くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第120回国会 本会議 第12号
平成三年二月二十二日(金曜日)
    ―――――――――――――
  平成三年二月二十二日
    正午 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び
  安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並
  びに日本国における合衆国軍隊の地位に関す
  る協定第二十四条についての新たな特別の措
  置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の
  協定の締結について承認を求めるの件の趣旨
  説明及び質疑
    午後零時五分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日本国とアメリカ合衆国。との間の相互協力及
  び安全保障条約第六条に基づく施設及び区
  域並びに日本国における合衆国軍隊の地位
  に関する協定第二十四条についての新たな
  特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆
  国との間の協定の締結について承認を求め
  るの件の趣旨説明
#3
○議長(櫻内義雄君) 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につき、趣旨の説明を求めます。外務大臣中山太郎君。
    〔国務大臣中山太郎君登壇〕
#4
○国務大臣(中山太郎君) 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、趣旨の御説明を申し上げます。
 政府は、日米両国を取り巻く諸情勢の変化に留意し、日本国に合衆国軍隊を維持することに伴う経費の日本側による一層の負担を自主的に図り、日本国にある合衆国軍隊の効果的な活動を確保するため、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定を締結することにつきまして、平成二年十二月以来米国政府と交渉を行いました結果、平成三年一月十四日にワシントンにおいて、我が方本大臣と先方ベーカー国務長官との間でこの協定に署名を行うに至った次第であります。
 この協定の主な内容といたしまして、まず、我が国は、この協定が効力を有する期間、日本国に雇用されて合衆国軍隊等のために労務に服する労働者に対する一定の給与の支払いに要する経費並びに合衆国軍隊等が公用のため調達する電気、ガス、上下水道及び暖房用等燃料に係る料金または代金の支払いに要する経費の全部または一部を負担することとしております。我が国が負担する経費の具体的金額は、我が国の会計年度ごとに、我が国がこれを決定し、その決定を米国に対し速やかに通報することとなっております。また、この協定は、一九九六年三月三十一日まで効力を有することとされております。
 この協定の締結は、日本国に維持され、我が国の安全並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与している合衆国軍隊の効果的な活動の確保に資するものであると確信しているところであります。
 よって、この協定の締結について御承認を得られますよう、格別の御配慮を得たい次第でございます。
 以上が、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及
  び安全保障条約第六条に基づく施設及び区
  域並びに日本国における合衆国軍隊の地位
  に関する協定第二十四条についての新たな
  特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆
  国との間の協定の締結について承認を求め
  るの件の趣旨説明に対する質疑
#5
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。松原脩雄君。
    〔松原脩雄君登壇〕
#6
○松原脩雄君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました在日米軍駐留経費特別協定につきまして、質問をいたします。
 本日の緊急事態にかんがみ、湾岸情勢に関しまず政府の御見解をお聞きいたしたいと思います。
 本日早朝、ゴルバチョフ大統領とアジズ外相との会談が行われ、八項目の合意がなされました。合意は、イラクはクウエートから完全無条件に撤退する、停戦の翌日に撤退は開始される、撤退は一定期間内に行われるなど、八項目であります。これに対しアメリカは、この八項目提案をよく検討し、同盟国とも相談をするという短いコメントを発表いたしました。
 そこで、私は、まず第一に、政府に対して、このような緊急な情勢の転換を示しておる湾岸情勢について正確なる現状の分析をされることをお願いをしたいと思います。昨日のフセイン大統領の演説後、外務省は、フセインは徹底抗戦をする、地上戦突入は間近であるというコメントを発表されておられますが、このたびのこの私の質問に対しましては、正確なる現状分析をお願いをしたいと思います。
 第二に、この合意は、停戦と平和解決を求め、地上戦を回避するための最後のチャンスであります。この合意の基礎は、既にソビエトが提案をし、ドイツ及びエジプトもまたこの提案を支持する立場に立っております。したがって、私は、ここで政府に、この八項目提案のベースを支持し停戦に努力する立場をとるのか、戦争をさらに継続させる立場をとるのか、この際はっきりしていただきたいと思うわけであります。(拍手)
 アメリカのコメントによれば、アメリカは同盟国の意見を聞いて、そして判断をすると言っております。ですから、このたびはアメリカの意見を聞いて決めますというわけにはまいりません。我が日本がこの停戦を推し進めるものかどうかをはっきりさせる立場によって、今後の推移を推進させるべきであると考えます。
 第三に、この停戦の問題点は明らかであります。八項目提案の背景には、国連決議の範囲内でイラクのクウエートからの撤退を実現する立場が貫かれております。この立場に対しまして、イラクのクウエートからの撤退という国連決議のほかに、フセイン体制の打倒とイラク軍事力のこそぎ落としを戦争目的とすみ立場からは地上戦の突入ということになるはずであります。したがって、この際日本政府は、国連決議の範囲を超える戦争目的に協力をするのかどうかを明確にしていただきたいと思います。
 さらに、停戦のペースを支持するならば、九十億ドルの資金援助の問題も根本的に見直さなければなりません。入項目提案を支持するならば、これから仮にアメリカが地上戦に入っていった場合に、その戦費を資金援助する立場はもうとれないはずであります。そういう意味におきまして、九十億ドル問題に対していかなる立場をとるのか、根本的な見直しをする立場をおとりになるのかどうか、この際、政府にはっきりとした見解を求めておきたいと思います。(拍手)
 さらに、湾岸後の中東の地域的安全保障構想についてお伺いをいたします。
 その場合、パックス・アメリカーナの延長線、プッシュホン一発でオーケーというわけにはまいりません。パックス・アメリカーナの継続はアメリカの願望ではあっても、既に現実ではないからであります。共同決定によるパックス・コンソルティス、いわゆる協調による平和が時代の流れであり、それゆえに、従来の石油外交を超えた我が国独自の中東地域安全保障構想が求められるのであります。
 この基本姿勢に立って中東の包括的な安全保障の枠組みづくりをするためには、PKO活動による停戦監視と兵力引き離し、軍備管理などによる地域覇権主義の抑制、基本的人権と民主主義尊重の安定社会、ペルシャ湾の環境の回復など多様な課題に立ち向かわなければなりませんが、我が国の果たすべきこのような総合的な課題について、総理の御見解を求めます。
 特に、戦後復興と中東地域の安定的経済発展における日本の役割は重要であり、積極的に対応すべきと考えますが、そのための具体案をお示し願いたいと存じます。
 さらに、パレスチナ、イスラエル問題の解決があります。この問題の解決については、アメリカは余りにイスラエルに肩入れしたため、既にイニシアチブを失っており、したがって、アメリカ主導のもとでは中東の恒久平和は不可能であると考えざるを得ません。これに反し、幸い我が国は、石油外交のためとはいえ、独自の中東外交の実績を有しておりますから、アメリカとPLOとの対話の再開、国連主導の中東和平会議へのアメリカ、イスラエルの参加、安保理決議の実施などにつき、平和創造外交を展開すべき条件があると言えますが、この点について政府のお考えをお聞きしたいと思います。
 さて、今問題となっております特別協定についてお尋ねをいたします。
 今日まで、西側世界にとって安全保障といえば、ソ連を初めとする東側社会からの脅威にいかに対処するかという形で議論されてまいりました。しかし、ソ連のペレストロイカ、東欧諸国の変革、さらに東西ドイツの統一、ワルシャワ条約機構の解体といった今まで想像のできない大きなうねりの中で、戦後の世界秩序を維持してきた東西冷戦構造が崩壊のプロセスに入り、世界が新たな国際秩序を模索する時代に入ったと思います。このような時代の中で、アメリカの安全保障についての考え方も、マルタ会談以降当然変化しつつあると見るべきだと思いますが、総理の御所見を伺いたいと思います。
 アメリカは、同盟国間の一体性を維持するためのソ連脅威論がその説得力を大きく失った今日、新しい脅威、すなわち第三世界における民族、部族、宗教、人為的な国境をめぐる紛争、地域覇権主義に対抗して、アメリカのミリタリープレゼンスの必要性を重視するといった論理に変わってきております。こうしたアメリカの考える新しい脅威論の中での日米安保条約は、従来のソ連脅威が存在する中で正当化され、米軍の駐留も認められてきたことと大いに異なってくると思いますが、
 いかがでしょうか。
 私は、大きな世界情勢の変化の中で、日米安保条約を見直す時期に来ているのではなかろうかと考えます。その際、日米安保条約を見直す観点につき、私は次のように考えます。
 ポスト冷戦における安全保障を考える場合に、まず第一に、イラクのクウエート侵略に対して国際社会がとった一連の措置に見られるように、国連による一般的、集団的安全保障機能の再生に着目すべきであります。憲法の要請する国連中心主義を推し進め、侵略国に対する経済制裁などの措
置の強化に、我が国はそのなし得る最大の努力をすべきであります。その場合に国連中心主義の強化とは、国連憲章第五十一条に明らかなとおり、集団的自衛権の行使を前提とするものは極力抑制し、最終的には消滅していくものだという理念を現実のものとしていくプロセスであることに留意をすべきであります。(拍手)
 第二に、地域的安全保障構想の確立が重要であります。
 ポスト冷戦の欧州では、NATOとワルシャワ条約機構の対立という構図は今や過去のものとなり、東西双方の国々が参加する全欧安保会議を中心として各国の安全を確保しようという考えが強まっています。しかし、アジア・太平洋地域には、そのような地域的安全保障システムは確立しておりません。この点について、ASEAN拡大外相会議において、オーストラリアなどから全アジア安保協力会議の設置が提唱されました。しかし、政府は、アメリカとともに非常に消極的に対応をいたしました。どのような理由に基づき消極的なのか、明快に御答弁を願いたいと思います。
 確かに、アジアとヨーロッパでは条件が異なり、アジア版CSCEは平たんな道のりではありません。しかし、今日の全欧安保会議も、ドイツが分割され、ブレジネフ体制下で大量のソ連軍が東ヨーロッパに駐留するという緊張状況の中で、東西相互の信頼醸成措置を講じるところから始まっていることに学ぶべきであります。ソ連のペレストロイカが困難なる局面に陥りつつも、四月にはゴルバチョフ大統領の訪日を控えている今日、日本とソ連との間の信頼醸成措置に着手することは当面大切だと考えますが、この点について具体的なお答えをお聞かせ願いたいと思います。
 このようにして、ポスト冷戦の日本の安全保障を構築する場合、国連の集団安全保障機能の強化や地域的安全保障体制の確立を展望し、日米の新しいグローバル・パートナーシップをつくり上げるという観点で日米関係の再編に着手する必要があるのではないのでしょうか。湾岸戦争でも見られたように、アメリカの戦略の一挙手一投足に条件反射的に対応するという姿勢は、この際きっぱりと見直し、すべての日米関係において共同の意思決定過程を確立すべきだと考えますが、総理の我が国の主体的で構想力あふれる新しい日本の安全保障政策をぜひお伺いをいたします。
 次に、特別協定方式についてお伺いをいたします。
 現在、在日米軍の負担増を始めたのは八七年度からであります。特別協定方式であります。これはしかし、その際、暫定的、特例的、限定的なものとして説明してこられました。しかし、一度、一年で一回目の改定を終え、今回のまた特別協定の改定になります。
 この協定によりますと、総額で二千二百億円、そして、在日米軍の一年間の総経費はいずれ五千数百億円になると思われます。一体、この際限なくふえ続ける思いやり予算に政府はどう歯どめをかけようとされるのか、お聞きをいたしたいと思います。
 結局、今回の特別協定は、日米安保三十年にして日米安保条約の実質的改定だという認識を持たざるを得ません。日米地位協定の二十四条によれば、維持的経費はアメリカ側の負担とされております。これまで政府は、ガス、電気などの光熱費などは負担できないと答弁をしてきたわけでありますが、今回憶面もなくそれを負担することにしたのは、紛れもなく日米地位協定第二十四条の改定であると思いますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いしたいと思います。
 そして、このように今回の特別協定が実質的な日米安保条約及び日米地位協定の改定だということだとしますと、特別協定というこそくな手段をとるのではなくて、さきに述べた総合的な安全保障措置や世界的軍縮に見合った米軍基地の縮小整理に手をつけながら、駐留軍経費の歯どめを実現するためにも、日米安保条約や日米地位協定の本体そのものの見直しをなすべきではないでしょうか。そしてその際には、アメリカの新しい世界戦略が、今回の日本からの中束への出撃に見られるように、グローバルな地域紛争に対処するために日本を出撃拠点とすることが今後多く予想される以上、このような場合に備えて事前協議制を厳格に運用することが必要となることも考慮すべきは当然であります。その中で、ノーと言える日米安保関係、だめなときにはだめと言える日米関係を確立すべきではないかと考えますが、総理のお考えをお聞かせいただき、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 松原議員にお答えをいたします。
 八項目の概要は承知いたしておりますし、アメリカは、現在この時間もその内容について分析検討中と承知しております。
 発表されたソ連・イラク間の話し合いの内容は、昨晩のフセイン大統領の演説の趣旨とはトーンが異なっておりました。私は、第一項目のクウエートからの完全無条件撤退という項目は、これは一連の国連決議の表現と全く同じでありまして、これに関する限り一定の進展があるのかと受けとめられますが、条件がその後にずっとついており、その条件についての話し合いが今も続いておるということであります。昨夜来、アメリカや関係各国と連絡協議をしておりますけれども、いずれにしても、我が国は、安保理決議に従った公正な和平が一日も早く達成されることを強く希望しておるものでありまして、イラクにおけるクウエートからの無条件撤退ということが和平のかぎを握る行為である、こう受けとめております。
 九十億ドルについては、我が国の追加支援は湾岸の平和と安定の回復のために活動している関係諸国を支援する目的で行われるものでありますから、九十億ドルを湾岸平和基金に拠出するという政府の方針に変わりはありません。
 アメリカの安全保障政策についてのお尋ねでしたが、今後どのようなものになるかの詳細は、一九九二会計年度の国防報告に私は注目したいと思っておりますが、過日発表されたブッシュ大統領の教書並びに国防予算要求にその一端があらわれておると思います。米国は、九〇年代を通じて直面する脅威に対処するため、新たな国防戦略を必要としており、具体的には、米軍全体の規模が削減されていく中で、グローバルな危機に迅速に対応するための高い質と能力の維持、防衛研究開発の活性化、さらには戦略的に重要な地域に迅速に戦力を投入する能力、信頼できる核抑止力の確保などが優先事項となっているものと私は承知をしております。
 また、安保条約、地位協定の見直しについてのお尋ねで、私の考えは、この協定は、日米両国を取り巻く諸情勢の変化に留意して、在日米軍経費の日本側による一層の負担を自主的に図り、在日米軍の効果的な活動を確保するため、暫定的かつ限定的に特別の措置を国会の御承認を得た上で講じようとするものであります。地位協定に定める経費負担の原則それ自体を変更しようとするものではございません。また、日米安保体制は、引き続き日米関係の基礎をなす強固なきずなであります。我が国が、みずからの平和と安全を確保し、広くアジア・太平洋地域の発展を図っていくための不可欠な枠組みとして機能しております。日米安保体制のもとで、このような意義と重要性は今日もいささかの変化もないと考えており、政府としては、安保条約の見直し、地位協定の見直しが必要であるとは考えておりません。
 また、ポスト湾岸における包括的な安全保障のために、PKO、軍備管理、基本的人権、民主主義の確立が重要と考えるかどうかとの御意見でございました。この点につきましては全く同感でございます。
 平和が回復された暁には、我が国としては、域内諸国のイニシアチブを尊重、支援しながら、経済復興、安全保障・軍備管理の面での国際協力、パレスチナ問題の解決に向けた努力などを通じて、長期的、安定的な中東地域の枠組みづくりに対処をしていかなければならぬと考えております。
 そして、パレスチナ問題に関しては、従来より我が国は、国連安保理決議の二百四十二号、三百三十八号を基礎にして、イスラエルの占領地からの撤退、独立国家樹立の権利を含むパレスチナ人の民族自決権の承認、イスラエルの生存権の承認を通じて恒久和平を達成すべしとの立場を一貫して主張してまいりました。かかる立場に基づいた公正かつ包括的な和平達成に向けて、関係当事者との政治対話を通じた努力をきょうまでも重ねてきたわけであります。
 一昨年秋、ベーカー・アメリカ国務長官より、パレスチナ人とイスラエルの間の直接対話構想が提示され、我が国としても、この提案に従った中東和平プロセスの進展を支持してきたところでありますが、このプロセスの進展が湾岸危機の勃発によって完全に停滞していることは極めて残念なことであります。
 湾岸危機が解決され、地域の平和と安定が回復された暁には、交渉による中東和平問題の解決のための枠組みとして、我が国が従来より支持をしてきた国際会議の開催を含め、問題解決に向けて国際社会の努力が行われるよう関係諸国にも積極的に働きかけていく考えでおります。
 残余の質問は、外務大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣中山太郎君登壇〕
#8
○国務大臣(中山太郎君) 松原議員にお答えをいたします。
 まず第一に、先般のASEAN拡大外相会議におきまして、豪州、カナダがアジア版のCSCEを提唱したが、これに対し日本、アメリカが消極的であったという理由についてのお尋ねでございますが、我が国といたしましては、一般に、適切な政治的環境が存在する地域において安全保障や平和に関する国際会議が開催されますことは、同地域の平和と安定に資するものと認識をいたしております。一方、アジア・太平洋地域は、議員も御指摘のように、ヨーロッパと違いまして、朝鮮半島における南北の対峙、日ソ間における北方領土問題及びカンボジア問題等依然として政治的対立、紛争が未解決でありまして、遺憾ながら、いまだかかる会議を開催して包括的に討議を行っていく環境が整っているとは申せません。
 この種の構想の推進のためには、まず個々の政治的対立、紛争の解決に向かい努力をしていくことが重要であると考えております。昨年のカンボジア東京会談の実現、また、国連総会におけるアジア・太平洋外相会合の開催を初め、二国間及び国連等多数国間の外交努力を行ってきたところでございまして、今後とも同地域の平和と安定を図るためにできる限りの努力を行っていくべきものと考えております。
 なお、米国について、複雑な政治、安全保障環境のもとにあるアジア・太平洋地域において何が有効に機能し、かつ実行可能であるかという現実的な観点から、日米安保体制を初めとする既存の安全保障の枠組み、あるいはASEAN等の既存の政治経済上の枠組み等を引き続き重視していくとの姿勢であると認識をいたしております。
 第二にお尋ねの、アジア地域安全保障の手がかりとしての対ソ信頼醸成措置に対する考え方でございますが、アジア・太平洋地域におきまして諸国間の真の信頼関係が樹立されることは適切な目標でございます。他方、アジアは、NATOとワルシャワ条約機構の主として陸上戦力が対崎するといったこれまでの欧州の情勢とは大いに異なっておりまして、地政学的、一戦略的環境は極めて複雑なものがございます。ソ連の考える信頼醸成措置は欧州に範をとったものであり、客観的条件が異なるアジア地域にそのまま適用することは非現実的であると日本政府は考えております。
 他方、この複雑なアジア・太平洋地域においても、いかなる方途によってその平和と繁栄を図るべきかにつき日ソ間で相互理解を促進することは、極めて有用であると考えております。先般の日ソ政策企画協議もかかる視点から開催されたものでございまして、日ソ双方によりその有効性が確認をされております。
 次に、今後日本の主体性を生かした日本の安全保障構想を考えていくべきでないかというお尋ねでございました。
 国の安全と繁栄を維持し国民の生命財産を守ることは、政府の最も重要な責任でございます。我が国は、日米安全保障体制を堅持し、専守防衛に徹し、非核三原則と文民統制を確保しつつ、節度ある防衛力の整備を図っていく所存でございます。特に、最近の国際情勢の変化の中にありまして、我が国が効果的な抑止の確保と積極的な対話の展開によって、みずからの平和と安全を確保しつつ、広くアジア・太平洋地域の安定と発展を図っていくためには、日米安全保障体制が不可欠でありまして、日米安保条約の円滑な運用のために尽力をしてまいる所存でございます。
 今回御審議をいただく協定につきましては、政府といたしまして、日米安全保障体制の円滑な運用を確保するとの観点から、五年間を期間とする暫定的な措置を特例的に導入することとし、在日米軍経費のうち、在日米軍従業員の基本給及び光熱水料等に限って我が方が負担することとしたものであります。
 いずれにいたしましても、この協定は、地位協定第二十四条に定める経費負担の原則それ自体を変更しようとするものではなく、原則は原則としつつ、一定の期間を限り、特定の経費に限ってこれを特例的に負担することとするものでございまして、通常の意味の改正とは異なるものでございます。
 今回の措置は、両国を取り巻く諸情勢の変化に留意をいたし、在日米軍の効果的な活動を確保するためにとられる措置でありまして、協定上、期限及び負担の対象項目等が明確にされている暫定的、特例的、限定的な措置でございます。また、手続的にも、本件措置は必要な国会の承認を得て行うものとしておるものでございまして、本件措置をもって我が国の経費負担のなし崩し的拡大につながるといった指摘は当たらないと考えております。
 いずれにいたしましても、現在、この協定に定める措置以外の措置をとる考えはございません。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(櫻内義雄君) 山口那津男君。
    〔山口那津男君登壇〕
#10
○山口那津男君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました在日米軍労務費特別協定の締結について承認を求める件について、総理並びに関係大臣に御質問いたします。
 世界がかたずをのんで見守っていたゴルバチョフ・アジズ会談で、イラクのクウエートからの完全無条件撤退を含む和平案が、本日早朝発表されました。停戦へ向けて大きな契機になるものであり、停戦へ向けて政府としてもあらゆる努力をなすべきものと考えますが、この点について総理の御認識を明らかにしていただきたいのであります。あわせて、今後の政府の取り組みについても明確なる御答弁をお願いします。
 次に、この協定の根拠である日米安全保障条約について質問いたしたいと存じます。
 世界は、東西対立の冷戦構造から脱却し、新しい国際秩序の構築へ向けて激動しております。数年前には想像もつかなかった今日の情勢をつくり出した最大の原因は、ソ連のゴルバチョフ大統領が推し進めるペレストロイカ政策であり、新思考外交であったことは、だれもが認めるところであります。それに伴い、ヨーロッパの軍縮が大きく進展し、欧州の安全保障体制はCSCEを中心とした新たな秩序を構築しつつあります。また、米ソ間においてもさらなる軍縮へ向けての交渉が進展しつつあるところであります。
 こうした世界の潮流の中で、我が国の防衛のあり方、さらには、その実際的な目的をソ連からの侵略に置いていた日米安保条約の意義を大きく見直すべきときを迎えていると思うのでありますが、いかがでありましょうか。私は、現状においてなお安保条約の必要性は認めるものの、軍事同盟の意味合いからさらに政治、経済、文化など友好条約的な意味合いにまで幅を広げた日米関係を構築するための安保条約の質的見直しを行うべきときであると考えるのでありますが、総理の認識をお伺いいたします。
 安保の見直しかあれば、当然在日米軍のあり方も検討されるべきであります。広くアジアにおいては、日韓、日朝関係の改善を初め、デタントの進展の兆しか見えてきており、駐留米軍においても、フィリピン、韓国の駐留米軍は縮小の方向に向かいつつあります。アジアにおけるアメリカのプレゼンスは明らかに減少しつつある中で、我が国の駐留米軍も縮小されるベきではないでしょうか。政府としても、防衛白書でソ連脅威の文字を維持できなくなり、昨年末の防衛計画の基本的考え方と題する閣議決定では、国際情勢の認識を改めたところであります。在日米軍基地を縮小整理するような意思がおありなのか、総理の見解をお伺いしたい。さらに、こうした流れに逆らうかのような湾岸問題が在日米軍のあり方にどのような影響をもたらすとお考えになるのか、あわせて伺いたいのであります。
 次に、本特別協定の内容についてお尋ねいたします。
 日米地位協定二十四条一項では、駐留米軍経費は米国負担の原則が明記されており、日本人従業員給与の全額支給は到底読み取ることはできません。地位協定をそのままにしてこうした特別協定をつくれば、費目、金額ともに無限に拡大できるということになりかねません。今後、外国人従業員や在日米軍人への手当、訓練費用、燃料代などの負担要請があれば、特別協定で対応するのでしょうか。無制限な負担の拡大ではなく、一定の歯どめを示していただきたいのであります。協定の実施により、負担の面で原則と例外の区別がつかなくなるわけであり、本来地位協定そのものを改正することが筋ではないかと考えるのでありますが、なぜこうした方法で行うのか、政府の見解をお伺いしたい。また、将来、負担の継続または拡大があるのかどうかについてもあわせてお伺いいたします。現行の特別協定も、五年の有効期限を叱って昭和六十二年に施行され、それから一年足らずで改正したという経緯がありますが、現行の特別協定が一年の効力を残しているにもかかわらず、今回、新たな特別協定を前倒しで締結いたしました。前回の改正は円高・ドル安というのが最大の理由でありましたが、今回はいかなる理由によるのでしょうか。そのような緊急性は一体どこにあるのでしょうか、政府の見解をお伺いいたします。
 今回の協定が実施され、日本人従業員給与の全額を日本側が負担することになりますと、現在の雇用のあり方は、見直す必要があると考えるのであります。すなわち、雇用主は日本政府、給与の支払いも全額日本政府であるにもかかわらず、解雇権は米国にあるという、これまでのいわゆる間接雇用制度では問題があると考えるのであります。米国側の解雇権留保にどう対処されるのか、政府の認識を伺いたいのであります。また政府は、給与の全額を負担する以上は、従業員の雇用安定、生活保障の面で新たな責任が生じ、例えば基地が縮小整理され従業員が解雇された場合は、政府はその従業員に対しての就職あっせんなどの義務を負うなど、間接雇用制度を抜本的に見直すべきであると考えるのでありますが、政府の見解はいかがでありましょうか。
 これまで政府は、思いやり予算として十三年間も在日米軍経費の肩がわりを行ってきましたが、従業員の給与の全額まで負担するという今日の状況は、もはや思いやりの域を超えております。思いやりといったファジーな概念、位置づけでは済まされるものではなべ、政府は、この際、国民にわかりやすい納得のいく位置づけを説明すべきでありますが、総理の見解をお伺いいたします。
 在同米軍に対する日本側の負担は、全駐留経費の五〇%にもなろうとしており、全く世界に類例を見ないものであります。私は、同居したり隣接している自衛隊の施設と在日米軍の施設を見ましたが、その格差は極めて大きいことに驚いた一人であります。日本政府の長年にわたる思いやり予算によって、在日米軍は住宅や附属施設も立派なものになっております。が、その一方で、自衛隊の隊舎などは老朽化し、まことに簡素なものがあり、士気にも影響しかねないのではないかとさえ思いました。米国の議会や国内で日本の防衛努力、防衛負担が足りないとか安保ただ乗りといった批判は、全く当たらないのではないかと思うのであります。むしろ、こうした日本側の努力、在日米軍に対する施設の結果を十分認識していないのではないか、あるいは日本政府の米国、アメリカ議会に対するPRが不足しているのではないかと思わざるを得ませんが、この点について外務大臣の見解を伺いたいのであります。
 以上の点について、総理並びに関係各大臣の明確なる御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 山口議員にお答えを申し上げます。
 発表されたソ連・イラク間の話し合いの内容は、昨晩のフセイン大統領の演説の趣旨とはトーンが違ってお力、その意味するところをさらに見きわめる必要がございますが、いずれにしても、我が国は、安全保障理事会の決議に従った公正な和平の一日も早い達成を強く期待しており、いずれにしても、イラクがクウエートから無条件に撤退することが和平へのかぎと考えております。我が国としては、恐らく国連加盟国の多くが国連決議に従った平和的な解決を望んでおると思いますし、意思の表明というよりも、まずクウエートからの撤退を明確な行動に移すことが停戦につながる最善の方途であると私は考えております。このような無条件に撤退することが確実となるなれば、和平への局面打開が可能になるものと私は期待をするわけであります。
 湾岸において戦闘が終結しても、この地域、ひいては中東地域の長期的な平和と安定の確保は、世界の安定にとり不可欠であり、我が国としては、域内諸国のイニシアチブを尊重、支援しつつ、関係諸国と協力して中東の経済の復興、安全保障や軍備管理面での国際協力、さらにパレスチナ問題の解決に向けた国際的努力に積極的な貢献を行っていく考えでおります。
 日米安保条約は、日米関係の基礎をなすものであり、抑止と対話による平和の追求を可能とするとと兆に、我が国を含むアジア・太平洋の平和と安定にとっても不可欠な枠組みであります。私は、この意義と重要性はいささかの変化もないと考えますが、議員御指摘のように、安保条約は、安全保障のみならず、その相互協力並びに安全保障条約となっておりますように、軍事的な大切な側面に加えて、両国の自由な諸制度の促進や安定及び福祉の条件の助長を通じて平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献し、両国間の経済的協力を促進することを規定しておる条約でございます。
 現下の国際情勢については、米ソ間の対話の進展等が見られますが、依然として、今日の国際社会において、力の均衡と抑止が平和と安定の基本的な条件になっておることもまた事実であります。米国は、太平洋地域における前方展開戦略、二国間の安全保障取り決めを基本的に維持しつつ、戦略情勢を十分見きわめながら、段階的に米軍の調整を進めていくこととしております。我が国としては、このような米国の考え方を理解するとともに、引き続き米国との間で緊密に連絡、協議を行っていく考えでおります。
 最近の国際情勢の変化の中にあって、日米安保条約は、引き続き日米関係の基礎をなす強固なきずなであります。我が国がみずからの平和と安全を確保し、広くアジア・太平洋地域の発展を図っていくための不可欠な枠組みとして機能しておることも事実であります。このような意義と重要性を有する日米安保体制の効果的な運用を確保していくことは極めて重要であるという観点から、新たな措置を講ずることとし、これに必要な特別協定を今国会に提出し光次第であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣中山太郎君登壇〕
#12
○国務大臣(中山太郎君) 山口議員にお答えをいたします。
 まず第一に、今回の負担増が特別協定によって可能ということであれば、将来、他の項目についても無制限に、結局特別協定により新たな経費負担を行うということになるのではないかという御趣旨のお尋ねでございます。政府といたしましては、日米安全保障体制の円滑な運用を確保するとの観点から、五年間を期間とする暫定的な措置を特例的に導入することとし、在日米軍経費のうち、在日米軍従業員の基本給等及び光熱水料等に限って我が方が負担することといたしました。この意味で本件措置は、暫定的、特例的、限定的な性格のものでございまして、特別協定の締結によってこれを講ずることとしたものでございます。また、手続的にも、本件措置は必要な国会の承認を得て行おうとしているものであり、本件措置をもって我が国の経費負担の無制限な拡大につながるといった御指摘は当たらないと考えております。
 いずれにいたしまして丸、この協定は、地位協定第二十四条に定める経費負担の原則それ自体を変更するものではなく、原則は原則としつつ、一定の期間を限り、特定の経費に限ってこれを特例的に負担することとするものでございまして、通常の意味の改正とは異なるものでございます。いずれにいたしましても、現在、この協定に定める措置以外の措置をとる考えは持っておりません。
 第二にお尋ねの、現行特別協定が一年の効力を残しているにもかかわらず、新たな特別協定を前倒しで締結した理由はどうかというお尋ねででざいました。
 最近の国際情勢の変化の中にありまして、日米安保条約は、引き続き日米関係の基礎をなす強固なきずなでございまして、我が国がみずからの平和と安全を確保し、広くアジア、太平洋地域の発展を図っていくための不可欠な枠組みとして機能をいたしております。我が国は、従来から、このような意義と重要性を有する日米安保体制の効果的な運用を確保していくことは極めて重要との観点から、在日米軍経費負担問題について、自主的にできる限りの努力を払っているところであります。
 他方、日米両国を取り巻く最近の諸情勢には、米国の抱える膨大な貿易赤字と日米間の経済力の相対的関係の変化といった経済情勢の変化、米国が膨大な財政赤字を抱えながらも国際の平和と安全の維持のためのグローバルな役割を果たしておりまして、国防費、在日米軍経費の著しい逼迫に直面していること、さらに、我が国が国力に相ふさわしい役割をみずから積極的に果たしていくことがますます求められるといったような変化が生じております。このような状況を踏まえ、我が国といたしましては、現行特別協定の終了を待たず、在日米軍経費の我が国負担増加に関する措置をとることが必要であるとの判断に至ったものでございます。
 第三は、在日米軍経費負担の分野における我が国の努力について、政府の米国民、米議会に対するPRが不足しているのではないかというお尋ねでございました。
 御指摘のとおり、在日米軍経費負担に係る我が国の努力を正しく米国の国民、議会に伝えていくことは極めて重要であると認識をいたしております。従来より、米国の議会関係者、マスコミ等に対する広報活動に努力をいたしておりますが、本件特別協定の署名に際しましても、日米で右措置に関する新聞発表を出す等の措置をとったところでございますが、今後とも引き続き広報面において努力をしてまいりたいと考えております。また、米行政府関係者も、我が国の今回の決定につき高く評価をいたしておりますとともに、我が国の努力につき米国民、議会等において十分な理解が得られるよう努力をしたい旨発表をいたしておるところでございます。(拍手)
    〔国務大臣池田行彦君登壇〕
#13
○国務大臣(池田行彦君) 山口議員にお答え申し上げます。
 在日米軍基地で働いておられます従業員の安定的な雇用の維持を図るということは、雇用主でございます日本政府の立場上当然のことでございますし、また、米軍の駐留の円滑な実施のためにも重要なことだ、このように考えております。
 さて、そういった観点から間接雇用制度は今後とも維持してまいりますけれども、御指摘の解雇権、離職者対策等につきましては、今般の特別協定の署名に際しまして、在日米軍従業員の勤務条件のさらなる改善について、日米間において協議を行う、このような合意をしております。したがいまして、これらの協議の場におきまして米側と十分に調整してまいる所存でございます。(拍手)
#14
○議長(櫻内義雄君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#15
○議長(櫻内義雄君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト