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1990/11/01 第119回国会 参議院 参議院会議録情報 第119回国会 社会労働委員会 第2号
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1990/11/01 第119回国会 参議院

参議院会議録情報 第119回国会 社会労働委員会 第2号

#1
第119回国会 社会労働委員会 第2号
平成二年十一月一日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月三十一日
    辞任         補欠選任
     乾  晴美君     粟森  喬君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         福間 知之君
    理 事
                小野 清子君
                前島英三郎君
                対馬 孝且君
                高桑 栄松君
    委 員
                尾辻 秀久君
                木暮 山人君
                佐々木 満君
                清水嘉与子君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                西田 吉宏君
                糸久八重子君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                堀  利和君
                木庭健太郎君
                沓脱タケ子君
                粟森  喬君
                勝木 健司君
                西川  潔君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  津島 雄二君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     熊代 昭彦君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       長谷川慧重君
       厚生省保健医療
       局長       寺松  尚君
       厚生省生活衛生
       局長       目黒 克己君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部長  小林 康彦君
       厚生省社会局長  長尾 立子君
       厚生省児童家庭
       局長       土井  豊君
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
       厚生省年金局長  末次  彬君
       厚生省援護局長  岸本 正裕君
       社会保険庁運営
       部長兼内閣審議
       官        大西 孝夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       外務大臣官房領
       事移住部領事移
       住政策課長    島内  憲君
       文部省体育局学
       校健康教育課長  富岡 賢治君
       建設省住宅局建
       築指導課長    梅野捷一郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度等に関する調査
 (原子爆弾被爆者対策に関する件)
 (国民年金への学生の強制適用に関する件)
 (浦和市における集団下痢事件に関する件)
 (海外在留邦人の飲用水の安全確保に関する件)
 (水俣訴訟和解勧告に関する件)
 (戦没者の遺骨収集に関する件)
 (出生率の低下に関する件)
 (看護婦の養成確保対策に関する件)
 (小規模作業所問題に関する件)
 (福祉マンパワー対策に関する件)
 (保健医療分野における国際協力に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(福間知之君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 昨十月三十一日、乾晴美君が委員を辞任され、その補欠として粟森喬君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(福間知之君) 社会保障制度等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○糸久八重子君 私は、まず、原爆被爆者対策について、最初に大臣にお伺いをしたいと存じます。
 今国会の本院の代表質問で、我が党の浜本議員が被爆者等援護法の速やかな制定について総理の答弁を求めましたところ、総理からは相変わらずの現行二法を中心との答弁があったわけでございまして、大変遺憾でございます。
 ところで、自民党の原爆被爆者対策小委員会では、八月の末までに原爆二法改正の具体的内容を固める、そして弔意の方法は年末の予算編成時期までに煮詰めるということを決めたということを伺っております。
 弔慰については、最近書状とか品物とか、それから施設、建物等の案が浮かんでいると言われておるわけですけれども、このような内容で済ませるおつもりなのかどうか。自民党の議員の方の中からも弔慰金を支払ったらどうかという意見が出されたということも伺っておるわけですが、その辺の大臣の御見解を賜りたいと存じます。
#5
○国務大臣(津島雄二君) 原爆死没者の方々に対する国の弔意のあり方につきましては、従来は毎年行われる広島市、長崎市の死没者慰霊式典に総理大臣や厚生大臣が出席いたしまして、哀悼の誠をささげるとともに、その式典の開催費や遺族の参列に助成をさせていただいておりますほか、八月十五日の全国戦没者追悼式に原爆死没者の遺族が参列される費用を予算化するというようなことをしてまいりましたが、原爆死没者調査が本年五月にまとまりましたことを契機といたしまして、今委員御指摘のような検討を求める声が非常に強くなっているわけでございます。
 私どもといたしましては、一般戦災者との均衡の問題に波及しない範囲内でどのような弔意をあらわすことができるか、今真剣に検討を進めているところでございまして、今お話のございましたように、来年度の予算編成の段階で結論を得たいというふうに考えております。
#6
○糸久八重子君 援護局長にお伺いをいたします。
 原爆被爆者対策の、今の大臣のお話にもございましたが、来年度予算の要求の内容はどんなものでございましょうか。主な改善はどんなものがあるか、お示し願いたいと存じます。
#7
○政府委員(寺松尚君) 今先生から御質問がございました被爆者対策に関します来年度の概算要求の内容ということでございますので、御説明を申し上げたいと存じます。
 まず、原爆被爆者対策の平成三年度概算要求につきましては、被爆者の高齢化に伴います保健医療、福祉に関します需要の増大に対応いたしまして、各施策の充実強化を図ろうとしておるわけで
ございます。
 その具体的な内容でございますけれども、まず第一は、健康管理手当の認定期間の改善、健康管理手当等の諸手当の所得制限及び介護手当の改善、また物価上昇に見合う手当額の改善を図りますとともに、原爆養護ホーム施設整備及び運営に関しまして、それに助成する、あるいは被爆の実態等の調査研究事業の推進等を考えておるわけでございます。
 また、原爆死没者につきましては、今大臣から御答弁申し上げましたように、現在政府部内で検討に入っておるところでございまして、予算編成の段階で結論を得たいものと考えております。
#8
○糸久八重子君 来年度の要求の中で、被爆者に対する諸手当の所得制限の大幅な緩和ということでございますけれども、それは大変重要な意味を持つと私は思います。
 まず、確認をしておきたいのですけれども、現行の諸手当には所得制限のあるものとないものとがございますね。所得制限のないものというのは医療特別手当と、それから原子爆弾小頭症手当の二つだけで、あとの特別手当とか健康管理手当、保健手当、介護手当等は所得制限があるわけでございますけれども、この二つだけが所得制限のないという理由は一体どこにあるのでしょうか。また、ここで所得制限を緩和するということはどういうことを意味するのでしょうか。
#9
○政府委員(寺松尚君) 原爆被爆者対策でございますが、原爆の放射線による健康障害ということに着目いたしまして被爆者の障害の実態に即した対策を重点的に実施する、こういうことにしておるわけでございますが、現行の各種手当につきましては、こうした観点から、原爆放射線による健康被害を現に有している被爆者に対しまして支給されておる医療特別手当及び原子爆弾小頭症手当については所得制限を設けない、直接の被害を現に有しておるということでこの所得制限を設けていないわけでございます。こうした事情にございません健康管理手当等につきましては所得制限を設けておるというのが現段階の状況でございます。
 それから、今ちょっとお触れになりましたけれども、じゃ来年度の問題につきまして所得制限の改善ということを考えておるわけでございますが、それにつきまして、私どもは被爆者の高齢化の進行など、あるいはそれに伴います身体的精神的状況の変化、そういう状況に置かれております被爆者の一層の健康の保持、増進を図るという観点から各種手当の性格等をも勘案し、健康管理手当等の所得制限を撤廃するなどの改善を現在要求いたしておるところでございます。
 そして、この所得制限の改善につきましては、これも委員御承知のとおりでございますけれども、現在政府部内で調整をいたしておりまして、予算編成の段階で取り扱いを決めることとなるわけでございます。
#10
○糸久八重子君 現在所得制限のあるこの四つの所得制限で受給できない人は対象者の四%ということを聞いておるわけですけれども、これらが、介護手当は一部だけなんですが、撤廃されますと、何と申しましょうか、ほとんどの人が受給できるという状況になるのではないかというふうに考えるわけですけれども、公費で支給する各種の福祉制度による手当というのは大体所得制限が課せられておりますね。全く所得制限のないものというのは、国家補償の精神に基づく戦傷病者戦没者遺族等援護法による年金とか弔慰金ということであるわけですが、今回厚生省が来年度から実施したいと考えておりますこの所得制限の緩和というのは、もうまさに国家補償に限りなく近づくものであるというふうに私は思います。
 ここまで実質的に国家補償的にしようというのに、どうして原爆被爆者等援護法案に反対なさっておるのか、これを速やかに実施しようと、法制化しようとなさらないのか、大変私は不思議に思います。昨年本院で被爆者援護法の案が可決をされてからもう一年近くになろうとしておるわけですけれども、もう今や地方自治体も半数近くがこの援護法制定を求める決議をしているという状況の中で、やはりもう国家補償に基づく被爆者援護法の制定はせねばならない時期ではないか、そのように思うわけですけれども、大臣いかがでしょうか。
#11
○国務大臣(津島雄二君) 昨年度本院におきまして原爆援護法が可決をされたということは私どもは重く受け取っている次第でございます。
 原爆被爆者対策につきましては、原爆放射能による健康障害という特別の犠牲に着目して、その実態に即した対策の充実を図るという考え方で来たわけでございますが、今回の所得制限の改善を財政当局と今折衝しておりますのは、被爆者の高齢化等の実態を踏まえましてその健康の保持、増進に一層の配慮を行おうということでございまして、従来から政府が推進しております原爆被爆者対策の基本的な考え方に沿って一層の強化を図るということでございます。政府といたしましては、今後ともそのような考え方に立ちまして、原爆二法を中心としてできる限りの施策の充実に努めてまいりたい、こういう考え方でございます。
#12
○糸久八重子君 時間が限られておりますから、それでは次の問題に入りたいと思います。
 昨年の百十六国会で国民年金法等の改正案の審議の際に問題となりまして、また来年の四月から実施されます学生に対する国民年金の強制適用等についてのお伺いでございます。
 国民年金法等改正案に対する附帯決議には、学生への適用については「保険料負担が過大にならないよう、免除基準につき適切な配慮を行うこと。」とされておりまして、これについて私は一般の場合よりもその対象をさらに拡大するように配慮せよということだと受けとめております。この私の考えは政府においても理解を示したとその審議の際には考えておりますが、この点初めに確認をしておきたいと思いますけれども、お伺いをさせてください。
#13
○政府委員(末次彬君) 先般の国会におきましてそういう附帯決議がございまして、国民年金制度そのものは一般被保険者を対象とします免除基準というものが既に定められておりますが、学生適用に当たってそういう附帯決議がなされたということは私ども重く受けとめておりまして、その趣旨を十分に踏まえたものになるようにしたいというふうに考えております。
#14
○糸久八重子君 その際、厚生省はどんな配慮を行うかという私の質問に対して、国民年金保険料負担能力調査を実施しているので、その結果を踏まえて適切に対処したいとお答えになりましたが、そしてもう一つ、その際政府は三月末までに集計、解析を行いたい、そう申しておられましたけれども、その後どうなっておりますでしょうか。
#15
○政府委員(末次彬君) ただいまお話のございました国民年金保険料負担能力調査、これは国民年金の第一号被保険者を含みます世帯と二十歳以上の学生を含みます世帯で保険料を納付することが困難ではないかと思われる世帯約八千世帯を主な対象として行ったものでございます。
 その調査項目としましては、世帯の所得金額、給与所得、固定資産評価額、市町村民税額、十八歳末満の者の数、二十歳以上の学生数など負担能力に関連があると思われる事項につきまして調査をしたわけでございます。
 この調査は、通常統計調査といいますと、無作為抽出で調査客体を選定いたしまして、その集計を行うことにより一定の結果を取りまとめるというものでございますが、この調査はそういう調査と違いまして、免除基準というものを作成する目的でその基礎となるデータを収集するために、保険料納付が困難と思われる世帯を中心にしまして有意の抽出によりまして調査客体を選定したものでございます。したがいまして、個々の項目を集計するという目的の調査ではございません。したがいまして、私どもここで得られました個別のデータをもとにそれらの各項目の関連を考慮しながら免除基準を作成するという作業を現在やっておるところでございます。
#16
○糸久八重子君 学生に対する国民年金の適用というのは来年の四月施行なんですね。ですから、何か今の事務の進め方ではそれまでに間に合うのかどうか大変心配になってまいります。一体その免除基準というのはいつごろまとまるのでしょうか。主としてこの前の国会の中で問題になったのは、学生の負担能力への配慮と、それから負担能力の有無の認定の基準というのが大きな問題になったわけでございますので、早くに事務を進めませんと来年の四月に間に合わないのではないかというふうに非常に考えるんですけれども、一体いつごろまとめる御予定でいらっしゃいますか。
#17
○政府委員(末次彬君) 免除基準そのものにつきましては現在鋭意検討を進めておりまして、来年の四月から適用ということを踏まえまして早急に基準をつくりたいというふうに考えております。御指摘のとおり、四月から円滑に実施できますように十分な周知徹底のための期間を設ける必要があるという認識に立っております。現在政府部内でこの検討を鋭意進めている段階でございまして、もうしばらくお時間をいただきたいと思っております。
#18
○糸久八重子君 実は、同居と別居の場合についてかなりこの前の法案審議のときに問題になったんですけれども、一世帯ごとに負担能力の有無を見る従来の免除基準の考え方では、親と別居している学生は収入がないとみなされて保険料は免除されるけれども、同居していれば親が支払うということだったわけですが、その辺の不合理というのは是正されると考えてよろしいのでしょうか。
#19
○政府委員(末次彬君) 附帯決議の御趣旨の中にはそういう趣旨も入っていたかというふうに考えております。そういう趣旨を踏まえ、またこれは実際の適用に当たりましては市町村の窓口で実施されるということもございます。したがいまして、余り判定事務が複雑にならない範囲でできる限り学生の生活実態に即したものとなるように検討を進めている段階でございます。
#20
○糸久八重子君 次は、保険料の納付の問題でございます。親に保険料負担能力があっても、学生が被保険者である以上学生本人が納付義務を負うというわけでありますけれども、現在の社会の実態から見て、円滑に納付が期待できない場合があるのではないかと危惧をいたします。必ずしも悪意でなくても学生本人から直接納付が難しい場合等、その納付を保証する方法を工夫することは考えておりませんか。
#21
○政府委員(末次彬君) 私どもこの適用に当たりましては、学生の実態は恐らく親元の家計と一体的に処理がなされているというふうに考えておりまして、適用そのものはもちろん学生を対象にするわけでございますが、親元の方との関連も十分考慮しながら対応していきたいというふうに考えております。
#22
○糸久八重子君 手続の問題なんですけれども、学生の強制適用の事務については保険料納付書の発行等施行の日までに態勢を整えておく必要があるということで、特に大学が集中をしている大都市においては早く対応することが求められておるようであります。担当者も非常にこの問題については頭を痛めているということのようですけれども、実務担当者からは、実は七月十九日に全国都市国民年金協議会の総会がありました。そこでも法定納期限の特例的な緩和とか、それから申請免除開始月の特例的な遡及の検討というのが求められていたようですけれども、そのときの厚生省側の答弁では、その時点では検討は行っていないという答弁があったようですが、この辺の問題については配慮する考えはあるのでしょうか。そして、事務の簡素化については特に考慮する事項はないのでしょうか。
#23
○政府委員(大西孝夫君) お答え申し上げます。
 手続等について事前に十分周知徹底を図るという必要性が高いことは先生御指摘のとおりでございまして、私ども来年四月実施に向けましていろんな広報媒体を通じて一般的な広報を行うとともに、文部省でありますとか大学の関係団体等と現在折衝を始めているところでありますが、その協力が得られますれば各大学でポスターを掲示したり、チラシを備えるほかに説明会などを開催させていただきまして、制度あるいは手続の詳細についての周知徹底が図れるようにしたいと思っておりますし、来年四月以降、制度適用後につきましては、さらに適用対象者個人個人あるいはその親元に対しまして個別に勧奨をさせていただくことになりますが、そういう際にあわせてさらに制度の周知徹底を図っていくようにしたいと思っております。
 それから、今言われました事務簡素化等につきましては、できるだけ学生に経済的負担のほかにも時間的な負担とか手間がかからないようにという配慮をすることが円滑な適用上必要かと思いますし、そういう観点に立ちまして、例えば申請事務を親元でも代行できるようにするなどいろいろ考えられる事務処理について今工夫をしておるところでありますが、今後免除基準等の検討の詰めが行われるのにあわせまして細部についてもいろいろ工夫ができるところがないか、私どもも十分検討してまいりたいと思っております。
#24
○糸久八重子君 新しい制度を実施するにはそれなりの準備期間とかそれから周知徹底の期間というのは必要で、十分にそれの準備期間を置いて対応できるようにしていかなければならないと思います。
 そういう状況も今お話があったわけですけれども、一週間ほど前の新聞によりますと、学生自身がほとんどこの制度を知らないという記事が出ておりました。ある大学は厚生省や文部省から説明が全くなくて学生に説明したくてもできない、そして対応策を非常に考えあぐねているということも聞いておりますし、今そちらで御答弁ございましたけれども、大学内でのポスターの掲示、そういうこともこれからおやりになるんでしょうね。学生向けのPRに乗り出すということなんでございますが、少し遅いのではないかなというような気持ちがいたします。法案成立は昨年の暮れでありましたし、もうそろそろ一年にもなるし、来年の四月から実施ということですから、なるべく早くに準備を整えて、そして周知徹底をしていかなければ、せっかくの法律も生かされないわけですから、そういう意味で十分にその周知徹底方をお願いをしたい、そのように考えておるところでございます。
 それから、最後に大臣にお伺いをさせていただきますけれども、前回の法改正の際に私は「世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。」という国民年金法第八十八条の規定に基づいて世帯主たる親は同一世帯の学生の分を支払わなければならないということから、学生の被保険者に対する減免規定を設けるという法改正も考えておるんだがということを申し上げたわけですけれども、学生に関して保険料納付はほとんど扶養義務者の負担になるわけですね。家計の負担増のために、制度の趣旨はよく理解できても、結果的には保険料を納められない者がふえてくるのではないか、こういうことを心配する人は少なくないわけです。現に都市の国民年金の実務担当者の集まりの中でもそういう声が出ているわけでございます。
 冒頭に申しました免除基準についての適切な配慮は、今申し上げました懸念の減少に役立つのではないかと思いますけれども、来年四月から発足する制度の運用問題とは別に、国民年金制度における学生の問題については今後も基本的な検討を行う必要があると考えますけれども、大臣いかがでしょうか。
#25
○国務大臣(津島雄二君) 昨年の改正によります学生への国民年金の適用は、学生に対して万一のための障害年金の保障をつけてあげたいとか、それから長い生涯にわたって満額の老齢年金を確保してあげたいとか、それなりの政策目標があったわけでございまして、この点は委員もよく御理解いただいておると思います。
 問題は、保険料の負担が専ら学業に従事をしているという立場で、ややもすれば父兄の負担になるのではないかという点もそのとおりだと思いま
す。ただ、私から申し上げるまでもなく、資産所得を持っておる方もそれはおるわけでございますし、そういうことも考えますと、法律上一律にこれを免除するということはやはり制度の本旨に沿わないのではないかと言わざるを得ないわけであります。でございますから、学生について今申し上げたような事情をよく考慮しなければいけませんので、一律に免除をするというやり方よりも、一人一人の本人の申請に基づいて免除の適否を判断する、その判断とかあるいは行政の実施の実態においてできるだけ実情に即した姿が実現できることが望ましいのではないかと私は考えているところでございます。
#26
○糸久八重子君 この制度の完全実施に向けて一層の御努力をお願いしたいと思います。それをお願いいたしまして私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#27
○日下部禧代子君 まず最初に、埼玉県で起きました幼稚園の集団下痢問題について質問させていただきます。
 埼玉県浦和市のしらさぎ幼稚園の集団下痢は多数の入院患者だけではなく園児が死亡するという痛ましい事件になってしまいました。この問題は幼稚園児を持つお父さんお母さんたちだけではなく、井戸水を飲用している全国の多くの人々に衝撃と不安を与えているというふうに思います。
 集団下痢発生の経過については新聞等でもかなり詳しく報道されておりますし、また質問の時間が限られておりますので、今回私は再びこのような事件が起きないために、つまり再発防止という観点からお尋ねさせていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 しらさぎ幼稚園では水道ではなく井戸水を飲料水として用いていたということでございます。集団下痢の感染源は園内の井戸水であると埼玉県対策本部が断定したと聞きますが、それでよろしゅうございましょうか。
#28
○政府委員(小林康彦君) 患者から検出されました菌とそれから井戸水によります飲料水から検出されました菌が同一でございますので、井戸水がその原因として疑われている、こういう状況でございます。
#29
○日下部禧代子君 厚生省は昭和六十二年一月二十九日付で「飲用井戸等衛生対策要領の実施について」という生活衛生局長通知を各都道府県知事、各政令市市長、各特別区区長あてにお出しになっております。この通知は「飲用に供する井戸等及び水道法等の規制対象とならない水道を対象」とすると記されております。したがって、今回のしらさぎ幼稚園の井戸についてもこの通知の対象となるわけでございましょうか。
#30
○政府委員(小林康彦君) ただいまの点の幼稚園のような井戸も想定をいたしまして作成をいたしました要領でございます。
#31
○日下部禧代子君 この通知を見ますと、その目的というのは、「この要領は、有害物質等による地下水汚染等がみられることにかんがみ、飲用に供する井戸等及び他の水道から供給を受ける水を水源とし、水道法等で規制を受けない水道の適正管理、水質に関する定期的な検査、汚染時における措置及び汚染防止のための対策を定めることにより、これら井戸等について総合的な衛生の確保を図ることを目的とする。」となっておりますし、また「飲用井戸については、地下水の汚染状況の把握に努め、その汚染地域に対し重点的に対策を実施」するとも記されております。
 もしこの対策要領が完全に実施されていたならば今回のような事件は未然に防げたとも言えるのではないかと思われるわけでございますが、埼玉県の自家用水道条例がございますが、条例違反に対して罰則の規定はございますけれども適用されたことはないというふうに伺っております。水道法の適用のない飲用井戸水の水質管理の実効性確保について厚生省はどのように対処するおつもりでいらっしゃいますでしょうか。
#32
○政府委員(小林康彦君) お話のございましたような飲用井戸等衛生対策要領に従いまして井戸の管理及び水質検査、その水質検査の結果の判定により必要な措置がとられておりましたら今回の事故は未然に防止できたものと確信をしております。したがいまして、私どもはこの対策要領の一層の徹底を図ってまいりたいと考えております。
#33
○日下部禧代子君 一層の徹底というのは具体的にはどういうことを示すわけでございますか。
#34
○政府委員(小林康彦君) 都道府県の中では、条例をつくりまして条例に基づきまして指導しているところもございますし、要領に基づきまして要綱を作成しているところもございますので、それらに従いまして、特に多数の人が利用する井戸等につきまして、その実態の把握及び個別的な指導の強化を求めてまいりたい、こう考えまして、本日、各都道府県等に対しましてその旨の通知を出したところでございます。
#35
○日下部禧代子君 その実効性についてはどのようにお考えでございますか。このような通知も既に出されていますし、またきょうもお出しになったということでございますが、問題はその実効性の問題だと思うのですけれども、この点について再度お伺いいたします。
#36
○政府委員(小林康彦君) 都道府県が中心になりまして、関係の市町村とも相談をいたしましてそれぞれの部署で役割を定め、漏れのないような形で、市町村が具体的な指導に当たることが適当なところは市町村が担当し、県が直接行いますところは保健所等の業務を通じまして井戸の管理の徹底、その指導を図っていきたいというふうに考えております。
#37
○日下部禧代子君 今までの通知、条例というものがなぜ実効性がなかったのか、どこが問題点であったかというふうにお考えでいらっしゃいますか。
#38
○政府委員(小林康彦君) 一つはこうした施策のPRといいましょうか、啓蒙活動が十分でなかった点があろうかと思います。個々の井戸の管理につきましては、設置者の注意にまつところが多いわけでございまして、従来から水質検査を受けていただくようPRには努めてきたわけでございます。井戸等の衛生確保あるいはその衛生に対する関心といいましょうか、これが公衆衛生の立場からいいますと、衛生確保には十分注意を払わなくてはいけないという点でPRをし、水道の普及にも努めてきたわけでございますが、地下水に対します安心感といいましょうか、従来、長年飲んでいて別に支障はなかったのでまあ大丈夫だろうという感じが井戸を使っておられる皆さん方にはかなり残っておりまして、現在の汚染に対する危機感といいましょうか、それに対する認識もまだ十分でないという感じがしております。
 それと、検査を受けましたときの指導の側でも、煮沸あるいは消毒をしなさいという指導をしたにとどまって、その後のフォローといいましょうか、確認というところまでなかなか手が回っていなかった、こんなようなことが重なっておる状況ではないかと思っております。
#39
○日下部禧代子君 私は、この際抜本的な法律の見直しというふうなことも考えてみる必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。
 例えば水道法第三条の専用水道の定義におきましては、「「専用水道」とは、寄宿舎、社宅、療養所等における自家用の水道その他水道事業の用に供する水道以外の水道であって、百人をこえる者にその居住に必要な水を供給するものをいう。」というふうになっておりますが、今回のような幼稚園では幼稚園児は居住者ではございません。そういうことから水道法は適用されなかったわけでございます。しかしながら、大勢の人が集団で生活する場所あるいは不特定の人が利用する場合に、居住者であるか否かということを基準にするというのもいかがなものかなというふうに思うのです。これを居住する者というのではなくて、生活ないしは水を利用する者というふうな基準に変えるとか、あるいはまた「百人をこえる」というその「百人」という数でございますが、この基準をもう少し引き下げるというふうなことも考えるべきだというふうに私は思うのですけれども、
今、例えばでございますが、私の提案申し上げました例えばも含めまして、どのように法律について改正などのお考えございますでしょうか。
#40
○政府委員(小林康彦君) お話がございましたように、現在の水道法ではそういう定義で、それに該当いたしますものに対して全国一律の規制をしておるわけでございます。それ以外のものにつきましては、それぞれ地域的な特性がございますし、あるいは実態把握等の業務がございますので、地方公共団体の条例等にゆだねてきておるのが現状でございます。法律ということになりますと、実務的にかなり公平といいましょうか、客観的に把握のできるものに限定しなくてはならないとか幾つかの要件がございまして、現在その制度で運用しておるわけでございますが、飲用の井戸等、現在水道の普及が一〇〇%に近い地域もございますし、まだこれから水道を普及していかなければならない町村というのも残っておりますし、相当地域性が強いということもございまして、当面現在の都道府県を中心とした行政事務でその徹底の強化を図っていきたいというふうに考えております。
#41
○日下部禧代子君 次の質問に移らせていただきます。
 このしらさぎ幼稚園では、昭和六十二年に検査を受けて大腸菌が検出されていて、先ほどお言葉にもございましたけれども、煮沸するようにという指導を受けていたということでございます。その後、フォローを余りしなかったというふうなお言葉も今お聞きいたしましたけれども、保健所はこの場合どのようなことがフォローできたというふうに、今過去となってしまいましたけれども、お考えになられますでしょうか。
 このフォローの問題というのは、お言葉にもございましたように大変に重要なことだというふうに思うわけでございます。検査をした、この結果がもう何も問題がないということならばそれは結構でございます。しかしながら、危険だということの検査結果が出ているにもかかわらず、そのままのような感じを私は報道などでは受けておりますけれども、もう少し詳しくそのフォローの問題についてはお答えいただきたいと思います。
#42
○政府委員(小林康彦君) 通常、井戸水等の飲料水の検査につきましては、都道府県等の行政機関が実際に採水しまして、いわば立ち入りをしまして採水をして検査をいたします場合と、依頼者が水を保健所等に持ち込みまして、そこで検査をする方法がございます。今回の場合は、依頼者が水を持ってまいりまして、それを検査いたしました結果大腸菌群が検出をされましたので、保健所では依頼者に直接来ていただいて結果を示し、煮沸等の指示をされたもの、こんなように考えられるケースでございます。
 その際、検査結果につきまして、その井戸がどういう井戸であったかという点については余りその時点で確認がされていないような印象がございまして、一般の個人の井戸の依頼と同じような形で取り扱いをされている。もう少しその井戸の使われ方でございますとか、それの利用されております種類でございますとか、そういう状況を押さえて、特に幼稚園のような場合での使用でございましたら、その注意を個人に対するよりは強い指導をする、こういう点があったのではないかと思います。そして、そういう状況がもしわかっておりますと、消毒設備の有無あるいはそれの管理という点も確認をし、大腸菌群が検出されるような状況の改善が行われたであろうと思いますが、保健所の窓口で指示をしたにとどまったというところが今回の事件を起こした一つの背景であろうというふうに考えております。
#43
○日下部禧代子君 これは個人の井戸ということで、例えば先ほどの厚生省の生活衛生局長通知を拝見いたしましても、その設置者が「保健所等へ連絡し指示を受ける」というふうになっておりまして、井戸の設置者の自主性にゆだねられておりますけれども、この辺の問題について、これをもう少し突っ込んだ形でこの通知を変更なさるというふうなお考えはございませんでしょうか。
#44
○政府委員(小林康彦君) 一般の井戸につきましては、その善良な管理というのは設置者、使用者の自覚あるいは自発的な行為にまつところが多いというふうに考えておりますが、本件について言いますと、幼稚園の飲料水につきましては、学校保健法というような法律でその管理あるいは状態の確認、良好な飲料水を供給すべきという規定がございまして、飲料水に対する私どもの行政と学校保健法によります指導監督と相まちますればその井戸の管理について不安が残るところはないだろうというふうに思っております。
#45
○日下部禧代子君 そういたしますと、幼稚園は学校保健法の適用を受けるわけでございますが、学校保健法の適用つまり文部省でございますが、それと厚生省の管轄との連携、具体的に言いますと保健所と学校保健法の適用、この場合は実際の管轄というのは県の総務部の学事課というふうにも聞いておりますけれども、その保健所と県の総務部の学事課との連携というものがもう少しきちんと図られていたらというふうな気がして残念でならないわけでございますが、この点、この連携についてどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
#46
○政府委員(小林康彦君) 私ども、制度をつくりましたりあるいは大きな通知を出します際には、省庁間で十分調整をし、意見を交換した上で行政を進めております。しかしながら、今回の件について考えますと、第一線のところでそこの部分の連絡が必ずしも十分でなかったという印象を現在持っております。
#47
○日下部禧代子君 個人の井戸ももちろんでございますが、特に公共施設に対してこれまでのような受け身な、受動的な体制というのではなくて、もっと積極的でそれから実際的な御指導というものをお願いしておきたいと思います。
 今、この問題でも明らかになったように、厚生省と文部省、あるいは具体的に言えば保健所と県の総務部学事課とのいわゆる縦割り行政による弊害というものがこういった痛ましい事件に導いたということも言えなくはないというふうに思うわけでございます。行政機関の有機的な連携ということがますます必要なことではないかなということを私痛感いたしました。
 次に、今回の集団下痢の原因というのはO157型出血性大腸菌という、これは一九八二年にアメリカで発見された比較的新しいタイプの病原性大腸菌というふうに聞いております。我が国でも発症例の報告とかあるいはO157について言及した論文というのも出ているように思います。私もこの際急いで二、三読みました。また、厚生省研究班も症例研究報告を既に出していらっしゃったことがあるというふうにも承っておりますが、このようなO157も含めて新しい型の病原菌あるいは感染症に対して厚生省はどのような対応をなさってきたのか、なさろうとしていらっしゃるのかということと、もう一つ、今度のしらさぎ幼稚園の場合、もし早い段階で専門的な治療を受けていたらば、とうとい命は失われなかっただろうというふうな声も聞かれます。私もやっぱりそういうふうに思うわけでございます。開業医とかあるいは衛生関係者に対する啓蒙活動、こういった新しい感染症、新しい型の病原菌についてのそういった啓蒙活動というのは厚生省としてはどのように今まで取り組んでいらしたのか、この二点についてお伺いいたします。
#48
○政府委員(寺松尚君) 委員御指摘いただきましたように、こういういろんな医学的な知見を、患者さんの診療を担当していただきます医療機関に情報を提供し、かつまたそれを活用していただいて患者の医療等に万全を期していただくということは非常に大事なことであると存じます。
 そこで、本件につきましては、今御指摘いただきましたように、非常に医療関係者の間ではまだまだ十分な情報が行き渡っていなかったと存じます。そこで、厚生省といたしまして、今回都道府県等を通じまして医療機関等の関係機関等に病原性大腸菌に関します医学的知見につきまして、とりあえず専門家会議等で、あるいは現在あります
文献等を取りまとめまして、簡単ではございますけれども、周知を図るために都道府県知事あてに送付いたしまして、そしてそれを管下の医療機関等に周知を図っていただくというふうにお願いをいたしたわけでございます。そこで、さらに詳しい知見はこれから私ども積極的に集めたいと考えておりまして、その知見がまとまり次第都道府県、学術専門団体等を通じまして医療機関等に周知を図るべく努力をいたしたい、こう考えております。
 それから、従来からどうしておったかという御質問がございましたけれども、これにつきましては、もう御承知かと思いますが、エイズにつきましても、それからB型肝炎につきましても、それぞれ専門家会議等の意見等も得まして、県あるいは専門の学術団体等にも情報を提供いたしておるところでございます。
 以上でございます。
#49
○日下部禧代子君 ぜひ今のお答えいただきましたことを積極的にかつ速やかに行っていただきたいなと思います。本当に返す返すも、一番最初に診察なさったお医者さんに罪をなすりつけるわけではございませんけれども、もし知識がおありだったらば亡くならないでよかった命ということを考えますと胸が痛む思いでございます。よろしくお願いいたします。
 もう一つ御質問させていただきたいと思いますけれども、井戸水の問題全般につきまして何らかの新しい対応策というものをお出しになったのでございましょうか。その点についてお伺いいたします。
#50
○政府委員(小林康彦君) 井戸水の衛生管理につきましては、消毒の徹底がいきますと病原菌に対する対策ができますし、抜本的には水道の普及というのが施策としては基本になるものでございますので、そうした点につきまして通知をしたところでございます。
#51
○日下部禧代子君 それでは、厚生大臣に今までの私の質問、そしてお答えを含めまして御所見、御決意を承りたいと思います。
#52
○国務大臣(津島雄二君) このたびのしらさぎ幼稚園の事故は大変痛ましい事故でございまして、委員御指摘のとおり、いたいけな子供さんの生命が奪われたということを私どもは重く受けとめなければならないと思っております。
 これが対策といたしまして、再発防止を図らなければならないわけでありますが、先ほどから御議論がございましたように、まず感染の実態把握とか医学的知見の周知とか行いますとともに、今非常に強く委員が御指摘されましたような飲用水の衛生確保については格段の努力をしなければならないと思っております。
 こういうことはあってはならないわけでありますが、実は私どもとして十一月一日付でかなり詳細な通達を出しておりまして、これが本当に行われれば、前にもそうでございましたけれども、前に出した通達が本当に行われていれば、ないはずなんですね。ですから、問題はそれぞれの地域社会におきまして、地域行政において多くの方がお飲みになる飲用水についてマンネリにならずにきちっと原点に返ってやってくださいということが一番だと思います。私どもの方でいろいろ規則やあれを変えましても、末端でそれをきちっとやってくれませんと、絵にかいたもちになるというのがどうも私の印象でございまして、私どもの方もいろいろ気がついたことは市町村等に伝達をしてしっかりやっていただくようにいたしますけれども、同時にこの地域は前々から井戸水を飲んでいるから大丈夫だというようなマンネリにならないようにお願いをしたいと思います。
 それから、最後につけ加えたいと思いますが、なお水道の普及のない地域がまだ日本にもございますので、そういう地域への水道の普及についても全力を挙げなければならないと思っております。過ちを繰り返さないように国、地方一体となって全力を挙げたいと思っております。
#53
○日下部禧代子君 人間の命にかかわるお水のことでございますので、ぜひとも積極的、具体的、そして速やかな措置をお願いしたいと思います。
 最後に、これは質問ではございませんけれども、今回のこの事件のもう一つの原因として、先進国の中ではまれなほどの日本の下水道の不備、全国平均で四二%という低い普及率ということもこれは指摘しておかなければならないなというふうに思っております。
 次に、わずかの時間でございますが、水俣訴訟の和解拒否について厚生大臣に承りたいというふうに思います。
 公害病の原点とも言うべき水俣病というのは、病状の悲惨さにおいてはもう周知のことでございます。発見されましてから既に三十四年を経過しようとしております。この間いろいろな対策がとられてきたことは承知しておりますが、にもかかわらず被害者の方々の納得が得られないということも事実でございます。幾つかの訴訟が延々と続けられているということがそのことを証明しているというふうに思うわけでございます。一部については判決の確定したものがございますが、最近相次いで裁判所から和解勧告が出されております。
 九月二十八日の東京地裁、十月四日の熊本地裁、十二日の福岡高裁及び十月十八日の福岡地裁などがございますが、熊本県、チッソは既に和解に応ずる考えを示しております。また、熊本県議会、知事からも水俣病問題の早期解決を求める請願が提出されております。これは命あるうちに救済をという悲痛な患者たちの願いを裁判所も認めたからこそではないかというふうに思うわけでございます。今もはや裁判でシロかクロか二者択一を迫るという問題ではなく、政治的判断の段階に来ているというふうに思うわけでございます。
 私たち女性議員は、超党派で環境庁長官に和解勧告受諾の要請を先ごろさせていただきました。今本当に水俣病の被害を受けて苦しんでいらっしゃる方々について、厚生大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか。そしてこの和解をなぜ国が拒んでいるのか。そしてまた、十月二十九日の水俣病に関する関係閣僚会議におきまして、環境庁長官が地域住民の健康不安の解消を図る等の見地から、所要の方策について関係省庁、地方公共団体及び企業とも協議の上検討を進めることとしたい旨の発言をしていらっしゃいますが、この所要の方策とは具体的にどのようなことを言うのか。関係閣僚会議の一員でいらっしゃいます厚生大臣にお伺いさせていただきたいと思います。
#54
○国務大臣(津島雄二君) 水俣病事件は、その被害の深刻さにおきましても大変重大な事件でございまして、また痛ましい事件でございました。この件について委員ももう当然御存じであろうと思いますけれども、水俣病患者として医学的にはっきり認定を受けた方が二千九百人おられて、この方々以外に治療研究事業あるいは特別医療事業の対象として救済されておるということは、余り多くの国民が報道で知っておられないものですから、私からこの機会に特に申し上げたいわけでございまして、問題は、今残っておられる原告の方々というのは、そういう認定が受けられなかった方というケースが多いようでございますが、しかしいずれにしてもこういう方々の高齢化を考えますと、できるだけ早く解決をしたいという気持ちはこれは私もひとしく持っておるわけでございます。
 ただ、今の裁判所の和解勧告文書を環境庁とも相談いたしまして十分検討をいたしましたけれども、一番法律的に難しいところ、法的責任の存否についてはっきりした判断が示されない限りは、私ども政府として和解の協議に入るということは非常に難しいということを申し上げざるを得ないわけでございます。
 そこで、高齢化された関係者の方々のお立場も考えますときに、何とかそういう地域住民の健康不安を解消するために全力を挙げなければならないということで、環境庁長官から健康不安の解消のために所要の方策を検討して実施に移したいという御発言があったわけでございます。この問題は環境庁の所管でございますが、これまでも検診
等について検診医の派遣等、厚生省も協力をやってまいりましたので、私といたしましても環境庁における検討状況を見守った上、できることは協力をいたしたいと考えております。
#55
○日下部禧代子君 もう一度和解のテーブルに着いていただきたいというお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#56
○尾辻秀久君 昨日も決算委員会で話題になっておりましたし、また今もちょっと話題にもなりました。戦後を引きずっておることがいっぱいあります。その中で私が一番悲しいと思っておりますのは、遺骨収集なんです。こんなものは、もう何をおいても国が真っ先に済ますべきことだと思うんですけれども、戦後も四十五年、今なお続けなければならない。申し上げたように本当に悲しいことだと思っております。
 そこで、まず遺骨収集を振り返ってみていただきたいんです。
#57
○政府委員(岸本正裕君) さきの大戦におきます戦没者の遺骨収集は、国として取り組むべき大変重要な課題であると認識いたしております。昭和二十七年度以降、相手国政府及び国民の理解と協力を得ながら積極的に推進してきたところでございます。その結果、沖縄、硫黄島を含む海外戦没者約二百四十万人のうち、約百二十二万人の御遺骨を本国に送還したところでございます。
 現在、旧主要戦域に残されている御遺骨は約百十八万柱と推定されておりますが、この中には海没遺骨約三十万柱と、陸上にあっても相手国の事情によりまして遺骨収集が望めない地域のものが約四十五万柱ございます。これらを除きますと、収集可能な地域におきましては、既に四分の三の収集が終わったというふうに考えているところでございます。本年度におきましても東部ニューギニアを実施いたしました。また、現在ソロモン諸島に派遣中でございまして、今年度にフィリピン、沖縄、硫黄島合わせまして五地域につきまして収集を実施する計画といたしております。
#58
○尾辻秀久君 今なお遺骨収集をしなきゃならないその最大の理由というのは、今もお話のとおりに、二百万人を超えるという大変な犠牲者を出した、そのことがあると思うんです。しかし、一つには、今のお話の中には出てきませんでしたけれども、大臣にぜひこういう経緯があったということだけは御承知おきいただきたいと思うものですからお話を申し上げるのですが、戦後に遺骨収集をしなきゃいけない、当然のこととしてそうなりました。そのときに、これは当時政府にお金がなかったということがあったんだと思うんですけれども、象徴遺骨といいまして一部の御遺骨だけを持って帰ってきて、これでとりあえず遺骨収集を終わりました、こうしたんですね。その状態がずっと続くんです。
 それで、昭和四十六年に私どもの仲間が、仲間といいますのは、私の父も戦死をしておりますが、同じようにお父さんが戦争で亡くなった仲間という意味ですが、この仲間が昭和四十六年にサイパンに行くんです。このときに、まだあたり一面に御遺骨が散乱していたんです。この状態を見て、本当にもう怒りと悲しみに体が震えてとまらなかったと言っています。そんなことがあって、四十八年から政府は遺骨収集を再開していただくわけであります。このときにたしか五カ年計画というものをつくっていただいたと思うんです。
 ですから、言いかえますと戦後二十八年ほとんど遺骨収集は手つかずにあって、それから始めたから、戦後から数えると四十五年たった今日なお遺骨収集をやっている、こういう事情にあることもぜひ大臣に御承知おきいただきたいと思って、あえてお話をしたわけであります。日がたちますと、私も何回も遺骨収集に行っているんですけれども、御遺骨はもう土に返っているんですね。御遺骨があるから拾おうと思ってもぽろっと崩れますし、よっぽど大きな骨でないと残っていないという状態にもはやなっております。そしてまた、遺族も当然年とってきておりますし、また戦友の皆さんも年とってきておられる。これはもう一日も早く、どういう言葉がいいのかわかりませんが、戦後処理というか、あるいはよく概了という言葉を使っておりますから概了という表現をすれば、概了させなきゃならないことだと思うんですけれども、この辺のお考えを改めてお聞きしたいと思います。
#59
○政府委員(岸本正裕君) ただいま先生のお話にもございましたけれども、先生御自身がお父様をさきの大戦で亡くされた戦没者の遺児という立場にいらっしゃるわけでございまして、かねてからこの遺骨収集に対しまして非常に御自身でも、今のお話にもありましたように遺骨収集に実際に参加をしていらっしゃるというようなことで、国の我々の行政に多大の御協力をいただいているわけでございます。
 今の先生のお話で、今までの遺骨収集の経緯というのはもう大筋そのとおりなのでございますが、確かに日本が戦争に負けまして独立するまでの間、これは遺骨収集に海外に出かけるということはできなかったわけでございます。独立をいたしましてからも、やはり相手国の了解を取りつけまして遺骨収集をするということに対しましては非常に限定的な条件、限定的な中で行った、そういうことで先生のお話にもありましたような象徴遺骨としての収集、こういうことをしたという事情があったと思います。ただ、先生のお話のように、昭和四十年代に入りましてから私ども政府職員が中心となりましていわば本格的な遺骨収集に乗り出した。そういう意味で、戦後かなり本格的な遺骨収集を始めるに当たっての間隙があったということは事実でございます。私どもといたしましては、今民間の協力していただく方々と一緒になって積極的に、情報を得たらばそれを実現するということで努力をしているわけでございます。終戦後四十五年余りが経過したわけでございまして、最近では当時の事情に詳しいというか、戦友とか現地の住民の方々が高齢化をしてきております。そういうことに伴って残存遺骨についての新たな情報というのはだんだんと少なくなってきているということもございます。また一方、戦没の御遺族のお気持ちというものを拝察すれば、できるだけ早期に遺骨収集というものを概了させるべきだということは先生御指摘のとおりだと思っております。
 厚生省におきましては、絶えず遺骨に関する情報の収集に努力をしておりまして、相手国の事情によって遺骨の収集ができないという地域にある御遺骨や海没遺骨を別にいたしますれば、現在厚生省で把握しております情報をもとにした遺骨収集は、平成五年度を一応のめどに概了させるように努力をいたしたいというふうに考えているわけでございます。ただ、何分にも相手側の事情というのもございますし、相手側の特別な事情の変化というものが生じない限り、このようなめどで努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
#60
○尾辻秀久君 今はっきりと平成五年という年度を一つの区切りにしたいと言っていただきましたので、私どもも御一緒に協力させていただきたいと思いますから、しっかりと概了をさせていただきたい、政府においてもお取り組みをお願いしたいと、まずはお願い申し上げます。
 そこで、概了に向けてきっちりした計画もつくっておかなきゃいかぬのじゃないかというふうに思うんですけれども、そうした概了に向けて、最後こうして概了させたいと、そして大体こんな状態をもって概了とするんだよと、そういう計画をお持ちか。それから概了の概念というんでしょうか、表現は難しいんですが、そしてまた大変そのことも難しいことだというのはよくわかるんですが、こんな状態で概了としたいというふうにお考えがおありか。それからもう一つ、これはもうよくお互いに承知していることなんですけれども、今まで遺骨収集してきた記録が十分に整理してありませんですね。ことしから二百万予算を組んでいただいて作業に入っていただいておるようでありますが、これは私が理解しておりますのは、厚生省のお考えは概了した時点というか、後
できっちりした記録を残しておく、そのために作業をしておるんだというふうにお考えのようですけれども、今まで済んだ分を一遍早目に整理していただく、そうしますと、この辺が残っているとか、この辺が手つかずにあるとか、いろんな過去の記録を整理すると計画というのが立てやすくなるんじゃないかと思うんですが、早目に一遍記録を整理していただくわけにはいかないかということ。
 今三点御質問しましたけれども、それからもう一点、これはいつも気になっているものですから、あえてこういう機会にお尋ねしてみたいと思っているんですけれども、民間が協力して遺骨収集に行っておりますけれども、政府派遣団と、こう言うんですけれども、民間で協力する側の立場の身分というのがいまひとつあいまいなんですね。どうなっているんだろうと思いますし、変な表現ですけれども、万が一にもミイラ取りがミイラになったらどうなるんだろう。私自身が遺族会の責任者として行ったときもフィリピンのゲリラとの撃ち合いに巻き込まれたこともありますし、しょっちゅうそういう目に遭っているわけでありますから、そんな場合、ついついそんなことも思ってしまうんですが、この身分についてはどういうふうに考えておられるのか。
 何やかやと四点お尋ねしましたが、お答えください。
#61
○政府委員(岸本正裕君) 今いろいろな制約づきながら平成五年度を一応のめどにして概了を考えているということを申し上げたわけでございますけれども、私ども今寄せられております、今当方で把握しております情報をもとにすれば、平成五年度までに概了できるだろうというふうに見込んでいるわけでございますけれども、今の先生のお話の中にもちょっと出てまいりましたが、相手国側の事情、例えば一つには治安の状況などがありまして、来年度計画としてお話を進めてまいったわけでございますけれども、急に向こうの政府側として治安が少しおかしいので延期してはどうかというようなお話が来ることがあるわけでございます。そうしますと、まさにミイラ取りがミイラになってはいけないわけでございまして、安全ということを非常に大事に考えておりますから、私どもといたしましてはそういう場合には無理をしないというふうに考えたいと思っておりまして、五年というのはそういう意味で一応の目途を持っているわけでございます。
 身分でございますけれども、なかなか難しいわけでございましょうが、私ども少しこれから研究しなければならない分野が残っているかと思いますが、とにかく一緒に御協力をいただきます戦友の方々も御高齢になってきておりますし、余り危険なことはやるべきではない。非常に危険なところまで入り込むということにつきまして私どもも非常に慎重に考えておるわけでございまして、今までも数多くの遺骨収集団を派遣し、遺骨を送還しておりますけれども、事故というものは幸い今までなかったと思っております。これからも安全には最大の注意を払っていきたいと思います。
 概了計画につきましてはそういうことでございまして、特に日本の領土でございます硫黄島につきまして、また沖縄につきましてはこれをきちっとやりたいと思っておりまして、今硫黄島につきましては平成三年度で概了するようなペースで進めているところでございます。沖縄につきましては、県当局とも少しお話し合いをして計画を具体的に詰めていかなきゃならないところが残っておりますので、まだはっきりとした時期は申し上げることができないわけでございますけれども、いずれにいたしましても五年度までに概了させるということでいきたいと思っております。
 それから、遺骨収集の長い経緯についてきちんと記録を残してそれを後世に伝えると、こういう先生の御指摘で、それをしかも概了する前から始めたらどうだという御指摘だと思いますが、私ども確かに概了した段階で、一段落した区切りのときにきちんとした記録をつくろうと、こういうふうに考えていたわけでございます。ただ、その記録は急に一日にしてできるわけでございませんので、先生のお考えの記録のつくり方というのとちょっとどうかと思いますけれども、私どもそういう記録をきちんとさせるためのいろいろな基礎資料、そういうものを援護局の部内できちんと整理をしていくという作業は今もう始めておるわけでございます。そういう意味で、記録につきまして概了を待たずに実際の作業には入っているというふうに受けとめていただきたいと思います。
 以上でございます。
#62
○尾辻秀久君 本当にいつもジャングルの中で御一緒に苦労させていただいておりまして、もう御苦労のほどは十分承知をいたしておりますし、いかにお忙しいかということもよく承知をいたしておりますので、余り御無理は申し上げられないなと思いつつも、まあ過去のものは一遍整理していただいた方が概了に向けての計画も立てやすいし、何かその概了だよという線を引くときにも一つの説得力を持つものになるのじゃないかなと思ったものですから、あえて申し上げた次第であります。
 それから報道によりますと、シベリアに抑留された皆さんでお亡くなりになった方々のこうした資料をソ連が近く出すとか出さぬとかというような話も聞くわけでありますが、これは外務省にお聞きすべきことでありますが、厚生省としても漏れ聞いておられませんかというお尋ねと、それからそういうものが出てきた場合に厚生省はどういうふうにお取り組みになりますか。これは一点お聞きをしたいと思いますので、お答えください。
#63
○政府委員(岸本正裕君) 今の御質問にお答えする前に、概了計画のところでちょっと私言い漏らしたと思いますのでつけ加えさせていただきたいのでございますが、もちろん遺骨収集の概了ということにいたします前には御遺族のお気持ちというものを十分に配慮しなければいけないと思っておりまして、それを十分概了させることについての御理解と御納得を得て行うということが非常に大事なことだというふうに思っております。それだけをちょっとつけ加えさせていただきます。
 それから、今のシベリア抑留の死没者に関する件でございますけれども、厚生省は日ソ国交回復以来、これまでの間シベリア抑留中に死亡した方々の墓地調査の結果、通報であるとか遺骨の送還等につきまして外交ルートを通じましてあらゆる機会にソ連政府に申し入れをしてきたところでございます。本年三月には、直近でございますが、これは厚生省がソ連から帰還された方々から得た情報に基づいてつくりました墓地リスト、それから墓地の所在地の概略図、これをつけまして、外交ルートによりましてソ連政府に手渡したところでございます。外務省からの情報によりますと、このような我が国の強い要望によりまして、現在ソ連国内で日本政府が提供した墓地リスト等に基づきまして調査が行われておるというふうに聞いております。早期にその結果が日本政府に通報されるということを私どもとしては期待しているわけでございます。
 どうするかということでございますが、今のところソ連政府からまだ具体的な情報はないわけでございますけれども、この死没者の名簿とか埋葬地等に関する新たな情報がソ連政府から示された場合には、厚生省としては遺骨の引き取りを初めといたしまして、墓地の整備等の実現に向けまして、外交ルートを通じて十分に折衝をしていきたいと考えております。
#64
○尾辻秀久君 最後に、大臣にぜひ申し上げておきたいと思うのですが、おやじの骨がそこにあるから、散乱しているからといって拾いに行っておるわけであります。やっぱり理屈言わしていただくというか、そんな言い方さしていただくと、国のために命をささげたといって子供がおやじの骨を拾いにいかなきゃだれも拾ってくれないというのも何とも情けない話だと思っております。しかも、金も自分で出して行かなきゃならないわけでありますから、三分の二を国が出してやるから、三分の一は自分で出せという話でありますから、金も自分で払って行く、それからまた当然休みも
とって行かなきゃいけないということであります。しかし、申し上げたように、おやじの骨があるというならば、理屈は言わずに拾いに行くつもりでありますから、どうぞ政府もお取り組みだけはよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
 次に、子供を取り巻く環境のことで残りの時間ちょっとお尋ねをしたいと思います。
 我が国社会は、急速に人口の高齢化が進んでおりまして、高齢者対策の充実、これは極めて重要な課題となっておりますけれども、その一方で、もう申し上げるまでもありませんが、子供の生まれてくる数、出生率というのでしょうか、そうしたものがもう戦後最低の水準までなりました。特に、一人の女性が一生の間に産む子供の数というのが平均して一・五七までなったという状態になりました。
 この子供の数が減りますと、当然年金制度の問題や社会保障システムのあり方なんかいろいろな問題にもつながってくるんですけれども、私は実は保育所の理事長を十年、幼稚園の理事長を四年やりまして、保育所も幼稚園もよく知っておるんです。そんな中で子供たちを見てますと、この子供の健全な発達のために子供の数が少ないということが大変な問題になってきているのじゃないかな、こういうふうに思うわけであります。
 くだらぬといえばくだらぬ話ですが、ある方がこんな話をしておられました。昔は弟が学校で変な点数をとってくると、兄貴が、おまえがこんな点数とってくるからお母さんの機嫌が悪くなるのだといって、さっさと隠してしまうというような、子供社会が問題解決能力といえば変な言い方かもしれませんが、子供社会なりにきっちり何かそれなりに解決する能力を持っていたのだけれども、今の一人っ子になると全くそういうシステムが働かなくなっている。それがまた子供社会全体、学校での生活や何かに全部及んできちゃって、どうも子供社会が健全な発達ができない環境になってきているのじゃないだろうか。まあできないというと言い過ぎでしょうが、しづらい環境になってきているのじゃないだろうか。こんなことを言われておるわけでございます。
 ですから、この子供の数が少なくなってきているということに対して、改めて大臣の御所見を伺いたいと思います。
#65
○国務大臣(津島雄二君) 平成元年度の訂正平均出生率が一・五七と発表されまして、これまでも大変警鐘を乱打する声がございましたが、さらに一層国民各層の子供さんの問題、子育ての問題に対する関心が高まったのを私はそれなりによかったと思っております。
 子供さんが少ない、出生数が低下したということについていろいろな考え方が寄せられておりますが、その中には子供さんが余り多いと余計な競争があるとか、マイナス面もあるので、一人一人を大事に育てればそれなりにいいという方もございます。しかしながら、何と申しましても社会の世代間の助け合いという見地から申しますと、二百数十万生まれられた世代の方が百二十万しか子供をつくらないということは、デモグラフィックにも人口構成的に非常なゆがみをもたらし、それが世代間の助け合い、年金の構築というものに非常に大きな影を落とすということは、これは言うまでもないわけでございます。
 私がそういうことを申し上げると、国のために社会のために産めよふやせよというのはどうかという声がすぐ出てくるのでありますが、私が今強調したいのは、一人一人の国民のために子供さんは宝ですよと、そして子育ての喜びというものをみんなで確かめ合い、そして子育てをするということを社会全体が大切にする風潮を今取り戻さなければならない。そして、それが社会のためでなくて国民お一人お一人の幸せにかかわっているのだということを強く訴えたいと思っております。そういう気風が出てまいります中から、それでは子供を持っておられる方々を社会が温かく支えてやろうといういろいろな新しい環境が生まれてくるであろう、育児休暇に対する考え方も変わってくるであろう、あるいは教育費の問題につきましても、あるいは住宅の問題につきましても、さらに一層努力をしてみようという風潮が生まれてくるであろう、そういうことを期待して、厚生大臣としては、まず私どものできる範囲内で、例えば育児機能の強化であるとか、そういうような面について特段の努力をいたしたいと思っております。
 いずれにいたしましても、子供さんが少ないということが国民お一人お一人の幸せにかかわっているのだということを重ねて強調いたしたいと思っております。
#66
○尾辻秀久君 もう時間もありませんから、とにかく子供を産みやすい環境づくりをしていただきたいということで、一点だけお尋ねをいたします。
 現在の児童手当制度なんですが、これはどうも経済大国日本にしては、外国の数字ももう時間がありませんから申し上げませんが、余りにも額が小さいのじゃないかと思いますので、きょうはこの点だけお尋ねをいたします。
#67
○国務大臣(津島雄二君) 諸外国の児童手当と比べて、いろいろこれからの制度のあり方を検討しなければならない段階が近づいておるわけでございますけれども、と申しますのは、今の児童手当の制度が来年の五月までの暫定措置ということになっておるわけでありますから、いずれにしてもこれは検討しなければならないが、外国の児童手当と単純に比較できない面があることも、これは多くの方が指摘しているとおりでございます、例えば扶養手当という一般的な給与支払いの制度がある国ない国いろいろございますものですから。しかし、いずれにいたしましても、今後の児童家庭対策のあり方という立場から、幅広い観点からの検討をいたしまして、将来に向けての結論を出してまいりたいと思っております。
#68
○尾辻秀久君 終わります。
#69
○高桑栄松君 それでは、先ほど日下部委員からも質問がございましたが、まず飲料水による集団下痢発生状況について質問をさせていただきます。
 最初に、浦和市のしらさぎ幼稚園でございますが、ここの集団下痢発生状況について、入院者がどれくらいだったか。死亡者、それから発病してから死亡までの日数、何週間とか、そういったことについて、まずお伺いしたいと思います。
#70
○政府委員(小林康彦君) 今回の集団下痢事件では、しらさぎ幼稚園の園児二名の方が不幸なことにお亡くなりになっており、十月三十一日の午後までの時点で合計四十二人の方が入院をされております。そして、この時点現在で入院されております方三十三名、うち重症者は十二名でございます。
 経緯を申し上げますと、十月八日ころ、園児のうちの二名に下痢等の症状が出現しまして、十七日及び十八日に一人ずつお亡くなりになっている、こういう状況でございます。
#71
○高桑栄松君 この折なんですが、新聞によりますと、アンケートで父兄のことも出ておったようですが、幼稚園の職員の大人の人で同じような症状を訴えた人がいたのかどうか、過去においても。いかがでしょうか。
#72
○政府委員(寺松尚君) 今委員の御質問の件でございますけれども、しらさぎ幼稚園の職員を含みます関係者の方々あるいは周辺の住民の方々ということにつきましての過去の罹患状況につきましては、現在埼玉県の方で鋭意調査をやっておりまして、まだ私どもその結果について情報をいただいておりません。できるだけ早く取りまとめていただくようにお願いをいたしております。
#73
○高桑栄松君 この状況を私なりに見ますと、症状が出てから今日に至るまでの期間が二週間または三週間、かなり長い経過をとっているんではないかと。それから入院患者が延べ四十二名とおっしゃったわけで、四十二名で二人亡くなったとすると、四、五、二十ですから致命率五%ですね、入院者の中で。これは私はかなり高い致命率だと思います。それから職員の方のがよくわからない
ということでございましたが、新聞を見ると、周辺の住民の方々のアンケート、それから井戸水を検査して十六サンプルのうち十一でしたかね、何か陽性大腸菌が出たというようなことで、かなり広範囲に地下水が汚染されているという状況がわかるわけであります。ただ、職員がその水を飲んでいたんではないかと思うんで、職員は専ら熱いお湯のお茶だけを飲んでいたのかなどということをちょっと私は疑問に思ったわけであります。
 引き続きまして、このときに、開園時に飲料水を検査をして、不適当であるという結果が出ておると出ておりましたね。それから六十二年ですか、飲料水の検査をして、やはり不適であったということがあったわけで、いずれも保健所だろうと思うんですが、そのフォローアップの結果というかアフターケアというか、そういうことについて伺いたいと思います。
#74
○政府委員(小林康彦君) 当該井戸水につきましては、六十二年十一月に埼玉県大宮保健所に検体の持ち込みがございまして、検査の依頼がなされ、検査の結果、大腸菌群が検出され、また、一般細菌が水道法の基準を超えておりましたことから、飲用に供する場合は煮沸が必要な旨、成績証明書を発行しております。通常、大宮保健所では、成績書は電話等では知らせずに、直接保健所に来ていただきまして依頼者に交付をし、指導が必要な場合にその際指導することとしておりますので、本件につきましてもそうした指導がなされたものと考えております。しかし、その後保健所等におきまして、この井戸の設置者に対して指導あるいはその後の状況の確認は行っていないようでございます。
#75
○高桑栄松君 新聞によりますと、管轄外保健所に水のサンプルを持っていったというふうに書いてありますが、この点いかがでしょうか。
#76
○政府委員(小林康彦君) 地域的な管轄の保健所でなく、距離的に近い大宮保健所に持参をされたようでございます。
#77
○高桑栄松君 まあ意識的にされたとは私は思いませんけれども、管轄外の保健所に行かれたということは、やはり聞いた限りではうまくないことのような気がしないではないわけです。
 それから、埼玉県条例によると、これについては年に二回以上検査するということになっているようでありますが、井戸水のことはまた後で私の意見を述べますけれども、これは私は規則はどうであろうと、保健所に一応そういう結果が出ているのであれば、これについての積極的なアフターケアが必要であったというのが本件の示す教訓だろうと思うんです。
 それから、新聞にも出ておりますが、埼玉県衛生部は幼稚園を刑事事件として告訴するかというのが出ておりますね。患者さん、亡くなった人の親御さんも、もう知らなかったでは許されないということが出ておりますが、そういった意味の責任ということをどのように受けとめておられるか。
 それから、保健所は規則上はよかったのかもしれない。管轄外でもあったということは規則上はそうかもしらぬが、やはり積極的な指導ということをすべきであったんではないか、こう私は思いますが、いかがでしょう。
#78
○政府委員(小林康彦君) この地域で利用されております地下水、非常に浅いところで取水をされておる地下水でございます。周辺の開発状況からいたしますと、私どもの立場からいたしますと水道の布設が可能な地域でございますので、危険性の多い井戸から水道の利用に切りかえていただくというのが健康を守る上で一つの基本的な施策、方策ではないかというふうに考えております。水道に切りかえずに井戸水で利用いたすといたしますと、大腸菌群が検出をされておる状況でございますと消毒設備を完備して消毒の徹底をする、個人でございますと煮沸をして安全を期す、こうした措置が必要であろうと思います。
 本件、多数の方が利用する施設でございますから、そうした危険が察知される状態のもとで個別の指導の徹底が必要、そうした指導が徹底しておりましたら未然に防げたという感じもするわけでございますが、現在残っております書類等をお聞きをいたしますと、そうした井戸の種類あるいは使用状況というものを十分把握しない状態で、結果だけある程度ルーチンワークといいましょうか、数多い依頼検査の一つとして処理をされ、その後の丁寧な指導までつながっていなかった、こんな状況でございます。
#79
○高桑栄松君 私は保健所の仕事もたくさんあるし大変だと思いますが、そういう例えば本件について言えば、少なくとも不適当の結果が出たんだから、一カ月後なり何週間後かにはがき一本出して、どうなったか、その後どう処置したかというふうなアフターケアが、今後これを教訓として要るのではないか、こう思う次第でございます。
 時間もだんだんなくなりますので先に参りたいと思いますが、今度のときに病原性大腸菌のO157というべロサイトトキシンという猛烈な毒素の出る菌が発見されたということで、ほとんどこれがもう原因菌であるように思われているようでありますが、今までの飲料水による集団下痢発生状況の中でどういう菌が一番多かったか、過去においてO157というものが出たことがあるのか、こういったことをちょっと伺いたいと思います。
#80
○政府委員(目黒克己君) 過去の飲料水におきます集団の下痢の発生状況でございますが、飲料水を原因といたします食中毒というものは極めて少ないんでございますが、飲料水のものも含めて統計をいたしておりますが、昭和五十九年から六十一年の三年間に見てみますと、延べ十五件飲料水を原因とするものがございます。原因菌といたしましては、病原大腸菌、それからカンピロバクター及びサルモネラ菌が検出されているのでございます。
#81
○高桑栄松君 O157はいかがですか。
#82
○政府委員(目黒克己君) 我が国におきましてO157型の病原大腸菌が原因と確認できます食中毒の発生例は現在まで報告はされていないんでございますが、地方の衛生研究所等におきまして、検査によって下痢症の患者のふん便からO157型の病原大腸菌が検出された例が、現在までのところ承知している範囲で十五例ある、このように聞いているのでございます。
#83
○高桑栄松君 今回の場合がO157という、大変不幸にも溶血性尿毒症性症候群、HUシンドロームということで、私ももちろん初めて耳にしまして、いやこれは大変なものだったんだなと思ったんですが、
   〔委員長退席、理事対馬孝且君着席〕
ひょっとしたら我が国でもあったのが、赤痢の非常によく見られたときには赤痢に紛れて赤痢菌と思われたものがあったのではないのかなと。これ、しかし厚生省にお答え願っても困るでしょうから、私がそういうのもあるかなという気がしたと。しかし、この由来についてどう思われますか。もともと固有のもので我が国にあったのか、それともどこかから来たのでしょうか。いかがでしょうね。
#84
○政府委員(目黒克己君) この先生御指摘の件については、残念ながらよくわかっておらないのでございますけれども、カンピロバクター等ともども動物にいるのではなかろうか。発病しないで動物の体内にいるのじゃなかろうか、こういうような説もございます。
#85
○高桑栄松君 これは新聞にも出ておりましたので、私もなるほどと思ったんですが、旅行者下痢症というか、海外旅行者が下痢をして帰ってくる、この中にあるのではないかと。実は恥ずかしいことですが、私も海外旅行で下痢をしたことがございます。予防医学の先生がどうして下痢をしたかと言われて小さくなっているのでございますが、私が持ち込んだと言うつもりはございませんけれども、これは非常にたくさんあるということでございますので、ひょっとしたら旅行者が持ち込んだものがだんだん蔓延というか、定着していくという可能性がないわけではないということを一応注意を喚起しておきたいと思うんです。
 私、これも新聞によりますと、開業の先生方、
見つけるのも大変困難であったと、風邪と間違ったと、ウイルス性胃腸カタルだと思ったと、それくらい珍しかったんだろうと思うんです。しかし、この治療法はあるんですか。いかがでしょうか。
#86
○政府委員(寺松尚君) 病原性大腸菌O157でございますけれども、先ほどからお話が出ておりますように非常にまれな菌でございますが、
   〔理事対馬孝且君退席、委員長着席〕
治療につきましては、私ども承知しておりますのは、実は先般十月二十五日に開きました専門家会議等で専門家の御意見等を伺っておりますと、大体次のようなことの治療でどうかと、こういうようなお話が出ております。
 それは、まず原因療法といたしましてテトラサイクリン系あるいはニューキノロン系の抗生物質がよく効く、特にニューキノロンがまだ耐性が非常に少ないというふうに聞いております。それから下痢とかまたは腸管出血を起こすわけでございますので、これに対します対症療法といたしまして輸液だとか輸血は当然必要である。それからまた、溶血性の尿毒症性症候群を併発した場合には、これは腎臓をやられておりますので、この腎障害あるいは貧血あるいは血小板というふうなものが三主徴でございますから、それに対しまして輸液でありますとか人工透析あるいは貧血、血小板の減少につきましては血小板の輸血を行うというようなことが今治療法として言われておるところでございます。
#87
○高桑栄松君 時間がありませんので、私の方から意見も述べさせていただきたいと思うんでありますが、今回の浦和の件についても必ずしも病原菌がO157ということに限っているわけではない、新聞情報もそう書いてあります。私の入れた情報もそうでございます。したがいまして、症状も溶血性尿毒症性というのは大きくクローズアップされましたけれども、そうでない症状、つまりO157菌によるものでないというものも間違いなくあるようであります。例えば潰瘍性大腸炎と見られるもの、コリチスウルセローザというふうなものがあると。それからごく最近の情報によりますと、患者さんが来たので診て、これはまあどうってことはないと思って帰したら、つい最近でありますから、潜伏期がやっぱり二週間、三週間たっているのかなと思うんですが、帰したら夜中にピーポーで担ぎ込まれた、脳症状を起こしている、意識不明であるということで非常に、誤診というんじゃなくて、実際症状として軽いと思わされるような症状であった。これは権威のある病院でございますから名前は今伏せますけれども。
 それを伺いますと、治療法もO157に余り幻惑されないで、まず監視体制はきっちりしく必要がある、軽いと思うなということかもしれませんね。それから勝負が早いんでないかと、子供ですから。したがいまして、治療体制についても幅広くとらえて監視をしていく必要がある、そういうふうに私は思いますので、これは私の意見としてしゃべらせていただいて、次に行きたいと思います。
 この終わりに、本件を教訓といたしまして、厚生大臣はどのようにこれに対して今後取り組んでいただけるかということについて意見をお伺いしたいと思います。
#88
○国務大臣(津島雄二君) 今回の事件は、いたいけな子供さんの命を奪うというような非常に重大、深刻な事件でございまして、二度とこのようなことがあってはならないというふうに考えております。
 これが対策といたしましては、まず公衆衛生の面で、また予防医学の面で格段の御努力をいただきたいわけでございますが、厚生省としては十月二十五日に専門家会議を開催し、その御意見を踏まえて全国的な実態調査を実施し、その実態の把握に努め、このような新しい菌にかかわる医学的知見等を医療機関に周知徹底することを今積極的に考えておるところでございます。また一方、公衆衛生の面、水道の管理という面では、いろいろ御議論がございましたように、これまでも通知、通達という形でお願いをしておりました線を今後それぞれの行政でしっかりと実施をしていただくように私どもも努力をしなければならないというふうに考えております。なお、水道が未普及の地域もございますから、こういう地域に対する水道の布設ということについても格段の努力をいたしたいと思います。
#89
○高桑栄松君 それでは、幼稚園は文部省の管轄のようでございますから文部省に伺います。
 井戸水を使用している学校、管轄がどれくらいあるのか、それからこれについて改めてこれからどのような対策というか、調査というかをなさるか伺いたいと思います。
#90
○説明員(富岡賢治君) 現時点では幼稚園、学校におきます井戸水等の使用状況の正確な状況を把握してございませんので、文部省といたしましてもこの事態を重く認識いたしまして、去る二十六日付で全国の国公私立の幼稚園、小中高、特殊教育諸学校につきまして、水道以外の給水施設の使用状況を把握するようにということが第一点、それから第二点といたしましては、飲料水の水質検査の実施状況につきまして把握するように、それから第三点といたしまして、今年度水質検査を実施していない幼稚園、学校につきましては早急に実施するよう指導いたしたところでございます。
#91
○高桑栄松君 これは建設省に伺いますけれども、井戸とくみ取り便所の距離が記載されてありますが、ちょっとそれを御紹介してください。
#92
○説明員(梅野捷一郎君) いわゆるくみ取り便所と井戸との距離につきましては、くみ取り便所そのものには漏水防止の措置が要求されておりますけれども、それと井戸との関係、影響も考慮いたしまして、五メートル以上離したところにくみ取り便所は設けにゃいかぬということが本則でございまして、なお相手方の井戸がいわばきちんとした状態と申しましょうか、そういう場合にはもう少し近い距離でもいい、そういう規定になっております。
#93
○高桑栄松君 五メートルの出所根拠というのは何かデータありましたか。
#94
○説明員(梅野捷一郎君) 特に五メートルという厳密な根拠はないというふうに考えておりますが、ただいま御説明申し上げましたように、くみ取り便所の側の構造について、漏水がしないように防水措置を要求しているわけでございますけれども、何らかの理由によりまして若干でも問題が起こった場合に、直接的な影響が及ばないであろうという距離を五メートルとして規定をしておるというふうに理解をいたしております。
#95
○高桑栄松君 これも、時間もございますので、私の意見を申し上げさせていただきます、これは根拠がないということでありますから。
 それで、今回のを見ますと四・七メートル、辛うじて五メートルに三十センチ短かったというだけで、これは誤差の範囲でございます。
 ただしかし問題は、今のように、界面活性剤――合成洗剤が使われるようになりましたので、それの入った汚水というのは表面張力が小さくなるわけですから、どんどん浸透するわけです。だから、例えば五メートルでよかったということがあっても、今や十メートルも行くんではないか。したがいまして、界面活性剤のことを考えると、建設省の五メートルというのはむしろ危険ではないか。こういうふうに言うから、今度はこれでいいはずだと、三十センチだけ短かったという話になるのではないかと。ですから、伺いませんが、非常に昔決めたやつですよね。戦後じゃなくて、戦前も大正かもしれない。だから、もうタイショウ古いということになると思うんです。ですから、これはもうむしろ基準としては、何かうまいこと考えて、ある程度の距離は要るでしょう。しかし、それでいいという考えではなくて、あくまでも注意基準であるということではないかと思います。
 厚生省に伺います。簡易水道と上水道というのはどこが違うんですか、ひとつ……。
#96
○政府委員(小林康彦君) 水道事業におきまして、水道事業のうち給水人口が五千人以下のものを簡易水道事業ということで区分をしておりま
す。
 違いといいますのは、布設工事の監督を行う布設工事監督者及び技術上の管理業務を担当する水道技術管理者の資格要件を五千一人以上よりは緩和をしております。それと、消火栓を設置しなくてもいい場合があるという規定がございます。
 しかしながら、水質基準、施設基準あるいは水質検査の義務づけ等の水道本来の根幹的部分については両者の間に差はございません。
#97
○高桑栄松君 大ざっぱに言うと、簡易水道と上水道との差は五千人規模を境としているわけですね。あとは消毒も普通にやっているわけです、塩素消毒をやっていますから。
 私はいつもこれ――私も講義をいたしますので、この辺もぎっちり考えて物を言っているわけですが、簡易水道という名称は消毒も簡易であるというふうに受け取られている、私もそう思いながら講義しますから。これはだめだと、何が簡易なんだということでございますので、私は厚生省に、簡易水道という名前は変えた方がいいんじゃないか。小規模水道と普通の水道とすればはっきりわかるわけです。小規模であれば、専任者がいないとか、嘱託だったか何かあり得ると思うんです。ですから、この簡易水道という言葉は私よくないんじゃないかと思いますので、厚生省で、今返事をというのじゃございません。大臣ひとつお考えいただいて、小規模水道でいいんじゃないのかな、こんなふうに私思っております。
 大変恐縮ですが、時間が迫っておりますので、次に行きたいと思います。
 これは海外旅行者下痢症のことでございまして、私はもう東南アジアに行くことに恐怖症に取りつかれておりまして、こういう水をお隣の菅野先生が下さったので、どうもありがとうございますと飲んでいるわけですが、東南アジアに行きますと、立派な首都でありましても氷が入っていたのは確実に危険であります。これは水がよくても危険である。したがいまして、もうビール以外は飲めないとか、もう朝から昼からビールでなければだめだというようなことでございまして、私も水割りの氷でやられたと思っているんです、自分では、どう分析をしてもこれだなと。一回ございます。
 そこで、東南アジア等に在留している日本人に対して、特に在外公館の従業員の方に、私はそっちの方のやや専門でございますので聞いて歩いているわけです。ほとんどの人が間違いなく一回以上下痢をしております。そして、二回ぐらいしちゃってもう大したことはないと言う人がおりますが、大したことがないと言う人は御本人が生き残ったから言っているんです。これで死んでいる人はアウトになっているわけです。それはそうなんですから。ですから、生き残った人が大したことはありませんよと言うのは、それは人に言っちゃいけません。ほかの人はそれで死ぬかもしれない、幼弱な人は死ぬかもしれません。
 そこで、聞きますと、面倒だから私の例で申し上げますと、どうしていますと言うと、お湯をじゃんじゃん沸かして、これで問題は野菜を洗うということです。野菜についていて、野菜を洗った、その野菜にばい菌がついている、それをそのまま食べる、生野菜がだめだというのは学術論文に載っております。アメリカの論文ですが、これで下痢を起こしたのではないかということが載っております。それで、病原性大腸菌が野菜から出ているわけです、生野菜から、洗った野菜ですね。したがいまして、どうすると言ったら、バケツでこうお湯で洗ってと言うから、あなた、それは一回目は洗えばいい、二回目は前のばい菌が入っています、五回目は洗わない方がいいのではないかと思うぐらいばい菌が五倍ぐらい入っているかもしれない。だめですよ、殺菌はしないんだから、沸かしたお湯は冷まして殺菌はできませんから。
 在外公館は指示はしていないですね、外務省の方、どうしておられますか。
#98
○説明員(島内憲君) ただいま委員御指摘の問題は、私どもとしても非常に重要な問題と認識しておりまして、私どもとしては、東南アジアを初め飲料水に問題のある地域では在外公館を中心に在留邦人の方々に対して水について十分注意するように、注意喚起を行うよう努力をしているところでございます。こういった指導は、具体的には在外公館駐在の医務官、あるいは外務省派遣の巡回医師団、あるいは印刷物を通じて行うことにしております。
#99
○高桑栄松君 きょう、厚生省も建設、文部省も皆さん通達というのが出ておりますが、通達を出されるとみんなが見ていると思うのはうまくないですね。皆さんがちょうどダイレクトメールをもらって、読んでいる人いないと思う、いないと言うと失礼ですが、非常に少ないと思うんです。自分に関してはダイレクトメールはほとんど九九%捨てますから、通達はダイレクトメールだと思っていただいてもいいのではないか。通達は効果があるのは、役所は責任逃れになるんじゃないかと思うんです。具体的にどうするかということだと思うんです。
 私が在外公館の人たちに言ってきていますのを今御紹介いたします。塩素消毒だと思います。ですから、塩素を強力に入れまして、普通は上水道は残留塩素という有効塩素の残ったのが〇・一ppm以上となっておりますが、プールで〇・七pPmというんです。それからアメリカ軍は戦場に行きますと、危険であるというので三PPmくらいを入れた水を飲むそうです。それはもうそれによる発がん性だとかなんとかというのよりも、まず水による感染が恐ろしいということだと思うんです。
 したがいまして、私が言いたいのは、塩素というのはさらし粉でいいんですから、さらし粉は普通の家庭用さらし粉を溶かして入れればいいんですから、非常に簡単で安いんです。それでバケツを幾つか置いておいて、濃いのからだんだん薄くしておけばいいわけです。そして、そこに入れて十分ぐらい野菜を置いておく、それで次に入れる。そうするとだんだん薄くなるわけで、しかも間違いなく死にますから、それでこういけばいいわけです。ただし、寄生虫はだめですね。寄生虫は死にません。しかし、こうやればそうなります。そうするとだんだん薄まっていって、最後のところで随分薄まったので、もし塩素がにおいがして嫌だったら沸かしたお湯で洗えばいい。これは最後は菌がないという条件になりますからいいと思うんです。少なくともそれが要る。それを具体的に示すべきだ。さらし粉を何%のものを、水何リッターについてどれくらい入れなさいと、正式にそれをきっちりやるべきだと私は思います。
 それからもう一つは、ろ過器を置く必要があるんですね。話聞きますと、大体公宅のようになっているようですね、私が帰ったら次の人が入ると。そしたら、そこにちゃんと簡易ろ過器を置いておけばいいんだから。そして上水道と称する水が来ましたら一遍通す。通しますと九五%か能率がいいと九九%ぐらい菌がとれますから、それでも一%ぐらいとか五%ぐらいは菌が通りますから、これは塩素消毒をする。簡易ろ過器は日本から持っていって、備品にすればいいんだ、備品に。それをしないから皆さんが苦心惨たんしている。だんなは知らぬかもしれないが、奥さま方は大変なんだ。これはみんな自分たちがやっているんだから、私はそれは備品としてやるべきだと思うんです。通達ではだめだと思います。やっぱりそうするということを私は、まだほかにもあるようですけれども、それをひとつ外務省に申し上げておきたい。それで、その指導は厚生省にしていただいたらいいと思うんです、何ppm、どれくらいにすると。
 それから、塩素の検知器というのは非常に簡単で安いんです。プールにおいでになったらわかると思いますが、あそこにいる管理人の男の子、女の人たちがちょこちょこっとやっていますよ、色がついている。あれ比色法で色で見ますから非常に簡単なんです。さっき申し上げましたプールは〇・七ppmというふうになっていますね。上水道は〇・一ppmですけれども、ずっと薄いんです。だから、プールの水は飲んでもいいかもしれ
ないという状況なわけであります。ですから、そんなもの簡単ですから、これも備品にしたらいい。そしてその指導は、厚生省に専門家がたくさんおられますから、厚生省に聞いてください、私がと言うとちょっとやっぱり差し支えがございますから。
 それからもう一つ……。
#100
○委員長(福間知之君) 高桑君、時間が過ぎています。
#101
○高桑栄松君 済みません。時間ですからこれでやめますが、もう一つは、これも外務省ですね。
 ODAのことですが、私は東南アジアに行きまして、どの人でもみんな危険なんですから、水は絶対危ないんですから、何遍もやられていますから、皆さんが。ですから、橋をかけたり道路をつくったりするよりも、まず生活の基盤というのは水なんですね。そして子供が大腸カタルで死ぬという、高率なんですよ。これは水が非常に大きいと思うんです。ですから、ODAのお金をむしろ水道事業にどっと入れてあげる。恐らく鉄管にひびが入っているところもあるわけですから、そういうところにODAを入れてやったら本当に感謝されるのではないか。そういう意味の指導をしていただきたい、こんなふうに思うわけでございます。
 時間が過ぎて申しわけありません。最後に厚生大臣、総括、何か御意見をいただいて、終わりにさしていただきます。
#102
○国務大臣(津島雄二君) 大変高桑委員の御専門の分野で、私どもに役に立つお話をいただきましてありがとうございました。
 国内における安全な飲料水の確保、そしてまた外国への協力、きょう御指摘のあったいろいろな点につきまして今後の行政に生かしてまいりたいと思います。ありがとうございました。
#103
○沓脱タケ子君 それでは、看護婦増員対策についてお聞きをいたしたいと思います。
 これは既に新聞やテレビその他あらゆるところで報道され、週刊誌にまでこうして報道されるというふうに、今国民の中で大変大きな注目を浴びておりますし、緊急対策が要求をされているというところでございます。
 私、この週刊誌を見て感心をしたんですけれども、これは週刊現代、「三Kに苦しむ白衣の天使十万人の大反乱」と、こういう題なんですが、横書きを見たらこう書いてある。「月十回の徹夜勤務、頭痛薬や睡眠薬のクスリ漬け、妊娠異常が七割発生、その上、低賃金の過酷現場に悲鳴続出で毎年離職者四万人。」と、こういうふうに書いてありますが、当たらずといえども遠からずという中身になっておると思いますが、そういう点で緊急対策がぜひ必要だというところへ来ていると思います。
 既に御発表になっておるのでも、自民党の方でも当面の看護問題についての御提言が出ておりますし、そのうちの緊急対策については厚生省の概算要求にも反映をされているようにお見受けをいたします。厚生省もそういう点では非常事態だという認識のようでございますけれども、こういう点では確かに看護婦対策というのが非常事態だというのは各方面の認識が一致してきているというのが今日の情勢ではなかろうかと思うわけです。それほど現状が深刻だということだと思います。
 そこで、端的にお尋ねをしたいのは、看護婦の需給見通しの見直しをするということを大臣が随所で表明されておるのを私もお聞きしております。今見直し作業中だということをお聞きいたしておりますが、この見直しについてはいつごろお出しになる御予定でございますか。
#104
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 看護職員の需給見通しの見直しの問題でございますが、現在厚生省の中に設置いたしております保健医療・福祉マンパワー対策本部というところでいろいろ検討を行っておりますので、その検討を踏まえまして見直しの作業を行いたいというぐあいに考えております。そういうことで、現在申し上げましたようにマンパワー対策本部で鋭意検討を急いでおるところでございます。
#105
○沓脱タケ子君 時間がありませんから、突いたり押したりするつもりはないんですが、そういう緊急対策が必要だというところで各方面が意見が一致しているという段階でございますから、できるだけ早くこの見直しを明らかにしていただくということが大事だと思います。その見直しについては関係団体が大変注目をしております。
 そこで、見直し作業続行中ということでございますから、見直しをしていく上でどういう視点で見直しをしていくかという点で、その見直す基準というのが非常に大事だと思うわけでございます。私は見直しに当たって一つは夜勤、看護婦さんの夜勤は当面八日以内、将来は六日。二つ目は労働時間の短縮、週休二日制の実施、年休の完全消化。それから三つ目は母性保護、妊産婦の夜勤を禁止するということが実際にやれるという状態ですね。四つ目は、これは子育て問題が大変な問題になってまいっておりますから、近く制度化もされるであろうということが予測されますが、育児休業制度あるいは介護休暇、そういったものもこの需給見直しの計画の中に入れられるのが当然だと思うんですけれども、これらの要素を含めた見直し案にならないといけないと思いますが、今の見直しの基準の中にそういったものが加味されているかどうか、その点についてお聞かせをいただきたい。
#106
○政府委員(長谷川慧重君) 先生からお話ございましたいろいろな問題は需給に非常に関連する分野でございますので、当然そこら辺についてどうしたらよろしいのかということも検討の中に加えさせていただきまして現在検討を進めております。
#107
○沓脱タケ子君 非常に短時間ですので、私一つずついろいろお聞きをすることはできないんですが、例えば当面夜勤八日以内と、こういう問題を提起しましたが、当然のことなんですが、これは言うまでもなく二十五年前の人事院の判定で、もうあれから二十五年になっているんだけれども、いまだにうじゃうじゃしているという問題なんですが、一番問題は国立病院関係、これはどうなっていますか。八日以内になっていますか。
#108
○政府委員(長谷川慧重君) 正確な数字は持ち合わせておりませんけれども、平均的には八日以内になっていないというぐあいに聞いております。
#109
○沓脱タケ子君 私の聞いておるのでは九日以上のようですね。それは今問題にしようと思っていないんです。緊急対策をやっていくということの必要性というのは、厚生省の自分の配下でやらなきゃならぬと思うんです。私は特にそのことで、看護対策の緊急対策をおやりになるならまず国立関係の病院をきちんとやるということが大事なのに、例えばきょうこれは当局からいただいた資料ですけれども、国立病院の看護婦数を見たら、平成二年度末の定数が二万九千四十九人なんですね。ことしの四月一日現在の賃金職員数というのは五千三百八十一人おる。賃金職員というたら職員と違うでしょう、定数外ですからね。これは率にしたら一八%内外でしょう。少なくとも看護婦がピンチになっておるというところで、こういう賃金職員ということで、予算の枠がなくて定数がないからということで賃金職員ずっと二〇%内外をやっているんですね。こういうものを早急に解決する必要があると思うんですよ。多くのもろもろの条件を加味して需給見直しを御検討のことだということでございますから御期待を申し上げております。しかし、そういうことと同時に足元はきちんとしてほしいなということでございますが、大臣どうですか。これは本当に不細工ですよ。
#110
○国務大臣(津島雄二君) 看護職員の問題について大変世論が注目をしていただいておることを強く感じております。こういう世論の高まりにつきましては、私も一つの役割を果たしたんではないであろうかと思っておりますだけに、これが対策の確立については責任が重いなというふうに思っております。
 今後の看護職を取り巻くいろいろな状況を的確に見きわめると同時に医療機関の中における現状をよく理解して、そしてまた必要な待遇の改善も
図るということでやっていかなければならないと思っておりますが、定員の問題一つとりましてもいろいろな厳しい制約があるというのは委員よく御存じでございますので、その点ではひとつ応援をしていただきたいと思います。
#111
○沓脱タケ子君 そういうことがずっと続いていて残っているということ、これはやっぱり解決なさる必要があると思うんです、足りない証拠が歴然と出ているわけですからね。
 次に参ります。
 看護婦の増員対策というのは、従来から言われておりますように、養成力、看護婦養成の拡大、拡充強化、それから離職の防止、それから潜在看護婦の再就職の促進、それから看護婦さんの資質の向上、そういうことだと思いますが、それに加えて、これは自民党でもおっしゃっておられるようですし、大臣も昨日おっしゃっておられましたが、看護婦さんのイメージアップを図るということで「看護の日」などというものをおつくりになるということが非常に大事だと思います。
 そこで、具体的にお聞きをしたいのですけれども、看護婦養成の問題、この拡充強化の問題でございますが、従来から看護婦というのは診療報酬で養成をしているということが随分指摘をされてまいりました。具体例はいろいろございますけれども、時間がありませんから多くは申し上げる余裕はありません。概算要求でこの分野では専任教員を一名ふやすとか単価アップをするとかというふうな改善を目指しておいでのようですけれども、これは引き続き拡充をなさっていきますか。こういう看護学院、看護学校、養成機関に対する助成の増、これはどうでしょうか。
#112
○政府委員(長谷川慧重君) 看護婦さんの養成増につきましては、本年度の予算におきましても、養成施設の整備費を五億円増額することにあわせまして、養成所の運営費につきましても単価アップの見直し等をやりまして、その内容の充実を図ってまいっておるところでございます。来年度予算要求につきましては、厚生省といたしましても、先生からお話がございましたような点も含めまして、さらに養成力の増強、内容の充実を図ってまいりたいというぐあいに考えております。
#113
○沓脱タケ子君 多くの例を申し上げる時間、余裕がありませんが、これは日本病院会長をやっておられる諸橋芳夫先生がお書きになって引用されている例を見ましても非常にはっきりしております。「旭中央病院付属看護専門学校の収支」というのを見ましても、政府及び地方自治体の助成を見ますと、全体の助成は約一割ですよ。非常に細かく分析をされておりますので、そのことの御紹介を申し上げておきたいと思いますが、要するに、その養成経費に対する費用は、国立に対しては生徒一人当たり年十六万二千六百五十円、それ以外の施設は生徒一人当たり二万七千二百円、国立のほぼ一割にすぎない――総額では一割になっているんですね。実際上は看護婦の養成施設というのは純然たる民間が過半数ですね。国がやっておられるというのはせいぜい二〇%内外でしょう。一五%ぐらいですかね。そういう状況ですから、その辺を考えますと、これは本当に局長、引き続きとおっしゃっておられますけれども、諸橋先生のレポートにも書いておるんですが、「不幸にして病気になった人、ケガをした人の治療費の中から看護婦を養成するようなことであってはならないし、これでは文化国家とはいえない」という文言がございますけれども、日本の今日の看護婦養成というのは、ひいき目に見ましてもそのことがどんずばりだと思います。
 こういうことを改善するということをこの緊急対策の中で筋を立てていっていただくということが極めて大事だと思うんですね。ですから、来年度の対応についてのお話がございましたけれども、引き続きそういう補助拡充をやって、少なくとも、患者が自分の治療費で看護婦をつくっているんだと、そんなことを言わなくてもよいようにするべきだと思いますが、その点は大臣、一言で結構ですから御決意を伺っておきたい。
#114
○国務大臣(津島雄二君) 今のお話いろいろごもっともな点がございます。来年の看護婦養成力の拡充につきましては、予算面では非常に大幅な増額を要求しているということを申し上げますとともに、今後とも全力を挙げて努力をいたすことをお約束いたします。
#115
○沓脱タケ子君 確かに大幅はいいけれども、もとが小さいからね。まあしかし、御努力のほどはよくわかりました。
 もう一つの問題は、離職の防止だと思うんですね。
 ずっとそちらからも資料等いただいて拝見しておりますけれども、新卒で実際に就業するという方が毎年約五万人ですね。一年間に離職をなさる方が、これは統計によると四万二千人なんですね。だから、新卒で就職をされた方がやめないようにすれば、これはもう見る見る看護婦さんというのは充足されるという状況になっておるわけでございます。これは自民党の方の緊急対策でも、そのためには思い切った処遇、労働条件の改善を図ることということを明記をしておられるようでございますが、これは私も大賛成です。
 少なくとも今度の概算要求では夜勤手当の引き上げをということで、どうやら財源措置をして、要求をしておられるようでございます。それから与党の対策にも言われておりますように、医療職(三)表の大幅改善を行うということもうたわれております。大臣からは人事院総裁に対して改善要求が特別に出されておって、一定の勧告がなされたようでございますが、人事院には引き続き看護婦の処遇改善のための要望というのは続けていってもらいたい、こう思うんですね。御意見ありますか。ちょっと一言、それなら。
#116
○国務大臣(津島雄二君) 引き続き努力をいたします。
#117
○沓脱タケ子君 それで、もう時間がありませんから最後の問題ですが、思い切った処遇、労働条件の改善というのは大変賛成だと私申し上げました。しかし、医療職(三)表の大幅改善だけではこれはちょっと残念ながら片手落ち。というのは、この処遇の改善では対象は公務員だけなんですね。
 我が国の医療というのはもう大半が民間が担っているという形態になっておるわけでございまして、民間についての財源確保なしには思い切った処遇あるいは労働条件の改善というのはあり得ないと思うわけでございます。
 そういう点で、時間がありませんので、日本病院会等の四病院団体から厚生大臣に対して要望が出ておりますが、これは非常に的確に要望されておるのでちょっと簡単に申し上げますが、その一つは「病院は他産業と異なり五〇%の人件費率の業種であることから、二年に一回改定の社会保険診療報酬とは別枠に、老人ホーム並みに人事院勧告による人件費アップと連動する分に対し毎年改定をすること。」、二番目は「患者サービスおよび医療の質を低下することなく、他産業並みの週休二日制の導入を行うためには、ある程度の職員増が必要であるが、その人件費相当額を社会保険診療報酬に考慮すること。」、三は「看護婦不足の対策として、積極的待遇改善のための社会保険診療報酬における給与費の大幅引き上げとともに看護学校の現在の定員の二〇%増しの入学者数を認めること」等を要望されていると思うんですね。
 確かに、民間についての思い切った処遇、労働条件の改善をやるために、財源といったら診療報酬しかないわけですね。その辺のことについて意を用いるということが非常に大事だと思います。恐らく四月一日から点数を若干変えましたということを言いたいであろうと思うんですけれども、四月一日でしょう、上げたのが。その後で出ているんですよ、四病院のは。これは十月の十一日の新聞に出ているんですからね。だから、そんな焼け石に水のようなことでやったやったと言うんじゃなくて、本当に今日の看護婦の緊急対策を前進させると言うに足りるような財源対策、つまり診療報酬の引き上げを人件費の部分において大いに考えなければならないということを痛感をいたしますけれども、こういった病院協会等の要請を踏まえて大臣、その点をどのように前進をさせて
いただけるか、そのことをお伺いをいたしまして、終わりたいと思います。
#118
○国務大臣(津島雄二君) 医療におきまする看護サービスの重要性は、委員御指摘のとおり、私も十分認識をいたしております。また、そのために多くの御提言があることもよく承知をしております。
 私どもとしては、絶えずこの問題の重要性にかんがみ、関係者が集まって検討をさせていただいておるわけでございますが、今後とも診療報酬における看護の取り扱いについては、この全体の制度に関連をいたしまして、中医協の御議論も承りながらその改善、適正化につき適切に配慮をしてまいりたいと思います。
#119
○沓脱タケ子君 終わります。
#120
○粟森喬君 私は、ことしの百十八回の国会で、老人福祉法の改正などに伴いまして在宅福祉制度を充実していこうという中で、無認可の通所施設のあり方などについてお尋ねを申し上げたいと思います。
 この在宅福祉制度がつくられましてから、一つにはいわゆる小さな、例えば授産場であるとか小規模作業所であるとか、いろんな施設に対してことしからは五人までは分場方式、すなわち今までは措置を認められない無認可だったものをどこかの施設に連動をすればそれは分場として認めると、こういうことになったことを一つの成果というか、前進として私は評価する立場でごさいます。ところが、では四人ならなぜだめなのかということについて、これは何を根拠にして四人以下は切り捨てられたのか、ここを明らかにしてほしいと思います。
#121
○政府委員(長尾立子君) 小規模の授産施設についてのお尋ねでございますが、分場方式を認めた考え方でございますが、今先生からお話がございましたように、地域の中で障害者の方の施設利用を容易にしていきまして就労を促進するという観点では、確かにお話のように小規模であるという形のものが望ましい部分があることは私どもも十分承知しておるわけでございます。しかし、この間、施設に対しまして助成をしていくということを考えてみますと、今回の分場方式の中では指導員を一名配置するということを条件といたしまして助成をしていくわけでございますが、やはり公的な費用によりまして助成をするという観点から申し上げますと、効率性ということが要請されるのではなかろうかということを考えておるわけでございます。
 その際、先生、四人ということで、五人がよくて四人がというのはなかなか難しいわけでございますが、社会福祉事業として考えますと、原則的には五人という一つの線がございますので、それを私どもとしては一つの線として考えていったということでございます。適正な規模ということをどこで線を引くかというのは、御指摘のように、難しい問題ではあると思うのでございますが、一応五人ということで線を引かせていただいたわけでございます。
#122
○粟森喬君 私は二人以上は組織だと思うし、その意見については納得できないのでございますが、厚生省にお尋ねをしたいのは、なぜそのような無認可ができてくる過程があるか、発生とか原因、その種のことについて調査、分析をされたものがございますか。
 私が手元に持っておるのは、「月刊福祉」の八九年の十一月号、「小規模作業所の現状分析」ですが、これはすべて措置をされた施設に対する調査でございます。私は二人から四人というか、二人から十人でもそれは結構でございますが、そのような作業所や授産場が出てくる社会的原因について厚生省そのものが考察をしたことがあるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
#123
○政府委員(長尾立子君) 現在、小規模作業所というふうに言われておりますものの実態、これは実に千差万別と申しますか、さまざまでございます。こういった小規模作業所のいわば社会的に生まれてきました経緯の中には、精神障害者、精神薄弱者の親の会の皆様のいろいろな御活動があったわけでございますが、全日本精神薄弱者育成会の調べで、私どもの承知しておりますところでは、現在おおむね二千弱の施設でこういった事業を行っておられるところがあるというふうに承知をいたしておりまして、この数はこの数年増加をいたしております。
 この施設の増加また施設の目的ということにつきましては、私どもとして体系的に分析をしたことはないわけでございますが、いわば各種の皆様方の御調査の分析、また私どもが各県等から事情を聞きました状況におきまして、現在のところ私どもとしては、授産の場、就労の場は地域において大変得にくいという事情があるということが一つの大きな問題。この得にくいという理由の中には、先ほど来先生がお話しになっておりますように、障害者の方は地域でまとまって住んでおられるわけではございませんから、通所をするということになりますと、遠方の通所施設に行かれるということが大変困難であって、身近なところにそういうものをつくりたいという御本人及び親御さんの御希望があるということが一つであると思います。
 それからもう一つは、就業という形のものに至らない、それはちょっと困難ではあるけれども、何といいますか、就労の前段階といいますか生きがい対策的なものと申しますか、そういうような障害者の方が集まられまして作業をなさる、またはある程度のそこで事業をなさることによりまして、日中の障害者の方の活動の場として確保していかれる。大別しますとそういう二つの方向、二つの要請に十分現在の体制がこたえていないということが言えるのではなかろうかと思っております。
 それで先生は、こういった実態の上で、私どもとしてどういう取り組みをすべきか考えているのかというお尋ねであるかと思いますが、障害者のこういった授産の問題、それから障害者の方の、なかなか就労の困難な重い障害者の方の地域社会におきます生活をどういうふうに考えていくかということを考えますと、今のこういった障害者の施設のあり方について私どもなりに少し勉強してみたいと実は思っております。これは授産の場ということだけではなくて、例えば私どもはデイサービスでございますとか、今回、ことしから地域福祉センターという形で、地域におきます福祉の小規模の拠点づくりというようなことを始めておりますけれども、そういうものへの広がりを持った形でこういった親御さんたちの、また障害者の方のニードに地域の中で対応する方策というものをもう少し探ってみたいという気はしております。
#124
○粟森喬君 社会的な背景について一定程度の見解はそれは私も同意できます。特に問題なのは、さっき就労に至らないと言いましたが、心身障害の重度の人たちの、特に義務教育までは何とかやれますが、それ以降になると、もし在宅福祉というのが家庭に二十四時間置いておけという意味であるとするならば、これは重大問題です。といいますのは、重度の方は介護を前提としますから、全部それは家庭サービスといいますか、家族の人たちのそういう努力に、介助に全部依拠するということでは在宅福祉制度そのものが根幹から崩れてしまう。これはそれぞれにあります。そのことが二人から四人ぐらいの、あるいは十人までのそういう、授産所といいますが、事実上の生産活動というか経済活動に寄与できない、まあとにかくその名称は何でもいいからそういうものをつくろうという動きが地域社会の中で自然発生的に生まれている。
 在宅福祉に私はある意味で賛成なのは、今重度の方が施設として入っているところの実態は、私が言うまでもなく、皆さんも見て見ぬふりをしなければならないほど、例えば措置人員の問題などなどを見たって、こっちも問題あるんですよ。しかし一方で、今自然発生的に出てきた小規模の作業所とか、集会の場所といいますか、生活の場所を今度市町村に権限移譲した。この部分に対して基準がないから、市町村の単独事業でやれなんて
いったら、現実にはもう地方自治体の財政の中でそこを見れる条件というのはないわけですから、やっぱり国がこのことに何らかの措置をしなければいけない。局長は勉強と言いましたが、私は現実に起きている状態を見たら、これは研究というより、在宅福祉に移管をしたとしたら当然そのことに何らかの準備と調査がもう開始をされなければならないという必然性を持っていると思うんですが、いかがですか。
#125
○政府委員(長尾立子君) 冒頭に先生が、在宅福祉対策というのが単に家庭にあればいいということではないはずだという御指摘でございますが、これは全く私どももそう思っております。障害者の方が地域社会の中で職業を持たれないでも社会への参加をするという場をつくっていくということは大変重要なことだというふうに私どもは思っております。このための社会参加促進事業というものを私どもはやっておるわけでございますが、今の施設の対策の面におきましても、地域利用施設といたしまして身体障害者の福祉センター、それから在宅障害者のデイサービス施設というものをつくっております。こういうものを広げていきまして、今先生がおっしゃいましたような、地域の中に持っておられる障害者のニードに対応していくというためにはもう一歩どういう工夫が必要なのかということを私どもとしてもう少し技術的な面を含めまして検討しているということでございまして、その点は先生のおっしゃいました課題、先生のおっしゃいました問題認識と私どもが持っておりますものとは全く違わないというふうに申し上げられるかと思います。
#126
○粟森喬君 何となく言う意味は私わかるんですが、在宅福祉制度に転換をして、今局長もある程度そこは御理解いただいたと思うんですが、自然発生的にそういう二人とか四人とか十人とかセンターをつくって、センターというのは私、いわゆる十カ年計画構想みたいなものに基づいて、地方自治体の皆さんだとか関係者の皆さんのいろんな意見を聞いたんだけれども、やはり施設として完成するときに、その施設の規模、そこへ通う距離、内容、特に重度の障害を、ハンディを持った人たちは個別の、例えばその人にマン・ツー・マンで対応しなければならないようなそういうケースは、今考えている構想の中ではどうしてもこれはそのネットの中で対処できないという認識では、まあまあちょっと微妙な差はあるとしても、そういう部分が出てくるということについては認識いただいたとすれば、少なくとも来年度の予算に向けて、予算がなかったら何もできないと私は思わないけれども、少なくともその種の自然発生的なそういう施設が出てきたときに、どう対応してどういう措置のやり方ができるのかということが具体的に研究されていかなかったら、在宅福祉制度の持つ社会的矛盾というのはますます拡大をするし、これまであった矛盾も解決されないままそれをそのまま引きずっていくということは、今日の福祉制度の根幹にかかわる問題でございますから、大臣、ことしの予算の中でその種の措置、裏づけについての決意を明確におっしゃっていただきたい、こういうふうに思います。
#127
○国務大臣(津島雄二君) 小規模授産施設の問題につきましては、粟森委員と私とこの五月に予算委員会で御論議をさせていただいております。そのときにも私申し上げましたように、自然発生的にそういうニーズがあるんだということは申し上げました。今お話伺ってますます具体的に問題点を詰めてみなきゃいかぬなあという気持ちになってございます。来年度の予算に向けまして今のお話の線に沿って何か工夫ができないかどうか、勉強させていただきます。
#128
○粟森喬君 私、勉強という言葉は役所用語でどういう意味かというのは多少理解できるようになりましたが、勉強ではないと思う。これは必然性とそれから緊急性があるんだから、例えばそれがこれからの問題でどうなるかということがありますが、少なくとも来年度へ向けて何らかの格好で具体化していただかないと、勉強だったらこれは私たちも勉強していますから、役所がやるということはもうちょっと具体的にそれを一つ一つ実現をしていく、ここにあると思うんですが、大臣、もう一遍再答弁、そして局長も。
#129
○政府委員(長尾立子君) 大臣から御答弁ございます前に私どもの状況を御説明させていただきます。
 まず勉強の点でございますが、先生御承知のように小規模作業所と言われておりますものは俗に三種類ございまして、身体障害者の方を中心とするもの、それから精神薄弱者の方を中心とするもの、それから精神障害者の緩解者の方を中心とするものがございます。もちろん現実には混合しておるわけでございます。私どもの方の行政の分野で申しますとこれ実は三局にまたがっておるわけでございまして、抱えております問題状況、それから解決の方向の重点の置き方、正直言いましてやや差があるように思います。精神障害者の緩解者の方と身体障害者の方とはやや違うと、問題の状況でございますが。そういう意味では三局のそれぞれの問題状況をやはり的確にお互い情報を交換し合って把握し、それで具体的な対策の方向を求めなくちゃいけないわけでございまして、その三局の合同の勉強会を既に設置いたしておりまして、そこでさまざまな問題点の洗い出し、解決の方向につきまして今詰めておるということで勉強しておるということを申し上げたわけでございます。
 来年度の予算の問題でございますが、先生御指摘のように、地域社会の中で障害を持った、特に重い障害を持った方々が御自分の生活を維持できるような意味では、従来のデイサービスの中に重度の障害者の方のデイサービス事業を実は要求をいたしておりまして、ぜひ私どもとしては来年度からこれを実現いたしたいというふうに考えております。
 また、重度の方々が地域社会の中で生活できるようなそういった施設という形ではなくて、重度の方々が生活できるような、いわば重度の方用のグループホームといいますか、福祉ホームと申しましょうか、そういうものの要求もしておりまして、これもぜひ実現をしたいということで考えております。
#130
○国務大臣(津島雄二君) 今政府委員から御答弁いたしましたように、いろいろ具体的に細かく勉強しておるわけでございますが、来年度の予算がよりよいものになりますように、先生のいろいろな知識、経験も活用させていただきまして、アドバイスをいただきたいと思います。抽象的な議論でなくて、一歩でも二歩でも前進できるようにひとつぜひよろしくお願い申し上げます。できることが、行政的にこれはいいということがあれば、私はそれはやりたいという気持ちを持っているわけであります。御理解いただきたいと思います。
#131
○粟森喬君 時間がございませんので、多少最後に申し上げておきます。
 重度の障害者というのは心と体の両方に傷ついているというのが、これが普遍的な条件でございますから、各局と言われてもどこがやろうとも私は結構でございますが、そういう前提での生活をする、日常生活、在宅福祉を前提にしてデイサービスをどうやるかということについては早急に結論を出してほしい。
 それから、いかなることがあっても二人から四人のところは自然発生的にもう起きてくるんです、近いところで。できるだけ一人一人の条件に応じたものをつくっていきたいというのは、これは関係者の意見です。当然必然性があるんですから、ここについて何らかの体制を長期的に、今来年から必ずやらなくても、もうそれは必要がつくってくるわけですから、福祉というのは単に効率だけではなくて、障害者であっても基本的な人権みたいなものを守ろうとすれば、今の現状をどこかで変えるということが福祉制度になかったら、私は在宅福祉制度というものが持つ本質的な問題にいってないと、こういうふうに思いますんで、今後もまた発言する機会がございましたらどこかでやらしていただきますんで、またよろしくお願いします。
 終わります。
#132
○西川潔君 午前中から先生方の質問を聞かせていただきまして、わずか三時間ではございますが、本当に濃縮されたすばらしい委員会であると思います。今国会初めてでございますが、私は昨年暮れに策定されましたゴールドプランについて質問をさせていただきます。
 いつも申し上げておりますが、この法律はみんなで協力をして実現させなければいけないと思っております。特に、このマンパワーの確保につきましては、人手不足が深刻な状態が続いております。先ほど沓脱先生の方からもお話が出ておりましたが、看護婦さんも足らない、子供も足らない、そういう状況の中で、本当にホームヘルパーさんも足らないわけで、十年の間に十万人にふやそう、達成をしよう、こういうわけでございますが、マンパワーのレベルの向上、こういう部分も大変重要になってまいります。確保とともに質の面での、そしてまたこういう施策について私はお伺いしたいと思うんですが、ホームヘルパー制度について、基本的な仕組みをもう一度一からお伺いしたいと思います。ホームヘルパーになるにはどうすればよいか。
#133
○政府委員(岡光序治君) ホームヘルパーにつきましては、特別の資格はないわけで、お宅を訪問をしてお年寄りとか障害者等の処遇に直接携わる、そういう仕事をしていただくわけでございますので、私どもとしてはまず心身が健康であるということと、それから利用者の福祉に関して理解と熱意を持っていただいている方、それから介護とか家事とか相談助言を適切に行う能力があるというふうなことを要件にしておりまして、あとはそういう熱意のある人にお願いをするという格好になっております。この仕事は市町村でやっておりますので、市町村で採用をして、採用時にしかるべき講習をして実際の業務に当たっていただく、そういう手順にしております。
#134
○西川潔君 ラジオ、テレビ等を通じて本当に私は厚生省以上に、また自治体以上にやらしていただいているつもりではございますが、いろいろなところでいろいろな方々に質問を受けるわけですが、どうすればホームヘルパーになれるのか役所へ言っていただきたい。そしてまた、おはがきとかお手紙をいただくんですけれども、必ず書類を添えて送らしていただいております。それにしてもちょっとPR不足ではないかなというふうに感じるんでございます。
 次に、例えばある市町村がホームヘルパーの募集を行ったわけですが、四十人に対して六十八人来た。二十三人に対して九十九人が来ました。そうすると七十六人が余ってしまうわけです。こういう場合、あとの人たち、やりたいな、こういう福祉に燃えてお力になりたいという方々がたくさんいらっしゃるわけですが、不採用、いわゆる採用されなかったあとの方々を例えば近くの市とか町とか、そういうところに紹介をしていただくような何かシステムをつくっていただきたいということが一つであります。
 そしてまた、来年度の概算要求の中に厚生省は福祉人材バンク事業の創設というのがございます。大変うれしく思っております。この二点、この内容を説明していただきたいと思います。
#135
○政府委員(長尾立子君) 来年度予算の要求の中に、私どもで福祉人材バンク事業を創設したいという要求を出しておりますので、その内容につきまして御説明をさせていただきます。
 今、先生からもお話しございましたように、福祉の分野では今後マンパワーの確保ということがもう非常に大きな課題でございますが、この確保のためにはやはり全体として効率的でシステム的な仕組みというものがどうしても必要になってくると思っております。今、先生は応募してこられた方が採用されなかった場合の例をお挙げになったわけでございますが、実は私どもとしては全国的に見ますとこういった福祉の分野に多くの有為な人材が参入していただけるということをぜひお願いいたしたいという気がございますので、まずこの事業の第一といたしましては、福祉サービスについての国民の皆様の御理解を深めていただくような、そういう事業をまずやらしていただきたいと思っております。
 これをさらにマンパワー問題に結びつけますためには、例えば入門講座、日曜教室といったものを開催していくという事業を次にやりまして、いわばマンパワーの掘り起こしといいますか、そういうものをやりたいと思っております。
 最後の一つの柱といたしましては、今、先生おっしゃいましたような福祉のマンパワーとして活躍をしたい、またこういった日曜教室に参加をいただきまして、自分もそういった分野に働いてみたいというお気持ちの方につきまして、登録をさせていただくということを考えておりまして、この登録をしますのは県単位で登録をしてまいりますので、今お話がございましたように、各市町村ごとのばらつきということにつきましては対応できていくのではないかという気がいたしております。
 また、現在高齢者の方についてのシルバー人材バンクというのを市町村事業としてお願いをしておるわけでございますが、この事業部門をいわばさっき申しました県におきます福祉人材バンク事業のブランチといいますか、支店として位置づけをいたしまして、各市町村の中で福祉の分野に御活躍をいただけるということで、手を挙げていただきました方が他の市町村におかれましても働いていただけるような、そういうネットワークづくりということをいたしたいというふうに考えておるところでございます。
#136
○西川潔君 そこでお伺いしたいんですが、実態ですね、ホームヘルパーの方々が新しく採用されたといたします。研修の内容、こちらの方で二級の方々になりますと三百六十時間の研修をするということでございますが、いろいろ自治体でお伺いいたしますと、とてもじゃないですけれども、新しい方に三百六十時間の研修をするまではなかなか手が回らないというようなことをいろんなところでお伺いいたしますが、そういう研修制度は実際に派遣される前に必ず行われているのでしょうか。
#137
○政府委員(岡光序治君) 新規に採用をされるその時点で必要な研修を受けてくださいという仕組みにしております。研修内容は、先生おっしゃいましたように、三百六十時間ということにしておりますが、一つは社会福祉の仕事であるとか、それから家でいろんな仕事をしますので、その家政の仕事であるとか調理とか介護とか医療とか、そういう関係の基礎的な知識を得るための講義の時間を百八十時間予定をしております。それから、介護に関する基礎的な技術を得るという実技の時間を百時間、それから特別養護老人ホーム等の実際の現場で介護の実習をしていただくというのを八十時間、合計三百六十時間という時間を想定してお願いしております。
 御指摘のように、市町村の現場では採用時点でそれだけのどうも研修が行われていないケースもあるようでございますが、それはやはり市町村の置かれている状況で若干実情が違ってきておると思っておりまして、弾力的に対応はしなきゃいけないと思っておりますが、原則としては、実際の家庭に入っていただくときにはそれだけの知識は必要なんじゃないだろうか、こう考えておりましてお願いをしているところでございます。
#138
○西川潔君 今、部長さんのお話、よく理解ができます。皆さん、潔さん、私もそういうことをやりたい、やりたいけれども先立つものはお金だというふうにおっしゃる方がたくさん実はいらっしゃいます。
 そこで、お伺いしたいんですけれども、この受講料と採用後に研修を受ける場合の手当ですね、これがどうなっているか。そして常勤とパートの方々とのお金の扱いをお伺いしたいと思うんです。
#139
○政府委員(岡光序治君) まず、採用時点の講習につきましては、これは所要の国庫補助を行うことにしておりまして、受講料金につきましては、受講者の負担が生じないようにということにして
おります。ただし、その後の定期研修というのは、これももちろん市町村で行うことになっておりますが、個人参加のような格好で実習を受けられるという場合には国の対象にはしていない格好になっております。
 それから、採用時点における受講料金を負担のないようにするという措置につきましては、常勤のヘルパーさんもパートのヘルパーさんも同じ扱いにしております。
#140
○西川潔君 今、個人参加の場合は出ないということでございますけれども、毎日の生活というものがございまして、収入もないのにこの長い三百六十時間という時間を費やして、なかなか福祉にという方が、お金のことに関しましてはここで挫折される方が随分僕の周囲にもいらっしゃるわけですけれども、やっぱりサービスを受ける側といたしましてはプロとして頼れる方を望むわけです。余り厳しい研修制度ですとか、お金がたくさん、つまり自己負担、そして奥様方でもパートをなさって、パートが終わってからそういうまた研修を受けられる時間のやりくり、本当に大変でございます。そうなりますと、なり手が少なくなってくるわけでございます。質と量の確保によって初めて可能になると思うんですけれども、こうなりますと、なかなかなり手が少なくなるというふうに思うわけです。慢性疾患の方々がふえる中で、そうした知識、そしてまた皆さん方の弱い立場の人からはこういう要求がされると思うんですけれども、研修が負担になる、そしてまた新たなヘルパーになろうとする人が少なくなる。
 厚生省の方でも、次に段階別研修システムというのを検討されているとお伺いしておりますが、お伺いしたいと思います。
#141
○政府委員(岡光序治君) 来年度の要求としてそういうふうな段階的な研修システムを導入したいということで検討しております。それは、おっしゃいますように、仕事の内容でただ単に、何というんでしょうか、家事の援助とか身体の介護であるとか、それから専門的なかなり高いレベルのヘルプの仕事をしてもらうとかいうのでいろいろ分けまして、まず四十時間、それから九十時間、それから従来の三百六十時間というふうに、まず入りやすい格好で段階的な研修を行っていきたいということで今検討しておるところでございます。そうやっているんなタイプのものをタイプ分けをいたしまして、家庭の主婦等で御理解のある方でこういう仕事をやってみたいという人にできるだけ入りやすいような、そういうシステムをつくってみたいという考え方でございます。
#142
○西川潔君 そこで、ホームヘルプサービスを実施している市町村では、現在の補助以外に財政的にさまざまな負担があると聞いております。それ以外にも大変な御苦労がいろいろあると聞いております。市町村を支援するために、厚生省といたしましても先ほどのお金の問題、こういう問題をトータルでひとつ部長さんと大臣にお伺いしたいと思います。
#143
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のとおり、ヘルパーさんを置いているということによって市町村では相当持ち出しがございます。それらに何とか対応したいということで、これも来年度の予算要求で私どもぜひともお願いしたいということで準備をしているところでございますが、内容的には、まずマンパワーを掘り起こす、その仕事のための経費が必要だろうと思いますし、在宅福祉サービスについての住民の啓蒙、普及ということも必要になると思いますし、そういう仕事に携わる行政職員の研修であるとかあるいは先駆的なモデル事業を応援する必要があろうかと、こんなことで、まず在宅福祉サービスが全体的にうまくいくような、いわばすき間になっているような部分をこれで埋めたいというのが一つでございます。
 それから、ヘルパーさんに実際に活動してもらうときには、例えば健康管理を考えてあげなきゃいけませんし、そういう福利厚生的な経費であるとかあるいは現任訓練等の経費も必要になってまいりますので、そういったところの必要性に応じながら重点的に対応ができないだろうかということで、ぜひともこれを実現したいと考えているところでございます。
#144
○国務大臣(津島雄二君) 本格的な高齢社会を迎えまして、名実ともに長寿・福祉社会というものができるかどうかということについて、ホームヘルパーさんを中心とするマンパワーの確保が予定どおりできるかどうかが成否のかぎを握っていると考えております。このホームヘルパー等のマンパワーの問題につきましては、これまでも処遇の改善や、特に社会的評価の向上という点でいろいろ努力をしてまいりましたし、それから公の市町村を中心とする人材の発掘のほかに、特別養護老人ホームに委託して発掘をする等、いろいろな供給形態の多様化などを図ってまいりましたが、やはり腰を据えて問題に取り組む必要があるという認識から、先般、八月十七日付で省内に事務次官を本部長といたします保健医療・福祉マンパワー対策本部を設置いたしまして、省内の縦割りの壁を乗り越えて処遇の改善とか養成力の強化、それからイメージの向上策等を総合的に今検討をさせておるところでございます。
 西川委員におかれましては、福祉の仕事の重要性を一般に周知をする努力をしていただきまして、またホームヘルパーを初めとするマンパワーの参加についても関心を集める努力をしていただきまして大変ありがたいと思っております。きょう御指摘になりましたいろんな点は、我々が今取り組んでおります対策本部の検討の中に生かさせていただきたいと思います。まことにありがとうございました。
#145
○西川潔君 本当に人の問題、お金の問題、いろいろございますが、どうぞ大臣からひとつ大きなお力添えをいただきたいと思います。
 こうした概算要求を取りまとめているときにイラクの侵攻という事態が起こってきました。日本も四十億ドルというお金を出したわけですけれども、このことで私自身、新しい施策が、お願いしたことが削られるんではないかなというふうな心配をいたします。大臣にはぜひ頑張っていただきたいと思うんですけれども、今回の湾岸危機に当たっては、厚生省が今まで行ってきた国際協力が日本としても最もふさわしい協力のあり方だと思います。どこへ、どういう人を、どのように、どれぐらい行うかという問題はあると思うんですけれども、精神は厚生省が今まで行ってきました国際平和協力、平和の協力としてまとめられればいいなと思います。
 どうか今後とも国際協力にもお力添えをいただきたいと思いますが、もう一度大臣にお言葉をいただいて終わりにしたいと思います。
#146
○国務大臣(津島雄二君) 国際協力の中でも保健医療協力は最も高く評価をされ、歓迎をされておる分野でございます。
 この分野では基礎生活分野に係る協力ということでございますが、具体的には、まず第一に外務省及び国際協力事業団等が実施する二国間協力について、厚生省として専門的立場から支援するというのが第一でございますし、第二に、世界保健機構、WHOという国際機関を通じた多国間協力に参加をするというやり方がございますし、それからまた、そのほか厚生省独自の協力事業というものもございます。例えば、最近新しく出てきたものではサハリンから救急医療を求めてくる、ああいう仕事も新しい分野として出てきているというふうに受けとめております。
 このように、常時、国際医療協力の要請はございますけれども、また、この中で緊急医療協力というのがございまして、例えばイランで地震が起こる、フィリピンで地震が起こる、あるいは飢饉等がある、洪水がある、そういう場合に緊急にドクターあるいは医療職員を派遣するという仕事を外務省を中心にやっておりまして、これに私どもは全面的に協力をしておるわけでございます。この緊急医療協力に必要な方を相当数リストアップしておりまして、それで未知の世界に行って相当の不便を覚悟して、しかし人道的な医療協力をやるという方々が非常にたくさん参加をしていただいているわけでございますが、今回の中東の事態
に当たりまして先遣隊として御参加をいただいた私どもから派遣した三人のドクターも、実はこのようなりストの中から参加をしていただいたというふうに私は聞いております。
 それからまた、昨日発表になりましたが、三日に先遣隊の後の方として二人中東の方においでになるわけでございますが、私どもとして、今回の問題についての国際的な協力というのはこれまでもやってきた人道的な国際協力の一環である、そしてそれが世界の平和に貢献できればまことに幸いである、こういう気持ちでこれからも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
#147
○委員長(福間知之君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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