあらゆる角度から対策を講じていきたいと思っております。
 その一つとして税制改正ということも必要なことでございまして、平成二年度におきましては個人年金保険料の所得控除限度額の引き上げということができたわけでございまして、これは五千円であったのが五万円になった。大きく十倍のものになったわけでございますが、それが今先生が御指摘になっていらっしゃる、老後の対策としての自助努力のためにいかに政策的に支援をしていくかというようなことのあらわれでもあろうと思っております。そういうようなことで、あらゆる角度からもっとこれに御参加をしていただくように努力をしたいと思います。
#90
○田並委員 続いて、これも大臣にお聞きをしたいのです。
 今お話がありましたように、高齢化がますますこれから進んでまいりますし、社会経済情勢の変化も当然、そんなに大きく動いちゃ困るのですが、これは当然変化があると思いますし、まして金融の自由化も一層進んでくると思うのですね。こういう中で簡易保険事業というのが国民のニーズ、期待にこたえて積極的に新しいサービスの展開に取り組んでいかなければいけないと思うのですね。その方策がもしございましたら、今のは年金の問題に絞られてお話しになりましたが、ぜひひとつ積極的なサービスの展開をどのようにお考えなのかをお聞きをしたいことと、ちょっと時間がありませんので、もう一つ質問がありますから、あわせてやっておきます。
 特に、簡易保険にしても郵便年金にしても、第一線で働く人たちの意欲というのが非常に重要です。要するに無から有を生ずる仕事ですから、もともとあったものをこちらに移すとかなんかじゃなくて、それこそ保険だとか年金というのは、その人たちはその気になってもらって理解と納得の上で入ってもらわなければいけないわけですね。要するに無から有を生ずるような大変価値のある仕事をやっているわけでございますが、この普及拡大を図るために第一線で現在頑張っておられる職員に対して郵政省の施策というのは非常に重要だと思うのです。例えば労使関係であるとか労働条件の確保であるとか、あるいは先ほど言った業務に精通をしてもらうための訓練であるとか研修であるとか、これが非常に重要だと思いますので、これらをどう進められようとしておられるのか、この二つをひとつ一遍に御回答願いたいと思います。
#91
○関谷国務大臣 高齢化が進んでまいりますし、また郵政事業を取り巻く中でも大きな変革でございますが金融の自由化が進んでいるわけでございまして、これからますます高度化したものあるいはまた多様化されたものが要求されてくるわけでございますから、私たちも新しい商品を開発して要望にこたえていくように頑張っていかなければならないと思っております。
 そして、先ほど先生るる御指示いただきましたように、この保険、年金、そういうようなことが、いろいろな角度から、地域に参りましていろいろな行事を行い、こういう年金があるというようなことも周知徹底するようになお努力をしていきたいと思います。そういうようなことをしていただくのは職員の努力であるわけでございますが、まず職員の皆様方がなおそういうようないろいろなアイデアも出していただけましょうし、また研修もして十分にそれだけの知識を持っていなければできないわけでございますから、そういう研修や講習会を実施していきたい、そのように思っております。
 それから、何といいましても労使関係が信頼関係でなければこういうようなことはできないわけでございますから、今労使関係は非常にスムーズに運営されておりますけれども、なおこのことにも努力をしていきたい、そのように思っております。
#92
○西井政府委員 職員の指導あるいは現場、第一線で一生懸命に御活躍いただいている職員の処遇等の問題につきまして、基本的な点につきましてはただいま大臣からお答えいただいたとおりでご
ざいますけれども、直接簡易保険事業を担当いたします責任者といたしまして、郵政事業、人力に頼るのが非常に高いということがよく言われておりますけれども、先生御指摘のとおり、簡易保険事業につきましては、特に営業面におきましては積極的な営業活動を展開しなければいかぬ、それによって営業の成果が上がるという面が非常に高いわけでございます。私どもも、そういう点につきまして十分留意しながら制度の改善なり商品の開発をやるとともに、そういった点につきまして十分職員に指導を徹底して御理解をいただくとともに、また広い角度から全般的な営業能力の向上にも努めてまいりたい。
 また、労使関係は非常に安定的に推移をいたしておりますし、また組合等からもいろいろ有益な御提言もいただいておるところでございまして、私ども、そういったものを十分参考にしながらこれからの事業運営に生かしてまいりたいというふうに考えております。
#93
○田並委員 質問時間が終わりましたのでこれで終わりますが、事郵政事業の中の簡易保険事業だとか郵便年金事業というのは、単にそれだけが独立をしてあるのじゃなくて、郵便、貯金、保険、この三事業が一体で、しかも全国ネットワークで、しかも公的な機関がやっているという、国民の皆さんから見ると非常に安心感、安全感、あるいは確実だ、こういう信頼感があるわけですから、簡保事業を伸ばすためには貯金との関係が出てきますし、また貯金を伸ばすためには簡保の関係も出てきますし郵便の関係も出てくるわけですから、ぜひこの三事業一体で全国ネットワークという強みを生かしてひとつ一層努力をされるように要望して、質問を終わります。
#94
○松浦(昭)委員長代理 次に、山下八洲夫君。
#95
○山下(八)委員 それでは、同僚議員と同じく簡易生命保険法の一部を改正する法律案につきまして、かなり質問要項がありますが、時間がございませんので、つまみ食い的にあちこち飛ぶかもわかりませんが、質問させていただきたいと思います。
 最初に、郵政省からいただきましたこの「目的」は、大変立派な遠大な目的だなというふうに読ませていただいたわけでございます。「国民の自助努力を支援し、豊かで活力ある長寿社会の実現に資する。」そういう中で、「国民の自助努力による生涯生活設計の重要性は高まっており、年金に対するニーズも急速に増大してきている。」このことも全く事実だろうと思います。また、「豊かで活力ある長寿社会の実現に資するため、国民により一層充実した自助努力手段を提供できるよう、年金の加入限度額を引き上げるものである。」その割には九十万円という数字が、大きいのかあるいは小さいのか妥当なのか、さっぱり私自身理解できません。わからないのです。しかも、七十二万円から九十万円に引き上げた、これを十年ぶりに引き上げた。そういう中から考えていきますと、この目的に対してこの数字が果たして本当に妥当なのかなと思ったりしているわけです。
 その上に立ちまして、郵政省から参考資料としていただきました「消費支出関係データ」、これを見ますと「昭和五十六年を一〇〇とした場合の平成元年の指数」というようなものが書かれています。そういうことからいきますと、これは妥当だなというような裏打ちの参考資料だろうと思うのですが、率直に申し上げまして郵政省として、あるいは大臣も妥当と思われるのかどうか、ちょっと所信をお聞かせいただきたいと思います。
    〔松浦(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
#96
○西井政府委員 お答え申し上げます。
 先ほど先生お触れになりました今回の年金の限度額につきましての基本的な考え方というのは、先ほど大臣からも趣旨説明で述べていただいたとおりでございまして、それは今度の引き上げの基本的な考え方ということで御理解をいただければ幸いだというふうに考えるわけでございますけれども、そういう状況の中で国民の年金に対するニーズが非常に高まっておるということで、私どもも現状の年金の加入限度額につきましてぜひ改善充実を図りたいという考え方で対処してきたわけでございます。
 先生もお触れになりましたけれども、五十六年に新郵便年金制度が実施されましてちょうど十年になるわけでございまして、この間の社会経済環境の変化と申しましょうか、例えば高齢者の消費支出等あるいは物価の上昇の度合い、そういったようなものを勘案をいたしまして、できるだけ豊かで活力ある長寿社会の実現に支援ができればという考え方で七十二万円を九十万円に見直したいということでございます。
 九十万円につきましては、先ほど申し上げましたとおり五十六年以降十年間の消費支出の伸び等を勘案いたしたものでございまして、物価上昇率を含めましてなお生活水準の向上分も、消費支出の伸びという観点から見ますと含まれておる、こういうふうに考えますので、私どもといたしましてはまずまず妥当な額ではないか、こういうふうに考えているところでございます。
#97
○関谷国務大臣 山下先生御質問の、これで十分かあるいは妥当かといいますと、ちょっと私も答弁に窮するわけでございますが、るる試算もいたしたわけでございまして、その中で、まあ一応十年分としてこのあたりで一歩前進という感じを抱いております。
#98
○山下(八)委員 「豊かで活力ある長寿社会の実現に資するため、」その中で「自助努力手段を提供」するということでございますので、私は、今申し上げましたとおり九十万円がいいのか、月十万円の百二十万円がいいのか、こういうことは正直言ってわかりません。このようなことを力を入れて行わなくてはならないというのは、もう一つは、これは大変貧弱で、これから大きな社会問題あるいは国会問題にしなければいけないと思うのですが、一方では、何と申しましても共済年金あるいは厚生年金、国民年金はなおそうでございますが、公的年金が余りにも低いというのが一方にはあるのではないかというふうに考えますので、そちらの方もぜひまた検討を、郵政省は郵政省なりに職員の皆さんはみんな共済年金に入っていらっしゃるのですから、共済年金で安心して老後は豊かな生活ができるような、そういう制度もまた検討もしていただきたいなというふうに一方では思うわけでございます。なぜこういうことに触れたかといいますと、概算要求で百八万円だったんですね。それが九十万円で、このような立派な参考資料が出てくるものですから、私は疑問を持った次第でございます。
 それに関連するわけでございますが、今度は生命保険の加入限度額の方でございますけれども、これは一千三百万円でございますね。一千八百万円の概算要求をなさっていて、据え置かれてしまった。これは郵政省に責任があると私は思っていません。大蔵省お見えになっていますね。人の命というのはお金にかえることはできませんけれども、私はこの一千三百万円というのは本当に低いと思うのです。正直申し上げまして、民間でございますと、無診査の場合は低いのですけれども、有診査をいたしますと例えば三億円であるとか、あるいは二年以上経過をした契約でありますと通算で五億円とか、かなり大型な保険があるわけでございます。それにしますと郵政省のは余りにも貧弱なんですね。それが千八百万の概算要求をしたら千三百万に切られてしまった。私は、これは残念でならないのです。
 例えば、郵政省にしましても、有診査を導入してでも三千万とかあるいは五千万ぐらいのものを検討したっていいのではないか、こう思うのです。そういう方向で私は考えているのですが、なぜ大蔵省はその千八百万程度の概算要求を認められなかったのか、その辺ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#99
○北村説明員 お答え申し上げます。
 先ほど御指摘になりました簡保年金の方は確かに昭和五十六年に改正して以来十年間が経過しておりまして、今回年金限度額を現行の七十二万円から九十万円にすることにつきましては、先ほどの御答弁にもございましたように、昭和五十六年
以降の消費支出の伸びなどを勘案した場合に適切なものではないかというふうに考えているわけでございますが、御質問の簡易保険の限度額につきましては、昭和六十年末に限度額の見直しが行われたわけでございます。六十一年から御指摘のございました千三百万円に関連いたしまして通計制度が導入されたわけでございます。しかしながら、その後の物価指数の上昇その他の事情、例えば民間と競合する関係あるいは簡保の平均的な加入状況、保険金額、こういった要因等を考えました場合、現行の限度額を見直す必要性は乏しいのではないかということで話し合った次第でございます。
#100
