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1990/05/11 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 予算委員会 第5号
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1990/05/11 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 予算委員会 第5号

#1
第118回国会 予算委員会 第5号
平成二年五月十一日(金曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月四日
    辞任         補欠選任
     野田  哲君     田  英夫君
     堀  利和君     堂本 暁子君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     沓脱タケ子君     上田耕一郎君
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     田  英夫君     角田 義一君
 五月十日
    辞任         補欠選任
     上田耕一郎君     立木  洋君
     粟森  喬君     磯村  修君
     西川  潔君     下村  泰君
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     秋山  肇君     野末 陳平君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         林田悠紀夫君
    理 事
                伊江 朝雄君
                石原健太郎君
                下稲葉耕吉君
                平井 卓志君
                穐山  篤君
                矢田部 理君
                安恒 良一君
                太田 淳夫君
                吉岡 吉典君
    委 員
                青木 幹雄君
                井上 章平君
                石井 道子君
                遠藤  要君
                小野 清子君
               大河原太一郎君
                合馬  敬君
                片山虎之助君
                北  修二君
                斎藤栄三郎君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                谷川 寛三君
                中曽根弘文君
                二木 秀夫君
                稲村 稔夫君
                梶原 敬義君
                久保  亘君
                國弘 正雄君
                竹村 泰子君
                角田 義一君
                堂本 暁子君
                村沢  牧君
                本岡 昭次君
                山本 正和君
                猪熊 重二君
                白浜 一良君
                和田 教美君
                立木  洋君
                池田  治君
                磯村  修君
                足立 良平君
                井上  計君
                下村  泰君
                野末 陳平君
   国務大臣
       内閣総理大臣   海部 俊樹君
       法 務 大 臣  長谷川 信君
       外 務 大 臣  中山 太郎君
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
       文 部 大 臣  保利 耕輔君
       厚 生 大 臣  津島 雄二君
       農林水産大臣   山本 富雄君
       通商産業大臣   武藤 嘉文君
       運 輸 大 臣  大野  明君
       郵 政 大 臣  深谷 隆司君
       労 働 大 臣  塚原 俊平君
       建 設 大 臣  綿貫 民輔君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    奥田 敬和君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  塩崎  潤君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       砂田 重民君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  石川 要三君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       相沢 英之君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       大島 友治君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  北川 石松君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  佐藤 守良君
   政府委員
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一
       部長       大森 政輔君
       公正取引委員会
       委員長      梅澤 節男君
       公正取引委員会
       事務局官房審議
       官        矢部丈太郎君
       総務庁長官官房
       会計課長     大橋 豊彦君
       総務庁行政管理
       局長       百崎  英君
       北方対策本部審
       議官       鈴木  榮君
       防衛庁参事官   内田 勝久君
       防衛庁参事官   玉木  武君
       防衛庁参事官   村田 直昭君
       防衛庁参事官   鈴木 輝雄君
       防衛庁長官官房
       長        児玉 良雄君
       防衛庁防衛局長  日吉  章君
       防衛庁教育訓練
       局長       米山 市郎君
       防衛庁人事局長  畠山  蕃君
       防衛庁経理局長  藤井 一夫君
       防衛庁装備局長  植松  敏君
       防衛施設庁長官  松本 宗和君
       防衛施設庁総務
       部長       吉住 愼吾君
       防衛施設庁施設
       部長       大原 重信君
       防衛施設庁建設
       部長       黒目 元雄君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
       経済企画庁調整
       局長       勝村 坦郎君
       経済企画庁物価
       局長       田中  努君
       経済企画庁総合
       計画局長     冨金原俊二君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   石塚  貢君
       科学技術庁原子
       力安全局長    村上 健一君
       環境庁企画調整
       局長       安原  正君
       環境庁大気保全
       局長       古市 圭治君
       国土庁長官官房
       長        北村廣太郎君
       国土庁長官官房
       会計課長     森   悠君
       国土庁計画・調
       整局長      長瀬 要石君
       国土庁土地局長  藤原 良一君
       国土庁大都市圏
       整備局長     三木 克彦君
       法務省民事局長  清水  湛君
       法務省刑事局長  根來 泰周君
       法務省入国管理
       局長       股野 景親君
       外務大臣官房文
       化交流部長    小倉 和夫君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省北米局長  松浦晃一郎君
       外務省欧亜局長  都甲 岳洋君
       外務省経済局長  林  貞行君
       外務省経済協力
       局長       木幡 昭七君
       外務省条約局長  福田  博君
       外務省国際連合
       局長       赤尾 信敏君
       外務省情報調査
       局長       佐藤 行雄君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     篠沢 恭助君
       大蔵省主計局長  小粥 正巳君
       大蔵省主税局長  尾崎  護君
       大蔵省理財局長  大須 敏生君
       大蔵省理財局次
       長        松田 篤之君
       大蔵省証券局長  角谷 正彦君
       大蔵省銀行局長  土田 正顕君
       大蔵省国際金融
       局長       千野 忠男君
       文部大臣官房長  國分 正明君
       文部省学術国際
       局長       川村 恒明君
       厚生大臣官房総
       務審議官     加藤 栄一君
       農林水産大臣官
       房長       鶴岡 俊彦君
       農林水産大臣官
       房予算課長    山本  徹君
       農林水産省経済
       局長       川合 淳二君
       通商産業大臣官
       房商務流通審議
       官        山本 貞一君
       通商産業省通商
       政策局次長    堤  富男君
       通商産業省立地
       公害局長     岡松壯三郎君
       中小企業庁長官  見学 信敬君
       運輸大臣官房長  松尾 道彦君
       運輸大臣官房国
       有鉄道改革推進
       総括審議官    大塚 秀夫君
       運輸省運輸政策
       局長       中村  徹君
       郵政大臣官房経
       理部長      木下 昌浩君
       労働大臣官房長  若林 之矩君
       労働省労働基準
       局長       野崎 和昭君
       労働省職業安定
       局長       清水 傳雄君
       建設大臣官房総
       務審議官     福本 英三君
       建設大臣官房会
       計課長      小野 邦久君
       建設省建設経済
       局長       望月 薫雄君
       建設省都市局長  真嶋 一男君
       建設省道路局長  三谷  浩君
       建設省住宅局長  伊藤 茂史君
       自治大臣官房総
       務審議官     芦尾 長司君
       自治省行政局長  森  繁一君
       自治省行政局選
       挙部長      浅野大三郎君
       自治省財政局長  持永 堯民君
       自治省税務局長  湯浅 利夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮下 忠安君
   参考人
       海外経済協力基
       金総裁      山口 光秀君
       日本銀行副総裁  吉本  宏君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成二年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成二年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を開会いたします。
 平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算、平成二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
    ─────────────
#3
○委員長(林田悠紀夫君) まず、総括質疑に関する理事会の協議決定事項について御報告いたします。
 総括質疑は七日間とすること、質疑割り当て時間は総計九百八十一分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党及び日本社会党・護憲共同それぞれ三百三十五分、公明党・国民会議百三分、日本共産党、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合それぞれ五十二分、参院クラブ及び税金党平和の会それぞれ二十六分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。
 右、理事会の決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成二年度総予算三案審査のため、本日、海外経済協力基金総裁山口光秀君及び日本銀行副総裁吉本宏君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(林田悠紀夫君) この際、小粥主計局長から発言を求められておりますので、これを許します。小粥主計局長。
#8
○政府委員(小粥正巳君) 大蔵省所管造幣局特別会計の予算参照書の訂正並びに郵政省及び労働省の各目明細書の正誤について御報告いたします。
 まず、大蔵省所管造幣局特別会計の予算参照書の訂正について申し上げます。
 政府は、天皇陛下御即位を記念するため、十万円記念金貨幣を本年度に発行する予定であります。
 本記念金貨幣につきましては、昭和天皇御在位六十年記念金貨幣の偽造事件を踏まえ、各方面の専門家の意見も十分に参考といたしまして、技術的偽造防止策を講ずることといたしておりますが、これに加えまして、国民に長く愛蔵される金貨幣とするとの観点及び偽造誘因を減少させるとの観点から、金貨幣の量目を当初予定の二十グラムから三十グラムに増加させることといたしております。
 この金貨幣の量目の増加に必要な金地金は、新たに購入するものではなく、造幣局の在庫を利用することといたしておりますので、予算に変更はございません。ただ、造幣局在庫の変動に伴い、国会の議決対象となる予算ではございませんが、予算の参照書である貨幣回収準備資金増減計画表の訂正が必要となります。このため、訂正表を国会に提出いたしましたところでございます。
 次に、郵政省及び労働省の各目明細書の正誤についてでございますが、平成二年度予算の御審議に際しまして、両省から提出されました郵政省所管一般会計歳出予算各目明細書及び特別会計歳入歳出予定額各目明細書並びに労働省所管一般会計歳出予算各目明細書の一部に誤記がある旨の報告を受けております。
 なお、正誤の内容は、お手元に配付されております正誤表のとおりでございます。
#9
○委員長(林田悠紀夫君) 橋本大蔵大臣。
#10
○国務大臣(橋本龍太郎君) 予算参照書の訂正につきましては、ただいま主計局長から報告があったとおりでありますが、金貨幣の偽造といった事態を踏まえ訂正を行うこととしたものであり、御理解を願いたいと存じます。
 また、郵政省及び労働省から国会に提出されました各目明細書に誤りがありましたことは遺憾であり、今後このようなことがないよう関係省庁を指導してまいりたいと存じます。申しわけありませんでした。
    ─────────────
#11
○委員長(林田悠紀夫君) それでは、これより総括質疑を行います。矢田部理君。
#12
○矢田部理君 まず、総理にただしたいと思いますが、社会党と公明党、民社党、進民連の四党が衆議院におきまして平成二年度予算案について消費税削除を主たる内容とする予算の組み替えを求めましたが、政府はこれを一顧だにしませんでした。この態度を参議院でも固執するとしますならば、参議院で否決をされることは必至と言わなければなりません。本予算の否決は憲政史始まって以来のことでありまして、その政治的に意味するところは極めて重大だと言わなければなりません。海部内閣の不信任案と言ってもよろしいでありましょう。このような深刻な事態を迎えることになることが必至でありますが、これについて総理としての見解をまず伺いたいと思います。
#13
○国務大臣(海部俊樹君) 予算は、いろいろな角度から国民生活の安定向上を願いつつ、政府といたしましては、できる限りの条件を整備いたしまして、そしていろいろな角度から編成をして提案し、お願いしておる内容でございますから、いろいろとこの委員会でも御議論を闘わせていただきまして、否決必至とおっしゃらないで、いろいろと歩み寄る接点がないものだろうか、いろんな角度で予算そのものの内容についても御検討、御議論を賜りますように心からお願いを申し上げる次第でございます。
#14
○矢田部理君 歩み寄るのは私どもではなくて、消費税問題に政府が組み替え要求を出したわけでありますから、積極的に対応することが大事だと思いますが、もう一度だけ答弁を求めます。
#15
○国務大臣(海部俊樹君) 消費税の問題につきましては、政府としては、昨年の四月からスタートさせていただいた今日の税制でございますから、これに対していろいろ世論の御批判や野党の皆さん方の御意見があることはよく承知いたしておりますので、それを踏まえて見直し案を準備して提出しておるわけでありますから、消費税そのものの内容についての御議論と別に今の予算の金額についての御議論になりますと、ちょっとよって立つ次元が変わってまいりますので、どうかその点も御理解をいただきたいと思います。
#16
○矢田部理君 消費税問題は当予算委員会においても中心的な課題の一つでありますから、各般の議論を同僚委員とともにさらにやっていきたいと思いますが、先立って、国際情勢についてまずただしていきたいと思います。
 ソ連、東欧の歴史的な変化と国際的な軍縮の動向、これを受けてのマルタ会談以後の世界情勢は、ブッシュ大統領も言っておるわけでありますが、冷戦の終結、そして東西の協調と協力、これがキーワードになっていると思いますが、総理の御認識はいかがでしょうか。
#17
○国務大臣(海部俊樹君) マルタ沖の米ソ首脳会談の内容が、今日までの対決、対立的な発想から、冷戦時代の発想も乗り越えて、話し合って協調していこうという方向に向かっておるということは、私もそのとおりだと受けとめております。
#18
○矢田部理君 六〇年代から七〇年代にかけてもデタントとか平和共存という時代がありました。しかし、このときのデタントはどちらかというと冷戦構造そのものの基本には手をつけずに、そのもとでの一時的、部分的な緊張緩和だったと思われます。しかし、今日の変化は冷戦体制の根底そのものを問う、その解体に向けて大きな第一歩を踏み出したというふうに受け取られるわけでありまして、その点では従前のデタントと本質的な違いを持っていると考えますが、総理の認識はいかがでしょうか。
#19
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘になりました過去のデタントと言われておった時代は、やはり背後にお互いに力による対決の背景を持ちながら、しかし、それで直接戦闘に訴えてはいけないというお互いに自制をしながらのデタントであったと私は思っております。そのころは、むしろ東西に共通の認識として、軍備管理という発想よりも、お互いにそれぞれの陣営の長として紛争の際には第一線に立たなきゃならぬという立場から、例えばアメリカなんかでも二カ二分の一戦略というものが国防白書の中できちっと出てくるように、またソ連にはそれに対抗するような大きな軍事力というものが整備されていくように、そんな力の大きな背景を当然のこととして持ちながらの、しかもそれを使わないようにという発想であったと私は理解をしておりました。
 今日、そういったこと自体も無意味であるのでお互いに軍備管理、お互いに話をして必要なものまで下げていこうではないかというような発想が、まさにマルタ沖で話し合われた冷戦時代の発想を乗り越えてのスタートラインだと思います。ですから、私はまだ進行形の中だ、終わってしまったとは思いませんけれども、そういう方向に向かって米ソの両首脳が話し合いをした。力に訴えることがいかに無意味なことであるかということを両首脳とも根底に持ちながら、じゃ、どうしていこうかという、その新しい、冷戦の発想を乗り越えた認識を両方とも持ってあの会談が行われたものであると。したがって、五〇年、六〇年代、そして今日とは同じデタントといっても様相は違うと思うとおっしゃることは、私もその方向においてはそのとおりだと思います。
#20
○矢田部理君 従来の冷戦体制は異常かつ不毛の軍拡をその後も続けることになりました。それが、財政問題だけではないと思いますが、巨額の軍事負担に米ソともに苦しむようになった。その反省が共通の認識になったことがいわば今度のマルタ沖会談を成功させたというふうに考えます。
 その一方の担い手であるソ連及び東欧の状況でありますが、これはソ連のペレストロイカあるいは新思考外交という内外にわたる改革路線と、それを受けての広範な民衆の民主化の叫びということが結びついて冷戦構造の終えんという事態に立ち至ったというふうに考えるわけでありますが、この状況は、今後ある種のジグザグはあるかもしれませんけれども、もう後戻りができない、本格的な雪解けでありり、その方向は定着をしていくものと受けとめておりますが、この認識はいかがでしょうか。
#21
○国務大臣(海部俊樹君) スタートラインに立ってそのような方向に歩み始めるということは、私は全く認識を同じくいたします。
 ただ、まだ不透明な問題や不安定な問題も前途に残っておることも事実だと思います。そして、アメリカ自体も巨額の財政赤字を抱えて、今御指摘のように、また必要でないとなるなれば軍備に必要以上なものをかけたくないという発想があることはこれはそうだと思いますし、また、ソ連の国内においても、これは国内的に経済状況が非常に不安定である。同時にまた、国内的に民族問題等もたくさん抱えておる。そういうときにやはりいつまでも力による対決、対立の姿勢よりも、国内問題を重視していかなければならぬという発想があることもこれは事実だろうと私は推測をいたします。
 ですから、それぞれの陣営においてそういった背景があり、国民生活を明るく豊かにしていかなきゃならぬという願いがあるからこそ、ヨーロッパにおけるあのような劇的な変化も起こってきたものだと私は思います。こういったものは、それぞれの国民生活、政治というものは、簡単に申し上げると一国の平和と国民生活の安定向上を図ることにあるというところにあるとするなれば、米ソ両方ともに国内生活の安定向上を考える中でお互いに話し合いをすることができるなれば、軍備の問題については必要なものにお互いに軍備管理をしていこうという流れは今後も続いていくということを私は期待もし、またそのような路線が変わらないことを願ってもおります。
#22
○矢田部理君 総理の一部の答弁の中にもありましたが、いたずらに不透明性や不確実性を強調するのではなくて、まさに劇的な変化、歴史的な転換を遂げようとしているわけでありますから、そういう立場に我が国も立って、冷戦時代の発想を越えて新しい外交戦略を打ち出すべきときではないかというふうに実は私は思っております。
 その基本に据えられなければならないものに、四つばかりの観点があると実は思うのであります。その一つは、脱冷戦、軍縮を基軸とした東西間の協調、協力。二つ目には、ODAの理念を明確にしていく。質的量的な改善を図りながら南北問題に本格的な取り組みをしていくこと。そして三つ目には、瀕死の重傷になりつつある地球の問題。地球的規模の環境問題に積極的に取り組んでいくこと。そしてこれらを通じて人権の保障、確立、そしてまた共生の理念の具体的な実現などを目指す新しい外交戦略を展開することが望まれるのでありますが、総理及び外務大臣にこの点の所信をただしたいと思います。
#23
○国務大臣(中山太郎君) 今委員お尋ねの点につきましては、既に国連総会におきまして日本の外交の基本的な考え方として軍縮を期待することを強く主張いたしておりますし、また南北問題におきましては、累積債務問題で苦しむ発展途上国の救済に日本はできる限りの協力をするということも国際社会に公約をいたしております。また、テロ、麻薬、地球環境汚染、このような問題については、日本がかつて体験をした公害を乗り越えた技術を提供し、資金的にも協力するという姿勢を国際社会に約束いたしております。
 また、人権を尊重するという姿勢も一貫して尊重しておりまして、御指摘のように、次の来るべき新しい世紀に向かって、この国際政治の枠組みの歴史的変更の中で日本は平和国家として過去の体験を生かしてこのような地球規模の問題に積極的に貢献をすべきである、このように考えております。
#24
○国務大臣(海部俊樹君) 我が国の安全保障政策というのは、当初から専守防衛、そして平和時における日本の専守防衛のために必要な節度ある防衛力を整備してまいりました。世界の大きな歴史の変化の中で、私はやはり日本はみずからの平和と安全を確保していくというそういった立場に立って、国際情勢の変化や経済、財政状況、その他も踏まえて今後の防衛力整備の方針も立てていかなければならない、こう考えております。
 なお、ODAの質的量的な改善の問題あるいは地球環境保全のために日本が果たしていかなければならない役割、また世界の人権保障、人権確保のために協力をしていかなきゃならぬ問題、それらのことにつきましては、それぞれについて私どもも世界の新しい枠組みづくりに積極的に日本も協力をしていかなければならない、こう考えておりますから、それぞれの分野において応分の貢献をするために積極的に取り組んでいきたい、こう考えます。
#25
○矢田部理君 この新しい時代の外交のスタートに当たってどうしても忘れてはならない原点というのは、過去の侵略戦争や植民地支配に対して根本的に謝罪をし反省をする態度だと思っております。西ドイツは絶えずこのことにやっぱり留意して節々でそのことを明らかにしてきました。
 これは総理にお願いをしたいのでありますが、盧泰愚大統領も訪日されるという状況下でいろんな議論が取りざたをされておりますが、朝鮮、南北を含めたすべての人々に、そして中国の方々に、さらにはアジアの多くの民衆にここで改めて謝罪をし、それを新しい日本外交のスタートにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#26
○国務大臣(海部俊樹君) 歴史の経緯を率直に反省して、改めるべきは改め、そしてまた、今後、日本の過去の歴史に対する認識を正しいものにするところから出発をしていかなきゃならぬということを私も感じます。
 そういった意味で、具体的には盧泰愚大統領が来日されるときに、首脳会談の機会もございますから、私はそのときに考え方を率直に申し上げるつもりでおりますけれども、その大前提は、過去の歴史を振り返ってみて日本が反省すべきことは率直に反省する、そしてその観点に立って将来に向かっての真に友好的な関係を確立するために努力をしていきたい、こう思っております。
#27
○矢田部理君 改めるべきは改めるではなくて、過去の中国侵略、朝鮮に対する植民地支配、アジア侵略、これを明確に認めてその責任を明らかにしつつ、謙虚に謝罪をしていく、その態度が実は問われているのであります。もう一度答弁を求めます。
#28
○国務大臣(海部俊樹君) 私はそういう気持ちで率直に申し上げるつもりでおります。
#29
○矢田部理君 いまだにわかっておられない。韓国の大統領についてだけ言えばいいということじゃないんですよ。
#30
○国務大臣(海部俊樹君) もちろん韓国の大統領だけではございません。朝鮮半島の問題、中国の問題、アジアのこと、皆御指摘のとおりでありますから、過去の戦争の歴史に対してその責任を痛感して、そして反省に立って物を申し上げる、それは率直に私は言うつもりでございます。
#31
○矢田部理君 以下、平和と軍縮、それからODA、地球環境問題について個別的に伺っていきたいと思いますが、マルタ会談が行われた後もアジアの安全保障の環境は基本的に欧州と違って変わっていない、冷戦終結と軍縮の潮流はヨーロッパのものであってアジアのものではないというような認識にどうも政府は立っているように思われてならないのでありますが、その認識は今日も維持されるのでしょうか。
#32
○国務大臣(中山太郎君) 今御指摘のアジアにおける平和、この構築がヨーロッパにおける平和の進行状況とはいささか違うという認識を私どもは持っております。御指摘のように、ヨーロッパは大陸国家でございますし、ワルシャワ条約軍、あるいはNATO軍が陸上戦力を中心に長年対峙をしておったという形の中で、米ソ首脳会談において欧州の平和というものが総合的に話し合われているという姿が一方にございます。しかし、アジアには御案内のように朝鮮半島における対立が引き続いてございますし、またカンボジアにおいては内戦が引き続き行われております。
 このようなアジアの状況、また日本海、太平洋における米ソの海軍戦力の展開というものを含めながら、私どもは、アジアにいかに次の世紀までに平和をつくっていくかということは、平和を目指す日本の国家としては大きな理想を具体化するための努力をしていかなければならない、このような基本的な哲学に立って、委員も御案内のように先般、一月冒頭に私、タイ、マレーシアを訪問いたしまして、両国の首脳ともアジアの平和問題について相談をいたしておりますし、またその後、ヘン・サムリン政権の支配下のプノンペンに外務省の課長を派遣いたしまして、そしてこの政治情勢あるいは国民の生活情勢というものも十分調査をして帰らせております。
 また、二月にはアジア局長をベトナムに派遣いたしまして、カンボジア問題についても意見の交換をいたしておりますし、先般来日されました中華人民共和国の鄒家華委員に対しましても、カンボジアにおける和平をつくろうとする日本の気持ちを受けて、ぜひひとつこのカンボジアの戦闘を中止させるように中国政府には御協力を願いたい、私どもは円借款のお話もございました途次にそのようなことも強くお願いをいたしておるようなことでございますが、先般来日されましたチャチャイ・タイ首相は、海部総理に対して、カンボジア和平のためのヘン・サムリン政権のフン・セン首相とシアヌーク殿下の東京における和平協議の場をつくったらどうかという御提案がございまして、早速海部総理は、このタイの首相の考え方に、これは結構なことだということで、外交ルートを通じまして既にこの二人の首脳に対してはこの意思を伝達してございます。
 私どもはこのような形で、長年カンボジアの内戦に関与してこられたソ連あるいは中国、ベトナムにはベトナム戦争もございました。いろんな関与した国々も含めて、この内戦が一日も早く終了してインドシナ半島に平和の日がやってくる、そういうために日本はできる限りの協力をいたしたいし、でき上がった和平に経済協力をするのはもちろんでございますが、その和平をつくるためのプロセスに日本ができるだけの協力をしていこうという外交姿勢を堅持しておるところでございます。
#33
○矢田部理君 個別的な努力は多といたしますが、全体としてアジアの安全保障には基本的な変化がないということで、アジアを冷戦構造の上にとらえている節がやはり外務省を中心にあるわけであります。かつて、大綱をつくる時代、ヨーロッパとの違いでアジアの方が緊張は緩い、こう言ってきたわけですね。中国が東西いずれにも属さず、いわばアジアは三極構造であった。ヨーロッパのように陸地続きではなくて海があるから地政学的にもアジアの緊張は弱い、緩い、こういうふうに言ってきたのであります。その緊張が薄かったアジアが軍縮の面で大幅におくれてしまった。一体これはなぜだったのでしょうか。どんな分析をしていますか。
#34
○国務大臣(中山太郎君) アジアの状況は、先ほども少し御答弁申し上げましたが、やはり朝鮮半島における不安定な状態は否定することができませんし、中国の改革・開放路線の進めぐあいも私どもとしてはまだ期待したものとは思っておりません。このような中で極東のソ連海軍戦力は、隻数は減っておりますけれども軍事能力は向上しているという報告を受けております。
 しかし、委員御指摘のように、この地域の和平構築というものにつきましては、ヨーロッパの全欧安保会議、このような機会がまだアジアにはつくられておりません。このようなことで、先般来在日されております例えばブータンの外務大臣、あるいは昨晩もシンガポールの第二副首相とも、アジアの和平をつくるためにはできるだけアジアの外交担当者が話し合う場というものがつくれないものかということをいろいろと意見を交換いたしておりまして、日本政府としては、できるだけこういうふうな考え方で意見を交換しながらアジアの和平を話し合う場というものをつくることがアジアに住む人々にとって極めて大切なことであり、それが世界の平和にも大きく貢献するものであると私は固く信じております。
#35
○矢田部理君 外務大臣も触れられましたが、どうも日本の外交戦略、あるいは防衛担当者の間に抜きがたい対ソ脅威論を払拭できないものがありはしないかと私は考えております。
 そこで、最近の情勢の認識を伺いたいのでありますが、アメリカではチェイニー国防長官がこの一月の国防報告で、ソ連のアメリカ及び同盟国に対する軍事侵攻の可能性は戦後最低であるという見解を明らかにしました。パウエルという統合参謀本部議長も、日本週辺のソビエトの脅威についてでありますが、ソ連軍が西側の利益を侵す敵対的な行動に出る可能性は薄まった、こういう認識を軍当局がしているわけでありますが、日本政府もソビエトの脅威に対しては同じような認識に立ちますか。
#36
○国務大臣(中山太郎君) 委員お尋ねのソビエトの軍事力の脅威というものは、私は外交を預かる立場でまだ現存をしていると思います。例えばこの軍事力の削減ということが話の上で出てくる、あるいは米ソ首脳会談においても恐らくいろいろと軍縮問題が大きな議題となって行われることは間違いございません。
 そういう中で、先般私はチェコスロバキアを訪問いたしまして、チェコに駐留しているソ連軍はいつ撤退が可能かということをただしましたところ、チェコには約七万五千人のソ連軍が現在駐留しておりますけれども、この七万五千人の駐留軍がソ連領内に引き揚げていくということについては、ソ連の国内における住宅問題あるいは職場の問題、いろんな問題がございまして、なかなか軍縮を行うという場合にも、その過程においては軍縮を行う国にはやはり大きな内政上の問題があるということも現実だという認識に立って、私どもは平和への努力をしながら、そのような現実を見ながら日本の安全保障というものを考えなければならない、このように考えております。
#37
○矢田部理君 侵攻の可能性は戦後最低、脅威は減っているというアメリカの認識と日本政府の認識は同じ立場に立つかと聞いている。
#38
○政府委員(日吉章君) 事実関係の認識でございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
#39
○矢田部理君 聞いているのは事実関係じゃない。違う違う。大きな政治的な評価の問題だから総理ないし外務大臣ですよ。あんたには聞いておらぬ。
#40
○政府委員(日吉章君) 私の方からまず事実関係をお答え申し上げまして、後で大臣からお答えをいただきたいと思います。
#41
○委員長(林田悠紀夫君) 事実関係を聞いてもらってから……
#42
○矢田部理君 いや、事実関係を聞いているんじゃないんです。アメリカの認識と同じような認識に立つかという政治の認識を聞いている。事務屋の話を聞いているんじゃない。
#43
○委員長(林田悠紀夫君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#44
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
#45
○国務大臣(中山太郎君) 米国の国防報告についての御意見かと思います。
 まず第一に、アジアの地域に触れる前に全般的な問題として、欧州情勢を中心に東西関係は冷戦の発想を超えて対立から対話へ、協調へと変化していることは委員御指摘のとおりでございます。他方、世界の平和と安定は依然として基本的に力の均衡と抑止に依存していることもまた事実でございます。
 特に我が国周辺のソ連軍の動向を見た場合は、極東ソ連軍の長期間にわたる増強の結果、今日極東地域では全ソ連軍の四分の一ないし三分の一に相当する膨大な軍事力が蓄積されており、また特に海空戦力を中心に依然として兵器システムの近代化が進んでいるという認識を持っております。北方領土にも師団規模の兵力が展開をしておる、こういうことにつきましては私どもとしては認識をそのように持っておるわけであります。
#46
○矢田部理君 冷戦構造の解体過程ですから、まだ基本的な枠組みが残っておることはそのとおりですよ。全部終わったなどと私も言っておりません。ただ、従前に比べれば大幅にこの脅威はダウンしているというもう一つの認識を示しているので、日本政府としても同じ認識に立ちますかと、こう言っている。
#47
○国務大臣(中山太郎君) 重ねての御質問でございますが、私は率直に申し上げて、七〇年代の激しい対決の時代あるいは対話の時代、こういろいろ過程がございましたけれども、今日、かつて私どもが恐れたような激しいスーパーパワーの対決状態は停止状態に入りつつあるというふうには認識をいたしております。
#48
○矢田部理君 アメリカとそれは違うんですか、同じなんですか、認識は。
#49
○国務大臣(海部俊樹君) 今御引用になりましたアメリカのチェイニー国防長官の発言がございますが、アメリカの同じ国防白書あるいは高官の発言の中にも違う発言もあるわけでありまして、それは日本とソ連の極東軍管区においては依然としてソ連の能力は防衛に必要な能力をはるかに超えているようであるということをアメリカは認識しておるわけであります。
 私は、アメリカがどう認識するかということよりも、むしろ最初申し上げましたように、日本の平和と安全をきちっと確保していく責任が内閣にはあるわけでありますから、その意味で専守防衛の立場に立って自衛力の整備はしていかなければならぬという基本的な認識を申し上げておる次第でございます。
#50
○矢田部理君 かみ合ってないんですよ。防衛力というのは、脅威対応では即ならないにしても、やっぱり相手方の侵攻の可能性とかそれから攻撃の蓋然性とかということがもう一つ問われるわけでありまして、それは戦後最低になったと、アメリカの認識は。基本的な枠組みが変わったとか、ソ連の軍事力が大幅に減ったというふうに私は今申し上げません。そういう認識を示し、かつ日本政府部内ですら、岡崎さんといって今タイの大使ですが、ここでしばしば答弁をされた、大幅に極東の脅威は減っている、アジアにおいて急激に薄まっていると、こういう認識を政府部内ですら示している。どうなんですか。
#51
○国務大臣(海部俊樹君) アメリカの考え方、同時にアメリカが今日まで果たしてきた役割、東西の対立の構造の中で、一方の責任者としての軍備は、これは有事対応のための必要以上に大きなものであったということを米ソともに私は率直に持っておると思うんです。
 日本の場合は、何度も申し上げるようですが、そういったところに加担しておったわけでもなければ、有事対応でもなければ、もっと極端に言えば、日米安全保障条約というものは御承知のようにバンデンバーグ決議の唯一の例外であって、アメリカにもし有事があっても日本からは出ていきませんよという、ある意味では専守防衛というものを日本のために最大限に活用した安保条約であった。ですから、東西対立の枠組みが冷戦の発想を超えた、それはアメリカにとってソ連にとって大幅な軍縮に向かっての可能性を大きくはらんでおるものでありますけれども、その対立の構造の中に日本は力として組み込まれておったわけじゃないわけでありますから、しかも日米安保条約において、それによって抑止をしながら補完していくという専守防衛であったわけでありますので、ヨーロッパにおいてはそういう大きな変化があったということが直ちにアジアの、しかも日本の専守防衛の考え方に根本的な変化が来るものだとは直接考えてはいけないんではないか。
 そういった国際情勢の変化を踏まえながら、どの程度したらいいかということを考えていくのがやっぱり専守防衛の立場ではないか、私はそう思うんです。対決、対立の枠組みの中へ日本は力として参加しておったわけではないということであります。日本の安全保障は、日米安保条約という全くバンデンバーグ決議の例外を認められた世界唯一の希有な条約であったと、こういうことでございます。
#52
○矢田部理君 私は日本の防衛をどうするなどということを一言もまだ言っていないんです。これは後で言います。
 ソビエトの侵攻の可能性が急速に薄まった、戦後最低だというアメリカの認識と同じ認識に立つかと言っているんです。それだけの話です。
#53
○国務大臣(海部俊樹君) ですから、その御引用になった部分だけを取り上げておっしゃいますが、アメリカの同じ意見の中にも、ソ連の能力は防衛に必要な能力をはるかに超えているということが言われておりますから……(「能力があるかないかを聞いている」と呼ぶ者あり)ですから、私は相手国の脅威があるないよりも、この国の平和をきちっと守っていかなきゃならぬという立場で節度のある防衛力を整備していかなきゃならぬという基本原則を申し上げておるだけでありまして、米ソの問題は、マルタ沖で東西の対立をやめて冷戦構造の発想を乗り越えようとしておるということは、私も最初に御答弁申し上げたように率直に認めておるわけでありまして、そういったいい状況が続いていくことを強く期待をしておる、こういうわけであります。
#54
○矢田部理君 情勢の認識を聞いているんです。日本の防衛をどうするかとか、防衛の根拠を聞いているんじゃないんです。
#55
○国務大臣(海部俊樹君) 東西対立、対決の冷戦時代の発想を乗り越えた動きが起こりつつあるということは私も率直に認識しておりますし、それがまさに劇的にヨーロッパで起こっておるということであります。そしてアジアとヨーロッパの間にはまだいろいろな問題の相違があって、不透明な部分があるということも私の認識の中にはございます。
#56
○矢田部理君 にもかかわらず、アジアにおいても日本周辺の脅威、ソビエトの脅威について侵攻の可能性は急速に薄まったという認識を示している。侵攻の可能性は昔どおりあるという認識ですか、日本政府の認識は。どっちなんですか、逆に言えば。
#57
○国務大臣(中山太郎君) 我が国周辺のソ連軍の長期間にわたる増強の結果、今日極東では全ソ連軍の四分の一ないし三分の一に相当する膨大な軍事力が蓄積されております。また、特に海空戦力を中心に依然として兵器システムの近代化が継続されておりまして、北方領土にも師団規模の兵力が配備されており、かかる極東地域におけるソ連軍の軍事力については、我が国としては我が国周辺のソ連軍の潜在的脅威が存在していると認識をしております。
#58
○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#59
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
#60
○矢田部理君 ソビエトに軍事力があるかどうかということを聞いているんじゃないんですよ。意図とか政策が大幅に変わってきた、冷戦構造の終えんという方向づけの中で。外務省の栗山さんですら、言い方は余り素直ではありませんが、ソ連にはこれまでのように直接間接、軍事力に依拠した拡張主義的政策を続けていく余裕はない、こう言っているんです。侵攻の可能性はもうないと。岡崎大使のごときは、大幅に減っている、目立って後退している、こういう発言までしているんです。そういう認識に日本政府も立てますか。アメリカもそういう認識を示している。軍事力がまだあるとか、日本よりも大きいとかという比較の問題はこれからやりますが、そこを言っているんじゃないんです。もう一回答えてください。
#61
○国務大臣(中山太郎君) 今委員お尋ねの点につきましては、私どもといたしましては、ソ連の戦力は米国及び同盟国にとって依然最も深刻な軍事的脅威であるというこのアメリカの九一年の国防報告というものは、そのまま私どもの認識と一致しておるというふうに思います。
 しかし、委員のお尋ねの一つのお考えの中に、この侵略的な要素がどうかということにつきましては、以前に比べて侵略的な要素は薄まってきつつある、まだその過程であると私どもは認識をいたしております。
#62
○矢田部理君 それを最初からそう答えたら余り時間をかけないで済んだのに……。
 そこで、脅威の問題から次の問題に発展をさせたいのですが、米ソとも、マルタの冷戦終結宣言以降、これは欧州だけのものではなくて全世界的なものにしていきたい。アジアはヨーロッパほど顕著ではありませんが、防衛費のそれぞれの削減を初めとして軍事力はやっぱり減らしていこうという方向でそれに着手をしているというふうに私は感じるわけですね。例えばソビエトの状況を見ますと、アジア部で二十万、極東では十二万を削減します、モンゴル、ベトナムのアジア地域からソ連軍を撤退させます、中ソ国境もそういう方向で動きますと。現にその削減が始まっているのであります。アメリカも同様であります。アジア駐留軍の一割削減計画を明らかにした。日本、韓国、フィリピンで一万三千人を減らしていく、それを第一段階として第二、第三段階も想定をしておる。この動きは、全体としてアジアも遅まきながら軍縮の方向で米ソは動き始めた、こういう位置づけで見るべきだと思うが、いかがでしょうか。
#63
○国務大臣(中山太郎君) そのような考え方がソ連の中にあるということは私どもも認識をいたしておりますけれども、先ほども総理から申し上げましたように、ソ連の国内政情というものは決して安定しておりませんし、ペレストロイカも順調に進んでいるとは思っておりません。このような中で、私どもはソ連のこれからの内部におけるいろんな政治勢力がどのように変わっていくのか、政府はペレストロイカの正しい方向性を強く支持しておりますけれども、私どもとしては当分これからのソビエトの具体的な新思考政策が私どもの前にあらわれてくることを期待しながら、当分の間私どもは平和を求める姿勢を堅持して努力をしてまいりたいと思っております。
#64
○矢田部理君 どうも軍縮の話というと、演説はするが実際はやりたがらないという癖がしばしば出るのでありますが、もう一度アメリカの、例えば最近出ました共同防衛に対する同盟国の貢献に関する報告でも、今日の諸条件は軍事力の大幅な削減を達成するには極めて良好な状況にあるという、今の情勢を非常に前向きに理解しようとしている。ここがやっぱりポイントなんですね。あれほど脅威だと言ったSS20もソビエトは撤去したのでありますから、米ソともまだ不十分だし、大きな軍縮の中では第一歩にすぎませんが、そういう方向で動いてきているという方向性ぐらいは認めてやらなきゃいかぬのじゃないでしょうか。また、その前提で日本も考えなければ、やっぱり日本の軍縮政策なり外交的な展開は大幅に立ちおくれてしまって、模様だけを眺めている外交ということになりませんか。
#65
○国務大臣(中山太郎君) 私どもはこの米ソの軍縮というものが六月初めの米ソ首脳会談の大きな議題になるということは十分承知をいたしております。しかし、双方ともまだ数千発という大陸間弾道弾、核弾頭つきの弾道弾を保持しながらの交渉でございますから、私どもとしては、この米ソの首脳会談における軍縮の問題がどのような経過をたどりながら具体化に向かうかということについては、当分の間慎重に見守る必要があろうと認識をいたしております。
#66
○矢田部理君 石川防衛庁長官に伺いたいと思いますが、先日、タイでしたか、ソ連の軍事力は軍縮の妨害になっておる、ソビエトは一方的に軍備を削減すべきだと声高らかに宣言したそうでありますが、これはどういうことですか。
#67
○国務大臣(石川要三君) 過日、東南アジア三国を訪問したわけでありますが、その際に、私はタイにおきまして在留邦人の方々といろいろと意見交換をしたわけであります。その際に、私のスピーチの中でそういう表現のあったことは私は認めます。
 ただ、その意味は、やはり先ほど来総理並びに外務大臣からいろいろと今日の国際情勢の変化につきましてお話がございましたような、そういう認識は全く私ども同感しているわけであります。ただ、目をアジア・太平洋地域に転じますと、やはり今日、私どもはソ連というものの相当膨大ないわゆる軍事力というものの存在を認めざるを得ない。それが、先ほど来総理並びに外務大臣からもお話がありましたように、要するにヨーロッパの今日のデタントというものの大きな機能を果たしているいわゆるNATOとワルシャワという二つの対峙の機構、この一つのファンクションといいますか、そういうものから見て残念ながらアジアは若干違うという前提のもとに考えますと、やはりこのソ連の膨大な軍事力というものは、むしろヨーロッパのようなそういうデタントの促進をある程度足を引っ張るといいますか、そういう意味でおくらせている要因になっているんじゃなかろうか、私はこういう認識を持っているわけであります。そういうことから、とにかくこの膨大な軍事力というものをぜひソ連が思い切ってさらに軍縮を行っていただきたい、こういうことを申し上げたわけであります。
#68
○矢田部理君 そんなことで軍縮が進むのなら、これほど単純な話はない。
 ソ連はなるほど強大な軍事力をアジアに展開していますよ。しかし、その展開の主要な要素は中国に向けられているというのがアメリカのペンタゴンの分析です。日本の自衛隊と比べてソビエトが強大だというのは当たり前の話です、世界の軍事大国なんですから。問題は、アジア・太平洋で日本の軍事力とアメリカの軍事力がプラスしてソビエトの軍事力に対応しているのであって、この対応関係は極めて均衡がとれているというのが軍事常識でしょう。こんな基本的、基礎的な認識もなしでソビエトは強大で一方的に削減しろなどと言ったら、それで軍縮が進むなどというのはとんでもない間違いだ。海軍力ではアメリカの方がはるかにまさっているという指摘もアメリカ自身しておるのでありまして、総理大臣が冷戦を終えんさせて対話と協調で東西関係を仕切っていこうと、この方向づけにまさに逆行する議論で、私は取り消すべきだと思いますが、いかがですか。
#69
○国務大臣(石川要三君) 今、委員から手厳しい御批判をいただいたわけでございますが、それは一つの私の認識といいますか、考え方でございまして、それは極めて幼稚である、あるいはまた間違っている、そういう御批判はあろうかと思いますが、それはそれとして、私の一つの意見であるということを申し上げたわけでございます。
#70
○矢田部理君 個人が茶飲み話で話したり雑談で物を言ってもらっちゃ困るのでありまして、防衛庁長官としての発言ですから、これは重大だと言わなければなりません。
#71
○政府委員(日吉章君) 防衛庁長官がタイ・バンコクにおきまして発言いたしました背景にございます事実関係を事務当局の方から御説明させていただきたいと思います。
#72
○矢田部理君 あなたには聞いていない。呼び出しもしていないのだから帰っていなさい。全然聞いていません。防衛庁長官の発言です。
#73
○政府委員(日吉章君) 極東におきますソ連の軍事力は、一部削減がありますけれども、実質的なものではございませんことは委員も御承知のとおりだと思います。依然としてその蓄積は膨大なものでございまして、質的向上を継続中でございます。その規模ははるかに防衛上の所要を超えてございます。ただいま委員の方からは、これは中国向けではないかというような御指摘がございましたけれども、その配置を子細に分析してみますと、沿海地方に強大な軍事力を展開いたしておりまして、これは即中国向けであり日本に向けられていないというふうには言い得ないものだ、かように考えております。
 なお、その海空戦力というものは莫大なものでございまして、我が日本の自衛隊とは比較すべくもないことは当然でございますし、米側のことを比較されましたけれども、米国は太平洋・インド洋地域全体の平和と安定を確保するために前方展開しているわけでございまして、それと比較いたしましてもソ連の軍事力というものは膨大なものであろう、私たちはかように考えております。
 なお、ソ連側は、ゴルバチョフ政権になりましてから、ソ連の軍事力の整備は防衛のために合理的十分性のあるものにしたいということを再三機会あるごとに言われております。したがいまして、防衛庁長官は、もしそういうことであるならば、現在のソ連の極東におきます膨大な軍事力の実態から考えまして、アジアにおきます信頼醸成を講じたいということであるなれば、まずもってその膨大な攻撃的な軍事力をみずから合理的十分性のある枠の中におさめていく努力をするということが信頼醸成措置の第一歩ではなかろうかというようなことで大臣は御発言になられたと私は理解いたしております。
#74
○国務大臣(石川要三君) 私のスピーチの内容につきまして、今政府委員からさらにソ連のいわゆる現在の存在する軍事力の内容につきまして詳細にお話ししたわけですが、そういう背景というものを私は頭に持ち、そして講演をしたわけでございまして、これはやはり一人の考え方ということで御理解をいただきたい、かように思うわけでございます。
#75
○矢田部理君 役人に補足説明をしてもらわなきゃ説明ができぬような防衛庁長官では非常に心もとないのであります。とりわけこの軍縮というのは一方的に進められるような性質のものでないことだけはやっぱりきちっと押さえておいてほしい。
 先ほど外務大臣からもお話がありましたが、ヨーロッパの軍縮がアジアの軍縮よりもこれだけ進んだということの背景にはやはり長年にわたる努力があるわけですね。西ドイツのブラント社民党党首が東方政策を発表して、国境は現状で固定しようか、東ドイツを認めようということで対ソ関係を大きく仕切っていった。その上に全欧安保会議があってヘルシンキ宣言に到達をする。こういうヨーロッパの軍縮の努力、軍縮の熱意について学ぶべきなんだ。それをせずして一方的にソビエト下がれと、こんな態度でアジアの軍縮が進むと思ったら大間違いだと思いますが、総理いかがでしょうか。
#76
○国務大臣(海部俊樹君) アジアの地域におけるそれぞれの問題は、やはり積極的に戦争の火種とか紛争の現状とかいうようなものを一つ一つつぶしていく努力を続けていかなければならないことは当然でありまして、その意味でヨーロッパにおける状況の変化、進み方、それは御指摘のように一時期現状凍結、平和共存ということを強く行ってきたヨーロッパの国々が、今その大きな方針を変えて、民族の自決に基づくものでございましょう、ベルリンの壁が崩壊してドイツが今や再統一しようという動きにまで進んできておるというあの状況を見ますと、やはり一刻も早くそれらの対決、対立になっておる様相をアジアでも少なくしていかなきゃならぬ、そのための努力をしなければならぬということはこれは当然のことだと私は受けとめておりますし、そういった姿の中でアジアの本当に信頼に裏打ちされた安定、平和と繁栄が求められるものである、それに向けての努力を日本の政府も積極的にしていかなきゃならぬと思っております。
#77
○矢田部理君 地域紛争に一定の役割を果たすというのは私も大事だと思いますよ。しかし、アジアの軍縮にとってより大きいのは対ソ関係だと私は思っているんです。事実、例えばゴルバチョフ書記長時代ですが、ゴルバチョフのウラジオストク演説というのがあります。ヨーロッパには先ほどの全欧安保会議のヘルシンキ宣言があるわけでありまして、これは信頼醸成措置について画期的な内容を盛り込んだ宣言であります。このヘルシンキ会議を手本にして、太平洋に面するすべての国が参加する太平洋会議を提唱しました。その場所は広島にしようじゃないかとまで言っているわけであります。
 向こうの提案にすぐそのまま応ずるべしとまでは言いませんけれども、少なくともこういう動きに呼応してこれにかわる提案、これに対応する積極的な提案を日本が行っていくことがアジアの軍縮を進めるに当たって非常に大事なんだと。すぐ軍縮に手がつかない。手をつけるべしというのが私の意見ではありますけれども、ヨーロッパが長年かかってきた信頼醸成措置を、やっぱりまず第一段階にはつくる、あるいは非核地帯を設定する。そして、確かに軍事力的には非対称性があります、ソビエトの陸軍とアメリカの海軍という。しかし、これを同率で減らしていくとか、いろいろな手だてを考えながら、アジアでも軍縮のテーブルをつくるべきではないかと思いますが、総理いかがですか。
#78
○国務大臣(海部俊樹君) 私は、でき得るものならばすべての国が参加してヨーロッパのようなそういった姿ができることは基本的には望ましいと考えますが、過日衆議院の御質疑の中においてもそういった考え方を私が述べますと、まだアジアの国々にはそれぞれ対立しているところ、問題解決のしていない国があって、そういったことを発言することはいかがなものかという反論が外電で新聞に載るような状況でございます。
 私は、大前提としてそういったことがないように、それぞれの地域における対立や現に戦闘状態の続いておるようなところについてはまずそれをなくしていって、今御指摘のような第二ステージ、第三ステージの大きな目標に向かってアジアが前進するための環境整備をしていかなければならない。各国ごとに抱える問題を片づけていくことが本当に信頼をしてテーブルに着いてもらうことのできる前提条件ではなかろうか、こう考えております。
#79
○矢田部理君 総理は、所信表明演説で、脱冷戦、軍縮の時代、流れというものをヨーロッパだけのものにしてはならない、アジア・太平洋にもこれを連動させていかなきゃならぬということを言われた。その言やよしてあります。具体的にそれをどう展開するのかが今総理に求められているのでありまして、それに対して明確な答えをし、平和と軍縮へのリーダーシップをとるべきだ、イニシアチブをとるべきだと思いますが、いかがですか。
#80
○国務大臣(海部俊樹君) 私は、その物事を達成するために究極の目的として軍縮を目指しておりますから、そういった意味で、アジア地域の国々がテーブルに着いてもらうことのできる状況をつくる。そのためには、テーブルに着くべきアジアの国々が本当の信頼関係を持ってテーブルに出てこられるような状況をつくらなければならぬ、こう考えておりますから、カンボジアの戦闘状態を終結するための努力も、日本なりの積極的な役割を果たさなきゃならぬということで呼びかけも続けておりますし、またアジアの南西部においてはカシミール問題というのもございます。インドとパキスタンの首脳には、それらの問題について力で解決を考えないで、自制をしてシムラ協定の文言と精神に従って対応してほしいということも強く希望もいたしました。また、この身近なところの六カ国のテーブルを提唱したらどうかという御意見に私が賛成を表明しただけで、その六カ国の中の一部から、首相の態度は間違いである、その前にやるべきことがあるという批判が出てきて、呼びかけてもテーブルには素直にまだ出てきていただけるような状況でないという現実も私は最近いたく感じておるわけであります。
 一つ一つの国とそれぞれの信頼関係をつくるような努力を続けていかないと、なかなか直ちにテーブルに着けという提案は何かそれは言葉だけが空回りするものであって、もっと地道な努力を積み重ねていく必要があるということを感じておりますので、一つ一つの問題について私は努力を続けていかなきゃならぬし、現に行えるものについては行いつつあるという状況でございます。
#81
○矢田部理君 次期防について伺います。
 平和と軍縮への新しい扉が開かれつつある、具体的にその過程がアジアでも始まっていると私は思うのでありますが、にもかかわらず、防衛庁のとっている態度は旧来の方式で五年間にわたって今後次期防を作成しようとしておりますが、これは時代の要請に逆行するものだと考えます。次期防策定の方針を決めたのは八八年末の安全保障会議、ソビエトやヨーロッパの変化を考慮に入れない時期のことであります。その段階で決めたことをこれから行っていくというのには余りにも情勢が変わり過ぎているのでありまして、もう一度安全保障会議を開いて国際情勢の分析なりアジアの情勢の問題点なりをやっぱり洗い直してみる必要があると思いますが、いかがですか。
#82
○国務大臣(石川要三君) 先生もよく御承知だと思いますが、平成二年度で現在の中期防の中で大綱が、おおよそでございますが達成される、こういう状況になるわけでございます。
 したがいまして、これから新たなる中期防を策定することになるわけでありますが、これは委員も御承知のとおり、最終的には政府全体として閣議決定をして決まるわけでありますけれども、一つの作業としては防衛庁が所管ということでいろいろと今準備をしていることは事実でございます。したがいまして、今先生がお話をされましたような新たなる情勢、国際情勢というものは当然これはよく分析をし、そしてその認識のもとに許された憲法の範囲内での、また財政的にも節度ある防衛計画というものを立てていかなければならないことは当然であるわけでありまして、それが今日のような激動の中で果たして五年がいいのか、三年で区切るのがいいのか、いろいろとあろうと思います。そういうものも含めてこれから検討するわけでございますので、先生の御指摘のような国際情勢の変化というものは十二分にこれは前提条件として考えていかなければならない、かように認識をしているわけであります。
#83
○矢田部理君 これは総理が議長ですから総理に伺った方がいいんですが、防衛庁サイドの問題ではなくて、この国際情勢の歴史的な変化、これが取り込まれていない、これが踏まえられていないという中での次期防策定方針でありますから、もう一度やっぱり開いて総理の責任で分析をし直すべきだと思いますが、いかがですか。
#84
○国務大臣(海部俊樹君) 平成三年度以降の防衛力整備につきましては、ただいまいろいろ議論をしておりますこの問題点等も踏まえまして、六十三年十二月の安全保障会議における討議を踏まえ、その具体的な内容について、大綱の取り扱いを含め、国際情勢及び経済情勢、財政事情等を勘案しつつ、安全保障会議を中心とする適切な文民統制のもとに逐次検討をしていきたいと、こう考えます。
#85
○矢田部理君 おととしの安全保障会議をもとにして作業が始まっておるんです。報道などによれば、今の防衛力整備計画は十八兆四千億、五年間でありますが実に二十三兆五千億という金額を出している。二八%も拡大する方向づけをなされているというのであります。米ソともが国防費を少なくとも削減しよう。アメリカは年二%、この五年ないし七年間これをやっていこうという方向で入っている。日本だけが依然として拡大基調というのは一体どうなんですか。少なくとも削減の方向づけを出すべきだと思いますが、いかがですか。
#86
○国務大臣(石川要三君) 先ほど申し上げましたように、次期防の作業というのは現在防衛庁の中では着々と進んでいることは事実でありますが、今先生御指摘のような二十三兆五千億云々というようなものも、まだ私どもは正式には何ら聞いておらないものでございます。したがいまして、それを論ずることはできませんけれども、いずれにしましても、再三申し上げましたような新たなるこの情勢の中でいかなる次期防をつくるか、こういうことでこれから検討するわけでございます。
#87
○矢田部理君 国連の経済特別総会が開かれて、五月一日に宣言を採択しているようでありますが、外務省、宣言の中身、とりわけ軍事費についてどう言っているか、御説明をいただきたい。
#88
○政府委員(赤尾信敏君) 突然の御質問でございますので、私テキストを今持ち合わせておりませんので、後で御説明に伺いたいと思いますけれども、私の記憶にございますのは、ただいまのような欧州情勢の変化等を歓迎すると同時に、軍事費削減等による分を一部はできるだけ途上国の開発に回すようにというような趣旨のパラグラフがあったように記憶しております。
#89
○矢田部理君 この宣言の採択にはもちろん日本は賛成したんでしょうね。
#90
○政府委員(赤尾信敏君) この宣言はコンセンサスで採択されました。
#91
○矢田部理君 いずれにしても、日本もかかわってこの重大な宣言を採択したわけですね。各国は軍事費を削減しよう、その削減した一部を途上国の開発に充てようという歴史的というか画期的な宣言を日本も参加してつくったんですから、防衛費を削減しなきゃならぬのですよ。次期防がふやすという方向で仕切られているとすれば、大変な問題じゃありませんか。防衛費削減の方向づけを総理としてここで明確にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#92
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほど御答弁しましたように、これは今後文民統制の枠内において安全保障会議において十分検討をし、そのときには国際情勢の変化や経済情勢や財政事情やそういったものを十分含んで考慮しながら検討をしていきたいと思います。
#93
○矢田部理君 それに国連総会の宣言が加わるということを留意しておいてほしい。
#94
○国務大臣(海部俊樹君) そのことも議論の対象として検討いたします。
#95
○矢田部理君 情勢が物すごく動いているわけでしょう。政府としてもまだ不透明だ、推移を見守るという態度をとっている。その煮え切らない態度に私は不満がありますが、政府の態度がそうだとすれば、なおさらのこと、今後五年間固定して防衛費をやっぱり仕切っていく、中期的な防衛力の整備計画を立てていく――これは情勢が不安定だ、見通しがわからぬということであるならば、そんな固定方式をとるべきじゃないじゃありませんか。少なくとも現状凍結ないし削減の方向で単年度で柔軟対応すべきではないかというのが私の意見ですが、いかがでしょうか。
#96
○国務大臣(石川要三君) 一昨年の十二月と記憶しておりますが、そのときの安保会議におきまして、次期の問題をどうするかということをいろいろと検討されたわけであります。
 その結果は、とにかく今先生が御発言のように、非常に国際情勢も動いているさなかですから、単年度がいいやら、あるいはまた、いやそうじゃない、現在のような五年がいいやら、いや中間の三年ぐらいがいいやら、中にはシミュレーションで途中でやる方がいいやら、いろいろと検討されたわけでありますが、いずれにしましてもただ毎年毎年やるという、そういう防衛整備をしていくという、そういうやり方につきましてはこれはいささかどういうものか。とにかく防衛というものはやはり、例えば一つの自衛艦を建造するにおきましても非常に年限がかかるわけでありますし、またその他いろいろと他の行政とは違う非常にロングランの問題もあります。そういう中から果たして単年度でいいかということになるといろいろと問題がある、そういうことでございまして、従来のような一つの期間を設けてやるべきであるという結論が一つ出ているわけであります。何もこのような情勢でありますからそれに固執することがいいか悪いかは別問題といたしまして、そういう一つの合意というものが今日出されていることは事実であります。
 防衛庁長官といたしましても、当然今の先生のような御意見もあろうと思います。十二分にその点は検討をして、そしてやはりただ言えることは、ある一定の期間だけは設けて計画は立つべきではなかろうかというのが私の今日の基本的な認識でございます。
#97
○矢田部理君 同じことの繰り返しを言いたくありませんが、国際情勢は不透明だと。不透明だとはいっても全体として雪解け、平和の方向に動いていることは間違いないんですよ。だとすれば、五年間も固定をして拡大基調で防衛力の整備計画を仕切るというやり方はいかにも時代錯誤である。この際、脅威の減少とか軍縮の進展に応ずるという意味では柔軟対応をすべきである、単年度ごとに仕切るべきだということは私の意見でありますからそのことを申し上げておきたいし、同時にまた、次期防で調達を予定しているいろんな兵器がありますが、例えばイージス艦、F15、P3Cなどもそれでありますが、これはやっぱり現状で凍結をする。さらには、次期防で予定をされるであろうOTHレーダーとか空中給油機、FSXなどの新型の兵器については調達を見合わすべきだ。そのぐらいは少なくともこの段階でとってしかるべきだ。
 とりわけ、しばしば話題に供せられておりますところの空中警戒管制機、AWACSと言っておりますがこの導入だとか、一台十一億円もする重装備大型の戦車を本格的に導入する、こんなこともこの際中止をして、国際情勢を見守り軍縮へのワンステップをやっぱり日本も踏み出すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。これは総理に聞きましょう。
#98
○国務大臣(石川要三君) お答えいたします。
 今、次期防の特に兵器の内容につきましていろいろと御発言されたわけでございまして、そういうものにつきまして今の段階でこれをどうするということは、今述べるべき段階ではございません。
 そういうことで、今の先生の御意見は御意見として私も記憶にとどめたいと思いますが、いずれにしましても、これからそういう総合的な検討をいろいろと加える、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
#99
○矢田部理君 これはあなた方の機関紙自由新報でも正式に言っていることですがね、冷戦を終結して軍縮を目指すアメリカが、アメリカは国防費を削減するがかわりに日本が負担してくれと盛んに日本に肩がわりを求めてきている駐留軍経費の負担増の問題だとか、これらもこの際お断りしてはいかがでしょうか。
#100
○国務大臣(中山太郎君) 米国政府は、四月十九日に議会に提出いたしましたアジア・太平洋地域の戦略的枠組みに関する報告において、米国が引き続き太平洋地域における前方展開戦略、二国間の安全保障取り決めを基本的に維持していくことを明らかにするとともに、戦略情勢を十分見きわめながら段階的に米軍の調整を進めていくという考えを示しております。
 米国が、財政赤字にもかかわらず、米国のグローバルな役割と同盟国に対するコミットメントを今後果たしていくとし、そのためにも効率的合理化を通じて節約を図らんと努力していること自体は、我が国としては評価しなければならないと考えております。
 他方、米国がグローバルな役割と同盟国に対するコミットメントを果たしていくために大きな費用を支出しているという基本的な現実も認めていかなければならないと思います。政府としては、在日米軍経費については、従来とも我が国の安全保障にとり不可欠な日米安全保障体制の効果的運用を確保することが極めて重要との観点から、自主的に今日まで努力をしてまいりましたし、これからも日本の自主的な努力をしてまいりたいと考えております。
#101
○矢田部理君 どうもやっぱり、世界の軍縮の流れ、歴史的転換点とか劇的な変化だと言いながら、何一つ日本政府は努力の跡、軍縮への道筋が明確にならない。これで世界情勢に対応していけるんでしょうか。
 外交の基本方針を示せと言ったら、軍縮も平和も希求しておりますと。みずからを縮めることなしに人にだけ軍縮を求める。相手がけしからぬということだけ言い続けてきて外交の新しい展開があろうはずがありません。その点はやっぱり政府の態度に猛省を促して、とりわけ海部さんもそうめったやたらに総理大臣になれるわけじゃないのでありますから、この際思い切ってこれこそ外交の指導性を発揮して、平和への道を大きく踏み出すべきだというふうに思いますが、一言。
#102
○国務大臣(海部俊樹君) 何度も同じことを申し上げるようですが、我が国は、世界が力で対決をし、世界が力で支配する秩序のときに、日本は力でもってこれに参画をしたり加担をしたりしたことではございません。みずからの国の平和と安全を守る、しかもそれは日米安保条約のもとにおいてするということでございましたから、世界の力の対立が冷戦の発想を乗り越えていく方向は非常に望ましいと思いますし、アジアにおいてもそのような姿形ができることは日本としても大いに歓迎すべきことでありますから、そのための努力を続けていくということは再三申し上げておるとおりでありますが、急激に空白をつくったり、日本は直ちにそれじゃ今まで力で全面で対決しておった国々と同じようにイコールして下がっていくべきだという何の基準もございません。
 我が国の平和を守るための平時からの防衛力の整備というものを続けながら、さらにアジアにおいて軍縮の方向に向かっていけるような環境をつくり出していく努力をこそ一生懸命やっていかなきゃならぬと私は心得ております。
#103
○矢田部理君 本当は大綱についてもう少し議論したいのでいろいろ準備はしておるのでありますが、時間がありませんので一点だけ大綱について聞いておきますと、大綱で言う基盤的防衛力の整備というのは、相手国との限定的な戦争しかも小規模な戦争を想定している、そういう戦争というのは何があるのかと言ったら奇襲攻撃だ、奇襲攻撃に対応するために日本の防衛力を持つと、こう言っているんですね。
 そんな奇襲攻撃があるのかと言ったら、二、三年前、中曽根さんがこの総理大臣の席上で、今ごろある日突然日本を侵攻するなどということは考えられない、そんな想定をしたら大間違いだと、奇襲攻撃を否定した。奇襲攻撃を前提として整備している防衛力整備計画は前提を失った、根拠を失ったことになるのでありますが、その点はいかがですか。防衛庁長官。
#104
○政府委員(日吉章君) 大綱が我が国の防衛力の整備水準といたしまして考えております基盤的な防衛力でございますが、それにつきましては、委員も先刻御承知のように、まずその前提といたしまして国際情勢を、とにかく核を含みます米ソ間の抑止力を中心といたしまして全面的な軍事衝突とかあるいは大規模な武力紛争が起こる可能性が少ない、また我が国周辺におきましても日米安保体制の抑止力によりまして我が国に対して本格的な侵略が防止されている、こういう認識に立ちまして、そういう中で我が国が主権国家、独立国家として憲法が認めております自衛権の範囲の中でなおかつ基盤的な防衛力を保持するということを整備水準としているわけでございまして、この整備水準の具体的な指標といたしまして、今委員がおっしゃられましたように、限定、小規模な侵攻に対しまして原則として独力で対処し得る能力ということはその整備水準の一つの水準を示しているものでございまして、限定、小規模の侵略の可能性、蓋然性が高い、こういうふうな考え方に立っているものではございません。
 従来からも申し上げておりますように、我が国の基盤的防衛力整備といいますものは、具体的に第三国の侵攻に直接対処するということを目標といたしまして整備水準を定めているということではございませんで、総理も再三おっしゃられておりますように、平時から独立主権国家として基盤的に持つべきものを持っておく、こういうようなものでございます。したがいまして、侵攻の蓋然性とは全く関係ございません。
#105
○矢田部理君 総理、聞いておってわかりますか。
 奇襲攻撃があるかもしらぬ、それを独力で排除するために基盤的防衛力を整備するんだと、こう言ってきた。その奇襲攻撃などというのを考えているのはばかげていると中曽根さんが言うんです。今どきそんな話はない、そんな想定をしておったら間違っておると。基盤的防衛力整備の根拠を失うじゃありませんか。これが一般の受けとめ方じゃありませんか。
#106
○国務大臣(海部俊樹君) 私、聞いておりまして、それは物事の一面を説明しておったと思いますが、また逆に言うと、日米安保条約のもとで日本が自衛力を整備して、そういったことになったならば小規模、限定的なものには対応できるんだという、そういった防衛力の整備をしておるからこそ抑止力となって働いて、そういったような状況がだんだんなくなってきて、お互いに安心できるような状況が醸し出されてきておるというふうに受けとめますと、そのようなことによって平時から備えておくことによっていろいろな紛争を未然に防ぐことができる。
 今世界の国々もそういった考え方に立って今日まで国際秩序を維持してきたわけでありますから、今日なお戦火が続くようなところ、戦争に訴えようと思っているようなところには、それは間違いだ、いけないことだと積極的に我々も今努力をしておりますけれども、我が国においてはそういったことを未然に防ぐような体制を持ち、抑止力としてこれは効果あらしめていくということがやっぱり日米安保条約の効果的な運用という一面から見た考えではなかろうか、私はそう受けとめながら聞いておりました。
#107
○矢田部理君 もう終わりにしなきゃなりませんが、限定、小規模侵略の可能性ということを想定したわけですね。それについては限定、小規模侵略の能力があるかどうか、三、四個師団が日本に攻めてこれるかどうかということを一つ見積もったわけです。その意図があるかどうかということがもう一つあるわけです。ソビエトは、恐らく能力があるから脅威だと言うのでありましょう。しかし、意図が大幅に変更した。この意図は可変性があるから、たちどころにつかまえ切れないとも言っておりました。同時にまた、防衛計画の大綱の説明によれば、その意図は国際情勢とか政治情勢で規定をされると。まさに政治情勢はその意図を大幅に緩めることになる、薄めることになる。そうなってくると、小規模、限定戦争の可能性は、中曽根さんの奇襲攻撃なんというのはないというのと同様に、非常に薄くなってきた。だから、基盤的防衛力整備だから各国の情勢とはお構いなしにやっていいんだという議論ではなくて、これをやっぱり縮める方向で努力をしていいのではないかというのが私の見解です。
 そのことを西廣さん自身もかつて、参議院の内閣委員会でしたか、明確に言っておるんです。基盤的防衛力整備だから、相手がそういう侵略の可能性がなくなってくれば弱めるんだ、または侵略の可能性があれば強めるんだ、そういう土台をつくるんだというのがもともとの議論なんでありますから、その点では基盤的防衛力整備なんだからということだけでやっぱり説明をすべきではなくて、限定侵略の、小規模戦争の可能性が少なくなればそれはやっぱり縮める方向で努力すべきだというふうに思いますが、いかがですか、防衛庁長官。
#108
○政府委員(日吉章君) 技術的な概念でございますので、総理から御答弁いただきます前に私の方から申し上げたいと思います。
 基盤的防衛力といいますものは、独立主権国家として平時から保有すべき基盤的なものでございまして、したがいまして直接的に第三国からの侵攻に対して全面的に対処し得るということを考えているものではございません。別の言葉で申し上げますと、それぞれの国家がそれぞれの役割に応じましてみずからの国はみずからが守るという形で世界全体の平和と安定が保たれているときに、一カ国だけがその戸締まりをしないがために不安定をもたらすというようなことのないような基盤的なものを日本国家としても持っておこうという概念でございます。したがいまして、現在、攻撃的あるいは戦略的あるいはそれに対処するような形の軍事力というものを下げてきているものとは異質のものでございます。
 ところが、定性的に申し上げますと、基盤的防衛力といいますものはしからばいかなるときも定量的に一定のものなのかということになりますと、それは今委員が御指摘のように、そのときそのときの情勢によって変わってくることは事実だと思います。非常に軍事技術が進みました場合には、基盤的防衛力の内容の量的水準あるいは質的水準が高まることもありますでしょうし、非常に軍縮・軍備管理が進みましてそれぞれの国がもう攻撃的な兵器というようなものはほとんど持たないというようなものになれば、それぞれの国の我が国も含めました基盤的な防衛力の水準というものは下がるということはあると思います。
#109
○矢田部理君 そういうことなんですよね。やっぱり相手の出方や動きや、防衛の本質は脅威だ、こう言っているんでしょう。脅威を考えざる防衛はない、こう言っているわけでしょう。その脅威が縮まってくる、小さくなってくれば、これは平時のものだ、基盤的なんだというだけの説明だけでは足りないのでありまして、そこにもやっぱり手をつけるということを明確にしておいてほしい。そのことを最後はちょっぴり言いましたけれども、総理いかがですか。
#110
○政府委員(日吉章君) 総理が御答弁になる前に一言申し上げさせていただきますが、現時点におきまして米ソがヨーロッパを中心といたしまして軍備管理交渉が進んでおりますが、その軍備管理交渉が成立いたしました後の軍事レベルというものも依然として極めて高いところにあることは事実でございまして、我が国の基盤的防衛力整備水準の内容に影響を与えるような状態になっているというふうには認識いたしておりません。
#111
○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#112
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
#113
○国務大臣(海部俊樹君) 平成三年度以降の防衛力の整備の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、文民統制の趣旨を十分踏まえて、安全保障会議において国際情勢の変化あるいは財政経済状況等を勘案しながら検討をしていく考えであります。
#114
○矢田部理君 国連特別総会の決議もある。宣言もあった。それから、世は挙げて軍縮の方向づけで動いている。基盤的防衛力整備だからといって手をつけなくていいんだという考え方はやっぱり立ち得ないのでありまして、その点では日本が世界に先駆けて軍縮への道を追求する、みずからも削減の方向で動くということを強く要望しておきたいと思います。
 二番目の、ODAの問題に移ります。
 インド西部のナルマダ川に建設中のダムの問題であります。世銀と日本の借款がついておりますが、現地では大規模な反対運動が起こっています。国際的な非難も高まっているのでありますが、このダムの完成時には流域の農地、森林等が三万五千ヘクタール、広大な森林が壊されます。十万人の人々の立ち退きが迫られています。そして、このダムを雨季にも本格的に機能させるためにはあと三つダムが必要だと言われている。さらには、かんがいのための運河をつくる計画もあるわけでありますが、それらを締めて数を出しますと実に三十数万人の人たちが立ち退きを迫られている。そのために猛烈な反対運動が起こっているわけでありますが、この状況をどんなふうに受けとめておりますか。
#115
○政府委員(木幡昭七君) 今お尋ねのサルダル・サロバル水力発電所の建設計画等につきまして住民の移転問題が生じておるということは、私どもも承知いたしております。
 本件につきましては、経済性のほかにそのような環境の問題、あるいは移転すべき住民の数等も若干報告によっては違う面もございますが、その辺のところを総合的に勘案して対処すべきものというふうに考えております。
#116
○矢田部理君 海外経済協力基金の総裁にもおいでをいただいておりますが、この借款をするに当たって外務省ないし基金としてはどんな調査をしましたでしょうか。具体的に明らかにしていただきたい。
#117
○参考人(山口光秀君) この全体の計画は先ほどお述べになりましたように大変膨大なものでございます。それで、それにつきましては世界銀行が全体を対象として審査を行っております。私どもはそのうち揚水発電機並びに関連機器の一部を対象に融資をするということにいたしております。したがって、その融資に先立ちまして、それは八五年六月でございますけれども、五年前に審査を行っておりますが、その審査の中ではこの世銀の審査結果というものを大変参考にさせていただいております。
 世銀はスタッフも多いし、それから専門家もたくさんおります国際機関でございます。世銀の審査結果を踏まえながら、同時に世銀とインド政府との間で移住とかあるいは環境面について議論が行われておりまして、インド側は配慮を行う旨言っているところでございますので、そういうことも確認しながら審査を進めた次第であります。
#118
○矢田部理君 基金として現地に入って直接住民の意見を聞くとか、現地をずっと歩いて調査をするとか、専門家を配置するとかということはしたのでしょうか。
#119
○参考人(山口光秀君) 当初五年前の事情につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、最近において御指摘のような住民問題が生じていることは十分承知しております。世界銀行は昨年の暮れに調査団を派遣して現地調査をやっております。私どももことしに入りましてから、二月から三月にかけて担当部長を派遣いたしまして調査をいたしております。
#120
○矢田部理君 調査の結果はどうですか。
#121
○参考人(山口光秀君) ダムの直近の部分における移住問題はかなり解決を見ているようであります。しかし、水没地帯は大変広大にわたるわけでございまして、二百キロに及ぶわけであります。そこには少数民族の問題等もございます。大変難しい問題がございまして、なおインド側の努力を期待しなければならない面があるのではないかという感じで私ども見ております。
#122
○矢田部理君 どうもわからないのは、もともとOECDにしましても世銀にしましても、大型のプロジェクトをやる、それが環境破壊を伴う、住民の移動を求めなきゃならぬという場合には、事前にやりなさい、そして先住民とも直接話をして同意を取りつけなさいというのが基本になっているんじゃありませんか。今ごろどうもわけのわからぬ調査じゃ大分手おくれなんじゃありませんか。
#123
○参考人(山口光秀君) 政府側からお答えするのがいいのかもしれませんけれどもお答えいたしますが、先ほど申しましたように、世界銀行はその点についてインド側に確認を求めておるわけでございます。本来この問題、住民の移転問題というのはインドの国内問題であるわけでございますから、実施の衝に当たるのもインド側でございます。確認を求めておる、その後その実施状況がはかばかしくないという点に問題があったわけでございますので、したがってその情勢を把握し、さらなるインド側の努力を要請するということではないかと思います。
#124
○矢田部理君 この種環境問題や住民の生活、文化の問題は相手国政府、当該政府の問題であるという考え方が間違っておるんですよ。これからODAを実施するに当たっては、みずからの課題として基金自身の問題として日本政府自身が環境問題やその他の問題について責任を持った対応をするということが基本じゃないですか。
#125
○参考人(山口光秀君) これも政府から御答弁するのが筋のような気もいたしますが、私の考えを申し上げますと、第一義的には借入人である相手国の問題であろうかと思うんです。私どもは金融機関として対応しているわけでございますのでそうだと思いますが、しかし金融機関としても環境問題あるいはダムなんかの場合には住民の移転の問題についても重大な関心を持つのは当然であろうかと思います。
 最近、国際的にも単なる開発という言葉ではなくて、持続的開発という言葉が使われるようになりました。意味するところはいろいろあろうかと思いますが、環境その他の問題と調和のとれた開発をしなきゃいかぬという趣旨であろうかと思います。私もそのように思います。
#126
○矢田部理君 世銀の調査ももともと手おくれだと思う。本格的な調査をしないまま強行的に仕事をしたことが住民の反発を買っているもう一つの理由でありますが、その世銀がおくればせながらインド政府に対して、八五年以来でありますが、立ち退き計画の策定と代替地の確保を要求し続けておりますが、今日に至るもこれが実現していない。なぜなのでしょうか。
#127
○政府委員(木幡昭七君) 世銀とのお話の模様については私どもも十分注意を払いながら見ているところでございますが、本計画の一般的なおくれ等もございまして、その結果、そのような住民の移転の問題についてもさまざまなおくれの問題も生じているというふうに私どもは観測いたしております。
#128
○矢田部理君 この件については、国際的な批判も高まっているわけですね。アメリカの下院がインドの関係者を呼んで特別公聴会を開きました。それをもとにして世銀あてに、ダムの建設の中止を勧告する公開書簡を送っております。また、西ドイツの経済協力担当大臣も住民と会って、インドに対する融資要請を断っている。カナダも同様の動きを示しております。世銀と日本だけがこの問題にかかわっているわけでありますが、日本としてもこの際、追加融資をやっぱりやめるということを明確にすべきではないでしょうか。
#129
○国務大臣(中山太郎君) 委員お尋ねの追加融資につきましては、現時点では慎重にこの問題は対応せなければならないと考えております。
#130
○矢田部理君 総理はこの間インドに行かれて一千億の借款を約束されたと言われている。この一千億の中には追加借款、これは入っておりますか、このダムに関する。
#131
○政府委員(木幡昭七君) 事実関係でございますので、私の方からお答え申し上げます。
 この一千億の円借款、これはあくまでめどとして総理から御説明されたわけでございますが、その中には本計画に関するものは含まれておりません。
#132
○矢田部理君 ということになると、今年度は出さないということになると思いますが、慎重検討ということはやめるというふうに私はとりますが、やっぱり国際的な批判もあり、これはとても動きませんよ。住民の猛烈な反発、移住計画などは立ちっこない、物すごい森林が破壊されるというようなことでありますので、外務大臣、やっぱりこの際政治決断としておやめになるということを明らかにすべきだと思いますが、いかがですか。
#133
○国務大臣(中山太郎君) 既に実施した融資問題についての追加融資の件につきましては、改めて私、大臣として現地の情勢をさらに詳細に検討の上、御指摘のような相手国の現状を把握した上での政治決断をいたしたいと考えております。
#134
○矢田部理君 あわせて、世銀が主導権をとっているわけでありますが、我が国は第二番目の出資国なんだ。世銀に対しても、今後理事会が近々開かれるようでありますが、融資の中止という対応をすべきだと思いますが、これは大蔵大臣いかがですか。
#135
○国務大臣(橋本龍太郎君) これまで世銀当局から聞いております範囲におきましては、今、インド政府は環境及び移転に関して最善の努力を払っている、それなりの進展も見られるということから、世銀としては融資を中止すべき理由はないと判断していると聞いております。
 今外務大臣からも御答弁がありましたが、我が国としては事実関係を把握した上で対応したいと考えます。
#136
○矢田部理君 世銀に対しても我が国の立場を強く要請すべきだということをつけ加えておきます。
 ここでやっぱりODAのあり方そのものが問われていると私は思うんです。ODAについては、量をふやすことも非常に大事でありますが、理念、哲学を明らかにして、環境だとか自然だとか住民だとか、その生活や文化も含めて大事にしながら援助をしていかなければならない。それから民衆に届く援助でなきゃならぬということを盛んに言ってきたし、幾つかの原則も参議院としては立てておるわけでありますが、この原則にもやっぱり反しているんですよ、政府のとってきたあるいは基金のとってきたやり方というのは。
 その点では私どもは、ODA基本法というのをつくってもう少し国会としても関与すべきだし、国民の関心も高めるべきだと思っておりますが、総理、外交の専権だとか自由裁量だとか言わずに、この際きちっとした対応を政治の場でつくっていこうではありませんか。
 その辺、答えを求めて、午前中の質問を終わりたいと思います。
#137
○国務大臣(海部俊樹君) ODAの効果がやはりそれぞれの相手国、特に相手国の国民に感謝されなければ意味がないと私は思うんです。そして、これも国民の皆さんの税金をそういった国際化時代に貢献するために使うわけでありますから、今の御議論等はODAの中の希有な例だとは思いますけれども、現地住民の反発とか声とかいろいろなものがあるならば、なるべく現地の大使を通じてその情勢、情報等を的確にとるなり事前調査をするなり、あるいは事前にいろいろ環境破壊を防ぐための事前調査等もやらせておると私は心得ておりますけれども、さらにそれを一層徹底させるなり、政府部内を十分に指揮監督していかなきゃならぬ問題についてはこれからも注意を払っていきたいと思います。
 そうして、できる限り国会にその情勢を報告したりいろいろなことをしてまいりましたが、現在の行っております体制の中でさらに十分細心の注意を払って、目的を達成するように今後とも指示をいたします。
#138
○委員長(林田悠紀夫君) 矢田部理君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#139
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を再開いたします。
 平成二年度総予算三案を一括して議題といたします。
 休憩前に引き続き、矢田部理君の質疑を行います。矢田部君。
#140
○矢田部理君 リクルートと政治改革について質問いたします。
 リクルート疑獄は、はしなくも政治と株とのかかわりを白日のもとにさらしました。かつての殖産住宅事件以来、株式の上場、仕手戦、インサイダー取引など株の動きにしばしば政治家の影がつきまとってきました。政治資金規正法が厳しくなったために、株取引を口実にして資金づくりが行われているとも言われています。
 そこで、一つの事例でありますが、国際航業株の買い占め、乗っ取り事件と言われておりますが、正確には敵対的企業買収と言うんですね、乗っ取り事件についてお聞きをしたいと思います。
 乗っ取り側は、当初株を買い集めて株価をつり上げ、最終的には経営者側に高値で引き取らせ巨額の利益を得るいわゆる仕手戦であったのでありますが、この株の引き取り交渉に自民党の有力な政治家が関与したとされています。このような仕手戦やその始末に政治家が手をかすというのはどのようなものであるか、まず総理の所見を伺いたいと思います。
#141
○国務大臣(海部俊樹君) 具体的な事実を私は詳しく承知しておりませんので、具体的な事実関係と離れるかもしれませんが、一般的に申し上げますと、今、株の問題やいわゆる仕手戦の問題その他についてさまざまな御批判があることは十分承知いたしております。株のそのような動きに政治家が直接介入していくということは好ましくないことであると判断いたします。
#142
○矢田部理君 同じ八七年でありますが、国際航業は百億円の転換社債を発行しました。その一部が大手の証券会社等を通して相当数特定の政治家に流れている、複数でありますけれども。仕手戦との絡みで株価が暴騰する、巨額の利益が政治家とその周辺にもたらされた、まさにぬれ手でアワの構造はリクルートと同質なのでありまして、こういうことが依然として公然と行われつつあるという事態に、もう一度総理としての見解をいただきたいと思います。
#143
○国務大臣(海部俊樹君) 事実関係は正確に私は承知しておりませんので、それらのことについては必要があれば政府委員から答弁させますが、そういったことを好ましくないという批判も指摘もあり、また株の売買に、たとえそれが通常一般的に許される売買であっても、政治資金でもって株の売買はすべきではないということをリクルート事件の反省に立った後、私どもは決めておるところでございます。
#144
○矢田部理君 リクルート事件で証券業界のアンフェアな部分が随分露出をしました。これに抜本的なメスを入れることも政治改革のポイントの一つなのでありますが、この事件にちなんで申しますと、乗っ取り側は短期間に百億の転換社債のうち四十億強を入手したと言われております。通常の取引ではこのような入手は困難と言われております。どうも転換社債の売り出しに関与した証券会社筋から、その協力を得て入手をしたのではないかと言われている。とすれば、証券取引の公正の確保、投資者の保護という立場から見てもゆゆしき問題だと言わなければなりません。大蔵省としての見解を伺いたいと思います。
#145
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私はその国際航業株取引そのものの実態を存じませんので論評の限りではございませんけれども、今委員がお述べになりましたような事態を踏まえて申し上げますならば、決して好ましい状態ではございません。もし必要がありますならば政府委員から補足をいたさせます。
#146
○矢田部理君 じゃ政府委員。
#147
○政府委員(角谷正彦君) 委員御指摘のように、国際航業は昭和六十二年二月に百億円の転換社債を発行いたしました。しかしながら、今御指摘のような事実については私どもは承知いたしておりません。ただ、国際航業の転換社債について申し上げますと、発行額百億円のうち、当時は一五%までがいわば発行会社の指示によりましてはめ込むという親引けというルールが認められていたわけでございますが、その一五%の範囲内で親引けが行われたということは我々は報告を受けております。
#148
○矢田部理君 親引け筋からも一部動いたという指摘もありますが、あわせて次の問題として、乗っ取り側の会社に藤田観光という会社があります。ずっと株が暴落しているのに、四月の二十五日ごろだと言われておりますが、それまで三千円だった株が五千円台に急騰しました。そして翌日には反落をする。どうもこの動きに相当の株価操作があったのではないかという指摘もあります。そして一番値上がりをしたときに、事もあろうに藤田観光と関係の深い飛島リースという会社が数百万株買い取ったと。大変な損害にもなるわけでありますが、その一連の株の動きに大手の都市銀行がかんでいる、資金の融資等をしておるということも言われております、ここであえて名前は挙げませんけれども。また、小谷氏が国際航業とかかわるに当たって、百九十億ぐらいの借金があるが、その時期に百億程度の借金が返済されたとも言われておるわけでありますが、この一連の動きを見ておりますと極めて異常なのであります。
 証取法百二十五条では相場操縦の禁止条項がありますが、株価操作の可能性は極めて高い。その点で証取法違反の疑いも強いのでありますが、大蔵省いかがでしょうか。
#149
○政府委員(角谷正彦君) 買い占め等特定の銘柄の株価が異常な動きを示します場合におきましては、東京証券取引所におきまして、そういった銘柄についての株価操作があったかどうかといったふうなことを常時監視いたしております。しかしながら、この国際航業の問題につきましては、その株価操作があったという事実については報告は受けておりません。
 ただ、一般的に申しますと、株が買い占められますと株は急上昇するということがあり得るわけでございまして、それによって、そういう事情を知らない不特定多数の者がその株価の乱高下で迷惑をこうむることがあるかもしれない、そういうことは問題であるという意味で私どもといたしましては、今度の国会におきまして、株を五%以上買い占めるようなケースにつきましてはこれをディスクローズするという形での証取法改正を御提案しているところでございます。
#150
○矢田部理君 最後に、法務省にちょっと伺っておきたいと思いますが、この一連のずっとした動きの中で、暴力、脱税、証取法違反、場合によっては政治資金規正法違反なども含めて、相当の刑事事件絡みの動きもにおわないわけではありませんが、法務省としてこの問題に関心を持っておられるかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
#151
○政府委員(根來泰周君) ただいま御指摘のありました広い意味での国際航業関係の事件でございますけれども、これは既に国会で答弁いたしておりますように、これに絡みまして脱税の問題がございまして、これは国税当局から告発を受けまして現在捜査中でございます。その他の件について私は今ここで何か申し上げるほどの資料は持っておりませんし、先生の御意見を拝聴するという段階でございます。
#152
○矢田部理君 次の問題に移ります。
 深谷郵政大臣に伺いますが、前回いろいろここで説明をされたが、その後弁明すべきこと、あるいは事実関係に修正を加えるようなことはございますか。
#153
○国務大臣(深谷隆司君) 私どもの自主申告の時期がおくれてしまったこと等から端を発しまして、私にかかわる諸問題が先生方の御指摘によりまして議会でいろいろに論議をされました。私どもの不徳のいたすところで、総理、とりわけ国民の皆様に多大の御迷惑をかけましたことについて、深く申しわけないと反省をいたしております。
 ただ、今まで申し上げたことについて格別修正をするというものはございませんで、ひたすら責任を感じ、反省をいたしておるということのみ申し上げさせていただきたいと存じます。
#154
○矢田部理君 政治献金を六十年から六十二年にかけて受け取った中身が報告されておりますが、六十年以前には全くありませんでしたか。
#155
○国務大臣(深谷隆司君) お答えいたします。
 この問題について詳細の報告をいたすときに、私はできる限りの資料をもとにして正確な答えを出さなければならないと思いました。そして私どもにございます帳簿や、秘書の者たちやさまざまな記憶も含めて、ありったけの調査をいたしたのでありますが、政治資金規正法で公表されてから三年間保存するということになっておるものでありますから、ほぼ三年半の資料はございましたが、それ以前についてはございませんので、明確な資料のある点だけ責任を持って出させていただいたわけでございます。
#156
○矢田部理君 資料のあるものは出した、ないものは出さないということになりますと、それ以前にもあり得たと。事実としては、五十六年から盆暮れには百万ずつ政治献金がなされていたのではありませんか。
#157
○国務大臣(深谷隆司君) 先ほど申し上げたように、徹底した資料と調査をした上で、持っている記帳、さまざまなものを土台にして御提出申し上げたわけであります。それ以前について、今御指摘の事柄については私ども承知しておりません。
#158
○矢田部理君 承知をしていないとは、ないということですか、あるかどうかわからぬということですか。
#159
○国務大臣(深谷隆司君) おしかりを受けるかもしれませんが、こういう公的な場所で正確な答えを出すことが大事だと思っております。ありったけの資料をもとにして提出しているのが過日来の内容でございます。以上です。
#160
○矢田部理君 資料がないから、資料がある分だけ正確に出す。みんな五十八年も七年も出しているんですよ、海部さんだって、前のやつも。あなた、わかるでしょう、五万や十万の話じゃない。百万ずつ盆暮れに来ておったと、確かな証言もありますよ。事実を率直に語ることが今大事なんじゃありませんか。
#161
○国務大臣(深谷隆司君) 何回も同じことを申し上げて矢田部委員におしかりを受けるとは存じますが、私どもとしましては、やはり正確な資料に基づいてのみこういう場所で発言すべきだと存じまして、誠意を持って公職選挙法、政治資金規正法に求められております三年間保存するさまざまな書類をもとにして、ほぼ三年半の問題について提出をしたわけでございます。
#162
○矢田部理君 官房長官の報告によりますと、六十年に百万、六十二年に四百万政治献金がなされておりますね。この間の六十一年がゼロというのは事実ですか。
#163
○国務大臣(深谷隆司君) 先ほど申し上げましたように、これは目いっぱい私どもも調査をして、そして資料その他に基づいて出したものでございます。ですから、それらの内容については官房長官に御報告したとおりで、それは正しいものと確信しております。
#164
○矢田部理君 六十一年にはただの一銭ももらっておりませんか。
#165
○国務大臣(深谷隆司君) お答えいたします。
 六十一年は、政治献金はございませんが、パーティー券を買っていただいております。
#166
○矢田部理君 パーティー券は後で聞きますが、ずっとパーティー券も買ってもらっている。六十一年は選挙の年だ、選挙のときに陣中見舞い二百万持ってきていると。届け出をしてないじゃありませんか。どうですか。
#167
○国務大臣(深谷隆司君) その件については、ちょっと私ども承知しておりません。
#168
○矢田部理君 毎年持ってきておった。事実、五十六年から盆暮れに百万ずつ持ってきておると。有力な証人もいますよ、関係者の中で。そして五十八年と――五十八年はあえて言いません。六十一年は選挙の年です、二百万陣中見舞いを受け取っているんですよ。だめですよ、いいかげんなことを言っちゃ。
#169
○国務大臣(深谷隆司君) 矢田部委員、まことに申しわけないんですけれども、本当に私どもきちんとした残された書類や秘書の発言やさまざまなもので今度の記録を出したものでありますから、私はそれがすべてだと承知しておりますが。
#170
○矢田部理君 あなたの方にそういう証拠があったかどうかは知りませんよ、資料はないかもしらぬ、選挙事務所で受け取ったかもしらぬから。しかし、受け取っているんですよ。そんなことであなたが事実を認めないのなら、これは私は証人を出してもいいぐらいだ。(「出してもらおうじゃないか」「じゃ出そうじゃないか」と呼ぶ者あり)事実がわかっていないんじゃありませんか。あるいは事実をごまかしているんじゃありませんか。
#171
○国務大臣(深谷隆司君) 矢田部委員に申し上げますが、全くごまかす気持ちはございません。ただいまの選挙中のその二百万というのは私は全く存じません、申しわけありませんが。
#172
○矢田部理君 知らないということともらっていないというのは別問題ですからね。
#173
○国務大臣(深谷隆司君) たびたび同じことを申し上げて本当に申しわけないんですが、私どもはあのような事態になって本当に皆さんに申しわけないことをしたという反省に立って、あらゆる帳簿書類を調べて出させていただいたんです。そのことについては官房長官に申し上げたとおりで、それ以外にはございません。
 選挙の件について今お尋ねがありましたが、私ども全く承知しておりません。まことに申しわけありませんが、覚えがありません。
#174
○矢田部理君 こう伺いましょう。あなたはその調査に当たってリクルート側から事情を聞きましたか。私に幾ら実際はくれているのか、いつごろからどうしてくれたのかということを聞きましたか。
#175
○国務大臣(深谷隆司君) リクルート側に格別問い合わせるということはいたしておりません。
 今度の調査は、私どもが持っているさまざまな、つまり政治資金規正法に基づいて保管の義務のある範囲の中できちっと調べ、それにそのとき担当した者たちも集め、ありったけの資料として出そうではないか、きちっとしようではないかと誠実に努力をして出させていただいたつもりでございますので、特別にリクルートに問い合わせて、ほかに幾らかないかといったようなそういう問いかけは、私の立場ではする立場ではないと思っておりましたし、しておりません。
#176
○矢田部理君 手元に資料がないとかでなく、事実関係を全部明らかにしなきゃならぬ責任があるんですよ、疑惑を受けているわけですから。みずから疑惑を晴らすための政治倫理綱領の責任があるわけです。相手には問い合わせておりません。こちらのだれとだれに当たりましたか。
#177
○国務大臣(深谷隆司君) 私どもの事務所の者すべてでさまざまな資料を出し合い、検討し、そしてこれ以外にはないという確信を持って出させていただきました。
#178
○矢田部理君 だれとだれに当たったかと聞いている。
#179
○国務大臣(深谷隆司君) だれとだれというよりも事務所全体でございます。私どもの事務所の秘書を含めたスタッフ全員で検討し、調査をし、出させていただいたものであります。
#180
○矢田部理君 その人たちの調べでは、六十年以前はもらった記憶はだれもないと言うんですか。受け取った記憶もだれもないと言うんですか。
#181
○国務大臣(深谷隆司君) たびたび同じことを申し上げて本当に恐縮でございますが、何回も申し上げるとおり、私ども公的な立場の者としては、こういう場所できちんと報告する場合に資料をもとにしていこうということでやったものでありますから、政治資金規正法で公表以来三年間は保存すべきということでございますので、その保存すべき内容を調査したわけであります。ただ、三年半ぐらいに及んで見ているように私どもは聞いております。
#182
○矢田部理君 あなたの後援会にリクルートが入ったのはいつですか。
#183
○国務大臣(深谷隆司君) 先ほども申し上げましたように、少なくとも帳簿の上で明確なのは六十年以降でございます。
#184
○矢田部理君 あなた、三年とか帳簿とかばかり言っておって、有力な後援会員ですよ、お金も随分出してくれた。大体いつごろ入ったか、見当はつくでしょう。
#185
○国務大臣(深谷隆司君) 後援会にお入りいただいた方々や会社についてはありがたく感謝しておりますけれども、かなりの数に及んでおりましたし、またこういう事件がないときには格別どこの会社という意識がありませんでした。
 今回の調査で明確に資料として出ておりますのが六十年以降でありますので、それをもとにして出させていただいたわけでございます。
#186
○矢田部理君 数は多いでしょうが、年間に何百万も献金する、パーティー券も買ってもらう。会ったときお礼ぐらい言わなきゃならぬでしょう。この程度のことは知っておるのは常識ですよ。後援会の退会届の話は後でしますが、仰々しく退会届を出して、いつ入ったかわからぬ、そんなばかなことはないでしょう。
#187
○国務大臣(深谷隆司君) 矢田部委員に申し上げますが、退会届の件については……
#188
○矢田部理君 それは後で聞きますから、入った時期について。
#189
○国務大臣(深谷隆司君) 関連しますので申し上げますが、仰々しく証拠をつくるためにつくったというのではなくて、たまたま事務局の者たちが、ああいう時期であったために念のためにという程度でいただいたというふうに聞いております。
 南陽会への入会の時期は、ただいま申し上げたように、正確に会費を納めていただいているような資料がきちんとしておりますのが六十年以降でありますから、それを載せさせていただきました。
#190
○矢田部理君 入会したのは、あなたが労働次官をやっていた時期に入会しているんですよ。自来ずっと後援会費は入っている。銀行の振り込みのあれもあるわけだから、調べればすぐわかるじゃありませんか。
#191
○国務大臣(深谷隆司君) 何回も本当に申しわけないと思っておりますが、私どもが確認できる資料で、責任を持って出せる枠の中でこの間発表したわけでございます。その枠は六十年以降のものでございます。
#192
○矢田部理君 五十六年に入会しているんですよ。三井銀行の上野支店に会費を納めているはずです。調べましたか。
#193
○国務大臣(深谷隆司君) 南陽会の問題については、銀行口座に振り込まれてきたものを帳簿の記載によって調査して出したというふうに秘書が申しております。
#194
○矢田部理君 もう一回ちょっと。ちょっと意味がわからない。
#195
○国務大臣(深谷隆司君) 銀行口座に振り込まれてきたものを帳簿の記載で調査したというふうに報告を受けております。
#196
○矢田部理君 銀行口座そのものを調べましたか。
#197
○国務大臣(深谷隆司君) 私自身がやったわけじゃないんで、報告でございますが、担当者が銀行に当たったところ、古いものは出ないと断られていたというふうに言っておりました。
#198
○矢田部理君 資金集めのパーティーを始めるようになったのはいつごろからですか。
#199
○国務大臣(深谷隆司君) 矢田部委員、済みません、パーティーをいつごろ開いたか、今ちょっと手元に資料がないのでありますが、一般にパーティーなるものがはやったころからだろうかと思います。
 ただ、格別な資金集めというだけではなしに、例えば出版記念会とか役職の就任のときとか、さまざまな折々に会を持ってまいりました。ですから、いわゆるパーティーということでない通常の後援会の会というのは、会費もいただきながら昔からやっていたことでございます。いわゆる今世間で申しますパーティーというのとは形も中身も違うとは思いますけれども、一般的に申し上げて、会合とか後援会の総会とか出版記念会とかそういうものは昔から、区議会の時代から規模は別としてやっておりました。
#200
○矢田部理君 これまた五十六年からニューオータニの鶴の間で毎年恒例のようにやっているんじゃありませんか、年末です。
#201
○国務大臣(深谷隆司君) いわゆる資金関係のパーティーというのを本格的にやるようになったのはそんな古い時代ではありません。私は昔から、例えば都会議員の時代から大会を開くのにも会費をちょうだいしてまいりました。余分にちょうだいしたかどうかということについてはわかりませんが、実費はお集めして演説会も開いたりなんかしてまいりまして、そういうやり方をずっと踏襲してきたものでございます。今日ではいわゆる資金集めのパーティーと世間一般に言われておりますけれども、そういう形になったのはそんな古い時代ではありません。特に近年は自粛しております。
#202
○矢田部理君 パーティー券を六十一年百枚、二百万。六十二年十二月百五十八枚、三百十六万。二百万、三百万単位で買ってくれる方というのは多いんですか。
#203
○国務大臣(深谷隆司君) どういうふうにお答えしていいかちょっとわからないんですが、今はそういう資金集めのパーティーは自粛してもうやっておりませんが、やるときには秘書の諸君に、あるいは後援会の皆さんに頑張れという指示を与え、そして彼らが一生懸命集めてきて大会を開いてまいったわけでございます。ですから今、ほかの団体にどの程度の枠で券を売ったかということについてははっきり申し上げることはできません。団体やその他においては、例えば百枚とか二百枚単位で持っていって一人一人の組合員に分けていただくとか、いろんな形をとってきたというふうに思います。
#204
○矢田部理君 いろんな形はあると思いますが、やっぱり百枚、二百枚とまとめて買ってくれるのはそれなりに限界もあるので、大口は全部あなたにも報告をしておったと。また、後でお礼も言わなきゃならぬし。六十年までもいろいろ報告を受けていたんじゃありませんか。百枚程度まとめ買いしてくれておった、少ないところでも五十枚は買ってくれた、こう言っているのでありますが、どうですか。
#205
○国務大臣(深谷隆司君) 六十年以降の問題についてはいろんな控えがございますが、その前の状態については控えがありませんでわかりませんが、いろんな団体、会社そのものがそんなたくさん買ってくれるということはないと思いますが、ただ、私ども顧問をしている団体とか協会とか、そういうさまざまなところは比較的、会員に個々に売っていただくということで、まとめて買っていただいたというふうなことは報告をもちろん受けております。
#206
○矢田部理君 どうも六十年以前は記憶喪失にかかったみたいな答弁しかない、意図的にやっているんじゃありませんか。そんな六十年からははっきりしているがそれまでは全然わかりませんなんてばかなことはないです。何年何月何日からなどと聞かれればわからないのはあるかもしらぬが、三年前だとか四、五年前だとかということぐらいはわかるのは当たり前じゃありませんか。その時期に献金があったとかパーティーにも来たとか、帳簿がないということをいい口実にして全部言い逃れを言っているんじゃありませんか。そうでなければこんなばかな、六十年かっきりでその時からしかもらっていないとかいうばかなことがあろうはずがない。
#207
○国務大臣(深谷隆司君) お言葉を返して本当に申しわけありません。私どもが申し上げているのは、六十年以前は全く知らないというのじゃなくて、こういう公の場所で責任を持って申し上げるためにはそれなりの具体的な資料とか帳簿とかそういうものがなければとてもできないことでございます。大ざっぱに答えることはとても私どもはできません。
 したがいまして、政治資金規正法で規定されて、公表から三年間は保存するんだというその義務にのっとりまして、保存しているもので明確に出ているものを申し上げているわけでございます。
#208
○矢田部理君 そうすると、六十年以前もゼロだとは言っていない、灰色ですわね。
 あなたの方ではわからなくても、贈った方では相当程度わかっているはずだ。当然のことながら、問い合わせて、あなたは六十年以前のことを出しますか。
#209
○国務大臣(深谷隆司君) 六十年以前、リクルート社にかかわらずパーティーなりを開いたときに、いろんな会社や団体に秘書の諸君が券を売りに回ったり参加者を募ったということはあると思うんです。それを否定しているわけでは全くございません。ただ、こういう立場できちんと御質問に答えていくためにはその背景が明確になっていないとそれは御無礼でございますし、第一私ども自身も政治的な責任もございますから、そういう意味で明確な部分についてお答えを申し上げているということでございます。
#210
○矢田部理君 ですから、不明確な部分を幾つか指摘しましたから、リクルート社に直接当たるなどして、調べて報告をしますかと聞いている。
#211
○国務大臣(深谷隆司君) リクルート社のどこへ尋ねたらいいかわかりませんし、今これからリクルートに、その前幾らパーティー券を買ってくれたかということを問い合わせることが適切かどうかわかりませんで、その意思はないと申し上げるとまた先生に怒られますが、そういう心境でございます。
#212
○矢田部理君 もう改めて申し上げるまでもありませんが、政治倫理綱領では、疑いを受けたときには全部調べて、潔白か疑惑かは知りませんが、責任を明らかにして、出処進退を決めなさいと、こう言っているんですよ。
 あなたも六十年以前は否定はされない。しかし、資料がないからわからないという態度でしょう、今。ならば、資料があなた側だけではなくて向こう側にもある。それから、あなたの秘書も全部聞いているとは限らぬ。いろんな話を私どもも直接間接調査もしている。もう一回調べ直して、六十年以前のこと、それから五十八年、六十一年の選挙のときのことを全部調べて報告していただきたい、こういうことです。
#213
○国務大臣(深谷隆司君) このたびのリクルートの問題というのは、六十三年に事件があのような形で起こって、それからかかわりを持つことについてのさまざまな議論があったわけでございます。その前の動きについては私どもつまびらかではございませんが、今御指摘のような格別な問題がなかった時代だったものですから、そういう格別な印象を持っていなかったわけでございます。それ以前について問い合わせて出てくるものなのか全く定かでございませんで、今、改めて調査して御報告するとまで申し上げられませんことをお許しいただきたいと思います。
#214
○矢田部理君 今の答えには納得できませんが、全部まとめてから後でお願いをしたいと思います。
 その石塚猛という方はリクルート社の社員で、リクルート社からお金が出ていたという時期がありますね。本当にリクルート社の社員だったんでしょうか。社員だったとすれば、どんな部署に所属をし、どんな仕事をしてきたのかを明らかにしてください。
#215
○国務大臣(深谷隆司君) 石塚君というのは、そもそも政治家になりたいということで私どもに出入りをしてきた青年でございました。そして既にお答え申し上げましたように、本人から聞いた話では五十三年ぐらいから私の選挙を手伝ったりいろいろしてくれたようでございますが、その当時も彼はほかの会社に勤めておりました。その後リクルートに入られたということでありますが、その時代、先ほど申したように格別に問題がある会社ではなかったものでありますから、気にもしないで私ども過ごしてまいったわけであります。ただ、問題が起こりましてから、この委員会の始まる冒頭にも申し上げたように、リクルートの関係等については大丈夫かということで事務所が整理したそういう中で、石塚君もかかわりがあるということで、これをやめて、私どもの秘書に後でなってくれるようになったわけでございます。
#216
○矢田部理君 私の質問に答えておりません。リクルートのどんな部署にいて何の仕事をしてきたのかという質問です。
#217
○国務大臣(深谷隆司君) 私よく存じ上げませんが、リクルートという会社はアルバイトの人が非常に多い会社だというふうに聞いたことがございます。彼がどういう仕事を具体的にしていたかわかりませんが、私の知っている範囲では何か総務部に所属して渉外関係をやっていたというふうに聞いております。
#218
○矢田部理君 名目だけじゃありませんか。ただの一日も勤めたことはありませんよ。
#219
○国務大臣(深谷隆司君) 彼と会社の件については私は余り定かではありません。
#220
○矢田部理君 一番身近にいる人の問題になっている前歴、仕事の内容も定かでないというので、私たち結構ですということになりますか。
#221
○国務大臣(深谷隆司君) 前にも他の議員の御質問に私答えたことがあるんですが、私自身も政治家になりたくて十年ぐらい全く無給で政治家のもとに通ったこともございます。それから、石塚君だけではなしに、何人ものそういう人たちが私どもの事務所に出入りして、いろんな角度から協力をし、やがて区会議員になったり都会議員になったりしてまいりました。そういう中の一人でございました。
#222
○矢田部理君 そんなことを聞いているんじゃないんですよ。もともとあなたの秘書だ。五十五年の自民党の名簿にもある。それが名目をリクルート社の嘱託社員にして給料だけ払っている。仕事は一切あなたの方でしてきた。そのために彼は履歴書を持参して、付き添って行った人もいますが、辰巳というリクルートで出てくる人のところに行った。それから月二十万円ずつ彼の住まいの銀行にずっと振り込まれてきた。リクルートの社員だなんて、実質上全くうそですよ。でたらめだから説明できないんじゃありませんか。
#223
○国務大臣(深谷隆司君) 矢田部委員におしかりを覚悟で申し上げますが、彼がリクルートへ行ったのは彼が自主的に行ったんだと思いまして、私自身がついたわけでも何でもありません。そしてその後、どういう形かわかりませんが、当時としては私はリクルートの社員だからと問題にした記憶は全くないのでありますが、後に大きな事件になって、事務所の者たちがこれはまずいのでということで、事務所に来ることをむしろ逆に事務所の者たちが拒んだというか、遠慮してもらおうという形に最初はしたというふうに聞いていましたが、優秀な人で、これからもそういう道で歩みたいし、今度こういうことになったもんですから彼には非常に気の毒なことをしましたが、できれば政治家としてやっていきたいという意思があったものですから、六十三年夏以降に彼は私設秘書になり、第二秘書になり、今日では第一秘書になっているというわけなんです。
#224
○矢田部理君 自治省に伺います。
 全くそこで仕事をせず、名目だけの社員でほかの方の仕事をしていた、その雇い主が払うべきものを名目上社員である会社から払われてきたということになれば、当然のことながらこれは政治献金だと思いますが、いかがですか。
#225
○政府委員(浅野大三郎君) いつも申し上げておりますけれども、具体的な事実、どういう趣旨でそういう行為が行われたのか、その辺は総合的に判断しなければいけないだろうと思います。ですから、政治献金をする一つの形態として仮に雇用したという形をとるということは、私はそれは存在し得ないわけじゃないと思います。ただ、具体の事例につきましては、やっぱりその事実を見て判断いたしませんとこれは何とも判断できないだろうと思います。
#226
○矢田部理君 私は一般化して言ったわけですから、一般論でまず答えてください、どういう基準、どういう状況ならばそれは政治資金と認定できると。
#227
○政府委員(浅野大三郎君) 先ほどお挙げになりました要件は、会社の仕事はしないということであったかと思います。それで、ある会社がある政治家に政治活動に関する寄附をしようと思う、しかし直接それはやらないで、ある人間を自分が雇ったという形にして、しかし実際はそれは政治献金をする目的でその人をどこかの政治家のところに派遣するという場合であれば、それは政治活動に関する寄附をしているんではないかと見られる場合はもちろんあると私は思うわけでございます。それはやっぱり趣旨でありますとか実際の行為の態様がどうであるか、そういうことを全体として判断するんだろうというふうに思います。
#228
○矢田部理君 まさにずばりじゃありませんか。一切仕事をしていないんですよ。ともに働いていた人たちがみんなそう言っている。リクルート社などにただの一日も行ったことはない。雇い主であるあなたが、少なくとも現在は、どんな仕事をしていたか定かでない。これだけ問題になっているのにいまだに説明できないということは、そのことを端的に裏づけていると思うんです。これは政治資金規正法違反ですよ。
 それから、六十二年の政治献金もまとめて二百万、十二月にもらってきましたね。だれからもらってきて、どういうふうに分けて、どこに入れたか、説明できますか。
#229
○国務大臣(深谷隆司君) 失礼ですが、もう一回教えていただきたいんですけれども。
#230
○矢田部理君 六十二年十二月の政治献金二百万、だれからもらって、どういう扱いをしたか。
#231
○国務大臣(深谷隆司君) 記録に残っているので、その授受については私はちょっと存じ上げません。済みません。
#232
○矢田部理君 これまた有名なリクルートコスモスの松原氏からもらっている、二百万まとめてもらっている。一遍に入れるのはぐあいが悪い、表に出るから、小分けにして二つに分けた。これだって政治資金規正法違反ですよ。そう思いませんか。
#233
○国務大臣(深谷隆司君) 政治資金規正法の規定に基づいてきちんと納入したというふうに聞いております。
#234
○矢田部理君 最初はまとめて二百万もらってきたんですか。その点いかがですか。
#235
○国務大臣(深谷隆司君) 先ほど申し上げたように、どういう形で受け取ったかというのは私定かではありません。済みません。
#236
○矢田部理君 後援会の南陽会の退会届、それはそのときに出したんではなくて、発覚以後もらった人たちはみんな大臣をやめましたね、これはまずいというので、その翌年の一月に十万円返した、そのときに日付をさかのぼらせて退会届を出させたんじゃありませんか。その関係者もいますよ。ここで名前を挙げないが、だめですよ、うそを言っちゃ。日付をさかのぼらせたんですよ、あなたは。
#237
○国務大臣(深谷隆司君) 退会届を出していただくように私はもちろん指示したことはありません。ありませんが、恐らく六十三年夏以降退会していただいて、ここいらは大変おしかりを受けたところでございますが、事務的な手続の違いでその後も振り込まれていて、気がついてこれを返済した。そういうさまざまなこともあったし、あの時期でございましたから事務所の者が気をきかせて、退会届があればいいなということで用意したのではないだろうかなというふうに思います。どちらかと申しますと、私の今の感想からいえば、恐らく矢田部委員も同じ考えだろうと思いますが、こういう会、一般的に一々やめるたびに退会届が出るというものではありませんので、多分こういう事件がなければそれもいただかずにそのまま過ごしたのではないだろうかなと私は想像しております。
#238
○矢田部理君 名前を挙げるのは控えておきますが、事実そのことを手続したりかかわった人がいるんですよ。全部あなたが言っているのはごまかしに近い、ごまかしもある。
 法務省に聞きましょう。
 リクルートから接待を受けたのをあなたは記憶がないそうですが、法務省が法廷で述べた検事調書の内容をお答えいただきたいと思います。
#239
○政府委員(根來泰周君) その問題につきましては既に報道されておりますし、また衆議院の予算委員会でもいろいろ御指摘があったわけでございまして、それを私どもは否定するわけではございません。
 ただ、御理解いただきたいのは、現在検察官の方が主張をしあるいは立証をしておるわけでございます。それに対して被告人の方から反証が出ているわけでございまして、それを踏まえて裁判所が事実を確定していくという手続でございますので、検察官の主張をこの権威のある国会で申し述べるということになりますと、裁判所の認定以前に事実を事実ということで申し上げることになりますので、それは私の口から申し上げるわけにはまいらぬことでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、新聞とか国会で申されたことについては別に否定するわけではございません。
#240
○矢田部理君 新聞に出ていることを否定しないということでありますから、新聞に基づいて言いますと、五十九年の二月です、浅草の料亭であなたは接待を受けた。野見山審議官、リクルートの大沢さん、それから現社長の位田さんなどが一緒に対応した。その記憶はありませんか。
#241
○国務大臣(深谷隆司君) 既に委員会でも申し上げたことでございますが、あの新聞の記事が出ましたときに、実際私どもは当惑いたしました。委員会で申し上げたことの繰り返しになりますが、先生もそうでありましょうが、私どもは大変数多くの会合を毎晩勤めております。特に下町の場合には、通常でも五カ所や六カ所は会合に顔を出しておりまして、そういう意味では明確に私は記憶をしておらないということを申し上げたわけであります。
 なお、私どもは、例えば一回つき合ったり、出会ったり、関係を持った役所の人たちや、あるいは後援会の人たちもそうだし、新聞記者の方もそうでありますが、長くおつき合いを折々にしておりますので、そういう意味ではさまざまな会合に顔を出したことはございますが、御指摘のその日にどうであったかということについては明確ではないと申し上げてまいりました。まことに申しわけありませんが、私の率直な記憶でございます。
#242
○矢田部理君 あなたは労働政務次官をやったのはいつからいつまでですか。それから、リクルート社の幹部と知り合うようになったのはいつごろでしょうか。
#243
○国務大臣(深谷隆司君) 私が労働政務次官になりましたのは五十五年のことでございます。それから、矢田部委員御指摘の幹部の人というのは大沢さんのことだろうと思います。彼とは多分五十年の初めごろからのつき合いだというふうに記憶しております。私の大事な友人の一人でありました。ただ、あの事件が終わりましてからそういう友情まで抑えなければならないという形で今日まで至っておりまして、現在ではほとんどつき合いは残念ながらしておりません。
#244
○矢田部理君 位田さんという今の社長、面識はありませんか。江副氏とも会ったことがありませんか。
#245
○国務大臣(深谷隆司君) うんと親しいというわけではありませんが、当時ニューメディアで非常に評判の高かった方でございますから、いろんな会合でお会いしたこともございますし、お見かけしたこともございます。
#246
○矢田部理君 そういうリクルート社の幹部の接待を受けた記憶はありませんか、江副さんも含めて。何回も受けているんじゃありませんか。
#247
○国務大臣(深谷隆司君) ただいま矢田部委員の御指摘のように、何回も受けているということはございません。それから、接待という言葉についてあるいはお考えが違うかもしれませんが、私どもは何か頼まれてそしてごちそうになるというふうなそういう意味での接待は覚えておりません。覚えがございません。
#248
○矢田部理君 五十九年二月の浅草の接待というのは非常に重要なんですね。あなたはその前に労働次官をやっておられる。この五十九年二月というのは、今度のリクルート社の刑事被告になった鹿野、彼が接待を始められたのはこの時期なんです、同じ月です、築地で。そして、ここに招待をされて、就職情報誌の法規制問題の中身とその後のスケジュールについて初めてリクルート社に明らかにした、その同じ月にあなたはリクルート社の幹部から接待を受け、労働省のこれまたリクルートで問題になった野見山も同席している。しかも大沢氏の検事調書によれば、求人情報誌規制措置の工作対象者としてあなたの名前が挙がっている。この浅草の会合で法規制問題について話が出なかったと考える方がおかしい。思い出しませんか。
#249
○国務大臣(深谷隆司君) これだけははっきり特に申し上げたいのでありますが、私は就職情報誌に関して依頼を受けたことはただの一度もありません。全くございません。したがいまして、そういう意味で少なくともマスコミその他に名前が載ったことはございません。
 ただ、最近工作対象者ということで随分何人かのお名前が出ました。いろんな党の代表的な方のお名前も出たわけてあります。その中に私も載っていたということは新聞を見て知っております。しかし、なぜ載っているのかについては定かではありません。
#250
○矢田部理君 以上何点かにわたって幾つかの疑問点、それから事実関係の違いを私は指摘いたしました。これだけ疑惑を受けたことになるわけであります。私もただ思いつきや推量で言っているのじゃありません。裏づけも関係者の有力な証言も得ております。したがって、あなたは政治倫理法に基づいて、その受けたあるいは指摘をされた問題点についてみずから調査して事実関係を明らかにする責任がある。その責任を果たしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#251
○国務大臣(深谷隆司君) 矢田部委員にお答えいたしますが、私はこのたびの件で政治家としてあらゆる批判を受けてまいりました。それは国会でもそうでありますし、マスコミもそうであります。ボタンのかけ違いとか私の十分な認識のなかったことが原因で総理やあるいはとりわけ国民の皆さんに御迷惑をかけたことは本当に申しわけないと存じまして、過般官房長官に提出した際には、あらゆる資料できちっと出せるものについて責任を持って出させていただいたつもりでございます。したがいまして、私どもとしてはあれが最大限の努力の答えであるというふうに認識をしております。
 なお、このたび矢田部委員を初めとする皆さん方の御指摘に対しては謙虚に受けとめながら、このようなことの誤解を招かないように誠実に暮らしていかなければならないと自覚しております。どうぞ私の気持ちを御理解いただきたいと思います。
#252
○矢田部理君 政治倫理法にのっとった措置をみずからとるべきだ、とってほしい。その約束をやっぱりしていただきたい。
 先ほどの質問に答えておりませんから了解できません。
#253
○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。
   〔午後二時三分速記中止〕
   〔午後二時二十四分速記開始〕
#254
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
#255
○国務大臣(深谷隆司君) 官房長官に報告したものがすべてであります。
 矢田部委員の指摘もありますので調査してみます。
#256
○矢田部理君 前回安恒さんが要求した資料についても、努力しますと言って答えていない。調査をして、しかと当委員会に答えていただきたいのが第一であります。
 それから、総理に申し上げたいのでありますが、リクルート疑獄というのは、政治の利権体質や金権政治そのものが批判をされてきたわけですね。そして、その改革のためにはやっぱり解明が大事なんですよ。解明なくして改革なしと私は考えています。株の問題、政治資金規制の問題など本格的に取り組む必要があると思いますのに、あなたは政治改革だといって小選挙区制を表に出してきた。選挙制度そのものは本格的に議論をしなきゃなりませんが、金権体質や利権構造を制度のせいに転嫁をする、これは問題のすりかえですよ。こういう姿勢では、疑獄に対する本格的な反省ありとは言いがたい。そのことが深谷さんにも実はあらわれているのでありまして、七、八名のリクルート汚染者を抱えた内閣、いまだにあなたはそれを越えられずにいるということを厳しく指摘して、とりわけ深谷さんについてはさらに調べるということですから、その結果を待ちます。既にもう罷免要求あるいは辞任をすべしという議論が出ておるのでありまして、私もその点を留保して次の質問を行いたいと思います。
 あと一分ぐらいで終わりますが、本来は税財政をやる予定でしたが、これは次回冒頭に久保亘議員がやることになりますので省略をして、日米構造協議について一、二点だけお尋ねしておきたいと思います。
 アメリカの要求であります。内容から見ますと相当聞くべき内容を持っております。しかし、そのやり方については、要求を通すためにスーパー三〇一条をちらつかせたり、制裁措置を背景にして日本に譲歩を迫る、こういうやり方にしてはならないと私は思っているのでありまして、そのやり方に一つ注文をつけておきたいと思います。
 それから二番目には、構造協議の出発点はもともと日米貿易不均衡の解消ということであったわけであります。構造協議で取り上げられたテーマどれ一つをとってみても不均衡の解消にどれだけ直結するのか、どの程度寄与するのか、全く実は不透明なのであります。ですから、構造協議で一定の妥協ができたとしましても不均衡が解消しなければまたまた問題が派生する可能性を持っているのであります。その点で貿易摩擦の解消と構造協議との位置づけをどんなふうに考えておられるのか。その二点についてお尋ねをして、後は関連質問、村沢さんに渡したいと思います。
#257
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘になりましたスーパー三〇一条に基づく問題は、やはり一方的な制裁を背景にしての交渉はこれは応じられない。もう少し話し合いによって解決する方向を選びたいということで、スーパー三〇一のあり方については、日本側としてはその交渉には応じないという基本的な立場を繰り返し述べてきました。ただ、日本とアメリカは、御承知のように自由世界の中で約四〇%に近い経済力を持つ二国でありますから、その二国がいろいろ意思の疎通を欠くようでは二国間のみならず世界の経済に悪い影響が及ぶといけない。
 御指摘のように、日米の貿易インバランスというものを是正していくのが大切でありましたから、とげとげしいといいますか、ぎくしゃくしたといいますか、そういう関係を是正していくために、昨年の日米首脳会談のときに、両方で思っておることを率直に出し合って、そして金額もさることながら、日本の市場は閉鎖的ではないかとか、自由と民主主義の価値を尊重するというのはどうも基準が違うのではないかというような意見や不満なんかがありますと、問題が別のところに転嫁していって基本的な日米関係にもひびが入るといけませんから、それらの問題をスーパー三〇一の問題とは全く別の枠組み、仕組みの中で、双方で率直に話し合おうというのが御承知の経済協議のスタートでありましたから、実に幅広くいろいろな問題を日米両方から提起し合って、議論し合って、中間的な報告においては共通の認識を得ることができた。さらに最終報告に向かって今双方で努力を重ねておる現状である、こう私は理解をいたしております。
#258
○委員長(林田悠紀夫君) 関連質疑を許します。村沢牧君。
#259
○村沢牧君 矢田部委員に関連をして質問いたします。
 日米協議について閣議了解の中間報告がありますが、これを見ますると、日本政府としてアメリカから要求されなくても当然やらなければならない問題もあります。中にはまた、内政干渉ではないかと思われるものがあるわけであります。総じて日本に対しては大変厳しい要求であり政策提言である、そのことがうかがわれるわけであります。しかし、反面我が国がアメリカに対して要求したことについてのアメリカの考え方もこれに載っておりますけれども、これを見ると大部分が抽象的な表現であります。
 こうした中間報告をもとにして今後最終報告をつくるとするならば、我が国はアメリカの要求に対しては満額回答した、しかし、我が国の要求に対してはアメリカの回答は抽象的、うやむやに終わってしまうのではないかという心配がされるわけであります。つまり、結論的に日米構造協議というのは、日本がアメリカの圧力に屈して一方的譲歩を重ねてしまった、このことが私は懸念をされるわけであります。ヒルズ米通商代表は、日米合意の事項の実施状況を監視するため監視機関を設置するということで、下院エネルギー小委員会で証言をしたということが報道されているのであります。アメリカでは日本の実施状況を監視する、総理の見解を伺いたいと思います。
 さらに、この協議におきましてアメリカから提言をされた、あるいはまた項目等について、一体どういうふうに日本政府としては対応してこの中間報告にまとめたのか、また日本としてはアメリカにどういう提言をしたのか。このことについても答弁をいただきたいし、またこの要求の項目についての資料もぜひひとつ本委員会に提出をしてもらいたいというふうに思います。
#260
○国務大臣(海部俊樹君) 日米の構造協議は、日米双方がそれぞれ感じております貿易上の問題について率直に意見を交換し合ったわけでありますから、押しつけられたとか、あるいは一〇〇%満足できたとかいうものは、率直に言ってお互いにないのではないか、こう思っております。私もアメリカ側に対して、できることとできないことがあります、これはできないことですということも申し上げたし、またアメリカ側も日本に対して言ったと同じように、自分の方も制度、仕組みをそれじゃ変えます、貯蓄をもっと伸ばせという要求については貯蓄の制度を変えることもする、赤字解消についてはグラム・ラドマン法という一つの目的を持った法律がありますけれども、それを行っていく。これはちょっと今手元に資料がありませんから、正確を欠くといけませんから政府委員から答えさせますけれども、各州ごとに何か政府関係の職員全部が対象となるような制度をつくることによって何億ドル赤字を削減しますとか相当に細かい具体的なことが出てきておりましたし、またこちらから言うと、かえって内政干渉ではないかと思われるぐらいアメリカの勤労者に対する職業教育や教育制度のことについても申し入れをいたしました。
 また、日本も何もしなかったわけじゃなくて、この数年間、御承知のように内需を拡大する、輸入を拡大する、前川レポートといわれるようなあの構造改善を日米協議のもっと前から着実に努力してきました。したがいまして、この二年間の平均輸入は六百十億ドル日本はふやしておるんですが、対アメリカだけで見ますと、それが百七十億ドルにとどまっております。アメリカにも売れるものがありますから、日米間の貿易インバランスはマジックナンバーと言われた五百億ドルを下回ることは下回りましたが、四百九十億ドルというところでとまっておりました。
 その努力も率直に私はブッシュ大統領に言いました。こういう努力も続いており、自主的なあれも続いておるんだと言いましたが、大統領の方もそれは認めて、日本がアメリカの農民にとって最大の市場であることはよくわかっておる、アメリカの製造業者にとって日本が第二番目のお得意様であることもよくわかっておる、でも、なおかつ四百九十億ドル残っておるということはどうなんだろうかと言われますので、アメリカは競争力をつけてください、アメリカの輸出がもっと振興するように努力をしてもらいたいということを言いました。それによって、副大統領を長とする輸出競争力評議会をつくって、アメリカも何が日本に売れるだろうかという努力をアメリカ自身で自主的に始めておるところでございます。
 そういった双方の努力の積み重ねによって日米の経済関係というものの相互の協調性を深めていくとともに日本の市場を開くこと、御指摘の多い内外価格差を是正するような問題を努力していくことによって、これは日米関係のみならず、今日までの日本の自主的な政策努力をさらに促進することにもなり、国民生活の質的向上にも役立つようになる、私はこう理解をしておるわけでございます。
 もし私の答弁が足りないようでしたら、政府委員からお答えをいたさせます。
#261
○村沢牧君 今申し上げたように、アメリカの通商代表は、この協議が日本側が協議どおりに実行できるかどうか監視機関をつくる、しかも最終報告書にそれは盛り込む、こういう発言をされておるようでありますが、アメリカがそういうことなら日本もそういうふうにしますか。
#262
○国務大臣(武藤嘉文君) 私どもニュースでは承知をいたしておりますけれども、正式なコメントはまだ来ておりません。ただ、私が向こうでヒルズ代表その他にお会いしたときにいろいろこの問題についてお話をいたしました。ブッシュ大統領はモニターという言葉を使っておられて、それを日本の新聞は監視とこういう表現をしているわけですね。モニターというのは監視と直接日本語の訳になると少しおかしいんじゃなかろうか。自分としては、やはり日本側としてお互いに、これは先ほど総理から御答弁のありましたようにいろいろの直すべき点を指摘し合って、それをいわゆるイニシアチブということで主体性を持ってお互いに直していこうということであるのであって、そうなればやっぱりこれはフォローアップじゃないか、お互いにフォローアップしていくというのが本当じゃないかということを私は申し上げて帰ったのでございますけれども、今の正式機関の問題については、正式にそういう提案があったということは私どもの役所間ではまだ来ておりませんので、それが来ましたときにこれは検討させていただきたい、こう思っております。
#263
○村沢牧君 総理、監視機関であろうがモニターであろうがアメリカでそういうふうにつくって、しかも最終報告にそういうことを織り込んでいくということになれば、日本だって当然対応しなきゃならないと思いますが、どうですか。
#264
○国務大臣(海部俊樹君) 具体的にその構想が上がってきたとか話を聞いたことではありませんけれども、私の今の直観で申し上げますと、お互いにアイデアを出し合って共通の認識に立ってお互いにこういう努力をするということを言っておるわけですから、これは両国の政府間でいろいろとそれの効果がどうなっていくかということはお互いみずからの政府が責任を持つと同時に、やっぱりこういうふうになってきたんだよということをもしフォローアップしていくとなれば、日本側からも当然アメリカの制度、仕組みやその後の運用について参加していくのは私は当然求めていくべき性質の問題だと、今直観的にそう考えております。
#265
○村沢牧君 この協議の最終報告は七月までにまとめるということでありますが、最終報告に盛られる事項は我が国の行政、経済あるいは社会慣行、文化に至るまで重大な影響を及ぼす。つまり、私は日本改造計画とも言えるものだというふうに思います。同時に、それは今後の我が国の政策あるいはまた予算編成にも影響を来すものだというふうに思います。また、アメリカの要求をそのまま尊重するとするなれば、これからの公共投資などを見ますると大都市中心になる傾向がどうしてもある。四全総の関係はどうなるか、あるいはまた法律改正も伴うものも出てくるでありましょうが、どのようなことを考えていらっしゃいますか。
#266
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員からの御指摘でありますが、構造協議は、総理からも申し上げましたように、対外不均衡是正という共通の目的に向けて、お互いに従来から行ってまいりました経済政策協調の努力というものを補完する立場で両国が抱えている構造問題について議論をする場である、そのように私どもとしては認識をいたしております。
 今委員から御指摘になりましたように、その中間報告の中に盛り込まれておりますものにつきましては、さまざまな課題があるわけでありますが、私どもとしては、こうした措置をそれぞれ各年度において実行する段階において、これは各年度の予算編成の過程において、そのときどきの財政事情でありますとか社会経済の情勢、各般にわたる財政需要といったものを総合的に勘案しながら検討していくべき性格のものであると考えております。
 そこで、たまたま公共投資について御指摘がございましたが、アメリカ側から提供されましたアイデアというものは、確かに委員が御指摘になりますようにGNP対比で数字を求められると同時に、都市に集中するという考え方が述べられておりました。しかし、中間報告において日本側としてまとめました中においては、都市集中といった考え方は我々はとっておりません。むしろ、公共投資の中において国民生活の質を高めるという視点からの努力というものは我々が今世紀中に最大限行っておかなければならないものでありますし、そうした視点に立って中間報告を我々はまとめたつもりであります。
#267
○村沢牧君 答弁になっていないですよ。都市集中、四全総あるいは法律。
#268
○国務大臣(橋本龍太郎君) でありますから、今申し上げましたように、私どもは四全総という我が国の国土の将来に向けての青写真を変更するつもりもございませんし、都市についての問題があることは事実でありますから都市に対しても当然生活基盤を整備するための投資は行われると思いますけれども、それは地方を切り捨てて都市に集中するつもりではないということははっきり申し上げておきたいと思います。
#269
○村沢牧君 法律改正を必要とするのか、どのようなこと……(「立って、立って」と呼ぶ者あり)いや、質問したんですよ。答弁になっていない、答弁していないんだ。
#270
○国務大臣(佐藤守良君) 村沢先生にお答えいたします。
 日米構造協議におきましての政策が今先生の御指摘の大都市中心であるかどうかという点についてはにわかに論じがたいと思っています。
 先生御存じのように、国土政策の基本は国土の均衝ある発展を図り、四全総の目標とする多極分散型国土の形成を進めることにあると考えております。このため、東京圏への人口、諸機能の過度の集中を是正し、社会資本を整備しながら交通、情報、通信体系の整備を図りながら、大都市圏の秩序ある整備と地方圏の振興開発を推進しているところでございまして、いずれにいたしましても今後とも四全総を踏まえて関係省庁と密接な連携と十分な協議を図りつつ、多極分散型国土の形成に努めてまいりたい、このように考えております。
#271
○村沢牧君 まだ答弁していないですよ。法律改正を予定しているのか、どのくらい予定しているのか。
#272
○国務大臣(佐藤守良君) ちょっと答弁が漏れて申しわけございませんでしたが、四全総を変えるつもりは毛頭ございません。
#273
○村沢牧君 そんなことは聞いていないよ。
#274
○国務大臣(橋本龍太郎君) 中間報告の中の全部の項目ですか。
#275
○村沢牧君 いや、全体の日米構造協議を進めていくと法律改正を必要とするものが出てくるであろうと。大店法もあるしいろいろあるでしょう。どのくらいあるのか。
#276
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変失礼をいたしました。私は公共投資を挙げてお聞きをいただいたと思ってお答えして、恐縮であります。
 構造協議の中には、例えば証取法のように我々自身が改正を予定し御審議をお願いしたいと既に考えておるものも含まれております。
#277
○国務大臣(武藤嘉文君) 私の方の関係からいけば、中間レポートに今御指摘の大店法の改正というのは考えております。ただ、これは次の通常国会を目指してということで中間レポートに考えておりまして、忠実にそれは実行していきたいと思いますが、これはいずれにしても国会の御審議が必要でございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思っております。
#278
○村沢牧君 総理、今後十年間の公共投資の総額を数字をもって明らかにすることになっております。したがって公共事業十カ年計画をつくる必要があろうというふうに思いますが、どうですか。その場合、現行の各種長期計画との関係はどうなのか。今大蔵大臣から話がありましたように、アメリカからはGNP対比一〇%を要求されたということでありますが、それは別といたしまして、GNPに対してどのくらいの割合を十カ年計画では想定しているのか、またその総額はどの程度を見込んでいるんですか。
#279
○国務大臣(橋本龍太郎君) 公共投資の十カ年計画の策定は経済企画庁を中心にお願いしておりますので、その点につきましては企画庁長官からお答えをいただこうと思います。ただ、日米構造協議におきまして大蔵省が議長を務めます分野の問題でありますので、私の方からその経緯について多少申し述べたいと思います。
 アメリカ側からのアイデアとして提供されましたものは確かにGNP対比一〇%という数字をもとにするものであり、また委員が先ほどお触れになりましたように、都市にある程度集中してその投資を行うといった考え方でありました。また、現在それぞれの分野においてつくられております各種の長期計画というものを一たん全部まとめてしまうような考え方も示されておりました。
 しかし、我が国として我が国の今後の財政運営を考えますときに、GNP対比といったような形で予算管理を他国にゆだねるようなことを了承することはできませんので、これに対して私どもは拒否をいたしました。しかし同時に、我が国の公共投資の水準が最近非常に急速に伸びているとはいいながら、各国に比べておくれておることも事実でありますから、そしておくれている分野があることも事実でありますから、国民生活の質を高めるという視点から、今後十カ年の公共投資総額というものを計画によって数字を示すという一つの回答を我々はつくったわけであります。
 と同時に、現在長期計画を有するものが十五本ございます。そして、そのうちの八本が平成二年度をもって進行中の五カ年計画としては終了するわけであります。そのそれぞれにつきましては、それぞれの省庁においてできるだけスピードを上げて次の五カ年計画、長期計画というものの策定の御努力をお願いする。同時に、平成二年度以降も存続をいたします長期計画につきましては、その計画それぞれが適切に進行するように努力をしてまいる。そういう方針を持ってこの協議に臨んだ結果、中間報告をまとめたわけでございます。
 そこで、公共投資の十カ年計画について、今委員からGNP対比でどれぐらいかというお尋ねがございましたが、これはどうぞお許しをいただきたいと思うのであります。アメリカ側に対してGNP対比の数字を示せないと同様に、我が国の今後の公共投資整備の目標数値というものを考えてまいります上でも、これはアメリカが換算表を用いて計算することはアメリカの自由ではありましても、我が国がGNP対比幾らという数字の出し方は我々としてはいたしたくございません。
 と同時に、その公共投資という言葉の中で長期計画をただ単に積み上げればその数字に至るというものでないことは、委員御承知のように、かつて公共投資というものを論じます場合には国有鉄道、電電公社あるいは電源開発といったものの数字が含まれておりましたものが、民営化のプロセスによってそれぞれその経営形態を変更した時点から公共投資の枠から外れてまいりました。これをどう扱うか、あるいは長期計画を持っておりません公立文教の施設整備費でありますとか社会福祉施設整備費であるとか、こうしたものをこの中に組み込んで考えていくかどうか等、アメリカ側となおすり合わせを要する部分もある。こうした状況で折衝が続いておるということを御説明を申し上げたいと思います。
#280
○国務大臣(相沢英之君) 大蔵大臣から経緯を含めまして詳細御答弁ございましたので、私、若干今の段取りだけについて御説明を申し上げますと、各省に対しまして、公共投資の来年以降十カ年計画に盛り込むべきところの事業につきましてただいま資料の作成をお願いいたしておりまして、来週以降そのヒアリングを行う、その取りまとめを、最終協議が七月までということになっていますが、サミットの関係がございますので大体六月中旬ぐらいまでに取りまとめるという段取りで考えております。したがいまして、御質問の中にございました、総額で幾らになるとかいうようなことはこれからの問題でございますし、またGNP対比どれぐらいになるかということは、先ほど大蔵大臣から答弁ございましたように、そういう考え方で私どもは作業いたしておりませんので、日米構造協議の中に示されておりますように、総体の金額をもちましてこれを取りまとめるというようなことで考えております。
#281
○村沢牧君 新聞によれば、十カ年間で四百兆円などと報道されておる面もありますが、これはまだ政府部内で完全に固まったものではないのかどうか。それから、十カ年計画に示す総額というのは概算要求前にするのか、それから後になるのか。もう一点、大蔵大臣から各種の十五ぐらいの長期計画の話がありましたけれども、この長期計画を全部まとめて十カ年の投資計画にするのかどうか。その三点について質問いたします。
#282
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、平成二年度の予算そのものを本院において御審議をいただいている段階の中で、私どもとしては平成三年度予算編成に向けての概算要求基準をどうするかについてまで検討するいとまを持っておりません。これは本年の夏ぐらいまでには明年度の概算要求基準を赤字公債依存体質脱却後どうしていくかについて検討しなければならないと考えておりますが、概算要求基準といった考え方は今後ともに私は必要なものであろうと考えております。しかし同時に、そうした作業がまだ進捗しておりません状況の中で、一方では、今経企庁長官がお答えになりましたように、サミットの前にこの日米構造協議の最終結論をまとめるという視点から六月の中下旬という目標を企画庁長官はお示しになったわけでありまして、そうなりますと、概算要求基準の問題と十カ年計画の問題は別途の問題ということにならざるを得ません。
 同時に、長期計画全部の総合計が公共投資十カ年計画の総計と一緒になるものではないということは、先ほども申し上げましたように、長期計画を持っておりません社会福祉施設整備費でありますとか公立文教の施設整備費でありますとか、あるいは今後、まだ政府部内において企画庁を中心に御検討いただいているわけでありますけれども、民営化のプロセスの中に現在置かれております、かつてはしかし公共投資の中にカウントをいたしておりましたNTT関係、JR関係、さらには電源開発といった民営化の進捗過程にありますものをどう位置づけるか等問題を残しておりまして、各種長期計画の総合計イコール公共投資十カ年計画の数字ということにはならないということであります。
#283
○国務大臣(相沢英之君) 四百兆というような数字が出ているけれどもどうかという御質問でございましたが、先ほど申し上げましたように、まだ作業の途中でございますし、各省からの要求も聞いておりませんし、恐らくいろいろな過去のデータから算定をされている向きはあると思いますけれども、私どもは関知していない数字であります。
#284
○村沢牧君 経企庁長官、この協議で対象にしようとする公共事業の範囲、これはどのように考えていますか。
#285
○国務大臣(相沢英之君) 先ほどこれに関連しまして大蔵大臣から御答弁申し上げたことのおよそ繰り返しになりますが、十五本ございますところの公共事業関係の各事業のほかに、これに含まれませんところの文教あるいは社会福祉等の施設、あるいはまた地方の公営企業等もございます。その範囲はおおむね国民所得計算におきまして公共投資の範囲として定められているものを基準として考えてまいりたいと思いますけれども、先ほど大蔵大臣から答弁がございましたように、過去においてそれに含まれておりました国鉄、専売あるいは電電、NTTというたぐいの取り扱いをどうするかということはこれからの問題でありますけれども、民営ということになりますとこの公共投資の範囲に含まれないというふうに、国民所得計算におきましては最近の取り扱いはそうなっております。
#286
○村沢牧君 その範囲はこれから検討するにいたしましても、今後十年間の公共投資の総額を明らかにする十年間の経済見通しができますか。この見通しがわからなくして総額を示すということは、単なる見積もり数字であるかあるいは努力目標にすぎないではないですか。
#287
○国務大臣(相沢英之君) 今後十年間の公共投資の金額を考えます場合に、その前提といたしましてこれからの日本の国の国民総生産なり経済規模がどの程度になるんだろうかというおよその見当はつける必要はあると考えておりますけれども、先ほど大蔵大臣から答弁がございましたように、GNP対比で何%というような示し方は考えておりません。のでありますので、作業の前提として大体どの程度の経済成長を考えるかということは無論考えますけれども、それとの関連づけをきちっとつけてやるというふうな作業は考えておりません。
#288
○村沢牧君 ちょっと待ってください。
 私は、そういうことは見積もり数字なのか努力目標なのか聞いているんです。
#289
○国務大臣(相沢英之君) 日米の構造協議の文書の中におきましては金額で示すことになっております。ただし、これにつきましては、構造協議の中にも触れておりますように、毎年度の執行につきましては、そのときどきの経済情勢、予算の状況その他による点もございますし、また、地方の単独事業その他の事業もございますし、でありますから、そこは十年間かちっとどういうふうになるかということではなくて、それはやはり努力目標ということになろうと存じております。
#290
○村沢牧君 大蔵大臣、十年間の支出総額を明らかにするということは、ある面では国際的な責任を持つものだというふうに思われます。これが見積もりだ、努力目標だ、それで済まされるんですか。あのときはこう言ったけれどもだめでしたという言い逃れができるんですか。
#291
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、これが例えば法律的に言われる国際約束であるかどうかということになりますと、それを国際法的に立論するだけの素養を持ちませんけれども、少なくとも日米構造協議という場を通じ日本政府のみずからに課した約束として天下に公表するものでありますから、これを実現するための最善の努力を尽くす責任は我々にあると考えております。
#292
○村沢牧君 責任があることは当然のことですけれども、やはりこれだけはやりますということを明らかにするんですから、それは実行しなきゃいけない、その責任が出てくると思いますがどうですか。単なる見積もりではない、努力目標ではないというふうに思いますが。
#293
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、言葉を法的に使いますと私もちょっと自信がないんですけれども、少なくとも日本政府自身が今世紀中に公共投資としてこれだけの金額を使うということを天下に明らかにするわけでありますから、私はその責任というものは当然感じなければならないと思います。それは、世界経済が大変な激変を起こしまして、国際的に見ても到底その約束を守ることが困難なような状態が生ずればこれは別でありますけれども、通常の経済成長を続ける限りにおいて、我々はみずからの責任としてその約束を守るべく最大限の努力をすることは当然であると思います。
#294
○村沢牧君 きょうは時間がありませんから公共投資を中心にして聞きますけれども、政府は今まで生活者の視点を無視して国民の生活基盤にかかわる支出を圧迫した、このことは事実であろうというふうに思うんです。
 大蔵省に聞くけれども、公共事業費の一般会計に占める割合、伸び率、GNP対比の推移について説明してください。
#295
○政府委員(小粥正巳君) 公共事業関係費の伸び率あるいは一般会計に占める割合とその推移ということでございますが、例えば五十年度以降、その節目節目の数字ということでよろしゅうございましょうか。
 今のお尋ねは公共事業関係費でございますから、いわば国の予算、一般会計予算に占める公共事業関係費ということで承らせていただきますが、まず伸び率、対前年度比ということでは、五十年度が二・四%、五年ごとに申し上げますと五十五年度が一・七%、六十年度がマイナス二・三%、そしてただいま御審議をお願いしております平成二年度の提出予算で〇・二%と、五年ごとの推移はこのようでございます。
 それから、一般会計に占める割合を申し上げます。五十年度が一三・七%、五十五年度が一五・六%、六十年度が一二・一%、平成二年度予算で一一・二%、このような推移になっております。
#296
○村沢牧君 今報告があったんですが、一般会計に占める割合あるいはGNPに占める割合が一番多かったのは恐らく昭和五十三年、四年であろうというふうに思いますね。例えばその当時は一般会計に占める割合が一六%、現在は九%程度のものだというふうに思うわけでありますが、このように長い間抑制されてきた、しかも本年度予算案を見ても公共事業費の伸び率は〇・三%だ、一般会計の伸び率は九・七%、この中でも防衛費の伸び率は六・一%と突出しているわけですね。これを見てもやっぱり少ないことがわかる。生活基盤の整備はアメリカから言われなくても当然やらなければならないことです。しかも、日米構造協議であります。
 そこで大蔵大臣、例えば今までシーリングをいろいろやってまいりましたけれども、従来のシーリングの枠組みを変えなければならない。とりあえず明年度の概算要求をどういうふうに考えるのか。また、今後ともその財源についてどのように考えますか。
#297
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず概算要求基準についてでありますが、先般の財政制度審議会の御報告におきまして、「時代の要請に応じて効率性の高い歳出構造としていく努力が引き続き必要であり、そのためには、今後とも概算要求基準の設定により、概算要求段階から制度改革、歳出の節減・合理化を進めるべきである。」と指摘をされたところでありまして、私どもは現在、赤字公債依存体質から脱却したとはいいながら、公債残高の累増による国債費の重圧がなお非常に重苦しい影を投げていること、また、いわゆる隠れた赤字と言われております繰り延べ措置その他の問題が残っておりますこと、また、何よりも再び特例公債を出さずに済むような財政体質をつくっていかなければならないという状況を考えますと、極めて厳しい財政事情の中で、やはり概算要求基準というものはきちんと考えていかなければならないと思っております。そしてそれは公共投資においても別のものではございません。
 しかし、いずれにいたしましても、まだ私どもとしては平成二年度の予算の御審議をいただいております中におきまして、平成三年度以降の概算要求基準をこういうふうな形でというところを御報告するまで内部の論議もできておりませんが、いずれにしても、公共投資を含めた平成三年度予算で具体的にどのような概算要求基準をつくるかにつきましては、夏までに慎重に検討したいと考えております。
 また、その財源という御指摘でありますけれども、私どもといたしましては、今申し述べましたような、これから先を見ましても非常に厳しい財政運営というものを考えていかなければならない時代でありますので、私どもとしては、歳出、歳入ともに厳しく見直しながら節減合理化に努め、また制度の改変などに努力をしながら、引き続き安定した予算編成が行い得る状態に努力をしてまいりたい、そのように考えております。その中において公共投資についても適切に対応する所存であります。
#298
○村沢牧君 時間がございませんので、日米関係について次の問題に移ります。
   〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
 外務大臣、大臣は四月下旬、メキシコで開かれたウルグアイ・ラウンドの非公式閣僚会議に出席をいたしましたが、日本の米問題についてどういうお話をされましたか、またどういう印象を受けましたか。大臣は記者会見で、米問題については国内調整をする必要があると言ったということが報道されていますが、その真意はどうですか、どのようなことをやってまいりましたか。
#299
○国務大臣(中山太郎君) 私は、四月行われましたメキシコの会合におきまして日本政府を代表して次のように申しております。
 農業につきましても、我が国はこれまで多くの品目について輸入アクセスを拡大してきており、世界最大の農産物純輸入国としての安定した市場を提供し、農業貿易の安定的発展に大きく貢献してきております。しかしながら、その結果、我が国の自給率は四九%と著しく低い水準となっており、食糧安全保障への配慮の必要性が不可欠となっております。国内における農業の役割について、さらに国土・環境保全、雇用、地域社会の維持等極めて重要なものがあり、食糧安全保障を含むこれら非貿易的関心事項への配慮は不可欠と考えております。このような状況にあることから、昨年末、我が国は基礎的食糧に関し、所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置をとることが認められるべしとの提案を行ってきたところであり、各国の理解を得たいと思っております。
 以上のように日本政府を代表して発言をいたしておりまして、その発言の背景には、国会における各党一致した御決議、また内閣における次のような方針をその背景として堅持しております。
 米の国内生産による自給方針の堅持につきましては、数次にわたる衆参両院の御決議がある。政府はウルグアイ・ラウンド交渉において、この決議の趣旨を踏まえ、食糧安全保障等の観点から、米のような基礎的食糧については、所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講じるよう提案を行っているところであり、各国の理解を得られるよう最善の努力をしているところである。政府は国会の決議も踏まえ、米は国内生産で自給するとの基本的な方針で対処していくものであるという内閣の意思を背景にしたものでございます。
 新聞記者会見におきましては、このように申しております。新聞記者会見では、ガット・ウルグアイ・ラウンドの非公式閣僚会議の意見として、十二月が最終の会議の時期でございます。現在の各国の協議の状況は、十二月の最終協議に十分到達できるような協議状態ではない。そのために、七月の末に開かれるであろうTNC、この委員会までに担当各関係の政府はその大枠づくりに努力をするために全力を挙げる、こういう申し合わせがございまして、この協議事項の中には市場アクセスの問題、あるいはまた繊維交渉におけるMFAをガットのルールに組み込む問題、あるいは知的所有権の問題、貿易投資等の関税の問題、いろいろな問題が十五分野ございます。それらの分野の問題をパッケージでこのいわゆるウルグアイ・ラウンドで固めていく、こういうことでございますので、単に農産物問題だけではなしに、各種の分野がこれからの協議事項に含まれておる、そういうことで私は発言をいたしたわけであります。
#300
○村沢牧君 アメリカは最近非関税障壁の関税化の方針を出しておるようでありますが、アメリカが提案していることはどういうことなのか、日本政府としてそれは受け入れていくことができるものであるのか、農林水産大臣に尋ねます。
#301
○国務大臣(山本富雄君) お答えをいたします。
 今委員御指摘のアメリカの最近の考え方でございますが、これはこういうことであります。米国の農産物に関する関税化の考え方は、関税以外のすべての貿易障壁を内外価格差をもとに関税に置きかえまして、十年間でこの関税をゼロまたはニアリーゼロと言っておるんですけれども、ゼロに近い水準にまで低減する、こういう考え方を示しておる。そこで我が国といたしましては、ガット農業交渉の場において、一つ、関税化については、農産物の国際価格の変動、為替レートの価格に与える影響、品質格差等をいかに取り扱うかという技術的な問題があること。二つ、基礎的食糧及びガットの規定に基づく輸入制限品目につきましては関税化は困難であるということをかねがね主張してまいりました。今後、このようなことを踏まえまして対処してまいりたいというふうに考えております。
 なお、今外務大臣からも国会決議のお話もありましたり、内閣の方針を背景にしてメキシコでこういう発言をしたというお話がございましたが、責任者の私といたしましては、まさに国会における御決議の趣旨を体しまして、今後とも国内産で自給をするという方針を堅持してまいりたい、こう考えております。
#302
○村沢牧君 総理にはたびたび伺っておりますが、本院は、米は国内生産によって完全自給の方針を堅持する、こういう決議をいたしておりますが、だんだん情勢が変わってまいりましたものですから、改めて総理にその決意を尋ねます。
#303
○国務大臣(海部俊樹君) 米問題につきましては、我が国における米及び稲作の格別の重要性にかんがみ、国会における決議等の御趣旨を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる所存であります。
#304
○村沢牧君 完全自給ということは部分的な輸入もしないという意味も含めておると思いますが、よろしいですか。
#305
○国務大臣(山本富雄君) そのとおりでございます。
#306
○村沢牧君 日米協議にも関係しますが、土地問題について若干お伺いしたいというふうに思います。
   〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
 まず、国土庁に企業の土地保有について伺います。
 企業の土地取得の状況及び事業用や販売用土地の利用状況、持っている土地を利用しない理由、法人の土地資産含み益について、調査資料に基づいて説明してください。
#307
○政府委員(藤原良一君) お答えいたします。
 まず、土地の買い主に占める法人の割合でございます。例えば六十年から六十二年の間の東京都における割合でございますが、六十年は三〇・四%、六十一年三九・一%、六十二年四五・七%となっております。
 また、事業用土地でございますが、資本金一億円以上の民間法人に対して国土庁がアンケート調査を行いました結果でございますが、平成元年三月末時点の法人の所有する事業用土地の未利用用地の割合は六・二%でございまして、そのうち利用予定時期について具体的な計画のないものの割合は七八%となっております。
 また、販売用土地に占める造成整地等の工事に着手していないいわゆる未着手工地の割合でございますが、四五・八%となっておりまして、さらに未着手土地のうち着手予定時期について見ますと、三年以内一五・一%、三年以降二七・四%、具体的計画なしと回答しましたのが五七・五%とかなりのウエートを占めております。
 次に、法人所有土地の含み益でございますが、含み益をどうとらえるかにつきましてはいろいろなやり方があろうかと思いますが、ちなみに一つの目安として、国民経済計算における民有地のうち法人企業の昭和六十三年末の土地資産額から法人企業統計における、これは金融保険業を除く法人の昭和六十三年度末の土地勘定残高、いわゆる簿価でございますが、これを差し引いた額を計算いたしますと約四百三十兆円となっておりまして、昭和六十三年のGNPは約三百七十兆円ということになっております。
#308
○村沢牧君 総理、今説明があったように、企業が買った土地のうち事業用の土地で八〇%近くは利用する具体的な計画はないというんです。また、販売用として買った土地の半分は事業に着手しておらない。そのうちの六〇%近くはいつ販売するかもわからない。また、企業が買った土地のうちで半分は、残っている土地の半分は最初から利用する計画がなくて買ったものだ。これは国土庁の調査結果によって明らかなんですよ。企業が土地を買い占めて、担保にして金を借りて地価を上げる。また買う。そしてその含み益というのは、お話があったように今四百三十兆円、このときのGNPが三百七十兆円ですよ。いかに大きなものかということがわかる。総理はどういうふうに感じますか。こういうことを知っておって何らの手を打たなかった政府の責任は極めて大きいと思うんですよ。土地無策と言われても仕方がない。どうですか。総理ですよ。
#309
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。
 今政府委員がお答えしたとおりでございまして、実は法人の土地の取得、保有については、基本的に企業行動における経済合理的な選択の結果として行われるものであると考えておりますが、このたびの調査、特に私も先々週ヘリコプターで東京都内を視察いたしましたが、あれは仮需要、いわゆる投機的土地取引や手当て買い的土地の取得等がかなり多いということがわかったわけでございます。
 そんなことでございまして、今度は昨年土地基本法もつくりましたし、また、実は総理の指示に基づきまして土地対策関係閣僚会議を開きまして、今後の重点実施項目、十項目を決めたわけでございます。そんなことでございまして、そういうことを含めて、まず地価を安定させる、そんなことで土地対策に海部内閣として全力を挙げて取り組むということでございまして、緊急的には実は国公有地の未利用地とかあるいは企業の低・未利用地をどう吐き出さすかということにつきまして、総合的な政策、特に土地政策あるいは税制の見直し等を含めましていわゆる基本的には土地神話をなくしたい、そんなことでもちまして、総理が言っておられますようなことでございまして、現在住まいを持ちたい人が約四〇%住まいを持っておりません。特に都市におきましては六〇%持っておりません。そんなことでございまして、そういう人たちにとにかく所得の数倍で住まいを持てるようにしたい、こんなことで土地対策に全力を挙げて取り組んでいる状況でございます。
#310
○村沢牧君 総理、取り組んでおることは少しはわかるけれども、今説明があったような状況なんですよ。これをどういうふうに感じますか。これをほうっておくことはできないと思う。したがって、この含み益に対して土地に保有課税をすべきである。また企業には相続税がありませんから、譲渡益に累進課税をすべきであります。総理の見解を伺いたい。
#311
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘になったような法人の土地投機が地価の高騰を招いている。これを抑制すべきであるといった意見、また法人の土地の含み益は巨額なものとなっておるのも御指摘のとおりでございますので、この譲渡益に課税強化すべきであるかどうかといういろんな意見を踏まえて、今回の土地税制の見直しに当たりましてはこうしたさまざまな御意見を十分踏まえて、土地対策の観点に加え、税負担の公平確保の観点からさらに一層の検討を加える必要がある、こう考えております。いずれにいたしましても、土地税制に関しましては、税制調査会において幅広い観点から検討が行われている、私はそう思っております。
#312
○村沢牧君 国土庁は税制調査会にこの保有課税あるいは譲渡課税についての一定の見解を申されているようでありますが、長官にその見解を聞きたい。
#313
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 今総理が答弁したことに尽きるわけでございますが、国土庁としましては、政府税制調査会の土地税制小委員会におきまして二回にわたり基本的に三つの点を申し述べてございます。その一つは、土地の資産としての有利性を減少させ、投機需要、仮需要を抑制する。二番目には個人、法人を通じた税負担の公平を確保する。三番目には有効高度利用を促進するといった三点を説明し、さらに法人土地の保有税の強化及び譲渡益に対する分離課税等の導入の可能性について検討すべきことを一つの提案として申し上げたわけでございます。
#314
○村沢牧君 税調にそういう申し入れをしたと。大蔵大臣、どういう見解ですか。
#315
○国務大臣(橋本龍太郎君) 従来から土地の問題が論議されますたびに税についていろいろな御指摘がございました。しかし、土地政策というものの基本哲学がありませんでしたために、その中にはしばしば真っ向から相反するものがあったことも御承知のとおりであります。公共の優先という視点からの論議が可能な状況になりまして、現在税制調査会で御審議をいただいているわけでありますが、今総理からも触れられましたように、資金力のある企業の土地取得というものが地価高騰を招いているのではないか、あるいは土地の保有に対する税負担が少ないために、低いために土地が有効に利用されていないのではないか、あるいは企業が最近の地価高騰の中において巨額の含み益を抱えているのだから、これに負担を求めてもいいのではないか、こうした御議論があることもよく承知をいたしております。ただ、その中で例えば土地譲渡益の課税につきまして、従来でありますと土地投資が有利とならないようにさらに課税を強化すべきだという御意見の一方には、宅地供給を促進させるというためには課税を軽減しろという御意見もあるといった形で、私どもとしてはその対応に苦慮したわけであります。
 ただ、今回、非常に素朴な申し方でありますけれども、国民の中にある地価高騰に伴って出てきた資産格差というものに対し適正化を求める声、これを私どもは税制調査会における土地税制の論議の一つの視点にしていただきたい。しかし、それよりもっと持っていただきたい視点は、大変素朴な言い回しでありますけれども、この大都市においても一生懸命に働いている方々が努力をすれば自分の家が持てるという土地政策をつくり上げる中で、税はどういう役割を果たすべきかという視点を持って御論議をいただきたいということでありまして、既に小委員会はその検討に入っていただき、幅広く各般からの検討を続けていただいておるところであります。委員が先ほど来御指摘になりましたような実態は当然踏まえて小委員会において御論議がいただけるものと、私はそう信じております。
#316
○村沢牧君 地価をつり上げた一つの原因に、過去において国有地の処分があったわけです。これからも国有地の処分によって地価をつり上げることがあってはならない。昭和六十一、二年に国有財産法の一部を改正して、国有地についても信託制度をやることができるようになった。今までやったことがあるんですか。国有地に対して今後信託制度をどのように考えていますか。
#317
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員から御指摘がありましたように、昭和六十一年に国有地に信託制度を導入してみましてから今日までに貸し付け中の物納財産を借地人と共同で信託いたしましたものが二件ございます。ただし、これは問題が現実にないわけではありません。と申しますのは、信託という制度は確かに地価を顕在化させずに国有地の有効利用を図るという点では非常にメリットがございますけれども、信託が終了いたしまして返還されるその信託財産には借家権などがくっついてきてしまう。そのため、今度は当該財産を国によって将来利用しようという場合にその利用が阻害されるといったケースが想定されます。あるいはその信託事業の中での借入金の未返済額、これが信託終了時に残っておりました場合にはその債務が国に帰属してしまうといった問題点が注意をしなければならない点として存在しているわけであります。今後ともに、しかしやはり適当な案件がありますならば、この信託制度の活用というものは図ってまいりたいと私どもは考えております。しかし、実施に当たっては今申し上げたような点があることも御留意をいただきたい、そのように考えております。
#318
○村沢牧君 地価が高騰する背景に金融機関の土地関連融資があることは事実であります。佐藤国土庁長官、本院で土地基本法審議の際、石井前国土庁長官は土地関連融資の多いところ、投機的取引に係る不適切な融資に対してはこの基本法の制定を前提に銀行名を公表する必要がある、罰則も含めた規則をつくってもよいではないか、こういう答弁をいたしておりますが、佐藤長官、あなたはどのように考えますか。
#319
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 今の点については突然のことでございまして、私実は申し送りその他を受けておりません。そんなわけでございますが、一応石井前長官の言った意味としてはよくわかるわけでございまして、実は今度の土地高騰の原因につきましては、金融緩和ということが大きな原因の一つであったということはいろいろ言われているわけです。この点につきましては大蔵大臣によくお願いをしまして、非常に厳しく今金融総量を抑制してもらっておるということでございまして、この経緯を見ながら十分相談して考えたい、このように考えております。
#320
○村沢牧君 公表してもいいんですか。公表する問題だ、公表すると。
#321
○国務大臣(佐藤守良君) 十分調査した結果よく相談して考えたいと、こう思っております。
#322
○村沢牧君 大蔵大臣、金融機関に対する大蔵省の指導監督はいろいろやったけれどもなまぬるい、私は率直に申し上げます。今後どうするんですか。
 それから、さっき申し上げましたように、前国土庁長官はそういう悪い金融機関は公表するんだ、罰則もつくっていい、こういうふうに答弁をしていますが、どうですか。
#323
○国務大臣(橋本龍太郎君) 従来から金融機関に対しまして随分私は大蔵省事務方の諸君は努力をしてきたと考えておりますが、それが必ずしも効果を奏しておらなかったという御批判は私は甘受しなければならないと思います。
 その原因として考えられるものは、やはり土地取引などに関連した根強い資金需要というものが、どうしても総貸し出しの伸びを上回る土地関連の融資が行われたということに尽きるでありましょう。そこで、本年の三月、新たに金融機関の土地関連融資につきまして、不動産向けの貸し出しにつきましては、その増勢を総貸し出しの増勢以下に抑制するように金融機関に対して求める措置をとりました。またあわせて、当面不動産業及び建設業、ノンバンクの三業種に対する融資の実行状況をきちんとチェックしていくという方針を打ち出しました。その結果が私どもとしては功を奏することを期待いたしておりますが、なお、お許しをいただけますならば、事務当局から補足をして現況の説明をさせたいと思います。
#324
○政府委員(土田正顕君) ただいま基本的には大蔵大臣から御説明申し上げましたとおりでございます。
 私どものこの土地融資についての適正な態度を求めるという指導は、昭和六十一年、六十二年のころから始めておりまして、その過程におきまして、一時対前年二〇%、三〇%の高い伸び率を示しました不動産業向けの貸し出しの伸び率は、一番低いときには一けた台に落ちたという時期もあったわけでございます。しかしながらその後、ただいま大蔵大臣からお話がございましたような、やはり各種の土地に対する根強い需要、それは好景気が長く続いたとかいろいろな原因があるかと思いますが、そのような需要を反映いたしまして根強いものがあるということを勘案いたしまして、金利の動向その他をにらみつつ、その対策を順次打ってまいったわけでございますが、その中の新しい措置として、ことしの三月、いわば不動産向け貸し出しの増勢を総貸し出しの増勢以下に抑制するようにという新しい措置をとりました。これはめったにとらない措置でございまして、その効果を私どもは期待しているわけでございます。
#325
○村沢牧君 答弁が一つありませんから。
 先ほど指摘したように、前の国土庁長官はそういう不適切な金融機関を公表すべきだ、罰則もつくっていいではないかと、こういう発言を国会でしているんですよ。今の佐藤長官もこれから検討したいなんて言っていますけれども、大蔵大臣どうですか。
#326
○国務大臣(橋本龍太郎君) 国土庁長官から御相談がありますならば真剣にその御相談の相手になるつもりでありますが、私は、そういうこと以前の問題として総貸し出しの伸び以下にこれを抑え込むことができ、その効果がどの程度出るかにまず努力の目標を置きたいと思います。
#327
○村沢牧君 時間ですから、終わります。
#328
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で矢田部理君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#329
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、斎藤栄三郎君の総括質疑を行います。斎藤君。
#330
○斎藤栄三郎君 総理大臣は、大変暑い最中に西南アジアを歴訪され、多大の成果をおさめてこられたことに対し心から敬意を表します。
 西南アジア地域に対する日本の借款は全体の二割、貿易は一%、投資は〇・一%にすぎません。ややもすれば忘れがちのところです。そこへ総理御自身が行かれて一千九百十二億円、十七億ドルの借款を与えてこられた。大変現地も喜ばれただろうと思います。同時に、その借款がうまく使われて民生の安定と経済の発展に寄与するよう今後も引き続き御指導くださることをお願いいたしますが、現地を歩かれての感想をお漏らしいただきたいと思います。
#331
○国務大臣(海部俊樹君) 連休の休暇の間、御指摘のとおり、インド、パキスタン、スリランカ、バングラデシュ、この南西アジアの国々を訪問いたしました。日本は自由主義陣営の一員であるという自覚と同時に、アジアの一員であるという基本的な外交の座標軸を持っておるわけでありまして、ただ、ややもすると、これらの地域に対しては我が国からの要人の往来とかいろいろな交流が今日まで他の地域と比べるとおろそかであったことも、率直に事実でございます。けれども、この地域がついこの間までは非同盟のリーダー、インドを中心としての非同盟の地域であったということも一つございました。ところが、今、午前中の議論にもありましたように、東西の対立、対決という関係が大きく変わってまいりましたから、これらの国々の非同盟というのも何に対してなのか、あるいはそこが政治的、経済的に空白地帯になるのではないかというような懸念があったり、そのときにアジアの一員である日本はどのような対応をするのだろうか、あるいは引き続き日本とは経済的な関係も政治的な関係もむしろ強く持ちたいという願いがあるにかかわらず、なかなか交流が緊密でなかったというようなこと等が経緯としてございましたので、それらすべての上に率直に立って私は訪問をしてきたわけでございます。
 一言で言うのはなかなか難しいんですけれども、大変暑いところでございましたし、また首脳も心から歓迎してくれましたし、現地からのいろいろな御要望の中で持ち帰って検討をしなければならぬものもございました。また、そこで、そういったものには今日までのいろいろな事前調査とか相談等において御協力できるという点もございました。
 ただ、経済協力のことだけが表面に出てまいりますが、決してそうではございません。それらの国に対して国づくり、人づくりに協力をするために、例えば青年海外協力隊というものが今成果を上げております。それを新たに希望する国や既に行っておる国に対してはさらにそれを加えていくという努力や、あるいは東南アジア地域とは学術を交換していく拠点大学の制度なんかがあるわけでありますから、そういったことを踏まえてそういった方法をお互いに未来を支える青少年のために考えていきましょうとか、あるいは南西アジアの青年で日本を知らない人も非常にいらっしゃるわけですから、留学生の交流のほかに五百人ぐらい五年間に日本へ来てもらうとか、あるいは文化の交流であるとか、いろいろ幅広い面について何が日本はその国のために御協力できるかという点も、あるいはその国が何を期待していらっしゃるかという点についても率直に意見の交換をいたしてまいった次第でございます。
#332
○斎藤栄三郎君 ちょうど前の時間が一時間入りましたから私にいただいた時間が短くなりますが、しかし六時五分前には必ずやめますから、どうぞ御回答もなるたけ簡単、要領よくお願いをいたします。
 次に、ことしは国会百年の記念すべき年に当たります。第一国会で明治天皇が述べられた勅語をちょっと写してまいりました。その要点だけをお読みいたします。「朕又夙ニ各国ト盟好」、盟好というのは友好という意味でありますが、「盟好ヲ修メ通商ヲ広メ国勢ヲ振張セムコトヲ期ス」とまず述べ、その後で「予算及各般法律案ハ」「議会ノ議ニ付セシム」と述べております。したがって、この勅語に述べられたように、予算の審議ということが国会に課せられた非常に大きな議題であります。
 国会百年の記念に当たりこの百年を回顧してみると、当時明治二十三年、日本の人口は三千九百万人、今一億二千万でありますから、約三倍であります。今日本の経済力はすばらしく、GNPでいうと世界第二位、一人頭でいうと世界第一位になりました。しかし、ここまで来るには随分試行錯誤の連続で、戦争は日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦と大分各国に御迷惑をかけてまいりました。再びこういう失敗を繰り返してはならないと考えますし、私は世界に貢献し、世界から愛される日本にならなきゃならぬと思いますが、ちょうど百年に当たり、総理のこの百年を回顧しての御決意のほどを承りたいと思います。
#333
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、平和国家に徹し、平和を守り、過去の歴史の経緯を振り返って犯した過ちは繰り返さない。そして世界のために積極的に貢献し、平和と繁栄のために尽くす国にならなければならない、こう考えております。
#334
○斎藤栄三郎君 次に、日米構造協議の問題に移りたいと思います。
 日米安全保障条約第二条にこう書いてあります。「国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」とうたってあります。ややもすると、私たちは日米安全保障条約を防衛問題に限定する嫌いがありますが、そうではないんで、その根底にあるものは経済関係であると私は確信をいたします。したがって、今度構造協議で多大の御努力をなさったことに心から敬意を表し、大変よい中間報告が得られたことを喜びますが、最終報告までの間にこちらには宿題が出されているわけですが、きょうは時間の関係で三つの問題についてその後の御努力を承りたいと思います。
 第一は、通産大臣に大型店法についての御努力、それから第二は、公正取引委員会に課徴金問題についての御準備、それから第三は、建設大臣に公共事業についての御意見などを承ります。
 まず第一に、この大型店問題、私はこう思いますがいかがでしょうね。大型店というのは非常に伸びてまいりまして、現在全売り場面積の三九%、小売売上高の二七%を大型店は占めております。一方、この十年間に小売屋さんは百七十二万軒から百六十二万軒にちょうど十万軒も減ってしまいました。それからメーカーで申しますると、この十年間に、一年間にかつては六%ずつ新規開業があったのに、現在では三%に減っている。このように見てまいりますると、大型店の進出に対して中小企業者が非常に関心を高めるのは当然だと思います。
 武藤通産大臣はかねてから中小企業問題には非常に御理解のある方でありますが、一体この大型店進出をどうお考えになるか。また、最終結論として向こうに報告するのはどういう内容のものを報告なさるかをお教えいただきたいと思います。
#335
○国務大臣(武藤嘉文君) 今回の中間レポートにこの大型店の問題につきまして私ども織り込みましたことは、今御指摘の中小小売商のことも十分配慮しながら私は考えたつもりでございます。今御指摘のように、本当に全国の中小小売商の皆様方は、それぞれ今日まで地域経済社会のために大変な御貢献をいただいてまいりましたし、また、その地域の消費者のためにも大変豊かな生活をエンジョイしていただこうということで御努力いただいたことは、私は間違いのない事実だと思います。
 ただ、国際社会の中で日本が、先ほど御指摘のように、大変すばらしい経済大国になりましたために、どうしても世界に開かれた日本でいかなきゃならない。そうなってまいりますと、やはり世界の国々から、日本の小売のいろいろのものが閉鎖的ではないかと。例えばアメリカでは、都市計画との関連はございますけれども、割合簡単に小売商、特に大型店の小売店が始められる。日本は、どうも始めようと思って行ってもなかなか始められないんじゃないか、こういう指摘もあったことは事実でございまして、そのような点からこの国際的な観点も考えなきゃならない。しかし、今までの御努力いただいた中小小売商のことも考えなきゃならない。また総理が、これからの日本の政治、行政の柱は、生産優先よりも消費者重視という形でいかなきゃいけないじゃないかという一つの大きな政策の転換を今私どもはやろうといたしておるわけでございます。そうなってまいりますと、消費者のことも考えていかなきゃならない。その辺でぎりぎりに考えたことでございます。
 それで、これをそれじゃどう持っていくのかということは、とりあえず今月中にあの中にうたわれておりますいわゆる改善の分でございますけれども、運用改善の分につきましては、五月中に通達などすべてを出すことにいたしております。それから、引き続きまして、これから次の通常国会を目指しまして法律改正に取り組んでいきたい。そしてぜひ国会の御理解をいただいて法律を成立させていただきたい。そしてその中身につきましては、これからのことでございますけれども、いずれにしても、一つはやはり外国の大型店の進出しようとしておられる人たちが入りやすいようなことを考えていかなきゃならないし、いま一つは、やはり今まで私は中小小売商の皆さんの御意見を尊重してそういうことであったと思いますけれども、いろいろの通達が出されておりまして、非常にわかりにくい。法律にないようなことが実際は法律よりももっと上回ったような運用がなされてきておりましたので、これはもう外国人にとっても非常にわかりにくいことでございますから、やはり今度はそういう通達のものを一遍全部洗い直しをしまして、その中でどうしても残さなきゃならないものはできるだけ法律の中ではっきり明示をしていきたい。
 特に商調協などにつきましては法律にないわけでございますけれども、こういう商調協についてもそのあり方についてしっかり法律の中にうたいまして、そして商調協の委員なども、これはある程度準公務員的な性格も持っていただいて、そして少なくとも悪いことをすれば刑事罰を受けるような、そういうような仕組みも考えていかなきゃならない。と同時に、そういう商調協がどんなことを議論しているかをやっぱりその地域の消費者の皆さんにわかっていただけるような仕組みも考えていかなきゃならないんじゃないか、こんなようなことを考えておるわけでございますが、それ以降また三年先にはいろいろの特定地域の問題その他が出てまいりますけれども、とりあえずそこまでの仕事を少なくともことしはやっていきたいと思っております。
 また、今十万軒も減ったという御指摘もございました。ただ、私はこれはやっぱり後継者の問題も正直言ってあると思うのでございます。後継者がなくておやめになった方も相当いらっしゃるようでございますから、その点についてはやっぱり後継者がなくなるということは意欲がなくなるということでございます。もう少し魅力ある中小小売商になっていただかなきゃいけない。おやじがやっていたことは息子もやろう、こういう意欲を持っていただけるような、そんな形にしなきゃいけませんので、現在この御審議いただいておる平成二年度の予算案の中におきましても、いろいろと中小小売商の振興対策は考えておりますけれども、今回法律改正を目指すに当たりましては、もっと思い切ったいろいろの、本当に中小小売商の皆さんが御努力さえいただければ生きていけるようなことを考えていかなきゃならない。
 たまたま昨日、チェーンストア協会、また専門店協会の皆さんとお話し合いをいたしましたときも、大型店の皆さんも、これからはやはり自分たちだけが生きていけるという時代ではないと、中小小売商の皆さんと共存共栄を図っていかなきゃならない、あるいはいま一つは、これからはやっぱり都市計画あるいは町づくり、そういうものと商店の振興というものを一体で考えてほしい、こういう御指摘もございました。その辺も私どもは十分考えてこれから対処してまいりたいと思っておる次第でございます。
#336
○斎藤栄三郎君 通産大臣にちょっとお願いをしておきますが、今の小売屋さんが困っているのは実は駐車場がないことなんで、なぜ大型店が栄えるかというと、自動車で行っちゃって一週間分まとめて買ってこられるわけです。ところが、従来の商店街にはそういうところはありませんから、したがって中小企業対策を考える場合にはそこまで考えてあげないとなかなか生きてこないんじゃないか、画竜点睛を欠くんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#337
○国務大臣(武藤嘉文君) 御承知いただいておりますように、先ほど申し上げました平成二年度、今回の中小小売商対策の中には、商店街コミュニティー施設整備事業の中で、一応駐車場をおつくりいただくときには特別の無利子で御融資させていただくという仕組みも考えておるわけでございますけれども、私は、将来の中小小売商対策で一つ考えておりますのは、例えば商店街がありますと、できればそこに一つの第三セクターでもつくって――これは例でございます、まだこれから検討させていただくことでございますが、第三セクターをつくりまして、第三セクターによって一つの建物をつくっていただく。それで、できるだけそこにキーテナントとなる大型店も入っていただくが、地元の中小小売商もそこへ入っていただく。そうすると、中小小売商のいらした店舗のところがあくわけでございますから、そういう土地をもしお借りできれば、あるいは第三セクターへ譲っていただければそこに空き地ができますので、そこに駐車場をつくるとか、やっぱりそういうような形での先ほど申し上げました町づくりと商店の振興というものをかみ合わせた形のものをやっていかなきゃならないんじゃないか。そうなってくると、消費者はこういうモータリゼーションの時代でも駐車場へ車を置いてそこで買い物ができるということになるんじゃないか。これは先ほどの将来の小売商業振興対策の中の一つでございますけれども、実はそんなアイデアも持って今検討をしておるところでございます。
#338
○斎藤栄三郎君 もう一つ通産大臣に。
 今、御婦人方が職場に出られる。おうちへ帰ると大体午後八時ぐらいになる。それから買い物に行こうと思うと大抵お店は閉まっちゃっている。ところが、大型店はちゃんとやっているし、オールナイト開いているところもある。だから、小売屋さん自身ももう少しその辺を自覚なさるなり、労働基準法の関係でできないと言われるかもわかりませんけれども、もう少し知恵を絞らないと、ただ単に金を出してやれば中小企業対策が事終われりというんではないだろうと思いますが、御意見いかがですか。
#339
○国務大臣(武藤嘉文君) これは日本人は働き過ぎだと言われておるわけでございまして、特に大型店の場合は幸い人の回転がうまくできますので、結果的には労働時間が短くても、そして営業時間を遅くしてもこれはできる。ところが、中小小売商の皆さんの場合に、やっぱりいわゆるファミリービジネスでございまして、なかなかより多くの人を採用する余裕もない。そういう中で、結果的に八時、九時まで夜営業をいたそうといたしますと本当にオーバーワークなことになりますので、その点は中小小売商にとっては大変辛いところでございますけれども、私は一つの考え方としては、やはり営業時間を始めるのをもっと遅くしていただいたらどうだろうか。大体午前中に買い物に行かれるという方はよほどでない限りないだろうと思いますので、例えば中小小売商の皆さんにとっては将来はなるべく始めるのは十一時か十二時から始めていただいて、そのかわり夜の八時ぐらいまで働いていただくというようなことも一つは考えたらどうだろうか。あるいはまた、おやじさんとおかみさんといたら、おやじさんとおかみさんが一緒になって働くんじゃなくて、せいぜい交互に働いていただくとか、いずれにしても一人当たりの労働時間は、何とか努力をしていただいて中小小売商の中でもこれからはやっぱり労働時間は短くしていただく。そして、決して無理な労働をしなくても消費者に十分、何といいますか、サービスが提供できる、こんなようなことをやっていただきたいと思っておりますが、なかなか私ども、中小小売商の皆さんにとってはこの労働時間の問題というのは確かに大きな問題だろうと思っておりまして、できるだけその辺の、そういうことになり得るためにはどういう施策を私どもしてあげたらいいのかということを、ゆとりと豊かさを求める産業政策というのを今度産構審でも御答申をいただくことになっておりますので、それを踏まえて何らかのいい政策を考えていきたいと思っておるわけでございます。
#340
○斎藤栄三郎君 最後に通産大臣にもう一つ。
 中小企業大学は大体もう予定どおり設置が終わりましたか。私は、中小企業者にとって大事なことは、もっと早く正確な情報を得ることだろうと考えます。その点についてどうぞ。
#341
○国務大臣(武藤嘉文君) 中小企業大学校につきましては、まだ新しいのも考えております。九州に今度は一つ考えておるわけでございますけれども、その中小企業大学校でやはりいろいろと教えていただくということも必要でございますけれども、やはり将来は何か情報ネットワークを中小小売商の間でもつくっていただいて、そして中央の情報がすぐ伝わるような仕組みというのを考えていかなきゃならないんじゃないか。今回も予算案の中で、そういう情報を収集できるような形をしようと思うときには、それに対しての助成策というのも考えておるわけでございますけれども、将来やはり、情報化時代でございますから、的確な情報が迅速に把握できるような仕組みというのはこれは当然考えていかなきゃならない。そのためには今の個々の中小小売商だけではなくて、例えば商店街振興組合であるとか、あるいは商工会であるとか、あるいは中小企業団体中央会であるとか、あるいは都市であれば商工会議所であるとか、そういうところを一つのキーにいたしまして、そしてそれぞれ各小売商が情報をキャッチできるような、何かそんなものは将来ぜひ考えていかなきゃならないんじゃないか、こんなことも考えております。
#342
○斎藤栄三郎君 通産大臣に対する質問は終わります。
 次に、公正取引委員会、梅澤さんにお願いいたします。
 談合がいけないことはもう自明の理でありますが、仮に談合が完全に行われなかったら公共事業費の一五%は節約できるであろうという数字が出ております。談合を行った場合に不当な利益が得られる。その売上高に対して課徴金がかけられる。問屋さんの場合は〇・五%、小売屋さんの場合は一%、それから情報産業と建設業の場合は一・五、メーカーの場合は二という数字になっております。これが適当かどうか、まずその点についての御意見を拝聴したいし、もう少しきつくしてもいいのではないかと私は考えますが、その点についての委員長の御意見を承りたいと思います。
#343
○政府委員(梅澤節男君) カルテルの課徴金につきましては、既に政府として平成三年度を目途に引き上げを予定するという方針が決まっております。私どもはこれによりまして課徴金がより効果的で合理的な制度が整備されることを期待いたしております。
#344
○斎藤栄三郎君 では委員長、その次に、独占禁止法第二十五条のこれは活用なさるかどうか。今までは死文に化しておりましたが、その点はどうお考えになりますか。
#345
○政府委員(梅澤節男君) これも現在公正取引委員会の中に学者だけの研究会をつくっていただきまして、この二十五条の活用方についての研究を今していただいております。恐らく六月中にこの御結論を得まして、公正取引委員会といたしまして、例えば裁判所から損害額に対する公正取引委員会の意見を求められる、求めなければならないという制度があるわけでございますけれども、こういったものについて公正取引委員会として、より被害者の簡易迅速なかつ公正な救済のために何をしたらよいかということを具体的に、その報告を受けまして、実施のやり方に取り組んでまいりたいと思っております。
#346
○斎藤栄三郎君 公取の方はこれで終わります。
 次に、公共事業関係で建設大臣にお伺いいたしますが、私は、日本で著しく見劣りのするのは下水道だと思うんです。去年の十月にパリへ行きまして、パリの下水道を見てまいりました。ナポレオン一世の時代に計画を立てて延々と仕事をしているわけなんです。したがって、セーヌ川の水は非常にきれいだし、泳げる。私は、今の日本の下水道の普及率が四〇%で非常に低いと思います。それからもう一つは公園だと思います。今一人頭二・五平方メートルしかない。これがイギリスは三十平方メートルもあることを考えると、これからこういうところを重点的にやっていくことが望ましいのじゃないか。これが第一の疑問でございます。
 それから第二は、公共事業費の使い道について、建設省が六八%、農水省が二二%、運輸省が六%、その他三という配分がある。これを乗り越えてもっと本当に重点的におやりになることがこの際公共事業遂行上必要だと考えますが、御意見を伺いたいと思います。
#347
○国務大臣(綿貫民輔君) 我が国が世界有数の経済大国になりながら国民が豊かさを実感できないというのは公共資本の投資が少ないからだと言われておりますが、まさにそのとおりだと思います。
 今御指摘の下水道は、特に代表選手としてよく挙げられるわけでございます。今先生から御指摘のありました日本の国の下水道の普及率が四〇%と言いますが、特に人口五万人以下のところではわずかに七%ということでございますし、また、二千余の市町村においてはいまだ手つかずのところもございます。したがいまして、我が国はこの下水道整備に今後全力を挙げていかなきゃならぬということは御指摘のとおりでございます。
 また、公園につきましても、今二・五平方メートルというのは東京二十三区のことでございまして、日本全国では都市公園は五・二平方メートルということでありますが、これもまだまだ未整備のところが多いと思います。今後このような生活関連と言われる分野について重点的にやっていかなければならないと思います。
 なお、今シェアの問題について御指摘がございましたが、これは日本の国全部の公共投資の中の問題でございまして、ただいま日米構造協議等のことも踏まえて、経企庁や大蔵省でもいろいろそのことについて御検討をいただいておるところでございます。
#348
○斎藤栄三郎君 日米構造協議の内容についてはこれぐらいにしまして、総理、日本とアメリカとの関係を見ておりますると、アメリカの一つの一貫した政策があるように思います。それは、アメリカの対岸、太平洋の向こう側の岸にアメリカに脅威を与えるような国をつくらないということであります。
 かつて清国が眠れる獅子と言われておったときに、アメリカが要求したことは門戸開放でありました。それから、なぜ日露戦争が起きたかというと、ロシアが南下し、アメリカの対岸に脅威を与える国になったからです。したがって、日露戦争のときに日本に軍事援助をしてくれたのはアメリカであり、ポーツマス講和条約を仕切ってくれたのがアメリカであったわけです。しかし、それまで応援してくれた日本が強くなって、アメリカに脅威を与えるようになって出てきたのが太平洋戦争であったのです。
 それから戦後四十年間、非常に日米関係は良好でありましたが、昭和六十年ぐらいから日米関係が非常に悪くなった。これを経済的に言えば、国際収支の黒字がGNPの二%を超したときに緊密関係が破れると言われております。確かにそのとおりで、昭和六十年にそれが四%になった。これは経済学的にも説明のできることでありますが、同時に、何といってもアメリカが日本に非常な脅威を感じているのは、アメリカの自動車全体のシェアで日本が今三〇%を占め、工作機械では二五%を占めております。あらゆる産業の基礎をなす工作機械が二五%まで占める。そこで今アメリカが日本に非常な脅威を感じているのは当然だと思います。だけれども、だからといってこちらが遠慮しているわけにはいかないのであります。だからといって、また、けんかしちゃうわけにもいかない。悪女の深情けで非常に難しい関係にあるだろうと思いますから、総理として非常に御苦労が多いと思いますけれども、つかず離れずといいましょうか、最悪の事態にならないようにしながら、とにかく国益を守るように努力していくことを要望しておきたいと考えます。
 日本とアメリカがうまくやる以外に世界の平和を保つ道はないのであります。しかし、心の中にとめておかなきゃならぬことは、アメリカは伝統的に太平洋の対岸に自分に脅威を与えるような国は存在させないということなんです。ですから、これを経済問題でうまく解決していくように望みたいと思いますが、御意見いかがでしょうか。
#349
○国務大臣(海部俊樹君) おっしゃるとおりだと思います。
#350
○斎藤栄三郎君 非常に簡単明暸で、ありがとうございました。
 以上で日米構造協議を終えて、次に土地問題に移ります。これがきょうの私の質問の山であります。
 経済的に申せば、一国の土地の値段は、その国の一年間のGNPと同じであるというのが理想です。一国の土地の総価額は、その国のGNPの一年分と同じです。具体的に申しますと、最近の数字で、先ほども社会党の先生がおっしゃったように、三百七十兆と言いましたが、正確には三百六十七兆、これが一年間の日本のGNPです。だから土地もそのくらいであればだれも文句は言わないのであります。それが今の土地の値段は千八百兆なんです。GNPが三百六十七兆。実にGNPの五倍なんですよ。だから、土地問題が全国民の関心の的になっているわけです。やはり私は、政治をやる場合に、そういう経済の原則というものを踏まえながら政治をやっていただくことが非常に望ましいのではないかと思います。
 そこで、国土庁長官にお伺いいたします。
 今まで何回も土地対策を政府は発表いたしましたが、十分成果が上がったとお考えかどうか。
#351
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。
 何か先生から教えてもらうようで大変恐縮でございますが、実は先生御存じのことでございまして、ここのところ地価の高騰は東京、大阪とで違っておりますが、ことしの一月で全国で住宅地が一七%、東京では、東京都の地価は安定しましたが、東京周辺は三〇から四〇%上がりました。大阪は大体五七%上がりました。この上がった原因につきましては、やっぱり金融緩和とか、あるいはいろんな大きなプロジェクトがあるとか、あるいは土地への期待感、まあ一つ土地神話というものが残っておるというようなことでございます。
 そんなことでございまして、実は昨年土地基本法をつくりました。土地は公共を優先するという法則をつくったわけでございます。それとともに、総理の指示に基づきまして土地対策関係閣僚会議を開きまして、今後やるべき十項目、重点項目をつくった。現在やっておりますのは地価の安定でございます。実は土地対策は取引規制のみではだめだと思っております。土地政策あるいは税制の見直し等を含めてやるわけですが、とりあえずは監視区域を強化する。そしてそんなことをもちましてまず地価を安定する。
 そんなことでございまして、総理の指示もございまして、全国各地、愛知、名古屋、大阪、京都あるいは広島、全国政令指定都市の首長あるいは東京都辺の知事を皆集めまして、まず地価の安定ということで努力しておるわけでございまして、今先生の御指摘の地価が云々についてはいろいろ返事がしにくいのでありますが、現段階におきまして、例えば大阪、京都は若干下がったと聞いております。そんなことでございまして、やや地価の安定の兆しが見えてきているということでございます。
 そんなことでございまして、全力を挙げて頑張りたい、こう思っておりますが、何分御理解と御協力をお願いする次第でございます。
#352
○斎藤栄三郎君 私も自民党員ですから、自民党の土地政策が失敗したとは言いたくないのであります。しかしながら、お世辞にも成功したとは言えないだろうと思うんです。やはり率直に認めた方が対策が立てやすいんじゃないんでしょうか。東京で一坪二億もする。一坪二億ということはハンカチ一枚が二千万円ですから、そんな土地が一体何に使われるのかと思うんです。
 だから、土地が上がった理由は、大きく挙げると三つだと思うんです。実需で上がったものもあるでしょう。それで上がったものなら、これは需要供給の関係で決まったんだからだれも文句は言わないのであります。しかし、実需で二億の土地ができたとはだれも思わない。そんなところへ家を建てたって何にも収益は上がらないですものね、これは。それから第二は、仮需要だろうと思う。これが本当だと思うんです。これが今土地を上げている大きな需要です。じゃ、なぜ仮需要が実行できるのかということになると、銀行がどんどん金を出すからだ。その点、実はさきの質問を拝聴しておって、橋本大蔵大臣が率直にお認めになったことに対し私は非常な好感を持ちました。何といったって銀行がもっと反省しなきゃだめですよ。
 そこで、日本銀行副総裁にお伺いいたします。
 この九日に反省の文章を発表なさった。私は遅かったと思うんです。なぜ早く、もう二年前にああいう文章が出せなかったかということをお伺いしたい。
 しかし、遅くてもおやりになったことは結構です。土地を買っておく。そうすると値上がりがある。金利を払ったってちゃんとおつりが来る。だから、本業をやらないでおいて土地ばかり買っているんだ。二百万の会社が全部不動産屋さんだと言っても過言じゃないだろうと思うんです。それはなぜできたかというと、銀行が信用のある会社ほどどんどん金を出したからですよ。今まで何回も不動産融資は慎めということを言っておったけれども守られなかった。それは先ほど大蔵大臣がおっしゃった言葉の中にもうかがわれるのであります。
 私は、日本銀行は金融の総元締めなんですから、その点についての反省の弁をもう一回聞きたいし、それからこういうことを繰り返さないようにお願いしたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
#353
○参考人(吉本宏君) お答えを申し上げます。
 ただいま御指摘の研究論文でございますが、私どもの調査月報に掲載される予定でございまして、近年の地価の上昇の背景とその影響に関する言うなれば事実分析に焦点を合わせたものでございます。したがいまして、私どもの過去の金融政策等の論評を行ったものではない、こういう趣旨についてまず御理解をいただきたい、このように思います。
 ところで、論文の中で、近年の地価上昇の要因といたしまして、都市集中による実需面の増加に加えまして、金融緩和によって言うなれば仮需が発生した、それが地価上昇の要因の一つになった、こういうことを指摘しておるわけであります。その背景はどうかということでございますが、御案内のとおり、昭和六十年九月のプラザ合意以降円高が急速に進展をいたしました。プラザ合意の直前に一ドル二百四十円台だった、これが昭和六十一年の半ばには百五十円台に突入する、百六十円を割り込む、こういう状態であったわけであります。また、円高のデフレ効果から景気が大変停滞色を深めまして、国内の卸売物価で申し上げましても、昭和六十一年度には前年比でマイナス五・二%、こういう状況でございました。国際的にも内需主導型の経済成長とこれによる対外不均衡の是正ということが強く要請されました。
 こういったことで、言うなれば景気の回復と内需の拡大というものが政策的に最優先課題であった、こういうことてあります。この点は、国内的にもまた国際的にもコンセンサスがあった、こういうふうに思っておりまして、私どもが六十一年一月から六十二年二月にかけて五回公定歩合を引き下げておりますが、その点は御理解をいただけるのではないか、このように考えているところであります。ただ、そういった過程におきまして、金利の低下局面からマネーサプライの増高を招き地価上昇の一因になった、これは否定できない、こういうことを論文で指摘しているわけでございます。
#354
○斎藤栄三郎君 あなたのおっしゃることは評論家の言うことですね。あなたは日本銀行のどういうポストの方ですか。
#355
○参考人(吉本宏君) 日本銀行の副総裁でございます。
#356
○斎藤栄三郎君 日銀副総裁が今述べられたようなことでは国民は納得しませんよ。日本銀行が金の出し入れは全部締めているじゃないですか。じゃんじゃん公定歩合を下げて、世界一の二分五厘まで下げて、それを二年半も続けておいて、銀行から幾らでも金は出しておいて、それで上がってしまった今日になったら、地価が下がって貸した銀行がつぶれるといけないよ、だから注意しなさいよと言っているんだ。そんなげすの後知恵みたいなことを言っている日本銀行だったら、私はおやめになった方がいいと思いますよ。
 私はやはり政策当局で大事なことは前を見ることだと思うんだ。評論家みたいに過去のことだけ言っていて、それで飯が食えるんじゃないんですよ。日本銀行の副総裁ともあろう者が自分のところの行内誌へ載せるものの論文の要点だけを述べて、これで事が済むと考えておられたら、私はその回答には満足いたしません。私はその回答ではだめだと思うんですよ。
 まず、私が聞いたのは、あなたの今までの放漫金融を反省しているかどうかということを聞いているんだ。
#357
○参考人(吉本宏君) お答えいたします。
 先ほど申し上げましたような経緯で金融緩和政策をとったわけでありまして、その結果、我が国経済が全般的な物価の安定のもとで内需を中心とした拡大を続けたわけでありまして、また対外不均衡の是正にも寄与した、こういうことでありまして、全般的な政策としては誤りがなかった、このように考えております。
#358
○斎藤栄三郎君 絶対にあなたは自分の非は認めないんです。しかし、現実には百兆の金が銀行を通じて土地投資に使われているのであります。それを認めますか、認めませんか。
#359
○参考人(吉本宏君) ちょっと計数を持ち合わせておりませんが、相当量の金が不動産融資に使われておるということは事実でございます。
#360
○斎藤栄三郎君 さんざん土地を買って上がってしまって、みんなが困っているときになって、今ごろ遅まきながら不動産融資は自粛しろなんて、そんなばかなことは泥棒が逃げていってから警察官を呼ぶようなものですよ。もう少し機動的な政策をやらなければ、土地問題の解決なんかできませんよ。
 副総裁、ちょっとプライベートなことにわたって恐縮ですが、日本銀行の方々は土地を買った経験があるかどうかお伺いしたいと思うんです。
#361
○参考人(吉本宏君) プライベートな問題でありますので、私もよく関知しておりません。
 私自身は土地を買った経験はございません。
#362
○斎藤栄三郎君 土地を買った経験がなければわからないでしょうからお教えします。
 今、一流大学を出て一流企業、例えば日本銀行に勤める。どのぐらい月給をもらうと思いますか。日本銀行はどのぐらい払いますか。
#363
○参考人(吉本宏君) 初任給で大体年間二百万程度ではないかということでございます。
#364
○斎藤栄三郎君 もう一回お伺いします。
 私がお伺いしたいのは、一流大学を出て日本銀行へ勤めて、ボーナス、退職金一切払ってトータルで幾らになりますかということを教えてください。
#365
○参考人(吉本宏君) これは人によってもかなり違うと思いますし、ちょっと計算をしてみないとこの場でお答えできませんので、ひとつ御了承を賜りたいと思います。
#366
○斎藤栄三郎君 それで副総裁が勤まるんですかね。
 じゃ私が申します。一流大学を出て一流企業へ勤めて、定年まで勤めてもらう金がトータルで二億五千万円です。どのくらい貯蓄できるかというと、日本人の平均貯蓄率が二割ですから五千万円たまるわけです。それで、五千万で何が買えるかということになると、東京では二DKの中古のマンションが買えるだけであります。人生中古になって、中古のマンションに引き下がるのであります。日本銀行あたりは副総裁になれば大抵もう官舎がありますから、御自分で買わないという気持ちはよくわかります。課長だって今は家を支給されるんだから、これは土地なんか買う必要がないからそれでいいでしょうけれども、一生涯働いて六十になってもらった金で手取りが五千万ですよ。中古の二DKのマンションですよ。これで一体何のために働いているんですかね。しかも、国全体は世界一だなんて自慢しているんだよ。しかし、自分の生活を見たら、これが一体世界一の国なのかと感ずるのであります。私はもっと日本銀行の政策は我々庶民の生活を見た政策をやってもらいたいと思いますが、御意見いかがなものですか。
#367
○参考人(吉本宏君) 御説はよく理解できるところであります。私どもとしては、国民の生活の最大の問題である物価の安定ということに日夜努力をしているところであります。
#368
○斎藤栄三郎君 それは経済企画庁長官が言うことであって、日銀副総裁が言う言葉じゃありませんよ。物価の安定とは経済企画庁の仕事なんだから、日本銀行副総裁がそんなことでこの場を乗り切ろうたってそれはだめですよ。呼ばれたときにもう少し考えてくるべきですよ、何のためにおれは呼ばれたんだろうかと。考えないでここへ来たんですか。何のために自分は国会へ来たんだと。何のために来たんですか、あなたは。それを答えてください。
#369
○参考人(吉本宏君) ただいまの趣旨は、私どもは日夜、物価の安定と申しますのは裏を返せば通貨価値の安定でございまして、通貨価値の安定こそ私どもの基本的な使命である、このように考えているわけであります。
#370
○斎藤栄三郎君 せっかく来たお客様を余りいじめてはこの次来てもらえなくなると困りますからこれぐらいにいたしますけれども、もう少し土地問題について、金融機関の態度を考えてもらいたいんですよ。
 あなたが偉い人だから言いますが、土地を上げているのは銀行が大半の責任だと思いますよ。金をじゃんじゃん貸すことが一つ。もう一つは、町を歩いてごらんなさい、目ぼしいところはみんな銀行の支店ばかりじゃないですか。銀行なんというものは、金が欲しい、貸してもらいたければどんな遠いところだって借りに来ますよ。預金を勧誘にみんな来るじゃないですか。家にいたって銀行員が集めに来るんだよ。何も目抜きの場所に銀行の支店を置く必要はないですよ。あんなところに金をかけてじゃんじゃん買うからみんな土地が高くなっちゃうんですよ。むしろ銀行はなるたけ不便なところにいて、人が来てくれるようにしなきゃだめなんだよ。そういう指導をしたらどうですか、副総裁。
 それは日本銀行の仕事じゃないとまた言うかもわからない。そこで橋本蔵相にお伺いします、あなたは庶民感情のよくわかる方ですから。この問題をどうお考えになりますか。
#371
○国務大臣(橋本龍太郎君) 率直に申しまして、今冷や汗の出るような思いで御論議を聞いておりました。そして私は、これは大蔵省も含めまして、金融関係が土地高騰の一因をつくった責任があることを決して否定いたすつもりはございません。
 ただ、同時に委員に御理解をいただきたいのは、そういう状況を生み出すほど土地というものに固執したという日本人の性格も一つはあるんです、これは率直に申しまして。そして、そういう空気にブレーキをかける努力をしなかったという点において我々はその批判を甘受しなければならぬ点はあると考えますが、日銀当局として私は通貨価値の安定、インフレの防止ということに使命があるという理解を従来からしておりました点、その点について御批判がありましたことには少し私は委員にもお考えをいただきたいと思います。そして同時に、なぜ国際的に見ても非常に安い公定歩合が相当長期間続き、その間にそれが日本の経済を支えてきたかということも委員はよく御理解のはずであります。
 今私どもなりに反省をしてまいりますと、内需中心の経済拡大を続ける中においても、やはり土地に対する貸し出しというものに対しては、もっと早く我々は過去の経験に照らして対応すべきであった、これは私は率直にそう思います。そして、我々は列島改造論当時の記憶を持っておるわけでありますから、そうした反省に立てば、我々が金融について土地というものと絡めて事態の把握をすることに立ちおくれがあったという御批判については甘受をいたしますけれども、その間におけるさまざまな場面において、この国際的に見て極めて低い金利というものに支えられて日本経済が伸びてきた実態というものも、私は公平に御判断をいただきたい。余りに日銀当局にのみ厳しく御批判のあることはいかがなものか、率直にそのような感じを持ちました。
#372
○斎藤栄三郎君 橋本蔵相が非常に御苦労くださっていることはもう本当によくわかるし感謝しておりますけれども、日本銀行の金利政策は、二分五厘、下がったことは私はプラスの面もあります。それはおっしゃるとおり非常に経済発展に貢献した。しかし同時に土地について非常な過ちを犯したということを言っているんであって、私は二・五%全部が全部悪い影響を及ぼしたと言っているのではありません。景気がここまでよくなったことも私は二・五%の影響だと非常に高く評価します。しかしながら土地対策について、銀行のあのやり方がいかぬ、私はこう言うんです。だからその点は混同していないつもりでございます。
 それで、今蔵相のおっしゃった言葉で、土地に余り執着するな、全く同感なんです。土地なんてのは死んで持っていけるわけでもないし、要するに生活の基礎としての家がほしいのであります。
 おもしろい統計を御紹介しようと思います。昭和十六年、私はもう学校を出て五年目でありますが、その昭和十六年の統計ですが、八割の人が借家だったんです。持ち家はたった二割なんです。それが戦後、持ち家政策を奨励し、みんなが家を持て家を持てとやる。家を持つためには土地が必要なんですよ。それで土地が上がっていくものだから、土地を持っていることは資産を持つことだということになって、土地投機に拍車をかけたのであります。
 そこで私は、土地問題の解決には、やはりもっと昔の姿を思い出して、貸し家で満足する気持ちがなきゃうまくいかないと思うんです。自分で土地を持ち自分で家を持てば、固定資産税はかかってくる、これは重くなるばかり。そして修理をしなきゃならぬ。修理をする手間がとても高いんだ。そういう点を考えますると、そう土地だ土地だと執着しないで、貸し家がもっと建てられるような政策を奨励してはどうかと言いたいのであります。
 ところが、なぜそれをやらぬかということになると、借地借家法に非常に関係が多いと思います。大正十年にできたのが借地借家法であります。ところが昭和十六年、太平洋戦争勃発と同時に、これがばかに借りている人の権利を過度に擁護し過ぎちゃった。一たん家を貸しちゃうとてこでも動かない、土地を貸しちゃったらどうにもならぬ。だから、ある土地だって貸さない、ある家だって貸さないということになっちゃったわけだ。そうじゃなしに、権利義務をきちんとして、期限が来たら返すということをきちんと守らせれば、金に余裕のある人は自分の土地に家を建てて貸し家をつくる、そうすれば私はもう少し土地問題というのは緩和すると思うのですね。ところが今はそうじゃないですよ。入っちゃったらもうてこでも動かないんですから。
 そこで、法務大臣にお伺いいたします。借地借家法の改正はかねてからの懸案でありますが、今どこまで進んでいるか、その進行状況を御説明いただきたいと思います。
#373
○国務大臣(長谷川信君) 委員今御質問のとおりでございますが、もう今の法律ができてから二十年になっておりますね。この二十年間の変化は普通のときの二十年間と違って、今から二十年前と今では全くもう天地ほど違うような現象が、御案内のとおり頻発というか起きております。そういう面で、まさに今の借家法というのは、現時点では全くというか、合わないということは委員御指摘のとおりで間違いがございません。
 そういう意味で、今後どうしたらいいかということでございますが、遅まきながらでございますが、この法律の改正案を今準備いたしておりまして、今法制審議会において審議をしていただいておりますし、関係各省庁のすり合わせも始めております。大体今の予定では早ければ本年末ころまでに法制審議会としての結論が得られるものと思いますし、私どももそのように期待をいたしております。そういうことで、答申があり次第速やかに改正法案を国会に提出いたしたいと存じておりますし、そのようにいたしたいと思っております。
 以上でございます。
#374
○斎藤栄三郎君 次に総理、建設大臣、それから大蔵大臣、三氏にお伺いいたします。
 今、世界全体が土地問題では苦しんでいるんです。そこで、二つの例をどう判断するかということでございます。
 第一は、韓国はもう新聞で御承知のとおりに、住宅地は六大都市では二百坪までしか認めない。六大都市以外では三百坪に制限をする。それ以上持っている場合には重い税金をかける。その税金は、二百坪持って二年間は百分の六にする、二年以上たったら百分の十一にするということ、これが第一点。第二点は、会社の持っている未利用地は国家が国家権力で買い上げる、こういう内容でございます。これが韓国のやり方。
 もう一つは、イギリスのサッチャーのやり方です。これは固定資産税――土地保有税あるいは住宅にかける固定資産税など全部イギリスは地方税でありまして、これを全部やめるのであります。個人が払う固定資産税を全部やめちゃう。そのかわり人頭税を設ける。この人頭税というのはイギリスでは古い歴史があって、一三七七年にイギリスが世界に先駆けてつくったものです。一三七七年につくりました。一時は非常に流行したのですが、今では全部後を絶っていました。今度サッチャーさんがそいつを復活する。これが、今までの固定資産税をやめて人頭税で地方税の財源とするということです。
 それから、会社に関する固定資産税は国税にする。なぜ地方税のままにしておけないかというと、地方長官はその会社をいつまでも自分のところに置いておきたい。そのためになかなか公正なる課税ができない。そこで国税にしちゃって、法人所有の未利用地に対しては重い固定資産税をかけようというのがサッチャーさんのねらいであります。
 この韓国の例並びにサッチャーの行った二つの例について、総理はどういうお考え方をお持ちでしょうか。私は日本にとっても非常に参考になるケースじゃないかと思いますので、総理の忌憚ない御意見を承りたい。
#375
○国務大臣(佐藤守良君) 担当大臣でお答えいたします。
 韓国の問題は先生御指摘のとおり、超過利益に対する課税の問題、それから開発利益の還元の問題、それから家を取得した場合二百坪以上の取得課税の問題がございますが、実はこれをやりまして九%土地が上がりましたね。そんなことがございまして、きのうおとといテレビを見ておりますと、盧泰愚大統領が九大財閥を集めまして、そこで五十六ヘクタールを完全に出すようなことをやっているということでございます。そんなことがございまして、大いに参考になると思います。ただ問題は、私権の制限というのは一体どうするかという問題がございます。そんなことがございまして、日本とはちょっと事情が違うと思います。
 それからことし、この五月に、実は連休中でございますが、私は特にこの韓国の政策は大切だと思いまして、土地局長を韓国に派遣しまして、四、五、六と実は実情を視察して帰ってまいりました。これまた後で報告させていいと思いますが、そんなことで大いに参考になると思います。ちょっと日本とは事情が違うなと、こう思っております。
 それから、このたび私はロンドンへ参りまして、特にドックランドの開発とそれから今の人頭税の問題、イギリスに一泊して視察してまいりましたが、イギリスも大変でございます。仮に人頭税をした場合に、例えば夫婦二人で金持ちがおりますと、貧乏人の子だくさんで税金が多くかかるわけです。そんなことがございまして、地方選挙を控えて大変だということがございますので聞いたわけでございますが、いずれにいたしましても非常に参考や勉強になるというようなことがございまして、今国土庁としては大いに勉強しているということでございます。
#376
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは事務方の答弁はいろいろたくさん書いてありますけれども、委員に対してそういう御答弁を申し上げるのは控えて、率直な感想を申し上げたいと思います。
 もし土地基本法制定の前に今の御質問を受けたといたしますと、私は恐らく事務方答弁をそのまま棒読みにせざるを得なかったと思います。なぜなら、土地に対する基本的な哲学がないままに今まで土地政策の中で税が主役を負わされていたところに私は一番の悲劇があったと考えておりますから。しかし、公共優先という原則が打ち出されました今の状況の中で、私は今例示に挙げられました韓国の制度にいたしましてもイギリスの制度にいたしましても、それぞれやはりその国の歴史の中から出てきた一つの知恵であるという率直な評価は持っております。
 ただ、私個人の感じから申しますなら、人頭税という考え方は私は好んでおりません。そして、今後土地税制というものを考えてまいります場合に、まさに国土庁長官からの御指摘にありましたように、どこまで私権の制限に踏み込むことを国民は許してくださるのか、ここが私は一番大きなポイントになろうと思います。
 今、政府税制調査会に私は無条件であらゆる御意見を総合して検討していただきたいとお願いをしておる立場でありますから、私見を申し述べることは控えるべき立場かもしれませんが、私は韓国のしかれたような考え方というものが一つの韓国の歴史の中において根づいていくその素地があったものと考えておりますし、それは韓国の国情に合ったシステムであろう。同様に、日本の国情に合った国民の考え方の許容する範囲はどこまでか、これから政府税制調査会とともに模索をしてまいりたい、率直にそのように考えております。
#377
○国務大臣(海部俊樹君) 韓国の考え方の基本にあるものは、やはり人間生活にとっての必要にしてそして十分な最小限度のものというような基準の決め方の中に立って、それを超えるところは割高になっていくという税の累進構造を端的にあらわしたものではないかと思います。ですから、そういったようなことをする国の実情というものも私たちは報道等を通じてよく読んでおりますけれども、税制調査会で御議論なさるときにはそれも委員の皆さん方が念頭に置いて御議論をなさるのではないかと、私はこういうことを考えますし、また英国の場合も都市の周辺にいろいろ新都市をつくったり、いろんな努力をしておるようであります。
 また、私の記憶に誤りなければ、台湾なんかでは、持っていらっしゃるその人が、自分の土地はこれくらいと決めてそれによって税を払う。そのかわりそれと違った価格の売買があったときには、その利益は過大に吸い上げられるから適正な規模で取引も行われるだろうとか、いろいろな知恵がそれぞれの国において行われておるということを私も承知しておりますが、それらのことすべてを含めて、日本に最もふさわしい方法を御議論、御検討を願いたいと思いますし、私もよく研究をさせていただきたいと思っております。
#378
○斎藤栄三郎君 どうもありがとうございました。
 この三十七万平方キロの狭い国土の中で全国に今生きている我々一億二千万に土地をやっちゃうと、今度我々の子供や孫はもうもらうものはなくなっちゃうんですよね。ですから、土地問題の解決のためには、幅広くやはり貸し家で満足できるような世論をなるたけ喚起していく努力が必要だし、同時に第二に必要なことは、一極集中をなるたけ早く打開していかなきゃいけないんで、どうも文句をうたうだけうたっておいて、作文だけ書いておいて実行がそれに伴ってないんじゃないだろうかということを懸念いたします。もう少し一極集中を打開する努力をしていかないと土地問題の解決は難しいんじゃないだろうか。
 いっそのこと土地を国有にしちゃったらどうかという議論もありますけれども、これを実は日本でやって失敗した例がありますのは、今から一千三百四十四年前、大化の改新です、大化二年にやりました。それは、全部土地を国有にして班田収授の法を施行したのです。そのやり方は、全部土地を国有にして男でも女でも六歳になったら二反歩ずつ上げるのであります。死んだら全部国家に戻すのです。そして、六年ごとに人口調査をやってそれを公平に行うということで、ちょっと見ると非常に立派なように見えるし、大化の改新というのは高く歴史学者は評価をするのでありますが、経済的に言うと非常に難しいですね。第一、居住の移動が制限されちゃうんです。今もらっているやつを、例えば東京でもらっておいて大阪へ転任する場合、大阪ですぐくれるかというと六年たたなきゃもらえないんですから、実際やってみると非常にうまくいかなくて、これは失敗に終わったのです。だから今、日本で土地問題を解決するときに国有では絶対解決はできません。
 そこで、私有の中で、私権の尊重をしながらできるだけ土地の価格を安定させることを第一にし、そして非常に高くなっちゃったものについてはこれは少し下げなきゃいけないと思うんですね。しかしその場合に、銀行から金を借りているんだから銀行がつぶれちゃう心配がある。それを日本銀行は御心配になってああいう論文をお書きになったんだろうと思いますけれども、とにかくこれから大事なことは、不動産融資については一切出さないぐらいにひとつしていただきたい。それでないと、また景気がよくなってくればじゃんじゃん買ってつり上げますからね。そのぐらいにして少し適正なる価格に下げていかなきゃいけないんじゃないだろうか。
 今のままでいきますとえらいことになりますよ。イギリスではマンチェスターとリバプールで一年間に八〇%ずつ土地の値段が上がった時代があります。アメリカでは一八八〇年と一九二〇年と二三年の三回にわたって土地が大暴騰しました。そのとき土地を売って株を買ったために株が今度大暴騰した。そのツケが回り回って一九二九年の世界恐慌になったんですから、今日本でこのままにしておいたら結論は必ずアメリカがたどった運命と同じようになるだろうと思うんです。
 それと、土地の値段がそうやってやれば下がっていいだろうけれども、それじゃ全国民が困っちゃうんですから、転ばぬ先のつえでそういうことにならぬようにすることがこの際ぜひとも考えなきゃならぬことだと思いますが、総理いかがですかね、それは。
#379
○国務大臣(海部俊樹君) 私どもは今、土地の値段が少なくともこれ以上上がらないようにするにはどうしたらいいだろうか、そしてできれば遊休地、未利用地の利用計画などをつくって土地の値段が安くなっていくような方法はないかということにいろいろ知恵を絞っておるさなかでございますが、今先生は、専門家と言うと失礼でありますけれども、非常に幅広い経験から千三百年前の私どもが本当に初めて聞くような事例も引き出してお話しになりましたので、ただただそうかと聞き入っておったところでありますが、余り何でも乱高下があって、その乱高下の影響で国民生活全体が深刻な影響を受けるようになってはいけないということも、いろいろな大暴落や大暴騰のときに我々経験してきたところでございます。そういったことも十分踏まえながら努力していかなければならぬと思っております。
#380
○斎藤栄三郎君 さしあたり一極集中を排除するためにどこまで努力しておられるか、御説明いただきたいと思います。
#381
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えします。
 六十二年六月に第四次全国総合開発計画をつくりました。これは二十一世紀に向けての国土の基本の計画づくりでございますが、そんなことで全力投球を今やっておりまして、一極集中を排除し、それから多極分散型ということでございまして、東京圏中心、各地中心にやっておりますが、現在どこまでといいますと成果については非常に難しい点がございますが、あと十年間に何とか所期の目的を達したいというようなことでございまして、全力を尽くしておるということでございます。
#382
○斎藤栄三郎君 今あるものがどんどん高くなっていくから新しいところを関かなきゃいけないというので、ウォーターフロントの開発とか大深度の利用というようなことで人知の及ぶ限りの努力をしているんでしょう。だけれども、一向に土地の値段は安定しない。
 そこで大深度の利用について、国土庁長官どうぞお願いいたします、どの程度可能なものですか。
#383
○国務大臣(佐藤守良君) これはもう先生御存じのとおりでありまして、実は土地については政治的配慮と政策的配慮が必要だと思っております。現在の宅地用の土地が高いことにつきましてはそういう配慮をどうするかという問題がございまして、税制その他がございますが、宅地供給をどうするかという大きい問題、その場合に政治的配慮は、例えば首都機能移転の問題とか国会移転等があるかと思います。それからもう一つは、政策的配慮の中に線引きの見直しとか、あるいは埋め立てとか空中と地下の利用、その中に大深度地下の利用の問題が大きくある、こんなように理解しております。
 そんなことでございまして、趣旨は先生の御存じのとおりでございまして、現在は内閣の内政審議室を中心に関係省庁において検討を進めておりまして、早い機会に政府全体の意見を取りまとめて法案にしたい、このように努力しておるわけでございます。
#384
○斎藤栄三郎君 総理、私は遷都まで真剣に考えなければいけない時代に来ていると思うんですよ。私は今大田区田園調布に住んでおりますが、きのうはうちを朝八時に出て国会へ来たのは九時半です。一時間半ですよ。一時間半というと、新宿から甲府まで行っちゃうんだね。東京駅から静岡まで行っちゃうのであります。軽井沢まで行っちゃうんですよ。東京都内にいながら一時間半かかっちゃうんだ。きょうもまた同様ですよ。
 要するに、自動車は無制限につくられていく、高速道路はそう簡単には広げられない。これはもう今のままでは経済機能は全くだめですね。だから真剣に首都の移転ということも考えるべきだと思います。それを反対なさる方はよくわかりますよ、東京の繁栄が奪われるとかいろいろな理屈をつけますけれども、すべての人が満足するような解決策はないのであって、やっぱり何年か後には移転するんだぞなんていうことが決まれば、それは東京を買うばかはなくなりますよ。ここで買うからもうかると思って買っているんだから、それは首都が移転するんだということになれば、まず地価はこれ以上上がらなくなりますよ。これが私は一番手っ取り早い応急対策だと思います。
 しかし、それは一総理大臣、総理大臣といえども個人的に決められるわけじゃありませんから、機関機関を通じて決めなきゃならぬことであることはよくわかりますけれども、真剣に研究しないと私は日本経済全般がだめになっちゃうんじゃないかということを懸念いたします。御所見を承りたいと思います。
#385
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のありました点につきましては、私の理解に誤りがなければ、超党派でも首都移転の問題について御議論を願っておる議員の集まりがあると承知しておりますし、また自民党の中にも首都機能移転に関する調査会というのがありまして、こちらの方は私も参加をさせていただいておりました。そして首都を移転するという御発想の中でいろいろな議論を積み重ねたことも理解しております。候補地としてここはいいぞというようなことを具体的におっしゃったこともありましたが、そこへそのままそっくり全部持っていくことがいいのか、第二の一極集中がまた起こるのではないかというような御議論もありました。
 今私は、首都機能というものを地方に移転することによって、東京に一極集中しておるいろいろな問題を解決することができる一つの側面があるということは正しいアプローチの仕方だと思いますし、同時にそれとともに、ふるさと創生といいますか、地域活性化のためにどうしたらいいのか、首都に一極集中しないように、日本じゅうの国土の有効利用を考えて、地域の活性化を図ることによってUターン現象を起こしたり、地域に特別な村おこし、町おこしをしていったらどうだろうかというので、地域の活性化に関する懇談会などもつくって有識者の方にお集まり願ってその御審議を願ったり、いろいろな政策を重ねながら一極集中を何とか解消していきたいと考えております。首都機能の移転ということは、具体的に今取り組んでおる大きな政策研究課題であると心得ております。
#386
○斎藤栄三郎君 以上で土地問題を終えます。
 次に財政問題に移りますが、蔵相の非常な御努力で赤字公債依存から脱却できたことは、その御努力に対して心から敬意を表します。これから大きな三つの問題をお伺いいたします。
 第一は、この年度末には百六十四兆円の公債が残ります。これをどう処置なさるつもりかということですね。これは借金ですから返さなきゃなりませんし、そのうちの六十四兆が赤字公債ですから、この返済の方法についてお伺いしたいと考える、これが第一点。
 それから第二点は、私は減税をお願いしたいのであります。その根拠はこういうことです。昭和四十四年から二十年間たって昭和六十三年までのこの二十年間に私たちの税金がどのぐらいふえたかというと、国税と地方税合わせて八・四倍になっております。それは総額で計算をいたして四十四年から六十三年まで八・四倍。一方、国民所得はどうかというと、同じ期間において五・六倍であります。税金は所得から取るものなんです。所得の方が五・六倍なのに税金の方が八・四倍というのはこれは取り過ぎではないでしょうか。もう少し減税をしていただきたいと考えます。臨時行政改革推進審議会の最終答申の中に、減税の余地があると言っております。そういう詳しい資料は私は見ておりませんけれども、私自身が計算したところでは今数値的に減税の余地はあると考えますが、これが第二。蔵相の率直な御意見を承りたいと思います。
 そこで、私の第三点は提案でございますが、消費税はどうですか、もう定着したんじゃないかと考えますが、大蔵大臣の御所見を承りたいと考えます。
 以上三点、お答えください。
#387
○国務大臣(橋本龍太郎君) 第一点の問題でありますけれども、確かに委員が御指摘になりますように、赤字公債依存体質から脱却したとは申しながら、本年末には百六十四兆に達する公債残高を抱えるわけであります。今、委員はこれについての返済、償還というものを問題にされましたけれども、私どもの立場からいたしますと、この後も累増する性格を持っておるわけでありますから、いかにしてこれ以上ブレーキをかけ累増しないようにできるかということがまず第一の目標でございます。
 そうなりますと、やはり例えば当初予見し得なかった税収等がありましたときに、最大限これを国債の償還財源に充てるといった措置も、これはお許しをいただいてさせていただきたい。将来にわたって考えていかなければならないことでありますが。我々としてはそのほかに、先刻御答弁の中で他の委員に対してお答えを申しましたように、いわゆる隠れ借金と言われる歳出の繰り延べ措置でありますとか、そのほかにも国鉄清算事業団の累積債務の問題等を抱えておるわけでありますから、我々としてはまず第一に、これ以上の累増にどこで歯どめをかけられるか。そのためには今後ともに非常に厳しい財政運営を強いられますけれども、それについての国民の御協力をいただきたい。そして、予期しなかった税収増等がありましたときには、これを優先的に償還財源に充てていくといった措置についても国民の御協力を賜りたいと思うのであります。
 また二番目に委員は、減税をという御指摘をいただきました。確かに今委員が御指摘になりましたように、国民所得と租税負担額の伸びを比べてみますと、委員が御指摘になりましたような数字が出てまいります。正確には、今委員は個人所得と租税負担額を比較されたわけでありますが、ほぼ同じような傾向をたどっておることは間違いがありません。しかし同時に、御承知のように先般所得税、住民税を合わせますと総額三兆三千億円、六十二年九月改正を合わせますと五兆五千億円に上る大きな所得減税を実施いたした。そして、それが平成元年度から本格化いたしているわけでありまして、私どもといたしましてはこの減税によりまして、税制改革によりまして中堅所得者層を中心とした重税感、負担累増感というものは相当程度に緩和できたと考えておりますし、減税効果がつい先ごろであります平成元年度から本格化したという状況の中で、今、さらなる所得減税をと言われましても、ここはちょっともうしばらく時間をいただきたいというのが率直な感じであります。
 また、委員から消費税が完全に定着したという御意見をいただきました。確かに私は、国民の日常生活の中において消費税というものについての御理解は随分進み、御協力もいただけるようになったと思ってはおります。しかし同時に、何となく割り切れない感じを残しておられる方がまだ相当おられるということも事実でありまして、私どもはやはりこれから先も、この消費税というものを定着させていくためには国民に一層の御理解を願う努力を続けていかなければならないものと、そのように考えております。
#388
○斎藤栄三郎君 よくわかりました。
 私たちが財政整理のときにいつも考え出しますのは恩田木工の例であります。松代藩の財政再建、当時の松代藩がどんなにひどかったかというと、収入が足りないといって年貢の先取りをやりまして、五年先までの年貢を取っちゃったんです。そこで勤労意欲を失う。農民は働かなくなる。ますます財政は逼迫する。そのときに恩田木工がとった措置は、もうこれは蔵相御承知のとおりでありますから簡単にいたしますが、一汁一菜で身をきれいにいたします。同時に、自分の妻に離縁を申し渡す。しかし妻はそれを承知いたしません。結局、離縁はしませんでしたけれども、徹底的に一家を挙げて質素な生活をするし、農民に約束したことは、先取りはしないということを約束したことです。
 今の日本の赤字公債というのは、これは年貢の先取りですからね。我々の納める税金で将来払っていくんですから、我々の税金の先取りをしていると言って過言ではないと思う。私は今の大蔵大臣のお立場はよくわかります。今の御説明を一〇〇%理解いたしましたが、これからとにかくもう新規の発行はしないようにすることと、それから自然増収があったら全額これを返済の方に回すということと、それから予算編成のときに当たって公債依存度を五%にとどめるという、そういう原則を立てて全国民の協力を求めることがこれから切に望ましいと考えます。現在、公債依存度が八・四%ですね。これを五%にとどめるには相当に痛みが生じましょうけれども、そのぐらいのことをしなければなかなか財政の健全化はできないと考えます。
 そこで、もう時代が違いますから恩田木工のように一汁一菜などということは言いませんけれども、不退転の決意がなければこの百六十四兆の公債を返すということは不可能に近いんじゃないだろうか。どうぞ、大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
#389
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員から御指摘がありましたように、財政審の報告におきましても、公債依存度を「五%を下回る水準が一つの目処」と述べられております。こうした考え方は私どもとしても非常に必要な考え方であると考えておりますけれども、同時に、先ほど申し上げましたように、今後の新たな建設公債の発行を五%以下に抑え込むに成功いたしましても、既存の国債の償還には相当程度の苦労が必要になるわけであります。もとより、公債依存度というものが経済社会情勢の動向と密接に関連をしておるものでありますし、毎年度均等に償還を行い得るといった性格でないことはそのとおりでありますが、やはり各年度の予算編成におきまして、この財政審の報告というものに沿いながらそのときどきの経済情勢等を十分に考え、また財政状況等を考えながら、景気の動向等も見ながら、可能な限り公債依存度を下げていくための努力をしてまいりたい、そのように考えております。
#390
○斎藤栄三郎君 大蔵大臣、どうもありがとうございました。財政問題はこれで終わります。
 次に、労働力不足問題に移りたいと思います。
 今、日本で一番困っているのは土地と労働力不足ですよ。労働力が非常に今足りない、これがために物価が上がる傾向になっていることはもう御承知のとおりであります。従来の政府の方針ではもうこのピンチは乗り切れないんじゃないでしょうか。不熟練労働者は入れない、勉強に来る者は入れるということで、今、日本に勉強に来ている人、留学生が三万、日本語の勉強にことづけて働いている諸君が約五万五千と言われておりますが、この数字が正しいものかどうか、ひとつ労働省及び法務省からお伺いしたいと思います。
 そこで、労働力不足打開のためにどういう手が残っているかというと、政府御当局もいろいろと苦労しておられますが、そのときにいつもひっかかるのは西ドイツの苦い経験だと。西ドイツは外国人労働力を入れた。特にトルコ人がドイツに定着してしまって、子供たちはドイツ語しかわからない。帰れと言ったって帰らないということで、非常に困っている。日本でそういうことがあっては困るというのが外国人労働力を入れない理由でありますけれども、担当は労働省ですかね。
#391
○政府委員(股野景親君) 最初に統計の点について御下問がございましたのでお答え申し上げますが、日本に滞在している留学生等の数でございますが、昭和六十三年末現在におきまして留学の在留資格を持って日本に滞在している人間が約二万九千人おりまして、そのほかに研修の在留資格を持って滞在しております者が約八千七百名、それからそのほかにいわゆる日本語学校等、大学レベルに達しない学校等で就学生として日本に在留をしておる者が約四万七千八百という数でございます。
#392
○斎藤栄三郎君 今、日本で不法就労をしている外国人はどのくらいおりますか。
#393
○政府委員(股野景親君) 不法就労の性質上、正確な数を把握することは困難でございますが、私どもの入国管理統計から推測をいたしますと、平成元年末現在でおよそ十万人程度おるものと考えております。
#394
○斎藤栄三郎君 それはどうやって入ってきて、どうやって働いているんですか。その実態を教えてください。
#395
○政府委員(股野景親君) これも、ただいま申し上げましたように推測、推計という形をとっておりますので正確な分類はございませんが、その約十万人のうちのほとんどはいわゆる短期の滞在の目的を持って日本に入国し、法的に許された滞在期限を越えて不法残留の形で就労を行っている、そういう意味での不法就労というものがほとんどであると考えております。
#396
○斎藤栄三郎君 入国管理局長の名前で通達を出してそういうものを取り締まることになったと聞きましたが、その内容を教えてください。
#397
○政府委員(股野景親君) 不法就労についての取り締まりの通達という観点でございますと、これは単一のものという形でのものは、今先生が御指摘のような形でまとめたものではなくて、むしろ最近の状況において正規の在留資格を持つ者が正規の形で日本に滞在するように窓口において審査に当たる、こういう一般的な形での職務に当たるような指導を現在行っておるところでございます。
#398
○斎藤栄三郎君 では、今のままでよろしいとお思いですか。
#399
○政府委員(股野景親君) 現在先ほど申し上げました約十万にも及ぶ不法就労者がおるという状態は、これは法治国家として決して放置できない状況であると考えておりますので、この点につきまして昨年第百十六回国会において入管法についての改正をいただきまして、不法就労に対する取り締まりを強化すること、他方正規に日本で就労できる資格を持って入国する人たちの入国についての幅を広げる措置と、両面をとってこれに対処しようといたしておるところでございます。
#400
○斎藤栄三郎君 マルコ・ポーロの「東方見聞録」の中に日本のことをジパングと言い、かわらのかわりに金で屋根をふいていると書いてある。今世界の人たちは日本のことを、マルコ・ポーロの例のとおりだ、日本へ来て働けば幾らでも金が蓄えられると考えている。不法就労している諸君でも一年働けば黙っていても百万円たまる。東南アジアから来た諸君は、百万円あれば国へ帰って百坪の土地と三十坪のうちが建つ。したがって、日本の法律に触れようが触れまいがジパングに来るのであります。そこで、今御当局はこのままじゃいかぬと言っているけれども、これを直すために今説明のあったようなことで直るだろうか。私は直らないんじゃないかということを懸念いたしますが、今のままで直るとお考えですか。
#401
○政府委員(股野景親君) この点については、改正入管法の御審議に当たりましていろいろな観点から国会でも御論議をいただき、また政府関係省庁内でも論議を重ねたところでございますが、この改正入管法がいよいよ六月一日から施行されますので、改正入管法の施行の状況をまず踏まえた上で、今後についてさらに考えるべきことは考えていくと。当面は、まず改正入管法による新しい体制というものをしっかり実施することが肝心ではないかと考えておるところでございます。
#402
○斎藤栄三郎君 私の提案ですけれども――私の見るところでは、今の御当局の努力はどんなにしたって問題の解決には役立たないだろうと思うんです。法律でやれることには限度がありますよ。金の方がよっぽど魅力があるのであります。
 そこで、私の提案というのは、外務省のルートを通じて相手の国と交渉をして、中国から何万人あるいはパキスタンから何万人と数を決めて、向こうの政府の責任において日本に送ってもらう、そうして日本の政府の責任において訓練をして、三カ月なり半年なり訓練をして技術を覚えさせて日本国内で労働需要に応ずるようにする。で、彼らがもう帰りたい、金もたまった、帰りたいというときには向こうの政府の責任において引き取る、こういうことにすればドイツが陥ったような心配もないし、今当面する日本の労働力から来るインフレをも防ぎ得ると思いますが、この点についての御意見をお伺いしたいと思います。
#403
○国務大臣(塚原俊平君) まず、釈迦に説法みたいになってまた申しわけないんですけれども、国内で地域でかなり雇用の差が一つあること、それから、これから非常に高齢化をしてくるということで、これは大変おめでたい詣ですけれども、できるだけ高齢者の雇用を確保したいということで今努力をしている。それからまた、これもすばらしい話ですけれども、男女雇用機会均等法が通ったことによって女性が非常に職場で重要だということが再認識をされて、今働きやすい環境を一生懸命つくろうじゃないかということで努力して、ますます女性が職場に進出しているわけで、これから非常に新しい雇用の創出ということが国内で考えられる状況にまずあります。
 日本の国は非常に失業率が少ないんですが、それでも二・二%から二・〇%を行ったり来たりしていて、でもこれを数字にしますとやっぱり百四十万ぐらいの失業者の数になる。それから現在若い人がフリーターとかいう形でその場その場で働いて稼いで遊んでという形になっていますが、果たしてこのままでずっと彼らがいくんだろうかということになると、やっぱり将来に対してはそういう部分の雇用というものもこれから随分出てくるということで、まず先生の御提案より何より、私ども労働省といたしましてはでき得る限りしっかりとした雇用を国内で確保していきたいという気持ちを大変強く持っております。
 加えて、これもまたあのときとこういう経済状況が違うんだとまた先生にずばり御指摘がされると思うんですが、それを承知で言いますと、昭和四十年代の初めに、人手不足で外国人労働者を雇いたいという時期が随分ありまして、それでかなり前向きに検討したような時代もあったみたいなんですが、私が選挙に出た昭和五十一年はどんなことが起こったかというと、レイオフで自宅待機をしていなくちゃいけなかった。そういうことを考えてみましたときに、これからの雇用が果たして将来どこまでどういうふうな展望がされるのかということも非常に不安な材料がある、まして機械化がどれぐらい進んでいくのかというようなことでも非常に不安材料があるというようなことで、労働省といたしましては、まず国内のこれからの将来の展望その他につきましてもまだはっきりしたものがお出しできないというようなこともあって、外国人労働者に対しては非常に慎重な姿勢をとっております。
 そういった状況の中で、現在、改正入管法がいよいよ六月から施行されるということで、やはり今度は雇用者の方もそれなりの罰則がつくというようなことで、非常にここに来ていわゆる不法就労の方を手放す傾向が見受けられるというようなことから、いろんな業種においてまた特に人手不足が多くなってきているというような陳情も受けているという現実の姿もございます。
 ですから、どちらにいたしましても、先生の御提案は大変にすばらしい御提案だと思うわけですけれども、一つ一つこれから前向きに仮に検討するとしましても、どうしても不法の方と合法の方がいらっしゃるということになりますと、そこでまたその両方の間に大きなトラブルが起こるというようなことになってもこれはえらいことでございますので、ともかくそういうところで非常に後ろ向きの御答弁をずっとしていたわけですが、きょうはちょっとだけ前向きの答弁をしていいと言われまして――いや、言われたというのは役人から言われたわけじゃなくて、自分の頭の中で言われたわけです。受け入れ問題のメリット、デメリットを多様な角度から十分に慎重に検討、整理をしてまいりたい。労働省はここまでの御答弁でございます。
 あと外務省、法務省はどういうような答弁になるかちょっとわかりませんけれども、一応そういうことでございます。
#404
○国務大臣(長谷川信君) 法務省も全部きちっとまだ統一してはおりませんが、労働省よりも若干また前向きの御答弁になるかもわかりません。
 今先生おっしゃいましたように、きょうも朝テレビをちょっとひねったら、もう外食産業は労働者がいないものだからどんどん入れてくださいと。私どもも現場を回ってみますと、会議所の会頭さんあたりはどうして入れないんですかと言ってむしろ逆に聞いておりますね。
 そういう中で今いろいろ委員御指摘のような状況になっておるのでありますが、技術労働者を入れるというのはこれは当然というか結構な話で、ただ、単純労働者を入れないと言ってシャットアウトをやっていますが、入れなければ下から潜って入ってきているんですよ。その数はどのくらいだといったら、約十万を超えていると。十万といったらこれは大変な数ですよ。だから、これは締めれば締めるほどやっぱり水面下で入ると思いますね。水面下で入る諸君よりも、むしろ今先生おっしゃいましたように、それぞれの国に責任を持たせて良質な者を入れる方法はないものかというような意見をおっしゃる方も、衆議院の予算委員会でもいろいろ意見がございました。しかし、関係各省のすり合わせをやりますと、今労働省のおっしゃいましたとおり、若干慎重にやろうじゃないか、若干というか相当慎重にやろうじゃないかというお考えもあり、その他いろいろ意見があるようでありますので、これは何といいますか、議会の衆知を結集してこの対策を早くやっていただくように、また委員からも御指導をお願いしなければならぬと思います。
 今の状態のままこのまま放置したら、ますます水面下が多くなると思いますね。これはもうはっきりしていると思います。そういうことで、なお今後慎重に多角的に前向きで検討いたしたいと思っております。
#405
○国務大臣(中山太郎君) 委員お尋ねの外国人の不法就労の件につきましては、かねて衆参両院においてこの外国人労働者の問題で委員の先生方からいろいろと御議論をいただいていることを私もよく承知いたしております。やはり日本の労働市場が非常に求人率が高くなっている。こういう中で発展途上国等からこの国にいわゆる観光ビザ等で入ってくる不法労働者、この人たちがやっぱり日本の労働市場でいわゆる三キと言われる、危険とか汚いとかきついとかというような労働市場に集中していることは否定できない事実であろうと思いますし、法務大臣が今御答弁申し上げたとおりだと思います。
 この問題につきましては、やはり社会保障の問題、いろんな問題がございますし、日本の労働市場におけるこの特別な市場に外国人の労働者が集中してくるということは、長いスパンで考えますと日本の国の労働問題としては看過し得ざる問題でございまして、そのため昨年官房長官を座長とする外国人労働者問題懇談会を設置しておりまして、関係各省とこの問題は等閑視できないということで積極的に協議を続けなければならない、そして具体的な考え方をできるだけ早くまとめていくことが必要であるという認識に立っております。
#406
○斎藤栄三郎君 三大臣からの懇切な御説明でよくわかりました。
 塚原労働大臣、私はあなたのお父様と非常にじっこんでありまして、名労働大臣でありました。あなたのお父さんを凌駕する名労働大臣になってくださることを要望いたします。
 今ただ単に相談しているだけでは問題は解決しないので、とにかく強力に前向きに推進していきませんと、中小企業は特に労働力不足で困っているんですから。一番怖いのは労働力不足から来るインフレはなかなか防ぎがたい。そういう意味において三大臣にどうか一層の研さんと御努力を要望して、次の問題に移ります。
 今、日本には先ほどの説明で三万人の留学生がいると言いました。たまたまこの間の連休中、私は島崎藤村の「新生」という小説を読みました。その中で島崎藤村は書いております。これは明治のことでありますが、中国の留学生に対して日本が非常に冷淡であった、彼らが日本から帰っては皆反日になる、この留学生対策は失敗であったということを島崎藤村は書いているのであります。今来ている三万人の諸君が日本に好意を持って帰るかそれとも反日になって帰るかということは大問題であります。
 そこで文部大臣にお伺いしたいのは、どうぞひとつ留学生が親日的な零囲気で帰れるように彼らの住宅問題の解決とか世論の喚起などに一段の御努力を要望したいと思いますが、文部大臣の心境と対策をお伺いいたします。
#407
○国務大臣(保利耕輔君) ただいま先生から御指摘のとおり、日本には留学生の数が三万人を超えるまでに至りました。そこで、やはりこういう留学生の皆様方には、将来日本のよき理解者になっていただいてお国へお帰りをいただき、そのお国の発展のために尽くしていただく、これがやはり留学生政策を進めていく上での非常に大事なポイントであろうと、先生御指摘のとおりでございます。
 そこで、そういった問題につきまして、私どもとしては受け入れ体制の整備をまずきちんとしなきゃいけない。それと同時に、大学での教育のあり方、それにつきましても十分研究をしていかなきゃならぬ。さらにまた、宿舎の整備でございますとか、寮なんかは大分整備がされてきておりますが、そういったものについての援助措置を講じていかなきゃならぬだろう。さらにまた、自分の国へお帰りになってからどういうふうにお働きになっているかという、いわゆるアフターケアというものも考えていかなければならないだろうというようなことを考えながら、留学生政策を進めていくように私ども進めております。
 さらに、近年留学生の数がずっとふえてまいりましたものですから、さらにまたいわゆる十万人計画というようなものも念頭に入れて考えまするならば、今現在留学生の施策について全般的にどういうことを考えていったらいいんだということで、二十一世紀に向けての留学生政策に関する調査研究協力者会議、ちょっと長い名前でございますが、これを発足させまして昨日第一回の会議を開いたところでございます。回を重ねていただきまして、現状をよく把握していただいた上で留学生政策をきちんと立てていくというような気持ちで私どもこれからも一生懸命に取り組んでまいりたい、このように思っております。よろしくお願いいたします。
#408
○斎藤栄三郎君 どうぞその線でひとつ、十万人の留学生が来ても彼らが日本をよく理解できるようにしてくださることをお願いいたすものであります。
 次に、科学技術政策についてお伺いいたします。これは大蔵大臣と科学技術庁長官にお伺いいたします。
 アメリカの予算と平成二年の日本の予算を比較してみて著しく目につきますのは、アメリカの場合は科学技術研究費が円に換算して十一兆円であります。ところが日本の場合は、文部省、通産省、科学技術庁三省合わせて一兆九千億円であって、実にアメリカの五分の一以下でございます。私は科学技術こそ日本がこれから努力しなきゃならぬ分野だど考えるのでありまして、金をもう少しふやさなきゃいけないんじゃないだろうか。
 どの程度ふやしたらいいかというと、幸いなことに、アメリカもドイツもイギリスもGNPの一%を科学技術研究費に計上しているわけです。日本の平成二年の一兆九千億円というのはGNPの〇・五%にすぎないのでありまして、大蔵大臣と総理大臣には実は平成二年の予算をつくるときには非常に御高配をいただきました。おかげさまで西播磨の大型放射光も実現できるであろうと確信をいたします。両先生に厚く感謝をいたしますけれども、実は日本の予算全般とアメリカの予算を比べてみると、アメリカの場合はGNPの一・二%を計上している。日本は〇・五%、金額で言うとアメリカは十一兆円、日本は一兆九千億円です。できれば、一挙にとはいかないにしても、ここ四、五年の間にGNPの一%程度の科学技術研究費を計上していただくように、大蔵大臣並びに総理大臣の御意向を承りたいと考えます。
 第二は、科学技術庁長官に、最近の新聞でチェルノブイリの操業をやめるんじゃないだろうかといううわさが飛んでおりますが、その真相はどうかをお教えいただきたいと考えます。
 原子力発電というものはクリーンエネルギーで、しかもコストが非常に安くて、フランスでは全発電量の七割が原子力です。ソビエトロシアとアメリカは二割です。日本は三割です。もしもチェルノブイリの発電がストップなんということになるとその影響は極めて大きなものがあるかと思いますが、その真相を、おわかりになるところで科学技術庁長官から御説明いただければ幸いです。
 じゃ、どうぞ大蔵大臣、お願いいたします。
#409
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは斎藤委員にお言葉を返して大変恐縮でありますが、大体私はGNP対比何%というやつはアメリカとの論議でもさんざん議論をいたしまして、余り好きではございません。ただ、比率として今委員がおとりになりました数字を逆に申し上げますと、確かに政府負担総額の対GNP比、これはアメリカは一・二四、日本は〇・五七、確かに開きがあるように見えます。しかし、アメリカの研究費の中から国防関係の研究費を除きますとアメリカの研究費は〇・五一でありまして、むしろ日本より少ないのであります。
 私は、その外国と比べて多いとか少ないとかという議論は余り形のいい議論にならないような気がいたします。これは例示にとる国によりまして、例えばたしかフランスでありましたか何かを見ますと、西ドイツあるいはフランス等は相当高い数が出ておりますし、イギリスは非常に低い。ただし、これは統計の中で自然科学のみでありまして人文科学を入れていないとか、各国相当いろんなとり方をしておりますし、アメリカの場合には国防研究費が非常に大きなウエートを占めている。
 ですから、そういうことと離れて、やはり資源のない日本という国が今後ともに円満な発展を遂げていきますために科学技術の振興というものは必要なのでありますから、私は、毎年度の予算編成におきましても、将来を見通した研究計画というものをチェックさせていただきながら、必要な予算はこれからも計上していくように努めてまいりたい、そのように思います。
#410
○国務大臣(海部俊樹君) 大蔵大臣が申し上げましたことは私の答弁も同じでありますから、重複はいたしません。
 ただ、科学技術の研究の峰を高くするということは、今後日本が国際化時代に世界に貢献する大きな可能性のある道だと思いますから、基礎科学の研究をうんとやっていこうという方向で予算を充実させていかなきゃならぬということはまさにそのとおりでございますし、同時にまたノーベル質受賞者の数がよく比較対象に出てまいります。三けたの国と一けたの我が国の比較がよくされますが、そういったこと等も踏まえまして、いろいろな意味で科学技術の研究、科学技術の水準向上のためには努めていかなければならないテーマだと考えます。
#411
○国務大臣(大島友治君) チェルノブイリの原発の事故に関連して御質問がございましたんですが、実はこのことについては、御承知のように、チェルノブイリの原発事故は設計上の欠陥とかあるいはまた運転への規則違反等によって引き起こされたという事故でもありまして、我が国の場合にはチェルノブイリと同様な事態になることは極めてもう考えがたいものであるというふうにこれは認識しておるのでございます。
 しかしながら、事故後の状況、それから健康に対する影響等に関し多大の関心を有しているところではございますが、既に我が国の専門家が調査に協力しているところでもあるわけでございます。それからまた原子力安全委員会におきましても、昨年十月に調査団が訪ソしてソ連当局者との意見交換も行ってきておるわけでございます。
 また、御指摘の点につきましては、二月十八日にウクライナ共和国の最高会議がこれを検討する委員会設置を決めたこと、そして四月二十五日にソ連最高会議が操業中止を見込んだ一連の措置を年末までに定めると決定したとプラウダが報じたということになっておるのでございますが、このことについては承知しておるので、そのことの直接の御質問でもございますが、しかしながら現在のところまだこれ以上の詳細な点については情報を十分入手していないということで、現在その面についての調査を進めているというのが現状でございます。
 また、ソ連のチェルノブイリの原子炉についてですが、今御説明したような状況ではありますが、先ほど委員からも原子力の問題につきましての重要性というものもございましたので、世界的にも現在四百二十五基という原子炉が運転中でもありますし、世界全体の総発電の電力量の約一七%を占めておるようになっているのが現状でございます。我が国におきましても、原子力は先ほど申されたような供給の安定性そして経済性、環境影響等の面におきましてもこれはすぐれているエネルギー源であるということでございますので、我が国のエネルギー供給の脆弱性の克服ということに貢献する主要なエネルギーとして、安全確保を大前提といたしまして原子力の開発利用を着実に今後とも進めてまいりたいというのが私どもの考え方でございます。どうぞよろしく御了承、御協力をお願いします。
#412
○斎藤栄三郎君 科学技術はこれで終わります。
 次に、景気の見通しの問題に移りたいと思います。日本銀行副総裁、長らくお待たせして申しわけありませんでした。大蔵大臣と日銀を中心にお答えいただきたいと思います。
 景気の見通しですが、従来の大蔵大臣の御所見並びに日銀御当局の御意見によると、この景気は続くであろうという御意見のようでございますが、その意見の根拠は何かお知らせいただきたいと思います。まず、日銀からお願いいたします。
#413
○参考人(吉本宏君) お答えを申し上げます。
 私どもとしては、現在我が国の経済は物価安定のもとで着実な景気拡大というバランスのとれたパフォーマンスを維持していると、このように考えておるわけであります。その理由と申しますか、二つございまして、一つは設備投資が非常に根強い。これは、近年の技術革新等を背景といたしまして、企業の旺盛な設備投資意欲があるということ。それからもう一つは、やはり個人消費がかなり堅調でございます。これは百貨店の売り上げとかあるいは休日におけるレジャー、そういったものを通じて個人消費が堅調である。この二つがいわば両輪になりまして、景気のいわゆる腰の強さというものが基本になっておる、このように考えているところでございます。
#414
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今日銀副総裁からお答えがありましたものを多少細かく申し上げますと、個人消費は大型小売店販売統計などから見ましても引き続き堅調に推移いたしております。また、設備投資も足元は非常に高い伸びを示しておりますし、先行きにつきましても、建設工事受注などの伸びから見ますと引き続き順調な伸びが続くと思われます。また、住宅投資も高水準で推移いたしておりますし、物価は引き続き安定をいたしております。四月中旬の卸売物価の動向を見ましても、国内の物価動向判断の基礎となります国内卸売物価は〇・七%、非常に安定した数字をたどっておるわけでありまして、私はこうした基礎的な数字を見ましても、また大蔵省景気予測調査などによりましても、上昇基調が続くという見方が非常に強く出ておりまして、我が国の経済というものは引き続き内需を中心としたインフレなき拡大が続くというふうに考えておるところであります。
#415
○斎藤栄三郎君 ありがとうございました。そのとおりにいけば非常にめでたしめでたしで何も言うことはないのでありますが、私はどうもそう楽観論では私自身が承服できない。
 去年の五月と現在を比べてみますると、金利は二・五%から五・二五%に上がっています。金利が上がれば設備投資をするときに借りる金の金利の負担が重くなる。一方、株は三割下がっています。従来、企業は新株を発行して円を稼いでそれで設備投資をやった。今、御承知のように株が三割も下がりますると新規増資はほとんどストップであります。そうすると、結局銀行へ行って借りて高い金利を払って設備投資をやるかどうかということになると、設備投資に慎重にならざるを得ないんじゃないだろうか。それから御両氏が指摘された内需振興については、やはり株が高いとつい奥さん方が株でもうかったんだからというので気楽に財布の口を開きますけれども、今のように株がてこでも動かない、こういうことになってくるとやはり慎重にならざるを得ないんではなかろうか。
 だから、設備投資がうまくいくかどうか、内需振興がうまくいくかどうかということはここしばらく様子を見なきゃいけませんけれども、私は自分の私見を申し上げますると、どうも十月ぐらいから景気は転換期に差しかかるんではないかという気がいたします。私の見通しが違うことを希望いたします。御両氏が当たることを心から祈りますけれども、私はやはり率直に言ってどうも景気は転換期にかかっているんじゃないかということを感じますから、御参考までに申し上げておきます。
 経済企画庁長官、御意見いかがでしょうか。
#416
○国務大臣(相沢英之君) 私もまた委員と同じように、今おっしゃったことが当たらないことを希望しているのでありますが、いわゆる経済のファンダメンタルズは、国際収支の面にいたしましても物価の面にしても生産の面にいたしましてもしっかりしているということは、数字で見る限りにおいては私は事実そのとおりだと思っているのであります。
 ただ、おっしゃいますように為替が円安になる、債券が安くなる、株は下がりも下がるといういわゆるトリプル安の現象が、果たして全く現象的なものにすぎないので影響がないと言えるかどうかということについては、これは私も慎重に検討しなきゃならぬ面もあるいはあるんじゃないかという気がしておるのであります。
 ただ、経済の先行きを占いますところの先行指標が十一月以来黄色いランプが三月ほど続きましたが、それが二月には五〇になりまして少しまた戻っているのであります。そういうようなことでありますし、円の方もきょうは終わり値が百五十四円台になりましたし、株価も三万一千円台に乗せてまいっておりますし言うなればやや行き過ぎの現象が戻っているような気がするのであります。
 基調が先ほど申し上げましたように大きく変わりませんので、私は全く委員のおっしゃいますように心配なしということではないと思いますけれども、まず大丈夫じゃないかというふうに思っております。
#417
○斎藤栄三郎君 三人の責任ある方々がそうおっしゃるのですから、きっと国民は喜ばれるだろうと思います。しかしながら、その予言が当たるか当たらぬかはこの年内までには必ずわかることですから、私の予想が外れることを祈りながら次の問題に移ります。
 国内問題はこれくらいにして国際問題に移りますが、ドイツの通貨交換がいよいよ七月二日から行われる。西ドイツの一マルクは東ドイツの三マルク、これが公定相場です。しかし、実際は一対十です。私も東ドイツには数回行っておりますけれども、東ドイツの経済力を反映して東ドイツのマルクは非常に安い。それが今度一対一で認められるということは東ドイツにとっては非常にありがたいことだろうと思います。しかし、その日本に及ぼす影響になると深刻です。東ドイツが発行して預貯金になっておるのが千七百億マルクと言われます。それだけを全部一対一で交換したらこれは大変なことになっちゃいますから、最高六千マルク、六十万円までという限度を設けました。それにしても、東ドイツの人たちはこれで自分たちの持っている東ドイツのマルクの価値が高まったということと、非常に西ドイツの物が安く買えるということになる。したがって、西ドイツは相当海外から輸入しなければならないから、国際収支黒字が減る心配がある。インフレの傾向が出るんじゃないだろうか。
 西ドイツ当局の御説明を聞いているとインフレにはしないと言っていますけれども、経済的に見ると私はどうしても物価が上がらざるを得ないだろうと思うんです。これもまた年末までの大きな宿題でありますけれども、仮に西ドイツが公定歩合を上げたら、今西ドイツの公定歩合は六%、アメリカが七%でありますが、西ドイツがどの程度上げるかによってその影響は違いますけれども、仮に西ドイツが上げたらやはりアメリカも日本も上げざるを得ないのではなかろうかと考えます。
 そこで、日本銀行御当局にお伺いしたいのは、この東西ドイツの通貨交換を日本から見てどうお考えになるか、またその日本への影響はどうかということをお伺いいたします。
#418
○参考人(吉本宏君) お答えをいたします。
 ただいま委員からお話がございましたとおりてございまして、東西ドイツの統合が行われる場合、特に通貨交換が一対一で行われるというふうに聞いておりますが、それによっていわば購買力が急増する、インフレの懸念はないか、こういう問題があることは事実であろうかと思います。現にそういう指摘をされる方もあるわけでございます。ただ、西ドイツの通貨当局はかなり自信を持っておりまして、大丈夫だと、こういうことをG7等でも申しておるようでございます。
 ところで私どもに対する影響でございますが、これは基本的には我が国の金融政策というものはやはり圏内の景気あるいは物価、そういった諸情勢を総合的に判断してこれを運営していくべきものであるというふうに考えておりますし、仮に西ドイツがインフレに直面して金利を引き上げるというふうなことになっても、これは私どもとしては私ども独自の判断で政策を行うべきものと、このように考えているわけであります。
#419
○斎藤栄三郎君 大蔵大臣、いかがでございましょうか。
#420
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、日銀副総裁から御答弁がありましたように、去る四月七日のG7の席上、IMFの専務理事のカムドシュさんから世界的な金利の急上昇というものに対する懸念が示されましたときにも、西独は、ワイゲル大蔵大臣もまた西独連銀総裁も非常に強くその懸念に対して否定をされました。そして、西独の経済の過熱というものを心配する質問が出ましたときにも、非常に自信を持ってそうした心配はないんだということを言い切っておられたわけであります。
 そして、ちょうど先日終わりましたG7、私は国会の関係で出席をすることができませんでしたが、五月六日のG7におきまして、「両独経済通貨同盟に向けての最近の動きについて議論し、この過程が世界的なインフレなき成長の改善と対外不均衡の是正とに貢献するだろうということで合意した。」、要するに最近の動きについて議論し、その上でインフレなき成長の改善、対外不均衡の是正に貢献するということで合意という共同声明が出されております。私は、西独の財政当局、通貨当局は非常に厳しく現状を見詰めた上でそれだけの自信を表明しておられるものと考えております。
 また、委員は通貨同盟の結果における景気の過熱を心配されたわけでありますけれども、例えば食糧のように東独が従来から人為的に非常に価格を抑えておったものがあるわけでありまして、この辺の価格がこれからどう設定をされていくか等非常に変化の多い要素がありますために、我々としては西独財政当局並びに連銀の自信に満ちた発言というものを受けとめて様子を見守ってまいりたい、そのように考えております。
#421
○斎藤栄三郎君 ドイツ人の心の中にある言葉は、ドイチュラント・ユーバー・アレスです。中華思想です。ドイツはすべてに優越するということなんです。そういう気持ちがなきゃ、二回の戦争に負けて立ち上がることはできなかったでしょうね。ドイチュラント・ユーバー・アレス。しかし、こんなに早く実現するとは彼らも思っていなかったろうと思います。ぜひともこのドイツの統合が成功することを心から祈ります。
 有名なべートーベンが死ぬときの言葉、フィニータ・コメーディア。フィニータというのはフィニッシュということです。コメーディアはコメディーです。喜劇は終わったということです。アメリカとソ連がドイツを分割し、永久にドイツの力を抑え得ると考えていたかどうか。案外早く喜劇は終わった、今ベートーベンが生きておったら彼もまた同じような言葉でフィニータ・コメーディアと言うんじゃないだろうかと思います。どうぞドイツの統合が成功することを心から祈りたいと考えております。
 次に、ソビエトロシアのペレストロイカでありますが、これもまたぜひ成功させたいものです。それがためには、私はぜひともココムの規制を大幅に緩和してあげることが大事ではないだろうかと思う。この点は通産大臣及び外務大臣から御所見を承りたいと思います。ココムというのは対共産圏輸出統制委員会で、今約二百十品目が制限されております。それをアメリカは今度三十品目は解除し、十三品目は緩和すると言っている。私は、どうぞ両大臣が大いに積極的に働きかけて、もっと大幅に緩和させる、できればココム体制をやめることが自由貿易体制の本来の姿だと思うんです。そういう方向に御努力くださることを私は要望したいと思いますが、両大臣の御所見を承りたいと思います。
#422
○国務大臣(中山太郎君) 委員お尋ねのココム規制の緩和問題につきましては、かねて我が国はココム規制の緩和を強く主張いたしてまいっておりました。こういう経過から見まして、私どもは今回のココムの規制緩和、これは極めて歓迎すべきことであると考えております。ココム規制の緩和によっていろいろと新しい技術が、戦略的以外のものが東ヨーロッパ及びソ連に移転ができるというところに、この新しい時代がさらに進展していくものではないかと考えております。
#423
○国務大臣(武藤嘉文君) 私も、今のソ連のペレストロイカ、あるいは東欧諸国の自由と民主主義を求めて立ち上がっている国が将来大いにしっかりした経済基盤をつくっていただくためには、ココムの規制緩和というのは大変歓迎すべきことだと思います。ただ、今委員おっしゃいますように、これを全廃したらいいんではないかというのはまだもう少し考えていかなきゃならない点もあるのではないかと思っております。
#424
○斎藤栄三郎君 冷戦が終わって、世界が本当の姿に戻る絶好のチャンスだろうと思う。第二次世界大戦が終わるときに、イギリスのケインズ博士とアメリカのホワイト博士がアメリカの東海岸のブレトンウッズに集まって相談をした。戦後の世界経済をどうしようかということです。そのときに、自由経済でいこうじゃないか、それを実現するために二つの機関をつくろうとした。一つがIMFであり、一つがガットであります。IMFは通貨の面、ガットは物の面、これが非常に順調に進んだおかげで日本もドイツも戦後五年で戦前の水準まで戻ることができた。その近所までは非常によかったのでありましたが、朝鮮動乱が起きてからココムができて、かつまたソビエトロシア及び中国などがこのIMFにもガットにも加入していない。したがって、冷戦緩和のこの機会にぜひともソ連及び中国などすべての国々がIMF及びガットに入って、自由貿易体制で世界経済が運営されることが切に望ましいと思うのです。
 その自由貿易体制というのは、やはり日本のように一年間に六億トンの原料を海外から輸入し、七千万トンの商品輸出をやって生きている国ですから、自由貿易体制を堅持することが日本の国是ではなかろうかと考えます。それがためには、やはり日本としては日米構造協議のようなところで大いに言うことも言うが、同時に譲るところは譲ってお互いの立場を尊重しながら共存共栄を図る以外に道はないだろう。同時に、もっと日本は外国製品の輸入をふやさなきゃいけません。今アメリカの製品輸入率は八〇%、カナダが八六%、日本は五〇%である。もう少し製品輸入率を高める。向こうの言う物は大いに買ってあげましょう、同時にこちらもまた売ろうという自由貿易体制を進めることが必要だと考えますが、総理大臣の御所見を承りたい。
#425
○国務大臣(海部俊樹君) 戦後の日本の極めて恵まれた、ある意味では幸運な道というのも、今おっしゃったIMF、ガット体制の中で能力を発揮しながら資源の乏しい国がここまで質を高め、いろいろなことを政策的にできるような国の財政力を持つことができるようになった、これは自由貿易体制のおかげであったと言って言い過ぎではないと思います。したがいまして、ブッシュ大統領との間でいろいろ議論をしましたときも、日米の貿易のインバランスを是正するために、アメリカは日本から物が入ってくるのをとめようとしておるのじゃありません、アメリカの物を日本も買うようにしてくれないか、こういうことでございました。同時に、日米構造協議で話し合いましたことも、今アメリカの議会にこのままほっておくと保護主義の台頭が感じられる、自分はアメリカの議会と保護主義の台頭を抑えるために闘うんだという言葉まで向こうは使いました。保護主義と闘うということは日米共通の利益のはずだから日本政府もアメリカにできる限り協力をしてほしいということでございました。
 それからいきますと、アメリカ側が輸出競争力をつけようというので、ホワイトハウスに副大統領がキャップとなった委員会、評議会をつくって輸出競争力をつけようとしておるわけでありますから、この双方の努力によって今おっしゃるような自由貿易というものが日米間にみずみずしく復活していくように、同時にそれは、世界の自由貿易体制の中の四割の経済力を日本とアメリカが持っておるのでありますから、ここでしっかりと確立することが世界のためにいい影響を及ぼすものであると私は信じております。
#426
○斎藤栄三郎君 これが最後の意見であります。私は、一時間省略されたためにまだ言い残した点がありますけれども、質問時間十四分は放棄をいたします。五分前になりましたから、最後の意見を述べて終えます。
 自由だからといって何をしてもいいというわけでは絶対ない。おのずからそこに枠があるはずです。そういう意味において、戦後の日本の経済を見ていると非常に黄金万能主義である。これじゃいけないと思う。そこで思い出しますのは渋沢栄一さんです。明治、大正、昭和の三代にわたって経済界の指導者だった渋沢さんは、経済道徳合一主義ということを主張した。経済と道徳は一本でなければならない。論語そろばん合一主義とも言われたのである。論語の中にこういう言葉があります。「不義にして富みかつ貫きは我に於て浮雲の如し」。その意味は、不正不義をしてどんなに豊かになったところてそんなものは自分に関係のないことだ、空を飛んでいる浮き雲のようなものだというのです。それを言われた渋沢さんはいたく感激して、経済界の中にあっても道義を守ったのです。そうして、経済道徳合一主義というものを主張して、九十二歳で終生を全ういたしました。
 今の日本を見ておりますると、黄金万能で、金もうけのためには道義をわきまえず平気で法律を破る。こういう国が栄えるはずはないのであって、今、日本がこれからやらなきゃならぬことは、道義日本の確立でなければならないと考えます。どうぞひとつ、御意見は無用です、私たちは身をみずから持すること厳にして道義日本の確立のために努力したいというのがきょうの質問の結論であります。
 ありがとうございました。
#427
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で斎藤栄三郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 次回は来る十四日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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