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1990/04/20 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 国民生活に関する調査会 第2号
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1990/04/20 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 国民生活に関する調査会 第2号

#1
第118回国会 国民生活に関する調査会 第2号
平成二年四月二十日(金曜日)
   午後一時二分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         遠藤  要君
    理 事
                佐々木 満君
                宮崎 秀樹君
                山本 正和君
                高木健太郎君
                近藤 忠孝君
                乾  晴美君
                寺崎 昭久君
    委 員
                石渡 清元君
                大塚清次郎君
                長田 裕二君
                鎌田 要人君
                清水嘉与子君
                吉川  博君
               日下部禧代子君
                小林  正君
                前畑 幸子君
                三石 久江君
                広中和歌子君
                西川  潔君
   政府委員
       公正取引委員会
       事務局官房審議
       官        矢部丈太郎君
       経済企画庁調整
       局長       勝村 坦郎君
       経済企画庁国民
       生活局長     末木凰太郎君
       経済企画庁物価
       局長       田中  努君
       経済企画庁総合
       計画局長     冨金原俊二君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        宅間 圭輔君
   説明員
       公正取引委員会
       事務局経済部国
       際課長      上杉 秋則君
       公正取引委員会
       事務局取引部取
       引課長      大熊まさよ君
       公正取引委員会
       事務局審査部第
       一審査長     鈴木  満君
       国土庁土地局次
       長        鎭西 迪雄君
       外務省北米局北
       米第二課長    藪中三十二君
       大蔵省主税局税
       制第一課長    長野 厖士君
       通商産業省通商
       政策局米州大洋
       州課長      河野 博文君
       通商産業省産業
       政策局物価対策
       課長       岩渕 恒彦君
       建設大臣官房審
       議官       立石  真君
       自治省税務局固
       定資産税課長   成瀬 宣孝君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国民生活に関する調査
 (内外価格差問題に関する件)
    ─────────────
#2
○会長(遠藤要君) ただいまから国民生活に関する調査会を開会いたします。
 国民生活に関する調査を議題とし、内外価格差問題に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○鎌田要人君 私は内外価格差の問題につきまして、先般資料の御配付をいただきました「公的規制の在り方に関する小委員会報告」の五十七ページ、「内外価格差縮小に向けた今後の対応策」といたしましてここに七つの項目が挙がっておりますが、その中の三番目の「独禁法の厳正な運用」、これに関連をいたしまして輸入総代理店制の問題、それからいわゆる再販制度、この二点につきましてまずお伺いをいたしたいと存じます。輸入総代理店卸の問題でございますが、これ並びに再販価格制度につきましては、同じくこれの五十五ページで「企業行動や市場の競争環境次第では競争制約的に働く。」、こう書かれておるわけです。
 そこで、実は手元にある資料でございますが、国民生活センターで出しておられます「国民生活」の三月号、これに東京地婦連の事務局長が寄稿をしておられます。これによりますと、東京地婦連でスコッチウイスキー、グッチのハンドバック、それからバーバリーのコート、この三つにつきまして円高差益の消費者還元運動をやられた記録がここに出ております。
 これによりますというと、例えばスコッチウイスキーの場合、輸入総代理店を経由すると同じスコッチウイスキーが四千百五十円になり、田中里子さんが執筆者でありますが、この方たちのいわゆる並行輸入業者を経由してでは二千六百円、これだけの差がある。あるいはまたグッチのハンドバックにおきましても総代理店扱いになりますと二万六千円、並行業者では二万五百円、二一%安く買える。最もこれで顕著なのはバーバリーの婦人用のコート、これは四四%引きで買える。
 こういったようなことでございまして、特にグッチのハンドバックでございますと、輸入総代理店の場合には商品それ自身の価格は三五%で、あと総代理店のマージンが三五%、小売店のマージンが三〇%、何と六五%がマージン。グッチのハンドバックをぶら下げておられる御婦人は何のことはない、マージンをぶら下げて歩いておられるようなものであります。
 ちょうだいしました小委員会報告の中で、通産省でお調べになったところでは十一品目、三十一銘柄の調査、昭和六十三年十一月の時点では日本は三割から六割高い価格水準になっておる。これには外国メーカーの価格政策あるいは輸入総代理店制及び消費者の行動などが関係していると考えられる、こういうことがございます。
 そこで、まず質問の糸口といたしまして、通産省あるいは公取等でお調べになられまして、やはり地婦連でお調べになられたような、マージンが極めて高い、あるいはもともとの外国のメーカーそれ自身が高い価格というものを総代理店を通じて日本国内で売らしておる、こういったような実態があるのかどうか、その辺のところをまず教えていただきたいと存じます。
#4
○説明員(岩渕恒彦君) 御説明いたします。
 通産省におきまして、内外価格差の問題に関しまして、我が国が輸入している工業製品及び輸出している工業製品につきましての内外価格差の調査というものを累次行っているところでございます。現在までの調査では、ただいま御指摘がありましたように特に輸入品についてはブランド品を中心に我が国の方が海外よりも大幅に高い場合があるという事実は認められております。
#5
○鎌田要人君 そこで、この点につきまして今の小委員会報告では、これに対する対応としまして「輸入総代理店制については、これに対する監視の強化を始め、並行輸入や国内における競争の促進に向けた対策を推進すべきである。」、こう書かれておるわけであります。
 公取の方にお伺いいたします。「輸入総代理店制については、これに対する監視の強化を始め、」と書いてありますが、何をどう監視し、またこれに対して適切な対応をしようとしておられるのか。あるいはまた並行輸入の問題でございます
が、並行輸入のメリットというのが今私が引用しましたこの雑誌の中にもあるとおりであります。その中で並行輸入に対する輸入総代理店の締めつけがある、こういう記述もなされておるわけでございますが、そのような事実を皆様方は確認をしておられるのかどうか。またその点につきまして「並行輸入や国内における競争の促進に向けた対策を推進すべきである。」と書いてありますが、まことに抽象的な表現でありまして、私ども読んでもいかにも抽象的、具体性かないという感じを受けるわけでありますが、総じて公取の御所管になっておられる面でこれに対して本当に有効適切な対応というものが具体的にどのようにできるのか、その点も含めてお答えをいただければありがたいと存じます。
#6
○説明員(上杉秋則君) お答え申し上げます。
 先ほど通産省の方からも報告がございましたように、輸入総代理店、特に欧米ブランド品についての輸入総代理店経由の物品について高マージンあるいは大幅な内外価格差があるという事実がございまして、これは私どもも累々調査し、そのような事実を把握しているところでございます。
 もし非常に大幅な内外の価格差が存在いたしますと、我が国の事業者が海外から輸入総代理店を経由しないで物を買ってくるということが行われますと、輸入総代理店の国内で付す価格よりも安く国内に物品を提供することができるということでございますので、私どもとしては並行輸入の阻害行為がないようにというのを一つの柱に考えている次第でございます。
 それから、今申し上げました調査の過程で、私どもが行いましてことし三月に公表いたしました欧米ブランド輸入品等の実態調査におきましては、輸入総代理店経由の欧米ブランド品が高くなる理由としまして、やはり仕入れ価格が高いとか希望小売価格が高いというようなことを小売店自体が指摘しているということがございました。しかも、私どもの調査によりますと、輸入総代理店の方が小売店が安売りしようとしますといろいろ注文をつけてくるというような事実もございました。大体五割ぐらいの小売店がそういう経験を持っているということもございましたし、あるいは並行輸入品を取り扱いますと、五割ぐらいの方がやはり何らかの総代理店からのいろんな要請が入るというような経験もあるということを指摘しております。
 これらにつきまして、私どもは昭和六十二年に並行輸入の不当阻害というものを具体的に特定して六項目の行為を掲げまして、こういう行為があると並行輸入が日本に入ってきにくくなるということで、そういうものに対して監視をし、違法事実があればこれを摘発していこう、そういう対応をとっております。
 さらに、先ほど出ましたような、総代理店等から小売店に対して安売り等しないようにという価格介入がございますと再販売価格維持行為になりますので、これも独占禁止法違反になるというようなことで、並行輸入の不当阻害とそれから再販売価格維持行為の是正というものを通じて、国内に輸入総代理店経由の商品が高いという事態に対してなるべく価格圧力が働いてもう少し内外価格差が縮小するように、そういう方向で鋭意努力している次第でございます。
#7
○鎌田要人君 それに関連してお伺いしたいのでありますが、今伺いますと、監視ということは、結局、今六項目とおっしゃいましたが、例えば並行輸入に対して総代理店が圧力を加えるとか、そういうことについて監視を強化する、こういうことでしょうか。そうなら、うんとおっしゃっていただけたらそれでいいです。
#8
○説明員(上杉秋則君) そうでございます。
#9
○鎌田要人君 そうしますというと、今までそういう事実をチェックされて、それでこの事実の確認をされてそれに基づいて例えば勧告をする、あるいはどういうシステムになっているのか知りませんが、最終告発まで行けるのかどうか、そういった具体的な強制、守らせる手段、実効ある方法としてはどういうのがあるんでしょうか。
#10
○説明員(上杉秋則君) お答えいたします。
 過去にも私ども並行輸入の不当阻害行為を行ったオールドパーの事件に対しまして、私どもで法律に基づく調査を行った末違法事実があるという認定を行いまして、これは勧告という制度がございます。事業者に対しまして当該行為を停止するようにという正式の行政命令でございまして、これを相手方が受け入れますと正式の行政命令として確定するわけでございます。
 今、告発というようなことが御指摘ございましたけれども、私どもが考えております、指摘いたしました再販売価格維持行為であるとか並行輸入の不当阻害行為というのは、独占禁止法上は不公正な取引方法というふうになっておりまして、これについては罰則の規定はございませんので告発というような手段はとれないわけでございますが、大体、行為の是正を図ることによって、つまりそういう妨害行為を是正すれば妨害されなくなりますので有効な競争関係が回復するのではないか、そういう考え方に基づいた措置をとっております。
#11
○鎌田要人君 罰則がない勧告ということでありますと、表現がきついんでありますが、悪徳を免れて恥としないようなところでありますれば、やはり依然としてこのような事態は続く。物が生活必需品ではないというところもあるのでしょうが、それは別といたしまして、内外価格差というものがこういうところにもあるということであれば、やはり私は罰則にかえて、こういった実態ですよと、後ほど時間があればお伺いしたいと思うんですが、消費者教育、消費者に対する広い意味での消費者行政の一環として、私どもも地方における行政の体験からしますと、このような実態があるということを公表されるのがこういう業界の方には一番こたえるように思います。
 かつてのトイレットペーパーに端を発した生活必需物資の売り惜しみあるいは買い占め、あのときも公表するぞというとやはりよくなるところがあるんですね。そういう意味での公表という形での社会的な制裁というものを加えることはこれはお考えにならないのか、所管はどちらかよく存じませんが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
#12
○説明員(岩渕恒彦君) 御説明いたします。
 通産省といたしましては、先ほど申し上げましたように数次にわたり調査を実施し、その結果を公表し、さらにはことしの二月から三月にかけまして本省、それから全国の八カ所におきまして消費者の皆様との懇談会というのを設けておりまして、内外価格差の実態ということで調査の結果を広く御説明するとともに、新聞広告やパンフレットなどをも作成しておりまして、消費者の皆様に内外価格差の実態というものを知っていただこう、それがまず改善のための第一歩であろうという位置づけで実施しているところでございます。
 ただ、今御指摘のありました個別の銘柄についての価格差の公表というのは、これは協力をしていただいて調査している等の事情もございまして、私どもの方といたしましてはなかなかできない事情にございます。
#13
○鎌田要人君 これは私現実の問題として、なかなかこういう状態であれば内外価格差の解消、こういったいわゆる海外のブランド商品についてはこれは難しかろう、こういう感じがするわけであります。この点については、なお私機会を改めて具体的なお話をお伺いをいたしたいと思います。
 私に与えられました時間があと五、六分しかございませんので、次に再販制度の問題についてお伺いいたしたいと思います。
 現在、再販維持契約の承認といいますかが許されて与えられておりますのは、化粧品、医薬品等の一部、それに著作権等にかかわるものがあるようでございますが、この同じく五十八ページに「また、再販制度について、その対象範囲や制度の在り方を引き続き検討していく必要がある。」、こういうふうに書いてございます。別のところで、国内生産でシェアが極めて大きいものがある。その大きいものの価格政策によって高値の価
格を設定してまいることがまた内外価格差の一つの大きな原因だと言われております。
 医薬品なり化粧品等につきまして再販制度の対象になっているものにつきまして、シェアの高いものがあってということになりますというと、いよいよこれは高値というものの改善はできないというふうにも考えられるわけでありますが、この「再販制度について、その対象範囲や制度の在り方を引き続き検討」とございますから、現在既に検討しておられるということが前提になっておる。しからば具体的にどのようなところに問題があるという御認識のもとに対象範囲、制度のあり方を検討しておられるのか、あるいはまたそれをどのような形で具体化しようと考えておられるのか明らかにしてください。
#14
○説明員(大熊まさよ君) 先生がお話しのように、再販売価格維特行為というのは独占禁止法上の不公正な取引方法として原則として禁止されておるところでございます。しかし、著作発行物と公正取引委員会が指定する特定の商品、これは現在では大衆医薬品の一部と小売価格が千三十円以下の化粧品だけでございますが、これにつきましては、消費者の利益を不当に害さない限り、独占禁止法第二十四条の二の規定によりまして例外として再販売価格維持契約が認められているわけでございます。
 公正取引委員会は、この再販契約の独占禁止法適用除外制度につきまして、従来から消費者の利益を不当に害することのないようにその必要の範囲内で限定的に認められるべきであるという観点から、著作発行物につきましてはすべてが再販契約の対象でなければならないというものではございませんので、出版社の意思で再販契約の対象とするかどうかを決めることができるようにするというようなことで業界に対する指導を行ってきております。また、指定商品につきましても対象商品の削減を図ってまいりましたし、現在ある二つの品目につきましては、届け出られた再販契約に基づきましてその流通マージンや販売管理費が過大になっていないかどうかというような審査を行いまして、指導を行っているところでございます。
 公正取引委員会としましては、行革審の報告書の指摘も踏まえまして、消費者の利益を不当に害することのないよう引き続き限定的かつ厳格な運用を行うとともに、今後この再販売価格維持制度のあり方そのものにつきましても検討してまいりたいと考えているところでございます。
#15
○鎌田要人君 今の検討というのは、現在のものをさらに範囲を縮める、あるいはやめる、こういう方向での検討と理解してよろしいわけですか。
#16
○説明員(大熊まさよ君) 再販制度のあり方そのものについての検討ということでございまして、どういうふうな方向で検討すべきかということも含めて検討しておりまして、範囲を縮めるかどうかというそういうことについてまだ白紙の状態でございます。
#17
○鎌田要人君 残念ながら私に与えられた時間は尽きようとしておりますので、消費者行政についてもひとつお伺いをしたいということで企画庁の方にもせっかくお出ましをいただいたわけでありますが、大変恐縮であります。
 私ども、消費者行政、これは最近における行政において非常に大きなウエートを占めつつある。特に、この小委員会報告にもございますし、最近におきまして、これまでの我が国の国、地方の行政というのが生産あるいは供給サイドに腰が入り過ぎておって、消費者サイドの方に対するウエートが低かったという指摘がなされておるわけであります。私どももそういう点は行政の立場として謙虚に受けとめてまいらなければならないと思うわけでございますが、そのような中で、地方におきましても賢い消費者、賢い消費者行動ということで、消費者行政を多角的に運営しておる。もちろん、この中には安全衛生の面も含めてでございますが、そういう消費者行政の面につきましてもっと突っ込んでお伺いをしたかったわけでありますが、本日は時間がございません。
 高いものほどよく売れるとか、あるいは値段が高いことに対して、国民の所得水準が上がりあるいは横並び志向があって甘い、こういう指摘がこれにもなされております。それがいわゆる銘柄、ブランド製品等に対して今のようなやはり高いものが売れている。したがって消費者自身の消費者行動と申しますか、ビヘービアというものについてもこれは行政として、余計なことかもしれませんけれども、やはり内外価格差ということが問題にされる以上は、こういった点も含めて今後消費者行政の一層の充実を図っていかれますように、これが実に即したものになりますように今後ともの充実を期待いたしまして、努力を希望いたしまして私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#18
○会長(遠藤要君) 経済企画庁の末木国民生活局長、今の鎌田委員の発言に対して十分心にとめて善処してほしいということを会長から要請しておきます。
#19
○三石久江君 私は、国民生活調査会というところが気楽に、そして私の立場で主婦的感覚で建設省の方に御質問をさせていただきたいと思います。
 最近特に日本は豊かになった、国民生活は豊かになった、そしてお金が余っているということをよく耳にいたします。しかし、実際に本当に衣食住が満ち足りているのだろうかといいますと、そうは言えないという面が随分あると思うんです。そこで、まず土地の問題です。土地というのは住宅と切り離せないものですからお尋ねをします。
 ここに、一九九〇年四月十八日の新聞に大きい見出しで、「法人の五割値上がり期待」という記事が出ております。この中に、
  地価高騰の原因の一つに企業の土地買いあさりが指摘されているが、国土庁が十七日の政府税制調査会土地問題小委員会に提出した調査資料で、調査対象の法人の土地取引の五割が、当初から利用する意思のないまま、値上がり益を期待して土地を購入している実態が明らかになった。こうしたデータが公表されたのは初めてで、企業の持つ遊休地の保有課税強化や個人に比べて有利になっている法人税制の見直し論議に拍車がかかることになりそうだ。
という新聞記事がありました。このデータを八七年から八八年の地価高騰期に公表して高騰を防ぐことができなかったのかと私は思うわけです。また、地価高騰を政府は抑制する方策があるのかとも思うわけです。この国土庁の公表を建設省の方はどうごらんになりましたか、お尋ねいたしたいと思います。
#20
○説明員(立石真君) ただいまの国土庁の公表したデータにつきまして、私直接住宅局として対応しておりませんので、ちょっとしっかりした御説明ができないと思うわけでございます。新聞等で知り得た範囲でございますので、また別の機会にというふうに考えておりますが、よろしいでしょうか。
#21
○三石久江君 失礼いたしました。
 次に、上記で申し上げましたが、豊かになったはずの国民生活で一番手に入らないのは一般個人では土地、家だと思っております。特に都会では皆無と言ってもいいと思うわけです。
 それで、先般の資料ですけれども、「住宅価格・家賃の現状」、「大都市住宅問題の現状」の中のイで、「住宅取得が困難となり、」と書かれておりますけれども、これは夢のまた夢、都会ではもうあきらめているということではないかと思うんです。そして、その次の@では平成元年勤労者所得平均七百三十万円とありますけれども、この平均といいますのは、私から見ますとただ単なる数字で現実性がないなと思うわけです。
 そこで、朝日新聞の四月十九日のテレビ欄に、「今夜は!好奇心」という番組があるんですけれども、その中に「平均年収約六百万円のサラリーマンが、家を購入しようとする際の価格の目安は年収の三、四倍といわれるが、首都圏では七十五平方メートルのマンションの平均価格が五千六百万円で、年収の九倍が必要だ。こつこつと貯金する「アリ派」と、家をあきらめて今の生活を楽し
む「キリギリス派」の違い」というようなことが書かれてあります。
 私は、そこで東京のどこにどのぐらい平均的家が建っているのか伺いたいと思います。また、七百三十万円という平均というのはどういう調査資料の平均なのか、調査したサンプルを提出していただきたいと思うんですが、いかがですか。
#22
○説明員(立石真君) 前回の資料で御説明いたしました勤労者世帯の平均年収七百三十万円と申しますのは、総務庁の貯蓄動向調査によります京浜地区の勤労者世帯の年収の平均でございます。
#23
○三石久江君 それで、今お尋ねしました東京のどこにどのくらい五千三百七十一万円という建て売り住宅があるのかというのをお伺いしたいんですけれども。
#24
○説明員(立石真君) 前回御説明いたしました東京圏における五千三百七十万円平均の建て売り住宅についてでございますが、これらにつきましては東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城南部というように考えておりますが、これらの地域についての平均でございます。概して西の方の地域、東京から神奈川にかけては五十ないし六十キロ圏ぐらいまで行かなければ得られないだろうと思いますが、千葉、埼玉、茨城南部等の東部あるいは東北部あるいは北部の方にかけては三十ないし四十キロ圏でもこの程度の分譲住宅があるものと考えております。
#25
○三石久江君 随分遠くにあるんですねと言いたいです。
 ところでもう一つ、私は三年前に地方ですけれども七十坪の土地で二千三百万円の家を買いました。地方のことです。今はその同じ団地で六十坪に減って三千万円以上の住宅が売られております。それを買われる方々は三十歳後半から四十歳前半の方々が大方です。そして、返済は二十五年から三十年払い込んでいくわけです。この時期は子供が中学、高校でお金が大変かかる時期ですね。その方たちが七万から八万支払う。家計が大変なんです。ですから、家計の中で何を切り詰めるかといいますとそれは食費なんですね。これは大変なことだなと私は思います。とても豊かな生活とは言えないのです。この表とは大分違うように思うんですが、この現実をどう思われますでしょうか。
#26
○説明員(立石真君) 住宅を購入した場合には一体その住宅を購入するに当たりましてどれだけの借金をし、それをどのような償還をしていくのがいいのかということにつきましては、住宅宅地審議会の審議でも行われたことがございます。その資料によりますと、五十年の住宅宅地審議会の答申でございますが、第三分位ではおおむね二五%程度の持ち家償還限度率までが限度であるというようにされておるところでございます。そのような趣旨から申し上げますと、例えば七百万円の年収の方につきましては年間約百七十万円程度が限度であろうかというふうに審議会の御意見をいただいているところでございます。
#27
○三石久江君 そこでもう一つお尋ねなんですけれども、先般の資料の八ページに「住宅金融公庫融資における分譲住宅購入資金の特別加算の新設」というのがあります。この住宅金融公庫融資、これが東京圏で四百万円の加算、大阪圏で百万円の加算。それは利率が六・三%と大変低いんですね。ところが銀行から借りますと相当の率になるわけです。もう少しこの住宅金融公庫の融資というのがふえないものだろうかというふうに思うんですが、いかがでしょう。
#28
○説明員(立石真君) 住宅金融公庫の貸付限度額につきましては、毎年度住宅価格の状況等を見ながら、特にまた持ち家取得能力の維持向上を図るべく引き上げを図ってきておるところでございます。平成二年度におきましては、分譲住宅購入資金につきましては全国一律で四十万円の引き上げを行うということとしたほか、ただいま御指摘のとおり、大都市地域におきましては分譲住宅購入資金の特別加算、東京圏四百万円、大阪圏百万円の特別加算を新設することとしておるわけでございます。
 これらの措置によりますと、公庫融資つきマンションを東京圏で購入いたそうとする場合には、二年度には二千六百八十万円の公庫融資が利用可能となるわけでございます。二千六百八十万円ということでございますので、相当の水準の融資が受けられるというように考えているところでございます。
#29
○三石久江君 どうもありがとうございました。
 最後に、政府の「高齢者保健福祉推進十か年戦略(高齢者福祉十か年ゴールドプラン)」というのが出されました。在宅介護ということではホームヘルパーの問題やショートステイの問題、デイケアの問題など随分ございます。きょうは在宅介護の、住の問題ですので、在宅と言うからには住宅の問題が絡んでまいります。
 そこで、二世帯、三世帯の老人同居住宅についてでありますが、介護やリハビリに通した住居が必要になると思うんです。在宅重視と言っておりますから、また高齢者福祉とも言っております政府の案ですが、安い価で安全で老人が行動ができるようなスペースのある住宅構想を考えておられるのかどうか、お考えになっておりましたら構想をお聞かせいただきたいと思います。そしてまた、老人が安心して快適に充実した生活ができる住宅の年次プランができておりましたら御提示いただきたいと思うんですが、いかがですか。
#30
○説明員(立石真君) 高齢者が福祉、保健医療サービス、こういうような社会的なサービスを受けながら可能な限り住みなれた家庭で生活を送るようにすることは、今後の高齢化社会を考えまして非常に重要な課題であろうと住宅政策についても思っているところでございます。そのためには、高齢者の身体特性とかあるいは住まい方のニーズに対応した住宅の整備を進めていくことが重要であると考えています。
 ただいま御指摘がございましたが、これまでも、まず先ほど言いましたような考え方に沿いまして高齢者の身体機能の低下や家族との同居に配慮した規模あるいは設備の公営、公団住宅等の供給を推進してきたわけでございますが、それと並びまして、住宅金融公庫融資におきましても高齢者の同居世帯に対します割り増し貸付制度というのを設けておりまして、平成二年度には元年度に比べて、まず高齢者同居世帯に対しては二十万円を加算した百五十万円の加算、それから老人同店二世帯住宅に対しましては二十万円上乗せしました三百万円の加算というような形によって、個人住宅においての老人同居をふやしていきたいと考えているところでございます。
 なお、構想等につきましては、個別の政策のほか、来年度を初年度とする第六期住宅建設五カ年計画において、住宅宅地審議会においても御審議いただいているところでございまして、今後の五カ年計画等の中におきまして高齢者対策にどう取り組んでいったらいいのか、現在御議論をいただいているところでございまして、その答申はこの六月にもいただけるものと考えておるところでございます。
#31
○三石久江君 最後ですけれども、それができましたらどうぞぜひ見せていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。終わります。
#32
○小林正君 きょうのテーマが内外価格差問題に関する件ということになっていて大変恐縮なんですけれども、私の所属するほかの委員会等でお聞きすることのできない問題がございますので、若干これとも敷衍的に言えば関連があるだろうということで、あえてお許しをいただきまして御質問申し上げたいというふうに思うんです。
 まず、世論調査等をやりますと、日本人の最も好きな国というのはやっぱりアメリカというのが圧倒的に多いというふうに思うんです。それで、逆に最近のアメリカの調査では、最も脅威を感ずる国というのでは日本がかなりのパーセントになる。こういうすれ違い現象というんでしょうか、片思いというんでしょうか、そんなような状況に今なっているわけで、なぜこうなってしまったのか。一方では太平洋新時代というようなことの中
で日米のパートナーシップの問題が言われる一方で、こうした事態が今招来をしている。その背景にはいわゆる貿易摩擦、貿易黒字の問題があるということは承知をしているわけですけれども、マスコミ等で日米関係について近年言われておりますのは、だんだん悪化の一途をたどっている、そしてここまでくると既に開戦前夜だというような言われ方もされているわけであります。そして、ほっておけば大変なことになるんだということが出てまいりました。
 政治的な日程で考えてみますと、この十一月にアメリカの中間選挙がある。そして来年はパールハーバー五十周年、そして再来年は大統領選挙だと。こういうような政治日程や歴史的な経緯というものをたどって考えると、日米関係の中で日本に対するそうした感情といいますか、それらが政治的な日程との絡みの中でさらに増幅をされるというようなことが言われておりまして、そういう点からすると、日本政府も大変対米関係に気を使ったさまざまな対応をされているというふうに思います。そして、一体これからどうなるのかということとあわせましてもう一つ日米の関係を考えてみますと、経済的にはいわゆるジョイントマネージメントと言われるようなもう一方の関係が今一層緊密になってきているという状況もあるわけでございます。
 この開戦前夜、そしてこれから一体どうなるのかということについてさまざまな評論家やマスコミの皆さんがおっしゃるんですけれども、その場合に最悪の事態は避けなければならないという言い方をされているわけです。この最悪の事態というのはどういうことを指して言っているのか。あるいはまた、この七月に最終報告を出します構造協議等の関係についての問題にしても、そうしたことを避けるために何としても日米双方で協議を続けて、信頼の回復と一層のパートナーシップを図っていくんだというようなことで今鋭意努力がされているというふうに思いますが、想定されるワーストシナリオというのは一体どういうものなのか。随分いろいろ危機的に宣伝をされ、ムード的にはいろんなことが言われているんですけれども、どういうシナリオが結果としてそういう事態をもたらすのか、あるいはそうした事態とは何なのか。その辺のところが漠然とした不安みたいなもので、国民にはよく理解できないということもあろうかと思うんです。
 あっちこっちで私もこうした質問をしていますと、いや自分はフューチャリストではないので、そのことについて思い描いてお話はできないと言うような人もいるんですけれども、実際問題として政府の立場から考えてみて、こうしたワーストシナリオというのは一体何なのかということについてお聞きをするのもちょっとどうかと思うんだけれども、聞いてみたいなという好奇心が大変強いものですからお伺いをしたいと思うわけです。
 そのことから発想されて、よってもってこうすべきだというところに至ることもまた大事だろうというふうに思いますので、その辺について通産省の立場、経企庁の立場、外務省の立場、それぞれおありでしょうから、各省庁からお話を聞ければ大変幸せです。よろしくお願いします。
#33
○説明員(藪中三十二君) ただいまの先生の御質問でございますが、最悪の事態とはどういうシナリオであろうかということで、もちろん非常に難しい御質問でございますけれども、我々の心配しておりますのは、やはり貿易摩擦ということでここもうそれこそ数年、あるいはさかのぼれば十数年こういう摩擦時代が続いてきておるわけでございますけれども、それがやはりここ数年特に激しくなってきたということであろうかと思います。
 このまま放置いたしますと、基本的にはアメリカの貿易赤字ということでございますけれども、それがアメリカの産業等々、あるいは雇用問題等々にも影響を及ぼすということで、特に相当に政治的に心配が強まっている。特にそれはやはり日本との貿易赤字が中心である。これは数字上も今のアメリカの貿易赤字の半分近く、四十数%は日本との貿易赤字だということでございますし、そういう意味で日本との競争を非常に経済的に心配する声が強まってきておるわけでございますが、それをこのまま放置すると、今までアメリカは戦後ずっと自由貿易という旗をかざして貿易政策を進めてきたわけでございまして、それがアメリカだけではなくて貿易相手国、日本を中心とした貿易相手国、それから世界全体の経済を引っ張ってきたという面が非常に強いんだろうと思います。
 その自由貿易に対して今非常に強まっているのが保護主義の圧力であることは御案内のとおりでございますけれども、これが強まって本当に保護主義法案がどんどん通るということになりますと、もう世界経済は一変した姿になってしまう。今までも完全に自由貿易かといえば、もちろんいろいろとその間に自由貿易の原則からは少しは離れることというのは実際にあったわけですが、にもかかわらず自由貿易という旗をかざして、やはり原則は自由貿易だということでやってきておるわけですが、そこがもう保護主義の圧力に対抗し切れなくなる、そういうかなり瀬戸際に来ているのかなということを心配しておるわけでございます。そういう意味で、保護主義が蔓延するということになりますと、それが現実のものになりますと世界経済は相当に逼塞した状況になるということで、日本の繁栄にも当然深刻な影響が出るということを懸念するわけでございます。
 したがって、我々としては何とかこのアメリカの保護主義圧力を封ずるような、それで今ブッシュ政権は一生懸命議会を中心として高まっています保護主義圧力と闘っている。自分たちも自由貿易でやりたいんだ、そのためには日本の助力も必要だということ、これが再三にわたって日本側にも伝えられてきておる。こういうことで特にここ数カ月、最近では三月の日米首脳会談以来、日本政府一丸となりましてアメリカとの経済関係をよくするということで一生懸命やってきて、それでそれをもってアメリカブッシュ政権も議会に対して保護主義圧力に対抗するということ、こういうことを可能にして、それで何とか世界的な自由な貿易体制を守っていきたい。
 ちょうど今ウルグアイ・ラウンドが行われておりますけれども、そうやって多角的な自由貿易体制というのを九〇年代の中心にしていく、こういうことがむしろ望ましいシナリオとしてはあって、それが日本にとっては絶対に必要なことだというふうに感じておるわけでございます。
#34
○説明員(河野博文君) ただいまの外務省のお答えに補足するべき点は余りないかと思いますけれども、やはり自由貿易の世界を守っていくという立場から、むしろ日米は建設的に協力していく分野が多いわけでございまして、今御紹介がございましたように、本年末に向けましてウルグアイ・ラウンドが一つの期限に達しますので、これも協力して推進していくべき自由貿易主義の考え方の最も象徴的なものでございますので、むしろ日米間の摩擦をできるだけ解消していく中でこういったより建設的な方向で両国が協力できる状況をつくり出すということが重要だというふうに考えておるわけでございます。
#35
○政府委員(勝村坦郎君) ただいま両省からお答えがありましたことは、基本的に我々全く同意見でございます。
 ワーストシナリオとか日米開戦という言葉を御引用になりましたが、我々日米開戦なんということは到底あるべき話ではない、昔の一九一〇年代から一九三〇年代の悪夢に単に類推して物を言っているだけであって、先生がおっしゃったことを大変言葉を返すようで失礼でございますが、我々としては口にすべき言葉ではないのではないかというふうに思っております。
 ワーストシナリオというのは何かということは、これは両省からお答えがありましたように、やはり貿易上で管理貿易と申しますか、あるいは保護貿易と申しますか、そちらの方に強く傾斜する、これが恐らく一番ワーストなケースであろうというふうに思うわけでございます。恐らくそういうことになれば、これは日米間だけでなくて世界的な貿易の状況に波及をいたしますし、そうい
うことになれば、かつてあったような縮小貿易というような方向に行く可能性も全くないとは言えない、それが一番問題であり、なおかつそれを絶対に阻止すべきだということが我々の考えるべきことであろうと思います。
 また、後ほどお話もあるかと思いますが、今度の日米構造協議におきましても両政府間は全くそういうことで意見が一致をしておりまして、現在一部に生じかかっている保護貿易への動きというものをお互いが努力して何としても防止していかなければならない、こういう原則のもとにこれまで協議を進めてまいりましたし、なお最終報告に向けましてお互いに努力をしていかなければならないところである、こういうふうに考えているところでございます。
#36
○小林正君 今のお話の中で、開戦前夜のような雰囲気だというのは、日本に対する脅威論を含めましてアメリカの中にそういう雰囲気があるということをマスコミが報道している言葉を引用して申し上げたのであって、私自身がどうということではもちろんありません。そして最終的に出てくるのが、例えば経済のブロック化の問題ですとか保護貿易主義というものの台頭というのを、どう今日時点で有効な協議を通じて転換を図るかという課題として今お取り組みをいただいている内容についてもこの間の御努力に敬意を表するわけでございます。
 そういう点で考えてみまして、冒頭申し上げましたように、日本のアメリカに対する感情というのは、非常に国民的には戦後以降の経過を含めまして親米的な対応というのはあるわけでございます。それに対して、なぜここまで来たのかというのは、単に黒字云々ということだけなんだろうかどうなのか。日本に対して異質論というような話が出てくるという状況の中で、一層好ましくない雰囲気が日本たたきの一つの要因として醸成されているようなことも感ずるわけでございます。特に今後日米間のそうした認識のギャップを埋める手だて、努力というものについては相当な努力が必要なんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。
 二つ目の問題として、今、中間報告が出てこの七月に最終報告という段階を迎えました今回の日本とアメリカの関係の中で、特にアメリカがイニシアチブをとって構造上の障壁についてこれをどうするかということで議論をされている内容でございます。この問題について、実は日本の国民の八〇%が、例えば先ほど出ましたような独禁法の厳正な適用の問題ですとかあるいは土地税制について、さらには公共投資といったような点については国民生活の上からいえば大変プラス要素の課題についてのテーマが取り上げられて、これについて今回の大きな柱立ての中でそれが位置づいてきた、このことについて約八割の日本人が期待感を持っているというような状況がございます。
 一方、きのうの新聞を見ますと、前川リポートを作成された中心の、お亡くなりになった前川さんの記事が出ておりましたけれども、この前川リポートにつきましては一月の国民生活調査会等の中で私も御質問申し上げた内容もございますが、基本的には日本の主体的な経済上のさまざまな課題、構造そのものについての改革というものを既に提起された路線の中で進めていれば今日がなかったのではないか、こういうふうにも思うところでございます。
 そういう視点に立って考えまして、アメリカ側から構造という問題について発議がされてきた、その構造というのは一体どういうものなのか。マスコミでは個別から構造へというような関係の中で日米の話し合いが進められている。その構造というものは基本的にお互いに話し合って決着がつく課題なんだろうかどうなのかという点で言いますと、構造自体を問題にしたのがそもそも問題だというような指摘まで一方にはあるわけであります。この問題について、それぞれの国の持つ構造というのは歴史的、地理的条件、そうしたものを背景にしてつくり上げられてきた経過があるわけですから、構造という問題について一体どういうふうにとらまえて今回こうした協議が進められているのか、その原則的な点についてちょっとお尋ねしておきたいというふうに思います。
#37
○政府委員(勝村坦郎君) この場合の構造協議でございますが、御指摘のとおり英語でストラクチュアルインペディメント、お互いに構造と申しておるわけでございます。これは全世界的に眺めますと、これだけ国際的な相互依存あるいは経済的な相互の浸透関係というものが強まってまいりますと、やはりお互いの国の構造を問題にせざるを得ない歴史的な流れというのがあらうかと思います。
 構造を問題にしておりますのは日米間だけでございませんで、例えばOECDなどではもう十年以上前から各国の構造調整、どういうふうに各国がお互いの何と申しますか、貿易あるいは資本取引その他自由な経済圏としてお互いに発展するためにどういう構造的な障害があるかということをいろいろ研究をいたしまして、現在でも各国の構造調整問題というのが、去年もそうでございましたし、ことしの閣僚理事会でも大きく取り上げられようとしているわけでございます。そういうところでは何も日本だけが問題にされているわけじゃございませんで、各国の中にある構造というものに、こういう国際的に広がった市場経済、それを円滑に進めていくために何とか直してもらわなくちゃいけない問題というのを相互に指摘し合いまして、それを調整していくという努力を進めているわけでございます。
 日米間の問題、ただいま御指摘ございましたとおり、構造問題協議ということになっておりますが、どうも新聞上は何かアメリカ側だけが日本の構造を問題にして攻め込んできているという印象が非常に強いわけでございます。確かに最初のきっかけはブッシュ大統領のステートメントから始まってはいるわけですが、日本側としましてもこれにかかわらずアメリカの経済、マクロ経済の運営あるいはアメリカの現在の経済構造というのは非常に問題があるのではないかということから、前々から指摘をしておりました。
 今度の協議におきましても、日本側から特に大きな問題として七項目挙げておりますが、まとめますと、一つはアメリカの連邦財政の赤字、これは単に日米間の問題だけではなくて、要するに一九八〇年代の国際金融市場の混乱の最大の原因になってきたのではないか、これはアメリカの責任としてきちんとしてもらわないとどうにも困るということははっきり申しましたし、またアメリカの家計の貯蓄率がどんどん下がってきていた、最近やや回復しておりますが、下がってきていた、こういうことでは健全な投資と成長というものを支える力自体がアメリカになくなってきている、こういうことを続けてもらっては困るということ。それからアメリカの企業あるいは産業行動のいろいろなビヘービアというものがアメリカ経済の力自体を弱くしてしまっている、その結果アメリカの赤字の一因となっているんではないかというようなことを非常に強く指摘してまいりました。
 またアメリカ側も、ことしの大統領教書、予算教書あるいは経済報告等におきまして、こういうことは確かに現在のアメリカ経済にとって大きな問題である、ぜひ是正しなければならないということを強調しているわけであります。例のグラム・ラドマン法に示されておりますような財政赤字の縮小努力というのも、やはりそういうことを特にレーガン政権からブッシュ政権になりましてより強く認識をしてきているということであろうと思うわけであります。
 日本側につきまして指摘されておりますことは、先生おっしゃいましたように、これは何もアメリカから新たに指摘されたというのは非常に少のうございます。むしろ前川リポート、あるいはちょっと自己宣伝をするようでございますが、ここ十年来の経済白書なんかごらんいただきますと、これは何とかしなくちゃいかぬ構造問題だというんで、我々自身が、日本政府自身が指摘をしてきた問題がほとんどでございまして、おっしゃ
るとおり、いま一層早目にそういう問題が解決されていれば今になって指摘されることはないではないかとおっしゃるのは、もうそのとおりでございます。
 やはりなぜ他国の構造まで問題にするのかというのは、現在の国際経済社会にあってはこれはもう何と申しますか、特異なことではございませんで、もう既に各国間のこういう関係の中では当然のお互いの了解事項ということになっているわけでございます。もちろんどこまで主権の問題があるかどうかというようなことは残ろうかとは思いますが、やはりお互いに構造問題まで踏み込んで国際的な市場経済の拡大ということを維持していかなければならない、そういう経済社会に今世界が既になっている、我々こういうふうに理解をいたしております。
#38
○小林正君 通産省。
#39
○説明員(河野博文君) 今の経済企画庁のお答えに全面的に賛成でございまして、つけ加えるべき点は少ないわけでございますけれども、この構造問題協議の最初は昨年の日米首脳会談でございまして、このときの基本的な考え方も、国際収支の不均衡というものを解消していく上で、もちろん基本的にはマクロ政策によるべきことは言うまでもないわけでございますけれども、これを補完するような位置づけとして両国の構造的な問題について協議をしていってはどうかということで合意を見たわけでございます。
 具体的に構造問題というのはそれではどういうものを指すのかというのはいろいろ御議論のある点ではなかろうかと思いますけれども、御案内のとおり、米国側から日本側に対しまして構造問題ということで議論をしたいといってまいりました項目は、貯蓄・投資のバランスの問題でございますとか流通の問題でございますとか六分野でございまして、他方、私どもが米国の抱える構造的な問題ではなかろうかということで指摘をしてまいりましたのは、同様に貯蓄・投資のバランスの問題でございますとか企業行動の問題でございますとか、合わせて七分野に上るわけでございます。こういった問題を幅広く双方それぞれアイデアを提供しながら議論するということは、先ほど申し上げましたようなマクロ政策の一つの補完的なものとして一つの方向ではないかというふうに考えているわけでございます。
#40
○説明員(藪中三十二君) 一言だけ追加させていただきますけれども、アメリカ側とこの協議をやるときに二点確認したことがございます。
 一つは、構造問題協議ということで構造問題を協議するわけですが、これはあくまでいろんなアイデアをお互いに出し合う、しかしやることは自分の判断で、今御指摘のとおりもともと自分の課題としてやることであるということでございまして、それはそのとおり確認してございますし、もう一つは、日米双方の問題を取り上げるということで、日本はアメリカの構造問題についてもいろいろアイデアを出さしてもらいますよということで、ブッシュ大統領もこれは双方通行、両方の問題をやるんだということ、この点は十分確認されておるわけでございます。
#41
○小林正君 七月に一定の結論を出すと、こういうことでこれからも進められるわけですけれども、今お話をお聞きしておりまして、主体的に既に日本でも前川リポート、行革審等の対応の中で主体的な方向性というものについてはこの間あったわけですが、七月という、あるいは四月という時間的な関係で考えてみますと、この問題は一体本質は何だったのかということを冷静に考えて、そして基本理念というものを明確に打ち出して、それに従ってペース配分もきちっとしてやっていくということが大変大事だと思うんですね。
 その中で、冒頭申し上げました、例えばアメリカで言えば十一月に中間選挙がある。そこへ向けてアメリカの議員の皆さんがこれから日本との関係について構造協議を通してどういう成果をアメリカ国民に訴えていくのかといったような点を考えてみますと、一部マスコミの中で、例えば日本が公共投資についてこれから一生懸命やるということを約束した、したがって日本の下水道はこれからよくなるだろうということを成果として有権者に訴えるなんということはあり得ないんだということも指摘をされているわけです。
 私は、日本経済というのは、やっぱり貿易立国で、そしてボーダーレスエコノミーと言われる時代の中で、そしてまた一層グローバリゼーションが進行していくその中にあって、日本の経済構造というものが基本的にどういうものでなければならないのかという理念については既に今までの中でもかなり出てきているわけですから、それに基づいて国内の政策、制度的な面からの対応というものを着実に積み上げて、そしてそのことを一つ一つやり遂げていくということがやっぱり重要じゃないかというふうに思うんです。
 それが日限を限られた形の中で、国内的にはこういう約束をしてきたけれども外圧によってこうなっちゃったんだから勘弁してもらいたい、そして大急ぎで国内の対応をしていくといったような、極めてつけ焼き刃的に、結果としていろんな議論があったにもかかわらず外圧でその方向の中でまとめられていくというようなことがあってはやっぱりいけないというふうに思うんです。
 例えば大店法の問題にしましても、今度の大きな目玉の一つでありますけれども、そのことが結果としてどういう事態をもたらすのかということを含んで、やっぱり国内的に言えば国民合意を求めていかなければならない課題でもあるわけですから、その全体像とそしてお互いに痛みの部分についてはこうだと、しかしこういう部分が前進的にあるということがトータルとして示されるようなものがないと、単に時間に追われる形の中であれやこれやの議論がすべて封殺をされて、結果としていろんな矛盾をまた抱えていくというようなことになっては大変だというふうに思うんです。
 そういう意味で、これからの持っていき方ですね、日米間の政府としては一定の合意形成ができるかもしれないけれども、アメリカでは議会というハードルがある。日本についても同じだというふうに思うんです。今後これらの問題について、国内の課題としてどういう問題意識をお持ちなのか、その点をお伺いしておきたいというふうに思います。
#42
○政府委員(冨金原俊二君) ただいまの議論をお伺いしながら感じた点でもあるわけですが、一体経済構造調整あるいは構造改革というのは何のためにするんだということでございますが、確かに日米の構造協議で議論されている構造協議のあるいは構造改革の考え方と、それから日本全体が経済社会の構造調整、改革をしなければいけないという問題とは必ずしも同じではないんではないかというふうに考えているわけです。
 私は我が国の経済の中期計画を作成する責任者でございますけれども、そういう立場で経済審議会などの場を通じていろいろ議論をしております。何のために構造改革を我々がしなければいけないんだということについて、理念というところまでは言えないかもわかりませんが、三つぐらいに整理できるんではないかという気がしているわけです。
 第一点は、先生もおっしゃいましたように、やはりこれはグローバル化をしていく中で日本の経済社会はこれから将来に向かってどういうふうにやっていったらいいかという視点が非常に大事である。これは釈迦に説法ですけれども、とにかく戦後、戦前からもそうかもしれませんが、自由経済社会の中で日本が努力をしながら今日まで来たわけですけれども、そういう自由経済体制の恩恵を非常にこうむっているわけですから、しかも今や日本は非常に大きくなっているわけですから、そうすると世界の中で日本が行動し、それがしかもついていくんではなくて先頭に立っていくというためのみずからの積極性を、例えば自由経済貿易を守るあるいは体制を維持するということについて、政府も国民一人一人もみんなその気になってもらわぬと困るという点が一つあると思うんですね。
 それからもう一つの視点というのは、やはり消
費者、あるいは言葉としてこなれていないかもしれませんけれども、生活者としての立場というものをもう少し重視した構造調整をしなければいけないのではないか。そういう観点から考えますと、もちろん日本の経済社会というのはこれまではどうしても企業中心でやってきたわけです。そのために日本の活力というものは生まれたわけですけれども、その活力の維持というのは非常に大事なことと思いますが、これからはやっぱりそれをもう少し国民の豊かさに結びつけるような施策をやる、そういう構造調整が必要ではないかというのが二番目の視点だと思うんですね。
 それから三番目の視点ですが、これは先ほど先生がおっしゃいましたけれども、あるいはここでいろいろ御議論されると思いますけれども、何といっても二十一世紀に向かって考えますと、日本の社会というものは本当に速いスピードで高齢化していくわけですね。今までは人口はふえてまいりましたけれども、人口もある時点からは定常状態に入って、減ってしまう。そういう中で一体どういう社会をつくっていったらいいんだろうか、あるいは限られた期間の中にどういう社会資本の整備をしたらいいんだろうかという視点がこれから非常に大事になってくるのではないか。
 我々の構造調整というのはそういう視点を持った中でどうやっていくか、例えば大店法の話でもそうでございますけれども、これは歴史の流れを見ておりますと、大規模小売店と中小小売店との利害の調整ですけれども、少なくともその中にはやはり消費者の視点というものが本来は入っているはずなんですね。だから、そういう視点をもう少し強めて考えたら一体どういうことになろうか。あるいは土地問題だってそうだと思うんですね。
 ですから、そういう意味で、日米構造協議で考えられていることは、かなりの程度そういう今私が申し上げている立場とオーバーラップをすると思うんですけれども、必ずしも一緒ではない。我々がやっぱりそういう立場に立って物を考えるということが非常に大事ではないかというのが私の立場からの意見でございます。
#43
○説明員(河野博文君) 今大店法のお話もいただきましたので、私どもの考え方を少々述べさせていただきたいと存じます。
 日米構造協議で中間報告という形で出しました考え方は、やはりいろいろ議論はいたしましたけれども、またアイデアの交換もいたしましたけれども、あくまで私どもが自主的にこれが日本のためになるという判断で決めた内容でございます。その中には大店法の問題も含まれるわけでございまして、今経済企画庁からもお話がございましたけれども、国民生活の質の向上あるいは消費者利益の増進という観点から、これは従来も私ども「九〇年代流通ビジョン」という考え方の中にこういう視点から運用の改善などが必要というふうに考えていた、この方向に基本的には沿ったものだということでございまして、今回の内容もそういう考え方をよく皆様方に御説明をして、御理解をいただきたいというふうに考えているわけでございます。
#44
○小林正君 最初の鎌田委員の独禁法絡みの御質問でもございましたが、既に独占禁止法という法律があって、そして今度の構造協議の中でこれが厳正な適用というような形で柱立てで議論をされるというのは一体どういうことなのかなということをつくづく感ずるわけですが、今いろいろ今後へ向けての御決意も伺ったわけですけれども、具体的に構造、言ってみれば骨組みを変えて、発想の転換を図って生産第一主義からグローバリゼーションの中で共生の道を求めるんだ、そういう理念というものを求めてこれからの日本というものを位置づけていこうということになりますと、これはやはり大変な改革の決意がないとできないというふうに思うのです。
 その中で、必ずしもすべてがそれによって利益を得るということにならないで、痛みを分かち合う部分というのも当然出てくるということを含んで、日米間で話し合った結果についてはこれを誠実に実行するということが信頼の第一歩でありますから、求められていきます。その場合のアクションプログラムといいますか、そういったようなことについて、一体今後の日程の中でどういうふうに策定されていくのか、最後にその辺をちょっとお伺いをしておきたいというふうに思います。
#45
○説明員(藪中三十二君) 今御指摘のございましたまず中間報告というのが出たわけでございますけれども、これから夏に向けまして、この中間報告に盛り込まれた諸措置の具体化ということで作業を進め、最終報告に向けての作業になるかと思いますが、そこで定められました措置を着実に実施していくということになろうと思います。当面は最終報告に向けての作業ということでございますけれども、そこで措置が確定しまして、その後のそれをどうやって着実に実施していくかということ、これはその時点で十分にまた検討し、作業を進めていくことになると思います。
#46
○小林正君 もう一点済みません。
 それから、個別品目の問題につきましては、人工衛星、スーパーコンピューター、木材、それからこの間の新聞ではいわゆるアモルファス合金等についての話が出ておったわけですけれども、スーパー三〇一条との関係で言うと第二次分の問題がこの四月あたりにまた提起をされてくるということも伺っているのですが、一体どういうものが想定されるのか、最後にお尋ねします。
#47
○説明員(藪中三十二君) スーパー三〇一条につきましては、昨年日本がスーパー三〇一条の対象に三品目が認定されたわけでございますけれども、我々はそういうもとでは交渉しないということでございましたが、日米間で問題があればそれとは別に交渉するあるいは話し合いをするということで進めて、実質的な解決を大半は見ておるわけでございます。当然これだけの進展もございますし、第二回の認定というのは、アメリカ政府、行政府はアメリカの法律に基づいて行わなければならないようでございますけれども、当然日本がそういう対象になるはずはないということで我々としては考えておるわけでございます。
#48
○小林正君 以上です。
#49
○広中和歌子君 内外価格差縮小に向けて消費者、生活者の視点からそれを今後解決していかなければならない、そういうことでございますけれども、日本社会の構造的問題そのものにメスを入れなければならないということは、アメリカ側から求められているだけではなくて日本人自身が気がついていることではなかろうかと思います。そして臨時行政改革推進審議会の答申におきましても、系列取引とか排他的慣行、商習慣、輸入総代理店制度などにメスを入れると同時に、独占禁止法の厳正な運用が非常に大切である、そのようなことが言われているわけでございます。私に与えられましたきょうの調査会での三十分の時間は、独占禁止法の適用に限りまして質問をさせていただきたいと思います。
 独占禁止法違反事件の処理状況についてお伺いしたいのでございますけれども、まず民間からの申告件数というものはどのくらいあるのでございましょうか。過去数年にわたっての件数をお知らせいただきたいと思います。
#50
○説明員(鈴木満君) 御説明申し上げます。
 独禁法四十五条に、何人もこの法律の規定に違反すると思うときには公取にその事実を報告して調査を求めることができるという規定がございます。この規定に基づいて当方が受理しました件数は、五十九年度から申し上げますと、五十九年度が五千二百七十四件、六十年度が二千八百二十二件、六十一年度が二千六百五十七件、六十二年度が三千五百四十二件、六十三年度が二千六百件、平成元年度が二千八百十件となっております。
#51
○広中和歌子君 これの扱いはいかがなものなのでございましょうか。
#52
○説明員(鈴木満君) これらの申告件数のうち違反している疑いがあるものについて調査をいたすわけでございまして、この件数は、同じように五十九年度から申し上げますと、五十九年度が二百
九十五件、六十年度が二百五十九件、六十一年度が二百二十六件、六十二年度が百九十四件、六十三年度が百八十件、平成元年度が二百七十件となっております。
#53
○広中和歌子君 審査件数でございますけれども、申告件数に比べて非常に数が少ないというような気がいたしますし、また年を追いまして一時下がってきて、平成元年度ぐらいからはちょっとふえているのでございますけれども、この点のいきさつについてお答えいただきたいと思います。
#54
○説明員(鈴木満君) この申告件数というのは、いろんな情報が入っておりまして、独禁法に直接関係ないものも一応お受けしているわけでございまして、その中で独禁法に違反する疑いがあるものについて調査をしているわけでございます。同じ情報でありましても一つの事件に収れんする場合もございますし、そういう意味で申告件数と審査件数には差がございまして、少のうなっております。今先生御指摘のように五十九年度よりはずっと件数が減少しておりますけれども、平成元年度は非常にふえております。ごく最近で言えば非常にふえておるといったところでございます。
 なぜ減っておるのかということについてでございますけれども、先ほど申告件数をちょっと御紹介いたしましたけれども、申告件数自身も五十九年度以降大分減っておるというのが背景にあると思います。なぜそういうのが減っておるかといいますと、我々考えておりますのは、五十二年に法改正されまして課徴金制度ができました。価格カルテルに対して課徴金がかけられるようになったわけでございまして、これが非常に抑止効果を生んでおるのではないかと考えております。それから、いろんなガイドライン等をつくりまして予防行政を推進してまいりましたが、これによって企業等に独禁法の規制の趣旨、考え方が浸透して未然防止に努めておられる、そういったことも考えられます。大体、当方としましては、違反の疑いがあるものについてはぴしっと調査をしているつもりでございます。
#55
○広中和歌子君 その審査の結果どのように処理をなさったかということを伺いたいんですが、私の手元にあります資料で、例えば昭和六十三年度の分によりますと、百七十八件審査した中で歓告、警告、注意、打ち切り、そういうものを含めまして九十六件になっております。
 勧告、警告というのは単にそれで終わってしまうわけでございますか、罰則とか何かはないわけでございますか。
#56
○説明員(鈴木満君) 今御紹介されましたように、六十三年度の処理件数は九十七件でございます。そのうち勧告が六件、それから警告が六十五件、打ち切り等が二十五件というような内訳になっております。
 今先生御指摘の勧告というのは、いわば独禁法の規定に基づいて排除措置を命令した、最終的には勧告審決という形になりますけれども、法的手続をとったものであります。それから警告というのは、違反の疑いがあった、法的な措置をとるほど証拠は集まらなかったけれどもやはり問題の行為はございましたので、それは排除さしております。これは行政上の手続でありまして、いわば罰則というのは公正取引委員会が告発をして検察庁の方でお調べになって、それで起訴をして裁判の後に有罪になるという手続でございまして、こういった告発をした件数はございません。
#57
○広中和歌子君 そのことを伺いたかったのですけれども、ということは審判手続に至った例というのは全然ないのでございますか、それとは別でございますか。
#58
○説明員(鈴木満君) ちょっと説明が不十分だったかもしれませんけれども、審判というのはいわば行政処分、行政命令を出す手続でございまして、独禁法の違反で調べまして違反事実が認定されますと、原則的には審判手続を経て、これは公正取引委員会が主宰するわけでございますが、その審判廷において事実を究明してそれで審判審決を出す。そのかわりというか簡便的な手続でまず違反行為が認められましたらば、やめなさいと勧告をしまして、それでわかりましたとなりますと勧告審決というそういう行政命令になるわけでございます。
 応諾をしないと審判手続に入りまして、それで最終的には審判審決になるわけでございまして、こういった審判手続というのは公正取引委員会がやるものでございまして、いわば刑事罰、刑罰の手続ではございません。先ほど申し上げましたけれども、刑事罰の手続は告発を検事総長に、検察庁にしまして、検察庁で調べるというもので、ちょっと手続が違いますので、その点御理解を賜りたいと思います。
#59
○広中和歌子君 審判手続に至った例というもの、それから課徴金納付命令件数、そういったものはほとんどないのでございますか、例としてお示しいただきたいのですが。
#60
○説明員(鈴木満君) まず審判開始決定というか、審判手続に入っているものでございますが、昨年度、平成元年度ですね、勧告したものの中で一件審判手続に入っております。それから、過去五十年代に一件開始されたものもございまして、それも今審判が継続しております。独禁法違反の関係で今審判になっているのはその二件でございます。
 それから、課徴金納付命令でございますけれども、これは独禁法の七条の二という規定に基づいて、価格カルテルとかあるいは価格に影響があるカルテルをした場合には課徴金、カルテルによって得られた利得を国庫に徴収するという制度がございまして、昨年度におきましても七件勧告しておりますが、このうち課徴金対象の事件は六件ございます。これについては課徴金を徴収し、また、今さらに手続を進めておるところでございます。
#61
○広中和歌子君 課徴金の場合でございますけれども、どのような計算になさるんでしょうか。つまり違反をしたということで重加算をするというような厳しい罰と言ったらいけないんでしょうか、そういったことはやっていらっしゃいますか。
#62
○説明員(鈴木満君) 課徴金につきましては独禁法の七条の二にその規定があるわけでございますけれども、ここではカルテルをした期間でございますね、例えば値上げなら値上げをした日からカルテルがなくなる日までの、これを実行期間と申しておりますが、業種によって差がございます。例えばメーカーでありましたら売り上げの四%の半分、二分の一ですね、すなわち二%でございます。これはどういう計算かといいますと、四%というのは大体企業の平均的な利益率に相当するのではないか、その半分がカルテルによる利得だ、それを国庫に徴収しちゃおうと。したがって、カルテルをやってももうけが出ないようにしようというのがこの制度の趣旨でございまして、メーカーでありますと売り上げの二%の課徴金を当方が徴収するわけでございます。
 この率は、例えばサービス業でありますと三%の二分の一で一・五%、これは建設業でもそうでございます。そういうふうに業種別によって差がございます。これは最低足切りというのがありまして、二十万円以下は足切りというわけでございます。
 念のためつけ加えますと、利益の二分の一を課徴金でとるわけですけれども、これについてはいわば損金算入ができませんので、したがって企業としては二%にさらに税金がかかりますから、大体利益に相当する分をとられてしまうというのが一般的な状況のようでございます。
#63
○広中和歌子君 損金算入のことは考えませんでしたけれども、ともかく見つからなければよろしい、見つかればカルテルによって得た利益のその分だけとられるというのであれば、どちらかというと非常に甘い処置ではないかなと思われるわけでございます。
 独占禁止法というのは、戦後アメリカから消費者の利益を代表して守っていただくという趣旨で導入されたんだと思いますけれども、私はよく知っているわけじゃないんですが、何かアメリカなんかと比べまして申告件数の割には実際に審査さ
れる件数も少ないし、そして処理も勧告、警告などで終わってしまうということ、そしてまた民間が直接告発できないといったようなところで、非常に運用が緩やかであり、消費者の利益を十分に代表していないんじゃないかといったような感じもするわけでございますけれども、現在の時点におきまして、このように内外価格差、その他外圧、また国内からの消費者の視点での要求、そういうものの中でどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#64
○説明員(鈴木満君) 私どもとしましては、申告というか、情報提供されたもののうち独禁法に違反するおそれのあるものについてはきちっと調査しているつもりでございますけれども、先ほど来出ておりますように、申告件数と審査件数とを比べますと確かに差はございます。これは先ほども申し上げましたように、いろんな情報が入っておりますので一概に少ないとも言えないと思います。私どもとしましては、法違反が認定されたら当然これは法的措置をとるといった方針は従来とも変わりませんし、今後さらに一層そういったことを推進していこうと考えております。
 また、告発のあれが民間の方ができないのではないかという御質問がございましたけれども、これにつきましてはやはり確かに公取が専ら告発するとされておりますが、これは公正かつ自由な競争を制限するという違法性の判断とか証拠を認定の上で専門的な知識が特に必要があるということと、それから独禁法の一体的運用を確保するというのが必要だということで公正取引委員会の専属告発制度というのが設けられているところでございます。
 公正取引委員会は一般からの報告その他により違反被疑行為に係る情報収集に努めて、違反事実があると認められます場合には今後とも厳正に対処していきたい。さらに、この違反行為の抑止力を強化するためにも違反行為の悪質性とかそれから社会的影響の重大性等を勘案した上で、必要と認められます場合には一層積極的に告発というものを行っていきたいと考えております。
#65
○広中和歌子君 鶴岡訴訟というのがございまして、そして結局は最高裁でもって十分にカルテルの証拠がないということで消費者側が逆転敗訴になったというケースがございますが、日本の場合消費者が立証責任を負う、そういうことは日本のように情報公開が認められていない、非常に厳しく守秘義務というんでしょうか、秘密が守られている、特に業者の側に。そういう中でとても無理ではないか、消費者の側が非常に不利な立場に立っているんじゃないかというような気がするんでございますけれども、それはむしろ立証責任というのは売る方の方が行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#66
○政府委員(矢部丈太郎君) 独占禁止法違反行為があったときに、被害者が裁判所に訴えて損害賠償を請求するというのはアメリカでは非常に広く行われていて、日本でも制度があるわけでございますけれども、余り今まで十分それが活用されていないというようなこともございまして、今、現行のその制度をもっと活用するにはどうしたらいいかというような方法について公正取引委員会で検討しているところでございます。その検討の結果を見まして日本でももう少し効果的に活用するような措置というのを考えていきたいと思います。
 なお、立証責任の問題でございますが、これは日本でもアメリカでもやはり損害を請求する者が立証しなければならないわけで、独禁法の違反行為と被害との因果関係、それから損害額がどれだけかと、これは日本もアメリカも同じでございます。なお、情報公開ですとか、そういう損害額の立証責任というのは独禁法だけの問題ではなくて、日本の訴訟全体の問題にわたりますものですから、非常に慎重にもう少し全体的な立場から検討しなければならない問題ではないかと考えておます。
#67
○広中和歌子君 次に、公取の組織のことについてお伺いいたします。
 委員の数は何人ぐらいいらして、どのような形で任命されるんでしょうか。
#68
○政府委員(矢部丈太郎君) 公正取引委員会は、委員長一名と四人の委員から成っております合議制の行政機関でございまして、これは内閣総理大臣の任命に基づいて国会の両院の同意を得た上で発令されます。
#69
○広中和歌子君 どういう方が選ばれていらっしゃいますでしょうか。どういう御出身の方。
#70
○政府委員(矢部丈太郎君) 現在の五人の構成につきましては、要するに元行政機関の方から成っておりまして、具体的には大蔵省出身の方、それから法務省出身の方、通産省出身の方、それからあと公正取引委員会の事務局から二人上がっております。
#71
○広中和歌子君 御専門ということでそういう方が選ばれたんだろうと思いますけれども、今後民間の方というんでしょうか、消費者の立場を代表するような方も選ばれる必要があるんじゃないかということを御提言申し上げておきます。
 次に、事務局の体制でございますけれども、審査部の現状、そして予算について、これまでとそしてこれからどのような取り組みがなされていくのか、そういうことについてお伺いいたします。
#72
○政府委員(矢部丈太郎君) 公正取引委員会の事務局の定員は、現在のところ四百六十一名でございます。
 なお、日本におきましても競争政策の重要性というのは十分認識されておりまして、従来から公取の定員につきましては、公務員全体が非常に定員管理が厳しい中におきましても毎年充実が図られてきております。なお、最近の日米構造摩擦あるいは公正かつ自由な競争を促進することがなお一層重要であるというようなことから、平成二年度の政府予算案におきましては特に審査部門を中心にかなりの増員が図られております。
 審査の体制でございますけれども、本局と各地事務所に審査を担当する者がおるわけでございますが、現在百二十九名でございます。これが平成二年度におきましては二十五名の増員で百五十四名の体制になることになっております。
 なお、公正取引委員会の充実につきましては、これからも引き続きまして整備充実に努めていきたいと考えております。
#73
○広中和歌子君 消費者の視点から、立場から大変に望ましいことだと思いますので、大いに頑張っていただきたいと思います。
 内外価格差の生まれる原因として日本の商習慣ということが言われるわけですけれども、企業側、メーカーというんでしょうか、メーカー側の希望小売価格、いわゆる建て値制というのがございますけれども、小売業者へのリベートが払われている、あるいはお金ではなくてもさまざまな形の、例えば温泉旅行に招待するとかといったようなリベートが小売業者に払われているということで私びっくりしたのですが、普通、リベートというと、外国、特にアメリカなんかでは消費者、買う側に、これを買ってくれたらこういうリベートがあると、払い戻しというんでしょうか、そういうものは末端の人がもらうのかと思っていたらば業者がもらう、そういうような制度になっているそうですが、こういうのは独禁法の、公取の、何というんでしょうか、審査の対象にはならないのでございますか。独禁法違反にならないか。
#74
○説明員(大熊まさよ君) 今先生御指摘のように、日本の消費財分野におきましては、メーカーが希望小売価格を設定しまして、それを基準に流通の各段階で取引についていわゆる建て値というものを設定する慣行が広く行われておりますし、また、個別の取引条件に応じましてそのリベートが流通業者に対して支払われるというのは多く見られるところでございます。これは事業者の事業活動におきまして販売価格を自由に設定するというのが最も基本的なことでございますから、メーカーが流通業者の販売価格を拘束する場合には独占禁止法で禁止している不公正な取引方法に当たるというふうに考えておりまして、その場合には原則として違法でございます。
 そのメーカー希望小売価格なり建て値というものは、実際の販売価格を決める際のいわゆる目安とか参考価格というふうにして設定されているものでございまして、メーカー希望小売価格とか建て値の設定を通じて流通業者に販売価格を指示したり、それに従うことを条件にリベートが支払われているような場合には、再販売価格の拘束として独禁法上の問題になるということでございます。そういう問題につきましては、公取としても厳正に対処しているというところでございます。
 リベートそれ自身の問題につきましては、いろんな目的のために使われておりますし、また価格の一要素として市場の実態に即した価格形成を促進する、そういう側面もございますから、リベート自身は直ちに問題になるというふうには考えておりませんが、先ほど申し上げましたように、リベートを支給するようなことによって再販売価格の拘束の実効確保手段になっているというような場合につきまして、公正な競争を阻害するおそれがある場合には厳正に規制しているというところでございます。
#75
○広中和歌子君 そういうケースが何かいっぱいあるような気がして、それをどういうふうに今の人数で取り締まっていらっしゃるのかなと思って、これこれこうだからということで私は証拠をもって申し上げられるわけじゃないんですけれども、何かそういうところがもういっぱいあるような気がするんですね。
 それからもう一つなんですけれども、これはアメリカ側の要求でございますが、輸入品が、海外の品物が日本でなかなか扱ってもらえないということ、それから参入できないというようなことがあるわけです。系列ディーラーが他社の製品、これは国内のものでもよろしいわけですが、または輸入品を扱わないということ、そういうことも随分あるような気がいたしますけれども、そういうことはそのこと自体問題がございませんか。
#76
○説明員(大熊まさよ君) メーカーが販売業者に対して他社製品を扱うなとか輸入品を扱うなというような問題につきましては、通常専売店とかいうふうに言われているんですけれども、そういう問題につきましては、市場において有力なメーカーがそういう専売制をとることによりまして、例えば自動車ですと、自動車の流通経路が競争メーカーにとって閉鎖されるおそれがあるような場合というのは排他条件につき取引として独禁法上問題であるというふうに考えております。例えば自動車業界なんかにつきましては過去に公取の方で実態調査をいたしましたし、その結果他社製品の取り扱いを禁止しているというような問題については改善措置をとるように指導をいたしました。今後とも、こういう取り扱い商品に対する流通業者の自主的な判断が妨げられて流通経路が競争メーカーにとって閉鎖されるようなことがあれば、厳正に対処していきたいというふうに考えております。
#77
○広中和歌子君 勧告なさったというふうにおっしゃいましたけれども、例えばアメリカのカーディーラーは、例えばシボレーがトヨタを扱うとか、そういうようなことを現実に行っているわけですけれども、日本ではなかなかそういうのが見られないのは、そういうような要求が外国のオートメーカーまたはディーラーからないということなんでございますか。
#78
○説明員(大熊まさよ君) 自動車業界に対することでございますが、これは実態調査に基づきまして指導をしたということでございまして、先ほどの審査部の方の独禁法違反に基づく勧告という措置ではございませんのですが、契約条項から専売条項を削除させたということでございます。
 それから、ディーラーの方としましては、メーカーから言われて他社製品は扱わないということではなくて、ディーラー独自の判断でどれを扱うかということであれば、それ以上に独占禁止法の観点からディーラーに対してどこのものを扱えと言うことはできないことでございまして、そこはあくまでディーラーの自主的な判断に任せられているというふうに考えております。
#79
○広中和歌子君 その自主的な判断というのがそうすると日米摩擦の構造的問題になるのでございましょうかね。御見解を伺います。
#80
○説明員(大熊まさよ君) ディーラーとしてアメリカの車を売りたいかどうかというそういう営業上の御判断があると思いますから、そういう意味で自主的な判断というふうに申し上げたのでございますが、現在いろいろな日本の取引の商慣行とか流通問題につきましては、昨年九月から流通・取引慣行等と競争政策に関する検討委員会というのを公正取引委員会の中に置きまして、内外から指摘のありましたいろいろな問題につきまして、現在競争政策上の評価とか対応の方向について総合的な検討を行っているところでございます。
#81
○広中和歌子君 どうもありがとうございました。質問を終わります。
#82
○近藤忠孝君 きょうは、時間の関係で土地問題に限って質問をしたいと思います。
 四月十七日の、前回国土庁が報告になりましたこの資料によりますと、土地の急上昇が東京圏が六十二年から、大阪圏は六十三年から、名古屋圏が平成元年から、その他の地域がことしからと一年ずつずれて急上昇が始まっておるわけですね。東京で急上昇が始まったときに他の地域で手を打ち、それから東京でももっと早くかつ厳しくチェックしておくべきだったと思うんです。前回、土地局長も後手後手と言われておりますがと、半ばこれは認めたんだと思いますが、この資料の中の「最近の土地対策」という中で「監視区域制度の的確な運用」とありますけれども、どうも的確でなかったというのが正確だと思いますが、これは指摘にとどめておきます。
 それで問題は、やはりこの資料の中で、土地関連融資について指導を行ったとなっておりますが、しかし、資料の数字は不動産業向け融資、これは昭和六十年三月末に二十兆円、それが平成元年十二月末四十七兆円と二・五倍近くふえておりますし、総貸出残高に対する比率は、六十年のときに七・四%が六十四年、これは元年十二月になりますが一〇・七%。規制をしたと言うけれども逆にふえちゃっているんですよね。問題は、これは東京都の指摘ですが、五年間に六倍という異常な地価上昇というのは金余りを背景とした土地投機こそが主要因と述べておりますし、まさしくそのとおりです。
 そこで、今度は質問です。銀行法などの権限をフルに活用して各社、各銀行ごとに土地融資、土地投資の実態の公表を行うこととか、リース会社などを通じた規制逃れを防ぐとか、日銀による窓口規制の強化、それから時によったらば投機資金の回収を指示するとか、あるいは土地担保の制限など、こういう具体的なところに思い切って踏み込む必要があるんじゃないか。現在のところの政府の土地対策が書いてありますけれども、どうも踏み込みがないんじゃないか、極めて不足しているんじゃないかと思うんですが、どうですか。
#83
○説明員(鎭西迪雄君) ただいま御指摘がございましたように、確かに今回の地価高騰の一つの背景といたしまして、超金融緩和によります土地融資というものが相当あずかって力になっているということは否定できない事実だろうと思います。したがいまして、先生も今お述べになりましたように、大蔵省の銀行局当局も個別ヒヤリングあるいはノンバンクまで踏み込んだ指導というものをされてきたわけでございますが、それでは依然として効果が徹底できないということから、去る三月二十七日には、いわゆる不動産向け貸出総量につきまして一般貸出率以下にするという総量規制というものが行われたところでございまして、私ども、依然として総貸出残高が、今先生おっしゃったように一〇%か一一%というかなり高い水準ではございますけれども、この総量規制というものはこれから相当効果を持ってくるんじゃないかというように考えておるところでございます。
#84
○近藤忠孝君 その点が主な議論じゃありませんから指摘にしておきますけれども、やはりまだまだ今までの延長線をそれほど踏み込んでいないんじゃないかという気がしてなりません。これは別
にもういいです。
 問題は、どうやって下げるかということなんです。東京二十三区の土地の価格でアメリカ全土が買えてしまうというこういう異常さをなくすことが大事なので、となれば抑制じゃなくて下げなきゃいかぬです。しかし、前回の土地局長の答弁でも、またこの中にある土地対策の重点実施方針でも、土地価格引き下げ対策はないということを前回認めました。率直といえば率直なんだけれども、余りにも無責任じゃないかという気がしてならないんです。
 方法はあると思うんです。まず規制区域の指定条件、今の制度、これをもっと緩めまして土地取引を許可制にする、これを実施する。そして、保有税制を強化して土地を投機の対象とすることを不可能にする、これを組み合わせれば土地の価格を引き下げることは可能ではないのか、どうでしょう。
#85
○説明員(鎭西迪雄君) ただいま先生おっしゃいましたように、規制区域の要件緩和の点でございますけれども、御承知のように六十二年に監視区域を導入いたしましたのは、まさにその当時、規制区域と全国的な一般的な届け出制度しかなかったわけでございまして、規制区域は非常に発動要件が厳しい、そのかわり地価凍結、原則としての土地取引というのは実質的には凍結されるという大変厳しいものでございまして、それの中間的な形で、地価が非常に急上昇する、あるいはそのおそれがあるというところにつきまして、知事の判断で面積を引き下げまして届け出していただいて価格審査を行えるというのがまさに監視制度のねらった機能でございますので、私ども、まずこの監視制度の適時適切な運用、発動というものに鋭意力を尽くしていく必要があるのじゃないかというように考えておるところでございます。
 それから、相当上がり過ぎました土地の価格をこれからどうするのかということでございまして、土地対策としてねらいまするところは、例えば住宅用地につきましては通常の勤労者が取得できるそういう取得の範囲内の価格というのが望ましいわけでございます。これは衆参におきます土地基本法の御審議の際にも御議論願ったところでございまして、私ども取得能力のアップというものを並行的に進めながら、究極的には通常の勤労者が取得できる範囲内の土地価格の実現ということに需給両面にわたって努力していきたい、かように考えておるところでございます。
#86
○近藤忠孝君 従来からそう言ってきたんです、そうなんですよ。
 要するに、監視区域では抑制はできますよ、私も抑制の効果があることは認めます、ないのに比べてね。だけれども、それでは下がらないんですよ。下がらないということは前回土地局長も認めたんです、下げる方法はありませんと。しかし、もう外国に比べて何百倍でしょう、庶民のあれで買える範囲内と言ったって、下げなきゃだめなんですよ。下げるためには許可制しかないじゃないか。許可制にしまして、まず今の勧告価格、これを公示価格に引き下げていくこと、公示価格だって高いんですから。今度その公示価格を収益価格へ引き寄せていく、妥当な価格への引き下げ命令を発する。これはやればできるし、またこうしなければならないし、なぜこれをやらないのか。
 許可制、せっかくこれは今の法律にもあるよね、伝家の宝刀。ただ、適用基準が厳しいから、これを法律的に緩めて、これがもっと厳しく、もっとどんどん適用できるようにして、その発動は都道府県に任せればいいんだ、実際の許可の事務は。これをどうしてやらないのか。これをやらない限り、いかに口先で下げる下げる、あるいは抑えると言っても、どこに実効性があるのか。何しろ今の勧告制度では下がらないというんだから、土地局長も認めたんだから。下げるという以上はなぜこれを実施しないのか。一番大事なことなんです。端的に御答弁いただきたいと思います。
#87
○説明員(鎭西迪雄君) 戦後の公示価格制度で一度だけ五十年の地価公示で約一〇%程度下がっております。これは御承知のように総需要抑制、それから金融引き締めというそういうものが相当全体的に効果があったんだろうと、こういうように考えておりまして、私ども現行の監視区域制度あるいはそれがより徹底された規制区域制度というのはあくまでも直接統制の手法でございまして、いわば対症療法的で限界のある手法だろう、もっと構造的、根本的には土地を財テクの対象にしてもそんなにもうからないというような経済社会の仕組みに持っていくということが根本的に必要なんだろう、こういう認識を持っておりまして、その上では現在土地税調で御議論になっておる土地税制あるいは金融政策というのが非常に大きい効果を持つものであろうということを期待いたしておりますし、土地税調の場でも私ども土地取引の現状、あるいは今後の土地政策を踏まえた形での土地税制のあり方ということについて十分我々としても御意見を申し上げたい、かように考えておるところでございます。
#88
○近藤忠孝君 土地税制は大事ですし、私この後触れようと思っておるのは保有税制、現に国土庁の試案でも企業の土地に新しい保有税制を検討する、これは結構なことだと思うんです。随分遅きに失したけれども、それは結構なことだと思うんです。
 五十年に下がった、確かに下がりました。しかし翌年からまた上がっちゃった。五十年なんてずっと昔の話ですよ。問題は、今や六十二年以降の、しかも異常とも言うべき、もう外国と比べて全く問題の比較にならないほど異常な事態、それを下げるということが大事でしょう。下がらなければ本当に買えませんよね、ちょっとぐらい抑えられたって。抑制ではだめだということ。では、なぜ下げるための最も効果的な許可制、これをやるということが出てこないんだろうか。
#89
○説明員(鎭西迪雄君) 私ども総理の指示等もございまして、各都道府県の知事あるいは政令市長さんを直接大臣がお呼びいたしまして、四月六日以来何回かにわたりまして地価動向についての意見交換、それから監視区域制度の適切な運用、それから、それでもどうしても効果がないと認められるような場合については規制区域の発動というものについても御検討いただくことあるべしということで、率直な意見交換というのは何回かやってまいっております。
 本日も昼、国会の合間を縫って大臣が直接お話しされたわけでございますが、各知事さん、市長さんの感じを率直に申しますと、特定の地域の経済社会活動に大変な打撃を与えるということで、これはなかなか言うはやすいけれども実行するのは大変です、監視区域の適時適切な指定、あるいは網の目をもっと細かくするといったようなこととか、もう少し需給両面にわたる総合的な施策というのを後手にならないようにとっていただく必要とか、規制区域に行くまでにもっといろいろやっていただくこと、あるいは公共団体としても考えることがあるのではないか、こういうのが大方の現場で苦労されておる知事さん、市長さんの御意見でございまして、私どもいきなりそこに行くということではなくて、もう少し現行の監視制度の運用の機動的な発動と申しますか、そういうことの配慮、それから今申しました金融、税制、あるいは土地利用計画制度等を含めた総合的な施策というのをなるべく早くやっていくということによって対処していきたい、かように考えておるところでございます。
#90
○近藤忠孝君 それではまた後手後手に回ってしまうのではないかということを警告をしておきます。そして今の点では、やっぱり土地を投機の対象にしちゃいかぬとちゃんと法律に書いてあるんですね。またそのことが徹底すればそんな困難をもたらすとか経済状況どうのこうのということはなくなるんだということもつけ加えておきたいと思います。
 もう一つは保有税制、法人についてはこれはぜひ実現してほしいと思いますが、ただ、これにはこういう意見、反論があるんですね。固定資産税が高くなると個人の負担が高くなり不合理だと。確かに一番高いところに全部なればそのとおりで
すけれども、同じ保有であっても使用目的に応じて差を設ける方式に転換すれば問題は生じないと思うんです。土地を一律に評価するのじゃなくて収益還元方式で、例えば銀行やオフィスビルの土地は高く、一般商店は低く、生活するための居住用地はさらに低く、さらに小規模な面積はもっと配慮するというぐあいにしますと、これはそんなに住むための固定資産税が高くならずに可能ではないか。なぜこれをとらないのかということが一つです。
 それからもう一つは、時間がないので最後に言ってしまいますが、もう一つ問題なのは国公有地、それから国鉄清算事業団所有地、この民間への売却凍結を解除するという問題があるんです。これにつきましては、やっぱり東京都の「東京の土地」という資料によりますと、「そもそも、土地の細分化が進んだ都内では、立地条件のよい規模的にまとまりのある土地が、市場に出ることは稀である。「金余り」状況の下で、そうした東京の土地事情への配慮を欠いた国公有地の一般競争入札が、地価の先高感をあおり、異常な高値を呼ぶ結果となったのは当然といえる。」、東京都の文書の中で、国有地などの配慮を欠いた一般競争入札が異常高値を呼んだ原因の一つだと断定しておるんですよ。
 これは極めて大事なことだと思いますし、やはり国の責任は重大だし、これからこういった凍結解除なんということは絶対にやるべきでない。むしろ自治体の先買い権を強化するとか、そしてその土地を公共住宅の大量建設に向けるとか、こういったことが大事なのではなかろうか。それぞれ簡潔に御答弁いただいて、当然異論のある答弁になると思うので、またその議論は後にしたいというぐあいにしたいと思います。
#91
○説明員(鎭西迪雄君) 固定資産税につきましては、先生御承知のように地方公共団体の住民サービスに対します応益的負担ということでございまして、これを一律に強化するということはおのずと限界があるというように私ども考えておりまして、土地の保有課税を強化する方向での検討というのは固定資産税とは別の形でやはり行われるのだろうというように理解いたしております。そのときは当然生活基盤あるいは生業基盤といったものについての配慮、調整ということは検討されるべきだろうというように考えております。
 それからもう一つ、国公有地の一般競争入札による売却でございますが、確かにそういった点の反省を踏まえまして、これも御承知かと思いますが、六十二年の十月の緊急土地対策要綱におきまして、「地価の異常な高騰が沈静化するまでこれを見合わせる。」という基本方針を策定いたしまして現在やってきております。具体的な事例は逐一私どもあるいは地方公共団体が御相談にあずかっておりますけれども、地価に悪影響を及ぼさないあるいは地価を顕在化させない処分方法といったものについて、例えば国鉄清算事業団等におきましてこれからの方向として検討されておるというふうに承知しております。
#92
○乾晴美君 私、土地問題についてお尋ねしたいと思います。
 三月末に国土庁が発表しました公示価格によりますと、前年に比べて住宅地は全国平均で一七%上昇しておりますし、大阪で五六%、名古屋圏で二〇%と全国的に地価高騰が波及しております。東京圏でも平成元年では〇・四%であったにもかかわりませず、六・六%と再び上昇してきております。これはやはり先ほどからも問題になっておりますように、政府、行政そして自治体の地価対策の立ちおくれの結果だと私も思います。
 地価急騰に対する緊急的な対策の一つとして、土地投機をやめさせるために土地取引の強力な監視規制措置が必要であると思います。昭和六十二年の六月に監視区域の制度を創設して、地価の急激に上昇している地区を監視地区として、六十二年八月に東京都、神奈川県、横浜市、川崎市を指定され、そしてまた平成二年四月には一都二府三十四県十一政令都市、二十三特別区三百十一市三百八十四町三十五村で実施しているということなんですけれども、この中に徳島県は含まれているのでしょうか。含まれているとするならば、その市町村名をお教えいただきたいと思います。
#93
○説明員(鎭西迪雄君) 先生ただいまお述べになりました監視区域の指定の経過はそのとおりでございますが、現時点におきましては徳島県においては監視区域の指定は行われておりません。これは徳島県におきます地価の動向というのが最近相当安定してまいっておりまして、監視区域を発動するというまでには至っていないということから行っていないわけでございます。
#94
○乾晴美君 私は徳島県出身なんですけれども、東京一極集中ということがよく言われておりますが、地方におきましても徳島県というようなところでは非常に徳島市に集中してきておるわけなんです。そういう現象があるわけでして、指定のこういった監視区域以外におきましても必要に応じて指導勧告する必要があるのではないかというふうに思うわけです。そうしないと大企業とか金持ちが区域外に土地投機をやる、そのためにその地区の地価高騰につながっていくのではないかというふうに思うわけです。徳島県も現状といたしまして、今主要なところというのは徳島県の人が持っている土地を、本土といいましょうか、こちらの金持ちの方に随分と買い占められているというような現状があるわけなんで、そういうような指導勧告というようなことはしていただけますでしょうか。
#95
○説明員(鎭西迪雄君) ただいまお話がございましたように、確かに今回の地価高騰の状況を見ますとかなり長期的に継続をしておりますし、それが東京圏、大阪圏、名古屋圏あるいは地方都市というように波及をしておりますので、一応今の時点では東京圏はまあほぼ落ちついておりますし、大阪圏もいろんな方の御意見を聞きますとほぼ天井ないしは天井を突き抜けたような感じになってきているんじゃないかというお話もございますが、まだまだ予断を許さないというように私ども認識しております。
 したがいまして、監視区域の指定というのが後手に回らないようにということが一番重要でございまして、去る三月二十七日に各地方公共団体に対しまして監視区域の緊急総点検、これは指定する必要があるところ、あるいは現在指定していても、もっと届け出対象面積を小さくする必要があるのかどうかといったようなことも含めまして総点検の指示というものをさしていただいたところでございまして、このことにより十分これから適切な対応というのを地方公共団体にやっていただける、かように期待しているところでございます。
#96
○乾晴美君 よろしくお願いしたいと思います。徳島県の人たちも非常に徳島県の土地が上がるのではないかと心配いたしております。よろしくお願いいたします。
 次に、土地税制の抜本改正も必要であるというふうに思います。これは保有税、相続税など極端な土地資産に対する優遇税制を是正して、宅地供給を促進すべきであるというふうに思います。そのために例えば大土地保有税、これは仮の名前なんですけれども、そういうものを創設するということはどうでしょうかということなんですが、これは連合が提唱しておるわけであります。
 人間生活を支える基盤たる一般居住用宅地を除いて、担税力に見合って課税するものでして、この税制度というのはどういうのかと言いますと、国税とする、そして都市計画区域内の面積二千平方メートル以上で、しかも公示地価に基づく価格が五億円を超える大土地の所有者に対して毎年固定資産税の二分の一の税率、約〇・七%程度になるんでしょうか、を課税することにより公正を実現し、地価抑制に資するものとする。課税に当たっては土地の有効利用を促進するために用途地域別に定める容積率の活用割合に応じた減免措置を講ずること、特に優良賃貸住宅の建設、家賃への影響を配慮し、一定面積、一定家賃以下の賃貸住宅に利用されている土地についてはさらに減免措置を講ずることというようなことで、大土地保有
税というものを考え出してきているわけなんです。私は非常に賛成なんですが、国税でこういうものを創設するということについてはいかがでしょうか。
#97
○説明員(鎭西迪雄君) 先ほど来も御議論がございましたが、土地の保有に対しまして課税を強化するということが、土地の需給関係を緩和いたしまして有効利用の促進に資するという議論があることは私ども十分承知をいたしております。
 土地政策を担当しております国土庁といたしましては、これから土地対策を積極的に推進していくためには、まず土地利用計画等、土地に関する施策との整合性が図られる必要があるというのが
 一点でございまして、そういう整合性を図りつつ、土地について適正な保有コストというものが求められるんだろうというように認識しております。
 それから、その一方で考えておく必要があることは、ただいま先生もおっしゃいましたけれども、土地利用のあり方あるいは地域社会あるいは国民生活の事業活動に及ぼす影響等非常に重要な問題がございますので、そういうサイドの慎重な配慮というものも必要であろう。その意味では四月六日に始まりました政府税調の土地税制に関する小委員会におきます議論というのが幅広く検討されるということを期待しておるところでございます。
#98
○乾晴美君 それでは私、次に住宅政策についてお伺いしてみたいと思うんです。殊にサラリーマン住宅の供給確保についてお伺いしてみたいと思います。
 先ほどから話も出ておりましたけれども、東京圏では中高層住宅の価格が平均的勤労者世帯の年収の、これにもありますけれども、一〇・五九倍である、こういうことになりましたらもうサラリーマンというのはそれこそ取得不可能であるということになっておるわけです。もっと大都市におきましては良質、低廉な公共賃貸住宅優先政策といいましょうか、そういうものを早く転換してつくっていくべきであると思います。家賃というのは年収の一五%ぐらい、月収の約二〇%以内というような賃貸住宅建設というものの促進に全力を挙げていただきたいと思いますし、家賃控除制度というようなものもまた新設していただけるとありがたいなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
#99
○説明員(立石真君) 今先生御指摘のとおり、大都市地域におきまして平均的なサラリーマンが新たに住宅取得をしようといたしますと大変困難な状況になっているのは御承知のとおりでございます。このため住宅政策の展開を私たち図っていこうとしておりますが、このためには勤労者が良質な住宅が確保できるように、一つは公営住宅あるいは公団住宅等公共住宅の的確な供給を図ること、そしてまた二つには、住宅金融公庫等の制度を活用し、金融面の拡充を図り、あるいはまた税制上の措置を講ずること等の施策を積極的に展開していく必要があると考えているところでございますが、特に大都市地域の住宅宅地供給を促進するための新たな施策を講ずることが必要だと考えております。
 このため、具体的には大都市地域における住宅宅地供給方針の策定を図ること、あるいはまた低未利用地等の有効なあるいは高度利用の促進を図ること、そういうような内容を持ちます大都市法の改正あるいは都市計画法、建築基準法の改正案を今国会に提出したところでございます。今後これらの法案を御審議いただき、できるだけ早く成立させていただきまして、必要な施策を推進してまいりたいと考えております。
#100
○乾晴美君 私、次に物価対策についてお伺いしたいと思います。
 最近の物価動向は円安による輸入価格の上昇などで大変憂慮すべき状態にあると思います。平成元年度の政府見通しの消費者物価上昇率、CPIは二%程度とされていましたけれども、年度途中におきまして二・七%程度に上方修正されております。さらに平成二年度一月以降の全国及び東京都区部でも三%以上を示しているということは明らかであります。このまま推移していけば三%前後になるということが推定されるわけです。そうしますと、当初見通しを一%も上回るという状況になるわけです。また購買力平価で比較すれば先進諸国に比べてかなり低水準であるということも御承知のとおりです。これは経済企画庁だとかまた通産省の内外価格差調査によっても明らかです。
 これらのことから、政府は物価の安定、内外価格差是正のために諸施策を打ち出しておられるんですけれども、私は果たしてどの程度の効果が上がっておるのかということを疑問に思っておるわけです。よく理解できておらないわけなんですけれども、規制緩和とか流通経路の合理化だとかまた効率化などが指摘されておるわけです。先ほども問題になっておりましたけれども、日米構造協議の指摘をまつまでもなく、産業優先であり過ぎたんではなかろうか、産業優先で来たということが今日のこういった実態を招いていると言っても過言ではないと思います。先ほど政府の方もそういうことではっきりお認めになっていたようでございます。
 政府の方々は内外価格差対策推進本部というのを設置して内外価格差是正に向けた取り組みを強化すると言っておりますけれども、これも余り効果がないのではないか。せっかく消費者を優先にこれからは頑張っていきたいという先ほどお答えをいただきましたので、この際消費者の立場を重視して物価対策を推進していくために消費者の代表の方、それから国民各階層の代表の方、それから労働組合の代表などによる推進機関として物価対策実行機関、仮の名前なんですけれども、そういうものを設置して構造的要因を解明するということとともに、アクションプログラムを策定し実施する一方で、監視体制をつくるものとしてのより権限の強いそういう場を設けていくということがいいのではないかと思いますけれども、経企庁の方の御見解をお伺いしてみたいと思います。
#101
○政府委員(田中努君) 経済企画庁を中心といたしまして、政府の部内におきまして関係省庁と連絡をとりながら物価安定のための政策の総合的な推進につきまして従来から努力をさせていただいてきておるところでございます。ただいま御提案いただきました新しい機構というふうな考え方もあろうかと思いますけれども、私ども現在政府の部内におきましても物価政策が政府の政策の各般に及ぶものでございまして、各省の所掌にまたがるものであるというようなことから、これの総合的な調整という点には従来から十分意を用いてきているというふうに考えておるものでございます。
 政府の中に物価問題に関する関係閣僚会議というふうなものも設けられておりまして、これは昭和五十二年の一月から開催をされておりますけれども、物価安定対策に関する重要な問題についてはこの場で協議を行う、それから重要な公共料金の改定にかかわる問題につきましてはこの閣僚会議に付議なするということになっておりまして、経済企画庁長官を初め関係閣僚がその構成員となっているわけでございます。
 それから物価安定政策会議、これが昭和四十四年に設置をされておりまして、内閣総理大臣を中心としまして関係各大臣が一体となって総合的な物価対策を推進するために国民各階層の御意見を広くお伺いする場としてこれを活用させていただいているわけでございまして、その会議の中に政策部会、それから特別部会、この二つの部会を設けまして、政策部会につきましてはこれは月に一回開催をいたしまして、当面の物価情勢、それに伴ういろいろな必要な措置等について御討議をいただいております。それから特別部会におきましては、重要な公共料金の改定の問題につきましてここで御議論をいただく、こういうようなことで、この場にはいわゆる学識経験者の方々のほかに、労働組合の代表の方、それから協同組合の代表の方あるいは消費者の代表の方、こういう方々にも御参加をいただいているわけでございます。
ちなみに、これには経済企画庁が事務局を務めさせていただいておると、こういう立場にございます。
 さらに、政府部内の物価政策等の調整のために物価担当官会議というものを閣議決定によりまして設置いたしておりまして、経済企画庁の事務次官を長といたしまして関係各省の審議官クラスの物価担当官の方にお集まりをいただきまして、重要な物価問題、特に公共料金の問題等につきましてここでいろいろ御議論をいただいておるわけでございます。
 こういったことを通じまして、常時日ごろから政府部内の総合的な政策の上での調整というものを行ってきておりまして、さらに最近におきましては、御指摘ございました内外価格差の問題の重要性にかんがみまして、内外価格差に関する政府・与党の内外価格差対策推進本部というものを設けました。これは内閣総理大臣を本部長といたしまして、政府側からは経済企画庁長官と通産大臣が副本部長として参加をするというふうな形で、内外価格差対策を総合的に推進しているところでございまして、これにつきましても経済企画庁の協力を得て内閣官房がその庶務を処理するというふうな形で運営をさしていただいておるところでございます。
 また、経済企画庁には物価局がございまして、物価に関する基本的な政策の企画立案あるいは物価に関する基本的な政策に関する関係行政機関の重要な政策及び計画の総合調整ということをその所掌事務として行っているところでございまして、私どもといたしましては、こういった体制のもとでさらに今後一層物価安定のため努力してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#102
○乾晴美君 ありがとうございます。ぜひに消費者といいましょうか、生活者の立場に立ってすべてのことが行われていくように、今までは余りにも事業主といいましょうか、大企業一辺倒であったということを私たちはもう肌で感じておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、通産省の方にお願いいたします。
 工業製品価格というものを引き下げるということについてどのような行政指導をなされておるのでしょうか。その効果は出ていましょうかということと、もし出ていないというのであれば、その阻害する要因は何なのでしょうかということを聞かせていただきたいと思います。
 時間がありませんので、続けてちょっともう一つだけ。内外価格差の調査というのはたくさん行われているわけですね。そういうような調査の結果、それを解消に向けてどのような施策をしておるか、そしてどんな効果が上がっておるかというようなこともあわせてお答えいただけたらありがたいと思います。
 それで私の質問は終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
#103
○説明員(岩渕恒彦君) 御説明いたします。
 内外価格差の問題を中心に答えさせていただきますと、先ほどもちょっと御説明いたしましたが、通産省といたしましては、内外価格差問題に対する対応といたしまして、まず調査をして実態をよく把握することが必要であろうということで累次にわたり調査をし、その結果を公表してきているところでございます。さらに、その結果を踏まえまして、ことしの二月から三月にかけましては全国八カ所、それから本省におきまして消費者懇談会を開催しまして、消費者に対し内外価格差問題というものを説明し、また消費者の方々の意見を聞いておるところでございます。
 また、三月の末に全国紙を中心に新聞広告を出しまして、内外価格差問題に目を向けようではないかということを提起しており、また現在パンフレットを作成しているところでございます。それと並行いたしまして、関係する産業界に対しましても本問題への適切な対応というものを要請しているところでございます。
 そのほか、内外価格差問題というのは非常に要因が多岐にわたっておるということから、そのほかの措置といたしましても、輸入を大いに促進し消費者の選択の幅を広げるべきではないだろうか。または、輸入総代理店というのも先ほど問題になったようでございますが、等を含めました流通慣行等にも問題はないだろうかというような広い観点から検討をしているところでございます。
 それで、内外価格差で問題なものの価格について引き下げ等できないのかという御指摘についてあわせてお答えいたしますと、内外価格差も含めまして価格というのはさまざまな経済活動の結果でございまして、内外価格差の原因もさまざまな要因になっているわけでございます。確かに、その一つの原因といたしましては業者による価格設定行動というものもあるわけでございます。しかしながら、自由経済体制のもとにおきましては、民間企業の提供する財とかサービスの価格の設定につきましては原則として企業の自由な判断にゆだねられるべきものである、民間企業の価格設定に関して政府が直接関与するということには限界があるのではないかということから、通産省といたしましては、基本的には各企業の自主的な対応を求めるという対応をしているわけでございます。
 さりとはいえ、通産省といたしましても、内外価格差問題は非常に大きな問題でございますので、業界に対しまして、消費者に対する説明と並行いたしまして三十業種を対象に業種ごとの説明会を開催いたしまして、この問題の状況、調査の結果について説明を行うとともに、この問題に対して適切な対応をしてほしいということを要請しているところでございます。
#104
○政府委員(田中努君) 内外価格差対策の推進状況についても御質問があったと思うんですが、私が簡単に申し上げますと、昨年末に六本の柱のもとに五十二項目ほどの対策を決定いたしまして、それをただいま推進しているところでございまして、その中の一部のものにつきましては既に実施済みになっているものもあるわけでございます。例えばただいま通産省の方から御紹介のありました内外価格差の実態についての調査、これは農水省それから大蔵省でも同種の調査を行っていただいておりますし、規制緩和等による競争条件の整備、これにつきましても各省で今それを進めていただいている。それから輸入促進等につきましては製品輸入の促進税制、こういうものを導入している。そういうようなことで、かなりのものは既に実行に移されておりますけれども、一部は平成二年度の予算においてこれを執行するというものもございますので、今後ともさらにその推進に努めてまいりたいと思っておまりす。
#105
○乾晴美君 ありがとうございました。
#106
○寺崎昭久君 それでは質問いたします。
 先ほど三石委員から四月十八日付新聞の紹介があり、その中で法人の土地取得の動機だとか保有の実態について御紹介がございました。私は、そこに指摘されているような法人の土地取得だとか保有というのが円滑な宅地供給を妨げているし、また土地高騰の大きな要因になっているのではないかと思っております。そしてまた、値上がりを待つという状態を可能にしているのは、一つには土地税制に欠陥があるからではないかと思うわけでございます。時間の制約もありますので、以下は宅地供給を促進したいという観点から土地税制について若干質問をさせていただきたいと思います。
 その前に、一般論でお伺いしたいんですけれども、固定資産税と自動車税というのは何に着目して課税するのか、課税根拠について教えていただきたいと思います。
#107
○説明員(成瀬宣孝君) 固定資産税は、資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存在します受益関係に着目をいたしまして、資産が本来持っております使用収益し得べき価値について税負担をお願いするという性格のものでございます。一方、自動車税でございますけれども、自動車税につきましては、その所有の事実に担税力を見出しましてその所有者に課する財産税としての性格のほか、道路損傷負担金的な性格をもあわせ持って
いるというふうに考えております。
#108
○寺崎昭久君 ただいま固定資産税については使用収益力に着目してということだったんですが、実態は固定資産税はダイレクトに収益力にリンクして課税されているとは実は私余り思えないんです。
 具体的な例を一つ申し上げますと、私、千葉県の柏というところに住んでおります。私の家の近所に最近建て売り住宅ができまして売り出されました。土地にして四十坪足らずかと思います。上物がついて九千八百万円。私の家はそこから二百メートルぐらい離れたところにありまして、十年ぐらい前に取得した家でございます。先日、固定資産税、都市計画税の納税通知が参りまして見ますと十万円若干切れました。これを見るとおよそ一億円の資産価値に対して十万円ぐらいの課税なのかなというように思ったわけです。
 一方、自動車を持っております。例を言いますと、千五百tぐらいの車を一台持ちますと車体本体に大体六万円かかります。一年間に千リットルぐらいガソリンを使いますとやっぱり六万円近い揮発油税その他が課税されます。この車というのは百五十方ぐらいに見ていいんでしょうか、それ以下でも買えると思いますが、百五十万円足らずの車が年間に十二万円も納めている。一方、一億円で十万円ということを比較してみますと、どうもバランスがこれでいいんだろうか、どちらかが過重な税負担をし過小な税負担をしているのじゃないかというように思えてならないわけですが、税の公平性というんでしょうか、負担というのはいろんな尺度のとり方があると思いますが、その辺説明をお願いしたいと思います。
#109
○説明員(成瀬宣孝君) 御質問の中にもあったかと思いますけれども、やはり税はそれぞれの制度の趣旨あるいは目的に則しまして課税標準、税率等が定められておりまして、結果として税額が同程度の水準になることがありましても、直ちにそのことから税負担が公平、不公平ということはどうであろうかというふうに考えております。
 ちなみに、固定資産税の税負担が一億円の住宅資産の取得に対して年額十万円程度で安過ぎるのではないかという御意見もあったわけでございますけれども、固定資産税の場合には、住宅政策の見地から新築住宅に対しましては一定期間軽減措置を講じておりますし、また土地の方につきましても二百平米までは四分の三を、それを超える部分につきましても二分の一を軽減しておる、そういう特例措置を講じております。一方、自動車税につきましては先ほど申し上げましたような性格もございますので、こうしたそれぞれの税の性格等を考えあわせながら物を論ずるのが適当ではないかというふうに思っております。
#110
○寺崎昭久君 私は、固定資産税を高くしてもいいんじゃないかとは決して申しておりません。バランスを欠いているのではないかと、そういう目で税体系全体を考える必要があるんじゃないですかという問題指摘にとどめておきたいと思います。
 次に、法人の所有している遊休地に対する課税について税制上の観点から質問をいたします。
 現在、遊休地に対しては国土利用計画法に基づいて特別土地保有税あるいは東京都なんかですとミニ保有税というんでしょうか、それが課せられているわけでありますけれども、適用するまでの間に二年間の猶予期間が設けられていると思います。この二年間というのが私の考えでは意外に抜け穴というんでしょうか、そういうように利用されている結果土地転がしが起こったり、その過程で土地が高騰するということにもつながっているんではないかと思うわけです。つまり、特別土地保有税というのは本来の目的に沿った運用がされていないんではないかという懸念を持っているわけでありまして、これを有効に働かせるためには、そして土地だとか宅地の供給をふやすためには、例えば猶予期間を撤廃して保有している期間に対して特別土地保有税を課すというのはどうなんでしょうか。
 また、これは法人なんかが持っている遊休地のことを言っているんですが、その際、土地の評価額を毎年洗いがえしてそれを課税ベースにしてもいいくらいではないか、あるいは遊休地に対しては新たに遊休地税みたいなものを課税してもいいんじゃないか、そんなことも思うわけでありますけれども、見解をお聞かせいただきたいと思います。
#111
○説明員(成瀬宣孝君) まず第一点目の特別土地保有税の徴収猶予期間二年間が長過ぎるのではないかというお尋ねでございますけれども、特別土地保有税は本来土地対策の一環として土地の有効利用を促すための政策税制でありますことから、現に一定の用途に供されております土地については非課税の扱いといたしております。こうした特別土地保有税の趣旨にかんがみまして、土地が非課税用途等に供される見込みであると市町村長が認定した場合には一定期間、これが原則二年間ということでございますが、特別土地保有税の徴収を猶予いたしまして、その期間内に非課税用途に供されたことにつきまして市町村長が確認すれば徴収猶予に係ります税額等を免除することとされております。したがって、この二年間の猶予期間は土地を取得してから土地の造成、建物の建築等に通常一定の期間を要することと考えられますところから設けられたものでございまして、適当なものではないかというふうに考えております。
 それから、特別土地保有税の課税標準評価額の問題でございますけれども、これは土地の取得価額そのものを課税標準として税率を掛けて税負担をお願いしておるというものでございます。
 それから最後に、低未利用地に対します保有課税の強化、今後のあり方についてお尋ねをいただいたわけでございますけれども、現在政府税制調査会等におきましても、こういった問題も含めましていろいろ御検討をいただいておりますけれども、この場合には、やはり土地の利用状況に着目し、一定の基準に基づきました遊休地の特定と、その利用促進措置を含む制度が創設されることがまず前提条件として必要というふうに考えております。そうした関係制度や施策の整備とあわせまして、低未利用地に係ります特別土地保有税の見直しを行うべきものと考えております。
#112
○寺崎昭久君 先ほども紹介ありましたけれども、国土庁が政府税調に提出した資料によりますと、法人の場合、土地購入の動機について当初から利用する意思なしというのが五十九年購入土地においては五〇%を占めていた、そういう報告がなされています。それから企業の土地取得調査、これも国土庁の調査ですが、それによれば、宅地向け販売用に取得したにもかかわらず、未着手のまま放置されている土地が四五・八%だと、あるいは具体的な販売計画なしというのが五七・五%だという報告がなされております。つまり土地転がしをやれば、二年間の間に転売すれば一般の固定資産税とか都市計画税以外はかかりませんということで、この法律が機能しているとは思えないんです。それを防ぐ手だてを考える必要があるんじゃないでしょうかということが第一点。
 それから、先ほど評価額の問題について現行の法律の解釈をおっしゃいましたが、私が申し上げているのは評価がえを、洗いがえをしてはいかがでしょうかという質問をしたので、それに答えていただきたい。
#113
○説明員(成瀬宣孝君) 企業が持っております遊休土地あるいは低未利用地、こういった土地につきましてその有効高度利用を促進する観点からは、お尋ねのようにこの特別土地保有税の充実強化、洗い直しということが必要かとも思いますけれども、先ほど申し上げましたように、やはりその前提といたしましてまずは土地政策なり都市計画等の中で一定の基準に基づきました遊休地の特定とその利用促進措置を含む制度、これが創設されることが前提として必要ではないかというふうに思っております。
 それから、評価がえの関係でございますが、これにつきましては御案内のように、三年間に一回全国の土地につきまして資産価値の見直しということを行いまして、地価の動向あるいは他の公的
土地評価との均衡、そういったものをもろもろ統合的に考え合わせながら、評価の見直しを三年に一回行っているところでございます。
#114
○寺崎昭久君 これ以上続けませんけれども、海部総理も言われているように、土地問題が最大の課題なんだという観点にしっかりと目を向けられて、税制だけじゃないんですけれども、実際に勤労者が入手できるような住宅をぜひ百万戸実現していただきたいと思いますし、その際、値段は幾らでもいいということになりませんので、年収の五倍だとかあるいは通勤圏にあるとか、一定の条件が必要だと思いますので、政治に大きな責任はあるわけでありますけれども、関係省庁は関係省庁としての識見を持った施策を打ち出していただきたい。最後にこれを要望しておきたいと思います。
 なお、保有コストの問題について、時間もありませんので最後に一問だけ質問いたします。
 今法人が持っております遊休地について、その取得に係る借入金の利息というのはたしか四年間損金不算入期間を設けられているかと思いますけれども、四年間という限定を、四年たったら損金に認めますよということじゃなくて永久に入れないというようにしてはいかがかということが一つと、もう一つは、遊休地に係る固定資産税というのは損金に不算入にしてもいいのではないかと思うんですけれども、見解を伺いたいと思います。
#115
○説明員(長野厖士君) ただいまの先生の御指摘の中で、まず遊休地というものを前提としてその範囲での検討ということでございますと、先ほど来固定資産税課長が申し上げておりますように、遊休地とは何ぞや、テニスコート、駐車場、その他もろもろの利用状況というものを、どの水準を遊休地とするのかということが前提であるということを私どもサイドからはお願い申し上げているわけですけれども、そこのところがきちんとクリアできて、例えば一定容積率以下のものは遊休地であるというような法制が国土政策上できてまいりますと、また税制というのはそれに応じた対応が可能になるのではなかろうかと思っておりますが、そこのところは土地利用計画の中での御議論を深めていただきたいということをいつも念願いたしておるわけでございます。
 それを前提といたしまして、ただいまの借入金の損金算入の問題でございますけれども、一般論として申し上げますと、企業会計の考え方の中では、やはり借入金の金利というものはその事業で所得を上げるためのコストであると観念されてまいりました。しかしながら、御指摘のようなもろもろの問題が私どもの立場でも気になりましたので、六十三年の改正で、金利は先に払っておるけれどもその土地からはまだ収益を上げておらぬ、その部分については税を負担していないというケースにつきましては損金算入を収益が上がるときまで待っていただくということは、今までの会計の原則とか法人税の考え方の中でも可能であろうということを考えましてそうさせていただきました。
 その際に、未来永劫という不安定な状況もなかなか難しい。実際にその土地の利用状況を調べていくのも難しゅうございますので、四年ということにさせていただきました。この四年というのがよろしいかどうかという点は確かにございますかもしれませんですが、何せ六十三年に創設したばかりのことでございますので、そのような御指摘の点も税制調査会におつなぎいたしまして今後の検討事項の一つに含めさせていただきたいと存じます。
 それから、固定資産税の損金算入というのもややそれと非常に似た問題でございまして、やはり税を払うというのも企業にとってみればコストであると考えれば、素直には損金算入という考え方になります。しかし、それでは土地に対する負担が不十分でないかということに相なりますと、税の損金算入、不算入という問題なのか、あるいは土地に着目した税そのものの負担水準をどう考えていくかという角度でお考えいただくのか、二つの考え方があろうかと思いますけれども、そういった点も今後の土地税制の審議の中では御検討いただきたいと私どもも考えているような事項でございます。
#116
○西川潔君 私は、高齢者の福祉の充実についてお伺いしたいと思いますが、きょうは遠藤会長のこの雰囲気のもとで、本当に家庭的ないい雰囲気で僕もずっとお話をお伺いさせていただいておりますが、何分素人ですので、ひとつわかりやすくお願いいたします。
 老後を安心して暮らすためには、基本的には三つの条件があると僕は思うんですけれども、まずやっぱりお金です、所得の保障。そしてうちにも三人親がおるんですけれども、大分弱くなってまいりました。つまり医療の保障です。目も見えなくなってまいりますし、ちょっと痴呆の兆候なんかも出てまいりまして、三人もおると大変ですが、特にお願いしたいのは住宅の保障です。その中で高齢者が安心して住むということが本当に大変だな、この住宅施策は本当に重要である、特にお願いしたいことでございます。高齢者の方々は持ち家、公的な借家、民間の借家、いろんなところにお住まいでございますが、多世代、夫婦、そしてひとり暮らし、いろんな方々がいらっしゃいます。そして心身の能力に応じていろいろな居住の環境が決められております。
 昭和六十年の六月の住宅宅地審議会答申、そしてまた平成元年三月の経済企画庁総合計画局の地域高齢者福祉システム研究会報告書でも、高齢化に対応した住宅づくりについて述べられております。私も目だまをひんむいて読ませていただきましたが、もう本当にあのとおりだと思います。
 今後の高齢人口の急増に伴い、高齢者を取り巻く居住環境というのはどのように変化し、また基本方針としてどうあるべきかということを建設省、経済企画庁、国土庁の皆さんにお伺いしたいと思います。
#117
○説明員(立石真君) 我が国の人口構成の高齢化というのが欧米諸国に比べまして非常に急速で、かつ将来の比率が非常に高くなるというように見込まれているわけでございまして、この高齢化した社会におきまして高齢者が安心してしかも活気ある生活を行えるようにしていくことは非常に重要な課題だと思っているわけでございます。また、その段階におきますと現在の世帯構成と変わってきまして、例えば高齢者の単身者あるいはまた高齢者の夫婦のみの世帯というような世帯の構成も変化してくるものと考えているところでございます。
 住宅政策といたしましては、このような高齢化の進展に対応しまして、高齢者が可能な限り住みなれた家庭で生活を行えるように考えていきたいと考えておりまして、高齢者の身体特性、あるいはまた多様なニーズに対応しまして良質な住宅ストックの形成と、また居住環境を整備していくことが必要だろうと考えております。
 現在、住宅宅地審議会で御議論いただいておりまして、高齢者の住宅対策はその大きなテーマであるというように位置づけて御審議いただいているところでございますが、また行政面におきましても在宅福祉施策等との連携を図りながら積極的に進めてまいりたいと考えております。
#118
○政府委員(冨金原俊二君) 経済企画庁でございますが、西川先生からお褒めをいただいてありがとうございます。
 基本的にはただいま建設省の方からお答えをいただいたところと変わらないんですが、少し数字を挙げて、どういうふうに高齢者がこれから先、居住に関連して環境が変わってくるかというところを一、二御説明してみたいんです。
 御承知のとおり、現在日本の人口は一億二千四百万いますけれども、二〇一五年あるいは二〇年になりますと人口が定常状態になって、今のところ一億三千六百万人だと、こう言っているわけでございます。それから先は人口が減り出すと。ちょっと前の作業で少しデータは古いんですが、感じがわかっていただけると思います。大体一億三千万人ぐらいになったときに、二〇一五年ぐらいでございますが、六十五歳以上の人口がどれぐら
いになるか、大体二千七百万人、二割を完全に超えるわけでございますね。
 それの中で男性と女性の割合がどうなるかというと、女性の方が多いのでございますが、千二百万人が男性で千五百万人が女性。さらに、これも推計の仕方はいろいろありますけれども、配偶者に死なれたりあるいは別れたりということで一人になってしまうお年寄りがどれぐらいいるかと考えますと、男性は少のうございまして二百万人、ところが女性は七百万人。恐らくいろいろな住み方はあると思いますが、かなりの数が一人でお住みになるというようなことが予想されるわけですね。
 それからもう一つ、さらにこれを推計したものが別にあるんですが、老人の核家族というものを推計いたしますと、これは老人の核家族というのはどういうことかといいますと、老人がお一人で住んでいる、あるいは老夫婦だけで住んでいるというようなものを老人の核家族と狭く解釈しますと、昭和六十年で老人のそういう核家族が三割を占めるようになっているというデータがございまして、これは将来もっと高くなるだろうと思います。
 それからもう一つ問題は、実は今地方にお年寄りが多いんですが、都市でも非常にお年寄りがふえてくるということがかなりはっきり言えるわけです。これは非常に粗い、丸い数字ですが、現在は大都市地域では十二人に一人ぐらいがお年寄り、つまり六十五歳以上人口。それが二〇二〇年になりますと五人に一人が六十五歳以上。地方ですと、現在八人に一人がお年寄りなんですが、二〇二〇年になると四人に一人。依然として地方の方がお年寄りの数が多いんですが、だんだん接近してまいります。
 それからもう一つ問題なのは、六十五歳以上をお年寄りと言うのは失礼かもしれないんですが、七十五歳以上を考えてみますと、大都市地域における七十五歳以上の高齢者の方のウエートが六十五歳以上のお年寄りの中で占める割合が大都市の方がふえちゃうということが推定されるわけです。どんな感じかといいますと、現在六十五歳以上のお年寄りが地方で一〇〇としますと、そのうち四割ぐらいは七十五歳以上なんです。それが地方では二〇二〇年には四八%、ですから六十五歳以上人口の半分が七十五歳以上だと。大都市の場合、現在三七で若干低いんですが、それが四九%になるということは、地方の割合よりも六十五歳以上人口の中で占める七十五歳以上人口の割合は都市の方が多くなっちゃう、こういう問題が考えられるわけですね。
 それから、ちょっと長くなりますからやめますけれども、寝たきり老人が非常にふえるだろうと。これは報告書でも出ておりますが、推計で現在は寝たきり老人の数が六十万人ぐらい、痴呆性老人は六十万人とよく言われますが、これが二〇〇〇年では倍になる、いずれも百万人、百十万人。こういう状況を踏まえて、一体住宅問題をどう考えるか。具体的には建設省がおっしゃったとおりなんですが、結局その中で老人の方の生き方というのは実はさまざまになってくるだろう。やっぱり一人で生きたいという方もおられると思いますし、家族と住むのもいいけれども煩わしいから老人ホームに入りたいという方もおられると思いますし、やっぱり子供や孫と住みたいという方もおられて、非常に変化してくるんじゃないか。そういう変化を踏まえて住宅対策を考えないといけないんじゃないかというのが一点だと思います。
 それからもう一つは、何といってもお年寄りのニーズに合った住まいを工夫しないといけないだろうということですが、要するに一番大事なことはやっぱり安全でないといけない。ちょっとして転ばれてもけがをされるというようなことですし、それからやっぱり住みやすいような工夫をしてあげないといけないんじゃないかというのが住宅を考える上の基本的なポイントになるんじゃないかという気がします。それは何も家の中だけではなくて、家の周辺も含めて、交通の安全問題とかいろいろなものを含めてそういう住環境を整備する施策が必要なのではないかというのが二番目のポイントかと思います。
 それから、そういうことを考えていきますと、寝たきりとか病院が近くなければいけないとか、いろいろなことを考えますと福祉と住宅政策というものがうまく連携し合ってやらないといけないんじゃないかという気がいたします。実は計画でもこういったことを指摘しておりまして、具体的な施策は各省でおやりになるんですが、企画庁としてはそういう考え方を踏まえて今後の住宅対策をしていただきたいという気持ちを持っております。
#119
○説明員(鎭西迪雄君) 地価高騰がもたらします弊害といたしまして、一般的に資産格差の拡大によります不公平感の増大だとか、あるいは社会資本整備に支障ということが言われておるわけでございますけれども、ただいま先生御指摘になりましたように、もう一方地価高騰が地域社会あるいは居住環境というものに非常に大きな障害をもたらしたという面があることは私ども否定できないところだろうというように考えております。
 こういう事態に対応いたしますために、何よりも地価の安定ということがこれから非常に重要だという認識をいたしておるところでございまして、昨年末土地基本法の審議におきましては西川委員も大変御熱心に御審議いただき、御賛同いただいたところでございますが、私ども今後はこの法律に示されました土地についての基本理念、あるいは閣僚会議等で方向が決まりました土地対策の展開方向というものに基づきまして、需給両面にわたります各般の施策というものを強力に推進してまいりたい、かように考えているところでございます。
#120
○西川潔君 どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほどいろいろお話をお伺いしたんですけれども、本当に身体の機能の低下に対応できるような住宅をひとつよろしくお願いいたします。特に公的なものにはお願いしたいんですけれども、年をとってからトイレがふろがということになれば、本当に工事費も大変でございまして、お金の方もいろいろな方法でお借りすることはできるんですが、なかなか十二分な改造、改築に至るまでのお金が借りられないというふうな現場を回りましての皆さん方の声でございます。
 たくさんお伺いしたかったんですけれども、ちょっと後先になって申しわけございませんが、こういう実態を踏まえて最近公団の建てかえ工事が行われているようですが、建てかえ後の家賃が高くてそこに住み続けられないお年寄りの方々も大変多いと聞いております。地価高騰対策の基本的問題だと思いますが、こういうお金の面もお考えいただきまして建設省、国土庁に最後にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
#121
○説明員(立石真君) 住宅・都市整備公団の建てました住宅も、既に昭和三十年代の初めに建てたものはかなり狭くまた古くなってきております。こういうようなことから建てかえ計画を進めておる段階でございます。そのねらいといたしましては、敷地の適正な利用を図って、非常に都市内のいい位置に立地している場合もあるわけでございますので、職住近接の住宅を大量に供給することに努めたいということが一つでございますし、またそれぞれの団地につきまして居住水準の向上を図って良質な住宅を供給する、そういうようなことを基本的な考え方として建てかえを実施しているところでございます。
 建てかえ後の住宅の家賃をどのような考え方で定めているかというのについて次に述べたいと思いますが、まず住宅の建てかえをした場合には、建てかえ住宅の家賃は当然従前のものより高くならざるを得ないわけでございます。これは、建てかえ後の住宅が一般的にまず面積が広くなります。それからまた質としても従前のものに比べてかなりよいものになります。また設備等も新しくなる。それと現在の建築工事費がかかるわけでございますから、どうしても家賃は高く定めざるを得ないわけでございます。こういうようなことから、通
常、新規住宅と均衡のとれた適正なものとしなければならないという側面があるわけでございます。
 しかしながら、従前から居住されていた方々に対しましては、その家賃が非常に高くなるというそういう負担が大きくなることを緩和する必要があると考えております。そこで、当初の建てかえ住宅の家賃につきましては従前の家賃で入居でき、あるいは若干それに上乗せした家賃で入居して、その後も急激には負担が上昇しないように、段階的に本来の家賃となるよう七年間の激変緩和措置を講ずるというような措置も講じているところでございます。
 特に、先生御指摘の老人あるいはまた生活保護世帯等の低所得の方々に対しましては、公団が定める一定の収入未満の方というように考えておりますが、この方々につきましては、一つはまず他の公団住宅等へのあるいはまた公共住宅等への移転をあっせんする等の措置を講じているものでございますが、家賃の問題といたしましても、建てかえ後の賃貸住宅にもう一度戻って入居される方あるいはまた他の公団賃貸住宅へ移転される方々に対しまして、生活保護と関連いたしまして、住宅扶助限度額を超えるような家賃になる場合にはその超える部分を五年間減額する、そういうような措置を通じて老人が追い出されるようなことがないように図っているところでございます。
#122
○説明員(鎭西迪雄君) 基本的にはただいま建設省の方から御説明があったとおりでございますが、土地対策の観点から若干補足させていただきますと、昨年末の土地対策関係閣僚会議におきます申し合わせ事項「今後の土地対策の重点実施方針」の中に、ただいま先生の御指摘がございましたものに関係いたします事項が幾つかございます。特に、大都市地域におきます住宅・宅地供給の促進、あるいは土地税制の総合的見直し、国公有地を公共的な住宅プロジェクトの用地等として利活用するというような大きく関連する事項がございますので、私ども土地対策の方面からも建設省と十分連携をとりましてこのような点について重点的な実施というものを図ってまいりたい、かように考えているところでございます。
#123
○西川潔君 終わります。
#124
○会長(遠藤要君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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