○山下(八)委員 郵政省の予算、先ほどもお話が出ていましたけれども、これは本当に全国ネットなんですね。例えば私は岐阜県ですけれども、岐阜県は全部で九十九の自治体があるのです。そうしますと千人ぐらいの人口の村もあるのです。三千人ぐらいの町もあるのです。ちゃんと郵便局はあるのですね。最近任意では正直いいまして年金より生命保険、簡易だろうとなかろうとそちらの加入者の方がずっと多いと思うのです。確かに一方では民間と余り競合してはいけない、こういう問題もございますけれども、民間の皆さんというのは、申しわけないのですけれども千人ぐらいの村のところにはなかなか来てくださらないのですよ。郵便局は本当に命の恩人になってくれるんですね。そういうことがありますから私は今このような質問をさしていただいたわけなんです。
 ここがやはり郵政省のよさで、どんな山村僻地に行っても、しかも顔見知りで地域住民に密着しました立派な職員の皆さんがいらっしゃってやっていますから、本当に安心を買うというのは一番身近であるわけですから、ぜひその辺を大蔵省も勘案していただいて、今後この問題については前向きに検討していただきたいと思います。また郵政省もそういうような精神でぜひこの問題について取り組んでいきたいということをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#101
○西井政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、郵政省の簡易保険事業は、全国あまねく設置されております郵便局を通じまして幅広く公平に、できるだけたくさんの方方に簡易保険のサービスを御利用いただこうということでございますし、それがまた事業の役割であり使命だろうというふうに認識をいたしておるところでございます。そういった点を十分今後とも考慮に入れて対処をいたしたいと思っているわけでございます。
 簡易保険の限度額の改正の経緯等につきましては先ほどお話があったとおりでございますので、今後私どもといたしましては、六十年末以降の社会経済環境の変化なりあるいは保険としての保障機能を十分果たすために必要な額などを考慮いたしまして、この保険の限度額の見直しにつきまして今後とも関係機関と十分話し合いをしながら一層の理解を深めるようにしてまいりたい、このように考えております。
#102
○山下(八)委員 次へ移りたいと思います。
 先ほどの簡易保険に入るわけでございますが、据え置きの終身年金七十二万円が九十万円になりたわけです。この終身年金の方で申し上げますと、七十二万円が今日でも七千件ですか。一番多いのは十二万円以上二十四万円未満の七万四千件、ころいう形になっておりまして、全体で十一万八千件の加入件数ということでございますね。今度これが九十万円になった場合、ある程度保障するということでレベルアップするわけでございますから、また加入者がかなりふえてくるのか。
 また同時に、これで見てまいりますと、例えば男子が六十五歳の据置終身年金保険をいただこうとしますと、四十歳で入られまして、そして二十五年たって年金を受けるという場合でありますと月々二万六千十円ですか。これが四十五歳でございますと三万八千百六十円、五十歳だと五万九千四百円と、月々の保険料がかなり高いわけです。最近は四十歳、四十五歳というのは一番お金が要るところでございまして、税制の方も十六歳から二十二歳まででしたか、今度特別控除ができる、このような状況になっておるわけです。これはなぜかといいますと一番お金がかかるところということであるわけでございます。そういう中で、保険料から見まして、せっかく九十万円に引き上げたのですけれども、見込みとしては自信を持ってがなりまた加入がいただけるというふうに判断なさっていらっしゃるでしょうか。
#103
○西井政府委員 お答えいたします。
 現在の郵便年金の加入状況でございますけれども、平成三年の一月末現在で年金の保有契約件数は百八十九万件ということになってございます。この加入限度額を九十万円に引き上げるということで法案が成立して実施されますと、先ほども申し上げさせていただきましたけれども、十年ぶりの限度額の引き上げということでございますので、私どもといたしましては、直接セールスに当たります外務員あるいは窓口の職員等を通じましてお客様に積極的にこの改正のお知らせ活動を展開をしてまいりたい。そういった面での効果というのがあろうと思いますし、そういう積極的な営業活動の観点から新規契約の販売につながっていくのではなかろうかというふうに考えているわけでございますけれども、端的な状況で申し上げますと、現在の最高限度額七十二万円まで加入しているお客様は約八万件でございます。このお客様につきましては九十万円までは積み増しをしていただける可能性が高いんではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
#104
○山下(八)委員 どうも失礼しました。先ほどのは平成二年度の一年分でございまして、そうしますと、今平成二年度の七十二万円が七万件ですね、八万件ではなくて。七万でも八万でもいいのですが、これが九十万に切りかえていただける。そうしますと、それプラス新規で二けたぐらいは行くだろうというふうに判断を勝手にさせていただきたいと思います。時間がありませんので、答弁はいいです。
 いずれにしましても、せっかくこのような制度になったわけでございますから、当然努力なさることは承知しているわけでございますが、ああ、やってよかったなという結果が出るようぜひ御努力をいただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 先ほども同僚議員から個人年金に対します税制上の優遇措置のお話が出ていました。大臣も答弁なさっていたわけでございますが、確かに五千円が五万円になった。この数字も先ほどの七十二万が九十万になった話と全く同じなんですが、数字が十倍に膨らんだからこれで大変よくなったのか。五千円から見れば五万円ですから確かに前進はしているわけでございます。
 もう一方、国民年金に今度は基金制度ができましたね。これはこの四月一日から実行に移されるわけでございますけれども、国民年金の場合は、いろんな組み合わせがあるわけでございますが、基金の月額を合計しまして最高六万八千円です。それの一年分十二カ月をトータルしますと、八十一万六千円までは非課税にすることができる。社会保険控除をすることができる。ですから所得税控除ができて、すべて減税対象になってくるという格好になるようです。これから見ますと、余りにもまた低いという格好にもなるわけでございます。
 ただ、国民年金の基礎年金部分というのは、国民皆年金でありますから、これと単純に民間の保険あるいはまた郵政省の簡易保険、郵便年金、こういうものと単純比較することもまた困難さはあると思うわけですが、この辺につきましては、多分郵政省としても、せめて十万円ぐらいはという腹づもりがあったろうとも思うわけでございますけれども、この辺につきましてひとまず、せっかく大蔵省にお越しいただいておりますので、大蔵省の考え方というのを先にお聞かせいただきたいと思います。
#105
○黒田説明員 お答えいたします。
 ただいま委員自身御指摘になりましたとおり、この国民年金基金における掛金につきましての限
度額と郵便年金の場合の控除額につきましては、それぞれの制度の違いというものがございまして、一概に比較して論ずるべきものでないというふうに私どもも承知しております。
 すなわち、個人年金保険は、御案内のとおり加入も解約も全く自由でございます。したがいまして、中途解約によりまして元利金を受け取るということになりますと、結果的に見まして全く一般の貯蓄と同じということになるわけでございます。
 他方、国民年金基金につきましては、任意の脱退が認められない等、公的年金といたしましてさまざまの制約がございます。したがいまして、国民年金基金につきましては、掛金につきましてその制度に従った限度額を設けて、先ほど御指摘になったような額まで控除できるということになっておりますし、他方で郵便年金等の私的年金につきましては五万円プラス五万円というような形になっておりまして、このような形の制度というのは、それぞれの制度に合わせた適切なものであるというふうに考えております。
#106
○山下(八)委員 今のお話で理解できたわけではございませんが、まだ私自身も研究する課題に残しまして、この問題につきましてはこの辺でおかせていただきます。大蔵省、ありがとうございました。もう結構です。
 時間がありませんので、次の問題に一、二点急ぎ足で触れさせていただきたいと思います。
 保養センター、レクセンターについてちょっとお尋ねしておきたいのですが、私のところにも保養センターとかレクセンターをつくれないものだろうかなという相談が随分逓信委員になりましたら来るようになりまして、これは全国相当な要望があるのではないかと思うのですけれども、これほどのような状況になっているのか、なるべく簡潔に教えていただきたいと思います。
#107
○西井政府委員 お答え申し上げます。
 保養センター、レクセンターの設置の要望につきましては、先生お話しのとおり非常にたくさんあるわけでございまして、平成三年二月末現在で一応取りまとめてみますと、この種の施設の設置要望については、いろんな種類のものがございますけれども、全部で約百三十件ぐらいに上っておるというのが現状でございます。
#108
○山下(八)委員 この種のものにつきまして、五十八年三月十四日だったと思うのですが、臨調の最終答申、行政改革に関する第五次答申でかなり厳しく指導がされたというのですか、なっているわけですが、「行政の基本方向及び改革の主要点」という中で「保養センター等については、簡易生命保険事業で行う必要性は薄くなっていると考えられるので、後記三の(二)により措置する。」特殊法人等の整理合理化、一具体的措置、郵政省関係というのがあるわけでございますが、この郵政省関係でちょっと見ますと、「簡易保険郵便年金福祉事業団については、原則として会館、宿泊施設等の新設を行わないこととするとともに、今後は、各種施設の民間委託を推進する等、経営の、一層の効率化を図ることによって、交付金を縮減する。」それから二つ目に、「郵便貯金振興会については、原則として会館の新設を行わないこととするとともに、会館運営については利用料金の見直し及び経営の効率化を推進し、自立化の原則に従い民間法人化する。」
 これは五十八年ですからもう随分古い話なんですね。ですから、こういうものが私は足かせになっているのではないかと思うのです。
 これは大臣にお答えいただきたいと思うのですが、今日ますます労働時間短縮、週休二日、また同時に簡易生命保険あるいは郵便年金あるいは郵便貯金、こういうものに入っていらっしゃると今のこのような施設を利用することができる。余暇はどんどんふえてきまして、これからはどちらかといいますと、日本人の旅行といるのは海外旅行でも国内旅行でもそうだったのですけれども、とにかく少しでも速い乗り物に乗っていろいろなところへたくさん行く駆け足旅行が多かったわけですが、余暇利用が随分変わってきまして定着型になっていると思うのです。
 そうしますと、このようなレクセンターでありますとか保養センターをますます国民は求めていると思うのですね。そういう意味からいきますと、そろそろ思い切って発想の転換を起こしていただきまして、平成二年に続きまして平成三年もそうでございますけれども、総合レクセンターは一カ所、そしてスポーツ施設の併設は四カ所、この調子では百三十件の要望があっても皆さんの御期待にこたえるためには本当に亀が走っているような状況になるのではないかというような心配もしますので、ぜひこの辺について強い指導を求めていただきたいと思います。
#109
○関谷国務大臣 先生御指摘の臨調の最終答申、五十八年三月十四日の内容でございますが、私も先生の御指摘のように全く同感でございまして、いろいろそういうような要望がたくさんあるわけでございますが、現在のところこの最終答申で足かせ手かせをされているのが実情です。そういうようなことで、少しでもその間をというような感じで総合レクだとかそういうスポーツ施設の併設などを進めておるわけでございますが、私は、そういうふうに環境は変わってきたのですから、これはまた一度、洗い直す方法があるものであれば対処していきたい、そのように考えております。
#110
