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#1
第120回国会 大蔵委員会 第8号
平成三年二月二十八日(木曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 平沼 赳夫君
   理事 尾身 幸次君 理事 大石 正光君
   理事 田中 秀征君 理事 村井  仁君
   理事 村上誠一郎君 理事 中村 正男君
   理事 早川  勝君 理事 日笠 勝之君
      浅野 勝人君    井奥 貞雄君
      石原 伸晃君    岩村卯一郎君
      衛藤征士郎君    狩野  勝君
      河村 建夫君    久野統一郎君
      戸塚 進也君    萩山 教嚴君
      林  大幹君    細田 博之君
      前田  正君    御法川英文君
      柳本 卓治君    山口 俊一君
      山下 元利君    小野 信一君
      大木 正吾君    佐藤 恒晴君
      沢田  広君    仙谷 由人君
      筒井 信隆君    富塚 三夫君
      細谷 治通君    堀  昌雄君
      渡辺 嘉藏君    井上 義久君
      宮地 正介君    正森 成二君
      中井  洽君    菅  直人君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君
 出席政府委員
        内閣参事官
        兼内閣総理大臣
        官房会計課長  荒田  建君
        防衛庁長官官房
        長       日吉  章君
        防衛庁防衛局長 畠山  蕃君
        経済企画庁調整
        局審議官    土志田征一君
        経済企画庁調査
        局長      田中 章介君
        外務省北米局長 松浦晃一郎君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   渡辺  允君
        外務省経済協力
        局長      川上 隆朗君
        外務省条約局長 柳井 俊二君
        外務省国際連合
        局長      丹波  實君
        大蔵政務次官  持永 和見君
        大蔵省主計局次
        長       小村  武君
        大蔵省主税局長 尾崎  護君
        大蔵省国際金融
        局長      千野 忠男君
        農林水産省畜産
        局長      岩崎 充利君
        通商産業省通商
        政策局次長   麻生  渡君
        通商産業省貿易
        局長      堤  富男君
        中小企業庁次長 西川 禎一君
 委員外の出席者
        参  考  人
       (日本銀行理事) 福井 俊彦君
        大蔵委員会調査
        室長      兵藤 廣治君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十八日
 辞任         補欠選任
  中西 啓介君     御法川英文君
  柳本 卓治君     山口 俊一君
同日
 辞任         補欠選任
  御法川英文君     中西 啓介君
  山口 俊一君     柳本 卓治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案(内閣提出第四九号)
     ――――◇―――――
#2
○平沼委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮地正介君。
#3
○宮地委員 最初に大蔵大臣に、今回イラクが、停戦を条件といたしまして賠償、領有権の放棄、こうした新たな提案をいたしました。アメリカにおきましても、この提案については拒否の回答をしたとも言われております。しかし、本日午前十一時にはブッシュ大統領の声明が発表されるとも言われておる。大変今重大局面に差しかかっているわけでございますが、政府として今回のイラクの新提案、そしてこの推移、こうしたものについてどういうふうにお考えになっているか、現段階での大蔵大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
#4
○橋本国務大臣 今、私の手元に参っておりますものから申しますと、現地時間の二十七日、日本時間の二十八日でありますが、イラク政府が国連に対し、アジズ外相から安保理の議長あての書簡をもちまして、停戦と対イラク経済制裁等に関する決議六六一、六六五、六七〇の撤廃を条件にして、安保理決議六六二及び六七四を受諾する用意のある旨を通報したということであります。
 我が国としては、イラクがクウェート併合無効を宣言する決議六六二及びクウェート侵略及び占領によってもたらされる損害に対するイラクの賠償責任を確認する決議六七四、これを受諾する用意がある旨を表明したことは極めて注目すべきことだ、こう考えております。
 しかし、国際社会の要請というものが、安保理決議六七八にありますとおりに、すべての安保理決議というものが実施され、湾岸地域における国際の平和と安全が回復されることにあり、経済制裁の解除を条件として一部の安保理決議のみの受諾の意図を表明するイラクの態度というものに対しては、国際社会の要請を完全に満たしているものではないということも言わなければなりません。我々としては、イラクがすべての安保理決議というものを明確に受諾することが必要であると考えており、現在ワシントンにおける、またニューョークにおける我が国の代表であるそれぞれの大使が鋭意努力中という報告を受けております。
#5
○宮地委員 アルアンバリ・イラク国連大使が二十七日の昼前、アメリカのCNNテレビに対しまして、イラクは国連安保理の十二の決議すべてを受諾した、このように語ったと言われております。また、同大使は、この後デクエヤル国連事務総長との会見に向かう途中、記者団に対し、この決定がイラク政府最高機関によって行われたと述べるとともに、もちろん幾つかの決議については既に実施に移されており、クウェートからの撤退も既に完了していると強調した。イラクは、イラクの国連大使を通じて十二の決議を受け入れることを承諾した。
 こうなりますと、まさにアメリカの要求に合致するわけでありまして、恐らくこれが正確なものであり、また、イラクの最高機関によっての決定事項であるということが確認されれば、恐らく十一時、ブッシュ大統領は停戦に踏み切らざるを得ないのではないか、こういう感じをするわけでございますが、日本政府にとっても非常にスピーディーな情報の収集と、こうした対応に対して積極的な政府声明をすべきではないか、こう思うわけでございます。この点についての情報確認をまず外務省、どの程度されておるのか、また、この点について大臣の表明を伺いたいと思います。
#6
○橋本国務大臣 外務省事務当局から補足をしていただくことを前提にして、私からもう一点申し上げたいと思います。
 今、委員からお話がございましたが、国連の安全保障理事会は日本時間の二十八日午前六時十分から七時五十分まで、アジズ・イラク外相から安保理の議長に提出をされました安保理決議受諾に対する書簡というものを検討するための非公式会合が開かれたということであります。
 その書簡の骨子として、現在私どもがわかっておりますことは、まず第一点が、イラク政府が安保理決議六百六十の完全履行を再確認をする。第二点目が、イラク軍は一九九〇年八月一日以前の地点への撤退を開始しており、数時間のうちに完了する。また、もし安保理が即時停戦、すべての敵対行為の停止の決議を採択し、安保理決議六六一、六六五、六七〇の三決議がその採択の基礎がもはや存在しないため効力を失うとされるなら、イラク政府は安保理決議六六二及び六七四の履行に合意する。ちなみに、六六一は経済制裁、六六五は海上封鎖、六七〇は空域封鎖であります。六六二はクウェートの併合無効及び六七四は損害賠償であります。イラク政府は、停戦成立後、遅滞なくすべての戦闘捕虜の解放、本国送還の用意があることを確認する、これが文書の内容と言われております。
 これに対し、審議の結果、安保理の議長からイラクの国連大使に対し、安保理が審議を開始するためには、以下をイラクが受け入れることが必要な旨、申し入れることが決定された。一つは、安保理決議十二本を無条件に受諾する。二つは、四十八時間以内に戦争捕虜を解放する。三つは、四十八時間以内にイラクが連れ去ったとされているクウェート人を釈放する、この三点であります。この骨子の中に、既に戦時捕虜の解放はうたわれておりますし、十二本が無条件とは言えないまでもその大宗について受諾の方向は出ておりますようですから、残りますものは、イラクがクウェートから連れ去ったと言われているクウェート人を解放するということについての回答であろうか、そのように思います。
 私もこれによって本当に停戦が実現することを心から願っておりますが、なお外務省から補足する部分がありましたら、補足をすることをお許しをいただきたいと思います。――特にないそうです。
#7
○宮地委員 まあいずれにしましても、今回、イラクがクウェートに侵略した昨年の八月二日以来、世界が大変にこの問題に注目をしてきた一つのけじめの時期がやってきているのではないか。いよいよ日本としてもこの停戦後、戦後の復興に大いに今度は役立つ、国際貢献をする、やはりそういう時の到来を感じざるを得ません。
 そういう点で、まず私は、去る二月二十二日にブッシュ大統領がアメリカの議会に提出をされました補正予算百五十億ドル、これに伴うところの附属文書の問題について若干お伺いをしておきたいと思います。
 まず、外務省に確認をしておきますが、この附属文書の性格はどういうものであるのか。また、この附属文書が、特にテーブル三、デザート・シールド・ミリタリー・アシスタンス、まさにデザートシールドというのは砂漠の盾。砂漠の盾というのは、これは戦端前のいわゆる予算のとらえ方、戦端後はデザートストーム、砂のあらし、こういう形で言われているようでありまして、まさにこのテーブル三でミリタリーアシスタンス、これはどういうふうに理解をすればいいのか。直訳ではこれは軍事援助であります。この二点についてまず確認をしておきたいと思います。
#8
○松浦(晃)政府委員 先生御指摘の第一点についてでございますけれども、二月二十二日に大統領がアメリカの議会に対しまして、砂漠の盾、あらし作戦にかかわる経費についての補正予算案を提出いたしました。それに関しまして、その補正予算案の概要を盛りましたプレスリリースをホワイトハウスが出しております。先生が今言及されました付表一、二、三は、このホワイトハウスが出しましたプレスリリースに別添されたものでございます。
 プレスリリースの本文におきましては、この主眼は砂漠の盾、あらし作戦にかかわります経費といたしまして、新たに百五十億ドルの予算権限を議会に大統領は求めております。そのために運営基金口座を求めるということも入っております。それに合わせまして、今のが主眼でございますが、諸外国等から受けます支援の受け皿になっております財務省の口座、防衛協力基金から資金を移転する権限も一般論の形で求めております。それに関連いたしまして、今の各国からの貢献額というものが参考資料として別添に付されているものと理解をしております。
 予算書全文に関しまして私どもまだ入手しておりませんので、予算書全文の中での位置づけは承知しておりませんので、今申し上げましたのは、ホワイトハウスが発表いたしましたプレスリリースに基づいております。
 それから、先生が御指摘の第二の点でございますが、従来からアメリカ側の政府要人の発言、それから発表文等々、いろいろな表現が正直なところ使ってございます。これは私どもは予算委員会の場でも、そしてまたこの委員会の場でも、総理それから大蔵大臣が繰り返し申しておられますけれども、日本の九十億ドルの今回の支援は、湾岸におきます平和回復活動に携わっております国連加盟国を支援するためということでございまして、その具体的な使途は、輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連等を予定しておりますが、いずれにいたしましても、湾岸平和基金の運営管理に当たっております運営委員会で最終的に決めるというのが日本政府の基本的な考えでございます。
#9
○宮地委員 私が大変心配をするのは、ブッシュ大統領がアメリカの議会に提出をされた補正予算百五十億ドル、それに伴う附属文書、この取り扱いといいますか中身をそのまま見てまいりますと、テーブル一においてはデザートシールド、砂漠の盾ですね。あなたは今盾とあらしを一緒にして百五十億ドルを計上した。
 しかし、この附属文書は、まず砂漠の盾、これは戦端が開かれる前のいわゆるアメリカが検討されている予算で、それもまず一九九〇年から一九九一年にかけてアメリカに対するフォーリンコミットメンツ、これは外国からの約束とか、あるいはコミットメンツというのは言質に縛られるという意味ですね、意思表明というか、言質に縛られる。そういう内容として、まず日本の九十億ドルについても、先ほど申し上げたテーブル三の中できちっと九十億ドルがそのままストレートに、コミットメンツの中で先ほど申し上げたミリタリーアシスタンス、いわゆる軍事援助、そういうところの中にこれが書かれておる。
 それで括弧書きで、一九九一、ジャニュアリーのワンからマーチのサーティーワンまで、要するに一月元旦から三月三十一日までの分である。これはアメリカの議会にブッシュ大統領が提案するということは、まずアメリカの国会議員は、この九十億ドルはアメリカに全額入ってくるもの、こういうふうに見ざるを得ないと思うのですね。日本政府は、GCCに出して、そこの運営委員会で検討して、アメリカとかその他の国に配分されるかのように御説明をしているわけです。しかし、米国政府は、既にこうした附属文書とはいえ、満額九十億ドルがアメリカに入ってくる。それもデザートシールドですから、ことしの三月までの分である。ここで停戦になると、さらに日本政府に対する再追加の要請は十分にあり得る可能性があるわけですね。
 また、アメリカの議会の国会議員も、こうした資料を見せられれば、日本からの九十億ドルは、あれはもうGCCを通じてもアメリカ政府の方に全部来るものである、こういう認識に立たざるを得ないと思うのですね。それはやはり日本政府の考えている認識とアメリカの議会が考えている認識に非常にギャップを生じる資料ではないか、また附属文書ではないか。そういう点で、やはり日本政府としては九十億ドルは武器弾薬には使わないんだ、また、ブッシュ大統領が二月の七日に記者会見で、たしか日本の九十億ドルは軍事貢献に充てないんだ、こういうような発言もしているわけですね。
 ところが、こうした文書にデザート・シールド・ミリタリー・アシスタンス、こういう言葉を使われますと、まさにこれは軍事援助だ。もしこれが資金援助としたら、むしろファイナンスアシスタンス、こういう言葉を使ってこの資料は書かれるべきである。この認識のギャップが、今後停戦後の日米関係の悪化の要因にもなりかねない。
 私はそういう点で、もし今北米局長の言われるようなこと、あるいは政府が今まで海部総理初め大蔵大臣が国会で答弁しているような内容であるなら、これは非常に大事な問題ですから、大蔵大臣、アメリカの財務長官に、日本政府としてもまた日本の国会にもこれは大変誤解を招くということで、電話会談などして、やはりきちっとこの辺のけじめをつけておく必要があるのではないか、こういう感じを持っておるわけですが、大蔵大臣として精査をして、米財務長官に対してそうした電話会談において説明する用意があるかないか、この辺を伺っておきたいと思います。
#10
○橋本国務大臣 私は今、アメリカに対して電話をするという考え方を必ずしも持っておりません。と申しますのは、議会において確かに誤解はあるようであります。と申しますのは、今私の手元にありますのは、二十六日の下院の歳出委員会公聴会における証言と質疑応答の要点でありますけれども、この中を見てまいりますと非常にさまざまな誤解と申しますか、事実を誤認しておられる部分が質問者の側にはございます。
 例えば、日本が今まで行ってまいりました援助について「ほとんど全額が日本製品購買や日本の貿易と関連づけられたタイド援助である」というような言い方をしておられる方がありますが、これはすべてアンタイドでありまして、事実誤認という以外にございません。
 そして、それに対してダーマン予算長官が述べておられるのは、「問題は、国会を通じて九十億ドルがコミットされるかではなく」――これは日本についてであります。「国内的に問題となっているのは、このうちどれだけ米国に提供されるか、また、貢献が軍事目的に使用さるべきか否かということであると思う。これらの問題が討議を経て満足された時点で、国会で承認された九十億ドル全額が提供されると期待している。」そう言いつつ、「自分は当該審議の過程で八十億を下回る額を聞いたことはない。」
 これについてまた「九十億ドルがアメリカ財務省に来るのか、他の関係諸国に行くのか全く不明ということか。」、これに対してダーマン長官は、「日本の政治的論争についてお答えしているのであるが、自分は八十億ドルを上回る額の米国への供与以外を示唆する会話に一度も接していない。」
 この辺の言い方は大変あいまいな部分もございますけれども、私は、アメリカ政府が九十億ドルが全部アメリカの口座に振り込まれるという理解のもとに答弁をしているように、これらの議論を見ておりますと、読めません。それだけに、米国政府に対して理解を求めるという手続をとる必要はないものと思っております。
#11
○宮地委員 恐らくこれから、アメリカの議会でこの補正予算案の審議が始まっておりますけれども、日本から九十億ドルが来るのか来ないのか、こういう点の議論も既に行われておるようでありまして、米国議会からの突き上げが相当日本にやって来る可能性も、私はなきにしもあらずと思います。
 向こうの国会議員としても、向こうの立場からすれば、こういう資料が九十億ドルとして、ましてや先ほど申し上げたようにミリタリーアシスタンスという形で出ておれば、彼らはそういう認識に立ってやはり議論されてくると思う。しかし、GCCを通じて実際にこれが八十億ドルになるのかあるいは八十五億ドルになるかわかりませんが、それでアメリカの議会が納得するのかしないのか、この辺のことは政府としても、大蔵だけでなくて外務省もきちっとけじめをつけておきませんと、結果としてアメリカ議会から日本に、九十億ドルを我々が拠出をしても、相当厳しい対応が、突き上げがやってくるのではないか、こういう懸念がありますので、きょうはその点について、今後どうか対応を誤らないように、きちっと認識のギャップを埋めておいてほしいし、その努力をしてほしい、このことをしっかりとまず私は要請をしておきたいと思います。
 さて、時間もあともうわずかでございますので、特に今回の財源措置の中に中央競馬会の五百二十億が入っております。
 まず一点は、この中央競馬会の五百二十億が、二月二十二日の閣議決定のときは五百二十億、ところが二月十五日に大蔵省から提出されたときの資料には五百五十億、こういうふうにまずなっております。わずか一週間でこの納付金の三十億が減っておるんですね。これはどうしてこんなことが起きたのか、まずこの一点。
 それからもう一つは、もう既に御存じと思いますが、中央競馬会の法律というのは、第一条で、これは畜産振興のために使う。畜産振興のためにこの競馬会法はできている。で、二十七条で第一国庫納付金と第二国庫納付金についての規定が出ておる。全体の売り上げの一〇%は第一国庫納付に入れる、残りの一五%のうち半分は積み立て、半分は余剰金。で、余剰金が出たら第二国庫納付にする。それで三十六条に来て、今度は国庫納付金の使途について明確にしているわけですね。使途については、国庫納付金の四分の一は社会福祉事業に充てる、四分の三は今度は畜産振興事業に充てる。それで三十六条第二項に来て予算の金額、こうなっておるわけですね。
 当初、皆さん方が単年度で見積もりを立てます。今回は五百二十億という莫大な納付金が出たわけですが、私はこの五百二十億も、中央競馬会法の趣旨から見て、第一条あるいは第三十六条第一項の趣旨からすれば、これはやはり畜産振興とか社会福祉事業に充てる、この趣旨が尊重されて当たり前じゃないか。当初の見積もりを超えた分については、何でも大蔵省は補正になった場合には活用できるんだ、活用できるといっても、今回は異質の湾岸支援の九十億ドルに財源として回される、過去こんな例は全くないわけでございまして、まさに俗に競馬ファンが自分の百円の馬券を買って、そのうちの一〇%が国庫納付される。その国庫納付の中の、特にことしになってからの分は一部が湾岸支援に、九十億ドルの財源になっているなんて思って買っている人はいないと思うのですね。
 私はこういう点で、中央競馬会法のこの趣旨、また三十六条第一項の趣旨にこれは非常に反しているのではないか、こういう気持ちを非常に持っておるわけでございますが、この点についてまず農林水産省、そして大蔵省の見解を確認しておきたいと思います。
#12
○岩崎政府委員 ただいまの御質問のうちの競馬会法の方の観点について御説明させていただきたいと思います。
 先生御指摘のように、日本中央競馬会法の第三十六条におきましては、毎年度の予算におきまして、競馬会の国庫納付金に見合った金額を畜産業等の振興に必要な経費に計上するということを定めております。ただ、補正予算で競馬会の国庫納付金の増額を行う場合でございますが、当該その額、増額分に見合います補正が畜産振興経費等を計上すべき特段の理由がないというような場合には、補正予算では組み込みません。そういうような場合におきましては、補正後の競馬会の国庫納付金の額に見合った額というものを畜産振興経費等に充当することまでは、三十六条自体求めているものではないというふうに考えております。
 さらに、競馬会法の目的には、畜産振興に資するということでございますが、三十六条の規定にありますように、予算におきまして例えば畜産振興として大宗四分の三を予算計上していれば、それで足り得るものである、また目的にも反しないのではないかというふうに考えている次第でございます。
#13
○小村政府委員 まず第一点の、御指摘になりました二月十五日現在で大蔵省が補正予算の概要を発表したときに、日本中央競馬会納付金が五百五十億円というふうになっていたではないかということでございます。この際発表いたしました概要におきましては、全体の数字をごらんになっていただいてもおわかりのように、すべて五十億円単位でまとめておりまして、計数整理の関係でこうなったわけでございまして、実体は変化はございません。五百二十億でございます。
 それから第二点の御指摘でございますが、ただいま農水省からも御答弁がありましたように、確かに日本競馬会法三十六条におきましては、国庫納付金の四分の三は畜産振興事業、四分の一は社会福祉事業のために必要な経費として計上すべきことを規定しております。ただ、今回九十億ドルの拠出に当たりましては、再三御答弁申し上げておりますように、まず既定経費の節減、それから税外収入の確保、なお不足する財源について臨時の増税をお願いしているということでございまして、こういった観点から競馬会の方にも御協力をお願いするということでございまして、今回の補正予算で所要の措置をとらしていただいたわけでございます。
 法律的な問題につきましては、ただいま農水省から御答弁がありましたように、補正の段階において、競馬会の国庫納付金の額に見合った額については、必ずしも畜産振興等に充当することまでは求めていないというふうに理解をしておりまして、今回の措置に当たって御協力をいただいたというものでございます。
#14
○宮地委員 最後に要望だけしておきたいと思います。
