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#1
第120回国会 本会議 第8号
平成三年一月二十九日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五号
  平成三年一月二十九日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続
 )
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続
 )
 国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの
  件
    午後二時二分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
#3
○議長(櫻内義雄君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。森井忠良君。
    〔森井忠良君登壇〕
#4
○森井忠良君 昨年の秋、いわゆる中東国会で自衛隊の海外派遣を目的とする国連平和協力法案が国民の猛反撃に遭って廃案になり、本来なら海部内閣は、その政治責任をとって総辞職すべきはずでありました。(拍手)その海部内閣は、年改まった今日、今度は国会審議にとても耐えられないと見て、法案も出さず、自衛隊法を勝手に拡大解釈して、憲法に違反する自衛隊の海外派遣を強行しようとしているのであります。(拍手)そればかりか、アメリカ軍など多国籍軍の戦費調達のため、一兆二千億円、国民一人当たり一万円もの支出を強要し、しかも、このままでは、さらに歯どめなく追加支出を余儀なくされようといたしております。
 こうして今、国民の不安と不満が渦巻く状況の中、私は、日本社会党・護憲共同を代表して、海部総理に質問をいたします。(拍手)
 総理、つい二、三カ月前のことですから、よもや忘れてはおられますまい。丸々一カ月、国連平和協力法案をめぐって論戦は沸騰し、ついに衆議院で廃案となり、あたら貴重な時間を空費をいたしたのであります。不思議なことに、あなたの口から一言の反省の弁も聞いたことがありません。答弁はしどろもどろ、閣内不統一、国際的な信用は丸つぶれ、そして国民は憲法違反と口をそろえて抗議の大合唱であったと思うのでありますが、総理は一体どのように考えておられるのか、まずお伺いをいたしたいと存じます。(拍手)
 総理は、昨年末、年内内閣改造はやらないと明言をされながら、その言葉を翻し、結局内閣改造を行いました。世間では、ガス抜き改造あるいは定期異動とか申しまして、なかなか評判が悪うございます。考えてみますと、宇野内閣の六十九日よりは長いものの、海部内閣発足時で七カ月、第一次内閣改造で十カ月、今度の第二次改造も、自民党総裁としてのあなたの任期から見て長くはないと思うわけでございます。閣僚の任期が余りに短く細切れで、大臣の粗製乱造であって、これでは官僚の言いなりになり、とても国民の期待にこたえる政治などできようはずがありません。(拍手)
 今回の改造で、外務、大蔵、官房長官の三大臣が留任になっていますが、国連平和協力法案の政治責任を全く感じていないということでしょうか。また、リクルート、ロッキードの汚染議員は入閣させないと意気込んでおられましたのに、リクルートに汚染され、県知事選挙の立候補を取りやめたような人が入閣しておられますけれども、これは派閥の大きさによる例外でしょうか。派閥の言いなり、総理のリーダーシップなどどこかへ消え去っているではありませんか。しかも、この内閣をぬけぬけと清新実行内閣などと称されているのではありますが、その理由を明らかにしていただきたいと思うのでございます。(拍手)
 早速、中東湾岸戦争について伺います。
 今こうしている間も、戦火は一段とエスカレートして、とうとい生命財産が失われ、かけがえのない地球環境が破壊され続けているのであります。昨日、我が党の土井委員長の質問に対する総理の答弁は、この戦火に進んで油を注ぐという無責任きわまりないものでございました。(拍手)
 私は、事の重大性にかんがみ、土井委員長の質問と重複することを承知で、再度総理の再考を促し、明確な見解を求めたいと存じます。
 イラクのクウエート侵攻は許せません。だからといって、米軍など多国籍軍が武力を行使して戦争を始めたことについて、総理、あなたは確固として支持するとは何事ですか。この戦争を支持しなければ世界の孤児になると言われますが、我が国の憲法は、国際紛争を武力で解決しないと宣言し、アジア諸国を含む世界各国の信頼を得ているのです。平和憲法を持つ我が国の総理として、極めて遺憾であるとなぜ言えないのですか。(拍手)
 一兆二千億の血税を戦費につき込むのに、国民ひとしく痛みを分かち合えと言われますが、納得できません。この大金は、大部分がミサイルや戦闘機など殺りく兵器に回ると国民は感じております。まだ開戦十日余り、向こう三カ月間戦争が続くものとして支出をすると言われます。算出根拠
もまことにずさんで、しかも追加もあり得るわけですね。地方自治体などが国の補助金を受けるような場合を考えてごらんなさい。山ほどの書類を出させて、そして、一々細かくチェックするのとは対照的であります。補正予算はいつお出しになるのか。我が党は、特例公債や増税法案の内容が明らかにならなければ予算審議等に支障が出ることを、この際明確に申し上げておきたいと存じます。(拍手)
 自衛隊の派遣を超法規的に強行することを本気で考えているのですか。昨年の廃案になった国連平和協力法案でも、自衛隊法を改正しなければ海外派兵はできないと政府自身が認め、法案に書いたではありませんか。このたびは国会抜きで、国賓や内閣総理大臣、天皇、衆参両院議長の送迎が可能との自衛隊法の規定を拡大解釈し、戦争周辺国の避難民の輸送に自衛隊を派遣し、海外派兵に道を開こうとしています。法律の委任の範囲を逸脱し特例政令を設けることは、明らかに無効ではありませんか。また、派遣すると言っているヨルダンは、受け入れに難色を示しているではありませんか。真相を明らかにしてください。とにかく断じて許すわけにいきません。(拍手)
 総理、なぜそれなら法案を提出をして国会で堂々と論戦しないのですか。自衛隊のシビリアンコントロールは、政府と国権の最高機関たる国会によって成り立つのではありませんか。少なくとも予算委員会を中心にした国会での十分な審議を経るまで、自衛隊機の派遣を決めた政府方針を撤回すべきでございます。重大な決意を持って申し上げておきます。いかがでしょうか。
 我が国としてやるべきことは、即時停戦、和平のための徹底した努力と、非軍事、民生分野で難民、被災された方々を人道的立場に立っての輸送、そして医療、救援に積極的に取り組むべきであります。既に国際移住機構から要請があると言われる難民、被災民の輸送については、民間航空機によって積極的に対応すべきであると考えます。また、医療分野での貢献については、国際赤十字や世界保健機関、ユニセフなどの国際機関を通じて貢献すべきであります。そのために必要な財源をということであれば、国民の皆さんは快く応じてくれると存じます。これが昨年秋の国会論議以来、国民の合意する我が風の貢献策であります。この点についての御答弁をいただきます。(拍手)
 湾岸戦争が我が国及び世界経済にどういう影響をもたらすのか。戦争が長引けば、原油価格の値上がりによる世界的な景気後退は避けられず、インフレと高金利と不況という深刻な事態に突入することが予想されるのであります。現在、我が国経済は、景気拡大五十カ月目を迎える一方、他方では金利高、貿易摩擦などを背景に景気の減速感を強めながらも、結局戦後最長のイザナギ景気を追い越すことに期待をするという楽観的な空気が漂っているように思えます。しかし、今回の湾岸戦争による米国経済の後退、ソ連の政治経済の混乱など、先行きは不安材料がいっぱいであります。総理、我が国経済あるいは世界経済に及ぼす影響をどのように見ているのか、明らかにしていただきたいと存じます。
 続いて、内政問題に入ります。
 総理、あなたは施政方針で、豊かな国民生活の実現をしていくとおっしゃっておられます。結構なことでございます。ぜひやっていただきたい。もし総理が本気でやるというのであれば、社会党は、共通の土俵を求めて積極的に協力をいたしましょう。しかし、残念なことに、海部内閣が言っていることとやっていることには余りにも違いがあり過ぎます。具体的に二、三の問題について御指摘を申し上げ、見解を求めたいと思うのでございます。
 生活の豊かさを実現していくためには、まず欧米先進国に比べて著しく立ちおくれている生活基盤の整備充実を急ぐことであります。その根幹である土地問題は、何ら解決できていないではありませんか。さきに発表したことしの最高路線価を見ましても、地価上昇が全国的に拡散されていく様子がはっきりとあらわれております。政府は、地価税の創設などでこれに立ち向かおうとしているのでありますけれども、新しい土地保有税は、最初から大骨小骨を抜いた惨たんたる骨抜き案でございまして、国民に明らかになってまいりました。極めて遺憾であります。低い税率に加え、基礎控除、課税最低限、さらに損金算入措置などによって、土地投機で巨額の利益を懐にした大企業などは、ほとんど痛手を受けない仕組みになっておるのでございます。これでは、立案当時のうたい文句であった地価の三割引き下げなどは到底無理であり、土地投機バブル経済は再び繰り返され、結局、土地神話はなくならないと思われます。総理の御見解はいかがでございましょうか。
 一方、庶民が負担する固定資産税は大幅に引き上げられ、生活を直撃しています。平均で三割、札幌、千葉、横浜、名古屋、京都、神戸など大都市では、軒並み大割以上という大きな負担増となります。極めてささやかなマイホームであっても、ローンの支払いに加えて、これまで例えば年十万円であった固定資産税が、これらの都市及びその周辺では十六万円以上にもなるのであります。私は、このような増税を回避し、むしろ住宅や店舗の固定資産税の軽減の特例を五分の一、六分の一へと大幅に拡充することを求めます。いかがでありましょうか。
 政府は、ととしをスタートとし、向こう十年間に四百三十兆円の公共投資を内外に公約しておりますが、問題はその中身であります。我が国の公共事業は、長年の惰性で、各省庁ごとの配分枠や河川、道路、港湾、空港などのシェア、都道府県ごとへの割り当てなど、縦、横、斜め、十文字にがんじがらめになっているのであります。来年度予算編成に当たって政府が設けた二千億の国民生活関連枠は、がんじがらめの固定化した配分を変えようとしたものと承っております。しかし、でき上がった予算案を見るとき、その配分比率は、各省庁の権益のバランスの上に従来の産業基盤育成を中心にしたものとほとんど変わっていないのであります。
 端的にお聞きします。四百三十兆円の七〇%を住宅、下水道、ごみ処理、公園など、国民生活の基盤となる社会資本の拡充と人材の養成や確保を含む福祉の充実に充てること、また、自治体の計画、選択を尊重した予算配分に制度、運営の抜本的改革を図るべきであると思います。例えば、住宅が高齢者向けにつくられていないことから、浴槽等で事故を起こして不幸にして死亡している方々が、厚生省の調べでも三千数百人もおられるのであります。やれ建設省、やれ厚生省といった
縄張りをやめ、高齢者に対応した住宅建設を進める、そのために大胆に配分枠を変えていく、そうでなければ不幸な事故を防ぐことはできません。また、現在大きな社会的関心を呼んでいる廃棄物について、我が党は、再資源化と適正な処理を行うため、国の責任を明確に盛り込んだ法案の提出を準備していますが、政府もこうした方向で速やかに法改正に取り組むべきであります。
 総理の明確な御答弁をいただきたいと存じます。
 労働時間の短縮の問題も重要であります。このままでは、四年前に約束した完全週休二日制、週四十時間労働の実現は不可能であり、海外から貿易摩擦の問題とも関連して批判が強まることも予想されます。ことしじゅうに労働基準法の見直しをしなければならないわけですから、その際、九三年四月から完全週休二日制、週四十時間労働、学校の五日制の実施を明確にすべきであります。お答えいただきます。
 消費者物価の内外価格差、つまり諸外国に比べて我が国の物価が高いという問題はなおざりにされたままであります。食料品など、ニューヨークより東京が大方四割も物価が高いのは問題です。我が国の高い物価の要因について、諸外国からは各省庁が持つ許認可権、規制にあるとも指摘されていますが、政府は、どこに原因があり、どういう手順で消費者の納得のいく内外価格差の解消に取り組むのか、お尋ねをしたいのであります。
 また、競争によるメリットを消費者に還元するためには独禁法強化の改正が必要であると考え、我々社会党は既に、違法カルテルに対する課徴金の引き上げや、同調的値上げに関する原価の公表などを盛り込んだ改正案をまとめているのであります。御見解を伺いたいと存じます。
 同時に、自動車とか医薬品、化粧品、冷暖房機器など、製品の欠陥によって国民、消費者が被害をこうむったとき、これを救済するために、米国やEC諸国で既に法制化されている製造物責任法の平法化に取り組むべきであります。我が党は製造物責任法案の立法作業に取り組んでいるところでありますが、政府は九二年の国民生活審議会の答申を待って検討するということであります。それでは遅いのです。明確な御答弁をいただきたいと存じます。
 次に、農業問題についてであります。
 アメリカは日本に対して米市場開放要求を一段と強めてくることが予想されますが、我が党は、三度にわたる米の完全自給をうたった国会決議を守り、米の市場開放はすべきではないと考えております。すべての国はその国の必要性と生産の可能性を考慮し、合理的な生産形態を実現することを目標とするという国連食糧農業機関の決議もあり、我が国が食糧安全保障と基礎的食糧の自給を主張するのは当然であります。消費者が危惧を抱いている食糧の安全性の確保を含めた新しいルールづくりのために、政府は強力な主張をすべきであります。御答弁をいただきたいと存じます。
 ここで、人権、差別の現実について伺います。
 さきの閣僚の差別室言や弁護士による戸籍謄本など統一請求用紙の不正横流し事件は、いかなる社会情勢を反映したものと考えているのか。一年半も休眠状態になっていた地域改善対策協議会の再開で被差別部落の当事者を委員に加えたことは、国民世論の動向からして当然のことでありますが、この際、部落差別を初め少数民族差別、障害者差別などあらゆる差別撤廃のための所信をお伺いしたいと存じます。
 次に、毎日が納税日ということで国民を悩ませている消費税問題についてお伺いをいたします。
 税制問題等両院合同協議会で合意に達せず、現行消費税が無傷のまま適用されていることは、まことに遺憾であります。もともと、この両院合同協議会は、昨年の特別国会で我々野党が提案した消費税廃止法案と政府提出の見直し法案が否決、廃案になったことを受けてスタートしたものであります。すなわち、野党の廃止の主張と政府・自民党の見直しの主張とをどう調整し、歩み寄っていくかということであったはずであります。
 社会党の究極の目的は廃止でありますが、いわゆる衆参逆転現象のもと、国民の被害を少しでも緩和するための緊急是正を行うよう現実的な措置を提案したのでありますしかるに自民党は、昨年の総選挙のときの公約からはるかに後退した見直し案に固執し、飲食料品の見直しすら拒否したのであります。協議会では、納めた税金が国庫に入らないことの是正や、大企業等の益税をなくすこと、出産、入学金、家賃、福祉の一部で消費税をかけないなど合意に達したのでありますが、国民の切実な要求であり、逆進性緩和の基本である飲食料品非課税は、自民党がかたくなに拒否をしてまとまらなかったのであります。(拍手)この結果、合意に達した部分の消費税減税額はわずかに合計一千四百八十億円にすぎず、海部内閣が飲食料品の軽減税率など含めて公約し、国会に提案した見直し法案による減税額一兆一千三百五十億円を大幅に下回っているのであります。
 せめて食べ物や公共料金だけでも非課税にという我々の要求に耳をかさなかった裏には、消費税を無傷で現行のまま定着させたいという意図があったと受け取られても仕方がないのではないでしょうか。(拍手)今国会が再開され、我々も約束に従い引き続き協議を重ねますが、総理も、公約があるのですから、与野党合意に達した部分だけでも政府提出法案として実行に移すべきであると考えますが、いかがでありましょうか。御答弁を承っておきたいと存じます。
 総理、私は、重要な幾つかの問題について、我が党としての対案を示しつつ政府の見解を求めてまいりましたが、今、政治のリーダーシップのもと、急いで解決を求められている課題が山積をしております。政治の停滞は許されません。もはや、数の力に物を言わせた国会運営は許すことができません。
 国民の皆さんは、さきの衆議院選挙で与党自民党に多数を与え、そして、参議院選挙で社会党など野党に多数を与えるという衆参勢力逆転を選択して、我々国会に対して新しいルールによる問題解決への取り組みを求めているのであります。話し合い政治の実行を求めているのであります。
 既に、育児休業の法制化については、参議院における与野党間の真摯な話し合いによって、今国会で実現することで意見の一致を見たのであり、これが確実に実を結ぶこととなるように総理も格段の努力をしていただきたいと存じます。
 同じように、私はこの際、特に原爆被爆者援護法の制定の実現を強く要求したいのであります。
 御承知のとおり、一九七四年以来全野党が一致して主張してまいりました原爆被爆者援護法案
は、さきに参議院で可決したのでありますが、残念なことに、政府・自民党は衆議院でこれを葬ってしまったのであります。私たち野党が再び提案した被爆者援護法案は、現在参議院で継続審議中であり、やがて可決をされてまた衆議院に送られてくることと存じます。国会を構成する二院のうちの一院、一つの院で二度も可決されるという重みを考えなければなりません。総理、この事実経過を深く受けとめ、援護法の制定に与野党、政府の積極的な話し合いを進めるべきであると存じますが、いかがでございましょうか。
 以上、総理に明確な御答弁をお願いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 森井議員にお答えを申し上げる前に、昨日の土井委員長に対する答弁の部分を二点補足をさせていただきます。
 第一点、今般の追加支援の財源措置につきましては、後世代にツケを回すことになるいわゆる赤字公債によるのではなく、今日、平和を享受してきた我々の世代で、国民の皆さんの理解と協力を得て、新たに臨時的な税制上の措置を講ずることなどを基本として考えていきたいと思っております。ただ、税収が入るまでの間は、つなぎのための臨時的な国債を発行せざるを得ないと考えております。
 具体的にどのような税制上の措置を講ずるか、また、どのふうな形の国債を発行するかなどの具体策については、ただいま早急に検討をしているところでございます。決定次第お示しをいたします。
 第二点は、同和問題についてのお尋ねでございましたが、憲法に保障された基本的人権にかかわる重要な問題であるという認識のもとに、政府は、昭和四十四年以来二十年余りにわたって、三たびにわたる特別措置法に基づき今日まで関係諸施策の推進に努めて、相当の成果を上げてきたところでございます。現行の特別措置法が失効する平成四年四月以降は、特別措置の一般対策への円滑な移行を図った上で、引き続き本問題の重要性にかんがみ、地方公共団体と一体となって一日も早い解決のために全力を挙げたいと考えております。
 続いて、森井議員にお答えを申し上げます。
 国連平和協力法案が成立するに至らなかったことは、私は厳しく受けとめており、大変残念なことでございました。
 ただ、この法案の審議や各界各層における御議論を通じて、我が国が平和のために国際協力をしなければならない、それは資金、物質面のみならず、人的側面においても貢献すべきであるという点については、各界で共通の理解が確認されたと認識をいたしております。ただいま公明党、民社党と自民党との三党合意に基づいて、新しい国際協力のあり方について成案を得るべく努力を進めておるさなかでございます。
 第二次海部内閣は、内外まさに多くの問題を抱えて改造をいたしました。閣僚のすべてが、これらの諸問題に向けて決意を新たにして取り組んでいこう、問題に真正面から取り組んで解決していこうという気持ちで皆が就任をしてくれました。したがって、清新実行内閣と私は呼んでおるところであります。(拍手)
 また、平和憲法を持っておる我が国が、多国籍軍の武力行使に対して、なぜ極めて遺憾であると言わないで確固と支持をしたのかと、こうおっしゃいますけれども、私は、国連がきょうまでたび重なる決議をして、五カ月以上にわたって各国のあらゆる努力があり、アメリカとイラクの直接対話があり、国連事務総長の調停など、各方面でいろいろなイラクに対する、国連決議を受け入れろというあらゆる努力が積み重ねられたことは御承知のとおりでございますし、毫も反省を示さないで、今なお居座って武力侵略を続けておる反省のないイラクの態度にこそ、森井議員からも極めて遺憾だと言っていただきたいわけであります。(拍手)
 新しい世界の秩序の根底は、武力でもって国の侵略、併合は許さないということをまず第一に守るべき原則であるとこれは打ち立てないと、世界の平和は図れません。私は、侵略の排除、平和の回復という、これがなければ公正な世界は成り立たないということを改めて申し上げるとともに、一日も早く、一刻も早くイラクが反省をしてクウエートからの撤退を行うように強く重ねて要求をしておきたいものでございます。(拍手)
 このように世界の二十カ国を超える国が、侵略を排除し、平和を回復するための国連決議に従った共同行動で武力の行使に入っております。我が国も、世界の安定した国際秩序の中で、冷戦後の世界の秩序を模索する上において、この国連の権威にも関する平和回復への努力を一日も早く終わらせなければならないと考え、国際社会における地位にふさわしい支援を行うことが必要である、こう考えて九十億ドルの追加支援を決めたところであります。
 また、補正予算はいつ出すかということでありますが、成案が得られ次第、今国会に平成二年度補正予算及びこれと一体をなす法案を提出することとしたいと考え、努力をしておりますが、具体的な財源措置について今後の検討を要しますし、補正予算書や法案の作成等に物理的に相応の時間が必要であることをどうぞ御理解をいただきたいと考えます。
 また、今般の湾岸危機に伴い生じた避難民の輸送に対し、人道的、非軍事的な分野において、関係の国際機関から要請のあるもののうち、民間機を活用して既に行っておるものもありますが、そのようなことが難しい状況において、人道的見地から輸送を要する場合には、現行自衛隊法第百条の五の規定に基づき、「政令で定める者」というため、新たに必要な政令を制定の上、具体的な要請を受けたときに対応することができるように準備をしているものでありまして、撤回をする考えはございません。(拍手)
 また、森井議員は、国際機関を通じた非軍事、民生分野の難民の輸送、医療支援、民間機により積極的に対応すべきであり、医療分野では赤十字等を通じて貢献すべきではないかとお尋ねでありましたが、我が国は、今回の措置に関しても、国際赤十字を含む関係国際機関の要請にこたえて、人員の派遣とともに六千万ドルの資金協力を行ったのみならず、IOMを通じての具体的要請に対しても、民間航空機をチャーターし既に行っておることも申し上げさせていただきます。行っておるわけであります。
 また、日本と世界の経済にどのような影響があると見ておるかということであります。
 過去二回の石油危機のときと比べますと、石油への依存度が大きく低下しており、備蓄も百四十二日分を有し、国際協力のもとでこれに対処しておりますが、政府、消費者、企業が適切な対応を行えば、今般の事態は過去の石油危機のときと比べて小さなものにとどまる条件にあると考えてはおります。しかし、湾岸情勢の動向には予断を許さないものがあります。世界経済への影響や程度について、今後事態の推移を注目をし、十分これに対しては適切な対処をしていかなければならないと考えております。
 地価税は、これの導入のほかにも、固定資産税の評価の適正化、均衡化、譲渡課税の負担の適正化、土地の相続税評価の適正化、三大都市圏の農地課税の見直し、土地を利用した節税策への対応、優良住宅地の供給促進のための譲渡課税の軽減など、保有・譲渡・取得の各段階における総合的な見直しを含んでおります。これらのものがすべて相まって、全体として、資産としての有利性の縮減、有効利用の促進、仮需要の抑制、住宅地の供給促進が図られ、地価の抑制、低下につながっていくと考えております。
 住宅や店舗の固定資産税、大幅に五分の一、六分の一と拡充すべきではないかとのことでございますが、固定資産税については、住宅用地について税負担の緩和を図るために、二百平方メートルまでは四分の一、二百平方メートルを超える部分についても二分の一とする特例措置を既に講じております。この措置は、住宅部分が一定割合以上の店舗併用住宅についても既に講じられておるわけでありますから、これをこれ以上軽減措置を講じていくことは、市町村財政に与える影響も大きくなることからして、極めて困難な問題であると考えております。
 四百三十兆円の公共投資計画、それをもっと生活基盤の社会資本と福祉への充当に充てろとのことでございますが、公共投資基本計画においては、公共投資額のうち、生活環境、文化機能に係る公共投資額の割合を過去十年間の五〇%前半から六〇%程度に増加させることとするとともに、下水道、公園等については整備目標を示したところであります。地方公共団体が、地域に密接に関連する社会資本整備に自主的に取り組み、必要な施策を総合的に講じられるよう留意してまいる所存であります。
 また、廃棄物の減量化や再資源化を進めるとともに、廃棄物の適正な処理を確保することが重要であると考えております。法改正に取り組むべきではないかとのお尋ねでありますが、その問題も含めて必要な措置を積極的に推進いたしてまいります。
 また、労働時間につきましては、週四十時間労働制の実施のために、経済運営五カ年計画における目標を踏まえて、今後その実現に向けて努力をしてまいりますが、そのため、本年四月より週四十四時間労働制に移行すべく政令改正を行ったところであります。
 また、学校五日制の問題につきましては、教育水準の維持や学校運営のあり方、国民世論の動向に配慮しつつ、文部省において調査研究を行っておりますが、平成三年度末までに一応の結論を得たいと考えております。
 内外価格差の問題については、国際的になお割高感があることは事実でありますから、既に政府・与党価格差対策推進本部において取り組んでいるところであり、これまでも、流通について規制の緩和、独禁法の厳正な運用、輸入促進等が実施されるとともに、電話料金や航空運賃が引き下げられたほか、消費者との懇談会や情報提供を進めるなど、内外価格差対策については着実な実施が図られているところでございます。
 違法カルテルに対しては、政府として、消費者利益の確保と国民経済の健全な発展に資するため、今後独禁政策を強化することが必要と考え、カルテルに係る課徴金の大幅な引き上げに関する改正法案を今国会に提出することを予定いたしております。
 また、商品の持つ欠陥が原因で損害をこうむった消費者の救済を図る製造物責任制度については、民法の基本原則の一つである不法行為制度に係る大きな問題でもありますが、諸外国の動向を踏まえつつ、引き続き検討をいたしてまいります。
 なお、米についてお触れになりましたが、我が国の稲作の格別の重要性にかんがみ、国会における決議等の趣旨を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処いたしてまいります。
 食糧の安全性確保を含めた新しいルールづくりをと言われましたが、国民に安全な食糧を安定的に供給することが政府の責務であると考えております。安全な食糧供給を旨として、検疫、衛生のルールづくりに積極的に参加しているところであります。
 また、すべての人々がひとしくその人権を保障されるべきである、部落差別撤廃についての所信を述べろということでありますが、人種、信条、性別、社会的身分または門地によって差別されてはならないものでありまして、今後ともあらゆる差別解消のため努力をしてまいる考えであります。
 消費税につきましては、ただいま両院合同協議会において引き続き協議が行われておると承知いたします。政府としては、国民の全体的、長期的な利益といった次元から協議が行われ、建設的な合意が得られることを期待しておりますが、具体的な合意が得られたならば、その趣旨に沿って誠実に、迅速に対処してまいる考えであります。
 育児休業法の法制化のためには、子供を育てながら働く人々にとって、その能力と経験を生かしつつ職業生活と家庭生活の調和を図ることができるようにすべきであり、育児休業制度の確立に向けて鋭意努力してまいる所存であります。
 また、原爆被爆者対策につきましては、政府として原爆二法を中心とする諸施策の充実により対処していく考えであり、来年度においては、諸手当の大幅な改善を行うとともに、新たに原爆死没者の慰霊などのための諸事業を実施することといたしておりますので、御理解をいただきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(櫻内義雄君) 金子満広君。
    〔金子満広君登壇〕
#7
○金子満広君 私は、日本共産党を代表して、湾岸戦争を中心とする当面の内外の重要問題について総理に質問をいたします。
 世界の平和を脅かす湾岸戦争が開始されてから二週間になろうとしています。戦争は長期化の様相を見せ、無辜の人民の殺りくと破壊、大量の原
油流出による地球環境の汚染は、全世界の人々に対して深刻な不安を呼び起こしています。
 言うまでもなく、この根本には、イラク・フセイン政権による野蛮きわまるクウエートへの侵略とその併合があります。我が党は、この蛮行を断固糾弾し、イラクが即時無条件にクウエートから撤退することを湾岸の平和の中心課題として要求してまいりました。
 同時に、イラクがどんなに野蛮、頑迷であろうと、なぜアメリカが武力行使を急いだのか、そこに重大問題があることは厳然たる事実であります。国連安保理でも多数の国が賛成をし、イラクも評価せざるを得なかった、道理あるフランス提案による交渉の機会をアメリカはつぶしたのであります。政府が武力行使の根拠として挙げている国連安保理決議六七八号にしても、一月十五日の期限が切れたらすぐ武力行使をやれなどと言っているものでは全くありません。時間がかかっても平和的解決をさらに追求すべきではなかったか。これこそ今、圧倒的多数の国民が感じているところであります。
 もう戦争に入ってしまったんだから、国際貢献とはその戦争に協力する以外にないんだという立場は成り立ちません。こういうときにこそ、あくまでもイラクのクウエートからの撤退とその後の中東の平和を目指して、憲法の平和原則を貫き、湾岸問題の解決に向けて局面の転回を図り、戦争を一刻も早く終わらせるために、日本が日本にふさわしい役割を果たすことこそが真の国際的貢献ではありませんか。(拍手)総理の責任ある答弁を求めるものであります。
 しかしながら、海部内閣には、そういう立場からの積極的なイニシアチブは全く見られません。それどころか、武力行使の戦費負担であり、自衛隊機の派遣であります。
 そこで、具体的に質問をいたします。
 まず第一は、総理がアメリカを中心とする多国籍軍への確固たる支持を表明し、莫大な国民の血税を応分の負担として要求してきたことであります。
 その協力とは、九十億ドル、一兆二千億円、国民一人当たり一万円にも及ぶ戦費の負担であります。全戦費の実に二〇%、五分の一であります。あの撃ち込まれるミサイルの五発に一発は日本の負担ということになります。この九十億ドルは、どのような内容、事態を想定して算出したのか、まず伺います。
 また、総理は、自主的に決めたとか、多国籍軍に対するものだと言いますが、アメリカのベーカー国務長官は、二十六日の声明で、九十億ドルは我々が日本政府に頼んだものと数字を挙げ、その上で、しかも九十億ドルは米軍戦費であると言明したことが報道されています。これまでの政府の見解と大きくかけ離れたものであり、具体的な事実関係を明らかにすることを要求いたします。
 また、日本国民の血税は、何の条件もなく、多国籍軍の武器弾薬の購入はもちろんのこと、戦争が長引けばその額がずるずると膨らむことは必至であります。これに対してどのような見通しを持ち、どのように対処するのかお聞きいたします。
 また、海部総理は、多国籍軍の支援が日本の国力に見合ったものだと述べていますが、我が国で大もうけをしているのは大企業だけであり、国民生活は圧迫され、国の財政も赤字ではありませんか。この上、国民にしわ寄せをするということは一体どういうことなのか。
 ところが一方、アメリカは、二十七日、大統領首席補佐官及び行政管理予算局長は、日本などの資金援助が順調なのでアメリカは増税する必要がない、このように発言していることが大きく報道されているのであります。一体総理はこの事態、この状況をどう見ているのか、このことをあわせて責任を持ってお答え願いたいと思います。
 第二は、自衛隊機の派遣であります。
 避難民の救済という人道的な問題での援助は当たり前のことであります。しかし、総理、あなたは、避難民の輸送を自衛隊のつまり軍用機でやるということであります。民間機が使用できないところでやると言いますが、民間機でさえ攻撃される危険のある地域に軍用機を派遣して、それに避難民を乗せるということは、人道的どころではありません、かえって標的にされ、避難民を危険にさらすことになりますが、この点を総理はどのように考えているのか、責任を持ってお答えを願います。
 自衛隊の輸送機の派遣には、運航や整備の要員が当然同行します。自衛隊員、部隊の派遣であります。当然、隊員の武装問題も大きな問題となってきます。こうしてこの問題は、結局のところ、昨年の国連平和協力法案、あの内容の完全な蒸し返してあります。自衛隊の海外派兵の法案は、国民世論と国会の審議を通じて、その不当、無謀さが明らかにされ、廃案になったのではありませんか。総理は、国会と国民の意思を一体どう考えているのか。国会に諮ったのではもう通らないから政令でやってしまうというのが今度のやり方でありますか。一片の政令による自衛隊機の派遣、まさに露骨きわまる国会の立法権の侵害でありますが、はっきりとした答弁を求めます。(拍手)
 湾岸戦争のどさくさに紛れての自衛隊の海外派兵、これは憲法の平和原則のあからさまな侵犯、じゅうりんであります。総理、この明白な憲法のじゅうりんをどう考えているのか、この点についても筋道を立てて説明をしていただきたいと思います。
 湾岸問題が起こって以来、日本共産党は、一貫してイラクの蛮行を糾弾し、この問題を平和的に解決するため全力を挙げてきました。一月十五日を前にしたぎりぎりの局面で、イラクを国際的に追い詰める、道理を持ったフランスの和平提案が国連安保理の協議の場に出されました。この提案は、イラクのクウエートからの撤退の実現を前提にパレスチナ問題での国際会議をというものであり、我が党は、このフランス提案の方向で平和的解決を図るよう安保理十五カ国に電報で要請し、海部首相にも申し入れてまいりました。国連の実際の状況から見て、この提案の方向で局面を打開することは可能だったのであります。
 総理、この十四日の夜から十五日の夜までの間に、日本政府は、国連その他の場でフランス提案を含めて問題の平和解決のためにどのような努力をしたのか、あるいはしなかったのか、具体的な答弁を求めます。(拍手)
 総理は、施政方針演説で、国連が示した一月十五日の期限まで、事態の平和的解決に向けて、我が国を含めあらゆる努力が行われた、そのように述べていますが、このときに日本政府は、総理演説とは全く逆に、開戦前の十四日、国連の安保理
事国間で協議しているその前に、中山外相がブッシュ大統領に対し、武力行使への支持と全面協力を約束していたのであります。そこで総理、なぜ開戦前にアメリカに対して武力行使を支持し、全面的協力を約束させたのか。これでは開戦無条件支持と言って、その後押しをするのと同じではありませんか。(拍手)総理の真意をただします。
 さらに、このフランス提案について総理は、先日の本会議での我が党の不破委員長の質問に対して、アメリカもそれに反対しなかったかのように答弁をされましたが、フランス提案がアメリカの拒否によって葬り去られたことは紛れもない事実であります。総理は、このアメリカの態度をよしとするのかどうか、重ねて伺いたいと思います。
 そこで、当の中山外相は、今国会での外交演説ではさらに、「今回の湾岸危機によって改めて明らかになったことは、国際の平和と安全を守る上で中心的な役割を果たし得る国は米国をおいてほかにない」としてアメリカを絶対化し、その立場から、日米安全保障条約を堅持していくべき必要性についてはいささかの変化もありませんと述べています。
 軍事同盟、軍事ブロックの害悪とその解消の必要性が今ほど世界的に明らかになっている時期は戦後政治の中で初めてであります。ところが日本政府は、その流れに逆行して、いつまでも古い枠組みの中でアメリカへの従属を続け、戦費の負担から自衛隊機の派遣まで、同調、協力、協同しているのであります。これでは、憲法の平和原則を生かした独自の外交も国際貢献もできないことは明らかであります。このことを強く指摘して、来年度予算の問題について質問をいたします。
 湾岸問題にしろ、予算や国民生活の問題にしろ、自主的に国の進路を決めていくことは今日の日本にとっては根本的な問題であります。一兆二千億円に上る湾岸戦争への戦費の負担に加えて、来年度予算では、さらに防衛費という名の軍事費は四兆三千九百億円を超えています。一九八〇年の二兆二千億円の二倍に及ぶ軍事費の突出であります。なお、この十年間で、在日米軍に対する思いやり予算は実に四・五倍に拡大しているのであります。しかも、来年度は新軍拡の五カ年計画の初年度に当たりますが、そこには総額二十二兆七千五百億円もの血税をつぎ込もうとしているのであります。
 かつて私は、本院で、アメリカの要求に基づき軍事費異常突出の予算について、軍事が栄えて福祉が枯れると指摘したことがありますが、来年度予算はこれをさらに露骨にしたものであります。この十年間の軍事費の連続異常突出がいかに福祉、教育、国民生活を犠牲にし圧迫してきたかは、一九八三年、当時無料であった老人医療が有料化されました。これを突破口にした健康保険本人一割負担、国民健康保険料の相次ぐ値上げ、生活保護費の大幅な削減、そして教育と地方自治体の補助金への圧迫であります。この中で伸び続け伸び続けてきたのがほかならぬ軍事費では、皆さんありませんか。一体日本の政治はどこを向いているのだ。今国民の願いは、国の政治を軍拡から軍縮の方向に転換をすることであります。(拍手)
 総理は、今全国で重大問題になっている国民健康保険料を初め、住宅問題や家賃補助、看護婦不足の解消、心身障害者対策など、国民の福祉下医療、教育の現状をどう見ているのか。多国籍軍の戦費負担をやめて軍事費を大幅削減するならば、これらの充実に道を開くことができるのではないですか。総理の見解を求めるものであります。(拍手)
 そこで、消費税の問題です。
 日本共産党は、売上税の段階から、大型間接税は最悪の不公平税制であり、軍備拡大の財源づくりであると指摘してまいりました。今日、ふえ続ける軍事費と米軍への協力は、消費税の目的がどこにあったかを事実によって明らかにしています。高齢化社会のためなどという政府の宣伝がいかに言葉だけのものであったかは、来年度予算で老人医療について、通院一カ月につき初診料現行八百円を千円に、入院料一日四百円を二倍の八百円に引き上げようとしていることを見ただけで明らかであります。お年寄りの怒りが、その声が全国各地に広がっているのは当然であります。消費税が実施されて一年十カ月、この現実は一世帯当たり年間十万円を超える税負担であります。
 我が党は、このような最悪の不公平税制である消費税の廃止を一貫して要求しますが、同時に、今直ちに廃止が困難な条件のもとでも、国民が切実に求めている食料品などの生活必需品、関連サービスなどへの課税を完全にやめ、国民の苦難を軽くすることを両院合同協議会でも繰り返し繰り返し主張してきました。総理、本当に逆進性の緩和を言うのであれば、少なくとも食料、衣料、住宅などを完全に非課税にすべきであります。また、国民の政治参加の自由を保障するため、政党機関紙への課税もやめることです。改めて総理の答弁を求めます。(拍手)
 さらに、総理はこれまで、海部内閣の間は税率を上げないと述べてきましたが、今後も税率は引き上げないと断言できるかどうか、あわせて伺っておきます。
 さてそこで、今正念場を迎えている米の輸入の自由化の問題であります。
 米問題は、日本農業の存亡にかかわる問題であり、また、消費者にとっても、安全な食糧がどうなるか、大きな問題であります。同時に、日本経済、主権にかかわる問題であります。総理は、施政方針演説でも、国会決議の趣旨を体してとか、自給するとの基本方針で対処するとか述べています。しかし、今最大の問題は、アメリカの理不尽な要求をきっぱりと拒否できるかどうかということであります。かつて牛肉・オレンジ交渉に当たったアメリカのヤイター代表が、日本は風圧をかければ幾らでも折れるんだと述べたことが報道されています。総理、米の輸入の自由化は、どのような条件が出されてもアメリカの要求はきっぱりと拒否すると、全国の農民、消費者にここではっきりと答えていただきます。
 そこで、平和と民主主義、国の進路にかかわる重大問題として、いわゆる政治改革についてお聞きいたします。
 総理は、リクルート事件のあの後、反省に立って、内閣の命運をかけても政治改革をやると言明してきました。また、施政方針演説でも信頼の政治の確立をうたいました。しかし、政府が今やろうとしていることは、政治改革に名をかりた小選挙区制の導入であります。これが導入をされれば、四割台の得票で八割の議席を自民党が占めることは、各界がひとしく指摘しているとおりであ
Sります。衆議院で三分の二の議席を自民党が確保すれば、参議院で過半数割れしていても、国民の圧倒的多数が反対する自衛隊の海外派兵法も消費税の税率アップもできるというものであります。
 我が党は、並立制であれ併用制であれ、いかなる形であれ小選挙区制の導入には反対であります。今やるべきことは、定数の抜本是正を決めた国会の決議の実行そのものであります。九〇年国勢調査結果に基づいて、一票の格差は一対二未満とする、現行の中選挙区制で総定数は現在の五百十二名とする、これは党利党略、私心を捨てれば今すぐにでもできることであります。(拍手)やるべきことをやらないで、国会の決議でもないことをやるというのは、民主主義のルールに反したことであります。
 汚れた政治をなくすというのであれば、その根を断ち切ることであります。それは企業、団体からの政治献金の禁止であります。政治献金は個人に限定することであります。これをやらないで金権政治をなくすことはできません。総理のはっきりした見解を伺います。
 最後に、ゴルバチョフ大統領の来日に関連して、日ソ領土問題について伺います。
 その前に、ソ連政府によるリトアニアなどに対する武力弾圧は、大国主義の暴挙であり、断じて許せない、このことを厳しく指摘しておきます。
 そもそも日ソ間に領土問題が起こった根本も、同じ性質の大国主義にありました。一九四五年のヤルタ会談で、スターリンは、対日参戦の条件として千島のソ連引き渡しを不当にも要求し、これに米英が応じ、ヤルタ協定が結ばれました。これは、領土不拡大という連合国が戦後処理の原則として決めた国際的な民主主義の道理に反する全く不公正なものでありました。その後、一九五一年のサンフランシスコ条約の締結の際、アメリカの要求で、第二条(c)項で千島の放棄が明記をされ条約化されたのも、この延長線上に起こったものであります。
 そこで、総理、今後の交渉に当たって、このヤルタ協定に基づく千島放棄の枠組みを動かしがたいものとして考えているのかどうか、問題解決の基本姿勢にかかわるものでありますから、明確に答えていただきます。(拍手)
 総理、ことしは太平洋戦争開戦五十周年の年に当たります。あの痛苦の歴史の上に制定された憲法は、「われらとわれらの子孫のために、」「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」と明記して、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」ことを内外に宣言しているのであります。これこそ戦後政治の原点であり、その平和の原則は、国際的にも誇るべき先駆的なものであります。今こそ政府は、この原則に立ち返るべきであります。
 以上、私は、湾岸戦争問題を中心に、平和と民主主義、国民生活の基本問題について質問をいたしました。総理の責任ある答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#8
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 金子議員にお答えをいたします。
 国際貢献は、憲法の平和原則を貫き、湾岸問題の局面転回を図り、戦争を一刻も早く終わらせるためにふさわしい役割を果たすことが大切だと、私もそう思っております。一刻も早くこの局面の転回を図らなければなりません。その転回を図るかぎを握っておるのは、イラクがクウエートから撤兵をするという、国際社会と国連決議のその原則を受け入れるということによって初めて行われるわけであります。私は、それによって一日も早くこの武力行使が終結することを心から願っております。
    〔議長退席、副議長着席〕
 湾岸情勢の現状を踏まえて、我が国としてのできる限りの措置として、我が国の自主的な判断に基づいて、今般九十億ドルの追加支援策を決定したものであります。これは、湾岸の平和と安全を回復するために行動しておる二十を超える国々の努力が報われるように、また一日も早く平和が回復されるように、当面要する経費に充てるため行ったものでありまして、政府としては、戦闘行為が一日も早く終結することを願っており、現在のところこれ以上の追加支援は考えておりません。
 また、アメリカにおいていろいろの報道がなされておることは承知いたしておりますけれども、アメリカ政府としての経費の見積もりや財源調達の方針について説明を受けたことはございません。
 また、国際機関から要請を受けて自衛隊の輸送機による避難民輸送に対応することについては、人道的な見地から緊急の輸送を要する場合に必要に応じて行うものでありまして、自衛隊の輸送機による避難民の輸送を行う際には、安全の確保に万全を尽くすことは民間機の場合と同様でございます。
 また、国連平和協力法が廃案になって、我々はこのことを厳しく受けとめておりますが、同時に、あのときの審議を通じて、我が国が平和のために資金面、物資面のみならず人的な側面においても貢献すべきであるという点については、皆さんの間にも共通の認識が生まれつつあるのではないかと認識をいたしております。また、そのとき公明党、民社党、自民党の三党において合意を得たあの基礎を踏まえて、新しい国連協力のあり方について成案を得べく、目下努力を続けておるところであります。
 今般の避難民の輸送という人道的、非軍事的な分野において関係国際機関の要請のあったものについては、現行の自衛隊法第百条の五の規定に基づいて、「その他政令に定める者」というのに従い、必要な政令を制定の上、対応できるようにしておる次第でございます。
 湾岸戦争のどさくさに紛れた海外派兵だとおっしゃいますが、海外派兵というのは、武力行使の目的を持って武装した部隊が他国の領土、領海、領空へ行くことを海外派兵というのではなかったでしょうか。人道的な面で避難民の輸送にこたえるということは、これはどさくさ紛れの海外派兵ではないと私は考えております。(拍手)
 なお、一月十五日のぎりぎりの時点まで日本は何をしたか。最後まで私は、平和的解決の努力をすべきであるということを粘り強く言ってまいりましたし、また直接、国連の事務総長やその他の国の首脳に対しても、クウエートからの撤退をイラクが受け入れるように、いろいろな方法を通じて努力を重ねてきたところであります。そうして、日本としては、最後に努力をされた国連事務総長の調停に対しても、これは全面的な支持を表
明するとともに、国連事務総長のあの最後の声明というのは、フランスの案もアメリカの意見も、安保理事会に所属する国の意見が、全部徹夜のぎりぎりの努力を通じて事務総長の声明という形で表明されておるわけであり、また、十六日のフランス国民議会においては、フランスの最後のぎりぎりの提案に対しても何らイラク側からは反応を得ることができなかったという判断がフランス政府において行われておることも、あわせて申し上げておきたいと思うわけであります。すべての努力を受け入れなかったイラクの態度にすべての根底があると私は考えております。
 また、我が国の防衛政策についてお触れになりましたが、防衛計画の大綱をつくりましたときは、世界は東西対立から安定化の努力が始められたときでございました。我々は、この大綱制定のときに、平和時における我が国の保有すべき基盤的な防衛力というものを想定し、日米安保条約のもとにおいて日本の平和と安全を確保するための節度ある防衛力の基準を決めて、従ってきたわけであります。その後、好ましい方向に世界の情勢が流れておること等も考えながら、憲法及び専守防衛の基本的な防衛政策に従い、昭和六十二年の閣議決定の精神を踏まえて、引き続き整備を行ってまいりたいと考えております。
 また、我が国の福祉、医療の水準は、先進諸外国と比較しても遜色のないものになってきておると認識をいたしております。医療保障の確保に引き続き努めるとともに、平成元年に策定した「高齢者保健福祉推進十か年戦略」に基づき、この基盤整備等をさらに推進していくところであります。
 消費税につきましては、この前の国会の経緯を踏まえて、両院合同協議会において引き続き協議が行われておると承知しておりますが、全体的、長期的な利益といった観点から建設的な合意が得られることを期待しており、政府は、合意が得られたならば、その趣旨に沿って誠実にかつ迅速に対処してまいりますが、税率の引き上げは、ただいまのところ考えておりません。
 また、米の問題は、アメリカの要求をきっぱり断るかどうかとおっしゃいますが、ガット・ウルグアイ・ラウンドという多国間の協議の場で今審議が続いておるところであります。日米二国間の話ではなく、多国間の国際協議で議論しておりますので、我が国における稲作の重要性にかんがみて、今後とも、米は国内産で自給するという基本的な方針で対処してまいる考えでございます。
 政治改革については、定数抜本是正の国会決議を実行し、金権政治をなくせと、こういうことでありますが、私は、政党本位、政策本位の選挙に改めることが重要だと考え、この見地から、審議会の答申を受けて改革の努力を続けております。定数是正は、国会決議に基づき速やかに検討が求められる問題であることは十分理解をいたしておりますが、この答申においても、新しい制度の中で選挙区間の一票の格差を一対二未満とするということを原則といたしております。これに従って実現すれば、投票価値の平等の要請にもこたえることになるものと考えます。
 また、政治資金においては、企業なども一つの社会的存在であり、この政治献金がよくないと決めてかかるのはいかがかと思います。もとより、企業の政治献金が節度を持って透明裏に行われるべきことは当然のことであると考え、政党各位の皆さん方のこのことに対するお話し合いと適切な結論を強く期待させていただきます。
 政府といたしましては、答申の趣旨を尊重し、選挙制度及び政治資金制度の改革を一体として不退転の決意で実現できるよう取り組んでまいる考えでおります。
 最後に、日ソの領土問題についてお触れになりましたが、北方領土は、歴史的にも法的にも我が国固有の領土であります。北方領土問題を解決して平和条約を締結し、あらゆる分野で質的に新しい両国関係を構築することが我が国の一貫した方針であり、ゴルバチョフ大統領の訪日を日ソ関係の抜本的改善の突破口にし老いと考えております。
 御質問のヤルタ協定については、同協定の当事国でない我が国は何ら拘束されませんし、サンフランシスコ平和条約によって千島列島を放棄した我が国でありますが、我が国固有の領土である北方四島は、我が国が放棄した千島列島には含まれておりませんので、ソ連に対して一貫して四島の返還を強く求めていくところであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○副議長(村山喜一君) 大内啓伍君。
    〔大内啓伍君登壇〕
#10
○大内啓伍君 私は、民社党を代表して、総理の施政方針演説並びに当面の重要な国政課題について質問をいたします。
 一月十七日の対イラク軍事行動の開始は、その平和的解決を願っていた世界の人々の期待に反したまことに残念な事態でありました。しかし、一月十五日までに撤退を求めた国連の六百七十八号決議がイラクによってあからさまに踏みにじられる事態を放置すれば、国連の権威は完全に失墜し、国連はもはや無力な存在として、米ソ冷戦解消後の国連を中心とする新たな国際秩序の構築は望むべくもありません。また、イラクの侵攻によって、何の罪もないクウエートの前途ある青年と子供と女性が、目を覆うような残虐行為によって真っ先に犠牲にされた事実を看過することはできません。(拍手)そしてその犠牲は、イラク軍の支配の中で今日ただいまも続いているのであります。昨日も、なぜ十八時間しか待てなかったのかという議論もありましたが、クウエートの人々が過去五カ月半の長きにわたって地獄の苦しみの中にあったことをさらに長引かせようとでもおっしゃるのでありましょうか。(拍手)
 それらのことを思いいたすときに、国際的な無法と暴力がまかり通るとき、それを力によって守らなければならないときがあるという見地から、それはぎりぎりの必要やむを得ざる選択であったと考えます。(拍手)
 既に、世界の二十八カ国がこの軍事行動に参加し、日本と同じ戦後の敗戦国であるドイツも、ジェット戦闘機十八機とパイロット二百七十人をトルコに派遣し、お隣の韓国も、軍医療団百五十四人をサウジアラビアに派遣しておるのであります。このとき、我が国だけが手をこまぬいて傍観者を決め込んで、日本の特殊事情を理解してほしいでは、世界の国々、世界の人々が納得するはずはありません。(拍手)同本が目に見える、内容のある、時宜にかなった貢献をするよう、米国を初め各国が日本に求めており、我が国は誠意を尽くしてこの要請にこたえなければなりません。(拍手)
 この事態に対し、政府は、一月二十四日、九十億ドルの多国籍軍に対する追加支援を決定されました。この資金協力は、戦争開始前の戦争抑止のための後方支援とは異なり、開戦後の多国籍軍の戦費に対する負担であるだけに、それは紛れもなく戦費支援策の性格を持つものであります。
 現に政府は、九十億ドルの積算根拠として、向こう三カ月間の推定戦費が一日五億ドル、計四百五十億ドル程度と推定し、その二〇%を日本が負担することにしたと言っていることでも明らかであります。とすれば、それは、日本は憲法上、多国籍軍の軍事行動に直接参加することは許されないので、せめて資金面でこれを手助けするということになります。もしそうだとすれば、政府はこの際、国民に対し、次の諸点を明らかにすも責任があると存じます。
 第一は、それはいかなる憲法解釈によるものであるか。第二は、それはどのような政策的な配慮によるものか。第三は、なぜ日本が米国とほぼ同率の負担をすることが必要なのか。
 特に第三の点については、アメリカのベーカー国務長官が二十六日の記者会見で、サウジアラビア、日本、クウエートから拠出される総額三百六十億ドルは、多国籍軍ではなく、米国への財政支援と受けとめている、それは我々が日本政府に頼んだものだと述べているが、もしそれが本当であれば、将来に大きな問題を残すことになります。
 それらの諸点について、海部総理の明確な説明を求めます。(拍手)
 私は、国連決議を遂行するための多国籍軍の軍事行動に対して、日本が資金面で支援、協力することは、国連を国際的平和維持の唯一の機関として強化していく上で、国際国家日本として果たさなければならない不可欠の貢献であるとともに、日本外交の基軸である日米関係を維持していく上でもやらなければならないぎりぎりの対応であると考えております。(拍手)
 同時にそれは、憲法九十八条が規定する「確立された国際法規は、これを誠実に遵守」し、また、その前文にうたわれている「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」、我が国は「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」という憲法上の要請にこたえるものと確信いたします。(拍手)この私の見解について、海部総理の御所見を承りたい。
 ところで、政府は、さきの九十億ドルの支出財源をいまだに明らかにしてはおりません。我々は、その財源については、今いろいろ取りざたされているような安易な増税や赤字国債の発行に求めてはならないと考えます。最大の戦費を使っている米国すらも、増税を回避する努力を尽くしているのであります。重要なのは、まず政府自身が汗を流すことであります。
 かつて、八一年の財政危機に直面したとき、第二臨調をつくり、「増税なき財政再建」を掲げて、行革で財政の再建を図ったことを総理は想起すべきであります。すなわち、今なすべきことは、国民に負担を求める前に、既定経費の思い切った削減と新たな行政改革の断行によって税金のむだを省き、また、国有地や日本たばこ産業株式会社など政府保有株の適切な放出を行うことなどにまず着手すべきだと考えますが、政府の方針を明らかにされたい。(拍手)
 また、政府は、九十億ドルの追加支援とともに、避難民輸送のために、特例措置として、自衛隊輸送機を派遣することとし、このため自衛隊法百条の五に基づく特例の新政令を決定されました。
 去る一月十七日の党首会談で、私は、危険地域への民間機のチャーターが極めて至難な状況の中では、人道的な見地から自衛隊輸送機の使用についても真剣に検討するよう提案した立場から、政府がその派遣を決意されたことは、責任ある姿勢としてこれを評価いたします。(拍手)武力行使を目的としない難民救済こそは、人道主義と平和を求める日本の立場として、どの国よりも率先してやらなければならない重要な国際協力だと考えるからであります。(拍手)
 そうした崇高な活動の遂行に当たって、危険なところへは自衛隊は一切派遣しない、危険なところはすべて民間にお願いする、そういう姿勢でどうして民間の方々がこれに納得して協力するでありましょうか。(拍手)また、日本としての責任を遂行することができるでしょうか。民間だけでできるというなら、その具体的な計画を示すことが公党の責任ではありますまいか。(拍手)
 しかし、私は、人道的な目的にせよ、初めて自衛隊輸送機を海外に派遣するという重要事項の決定に当たって、政府の考えだけでいかようにもできる政令でこれを処置することは、極めて不適切だと考えます。現に、さきの臨時国会の論議でも、政府は一貫して自衛隊法を改正しなければできないという答弁を繰り返していたではありませんか。恐らく、難民救済のために輸送機を派遣すれば、それに付随して防衛医官の派遣も伴うことでありましょう。
 今回、政府が当然の筋である法改正を避けたゆえんは、今日のねじれ国会の現状を配慮した結果でありましょう。しかし、難民救済が自衛隊が負うべき重要な任務の一つであるならば、自衛隊法の改正が必要であることを国民に率直に訴えることが正直な政治ではありますまいか。(拍手)そういう国民への真剣な訴えこそが、今、海部総理、あなた自身に求められている最も重要な政治姿勢だと思うが、総理の御所見を承りたい。(拍手)
 なお、極めて憂うべき事態として、今回のイラクによる油流出作戦は、化学兵器の使用にも匹敵する卑劣きわまるものと言わなければなりません。既にサウジアラビアの淡水化施設にも影響が出始めており、今後の推移いかんによっては、その環境破壊ははかり知れないものになることが予想されます。既に各国は、具体的にその対策に動き始めております。公害技術先進国である日本は、直ちに技術援助に立ち上がるべきだと思いますが、政府の具体策はいかがでありましょうか。この点は、昨日、党として政府に強く申し入れたところであります。
 また、懸案となっている国連の平和活動に協力するための法整備についてでありますが、実効ある組織づくりを目指し、今国会で成立を期すべきと考えるが、海部総理の決意を明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)
 次に、ソ連情勢と日ソ関係について質問いたします。
 ソ連政府が、バルト諸国の無辜の市民に対し、武力をもって弾圧し死傷者を出したことは極めて遺憾であります。これは、まさにペレストロイカや新思考外交に逆行するものであり、我が国の対ソ関係、対ソ経済支援も再検討すべき状況にある
と考えます。既に西欧諸国も、対ソ関係、対ソ支援を再検討する姿勢を表明しております。当面の人道的食糧援助を含めて、我が国としてはどう対処するのか、先日G7も開催され、西側の協調が話し合われておりますが、その内容も含め、日本の方針を明らかにされたい。
 私が遺憾に思いますのは、総理が新年に伊勢神宮に参った後の記者会見で、ゴルバチョフ大統領が来日しても北方四島返還は簡単ではないと、みずからトーンダウンした発言をされたことであります。これから交渉に臨む責任者がこうした姿勢で、果たして交渉が前進するでありましょうか。極めて軽率な発言と言わなければなりません。総理の四島返還交渉に臨む決意を改めてお伺いをいたします。(拍手)
 次に、消費税など税制問題についてお尋ねいたします。
 平成三年度予算案が欠陥消費税のもとで編成されることになったことは、まことに残念であります。周知のように、現行消費税には、社会的弱者の生活を圧迫する逆進性、消費者が払った税金が国庫に納められない益税、預かった税金を財テクに利用する運用益という三つの重要な欠陥があります。とりわけ、簡易課税制度などの特例措置により、四千八百億に上る税収が国庫に入らなくなっております。国庫を預かる政府が、合法的に税金でもうける制度を認めていることに何ら恥じ入る姿勢を見せないことに海部内閣はどう釈明するのか、総理の明快なる答弁を求めます。(拍手)
 我が党の提唱に基づく与野党の両院合同協議会で、これら益税や運用益の解消、教育、福祉などの非課税化などがようやくまとまりました。自民党の反対によって食料品の全段階非課税が合意できなかったことは、極めて遺憾であります。だからといって、合意した部分まで先延ばしにすることは許されるものではありません。一部には、全部の合意ができないうちは何一つやるべきではないという無責任な意見もありますが、国民に対して責任を果たそうとする政党間で速やかに成案を得て、消費税の欠陥是正を実現するよう提唱いたします。海部総理の御所見をお伺いいたします。(拍手)
 土地問題は、今日、政治に課せられた最重要課題の一つであります。今回政府の提出した地価税の導入を柱とした税制改革案は、国民の期待に全く反したものと言わなければなりません。
 まず第一に、学者や民間研究所の試算では、地価税の地価引き下げ効果は〇・四%程度で、地価の引き下げ効果は全く期待できないことが明らかにされております。
 第二に、地価税の課税対象者はわずかに五万人程度で、それらの人々は、土地の放出ではなく地価税を価格に転嫁してくることは必定であります。その意味で、地価税はむしろ大衆課税になる可能性が極めて大でありますが、いかがでありましょうか。
 都市開発協会の調べでは、平成元年度の住宅価格は、土地価格の高騰のために、東京二十キロ圏、つまり通勤に一時間程度かかる地域の場合、一戸建て住宅の値段は、平均で何と一億一千七百九十三万円にも達します。これはサラリーマンの平均年収の十八倍にも達し、到底手の届くものではありません。このような現状を放置してきた政府・自民党の責任はまことに重大であります。
 第三に、土地税制を提唱するならば、同時に都市計画法、建築基準法の改正法案を提出すべきであります。また、農地の宅地並み課税についても、政府による国債買い上げ制度を検討すべきであります。初めに地価税ありきといった財源対策だけでどうして土地問題が解決できるでありましょう。(拍手)
 以上の見地から、この際、地価税は根本的に再検討すべきだと考えますが、この際、国民が納得し得る総理の明快な答弁を求めます。(拍手)
 次に、老人保健法の改正について伺います。
 我が国の経済力に見合う豊かさと生活実感とのギャップを解消することが求められている中で、豊かさの中の貧困が目立っているのが老人福祉サービスであります。日本の老人福祉サービスはいまだ先進国並みとは言えません。それゆえ、老後に不安を感ずる国民の数はむしろ年々増加しております。このとき、老人保健法を改正し患者負担を増大させることは、国民の老後への不安をさらに高めることになります。患者負担を求める前に公費負担の引き上げを実行することが必要ではありますまいか。高齢化社会に備えるためだとして消費税の導入を行いながら、まず患者負担を求めるというやり方は、国民をだますやり方と言わなければなりません。(拍手)国民の老後の不安をなくするためにも、老人保健に対する公費負担を三割から五割へ引き上げるべきだと考えるが、総理の見解を承りたい。
 次に、ウルグアイ・ラウンドと米問題について伺います。
 ウルグアイ・ラウンドのタイムスケジュールを考えるとき、日本は二月中旬までにラウンドがまとまるよう積極的に汗を流し、リーダーシップを発揮する必要があります。そのため、自由貿易体制と米の市場開放は行わないことは決して矛盾するものではないことを確信を持って主張すべきであります。にもかかわらず、政府・与党首脳から米の一部輸入自由化容認発言が相次いでいるのは極めて遺憾であります。総理は、米の国内自給は貫徹する方針で交渉に臨まれるのか否か、その所見を伺います。
 次に、政治改革、選挙制度改革について伺います。
 自民党政治改革要綱で示された小選挙区比例代表並立制は、どのような試算によっても自民党が四割の得票で八割もの議席を獲得するという、世界に例を見ない非民主的な選挙制度であります。議席に生かされない死票は、現行の中選挙区制の約三倍にも達するのであります。まさに、この案は、国民の意見を政治に正しく反映するという政治改革本来の目的から遠く離れたものと断ぜざるを得ません。
 総理は、就任早々、内閣の命運をかけて政治改革の実現に取り組むと内外に表明しましたが、今日まで何一つ実現してはおりません。総理の言う内閣の命運をかけるとは、あなたの任期中に法案を提出し、成立させるということなのか、成立させることができなければ責任をとるということなのか、お伺いをいたしたい。
 昨年末の党首会談において、あなたは、一党だけで法案を提出することはしない、人口格差が三倍を超える違憲状態のもとでは、解散権は政治的に制約されると思うと答えられました。総理、選挙制度改革と定数是正はこの際切り離して考え
るべきときに来ていると思いますが、総理の御見解をお伺いをしたい。(拍手)
 最後に、このたびの施政方針演説であなたが提起された信頼の政治についてお伺いいたします。
 信頼の政治を確立する根本は、相次ぐ政治腐敗をみずからの中から発生させながら、口先だけの政治倫理を説き、四割の得票で八割の議席を獲得する選挙制度を提唱するような次元の問題ではありません。二十一世紀に向かって国民に希望と誇りと確信を与える日本としての政治の目標、すなわち、政治のマニフェストを国民に明示することこそが、信頼の政治を確立する根本ではないでしょうか。(拍手)ルーズベルトはニューディールを、レーガンはより強きアメリカを、アトリーは福祉国家建設を、ネールと周恩来は平和五原則をというように、世界の偉大な政治家たちは、常に国民に向かって政治の目標を指し示しております。
 海部総理、あなたの政治目標は一体何でありましょうか。外国人が日本を異様な国家と指摘するように、日本の政治が今日内外から不信を持って見られるゆえんは、この点が全く不明であることに起因いたします。それが明らかであれば、国民は一時的な犠牲や忍耐を必ず受け入れるでありましょう。
 私は、日本が今内外に向かって宣明すべき政治的マニフェストとは、第一に、内にあっては日本の持つ経済力を二十一世紀に向けて生活先進国づくりに集中する、第二に、物質的な豊かさだけではなく、日本の精神文化を発展させるために文化先進国を目指す、第三には、日本の持てる経済力、技術、文化を、国連の強化、世界の平和と繁栄の維持、自由と人権の発展、地球環境の保全につき込む国際協力先進国を目指すという三点を内外に高らかに宣言し、そこに向かって渾身の努力を尽くす姿勢を示すことが、今、日本に求められている最も重要な課題だと確信いたします。(拍手)
 この点についての総理の所見を最後にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 大内委員長にお答えを申し上げます。
 九十億ドルの追加支援と憲法の関係についてるるお述べをいただきました。
 私は、国際の平和回復ということは、日本国憲法も恒久の平和を念願しておりますし、また、日本国憲法の前文にも「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、」「国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」と宣言をいたしております。第九条は、その前半において「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求しこと書いております。我が国の平和憲法の平和主義、国際協調主義というものは、国連が今行おうとしておる国連決議に反する力による他国の侵略、併合という事態を許さない、認めないという新しい平和の枠組みに対して、一番根本的な問題を提供しておると思います。
 これに対して、日本が憲法で禁止する武力の威嚇または武力の行使を伴わない方面ででき得る限りの支援を行うことは、お説のとおり憲法に違反するものとは考えませんし、逆に、さきに申し上げました憲法が宣言しておる平和主義、国際協調主義に合致したものであると私は考えるものでございます。(拍手)
 また、日本が米国と決して同率の負担をするということではないわけでありまして、そのようなときに日本はどのような協力ができるかということで、あらゆる事情を総合的に勘案して、自主的な判断で行ったものでありまして、経費の何%とかあるいはアメリカと同額とかいうようなことでやったわけではありません。アメリカ政府としてのいろいろな見積もりが米国内部で取りざたされておることは承知しておりますけれども、政府としての見積もりについては説明を受けたこともございません。
 また、これはどこへ支払われるかというお話でございましたが、あくまで国連決議に従って平和回復活動に参加している多国籍軍に支援するものでありまして、米国を中心とする多国籍軍への支援でありますが、これの支出は湾岸平和基金に提供をし、そこの運営委員会において最終的にどうなるかのことについては決定をされるものとなっております。
 また、この資金協力は憲法との関係でお尋ねがありましたけれども、日本の憲法が禁止しておりますものは、武力による威嚇または武力行使、同時にこれは国家による実力行使でありまして、資金の提供、世界平和と安定を回復するための行動に対する支援というものは、憲法の理念に合致しておるものと考えております。
 自衛隊の問題につきましては、人道的立場から海外の避難民の移送について自衛隊機を使用せよ、ただ、法改正がなぜできなかったかというお話でございましたが、具体的な要請が既に来ておったわけでありますし、同時にまた、自衛隊法を見ますと、第百条の五に、明瞭に「その他政令で定める者」という規定が自衛隊法の中にございます。そこで、「政令で定める者」というその政令を新たに設け、今回の湾岸危機に伴い生じた避難民の輸送という極めて人道的な、非軍事的な分野において関係国際機関から要請がありましたので、それに対する対応のできるように、新たに必要な政令を制定した次第でございます。
 また、自衛隊輸送機とともに防衛医官の派遣をすべきではないかというお尋ねでございましたが、輸送機を派遣するに当たって、自衛隊員の保健衛生、医療に従事することを主たる目的として医官を派遣することについては、現在、防衛庁において検討中と承知をいたしております。
 原油の流出に対する問題については、地球環境の破壊、周辺関係諸国民の社会生活への重要な影響が及ぶという観点から、極めて憂慮すべき事態と受けとめておりますし、このような環境に対する行為は極めて慎重であらなければならぬということを、重ねてイラクに強く求めたいものであります。
 我が国としても、国内での海洋汚染とこれに対する対応という経験を生かして、今般のペルシャ湾における原油流出に対しましては、関係諸国の要請を踏まえ、可能な限り対応をいたしてまいります。具体的には、例えばオイルフェンス等の必要な機材の提供、海水淡水化装置については技術、情報の提供など、さらには、原油流出による環境汚染調査に関する協力などが考えられておりますので、既にこれらの問題の具体策については、何がどのような形でどの程度なし得るかについて具体的な検討を進めております。
 また、国連の平和活動に対する法整備についてのお尋ねでございました。
 先般の臨時国会における国連平和協力法案の審議や各界各層における議論を通じて、我が国が平和のために、資金、物資面のみならず人的側面においても貢献すべきであるという点について御理解と共通の認識が深まりつつあるということは、私は大いに心強いことだと受けとめております。政府といたしましては、その際、公明、民社、自民各党間の合意事項を尊重いたしまして、新たな国際協力のあり方について一日も早く成案を得たいと考えておる次第であります。御理解を、そして御協力をいただくようにお願いを申し上げておきます。
 また、北方四島の返還問題については、私は、日ソ間においてこれまで関係改善のために随分あらゆる努力が続けられてきたということを承知いたしております。そして、今こそ抜本的改善のための飛躍を実現したい。そのためには、ゴルバチョフ大統領の来日をその日ソ関係解決のための突破口にしたいと考えておるわけであります。
 我々は、今まで知的交流やあるいは技術調査団の受け入れやいろいろなこと等をして、できる限りソ連のペレストロイカの正しい方向性を支持するという立場に立って協調もしてまいりました。ただ、無原則な政経分離は、これは行わないで、北方四島の一括返還と平和条約の締結を含めて、拡大均衡の中でともに解決をする、そのための節目にしたいと考えておるわけでありまして、大切に考え、今後、四月のゴルバチョフ大統領の来日に向けて、日ソ間の関係改善のために真剣に取り組んでまいる決意でございます。
 逆進性等の欠陥があり、税収が国庫に入らない消費税手直しの決意を問うというお尋ねでございました。
 第百十八回国会における法案処理の結果を踏まえて国会に設置された両院合同協議会において、引き続き御指摘の中小事業者向け特例措置の問題等も含めて協議が行われるものと承知いたしております。政府としては、消費税の必要性を踏まえつつ、国民の全体的、長期的な利益といった次元から協議が行われ、具体的な合意が得られることを期待しておりますが、合意が得られれば、政府はその趣旨に沿って誠実にかつ迅速に対応していく考えでおります。
 地価の引き下げ効果について御指摘がありましたが、地価税の具体的な効果については、地価税の導入だけでそれができるというよりも、固定資産税の評価の適正化、均衡化、譲渡課税の負担の適正化、土地の相続税評価の適正化、三大都市圏の農地課税の見直し、土地を利用した節税策への対応、優良な住宅地の供給促進のためなど、いろいろな施策を総合し、保有と譲渡と取得の各段階における抜本的な見直しを含めて、これらが相まって全体として土地の資産としての有利性の縮減、有効利用の促進、仮需要の抑制、住宅地の供給促進などが図られて地価の抑制、低下につながっていくと考えておるわけであります。
 これは大衆課税となるのではないかとの御指摘でございましたが、地価税の転嫁の可能性やその程度については、それぞれの財・サービス市場の需給状況等に依存するものであり、一部の財貨・サービスの価格が上昇することは考えられますが、一回限りの物価上昇にとどまり、全体としては一般的なインフレ、大衆課税にはつながっていかないものと考えられます。
 また、都市計画法、建築基準法についてお触れになりましたが、都市のビジョンを踏まえた適切な土地利用の規制、誘導が大切であることは、御指摘のとおりでございます。今後の都市計画制度のあり方については、現在都市計画中央審議会に諮問し、幅広く検討を進めているところであります。
 このような見地から、地価税は抜本的に再検討すべきではないかとお結びになりましたが、地価税は、公共的性格を有する資産である土地に対する負担の公平を確保しつつ、その資産としての有利性を縮減するために、資産価値に応じた負担を求める観点から創設するものでありまして、土地の保有コストを増加させ、保有コストに対する意識を高め、地価の低下、抑制、土地の有効利用の促進等、土地対策に資するものと考えており、その内容はただいま最善のものを提出するように考えております。
 老人保健につきましては、政府は、本格的な高齢化社会に向けて老人保健制度を改正し、介護についての総合的な体制づくりを進めるとともに、今後とも増大が見込まれる医療費について、介護の色彩の強い部分の公費負担割合を三割から五割に引き上げ、あわせて必要な受診を抑制しない範囲内での患者負担の見直しを行おうとするものであります。長期的安定が図られるものと考えております。
 また、米の問題は、ウルグアイ・ラウンド交渉においても、米、稲作の重要性にかんがみ、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる考えでおります。
 また、政治改革は、なさなければならない問題であるということを考え、この実現をするために、私は、選挙制度審議会からいただいた答申の趣旨を尊重し、民主主義の根底を支える選挙制度及び政治資金制度の抜本的な改革を図っていくことが時代から課せられた厳粛な使命だと受けとめておりますから、不退転の決意を持ってこれに取り組んでまいります。なお、できるだけ早く成案を得て国会の御審議がいただけるよう、政府として最大の努力を続けてまいりますが、各党各会派の御協力もお願い申し上げる次第でございます。
 また、定数是正は切り離して先行させるべきではないか、与野党協議の場をどう考えるかとお話してあります。定数是正は、国際決議に基づいて速やかに検討が求められている重要な課題でありますが、事柄の性質上、各党各会派で十分御論議いただくことが御指摘のように大切なことであると考えております。
 また、二十一世紀に向けては生活先進国を政治的マニフェストにすべきではないかとの御説でありました。私も御説に同感をしながら聞いておりました。一人当たり所得は確かに世界の最高水準になっております。失業率も比較的低くあります。平均寿今も高くなってきております。これら欧米先進国に比べてすぐれておる部面が多いに反して、住宅や社会資本の整備や、労働時間や食料の価格や余暇関連の時間など、まだまだ豊かさを実感できないものは御指摘のように残っておると言わなければなりません。私は、ゆとり、安心、多様性のある国民生活を実現するための具体的な方策として、昨年十二月に国民生活審議会に対し
て、これらを通じて生活先進国を実現するための諮問をしたところであり、答申の成果を踏まえて頑張ってまいりたいと考えております。
 文化先進国に関して、また国際協力先進国に関して、文化、スポーツの薫り高い豊かな暮らしをできる社会を実現していくように努力をせよという御指摘に対して、私は、その御質問の御趣旨を十分に念頭に置きながら、今後とも責務を果たしてまいりたいと考えております。
 残余は関係大臣から御答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣中山太郎君登壇〕
#12
○国務大臣(中山太郎君) 大内委員長にお答えいたします。
 ソ連のバルト諸国への武力弾圧を踏まえて、他の西側諸国は対ソ支援の再検討を始めたが、我が国は人道的な援助を含めどう対処するのかというお尋ねでございました。
 ソ連のペレストロイカは、現在、社会的にも経済的にも政治的にも非常に難しい重大な局面に逢着していると思います。我が国としても、最近のバルト諸国における武力行使を深く憂慮いたし、事態の民主的、平和的な解決を強く求めているところでございます。
 このような我が国の考え方につきましては、先般の私の訪ソの際に、ゴルバチョフ大統領に対し、民主化、自由化等のペレストロイカ路線の堅持を強く求めてまいりましたし、種々の機会にソ連側に明確に伝達をいたしてまいりました。今後とも、他の西側諸国とも協調しつつ、ソ連における民主化、自由化が堅持されるように要請をしてまいる所存でございます。
 対ソ人道的な支援につきましては、ソ連の国内情勢の今後の推移を十分勘案しながら慎重に検討していく考えでございます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#13
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大内委員長に総理の御答弁を補足してお答えを申し上げます。
 歳出の節減合理化と申します点は、これは政府としても常に心がけていることであります。しかし、今回の追加支援の財源について、歳出の削減あるいは行政改革をもってその財源に充てるべきではないかという御意見に関しましては、連年にわたり行財政改革を進めてくる過程におきまして、歳出の削減については、毎年の予算編成や執行過程で常に努力をしてまいったところでありまして、例えば、年金、医療制度の改革、あるいは地方財政対策の改革、あるいは食管制度の改革といったぎりぎりの節減合理化措置を続けてまいったところであります。また、各種の歳出は、厳しい財政事情などを踏まえながら、真に必要な財政需要に適切に対応するために予算計上しているものでありまして、いずれも国民生活に密接に結びついていることから、今回必要となります財源をそのような経費の節減、行政改革というものによりまして捻出することは、到底困難であるという点をどうか御理解をいただきたいと思います。
 また、国有地あるいは政府保有株式、特に日本たばこ産業株式会社の適切な放出をという御意見でありましたが、国有地につきましては、公用、公共用優先という原則のもとにその活用を考えていく必要があります。そして、特に残り少ない都市部の国有地につきましては、その確保に努めながら、都市施設あるいは都市再開発、また公共用の住宅プロジェクトの用地としての活用など、その有効利用を図る必要があること、また、特に現時点におきましては地価対策に配慮をする必要があること、また、NTT株式及び日本たばこ産業株式会社の株式につきましては、昭和六十年の民営化に際しまして、その売却収入は国債の償還に充てることが制度的に確立をいたしておりますが、これは、昭和五十七年度から定率繰り入れの停止を余儀なくされていたことや、それまでの巨額の国債残高の存在を踏まえてとられた措置でありますこと、また、株式の売却につきましては円滑な消化が必要でありますけれども、特に現在の市場動向のもとでは、株式市場に与える影響に十分配慮する必要があること、こうしたことを考えてまいりますと、これらをもって追加支援の財源に充てるのはなかなか難しいのではないかと考えます。
 いずれにいたしましても、今般の支援につきましては、平和を希求する国際社会において主要な地位を占める我が国が積極的に果たしていかなければならない責務でありますし、今日の国際社会の中にあって我が国の国民があまねく平和を享受していることにかんがみれば、痛みを伴うものではありますけれども、国民の皆様方に広くその御負担をお願いせざるを得ないと考えておるところでありまして、御理解と御協力を切にお願いする次第であります。
 また、先般のG7において、ソ連についてどのような論議が行われたかという御指摘がございました。
 本来、今回のG7におきましては、IMFなど四国際金融機関によりますソ連経済調査報告が出されましたものを受け、今後の対ソ経済支援についての方針を考えること、また、IMF、世銀におけるソ連に対する特別の地位を与えるかどうかについて論議が交わされる予定でありました。
 ところが、会議の約四十分前に、バルト三国における第二カ国目の戦闘行為が公表され、死者が出たということになりまして、にわかに会議の雰囲気は変わりました。そして、お互いに各国が最近のソ連情勢について持っている情報を交換しながら、ソ連に対する措置というものは、全部G7においては今回先送りをされたという状況であります。(拍手)
#14
○副議長(村山喜一君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 国家公安委員会委員任命につき同意を求める
  の件
#15
○副議長(村山喜一君) お諮りいたします。
 内閣から、国家公安委員会委員に那須翔君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#16
○副議長(村山喜一君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
#17
○副議長(村山喜一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十六分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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