○山下(八)委員 時間がなくなりましたので飛びまして、カーサ・デ・かんぽ浦安ですか、このことについてお尋ねさせていただきたいと思いま
す。
 入居募集が平成二年九月二十日から十一月二十日まで行われまして、抽せんが最終的になされたわけでございます。七月一日以降に入居ということで、資料によりますと六百十九件の応募があった。一つは、この六百十九件の応募というのは多かったのか、期待より少なかったのか。もし期待どおりだったということならそれで結構でございますが、私は、これは随分当初の計画からしますと少なかつたのではないかなという気がします。
 特別国会のときにこの問題で質問させていたださましたら多分五千件ぐらいはという答弁をいただいておるわけです。それからしますと約十分の一、十分の一と言ってはかわいそうですから、九分の一ぐらいの応募だなというふうに理解するのです。私はこれは何といいましても、それは民間から比べますと、一時金にしましても、管理費にしましても、食費にしましても低額かもわかりません。だが全体的に見てやはり入居されたい方からすればかなり負担増になって、その辺が原因をもたらしているのではないかというような気もします。もう時間がありませんからまとめて申します。
 それから、このパイロットプランというのは、いずれにしましても大変すばらしいことでありますから、ぜひ成功をさせていただきたい。その上に立ちまして、せっかく関東でできましたから、九州なり四国なりあるいは中国なり全国のブロック別に、いい場所がたくさんあろうかと思いますから今後このような施設をつくっていく、こういうことについてもぜひお考えいただきたい。
 今、幾つか申し上げましたけれども、それを固めて御答弁いただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#111
○西井政府委員 お答えいたします。
 浦安の加入者ホームについての御質問でございますけれども、浦安の加入者ホームは従来ございました加入者ホームと違いまして、終身利用型の介護つきの加入者ホームということで新しい構想のもとに開設しようといたしておるものでございます。それで入居者の選考等の関係につきましては先生お話があったとおりでございまして、申込者は一応六百十九件ということになっておりますが、これが多いか少ないかという点でございますけれども、私どもといたしますと、平成二年九月二十日から約二カ月間の間に、この限られた期間の間に募集をいたしたわけでございますが、その募集の過程におきまして電話その他いろいろな形で、郵便局の窓口等も含めましていろいろな形で紹介がありましたのは大体三千五百件ありまし
たけれども、具体的に申し込みの件数となって出てきたのが六百十九件、こういう状況でございまして、その後施設の見学、モデルルームの公開等もやりまして、入居者の反応等もいろいろ聞かせていただきましたけれども、まずまず好評をもって迎えられているのではなかろうかなというふうに考えておるところでございます。
 それから、入居一時金についてお触れになったわけでございますけれども、この入居一時金につきましては、基本的には維持運営費につきましては入居者の方々に御負担をいただくという考え方のもとに定めたものでございまして、一般的なサラリーマンの退職金等あるいは年金等を考慮すれば何とか御利用いただける額ではなかろうかなというふうに考えておるところでございます。
 それから、ぜひこの新しいプランを成功させていただきたいという御意見を賜ったわけでございますけれども、私どもも今後の長寿社会を展望いたしますと、こういった施設のニーズというのは高まっていくのじゃなかろうかなというふうに考えておるわけでございますが、そういった加入者のニーズあるいは事業の経営の健全性というような点も含めながら、今後長期的視点に立ちまして幅広い観点から、この浦安のホームの運営状況というようなものも十分参考にしながら検討してまいりたい、こんなふうに考えております。
#112
○山下(八)委員 終わります。
#113
○野中委員長 次に、秋葉忠利君。
#114
○秋葉委員 基本的にこの改正する法律案に賛成の立場から幾つか質問したいと思います。
 まず、今同僚委員から質問があったのと同じ方向なんですけれども、限度が七十二万円から九十万円に上がったということですけれども、そもそもこの上限があるということの意味なんです。上限があることが大事なのか、それとも上限があった上で、その金額が何らかの社会的な意味あるいはその制度的な意味を満たしているというところが重要なのか、その辺から伺いたいのです。
 つまり上限があるということが大事であれば、ある意味では金額は七十二万でも百万でも九十万でも構わない。上限の存在ということが大事であればそういうことになると思うのですが、恐らくそうではないのではないか。だから七十二万から九十方という数字にすることに意味があった。そういたしますと、その九十万のいわば算定根拠というのが非常に大切になってくると思います。
 例えば利用者の今までの具体的な要求があって、七十二万ではどうしても足りないのだ、もっともっとたくさんの年金を掛けたいのだという要求があればそれなりに理解がいくところですが、具体的に年金の金額別の利用状況というのを見てみますと、簡保の場合には必ずしも高額の年金を掛ける人が多くはないという状況になっております。
 そのような状況でなぜ九十万という数字が出てきたのか。何か今回の湾岸戦争でアメリカの戦費を九十億ドルというのが出てまいりましたが、九〇年代になったから何か九十という数字にこだわった方がいいというような理由が事によったらあるのかもしれませんし、あるいは日本の行政はすべてどんぶり勘定で、適当な数字を選んできてぱっとそれを決めてしまって、後は適当に理由をつけるといういいかげんなことをやっているのか、そんなことがないことを期待いたしますが、少なくともその九十万というのが八十四万ではなぜいけないのか、九十六万ではなぜいけないのか。その方が十二でびっちり割り切れますから計算もしやすいというような利点もあるのですが、その辺の九十万という根拠を一応お教えいただきたいと思います。
#115
○西井政府委員 お答え申し上げます。
 先生お話しになりましたけれども、現在の年金の加入状況から申し上げますと、確かに現在限度額が七十二万円ということになっておりまして、七十二万円の最高限度額に平成二年度に新しく入った方が全体の中で三・七%ということで、十二万円以上二十四万円未満というのが七一%という加入状況になっておりまして、そういう観点からすると、一件当たりの加入状況は低いという状況でございます。この辺につきましては、六十二年に郵便年金制度が新しく発足したということで、私どももまず第一に普及に努めたいということで取り組んできたことが反映されているのじゃなかろうかなと考えておるところでございますが、なお一層その辺については努力をしていきたい、このように考えておるところでございます。
 それから、そもそも年金の限度額の必要性の有無についてお尋ねがあったわけでございますけれども、私ども簡易保険事業といたしましては、基本的な考え方といたしまして国民の経済生活の安定を図る、そしてその福祉の増進を図るというのが目的だというふうに考えておりまして、そういう点から年金は老後における生活費を確保するというのが基本的な考え方だろうと考えておるわけでございまして、そういう観点から老後の経済生活の安定に足る額であることが必要ではなかろうか。そしてまた簡易保険事業の使命からいたしましても、できるだけ国民に幅広く御利用いただくことが必要だろうというふうに考えておるわけでございまして、そういった観点から限度額を定めさせていただくということでございまして、七十二万円を九十万円に引き上げるということにつきましては、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、五十六年以降の社会経済情勢の変化等を勘案いたしまして決めさせていただいた、こういうことでございます。
#116
○秋葉委員 全体として、その金額を引き上げる必要があるだろう。上限があればそれ以上掛けられないわけですから、それを上に上げるというところでは社会的に大きな流れがあることは十分わかりますし、それはおっしゃるとおりなんですが、であれば上限がなくてもいいのではないか。お金のある人はたくさん年金を掛けて、ある程度ない人は必然的に掛けられないわけですから、一体どのくらいの年金を掛けるかというのは、ともかく個人の生活設計にまち、行政あるいは民保も含めてさまざまな商品を提供する側は、ともかく限度をつけないで、どんなものでもおこたえいたします、どのようなニーズにもおこたえいたしますというようなことであってもいいのではないでしょうか。
 それで、その点も含めて、もう一つお考えいただきたいのは、例えば民間の生保の個人年金の年金額段階別状況というのを見てみますと、一件平均の年金の金額が大体六十万円ぐらいになっているわけですね。そうすると、その面でも、一番多いところが六十万円程度であって、簡保の七十二万円の範囲に入っているということがございます。そうすると、それを考えに入れても、必ずしも九十万円に上げる必要はないのではないか。つまり、利用者が一番多いというところで考えれば、民保の方を考えても、七十二万円でも利用者はそれほど困らないということが考えられるわけですけれども、そこから考えても九十万円にする積極的な理由がない、あるいは九十六万円でも八十四万円でもどっちでもいいのではないかということも考えられるのですが、そのあたりも視野に入れてお答えいただきたいと思うのです。
#117
○西井政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、民保の一番多い加入状況のところは五十万円以上百万円未満ということで、件数にして六百九十九万の四六・一%ということで確かに一番多くなっているのに対しまして、郵便年金の方につきましては、一件当たりの平均で二十万円そこそこという状況になってございます。
 それで、先ほどの御指摘、御質問とも関連するわけでございますが、年金の限度額につきましては、保険の限度額について限度額が設けられているという趣旨とは若干違うのだろうと私ども考えておりますけれども、繰り返しになりますが、年金につきましてもできるだけ幅広く国民の方々に御利用いただくという観点から一応の限度額を定めておる、こういうことだと思っております。
#118
○秋葉委員 申しわけありません。これは、私が事前に郵政省の方に来ていただいて質問その他に
ついていろいろとお教えいただいた中で、こういう質問をすると言ったことからちょっとずれた質問をしているので、フェアではないかもしれないのですが、私の前の山下議員の質問にあったその追加ということで、あえてこの辺のところを質問してもいいかと思って質問させていただいているわけです。
 例えば簡保と民保の間の競争ですが、政府がやっている事業だから民保とそれが同じ市場において競争するのは避けたいということであれば、一応理屈も通るような気がするのですけれども、それにしても、今申し上げたように、民保で一番利用者が多いところが百万円以下のところであるということを考えても、競合関係というのは現在でも既に存在している。九十万円に上げたからといってその競争が激しくなるかというと、そういうことも考えられない。であれば、九十万円という限度をそこに設定する積極的な理由は何もなくなってしまうと私は思います。
 こういったところに、簡保事業の意義に関して全く瑣末な部分での法律改正を国会に提出する、それに反して、先ほど私は質問いたしましたけれども、通信・放送衛星機構の本来の目的に全く沿わないような部分では法律改正が国会に出されていない。これは非常にアンバランスな状態ではないかと私は思うのです。
 そういった意味で、九十万円の算定根拠がはっきりしていて、それがどうしても必要であるということであればそれは当然やらなくてはいけないことなんですが、私の目には、一方の非常に大切な一つの特殊法人の目的に関して逸脱したことを行いながら、それの法律改正は提出されずに、こういった部分で、算定根拠も非常にあいまいなものに関しては法律改正が上程される、こういった状況が民主主義を育てていく上で本当に大切なことなのか、あるいはかえって政治不信を助長しているのではないか、そういう気がするのですけれども、郵政大臣、いかがでしょうか。
#119
○関谷国務大臣 貴重な御意見をいただきまして、今後勉強いたします。
#120
○秋葉委員 ぜひ勉強していただきたいと思いますし、私もいろいろわからないところがありますから一緒にぜひ勉強させていただきたいと思うのですが、この点について郵政省の方にもまたいろいろと御意見を伺って問題提起を続けていきたいと思います。
 別の点について質問したいと思います。それは、この簡保の年金も消費者から見ると一つの商品なわけですけれども、同様な商品が民保側でも出てきている。それに対して私が大切だと思うのは、十分な情報、十分な選択基準といったものが正確な形で、しかも、わかりやすく消費者側に届いていく、その上で自分の人生設計に沿った形で消費者が自分に合った商品を選択するということだと思うのですけれども、そういった意味で、簡保がどのような方法できちんとした情報を消費者側に届けているのか、あるいは消費者の視点が常に優先されるような形で例えばさまざまな商品をつくっているのか、その辺についてお答えいただきたいと思います。
#121
○西井政府委員 お答えいたします。
 簡易保険の年金の、特に年金の販売につきましてのお客様に対する商品の情報の提供でございますけれども、まず第一義的には、商品についてわかりやすいパンフレット等を窓口なり、あるいは外務員にお持ちいただいてお客さんに見ていただく、あるいは外務員が商品内容について直接説明するというような形で行われておるのが通常でございますが、またあわせまして、実際に契約を申し込みされたお客様に対しては契約の内容について詳しく説明いたしました「ご契約のしおり」といった印刷物をお渡しいたしておるということで、商品の情報の提供に努めておるところでございます。
 そういったことで、私どももお客様に対する商品の情報の提供についてなお一層工夫をしながら進めてまいりたいと思っておるところでございます。
#122
○秋葉委員 そこで、これは単純な疑問だと思うのですが、簡保と民保とを比較した場合に月額の保険料、例といたしまして、例えば、男性、五十歳で契約して六十歳で払い込み満了、六十歳年金支払い開始、契約年金年額三十六万円、月ごとの保険料が一万八千九百七十二円というのが簡保の十年定期年金という資料をいただきました。
 それから、同様な条件で民保の場合には、これはある民保ですけれども、同じような保険の例でこれが二万八百十八円ということがあるわけですけれども、それほど金額に差はない。ほとんど瑣末な差なんです。それでもちょっと簡保の方が安くなっているわけですが、その利用状況を見てみますと、民保とそれから簡保と見てみますと利用状況に非常に大きな差がある。民保の方が利用件数が多いというふうに私は理解しているのですが、それはPRの不足のせいなんでしょうか、それともそれ以外の理由があるのでしょうか。
#123
○西井政府委員 お答えをいたします。
 先生ただいま簡易保険と民間の年金の具体的な商品についてお触れになったわけでございますが、繰り返しになろうかと思いますけれども、簡易保険の十年定期年金とそれから民保の十年確定年金につきまして比較をいたしますと、具体的には先生おっしゃったとおり、男性五十歳の契約で六十歳払い込み満了の六十歳年金支払い開始、そして年金額三十六万円ということで比較をいたしますと、確かに簡易保険の月額保険料は一方八千九百七十二円で、民保の一例でございますけれども二万八百十八円ということで、若干簡保の方が割安になっている。こういう状況でございますけれども、加入件数が民保の方が多いじゃないかという点につきましては、民保の会社の数なり、あるいは外務員の数なり、そういった営業面での差というものが影響しているのではなかろうかなというふうに考えております。
#124
○秋葉委員 その辺についてはさらに一層の努力をしていただくということをお願いして、必ずしも今のお答えに満足したわけではないのですが、実はもう少し別の理由があると思いますけれども、ちょっと時間がなくなりましたので、その次の質問に、関連したことですが移らせていただきたいと思います。
 これは利用状況全体について見てみますと、民保の場合には一番利用者が多いところが五十万から百万というところ、それから簡保の場合には一番利用者が多いところが十二万から二十四万、非常に大きな差がある。そこのところなんですけれども、それは最終的は払われる年金の額というところで見るとそうなんですが、これを利用されている人たちの月々の支払い、保険料といったらいいのでしょうかあるいは年金の掛金といったらいいのかわかりませんが、その金額においては、例えば平均はどの辺にあるのか、その利用状況の分布と対比した形で大体のところをお教えいただきたいと思います。
#125
○西井政府委員 お答えいたします。
 先生お触れになりました民間保険の個人年金の加入状況、一番多いところは五十万円以上百万円未満というところでございまして、全体の中では四六・一%を占めておるということは先ほど申し上げたとおりでございます。簡易保険の方につきましては、十二万円以上二十四万円未満というのが七一・四%ということで大宗を占めておるという状況でございますけれども、御質問の趣旨を取り違えているかもしれませんが、掛金との対比につきましては今ちょっと手元に資料がございませんので、また別途お知らせさせていただきたいと思っております。
#126
○秋葉委員 私の理解しているところでは、その支払われる年金の額に関してはこういうふうに大きな偏りがある、つまり十二万から二十四万ということで簡保の利用者は月々例えば一万とか二万とかいうお金を受け取るそういった年金に加入している、民保の場合には五十万から百万のところが非常に多くなっている、ということは月に四万からあるいは八万、九万といった額を受け取る、しかしながら、実際にその年金を掛けている間の
月々の支払い額は平均的なところではそれほど差がないというふうに理解しております。ということは、簡保の利用者の方が比較的高齢であるために、年金を使い始める、支払いを始める年齢が非常に高いために掛金が高くなっているということです。それを逆に言いますと、実はもう少し早い時期から、しかも比較的若いときに年金に加入することができれば掛金が安くて済むわけですから。といたしますと、同じ掛金をもう数年早く、あるいはもっと若いときに始めれば年金の額というものはもっともっと大きくなる。
 それは、一つには人生設計の問題だと思いますし、もう一つはやはり簡保のPR、普及ということが非常に大事だと思いますけれども、すべての人が必ずしも適切な情報を得て人生設計をやっているわけではない。しかしながら、その情報を持って、こういう大きな差があるのだということを具体的な数字で示すことができる立場にある例えば簡保局といったところがもっともっと広い意味でのPR、普及を行うべきではないか、そこのところが問題ではないのか。特に若い人たちに対していろいろな意味で人生設計を含めた普及の努力をもっとすべきではないか、そのことを今ここにあらわれた民保と簡保の数字の差が実は切々と訴えているのじゃないかというような気がするのですけれども、そういった意味で若い人へのPRあるいは普及の努力といったことでこれからどんなことをなさっていらっしゃるつもりなのか、あるいはこれまでどんなことをしてきたのか、それもあわせてお答えいただければと思います。
#127
○西井政府委員 お答えいたします。
 年金の受け取る額と掛金の関係につきましては、基本的な点で申し上げますとやはり掛金の期間が長ければそれだけ一度に掛ける掛金が少なくなるというのは当然でございまして、そういう意味では、先生御指摘のとおり若い時期からといいますか青壮年の時期から年金にお入りいただくということは非常に重要なことではなかろうかなというふうに考えておるところでございまして、私どももそういった青壮年層に対します年金の理解を深めていただくためのいろいろなPRなり工夫をこれから講じていきたいというふうに考えておるところでございます。
 具体的な施策といたしまして現在までのところやっておりますのは、保険年金の思想を小中学生のころから理解していただくという観点から、昭和三十七年から簡保作文コンクールを実施をいたしております。これは学校等でも非常に好評でございまして、応募件数が昨年の例で申し上げまして十三万件くらいにも達するというようなことになってございます。そのほか、ラジオ体操、あるいは青少年を対象にいたしました各種のイベントを開催する、あるいは昨年四月からでございますけれども、特に青少年に人気のあるタレントを簡保のイメージキャラクターということで起用をいたしまして、いろいろなPRのパンフレットなりポスター、あるいはCM等にも出演をしていただいておるところでございます。
 いずれにしましても、先生御指摘の点も踏まえまして、今後なお一層年金の普及、PRに積極的確取り組んでまいりたい、こんなふうに考えております。
#128
○秋葉委員 この簡保の作文については、私も具体的にその作文の幾つかを読んだことがございますので、非常に意義のあることだと思います。続けていただきたいと思います。
 それから、先日伺ったことですけれども、私は全然知りませんでしたが、ラジオ体操をそもそもつくって、そのラジオ体操というものを始めたのは郵政省である、しかも簡保局であるということで、その辺も、たまにはNHKの字幕に簡保という字が出るくらいにPRをしていただいた方がいいのではないかと思います。
 その辺のところもお願いした上でもう一つなんですが、実は若い人に簡保あるいは年金、保険についてきちんとしたことを知ってもらう、大切なことだと思うのですが、それと同時に大切なのは、制度として若い人が年金に加入できる環境というのをきちんとつくることが必要ではないかと思います。現在の商品を見ますと、このパンフレットに書いてある、これは簡保局でつくったパンフレットですが、加入年齢が一番若くて三十歳、三十歳でも恐らく間に合うんだと思いますけれども、これも、例えば二十歳、大学生のうちにそういった人生設計を将来にわたって考えるという意味で二十歳くらいに下げてもいいんではないか。かえってインフレの心配もありますけれども、インフレというのは起こったときに被害を受けるのはだれでも大体同じことになるわけです。若いうちにそういった被害を受けるのと年とってから受けるのとを比べると、やはり若いうちの被害の方が比較的少なくて済む、それ以外にその損失を回復できる年月があるわけですから。そういう意味で、別に若いときから年金あるいは保険に加入できるということはマイナスにはならないんではないかと思います。
 そういったことで、この加入年齢を例えば下げるといったことは検討していただけるんでしょうか。
#129
○西井政府委員 年金の加入年齢の点でございますけれども、先ほども触れさせていただきましたけれども、早い時期から長期間にわたって掛金を掛けていただくということになりますと、保険料の掛金の負担が低くなるということになるわけでございまして、そういう点から、先生今御指摘の加入年齢の引き下げにつきましては今後十分検討を進めてまいりたい、こんなふうに考えております。
#130
○秋葉委員 それからもう一つ伺いたいのですけれども、大体こういったいろいろな商品を考えるに当たって、さまざまな日本人の生き方というのがあるわけでしょうけれども、大体どういった老後ということを典型的なモデルとしてお考えになった上でこういった年金あるいは保険についての総合的な政策を考えておられるのか。その全体像といいますか典型的な姿というのを最後にお聞かせいただきたいと思います。
#131
○西井政府委員 お答えいたします。
 老後の生活の状況というのは、まさに各人の個人の生活設計等あるいは多様化が進んでまいってくるんじゃなかろうかというふうに思いますけれども、私どもが年金を考える上で一応念頭に置いておりますのは、例えば厚生省の資料に基づさまして平均的なサラリーマンの方の年金の加入者というものをイメージして申し上げますれば、平均的には年齢差三歳の御夫婦ということを前提にいたしますと、御主人の方が六十歳前後で退職をされるだろうということを想定いたしまして、そのとき奥さんの方が五十七歳、まあその時期には大体子供さんは独立をしているんじゃなかろうかというふうに考えます。そういう状況で考えてみましても、日本人の平均寿命は大変延びておりますので、平均的な寿命から考えてみましても、六十歳で御主人が退職をいたしましても、その後まあ七十六歳、平均寿命七十六歳といたしますと十六年間の夫婦お二人の生活というのが想定されるわけでございます。女性の平均寿命が八十二歳ということで考えますと、その後奥さんの万が一人で生活する期間も九年余りになるというようなことで、いわば老後の生活の期間というのは非常に長いという状況が考えられるわけでございます。
