くにさくロゴ
1990/06/20 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 環境特別委員会 第8号
姉妹サイト
 
1990/06/20 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 環境特別委員会 第8号

#1
第118回国会 環境特別委員会 第8号
平成二年六月二十日(水曜日)
   午前十一時十三分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十六日
    辞任         補欠選任
     清水嘉与子君     山崎 竜男君
     菅野 久光君     國弘 正雄君
     高崎 裕子君     沓脱タケ子君
 六月二十日
    辞任         補欠選任
     田渕 勲二君     大渕 絹子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         大森  昭君
    理 事
                松浦 孝治君
                森山 眞弓君
                清水 澄子君
                広中和歌子君
    委 員
                井上 章平君
                石川  弘君
                石渡 清元君
                山東 昭子君
                須藤良太郎君
                原 文兵衛君
                山崎 竜男君
                大渕 絹子君
                久保田真苗君
                國弘 正雄君
                篠崎 年子君
                高桑 栄松君
                沓脱タケ子君
                中村 鋭一君
                山田  勇君
   衆議院議員
       発  議  者  福島 譲二君
       発  議  者  渡瀬 憲明君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  北川 石松君
   政府委員
       環境庁長官官房
       長        渡辺  修君
       環境庁企画調整
       局長       安原  正君
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  三橋 昭男君
       環境庁水質保全
       局長       安橋 隆雄君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        宅間 圭輔君
   説明員
       通商産業省産業
       政策局国際企業
       課長       若杉 隆平君
       通商産業省基礎
       産業局非鉄金属
       課長       光川  寛君
       通商産業省基礎
       産業局基礎化学
       品課長      雨貝 二郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
    ─────────────
#2
○委員長(大森昭君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、清水嘉与子君、高崎裕子君及び菅野久光君が委員を辞任され、その補欠として山崎竜男君、沓脱タケ子君及び國弘正雄君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(大森昭君) 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○久保田真苗君 水俣病のもとになるアセトアルデヒドの人体に与える影響につきましては、昭和五年ごろからこれはスイスです、それから昭和十二年ドイツにおいて指摘されたと言われておるわけです。
 日本では、水俣の漁民が水俣湾の魚がおかしいというので調べてほしいと熊本県水産課に魚を持ち込んだのが昭和二十六年のことでございます。そういうことから始まっておりまして、そして昭和三十一年の五月にはチッソの附属病院の院長が、四肢末端の感覚障害、運動失調、視野狭窄、こういった主要な病状、そういうものを主症状としております中枢神経疾患の患者多数を報告しているんですね。これが水俣病の公式な発見とされているわけでございます。そして、政府自身がこの統一見解をつくりまして、チッソの排出したメチル水銀で汚染された魚介類の摂食が原因だとしたのが昭和四十三年九月二十六日ということなんでございます。この間実に十二年の月日がたっておるわけでございます。この水俣病の発見が一応昭和三十一年というふうに公式な発表があって以来、チッソがアルデヒドの大増産を行うということをやっておるわけでございます。
 私、これを見ますと、この十二年の間に流れた月日というものが実に惜しまれる。熊本県は魚の摂食を、漁民の自粛という指導をしたんだそうです。これは昭和三十二年なんですね。しかし、これは十分に徹底しなかったと思われるんです。そして、国による強力な行政指導と十分な広報活動がこの時点でせめて行われていたらと私は本当に今振り返って残念に思うわけです。もちろん今ここにおいでの皆様は、きょう議員提案をされました皆様を含めまして、この当時国政には携わっていなかったかもしれません。しかし、この失われた十二年間というものを私どもは本当にこれからの教訓として置いておきたい、こう思います。
 大臣、この点につきまして、この過去の教訓を生かすという御決意はお持ちと思いますが、いかがなものでございましょうか。
#5
○国務大臣(北川石松君) ただいま久保田委員の水俣病に関する、昭和二十六年魚を食べ 三十一年に発見され、四十三年にメチル水銀による認定をされた、その過去の歴史をひもときながら御指摘をなさったこの水俣病は、戦後高度成長の初期におきまして公害に対する認識が低く対策も十分でない中で発生した事件ではございますが、水俣病の発生を防げなかったことはまことに残念でございます。行政としては当時の社会状況下でできるだけの努力は払ったといいましても、なおまことに申しわけのないこれは公害病の大きな問題であったと思っております。
 こうした水俣病の経験を生かしまして、今後このような問題が二度と起こらないよう努めてまいりたいと思っております。
#6
○久保田真苗君 今漁民に対してのいろいろな指導とかそれから周知徹底の問題を申し上げたんですけれども、今申し上げましたように、チッソという企業に対する国の対応はさらにおくれておるんですね。
 チッソは工場の排水にサイクレーターという装置を取りつけたんですが、これが昭和三十四年だったんです。でも、これはほとんど効果がなくて、その上チッソが三十一年当時一万六千トンの生産量を、三十五年には実に、三十一年に水俣病が公式に発見されて以来のことなんですけれども、四万五千トンと、三倍近い大増産を行っているわけです。メチル水銀の垂れ流しも当然三倍になっているわけですね。当時このチッソの排水に非常に強い疑いを持っていましたし、熊本大学は昭和三十四年に原因は有機水銀であると公表したわけでございます。
 ですからこの時点で、このときには環境庁ではございませんで通産省の御責任になると思いますけれども、国は強力な指導を、例えばこういう排水をどんどんどんどんやるのでなくて原因が究明されるまで、つまり原因が有機水銀だという大学の公表があった時点でこの原因がはっきりするまでほうっておくのではなくて排水を停止させる、そういう措置があったら随分たくさんの人が救われたと思うんですね。国は多くの人々の命を、結果的には企業の利益を優先してそのために健康を失わせたということになるわけでして、このことは本当に痛烈に非難されなければならないと思います。
 昭和二十年代に最高裁が、人の生命は全地球より重いという、有名なそういう判決を出しておりまして、このことは当然行政も十分考えに入れるべきものだったと思うんですが、これは水俣病が勃発したその初期であるとはいえその後の行政のあり方にどういう変化をもたらしたのか。今でも行政のあり方がひょっとして変わっていないんじゃないかと思われることがたくさんございますけれども、大臣はこの辺どういう御感想をお持ちでございましょうか。
#7
○国務大臣(北川石松君) 委員の重ねての、今日までの長い間の行政のとってきた態度に対して、チッソが増産をしておるではないか、その場でやめさせたらこんなにたくさんの被害は出なかったのではないかという御指摘はまことにごもっともであろうと思う次第でございまして、こういうことに関しましては今後速やかに手を打つ、そして体制を整えてその速やかな行政というものをやらなくちゃならぬという思いをいたしております。
#8
○久保田真苗君 次に、国際機関が行っておりますIPCSについて質問をいたします。
 このIPCSは、インターナショナル・プログラム・オン・ケミカル・セーフティーという名前でしてWHOが主導でございまして、これにILO(国際労働機関)、UNEP(国連環境計画)の三団体が加わってやっているわけでございます。仕事といたしましては、化学物質の人体に与える影響を評価し、これに基づいてクライテリアをつくるという仕事でございます。
 このIPCSがことしの四月に、有機水銀に関する環境保健クライテリアの最終報告を出したわけでございます。このクライテリアにつきまして環境庁がどういうふうな参加の仕方をなさったかということについて質問をしたいわけでございます。
 まず、このIPCSのメチル水銀に係る環境保健クライテリアでございますけれども、これは当初一九七六年にこのクライテリアが出ておりまして、その後一九八九年に中間評価報告が出ているということでございます。そして、中間報告におきましていろいろなデータを欲しいというそういう呼びかけがありまして、これに対して各国からいろいろな研究事例あるいは実際に起こった事件の事例等が寄せられてきたわけなんです。そして、これに基づいて最終案をつくる、こういうことになったわけでございます。
 日本としてはこのクライテリアの検討、作成過程にどういう貢献をしたかあるいはどういう形で参加をしていったか、御説明をお願いいたします。
#9
○政府委員(三橋昭男君) 先生お尋ねのIPCSのメチル水銀環境保健クライテリアでございますけれども、最終案のまとまった成案が本年の四月の中ごろ日本にも送付されてまいりました。
 これは、先生も御指摘になりましたように、一九七六年に最初のクライテリアが、当時まだIPCSができておりませんでWHOが最初の仕事をいたしまして、その後IPCSの方に引き継がれたわけでございますが、言ってみれば、一九七六年版のクライテリアをIPCSにおきまして見直しをして改訂版を出そう、そういう趣旨の検討がIPCSでなされておりまして、約二、三年前にドラフトと申しますか第一次素案と申しますか、事務局でつくりましたたたき台と言ったらいいのかもしれませんけれども、そういう素案を各国政府とさらにIPCSが世界のいろいろな専門家に委嘱をいたしておりますが、そういう委嘱をした専門家のところにその素案を送付してきたわけでございます。これが一九八八年の六月、日本にも送付されてまいりました。
 そこで、私どもといたしましては、このIPCSが新しいクライテリアの取りまとめをするということでございますので、政府としてもこの素案づくりにお手伝いができるのではないかということで研究班をつくり検討を始めますと同時に、日本にもIPCSから委嘱をされました専門家が何人かいらっしゃいまして、この専門家も独自の立場でIPCSに参加し議論に参加したと、こういう形でこのIPCS問題には対処してきたわけでございます。
#10
○久保田真苗君 そうしますと、IPCS素案が日本に来たのが八八年六月、そしてここでワーキンググループによる検討が八八年十二月ということですね。
 このワーキンググループによる検討には日本からどなたが参加されましたか。
#11
○政府委員(三橋昭男君) 参加をした研究者のお名前ですか。
#12
○久保田真苗君 はい。
#13
○政府委員(三橋昭男君) 実はこのワーキンググループに参加をする専門家につきましては、このワーキンググループ、それから続きましてさらに内容を詰めてまいりますタスクグループという検討の段階を経て成案ができてくるわけでございますけれども、特にワーキンググループ以降についての検討の中身についてはIPCSにおきましても非公開ということを強く言っておりまして、このワーキンググループに参加した研究者につきましては非公開ということになっております。
#14
○久保田真苗君 ワーキンググループの中身は非公開かもしれないけれども、参加した人が何人いて、どういう方が参加されたのか、それが非公開であるはずはありませんね。
 じゃ、日本からは参加したのかしないのか、まず聞きます。
#15
○政府委員(三橋昭男君) 日本からも参加した研究者がおります。
#16
○久保田真苗君 それは公務員ですか、それとも研究者ですか。
 そして何人ぐらい参加していらっしゃいますか。
#17
○政府委員(三橋昭男君) 参加をいたしましたのは、研究者が参加をいたしております。
 正確な数については私もよく存じませんけれども、多分二、三人の方が参加をされたのではないかと思っております。
#18
○久保田真苗君 その結果、このクライテリアが出ているわけです。こういう素案が出ているわけですよ、これです。出ていたわけです、これの素案が。
 日本としてはこれに対してどういう意見を送ったんですか、あるいはそこでどういう形でこれに対する意見を出されたわけですか。
#19
○政府委員(三橋昭男君) ワーキンググループまたタスクグループに日本の研究者が参加をされましたけれども、これはあくまでもIPCSが独自に個人の研究者に対して出席依頼をしたものでございまして、そのタスクグループ、ワーキンググループの中における詳細な議論について私どもは伺ってはいないところでございます。
#20
○久保田真苗君 このワーキンググループは八八年十二月に行われて、そしておっしゃるようにこれは専門家として参加したんですね。でも、ここの会議の中で、これはメチル水銀の問題でございますから、当然日本の水俣病は大きな材料として問題になるところだったと思うんですけれども、このときに日本のデータがどれくらい出されたのか。
 私、別の情報から聞きますと、ここでは環境庁からの参加者に日本の論文の英訳が依頼されたとあるんですが、そういうことがございましたんでしょうか。
#21
○政府委員(三橋昭男君) 今先生の御指摘の件は、IPCSの素案が日本に送付されましたときに、環境庁といたしましても、この機会に既存の水俣病に関するまたメチル水銀中毒に関するいろいろな文献、知見等を収集整理をいたしましてできるだけIPCSに対してその情報提供ができる準備をしようということで研究班をつくり検討をしておりますけれども、そのことでよろしゅうございましょうか。
#22
○久保田真苗君 それで、要するにこの問題なんですよ。
 このIPCSの素案に対しましてワーキンググループでまず検討がなされ、そしてこの中でさらにタスクグループの会議が翌年、八九年六月からイタリアのボローニャで持たれているわけなんですけれども、ここにございます昭和六十三年度環境保全総合調査研究促進調整費というものでつくられた「メチル水銀の環境保健クライテリアに係る調査」、これはいつの時点でつくられ、そしてこの会議にどういう形で提出されたんでしょうか。
#23
○政府委員(三橋昭男君) 一九八八年の六月に日本にIPCSの素案が送付をされまして、そのときの添え書きでございますけれども、日本の意見があれば出してほしいという要請、要請と申しますか添え書きつきで送付されたわけでございます。
 そこで、環境庁といたしましては、このIPCSにおける検討活動につきまして、国内の専門家の御協力を得てメチル水銀に関する既存の科学的知見の収集整理を行う、そして今後の行政にも資するとともに必要に応じましてIPCSにその知見の提供等の協力をするということを目的といたしまして、御指摘の環境保全調整費の予算をとりまして研究をスタートしたものでございます。
#24
○久保田真苗君 予算は幾らとれたわけですか。
#25
○政府委員(三橋昭男君) 五百三十四万三千円でございます。
#26
○久保田真苗君 この予算がとれてこの研究が行われたのはいつからいつまでで、そしてIPCSに対してはどういう形でこれが提出されたか、お答えください。
#27
○政府委員(三橋昭男君) この環境保全総合調査研究促進調整費によります研究でございまして、これは年度の後半からということで、この予算が確定をいたしましたのが平成元年の一月でございました。研究期間は三月末まででございました。
#28
○久保田真苗君 この題は「メチル水銀の環境保健クライテリアに係る調査」という題でございますけれども、これに参加された研究者はどういう方でございますか。
#29
○政府委員(三橋昭男君) この研究をスタートするに当たりまして、まず、参加をしていただく研究者に自由に率直な御意見を述べていただくということ、それからまたIPCSのクライテリアというものが検討段階では原則として非公開ということがございましたので、この報告書を公表しない、非公開にするということで申し上げてきたわけでございます。
 ただいまこの研究に参加をした研究者はだれだというお尋ねでございますけれども、事水俣病の問題に関しましては、純粋な科学的な研究でございましても、いろいろと過去におきまして一部の団体の方々が国の研究等に参加をした研究者に対してさまざまな圧力をかけたといったような事例もございまして、この研究に参加をしていただくときに先生方のお名前は公表しないということでお願いをいたしました。研究者の名前を伏せさせていただくということを私ども判断をして、そのようにさせていただきたいと思うわけでございます。
#30
○久保田真苗君 これは国際機関へ提出するためにつくられる報告書でしょう。メチル水銀のクライテリアをつくるためにつくる報告書でございましょう。そして、それは提出され、国際機関で役に立つことが期待されるわけなんですよ。
 そのために予算のお金がついているわけでございまして、どういう方がこういう研究に参加され、そして結果的にどういう内容の報告をされているのか、またそれが国際機関にどういう形でちゃんと提出されたのか。それは私ども知らせていただかないというわけにまいりませんけれども、どうでございましょうか。
#31
○政府委員(三橋昭男君) 私どもといたしましては、八八年の六月に政府としての意見を求める旨の注記がなされておりましたので、この研究によりましてIPCSから意見を求められてきたときにはその報告を、資料を、成果を提供する用意をいたしておりましたけれども、IPCSの中での議論が非常に早く進みまして、私どもが意見を申し上げる前に既にワーキンググループあるいはタスクグループの段階に至りまして、IPCSからはその後特段日本政府に対して意見を求めるということがございませんでしたので、準備はしておりましたけれども結果的にこの研究の中身について正式に日本政府として提出をするといった機会がございませんでした。これは残念なことでございました。
#32
○久保田真苗君 本当に残念なことですね。
 これを五百三十四万円かけてつくったけれども、そして私どもにもこれは非公開だと言いながら、結局国際会議にも提出する機会がなかったということなんですね。
 私の意見を言わせていただければ、ここに出ている研究に携わった委員の方は現地で研究していらっしゃる方は余りいらっしゃらないと思うんですね。IPCSの素案に対して、研究例が非常に少ないとか、あるいは疫学的な研究が不十分であるとか、そういうことを言っていらっしゃるんです。私は、今、結構ですよ、名前をここで言おうとは思いませんけれども、こういう状態の中でこれはもうドラフト批判ですね。
 これはちょっと例を申し上げてみますと、例えばIPCS、今からこのクライテリアについてもいたしますけれども、この中では、胎児についてのメチル水銀の影響が非常に重要だ、こういうことを言っているんです。特にこの問題を重視しているわけでございまして、例えば妊婦がメチル水銀に曝露されたときに、こういうしかじかの魚を食べたときに胎児の脳に与える影響というものが非常に重大だと言っております。そのためにも、八〇年までにはいろんなインフォメーションが必要ですからこれを、そして実験的な証拠も必要ですからそれをということを言っているわけですから、この素案に対して、日本は水俣病という非常に大きい事例を抱えるわけですから、当然これをできるだけ報告すべきだったと思うんですね。だけれども、それは実際にはされなかった。そのことは非常に残念だと思います。
 ところが、この中で見ますと、水俣のことは外すわけにはいかなかったんでしょう。水俣、新潟事件という項がございまして、この中には椿さんという方の研究が紹介されているんです。これはどういう経路で行ったんですか。これは環境庁にはかかわりなしにお出しになったものというふうに見るわけですか。どうなんですか、これは。
#33
○政府委員(三橋昭男君) 我が国におきます水俣病、熊本県水俣湾に起きました事例、それから阿賀野川における新潟の事例、これはWHO当時の一番最初のクライテリアの中にも引用されている事例でございまして、その当時どのような形で提供されたのか、まことに申しわけありませんが、私よく把握をいたしておりません。
 既にその当時から、IPCSと申しますのも、日本の学者が資料を直接持っていかなくても、世界で公表されているような文献を事務局が一生懸命集めましてそれを整理をしてたたき台をつくって、それから世界のいろいろな国から専門家を集めて成案をまとめるべくワーキンググループなりタスクグループなりをつくって検討を続けていくということでございますので、その事務局自体が集めたものか、また参加者が持ち寄ったものなのかということについてはよくわかりませんけれども、いずれかのルートで引用されたものと思っております。
