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#1
第120回国会 本会議 第1号
平成二年十二月十日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第一号
  平成二年十二月十日
    午前十時開議
 第一 議席の指定
    ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
  一 国務大臣の演説
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 議席の指定
 災害対策を樹立するため委員四十人よりなる特
  別委員会、公職選挙法改正に関する調査を行
  うため委員二十五人よりなる特別委員会、石
  炭に関する対策を樹立するため委員二十五人
  よりなる特別委員会、物価問題等に関する対
  策を樹立するため委員二十五人よりなる特別
  委員会、交通安全に関する総合対策樹立のた
  め委員二十五人よりなる特例委員会、沖縄及
  び北方問題に関する対策樹立のため委員二十
  五人よりなる特別委員会及び土地問題及び国
  土の利用に関する対策を樹立するため委員四
  十人よりなる土地問題等に関する特別委員会
  を設置するの件(議長発議)
 日米安全保障条約及び自衛隊等国の安全保障に
  関する諸問題を調査し、その対策を樹立する
  ため委員二十五人よりなる安全保障特別委員
  会を設置するの件(議長発議)
 橋本大蔵大臣の財政についての演説
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時四分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) 諸君、第百二十回国会は本日をもって召集されました。
    ―――――――――――――
#3
○議長(櫻内義雄君) 御報告いたします。
 即位の礼に当たり慶祝の意を表するため、去る十一月六日の本会議において議決されました賀詞は、去る十一月十二日、議長が皇居に参入し、謹んで奉呈いたしました。
    ―――――――――――――
#4
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 議席の指定
#5
○議長(櫻内義雄君) 衆議院規則第十四条によりまして、諸君の議席は、議長において、ただいまの仮議席のとおりに指定いたします。
     ――――◇―――――
 特別委員会設置の件
#6
○議長(櫻内義雄君) 特別委員会の設置につきお諮りいたします。
 災害対策を樹立するため委員四十人よりなる特別委員会
 公職選挙法改正に関する調査を行うため委員二十五人よりなる特別委員会
 石炭に関する対策を樹立するため委員二十五人よりなる特別委員会
 物価問題等に関する対策を樹立するため委員二十五人よりなる特別委員会
 交通安全に関する総合対策樹立のため委員二十五人よりなる特別委員会
 沖縄及び北方問題に関する対策樹立のため委員二十五人よりなる特別委員会及び
 土地問題及び国土の利用に関する対策を樹立するため委員四十人よりなる土地問題等に関する特別委員会を設置いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
 次に、日米安全保障条約及び自衛隊等国の安全保障に関する諸問題を調査し、その対策を樹立するため委員二十五人よりなる安全保障特別委員会を設置いたしたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#8
○議長(櫻内義雄君) 起立多数。よって、そのとおり決しました。
 ただいま議決されました八特別委員会の委員は追って指名いたします。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説
#9
○議長(櫻内義雄君) 大蔵大臣から財政について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣橋本龍太郎君。
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#10
○国務大臣(橋本龍太郎君) 平成二年度補正予算の御審議をお願いするに当たり、当面の財政金融政策の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、補正予算の大綱を御説明いたします。
 最近の経済情勢について見ますと、世界経済は、総じて持続的な成長を続けておりますが、緊張が続いている湾岸情勢やドイツの統一、ソ連・東欧諸国における改革の動きが世界経済に及ぼす影響については、引き続き十分注視していく必要があります。湾岸情勢の緊迫化に伴う原油価格の上昇が先進国経済に及ぼす影響につきましては、前二回の石油危機に比べ、各国とも石油に対する依存度が低下していることなどから、相対的に小さなものにとどまると見込まれておりますが、世界経済の健全な発展を確保していくため、引き続き各国が協調して取り組み、物価と経済成長への影響をにらみながら、財政金融政策の適切な運営に努めていくことが極めて重要であると考えます。また、石油需給バランスの改善に資するため、省エネルギー化を一層推進していくことが大切であると考えます。
 一方、我が国経済は、昭和六十一年十二月以来四年もの長期間にわたり、設備投資、個人消費を中心とする内需主導型の自律的拡大を続けております。また、対外不均衡の是正も着実に進展しております。物価につきましては、これまでのところ安定的に推移しておりますが、労働力需給の引き締まりや原油価格の上昇などもあり、今後の動向には細心の注意を払っていく必要があります。こうした中で、金融面では、物価上昇圧力の顕在化を未然に防止する観点から、本年八月に公定歩合が引き上げられたところであります。
 我が国の経済運営につきましては、このような状況を踏まえ、今後とも、内需を中心としたインフレなき持続的成長を確保するため、内外の経済情勢等を注視し、主要国との政策協調を通じて為替市場の安定を図りつつ、引き続き適切かつ機動的な財政金融政策のかじ取りに努めてまいる所存であります。
 対外経済面におきましては、各国の協力のもとに、引き続き多角的自由貿易体制の維持、強化に努めるとともに、開発途上国の自助努力を支援するための経済協力の効率的な実施、累積債務問題の解決を図るための新債務戦略の推進などに配慮してまいる所存であります。
 先般のイラクによるクウエートヘの侵攻につきましては、侵攻前の状況に復するため、諸外国と共同して対処することが必要であります。我が国としては、国際社会の主要な一員としての責務を果たす観点から、速やかにイラクに対する経済制裁措置を講じたところであります。さらに、我が国にとっても主要な原油供給地域である湾岸地域の平和と安定を回復するために払われている国際的努力に対し、輸送、物資、医療、資金面で総額二十億ドルの協力を行うこととし、また、今回の事態によって深刻な経済的困難に直面している周辺諸国に対し、二十億ドル程度の経済協力を実施することといたしました。これらの中東貢献策につきましては、現下の厳しい財政事情のもとではありますが、可能な措置から速やかに実施に移しているところであり、今回提出いたしました補正予算においても所要の額を計上いたしております。
 次に、財政改革について申し述べます。
 我が国財政につきましては、長年の財政改革努力等により、平成二年度において特例公債を発行しないで予算を編成することができましたが、なお百六十四兆円にも達する公債残高を抱え、国債費が歳出予算の二割を超えるなど、依然として極めて厳しい状況にあります。
 今後一段と進展する人口の高齢化や国際社会における我が国の責任の増大など、社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくためには、後世代に多大の負担を残さず、再び特例公債を発行しないことを基本として、公債依存度の引き下げ等により、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げることが緊要な課題であります。
 現在、平成三年度予算編成の作業中でありますが、政府といたしましては、このような考え方に沿って、財政改革をさらに推進し、重点的・効率的な予算の編成に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、土地税制及び消費税の見直しについて申し述べます。
 土地税制につきましては、税制調査会において、土地基本法を踏まえ、土地という有限で公共的性格を有する資産に対する負担の適正公平の確保を図り、あわせて土地政策にも資するという観点から、土地の保有・譲渡・取得の各段階にわたり、総合的な見直しか行われ、去る十月三十日に、国税による新たな土地保有税の創設及び譲渡課税の強化等を柱とする「土地税制のあり方についての基本答申」が取りまとめられたところであります。現在、平成三年度税制改正について御審議いただいているところであり、政府としては、近々いただくこととなる答申を踏まえ、土地税制の見直しについても具体案を取りまとめ、所要の法律案を本通常国会に提出し、その実現を図るべく最善の努力を傾けてまいる所存であります。
 なお、土地問題につきましては、税制面のみならず、土地基本法の趣旨に沿って、各般の施策が講ぜられる必要があることは申すまでもありません。金融機関の土地関連融資につきましては、引き続き厳正な指導に努める所存であります。
 一方、消費税を初めとする税制上の諸問題等につきましては、現在、国会の税制問題等に関する両院合同協議会において協議が重ねられておりますが、政府といたしましては、消費税の必要性を踏まえつつ、高い次元から協議が行われ、建設的な合意が得られることを期待いたしております。
 次に、今国会に提出いたしました平成二年度補正予算の大要について御説明申し上げます。
 平成二年度一般会計補正予算におきましては、各地を襲った台風等による災害の復旧、人事院勧告の実施に伴う国家公務員等の給与の改善等、特に緊要となった事項について措置を講ずることといたしております。
 今回の一般会計補正予算におきましては、歳出面において、災害復旧等事業費、給与改善費、湾岸平和基金拠出金、貿易保険特別会計へ繰り入れ、大店法規制緩和関連対策費、住宅・都市整備公団補給金等、国債整理基金特別会計へ繰り入れ、地方交付税交付金などを計上いたしております。これらによる歳出追加額は二兆五千二百十一億円となっておりますが、他方、厳しい財政事情にかんがみ、可能な限り既定経費の見直し、節減に努めることとし、既定経費二千四百一億円を修正減少することとしております。
 一方、歳入面におきましては、租税及び印紙収入について、最近までの収入実績等を勘案して、一兆一千二百七十億円の増収を見込むとともに、前年度剰余金受け入れ四千六百八十二億円を計上するほか、その他収入六百四十二億円の減収を見込んでおります。また、災害復旧等事業費等に対応して公債を七千五百億円追加発行することといたしております。
 これらの結果、平成二年度一般会計補正後予算の総額は、歳入歳出とも当初予算に対し二兆二千八百十億円増加して、六十八兆五千百七十八億円となっております。
 以上の一般会計予算補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算につきましても、所要の補正を行うことといたしております。
 財政投融資計画につきましては、国民金融公庫、海外経済協力基金等四機関に対し、総額五千二百四十九億円の追加を行うことといたしております。
 以上、平成二年度補正予算の大要について御説明いたしました。何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
#11
○議長(櫻内義雄君) この際、暫時休憩いたします。
    午後一時十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二分開議
#12
○議長(櫻内義雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#13
○議長(櫻内義雄君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。村山富市君。
    〔村山富市君登壇〕
#14
○村山富市君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、政府の財政演説に対して質問をいたします。
 まず初めに、国連平和協力法案が廃案になったことに関連をしてお尋ねをいたします。
 政府は、さきの臨時国会において、ペルシャ湾岸に展開しているアメリカを中心とした多国籍軍に対する支援、協力を第一の目的とした国連平和協力法案を提出をいたしました。イラクのクウエート侵攻が、冷戦終結後の国際平和の潮流に逆行する暴挙であることは申し上げるまでもありません。国連平和協力法案は、国連決議の実効性を確保するという名目で、国連決議に基づくものとは言いがたい多国籍軍への協力を第一のねらいとしているものであることは明白であります。国連を中心とした貢献策であるという海部総理の再三の答弁にもかかわらず、協力法案の真の目的が多国籍軍への軍事協力につながるものであったことは間違いありません。
 なかんずく、従来の政府の憲法解釈においても違憲とされてきた集団的自衛権の行使につながる自衛隊の海外派兵が持つ重大な問題点が、国会の審議の中で次々に明らかにされてまいりました。
 政府は、自衛隊の海外出動を禁じた参議院の決議を無視し、海外派兵と派遣は違う、武力による威嚇または武力の行使を目的とした多国籍軍に対しても、参加でなく協力ならばできる、武力行使と一体とならなければ武器、弾薬、兵員の輸送協力なども可能であるなど、憲法解釈を強引にねじ曲げる答弁に終始しました。しかし、そうした詭弁が国会においても国民においても受け入れられないのは当然であります。加えて、アジア諸国はもとよりアメリカ国内においてさえ、日本は軍事大国の道を歩むのではないかという懸念を強める結果となりました。
 総理、国民も我が党も、国際社会に貢献することや国連の決議を尊重し協力することに反対したのではありません。憲法は守るべし、派兵であろうと派遣であろうと、自衛隊の海外出動は許せないという国民の強い反対の前に廃案となったのであります。総理は、この法案が廃案にされたという厳粛な事実をどのように認識されておりますか、明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)
 また、総理として、この法案作成に当たって重大な決断をされ、並み並みならぬ決意を持って国会に提出されたと思われます。国際的にも重大な影響を与えるであろう重要な海部内閣の政策判断が否決されたというその政治的責任についてどのようにお考えになっていますか。あなたは、この法案が廃案になったことについて、主権者である国民に対して一言の釈明もされておりませんが、余りにも無責任と言わざるを得ません。(拍手)総理の責任ある御答弁をお願い申し上げます。
 次に、現在の湾岸情勢と平和解決の取り組みについてお尋ねをいたします。
 国連安保理事会は、十一月二十九日、イラクに対する最後通告とも言うべき事実上の武力容認決議を採択いたしました。決議は、イラクのクウエートからの撤退の期限を来年の一月十五日としております。仮に、武力衝突が発生することにでもなれば、とうとい人命の大きな損失をもたらすだけではなく、世界に与える政治的、経済的、軍事的影響ははかり知れない規模になることは明らかであります。武力行使に頼ることは破壊への道であり、絶対に回避しなければならない道であります。
 私は、国連平和協力法案が想定したような武力行使決議の実効性確保のための政策ではなく、むしろこの決議を契機にしたイラク・クウエート問題の平和的解決のために、我が国が独自外交を積極的に展開すべきであると思います。
 アメリカの国務長官とイラク外相との相互訪問による直接対話が合意され、イラク政府による人質の全面解放が決定されました。これは平和解決に向けての明るい材料として評価できると思います。来年一月十五日に向けたアメリカやイラクの動き、EC西欧各国の対応、アラブ諸国の自主的な平和解決に向けての動きなど、世界の主要国は挙げて戦争回避のために、平和解決に向けて積極的な努力が続けられています。中東全体の問題も含めて重大な局面にあると思われますが、政府は事態をどのように認識されておりますか、承りたいと存じます。(拍手)
 何としても武力衝突は回避しなければなりません。平和解決のために必要なあらゆる努力をすべきであります。政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。平和解決に向けていかなる方策を持っておられるのか、これまで平和解決に向けての独自の努力の跡も余り見られなかった我が国に対して、金だけ出せばよいのかという批判にこたえるためにも大事な時期だと思います。総理の決意のほども含めて見解を承りたいと存じます。(拍手)
 次に、補正予算案に計上されている湾岸平和基金についてお尋ねをいたします。
 この基金は、アメリカを中心とした多国籍軍への資金協力を目的としたものであります。政府は、この基金への拠出は実力行使にわたるものではないから、憲法で禁止されている集団的自衛権の行使にはならないと説明しています。しかし、政府がどう弁明しようとも、多国籍軍への軍事援助の性格を有することは明らかであります。この湾岸平和基金は、日本政府が多国籍軍に対して資金協力をする窓口として設置したものではありませんか。
 お尋ねしますが、湾岸平和基金を設置した法的根拠を明らかにしていただきたい。また、この基金のこれまでの運用実績、今後の運用計画等その詳細を明らかにしていただきたいと思います。また、今後、事態の推移によって追加することがあり得るのか。仮に武力行使がなされるような事態になった場合、さらに追加拠出することがあるのかどうか、承っておきたいと存じます。(拍手)
 私は、憲法上重大な疑義が持たれているこのような資金の拠出は中止すべきであると要求いたします。むしろこの千三百億円は、原油の値上げやイラクのクウエート侵攻により経済困難に陥っている途上国の援助やヨルダン等における避難民の救済に充当すべきであると考えるが、政府の見解を承りたいと存じます。(拍手)
 次に、今後の国連を中心とした国際平和協力の問題についてお尋ねをいたします。
 我が党はこれまで、非武装、非軍事、文民による協力を原則とした国連平和活動に協力する構想を明らかにしてきました。政府は、今後の国連への協力に対しどのような展望をお持ちになっておられるのか、協力法案が廃案にされた後、何ら明らかにされておりません。協力法案が廃案となり、国民に容認されなかったという経緯も踏まえて新たな構想を提示すべきではありませんか。御答弁をいただきたいと存じます。また、本通常国会に国際平和協力の構想について新たな案を提出されるお考えがあるかどうか、承りたいと存じます。
 次に、防衛問題について質問をいたします。
 来年度予算の編成に間に合うように、次期中期防衛力整備計画は一九七六年に決定された防衛計画の大綱を踏襲して策定されると伝えられています。一九七六年の当時と今日とでは大変な国際情勢の変化があります。米ソの対立から協力協調への変化は、一大転機を画するものと言わなければなりません。なぜ大綱の見直しがなされないのですか。防衛計画の大綱は次期防衛力整備計画の期間中に見直すなどという消極的な態度は改めるべきであります。
 全欧州の安全保障体制の新しい枠組みに見られるように、平和と軍縮は世界的潮流になっているではありませんか。アジア地域においても、朝鮮半島における南北対話の継続や、カンボジア和平の進展など、対立から協調に向けて本格的な変化の胎動が始まっています。世界の新しい潮流に立ちおくれてはなりません。経済大国となった我が国が、今こそ軍縮への先導的役割を果たすべきであります。それが我が国の軍事大国化に懸念を抱いているアジアの国々に対する信頼の回復をすることになり、それがまた憲法第九条で戦争放棄をした我が国の国際的に貢献できる唯一の役割ではないでしょうか。防衛計画の大綱を見直し、平和と軍縮を基調とした新しい防衛政策を検討すべきであると思いますが、総理の見解を承りたいと存じます。(拍手)
 次に、提出をされた補正予算案に関連をして質問をいたします。
 給与改善費は以前は当初予算に計上されていました。それが三%から一%になり、とうとう当初予算に計上されなくなってしまいました。そのために、国会で補正予算の成立がおくれ、給与が分割払いされるという不都合な事態も起きました。人事院勧告の完全実施は制度の建前からして当然でありますが、その円滑な実施のためにも一定の給与改善費は当初予算に計上すべきであると考えます。
 また、今回建設国債が七千五百億円増発されております。財政審議会の報告では、中期財政運営の目標として国債依存度を五年で五%まで引き下げることが示されているわけでありますが、たとえ当初予算で建設国債の発行額を減らしたとしても、補正予算で大幅に増額したのでは意味がありません。これから十年で四百三十兆円という公共投資の実施を考えると、今後の経済成長の関係もありますが、新たな財政目標の達成が困難ではないかと思われてなりません。百六十四兆円の累積国債、いわゆる隠れ借金の存在など勘案すれば、単に建設国債の発行を問題にするだけではなく、累積国債の返済、減額の長期計画を打ち立てた方がよほど有意義ではありませんか。
 また、長期的に増額される公共投資については、各省庁横並びにこれまでの実績がそのまま踏襲されているという硬直化した予算編成から脱却をして、政策的優先度に基づいて行うべきであります。公共投資、公共事業に対する思い切った発想の転換が求められています。高齢化社会の進展にかんがみ、真に豊かさの実感できる福祉社会の実現を目指して、生活関連事業等に重点的に配分すべきであると考えます。
 給与改善費の当初予算の計上、財政運営の目標、生活関連公共事業の推進などに対する大蔵大臣の見解を承りたいと存じます。(拍手)
 次に、農業、林業問題についてお尋ねをいたします。
 十二月三百よりブリュッセルで開かれていたガットのウルグアイ・ラウンド閣僚会議は、農業分野を中心にしたアメリカとECとの対立が解けず、合意できないまま中断して閉幕したと報道されています。日本の米市場開放をめぐる状況は今後さらに厳しくなるのではないかという見方もありますが、閣僚会議に出席された農水大臣の、現状、今後の見通しを含めて所見を承りたいと存じます。
 日本は世界でも有数の農産物の輸入国であり、食料自給率の低さは、際立っています。食料安保論はもとより、環境問題、国土保全の立場からも、米の市場開放に反対し食糧の自給率を高めるとした国会決議は守られなければなりません。今後に処する総理の明快な答弁を求めたいと存じます。
 また、地球環境保全が国際政治の課題となり、IPCCにおきましても温暖化ガスの排出規制とともに森林の育成対策などの緊急性が議論され、政府の地球温暖化防止行動計画も策定されました。熱帯林材の四割を輸入している我が国が熱帯林の再生に積極的に取り組まなければならないのは当然でありますが、国内の森林育成強化に一層努める責務があります。国内林業の再建を図ること、とりわけ、森林の三割を占める国有林を重視し、累積債務対策はもとより、財政再建のみならず、国民の山としてふさわしい仕事のできる態勢をつくることに政府はもっと積極的に取り組むべきであります。森林・林業に対する政府の所信を承りたいと存じます。(拍手)
 最後に、税制、特に土地税と消費税について質問いたします。
 土地税制の改革は、地価の異常な高騰の現状にかんがみれば、緊急性と同時に抜本的な改革が要請されております。単に財源目当てであったり、利害関係の調整で済む問題では断じてありません。
 過日決定された自民党の土地税制改革大綱は、国民に大きな失望を与えました。一定規模の住宅用地、事業用の土地、公共、公益用の土地を非課税とすることは当然でありますが、〇・二、三%程度の税率で控除や非課税範囲を拡大し、しかも法人税等における損金算入が認められるなどということは、資産格差の是正も土地神話の解消も期待できません。政府税調の基本答申さえ、財界の圧力に屈したのか、骨抜きにされてしまっているではありませんか。こんな土地税制改革では、地価高騰にあえぐ国民の期待を裏切るものであると言わなければなりません。(拍手)法人の土地含み益に対する臨時的課税の実施についても、もっと真剣に検討さるべきだと思います。
 また、消費税については、これまで税制問題に関する両院合同協議会で審議をされてきました。我が党は、所得に対する逆進性など構造的欠陥を有したまま強引に導入された消費税については、廃止することを第一の目標としていることは申し上げるまでもありません。しかし、廃止の条件が整うまでの間、現行消費税がそのまま存続するという最悪の事態を回避するために、当面、いわゆる益税や大企業の運用益など制度的欠陥の是正はもとより、消費税が不公平税制の是正を放置したまま導入されたことによって不公平を一層拡大していることや、所得の低い方や年金生活者など、社会的に弱い立場にある人々に大きな負担となっている現状を少しでも解消するために、逆進性の緩和を強く主張してまいりました。住宅、家賃、教育、福祉事業関係、在宅サービスや食料品の全段階非課税は、逆進性緩和のためにぜひ実現されなければなりません。国民は大きな期待を持って注目をしています。
 消費税は庶民の声を聞かず力で押しつけ、土地保有税は財界の声を聞いて庶民に失望を与える、これでは政治に対する不信は募るばかりであります。(拍手)
 土地神話解消につながる土地税制の改革、消費税の逆進性の緩和などについて、税制両院合同協議会でもさらに検討が進められ、努力をされると思いますが、政府においても、自民党案にこだわることなく、率直に国民の声に耳を傾け、税制改革に大胆に取り組むべきだと思います。
 なお、消費税の見直しについて両院合同協議会で協議が続けられておりますが、もし合意が得られない場合でも、政府においてこの国会に提出されるお考えがあるかどうか、見解を承りたいと思います。
 終わりに、税制改革に取り組まれる総理、大蔵大臣の決意のほどを承って、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 村山議員にお答えを申し上げます。
 先般の臨時国会において国連平和協力法案が成立するに至らなかったことは残念でありますが、国連平和協力法案の審議を通じて、我が国が国際的な問題に、金の面だけではなく、人の面での貢献が必要であるということについての理解は高まってきておるものと私は認識をいたしております。(拍手)
 廃案という事実は厳しく受けとめております。国連を中心とする国際協力のあり方については、自公民三党の合意を踏まえて、さらに研究努力を続けていきたいと考えておりますので、どうぞ御協力をお願いしたいと思います。(拍手)
 我が国は、従来から一貫して湾岸危機が安保理諸決議の完全実施を基礎に平和的に解決されるべきものであるとの立場に立って努力をしてまいりました。国連の安保理は、平和的に解決する最後の機会を与える決議として六百七十八号を採択いたしました。我が国は、この決議が湾岸危機の平和的解決を目指したこれまでの安保理を中心とする国際社会の努力を強化するものとして、これを支持いたしております。
 同時に、米国がイラクとの直接対話のイニシアチブをとり、イラクが米国による対話の呼びかけにこたえて、両国間の直接対話が開始されようといたしております。この外交努力が一層前進するように、また、イラク側が発表した全人質解放が実現するなれば、これは非常な朗報でありますが、さらにクウエートからの撤退、正統政府の復帰という国連決議が実施されることがその第一歩となるわけでありますから、我が国は、問題の根本的な平和的解決のために、引き続きできる限りの努力を尽くしていきたいと考えておるところであります。
 湾岸平和基金は、湾岸の平和と安定の回復のために国連安保理事会の関連する諸決議を受けて活動しておる各国を支援するために、我が国と湾岸アラブ諸国協力理事会との間で九月二十一日に締結されました交換公文に基づいて同理事会に設けられたものであります。政府は、物資協力及び資金協力に使用するため、この平和基金に対し既に千二百二十九億円の金額を拠出いたしております。
 仮に武力行使があったらという御質問でありました。私は、武力行使が絶対に起こってはならないと思って、そういう仮定の問題にお答えするのは必ずしも適当とは考えませんけれども、お尋ねでありますから申し上げれば、我が国としては、湾岸地域の平和と安定の回復のために活動しておる各国を支援すべしという立場には変わりはございませんので、今回補正予算に計上し御審議願っております追加の十億ドルを含め、既に発表した貢献策については、可能な措置から速やかに実施していきたいという方針でございます。
 また、湾岸平和基金に拠出をやめろということでありますけれども、イラクによるクウエートの侵攻及び併合は、これは明白な侵略行為であって、これに対して国際社会が、累次の安保理決議に見られるように、これを厳しく糾弾し、毅然とした態度をとっておることは御承知のとおりと思います。したがって、政府は、この湾岸地域の平和と安定及び国際秩序回復のための国際的な努力に積極的に貢献する必要があるという立場から拠出をしたわけでありますし、また、周辺国の支援、難民援助を含む我が国の具体的貢献策を取りまとめ、これを実施いたしておるところであります。
 政府としては、このような国際連合の平和維持活動等に対する協力をさらに推進すべく、我が党は、公明、民社各党間の先国会末の合意を尊重して、できるだけ早い時期に新たな国際協力のあり方について成案を得て提案したいと考えております。(拍手)
 また、具体的な防衛力整備の問題につきましては、最近の国際情勢及び経済財政事情等を勘案しつつ、安全保障会議を中心とする適切な文民統制のもとにただいま逐次検討をしておるさなかでございますが、先月末の安全保障会議において、防衛力の整備というものが継続的かつ計画的に進められるべきものであるという観点から見ても、また、適切な文民統制の充実という角度から見ても、中期的な防衛力整備計画を政府として策定することが必要であり、平成三年度以降についても、中期的な防衛力整備計画を政府として策定することに意見の一致を見ておるところであります。今後精力的に検討を進め、防衛計画の大綱を含め、遅くとも平成三年度予算が編成されるまでに政府として決定する必要があると考えておるところであります。
 米問題についてもお触れになりましたが、我が国における米及び稲作の格別の重要性にかんがみて、今後とも国内産で自給するという基本的な方針で対処してまいるつもりであります。
 土地税制につきましては、去る十月三十日に政府税調より、土地の保有・譲渡・取得の各術面における適正な課税のあり方についての総合的な提言をまとめた基本答申をいただきました。また、自由民主党においても、土地保有税の創設を初めとする土地の保有・譲渡・取得の各面にわたる具体的な見直し案を取りまとめた土地税制改革大綱を党議決定いたしました。
 政府としては、現在政府税調において行われておる審議の結果を踏まえつつ、与党を初めとする各方面の御意見をよく承って土地税制の改革のための所要の法案を取りまとめ、今国会に提出し、実現を図るべく努力を傾けてまいる所存であります。
 消費税の問題につきましては、現在、国会の税制問題等に関する両院合同協議会において引き続き議論がなされているところであり、政府は、消費税の必要性を踏まえつつ、高い次元から協議が行われ、適切な合意が得られますことを期待をさせていただいております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#16
○国務大臣(橋本龍太郎君) 村山議員からお尋ねをいただきました第一点、公務員の給与についてであります。
 議員が御指摘になりましたように、確かに従来公務員給与の改定財源を当初予算に計上いたしておったことがございます。しかし、給与財源の計上、非計上にかかわらず、政府としては人事院勧告制度尊重の基本姿勢に立って対処をしてきたところでありまして、現に、給与改善費が計上されておりません六十一年度以降も、毎年勧告の完全実施により給与改定はなされてまいっております。給与改善費を計上するか否かにつきましては、そのときどきの財政事情を総合的に勘案し、適切に判断していくべきものと、そのように考えております。
 また、建設公債につきお触れをいただいたわけでありますが、御指摘のように、連年の公債発行によりまして、公債残高が平成二年度末には百六十四兆円を超える状況になると見込まれ、国債費が歳出予算の二割を超えて他の政策経費を圧迫している状況であります。しかも、この公債残高の累増に伴う国債費の重圧は、なお持続していくものと見込まれます。
 このような財政体質を前提といたしますと、今後急速に進展する人口の高齢化や国際社会における我が国の責任の増大など、今後の社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応してまいりますためには、後世代に多大な負担を残さず、再び特例公債を発行しないことを基本として、公債依存度の引き下げにより、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくことが最大の問題でございます。
 最近、我が国の財政事情につきましては、これまで好調な税収を支えてまいりました経済的な諸要因がその流れを変えているなど、まことに容易ならざるものがございますけれども、今後の財政運営に当たりましては、歳出全般にわたり徹底した節減合理化を図るとともに、中長期的財政運営の新しい努力目標の達成に向け、公債依存度の引き下げに最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。
 しかし、議員が御指摘になりましたように、国債費の比率を低下させますためには公債残高の減額を図ることが望ましいことは言うまでもありません。しかし、現下の厳しい財政事情というものを踏まえますと、我が国の財政には現在あります公債残高を直ちに減額するまでの財政的な余力がございません。当面はまず公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げることに全力を傾けてまいるつもりであります。公債残高の減額につきましては、このような財政体質をつくり上げることができた段階において、そのときの財政事情、金融・資本市場の状況などを総合的に勘案し、検討されるべき課題であると考えております。
 また、公共投資に係る長期計画についてのお尋ねがございました。
 公共事業の事業別配分に当たりましては、これまでも経済社会の動向あるいはそれぞれの社会資本の整備状況等を踏まえながら対応してまいったつもりであります。公共投資の基本計画などにおきましても、今後の基本的な方向を示しているところでありますが、公共投資の配分に当たりましては、国民生活の質の向上に重点を置いた分野にできるだけ配慮してまいる所存でございます。
 なお、平成二年度末に期限が到来いたします八つの分野の社会資本整備長期計画につきましては、日米構造問題協議の最終報告におきましても、下水道の普及率、一人当たり公園面積などの整備目標が示されているところでありまして、その総額等について現在関係省庁と協議を行っているところであります。
 また、土地税制の見直しにつきましては、去る十月三十日、政府税制調査会から、「土地税制のあり方についての基本答申」をちょうだいをいたしました。また、与党においても十二月六日、土地税制改革大綱を党議決定をされ、税負担公平の観点及び土地選好を弱めていくという観点から、土地の有利性を縮減することが必要であるとして、仮称でありますが、土地保有税の創設を初めとする土地の保有・譲渡・取得の各方面にわたる具体的な見直し案を決定されております。
 政府といたしましては、現在政府税制調査会において行われております審議の結果を踏まえ、与党とも十分御相談をいたしながら、具体的な見直し案を取りまとめ、所要の法律案を今国会に提出し、その実現を図るべく最善の努力を傾けてまいりたいと考えております。
 また、消費税につきましては、総理からもお答えがございましたが、現在両院合同協議会が設けられ、専門者会議を中心に精力的な御論議が行われているわけでありまして、私どもといたしましては、消費税の必要性を踏まえ、国民の全体的、長期的な利益といった高い次元から御協議が行われ、建設的な合意が行われることを期待をいたしておるところでありまして、目下その協議の状況を見守っております。(拍手)
    〔国務大臣中山太郎君登壇〕
#17
○国務大臣(中山太郎君) 村山議員お尋ねの湾岸平和基金拠出金につきましては、ただいま総理から既に御答弁がございましたので、重複を避けさせていただきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣山本富雄君登壇〕
#18
○国務大臣(山本富雄君) 村山議員の御質問にお答えを申し上げます。
 今月三日からベルギーのブラッセルで開かれたウルグアイ・ラウンドの閣僚会議には、私も、外務、通産両大臣ともども出席してまいりました。今回の閣僚会議におきまして、農業につきましては、ECと米国、ケアンズ・グループとの対立による論争が主として行われまして、我が国の米のような個別問題が議論されたわけではありません。
 我が国といたしましては、今後とも米につきましては、我が国における米及び水田稲作の格別の重要性にかんがみ、国会における決議等の趣旨を体し、国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる所存であります。
 次に、国有林野事業について申し上げます。
 国有林野事業は、木材の生産はもとより、国土・自然環境の保全、水資源の涵養等の公益的機能の発揮、農山村地域の振興等、重要な使命を担っております。しかしながら、その経営状況は、累積債務が平成元年度末で二兆円を超えるなど、極めて厳しいものがあります。
 このため、林政審議会におきまして、経営の健全性を確立するための対策につきまして検討を願っているところでありまして、その結論を踏まえまして、実効の上がる対策を樹立し、経営改善に全力を尽くしてまいる考えであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(櫻内義雄君) 関谷勝嗣君。
    〔関谷勝嗣君登壇〕
#20
○関谷勝嗣君 私は、自由民主党を代表して、このたび上程されました平成二年度一般会計補正予算等について質問を行います。
 質問に先立ちまして、国民の一人として、先月、即位の礼及び大嘗祭が厳粛裏につつがなくとり行われたことを心からお喜びを申し上げる次第であります。(拍手)とりわけ、即位礼正殿の儀における天皇陛下のお言葉の中に、常に国民の幸福を願いつつ、日本国憲法を遵守し、日本国及び日本国民統合の象徴として務めを果たすことを誓うとあり、平成新時代におけるみずからのあり方を明確に表明されており、深い感銘を覚えました。
 国会は、開設百年を迎えました。明治七年、自由民権論者が藩閥政府に迫った民選議院設立建白書に端を発し、その後の血のにじむような運動によって、明治二十三年十一月二十九日第一回帝国議会が開かれました。そして、明治から大正、昭和、平成と続いた国会百年の歴史には、多くの先達の貴重な努力の跡が残されています。この記念する百年を迎えたときに私たちが国会議員であることを大変誇りに思います。と同時に、なお一層日本国発展のために精励いたしたいと思います。(拍手)
 激動を続ける国際情勢に的確に対応し、国のかじ取りに誤りなきを期すために、十分に機能する国会を築くことは、今我々がなさねばならない緊急の課題であります。
 国会が次の百年へ向けて前進するに当たり、旧来の運営や慣行を打破し、議会制民主主義を徹底させ、国会の改革を実行して、国民の負託にこたえられる国会を実現しなければなりません。
 また、お金のかからない選挙制度、政党本位の選挙を標榜し、小選挙区制の導入が準備されていますが、アメリカの二大政党対立の小選挙区制度でも、日本以上のお金がかかっています。
 私は、制度の改革もさることながら、我々自身の政治改革への不断の努力と同時に、有権者の選挙に対する意識をも見直す必要があると考えます。そのために、義務教育から社会教育に至るまで、選挙に金をかけないような国民運動の展開も考慮されてしかるべきであると思いますが、海部総理のお考えをお伺いいたしたいと思います。
 さて、先般の臨時国会におきましては、全国民の強い関心と国際社会の注目をも集めた国連平和協力法案が、衆議院において十分なる時間を費やして審議されましたが、廃案となってしまいました。総理の国民に対する必死の説得を試みながらの答弁ぶりを拝聴しておりまして、非武装といえども自衛隊の海外派遣については、率直に申し上げて、いまだ国民のアレルギーが強いことを痛感せざるを得ませんでした。
 しかしながら、本法案の審議を通じて与野党間でコンセンサスを得た点もございました。すなわち、ポスト冷戦時代という新しい国際情勢下にあっては、国際連合を中心に国際社会の平和と安全の維持を図るべきであること、そして世界有数の経済大国となった我が国は、国連協力を通じてもっと大きな国際的貢献を行うべきであること、そして、それには人的貢献も含まれること等であります。このたび提出された補正予算案の中にも、十億ドルの湾岸平和基金拠出金が含まれております。
 そこで、総理にお伺いいたしますが、第一に、直面する湾岸危機に対し、一体我が国はいかなる人的貢献を行おうとするのかということであります。国連平和協力法案が廃案となった今日、国際社会注視の中で、お金だけで済ませるという態度に後戻りして、無為無策にじんぜん日を過ごしてよいのかということであります。
 第二に、新年一月十五日を期して武力行使による解決を容認する国連決議が行われたのを受けて、イラクと米国との間で直接対話が行われることになりました。全世界の人々が、この直接対話の実現に光明を見出し、望みを託しております。何となれば、これが不調に終わると、戦端が開かれる確率が高くなり、世界経済、とりわけ日本経済は甚大な打撃をこうむることになるからであります。
 そこで、我が国は、この直接対話の成り行きをかたずをのんで見守っているだけなのか、あるいは、これを成功に導くような日本独自の外交努力をなさるおつもりなのか、お伺いをいたします。危機管理とは、事が万一起こったときにどう対応するかであります。ゆえに、万一、一月十五日以降に戦闘が始まった場合、世界から評価される有効な人的貢献は一体何があるのでしょうか。今月中には準備を完了しておかなければ間に合わないと思います。
 第三に、前臨時国会の閉幕に当たり、自公民三党の合意が成立し、我が国の国際貢献策として国連平和維持活動への参加が検討されることになりました。カンボジアの和平の実現も近い将来に期待されていることですし、早急に成案を得るよう努力をしてほしいと存じますが、その際に、北欧四カ国の国連待機軍を一つのモデルとすべきではないでしょうか。
 ところで、去る六日、イラクは外国人人質の全員解放を国会に提案し、可決されました。人質全員の解放が無事完了し、イラク問題の平和的解決に前進が見られるなら大変歓迎すべきことでありますが、この背景には、国連安保理事会決議によって人質による武力行使の抑止効果が減殺されたこと、米国との直接対話を控え人質カードを最大限に活用しようとしたこと、ゲストと称する人質の維持管理が相当の重荷となっていること等の要因があるのではないかと思われます。総理は、このたびのイラクの決定の背景と今後の動きについてどのように認識されているのか、お伺いをいたします。次に、平成二年度補正予算等をめぐる財政事情について伺います。今回の補正予算につきましては、国民生活上真に緊要な施策を適切に盛り込むとともに、国際社会における我が国の役割を世界に向けて示すものと受けとめております。
 まず、最近の我が国経済を取り巻く環境について見ますと、現在なお内需を中心とした持続的拡大が続いておりますが、一方では、労働需給の引き締まり基調を反映して人件費は上昇しており、また、中東情勢の緊迫化に伴う石油価格の動向、その他金利の上昇、不確実な株価の動き等不透明な要素も多々あり、今後の経済動向については細心の注意を払ってその推移を見守っていかなければならない状況にあると思います。
 ここ数年続いた大幅な税収増が期待しがたいもとでの災害復旧、人勧の完全実施、中東貢献策等、多くの財政需要に対応した補正予算策定は容易ならざるものがあったと思います。また、二年度末の公債残高が百六十四兆円を超え、国債費が歳出の二割を超えるなど、依然として厳しい状態にあります。加えて、多額の建設公債に依存する政府の財政構造は、一たび景気の落ち込みなどにより著しい税収の鈍化が生じた場合には、再び特例公債の発行に陥らざるを得ないという脆弱性を有していると思います。
 このような我が国財政の現状を踏まえれば、到底我が国財政が健全な姿に復したとは言いがたく、財政改革はいまだ道半ばと言わざるを得ません。健全な財政体質をつくり上げていかなければならないと考えますが、財政体質の一層の改善に向けての大蔵大臣のお考えを伺います。
 また、その一方、日米協議で約束した十年間で四百三十兆円の公共投資を本当に健全財政を堅持しつつ実行できるのでありましょうか。
 次に、経済関係では、日米構造協議の合意点を日米双方が着実に実施に移していくことが肝要であります。
 日米構造協議に基づく一連の規制緩和措置の中で、大店法改正は重要な施策の一つであります。しかし、本改正による中小小売商業に対する影響は甚大なものとなるのではないかと懸念をされております。したがって、中小小売商業が今後激化する大型資本との競争に生き残れるように、政治、行政の格別の配慮が必要だと思います。それには、補正予算に盛り込まれている個店対策はもとより、魅力ある商店街、商業集積づくりといったような積極的な施策がぜひとも必要であると考えます。
 また、平成三年度予算概算要求に当たり、二千億円の生活関連経費特別枠がつくられ、各省庁の要求額は一兆二千億円にも達していると聞いております。一体、どのようにこの要求を取り扱うのか、また、生活関連という言葉の定義なり物差しをお示しいただきたいと思います。
 次に、補正予算案中に住宅・都市整備公団補給等約千七百億円が計上されています。これは例年の措置であり、目新しいものではありませんが、この際、住宅政策についてお伺いいたします。
 我が国は、これだけの経済大国になりましたが、残念ながら国民は経済力に見合った豊かさを実感できない状況にあります。まさに、衣食足りて住まいの貧しさを知る現状であります。私は、狭い国土だから仕方がないという消極的な発想を捨て、あらゆる困難な状況を克服して住宅大国を築くことこそ、これからの政治の使命であると考えます。
 日米構造協議の中でも、国民の日常生活に密接に関連した住宅、公園、下水道等に対する投資の割合を高めることとされており、中でも住宅に対しては、一戸当たりの平均床面積を西暦二〇〇〇年までに百平方メートルとすることとしています。また、大都市地域においては、賃貸住宅の居住水準が低く、さらに地価高騰の結果、勤労者が良質な持ち家を取得することは極めて困難となっていることから、良質な賃貸住宅を供給するなど居住水準の向上を図るべきであると考えます。
 ところで、最近やや鎮静化しつつあるとはいえ、近年の地価高騰は、個人、企業の経済力格差を拡大させ、社会経済の健全さや活力を損なうことにもなりかねません。マイホームを持ちたいというサラリーマンの夢をかなえ、健全な勤労意欲に支えられた活力ある日本社会を維持していくためには、土地問題、住宅問題の解決は避けることのできない最重要課題であり、総理も繰り返し述べられているところであります。
 昨年十二月に土地基本法が成立し、土地についての公共の福祉優先、適正な計画に従った利用、投機的取引の抑制、利益に応じた適切な負担という土地についての基本理念が明確になりました。これを踏まえて、土地問題の解決を図るには、利用計画、関連融資規制、税制等各般にわたる総合的対策が必要であります。その中で、土地税制は有力な手段の一つであると考え、我が党は、土地保有税の創設を初めとする総合的な土地税制改革大綱を取りまとめたのであります。
 土地住宅問題解決に向けて、総理並びに大蔵大臣はどのように取り組んでいかれようとするのか、その所信を改めてお伺いいたします。
 最後に、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉についてお伺いいたします。
 ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉では、当初から予想されたとおり、米国・EC間の激しい対立から合意は得られませんでした。私は、農産物を工業製品と同列に取り扱うことの難しさ、また、農業をめぐる各国の困難な事情等が今回のこのような結果をもたらした最大の原因であると見ております。今後においても依然として厳しい情勢が続く中で、我が国農業を守るため、どのような立場で対応していくのか、基本的な方針をお伺いいたします。
 特に、米の問題についてでありますが、国民の主食であり、我が国農業の基幹作物である米については、ガットの場においても、食糧安全保障の立場に立って、基礎的食糧の例外的な取り扱いを求めてきたところであり、私は、三度にわたる国会決議も踏まえ、今後ともこの立場を堅持すべきものと考えております。しかしながら、報道によれば、米国内には、我が国がウルグアイ・ラウンドで米市場開放を決断しないのであれば、一方的措置の発動をてこにしながら二国間交渉で市場開放を迫るべきだとする動きもあるやに聞いているところであります。総理は今後どのように対応されるおつもりでしょうか、お伺いいたします。
 以上、補正予算の内容に関連して、党内にある意を代表して幾つかの問題点を指摘させていただきました。
 今はだれが総理であっても容易な時期ではありません。今や大きな外交問題は即内政問題であります。内閣は与党の支持によって支えられています。与党の意見をまとめ上げ、一致協力させることが最大のリーダーシップであります。海部総理におかれましては、勇気と信念を持って時局に対処されんことを切望し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 関谷議員にお答え申し上げます。
 御激励を含めた御質問、御意見を賜りありがとうございました。
 最初に、国会開設次の百年に向けて前進するに当たり、議会制民主主義を徹底させ、国会の改革を実行して、国民の負託にこたえる国会を実現せよ、私も同感でございます。各党の建設的な御協議をいただいて、新しい百年に向けて前進がさらに続いていきますことを私も心から期待をさせていただきます。
 政治改革は、制度の改革もさることながら、選挙に対する意識、それを義務教育、社会教育から国民運動まで展開すべきである、こう申されました。今御指摘の趣旨を踏まえて、学校教育、社会教育を通じ、政治的教養を豊かにする改革を一層進めていかなければならぬということも御指摘のとおりでございますが、明るい選挙の実現には国民各界の意識と協力が必要でございます。明るい選挙推進のための組織が設けられ、民間においても社会教育や選挙管理委員会の啓発活動と連携し、地道な運動が積み重ねてこられたところでございますが、国においては、選挙をきれいにする国民運動推進本部を設置して、その実効を期しておるところであります。
 また、本年二月、この政治改革の一環として金のかからない公正な選挙を実現すべく、寄附禁止の強化を内容とする改正公職選挙法が施行され、これらの周知徹底にも努めながら総合的に改革を図っていく、こういう考えでございます。
 また、湾岸危機に対してのいかなる人的貢献を行っていくのかというお尋ねでございましたが、このことにつきましては、お金だけてはいけない、人の面の貢献も必要だということは、今各党からいろいろなお話や御意見を聞いておるところでございます。我が国のこのような貢献は、国際的にも高い評価を得てきた資金協力の問題や、あるいは最初の貢献策におけるいろいろな人の協力の問題などたくさんございました。私は、今後ともいろいろな面で、あらゆる場合を想定しながら、我が国の国際社会における協力のあり方について議論を進め、検討を続け、国会にも提案させていただきたいと思っておりますので、一層の御理解と御協力を賜りたいと思います。
 また、安保理諸決議の完全実施に向けて、国際社会が引き続き一致団結してイラクに対する圧力をかけていくことが重要だという点は、そのとおりでありまして、そのような国際社会の一致した協力があったから人質問題についての第一歩の解決があったということも、そのとおりでございます。引き続いて、クウエートからの完全撤退とクウエートにおける正統政府の復帰という国連の決議しました原則に従って、公正な平和が回復されることが極めて大切なことだと私は思っております。
 政府としては、米国やソ連を初めとする理事国やイラクを含むアラブ諸国とのさまざまなレベルでの対話を通じて今後とも一層我が国の立場を主張していきたいと思いますが、アメリカが今回イラクとの対話のイニシアチブをとり、イラクもまた呼びかけに応じて直接対話が開始されようとしておりますことを歓迎いたします。そして、これが成功するように、平和解決につながるように、我が国としてなし得る支援、なし得る支持の方策を探求し、努力を続けていく所存でございます。
 現在、三党間の合意を踏まえて新たな法案についての対応について検討中でありますけれども、国連の国際協力活動のあり方については、各国の平和維持活動への協力状況、要員の派遣体制等を踏まえ、前国会における自民、公明、民社三党間の合意を踏まえ、また、今御指摘がありました北欧等の国連待機軍の活動等も参考とさせていただきながら、いろいろ研究を続けていく所存でございます。
 また、人質完全解放の背景と今後の動きについてのお尋ねもございましたが、先ほどの答弁と重複するようですが、国際社会のかたい一致した意思があったからこそ、この国際社会の意思にこたえての人質全員解放があったと私は受けとめておりますし、同時に、決議六百七十八号は国際社会のイラクに対する平和解決への最後の機会を提供する呼びかけであったとイラク側が理解をし、クウエートからの完全な撤兵、正統政府の復帰の実現が図られるように強く期待をしておるところでございます。
 また、大店法改正による中小商工業に対する影響に対して、魅力ある商店街、商業集積づくりといったような積極的な施策をぜひとも講ずべきではないかという御指摘がございました。
 私もそのように考え、近年の流通産業を取り巻く環境変化を踏まえて、先般の日米構造協議の報告に大店法の規制緩和に関する措置が盛り込まれたところでありますが、この措置の中には中小小売商業者に少なからぬ影響を与えるものもあり、今後の実現に当たっては痛みを伴う場合が想定されるところで、御理解と御協力を求めていかなければなりません。
 このため、政府としては、平成二年度補正予算案に、大店法規制緩和によって影響をこうむると考えられる中小小売商業者等の活性化対策を行うため、低利融資制度の創設を盛り込んでいるところでありますし、これにより店の体質強化を推進していく考えであり、また、御指摘の魅力ある商店街、商業集積づくりのための総合的対策については、平成三年度予算編成においてさらに一層検討をしていきたいと思っております。
 生活関連事業の問題について、公共投資基本計画等に示された考え方を参考にして、既に公共事業等の実績のあるものを基本として、国民の日常生活の質の向上に密接に結びつき、直接の効果の上がる事業に限ることとして各省庁の要望の内容を念査し、予算編成終了時までに総額二千億円の範囲内で調整を行っていこうとしておるものであります。
 また、土地問題と住宅問題についてお触れになりましたが、政府は、近年の土地高騰は、国民の住宅取得の夢を奪い、資産格差の拡大による不公平感の増大をもたらすなど、我が国経済社会に重大な支障を生じさせていると認識し、経済大国と言われる中にあって、国民が豊かさを実感できない要因の一つであると受けとめ、現在、土地政策審議会から出された土地基本法を踏まえた今後の土地政策のあり方についての答申、その提言の具体化を図っているところであり、構造的な対策を含めた総合的な土地対策の展開を図ってまいります。いずれにせよ、土地を持っていればもうかるという土地神話を、各種対策を総合し、打破して、土地問題を解決し、努力をしていかなければならないと考えております。
 また、それに関連する住宅問題につきましては、国民が我が国の経済力にふさわしい豊かさを実感できる住生活を実現することは、我が国の最大の課題であると考えます。そのため、本年度じゅうに平成三年度を初年度とする第六期住宅建設五カ年計画を策定して、住宅金融、税制の充実、公的住宅の的確な供給等により、国民の住生活の向上に努めてまいる所存であります。
 最後に、ガット・ウルグアイ・ラウンド、米の問題にお触れになりました。
 我が国は、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉において、農業生産の持つ特殊性や農業が果たしている多様な役割、適切にそれが配慮されるよう対応しておるところであります。このような基本方針に基づいて、九月末にはオファーを提出したところであり、先週のブラッセルの閣僚会議においても、この立場を踏まえて、主張すべきは主張してきたところであります。今後の交渉におきましても、食糧輸入国としての我が国の立場が適切に反映されるよう全力を挙げて取り組んでまいる所存であり、米問題については、米及び稲作の格別の重要性にかんがみて、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる所存であります。
 残余については、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#22
○国務大臣(橋本龍太郎君) 関谷議員から御指摘を受けました問題、私から御答弁をさせていただきますのは、まず第一に我が国の財政体質についてであります。
 議員が御指摘になりましたように、平成二年度予算におきまして、我々は特例公債の発行に依存することなく予算編成をすることができましたが、なお公債残高を見ましても、国債費が歳出予算の二割を超えている状況を考えましても、依然として極めて厳しい状況であることは間違いがありません。加えて、御指摘のように多額の建設公債に依存しております現在の財政構造は、仮に一たび景気の落ち込みなどによりまして著しい税収の鈍化等が生じました場合には、極めて危険な要素を持っているというのは御指摘のとおりであります。
 今後急速に進展する人口の高齢化、あるいは国際社会における我が国の責任の増大など、社会経済の情勢の変化を考えますとき、財政が弾力的に対応してまいりますためには、後世に多大な負担を残さず、再び特例公債を発行しないということを基本にしながら、公債依存度の引き下げなどにより、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げることがまず喫緊の課題でございます。
 最近の我が国の財政事情につきましては、これまで好調な税収を支えてまいりました経済的な諸要因にその流れが変わりつつあるなど、まことに容易ならざるものがあることも御指摘のとおりであります。今後の財政運営に当たりまして、歳出全般にわたり徹底した節減合理化に努め、公債依存度の引き下げに最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。
 そして、議員が御指摘になりましたように、日米構造問題協議の中から公共投資基本計画というものが生まれております。今後の十年間に弾力枠十五兆円を含めおおむね四百三十兆円程度の公共投資総額を行うと決しております。今後の公共投資につきましては、国ばかりではなく、地方公共団体や公共事業実施機関がそれぞれ公共投資基本計画を指針として着実に推進していくことになると考えておりますが、各年度の公共投資や公債依存度の水準につきましては、今まで申し上げてまいりましたような観点を踏まえながら、歳入歳出両面にわたる財政状況、また、インフレや景気過熱を招かないよう経済情勢などを総合的に勘案しながら、各年度の予算編成において適切に対処してまいりたいと考えております。
 また、明年度の予算編成に当たり、これまでの配分割合についての御注意をいただいたわけでありますが、総理からもお答えを申しましたように、公共事業の事業別配分に当たりましては、私どもはこれまでも各般の情勢を踏まえながら対応してきたつもりでありますが、今回の公共投資基本計画等におきましてその基本的な方向が示されておりますように、公共投資の配分に当たりましては、国民生活の質の向上に重点を置いた分野にできる限り配慮してまいる所存であります。
 平成三年度予算におきまして、概算要求についての閣議了解におきましても、生活に密接に関連する投資的経費については、各省庁の要望を踏まえ、予算編成過程において総額こ千億円の範囲内で追加を行うといたしておりまして、関係省庁と現在協議を行っておるさなかでございます。
 また、土地問題について議員から御指摘がございました。
 昨年末、土地についての基本的理念を明らかにし、国民の共通認識を確立すると同時に、今後の土地政策の基本方針を示しました土地基本法が通過、成立をさせていただきました。また、十月二十九日には、土地政策審議会からも、土地基本法を踏まえた今後の土地政策のあり方についての御答申をいただいております。
 大蔵省の立場で関連いたします主なものとしては、土地税制、金融機関の土地関連融資、また国有地の活用等の問題があるわけでありますが、土地税制につきましては、去る十月三十日、政府税制調査会から、土地の保有・譲渡・取得の各段階にわたる土地税制のあり方についての基本答申をいただいたところでありまして、自由民主党におかれても、十二月六日に土地税制改革大綱を党議決定され、土地保有税の創設を初めとする見直し案を決定していただいております。
 政府といたしましては、現在御審議をいただいている政府税制調査会の御答申を踏まえ、具体的な見直し作業を早急に進めて、所要の法律案を今国会に提案させていただきたいと考えております。
 また、金融機関の土地関連融資につきましては、従来からの措置に加えまして、本年四月、いわゆる総量規制を実施をいたしました。現在その効果が着実に浸透しつつあるものと思われますが、今後につきましても、この効果を引き続き見守りながら適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、首都圏、近畿圏、中部圏等、大都市地域の国有地につきましては、有効利用を図りますため、現在本省及び各財務局において、平成二年度末を目途にその使用状況等の点検作業を実施をいたしておりまして、この結果を見まして考えてまいりたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(櫻内義雄君) 坂井弘一君。
    〔坂井弘一君登壇〕
#24
○坂井弘一君 私は、公明党・国民会議を代表して、財政演説及び当面の重要課題につきまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 湾岸情勢は、過日の国連安全保障理事会での事実上の武力行使容認決議と、その直後のブッシュ米大統領のイラクとの直接交渉提案により新たな局面を迎えております。武力と話し合いの振り子が和戦の間を時を空費しながら揺れるに任せてはなりません。今回の人質解放の決定を解決への一歩ととらえ、あくまでも交渉による平和的解決を目指していくべきであります。もし仮に戦端が開かれた場合、国際経済の混乱はもとより、とりわけ石油輸入の七割を中東地域に依存する我が国経済への影響ははかり知れません。政府は、平和的解決への見通しと、そのための具体的方途をお持ちなのか、まず総理に伺いたいのであります。
 あわせて、今回の補正予算に含まれている十億ドルの湾岸の平和回復活動に対する協力費の目的、性格、使途について明確にし、国民の十分な理解を得べきだと思いますが、総理の御見解を承っておきたいと存じます。
 我が党は、石田委員長を団長とする第四次訪韓団が今月三日から六日まで韓国を訪れ、精力的な対話を重ねてまいりました。海部総理も来年早々には訪韓を予定されておりますが、日韓両国間には解決すべき課題がなお多く残されています。殊に、総理訪韓までに決着が求められている指紋押捺問題、さらには就職、教育面での差別解消、あるいは経済面での技術移転などの問題に対しては、我が国政府としてどう対処されますか。また、韓国政府からは、今日の日朝国交正常化の動きが朝鮮半島における統一を妨げることにならないかとの懸念が示されております。この点についてはどうお考えになりますか。
 さらに,このたび我が党の石田委員長は、南北統一への環境づくりの一環として、日本、韓国、北朝鮮、米国、ソ連、中国による六カ国議員会議の開催を提唱いたしました。この提案に対する総理の御見解を承るとともに、御理解、御協力をお願い申し上げたい。いかがでしょうか。
 現在、ソ連の国内情勢は、さまざまな要因が指摘されてはいますが、現に食料品、日用品が不足し、これからの厳寒に向けて市民生活は日増しに深刻化しつつあると伝えられております。ヨーロッパ諸国は次々とソ連への食料品などの援助を決定しており、我が国も緊急援助として医療品の援助を行うこととしております。しかし、我が国政府の対ソ支援姿勢は必ずしも明確ではありません。私は、緊急的かつ人道的な側面から、食料品援助などもっと積極的に行うべきであると思うのであります。政府は、現在のソ連の国内の実情をどのように認識しておられますか。今後の対ソ支援をどのように考えているのか、さらに、従来の政経不可分の原則を今後ともとり続けていくのかどうか、総理に明確にお答えを願いたいと存じます。
 さきに我が党石田委員長は、ゴルバチョフ大統領の来春訪日を踏まえ、日ソ新時代の構築に向け、この際、対ソ問題について責任ある立場の者による与野党間の協議、意見交換の場をつくることを提案しました。対ソ問題についてはこれまで国会において一致した決議も行われてきており、本格化する日ソ交渉を前に、対ソ政策について国民的な合意を進める必要があると考えるのでありますが、総理の御所見を承りたいと存じます。次に、政府が現在策定しようとしている次期防衛力整備計画についてであります。
 公明党は、国際情勢のこの歴史的な変化に伴い防衛計画の大綱を抜本的に見直し、新しい時代にふさわしい領域保全に限定した防御的防衛に転換すべきであり、防衛費の大幅削減と自衛隊の縮小を今こそ決断すべきことを主張してまいりました。今日の国際情勢の動向、全地球的な安全保障に取り組むことの重要性の認識の高まり、また国民世論からも、この主張はますます必然性を持ってきたものと申せましょう。したがって、次期防の策定は、我が国の防衛政策の一新紀元を画するがごとき転換点とされなければなりません。
 総理は、次期防策定の前提となる国際情勢、アジア情勢をどう認識されているのか、基本方針を明らかにすべきであります。自衛隊の縮減、防衛費の抑制を行うのかどうか、防衛大綱は見直すのか、さらに単年度方式に戻すのかどうか、それぞれ総理の明確な御所見を求めるものであります。
 今回の補正予算では、たとえ給与改善のためとはいえ、防衛費が対GNP一%枠を突破したことは、世界的な軍縮の流れにも逆行するものであり、極めて遺憾と言わざるを得ません。総理の率直な見解を求め、再考を促したいと存じます。
 次に、経済財政運営についてお尋ねいたします。
 湾岸危機を契機に世界経済の先行きに暗雲が漂い始め、我が国の大型景気もここに来て不透明感がとみに高まっております。金利、原油等の状況から、来年度は世界経済、日本経済とも景気の転換点とたる要素が多いと見なければなりません。湾岸危機が経済にどのような影響を及ぼすと考えているか、また先行きをどのように展望されているか、まず総理に拓伺いするものであります。
 我が国経済は、好景気が長期にわたって継続した一方で、インフレ要因が潜在的に進行しており、今後湾岸危機の行方いかんによっては一気に表面化する懸念を抱かざるを得ません。総理はどう見ておられますか、またどう対処されようとしておりますか、お答え願いたい。
 さて、当面の課題は来年度予算編成であります。今、政治には、生産優先から生活優先へとその基本姿勢を転換することが強く求められております。このことは、各省庁から出された白書、審議会のビジョン等に見られる共通の特徴として、生活優先へと政策の路線変更を求めている点からも明らかであります。かかる現状認識によってそれぞれの省庁がみずから配分割合をどう変更するのか、あるいは省庁を超えて配分シェアをどう転換するか、言いかえれば、縦割り行政のあしき呪縛を断ち切ることができるかどうか、総理、あなたのリーダーシップが問われている課題の一つでもありましょう。私は、四百三十兆円の公共投資との関連も含め、これまでの配分割合を抜本的に改めるべきであると主張いたしますが、総理の決断を求めたいと思います。
 次に、ガット・ウルグアイ・ラウンドについて伺います。
 ウルグアイ・ラウンド閣僚会議は、農業問題をめぐる米・EC間の対立が解けず、七日閉幕いたしました。私は、今回の交渉を通じて改めて日本の米の置かれている立場の厳しさを実感いたしました。すなわち、最終段階で出された農業分科会議長の試案に食糧安保論など日本の主張が全く取り入れられたかったばかりか、発展途上国の間でも米にこだわる日本への批判が強かったことがそのことを如実に示していると思います。さらに警戒しなければならないのほ、米について日米二国間交渉という最悪の事態の可能性も出てきたということであります。政府はこのことをどう認識しているのか、伺いたい。
 また、米一粒たりともというこれまでの方針を堅持してこの厳しい事態を乗り切れると確信されておりますか、どうですか。農家に希望的な観測を伝えるのではなくて、率直な見通しをこの際お示しいただきたいと思います。
 ウルグアイ・ラウンド閣僚会議が合意できないままに閉幕、越年したことを、ガット体制のもとで最も恩恵を受けてきた日本として、この事態は深刻に受けとめたければなりません。米通商法三〇一条など一方的な措置の封じ込めもしばらくはお預けになります。しかし、アメリカでは保護貿易派が勢いを増しており、ウルグアイ・ラウンドが来春成功裏に合意しなければ、二国間主義の横行だと、米以外の分野でも日本は厳しい立場に立たされるであろうことは必至と見なければなりません。よもやそれは杞憂だとは言えますまい。政府は、保護貿易主義の台頭阻止、二十一世紀に向けて自由貿易体制のルールを維持拡大するためにどのような具体的方途をとるのか、明示していただきたいと思います。
 次に、土地問題の解決には諸施策を総合的に講じなければなりませんが、中でも土地税制の対応が重要であります。ところで、新土地保有税の税率は、当初言われていた税率よりも大幅に後退しており、だれの目にも土地の有効利用と地価の引き下げを促進するために十分なものとは言えません。私は、実効性を持たせるためには路線価の一%程度の税率を設定すべきだと考えますが、総理のお考えほいかがでしょうか。
 今日の地価高騰の最大の原因は、金余り現象をてこにした企業の土地投機であり、それを構造的に助長したのが法人に有利な現行の土地税制であります。企業は個人より土地保有コストが安く済むため、土地が個人から企業に集中する事態を招いています。したがって、税率を実効あるものとした上、新土地保有税の課税対象は一定条件の法人に限定すべきだと考えますが、総理の御見解をお述べ願いたいと存じます。
 また、個人の長期所有土地の譲渡税については、現行の税率をさらに引き上げるとのことでありますが、投機目的でない一般の土地売買にも負担増どたり、宅地供給を妨げる懸念なしとしません。したがりて、投機目的の土地と宅地供給促進のために売買する土地は明確に区別して考えるべきだと思いますが、総理の御見解をお尋ねいたします。
 建設省は、平成三年度の税制改正要求で、昨年に引き続き家賃控除制度の創設を要求いたしております。また、国に先駆けて独自の家賃補助制度を実施している地方自治体もふえつつあります。所得に占める家賃の割合が年々上昇を続け、勤労者の生活を圧迫している今日、国に対し家賃補助制度の創設を求める国民世論はますます高まっております。一刻も早く制度の創設を求めるものでありますが、総理の御決意のほどを承りたい。今月発表になる国勢調査の速報値による現行定数の格差は、最高裁が違憲状態とする三倍を超えることは明らかであります。前回の国勢調査による抜本的定数是正の国会決議があるにもかかわらず、今日まで実行してこたかった責任の多くは政府・自民党にあると言わざるを得ません。現行制度における定数の抜本是正こそ、まず国会の責任において政党間の話し合いに基づき緊急に行うべき課題であり、国民の政治への信頼を取り戻す第一歩であります。と同時に、政治改革の前提であると考えます。総理は違憲状態にある現行制度の定数是正は放置されるおつもりでしょうか。
  また、自民党が導入を企図している小選挙区比例代表並立制は、あたかも丸い土俵を四角に変えるにも似た、まさに党利と言うべきであり、我が党は断固反対であります。総理はこの導入を最優先されるのか、伺いたいのであります。論言汗のごとし。政治改革に内閣の命運をかけるとの総理の御決意は、今なお変わっておられませんか。変わっていないというならば、政治改革の具体的内容と期限を国民の前に明示すべきではありませんか。明確な御答弁をいただきたいと存じます。以上、重要事項に絞って質問いたしましたが、総理並びに関係大臣の明快な答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 坂井議員にお答えをいたします。
 中東の平和的解決への見通しと方途ということでありますが、安保理諸決議の完全実施を基礎に、あくまで平和的に解決すべきであるという立場に立って、我が国はきょうまで国際的た努力もしてまいったつもりであります。決議六百七十八号を国連は採択しましたが、これは湾岸の平和的解決を目指したこれまでの安保理を中心とする国際社会の努力を強化するものとして、支持をいたします。そして同時に、イラクが米国による呼びかけにこたえて直接対話が開始され、平和解決のための外交努力が一層強化され、湾岸の問題の根本的解決が平和的に図られることを強く期待をしております。
 また、十億ドルの湾岸平和活動に関する協力費の目的、性格ということでありますが、これはあくまで、書いてありますように、湾岸の平和と安定の回復のための国際的な努力に対して我が国も積極的に貢献していく必要があるとの見地から、国連安保理の関連諸決議を受けて活動している各国を支援するために湾岸アラブ諸国協力理事会と我が国との間の合意に基づいて拠出をしておるものであります。この資金は、具体的には資機材の調達、輸送及び備えつけ、資金協力にわたっておりまして、このような協力を関係各国も高く評価していてくれるものと私は報告を受けております。
 また、日韓の問題につきましては、さきの定期閣僚会議において日本側より、指紋押捺にかわる手段をできる限り早く開発し、これによって在日韓国人一世及び二世についても、三世以下の子孫と同様に指紋押捺を行わないことにするとの方針を説明して、韓国側の評価を得たところであります。なお、指紋押捺にかわる手段の開発につきましては、目下、鋭意努力中でありますけれども、さらに研究、検討すべき点があり、相応の期間を要するところでありますが、できる限り早く行うように最大限の努力を重ねてまいります。また、就職については、従来から企業に対しても、応募本人の適性及び能力を中心に選考を行うよう指導、啓発に努めているところでありますし、今後ともその徹底化に努力を続けます。また、公立学校の教員採用については、公権力の行使等に携わる公務員とたるためには日本国籍を有する必要があるとする、いわゆる当然の法理の範囲内で前向きに検討をいたしたいと思っております。
 日韓関係に関する経済面における技術移転などの問題についてのお尋ねでありますが、先端技術の多くぼ民間企業が保有をしているものであり、政府としてたし得ることにほおのずから限界がありますが、日韓間の産業技術協力の重要性を認識しており、これまでも技術研修員の受け入れ等の協力や研究協力を実施してきております。また、先般盧泰愚大統領の訪日の際にも新素材特性評価センターへの協力を表明しており、今後とも可能た範囲で協力を続けていくつもりであります。
 また、今日の日朝国交正常化の動きが朝鮮半島の統一を妨げることについての懸念を申されましたが、北朝鮮との交渉は、朝鮮半島をめぐる情勢全体を視野に入れて、同半島の緊張緩和、平和及び安定に資する形で行っていく所存であり、その際、韓国側の懸念には十分配慮して、韓国とも密接た連絡をとりながら進めていきたいと考えております。
 また、御提案になりた六カ国議員会議の構想につきましては、本来ならば朝鮮半島問題は、第一義的には南北両当事者間の直接対話により平和的に解決されるべき問題であると私は考えますが、朝鮮半島に関係を有する諸国が、今ここでお尋ねのように、率直た意見交換をすることができる場をつくるということは、同地域の緊張緩和、統一のための環境づくりという観点から見て有意義だと思いますので、御提案の六カ国議員会議の実現について具体的た動きがありますれば、自分としてもできる限りの対応をして、この会議を成功させていきたいものだと考えております。
 政府は現在のソ連をどう見るかとおっしゃいますが、ゴルバチョフ大統領のペレストロイカ路線のもとで政治、社会面での改革にほ進展が見られます。けれども、経済面では成果が見られず、むしろ情勢は悪化しておるのではないかと受けとめます。
 このような状況のもとで、現在個々の産品、地域によっても事情は異なりましょうが、一般的には、医薬品、食糧の不足ないし供給不十分という問題に直面しておると見られます。引き続き注目してまいりたいと考えますが、政府は、ソ連のペレストロイカを支持し、現在の混乱したソ連経済に対して有効な協力は、改革の青写真を描くための技術的支援と考えております。
 ソ連からの種々の調査団の受け入れ、我が国からの経済専門家の派遣など、適切な協力は今後とも引き続いて行ってまいる所存でありますし、また人道的見地から、例えばチェルノブイリ原発事故の影響緩和のため、今般、WHOに対する拠出金を平成二年度補正予算に計上した次第でございます。
 なお、金融支援につきましては、ヒューストン・サミットで指摘されておりますように、今後のソ連の十分た経済改革、軍事費の削減、対外軍事援助費の削減、さらに北方領土問題を含む日ソ関係の全般を勘案しつつ、検討、対応をしていきたいと考えております。
 日ソ関係について政府は政経不可分の原則をとり続けるのかと、こういうお尋ねでありますが、今度のゴルバチョフ大統領の訪日は、日ソ関係にとりてまさに正念場であり、抜本的な関係改善をするための大きな節目であると私は受けとめております。
 我が国は、戦後最大の課題であり、国民的課題である北方領土問題を解決して平和条約を締結するということ、これを最重要課題として、日ソ関係全体を均衡のとれた形で拡大させつつ正常化と抜本的改善を図るという考えてありますから、問題解決を棚上げしたままで経済関係だけを進めていくという無原則な政経分離の方針はとらないということであります。
 また、対ソ政策と国民的合意について、合意が必要ではないかとおっしゃいました。そのとおりでございます。国論が分裂することは、これは好ましくありません。一致結束していることが北方領土問題の解決に不可欠であります。累次の国会決議を踏まえ、従来より国会と政府が一体となって取り組んできましたこの問題について国民的合意が必要だという委員の御指摘は、私もそのとおりと受けとめ、今後とも御理解と御協力をお願いしたいと考えております。
 次期防につきましては、今日の国際情勢は、東西関係を中心に、冷戦時代の対立発想を乗り越えて、対話と協調を基調とする新たな秩序の構築が模索されているということほ好ましい方向だと思います。また、アジア・太平洋地域の情勢は、欧州と比較しますと複雑ではありますが、韓ソ国交樹立というような新たな動きも出始めております。私は、今日の国際情勢は、東西関係ではとらえ切れない地域紛争の発生等にも見られるように、不安定な面も不確実な面も内包していると思います。
 いずれにせよ、国際情勢をどう認識するかという問題は、次期防の策定に当たっては極めて重要であり、安全保障会議においてただいま逐次の審議を進めているところでありますが、平成三年度以降の防衛力整備については、この国際的な環境の変化を考慮し、その具体的内容について、経済財政事情等をも勘案しつつ、安全保障会議を中心とする適切な文民統制のもとに逐次検討を続けてまいります。いずれにいたしましても、憲法及び専守防衛等の基本的防衛政策に従うとともに、昭和五十一年の閣議決定の節度ある防衛力の整備を行うという精神を引き続いて尊重していくことは言うまでもございません。
 平成二年度補正予算において、防衛関係費については、給与改善費及び油、燃料費の追加とともに、既定経費の修正減も図り、所要の経費を計上いたしました。
 ただ、ここで申し上げさせていただきたいことは、先般発表されました平成元年度名目GNPをベースに平成二年度経済見通しの名目成長率五・二%を用いて計算いたしますと、補正後予算額は対GNP比〇・九九七%になっておるということでございます。
 湾岸危機の問題について、世界経済や日本経済にどのような影響を及ぼすかということでございますが、中東情勢の緊迫化に伴って原油価格が上昇いたしましたが、総じて見ますれば、過去二回の石油危機と比べると、各国経済の石油に対する依存度というものは大幅に低下してきております。このことから、全体への影響は比較的小さたものになると考えますけれども、ただ、非産油途上国については、原油価格の上昇によるインフレ圧力の高まり、輸出の鉱化等を通じて大きな影響が出ることも懸念されておるところであります。我が国経済は、現在、個人消費、設備投資を中心とした景気拡大基調を維持しております。石油に対する依存度も低下しておりますから、今後の原油価格の推移にもよりますが、原油価格上昇による我が国経済への影響は比較的小さなものになっておるものと考えます。
 インフレ懸念に関しましても、物価動向は極めて大切でありますから、私は、引き続き細心の注意を払ってまいらなければならないと考えておりますが、適切かつ機動的な経済運営に努めるとともに、石油製品等について、便乗値上げの防止に向けての適切な対応や、不当な取引制限等による値上げを防止するための独禁法の厳正な運用を図ること等により、物価の安定にほ全力を挙げてまいりたいと考えております。
 来年の公共投資の問題について、生活優先へとこれまでの配分割合を抜本的に改めるべきでたいかという御指摘でございましたが、公共投資の配分に当たりましては、公共投資基本計画を指針として、国民生活の質の向上に重点を置いた分野にできる限り配分をしてまいる所存であります。
 また、ウルグアイ・ラウンド農業問題についてのお尋ねがございましたが、我が国の繁栄と世界経済の発展とを確保するためには、多角的自由貿易体制の維持強化が必要不可欠でありまして、政府といたしましては、交渉を継続することになりましたウルグアイ・ラウンド交渉の成功裏の終結に向けて引き続き全力を挙げて努力をする考えであります。
 農業交渉に関しましては、アメリカ、ECなど主要参加国の動向に十分注意を払いつつ、従来よりの我が国の基本方針を踏まえて、対応に遺漏なきを期してまいり、二国間交渉ではなく、ウルグアイ・ラウンド交渉の中で共通の認識を得ていくように努力を重ねていく所存であります。
 土地保有税の税率についてお触れになりましたが、私は、新たな土地保有税の税率については、土地の資産としての有利性を縮減する観点や事業経営の継続に配慮する観点を総合的に勘案しながら適切に定める旨税制調査会の答申に指摘されておるところであり、また新土地保有税は、土地の資産価値に応じて負担を求めるという趣旨に照らせば、居住用地原則非課税や課税最低限の設定等の配慮は必要でありますが、課税対象を特に法人保有地に限定するということは適当ではないと考えます。現在、政府税制調査会において行われている審議の結果を踏まえつつ、与党を初めとする各方面の意見をよく伺って、土地税制の改革のための所要の法案を取りまとめ、今国会に提出し、最善の努力を傾けたいと考えております。
 また、長期の土地譲渡益については、投機目的と宅地供給促進を区分して税率等を考えるべきとのお尋ねでありましたけれども、そのような考え方は答申の中においても入っておるわけでありまして、いずれにしても、政府としては、現在行われておる審議の結果を踏まえつつ、そのような考え方も踏まえて、個人の譲渡課税を含めた土地税制の改革のための所要の法案を準備するつもりでございます。
 また、家賃の補助制度創設について申されましたが、住宅費負担の軽減については、融資、税制の活用等により賃貸住宅供給コストの低減に努力をいたしてまいりましたし、特に低額所得者層等、自力では一定の居住水準を確保できない世帯については、公営住宅、公共賃貸住宅の的確な供給等に努力を続けてまいったつもりでございます。
 また、家賃控除制度の創設については、税制のあり方として、家賃は食費や被服費等と同様典型的な生活費でありますことから、家賃だけを取り出して特別の控除を設けることは基本的な問題があるのではないかと考えております。
 なお、選挙制度、特に違憲状態にある定数是正の問題を放置するのかとお尋ねでありましたが、国会決議に基づき速やかな検討が求められている課題であります。事柄の性質上、各党で十分御論議いただくことが重要であると申し上げてきたところでありますが、選挙制度審議会の答申においては、衆議院の新しい選挙制度の中で選挙区間の一票の格差を一対二未満とすることを基本とすることにしておるところであります。この答申の趣旨に沿って実現できれば、投票価値の格差是正の要請にもこたえることになるわけでありまして、この点を十分御理解を賜れば幸いと思います。
 また、政策中心の選挙、政党中心の選挙に軸足を移して、金のかからたい選挙にしていくことも大切と考え、衆議院議員の選挙制度もこのようなものを考えながら目下鋭意検討中のところでございますが、各党において御理解と御協力を賜りたいと思うのであります。
 なお、政治改革につきましては、私の考え方は変わっておりません。したがいまして、事柄が政治資金及び政党に関する制度の基本にかかわるものでありますので、各党とも改革につきましては十分な御協議と御協力をお願い申し上げていく次第でございます。残余の質問については、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#26
○国務大臣(橋本龍太郎君) 総理が御答弁になりました中、公共投資の部分につきまして補足して御説明を申し上げます。議員よく御承知のように、公共投資の基本計画の中におきまして、一九八一年から九〇年度にかけまして生活環境、文化機能にかかわるものの割合が公共投資額のうち五〇%台前半に達する見込みというものが記されております。国民生活の豊かさを実感できる経済社会実現に向け、計画期間中におのおのの事業の特性に即応しながらその傾向を一層強めることとし、公共投資額のうち生活環境、文化機能にかかわるものの割合を九一年度から二〇〇〇年度には六〇%程度を目途に増加させるという目標を定めているわけでございます。
 公共事業の事業別配分に当たりましては、これまでも経済社会の動向あるいはそれぞれの社会資本の整備の状況などを踏まえながら対応してまいりましたが、議員御指摘のようだ趣旨を十分に踏まえ、国民生活の質の向上に重点を置いた分野にできる限りの配慮をしてまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(櫻内義雄君) 山原健二郎君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔山原健二郎君登壇〕
#28
○山原健二郎君 私は、日本共産党を代表して、財政演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 八月二日以来のイラクの侵略と人質作戦は、平和と民主主義、民族自決権尊重という世界の確立された原則を真っ向から踏みにじる天人ともに許さざる蛮行であります。今回の人質全員の解放は、世界世論の重要な勝利であり、長期にわたり御苦労されて解放された方々とその御家族の労を心からねぎらうものであります。(拍手)
 我が党は、引き続きイラクのクウエートからの無条件即時全面撤退を要求し、その平和的解決のため全力を挙げる決意であります。(拍手)
 十一月二十九日、国連安全保障理事会が武力行使容認決議を採択したことで、世界は平和か戦争かの重大な岐路に立たされています。この安保理決議六百七十八は、来年一月十五日以降、米軍を中心とした多国籍軍にイラクに対する武力行使の権限を与え、米軍の指揮下での戦争を容認した、断じて認めることのできないものであります。
 それは第一に、安保理と世界が一致して了承した対イラク経済制裁の効果が大いに上がりつつあるそのときに、一カ月後にほその平和的追求を放棄したこと、第二に、国際紛争を平和的に解決するという国連憲章の精神に反して武力行使を容認したこと、第三に、武力行使は米軍などに白紙委任されており、安保理は戦争の惨害に何ら責任を負い得たいという点からであります。一たん戦争になれば、イラク側による毒ガス、生物兵器の使用や米軍の核兵器の使用まで懸念され、油田の破壊と相まって、人類に悲惨な結果をもたらす大戦争になり得ることは、火を見るよりも明らかであります。このような事態は何としても避けなければなりません。(拍手)
 そもそも国連は、我ら一生のうち二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救うと国連憲章の前文に掲げ、紛争を平和的手段で解決することを基本精神につくられた組織であります。日本共産党は、安保理事国である十五カ国の政府に対して、武力容認決議を行うべきではないとの電報を打ったのでありますが、日本政府は、逆にこの武力容認決議を支持しました。総理、政府の立場は、国際紛争解決に当たって武力行使を否定した日本国憲法に違反するものではありませんか。このような戦争を許す決議になぜ明確に反対しなかったのか、答弁を求めるものであります。(拍手)
 平和解決の道ほ何か。それは経済制裁を中心とした非軍事的制裁の徹底強化であります。十一月二十七日、二十八日に行われた米上院軍事委員会の公聴会で、シュレジンジャー元国防長官を初め前統合参謀本部議長らが、経済制裁が予想以上に効果を奏していることを挙げ、経済制裁こそが現実的で確実た危機打開の道と証言しておるのであります。また、現地にいる片倉イラク大使も、経済制裁の効果を認める発言をしておるのであります。
 総理、あなたほ、大国による抜け穴的たイラク援助をやめさせるべきなどの我が党議員の質問に対しまして、他国の問題に口を出す趣味は持ち合わせていたいたどと公言してはばかりませんでした。経済制裁の効果が効き始めている今、戦争の道を許さず、経済制裁貫徹による平和的解決のための積極的イニシアチブを日本国首相としてとるべきではありませんか。はっきりとお答えいただきたいのであります。(拍手)
 さきの国会で、自衛隊海外派兵をもくろんだ国連平和協力法は廃案となりました。それは、沖縄知事選の結果にもあらわれたように、ヌチドゥダカラ、命は空との沖縄の言葉がありますが、平和を希求する国民世論の勝利にほかなりません。政府の意図は拒否されたのであります。総理はここからいかなる教訓を引き出されておられるか、伺いたいのであります。
 国連の正当な活動に日本の憲法の許す範囲で協力するというのであれば、ナミビアの選挙監視に要員を出したように、別に新しい法律は必要ないものであります。この際、自衛隊の海外派遣に道を開く一切の新規立法は断念すべきでありますが、総理の決断を求めるものであります。
 次に、今国会に提出された補正予算案にほ、イラク周辺に展開している多国籍軍支援のための追加拠出金十億ドルが含まれています。この拠出金千三百億円の使途は何か、まず、外務大臣に伺います。
 既に予備費で十億ドルを出し、現に砂漠用トラック八百台や兵舎などとして米軍の軍事行動を支援してきていますが、今度の追加拠出金は、対イラク武力行使が公認される来年一月十五日を挟んで執行されるものであります。初めから米軍の戦争に直接協力することが明白た資金協力であり、これほまさに憲法に違反するものであります。戦争支援のための予算は即刻撤回すべきであります。総理並びに大蔵大臣の答弁を求めます。
 橋本大蔵大臣は、カール・ジャクソン米大統領特別補佐官との会談に際し、中東で戦争が始まれば資金面で追加支援に応じる考えを表明したと報道されております。事実とすれば重大であります。事実経過を含めて説明をしていただきたいのであります。
 海部内閣のかかる対米追随の態度が、ブッシュ政権の対日要求をさらにエスカレートさせているのであります。戦争になれば、一日十億ドルの戦費がかかると言われておりますが、ベーカー国務長官は、五日、米上院外交委員会において、これまでの多国籍軍支援は九〇年分であって、来年分についてはこれから新たに交渉するつもりだと我が国に対し名指しで追加要求することを言明しています。今イラクの侵略で困難に直面している関係諸国への経済援助や難民救済とは別に、国民の血税を直接戦争行為に注ぐなどは断じて許されないことであります。総理、あなたは、アメリカから新たな要求があってもこれを拒絶すべきでありますが、明確な答弁を求めるものであります。次に、消費税に関連して伺います。
 多国籍軍への資金援助、また総額二十三兆円を超える次期防衛計画、また九千億円に上る在日米軍駐留経費の全額負担が求められていますが、まことに重大と言わなければなりません。自民党の首脳は、中東支援で高額を吹っかけられたら消費税を上げないと追いつかなくなると述べているのであります。これらも消費税の税率アップの引き金となるものではありませんか。
 消費税導入に当たって、政府は、高齢化社会に対応するものと言ってきました。しかし、例えば政府・与党が目玉としている高齢者保健福祉十カ年戦略を見ますと、その予算の裏づけほ二兆円強であります。これに対して、この十年間にお年寄りの年金から消費税六兆円を取ることになります。実態は、増税と福祉切り捨てであり、高齢者や弱者にとってほまさに耐えがたい結果とたることを指摘しなければなりません。消費税は廃止すべきであります。
 消費税については税制問題協議会で論議されているところでありますが、国会の力関係で今すぐ廃止で一致できない状況のもとで、生活必需品、関連サービスを含め完全非課税とし、電気・ガスに基礎控除の導入、政党機関紙など政党本来の活動への課税をやめることなどを政府の責任で緊急措置として行うことを要求するものでありますが、総理並びに大蔵大臣の見解を求めるものであります。
 次に、米の輸入自由化問題について質問します。
 ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉は、閣僚会議の中断、決裂という結果となりました。自由貿易のもとに多くの国の農業を衰退に導く米国の計画が国際的世論の反撃に遭ったからです。閣僚会議が開かれたブリュッセルにほ世界各国から四万人に近い農民らが集い、農産物自由化に反対する未曾有の大デモンストレーションが持たれたのもそのあらわれであります。EC農業団体連合会のイベルノー会長は、農産物自由化の道から引き返さなければ、農民の将来だげでたく、地域と環境、世界の安定自身を危機にさらすと警告をいたしております。この集会では米国農民代表も、米政府代表の立場は米国農民の願望を反映していないと発言をいたしております。ブリュッセルに赴いた我が党二名の国会議員も、米自由化を拒否する立場が国際的孤立につながるとの指摘は的外れであることを改めて痛感したと述べております。
 最近、米自由化で、我が国の国内生産は三分の一に激減し、百六十三万人の雇用に影響するとの試算も出されています。ところが、我が国の米市場開放について、金てこを使ってでもこじあげるなどと威圧的発言が米政府高官からしばしばなされ、最近では、対EC包囲網強化という米国の戦術のために巨木の譲歩を利用しようとする動きさえ伝えられています。まことに言語道断と言わなければなりません。米国からの二国間交渉要求など、今後いかなる桐喝的圧力があろうとも、三たびにわたる国会決議に基づき、米の市場開放は拒否するという毅然たる態度を貫くべきでありますが、総理並びに農林水産大臣の答弁を求めるものであります。(拍手)
 自民党の土地税制大綱についてでありますが、財界の圧力のもと、地価つり上げの元凶である大企業には甘く、中小企業や農民に重い負担を押しつけるものとなりました。これでは国民の願う土地問題の解決は望むべくもありません。土地に寄生じ、膨大た利益を得ている大企業への実効ある課税の強化、地価暴騰の犠牲者である働く国民への固定資産税、相続税の増税中止こそ行うべきでありますが、いかがでございますか。
 最後に、イラクの侵略後四カ月余りが経過しましたが、この間の日本政府の対応はどうであったでしょうか。米国から軍事協力のための金と物の要請があれば、二十億ドルもの多国籍軍支援を行い、さらに、血を犠牲にした支援をという要請があれば、米軍戦争協力法、自衛隊海外派兵法とも言うべき国連平和協力法を提出したのであります。米国からの圧力があれば、アジア諸国民の強い懸念を無視し、日本国憲法の平和的原則を踏みにじってほばからない対米追随に終始したのであります。政府の言う国際貢献なるものの実態は、まさにアメリカヘの貢献ではありませんか。今こそ確固たる姿勢を貫くべきであります。その立脚点は、言うまでもなく日本国憲法の平和原則であります。政府の基本姿勢を問うものであります。
 日本国憲法は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意しこと恒久平和をうたい、第九条で平和への確固たる立場を示しておるのであります。この道ほ守り抜かなければならない道であります。あえて私は、友人の一人である一中学校教師竹本源治の「戦死せる教え子よ」という詩をここに披瀝させていただきます。
  近いて還らぬ教え児よ
  私の手は血まみれだ!
  君をくびったその綱の
  端を私も持っていた。
  しかも人の子の師の名において
  鳴呼!「お互いにだまされて
  いた」の言訳がたんでできよう
  逝った君はもう還らたい
  いまぞ私は汚濁の手をすすぎ
  涙をほらって君の墓標に誓う
  「繰り返さぬぞ絶対に!」
 これは戦前の誤りを反省した戦後教育の原点であり、不戦を誓った我が国の歩むべき大道であります。私はこのことを強く訴えまして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 山原議員にお答えをいたします。
 冒頭の御質問の、イラクがクウエートに対して行ったいろいろの国連決議違反に対しては、その点は私も評価は議員と全く同じであったのですけれども、決議六百七十八号を戦争を容認する戦争決議であると、こうおっしゃいましたが、私もやはり問題は平和的に解決しなければならぬということと、平和的に解決するために国連憲章に従った努力を行っておるこれまでの安保理の努力を強化するものとして、この決議を支持するものでありますから、イラクがこれを国際社会の総意として受けとめて、直ちに原則的な問題を解決することによって平和解決への糸口を開くように、今、人質の解放はございましたけれども、しかし問題の根本的解決はやはりクウエートからの撤兵とクウエートに正統政府の回復でありますから、私はこの安保理決議は、戦争のための決議というよりも、平和を守るためにイラクに最後の機会を与えた決議である、このように受けとめて、これが行われることを強く希望をいたします。
 また、イラクに対する経済制裁は国際的に広く遵守されておりますが、イラクはクウエートからの撤退、正統政府の復帰に応ずる気配を全く見せておりません。このような状況のもとに、国連安保理はイラクに対して、累次の決議を履行することによって問題を解決せよと迫っておるのであります。私は、経済制裁を我が国として引き続き遵守していくことほもちろんのこと、世界の国々がこの所期の目的を達成するためにもさらに一層の制裁を厳守していくことを強く期待をいたしておる次第であります。
 国連平和協力法案は、去る臨時国会において廃案となりました。同法案の審議を通じて、人の面での貢献が必要であることについて理解は高まってきたものと私は認識をいたしており、また、自民、公明、民社各党間の合意を尊重し、また、社会党も国連平和協力機構構想を示されるなど、新たな国際協力のあり方についてのいろいろな御意見も出ております。私は、できるだけ早い機会にこれらの御意見を踏まえ、三党合意を尊重して成案を得たいものと考えております。
 また、戦争容認の安保理決議後の十億ドルの予算化は戦争支援の予算であると、こう仰せられましたが、さきも申し上げたように、これは平和的解決のために活動しておる各国への支援のための予算であり、あの決議は平和解決をさらに求めるための決議でありますから、イラクがこれを厳しく受けとめて一刻も早く平和解決されることを、私は重ねて強く主張をさせていただきます。
 さらに、今後については、今回の追加十億ドルを含めて既に発表した貢献策等につき、可能た措置から速やかに実施していく方針でございます。また、多国籍軍への資金援助は消費税の税率アップにつながるのではないかという御指摘でありますが、消費税の税率は法律に規定されているものでありますし、再三申し上げておりますとおり、我が内閣としては消費税の税率の引き上げを行う考えはございません。
 米問題にお触れになりましたが、米及び稲作の重要性にかんがみて、今後とも国内産で自給するという基本的な方針で対処してまいる考えであります。
 また、御指摘の法人に対する課税、また固定資産税、相続税を含めて、現在政府税制調査会において行われております審議の結果を踏まえつつ各方面の御意見をよく承って、土地税制の改革のための所要の法案を取りまとめ、今国会に提案したいと考えておる次第でございます。残余の問題については、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#30
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私からほ三点お答えを申し上げます。
 第一点は、補正予算の中の追加拠出金の十億ドル、これが戦争支援のための予算であるから撤回せよというお話でありました。これほ大変私どもと考えが違うことでありまして、我が国といたしましては、湾岸地域の平和と安定を回復するための国際的努力に積極的に貢献していくとの観点から中東貢献策を発表し、今回その一環として二年度補正予算に湾岸平和基金に対する一千三百億円の拠出金を計上しているわけでありまして、これを撤回する意思はございません。
 また、カール・ジャクソン・アメリカ大統領特別補佐官との会談について報告せよというお話であります。
 十一月十五日、カール・ジャクソン米大統領特別補佐官が大蔵省を訪問され、お目にかかりました。その際、私から、中東問題が平和的に解決されることを強く希望していること、国際社会は、イラクによるクウエートヘの侵攻及びその併合に対し、これを強く糾弾し、毅然とした態度をとっているが、我が国としても、湾岸地域の平和と安定を回復するための国際的努力に積極的に貢献していくとの観点から、厳しい財政事情等諸般の情勢を総合的に勘案の上、先般来中東貢献策を決定している、現在鋭意この中東貢献策の実施に努めているところであり、引き続き湾岸地域の平和と安定を回復するための国際的努力に対し協力してまいる所存であるという日本の立場を申し述べたところであります。
 また、消費税の廃止に関連し、例えば政党機関紙だと課税をやめることという緊急措置をなすべきと思うかという御提起をいただきました。
 消費税を初めとする税制上の諸問題等につきましては、第百十八回国会での法案処理の結果を踏まえ、与野党がその責任を果たすというお立場から、税制問題等に関する両院合同協議会が設けられ、現在、その専門者会議を中心に精力的な御論議が行われております。私どもは、その合同協議会におきまして、消費税の必要性を踏まえながら国民的な建設的た合意が得られることを期待しているさなかでありまして、政党機関紙等を特にこの際非課税にするつもりほございません。(拍手)
    〔国務大臣中山太郎君登壇〕
#31
○国務大臣(中山太郎君) 山原議員にお答えを申し上げます。
 今次補正予算案に計上いたしました湾岸平和基金拠出金は、九月二十一日締結の交換公文に基づき、同基金に拠出されている約一千二百二十九億円と同様、湾岸の平和と安定の回復のため国際連合安全保障理事会の関連諸決議を受けて活動している各国を支援するための資金協力及び物資協力に用いられることと相なります。(拍手)
    [国務大臣山本富雄君登壇〕
#32
○国務大臣(山本富雄君) 山原議員の御質問にお答えを申し上げます。
 米は日本国民の主食であり、かつ我が国農業の基幹をなすものであります。また、水田稲作は国土や自然環境の保全、地域経済上不可欠の役割を果たしております。
 米問題につきましては、ただいま総理からも御答弁がございましたが、我が国における米及び水田稲作の格別の重要性にかんがみ、国会における決議等の趣旨を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいりたいと考えて泊ります。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○副議長(村山喜一君) 川端達夫君。
    〔川端達夫君登壇〕
#34
○川端達夫君 私ほ、民社党を代表して、大蔵大臣の財政演説並びに当面する国政の重要課題について、政府に質問させていただきます。
 我が国の経済は個人消費と設備投資を中心とする内需主導の成長を続けてきましたが、ここに来て景気の先行きを懸念する声が高まっております。中東湾岸危機、米国経済の失速、ソ連・東欧の生産低下など世界経済にも暗雲が垂れ込めております。
 東京都区部の十一月の消費者物価指数は、対前年比三・九%上昇と実に八年十カ月ぶりの高い数字となっております。また、七−九月の実質経済成長率は、年率換算で四・一%どたり、四−六月の五・五%を下回り、大型景気に陰りが見え始めています。また、実際に例えば自動車販売台数においても、実に二十一カ月ぶりに前年同月の数字を下回るという状況でもあります。
 このような情勢にもかかわらず、抜本的た景気、物価対策が補正予算案に盛り込まれていないことは極めて遺憾であります。景気が落ち込めば国民生活に重大な影響が出ることは、つい最近の円高不況でも明白であります。これまでの経済運営を惰性的に続けていたのでは、我が国に不況、インフレの大波が襲いかかることは必至であります。海部内閣はこの事態にどう対処しようとするのか、総理に具体策をお示しいただきたいと思います。
 次に、中東貢献策についてお尋ねします。国連安全保障理事会は、去る十一月二十九日、対イラク武力行使容認決議を採択いたしました。この措置は、現在の情勢下ではやむを得ないものと考えるものでありますが、武力行使はあくまで最後の手段であり、本問題の平和的解決こそが最も重要であります。明年一月十五日まで、政府はあらゆる外交努力を通じてその平和解決に努めるべきであります。
 とりわけ、アメリカ、イラクの直接交渉がこの平和解決における最初で最後の、そして最大の機会であると考えます。総理みずからが直接ブッシュ大統領に対して、この会議での平和解決の要請と、日本は平和的解決に向けて全面的に支援を惜しまない旨を主張すべきと考えますが、総理のお考えほいかがでしょうか。
 政府は、中東貢献策として四十億ドルの資金援助を決定されました。中東の平和と安定のため、資金面でも積極的に協力していくことについて我が党は反対するものではありません。しかし、五千二百億円にも上る巨額な国民の税金を投入するに当たり、国会の審議を全く受けず、すべて政府の裁量により当たり前のように資金額が決定されて拠出されるという仕組みに対して、強い疑問を提起せざるを得ないのであります。(拍手)このような多額の支出が国会の事後の承諾のみでよいのでしょうか。
 また、周辺諸国の支援及び避難民の救済のために二十億ドルの援助をODA予算で手当てする、ことにしておりますが、一定の積算根拠に基づき編成された平成二年度ODA予算からこの援助分を捻出するとなれば、本来回るべき部分に予算が回らないという不合理が生ずるはずであります。特に、ODAについては、近年その重要性が増しており、税金という貴重な財源で賄われていながら国会ではその内容が明かされていないという指摘が従来からなされているものであります。
 総理、私は、この四十億ドルを決定するまでの経緯及び使途について明らかにされること、また、政府の対外経済支援、資金協力に関して国会の理解と協力を得るための措置についてどのような御見解をお持ちなのか、この二点について率直た答弁を求めるものであります。(拍手)
 また、人質の全員解放といううれしい報に接した今、各方面で御努力された皆様へ感謝するとともに、不安の中、長期滞在を余儀なくされた方々、御家族の方々に心からねぎらいの言葉を贈りたいと思います。
 今後二度とこういう事態が起こらないための国際平和活動への日本の貢献と同時に、忘れていけないのは、このような国際紛争における危機管理のあり方ではないでしょうか。日本の繁栄を支える経済のその中心として海外に働く数十万人を超す企業の人たちが安心して活動でき、二度と再びこのような危険な、不安な目に遣わない体制づくりがない限り、海外で頑張る企業人は少なくなり、ひいては日本の経済にも重大な影響を与えることになります。総理の見解を求めます。
 また、各国が苦労して汗を流すのに、日本はただ自国内にとどまり小切手を切るだけとの認識は早急に払拭しなければなりません。その意味で、去る十一月九日に我が党と自民、公明両党との間で交わされた国際平和協力に関する合意覚書の趣旨にのっとり、今会期中に法制化するよう努めるべきであると思いますが、総理の御決意のほどをお聞かせいただきたいのであります。
 私は、今回の中東貢献策をめぐって、アメリカから強い批判の声が聞かれた点に危倶を抱くものであります。アメリカ国民の四人に三人は、ソ連の軍事的脅威よりも日本の経済的脅威の方が大きいという世論調査の結果も報道されております。補正予算案に日米親善交流事業のための追加出資も計上されておりますが、日米関係は我が国外交の基軸であります。今後一層の信頼関係を醸成していく必要があると考えます。
 一方、ソ連の安定ということも世界の平和、安定には重要たポイントとなってきております。日本が平和に貢献するという意味からも、対ソ関係を積極的に構築していくべきだと考えます。例えば医薬品、食料品の援助などの協力といった具体的な対策についてどのようにお考えでしょうか。対米、対ソ両面の御見解を承りたいと存じます。次に、土地対策及び消費税について伺います。
 現在、日本経済は世界経済の一四%を占めるに至ったにもかかわらず、多くの国民は生活の実態が少しもよくならないことに強い不満を持っております。このことは、サラリーマンが給与限度いっぱいの住宅ローンを組んでも住宅の取得が極めて厳しい状況であり、住宅取得の年収倍率が欧米諸国で四倍前後なのに対し、日本でほ七倍を超えている等からも明らかであります。加えて、二十一世紀は高齢化社会と言いながら、住みよい生活環境や福祉社会に適合した具体的都市ビジョンが示されないままにあります。また、土地基本法が成立したとはいえ、住宅難、地価高騰、交通渋滞、資産格差の拡大だと、さまざまなひずみが社会問題となっているにもかかわらず、何らの抜本的解決策を政府は示そうとしておりません。
 これら土地関連諸問題を解決するには、土地制度と土地税制の有機的結合を図るべきであると考えます。そのために、まず都市計画法、建築基準法を改正し、美しい町並みを実現するための用途地域の細分化、地区詳細計画のマスタープランの作成、そしてそれに基づく地区計画の徹底を図り、用途地域に応じた地価、つまり収益還元地価の形成に努めるべきと考えます。同時に、用途地域を土地税制と適合させるべきだと考えます。
 以上の土地制度改革に加え、土地本位の金融構造の是正、土地税制の抜本的改革が一つになって初めて土地神話を崩壊できると主張したいのであります。この中でもとりわけ税制対策の充実が求められてきました。
 さきに自民党税調は土地税制改革大綱を発表されました。しかし、この大綱は、地価が下がるという国民の期待を全く裏切るばかりか、運用によれば逆に地価の上昇や物価への転嫁、上昇を招きかねないものであり、本来の目的を忘れ、特定の権益が優先し、意見の取りまとめに手間取り、醜態をさらけ出したことに失望を禁じ得ないものであります。
 本気で政府・自民党は地価を引き下げようとしているのでしょうか。新土地保有税を売上税法案や国連平和協力法案のように拙速でお粗末なものに仕立て上げ、結局つぶしてしまうのではないかという疑念も持たざるを得ません。海部総理並びに大蔵大臣、この疑念を晴らし、土地税制改革に臨む決意を示していただきたく存じます。
 さらに、税制改革のもう一つの重要課題であります消費税問題についてお尋ねいたします。
 野党の廃止法案も政府の見直し法案もともに廃案となり、自他ともに欠陥だらけと認める現行消費税が施行されたままとなっています。民社党は、このような状況を打破することが国民に対しての最重要な政治責任であると考え、いち早く現行消費税の欠陥の解消についての具体的数値を盛り込んだ案を提案いたしました。我々の提唱により設置された税制問題等に関する両院合同協議会専門者会議において、今ようやく与野党の歩み寄りがなされようとしております。一日でも早く実質的な、さらに実りある議論を持つべきであると考えております。
 現時点においての焦眉の急は、逆進性、益税、運用益に代表される現行消費税の重大な欠陥を取り除き、平成三年度予算を新しい税制のもとで編成することだと確信いたします。
 国民の政治不信は、国会や政府が国民の要請に迅速に対応できていないことにこそその根源があるのではないでしょうか。そういう意味で、政治不信を解消するための政治改革に内閣の命運をかけると約束された海部内閣にとって、消費税の欠陥是正を平成三年度当初から実行することは、まさに命運をかけるべき重大問題だと考えます。(拍手)
 総理並びに大蔵大臣、各種審議機関で検討中などという消極的な答弁ではなく、積極的かつ責任ある明確なお考えを示していただきたいと思います。
 最後に、農業問題についてお尋ねいたします。今日、日本農業を取り巻く環境は非常に厳しく、存亡の危機に直面していると言っても過言ではありません。現在、多くの農家が農業の将来に対し非常に大きな不安を抱いています。これは、政府が農業のあるべき姿や具体的将来展望を示すことなく、理念なき場当たり農政を今もって続けている結果によるものであります。政府は、農業に対する明確な将来展望や国際化に十分対応できる農業ビジョンをはっきりと示すべきであります。
 特に、現時点でウルグアイ・ラウンドがデッドロックに乗り上げてしまいました。このような状況下では、政府の農業に対する姿勢が今まで以上に問われていると言ってもよいと思います。特に、国民への食糧安定供給のみならず、国土並びに環境保全や日本文化の継承、地域社会経済に与える重大な影響という大きな役割を持つ我が国の水田米作農業は、断じて自由化してほいけないのは言うまでもありませんが、交渉が行き詰まっている中で、日本の農業の方向を定め、どのような施策を講ずるかということが、我が国の今後に対し非常に大きな意味を持っていることほ明らかであります。
 ウルグアイ・ラウンドの現状認識と今後の展望、そして日本農業の今後の方向について、総理の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#35
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 川端議員にお答え申し上げます。
 経済の先行き及び今後の対応についてでありますが、昭和六十一年十一月に底を打った我が国経済は、既に四十八カ月間の長期にわたって内需主導型の景気拡大を持続してまいりました。しかし、最近にたって、湾岸危機による国際石油価格の上昇やアメリカにおける景気の減速等の環境変化が生じておるところでございます。
 これに対して、政府は、物価の安定を図ることを基礎としつつ、主要国との経済政策の協調にも配慮し、適切かつ機動的な経済運営に努めることによって、経済活動の自律的な発展、雇用の安定、対外不均衡の是正、為替レートの安定などを図り、内需を中心とした景気の拡大をできるだけ息の長いものとするように今後とも努めてまいる考えでおります。
 国連の六七八決議について、やはり御指摘のように、最も重要た点ほ平和的解決をするということでございます。一月十五日という一応の期限が切られておりますけれども、私は、これに対して、イラクが問題の平和的解決のために安保理諸決議の完全実施に向けて決断をするように、人質の解放のみならずクウエートからの撤兵ということを国際社会が引き続き一致団結して圧力をかげていくことが重要であると考えておりますが、我が国も、アラブ諸国やあるいは安保理常任理事国やそれらのいろいろなレベルの対話を通じて我が国の立場を主張し、意見交換を行ってきたわけでありますけれども、我が国は、米国がイラクとの対話のイニシアチブをとり、イラクが米国による対話の呼びかけに応じて両国間の直接対話が開始されようとしておることを歓迎するとともに、この対話がぜひとも成功することを期待し、でき得る限りの方策を探求しだから我が国としてなし得る努力を続けていく考えでございます。
 また、中東に対する貢献策四十億ドルについての経緯ということでありますが、イラクによるクウエート侵攻、併合は、国連憲章、日本国憲法の理念を真っ向から否定する平和の破壊行為でありますから、我が国としては、国際の平和と安全の回復のための国際的な努力に対して積極的な貢献を行うべしとの考え方に立って、これらの支援を取りまとめました。輸送、医療、物資、資金面での湾岸における平和回復活動に対する協力、周辺国の支援及び難民援助を内容として、総額、すべてで四十億ドルの協力となるわけです。
 私は、これらの問題を通じて、日本の努力というものが、深刻な経済的損失をこうむった周辺諸国や、湾岸における平和回復のために努力を続けておる各国の活動に対しての支援となり、結果としての平和回復が達成されることを強く願って行ってまいりました。今回、新たに十億ドルを限度として追加的に協力を行うために、補正予算案に湾岸平和基金に対する拠出金千三百億円を計上し、御審議を願っているものでございます。
 また、政府の対外経済支援資金協力に対して、国会の理解を求める努力をせよという御指摘でございました。
 我が国は、経済協力を通じて国際社会のためにいろいろな役割を果たしていくことほ世界からも期待されておる重要な役割と考えておりますし、また政府は、従来より、国会に御承認をいただいた予算の範囲内で、相手国との緊密な協議を踏まえ、経済協力を実施してまいりました。国会に対しては、相手国の立場にも配慮しつつ、随時所要の説明及び資料の提出も行ってきております。今後ともかかる措置を誠実に実施していくつもりでございます。
 また、国際紛争における危機管理のあり方については、今回の湾岸危機に対しましても、内閣官房、外務省及び関係省庁の機能を活用して一体となって適切に対処しているところでありますが、今後とも、政府がさらに迅速に的確に対応できるよう努力を続けていくつもりでございます。
 また、自公民で交わされた国際平和協力に関する合意覚書の趣旨にのっとりまして、私は、同法案の審議を通じて人の面での貢献が必要であることについていただいた御理解、また国民の間に高まってきた理解をさらに大切にして、政府としては、この三党合意の土台の上に、国際連合の平和維持活動に対する協力をどのような形で推進すべきか、国際協力のあり方についてできるだけ早い時期に成案を得たいと考えて、検討をしておるところでございます。
 日米関係、日ソ関係についてどう思うかという湘尋ねでございましたが、日米関係は我が国外交の基軸であり、個別の二国間の懸案を日米双方の努力により解決するとともに、両国が協力して世界的課題にも取り組んでいかたければなりません。その意味で、日米の相互理解を一層深める観点から、私は、ことし七月にアトランタで、コミュニケーション改善構想を訴えてきたところであります。日米親善交流事業の推進も日米の交流や相互理解の一層の促進に役立つものと考えて、これを用意していくつもりでありますし、また、ソ連につきましては、現在、ソ連で医薬品、食糧等の著しい不足が伝えられていることにつきましては、人道的な観点から政府としてもこれを注視しており、ソ連国内の動向について、いかなる適切な支援ができるかを検討しておるところでございます。
 次に、都市計画法、建築基準法の改正に触れて最近の土地問題についてのお尋ねがございましたが、昭和六十三年に定めた総合土地対策要綱に基づき的確な対応をしてきたところでありますけれども、本年十月、土地政策審議会において、今後の土地政策のあり方につき土地税制、金融、土地利用計画等の施策を総合的に講ずる必要がある旨の答申を受けたところであります。土地利用計画については、都市計画法、建築基準法等により必要な規制を行ってきたところでありますが、今後審議会の答申の趣旨を踏まえて、都市の土地利用規制のあり方について検討を重ねてまいる所存であります。
 また、土地税制改革に臨む決意はあるかということでありますが、これは、土地税制改革は重要な問題であり、政府としてほ、現在政府税調において行われている審議の結果を踏まえつつ、与党を初めとする各方面の御意見を承って土地税制の改革のための所要の法案を取りまとめ、今国会に提出し、実現を図るべく最善の努力を重ねていく決意でございます。
 消費税の問題についてお触れになりましたが、消費税の見直しについては、現在国会の税制問題等に関する両院合同協議会において御議論をいただいておるところであり、政府は、消費税の必要性を踏まえて、高い次元から協議が行われ、建設的な合意が得られますように心から期待をいたしております。
 また、農業の問題につきましては、農政の推進に当たって、農家の方々が将来を見通しつつ、希望を持って農業を営める環境をつくるベく、本年一月閣議決定をしました「農産物の需要と生産の長期見通し」等を指針として、農業構造の改善、すぐれた担い手の育成、バイオテクノロジーなど先端技術の開発、普及など、諸般の施策を展開してまいる所存であります。また、道路、下水道などの生活環境の整備により、住みよい農村づくりにも努めてまいらなければならないと考えます。
 また、ガット・ウルグアイ・ラウンドにつきましては、連日深夜まで議論が行われ、多くの分野で一定の進展が見られましたが、農業交渉における対立のため、パッケージとしての政治的合意は達成されず、継続となっております。
 米問題については、米及び稲作の格別の重要性にかんがみ、国会の決議の趣旨等を体して、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる所存であります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#36
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私から申し上げなければならないのは二点でありまして、一つは、土地税制改革に臨む大蔵大臣としての決意はどうかということでございました。
 今、先刻来も御答弁を申し上げておりますように、政府の税制調査会、そしてその後、党の税制調査会におかれてもさまざまな議論がなされております。そして、現在政府の税制調査会において行われております審議の経過を踏まえながら、与党と十分に相談をしながら、具体的な見直し案を取りまとめて所要の法律案を今国会に提案をし、その実現を図るべく最善の努力を傾けてまいりたいと思います。
 また、消費税について、国会での御論議とは別に政府としてこれについての考え方を提出し、三年度予算を新しい税制のもとで編成することをこの場でという御提起でございます。
 しかし、これは百十八国会におきまして政府が提案いたしましたその法律案の処理の結果を踏まえて、国会において設けられました両院合同協議会が現に御論議を続けていただいているわけであります。私どもといたしましては、この両院合同協議会におきまして、高い次元からの御協議が行われ、消費税の必要性を踏まえつつ結論を出していただけることを期待をいたしているところであります。(拍手)
#37
○副議長(村山喜一君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#38
○副議長(村山喜一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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