 私どもとしては、そういった全体的な長寿化の進展というものを念頭に置きながら、そういった老後の生活が、長期間ではございますけれども、できるだけ豊かで実りあるものになるように、あるいは社会全体として活力があるものになるように貢献できればということで年金制度について検討をしておるということでございます。
#132
○秋葉委員 ありがとうございました。
 ともかくそういうふうに、例えば今の女性の場合ですと二十五年保険を受け取る、あるいは年金を受け取る時期があるわけですが、全人生の三分の一とか四分の一、そういう非常に長い時期の経済的な基礎をつくるための大事な事業ですし、私はそういった意味でも簡保のファンでございますので、これからもますますこういった老後の安定
のためにしっかりとした仕事をしてくださることをお願いして、質問を終わらしていただきます。
#133
○野中委員長 次に、鳥居一雄君。
#134
○鳥居委員 簡易生命保険法一部改正案につきまして御質問申し上げたいと思います。
 簡易生命保険事業、この事業経営の安定というのは極めて大事な問題だと思うのですが、さらに、それを基盤にして加入者利益をどのように守っていくか、これはもっと大事なテーマであろうと思うわけです。何点かの角度から御質問をしたいと思っております。
 簡保事業は非営利である、国の事業として利益は求めない、こういう性格の事業であると思うのですが、本当に非営利というのは加入者にとって利益なのか、極めて素朴な疑問を持つわけであります。民保の場合、これは相互会社という形をとっておりますから社外に利益が流出するということはこれもない、そういう簡保、民保という関係の上で非営利ということの有利さというのはどういうことなんでしょうか。
#135
○西井政府委員 お答えいたします。
 簡易保険事業は、国営で非営利の保険事業ということで、先生御指摘のとおり私どもも加入者利益の増進に懸命に取り組んできておるところでございます。一方、我が国の民間の生保会社でございますけれども、大半が相互会社の形をとっているということで、そういう点からいたしますと、営利を直接目的といたしております株式会社とは性格を異にするんだろうというふうに考えておるところでございます。
 そういう状況の中で簡保と民保を比較いたしまして簡易保険事業の特徴という点を申し上げさしていただきますれば、第一に、山間僻地も含めまして全国あまねく設置されております郵便局を通じまして幅広く公平に簡易保険サービスの御利用をいただくという点。それから簡易保険の資金でございますけれども、六割を超える分が公共的分野に運用されておりまして、社会資本の充実なり、地域振興にも貢献をいたしておる。それから簡易保険事業の特徴といたしまして、加入者福祉施設の設置等によりまして加入者福祉の増進を積極的に推進をしている、こういう点が挙げられようかというふうに思うわけでございますが、私どもといたしましては、国営で非営利の事業としての簡易保険事業におきましては、なお一層加入者利益の増進に役立つように推進するように今後とも努力をしてまいりたい、こんなふうに考えております。
#136
○鳥居委員 具体的に販売されている商品におきまして簡保と民保を比べてみる、これは非常にわかりやすいと思うのですね。それで、物によって簡保がすぐれている、物によっては生保に負けている、しばしばこういう御説明なんですが、まさに簡保の売り出し商品の中の目玉はこれだという商品があったらお示しをいただきたいと思うのですけれども。
#137
○西井政府委員 お答えいたします。
 簡易保険の商品と民間保険の商品を比較するという場合には、商品の種類も非常にたくさんございますし、また個々の商品をとりましても、その具体的な仕組みの違いもございまして、一般的に有利、不利を比較するというのはなかなか難しゅうございますし、必ずしも適当ではない。あるいは、そのことがかえって御利用いただくお客様に誤解を招きかねないというような点もあるわけでございます。
 そこで、具体的な商品について、簡易保険ではどれが言うならば目玉かというような御質問でございますけれども、現状からいたしますと、保険の中では十年満期の養老保険というのが私どもの商品の中では一番売れておるし、半面人気が高いということになろうか、あるいは特徴のあるものといたしますれば、子供さんを対象にいたしました学資保険といったようなものが挙げられようかと思います。
#138
○鳥居委員 それで、ちょっとずつ違うわけですよね。単純な比較ができないような仕組みになっている。これは、何といいますか、競合しているけれども民業を圧迫していない、こういう根拠に全く同じ条件のものを発売するわけにはいかない、こういうことになっているのかなとも実は思うわけですけれども、非営利であり国の事業なんですから、胸を張って、加入者利益につながっていることであれば、競争原理が導入されている世界でもあり、どんどん販売が促進される、こうあって自然ではないのか。加入件数がぐんぐんウナギ登りに伸びていくというようなそういう中に、いわゆる経営基盤の安定というのが実はあるのだろうと思うのですね。
 昨年、簡保と年金が統合されましたけれども、年金部分は極めて後発であるということの理由から、加入件数がまだまだ微々たるもので、言ってみればこれから伸びていかなければならない、そういう位置づけになっているのだろうと思うのです。したがいまして、郵政省の事業として簡易生命保険事業、これを進めているわけでありますから、加入者利益を十分に保障して前向きに取り組んでいく。どのくらい大蔵省の制約があり、簡保事業というのが障害になっているのか、このあたりが全く想像できないわけですけれども、どんな縛りがありますでしょうか。
#139
○西井政府委員 お答えいたします。
 先ほどとも関連をいたしまして、簡易保険の商品と民間保険の商品の比較でございますが、一例でございますけれども典型的な例として申し上げますと、簡保の十年定期年金と民保の十年確定年金を比較いたしますと、男の方で五十歳の契約で六十歳払い込み満期で六十歳年金支払い開始、年金額三十六万円という条件のもとで比較をさせていただきますと、月額保険料では、簡易保険は一方八千九百七十二円、こういうことになるわけですが、民間保険では二万八百十八円ということで若干簡保が割安、こういう格好になっておるわけでございますけれども、年金の支払い期間中に不幸にしてお亡くなりになったような場合につきましては、簡易保険では払い込み保険料相当額と既にお支払いしました年金の額との差額が支払われる、こういうことになりますが、民間保険の場合では残存期間中の年金の現価相当額が支払われるというようなことになっておりまして、ここを比較いたしますと民保の方が有利だ、これは例えば一例でございまして、全体的にはどちらが有利というようなことは一概に言えないというようなのが現状でございます。
 それから商品の内容につきましては、それぞれ民間保険も私どもも、先ほど商品の具体的な内容については違いがあるということを申し上げましたけれども、お客様のニーズ等いろいろ検討しながら、そういう中でどういうニーズに対応するのがいいかというようなことをいろいろそういう工夫をしながら商品の設計なりあるいは開発をしているというようなことで、決してそれが競合しているからそうしているのだということではないのじゃなかろうかなというふうに理解をいたしておるところでございます。
 それから制度面の制約でございますけれども、具体的には、先ほど来取り上げられました加入限度額の問題、それから商品についても基本的な点については法律で定められている、運用範囲にも制約がある、こういう制約がございますけれども、そういう制約の中にありながらも、私どもといたしましては、できるだけ国民のニーズに沿うような商品の開発に努めてまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。
#140
○鳥居委員 郵政省からいただいた比較表、これをもとにいたしましてちょっと見てみたいと思うのですけれども、簡保の十年定期年金と民保の十年確定年金、確かにおっしゃるとおり簡保の方が保険料は幾分安い。月額一万八千九百七十二円に対しまして民保が二万八百十八円、つまり千八百四十六円の開きがあります。これは簡保の方が保険料が安くなっているわけですね。ところが、年金保障の内容、例えば一定額の年金につきまして、被保険者の生存を条件に十年間、そして五年で死亡した、こういう仮定をして計算いたしますと、簡保は五年間ですから、三十六万掛ける五で
百八十万円受け取り。ところが、簡保の方は百八十万の受け取りで、支払い金額が十年間ですから二百二十八万として、したがいまして遺族に支払われる額が四十八万、それに対しまして民保の方は一時金として百八十万というのが出てくるわけですよ。
 それから、年金支払い開始前の死亡ということを仮定して計算いたしますと、簡保の方は二百二十七万支払うよというのに対しまして、民保が二百八十九万払うということになっておるわけです。だから、一定の条件を設定すると民保の方が全然強いわけですね。これは民保との競合の中で条件の設定をしなければいけない、こういうような縛りがあってこういう状況になっているのかどうか、この点はどうなのでしょうか。これはこういう条件を設定すると簡保の方が弱いですよ。
#141
○西井政府委員 先ほども触れさせていただきましたけれども、具体的な商品比較ということになりますと、全く同じ商品が簡易保険と民間保険にあるということはございませんものですから、比較する場合の条件として一応こういう形のもので比較をさせていただいたということでございます。(鳥居委員「縛りは」と呼ぶ)特に、そういう比較をしなければいかぬという縛りはございません。
#142
○鳥居委員 非常に複雑で比較しにくいというのが実際だと思うわけです。
 もう一つ経費率、いわゆる簡易生命保険事業の事業費率というふうに呼ばれている、いわゆる経費率なのです。つまり、分母が総保険料収入に対しまして、事業を営むためにどのぐらい費用をかけているか。この五年間の平均が七・九%、平成元年が七・二とやや下がっておるわけです。この数字は低いにこしたことない、加入者の利益にとってはこうした種類の経費は低いにこしたことない。これは配当という形になるのか、あるいは保険料が低く抑えられるというそういう形になるのか、いずれにしても経費率というのはそういう性質のものだと思うのですね。
 それで、この経費率を低く抑えられるかどうかということも事業の基盤の安定ということとあわせて大事なことなのだろうと思うのです。もちろん、分母を大きくするということは大事だと思います。先ほどお示しのわずかな加入数、これを何倍、数十倍に広げることができるとすれば、これは基盤の安定ということにつながるわけですから、そのためには、一方においては事業費率を低くする努力、それからすぐれた商品によって加入者がどんどんふえる、そういう努力、この両面が大事なのだろうと思うのですけれども、どうでしょうか。
#143
○西井政府委員 お答えいたします。
 なるべく安い保険料で保険・年金のサービスを提供いたしまして、それがまたひいては加入者の利益を増進するということになるわけでございますので、そういう観点から、先生御指摘のとおり、効率的な事業運営に努めていくということが事業運営の重要な課題であろうというふうに考えております。
 簡易保険事業におきましては、従来から事業運営の効率化ということに力を入れてまいりまして、例えば昭和五十一年度から簡易保険業務の総合的な機械化を推進してまいってきております。そしてまたそれがサービスの向上にもつながっておる、こんなふうに考えておるところでございます。
 それで、事業費率の関係でございますけれども、御指摘のとおり、過去五年間で申しますと事業費率は平均七・九%でございまして、元年度はそれが七・二%ということで、ここのところ最近少しずつではございますけれども率としては事業費率が低下をしてきておるという現状にございます。