 この三十六条の二項の予算金額というところ、これはあなた方は当初予算、見積額、こういうことで今までずっとやってきたわけです。これは必ずしも法制的には当初予算とか見積額と読めない。場合によっては、補正後の予算まで含めることもこれは読めるわけです。私は、もしそういうように予算金額を読むのであれば、今後の競馬会法改正のときにここは当初予算と直すべきだ。このことをよく検討することを要望して、質問を終わります。
    ―――――――――――――
#15
○平沼委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事福井俊彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○平沼委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#17
○平沼委員長 渡辺嘉藏君。
#18
○渡辺(嘉)委員 ただいま議題となっております湾岸戦争に対する平和回復の名のもとに講ぜられた緊急各措置に対して質問いたします。
 まず冒頭に、湾岸戦争は予想より早く終結したと思うのでございます。それがために、心配された長期化による経済悪化は回避されたのではないかと見るべきではなかろうか。
 そこで、日銀、大蔵、経企等に承りたいわけですが、アメリカが抱えておりまする持病と言われる二つの赤字、これはまだ深刻ではなかろうか。前年度も三千億ドルと言われる史上最高の赤字であり、本年度も三千億ドルを超えると言われておるわけであります。一方、貿易赤字につきましても一千億ドルをいまだ生じておるわけですが、湾岸で勝利をしたこれからのアメリカは、人によれば、また私もそう思うのですが、世界のMPのごとく、警察官のごとく、時には肩で風を切る、そういう振る舞いが国際社会では出てくるのではなかろうか。それがための軍事費は、むしろ減少するより私は増加すると見ております。また、今までの蓄積した軍需物資の在庫整理をいたしましたから、そういうような意味で支出は増加するのじゃないか。
 アメリカの景気はマイナス成長であることは、けさも御案内のとおりであります。マイケル・ボスキン経済諮問委員会委員長も、成長率はせいぜい〇・九じゃないか、こう述べて弱気を言うていらっしゃるわけですが、今の金融不安、クレジットクランチの実情、不動産不況の状態等々から、アメリカはこのまま放置することは無理ではなかろうかというところから、公定歩合の再利下げが必要であると言われておるのであります。私は、先日も元の経済企画庁の次官でありました宮崎大和総研の理事長さんにも御意見を聞き、あるいはまた斎藤精一郎教授からも御意見をいろいろ聞きましたが、異口同音にアメリカは金利の再切り下げをしなければならぬ、こういうことを言うていらっしゃるのと、そして景気の回復は非常に弱い、こういうことを指摘していらっしゃるのですが、この点についてそれぞれお答えをいただきたい。
    〔委員長退席、大石(正)委員長代理着席〕
#19
○福井参考人 日本銀行の福井でございます。
 ただいまの米国経済、特に景気に関します御質問にお答えを申し上げます。
 ただいま渡辺委員御指摘のとおり、昨日米国が発表いたしました昨年第四・四半期、十―十二月の米国の実質経済成長率の修正値がマイナス二%、年が明けましてからも、米国から発表されておりますいろいろな経済指標を拝見しております限り、引き続き米国経済の減速傾向が続いているというふうにうかがわれます。
 先般、米国の連邦準備制度議長のグリーンスパンさんが米国の議会でも、ことしに入ってからも米国の景気の減速傾向が続いているという証言をなさっているところでございます。しかし、その中で、米国の物価状況につきましては、やはり景気の減速傾向という経済的な基調のもと、それから連銀がマネーサプライのコントロールをうまくやってきたというふうなことから、米国の物価につきましては、懸念すべき状況が全くなくなったというわけではございませんが、心配して見る度合いを少し後退して見ていい、そういう状況になってきている。そういうことから、米国の中央銀行、連邦準備制度は昨年十二月、それからことしに入りましてからも二月一日、〇・五%ずつ公定歩合の引き下げ措置を実施したところでございます。
 今後の米国経済の見通しは、なかなか難しいところがあると思います。少なくとも足元の景気は、引き続き減速傾向で動いているということはほとんど疑いがないのかなと思いますが、一方で、マネーサプライの減少傾向にはそろそろ歯どめがかかりつつあるというふうな見方が出てきておりますし、実体経済の方はまだそんなに明るい指標はないのですけれども、これも一昨日米国が発表しました消費者のコンフィデンス指数というのはごくわずか改善するというふうに、探せばいい指標が全然ないわけではない。現状はそういうところではないかと思います。
 それから、湾岸戦争の影響が最終的にどういうふうになりますかは、もちろんまだこれから不透明なところも相当残っているということでございますので、多分米国の金融政策当局は、今後とも物価の安定を基軸に据えながら、一たび景気が減退した米国景気を改めて持続的な成長パスを見出すように、そこを主眼に適切な金融政策を行っていくのではないかというふうに私どもは観測いたしております。
 先般の米国議会でも、連銀議長みずからが、湾岸戦争の影響もあって景気見通しは極めて不透明である、その中で連銀としては諸情勢を引き続き注意深く見守って、状況に応じ柔軟に対応する必要があるとみずから宣言しておられるところでございます。
#20
○田中(章)政府委員 お答えします。
 アメリカ経済は、八二年の十一月を底にしまして八年を超える息の長い景気拡大が続いていたわけですが、御承知のように、先ほども日銀の福井理事からありましたように、昨年の十―十二月の実質国民総生産の成長率が二・〇%マイナス成長になった。その後の指標を見ましても、生産の低下あるいは雇用の減少等、景気指標の悪化が目立っている。そういう意味ではアメリカはもちろん景気後退局面にある、こういうふうに見られるわけでございます。
 しかし、今後の見通しというふうになりますと、アメリカ政府もそうですが、また大方のアメリカの民間エコノミストもそうですが、やはり今回の景気後退につきましては、これから物価が落ちつきを取り戻しつつあること、それから金利の低下が進んでいること、またさらに現在の在庫水準が非常に低いということ、それから輸出がドル安傾向のもとで基本的には底がたい、堅調であるというようなことから、この景気後退はことしの年後半、まあ年央から回復するのではないか、こういうふうに見られるわけでございます。
 そういう意味で、先ほど委員おっしゃったように、九一年のいわゆる第四・四半期対比で見た経済成長率が〇・九%になる、これまでのマイナス成長からプラスに転ずるという意味で、景気回復が割合早期は、しかもそれほど深刻にならず回復するのではないか、こういうふうに見られるわけでございます。
#21
○渡辺(嘉)委員 わざわざ日銀から御出席いただいて御答弁をいただいたわけですが、非常に慎重で、そしてまた模範的なふうに私は承ったわけです。
 私がもっと聞きたいのは、それは探せば有利な条件はちよびっとずつありますが、こんなものはコンピューターの誤差程度じゃなかろうか、極端な言い方をしますと。こういうような意味で、アメリカの持っておる今のこの中身、華々しい戦争のテレビの裏に隠されておるアメリカのこの持病は進行しつつある、また進行する危険がある、今度の戦勝気分あるいはまた軍需品の在庫補てん等々から見て。だから歳出は増加する。こういうような意味で、この状態から景気回復を図って税収の増加を図らなかったら、アメリカだって何ともならぬと思うのです。こういうような意味で、再利下げがあるという識者のそれぞれの意見は、私は妥当だと思うのです。
 これに対して日銀として、ではもしも、今のままでもお互いに六%ずつですね。日本も六%、アメリカも六%です。こういうような状態にあるわけですが、アメリカから今度は、アメリカがもし下げたら当然日本は運動しなければならぬ圧力がかかる。とともに、今でも私は必ず日本に利下げの圧力がかかってくるのではないか、こう思っております。と同時に、そのことがこれからの日本の経済に対する影響はどういうふうになってくるであろうか、この点について再度承りたいと思います。
    〔大石(正)委員長代理退席、委員長着席〕
#22
○福井参考人 お答え申し上げます。
 米国経済が当面景気循環的に落ち込みの局面にあって、金融政策等の面で非常に難しい対応の時期にある、御指摘のとおりでありますし、それだけでなくて、委員御指摘のとおり、米国経済の場合には、財政赤字の問題、それから企業あるいは金融機関の国際競争力の問題、あるいは個人部門をとりましても民間貯蓄率が低いというふうな問題、いろいろ経済の体質にかかわる根深い問題もあるということでございます。これら経済体質の改善の問題、それから、当面米国の景気を、物価安定を確保しながら、改めて持続的な景気の上昇パスというふうなところへ導いていく、二重の難しい課題に米国が今直面している。湾岸戦争が終われば、改めてこの経済的な問題の難しさに米国当局が直面するであろうということは疑いのないところでございます。
 ただ、景気循環の面につきましては、ただいま経済企画庁からも御指摘がありましたとおり、単に幾つか今いい指標があるかないかということを超えまして、経済分析的に見て、在庫の面から景気の足を大きく引っ張る要因がないとか、あるいは為替相場の要因もあって輸出は比較的頼りになれる要素であるとか、それから、金融緩和の累積効果というのは、すぐには目立たないにいたしましても、やはりじわじわと米国景気をいい方向に押し上げる力を必ず発揮すると思われますので、景気の循環に関します限り、余り極端に悲観的な見方をするのもどうだろうかという感じを持っているところでございます。
#23
○渡辺(嘉)委員 もう一つ、今度ははっきり聞いておきたいのですが、アメリカは再金利切り下げをしなければドルは防衛できないと私は見ておるのです。そういう意見の方も多いのです。この点についてはどうかということと、日本は今の状態の中から見て、アメリカが金利を下げたら日本はもう連動せざるを得ないと見ておるのですが、この場合はどうか。それから、もしアメリカが下げなくても、日本は今のままで果たしていいのかどうかということも、これは大変な問題なんです。この点について、三点ひとつきちっとお答えいただけませんか。
#24
○福井参考人 為替相場の安定は、難しい課題を抱えている米国経済の当面非常に重要な問題だ。しかし、米国経済だけではなくて、世界経済全体にとりましても為替の安定が非常に重要でございます。御承知のとおり、G7でも繰り返しそこは確認されてきているところでございまして、単に狭い意味での金利政策だけではなくて、為替政策その他を含めて、為替の安定に今後とも米国のみならず主要国が挙げて力を尽くしていくということは言えるだろうと思います。
 それから、米国の金利が今後どういうふうに変わるかは、私ども予測の限りではないわけでございますけれども、金利の変更があった場合に為替市場にどういう影響があるかという点は、なかなか難しい判断の問題でございます。委員も御承知のとおり、一月の末にドイツが、大方の予想に反して金利を上げる方向の政策措置をとっております。それにすぐきびすを接して、米国が今度は金利を下げる方の措置をとつております。
 普通に考えますと、金利差要因からマルクとか円が非常に強くなる、ドルが大きく下がる、為替市場にそういう非常に攪乱的な要素が出ておかしくないと考えられるそういう措置でございましたけれども、その後の推移をごらんいただきますと、もう重々御承知のとおり、確かに一時的にマルク高、円高という現象が出ましたが、その後は為替市場はむしろ安定した動きをしておりまして、米国、ドイツの政策措置の以前の段階に比べて、昨日あるいはけさあたりの為替相場を見ておりますと、むしろ若干マルク安、円安になっている、こういう状況でございます。
 これは何を意味するかといえば、やはり為替相場は金利差要因が非常に重要でございますが、それ以外の経済全体のファンダメンタルズ、それから湾岸戦争を含む国際的な政治情勢、それらをマーケットがどう解釈するかによって大きく左右されるところがあるということでございます。したがいまして、日本の場合もそうなんですが、恐らく米国の場合もドイツの場合にも、金融政策を行います場合には、それらすべての要素を勘案しながら、極力為替相場への影響が少ない状況をにらみながら金融政策を行っていくであろう、今後とも恐らくそういう金融政策の展開が期待されるというところであります。
 それから三つ目の、日本への直接的な影響はいかんという御質問でございますけれども、日本銀行の金融政策も、為替相場のそのときの状況あるいは今後の見通しということは政策判断上非常に重要な要素でありますが、しかし、それはあくまで重要な要素の一つでございまして、金融政策の場合には、やはり中心的な要素は、国内の物価状況、それから景気状況、もちろん為替状況、そのほかいろいろな経済的要素を総合判断するというところにございます。したがいまして、外国において金融政策の変更があった場合に、直接的に日本銀行の金融政策に影響が及ぶということは一応ないわけでございます。
 現状を申し上げれば、日本銀行の金融政策スタンスは、現在の引き締め効果の浸透を引き続き図っていく、これを基本としてゆるがせのないものというふうに考えているところでございます。
#25
○渡辺(嘉)委員 お忙しいところありがとうございました。しかし、今おっしゃったように、日本は日本で独自の金利を決めるんだから、アメリカが仮に下がったって直接関係ない、こうおっしゃったが、果たしてそういう表向きだけのことでいいのかどうか。私はそんなことはあり得ないと見ておるんです。それなら、それが後で馬脚をあらわさないようにやっていただきたい、このことをお願いいたしまして、どうぞお引き取りください。ありがとうございました。
 続いて、外務、大蔵にそれぞれ承りたいと思います。
 まず外務ですが、先ほどからの審議でもありましたとおり、昨日のイラクの動きで、国連決議を受け入れる無条件降伏に近い状態で今戦争は終わろうとしておることは、もう事実だと思うんですが、これでもう国連の目的は一応達成できるのではないか。とすれば、武力行使はこれ以上必要ではないと私は認識しておるんですが、どう思われますか。
#26
○渡辺(允)政府委員 私どもが承知しておりますただいまの状況を申し上げますと、イラク政府は国連に対しまして、安保理に対しまして、条件つきで安保理決議の六六二及び六七四を受諾する用意がある旨を通報したという段階でございます。条件と申しますのは、即時停戦とイラクに対する経済制裁に関します決議六六一、六六五、六七〇の撤廃ということでございます。
 現在行われております武力行使は、安保理決議六七八に基づいたものでございますが、この安保理決議六七八にございます国際社会のイラクに対する要請は、すべての安保理決議が実施され、湾岸地域における国際の平和と安全が回復されるということにあるわけでございますので、現在のような経済制裁の解除等を条件として、一部の安保理決議のみの受諾という意図を表明しておりますイラクの態度は、なお国際社会の要請を完全に満たしたものではないというふうに考えております。
#27
○渡辺(嘉)委員 事務的にはそういうことなんです。ところが、もう大勢は決しておるんです。そして、六百六十号を初めとする一連の重要な部分は全部受けておることは、これはもう大勢の示しておるところなんです。今やアメリカを初めとする多国籍軍が時間稼ぎをしておるんじゃないか、その間にたたけるだけたたけという、むしろそういうふうに考えられる部分が多分にあるわけですが、この点については、これを支出する所管の責任者である大蔵大臣、どうですか。もう武力行使はこれで終わったと思っていいのではないかと思うんですが、どうですか。
#28
○橋本国務大臣 先ほど宮地委員にもお答えを申し上げたところでありますが、その安保理決議受諾に関する書簡というものを受けました後、けさ六時十分から七時五十分にかけて安全保障理事会の非公式会合が行われております。そして、その中において、三つのポイントをイラクに対して受け入れ必要ということで申し入れていると言われております。
 第一が、その安保理決議十二本の無条件受諾でありますが、これは部分的に問題はあるものの、ほぼ大勢は固まったと見てもいいと思います。二番目が、四十八時間以内に戦争捕虜を解放するということでありまして、これはイラク側の書簡の中にもこの旨が触れられております。問題は、四十八時間以内にイラクが連れ去ったとされているクウェート人を解放するというポイントでありまして、これについてはイラク側の書簡は全く触れておりません。そして、これについての回答を求めているところまで承知をして、私はこの委員会に入りました。
 私は、この間において、日本のワシントン、ニューヨークにおられるそれぞれの大使、外交官諸君が必死で行動してくれておるはずでありますが、そうしたことと相まって、間もなく発表されると言われておりますブッシュ大統領の声明というものが停戦に向かうものであることを心から願っております。
#29
○渡辺(嘉)委員 一応私は、もう戦争は終わった、武力行使の必要はなくなった、こう認識をいたしております、今の時点で。
 そうすると、多国籍軍への武力行使の資金として、GCCを通じて湾岸平和基金として九十億ドルを支出するわけなんですが、私は、もう今日ここまで来たらこの必要はないんじゃないか。先ほどから、輸送を初めとする五項目に限定した海部総理の答弁等から、軍事には加担していない戦費なんだ、輸送なんだ。しかし、弾薬を輸送し、兵員を輸送すれば、こんなものはいわゆる武力行使の後方支援であり、戦時行動、軍事行動であることは、こんなことは当然のことなんです。こういうような意味で、武力行使の必要がなくなった現在の段階においては、私はもうこれを支出する必要は全くない。
 ましてや武力行使による国際紛争解決は放棄するという憲法の規定から考えたって、私はこの際、大英断をもってこの九十億ドルの支出については、まだ交換公文を交換したわけでもないはずだし、あるいはまたどことも具体的な約束をしたわけではない、日本が自主的に発表したにすぎない、こういうことになっておるわけですから、やめるべきだと思うのですが、もしどこかのだれかと約束してあるというなら、ひとつお答えをいただきたい。
#30
○橋本国務大臣 委員は戦費と仰せられましたけれども、我々は今まで戦費という言葉を一度も使っておりません。日本はあくまでも、イラクという大国がクウェートという小国を不意に侵略し、それを占拠し、その資産を略奪し、人命を殺傷し、しかも国際社会のたび重なる撤去要請に対してもこれに耳をかさず、やむを得ずその国連安全保障理事会の決議を支持する国々の中から、多国籍軍が実力をもってクウェートからイラクを排除しようという行動に立ち上がったと理解をいたしておりますが、我々は、そうした情勢の中で、湾岸における平和と安定の回復のためにこれを湾岸平和基金に拠出するものでありまして、平和が回復をし、安定が取り戻されるまでにはまだまだ努力は必要である、停戦すなわち平和と安定の回復ではないと考えておりますし、当然のことながらこれを支出するつもりでおります。
 また、だれに約束をしたかというお話でありますが、これは日本政府が自主的に判断し、決定したものでありますけれども、既にその意思を世界じゅうに表明をし、国際社会に日本が九十億ドルの負担をする意思を表明いたしておるもの、いわゆる国際約束といったものではございませんけれども、これは我々が責任を持って守る必要のあるものだと考えております。
#31
○渡辺(嘉)委員 本件についてはもう既に予算委員会その他で十分やられておりますので、ここで蒸し返す時間の余裕もないと思います。
 しかし、二月の十五日にイラクが六百六十号を受け入れるというあの声明を出した。あの時点でイラクはもう敗戦だ。こんなものは、イラクに世界じゅうが取ってかかったわけですから、横綱に対してそれこそまさに子供がぶつかっていったようなものですから、戦争の趨勢は明らかなんです。ただ時間の問題であっただけなんです。だから二月の十五日に六百六十号を受ける、こういう声明を発表したときに、これはもう戦争は終わった。なぜか。現地の軍隊に戦争が終わったという空気を入れたら、もうその軍隊は軍隊じゃないのです。烏合の衆になる。こんなことはどなたでもおわかりになると思うのであります。
 しかし今、この数日間、すさまじい策略がまた続いております。大統領警護隊をたたけ、フセインを打倒するんだ、いろんな意味合いで正義の名のもとに行われておりまするが、私はちょっとここで一言入れさせていただきたいというのは、私も戦時中、愛国の情熱に駆られて軍隊を志願した。十七で志願して、十八、十九と陸軍航空隊の特別幹部候補生として、特攻要員で九死に一生を得て一応今日に至ったわけなのですが、そのときに、あの戦争の悲惨さ、そして私が受けた第七機動隊のあの空爆、ボートシコルスキー等の艦爆、あるいはまたグラマンから受けた機銃掃射、あるいはまた私がただ一人誘導路におるときにグラマンの機銃掃射がもうしつこく私一人をねらって、何回も反転急降下で私一人をねらったあの執拗さ、そして、私どもの周辺に数発の至近弾を受けて、私自身が全身泥に埋まって、死んだと思ったくらいでした。
 ああいうときに、今テレビに出ておるあの艦砲射撃の勇ましさ、戦車の勇ましさ、発進する戦闘機のすさまじさ、すばらしく見えるのですが、そのもとにおるところの人間の惨めさというものは、これは大変だ。日本軍がインパールでもビルマでも、あるいはまたフィリピンでもそうなのですが、あの敗残兵となって逃げたときの惨めさ、これは私どもには骨身にしみておるわけです。また、日本人の血の中にはあれがある。だから二度と再び戦争をやらない、こう誓ったのです。
 私はそういう立場から見て、今イラクの国境付近で行われているあの戦争は戦争じゃない、単なる殺りくにすぎない、こう思っておる。だから、私は今こそ直ちにやめさせることなんだ、こう思っておるわけですが、これに対して大臣あるいはまた外務省も、早く今のアメリカを初めとする多国籍軍の武力行使はまずやめるべきだという意見を述べるべきだ。述べるべき日本は経験をしてきたんだ。苦しみを味わってきたんだ。私は、三百人ぐらいの部隊でしたけれども、百三十五人戦死しておるのです。そういうすさまじさを味わってきておるわけですが、今こそやめさせることをまずやることです。
 いま一つは、直ちに中東における復興資金、これをどうするかというところに入らなければいけない。我が党は、それに対して百二十六億のいわゆる復興案を出しておることは御案内のとおりです。そういうような意味で、それは当然クウェートであり、湾岸であり、その他の復興であることは言うまでもありませんが、私はそのときには、イラクの人民に対しても、医療、民生の面においてやはり救助の手を差し伸べてやらなければいけない。
 日本があれだけの戦争の惨禍の中で、東条英機さんを初めとする戦犯はああいう状態になりました。しかし、アメリカ軍が食糧を放出してくれたことは事実なんです。こういう意味で、今フセインは打倒する目標を私どもも持っておるけれども、しかし、人民まで苦しめていいはずはないのです。だから、一日も早く停戦させたならば、イラクを含めての中東復興資金を考えるべき時期だと私は思うのですが、大臣、どうですか。
#32
○橋本国務大臣 昨日は富塚委員から、そして今、渡辺委員から、戦時中のみずからの実戦体験を踏まえた御意見をしみじみと拝聴いたしました。
 私たちの世代は、日本が戦いに勝っておった時代を全く知らない世代であります。ただし同時に、空襲に追いまくられ、みずからの家を焼かれ、その空襲によって友人を失った世代であります。小学校の二年で私は敗戦を迎えました。私の家も東京で焼かれました。疎開先もまた焼かれ、転々といたしました。戦いの悲惨さというものは子供心にもしみついております。
 ただしかし、その上で、私は、今の委員の述べられました二月十五日の時点で、安保理決議六百六十受諾という意思をイラクが表明した時点で停戦をすべきであったという御意見につきましては、いささか考えを異にいたします。
 なぜなら、昨年の八月二日に、全く予期しない小国クウェートに対する大国イラクの侵略が行われ、それ以来数カ月にわたり、国際社会はイラクが無条件でクウェートから兵を引くことを求めました。しかし、八月八日にはイラクはクウェートを実力をもって併合し、みずからの国の一部として制度をつくり上げました。そして、その後もその占拠の状態が続きました。そして、たび重なる安全保障理事会の決議、国際社会の意思にもかかわらず、イラクはクウェートを占拠し続けたのであります。その結果、実力によってイラクを排除するという行動が多国籍軍によってとられました。そして、二月十五日、サダム・フセイン大統領から提起をされました六百六十という決議は、イラクが撤兵をするということについてのみの決議でありまして、クウェートの正統政府の復帰も認めてはおりませんし、クウェートがイラクの領土ではないということ、独立した一つの国であるということも、この決議では認めていないのであります。
 もし二月十五日の時点において、私は、六六一、六六二、イラクがクウェートという独立した国家を認めるという意思を表明していれば、あるいは今の委員の御意見が正しいと申し上げられたかもしれません。しかし、クウェートから兵を引くということについてのみ発言をし、あとの決議は無効だということになれば、クウェートという国の独立が否定されることになります。果たしてそれで停戦ができたでしょうか。
 そして同時に、たくさんのクウェート人に対して悲惨な運命を与えたということが今報道に出つつあります。しかし、六七四という決議によって、クウェートに与えた被害に対して賠償を求める権限も、イラクは否定をその時点ではしておりました。しかし、全く関係のない一般の市民に、サダム・フセインの頭文字だといってSという焼き判を押すような行為を我々は見逃せるでしょうか。
 今日、本当に一分一秒でも早く平和が戻ることを期待いたします。しかし、それはクウェートという独立した国家がもう一度この地球の上に誕生し、クウェートという独立国家の中でその国民の意思によって政府が樹立され、その政府が正統な行政権限を行使できることが必要である、私はそう思います。
 委員は、サダム・フセインを倒さなければいかぬとおっしゃいましたけれども、私は、サダム・フセインを倒すか倒さないかは、これはイラクの国民が決めることであり、我々は、あくまでもクウェートという独立の国家を国際社会がもう一度この地球上に現出させることに目的は尽きると考えております。
#33
○渡辺(嘉)委員 大臣、大分聞き違えていらっしゃったと思うのです。僕は、二月十五日の時点で何も停戦したと言っていないのです。敗戦はあれでもう決まったと一緒だ。一遍空気を入れたら軍隊なんというものはもう成り立たないのだ、烏合の衆になるのだ。だから、その後におけるいろいろなやりとりの中で、私は、あのときに急速に行われたあの殺りくは決して正義の名のもとではない、こういう意見を申し上げたにすぎない。
 それから、当然フセインをそのままにしておくかどうか、これはイラクの国内問題なんです。そんなことは当たり前のことなんです。
 ですから、私が言いたいのは、もう武力行使の必要もなくなって、目の前に来たのです。だから、今こそ日本としては、一日も早い――一刻も早くだ。一刻も早くまず銃火をとめることなんです。と同時に、そうすればこの九十億ドルの支出はもうまず必要がない、こう考えるわけです。この点どうです。
#34
○橋本国務大臣 先ほどの問答で、もし委員の御質問に対して私が意思を取り違えてお答えを申し上げたとしたら、その非礼はおわびをいたします。
 その上で、日本政府としてはあくまでも湾岸の平和と安定の回復のために支出する資金でありますから、これを撤回する意思はございません。
 と同時に、今ブッシュ大統領のテレビ演説を北米局長が聞きまして、その結果をお許しがいただければ報告をさせていただきたいと思います。
#35
○松浦(晃)政府委員 実は今先生のお話を聞きながら、そこでちょうどブッシュ大統領のスピーチを聞いておりましたので、ちょっと概要を御披露させていただきます。
 ブッシュ大統領はちょうど日本時間の十一時から六分間ほどスピーチをいたしまして、次のような提案を行いました。
 多国籍軍側としては戦闘行為を停止する。これが停戦につながるかどうかは今後のイラク側の出方にかかっている。具体的にはイラク側が次の諸点を受け入れるということ。これは先ほど来大蔵大臣から、けさの安保理の模様を御披露された際に言及ございました一連の安保理決議、特に併合を無効とした安保理決議、それからクウェートこ対する賠償責任を負うという安保理決議等を受け入れるということ。それから四十八時間以内に戦争の捕虜、イラク人が連れ去ったクウェート人、それからさらに遺体を返却すること。いずれにいたしましても、四十八時間以内に多国籍軍側とイラク側の軍事関係者が停戦のための話し合いに入ることを提案しております。ですから、具体的な停戦はこの場において決まると思います。
 それから、同時に安保理会合も提案をしておりまして、安保理会合でさらに話をしたいということを二番目に提案しております。
 それから三番目として、戦後処理のためにベーカー国務長官を来週中東に派遣する。
 以上の三点を盛ったスピーチを今やっておりました。
#36
○渡辺(嘉)委員 非常にいいニュースを聞かしていただいたわけですが、私どもこれを一刻も早くと願っていたわけです。まず、鉄砲がとまったということはすばらしいことだと思う。そして今の三条件、これは先ほどから何回も聞いておるわけですが、この件につきましては、私はもう受けるべき段階に来ておる。むしろ日本政府もイラクに対して、これを受けなさい、そして国連の場で話し合ってこれは解決すべきだ、今こういうふうに乗り出すべき時期じゃありませんか。
#37
○橋本国務大臣 きょうまでも国連の波多野大使から国連におけるイラク代表に対し、たびたび国連安全保障理事会決議の早期受諾を要請し続けてまいりましたが、今お聞きのような状況になりましたこと、私も本当に内心ほっといたしております。政府といたしまして、十一時半に官房長官から正式に会見をされる予定と今報告を受けました。今後におけるクウェートの復興を含んだ中東地域の平和と安定達成のためにも努力を続ける意思を表明すると承知をいたしております。この点につきましてはありがとうございましたと申し上げます。
#38
○渡辺(嘉)委員 御努力を期待いたします。今のニュースを聞いて、私どもとしては本当に涙が出るほどうれしいです。鉄砲がとまったということですね。どうかひとつ、日本政府も全力を挙げてこれを実らせていただくように御努力をいただきたい。
 そこで、この九十億ドルですが、そうなるとますます目的が違ってくるのじゃないか、私はそう思うのですね。
 そこで、まず中身を一つ一つ見てみまするが、まずこれの費用の捻出のために競馬からも出してきた、あるいはまた為替特会からも入れてきた、いろいろありますが、軍事費の削減もあるわけです。
 では、まず軍事費の削減について聞きたいと思うのですが、これは防衛庁です。それからまた必要によって大蔵省にも承りますが、千二億円の削減なんですが、この件については本年度の予算では十億円削減をする。そしてこのことは、今年度の正面装備支出額三百四十億円の中で十億円削る。
 そうすると、この十億円の内訳を見ますると、正面装備の中で乙種と言われる後方装備のごときもの、戦車で言うなら戦車の中の一つの部品、いわゆるあってもなくてもいいもの、戦車の機能には影響のないものを七億減らします。それからC130H輸送機の手付金一億円、練習艦の手付金一億円、その他一億円で十億減らす。こういうことは戦力には全く影響がない、こういうふうに私は理解をいたします。こういうことでよろしいか。
    〔委員長退席、村上委員長代理着席〕
#39
○畠山(蕃)政府委員 今回の防衛費の削減の措置のうち、平成三年度に歳出に至る分十億円の内容についてのお尋ねでございますけれども、ただいま御指摘ございましたように、これは乙類で七億円、それから練習艦の初年度歳出分一億円、それからC130の初年度歳出分一億円、その他となっておるわけでございます。
 乙類について、これはあってもなくてもいいものという御指摘がございましたけれども、乙類は陸上自衛隊の正面装備ということに分類されているものでございまして、戦車、火砲等の陸上装備が機能を発揮するのに必要な支援を行うための諸器材ということで、その品目は極めて多岐にわたっておりますけれども、実はこれは戦車、火砲等が実際に機能いたすために必要不可欠なものでございます。例えばどういうものかといいますと、支援器材というようなことで、通信のための発電機といったものとかあるいはトレーラーとかそういった装輪車両といったようなもの、その他もろもろでございまして、いずれにいたしましても正面装備としての機能を発揮するために必要な支援器材ということでございます。
 それからまた練習艦とC130でございますが、これも例えば練習艦につきましては、現在練習艦として使われております「かとり」というものがございます。これが平成五年度に老朽化のために使えなくなる見込みでございまして、それの代替艦といいますか、後継艦を平成三年度に契約に至るという形を当初考えておったわけでございますが今回の削減措置によりましてこれが入らないということになりますと、少なくとも平成六年度におきましては、遠洋練習航海に参ります際に練習艦を使えなくなるというようなことに相なるわけでございまして、そういう意味では、あってもなくてもよいものを削減したということではないことだけは御理解賜りたいと思います。
#40
○渡辺(嘉)委員 今、防衛庁からえらくまた絶対不可欠のような話があったのですが、この乙種というのは、乙種の中の部品なんですよ。乙種そのものを全部落としておるわけじゃないのですよ。ですから、そのような意味で戦力には影響があるのかないのかということを聞いておるわけですが、簡単に答えてください。
#41
○畠山(蕃)政府委員 部品というお話でございましたけれども、これは部品ではございませんで、先ほど申し上げましたように、正面装備がその機能を発揮すために必要不可欠な支援器材ということでございまして、その意味で、これがなくなりますと、その限度において非常な影響が出るということでございます。
#42
○渡辺(嘉)委員 私の承ったことと大分違うが、公式的にそういうふうにおっしゃるならば、それなら次に聞きますが、じゃ、削減内容について、十億円については、これはわずかな金額なものですから、ほんのつまみ的に削減しただけです、一千二億円ですから。
 そうすると、その中身は、おたくからいただいた資料によりましても、九〇式戦車は百三十二両中二両、二十三億円減らします、八九式装甲戦闘車は七百十六両中二両、十二億円減らします、パトリオット地対空誘導弾は一FUを減らします等々あるわけですね。そうすると、将来この戦車は新中期防では百三十二両を予定していたが、ところが二両減らして百三十両になる、装甲車は七百十六両が七百十四両になる、パトリオットは四が三になる、こういうふうに数量において減るものなのか。
 あるいはまたパトリオットは、これはもう専門家ですから御承知のとおりですが、私が聞きましたところによれば、四つのFUの部隊によって初めて全方位的な機能が発揮するのだ。三つであれば、一つの部分が欠けますから全方位にならない。敵機の襲来は当然死角をねらって入ってきます。死角をねらってほかのFUをたたきさえすれば、それはもう全滅するのです。当たり前のことなんですね。こういうような意味で補充されるものなのかどうなのか。二両ずつ減った、一FUが減った、こういうふうな減りっ放しのことなのか、それとも、予算委員会等で論議がありましたけれども、後でそういうものは補充せざるを得ない、だから金額としては千二億円減らすけれども数量は減らない、こういうふうに理解していいのかどうか。
#43
○畠山(蕃)政府委員 今回の削減措置といいますのは、平成三年度におきます契約ベースあるいは歳出ベースについての措置でございます。このことは直ちに新中期防と運動するというものではないというふうに私は理解をいたしております。
 といいますのは、新中期防というのは五年間の事業の総額の限度を示しているものでございます。そして、この実施に当たりましては、各年度の予算の編成に際しまして、そのときどきの事情を勘案して、精査の上で一層の効率化、合理化を図りまして、極力経費を抑制するという形に相なっているわけでございます。それでまた計画それ自体に、最初からございます三年後の見直しという規定が現在ございます。これはときどきの国際情勢、技術水準の動向あるいは財政経済情勢といったものを勘案して決めることになっておりますが、あわせまして一千億円の削減という今回の措置を重要な要素として勘案するということでございます。
#44
○渡辺(嘉)委員 そうすると総枠において千二億円を減らす。とすると、新中期防は二十二兆七千五百億円あるわけですが、そのうちの千二億円を減らす。パーセントで見ると〇・四%にすぎないわけですね。しからば、現中期防で十八兆四千億円、この五年間の期間に実際どれだけ支出したのか。特に正面装備は、当初予算が予算枠として五兆五千三百億円を予定していらっしゃったわけですが、実際どれだけ支払いをされましたか。
#45
○畠山(蕃)政府委員 現行の中期防十八兆四千億の実際の支出実績でございますが、十八兆三千九百億、ほぼ一〇〇%でございます。それから契約ベース、これは十八兆四千億とは一応別の、参考資料として掲げておりました契約ベースの金額でございますが、その実績は九七%でございます。(渡辺(嘉)委員「正面装備」と呼ぶ)今申し上げました契約ベースというのが正面装備の契約ベースの数字でございます。
    〔村上委員長代理退席、委員長着席〕
#46
○渡辺(嘉)委員 正面装備、今おっしゃったのは予算と契約額のことなんですか。当初計画された五兆五千三百億の中期防で計上された金額のことなんですか。どちらですか。
#47
○畠山(蕃)政府委員 十八兆四千億円と申しますのは、これは昭和六十一年度から平成二年度までの五年間に歳出される、支出される金額の合計でございまして、その中には当然正面経費も含まれております。それとは別に、この期間内に必ずしも歳出には至るとは限りませんが、その間に契約できる金額として定められたものが五兆五千三百億ということでございまして、これは計画といいますよりは参考ということでお示ししたものでございます。それの実績について申し上げましたのが先ほどの九七%になろうかと思いますが……(渡辺(嘉)委員「それは幾らですか」と呼ぶ)五兆三千六百億でございます。これは六十年価格で換算いたしまして、つまり、五兆五千三百億円というのが六十年価格で計算された金額でございますので、それに見合う価格での金額が五兆三千六百億ということでございます。
#48
○渡辺(嘉)委員 この五兆三千六百億というのは実際の金額じゃないのですね。実際の金額は五兆六百億なんですよ、実際に払った金額は。これは六十年の価格に置き直して投影したにすぎないのです。ですから実際の額じゃない。実際の額は五兆六百億円。だから、この間の節減は四千七百億あるはずですが、どうです。
#49
○畠山(蕃)政府委員 五兆五千三百億円といいますのは、要するに正面の契約ベースの金額でございまして、これは六十年価格で計算されたものでございます。これの名目的な金額、つまり、各年度に契約をした金額をその年度、年度の価格で積み上げますと、約四兆九千五百億円ということに相なります。それを六十年価格に戻した形で比較のために申し上げますと、先ほど申し上げた五兆三千六百億円ということに相なるわけでございます。
#50
○渡辺(嘉)委員 そうすると、実際に払った金額は、もう一遍言ってください、決算ベースできちっと。
#51
○畠山(蕃)政府委員 決算ベースではございませんで、各年度の予算において契約をした金額が四兆九千五百億円ということでございます。
#52
○渡辺(嘉)委員 予算金額で四兆九千五百億、そして実際に払った、支出したという金額は私に対して五兆六百億と政府は説明をいたしました。いずれにしても、ここで五千億に近い節減が当初の計画よりも実質に行われた。この間には必要でなくなったものもあるし、レートの変動もありますし、いろいろな要素があります。これはそのとおり。
 とすると、今回この正面装備は、用意していらっしゃるこの新中期防では幾ら用意していらっしゃいますか。
#53
○畠山(蕃)政府委員 今度の新中期防におきまして、正面で期間内に歳出を予定している金額、つまり、二十二兆七千五百億円の中で正面装備についてその期間内に歳出に至る金額として予定しておりますのは、五兆一千億でございます。それに対しまして先ほど来議論がございます契約ベース、これは参考でございますけれども、これは五兆円ということでございます。
#54
○渡辺(嘉)委員 今おっしゃったとおり五兆一千億を計画していらっしゃるわけですが、前回中期防で五兆五千三百億円が実際は五千億減額したのが事実なんです。減額されたのが事実なんです。いいですか。
 そうすると、今回後方支援費が三兆円ふえております。そして二十二兆七千五百億という膨大な新中期防ができたのです。その中から一千二億円の減額が果たしてどういう意味を持っておるのか。私は、新中期防が計画した戦力、これには何ら瑕疵を与えるような状態でない中身である。格好をつけただけ、平成三年に一千二億円減らしますと格好をつけただけで、これから五年間にこれは全部もとどおりになっていって、そして今この国会で一千二億減らしましたよというのは、これは絵にかいたもちにすぎないのではないですか。そういうことになるのではないですか。そうでなかったら、今度五兆一千億正面装備を用意しております、予定しております、こうおっしゃった。しかし、前のときでも五千億近く削減、縮減したのです。今度も時代の流れから見て当然五千億やそこらは減るに決まっておるし、また減らすべきなんです。どうですか。
#55
○畠山(蕃)政府委員 委員ただいまいろいろな点を御指摘ございましたけれども、まず、現行の中期防において契約ベースで約五千億名目ベースで減っているから、だからもっと減らせるのではないかという意味の御発言がございました。この現行中期防で契約ベース等があるいは歳出ベース等で若干の減少を見ておりますのは、これはあくまでもいろいろな影響、お話の中にもございましたが、為替レートの影響とかそういったいろいろな影響がございまして、結果としてそういう形になったということでございます。
 他方、今回の新中期防といいますのは、そもそも計画をつくりますときに、大綱水準にもう既に到達している、ほぼ到達しているということ、あるいは国際情勢といったようなことを十分に勘案いたしまして、極力抑制した水準にそもそもなっておるわけでございまして、余り長くは申しませんけれども、一例を申し上げますと、現行中期防の歳出額の伸びが、平均伸び率が五・四%であったものが、これが全体として三%の伸びになっている、あるいは正面契約ベースにつきましても、現行中期防が七・七%の増加になっているところに対しまして、今回はマイナス二・三%ということで計画を組んだところでございます。
 その上で、今回の一千億の削減との関係についてお触れになりましたけれども、私どもは、一千億削減という今回の措置が新中期防の執行に影響を与えることは事実というふうに考えておりまして、計画期間中の各年度の防衛予算の編成に当たりましては、この一千億の削減という今回の措置を念頭に置きつつ実施することによりまして、結果として今回の措置が総額に反映されることになるというふうに考えております。
#56
○渡辺(嘉)委員 何回も言いますが、結果として総額に反映されるということは、具体的に戦車を二両減らしましたとか、あのC130Hを一機やめましたとか、あるいはまたペトリオットを一FUやめました、こういうことではなくて、総額の中で数字の面だけで減らしたということは、今までの経緯から考えて、こんなものは絵にかいたもちで、小細工にすぎないじゃないですか。冷戦構造下で策定されたこの新中期防は今や見直すべきだということは、我が党の先輩もその他も口を酸っぱくして言う。防衛庁は頑としてそれを受けない。ただ伸び率が減ったからいいじゃないか、この程度の問題じゃないのです。
 私は、こういうような意味から、少なくともこの二十二兆円の膨大な新中期防はもう見直して、そして、今までの正面装備の実績から判断しても、五兆五千億に対して五千億から実際に減ったんだから、最低一割は削減できる。とすれば、この軍事費の削減によって、当然これからの中東平和基金は、我が党の言う百二十六億ドル、十分賄い得るわけなんです。この点をひとつ防衛庁はぴしっと腹に入れていただきたいということ。
 大蔵省、これは主計官を通じて大蔵省で査定されるわけなんですが、私は、この点をきちっと置けば当然財源はここから十分出てくる、こう思っておるのですけれども、どうですか。
#57
○畠山(蕃)政府委員 先ほど来申し上げておりますとおり、今回の約一千億円の削減という措置は、そもそも新中期防及び平成三年度予算の防衛関係費につきましては極めて厳しい抑制的なものになっているところへ、万やむを得ざる措置として一千億の削減をすることになったわけでございまして、これが簡単にできるとか、あるいはもっと削減できるというお話でありますれば、私どもは若干そこは意見を異にさせていただきたいというふうに思います。
 いずれにいたしましても、先ほど御答弁申し上げましたように、結果として一千億円の削減という今回の措置が総額に反映されるということに相なるわけでございます。
#58
○橋本国務大臣 先ほど来防衛庁がいろいろ述べて御説明を申し上げましたけれども、まず、ここでもう一度申し上げておきたいことは、正面契約ベースで申し上げますならば、中期防においては七・七%でありました伸び率が、新中期防においては既にマイナス二・三%に下げているということであります。
 そこで、フローベースで申し上げますならば、例えば戦車、中期防におきましては二百四十六両でありましたが、今回新中期防においては百三十二両しかもともと認めておりません。あるいはF15が六十三機中期防で認められておりましたが、今回は四十二機しか認めておらないといったように、もともと減少をさせております。ですから、ストックベースでいいましても、例えば戦車は、中期防期間中と新中期防期間中を比較いたしますと六十九両減りますし、あるいは護衛艦にいたしましてももともと四隻減らしております。
 この減らした分量が、減らし方が十分であるかないかについては、いろいろな御議論はありましょう。しかし、我々はやはり日本という国が平時においてその安全を確保するために必要と信じてこの新しい中期防を策定したわけであり、同時に、委員が先ほど来お述べになりましたように、確かに国際情勢が動いているわけでありますから、その動いている情勢を見ながら、三年後に見直しの規定を入れているということであります。
 そして、今回、先ほど来御指摘がありますが、十億円の平成三年度予算におきまして削減をいたしますものは、平成四年度以降の歳出におきまして九百九十二億円の歳出を、もしそのままであれば国民に御負担をいただかなければならなかったものを、今回の十億円を削減することにより九百九十二億円の支出をしないで済むということでありまして、実力においてこれは削減しているということであるということも御理解をいただきたいと思います。
#59
○渡辺(嘉)委員 我が党の新村代議士がこの件について予算委員会で質問いたしております。これに対して政府は、結果として総額にも反映されるという今までの説明、それに九一年度予算案の削減は新中期防総額として反映する、だけれども新中期防そのものの修正には連動しない、先ほどの答弁も一緒だったが、こういう答弁。そして、二十六日の公明党の草川議員に対する答弁については、政府としては誠実に処置する、こういう答弁だ、こういうことなんですね、新聞で要旨だけ申し上げるわけですが。そして、明確に一千億を削るがどうかについては言及をしていない。これはもうあの議事録を読んでもそうなんです。
 こうなると、本当に新中期防から一千二億円が減額されたと私どもは思わない。ましてや前に申し上げたとおり、正面装備でも五千億既に予定額よりも減っておるのです。こういう実情から見て、中身がないのではないか。削減した削減したと言うても、後でこれだけのレベルの車両その他が充足されれば同じことじゃないか、こういうことなんですが、重ねて防衛庁、どうです。
#60
○畠山(蕃)政府委員 ただいまのお答えを申し上げる前にちょっとお断りをしておきたいと思います。
 先ほど来委員は、現行の中期防で五千億削られた結果になっておるという御指摘がございますが、これはベースが違いまして、先ほど来申し上げておりますように、正面の契約ベースの金額の名目的な積み上げ価格と六十年価格の実質額の間の差を単純に見たものでございまして、今回の二十二兆七千五百億あるいは現中期防の十八兆四千億というのは、期間内に歳出に至るもののトータルでございますので、それはペースが違うということを一言お断りさせていただきます。
 その上で今の御質問でございますが、先ほど来御答弁申し上げていますとおり、結果として一千億円の削減という今回の措置が総額に反映されるということに相なるわけでございます。
#61
○渡辺(嘉)委員 全く納得できないですね。ベースが違う、ベースが違うと言うけれども、実際に支出した金額は五千億から少ない、これは事実なんです。ただ、六十年度の価格に置き直すと千三百億の減少にすぎない、こういうことなんですよ。ですから、そのベースが違うと言えばもっともらしいような説明ですが、これは納得できない。
 と同時に、先ほどから何回も申し上げるように、私は、これは文字どおり名目的に平成三年の予算から削りましたよ、四年には九百九十二億円減らしましたよ、こういうふうに出てくるけれども、しかし、そのほかの面で削減すればこの正面装備には補充できるんですから、戦力そのものが実質に減らされたものではない。こういうような意味で、これは納得できません。しかし、時間もありませんので、次に移ります。
 次に、今度は九十億ドルのこの財源についても、増税で賄われる部分が六千六百八十億円あるわけですが、法人税で四千四百億円、石油税で二千二百八十億円、こういうことになっておるわけです。ここで間接税としての部分が石油税にすべて頼っておるわけですが、今回のこの九十億ドルは、何回も大臣もあるいはまた総理もおっしゃっていらっしゃるが、平和の回復のための支出であるとするならば、油を確保するためのものではない。そういう狭義なものではないはずだ。
 もしも油を確保するために石油価格に上乗せしてもこれは当然なんだという発想でいくとすれば、仮に原因者負担のような形で、日米貿易摩擦があった、あるいはまた特定の物品によってこういうことがデッドロックに乗り上げた、それがために見返りに輸入しなければならぬというときの代金の財源は、PPの原則じゃないけれども、原因者負担ということになれば、ではその特定のところに課税すべきだ、こういう発想になってくると思うのです。だから私は、石油をとるために、石油を確保するために、それがための九十億ドルではないはずだとするならば、石油課税ということは好ましくない。今日石油が国民生活、経済、産業の隅々まで貢献して、必需品であることは言うまでもないのです。だから、これにだけ間接税としてぶっかける、こういうやり方は合理的でない、また発想そのものも間違っておる、こういうふうに思うのですが、大蔵省、どうです。
#62
○橋本国務大臣 今の御質問にお答えをいたします前に、先ほど引用されました総理の答弁について、多少御説明をさせていただきたいと思います。
 公明党草川昭三委員からありました御質問は、幾つかのプロセスを経まして、中期防総額を一千億円削減することを総理からも確約されたいという御質問でありました。それに対して、政府は誠実にこれを措置しますという御答弁を申し上げておる。事実問題として、草川委員の御質問が、一千億円削減することを総理からも確約されたいというものがありましたものを受けて、誠実に措置するという御答弁を申し上げているということを御理解をいただきたいと思います。
 また、今回の追加支援に係る税制上の措置につきまして今御意見がございました。私どもが考えましたのは、臨時的に国民に広く御負担をお願いするという基本的な考え方の中で、税制上の所要財源の規模というものを念頭に置きながら、国民の御協力を得る上でわかりやすい内容であること、また国民生活などへの影響、税収確保の確実性や納税者の便宜、こうした観点をも総合的に勘案した結果、法人臨時特別税と石油臨時特別税をお願いをしたいという決断をしたわけであります。我々としては、できる限りの歳出削減努力等を積み重ね、あるいは税外収入を確保する努力をいたしました上で、今申し上げましたような幾つかの視点の中から、最終的に石油臨時特別税と法人臨時特別税を採用したということであります。
#63
○渡辺(嘉)委員 私は、今おっしゃったのですが、これは合点できません。何回も言いますが、この間接税、石油だけにこれをかけるのでは、これは決して合理的な課税、財源捻出のやり方ではない、こう思います。
 と同時に、法人税についてですが、この平和を回復することによって世界秩序が安定してくる、そのことが日本経済にとっては不可欠ないい条件であることは言うまでもないわけですが、これらの収益の大部分は、やはり何といったって法人が享受しておると思うのです。そして、中小企業も個人もそれは享受しております。しかし、大きな部分については、これはもう資本金一千億以上の大企業であると私は思っておるのです。その意味で、法人課税はこれは甘受しなければならぬのじゃないか。
 第一次オイルショックの後で、昭和四十九年のあの臨時特例によって法人税の特別税を徴収したわけですが、あのときには五億円以上の利益を上げた法人企業の税額の一〇%、そして資本金で換算いたしますると二十五億円以上の資本金の会社、こういうことで二千億臨時特別徴収をしたわけですが、今の予算に置きかえますると、これはもう一兆円に近い金額になるわけです。
 今回は資本金には関係なくて、三百万円以上の法人税納付法人に一律二・五%課税する、こういうことなんですが、法人所得で換算いたしますると約一千万円程度の申告利益を上げたところに課税になる、こういうことなんです。そうすると、一千万円程度の企業ですと、これはもう中小企業でも何でも全部なんです。ところが、赤字法人が五一%ありますから、これは欠損法人として除外されます。そして、資本金一億円以上の企業でも三一%からの欠損法人があるのです。これは全部課税の対象にならない。こういうような意味で、これはこういう欠損法人を除外しておるわけですが、こういう実情から私はこの負担は不合理ではないか、こう考えるのが第一。
 時間がありませんので、続けてやっていきます。
 第二は、一年間だけの特例ですから、その年度に突発的に利益が出た、欠損が出た、こういうことは前年、後年を加味いたしませんし、もちろんこれは繰越欠損金のあるところは切りますけれどもね。だからいろいろな意味において、これは一年限りにおいて前後の配慮をしてないので、不公平が生ずる。
 三つ目には、中小企業に配慮したというのですけれども、今の状態で一千万円程度の法人所得申告利益を上げるところは、こんなものはもうそう不思議じゃない。こういうところから中小企業も全部ひっくるめての課税になっておること、これは明らかです。中小企業に配慮したというのなら、中小企業のあの定義の中から、あの部分だけ外して課税をすべきではないか、私はこう思うのですが、この点は中小企業庁、これで納得して中小企業への配慮と受け取るかどうか、これは中小企業庁から承りたい。
 そして、そのほかの財源としてまだまだ考えられるのは、退職給与引当金があるわけですが、これの繰り入れ残高が現在約十一兆円あります。この繰入額、いわゆるその四〇%の繰り入れ限度その他を仮に一〇%減らしたとする、一割減らしたとする。これだけでもう十分単年度だけでも、これはまたずっと続ければずっと出てくるのですが、一兆円程度の税収は期待できるのです。
 こういうような意味で、なぜそういう措置をとらずに、突発的な一年だけのこういう法人特別課税にしたのか、私は甚だ疑問を持ちまするので、以上の四点についてまず御答弁いただきたい。
 それから、大蔵大臣がさっきおっしゃったんですが、草川議員に対してはそういうふうなことなんです。ところが、その前提は、ここにもはっきりしておりまするように、新中期防整備計画の総額、いいですか、総額二十二兆七千五百億なんです。総額の中で一千億減りますかという、こういう流れの中での質問なんですね。だから、それには誠実にこたえます、対応しますと。私は何回も言うのですが、二十二兆七千五百億という総額ですから、この中で一千二億円がどういう意味があるかということで何回もこの点を追及したわけです。私はこれでは納得できないと言ったのはそういう意味ですから、御理解をいただきたいと思います。
 では、それぞれ答弁をいただきます。
#64
○尾崎政府委員 今回の支援措置は、再々申し上げておりますように、あくまでも湾岸地域におきます平和と安定を回復するための関係諸国の行動に対しまして、我が国として国際社会におけるその地位にふさわしい支援を行うという考えに成り立っているものでございます。
 そのための財源を求めるに当たりまして私どもの考えましたことは、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、そのような性格のものでございますし、それと同時に、またできるだけその痛みを広く国民の間で分け合うことも必要ではないかというお考えもございました。しかし、一年だけの臨時の措置でございます。したがいまして、税制上の基本的な仕組みに影響を与えるようなことも、これまた一年だけのために大変な混乱を生ずるわけでございますから、それもなかなか難しい。そこで、基本的な仕組みは変えない中で、以上申し上げましたようなことをいろいろ考えながら今回の措置をつくり上げたわけでございます。
 結果といたしまして、委員御指摘のように、法人所得に基づきまして計算されます法人税を課税標準とすることにいたしましたので、赤字法人には課税にならないということになるわけでございます。しかし、赤字法人課税は、これは委員もよく御存じのように、各方面で非常に大きな議論のあるところでございまして、それをどうするかということは法人税の本当の基本的な仕組みに触れるところでございます。したがいまして、臨時の措置といたしましてそこまで踏み込むのはどうかということで、今回は法人税額を課税標準とすることにいたしました。したがいまして、その年に利益が出たか出なかったかということで、確かに御指摘のとおり不公平ではないかというお考えもあるかもしれませんが、そういう全体の仕組みの中で考えておることでございますので、そこは御了解をいただきたいと存じます。
 中小企業に対します配慮、後ほど中小企業庁から御答弁があろうかと存じますが、それも現行の法人税で、御承知のように、法人税でございますから比例税率が原則でございますけれども、中小企業に対しまして年所得八百万円の分につきましては低い税率を適用しているわけでございます。そういう基本的な考え方に基づきまして、御指摘のとおり、所得に換算いたしますと約一千万に当たります三百万円の税額、そこまではやはり控除した方がいいのではないかということにいたしました。
 それから、退職給与引当金について御質問がございましたが、退職給与引当金、これは御承知のとおり、費用収益対応の考え方に基づきまして、法人税を算定するに当たりましてその費用を適正に期間配分する、そのために設けられていることでございます。課税所得の合理的な計算のためにできている制度でございますので、これも、臨時の目的のためにこれをいじるということはやはりいかがかと存じます。
 私からは以上申し上げます。
#65
○西川政府委員 今回の財源措置につきましては、国際社会の正義の観点から行う支援措置につきまして、広く国民に負担をお願いするという趣旨のものと私ども理解をいたしております。
 これまでも中小企業の税制に関しましては、法人税に軽減税率を設けるとかいろいろな措置を配慮してきていただいているわけでございますが、今回の措置におきましても、ただいま主税局長から御答弁がございましたような形で三百万円の控除額が設けられ、我々は中小企業に対しまして配慮がなされているというふうに理解をいたしております。ただいま申し上げました三百万円の控除制度の導入と、それから今回の措置が臨時的な措置であるというようなことを考えますと、今回の法人臨時特別税の措置が中小企業の経営に大きな影響を与えるというようなことにはならないと考えております。
#66
○渡辺(嘉)委員 手っ取り早く中小企業庁から申し上げますけれども、そういう考え方では、私は中小企業庁としての本分ではないような気がするのです。
 なぜか。いいですか、影響がないとおっしゃいますが、一千万円程度の所得はどこも上げておる。また上げるべきなんです、この程度のことは。百人なり二百人なり従業員を持っておるところは上げて、税金を納めるべきなんですよ。とすれば、これに対してすべて二・五%今度課税になるわけなんですから、こういうような意味で中小企業への影響がある。
 広く浅くという先ほどの石油税じゃないけれども、私はこれは基本が間違っておる。今度のこの湾岸戦争に対して出すならば、特定のところから、むしろ私は何回も言うが、まず軍事費を削ることだ。その他申し上げたけれども、いずれにしろ、話を横へ持っていくと広がり過ぎて時間がなくなりますので、その意味で、中小企業を擁護し育成する立場の中小企業庁としては、私は、少なくとも中小企業基本法で言う中小企業は適用除外にするなら適用除外にする、対象除外にする、このぐらいの勇気を持ってやってもらうべきじゃないか。そうでなかったら、資本金一億以上だ、あるいはまた従業員何人以上だ、こういう点で行われなければならぬのじゃないか。
 それから、退職金の問題その他についてもいろいろ触れられましたけれども、これはそれぞれの税に対する考え方もいろいろな面で違っておりますから、今一概にここで答弁を引き出そうとは思っておりません。これはまあ無理だと思っております。
 しかし私は、将来平和復興資金等が必要になるときには、必ず法人の課税ベース拡大ということで対応しないとし切れていかないんじゃないか、こう考えておるのです。今、じゃ直ちに税率を上げるということ、その他のことも直ちにできるわけじゃありませんので、だからどうしてもそれをやらなければならぬなら、今こそ私は理由をつけてやられてもいい時期だと思ったので、まず一つ、いわゆる期間損金を配慮したんだということはわかりますけれども、それがための引当金です。しかし、中小企業は余りこれの恩恵を受けてないのです。これは大企業、大法人であるほど何十億も何百億も蓄積しておる。運用できておるのです。だから十一兆円もあるのです。この事実からお考えになると、私はここからまず改めるべきである、こう考えたわけです。その意味で、中小企業庁としてはこんな甘い考え方でやってもらっては困る、私はこう考えております。
 次に、外為特会から一千百二十五億円を繰り入れられるわけですが、これはもう説明を省略いたします。こういうふうに入ってきたわけですが、この外為特会は、政府の行う外国為替等の売買及びこれに伴う取引を円滑にするために外国為替資金を置き、その運営に関する経理を一般会計と区分して行うため特別会計を設けたものであって、ここでいわゆる利ざや稼ぎをさせる機関でないことは言うまでもないのです。
 今度、千五百億円の予備費のうちから、予定経費の中から当面の一力月分三百七十五億円を差し引いた千百二十五億円を繰り入れます、こういうことなんですが、私は、本来こういう外為勘定から持ってくるということ自身もう間違っておる。そして、これはもともと利ざや稼ぎの機関、会計ではないんだ。今申し上げたとおり。特にこれの原資が為替証券の発行によって入ってくるわけですが、この為替証券の利息が五・五%なんです。これを今一般運用資金に約七兆円でしたか、七兆円を資金運用部で六・五で回していらっしゃる。あるいはまたアメリカの国債等の外貨証券買い入れで十兆円回して、これは約六%から六・二、三%で回していらっしゃる。これが十兆円ですね。
 こういうようなところから見ると、今この会計残高が欠損金で、評価損が六兆一千八百五十五億円あるわけですね。評価損が今これだけある。それに対する積立金の見合い等でバランスを保っておるわけなんですが、この六兆一千八百五十五億円の赤字は、これは百四十三円で計算をした、こういうことなんですね、レートは。今百三十二、三円ですね。そうすると、これに置き直せば、これは赤字はふえるのですね、七兆円を超えるのですから。そうすると、もう会計は一つ間違うと赤字に転落するのです、ここは。
 こういうところから、まあ一年こっきりでいいんだ、私は悪い前例はつくらぬ方がいいと思うのです、たとえ一年こっきりであろうと。だから、こういうような意味合いで、ここから出すということ、こんなものは私はいかにもおかしい。先ほど競馬の話が出ましたが、競馬はもう済みましたから言いませんけれども、余りにも重箱の隅をつついちゃかき集めた、こういう無理がこういうところにも、本来の目的に反したことになっておるという心配をいたしておるのです。こういう繰り入れは断固やめるべきだ、こう思うのですが、どうです。
#67
○千野政府委員 外為特会は、為替相場の安定のために為替の売買を円滑に行うという目的を持っておりまして、これを利益が出たからといってみだりに他目的に使用すべきではない。その利益というものは、これは積立金に積み立てるということになっておるわけでございます。特会法の十四条によりますと、この積立金は赤字決算の補てんに充てることができるということでございまして、それ以外の目的には使えないということに一応なっておるわけでございます。そしてまた御指摘のとおり、この積立金が外貨評価損の見合いになっているということも御指摘のとおりでございまして、そういう意味で、こういったところから出てまいります利益をみだりに他の目的に使用すべきでないことはまことに御指摘のとおりでございます。
 ただ、今回の措置は、今般のこの湾岸地域の平和回復活動に対する我が国の支援、このための財源措置の緊急性、重要性ということにかんがみまして、結局は臨時異例の措置として、法律措置により万やむを得ず一般会計へ繰り入れるということでございまして、ここはひとつ御了承いただきたいと思うわけでございます。
#68
○渡辺(嘉)委員 えらい苦しい御答弁をいただいたんですが、本来の気持ちと違うことをしゃべらざるを得ないところ、私は本当にお気の毒だ、こう思うのです。本来のことは、本音は、最初に言いなさったのが本音だと思うのですね。それと、わざわざ法律までなぶって徴収するんだというようなこと、私はもう本当に悪い前例だと思うのです。だから、この際、私はこういうことは本当にやめなければいけない。そうしないと、政治の力でむちゃくちゃと言ったら悪いですが、乱暴にあるべき行政の姿がねじ曲げられて、そして法律を変えれば何とでもなっていくんだということは、私は慎むべきだと思う。
 このような意味で、じゃ、もしも今度はアメリカの金利が下がったと仮定します。日本の金利も下げる。そのときには証券の金利も下げる、そういうことになると思うのですね。そうですね。証券五・五%の金利も下げなかったら赤字になっています。もしアメリカの金利が下がった場合にはどうするか。そうすると、今度はアメリカからのいわゆる利ざやは稼げなくなってきますね。今これが一番大きいのです。そして将来、これを十兆円を十八兆円にしようというのでしょう、来年度は。そうすると、これをふやしたところで、アメリカの金利が下がってきたら意味がないわけなんですが、この点はどういう見通しを持っていらっしゃいますか。
#69
○千野政府委員 確かに、今後アメリカの金利が動いた場合、この影響があることは事実でございましょうが、ただ、これは日本側の調達金利がどうなるかということとの相対的な関係でございましょうし、それから、金利のほかに為替レートがどう動くかということにもよります。
 先生、多分この円高がどんどん進展していく場合に非常に問題があるじゃないかという御指摘、そういうお気持ちかと存じますけれども、それは確かにそうなのでございますが、これは、今の状況から見まして円高がこのまま一方的に進むというふうにも思えないということでございますし、それからまた今回の措置が、結局いろいろ経費を見直した中で、予備費の額をぎりぎり最低限に抑えるというところによって措置をしているわけでございまして、全体的に考えれば外為特会の運営に直ちに支障が生ずるとは考えられない、かような判断をしているわけでございます。
#70
○渡辺(嘉)委員 この点につきましては、まだ法律案の審議もありますから、その場に譲るといたしますが、百三十二円でこれが収支とんとんになる現状から見て、これがもし割り込んでいったらマイナスに転落するわけですから、だからそこに千五百億ぐらいの予備があったところでいいわけであり、必要なんです、不可欠なんです。こういうような意味合いで、今一般会計へ繰り入れた後でまた何かしなければならぬ、こういうような後手の行政にならぬことを私は切に希望いたしておきます。
 最後に、この湾岸地域に対する平和活動資金への緊急臨時措置ですが、以上のような全体像から判断をいたしまして、私はこれはもう今さら支出をする必要はない。先ほどのブッシュ大統領の声明にもありましたとおり、もう銃火は一応とまった。そういうような観点から見て、そしてこれが今までのいろいろな議論の中でも明らかにされてきたように、多国籍軍、特にアメリカに大部分が回っていく、戦費の後始末に使われるにすぎない。こういうことには私は日本政府は拠出する必要はない。そして日本政府が自主的に声明、表現しただけであって、どことも約束してない。国際的に約束したわけではない。大蔵大臣もおっしゃったとおり。
 とするなら、この際GCCに対して、これは国連を通じて国連に出して、平和復興資金に使うんだ、こういうように明確にたがをはめて行うならともかく、そうでなければこれは行うべきでない、そういうふうに申し上げて、今のように切りかえて出されるかどうか。
 あるいはまた、これからの復興資金に当たりましては、私ども社会党も土井委員長が既に声明で明らかにいたしておりまするように、私ども自身が既にこれを用意しておるわけですが、こういう点も政府としては組み入れていただいて、そして一体となって世界の平和に貢献する、復興に貢献する、努力する、こういう方向に政治の面かじをとっていただくべきで、これは橋本大蔵大臣、先日から聞いておると何だか将来の総理になられるそうですが、どうかひとつこの際は面かじをとるべきチャンスではないか。ましてきょうのブッシュ大統領の声明から見てもそうだと思うのですが、最後に承って、終わります。
#71
○橋本国務大臣 繰り返し申し上げてまいりましたけれども、日本政府は湾岸平和基金に対して拠出を行うのでありまして、アメリカにアメリカにと仰せられますけれども、アメリカに直にお金を差し上げるということではありませんということをもう一度繰り返して申し上げなければなりません。そして、我々が意図するものは、湾岸の平和と安定の回復のための費用でありますから、これを撤回するつもりはございません。
 また、将来、この後変わっていきます推移の中で、恐らく中東地域に巨額な費用が必要であろうということは間違いがありませんが、この事態の影響はひとり中東のみではなく、中東に労務者を送ることにより、その送金によって自分の国の経済を支えてきた相当数の国にも影響は及ぶわけでありまして、我々はそうしたところまで十分に考えながら努力をしてまいりたいと考えております。
#72
○渡辺(嘉)委員 以上で終わります。
#73
○平沼委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
#74
○平沼委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。正森成二君。
#75
○正森委員 新聞報道によりますと、ブッシュ大統領も日本時間で本日の午後二時に戦闘行為を中断する、そして一定の条件を得られれば四十八時間以内に停戦に移るということでしたが、直前のニュースを聞いてまいりましたらイラクもこれを受諾したようであります。したがって、私の質問が終わりましたら間もなく戦闘行為が終わるということになるようであります。そういう局面を踏まえまして、九十億ドル支出の本法案について質疑をさしていただきたいと思います。
 まず、事の順序として外務省に伺います。
 予算委員会でも質疑が行われたわけですけれども、ホワイトハウスのプレス関係の事務所が二十二日にアメリカの特別補正予算について発表いたしました。原文を一応入手しておりますけれども、既に同僚議員から質問が一部ございました。これを見ますと、まず第一に、湾岸戦争についての積算根拠がアメリカにもできないのだという答弁が総理及び大蔵大臣等々からありましたが、補正予算を見ますとそうではなくて、基本的部分は積算が十分にできており、ただ直接の戦闘、武力行為に伴う費用だけが、将来のことにかかわるので一日一億五千万ドルから最大限十六億五千万ドルという範囲で変化するという内容になっているのじゃないですか。
#76
○松浦(晃)政府委員 従来、総理、大蔵大臣等が、今回の武力行使全体に米側としてどのぐらいの経費がかかるかわからないと申し上げておられましたが、このまさに二月二十二日の今回の補正予算が出る前でございまして、これが出ました結果、先生がまさに御指摘のような、基本的にこれが対象にしておりますのが昨年の十月一日からことしの三月三十一日でございますけれども、四百億ドルというのを受けまして、それにプラスアルファだ、そのプラスアルファが、今先生御指摘のように、まさに戦闘のための追加経費ということで幅が示されておりますけれども、総額が不明という形になっております。
#77
○正森委員 回りくどい主張だったのですけれども、私の主張を認めたわけですね。これが出る前よくわからなかったけれども、補正予算の内書きが出れば一応戦闘行為に直接要する費用は、これは将来のことにかかっておる。
 これを見ますと、どう書いてあるかといいますと、タクティクス、戦術とそれからイラク側の対応それからウエザー、そういうものによって、その予測しがたい将来にかかっておるのだというように書いてあるのです。そういうものが一億五千万ドルから十六億五千万ドルまでで変化するというように言うているので、基礎的な費用は、戦争が終わった後の帰還費用を含めて約四百億ドルであるということが書かれております。
 そこで、伺いたいと思うのですが、これを見ますと、去年の十二月三十一日までは一日一億ドルとして九十一億ドルですね。
 それから、この一月から三月三十一日までは、予備役の招集に要する費用あるいは戦場における危険手当それから輸送、燃料あるいは五十万人に対する補給というものが一日一億三千七百万ドルで、三月三十一日までで百二十三億ドル。
 それから戦闘費用は、戦術やら敵の行動あるいは気候などによって予測しがたい面にかかっておるので、今言いましたように一億五千万ドルから十六億五千万ドル一日にかかると考えておる。
 そのほかに、近い期間で必要とされるものとして弾薬とかそれから消費されるものについての補給あるいは戦闘に必要な装備というものの購入というようなものに六十四億ドルというようになっております。
 それから、ポスト・コンバット・フェーズダウンと書いてありますが、まさにあすからの局面ですね。戦闘が終わった後のそういう状況のもとにおいて戦場地域に対する秩序維持等々に要る金、それが七十億ドルと見込まれております。
 その次には、五十二億ドルが人員及び装備の帰還に要する費用。この帰還に要する費用の中には、予備役艦隊が現役になっておるのでそれがもとの展開前の状態に戻る費用、あるいは予備役招集に伴ってそれを除隊させるために必要な費用というようなものまで入っているのですね。これが五十二億ドルであります。
 これを何もかも全部ひっくるめて四百億ドルというようになっているのですね。
 そこで、大蔵省に伺いますが、大蔵省はどんな歳出でも事細かに主計官が査定して、そして支出するのですね。本件の場合はそういう査定も一切ありませんが、今このアメリカの前提を全部認めるにしても、これは三月三十一日まで戦闘行為が続くと見て、そして直接の戦闘に要る費用以外のものを出しているわけですから、例えば百二十三億ドルについて見れば、一億三千七百万ドルというのは、これは将来をずっと見越した数字なのですけれども、それが三月分は丸々なくなるから、これだけで既に四十億ドル節約できることになります。あるいはまた緊急に必要とするような武器だとか装備とかの補給というようなのも六十四億ドル出されておりますが、これも三月には恐らく消耗されるものがなくなってしまうというような点を考えますと、これは四百億ドルの基礎的な数字が大幅に下の方にレベルダウンするわけです。そして戦闘が三月分は全部なくなるということになると、直接戦闘に要する費用もこれは少なくなってくるということで、湾岸関係に要する砂漠の盾及び砂漠のあらし――砂漠の盾というのはサウジアラビア防衛を中心とする作戦ですね。砂漠のあらしというのは、これはクウェート解放で進攻していくための作戦、これを砂漠のあらし、こう言うのですが、それは大幅に後方に、後方にというか下方に修正されなければならない状況であるというように私は思います。
 そうすると、この補正予算の資料を見ますと、今外国からもう既に提供され、あるいは提供を約束されている金は五百三十五億ドルある。アメリカが百五十億ドル権限を認められるようになっておりますが、これは、これを見てみますとワーキングキャピタルと書いてあるのですね。運転資金で、外国からやってくるまでにいろいろ装備を買うてみたり支出をする、そのための運転資金だ。外国から金が出てくるにつれてその金を使うんだ。そして、もしバランスをとってみて余裕ができれば、アメリカの百五十億ドルは国庫に返還するというようになっているでしょうが。そしてあなたは、予算委員会で質問したとき、答弁したとき、私、横で聞いていたけれども、あなたはそこだけを読んで、外国から提供された金がどうなるかということを言いませんでしたが、外国から提供された金を返すなんというのは一言も書いてないじゃないですが。まず外国から提供された金を充当して、そして百五十億ドルという運転資金について余裕ができればそれは国庫へ返す。つまり他人のお金で戦争をするという内容になっているわけであります。
 そして、しかもこれは三月三十一日まで戦闘が続くという前提での試算ですから.その場合でも、通常には四百億ドルで結構だ、そしてコンバット費用が、それは別に算出する。それだって随分短くなったんですから、どう転んでも、これは外国から提供される五百三十五億ドルプラスアメリカの調整費の百五十億ドル以内におさまることが確実なんですね。それはそう認めますか。
#78
○松浦(晃)政府委員 何分にもこの二月二十二日に予算案の概要が発表されたばかりでございまして、私どもも詳細についてはわからない点がございますけれども、今先生御指摘の点について申し上げますと、全体としてその四百億ドルプラスアルファということで申し上げましたが、このプラスアルファのところがどのくらいになるかということがかぎでございますけれども、今先生御指摘のように、下限ですと一日一・五億ドル、上限ですと一日十六・五億ドルですが、今まで、きょう戦闘行為が終わるといたしますと四十三日間戦闘が行われたことになります。これを掛けますと、下限が六十四・五億ドル、上限が七百九・五億ドルでございまして、したがいまして、全部足しましても、下限は四百六十四・五、上限が千百九・五ということで、相当幅のある数字になりまして、一体どの辺におさまるかということは、現時点でなかなか予測は立てられないということを申し上げたいと思います。
 それから第二番目に申し上げたいと思いますのは、これが発表されましたとき、ダーマン予算局長が記者ブリーフをワシントンで行っております。その中で、今まさに先生が提起されました同じ問題が新聞記者から提起されております。それは、直ちに戦闘が終わったらどうなるかということでございますが、それに対しましてダーマン予算局長は、この基礎的費用、これはこの四百億ドルを指しているわけですけれども、この三月分の基礎的経費は二十九億ドルである、したがって三月の経費がゼロになってもこの四百億ドルマイナス二十九であるということを言っておりまして、それにプラス戦闘行為に使用する経費がかかるわけでございますから、まだ全体像は、正直申し上げまして私どもよくわかりませんけれども、相当経費がかかった、あるいはこれからもかかっていくだろうということは、今私が申し上げました幾つかの数字から御想像いただけるものと考えます。
#79
○正森委員 今の北米局長の答弁を聞いていたら、アメリカ政府と議会は随喜の涙をこぼすでしょうな。日本の局長やらアメリカの局長やらわからぬ答弁するじゃないですか。あなた、いいかげんなことを言ったらいけませんよ。今言っている一億五千万ドルから十六億五千万ドルというのは確かにありますけれども、まずあなたの答弁で直さなければならないのは、この費用というのは、ダーマンなんかが言うているのは、三月三十一日まで続くということで言うているのですけれども、それは二月二十七日に恐らくブッシュ声明によって終わるじゃないですか。一月十六日アメリカ時間から始まって三月三十一日まで続くと思ったのが二月二十七日に終われば大幅に、三十一日ないし二日分というのがこれより減るということがまず大前提です。それを全く無視しているじゃないですか。
 それからまた、ダーマン局長が何を言ったか知れないけれども、三月分の経費が二十七億ドルと言いましたか九億ドルと言いましたか、それは議会に出している数字と違うじゃないですか。議会に出している数字は、三月三十一日までかかる費用というのは、一日に一億三千七百万ドルというように考えて百二十三億ドルというのを出しているじゃないですか。だから、この米議会に出された数字を前提とする限り、少なくとも一億三千七百万ドルに三十掛ければ四十億ドル以上になることは明らかじゃないですか。それを、米議会の予算書にちゃんと出ている数字じゃなしに、それより前にダーマン氏が言った言葉を引用するなどというのはもってのほかのことだ。
 それから、もう一つ言いましょうか。あなたは、戦闘について一億五千万ドルから十六億五千万ドルまでかかるんだから最高の場合はこんなにかかるんだ、最低の場合は四百六十億ドルかもしれないが、こう言ったでしょう。最高の場合にどういう基準のもとに計算されているか、あなたは知っていますか。知らないでしょう。
 私がこの前にも言いましたけれども、アメリカの議会のクォータリーに載っている費用、それを見ますと、こういう前提に、ここにその英語の原文がありますけれども、一番長く六カ月かかった場合に八百六十億ドルかかるということで出している数字を見ますと、これはアメリカ兵が七千八百人戦死する、三万七千二百人が戦傷を負う、タンクが九百台やられる、飛行機が六百台撃墜される、あるいは損壊される、おまけに一隻七億五千万ドルかかる軍艦五隻が沈没する、それを代替するということも全部含めて費用を出しているんですよ。いいですか。しかもそれを見ますと、アメリカ兵が七千八百人も死んだ場合のその補償費用、三万七千二百人、これが戦傷を受けた場合の、そのまた戦時手当から負傷の手当からそういうものが全部入っているのですよ。
 ところが、実際上の地上戦は、ブッシュ大統領が言うたように百時間かからないで終わったじゃないですか。アメリカ側の発表を信用するとすれば、米兵の損害はせいぜい数十名くらいで、一方的にイラク軍を撃破して、戦車もほとんど損傷を受けておらない。飛行機も、少なくとも今までの発表を信ずる限りせいぜい数十機以内で、とてものことじゃないが戦車九百台とか飛行機六百台などの損害を受けていないじゃないですか。そういう最大限の損害を受け、しかも三月三十一日まで続くとすれば戦場費用等々を入れて八百六十億ドル、こう言っているのですよ。それを、そんな前提を全部抜いて、そして一番かかる費用を日本の国会で言う、そんな外務省の局長があるか。少なくとも日本の主計局、日本の主計局なら日本の国益に基づいてもう少し冷静な判断をするでしょうが。その冷静な判断をすればとてもこんな金はかからないということは一目瞭然じゃないですか。
 私がなぜこういうことを言うかというと、この予算書には、金が余ったら全部国庫に返すと書いてあるじゃないですか、アメリカの金は。それで、ほかからもらった金については返すなんていうことは一言も書いてないじゃないですか。だからもらい得であって、日本のことわざに火事太りという言葉があるけれども、アメリカは文字どおり火事太りで、よそからもらった金で戦争をして、余るけれどもそれは返さぬでもいい、自分が用意した金はまた国庫へ返すという内容になっているのですよ。
 それだのに、日本の国民は、国債を発行し、増税になる、そんなことを認められますか。だから言っているのですよ。いいですか、この原文を見ますと、その金が余れば「リバート ツー ザ トレジャリー」と書いてあるじゃないですか。リバートというのは戻すとか返すとか帰属するとかいう意味ですよ。だけれども、外国のは全然書いてないじゃないですか。
#80
○松浦(晃)政府委員 先生から幾つか御指摘がございましたのでお答えさせていただきたいと思いますが、最初に申し上げたいと思いますのは、私も先ほど申し上げましたけれども、二月二十二日に発表されました補正予算案の概要のプレスレリースに基づいて私どもいろいろ判断しておりますけれども、何分にも詳細については承知しておりませんので、全貌が必ずしもわからないということで先ほども私申し上げたつもりでございます。
 それから、先生がいろいろと言及されましたので、それにも触れたいと思いますけれども、繰り返しいろいろな場でお話が出ておりますが、アメリカ側も、議会の調査局、それから予算局、いろいろなところがいろいろなことを発表しております。それらの数字が必ずしも合っていないということを申し上げておきたいと思います。
 それから、補正予算案に戻らせていただきまして申し上げたいと思いますが、私が先ほど申し上げましたダーマン予算局長の記者ブリーフというのは、まさに二月二十二日にホワイトハウスがプレスレリースを出した際にダーマン予算局長が言ったことでございますが、もう一度申し上げます。この戦争が直ちに終わったらどうなるか、これはまさに先生が今提起されたと同じ質問があったわけでございますけれども、それに対しましてダーマン予算局長は、この三月の基本的な費用は二十九億ドルであるということでございまして、したがってこの三月の経費が仮にゼロであってもこの全体は二十九億ドルしか変わらないと言ったということを先ほど御披露申し上げた次第でございます。これは、あくまでも今回出されました補正予算案に対しての質問に対する答えでございます。
 それから、具体的に戦闘行為がどのくらいの期間行われ、それがどのくらいの費用がかかるかということに関しましては、先生もいろいろ……(正森委員「局長、答弁を要領よく短くしてください。我々時間に限度があるのだから」と呼ぶ)はい。先生が議会の予算局の資料も言及されましたけれども、同時に議会の調査局の資料もございます。私は、ここではホワイトハウスが発表いたしました資料に基づいて先ほど申し上げたわけで、これは私、前提は、単純に今まで四十三日間戦闘が開かれた、それを、一日に要する下限が一・五億ドル、上限が十六・五億ドル、それに掛ければこうなるということを申し上げた次第でございまして、それ以上の意味ではございません。
#81
○正森委員 幾らそれ以上の意味がないと言ったって、こんなにかかるのですからこれだけ出すのは当たり前だという意味で言うたことは非常にはっきりしているじゃないですか。
 それから、これは私は何もアメリカの国会議員にかわって言うわけじゃないけれども、ダーマンがそんなことを言うているということになれば、自分が補正予算について国会に出した資料と反することを言うているのですよ。なるほど、去年までは一日一億ドルという計算で九十一億ドルというのをやったけれども.ことしの一月からは、戦局がこういうぐあいになったから一億三千七百万ドル要る、だから三月三十一日までだったら百二十三億ドル要ると議会に出しているのですよ。その数字に基づいて私が質問したのだから、もし私がアメリカの国会議員で、ダーマンがそんな答弁したら、国会にうその資料を出したのかいとどなりつけるところです。あなた、ダーマン、ダーマンとえらい言うが、ダーマンはほかに日本に不利なことをいっぱい言うているんですよ。それ全部認めるのか。予算委員会で我が党の議員などが質問したら、ふだんアメリカ、アメリカと言っておられますが、アメリカの資料を信用してどうこうというようなことを言うたけれども、それを言うなら、あなたがダーマン、ダーマンと言うなら、ダーマンは日本に不利なことをいっぱい言うてるぞ。それを全部認めるのか。それよりも、アメリカが補正予算についてちゃんと出した資料、それに基づいて説明されていることに基づいて聞くのが当たり前のことじゃないですか。
 私は、これを.余り英語はあなたほどよくできないけれども、読んだら明らかにミスプリもありますよ。例えば、これの一枚目か何かにノートというところがあります。そこには国防省の協力基金というのは現在十一・二ビリオン、つまり百十二億ドル現金で受け取っておる、こういうぐあいに書いてありますね。あなた方の手元にあるでしょう。ところが、同じように添付されている資料のテーブル一を見ますと、それは百二十一億七千五百万ドルになっています。だから、それはアメリカだって全部正確じゃないですよ、日本人の私でさえ指摘できるような誤植があるんだから、あるいはミスプリがあるんだから。それは考慮するにしても、今あなたがダーマン予算局長などを引用したなんというのは、これは全くこの予算書に書いてある正規の資料を否定するものであります。
 それからもう一つ言いましょうか。例えば、この資料の中には、当面必要とされる弾薬等の補給というように書いてありますが、それがどういう文章になっているかというと、「ツー ムーブ バック トワード プレビアスリー プランド インベントリー レベルズ フォーセレクテッド ミューニションズ アンド エクスペンダブルズ」、こうなっているのです。だから、これまでに計画された在庫品の水準まで戻すということになっているのですよ。つまり、武器弾薬などがだあっと使われる、それを現在のレベルまで戻すということになっている。
 ところが、そのことについて、例えば米連邦準備制度理事会のグリーンスパン議長はどう言っているかといいますと、米下院予算委員会での二十二日の証言で、湾岸戦争で使われている兵器や弾薬類のかなりの部分は将来補充する必要がないとの見解を示し、財政支出にあらわれる戦費は、我々が理解しているものよりはるかに少なくて済むかもしれない、こう言って、完全補充を前提としたさまざまな試算は現実的でないということを示唆しておる、こういうぐあいに書いておるのです。その理由は何かといいますと、同議長は、一日五億ドルと言われる戦費の大半は、米軍が配備、貯蔵してきた兵器弾薬の消耗によるものである、こう言いまして、ソ連との全面戦争に備えた米軍の兵器の備蓄は極めて高水準にあり、冷戦構造の解体によりその水準は中長期的に低くなると見込まれるのに加え、古い兵器弾薬は戦争で使われなくてもいずれ破棄されることなどを挙げ、いいですか、古いのは戦争に使わなくたってどうせ廃棄されるようなものを今、演習だ、使えというようなもんでどんどん使っているのですよ。古い兵器弾薬は戦争で使われなくてもいずれ破棄されることなどを挙げ、消耗した兵器弾薬の相当な部分は明らかに補充する必要がないとの見方を示した。これはグリーンスパンが言っているんですよ。そして、米国が将来どのような戦力を維持していくかについての判断が示されるまで、財政支出に与える影響を見きわめることは難しい、こう言っているのです。だから、補正予算で出した数字さえ、それは過大であって、しかもその相当部分は今まで対ソ戦用にためにため込んでおった、それを今放出しておるので、そんなものは全部もとの在庫品の備蓄のレベルまで戻す必要はない、それは将来のアメリカの政策やら判断によって決まるんだ、こう言っているんですよ。
 ところが、そんなものまで全部ひっくるめて、いいですか、五百三十五億ドルのうちの、九十億ドルと、前の二十億ドルのうちの十七億ドル幾らというのはちょうど二〇%になるんですよ、百七億幾らで。
 いいですか、大蔵大臣、ブレイディ財務長官が、九十億ドルという数字は日本に対して我々から示した、満額回答を得たというように二月七日の米下院予算委員会で言われているんではありませんかということを私は本会議でも言いましたし、他の委員会でも言いました。それに対して大臣はお答えが十分にございませんけれども、実際はそれはあったのではないですか。ブレイディ氏がそういうことを言う根拠になるのは、一月二十日、二十一日ごろですか、大蔵大臣がお会いになりましたね。そして、お帰りになって、二十三日にはすぐ九十億ドルという数字で政府・自民党首脳がほぼ決めたわけですから、プレイディ財務長官が提示したとかなんとかいうのは、これは常識的に考えても大蔵大臣であるあなたに何らかの形で伝えたというように見るよりしょうがないのですね。ここは大蔵委員会で、予算委員会ではありません。ホームグラウンドですから、どうか気楽に本当のことを答えてください。
#82
○橋本国務大臣 まず、何となく嫌疑をかけられているのは大変心外であるという私自身の気持ちから申し上げたいと思います。
 と同時に、先ほどダーマンの証言というものの中には日本に不利なものがたくさんあるという御指摘をされましたが、その事実も私は認めました上で、ダーマンの上院歳出委員会公聴会における質疑の中から、それについてのお答えを申し上げたいと思います。
 ある議員からの、日本が全体の費用の二〇%、湾岸諸国が六〇%、米国とその他の連合諸国が残り二〇%を負担するというフォーミュラがあったのか、あったとすればこれはいかにして得られたものなのかという質問に対しまして、ダーマンから、一、二あったかもしれないが、自分は各国の支払い能力が時期により変化し得るし、紛争の長期化もあり得ると考えたので、この種の融通のきかない割合は一度も承諾していないという発言をいたしております。
 そして同時に、この前も委員から同様の御指摘を受けたわけでありますが、二月二十二日に米政府が補正予算を国会に提出し、その中においては数字が確定したということは事実でありましょう。しかし、その間に一月という時差がございます。一月二十日という時点において数字は存在をいたしておりませんでした。そして、非常に幅のある数字が動いておった時期であります。ですから、これは本当に、ほかの方がおりませんから私も証人を呼んで立証することはできないわけですが、少なくとも九十億ドルという数字はその席上で明確なものとして出ておるものではありませんし、確かに相応の負担を求められ、相応の負担をするよという返事を私はして帰ってまいりましたけれども、その後、政府・与党首脳会議等の議を経て、総理が最終的にこれを決定されました。
 また同時に、この九十億ドルというものにつきまして、これはこの議事録をごらんになる方々が誤解を生ずるといけませんので、改めて私が申し上げなければならないのは、アメリカの予算書はアメリカとしての考え方で書かれておるでありましょう。そして九十億ドルという数字がなぜ、アメリカとして議会証言の中で九十億ドル全部がアメリカに渡されるとは言わないにかかわらず、附属資料の中に書かれているかといえば、まだ日本がこれを国会で御決定をいただいておらない状況の中で、湾岸平和基金における配分等は決定していない、その中での枠取りをしておられるのではないだろうかと私は思っております。そして、同じくダーマン、あるいは先日のブレイディ財務長官の証言の中におきましても、ブレイディさんは英、仏という名前を挙げられましたけれども、九十億ドルすべてがアメリカに渡されるという言い方はされておりません。同時に我々は、湾岸の平和と安定の回復のために湾岸平和基金に拠出をするわけでありまして、アメリカ側がその口座をどうするかということとは別の問題ということだけは明らかにさせていただきたいと思います。
#83
○正森委員 私がここで言いましたのは、予算委員会で我が党の議員も言いましたように、九十億ドルが、このアメリカの補正予算の参考資料によれば全部アメリカへ行くではないかということを質問の主題として言っているのではないのですね。アメリカの補正予算書でどういうように戦費を試算しているかということを言っているので、九十億ドルになるか、従来どおりそれの約九〇%ぐらいが送られるか、それは今後決まるだろうというように言っておきます。しかし、九十億ドルが全部アメリカの国防協力基金に入れられる可能性は、私は、少なくともこれから見る限り多いと思います。
 それから、ブレイディから明確な数字の提示はありませんでした、こう言われました。明確なと言われたところを見ると、おぼろげな数字の提起はあったのかなというように反対解釈としてできるわけですが、あえて言いません。それは、私が現に聞いてきたわけではなし、大蔵大臣秘書官として横におったわけではありませんから。ただ願わくば、それがうそであるということで将来大蔵大臣が閻魔様から舌を抜かれることのないように、それを希望しておきたいというように思います。
 それで、北米局長に言っておきますけれども、あなたはダーマンをえらい信用したようなことを言いましたけれども、その同じ二十二日に、あなたにとっては不利かもしれませんが、ダーマンは、アメリカの出す金は、「三月中に戦争が終われば百五十億ドル以内、より早期に終結したり損害が少なかったりすれば、」アメリカの負担は「ゼロの可能性もある」、こう言っているのですよ。それから同時に、湾岸戦争が早期終結しても外国の支援金というのは返還しないということも言っているのですよ。だから、あなたがダーマン、ダーマンということになれば、それもまた本当であるということになる可能性があるということを一言申し上げておきたいと思います。
 それから大蔵大臣に伺います。
 私どもはこの赤字国債が戦時国債である、そういうことで、私は本会議でも、財政法四条の逐条解説、平井さんという、大蔵省の司計課長だそうですね、その人の書いたものを引用しました。それに対して、同じことを言うのもあれですが、大蔵大臣はそれについて、私の意見に対して決して否定するものではないというようにお断りになった上、「しかし、」と、この「しかし、」以下が余りよくないのですが、「同時に、財政法第四条は、あくまでも健全財政のための財政処理の原則を規定したものでありまして、戦争危険の防止そのものが同条の立法趣旨であるとは考えておりません。」これは速記録を正確に写してまいりました。そういうぐあいに答えておられます。
 しかし、これは確かに、仰せのように戦争危険の防止そのものが、それだけが同条の立法趣旨ではない、健全財政がその趣旨であるということははっきりしておりますが、しかし、この「財政法逐条解説」の起草者であった平井平治氏はこう言っているのですね。「第四条は健全財政を堅持して行くと同時に、財政を通じて戦争危険の防止を狙いとしている規定である。」こう言っているのですよ。つまり、エントベーダーオーダーではなしに、健全財政と、それから財政を通じて戦争危険の防止をすること、この両方をねらいとした規定である、こう言っているのですよ。だから、一九四七年ごろの、ああ戦争して国民に迷惑をかけたといって反省をしておったころの殊勝な大蔵省と現在の大蔵省では随分心がけが変わり、しかも憲法の立場から見ると悪い方へ変わった、今の大蔵省の幹部は。大臣もそうだとは言いませんが。そういうように言わざるを得ないのですが、いかがですか。
#84
○橋本国務大臣 閻魔様に舌を抜かれるかどうかは、これは将来のこととして、アメリカ側の資料について、もう一点私の方から委員に申し上げたいことがございます。
 というのは、これはアメリカの資料が我々の理解できないものを時々載せているという一つの例でありまして、一九九〇年中の外国からの援助の内訳というリストの中に、日本から十七億四千万ドルのコミットがなされたという、その数字があるのでありますが、実はどういうふうにやってみましてもその十七億四千万という数字に、今までの日本側の数字は合いません。湾岸平和基金を通じて物資協力、輸送協力に供給されました資金というものとこの数字は合ってこないわけでありまして、実は我々自体も検算のしようのないものがございます。これは一つの例として、どうぞアメリカ側の数字のみで御論議をいただきますと困りますということを申し上げたい。御理解をいただきたいと思います。
 と同時に、確かに私は本会議でも、財政法四条というものが、第二次世界大戦前、また戦中における巨額の公債の発行というものにより軍事費の調達をしてきた、そしてそれが戦争の遂行、拡大を支える一因となったという反省の中で、無原則かつ歯どめのない借金財政を戒めるという視点で設けられたということを否定をいたしませんでした。私も確かにそういうものはあっただろうと思います、その当時に戻ってみて。しかし、同時にやはり財政法四条というものはあくまでも健全財政のために財政処理の原則というものを規定したものである、これもまた間違いがありません。そして、その戦争危険の防止そのものは、やはり立法趣旨だというのには私は無理があると思うのであります。その当時解説をされた方の胸の中にどのような思いがあったか、今日として知る由はございません。しかし、私は、財政法四条そのものが戦争危険防止のために設けられたものとは考えておらないということであります。
#85
○正森委員 平井さんに今聞く由はございませんが、少なくとも著書に残っておるのでは、それもねらいとして規定したものであるというように書かれていることを申したいと思います。
 防衛庁に来てもらっておりますので一言だけ伺います。
 防衛庁は、「日本の防衛」という平成二年九月に出された文書の中で「後方支援態勢」というのを書いておりますね。この「後方支援態勢」というのは、第一章「自衛隊の現状と課題」の第一節「主要作戦における防衛力の概要」という中に入っているのですね。つまり主要作戦の概要の中に入っている。その中で「整備・補給・輸送・衛生などの後方支援は、作戦実施のための基盤であり、戦闘部隊がその機能を十分に発揮できる態勢を維持することが必要である。」云々と、時間がありませんので読みませんが、そういうぐあいに書いてあることは間違いないですね。
#86
○畠山(蕃)政府委員 間違いございません。
#87
○正森委員 ですから、我々は、一たんアメリカの防衛協力基金に入ってくれば、次々とお金が動かされるんですから、お金に色がついておりませんので、これが武器弾薬の購入に充てられないとか充てられるとか言っても無意味だと思いますが、仮に武器弾薬に充てられないとしても、後方支援というのは主作戦にとって密接不可分の関係にあるということは旧軍をまつまでもなく、現在の自衛隊が認めているんです。
 そして二月二十七日のある新聞を見ればこう書いているんです。
  米軍を中心とする多国籍軍の電撃的な地上戦について、米国防総省は当初から、砂漠という悪条件の中で弾薬、燃料、食糧など必要物資の補給をいかに効率的に行うかが、作戦成功のカギを握るとみていた。
「作戦成功のカギを握る」と言うているのです。
  米国防総省当局者によると、激しい地上戦が行われる場合、一機甲師団が約一万六千人、戦車三百五十両、歩兵戦闘車二百両と仮定すると、一日に五千トンの弾薬、二千キロリットルの燃料、千キロリットルの飲料水と、補助要員分も含めた八万回分の食事が必要。これを運搬するには約千台のトラックがいるという。
ということを言うて、いかに大規模な後方支援活動であったかということを言うているんです。結局のところ、政府の言い分を全部認めたとしても、こういう後方支援活動を行うということになるんですね。
 さらに申しますと、今、北米局長、あなたにきのう事前に言うておいたので、米議会調査局の資料のことを言いましたから少しそれを聞きます。
 ここに原文と訳を持っておりますけれども、その中で、その「政策問題」というところを見るとこう言っているんです。「アメリカ軍が傭兵とみなされる危険とは何か?」という見出しのもとに、
  金銭によっては払拭できない一つの危険とは、アメリカ軍がサウジやクウェートなどの支払い主につかえる傭兵とみなされるようになることである。さらに、アメリカが「砂漠の盾」作戦を、あらかじめ財政支援を求めることなく、そして現在この作戦への支援を求められている
 多くの政府との相談なしに自力ではじめたことである。
と、これが問題であるということをアメリカの議会が、調査局が認めているんですね。そして、
 同盟国は、「砂漠の嵐」作戦の目的と実践に関与し得るのでなければ、金銭的な支援を求められても理不尽だと考えるだろう。
と、こう言った後で、
  「砂漠の盾/砂漠の嵐」作戦への国際的な支援をえるうえでの困難の一つは、費用の限度がわからないことや、
アメリカ側が言うているのですよ、「費用の限度がわからないことや、」と。だから、どれだけくれくれと言われるかわからぬ。
 この戦闘でのアメリカの軍事的な最終目標が不明確なうえに、国連の作戦命令によるものではないという事実である。
こういうぐあいに言うているのです。
 今やっと戦闘停止ということになりそうですが、イラクが国連決議を受諾しても、多くの新聞はアメリカの目標というのはフセイン政権の打倒あるいは軍事力の破壊まで行くのではないかとか、いろいろなことがありましたが、それは全部ブッシュ大統領が最小限の関係国との相談の上で決めるのですね。残念ながら日本はお呼びがないでしょうが。新聞報道によりますと、日本政府は外務省も含めてさっぱり連絡がないからわからぬのだと言うているということが載っております。
 そこで、シビリアンコントロールについて聞きたいのです。
 アメリカは現在一年間に三千百億ドルの赤字を出しているのです。累積赤字は膨大なものであります。もしアメリカが、軍事費にこれだけ要るか、今度の予算でこれだけ要るか、これが、米国民や米議会が納得して通過するだろうかというような心配があれば、おのずから作戦には限度があるわけであります。
 ところが、今度の場合は他国のお金を当てにして戦争をする。これまでのでは八八%が他国の分ですが、早く戦争が終わったら、ダーマンが言っているようにアメリカの負担はゼロになる。そうすると、他国のお金を当てにして戦争をするんなら、財政、財源のことは考えなくても、目的を達成するために必要ならどんどんやれということになっていくんじゃないですか。シビリアンコントロールの大きな一つの要素というのは、平井さんが財政法四条の解説で書きましたように、財政面から不必要な戦闘拡大は規制するあるいは戦争そのものを規制するというのがシビリアンコントロールの大きな内容の一つじゃないですか。そうすると、今の新しい秩序というか、アメリカのやろうとしているのは、その財政的な歯どめなしに、同盟国にはどんどんお金を要求してその金で、しかも場合によっては余ったら自分の国庫に入れるという焼け太りで戦争をするということになれば、これは世界の平和の問題にとっても重大な問題点を残すんじゃないですか。
 こういうシステムができると、単にイラクの問題だけには限りませんよ。今後アメリカが世界秩序から見て許しがたいということになれば同じように行動を始めて、応分の負担ということでお金を求められる可能性があり、アメリカは財政面を考慮しないで戦争を行うということになりかねません。しかも日本は、それに関与しないのに金だけは負担しなければならないという、財政自主権の事実上の放棄になる。これは独立国にあるまじきことだと私は言わざるを得ません。御答弁をお願いします。
#88
○橋本国務大臣 私は正森議員と論戦をするのは余り好きではないのです。非常に雄弁で、いつも私はやられております。
 ただ、今のお話は極めて心外であります。
 今委員は、戦争というものについて極めて、ある意味では無情な御発言をなさいました。自国の国民を戦場に送り、その死を迎える可能性のある行為を、どこの国の政治指導者であろうとそんなに安易に決定できるはずはありません。今委員は、アメリカが費用を他国に負担をさせどんどん戦争をあちらこちらでという趣旨の御発言をされたと私は思います、世界の警察活動という名のもとにおいて。しかし、一体自国の国民を戦場に送りどれだけの人が死ぬかを考えた場合に、政治の指導者というものは、少なくとも民主主義体制の国家において、それほど安易に戦争への決定はできるものでしょうか。費用を他国が負担するしないの問題ではなく、自国の国民をそれほど平然とみずからの生命を失う可能性のあるところに送り込める指導者が民主主義社会におるとは私には思えません。大変失礼でありますが、この点については私は委員と真っ向から意見を異にいたします。
#89
○正森委員 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきますが、私が言っておりますのは、最後の数日間においてアメリカの対応を見ておりましても、まあ停戦になるようですから結構ですが、多くの新聞に、国連決議の範囲をはるかに超えて政権の変更あるいは武装力の壊滅を求めているのではないかという危惧の声が聞かれたことは明らかであります。そういう点を考慮して言っているので、何もやみくもに戦争を行いそして人命を犠牲にしてもいいと言っているわけではありません。特にアメリカのような国は、人命の犠牲が大きな国内問題を引き起こすということは明らかであります。それにもかかわらず、財政を考慮せずいろいろなことを決める可能性を与えているのではないかということを言っているわけであります。
 残念ながら時間が参りましたので、理事会の決定に基づいて私の質問を終わらせていただきます。
#90
○平沼委員長 中井洽君。
#91
○中井委員 二時に戦闘行為が停止をされるというアメリカ大統領の発表がございます。また、イラクの側も、国連決議十二本すべてを受け入れるという発表をいたしたようであります。この戦闘行為の停止を受けて間違いなく戦争停止、そして中近東の平和、こういったものがやってくる、この事態を心から歓迎をするものであります。同時に、国連決議を実行させるために二十数カ国の兵士の人々が命がけで世界平和のために戦ったこと、そして見事にこれを実行してくれたこと、このことに私は日本の国会議員の一員として心から感謝と敬意を表したい、このように考えております。
 きょうのこの平和へ向かっての大きな動き、橋本大蔵大臣はどのようにお考えか、御感想を承ります。
#92
○橋本国務大臣 ちょうど一月十七日に多国籍軍によるクウェート領域内からのイラクの排除という行動が始まりました直後、私はG7のためにニューヨークに参りました。そして、初め高揚していたアメリカの空気というものが、自国の戦死者を出しまた捕虜となった兵士がテレビの画面に映される中で急速度に変わっていくのを肌で感じておりました。戦争というのは本当に嫌なものです。私どもの幼いときにも戦争がありました。一分一秒でも早く終わってもらいたいと願っておりましたが、ようやく停戦というところまでこぎつけ、ほっといたしております。
#93
○中井委員 この世界平和回復、新しい国連を中心とした秩序づくりのためにやむを得ず行われた戦争、私ども経済大国日本として当然憲法の精神にのっとって金も人もお手伝いをすべきと私どもは主張をし続けてまいりました。残念なことに人的な貢献、これがほとんど何もできずに戦争が終わろうといたしております。そういう時期、九十億ドルというこの巨額な援助、これを政府もよく思い切って決定をしたと考えておりますし、またその中身につきましても、私どもの主張を入れ五千億に及ぶ増税を他で賄う、こういう案で法案として提出をされてきたことを私どもは率直に評価をさせていただきたい。こういう法案をきょうの日に賛成の立場で質問をする、感慨深いものがある、こういったことを私も申し上げておきたい、このように考えております。
 同時に、ひとつ大臣に、財政当局御担当の大臣としてお尋ねをしたいわけでありますが、今回の予算修正は、過去の補正予算あるいは予算の修正、何回かございましたけれども、かつてない金額でありまして、政府と自民党で四十数年間政権を担当して、つくった予算はいじらない、無修正で通すんだ、こういったプライドと、私どもから言わせればあしき慣習のもとに国会で頑張ってこられました。今回の修正につきましても、いろいろな思いを抱かれる財政当局の方もおありであろうか、このように考えます。
 しかし、考えてみましたら、国会というのは、議会というものは、政府のおつくりになる予算というものを、やはりタックスペイヤーの立場を代表して、要らないものは削る、必要なものはつけていく、これが当然の任務であり、国会の手で予算が修正されるということは当然のことである、そういうことが行われて初めて国会の実質的な力あるいは論争というものが高まる、このようにも考えております。
 今参議院が野党が過半数をとっておる現状、これからも大きな問題点が出るたびに各党党首が党首会談をやるあるいは政策担当者が率直に話し合う、そういう中で予算の修正あるいは法案の修正、こういったものがどんどん行われる、そしてよりよい予算、よりよい法案、こういったものがつくられるべきだと私どもは考えております。そういった考えにつきまして、大臣として一言お考えをお尋ねいたします。
#94
○橋本国務大臣 私自身、本院の常任委員会の委員長としてあるいは理事として、院の論議を踏まえて政府の提出をした法律案につき修正を行ってきた経験は何回か持っております。また、野党の皆さんの御賛成をいただけない中で与党のみの単独修正を行ってきた経験も持っております。確かに法律案審議についてそうしたケースは今までもしばしばございました。これからも当然のことながら私はあると思います。
 しかし、財政当局の立場として言わせていただきたいことは、予算というものがどれだけ大きな国民生活にウエートを占めるものであるかということを十分認識した上で、行政当局としては最善を尽くして世論をくみ上げながら、精査に精査を加えて編成をいたしております。その限りにおいて、私は、予算が修正をされるということは財政当局としては恥だと思っております。これは率直に私自身の気持ちを言わせていただくなら、予算の修正を受けるというのは財政当局としては恥だと思っておりますし、御修正を受けるような予算を編成しないことを我々は目標として全力を尽くさなければならぬと思っております。
 ただ、今回のように編成後において、編成作業が終了し、事務的に例えば印刷が進んでおりますさなかに全く予期しない突発的な事態が生じた場合、やはりこれは政府として対応を考えなければならなくなる場合があるということは、私自身が今回身をもって体験をいたしました。そして、当初その予算の修正につながらない対応を考えておりましたことも事実でありますが、院の御論議というものを踏まえて、我々はいたずらにメンツにこだわるといった姿勢は捨てて、今回みずから予算修正という手法をとりました。しかし、基本的には、国会で修正を受けるような予算を編成しないことを我々の目標として全力を尽くすべきである、そのように考えております。
#95
○中井委員 長く大蔵大臣をおやりになっておられますから、そういうプライドは十分わかりますが、国会は国会としての任務またプライドもこれあるわけでありまして、予算を修正できないような国会では何のために論議をしておるかということにも相なろうかと思うのであります。私どもとしては、今後ともこういう形で大いに国家国益のために話し合いをしていきたいと思いますので、十分お考えをいただきますよう要請をいたしておきます。
 法案の中身、幾つか質疑をさせていただきます。
 今回のこの措置で一兆円近い赤字国債を発行するわけであります。年度末でありますし、期間も極めて短期であります。これらの消化というものについて十分な自信があるのか、あるいはどういう形でこれを完全に消化しようとされておるのか、お聞かせをいただきます。
#96
○小村政府委員 担当の理財局長参っておりませんので、私の方からかわりに申し上げます。
 今回の短期、特別の公債でございますが、これはTBという形で、六カ月物ないしは市場に応じて三カ月物で発行するというふうに聞いております。
#97
○中井委員 聞いておるのはいいんで、ちゃんと消化できますかと申し上げておるのです。
 もう一つついでに言いますと、お金ができるのはいつできるのですか。
#98
○小村政府委員 市場の動向を見ながら円滑に消化していくというふうに聞いております。
#99
○橋本国務大臣 大変申しわけありませんが、理財局長が参っておりませんために正確な御答弁ができません。しかし、少なくとも私が説明を受けておる限りにおきまして、今市場も規模的に非常に大きくなっておりますし、十分対応できる、消化できると考えております。
#100
○中井委員 お金そのものはいつできて、いつお払い込みになるのですか。これはわからないですか。
#101
○橋本国務大臣 本院並びに参議院がいつ法律案を通過、成立させていただき――可及的速やかにその準備に入りたいと考えておるということで、院の御了解が得られておらない、両院の合意が得られ、成立に至っておらない今日としては、可及的速やかにということでお許しをいただきたいと思います。
#102
○中井委員 この間の委員会でも少し大臣にお尋ねをいたしましたが、予備費を二千億円流用するという形で提案がされております。この予備費につきましては、私どもはかねてから、経費の削減でかなりの分を賄え、こういう注文を政府・自民党に対してつけてまいりました。党首会談等のときに、我が党側から、この予備費の流用というのは経費削減で賄う、こういうふうに理解をしていいかと御質問をし、そのとおりだというお答えをいただいているやに聞かせていただいておりますが、そういう理解で間違いありませんか。
#103
○橋本国務大臣 私は、実はその党首会談に同席をいたしておりませんでしたので、詳細については正確に存じません。しかし、確かに政府として平成三年度予算におきましても予備費を削減するという趣旨のことは申し上げたと存じます。
 私どもといたしますと、できるだけ予備費というものは、あればそれだけ不時の事態に対応ができるという意味で安心感を持てるというものであることは間違いありません。しかし、本国会再開後の国会の御論議あるいはその他の状況の中で、私どもとして二千億円を減額する決断をいたしました。これから先、予算を執行してまいる段階におきまして、何とかその千五百億円の予備費の枠組みの中で対応できますように、予備費自身につきましてもできるだけ効率的な使い方を考えていかなければならない、同時に、各種の経費の節減合理化等についても一層努力をしてまいりたい、そのように考えております。
#104
○中井委員 先ほど大臣の予算編成に対する心構えのお話がありました。精緻に予算を査定してつくり上げておるから修正というのは屈辱的だ、こういう意味でありましたが、私どもから見ますと、今度の法案なんかでも、あっさりと、予備費だ、あるいはどこどこ会計からひょいと持ってくるという形で動かせるんだな、お金というのは不思議に出てくるものだな、こういう感じを強く持つものであります。
 しかし、何といいましても、この法案、この援助そのものを私は世界の人たちにも御理解いただきたいし、負担をする日本国民にも御理解をいただくことが一番大事だと思います。特に、増税としてこれを負担する国民は、必要性はわかっておっても何か率直に賛成しにくいなという思いを抱いてこられたわけであります。そのときに、やはり政府みずから自分たちの使い分を削るんだ、削ってでも出すから国民も御一緒に御負担をくれ、こういう形での御理解をいただく、このことが当然の姿勢ではないかと考えております。そういった意味で、予備費を、心構えとして、こういう事態においてまだこれから入り用なお金というものが予想されるわけでありますから、できる限りの経費削減を財政当局としておやりになる、他省庁と交渉される、このことをお願いしたいと思いますが、いかがですか。
#105
○橋本国務大臣 率直な感じを申し上げますと、国の歳出、いろいろな項目があるわけでありますけれども、広く国民に対するサービスでありますから、この予算を削減するということは、一面では国民に対するサービスが低下する、それを国民にも甘んじて受けていただくということにつながる要素があることは御理解がいただけると思うのであります。しかし、同時に、その予算編成の時点において必要と思われた経費がそれだけ使用しなくても済むケースも従来もございました。そうした限りにおいて、私どもは、節度のある財政運営という視点からも節約、節減合理化という努力を今日までも続けてまいりました。これからも同じような姿勢で取り組んでまいりたいと考えております。
#106
○中井委員 生意気を言いますが、もし削るところがわからないようでしたら幾らでもお手伝いをさせていただきますので、経費削減に御努力いただきますようにお願いいたします。
 もう一つは、今回の増税でありますが、石油税は、油のこともこれあり、私どもも、額的に半額になりましたからこれも結構なこと、中央競馬会のところから持ってくるというのは何だろうな、サラブレッドでアラブと何か関係でもあって考えたのかな、こう思いながら、これも経理上のやりくりで出てくるお金か、こういうふうに考えるわけでありますが、こういうときに必ず法人税の値上げが出てくる。これについてどういうお考えでおやりになるのか、そんな基本的なところをお尋ねを申し上げたいと思います。
#107
○尾崎政府委員 今回の追加支援につきまして臨時の増税でお願いをするということを考えました場合に、一番基本となりますところは、所要財源にこたえられるような税目でなくてはいけないということであろうかと存じます。かなりの規模でございますので、やはり非常に限られた数の税目になってくるわけでございます。一つは間接税の世界で、委員のお話しになりましたように石油税、それからもう一つは、直接税の方で考えますと、やはりその規模からいいまして、また比例税率で割合中立的な形になっております法人税というのが対象として一番よろしいのではないかというように考えたわけでございます。法人税の場合に、その法人税収を課税標準ととることによりましていろいろと手続の面で便利な点がございます。一年の間でございますが、納税の上での御負担をかけることをできるだけ少なくするという点から考えまして今回のような措置にいたしたわけでございます。
#108
○中井委員 この九十億ドルの使い道、使い方ということで幾つか質問をしていきたい、このように思います。
 最初に、手続的にどういうところへどういう形で振り込まれて、そしてどういう使われ方をされるのか。この間からの委員会等で、GCCの平和基金へ振り込まれて運営委員会で協議をして使い道を決めるというお話がございました。この運営委員会に、例えば日本はどういう発言をしていく資格を持っておるのか、そんなことも含めて御答弁いただきます。
#109
○松浦(晃)政府委員 九十億ドルにつきましては、国会の御承認が得られ次第、日本政府とGCCの間で交換公文を締結いたしまして、それに基づきまして、既にGCCの中に設けてございます湾岸平和基金に拠出するということを考えております。この湾岸平和基金は、最初の九億ドルを九月の二十一日に交換公文を設けまして拠出することにいたしました。その際に設けたものでございます。先生が今御質問の運営委員会でございますが、この運営委員会もその際に設けられておりますけれども、これはGCC六カ国を代表いたしますGCCの事務局長と日本を代表いたしますサウジアラビアにおきます日本の大使二人で構成しております。サウジアラビアの日本大使が日本政府の指示に基づきまして運営委員会で発言をしております。
 今後の九十億ドルの具体的な使途についてでございますが、これにつきましては輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連等を考えておりまして、この運営委員会におきまして日本代表に日本政府の考えをしっかり踏まえて対応してもらいたいと考えております。
#110
○中井委員 既に去年お出しになったお金につきましても同じようなルールでやられると聞いておりますが、この運営委員会できっちりと日本側が使い道あるいは使い先等を注文をつけ、それが受け入れられた形で使われておるのかどうか、御報告をください。
#111
○松浦(晃)政府委員 ちょうどいい機会でございますので、現時点で私どもが承知しております今までの十九億ドルの実績を御報告させていただきたいと思います。
 今まで二度にわたりまして、円で申し上げまして約二千五百二十九億円を払い込んでおりますが、現在まで約八割が支出済みないし契約済みでございます。金額にいたしまして千九百六十・五億円でございます。
 これは資金協力と物資協力を対象にしておりまして、資金協力に関しましては、まさに今先生が御指摘になりましたように、運営委員会におきまして、これは航空機及び船舶の借り上げ経費、その他の輸送関連経費に充てるということを決めております。それから、物資協力というもう一つの柱がございますが、これは運営委員会で防暑機材、水関連機材、車両、建設機材及び通信機材、事務用資機材、食糧及び医薬品、宿舎及びその附属機材ということを決めております。これに基づいて物資協力を行っております。
 今までの実績は、今申し上げましたように約八割でございますが、そのうちの九一・一%がアメリカ向けでございまして、そのほかが、残りの九%がイギリスを初め十二カ国に向けられております。これは資金協力と物資協力を合わせたものでございます。
#112
○中井委員 そうしますと、今回の九十億ドルもそういう形で協議をしながら援助をしていくというわけでありますが、一つ聞きたいことは、戦争はほぼきょうで見通しがつくわけであります。予算委員会等で政府側は、戦争が早く終わったらその余った分は湾岸の平和回復、こういったものに使うんだという御答弁をされたやにお聞きをいたしております。私個人としては、九十億ドルをぽんともう出してしまって、また平和回復の基金は基金でお考えになればいいのじゃないか、その方が日本としての立場ははるかにいい、こんなふうに考えておりますが、政府自体としては、これは早く終わったから一月分くらいはこっちへ回してよという形で運営委員会にお言いになるのか、あるいは今までの使われた戦費で九十億ドルは全部、戦費といいますか、僕は戦費でいいと思うのですが、他党の方は戦費はけしからぬと言いますから、それ以外のことにきちっと制限をしてお使いになるということなのか、どちらですか。
#113
○松浦(晃)政府委員 今回の九十億ドルにつきましては、まさに御審議いただいております法律案の第一章総則第一条に書いてございますように、湾岸地域におきます平和回復活動、具体的には、この湾岸地域におきます平和と安定を回復するために国連加盟国が行っている活動を支援するために行うものでございます。その目的に照らして私どもは、各国からもう既にこの九十億ドルに大きな期待が寄せられております。先ほど来専らアメリカについて議論が行われておりますけれども、アメリカ以外にも、先ほど申し上げましたように既に十二カ国に支援を行っておりますが、イギリスその他の国々もこの九十億ドルに大きな期待をかけている状況でございますので、今回の法律案の第一章第一条に書いてございますまさにこれを踏まえまして、GCCと交換公文を結びまして、そしてそれに基づきまして運営委員会で各国からの具体的な要請を判断して決定を行っていきたい、こう考えております。
#114
○中井委員 多国籍軍のいろいろな要求に対して運営委員会で協議してやるわけです。そのときに、例えば今までもう戦闘に使われた中での経費、あるいはこれから引き揚げていく経費等にこの九十億ドルを全部使い切ってしまうのか、あるいはこれからアメリカやイギリスやフランスがクウェートやら周辺諸国の平和回復、経済的なお手伝いのときにお金を出す、そのときにもこの九十億ドルというのがイギリスを通じて、アメリカを通じて使われるのか、どちらですか。
#115
○橋本国務大臣 まず第一点申し上げたいのは、本日で.先ほど二時で停戦命令が出たようでありますが、確認をいたしておりません。しかし、これで平和は戻ったわけであります。しかし、安定はまだ得られたとは申せません。
 非常に突拍子もないようでありますけれども、昨日、けさの段階でも、イラク軍の捕虜五万人を超えると言いました。仮にその捕虜の一日の食費その他かかる経費を十ドルと見ましても、いきなりそれでもう既に五十万ドル、十日で五百万ドルというふうに、戦闘が停止をされればされたで、その平和と安定の回復の過程、実はいろいろな費用の必要なものが出てくるだろうと私は思います。我々はあくまでも湾岸平和基金に対して平和と安定のために拠出したわけでありますから、例えば特定の国、周辺国を含め、あるいは中低所得国の中の、あるいは最貧国の、石油を産出しない国が経済的な影響を受けたものに対する援助といったものは、この湾岸平和基金に拠出する資金とは全く別途のもの、私はそう思います。
#116
○中井委員 そうしますと、どういう形で和平が行われて、停戦状況あるいはクウェートの国を守るために、あるいはイラクがこれ以上また再びこうやらないように監視するとか、そういういろいろな行動がとられると思うのであります。これから先は、わりかし国連のPKO活動、こういったものが出てくる。そういう費用分担が出てきたときには、国連から言われたときには、この九十億ドルと別に出す。また、周辺諸国でいろいろと戦争の被害をこうむった国、この間も委員会でお尋ねをしましたが、例えばイスラエル、そういった国々から助けてくれといったときにそれはまた別で考える、こういうふうに理解していいですね。
#117
○橋本国務大臣 もし間違っておりましたら外務省から訂正をしていただきたいと思いますが、まず第一に、この湾岸平和基金から拠出をされます資金の行き先というものについては、まず第一に国連の加盟国であるという必要があるはずであります。同時に、国際機関はこの対象になっておりません。ですから、国際連合としてPKO活動に対して拠出を求められる場面が来るとするならば、それはこの湾岸平和基金から拠出をすることは無理ではないかと思います。当然、その要請が参りました場合には、湾岸平和基金に対して要請が行われましても性格上支出ができないのではないか、そのように思います。
#118
○中井委員 そうしますと、去年同じく政府が決定をして支出をしておりますこの周辺諸国に対する援助の二十億ドル、これは今どういう形で使われて、どのぐらい消化をしておるのですか。
#119
○川上政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘の周辺国支援の状況でございますが、御案内のように、昨年九月十四日に、今次事態によりまして深刻な経済的損失をこうむりましたエジプト、トルコ、ジョルダンといった周辺国に対しまして、総額二十億ドル程度の経済協力を実施するということ、それからそのうち、その三カ国に対しましては、まず六億ドルの緊急商品借款を供与するという旨を発表いたしております。その後、総理の中近東訪問に際しまして、この六億ドルに加えまして、緊急性が高いということで各国政府より強い要請が寄せられました案件につきまして合計三・七億ドルの資金協力を行うことを表明いたしております。この結果、昨秋の段階では総額九・七億ドルという資金協力の表明を行った次第です。それで、残りの十・三億ドルにつきましては、周辺諸国に対する経済的影響が一層拡大してきているという事態を踏まえまして、本年二月の初めでございますが、エジプト、ジョルダン、トルコというものへの割り振りをさらに決定いたしております。いずれも全額緊急商品借款でございます。
 この決定によりまして、まとめて申しますと、湾岸危機周辺国支援二十億ドルは全額配分されたことになりまして、その最終的配分を申しますと、エジプト約六億ドル、トルコ約七億ドル、ジョルダン約七億ドルということでございます。現在、その早期な支出に努めているところでございます。
#120
○中井委員 一つは、今回の戦争、極めてアメリカは限定的に目的を絞ってやった。きょうの停戦命令なんかも、私はよく踏みとどまったと考えております。
 同時に、もう一つはイスラエルがよく我慢をした。このことも思わざるを得ません。しかし、イスラエルは大変な被害を、何のいわれもない、戦争もしていないイラクからミサイルを撃ち込まれてこうむっているのであります。エジプト、トルコ、ヨルダン、それらの国々と同じくイスラエルも周辺諸国、こういう対象の中で援助をしていくべきだと私は考えますが、いかがですか。
#121
○渡辺(允)政府委員 お答え申し上げます。
 イスラエルにつきましては、今回イスラエルの側から戦争あるいは挑発行動が全くなかったにかかわらずイラクから何回かのミサイル攻撃を受けて、しかもそれに対して自制の態度をとったということについては、私どももこれを高く評価しておりますし、先般外務審議官がイスラエルを訪問いたしましたときに、外務大臣の書簡をもってその旨を先方に通報をいたした次第でございます。
 イスラエルに対します経済援助の問題につきましては、実はイスラエルの所得水準の問題、我が国のODAの仕組みの問題等いろいろ問題がございますけれども、私どもといたしましては、今後中長期的なイスラエルとの関係の促進、強化ということについて、新しい中東情勢の中で種々検討をいたしてまいりたいと思っております。
#122
○中井委員 戦争で一番被害をこうむったクウェートの問題についてお尋ねをいたします。
 八月、イラクが無謀にもクウェートへ侵攻した直後、政府はクウェートの資産を凍結をいたしました。現在、クウェート政府は、どういう形になるかわかりませんが、領土が回復をされ、一刻も早く原状復帰が望まれているわけであります。それで、膨大な資金が要ります。このクウェートの凍結しております日本における資産、これをいつ、どのような形で使えるように解除をなさるつもりかお尋ねをいたします。
#123
○橋本国務大臣 今お尋ねの問題に一点つけ加えて申し上げたいと思いますのは、ただいま外務省から御答弁がありましたとおりの経緯と同時に、G7におきましても、周辺国という定義についてどうするかの論議が昨年の九月の時点から行われました。その際、論議の末にエジプト、ジョルダン、トルコという三カ国に限定をしたという経緯がございます。そして、その状況は本年一月のG7におきましても、既にイスラエルにスカッドミサイルが飛んでおりましたけれども、問題の所在が別ということで、いわゆる周辺国支援という枠からは外して考えるという状況になっておりますことをまず申し上げます。
 また、クウェート政府などの預金につきまして、私どもが今措置をいたしておりますという点は、法的には国連安全保障理事会の経済制裁、六百六十一号決議に基づきまして、八月十日に外国為替管理法に基づく法的措置を、イラクに対する預金の凍結と同時に正式に行いました。しかし、クウェートにつきましては、それに先立つ処置として、イラクのクウェート侵攻の翌日、クウェート資産を保全するという観点から、クウェート政府などの名義の預金の払い戻しなどについては、真正な権利者からの正当な指図であるかどうかを十分に確認するように全銀協等に申し入れを行ってまいったわけでございます。そして、事実問題として、その後クウェートの暫定政権が国際的に活動を始めましてから、このクウェートの資産についてのものは個別的に御相談を受け、各国と連携をとりながら徐々にこれについての制限は緩めております。しかし、基本的には、やはりこの解除というものは六百六十一号決議が経済制裁解除について条件、規定を設けていない決議でありますので、基本的にはやはり安全保障理事会によって決せられるべきもの、ルールとしてはそのようなものではないでしょうか。
#124
○中井委員 クウェートは、政府の、あるいは国民の生活復興に大変なお金が要る。また、油田は今燃え続けておるわけであります。何といいましても、要るのはお金であります。日本には一兆円以上のクウェートの資産があるというふうにもうわさされております。国連も早く決議解除をすると思うのでありますが、日本も一刻も早く、これらの資産がクウェートの正統な政府の手で使えるように手続をすべきだ、このように申し上げておきます。
 同時に、イラクの資産、クウェートの資産、それぞれ法律には、アメリカやらの法律にはあるけれども日本の法律にはない、そういった形で、大蔵省の行政指導みたいな形で実際動けなくしてきたというのが現実であります。今まで日本はそういうことを考えずに国際社会の中でやってまいりましたが、国際社会の中でこれだけの国になった日本として、そういった方面の法整備を考える時期じゃないかと思いますが、いかがですか。
#125
○橋本国務大臣 今回のイラク、クウェート関係の預金の凍結につきましては、国連安全保障理事会決議のような国際約束を履行するために必要な場合には、預金を凍結するためにその払い出しなどについて許可制とし得る外為法十六条二項を発動しまして、法律に基づく凍結措置をとっております。したがって、こうした国際緊急事態に対して既に外為法に基づく規制を発動し得る法体系は整備されていると私どもは考えております。
 なお、一点補足させていただきますが、もうしばらく前に総理が在日クウェート大使を呼ばれ、続いて外務大臣が在日クウェート大使に面談をされます際に、日本として援助のための物資供与の申し入れを既にもうなさった時間だと思いますので、あわせて御報告をいたします。
#126
○中井委員 今回の問題は、本当に私ども日本人にとりましても、あるいは私ども日本の国会におきましても、大変な勉強あるいは考えさせられることの多かった出来事でありました。お互い議論を深めて、これらの勉強を、次の機会にあたふたしなくていいように、十分対応ができるように私どもは実らしていきたいと考えております。
 そういう意味で一番思いますことは、いろいろなニュースはしょっちゅう流れてきますし報道はなされますけれども、日本の国として情報というものをどういうふうに収集して分析をしておるのであろうか、このことはだれしもが不安に思うところでございます。日本の国として他国のように情報局であるとか機関を持っておりません欠点を有しておることは承知をいたしておりますが、外務省においてはどういう形で日ごろ国際社会の情報というものを集め、分析をなさっておられるのか、そこらの点についてお聞かせをいただきます。
#127
○渡辺(允)政府委員 私ども、情報の収集、それからそれの伝達、処理、分析等につきましては、日ごろからその改善のためにできるだけの努力を払っております。今回の湾岸危機を通じましても、現在世界で百七十四カ所の在外公館がございますけれども、その在外公館を動員いたしまして、本省におきましても直接関係部局のみならず、直接には私ども中近東アフリカ局、それから情報調査局というのがございますが、そのほかに関係のあらゆる部局を挙げまして情報の収集、分析に努めてきた次第でございます。私どもの努力がなお不十分であるという御批判ということで、私どもも謙虚に受けとめさせていただきたいと思いますし、今後とも引き続きこの情報収集、それから分析、さらにその情報を国内関係方面の方々にどのように御提供するかというふうなことについてできるだけの努力を払ってまいりたいと思っております。
#128
○中井委員 今回の八月からの七カ月にわたる間、私どももいろいろなところでいろいろなことを聞き、いろいろな情報を集めてまいりました。私自身も含めて、私どもの党は、一月、期限が切れたら戦争が間違いなく起こる、そして同時に、戦争が起こればわりかし短期に終結をする、こういう見通しを立てて今日まで対応を続けてまいりました。したがいまして、この法案が出されまして審議がなかなか進まない、戦争が終わるまでに終わるんだろうか、こういう心配をもって実は審議促進にも協力をしてきたところでございます。ちょうど戦闘停止の日に衆議院だけでも法案が通るということはまあまあよかった、こういう思いでございます。
 しかし、この七カ月を振り返りますと、例えば先ほどお話がございました世界各国百数十カ所にある大使館、公使館、クウェートの大使なんかもよく頑張っていただいたけれども、先進諸国の中では真っ先に大使を引き揚げざるを得ない。それは自家発電を持っていなかったからとか、いろいろとそういう危機に対して対応していないということであろう。あるいはあの沿岸諸国の日本の大使が一番難しいときにほとんど御不在であった。そういったことも情報分析というのがお粗末であった、このように思います。何もスパイを持てとかそういうことを言ってはおりません。しかし、情報を本当に持って分析をするということは、国家として当たり前のことであります。大事なことであります。大蔵大臣もこういう方面で予算を、先ほど精緻に精緻にと言われましたが、九十億ドルのときは余り精緻でなしにどんと出すのですから、こういうときにも思い切ってどんと出して、情報をきっちりと集め、分析できる、安心できる国家体制づくりをやるべきだ。そういう意味で外務省にも頑張っていただきたいし、大蔵大臣にもぜひとも御配慮いただくことをお願いして、質問を終わります。
#129
○平沼委員長 菅直人君。
#130
○菅委員 湾岸法に関する審議の衆議院の最終日ということでありますけれども、クウェートからのイラク軍の撤退あるいはきょうの二時をもっての戦闘の停止、さらには十二項目の安保理決議の遵守ということになってきたことは、戦いになったこと自体は大変残念なことではありますけれども、とにかく終結に向かったということで、これはだれしもがほっとしておるところではないかと思います。
 ただ、私ども社民連としては、戦費としての九十億ドルの支出ということにはどうしても賛成をすることができない、そういう意味で、この湾岸法には反対という態度を決めております。そういった立場ではありますけれども、この戦闘が停止をされたということを踏まえて、特に今後の幾つかの見通しについて、大蔵大臣を中心に質問をさせていただきたいと思います。
 私は昨年の夏、アメリカに超党派の議員団で行く機会がありまして、その折にもアメリカの財政状況がいろいろな問題で大変厳しい状況にあるということをひしひしと感じてまいりました。最近のデータを見てみましても、アメリカの九一年度の財政赤字は何と三千億ドルを超えているという数字になっております。そういった意味で今アメリカは、米ソ二大超大国時代から一超大国時代に入ったというふうな見方がされておりますけれども、必ずしもそうではないであろう。たしかに軍事的には一超大国時代かもしれない。しかし、それにバランスする経済力を既に持ち合わせていない。ボール・ケネディという人が「大国の興亡」というベストセラーになった本を書かれましたけれども、歴史の中でその軍事力、経済力のバランスを失した国は衰退をしていくという指摘をされております。一方、我が国はこの湾岸戦争前後、それに限りませんけれども、経済の拡大をさらに続けている。そのこと自体は大変日本国民としては喜ばしいことであるわけですけれども、客観的には日本がある意味では経済における超大国になりつつある。つまり、アメリカという軍事的超大国に対して日本は経済的な超大国になりつつある。そういう関係に現在行きつつあるのではないかと思うわけです。
 そういった意味で、これからの日米関係というのはそういう非常に大きな、何といいましょうか、それぞれの国が必ずしもバランスをしていないという言い方がいいかどうかわかりませんけれども、そういういびつな形になって、現在の、例えば九十億ドルの問題なども、直接にはこの湾岸戦争ということで言われておりますけれども、実際には駐留米軍の経費負担の問題など、多くの面でアメリカの軍事力を維持するものに対する、いわば財政的な構造的な支援を順次求められてきているというふうに見ることが必要ではないか。そういった意味では九十億ドルが一過性で終わるのか、それとも、世界の秩序を守るためには米軍を中心とした軍事力が必要なんだ、そういう論理をもしそのまま我が国が認めるとすれば、そういった米軍の経費を必ずしも日本との関係というだけではなくて、例えば世界のGNPに比例するぐらいは面倒見ろといった議論も起き得る状況にも来ているという感じさえするわけです。
 そういった意味を含めて大蔵大臣に、今回の九十億ドル、それ自体の見方は相当議論されておりますけれども、今後のアメリカに対する日本のいろいろな形での経済的な支援というのか、肩がわりというのか、そういったものについての見通しをどのように持たれているか、意見を聞かしていただきたいと思います。
#131
○橋本国務大臣 今委員からお述べになりましたように、アメリカにおいて近年財政赤字が急激に拡大をしてきている。一九九〇年度には財政赤字額が二千二百四億ドルに達する、九一年度には三千百八十一億ドルに達する、そのとおり言われておることは事実であります。しかし、その中で、そのためにアメリカ自身が一九九一年度から五カ年間にわたって増税及び歳出削減を実施することにより総額約五千億ドルの財政赤字削減を行う、このための包括予算調整法が昨年の十一月に成立を見たわけであります。二月四日に議会に提出をされました一九九二年度の大統領予算教書におきましても、九二年度の赤字を二千八百九億ドルにまで削減するということにいたしております。
 日米構造問題協議の中におきましても、アメリカの財政赤字の削減というものは日本側から常に提起をし、アメリカ側に対して論議を挑んだテーマでありました。そして、その中においてアメリカ側としてもその議論を踏まえて、昨年の十一月でありましたか、総額千四百六十六億ドルに上る増税というものを決定をされ、既に十二月からガソリン税、一月一日からその他の税目も動いておるという状況にあります。
 今、委員はたまたま軍事力と運動して御議論になりましたが、私は全く違った視点から、基本的には委員の御心配と同じような問題をここに見出しております。それは、一体これから先の世界全体での資金需要というものはどれぐらいなんだろうか、そしてその資金需要に見合うだけの貯蓄は各国にあるだろうか、我々は果たしてその資金需要に見合うだけの資金を提供することができるのだろうかということであります。一昨年東ヨーロッパに端を発しました計画経済から市場経済への移行の動き、さらにそれは政治体制の変革にまでつながり、既に東ヨーロッパは大きく変化をいたしました。ソ連も今、内部に非常に大きな問題は抱えながら新しい道へと歩みつつあります。いずれも相当な資金を必要とするでありましょう。さらに我々の立場からするなら、中国を含めたアジア全域というものを眺めていくときに、アジア全体の経済を安定させていく努力も払わなければなりません。ラ米においても問題はあり、アフリカにおいても問題があります。そうした中において今回中東における非常に大きな混乱が生じ、本日停戦となりました後に今後復興にどれだけの費用が必要になるかわからないという状態であります。
 こうしたことを考えてみますと、アメリカという巨大な国家、しかも本来非常に大きな力を持っておるはずの国家、その財政が非常に厳しい情勢にあるということは国際社会にとって決して望ましい姿ではないわけでありまして、G7の中におきましても今までその赤字を減らす努力というものに対し繰り返し言及をし、また貯蓄率を高める努力をすべきであるということを提起してまいりましたのも、同じような視点からでありました。
 いずれにいたしましても、特定の国が特定の分野において余りにも強大に過ぎるということは全体として望ましいものではない、バランスを回復していく努力というものは我々の守備範囲においてもまた同様に努めなければならない目標、そのように認識をいたしております。
#132
○菅委員 認識について別の視点から大臣述べられたわけですけれども、私は今回の問題について、もちろん政府だけをその対応の遅さとかあるいは確かさのないことを責めるつもりはありません。野党にとっても、あるいは国民全部にとっていわば新しく考えなければいけない問題であるし、またこれから引き続きそういった問題にどう対応するかはきちんと議論を続けていかなければいけない問題だというふうに思っております。
 そういうことを前提としてもう一度話を戻してみますと、今回の九十億ドルというのが本当に、いわゆる今回ということで一時的なものというふうに考えられるのか、それがただ単に湾岸支援が物すごい必要だという意味だけではなくて、先ほど申し上げたように、アメリカのブッシュ大統領の数日前の演説などを聞いておりますと、つまりアメリカこそが世界の中で最もモラルの高い国なんだ、我々が世界の民主主義と自由を守るのだ、そういうふうにある意味ではうたい上げているわけです。それを逆の立場から見れば、そういう我々の、つまりアメリカの行動に対して、経済的な力を持っている国は当然のこととしてしかるべき経済的な負担をすべきであるということがその裏には全く一体不可分の形で隠れているといいましょうか、一体不可分の形で表明されていると見る必要が率直なところあるのではないかと私は思うわけです。
 そういう意味で、我が国の議論が、果たしてこの九十億ドルという先に来るものに対してどのような観点で物を見るのか、きょうのこの質問時間だけでは十分な時間もありませんけれども、例えばヨーロッパの国々は、ドイツなどは今後ともヨーロッパというものを一つの軸にしながら、ヨーロッパにおける、東ヨーロッパも含め、一部ソ連も含めて、そこに対する経済的な安定なり発展あるいは平和というものをベースにしながら世界というものを見ていこうとしている。しかし、日本にはアメリカというものを見ること以外の視点というのが必ずしもヨーロッパのような形では存在をしていないのではないか。アジアというものをもう少し時間をかけて自分たちのもう一つの外交の柱といいましょうか、そういうものの安定と発展というものを第一義的に責任を負う、そういうことに関しては経済的な支援もこれまで以上に考えていく、そういう立場をとりながら日本は世界に対して貢献していくのだ、私はそういう道がオーソドックスな道であろうというふうに思っておりますけれども、そういう考え方を何か持たなければ、無限にとは言わないまでも、アメリカが、自分たちがやっていることは正しいのだから当然のこととして必要な費用は賄えと言われたときに、これから先全くそれに対して、何といいましょうか、反対をしないまでも、少なくともそれに対してこちらが意見を言うスタンスがないのではないか、そういうふうに思うわけですが、再度その点についての見解を伺わせていただきたいと思います。
#133
○橋本国務大臣 まず第一点に申し上げたいことは、サダム・フセインのような行動をとる人間が今後もそう出てこられてはたまらない。その限りにおいてこれは極めて異常な事態であったということが、まず私が申し上げたいことの第一点であります。委員はそういう人間が多数おると思っておられるのかもしれません。そこは私はそう思いたくないと申し上げておきましょう。――いや、それじゃ、だれか具体的に事件を起こしそうなやつの名前を挙げていただけますか。
 しかし、そういうこととは別に、私は、今委員が提起をされた問題は私たちの心の中にもある問題意識であると思います。そして、昨年私は本院でも御報告を申し上げた記憶があります。天安門事件以降、中国に対して窓が閉ざされていたとき、日本がコンタクトを始めるべきであると思うという国会答弁を、私はたしか一番最初には一月か二月、二月だったかと思いますが、いたしました。四月のG7、ヒューストン・サミット、同じ主張を繰り返してまいりました。依然として天安門事件以降の公式閣僚訪問というものが閉ざされた状態は変わりはありません。私は、ことしG7に行く前に中国を現実に見ておく必要がある、日本がアジアを知らずにG7に臨むことはできない、そう思って私自身が行ってまいりました。私は行ってよかったと思っております。必ずしもアメリカがこれを喜んだとも思いませんし、日本の中でも喜んでおられない方はたくさんおられます。しかし、我々は既にそういう気持ちを持って仕事に取り組んでおるという一つの例証として委員に御披露を申し上げます。
#134
○菅委員 フセイン大統領がまさに異常な例外的な存在であってほしいと思うことは私も全く同感です。しかし、歴史の中で見ますと、例えば今ソ連で起きていることも、あるいはパレスチナで起きたことも、あるいはインドネシアなどが東チモールなどを侵攻したかっての歴史も、場合によっては今指摘をされた天安門の問題なども、一つ間違えれば同じような論理、つまり自由と民主主義を守るためにはやらなければいけないんだというその論理にかければ、そういうことが必ずしも起きないとは限らないというのがこれまでの歴史だと思うわけです。
 そういった意味で、もう時間がなくなりましたのでこれ以上の議論はもう続けられませんけれども、私は、九十億ドルの問題が、ただ何かこれで特別な問題なんだということだけで片づけられることがないように、これはもちろん政府や与党だけではない問題とは思っておりますけれども、特に指摘をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#135
○橋本国務大臣 私は、今後におきましても、国連安全保障理事会が全力を挙げて特定国を非難しなければならないような情勢が生まれれば、国連安全保障理事会が全力を挙げて特定の国を非難しなければならないような状態が生まれれば、そしてその決議に従わないで小国を占領し続けるような国があった場合において、日本もまたそれにできる限りの協力をする必要性が生ずることはあり得ると思います。
#136
○平沼委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ─────────────
#137
○平沼委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。村上誠一郎君。
#138
○村上委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。
 イラクによって破壊された湾岸の平和と安定の回復のために行動している関係諸国の負担は極めて大きなものになると見込まれております。このような状況のもとで、我が国は、国際連合加盟国として、国際連合安全保障理事会決議第六百七十八号に基づき、これら関係諸国の活動に対して適切な支援を与える責務を有しております。また、現在の安定した国際秩序のもとで大きな経済的繁栄を享受し、しかも中東地域に日本経済の血液である原油の七割以上を依存している国として、国際社会における地位に相応した支援を至急行う必要があります。
 本法律案は、この九十億ドルの追加支援を行うための平成二年度補正予算(第2号)の財源を確保するための法律案であり、補正予算とあわせて早期に成立させ、一日も早くこれを実行する必要があると考えます。
 また、この追加支援のための負担につきましては、まさに現在の平和と安定を享受している現世代が負担すべきものであり、断じて後世代に負担を残すものであってはなりません。本法律案は、追加支援のための財源措置について、後世代に負担を残す従来の特例公債によることなく措置することを基本としており、適切なものであると考えます。
 さらに、財源調達の姿勢についても、今国会での議論を踏まえて、まず政府において平成二年度の税外収入の確保等を行うとともに、平成三年度一般会計予算の歳出予算等の節減を図り、なお不足する財源について臨時的に国民の皆様方に広く御負担をお願いせざるを得ないという考え方から、一年限りの税制上の措置を講じたものであり、やむを得ざるものとして国民の皆様方の御理解をいただく必要があると考えます。以上、私は、本法律案に盛り込まれた措置は、今般の九十億ドルの追加支援の実行のために必要不可欠な、かつ適切な財源措置であると考えます。湾岸地域における今般の事態の早期終結と真の意味における停戦が実現し、中東において永続性のある平和と安定が一日も早く達成されることを切に望むとともに、政府において、本法律案の趣旨及び内容について国民の皆様に周知を図り、その御理解と御協力を求めるよう努めることを強く要望いたします。
 最後に、日本民族の名誉のための私の賛成討論といたします。(拍手)
#139
○平沼委員長 早川勝君。
#140
○早川委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案に対して、反対の討論を行います。
 米ソ冷戦の構造が終わり、新しい世界平和の構造が築かれるであろうとの多くの人の期待に反した大規模な戦争の勃発は、間もなく停戦を迎えるにしろ残念であり、悲しむべきことであります。
 ところで、我が国憲法では、たとえ国連が武力行使を決議しても、それに協力することは認めていないのであり、それに反する九十億ドルの米軍中心への支援については強く反対いたします。
 具体的な反対理由を申し上げます。
 まず第一に、政府は今回の九十億ドルの資金協力を法案として提案する以前に、平和解決のための積極的な努力をしていないことであります。不戦を誓った我が国は、あらゆる手だてを講じて停戦、和平に向けた行動と提案をすべきでありますが、戦争反対の国民の声にこたえる姿勢が政府には見られなかったのであります。しかも、九十億ドル、一兆一千七百億円の巨額な支出についても、その積算の根拠は薄弱、あいまいである上に、決定過程を見るとき、我が国の財政自主権を失ったと思いこそすれ、政府の自主的判断による決定とは信じがたいのであります。
 第二に、この資金の使途についてであります。政府は、戦費ではない、武器弾薬に使わないと強弁しますが、アメリカの補正予算案では、九十億ドル全額が戦費として計上されているのであります。多国籍軍の撤退、戦後復興、環境対策等々の費用と説明されますが、この資金の使途とその配分、使途の適否についての監視等、税金を負担する納税者としての国民の権利にこたえる内容となっていないのであります。
 第三に、財源措置に関しての問題です。一兆一千七百億円の財源のうち、六〇%近くは増税で賄われます。法律の趣旨では、歳出の削減等を行った上での不足財源の確保のための増税と説明されていますが、今回の措置は増税を中核にした財源対策法案なのであります。経費の節減についても、今年度第二次補正予算で四十八億円の防衛庁関係予算の節減を行っておりますが、防衛関係費の削減については、次年度予算で十億円、四年度以降三年間の削減額を含めてもわずか一千二億円にしかすぎません。新中期防衛力整備計画の根本的見直し、国際的な軍縮の策定の時代の中、武器非輸出国としての我が国こそ、一層の防衛費削減で平和と安定のための復興協力へと方向転換を図るべきでありますが、今回の削減額は全く不十分と言わざるを得ません。なお、外為会計からの繰り入れというびほう策も認めがたい措置であります。
 また、法人臨時特別税、石油臨時特別税では、公共法人への課税、灯油等生活物資への課税等にも負担を求めることになります。さらに、臨時特別公債は、戦後国債史上第三の新たな国債であり、今日までの我が国の国債は当初の短期発行が長期化し、性格づけも拡大解釈された変質の歴史でもあります。本特別公債についても、発行、償還を含め今後五年度間にわたって存在することから、従来同様の歴史をたどるのではないかと危惧を抱くものであります。
 以上、主な反対の理由を申し述べましたが、この法案は、今回の湾岸戦争への日本のかかわり方いかんでは、二十一世紀に向けての我が国外交の進路を決定し、しかも国民に負担を強く求めるという極めて重要な法案であります。それにもかかわらず、総理みずから当委員会に出席されず、その決意のほどを開陳されなかったことはまことに遺憾であることを指摘して、私の討論を終わります。(拍手)
#141
○平沼委員長 井上義久君。
#142
○井上(義)委員 ただいま議題となりました平成二年度補正予算第二号関連法案に対し、私は、公明党・国民会議を代表して、賛成討論を行うものであります。
 私ども公明党は、結党以来、地球上から一切の戦争をなくすことを希求し、人類永遠の願いである平和と繁栄の構築を目指してまいりました。今回のイラクの暴挙に対し、失われた平和をいかに回復するか、また、世界の一員として日本はこの問題にどう対応すべきなのか、党内で真剣な議論を積み重ねてまいりました。
 その結果、国際社会が国連を軸として正義と秩序を基調とした平和への新しい枠組みをつくる陣痛の苦しみを味わっているときに、我が国だけがひとり一国だけの平和主義にとどまることは許されない、我が国の国際的地位にふさわしい貢献が必要であると、党としての最終的な結論を出すに至ったのであります。このことは、全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から解放され、恒久的な平和のうちに生存することを念願している憲法の精神から考えても、当然の結果だと考えるものであります。
 以下、本法律案に賛成する主な理由を申し述べます。
 本法律案に賛成する理由の第一は、平和回復のための国際貢献が我が国にとっても必要であるということであります。国際社会にあっては、国家と国家の間のルール、国際法が守られなければ国際社会の秩序は保たれません。我が国も国際的な新しい秩序づくりに可能な範囲で最大限の努力をすべきであります。
 賛成する理由の第二は、本法律案で措置されている一兆一千七百億円の支援にかかわる財源措置は、国連決議に基づく支援要請にこたえるための対応策であるということであります。今回の多国籍軍の行動は、国連決議六百七十八号に基づくものであり、一兆一千七百億円の支援は、その前提で湾岸平和基金に拠出するもので、国連を中心とした平和回復の努力に協力するものであります。我が国は自由な貿易を通じ現在の経済的地位を築いたのであり、その意味で、我が国は世界が平和であることの恩恵を最も享受している国であります。先進各国の中において我が国だけが人も物も金も出さないということは、国際社会に通用しない態度と言わざるを得ません。
 賛成理由の第三は、政府の歳出削減の努力を評価する点からであります。当初、政府は、支援額の全額を増税で賄う案を提出しておりました。我が党は、こうした政府の安易な姿勢を厳しく批判し、国民に負担を求める前に、まず政府みずからが歳出の削減を行い、みずからの身を削る努力をすべきであることを強く訴えました。これに対し政府は、防衛費を含む五千億円の歳出削減、平成三年度の予算案の書きかえ修正等、我が党の指摘にほぼ等しい内容の方針を政府みずからの判断として提示されたのであります。特に防衛費の実質削減は、自衛隊発足以来であり、評価されるべきであると考えます。
 以上、本法律案に賛成する主な理由を申し述べ、討論を終わります。(拍手)
#143
○平沼委員長 正森成二君。
#144
○正森委員 私は、日本共産党を代表して、政府の湾岸戦争のための九十億ドルすなわち一兆一千七百億円に上るいわゆる戦費財源確保の臨時措置法案に対し、反対討論を行います。
 討論に入る前に一言申し上げます。
 国会法第五十一条は、委員会は、総予算及び重要な歳入法案については、公聴会を開かねばならないとなっています。本法案は前例のない重要な歳入法案であり、本来この公聴会を開かねばなりませんが、それができなくても、過去の例に倣い、せめて総理質問をすべきであると我が党は理事会で要求してきました。残念ながら、各党の賛成を得られず、結局実現されませんでした。私は、当委員会の権威にかけて、このことに遺憾の意を表明し、討論に入ります。
 本法案は、第一に、予算措置とあわせ、地上戦を展開した米軍に対し九十億ドルの戦費を提供するもので、平和回復活動どころか、我が国が財政面で湾岸戦争に参戦し、戦火の拡大や戦争の惨禍に協力することにほかならず、戦争への加担をも禁じた我が国憲法の平和的原則を真っ向からじゅうりんするもので、断じて認めることはできません。
 第二に、九十億ドルは、経緯から見て、自主的どころか米国の言いなりで決定したもので、積算根拠や使途の検証手段もなく、しかも、その将来の歯どめは我が国の決定できない、米国任せで、文字どおり我が国財政主権の放棄であります。これは、米国で生まれた、代表なくして租税なしとの民主主義の大原則にも反します。独立国にあるまじき財政主権を放棄するこの法案に、日本共産党は断固として反対するものであります。
 第三に、つなぎのための臨時特別公債と称する赤字国債の発行は、戦時国債そのものであり、かつての侵略戦争の教訓に立って健全財政と戦争放棄の保証として禁止した財政法の民主的原則への重大な挑戦であります。また、その財源の約七割を賄おうとする法人税、石油税などの臨時特別税という名の増税も、国民に転嫁される文字どおりの戦争増税であります。今回の戦時国債と戦争増税は断じて容認できません。
 さらに、財源の一部として一千二億円の軍事費削減を打ち出しておりますが、九一年度予算で削減されるのは十億円にすぎません。丸々カットしても新中期防全体のたった〇・四%にすぎません。しかも、カットした契約も、将来復活しないとの明言はなく、あいまいなもので、これは予備費二千億円の削減とともに一時を糊塗するごまかし措置であると言われても仕方がありません。
 最後に、私は、我が国憲法に違反し、さらに我が国の財政自主権を放棄した、米軍に対する戦費調達のための本法案に断固として反対し、一刻も早い戦争終結とこの地域のすべての諸国、民族の自決権の厳格な尊重を基礎に、国連の責任のもと、中東の真に公正な平和達成を心から希望し、また努力することを表明し、反対討論を終わります。(拍手)
#145
○平沼委員長 中井洽君。
#146
○中井委員 私は、民社党を代表し、ただいま議題となっています湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案に賛成の討論を行うものであります。
 本日二時戦闘の停止がアメリカ大統領により発表されました。イラクもついに国連決議をすべて受け入れるとの発表がありました。まことに喜ばしいことであります。国連決議のすべての実行を求めて行動をしたアメリカを初めとする多国籍軍の予想以上の勝利であります。
 世界平和と国連を中心とした新しい秩序づくりのため、日本として多国籍軍に資金、人の援助をできるだけすべきと最初から強く主張し続けた民社党は、この戦争終結と平和に結びつく停戦を心から歓迎をいたします。戦闘停止のその日に、日本として当然の措置であり、しかも巨額の資金援助を決める本法案に賛成討論ができることにも感慨深いものがあります。
 湾岸危機問題の国会における論争あるいはマスコミの湾岸危機についての報道等を通じ、国際社会の一員である日本、世界有数の経済力を持つ日本の立場が国民の間に十分認識されつつあることを肌で感じてまいりました。我が党は、今後も国連を中心とした世界の恒久平和が確立されるため、日本として何をしていかなければならないかを常に考え、行動を続ける決意であります。
 法案そのものについては、当初全額を増税で賄うということが政府の方針でありました。民社党は、政府みずから汗をかき歳出削減に努めるべきで、増税による全額に頼るべきではないと強く主張し続けてまいりました。その結果、総額約五千億を経費削減等で賄い、たばこの増税はなし、石油税も半額、法人税増税も圧縮されて法案として提出をされてまいりました。増税によらず九十億ドル全額を出す方途もあると考えていますが、政府がかってない額の予算修正を行った事実を率直に評価し、法案の目的を考え、今法案に賛成をいたします。
 我々の要求で増税が大幅に減額されたことにより、この援助に対する国民の理解もさらに得られるものと確信をするものであります。今後湾岸地域の恒常的な安定、平和、クウェートを初めとする戦争で荒廃した国々、また汚染された環境の一刻も早い回復を心から願い、日本としても新たな援助が早く実行できるよう政府に強く要望し、賛成討論を終わります。(拍手)
#147
○中村(正男)委員 委員長、緊急的な質問がございます。今の討論に対する質問です。
 先ほどの共産党の正森委員の討論内容の中で、総理質問については、共産党は提案したけれども、各党の合意が得られずと、こういう、私が聞き違えでなければそういう発言であったと思うのですが、それは正確を欠いておりますので、早急に理事会を開いて、きちっと反対をした政党はどこであって、賛成をし、同時に強力にそれの実施を求めた政党はどこかということを明らかにして、議事録を訂正をしていただきたい、そういう要望であります。
#148
○平沼委員長 委員長において、そのことは緊急に理事会を開かせていただきまして、協議をさせていただきます。それでよろしいですね。
 これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#149
○平沼委員長 これより採決に入ります。
 湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#150
○平沼委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#151
○平沼委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
    ─────────────
    〔報告書は附録に掲載〕
    ─────────────
#152
○平沼委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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