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#1
第120回国会 本会議 第16号
平成三年三月五日(火曜日)
    ―――――――――――――
  平成三年三月五日
    正午 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の
  一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説
  明及び質疑
    午後零時三分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(櫻内義雄君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 東祥三君及び山口那津男君から、三月六日から十八日まで十三日間、伊藤忠治承及び岡崎トミ子君から、三月七日から十五日まで九日間、古いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法
  の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨
  説明
#5
○議長(櫻内義雄君) この際、内閣提出、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。自治大臣吹田ナ君。
    〔国務大臣吹田ナ君登壇〕
#6
○国務大臣(吹田ナ君) 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、住民負担の軽減及び合理化等を図るため、個人住民税の税率の適用区分の見直し及び基礎控除額等の引き上げ、土地の評価がえに伴う固定資産税及び都市計画税の負担の調整並びに特別地方消費税の免税点の引き上げ等を行うこととしております。
 また、土地に関する税負担の一層の公平を確保し、かつ、その適正化を図りつつ、土地政策に資するため、市街化区域農地に対する固定資産税等の課税の適正化、特別土地保有税の全般的見直し及び遊休土地に対する課税の強化並びに住民税の土地譲渡益課税の見直しを行うこととしております。
 なお、これらの措置により、平成三年度におきましては、六千三百四十七億円の減収となる見込みであります。
 以上が、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。よろしくお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#7
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。遠藤登君。
    〔遠藤登君登壇〕
#8
○遠藤登君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。
 冒頭、私は、平成三年度政府予算案の組み替えあるいは補正について、政府の見解を問いたいと存じます。
 政府においては、平和と福祉を求める国民の声、世界の批判と警鐘を無視し、湾岸戦争積極参加の道を選択してきたことは極めて遺憾であります。しかし、今日、湾岸戦争は急速な展開を見せ、多くの人命を失い、環境破壊など悲惨な結果をもたらし、停戦を迎えました。この間、日本政府の戦争回避、また戦争早期終結に向けた積極的外交努力はほとんど皆無でありました。まことに残念であります。
 今後、湾岸地域における完全な平和の実現、また戦災復興や環境の回復、難民救済や周辺国の経済、社会の安定、パレスチナ問題の解決に向けて、課題、難問は山積みであります。我が国は、不幸にして戦争加担により、中東地域の人々と長い間培ってきた友好信頼関係を著しく損ねてしまいました。私は、今こそ日本は、戦後対策と平和の維持に積極的に貢献すべきであると確信をいたします。(拍手)
 我が党は、以上の観点から、湾岸地域の安定と戦後対策、アジアを初めとする平和・軍縮・信頼醸成の促進と協力・交流推進を第一の柱とする平成三年度政府予算案の組み替え要求をまとめました。
 我が党の組み替え案は、湾岸戦争終結に伴う国連による停戦監視、難民救済や環境回復、周辺国援助、戦争当事国の戦災復興などに、平成三年度において約四千五百億円の援助、拠出を実施するというものであります。
 海部内閣は、米軍の戦費調達には平成二年度補正予算及び平成三年度増税法案で協力しても、戦後対策については何も手当てをし狂いおつもりであるのか。それとも、今後改めて二回目の予算修正を行うのか。また、アメリカの要求に基づき補正予算を組み替えするつもりであるのか。戦争終結に伴い、アメリカへの戦費負担を中止ないし削減し、湾岸地域への援助、国連への拠出に振りかえるおつもりはないのか。世界が戦後対策に向けて動き出しているとき、明快な見解を示すべきであります。
 海部内閣は、今後戦争の戦後対策にどのように貢献される決意であるのか、国連の中東安定化活動にどのように貢献されるのか、海部内閣総理大臣の所見を問い、我が党の組み替え要求にどのようにこたえられるのか、御答弁をお願いをいたします。(拍手)
 次に、消費税について伺います。
 ちょうど一年前に海部総理は、消費税の思い切った見直しを国民に公約いたしまして、見直し法案を提出いたしました。その軽減額は平年度一兆一千三百五十億円とされました。私ども野党四会派は、消費税の廃止を公約し、廃止法案を提出いたしました。その軽減額は消費税の総体六兆三千九百億円であります。結論からいえば、残念ながら両案とも廃案となり、両院合同協議会が設置をされ、両案の妥協が模索されることとなったわけであります。六兆円と一兆円の妥協ラインはどこか。国民の期待を裏切り、自民党が年末に提示したのは、みずからの提案を大幅に下回る一千四百八十億円の軽減措置であります。なぜ思い切った見直しか思い切り小さな見直しになってしまったのか、今でも私には理解できません。しかも、その小さな見直しも平成三年度税制改正案には盛り込まれていないのであります。
 海部総理は、協議会の合意が得られていないと弁明されるのでありましょうが、あなたは、つい先日の国会で否定された自衛隊の海外派兵は政令改正でも強行しようとしているではありませんか。国会の決議や答弁を踏みにじって国庫補助負担率カットも提案しているじゃありませんか。外国から持ち込まれた戦争加担政策によって予算書も書きかえられるのであれば、ぜひ税制改正案も修正して、少なくとも一兆一千三百五十億円の消費税の緊急軽減策を提案してほしいと思うのでありますが、総理は国民に何と約束されるのか、そのお答えをいただきたいと存じます。
 また、自治大臣に伺いますが、公共団体の一般会計に計上される使用料、手数料の三%値上げは益税が含まれていると考えますが、地方自治法上許されることではなく、是正されるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 続いて、土地税制について伺います。
 本日は地方税に関する質問でありますから、できるだけ国税については省きたいと存じますが、消費税と同様に、政府が提案している地価税も地方税と切っても切り離せない問題であります。
 端的にお尋ねをいたします。
 シャウプ税制以来、我が国の土地保有課税は地方税源として位置づけられてまいりましたが、今回の地価税は国税であります。なぜ国税であるのか、シャウプ以来の考え方に誤りがあると考えられるのか、また、今後、保有課税の根幹は国税へと移行させていくのか、まずこの点につきまして大蔵大臣、自治大臣、それぞれ御見解を承りたいと存じます。
 また、大蔵大臣にあわせてお答えをいただきたいと存じます。
 地価税は損金に算入されるとのことでありますが、そうなれば、地価税の税収が大蔵省の説明どおり三、四千億円になっても、法人税の税収が目減りし、法人住民税にもはね返るのではないでしょうか。お教え願いたいと存じます。
 また、総理に率直に伺います。
 総理は土地神話を打破する御決意がおありですか。もし十分な決意があるとすれば、地価税の創設などなど今回の土地税制改正によって、地価は何割引き下げられると国民に公約されるのかをお示し願いたいと存じます。(拍手)
 引き続き、自治省に固定資産税の問題について伺います。
 新しく創設される地価税はいろいろと抜け道があるようでありますけれども、逃れようがないのが庶民が負担する固定資産税であります。平成三年一月一日付で行われる評価がえの全国平均上昇率は約三割とされているのであります。札幌、千葉、横浜、名古屋、京都、神戸などの大都市では軒並み六割以上であります。三年に一度、地方税改正においては必ずこの問題が取り上げられ、さらなる軽減措置の検討という附帯決議がつけられ、自治省も固定資産税の存続にかかわる問題であるので、中長期的に研究していくと言って今日に至っているのが実情であります。自治省は、三年に一度ですから答弁する方もかわりますし、中長期といえば十年ぐらいとされているのかもしれませんが、住民は、三年に一度ずつ大幅に固定資産税がふえるのではたまったものではありません。しかも、東京だけではなく、地方の中小都市にまで波及しているのが現状であります。
 昭和四十年代後半の狂乱地価の折には、住宅特例、小規模住宅特例が設けられました。六十三年に続く今回の大幅アップですから、この特例による割り落としをさらに拡充して、五分の一あるいは六分の一になぜしないのでしょうか。三年の負担調整期間を五年に延ばしたところで、結局は負担は上昇するではありませんか。自治大臣の明確な答弁を求めます。
 次に、平成三年度地方税改正の考え方について伺います。
 政府、自治省は、資産課税である固定資産税の税収増を所得課税である個人住民税の減税で相殺するとしていますが、増税と減税は納税層が同じなのでしょうか。年金生活者や零細な店舗を経営している人はどうでしょうか。お答えをいただきたい。