 それで、事業費率は、御指摘のとおり、いわば収入保険料分の事業の経営に要した費用という関係にございますので、分母になります収入保険料が伸びるということであれば事業費比率が下がっていく、そういう観点からはできるだけ国民のニーズに合うような商品の開発をいたしまして幅広く御利用いただくということ。あわせまして、経費の方の節減につきましても、先ほど申し上げましたような総合機械化等をさらにレベルアップする等引き続き推進を図りまして、事業費の増加を抑制しながら、全体的な事業費率の低減を進めること等によりまして加入者利益のなお一層の増進に努めてまいりたい、こんなふうに考えております。
#144
○鳥居委員 実際、簡保と民保、事業費率を比べてみますと、簡保が平成元年で七・二に対しまして、民保は一三・六、これは確かに民保との間に大きな開きがあり、経営の努力をされていることはこの数字が一つ物語っているものだと思うわけです。しかし、この分母を大きくする努力と同時に、やはり分子も抑えていく、こういう努力をぜひ重ねていただきたいと思います。
 ちなみに、平成元年度で事業費の内訳はどんなふうになっていますか。
#145
○西井政府委員 平成元年度の簡易保険事業の事業費でございますけれども、総額で五千百六十九億円となっております。その内訳でございますけれども、人件費が四千二百九十八億円でございまして、物件費の方は八百七十一億円という状況になってございます。
#146
○鳥居委員 もう一つは、資金運用ですね。運用益を拡大するということによって加入者利益を図っていく、こういう大事な一つの要素があるだろうと思います。このところをいただいた資料を見てみますと、財投の方で二ポイント減り、市場運用の面でも事業団運用が二ポイント下がっている。確かに簡易生命保険事業というのは、確実であり、有利であり、そしてまた公共の利益、こういう三原則を守らなければならないという条件のもとで、しかも運用益の拡大を図っていく、こういう大変難しい作業だと思うわけです。
 去年、平成二年の六月から債券の貸し付けができるようになり、それから大型私募社債への運用が認められ、運用拡大が図られた。これはどんな状況になっておりますでしょうか。
#147
○西井政府委員 運用の関係でございますが、御質問の、昨年から始めました債券の貸し付けと大型私募社債の運用につきましては、昨年の六月から法令や手続の整備を行いまして実施いたしたところでございます。
 本年の二月末の実績で御説明させていただきますと、債券の貸し付けにつきましては、貸付累計額で約九千億円の運用ということになってございます。その結果、貸借料といたしまして約一億円の収益があったということで、貸付債券の利率の現状では平均して約〇・七%の上乗せになっている、こういう結果でございます。
 それから大型私募社債でございますけれども、これにつきましては本年二月末現在で約百九十億円を運用いたしております。この大型私募社債につきましてはいろいろございますけれども、少なくとも公募社債よりは〇・一%は高い利回りで運用いたしておるという状況でございます。
#148
○鳥居委員 今後も運用をどういうふうに拡大していくかという古くて新しい課題だと思うのですが、運用の拡大をどのようにして図っていくお考えなのか、どんな検討がなされているのか、状況を御説明いただきたいと思うのです。
#149
○西井政府委員 簡易保険の資金運用につきましての基本的な課題でございまして、先生先ほど御指摘のとおり、基本的には確実、有利かつまた資金の性格からいたしまして公共の利益に沿うようにというのが運用の基本原則でございますけれども、簡易保険事業の経営の立場から申し上げますと、できるだけ有利に運用して加入者の利益のために配当金の増額等に努力をしていくということが今後とも大きな課題ではなかろうかなというふうに考えておるわけでございます。
 そういった観点も踏まえまして、本年度におきましては、社債の運用範囲の公益業種でございますけれども、これにつきまして海上運送なり港湾運送の事業の社債、債券に運用するというような、制度の改善といったような形で運用対象の多
様化あるいは手法等にもいろいろ工夫をしてまいりたい、こんなふうに考えております。
 今後とも資金の効率的な運用ということに十分配慮をしてやっていかなければいけないというふうに考えておりますし、また金融、経済環境非常に変化が激しい面がございますが、そういった状況の変化にできるだけ的確に対応して資金の効率的な運用に努めてまいりたい、こんなふうに考えております。
#150
○鳥居委員 この簡易生命保険の位置づけは、もう既に議論のとおり、公的年金を補完するということ、それからまた国の事業としていわゆる簡易、簡便にだれでも入れるような、しかも非常に魅力がある、こういう特色なんだろうと思うのですね。ですから、これからさらに拡大を図っていくその一つのポイントは、発売される商品、これからどういう新商品の開拓をしていこうかということの取り組みが極めて大事だと思うのです。どういうふうにお考えでしょうか。
#151
○西井政府委員 お答えいたします。
 御案内のとおり、人口構造の高齢化というか社会経済環境の大きな変化もございますし、また保険・年金に対する国民のニーズも非常に多様化しておるという状況にございますので、私どもはそういった現状を十分踏まえながら今後とも積極的な商品開発に努めてまいりたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
 特に本年の四月からは、御案内かもしれませんけれども、従来の終身年金保険とそれに終身保険を加えました生涯保障保険、私ども愛称といたしましてトータルプランしあわせ、こう呼んでおりますけれども、そういったものを四月から発売したいというふうに考えておりますし、今後の検討課題といたしましては、今申し上げました生涯保障保険の中で夫婦年金保険と夫婦保険を組み合わせた夫婦年金保険つきの夫婦保険、いわゆる夫婦連生タイプのものを考えたい、こんなふうに思っております。それから死亡したときに満期保険金の二倍給付するとか五倍給付するといったような特別養老保険がございますが、これらの保険期間につきましても改善を図る方向で検討してまいりたい。あるいはこれはちょっと先の課題になろうかと思いますけれども、家族全員の死亡保障を安い保険料で提供できるような家族定期保険についても研究をしてまいりたい、こんなふうなことを考えておるところでございます。
#152
○鳥居委員 最後に大臣に伺いたいと思いますが、加入者利益の増進について今後のお取り組みを伺いたいと思います。
#153
○関谷国務大臣 るる先生今まであらゆる角度から御指導をいただいたわけでございますが、そういうようなことを基本的な考えといたしまして、全国あまねく設置をされている郵便局を通して簡易に利用できる唯一の方法であるわけでございますから、その特異性を生かして利用者の方々の利便を獲得いたしますように、先ほど御指摘もありましたように新しい商品開発というようなこと、そしてまた職員の努力、そしてまたこの持っております特異性というものを皆さんにもっともっと御理解をしていただくような努力もいたしまして利益の増進を図っていきたい、そのように思います。
#154
○鳥居委員 終わります。
#155
○野中委員長 次に、菅野悦子君。
#156
○菅野委員 簡易保険の加入限度の引き上げ、この改正点について幾つかお聞きをしたいと思います。
 まず、簡保年金の役割についてなんですけれども、公的年金との関係はどのように認識なさっていらっしゃるかということ。そしてこの間のいろいろなやりとりの中で、また資料もいただきましたけれども、年金、非常に好調ですね。保有契約高もどんどん伸びているというふうな状況なんですけれども、その要因は何かということについてまず御認識をお伺いしたいと思います。
#157
○西井政府委員 お答えいたします。
 まず最初に、公的年金と郵便年金の関係という御質問でございますけれども、私ども公的年金制度につきましてはすべての国民の方々に老後生活の経済的な基礎を保障するという役割を担っているのじゃなかろうかというふうに考えております。一方、私どもの郵便年金も含めましたいわば公的年金に対します私的年金でございますけれども、国民が老後生活を個性豊かに送っていただくために個々人の方が自由な生涯生活設計に基づいた老後の生活資金づくりを準備する手段ということで、いわば公的年金を補完するものではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
 いずれにしましても、高齢化の進展によりまして国民の自助努力によります生涯生活設計というのはますます重要になっていくだろうというふうに考えておりまして、そういう観点から長寿社会の実現に資するという観点から、郵便年金の役割というのは今後ともますます重要になっていくのじゃなかろうかなと考えておるところでございます。
 それから普及状況の関係でございますけれども、御指摘のとおり、これは郵便年金に限らず民間保険の年金も含めてでございますけれども、特に最近好調に伸びておるというのは御指摘のとおりでございまして、大きな理由といたしましては、年金そのものにつきまして、私どももそうですけれども、本格的に取り組み始めたのは五十六年の新郵便年金制度の発足以降ということでございまして、全体的にはまだ普及率が非常に低い。保険、特に私保険に加べましても低い。そういったことで、年金に対する需要が高いのではなかろのか。あるいは、高齢化社会の進展ということに対する一般的な関心の高まりということも影響しているんじゃなかろうかな、こんなふうに考えております。
#158
○菅野委員 今お話がありましたように、簡保年金というのは公的年金を補完するものであるというのはそのとおりだと思うのです。その加入限度額を引き上げるということは、この公的年金が不十分なために国民としては個人的な努力で補完しなければならない、しかも、その補完部分をもっと大きくしなければならないということになっているんではないかというふうに思うわけです。国は当然公的年金に責任を持っているわけなんですけれども、その国が公的年金の不十分なところを補完する個人年金を販売する。論理的には公的年金が不十分なほど、変な話なんですけれども簡保年金にとってはありがたいということになるわけですね。
 現実問題ですけれども、はっきり言って公的年金だけではとても暮らしていけないし、老後が不安、その点もおっしゃるとおりだと思います。しかも、国の方では、年金支給の開始を六十歳から六十五歳に引き上げるというふうな方向を出すなどということもあるわけで、一層公的年金を国民が自分で補完しなければ、とても安心して老後を迎えられないというふうな状況があるやに思うわけです。
 今、答弁がございましたように、年金は順調に伸びている。保有契約件数ですけれども、毎年三〇%ずつ伸びていますね。これは、現場の職員が頑張っているということ、この反映でもあると思いますけれども、同時に、公的年金への不安の高まりということの反映ではないかというふうに思うわけなんです。
 そこで大臣。閣僚の一人として、こういう点をどういうふうにお考えか、御所見をお伺いしたいと思います。
#159
○関谷国務大臣 確かに、公的年金ですべてがカバーできるのであればいいわけでございますが、そこまで今達成していないということでございますから、るるいろいろな問題がございますが、先生御趣旨の公的の年金の部分を大きくするための努力をいたします。
#160
○菅野委員 そういう点で、本当に我が国の公的年金の現状は率直に言って不十分です。だから、老後のことを考えると、やはり個人年金にも加入しておかないと不安だし、そういう点で国民の、できたらその限度額引き上げということの要望も
よくわかりますので、この限度額の引き上げについては私どもも賛成をしたいというふうに思うわけです。
 次に、簡易保険の募集と集金について少しお伺いをしたいと思います。
 郵政省は、職員を優績者とか低実績者というふうなランクづけをしているようですけれども、これはどういう基準でこういうふうなランクづけをなさっておられるのか、お伺いをいたします。
#161
○西井政府委員 お答えいたします。
 募集優績者というお話がございました。これにつきましては、私ども、全国で約二万八千人ぐらい直接の保険の募集に当たる者がいるわけでございますけれども、そういった職員の動機づけあるいは販売技能の向上、そういったようなことを念頭に置きながら募集優績者というものを毎年全国で千五百人認定をいたしております。
