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#1
第120回国会 本会議 第11号
平成三年二月二十一日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第七号
  平成三年二月二十一日
    正午開議
 第一 国の補助金等の臨時特例等に関する法律
    案(内閣提出)
 第二 特定物質の規制等によるオゾン層の保護
    に関する法律の一部を改正する法律案
    (内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 国の補助金等の臨時特例等に関する
  法律案(内閣提出)
 日程第二 特定物質の規制等によるオゾン層の
  保護に関する法律の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明及び質疑
    午後零時四分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(櫻内義雄君) 御報告いたすことがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員村上勇君は、去る一月二十八日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、議長において去る二月十八日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議
 をもってその功労を表彰され さきに人事委員
 長懲罰委員長水害地緊急対策特別委員長の要職
 につき またしばしば国務大臣の重任にあたら
 れた正三位勲一等村上勇君の長逝を哀悼し つ
 つしんで弔詞をささげます
     ――――◇―――――
 日程第一 国の補助金等の臨時特例等に関す
  る法律案(内閣提出)
#4
○議長(櫻内義雄君) 日程第一、国の補助金等の臨時特例等に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長平沼赳夫君。
    ―――――――――――――
 国の補助金等の臨時特例等に関する法律案及び
  同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔平沼赳夫君登壇〕
#5
○平沼赳夫君 ただいま議題となりました国の補助金等の臨時特例等に関する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、最近における財政状況及び社会経済情勢並びに累次の臨時行政調査会の答申等の趣旨を踏まえ、財政資金の効率的使用を図るため、国の負担金または補助金に関する臨時特例等の措置を定めようとするもので、その主な内容を申し上げます。
 第一に、平成二年度まで暫定措置が講じられてきた事業に係る補助率等に関して、まず、公共事業に係る補助率等については、昭和六十一年度に適用されていた補助率等まで復元することとしております。また、義務教育費国庫負担金のうち共済費追加費用に要する経費等に係る補助率等については、引き続き昭和六十一年度に適用された補助率等を適用することとし、いずれも平成五年度までの暫定措置とすることとしております。これらの措置は、三十一本の法律にわたっております。
 なお、今回の補助率等の特例措置の対象となる地方公共団体に対しましては、その事務事業の執行及び財政運営に支障を生ずることのないよう財政金融上の措置を講ずることとしております。
 第二に、地震再保険特別会計法及び自動車損害賠償保障法の二法律について、平成五年度までの暫定措置として事務費の繰り入れの特例を定めることとしております。
 本案につきましては、二月十三日橋本大蔵大臣から提案理由の説明を聴取した後、二月十五日から質疑に入り、去る十八日質疑終了後、採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(櫻内義雄君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    ―――――――――――――
#7
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 特定物質の規制等によるオゾン層
  の保護に関する法律の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
#8
○議長(櫻内義雄君) 日程第二、特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長奥田幹生君。
    ―――――――――――――
 特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔奥田幹生君登壇〕
#9
○奥田幹生君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書が改正されましたことを踏まえ、我が国におきましても、オゾン層の一層の保護を図るため、特定フロン等に関する規制を強化する等の措置を講じようとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、製造等の規制の対象となる特定物質にトリクロロエタン等を追加すること、
 第二に、新たに指定物質を定め、その製造数量の把握等所要の措置を講じること等であります。
 本案は、去る二月八日当委員会に付託され、同月十八日中尾通商産業大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十日質疑を行い、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(櫻内義雄君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)の趣旨説明
#12
○議長(櫻内義雄君) この際、内閣提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣橋本龍太郎君。
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#13
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 本法律案は、租税特別措置について、土地基本法の理念を踏まえ、土地に関する税負担の適正公平を確保しつつ土地政策に資するという観点から土地税制を見直すとともに、当面の政策的要請に対応するとの観点から住宅対策、中小企業対策等早急に実施すべき措置を講ずるほか、租税特別措置の整理合理化等を行うものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、土地税制につきましては、個人の土地等の長期譲渡所得に対する税率を引き上げる一方、国または地方公共団体への土地等の譲渡、優良住宅地の造成のための土地等の譲渡等に係る長期譲渡所得に対する軽減税率を引き下げるとともに、法人の土地譲渡について短期所有土地等または超短期所有土地等の譲渡以外のものに対しても新たに重課する措置を講ずるほか、特定の資産の買いかえの場合等の特例制度及び農地等に係る相続税の納税猶予制度の見直し等の措置を講ずることといたしております。
 第二に、住宅取得促進税制につきましては、主として一般サラリーマンを中心とした持ち家取得を一層促進する見地から、控除対象となる借入金等の年末残高の限度額の引き上げ等の措置を講ずることといたしております。
 第三に、商店街等の活性化に資する商業施設等について特別償却を認める措置を講ずるとともに、中小企業における労働力の確保及び定着のための設備投資について税制上の措置を講ずる等、所要の政策的措置を講ずることといたしております。
 第四に、企業関係の租税特別措置等につきましては、平成三年度におきましても、政策目的と政策効果との観点から見直しを行い、特別償却制度等の整理合理化を行うほか、移転価格税制について更正の期間制限を延長する等の措置を講ずるとともに、交際費等の損金不算入制度の適用期限の延長を行うことといたしております。
 その他、山林所得に係る森林計画特別控除、住宅用家屋の所有権の保存登記等に対する登録免許税の特例等適用期限の到来する特別措置につきまして、実情に応じその適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。
 以上、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#14
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。佐藤恒晴君。
    〔佐藤恒晴君登壇〕
#15
○佐藤恒晴君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま趣旨説明のありました租税特別措置法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣にお尋ねをいたします。
 いわゆる行財政改革は、とりわけ国の補助金等削減の開始された一九八五年以来、それは国民生活を犠牲にし、地方自治体に一層の負担を求めてきたものでありますが、近年の大幅な税の増収等もあって、赤字国債発行ゼロの財政目標だけは達成されました。しかし、政府の長期債務残高は、本年度末二百兆円を突破する見通しであり、財政の弾力性はその回復が極めて厳しくなっておるようであります。地方財政の体質もまた同様で、厳しいものがあります。
 政府は、新年度予算案の編成に当たり、歳入をいかに確保するか悩み多かったはずであります。
 昨年の湾岸危機貢献四十億ドル支出決定に当たり、坂本安房長官は十億ドルの決断は相当のものと、さらに大蔵大臣は、財政事情が厳しい折のぎりぎりの決断の結果と記者会見で述べたことをよもや忘れてはいないと思うのであります。その予算案は、国民の圧倒的反対を押し切って導入された消費税四兆九千四百四十億円を含むものとなっております。
 政府は、機会あらば、消費税は国民の間に定着したなどと誇らしげに宣伝するのでありますが、それは転嫁あるいは納付事務、納税者たる国民の間に混乱が少ない、これが政府の言う定着でしょう。国民納得の定着ては決してないのであります。例えば、本年二月八日、日経リサーチの都内の意識調査によれば、消費税反対並びにどちらかといえば反対が小売業者で五一%、消費者で男性五〇・七%、女性で六九%と、今日なお過半数を超す皆さんが反対をしているのであります。
 本税の今後の取り扱いは、目下両院合同協議会で協議継続中でありますから深くは申し上げませんが、ただ、昨年の政府見直し法案で示された減税額は約一兆一千三百五十億円、合同協議会で示された自民党側の案は約一千四百八十億円、その差は実に九千八百七十億円であります。あれほど導入者竹下総理が強調した税の最大矛盾、すなわち逆進性、これが解消をかたく拒んでいるのは、ほかならぬ自民党と政府であり、協議停滞の最大の原因は実ばここにあるのであります。いずれにせよ、すべての関係者の努力によって早い機会に当面の対処方針が出されるものと信じております。
 そこで、総理は、消費税は大幅な見直しを行うと発言してきた立場から、これらの現状についてどう受けとめておられるか、まずお伺いをいたします。
 ところで、湾岸戦争は撤退、停戦をめぐりまして世界の注目が集まっております。さきの国連平和協力法案は、絶対に戦争は嫌だという大多数の国民の反対に遭って廃案となったことは御案内のとおりであります。にもかかわらず、このたびの自衛隊機の政令による派遣実施との措置は、いかに繕おうとも法と国会否定の暴挙であり、到底容認できるものではありません。多国籍軍への九十億ドルの戦費、軍事費援助は、政府方針の決定に至る経過、根拠、使途などいかなる弁明も理解することはできません。支出自体が戦争を継続し、拡大に導くものであるからであります。
 九十億ドルというこの膨大な数字に比べ、今回の特例措置及び償却の見直しは平年度十億円、何とささやかではございませんか。この九十億ドル支出が不可能となれば国際公約が果たせないなどということがあるそうでありますけれども、確かに外交関係の処理は内閣の事務であります。しかし、法律を誠実に執行する責務もまたあわせて憲法七十三条の定めるところであります。とりわけ財政の処理、支出、課税については国会の決議によるべきであります。
 この湾岸戦争に際し、過去に例なき処置の重大事は海部内閣自身の責任であり、いわゆる国際公約だなどと言ってその実施を迫る姿勢は、国会の審議権を制約し、なおこれを侵すがごときは明らかに越権、議会制民主主義、財政民主主義の否定と言わなければなりません。総理の見解を求めるものであります。
 政府は、国民犠牲の予算案を提出しながら、九十億ドル財源確保策は二転三転、まさに無定見、無節操の限りと言わなければなりません。しかも、総理の去る十七日の熱海市における発言は、まさに円の垂れ流してあります。NATO諸国などの国防費算出方式を参考に、自衛隊費そしてその後年度負担、在日米軍経費負担、軍人関係恩」給、さらに九十億ドル軍事援助などを合算いたしますと、恐らく十兆円にも及ぶと思うのであります。年金や医療など社会福祉充実、公共事業推進のための地方財政の充実、国際貢献のための財源は、こうした歳出の削減によって賄うことをまず基本とすべきであります。いかがでありましょうか。
 イラクのクウエートからの撤退、湾岸戦争の即時停戦を強く求める我が党は、湾岸及び中東地域関係諸国への平和的戦後復興のための協力、また、そのための財政支出はこれを行うべきとの立場から、防衛費の実質的な大幅削減について総理の見解を伺うものであります。(拍手)
 さて、我が国憲法は、言うまでもなく租税応能負担の原則を定めており、租税は所得の再配分の機能を有するものと存じます。しかし、現実は反社会的なものとさえなっております。本来、それが特別措置は、生存権保障のための軽減と特別措置を保証しつつ、租税の軽減、免除を誘引手段といたしまして特定政策目的を達成しようとするものであります。しかしながら、反面、税の公平の原則を犠牲にし、中立性を阻害するものであることもまた避けがたいものであります。
 そうした上で、なお、我が国経済を支える真に中小企業活動育成のためなど存続拡充すべきものもありますが、特別償却、準備金など大幅に見直すべきものがあり、加えて、特別措置と至言える企業税制、高額所得者への課税等々、いわゆる不公平税制と言われるものを含め改革すべきものは多く、またそのときであると思うのであります。
 六十三年度の税務統計によれば、償却の特例による損金算入は、全法人で四千六百六十六億円、このうち資本金一億円以上の法人は全法人の一・三%でありますが、四〇・五%を占め、また、未発生費用の損金算入とも言える、例えば賞与引当金は六兆七十二億円、一・三%の法人で七二・二%を占め、受取配当益金不算入は七千五十五億円、うち一・三%の法人で実に八八・六%を占めるのであります。こうした状況を見過ごすことは経済社会の健全な発展を阻害するものと言わなければなりません。企業税制の見直しについての見解を伺うものであります。
 次に、本改正案では、私たちは、いわゆる長短区分の改正が必要であり、宅地等仮需要の抑制も考慮すべき土地譲渡益課税についても提案されております。一方、〇・三%の税率、十億円の基礎控除と、大山鳴動して生まれた骨抜きとも言われる地価法、それらが仮に成立しても、土地神話を打ち砕き、本来公共的資産としての土地政策をつくり上げるに足るものとはならないと思うのであります。
 また、住宅税制の見直し、資産温存に十分目配りすべき買いかえ特例の見直しは適正であるのか。さらに、農業の持つ本来の機能を見誤っている現状で、税制面から農地を放出させるがごとき見直しはいかがなものでありましょうか。いわゆる不動産金融もさることながら、基本的な都市政策、土地利用政策が確立されなければ、大企業に益するとも国民の期待するものとはならないのであります。
 農水省は、緑の町づくり計画によって、約十年で三十万戸近い宅地供給が可能と言い、建設省は、今般の土地譲渡益課税の改正で、東京圏で今後十年間で最大人十五万戸の追加供給ができると試算しておりますが、いかなる根拠、施策によって成るものか、お示しをいただきたいと存じます。
 庶民のあずかり知らぬ地価上昇、その中での固定資産評価がえと負担増大問題、企業課税の改正は、直接地方財政にも多大な影響をもたらすものであります。地方財政確立の立場から、これらの税制のあり方についての見解を求めるものであります。
 さらに、重ねて、国と地方間の税配分のあり方、高まりつつある租税負担率の抑制をも視野に入れての今後の総合的な税制のあり方について、見解を伺うものであります。
 最後に、十二月六日、毎日新聞の世論調査報道によれば、海部内閣のよい点、外交問題についての姿勢第一位、二一%、わずかであります。税制がよいとするのは最下位でありまして、わずか四%、さらに、よくない点として、指導力がないこと、三五%で第一位、税制改革がよくない、二七%で第二位。また、一月三十一田、読売新聞の報道によれば、海部内閣を支持する理由は、画民党だからが第一位、税制及び土地問題はわずかに六%で最下位であります。支持しない理由では、外交で五〇%、税制問題で三一%の第二位であります。
 長々と引用いたしましたけれども、事は湾岸問題での誤った対応が強く指摘されていることは当然でありまして、税制についても厳しい国民の批判があることにお気づきになると思うのであります。これら世論にいかなる所感をお持ちか、お尋ねをいたします。
 私は、海部内閣の主体性のない外交姿勢に、我が国の粋来のため、世界平和のため、深い憂慮の念を表明せざるを得ません。戦費九十億ドルの支出財源に関し、あたかも防衛費の実質削減を行うがごときは、主権者たる国展、すなわち納税者を愚弄するものであります。税は、内閣の求めによって納めるものではございません。国民みずからがその願いと要求を実現するために寄託するものであります。
 当面する重要課題についての方針の転換を強く求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(海部俊樹君) お答えを申し上げます。
 消費税は、平成元年四月に実施されてから二年近く経過いたしました。この間、物価あるいは消費の動向、転嫁の状況、または申告、納付の状況を見ておりますと、全体として円滑に実施されているものと認識をいたしておりますが、いろいろな御意見や問題点の指摘がございます。
 政府としては、さらなる定着に向けて、御意見を踏まえながら見直し法案を第百十八国会に提出いたしましたが、議員がここで御指摘なさったとおりの法案処理の結果でございました。ただいま両院合同協議会において引き続き協議が行われるものと承知をしており、具体的な合意が得られましたならば、誠実にかつ迅速に政府は対応をしていく考えであります。
 また、九十億ドルについていろいろ仰ぎれましたが、私は、今回の九十億ドルの追加支援は、国連決議による適切な支援の要請を受けて湾岸の平和回復を行っておる多くの国々に対して、我が国の地位にふさわしい支援を行う必要がある。今日、日本が一番大きな恩恵を受けておるのは世界の平和という状況であることも当然であります。また、無法者が何をしていようとそれは一切構わないんだ、世界がこぞって侵略排除の行動を行っておるときに、反戦だ、反対だと言って何もしない、別世界の出来事のように考えていると、自分さえよければいいという一国平和主義につながって、憲法の理念である国際平和主義というものともかけ離れてくるわけでありますから、私はそういったことを考えて、日本の国際的な地位にふさわしい支援を行い、許される範囲で国際的な平和回復活動に協力をしていく必要がある、こう考えたわけでございます。
 したがって、その追加支援を行うためには、そのための予算及び法案について国会で審議をしていただく準備を合いたしておりますから、どうか平和を希求する国際社会においての日本の立場、今日の我が国国民があまねく平和を享受していることにかんがみ、痛みを伴うものであるとは思いますが、国民の皆様にも御協力、御負担をお願いせざるを得ないと考えて、おります。各党各派の皆さんの御理解と御協力をお願い申し上げておきます。(拍手)
 防衛費の削減の問題についてお触れになりましたが、侵略を排除するための国連決議に基づいて行う国際社会の共同行動でありますから、これは平和回復を支援するための所要経費の一部の拠出でありまして、責任ある国際社会の一員として、当然果たさなければならない責務であると私は考えております。
 平成三年度防衛関係予算の問題にもお触れになりましたが、今回、国会での各党の御議論を踏まえて、政府としては、各党の御議論に誠心誠意対応するために、万やむを得ざる措置として行ったものでございます。
 なお、税制については、御承知のとおりに、先般、来るべき高齢化社会を展望して所得の減税、資産、消費の課税を通じて、国民の重税感、不公平感をなくし、抜本的な改革を行ったところであります。
 また、土地問題についても、内政上の最重要課題でありますから、税制面においても、土地基本法を踏まえて、土地に関する税負担の適正公平を確保しつつ、あわせて土地政策に資するという観点から総合的な見直しを行い、既に関連法案を国会に出したところでございます。
 今後とも、国民の理解と信頼に裏づけられた税制の構築に向けて最善を尽くして世論にこたえていくつもりでございます。
 残余の質問については、関係閣僚から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#17
○国務大臣(橋本龍太郎君) 法人税の課税ベースにつきましては、従来から税負担の公平化、適正化の観点から引当金、租税特別措置などにつきまして、実情に即して見直しを進めてまいっております。特に、準備金、特別償却などの租税特別措置につきましては、昭和五十一年以降連年にわたり厳しい見直しを行ってまいりました。平成三年度の税制改正におきましても、所要の見直しを行うことといたしております。今後とも、税負担の公平確保の観点から、社会経済情勢に即応して見直しを進めてまいりたいと考えております。
 また、先般の税制改革は、給与所得に負担が偏り、中堅所得者の重税感が高まっておりました状況などを踏まえ、実質的な負担の公平の確保に資する均衡のとれた税体系の構築を図ったものであります。大衆課税を避ける方向で考えていくべきではないかという御指摘でありましたが、先般の税制改革におきましても、所得税、住民税の課税最低限を大幅に引き上げるなど中低所得者層の税負担軽減に配慮いたしましたこと、所得税、住民税は、改革後におきましても税体系の中心であり、しかもなお強い累進性を有していること、消費税の税率が三%と極めて低い水準とされ、既存間接税の廃止、調整も行われましたことなどに御留意を願う必要があると思います。
 税制への納税者の信頼の基礎となりますものは負担の公平でありますけれども、その場合に垂直的公平と水平的公平の双方を図っていくことが重要であると考えており、今後とも公平、中立及び簡素の基本理念を踏まえながら、実質的な負担の公平の確保に資する均衡のとれた税体系の構築を図ってまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣大塚雄司君登壇〕
#18
○国務大臣(大塚雄司君) 土地譲渡益課税の見直しによる住宅供給促進効果についてでありますが、今回の見直しによる具体的な住宅供給促進効果について推計することは困難でありますけれども、この見直しを含む土地税制の改正は、全体として住宅供給の促進に相当の効果があるものと存じております。今般の住宅宅地関連税制の改正に加えまして、住宅金融、都市計画等関連施策の一層の充実を図りまして、住宅供給の促進に努めてまいる所存でございます。(拍手)。
    〔国務大臣吹田ナ君登壇〕
#19
○国務大臣(吹田ナ君) 佐藤議員にお答えします。
 地方財政確立の立場からこれからの地方財政のあり方はどうだというような御質問だったと思いますが、地方税制につきまして申し上げますと、平成三年度の固定資産税の土地の評価がえに当たりましては、特に住宅用地についてなだらかな負担増加となるように配慮をしておるわけであります。したがいまして、評価がえに伴う増収分の全額を個人住民税の減税にすべて充てるというふうにいたしておるわけであります。また、企業税制につきましても、極力非課税等特別措置の整理合理化に努めてきておるところでございます。
 今後とも、地方財政の確立と住民負担の適正化、合理化の両面に配慮しながら地方税制の一層の適正化に努めてまいりたいと存じております。
 以上でお答えといたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(櫻内義雄君) 井上義久君。
    〔井上義久君登壇〕
#21
○井上義久君 私は、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、公明党・国民会議を代表し、総理に質問を行います。
 本法案の質問に先立ちまして、停戦、和平か地上戦突入かという極めて重要な段階を迎えている湾岸問題に対する日本政府の対応についてお伺いをいたします。
 地上戦突入という事態になれば、双方にはかり知れない犠牲をもたらすことは必至であります。世界は、イラクが国連決議に基づいて即時撤退し、停戦が実現することを強く求めております。その意味で今、ゴルバチョフ・ソ連大統領の和平のための提案が極めて注目されます。既にアメリカなどにもその内容が伝えられており、各国政府の反応も出ております。
 総理は、ゴルバチョフ提案の内容を承知しているのかどうか、また、どのように評価をしておられるのか、さらに、この問題についてアメリカ政府と協議をしたのかどうかお伺いをしておきたい。
 また、政府としては、イラクがクウエートから無条件で撤退の意思を表明すれば停戦すべきだという方針なのかどうか、これもあわせてお伺いしたいのであります。九十億ドルの支援を決定した我が国政府が、こうした重要な局面にどのように対応しようとしているのか、国民が最も注目しているところであります。今後の停戦、和平の見通しと、それに対する日本政府の取り組みを明らかにしていただきたい。
 さて、我が国に今内外から求められている時代的要請は、国民が豊かさを実感できる社会の実現であり、そのために、社会、経済の仕組みを根本的に転換することであります。税制は、社会構造を左右する重要な要素であり、その仕組みを転換する上でも強力なてことなり得るものであります。
 我が国の税制は、これまで生産優遇という論理で貫かれてまいりました。その結果、勤労者の重税感、地価の高騰による資産格差の拡大など、国民の不公平感はその極に達しております。重要なことは、公平、公正という大原則にのっとった税体系を再構築し、税に対する国民の信頼を回復することであります。生産優先、企業優遇のこれまでのあり方から、今こそ生活者重視の税制へ抜本的に転換すべきであります。
 さきの税制改革において、政府が掲げた不公平感の払拭、所得、消費、資産の間の均衡、負担の公平という目的は、言葉のみで何ら根本的な解決を見るに至っておらず、単に消費税を創設するための口実にされたにすぎません。今国会に提案されている地価税法案、そして本法律案に盛り込まれた土地税制では、さきの税制改革で見送られた資産課税について見直しを行い、課税の公平と地価の安定を図るものであるとしております。しかし、結果は、今回も国民の期待とは隔たりがあると言わざるを得ません。
 私は、この際、所得税の総合課税化を初め、土地税制の抜本改革、法人の各種引当金、準備金などの見直しによる法人課税の適正化、国民合意の間接税の構築、国と地方の税源配分の見直しなどを行うことにより、生活者重視の税制を構築すべきであると考えております。この点についの総理の御見解並びに今後の税制のあるべき姿について、御所見をお伺いしたいのであります。
 今回の租税特別措置法の一部改正案の柱は、土地税制であります。しかし、地価税法案と本法律案をあわせ見るとき、土地税制の改正には幾つかの疑問を持つものであります。
 土地税制に対する政府税調の答申は、保有課税と譲渡課税とをともに厳しくすることが資産格差の是正と地価引き下げに効果的であるというものでありました。いわゆる車の両輪論であります。確かに、本法律案においては譲渡課税の強化が行われており、部分的には一定の前進と評価するものであります。しかしながら、問題は保有課税であります。
 土地問題解決の切り札として国民から大きな期待が寄せられていた地価税について、政府・自民党は、当初想定されていた税率を大きく引き下げる一方、基礎控除を大幅に引き上げるなど、内容を大幅に後退させたのであります。租税民主主義の原則にもとるさきの消費税導入、そして今回の地価税の骨抜きと、政府の手法は、税制に対する国民の不信を高めております。このままでは、土地神話の払拭どころか、政治そのものに対して不信感を増幅させることは必至であります。今回の税制改正のように、保有課税を軽減し、譲渡課税を重くすることは、土地対策としても供給を一層少なくする懸念を指摘せざるを得ません。
 総理、地価税の税率をなぜ〇・三%に引き下ばたのか、また、基礎控除を高く設定したのはいかなる理由によるのか、あるいは保有課税を中途半端にし、譲渡益課税を重課して初期の目的が達成できるのかどうか、総理の明快な答弁を求めるものであります。
 土地税制と並び国民の関心の高い住宅取得促進税制について伺います。今回、住宅ローンの税額控除額が引き上げられました。しかし、土地の異常な高騰で住宅に手が届かなくなったのは、特に中堅サラリーマン以下の層であります。勤労者を意識した改正の目玉というには、控除額が余りにも少な過ぎると言わなければなりません。日本経済を支えている中堅サラリーマンの住まいをどう確保するのか、大きな課題であります。私は、控除率二%への引き上げ、さらには、控除期間の延長などが必要だと思いますが、総理の見解を伺うものであります。
 都市部においては、サラリーマンが一生働いても家を持てないのが現状であります。ゆとりのある住宅を保障することは政治の責任であり、その意味で、持ち家の促進は当然のことながら、優良な賃貸住宅の供給が急務であります。住宅取得促進税制との均衡という意味からも、我が党がかねてから主張してきた家賃補助制度の創設をぜひとも図るべきであります。来年度からその一部が実施されることは評価するものでありますが、今後一層の拡充を図り、本格的な家賃控除、家賃手当制度にしていくべきであります。総理の明快な答弁を求めます。
 次に、租税特別措置の整理合理化についてであります。
 租税特別措置の一つ一つは、それぞれ一定の役割を果たしていることは事実であります。しかし、原則的には廃止をし、どうしても必要なものは制度化していくか、あるいは歳出面で配慮していくことが本来の筋であります。少なくとも生活者重視、環境保護等のための租税特別措置に限定する方向で考えるべきであります。今回の改正で、企業関係の租税特別措置では、三項目を廃止し、二十三項目の縮減が決められておりますが、この際、以上のような基本的な考え方に立って、抜本的な洗い直しか必要であります。総理の見解を伺うものであります。
 この機会に、消費税と所得税の総合課税について伺います。
 消費税は、納税者たる消費者への配慮が不十分で、納税事務を行う企業等に対しては、簡易課税、限界控除など、まことに手厚い手だてがなされております。施行後二年、その実態はますます浮き彫りにされております。
 消費税は廃止をし、国民合意の間接税の構築を目指すべきでありますが、当面、いわゆる益税、運用益の是正、逆進性の緩和など与野党の認識が共通している部分については、政府の責任で緊急是正措置が講じられて当然であります。今回の税制改正において全く触れられていないのは不可解としか申せません。また、食料品、公共料金等の非課税についても、早急に合意を得て実現すべきであると考えます。いかがお考えか、総理の見解をお聞きしておきたいと思います。
 最後に、総合課税の再構築について伺います。
 我が国税制は、戦後のシャウプ税制を基礎に置き、税負担の公平の上から応能負担の原則を重視する総合課税主義をとってまいりました。しかし、その後、高度経済成長の過程において、生産優先の立場から、特に事業所得を中心に課税ベースが侵食され、総合課税は次第に建前と化し、不公平が拡大されてきております。
 総合課税、納税者番号制度の導入については、六十二年度、六十三年度の所得税法の改正の際、また、さきの税制問題等に関する両院合同協議会においても与野党が一定の認識の一致を見たところであります。生活者重視、公平、公正な税体系の構築という観点から、総合課税の再構築は急務であります。総理の明確な見解を伺うものであります。
 また、この際、年々ふえつつあるパートタイマーの税負担軽減のために、私はパートタイマー、家内労働者の課税最低限の引き上げを要求するものであります。
 あわせて総理の答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 井上議員にお答えをいたします。
 冒頭にお述べになりました和平交渉に関する件でありますが、ゴルバチョフ提案の内容については私も承知いたしております。同時に、原則に従った平和的解決につながることを私は強く希望をいたしております。
 現段階では、いまだゴルバチョフ提案に対するイラク側の回答が出ておりませんけれども、米国とは基本的な考え方について常に連絡をとり合っておりますし、また、国連決議に従ってイラクが無条件の撤退を実現させることが、この提案と回答の焦点になると受けとめております。したがって、和平のため、イラクが速やかに決断することをここにおいて強く求めるとともに、関係諸国と連絡をとりながら、引き続き公正な和平の達成のため努力を続けてまいります。
 今後の税制のあり方については、先般の税制改革で、所得課税の負担を軽減する、同時に消費にも広く薄く負担を求める、資産に対する負担を適正化することなどによって、国民が不公平感を除いて納税行動に入ることができるように、公平な信頼感のある税体系の構築を目指してきたところでございます。
 また、お触れになりました土地についても、土地基本法を踏まえて、土地に対する税負担の適正公平を確保しつつ土地政策に資するという観点から土地税制の総合的な見直しを行うこととしておりまして、既に関連法案を国会に提出いたしたところでございます。
 地価税は、負担の公平を確保しつつ、その資産としての有利性を縮減するため、土地の資産価値に応じた税負担を求めるという観点からこれは創設したものでございます。地価税における課税最低限は、資産規模の小さな土地について配慮する観点から設けられたものでございますし、税率水準については、土地の有利性を政策的に縮減するという観点と、我が国の経済に与える影響、あるいは個々の納税者に対する負担に配慮するという観点を勘案して設定されたものでありまして、土地の有効利用の促進など土地対策に資するものと考えております。
 住宅取得促進税制については、平成三年度の税制改革において、主としてサラリーマンを中心とした持ち家取得を一層促進する観点から、控除対象となる借入金等の年末残高の限度を三千万円に引き上げるなどいろいろな措置を講じました。適用される六年間を通じて減収規模が五千八百億円を上回るものとなっておりまして、現下の厳しい情勢のもとで、御趣旨を含みながら最大限の配慮を払っているものだということもどうぞ御理解を賜りたいと考えます。
 また、家賃控除、家賃手当制度、貴党がいつも御提案いただきますような制度については、よく私も承知をいたしておりますし、住宅費の負担を軽減すべきだという貴党の御趣旨については、融資、税制の活用等により賃貸住宅供給コストの低減を図るとともに、特に低額所得者等の世帯については、公共賃貸住宅の的確な供給などの施策の充実に努め、さらに、平成三年度予算案においても、一般的な家賃補助ではありませんが、民間賃貸住宅の公的管理を通じて家賃軽減を図る借り上げ公共賃貸住宅制度の拡充、公営住宅及び密集木賃住宅の建てかえ促進を図るため、家賃激変緩和のための補助の創設を盛り込んでおるところでございます。
 租税特別措置は、おっしゃるように特定の目的を達成するために講じられたものでありますが、その反面、税負担の公平性、簡素性をある程度犠牲にしている面もございます。このため、企業関係特別措置については、特に昭和五十一年以降毎年厳しい見直しを行っており、平成三年の改正においても所要の見直しを行うこととしておりますが、今後とも抜本的な見直しを進めてまいる考えでございます。
 消費税の扱いにつきましては、現在両院合同協議会において引き続き協議が行われておるものと承知いたしております。具体的な合意を賜れば、その趣旨に沿って誠実かつ迅速に対応をいたします。
 また、総合課税への移行問題にもお触れになりましたが、平成四年に見直しを行うこととなっておりますが、実効ある総合課税を実施するためには、納税者番号制度の導入を初めとする所得の厳格な把握体制の整備が不可欠となってくる点等もあり、税制調査会の答申にも指摘されておりますとおり、国民の合意形成の状況を見守りつつ、さらに検討を進めていくことが適切であろうと考えております。
 パート、内職問題について最後にお述べになりましたが、平成元年十一月のいわゆるパート減税の実施により、パート、内職収入の非課税限度が百万円に引き上げられておるなど、税制面ではただいまのところ最大限の配慮をしているところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(櫻内義雄君) 小平忠正君。
    〔小平忠正君登壇〕
#24
○小平忠正君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま提案のありました租税特別措置法の一部を改正する法律案について、総理及び大蔵大臣に質問をいたします。
 質問の第一は、土地税制改革についてであります。
 我が国は、世界に冠たる経済大国として揺るぎない地位を占めておりますが、国民の日常生活には先進国にふさわしい豊かさが全く感じられません。その最大の要因は、異常な地価高騰による劣悪な住宅事情であります。
 国民の利益を後回しにし、利益誘導と官庁の縄張り優先の縦割り行政を続けてきた歴代政府・自民党の貧困な土地政策が残した禍根は極めて大きく、地価税の創設などによって今になってようやく土地税制の抜本改革に政府が本腰を入れておりますが、遅きに失したと言わざるを得ません。
 我が党は、都市計画の再構築や土地本位の金融構造の見直しと土地税制改革を有機的に結び。つけて、これらを三位一体として、異常に高い地価を半分に引き下げるよう提言をいたしております。土地税制についても、保有課税は当然のこと、譲渡課税、取得課税についても思い切った改革が必要であることは言うまでもありません。本法案には、我が党が求めてきた譲渡益課税の適正化などが盛り込まれており、この点は評価いたしております。
 個人及び法人の長期譲渡益課税、法人の超短期譲渡益課税の強化についても当然のことと考えます。しかし、地価税についても言えることでありますが、これらの税制改革によって地価がどうなるのか、何%下がるかという具体的なビジョンを政府が全く持ち合わせていないことに強く不満を感じております。
 一体政府は、地価をどれだけ下げるために土地税制改革を行うのか。例えば本当に首都圏のサラリーマンが住宅を買えるほどまで地価を下げるのか。具体的目的及び税制改革による地価引き下げのシミュレーションを、総理及び大蔵大臣に示していただきたいのであります。また、一部のワンルームマンションなどが財テクや節税に利用されていることを封じる施策が盛り込まれたなど土地投機抑制策が盛り込まれており、この点は妥当な措置と考えております。
 しかし、これらの施策の中に一つの重大な欠陥があることを指摘したいのであります。それは、長期所有土地等から減価償却資産への買いかえ特例の廃止であります。確かに、この買いかえ特例制度が、土地購入による節税対策や土地投機の温床となった点があることは否めません。しかし、だからといって、一律にこれを廃止するというやり方は、余りにもきめ細かさに欠けるものと断ぜざるを得ません。この制度は、構造的な不況に直面している製造業にとってなくてはならないものであることを強調したいのであります。
 これらの産業にとって、諸外国との競争に勝つためには設備の近代化が不可欠でありますが、そのための資金に利息のかかる借入金を充てる余裕など到底あり得ません。結局、そのための資金については、土地を売却し、減価償却資産への買いかえができる特例措置を利用するしか道がなかったのが実情であります。実際、第一次石油ショック以降の困難な時期に、この特例措置を活用し、辛うじて倒産を免れたり設備の更新を進めてきた例が数多くあります。
 今日、経済の本来の目的である物づくりをおろそかにし、マネーゲームに狂奔する傾向が強い中で、まじめに努力を続ける製造業業者が大勢いることも忘れてはなりません。そのような業界にとって、この特例制度は、経営を守る最後のとりでとして重要な意味を持っております。この制度を乱暴にも一律に廃止すれば、そこで働く勤労者やその家族の人生に深刻な影響が出ることは火を見るよりも明らかであります。確かに、この制度を利用して財テクに利用する者がいるかもしれませんが、そのような目的の場合は認めないとか、既成市街地内の減価償却資産への買いかえのみを禁止するとか、幾らでも工夫できるではありませんか。
 この買いかえ特例については、我が党の主張に沿うよう抜本的に修正することを政府に強く求めるものでありますが、橋本大蔵大臣にお考えをお聞きしたいのであります。
 質問の第二は、消費税問題についてであります。
 イラクのクウエート侵略以来、これまで重大な課題であった消費税問題が影を潜め、これをいいことに政府・自民党は、消費税の欠陥是正に真剣に取り組まなくなったのではありませんか。平成三年度予算案は、現行の欠陥消費税のまま編成されるという最悪の結果となりました。我が党の提案により設けられた税制問題等に関する両院合同協議会で、与野党は消費税欠陥是正案をまとめました。にもかかわらず、一部の勢力が、食料品が非課税とならなかったことを口実としてすべてをぶち壊してしまいました。我々も食料品の非課税化を盛り込むよう今後とも強く求めていく決意でありますが、まず与野党で合意した点は早急に実現すべきであります。
 しかも、これを実施すれば、自然増収が確保されることは明らかであります。自民党の加藤政調会長も、益税の七、八割は解消すると断言をしているようであります。仕入れ控除の圧縮、教育、福祉の非課税化なども含め、与野党合意を実施すれば、平年度で少なくとも四、五千億円の税収増となることは明らかであります。これは国民が納めた税金が国庫にきちんと入らない点を中心に是正するものであり、大衆増税とは全く次元が違います。五つの会派が与野党合意の早期実施を求め、消費税の欠陥解消を急ぐよう主張いたしております。全政党で一致しないうちは何もできないとすれば、国民がただ犠牲になるだけではありませんか。まとめる考えのある政党だけで法案をつくり、成立をさせようではありませんか。自民党総裁でもある海部総理大臣にこの決断をしていただきたく、強く要望いたします。質問の第三は、不公平税制の是正についてであります。
 本法案には、移転価格税制の適正化による国際課税の見直しなど、不公平税制の是正が一部含まれておりますが、極めて不十分なものと断言せざるを得ません。国民から不公平と不満のある項目についてはすべて論議の対象として、必要なものは見直すべきではありませんか。
 また、与野党で総合課税体制を確立するため、プライバシー保護や金融市場に配慮して、国民合意のもと納税者番号制度を導入することを合意いたしましたが、政府は何年度からこの制度を実施する意向なのか、橋本大蔵大臣にお伺いをいたします。
 最後に、所得税の減税についてお尋ねをいたします。
 湾岸地域の平和回復のため、九十億ドルの追加支援を迫られるなど、現在の我が国の財政は大変厳しい状況下に置かれております。しかし、消費税の欠陥を解消したり、不公平税制を是正すれば、自然増収が確保されることは明らかであり、そうなれば国民生活向上のために大幅減税を行うことも可能であります。政府に対してその実現を提唱するものであります。
 まず教育、住宅、通勤費減税の拡充、背広や靴なども含めた必要経費を完全に認める制度の創設など、サラリーマンの生活に役立つ施策の実施を求めるものであります。とりわけ住宅減税は最優先させなければなりません。本法案には、家を建てた人のためのローン減税について、一年に税額控除できる限度額を二十万円から二十五万円に引き上げる措置が盛り込まれております。これは民社党の主張を取り入れたものであり、一歩前進と我々は評価いたしております。しかし、家を持っている人だけを対象として、借家世帯に減税を行わないことは断じて容認できません。自分の家を持つか借りるかは個人の選択の自由であり、どちらの人にも快適な住まいを与えることが国の責任ではありますまいか。だとすれば、持ち家世帯に減税するなら、当然借家世帯にも減税をすべきであります。毎月の家賃を所得控除する制度を早急に創設するよう要求するものであります。
 また、女性の社会進出を妨げているゆがんだ税体系を一日も早く直していただきたい。特に、パート、内職の課税最低限を現行の百万円から百五十万円に引き上げることを要求するものであります。さらに、乳幼児を育てる家庭には、三十五万円の扶養控除に加えて十万円の育児控除を加算するなど、思い切った減税を実現すべきであります。以上の諸点について、サラリーマンと女性が納得できる答弁を総理及び大蔵大臣からお伺いいたしたいのであります。
 また、地価税を導入するのであれば、所得、消費、資産のバランスを図るためにも、増収部分は所得税、法人税の減税に充てるべきであり、政府としてこれを約束実現するよう強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 小平議員にお答えを申し上げます。
 土地税制の改革は、地価税の導入のほかにも、固定資産税の評価の適正化、均衡化、譲渡課税の負担の適正化、農地課税の見直しなど、総合的に抜本的な見直しを含むものでありまして、これらが相まって、土地の資産としての有利性の縮減、有効利用の促進、仮需要の抑制などが図られまして、地価の抑制、低下につながっていくと考えております。
 消費税につきましては、政府が提出しました見直し案は前回の国会で御承知のとおりの経緯となり、その結果を踏まえて、国会で両院合同協議会において引き続き協議が行われるものと承知をいたしております。政府は、消費税の必要性を踏まえつつ、国民の全体的、長期的な利益といった高い次元から協議が行われ、建設的な、具体的な合意が得られますことを強く願って、この協議会を注目しております。この協議会において具体的な合意が得られましたならば、その趣旨に沿って迅速にかつ誠実に対処する方針でございます。
 また、サラリーマンや女性に対する所得税減税と、こう言われましたが、昭和六十二年九月及び六十三年十二月の税制改革においては、所得税、住民税を合わせて総額五兆五千億円に上る大規模な所得減税を実施をいたしましたし、また、この減税は、主として教育費、住宅費など、支出のかさむ中堅サラリーマン層の負担軽減を中心に配慮したものでありました。また、配偶者特別控除の創設や、平成元年に行いましたパート、内職の非課税限度額の引き上げは、女性の皆さんのためにも十分配慮されたものであったということにどうぞ御理解をいただきたいと思いますし、今後とも一層研究、検討を進めてまいりたいと考えております。
 残余の問題につきましては、大蔵大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#26
○国務大臣(橋本龍太郎君) 小平議員にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、地価税につきまして、土地税制改革の中で値段がどれぐらい下がるかという具体的なお尋ねでありました。
 地価税の導入を含みます今般の土地税制改革というものは、定性的には、土地の収益性の低下や過大な値上がり期待の縮小あるいは中長期的な土地の有効利用促進といったことを通じまして地価の低下をもたらす効果があると考えられます。しかし、どの程度地価が下がるかとなりますと、これは景気の状況や金融の動向、税制以外の土地政策の推進状況などに加え、最近著しい地価の上昇を見た地域であるかどうか、そうした個々の地点における地価水準や土地取引の状況などにも依存すると考えられます。こうした点から見ますと、定量的に申し上げるのは難しいことを御理解いただきたいと思います。
 また、事業用資産の買いかえ特例は、本来なら一たん実現した値上がり益であります以上課税すべきところを、国土利用政策や土地政策の観点から、特別に課税の繰り延べを認めてきたものであります。しかし、御指摘の長期所有土地などから減価償却資産への買いかえにつきましては、区域の指定なく認められてまいりましたために、他の買いかえ特例が利用されないといった弊害、さらには、将来の設備投資の資金に充てるために余分の用地を取得して値上がり益を期待するといった企業行動を招くなど、弊害を生じていることにかんがみて廃止することといたしました。
 議員の御指摘は、この買いかえ特例は設備の近代化などのために必要であるという御主張でありますけれども、将来の設備投資の資金に充てるために土地を保有し、その土地の値上がり益を期待すること自体が土地問題を深刻化させる一因となっておるわけでありまして、公平の観点からも問題であると考えられます。なお、今回の廃止に際しましては、既に進行している事業計画に支障を来さないよう所要の経過措置を講ずるなど相応の配慮をいたしておりまして、どうぞ御理解を賜りたいと思います。
 また、税負担の公平確保というものは、税制に対する納税者の信頼を得るため大変大切な理念の一つであり、先般の税制改革におきましても、税体系全体として、個人所得、特に給与所得及び法人所得に偏った税負担の構造を改め、消費に対しても応分の負担を求めるような構造に改めるなど、税制全般にわたり税負担の公平を高める措置を講じてまいりました。また、土地税制につきましては、土地基本法を踏まえまして、税負担の適正公平を確保しながら、あわせて土地政策に資するという視点からその総合的な見直しを行うこととしており、既に関連法案を本国会に提出させていただいております。政府としては、今後ともより公平な税負担の実現を目指して努力を続けてまいりたいと思います。
 また、納税者番号についてのお尋ねがございました。
 税制問題等に関する両院合同協議会におきまして、その専門者会議を中心に精力的かつ真剣な御論議をいただいておることをよく存じております。政府といたしましても、国民の合意形成の状況を見守りながら、引き続き専門的、技術的な検討を行ってまいる所存であります。
 また、サラリーマンに対する所得税減税についてお触れをいただいたわけであります。
 昭和六十二年九月、六十三年十二月の税制改革におきまして、主として中堅ナラリーマン層の重税感、負担累増感を緩和するために、所得税、住民税を合わせて総額五兆五千億円に上る大規模な所得減税を実施していることを御理解いただきたいと存じます。また、いわゆる教育減税につきましては、この税制改革の中におきまして割り増し扶養控除の創設などにより、また通勤者減税につきましては、平成元年度税制改正におきまして通勤手当の非課税限度の大幅な引き上げなどによりまして対処してまいりました。なお、サラリーマンの必要経費の控除につきましては、その水準が十分高いものとなっております給与所得控除が適用される中で、昭和六十二年九月の税制改革における特定支出控除制度の創設によりまして、サラリーマンに申告納税の道を開いたことも画期的な前進であることをぜひ御理解をいただきたいと思います。
 また、家賃控除の創設につきましては、家賃が食費や被服費などと同様典型的な生計費でありますことから、家賃だけを取り出して特別の控除を設けることには基本的な問題がありますほかに、より高額の家賃を払っておられる方がより大きな恩典を享受するといった問題があると考えます。また、大都市圏の土地住宅問題の観点から見ましても、家賃控除の創設はかえって大都市圏への人口集中を助長するものではないかという懸念も否定できません。したがって、家賃控除の創設は適当でないと考えております。
 また、パート所得者につきましては、配偶者特別控除の創設、拡充、さらに、平成元年十一月のいわゆるパート減税による非課税限度額の百万円への引き上げなど、税制面では最大限の配慮を払ってきているところでありまして、片働き世帯とのバランスからも、これ以上の非課税限度の引き上げには、むしろ税負担の公平の面からも問題があると考えております。
 また、児童を養育する御家庭に対する育児支援の強化などの観点からは、歳出面におきまして今回児童手当制度の充実を図ることとしております。なお、税制面においては、乳幼児を育てる若年世帯については高い水準にある課税最低限で配慮されていることにも御理解をいただきたいと存じます。
 また、地価税の税収の使途につきましては、税制調査会の「平成三年度の税制改正に関する答申」の中におきまして、平成四年度の税制改正・予算編成時までに検討すべき旨提言されているところでありまして、政府といたしましては、税制調査会の答申を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。(拍手)
#27
○議長(櫻内義雄君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#28
○議長(櫻内義雄君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時二十二分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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