 また、地方自治体の増減収はプラマイ・ゼロになるのでしょうか。交付税で手当てとはいっても、現状において依存財源が多いのに、ますます財源依存率が高くなってしまいます。地方税と交付税を直ちにリンクさせ、マクロで収支が合えばよいという見解を普遍的におとりになるのか。また、そうであるなら、他の税源を拡充し、住宅特例を全国普遍的に拡充する道をなぜとらないのか、所見を伺いたく存じます。
 さらに、自治省は、平成六年度評価がえについては、固定資産評価を地価公示の一定割合を目標に評価の均衡化、適正化を推進するとしていますが、これは第一には、評価は税の性格に基づき行われるものであり、他の公的評価を固定資産評価に持ち込むことは適当でないという従来の自治省見解と異なること、また、地価公示はその鑑定評価の仕組み上バブルを含んでいるが、固定資産評価はバブルを含まないとしてきた見解と異なること、さらに、地価公示を基準評価とすれば、固定資産税評価は約三倍となることも想定され、その際は適切な負担調整措置を講ずると逃げているのでありますが、負担調整とは一体どのような方法であるのか、以上についての所見をお示し願いたいと存じます。(拍手)
 次に、自治大臣に伺います。
 自治省は、過去においては、地方税源を大切にし、譲与税等で同じ収入が保障されるといってもそれは将来にわたる保障ではない、地方自主税源の拡充という要請を常に念頭に置くべきであるとしてきました。消費税や特別地方消費税の問題、地価税と固定資産税の問題、繰り返し延長されている非課税等特別措置は、こうした自治省の主張とどのようにかかわるのでありましょうか。私は、自治省においても、地方自治の基盤たる地方財政の確立、地方自主税源拡充という基本理念が放棄され、単に三千三百自治体財政のマクロで金さえ確保できればいいと、安易な考え方に埋没しているのではないかと危惧いたしております。大臣の所見をお示しいただきたいと存じます。
 国の財政もさることながら、地方は、二十一世紀に向かって多様な住民ニーズにどうこたえていくか、個性豊かな地域をどう創造するか、過疎の拡大の中で地域振興と財源確保をどうするのか、苦悩の連続であります。しかも、こうした中で、地方自治を育てるという趣旨で定められたシャウプ税制は徐々に形骸化され、公平、公正という税制の理念も忘れられがちであります。地方自治と租税民主主義がどのように国の施策の中で……
#9
○議長(櫻内義雄君) 遠藤登君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#10
○遠藤登君(続) 生かされているかが、その国の民主主義水準のバロメーターと言えます。
 海部総理の、分権自治推進と租税民主主義回復への決意をただして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 遠藤議員にお答えを申し上げます。
 クウエートが解放されました後、我が国として、引き続き、湾岸諸国の平和と安定の回復のために積極的に協力をしていく考えでおります。
 いずれにしても、関係諸国のニーズを踏まえ、また、地域の国々のイニシアチブを尊重しながら我が国としては対処をしてまいりますが、戦闘行為終了後においては、地域の恒久平和確立のための国際協力あるいは戦災復興などが重要な課題となると考えます。その財源措置をどうするのかについては、現段階で具体的に申し上げられる状況ではございませんので、推移を見ながら検討をしてまいります。
 また、九十億ドルは、あくまでも安保理の関連諸決議に従って、湾岸の平和と安定の回復のために活動している米国を初めとする関係諸国を支援する目的で拠出したものでございますから、武力行使が終結した現時点においても、この方針には変わりはございません。
 また、社会党の平成三年度予算組み替え要求にどう対応するかということでございました。
 平成三年度予算は、行財政改革を推進する中で、政府としては、国民生活の安定や向上に資するようぎりぎりの必要な経費を適切に計上しているものでありますので、これをさらに見直しをするということは適当ではないと考えております。
 また、消費税につきましては、政府は御承知のとおり、昨年御指摘のような改正案を国会に提案をして、衆議院では成立をさせていただきましたが、参議院に行って残念ながらあのような結果と相なりました。ただいま、国権の最高機関である国会の両院合同協議会において、各党各会派で引き続き御協議をいただいておると聞いております。具体的な合意が得られれば、政府は、誠実、迅速にその趣旨に従って対応していく考えでございます。
 また、土地問題につきましては、土地は内政上の最重要課題であると私は受けとめております。これまでも土地取引の規制、土地関連融資の規制、住宅宅地供給の促進、土地の有効高度利用の促進など、需給両面にわたる施策を行ってきましたが、最近、東京、大阪などで地価の鎮静化傾向が見られるなど、成果の兆しか見えてきておるところであります。
 去る一月二十五日に、政府は総合土地政策推進要綱を閣議決定いたしましたが、これによって土地神話の打破を図りたい、土地政策の目標の一つに掲げて努力を続けておるところでございます。
 また、このたびの土地税制の改革は、地価税の導入のみならず、固定資産税の評価の適正化、均衡化、譲渡課税の負担の適正化、それらが相まって全体として地価の抑制、低下につながっていくものと私は考えておりますが、具体的にどれだけ下がるかということについては、ここで申し上げられるような状況はまだございません。
 地方分権自治推進は民主政治の基盤であり、内政のかなめであると受けとめております。近時の社会経済情勢の変化に対応しながら住民福祉の向上を図るためには、地方公共団体の自主性、自立性の強化を図ることが必要だと考えます。
 また、租税民主主義回復への決意と申されましたが、我が国は今日でも、国会の定める法律に基づいて課税が行われる租税法定主義や執行面での民主的な税制の手続が確立しておるものと考えておりますが、今後とも、納税者の信頼を得るために、先般の税制改革で示された公平、中立、簡素の基本理念を踏まえながら、そのときどきの経済社会の状況に対応し均衡のとれた税体系の構築を図っていく考えでございます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣吹田ナ君登壇〕
#12
○国務大臣(吹田ナ君) 遠藤議員にお答えいたします。
 地方団体の一般会計に係る消費税に関してのお尋ねでありますが、地方公共団体の一般会計については、売り上げに係る消費税額と課税仕入れに係る消費税額を同額とみなし、結果的に納付税額が生じない仕組みとなっているわけであります。このことば、一般会計が有する特別の性格を踏まえて採用された措置でありまして、民間の免税事業者やあるいは簡易課税事業者に利得が生ずるという意味での益税問題とは意味が異なるものであると考えております。
 次に、地価税に関してでありますが、地価税は、土地の資産としての有利性を政策的に縮減する観点から国税として創設しようとするもので、広く土地保有一般に対しまして毎年経常的に課税する固定資産税とは税の趣旨それから性格を異にするものであります。また、地価税のあり方につきましては、少なくとも五年ごとに検討し、必要があると認めるときは所要の措置を講ずるものとされております。したがって、固定資産税については今後とも土地保有の基本的税制としてその充実を図る方向を基本とすべきであり、地価税の創設によって固定資産税の運営に支障の生ずることのないものと考えておるわけであります。
 次に、今回の固定資産税の土地の評価がえに際しては、特に住宅用地についてなだらかな負担増加となるように配慮しました結果、ほとんどの住宅用地は前回の評価がえのときと同程度の負担増加にとどまること等もあり、住宅特例を拡充しなかったのもそういったことであります。また、今回の評価がえに伴う固定資産税等の増収分の全額を個人住民税の減税に充てることとしております。これは、個々の納税者や地方団体ごとに評価がえによる増加額を相殺することをねらいとしておるものではないのであります。
 平成六年度の固定資産税の評価がえにつきましての御質問がございましたが、この評価がえにおきましては、土地基本法の趣旨を踏まえて、地価公示制度の改善とも相まって、速やかにその一定割合を目標に評価の均衡化それから適正化を推進すべきものと考えており、このような考え方は、従来の自治省の見解を変更することにはならないものと考えております。また、その際、税負担が急増することが見込まれる場合には、評価がえに伴う負担調整措置や住宅用地の特例措置の見直しなど、総合的な検討を行う必要があると考えております。
 次に、地方税源の拡充についてお尋ねがありましたが、個性豊かな活力ある地域社会の実現のために地方税源の拡充は不可欠であります。国税、地方税を通ずる国民の税負担の適正合理化等にも配慮しつつ、今後一層の努力をしてまいりたいと存じております。よろしくお願いします。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#13
○国務大臣(橋本龍太郎君) 遠藤議員に二点お答えを申し上げます。
 地価税につきましては、土地基本法を踏まえまして、土地の資産価値に応じた負担を求めるに当たり、地域を問わず国内において納税者が有するすべての土地の資産価値の合計額に対して基礎控除を適用した上で、負担を求めるものでありますこと、また、土地の資産価値の評価につきましても、統一的な評価水準に基づいて負担を求める必要がありまして、具体的には全国の土地について毎年評価がえが行われる相続税評価によることが適当であること、こうしたことから国税として創設するところでございます。
 なお、地価税は、課税最低限の設定、居住用地の原則非課税によりまして広く土地保有に負担を求める固定資産税に比べ、納税者数が限定されたものとなっております。他方、固定資産税におきましては、土地の評価の適正化が図られていくものと承知をしておりまして、土地保有税制の根幹が大きく変わるものとは考えておりません。
 次に、個人事業者や法人が保有する事業用地について納付した地価税額につきましては、事業遂行上生じたコストであり、収益に対応する費用であることから、固定資産税等の租税公課と同様、個人の事業所得あるいは法人の所得の計算上損金に算入することといたしております。このような損金算入措置は、個々の地価税納税者における法人税額を減少させることとなりましょうけれども、法人税、ひいては法人住民税の税収全体にどの程度の影響を及ぼすかにつきましては、地価税を納付する法人に占める赤字法人の割合など、さまざまな要因に左右されることとなると思います。(拍手)
#14
○議長(櫻内義雄君) 草野威君。
    〔草野威君登壇〕
#15
○草野威君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方税法等の一部改正案につきまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 現在、我が国は、世界経済のGNPの約一四%を占める経済大国に発展してまいりましたが、大都市を中心とした住宅の取得難や社会資本整備のおくれ等によって、国民生活は高い経済力に見合った豊かさを実感できないのが実情であります。こうした実態を放置したまま来るべき高齢化社会のピークを迎えるならば、公正で心豊かな社会の建設は夢物語でしかなく、社会全般に無力感を広げ、我が国社会の活力と創造性の喪失にもつながりかねません。今こそ生活者の視点に立って、国の豊かさを日常生活に結びつける努力をしなければならないと考えるものであります。
 そのためには、これまでの生産優先の社会の制度や仕組みを大胆に転換し、ゆとりと潤いのある豊かな生活を享受できる地方自治の確立が最も重要であると考えるものでありますが、総理の考えておられる地方自治のあるべき姿をお示しいただきたいと存じます。
 ところで、平成三年度の地方財政は、単独事業による投資的経費を大幅に伸ばしております。主体的な地域づくりと地域の特性に沿った行政運営を進めることは重要でありますが、問題は、その裏づけとなる税財源をいかに充実するかであります。また、地方財政は、平成三年度において約六十八兆円の借金を抱える一方、高齢化社会の進展への対応など重要課題の推進に当たって、ますます大きな役割を担うことが求められております。
 国・地方の租税収入の配分割合を見ると、平成二年度においては国六六%、地方三四%であるのに対し、実質配分では国四〇、地方六〇と逆転をしております用地方の自主性ある行財政運営を図るためには、まず自主財源である地方税源の充実が最も重要であると考えるものでありますが、この国・地方を通ずる税配分のあり方についてどのように考えておられるのか伺うものであります。
 次に、租税特別措置についてであります。
 税負担の公正を期するという見地から、地方税における非課税等特別措置の整理合理化はこれまで長年の課題でありました。これは税制調査会の答申においても常に指摘され、また、地方六団体からの税制改正に対する要望でも強くその是正を求められているところであります。地方税における非課税特別措置については、平成二年度の場合の減収見込み額は五千七百億円余りで、このうち、地方税法によるものは五千百億円にも上っております。当然、これらの特別措置のすべてが不合理であるとは一概には言えないのでありますが、特別措置については、抜本的に見直し、整理合理化を進めるべきであると考えるものであります。
 また、国税が減免された場合、地方税もその影響を受けて減収する仕組みとなっております。この影響を断ち切り、国税が減収しても地方税に影響を及ぼさないようにすべきでありますが、これらの点を含めて、あわせて御見解をお伺いをいたすものであります。
 次に、土地税制についてお伺いをいたします。
 最近の地価暴騰によって、土地を持つことが他の資産を持つよりも有利となっているなど、持てる者と持たざる者との格差が拡大し、これが社会的不公正という問題を引き起こしております。土地対策を充実させるためには、これまで補完的な役割であった土地税制が主導的な役割を果たすことが必要であるとの観点から、土地税制に手を加えようとしておられますが、政府の行おうとしている土地税制で果たして所期の目的が達成できるのかどうか甚だ疑問であります。
 今回提案されている地価税法案は、課税対象が極めて少なく、また、税率も当初より大幅に後退し、骨抜きにされたという批判も少なくないのであります。今回の法案によって、どの程度の地価の引き下げ効果があり、また土地の供給があると考えているのか、お伺いをいたしたいと思います。
 また、これまで土地税制において、保有税は地方税とされてまいりましたが、今回提案されている地価税は国税となっております。これはこれまでの方針を大きく転換したことになると思うのでありますが、いかなる理由によるものか、お伺いをいたします。また、地価税、固定資産税のそれぞれの役割をどのように考えておられるのか、この点につきましても答弁を求めをものであります。
 最後に、固定資産税についてであります。