#34
○久保田真苗君 椿先生はこの会議に参加されたんですか、このワーキンググループに。
#35
○政府委員(三橋昭男君) 実は、残念ながら椿先生はお亡くなりになりまして……
#36
○久保田真苗君 このときに、もう。
#37
○政府委員(三橋昭男君) 椿先生が御参加になったかどうかについては、実は私、ちょっと資料がございません。申しわけございません。
#38
○久保田真苗君 ともかくこれは環境庁の手を経て出たのであればきちんとリポートされているはずですよ。
 そういうことですと、本来、現地でもって十分にいろいろ一生懸命研究してきた、重症例も研究してきた、それから軽症例も研究してきた、そういう方々がいらっしゃるのに、それにかかわりのない方がこういうクライテリアをつくるために集められてそしてIPCSでの各国から集まったものを批判しているというこの態度は一体何なんでしょうね、これは。私、本当にこれは問題だと思いますよ。
 「胎児への影響について」というころでこの日本の提出されなかったリポートが言っていることはこれだけのことなんです。
  本草案では一〇〜二〇ppm程度の毛髪水銀値を有する母親から生まれた子供にその後精神運動発達遅退が生ずるとし、それを裏付けるとする三つの独立した疫学調査に十六ページ(本文の二〇%以上)ものスペースをさいている。いかに本クライテリア草案の中心的テーマであるとはいえ、一般的にはこの種の文書には不必要と思われる生データの表(表十二)や図(図五)などが多すぎる。
こういうことをお書きになっていらっしゃる。
 後にもいろいろ出てまいります。例えばイラクの例で、
 イラクのデータを性別に分割すれば、例数が少ない為に、閾値の計算は全く不可能となってしまう。このようにイラクのデータは重要な結論を導くには例数が少なすぎる。
そして「このような結果を一般化するのは危険」だと、こう言っていらっしゃる。
 それは確かに純粋な医学的な研究をやれば何十年もかかってその結論が出るのかもしれない。ですけれども、これはイラクの事件も勃発した事件でございますよ。一体このメチル水銀のどれくらいの犠牲者の数が集められなければ結論が出せないとするのか。私は、公害に対する態度としてこのリポートの姿勢を問いたいし、こういうリポートをおつくりになった環境庁の公害に対する姿勢として、そんなに犠牲者が出なければ何も結論は出せないのか、そのことを伺いたいんです。大臣、どうなんでしょうか。
#39
○政府委員(三橋昭男君) このクライテリアの問題についてのいろいろ御指摘、また研究班についての御指摘がございましたけれども、この四月にIPCSのクライテリア成案が届いたわけでございまして、私どもはこのIPCSのクライテリアは私ども行政にとって非常に重要な重みのある資料という受けとめ方をいたしております。
 御指摘になった御質問に対する答弁としてはあるいはずれるかもしれませんけれども、このクライテリアの中で、先生御指摘になっているように胎児あるいは小児に対するメチル水銀に対する感受性が高いということは一九七六年の最初のクライテリアから指摘をされていたわけでございまして、それがその後のいろいろな各国における研究、動物実験もございますしいろいろな疫学調査の結果もございますが、それによって今回一つの取りまとめができてきたと考えております。
 今回の届きましたクライテリアは、やはりいろいろの検討がワーキンググループあるいはタスクグループの中でなされたものと思いますけれども、胎児に対する量、反応関係、その数値というものはなかなか学問的には出にくい、したがって今回のクライテリアの中ではひとつその辺の研究をもっとやってほしいという趣旨のことを最後の勧告の中で示されております。
 そういう意味におきまして、私どもとしては水俣にございます国立水俣病研究センター、この中でも動物実験等を使いまして胎児に対する影響といったものは従来からずっとやってまいっておりますし、またこの勧告に基づきまして今まで御協力をいただいているいろいろな先生方に、この胎児に対する影響といったものを日本の中におきましても早く明確にしていく努力をしなければならない、こう感じておりまして、ひとつその部分の研究については今後積極的に取り組んでまいりたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
#40
○久保田真苗君 こういう学者さんがおやりになるならやらない方がよろしいと思うんです。私、大変失礼なことを言いますけれども、まだお名前は挙げていませんからね。
 それは結局、これだったらもうたくさんの胎児の脳が縮んじゃってみんな脳性麻痺の状態になって、そういうのが何千件も出なかったら例証にならない。イラクだってかなりの数が出ているんですよ。もちろんこれ以上につけ足すことは望ましいには違いないけれども、それには犠牲者がもっと要るということなんですよ。
 私は、何人かのそういう症状、脳の障害が出たような、そしてメチル水銀魚食、そういう状態が出たならば、それは少ない例かもしれないけれども医学的にそういう可能性があるということを前提に事を処していただかなかったらどうにもならないと思うんです。そうでなかったらもう世界じゅうに、こういう魚食民族にはこういう胎児が蔓延する、そのときになって初めて十分な科学的論証が得られたと、こういうことになるんでしょうか。
 大臣、私は、こういう委託研究は本当に国費のむだだし、その上に、名前も明らかにしてもらっちゃ困る、こういう非常に非学問的な態度で、そして人が懸命に手足をすり減らして集めたいろいろな事例を片っ端からけちをつける。これでは国際機関のクライテリアなんてものは永久に成り立ちはしません。
 大臣、これひとつよくお読みになっていただきたいんです。クライテリアは訳したものもいただいたけれども、肝心なところが出ておりません、これは。肝心のところを、日本に関するところ、それから水銀の影響の評価に関するところ、それを十分にごらんになってその上でこの日本から出し損なったリポートをごらんになってください。私、これは出せなかったのは当然だと思います。出さない方がよかったんです、これは。出せば、日本が水俣という大事件を抱えていながら何ら国際的な研究に貢献しない、それだけの印象を与えると思うんです。
 大臣、この二つをよく比べてごらんになって、そしてもっと犠牲者が出なければ公害としての認定とかそれから基準の結論とか、そういうものが出せないというこの行政の体質を一変していただきたい。そのことを私はお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
#41
○国務大臣(北川石松君) 委員のクライテリアに関しての、IPCSの研究課題の中での日本の態度を御指摘になりました。
 ここに報告書が出て、少し今読んでおったところでございますが、十四ページの「イラクの研究について」ですが、学者と自分の考え方もいろいろある、お医者さんの考え方もいろいろあるにいたしましても、世界的な学術研究というものは、それぞれの権威を持った方がそれぞれの責任でもって発表すべきものだと思っております。
 そういういろいろな点を考えますときに、まことに私は残念であり申しわけなかったという気持ちを持っておりますし、IPCSのクライテリアは国際的な専門家グループの中でやられたものです。それが今委員が御指摘のようなことであっては日本自体の信頼も失うんではないかという心配をいたす一人でございます。もちろん、私が大臣に就任してまだ日が浅うございますが、過去に起こったことだからそれでいいということで済ましてしまってはより新しいものが生まれてこないと思います。
 そういういろいろの観点を見ますときに、私は、いやしくも世界の会議の中で述べられるのはいかなるところでも自分の権威と責任においてなさなくちゃならぬ、そこにやはり高さが生まれてくると思います。
 真実というものはそんなものであろうと思いますときに、委員の御指摘を再度私は今聞かしていただいて、環境庁としてこれから特に環境問題というものはいろいろの形の中でそういうふうに今日までおくれた中で御指摘を受けますと、ついゆがめてしまってはいけない、やはり真っすぐに事を処していかなきゃいけない、このことを大臣として痛感いたしました。
#42
○久保田真苗君 大臣、私が申し上げたいのは、水俣病という大事件を抱えて世界に貢献する日本なら、なぜこれを国際の場で明らかにして世界の皆さんの役に立てるようなそういう態度をとれなかったかということなんです。
 今後はそういう態度で臨んでいただけますね。
#43
○国務大臣(北川石松君) 大変言いにくいと思いますが、水俣病は日本において発生した公害の原点であります。
 それを、私はこれは自分の想像で物を言うことは差し控えにゃいかぬと思いますが、学者間の会議の中で各国から日本をもっと研究したいというところで俎上に上げられて容易ならざる空気をつくることを、日本人独特の心配した余りの態度を持っていったならば、それは高さは生まれてこない、こう思いますし、そういう結果がこのようになったんじゃないかと推測をしておるんでございまして、今後このようなことのないように善処してまいりたいと思っております。
#44
○委員長(大森昭君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#45
○委員長(大森昭君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#46
○久保田真苗君 認定業務について伺います。
 認定につきましては、昭和四十六年八月の事務次官通知で基準が設定がされているわけです。ところが、昭和五十二年七月の保健部長通知によって中身が改められたと思うんですね。私はこの二つの通知は明らかに違うと思うんです。
 つまり事務次官通知の方は、要約すればですけれども、経口摂取の影響が認められれば、他の原因がある場合であっても、水俣病の範囲に含むということがございますし、有機水銀の影響を否定し得ない場合には、法の趣旨に照らして、影響が認められる場合に含むというふうな内容になっておるわけです。これは一言で言えば、疑問があるものについては考慮するという、こういう内容だと思うんです。ところが部長の通知は、感覚麻痺等のものだけでは水俣病とは認めない、そして慎重に検討するということになっております。
 大臣も御存じのように、霞カ関の用語では慎重に検討するというのは、認めない、やらないというのにほとんど近いわけでございます。つまり疑問のあるものについては放置する、こういうことになるわけじゃないんでしょうか。
 私は、これは行政の内容が非常に後退したものというふうに受けとめているわけですけれども、この二つの通知はどちらがどうなんでしょうか、お伺いします。
#47
○政府委員(三橋昭男君) 四十六年の次官通知、また五十二年の部長通知の問題でございます。
 四十六年の次官通知でございますけれども、これは、その前の四十四年に公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、まだ四十九年の公健法の前の時点でございますけれども、この特別措置法の趣旨の徹底また運用指導に欠けることがあったところにかんがみましてこの特別措置法の趣旨とするところを明らかにしようとしたものでございます。次官通知は、公害にかかわる健康被害を広く救済するという救済法の趣旨を示したものでございまして、水俣病かどうかという判断につきましては、本来水俣病に関する高度の学識と豊富な経験を基礎とする認定審査会の医学的判断をもとにすべきということにしたものでございます。
 また、五十二年の部長通知でございますけれども、四十六年の次官通知以来いろいろな機会にいろいろな形で明らかになってまいりました水俣病の範囲に関する基本的な考え方を、医学的な知見の進展も踏まえて再度確認をするという目的を持って整理統合したものでございます。五十二年部長通知によりまして判断困難な事例に対する判断条件が明確にされたということでございまして、この前後に認定条件に基本的な変化はないと私ども理解をいたしております。
 なお、つけ加えさせていただきますと、その後六十年の十月に水俣病の判断条件に関する専門家会議というのが設けられまして、それまでの知見もあわせて現行の判断基準がどうであるかという御議論の結果、現行の判断条件は妥当なものであるという御意見をいただいたところでございます。
#48
○久保田真苗君 そういたしますと、四十六年の事務次官通知、五十二年の保健部長通知、これはもちろん部長の通知で次官の通知を打ち消すなんということはできっこございませんよね。だから、四十六年の事務次官通知、すなわち有機水銀の影響を否定し得ない場合には、法の趣旨に照らして、影響が認められる場合に含むという、このことは今でも生きている、当然生きているはずだと思います。大臣、このことを御確認いただけますか。
 ちょっと待ってください、私時間がありませんから。
 この二つの通知が、前の事務次官通知が生きているかどうかということだけを確認していただきたいんです。
 今おっしゃった御説明の中で、二つの通知の時系列的な違いというものは私伺いましたよ。事務次官通知が生きているということは紛れもない事実でございますね。
#49
○国務大臣(北川石松君) 水俣病の被害者の救済につきましては、公害健康被害の補償等に関する法律に基づきまして医学を基礎として公正な救済を進めていくことが基本でなくちゃならぬと思っております。
 こうした観点から、認定審査会におきますところの医学の専門家による審査を踏まえまして、適正な判断がなされてきておるものと判断してまいっておる次第でございます。
#50
○久保田真苗君 私が伺ったのは、四十六年の事務次官通知は生きているかということなんです。
 私は、部長の通知でこれを打ち消すことはできないのだから、この通知の趣旨は当然生きているということでございます。そのことを確認していただけばよろしいのでございます。そのことをどうぞもう時間がありませんから、生きているかどうかです。
#51
○国務大臣(北川石松君) 委員の仰せのとおり、生きております。
#52
○久保田真苗君 それでは、もう一つお願いしたいのは、訴訟の問題なんです。
 国及び県の責任が問われた熊本第三次訴訟は、国、県、チッソの敗訴となったわけでございます。福岡高裁への控訴審あるいは東京訴訟等幾つかの第一審がことしじゅうにも出される見通しなんですけれども、こうした複数の判決が国、県側の敗訴に終わったら、私は、もうこれ以上上級審に持っていって事を長引かせるというようなことは行政としてそれこそひとつ慎重にお考えいただきたいものだと思っているんです。
 私はこのことを申し上げますのは、例えばスモン病の方の大部分が和解によって解決されているんですね。例えばスモンでございますと、訴訟された方六千四百三十八人のうち九七%が和解によって解決されておりまして、平均にしますと一人平均二千三百万円という、内訳は略しますけれども、お金が支払われているわけです。こういう事例から見ますと、私は、今こんなに水俣病について訴訟が起こり、そして国や県、それからチッソ、そういった三者が訴訟を非常に長引かせているという疑いがあるわけでございまして、こういう状態をぜひここで改めていただきたいと思うわけです。ともかく早急な判決を受けること、裁判をどんどん進行するように、環境庁のお立場としては行政的なお立場としてやっぱり法の趣旨に照らしてやっていただきたいなと思うんです。
 それはもう昭和三十一年ごろからの事件でございまして、ずっとそれが今続いているわけです。そしてその間には、IPCSのクライテリアなどを見ますと、それが胎児への影響も十分あり得るということでございますと何代にも重なっていろいろ出てくる。そういうものを医学的な非常に厳密な見地から認定の審査委員会でもってやって、そしてまた最後にこの訴訟ということでも受けて立ってそれを長引かせていくというようなことは一切おやめいただきたい、こう思うわけです。私の願いといたしましては、複数の判決が出たらもう第一審でいいじゃないか、こういうことなんです。
 大臣は、この点についてぜひ業務を促進しますということを所信表明でも言っていらっしゃるわけですから、こういうものを長引かせて結論を出さないように出さないようにしていくというようなことはぜひ避けていただきたいというお願いでございます。いかがでございましょうか。
#53
○政府委員(三橋昭男君) 全国で幾つかの訴訟が引き起こされておりますことは大変残念でございます。私どもが主張また立証しようとしておりますこともなかなかお認めいただけないことは大変残念だと思っております。
 しかしながら、私どもは、水俣病対策につきましては法に基づいた早期の患者救済を目指して一生懸命努力をしているところでございます。訴訟は訴訟といたしまして、やはりまだ国の主張が認められていないところがございますのでそこは主張させていただきたいと思いますが、訴訟は訴訟として対策だけは一生懸命やらしていただく、法に基づいて医学の基礎に基づいた認定促進は一生懸命やらせていただきたいと思っております。
#54
○久保田真苗君 大臣、水俣病の認定の申請の処理状況なんですけれども、熊本県では認定される者が一七%、鹿児島県では一四%、新潟県では三三%、これをならして合計にいたしますと、申請者の一万八千三百二十六人のうち処分済みの者が一万五千三人なんですけれども、認定を受けた者が二千九百二十人で一九%なんですね。これを裁判に持っていった場合には、和解という方法でさっきのスモンの場合には九七%が解決しているわけでございます。こういう状況を見ますと、私たちとしては、この認定審査というものが被害者にとって有利な、そして時期的にも早期な解決をもたらすものだというふうには到底思えないんですね。
 こういう状態であることをどうぞぜひ大臣は頭に入れていただきまして、私はもうこれはどんどん実行していただきまして、それで裁判の結果はこれを誠実に尊重して実行していただきたい、そのことをお願いしたいと思います。大臣のお答えをお願いいたします。
#55
○国務大臣(北川石松君) 委員のおっしゃることを踏まえまして、県と一体となって認定業務の促進を初め水俣病対策に前向きで努めてまいる考えであります。
#56
○久保田真苗君 促進だけでなくてやっぱり事務次官通達の、法の趣旨を尊重してやるべしという、この内容を実行していただきたいんです。
 大臣、これは本当に今やもう患者の方が年をとられたりその他いろいろな事情でどんどん亡くなっていっているという状況なんですよ。それは、亡くなってしまえばもっと長引かせてもいいということで行政の気は楽になるのかもしれないけれども、こういう長引かせ方をしたのでは、それでは行政というもののある意味が全くないんですね。特に環境庁についてはそうだと思うんです。何のために環境庁ができたのか、そのことをひとつ思っていただいてぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それから、私もう一つあるんです。それは今問題にしました認定委員会の認定審査の問題なんです。
 これは、国の認定審査と熊本県、鹿児島県、こういったところの認定審査が大体同じような結論なんですね。それはある意味では同じような基準によっているんですけれども、国の審査委員が地方の審査委員と兼務しているということが多いんですね。
 例を言いますと、国の審査委員九人のうち六人が兼務なんです。そして、鹿児島と兼務しているのが四人、熊本と兼務が一人、新潟と兼務が一人ということなんです。でも、なぜ国は県と別の認定審査会を設けているんでしょうか。それはやっぱり地元よりはこっちでやった方がわかってもらえると考えてそれを持ってくる人もあるし、いろいろな面で職務が分かれているわけなんです。それを同じにすればどこへ出しても同じということで、国の審査会がある意味は全くないと思うんです。九人のうち六人ですよ。大臣、これはやっぱり問題だと私は思うんです。ぜひ別の委員を立てて、いろいろなそれぞれの事情に応じた審査ができるということが望ましい。もし今のままだったら、国の審査会のある意味なんて本当にないと思うんです。
 このことはぜひ検討して前向きに対処していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#57
○政府委員(三橋昭男君) 国の審査会の委員が県の審査会の委員と兼務をしているという御指摘でございました。
 いろいろ御意見はあろうかと思いますけれども、私ども国の審査会にお願いをする先生はやはり水俣病に対する豊富な御経験と学識をお持ちの専門家を選ばせていただいておりまして、そういう意味からいたしますと、水俣病の診断というようなものに非常に造詣の深い先生方が熊本なり鹿児島なりあるいは新潟にいらっしゃるというのもまた事実でございまして、これは選ぶ場合に兼務が出てくるというのはいたし方のない問題だと私どもは思っております。けれども、やはり認定審査をいたします場合に県の方でも審査をなさっているわけでございますから、できるだけ国は国の専門委員を選ぶという努力は今までもいたしておりますし今後もいたしますけれども、ダブり、兼務ということがあるということは御理解をいただきたいと思います。
 それと、一つつけ加えさせていただきますけれども、県の審査会の委員と国の審査会の委員がある意味で兼務をしているということは全国的に同じレベルの認定審査、公正な審査が行えるという意味合いもございますので、絶対に兼務がいけないと言われますと私ども大変つらい立場になりますので、その辺は御理解をいただきたいと思います。
#58
○久保田真苗君 九人のうち六人なんですよ。だけれども、そのうち鹿児島が四人ですよ。何で鹿児島から四人なんですか。