 それの選考の方法あるいは基準でございますけれども、営業成績が優秀であるということを前提にいたしまして、そのほか営業の成果でございます募集の内容、例えば失効解約率の状況等といったようなものを勘案をいたしまして、他の職員の模範になるような職員ということで千五百名を認定をいたしておる、こういう状況でございます。
 それから、低実績者というふうに御指摘になりましたけれども、低実績者につきましては私ども一般的にその明確な区分をいたしておりませんで、強いて申し上げますと、販売実績を実績順に三つのグループに分けまして、実績の高い方から三分の一ずつ、第一グループ、第二グループ、第三グループというようなことで、職員の販売技術の指導等に役立てている、こういう状況でございます。
#162
○菅野委員 この低実績者とランクされるということは、本人にとって精神的にも非常に苦痛なんですね。しかも、それが現場の判断でレッテルを張っていくということになりかねない。だからそういう点で、こういう表現で労働者を区分けするということはいかがなものかというふうに思うわけです。
 しかも、この点で現場の話を聞きますと、募集実績を上げるために優績者中心に業務運行しているというふうな状況があるんじゃないかというふうに思うのですね。募集のために役に立ついい資料というのがあります。例えば団体関係の資料なんですけれども、そういう資料とか満期者のリスト、これを優績者に事前に渡して、そして予約をとらせるというふうなことがあるやに聞いているのです。そういう点で専ら優績者は優遇される、いわゆる低実績者は逆にそういうものをもらえないわけですから、反対に、集金に手間がかかる重い集金区を割り当てられる、そういう状況が現場にはある。ですから、こういうことをやられますと必然的に、低実績者と言われて相当精神的な苦痛を受けているこういう人たちの募集実績はさらに落ち込む、そして優績者との差が広がる一方になるというふうなことがあると聞いておりますけれども、郵政省はこうした指導を現場の扱いを含めてなさっていらっしゃるのかどうか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
#163
○西井政府委員 先ほども申し上げましたけれども、私ども、優績者という認定はいたしておりますけれども、低実績者というのを一般的にそういう形で指定をしているというようなことはないわけでございまして、先ほども申し上げましたけれども、実績順にグループ別に三段階に分けている、こういうことでございます。これは、先ほども申し上げましたように、それぞれの販売の技能等を勘案をいたしまして、できるだけそのレベルに応じた適切な指導をしていく、そしてまた、販売活動に積極的に取り組んでいただくというのが考え方でございます。
 それから、募集関係の資料でございますけれども、それぞれの局で資料を用意してやる場合には、個々には私当たっておりませんが、職員ができるだけ公平に募集活動に使えるようにやっているんじゃなかろうかというふうに思っております。
#164
○菅野委員 そういう低実績者というふうな扱いはしてない、そういうランクづけはしてないということですけれども、具体的な指導や扱いの中でもそういう差別をできるだけしないということで、ぜひ努力をしていただきたいというふうに思います。
 あわせてお聞きしたいのですが、郵政省がやり始めております複数集金区制というもの、これはどういうものか、簡単に御説明をいただきたいと思います。
#165
○西井政府委員 お答えいたします。
 御指摘の複数集金区制でございますけれども、これは近畿郵政局が管内の状況等を勘案しまして近畿郵政局独自で実施をいたしておる施策でございまして、一人の職員が従来の集金区を二区以上持って主として集金の事務を担当する、こういったものだというふうに聞いております。
#166
○菅野委員 今もちょっとおっしゃいましたけれども、特定の職員に二つないし三つの集金区を担当させる、そして浮いた職員を募集専門にして実績を伸ばそうというものじゃないんですか。
 そして、おっしゃいましたように、近畿郵政局が出した文なんですけれども、その近畿郵政局の文書によりますと、「複数集金区制の試行実施について」という通達があるのですが、ここにはこんなふうに書いているのですね。「複数集金区担当者は、集金事務及び集金事務の効率化に専念させるが、募集事務を行っても差し支えないものとします。」ということがあるわけです。
 実態はこれほどうなるかといいますと、今まで二人ないし三人で集金していたところを一人で回るというふうにさせるわけで、当然これは仕事はきつくなります。その上、募集はやってもいいよという程度で集金に専念するわけですから、当然募集はほとんどできないというんですか、やってもいいよというような程度ですからね。ですから、募集手当の方はなくなるか大幅に減少する。つまり結果的にどうなるか。仕事はきつくなり、収入は減るということになるわけです。こうした発想になるのは、先ほど言ったように、優績者中心に業務を組み立てようとしているというふうなやり方の中からこういうことも出てくるのではなかろうかというふうに思うのですね。
 しかも、このやり方で心配なのは、その後の集金に責任がないわけですから、過去もたびたび問題になっておりましたけれども、とればいいという不正な募集、それから、加入者の経済状態がどうでも無理な契約、これも言葉巧みにとってしまうというふうなトラブルがこういうやり方の中で起こりはしないのか、そういうことが非常に心配なわけなんです。
 私どもは、今のお話では近畿郵政局だけだというふうなことでしたけれども、こうした複数集金区制というのはやめるべきじゃないかというふうに思うのですけれども、お考えをお聞きしたいと思います。
#167
○西井政府委員 お答えいたします。
 外務員の、特に保険の外務員の仕事の具体的な内容といたしましては、端的に申し上げまして集金事務とそれから募集事務と両方あるわけでございまして、近畿郵政局におきましては、管内の保険の状況なり営業成績の状況なりあるいは周囲の金融機関の競争の状況、そういったいろいろな要素を勘案をしながら、効率的な事業運営なりあるいはお客様に対するサービスの向上という観点から、お話のありました複数集金区制というふうなものを実施をいたしておるわけでございます。
 そういうことでございまして、従来は一人でやっていたところを二人分持つということですし、それから施策の内容といたしましては、集金事務に主として当たっていただく。その結果するところは募集に割く時間が少なくなるということになろうかとは思いますけれども、そうであっても募集できる場合にはやっていただいて、それに対する必要なといいますか、それに相応する手当というものは当然支給される、こういうことになろうかというふうに思っております。私どもといたしますれば、近畿郵政局がその置かれている状況の
判断の中で実施いたしている施策でございますので、よろしいんじゃなかろうかな、こんなふうに考えているところでございます。
#168
○菅野委員 初めからのお話にありましたように、簡保年金は大変好調なんですよね。それを支えているのは、やはり働く皆さん方が非常に頑張っているからこういうふうな非常にいい状況にあるというふうに思うのです。
 今、御答弁にありましたけれども、それは今までの二人分、三人分も持たせていて、集金もやってもらっていいし、その余力でもってどうぞ募集もというふうにおっしゃいますけれども、実際はこういう状況では、今までの二人、三人が持っていた分を一人が持つわけですから、そこの集金にかかわっていくと、とてもそれは募集まで手が回らないというのが実態としてあるわけです。先ほども言いましたように、それは結局本人にとっては仕事はきつくなるし、そして収入は減るということに結果的にはならざるを得ないわけですから、そういう点ではやはりこの複数集金区制は大きな問題があるということを、私は再度指摘しておきたいと思います。
 時間がありませんので、もう質問をそれくらいにしておきますけれども、機会があればまた今後引き続きやりたいと思いますので、どうか御再考を再度お願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
#169
○野中委員長 次に、中井洽君。
#170
○中井委員 最初に、簡保年金の現在の契約量はどのぐらいになっておるのか、また、その契約量は金額でいけば他の民間の生命保険会社なんかと比べてどのぐらいのところに位置するのか、お聞かせをいただきます。
#171
○西井政府委員 お答えいたします。
 平成二年度三月末現在でございますけれども、新規契約の状況は、件数で四十七万件、年金額にいたしまして九百九十七億円、前年同期に比べましてそれぞれ四二・一%、年金額にいたしまして四六・九%増という状況でございます。
#172
○中井委員 今の資金量、現在トータルでは。
#173
○西井政府委員 それから、三月末現在の全体の保有契約件数でございますけれども、件数は百八十九万件で年金額は四千四十四億円、前年同期に比べましてそれぞれ三四・七%と三四%増、こういう状況になってございます。
#174
○中井委員 違うな、僕の聞いていることと答えが。違うのを読んでおるんだろう。
#175
○西井政府委員 どうも失礼いたしました。改めて答弁させていただきますが、簡易保険の資金量でございますけれども、平成元年度末四十六兆四千億円という状況でございます。
 民間の状況でございますけれども、私ども承知している範囲では、日本生命が二十四兆八千億円、第一生命が十七兆四千億円、住友生命が十四兆八千億円、こういう状況と承知いたしております。
#176
○中井委員 御努力いただいて、いずれにしましても、お聞かせいただきますともう世界一の契約高であろうか。
 そうしますと、郵便局といいますか郵政省というのは、保険、年金、それから預金と、世界一のものを持っておる大変な組織であると思わざるを得ません。今日までそういう組織をつくり上げられた皆さん方、あるいはまた協力した国民の皆さん方に心から敬意を表するものでありますが、一方では、本当にこんな大きいのを国がいつまでも一つでやっていくんだろうか、こういう声も民間のそれぞれの会社から聞こえてくるのも事実であります。
 また他方では、長寿社会、公的年金に対する不安あるいは郵便局に対する日本人独特の信頼感、そしてまたニーズの多様化、これらにこたえて、郵政省としてもいろいろな商品の拡大あるいは額の増額、頑張っていただかなければならない。この相反する二つのものを持ちながら、郵政大臣としてどういうような長期ビジョンでこの郵政業務をおやりにならうとお考えですか。
#177
○関谷国務大臣 中井先生御指摘のように、世界一の資金量を運営するわけでございますから、それだけの責任というものがあるわけでございまして、国民の福祉を増進することを目的といたしました国営の非営利の事業でございますので、今後なお一層、全国に設置されております四万二千ばかりの郵便局を通じまして、国民に利益をもたらすように、あらゆる商品の開発ということをまずやっていかなければならない、そのように思っております。
 それと、そういうようなことを考えますと、これからはますます保険とか年金に対します多様化あるいはまた高度化というものが要求されるわけでございますので、ぜひ私たちも努力をいたしまして、その国民の自助努力をまた裏打ちをする、バックアップするというようなことも政策課題として考えておるわけでございまして、今後とも保険・年金のサービスの一層の充実、そしてまた資金運用、先ほど先生御指摘いただきましたように、その運用の範囲も大きくなってきておるわけでございますので、資金運用、そして加入者の福祉施設の設置などにも力を入れていきたいと考えております。
#178
○中井委員 その膨大な資金を、公的な運用、そしてまた市場の運用、二つに分けて運用なさっているわけでありますが、去年の、一番最近の運用率というものを公共分野、市場運用の分野、二つでお知らせをいただきます。
#179
○西井政府委員 簡保資金の運用の状況でございますが、運用利回りについて申し上げますと、平成元年度におきましては六・一五%という状況でございますし、またその前年度は六・二七%ということで、〇・一二ポイント低下をいたしておるという状況でございます。
#180
○中井委員 運用率全体から見て、民間の例えば一番大きな保険会社などと比べて、そう見劣りがしないと言えますか。
#181
○西井政府委員 民間保険の運用利回りの状況でございますが、私どもが承知しておりますのは、平成元年度で比べてみますと、簡易保険が六・一五%に対しまして、民保は六・九九%という状況になっております。
#182
○中井委員 この利回りで〇・八%ぐらいある差、やはり長期的に見ていきますと、大変大きな金額になろうかと思います。公的運用という形で枠がはまっていますから、それぞれ大変難しいことがあろうかと思いますが、できる限り民間の運用率に負けないように追いついていく、それがまた利用者の信頼感にもつながる、安心感にもつながる、このように感じますが、そういった面でどういう努力をなさろうとされておりますか。
#183
○西井政府委員 資金の運用の状況で申し上げますと、全体の約七割が先生御指摘の公共的な部門に運用いたしておる、残りがいわば私ども直接運用といいますか市場運用で運用いたしておる、こういう状況でございまして、その運用の対象につきましては、御案内のとおり運用法で決められておりまして、制約がございます。そういうこともございまして、民間と比較をいたしますとどうしても運用利回りが低くなる、こういう状況になっておるわけでございますけれども、私どもとすれば加入者の貴重な準備財産でございますので、できるだけ有利に運用するというふうに考えてやってきておるわけでございますが、特に平成三年度におきましては社債の運用範囲を拡大するということで、海上及び港湾運送事業を追加するというような制度改善も行う予定でおりますし、そういった施策も講じながら、今後の課題といたしましては運用対象の多様化なりあるいは手法を工夫するなりいたしまして、今後の効率的な資金運用に一層配意をしてまいりたいというふうに思います。
#184
○中井委員 先ほどちょっとお尋ねしたんですが、市場運用でどのぐらいの利回りなのか、運用率なのかお答えいただけなかったもので僕はわかりませんが、この市場運用の分野、三割ぐらいだそうでございますが、何人くらいで運用なさっていらっしゃるんですか。
#185
○西井政府委員 運用関係に携わっておる職員で
ございますけれども、本省におきましては現在六十六名、地方にも地方郵政局等におきましても運用課というのがございまして、地方におきましては全部で百五名ということでございます。合計で百七十一名が運用関係に携わっておる、こういうような状況でございます。
#186
○中井委員 これらの人たちは普通の異動だとか昇進だとかいうことを抜きにして、かなり専門家的教育を鋭意おやりになっていらっしゃいますか。
#187
○西井政府委員 運用担当者の職員でございますけれども、特に最近金融の自由化、国際化というようなことで、金融情勢全体が非常に急激な変化もいたしてきておるというような状況も踏まえまして、私どもとすれば、特に市場運用を担当している本省の職員等につきましてはできるだけそういった幅広い金融のノーハウ等を持つように、いろいろな機会に訓練、研修をするなり、あるいは専門の機関へ派遣をいたしまして勉強をしてもらうといったようなことに取り組んでおりまして、できるだけ全体的なレベルアップを図ってまいりたい、こんなふうに考えております。
#188
○中井委員 保険や年金の募集あるいは集金というのに携わっていらっしゃる現場の方は、人数的に先ほど二万数千人というお話でございました。これらの人たち、普通の郵便配達と違い、随分勤務的にも、夜でなければおらないとか、あるいは土曜、日曜日じゃないと集金に来てもらったら困るとか、いろいろあって大変御苦労なさっておられます。これらの人たちの勤務体系について、かなりフレキシブルな形でお考えになって対応なさっておるのか、それともやはりどんなに夜遅くまでやっても朝は九時は出てこい、こういう形で縛られておられるのか、そこのところはどうなんだろうということ。
 それから、もう一つは民間の保険会社か何かの勤務の方、随分と給料体系が変わってまいりましたけれども、ほとんど実績で幾ら幾らという形で、要するにあめとむちみたいな形でやっておられる。郵政の場合には、なかなかそういうことが難しいのも公務員でありますから事実でありますが、どういう奨励金あるいは激励の手当みたいなものが出ておるのか、お聞かせをいただきます。
#189
○西井政府委員 現場、郵便局の第一線で御活躍をいただいている外務関係の職員の勤務時間でございますけれども、基本的には、何といいますか一般的な日勤の勤務ということで、時間もきちっと基本的には決まっている、こういう状況でございます。ただ最近、御案内のように女性の社会進出が高まってきておるとか、あるいは共働きの世帯が多いというようなことで、日中家庭にお伺いいたしましてもなかなかお会いして話ができないというような状況もございますので、勤務時間につきましては先ほど申し上げましたような日勤が基本でございますけれども、若干勤務時間をおくらせて、私どもの言葉で中勤にするとか、あるいは勤務時間を平行移動させまして、早く出れば早く帰るとか、あるいは遅く出れば遅く帰るというようなことをやりながら、できるだけお客様のニーズにも対応できるように、かつまた職員の勤務時間についても、勤務条件についても十分配慮をしながらやっておる、こういう状況でございます。
 それから、給与あるいは手当の関係でございますけれども、御指摘のとおり基本的には国家公務員といいますか、郵政省の職員でございますので、基本給をベースにいたしまして、なお保険の募集の職務の内容ということを勘案いたしまして、募集の実績に応じました手当を支給する、そしてそれはもちろん労働組合との協約に基づいて支給する、こういうことになっております。
#190
○中井委員 その手当というのは一年間トータルでどのぐらいになるのですか。
#191
○西井政府委員 募集手当の総額でございますけれども、予算上九百億円を計上いたしております。
#192
○中井委員 時間がなくなってきましたので、簡保事業団の方のことで少しお尋ねをしたいと思うのですが、この簡保事業団に国から出資金あるいは交付金というのが毎年出されて、それで建物等をお建てになっておる、こういうふうに聞かしていただいておりますが、去年簡保事業団が資金運用した金額だけでも一兆六千億という膨大なお金であります。また、先ほど聞きましたように、全体でも大変な資金量を持っておる簡保であります。それがどうして国から出資金や交付金をもらってやっておるのか、そこのところが私少しひっかかるのでありますが、御説明をいただきます。
#193
○西井政府委員 お答えいたします。
 簡易保険事業団は、保険事業におきまして本来の保険給付に加えまして御指摘のとおり福祉施設等を設置し運営いたしておるわけでございますが、それに必要な費用につきましては、施設の建設等につきましては出資金という形で簡易保険事業の方から出資をいたしておりまして、そのほかに施設等の運営に要する経費の一部を交付金という形で事業団に交付をしているということでございます。
 先生お触れになりました一兆六千五百億円でございますが、これは事業団の資金運用でございまして、私の方の簡易保険事業から事業団に貸し付けをいたしまして、それを資金運用いたしておるということでございまして、性格が違うということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#194
○中井委員 私が申し上げておるのは、この簡保事業団がいろいろな施設やらを全国にお持ちになって加入者に対するサービスとしていろいろなことを行っておられる、それがトータルで赤字なのか。したがって、国からそういう形でもらっておるのか。もらわなくたって十分やっていけるのじゃないのですか、こういうことを申し上げておるのであります。そこらの根本的なところをお聞かせください。
#195
○西井政府委員 お答えいたします。
 事業団が実施をいたしております業務の中には、先ほども申しました施設の設置運営の業務とそれから資金運用の業務とがございまして、これはそれそれ別の勘定区分を設けまして、きちっと区別してやっておるということでございます。
#196
○中井委員 ということは、そのサービス部門でおやりになっていらっしゃる各地区の施設やら何やらのトータル、人件費やら運営費やらを合わせて、赤字でもサービスだからいい、こういう発想に立っておるということですか。そして、その分野に対して、年金やら保険でかなり国家に貢献しておるから国から少し交付金やらあるいは出資金で出していこう、こういう発想で受けとめていいのですか。
#197
○西井政府委員 事業団がやっております福祉施設の設置運営でございますけれども、これは加入者の……(中井委員「いや、だから赤字なんですかと聞いているのです」と呼ぶ)
#198
○野中委員長 採決の関係もありますので、簡潔に。
#199
○西井政府委員 失礼しました。保養センター等の施設運営の収支の状況でございますけれども、平成元年度で申し上げますと、経常収益が五百五十八億円で、費用の方は五百四十四億円ということで、収支差額十四億円の黒字、こういう格好になっております。
#200
○中井委員 時間が来ましたので、また高度利用のときにでもお尋ねをさせていただきます。いずれにしましても、大変膨大な保険・年金でありますから、十分間違いのないような御運用をお願いいたします。
 終わります。
#201
○野中委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ─────────────
#202
○野中委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#203
○野中委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#204
○野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ─────────────
    〔報告書は附録に掲載〕
     ────◇─────
#205
○野中委員長 次に、郵便局の用に供する土地の高度利用のための簡易保険福祉事業団の業務の特例等に関する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。関谷郵政大臣。
    ─────────────
 郵便局の用に供する土地の高度利用のための簡易保険福祉事業団の業務の特例等に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#206
○関谷国務大臣 郵便局の用に供する土地の高度利用のための簡易保険福祉事業団の業務の特例等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 近年における社会経済情勢の変化に伴い、国公有地の有効な利活用が強く求められておりますが、郵便局の多くは、市街地の中心部にありながら比較的低層な建物にとどまっております。また、郵政事業は、経営資源の有効活用により経営基盤の強化を図り、その役務を今後とも安定的に提供していく必要があります。
 こうした状況にかんがみ、簡易保険福祉事業団に、その業務の特例として、郵便局の用に供する土地の高度利用のための業務を行わせるとともに、この業務を通じて郵政事業の経営基盤の強化に資する措置を講ずるべく、今般、本法律案を提案した次第であります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、簡易保険福祉事業団の業務に、その特例として、国と一棟の建物を区分して所有するため、郵政大臣から郵便局の用に供する土地の貸し付けを受け、事務所等の施設の用に供する建物を建設し、及びこれらの施設を管理する業務を追加することとしております。
 第二に、簡易保険福祉事業団が行う郵便局の土地の高度利用のための業務により生じた利益は、その一部を積立金として整理した後、残余の額を郵政事業特別会計に納付しなければならないこととしております。
 なお、この法律案の施行期日は、公布の日としております。
 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
#207
○野中委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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