 今回、土地に係る固定資産税の評価がえによる税の増収分を全国一律の住民税の減税に充てることとしておりますが、これでは地方税源の格差が拡大することになると思うのであります。さらに、政府の総合土地政策要綱では、平成六年度以降、評価額を土地公示価格の一定割合を目標に課税の均衡化、適正化を推進することとされておりますが、その場合、格差はより拡大されることとなりますが、こうした点についてどのように対処をされるのか、お伺いをしたいのであります。
 また、国民の生活の根拠となっている居住用住宅とその土地は、土地の値上がり益をねらった投機目的の土地や住宅とは区別されるべきであります。生存権的財産と非生存権的財産は厳格に区別されなければなりません。今回の固定資産税の評価がえにより、評価額が平均二八・五%引き上げられることになり、住民の税負担は増大することになります。生活の根拠となる一定規模以下の小規模居住用住宅の宅地については、現行の軽減措置をさらに進めるべきでありますが、御見解をお伺いしたいのであります。
 以上、地方税に関する重要課題について質問してまいりましたが、政府の明確な答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 草野議員にお答えを申し上げます。
 地方自治のあるべき姿をどう思うかとのことでございますが、私は、地方自治は民主政治の基盤であり、内政のかなめであると考えております。豊かな国民生活の実現を図るためには、国土の均衡ある発展と個性豊かな地域づくりの積極的な推進が必要であると考えます。
 国と地方の税源配分の問題につきましては、単に地方税だけでなく、地方交付税や国庫支出金のあり方、さらには国と地方の行政事務配分のあり方等を踏まえ、幅広い見地から検討を行っていくべき問題であると考えております。
 地価税は、定性的には、土地の有利性の低下や中長期的な土地の有効利用を通じて、地価の低下をもたらす効果があると考えます。このたびの土地税制改革は、地価税の導入のほか、固定資産税の評価の適正化、均衡化、譲渡課税の負担の適正化などを含む総合的、抜本的な見直しとなっており、全体として有効利用の促進、住宅地の供給促進が図られ、地価の抑制、低下につながっていくことを期待しておるところであります。
 地価税を国税とした理由につきましては、地域を問わず納税者が有するすべての土地の資産価値の合計額から基礎控除を差し引いた上で負担を求めるものでありますから、土地の資産価値の評価について統一的な評価水準に基づき負担を求めるためには、全国の土地について毎年評価がえが行われる相続税評価によることが適当であることなどに照らして、国税といたしたところでございます。
 地価税は、公共的性格を有する資産である土地に対する負担の公平を確保しつつ、その資産としての有利性を縮減するため、資産価値に応じた税負担を求める観点から創設するものでありまして、土地の保有コストを増大させ、土地の保有コストに対する意識を高めることから、地価の低下、抑制、土地の有効利用の促進など土地対策に資するものと考えており、大きな意義を有するものと役割を期待いたしております。
 また最後に、土地対策において固定資産税の役割をどう考えておるのかのお尋ねでございましたが、地方自治の充実発展のための市町村の基幹税目として位置づけられており、固定資産税は、今後とも土地保有の基本税制としてその充実を図るべきものと考えております。
 残余の御質問については、自治大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣吹田ナ君登壇〕
#17
○国務大臣(吹田ナ君) 草野議員にお答えをいたします。
 まず、非課税等特別措置の整理合理化の問題でございますが、地方税における非課税等特別措置の整理合理化や国の租税特別措置の地方税への影響の遮断については、税負担の公平確保を図る観点等から引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、固定資産税の評価がえ等に伴う地方税源の格差の拡大等についての対処はいかに、こういうことでございましたが、このことにつきましては、地方税源の格差の拡大への対処につきましては、個性豊かな活力ある地域社会の実現のためにも税源の格差が拡大しないように努める所存でございます。
 最後になりましたが、小規模住宅用地の軽減措置に関しましては、今回の固定資産税の土地の評価がえに際しましては、特に住宅用地についてなだらかな負担増加となるよう配慮した結果、ほとんどの住宅用地は前回の評価がえのときと同様な負担増加にとどまること等もあり、住宅特例の拡充を行わなかったものであります。そういった点に御理解を願いたいと存じます。
#18
○議長(櫻内義雄君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#19
○議長(櫻内義雄君) 本日は、これにて解散いたします。
    午後零時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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