くにさくロゴ
1990/05/16 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 予算委員会 第8号
姉妹サイト
 
1990/05/16 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 予算委員会 第8号

#1
第118回国会 予算委員会 第8号
平成二年五月十六日(水曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十五日
    辞任         補欠選任
     諫山  博君     吉川 春子君
     磯村  修君     粟森  喬君
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     二木 秀夫君     西田 吉宏君
     藤田 雄山君     青木 幹雄君
     猪木 寛至君     井上  計君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         林田悠紀夫君
    理 事
                伊江 朝雄君
                石原健太郎君
                下稲葉耕吉君
                平井 卓志君
                穐山  篤君
                矢田部 理君
                安恒 良一君
                太田 淳夫君
                吉岡 吉典君
    委 員
                青木 幹雄君
                井上 章平君
                石井 道子君
                遠藤  要君
                小野 清子君
               大河原太一郎君
                合馬  敬君
                片山虎之助君
                北  修二君
                斎藤栄三郎君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                谷川 寛三君
                中曽根弘文君
                西田 吉宏君
                稲村 稔夫君
                梶原 敬義君
                久保  亘君
                國弘 正雄君
                竹村 泰子君
                角田 義一君
                堂本 暁子君
                村沢  牧君
                本岡 昭次君
                山本 正和君
                猪熊 重二君
                白浜 一良君
                和田 教美君
                吉川 春子君
                粟森  喬君
                池田  治君
                足立 良平君
                下村  泰君
                星野 朋市君
   国務大臣
       内閣総理大臣   海部 俊樹君
       法 務 大 臣  長谷川 信君
       外 務 大 臣  中山 太郎君
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
       文 部 大 臣  保利 耕輔君
       厚 生 大 臣  津島 雄二君
       農林水産大臣   山本 富雄君
       通商産業大臣   武藤 嘉文君
       運 輸 大 臣  大野  明君
       郵 政 大 臣  深谷 隆司君
       労 働 大 臣  塚原 俊平君
       建 設 大 臣  綿貫 民輔君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    奥田 敬和君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  塩崎  潤君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       砂田 重民君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  石川 要三君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       相沢 英之君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       大島 友治君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  北川 石松君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  佐藤 守良君
   政府委員
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一
       部長       大森 政輔君
       内閣総理大臣官
       房審議官     文田 久雄君
       総務庁長官官房
       審議官
       兼内閣審議官   杉浦  力君
       北方対策本部審
       議官       鈴木  榮君
       防衛庁参事官   内田 勝久君
       防衛庁参事官   玉木  武君
       防衛庁参事官   鈴木 輝雄君
       防衛庁長官官房
       長        児玉 良雄君
       防衛庁防衛局長  日吉  章君
       防衛庁経理局長  藤井 一夫君
       防衛施設庁総務
       部長       吉住 愼吾君
       防衛施設庁建設
       部長       黒目 元雄君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
       経済企画庁物価
       局長       田中  努君
       経済企画庁総合
       計画局長     冨金原俊二君
       環境庁長官官房
       長        渡辺  修君
       環境庁長官官房
       審議官      高橋 光男君
       環境庁企画調整
       局長       安原  正君
       国土庁長官官房
       長        北村廣太郎君
       国土庁長官官房
       会計課長     森   悠君
       国土庁計画・調
       整局長      長瀬 要石君
       法務省入国管理
       局長       股野 景親君
       外務大臣官房領
       事移住部長    久米 邦貞君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省経済局長  林  貞行君
       外務省経済協力
       局長       木幡 昭七君
       外務省条約局長  福田  博君
       外務省国際連合
       局長       赤尾 信敏君
       大蔵省主計局長  小粥 正巳君
       大蔵省主税局長  尾崎  護君
       文部大臣官房長  國分 正明君
       文部大臣官房総
       務審議官     佐藤 次郎君
       文部省初等中等
       教育局長     菱村 幸彦君
       文部省教育助成
       局長       倉地 克次君
       文部省高等教育
       局長       坂元 弘直君
       文部省高等教育
       局私学部長    野崎  弘君
       文部省学術国際
       局長       川村 恒明君
       厚生大臣官房総
       務審議官     加藤 栄一君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省保健医療
       局長       長谷川慧重君
       厚生省生活衛生
       局長       目黒 克己君
       厚生省薬務局長  北郷 勲夫君
       厚生省社会局長  長尾 立子君
       厚生省児童家庭
       局長       古川貞二郎君
       農林水産大臣官
       房長       鶴岡 俊彦君
       農林水産大臣官
       房予算課長    山本  徹君
       農林水産省経済
       局長       川合 淳二君
       農林水産省構造
       改善局長     片桐 久雄君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     松山 光治君
       食糧庁長官    浜口 義曠君
       林野庁長官    甕   滋君
       水産庁長官    京谷 昭夫君
       資源エネルギー
       庁長官      山本 雅司君
       運輸大臣官房審
       議官
       兼内閣審議官   井上徹太郎君
       運輸大臣官房会
       計課長      岩田 貞男君
       運輸省海上技術
       安全局船員部長  田辺 淳也君
       労働大臣官房長  若林 之矩君
       労働省労政局長  岡部 晃三君
       労働省労働基準
       局長       野崎 和昭君
       労働省婦人局長  佐藤ギン子君
       労働省職業安定
       局長       清水 傳雄君
       労働省職業能力
       開発局長     甘粕 啓介君
       建設大臣官房総
       務審議官     福本 英三君
       建設大臣官房会
       計課長      小野 邦久君
       建設省建設経済
       局長       望月 薫雄君
       建設省都市局長  真嶋 一男君
       建設省道路局長  三谷  浩君
       建設省住宅局長  伊藤 茂史君
       自治大臣官房長  小林  実君
       自治省財政局長  持永 堯民君
       自治省税務局長  湯浅 利夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮下 忠安君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成二年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成二年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を開会いたします。
 平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算、平成二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 それでは、これより総括質疑を行います。梶原敬義君。
#3
○梶原敬義君 きょうは消費税、税制問題と防衛問題、防衛予算の問題を中心に聞きたいんですが、冒頭二つのことについてお尋ねをいたします。
 きのうテレビを聞いておりましたら、原爆死没者の数の問題が発表されておりました。きょう新聞を見ましたら、長崎、広島両市の調査よりも厚生省が調査をした数字が一万二千人上回っておる、こういうことで、よく新聞の記事を読んでみましたら、戦後初めて厚生省が国として調査をされたと。一体今まで何をしてきたのか。国の戦争責任というものはある。それに対して一体どのような対応をしてきたのか、本当に情けなく思いました。厚生省、この調査の状況、あるいは今言いましたどうしてこれまでこんなに長く国の調査ができなかったのか、その点についてお尋ねします。
#4
○国務大臣(津島雄二君) 原爆の被爆者の対策につきましては、これまで原爆二法によりまして対策をいたしてまいりましたんですが、昭和五十九年に衆議院、参議院社会労働委員会で、死没者調査が行われていないのでぜひこれを行うべしという附帯決議をちょうだいし、また翌年の六十年五月、六月に「死没者を含めた実態調査を行い、更に被爆者対策の充実に努めるべきである。」という特別決議をちょうだいいたしました。これに基づいて六十年十月からいたしましたのが国としての今回の調査でございます。調査の内容につきましては、政府委員からとりあえず御報告をさせます。
#5
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 六十年度に行いました原子爆弾被爆者実態調査(死没者調査)の概要でございますが、まず調査の目的から申し上げますと、原爆によります死没者に関する関係者の記憶が薄れつつある現状にかんがみまして、生存被爆者に対しまして、記憶にあります死没者の状況を調査して、広島、長崎両市の行っております動態調査を補完することを目的といたしまして調査をいたしたものでございます。
 そういうことでございますので、いわゆる生存者調査にあわせまして、被爆者手帳を持っております方々に対しまして調査票を配りまして、それに記憶にあります死没者の方々のお名前等につきましての記載をしていただいたものでございまして、それにつきましては、死没者調査に回答のあった調査票は全体で二十八万六千枚余でございまして、大体回収率から申し上げますと七九・一%でございました。中身といたしましては、死没者の氏名なり性別、生年月日、死亡年月日、死亡時の年齢、死亡の原因、それから原爆投下時の住所、被爆の場所等でございます。
 そのような調査をいたしましてその結果判明いたしました死没者数でございますが、広島、長崎両市を合わせまして回答票に氏名の記載があった数の延べ総数は四十三万八千余でございます。そういうことで、いろんな方が同じ名前を書くこともございますので、回答票に氏名の記載があった者のうちで、実際に重複をしている方を除きまして、実数から申し上げますと、四十三万八千人のうちの十七万三千九百二十五名の方が実際の名前という形で書かれたものでございます。そういうことで、この十七万三千九百二十五名の方々のうちで、既存の資料と突合いたしまして、既存の資料に氏名がある方の数が大体十三万六千八百六名ということでございまして、既存の資料にない死没者として新たに確認された方が一万一千九百二十九名、先生がおっしゃっております約一万二千名弱という数字が既存の資料にない新たに確認された者の数でございます。そういうことで、現在まだ既存の資料とあるいは新たな方かどうかわからない方が約二万五千名ほどございまして、この方々につきましては引き続き調査等を行っているわけでございます。
 以上でございます。
#6
○梶原敬義君 総理大臣、厚生大臣、どうしてこんなに国の調査が遅くなったか、この点について
さっきお尋ねしましたが、もう一度お尋ねしたいと思います。
 それから、総数ではもっと実数はふえるんじゃないか、こういう見方をされてもおりますが、この点について一体さらに調査を進めるのかどうなのか、この二点についてお尋ねします。
#7
○国務大臣(津島雄二君) 重ねてお答え申し上げます。
 どうして調査が遅くなったかということにつきましては、これまで国は被爆者の対策をやる傍ら、広島市、長崎市が行っておられる実態調査を補助してお手伝いをするという建前でずっときたわけでございます。そこで、五十九年、六十年に国会から、それは国もひとつやるべきであるという特別決議をちょうだいしましたので、直ちに六十年の十月から取りかかったのが今度の調査でございまして、その結果が今まとまったということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
 それで、確かに委員御指摘のとおり、調査をして一万二千人近い方々が新たに判明をしたということは、私どもは非常にショックを受けておるわけでございます。いかに大きな災害であったかということを改めて感じておるわけでありますが、今後の調査の継続につきましては、引き続き広島市、長崎市で実態調査をしておりますので、これに政府も協力をし、補助をいたして、フォローアップをするという考え方でございます。(「災害とは不謹慎だぞ、災害なんて問題じゃないよ」と呼ぶ者あり)
#8
○梶原敬義君 総理、それじゃ私がもう一回言って、答弁してください。
 今の話を聞いていますと、これは韓国の皆さんが言っているのと同じように、政府には責任がありませんよと。調査がおくれたことに対して、国会決議があって、それに従ってやったと。今回の調査は多といたしますが、それまでほったらかしにして両市に任せておった国の姿勢、これを私はやっぱり聞きたい。遅くなって申しわけなかったぐらいは言えないかね。どうですか。
#9
○国務大臣(津島雄二君) ただいまの御答弁の中で、災害という表現が不適当であるという御指摘、訂正をさせていただきます。
 確かに国の調査をもっと早くいたすべきであるという御意見があろうかと思いますけれども、これまでの調査を積み上げてまいりまして、五十九年、六十年の国会の御指摘をそのまま直ちに実行したという私どもの姿勢もひとつ御理解をいただきたいと思います。
#10
○梶原敬義君 総理にもちょっと聞いたんですよ。
#11
○国務大臣(海部俊樹君) 原爆の被害による死没者調査は、広島、長崎両市の行っている被爆者動態調査を補完することにより原爆死没者の実態をより明らかにし、これを後世に伝えることを目的としたものである、私はこう承知しております。政府としては、この調査がまとまったことを契機に、一般戦災者等との均衡の問題に波及しない範囲で弔意のあらわし方について検討するとともに、被爆者の高齢化にも対応し、今後とも保健、医療、福祉の各般にわたって、原爆二法を中心として実態に即した対策の充実を着実に図っていくことにより、被爆者の御要望にこたえていきたいという考えでおります。
#12
○梶原敬義君 後世に伝えるというだけではなくて、やっぱり現在生きている人あるいは援護を受けないまま亡くなった人、こういう人に対する対応というものをきちっとしていただかなきゃいけないと思うんですが、被爆者援護法を参議院で野党が提案をし、また提案をしておりますが、これは国会でやるまでもなく、本来、総理大臣、こういう状況の中ですから、早く国家補償の精神に立った被爆者援護法を検討する、こういう姿勢を私は本当は披瀝していただきたかったんですが、もう一度。
#13
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、後世に伝えるだけではなくて、私も、被爆者の方々の現状、そして高齢化にも対応して今日も今後も保健、医療、福祉の各般にわたって原爆二法を中心として実態に即した対策の充実を着実に図っていく、こういう考え方を先ほど来御答弁しておる次第であります。
#14
○梶原敬義君 しっかりやっていただきたいと思います。
 次に移ります。
 米の市場開放問題ですが、総理、農林大臣、外務大臣、答弁では国会決議に従ってということをたびたび言われて、決意を聞いております。私も土曜日に選挙区に帰りまして、田舎の農村の人と話をしましたら、このままじゃもう百姓はやっていけぬ、一体百姓を生かすというのか殺すというのか、どっちか早く決めてくれ、こう言って強く迫られたんですね。おれは予算委員会で聞くわ、質問する、こういうことできょうは今立っているんですがね。牛肉・オレンジの自由化のときも、佐藤国土庁長官が農林大臣で交渉に当たったときも何回も要請に行ったんですが、政府は、やりますやります、頑張ります、こう言っておりながら、やっぱり交渉を見てみますと最後は押し切られてしまう。もう農家の人たちは米まで自由化で押し切られるのではないか、こういう心配が非常に強いんです、それはどう言たって強い。だから、私はここではどんなことがあっても、国会決議云々ではなくて政府の姿勢としてやります、国会は国会で頑張りますから、皆さんは皆さんでやります、こういう姿勢をもう一回腹の中から聞いておきたいと思うんです、総理大臣。
#15
○国務大臣(山本富雄君) お答えいたします。これは梶原委員、腹の中から申し上げることですから。
 国会決議が重いという意味で総理もしばしば引用なすっておりますし、私もその都度、衆参の国会決議を読んで肝に銘じておる、こういうことでございます。今農家を殺すか生かすかという話がありましたけれども、これはどんなことがあっても生かさなくちゃならない。こういうことでございますから、国内産で自給をしていく、日本国民のためにどんなことがあってもお米は自給をしていくんだという覚悟でやらせていただきたい。これはもう参議院から出ている大臣としても、この場でぜひ皆さん方にお力添えをお願いいたしたい、こう思っております。よろしくお願いいたします。
#16
○梶原敬義君 覚悟だけじゃあれです、結果が結局よくないと悪いわけですから、総理、決意を聞かせてください。
#17
○国務大臣(海部俊樹君) 米の問題に関しましては、国会決議の御趣旨を体して今後とも国内産で自給するという基本的な方針で対処してまいるという政府の考え方、これに今日も変わりはありません。
#18
○梶原敬義君 本来なら大臣の皆さん一人一人にそのことを聞きたかったんです、閣議で皆さんはやっぱり相談されますから、しかし、時間の関係がありますから次に移りますが、どんなことがあっても米の市場開放はしない、この姿勢を貫いていただきたいと思います。
 次に、将来にわたる税、財政運営についてお尋ねをいたしますが、財政需要が、この審議を通じても、ずっと聞いておりましたら、これからますます大きくなってくる。しかし、一方では景気に陰りが出てくる。土地、株高、三高二安といいますか、そういう状況が変わってきそうな気配がある。そうしますと将来、ここ数年のような税収の伸びというのは恐らく期待できなくなる。一方で財政需要がどんどん膨らんできそうな気配があります。
 例えば公共事業費で見ますと、十年間にこれが一・五倍、四百兆、こういうことです。また高齢化社会に対応する費用も随分入ってくる。防衛費、ODAは、後で質問しますが、どんどん急ピッチで伸びてくる。その他、国債発行残高あるいは依存度を非常に下げてくる。こういうようなことをうたっておりますが、そういう状況のもとで、一体入ってくる金はどういうように入ってき、そしてどういうようにそれを使っていくの
か、どうも将来の見通しが、中長期の見通しがわからないんです。これは海部総理大臣、海部内閣の間だけつじつまが合えばいいというものじゃなくて、将来にわたってこれはつじつまが合わなきゃならないもので責任があると思います。この点について総理から考え方をお伺いしたいと思います。
#19
○国務大臣(海部俊樹君) 大蔵大臣から。
#20
○国務大臣(橋本龍太郎君) 総理からの御指示でありますので、私の方からお答えをさせていただきます。
 今委員が御指摘になりましたように、確かに私どもは将来を考えましたとき、国民生活の質を高めるという視点から、我々自身が公共投資の十カ年計画をつくろうとしておりますように、非常に大きな財政負担を必要とする施策の分野を抱えております。それは公共投資のみではなく、高齢化の進展に伴います福祉に要する経費の増大もありましょう、また、これからの国際社会の中における我が国の責任分担としてのODAの問題等もあると思います。しかし、そうした中でようやく我々は赤字公債依存体質脱却という財政再建の第一目標に平成二年度予算で到達をしたばかりでありまして、国債残高は本年度末をもって百六十四兆と言われております。しかも、まだしばらくは、このままほうっておけば国債残高は累増するわけでありまして、私どもとしては何としてもこの累増に歯どめをかけていかなければなりません。
 同時に、一時期三〇%を超えておりました公債依存度もようやく八・四%まで下げてくることができたわけでありますから、これも財政の対応力を回復していきますためには、財政審の答申でも示されておりますように、五%以下という目標が既に示されており、私どもとしてはその方向に向けて全力を挙げてまいらなければなりません。
 そうした考え方をとりますと、今後の中期的な財政運営というものの中でまず私どもが考えるべきことは、公債依存度の引き下げを図ることであり、続いて特例公債の早期償還に努めること。これによりまして国債残高が累増していかない歯どめをどこでかけ得るか、そうした財政体質をつくることに全力を傾けていくべきであると考えております。また、このような財政改革を進めて国債費の比率を低下させ、政策的経費の割合をふやす方向で財政運営を行う中におきまして、今後の我が国の財政が時代の要請に適切にこたえていくことが可能になると考えております。
 今もう一つ申し添えなければなりませんことは、海部内閣において消費税の税率の引き上げは行わないということは既に総理がたびたび申し上げておることでありまして、私どもとしてその方針のもとで全力を尽くしていきたいと考えております。
#21
○梶原敬義君 出る方は大体わかりました。だから、先ほど言いましたように入る方ですね。非常に情勢が厳しくなる、そういうような大きな財政需要に対して一体どういうように入れていくのか、このことについて聞きたいんです。
#22
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは基本的には、私どもは税収を安定して確保してまいりますためには、我が国の経済自体が依然として内需を中心とした安定的な成長をたどり得るような経済運営を志していく、財政もまたそのために資すべく努力をしてまいるというところにあろうと思います。これがまず何よりの基本でありましょう。そして、税収を確保していくことによって対応するということが基本であると思います。
 委員が御指摘になりますポイントとして、仮に今後の個別税制の運用についての方向までを示せという御指示でありますならば、これは結局は財政需要と国民負担、税負担等について将来の国民がそのときそのときの与えられた条件の中で選択をされるべき問題であり、今からそれを固定することは決していいことではない、私はそのように思います。
#23
○梶原敬義君 財政の中期展望を見ますと、税収の伸びが三年度以降は三ないし五%と落ちている、こういうような形になっております。公共事業の問題にしても、ODAやいろんな予算、防衛予算やら何やらどんどん膨らんできておりますから、こういう税収の伸びが一方で落ちている中で、今言われましたような、要するに財政需要にこたえ得るだけの税収はもうあと何年か先からは入ってこない、こう見るべきじゃないでしょうか。確かに、経済が安定するといったって、御承知のように、戦後絶えず景気は循環しておりまして、いいときがあれば必ず何カ月後にか落ちてくる。これは循環するのはもう間違いないと思うんです。そういう状況の中で入ってくる税の見通しというのが非常に大ざっぱですから、どうもそれだけ聞いても、はいそうですかと、こういうことにならないんです。いかがでしょうか。
#24
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かにここ数年間、当局としては最大限の資料を駆使し正確を期したつもりでありました税収見積もり自体が、税収見積もりの誤りを本院においてもたびたび御指摘を受けるような状況があったことは否定をいたしません。そしてまた、それについてのおわびも過去に申し上げたとおりであります。
 ただ、その中にいわゆる三高二安といった影響があったということも委員御自身がお触れになったところでありまして、こうした状況がいつまでも続くものではないという御指摘もまた私どもはそれなりに大切に受けとめなければならないと思います。ただ、同時に申し上げたいことは、毎年予算編成の直前まで、歳入の確定につきましては、最大限の資料を駆使しながら個別の税目ごとの積み上げをいたしておりますのが事実何回も申し上げてきておるとおりの作業でありまして、我々としては歳入と歳出の両方を眺めながら毎年の予算編成を行ってまいっております。
 その場合に、今委員が御指摘になりましたように、今の時点において中期的な展望のもとにそのあり得べき税収というものを推計するということは極めて困難な問題でありまして、我々としてはその年度年度の予算編成の時点における最善の努力を尽くし歳入の推計をした上で、その歳入との見合いの中においてそのときそのときの政策要請に応じた予算編成を行ってまいる。しかし、その土台には先ほどから申し上げておりますような、一方における国債依存度の引き下げという目標があり、また国債残高の累増にできるだけ早く歯どめをかけたいという基本的な考え方があるということでありまして、私の能力では今平成二年度の予算の御審議をいただいております中において中期的な歳入構造がこうであろうということを数字をもってお答えするだけの力はございません。
#25
○梶原敬義君 総理、今お聞きになって、要するに公共事業も大変なお約束をすることになるでしょう。それから高齢化社会への対応、それからODAとかあるいは防衛費の問題とか、防衛費の問題やODAは後でやりますが、どんどん伸びている。それに対して、同時に公債依存度を五%に引き下げていく。そういうことになりますと、税収の見込みは恐らく下がってくるだろう。そういう状況の中でやりくりしても限界があると思うんです。ということになりますと、やがて増税。どういう形で増税をやるのか、あるいは新税をつくるのか土地保有税をやるのか、何かの形でやらなきゃもう何年か先に見えている話でしょう、これは。予測のつく話ですよね。こういう点について正直に、一体どのように腹の中では思っておられるんですか。
#26
○国務大臣(海部俊樹君) 大蔵大臣が今いろいろと御説明を申し上げましたが、将来に向かっていろいろと財政需要が見えてきておる、それはよくわかるんです。しかしまた、国民の皆さんのいろいろな納税に対する御協力もいただきながら、税収も図りながらそこのバランスをとっていきたいということで今鋭意努力をしておる最中でございますので、将来何で増税するのか、腹の中を言えと言われても、そんな将来の増税のことまでは考えておりませんし、今財政をいかにして将来に負担を残さないようにするか、将来赤字公債の発行に再び迷い込まなくてもいいようにしていくため
にはどうしなきゃならぬかということで、ようやく赤字公債依存体質を脱却した初年度でありますので、そういった気持ちを持って今取り組んでおるところでございます。
#27
○梶原敬義君 私はとにかくもう大体皆さんからずっと出そうな話は聞いております。入るのと出るのとのごく近い将来のつじつまはもう合わなくなるだろうと見ているんですよ。その場合に一体どうするかというのを正直に国民の皆さんに話をした上で一体どうですかというような形にならないと、私はやっぱり最終的には国民を何かだましたような形になるんではないかと思うんです。
 消費税の問題に移りますが、消費税だけのことではないですが、消費税の制度を温存しておくということは、やがては今の三%が五になり一〇になっていく運命をたどる可能性がある、私はそういう心配を非常にしているんですよ。海部総理大臣は、消費税の税率あるいは消費税についてはずっと固定をするという腹はないですか。
#28
○国務大臣(海部俊樹君) ずっととおっしゃいますけれども、私の内閣が続きます限りは固定することをお約束させていただきます。
#29
○梶原敬義君 大蔵大臣はいかがですか。
#30
○国務大臣(橋本龍太郎君) これはふざけて申し上げるのではなく、海部総理がいつまで私をこの任にとどめ置かれるかわかりませんが、少なくとも海部総理のもとにおいてこの席を汚しております間、私は税率を動かす意思はございません。そして、恐らく私の首より総理の地位は長もちをするでありましょうが、海部総理もその任期中は上げる意思はないと申しておられます。
#31
○梶原敬義君 話はちょっとそれますが、小選挙区制でも入れて自民党が衆参圧倒的多数をとるようなことになりますと、どんどんこれはふえていく運命に僕はあると思うんだね。
 いずれにしても、消費税は三%で議論をしておりますが、これが一〇%ぐらいになったときに一体、そういうことを想定しながら、そういう心配をしながら議論をしていかなきゃならない、このように考えております。大体これまで一世帯当たり三%、地域によって違いますが、まあ普通の家庭では月に六千円から一万円の間ぐらいは最低消費税を払っている。三%のときはそう。これが六%になるとその倍ですから、年間にしますと大変な金額。一〇%になりますと年間三十万円ぐらい一世帯が払うような形になるわけですね。
 したがってこの消費税というのは今ここで三%なら三%に固定する。でなければ一回廃止をして、この前、公約違反で強行採決に次ぐ強行採決をして、そしていろいろな欠陥を持っておりますこの消費税、参議院の決議もありましたから、廃止をして出直すか、どっちか。上げるということをやっぱり我々は非常にもう心配せざるを得ないんですが、今私は芽を摘む時期だと、このように考えております。総理、どうですか。
#32
○国務大臣(橋本龍太郎君) お言葉を返すようでありますが、昨年の秋の国会以来、本院におきましても、また衆議院におきましても、私ども各党から御質問をいただきます中に、参議院の議席の重みというものを考えろ、今後恐らく十年はこの状況が続くであろうということを言われ続けてまいりました。ということは、私は、消費税にかかわらず、税法のそれぞれの税率というものにつきましての、法律に規定をされております税率というものにつきましての最大の歯どめというものは実は私は国会だと考えております。
 そして、今総理からもお述べになりましたように、海部内閣として消費税の税率を動かす意思はないということを総理からも御答弁をいただいたわけでありますから、私は今後におきましても、仮に政府・与党が税率の引き上げを希望いたしました場合に、参議院の勢力というものが変わらない限りにおいて本院でそれが安易に御了承をいただけるような状況ではなかろうと存じます。仮にそれが御了承のいただけるような状況ということになるとすれば、よほど大きな我が国の経済情勢その他における変化が生じ、国民の御理解もいただけた上での改定ということしか想定ができないわけでありまして、私は消費税の税率が安易に動かされるものだとは考えておりません。
 また、恐らくこちらにおられます与党の委員の方々としても、むしろ消費税の一層の定着を図り、より一層の国民の御理解をいただこうとしております今日において、近い将来における税率の変更、引き上げといったことをお考えの方はおられないと私は思っております。
#33
○梶原敬義君 大蔵大臣は九年と言いましたけれども、それはわからない。
#34
○国務大臣(橋本龍太郎君) もっと長く続く……。
#35
○梶原敬義君 いやいや、それはわからない。だけれども、歯どめは国会だと、こう言っておりますが、やっぱり問題は、何か財政需要にかこつけて世論を形成し、そういう中で、数といったって野党は数がぎりぎりですからね。そういう状況の中で考えた場合には、そう簡単に――橋本さん、今度こっち側に座るかもわからぬ、いつかはね。今の答弁を忘れないように。私はしかと聞きましたから、このお話を忘れないようにしていただきたい、このように思うんですよ。
 その問題に入る前に、私はこの前の消費税の導入というこの問題点がなぜ問題があるのかをもう一度皆さんに訴えたいと思うんですが、おととしのあの強行採決でやった税制改革の中身というのは、一つはその前にマル優制度の廃止がありましたね。これで弱い低額所得者から税金を取る。それに今度消費税で、大蔵省発表の六十三年度ベースでいきますと、消費税の創設で五兆四千億円、課税の適正化等で一兆二千億円、これだけ入りますよと。そのときに一緒に出てきた所得税法や法人税法や地方税法その他の改正の出る方は、所得税の減税に三兆三千億円です。これは累進税率で一番高い七〇%を五〇に下げたあれですね、これで三兆三千億円。相続税の減税で七千億円。それから法人税の減税で一兆八千億円。さらに既存の間接税の廃止で三兆四千億円。合計九兆二千億円。一方、入る金は、二兆六千億円はまた一般財源から持ってこざるを得なかった。
 要するに、あのときの税制改革というのは、どっちかといいますと低所得者の方や弱い人からずっと消費税を集めて、そして配分は、法人税や相続税やあるいは高額所得者の所得税を減税するのに主に財源をぱっと使っていっておるんですね、内容は。非常にそういう意味ではもうはっきりしているんですね。だから、そこが一つは弱い者いじめの消費税ではないか。さらにこれのパーセントがどんどん上がっていくことになると一体どうなるのか、こういう心配があるわけなんです。この点について何かありますか、総理大臣。
#36
○国務大臣(海部俊樹君) 昨年の税制改革の前後のことを今詳細にお話しになりましたが、私はあの税の仕組みの中で、社会に必要な公共の費用をなるべく広く、なるべく多くの人が負担をし、そして社会のために参加をしていく、そういった制度、仕組みが世界的に望まれておるのではないかと思っておりました。
 かつてヨーロッパで行われました税制改革のときも、個人の所得税というものの累進率を、かつて日本と肩を並べ、むしろ上回るぐらいであった英国が、その刻みをうんと少なくして、フラット化というんでしょうか、うんと簡素にして、そのかわり間接税を導入していったというああいったときのこと等を思い出しますと、やっぱり日本自身の中においても、税の社会的富の再配分という仕組みの中で、累進課税の制度というのは制度としてよって立つ理由はございますけれども、それが余り極端に走ることによっていろいろ社会的な問題を起こしてもいけないという議論は世界的にもあったと判断しておりますし、同時に、所得と資産と消費という面にバランスのとれた課税をするということ、そういったようなことも世界共通の物の考え方になってきて、間接税とか消費税の制度というのは欧米諸国の五十カ国に近いところで行われるようになっておるということでありますから、消費税の導入のときにはそういった考え方で入れたわけでありまして、ただ、これですべ
てというんじゃなくて、逆進性を伴うという御批判も当時から随分ございましたが、これはそのほかの国のすべての政策全般の中で配慮は十分にしていくべきであると、そういった方面の配慮も手落ちなくやってきたつもりでございますので、全体として見ていただきたいと思うわけでございます。
#37
○梶原敬義君 幾ら言っても、この前の税制改革は高額所得者の声が非常に強かったんです、あの税制改革をやる前は。おれはこんな所得があるけどこれだけ引かれるというような、財界の人たちや高額所得者、いろんな人に聞きましたが、そういう人たちの声が非常に響いている、七〇%とか五〇%です。だから、高い人ほど今度の税制改革で恩恵をこうむっているんですよ、本当を言いますと。だから、そこはよく天の声として理解をしておいてください。
 時間が来ましたから次に移りますが、土井さんが選挙のときに限定列挙方式の個別間接税をちょっと挙げたら、私も地方で見ておりましたら、総理大臣は憤然としておられましたけれども、いろいろとマスコミでしゃべっておられましたけれども、個別間接税の概念といっても、私は、酒やたばこやガソリンや自動車諸税も、これも一種の個別間接税だと、このように見ているんです、広い範囲では。そこのところはどうお考えですか、総理大臣。
#38
○国務大臣(海部俊樹君) 選挙中のことでございましたので、確かに大きな声を出していろいろ申し上げましたが、個別間接税をお出しになったことを私は別に憤然としたり非難したりしないで、むしろ率直に、廃止廃止とおっしゃっておった社会党の委員長が個別間接税という制度を記者会見で公表されてお出しになったことは率直に評価させていただくと私はいろんなところで申し上げたつもりでございます。
 ただ、内容について、その普及率によってこれの税率を二年に一遍ずつ変えるとか、なれている制度だからいいではないかと、こういうことが社会党の記者会見のあれに出ておりましたので、これでは昔いけないいけないと言われた個別間接税に戻るのではないでしょうか、昔の名前で出ていますというようなことはよくありませんよと。これは選挙のときでしたから御勘弁ください。正直に言いまして、国民の皆さんに我々の見直し案と新たに社会党が御提案になった個別間接税とどちらがどうでしょうかというときのことをいろいろ申し上げたことは率直に認めますけれども、そういう気持ちで、お出しになったことは評価したということで申し上げました。
#39
○梶原敬義君 時間の関係でこの問題だけで議論をする暇はないんですが、何でもかんでも税金を一律に取るというやり方よりは、個別列挙型で一体どの品目から取るかというのは、大蔵省の勉強が足らなかった。その点は随分議論をしたんですね、それの方が国民にとっては平等ではないかと。担税力に見合った税金を取るというなら、それの方が平等ではないか、公平ではないかと、こういうことなんですよ、言わんとしていることは。
 ダイヤモンドあたりは、十万のダイヤモンドも一千万のダイヤモンドも、一五%かかっていたのが今はもう三%ですよ。総理大臣、その辺がやっぱりおかしいと思いませんか。何でもかんでも、土井さんが言ったらわあわあ国民の前に言うんじゃなくて、その点が一点。
 それからもう一つは、ビールやたばこや車は、これは個別間接税ですよ。ただ、大蔵省や国はこれを放したら財源にやっぱり困るから放さなかっただけで、ビール一本中瓶で税金は百三十円ですよ。それからたばこ、マイルドセブン一箱で税金が何ぼと思いますか。これが一箱百三十円。一日にビール一本、たばこ一箱のんで二百六十円税金を払っている。合計しますと年間十万円になるんです。いいですか。それから、我々が乗ります車一台、この自動車諸税が十四万円かかる。これで二十四万円かかるんですよ。そうすると、年収三百万の人だったら一カ月の給料がこれで持っていかれるんですね。だから、一億円の人はもうこれはただみたいなものかもわからぬけれども、そういうふうな個別間接税個別間接税、悪い悪いと言ったって、こういう点をほったらかしてああいうように議論されちゃ本当に困るんです。総理は税に対して一体どこまで知って物を言っているのか、私は非常にあのときに不思議に思いました。
 次に、ガソリンの問題です。内外価格差の問題でガソリンの問題をちょっと後で取り上げたいと思ったんですが、もう時間の関係で先に言ってしまいます。
 百三十円でガソリンを買うとしますと、ガソリン二十リットル入れますと二千六百円。そうすると、ガソリン税が千百十五円か、それにさらに三%の消費税を持っていかれるんですね。内外価格差に対して、一体どのようにこのガソリンの問題についてはお考えになるのか。これは余りひどいと、こう言うのか、この問題もあわせて一緒に答弁をしてください。
#40
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員から御指摘のありました問題点、トータルとしてお答えを申し上げますと、今回の税制改革の中で個別間接税制度というものが抱えておりました諸問題を解決するために、原則として消費一般を課税対象とする消費税というものを創設し、これを我が国の間接税制度の根幹と位置づけたことは御承知のとおり、また御指摘のとおりでございます。
 これについていろいろな御意見がございましたけれども、こうしたすそ野の広い課税というものが他の国々にも多数存在することも何回か御答弁を申し上げておることでございます。そうして、その上で別途さまざまな課税対象あるいは政策目的に沿って特定の物品やサービスに対して税を課している例が多いことも委員が御承知のとおりでございます。ですから、私どもとしては消費税というもの、一般的な消費税というものを間接税体系の根幹に据えた上でそれぞれの政策目的に沿った、例えば委員が御指摘になりましたようなガソリン税のような個別間接税が併存すること、これは私は間接税の体系として決して間違ったものだと考えておりません。
 そこで、ガソリン税につきまして今御指摘がございましたが、道路整備のための特定財源として受益者負担的な観点から課されているものでありますし、その税負担も使途との関連において適正に定められていると私どもは理解をいたしておりますし、西欧諸国と比較いたしましてもその水準が決して高いものではないと考えております。この政策目的との見合いという点についても御着目をいただきたいと思うのであります。
#41
○梶原敬義君 ガソリン税は、ガソリンはアメリカがリッター三十円で八円ですね。たしか日本は五十八円かな。ちょっと今詳しい数字を持っておりませんから申しますと、これ日米内外価格差で言うと最たるものですね。これは比較したら大したことはないと言うけれども、大したことがあるんですよ。
#42
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員がアメリカと対比をされました。確かにアメリカとの比較で割高となっておることは事実であります。しかし、ガソリンの小売価格自体をお考えいただきますと、フランスあるいはイタリーよりは日本は安いはずでありますし、イギリスや西独よりも多少高いという程度の水準でありまして、私は、国の中に非常に大きな石油資源をみずから持っております国と、残念ながらほとんどの石油を輸入に頼っております我が国と、その差もお考えをいただきたいと思います。
#43
○梶原敬義君 時間がありませんから簡単に申し上げますと、先ほどちょっと言った数字間違っておりましたが、一リットル百三十円で二十リットルを給油した場合二千六百円、ガソリン税が千七十六円かかるんですね。三%の消費税が七十八円かかる。税負担額は千百五十四円。これは大変な金額なんですよね。道路財源の問題というのは、本来ならもう今まで車がこんなに普及した状況では一般財源から充当するような考え方がもう少しあってもいい。しかし、先ほど言いましたよう
に、そういうような財政需要に対して財源というのは非常に難しいというのもよくわかりましたけれども、一体どのようにして財源を確保するのか。消費税を上げるというのか、新税をつくるというのか、さっぱりわからぬわけです。消費税については三%で、結論を申しますと、もうわかりましたよ、ずっと三%でいくというんだから。いくというなら、もうこの際そのくらいのことなら廃止をしましょうよ、廃止を。一たん凍結をして公平公正な税制を考える、このことを強く要望して次に移りたいと思います。
 今お配りしたのは、これはパネルになっておりますが、これまでの予算の推移なんですけれども、一番上が、昭和五十八年度を一〇〇といたしまして指数で出して、経済協力費が一五五・六%、そして防衛関係費が一五一・〇。これから見てわかりますように、食糧管理費というのは四三・三、中小企業対策費は八〇・一、社会保障費も、防衛費の半分の一二七・一、こういうような状況になっている。ずっと引き延ばした平成二年度の防衛費の予算というのは四兆イゴクサイ予算でありまして、四兆一千五百九十三億ですか。だから、こういうように見て、単年度で見ますと皆さんはいろいろ言うだろうけど、これはずっと累積をしてみますと、このようにほかの予算に比べて累増しているんですよ。私は今度のこの国会あるいは今度の予算編成に当たってこのカーブをやっぱり下げるべきだと、当然じゃないかと思うんですよ。今のような軍縮あるいは国際緊張が緩和されている国際情勢において、一体この率は余りにもひどいじゃないか。その点について、総理大臣、いかがでしょうか。
#44
○国務大臣(石川要三君) 総理のお答えの前に所管の大臣として私の方からもお答えをさせていただきたいと思います。
 先生も十二分に御承知のことでございますが、我が国の防衛というものは、いわゆる防衛計画の大綱、この水準に到達することを目標として今日の中期防というものが着実に努力をされている、この点につきましてはもう十二分に御承知のとおりでございます。平成二年の予算におきましては、かかる観点から国の他の諸施策との調和を図りつつ必要な経費を計上したわけでございます。しかし、今先生がお示しになりましたような最近のこのアップの率というものも私は十二分に承知をしているわけでございます。
 今後の問題でございますけれども、平成三年度以降の防衛力整備については、安全保障会議を中心に、国際情勢及び経済財政事情等を勘案しつつ、政府全体として逐次総合的な検討が進められていくわけでございまして、ただ、その経費規模についてはあくまでも具体的な事業内容を精査しながら決めていくものでございます。したがいまして、初めに経費ありきという考え方はいかがなものかと思うわけでございますが、いずれにしましても、昭和五十一年の閣議決定の節度ある防衛力の整備を行う、この精神というものは引き続き尊重してまいりたい、このような考えに立っているわけでございます。
 今示されましたこの内容でございますが、確かに非常にアップ率はトップになっていることは承知しております。しかし、防衛力というものはその水準を維持するというだけでも相当な経費を要する性格のものでございます。例えば隊員の宿舎あるいは隊舎等の整備を初めあらゆる後方分野の充実を図っていきたい、かように思っているわけでございまして、防衛庁としては、このような観点から防衛費の削減をするということはなかなか実は困難の感もあるわけでございます。先生も御承知のとおりだと思いますが、今日私どもがあらゆる小学校あるいは幼稚園に行きましても、大体もう体育館あるいはプール等は完備されておりますが、私も実は就任していろいろと報告を聞いて感じましたことは、依然としてまだこの部隊の中にも八十余カ所体育館もないというような状態、こういうようなことから見て、これからもさらに後方の整備に一層の努力をしていきたい。このようなことを考えますと、防衛費を削減するということは非常に難しいという面もあるわけでございます。
#45
○委員長(林田悠紀夫君) 簡単に願います。
#46
○国務大臣(石川要三君) いずれにしましても、この内容につきましては確かに率の高いことはわかりますが、しかし、防衛庁が発足をいたしました昭和三十年から今日までの社会保障費あるいは公共事業費あるいはその他文教費、いろいろととってみると、必ずしも防衛庁が突出して大きな伸びを示していないということも実態でございますので、その点も御理解をいただきたいと、かように思うわけでございます。
#47
○梶原敬義君 私は、五十八年に国会に来たんですが、そこから話を今しております。
 今もちょっと言われたが、もとが小さいから率が上がっていくのはやむを得ないような意味のことを言われましたけれども、ちょっと言いますと、私は大分県ですが、大分県の平成二年度の予算総額は五千百三十六億ですよ。それで、九州七県の予算総額が平成二年度で約四兆四千億です。この九州七県の平成二年度の一般会計予算と大体匹敵するような金額です。どうしてもとが少ないなんて言うんですか。どうですか。
#48
○国務大臣(海部俊樹君) 金額の物理的な比較というのは、これはよって立つ基盤や次元や目的が違いますのでここで御議論をすることは差し控えさせていただきますが、県の予算と国の防衛費の数字の違いを、何を基準にしてそれじゃ多い少ないを見ろと言われても、これは私はちょっと基準の物差しを持っておりませんので、それに対する答弁はやはり控えさせていただきますし、大分県は大分県なりの真摯な御努力をお続けになっておる、こう思っております。
 なお、日本の防衛費のことにつきましては、これは戦後一時期は日本にとってみずからの国の安全を守っていくための節度ある防衛力の整備はどの程度がいいのかという、そういった視点に立って考えをまとめた防衛計画の大綱に従っての整備であり、平成二年度予算まででその中期防衛力整備計画の達成ができるというところに来ておるわけでありますから、結果として見ますと確かにお示しになったような線の上昇ぶりになってきておると思いますが、目的はあくまで力の対決を前提としたものではなく、みずからの平和と安全を守るために必要なものと、平和時における範囲をきちっと決めてやってきた計画であると私は受けとめております。
#49
○梶原敬義君 六十年から行政改革が始まっていますね。それでゼロシーリングが始まって、ほかのところはぎゅうぎゅう締めて地方に負担をかけて、これをずっとやっていった。そして防衛費とODAはこれは例外だということでずっと伸ばしてきたんですよね。これは一年一年見ればそうかもわからぬけれども、これだけ積み重ねてきたら、やっぱり国民みんなが辛抱しておるときにこんな高い率で伸びるということに対しては、本当にこの数字を、このグラフを国民の皆さんが見てなるほどなと言いますか。幾ら理屈を言ったって言わないでしょう。要するに食糧管理費、中小企業対策費や教育費、この予算を見てください、これ。ゼロシーリングの結果こうなっておるんじゃないですか。これだけぐっと伸びて、総額が小さいから伸びたんだ、こういう議論があるなら、それは総額はあの広範な九州全体の県の予算に匹敵するんですよ、一つの例ですね。
 だから、やっぱりその点については、私は最後に申し上げますが、文民統制ということを総理大臣きのうから言われましたね。文民統制がもうきかなくなっているんですな、この予算には、防衛費に対しては。文民統制がきくならこの予算のカーブは、今のような国際情勢、矢田部委員等の議論の中で外務大臣が本当に私は勇気ある答弁をされたと思うんですよ。そういう情勢の中なんですから、私はやっぱりこのカーブを修正していく。ほかの予算との関係から見てもこれはあんまりですよ。どうでしょうか、最後に。
#50
○国務大臣(海部俊樹君) 防衛費の問題につきましては、これ何度も申し上げるようですが、平成
二年度の予算までで中期防を達成する。それは別に、東西の対立のところへ日本も力でもって参加しましょうというような、そういう思い上がった、大それた気持ちで整備した防衛力でありませんから、日米安保条約のもとにおける我が国の平和と安全を守るための平和時における節度なるものはどうかという点に立っての計画でございましたから、それは御理解をいただきたいと思いますし、また平成三年度以降のものに関しましては、そのときどきの国際情勢の変化、財政事情、経済事情その他のものを総合的に判断しながら検討をしていくことになっております。
#51
○梶原敬義君 わかりました。口先でいろいろ言われても、これはこの流れが変わるかどうかがこれからのやっぱり私は見どころだと思う。
 大蔵大臣、そこはしっかり腹を据えて、度胸を決めて、文民統制がきくような予算編成を望みまして、質問を終わります。
#52
○国務大臣(橋本龍太郎君) 平成二年度の予算におきまして、絶対額におきましても率におきましても、防衛費の伸びよりも社会保障関係費の伸びの方が高いということは委員もお認めをいただけると思います。
 そして今、平成三年度以降の防衛力整備につきましての御意見は確かに拝聴いたしました。当然、今後の国際情勢また経済財政事情等を勘案しながら、安全保障会議を中心に政府全体として検討を進めてまいることとなると考えております。そして、やはり憲法と専守防衛という基本防衛政策というものに従い、節度ある防衛力の整備を行うという視点で、私どもとして聖域を設けない予算編成を行いたい、そのように考えております。
#53
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で梶原敬義君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#54
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、大河原太一郎君の総括質疑を行います。大河原君。
#55
○大河原太一郎君 私に与えられた時間の関係もございますので、農林漁業関係を中心といたしまして以下質疑を行わせていただきます。
 我が国は八〇年代、経済大国の地位に上がりましたが、それに伴って国際経済社会との調整という大きな課題に当面しております。言うなれば輸出大国から輸入大国、経済大国から生活大国ということでございますが、まさに構造調整の問題でございますが、その過程で農林漁業等におきましてはいわゆる摩擦と痛みが大変起きておるということも事実でございます。米価を初めとする行政価格の抑制、あるいは農林関係予算は五十七年以来六千億に近い縮減を見ておるわけでございます。
 他方、市場開放の要請が大変強うございまして、牛肉・オレンジのように、あるいは八品目の自由化の決定というようなことでございまして、大変厳しい情勢にあるわけでございます。特に最近においてはウルグアイ・ラウンド等の関係で米の市場開放問題が大変論議されておりまして、農家、農村の間においては農業の将来等につきまして不安と懸念があるということも御認識のとおりでございます。
 このようなことは、まさに農業を含む国民経済と国際経済社会との調整、その中で農業の維持発展をどう図るかということが農政の緊急の課題になっておる、さように承知するわけでございますが、これにつきまして総理の基本的なお考えをまず聞かせていただきます。
#56
○国務大臣(海部俊樹君) 農政の問題について農政の御経験の深い委員にお答えするのはいささかちゅうちょするところでありますけれども、しかし農政の推進に当たりましては、農業が自立できるように確固たる長期展望のもと、希望を持って農業を営める環境をつくり上げることが重要であると考えております。
 したがって、先般、農産物の需要と生産の長期見通しを閣議で決定したところでありますが、これを指針として農業構造の改善、すぐれた担い手の育成、技術の開発普及など諸般の施策を総合的に展開してまいる考えでおります。また、農林水産業の持つ多面的な役割を重視し、条件の不利な中山間地域を初め農山漁村の活性化を図ってまいりたいと考えております。
#57
○大河原太一郎君 農政に関する総理の基本方針は承ったわけでございますが、次に、農政本来の諸政策に入る前に、国土政策との関係について一、二の質問を行います。
 農林水産業の発展と農山漁村の活性化という視点から見ますと、国土政策は大変関係を持つわけでございます。御案内のとおり、昭和六十二年の四全総、ここにおきましては、東京圏等の一極集中型の国土形成から多極分散型の国土形成を目標とする、そういうことが固められたところでございますが、この場合、これらの諸政策を推進する場合といいますか、多極分散型の国土形成を推し進める場合には、それを直接推し進める施策そのものばかりではなくて、国政の重要施策についてはこの視点に配慮して諸施策を進めるべきである、そういうふうに考えるわけでございますが、それについて総理の御所見を承りたいと思います。
#58
○国務大臣(海部俊樹君) 御質問の中にありましたように、東京一極集中を是正して多極分散型の国土の形成を図る、その必要を認めておりますから、四全総に基づいて地域主導の地域づくりの推進を基本として、その基盤となる交通、情報・通信体系の整備などに目下努めておるところでありますが、その一環として多極分散型国土形成促進法に基づいて振興拠点地域の開発整備等の施策をただいま推進中でございます。また、都市、産業機能の分散を図るために、国の行政機関の移転なども推進しているところであります。
 今後ともこれら諸施策の一層の充実を図ることによって、多極分散型国土の形成に積極的に努めてまいらなければならない、こう考えております。
#59
○大河原太一郎君 総理のお答えはやや隔靴掻痒の感がございますが、次に問題を進めます。
 最近決着いたしました日米構造協議の中間報告の中で、社会資本の整備につきましては、公共事業の長期計画の拡充と国民生活の質の向上に重点を置いた公共投資の充実ということが言われておるわけでございます。この場合、ただいま申し上げました多極分散型の国土形成、これに対して最大の配慮が払われるべきである、さように思うわけでございますが、もう一段進めまして、我が国は、御案内のとおり、生活基盤整備が大変諸外国におくれている、その指標のとり方にもよりますけれども、おくれておると言われておりますけれども、特に農山漁村地帯の生活基盤の整備がおくれておるわけでございます。これについては、生産基盤の整備のみならず生活基盤の整備という点については、農林水産大臣の格段の御努力をお願いしなければならないところでございますが、社会資本の配分計画に当たられる経済企画庁長官、さらには予算編成の責任者である大蔵大臣におかれましても、この生産基盤の整備と相並んで生活基盤の整備に農林関係公共事業の編成には留意すべきと思いますので、それぞれの御所見を承りたいと思うわけでございます。
#60
○国務大臣(相沢英之君) 今お話がございました日米構造協議の中で重要な一項目でございます公共投資の問題につきましては、来年度以降十カ年間の事業費につきまして、目下各省庁からのヒアリングを行っているところでございまして、その取りまとめを急いでおりますが、この十カ年間の公共投資につきましては、その支出総額を明らかにするということになっております。
 おっしゃいますように、日米の構造協議の中には、「公共投資の配分に当たっては、国民生活の質の向上に重点を置いた分野に、できる限り配意していく。」ということになっております。この国民生活というのは、おっしゃるように決して都市を中心としたということではなくて農村にも、特に農村における生活環境は立ちおくれている面も多々あるのでありまして、委員御案内のように、例えばおくれておりますところの下水道の分野におきましても、農村は特に都市に比べて立ち
おくれが目立っているのであります、現在いわゆる下水ということだけではなくて集落排水その他の形でそういった事業も進められておりますが、これからも本当に農民が安心して農業を営めるような姿に持っていくためには、特に農村の環境整備というものも急がねばならない。
 したがいまして、その公共投資の支出総額の検討に当たりましては、委員のおっしゃいますように、今私は例として下水、集落排水のことを申し上げましたが、生活環境の整備につきましても当然に十分な配慮を持って行っていかなければならない、このように考えております。
#61
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今基本的な部分につきまして経企庁長官から御答弁がありましたので、構造協議における議長省の一つとして担当いたしました分野からお答えを申し上げたいと思います。
 御注目をいただきたい第一点は、アメリカ側のアイデアはさまざまなプロセスがございましたが、その中の一つは都市集中ということでありました。同時にもう一つの特色は、現在進行中のものをも含めた、いわば長期計画の壁を取り払って、ある場合は年度も超えて重点的な投資を考えてはどうかというアイデアでありました。中間報告に私どもが我が国の責任において今後実施していく方針として盛り込みました中には、今企画庁長官が御答弁になりました以外にもう一つ大事なポイントがあることを御理解いただきたいと思います。
 それは、平成二年度で終期を迎えることになります八本の長期計画につきましてはすぐ引き続いて次の計画の作成に入るわけでありますけれども、平成三年度以降に終期を持ちます現在進行中の長期計画、農林公共もその一つでありますが、これらについては、それぞれの計画自身の、現在の計画における着実な実現のために努力するという方針でありまして、これらの部分に手をつけておりません。これはまさに今委員から冒頭御指摘がありましたような、農林関係の方々の非常に厳しい環境の中における、より不安を生ずることのないように政府として考え、例えば農林公共の分野について、現在進行中の計画を着実に実施するということを、いわば八本の終期の到来する計画はすぐ後を続けるという裏腹に、残る七本については着実な実施をお約束しているという点で、この点はどうか御理解をいただきたいと思うのであります。
 また同時に、今企画庁長官からもお述べになりましたように、我々は都市集中の中間報告をまとめてはおりません。公共投資の中にはさまざまな種類があるわけでありますが、我々はあくまでもやはり一極集中を排除し多極分散型の国土形成を図るというその基本方針を見失うことなく、この構造協議に対してまいりました。予算編成時におきましても同様の意思は続くものと信じております。
#62
○大河原太一郎君 先ほど総理の農政に対する基本的な取り組みの姿勢ということについてのお話がございました。その中で、構造改善の進捗なりあるいは担い手の育成、これを重点に置いて進めたいと。まさに構造政策の問題でございます。
 もうこれは申すまでもないところでございますが、大変国土資源の制約された日本農業でございますけれども、施設型農業についてはある程度生産性が向上しておりますが、稲作等の土地利用型農業、これは大変生産性向上についてのおくれがあるところでございまして、今日の農業情勢から見て農政の重点として構造政策の一層の進展が期待されているわけでございますが、重点的にこの点について農林水産大臣の御所見を承りたいと思います。
#63
○国務大臣(山本富雄君) お答えいたします前に、どうも農業を今まですべて教えていただいた先生に余りできのよくない生徒が答弁するようなことで大変恐縮でございますけれども、猛勉強いたしましたから一生懸命お答えをしたい、こう思っております。また、なお質問が大変御熱心で二十項目余にわたる質問もございまして、あるいは舌足らずの面もあるかもしれません。それから、委員がこれまた教えてこられた政府委員がたくさんおりますから、もし必要がある場合は政府委員にどうぞ遠慮なくお話しいただきたい、私からももちろん一生懸命答弁をさせていただきたい、こう思っております。
 さてそこで、今問題になりました土地利用型農業、これが今一番頭が痛いわけでございます。構造改善局長を中心にいたしまして一生懸命やっておりますが、地域地域の合意を形成してもらいながら、一番大事なこれからの担い手ですね、若い人たちに期待を持たせるような構造政策というものを正面に打ち出していかなければならない。そこで、地域の実情に即しました農地の売買あるいは賃貸あるいは農作業の受委託、こういうことを総合的にやりまして、大きいことだけがいいことじゃありませんけれども、力を持たせる、国際競争力を持たせるという意味で中核農家を育てるということに重点を置きながら、さらに全体的には生産の組織化を進めていく、こういうことでやらせていただいております。
 いわゆる農地流動化施策、こういうふうに私どもでは称しておりますが、この農地流動化施策というのを中心にいたしまして、農業生産基盤の整備だとかあるいは今申し上げました農地の出し手、農家の安定的な就業機会の確保というふうなことなどもいろいろ工夫をしてやってまいりました。例の農村工業導入というふうなことも農工一体の姿の中で新しい構造政策をつくり上げるためにも大事なことだというふうなことでこれからも進めてまいりたい、これが一番の重点だというふうに考えておるわけでございます。
#64
○大河原太一郎君 さらに、総理の基本的なお取り組みの考え方の中で、中山間地帯の問題に触れられております。御案内のとおり、我が国における中山間地帯、これは自然条件その他の関係から農業構造の改善が進みにくいというわけでございます。その地域における耕地面積は全面積の四割程度に達するということも言われておりますが、この地域においてはもう申すまでもなく人口の老齢化、過疎化が進んでおって、活力が低下しておるわけでございます。しかし、この地域につきましては、御案内のとおり、国土保全というような視点から大きな役割を演じておるところでございます。したがって、この数年来中山間地帯に対する特別対策ということが農政各方面で論議をされてきたところでございます。米価決定等におきましても常にこの地域の問題が集中的に取り上げられたところでございますけれども、いよいよその一歩が踏み出されたわけでございます。
 平成元年の補正予算、農山漁村振興基金制度等によりまして融資制度なりあるいは農林業の基盤整備事業なり、さらには平成二年度における過疎対策の充実というような点についてはいずれもその対策は強化されたと思うわけでございますが、私はこの際御提案申し上げたいのは、さらに進めてこの対策を強化すべき時期に来ておるのではないか、さように思うところでございます。
 御案内のとおり、ECにおきましては、共通農業政策の一環として自然条件不利地域に対する農業の特別対策ということを講じておりまして、これは国土保全なり景観の維持とかその地域における農業所得の維持等から見て所得政策も行っております。特別報償金の交付その他各般の強力な施策が行われておるところでございますが、我が国においても中山間地帯農業あるいは農山村の現状から見てこれらの政策について至急取り組むよう検討を開始すべきではないか、さように思うところでございますが、責任大臣の農林水産大臣から御所見を承りたいと思います。
#65
○国務大臣(山本富雄君) お答えいたします。
 今委員御指摘のとおり、この中山間地帯、これがやっぱり今一番問題のアキレス腱とも言うべき部分なんです。非常にハンディをしょった農山村の地帯あるいは漁村がここに入っているわけでございまして、これに対して先般の補正の際にも基金制度なども両院の先生方の御賛同を得てつくっていただいたという経緯もございます。これはも
う本当に部落を維持していけるかどうかというふうなところ等もございまして、どうしても力を入れていかなければならないというふうなこれは地域問題、社会問題だと、中山間地域は。そういうふうに本省としても取り上げていかなければならないというふうに思っております。
 各般の施策を総合的に推進していきたいというふうに考えておりますが、今御提案のECの山岳地域その他条件不利地域の農家に対する直接所得支持制度、これはけさもう一遍勉強させていただきました。非常に思い切った制度でございまして検討しなければなるまいなと思っておりますが、これは生活保障まで中に含まれておるというふうな大変ドラスチックなやり方でございますので、果たしてそこまですぐできるかどうか問題がございますが、一生懸命研究させていただきたい、御指導をお願いしたいと思っております。
#66
○大河原太一郎君 ただいま農林水産大臣から検討の旨のお話がございましたけれども、それぞれの問題点がございますし、ECと我が国の農業事情の差異は当然でございまして、画一的にECの政策を取り上げろと申し上げておるわけではございません。日本型の中山間地帯対策の強化、そういう方向に向かってひとつ政策の前進を期待するところでございます。
 なお、これは答弁は要りませんけれども、農業問題を考える場合に、これは皆さん御案内のところでございますけれども、農業というのは自然や水や土地を相手にする産業だ。したがって、市場原理に基づいて生産転換というような合理的な対応は困難だ。その点については十二分に総理以下関係諸大臣等も配慮に置いていただきまして農業問題の処理に当たっていただきたい、さようにお願いを申し上げるところでございます。
 次に、構造政策と並んで価格政策の問題について少々お尋ねをさせていただきたいと思います。
 御案内のように、現在の価格政策の運用の基準は内外価格差にも配慮する、農業の生産性を向上してコストを切り下げて国民の合意し得る価格水準に持っていく、それを主体として運営されていることは御案内のとおりでございますが、その場合に生産性向上のメリットの問題があるわけです。本来やはり消費者への還元、これが配慮されるのは当然でございますし、さらにタックスペイヤーの代表としての財政にもこれがどう帰属するかという問題がございますが、やはり生産者への帰属という点についても十二分の配慮が行われるべきじゃないか、さように思います。
 現実の行政価格の運営につきましては、激変緩和措置というようなことで毎年の行政価格の決定についてはさよう取り扱われているようでございますが、やはり生産者にやる気を起こさすという視点から、価格政策の運営についてはその視点がぜひ必要であると思うわけでございますので、その点について農林水産大臣の御所見を承りたいと思います。
#67
○国務大臣(山本富雄君) お答えいたします。
 申し上げるまでもありませんけれども、価格政策というのは、農産物の価格の安定を旨としながら農業経営者のためとそれから国民、消費者のサイドと両方考えつつ設けられておる、こういうふうに認識をしております。そしてまた、そのために需給均衡の確保を考えながらいろんな施策を展開しつつ、しかも国民の理解と納得を得られるような価格を形成させる、こういうことなんです。
 ところが、率直に言って、生産者の皆さんにお会いしますと、生産性向上生産性向上、足腰の強い農政とこう言われて生産性向上を一生懸命やったのはいいが、向上した分は自分の方へは返ってこないんだと、こういう悩みというか苦しみといいますか不満というもの、コストを下げた分だけちっともそれが自分の方にはね返ってこないということのつらさというものがいつも指摘をされます。私聞いておりまして、そうだなと。もちろん消費者のことは考えなきゃいかぬ。食べていただくわけですから。提供するわけですから。しかし一方では、努力をしてそれだけコストを下げる、血のにじむような努力もするわけですから、それについての今先生御指摘のような生産者へのメリット還元というふうなことを考えなきゃいかぬのじゃないかということでございます。そのために、この価格政策の適切な運用、そしてまた今先ほど申し上げました構造政策の充実、これを図ってまいりたい。そうして、特に最近流通加工分野で合理化をしろと、そこまで話がもういっているわけですけれども、それらも含めて生産性向上を図りながら、コストの低減が消費者だけじゃなくて生産者にも及ぶような方途というものを農林水産省としては当然考えていくべきだ、それが思いやりのある温かい農政なんだとこういうふうに私考えて、そういうつもりでやってまいりたいと考えております。
#68
○大河原太一郎君 次に、価格政策との関係でいわゆる内外価格差の問題、これについてお尋ねをしたいと思います。
 国民生活の質の向上から内外価格差の是正が問題になっておりまして、特に食料品の問題、これがいろいろなところで論議されておるところでございますが、経済企画庁の発表なさいました物価レポート、これを子細に読ませていただきますと、東京とニューヨークの例を挙げまして食料品については東京を一〇〇とするとニューヨークは六九だと。ところが、耐久財とかあるいはサービス等を含めた総合ではもっとその差が少ないかと思いましたら、東京を一〇〇とするとニューヨークは七二というような数字になっておりまして、私はそんなに差がないんじゃないかなというふうにも思ったわけでございますし、まあこの計算というのは昨年の一ドルが百二十八円程度のそういう時代の計算でございますから、今日の相場でいきますとその格差はもっと縮小するのではあるまいか、さように思っておるところでございます。まず第一点はここでございます。
 それからもう一つは、食料品については品質だとか鮮度とか嗜好とか食生活のパターンというふうなものが大変それぞれ各国違っております。したがって、この比較の場合にはそう簡単じゃないと思うわけでございます。この点の問題についても十分考慮すべきであると思うわけでございます。
 それから第三点は、これは今農林水産大臣のお答えの中にも触れられておりますけれども、消費者が払う食料品価格の中では、生産者段階の取り分以外に流通加工の部分が相当占めております。これは生鮮食料品あるいは加工食品それぞれについて割合が違いますけれども多くの部分を占めておりますので、その内外価格差の是正という問題に対する政策的な取り組みの場合にはこの点についても、単に生産段階の問題だけでなくて流通加工の段階にも配慮すべきであるというようなことを考えるわけでございますが、以上三点については物価を総括する経済企画庁長官からお答えを願ったらいかがかと思うわけでございます。
#69
○国務大臣(相沢英之君) 委員御指摘のように、内外価格差というものがかなりあるということは事実でございまして、これはいろいろとりようがあるのでありますが、今委員お話しのございますように物価レポート、これは昭和六十三年、一昨年十一月の調査であります。この東京とニューヨークあるいはハンブルクとの間における物価差を調べておりますが、おっしゃいますように、東京を一〇〇といたしますとニューヨークが七二、これは総合であります。食料品が六九、耐久財が七六、被服その他が六七、その他商品が七九、こういうことが出ております。
 ただ、これは何かちょっと少し変な気もするのでありますが、為替相場が大きくこれは関係をいたしておりまして、円安になると物価差がどんどん縮まってくる、こういうことになるのであります。手元に今、一ドル百五十三円八銭ですか、これは三月の月中平均の為替レートでありますが、それで換算をいたしました相対価格の表を持っておりますが、これで見ますと東京を一〇〇といたしますとニューヨークは八六、食料品は八三、耐久財は九一とかなりその物価差が縮まってまいるのであります。この間のように一ドル百六十円台
に近い数字になりますと、なおこれが縮まってくることはもちろんのことでございます。
 食料品につきましては、今この表で見ましたところでもかなり他の耐久財等々と比べましても物価差が大きいではないかというふうに思われますが、委員は余り大して違わないという御指摘でありますけれども、ほかのものに比べますと大きいということにつきましては、おっしゃいますように品質とか鮮度とか食生活などが違いますので単純な比較をすることは問題がないではない。それからまた、同じ食品につきましても消費者のニーズと申しますか、日本の場合には例えば同じ野菜に関しましても、へぼキュウリなんていうのは売れないから真っすぐそろったキュウリを売るとか、あるいは果物なんかについても非常にきれいに場合によってはワックスをかけて光らせるとか、そういうことにかなり金がかかっている面もありますし、それから包装なども御承知のように相当金がかかっている。ですから、そういった点について、これはまあ消費者サイドからも問題があるわけでありまして、その点については消費者行政の面でいろいろとPRもいたしているのでありますけれども、なかなかまだ問題としては残っているように思うのであります。
 それからもう一つ、生産者価格において違いがあるだけではなくて、消費市場に出るまでにいろいろと卸、小売の段階を通る間にマージンが加わってくる、その面において価格が開いてくるということもあるわけであります。この点は、日本と諸外国との間の比較、いろいろあるのでありますけれども、なかなか正確なところはわかりません。ただ言えますことは、日本の場合はその小売に至るまでの間の卸段階が非常に多段階であるということ、それから小売につきましては店の数が多い、そして一店当たりの従業員の数が比較的に少ない、一人当たりの売上額は必ずしもそうではないのでありますけれども、要するに小規模な小売店がたくさんあるというような点に特色がございます。
 それではそのマージンが諸外国に比べてどうかという点につきましては、これはまた必ずしも正確な調査ではありませんけれども、生産者の手元を離れたときの価格とそれから小売店との価格における開きは、必ずしも日本の場合がそう高いということは言えない。ただ、申し上げましたように、一小売店当たりの売上額等が小さいところがありまして、その人件費等のコストが余計かかっておるというような点もあろうかと思います。卸の段階が非常に多段階であるということはこれは調査でも明らかでございまして、卸の売上総額というものが小売の売上額に対する比率が、例えば消費財全体で日本は二・一三でアメリカが一である。食品につきましても日本は二・五六でアメリカが一・一二。つまり、卸段階において非常に多段階の間をその商品が動いていく。そのためにコストがかかる面もあるようでございます。いずれにいたしましても、それほど大きな小売価格と生産者価格との差額は認められないように思っております。
#70
○大河原太一郎君 ただいま経済企画庁長官から、私の議論もニューヨークと東京という限定した地域における食料品の内外価格差あるいは耐久消費財なりサービスを含めた総合との議論でございますけれども、この点については、いわゆる常識的に見て食料品の内外価格差が大変あるというような一般的な認識が強いわけでございまして、内外価格差問題の食料品についての取り扱いについては関係省庁間で十二分な議論を行い、しっかりしたデータと見方から物価責任の経済企画庁におきましても進めていただきたいと、さようなことを強く要望するところでございます。
 次に、いよいよウルグアイ・ラウンドの農業交渉、一九八六年に発足いたしまして交渉期限四年のこのウルグアイ・ラウンドも第三コーナーを回り第四コーナーにかかっておるというところでございますが、申すまでもなく、この今回の農業交渉の内容は国境保護措置の縮減、さらには各国農業政策のあり方についての規定をするところでございまして、この成否いかんというものは我が国農業の将来に対して非常に影響を持つところでございまして、政府も当然でございますが全力を挙げて当たっておるところでございますが、全国の農民もかたずをのんでこの帰趨を見守っておるというのが現状でございます。
 この点について御質問を申し上げますけれども、まず我が国の市場開放度の問題でございます。これにつきましては、先般も村沢委員の御質問に答えた中山外務大臣の御答弁がございました。私もそのとおりだと思います。と申しますのは、国境規制等につきましては御案内のとおり牛肉・かんきつあるいは八品目の自由化が決定されまして、輸入規制の品目は既に米国やECよりも少ないというところでございますし、農産物関税を見てもEC水準よりも低いわけでございます。しかも、この四年の状況を見ると、農林水産物の輸入は毎年二割もふえておる。五百十億ドルにとうに達しておるわけでございまして、我が国の輸入総額の四分の一にもなっておるというところでございます。農林水産物等の市場の開放度がいわば抜群であると言っても差し支えないというわけでございます。こういう立場から、ウルグアイ・ラウンドの農業交渉におきましても輸入大国と申しますか、輸入国としての我が国の主張を強く推し進めるべきである、さように思うところでございます。
 自給率の低下は申し上げるまでもないところでございまして、食糧の安全保障あるいはその基礎的食糧、そういう概念にのっとっての主張は強く行われるべきであるというふうに思っておるところでございます。ウルグアイ・ラウンドの農業交渉の成功をおもんぱかる余り、我が国農業の基本的な利益、これを害するような譲歩というものはかりそめにもあってはならない。この点についての交渉責任者としての外務大臣の御所見を承りたいと思います。
#71
○国務大臣(中山太郎君) 委員お尋ねのガット・ウルグアイ・ラウンドのメキシコにおける会議におきまして、先般も当委員会で御答弁申し上げておりますが、日本政府の考え方は衆参両院における御決議の趣旨を十分尊重して次のような主張をいたしてまいりました。
 農業についても、我が国はこれまで多くの品目について輸入アクセスを拡大してきており、世界最大の農産物純輸入国として安定した市場を提供し、農業貿易の安定的発展に大きく貢献をしてきております。しかしながら、その結果、我が国の自給率は四九%と著しく低い水準となっており、食糧安全保障への配慮の必要性が不可欠となっております。国内における農業の役割にはさらに国土・環境保全、雇用、地域社会の維持等極めて重要なものがあり、食糧安全保障を含むこれら非貿易的関心事項への配慮は不可欠と考えます。このような状況にあることから、昨年末我が国は、基礎的食糧に関し所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置をとることが認められるべしとの提案を行ってきたところであり、各国の理解を得たいと思います。
 このような主張をいたしております。委員御指摘のように、この食糧に関する問題はガット・ウルグアイ・ラウンドでいろいろと意見が出ております。しかし、日本政府の考え方は今申し上げましたこの考え方で一貫して主張を続けておるわけでございます。
#72
○大河原太一郎君 基本的な姿勢についてはそのとおりだと思います。これをどう貫徹していくかということについていよいよの段階に来ておる、そういうことでございますのでせっかくの御努力をお願いしたい、さようにお願いするところでございます。
 次に、ウルグアイ・ラウンド農業交渉の大きな項目は国境保護措置の問題でございます。これについては米国の提案を中心とした関税化の問題が出ております。これに対する我が国の姿勢については先般も村沢委員の御質問に対して中山外務大臣のお答えがございまして、国際需給関係の変動あるいは為替相場の変動等を考えると画一的な関
税化は困難だし、まして米等の基礎食糧は例外だという主張で一貫してきておられますけれども、日本と別な立場でございますが、関税化を反対していたECが最近、これは非常に虫のいい案だと思うんですけれども、可変課徴金をそのまま、可変関税そのままといっても厳密には違いますけれども基本的には似た関税、そういう可変関税的なものに変えるということで関税の土台に上がってきておるのでございます。
 これに関連いたしまして、我が国の中においては何といいますか、日本が孤立するんじゃないか、取り残されるんじゃないかというような議論も出ておりますが、この点について外務大臣の御所見を承りたいと思います。
#73
○国務大臣(中山太郎君) 先般のメキシコ会合におきまして、ECとアメリカとの間では激しい論争が行われました。その後、ECとアメリカとの間でいろいろと協議が行われておるということも私も新聞報道等で拝見をいたしておりますが、私どもは日本の考え方というものをあくまでも主張し続けなければならない、このような考え方でおりますが、この交渉の過程におきまして現在その責任を持っております経済局長がここに出席しておりますので、経済局長からその辺の状況を説明させていただきたいと考えております。
#74
○政府委員(林貞行君) 先ほど先生から御指摘のありましたアメリカの関税化についてのECの考えということがまず第一点かと思いますが、先生御指摘のとおり、この関税化と申しますのは関税以外のすべての貿易障壁を内外価格差をもとにしまして関税に置きかえ、アメリカの主張によりますと十年間でこの関税をゼロまたはそれに近い低い水準にするということでございます。
 ECは、これも先生御指摘のとおり、関税化の提案につきまして一定の条件をつけてこれを考えてもいいというようなことを言っております。従来反対しておったわけですが、一定の条件が満たされればこの検討に応じてもいいということでございます。他方、この条件というのをよく見てみますと、関税全体のリバランシングとか関税化の中に可変要素――補正要素と言っておりますが、国際価格の変動とか為替の変動とかそういうものを入れていくということでございまして、実態といたしましては今ECの持っております可変課徴金の制度と大きく変わらないわけでございまして、新聞等に言われております関税化につきましてECとアメリカが近寄ってきたというのは、必ずしも現段階では当たっていないんじゃないかというふうに考えております。
 我が方の態度につきましては、農産物の関税化についての日本の考え方でございますが、農産物の価格変動それから為替レートの価格に与える影響、いろいろ考えますとこれは問題がある、特に基礎的食糧それからガットの規定におきまして輸入規制が認められている品目について関税化は困難であるというのが私どもの基本的な考えでございます。
#75
○大河原太一郎君 農業交渉も交渉の途中でございまして、各国特に主要国がその固有の利益を主張するために虚々実々と申しますか、いろいろな点で調整をしておるところでございます。したがいまして、その細微にわたっての内容等については私は伺おうとは思わないところでございます。ただ、大きな流れの中で孤立をするとか土俵の外に置かれるとか蚊帳の外に置かれるとかということのないような点については、外務大臣以下農林水産大臣等も格段の御配慮をお願いしたい、さように思うわけでございます。
 次に、国境措置と対比されます国内の農業支持政策でございます。
 農業物貿易を歪曲するような生産刺激的なこれらのものについての縮減、廃止ということが問題になっておるところでございまして、先般の御質疑の中でもアメリカの考え方、交通信号的な考え方等の御紹介もございました。承知しておるつもりでございますが。その場合で懸念されますのは、交渉の手段として総合的な計量手段、AMSというんですか、それが取り上げられておりますが、この内容は既にOECDで開発されたPSEというような方式にのっとっておるようでございますが、あれは大変問題であるというふうに思います。生産基盤なりあるいは研究開発投資、普及等そういう問題の補助金等の取り扱い、これについて非常に問題であると思いますけれども、我が国はこれに対していかなる考えをとって対応しているか、この点について農林水産大臣にお願いいたします。
#76
○国務大臣(山本富雄君) この論議はきのう池田委員との間でも出たんですけれども、こういうふうに私どもは考えております。
 国内農業支持問題、これがいろんな形で問題になってきておるということでございますが、私どもは国内の各般の支持政策というものを一律に撤廃してしまうということはこれはできない、応じられない、こういう立場を終始一貫とってまいりました。そして、現在行われている交渉ではこの国内支持政策、補助金等を含めましてこれはこういうふうに大別をして考えておる。貿易への影響の度合いを尺度にいたしまして、一つ、許容されるべきもの、それから二つ、ガット上一定の規律のもとに置くべきもの、こういうふうに分類をいたしまして検討を続けていただきたいというふうにやっているわけでございます。
 私どもは、ガット上一定の規律のもとに置くべき政策の範囲を限定的に定めるべし、こういうことを従来言い続けておりまして、今後の交渉におきましてもこの姿勢を貫いてまいりたい、こう考えております。
#77
○大河原太一郎君 ウルグアイ・ラウンドの農業交渉等についての各種の論議をちょうだいしたわけでございます。御答弁もちょうだいしたわけでございますけれども、これらの論議を踏まえていよいよ最終段階に臨む総理の基本的なお考えをお聞きいたしまして、この農業交渉の質疑は終わりたいと思います。
#78
○国務大臣(海部俊樹君) 我が国は、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉において、農業が果たしている多様な役割が適切に配慮されるよう積極的に対応しておるところでありますが、昨年十一月には食糧安全保障等の観点から、基礎的食糧については所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講じるよう提案を行ったところであります。今後の交渉において食糧輸入国としての我が国の立場が適切に反映されるよう全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
#79
○大河原太一郎君 午前中の質問を終わります。
#80
○委員長(林田悠紀夫君) 大河原太一郎君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#81
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を再開いたします。
 平成二年度総予算三案を一括して議題といたします。
 休憩前に引き続き、大河原太一郎君の質疑を行います。大河原君。
#82
○大河原太一郎君 午前中の質疑で積み残した米問題について簡潔に質問をいたします。
 ウルグアイ・ラウンドに関連いたしまして米の市場開放問題、連日御質疑がございますが、政府の方の御答弁は一貫したかたい御答弁、かたい姿勢の御答弁でございまして、この点については改めてお尋ねするつもりはないわけでございます。ただ、この米の我が国の方針を貫くために、ウルグアイ・ラウンドにおける食糧安全保障なり基礎的食糧、そういうルールの創設と申しますかそういう姿勢で臨んでおりますけれども、これについてはケアンズ・グループなり米国というような輸出国の反対が大変強いというふうにも承っておるわけでございますが、これについて関係大臣の方に内容のお話とあるいはこれを貫く姿勢、これについての御所見を承り、さらに総理のこれに対す
る御見解を承りたい、さように思います。
#83
○国務大臣(中山太郎君) 今委員お尋ねの、ケアンズ・グループのいろいろな提言あるいはEC、アメリカ等の提言がございますが、それぞれ交渉者が自国の利益を守って大変激しい交渉をやっているさなかでございまして、私どもはこの政府の今日御答弁申し上げた姿勢を堅持して交渉者に訓令を出しているということでございますが、その実態につきましてはただいまから経済局長から御報告をさせていただきたいと思います。
#84
○政府委員(林貞行君) 先生先ほどお話がありました食糧安全保障についてのルールでございますが、午前中の委員会の討議で議論になりました基礎的食糧について国境措置をとり得るという我が方の提案、これがいわばルールに関する我が方の提案ということでございます。
 先生御指摘のとおり、アメリカそれからケアンズ.グループ等輸出国側の態度といたしましては、食糧安全保障というものの重要性はわかるけれども、他方、食糧安全保障ということであれば、例えば備蓄とか供給先の多角化とかそういうことで対処できるんじゃないかという考えを輸出国側は言っておるわけでございます。我が方といたしましては、自給率が非常に低くなっているということでそういうことでは到底対応できないということで、午前中から申し上げておりますような基礎的食糧については国境措置がとれるという案を強く頑張っておる次第でございまして、先ほど大臣から申し上げたとおり、粘り強く交渉をしていく所存でございます。
#85
○大河原太一郎君 米に関連して、米は一粒たりとも輸入しないというようなそういう議論が行われておりまして、それは通用しないというような意見もございますけれども、ただ市場を開放しないということだけをとらえての批判であって非常に不適切だと思うわけでございますが、これらについて農林水産大臣の御意見を承りたいと思います。
#86
○国務大臣(山本富雄君) 今先生の御指摘の米は一粒たりとも云々、これはよく言われることでございます。また、四月二十日の日経新聞にもずっと長々と載っておりました。私は、農林水産省へ参りましてすぐ記者団との会合のときにこれらの質問がございましたので、それは例示としてよくない例示だ、象徴的に一粒たりとも云々というふうな言葉を取り上げてやることは我が国の農産物市場がいかにも閉鎖的だというふうなことを一般に印象づけることになる、非常に不適切だというふうなことを記者諸君に申し上げたことがございます。
 申し上げるまでもございませんけれども、我が国の農産物の市場というのはこれまでもうたび重なるアクセス改善の努力というものを長い間やってまいりまして、その努力の結果、現実には世界で最も開かれた農産物市場の一つだということは数字の上でも明らかなんです。また、世界最大の農産物の純輸入国であるということも、これも数字の上で歴然としておる。
 なお、重ねて申し上げますが、我が国は生産者、生産者団体、行政、これが三位一体となりまして、血を吐く思いといいますか水田面積の三割減反というのをやってきた、非常に厳しい生産調整を今日まで続けてきたというふうなこと等も考えておりますが、しかし、どうしても消費は減少しまして、現在需給ギャップが埋まらないんです。
 そこで、米はどうしても引き続き過剰基調が続いておるということを考えますと、この際、さらに日本の生産者に調整を強要するというかお願いをして外国のお米をやるということはできない。外国のお米のためにさらに生産調整を強化するということは絶対できない。到底納得できない。これはもう国民がそういうふうに思っているというふうに考えられます。現に、きょうの朝日新聞、毎日新聞をごらんかと思いますけれども、主婦連が千人の主婦に対して全国的に調査をしてみたというデータが載っておりまして、米の自由化については主婦の四割は反対しておるというのが出ておりました。それからまた、高くてもおいしくて安全な米をと、こういう主婦の皆さんの声が圧倒的に強いということも出ておりまして、こういうこと等を考えますと、私は、国民の常識的な、極めて良識的な世論の中では米輸入をすべきでないという考え方が大宗を占めるんじゃないかというふうに考えながらこの新聞記事等を見たわけでございます。
 しかも、委員御承知のとおり、自給率は非常に大幅に低下しているということを考えますと、まさに食糧安保の観点から自給率を上げることをも考えることが急務でございまして、これ以上下がったら大変だということはもう関係者が口をそろえて言っていることでございます。
 さらに、水田稲作というものが国土保全上とか、あるいは環境保全上非常に大事だというふうなことを考えますと、米を輸入する環境には今ないというふうにはっきり私は考えておりまして、再三総理からも御答弁があり、私も衆参にわたって本会議、委員会で繰り返し申し上げていることは、ただ空念仏で申し上げているんではない。覚悟を持ってそれを申し上げておる。また、国民の皆さんにもぜひこれは御理解を願いたいというふうに考えておるわけでございます。
#87
○大河原太一郎君 次に、ちょっと横にそれますけれども、次代を担う青少年にとっては農業、林業、水産業等に対する教育ということは大変大事だと思うわけでございますが、農林水産行政に御造詣の深い保利文部大臣の所見を承りたいと思います。
#88
○国務大臣(保利耕輔君) 農業あるいは林業、水産業、これは古くから日本で営まれてきた重要な基礎的な産業だと私は考えております。また、将来ともこの産業は残していかなければならない、維持されるべき産業だと私は心得ております。そういった観点に立ちまして文部省といたしましても子供たちに対する教育には力を入れてまいりました。
 せんだって、つい最近も小学校の教科書を私は手に取り寄せまして拝見をさせていただきましたところ、小学校の五年生段階での社会科の教科書の中はほとんど農業、林業そしてまた水産業についての記述で埋められております。大変いい記述もございますし、また問題点の指摘もされておるというのが現状でございます。
 そういった形でこの農業、林業、水産業というものをきちんと子供たちに教えていくという体制をとっておりますし、今後もそれに対しては力を入れてまいりたいと思っております。先生からの御指導をまたよろしくお願い申し上げたいと存じます。
 御参考までに、この教科書については先生に見ていただきたいと思って差し上げたいと存じます。(資料を手渡す)
#89
○大河原太一郎君 次に、林業問題に入りたいと思います。
 国土保全、水資源の涵養あるいは保健休養の場とか、公益的機能は非常に森林に対しては従来からも言われておりますし、特に地球化した環境問題というようなことで、温暖化問題あるいは熱帯林問題等で森林の役割がいよいよ重要視されております。しかしながら、我が国の林業の担い手である山村なり林業を見ますと、老齢化の問題とか過疎化の問題がございますし、各般の事情から林業生産活動は大変停滞しております。これに対してはどうしても林業等山の活性化のための基本的な取り組みが必要だと思いますけれども、農林水産大臣の御所見を承りたい。
#90
○国務大臣(山本富雄君) 昨日、全国の営林局長会議というのがありました。私は、終わった後駆けつけまして皆さんに、現場の声を聞かせてくれ、また現場の苦労を私ども身をもって肌に感じながら国会でまたやりたい、こういう話をいたしました。そのときに、農は国のもとだということがあるけれども林は国の礎だ、こういう話をいたしましたら、みんなそうだそうだということになりまして、そして森や林を防人のごとく守ってきた者の苦労というものをよく大臣わかってくれ、
こういう話でありました。私感銘して聞いてきたんです。
 そこで、今先生御指摘のとおり、林業労働力というのは年々歳々減少している。それから国産材と外材の競争、先般もアメリカとの間の木材交渉をやりましたけれども、そういうこと等もございまして非常に厳しい状況下に森林業があるというふうなことは御承知のとおりでございます。
 そこで、二つの目標を林野庁としては立てまして、一つは、森林の公益的機能の発揮に対する国民の要請にこたえ緑と水の源泉である多様な森林整備を進めるとともに、二つは、戦後造林が収穫期を迎えるいわゆる国産材時代、これを私どもは楽しみにしているんです。数十年後には必ず来る、二十一世紀には必ず来る、こういうことでこの国産材時代に備えて外材との競争に耐え得るような林業、木材産業というものをつくろう、これは農村の足腰の強いところと同じことでございます。しかし、言うはやすく非常に行うはかたいというふうなこと等もございます。
 そこで、林道などあるいは林業生産基盤の整備、その他たくさんここにございますけれども、一々申し上げませんが、とにかく今申し上げた林は国の礎だということ、それから最近は例の地球環境の問題からして森林を地球的な規模で守れというふうなことも世界的な声として大きく言われておるわけでございまして、こういうものを背景にしながら、我々は先輩がやってきた林業行政にさらに新しい創意工夫を加えながら何としてもこれを守っていくための諸施策を総合的に強力に推進させていただきたい、こう考えております。
#91
○大河原太一郎君 ただいま農水大臣から林業整備の基本方針についてお話がございましたが、その中にもございましたように、我が国は戦後一千万ヘクタールの人口造林を行って育成途上にある、二十一世紀に主伐期を迎えた場合には国産材時代が到来するということが言われておりますが、これに対する体制ができているかどうかという点については大変問題でございます。今の答弁にも一部触れられておりますけれども、以下申し上げる諸点についてのお考えを承りたい。
 担い手の問題、即林業労働力の問題でございます。それからまた、生産性の立ちおくれ、これは機械化の問題でございます。さらには林道等の社会資本の整備の問題でございます。さらには外材等との競争体制のもとにございます流通加工体制の甚だしい立ちおくれの問題がございます。
 以上四点につきまして現状と対応、これについて簡潔な御答弁をお願いいたします。
#92
○国務大臣(山本富雄君) 今お話がございました担い手対策、老齢化が進んでいる、そして林業労働者のさまざまな就業の条件が悪化しつつあるというふうなことでございまして、これは何としても支えていかなくちゃならない、こう思っております。そこで、いろんな施策が必要でございますが、魅力ある就労の場を提供できる林業事業体の育成、それから退職金制度、これも非常に大きい問題なんです。各種社会保険への加入促進、これも大きい問題がある、これらを進めていこう。
 それから二番目といたしまして、造林、林道等の生産基盤の整備、そして機械化の促進、これは今申し上げますが、林道をつくっても実際にはいろいろつるを切ったり、下刈りをしたりすることはなかなかうまくいっていないのですね。そういうことについてみんな労働がきついものですから、何とか機械化できないかという声もある。それからまた、基本的には、林業労働者といってもこれは山村にみんないるわけですから、山村の定住環境を整備するというふうなことでございまして、これは公共投資の問題にも大きくかかわってくる生活環境整備という問題がございます。
 そこで、今御審議いただいております平成二年度予算、これを通過させていただきましたならば、林業担い手育成総合対策ということを現実に予算化いたしまして、そしてさまざまな観点からこの予算で進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 機械化の問題につきましては、これは先生よくお話しの林道が非常に重要だ、林地を形成していく場合に林道が非常に大事だ、こういうことを言われているんですけれども、現在調べてみますと計画に対して達成率が四割ぐらいしかいっていないんですね。半分もいっていない。これも非常に問題なんです。山や林が荒れているもとになっているということを考えまして、しかも労働力が足りない、そして高齢化しているというふうなことを考え、また若い人がきつい労働は嫌だ、山の仕事は嫌だ、こういうことになるわけでして、そのためにどうしても、先端技術ほど大げさなことでもないのでしょうけれども、機械化を進めなきゃいかぬ。
 これは産官学でやるべきだとけさも私は皆さんに申し上げたところですけれども、産官学一体になりまして、国有林と民有林との境も何もないんですから、どちらにも機能的に使えるような森林を守るための機械をつくっていかなくちゃならない。聞くところによるとまたそれはかなり研究が進んでおりまして、実用化もでき得る。ただ田んぼの機械みたいに需要が大きくないものですから、なかなかこれがただコストだけ考えるとできないのでして、そこで国あるいは県、市町村の助成なども必要なのじゃないか、こう思っております。機械化を含めまして進めてまいりたい、こう考えております。
#93
○大河原太一郎君 次に、時間の関係もありますので、熱帯林問題について多少の質問をいたします。
 地球上の森林面積の約半分が熱帯林、そのうち一千万ヘクタールが年々減少しておる、これが地球的規模の環境問題、温暖化問題等と関連して非常な問題になっております。この現象についてはひところ、先進国、木材輸入国がその原因だ、元凶だというような議論もございました。先進国が開発途上地域における資源略奪的な一つだというような議論もございましたけれども、私は必ずしもさように思っておりません。この問題につきましてはっきりした大きなマクロ的な意味の熱帯林減少の要因とその背景等について、これは農水大臣にお伺いしましょう。
#94
○国務大臣(山本富雄君) 最近にわかに言われておるわけでございますけれども、確かに年々地球上から、特に熱帯地域を中心にして一千万へク以上の森林が減少している。これは大変なことなんですね。そこで、私も農林省へ行くまではあるいはそうかなとも一時思っておりました。これは認識不足というか、間違いでしたが、テレビなどで取り上げられますと、今委員の御指摘のとおり、先進国が南の国へ行ってみんな木を切っちゃった、特に日本などはその容疑者の一人だ、こういうふうなテレビ放映などが一時なされた。
 ところが、原因を調べてみますと、FAO、国際機関の調査によれば、熱帯林の減少の要因は、開発途上国における人口の急増、この人口の急増に基づく、まあ正直に言いますと無秩序な焼き畑移動耕作、これが非常に膨大に行われておる、あるいは過度の放牧、これはデータが出ている、それが大きな原因だ。ですから熱帯林の減少というのは、先進国が特に日本も入って木材を盛んに輸入させた、これが原因であるように言われているけれども、大部分は地元の薪炭材、用材ということで消費をされている。そして焼き畑が大きな原因になっているということなんです。
 ただ、これはこれだけだというふうに言い切ることはできないと思います、批判を招かないように十分国際世論にも、あるいは南の国の方々にも気持ちの上で留意する必要は十分あるというふうに考えておりますので、むしろこの熱帯林の減少をこれからしっかり防止していく、そして適正な保存利用ができるように今海外林業協力にいろんな形でODAを含めまして我々がやっておる、また、これを続けていかなければならない、こういうふうに考えております。
#95
○大河原太一郎君 原因なりその背景等については承りましたが、いずれにしても我が国は世界第一の木材輸入国であり、また戦後一千万ヘクタールの人工造林を行う高い林業技術を持っておりま
すので、地球的な規模における環境問題に対応するということで、やはり熱帯林の保全と復元と申しましょうか、また造成、これについては国際協力を十二分になさなければならない、さように思っておりますが、この点についてはいかがですか。
#96
○国務大臣(山本富雄君) 国際熱帯木材機関、これはITTOというんですけれども、これが我が国は横浜にあるんですね。寡聞にして私は今まで知らなかった。この間会議を行いまして、非常に有力な活動をしている国際機関の一つであります。それから、国連の食糧農業機関、こういうものへ資金協力を前向きに積極的にやるというふうなこと等を従来もやっておりますし、これからもさらに積極的に推進をしていきたい。
 それから、先ほどお話をいたしました南の国の木が切られている、こういう問題ですけれども、過去はともかくといたしまして、これから先の問題等、これは重要でありますから、ランドサットの衛星ですね、これによる森林資源の探査、これを平成二年度予算ではぜひやらせてもらうということでございます。
 それから、熱帯林の生態研究、これをプロジェクトをつくりましてやっていこうということで、これは国際的な協力なくして地球の森林は守れない、日本の森林も守れない、こういう意識で進めてまいりたい、こう考えております。
#97
○大河原太一郎君 次に、ただいま林政上最大の問題になっております国有林問題についてひとつお尋ねいたします。
 国有林の果たしている公益的役割は一般民有林以上に大きな役割を果たしておりますし、木材の供給も国内供給の三割というような大きな役割をしておりますけれども、これに対しては大変現在厳しい経営状況にあるところでございます。収入は多くを借入金で賄っておるとか、累積債務が増加しているというようなことでございますが、これについては抜本的な体制改革が期待されておるところでございます。特に、先般の行革審の最終答申でも、新しい林政の展開と国有林野事業の抜本的改革についての基本的検討を林政審議会において検討することが要請されておりますが、この大きな国有林野事業の果たしている役割と、もう一つこれに対する基本的対策等については国政の重要問題としてひとつ総理の御見解を承りたいと思います。
#98
○国務大臣(山本富雄君) 総理の答弁の前に私から申し上げたいと思います。
 お米の問題が非常に最近難しい、厳しい、こういう意見が続いておるわけなんですけれども、農林水産省としてはさまざまな問題がございます。もちろんお米もその一つなんですけれども、もう一つの大きな問題は国有林問題なんです。
 私、役所へ行きましてもう連日林野庁の幹部を呼んでいろいろ勉強しております。また、組合関係の方にもむしろ積極的に会いまして、いろいろ現場の意向、従来のいきさつなども率直に聞いて、ともども何とかこの危機を打開しよう、こういうふうに言っているんですね。山を経営しようといったってそれが赤字になってパンクしちゃ何にもならないというふうなことでございます。
 そこで、ちょっと前置きが長くなって恐縮でございますが、せっかくの機会でございますから、国民の皆様に知っていただく意味で次のように申し上げたいと思うんです。
 国有林野事業は、昭和五十三年以降国有林野事業改善特別措置法による改善計画を推進してきた。それを六十二年七月に改定をいたしまして、さらにこれを強化して今、改善計画に基づいて事業を進めておる。四つございまして、その一つは事業運営の効率化、二つは要員規模の適正化、三つは組織、機構の簡素化、合理化、四つは自己収入の確保、これは当然ですけれども一つ一つ極めて重要なんです、等の自主的改善努力を基本とし、あわせて所要の財政措置を講じつつ経営改善に努めているところであります。ところが、こういう努力を払っているにもかかわらず隘路がございまして、木材の収穫量は、戦中、戦後及び高度経済成長期における大量伐採による影響と、近年の自然保護の要請の高まりから減少せざるを得ない。
 それから林野、土地の売り払いですね。物を売ればいいじゃないかということなんですけれども、これは国公有地の公売見合わせなどから従来の手法では大幅な拡大は難しい。ただ売ればいいというものじゃない。
 それから要員調整のこともございますが、これも十分やっぱり協議をしつつやらなければならない。支出の削減にもおのずから限度があるというふうなこと等がございまして、なかなか隘路ばかりなんだ、八方ふさがりの状態だ。これを金に換算いたしますと、平成元年度におきましては利子償還金は二千七十一億円、支出全体の三六%になるということなんですね。これは会社で比較して考えると大変なことなんです。それから、人件費を除く事業支出は一千九十二億円、支出予算の一九%にとどまっている。片方が三六%なのに、片方は一九%なんだ。これでバランスが合うわけはないんですよ。平成元年度末債務残高は何と二兆円を超えるとともに、今後は毎年二千億円近くの債務が拡大するということでございますから、これは一般企業、会社で言えば倒産の状態だということは申し上げなくてもわかっている。国有林野事業の財政事情は本当に厳しいということがおわかりだと思います。
 今後の経営改善の進め方につきましては、先ほど委員の御指摘のとおり行革審でも指摘をされておりますし、またそれを受けまして、林政審議会において国有林野事業の経営の健全性を確立するため総括的対応策をお願いしたいということで鋭意検討していただいておりますけれども、これは検討だけで済むことじゃないんです。毎日毎日利息がつくわけなんです。二兆円の大赤字ということでございますから、何としても国会の与野党の先生方の御理解も得ながら、国民の御理解も得ながら、山を守っていくためにはこれは何とかしなくちゃならないということで必死にやってまいりたいという思いでございますので、ぜひ御指導と御協力をお願いいたしたい、こう思っております。
#99
○国務大臣(海部俊樹君) 国有林野事業の果たすべき役割につきましては、国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全など公益的機能の発揮、木材の安定的供給、農山村地域の振興など、多方面から重要なものがあると承知しております。森林、林業等に対する国民の関心が高まっている中で国有林野事業が今後ともこのような役割を十全に果たしていくためには、経営の健全性を確立することが基本となってまいります。このため国有林野事業の累積債務対策を含めた総括的な対応策について、現在林政審議会で検討を願っているところでございます。
#100
○大河原太一郎君 農林水産大臣の国有林野事業の財務内容についての危機的な情勢、それを踏んまえた総理の抜本対策の必要性等についてはわかりました。
 その場合、この経営健全化のための抜本的な取り組みというその姿勢でございます。厳しい森林、林業の環境の中で自立した林業経営、範を垂れる、これが国有林だということが必要だと思うわけでございますが、そのためには、やはり国民的な合意を得られる自助努力、これが何としても大事だと思います。新行革審の答申でもそれが指摘されておりますが、取り組む姿勢について農林水産大臣の御所見を承りたいと思います。
#101
○国務大臣(山本富雄君) ただよそ様や人様にお助けを求めるという姿勢ではだめなんでありまして、まさに自助努力ということだろうと思います。
 衆議院の予算委員会でも御指摘がありまして私答弁いたしましたけれども、山は経営採算だけで見るべきではない、こういう御指摘がございまして、私まさにそのとおりだと。しかし、その大事な山を守るためにも、経営採算ということを全く無視してはできないということもお答えをしたわけでございまして、これはもう林野庁、農林水産
省挙げまして、またこれは管理している者、管理される者、すべてがとにかく山を守っていかなくちゃならないという気持ちに燃えながら自助努力を中心にやっていく、その中でまた助けていただけるものは助けていただく、最終的には国民の皆様の応援を求める、こういう格好だと思っております。
#102
○大河原太一郎君 国有林野事業については、今もお話しございましたけれども、多方面の要請が高まっておる。そのためには、間伐なり、あるいは林道投資、新規投資も必要でございますが、償還金利子の返済に追われてそれは全く困難でございます。このようなことを考えますと、やはり累積債務問題については避けて通れない問題だと思うわけでございます。しかも、取り組み姿勢としては自助努力、これが大事でございますけれども、これもお話しございましたように、林業経営の低収益性の問題、あるいは公共的役割を果たさなければならないというような問題、そういう諸点を考えますと、やはり抜本的な対策、これが国として必要ではあるまいかと思うわけでございますが、この点につきまして大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
#103
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど来、農林水産大臣、また総理からも御答弁がございました。国有林野事業というものにつきまして、基本的には独立採算で運営すべきものであるという原則は委員御承知のとおりであります。しかし、その中におきましても、この状況の厳しい中で国有林野事業の財務状況にかんがみて、昨年度の予算においては百六十三億、平成二年度の予算におきましては百八十五億の繰り入れを一般会計から行ってまいりました。
 現在、林政審の方で新たな林政の展開及び国有林野事業の抜本的改革に向けて検討を行っておられるということでありますが、いずれにいたしましても、引き続き徹底した自主的な改善努力、所要の財政措置というものをあわせて、国有林野事業の経営の健全性確立に必要な基本的な条件というものの整備を図らなければならないと思います。
 ただ、この機会に大変恐縮でありますが、多少の時間を拝借して委員の各位にお聞きをいただきたいことがございます。先刻来の御論議を伺いながら、ちょうど私は昭和四十五年から四十七年ぐらいまでにかけての我が国の公害問題の非常に激しかった時期における衆議院並びに本院の御論議を思い起こしておりました。公害国会から環境庁の設立に至り、その後の一連の経緯の中であります。
 当時、党派を離れて、衆参両院の公害特別委員会を中心に、環境庁創設にあわせて、自然保護という視点から林野行政というものを見直し、自然保護という視点による林野というものの位置づけをはっきりさせようという動きが大変強く出たことがございます。例えば社会党の島本虎三議員でありますとか、あるいは公明党の岡本富夫議員、さらに本院の小平芳平議員等、非常に積極的な御努力をいただきました。しかし、環境庁をつくりますとき、結局、国有林の中で環境庁自然保護局に移されましたのは鳥獣保護に関する部分のみでありました。そして、その後、三木元総理が副総理・環境庁長官の時代に、文化庁から天然記念物行政の一部が自然保護局に移管され、ようやく例えば釧路湿原とタンチョウが一体として保護できる状態が生まれたわけであります。
 しかし、当時、国有林関係者は、これは決して私は労働組合だけを問題にするのではありません、林野庁当局を初め、労使があわせて国有林の独立性というものを守り、自然保護という視点を取り入れないことに全力を尽くされたわけであります。環境庁創設に参画いたしました私どもは、当時、大変情けない思いをいたしました。そして、国立公園法を改正し、自然公園法にこれを移しかえ、その中における自然植生の原生の状態をそのまま保存しようという地域指定にも、遺憾ながら協力の得られない場面が当時の国有林野行政との間にはしばしば起こったわけであります。そして、遺憾ながら政府だけではございません。労使ともの抵抗でありました。そして、むしろ党派の問題ではなく、国有林野の特別会計を中心にお考えになる方々と、環境、自然保護という視点から論陣を張られた方々との間は、常に国有林野の立場に立つ方々が結局勝利をおさめられたということであります。
 今我が国の貴重な自然植生のみならず、動物あるいは鳥獣の生息地域を守るためにも、その地域における自然の保護というものが大切になる時代。私は、林政審の御論議の中にそうした視点からの議論も必ず組み入れていただきたいもの。そして、国有林行政というものの中に、環境庁と林野庁という縄張りの問題は別の問題で、お役所同士でやっていただけばいいことでありますけれども、壊してはならない自然というものをどう守り続けるかという視点を今回の林政審の答申、その後の林野行政の中に生かしていただきたいと心から願っております。
 切れない木がふえれば、国有林の中で伐採できない地域がふえれば、それだけ一般会計が負担しなければならなくなる部分が大きくなるでしょう。しかし、それは将来の国民のために必要な投資だと私は信じております。
#104
○大河原太一郎君 環境行政に通暁なさり、また厳しい体験をお持ちになりました大蔵大臣がただいま御主張なり御指摘の視点からも、当然国有林野再建事業についての最終の論議の中にはその論点を取り入れられて、よりよい結論が出ることを私どもも期待しております。
 最後に水産問題、これについて二、三触れます。
 二百海里体制の定着なり、あるいは公海漁業の規制というような強化が進んでおりまして、我が国の周辺水域の問題が大きく浮上しております。我が国の周辺水域というのは世界で有数な漁場でございます。しかしながら、最近においてはその資源状況が必ずしもよくないという点でいろいろな問題を惹起しておりまして、資源管理型漁業の推進ということが問題になっておりますが、この点についていかなる御決意で、いかなる内容を持ってお進みになるか、お伺いいたしたい、農水大臣ですか。
#105
○国務大臣(山本富雄君) 今度は木から海の方へ。
 とる漁業からつくったり育てたりする漁業へと、こういうキャッチフレーズで、文字どおりキャッチフレーズだけじゃなくて、これはもうそれでいかざるを得ないんです。二百海里体制というのがしかれている以上、これはただただとるというだけで我が国の水産業がやっていけるという時代ではなくなった。そして、このためにいろんな助成措置などを講じながら漁業者が自主的に資源管理をしていく。今自助努力の話が出ましたけれども、自分たちで工夫をしながら、今までもうとればいいんだというのから、とることと、つくることと、育てることと、そしてまたとることと、こういうふうに変えていかなきゃならないというふうな考え方が現実に少しずつ進んでいる。
 そして、今度衆議院の方に法案を提出いたしましたけれども、海洋水産資源開発促進法の一部改正、水産二法というのをもう衆議院の方へ出しましたが、これらもひとつぜひ当院に参りましたら早速に御審議を賜りたい。今私が申し上げたような、あるいは大河原委員のおっしゃったようなことで、これを強力に進めようということをもとにした法律だということでございます。資源管理型漁業、こういうふうに申し上げていいと思うんですけれども、そういう格好でこれから進めていくように我々としては対応をしていきたい、こう考えております。
#106
○大河原太一郎君 次に、周辺水域との関係で従来から、また最近も中国漁船とか韓国漁船との漁船操業の問題でいろいろ問題が続いております。我が国の関係地域、これは北海道やあるいは西日本水域、この漁民の焦燥感が高まっておるわけでございます。もちろん、両国との関係で漁業協定等あるいは民間自主協定も結ばれておりますけれ
ども、この際両国間との漁業調整について新しい展望をもう開く時期が来ているんじゃないか、さように思いますが、この点についての御所見を承りたい。
#107
○国務大臣(山本富雄君) 答弁の前におわびをして訂正いたします。
 衆議院の方へ水産二法を出しましたと言いましたが、参議院でございます。参議院先議でございまして、まことに申しわけありません。都市農園の関係を向こうへ出すということでございますので、訂正をいたします。申しわけありません。
 それから今の日中、日韓の漁業関係なんですけれども、これは韓国との間ではこの協定締結後の情勢の変化に即して、自主規制措置という格好で今まで対応してきている、この自主規制措置を実施することで合意をしておるということでございます。ところが、どうも最近の状況から、韓国もそうでございますし、中国もそうでございますが、どうも水産物需要が増大した、あるいは魚をとる技術が非常に向こう様も向上したというふうなことなんでしょうか、我が国の周辺水域での操業が活発化して、違反操業や我が国沿岸漁業との調整を要請する声が非常に大きくなっているということも事実であります。
 いろいろ相談もしておりますけれども、当面は外務省の方にも逐一お願いをしておりまして、現行協定の枠組みのもとで両国との間で十分な意思疎通を図りながら操業の適正化を図るということをとにかく徹底していきたい。そして、当然のことですけれども、この水域というのは、日本だけじゃなくて韓国、中国それぞれ共通した漁業の場所でございます。歴史的にも地理的にもお互いがまさに一衣帯水の場所で、共同にやっているという場所でございますから、そういう過去の歴史も踏まえ、長期的な将来の展望も考えながら、とにかく話し合いを旨として何とかこの適正化を図ってまいりたい、粘り強くやってまいりたいというふうに考えております。
#108
○大河原太一郎君 二百海里時代の定着なんということも生々しく響くような時代でございますし、また我が国の遠洋漁業は公海漁業にも多く依存している。ところが、これについても国際規制が大変強まっております。四十四回でございますか、国連通常総会における流し網漁業の規制の決議、あるいは九二年には対ソ連におけるサケ・マスの沖取り漁業の禁止というような点でございまして、こういう点につきましては、漁業外交において既得権を守るという姿勢も大事でございますが、国際社会における我が国の地位にかんがみまして、この遠洋漁業のあり方等については新しい展望に立った内外政策、これを行う必要があるというふうにも思うわけでございますが、この点についてはいかがお考えですか。
#109
○国務大臣(山本富雄君) お答えいたします。
 近年、外国二百海里水域内の漁業規制のみならず、公海における操業に関しましても、今御指摘のとおり、サケ・マス漁業あるいは流し網漁業等について水産資源の管理・保存や海洋環境の保全の観点から規制を行おうという動きが非常に活発になっている。御指摘のとおりでございます。このことは我が国の遠洋漁業にとって極めて影響が大きい、また厳しい環境がそれによって生ずるということでございまして、これに対処すべく、対外協議を通じまして操業を確保する一方、必要に応じて、残念でございますが、計画的にかつ円滑な漁業の再編整備――再編整備という言葉を使っているんですけれども、これを進めていく必要がどうしてもあるというふうに考えております。
 そこで、昨年十二月に国際漁業再編対策閣議了解が行われたところであります。この閣議了解に基づきまして、一つは平成元年度補正予算におきまして、北洋はえ縄・刺し網漁業等について再編整備対策を具体化したところだと。それから二つは、この間終わりました、粘り強く東京とモスクワでやりましたが、日ソ間の協議で一応の決着を見ました北洋サケ・マス漁業、これについても再編整備対策の骨格を示して現在その対応を一生懸命やっておるということでございます。
 いずれにいたしましても、我が国の遠洋漁業を取り巻く情勢は極めて厳しい。そしてまた、いろいろ流動的な要素も各国との間でうかがわれるわけでございますから、所要の対外協議に最大限の努力を払うと同時に、再編整備に伴う国内対策、この国内対策が私ども非常にまた大事だというふうに思っております。これをしっかりやってまいりたいというふうに考えております。
#110
○大河原太一郎君 先般の日ソのサケ・マス漁業、四月に妥結いたしましたが、厳しい結果でございました。漁獲割り当て量なり、あるいは操業漁船の隻数の問題等がございますが、今後遠洋漁業の再編整備を行う場合には減船という問題がつきまといまして最大の問題でございますが、この場合には単に漁業者とか水産加工業者とかの関係業界だけではなくて、地域の商工業者その他地域経済に甚大なる影響をもたらすわけでございます。したがって、総合的な地域対策、振興対策が必要だと思うわけでございますが、そのためには水産問題の枠を離れた総合対策、これがぜひ必要だと思うわけでございますが、困難に面するこの我が国漁業の段階から見まして、この点についての総理の御所見を承りたい。
#111
○国務大臣(海部俊樹君) おっしゃいますように、サケ・マス漁業を中心として営む遠洋漁業は、地域経済と非常に密着して相互依存関係といいますか、地域経済に大きく根を張っておるものでありますから、影響も漁業だけで済むものではございません。そういったことはよく認識をいたしております。
 このため漁業の再編整備が漁業者や地域経済等に影響を及ぼすおそれがあることも考えまして、昨年十二月に閣議了解されている「国際漁業再編対策について」に基づく施策につき、事態の推移に応じて適切に対処していく必要があると考えておりますが、政府全体の問題として今後とも取り組んでまいります。
#112
○大河原太一郎君 それと関連いたしまして、漁船の減船補償その他の問題で都道府県等の協力が大変大事でございまして、従来もそれをやっていただいておりますが、これについて自治大臣の御所見をお願いしたいと思います。
#113
○国務大臣(奥田敬和君) 率直にお答えさせていただきますけれども、日ソサケ・マス交渉で、委員御指摘のとおりに一万一千トンという厳しい形での決着を見たわけです。これは沖取りサケ・マス漁業者にとっては大変な厳しい数字だと思っております。
 しかし、大体国の折衝レベルで将来における減船、あるいはそういった漁業者に対する大変な影響を与えるわけですから、これに対する救済補償措置はこれは国レベルにおいて行うのは当然であって、はっきり言わせていただければ、地方自治体にこういった負担のしわ寄せをするということは私は本質的におかしい、一義的にはおかしいと思っております。しかし、数字は忘れましたけれども、六十一年の大変な減船、これで国も救済措置を講じましたけれども、あのときも道は二割近い、金額にして六十億近い負担を持たされたわけであります。これも地域経済に密着した、今総理の答弁にあったとおりの事情からやむなく緊急的に措置したわけでありますし、これに対する手当てはいろいろな意味で道と相談してやったということは御承知のとおりです。
 今回もこれでまた厳しい負担が道にしわ寄せをされてくるという形になりますと、これは対応の結果を見なければわかりませんけれども、まだ結論が出ていないわけですから仮定の問題でございますけれども、どうしてもやらなければいかぬという対応の結論が出た場合に、これはほっておくわけにはいかぬでしょうね。道が財政的に穴があいて、こけたら困りますし。ですから、それはそういった対応を待って支障のないようにお手伝いしてまいらなければいかぬ、相談には乗らなければいかぬ、こう思っております。
#114
○大河原太一郎君 以上で私の質問を終わります。
#115
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で大河原太一郎君
の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#116
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、本岡昭次君の総括質疑を行います。本岡君。
#117
○本岡昭次君 私は、まず初めに、国連の子供の権利条約の意義、その批准の問題について総理に伺います。
 昨年の十一月二十日、第四十四回国連総会において、満場一致で今申し上げました子供の権利条約が採択されたわけであります。この子供の権利条約は、一九五九年、児童の権利宣言が採択されて以来三十年かけてやっと実現しました実効的な国際条約であります。国際人権規約の子供版とも言える極めて意義の高いものであるというふうに私たちは思っておりますが、総理はこの条約の意義をどのようにとらえておられますか。
#118
○国務大臣(海部俊樹君) ただいまお話のありました児童の権利に関する宣言が採択され、それに基づいて児童の権利に関する条約が本年一月二十六日に署名開放されておりますことはよく承知しておりますし、条約の内容は思想、良心の自由など、児童の市民的権利、児童に対する差別の禁止、生命、教育に関する権利、経済的搾取からの保護など、児童の権利に関して包括的、網羅的な規定となっておりますが、児童の権利保護の促進を目指したものとして私はその意義は積極的に評価できると考えております。
 この条約の締結につきましては、政府部内においてただいま検討を始めさせたところでございまして、また本条約の締結についてのいろいろなお申し入れも念頭に置きながら、今後この検討を早急に進めさせていきたいと考えております。
#119
○本岡昭次君 総理もその意義を認められているわけであります。
 この条約をつくるときに国連で人権委員会が開かれ、その人権委員会の正式メンバーとして日本も参加をしたわけでありますから、積極的に早期批准をしなければならないと思いますが、総理としていつごろまでにこれを批准したいというふうなお考えがあるか、それを一応聞いておきたいと思います。
#120
○国務大臣(海部俊樹君) これは御承知と思いますが、子供サミットというものも国連で計画をなされておりまして、それが一つのやはり努力目標になると私は思っております。
 ただ、条約の中を今いろいろ国内の法制や現行の制度等との絡みでどうなるかという検討を政府部内でさせておるさなかでございます。
#121
○本岡昭次君 外務省にお伺いしますが、今この条約を署名し、そして批准している国名を挙げてください。そしてサミットに、これは子供のサミットじゃなくて、先進国サミットに参加する国がその中にあれば国名を挙げてください。
#122
○政府委員(赤尾信敏君) 五月八日までに署名した国は八十六カ国に上っております。そのうち批准した国は五カ国で、ガーナ、ベトナム、エクアドル、バチカン、ベリーズでございます。
 ただいま先進国サミットの参加国で署名した国があるかという御質問でございますが、先進国サミットの参加国の中では西独、英国、フランス、イタリアが署名しております。まだ批准はしておりません。
#123
○本岡昭次君 子供サミットは九月二十九日、三十日に開かれるわけで、それまでに日本政府はこれを批准して、海部総理はぜひともそこに参加して子供の権利保障問題について世界のリーダーシップをとっていただきたい、私はこのように思うんですが、総理いかがですか。
#124
○国務大臣(海部俊樹君) 申し上げましたように、この条約の意義は私も評価しておりまして、できれば子供サミットまでにできるようにいろいろなことを急いで調整するように指示をしております。
#125
○本岡昭次君 もう少し的確に答えていただきたいんです。
 九月二十九、三十と子供サミットの日は決まっているわけで、それまでに日本は批准をして、そこに参加をして、世界の子供の人権保障問題、日本はリーダーシップをとるように私はやっていきますと、そのぐらいのことを総理だったら言えるんじゃないですか。
#126
○国務大臣(海部俊樹君) 過日、ユニセフの事務局長が訪ねてこられましたときも、私は国会の日程等の調整が許されるなれば出席したいということは申しておきました。
 なお、この条文と現在の日本の法制、これはもし必要でしたら専門家から聞いていただきたいんですが、例えば日本の民法の中の嫡出子と非嫡出子の取り扱いの問題とこの条約との整合性が出てくるとか、いろんなことがあるようでありますから、そういったことはきちっと早く調査をして整理するように作業を急がせておるところでございます。
#127
○本岡昭次君 今出たような、日本の現行法規とかかわりがあって非常に面倒なものは何ですか。
#128
○政府委員(赤尾信敏君) 関係省庁間で今条文ごとに詰めている段階でございますので、どの程度面倒かどうかということはまだわかりませんけれども、私たちがとりあえず調べたところ、例えば例として申し上げますと、先ほど総理からも、差別禁止の規定と私生児の扱いの問題もあるかもわからないしないかもわかりませんというようなことを言われましたけれども、それ以外に、親から分離されない権利というのが規定されておりますので、その場合に、今の入国管理法との規定がどうなるであろうかとか、前文に児童の定義というのがございますが、その児童の定義にまだ生まれない子供への言及がございまして、これと堕胎との関係が何かあるかないか、私どもはないだろうとは思っておりますけれども、いろいろとそういうような点が幾つかございますので、鋭意今検討している段階でございます。
#129
○本岡昭次君 国際人権規約の批准のときも、最後は留保をつけて日本は批准しているんですね。今度の場合は絶対留保なしに完全批准を私はお願いしたいと思うんですが、どうですか。
#130
○政府委員(赤尾信敏君) 先ほど先生から指摘されましたとおり、人権規約を受諾しました際には三つの留保を行ったわけでございます。その中に、実は教育に関する条項について、無償教育のところですね、留保を行ったわけなんです。今度の児童の権利に関する条約におきましても、義務教育は無償とするという条項がありますが、それに加えて中等教育についてもできるだけ無償の方向に持っていくようにという条項がございまして、その条項と国内の今の制度との関係等につきまして今検討している段階でございます。留保する必要があるかどうかという点につきましても、今鋭意検討している段階でございます。
#131
○本岡昭次君 海部総理、今も留保の問題が出たでしょう。義務教育はもちろんですが、高等教育に対する無償問題について、これは漸進的に導入していけということをなぜ日本は留保せないかぬのですか、こんな問題を。
#132
○国務大臣(保利耕輔君) ただいま外務省の方からお答えがございましたが、この条約の中で申しておりますものの中に、中等教育の機会について無償教育を導入すべきであるというようなお話が出ております。
 しかし、現在の中等教育は、御承知のとおり前期中等教育と後期中等教育に分かれておりまして、後期中等教育につきましては、現在日本では義務教育ということになっておりません。そうした問題との兼ね合いをやはり調整していかなければならないということもございまして、先ほどの外務省の答弁になったものと思っております。
#133
○本岡昭次君 それはまた改めて議論をいたしますが、総理、先ほどは決意表明をしていただいたわけですが、ぜひとも九月の世界の子供サミットまでに批准をして、ひとつリーダーシップを発揮していただくことを強く求めておきます。よろしくお願いします。
 それでは、続いて教育の問題を若干質問しておきます。
 総理は、施政方針演説の中で、公正で心豊かな社会ということをよくおっしゃいます。私も賛成
なんです。それでは、教育における公正というものは一体どういうふうに考えたらいいんですか。
#134
○国務大臣(海部俊樹君) 教育における公正というのは、一言で言いますと、憲法、教育基本法の趣旨に従って教育を行い、そして能力に応じて教育が受けられるようなそういった環境整備をきちっとしていくということ。そのためには義務教育の制度あるいは育英奨学の制度その他のことを一生懸命やって、公正な教育環境をつくっていかなきゃならぬ、私はそう考えております。
#135
○本岡昭次君 現代において教育の公正ということを考えるには、次のような観点が必要だと思うんですね。
 現在の複雑多様化した社会において、教育を受けることが各人の経済基盤の上にゆだねられているわけなんですね、全部無償になってはおりませんからね。だから、強者、経済的に強い人の教育への自由というものがあっても、弱者の自由というものは存在しない。それが自由競争だと言ってしまえばそれまででありますが、しかし、そのことは教育の機会均等という立場から考えたときに、やっぱり一定の教育の公正という問題を政策的にリードしていかなければならぬという問題がある、私はこう考えているんです。
 その場合に何が必要か。総理も若干述べられましたが、私はやっぱり大学の入試制度の抜本的な変革、それと高校の義務化、高校義務化というのは、もう日本はそこへ踏み込む時期が来た。それから、欧米並みの二十人台の学級編制基準、こうしたもろもろの問題を整理して、そして強者の教育への自由じゃなくて、弱者も対等に教育の機会を受け得るものにしていくということではないかと思うんですが、総理の見解を伺っておきたいと思います。
#136
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘の点は、私も聞いておりますと、そうだと、こう思って、すべてそうですと言いたいんですけれども、一点だけ、ちょっと私の意見の違うところを言わせていただきますと、先生もよく御承知のように、高校というのは今義務教育の枠から外れておりますが、その高校もなるべく多くの人が行ってもらうのが望ましいと思って、私は教育は量も質もふえるのが望ましいと思っておりましたけれども、高校へ入って途中でドロップアウトしてしまう人の数がだんだんだんだんふえてきておる。なぜドロップアウトしたのかということを追跡調査しますと、今の高校のカリキュラムで習うよりも、専門学校とか、あるいは職能学校とか、あるいは実際職場へ入ってしまうとか、そういった道を選択する人がまだあるということと、高校へは入ったけれども、高校以外のところに生きがいや将来への夢を見出した青年たちもおるというのが現実の姿でありますから、高校を義務化して高校まで全部義務ということよりも、やはりその選択の自由はそれぞれの人に任せておいた方がいいのではないか、私は今率直にそう思っておりますので、今のお話の中でその一点だけはちょっと考えを異にいたしますが、その他の点は大体同じことを考えております。
#137
○本岡昭次君 総理が物の豊かさから心の豊かさを説くという時代になった。その経済発展の基礎は、私はやっぱり教育にあったと思うんですよ。戦後の新教育学制の中で、やはりその教育水準の高さというものが今日の基盤をなした、こう思うんです。総理も教育は国家百年の計です、正式には「教育は国家百年の大計であります。」ということを施政方針演説で述べられたわけですね。
 だから私は、今のままで、それではさらに二十一世紀に向けて、日本の発展の基盤を教育にゆだねられるかという点についてやっぱり議論せにゃいかぬと思っておるのですよ。さらにもっと高い教育水準の底上げというものがなければ二十一世紀の展望は私は開けないんじゃないか。世界の中の日本という観点でこの日本をリードしていく指導層をつくっていくということについても、私は不安が出てくるのではないか。そういう意味で、高校の義務化という問題を、やはり真剣に教育水準のさらなる底上げという問題で考えるべきではないか、こう言っているわけなんですが、どうですか。
#138
○国務大臣(海部俊樹君) すべての人々の資質や個性や能力を伸ばして水準を上げていくというのは全くそのとおりだと思います。ただ、その方法として今の高校を義務化しなきゃならぬのか。高校じゃなくていろいろ複数の教育機関が出てきておる。それを自由選択させて、そしてそこへ入り込んで自分の能力が伸びるようにさせた方が、結果として底上げになり、結果として個人の能力が伸ばせるのではないだろうか。どうも私はそんな感じがいたします。
#139
○本岡昭次君 きょうはそこまでにしておきますが、それで日米構造協議で、日本の公共投資をGNPの一〇%にふやせ、そして何か十年間企画庁が四百兆円というふうな金を試算してくるわけですが、私はそこになぜ教育という問題が出てこないのか。教育の公共投資という視点ですよね。今私の言ったことは物すごく金の要ることを言っているわけなんですよ。だけど、経企庁の出してくる公共投資には、下水道、道路とか、橋とかダムとか、そういう建設省中心のものはどんどんあるんでしょうが、そこに教育とか福祉とかというふうなものが出てこない。私は公共投資というのはもっと広い概念でとらえるべきではないかというふうに思うのですが、総理、どうですか。
#140
○国務大臣(海部俊樹君) 専門家である本岡先生と私と教育の公共投資のことで議論して、かえってお言葉を返しては恐縮だと思いますが、私は日本の教育投資というのは世界と比べてもう物すごく進んでおると思うんですよ。しかも、それは公の教育施設のみならず、私の面における私学教育というものも随分進んできておりましたし、それから同時に専修学校とか専門学校だとか、いろいろなものも進んでおりまして、世界の歴代文部大臣会議なんかへ行ったときのことを思い出しますと、その普及率とか、教育内容の質、水準というものは、むしろ先進諸国の文相がいろいろと逆に質問してくるぐらい充実しておりましたので、その面においてはむしろ私は量においてはいっておる。質においてもっと改善しなきゃならぬところはたくさんございますし、御指摘になった入学試験の問題なんかについても改革していかなきゃならぬことはたくさんあると思います。
 ただ、日米構造協議の問題において公共投資をふやせといったときのあの公共投資は、国民生活の質を高める上において、今豊かさの実感がない、欧米諸国と比べていろいろ社会資本の整備がおくれておるというところからスタートしたものだと私は思っております。これは率直な私の考えでございます。
#141
○本岡昭次君 また改めてここのところは議論する機会があると思いますが、きょうはこの辺でおいておきたいと思います。
 次は、消費税の問題について集中的にひとつ議論をさせていただきたいのです。
 消費税の見直し問題なんですが、まず海部総理は選挙などを通して絶えず国民に呼びかけた言葉は、私は国民の声をよく聞き、消費者の立場を十分考慮して、見直すべき点を思い切って見直していくというふうな意味の国民に対する働きかけであったと思うし、この間の久保亘委員とのやりとりの中でも、消費税は欠陥はないんだけれども世論が、国民の声がやっぱりこうだから、それを聞くべきだから今度は見直したんだと、こうおっしゃるわけです。
 そこで、その国民の声とか国民の世論とは何かということなんですが、新聞等で見る場合は、廃止、それから政府案の見直しでよい、いやあの見直しでは物足りぬからもっと見直せ、大体それが三分の一ずつ拮抗しているというのが今の状況ではないか。それで、わずかに今のままでよろしいというのがあったというふうに私は見ているんですよ。いずれにしても、今の消費税をそのままでいいという国民の声はないわけで、要するに税制体系全体を含めて、より新しい間接税、そして税制全体をつくりかえるべきであるという意見である。社会党もそういう立場でかかわっておるとい
うふうに私は思っているわけなんです。
 そういう意味で、今回政府が提出した消費税の見直しというのは、本当の意味で国民の声をよく聞き、そして消費者の立場というものを十分考慮したものなのかどうか、そのことの核心を海部総理からまず聞いておきたいと思うんです。
#142
○国務大臣(海部俊樹君) 税制改革の一環として消費税、昨年の四月からスタートしておりますけれども、世論調査が私どもは新聞紙面に出るのをよく見ますが、今のままでいいというのはおっしゃるように少しでした。そして、見直しをしなさいと。私の理解では……
#143
○本岡昭次君 廃止もあったんです。
#144
○国務大臣(海部俊樹君) 廃止もありました。けれども、今のままでいいと見直しを合わせると廃止よりはちょっと多かったなという受けとめ方で、じゃどこをどう見直せとおっしゃるのかというところを見ますと、やれ食料品の小売のところはあれだとか、家賃はどうとか、いろんなことがずっと項目別に出ております。
 私たちは、去年四月始めたときに、所得と資産と消費とバランスのとれた税制構築の中でそれはいいと思ってスタートさせたことでありましたが、こういった結果が出てくるということはこれは反省をして、国民の皆さんの指さす方向に謙虚に耳を傾けなきゃならぬなと。同時に、新聞の世論調査を見ただけじゃなくて、それじゃいかぬから直接生の声を聞こうというので、国民対話集会ということをお願いして、全国へ私自身も七回ほど参りました。それから閣僚も手分けしていろいろなところで御意見を聞いてきたんですが、そういうときに率直に出てくる皆さん方の声というものを謙虚に聞いてきて、また党の税制調査会でも、政府の税制調査会でも公聴会等をして、消費者団体の代表の方の御意見も十分集約してまいりました。そういったことを踏まえて、こことこことここを見直しすることによって定着がお願いできるように努力しようという謙虚な立場に立って見直し案というものをつくって提案した、こういうことでございます。
#145
○本岡昭次君 国民がこの消費税問題についていろいろ注文をつけて改善を求め改革を求めたのは、もう一つの大事な側面があるんで、これは制度そのものに対する国民の不信、これを絶対に取り除かなければならぬ立場があったと思うんです。それは、簡易課税制度、限界控除選択、免税業者というところに残る四千八百億円という消費者の納めた消費税が国へ納まらないという部分、これはもう絶対に国民の不信の固まりになっているんですよ。そんなばかな税金があるかということなんですね。
 しかし、その問題は何か政府は七月にならぬとわからぬとおっしゃるわけですが、そんなことはないわけで、私の手元に「新・消費税シミュレーション」というこういう小冊子がありまして、これはTKCというところ、公認会計士やら税理士の各法人、個人事業所の消費税を納めるときに簡易課税制度の方が得か、あるいは原則的課税の方が得かということを一見してわかるとらの巻なんですよ。これは六万六千社をここに書き上げてある。業種で七百七十二業種、そしてそれが五億円以下三千万円以上の黒字企業をここに並べてあるんですね。そして、何とここの中で簡易課税制度をとった方が有利だというのは九四・五%、だから不利だというのはわずか五・五%にすぎぬのですよ。だから、全部簡易課税制度をとりなさいということですから、何も七月の結果を見なくたってもうわかっているわけです、はっきりここで。
 そして、ここで私はどうしても我慢がならぬのが、簡易課税制度をとることによって、例えば警備業というのでは、本来通常課税方式では四百三十万二千円払わなければならぬのが百八万三千円で済む。三百二十一万九千円、消費者が納めた税金を利益として残すことができますということがここにある。ゴルフ場にしても四百七十六万八千円納めなければならないのが、簡易課税ですると百四十三万円で済みますよ、三百三十三万八千円おたくは残りますよ。あるいはまた、沿海旅客運輸業にしても四百九十五万六千円通常では払わにゃいかぬのが、簡易課税になると百四十七万六千円で済みますよ、三百四十八万円も利益が残りますよと、こんなのがずっとありまして、結局私は暇に任せて百万円以上得するという業種は何ぼあるんかと調べたら三八%、二百七十八業種もあるんですよ。こんなことを国民が知ったらこれは本当に大変なこと。何も七月のそんな法人の確定申告の結果を待たなくたってみんなこれでやっているんですよ。こんなむちゃくちゃな税制なんというのは存在しない。だから、消費税というものが現在あるという立場に立って、やっぱりそれが国民に信頼されるものかどうかというのは、ここのところをどうするかがその基本じゃないかと思うんですが、どうですか。
#146
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員からTKCの経営指標を例にとられてお話がございました。しかし、税制というものが国民経済の中で機能してまいりますためには国民各層の御協力が不可欠でありますし、その意味では税制における公平性、簡素性、これはともに重要な要請であります。そして、消費税におきまして、事業者免税点制度でありますとか簡易課税制度など、中小企業あるいは零細事業者に対する特例措置というものは、この種の税になじみの薄い我が国の現状というものを考慮した上で、この二つの重要な要請のうちでどのようにバランスをとるかというぎりぎりの政策判断の結果として設けたものでございました。これらの制度につきまして、消費者を中心としてさまざまな御意見があり、また税制改革法にもその見直しが規定されているところでありますが、その見直しは、税制改革法にもありますように、納税者の事務負担、転嫁の状況等の実績を見きわめた上で行うべきであると私どもは考えております。
 ですから、今委員からも御指摘がございましたけれども、これらの制度のあり方につきましては、今回、消費者の立場からの御指摘を踏まえて見直すこととしておりますが、消費税の申告納付が一巡する平成二年五月まで、つまり納付が完了いたしますまで実態把握を行うと同時に、これらの制度をどう見直すか十分検討の上提示する。既に閣議決定をしておるところでございます。
 仮に、免税事業者が三%の値上げをしたとすれば、仕入れに含まれていた税額との差額分だけは利益が生ずる。これは理論的にそのとおりであります。しかし、同時にお考えをいただきたいのは、現実の激しい競争の状況の中でまた厳しい合理化努力を続けている企業の立場に立てば、中小企業、零細企業含めてでありますが、コストが下げられるなら価格を下げて拡販を目指すというのが事業者の通常の姿であります。
 中小零細事業者の現実の転嫁状況は、これは通産省でたしか調べていただいたと記憶をいたしておりますけれども、小売業のうちの約三割、サービス業においては七割が転嫁しておられないという状況にあることもこれは御理解をいただかなければなりません。委員が今理論的にTKCのまとめました数字を読み上げられましたが、現実の激しいお商売の競争の中で、また厳しい合理化努力というものの中で必ずしも委員の御指摘のような状態ではないのではなかろうか。やはり実態をきちんと把握した上で私どもとしてはこれに対する答えを出していきたいと考えております。
#147
○本岡昭次君 いや、転嫁したかしてないかというようなことを議論すると、もともと議論ができないんですよね。だから、制度として持つ欠陥というものは率直に認めた上で議論してもらわにゃ困ります。だから、この問題は明らかに制度に欠陥があるわけですから、撤廃するかあるいはその適用範囲というものを縮小して段階的に廃止に持っていくかという方向性というものが見直しの中になければどうしようもないじゃないですか。どういう方向で見直すんですか。
#148
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今申し上げましたように、私どもは、この五月末において完全に一巡をいたしました時点で、これを全国の各税務署から取り寄せ、集計し、分析、解析を行い、その結
果に基づいて対応してまいりたいと考えております。
 先般、久保委員にもお答えを申し上げたところでありますが、その前提として考えてまいります計数の整理に、五月末の申告一巡後、少なくとも二カ月程度を要するであろうと考えております。これらの制度は、確かに消費者を中心としてさまざまな御意見をいただいているところでありますけれども、事業者の方々にも深く関連することである。その点も踏まえていきますと、やはりその見直しというものは、税制改革法の中にもございますように、納税者の事務負担、転嫁の状況等の実績を見きわめて行うべきものであり、私は現時点で、これ以上事実を踏まえていない段階で申し上げることは適切を欠くと思っております。
#149
○本岡昭次君 そうすると、現状のまま、このまま据え置いていく、このまま残していくということと、それからこの際全部その制度を撤廃するというのと、その中間にあるのが五億円という簡易課税制度選択の上限を一億円にするとか、あるいはまた免税点三千万円を一千万円か五百万円にするとか、ずっと全体を下げていって、そして今あなたが言っているように、現場の混乱が起こらないようにして撤廃していくか、この三つしかないわけですよ。それを、実態を調べてからじゃなくて、その方向性というものをはっきり持っていなければ、この見直しそのものが大骨がないまま見直すということは、僕は大問題だと思うんですよ。
#150
○国務大臣(橋本龍太郎君) 避けると言われながら中身の議論に入っていただきましてありがとうございます。
 しかし、やはり私は、例えば委員が例示としてお挙げになりましたようなTKCの資料に基づくよりは、各税務署から納付一巡後の実績を全部取り寄せ、集計し、その上でその実態を踏まえてどういう方針に立つべきかを改めて御報告申し上げ、御論議をいただくことがより適切であると考えております。
#151
○本岡昭次君 消費税を納めた負担者、その負担者にとって我慢ならないのが、負担したその税金が納税者である事業者がそのまま国に納めてくれない、利益として取り込むことができる仕組みを置いていることに不信感があるんですよ。だから、そのことを認めるのか認めないのかということを尋ねているんです。
#152
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、先ほども私申し上げましたけれども、理論的にそういうケースがあり得るというのは御指摘のとおりでありますと、それはもう先ほど私申しました。
 その上で、しかし、理論的にあり得ることでありますが、実態として現実のお商売の厳しい競争というものをお考えいただきますときに、また拡販の努力をしておられますときに、果たして理論の上で出てきているTKCの数字のような実態でありましょうか。先ほど通産省の調査の数字を申し上げましたように、転嫁しておられない業者が多数あるということも事実として御理解を願いたいと申し上げていることであります。
#153
○本岡昭次君 消費者の立場に立ってということは納税者の立場、これは負担する者の立場に立って考えるということでなければ、事業者の立場に立ってどうかということのあれが余りにも強過ぎると僕は思うんですよね。だから大蔵大臣も、負担する消費者の立場に立てばどうなるかというスタンスに立ってもらわなければ困りますね。今の発言ではちょっと納得できぬな、私は。
#154
○国務大臣(橋本龍太郎君) 税制改革法そのものにおいて、この見直しというものは納税者の事務負担また転嫁の状況等の実績を見きわめてとなっております。しかし、私はその消費者の方々から非常に強い御不満があったことも忘れておるわけではありません。私自身が手紙をくださいと言ってちょうだいをした一万九千通に近いお手紙の中に、これらの点について触れておられたお手紙がたくさんあったことも事実なんですから。しかし、現実の問題として法律上、税制改革法の中におきまして納税者の事務負担、転嫁の状況などの実績を見きわめてとありますとおり、事実この五月末においてそれが一巡するわけでありますから、その後直ちに各税務署からそれぞれの資料を取り寄せ、集計し、解析し、それに基づいて改めて御判断を願うべき方向をお示しいたすというのが私は誠実な姿だと思っております。
#155
○本岡昭次君 大臣のおっしゃっている事務負担というのは具体的にどういうことですか。
#156
○政府委員(尾崎護君) 消費税で申します納税者というのは事業者でございます。そこは委員御承知のとおりでございます。したがいまして、税制改革法第十七条で言っております納税者の事務負担というのは、事業者が税金を納めるに当たっていろいろの準備をする、そのためには例えば従来とソフトウエアをかえるような話、あるいは事務上いろいろと特別の帳簿上の準備をする話、そういうことがあるわけでございまして、そういう事務負担が全体としてどうなっているのかというようなことも考え、よく調べまして、そして見直しを行うというのが十七条の趣旨と存じているわけでございます。
#157
○本岡昭次君 そうすると、ソフトウエアを組みかえたり、帳簿上のいろんな準備をせにゃいかぬというそのことにかかる費用と、その簡易課税税制をとったことによって益税とかいろいろな名前によって、要するにもうけとなる部分がつり合うのかつり合わないのかということを見るというんですか。
#158
○政府委員(尾崎護君) 簡易課税のような制度を設けないで全部きちんと計算しなさいということになりますと、小さな事業者にまで大きな事業者と同じような準備が要るわけでございます。そういうことになりますと、事務負担の面で大変な負担がかかる。そのかかったコストというのを今度は売り値に乗っけなくてはいけないという問題が出てくるわけでございます。そこはそういうコストと、それから簡易課税にして手続を簡単にしてそういう事務コストを減らすということとのバランスの問題もあるはずでございます。そういうところが、実際にやってみた結果というのが非常に私ども重視すべきだと思うわけでございまして、先ほど来大臣が申し上げておりますように、TKCが御自分のところで把握しております資料で御計算をなさった、それはいろいろ前提を置いての御計算でございますが、それなりにきちんとなさっていることと存じます。
 しかしながら、委員のお話ですと、現実に九割以上の者は簡易課税をとった方が得であるという結果が出るということでございましたが、去年の九月末におきまして簡易課税制度の選択届け出書が提出がなされているわけでございますけれども、それは五億円以下の課税事業者の数に対しまして七八・三%の者が自分は簡易課税制度を選択したいということを届け出ているわけでございます。そこのところはやはり現実の動きと理論の動きと違うところもあるだろうと思います。そういうところをしっかり見定めて、データをそろえた上で議論をしていただきたいと存ずる次第でございます。
#159
○本岡昭次君 いや、そういう今七八・何ぼ出るというのは、それは還付をしなければならない事業者なんですよ。それは簡易課税の売り上げに○・六掛けたんでは還付できませんから、それは原則課税の課税業者にきちっとなってやっておかなければならぬというところがあるからやっているわけなんですね。
 そうすると、今の話でコスト論を持ってくると、この簡易課税のみなし仕入れ率を政令事項で変えたいと言っているようですが、これは何で政令にしたんですか。
#160
○国務大臣(橋本龍太郎君) 消費税の簡易課税制度が中小事業者の納税事務の負担軽減という視点から設けられた制度であることは御承知のとおりでありますが、主として消費者の方々からはそのみなし税率、原則八〇%、卸九〇という税率そのものも問題として提起をされ、御論議をいただいてきたところであります。
 そこで、今回の見直しの一環として、取引の実
態に即した対応が可能となるように業種ごとの仕入れ率及びその計算方法を政令に委任することにいたしたわけであります。このみなし仕入れ率の見直しというものに当たりましては、申告納付が一巡いたしました段階でそのデータなどを踏まえて検討することにしておるわけでありまして、現時点においてはこの数字というものを申し上げるところまでできているわけではございません。
 しかし、いずれにしても公平と簡素というバランスをできるだけ図っていくという視点を踏まえて努力していきたいと考えているところであります。
#161
○本岡昭次君 私はこれを政令事項に委任することは大変な問題が起こると思います。
 まず、さっきコスト論が出ました。それで私が言いましたように、これに出てきているいわゆる仕入れ率なるものですよ。これは付加価値率ですけれども、二〇%から八〇%までずっとあるんですね。だから、政府の方が八〇%にしているから二〇%のところは四倍のものが残る。これは当たり前の理屈なんですよ。これは子供が考えたってわかるんだよ。それを実態に近づけようと思ったら、仕入れ率を業種ごとに二〇パー、三〇パー、四〇パー、五〇パー、六〇パー、七〇パー、八〇パー、とやらぬと絶対に公平にならぬと思うんですよ。そういうことをされるつもりなんですか。
#162
○国務大臣(橋本龍太郎君) どの程度細かく各業種についての仕入れ率が設定できるかは、これは私は素人でありますので専門家の……
#163
○本岡昭次君 素人じゃないでしょう。
#164
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、そういう作業については完全な素人です。ですから、専門家の方からお答えをさせますけれども、そういう作業をいたしますためにも、やはり一巡後の実績というものをとらえて、それを分析した上で対応すべきであると、先ほどから申し述べている理由の一つもここにございます。
 中身につきましては、専門家から御答弁をさせます。
#165
○政府委員(尾崎護君) 先ほど来委員から御指摘がございますように、簡易課税制度についていろいろな疑問が寄せられているわけでございます。そういうことも考えられるということで、税制改革法の第十七条第三項、これは与野党の協議によりまして、野党の修正によりまして入った条項でございますが、そういうものが置かれ、そして私どもはその条文に誠実に対処しようということで、一年分の実績をもって検討をしたいということを考えているわけでございます。
 御指摘のように、現行制度は法人事業統計によりまして全産業の平均をとりまして八〇の仕入れということで、ある意味では非常に粗っぽくそこは決めているわけでございます。個々の企業また業種によりまして付加価値率が違いますから、御指摘のようなことは理論的にもそれから現実にも生じているだろうというように存じます。そういうときに、もろもろのデータを前にいたしまして、例えば税制調査会等におきまして御議論をいただきましたときに、御指摘のようなことでこの八〇%と九〇%という現在の非常に大まかに分けているみなしの仕入れ率、それをもっときめ細かくしようという方向に話が行くかもしれません。その場合には、先ほど来委員から急げというお話でございますが、もしそういう方向に行きましたときには、その八〇%、九〇%というようなみなし仕入れ率を政令委任事項にしておきますと、結論が出たときにすぐ対応ができるというように私どもは考えたわけでございます。まさに委員のお示しのように、国民の声がいろいろあるところだから、できるだけ早く対応できる体制を整えておくということでそのようにしたわけでございます。
 政令委任事項というのは実はなかなか難しい。特に税につきましては難しいところがございまして、租税法定主義との関係がございますから、どこまでやれるかどうかという話があります。しかし、これは法令的に見ても、法制局にもお認めいただける限りで、ここまではできるということでやっておきました。しかし、結果としてそうなるのか、委員が御指摘になりましたように、五億円そのものが論じられることになるのか、それともあるいは段階的に廃止するというようなお話になるのか、それはデータを見て公平な御審議が行われての結果でございます。あるいは今のままでいいということになるかもしれません。そういうようなことを御論議いただきますために、データを準備すべく今私どもが努力をしているところであるということを申し上げておる次第でございます。
#166
○本岡昭次君 政令事項に委任することは的確に迅速に対応できるからとおっしゃるけれども、しかし、今言いましたように、この付加価値率、要するにみなし仕入れ率というのは各業種ごとに利害得失が物すごく絡んでいくところなんですよ。そうでしょう。だから、税金をいろいろ決めるときには非課税をどこにするかなんというのをオープンにすると、私のところも非課税に、私も私もと、こうなってきて大変なことになると同じように、これは大蔵省が大変な権限を持つことになると私は思うんですよ。あなたのところの業種は仕入れ率は七〇だけれどもこれは八〇にしておきましょうかとかというふうなことが任意的に行われたら、これは大変ですよ。これは絶対に法律事項としてきちっと定めなければいかぬと、私はこう思うんですが、どうですか、大蔵大臣。
#167
○国務大臣(橋本龍太郎君) 仮に何らの正確な実績に基づく数字を持たず恣意的に大蔵省がみなし仕入れ率を決められるとすれば、委員の御指摘のような事態も起こらないとは言えません。だからこそ、一年間の実績を分析し、その上で判断の材料として御論議をいただこうとしているわけであります。
 また、これは私では余り権威がなくて、法制局長官の方がいいのかもしれませんけれども、法律に一般的にある事項を政令などで定めることを委任する規定を設けるということは、一定の事項について具体的、個別的に政令に委任することは、私は許されていいと思っております。白紙委任というのは、これは確かに問題でありましょうが、税法において、憲法八十四条の租税法定主義の原則のもとにおいて、技術的、専門的事項など一定の事項について法律の根拠に基づいて個別的、具体的に政令などに委任することは可能であると解されております。
 今回、改正をお願いいたしております内容というものは、いわゆる中小事業者の事務負担に配慮した諸措置に対するさまざまな国民の御指摘というものを踏まえ、簡易課税制度のみなし仕入れ率について、取引の実態に即した対応が可能になるように政令に委任するものでありまして、私はこれが問題になる、先ほど委員が御指摘になったような恣意的な取り扱いになるとは考えておりません。むしろ、改正案におきまして、このみなし仕入れ率の定め方について「事業の種類ごとに当該事業における課税資産の譲渡等に係る消費税額のうちに課税仕入れ等の税額の通常占める割合を勘案して政令で定める」とその趣旨を具体的に示した上で政令に委任しようとしているところであります。
#168
○本岡昭次君 一貫してやっぱり事業者の立場に立っての問題提起なんで、私は一貫して税を負担する消費者の立場に立って訴えているんですよ。
 税というのは財産権を強制的に税という仕組みによって取り上げていく仕組みなんでしょう。それで、今言った仕入れ率というのは、これはそのことによって消費者が負担した税が正しく国に納まるかどうかの決め手になるところなんですよ。簡易課税制度の問題は、粗っぽく仕入れ率を八〇パー、九〇パーとやったところに、そこにもうけとかあるいは益税とかさまざま言われるものが起こったんであって、まさにその仕入れ率を何%にするかということが消費者の納めた税金が正しく国に納まるかどうかのポイントなんですよ。財産権にかかわる問題がそこにあることを、そんなものを政令に委任なんか私はできないと思うんですよ。
#169
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、今委員が御指摘になりましたように、まさに国民のお納めをいただいた税金というものが国の手にきちんと届けられますためにも、各業種ごとの実態を把握した上でそのみなし仕入れ率というものを決めようとしている。それは私はおしかりを受けることではないと思うのであります。
#170
○本岡昭次君 それは消費税見直し案かなんかそういうものを審議する法案審議のところでまたやるべきことだろうと思いますから、私はあとまたやりたいことがありますので留保して、また機会を見てやらせていただきたいと思います。
 そこで、納めた税金がきちっと国に納付されないという、その問題の逆の問題が起こるのが還付だと思うんです。
 今還付がどんどん行われておりますね。還付申請があります。それは輸出業者が還付申請をする場合と、それから新しい設備投資をした場合に起こるということが大半であろうと思うんですが、そのときに免税事業者あるいはまた簡易課税をやっているところから仕入れても、やっぱりそれは三%、百三分の三ということでもって還付申請ができるということになる。だから、輸出業者が仮に免税店から全部物を仕入れてそしてそれを外国に輸出するときに、それは全部三%の消費税が仕入れるときにあったものとして還付が申請できる仕組みになっておると僕は見るんですね。そうなると、税金の中から違法な方法によって税を取り込むということが還付の場合に起こると思うんですが、これはどうですか。
#171
○政府委員(尾崎護君) ただいまの還付の問題にお答えいたします前に、ちょっと委員にひとつ思い出していただきたいことがあるのでございますが、御承知のとおり、物品税におきまして一定率というのを使っておりました。あれは小売価格をもとにいたしまして、税込みの蔵出し価格を逆算していくというやり方でございました。一種のみなしでございます。これも政令で行われていたわけでございます。したがいまして、私どもはみなし仕入れ率の問題は、この物品税の例から見ても政令事項であるというように考えておりますし、法制局とも御相談してそういう措置をとったわけでございます。
 それから今の、非課税業者、免税事業者から仕入れをいたしました場合に、その分も含めて還付を受けるのはおかしいではないかという御指摘でございますが、実は現行制度におきましては、輸出の場合に限らず、国内の取引におきまして仕入れ控除をする場合にも、仕入れ全額につきまして仕入れ控除を認めているわけでございます。その中には非課税免税事業者も含められているわけでございまして、これは輸出に限った話ではございません。そこのところは若干不正確といえば不正確なのでございますけれども、その非課税の免税事業者も仕入れで税負担をしているというようなことを考える。あるいはそこできちんと仕入れの中身を分けて、非課税事業者から買った分、課税事業者から買った分というように分けなさいということになりますと、小さい非課税事業者から買うのが手続上面倒くさくなるというようなことで、小さい中小事業者の方に迷惑が及ぶということになってもいけないものですから、そこのところはまとめて控除ができるということになっております。正確さを欠くという御指摘であれば、その分確かに正確さを欠くわけでございますが、やはり制度の簡便性等を考えましてそこは割り切った制度に現在なっているわけでございます。
#172
○本岡昭次君 いや、業者の簡便性のために、払ってもいない税金を還付ということで受け取ってみたり、消費者から預かった税金を納めないで自分の懐へ取り込んだり、何かそんなことがいっぱいこの消費税の周辺にあるということなんですよ。だけど、こんなことで消費税に対する信頼性というものは、簡便性のためにそういう不正確なものがあってもそれは認めていただきたいという政府のこの論法、これは消費者に通じると思いますか、大蔵大臣。
#173
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今主税局長から申し上げましたように、確かに輸出取引につきまして、内国消費税という性格から諸外国と同様の免税措置を講じている。その中から輸出取引を行う事業者に還付が生じるというのは理屈はそのとおりであります。また、制度として免税事業者からの仕入れにつきまして、輸出取引であるか純粋の国内取引であるかにかかわらず、一般にその仕入れ額の百三分の三相当額の税額控除を認めている、これも御指摘のとおりであります。
 今、消費税の創設に当たりまして、売上税の税額票方式というものに対する強い御批判を踏まえて帳簿方式を採用いたしましたところから、事業者が仕入れ取引を行うに当たりまして、その取引の相手方が課税事業者であるか免税事業者であるかを逐一確認しなければならないといたしますと、その事務が極めて複雑になる。また、免税事業者といえどもその仕入れ時に三%の消費税を負担しているということから、一律にその仕入れ額の百三分の三相当額の仕入れ税額控除ができる制度を組み立てたということでありまして、事実をそのとおりに御答弁にさせていただきます。
#174
○本岡昭次君 要するに、簡素ということのために公平とか公正とかいうものを全部だめにしてそしてやっているということ、簡素というのは納税者という立場を押しつけられている事業者というところへ行っているんですよね。だから、発想はやっぱり、総理も消費者の立場に立つというときには、そこのところを変えなければ私はどうしようもないと思うんです。だから、そこのところは手直しじゃなくて、やはりそうならないようにどうするか。今おっしゃったようにインボイスの方式を持ち込めれば、手間暇はどうかは別にして、公平、公正で消費者も納得できるものがそこにできるとすれば、やっぱりそこに依拠をしなければいかぬのと違いますか。
 それから仕入れ率の問題も、こんなものをつくるんじゃなくて、免税点を三百万とか五百万とか最低のところに置いて、あとは皆原則課税をしていただく。そのことに事業者がたえられないのならそういう税制をやめたらいいんですよ。
#175
○国務大臣(橋本龍太郎君) その時点において私は大蔵大臣ではございませんでしたし、予算委員会、大蔵委員会に所属をしておりませんでしたので、わきからいわばその御議論を拝聴しておった立場でありますが、売上税が論議をされましたときには、まさにそのインボイスそのものが極めて厳しい御批判の対象であったと私は記憶をいたしております。そして、その反省の上に立ち、また非課税範囲を拡大し過ぎたための不公平ということに対する非常に強い御意見がありましたことを踏まえながらこの消費税というものの組み立てが行われたという経緯をひとつ思い起こしていただきたいと思うのであります。そして、帳簿方式において可能な限りの公平性、簡素性というものを担保しながらこの税制は組み上げられているということであります。
#176
○本岡昭次君 それなら話題を変えます。別の観点からちょっと質問していきます。
 それで、今回の見直し案ができて法案として出されているんですが、それをつくる過程において、総理は食料品の全段階非課税というものを非常に強く押し出された。そのことを腹を固めてやろうとされた。しかし、何かそれをやると農家のコストを転嫁できるとかできないとか、いろんな理由でこれも足して二で割るようなやり方でもって、そして今回のあんな化け物のような見直し案ができたと私は思うんですが、そこへ大蔵省も全段階はだめだと出てきた。
 どうも僕は総理大臣にとってはまことに不本意な見直し案ではないかと、そういう点では思うんですね。あなたの意思が貫徹できなかったこの消費税の見直し案とは一体何ですか。
#177
○国務大臣(海部俊樹君) 見直し案の議論をしておりますときに、政府内部にも党内にもいろいろな議論のあったことは私もよく承知いたしておりますけれども、そういった議論を踏まえてみんなが知恵を出し合って、ぎりぎりの接点を求めてまとめ上げたのがこの見直し案だと私は理解をして
おります。
#178
○本岡昭次君 あなたが全段階非課税というものを主張された最初の根拠は何だったんですか。
#179
○国務大臣(海部俊樹君) 私は、全段階非課税をどこかへ行って主張したということはございません。私はいろんなことを考え、いろんな意見を聞きながら最終的にまとめるべきところに判断をした、こういうことでございます。
#180
○本岡昭次君 いや、そうおっしゃるならそういうことにしておきましょう。
 そこで、食料品の非課税という問題で逆進性を緩和する、こうなってきたんですよね。一つは、逆進性が本当に緩和されたのかどうか。それから消費者が、非課税となったことによって、購入するときに価格として下がったのかという問題がこれはあると思うんです。
 それで、大蔵省の試算によると、現行制度で一万円のものは三百円、三%かける。ところが、全段階非課税にすると、一万円のものは百六十五円の税金がかかって一万百六十五円になる。そして、自民党の見直し案のように、生産から小売の前までを一・五%の軽減税率にして小売のところを非課税に持っていくと、これは理論的に見て百三十五円の税金で済む。だから一万百三十五円だと。だから、消費者にとって安い方をとれば自民党の今の方がいいんで、全段階はだめなんだ、こういう理屈かなと思うんですよ、はっきり言って。
 それは三百円と百六十五円と百三十五円、どれが一番安いかといったら百三十五円が一番安い。だけれども、非課税というのはもともと免税という私はやっぱり概念、考えがあると思うんですよ、非課税になったから税金がそこにはかからないのだという。だけれども、コストにかかってくるものは転嫁されるという理屈がある。だから、本当の意味で非課税を免税にするということは、ゼロ税率というものを取り上げなければこれはできないわけで、私はやっぱり非課税というものを持ち込んでくるときにはゼロ税率を持ち込んで、そして完全に一万円のものは一万円で消費者が購入できるとすることが本当の意味の非課税、私は税理論的に正しいものであろう、こう思うんですが、その点はどうですか。
#181
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員から幾つかの視点についての御指摘がございました。
 ゼロ税率ということに絞り込んで御答弁を申し上げますよりも、私どもがなぜ今回の見直し案が最善のものと判断をしたかということからお答えをさせていただきたいと思うのであります。
 飲食料品のように転々流通する商品につきましては、その取引のすべての段階を非課税にいたしますとさまざまな問題が生じます。そうしたことから私どもはこうした結論を出したわけでありますが、仮にすべての段階を非課税といたしますと、仕入れ税額の控除ができない。非課税とされた物品の価格に控除できない税額が残る。商品の種類や製造方法、流通経路等の違いによってその税額の割合がまちまちになる。結果として製造、卸等の事業者は適正な転嫁に不安が生じますし、消費者にとりましては適正な値下げを監視することが困難になるという問題があり得ます。
 また、全段階非課税の場合には、仕入れに税負担を含まない輸入品の方が国産品より有利になる。これは食料品加工業者などの競争条件を攪乱させる可能性もございます。また、飲食料品を非課税といたしました場合に、その仕入れ価格には製造・卸売段階でさまざまな課税仕入れにかかる税負担が含まれているわけでありますから、逆に従来の税抜きの仕入れ価格より高くなってしまう。
 一方では、レストランなどの提供するサービスには課税が行われるわけでありますから、レストラン等が仕入れる飲食料品がすべて非課税である以上、その税負担相当額の仕入れ控除はできなくなる。
   〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕
したがって、レストランなどにとりましては結果的なコストアップとなり、飲食料品が課税されている場合よりもむしろ値上げの確率は高くなってしまうというような問題もあります。
 また、税制調査会の実施状況フォローアップ小委員会の中間報告において、ゼロ税率については次に申し上げますような問題点を指摘されました上で、その採用は到底容認し難いという御意見が出されました。一つは、広く薄く消費に負担を求める消費税というものの趣旨に反し個別間接税と同様の問題を有している。課税ベースを著しく浸食すると同時に、他の分野への波及が極めて懸念をされる。徴税コストが膨大になる。ゼロ税率が適用される特定の事業者とそれ以外の消費者、事業者との間に新たな不公平感をもたらすものである。また、ゼロ税率の効果が的確に最終小売価格に反映するためには、ゼロ税率適用品目を取り扱うすべての事業者が還付申告を行うということが前提になるけれど、その場合には零細事業者に対しても大企業並み――大企業並みという言い方は多少不正確かもしれません、事業の規模にかかわらずすべて同じような多大の事務負担を負わせることになる。こうした問題点が提起をされて、私どもは今委員から御指摘のありましたような特別軽減税率に加えた小売段階非課税という結論に達したわけであります。
#182
○本岡昭次君 私は、ゼロ税率というものが、今あなたがおっしゃったようにさまざまな難点を持っているにしても、消費者からすれば、完全な免税という形がそこに実現できる方法だというふうに思っている。税理論的にはその方がすぐれている。しかし、今あなたがおっしゃったように、さまざまな理由があってそれを取り入れられないんだというふうに私はこの問題は理解したいと思うんです。
 いずれにしても、ずっとさっきからの議論を聞いておりますと、それは徴税する側あるいはまた国にかわって納税者とさせられた事業者の立場からのいろんな理由によって税全体が仕組まれていって、税金を負担する人たちの立場というのは非常に軽んじられている。それがもう完全に忘れられているような感じというものを私はさらに強くしたのであります。だから、税である以上、最大のものは国民から信頼されなきゃいかぬと思うんですね。この税金は嫌だ、だめだ、おれは反対だという立場であっても、税そのものの信頼性というものが理論的にあるかどうかということがやっぱりもう一方になければ、私は、幾ら自民党がいろいろおっしゃっても、国民の納得は得られないんじゃないかという気がいたします。
 そこで、また初めのところに戻りますが、今政府は見直し案を出しておられる。それで七月から変える分と十月から変える分と出しておられる。そして、今その法案が出ている。しかし、私から言わせれば、その中の見直していただかなければならない最大の問題点、それは簡易課税制度、仕入れ率のみなし問題、税の不信感を醸成しているここの問題のところは七月いっぱいかかって実態を調べて、それからある一つの答えを出しますというと、もう一度そこのところで大きな見直しのための法案を出さなければ、仕入れ率はあなた方がおっしゃったようにみんな政令に委任するとしても、簡易課税のあれをなくするとか、あるいは五億円を一億円にするとか、それから免税事業者を三千万円が高過ぎるから五百万円にするとかという、こういう問題はこれまた大変な見直しなんですよね。そうすると、その結果また政府は見直し案を再度出して、そして、いやこれも国民の声にこたえてよりよいものにしていくんですというようなことでやっていくんですか。私はこんなやり方というのは決して税と国民という関係から見るといいやり方と思えぬのですけれども、どうですか。結局そうなるでしょう、今の話を聞いておりますと。
#183
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨年の税制国会以来何回か同種の御質問を、本院におきましてもまた衆議院におきましても私はちょうだいをいたしました。そしてその時点で、簡易課税並びに免税点の問題につきましては、一巡後その実績を検討した上でというお答えは繰り返して申し上げてまい
りました。そして先日、逆に、それならその簡易課税や免税点の問題の答えが出るまで待って一本にして法律を出したらどうだという御意見もございましたけれども、国民から見直しを求められております分野は簡易課税と免税点のみでは決してございません。そして、非課税範囲の拡大を中心として、既に昨年の暮れの税制調査会で御論議を終了いたしましたものにつきましては、今国会で我々としては御審議をお願い申し上げたい。同時に、今委員が御指摘になりましたように、これに続きまして、検討の結果、簡易課税あるいは免税点の取り扱いについて一定の結論に達しましたならば、そのまた改正についてもぜひ御論議をちょうだいいたしたい、そのように考えております。
#184
○本岡昭次君 もう一度見直し案が出るということで、結局見直し、見直し、見直し、際限なく見直していっても、結局基本のところが変わらないから欠陥消費税というその汚名はいつまでたってもぬぐい去れぬということだと私は思うんですよ。
   〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕
だから私たちは、これはもう廃止してもう一度出直そう、そのとき私たちも積極的に間接税のあり方を議論しよう、こういう主張をずっとしているわけですよね。
 そこで、逆進性を緩和するために食料品を非課税にしたということなんですが、しかし、食料品全般をとっても、我々が日ごろ口にしないキャビアであるとか、キロ五万円も六万円もするような高級牛肉というふうなものがあるわけで、そういうものと、それから日用雑貨、下着であるとか子供の靴であるとか、そういう最低必需品というふうなものは、やっぱり三%というふうな問題を並べてみたときに、果たしてそういったものが理論的に公平なのかということも一つの問題をさわると起こってくるんですよ。これは総理はいわゆる消費者という立場になったらどういうふうに受けとめられますか。
#185
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員の御指摘でありますが、しかし総理がお答えになります前に、私から今回の消費税の見直しというものが逆進性の緩和に資しているということについて少しお聞きをいただきたいと思うのであります。
 食料品とか住宅家賃など見直しの対象となります支出品目の実収入に対する割合を年間収入五分位の家計調査階級で見ますと、第一分位では二五・七%、第五分位では一四・九%と低所得階層ほど大きくなっております。そのため、課税対象支出は見直しによりまして第一分位におきましては六七・五%から四一・八%に大幅に低下をいたします一方で、第五分位では五〇・九%から三六・〇%への低下にとどまっております。また、第一分位と第五分位の間の差で見ましても、現行は十六・六ポイント、六七・五マイナス五〇・九でありますから、十六・六ポイントから見直しの結果五・八ポイントにこれは縮小するわけであります。このような試算からも、今回の見直し案というものは逆進性を大きく緩和しているところであります。
 しかも、毎回申し上げますように、税制というものを特定の税制のみで論ずることは適切ではなく、所得税あるいは他の社会保障支出等と対比しながら総合的な組み合わせの中で御議論をいただくといたしますならば、今回の見直し案というものは確実に逆進性の緩和に資していると数字をもって御説明を申し上げ、総理からの御答弁を願います。
#186
○本岡昭次君 もうよろしい、時間がないから。
 結局逆進性をなくするために努力したということ。しかし、これで逆進性はなくなったというふうにはおっしゃっていないわけで、逆進性をなくすために努力した。だから、その逆進性をなくしていくためには、絶えず努力していかにゃいかぬということなんですね。今あなたは生活順位のことをおっしゃったけれども、結局僕はそういうことを国民の声として続けていくことと、私たちが逆進性を初めから排除した形で間接税を考えていくときに、個別限定間接税ですか――列挙方式というんですか、それを出してやったことと、私はこれを議論していくと、結局その逆累進性というものをどのようにして少なくして、結局国民の中の公平感というものを満足させていくかというところに来るんじゃないかという気がして仕方がないわけです。
 だから、そのために、今物すごい欠陥があり、見直し、見直しを続けていかなければならないものを際限なくやるのじゃなしに、一遍凍結をして、現状で、今まで納めているやつはそのまま皆さん持っておりなさい、無理に納めぬでもよろしい、そしてきちっとしてから納めてくださいという凍結をして、そしてみんなで話し合うということをやらなければ、現状をずっと続けておいて話し合いに入れといったってそれはできぬですよ。その答弁を最後に聞いてきょうは終わります。これは総理大臣から。
#187
○国務大臣(海部俊樹君) 今いろいろと御議論を聞いておりまして、少しでも国民の皆さんに御理解と定着のいただけるような税の制度、仕組みは、消費税のみならずその他のものも含めて、どのようにしたらいいのかという角度の御議論であったと私も受けとめさせていただきます。
 この問題につきましては、今後とも真剣に私自身も研究をし、勉強もさせていただきたいと思っております。ありがとうございました。
#188
○本岡昭次君 凍結をしてやったらどうですかという、議論をしたらどうですかという提案についてだけもう少しはっきり答えてください。
#189
○国務大臣(海部俊樹君) 大変残念ですけれども、凍結論に賛成することはできませんので、御理解をいただきたいと思います。
#190
○本岡昭次君 終わります。
#191
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で本岡昭次君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 三時二十五分まで休憩いたします。
   午後三時十二分休憩
     ─────・─────
   午後三時二十七分開会
#192
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を再開いたします。
 これより石井道子君の総括質疑を行います。石井君。
#193
○石井道子君 連日大変御苦労さまでございます。さぞお疲れのことだと思いますけれども、きょうは私が最後の質問者でございますので、少々御辛抱のほどをお願いしたいと思っております。
 まず、長寿社会対策につきましてお伺いをしたいと思います。
 去る四月十八日に臨時行政改革推進審議会の最終答申が出されました。その中で、国民負担率は、西暦二〇二〇年ごろの高齢化のピークのときにおいても五〇%を下回ることを目標とするとあります。そして、現在四〇%に達しております状況から推して、五〇%未満にとどめるには、社会保障制度を初めとした制度、施策の改革はもとより、行財政全般にわたり思い切った改革を進めていく必要があると述べられております。私が調べましたところによりますと、昭和三十年ごろには二〇%にすぎなかった国民負担率は、昭和五十年には二六%、六十年には三五%となりました。平成二年度には四〇%を超えると予想されているところでございます。私は、本格的な高齢化社会に向けて明るく活力ある長寿福祉社会を建設していくために、民間の活力も十分に生かしながらゴールドプランを実施し、思い切った福祉政策の充実が必要だと考えております。
 昨年来から消費税の導入の際の論議の中でもありましたけれども、福祉を充実してほしいという強い国民の声を踏まえまして、まず十カ年戦略を踏み出したものと思うのでございますが、二十一世紀の超高齢化社会に向けてどのような社会保障政策のかじ取りをしていくおつもりか、厚生大臣の御見解をお伺いしたいと存じます。
#194
○国務大臣(津島雄二君) 二十一世紀の本格的な高齢化社会を活力のある長寿福祉社会にするとい
う国民的な課題に取り組んでいかなければならない。その要請にこたえて今回高齢者保健福祉推進十カ年戦略を立案し、世に問うているということは委員の御指摘のとおりでございます。
 この基本的な考え方は、福祉の基本的な点はあくまでも公的な施策をもって対応するということでございまして、そういう意味で国民福祉の基盤を充実するとともに、一方、多様かつ高度なニーズにつきましては個人及び民間の活力を活用していくという御指摘のとおりの考え方でございます。こうすることによりまして、高齢化社会の要請にこたえつつもまた活力を社会が失わないように、御指摘の国民負担が不当に増高することのないように、私どもは努力をしてまいりたいと思っております。
#195
○石井道子君 在宅福祉を推進するということは大変重要なことでございます。在宅寝たきり老人が六十万人とも言われておりますし、二十一世紀には百万人を超すと言われております。老人が住みなれた環境の中で家族のお世話を受けながら生を全うするという、そういうことは大変重要な意味を持っていると思いますので、在宅の要介護老人に対して福祉の手を差し伸べる対策を強力に推進する必要があると思います。
 十カ年戦略に示されておりますホームヘルパー十万人計画がありますけれども、現在の状況ではこの十万人を確保するということは大変容易ではないと思います。平成元年度三万一千人でございますから、これから十万人にするには毎年七千人の増員をしなければなりません。人手不足の状況では大変難しいと思われるのでございます。
 昨日の御答弁の中でも、ホームヘルパーの手当を引き上げて処遇の改善を図るということも伺ったところでございますけれども、ホームヘルパー十万人を達成するためには、社会福祉協議会やあるいは福祉公社へ委託をいたしましたり、また家庭の主婦を積極的に活用していく必要があると思うのでございますけれども、いかがでございましょうか。
#196
○国務大臣(津島雄二君) 十カ年戦略の成否のかぎがその担い手でございますホームヘルパーの確保ができるかどうかということにございます点は、御指摘のとおりでございます。そのために、手当額の大幅な引き上げ等をこれまでもやってまいりましたし、今回の予算でもお願いをしておるところでございますけれども、今後その確保のために多様な努力をしなければならない。その一つが御指摘のとおり社会福祉協議会や福祉公社に委託をしてその分をお力をかしていただく、それからまた勤務形態に工夫をして家庭の主婦の方も余裕のある時間を活用させていただくというような工夫をしてまいりたいと思っております。
#197
○石井道子君 十カ年戦略の中にあります寝たきり老人ゼロ作戦というものがございます。これは寝たきりを予防いたしまして、寝たきり状態に陥らないようにということに対して真正面から取り組んでいくことでございますので、国民がみずからの老後を健やかに生きがいを持って生きていくという意味からも極めて有意義なものであると思っております。
 しかし、このゼロ作戦は国が音頭を取っていれば済むものではありませんし、真に国民の間にその意義がよく理解をされて国民的な運動として盛り上がらなければ、その効果は期待できないのではないかと思います。公共サービスの充実とあわせまして、国民意識の変革に向けた取り組みを進めるべきだと思いますけれども、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#198
○国務大臣(津島雄二君) 寝たきり老人ゼロ作戦がこのたびの十カ年戦略の一つの柱でございます。総合的な医療、福祉の各種サービスの提供により寝たきりの発生を防いでいこう、それから一時不自由になった方もできるだけ起きて活動できるような状態をつくってあげようということでございます。このために、厚生省に寝たきり老人予防推進会議を設置するほか、各地域で寝たきり予防シンポジウムを開催することなどをしておりまして、今御指摘の国民世論の喚起、啓蒙活動を積極的に進めたいと思います。
 私どもは寝たきりは避けられないという考え方は改めていただきたいと思いますが、特に今まで例えば慢性的な老人疾患の方々にただ点滴等をたくさんして差し上げるのが親切なやり方だという一種の何というか固定観念がございますけれども、むしろそういうことが寝たきりにつながっていくという指摘もある点は、私どもは忘れてはならないと思っております。
#199
○石井道子君 次に、老人福祉法の一部改正についてお伺いをしたいと思います。
 高齢化対策を進める上におきまして、すべての国民がいつでもどこでも必要とする福祉サービスを受けられるように、福祉制度を確立することが緊急の課題でございます。福祉制度の改正については既に審議会から意見具申もなされておりますし、今国会に福祉関係八法の改正法案を提出されております。その改正の趣旨、基本的な考え方につきましてお伺いをしたいと思います。
#200
○国務大臣(津島雄二君) 今回国会に提出させていただきました老人福祉法等福祉関係の八法案の改正の具体的内容でございますが、三点に要約できるかと思います。
 その第一点は、住民に最も身近な市町村において在宅福祉サービスと施設福祉サービスが一元的に提供できるという体制をつくること。それから二番目に、在宅福祉サービスそのものを一層充実するということであります。それから三番目に、これを計画的に全体として福祉行政を進めていただくということを目標とするものでございまして、本改正はこれからの福祉行政を円滑、効率的に進める上で不可欠なものでございますので、どうか御審議の上、早期の成立をお願い申し上げたいと思います。
#201
○石井道子君 さらに重要なことは、この改正によって老人だけではなくて障害者の方々やまた母子家庭、寡婦の皆様方にも具体的に改善が図れることだと思います。措置権を移譲することとか在宅福祉サービスの推進とともに、障害者の方々の福祉の向上についてはどのような施策が図られますのか、お伺いをしたいと思います。
#202
○国務大臣(津島雄二君) このたびの法律改正は、いわゆる高齢者の方ばかりでなく、地域におきまして障害者の方の施策の充実も図るということをもう一つの柱にいたしておりますが、基本的に障害のある方もない方もともに地域や家庭で暮らす、国際障害者年の理念である完全参加と平等の考え方に基づいて障害者福祉を推進してまいりたいと思っております。
 そのために、障害者の社会経済活動への参加を促進するということで、身体障害者更生援護施設への入所を町村で決定するということ、それから在宅福祉サービスを障害者についても法律上明確に位置づけるということ、それからまたいろいろ詳細な施策を法定いたしておりまして、例えば点字図書や耳の不自由な方への字幕入りビデオテープの貸し出しを行うという視聴覚障害者情報提供施設を制度化するとか、それからまた福祉ホーム、グループホーム、精神薄弱者の方の通勤寮、それからまた相談員の制度を法律上明確に位置づけるというような、きめ細かな施策を決めておるところでございます。
#203
○石井道子君 在宅福祉サービスを支援する体制の一つといたしまして、在宅介護支援センターをこのたび一万カ所創設いたしまして、在宅介護で苦労している御家庭が、御家族が身近なところで気軽に専門家に相談できるように在宅介護相談協力員の構想も含まれていると承知しておりますけれども、民生委員の方々にお願いするのもよろしいと思いますし、また町の薬局も積極的に活用していただいてはいかがかと思うのでございます。
 薬局は地域の実情もよく把握しておりますし、特徴のある高齢者の身体に関する理解も相当程度持っておりますから、老人やその家族の相談相手として適任者ではないかと思っておりますけれども、いかがでございましょうか。
#204
○国務大臣(津島雄二君) 今後十年間で在宅介護支援センターを一万カ所目指していくわけでござ
いますが、その円滑な運営を図るためにいろいろな工夫をしていく。その一環として今薬局の利用について御提案がありましたのは、大変私は意味のある御提案であろうと思います。
 この支援センターにおける住民が身近に接触しやすいところでお手伝いをしていただくという在宅介護相談協力員として、薬局は地域の事情に詳しく住民の身近なところにあるという意味で、可能な地域においては積極的な活用を図っていただきたいというふうに考えております。
#205
○石井道子君 高齢者の在宅ケアを考える場合に、住宅の問題を抜きにして考えることはできません。高齢化社会に向けて住宅政策の基本方針と平成二年度の事業について建設大臣にお伺いしたいと思います。
#206
○政府委員(伊藤茂史君) 御説明申し上げます。
 高齢化の進展への対応は、住宅政策におきましても重要な課題であるというふうに認識しております。この場合、高齢者の身体機能低下、これは避けられないわけでございますが、それから住まい方もいろいろあろうかと思いますけれども、そういうものに十分配慮しまして家庭や住みなれた地域で生活をしていくというのが高齢者にとりまして一番幸福であろうということで、住宅対策もそういうことを基本にして進めたいというふうに考えております。
 このため、現在の制度で申し上げますと、身体機能の低下や親族との同居に配慮しました規模、設備を有します公共住宅、公営や公団でございますが、そういうものの供給あるいは入居面の優遇措置、それから二番目が持ち家対策でございますけれども、住宅金融公庫融資におきまして、高齢者と同居をしたいあるいは多家族一緒に二世帯以上住みたいという場合の割り増し貸し付け、それから公共賃貸住宅の新しい団地をつくります場合に、厚生福祉行政とタイアップをいたしまして、シルバーハウジング・プロジェクトと申しておりますが、そういうもののケアつき住宅の供給促進等を推進しているところでございます。
 平成二年度予算でどういうものを提案、計上しておるかというお尋ねでございますが、平成二年度では、高齢社会に対応して高齢者の利用に配慮した公団公社住宅を供給するという立場から、いろいろと地域の実情に合ったそういう住宅を供給するということで、シニア住宅供給推進事業、これは調査費が主でございますが、そういうものを一つ創設させていただいております。
 それから金融公庫融資につきまして、一つは今までは新規の住宅の建設に際して割り増し貸し付けというのがあったわけでございますが、住宅改良工事設備やそれから若干増築をする、あるいは中の仕様を直すというような場合につきまして、割り増し貸し付けを新しい制度を設けることをお願いしてございます。通常、四百七十万円の融資に対しましてプラス五十万円ということでお願いをしてございます。
 それから高齢者同居割り増し貸付額、先ほど新規の建設をする場合のお話で申し上げましたが、これも割り増し額を高齢者同居につきましては百三十万円から百五十万円、二世帯住宅等につきましては二百八十万円から三百万円というふうにアップをお願いしております。
 それからケアつき高齢者住宅貸し付けを公庫が公社に対して行います際に、今までは公社自体が賃貸住宅を建設してということで考えておりましたが、今回は民間賃貸住宅を借り上げてもよろしいというようなことで、今までの施策にプラスしまして充実の方向でお願いをしているところでございます。
#207
○石井道子君 次に、高齢者雇用の問題についてお伺いをしたいと思います。
 二十一世紀に向けて活力のある社会を実現していくためには、高齢者の雇用対策が大変重要でございます。高齢者の働く意欲と長年培った技能や経験が有効に活用されないことは我が国にとっても社会の損失であり、大変不幸なことでございます。高齢者の雇用状況はいかがでございましょうか。多様化した就業のニーズに対応して雇用対策をどのように進めていかれますか、お伺いをしたいと思います。
#208
○国務大臣(塚原俊平君) 有効求人倍率というのがございまして、もう労働政務次官をおやりいただきましたので、ありがとうございます。今一・三三倍ということになっているわけでございますけれども、そういうことで大変人手不足感が広がっているんですが、じゃ高齢者はといいますと〇・三三倍ということで、大変に厳しい雇用情勢にございます。これからさらに高齢化も進みますし、若年労働力の供給が減少するということも予想されますものですから、ただいま先生が御指摘になりましたような能力と経験を生かせるような社会の仕組みをつくらなくちゃいけないというようなことで、今回私ども六十五歳までの雇用の推進を中心といたしました高年齢者雇用安定法の改正案を今国会に提出いたしております。
 労働省といたしましては、六十五歳までの継続雇用の推進を中心に、高年齢者の早期再就職の促進、シルバー人材センターの拡充強化等、高年齢者の総合的な雇用就業対策をさらに講じてまいりたいというふうに考えております。
#209
○石井道子君 老後の生活の問題は年金の問題がありますけれども、昨年の年金法の改正においては、年金額も引き上げられたと同時にまた保険料も引き上げられたということでございまして、支給年齢は据え置きになりました。これも一つの選択の道ではあったかとも思いますけれども、その附帯決議の中にもありますように、やはり六十歳定年制とそれから六十歳前半の雇用の政策の連携、これが大変重要な意味を持っておりますので、ぜひその点についての総理の御見解をお伺いしたいと思います。
#210
○国務大臣(海部俊樹君) 今、目の前に来ております高齢化社会に対していろいろな角度から幅広い御質問があり、それぞれ担当大臣より答弁いたしましたが、私は一言で言いますなれば、やはり今日まで病になられたときとか所得がなくなられたときとかいろいろ人生に日の当たる面と日の当たらない面があるとするなれば、日の当たらないところには政治、政策努力で日を当てていこうというところにずっと主眼が置かれてきたと思います。
 今度は、そうじゃない、大変お元気で健やかに年をとっていただいた方がどうされるとか、それらの方々に社会にさらに自分の知識や経験を生かして活性化のためにお力添え願うとか、日の当たる面の社会保障といいますか、そういったようなことについての対応策はこれまで全く未知数のことでありましたから、高齢化社会がどんどん現実のものになってくるとそこへ広がっていかなきゃならぬ問題になってまいります。
 そこで私は、これらの問題すべてを含めて、今は当面御議論になりました長寿社会対策大綱に従っていろいろな施策を進めてまいりますが、今後例えば生涯学習の問題なんかももっと幅を広めて、御自分の心のゆとりの時間をもっと広めていただくとか、いろいろなことにそういったことが大事になってきます。すべての幅の広い奥の深い政策努力を続けていかなければならない、こう受けとめております。
#211
○石井道子君 次に、老人の医療の問題についてお伺いをいたします。
 既に老人保健制度が行われておりまして、いろいろと工夫がされてきているところでございますが、老人医療費は平成二年度におきまして対前年比八%の増額でございまして、総額六兆円に達すると推計をされております。このような老人医療費をいかにして効率よくするか、財政基盤を安定化するかということについて、加入者按分率の引き上げの問題もありましたけれども、今回はちょうど厚生保険特別会計に一兆五千億の資金を設けまして、その運用益七百五十億円によりましてその拠出金負担増の緩和を初めといたしまして老人保健制度の基盤安定のための措置が講ぜられました。このような措置は、やはり健康保険組合などの負担がかなり多くなっておりますから、それを何とか緩和して安定的な運営ができるためには大
変効果があったと思うのでございますけれども、あくまでも暫定的な対策であると思います。
 既に健保組合の中でも赤字組合も大変出ておりますし、保険料収入に占める退職者医療制度の拠出金を含めた拠出金の割合も年々上昇している状況でございますので、このような一時的な措置ではなくて将来を見据えた公費負担のあり方、一部負担のあり方を検討していただきまして、できるだけ早く結論を出すべきではないかと思います。七百五十億円の措置の平成三年度以降の取り扱いも含めまして、特に私は厚生行政に大変御理解のある大蔵大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
#212
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員からお述べになりましたように、平成二年度から老人保健の拠出金にかかる加入者按分率を一〇〇%に移行させたわけでありまして、これにより老人医療費の完全な公平負担が実現するということになりました。しかし、そのために必要な基盤安定化措置というものも厚生保険特別会計に積み立てたお金を使って対応したわけであります。
 私どもとしては、この厚生保険特別会計の中に積み立てましたものについて、これは厚生保険、厚生年金国庫負担の繰り延べ措置の延長線上にいわば位置する返済見合いのものを積んであるということでありますから、これができるだけ早く返せるような財政状態に持っていきたいという気持ちは一方で持っておりますが、今すぐそこまで到達できないということで当分の間という位置づけにいたしております。
 しかし、そうした中で、今委員から御指摘がありましたように、仮に老人保健制度というものを今後に向けて考えてまいります場合に、私は、公費負担のあり方以前の問題として、やはり基本的には国民負担の増大を生じないようにどうすれば医療費の伸びが抑制できるのか、医療費のむだというものが排除できるのか、そしてまず病気になってしまってからの治療対策ということではなくて、健やかに老いる工夫との組み合わせをどうできるか、その結果における医療費のむだを省く努力というものがまず先行すべきものではなかろうか、そう考えております。
 先ほど委員が御指摘になりました高齢者保健福祉推進十カ年戦略そのものもまさにそうした方向に向けての努力の一環でありまして、私どもとしてはこうした措置を組み合わせることにより、将来ともに老人保健というものが心配がない状態で運営されるように進んでいくことを期待しております。
#213
○国務大臣(津島雄二君) 大変素養のある石井委員の老人保健制度に対する認識は私も同じでございますし、また大蔵大臣から適切な御答弁がございましたが、こういう問題を現在老人保健審議会の場を通じて審議をしておりますから、その論議が早く調って意見がまとまることを今待っておるところでございます。
#214
○石井道子君 次に医薬品の問題を伺いたいんですけれども、医療に医薬品は不可欠でありまして、疾病の治療に果たす役割は大変大きなものがありますし、最近は新薬の開発も大変進んでまいりまして、現在薬価基準に収載をされております医薬品の数は一万四千四百十七品目にも達しているわけでございます。そのような多くの医薬品またよく効く薬がたくさん出てきたということはすばらしいことでありますが、ともすると医療の面で薬づけ医療の問題が大変大きな課題になります。しかしそのことだけではなくて、医薬品の持つ副作用、このことを十分に配慮して使いませんと大変これは不都合なことになります。
 それで、その適正な使い方につきまして十分配慮する必要があるのでございますけれども、お年寄りの方々は病気をたくさん持っております。そして体質的にも胃酸の分泌量が減ったり、また胃腸の運動やそれから吸収部分の面積がだんだんと減少してまいりますから、薬物の吸収とか代謝とか排せつの機能というものが大変低下するわけでございまして、そういう身体的な特徴があるわけでございます。にもかかわらず、やはりお年寄りに対して必要以上にお薬を用いているという問題が時々指摘をされているわけでございまして、これはやはり医療費の高騰の原因であるばかりではなくて、お年寄り自身の健康を害してしまうというそういう結果になるわけでございますから十分注意をしなければならないと思います。
 特に老人病院に入院をしておりますお年寄りに対しましては、こうした薬や注射といったようなことよりも、介護や看護によって日常生活活動の能力を維持していくことも大切だと思いますけれども、こうした方向について老人診療報酬の面でもいろいろ配慮されているところでございます。せんだっても大蔵大臣の医療費が少なくなるということは難しいけれども、やはりむだを省くことは必要であるというようなお話がございました。そのような観点からも、老人医療の問題というのは大変重要な意味を持っていると思います。また、このような診療報酬の問題についてはいかがでございましょうか。どのような配慮がされておりますでしょうか。
#215
○国務大臣(津島雄二君) 医薬行政の本当の専門家でございます石井委員の御指摘の点はすべて私賛成でございまして、そのような観点から特に我々が心配しておりますのは、薬局による薬歴管理をいたしませんと重複投与が多くてそういう意味の問題がかなりあると心配をしておりますが、そういう観点も加味して医薬分業を積極的に進めてまいりたいと思っております。
#216
○石井道子君 それから、四月に厚生省の研究班が行いました調査の結果がございます、報告がございます。これは全国の国立病院と療養所における七十歳以上の外来患者が一度に渡される薬の量がどれくらいあるかということでございまして、四種類から六種類の人が約四割を占めておりました。そして十種類以上もらっている方が一割ぐらいということでございます。中には呼吸器の病気と循環器の病気を持っている人が二十八種類も薬をもらっていたという例があったのでございまして、これは大変健康上もゆゆしき問題であると思います。
 また、蒲田薬剤師会の調査によりますと複数の科にかかっている割合というもの、二つの科にかかっている方が九三%ございました。それから三つの科にかかっている方が六・四%、六つの科にかかっている方も中にはあったわけでございまして、非常にたくさんの診療科目にかかわっているということでございます。
 特にそのようなたくさんの病気を持っていていろいろな医療機関からお薬をもらった場合には、その間の連携がございません。ですから、そういう点についての相互作用、副作用ということも出てくるわけでございまして、例えば風邪を引いてフェンブフェンという鎮痛消炎剤を飲んでいて、そこへ今度は尿路感染症の疑いがあるということでエノキサシンという薬をまた別の機関でもらったというようなときに、呼吸がとまるほどの非常なけいれんが起きてしまったという事例がございました。また、最近お年寄りがふえてまいりまして血栓症が、脳血栓とかそういうような病気が多いのでございまして、ワーファリンが大分使われております。この薬もやはり抗生物質とかサルファ剤を一緒に使いますと、今度はその溶血作用というものが促進されるということで副作用が出てまいります。
 このような副作用とか薬の問題についていろいろ調査がされているところでございますけれども、現在まで、六十三年の統計を見ますと、医療機関とかメーカーさん、薬の企業から報告のあったものは二千六百九十七件でございました。それから薬局からの報告が千二十五件ございました。そのようなことで、副作用ということが大変問題にならざるを得ないのでございまして、高齢者に対する薬物療法のあり方についてはかなりいろいろと検討する必要があると思います。
 老人の病院とか診療所のかけ持ち受診、このことによる相互作用とか重複服用を防いでいく、そしてさらに大衆薬の服用というものも含めて適切な薬物療法を行うということが必要でございます
けれども、それにはどうすればよいかというと、外来患者については医薬分業を行ってやはり薬局で薬歴管理をしてチェックする、これが大変よい方法であるというようなことが定着をしてまいりました。そういう点で、先ほども厚生大臣の方から医薬分業のお話がありましたけれども、ぜひこの医薬分業の今後の具体的な進め方、目標についてお伺いをしたいと思います。
#217
○国務大臣(津島雄二君) 我が国で医薬分業が進まないいろいろな事情、歴史的な事情があるようでございますが、このたび基準薬局という制度を打ち出していただいたわけであります。この基準薬局で一般の方が安心してそこへ行って自分の薬歴管理をし、また必要な薬については適切な投薬をしていただく、こういう制度を育てていくことによって医薬分業を進めてまいりたいと思っております。
#218
○石井道子君 それから、国立の大学病院の場合に第二薬局が割合と多いのでございまして、いろんな歴史的な経緯がございます。その第二薬局は余り好ましい状態ではありませんので、これを排除しなければならないのでございますが、その点について文部省のお考えを伺いたいと思います。
 それからまた、このような薬物療法を行う上において医師が処方せんを切るわけでございまして、薬を使う点については非常に責任があるわけでございますが、そういう薬物療法に関する教育について医学教育の中でどのようになさっていらっしゃいますか、その点についてお伺いをしたいと思います。
#219
○国務大臣(保利耕輔君) 医薬分業は、私も重複投与を避けたりあるいは適正な服薬指導等の観点から大変必要なことだと存じております。
 なお、国立大学の附属病院等におきまする状況、現況につきましては、高等教育局長が参っておりますので、教育のありさま等を加えて御答弁申し上げさせたいと存じます。
#220
○政府委員(坂元弘直君) お答え申し上げます。
 大学病院の第二薬局の問題でございますが、委員も御承知のとおりに、国立大学医学部の附属病院を活動の場といたしまして病院財団が設置されております。これは、病院財団のうち患者へのサービスの一環として現在調剤薬局を持っているものが二十一薬局ございます。それで、昭和五十七年五月の厚生省通達で、実質的には大学における薬局と実質的な機能は変わりはないではないか、医療分業という観点から見て必ずしも適切ではないという指摘もございまして、その後改善に努力をしてきております。
 薬局が事実上病院の敷地内にあったものを病院の敷地外へ移転して逐次改善を図ってきておりまして、本年四月一日現在では、二十一カ所のうち病院の敷地外に薬局を移したというものが十六カ所ございます。なお病院の敷地内に存在するものが五カ所ございまして、これもここ数年のうちに病院の敷地外に出ていくという予定になっております。私どもとしましては、引き続きこの第二薬局の問題につきましては適切に指導していく所存でございます。
 それから医師の教育課程の中で薬物による療法に関してどのような教育を行っているかということでございますが、これも委員も既に御承知のとおりに、医学部におきましてすべての大学に薬理学に関する講座が設けられておりまして、これらの講座が中心になりまして薬物の人体に及ぼす影響、薬物の施用による効果的な治療方法等につきまして基礎医学、臨床医学全般にわたって教育を行っているところでございます。
 ちなみに、どのぐらいの時間帯を行っておるかということを申し上げますと、国立大学では専門課程の総授業時間数のうちの大体五%弱、多いところで二百五十二時間、少ないところで百七、八十時間、平均して二百時間強の授業時間数の薬理学の講義を行っているところでございます。それから公私立につきましても大体多いところで二百時間、平均しますと百六、七十時間で、総講義数の四%程度をこの薬理学の講義に充てているところでございます。今後とも、委員御指摘の点を踏まえまして、各国公私立大学の関係者に適切に指導してまいりたいというふうに考えております。
#221
○石井道子君 次に、児童の問題についてお伺いをいたします。
 これだけ高齢化社会になっているにもかかわらず、出生率が大変低下をしております。この状況が最近非常に大きな社会問題として取り上げられていると思うのでございますけれども、二十一世紀の社会を支える児童の健全育成の問題は、老人問題以上に私は大切なことではないかと思っているわけでございまして、このことについてちょっとお伺いをしたいと思います。
 最近の出生率の低下、これは昭和二十四年に二百七十万人でございました。ベビーブームのときでございます。第二次ベビーブームの昭和四十八年に二百九万人でございます。後は減り続ける一方でございまして、平成元年の出生率は百二十四万人でございます。ここ二、三年は最低記録を更新しているという状況でございまして、一人の女性が生む子供の数というのは一・六六人でございます。人口がふえも減りもしない出生率というのは二・一でございますからそれに及ばないということでございまして、このことはかつての先進欧米諸国の問題にありましたように、それが今度は我が国においても大変重要な問題ではないかと思います。この出生率の低下のさまざまな要因があると思いますけれども、この点についてどのように考えていらっしゃるでしょうか。
#222
○国務大臣(津島雄二君) 出生率の低下は非常に大きい問題でございまして、委員が今御指摘になった一・六六という合計特殊出生率を前提といたしますと、これはヨーロッパの重立った国軒並み、日本は最低になる。ドイツが非常に低かったんですけれどもまた上がり始めておりますから、あるいは先進国で一番低い出生率になってしまうんではないかという危機感を持っております。このままで参りますと、私ども例えば年金の設計をいたします場合に、これまでの年金設計の基礎が全部狂ってしまうというような意味におきまして、非常にやはり心配な要因でございます。
 そういう危機感から、実は総理も施政方針演説で子は世の宝である、安心して子供を生み育てることのできる社会環境をつくろうと強く訴えておられるわけでありますが、これは厚生省だけでやれることには限りがありますが、私どもの方としても児童と家庭問題に関する検討委員会というものを省内につくりまして、とにかく省を挙げてこの問題に取り組んでまいりたいと積極的にやっておるところでございます。
#223
○石井道子君 このような児童対策は、厚生省あるいは住宅の問題など建設省の関係とかあるいは文部省などが絡んでくるかとも思いますけれども、具体的な出生率を上げるための対策、これを何とか考えていかなければならないのではないかと思います。ですから、さっきちょっと原因について伺ったんですが、余り御答弁がなかったのでございますけれども、なぜ出生率が下がるかというような点では、働く女性が大分ふえてきているということ、結婚する年齢が高くなっているというようなことがありますし、経済的な問題あるいは住居の問題、いろんなことがあるようでございます。
 その中で児童手当制度の問題がありまして、これも子供を養育する家庭についての経済的な支援としてずっと続いておりますが、ちょうど昭和六十年度に改正をいたしました。そして現在まで至っているわけでございますけれども、やはり現在の育児費の統計によりますと、約千五百万円ぐらい育児費としてかかるという統計も出ておりますし、また教育費も六百万円から千三百万円ぐらい大学まで行くとかかる。私立大学に行きますと三千万、四千万までかかるというような状態もありまして、経済的な問題も大きな課題ではないかと思います。この児童手当につきましては、できるだけ育児に手のかかる時期あるいは費用のかかる時期、乳児期に手厚く支給することも大事なことではないかと思いまして、児童手当の問題についての見直しについてどのように取り組まれます
かお伺いをしたいと思います。特に外国との比較によりますと日本はかなり低い水準であるということを伺っておりまして、そのこともあわせまして御見解を、対策をお伺いしたいと思います。
#224
○国務大臣(津島雄二君) 出生率の低下のいろいろな原因がございますが、その中で経済的な要因があるということは御指摘のとおりであろうと思います。
 今の児童手当制度は平成三年五月までの特例措置として組み立てられているわけでございますから、その後のあり方についても検討しなきゃならない。そこで現在、中央児童福祉審議会において具体的な改正の方向について幅広い観点から審議を進めておりまして、児童が健やかに生まれ育つための中身のある環境づくりを進めるためにするにはどうしたらいいかという観点から検討してまいりたいと思っております。
#225
○石井道子君 女性が社会進出をいたしまして、非常に活躍をしております。そのための家庭と育児を両立させる、職業と両立させるという点についてはいろいろな対策がありますけれども、まず子育てのときのやはり保育所の設備が、機能が車要な役割を果たすと思います。それからまた、育児休業制度の問題がありまして、働きながら子育てをするという点については、この制度をもう少し充実する必要もあると思うのでございますけれども、この育児休業制度の現在の普及率、そして余り普及されていないような印象があるのでございますけれども、そのためにはその原因といいますか、今後どのような点について配慮する必要があるかどうか、労働大臣にお伺いをしたいと思います。
#226
○国務大臣(塚原俊平君) 大分普及はしてきたのですけれども、でもまだ二割弱ということでございます。ただ、男女雇用機会均等法ができましてから女性の職場進出は顕著に見られるようになりまして、またそのことによって非常に女性が職場において大切な存在であるという再認識がさらにされるようになってまいりました。そういう面ではお子様を育てるという、子供を生んで出生率を高めてということもあるんですが、それ以上にどうしても職場が女性を求める、その女性にはどうしても子供を生んだ後も継続して働いてもらいたいという意識はこれからだんだん強くなってくると思います。
 そういった面でこの育児休業制度というのは何としても皆さんから正しく御理解をいただいて、本当の正しい御理解をいただいて、みんながそうだというようなところで制度を確立していかなくちゃいけないというようなところにあると思います。そういうことで、現在制度の普及促進にいろいろな努力をいたしております。先生の御質問は恐らく、法的な面はどう考えているんだというところまで、政務次官のときのお仕事等を拝見していますと来るんだと思います。法的な側面も含めた育児休業制度のあり方につきましては、これは本当に勉強を要するテーマであるというふうに認識をしております。
#227
○石井道子君 海部総理も施政方針演説の中で、出生数の減少は我が国の将来にさまざまな問題を投げかけるものであり、若い人の子供を持つ意欲を積極的に支えていくことに日本の未来をかけて努力していかなければならないと、そうおっしゃっていられました。
 それで、出生率の低下の問題を初めといたしまして、児童の問題について幾つかお伺いをしたのでございますが、子供というものは授かりものであるということも言えますし、子供を持つことの喜びとかあるいは社会の宝であるとか人類の未来を支える力であるという、そういうような考え方のもとに二十一世紀において我が国が豊かな社会を迎えるために、次代を担う児童の問題について社会全体で考えなければならないことではないかと思います。厚生省だけではなくて、政府全体で積極的に取り組んでいただきたいと思うのでございますが、総理の児童の問題に対する取り組みにつきましてお伺いをしたいと思います。
#228
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろ御議論がございますように、私はやはり子供の出生率が近年とみに少なくなってきておるということを率直に心配しております。将来の社会の活力といいますか、子供一人一人の立場を考えてみると、このごろ一人で育ってくる子供さんというのは、我々子供のころに体験した家庭における切瑳琢磨とか、あるいは兄弟げんかを奨励するわけじゃありませんが、兄弟げんかによって身につくお互いに対する思いやりとか、相手の立場に立って物を考えるとか、いろんなことも自然身についていく、そういったような経過を全然経ないで大きくなっていく人々に一体何をしたらいいんだろうか。そういった意味で学校教育の場で集団生活とかお友だち関係とかいろいろなことが問題になったりしてくるのではないだろうかと、いろんなことを考えております。
 結論を言いますと、やはりどのようにしたら健全な子供を育てていくことのできる、逆に言うと親の立場からいくと安心して子供を育てることができるような社会の環境になっていくか。今ここでいろいろ御質疑のありましたような問題点を一つ一つ積み重ねて解決していくことによってこの問題は解決していかなければならぬことではなかろうか、私はこのように思っております。
#229
○石井道子君 次に婦人問題についてお伺いしたいのでございますが、時間が余りありませんので少し省かせていただきたいと思います。
 その中で婦人対策、婦人政策は日本でもかなりいろいろと国内法の整備も進められまして、推進をされてまいりました。国際的な大きな広がりもありますし、そういう点で婦人の置かれている立場、これはかなり千差万別でございますから、そういうきめ細かな対策が必要でありますし、各省庁において取り組まれておるところでございます。そういう省庁の政策は整合性を持ったものにしていただきたいと思っております。
 そして、高齢化社会を支えていく、次代を担っていく子供を生んで育てていくというそういう重要な役割を果たしているのは女性でございます。特に最近は選挙における女性のパワーというものが大変目覚ましいものがあります。そういう点で、婦人議員の数はまだ少ないのでございますけれども、だんだんふえてきております。今回内閣の方に女性大臣が一人もいらっしゃいませんでした。前回はお二人がいらっしゃいまして政務次官も一人おりましたけれども、今回は大臣も政務次官もゼロになってしまったのでございまして、大変寂しい思いをしているところでございます。
 それからまた審議会がありますけれども、政策決定の場でやはり女性が大いに力を発揮できる場もあると思うのでございまして、優秀な女性も大勢いらっしゃいますし、女性の政治についての関心も非常に高まっておりますから、そういう女性の生活感覚を生かす意味でも女性の審議委員の採用を大いに進めていただきたいと思うわけでございます。
 そういう点について総理のお考えをお聞きいたしまして、特に婦人の地位向上に対してどのように取り組まれていらっしゃいますか、今後も取り組まれますか、御決意のほどをお伺いしたいと思います。
#230
○国務大臣(海部俊樹君) 婦人の地位の向上、この問題については私どもも非常に大切なことだと考えておりますし、また真の男女平等を社会のあらゆる面に実現していくためにも、婦人の持っていらっしゃる能力、そういったものを社会のために十分に発揮していただくということは大事なことだと思っております。
 政府といたしましては、昭和六十二年五月策定しました「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」において、婦人が男性と等しく能力を発揮し男女がともに社会の発展に寄与できるような男女共同参加型社会の形成を目指しているところでございますが、今具体的に御指摘のございました審議会等における婦人委員の登用の促進につきましても、昨年七月十日の本部参与会提言の趣旨を踏まえまして、一層努力をしていきたいと考えております。
#231
○石井道子君 それから、せんだって出ました問題でゴルフ場の農薬の問題がございます。
 このゴルフ場の農薬によって水道の水質の問題が大変心配をされているところでございまして、国民が大きな関心を持っております。厚生大臣は先般の答弁におきまして、目安としての基準を検討中と御答弁されました。しかし、国民の期待にこたえるべく早急に策定すべきではないかと思うのでございますけれども、その点についての御見解をお願いいたします。
#232
○国務大臣(津島雄二君) ゴルフ場の農薬の問題に関連をいたしまして厚生省としては水道水の安全の確保という観点から重大な関心を持ってまいったわけでありますが、生活環境審議会水道部会水質専門委員会におきまして、ゴルフ場で使用される重立った農薬について飲み水としての目標値を設定するための検討をしてきたところでございますが、明十七日に専門委員会の開催をお願いし、できれば検討結果をそこでまとめていただきたいと思います。
 この検討結果がまとめられますれば、これを踏まえまして厚生省としては五月中に水道水としての暫定目標の設定、モニタリングの実施等の指導措置を確立いたしたいと思います。これが出発点となりまして、関係各省におきましても適切な措置をとっていただけると思っております。
#233
○石井道子君 それから公共投資十カ年計画の中で、せんだってアメリカに対しまして日米構造協議の中間報告の中で約束をされたと聞いておりますけれども、十年近く公共事業費が非常に抑制傾向でございます。ですから、今回このようなことで生活環境の向上を図るために下水道の整備あるいは公園、住宅などの整備が進められることを大変期待しておりますし、立派な計画を立てられることを望んでいるところでございます。
 特に公園につきましても、日本の一人当たりの面積というものは五・二平方メートルでございまして、ロンドンが三十・四平米、パリが十二・一一とか、ほかの主要都市に比べましても都市部の公園の規模が大変少ないわけでございまして、そういう点もぜひ御配慮いただきたいと思うわけでございます。
 このような公共投資の拡大に伴いまして、そこで働く建設労働者の確保対策が問題でございます。この問題は、今でも景気がよくて人手不足でございまして、外国人労働者問題とかというところに影響が及んでいるところでございますが、今後もそのような公共事業がますます多くなるという点について、このような建設労働者の確保対策についてどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
 それから最近は公共事業の入札の不調ということが大分起こっておりまして、これはいろいろ原因があると思いますけれども、人手不足の関係あるいは単価が安くて赤字になってしまうということもあるそうでございまして、特に発注の期間が非常に下半期に集まってしまいますからそういう点でバランスが悪いということもあるそうでございます。労働時間が長くて仕事がきついのでなかなか若い人のなり手がないということもありますので、そういう建設関係の労働者の人手不足を解消するための対策、今後の方針について建設大臣にお伺いしたいと思います。
#234
○国務大臣(綿貫民輔君) 御指摘の公園等の施設がおくれておるということでございまして、これはそのとおりでございます。今度の構造協議等の背景もありまして、前向きにそれらのおくれを取り返すように努力したいと思っております。
 なお、建設労務者の不足等々によりましてそれらのことが心配になるというような御質問でございますが、今建設省でも構造改革プログラム等を通じまして建設業界の近代化さらには機械化を進めながら省力化を進めたり、いろいろなことでそれらを補うように指導をいたしておりますが、いずれにいたしましてもこの建設労務者の問題は非常に深刻な問題でございまして、これらについて官民一体になって打開に努力をしていきたいと考えております。
#235
○石井道子君 質問を終わります。ありがとうございました。
#236
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で石井道子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト