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#1
第120回国会 外務委員会 第6号
平成三年三月八日(金曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 牧野 隆守君
   理事 新井 将敬君 理事 園田 博之君
   理事 中村喜四郎君 理事 浜野  剛君
   理事 原田昇左右君 理事 上原 康助君
   理事 高沢 寅男君 理事 遠藤 乙彦君
      伊東 正義君    石原慎太郎君
      小渕 恵三君    奥田 敬和君
      唐沢俊二郎君    鯨岡 兵輔君
      田名部匡省君    福田 康夫君
      宮下 創平君    岡田 利春君
      川崎 寛治君    川島  實君
      武部  文君    松原 脩雄君
      森井 忠良君    玉城 栄一君
      古堅 実吉君    和田 一仁君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 中山 太郎君
 出席政府委員
        外務大臣官房審
        議官      野村 一成君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   渡辺  允君
        外務省経済局次
        長       須藤 隆也君
        外務省経済協力
        局長      川上 隆朗君
 委員外の出席者
        科学技術庁原子
        力安全局原子力
        安全課長    谷   弘君
        環境庁企画調整
        局地球環境部環
        境保全対策課長 柳下 正治君
        環境庁大気保全
        局企画課長   浅野 楢悦君
        外務大臣官房審
        議官      河村 武和君
        通商産業省産業
        政策局国際企業
        課長      大慈弥隆人君
        通商産業省基礎
        産業局フロン等
        規制対策室長  小島 直樹君
        外務委員会調査
        室長      市岡 克博君
    ─────────────
委員の異動
三月八日
 辞任         補欠選任
  井上 一成君     森井 忠良君
  井上 普方君     武部  文君
同日
 辞任         補欠選任
  武部  文君     井上 普方君
  森井 忠良君     井上 一成君
    ─────────────
三月七日
 湾岸戦争の即時停止に関する請願(土井たか子君紹介)(第一六六〇号)
 多国籍軍への支援反対、湾岸戦争の即時停戦、中東和平会議の開催等平和的解決に関する請願(鈴木喜久子君紹介)(第一六六一号)
 同(長谷百合子君紹介)(第一六七二号)
 湾岸戦争の即時停戦、平和解決及び戦争協力反対に関する請願(鈴木喜久子君紹介)(第一七〇二号)
 同(長谷百合子君紹介)(第一七〇三号)
 日本の多国籍軍への戦争協力反対、速やかに和平に向けての最大限の努力に関する請願(小川国彦君紹介)(第一七三〇号)
 同(岡崎トミ子君紹介)(第一七三一号)
 同(長谷百合子君紹介)(第一七三二号)
 同(長谷百合子君紹介)(第一七三六号)
 同(岡崎トミ子君紹介)(第一七五三号)
 同(斉藤一雄君紹介)(第一七七五号)
 同(土肥隆一君紹介)(第一七七六号)
 多国籍軍とイラク軍の戦闘行動即時停止を求める決議等に関する請願(土井たか子君紹介)(第一七五二号)
 多国籍軍の戦闘行動即時停止を求める決議に関する請願(鈴木喜久子君紹介)(第一七七一号)
 湾岸戦争の即時停戦に関する請願(上田利正君紹介)(第一七七二号)
 同(輿石東君紹介)(第一七七三号)
 湾岸戦争反対、米軍への戦争協力中止に関する請願(岩垂寿喜男君紹介)(第一七七四号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第八号)
     ────◇─────
#2
○牧野委員長 これより会議を開きます。
 オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川島實君。
#3
○川島委員 私は、今議題となっておりますオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正についてお尋ねをしていきたいと思います。
 本案は、議定書の改正等を踏まえ、オゾン層の一層の保護を図るため、製造の規制等の措置を行い、特定物質を追加するとともに、指定物質の製造数量の把握等の措置を講ずることがその主な内容となっているが、この中で幾つかの問題点についても既に指摘がなされてきておるところであります。
 そこで、どうしてオゾン層が壊れるのか、この点について、事典の解説によりますと、「地球のオゾンの大部分は成層圏に存在し、オゾン層と呼ばれている。これが、太陽光に含まれる短い波長の有害な紫外線のほとんどを吸収し、生物を守っている。
 この大切なオゾン層が長年便利に使われてきた人工の化学物質によって破壊されるとして問題となっている。
 破壊の原因物質は特定の種類のフロン等である。フロンは、炭化水素の水素を塩素やフッ素などで置き換えた数多くの物質の総称である。他の物質と反応せず、ほとんど無毒。圧力に応じて容易に気化、液化を繰り返したり、種類によっては、油をよく溶かすなど便利な性質を持っている。冷蔵庫やエアコンの冷媒、クッションなどの発泡、エアゾルの噴射剤などに広く使われている。最近では、電子回路などの精密部品の洗浄剤として多く使われるようになっている。
 ほとんどのフロンは、普通の環境では分解されない。工場で使われた後は大気にとどまっていく。我々が日常暮らしている対流圏の大気から、長い時間をかけて徐々に成層圏にまでまじっていく。成層圏には強い太陽光線が届き、ここで初めてフロンが分解し、塩素を放出するが、これがオゾン分子を壊して酸素に戻してしまう。この反応は、塩素一分子でも連鎖反応的に進み、塩素原子が反応しにくい物質に変わるまでに、塩素一分子がオゾン一万分子以上を壊してしまう。今対策がなければ、二〇八五年までにオゾン層は現在の半分以下に減り、有害な紫外線は今の倍以上地表に達し、人間に皮膚がんや白内障の健康被害を生じさせる。というものであります。
 そこでお尋ねをいたしますが、国連環境計画、UNEPによると、主要締約国の主なフロン及びハロンの消費国は、アメリカ、EC十二ヵ国、日本、ソ連となっておりますが、地球全体で排出される物質は何ヵ国で何トンぐらいの量になっておるのか、また、規制物質、フロン、ハロン、四塩化炭素、トリクロロエタンの規制スケジュールについてまずお伺いをしたいと思います。
#4
○河村説明員 お答え申します。
 フロン及びハロンの統計につきましては、従来からこれらの物質が特に危険であるという認識がございませんでしたので、世界的にどれだけの生産量があるか、どれだけの消費量があるかということについて厳密に集めた資料というものがないというのが実情でございます。
 他方、同時に、そうはいいましても、先生が申されました世界環境計画及び各国が中心となりまして大体の統計というものをつくっているというのが現在の状況でございます。それらの統計によりますと、現行規制対象フロン及びハロンの大体の消費量というものは、一九八六年時点でございますけれども、約百十七万トンというぐあいに推定されておりまして、その中で、議定書に加盟しております国のフロンとかハロンの消費量の合計値が世界の消費量に占める割合は約九〇%ということでございましたので、大体百四万トンから五万トンという状況でございました。
 それでは新たな規制対象物質の消費量というものについての推計値は大体どういうものであるかということについて御説明いたしますと、メチルクロロホルムにつきまして、これは一九八九年の時点でございますけれども、日本とアメリカと欧州諸国の消費量を合計しますと約五十八万トン、六十万トン弱ではないかという数字が出ております。新たな規制対象物質になりました四塩化炭素及びその他の十種類のフロンにつきましては、全世界的な統計資料というものは残念ながらきらんとしたものがないという状況でございます。
 第二点でございますけれども、規制のスケジュールについてお尋ねがございましたので御説明をいたします。
 新たな規制の対象になりました物質、大まかに分けまして三種類ございます。
 一つは、十種類のクロロフルオロカーボンでございまして、これは、規制の基準年を一九八九年といたしまして、一九九三年の一月一日からその量の八〇%にまで削減しなければいけない、さらに一九九七年の一月一日からは規制基準年の一五%にまで削減しなければならない、二〇〇〇年の一月一日からはこれを消費及び生産を行わない、〇%になるということでございます。
 第二のカテゴリーの規制対象物質としてございますのが四塩化炭素でございます。この四塩化炭素につきましても規制の基準年を一九八九年といたしまして、一九九五年一月一日からは一五%にまで削減しなければならない、さらに二〇〇〇年の一月一日からは〇%、すなわち全廃ということにするということでございます。
 第三のカテゴリーでございます対象物質は、メチルクロロホルムと呼ばれております1・1・1トリクロロエタンでございます。このトリクロロエタンにつきましては、これもやはり規制基準年を一九八九年といたしまして、一九九三年から一九九四年十二月三十一日までは現行水準に凍結する、一九九五年一月一日からは七〇%に削減をする、さらに二〇〇〇年の一月一日からは三〇%に削減する、二〇〇五年の一月一日以降は全廃するというのが規制のスケジュールでございます。
#5
○川島委員 今お話を聞きますと、推定量が一九八六年と非常に古いわけですね。これを見てもおわかりのように、非常に重要な事項が国連におきましてもなかなか技術的にも掌握がなされていないという問題が一つはございますが、この議定書に締約がなされていない国、わけても開発途上国に対してどのような措置が、指導が行われようとしておるのか、お伺いをしたいと思います。
    〔委員長退席、新井委員長代理着席〕
#6
○河村説明員 今先生が御指摘になりました議定書に加盟をしていない開発途上国に対して、オゾン層の保護のためにどのような手段があるかという点でございます。当然のことながら、議定書に入らないもしくは改正された議定書に入らないという国に対してその議定書の参加というものを強要するわけにはいきませんので、その意味では粘り強く説得を行っていくというのが基本であろうかと存じます。
 他方、今回の議定書の改正におきましては、まさにオゾン層の保護措置を実施するために十分な経済力とか技術力を有していない開発途上国のために資金援助という形で、これらの開発途上国のいわゆるフロンの代替というものを促進するということを主要な内容とする制度を設置いたしまして、このような資金援助、多数国間基金でございますけれども、こういう多数国間基金の設立というものをこの議定書に盛り込むことによりまして、これらのまだ議定書に加盟していない開発途上国が加盟しやすくなるというようなことが予定されるかと存じます。同時に、我が国自身といたしましても、開発途上国の議定書の締結を促進するために個別に積極的な働きかけを行うということを従来からもやってまいりましたし、今後ともやっていこう、このように考えております。
 それで、その具体的な内容について簡単に御説明いたしますと、まず設立されます多数国間基金に対して日本は非常に積極的な態度を示しておりまして、昨年の六月にこの多数国間基金の設立というものが決定されたときに、我が国といたしましては応分な寄与をするという意向を表明いたしました。同時に、その意向表明を受けまして、平成三年度予算において八百三十三万二千八百ドルという多量の金額の資金を基金に拠出するということを予定して現在国会の審議をお願いしているということでございます。
 さらに、従来からでございますけれども、既に数度のセミナーを開催いたしまして、開発途上国に対してオゾン層保護問題の重要性を紹介をしたり、さらにオゾン層の保護技術、代替技術の紹介というものを行っております。
 さらにつけ加えますと、オゾン層保護問題について我が国にはいろいろな意味での専門家がございますので、これらの専門家というものを各種のセミナーに派遣したりしている、こういうことでございます。
#7
○川島委員 次に、我が国は既にこの関係法律であります特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律が改正されておりますけれども、特定フロン等のメーカーは少ないものの、利用用途が極めて広範囲にわたるため、ユーザー企業の数は三万三千社にも及ぶと言われ、フロンを利用した製品出荷額でいきますと四兆五千億円と言われておりますが、これら企業に対してどのような指導を行っていくのか、また財政、金融、税制上のどのような措置が講じられておるのか、お伺いをしたいと思います。
 さらに、製造数量の掌握と公表、排出、使用合理化の努力、観測、監視、研究の推進等がこの法律に盛り込まれておりますが、これらの対応には産学官の一体による研究機関の設置がなければ対応が難しいと言われておりますが、これらについてどのようにお考えであるか、お尋ねをいたしたいと思います。
#8
○小島説明員 御説明申し上げます。
 我が国におきましては、御指摘のとおり昭和六十三年に制定をしていただきましたオゾン層保護法によりましてこのフロン等の規制対策を現在実施をしておるところでございまして、モントリオール議定書に定められました生産数量あるいは生産数量に輸出入数量を加味いたしました消費数量、これを我が国全体として総量として削減をしていくというのがその根幹をなしておるわけでございます。
 このオゾン層保護問題につきまして、我が国の基本的な立場といたしましては、そのすぐれた技術力をもちまして世界に貢献すべき立場にあるという認識のもとに、そういった法律による規制その他積極的な対応を図ってきたところでございまして、今後とも最新の科学的知見を踏まえながら積極的に対応を図ってまいりたいと考えておりますが、具体的な措置といたしましては、ただいま申し上げたオゾン層保護法による規制を着実に実施をしていくということ。さらには今回改定されましたモントリオール議定書の規制、これに対応いたしましてこのオゾン層保護法の改正法案を今国会に提出、御審議いただいておりまして、そういった法律による措置によりまして着実にこの規制を実施していくということがまず第一に重要であるというふうに考えております。
 第二に、ただいまも御指摘ございましたように、大変多岐にわたる用途におきましてこのフロン等の物質が使用され、また使用いたしますユーザーの数というものも非常に多数に上るわけでございまして、この規制を実施し、かつ円滑に進めてまいりますためには、需要家サイドの全面的な協力ということが不可欠であるわけでございまして、私どもといたしましてもそういった需要家対策というものに力を入れておるわけでございます。そのために毎年七月をオゾン層保護対策推進月間ということで定めまして官民挙げて普及啓蒙活動を展開する、あるいは通商産業大臣から関係業界に対しましてオゾン層保護対策の積極的な推進につきまして要請を行う。さらには全国各地におきまして講習会を開催いたしまして、この規制に対応するためのそれぞれの分野におきます技術的なノーハウあるいは技術的な対応策といったものにつきまして中小企業を中心にその対策の普及を図っておるわけでございます。
 また実際に回収・再利用、その他の対策を講じてまいりますためには設備投資等も必要になりますので、そのための回収・再利用の促進あるいは代替品、代替技術の開発利用の促進ということのために所要の財政、金融また税制上の措置を講じておるところでございます。
 先生御指摘ございましたこの問題についての産官学の対応というものがどういうことになっておるかということでございますけれども、国の研究機関、大学あるいは産業界それぞれの立場からこのオゾン層保護対策についての研究開発が進められておるところでございまして、こうした努力の結果、これまで混乱なく特定フロンの削減というものが進められているというふうに承知しております。国におきましては、ただいま申し上げましたような回収・再利用、代替品、代替技術の開発利用のためのさまざまな措置を講じております。また、試験研究機関、これは国の試験研究機関でございますが、フロン等の破壊技術等の検討、さらに大学におきましても破壊技術につきましての研究というものが行われておるわけでございます。また、産業界におきましては、回収・再利用等による削減、あるいは代替品への置きかえ、また製造工程の見直しといった代替技術の研究開発といったことに当然のことながら取り組んでおるわけでございます。
 こうした各関係者の努力というものはそれぞればらばらに進められているということではなくて、お互いに協力、協調をしながらその実を上げてきているということです。こういったこともこれまでのところフロンの削減が順調に進んできているそのよって来るゆえんではないかというふうに理解をしておるところでございまして、今後とも必要に応じまして所要の対応を図ってまいりたいと考えているところでございます。
#9
○川島委員 政府はこの議定書の改定に当たりまして、国連のUNEPに対しまして平成三年度に十億七千万余の予算を組まれております。今後三年間で一億六千万ドルの拠出が予定されておると言われておりますが、他の主な国の取り組み状況がどうなっておるのかお尋ねをいたしたいと思います。
#10
○河村説明員 現在までの時点におきますオゾン層保護基金への拠出状況について御説明いたしますと、五ヵ国が拠出済みでございまして、そのうち全額を拠出しました国は三ヵ国でございます。米国でございますけれども、米国は全拠出額千三百三十三万ドルを予定しておりますが、そのうちの百万ドルを拠出済みでございます。オーストラリアは、全拠出額九十八万五千ドルの予定の中で三十八万七千ドルを拠出済みでございます。ノルウェーは全拠出額であります三十四万五千ドルを拠出しております。フィンランドも、全拠出額でございます三十二万ドルを拠出済みでございます。マルタが、全拠出額でございます六千二百ドルを拠出済みである。以上のような状況でございます。
#11
○川島委員 次に、このような特定フロンの規制の中に代替フロンが必要であるわけでございますが、これに対して日本政府は既にモントリオール議定書の第一回会合の席上で発言をいたしております。それによりますと、商品化可能な代替品、技術の開発普及に全力を尽くし、国際的協調のもとに、今世紀末まで特定フロンを全廃すべきだ、二国間、多国間援助の制度を活用しつつ、途上国に対する技術的財政的支援を行うべきであると述べております。
 今日使われております代替フロンにつきましても、まだ全部の除去でなくて、十分の一ぐらいの影響が残ると言われておりまして、技術自体がまだ地球環境に影響を及ぼす、こういうふうに言われておりますけれども、この議定書によります年度までに必ず全廃することが可能なのかどうかお伺いをしておきたいと思います。
#12
○小島説明員 御説明申し上げます。
 ただいま御指摘ございましたように、フロンの全廃のためには、適切な代替品の開発、そして実用化ということがその前提になるわけでございます。したがいまして、我が国のみならず世界各国におきまして現在この代替品の実用化に向けての研究開発に取り組まれておりまして、これまでのところこの研究開発は順調に進んできておりまして、近い将来におきまして実用化が図られてくるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、ただいま御指摘ございましたように、この特定フロンに代替してまいります代替品の中にも一部、オゾン層に与える影響が皆無ではないというものもあるわけでございまして、その取り扱いというものが、昨年六月に行われました、今回のこのモントリオール議定書の改定について議論いたしました締約国会合の一つの検討課題であったということも御指摘のとおりでございます。
 現在、規制されております特定フロンでございますが、これに対しまして、オゾン層を破壊する力の相対的な比率で申しますと、代替品としてこれから実用化されようとしております、化学的にはHCFCと呼ばれる物質でございますが、そういった物質は、特定フロンに比べまして、高いもので十分の一、通常は数十分の一程度にオゾン層を破壊する能力というものが下がるわけでございまして、こういったものに置きかえていくことでオゾン層に与える全体的な負荷というものは急速に下げていくことができるということがあるわけでございます。したがいまして、フロン全廃ということを進めるためには、そういったものも含めた代替品の実用化ということが不可欠になってくるわけでございます。
 しかしながら、十分の一あるいは数十分の一程度でございましても、将来にわたりまして永久にこの代替品を使い続けるということになりますと量的にも相当ふえてくるおそれがあるということがございます。そういった将来にわたる代替品が持つオゾン層に与える影響というものを現在の時点で正確にすべて予測することはなかなか困難であるわけでございますけれども、最新の科学的な知見を集積いたしましてコンピューターによってシミュレーションを行いました結果として示されたところによりますと、二十一世紀の半ばくらいまでは若干のオゾン層を破壊する力が残っておるこの代替品を使い続けても、その時点までにさらにより環境に望ましい、オゾン層を全く破壊しない対策に乗りかえていくことによって、今回のフロン等の全廃を決めました規制強化の最終的な目的でございます、二十一世紀の末までにオゾン層を南極において発生しております南極オゾンホールが発生するようになった以前の状態に戻していくということは十分可能であるということが示されておるわけでございます。
 そういった科学的な知見に基づきまして、今回のモントリオール議定書の改正におきましては、特定フロンについてその全廃を進めていく、その特定フロンに代替をいたしますHCFC、これにつきましては締約国間の合意という形で、二〇二〇年ないし二〇四〇年ごろを目途にさらにより環境に望ましい代替品への転換を図りつつ今後とも検討を進めていく、さらには回収・再利用等によりまして、この代替品につきましても野方図な使用ということが行われないようにしていくということが合意されておるわけでございまして、現在政府から提出をして御審議をいただいておりますオゾン層保護法の改正案におきましてもそういった趣旨を盛り込んでおるところでございます。
#13
○川島委員 今お答えをいただいておりまして、全廃までになかなか大変な努力が必要ではないかと思っております。特に、特定物質のうちトリクロロエタンに対する規制が少し遅かった関係もありまして、これに対する対策が十分でないという見方も出ておりますので、一段の努力をお願いをしておきたいと思います。
 さらにオゾン層の保護対策でございますけれども、今もお話が出ました地球規模の南極のオゾンホールの研究はもちろんのこと、国内においてもこうした生産をする会社だけにこれらの責任を負わすのでなくて、国民一人一人がオゾン層を守るためにみずからの役割を果たさなければならないと思うわけでございますが、国はこのようなことについてどういう施策をお考えであるか、お尋ねをいたします。
#14
○浅野説明員 先生御指摘のように、オゾン層の保護並びにこれの具体的手段としてのフロン等の規制なり使用抑制ということにつきましては、企業に対する規制措置と並びまして国民のこの施策の推進に関連いたしました協力というものがぜひとも必要でございます。
 それで、オゾン層保護に関連いたします国内法、オゾン層保護法によりましても国民への普及啓発というものが政府の施策の重要な柱として位置づけられております。この法律に基づきまして基本的事項というものを通産省と環境庁が共同告示でお示しいたしておりますけれども、その中でも国民に対する普及啓発を重要な施策の柱として位置づけておるところでございます。具体的には、私ども毎年七月をオゾン層保護月間といたしまして、通産省とも協力をいたし、また関係業界とも協力をし、さらには地方公共団体の御協力をいただきながら、この月間を中心にオゾン層保護の意義あるいは国民の協力できる分野というものにつきまして各種のパンフレット、ポスターを通じての訴えかけ、さらにはセミナー等の開催を通じての具体的な講習事業といったものも行いまして普及啓発に努めているところでございます。
#15
○川島委員 次に、オゾン層の破壊は今回のロンドン会議での決定が守られましても、二〇〇〇年までにフロンが全廃をしても二〇七〇年ごろまで続くというUNEPの専門家が予測をしているわけでございます。今回の規制対象以外の物質の中には、先ほどもお話もございましたように百分の十まで、十分の一にオゾンの破壊が下がるわけでございますけれども、炭酸ガスより強い温室効果があるものが含まれておると言われております。
 それにも増して一番問題になりますのが、今回のこの議定書にまだ加盟をしておらない中国とインドの大国、これらが将来非常に大量のフロンを使う可能性が十分あるわけでございますが、今後この国に対してアジアの一国として日本がどういう役割を果たしていくのか、最後にお伺いをしておきたいと思います。
#16
○河村説明員 今お挙げになりました中国及びインドというこれらの国々は、今後の経済成長に伴いまして将来フロンの需要が増加するということが十分予想されるわけでございます。しかしながら、従来、これらの国々はオゾン層保護法の保護措置を実施するための十分な経済力とか技術力を有していないということで、保護措置実施のための先進国の支援というものがぜひ必要である、こういう支援を伴わないようなオゾン層を保護する取り決めというものは経済成長の妨げになるということを懸念いたしまして、議定書に参加していなかったということでございました。
 しかしながら、昨年六月にロンドンにおいて開催されました議定書の締約国の会合におきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、中国及びインドを初めとする開発途上国側の懸念に配慮いたしまして、援助のための多数国間基金を中心とする枠組みというものができたわけでございます。この枠組みができたことによりまして、その締約国会合におきまして出席をしておりました中国及びインドの代表団はそれぞれこういう措置を高く評価いたしまして、議定書締結について前向きな意向であるということを表明いたしました。したがいまして、現在までまだ私たちには中国及びインドが議定書及び議定書の改正を締結したという情報は入っておりませんけれども、近い将来これが実現するということを大きな期待を持って待っているという状況でございます。
#17
○川島委員 次に、地球環境保全に対する諸問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 政府は、湾岸戦争で被害を受けたペルシャ湾地域の環境汚染状況を調査するために、政府関係者、専門家で構成する環境調査団を八日に派遣をした、このように言われておるわけでございますけれども、これによりますと、サウジアラビアなど三ヵ国を訪問し、ペルシャ湾に大量に流出した原油による海洋汚染の実態、油井の火災による大気汚染などの被害を調べ、湾岸諸国や国際機関などと環境保全対策づくりを進め、国際環境の一環として協力すると言われておりますが、こういう独自の調査じゃなくて、我が国は国連中心主義というふうに日ごろ言っておるわけでございますから、最初から国連機関との協力がとれなかったのかと残念に思うわけでございます。これに対する御所見をお伺いしたいと思います。
    〔新井委員長代理退席、委員長着席〕
#18
○河村説明員 今御指摘のございましたいわゆるペルシャ湾岸における油の汚染の問題につきましては、国連の組織におきまして特にこの問題解決について役割を果たし得る国連環境計画及び国際海事機関というものの活動が重要であろうかと思われます。
 それで、このペルシャ湾におきます油の流出事故が起きました直後に、二月の五日及び六日でございますけれども、国連環境計画はジュネーブにおいて国連内の関係機関の代表者の会議を開催し、対策を協議いたしました。同時に、その後国連環境計画としての湾岸地域調査団というものを派遣いたしまして、とりあえずは現状がどうなっているか、被害はどうなっているかというその把握に努めているという状況でございます。この二月五日及び六日の会合は基本的には国連における取り組みというものを討議する会議でございましたので、国連関係機関の代表者が出席をしたということでございますけれども、その際我が国は、環境庁の課長を初めといたしましてジュネーブの国際機関代表部の部員というものがこの会議に参加した国連環境計画の関係者及びその他の国際機関の関係者とも接触をいたしまして、国連の取り組みについて意見交換をしたということがございます。
 さらに、国連環境計画は来週でございますけれども、三月十一日から十三日までナイロビで環境大臣の非公式会合というものを開催することにしておりまして、この非公式会合におきましてもこのペルシャ湾におきます油による汚染の問題について協議する予定でございます。この会合には国会の御了承をいただきまして環境庁の小野政務次官及び外務省の地球環境問題担当でございます赤尾大使が出席する予定でございます。このように我が国といたしましては、個別の活動とは別に国際機関における活動というものを十分しんしゃくし、かつ国際機関との調整というものを常に念頭に置きつつ、湾岸の汚染問題について対策を考えていきたいと考えております。
 さらに、国際海事機関はより具体的に湾岸の流出事故に取り組むために、援助の意思を有する国と援助受け入れ希望国との間の情報の仲介等を行っておりまして、ロンドンにおきまして我が国の大使館と国際海事機関との間で非常に緊密な連絡をとりつつ、我が国の、例えば援助の意思というものを関係国に伝達するようにお願いをしているということでございます。
 いずれにいたしましても、我が国といたしましてはこれらの国際機関と十分情報交換に努めまして、この問題の解決のために積極的に対応していきたいと考えております。
#19
○川島委員 外務大臣は中東湾岸への貢献策として、この調査に基づき国際緊急援助隊を派遣することを検討するとさきの委員会で言われておりますけれども、今回の調査団の結果によって予定されておるのかどうか、その内容等についてあわせてお伺いをしたいと思います。
#20
○中山国務大臣 外務省といたしましては国際緊急援助隊の派遣の場合に、それはあくまでも二次災害、三次災害の場合を対象として現在考えておりまして、目下のところクウェートあるいはイラク等におきます人道的な観点から伝染病が発生したりした場合には、WHOと十分な緊密な連絡をとりながら応分の協力をしなければならない、このように考えております。
#21
○川島委員 現在の国際緊急援助隊は、法律の中で、災害に対して当該被害を受けた国または国際機関からの要請を受けて出かけることになっておるわけでございますけれども、今回のような戦争による災害に対して現行法の手直しをお考えになるおつもりはないかどうかお伺いしておきたいと思います。
#22
○中山国務大臣 現行法の手直しの場合には、戦争の被害による場合も国際緊急援助隊が出せるということになるものだと思います。しかし、現在のところ直ちに法律改正をするという考えは持っておりませんで、あくまでも現行法で伝染病発生の場合には対応を直ちに行うという考えを持っております。
#23
○川島委員 次に、イラクによるペルシャ湾の原油放出についてお伺いをしたいと思います。
 放出の量は八百万バレルから一千万バレルと見られておりまして、海の生物に大きな被害を与えておることは既に皆さんも御承知のことだと思います。数万羽の水鳥類、ウミガメの四種類、ジュゴンの九千頭、サンゴ礁、アワビ、サザエ、エビ等、重油に直撃された生物は窒息死するか、有害な炭化水素にさらされてほとんど死滅をする。生態系が崩れて入り江や湿地の汚染の解消に大変な労力と期間が必要と言われておるわけでございまして、既にこの種の原油の関係の汚染の事故はアラスカだとかフランス、メキシコ、日本におきましても幾つかの事故があるわけでございますけれども、我が国はこれらの国際的な事故等を踏まえて、今日までどのようなこれらの研究がなされてきたのかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
#24
○柳下説明員 御説明申し上げます。
 ペルシャ湾の原油流出につきまして、その流出量の規模につきましてはまだ諸説ございまして、先生御指摘の八百万あるいは一千万バレルという説もございますし、あるいは最近百万バレルというような説もございます。しかしいずれにせよ、過去日本の水島流出の五万バレルなどと比較いたしまして、あるいはアラスカのバルディーズの二十六万バレルと比較いたしましても大変な規模であると認識してございます。
 国際的に油流出などについての研究を今どのように把握しているかという御質問でございますが、過去最も大きかったバルディーズの事故を契機に、アメリカにおきましてはEPAあるいは関係省庁が一体となりましてバルディーズ号原油流出事故報告といった報告書がなされてございます。具体的には事故の態様、影響、これを受けた今後の教訓、勧告などにつきまして提言がなされてございます。さらにカナダにおきましても同様の研究がなされているというふうに聞いてございます。もちろん私どもといたしましても、海洋汚染防止対策の観点で種々の検討、調査を行ってきてまいりましたけれども、現在これらの諸外国における経験なども踏まえ、さらに現在のペルシャ湾における今回の現地への調査団の派遣を踏まえ、我が国としてできる対策、あるいは国際機関との連携などについて今後十分に国際的に貢献していく必要があるというふうに認識してございます。
#25
○川島委員 この油の汚染について他の各国は日本よりも技術が進んでいてすぐに取りかかれるような状況になっておると聞いているわけでございますけれども、残念ながら今までの日本の対応策を見ていますと、従来の小さな規模のフェンスを張って囲う程度の汚染に対する除去の技術しか今までに目に見えてこないわけでございますけれども、今回の調査によって日本が他国にまさるほどのそういう対応策がやれるのかどうか、そしてまたそういう機材だとか技術だとかそういうものが現在調っておるのかどうか、この辺について具体的にお答えをいただきたいと思います。
#26
○渡辺(允)政府委員 我が国といたしましては、今回のペルシャ湾の原油流出が発生いたしまして直ちに直接被害を受けることになりましたサウジアラビアその他湾岸諸国と緊密な連絡をとりまして、それぞれの国が何を必要とするかという要請も聴取いたしました上で、御承知のようにこれまでのところ、いわゆるオイルフェンス三十一キロメートルをサウジアラビア、バハレーン、カタール等に供与をいたしたわけでございます。
 今回この調査団が派遣になりますので、調査団の調査対象項目も非常に幅広いものでございますが、この調査団の報告をも踏まえまして、さらに我が国としてどういう協力ができるかということを十分に政府部内で検討してまいりたいというふうに考えております。
#27
○川島委員 もう既に被害の状況もあらかじめある程度わかるわけでございますけれども、これらに対して、具体的にやれる状況にあるのかないのか、検討をして機材や何かでも全部調査ができ上がっているわけですか。具体的に言うと、フェンスならフェンスなり、除去するいろいろな機材というものはすぐに全部調えることができるのかどうか、もう一度お伺いいたしたいと思います。
#28
○渡辺(允)政府委員 日本政府の対応といたしましてはこれまでのところ、御承知のように、この地域が戦闘状況にあったというふうなことから、それからまた、これまで供与いたしました資材そのものは、資材として供与することによって役立つことができるという性質のものであったということから、これまでは人が現地に出ておりません。ただ、今回の調査団がそういう意味で我が国の専門家が実際に現地で状況を調査するということになりますので、この結果も踏まえまして、今回の非常に大規模な事故でございますので、恐らく今後の対応も非常に大規模かつ長期にわたることになるかと思いますけれども、その中で我が国としてできるだけのことをやっていきたいというのが今の考え方でございます。
#29
○川島委員 次に、イラク軍によって破壊され、炎上いたしております二百本近い油井が発生する大気汚染に対してどのような解決策が考えられるか。原油総量一日約二百万バレルが燃えた場合に匹敵する大気汚染物質が拡散をしておると言われております。さらに、酸性雨がアジアの地帯にも降って、農産物等に影響を与え、深刻な影響が心配されておるとも言われております。さらに、中東七ヵ国の森林の約六割に被害が及ぶとも言われておるわけでございますけれども、これらに対して、国連機関の動きと我が国がこれらの貢献策としてどのような役割を果たすのか、この油井の炎上についてお伺いをしたいと思います。
#30
○河村説明員 先ほど御説明いたしましたとおり、地球規模の環境問題について国連におきまして特に重要な役割を果たしておりますのが国連環境計画でございます。国連環境計画はその中で、これも先ほど御説明いたしました三月十一日から十三日までの環境大臣非公式会合におきまして、湾岸地域におきます環境汚染という問題について、この問題を中心にして協議を行うということになっております。現在までのところ先生の指摘されました油井の破壊から生ずる諸々の影響について分析、協議を行ってきている国際機関はないと私たちは承知しておりますので、この国連環境計画におきます討議というものが多分最初の機会になろうかと思います。
 いずれにいたしましても、直接的な影響がどういうものかということで情報を収集する、さらにはそういう影響を評価する、そういう評価に立ちまして短期的な対策、長期的な対策というものを考えていくというのが多分手順であろうと思います。
#31
○川島委員 新聞報道等によりますと、この油井の炎上が二年間に及ぶというような報道もなされているわけでございますが、こうした油井の炎上を消すための現在の世界の技術といいますか、例えばニトログリセリン等の爆発物ですぐに消すことができる、こういうふうに我々は理解をしてきたわけでございますけれども、その辺のところについてお伺いしておきたいと思います。
#32
○浅野説明員 油井の炎上事故に対しまして、その消火活動をいかに進めていくべきかという観点からの御質問と承知いたしますけれども、この消火の技術につきましては、私環境庁の人間でございますが、私ども承知しておる限りにおきましては、日本の場合においては大規模な油田がないということもあり、かつまた類似の過去の火災例もないということもございまして、この消火にかかわる直接的ノーハウというものはございません。世界ではアメリカ、カナダ等の企業におきまして約五つばかりの企業が具体的ノーハウを持っておるというふうに承知しております。したがいまして、私ども環境庁の立場におきまして、消火の側面に関して具体的な我が国の協力できる分野があるかと問われれば、今のところそういう技術は想定できないという状況でございます。
#33
○川島委員 次に、今回の炎上、大気汚染によって酸性雨の対策が問題になるわけでございますが、先ほどもお話が出ましたように、中東における森林の六割がやられる、中国大陸までこれらの影響が及ぶ。日本でも炭酸ガス等の関係でこれらの問題が古くから言われてきておりまして、酸性雨に対する影響が毎年ふえてきている、こういうふうにいろいろ言われてきているわけでございますけれども、我が国のこれらに対する対策は現在どのようになっておるのか、お伺いをしたいと思います。
#34
○浅野説明員 日本におきます酸性雨の状況でございますけれども、環境庁では昭和五十八年度から五ヵ年計画で第一次の酸性雨対策調査というものを国内で実施をいたしております。具体的には全国二十九地点でモニタリング調査を行っておりますけれども、先生御案内のように、pH五・六以下の雨を酸性雨と称するわけでございますが、全国的に多くの地点でpH四台のかなり強い酸性雨が測定をされているという状況でございます。
 ただ、我が国の被害の状況につきましては、まず湖沼の水質につきまして調べましたところ、土壌の状況も日本の場合にはアルカリ土壌がかなり強いということもあるわけでございますけれども、ほとんどの湖沼がpH七付近、要すれば中性値を多くのところで保っておるという現状でございます。また、欧米諸国におきましては森林被害というものが非常に広がっている、しかもこれが酸性雨を原因とするものであろうというふうに言われておるわけでございますけれども、我が国では、私どもが実施しました第一次のモニタリング調査の結果によりましては、森林被害は明確には酸性雨によるものとしては明定されている状況ではないという評価でございます。
 ただ、酸性雨の問題は今後とも注意深く追跡調査をしていく必要がございますので、現在新たに昭和六十三年度から第二次のモニタリング調査を実施しておるところでございます。
 対策は、基本的には大気汚染対策、窒素酸化物あるいは硫黄酸化物の排出抑制というものが基本でございますので、国内でも従来から大気汚染防止法その他によりまして規制措置を強めてまいっておりますが、この方向での努力を引き続き強めてまいりたいと考えておるところでございます。
#35
○川島委員 次に、環境破壊の新しい流れの問題といたしまして、産業構造の変化に伴う対策のおくれが指摘されておるところでございます。従来の鉄鋼、石油化学などの素材供給型産業の汚染から、現在はハイテク産業の汚染に変わり、石炭、石油発電所からの公害が原子力発電所の災害に変わっております。工業からレジャー、リゾート産業による自然破壊、生産過程から排出する汚染物の公害から産業廃棄物の公害等、環境問題の様相も変わってまいりました。わけても原子力発電所の事故による災害は、地球環境に取り返しのつかない環境破壊につながるものだけに、その事故に対する対策は万全を求められておるところでございます。
 アメリカのスリーマイルアイランド原発事故、ソ連のチェルノブイリ事故等、予想を上回る傷跡を今日も残しております。日本におきましても、一九七一年の東海原発での作業員三名の被曝事故を初め、一九七四年の原子力船「むつ」の放射線漏れ事故、一九八一年の敦賀原発のタンクからの放射性廃液漏れ事故等、そのほか含めまして十四件、最近では関西電力の美浜原発の事故等が日本の原発の安全神話にも冷や水を浴びせております。これらに対する国内の対策及び原子力の安全に対する国際的な安全基準、こういうものを今後協議しながらつくっていく必要があるのではないかと思うわけでございますけれども、この辺についての御所見をお伺いしておきたいと思います。
#36
○谷説明員 御説明申し上げます。
 我が国の原子力対策といいますか原子力開発は、安全を第一に進めているところでございます。
 具体的には、原子力施設は原子炉等規制法などに基づきまして設計、建設、運転、それぞれの段階におきましてそれぞれの所管行政庁で安全規制を行いますほかに、原子力安全委員会におきましてもう一度ダブルチェックをするという、世界でも類例を見ない二重にチェックを行う方式をとってございます。今先生御指摘ありました種々のトラブル、事故等につきましても、幸いなことに日本におきましては一般の公衆の方々に被害を及ぼすような事故は起こっておりませんけれども、原子力安全委員会におきましては、これらの事故、トラブル等につきましてそれぞれの状況を綿密に調査をいたしまして安全基準に反映いたしているところでございます。
 例えば、今御指摘のございましたアメリカのスリーマイル島の事故につきましても特別の調査委員会をつくりまして綿密な調査をいたしまして、五十二項目にわたります安全基準あるいは安全審査基準等に反映すべき項目を抽出いたしまして、それぞれの抽出されたものについての対策を講じてまいっているところでございます。それから、ソ連のチェルノブイリ事故につきましては、日本の使っております原子炉と原子炉の型式が違うということから、直接日本の基準に反映するというものは見出せませんでしたけれども、精神的には我々が従来とっております対策をさらに心に銘じて、これを強力に推進していくということで、七項目を抽出いたしまして実施いたしておるところでございます。
 それから、最後に御指摘のありました、現在起こっております美浜の事故につきましても、既に調査委員会をつくりまして具体的な調査、審議に入っているところでございます。
 また、国際的な基準につきましては、原子力の安全確保は基本的にはそれぞれの国の政府が責任を持って実施をするというのが国際的な原則でございますけれども、それぞれの国が実施をいたしてまいります安全基準のレベルを高い基準で維持していくという面におきましては、それぞれの国が協力をしまして、ノーハウを出し合いまして、先生御指摘のように技術基準をつくっていくということは非常に重要なことだと私どもも理解しております。
 具体的には、国際原子力機関、IAEAでございますとか、経済協力開発機構、OECD・NEA、ここも原子力機関でございますが、この二つの機関を中心として各国の専門家が集まりまして、安全基準あるいは検査の手法等をお互いに交換し合いまして国際的な基準をつくるという作業が進められておりまして、我が国からも多数の専門家が参加をして協力いたしているところでございます。
 今後とも、今御指摘のありましたような方向で十分安全基準の向上に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#37
○川島委員 次に、日本の政府開発援助、ODAにおいて援助を受けている各国での環境的配慮が少ないために環境破壊が繰り広げられてきたと言われております。インドネシアの集団移住計画、スリランカのマハベリ計画、タンザニアのキリマンジャロ農業開発計画等大規模な開発途上国における事業は、大規模ダムによって水没される農地とか森林、塩害など熱帯地方の環境破壊を進めていると言われております。こうした計画にもっと環境破壊防止対策を重視をして、各国が環境保全の交流を深めていく、そういう努力をしなければならないと思うところでございます。
 我が国もODAのあり方については、既に湾岸戦争の教訓として武器輸出国に対する援助の再検討を行う、こういう発表もあったわけでございますけれども、今後のODAのあり方についてお尋ねをいたしたいと思います。
#38
○川上政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の開発と環境問題、これは御指摘のとおり大変重要な問題でございます。近年、環境問題に関する関心というものが国際的に急速に高まってきております。また、御指摘の開発途上国の武器輸出問題というものも同様に今次の湾岸危機を契機として世界的な注目を浴びることになっておるわけでございます。開発途上国の社会経済開発と環境との関係につきましては国際場裏におきましても長年議論が続けられてきたところでありまして、ODAのあり方といたしまして開発途上国が環境保全を図りながら経済開発、経済発展を進めていけるように環境分野の援助に我が方としては積極的に取り組んでおりますし、援助のプロジェクトの実施に際しましては環境の基準というものをできるだけ厳密な形で先方と協議の上対処していくという姿勢をとっておる次第でございます。
 こういう次第でございまして、ただいま御指摘の点につきましては、他方において、経済協力は基本的に開発途上国の経済発展、飢餓と貧困の救済それから国民生活の向上への貢献を本旨とするものでございますので、その点を十分踏まえまして、このような国際的な議論の深まりに我々も参加していく必要があるわけでございますが、今申しましたような経済協力の本旨というものを踏まえながらその点を考えていく必要があると考えている次第でございます。
#39
○川島委員 次に、環境保全についてお尋ねをいたします。
 今から二十年前、環境問題は、各国を公害のあらしとして先進工業国を襲った、各国は公害反対の世論と住民運動に押されて環境専門の行政庁をつくり公害の規制に乗り出してきた経過がございます。それから二十年間、石油ショックとスタグフレーションを経て世界経済に変化があらわれる。ハイテク化、情報化、サービス化の産業構造の変化と大量消費生活様式の普及と国際化が進み、新しい環境問題が発生するに至っております。
 わけても発展途上国における多国籍企業の公害の垂れ流しが言われておるところでございまして、公害輸出について厳しい批判の声が上げられているところでございます。これらの発展途上国に対する多国籍企業の公害輸出の問題について我が国はどういう対応策を考えておられるのか、御所見をお伺いをいたします。
#40
○大慈弥説明員 お答えいたします。
 海外に進出いたしました日本企業は、その地におきまして環境保全に十分配慮した企業行動をとるというのが非常に重要であるということは先生の御指摘のとおりだと思います。その場合に受け入れ国、現地の社会にございます環境基準だとか諸規制をまず遵守をするということが進出企業に課せられました課題であり必要なことであるということでございます。その際に、進出する我が国におきましては、環境保全先進国としての環境保全の技術もございますので、それら技術を活用していくということも非常に重要になっております。
 我が国民間の経済団体におきましては、自主的に海外投資行動指針というのを策定をいたしておりまして、投資先国の生活だとか自然環境の保全に十分努める旨申し合わせをいたしております。特に昨年におきましては、そのうち海外投資の環境配慮という点から十項目の環境配慮事項というものを提言いたしておりまして、政府といたしましても海外進出企業の適切な環境配慮が行われることを我々も期待をしておるということでございます。
 一方、政府といたしましても一昨年五月でございますけれども、産業構造審議会の方から環境面への配慮の重要性というのを指摘いたしました「海外事業展開に当たって期待される企業行動」という基準が提言されております。当省ではその内容を広く関係団体やら現地の日系企業に対して周知徹底させておるところでございます。日本企業が海外の現地社会におきまして環境問題に十分配慮した企業行動をとるように、今後とも指針の周知徹底に努めてまいりたい、こう考えております。
#41
○川島委員 次に、地球温暖化の対策についてお伺いをいたします。
 ことしの一月の二十三日名古屋市で開かれました地球温暖化アジア・太平洋セミナーで国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCのボリーン議長は、現在日本でフロン代替品として開発が進んでいるハイドロクロロフルオロカーボン、HCFCにも強い地球温暖化促進作用があることを指摘をいたしております。もっと温暖化への影響の少ない代替品の開発を先進国が急ぐべきだ、こういう警告をいたしておるわけでございますけれども、この対策については我が国はどのような考え方をお持ちなのかお伺いをしておきたいと思います。
#42
○小島説明員 御説明申し上げます。
 ただいま御指摘ございましたように、フロンにつきましてこれが強い温暖化効果を有しているということが指摘されておるわけでございます。また、現在規制されております特定フロン、これを便宜上私ども第一世代フロンと言っておりますが、これにかわって今後実用化されてまいります第二世代フロンにつきましても温室効果というものがあるということも事実でございます。しかしながら、その程度というものを比較をしてまいりますと、現在知られております、先ほど御指摘ございましたIPCCの報告書にも記載されておりますが、第一世代フロンと第二世代フロンを比較をいたしますと、その温暖化効果というものは約十分の一ないし数十分の一程度と、第二世代フロンの方が低いということが明らかにされておるわけでございます。
 また、これもIPCCの報告書に記載されておるところでございますが、現在全世界の温暖化効果というものの総量に占めますフロンの寄与率というものは約十数%と言われております。これが第二世代フロンに転換をいたしまして約十分の一ないし数十分の一に低下をするということになりますと温室効果という面でもプラスの効果をもたらすということになると承知しております。しかも、先ほど申し上げましたように、この第二世代フロンのうちのHCFCでございますが、これにつきまして若干オゾン層を破壊する能力が残っておるということにかんがみまして、国際的に二〇二〇年ないし四〇年ごろまでには全廃を図るべく努力をしていくということが合意をされておりますし、また今回のこの改正されましたモントリオール議定書を踏まえまして提案をしておりますオゾン層保護法改正案におきましてもこのHCFCにつきまして排出抑制、使用合理化のための措置を規定をしておるわけでございます。
 通商産業省といたしましては、当面この第二世代フロンにつきましてオゾン層保護法改正案に基づきましてその排出抑制、使用合理化、これの指導助言ということに努めてまいりたいというふうに考えております。また、さらにより長期的にはオゾン層を破壊しないということとともに地球温暖化の防止にも資するという、そういったいわば第三世代フロンというべきものにつきましてその開発に現在取り組んでおるわけでございますけれども、これを推進をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#43
○川島委員 もう余り時間がございませんので要望いたしておきますが、国連の気候変動に関する政府間パネルのボリーン議長は多くの今後の課題を作業として挙げているわけでございますが、この中で温暖化防止条約の設定の必要性を強調いたしておりまして、国連におきましても多くのそういう設定のための作業が進められておる、こういうふうにお伺いをしておるところでございます。また、地球の環境の砂漠化の防止や緑の復元を図るために森林保護条約の設定等も言われておるわけでございまして、これらのことにつきましても、ひとつ政府は御努力をお願いをしておきたいと思います。
 最後に、今回の中東における湾岸戦争の中で、国民から国会は一体何を行っているのか非常にわかりにくい、各党がばらばらの政策である、外交政策について何とか各党とも一丸としてやれないものだろうか、こういう声が聞かれてくるわけでございます。特に海外諸国に比べますと我が国のこの外務委員会というのは一向に見えてこない。そのはずでございまして、予算委員会がほとんど行われておりまして本当の外務委員会の果たす役割は行われていないわけでございます。我が党の川崎先輩議員も提案をいたしたように、この外務委員会で各党とも忌憚ない意見を出し合いながらこれからの日本の外交について十分な討議を行わなければならないのじゃないかと思うわけでございます。
 特に、この湾岸のこうした状況については、委員が外務委員会として調査や対応策の検討に海外へ出かける、予算がなければ各委員が出し合って行ってしかるべきだと思うわけでございます。私ども地方議会でも一つの県の物産展のためにアメリカへ行ったり南米へ行ったり、いろいろなことをやって県の施策に寄与しているわけでございまして、我々外務委員会も外務大臣が動きやすいようなそういう協力をすべきだと思うわけでございますが、政府としてこれらについての御所見がございましたら、最後にお伺いをしておきたいと思います。
#44
○中山国務大臣 委員御指摘のとおり、外務委員会が海外で実態調査を行われて、それで政府に対してもまた国民に対しても日本のあり方というものについて意見をお出しいただくことは極めて有意義だと思います。何しろアメリカあたり、政府専用機を議会の委員会が使っていろんなところに飛んでおります。そのような実態を私どもよく見ておりまして、ぜひそのようなことが日本の国会の外務委員会においても行われることになればそれは大きな外交上の進歩につながる、私はそのように考えております。
#45
○川島委員 どうもありがとうございました。
#46
○牧野委員長 遠藤乙彦君。
#47
○遠藤(乙)委員 今回のモントリオール議定書並びに今回の改正は地球環境保護という点で画期的な内容を持つものと高く評価をするものでありまして、また関係省庁の努力を多とするものでございます。
 他方、この締約国を見ますと、一月二十九日現在でまだ二つしかないわけでして、我が国も早急に締約国になるとともに他国に対しても参加を呼びかけるということも必要であるかと感じております。この点でまず我が国として何か具体的なアクションをとる用意はあるかどうかお聞きしたいと思います。
#48
○河村説明員 今先生も御指摘いただきましたとおり、現在まで締約国の数は非常に少のうございます。同時に、我が国としてもできる限り早急にこの議定書の改正を締結することによって我が国のオゾン層保護問題に対する態度というものを世界各国に示し、ある意味で我が国が模範を示すことによって各国からの議定書の改正への参加ということをぜひ進めていきたいと考えております。
 同時に、この議定書の改正につきましては、先生も御存じのとおり、明年の一月一日からの発効というものをそもそも改正の中で予定しているわけでございますけれども、各国ともこの議定書の改正を作成しました段階において、国内的に努力を行ってぜひとも発効させるという決意を表明したわけでございます。
 同時に、個々の具体的な日本の働きかけという観点でございますけれども、実はこの改正議定書のメカニズムとして多数国間基金というものを特につくりまして、開発途上国からの参加というものについてのインセンティブとするということにつき我が国は非常な努力をしたわけでございます。これは議定書の改正の中自体に書いてございますが、それ以外に、従来から実は我が国は特にアジア・太平洋地域の諸国を中心といたしましてセミナー等を開催いたしまして、このオゾン層保護問題の重要性を指摘しております。
 例えば既に一九八九年五月、これはこの議定書の改正がもちろん採択される前であるわけでございますけれども、そもそもはアジア・太平洋諸国の議定書の改正というものを真剣に考えてもらうということのために、オゾン層保護問題の重要性を紹介するためのオゾン層保護アジア・太平洋セミナーというものを開催しておりまして、中国、韓国、インドネシアなど十二ヵ国が参加しております。
 さらに、昨年の十月から十二月、これは議定書の改正ができてからでございますけれども、我が国の有しておりますオゾン層保護技術の紹介というものを目的といたしまして、特定フロン等使用削減技術についてのセミナー及びオゾン層保護対策についてのセミナーという二つのセミナーを、国際協力事業団の主催でございますけれども、集団研修という形で実施いたしまして、多数の国からの参加を得たということでございます。
 さらに、これは昨年の二月でございますが、マレーシアにおきまして開催されました熱帯地域のオゾンと大気の変化に関する国際会議というものが開催されました際に日本からオゾン層保護問題の専門家を派遣いたしまして、基本的にはオゾン層保護に対する我が国の取り組みの内容を紹介した、こういう形で開発途上国からの参加というものを得たいという熱意を伝えている次第でございます。
#49
○遠藤(乙)委員 冷戦が終えんをして地球的規模での核戦争の恐怖というのは大幅に減少したと思うわけですけれども、それにかわって非常に懸念を有する問題が大きく言って二つあるんだろうと思っています。一つは、このイラクのクウェート侵略に見られるような地域紛争、特にこれに絡んで核兵器の拡散あるいは生物、化学兵器等の禁止兵器の拡散ないしはハイテク兵器、さらにテロリズムとも絡んだ地域紛争というのは非常に大きな問題だと思います。あともう一つは、この地球環境を初めとする地球的諸問題群といいますか、環境、麻薬、テロ、こういった問題だと思います。いずれにしても世界的規模でグローバリズムの観点に立っての国際協力が非常に必要なわけでございまして、特にそのためには普遍的な多数国間条約の作成が非常に重要になってきているんだろうと思っております。
 特に従来の狭いナショナルインタレストといいますか国益概念を超えてグローバルインタレストとでもいいますか、人類益、地球益という視点からも新しい国際法体制の整備というものが重要になってきていると思うわけでございますけれども、そういった関連におきましてこのモントリオール議定書はどのように位置づけられるのか、政府の見解をお伺いしたいと思います。
#50
○野村政府委員 ただいま御指摘がございましたように、世界全体で考えないといけないあるいは共同で対処しないといけない問題がたくさん出てまいっておりまして、そういった各国の共同行動というのを確保するためには、やはり多数国間条約で法体系をつくっていくということが必要になるわけでございます。ただ、こういった条約の場合には難しい面がございまして、一つは普遍性と申しますか、できるだけ多くの国が入らないといけないという側面、もう一つはやはり実際的、具体的な、若干厳しい場合もあろうかと思いますけれども、規制措置を設けていかないといけない、そういう二つの面を満足させるものでなければならないわけでございまして、そういった意味で特に地球規模の環境の分野でこのオゾン層の保護についての法体系と申しますのは画期的な重要性を持っているものだというふうに考えます。
 これは一方では、そのウィーン条約でございますけれども、その基本的な枠組みをまずつくりまして、一般的な、精神的な規定が多いわけでございますけれども、これにはできるだけ多くの国が参加しやすいようにする。他方その具体的な規制につきましてはいろんな現実的な要素を勘案いたしまして議定書という形で法体系をつくっていく。二段構えで対応していくということでございまして、先ほど説明がございましたように、特に議定書の面におきましてはこの開発途上国の参加というのを確保することが絶対必要だということから非常に弾力的、現実的な規定ぶりをしておる。ちなみにウィーン条約につきましては、私ども承知する限り、ほとんどの先進国が参加しておるわけでございまして、極端に申し上げれば、この条約に参加していなければ先進国じゃないと言っていいぐらいの状況でございます。
 今後いろいろな条約、こういう地球規模の環境の分野だけじゃないと思います、麻薬とかその他あろうかと思いますけれども、特に環境の分野につきましては、やはり今後出てくる条約の一つのモデルをつくったものかなといったことでございまして、今後の国際法の発展の見地からいたしましても非常に重要な位置づけがなされるものかな、そういうふうに考えている次第でございます。
#51
○遠藤(乙)委員 こういった多数国間条約は、グローバルな問題に対する国際的な対応として重要であるのみならず、国内的にも各国の法制度、行政等、国民生活にも直接、間接に影響を及ぼすものとして非常に重要になってきているんだろうと思います。こういった重要な多数国間条約の締結に我が国としても積極的に取り組むべきと考えるわけですけれども、この点につきまして政府としてどういう認識を持っておられるかお答えをいただきたいと思います。
#52
○野村政府委員 御指摘のございましたように、国内の経済活動とか社会生活に影響する分野ではありながら、なおかつ国際的な共同の対処というのが必要な問題が多々出てまいっております。従来ですと、そういった問題については専ら各国が国内でそれぞれの法体系のもとで対処しておればそれでいいと考えられていた分野でございますが、そういった条約、やはり国際社会の発展に伴いまして多く出てまいっておる状況でございまして、我が国としましてもこれらの条約につきまして積極的に締結をしていく努力が必要であろうというふうに考えております。
 そのためには、率直に申し上げまして、日本の国内の法整備といった点から、関係する省庁の協力あるいは国内の御理解を得る必要もございます。そういった点を得ながら、条約の作成及び締結に向けましてでき得る限り積極的に対処していきたい、そういうふうに考えている次第でございます。
#53
○遠藤(乙)委員 今国際貢献ということが非常に大きなテーマになっておりますけれども、ただ我が国の一部には、金だけ出せばいい、小切手さえ切ればいいというような風潮も若干あるということで、これは非常に浅薄な考え方であって、むしろさらに人的貢献あるいはオピニオンリーダーとしての役割を日本がもっと強めるということが非常に重要な側面ではないかと思っております。そういった意味で、今回のこのモントリオール議定書改正等、我が国が重要な役割を果たしたということは非常によいことだと思っておりますけれども、今後一層こういうオピニオンリーダー性を強める必要があると思っております。
 日本の外交姿勢としても、今までは西側の一員であり、あるいはアジアの一員であるということがうたわれておりますけれども、もっとグローバリズムという視点を大胆に前面に出してはどうか。例えば、外交青書等にもそういうことをもっと強く打ち出してはどうかという気がするのですけれども、この辺大臣いかがでございましょうか。
#54
○中山国務大臣 本件のような考え方、これはやはり地球全体の環境保全の問題でございますから、委員の御指摘のように、積極的な姿勢をもっと出していくというのは最も適当であろうと考えております。
#55
○遠藤(乙)委員 時間の制約もありますので次の論点に進んで、ODAと環境の問題にいきたいと思います。
 既に社会党の委員からもいろいろ質問がありましたので論点を絞りまして、今回の議定書にも環境問題に関する発展途上国への技術協力、資金協力がうたわれておりまして、これは大変重要なポイントであると思いますが、具体的な今後の協力に当たって、環境問題に限った場合、今までODAというのは要請主義を基本にしております。相手国政府の要請があって初めてこちらも動きをとるということでございますけれども、しかし、それではちょっと足りないであろう。
 我が国から進んで、相手政府の許可のもと環境破壊の実態調査を行うとか、アドバイスを与えるとか、技術援助をするとか、もっと能動的な姿勢が必要ではないかと思われます。もちろん、先進国側の意向を相手国に押しつけるということがあってはならないわけで、あくまで相手の立場を尊重しながらも、もっと対話主義とでもいいますか、意見を交わしながら能動的に環境問題への協力を進める姿勢が大事かと思っておりますけれども、この点につきましてはいかがでございましょうか。
#56
○川上政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘の環境問題と要請主義という視点でございますけれども、まず、我が国は基本的に援助につきましては要請主義という建前をとっておることは先生御承知のとおりでございますが、この要請主義というのは、受動的に待っているという趣旨では必ずしもございませんで、各種の政策対話、それから、こちらからのミッションの派遣等を通じまして、先方との間にどういう経済開発上のプロジェクトを実施したらいいかといったようなことは、環境に限らず、ほかの案件につきましてもできるだけ努力しているということを一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。
 環境問題につきましては、御指摘のとおり、他の分野と比較しますと相対的に相手国からの要請が出にくい面が確かにあるということでございますので、先ほど申しましたような意味での要請主義の運用に当たりましても各種の政策対話をさらに強化していろいろな環境案件の発掘に努めていきたい、こういうふうに思います。
 このような観点から、御参考まででございますが、これまでも東南アジア、つい最近でございますけれども東アフリカ、メキシコ、ブラジルといったようなところに環境ミッションを派遣しております。また、開発途上国との年次協議等の場におきましても本件分野における対話に努めておりまして、このような対話を踏まえまして、技術協力を初め、無償資金協力、有償資金協力等各種の援助形態の特徴を生かして途上国の環境保全に貢献してまいりたい、このように思っております。
#57
○遠藤(乙)委員 環境問題は、規制を行うことも非常に大事ですけれども、同時に、科学的知見を高め技術的対応策を充実させるとともに、こういった面で国際協力を促進させることも同じように重要であると考えるわけです。この点はオゾン層のウィーン条約でもうたわれておるところでございまして、オゾン層に関連するもの及びその他の地球環境問題について我が国での調査研究体制が国際的にどの程度貢献しているか、この点につきましてお聞きしたいと思います。
#58
○浅野説明員 観測あるいは調査研究の分野での我が国の国際的貢献いかんという観点からの御質問かと思います。
 オゾン層の観測に関しましては、古くから行われておりまして、一九五七年、五八年にかけまして国際地球観測年というのがございましたけれども、その当時に世界気象機関の主唱に基づきまして全地球のオゾン観測組織というものが組織されまして、これを受けまして、我が国では気象庁が国内四地域、それから南極の昭和基地でのオゾン層の全量観測というのを早くから手がけてまいっております。国際的貢献という意味では、この昭和基地におきますオゾン層の観測を通じまして、オゾン層の保護の科学的知見として広く引用されておりますいわゆる南極におけるオゾンホールの存在なりあるいは拡大といったことについて具体的な観測データを提供することによって大いに評価をされているという事実がございます。
 それからもっと広い観点から、オゾン層保護、さらには地球環境問題につきましての調査研究の国際的な推進体制ということに関連いたしましては、今申し上げましたWMO、世界気象機関や、国際学術連合と称しておりますが、ICSUの主唱によりまして国際的な地球環境共同研究計画プログラムというものがございまして、これとの連携のもとで我が国でも環境庁が地球環境研究計画というものを策定いたしまして、関係省庁の国立研究機関あるいは大学さらには海外の研究機関との役割分担のもとに総合的な研究体制を進めておるところでございます。
 具体的には、予算的には平成二年度から地球環境研究総合推進費ということで十二億円の予算計上がなされまして、この予算執行を通じて共同研究を推進をしているということでございます。さらに、昨年十月には国立環境研究所に地球環境研究センターを設置いたしまして、こういう学際的あるいは国際的な研究の核になります組織として位置づけておりまして、ここでもその後研究成果のデータベース化等を進めてこれを内外に広く提供していくということで、新たな国際的な協力というものを研究分野でも大いに促進していきたいというふうに考えておるところでございます。
#59
○遠藤(乙)委員 今回の改正議定書に対する国内の産業界、特に中小企業などはいろいろ反応があったのではないかと思っておりますけれども、この点について通産省の方からお答えをお聞きしたいと思います。
#60
○小島説明員 御説明申し上げます。
 特定フロンその他の規制対象物質は非常に多岐にわたる用途を持っておりまして、またその使用業者の数というものも非常に多数に上るわけでございます。その中で中小企業というものも非常に数も多く、またその使用量全体に占めるウエートというものも大きなものがあるわけでございまして、この中小企業を含めた産業界全体における対策の促進ということがこの問題に対処する上で非常に重要なことになるわけでございます。
 そうした観点から、中小企業におけるこの対策の推進ということに関しまして、まず第一には、この規制に対応するための技術というものは通常大企業等によって開発をされるということになるわけでございますので、そういった大企業が開発をいたしました技術というものは、実用化の域に達したらこれを速やかにその企業の関係をしておる中小企業に対して技術移転をしていくということが重要であろうかというふうに私ども考えております。
 さらにまた、そういった企業間の関係ということだけではなくて、技術開発の成果あるいは削減のための技術的なノーハウ、そういったものについて私ども民間業界を指導いたしまして、技術的なマニュアルという形でその成果をまとめてこれを中小企業に対して普及を図っていくということを現在進めておるところでございまして、今回行われました規制強化に対応するための技術というものについても、そういった形で中小企業に対して普及促進を図っていくということにしておるわけでございます。
 さらに、設備投資等を必要とする場合につきまして、現在特に我が国において使用量の割合の大きい洗浄分野におきまして、これに回収・再利用装置を装着することによって使用量が大幅に削減をすることができるということから、そういった回収・再利用装置の設置を促進しておるわけでございますけれども、これについても、中小企業をも対象にして低金利の融資あるいは税制上の措置、こういった措置をとりまして対策の促進ということに努めておるわけでございます。
#61
○遠藤(乙)委員 以上で質疑を終わります。
#62
○牧野委員長 古堅実吉君。
#63
○古堅委員 わずか十分ですから、大急ぎで質問させていただきます。
 今回の改正は、一九八七年の、オゾン層を破壊する物質二〇〇〇年までに半減という方針が改めて重大視され、二〇〇〇年には全廃するんだということになっておりますし、あわせて途上国への支援の国際基金が設置される、そういう内容のものになっておりまして、全体として一定の前進だというふうに考えますし、我が党としても今回の改正に賛成するものであります。ただ、このような大事な国際的な意味合いにおける課題についての日本政府のこれまでの態度には、国際的な立場からもいろいろと指摘されてきた問題がございまして、そういうものについて意見を交えながら、二、三質疑させていただきたいと存じます。
 フロンが地球のオゾン層を破壊するという最初の警告がなされて既に十七年が過ぎました。しかしその後も、日本や一部の国々がその恐るべき破壊する物質を生産の面でどんどん増加する、こういう態度を改めませんでした。残念ながら、日本政府はその一方で一九八五年のオゾン層の保護に関するウィーン条約の署名を二ヵ年も引き延ばすという態度をとったのであります。その上、昨年のロンドン会議で、北欧諸国やオーストラリアなどからフロン全廃期限を一九九七年にしたいということでの強い主張がなされましたが、政府はそれに反対して二〇〇〇年全廃に固執された、そういういきさつもございます。そういうことに関して国際的な立場の環境保護団体からも、こういうことさえも言われたのです。科学者の警告を無視し、産業界の圧力に屈し、さらに十年間フロンの製造を続けるもの、そういう非難の声が上がったのであります。そういう限りにおいてはこのように非難されても返す言葉のない、当然の声であったかというふうにも思います。
 かけがえのない地球、その地球環境を守るために、企業利益を優先させる態度というのはやはりきっぱりと改められなければなりません。二〇〇〇年までまだ時間があるなどという悠長な態度ではなくて、世界で日本がいち早く全廃を実現した、そういうことが胸を張って言えるように、関係業界に対しても政府としての行政指導をいろいろな形で考えて強化すべきではないか、このように考えます。大臣の御所見を賜りたい。
#64
○中山国務大臣 我々日本は、工業化の過程で環境問題で大変苦い経験を得たわけでありますが、その後、政府並びに国民の御協力で今日では環境については大変優秀な国の一つになってきたと思います。これから地球環境保全のために一層努力をしてまいりたい、このように考えております。
#65
○古堅委員 昨年十二月三日、第四十五回国連総会で軍事活動への割り当て資金を環境保護の市民的努力に利用する方針の作成という決議が賛成百三十八、反対三、棄権十二で採択されております。この決議というのは初めてのことでありますけれども、日本政府がどういう態度をとられたか、お聞かせいただきたい。
#66
○河村説明員 今御質問の軍用資源と環境の決議に対しまして我が国は棄権をいたしました。
#67
○古堅委員 この決議は一九九二年六月一日から五日までリオデジャネイロで開かれる国際環境開発会議の準備のために、国連事務総長に軍事費を環境保護に回す方針を作成するための報告を作成し、この会議の準備に役立てようとするものであります。政府は、こういう大事な、国際連合における意思統一と対策の強化を図ろうとする、そういう中にあっても、軍事費を環境保護に回すということそのものに反対ということになるのでしょうか。
#68
○河村説明員 今先生から御指摘がございました決議は、技術的なことでございますけれども、国際連合におきまして第一委員会と申しますいわゆる軍備管理問題を取り扱っております委員会で採択されたわけでございます。我が国は当然のことながら地球環境問題の解決に従来から積極的に取り組んでおりますし、その観点から今次議定書の改正についても早急な国会の御承認を得るべく提出させていただいたわけでございますけれども、同時に、一九九二年に行われます国際連合の環境と開発の会議の成功等に向けて、準備委員会の副議長になって積極的に議論に参加しておりますし、気候変動に関する、地球温暖化に関する条約の交渉におきましても積極的に活動している状況でございます。
 そういう観点からいたしますと、国際連合の中におきます仕事の割り振りといたしまして、実はこの決議の中で要求されておりましたのが第一委員会において本問題を取り上げろ、こういうことでございましたので、私たちといたしましては、まさに地球規模の環境問題の解決におきましてはいわゆる経済と環境の問題を取り扱っております国際連合の第二委員会の場でこの問題を取り上げることが適当である、このような考え方に立ったわけでございまして、このような観点から棄権をした、こういうことでございます。
#69
○古堅委員 いろいろ対処の仕方というものがあったのではなかろうか、そのように思います。そういう形式的なことで棄権に回ったということになりますが、はたから見ますというと、かけがえのない地球をみんなのために守る、そういう方向に金を向けるのか、軍事大国に向けて予算をどんどんつぎ込んでいくのか、その選択においてどうだったのかということが、国際的な意味合いにおいては日本の態度というのが見られておるのではないか、そう思います。
 ついこの間の湾岸戦争、またしても戦争が最大の環境破壊をもたらすものだということが実証されました。世界の人々は、軍事大国に向けて予算を湯水のように使われることに対して、飢餓との関係においてももっと考えるべきじゃないかという強い声があります。環境破壊が進んでいるそういう状況のもとで、それとの関係においても同じようなことを国連の場においても言おうとしている、今そういう方向に進みつつある、そういうときであるだけに、今回のこの条約との関係においても、改めてそういう立場から、政府の態度がいろいろと深められなくてはいかぬ、そういうものが残っておるのではないか、そう考えますし、軍事費を地球環境の保護の方に回せば国際的な意味でも世界の人々から大変喜ばれると思います。日本がそれへどのような貢献をしているかということについての評価も生まれると思いますし、国民もまたそれそのものを喜び評価してくれるものだというふうにも考えます。これがまた日本の最も大事な国際貢献の一つではないか、そうも考えます。最後に大臣の御所見を伺いたいと思います。
#70
○中山国務大臣 政府は、一九八九年から三年間にわたって地球環境保全のために三千億円の資金を拠出することを考えておりまして、二国間あるいは多国間による環境の保護のために今日もあるいは今後とも努力をしていく方針でございます。
#71
○古堅委員 終わります。
#72
○牧野委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。
    ─────────────
#73
○牧野委員長 これより本件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#74
○牧野委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#75
○牧野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ─────────────
    〔報告書は附録に掲載〕
    ─────────────
#76
○牧野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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