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#1
第120回国会 農林水産委員会 第9号
平成三年三月十九日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 大原 一三君
   理事 金子徳之介君 理事 東   力君
   理事 穂積 良行君 理事 宮里 松正君
   理事 石橋 大吉君 理事 日野 市朗君
   理事 藤原 房雄君
      赤城 徳彦君    石破  茂君
      岩村卯一郎君    上草 義輝君
      内海 英男君    河村 建夫君
      北川 正恭君    久間 章生君
      保利 耕輔君    星野 行男君
     松岡 利勝君    三ツ林弥太郎君
      柳沢 伯夫君    有川 清次君
      志賀 一夫君    田中 恒利君
      鉢呂 吉雄君    堀込 征雄君
      前島 秀行君    元信  堯君
      藤田 スミ君    小平 忠正君
      江田 五月君    亀井 久興君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  近藤 元次君
 出席政府委員
        農林水産政務次
        官       杉浦 正健君
        農林水産省経済
        局長      川合 淳二君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    安橋 隆雄君
        農林水産省畜産
        局長      岩崎 充利君
        農林水産省食品
        流通局長    馬場久萬男君
        食糧庁長官   浜口 義曠君
 委員外の出席者
        厚生省生活衛生
        局乳肉衛生課長 難波  江君
        農林水産委員会
        調査室長    西島  勝君
    ─────────────
委員の異動
三月十九日
 辞任         補欠選任
  今津  寛君     赤城 徳彦君
  久野統一郎君     河村 建夫君
  阿部 昭吾君     江田 五月君
同日
 辞任         補欠選任
  赤城 徳彦君     今津  寛君
  河村 建夫君     久野統一郎君
  江田 五月君     阿部 昭吾君
    ─────────────
三月十六日
 競馬法及び日本中央競馬会法の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 食品流通構造改善促進法案(内閣提出第七六号)
 競馬法及び日本中央競馬会法の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)
 農林水産業の振興に関する件(畜産問題等)
 畜産物価格等に関する件
     ────◇─────
#2
○大原委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子徳之介君。
#3
○金子(徳)委員 私は、日本の食糧問題として、たんぱく源の大宗をなしておる畜産物に対する政府の所見をお伺いいたしたいと思います。
 まず初めに、畜産物に関するウルグアイ・ラウンドの交渉の見通しがどうなっているのか。
 去る三月十一日からジュネーブのガット本部で開かれました農業技術会合の進展がないまま、十五日に一応の中断、終了をした。この会合には三十四カ国が出席をいたしました。ダンケル事務局長が議長となりまして、農産物の国内支持の削減方法や保護水準をはかるAMSの扱い方をめぐって話し合いが行われたというふうに伺っております。また四月十五日には再開されるというふうに伺っているわけでございますけれども、国内支持の問題や価格政策の面でいろいろそれぞれの各国の事情もあるでしょうし、そしてまたマーケットアクセスの問題等もこれから検討を進めたいというようなダンケル事務局長の意向のようでありますが、そうした極めて重要な段階に入ってきていると思います。
 この交渉の背景にはいろいろあったようでありますが、特にアメリカのファーム・ビューロー連盟などから、これは五十一の米国農業団体が加盟しているわけでありますけれども、共同で上下両院全議員に、このウルグアイ・ラウンドに対する大統領のファーストトラック、議会に対する一括審議権の延長について、難航しているラウンド再開のためのファーストトラック権限付与というものは、米国の農業団体の利益にとって死活の問題であるということで、承認するように要請した。
 一方、これに対して、これが適用されると議会は修正を認められず承認か反対かだけになってしまう、そうした選択を迫られるということから、十二以上の農業圧力団体の支援を受けているアメリカン・アグリカルチャー・ムーブメント、これが逆に延長に対する反対を声明いたしているわけであります。
 こうしたことを見てみますと、極めて厳しいなと思うわけでありますが、これから特に、牛肉の四月からの自由化、これについて非常に国内の牛肉生産農家等が心配いたしておりますので、これら畜産物に関するウルグアイ・ラウンド交渉の見通し、これを伺っておきたいと存じます。
#4
○川合政府委員 ウルグアイ・ラウンドの進捗状況の御質問でございますので、私からまず御説明させていただきます。
 今お話がございましたように、二月二十日に開催されました農業会合を皮切りに、サービスなどの各分野で非公式会合が開かれました。これを受けまして、二十六日に、事務方では最高の組織でございます貿易交渉委員会が開催されまして、交渉全体が再開ということになりました。
 農業につきましては、先ほどお話がございました三分野それぞれについて具体的な約束を行うための交渉を行うということで、食糧安全保障などの非貿易的関心事項への配慮が盛り込まれております中間見直しの合意、これの枠組みを通じて農産物貿易の改革を進めるということで交渉が続けられることになっております。
 その後、三月一日に正式に、短時間でございますが農業会合が開かれ、今お話がございましたように、先週三月十一日から十五日まで技術的検討が行われました。国内支持につきまして検討が行われたわけでございますが、三十四カ国という多数の国が出席しておることもございまして、正味四日間でございますが、四日間で国内支持の技術的問題についての検討がすべて尽くされたということにはなっておりませんで、なお次回に国内支持についての検討が残されております。
 かなり技術的な問題、特に政治的判断とかそういうことを要する問題につきましては別にして、技術的問題をまずやろうという約束になっておりますものですから、例えば削減対象にどういうものを入れ、どういうものを外すかというようなことにつきまして、かなり細かい議論が行われております。したがいまして、これから先どういうふうにこれが進展するかというのは非常に予測がつかないわけでございます。
 今お話がございました、アメリカはファーストトラックの延長の議会審議に入っているわけでもございまして、この技術的会合は、次回は四月中旬にということが決まっておりますが、ここでは恐らく、残されました国内支持に関する問題、それから国境措置に関する問題、これも技術的問題に限って議論がされるということになろうかと思います。
 したがいまして、こういう技術的な問題の議論が進められていきますので、今お話がございましたような例えば畜産物というような個別といいますか具体的な問題、作物あるいは作目につきまして議論するという場面はウルグアイ・ラウンドではまだ今のところはないのではないか。そういう技術的問題から入っていくということで、これから先の予測は非常に難しいわけでございますが、とりあえずこの三つの分野につきまして、四月、五月、そこで終わるかどうか、これもはっきりわかりませんが、技術的会合を中心に進められていくというような状況になっております。
#5
○金子(徳)委員 ただいまの件につきましては、過般、ダンケル議長がプラットホームづくりというようなことの経過の中で、また再度日米の交渉にどういう影響を与えるかというようなことを後でお伺いをいたしておきたいと思います。
 いよいよ四月から牛肉の輸入自由化を迎えるわけであります。生産者は一様に不安の表情をいたしておりまして、私も地元でそれぞれ肥育農家の皆さん方にしょっちゅう会っているわけでございますが、話題はいつも、この牛肉の自由化、どういう影響を及ぼしてくるのだろうかということ。私は、もっと自信を持ちなさい、黒毛和種については、サシの入ったもので外国のものとは競争にならぬほどヨーロッパでも欲しがっているし、アメリカでも欲しがっているんだ、そういうような積極的な立場でおやりなさいというようなことを申し上げているわけです。
 しかし、初めてのこうしたケースの中で、国内対策については万全を期すべきものというふうに思うわけであります。特に、約束をしている関税率の引き下げ、七〇、六〇、五〇と三カ年かけて引き下げていくというようなことのこれからのそれぞれの対応も必要だろうと思いますので、これにつきましては、次官の御所見をぜひお伺いをいたしたいと思います。
#6
○杉浦(正)政府委員 本日は、大切な畜産物価格につきましての委員会審議でございますが、御承知のとおり近藤農林水産大臣は、本日から参議院の方で予算委員会が始まりましたもので、そちらの方に出席するのを余儀なくされております。そういった関係で、政務次官から答弁させていただくことをお許し願いたいと思います。
 御質問のとおり、いよいよ四月一日から、自由化の中でも大変大きな影響を持つと思われます牛肉の輸入自由化を迎えるわけでございます。先生初め各委員の方々、生産農家の皆さん、非常に心配しながらこの事実を迎えようとしているわけでございます。もとより、先生御指摘のとおり、我が国の肉用牛生産が我が国農業にとって非常に基幹的な、重要な部門でございまして、その振興を図っていく、自由化を控えて農家の不安を払拭していくことが大変重要であるということは申すまでもございません。
 生産農家を初め、もちろん農水省も牛肉の輸入自由化に向けまして最大限の対応をしてまいったことは御承知のとおりでございますが、国内対策につきましては、御承知のとおり、既に肥育経営等の安定対策の拡充強化、あるいは低コスト生産の推進等の措置を講じてまいったことは御案内のとおりでございます。また、肉用子牛生産安定等特別措置法に基づきまして、昨年の四月から肉用子牛生産者補給金制度を実施に移しておりますけれども、まだその発動された場面は多くはございませんが、その円滑かつ適切な運営に努めているところでございます。
 自由化後の三年度におきましては、御指摘のございました牛肉等の関税収入を特定財源といたしまして、肉用子牛の生産安定対策等を内容とする、一千六億円の予算総額でございますが、肉用子牛等対策を実施いたしますとともに、大家畜の生産性向上等に重点を置きました総合的な畜産対策を講じることといたしております。
 今後とも、これらの国内対策の適切かつ円滑な実施に引き続き農林水産省としても万全を期して努力してまいり、我が国肉用牛経営の安定、体質強化に努めてまいる所存でございます。
#7
○金子(徳)委員 大変力強いお言葉をちょうだいしまして、ありがとうございました。
 それで、輸入自由化後に牛肉の需給、そして価格の見通しをどのように推定をされているのか、事務方の方からぜひ伺っておきたいと存じます。
#8
○岩崎政府委員 まず今後の牛肉の需給でございますが、私ども、昨年一月に「農産物の需要と生産の長期見通し」というものをつくっております。その中で、中長期的に見まして、需要は引き続きかなりの伸びが期待される、これに対応いたしまして、国内生産なり輸入ともに安定して増加するのではないかというふうに見通しているような次第でございます。
 それから価格の動向なんでございますが、牛肉につきましては、輸入牛肉の価格は、これは昭和六十三年の日米なり日豪合意ということに基づきまして流通量がかなり大幅に増加しているということで、価格の方もかなりの程度低下したという形でございます。国産牛肉の価格につきましても、輸入牛肉と競合する度合いの高い乳用牛を中心にいたしまして相当程度現在低下しておりますので、自由化後もそう大きな変化はないのじゃないかと考えております。
 また、和牛でございますが、そういうような形で輸入牛肉がかなり需給が緩和しているということの中で、和牛そのものは輸入牛肉とは品質格差が存在する、これは先ほど先生が御指摘になりましたように品質格差が存在する、また輸入牛肉とは異なったマーケットを形成しているのじゃないかということで、輸入牛肉の影響による価格低下が直ちに生ずるという状況にはないと私ども考えている次第でございます。
#9
○金子(徳)委員 ただいま、それぞれのマーケット需要というものが多少消費需要の面で違っているというお答えがございましたが、私もそのように最近では非常に強く感じているわけであります。そういった中で、海外で日本型のサシの入った牛肉の需要というものがどれほで今後出てくるものか、将来の推計がなければ現況どうなっているかということを伺っておきたいと思います。
 それと、続けて伺いますが、こうした自由化を控えまして乳用子牛とかぬれ子の価格が現在非常に下がっているわけであります。これが今後の酪農家や肉牛肥育農家の生産意欲を非常に減退させておる、そういう影響が出ていることは否めない事実でございます。これからもそのようなことが大きくならぬように願っているわけでありますが、乳用子牛等の保証基準価格等の算定に当たっては、それぞれ適正なバランスをとっていただきたい。これは要望でありますから、お答えは要りません。
 先ほど申し上げましたこれからの肉用牛生産のビジョン、海外でのサシの入った和牛の肉の需要等も含めてお答えをいただければ幸いでございます。
#10
○岩崎政府委員 我が国の肉用牛生産につきましては、動物性たんぱく質の重要な供給源だ、また地域農業発展の上で大きな役割を果たしているということで、先ほどちょっと御説明いたしましたが、「農産物の需要と生産の長期見通し」におきましても、目標年度である平成十二年度の牛肉の需要量を、これはかなり根強い牛肉志向や所得の向上というようなこと等による伸びを見込んで、百五十一万から百七十三万トンと見込んでおります。
 また、生産につきましても、平成十二年度におきまして、基準年度の六十二年度の四割増しの八十万トン弱と、かなり意欲的に見通しているということでございます。
 今後、この牛肉生産につきまして、やはりこれは国際化の進展に対応いたしまして、可能な限り生産コストの低減を図りながら、長期的な視点に立ちまして肉用牛資源の積極的な拡大を図り、あわせて飼料基盤に立脚した肉用牛経営の育成なり新技術の普及等を推進することによりまして、この見通しの達成に努力してまいりたいと考えております。
 また、海外のサシの需要の問題でございますが、私ども、和牛の輸出につきましても努力いたしておりまして、これは鹿児島、宮崎、群馬の食肉センターを認定いたしまして、そこから生産される肉につきまして海外の方へ輸出いたしておりまして、かなり好評を博しているということで、これからの需要の開拓によりましてはある程度、これはかなり大きなものになるということではございませんが、私は、それなりの需要があるのではないかと考えている次第でございます。
#11
○金子(徳)委員 そうした海外の需要喚起、それによって牛肉生産農家に夢と希望をぜひ与えていただきたいと思います。
 それと、この和牛肥育等につきましては、あるいは酪農家にとりましては、何といっても草地利用といいますか、草地利用の中でよく三点セットというふうに言われていますが、稲わら、乾草、そしてまた最近ではおがくず等を衛生処理のために使い、また輸入の濃厚飼料、これはほとんど一〇〇%使ってやっているわけでありますが、日本は非常に高温多湿でありますから、国土利用の観点からも、土地利用型の農業の基軸というものは、何といいましてもこれは畜産の振興を図って、そして土地生産力を維持するための良質な有機質を還元していく。アメリカで起こっているような一つの砂漠化現象のようなものが起きないように、化学肥料でもって荒らされた土地を肥沃にするためにも有畜農業というものは極めて重要だというふうに私は考えているわけであります。そうした意味で、草地の今後の利用、そしてまた飼料生産基盤の強化を図っていくべきではないかと私は思います。
 特に「牛肉自由化に対抗するサイレージ戦略」なるものを、ある記者がホールクロップサイレージ給与ということで私どもの先入観を払拭してくれたような、そのような報告書を出していただいた方がございます。これは、サイレージを使いますと肉が臭くなってだめだというようなそうした伝説を覆すような、TDN含量が六〇から六八%くらいで、肥育牛の嗜好性が極めてすぐれているというようなことなんかもありまして、そういうような土地利用をこれから、乾草生産はなかなか難しいということであれば、サイレージ等の生産も含めてやるべきだ。これは新しいものではなくて、最も古くて最も基幹的な畜産農業のローテーションというものを考えて、日本の農業の土地生産力を我が国ではきちんと維持していくべきだと思いますけれども、これらについて、飼料生産基盤の強化を図ることについての所見を伺っておきたいと思います。
#12
○岩崎政府委員 私ども、全く先生が御指摘になったとおりだというふうに考えておりまして、我が国の畜産、これは酪農も含みまして、やはり土地利用型農業の基軸として、山間地なり低利用地なり未利用地の利用なり転作田というようなものを飼料基盤として活用するということにより、これは酪農を含めて、畜産物の安定供給だけでなくて、国土の有効利用なり地域農業の振興に重要な役割を果たしていく、そういうことのためにいろいろな事業を私どもやっております。
 それから、先生ちょっと御指摘になりましたサイレージの問題でございますが、私どもとしては、例えばホールクロップサイレージとか、そういう形の中で利用の拡大も図っていきたいというようなことで、まさに先生御指摘のとおりのような形で振興に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#13
○金子(徳)委員 次に、肉用牛、これは現在のままでいいということではなくて、絶えず改良を加えていく必要がある、そのように私は考えておりますが、バイオテクノロジーの時代を迎えまして、受精卵移植等の畜産の新しい技術を駆使した家畜の育種改良を進めていくことは極めて重要なことだと思います。今後、肉用牛の育種改良の強化について、その考え方を伺っておきたいと思います。
#14
○岩崎政府委員 先ほどからもいろいろ御論議がございましたけれども、四月から牛肉の輸入自由化ということを迎えまして、私ども、国産牛肉につきまして消費者ニーズに対応した良質な牛肉をできるだけ低コストで生産するということが極めて重要だろうと思っております。こういうことのためには、飼養管理技術の向上というようなことも重要でございますが、それとあわせまして、御指摘のように肉用牛の育種改良推進というのは不可欠だと考えております。
 私ども、肉用牛の育種改良のための集団の育成とか、計画的な交配によります種畜の生産なり、産肉能力検定の実施なり、能力のすぐれた雌牛の導入等によります育種改良にも努めておりますし、また、先生御指摘がありましたように、受精卵の移植技術が実用化され、体外受精や核移植とか性判別の実用化に取り組んでいるところでございまして、これらの技術も家畜の改良を進める上で極めて有効、有用なものであると考えている次第でございます。
 いずれにいたしましても、今後一層肉用牛の育種改良の強化ということに努めてまいりたいと考えているわけでございます。
#15
○金子(徳)委員 そうしたバイテクで育種改良をしていく、これは極めて重要であり、またその体制も並行して充実をしていかなければならない、そのように思われるわけであります。全国の種畜牧場、これはそれぞれ改編計画があると伺っているわけであります。これは、行政改革の観点から、ただ単に合理化したのでは心もとない。それぞれの地域性、またその地域の持てる肉畜育成あるいは酪農育成のためにどのようなことをすればいいのかということは、それぞれの地域によって違うと思います。東北地方、積雪寒冷地もございます。あるいは南の方に行けば、草生については少なくとも東北の二・五倍くらい。そうした中で、これから家畜の改良を行う場合には、どうしても末端の一番実情のわかっている都道府県等の試験場と交流を図りながらやっていく必要があるだろう。この交流の仕方は技術交流でありますけれども、出向とか内地留学の制度の充実、そういったことを含めて、家畜改良を行う体制の強化をこれから図ってもらいたい、強い願いがあるわけであります。しかも、研究職等がどちらかというと事務職よりも、地方においてはどうしても、それぞれの執務環境づくりも含めて予算がとりにくいという声なども都道府県等では聞くわけであります。これらについて考え方を伺っておきたいと思います。
#16
○岩崎政府委員 まず、私どもの家畜改良の再編の問題でございますけれども、家畜改良が非常に重要だということで、私どもの種畜牧場におきましても、近年発展の著しい畜産新技術を活用しました効率的な家畜改良を積極的に推進する必要があるということで、従来のように個々の牧場が独立してそれぞれ事業を進めるといった事業実施体制ではなくて、畜産新技術の進展が著しい状況に十分対応できるようにしなくてはならないというような観点から、組織の再編合理化を図るとともに、人なり施設、データの集約化を図りまして、業務推進の強化を図るために、昨年十月に福島県の西郷村に家畜改良センターを実は設置して、各牧場を同センターの内部組織として位置づけまして、一つは集中的に実施することとあわせまして、先生御指摘のように各地域地域の特色も生かした牧場での整備ということもやるという形に再編強化したということでございます。
 今後、この家畜改良センターにおきまして、都道府県に対する畜産新技術の研修とか指導、都道府県で得られた成果の家畜改良センターへのフィードバックを通じた技術開発等、都道府県の試験場等との連携も密にしていきたい。また、これは人の面でもいろいろな面で連携を図りながらやっていくということになろうかというふうに思います。いずれにいたしましても、バイオテクノロジー等を活用した畜産新技術の実用化というものを進めますとともに、これら畜産新技術を活用した育種期間の短縮とか育種の低コスト化等、効率的な家畜の改良増殖のより一層の推進を図ってまいるということで臨んでいきたいと思います。
#17
○金子(徳)委員 ただいま畜産局長から大変力強いお言葉をちょうだいいたしました。基調を崩さないで、それぞれの改編に当たってはぜひ充実した機構内容にしていただきたい、強く要望を申し上げておきたいと存じます。
 話は別になりますが、福島の畜産試験場、昔は種畜場と言っておって、急速に力を入れていただいた経過がございます。既にバイテクを利用して受精卵移植等も成功いたしておりますし、地方におけるそういうそれぞれの成功事例等もあります。
 それから、かつて西ドイツが第二次大戦直前から、向こうは畜産が約七〇%の経営シェアを占めているわけでありますけれども、この改良を積極的に進めて、デンマークから持ってきたランドレースをドイツ・ランドレースと称して、私は改悪だと思っているのですが、あのような形でドイツ一流の試験をやっておった。私もその実習をやったことがあるのですが、マスプリューフンクで巨大な頭数の飼養試験をやっておる。あるいはまた、スイスのシンメンタールをドイツで改良してドイツ・シンメンタール、フレック・フィーなどという形で育種で化けさせてしまう、いろいろそういったことをやっているようであります。
 今こそ、日本がこれだけの高度なバイテク技術、遺伝子工学、いろいろ持っているわけですから、ぜひそうしたことに積極的に取り組む、家畜改良センター等の内容充実に当たっていただきたい、心から御要望を申し上げたいと思います。
 次に、鶏について伺っておきたいと思います。
 採卵鶏については、世界最高の技術水準、あるいはコストの面についても、我が国では畜産の中では一番安定した姿でだんだんと企業養鶏というものがふえてきているわけでありますが、この大型化が図られてきた一方、農家養鶏の問題が残っているのではないかなと思っているところであります。一万羽、二万羽、せいぜい五万羽未満の養鶏をやっておる農家が、将来についてなかなか夢が持てないのだということを言っているわけであります。ただ、飼料等につきましては一〇〇%輸入飼料でありますから、内外価格差等で安いときもあり、高いときもあるということであります。しかし、日本の食糧の本当に一角を、卵の消費量というのは非常に高いわけでありますが、最近になってほぼ横ばいになってきておる中で、計画生産をやらないと養鶏農家というものは立っていかないであろう、そのように思われるわけであります。そうした中で、ぜひ政府の方としては、ガイドラインを、生産目標を立てていただきたいなと思いますが、これについてどのように考えているのか、伺っておきたいと思います。
#18
○岩崎政府委員 ただいま養鶏についての御指摘でありました。私どもは、家族労働を主体とします中小養鶏の重要性ということも十分認識いたしておる次第でございます。ただ、鶏卵の生産そのものが比較的土地の制約を受けないことから、飼養管理技術の進展とも相まって、かなり大規模化が進展しているということで、採卵鶏の総飼養羽数に占めます農業事業体の割合が五割を超えるというような水準になっておることも事実でございます。
 他方、鶏卵の需給でございますが、これは、ちょっと先生御指摘がございましたが、世界で相当程度の鶏卵を食べているということもありまして、需要がほぼ横ばい、また供給過剰を招きやすい状況にあるということで、最近の鶏卵価格は昨年後半以降堅調には推移しておりますが、私どもといたしましては、需給に見合った鶏卵の計画生産をやっていかなければいけないだろうと思っております。
 特に問題でございました六十二年から元年にかけての卵価の低迷がございましたが、これは計画生産を無視した無断増羽に原因があったということから、大規模生産者を中心に、現在、自主的に鶏卵の需給安定に取り組む動きが進められておるのも事実でございます。
 私ども農林水産省といたしましては、中小規模の農家養鶏の発展にも十分配慮しながら、このような自主的な努力を一層推進いたしまして、計画生産の方法の見直し、または実効性の確保に努めてまいりたいと考えております。
#19
○金子(徳)委員 最近の鶏肉の輸入は非常に増大をしつつあるわけであります。その中で、国内のブロイラー産業の体質が一体現在のままでいいのかということについても心配されるわけであります。
 これは一例で申し上げますと、従来のブロイラー加工産業について全国には協会組織がございますけれども、一つの定型化があって、しかもその中でASEAN等の国から加工品として手羽やもも肉が、決して良質なものというふうには私は考えませんけれども、最近非常にふえてきている現状でありますけれども、我が国は非常に生活水準が上がり、そしてその上がった中でこれからこの需要の安定化を図る必要があるわけでありますから、例えばヨーロッパで非常に進んでいるそうしたものを日本に入れて、輸入をしながら、技術提携をしながら経営をしている事例を御存じかと思いますが、ちょっと御紹介申し上げておきます。
 私の地元で伊達鶏というのがございます。これは、今まで経営の中身としては、計画生産をしながら、計画生産というのは、その社内の計画生産の中で農家とそれぞれ受委託の契約をしながらそれぞれ生産目標を達成してきたという中で限度が来たということから、フランスのオーシャポンブレッサンという会社と技術提携をして、これは一般的にはこのブレッサンを縮めてブレス鶏生産会社と言っておりますけれども、また近く日本に来るというような案内を受けていますが、これはイタリアのヒェッペエ種というのですが、私も食べてみて、これならばというような非常にすばらしいものでありますが、これを今それぞれの契約農家にブロイラー用の養鶏生産を委託をしておるという現況だそうであります。毎年、その会社はもう三十名、今まで送ったそうでありますが、四、五名ずつフランスに派遣をして研究をさせているというような積極的な対策で乗り切ろうとしておるわけであります。
 そこで、最近食卓をかなり揺るがしているといいますか、最近では町で簡単にインスタントで売っているそうした消費需要というものに少し陰りが見えているという中で、どのように国内ブロイラー産業の今後の体質改善をしていくべきか、そのお考えを伺っておきたいと思います。
#20
○岩崎政府委員 ただいま先生が御説明になりました伊達鶏の話につきましては、私どもも常々お話は伺っているところでございます。全体として鶏肉の輸入量でございますが、近年、円高等によりまして大幅に増加してはおりますが、平成二年度についてはほぼ横ばいということになっております。
 私ども、このようなことから、国内のブロイラー産業を維持発展させるためには、低コスト化を推進するということが一つの方向としてございますが、それとともに、消費者のニーズに対応した高品質な鶏肉の供給ということに努めることも重要であるというふうに考えておる次第でございます。
 国内ブロイラー産業の体質強化として、低コスト化を図るということのためには、小規模な食鶏処理場については、近代的な大規模施設への再編成というようなことが必要だろうと思っております。もう一つは、消費者のニーズに対応しました高品質な鶏肉の供給ということも極めて重要だということでございまして、先生が今御指摘になりました技術提携とかそういうようなものを進めるということも一つございますし、また、高品質鶏肉の開発なり普及なり、また付加価値を高めるための新規用途とか新規商品の開発とかいうようなこともあわせて進めるということで推進しているような次第でございます。
#21
○金子(徳)委員 ブロイラー問題につきましては、これからも輸入するよりは地元のものが安定して消費されるであろう、安全性の面から見ても、消費需要というものは非常に堅調であろうというふうに思いますので、どうか今後もそうした指導、企業指導、これについて意を尽くしていただきたい、お願いをいたしておきたいと思います。
 次に、乳製品に関する日米協議が近く再開されるわけでありますが、この対処方針を伺っておきたいと思います。
#22
○岩崎政府委員 若干経過的なことから申し上げますと、乳製品の輸入制限につきましては、昭和六十三年のガット理事会におきまして、ガット規則違反のパネル裁定がされたということでございますが、私ども、この解釈には疑義があるということで、日米合意によりまして基幹的乳製品について輸入制限措置を当面確保したということでございます。それで、この際、この輸入制限措置の今後の取り扱いにつきましては、平成二年度中の双方の都合のよい時期に再協議するのだということにされていたものであります。
 本年二月六日のガット理事会で米国から、ガット規則との整合性のとれた措置を導入しなさい、また日米再協議をしようということが提案されまして、両国間で調整の結果、三月二十二日に再協議ということに相なったわけでごさいます。私ども、先ほど申しましたように、ガットでのガット・パネルの裁定には疑義があるということもありまして、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおきましては、その輸入制限措置の基礎になっております十一条二項(c)というものの見直し、明確化というものを提案しておりまして、私どもは、その結果を踏まえて対応を考えていくのだということの基本方針で、米側の理解が得られるように最善を尽くしてまいりたい。
 ただ、米国は、ウルグアイ・ラウンドの交渉に当たりましても、その根拠規定である十一条二項(c)そのものの規定も廃止すべしというような主張も行っており、また、本件につきましてもガット規則との整合性のとれた措置を強く要請しているということでございまして、交渉は予断を許さず、なかなか厳しいものがあるということでございますが、私どもといたしましては最善の努力を傾注してまいりたいと考えている次第でございます。
#23
○金子(徳)委員 これについてはぜひ、日本側で当然主張すべきことは毅然と主張し、進めていただきたいなとお願いをいたしたいと思います。そうした、もうすべて国際化の波に洗われている中で、これに対応してこれから牛乳生産をする酪農対策、これについてあわせて伺っておきたいと思います。
#24
○岩崎政府委員 ただいま先生から御指摘がありましたように、酪農につきましても、国際化の進展というようなことなどで、近年、酪農を取り巻く情勢が非常に厳しくなっているところでございまして、私どもは、国民の納得の得られる価格での牛乳・乳製品の供給に努めるために、飼料基盤に立脚した技術、経営能力にすぐれた意欲的な農業者や効率的な生産組織というものを育成することによりまして、生産性の向上を図りたいと考えている次第でございます。
 こういう需要に見合った計画的な生乳生産が必要となっているということから、経営の体質強化、充実を図ることが基本でございまして、一つには、草地なり飼料畑の造成整備等によります飼料の自給率の向上、あるいは粗飼料生産なり利用の合理化というものを図る、また二つ目には、牛群の改良によります乳量とか乳質の向上というようなものも図っていく、また和子牛の経営に対します技術指導によります飼養管理技術の改善というようなこと等によりまして、経営の合理化なり体質の強化に努めていくということにいたしております。
 いずれにいたしましても、酪農につきましては今後とも我が国土地利用型農業の基軸として位置づけまして、長期的な観点に立ちましてその振興、合理化を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
#25
○金子(徳)委員 非常に具体的に対応、対策をしていくというのは難しい問題もあるかと思いますが、最近、脂肪率が〇・一%高くなっただけでもまろやかさ、味がいいということで消費が急速に伸びてきている牛乳であります。生乳の問題あるいは加工品の問題等がありますが、それは後でまた触れたいと思います。
 冒頭に申し上げましたが、最近、乳廃牛の価格、ぬれ子価格の低落状況の中で、酪農の後継者あるいは肉牛生産農家の後継者の夢をちょっと阻害している面があるわけでありますが、特に酪農経営の安定対策、これについては、こうした中でどのようにお考えか、お尋ねをいたしたいと思います。
#26
○岩崎政府委員 確かに先生御指摘のように、平成二年度に入りまして乳廃牛及びぬれ子の価格が低下いたしております。それだけに私どもも、乳廃牛の肥育とかあるいはぬれ子の哺育育成への取り組みが酪農経営の安定対策にとって重要ではないかと考えている次第でございます。
 乳廃牛につきましては、例えば肥育をしないままで出荷いたしますと、そのほとんどがひき肉用の最下位のランクC1というような形の中で格付され、低価格で取引されるということに対しまして、一定程度の肥育を行うことによりまして肉質が改善されて、枝肉単価の向上なり歩どまりの増加というようなことも期待できるのではないかというふうにも考えております。
 また、ぬれ子についてでございますが、酪農家の多くの方々はぬれ子をそのままで出荷しているというのが現状でありますが、酪農経営がやはり哺育育成を取り込むということによりまして、これは平成二年四月より創設されました子牛の不足払い制度の対象となるために、ぬれ子価格の低落に対処いたしまして、一定水準の所得確保が可能となるのではないかというふうに考えております。
 私ども、こういう形で乳肉の複合経営の普及あるいは定着化を図るということのために、経産牛の肥育とかあるいは乳用種の肥育素牛、ぬれ子の哺育育成に対しましては一定の奨励金も交付していくということでございます。
#27
○金子(徳)委員 酪農の経営安定を図るために、昨年、酪農ヘルパー事業、これを設けていただきました。これは非常にすばらしい政策である。それぞれの酪農家あるいは酪農組織が、もうもろ手を上げてこの事業に取り組んでいるというふうに伺っているわけであります。そしてまた、非常に三Kとでも言われる、畜産経営は好きでないとできないという中で後継者不足にもなっている。嫁不足もある。これは世界おしなべてそうした傾向にあるわけでありますけれども、このすばらしい酪農ヘルパー制度、かつて一度出て、これが具体化されないまま再び登場したわけでありますが、ぜひ成功をさせたい、していただきたい、そうした願いがあるわけであります。その進捗状況はどのようなものか、お尋ねをいたします。
#28
○岩崎政府委員 酪農ヘルパーの実施状況ということでございます。
 私どもは、中央段階にありましては、昨年の十二月に関係者の御努力によりまして社団法人酪農ヘルパー全国協会というものが設立されまして、業務が開始されたところでございます。
 それから、都道府県段階にありましては、現在のところ、四十四都道府県で実施を予定しておりまして、そのほか二県で実施に向けて検討中、一県が実施未定ということになっております。
 それから、その下の利用組合段階にありましても、既存組織の再編なり新規組織の設立に向けた取り組みを行っているということでございます。
 私ども、今後は当面、酪農ヘルパー全国協会の事業につきましては、酪農ヘルパー事業の普及啓蒙なり酪農ヘルパー要員の確保とか、あるいは専門技術研修、これは特に酪農ヘルパーに新しくなる方の専門技術研修というようなことも行うための具体的な推進方策の検討を行っております。
 それから、都道府県団体でございますが、これはやはり基金を積んでやらなければいかぬということで、基金の造成を早急に行うための指導をいたしております。
 それから利用組合につきましては、新規組合の設立に向けての取り組みのほかに、既存組合におきましては、利用農家の拡大等に重点を置いて事業の推進を図っていくということにいたしております。
 今後とも、関係者の意見等も踏まえながら、本事業が円滑に、また適正に実施され、所期の目的が達成されますように、適切な指導をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#29
○金子(徳)委員 時間が大変少なくなってまいりましたので、これは簡単にお答えをいただきたいと思いますが、最近、中小乳業メーカーの環境が極めて厳しくなってきているようであります。したがって、全国でも大手が地方に対して援助をする、いわゆる吸収合併等でてこ入れをするというようなこともございますし、それからそれぞれの集乳、そういう流通体系等についても相互乗り入れを図ったり工夫をいたしているようであります。これについては、単に国際的な状況の中で乳業界を再編しなければいけないのかどうか、あるいは、使いたくない言葉でありますけれども、そういう寡占化ということがむしろ体質を強化するのかどうか、その辺などもガイドラインをぜひ示していただきたいなと思うわけであります。
 あわせて御質問いたしたいと思いますけれども、この消費需要、畜産物の消費というものがこれから消費者にとっては選択できる形で、そして生産者と相互に信頼関係があることで消費が伸び、また日本の食糧問題としても、たんぱく源としての安定した、川上から川下までの一つの体系ができるであろうというふうに思っております。そのための施策といいますか、一つの均衡をとっていただきたいと思うわけでありますが、お考えを、これは簡単でようございますから、伺いたいと思います。
#30
○岩崎政府委員 中小乳業でございますが、私どもは、今中小乳業を取り巻く情勢というのは非常に厳しいものがあるというふうには思っております。
 ただ、中小乳業は、消費者ニーズが多様化、高度化する中で、その専門性とか機動性というものを発揮して、特色ある商品の供給や、地元で生産された生乳を処理して、きめ細かく地域供給を行うというような形の中で、牛乳の消費拡大と酪農の発展に大きな役割を果たすことを期待されているというふうに考えております。
 幸い、こうした中で、都道府県段階だけじゃなくて全国段階でも乳業協同組合の全国的な連合会がつくられまして、これらの組織の活動というものを通じながら中小乳業の合理化等々も行っていく。
 また、消費者対策の話ですが、やはり消費者と生産者、メーカーというような形の中で相互に信頼を持たせることが必要だということで一生懸命やっていきたいと考えております。
#31
○金子(徳)委員 時間がほぼ参りそうでありますので、最後にお願いをいたしたいと思います。お願いというよりは大臣所見ということで伺っておきたいと思いますが、いろいろと伺いました。
 その中で、畜産というのは我が国農業にとってこれから衰退するような要素は全くないわけであります。むしろ大いに生産性を上げて国際的にも対抗していける、生き残れる、そうした需要のある畜産であると思います。産業として今後その需要動向、国際情勢等を踏まえまして、特に平成三年度の畜産物価格の決定に当たってどのように次官、お考えいただいておるのか、これを伺っておきたいと存じます。
#32
○杉浦(正)政府委員 畜産の将来についての考え方につきましては、私も先生の御意見と全く同感でございます。畜産物価格決定につきましては、御承知のとおり畜産物の価格安定等に関する法律等の規定に基づきまして、それぞれの生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮して、その再生産性を確保することを旨として定めることになっていることは御案内のとおりでございます。平成三年度の価格につきましては、現在検討が行われている過程にございますことは御承知のとおりで、この場所で余り具体的に申し上げられないのはまことに申しわけない次第でございますが、来週開催される予定の畜産振興審議会の意見を聞いた上で、もちろんきょう御開陳いただく諸先生方の御意向を踏まえた上で、適正に決定してまいる所存でございます。
#33
○金子(徳)委員 力強いお言葉、ありがとうございました。
 終わります。
#34
○大原委員長 御苦労さん。
 鉢呂吉雄君。
#35
○鉢呂委員 私は、まず、乳製品、でん粉の輸入自由化の問題についてお聞きをいたしたいと思います。
 先ほど局長からもお話がありましたように、三月十二日にこの関係のガット理事会があったということでございますけれども、報道によれば、アメリカは、この関係の関心国、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン等との多国間の協議を望んでおるということが報道されておりますけれども、その内容についてまず御説明を願いたい。アメリカは、輸出関心国と集団協議で日本に圧力をかけるかのようなこともねらいとしておるというふうに聞きますけれども、その真意、あるいは、政府はこの多国間協議に応ずる用意があるのかどうか、さらには、これを拒否した場合のガット条文上の問題点、あるいはまた、別途の関心国との協議を日本として考えているのかどうか、このあたりについて考え方をお聞かせ願いたいと思います。
#36
○川合政府委員 乳製品とでん粉に関しますアメリカとの協議でございますが、これにつきましては三月二十二日に行うことにいたしております。あす、私どもの関係者が出発することにしております。
 先ほどお話がございました、多国間と申しますか、関心国との協議でございますが、これにつきましては、まず日米の協議を行って、その二十二日の会議の状況を見て対応したい、検討したいというふうに考えております。
 お話しの多国間との協議の問題でございますが、ガットの条文二十二条では、ガットの運用に関しますいかなる事項にありましても、他の締結国に対しまして協議を要請することができるという規定がございます。これに対して、要請を受けた国は好意的な考慮を払わなければならないというふうになっております。こういう条文がございますので、国際的な関係からいえば、好意的に考慮を払って対応しなければいけないということになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、まず二十二日の協議を経て、その協議の経過を見て検討したいというふうに私どもは考えております。
#37
○鉢呂委員 今の経済局長のお話では、ガット条文の、好意的な考慮を払うものとするということからいけば、これを拒否することはできないという考え方も受け取れるわけですが、いずれにしても、二十二日の日米の二国間協議の経過を見るということだと思いますけれども、私どもにとっては、これまで、六十三年二月あるいは七月にアメリカと協議をしてきたわけですから、そのことを優先とする、余り手を広げないということが妥当ではないかと思うところでございます。
 ところで、畜産局長にお聞きいたしたいのですけれども、この十一条二項の(c)ミニマムアクセスがついておるというふうにかねがね一般的に言っておるのですが、現在、この基幹的乳製品で輸入制限、六十三年七月の日米の合意に基づいて行われておると思うのですけれども、いわゆるミニマムアクセス、最低輸入義務量の範囲外の基幹的乳製品について、その品目をお聞かせ願いたい。
#38
○岩崎政府委員 現在のガット条項によりますと、いわゆるミニマムアクセスということの中で、その数量その他について規定しておるということはございません。
 それで、私どもといたしましては、現在IQをとっておる品目でございますが、事業団の一元輸入の対象としておるものと、それからもう一つは計画輸入等々によりますもの、これは事業団の一元輸入にしていない部分という形のものとがございまして、事業団の一元輸入の対象にしていないものにつきましては、これは枠を割り当てまして計画的にやっておるもの、あるいは沖縄とか学乳とか、そういう形のものの中での割り当て等々も行っておるというような形の中で対応しておるということでございます。
#39
○鉢呂委員 二月十五日の農水委員会で私の質問に対して局長は、十一条二項(c)の問題につきましては、生産調整をやっていることと、それからミニマムアクセスということもその要件に入っているのだという御答弁をされました。ところが、二月二十一日の参議院農水委員会の林委員のこの答弁の再確認を求めた質問に対して、これは一般論を述べたものであるというふうに答弁されております。私は、ミニマムアクセスがこの基幹的乳製品についてはついているというふうに解釈したのですけれども、一般論であるというふうに答弁されたその真意についてお聞かせいただきたいと思います。
#40
○川合政府委員 恐縮でございますが、十一条の条文につきまして御説明させていただきたいと思います。
 一般論でございますが、十一条二項は、生産制限を行っている農水産品について輸入制限が例外的に認められているわけでございますが、その場合に、輸入制限がない場合に成立すると考えられる輸入量と生産量の割合は維持されるべきであるという条文が二項についてございます。これがいわゆるミニマムアクセスと言われているものでございます。このミニマムアクセスにつきまして、どの程度が必要かということにつきまして、具体的に言いますと、個別の品目についてそのミニマムアクセス水準がいかにあるべきかということにつきましては必ずしも明確になっていないというのが今のガットの条文の状況でございます。しかしながら、これはウルグアイ・ラウンドでまさに問題になっている点でございますが、この水準を明確にすべきであるという提案をしている国もございますし、一方で、この水準をどういうふうな品目のくくり方で見るべきかということにつきましていろいろな意見があるというのが現状でございます。
 したがいまして、このミニマムアクセスということが必要であるというガット上の条文になっておりますが、その水準がいかにあるべきかということは必ずしも明確になっていないというのが現状であるということを御理解いただきたいと思います。
#41
○鉢呂委員 先ほど来話を聞いておりますと、現状の基幹的乳製品にも全量この最低輸入を義務づけをして実際に今やっているという状況ではないというふうに私どもは受けとめておりますし、また、経済局長が今言われましたように、その水準がどこにあるべきかということは必ずしも明確化されておらないということでありますから、今回の乳製品あるいはでん粉について、日本として具体的にどのような対処をしていくのか。一般的にどうとかいうことでなくて、日本としてこの問題について、自由化は認めないということですから、しかし、現状のままでいくということになった場合に、どのような観点でいくのかということをきちんと明確にしていただきたい。二月十五日のように、ミニマムアクセスがつくかのような話をすることは大変混乱を起こすということで、この日米協議に臨む日本の態度として、ミニマムアクセスを認めていく方向なのか、そのことをきちんとさせていただきたいと思います。
#42
○岩崎政府委員 私が前に、ミニマムアクセスがあるというのは一般論として言ったというのは、今言った日米協議を念頭に置いたということよりも、今の十一条二項(c)そのものの対応としてのミニマムアクセスというつもりで言った次第でございます。
 それで、今先生が御指摘のように、私ども、今計画あり、その他いろいろな割り当ては現実にやっております。そういう形の中で枠の問題については対応していきたいというふうに考えております。
 ただ、現実の日米協議につきましては、その枠等々の問題以前に、今の輸入制限措置そのものが、輸入制限そのものにつきまして、米国は四月以降ガットと整合性のとれた措置をとるべしということを言っておりまして、その辺のところが一番大きな問題になってくるというふうに考えている次第でございます。
#43
○鉢呂委員 確かに、ガットの規則との整合性ということをアメリカ側は問題にしておると思いますけれども、日本の考え方として、もちろんそのことは六十三年の二月あるいは七月でも大臣の談話を出しておりますから、異議の申し立てをしておるわけです。しかしながら、現状の割り当て制なりについてミニマムアクセスというものの考えを排除するのかどうか、きちんと日本の対応を明確にしていただきたいというふうに思います。
#44
○岩崎政府委員 現在、一般枠等々におきまして、枠は認めておるような次第でございます。そういうものにつきましては、これも当然枠をやっていかなければいかぬということでございますが、事業団の一元輸入対象品目そのものにつきましては、私どももこれを守っていくという形の中で対応すべきものだというふうに考えている次第でございます。
#45
○鉢呂委員 経済局長にお聞きしたいのですけれども、先ほど来お話もありましたように、アメリカはガット規則との整合性のとれた措置をとるべき旨を要求しておる、これはすなわち十一条二項(c)をクロ裁定をしたわけですから、自由化、関税化をすべしということのアメリカ側の表明だろうというふうに考えます。
 そこで、日本としては六十三年七月あるいは二月をそのまま踏襲をして自由化はせずという考え方で臨むということであろうと思いますけれども、そのことを再確認したいというふうに思います。
#46
○岩崎政府委員 私ども、ガット裁定で乳製品等につきましてクロ裁定が出たところでございますが、これにつきましては疑義があるということで、現在ガット・ウルグアイ・ラウンドで十一条二項(c)の見直し、明確化というものを提案しているところでございます。こういうような状況を踏まえまして、私どもとしては、ぜひ関係国の理解を得たいということで努力をしているところでございまして、日米協議におきましてもガット・ウルグアイ・ラウンドの結果で対応するというような形の中で対応してまいりたいということで、最善を尽くしてまいる所存でございます。
#47
○鉢呂委員 協議経過はあろうと思いますけれども、クロ裁定ということは、今現状は、ガット理事会ではそういう裁定を下して日本に勧告をしたわけであります。日本がこれを認めないということになりますと、ガット上、どういう条文に基づく制裁なり勧告が発動されるのか、その点をお聞きしておきたいというふうに思います。
#48
○川合政府委員 問題は二国間に戻っているわけでございまして、アメリカがこの問題についてどういう態度をするかということにかかっております。そのこと自体がガット上、許容されているということになっているという状況だというふうに御理解いただければよろしいかと思います。
#49
○鉢呂委員 私は、一般的に尋ねているわけで、このようなパネル裁定を拒否した場合、ガット理事会の勧告を拒否した場合にはどういった制裁措置が一般的になされるのか。
    〔委員長退席、宮里委員長代理着席〕
#50
○川合政府委員 一般的には、まず裁定が出た場合に、それを理事会で認めるか認めないかという話がございます。日本はこれは認めているわけでございますので、もちろんある種の留保をつけて認めているということでございますが、認めておりますので、今の御質問とちょっと違うかもわかりませんが、裁定を認めないということもあり得る、今のガットではあり得るわけでございます。
 ただ、日本の場合はそれを認めたという状況になっております。したがいまして、そこから先が二国間になりまして、二国間で、今後アメリカがそれを受けて対抗措置をとるかどうかという問題が一つ出てきているというのが今の状況でございまして、日本はそれに対しまして、今ウルグアイ・ラウンドでこういう問題をまさに議論しているので、それの結果を踏まえてその措置をとるべきだということで議論するということになろうかと思います。
#51
○鉢呂委員 それでは、続きまして牛乳・乳製品をめぐる問題に移らせていただきたいと思います。
 実は去る三月十五日には、畜産振興審議会が開かれまして、畜産局長の報告がなされておりまして、それも私どもの手元に配付をされております。
 畜産局長にお聞きいたしますけれども、この報告は、現状の情勢に照らして適正なものであったというふうに認識をしておるのかどうか、認識をしておるかどうかで答えていただきたい。
#52
○岩崎政府委員 現状を分析したということで報告した次第でございます。
#53
○鉢呂委員 この局長報告の「概要」の中で、これは総括といいますか、畜産をめぐる一般的情勢ということで概要を述べておるのですけれども、この中身は、昨年の三月に出された畜審に対する局長の報告と全く同じである。これだけ酪農、畜産情勢が激動しておる中で、例えば「最近においては、多くの畜産物について需要の伸びが鈍化傾向を示す一方、生産能力は引き続き増大していることから、牛肉を除く多くの部門においてややもすれば需給の不均衡、畜産物価格の低迷といった事態を招来し、又は招来しやすい状況となっている。」これは全く昨年の局長の報告と同じであります。これはどういったことなのか。
 例えば、生乳の需給は大変逼迫をしておることは事実であります。あるいはまた、牛肉を除く部門では価格が低迷をしておるといったことを言っていますけれども、牛肉自体、生産者価格を含めて去年は激動しておるということからいって、このような字句というのは妥当でない。畜産、酪農情勢を正確に伝えるものではないというふうに私ども認識をしておりますけれども、局長はどのように判断をして、昨年と全く同じ文章を提出をしたのか、お聞かせ願いたい。
#54
○岩崎政府委員 この「概要」は、一般的に、肉用牛も、あるいは酪農も豚肉も鶏卵も鶏肉も含めて総じてこうだということで、総じての「概要」といたしましては、全体としてこのような状況ではなかろうかということでやった次第でございます。
 個別品目等につきましては、それぞれ部門別の状況という形の中で情勢を報告しているということでございます。
#55
○鉢呂委員 部門別にはそれぞれの状況を書いてあるというふうに言っておりますけれども、それでは、中身も、私、一つ一つ局長に質問をさせていただきたいと思います。
 まず局長報告では、「部門別の状況」の「牛乳・乳製品の需給と酪農の動向」の中で、「酪農経営の収益性は、昨年後半のヌレ子価格の低下等から一時より低下しているものの、飼養規模の拡大、一頭当たり乳量の増加等により、ここ数年来好調に推移している。」このようにはっきり記載をしています。私は三月十一日にも私の地元の酪農地域も歩かせていただきました。あるいは、さまざまな農業関係者からも御意見を聞かせていただいております。あるいは、北海道の農協関係の酪農主要地帯の経営状況も、今はきちんとコンピューターですぐさま年間の経営が出てきております。そういった中で、あるいはまた負債の状況なり農村物価指数でいう農水省の資料をもってしても、生産資材等の価格の推移も出てきております。あるいは、乳量等についても出てきております。そこで、「好調に推移している。」とは全く言えない状況だというふうに思いますけれども、どのような観点からこのような記載をしたのか、お聞きをいたしたい。
#56
○岩崎政府委員 私ども、平成二年度という形の中でとりますと、例えばおおむね一日当たりの家族労働報酬等々もまあまあの線をいっているというような形でございます。それで、六十二年度以降、かなり生乳生産の需要の伸びとともに生乳生産もふえてきたということとあわせまして、酪農家の所得もふえてきたところでございまして、これはかなりの伸びを示しているところでございます。
 そういう状況の中で、確かに先生御指摘のように、老廃牛が下がり、またぬれ子が下がったという形でございますが、平成二年度という形の中でとってみますと、近年好調の中で推移してきた中で確かに収益性の低下というものは見られますが、全体としては、私が今そこのところで申し上げたような状況ではないかということで報告したような次第でございます。
#57
○鉢呂委員 今、平成二年度の家族労働報酬は増加をしておるというような表現がありました。これはまさに農水省でも平成二年二月一日のデータはそのように出しておりますけれども、これは二月一日のデータでありまして、平成二年度といいますか、農業経営にとっては一月から十二月までをもって普通経営の会計年度としておるのですけれども、そういう観点からいったらまさに実情に合っていない。あるいはまた、生乳は六十二年度以降伸びておるというような表現をしておりますけれども、そのような観点には、酪農経営一戸一戸見てもそうなっておらないのであります。あるいはまた、総体、全国の乳量を見てもそうなっていないわけでありまして、その意味では大変問題のある今の答弁であるというふうに私は考えます。
 例えば、北海道の酪農専業地帯、これは根室、釧路そして宗谷という全くの酪農の専業地帯であります。この三つの地域の、北海道では農協の組合員勘定といいまして、農協で農家経営の勘定科目をつくっておりますけれども、その経営概況、これはきちんと精査をするために去年の四月から十二月まで、それと前年対比をしておるのでありますけれども、収入では乳価水準の低下あるいは個体、乳牛あるいはぬれ子の価格の暴落で、一戸当たり二百二十万の収入の減、費用では配合飼料の増、これは数量を増加させたという意味もあります。あるいは、価格も上がっておるということなどで、肥料などの一部の費用を除き、ほとんどが一定の対前年比増加を示して、総体で支出、費用が八十万円の前年対比増、差し引き約三百万円の所得減、前年に比べますと三五%の所得の減少、これはきちんとこうなっているわけです。
 このようなおおむねの数字からいっても、局長の今言われた、平成二年度は家族労働報酬が上回っておるとか、あるいはまた、経営が好調に推移をしておるということは到底言えないわけですけれども、御答弁を願いたい。
#58
○岩崎政府委員 確かに先生御指摘のような地域でのそういう状況というのは見られるのかもしれません。私が申し上げましたのは、全体で近年好調に推移してきているということでございまして、全体で見ますと、先ほど申しましたように、六十二年度以降、生乳生産の伸び等々によりまして好調に推移してきたことは事実であります。ただ、平成元年に比べまして平成二年そのものが、先ほど申しましたようにぬれ子なり老廃牛というような形のものの中で収益性は低下してきているということも事実でございます。ただ、今言った流れの中では、近年好調な流れの中にあるのではないかというふうに申し上げたところでございます。
 ただ、地域によりまして、いろいろな形の中でいろいろな問題が出てきているということも私どもいろいろ耳にするわけでございますが、地域、地域によりましては、やはりかなりのばらつきがあるということも認識いたしておる次第でございます。
#59
○鉢呂委員 今局長は、地域的な状況のばらつきだというような表現をされました。しかし、この局長報告というのは毎年畜産審議会にかかるものでありまして、最近時というのは、六十二年以降とかそういった長い期間をとって言っているわけでありませんで、まさにことしの畜審にかけるものは平成二年度、例えば四月から二月までとか、そういう時期をもって報告をするのが妥当であるし、この間、好調に推移をしておるといっても中身は相当変わっておる。もう少しはっきり言ってもいいのですけれども、あなたは今ぬれ子とかそういうことがあって、平成元年に比べたら若干のというような表現をしていますけれども、それでほどのくらいの推移があったのですか。きちんと平成二年を通して答弁することができますか。
#60
○岩崎政府委員 私どもが、近年好調にと申しましたのは、例えば北海道の家族労働報酬を見ますと、六十二年が一万一千円、六十三年が一万二千円、元年が一万四千円、それから平成二年度が一万五千円というふうな形で推移してきた。
 ただ、先生の御指摘がございましたように、私ども、数字としては残念ながらつかんでおりませんが、老廃牛なり乳廃牛があの価格の低落を見たということで、この一日当たり家族労働報酬というものも低下してくるのであろうということを推定で申し上げた、こういうことでございます。
#61
○鉢呂委員 これは畜産審議会にもそういうふうに答弁をされているのかもわかりませんけれども、例えば副産物の価格についてのぬれ子は、農水省で出しておる農村物価指数によれば、これは北海道ですけれども、ぬれ子一頭当たり、平成元年、一昨年の七月から昨年の六月までは十三万五千百円していたわけです。これは農水省の発表です。直近の三カ月、これは北海道の統計事務所に聞いておりますけれども、平成二年の十月から十二月までしか私見ておりませんけれども、七万九千三百円、対生産費調査期間に対して五八・七%という価格、四十数%価格が暴落をしておるのであります。そのようなことはきちんと農水省でも把握できるではありませんか。
#62
○岩崎政府委員 ぬれ子の価格でございますが、確かに北海道の場合八月が最底値ということで七万二千五百七十円でございます。その後回復いたしてきまして、十二月段階では七万九千八十円、それから平成三年の一月では八万二千八百六十円、これは物賃の数字でございますが、昨年の八月最底値で、緩やかでございますが、その後、徐々に回復基調になってきているというような次第でございます。
#63
○鉢呂委員 私は、そのことを聞いておるのではなくて、十月から十二月でも七万九千三百円、それは八月を底にして若干の緩やかな上昇機運にあるのかどうか知りません。大体その機運もありますけれども、この三月に至ってはまた下がったという市場の情報も、全部ではありませんが聞いております。いずれにいたしましても、生産費調査に比べて六割か七割以下であるということは事実であります。そのことの総体をとらえてあのような「好調に推移している。」という表現になるのかどうか。
 あるいは、この家族労働報酬についても、私ども大変憤慨するのは、水稲の家族労働報酬の五千七百円に比べて一万五千円で、一日当たりの家族労働報酬が高いというような対比をこの農水省の資料はしておるのですけれども、家族の稼働人員が違うではありませんか。酪農は三・〇を若干切ったと思いますけれども、そのような中でやっておるわけですから、決して単純比較をするというわけにはいかないわけであります。家族労働報酬というのは経営そのものを示すのではなくて、あるいはまた、これは調査期間については七月から六月までという、現状を示しておらないわけですから、私が言いたいのは、昨年の七月以降の酪農を取り巻く情勢について的確に調査をしてこの畜審の総会の報告としてほしい、すべきであるというふうに思うわけですけれども、農水大臣はいませんから、政務次官にこの点についての、このような報告は畜産審議会の審議に適切に対処するものでないというふうに思いますので、政務次官の善処をお願いいたしたいというふうに思います。
#64
○岩崎政府委員 先ほど申し上げた数字は、やはり一人一日当たり家族労働報酬ということで、基準は同じでございます。
 それから、子牛価格の問題でございますが、八月以降徐々に回復というようなことで、ただ、飼養規模が拡大されておりまして、農家経営、酪農経営にとりましても子牛の粗収益というものは価格低下率ほどはまだ下がっていないということはありますが、やはり全体としての収益性に影響があることということは事実であろうというふうに思っている次第でございます。
 私どもも、そういうようなことを含めながら私自身の報告ということをなしたようなことでございますが、もし誤解を招くようなことがあれば、これからまたその中でいろいろ報告はすることでございます。ただ、私どもといたしまして、全体の今までの流れの中でそういうふうな形で報告申し上げた、こういうことでございます。
#65
○杉浦(正)政府委員 乳価につきましては、その後の子牛価格の動向等も考慮して適正に決定されることは申すまでもないところでございます。
#66
○鉢呂委員 適正に決定するには、昨年一年間のきちんとした事務段階の諮問に当たる情勢報告というのがなければならないというふうに考えます。
 私は、今ぬれ子の問題を言いましたけれども、例えば乳用の成牛、初妊ですね、これについても生産費調査期間に対して七五%。それから乳廃についても、買い手がつかないようなばらつきがありますけれども、農水省の調査を見ても六八%、直近三カ月です。あるいはまた生産資材についても、濃厚飼料、購入飼料が同じ対比で二・八%増加をしておるのであります。光熱動力費についても、これは一五・五%。あるいはまた金利の上昇については、長期プライムレートの急上昇、これは今八%です。これは制度資金等に大きな影響を与えていることは事実でありますから、こういうものを全部見ますと―あるいは乳量については着実に増加をしておる、ここにも書いていますね、「一頭当たり乳量の増加等により、」というふうに書いていますけれども、これも必ずしも適切な表現でないというふうに私ども思います、後でまたこれについては言いますけれども。そういうものを勘案したときに、この報告は妥当だと思いますか、政務次官。
#67
○杉浦(正)政府委員 いろいろ御見解はあろうと思いますが、私どもとしては、妥当と考えて御提案した次第でございます。
#68
○鉢呂委員 見解ではなくて、私は事実を言っておるのであります。
 そういうことで、例えば次の方に、酪農経営の動向についても私、話させていただきます。
 酪農経営の動向についても、この報告は昨年と全く同じであります。「飼養戸数は零細飼養層を中心に引き続き減少しており、飼養規模の拡大は着実に進展している。」このように今答弁をされておるのであります。――去年のをコピーしただけだということの発言もあります。私たちにはそうとしか思えない。
 昨日、農水省の皆さんから、直近の酪農家の離脱状況、この報告をいただきました。こういうものはもっと素直に畜産審議会等に公表をすべきものだというふうに私は思いますけれども、この調査資料によりますと、離脱農家は、昨年の二月から三年の一月から二月というふうに書いてありますから、これはまだきちんと締めておらないのかもわかりませんけれども、総数二千三百五戸が酪農を離脱をしたということであります。このうち、成畜、成牛を飼っておる十頭以上の規模の農家数においても、四三%が離脱をしておるのであります。私は、零細規模というのは、何頭を零細飼養層というふうに言っておるのか、後でもお聞きしたいと思いますけれども、四三%、約半分近くが十頭以上の酪農家であるのであります。また三十頭以上規模、これしか区分けをしておりませんから、三十頭以上、これは大規模だというふうに思いますけれども、この層でも七・八%、二千三百五戸の全体のうちの七・八%の百八十戸が離脱をしておるのであります。北海道でも三十頭以上の成畜飼養農家は離脱率が三〇%、八十二戸を占めておるのであります。
 もちろん、説明をお聞きしましたとおり、昨年の二月のデータとこのパーセントは余り変わっておらないようでありますけれども、しかし、昨年と変わらないからといって、この零細飼養層が減っておるからという表現ではならないと思います。まさに酪農の離脱状況が零細飼養農家だけでなくて大規模農家層にも深刻に及んでおる、そのようなとらえ方をすべきであるというふうに考えますけれども、局長の御答弁をお願いしたいと思います。
#69
○岩崎政府委員 実は先生に御説明したものは、私も農政局からの聞き取りということで、実数そのものとしてはなかなかその全体としていろいろ聞き取りだということでの限界があるということで、趨勢として考えなければいけないということが一つございます。それから、やはり実数としてとらえるためには統計情報部の公的調査ということが必要でございまして、昨年の二月一日では農林業センサス、それから、本年の二月一日につきましては六月ごろ出てくるということで、この結果を待たないとなかなか正確な数字というものはわかりません。ただ、かねて先生からも御指摘ありましたように、私どもといたしましても、何らか離脱農家の調査、どういうふうな実態になっているんだということも非常な関心事でございまして、その辺のことも踏まえて取り急ぎ農政局を通じまして調べたというのが、今先生がお話しになった数字でございます。
 ただ、その中で全体として言えますことは、全体の流れというのは、その前の年ともそう変わりがないという形の中で飼養戸数も零細農家を中心に減少していて、全体として一戸当たりの飼養規模頭数がふえているというような分析をいたしたような次第でございます。
 それからもう一つ、ここの数字そのものは実は三十頭以上層がマイナスで出ておりますが、この調査は離脱農家だけの調査でございまして、実は十から二十九頭層というのは、離脱するものとそれから三十頭層へ上がってくるものというものがございまして、その辺のところの中身というのか、数字というものにつきましては、これは私どもとして、今回の調査ではつかめなかったということでございます。
#70
○鉢呂委員 その中規模から大規模への移動はわからなかったということでありますけれども、これはまさに実質規模ごとに離脱をした農家を示すには大変貴重な資料だというふうに私は思います。
 そこで、「飼養規模の拡大は着実に進展している」というふうにこの報告は表現をしておるのですけれども、今局長が言われましたように、まさに飼養規模の拡大については統計上、数字上の拡大を示しておるにすぎない。これは中規模から大規模に移動したものを含めて、その相殺の結果、大規模農家数がふえておるというような表現で農水省はこれまでとらえてきておったのですけれども、先ほど言いましたように、この調査においても大規模農家数は百八十戸の離脱をしております。したがって、全体の三十頭以上の占める比重からいきますと、これは平成二年二月の調査と対比してみますと、この百八十戸は一%に相当するのであります。そういった意味でこの表現は、この資料の中身は、大規模離脱層は極めて小さいという表現をしておりますけれども、これはまさに大きいのでありまして、一%が着実に離脱をしておる。そのことは日本の酪農に極めて大きな、重大な影響があるというふうに考えております。したがって、総体で数量は伸びているからとか、規模農家がふえているからということは、今のところは大きな問題にならない。昨年の閣議決定しました長期生産見通しによれば、九百三十万トンの生乳を生産すること、平成十二年になっております。今現在八百万トンくらいしか生産をしておらないこのものをどういった形で九百三十万トンを達成する方向に持っていくのか。これは生産する者がいなければ達成のしようがないわけでありますから、これらを含めて、酪農を担う者としてどういう位置づけをし、どのような規模を数として考えておるのか。零細層がだんだんやめていく、しかも大規模層も中規模層も、率は少ないけれども着実にやめておる農家がいる。どのような見通しを持ってこの閣議決定された生産を達成しようとしておるのか。その点についてお伺いをしたいというふうに思います。
    〔宮里委員長代理退席、委員長着席〕
#71
○岩崎政府委員 長期見通しは、需要と生産の見通しということでございまして、需要の伸びが見られるということとあわせて、生産の方も長期見通しでは平均約一・七%程度の伸びを見ているわけでございます。ただ、実績は六十二年度以降、生産の方は三、四%程度私どもが見通したものを上回った形で現在伸びているのも事実でございまして、そういう形の中で、今の実態から生産はかなり伸びているだろうというふうに私どもとしても見たわけでございます。
 それからもう一つ、大規模層についての増減の話でございますが、先ほど申しましたように、私どもが農政局を通じてやりましたものにつきましては、実数としてはこれはなかなか使いにくい、傾向だけを見ていただかなければならない数字でございます。それで、実数としてつかんでおります限りにおきましては、三十頭以上層といたしましては、全体として二十九頭以下が減る中で三十頭以上が大体一・八%ほどふえておる。それから北海道自身といたしますと一・三%の増というような形になっております。
 ただ、いずれにいたしましても、需要と生産の長期見通しに即した形で生産等々も、これは経営体も含めてしっかりこれから振興も図っていかなければいけないというふうに私ども受けとめまして、これからも大いに努力をしていかなければいけないだろうというふうに考えておる次第でございます。
#72
○鉢呂委員 農林統計でも、全体の減少率はこの八年間を見ましても対前年比五%を下らないのでありまして、毎年毎年対前年比五%ずつ下がっている。昭和五十五年に比べて酪農家が約半減をしておるじゃありませんか。この資料によりましても、経営離脱の要因についても聞き取り調査をしております。大変貴重でありまして、一位が高齢化と後継者の問題、半数を占めておりまして五三%。その他、経営者の事故、病気、これは一四%。そして四番目でありますけれども、経営不振と将来の見通し不安ということで一〇%の方がその理由としております。将来の見通し不安というのは、この一番目の後継者難、このことと直接、間接結びつくというふうに、私ども、現地を歩きまして痛切にそう思います。
 この前も酪農家を歩きますと、異口同音に言われることは、息子に酪農を継がせていいのかわからない、そういうふうに奥さんが言います。だけれども、余り大変だ、大変だと言ったら嫁さんの来手もない。これだけ設備投資をして、息子にやってもらわなければ困るんだけれども、このような酪農情勢では早いうちに見切りをつけた方がいいんではないかという酪農家の方も大変多いわけであります。私は、そういった意味では雪崩を打って今酪農が崩壊の危機に瀕しておるぐらいの状況にあるというふうに思います。これは局長、まさに傾向をつかめばいいのでありまして、そんな何人がいないとかいたとかいうことにとらわれておりますと大変なことになるというふうに思いますけれども、そういう現状にあるということを踏まえていただきたい。このことについて政務次官、酪農の現状とそういう実態についてどのようにお考えになるか、お聞かせを願いたいと思います。
#73
○杉浦(正)政府委員 酪農が、先生のおっしゃられるような厳しい情勢に対面しておることは、私どもも同じ認識でおります。そういう状況に対処いたしまして、いかに酪農経営を発展させていくかという見地から、構造政策等各般の措置を講じておるところでございます。
#74
○鉢呂委員 私は言葉じりはつかまえたくないわけですけれども、先ほどの答弁は、酪農経営の収益性については数年来好調に推移をしている、そういうふうに思っているというふうに答弁があったわけですけれども、今それと全く相反する答弁でありますから、しかし私は、実態はこういうことであるということは政務次官も御承知だと思います。したがって、この局長報告については、これはまさにそういったものがにじみ出ておらないわけでありますから、そのことを十分畜産審議会でこの中身を、実態を報告する必要があるというふうに私、思うのであります。
 観点を変えますけれども、例えば乳量については一頭当たり着実に増加をしておるというふうに先ほど御答弁が、あるいは報告もあるのですけれども、しかし、そのようになっておらないのであります。例えば、ここにもそのことは書いてあります。夏場の牛の疲れ等によりということは書いておりますけれども、一頭当たりの搾乳量を調べるということは、年間を通すわけですから、これは大変なことであります。しかし北海道では、北海道乳牛検定協会というのが行っておりまして、検定成績をとっておりまして、これは大半の酪農地帯の農家は加入をしております。この成績を見てみましても、月別の前年対比が出ておりますけれども、おととしの六月に比べて九九・六%と一〇〇を割ったのを皮切りにして、六月から十二月まで各自とも一〇〇を割っておる状況であります。九九・六、九八・一、九八・四、九八・四、九八・三、九九・一、九九・六、あるいは死亡についても対前年比低下をしておるのであります。私は、そういった意味では、「一頭当たり乳量の増加等により、」という表現は適切でないと思いますけれども、そのような観点についても、きちんと審議会にその中身を訴える必要があると思いますけれども、どのように考えますか。
#75
○岩崎政府委員 北海道全体の生乳生産量でございますが、確かに昨年の猛暑等々によりまして生乳生産量がダウンいたしました。それで、北海道全体の生乳生産量を見てみますと、八月と九月が対前年を下回った形になっておりますが、北海道全体としては、その他は対前年より若干伸びておりまして、最近回復基調ということで、四月から本年の一月までで見ますと、生乳生産量は北海道で一・八%の増というようなことになっております。
 それから、一頭当たりの搾乳量の問題がございますが、これはそういうような状況の中で北海道自身かなり雌牛の導入というものを図ってきたというような状況があるのだろうと思っておりますが、飼養規模頭数は若干ふえてきているというような状況の中で、確かに一頭当たりの搾乳量というものは減ってきているというのも事実であります。
 今の生乳の北海道の状況というのは以上のような形になります。
#76
○鉢呂委員 今局長は、一頭当たりの搾乳量は減っておるということも言明したわけですから、そのことはこの畜審の報告と異なるわけですから、畜審の報告、これから酪農部会があると思いますから、その報告においてはきちんとしたものを報告していただきたいと考えます。
 同時に、昨年の畜審においては、「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」について、その留意すべき事項を諮問しておるのであります。いまだこの答申がされておらない。先ほど来話をしておりますように、重大な酪農情勢、肉用牛の情勢を踏まえておるわけですから、どのような作業実態になっておるのか。畜審の委員も、この会合は一つもないと。これは明確に農水大臣が諮問しておるわけであります。今どのような作業の実態にあるのか、いつごろ出すのか、どういった方向で出すのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
#77
○岩崎政府委員 酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律上、昨年一月に策定されました長期見通しに即して新たな基本方針を作成する必要があるということで、また、平成三年度からの牛肉の輸入自由化等の状況も踏まえた新たな振興指針を示す必要があるということで、昨年三月十六日に畜産振興審議会に対しまして基本方針の作成に関し、諮問を行ったということでございます。
 現在、基本方針の改定作業は、生産コストの目標をどうするか、また生産振興の方向をどうするか、それから飼料作物の生産指標等をどうとるか、流通の合理化等の項目をどうするかというようなことでございますが、特に、大家畜生産をめぐる近年の情勢から、生産コストの目標の設定なり、飼料作物生産のための指標の作成が特に重要ということで、幅広な検討を現在行っている。ただ、これらの作業が、例えば生産コストの目標でございますが、将来その普及が見込まれます受精卵の移植技術等の新技術がどうなっていくのだろうか。またF1、交雑種の雌牛の繁殖利用がどうなるか。それから肥育雌牛の一産取り肥育等の新方式の普及定着化の可能性がどうなるかというようなこととか、大家畜産経営に対します土地利用集積等々がどうなるのか。それから、自由化後の輸入牛肉と国産牛肉との競合性の見きわめ等に関する基本データの収集分析というようなことにも手間取っている。
 また、飼料作物生産のための指標でございますが、今回の基本方針では、これは新たに盛り込もうとしている項目でございまして、その考え方なり設定方法等基本的なところから検討する必要があるというような非常に難しい作業だということで、お話しのとおり基本方針の改定作業が遅延しているような状況でございます。
 また、ガット・ウルグアイ・ラウンド等の交渉におきましても、昨年十二月のブラッセルでの閣僚会議で最終合意が得られない、継続協議ということでございますが、当然国際的なそういうものにつきましても視野に入れる必要があるというようなこと等もございます。
 いずれにいたしましても、私ども、できるだけ早い機会にこの方針を決めてまいりたいということで鋭意努力してまいる所存でございます。
#78
○鉢呂委員 以上、若干の酪農状況についてお話をさせていただいたのですけれども、そういった意味では需給の逼迫、これは局長報告でも需給は「堅調」という表現をしておるのですけれども、堅調ではない、私はそういうふうに思います。昨年の局長報告には、逼迫ないし堅調というふうに書いてあったのですけれども、ことしは「堅調」一言であります。需給状況は逼迫をしておる、あるいはまた乳量が低迷をし、子牛価格などの暴落、そういった収入減、あるいはまた生産費の増加、金利の上昇など、再生産を確保するためには今保証乳価できちんとしたものを示す必要がある。このままいけば大規模飼養農家も含めて酪農離脱状況、酪農の崩壊状況を食いとめることはできないというふうに考えるわけであります。
 そういったことで、ことしの乳価については、七月以降の状況を考えた場合に、あるいは酪農の将来展望を考えたときに、引き上げは当然でありまして、このことについての政務次官のお考えについてお聞かせを願いたいというふうに考えます。
#79
○杉浦(正)政府委員 御承知のとおり、保証価格につきましては、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づきまして、生産費調査、三月十四日に公表いたしましたが、その結果等も踏まえまして、その他の経営事情を勘案し、決定いたすことになっておるわけでございます。
 平成三年度の価格につきましては、現在検討の過程でございまして、具体的にここで申し上げられないのがまことに恐縮でございますけれども、近々開催されます畜産振興審議会の意見も聞き、本委員会における諸先生方の御意向もよく踏まえ、三月末までに適正に決定してまいる考えでございます。
#80
○鉢呂委員 最後にお尋ねしますけれども、昨年十月のオファー、これは内外価格差プラス不足払いの合計額として三〇%削減を日本は提出をしたわけであります。九〇年以降七年間で八・六%の引き下げをしていくという方向を出しておりますけれども、このオファー、あるいはウルグアイ・ラウンド、あるいは日米二国間協議、これらの国際環境が今回の保証乳価決定に当たって、これを拘束するものかどうか、そのことについてお聞かせを願いたいと同時に、大変農水省当局はさまざまなところでこの国際環境を強調する余り、初めに乳価引き下げありきのそういった訴え方を随分しておろかのようであります。したがって、今政務次官がおっしゃられましたように、その他経済事情というようなことを言いましたけれども、その他経済事情という中にはこれらの国際環境といいますか、日米協議だとかオファーというものがこの中に入ってくるのか、法的なその他事情、その他経済事情という問題が入ってくるのかどうかもあわせてお聞きをしたい。そういったことで、ことしはこれらの対外的なことではなくて、国内的に酪農が崩壊する、そのような危機にあるということで国内的なところからきちんとした決め方をしていただきたいということを強調しておきたいというふうに思います。
 この三点について。
#81
○岩崎政府委員 ガット・オファーとの関係でございますが、これにつきましては、現在なかなか具体的な論議が進んでいないということでございまして、これのみをもって価格を決定するということではございませんが、全体として国際的な農業保護削減の動きというようなこともございまして、こういうようなものも念頭には置いておく必要があるのではないかというような考え方でございます。
 それから、その他の経済事情でございますが、内外価格差等々の問題につきましても、全体としてその他の経済事情というようなことの中で含まれてくるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#82
○鉢呂委員 時間が来たのですけれども、もう少し質問をさせていただきます。
 これは本筋から離れますけれども、私、この間の調査をさせていただいた段階で、生産費調査の観点ですけれども、統計情報部の方が来ておりませんけれども、牛乳あるいは肉用牛も含めてほぼ前年の七月から当年六月までをもってその調査期間としておるのですけれども、現状九カ月前のデータを使って物事を判断する。これは畜産局長を私責めましたけれども、畜産局としてもやむを得ざるところがあろうと思います。きちんとしたデータがないのに勝手にしゃべるということもならぬという苦しさもあるというふうに私は理解するのですけれども、私はそういった意味では、今のコンピューター時代に、昨年の六月までのデータが今ごろ出てくる、三月の十四日ごろ出てくるなんという、こういう統計情報というのは意味をなさないのじゃないかというふうに思わざるを得ないのでありまして、もっと合理的な素早いものを、今酪農家でさえ十二月末のものは、税の申告をきちんとしますから二カ月もあれば出すのでありますから、そういった意味で生産費調査の迅速化というのですか合理化を早急にやっていただきたいというふうにお願いを申し上げまして、答弁は必要ありませんので、そのようなことでお願いをいたしたい。
 終わります。
     ────◇─────
#83
○大原委員長 それでは、内閣提出、食品流通構造改善促進法案並びに競馬法及び日本中央競馬会法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。近藤農林水産大臣。
    ─────────────
 食品流通構造改善促進法案
 競馬法及び日本中央競馬会法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#84
○近藤国務大臣 食品流通構造改善促進法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 我が国の食品流通は、全国各地に多数存在する農林漁業者等が生産する多種多様な食品を、効率的かつ安定的に消費者に対して供給するという重要な役割を担っております。また、保存性が低い商品を取り扱うこと、卸売市場という流通拠点が存在すること、「最寄り当用買い」という購買行動が中心であること等から零細多数の小売店が存在すること等他の商品の流通には見られない特性を有しております。
 このような役割を担い、また特性を有している食品流通を取り巻く情勢は、近年、著しく変化しております。すなわち、品質、鮮度等の重視、多品種少量消費への移行等の消費者ニーズの多様化、高度化、農産物の輸入の増大等の供給事情の変化等であります。
 このような中で、我が国の食品流通が、今後ともその機能を十全に発揮するとともに生産と消費を的確につないでいくという重要な役割を担っていくためには、その有する特性に配慮しつつ、食品流通の各段階を通じた構造改善を図っていくことが重要な課題となっております。このため、食品の流通部門の構造改善を促進するための金融、税制その他の支援措置を講ずることとし、この法律案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の主な内容につきまして御説明を申し上げます。
 第一に、農林水産大臣は、食品の流通部門の構造改善を図るための基本方針を、食品流通審議会の意見を聞いて定めることとしております。
 第二に、食品販売業者、卸売市場開設者等は、食品生産販売提携事業、卸売市場機能高度化事業、食品販売業近代化事業または食品商業集積施設整備事業について構造改善計画を作成し、農林水産大臣の認定を受けることができることとしております。
 第三に、農林水産大臣の認定を受けた構造改善計画に基づき構造改善事業を実施する者に対し、農林漁業金融公庫からの長期低利資金の貸し付け、特別償却等の税制上の特例措置その他の支援措置を講ずることとしております。
 第四に、農林水産大臣は、食品の流通部門の構造改善を促進することを目的として設立された民法法人を食品流通構造改善促進機構として指定することができるものとし、食品流通構造改善促進機構は、構造改善事業等の実施に必要な資金の借り入れに係る債務の保証、構造改善事業等への参加、食品販売業者に対する研修等の業務を行うこととしております。
 第五に、卸売市場審議会を改組して、農林水産省に食品流通審議会を置くこととしております。
 以上が、この法案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
 続いて、競馬法及び日本中央競馬会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 競馬は、大正十二年の旧競馬法の制定以来、その益金により、国及び地方公共団体の財政に寄与するとともに、畜産業の振興に多大な貢献をし、また、国民に大衆レジャーの場を提供してきたところであります。
 最近の競馬をめぐる事情を見ますと、ファンの数が大幅に増加し、売り上げ規模も飛躍的に拡大するとともに、若年層や女性層において人気が高まるなど、質的に変貌を遂げつつあり、その経済的、社会的位置づけは相当に大きなものとなっております。
 このように、国民の中に広がりつつある競馬に対する理解と信頼をますます強固にするためには、ファンはもちろん国民各層からの種々の要請に適切に対応することが重要となっております。
 このような競馬を取り巻く状況にかんがみ、競馬の長期的に安定した発展を確保するため、今後とも競馬が公正に実施されていることについて国民の信頼を得るとともに、競馬の実施によって生ずる益金を国民の利益に資するよう有効に活用するための措置等を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、競馬法の一部改正についてであります。
 第一に、競馬の公正確保の強化を図るため、馬主の登録制度並びに調教師及び騎手の免許制度を改善することとし、馬主登録の要件を省令でよりきめ細かく定めることとするとともに、馬主登録の抹消規定並びに調教師及び騎手の免許の取り消し規定を追加することとしております。
 第二に、地方競馬の円滑な実施等を図るため、地方競馬主催者が、他の都道府県における地方競馬主催者に対して競馬の実施に関する事務を委託することができることとするとともに、地方競馬主催者が地方競馬全国協会に交付する交付金の額を経済事情の変化等に応じて見直すこととしております。
 第三に、社会経済事情の変化に対応するため、中央競馬の競馬場及び開催の規定、特別登録料の規定等諸規定の整備を行うこととしております。
 次に、日本中央競馬会法の一部改正についてであります。
 第一に、日本中央競馬会が行う馬主登録等がより公正に行われるよう審査するため、農林水産大臣が任命した委員から成る審査会を日本中央競馬会に設置し、馬主登録等を行おうとするときは、審査会の意見を聞かなければならないこととしております。
 第二に、日本中央競馬会の剰余金を有効に活用するため、日本中央競馬会が、畜産振興事業等について助成することを業務とする法人に対し、必要な資金を交付する業務を行うことができるようにするとともに、この業務の経費及び競馬場の周辺地域の住民の利便に供する施設の整備その他の競馬の健全な発展を図るため必要な業務の経費に充てるため、今後生ずる剰余金を原資とした特別振興資金を設けることとしております。
 第三に、畜産の一層の振興を図るため、国庫納付金の使途として、営農環境の整備または農林畜水産業に関する研究開発であって畜産の振興に資するものに必要な経費を追加することとしております。
 最後に、附則において定める措置であります。
 競馬の健全な発展のためには、競馬ファンの支持が必要不可欠であることから、ファンサービスの向上の一環として、日本中央競馬会は、当分の間、剰余金を原資として、一定の勝馬投票法の勝馬投票的中者に対し、一定の金額を交付することができることとしております。
 また、地方競馬主催者も、その競馬事業の収支の状況から見て競馬の円滑な実施に支障がないと認められるときには、同様の措置を講ずることができることとしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#85
○大原委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十三分休憩
     ────◇─────
    午後一時開議
#86
○大原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について質疑を続行いたします。堀込征雄君。
#87
○堀込委員 それでは、まず、午前中の議論もございましたが、二十二日からワシントンで日米協議が開かれる乳製品の情勢からお尋ねをいたします。
 私どもとすれば、八八年二月のガット理事会における十二品目問題のクロ裁定があった、これについては日本としては不服である、こういう立場でいるわけでありますが、今回アメリカは、二国間だけではなくして、そのほか関心国といいますか、ガット理事会で関心国が参加できる二十二条協議も求めてきている、こういう情勢があるというふうに聞いています。
 そこで、この二国間交渉の見通し、姿勢、午前中もお話がございましたけれども、これについてはあくまで輸入数量制限を堅持をしながら頑張るという意思表示がございました。そして一方、新ラウンドにおいては、十一条二項(c)を改善強化をしながら、それを合法化していく、こういう立場で日本の政府の交渉姿勢を持っていくんだということが表現をされておるわけでありますけれども、片方の二国間交渉の方の立場が新ラウンドのその後の交渉に足かせにならないように、それぞれ基本的な立場を踏まえながらの交渉が必要だ、こういうふうに思います。
 まず、この二つの交渉に対する姿勢についてお伺いをいたします。
#88
○岩崎政府委員 乳製品の輸入制限措置につきましては、過般六十三年にガット・ウルグアイ・ラウンドでクロということになったわけですが、私ども前から述べておりますように、解釈に疑義があるということもございまして、日米協議で乳製品につきまして本年度末まで当面の輸入制限措置を守った、こういうことでございますが、本年度中に日米再協議というような形になっております。
 私ども、解釈に疑義があるところから、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおきまして、十一条二項(c)の明確化というものを求めているところでございますので、日米交渉に当たりましても、ウルグアイ・ラウンドの結果を踏まえて対応するんだということの中で努力していきたいというふうに考えておる次第でございます。
#89
○堀込委員 そこで、対するアメリカ側の対応でございますけれども、アメリカ自身さまざまな国境保護措置をとっておるわけですね。しかも非常に多品目にわたっている。例えば食肉については食肉輸入法で規制をしているという事実がありますし、酪農品を見ますとウエーバー品目ということで、しかもクォータ制、割り当て制の運用についても、例えばバターなどは輸入をほとんどしていない。輸出比率が非常に高い。しかもアメリカ自身、市場アクセスの改善は長い間ほとんどなされていない。つまり、アメリカ自身が一方においてガットの原則をゆがめているという事実、これは乳製品においては明らかにあるというふうに私ども見るわけであります。
 しかし、私どもが心配をするのは、湾岸戦争などを契機にしながら、なおかつ日本に対する圧力が非常に強まるであろう、こういうふうに対アメリカ情勢で言われておるわけであります。しかし、農産物の交渉に関する限り、特にこの乳製品に関する限りは、アメリカ自身がそういう自国の農業政策をとっているわけでありますから、湾岸戦争があろうがなかろうが、日本がこれから国際的な貢献をしていかなければならないという立場を踏まえても、これはどうしても私どもは理解しがたいという中身があるわけでありますけれども、このアメリカの態度に対する我が国としての考え方がありましたら、聞かせてください。
#90
○岩崎政府委員 御指摘のとおり、米国は粉乳、バター等かなりの乳製品に関しましてウエーバー、自由化義務免除に基づく輸入数量制限をやっておるということでございます。
 我が国の輸入制限措置は、我が国はウエーバーをとっておりませんのでガット違反とされるのに対しまして、ウエーバーに基づく輸入制限はガット合法という形になるというものの、現在行われておりますウルグアイ・ラウンドの場におきましては、あらゆる輸入制限措置を論議の対象とするということとされておりまして、私ども、ウエーバー等の輸入制限については、公平性の見地からもその是非の検討に我が国も積極的に参加してまいりたいというふうに考えております。
 なお、米国は輸入制限等のすべての非関税措置につきまして関税化をするんだということを提案しているというところでございます。
#91
○堀込委員 そういうことで、私ども、どう見てもアメリカの主張というのは理解できないわけであります。
 そこで、ちょっと話を先へ進めますけれども、我が国が昨年のガット交渉の中でオファーリストを提出しているわけであります。この中で牛乳・乳製品に関しましては、八六年を基点にして十年間で三〇%削減するということで二六・六%の削減目標のリストを提出しているわけですね。それから、このリストでいくと九〇年から九六年に八・六%削減をしなければならない、こういう事実がございます。これは現在交渉中でございますし、どうこうではありませんけれども、しかし、提出したリストは、日本としてこれは守らなければならない指標なのか、実行していかなければならないのか。だとすれば、午前中も局長答弁では、念頭に置かざるを得ないという答弁がございましたけれども、そうすると、これは、今度の畜産物価格についても大きく念頭に置いて約束を実行していかなければならない性格のものかどうか、この辺をお伺いいたします。
#92
○岩崎政府委員 ウルグアイ・ラウンド農業交渉におきまして、昨年の七月の貿易交渉委員会での合意を踏まえまして、各国が昨年の十月十五日までにオファーを提出することになりました。我が国も、酪農の国内支持に関しましては、一九八六年を基準として一九九六年までにAMSを三〇%削減するというオファーを提出したところです。現在までのところ、オファーについても具体的な検討がなされていない。と申しますのは、輸出補助金をめぐって輸出国同士でかなり対立があったというような形の中で本年に継続されてきているというようなことの中で、具体的な中身に入ってまでの検討がなされていなかったということでございますが、いずれこれにつきましても具体的に議論されてくるのだろうというふうに思っております。
 しかし、我が国の農業政策への影響について、現時点では具体的に申し上げられるような段階ではないということで、国際的な農業保護削減の動きについては念頭に置く必要があるだろうということでございますが、今回の保証価格等の決定につきましては、不足払い法に基づきまして、生産費調査というものを踏まえて、その他の経済事情も考慮しながら決定してまいる、こういうことでございます。
#93
○堀込委員 そうしますと、九〇年から九六年までに八・六%削減を一応オファーリストとして提出しているけれども、それは現在交渉中であって、とりあえずことしの保証価格については生産費その他の経済事情をしんしゃくして決める、こういう立場であることを今確認をいただきました。
 そこで、加工原料乳の保証価格になるわけでありますが、先ほど議論がございましたように、率直に言って、子牛価格の低迷だとか生産意欲が減一退をしているという実態があるわけでございます。しかし、合理化とか技術革新をやるとか、酪農家のいろいろな努力によって何とか日本の酪農がここまで持ちこたえてきている。こうした条件を見ると、ことしの乳価の決定というのは非常に大事だろうと思うのです。
 生産費の話、午前中も随分突っ込んだ議論がございましたけれども、ことしはその条件、つまり生産費は下がっているという農水省の一応の報告がございましたけれども、先ほどの議論のように、それは必ずしも直近の資料ではないということも明らかになったわけであります。直近の資料を使うといろいろ、例えば一頭当たりの乳量の問題だとか子牛価格の問題あるいはえさの問題だとか、酪農経営の実態が非常に困難になっている、こういう実態を局長は午前中の答弁でもお認めになっているわけでありますから、そういう条件を大筋考慮してことしは決めるということでありますが、生産費の動向、午前中の議論を踏まえていかがでしょうか。まだ全体として合理化努力によって下がっているというふうに見ているのか、直近の資料では上がっているというふうに見ているのか、その辺について考え方を聞かせてください。
#94
○杉浦(正)政府委員 まず、生産コストの動向についてでございますが、先生御指摘のとおり、時期のとり方はちょっと古いわけでありますけれども、統計情報部より公表されました平成二年の牛乳生産費の結果によりますと、北海道における生乳百キロ当たり第二次生産費は、乳量の増加、飼養規模の拡大等を反映いたしまして、元年に比べて二・六%の減、こういうふうになっております。新しく資料をとると、もう少しこれが減らないようになるようでございますが、発表された資料によるとそうなっております。
 それから、需給動向についてでございますが、先ほど御説明申し上げましたように、需要面では、夏場の猛暑あるいは秋以降の暖かさという予期せぬ天候要因、あるいは飲用向けの生乳の需要と飲料向けの脱脂粉乳等の需要が一時的に増加したという事情がございます。
 生産面では、やはり夏暑かったということによる牛の疲れも影響いたしております。また、泌乳量の少ない若齢牛への更新が進んだということ等によりまして、生産の伸びがやや鈍化いたしております。
 そういった主として一時的な要因によりまして、需給は比較的堅調に推移したところでございます。今後の需給動向につきましては、生乳生産や牛乳・乳製品需要の動向等を慎重に見きわめる必要があるというふうに考えております。
 保証価格につきましては、先生御指摘のように、牛乳生産費調査の結果を踏まえまして、配合飼料等の生産資材の価格、副産物価格の動向、労働時間や一頭当たり乳量の動向等の種々の要因により算定されるものでございます。これらのデータに基づきまして、適正に検討いたしていく考えでございます。
 いずれにいたしましても、生産費調査の結果等を踏まえて、その他の経済事情を勘案し、近々開かれます畜産振興審議会の意見を聞いて、適正に決定してまいる考えでございます。
#95
○堀込委員 午前中、鉢呂議員から御質問しましたように、畜産振興審議会の意見を聞いて決める、こう今答弁がございましたように、十五日の審議会に出した畜産局長報告ですね。これも、例えば一ページは、去年の報告に比べると、本年四月に実施される牛肉輸入枠が、去年のものは「来年」になっていただけで一字も変わっていない。去年のコピーを出しているわけですね。
 そこへ来て、午前中の質問で明らかになりましたように、例えば一頭当たり乳量の増加によって酪農経営の収益性は数年来非常に好調に推移している、こういうことでありますけれども、どうも認識が少し違っているのではないか。この局長報告は、酪農部会においては修正もしくは補足をする必要があるのではないか。午前中の議論でも、例えば一頭当たり乳量は確かに減っているということが直近の資料では明らかになったわけでありますから、そういう事情は審議会にきちっと報告をいただいて、やはりこの資料だけでは審議会の皆さん、それはそのとおりに解釈をするわけでありますから、ぜひこれは修正をいただきたいと思いますが、局長いかがですか。
#96
○岩崎政府委員 酪農経営の収益性の問題でございますが、ここ数年来といたしましては、一日当たりの家族労働報酬等々も上がってきておりまして、好調に推移してきているということでございます。ただ、短期的な問題というのか、ぬれ子の価格なり老廃牛等々の価格の低下ということは見られるところでございますけれども、趨勢的なものとしては、私どもとしては、数年来好調に推移してきているのだということでございます。
 もう一つ、一頭当たりの搾乳量の問題でございますが、北海道自体、八月、九月が確かに前年度落ち込んだ、そういう短期的なことからいきますと一頭当たりの搾乳量が減る場合もある。ただ、長期的というのか中長期的というのか、これからのこととして見てみますと、四月から一月までの段階では一・八%伸びているということでございます。それから飼養頭数等々もある程度ふえてきておりますし、若牛にかわっているというような状況の中では、これからの乳量というのは、私どもとしてはかなり伸びていくのではないかなという見方をしている次第でございます。
#97
○堀込委員 長期的に見れば収益は好調に推移している、だから報告に書いたんだ、こういうことですが、やはり審議会に局長報告をやるわけでありますから、しかし直近はこうなっていますよ、一頭当たりの乳量もそうふえていませんし、酪農経営の困難な面も出ていますよということをきちんとやってもらわないと、審議会のメンバーの皆さんもきちんとした討議ができないということになるのではないでしょうか。去年のコピーでも結構ですけれども、やはり新しい情勢についてはきちんと報告してもらって、適正な審議をしてもらうということが大事だと思うので、これは強く要望しておきます。
 そこで、生乳の需給の問題でございますが、乳製品の需要が堅調に伸びている、これは飲用需要が堅調であったことでありますけれども、このおかげで六十三年度、元年度でバター、脱粉の緊急輸入が行われているわけです。そして、二年度に入っても飲用需要が伸びて緊急輸入が二度も実施をされているという事態がございます。今輸入比率が総需要量の三〇%に達している。
 私がお尋ねをしたいのは、緊急輸入が行われるような事態が続いているわけでありますけれども、これは農水省の報告では、天候等のいたし方ない需給の条件によってそうなったんだというふうに言われていますが、これだけ続きますと、需給見通しが甘いのではないか、あるいは見誤っているのではないかという感じも私は持つわけであります。そういう意味で、きちっとした需要見通しを立てて需給計画を立ててもらわなければ困るというふうに思うのです。需給操作がうまくいかなくなったら緊急輸入をやればよいというような考え方では非常に困るのではないか。やはりきちっとした需給見通しを立てて生産計画を立てていくことが大切だというふうに思います。そういう意味で、乳製品の自給率、どの辺に目標を定め、それに合った国内対策をどのように立てようとしているのか。それから、今申し上げましたように生乳の需給計画ですね。しょっちゅう天候等の理由にされては困るわけでありますから、きちっとした、どういう姿勢で立てていくか、お聞かせをいただきたいと思います。
#98
○岩崎政府委員 まず第一点は需給計画でございますが、私ども、需要の見通しなり生産の見通しというものを、昨年におきましても三月末ぎりぎりまでいろいろな情勢を分析しながら検討した結果、需給計画を立てた。ただその場合に、需給計画上、バターに比べて脱脂粉乳の生産比率が高まっている点を踏まえまして、脱脂粉乳に着目して需給均衡を図るという必要があったことから、これに伴いまして不足しますバター分につきまして当初計画をのせていたところでございます。
 ただ、先生からも御指摘がございましたように、二年度に入りまして、特に夏以降でございますが、生産の方では、先ほど申しました炎暑等々によりまして牛が疲れ、泌乳量が少なくなってきたというような事情、また、需要につきましては、飲用向け生乳の需要というものが、私ども当初考えておりましたのは、実は一昨年の後半から生乳の伸びが鈍化してきたわけです。そういうようなものを踏まえながら二年度の生乳需要、飲用需要というものを念頭に置きながら計画を立てたわけでございますが、やはり天候条件が非常によかったということもあって需要の方も伸びたというようなことで緊急輸入をせざるを得なかったという事情でございます。
 先生御指摘のように、私ども、またこれから年度末を迎えるわけでございますが、やはり需要がどうか、生産がどうかということにつきまして、しっかりこれからさらに検討を加えながら見きわめていきたいというふうに思っている次第でございます。
 それから、牛乳・乳製品の自給率の現状と目標ということでございます。牛乳・乳製品の自給率は、年による変動というものはありますが、八〇%の水準で推移してきている。昨年一月に公表されました「農産物の需要と生産の長期見通し」によりますと、目標年度である平成十二年度の自給率は、基準年度である昭和六十二年度の自給率と同じ七八%ということを見通しているということでございます。
#99
○堀込委員 それでは牛肉の関係に移ります。
 四月から自由化を控えてさまざまな危惧を生産者の方も持っているわけであります。畜安法三条に基づく安定価格が決められるという時期になっておるわけであります。
 枝肉価格が六月以降かなり下がっているという事情もございますし、あるいは飼料価格が上がって所得が低下しているという率直な事情がございまして、生産農家に大きな影響が出ていますが、ことしのこの牛肉の安定価格決定に当たっての基本的な考え方、簡単で結構ですから、お聞かせをください。
#100
○岩崎政府委員 平成三年度の指定食肉の安定価格でございますが、これにつきましては、生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮して、その再生産を確保することを旨として、畜産振興審議会の意見を聞きまして、三月末までに適正に決定いたしたいというふうに考えている次第でございます。
#101
○堀込委員 適正に決定されることは結構であります。
 ちょっと具体的な質問に入ります。
 肉用子牛の保証基準価格と合理化目標価格でありますが、特に自由化初年度ということで、農家の生産意欲を高めながらこの肉用牛の生産振興を図っていかなければならない、そういう観点から決めていかなければならないというふうに思うわけでありますが、特に自由化というこのアクションによって肉用子牛価格の低落が予想されるという事態がございます。そういう意味で、肉用子牛の生産者補給金制度、こういったものへもっと加入促進をしてもらったりしながら、全体として生産農家の対策が要請されている事態になっているのではないか、こういうふうに思いますが、具体的な対策を農水省、お持ちですか。
#102
○岩崎政府委員 先生御指摘のように、肉用子牛生産者補給金制度への加入促進ということを図ることは、私ども、極めて重要なことだというふうに考えております。私どもは、制度が制定されて以来、制度の普及啓蒙を推進いたしますとともに、都道府県協会の運営体制の整備強化というようなものを図りまして、制度への加入促進を図ってきたところでございます。
 具体的に、牛肉の輸入自由化を間近に控えまして、今後の肉用子牛価格の動向についてはなかなか予断を許さないということもございまして、ことしに入り、さらに都道府県等に対しまして一層の加入促進を協力依頼してきたところでございます。
 その結果、現在の加入状況は、制度初年度の途中であり、なかなか確定はできないということでございますが、肉専用種につきましては、従来の肉用子牛価格安定事業への加入が進んでいたというようなことから、新制度への加入も順調でございます。乳用種につきましても、これはなかなか加入促進というわけにもまいらないような状況でございましたが、昨年夏の価格がやはり低落してきているというようなことがございまして、最近では新制度への関心が高まり、加入が進んでいるというふうに考えている次第でございます。
 いずれにいたしましても、引き続き本制度への加入の促進を図ってまいりたいというふうに思っております。
#103
○堀込委員 ぜひそういうことで対策をお進めいただきたいと思います。
 豚肉の関係でございますが、一点御質問させていただきます。
 この価格安定制度は、畜産振興事業団の需給操作等を通じてやっているということです。それで、御存じのように畜産物の価格安定等に関する法律、つまり畜安法では、生産者団体の方の調整保管、事業団の買い入れ保管等を通じて適正価格に安定させる、こういうふうになっているわけであります。いずれにしても、価格の乱高下を防ぐために、安定基準価格を下回った場合、一定の介入をやっていこうということになっているわけであります。
 最近の豚肉の価格は下がって、養豚農家の経営が非常に大変になっているという事実がございます。養豚農家戸数を見ましても、今度の資料では四万三千戸ぐらいですか、昭和六十年にはこれは八万三千戸ぐらいございましたから、大体もう半分近くになってしまっているというような事情が率直に言ってあるわけであります。つまり、大変厳しい中、養豚農家は一生懸命やっているという事情があります。
 そこで、事業団の買い入れ保管による価格の下支えの問題があるわけでありますが、今度のような、今度といいますか、今日のような経営変動が厳しい、激しい経済情勢のもとでは機敏に対応しないと、これは効果が出ないというふうに思うのですね。昨年の場合、安定基準価格四百円を割り込んだのはたしか十月六日でございます。そのころから生産者や生産者団体から、畜安法による買い入れ保管の強い要望があったわけでございますけれども、どういうわけか、非常に、そういうことにならずにぐずぐずされて、実際に事業団が実施に入ったのは年が明けて一月八日ということになっているはずであります。なぜこれはこんなにおくれるか。十月六日にその価格を割り込んでいるのにもかかわらず、一月八日、三カ月たたないとできない、こういう制度の仕組みになっている、のか、これでは制度自体があっても機能をなさないのではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
#104
○岩崎政府委員 豚肉の卸売価格でございますが、これはかなり季節変動をするということでございまして、例年で言いますと、夏に高く冬に低いという状況でございます。これも例年によりますと、秋に向かいまして価格が低落というような形になってきますが、何とかみんなで力を合わせながらやっていきますとまた価格が戻るというような状況でございます。昨年の場合に、夏場に非常に高くなりました。これは、前年に比べてもかなり高い水準で豚肉の卸売価格がいったということでございますが、その反動あるいは季節変動というようなこともございまして急速に下落してきたということでございますので、私ども、まず、食肉加工メーカーなり全農等に対しまして、市場におきます積極的な購入なり保管を指導、要請して、価格状況に即してその強化に努める、それからまた、各県の食肉消費対策協議会を通じた特別販売の実施等を指導いたしまして、豚肉の消費拡大を図ってきたところでございます。
 この結果、十二月に入りまして卸売価格は安定基準価格まで回復いたしましたところでございますが、さらに平成三年一月から、畜産振興事業団の指定助成事業によります調整保管というものを先生御指摘のように実施して豚肉価格の安定に努めている。現在はかなり回復してきているような次第でございます。
 農林水産省といたしましても、本年四月からの牛肉の輸入自由化を控えまして、来年度予算案に計上しました肉用子牛等対策の一環として、価格安定制度の発動に必要な財源というものを確保したところでございまして、今後とも機動的、弾力的な制度運営というものを行うことによりまして、食肉の需給と価格の安定ということに努めてまいりたいというふうに考えております。
#105
○堀込委員 季節変動とかいろいろあるでしょうけれども、やはりこれは、事業団、農水省の方では価格が下がっても様子見をしていたというふうに思うのですね、また上がるだろうとか。やはりそういうことではせっかくの制度が生産者の期待するものにならないというわけでございますから、三カ月ぐらい様子を見ようということじゃなくて、機動的にぜひ対応してもらいたいということを強く要望しておきます。
 そこで、牛肉の輸入自由化が行われるわけであります。ちょっと厚生省関係の方おいででしょうか。
 平成二年の実績で三十万トンを超える牛肉の輸入がなされています。私は、日本の消費者が心配をするのは、輸入牛肉は安全かという問題があろうかと思います。そこで、輸入食品の検査体制については、厚生省も、食品衛生監視員をふやしたり大変な努力をされていることは私も認めているわけであります。しかし実際には、.書類審査でパスしているものが大部分、残りが検査対象になりますが、この検査の中でも、民間検査で行われるという自主検査というものがありますし、実際に厚生省の係官が行う検査というのは非常に件数がわずかに限られている、こういうふうにお聞きをしています。
 そこで、この牛肉の場合、検査件数及びその総体の輸入量に対してその検査比率あるいは検査体制がどうなっているか、御説明をいただきたいと思います。
#106
○難波説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のように、食品につきましては、輸入の際に検疫所等に届け出をさせまして、食品衛生法に基づきまして食品衛生監視員が書類審査をやり、さらに必要なものについては検査をする、こういう体制をとっているわけでございます。
 平成二年におきます牛肉の輸入の検査でございますが、全体で四百六十八件検査をしてございます。違反は、腐敗、変敗等で四条違反ということで一件判明してございます。
 なお、そのほかに輸入牛肉につきましては、モニタリング検査ということで、抗生物質でございますとか合成抗菌剤、農薬等につきまして、延べ千三百三十二検体について検査を実施いたしております。
#107
○堀込委員 そうしますと、四百六十八件の検査が行われた、そのほか農薬等の三十二件の調査が行われたということであります。つまり、大部分は、これは相手国の検査証明書で実際には輸入が行われている、つまり無検査で出回っている、こういう実態ですね。
 そうしますと、輸入牛肉の安全性という問題につきまして、例えばアメリカの連邦研究会議のこの本を読みますと、「食品中に残留する農薬の規制」という報告書が出ていますけれども、特に、トマト、ジャガイモ、オレンジなどと並んで牛肉が発がん性において高い危険性があるというようなことも記されているわけであります。実際に牛肉の発がんリスクが高いかどうかということは、ちょっとこれは私どももよくわからないわけでありますけれども、あるいは飼料穀物でも幾つかの農薬が使われているわけでありますけれども、これは厚生省として、輸入牛肉の残留農薬については何かチェックしているものはございますか。
#108
○難波説明員 先生御指摘のように、米国の環境保護庁が米国の科学アカデミーに依頼をした調査結果で、発がんリスクというようなものが計算されて報告書が出ております。そういう中に一部の農薬が入っており、牛肉が危ないという指摘があるわけでございます。
 厚生省といたしまして、平成二年度から、DDT等五項目の農薬についてモニタリングを実施しておりますけれども、現在までのところ、指摘の農薬も含めて、問題のあるような残留は認められておりません。
#109
○堀込委員 今、五項目の農薬をモニタリングによって検査をしている、こういうことであります。
 私は、この残留農薬の発がん性という問題については、現にそのアメリカの報告もございまして、やはり何らかの対策を講じるべきだというふうに思います。現実に、消費者は毎日スーパーや肉屋さんから買い物をするわけでありますから、これはもう厚生省さんが調査をして心配ないということでお買いになっているわけであります。検査体制はだんだんだんだん強化をされていくというふうに思うのですけれども、なかなか、がんという病気もまだ解明されておらないし、例えばがんで死ぬ人がいても、それは輸入牛肉を食べたからだとか何が原因だったからだとか、そういうことは明らかにならないわけであります。
 しかし、発がん性のある農薬というものはだんだん明らかになり、指摘をされてきている事実もあるわけであります。少なくとも輸入牛肉については、こうした残留農薬があり、それについてはやはりこういう検査をしているんだというようなことが、片っ方で資料はあるわけですから、ある程度消費者にわかるような対応をこれから考えるべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#110
○難波説明員 お答えいたします。
 牛肉を含めまして輸入食肉につきましては、従来から、輸出国におきます規制の状況等も、各種情報の収集に努めるほか、先ほど御説明申し上げました残留物質にかかわる輸入時のモニタリング検査を一定比率で実施して、これで問題があった場合とか、あるいは国内で問題が発見されたような場合には、輸入時の監視、検査体制の強化をすると同時に、輸出国に対しまして残留防止対策を求めるというような対応をしてきたわけでございます。
 今後とも、モニタリングの検査の一層の充実と、それから、先ほど先生からもお話がございました、検疫所における監視員の増員とか検査センターの整備も予定をしてございますので、それらも含めて監視体制の強化を図り、安全確保に努めたい、また消費者にもPRをしてまいりたいというふうに考えております。
#111
○堀込委員 ぜひ、こういうものは問題が起きたから対応するのではなしに、ひとつ今から、いろいろなデータも出ているわけでありますので、前向きに対応いただきたいと思います。
 それで、養蚕関係について質問させていただきます。
 まず、最近の生糸の需給について、あるいは生産、輸入、消費、それから事業団在庫の水準について、農水省としての見方はどう見ているのか。
 いずれにしても、生糸価格の状況につきましては、既にシルクブームが消えて価格が下がっているわけでありますが、現状の実勢糸価水準、これについて農水省の認識をまずお示しをいただきたいと思います。
#112
○安橋政府委員 まず、生糸の需要でございますけれども、平成元年度が対前年度で需要が三四%減りまして、平成二生糸年度は三年一月まででございますけれども、減りました前年に比べまして同期比でさらに一〇%減っているというような状況でございます。
 これに対しまして、生糸の生産でございますが、国内の繭生産が減っているということを受けまして、ここ数年減っているわけでございますが、平成二生糸年度の平成三年一月までの状況では、やはり前年同期比四%の減になっているわけでございます。
 一方、生糸の輸入でございますけれども、平成元年の生糸年度では二万八千俵、それから平成二年の生糸年度で、三年一月までの実績で二万四千俵ということでございまして、これはふえているわけでございます。
 また、事業団の在庫でございますが、平成元年度末で一万七千俵でございましたが、平成三年二月末で二万六千俵ということでふえているわけでございます。これは事業団が需給調整機能を発揮しておりまして、生糸の糸価の安定を図っているためでございます。
 それから、生糸の実勢糸価の方でございますけれども、安定上位価格と安定基準価格のいわゆる安定価格帯の中で上下二千円程度の変動幅はございますけれども、中心価格を中心に安定的に推移しているというふうに私どもとしては見ているわけでございます。
#113
○堀込委員 もう少し農水省としての認識の評価をいただきたいわけでありますが、在庫水準の二万六千というのは適切だということでしょうか。
 それから、今の上位価格と基準価格の間にあって、しかも大体一万三千円ちょっと上のところで推移している、これについては農水省としてはほぼ適切な水準だ、こういうふうに見ていると理解してよろしいですか。
#114
○安橋政府委員 在庫水準でございますけれども、事業団在庫と民間の在庫、当然あるわけでございますが、ただいま私が申しましたのは事業団の方の在庫でございますが、民間在庫と合わせました水準で、現在の在庫というのはほぼ適正ではないかと思っているわけでございます。
 それから、ただいま実勢価格の方のお尋ねがございましたけれども、安定上位価格と安定基準価格の中心価格よりもやや上のところで、本日、一万三千三百円程度でございますが、で形成されておりますので、そのような意味におきましては、安定的な価格推移であるというふうに評価しているところでございます。
#115
○堀込委員 そこで、まず、生糸に関する輸入問題でございます。
 最大の輸入先は中国であるわけでありますが、中国の生糸は非常に生産振興があって、今極めて生産量があるという状況にございます。しかし、中国はガット未加盟国でございますので、二国問交渉でこれは詰めるということになると思うのですけれども、現状、国際交渉ですから言いにくい面もあろうかと思いますけれども、この二国間交渉の中身と交渉見通しにつきまして、大体こういう主張でいっているというようなところがございましたら、大枠で結構ですから、お示しをいただきたいと思います。
#116
○安橋政府委員 ただいま日中の生糸協議についての御質問がございました。平成三生糸年度に日本へ中国からどれぐらいの生糸の輸出をしていただくかということで、その数量についての協議が行われているところでございます。
 第一回目の協議は、昨年十二月二十日と二十一日に北京で行われました。第二回の会議は本年でございますが、三月七日、八日に東京で行ったところでございます。
 平成二生糸年度につきましては、協定数量が四万俵ということであったわけでございますが、私どもといたしましては、今後の需給見通し等をもとに必要な輸入量を輸入するということで、四万俵というのは多過ぎるのではないかということで中国側の理解を求めることで交渉しているわけでございますが、先ほど申しましたように、二回目の七日、八日の協議で協定数量については合意を見るに至りませんでして、次回協議は北京で、期日は外交チャンネルを通じて決定するということにしているわけでございます。
 私どもといたしましては、日本の立場を中国側に理解していただくように粘り強く交渉を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#117
○堀込委員 そこで、中国のほかに北朝鮮、ブラジル、こういう生糸輸出国があるわけでございますが、これらにつきましても何らかの形で交渉しながら輸入抑制をしないと国内需給のバランスが崩れてくる、こういう問題がございます。そういう意味で、ぜひ中国とあわせてこれらの国との交渉についても適切な対応をいただきたい、こういうふうに思うのです。
 そこで、生糸とか乾繭についてはそういうことで輸入一元化がなされておる、こういう事情がございますけれども、問題は、最近非常に織物の製品輸入がふえている、こういうふうにお聞きをしているわけであります。これはどこからどういうふうに入ってくるのか。規制の仕方もないと思うのですけれども、しかし日本で幾ら養蚕の生産振興をやる、生糸をやる、そのために輸入抑制してみても、これは織物で入ってくれば防ぎようがないわけでありますから、私どもは手の打ちようがない、こういうことになるわけであります。
 恐らく通産当局が担当になろうかと思いますけれども、この辺についてもやはり必要な対策を講じていかないと、日本の生糸産業あるいは養蚕農家が大変な事態になるのではないか、この辺は織物製品、どのぐらいあってどういう対策をお持ちなのか、持っているのかいないのか、二点含めてお聞かせをいただきたいと思います。
#118
○安橋政府委員 絹織物と二次製品の輸入の動向でございますが、先生御指摘のように確かにふえているわけでございます。
 絹織物の昭和六十二年度の輸入は五万八千俵でございましたが、換算でございます、平成元年度には六万二千俵にふえております。二次製品につきましては、七万俵であったものが九万四千俵にふえているということでございます。
 ただ、絹織物なり絹の二次製品につきましては、先生御案内のように自由化品目になっているわけでございまして、その輸入量を直接的にコントロールするというのはなかなか困難な面があるわけでございますけれども、我が国の蚕糸業全体との調和を図っていかなければならないということで、これらを所管しております通産省におきまして、主要輸入先であります中国等との間で二国間協議をしたり、あるいは輸出入取引法に基づきます輸入承認制の措置を講じていただいているわけでございまして、私どもといたしましても、我が国の蚕糸絹業の一体となった発展を図る上で、通産省とも連携をとりながら、適正な輸入が行われるように今後とも努力していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#119
○堀込委員 そこで、繭糸の価格についてお尋ねをいたします。
 先ほど、糸価はおおむね安定した水準にある、農水省からいえば望ましい価格帯の中に安定している、こういう認識が示されました。しかし、繭の生産費調査では三千六百十一円、うち物財費が千二百二十七円、こうなっています。そして、繭百キロをつくる労働時間が二百二時間、こういうデータが出されていますので、つまり、おおむね一キロの繭をつくるのに二時間の労働時間が要る、こういうことであります。
 そうしますと、先ほど農水省が適切だというふうに判断をしているという実勢糸価一万三千三百円ですね、これは繭値にしておよそ二千円前後くらいでしょうか、繭価にして。そうして、そのうち千二百二十七円は物財費でありますから、残るは七百七十円ぐらい。つまり、二時間当たりの労働報酬が七百七十円ですね。一時間当たりにしますと三百八十円ちょっと、こういうことになるわけですね。つまり一時間当たり三百八十円という水準は、例えば私は長野県ですけれども、長野県の地域包括の最低賃金は五百三十円でございまして、これすら大幅に下回るという所得でございまして、生産者側から見ると、農水省が適切だと言われる一万三千三百円という糸価というものはこういう水準になるわけであります。この辺はどう評価をされているのか。これではもうできないのじゃないかという気がするわけですが、いかがでしょうか。
#120
○安橋政府委員 先生御指摘のとおり、繭の生産費は平成元年度でキログラム当たり三千六百円でございます。今申しましたように生糸の価格の実勢は、きょうで一万三千三百円ぐらいでございますので、これを繭の価格に換算いたしますと、大体二千百円程度というふうに考えられるわけでございます。大体カバー率は五十数%でございます。
 こういうような点から申しますと、確かに繭の生産費をカバーしていないわけでございますけれども、先ほど御指摘になりましたとおり、一方では海外からの二次製品なりあるいは絹織物といったものの競争関係がございます。国内産の生糸を使って二次製品をつくられる方、あるいは絹織物をつくられる方の問題もあるわけでございます。あるいは生糸の全体としての需給の問題もあるわけでございます。
 また、繭の生産費は、非常に階層別に区々に分布しているというようなこともございまして、私どもといたしましては、何と申しましても繭の生産性の向上といった面で今後とも養蚕農家の支援をしていかなければならないと考えているところでございます。
 必ずしも繭の生産費だけを考えて価格が形成されていないことは御指摘のとおりでございますけれども、以上のようなさまざまな経済情勢を考えまして、私どもが設定しております安定上位価格と安定基準価格との中心よりやや上の水準で価格が形成されている、しかも余り乱高下しないで安定したところで形成されているということになりますと、蚕糸絹業の今後の発展から見て、それは一つの望ましい線ではないかというふうに考えているところでございます。
#121
○堀込委員 今認識が示されまして、大体、選ばれた優秀農家はこれから一生懸命、農水省としても努力をして、技術革新をしたり低コスト養蚕をやっていこうという気持ちはわかるのです。しかし大部分の、規模が小さい、機械化が進まない、高齢化が進んでいる、こういう養蚕農家は全国にまだ五万二千戸ぐらいあるわけでございまして、これはもうほとんど今の一万三千三百円という糸価ではやっていけない、こういう事情があるわけであります。
 私は、明治以来、日本のこの経済の発展を支えた生糸、養蚕というものが今滅びていく姿にまた歴史の流れも感ずるわけでありまして、また寂しい面もあるわけでありますけれども、しかし、今現実にそういう状況はある。
 いずれにしても、三百八十円か四百円のパート賃金以下の賃金で養蚕をやれと言っても、これは続きっこないわけですね。そういう意味で、一万三千三百円が農水省はあくまで適正水準だ、こういうふうにおっしゃるのであれば、やはり政治は正直でなければいかぬという意味で、もうこれしか出せないから、中山間地の規模が小さくておじいちゃん、おばあちゃんでやっている養蚕農家には申しわけないけれども、こういう状況でございます、そのほかの生産性の高い農家については、これから低コスト養蚕だとか革新技術の開発だとか、そういう対策でやりますということは、やはり正直に言ってもらいたいと思うのですね。国民に対して言うべきだ、養蚕農家に対して言うべきだ。
 そういう意味で、これから農水省、例えば新しい生産性向上対策といいますか、新しい技術あるいは低コスト養蚕を具体的に、中山間地の養蚕農家はともかくとして、この日本の五万二千戸の養蚕農家のどの部分を対象にしてどういうふうにやっていくのかという展望があったら聞かせてください。
#122
○安橋政府委員 最初に御指摘になりました中山間地の小規模なあるいは高齢な養蚕農家についてどうかという点でございますが、これらの小規模農家の現状を見ますと、やはり大幅な経営規模の拡大ということは困難だと私ども考えているわけでございますが、ただ、その農家の方々は非常に熟達した技術水準もお持ちでございますし、また労力もあるというふうに見られるわけですから、できる限りのコスト低減を図っていただきながら、そういった中山間地域の養蚕地帯の活性化のためにやはり養蚕農家として一つの重要な役割を果たしていただいているのではないかというような評価はしているわけでございます。ただ、御指摘のように、そういった農家の方々の経営状況というのは非常に苦しいということは、私どもとしては承知しているつもりでございます。
 それから、将来の養蚕の生産の展望ということでございますけれども、近年、蚕糸・昆虫農業技術研究所を中心といたしまして、桑以外のものを食べる蚕の品種、いわゆる広食性品種と申しておりますが、そういった蚕の育成も可能になりまして、そういった蚕にえさ、人工飼料を食べさせる、そういった新しい人工飼料の開発も行われておるわけでございます。それに超省力の飼育装置等を組み合わせました、いわば生産性の非常に高い新しい養蚕経営というようなものが成り立ち得るのではないかということで、私どもといたしましては、そういった新しい経営の実証展示を来年度からでも早速始めていきたいというふうに考えているわけでございますが、昨十八日でございますが、養糸業振興審議会の生産部会におきましても、そういった方向でひとつやってみたらどうかというような報告書もまとめられているところでございます。そういった新しいいわば先進国型の養蚕経営というようなものも、従来の桑園利用型の養蚕とあわせまして、もう一つの新しいタイプとして将来の日本の養蚕業のあり方を示すものではないかというふうに期待しているところでございます。
#123
○堀込委員 最後に、政務次官、ぜひ要望しておきます。
 肉も乳価もそして繭糸も価格が決まっていくわけでありますが、政策価格、最近非常に生産性向上とか農水省言われますけれども、政治としてこういう規模に焦点を当てて、こういう農家はこういうふうにやっていくということを、やはり農家自身にしっかりと言うべきだ。つまり、農家の方で今要望している展望ある政策を示せというのは、そういうことだろうというふうに思います。
 もう一つは、米価でも今度の乳価でもそうですけれども、例えば農家が努力して生産性を上げた問題があります。今度の乳価でも、搾乳量が増加をしているところ、一戸当たりの飼養頭数が増加しているというのは、農家自身が努力しているわけですね。この努力が農水省の生産費調査によって価格下げの要因にされてはかなわぬわけですね。やはり、努力した農家には努力が報われるような、そういう価格をぜひ決めていただきたいということを要望して、質問を終わります。
#124
○大原委員長 田中恒利君。
#125
○田中(恒)委員 いろいろなことを聞きたいと思いますが、最初に、最近のガットの状況がどういうふうになっておるのか、全体のガットの動き、アメリカやECなどの主要各国の問題も含めて、経済局の方からお答えいただきたいと思います。
#126
○川合政府委員 御承知のように、二月に開催されました貿易交渉委員会、これに先立ちまして、七分野におきます非公式会合が開かれたわけでございますが、この中には農業分野も入っております。全体が再開されたところでございます。
 農業につきましては、国内支持、国境措置、輸出補助金のそれぞれについて、具体的な約束を行うための交渉を行うということで、ダンケル事務局長のステートメントも出ておりますが、この中で、食糧安全保障等の非貿易的関心事項への配慮が盛り込まれております中間見直し合意の枠組みを通じて農産物貿易の改革を進めるということは、御承知のとおりでございます。
 その後、三月一日に正式に農業会合、これは短時間でございましたが開かれまして、先週、技術的検討が開始されたところでございます。三月十一日から十五日まで、一日間を置きまして、四日間開かれました。
 問題となりました事項は技術的な問題でございまして、政治的解決を要するとされている問題、例えば国内支持につきましては、基準年の問題などについては棚上げと申しますか、議論しないということで、具体的な、例えば削減対象に入るか入らないかというような政策の問題、それからAMSの役割とか定義の問題、そんな問題が議論されました。
 三十四カ国が出ておりまして、この中にはかなり発展途上国も入っているということで、議論は非常に百出と申しますか、いろいろな議論が出たということで、まとめるような段階には至っておりません。
 国内支持につきましては、例えば青の政策に何を入れるか、青といいますのは削減対象にしないという意味でありますが、それにつきましてもアメリカ、ECそれぞれ違う意見を持っておりますし、アメリカでも青の政策について、例えば御承知のフードスタンプというような食糧援助の政策みたいなのは青にすべきだというような、かなり具体的な話をしておりますが、議論は拡散しておりまして、今のところ、ここでいろいろな形でまとまっていくというような状況にはないと思っております。
 こうした会合をこれから四月、五月、四月は中旬に予定されておりまして、ここでは今残りの国内支持とそれから市場アクセスの問題、国境措置の問題をやるということになっております。そんな状況で進んでおります。
#127
○田中(恒)委員 どうもガット交渉、今ちょっと一休みと言ったらいけませんが、ちょっと静かになっておるような御報告です。
 これは私、新聞の論調を余りそう強く見ておりませんけれども、三月六日の朝日、それから一週間後の十四日の日本経済新聞、それぞれトップで非常に大きく食糧安保論の見直しについての政府と自民党の方向づけといったような形のものが出ております。これは日経と朝日ですから及ぼす影響は非常に大きくて、いろいろな方面に波紋を投じてきたわけでありますし、政府もあるいは自民党もこういう考えはないというように関係者の方から言明も新聞でなされておるわけですけれども、いずれにせよ、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉がやはり一定の政治的な決断を迎えねばならないような状況に向かっておる、その間、技術論についていろいろな議論をやっておかなければいけないというような状態になっておるのじゃなかろうかと思うのです。
 もちろん、この朝日と日経の内容は少し違って、朝日を見ると相当踏み込んでおりますね。つまり、朝日は、新ウエーバー条項といったようなものを各国で設けたらどうだ、そのために、場合によれば日本は金を出してもいいよという日本流的な提案も構えておるような書き方をしておる。日経はそういうことはないけれども、最低輸入義務について弾力的な対応を考えてもいいというような要素を含ませながら、これからの日程についての一定の見解を出しておる。
 両紙を通じて、やはり五月の末までにアメリカがファーストトラック、つまり一括承認をするかしないかという問題がある。この時期の前後が一つの山場、そうして最終的ということはないでしょうが、次に、ロンドン・サミットに向けての一つの各国政府の政治的方向づけというものが出てくるのじゃないか、こういうふうな点では両紙とも一致しておると思うのですが、これはマスコミ一流の日本の世論操作の一環かもしれません。しかし、経済同友会などもそういうものにちなんだ報告のようなものも出しておりますから、国内でもそういうものを受け入れる要素なしとしない。それだけに非常に心配しておるわけでありますが、一体、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉がこれからどういう方向で動いていくのか、そういう点についての見通しを政府は持っていらっしゃるかどうか、持っているとすればその考え方をお示しいただきたいと思います。
#128
○川合政府委員 今後のウルグアイ・ラウンドの動向、見通しということでございます。
 今お話ししましたように、ウルグアイ・ラウンドが再開されたわけでございますが、どちらかというと、政治的決断を要する問題を横に置きまして、技術的問題について議論を始めたという段階でございます。
 もちろん、このウルグアイ・ラウンド農業交渉の背景にございますのは、御承知の輸出国間の輸出補助金、輸出競争の問題でございます。この問題がどういうふうに決着するかということがこの交渉の一部の大きな課題でございまして、それがどういう段階で決着をつけていくのか、ついていくのかということが、私どもも一番関心を持ち注視していかなければならない問題だろうと思っております。
 それに引きかえ、いろいろな論調はございますが、我が国の立場、我が国が課題として言われている問題は、この輸出競争という問題に比べると、ウルグアイ・ラウンドの決着に決定的な要因であるというふうな問題ではないと思っております。したがいまして、今後の交渉の見通しは、アメリカ、ECを中心とする輸出国の中の折り合いがどういうふうについていくかということにかかっているわけでございますので、その点では非常に見通しが立てにくいと私どもは思っております。
 先ほど御指摘がありました一部報道の記事も今のような状況の中でのことでございますので、私ども、もちろんこうした新聞に書いてあるような決定なり方針なりというものを変えたということはございませんので、そこはあらゆる機会にいろいろな形で申し上げているところでございますが、そういう経過から見ても、こういうことはあり得ない今の段階だというふうに考えております。
 見通しにつきましては、そういうことで非常に立てにくいわけでございますが、アメリカ、ECの、その今申しました輸出補助金の動きというものがどうなるかということにかかっているのではないかというふうに考えております。
#129
○田中(恒)委員 これは、大臣がおりませんから政務次官。この問題は何も今始まったことではないので、本当に長い間の懸案でありますが、いずれにせよ、政治的な決断がなければ前に進まぬようになると思うのです。日本の主張は食糧安保論というものを前面に出してきておるわけでありますが、その方針に、今までの方針にいささかも変わりはないというふうに理解はいたしておりますが、こういうふうなマスコミの情報などが出てくるということは、日本の国内にも問題があるということだと思うのですよ。
 そういう点について政府は何か対応しないと、せっかく日本は外に向かって食糧安全保障論という、私どもとしては、非常に、食糧という商品に対する性質をめぐっての的確な判断のもとに対応しようとしておるのに、どうも国内でごたごたといったようなことになりかねないと思うのであります。政府はこの問題は逃げるわけにはいかぬと思うのですが、同時に、政府の方針にいささかも狂いはないというふうに言明を、おっしゃると思うのですけれども、どうもいつもこれについては不安があるわけでありまして、いつもこういうことがあって、しばらくすると一部風穴をあげられるという形の決着がついておるわけでありますが、この問題についてはそういうことはあり得ないというふうに理解をしてよろしいかどうか、大臣のかわりに次官の方からお答えをいただきたい。
#130
○杉浦(正)政府委員 田中委員おっしゃいました、その朝日とか日経の記事は私も承知しておりますが、そのようなことを政府あるいは与党の方で決めた事実はございませんし、対処方針に変更がないということははっきり申し上げられると思います。
 また、将来の見通しですけれども、重ね重ね大臣が御答弁されているとおりでありまして、目下交渉が継続中でございますが、これから先は私個人の意見になりますけれども、そんなに簡単な問題ではない、アメリカとECが非常に対立をしておりますけれども、その背景は非常に複雑でございまして、そんなに話がすいすいとまとまっていく種類の問題ではない、これからまだ一山も二山も三山も交渉の過程ではあるものというふうに私は認識をいたしております。
#131
○田中(恒)委員 政府が決めたとなったら大ごとですから、そんな話が政府・自民党の一部から話し合われているということ自体がやはり問題だと思うのです、もしそれが事実であれば。だから決めたなんということはあり得ないことは当然でありますが、いずれにせよ、この問題が非常に微妙な形で国民の中にしみ通る、特に生産者に対して大きな影響を与えつつあるということについては、我々も十分わきまえておかなければいけないと思うのです。
 でん粉と脱粉の問題、これは三月末の期限が、ぎりぎりの期限が来て、二十二日からやるというわけでありますが、話をあと数日で持っていくということになっておるわけですが、これが一つの突破口というか一つの前例になってはいけないわけでありますが、私たちが一つ心配しておるのは、今畜産物の価格の決定をやろうとしておるが、それがこの国際化の中での日本の農産物価格のあり方という形でつながっていくのではないか、こういう心配を、関係者や私どもも若干心配なきにしもあらずであります。
 しかしこれは全く、全くとは言いませんけれども、大体分けて考えてしかるべきことだと思いますから、関係ないというふうにお答えをいただくものだと思っておりますが、国際化ということは非常にやかましく言われてきた。国際化は非常に大切だから、これから逃れるわけにはいきませんけれども、しかし国際化ということを理由にして何かこういう畜産物の価格の決定などをめぐって影響が出てくるといったようなことはないかどうか、これは畜産局長の方からお答えいただきたいと思うし、でん粉と乳製品についてのガットに向けてのこちらの対応方針は、いわゆるクロ査定について異議あり、そしてガット十一条二項の取り扱いについては、ガット全体の交渉の中で日本の主張を貫いていくという方針に基づいてこれから三月末まで何回か持たれるのでしょうが、話し合いは続けていくということも変わりはないと思いますが、重ねてここではっきりと言明していただきたいと思います。
#132
○岩崎政府委員 乳製品の問題につきましては、過般十二品目との関連でガットにおきまして、ガットパネルで十品目クロ裁定というような形があったところでございますが、私ども疑義があるということで、米国と二国間交渉で本年三月末まで現行の輸入制限措置というものを維持してきたというところでございます。
 現在、ガット・ウルグアイ・ラウンドにつきましては、十一条二項(c)の見直し、明確化ということを私ども提案しているということでございまして、何とか各国の理解が得られるように、これは従来の考え方どおり得られるように努力してまいりたい。
 また、日米協議の問題につきましても、そういうガット・ウルグアイ・ラウンドの結果を踏まえて対応するんだということで、米国の理解を求めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
 なお、今回の乳価につきましては、生産費の結果を踏まえまして私ども三月末までに適正に決してまいるという所存でございます。ただ、いろいろな国際情勢、あるいは全体として生産性を上げていくというような形の中での世界的な動きというようなことは、いろいろな形の中で念頭に置いておかなければいけない問題ではなかろうかとは思っておる次第でございます。
#133
○田中(恒)委員 ちょっと後の方はわからなかったけれども、ただ、全く無視するわけにはいかぬという意味ですか、価格決定に当たって。そういう意味ですか。
#134
○岩崎政府委員 やはり長期的には、国際化に対応し得る形での酪農振興と酪農の体質強化ということも、当然念頭に置いて対応していかなければならないことではなかろうかと考えている次第でございます。
#135
○田中(恒)委員 そこらが問題なんだな。政府は、価格政策で国際対応というふうな大きな問題処理するということだけでは到底及びつかぬということで、私どもから言わせれば、価格政策を後退をさせて構造政策というものに重点を移して相当長い期間がたってきた。酪農など、最近の傾向は、この四、五年ずっと価格を下げてきた。これは、やはり国際化という関係が相当響いておると思うのですよ。しかし、それでやれるかどうかというところは、先ほど来うちの鉢呂さんやいろいろな方の報告の中で、質疑の中で、現実の姿と、それから政府が持ってきておる統計との間に格差がある。格差というか大きなギャップがある。どうも問題の認識の前提が違う、そういう感じがするのです。
 私は、やはり政府の大きな押さえどころは、国際化、国際比価を、国際価格との価格差を縮めるという方向に重点がどうも移っておる。農林省なども、最近は貿易自由化というところに焦点を置いて、国内の農業の発展というか自給というか、そういう観点の度合いが薄らいでおるのじゃないかという気がしてならない。だから、生産基盤をどう強化をしていくかといったような基本的な問題について取り残されているのじゃないかという気がしてならないのですよ。
 ことしの酪農の問題なのは、国際比価も接近させなければいけませんよ、それは。いけませんが、こういう状態の中で、むしろ私どもは、逆にそのことによって日本の酪農が自給力を失って基盤を崩壊させてしまうのじゃないかという不安を持っておるから、余りこの問題に左右されない、生産費に基づくということはわかるが、生産費の出し方が、またその辺になっていくと手品みたいなやり方を時々使うからな、皆さんは。だから、生産費だって、あなたのところは去年と同じ方式でやったって、あなたのところが今出そうとしておるものと我々が持っておるものと相当違うのですよ。はっきり言うて、我々の方は上がらなければいけないという、その根拠も、政府の数字も使っておりますよ。
 だから、その辺がいつも、米価のときも同じでありますけれども、まことに不可解な形で出てくる可能性があるものだから申し上げておるわけでありまして、余りそれにとらわれるといったようなことを考えぬ方がいいと思いますよ。もうないかね。
#136
○岩崎政府委員 基本は、やはり生産費を踏まえてその他の経済事情を勘案して適正に決めてまいる、こういうことでございます。
#137
○田中(恒)委員 その生産費はことしはどうですか。高くなるもの、低くなるもの、いろいろあると思うがね、対前年に比べて。どういう特徴を持っておりますか。
#138
○岩崎政府委員 統計情報部の生産費調査の結果は、全体でマイナス二・六%、こういうこととなっております。
#139
○田中(恒)委員 いや、二・五%下がるということだな、そうしたら。生産費でいったら。そういうことですか。
#140
○岩崎政府委員 統計情報部が十四日に公表した数字は、マイナス二・六%、生産費が下がっておるということを申し上げたことでございます。
#141
○田中(恒)委員 いや、その生産費は、さっきも議論があったように取り上げた時期の問題もありますし、それぞれの項目について若干我々と認識の違うところもある。細かいことは言わぬけれども、大きな点はどういうものが違いますか。賃金とか物財費とかいろいろあるでしょう。その差の大きいところ、二つ、三つ挙げてみてください。
#142
○岩崎政府委員 生産費調査の結果を踏まえて私どもは三月末までに適正に決定したい、こういうことでございますが、中身につきましては、今現在作業中でございまして、なかなか具体的に申し上げるということは困難でございますが、ぬれ子価格の低下なり労賃の上昇というようなものが見られる一方に、一頭当たりの乳量の増加なり規模拡大の進行というような状況が見られるということでございます。
    〔委員長退席、宮里委員長代理着席〕
#143
○田中(恒)委員 私はきちんとした全体の数字や何か申し上げませんが、ただ、この間社会党は、東と西と、全国二地区に分けて農民部長会というのをやりました。そうして、現下の農業情勢の特徴と、我々が出しました中山間地帯に対する考え方等を中心とした政策を皆さんに理解してもらうという会を持ったのですよ。両地区のいろいろな意見を聞いた中で、当面の問題ですから畜産価格に対するいろいろな要望が出てきたのですよ。その中にいろいろ教えられる点がたくさんあったわけです。
 例えば、西日本の会議では、これは岡山県の三十四、五歳だと思いますが、いわゆる中核酪農民でありますが、この方は、自分の地区は七十戸酪農家がおると言うわけだ、七十戸。うち、いわゆる自立農家、つまり後継者のいる農家は二十戸だ、後継者のいない農家は五十戸だ。そのうち二十五戸のうちの半分は、三頭か四頭、五頭までしか飼育してない零細な酪農家だから、恐らく年齢等から見て三、四年のうちにやめてしまうだろうと言うわけですよ。そして、二十戸の自立農家のうちの十戸は規模を拡大したいという希望を持っておる、それからやろうという意欲もあるんだ、しかしあとの十戸はもうこれ以上やってもしようがないという状況に急速になってきた。一つは酪農内部の事情、一つは酪農を囲む対外的ないろいろな状況であろうと言っておったが、彼の話を聞くと、そこまでのところで、きょうも質問があったあれだな、農家が減りよるということだな。あなたのところの数字だって、五%水準で減っておるはずだ。これは肉の農家も五%、豚なんかというのは一〇%をはるかにオーバーしておる、そういう形で減っておる。そういう意味の階層分化というのが日本の酪農農家の間でも、畜産農家の間でも急速に進んできたということを一つ示しておると思うんだ。
 なお、彼の計算を聞くと、彼は二十歳のとき酪農家になったと言うわけだ。そのときの乳価が百十二円だったと言うのだな、もちろん市乳ですけれども、百十二円だった。今はこれが九十二円五十九銭だ。去年は九十五円七十九銭だから、去年、ことしを調べると三円二十銭ほど差がある。それから、一番高かった、これは昭和五十一年か二年ころだと思いますが、そのころと比べると、これは、正確に言うと十九円何ぼだと言ったが、ともかく約二十円ほど下がっておるんだ。それで、この価格を去年とことしの単位で見て、彼は幾らとか言ったな、ともかく五十二万何ぼ、ちょっと乳価が下がった、去年とことしでですよ。
 それから、今いろいろ言われておる子牛の価格暴落は、あなた方が言っていること以上にこの地域は下がっておる。これは岡山ですから中・四国ですが、私もそれが非常に頭にあったから、実はきのう、おととい、私の地区の酪農家を回ったんだ。そうすると、あなた方が出しておる七万とか六万とかといったような数字をはるかに下回っておるよ。やはり四、五万だよ。中には、ひどいのは三万七千円とか五千円というのもおったけれども、それは何か特別な牛だったかもしれないけれども、いずれにせよ、ぬれ子の価格というのは相当低いですよ。
 ところが、御承知のように、副産物の比重というものが最近相当多くなっている、この二、三年来。生乳の、本物の乳の収入は相対的には下がっておるけれども、副産物の収入が非常に強い。つまり、乳肉複合経営で日本の酪農というのは支えられてきている。その副業が去年の七、八月ごろから急速に大暴落を来してきている、こういう状態になっておる。彼は、大体三十頭飼育して二十頭子供を産んでおる、五頭目分のところで育てて十五頭売っておる、大体一頭十万円近い損だ、だから百五十万ぐらい収入が少ない、こう言っておる。それから三・二%を三・五%にした。この乳質改善で、西日本の酪農地帯では干し草を大量に飼料として便わなきゃいけないようになった。今までは青草でやっておったが、それでは脂肪が出ないということで、これはもうほとんど輸入だ。それの経費がこれまた相当大きいが、彼の酪農家では二百万ぐらい違う。そういうことを計算していくと、確かに乳量は上がっておりますよ、恐らく四千キロぐらいのが六千キロ台に入っておる、乳量は上がって労働時間も短縮しておるけれども、そういうものを差し引いていくと、決して酪農について将来一つの夢というか期待を持つことはできぬ、だれが考えたって持てませんよというのが彼の結論ですよ。
 そういう実態を農林水産省が、ただ統計調査部の比較的いいと言ったら語弊があるかもしれないけれども、そういう数字の積み上げで出てきたもので日本の酪農はどうだこうだといって判断することについては、私は若干異論があるわけですよ。そんなものじゃないと思うんだ。やはり現実に、個別ケースだから、そういうところがあるけれどもこういうところもありますと。特に今、あなたのさっきのお話を聞くと、酪農の乳価にしても、子牛の価格にしたって地域的に非常に差がある。これも一つの特徴だと思う。地域的にアンバランスがたくさん出てきておるということも特徴だと思いますよ。思いますが、しかし現実のそういう実態の上に立って、ことしの畜産物の価格というものは決めてもらわなければいかぬと思うんだよ。それが政治、政治といったってあなたら行政官だから、我々の課題だと私は思っているがね。
 だから十分にそういう実態に立ってもらって、畜産の団体もあるし、いろいろな関係者もたくさんおるわけだが、これらの人が皆一致して言っておるのは、ぬれ子の価格が六〇%、五〇%、四〇%とこれほど暴落したときはないんだ。ぬれ子の価格は大体、本来そういうものでいいんだと一口で言えばそれで済むけれども、そんなものじゃないと思うんだよ。ぎりぎりの限界線をたどって、そして乳量を一生懸命上げて、労働時間を節約して、肉と乳の両方うまくこなしてやってきた酪農家が、今、場合によれば、へまをすると雪崩のように、牛肉の自由化を背景にして落ち込んでしまうのじゃないかというような危機感を持っているんですよ。そういう点を参酌して価格を決めてもらいたいということなんだ。
 それについて、農水省の担当局長はそういう考えで事に臨んでおるのかどうか。私自体も、農林省はどうも今度また下げる、こういう話を聞くから、何をというような気になるんだよ。本当のところはどうですか。
#144
○岩崎政府委員 今回の乳価は、前から申し上げていますように、生乳生産費の調査結果を踏まえて三月末までに適正に決定するということでございまして、乳価というのはどうしても平均生産費的な概念ということでございますので、足らざる部分というのは多々あるのだろうというふうには私ども思っております。
 また、酪農の事情というようなことも、平均的には離農の、農家戸数の減少も、例えば四%とか五%という形の中で進みますが、地域によっては確かにかなり大きなところもある。また、田中先生御指摘のように、いろいろな地域でいろいろな問題があるということも、十分私ども認識しているつもりでございます。
 今回におきましても、これは鉢呂委員の方からも御質問がありましたが、離農の実態等々につきましての公式的な資料というのは、これは昨年の二月一日の農林業センサス、それからことしの調査は六月でないと出ません、そういう状況の中で、私ども農政局を通じましていろいろな形で調査をしたような次第でございます
 そういう状況の中で、例えば高齢者なり労働力不足なり、その他いろいろな離農の要因等々もつかんだところでございますが、やはりそれぞれの地域によって、いろいろなところでいろいろな問題が出てきているのではないかということは私ども考えておるところでございまして、こういうものについて私どもかねてからいろいろな形で、生産対策なり構造政策なりあるいは体質強化のための負債整理資金なり、そういう形での対応を図って、できるだけきめ細かい、各個別農家に行き渡るような形での指導なり経営診断なり、そういう形の中で対応してきたつもりでございます。
 ただいま田中先生が御指摘ありましたような事態につきましても、私どもこれからさらに調査を加えながら、その実態把握等々つかまえつつ、いろいろな形で、酪農をどうしたらいいかということも含めて今後の問題として受けとめて検討していきたいというふうに考えておる次第でございます。
#145
○田中(恒)委員 価格は、生産費及び需給事情その他の経済事情によるという形で、比較的多面的な法文になっておるわけですね。だから、需給事情ということになっていくと、乳の見通しはこれからどうなのか。
 例えば中央酪農会議が指定団体を集めて計画生産をやっておりますね、それの総目標額はちょっと達せぬのじゃないか。つまり、乳の不足化という傾向が出てきておるでしょう。そういう心配が今されておりますが、そういう状況をやはり相当見ていくという要素も出てきてしかるべきだと思うし、それから、その他の経済事情ということの中に、いわゆる酪農家の今の生産意欲の問題とか、やる気を起こさせるような面だって要るので、そういうようなものを勘案してあなたが持っておる数字をどうこうしようと言ったって、なかなかうんと言わぬだろうけれども、そういう数字だけの計算にはならぬだろう。これは恐らく最後になったら、自民党の諸君がまたいろいろ、わあわあ騒ぎ出してくるわけだから、あなたらはそれを調整して最終的にこれを決めていくということになるでしょう、政府・自民党だから、そういうことだから。
 だから、そういう要素を十分に勘案していく、それは決して乳価を下げよという方向じゃありませんよ、ことしの場合は、そのことを私は念には念を押して申し上げておきたいと思うのです。
#146
○岩崎政府委員 私ども、乳価につきましては、先ほどから申し上げていますように、生産費調査の結果を踏まえて、その他の経済事情を勘案いたしまして三月末までに適正に決めたいというふうに思っております。
#147
○田中(恒)委員 もう一つ、ちょっと聞いておきたいのは、一九八七年、昭和六十二年以降毎年のように緊急輸入というのがあるんだな。緊急輸入のない年はないでしょう。これは一体どういうふうに考えられますか。
 これは生産者団体が昭和五十四年からやっておる。これはやったということも経過があるね。本来畜産事業団がやるべきだと私は思うのだが、事業団が買い上げ、事業団が放出していく、これは金がかかり過ぎるものだから自主調整に任せてしまった。自主調整というのは生産者とメーカーとがともに経費を、経費というかリスクを負担し合ってやっていくということなんだけれども、メーカーは、これまで畜産事業団が不足のときになれば緊急輸入をやってくれて、そして場合によったら、だぶついたときには買い上げてくれる、そういう操作があったから、比較的政府の言うことはまあまあで聞いてきたと思うが、今度はそういう状況がないから余り熱心じゃない。勢い、牛乳の生産の消化というのは中酪が今やっておるが、中酪を中心とした指定団体、生産者団体に荷がかぶさっておるのだ。だから彼らは、余りたくさん乳を搾り過ぎると処理が大変だ、こういう心配もあって、どうも全体の計画が抑制ぎみじゃないかという批判も出ておる。
 ところが、現実には緊急輸入で毎年毎年やるから緊急輸入というのが年中行事になってしまっておるんだ。これはちょっと考えてみる必要があるんじゃないかと思いますよ。政府は畜安法に基づいて需給調整あるいは在庫政策を一体どういうふうにやっていこうとしておるのか、こういう点を一遍示していただきたい。
#148
○岩崎政府委員 私ども生乳、飲用乳等も含めまして需要の見通しをしっかりしまして、それに対します生産の見通しというものを立てまして、それから在庫につきましては一・五カ月ないし二カ月ということでございますが、適正在庫を見て需給計画を立てているわけでございます。
 二年度におきましては、ただ最近の情勢からいきますとバターと脱粉の生産が、従来は一対二でありましたけれども、どうしてもバターというか乳脂関係は、例えば生クリーム等々にとられるということで、脱粉の生産がどちらかというと多くなってきているというような状況で、脱粉の需給に合わせた需給というようなことをやりました結果、足りないバター部分につきましては当初から計画を立てていたわけでございます。ただ、これも先ほど何回か御答弁申しましたとおり、その後の天候事情というようなこともありまして、二年度におきましても緊急輸入ということに踏み切ったようなわけでございます。
 ただ、在庫そのものは私どもやはり適正在庫ということが必要だろう、また在庫がいろいろな形であり過ぎますとどうしても過剰基調という形になるというようなこともありまして、需給計画を立てる上に当たりましても適正な在庫ということを念頭に置いて決めている、こういうことでございます。
#149
○田中(恒)委員 この在庫の問題は、私はあなたに質問の連絡をしていなかったと思うのだが、今しゃべっているうちに出てきたので非常に済まないが、政府は在庫調整のために二十四、五億の金を予算化しておる。しかし、これは実際にはほとんど使われていないだろう。ところが、一方では緊急輸入でことし十二万トン、昨年は十五万トン、一昨年は四十万トン、これは緊急輸入でいって瞬間タッチ方式ですぐ放出する。これは乳製品が相当足らぬというときだから、価格はいいですよ。だから差益は相当あると私は思うのです。これは言ってないからそれは幾らと答えてくれなくたって、大方後で聞けばわかることですけれども、私は事業団に相当な差益があると思うのです。片一方では乳が足らないからということで緊急輸入をやって事業団はもうける。調整保管の方はほとんど使われない。一体、この金はどういうふうに使われているのですか。
#150
○岩崎政府委員 事業団の差益につきましては、六十三年約二百億円、それから元年六十億円、それから二年はまだ未定でございます。六十三年、元年につきましては、既にいろいろな形の施策の中で使っている、こういうことでございます。
#151
○田中(恒)委員 だから、そんな金があるんだからね。今までもいろいろ使ったりしているよ、畜産の生活環境整備のために。ばらまきと言っては、ちょっといけないと思うけれども。今度は基本乳価で上げてくれ、乳価の水準を上げてくれないとやっていけないという声が強いんだから、私は資金的には操作できないことはないように思うのです。
 さっきもちょっと話しておったんだけれども、ぬれ子とか堆厩肥を副産物というふうに位置づけておるわけだが、副産物の収入が三十何%もある。そうして、この数年の傾向を見てみたら、所得を見てみると副産物のウエートが非常に大きい。牛乳そのものは六割ぐらいしかなくて、副産物は四割ぐらいもある。そういうことはおかしいのです。やはり乳は乳なんで、副産物というものには一定の基準みたいなものを置いて、これ以下は見ないとか、そういう位置づけの方が正しいんじゃないか。大体どの水準がいいかということは問題ありますけれども。これは私の私見ですけれども、そんなふうに思っておるんですよ。副産物に依存していくような乳価政策を政府はとってきたわけなんで、そういう点を改める必要があるんじゃないかと思うのです。今お話を聞くと、事業団には相当な輸人差益があるわけだから、そういうものをもっと有効的に使っていく手法を考えてほしいと思うのですよ。
#152
○岩崎政府委員 ただいま副産物収入に頼るのはおかしいというお話でございました。確かに生乳収入と副産物収入の割合等々を見てみますと、五十五年当時が生乳が約八七%、また六十年には生乳で約九〇%ぐらいでございます。平成二年におきましては八三%ぐらいが生乳収入、こういうような状況になっているところでございます。
 価格につきましては、やはり先ほど申しましたような形の中で、生産費調査の結果を踏まえながら決める、こういうことでございます。
 かなり多額の差益があるというお話でありますが、確かに二百億なりなんなりの収入があったことでございますが、しかしこれはもう既に酪農振興等々のために支出してしまっておりまして、現実には今はもう既に実行しているということでございます。本年度につきましてはまだ未定ということでございますので、御了承願いたいと思います。
#153
○田中(恒)委員 ちょっと余分なところへ飛んでしまって時間をとりましたが、市乳と加工乳の関係についてですが、これは昨年、価格が決定をしたときに、農林大臣は、加工乳は北海道を中心の生産費に基づいたものであるから市乳の価格とは連動しない、こういう意味の談話を発表せられたわけだが、現実にはやはり加工乳が下がると市乳が下がる、加工乳が上がると市乳が上がる、こういう結果を歩んできたんじゃないですか。それがまた、ある面では筋なんですね。
 それで、ことしは市乳と加工乳の関係はどういうふうにお考えになっておりますか。
#154
○岩崎政府委員 加工原料乳価格につきましては、北海道の生産費の調査結果に基づきまして適正に決めていくということでございますが、市乳、飲用乳につきましては、これは生産者の団体とメーカーとの間で需給事情等々を踏まえながら自由に交渉して決めていくということでございまして、やはり私どもとしては連動していかないというふうに考えている次第でございます。
#155
○田中(恒)委員 そんなふうにうまくいけばいいですが、私はなかなか難しいと思うのです。
 それで、最近の牛乳の小売価格は少し上がっておるでしょう。やはり牛乳価格も上がりぎみになっておる。牛乳価格はこれだけ長い間停滞状態あるいは引き下げですからね。だから、ちょっと上がりぎみじゃないかというふうに言われておるのですが、それをめぐって生産者団体が乳業、まあこれは大手だな、交渉してみると、各社ともこれはなかなか生産者にその配分をやるのは難しい、これは一致しておるのだな。つまり、値上げ分を生産者に還元することは難しいと言っておるのだ。
 いろいろなことをおっしゃっておるが、その理由の一つに、先ほどもお話しになったが、農林省がガットに出しておるオファー、八・六%、価格にして三円四十二銭の引き下げを農林省自体も言っておるじゃないか、こういうことも一つの理由になっておるわけですよ。あなたのところは何かこう、さっき一番最初に質問したときに不明快な、ちょっと余韻を残す国際性についてのあれがあったが、現実にはそれが一つの理由として価格の引き上げを阻止しておるという現実があるわけですよ。そういう点は、こういう状態の中でやはりこれは考え直してみなきゃいかぬのじゃないか、そういうふうに思っております。
#156
○岩崎政府委員 私ども飲用牛乳の乳価についてそういうようなことを言った覚えもないわけでございまして、やはり飲用牛乳につきましては、メーカーと生産者団体との間で自由な交渉で決定されていくということであろうかというふうに思っておる次第でございます。
#157
○田中(恒)委員 あなたのところは言ってないといったって、向こうはそれを言うんだから。それはあなたのところがガットに、乳製品の価格は国際価格との差を縮めるように努力するということ、だから八・六%下げますよ、下げるようにやるんだ、こう言っておるから、それをとられておるわけですよ。言っておるのだから、それは酪農乳業速報で。それに、いろいろな乳業会社の常務さんや販売部長さん、全部同じだ、これ。農林省もそういうふうに言っておるのですから、今引き上げるような状況じゃございません、こう言い切っておるのですよ。そういうことがありますということですからね。
 それから、私はきょう十分時間がないから、これは考えてもらわないけないのだが、さっきもちょっと申し上げたが、在庫調整の問題は、これは畜産事業団の方でもう少し踏み込んだものをやってもらう必要があると思うのですよ。私は、一部畜産事業団が在庫調整をやるといったようなことを考え直してみていいんじゃないかと思うのです。そうでないと、これ今の生産者団体自体だって、まあ極端に言うたらメーカーは協力してもらわぬ、自分らだけでやる。そうするとやはりこれも団体だから、少し思い切ったことができないというような面も出てくる。政府も、まああれは需給調整ですから、こういう調子で言い逃れをしておるということですが、本来需給調整というものは非常に重要なんで、これは酪農だけじゃないのです、私どもの果樹だって同じであります。需給調整機能というものが発揮せられれば価格の上がり下がりは相当防げるのですが、それがない。だから私などは、非常に大きな話になるが、やはり日本の農政の中で需給調整安定法というか、そういう法律が必要ではないかと思う一人ですよ。これは自由民主党の諸君だって、私は相当な有志と、こういう法律が必要だという話をしたことが何回かありますけれども、そういう一環として、畜産の場合は価格安定法の中で一定の方向づけが出ておるわけですから、これは畜産事業団として一つの課題として受けとめていただきたいと思っております。
 それから、もちろん中酪がやっておる今の計画生産の中にもいろいろ問題があります。農家は緊急輸入がこれだけあるのならもっとつくらせてくれと言っているんだ。北海道なんか特に強い。酪農地帯というのは非常に強い。ところが一方では、酪農というのはつぶれる地域があるのです。だから特化していく。特化、いわゆる一部の地域に偏っていくという可能性も心配されている、日本の酪農は。それじゃいけないので、やはり我々の基本は自給をするということですから、せっかくここまで戦後長い間かけて培ってきた酪農地帯の灯を消しちゃいかぬので、それをうまくやっていくためには地域政策との組み合わせが必要になるでしょう。そういう問題などについて十分知恵を働かせなきゃいけない時期に来ているので、政策全体の見直しが今必要になっておるのじゃないかといったようなことを考えるものですから、ちょっと申し上げたわけです。
 時間がありませんので、和牛のことも一つ二つお聞きをしておきます。
 一つは、四月からの牛肉の自由化というものの影響をどういうふうに受けとめておるか。これはアメリカ、オーストラリアの方もそれぞれ日本に向けての牛肉の輸出について、日本人向けの牛肉づくりについて努力をしておる。あるいは日本の商社も現地へどんどん進出しておる、そして向こうの牧場を買ってこの肉を持って帰ってくる。こういう方向が非常に強くなってきております。日本の国内でも牛肉自由化に向けて、牛の品種から始まっていろいろな変化がある。だから、今すぐ大きな変化が出てくるという状況じゃないようだけれども、この自由化というのは恐らく、関税率が七〇、六〇、五〇だから、これがだんだん低くなっていくから、私は三年目ごろからぼつぼつ本格的に出てくると思うし、現に豚とかあるいは酪農の肉だ、こういうものから影響が出てきておるように思うのでありますが、四月一日からの牛肉自由化についてどういう影響があるかということ、これが一つ。
 それから、事業団の在庫、特に輸入牛肉の在庫をどういうふうに処置しようとしておるのか、これが二つ目。まあその二つでいいわ。
#158
○岩崎政府委員 個々の牛肉需給でございますが、これは自由化されるという形の中にありましても、やはり全体として需要は伸びていく、また私ども長期計画、見通しで、国内生産もまた増加するというふうなことを見通している次第でございます。
 今後の価格動向につきましては、もう既に、輸入牛肉につきましては昭和六十三年の日米、日豪合意でかなり流通量が大幅にふえてきているというようなことで、輸入牛肉の価格は現時点でかなり低下しているような状況でございます。輸入牛肉と競合いたします度合いの高い乳用種を中心に、現在これも低下しているということでございまして、自由化されても基本的にはそう大きな影響はないのじゃないか、この傾向が続くんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
 それから和牛の関係でございますが、これはかなり品質格差が存在しまして別なマーケットを形成しているということでございまして、輸入牛肉の影響によります価格低下ということは生ずる状況にはないのじゃないかというふうに私ども考えている次第でございます。
 それから、事業団の在庫でございますが、平成三年一月末の輸入牛肉の在庫量が約十万六千トンでございますが、その内訳は、畜産振興事業団の在庫が約五万五千トン、それから民間の在庫が約五万一千トン、こういう形になっています。それで、平成二年度末には輸入牛肉の在庫数量というのは事業団在庫が五万七千トン、民間在庫と合わせますと約十一万トン程度ということでございます。
 事業団の五万七千トン程度の輸入牛肉の持ち越し在庫についてでございますが、これにつきましては、自由化後の国内市場に混乱を及ぼすことがないように、食肉卸売市場を中心として、時価を勘案した適正な価格で、定時定量と申しますか、計画的に売り渡したい、売り渡しを行うこととして、保有在庫の状況というのも毎月公表することによりまして混乱をなくしていきたいというふうに考えている次第でございます。
#159
○田中(恒)委員 そうしたら、ちょっと聞きますが、事業団の特に輸入牛肉の在庫の問題は、四月一日から輸入の自由化が行われますね。それまでに全部放出していくということではなくて、需給事情というものをよく押さえながら適時適量の放出をしていくということであるというように理解していいですか――そうですか、はい。
 それでは、質問を終わります。
#160
○宮里委員長代理 藤原房雄君。
#161
○藤原委員 平成三年度の畜産物価格につきまして、午前中から同僚委員から各般にわたりましてのお話がございました。私も、昨年の前半後半、北海道の各地を回りまして、気候に左右されます状況の中で、春先は春先で地域によりましてはいろいろな状況もございましたし、また昨年の後半に牛肉の自由化がだんだん近づいた、そういう不安感の中で、先ほど同僚委員からもお話ございましたように、子牛価格を初めとして副収入が暴落をしておる、こういう実態等も聞いてまいりまして、これは今までとは違って大変なことだという実感を持っておるわけであります。
 過日、生産費調査が出ましたけれども、これは七月から六月までということでありますから、平成二年の後半の生産費の問題についてはこの統計の中に出ておりません。しかし後半に非常に価格の変動があるわけでありまして、こういうことからいいまして、乳価決定に当たりましては、畜産物価格の決定に当たりましてはこの辺のことをしっかりひとつ把握をして、現実に沿った形で価格決定をいたしませんと、またその間のことにつきましての審議会に対する考え方等についての基礎資料なりその実態というものを明らかにいたしませんと、現実、現地で酪農にいそしんでおる農家の方々の実態に即した価格決定ができないのではないか、こういうことを非常に懸念をいたしているわけでありますが、そのことにつきまして、加工原料乳保証価格、また畜産物価格等につきましての基本的な考え方について、最初に政務次官にお聞きをしておきたいと思うのであります。
    〔宮里委員長代理退席、委員長着席〕
#162
○杉浦(正)政府委員 ただいま藤原委員の御指摘になられたこと、御感念の点、まことにそのとおりであろうかと思います。今年度畜産物価格決定に当たりましては、先生のおっしゃられたような基本的な点が考慮されるべきことは当然のことと思います。
 御承知のとおり、当委員会でも何回も御説明申し上げましたが、法律の規定に基づきまして、それぞれの生産条件、需給状況その他の経済状況、もちろん七月以降の経済状況も入りますが、十分考慮いたしまして、その再生産を確保すること等を旨として、法律の規定では定めることとされておるところでございます。
 まだ検討の過程にございますので、具体的に歯切れのいい御答弁ができないのは申しわけございませんけれども、来週開催される予定の畜産振興審議会の意見を聞いた上で、適正に決定してまいる考えでございます。
#163
○藤原委員 同僚委員からも昨年の気象条件とか物価の動向とかいろいろな問題については指摘もございましたが、私も何点かについて、算定価格に当たりまして主要な項目について、農水省としてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。価格決定は確かに審議会で御審議をいただいて答申をいただく、それを基本として決定されるわけでありますが、これらのことに対しての生産費についての資料はございますけれども、経済情勢の非常に大きな変動の中にありまして、特に中東問題やいろんなことがございます。それがすぐ諸物価に大きな影響力を持つものと持たないものといろいろございますけれども、とにかく激動の時代と言われる本当に変化の激しい中にありまして、それに対応する条件というものをしっかり把握いたしておりませんと、例年のような条件だけで価格決定はなかなかできないのではないか。また、そこらあたりの詳細な実態というものを審議会等に資料として提出をして、御審議をいただくよすがにしなければならぬ、このように思うわけでございます。そういうことからいたしまして、何点かちょっと、保証価格の算定に当たります諸問題についてお聞きしたいと思うのであります。
 私、昨年道東方面を回りまして、地元の方からいろいろな陳情もございましたけれども、また農業団体からもいろいろな要請もございますが、本当に去年の暮れからことしのいろいろな変化の激しい中で、離農者が続出するのではないか、そんなことで大変に危惧をいたしております。そういうこと等もひとつ十分御勘案いただきまして、今日まで営々として築いてまいりました北海道の大規模の営農、こういう酪農経営の実態を十分に勘案いたしまして、価格算定に反映させていただきたい。
 一つは労賃のことであります。私が長々申し上げるまでもなく、農業基本法に「他産業従事者と均衡する生活を営むことを期する」ということで、労賃のことは毎回この委員会におきましても、農産物価格の決定に当たりまして大きな問題として、また農林省としましてもそういういろいろな議論を踏まえまして逐次改革の状況にあることは私どもも十分に認識をいたしておるところでございますが、特に飼料作物労働費とそれから飼育労働費。飼育労働費につきましては、畜産主要地域の製造業の五人以上規模の平均賃金をとるように、それをもとにして算定するということになっておるわけでありますが、飼料作物につきましてはそうじゃございませんで、同じ仕事をするのに、同じ酪農の中での作業でありながらそういう差異があるということは、やはり農民にとりましても、これは同一賃金という算定にしてもらいたいということは当然のことだと思いますし、私どももちょうど戦時中、学徒動員で援農、農家に行ったことがございますけれども、労働条件、今は随分変わっておりますけれども、飼育するときと飼料作物の労働と特に大きな差異があるというふうには思わないのでありますが、単に算定の要素としてそれが乳価を押し上げる要素になるとかならぬとかということじゃなくて、やはり実態に即した形で、酪農民の方々のひとしく理解の得られる、そういう同一賃金というものの一日も早い算入というものが必要ではないか。このように昨年も申し上げましたし、ことしも特に声を大にして申し上げたいと思うのでありますが、ここら辺について農林省としてはどうお考えになっていらっしゃるのか、今後の検討課題としていらっしゃるのか、その点についてお伺いしておきたいと思います。
#164
○岩崎政府委員 保証価格の算定に当たりまして、飼料作物労働につきましては、他の畑作物の行政価格における労働と同じ様に農村雇用労賃を物価修正して算出しているということでございます。
 同じ酪農家の労働ではないかということでございますが、飼育管理労働につきましては、その労働が年中無休であり、拘束的であるという特殊性に着目しまして、主要加工原料乳地域におきます製造業五人以上規模労賃で評価しているということでございまして、飼育管理労働につきまして特別にそういうことをいたしておるという次第でございます。
#165
○藤原委員 そういうことは知っておるのですが、こういうふうに農村の雇用労働という賃金体系、賃金体系といいますか労働費と分けなければならないということが、それは当然のことで変える考えもないし、それは当たり前のことだということなのか。やはり、これは実態に即してもう少し調査をし、状況をよく勘案して検討するというお考えは農林省にはないのですか、そのことを申し上げているのです、実態的にはよくわかっているのですけれども。
 同じ農村の方々も、確かに飼育管理労働というのは生き物を扱うということで、また一日も休めることのない作業ということで大変なことはわかりますけれども、飼料作物だってこれは天候に左右される。いろいろな悪条件の中、そしてまたより栄養の高い牧草をということで、これは非常に神経を使い、そしてまたいろいろな悪条件の中を最良のものをというそういう知的な思いめぐらしというのは飼育管理労働と何ら変わらない、ただ生き物であるか植物であるかという違いであります。ですから、昨年の春は北海道道東方面はやや雨が多かった、草を刈りましたけれども、やはり栄養のやや劣る牧草が多かったということで乳量の出が悪かったとか、そんなことを言われております。そういう、植物といいますか生き物を扱っているということではそんなに違いはないと思いますし、その生態とかいろいろなことを勘案しながら、しかも大規模でやっておるわけでありますから、労賃にそんな大きな差異はないのではないか、こういうことをよく実態的に把握して、検討の余地があるのかないのか、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、その辺ちょっとお伺いしておきます。
#166
○岩崎政府委員 飼料作物の労働費の問題ですが、これは長年にわたりまして畜産振興審議会等における専門家の意見を入れて確立されてきたものでありまして、保証価格算定方式としては適正なものになっているというふうに考えている次第でございます。
#167
○藤原委員 一たん決めたらもう不磨の大典みたいに動かさないということでは、これだけ世の中が変わり、それでなくても北海道では牧草の種類、栄養価とかいろいろなことからいいまして、乾燥した牧草をアメリカから買っておるということで、牧草の新しい種類の開発、栄養価の高いものにするとか、こういうこと等もあわせまして非常に研究をいたしておりますし、またその育成等につきましても心を砕いておる、こういう状況の中にあります。
 世の中はどんどん変わっておりますし、そしてまた大規模になって、飼育のためにより栄養の高いものを、こういうことでありますから大変な努力をしておる。そういう変化の中にありまして、一たん決めたことがそのままずっといつまでも踏襲されておるということじゃなくて、やはり実態に即した形でひとつ御検討いただきたい。そういう柔軟性というのは農林省にはないのでしょうか、どうなんですか。
#168
○岩崎政府委員 私どもやはり酪農経営の大変さ、また飼料作物につきましても、非常に酪農家の方々が苦労しながら栽培し、収穫しているということも、先生御指摘のとおりわかっているつもりでございます。
 ただ、飼料作物の労働費というのも、他の畑作物の行政価格と同様にやはり農村雇用労賃というものを使っているところでございまして、農村雇用労賃そのものにつきましては、これは農業だけではなくて、その地域の他産業の方々の賃金も含めた農村雇用労賃ということでございます。
 また、先ほど申しましたように、このことにつきましては、長年にわたりまして畜産振興審議会等々で専門家の御意見も伺いながら決められてきたということでございますので、ひとつ御理解願いたいと思います。
#169
○藤原委員 農民の強い要望もあり、そして世の中が大きくまた変化をしておる現実と現状等も勘案いたしまして、畑作との整合性をどうするかということも大きな課題であることは私どもも知っておりますけれども、これらのことも含めまして、ひとつまた機会がありましたときには御検討をいただきたいと思います。
 午前中にも問題になっておりました子牛価格のことですが、ここのところ、七、八月に大きな変動がございました。変動などというよりも大変な下落でありまして、北海道のように大規模でやっているところではその影響が非常に大きいということですね。これは都府県のように扱う頭数が少なければそれなりにまた吸収することもできるのかもしれませんが、五十頭、百頭と搾乳牛がいるということになりますと、一頭が七、八万価格が暴落いたしましても、百頭で八割子供が産まれるといたしますと、もう大変な金額になる、こういう実態でありまして、子牛価格、ぬれ子の価格暴落というのは農家経済にとりましても大変な影響がある。これは同僚委員からも先ほど来いろいろと、あらゆる方面からお話がございました。私は、やはり十分に実態を把握して、保証価格の算定にはこの点について適正に反映させるように算入しなければいかぬ、こういうように思うわけであります。
 しかも、これが七月以降ということでありますが、生産費調査が終わった後ということでありまして、もちろんこの四月一日から自由化ということで、いろいろな変動があるということはある程度想定していらっしゃったかもしれませんが、ここへ来てかなり高値安定といいますか、ある価格で推移しておりましたが、今大きく下落した。こういうことにつきましても、十分に統計上、統計というか、統計はないのだけれども、実態というものをどういうふうに把握していらっしゃるか、そしてまた、今度、この子牛価格の大変な暴落につきまして、この保証価格算定に当たりましてはこれらのものをどのように反映させるか、こういう具体的な数字は言えないのかもしれませんが、お考えか、その辺について、私もお伺いしておきたいと思うのであります。
#170
○岩崎政府委員 ぬれ子の価格でございますが、北海道の物賃でございますが、八月に一番底値だったわけでございますが、その後回復いたしてきておりまして、三月一日現在で八万二千八百六十円、こういう形になってきておるわけでございます。
 それで、ぬれ子の価格をどうするかという御指摘でございました。私ども、生産費調査の結果等を踏まえまして、もちろんぬれ子の価格、これは副産物収入ということになるわけでございますが、ぬれ子価格のみならず、その他の生産資材の価格なり労働時間や一頭当たりの乳量等々、諸要素をもとにして現在算定をしているところでござまして、現在検討を行っているという段階でございます。
#171
○藤原委員 ここ四年、五年、ずっと保証価格が引き下げられた。そのときも結局はある価格帯で非常に高値といいますか、いい値段をしておった、そういうことで副収入が、副産物の収入があるということも、一つの収入を補い得る条件として、皆さん方の答弁の中には、お話の中には必ずありました。
 八月以降ということでありますが、そのうちやや持ち直したといいながら、八月一日、八万ということですけれども、八万はもとに戻ったわけでは決してありませんし、そういうことからいいますと、実態というものをよく把握しまして保証価格に適正に反映させるように、これらのことについてもひとつお伺いいたしたい。
 六月に生産費調査、それ以降七月からのいろんな変動、これは何らかの形でそれぞれの項目、算定の要素一つ一つについてのそういう大きな変動については修正することになるんだと思いますけれども、それはどういう形で、まあ実態調査の上でどういうふうにそれを修正なさるのか。そのあたりの、その半年近い月日の間にいろんな変動があったわけですけれども、その修正というものがなければ実態と大きく離れたものになってしまう。実態に即した形でぜひこれを修正していただきたい。そういうことからいいますと、こういう一つ一つの項目等につきまして、まあ今ぬれ子のことを申し上げているわけですけれども、修正項目としてこれらのことも当然入るんだろうと思いますし、考慮されるんだろうと思うのですが、その辺のことについてはいかがなんでしょうか。
#172
○岩崎政府委員 十分検討してまいりたいと思っております。
 ただ、ちょっとさっき私言い間違えまして三月一日と言ってしまったんですが、平成三年の一月に八万二千八百六十円、こういうことでございますので、御了承願いたいと思います。
#173
○藤原委員 その修正のあり方がまた非常に大事ですから、実態の把握、そしてまたできるだけ近くの統計といいますか変動というものを把握なさって、実態に即した形で修正することにつきましてはひとつお願いをしておきたいと思います。
 それから、算定要素の中の問題でありますが、三つ目には乳牛の償却費、これは過日もいろんなお話を聞きましたが、やはり日本の搾乳の状況とヨーロッパなんかと、搾乳の量においては大きな違い、これは品種改良とかいろんなことで御努力をなさっているんだろうと思いますけれども、日本は特に乳質改善に取り組み、乳牛の更新、これが非常に早まっておるということですね。こういうことからしまして、とにかく生産性を上げるということや、それからコストを引き下げるための努力ということで精いっぱい搾乳するわけで、そういうことからいいますと乳牛の更新が非常に早まっている、こういうことが各地で言われますし、私の方もよく聞いておるところであります。こういうことの実態をひとつよく反映をしまして、乳牛の償却費等の問題につきましても実態に即した形でひとつ御配慮いただきたい、こう思うのです。
 それからもう一つは、先ほど申し上げた、労働省の中では企画管理労働、こういうふうなことが言われております。これはいつも議論になっておるわけでありますけれども、最近の酪農も単に牛を飼っておるということじゃなくて、高度化した酪農技術の習得とか経営管理、こういうことでパソコンやいろんなものを使ったり高度な機械を使って管理労働、こういうことをなさるわけであります。当然講習があったり、習得するためにはいろんな講習を受けたり、それから経営の管理ということについて今までにはないいろんな機器を通じてこういうことをなさるわけでありますが、こういうものに対する評価というのは一体どうなっておるのか。これについては農林省も数年の間いろんな検討を加えてまいりまして、それなりに算入しなければならぬということでやっていらっしゃったようでありますけれども、この先ほど申し上げました、ちょっと話は違うかもしれませんが、乳牛の償却費のことと、それから企画管理労働という、このことについてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、ちょっとお伺いしておきます。
#174
○岩崎政府委員 加工原料乳保証価格の算定に際しまして、乳廃牛価格の動向につきましては、これは乳牛が資本財という性格がありますので、新規に導入される乳牛の評価額の動向とあわせまして、残存価格として減価償却費に反映されるということになるわけでございます。
 いずれにいたしましても、乳廃牛価格の動向につきましては、乳牛償却費の要素として保証価格に適正に反映させてまいりたいというふうに思っております。
 それから企画管理労働費でございますが、平成元年度から新たに算定要素として加えてきたところでございます。平成二年度の価格算定を行うに当たりまして、統計情報部におきまして「酪農の企画管理労働に関する調査」というものを行っておりますが、企画管理労働時間の実態を把握し、その労賃を評価がえして適正に算定してきたところでございます。
 三年の乳価算定に当たっては、このような経緯を踏まえながら適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
#175
○藤原委員 それから、毎年申し上げていることでありますが、生産資材それから施設、機械の価格、こういうものの引き下げに対しまして、これは通産省が所管することであるかもしれませんけれども、一義的には農林省としてこれはやっぱり把握していただかなきゃいかぬ問題でもありますし、そういう実態等について把握をした上でこれをどう価格動向に反映させるか、こういうことでありますが、これは毎年の春闘でそれなりの人件費の上昇、それから、こういうことの中で生産資材というのは年々上がっておることは御存じのとおりであります。買うものは年々人件費の高騰とともに上がる、そしてその中で努力してつくったものは毎年価格が下がる、こういう中で、それは一年、二年の間ですと、ある程度そういうものを吸収する余力もあるかもしれませんけれども、五年、六年と続きますとこれはやはりどこかに無理が出てくる。そしてまた農業の場合は、同じ条件の中、地域差もありますし、それから天候の変動もありますし、いろいろなそういう条件の中での生産を上げるということでありますから、これが非常に大きなダメージになることも非常に多いわけであります。
 生産資材の問題につきましても、当然通産省とのいろいろな協議会のようなお話し合いはなさっていらっしゃるのだろうと思いますけれども、やはり機械を初めとして農業資材として使わなければならないものの物価上昇、こういうものについては、価格動向に対してどのようにこれを保証価格の決定に当たりまして反映させていくといいますか、こういうものをどう価格決定にお考えを反映させることになるのですか。
 最近現場に参りますと、トラクター等におきましても、十年、十五年、本当にこれを辛抱して使っているところもございますし、少しでも生産資材が安く購入できるようにということで共同購入とかいろいろな手だてをして、今までは二年、三年の間は努力をしてまいりましたけれども、もうこういうことで手だてがなくなったというのが、実際もろに値上げ部分といいますか、生産資材の価格上昇、それをかぶらなければならぬという、こんな悲鳴にも似たお話を聞くことが非常に多いのですけれども、非常に大事なことなのでお伺いをしておきたいと思います。
#176
○岩崎政府委員 生産資材につきましても、これも生産費調査で出ておりますので、その結果を踏まえて適正に反映させていく、こういうことになろうかというふうに思っております。
#177
○藤原委員 生産費調査でやるのは当たり前の話ですよ。今まで四年、五年そういうことで、何とかそれを吸収できるようにということで御努力いただいてきた。そういう中で、少なくともこの五年の間に、それは地域によっているいろあるかもしれませんけれども、十数%、二〇%生産するものが下がっている中でいろいろ苦労して努力をしてまいりましたけれども、ここへ参りますと、もうそういう手だてはない。
 それで、こういう生産資材について通産省とはどういうお話し合いといいますか、農業生産資材としてただ統計をとるだけなのか。賃金アップによってどういうふうになるのかということで、農業資材について実態を把握しながら、通産省との間で価格の問題について協議するとか話し合いをするとかという場はないのか。農林省というのは、農業、農家を守る立場であるはずですから、これらについては十分に心を配っているのじゃないかと思うのですけれども、そういうことはないのですか。どうなのでしょうか。
#178
○岩崎政府委員 生産資材の低減方策ということにつきましては、私ども非常に重要なことであるというふうに受けとめておる次第でございます。
 例えば購入飼料でございますが、これにつきましては元年の九月末からでございますが、従来配合飼料の原料は税関長が承認する承認工場について関税の一定免除をしていた、ただしこの場合、農水省の推薦が必要だということでございましたが、承認工場制度の推薦制度を廃止するというような形の中で、配合飼料の関係の競争性を高めるという形の中で、製造、流通の合理化を図っていくということをいたしております。
 また、単体飼料用トウモロコシの関税割り当て制度の創設ということ、これも元年四月からでございますが、そういう形の中で承認工場以外でも税率ゼロのトウモロコシを利用できるような措置も講じてきたところでございます。そういうような形の中で、競争を通じた製造なり流通の合理化を図っていくということにいたしております。
 また、肥料でございますが、これにつきましても土壌診断等に基づく施肥の一層の合理化を図り、また肥料費の節減の優良な取り組み事例の普及啓発とか、そういう形の中で肥料費の節減等々も図っていかなければいけないであろうというようなことにいたしております。
#179
○藤原委員 これは何も酪農だけに限ったことじゃありませんけれども、農業生産資材につきましての価格動向、それはただ統計で見るというだけじゃなくて実態を見ていただきたいと思いますし、また交渉のできる問題についてはいろいろな交渉の場をつくる、話し合いの場をつくる。輸入物等、また国内での生産、そういうものについてもひとつきめ細かに配慮していくべきだと思いますし、お願いをしておきたいと思います。
 時間もありませんので、もっといろいろなことをお聞きしたいこともございますが、要するにここ四年、五年、それから五十三年からですか生産調整とか、生産者は生産性向上ということでいろいろな努力をしてきておるわけです。生産性向上のために努力をするということは一体どういうことなのか。規模を拡大しなさい。そのときそのときのいろいろな方針が出ましてそれに忠実に努力をして、都道府県におきましても理想的な規模でやっている方もいらっしゃいますし、北海道等におきましては、確かにそれなりの規模拡大とともに生産性向上に随分努力をした跡がにじみ出ている、そういう状況というのは各地に見られるわけでありますが、ただ、生産性が上がると価格を引き下げるということで毎年毎年追い打ちをかけられるということになりますと、ふと我に返って、生産性向上というのは一体我々のために何だったのかとひとしく反問なさる農家の方々が非常に多い。やはり生産性を向上したというその努力というものは、ある程度生産者に還元できる道というものは考えなければならないのではないか。
 それからまた、生産者だけが一生懸命生産性向上に努力をしましても、ここのところずっと乳価は下がっておりますけれども、生産者の乳価が下がりましても小売段階でそれが反映されているかというと必ずしもそうではない。生産、加工、流通、サービス、この各分野の共通の努力があってこそこういう生産性向上の実が上がるということ。こんなこと何も私がくどくど申し上げることもないことだと思うのでありますが、これも毎回この場で言われていることでありますけれども、生産者には確かに過酷ともいうべきこの向上の努力を強いながら、流通とか加工とかサービス、こういうところになりますと消費者にそれが還元されるような形で生きていない、こういうことが言われるし、私どもも本当にそうだと思います。農林省としてはこれはもう最大の課題として、生産性向上で四年も五年も、諸物価が上がる中で乳価を引き下げるということであるならば、生産者を守るために最大の努力をして、これらのものの動向というものを把握をし、それに対する対策、いろいろな手だてをするのが農林省の本来の役目ではないかと思うのでありますが、何もしてないとは言いませんけれども、実の上がってないことは事実でありまして、これはぜひひとつ、農家の方々が一〇〇%とはいかないかもしれませんが、農林省も真剣になって取り組んでいるという、こういう一連の共通の努力に対する監視といいますか把握とともに、農林省としましても最大のひとつ御努力をいただきたい。これがなければ生産者は本当に何のための努力であったのか、生産性向上だったのかということになるのじゃないかと思いますが、このことについてはぜひひとつ要望しておきたいし、また御意見を賜りたいと思います。
#180
○岩崎政府委員 農家の生産性向上分については、これを全部吸収してしまうのでなく生産者にも一部還元させるという御意見でございまして、これまでもそれなりの配慮が行われてきたというふうに考えておりますが、現在の内外の酪農を取り巻く情勢にかんがみまして、需要者なり消費者に還元するということも重要であるというふうに考えております。
 それで、先生ただいま御指摘ありましたように、本当にこれだけ一生懸命生産者が努力しているのに、それが消費者に通じないのはおかしいというお話でございます。私どもも全くそのとおりだというふうに考えておりまして、私どももメーカーなり消費者に行く段階の過程におきまして、そういうものが十分消費者に行き渡りますように、私どもなりに一生懸命指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#181
○藤原委員 これは畜産局で全部やるということはなかなか難しいことなのだろうと思います。各局にまたがることなのかもしれませんけれども、これは何も酪農製品、酪農関係、畜産物価格の問題だけじゃなくて、各水稲にいたしましてもそれから畑作にしましても同じような状況にあるわけで、加工、流通それからサービス、こういう一貫したものに対しての動向とか、局をまたがる問題について、ぜひひとつ農林省でも、これはしっかり把握をする手だてをつくってもらいたいし、また年々そういう何らかの改善の方途というものが実を上げるようにしていただきたい、こう思うのですが、政務次官どうでしょう、これは局長の答弁じゃなくて政治的な手法だと思うのですけれども。
#182
○杉浦(正)政府委員 御説全く同感でございます。そういう方向で、省としても努力してまいる所存でございますので、よろしくお願いいたします。
#183
○藤原委員 お願いするのはこっちの方でして、ぜひひとつ実の上がるようにお願いします。頑張ってください。そしてまた、局にまたがるいろいろなことがありますので、一つのところでできるということではないのだろうと思うのですが、これはやはり生産者としては納得のいかぬところですよね。しかし、そういうことが一つ一つちゃんと実を上げるようになれば、やはりそれなりにまた見る目も変わってくるのだろうと思いますが、時間もありませんので長いお話はできません。
 最後に、最後というか最後じゃないのだけれども、限度数量ですね。これももう少しいろいろな角度から申し上げたいのですけれども、時間もありませんからあれですが、ゆとりある生乳需給計画を策定して、加工原料乳の限度数量をことしは適正に決定してもらいたいという農業団体からの要請がございますが、需給計画というのは、需給動向というのは何かヒット商品が出ますと急に需要がふえたり、最近はマスコミの影響とかいろいろなことがございますから非常に難しいことなのだろうと思いますけれども、少なくとも今生産制限をしている国内消費について、それで特に、ちょっと生産をふやそうなんていって、あすあさってにふやせる加工業とは、他産業とは違うわけでありまして、やはり搾乳するにはそれなりの年月が必要だということで、非常に一次産業の場合には厳しい条件の中にあるのですけれども、しかし毎年ここのところは緊急輸入という名目で輸入しておる。
 それは先ほどお話し合いも例に出しておりましたが、脱粉やバター、アンバランスな一面もあるのかもしれませんが、しかしこれは最大限の努力をいたしまして、適正在庫ということ等もあわせて、この限度数量というのは緊急輸入なんかじゃなくて、できるだけ需給に近づける努力をしていただきたいし、市場調査とかいろいろなこと等もあわせて、緊急輸入をしなければならないようなことじゃなくて、ひとつ対応を―今日これだけの気象状況やいろいろな科学技術の粋を集めていろいろな情報の流れておる中にありまして、毎年毎年大きな差異が出てくるなんていう、そんなことじゃ農林省はいかぬのよ。これはぜひひとつ限度数量等におきましても、ゆとりあるという言葉にありますように、適正に決定をいただきたい、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。
#184
○岩崎政府委員 加工原料乳の限度数量につきましては、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づきまして、生産者補給金を交付しても確保すべき加工原料乳の最高限度という考え方を基本に、生乳の生産事情なり飲用牛乳及び乳製品の需給事情、その他の経済事情を考慮して、畜産振興審議会の意見を聞いて決定するということになっておりまして、来年度の限度数量についても、来週の畜産に向けて、今後、生乳の生産の動向なり乳製品の消費動向等を見きわめながら、ぎりぎりまで十分検討してまいりたいというふうに考えております。
#185
○藤原委員 冒頭に申し上げましたけれども、最近、酪農家の離農というものが非常に、生産意欲減退ということもございますし、実体的な非常に窮状ということもございまして、これは地域差とかいろいろなことがございますが、それは規模とかなんかにもよるのですけれども、一般的に非常に厳しい状況にある、このように私も実感しますし、これは去年の秋からということになりますと、データ的にははっきりつかんではいないかもしれませんけれども、そういう状況にあることは当然で、この数年の間、大変に努力をしてきた。しかも北海道の根釧地域ですと、長い苦闘の歴史の中でようやく築いてきたものを離農しなきゃならぬということは、本当に忍びない。そういう大きな障害があって離農せざるを得ないということは、本人にとっても大変な決断であったろうと思います。
 政府としましても、固定化負債を初めいろいろな対策を講じて今日まで来て、ある程度何とか経営がやれるような状況になるのかと思っているところへ、また自由化の余波といいますか、そしてまたいろいろな変動が襲いかかってまいりました。
 第三十回の畜産振興審議会に対しまして、「最近における畜産の動向等について」の畜産局長の報告がございますけれども、この中にも、「酪農経営の動向についてみると、飼養戸数は零細飼養層を中心に引き続き減少しており(平成二年六万三千戸、対前年比五・一%減)、飼養規模の拡大は着実に進展している」また全国平均、平成元年三十・四頭が一戸当たり、これが二年に三十二・五頭、北海道におきましては平成元年は五十三・二頭、これが二年に五十六・五頭、このように報告をなさったようでありますけれども、ここにもありますように、必ずしも零細飼育層というのではなくて、北海道の場合はそんな零細というのはないわけですけれども、中間層といいますか、離農者が多いことは事実です。飼育頭数が多くなった、規模が拡大した、着実に進展している、こういう報告になっておるのですけれども、最近は必ずしも離農した人の跡地を利用するという状況にはございませんで、あるいは、さらにまた借金が膨らむようなことでは健全経営ができないということで、地元としても非常に苦慮しておるのが現実でして、零細なところならそれなりのことがあるのかもしれませんけれども、今日、二十年三十年努力してきた者が離農せざるを得ないということは、これはいろいろな経営上の問題もありますし、先ほどまたいろいろなデータ等でお話もありましたけれども、やはり根本的には、意欲や見通しのないというところに一番離農を決意させるものがあるのではないか、こう思うのです。こういう実態等について、それはもう規模拡大につながるのだからいいんだ、そんな考えはないだろうと思うのだけれども、どういう実態なのかというのをもう少し把握なさって、それに対する対応というものをお考えにならなければならないんじゃないかと思います。
 何せ日本の国、特に北海道におきましては、大規模だといいましても歴史的にたかだか二十年そこそこということですから、ヨーロッパのように百年二百年、長い歴史のあるところと違って、資本蓄積等も非常に弱い、こういう中でやっておるわけでありますから、先ほど来申し上げておりますように、ぬれ子の価格が下がる、老廃牛の価格が下がる、こういう、ちょっと一つの要素が崩れますと経営に大きなひびが入るという中で非常に不安定な経営を強いられる。その中で何とか安定的な基盤を築きたいということで参りましたが、どうしても、毎年毎年乳価の引き下げとともにもうこれ以上それを補うものはない、こういうことが私ども目にするところであります。これはぜひひとつ実態等を把握しまして、対応について真剣にお取り組みをいただきたいと思いますが、いかがですか。
#186
○岩崎政府委員 酪農家の戸数でございますが、ここ数年、成畜の一から九頭層の小規模層を中心として戸数が減少、成畜三十頭以上の大規模層の戸数の増加が同時に進行している。全体として大体年率四ないし五%の割合で減少してきたところでございます。大体そういう状況のことでございます。
 離農の状況につきまして、一つは、中央酪農会議が酪農経営を離脱した農家につきまして調査いたしております。経営離脱の要因としては、後継者不足というのが四十数%、また労働力不足、それから先行き不安、不慮の事故、負債問題、環境問題というようなことが挙げられております。私どもも最近時点で、何とか聞き取りでもということで農政局を通じまして聞き取り調査を行ったところでございますが、傾向的には大体そういうような状況になっております。
 このような離脱要因を踏まえながら、かねてから私ども一生懸命努力はしてきたところでございます。コスト低減なり経営体質の強化というものを図ることを基本といたしまして、飼料基盤の確保なり、乳肉複合の推進なり、改良推進によります乳量、乳質の向上なり、無利子資金の貸し付け等々の体.質強化を図る。
 また後継者確保なり、経営者の病気、事故等に関する対策といたしましては、酪農ヘルパー事業、新規就農の促進、農業後継者育成資金等々でございます。
 また、環境対策といたしましても、ふん尿処理機械、施設の総合的な整備、あるいは環境整備のための機械装置の貸し付け等々でございます。
 また、負債対策といたしましても、大家畜経営体質強化資金の貸し付け等々の各般の施策を講じてきたところでありまして、今後ともその充実なり強化を図ってまいりたいというふうに考えております。
#187
○藤原委員 これは基本的な大事な問題で、あすあさってということじゃないかもしれませんから、ひとつ長期的に見まして対応策、ここに参りますと、本当に現在まで努力してきた方々に対して最大の対応策というものを講じなければならぬ、そういうときではないかと私は思いますので申し上げておるわけでありますが、ひとついろんな角度から御検討いただきまして、対応策を御検討いただきたいと思います。
 先ほども同僚委員からお話がありましたけれども、酪肉近代化基本方針の見直し作業、これは諮問しているんですけれども、いろいろ難しいことがあるんだということは我々もわかるわけですが、しかし明確な一つの指針といいますか、そういうバックボーンがあってこそ使命感を持ち、また一次産業の方々につきましては努力の一つの目標というものがあるんだろうと思いますが、数値的なものを出しますとなかなか変動が大きいので答申というのは難しい、これはそういうことではならぬじゃないかと思います。農家の方から聞きますと、やはりこれから先々どうなるのかという不安感というものが非常に大きいわけですから、そういうものに対してきちっとした一つの指針となるバックボーン、こういうことで最大の努力を払って中間答申なり、また二次、三次いろんな手だてが必要、まあ一気にできることではないのかもしれませんけれども、やはり希望の持てるような方向性といいますか指針というものをお定めになることが大事じゃないかと思うのですが、現在の状況と今後の考え方をお聞きしておきます。
#188
○岩崎政府委員 酪肉基本方針の改定でございますが、現在酪肉振興法の定めるところに従いまして、生産コストの目標をどうするか、また生産振興の方向をどうするか、それから飼料作物の生産指標をどうするか、また流通の合理化等の項目について行っているところでございますが、特に大家畜生産をめぐる近年の情勢をかんがみまして、生産コストの目標の設定なり、飼料作物生産のための指標の作成が特に重要であるというふうに考えまして、これらの作業に重点を置いて、前広に検討を行っているということでございます。
 ただ、これらの作業につきましては、例えば生産コストの目標についてでございますが、将来その普及が見込まれます受精卵移植技術等の新技術、あるいは交雑種雌牛の繁殖利用なり、肥育雌牛の一産取り肥育等の新しい方式の普及定着の可能性がどうか、また、大家畜経営に対する土地集積及び粗飼料生産コストの低減の可能性がどうか、また、自由化後の輸入牛肉と国産牛肉との競合性の見きわめ等に関する基本データの収集、分析に手間取っている。
 それから飼料作物生産のための指標でございますが、今回の基本方針、これは新しく盛り込もうとしている項目でありまして、その考え方なり設定方法等、基本的なことから検討する必要があるというようなことから、非常に難しい作業であり、このため改定作業が遅延しているという状況でございます。
 また、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉が行われまして、昨年の十二月のブラッセルの閣僚会議では最終合意が得られず、継続協議となっているというようなことでございますが、これらの進捗状況も視野に入れる必要があるのではないかというふうにも考えております。
 いずれにいたしましても、私どもといたしましてもできるだけ早期に改定作業を終えたいということで、現在、一生懸命努力しているところでございます。
#189
○藤原委員 もう時間が来ましてこれで終わらなければなりませんが、今申し上げたこと、それを答弁しただけではなくて、その後をひとつしっかりフォローしていただきたいし、御検討いただきたいと思います。
 時間が過ぎてしまったのですが、最後に、指定食肉安定価格の適正な決定ということも生産者団体が今いろいろ要求していることでありますが、最近、自由化を目の前にいたしまして、ここのところずっと見ますと、乳用牛と和牛との価格差というのは、いい肉とそうでない肉との二極分化といいますか、そんな感じがするわけであります。こういうことで、指定食肉安定価格を決定するに当たりまして、合理化目標価格とか安定価格帯とか、こういう算定等におきまして十分配慮をいたしませんと、安定帯が下がるなどということになりますと農家の人はますます意欲を失うことになるのではないか。これは乳雄等については特に言えることなのですけれども、この価格算定等につきましてひとつ十分な御配慮をいただき、先ほど来申し上げておりますように、酪農家の方々が十年、二十年、三十年営々として築いてきたものを、意欲を失っていく、そしてまたせっかくの努力が水泡に帰すことのないようにひとつ適正な価格を御配慮いただきたい。このことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#190
○大原委員長 藤田スミ君。
#191
○藤田(ス)委員 私は、まず最初に、輸入牛肉の合成ホルモン剤の検査問題についてお伺いいたします。
 これは、今消費者にとって大変大きな不安になっています。一昨年、食料品消費モニター調査を行っておりますが、輸入牛肉に対する不安、そういう幾つかの点の中で、第三番目にホルモン剤が挙げられています。しかし、輸入時のチェック体制はありません。そして、トレンボロン、メレンゲステロール、ゼラノールなど、アメリカを初め諸外国で広範に使われている合成ホルモン剤がノーチェックで国民の口に入っているわけであります。ことしの四月から牛肉の輸入自由化が強行されようとしておりますが、事は大変重大だと思うわけです。この問題は行政監察でも、早急に残留実態調査を行うべきだと指摘されておりますが、厚生省、いかがでしょうか。
#192
○難波説明員 お答えいたします。
 雄牛の肥育時に使用されるホルモンの安全性につきましては、当該ホルモンが食肉中に残留するかどうか、また、その残留が人体に対してどのような影響があるかについて検討の上、評価する必要があるというふうに考えているところでございます。
 このため、厚生省といたしましては、食肉中の残留ホルモンの検査方法の開発をするとともに、昭和六十一年度より輸入牛肉についてゼラノール等肥育用ホルモンの残留実態調査を行っているところでございますが、現在までのところ、特に問題となるような残留は認められていない状況にございます。
 今後もこれらの残留実態調査を継続して行うことといたしておりますけれども、それらの結果及び安全性に関するFAO・WHO合同食品規格計画における検討状況等、国際的な評価の動向を見ながら、必要に応じて残留許容基準の設定等所要の措置を講じてまいることとしておるところでございます。
#193
○藤田(ス)委員 合成ホルモンが残留している輸入牛肉は検出されていないというふうなことですけれども、それは検査をする制度上の問題があって十分つかまえることができないからですよ。しかも、国際的とおっしゃいますが、ECではもう早くから、ECとアメリカとのホルモン戦争と言われるような大問題になりまして、今はECが担当官をアメリカに派遣をして、生産及び流通段階でホルモン剤があるのかないのかということを確認しながら証明制度をとって、その証明のあるものだけを輸入する、こういうふうに非常に厳格に行われているのです。なぜ我が国だけがそういうふうな体制をとれないのでしょう。
 私は、せめて輸入時には合成ホルモン剤については完全にチェックをしていく、そういうことをきちっとやるべきだと思いますが、もう一度お答えください。
#194
○難波説明員 お答え申し上げます。
 まず第一に、検出限界の御指摘でございますが、確かに昭和六十一年、六十三年、平成元年の調査におきましては検出限界は若干高うございました。したがいまして、現在実施中でございますけれども、平成二年のモニタリングにつきましては、プロジェステロンについては一ppb、メレンゲステロール、トレンボロン、エストラジオール、ゼラノール、DES等については〇・一ppbの検出限界ということで調査をしておりますので、十分に感度が上がったと理解しております
 それから、ECとアメリカとの牛肉のホルモンの使用をめぐる問題につきましては、直接私どもコメントする立場ではございませんけれども、それぞれの主張が違っていることは事実でございます。
 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、科学的な根拠に基づいて安全性の評価をした上で基準を決めていきたいということで、現在合成型につきましても、FAO、WHOで残留許容限度等についての検討が進められておりますので、それらの動向を踏まえながら我が国としても対処してまいりたいと考えております。
#195
○藤田(ス)委員 モニタリング調査というのは、輸入牛肉をどんどん上陸させて、そして商品はどんどん外へ出していきながら抜き取りでモニタリング調査をやるのです。だから、問題が起こってから追いかけていっても、品物がもう口の中に入ってしまってないというようなこと、これもまた行政監察の調査の中で明らかになっています。これはホルモン剤の問題だけではなしに、ほかの問題でも、だから、この際、こういうふうなモニタリング調査ということではなしに、きっちり水際で検査をする、そういう体制をとるべきだというふうに考えるわけです。このことは強く要望しておきたいと思います。後でお答えください。
 さらに、残留抗生物質の輸入時の検査、これもその前提になるのが諸外国の情報収集なんです。ところが、現在行われているのは、オーストラリア、アメリカ及びニュージーランドが入っておりません。豚肉についてはデンマーク、台湾及びカナダ、さらに鶏についてはアメリカが情報収集対象国になっていない。一番たくさん輸入されてくるそういう国を対象にしていない。これでは国民の健康は守れないじゃないか、直ちに改善をしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#196
○難波説明員 お答え申し上げます。
 動物用医薬品の使用状況に関する外国の情報処理につきましては、予算上の対象国としては先生御指摘のように三カ国となっているわけでございますが、アメリカでございますとかオーストラリア等の主要輸出国に関しましては、職員の出張時でございますとか、いろいろな問題があって定期協議の場がございます、これらの場を通じまして、平素からあらゆる機会を通じて情報収集に努めているところでございまして、今後も幅広く情報収集に努めてまいりたいと考えております。
#197
○藤田(ス)委員 一体どんな情報収集をやっていらっしゃるのですか。
#198
○難波説明員 お答えを申し上げます。
 まず、そういう物質についての使用の規制状況、使用の実態、それから輸出国でそういう残留調査をしているかどうか、あるいは輸出時の検査体制があるかどうかというようなことについて情報収集に努めております。
#199
○藤田(ス)委員 それは相手国に行ってじゃないのでしょう。そこへ行って調査をしているのですか、はっきりしてください。
#200
○難波説明員 従来から、今御説明申し上げました情報収集に努めるとともに、特に問題が生じた国については、相手国に対して原因の究明でございますとか残留を防止する排除対策についての実施を要請しておるわけでございます。そういう中で、実効性のある報告がなされない場合には実際に現地に参りまして、協議でございますとか調査をするという体制で進めておるところでございます。
#201
○藤田(ス)委員 結局行ってないのですよ。情報収集はまさに机の上でしているのです。だから逆に言えば、予算はこういう今指摘したような国々を対象にしていないけれども、情報収集はやっている、あなた方はそういうふうに言われるのです。また、そういうふうな情報収集の範囲しかやっていないのです。しかし実際には、見ると聞くとでは大違いなのですよ。
 私は、やはり相手国に行って本当に的確に情報をキャッチする、そういう対応をしなければならない、こういうことを言っているわけです。
#202
○難波説明員 言葉足らずなお答えで申しわけなかったと思うのでございますが、特に最近、輸入の食肉についていろいろな残留問題がございましたので、昭和六十二年度にはオーストラリア、六十三年度にはアメリカ、台湾、韓国、タイ、それから平成元年度には中国、デンマーク、カナダ、ニュージーランドに職員を派遣して協議をするとともに現地調査もさせているところでございます。
#203
○藤田(ス)委員 この問題ばかりしていることはできませんけれども、しかし、今おっしゃったのもやはり十分な取り組みの上でなされていることじゃないのです。だから、予算上も遠慮することなく、国民の健康を守るんだという立場で堂々と要求していけばいいのですよ。私たちも、またここにいる先生方もみんな応援をしてくださると思うのです。そうでなければ輸入の自由化だけが先行されて、合成ホルモン剤の問題も残留抗生物質の問題も何一つ消費者の不安は解決しないじゃありませんか。私は厚生省に強くそのことを申し上げて、次の質問に入っていきたいと思います。
 乳価の問題がけさほどからたくさん出ておりました。私は、最初に二点お伺いいたします。
 日本政府はガットに対するオファーリストで、国内保護はAMSによって八六年から九六年の十年間で三〇%削減する。ただし、輸入割合と生産調整を考慮して削減幅を圧縮する。九〇年から九六年における牛乳・乳製品の削減幅は、したがって八・六%となっています。しかし、このような考え方をことしの乳価に持ち込んでいくということは決してあってはならないと考えるわけです。この点いかがですか。
 もう一つの問題は、本来乳価というのは農民に製造業者並みの労働報酬を保証することがその基本に据えられなければならないと考えるわけです。また、飼料の作物労働についても労働は同一者によるものであって、酪農経営は牛づくり、草づくりから成り立っています。粗飼料の質によって年間の乳量が決まるという点では極めて知的な労働であり、そしてまた肉体的にも非常に激しい労働であります。当然飼料作物労働も飼育労働と同一賃金で評価するべきではないか、こう考えますが、二つの問題についてお答えください。
#204
○岩崎政府委員 ウルグアイ・ラウンド農業交渉におきまして、昨年七月の貿易交渉委員会での合意を踏まえまして、各国が昨年十月十五日までにオファーを提出するということになり、我が国も酪農の国内支持に関しましては、一九八六年を基準といたしまして一九九六年までに、保護、支持の水準であるAMSを三〇%削減するというオファーを提出したところでございます。
 しかしながら、既に先生御存じのようにガット・ウルグアイ・ラウンドにつきましては、昨年のブラッセル会議におきましても輸出国同士の対立というようなこともありまして今日に至っておりまして、具体的にそういうようなことがまだ論議される段階ではございませんで、これからでございます。
 ただ、国際的な農業保護削減の動きというものにつきましては十分念頭に置いていく必要はあるというふうには考えておりますが、今回の保証価格の算定に当たりましては、不足払い法に基づきまして、生産費調査の結果を踏まえて、その他の経済事情も考慮しながら、畜産振興審議会の意見も聞いて適正に決定してまいりたいと考えております。
 それからもう一点、飼料作物労働のことでございます。飼料作物労働につきましては、他の畑作物の行政価格における労働と同様に、農村雇用労賃を物価修正して算出しているというところでございます。
 一方、飼育管理労働につきましては、その労働が年中無休であり拘束的であるという特殊性に着目いたしまして、主要加工原料乳地域における製造業五人以上規模労賃で評価している、特別に扱っているということでございます。
#205
○藤田(ス)委員 アメリカでも関税率ゼロを提案しながら、それでいて農業輸出補助金を大幅にふやすということをやっているのです。我が国だけがそういうふうな問題を十分念頭に置いてなんというのはいかにも理屈に合わない話じゃありませんか。ここは日本の農水省なのですから、日本の酪農民の立場に立って事を考えるべきです。
 私は、所信質疑でも触れましたけれども、先ほどからも指摘されておりますように、四月からの牛肉の自由化を目の前に控えてぬれ子や乳廃牛の価格が大暴落しています。北海道では一戸平均百万円以上、多い人なら六百万円を超える赤字が出てきていて、ことしの営農計画さえ立てられないという状況が生まれてきているわけです。このような事態が起こるであろうということは、私どもは八八年の牛肉自由化を認めた牛肉二法案の国会審議の際にも厳しく指摘をしていました。今農民は、一度自由化されたらどうなるか、そのことを厳しく見守っているのです。
 そこで、私は再度お伺いいたしますが、生産費調査期間後の大暴落であって、今後も価格の低下が予想されるわけですから、そういう実態をきちんと反映させることを明確に約束していただけますか。
#206
○岩崎政府委員 保証価格でございますが、またぬれ子価格についてもそうでありますが、私ども牛乳生産費調査の結果等を踏まえまして、その他の生産資材の価格なり労働時間なり一頭当たり乳量の増加等々いろいろな要因も考慮しながらこれは算定されるものでありまして、現在これらのデータに基づいて検討を行っているということでございます。
#207
○藤田(ス)委員 きょうは大臣お見えじゃないですが、政務次官、この前の私の質問に対して大臣はこうおっしゃったのです。自由化が始まる「初年度、混乱をしないような、諸条件を勘案しながら決定をさせていただきたいと思います。」諸条件を勘案して混乱しないように価格を決定する、これが大臣の御答弁でありました。
 私は、当然事務方もこの大臣の意思を受けて価格決定に臨むべきだと思いますが、その点についてもう一度重ねて質問をいたします。
#208
○杉浦(正)政府委員 大臣のおっしゃられたことも、結局は適正に決定させていただくということに尽きるのではなかろうかと思います。
#209
○藤田(ス)委員 適正という言葉ほど、いいかげんなものはない。きょうは理事会で附帯決議を上げるときにもそのことが大いに論議されたのです。そして附帯決議の中では適正という言葉を抜いて、そして今日のぬれ子や乳廃牛の価格の低下という言葉を使っていますが、低下をしている中で、そういう乳価の価格については、適正ではなく酪農家がそういう実態の中で本当に再生産を図れるように価格を決めていくべきだということを附帯決議の中にうたっているわけであります。だから私は、重ねて、大臣も適正というふうにはおっしゃっておりません、諸条件を勘案しながら決定する、こう言っているわけですから、諸条件を勘案しながら決定をしていただきたいと思います。
 次の問題ですが、これもけさほどから何度も問題になりました、酪農家が価格とともに心配しているのが限度数量の問題です。これまで限度数量は八七年度に二百十万トン、八八年度に二百二十五万トン、八九年度は二百三十万トン、九〇年度は二百三十五万トンと推移をしているわけですが、一方国産乳製品の在庫の推移をみますと、八七年度が脱脂粉乳が一・四カ月、バターが一・八カ月、八八年度は一・五カ月と二・二カ月、八九年度が二・二カ月と二・三カ月、九〇年度がそれぞれ一・五カ月前後、こうなっています。このような在庫水準の中で需要変動により在庫がしょっちゅう底をついて、八八年度にバター、脱脂粉乳合計で四万六千トン、八九年度には一万六千トン、九〇年度には一万二千五百トン輸入が行われているわけであります。このことは、現在の在庫水準が需要変動に耐えられるような適正なものではなくなっている、見直しが必要だということを示しているというふうに考えるわけです。そのために、限度数量を引き上げてゆとりのある生産体制にする必要がどうしてもあります。この点についてお答えください。
#210
○岩崎政府委員 ただいまの限度数量のお話でございますが、限度数量につきましては、生産者補給金を交付しても確保すべき加工原料乳の最高限度という考え方を基本にいたしまして、生乳の生産事情なり飲用牛乳及び乳製品の需給事情その他の経済事情を考慮しまして、畜産振興審議会の意見を聞いて決定するということになっております。来年度の限度数量につきましても、畜産振興審議会の意見を聞いて適正に決定してまいりたいというふうに存じております。
#211
○藤田(ス)委員 あなた方いつでも何か自分の責任でないみたいな言い方をされますが、そんなことは許されませんよ。そして、この限度数量によって実際に酪農家がどんなひどい目に遭っているかそういう実態をもっと本当にリアルにとらえていくべきだというふうに思うのです。
 私はここに一人の酪農家の訴えを持っていますが、北海道の浜頓別町の酪農家は、
  九〇年には前年対比で二・五%の増産しか認められず、年度末が近づくと増産に励んできた農家にたいしては「ペナルティをかけるぞ」「来年の枠を減らす」といった脅しがかけられました。そのため二束三文で初妊牛や経産牛を処分したり、エサ給与制限によって病気が多発するという事態が生まれました。
  牛乳が余っているといって乳価を下げ、減産政策を進め、乳製品が不足したといっては輸入を拡大する自民党政府のやり方に、農民の怒りは頂点を通り越しています。
こういうふうに言っているのです。わかりますか、その気持ちが。私は、こういう農民の気持ちにこたえてぜひとも限度数量の見直しを行っていただきたいということを申し上げておきます。
 時間が限られておりますので、最後になりましたが、もう一つの問題で、先ほどから離農対策の中でも言われておりました酪農ヘルパーの問題です。これはヘルパーを定着させるためにどうしてもやらなければならないことは、ヘルパーの責任に帰属する事故の補償保険を補助事業の対象にするべきだという問題であります。これは後でお答えください。
 そしてもう一点、これは大きな問題ですが、輸入自由化の問題について、乳製品、でん粉の自由化問題ではガット理事会でガット二十二条に基づく関心国協議をアメリカ政府は申し入れたというふうに伝えられています。しかし、このアメリカの対応というのは、八八年の七月二十一日に日米間で合意した農産物十二品目の問題に関する合意内容と明らかに反するものなんです。この合意内容は、八月三日の日に書簡の中にしたためてそして交換されている厳然としたものです。ところがアメリカ政府のやり方は、平たく言うとアンフェアなやり方で、こういうふうな関心国協議という申し入れをしています。私は当然日本としてアメリカ政府に厳しく抗議をしてしかるべきだと考えますが、政府の対応を明らかにしてください。そしてまた、二国間であろうと多国間になろうと、ミニマムアクセスも含めて一切自由化に応じない、乳製品、でん粉の自由化は、ミニマムアクセスも含めて一切自由化に応じないという基本を再度明らかにしていただきたいと思います。
#212
○川合政府委員 日米間のこの問題に対します協議は、三月二十二日に行うことになっております。今お話しの複数国間の問題でございますが、これにつきましてはアメリカとの協議を踏まえまして検討してまいりたいと思っております。
 この点につきまして今、日米合意に反するのではないかというお話がありましたが、この点については日米合意には何ら触れられておりませんので、反するということにはならないのではないかと思います。ガット二十二条で、ガットの運用に関するいかなる事項についても協議を要請することができるということになっておりまして、それは好意的な考慮を払わなければならないということになっておりますので、先ほど申しましたように、これを受けるかどうかはこれからの問題でございますが、反するというようなことではないと思っております。
 繰り返しますが、まず日米間の協議を二十二日に行い、その上で今の点については検討してまいりたいということでございます。
 それから、この協議に対応する態度は、従来も申し上げておりますように、十一条問題に関しましては今ウルグアイ・ラウンドで明確化を主張し協議をしているところでありますので、これを踏まえて対応するということを主張したいと思っております。
#213
○岩崎政府委員 事故の問題でございますが、これは直接的な補償に要する経費の問題でございまして、当事者であります利用組合あるいは利用農家等の負担によって行われるべきものだというふうに考えております。
 ただ、ヘルパー作業中の事故に対する責任の所在等、その取り扱いが不明確なケースが多発いたしますと、事故が生じた場合の不安から農家の利用意欲なり、ヘルパーの就業意欲の双方に影響を与えるのではないかということが懸念されるところでございまして、事故が生じた場合の取り扱いを明確にするための推進会議の開催や事故の認定に要する経費につきましては、助成対象としているところでございます。
#214
○藤田(ス)委員 時間が過ぎましたのでこれで終わりますが、重ねて、ミニマムアクセスも含めてでん粉、乳製品の輸入自由化を行ってはならない、その点では、日米合意に含まれていないからという政府の見解は、私は大変不満であります。
 ヘルパーの定着のためにぜひともこういう補償制度を定着させていただきたい、このことをお願いしまして、私の質問を終わります。
#215
○大原委員長 小平忠正君。
#216
○小平委員 私からも、今回の畜産物価格等の問題も含めてですが、今藤田委員からも質問がありました、このウルグアイ・ラウンドに向けてのことでまず冒頭にお伺いしたいことは、この三月十四日付けの新聞等にも報道されておるのですが、ウルグアイ・ラウンド農業交渉へ向けて、政府・自民党の対処方針が明らかになってきている、そういう報道がされております。これについて、「コメ市場の部分開放につながる最低輸入義務(ミニマムアクセス)の設定案も全面的には否定せず、「議論には応じていく」と柔軟な姿勢を示しており、」こう伺っております。
 しかし、そこで私は先般も近藤農水大臣に、いわゆる所信表明の後質問したのでありますけれども、この米市場開放反対ということは、全党が過去三度も国会決議をしておるという、こういう経緯があります。この中で、これは方向転換がされるとするならば非常に大きな問題でありますので、この点についてまず大臣にお伺いをしたかったのでありますが、きょうは欠席のようでありますので、政務次官、これについて御方針が変わったのかどうか、政府の御見解をお伺いしたいと思います。
#217
○杉浦(正)政府委員 私からお答え申し上げます。
 日本経済新聞の報道につきましては、そういう報道がなされたということは承知しておりますけれども、報道の内容のような対処方針を決めた事実はございません。従来の基本的立場に変更はございません。
 米につきましては、米及び水田稲作の格別の重要性にかんがみまして、国会における決議等の趣旨を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいることに変わりはございません。
#218
○小平委員 そうしますと、今政務次官おっしゃいましたように、従来からの方針には何ら変わりがない、そういうふうに明確に私ども受けとめてよろしいということでございますね。
 それでは、この後、今後の日程等の問題なのですが、今アメリカでは、米議会ではいわゆるファーストトラック、この延長についての可否が逐次決まると思うのですが、その後欧米が妥協に動いていくような、そういう気配も感じられます。そして、その後六月のOECDの閣僚会議理事会等を経て、七月のロンドン・サミットが大きな山場ではないか。そのときには我が国もこの四月の統一選挙が終わっている。
 そういう中で、これらの外交スケジュールに合わせて政府当局はどのようなスケジュールをもって対応していくのか、それについて、経済局長ですか、ひとつ御方針をお伺いしたいと思います。
#219
○川合政府委員 現在、ウルグアイ・ラウンドは再開されまして、技術的問題について先週議論が行われたところでございます。こうした技術的問題についての会合が、今のところ決まっておりますのは四月中旬にやるということだけでございまが、一、二回、あるいはその後一、二回は、あるいは二、三回ということになるかもわかりませけれども、少なくともこうしたものが行われることになろうかと思います。その前後に、今お話がありましたファーストトラックの期限が、五月いっぱいということでございますので参るわけでございます。
 ウルグアイ・ラウンド、御承知のように何と申しましてもアメリカ、ケアンズ・グループとECとの輸出補助金の問題が一番大きな問題でございまして、これについてどういうふうな、今妥協という言葉を先生お使いになりましたけれども、お話し合いあるいはまとめが行われるかということにかかっているわけでございまして、何よりもこの点を私ども注目していかなければいけないと思っております。現在会議が始まったところでございますので、その見通しを云々することは非常に難しい段階でございまして、今の状況としては、そこのところに一番注意をすべきだということを申し上げさせていただきたいと思います。
 なお、OECDの閣僚会議あるいはサミットというものが入ってまいりますが、もちろんここでウルグアイ・ラウンドについての協議が行われることはあろうかと思いますが、何と申しましても実質的な協議はウルグアイ・ラウンドでございますので、それを促進するようなそういう協議というものはあろうかと思いますが、やはりウルグアイ・ラウンドの中のアメリカ、ECの動きというものが今後注目すべきところであるし、私どもも注意し、それによって対応をしていかなければいけないというふうに考えております。
#220
○小平委員 私は、最近のアメリカあるいはECのいろいろな変化に応じて我が国の政府の方針が、従来からお米については基礎的食糧、いわゆる食糧安保論という基本的な姿勢で対処してきたものでありますけれども、それが大方針というか、そういう基本的な姿勢というものが今後とも変わらずに、そして今後その具体的な状況に応じて対応してもらいたい、こういうふうに思うのであります。そうしないと、いわゆる現場生産農家では、非常に不安定といいますか、将来に向かっての希望をなくしてしまう、そんなおそれが大でありますので、もちろん外交は相手があってのことでありますけれども、そういう中でも我が国の主張すべき点はきちんと基本的なことは変えずに進めてもらいたい、このように希望しますので、局長、重ねてそこのところ、どうでしょうか。
#221
○川合政府委員 今後のスケジュールを含めて状況のお尋ねでございましたので、それのみお答えいたしましたが、私どもといたしましては、日本の主張する立場というものは既に従来から何度かお話し申し上げておりますし、この基本方針を踏まえて対応していくことには変わりはございません。
 問題のECあるいはアメリカの輸出補助金をめぐる問題は、日本のような輸入国の立場と全く違う問題でございますので、日本は日本としての立場を主張すべきであるというふうに考えております。
#222
○小平委員 次に、脱脂粉乳とでん粉、この輸入数量制限に関しての、これについて来る二十二日からワシントンで日米協議が開かれることが決まったようでありますけれども、我が国はこのガット十一条に関してはウルグアイ・ラウンドの場で見直すべきであるとの主張を従来からしているところでもあります。そういう意味では、二国間で協議をし、解決に持っていくということが一番ではないか、こんなふうに思うのでありますが、私は、我が国の酪農、いわゆる畑作を守るためには、米国の自由化圧力に屈せずに頑張っていってもらいたい、このように強く願うのであります。
 そういう意味において、近々始まるこの日米協議の見通しについて、いかがでしょうか、基本的なところをお伺いしたいと思います。
#223
○杉浦(正)政府委員 私からお答えを申し上げます。
 脱脂粉乳とでん粉に関する日米協議が二十二日から開催されることは御案内のとおりでございまして、この点につきまして再三この委員会の審議を経まして、局長の方から御説明、御答弁申し上げたとおりでございます。
 御承知のとおり、両件ともに昭和六十三年のガットのパネルにおきましてガット違反とされた、いわば敗訴をした事案でございますが、その内容につきまして私どもとしては承服できない基本的な問題でございましたので、その後のウルグアイ・ラウンドの交渉におきましても十一条二項の解釈の明確化を提案して話を続けてまいっておるところでございます。
 委員御指摘のとおり、従前とも明確に主張すべきところは主張してやってまいっておりますし、その点につきまして今後とも明確に主張していくところは主張してやってまいる所存でございます。
 しかしながら、米国は、アメリカはウルグアイ・ラウンドにおきまして十一条二項自体の廃止を主張しておるというのが実情でございます。本年二月のガット理事会におきまして、双方につきましての日米の合意事項があるわけでございますが、平成二年の適当な時期に協議を行うという事項があるわけでございますけれども、この合意期限切れ後におけるガットとの整合のとれた措置の実施を求めて、アメリカが再協議を提案してきたところでございます。
 合意事項にございますので私どもは協議に応じたわけでございますが、私どもといたしましてはウルグアイ・ラウンド交渉におきまして、我が国の提案につきまして関係者の理解を得るように努力したところでございますが、日米再協議におきましてもウルグアイ・ラウンドの結果を踏まえまして対応を考えるという基本方針で、最善の努力を尽くしてまいる所存でございます。
#224
○小平委員 平成三年度の畜産物価格、これらについてお伺いいたしますが、我が国のいわゆる酪農、畜産は、国民食生活のいわゆる高度化といいますか多様化による需要の増大を背景として非常に順調に発展を遂げてきていることは事実でありまして、特に農業総生産額のうち、最近では酪農、畜産の割合は大体三〇%ぐらいまで占めているのではないか、我が国農業において穀物、いわゆるお米等に次いで大きな比重を占めるそういう基幹的な産業にまで成長をしてきておる。しかし、経営の中身、実態は、私、北海道の人間でありますけれども、本当に厳しいなんというのを通り越したいわゆる悲惨な状況にあります。
 そういう中で、本年四月からの牛肉の輸入自由化を前にして、経産牛やいわゆる子牛価格が非常に低落しており、あわせてウルグアイ・ラウンドの交渉経緯によっては全く予断を許さない、そんなふうに思えるのでありますけれども、我が国の酪農家、畜産家は将来に向かって大変な不安を抱えての毎日の、特に農業の中でもこの酪農、畜産というものは非常にハードな、いわゆるヘルパー制度が必要だということは、なぜかというと非常にもうからないけれども、労力といいますかハードな分野であります。そういう酪農家が非常に不安を強めているのが実態だと思います。そういう中で、我が国の酪農畜産農家が健全な発展を遂げていくためには、もちろん生産者や農業団体の自助努力は必要でありますけれども、将来に向けて政府の、国のきちんとした政策が必要だと思います。そういう意味においては、その責任は大であると思います。
 そういう中で、今、今年度の加工原料乳保証価格が決まってくるわけでありますけれども、これについてはどのように持っていかれるのか、これをまずお伺いしたい。
 それと、時間もありませんので続けてお伺いいたしますが、近年、これにあわせて、今申し上げましたように子牛の価格が低落している、こういう中で生産農家も非常に意欲を減退してきている。そういうところで、これらについても適正な価格が設定されることが必要だと思います。いわゆるこれは加工原料乳保証価格のことでありますけれども、それとあわせて肉用子牛の保証基準価格、これについてもお伺いしたいのでありますが、これは肉用牛の生産条件とか経営という実態は、今申し上げたような状況で、非常に厳しいものがあります。そういう中で再生産の確保を図ることはもとより、生産者が安心して生産拡大ができるようなそういう適正な価格の設定をするということ、それと、輸入牛肉に十分に対応し得る、こういう形に持っていってあげることも必要であるかと思います。その意味において、この問題について政府のお考えをお伺いしたいと思います。
#225
○岩崎政府委員 加工原料乳の保証価格につきましては、牛乳生産費調査の結果を踏まえまして、ぬれ子価格なりそのほか配合飼料等の生産資材の価格なり労働時間や一頭当たり搾乳量の増大等のいろいろな要素に基づきまして、現在算定作業を進めているところでございまして、今後畜産振興審議会の意見を聞いて、三月末までに適正に決定してまいりたいというふうに存じております。
 また、畜産物価格でございますが、今の牛肉の自由化を控えまして、ぬれ子が下がっているということでございますが、先ほどのことの中で言いましたように、肉用子牛の再生産を確保することを旨として、畜産振興審議会の意見を聞いて三月末までに適正に決定したいと思っております。
#226
○小平委員 局長、最後のところがよく聞き取れなかったのですが、私は前にこの話をお伺いしておりませんので、そこのところは、前の委員の方の質問のことは私には関係ありません。私が質問しているのであります。
 そこで、最後のところがちょっとよく聞こえなかったのですが、もう一度。
#227
○岩崎政府委員 肉用子牛につきましても、同様に三月末までに畜産振興審議会の審議を経まして適正に決定してまいりたいと思っております。
#228
○小平委員 非常に抽象的な御答弁で、適正なとか、そういう経緯を経てということで、これは従来からの御答弁の繰り返しだと思うのですけれども、要するに生産農家が来年も、農業というのは一年のサイクルで、同じ繰り返しであります。言ってみたら単調な仕事の繰り返しなわけですね。いわゆる基本的な分野の仕事であります。その皆さんが安心して後継者に託してやっていける、そういう農業を開いていけるように、そこのところを念頭に置いてやってもらいたい、このように強く思うのであります。
 時間もありませんから最後にもう一点、これに関連したことなんですけれども、加工原料乳の限度数量のこともお聞きしたいのでありますが、いわゆる生産調整を課せられている、しかし昨年は、バター、脱脂粉乳等々不足をして緊急輸入という措置をとられました。こういうことは何を意味するかというと、やはりこの限度数量を余り厳しく、タイトに締めつけないで、農業というものは非常に天候、いろいろな面に左右される産業であります。したがって、本年度はこの限度数量を大幅にふやすのはどうでしょうか、このことをどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
#229
○岩崎政府委員 三年度の限度数量についてですが、これからの生産がどういうふうになっていくのか、それから来年度の需要動向がどのようになるのか、またバターと脱脂粉乳の生産関係がどのように推移していくのか等々、いろいろな要素を考慮しながら現在検討しているところでございまして、これにつきましても年度末までに畜産振興審議会の意見を聞きまして、適正に決定してまいりたいと思っております。
#230
○小平委員 終わります。
     ────◇─────
#231
○大原委員長 この際、東力君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の共同提案による畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。有川清次君。
#232
○有川委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合を代表して、畜産物価格等に関する件(案)の趣旨を説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    畜産物価格等に関する件(案)
  我が国農業の基幹的部門である畜産業は、牛肉の輸入自由化が間近に迫る中で、需給の不均衡、畜産物価格の低下など一段と困難な環境にある。
  よって政府は、平成三年度畜産物価格の決定に当たっては、右の環境を十分認識し、左記事項の実現に努め、消費者に対する畜産物の安定供給と畜産経営の健全な発展に万全を期すべきである。
     記
 一 加工原料乳保証価格については、昭和五十四年度以来十年余の長きにわたり生乳の計画生産を行っている現状を踏まえ、また、最近における副産物価格の低下等を考慮し、生乳の再生産が損なわれることのないように決定すること。
   加工原料乳限度数量については、最近における特定乳製品の需給の動向等を踏まえ適正に決定すること。
 二 豚肉・牛肉の安定価格については、再生産の確保を図ることを旨として、経営の安定が図られるよう適正に決定すること。特に、牛肉の安定価格については、肉用子牛合理化目標価格を考慮することにより急激な変化が生じないよう、措置をすること。
 三 肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家の再生産の確保を旨として適正に決定し、合理化目標価格については、我が国の肉用子牛生産の実態を十分に踏まえ適正に決定すること。
   また、肉用子牛生産者補給金制度への加入が促進されるようさらに指導を強化すること。
 四 近く予定される粉乳・れん乳等の基幹的乳製品に関する米国との再協議に当たっては、今後とも国内供給を基本とし、現行輸入数量制限措置を継続する方針を堅持すること。
   また、本年四月からの牛肉の輸入自由化に当たっては、輸入の動向に最大の注意を払い国内の畜産業に悪影響が及ぶことのないよう、対応に遺憾なきを期すること。
 五 農業の国際化に対応し、かつ、消費者のニーズに合った畜産物を供給するため、生産、流通、消費に至る各段階のコスト削減と効率化をさらに促進するとともに、安全性の確保に努めること。また、国産畜産物の需要拡大策を推進すること。
 六 畜産経営の安定と発展を図る上で環境問題の重要性が増している実情にかんがみ、環境保全対策を推進すること。
   また、豚のオーエスキー病に対処するため、ワクチンの早期実用化を始めとする防疫対策、清浄種豚の円滑な流通の促進対策等を推進すること。
  右決議する。
 以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
#233
○大原委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 東力君外四名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#234
○大原委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。
 この際、ただいまの決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。杉浦農林水産政務次官。
#235
○杉浦(正)政府委員 ただいまの御決議につきまては、その趣旨に従い、最近の畜産をめぐる厳い情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。以上。
#236
○大原委員長 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#237
○大原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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