 大臣、これはね、ダブる、例えば一人ダブったというようなときに私はこんな質問出してないと思うんですよ。何で鹿児島から四人なのか。そして熊本から一人、新潟から一人、こういうふうに地元からお出になるということも、それは必要かもわからない。だけれども、こんなに県の審査会とダブって出す必要がどうしてあるんでしょう。国の審査会の委員というものは、またもっと別の観点からそれを見られる人を持ってきているのでなければ国に置く意味がないんじゃないんですか。私、皆さんがこれは疑問に思ったってそれは当然だと思うんですね。
 どうなんでしょう、ともかくこれひとつ御検討いただけませんか。
#59
○国務大臣(北川石松君) 委員御指摘の専門家の六人の兼務について、鹿児島四人、熊本一人、新潟一人、御指摘のこの点につきましては、学識経験のある方に適切にお願いしておるにいたしましても、改善すべき点については今後事務局に命じましてよく検討さしたい、こう思っております。
#60
○久保田真苗君 ひとつ前向きに検討していただいて、皆さんが納得のしないような審査会じゃこれはしようがないと思うんですね。ひとつよろしくお願いします。
 私、重松委員会というものを最近初めて知ったんですよ。これは一体何なんだろうと思って伺いましたらば、水俣病に関しての総合的調査手法の開発ということで昭和五十四年に発足しているんです。水俣病発見の昭和三十一年から見て二十四年後に出てますね。こういうものをおつくりになったということは、二十四年たってもなおかつ水俣病の問題はいろいろな調査手法を開発していく必要があるという意味だと思うんですね。もっと早くやった方がよかったとは思いますけれども、でもやらないよりはいいのかもしれない。かもしれないといいますのは、この委員会が毎年あるいは二、三年で調査をまとめられていると聞くんですけれども、その結果が公表になっていないんですね。ですから、いいものか悪いものか私にもなかなか判断のいたしかねることなんですけれども。
 まず、お伺いしたいのは、この重松委員会はどういう方で構成されているのか、その委員のリストを要求しましたところ、お出しになれないということなんです。何でこういうもののリストがお出しになれないんでしょうか。
#61
○政府委員(三橋昭男君) 今お尋ねの重松委員会でございますけれども、五十四年にスタートをいたしましていろいろなメンバーを構成メンバーに入れながら順次いろいろな検討なり調査なり研究なりをやってきていただいております。
 具体的に申しますと、例えば熊本県あるいは新潟県等において過去に行われたいろいろな健康調査でありますとか、そういうものの再評価の問題でございますとか、あるいはいろいろな健康指標といったものをこれからつかんで……
#62
○久保田真苗君 私の質問に答えていただきたいんです、時間が迫っていますので。
 私が伺ったのは、この委員のリストをなぜ出していただけないのかということなんです。中身は大体わかりました。
#63
○政府委員(三橋昭男君) メンバーにつきましては、その年次年次で入れかえがございます。それから、この報告書がそのように時期時期によりましていろいろな問題を検討してまいりまして、まだ総合的なまとめの段階に至っておりません。
 今、重松班長に対しましてはできるだけ早くこの総合的なお取りまとめをいただこうということでお願いをいたしておりますし、それから重松班長もそういう形で努力をしたいとおっしゃっていただいております。ただ、今までのその御検討の中身が、ある部分については議論が深まりある部分についてはそうでない、それから全体の研究の中身についてそれぞれの研究者全員が納得をしているわけではないといったような段階でございまして、委員のメンバーにつきましてはそのように入れかわりがございますので総合的なまとめができた段階で公表さしていただくことにいたしたいと思っているわけでございまして、その辺御理解をいただきたいと思います。
 できるだけ早くこの重松委員会の報告は取りまとめをいたしたいと思います。
#64
○久保田真苗君 理解ができるわけないじゃありませんか。
 十年前に発足して十年間やってきている委員会ですよ。何でその委員の名前が出せないんですか。私が言っているのは、時系列に全部出せなんて言っているんじゃないんです。今現在どういう委員がいるかということを聞かしていただきたいと言っているんですよ。それを、その資料も出せないなんていうことは、私、これは大問題だと思うんです。私はこの委員会の委員名云々にこだわるものじゃないけれども、研究者の名前もさっきの調査について出せない、委員名も出さない。
 大臣、これは一体どういうことなんでしょう。水俣の方たちがうるさいから、だから危ないから出さないんだというお話ですけれども、こんなことは、こういう委員だって公的責任を持っておやりになるからには要求があれば出すのが当たり前じゃありませんか。大臣、こんなことじゃ私、もうこれ前に進むわけにいかないんですよ。出していただきたい。どうぞお願いします。
#65
○政府委員(三橋昭男君) 一言つけ加えさしていただきますけれども、いろいろな専門家の方々が年次年次によりまして出入りございますが、現在は公衆衛生を中心とした先生方におまとめをお願いしている段階でございます。
#66
○委員長(大森昭君) 質問にちょっと焦点を合わしてやってくださいよ、答弁は。みんな聞いているんですから。
#67
○久保田真苗君 大臣、やりとりでおわかりになったと思うんです。何を隠す必要があるんですか。こんな立派な仕事をするために、水俣病を救済するというそういう目的を持ってやっていらっしゃる活動に何を隠す必要があるんですか。
 私は改めて大臣にお願いいたします。この重松委員会のデータを添えて重松委員会の報告を発表していただきたいんです。
 だって、皆さんこうやって傍聴にも来ていらっしゃるわけです。それはいろんなことが心配だからですよ。そういうことをしないから無用の憶測が出るんです。全く要らざる心配を除くことはやっぱり人間の心情としても当然だし、役所の責任として当然じゃありませんか。
 この委員名及び委員会報告の御発表をお願いいたします。どうぞ大臣、お願いします。
#68
○国務大臣(北川石松君) 委員の御指摘の重松委員会について、大臣としていまだ詳しいことを知らなかったのは私の不敏でありますが、よく当局すべての者に聴取いたしまして善処することといたします。
#69
○久保田真苗君 もう一つございまして、これは認定者の救済措置なんですね。
 これは、私はさっきからるる申し上げておりますように、業務を促進するばかりじゃなくてやっぱり事務次官の通知の線に沿って、疑問のあるものについてはこれを取り上げないのではなくてできるだけ取り上げるという方向でお願いしたいんです。そのことを大臣にお答えいただきたいと思います。
#70
○国務大臣(北川石松君) 委員の御指摘のように、その点は心して対処せにゃいかぬと思っております。
#71
○久保田真苗君 認定制度の中で不認定者に対しても一応の特別医療という制度がございますね。この特別医療制度は新潟県の場合には適用になっていないということなんですけれども、これは一体どういうことなんでしょうか。
#72
○政府委員(三橋昭男君) 特別医療事業は六十一年からスタートした事業でございますけれども、地域の実情、患者の発生状況、検診の状況等々ございまして、現在、熊本県と鹿児島県とで実施をしておりますけれども、新潟県におきましてはここ数年申請者がございません。認定業務がおおむね終了したというような事情になっておりますので事業の対象にはしていないものでございます。
#73
○久保田真苗君 新潟につきましては、申請総件数が二千六人ありまして、処分済みの件数が千九百九十一、そのうち認定された者六百九十、棄却された者千三百一、未処分件数十五ということでございますから、私が問題にしているのはこの棄却された者のことなんです。
 棄却された者、つまり認定されなかった者についても特別医療として必要な医療を受けられると。この制度は、この事業は昭和六十一年に発足しているんです。これは医療費の自己負担分、保険のほかに自己負担分がございますときにこれを公費負担とするという内容で、対策としては六十一年から発足しているものですから最近ですよね。物すごく遅きに失した対策ではあるんですけれども、でもやらないよりはいいという観点に立ちますと、なぜ新潟水俣病の患者に適用がないのか。適用してくれというお願いは行っていると思うんですけれども、これはもう済んだということじゃなくていろんな症状があって認定漏れになっちゃった、だけれどもいろんな症状があって治療を受けているという場合に、なぜほかの県と同じ扱いをしてもらえないのか。地域の事情はそれはいろいろありますでしょう。だけれど、国民の側から見たら、やはり法のもとの平等ですよね。同じ救済を受けるということが必要ですし、行政の側から見たら整合性のある事業の実施をすることが当然じゃないかと私は思うんです。
 ですから、これは大臣にひとつよく調べていただいて、これは私は当然受けるべきだと思いますので、六十一年に発足した制度だけれども少しおくれてでも同じように適用していただきたい、前向きに御検討をお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。
#74
○政府委員(三橋昭男君) ちょっと先に事務的に申し上げておきますけれども、この特別医療事業と申しますのは、水俣病認定申請を棄却された者のうち、四肢の感覚障害等、一定の要件を満たす者に対して治療費の自己負担分を助成することによってその方々の症状の原因解明に資するとともにということで、一種の研究事業でございますということを述べさせていただきます。
#75
○久保田真苗君 大臣、これは患者から見たら、研究事業でモルモットだというんじゃ、これはとてもじゃありません、環境庁の評判が芳しくなくなるのは当たり前なんですね。
 大臣、環境庁は戦後できた官庁ではあるけれども、衆望を担って誕生したんですよ。そして、厚生省とか通産省とかそのほかいろいろなところを総合調整するお仕事だからとても難しいお仕事なんですけれども、でもその趣旨は、環境を守り、そして環境の中にのみ住んでいる人間を守っていくというのがお仕事だと思うんですね。ですから、私、これ、何というか、研究に値しないというんですか、新潟県の方は研究に値しないというようなことではちょっと納得がいきかねると思うんですね。
 大臣、どうかそういう瑣末なことにとらわれないで、救済を願っている人たちの心にこたえていただきたい。このことをお願いして、最後に大臣の御見解を伺って終わりたいと思います。
#76
○国務大臣(北川石松君) 久保田委員の水俣病に関してのいろいろの質問の中で、私自身が全く知らない点まで御指摘を受け、また水俣病に関して前向きで取り組んでいかなくちゃならぬという思いを非常に強くさしていただきました。
 また、ただいま御指摘の特別医療についても、関係県の意向も聞きながら私はやはり前向きでこれは取り組んでいかなくちゃいけない、こういう思いをいたしております。
    ─────────────
#77
○委員長(大森昭君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、田渕勲二君が委員を辞任され、その補欠として大渕絹子君が選任されました。
    ─────────────
#78
○篠崎年子君 では、お尋ねをいたします。
 まず初めに、六十二年の八月十九日付で出されました本院の附帯決議についてお尋ねいたしたいと思います。
 この附帯決議の中には、「患者との信頼回復に努めるとともに、昭和五十一年十二月の熊本地裁の確定判決の趣旨を踏まえ、認定業務の不作為違法状態を速やかに解消すること。」、その次に、「水俣病の判断条件については一層の検討を行うとともに、水俣病患者が一人でも見落とされることのないように、」というくだりが入っているわけですね。
 この三年間に水俣病の認定の業務がどのようになったのか、その状況をお知らせいただきたいと思います。
#79
○政府委員(三橋昭男君) 六十二年の環境特別委員会の附帯決議を受けての取り組みの状況でございます。
 まず第一点が、「法の救済の精神を尊重して、患者との信頼回復に努めるとともに、昭和五十一年十二月熊本地裁の確定判決の趣旨を踏まえ、認定業務の不作為違法状態を速やかに解消すること。」というのが第一点でございまして、私ども患者さんとの信頼回復に努めるという観点からは検診あるいは審査体制の充実、治療研究事業の実施等に努めるほか、国、県一体となって各般の施策を実施してきているところでございまして、一時期六千人を超える未処分者がたまってありましたけれども、この二、三年、県の御努力も大分ありまして、現在三千三百人という未処分者の段階にようやく達したところでございます。
 それから第二点は、「水俣病の判断条件については一層の検討を行うとともに、水俣病患者が一人でも見落とされることのないように、全員が正しく救われるような精神にのっとって認定審査を行うこと。」ということでございますが、これにつきましては、医学的に判断困難な事例等について研究班を設けまして医学的知見の収集、検討を行っておりますほか、国立水俣病研究センターにおいても各種の調査研究を進め、水俣病像に関する知見の収集等を行っているところでございます。
 それから三点目に、「水俣病問題の重要性にかんがみ、住民の健康の状態、水質の汚濁の状態等について、速やかに総合的な調査を実施するとともに、地域の実情に応じ、健康被害の予防を目的としたサーベイランス体制を確立する等の適切な水俣病対策を講ずること。」でございますけれども、これにつきましては、水俣病に関してどのような調査が必要であるかまた可能であるか等について引き続き調査研究を行っておりますとともに、国水研、国立水俣病研究センターにおきましても水俣病に関する積極的な医学的な調査研究を総合的に行っているところでございます。
#80
○篠崎年子君 それではお尋ねをいたしますが、最近十年間に認定を認められた数をお知らせください。
#81
○政府委員(三橋昭男君) 最近十年間でございますか。――それでは、十年間という数字とちょっとぴったりではないかもしれませんけれども、五十三年以降ということの手持ち数字がございますので申し上げます。
 昭和五十三年度以降処分件数が一万一千五百十五件、認定された者が八百九十八件、棄却された者が一万六百十七件ということでございます。
#82
○篠崎年子君 それで、昭和四十六年に出されました環境庁事務次官の通知がございますね。その中に水俣病の問題につきまして、「公害に係る健康被害の迅速な救済を目的としているもの」、前の救済法のことですけれども、「法の趣旨の徹底、運用指導に欠けるところのあったことは当職の深く遺憾とするところであり、」ということで、その先の方に「上記(1)の症状のうちのいずれかの症状がある場合において、当該症状のすべてが明らかに他の原因によるものであると認められる場合には水俣病の範囲に含まないが、当該症状の発現または経過に関し魚介類に蓄積された有機水銀の経口摂取の影響が認められる場合には、他の原因がある場合であっても、これを水俣病の範囲に含むものであること。」という次官通知が出されているわけですね。
 ところで、昭和五十三年の七月の三日にまた事務次官通知が出されているわけです。この資料くださいと言ったけれどもいただいておりませんでしたので、この中の要点をちょっと読み上げていただいて、私のところへその資料をいただけないでしょうか。
#83
○政府委員(三橋昭男君) ちょっと申しわけございません、今手持ちに持っておりませんので。五十三年の次官通知でございますか。
#84
○篠崎年子君 五十三年七月三日付ですね。
#85
○政府委員(三橋昭男君) 五十三年の次官通知、この次官通知だけを別刷りにしたものを今手持ちに持っておりませんので後ほどお届けをいたしますけれども、概要を説明させていただきます。
 五十三年の七月三日、環境事務次官、「水俣病の認定に係る業務の促進について」ということでございまして、
 水俣病の認定に係る業務の促進については、公害健康被害補償法の目的である被害者の迅速かつ公正な保護を図るため、なお一層努力しなければならない実情にある。
  ついては、法の趣旨に照らし留意すべき事項を整理し、再度明らかにするので、下記について十分配意し遺憾なさを期せられたい。
ということで、「記」といたしまして四項目ございます。
 一つは、水俣病の範囲についてという項目。それから、後天性水俣病の判断について。それから、小児水俣病の判断について。それから四といたしまして、処分に当たって留意すべき事項についてということで、それぞれに具体的な記載がございます。
#86
○篠崎年子君 時間がありませんので、次にお尋ねします。
 今の昭和四十六年に出されました通知とそれから五十三年に出されました通知の違いは何ですか。
#87
○政府委員(三橋昭男君) 四十六年の事務次官通知とそれから五十三年の事務次官通知の違いというお尋ねでございますけれども、五十三年の事務次官通知は五十二年の環境保健部長通知の中身を確認したものでございますので、違いは四十六年の事務次官通知と五十二年の環境保健部長通知の内容の違いということで申し上げます。
 四十六年の環境事務次官通知は、昭和四十四年の公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法の趣旨の徹底、運用指導に欠けるところがあったことにかんがみ、同法の趣旨とするところを明らかにしようとしたものでございますし、五十二年の環境保健部長通知は、四十六年の事務次官通知以来さまざまな機会にいろいろな形で明らかにしてきた水俣病の範囲に関する基本的な考え方を、医学的知見の進展を踏まえ再度確認する目的を持って整理統合したものでございます。
#88
○篠崎年子君 結局言いかえれば、今最後におっしゃいましたけれども、医学的知見が進展をしてきた、四十六年当時はどれかいずれか一つでも症状があらわれていれば水俣病と認定したけれども、医学が進展してきていろいろな研究の成果が上がってきたのでそういう問題について少し厳しく考えていこうではないか、そういうことではないかと思うんですが、そのことはお互いに考え方が違うかもしれませんが、ここに一つの数字があるわけです。
 これは年度別申請状況とそれから処分の状況なんですけれども、処分年月というところでありまして、昭和六十二年度が三件ですね。それから、平成一年が一件、平成二年が一件というように数が大変少なくなってきているわけですね。それと同時に、先ほどもお尋ねをいたしましたけれども、五十二年以前と以後と比べてみると処分の件数が大変違ってきているというところでは、やはり水俣の皆さんがもっと早く申請をしてほしいけれども、自分たちが結局こういった法律がつくられたとしてもこれは切り捨てにつながっているんじゃないかと、そういう気持ちが非常に強いのではないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
#89
○政府委員(三橋昭男君) 最近の認定率が低くなったということで、これは認定審査が厳しくなったんではないかというお尋ねでございますけれども、私どもは時期によって認定条件を変えてきたとは思っておりません。判断条件に照らして適正に行われてきたと思っております。厳しくなったということはございません。
 ただ、認定率が近年になりまして低くなったということはこれは事実でございまして、しかしこれも昭和四十四年から認定が始まったわけでございます。既に二十年を経過いたしておりますので、一つは、判断条件に照らして水俣病と認められる方で認定をまだ受けていない方がだんだん残り少なくなってきたということが考えられますし、また、最近の申請者の中には一たん棄却をされて再申請をなさる方の比率が多くなってきた、こういうことも最近の認定率の低下につながっているものと考えております。
#90
○篠崎年子君 再申請をされる方々というのはやはりある程度水俣病に自分たちが関係しているじゃないかということだと思うんです。先ほどの久保田委員の御質問の中にもありましたけれども、認定制度の中で審査会がありますが、そこの認定審査委員という先生方、それぞれの医学の経験者が入っていらっしゃると思いますが、結局やはりそういうところに問題があるんじゃないかと思うわけです。
 そこで、お尋ねいたしますけれども、熊本に県立水俣病検診センターというのがございますね。これは熊本のことですけれども、水俣病と大変関係が深いので環境庁でもその実態をおつかみだと思いますが、ここには今専任の先生は何人いらっしゃるのでしょうか。
#91
○政府委員(三橋昭男君) 常勤の医師は一人でございます。
#92
○篠崎年子君 何人ですか。
#93
○政府委員(三橋昭男君) 常勤医師は一名でございますけれども、そのほかに交代で非常勤で協力をしていただいている医師が全部で四十名ほどいらっしゃいます。
#94
○篠崎年子君 常勤の医師、先生は何の専門でしょうか。
#95
○政府委員(三橋昭男君) 常勤の医師は内科が専門でございます。
#96
○篠崎年子君 よく聞こえなかったんですが、内科ですか。
#97
○政府委員(三橋昭男君) 内科です。
#98
○篠崎年子君 そうしますと、水俣病として認める場合には幾つかの条件があるわけですね。その条件はどういう条件でしょうか。
#99
○政府委員(三橋昭男君) 判断条件といたしましては、一つは疫学的な条件でございまして、過去におきまして魚介類に蓄積された有機水銀を摂取したという事実、それからもう一つが臨床的症状でございます。
 この臨床的症状はいろいろな面から判断をいたしまして、一つは感覚障害、一つは運動失調、それから視力障害、それから聴力障害、この辺のところが代表的な判断条件のところで判断がされる臨床項目でございます。
#100
○篠崎年子君 そうしますと、今常勤が一人であと四十六名の協力者がいらっしゃるということでしたけれども、この皆さん方はどういうふうな勤務の状況になっているんでしょうか。
#101
○政府委員(三橋昭男君) 検診センターにおきまして検診計画を立てまして、それに基づいて各大学の専門医をお願いして、その検診日に御協力をいただく、そういう形でいわばローテート方式で計画を立てております。
#102
○篠崎年子君 そうしますと、この水俣病の場合には神経内科あるいは眼科、耳鼻科、こういうところが必要になってくるかと思いますが、そこに出ていらっしゃる先生方というのはそういう経験を大体何年ぐらい積んだ方々が主に来ていらっしゃるのでしょうか。
#103
○政府委員(三橋昭男君) 御依頼をする先は、それぞれの大学の例えば眼科教室でございますとか耳鼻科教室また内科の教室、神経内科の教室ということでお願いをいたしますので、その教室の中から経験を積んだ方を選んで御協力をいただいているところでございます。
#104
○篠崎年子君 私は医学の方のシステムがよくわかりませんので、普通私たちが公立病院等で考えている場合にはやはりおいでになる先生方は研究室の若い先生方が中心ではないかと思うわけですね。
 そこで、この場合がどうなのかということはわかりませんけれども、こういったように水俣病の場合にはいろんな知見をまとめて、そして認定をしなければならないわけでしょう。そういうときに専門の医師が一人しかいない、そしてあとは交代で出ていらっしゃるのだと思うんですね。例えば一年間ずっと通してその人を診るということではなくて時々そこにいらっしゃるということであれば、お互いの間の知見を照らし合わせて、これは水俣病と認定すべきである、認定すべきでないという話し合い等も十分にできないんじゃないかと思うんです。
 それともう一つは、先ほども数の中で未処分者が三千三百二十三人あるということでしたけれども、ここ三年間にこれについて審査をしていかなければなりませんね。そうしますと、ここの県立水俣病検診センターというのが中心になるかと思いますが、ここは一年間に何日仕事をしているのでしょうか。
#105
○政府委員(三橋昭男君) 稼働した日数でございますが、ちょっと正確な数字はあれでございますが、二百五十日前後は稼働をいたしております。
#106
○篠崎年子君 そうしますと、二百五十日稼働で三千三百人ですから、それは計算するとわかりますけれども、大体一年間に平均してその三千三百人全員を診るということはできませんね。そうじゃないでしょうか。
#107
○政府委員(三橋昭男君) 一年間に単純に……
#108
○篠崎年子君 もういいです。
 そういうことから考えますと、私は、この水俣病の検診センターのあり方とか認定のあり方とかということについてももっと力を入れていかなければ皆さんの要望に沿えるような状態にはならないんじゃないかということで、次へ進みたいと思います。
 次は、先ほども質問がありましたけれども、IPCSの問題です。
 このことにつきましては新聞等でもちょっと出ておりましたが、私が入手いたしましたあるメモというか下書きというかわかりませんけれども、これに六十三年十一月ということで、これ、環境庁のあるところから出ているんですね。それによりますと、環境保全総合調査研究促進調整を契機として「メチル水銀の環境保健クライテリアに係る調査研究」というところがあるわけです。
 これは大蔵省に出された要望、こういうものをつくりたいので予算を五百四十二万四千円つけてほしい、そういう要望書だと思いますけれども、そこの中にこういう言葉があるわけなんです。「曖昧な幾つかの報告に依拠して、一〇―二〇ppm程度の毛髪水銀を有する妊婦の子供に精神運動発達遅滞が生じる可能性があるとして、より厳しい環境保健基準を指向している」ことであり、「その他にも不十分な科学的根拠に基づいて、酸性雨による湖沼の酸性化やダム建設による貯水によって魚中のメチル水銀が高まること、わが国の水俣病訴訟の争点の一つである遅発性水俣病の存在を認める内容になっていることなど、極めて問題の多い内容になっている」、「このままではわが国のメチル水銀の環境保健基準や水俣湾ヘドロ除去基準の見直し、更には子供の精神運動遅滞をタテにとった新たな補償問題の発生、現行訴訟への影響など行政への甚大な影響が懸念される」と、こういう文書があるのですけれども、これがあることは御存じでしょうか。
#109
○政府委員(三橋昭男君) ただいま先生御指摘になられました文書、どういうものか実は私ども承知をいたしておりません。
 実は、環境庁といたしましてこのIPCSの検討をするための研究予算をとるための予算要求の公式の目的は、IPCSの検討に対応し、既存の科学的知見を収集整理するためということで正式な要求をしたものでございます。
#110
○篠崎年子君 おっしゃることは大変立派だと思いますけれども、実は私はこれをいただきましたときに、これは環境庁として下書きの下書きぐらいで出されたのだろうと思っていたんです。
 ところが、先日資料として「メチル水銀の環境保健クライテリアに係る調査」というのをいただきました。質問するからということでこの資料をいただいたんですけれども、全部は読んでおりませんし、英語で書いてありますから私もその十分なところはわかりませんが、これをずっと読み上げてまいりますと、先ほどのメモか何か知りませんが、これにありましたとおりのことがここに書かれているわけなんです。言ってみれば、先ほど久保田委員も指摘していらっしゃいましたけれども、あいまいな幾つかの報告に依拠して一〇ないし二〇ppm程度の毛髪水銀値を有する妊婦の子供に精神運動発達遅滞が生じる可能性があるということはおかしいんじゃないかということが、先ほども読み上げられましたけれどもこの中に書かれているわけですね。それから、その症例についても大変不十分だ、酸性雨による湖沼の酸性化やダム建設による貯水によって魚中のメチル水銀が上がっているんじゃないかというのもこの中に書かれているわけなんです。ということは、環境庁が事前にこういうことをもとにして、研究者の方を束縛するわけではないけれどもこういったことについて研究していただけませんか、そういうある程度の目安をお示しになってこれをおつくりになったんじゃないかという気がしてならないわけですね。
 それともう一つは、スケジュールを見てみますと、これも先ほどありましたけれども、一九八九年の一月の中旬に第一回の検討会をされて、そして三月の下旬に英文報告書を作成して提出されているわけですね。わずかに三カ月です。三カ月足らずだと思いますね。そうしますと、先ほどの重松委員会を見てみますとこれはどのくらいの日数がたっているかというと、昭和五十四年に始まってまだ一片の報告書も出されていないわけでしょう。この違いは一体何でしょうか。
 私は、先ほどもお話があっておりますように、それは研究の成果等について長く時間がかかるとかいろいろあるかと思いますけれども、やはり考えみると、総合的調査手法研究の経過についてという、このことについても急ごうと思えばもっと急げるんじゃないか、十二年間もそのままずっと調査を引き延ばしていってまだまだその調査ができませんということで済むのだろうかと思うんですけれども、この辺についてはいかがでしょうか。
#111
○政府委員(三橋昭男君) 先ほども御答弁申し上げましたように、IPCSから素案、たたき台が政府に届けられましたときに、その添付文書と申しますか、それに意見があればという、これは期限が限ってございましたけれどもございましたので、環境庁としてはその対応としていろいろな文献収集整理をすると同時にその素案についての検討も行ったわけでございます。
#112
○篠崎年子君 そうしますと、この三カ月足らずの間にIPCSに出します場合には、いろんな資料があるのでそれをもとにして検討して出された、こういうことでしょうか。日数は短くてもそれはちゃんとした資料として出すことができたんだということになりますか。
#113
○政府委員(三橋昭男君) 資料を収集し検討をいたしたものでございまして、先ほども御答弁申し上げましたように、実は残念ながら用意ができてからはIPCSの方から特にその資料の提供の要請がございませんでしたのでその報告書という形でとどめたものでございます。
#114
○篠崎年子君 じゃ、もう時間がありませんので最後にお尋ねいたしますけれども、先ほども久保田委員がお尋ねになっておりましたいわゆる重松委員会ですね、総合的調査手法研究の経過、この研究に携わっている方々、延べの人数をおっしゃったようですけれども、この中でずっと一貫してこの十二年間この研究を続けてこられた方々は何人なのか、そして一年間あるいは二年間というふうに切ってもいいと思いますけれども、こういったようにある程度どこかに入られた方が何人なのかということと、それからその方々が大体どのような方面の専門家だったのか、このぐらいはお答えいただけるかと思いますが、いかがでしょうか。
#115
○政府委員(三橋昭男君) 五十四年からの経過でございますのでその時点その時点で参加をしていただく専門家の構成というのが大分変化をしております。一時期には中毒学の専門家の方もお入りになりましたり、あるときには公衆衛生の専門家が中心になりましたり、ある時期には神経内科を中心にした臨床家が何人かお入りになったり、現時点ではそのまとめの時期に入りつつございますので公衆衛生の専門家が中心で構成されております。
#116
○篠崎年子君 今聞きましてもちょっとわからないので資料を出していただければ一番いいんですけれども、そうしますと、それでは次に、「メチル水銀の環境保健クライテリアに係る調査」、こちらの方もさっき名前は公表できないということでしたね。
 そうしますと、名前が公表できなくても、その方々がどの方面の専門家かということは公表していただけますか。
#117
○政府委員(三橋昭男君) 研究に参加をしていただきました専門家の専門分野は、臨床家の方もいらっしゃいますし、公衆衛生の方もいらっしゃいますし、中毒学の方が中心でございます。
#118
○篠崎年子君 そういったような方々が結局いいお仕事をしていらっしゃるわけですので、私は重松委員会と同様にやはり公表されてしかるべきではないかと思いますが、このことについてやはりこういうことが伏せられていくということ。
 それから、環境庁、先ほど申しましたように、文章はいろいろ違ったところがあるかもしれませんけれども、そういったような考え方がやはり環境庁の根に残っている。そういうことで、水俣病その他のことでもそうですけれども、政治に対する不信感というのが生まれてくるんじゃないか。最近は情報公開も行われているようでございますので、こういう点につきましてはできるだけ国民に、そして当事者にはそれを知らせていかなければならない義務があるんじゃないだろうか。自分たちのこういった問題について研究をしているけれどもだれがどこでしているのかわからない、こういう状態ではやっぱり国民としては安心して政治を任せられることができないんじゃないかと思うんですね。
 最後に、環境庁長官にお尋ねいたしますけれども、長官は、今年の四月のIPCSの新環境保健基準の成案が送られましたときに、環境庁の役目は生きとし生けるものの環境をよくすることである、新しいことが出てくれば対応しなければならないと記者発表のときにおっしゃったということで、大変いいことを言ってくださったと思いますけれども、新しいことが出てきたときにはすぐに対応する御決意でございましょうか。
 それをお尋ねして、終わりといたします。
#119
○国務大臣(北川石松君) 国民の生活に深いかかわりのある環境行政につきましては、ただいま委員のおっしゃるとおりに、生きとし生けるもののためには新しい情報が出てまいりました場合はこれに対処しなくちゃいかぬし、またそのことについて手おくれになってはいけないということもこれは大切なことだと思っております。
 そういう観点から、クライテリアが新しい形を示してまいりましたら私はこれに対処しなきゃいかぬ、こういうように思っております。
#120
○広中和歌子君 当委員会におきまして水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法、これを審議いたしましたときに私も参加させていただきました。その際の議事録を読み返したわけですが、そのときのお答えによりますと、申請者一万六千名余り、それから未処分者が五千五百人余りということで認定業務を急ぐということを誓われたわけでございます。
 どのくらい認定業務が進みましたでしょうか、そして何人新たに認定されたか、お伺いいたします。
#121
○政府委員(三橋昭男君) 平成二年三月末現在でございますけれども、認定者数は二千九百二十名に達しております。棄却者がこの間一万二千八十三名、現在未処分の方が三千三百二十三名でございまして、ここ二、三年認定促進が県の御努力もございまして大分進みまして、一時期六千名を超える未処分者がございましたけれども、ようやく平成二年三月末で三千三百人というところまで来たところでございます。
#122
○広中和歌子君 つまり約三千人ぐらいはお医者様に診ていただいた、再びというんでしょうか診察を受けることができたということでございますか。
#123
○政府委員(三橋昭男君) はい。
 熊本県におきまして、昭和六十一年からは月間二百五十人の検診、それから月間二百人の審査という体制をとろうということで一生懸命努力をしていただいた結果、この二、三年の認定数というのは平均いたしますと約千名近い形で推移をいたしております。
#124
○広中和歌子君 今おっしゃいましたように、認定数が二千人とおっしゃいましたか。
#125
○政府委員(三橋昭男君) 認定審査が年間一千名をちょっと欠けるぐらいの平均値で推移をいたしております。
#126
○広中和歌子君 済みません、なかなかわかりにくくて。
 そして、その中で認定された方は何人ぐらいでございますか。
#127
○政府委員(三橋昭男君) ちょっと申しわけございません、手元にこの三年間の具体的な数字はございませんけれども、最近認定率が約一%弱のところで推移をいたしておりまして、六十二年一・三%、六十三年〇・七%、元年〇・四%といった形で推移をしております。
#128
○広中和歌子君 六十二年の審議の際でございますけれども、死後認定について私は御質問させていただきました。つまり、亡くなってから認定された方がかなりあるということをそのとき伺ったわけでございます。
 死亡者の統計として未処分者の死亡者が五百二十一名、処分済みの死亡者というのが六百四十三名あったそうでございますが、処分された方のうち認定した人が二百三十六名、棄却された人が四百七名でございます。そして、この処分された六百四十三名のうち解剖をされた人が三百五十七名、そしてその解剖の結果新たに認定された人が百六十六名。そして、未解剖の人が二百八十六名。しかし、未解剖のままでも新たに死後認定された人が七十名。合計二百三十六名の多くの人が死後認定されているわけでございます。六十二年から平成二年、現在までの三年間にあなたは水俣病の患者ではございませんと認定されなかった、つまり棄却者のうち解剖した結果何名の方が水俣病と認定されましたでしょうか。
#129
○政府委員(三橋昭男君) 申しわけございませんけれども、六十二年以降の何名という数値を今持ち合わせておりませんけれども、トータルの累計の数字といたしまして棄却をされ、剖検の結果認定をされた方は――申しわけございません、解剖後新たに認定された方はトータルで百七十名になっております。これは先生が先ほど数字として申されました百六十六に相当する数字でございますからその差ということになりましょうか。
#130
○広中和歌子君 一方、未解剖の方で新たに水俣病と判断された方は何人になりますでしょうか。トータルをおっしゃっていただければ引き算いたします。
#131
○政府委員(三橋昭男君) 九十五名でございます。
#132
○広中和歌子君 そうすると、トータルで四名プラス二十五名ですから二十九名の方が死後認定されたということでございますね。
 で、生前の判断と、解剖の結果認定となった大きな要因というのは何でございましょうか。
#133
○政府委員(三橋昭男君) 生前に認定がされず死後解剖によって認定される、そのようなケースの理由でございますけれども、死亡後認定された方方の中には、大部分が寝たきりでいらっしゃったとか、あるいは施設等に入所をされておりまして十分な臨床所見がとれなかったまま臨床医学的には認定には至らなかったけれども死後の解剖所見が加わって認定されたというケースが大部分であろうかと思っております。
#134
○広中和歌子君 私、医者ではないので御判断をむしろそちらに仰ぎたいわけでございますけれども、昭和五十二年七月の環境庁保健部長通知の判断条件によりますと、「魚介類に蓄積された有機水銀に対する曝露歴」だけではなく、つまりどのくらいの期間にわたって水銀を含んだ魚を食べていたかということだけじゃなくて症状の組み合わせ、つまり「感覚障害があり、かつ、運動失調が認めらること」というふうになっておりますね。だけれども、こうした判断をどうして死亡後の、つまり死体に適用というか、わかるんでしょうか。例えば感覚障害とか運動失調というのは、死んでからではわからない気がしますけれども。
#135
○政府委員(三橋昭男君) 私、専門ではございませんけれども、新潟におきますとか熊本におきます過去において水俣病の症状を、死亡前の症状がはっきりとられている方が解剖所見で中枢神経のどこが侵されているかという、そのような研究の中から病理的な所見として一つの基準と申しますか、判断できるとされておりまして、例えば感覚障害でございますと大脳の中のどの辺とか、あるいは運動失調でございますと小脳のどの辺が侵されているとか、それから視力障害の場合も大脳の後ろの方とか、例えば難聴でございましたら大脳の横の方とか、そういったようなことが専門的にははっきりしているそうでございまして、そのようなところから死後認定はできるものと思っております。
#136
○広中和歌子君 私も病理学というものが存在することも知っておりますし、解剖した結果によって病気の真の原因がわかるというようなことも存じているつもりでございます。
 ということは、つまり申請して棄却され、死後解剖の結果あるいは診断の結果新たに認定者が出てくるということは、認定そのものがいわゆる診断そのものが疑問があると考えてよろしいんじゃないか、そういったような流れになってくるんじゃないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。医療とか診断、そういったものに対して限界をお認めになりますかどうか、お伺いいたします。
#137
○政府委員(三橋昭男君) 一言で言いまして、医学には限界があるものだと思っております。しかしながら、その限界を見きわめながらできるだけぎりぎりの線まで診断をするというのが臨床家の務めだろうと思っております。
#138
○広中和歌子君 私もそう思います。しかしながら、結果として水俣病で苦しんでいらっしゃる、少なくとも自分がそうだと思っていらっしゃる患者さんたちは、死んでから初めて認められるということであったらこれは浮かばれないと思うんですね。
 環境庁長官、どういうふうに思われますか。
#139
○国務大臣(北川石松君) 認定を受けられずに死後認定された患者の方々は、私はやはりそれは大変悲しい思いだと思います、率直に申しまして。
 死後判定できるなら医者の立場あるいは専門的な立場から生前に判定する方がいいんじゃないかという委員の御指摘だと思います。そういう点で、この気持ちを考えまして生前の臨床からの判断も解剖による判断も医学的に私はやはり厳正でなくちゃいけないと、こういう思いをいたしております。
#140
○広中和歌子君 私は、やはりお医者様のお力というんでしょうか、判断力を信じないわけじゃないんですけれども、限界があるということ、そういう中でさらに大きく幅を持って認定していかなければならないんではないか、そんなふうに考えるわけでございますし、また仮に認定されなかった場合、これはさまざまな補償関係とか何かでいろいろ厳しい条件を課したいというお気持ちもわかりますけれども、しかしそういう場合であってももっと何か別の形で患者さんたちの希望に沿えるような形で救済の手を差し伸べるべきではないかと、そのように思っているわけでございます。
 今度の法律案でございますけれども、健康診断についていろいろ触れられております。
 六十二年の審議の際、患者の救済と同時に、再発防止のため、特に水俣病の診断については神経系に限らずもっと幅広くほかの症状もあわせて、そして水銀への汚染が起こった地域だけではなくてもっと幅広くそうじゃない地域も含めたさまざまな科学的調査を行うことによって、起こったことをせめて償う意味でも、今後の対処として医学的に貢献できるようなそうした調査をしていただきたいと、そういうふうにお願いしたわけでございます。
 その後どのような対応をなさったか、お伺いいたします。
#141
○政府委員(三橋昭男君) 六十二年の御質疑のあれでございますけれども、水俣病につきましては、その発生以来、原因の究明また健康被害の実態を把握いたしますため、何回かその都度必要な住民健康調査というものが行われてきております。また、その後の医学調査につきましては、今後どのような調査が必要であるのかまた可能であるかということを現在専門家に御検討をいただいている最中でございまして、今後の対応についてどのような調査が必要なのか、できるだけ早く研究班に結論を出していただきたいということでお願いをしているところでございます。
#142
○広中和歌子君 世の中は非常に早く動いているのが現代社会だと私は認識しておりましたけれども、三年前にお願いし、そのときのお約束では研究班で健康調査の方法論を探るということをお約束なさったわけです。それを、いまだに御検討というのはちょっといただけないんでございますけれども、何か具体的になさっているんじゃないですか。具体的にもう既に始められていると、そのように受け取ってよろしいでしょうか。というのは、さもなきゃ信じられないことだと私は思います。
#143
○政府委員(三橋昭男君) 先ほども御答弁申し上げましたように、いろいろな検討が今までなされてまいりました。過去における健康調査のレビューでございますとか、ある時期にはある一定の地域での例えば毛髪水銀の調査でございますとか、あるいはそのような地域に既に存在するいろいろな健康指標をあらわすデータをどのように活用できるかといった検討、また地域においていろいろな健康管理システムが既にできておりますからそれがどのような形で活用ができるのか等々の研究が今までなされてきたわけでございまして、いよいよ今そのまとめの段階に入っているというふうに御理解をいただきたいと思います。
#144
○広中和歌子君 先ほど同僚委員から非常に詳しく御質問がありましたので私の方としては簡単にお伺いいたしたいと思いますけれども、重松委員会報告につきまして、過去十年間にわたってさまざまな研究がなされているわけですけれども十年間にわたって研究された結果が公表されていないというのはちょっとおかしいんじゃないか、学者としても不本意でしょうし、それから患者側に対しても不誠実である、そして患者側も不信感を持ったとしても仕方がないんではないか、そんなような気がするんでございますけれども、環境庁長官、どのようにお考えでございますか。
#145
○国務大臣(北川石松君) 先ほども御答弁申し上げましたが、重松委員会につきましては、確かに大変長時間にわたりながらいまだ何ら発表でき得ないということはまことに申しわけないと思っておりますので、できるだけ早くこの成果を発表できるように取り組んでいかなければならない。
#146
○広中和歌子君 衆議院の委員会からの御要請で経過報告だけはいただいたんですね。
 そうすると、五十四年から平成元年までの十一年間、検討を行った、評価された、論議された、示唆されたというようなことで、非常に抽象的な表現が多いのでこれだけでは非常にわからないのでございます。例えば調査項目、こんなことが書いてあります。「老人保健法に基づく検診に神経学的検査項目を加えた検診を実施することが、健康状態の総合的把握、経過観察及び実施可能性の観点から有効であることが示された。併せて、水俣湾周辺某町の検診におけるこれまでの医学的研究の一部についての議論が行われた。」、こういうふうに書いてございますけれども、今までこのようなことをしなかったんでしょうか。非常に当たり前の当然するべきことが殊さら何か改まって書かれているんですけれども。
#147
○政府委員(三橋昭男君) 今御指摘になりました老人検診に神経学的な検査項目を加えて実施をするというようなその方法論につきましては、現在水俣湾の周辺の某町におきまして実際にパイロット的に実施がなされておりまして、このようなパイロット的な検査項目の中から出てくるデータというものも今後重松さんの中でまとめていただく中で生かされてくるんではなかろうかということでございます。
#148
○広中和歌子君 もう一度重ねてお伺いし、お願いを申し上げます。
 つまり、今まで政府の知り得た情報を公開していただけるかどうか、そして現時点では無理であればいつしていただけるのか、お伺いいたします。
#149
○政府委員(三橋昭男君) 重松班の報告につきましては、今いつ何をということをこの場で申し上げるのはなかなか難しい点がございましてお許しをいただきたいと思いますけれども、できるだけ早い時期におまとめをいただきまして公表さしていただきたいと思っております。
#150
○広中和歌子君 こういう答弁が大変多くて我々新人議員としては本当に戸惑ってしまうんでございますけれども、本当にできるだけ早く、一年以内ということでお願いできますでしょうか。
#151
○政府委員(三橋昭男君) 一年以内とはここでなかなか申し上げにくいんでございますけれども、ただいま重松班長も早急に取りまとめをしたいということを言っていただいておりますので御理解をいただきたいと思います。
#152
○広中和歌子君 先ほど私ができるだけ早く、一年と申しましたらばさらに早急にとおっしゃっていただきましたので、恐らく三カ月ぐらいと理解してよろしいんじゃないかと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、IPCSの報告についてなんですけれども、これはUNEP、WHO、ILO共同による国際化学物質安全性計画の中で有機水銀の環境基準を厳しくするよう求めた最終報告書があるというふうに伺っております。
 まず、IPCSの報告書の概要説明と政府のこれに対する御見解をお伺いいたします。
#153
○政府委員(三橋昭男君) この四月に日本にも送られてまいりました新クライテリアでございます。この新クライテリアの中身は、従来のクライテリアの中でも指摘をされておりました胎児に対するメチル水銀の感受性の高さをその後のいろいろな科学的知見によってさらに強調がされているというところが新しいクライテリアのポイントでございます。しかし、その胎児に対する感受性の高さが数量的にはまだはっきりしていない、早く数量的にそれをはっきりさせるべきなので大いに研究推進をしてほしいという勧告になっておりますので、日本といたしましても胎児に対する感受性の高さというものを数量的にあらわすための研究推進には積極的に努力をいたしてまいりたいという気持ちでございます。
#154
○広中和歌子君 この報告によりますと、日本が一九七六年に決めた基準値よりも低い濃度でも危険であるというふうに言っております。
 水俣病の発症の体内蓄積量を成人で二十五ミリグラムとして毛髪水銀で五〇ppm、血中水銀で二〇〇ppmを危険値としていたわけですが、その際、胎児の影響についてはさらに研究が必要であるとし、具体的な数字をお挙げにならなかったわけですけれども、日本ではその研究はどのくらい進んでおりますか。そして、現在、妊婦の健康診断のときに、毛髪などお調べになりますか。
#155
○政府委員(三橋昭男君) 胎児に対するメチル水銀の影響の研究につきましては、国立水俣病研究センターにおきましてもずっと以前から動物実験が行われておりまして、その研究のデータが蓄積されつつあるところでございます。
 それから、クライテリアの中で妊婦に対する毛髪水銀値の問題が指摘をされているわけでございますけれども、過去におきまして幾つかの毛髪水銀の調査がございます。水俣地区におきましても過去に毛髪の水銀値の調査をいたしておりますけれども、たしか昭和四十年代の半ばごろから一般の方とほとんど変わりない毛髪水銀値に下がってきているというデータも過去にございます。しかし、このような新しいクライテリアの中で妊婦に対する調査の指摘がございますので、私どもも近近のうちに専門家とお話し合いをするといいますか会議がございますので、そういう専門家ともいろいろ御相談をいたしましてどのような対処をするかを検討してまいりたいと思っております。遺漏のないような形で対処をいたしたいと思っております。
#156
○広中和歌子君 仮に成人、大人に影響がなくても、胎児の影響というのは当然考えられなければならない事項でございまして、恐らくいろいろな事例などもあるんではないかと思います。このIPCSのクライテリアによりますと、仮に母親の毛髪水銀値が一〇から二〇ppmでも障害児が生まれる危険性が五%もあるということでございます。五%が大きいか小さいかという考えはいろいろあると思いますけれども、私は五%もあるというふうに指摘したいと思います。
 ところで、IPCSに日本の学者のデータというのはどのくらい取り入れられているかお調べになったことはございますか。
#157
○政府委員(三橋昭男君) 例えば新潟における研究報告でございますとか熊本におきます報告が引用されていることは知っておりますけれども、どこにどれだけどのような形でということは、今クライテリアを詳細に検討中でございますので全部ははっきりとは数字としてつかんでおりませんけれども、幾つかの日本の文献あるいは過去の研究資料といったものが使われているわけでございます。
#158
○広中和歌子君 実を言うと、私、起こったことはもう大変残念なことでございますけれども、せめてこれから世界の医学界に貢献することができるとしたら、さまざまな日本の例証、研究成果を世界の人に提供することではないか、そんなふうに思ってそういう意味の発言をしようと思っていたわけでございますけれども、たまたまこのリポートをいただきましたら裏に参考文献というのが書いてありまして、日本人の名前を拾いましたら六十二名、急いでやったものですからもっと多いかもしれませんけれども大体六十二名出ているんですね。英語で論文をお書きになっている。それが引用されて少なくとも参考資料として使われているということでございます。恐らく日本語で書かれた論文もこれの十倍ぐらいあるんじゃないかと思いますけれども、そういうふうに学者の研究というのは意外とあるんではないか、それを十分にお使いいただいているのかどうか、何かちょっと心配なんでございますけれども、お答えいただけますか。
#159
○政府委員(三橋昭男君) 実は、先ほどからも申し上げておりますように、環境庁の直轄の水俣の研究機関としての国立水俣病研究センターがあるわけでございまして、ここが実は何年か前から水俣病あるいは有機水銀中毒等々にかかわるいろいろなデータ収集、これは国内、国外を問わず、できるだけ多くの文献収集をしていわゆるデータバンク的なものとして確立していこうという努力を今重ねておりまして、順次データが今積み重なっているところでございます。
#160
○広中和歌子君 それは大変すばらしいことだと思いますので、ぜひ推進なさってくださいませ。
 特別医療事業について、次にお伺いいたします。
 治療研究事業、特別医療事業の実施状況、どのようなものでございますか。
#161
○政府委員(三橋昭男君) 特別医療事業につきましては、現在、トータルで適用者が千九百八十一名となっております。
#162
○広中和歌子君 棄却され、しかし特別医療事業も受けられず、受けずですか受けられずですか、再申請する人は、どういう病状の方でございますか。
#163
○政府委員(三橋昭男君) 特別医療事業が受けられず再申請をした方の病状でございますか。
#164
○広中和歌子君 はい。または受けない人ですね。受けると再申請ができなくなりますでしょう。
#165
○政府委員(三橋昭男君) 再申請をされている方方は相当バラエティーに富むと思います。現在特別医療事業を受けられている方々は、水俣病とは認定はされておりませんけれども一定の神経障害をお持ちの方でございます。具体的に言いますと、四肢末端の疾病、視覚異常ということでございますが、そういうものをお持ちになっていて健康に不安をお持ちになり、その原因を知りたいという方がこの特別医療事業を受給されているわけでございます。
#166
○広中和歌子君 本来ならば医療費の自己負担分を公費負担としてもらえる。ですから、そのような方たちは、つまり医療費負担をしてもらえるにもかかわらずそれを受けずにあえて再申請する方は、何としても国に水俣病ということを認定してもらいたい、そういう心情が非常にお強いんじゃないかと思うんです。
 病状でございますけれども、先ほどからるる申し上げておりますように、水俣病であるかまたはそうでないか、死後認定の数がこれだけ多いことから考えましても、いゆわるグレーゾーンといいますか、それが非常に多いわけですね。こうした灰色のグレーゾーン、本当にはっきりわからないけれどもそうかもしれない、そうじゃないかもしれない、そういう方たちを救うのが国の行政の役割じゃないかと思いますけれども、これは環境庁が先頭に立って医療事業、そしてまた生活に困っている方たちには積極的に生活保護をしてさしあげるとかさまざまな形で心情的に認定される方がいいんだ、実質的な援助よりもその方がいいんだとおっしゃる方もいらっしゃるとは思いますけれども、できるだけそのような手を差し伸べていただきたいと思うわけでございます。
 現実に福祉を受けている方というのは多いんでございますか。
#167
○政府委員(三橋昭男君) 当然ながら例えばさまざまな福祉のサービスを条件が整ってお受けになっている方もあろうかと思いますけれども、ちょっと私どもその詳しいデータを持っておりません。
   〔委員長退席、理事清水澄子君着席〕
 ただ一つ、特別医療事業だけを申し上げますと、本年の三月から各方面から大変御要望が強い鍼灸の施術関係でございますけれども、これを事業の対象として特別事業の充実を図ったのが最近やりました事業でございます。
#168
○広中和歌子君 水俣病、そのほかさまざまな公害、これは過去大分前に起こったことでございますけれども、公害を出すことのコストというものを考えますとき、患者とその家族の肉体的な苦しみ、それから精神的な苦痛、それはもうはかり知れないわけで、認定され補償費をもらい、そして医療が受けられたとしても救われるものではないと思います。
 一方、加害者であるところの企業、それはイメージとか評価とかさまざまなそうした目に見えないダメージだけではなくて実際に支払ったコスト、金額ですね、補償費、それから除去作業などもしていると思いますけれども、非常に大きいのではないかと思います。金額にするとどのくらいになっておりますでしょうか。
#169
○政府委員(三橋昭男君) 現地におきまして大変大きな金額が支払われたわけでございます。平成元年度までにチッソから患者補償に支払われた額が累計で八百七十億円になっております。最近は毎年四十五億円前後といった金額でございますが、累計にいたしますと八百七十億円。それから、水俣湾の公害防止事業でございます埋立事業関係でございますけれども、このチッソの負担分が約三百億円。したがいまして、現在までに要した費用のうちチッソ分が千百七十億円という額に達しております。
#170
○広中和歌子君 環境基準が低かったためにまたは環境行政が不十分であったために非常に高いコストを払わなければならなかった、そういう企業を目の当たりに見まして日本では非常に公害防止のための技術が進んだのではなかろうかと思います。
 現在、地球環境問題、そのほか公害問題に非常に関心が高まっている中で日本はそうした防止技術を持っているということで非常に高く評価されているわけなのでございますが、しかしながらそうした日本が、時々報道によりますと、私は事実関係はよくわかりません。
   〔理事清水澄子君退席、委員長着席〕
 それで、お伺いしたいのでございますが、日本ではそういう高い技術でやっている、何とか公害を出さないようにやっているわけですけれども、海外において幾つか公害輸出という形で非難されている、そういうことを聞くわけでございますが、その事実関係についてお伺いいたします。
 通産省の方、おいでいただいておりますか。
#171
○説明員(光川寛君) 数件ございますが、そのうちAREの件、マレーシアの件について御説明申し上げます。
 日本企業が三五%出資しておりまして一九八〇年に設立いたしましたマレーシアのエイシアン・レアー・アース社というのがございますが、ここで公害問題が同国のイポー州ブキメラ村というところで住民運動や訴訟に発展いたしております。
 本件は、一九八五年二月にマレーシアにおいて地域住民とARE社の間で訴訟となりまして、現在、イポー高裁の裁判所においてARE社の放射性物質の取り扱いの適否とかその放射性物質が健康被害との因果関係があるのかないのかといったようなことについて、裁判で争われておるところでございます。
 私ども通産省といたしましては、外交ルートやARE社に出資しておる日本企業さらには日本に来日された際に原告側の方々との面談などを通じまして情報収集に努めるとともに、裁判の推移を現在見守っておるという状況でございます。本件に係る原告、被告双方の主張の是非はこの裁判において明らかにされるものと考えておりますが、この高裁での結審は本年の八月ぐらいになるというふうに伺っております。いずれにせよ、一刻も早く事実関係が明らかにされて問題が解決されることを希望いたしております。
#172
○広中和歌子君 裁判の結果がどう出ましてもともかく住民の救済に関しては誠意を持ってやっていただきたい、そのように思うわけでございます。
 公害輸出の件数が数件あるとおっしゃいましたけれども、ほかにどのようなものがあるのか、そして通産省としてはどのような対応で臨んでいらっしゃるのか、お伺いいたします。
#173
○説明員(雨貝二郎君) 同様に公害に関係しまして問題が生じているということで新聞に報道された事例を御紹介いたしますと、タイでタスコ社というのがございまして、昭和三十九年に会社をつくりまして翌々年の昭和四十一年に生産を開始いたしました。その後七年間苛性ソーダの生産をしてまいりましたが、設備が一時的に昭和四十八年に故障いたしまして、その関係上余りました塩素を希薄塩素水としまして川の方に排出したという問題がございました。
 新聞報道では水銀を投棄したというふうに報道されておりますけれども、タイ政府の調査によりましても水銀投棄の事実はなかったというふうに承知しております。
#174
○広中和歌子君 こうした企業が、過去のことは過去として、これから出ないように通産省としてはどのような配慮をなさっているか、お伺いいたします。
#175
○説明員(若杉隆平君) 御説明させていただきます。
 海外に進出いたしました企業は環境問題に関しまして進出先国の環境保全に配慮した行動をとるということが基本的に重要であるということは御指摘のとおりだと思っております。その場合に、海外に進出した企業につきましては進出先国におきます現地法人として事業活動を行うわけでございますので、進出先国が定めております環境保全のためのさまざまな規制をきちんと遵守して環境保全に努めることが基本的に重要であると考えておる次第でございます。さらに、公害対策先進国でございます我が国の中でのすぐれた技術なども生かしてできる限り現地の環境保全に貢献するということも期待されているところでございます。
 先ほど御指摘ございましたが、我が国の企業等の民間経済団体におきましては既に自主的に海外投資行動に関する指針を策定しておりまして、その中でも進出投資先国の生活自然環境の保全に十分努めるという旨を申し合わせているところでございますし、ことしの四月には環境アセスメントの重要性の指摘をも含んでおります海外進出に際しての十の環境配慮事項ということも提言しているところでございます。
 私ども通産省といたしましては、適切な環境配慮が行われますよう、これらの申し合わせあるいは提言に沿った形での海外の進出企業の環境配慮が行われることを強く期待しているということでございます。
 さらに、昨年の五月に通産省の審議会でございます産業構造審議会におきまして環境面への配慮の重要性を含みました「海外事業展開に当たって期待される企業行動(十項目)」ということが提言されておるところでございまして、私どもといたしましてはその内容を広く関係団体あるいは現地の日系企業等に対しましても周知徹底させているというところでございます。
 海外進出企業にアセスメントあるいは日本の公害防止技術の使用を義務づけるということは非常に難しいわけでございますが、海外進出企業の事業活動の現状につきましては、今ほど御説明申し上げましたように、在外公館あるいは民間経済機関等を通じましてケース・バイ・ケースで情報収集に当たっているところでございまして、今後とも日本企業が海外現地社会の環境問題に十分配慮した行動をとるようにさまざまな機会をとらえて働きかけてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#176
○広中和歌子君 そうした政策御配慮を大変歓迎するところでございます。
 現地の環境基準だけではなくてできるだけよりよい環境基準をということをおっしゃったわけでございますけれども、現地の環境基準というのは、発展途上国の場合には非常に低い場合もあるわけでございますね。そういうことで私、もしできたらば、日本は自分たちが自分の国内で守りたいと思っている環境基準をもクリアするように、そのような指導をしていただければ非常にはっきりするのじゃないかな、現地のだけではなくて我が国の基準も守る、つまりベストを提供するということはそういうことではなかろうかと思うのでございますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
#177
○説明員(若杉隆平君) 今先生御指摘のように、海外に進出した企業が環境問題について十分な配慮を行うということはそのとおりでございますが、環境問題につきましては、投資の受け入れ国におきます経済開発の政策でございますとかあるいは環境保護政策を初めとしまして、それぞれの各国政府の政策的判断、あるいは経済の事情あるいは環境の事情のさまざまな差異も反映しているわけでございますので、日本の政府が例えば親企業を通じて現地法人の投資企業に対して現地の基準とは別な形で日本の基準を一方的に遵守するように求めるということにつきましては、実際上の問題とともに相手国の主権の問題とも絡みまして大変困難な問題があるというふうに考えております。
 しかしながら、御指摘のように、環境先進国であります日本の企業はすぐれた技術を有しているわけでございますので、こうした技術をできるだけ生かして現地の環境保全に貢献するということを私どもとしても期待している次第でございます。
#178
○広中和歌子君 主権の侵害というふうにおっしゃいましたね。よろしゅうございますか、日本の環境基準を相手に期待する、進出企業に求めるということは押しつけであり内政干渉ですか、そういうふうにおっしゃったわけでございますか。
#179
○説明員(若杉隆平君) 私が申し上げましたのは、相手国の主権の問題とも絡んで困難な問題があるのではないかと思っておるというふうに申し上げた次第でございます。
#180
○広中和歌子君 つまり、主権の侵害が絡むのではないかという御心配でございますね。
 この問題は、発展途上国、そういう国々と直接お話しになったことがございますでしょうか。
#181
○説明員(若杉隆平君) 先ほど個別のケースにつきましてケース・バイ・ケースで私どもは在外公館を通して情報収集に努めているというふうに申し上げたところでございますが、現在のところはそういう対応を行っているところでございます。
#182
○広中和歌子君 意見が分かれるところではないかと思います。
 しかしながら、日本が自分たちの持っているベストなもの、自分たちが大切にしているものを相手に知ってもらおう、差し上げよう、そうしたようなときに尊敬こそすれ主権の侵害であるとかなんとかといって悪く言われることはないのではないかというふうに私は思うのでございますが、総理を初め環境庁長官もそうでございますけれども、日本は環境問題でリーダーシップを発揮していこう、そういうふうに主張していらっしゃいます。これは某国の元環境庁長官をなさった方でございますけれども、環境問題でリーダーシップをとるためには二つの要素が必要である、つまりそうした国の姿勢、リーダーの姿勢を支持するところの国民、企業も含めてでございますけれども、そういう人たちがサポートしてくれることである、それと同時に、自他ともに、自他ともにというのは、よその国も含めまして日本がリーダー足り得るそういうすばらしい国である、環境問題のリーダー足り得る資格がある、そういうふうに思ってくれることだということをおっしゃったわけでございます。
 そういうことを考えますときにも、ほんの少しの例でありましても公害問題で海外から非難されるようなことがあるということは大変残念なことで、せっかく日本がこういう環境問題でリーダーシップをとろうとしているときに大変なマイナスではなかろうか、そういうふうに思うわけでございます。自分たちが技術がなくてできないというのだったらまだ弁解の余地がございます。しかし、技術があるのであれば自分たちの公害規制なり技術を相手国にも勧める、そういうのが地球規模での公正の原則ではなかろうか、そんなふうに私は思うわけでございますけれども、環境庁長官のお考えをお聞かせください。
#183
○国務大臣(北川石松君) ただいま広中委員の環境についてのいろいろの角度からの御質問を受けまして、私は、やはり環境は生きとし生けるものの生存の基盤であるということを思いますときに、一度破壊されますとこれを回復するには多年の長日月と費用が要るということを考えなくちゃなりません。
 過日トルコの方に話したんですが、日本からこういうものを入れたい、じゃ今コストが高くついてもやはり亜硫酸ガスとかそういうようなものが出ない一番近代的な装置をあなたたちはやられるのがいいですよ、これは安くつきますからどうぞこれをやってくださいという企業の言葉に乗ることは好ましくないですよ、私はそのように言ってしまってちょっとこれは言い過ぎたかなと思ったんですが、その姿勢がこれから日本の企業が海外に出ていくときの一番大切なことであろうと思います。
 私の友達が台湾から帰りまして、この間、こう言っておりました。いや、向こうは吐き出しでっせ、日本の環境とえらい違いでっせと。ぼんぼん煙が出て本当に悪い悪いと言うから、それはよくないなと私のことだから率直に言っておりましたが、そういうことを考えますときに、今委員の御指摘のように、世界の信頼を失ってはならぬということ、世界に貢献する日本ということ、そういういろいろな角度から考えますと、政府も企業も一体になりましてその環境を守るための基準というようなもの、もし日本であればやってはいけないことは外国でもしてはいけない、このことを私は踏まえてやっていかなくてはこれからの将来に対して日本は世界の中の信頼を失っていくんじゃないかという思いをいたします。
 なお、環境庁長官の個人的な意見を今述べてしまいましたが、これはやはり各関係諸庁にわたるさまざまな問題も持っておりますから、よくその点は十分に話し合っていかにゃいかぬ、また関係閣僚会議の中でもそのことをよく力説いたしまして、日本も発展途上国にもなおなお真心を持ってその国の国民に何十年たった後もいい形を残してくれたなと言われる企業の進出こそが望ましいと思っております。
#184
○広中和歌子君 どうもありがとうございました。
 環境庁、先ほど同僚議員からも要望が出ておりましたように、環境庁のお力はますます発揮される必要があるのではないか、そして自民党には人材がいっぱいいらっしゃいますでしょうけれども、そう大臣がしょっちゅうかわることなく環境庁長官の任期というのは環境行政における熱意と正比例するような形で長くなる、そういうようなことが実現しますようにぜひこれは記録に残しておいていただきたいと思う次第でございます。
 それから、環境問題に関しまして日本は地球規模での公正の原則、つまり自分たちの環境基準をょその国にも提供するように努力しましょう、そういった問題に関しまして来る次の国会で当委員会におきまして、環境庁を含めまた関係省庁を合め、そして委員同士の討論ができますようにぜひ委員長にお願いして、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#185
○委員長(大森昭君) ただいまの広中委員の御要望につきましては、時期を見て理事会等で御相談をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
#186
○沓脱タケ子君 それでは質問を行います。
 初めに、私はある被害者の手記を御紹介したい。
  私は出水の漁村名護部落に生まれ、名護で育ちました。子供のときから、食事もおやつも魚という生活を送ってきて、学校を卒業してから熊本で働き、昭和三三年に主人と結婚しました。
  主人は出水で漁師をしており、妊娠した私は、元気な子供が生まれるように主人のとってきた魚をたくさん食べました。魚が水銀で悪くなっているなんて思いもしませんでした。それなのに最初に生まれた子が胎児性水俣病の子供だったのです。
  そして同じ頃、私も主人も水俣病になっていたのです。私達は、最初は自分達の体が悪くなっていることに気がつきませんでした。子供を育て、毎日をどうやって暮らしていくかということで精一杯の日々を送っていたからです。
  包丁で爪を切ったり、茶碗や急須を落っことして割り、熱湯の入ったやかんを落として火傷をし、針が指に刺さって血が出ても気がつかないようになりました。お皿や茶碗は傷物ばっかりになり、私があんまり割るんで、子供からは「私達が割ると、かあちゃん怒るけど、かあちゃんは誰も怒る人がおらんでいいね」と言われてしまいました。
  手や足の痙攣もおきるようになり、船から落ちたこともあります。耳鳴りで人の言うことがよく聞けなかったり、ズキズキと一日中頭が痛かったり、背中、腰、足と体中が痛んで病院通いです。
時間がありませんのでたくさん紹介できませんが、この中で「私達の家族の三〇年をふりかえってみると、」ということが出ておるんですが、
  長男は、昭和五三年に、胎児性水俣病として認定されました。でも、熊本大学の原田先生に出会うまで、先生がへその緒の水銀値を測って息子の体のことを調べてくれるまで、きちんと調べてくれる人は誰もいなかったのです。
というのが手記の一部です。
 これはどういう被害者かということなんですが、長官、この手記は、水俣病に冒されているにもかかわらず認定をされないばっかりに裁判をやっている、東京裁判の原告の一人なんです。今問題が起こっているというのはこういうこと、この人は認定されていない、こういう深刻な事態になっているということの御紹介のために一節を読んだのです。
 そこで、この人たちが認定をされないままできているという事態、これは一体何なんだということなんです。
 ちょっと数字を聞かせてもらいたいと思いますが、認定業務の促進はどないになっているんですか。これちょっと数字、さっきから部長が発表している数字と私が環境庁の特殊疾病対策室から聞いている数字とちっとも合わないんです。ちょびちょび違う。
 私が聞いた数字を申し上げますよ。昭和四十六年から今までに、これは元年度ですからことしの三月までの申請者数が延べ一万八千八百八十六人です。認定者数は二千七百五十人、棄却された数字が一万二千七十八人ということにこれは伺った数字ではなっていました。若干違うでしょう、さっきから御報告になっているのと数字が違う。
 そしてもう一つは、現在審議中の臨時措置法の一部改正、この法律が施行されてから国に対する申請件数とそのうちの認定件数はどのくらいありますか。
#187
○政府委員(三橋昭男君) 臨時措置法が施行されまして以来の国への申請がえのトータル数は百八十名でございまして、そのうち三十二名が認定をされております。
#188
○沓脱タケ子君 百八十件で三十二名が認定をされた。何年の間ですか、これ。
#189
○政府委員(三橋昭男君) 十一年間でございます。
#190
○沓脱タケ子君 十一年間に百八十件で認定をされたのが三十二件。
 私の方でお聞きをした数字によりますと、もう時間がかかるから私言いますが、この三年間で申請件数は七十一件で認定件数は五件だということですが、間違いありませんか。
#191
○政府委員(三橋昭男君) ちょっと数字がずれるかもしれませんけれども、認定の方は五件でございまして申請の方が六十七件、私の数字では。
#192
○沓脱タケ子君 認定が五件なんです、三年間に。
 せっかくこないして法律を延ばしても話にならぬ。役に立っていないということが非常にはっきりするんじゃないかと思う。ようけい金を使うていますやろう、これやるために、東京で審理するのだから。それで三年間にたった五人しか認定されていない。役に立っていないなということになりませんか。
 私は、こういうやり方では一万二千以上の認定をされない、棄却をされた人たち、一体いつまでたったら救済されるんだろうか、もう本当にひどいなという感じがしますけれども、長官、こんな状況当たり前だと思いますか。
#193
○国務大臣(北川石松君) 沓脱委員の先ほど来の手記から全部聞いておりまして、先生の御子息かなと思うほど感じました。
 というのは、熊本におらなくても熊本からもらった魚を食った人でもかかることになるということを知らしてもらったと思っておりますし、そういう状況の中で三年間に五件というのは、やはり医学的にいろいろ難しい、時間も要するとは思いますけれども、少ないとおっしゃられればやはり少ないという思いをいたす次第でございます。
#194
○沓脱タケ子君 先ほどお読みを申し上げたようなあれが被害者、あの方が認定をされてないんです。そういう状況の方々が一万人以上もおられる。それで三年間かかってわずかに五人ぐらい認定するために力を尽くしているという、話にならぬ。むしろ、これは数字を見ますと、棄却が八十五件とか未処分が六十三とか言うて、五件だけ救うために大体あとみんな切り捨てるという作業しか役に立っていないとしか見えないというところが問題なんです。だから、端的に言うたら被害者を認定をするというのじゃなしに、患者の切り捨ての役割になっているんじゃないのかなと、そこまで感じざるを得ないというのがこういう状況だと思うんです。
 私、詳しく言おうと思うけれども時間がありません。先ほどから同僚委員から既にいろいろ御質疑がありましたように、しかも公健法に基づく認定作業の中でも五十二年以降の新たな事務次官通達などによってうんと少なくなるというふうな問題も起こっています。その結果が今日一万二千人以上の方々が棄却になっておるわけですね、被害はこういうふうにあるのに。
 そこで、私は時間の都合がありますから簡単に進めていきたいと思うのは、こういう被害者の早期全面的な救済というのは一体どうしたらいいのか。結局認定業務では棄却やだめや言うて皆門前払い、しかしさっき読んだように被害はある、だから我慢ならないから裁判に訴えておられるわけですよ。
 今二千人以上の方々が水俣病の裁判に立ち上がっておられます。しかも既にこの裁判の中では、二千名の人は全部これは棄却された人なんですよ、申請を。あんたは違うと言われた人ですよ、行政から。この二千名の中で数十名の方々はもう三つの裁判で水俣病だというて判断をされているわけですよ。そういう人たちもある。
 ところが、国と県は控訴をして片つけないで、今、福岡高裁でやっているでしょう、係属しているでしょう。この方々、一体どないします。最高裁まで何年かかっても裁判して国が負けたらそのときやという態度をとるのですか。これはその辺のところが大事なんですよ。
 今、この被害者の皆さん方がとにかく公式発表されてから三十四年ですから、みんな年がいってきている。六十代、七十代です。次々と亡くなっていっています。そういう中で、せめて生きている間に救済してほしいというのが悲願なんですよ。そして、裁判で頑張って闘っている。最高裁までいくのを待っていたらみんな死にますわ。それをあえて国がやるかどうかというところに来ているというのが私は今日ただいまの局面じゃないかと思うのですよ。何とかして生きている間に、二千人以上に及ぶ原告の方々が政府のやり方、行政に不信を感じて我慢がならぬから裁判をしているのですよ。しかも、裁判では負けていないのです、勝っているのですね。だから慌てて国や県が控訴しているのですからね。
 こういう状態の中で早期解決をやるには一体何が要るか。これはやっぱりここまで来たら、人道上の立場もあり、全原告の救済のためにはもう話し合いによる解決のルートをつくっていく以外に方法がないと思うのです。そういう問題についていろいろ細かいことを言いたいことありますが、時間の都合があるから細かく言えませんが、その辺のところを、やる気になったらこれはやれると思う。
 さっきもお話が出ておりましたけれども、スモンのときの全面解決の実例がございますね。あのときには、六千数百人の患者がこの話し合いの道筋で短期間にもうほとんど全員に近く救済がやられた、そうしてその後恒久対策も確立をするというところまでいっている。ですから、これはもうぜひ話し合い解決の道筋をつくるというところへ、環境庁が腹をくくるかくくらぬかだと思うんです。きのうもちょっとそんな話をしてたら、そんなことを言うたってスモンと水俣病とは違いますって。確かに違いますわな、スモンは薬害ですね、水俣はメチル水銀の公害です。担当の省庁も違います。スモンが厚生省で、水俣は環境庁ですよ。そんな違いはあります。しかし、救済されない数千、数万の人たちがおって、何とかしなければならないというところへ来ているという点では同じ状態なんです。私は、裁判所において全原告の救済のために話し合いによる道筋をつくるというやり方に環境庁の姿勢をぜひ置いてほしいなと思っているんです。
 なぜかと言いますと、これは道理があるんですよ。行政処分による認定で棄却されたんです。あかん思うたんやけど、いやいや私は被害者やというて裁判をして、裁判では認定をされている。我が国の三権の分立の中で、行政の処分に不服を感じて裁判をして裁判では認められるということになったら、当然のこととしてこれは和解の話をやっていかなきゃならぬじゃないですか。和解というのか、話で解決をしていくという道筋をね。国会がある以上、そのことを当然国会としては全面救済のために働かざるを得ないという段階へ来ていると思うんですよ。
 そういう立場でひとつ考えていただきたいと思いますが、長官どうでしょう。
#195
○国務大臣(北川石松君) 委員の水俣病患者に対する、また今日まで長年にわたりまして被害者の救済をやってまいりましてもなお十分できていないということも御指摘のとおりだと思っております。
 そういういろんな点を考えながら、公害健康被害の補償等に関しまして法律に基づいて認定業務等の促進を図ることがまず第一に重要だと思っておりまして、今回のこの臨時措置法も皆さんにお願いした次第でございます。
 なお、解決策をおっしゃっていただいたんでありますが、このことに関しましては、私は原告とまた被告の立場もよく理解するように努力をしなきゃいけない。ただ話し合いの場を持ってスモンのようにうまくさっといけるかどうかということもよく考えた上でみずからは御答弁せにゃいかない。お気持ちはよくわかるんですが、そういう点を考えまして、このことについては今ここで私がじゃこうしましょうと私は慌て者だから言いたい男だけれども、この点についてはよく考えさしていただきたい、こう思っております。
#196
○沓脱タケ子君 それは一遍にお答えをするのは難しかろうと思いますけれども、しかし現にもう世論が動いています。これは、もうここまで来たらこの舞台で、司法の解決の道筋で解決する以外にないというのは大方の一致する御意見になっています。自治体でもそれは早うやってくれという決議が熊本県の中でいっぱい出ています。新聞の世論調査等もそうですし、いわば熊本県や水俣市あるいはチッソとの交渉もことしになりましてから始まってきている。これはやはりそれらの関係者も全面解決の必要性を感じて、長官がおっしゃるように一遍にぽっといくというわけにいかぬから、まあ実務者の会談からというふうな形もあります、いろいろと。しかし、いよいよそこへ来ているという段階だということは大方の御意見の合意ができていっている段階だと思うんですね。国会議員の間の中でもいろいろとありますね、社会党でも対策委員会をおつくりになる、自民党さんの方も特別委員会でしたか対策小委員会でしたかおつくりになるというふうなことで、何とかして今解決をしなきゃならないというところへ来ている、世論もそれぞれの機関でも動き出してきているということを踏まえて、これは長官、本当に全面解決のためにいい時期に長官になっていただいたんだから、ひとつ思い切って踏み切っていただきたいなと思うわけです。
 一遍にいかぬかったら被害者の代表と話し合いに応じていく。これはもう初めからピンからキリまで決められるというものじゃないんですから、そういう話し合いを始めていくという立場からでもぜひ全面解決のための糸口、道筋を開いていただきたいと思いますが、簡単で結構ですからよろしくお願いします、長官。
#197
○国務大臣(北川石松君) 委員の重ねての御質問の中の要望でございますが、先ほどお答え申し上げましたとおりに、やはりいろいろのことを検討した上で固めなくてはいけないと思っておりますので、先ほどの答弁のとおりでございます。
#198
○沓脱タケ子君 それから、時間が余りないものですから、しかしその問題はぜひ引き続き考えてくださいよ。
 それで、同僚各委員から既に出ております重松委員会の報告書の問題、これ、だれでも思うんですわ。この水俣病の調査研究委員会でしょう、しかも十年も、五十四年以来委嘱しておられる。ところが朝からの審議を聞いていますと、委員の名前も公表しない、報告書はいつになったら報告するかわからぬ。
 さっきはできるだけ早くと言ったんですか。それはおかしいですよ。報道等を見ますと、重松先生は三年ごとにレポートは出しておると言うているんです。そういう記事もちゃんとあります。ですから、報告をしないのは重松先生の委員会なのか、環境庁が握って発表しないのか、どっちなんですか。
#199
○政府委員(三橋昭男君) 公表すべきではないと私どもは判断して公表しておりません。
#200
○沓脱タケ子君 重松先生じゃなくて環境庁が公表するべきでないと思って公表しない、発表しない、そういうことですか。
#201
○政府委員(三橋昭男君) この研究につきましては中途段階におきましては公表をしないという前提で先生方にいろいろと可能性について自由に御議論をいただいているところでございまして、個々の研究の内容につきましてもその実施可能性でありますとか委員会全体の合意を得ているものばかりではございませんので、現段階におきましては公表することは適当でないということで判断をしているところでございます。
#202
○沓脱タケ子君 あのね、さっきはあなた、近く公表すると言うたじゃないですか。それで重松委員会には公表しないという約束であったって、どっちがほんまですか。いいかげんにしなさいよ。
#203
○政府委員(三橋昭男君) 現段階においては公表はできないということにしておりましたけれども、今重松先生にお願いをしているのはできるだけ早い時期に公表できる形でおまとめをいただくことは重松先生にお願いをしている、そういう趣旨でございます。
#204
○沓脱タケ子君 何が本当なんや。おかしいよ、そんなの。だれでもおかしい言いますわ。どっちがほんまやはっきりしない。
 部長ね、さっきからの答弁聞いていたらほんまに歯がゆいんだな。あなた大阪におるときもっとはっきりしていたがな。
#205
○国務大臣(北川石松君) 委員の御指摘のとおり、先ほどの朝からの久保田委員を初め皆さんの質疑の中で、情報の公開は大切なことだからということと、先ほど政府委員の方で答えたのは一年ということを区切られたときにできるだけ早くということを申したことは私も認めておりますし、私は、これはやはりなるべくできるだけ早く皆さんのもとに公表いたしたい、このように思っております。
#206
○沓脱タケ子君 公表しません言うて研究してもろうてますって言うたんや、今。だから公表しないことにしておりますと。取り消しますか、それ。それは取り消しなさいよ。今の長官のお話とじゃ全く矛盾します。取り消すんなら取り消してください。認めますよ。
#207
○国務大臣(北川石松君) 委員の再度の御指摘でございます。
 今までそのような形をとったということを、政府委員をかばうんじゃないですけれども、そう言ったと私思っております。今までが、現在まで。しかし、今後はこのことは公表するようにいたしますということを申し上げたんで、御了解を願いたいと思います。
#208
○沓脱タケ子君 公表するのが当たり前だから直ちに出しなさいと言っているんです。
 大体、この十年間の予算、何ぼ使うてますねん。ちょっと教えてください。
#209
○政府委員(三橋昭男君) 本年度予算は約六百万円でございまして、ずっとほぼ同額の予算で来ております。
#210
○沓脱タケ子君 一年間で六百万。それなら十年間で六千万。
 これ、だれのお金ですか。国民の税金でしょう。違うかな。違うんやったら違う言うてください。
#211
○政府委員(三橋昭男君) もちろん御指摘のとおりでございます。
#212
○沓脱タケ子君 当たり前のことや。
 だから、さっき長官がおっしゃったように、今までは公開しないんやという方針やったけれども、情報は公開せにゃいかぬからこれから公開しますということの立場に変わりましたということでしたね。
 そこでお聞きをしたい。
 十年間、重松先生の方では三年ごとにレポートをお出しになっておられるということは、これは報道関係者に言っていますわ。だから、全部のお取りまとめをいつしてもらうかということで相談していますというのは当たらぬので、全部のお取りまとめに一定の時間がかかっても、この十年間の三年ごとのレポートはちゃんと出ているはずですよ、環境庁、どうなんですか。
#213
○政府委員(三橋昭男君) 総合的な調査手法に関する研究ということの中の個々のいろいろな手法検討についてのまとめは私どもちょうだいをいたしておりますけれども、総合調査手法に関する研究というまとめがまだできていない段階でございますので、これをできるだけ早くまとめたいという努力をしているところでございます。
#214
○沓脱タケ子君 そんなことで通らぬですがな。
 五十四年、五十五年、五十六年と、十年間に大体みんな何をやったという項目だけは発表しておるわけですね。これは頼んだら持ってきてくれた。その項目についての調査の中身は何やというんです。税金で調べたもの出せというんだから、出したらどうですねん。
 長官は、公開の原則でいくと言うてんやねん。長官のおっしゃるとおり部長やらぬのですか、はっきりしなさい。もうあかん。
#215
○政府委員(三橋昭男君) 先ほどからも申し上げておりますように、今重松委員会の方にお取りまとめをお願いしているわけでございますから、できるだけ早い時期に公表できる形で努力をいたします。
#216
○沓脱タケ子君 それはあかん。
 公開をするということに踏み切りましたと長官がきょう言われた。重松委員会はいつ頼んだ。それはおかしい。これは話が合わへん。合うように答弁してもらえませんと聞く方も理解に苦しむわ。
#217
○国務大臣(北川石松君) 委員の御指摘の点も多多あると思いますし、またごもっともの点もあると思います。
 ただ、私どもこの任についてまだ日も浅うございますので、過去のこと全部がまだ掌握できておりません。そういう点につきまして、先ほど申し上げましたように、今後このことを早くまとめて発表させていただくということを申しましたんで、どうかその点で御了解願いたいと思います。
#218
○沓脱タケ子君 長官がおかわりになっておられるんで、そんなら方針をお変えになったんだから、重松委員会にお願いになって、これは一年もかかったんじゃ話にならぬのでできるだけ早くというのはいつごろ出せるかということを、これは報告していただきたい。一週間後か一カ月後には出せますかと。
 だって、あんた六千万も金を使うとるんやからね、税金使うとるんや。いや、四の五のというのは聞きませんで。やっぱりきちんとしてもらいたい。だから、それなら重松先生に御連絡なさって、これだけは一カ月以内とか一週間以内には出せます、あとまとめるのについてはもうちょっと三カ月かかりますとかなんとかの話がなければ国会通りませんで、そんなこと。
 長官、その辺はっきりしてください。
#219
○国務大臣(北川石松君) 委員の重ねての公開の、一週間とかなんとかの御指摘がございますんですが、これは私の一存でいくなら、きょうのきょう、あしたがあしたと言えますけれども、やはり相手方のあることであり、まとめて報告となれば責任がありますから、どうかその点の日を切ることだけは御勘弁願いたい、こう思う次第でございます。
 先ほど申したように、できるだけ早く報告できるように努力をいたすことを御理解願いたいと思います。
#220
○沓脱タケ子君 できるだけ早くというのは、こんなあいまいな言葉はないんですわな。
 部長は、新米やから前のことはあんじょうわからぬと言うし、長官は、私一人で勝手に言えませんて。一体だれがわかっていますねん。聞いている方はわからへんがな、そんなもの。だれが握っていますねん、それ。私そう思いますよ、実際。
 もう時間がないから助けます。もう私の持ち時間がないから助けますけれども。
#221
○国務大臣(北川石松君) ありがとうございました。
#222
○沓脱タケ子君 ありがとうございます言うたらあかんで。
 これもう時間がないから、私、四の五の言うのやめますが、しかし六千万もの公金を使って、しかも公害対策のためにというお立場だと善意に理解をいたしますが、せっかくの御調査をなさっていることを直ちに、できるだけ早くという言葉は嫌なんだけれども、これ、長官、責任を持っていただいて、ぜひ本委員会に提出をしていただきたい。そのことをお願い申し上げます。
 IPCSの問題に絡みましても昨年の九月に、私、質問をこれに絡んで申し上げてあります。それに関連してきょうもお尋ねをしたいと思いましたが、時間がありませんので最後に一言申し上げたいのは、環境庁というのは大体、科学、サイエンスに忠実な立場をおとりになるのでなければ勤まらない仕事ですよ。地球環境やなんや言うて旗振ったかて、科学をゆがめるようなお立場をとったら、これは国民にも信頼されませんし、世界からも信頼されなくなると思うんです。IPCSに絡む問題あるいは重松委員会の調査資料をお出しにならないという問題、大事な科学的な調査を出さない、出さないと言うからゆがめているのと違うかという心配をするわけですよ。その辺は心してやっていただきたい。情報公開についてはうんと思い切りやってもらいたい。同時に、そういったサイエンス、科学に根差した真理の追求の立場で、被害者は疑わしきは全部救済するというあの立場、これを貫いてもらいたい。私は公健法をつくったときの本委員会におりましたが、そのときの附帯決議には、被害者は一人残らず救済することという附帯決議をつけてあり、どうかそういうお立場でこの水俣病には対応していただきたい。
 終わります。
#223
○中村鋭一君 ただいま沓脱さんが本当に肺腑をえぐる質問をされました。それに対して御答弁がありましたが、私の立場からももう一遍この件について確認をさしていただきます。
 重松委員会の報告書を即時本委員会に提出する御意思はおありですか。
#224
○政府委員(三橋昭男君) 先ほどから御答弁申し上げておりますように、重松委員長にもお願いし、できるだけ早い時期に公表できるように努力をいたします。
#225
○中村鋭一君 さっきから部長の答弁が行きつ戻りつしているような印象を与えるのは、ずばりお尋ねいたしますが、木音のところは我々に資料を公表したくないんじゃないですか。本音を言ってください。
#226
○政府委員(三橋昭男君) 公表したくないということではございません。
#227
○中村鋭一君 そうしたら、さっきからもっともっと明快な答弁が積極的に出ていたと私は思いますよ。
 IPCSが、けさほどからも各委員の皆さんお尋ねでございますが、有機水銀の環境基準を厳しくしたいわゆる新クライテリアを各国にこれは通知をしているはずですが、環境庁も当然受け取っておりますね。それについて環境庁は、この新クライテリアの環境基準の内容が大変適切であると思っていらっしゃいますか、それとも、これも本音をお伺いいたします、困ったものだと思っていらっしゃいますか。
#228
○政府委員(三橋昭男君) 今届きましたクライテリアは詳細に検討している最中でもございますけれども、胎児に対するメチル水銀の感受性の高さをしっかり研究せいという勧告については、当然のことでございまして日本といたしましてもその研究には積極的に参加すべきだと考えております。
#229
○中村鋭一君 では、順次質問を展開さしていただきます。
 確認をしておきたいんですが、この臨時措置法にいうところの水俣病では、その定義がいかになされているのか。
 それから、これはおさらいになりますけれども、発生の経緯というものを簡略で結構ですからお教え願います。
#230
○政府委員(三橋昭男君) 臨時措置法でいうところの水俣病、これは公害健康被害補償等に関する法律と同じものでございます。特に臨時措置法で水俣病はこうだという定義はございません。
 それから、水俣病は、工場から排出をされましたメチル水銀化合物が魚介類に蓄積をいたしまして、その魚介類を経口摂取したことによって起こった中毒性の中枢神経疾患ということでございまして、これは三十一年に熊本県水俣湾周辺においてまた四十年には新潟県阿賀野川流域において発見されたものでございまして、その原因は、水俣についてはチッソ、阿賀野川については昭和電工ということでございます。
#231
○中村鋭一君 水俣病の患者さんを救うための法律は幾つありますか。そして、いつから施行されたものですか。
#232
○政府委員(三橋昭男君) 一番最初の救済法は昭和四十四年の公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法でございます。続いて、昭和四十九年にこの救済法にかわりまして公害健康被害補償法が施行されました。なお、同法は、六十二年の改正によりまして名称が公害健康被害の補償等に関する法律に変わったわけでございます。それと、今回御議論をいただいております五十四年からの水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法、この三つが関係する法律でございます。
#233
○中村鋭一君 そうしますと、臨時措置法というのは今お教えいただいた公健法と相補完する法律である、このように理解してよろしいですか。
#234
○政府委員(三橋昭男君) そのとおりでございます。
#235
○中村鋭一君 発議者にお伺いをさせていただきます。
 この臨時措置法の改正が今回求められているわけでございますが、その改正の趣旨はどの辺にあるんでしょうか。
#236
○衆議院議員(福島譲二君) 水俣病の問題はもう三十年以上になりますが、残念ながらまだ、先ほどからいろいろ御質疑の過程でも問題が出ておりましたように、三千人を超す大変たくさんの方々がいまだに申請をしてその処遇を待っておる、そういう状況でございます。
 その中にあってこの臨時措置法を延長いたしましたのは、臨時措置法の方に認定審査を求められる方々の数は過去現実に多くはございませんが、しかし全体としてまだこれからたくさんの方々の認定をしていかなきゃならないその段階で、国の方に認定審査を求めてくるという十一年前につくった一つのそのバイパスを今閉ざすわけにはいかない、国の臨時措置法に基づく認定審査会の方に審査を求めてこられる方々についてはやはり門戸を残しておかなければならない、そういうことで今回延長のお願いを申し上げたところでございます。
#237
○中村鋭一君 そうしますと、逆に言えば、今回さらに改正を加えて期限を延長する、さかのぼって救済手段を講じるということは、それだけ認定そのものの業務が実は円滑に作用をしていなかったということを発議者はお認めになりますか。
#238
○衆議院議員(福島譲二君) まず、その申請者の方々が県に従来からあります認定審査会の方に申請をされるか、このいわゆるバイパスの方に申請をされるか、これは申請者のお気持ちの問題が一つございます。何となく国の方が厳しいんではないかなというような、そういう感じをお持ちの方も現にたくさんおありになったと思います。その辺は十分に理解を深めて、どちらに行った方が認定がしやすいとかしにくいとかいう、そういうことがあってはならないことでございまして、やはりこれからの制度の理解を求めながら三千人を超すところの申請者ができるだけ早くに全体としての結論を得るように、これは国も県も両々相まって進めていかなければならないことであろうと考えております。
#239
○中村鋭一君 この臨時措置法は、福島先生のも含めてこれは全部議員立法になっているわけですが、環境庁にお尋ねいたします。
 こういった現実に認定を促進するための議員立法をつくって改正してきているわけですが、議員立法が提出される前に環境庁の方でこういった認定業務を促進するための立法化も含めた措置ということは検討しておられなかったんですか。
#240
○政府委員(三橋昭男君) 臨時措置法ができます前から、環境庁といたしましては、この認定業務の促進ということはその当時から大変大きな課題でございました。
 そのため、いろいろ該当県とは一体となって認定業務の促進を図ってきたわけでございますけれども、昭和五十年前後、熊本県におきまして認定業務が大変滞ったという事態の中で、機関委任事務である認定業務を国に返還するといった県議会での御議論もございまして、この議員立法という形でお引きとめをいただいたものが現在に至っているわけでございます。
 私ども、先ほどからの御議論の中で、この臨時措置法による認定数、審査数が少ないというおしかりは十分感じておりますが、少なくとも最近は少しずつは認定がえの患者がふえてまいりましたので、もしこの法律の延長ということをお認めになりますれば、私どもとしては一生懸命これから取り組んでいきたいという気持ちでございます。
#241
○中村鋭一君 国もほうっておいたわけじゃない、こうおっしゃいますが、しかし現実にこれ、議員立法が提出されているわけで、福島先生の方が、議員の方がいわば国の法律よりも先に、これはいかぬじゃないかということで提出をされたわけです。
 それは、長官ね、そこに一つの環境庁の姿勢といいますか、あえて言えば行政の怠慢というものがあったんじゃないかと私は思いますが、いかがですか。
#242
○国務大臣(北川石松君) 中村委員の大変厳しい環境庁の怠慢という御指摘を受けますと、いろいろと十分でない点もあったかもしれませんが、先ほど政府委員から答弁いたしましたように、県のいろいろの事情の中で議員によって立法していただいて今日までまいりました。まだなお延長していただいて救済する措置を講じなきゃいかぬということで議員の先生方に立法していただいたことは、大変怠慢というそしりはちょっと悲しいことでございます。それを返上させていただいて、議員の皆さんの御好意でこういうふうに出てきたというように御理解を願いたいと思います。
#243
○中村鋭一君 いや、それは表と裏ですけれどもね。
 やはり、議員立法にお願いして助けていただいたというようなことを今になって言わにゃあかんようなことやったら、そんなもの発議者の先生がこの席に出て御説明なさるよりも、役人の皆さんがさっそうとしてはつらつとして認定を申請している人たちをくまなくあまねく徹底的に救済する手段を講ずべきであった、そこに行政の怠慢があったということを認めてください、こう申し上げているわけでございます。これは御答弁もう結構でございます。
 発議者にお伺いいたしますが、今回のこの改正によりまして認定業務は十二分に促進されますか。三年間延長すればこれまでのような認定作業を、これはもう本当に実際の数からすれば取るに足りない数しか認定されていないわけですが、これが十二分に救済し得ると、こう思っていらっしゃいますか。
#244
○衆議院議員(福島譲二君) 率直に申し上げまして、この臨時措置法に基づく認定審査会を三年間延長することだけで本件が大幅に改善されるという性質のものでは残念ながらないと思います。
 やはり今までありますところの、基本でありますところの県の認定審査会、あるいは認定審査一般の問題、あるいは水俣病問題全般の国あるいは県歩調を合わせての取り組みの問題、そういうことによって問題解決が進行するという性格のものだろうと思いますし、その中の一環としての役割しか果たし得ないものだと思っております。
#245
○中村鋭一君 ということをお認めになった上で重ねてお尋ねをいたしますが、じゃさらに全き形で、この認定を申請している人たちやそれから現に訴訟を起こしている原告団の皆さんがいらっしゃいますね、こういう人たちを含めて救済するにはどういう方法をとっていったらいいと発議者はお考えでございますか。
#246
○衆議院議員(福島譲二君) これは環境庁長官にでもなりませんと立派なお返事はできかねる性格のものかと思いますが、従来から国、県ともとっていただいておりますところのいろんな施策というものをさらに一層強力に推進していただくということがやはり基本かと思っております。
 今、県が認定審査、月々二百五十人審査体制ですかというようなことで取り組んで、月間二百五十人検診二百人審査という体制をとっておりますが、この状態は最近は比較的円滑に進み始めておるんではないか、したがって三千人を超すところの今の申請者の皆様方の結論を得ることについては比較的ここ一両年で進行することができるんではないかなというような陰ながら私は期待を持っておるところでございます。しかし、そのほかに、今御指摘がありましたようにたくさんの皆様方が裁判でまだ延々と続いております。ことしから来年にかけて幾つかの裁判の結果が出てくると思いますが、その裁判の結果を受けて果たして上告するか否か、これはまさにもうお国の問題でございますが、私といたしましては地元出身の一議員といたしましても、もう三十年を超えているこの大変な問題がいまだに何千人というオーダーで大変な苦しみをお持ちになっておるという現状はでき得る限り早く国、県とももっともっとひとつ力を尽くしていただき、知恵を出していただいて進めていただく。裁判の方もできるだけ早く順調な審理を進めていただいて、そして残念ながらその被害を受けたと考えておられる方々がどんどんと高齢化されております、亡くなっていかれる方も多い中で、せっかく申請をしておられる方々のその思いを考えながらはっきりとした結論が早く出るように私どもとしては期待をいたしたいと思っております。
#247
○中村鋭一君 ただいまの発議者の本当に真情あふれる、水俣病で苦しんでいる人たちをとにかく救済しなければいけない、だから本法を議員立法として出した、その今の御意見に対しては私も深甚なる敬意を表させていただきます。
 しかし、にもかかわらず現実には本法が仮に施行されたとしても、まだまだ不足で困難な条件が山積しているという事実は残ります。
 そこでお尋ねをいたしますが、今も先生御指摘になりましたけれども、水俣病が最初に発症いたしましたときの症状は、我々もいろいろなレポートやあるいは本等でそのような状況を見て、それはもう国民なら、こんなことがこの世にあっていいのか、思わず涙したような激烈な症状が発現をいたしました。しかし、現在は三十四年たった。非常に高齢化と相まって、いわゆる水俣病の発症そのものが紛らわしいといいますか、判断がしにくい、こういう状況が出ているのもこれ現実だと思います。
 そこで、環境庁にお尋ねをいたしますが、現在の水俣病と認定するための判断の基準というのは、どのようなシステムでどのような人たちがどのような基準を設けていらっしゃいますか。
#248
○政府委員(三橋昭男君) 御指摘のように、当初の劇症型の水俣病、ハンター・ラッセル症候群といったような典型的なものは現在もう既に認定をされまして、現在は比較的判断が難しい症状のそろわない不全型、軽症例が大部分になっております。これは認定審査会の先生方が、感覚障害、運動失調、視野狭窄等々の症状の組み合わせを、できるだけ症状を探して拾い上げてぎりぎりの線まで認定をされているというのが現状でございます。
 私も国の方の審査会を一度のぞかせていただきましたけれども、専門家ではございませんけれども、このぐらいの症例まで認定されていらっしゃるんだなという印象をつけ加えさせていただきますが、そのような形でございます。
#249
○中村鋭一君 しかし、私もその点については全くのアマチュアでございますから断言はできないんですけれども、その辺にやはりあいまい性があるから本日も、例えばIPCSの環境基準について環境庁はどう理解しているのか、重松委員会のレポートを出しなさいということも、我々はそういう点と関連づけて考えざるを得ないわけでございます。
 そこで、臨時水俣病認定審査会の委員の選任はどのようにしてなされているんですか。
#250
○政府委員(三橋昭男君) 臨時水俣病認定審査会の委員の選定条件ということでございますが、「委員は、水俣病に係る医学に関し高度の学識と豊富な経験を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。」ということとされております。
#251
○中村鋭一君 今おっしゃった条件に基づいて選任された委員に対して、現に水俣病の認定を求めている方々の中から、この委員じゃだめじゃないかというような不満でありますとか苦情でありますとか、そのようなものは出ておりますか。それとも皆さん十分にこの委員で満足していらっしゃいますか。
#252
○政府委員(三橋昭男君) この審査会の委員に対しまして、申請者側から特段の不満でございますとか苦情というものは国としては聞いておりません。
#253
○中村鋭一君 私はそうでもないように思うんですがね。そうであればこんなに認定がおくれたり、こんなに訴訟を起こす人もたくさんはいらっしゃらなかったんじゃないか、こう思うんですが、どうなんですかね、環境庁。
 今沓脱さんもお尋ねになったんですが、司法の助けを求めて訴訟を起こしていらっしゃる方、二千人を超えているわけですね。このいわゆる司法救済というものについてどのような御見解をお持ちでございますか。
#254
○政府委員(三橋昭男君) 現在まで幾つかの地裁、高裁レベルでの司法の判断というものが出されております。しかし、それぞれの司法判断の中に個々にそれぞれ微妙な違いといったものも見受けられるようでございまして、それがどういう理由で司法判断が違うのかといったことについては研究する必要があろうかとは思いますが、私どもとしては、水俣病の救済のためには法に基づく医学に基礎を置いた認定の促進が重要だと考えております。
#255
○中村鋭一君 今司法の判断が違う、それについて我々も研究をしなければいけないと思うと、こうおっしゃいました。そこのところ、どういう点について研究を加えなければいかぬと思っていらっしゃるのか、もう少し詳しく説明してください。まだ研究しなければならないとおっしゃった。
#256
○政府委員(三橋昭男君) いかなることで司法認定の中に差が出てくるのかということが私どもとしても理解できないところもございますので、その辺は検討したいという意味で申し上げました。
#257
○中村鋭一君 立法、司法、行政、三権分立でございますから、司法の判断について行政がとかくの論をなすことはいけないと思います。
 しかしながら、現に司法府が判断を下そうとしてはおりますが、沓脱さんもおっしゃいましたね、これ最高裁までいくと時間が大変かかりますよ。ですから、判断の狂いを研究してそれについてとやかく言うよりも、救済を求めて闘っている人たちを行政の側から手を差し伸べて救うということがあってもいいんじゃないか、私はそう思います。
 その点で北川長官は、例えば訴訟を今提起している皆さんが、長官、話を聞いてください、我々の真意はここにあります、裁判はこれから何年かかるかわかりません、私も年をとりました、環境庁頼みますと言ってきたら、長官は快くお会いになって納得のいくまでこの皆さんとお話をなさる意思はございますか。
#258
○国務大臣(北川石松君) 委員の御質問でありまして、私は、深く水俣病患者の皆々様にまことに申しわけない、悲しい気の毒なことだと日常思っております。
 ただ、先ほど来の疑わしきは罰せずじゃなしに疑わしきは救済する、このことを思いますときには私はどうしても認定業務の促進をまずやっていかなければいかぬということが一つの形でございますので、この点に全力を挙げますと同時に、長官といたしまして日は浅うございますが、この問題をきょう委員の皆さんに答弁をさしていただきながら最大限の努力をいたしたい、こういう思いをいたしておるところでございます。
#259
○中村鋭一君 本法もそうでございますが、行政上の救済というのには限界があるわけです。
 それで発議者の福島先生も御指摘になりましたね。だからある一面からいえば、仮に本改正案が実施されたとしても、それはまた逆に申請を棄却する人がふえていくことを意味しているんじゃないかとか、行政上の救済者をむしろ大量に切り捨ててその人たちは結局司法上の救済を求めるしかない、その道につながっていくのじゃないか、こういう懸念をお持ちになることも私は現に水俣病で苦しんでいる人たちの立場からすれば当然であると思います。
 そこで、私が申し上げたいのは、環境庁という役所の責務であります。環境庁は、私も環境特別委員会に所属をさせていただいて長いですけれども、例えば自然保護でありますとか水質汚濁でありますとか、それから絶滅に瀕する地球上の哺乳動物や鳥類を保護することでありますとか、こういうことには随分熱心です。そしてさらに環境庁の大きなテーマとして、これからは我が日本が地球的な規模の環境汚染に対して立ち上がって闘っていかなければならない、そのことについては私はいつも敬意を払うにやぶさかではございません。しかしながら、公害は卒業した、公害病はもう終わった、公害先進国として我々は既に手に入れたノーハウをこれからさらに外国の皆さんに教えてあげる、仮にそういう思い上がった考えを持っていらっしゃるとすれば、それは絶対に私は間違いである、こう思います。現に水俣病でこれだけの訴訟が起こされ、これだけの認定のおくれが生じているわけです。四日市にしてもそうです。国道筋で自動車の排気ガスでぜんそくに悩んでいらっしゃる方もそうです。水俣もそうです。新潟もそうです。そういう人たちに対して環境庁が、ずばり言えばヒューマニズムの観点からとにかくこの人たちに楽をしていただくんだと、その決意を固めることが何よりも大事だと私は思うんです。いわば法律の条文でありますとか取り決めでありますとかいうことよりも、環境庁の皆さんは一人でも苦しんでいる人があればとにかく行政として何としてもこれを救い上げなければいけない、その気持ちを持つことが私は何よりも大切なことではないか。言葉を変えれば、認定をするというときに、認定を申請した人たちは決して喜んで申請していないと思いますよ、苦しんでしているんだと思うんです。取る物は取ってやれなんて申請している、そんな申請者は絶対一人もいないと思います。
 とすれば、その判断の基準がこのごろは高齢化と相まって難しくなったとか、初期の症状の激烈な発症がないから大変困難だとか、クライテリアの基準について環境庁としてはこういう見解だとか、できれば重松レポートを出したくないとか、そういう後ろ向きの発想を切り捨ててあらゆる情報を国民の前に公開して、そして国民みんなが行政を中心にして一人でも苦しんでいる人があればこれを救わなければならぬ、その決意をまず固めることが大事だと思います。
 最後に一言、その点につきましての長官の答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#260
○国務大臣(北川石松君) 委員御指摘の御質問の中で、決して思い上がった考えはみじんも持っておりません。
 ただ、水俣病問題は今日におきましても最重要課題として環境庁は取り組んでおります。この心を持って私は患者の救済に全力を挙げなければいかぬと思っておる次第でございます。
 なお、地球の環境問題についても先ほど沓脱委員が言われましたが、サイエンスを絶対にゆがめるものじゃありません。その点を含めまして真っすぐに進んでいきたい、こう思っておる次第でございます。
#261
○山田勇君 最後の質疑者です。よろしくお願いいたします。
 最近、環境問題が世界的に大きくクローズアップされ、地球全体の環境保全ということに関心が集中し、マスコミもいろんな観点から問題を指摘していますが、そういった中で公害問題はいまだに解決を見ていません。
 環境庁が設置されたころを思い起こすわけですが、あのころの時代背景、そして環境庁が設置された趣旨など、原点を振り返ることも決してむだではありません。特に水俣病問題はいまだ解決を見ないまま今日に至り、発生後三十四年の歳月が経過したわけですが、長官は環境行政の中で水俣問題の重要性をどのように認識をされておりますか、まず長官の御答弁をいただきたいと思います。
#262
○国務大臣(北川石松君) 今山田委員から御指摘のように、水俣病は戦後の高度成長期に起きたはっきり申しまして本当に申しわけないような大きな公害でございまして、環境庁といたしましてもこれは最重要課題の一つとして取り組み、前向きでこれに対処しなくちゃいけない、このように思っております。
#263
○山田勇君 提案者であります福島先生にお伺いをいたします。
 先生は臨時措置法の制定当初から御努力をされ、また水俣病問題に日ごろより御尽力をされていることに深く敬意を表します。
 今回の改正案を提案されるにつきまして、その趣旨また必要性についてどうお考えになっておられるか、お聞かせください。重複している部分があるので簡潔で結構でございます。
#264
○衆議院議員(福島譲二君) この臨時措置法を制定いたしました当時の背景といいますのは、この大変困難な問題について国は県に任せっきりで余り手伝ってくれないではないかというような感情を県あるいは県議会当局が非常に強く持ったという事実がございます。先ほど担当部長からもお話が出ておりましたが、公健法に基づく機関委任事務である認定審査業務を県はもう一切放棄して国に返上をするというような決議すら出てきたような背景を受けて、国としてもこれは何とかしなければならないという事情のもとに、国による認定審査会のバイパスというものをつくるべく議員立法を約十二年前にいたしたことでございました。
 五年、そして三年、三年と、十一年の期間を経過いたしまして今回改めてまた三年の延長をお願いするということは、現在なお三千数百人に及ぶ申請者がいわば滞っておる、その見きわめ、結論というものを早く出してあげなければいけない、そういう意味で今少なくとも期限が来たからといってこの国の認定審査会を閉ざしてしまうというわけにはいかない、そういうことで改めて三年間の延長をお願いいたしたことでございます。当初の提案者といたしましては、五年、三年、三年、さらに三年というような長い期間この認定審査会を置かなければならないような状況というのは大変残念でございまして、でき得ればこの延長も今回限りにさしていただくようにこれからのこの問題の処理を進めていただくことを心から期待いたしておることでございます。
#265
○山田勇君 本当に心から敬意を表します。福島先生のこれはもうすばらしい良心だと思って感動して今の御答弁をお聞きしました。
 法律関係について幾つかお伺いします。
 まず、この臨時措置法が施行されて以来の申請処分の実績はどのようになっておりましょうか。
#266
○政府委員(三橋昭男君) 平成元年度末現在におきまして、申請件数は百八十件、うち処分済み件数が百十七件、このうち認定件数が三十二件、未処分の件数が六十三件となっております。
#267
○山田勇君 申請者の数が百八十名と非常に少ないと思いますが、どのようにしてこのように少ないんでしょうか。その理由と、このような少数では制度の存在意義についても問題がありましょうし、どのような認識をお持ちか、お尋ねいたしておきます。
#268
○政府委員(三橋昭男君) 国への申請がえが少ない理由といたしましては、申請者の皆さんが身近な存在である県と比べまして国の方がなじみが薄い、また、かつてでございますけれども一部の患者団体からの理解が得られなかったといったようなこともございまして、そのようなことがこの申請がえの少ない理由かと考えております。
 しかしながら、最近は少しではございますけれども件数がふえてまいりまして、私どもといたしましては、県と一体となって業務を促進していくんだという意味におきまして一定の役割はあるのではなかろうか、こう思っておる次第でございます。それで、今回の改正でさらに対象枠の拡大が提案されているわけでございますから、もしお認めをいただきましたときには私どもも県と一体となって認定業務の促進に努力をいたしたいと思っております。
#269
○山田勇君 今回改正されても申請者が少なければ僕は意味がないとも考えるわけですが、この改正を受けて臨時措置法を実効あるものとしていくのにはどのような取り組みをされるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#270
○政府委員(三橋昭男君) 私どもも従来から対象者の皆様には申請がえの呼びかけを行ってきたところでございますが、今後とも県と一体となって一層の周知を図ることによりまして対象者の皆様方に十分御理解をいただいて、私どもの方のこの臨時措置法の方の認定業務が促進されるように一生懸命努力をいたしたいと考えております。
#271
○山田勇君 認定処分の促進を図るためには、この臨時措置法だけではなく、先ほど同僚議員であります中村委員の方からも申し上げました公害健康被害の補償等に関する法律に基づく認定業務の促進についても努力していくべきであると考えます。
 これまでの申請の処理状況また未処分の実態はどのようになっていますか。また、これを促進させるためにはどうすればよいとお考えでしょうか、お聞かせください。
#272
○政府委員(三橋昭男君) 認定申請の状況でございますけれども、まだ未処分者が三千三百二十三名残っているわけでございますが、この認定業務の促進のためには、特に熊本県におきましては昭和六十一年から月間二百五十人検診、二百人審査体制というように施策の充実を図っております。その結果、未処分者も逐次減少しているところでございますけれども、今も努力をいたしておりますが、県外の在住者の方、それから寝たきりの方方の処分をどうするかといった問題がこれからこの認定業務の促進の中で大きな課題になってくると思っております。
#273
○山田勇君 私の地元大阪を中心にした関西地域にも水俣の方から移住してこられて水俣病の認定申請をしておられる方が多数いると聞いておりますが、この実情と、その方たちの処分促進についてはどのような取り組みをなされておりますか。
#274
○政府委員(三橋昭男君) 今御指摘になりました関西地区の認定申請の方々は元年末現在で三百六十五名の方がいらっしゃいます。
 これらの方々は、やはり、熊本あるいは鹿児島まで検診に行っていただくのがなかなか大変でございます。このような方々の検診を促進いたしますために、大阪におきましては国立大阪病院を県外の検診機関といたしまして必要な検診機器等の整備を行ったところでございまして、このような県外検診機関も用意できましたので、今後できるだけこの検診の呼びかけを県とともに行いまして処分の促進を図ってまいりたいと考えております。
#275
○山田勇君 水俣病が多発している地域においては、住民の健康状態のチェック、健康被害の予防対策などはどう取り組んでおられますか。
#276
○政府委員(三橋昭男君) 水俣病の多発地区の健康調査でございますけれども、発生以来原因の究明あるいは健康被害の実態を把握するため何回か必要な住民健康調査が行われてまいりました。そのほか健康被害の調査でございますとか予防体制につきましては環境庁において引き続き調査研究を行っているところでございまして、この調査研究結果は、先ほどからの御議論もございますように、できるだけ早く取りまとめまして適切な水俣病対策を講じるべく努力をいたしたいと思っております。
#277
○山田勇君 先ほど来御議論されております重松委員会でございますが、ここに五月二十八日付の熊本日日新聞の中で重松委員長にインタビューをしております記事が出ております。
 全文は読みませんが、このくだりがございます。「現在の水俣病問題の議論で欠けているものは何か。」という問いに対しまして重松委員長は、「認定問題の前に、患者救済という原点の視点が欠けていると思う。否定できない場合は、救済していく姿勢が大切。とにかく被害を受けた人たちをつかみ、フォローアップしていく必要がある。」云々という形でインタビューに答えております。
 その重松委員長を初めとしての研究会があるわけですが、長官の御答弁の中で、その資料を早い時期に出していくということですが、重松委員長のこの問題、今読みましたインタビューの記事について長官はどのように思われますか。
#278
○国務大臣(北川石松君) 委員の、熊本の新聞のインタビューによる重松先生の談話でございますが、私は患者救済というところがポイントだろうというようにおっしゃっているように感じました。
 そういう点から、この点にも認定と患者救済、この二つの問題の中にやはり問題があるんじゃないかというような思いもいたしまして、今後いろいろな点をよくわきまえながら対処しなくちゃいかぬな、こんな思いをいたしております。
#279
○山田勇君 環境庁としてはこれまでの環境行政の重要課題の一つとしてこの水俣病患者の救済についていろいろ御努力をされてきたことは多とするところでありますが、なお一層この問題の解決についての努力の必要性を感じます。
 長官、これはもう一遍原点に戻って考えをもう一度新たにしなければいけないと思うんです。一私企業が垂れ流した公害で、そしてその一企業だけではもう対応できないところに国家が救済の手を差し伸べているわけです。何も環境庁が資料を隠したりまた認定がうまくいかなかったからといって司法にゆだねるというようなことは、僕はまず間違いがあると思うんです。僕は国家があって民があるんではないと思うんです。民の上に国家が存在すると思うんです。その国家が苦しんでいる国民を救済するんですから、環境庁はもっと胸を張って、そして一人でも多く患者をなくしていく、認定していく、救済していくという姿勢が僕はあると思うんですよ、ないとは決して言いません。
 長官、もう大阪人のよしみで僕はあえて申し上げます。南河内の男気を出してくださいよ。初代環境庁長官であります、名長官と言われた大石さんに続いて、北川長官の名長官としての決断を僕は仰ぎたい。これは閣僚会議ででも何でも御発言をいただきたい、大蔵省に対しても。
 今までの質疑を聞いておりますと、二千何百億円という金をまあまあ企業も出しておるでしょうが、国家も負担をしてきておるわけです。それは国際的な視野の中で広中委員も訴えておりました。だから、この公害が発生したときにはアメリカからもヨーロッパからもこの水銀公害について調査に来たわけですね。僕が今通産省の方にお尋ねしたのは、これを一つの基礎としてアメリカもヨーロッパも新しい公害法を制定したんですよ。前車の乱れを見て後車の戒めとしたわけですよ。そのぐらい大きな国際的な問題にもこれはなっているんです。三十四年経過したから世界的にこんなもの忘れている問題ではないんです。先進国家として三十四年間ここまで営々として、いろんな形の中で言い分もありましょう、しかしながらここに至っては何としても大きな予算措置をもってとりあえず救済をしていくということを、長官、ひとつ御決意をいただきたいんですよね。これはこれ以上ほっておいてはもうだめです。それは国際的な国家の信頼をなくしていきます。
 そういう意味からも、どうか長官、私の在任中にこの水俣の問題は解決するんだというかたい決意を持ってぜひ御答弁をいただきまして、私の質問を終わります。よろしくお願いをいたしておきます。
#280
○国務大臣(北川石松君) 委員の重ねての水俣病に関する患者の救済についての御熱意を聞かしていただきました。
 戦後の高度成長時代の企業の、やはり日本をよくしなければいけないという中で起きた問題にいたしましても、私は、被害を受けられた皆さんの長年月にわたるこの御苦労に対して本当に申しわけないという気持ちを持っておる一人でございまして、やはり環境保全の大原則というものは汚染原因者にきちんと責任をとってもらう、このことが大事じゃないかと思っております。
 しかしながら、この救済のためには、熊本県に県債を発行していただき、そしてその中でまた業者との話し合いをし、いろいろ今日までの過程をたどってまいりましたので、そのたどってまいりました過程を踏まえながら今後このことに本当に前向きで善処してまいりたい、このように思っておる次第でございます。ありがとうございました。
#281
○山田勇君 ありがとうございました。
#282
○委員長(大森昭君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#283
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、本臨時措置法は、水俣病認定申請者の長期大量滞留及びチッソの経営危機という事態を患者切り捨ての方向で打開するため、一九七八年、それまでの認定基準を大幅に改悪した事務次官通知とセットで出されてきたものです。
 現行の判断条件を改めることなく本臨時措置法を改正延長しても、依然その事務次官通知とセットである点に変わりなく、患者救済に役立たないばかりか、むしろ患者切り捨て促進につながるものです。
 第二は、本臨時措置法施行後現在までの十年余の実績は、認定数でわずか三十二人、この三年間で五人にすぎません。その一方で水俣病患者は、現在、一高裁、六地裁に二千人を超える患者が訴訟を提起し、救済を求めて争っております。
 第三は、認定業務は自治体の事務という大原則を崩したものであるということです。公害被害者の認定は、公害健康被害補償制度により最も住民に近い立場にある自治体が行うべきが原則です。国での認定審査は、患者と審査業務を切り離し、その意味においても患者切り捨てにつながるものと言わざるを得ません。
 第四は、今回の延長措置は、国や県の怠慢による認定業務のおくれを不作為の違法とした判決に対し、裁判対策上県や患者に対して、国も努力しているという体裁を繕うためのものでしかないというふうに見えます。
 水俣病は、公式発見されてから既に三十四年が経過し、被害者も高齢化しており、熊本地裁関係では提訴以来既に八十四人の原告患者が死亡しています。生きているうちに救済をというのが被害者の切実な願いです。
 したがって、このような真の患者救済には、実効性が乏しい臨時措置法を延長するよりも、水俣病被害者である原告の訴えをほぼ認めた一九八七年三月の第三次訴訟判決を厳粛に受けとめ、早期に被害者の全面救済を図ることを強く要請し、本法案に対する反対討論を終わります。
#284
○委員長(大森昭君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#285
○委員長(大森昭君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、清水澄子君から発言を求められておりますので、これを許します。清水君。
#286
○清水澄子君 私は、ただいま可決されました水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一、水俣病患者の早期救済が緊急の課題であることにかんがみ、救済すべきは速やかに救済するよう努めること。
 二、認定業務に当たっては、法の救済の精神を尊重して、申請者との信頼回復に努めるとともに、昭和五十一年十二月の熊本地裁の確定判決の趣旨を踏まえ、不作為違法状態を速やかに解消すること。
 三、水俣病の判断条件については、国際機関等における科学的知見の集積を踏まえ、一層の検討を行うとともに、水俣病患者が一人でも見落とされることのないように、全員が正しく救われるような精神にのっとって認定審査を行うこと。
 四、水俣病問題の重要性にかんがみ、住民の健康の状態、水質の汚濁の状態等について、速やかに総合的な調査を実施するとともに、地域の実情に応じ、健康被害の予防を目的としたサーベイランス体制を確立する等の適切な水俣病対策を講ずること。
 五、臨時水俣病認定審査会の委員の選任に当たっては、都道府県または政令市に置かれる公害健康被害認定審査会の委員と極力重複しないよう配慮し、本法制定の趣旨を生かすよう努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
#287
○委員長(大森昭君) ただいま清水君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#288
○委員長(大森昭君) 全会一致と認めます。よって、清水君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、北川環境庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。北川環境庁長官。
#289
○国務大臣(北川石松君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を体しまして努力いたします。
 ありがとうございました。
#290
○委員長(大森昭君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#291
○委員長(大森昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト