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1990/05/23 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 予算委員会 第12号
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1990/05/23 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 予算委員会 第12号

#1
第118回国会 予算委員会 第12号
平成二年五月二十三日(水曜日)
   午前十時五十六分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     尾辻 秀久君     関口 恵造君
     合馬  敬君     須藤良太郎君
     西野 康雄君     細谷 昭雄君
     井上  計君     小西 博行君
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     星野 朋市君     野末 陳平君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         林田悠紀夫君
    理 事
                伊江 朝雄君
                石原健太郎君
                下稲葉耕吉君
                平井 卓志君
                穐山  篤君
                矢田部 理君
                安恒 良一君
                太田 淳夫君
                吉岡 吉典君
    委 員
                青木 幹雄君
                井上 章平君
                石井 道子君
                遠藤  要君
                小野 清子君
               大河原太一郎君
                片山虎之助君
                北  修二君
                斎藤栄三郎君
                須藤良太郎君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                谷川 寛三君
                中曽根弘文君
                西田 吉宏君
                稲村 稔夫君
                梶原 敬義君
                久保  亘君
                國弘 正雄君
                竹村 泰子君
                角田 義一君
                堂本 暁子君
                細谷 昭雄君
                本岡 昭次君
                山本 正和君
                猪熊 重二君
                白浜 一良君
                和田 教美君
                近藤 忠孝君
                粟森  喬君
                池田  治君
                足立 良平君
                小西 博行君
                下村  泰君
                野末 陳平君
   国務大臣
       内閣総理大臣   海部 俊樹君
       法 務 大 臣  長谷川 信君
       外 務 大 臣  中山 太郎君
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
       文 部 大 臣  保利 耕輔君
       厚 生 大 臣  津島 雄二君
       農林水産大臣   山本 富雄君
       通商産業大臣   武藤 嘉文君
       運 輸 大 臣  大野  明君
       郵 政 大 臣  深谷 隆司君
       労 働 大 臣  塚原 俊平君
       建 設 大 臣  綿貫 民輔君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    奥田 敬和君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  塩崎  潤君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       砂田 重民君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  石川 要三君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       相沢 英之君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       大島 友治君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  北川 石松君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  佐藤 守良君
   政府委員
       内閣官房内閣内
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房内政審議室
       長        公文  宏君
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一
       部長       大森 政輔君
       内閣総理大臣官
       房審議官     文田 久雄君
       警察庁交通局長  関根 謙一君
       宮内庁次長    宮尾  盤君
       総務庁長官官房
       審議官
       兼内閣審議官   杉浦  力君
       総務庁長官官房
       会計課長     大橋 豊彦君
       総務庁行政監察
       局長       鈴木 昭雄君
       防衛庁参事官   玉木  武君
       防衛庁参事官   村田 直昭君
       防衛庁長官官房
       長        児玉 良雄君
       防衛庁教育訓練
       局長       米山 市郎君
       防衛庁装備局長  植松  敏君
       防衛施設庁総務
       部長       吉住 愼吾君
       防衛施設庁建設
       部長       黒目 元雄君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
       経済企画庁調整
       局長       勝村 坦郎君
       経済企画庁国民
       生活局長     末木凰太郎君
       経済企画庁総合
       計画局長     冨金原俊二君
       環境庁長官官房
       長        渡辺  修君
       国土庁長官官房
       長        北村廣太郎君
       国土庁長官官房
       会計課長     森   悠君
       国土庁計画・調
       整局長      長瀬 要石君
       国土庁土地局長  藤原 良一君
       国土庁大都市圏
       整備局長     三木 克彦君
       法務大臣官房会
       計課長      木藤 繁夫君
       法務省人権擁護
       局長       篠田 省二君
       法務省入国管理
       局長       股野 景親君
       外務大臣官房領
       事移住部長    久米 邦貞君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省条約局長  福田  博君
       外務省国際連合
       局長       赤尾 信敏君
       大蔵省主計局長  小粥 正巳君
       大蔵省主税局長  尾崎  護君
       国税庁次長    岡本 吉司君
       文部大臣官房長  國分 正明君
       文部大臣官房総
       務審議官     佐藤 次郎君
       文部省初等中等
       教育局長     菱村 幸彦君
       文化庁次長    遠山 敦子君
       厚生大臣官房総
       務審議官     加藤 栄一君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省保健医療
       局長       長谷川慧重君
       厚生省生活衛生
       局長       目黒 克己君
       厚生省社会局長  長尾 立子君
       厚生省児童家庭
       局長       古川貞二郎君
       農林水産大臣官
       房長       鶴岡 俊彦君
       農林水産大臣官
       房予算課長    山本  徹君
       農林水産省構造
       改善局長     片桐 久雄君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     松山 光治君
       通商産業大臣官
       房審議官     横田 捷宏君
       通商産業省立地
       公害局長     岡松壯三郎君
       工業技術院長   杉浦  賢君
       中小企業庁計画
       部長       高島  章君
       運輸大臣官房長  松尾 道彦君
       運輸大臣官房会
       計課長      岩田 貞男君
       運輸省運輸政策
       局長       中村  徹君
       運輸省地域交通
       局長       早川  章君
       運輸省港湾局長  御巫 清泰君
       運輸省航空局長  丹羽  晟君
       郵政大臣官房長  白井  太君
       郵政大臣官房経
       理部長      木下 昌浩君
       郵政省郵務局長  小野沢知之君
       労働大臣官房長  若林 之矩君
       労働省労政局長  岡部 晃三君
       労働省労働基準
       局長       野崎 和昭君
       労働省職業安定
       局長       清水 傳雄君
       労働省職業能力
       開発局長     甘粕 啓介君
       建設大臣官房長  牧野  徹君
       建設大臣官房総
       務審議官     福本 英三君
       建設大臣官房会
       計課長      小野 邦久君
       建設省建設経済
       局長       望月 薫雄君
       建設省都市局長  真嶋 一男君
       建設省住宅局長  伊藤 茂史君
       自治大臣官房長  小林  実君
       自治大臣官房総
       務審議官     芦尾 長司君
       自治省行政局選
       挙部長      浅野大三郎君
       自治省財政局長  持永 堯民君
       自治省税務局長  湯浅 利夫君
       消防庁長官    木村  仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮下 忠安君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成二年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成二年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を開会いたします。
 平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算、平成二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 それでは、これより総括質疑を行います。安恒良一君。
#3
○安恒良一君 私は、まず特例公債脱却後の財政再建のもくろみ問題について、目標について聞きたいのでありますが、御承知のように、好景気それから税収の増加等々で昭和六十二年以降特例公債の削減が急速に進んでいます。平成二年度には特例公債脱却というところまで来ていますが、一方、どうも私は歳出面の緩みが出てきたんじゃないかということを非常に心配しています。
 そこで、六十一年度以降の一般会計及び一般歳出の伸び率を金額を含めて説明してください。
#4
○国務大臣(橋本龍太郎君) 数字の問題でありますので、事務方から御答弁をさせます。
#5
○政府委員(小粥正巳君) 六十年度以降の一般会計及び一般歳出の金額及び伸び率について申し上げます。
 まず一般会計歳出は、昭和六十年度五十二兆四千九百九十六億円、伸び率三・七%。六十一年度五十四兆八百八十六億円、伸び率三・〇%。六十二年度五十四兆一千十億円、伸び率〇%。六十三年度五十六兆六千九百九十七億円、四・八%。平成元年度六十兆四千百四十二億円、六・六%。平成二年度六十六兆二千三百六十八億円、伸び率九・六%。
 なお、それぞれ一般歳出について申し上げますと、六十年度以降数字のみ申し上げます。
 三十二兆五千八百五十四億円、マイナス〇%。三十二兆五千八百四十二億円、マイナス〇%。三十二兆五千八百三十四億円、マイナス〇%。三十二兆九千八百二十一億円、一・二%。三十四兆八百五億円、三・三%。そして平成二年度一般歳出三十五兆三千七百三十一億円、伸び率三・八%。
 以上でございます。
#6
○安恒良一君 大臣、今主計局長が説明したとおり、六十三年度以降、それまでは数年間マイナスだったのが六十三年度から急激に一般歳出が伸びていますね。例えば二年度は三・八%増と、こういうふうに出ているんですが、これは財政審が指摘しています点に既に違反をしているんではないかと思いますが、どうでしょうか。
#7
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は違反をしているとは考えておりません。それなりに、それぞれの歳出については必要性を感じ、財政当局として厳正に査定の上編成をいたしました予算であります。
 ただ、今ようやく赤字公債依存体質から脱却するというところまでごぎつけました平成二年度におきまして、今後を考えますとき、一層心していかなければならない、そのように思います。
#8
○安恒良一君 例えば、六十三年度まで六年間は五十兆台だったんですが、元年度には六十兆台、二年度は六十六兆と急膨張していますが、このままでいきますと、三年度は七十兆台という事態すら出てくるのではないかということですね。ですから、概算要求ではシーリングを実施していますが、実際の予算編成の場合にはどうも歳出がいささか野方図になっているのではないかというふうに思います。
 そこで、私は、この特例公債脱却という当面の目標がなくなった後の財政運営のあり方について、まずここ一、二年の財政運営の反省と今後の新たな目標について示してもらいたいと思います。
#9
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今私から申し上げましたように、私は必ずしも財政審の御指摘にたがっているとは考えておりませんけれども、この一両年特に好景気に支えられ、当初の見積もりを上回る大幅な税収増というものに支えられ、あるいは委員が御指摘のような緩みというものがもしどこかにあったとするならば、これは我々自身がみずからを戒めなければならないところであります。
 ただ、委員よく御承知のように、公債残高は依然として累増しておりますし、平成二年度末において百六十四兆と目されておりますが、その利払い等の経費というものは非常に大きく歳出の中でウエートを占めている状況であることも御承知のとおりでございます。こうした中におきまして平成二年度特例公債依存体質脱却という一つの目標点にようやく達したわけであり、ここから先我々が考えなければならない一番大きな問題というものは、これ以上国債残高の累増が続き、これに伴う国債費の重圧というものが増していく事態というものは何とかして食いとめなければならない。いつの時点において国債残高の累増に歯どめがかけられるか。もう一つは、やはり公債依存度をできるだけ引き下げていくという努力をしなければならない。目標としては二正面あろうかと考えております。
 財政審からも公債依存度の引き下げを五%以下にせよという御指摘をいただいておるわけでありますが、いろいろな社会情勢、経済情勢を考えますとなかなか厳しい条件になることは間違いがありませんが、今委員が御指摘になりますような今後の目標というものを考えます上で一番大きな目標を置きたいと考えますことは、再び特例公債に依存することのない財政体質というものを確立するためにも、まず公債依存度の引き下げを図ること、あわせて特例公債の早期償還に努めることによって国債残高が累増しないような財政体質をつくる、ここに焦点を当てたいと思います。
#10
○安恒良一君 そこで、公債依存度は五%以下にという目標が示されていますが、今大臣がおっしゃった国債費の引き下げと特例公債の早期償還、早期に返すということ、これに対しての目標値を僕は示す必要があると思いますが、お考えを聞かせてください。
#11
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今平成二年度の予算の御審議をいただいております中において、まだ私自身そこまで考えているゆとりがございませんけれども、事務方から何か申し上げられることがありますか――主計局長から補足をさせたいと思います。
#12
○政府委員(小粥正巳君) ただいま大臣から答弁がございましたように、特例公債の早期償還に努めるということは今後の財政運営の大変大事な目標と考えております。
 その速やかな償還でございますけれども、先般の財政審報告等にもございますが、具体的方策といたしましては、一つは、決算剰余金が仮に生じました場合、これは御存じの財政法の規定もございますけれども、これをあえて全額国債整理基金に繰り入れまして特例債の償還に充てる等決算剰余金あるいはその他当初予算において見込むことができなかった財源が仮に生じた場合には、特例公債の償還財源として活用を図るべきであると考えております。
 それからもう一点、NTT株式の売り払い収入が生じた場合には、これは御審議をいただいております今年度の予算におきましても売り払いを一応予定しているわけでございますが、この売却が現実に行われました場合、もちろんそのときどきの経済情勢、財政事情、さらに国債整理基金の資金繰り状況、またNTT事業の財源問題等いろいろな問題に配慮する必要はございますけれども、これらの点を総合的に勘案しながらやはり特例公債の償還財源にできる限り充てるように努めるべきである、このように財政審の報告でも述べていただいておりますけれども、私どももこれらの財源についてはいずれも、今も大臣が申し上げましたように、現在具体的に想定することはできないわけでございますけれども、将来こういう財源が仮にできました場合には、今申し上げましたようにできるだけこれを特例公債の償還に充てたい、こんなことを考えているわけでございます。
#13
○安恒良一君 今後二十年間で急激な高齢化が進みますから、この高齢化問題一つを考えましても、また日米構造協議に代表されるような国際化や国際的歳出増加要求というのが今後非常に大きくなると思います。
 そこで、このような歳出圧力は大きくなるんですが、財政はこのような歳出圧力に対してどのように対処するつもりですか、大蔵大臣の考えを聞かせてください。
#14
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員が御指摘になりましたように、今後、高齢化、国際化の進展などに伴いまして財政需要というものは非常に重いものが想定されるわけでありますけれども、私どもとしてはやはりこれに対して適切な対応を考えながら本格的高齢化社会というものの到来を迎えなければなりません。しかし同時に、今申し上げましたように、先進国中最高水準の国債残高を抱えておりまして、本格的な高齢化社会が到来する時点において大きな負担を残さないようにするという努力を極力払わなければならないこともまた存在するわけであります。同時に、特例公債の再発行という事態にしないという決意をいたしました以上、何としてもこうした事態は避けなければなりません。
 そうなりますと、今申し上げましたように、これからの中期的な財政運営というものを考えます場合、まず公債依存度の引き下げを図る、特例公債の早期償還に努める、その結果として国債残高が累増しないような歯どめをかけていくという必要が生ずるわけであります。このためには行財政改革というものに対する努力を引き続いて進めていく必要がございますし、国及び地方の歳出規模の伸びにつきまして、「適度の経済成長率が維持されていることを前提に、名目成長率以下とすることを原則とする。」と新行革審の最終答申が提言をしておられるその趣旨を受けまして、極力その抑制を図っていきたいと考えております。こうした努力を重ねることによって、今後我が国の財政というものが時代の要請に的確にこたえることが可能になる、そのように考えております。
#15
○安恒良一君 どうも数字の話なんですが抽象的ですから、じゃ突っ込んでちょっと聞きますが、公共事業費の拡大を米国から要求されまして、四百兆とか五百兆と言われる資金が必要だというんですが、本当に建設公債の発行を枠いっぱいから相当程度引き下げることができるんでしょうか。
 それから、対GNP六・七%の公共事業費を五カ年で一〇%にする場合に、一般会計の事業費といえども私の計算では一兆から一兆五千億は必要となりますが、この資金を税の増収の中からつくり出すことは私は相当に困難であると思いますが、これらについて政府は十分対応できる見通しがあったら示してください。
#16
○国務大臣(橋本龍太郎君) 安恒委員の御指摘でありますけれども、まず一点お断りを申し上げたいことは、我々は日米構造協議の席上、アメリカ側からのアイデアとしてGNP対比という言葉が使われましたものに対し、GNP対比という論議はできないということで押し通してまいりました。
 委員から今そのGNP対比の数字を仮置きしてお述べになられた部分につきましては、これが本院における論議でありましても、今後の構造協議等に与える影響を考えますと、GNP対比という御指摘についてはお答えは留保をさせていただきたいと思います。
 ただ、いずれにいたしましても、公共投資十カ年計画について今いろいろな数字が世上に取りざたをされております。経済企画庁を中心として作業が進められております中で、まだその数字を確定したという報告を私は受けておりませんけれども、いずれにしても今後相当な負担になるでありましょう。そういうふうなことを考えてまいりますと、これは我々にとって非常に厳しい状況になるわけでありますが、毎年毎年の予算編成の中でその時々の財政事情、経済運営等を考慮しながら
適切に対処してまいらなければならない、そうみずからに言い聞かせております。
#17
○安恒良一君 まあGNP対比はのけましても、既に新聞でも報道されているように、各省庁の要求が四百兆とか五百兆とあるわけですよね。このほかに、今我が国はいわゆる経済大国ですが、国民生活は非常に経済小国になっている。こういうことですから、豊かさを実感できる社会をつくっていかなきゃなりません。この歳出も非常に大きくなりますね。ですから、財政審が示したような財政運営方向を本当に貫くことができるのか。そこで貫けるとするならば、その貫ける条件は何と何があるかということを大蔵大臣にお聞きをしたい、具体的に。
#18
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは現時点においてしっかりしたお答えをすることが非常に困難なテーマでありますけれども、まず一つは、今後の我が国の経済というものが輸入を拡大しつつ内需中心に適正な経済成長を維持するという条件が前提になろうかと思います。同時に、不断の行財政改革に対する努力によって行政の経費というものをできる限り、安いコストでという言い方が適切かどうかわかりませんけれども、冗費を省く努力というものは一層必要になろうかと思います。また、社会保障制度等につきましても制度の見直しは当然必要でありましょうし、さまざまな対策というものを歳出歳入両面にわたって見直していかなければなりません。その歳入と申しますのは、例えば税を引き上げるとかそういうことではありませんで、本院においても課税の適正化という視点からいろいろな御指摘を受けてまいったわけでありまして、そうした徴税努力の一層の期待といったものも必要かと思います。
 ただ、いずれにいたしましても、非常に厳しい条件の中といいながら、我々はそれを果たしていかなければならない責任があるわけでありますから、現時点においては最善を尽くすという以上にお答え申し上げる具体的な方策というものを持ち合わせてはおりません。
#19
○安恒良一君 まだわかりかねますがね。私は、財政審が示した財政運営を今後とも貫いていくためには、要約すると、一つには、今おっしゃったように歳出圧力をどこまでコントロールができるか、歳出の見直しができるかと、税の自然増収がどれだけ期待できるかにかかっていると思うんですが、この二点について今後の中期的な財政の展望を少し説明してください。
#20
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今後の歳出圧力のコントロールという御指摘でありますならば、今後の財政につきましては、中期的視点に立ちました財政運営を進めていく上での検討の手がかりを示すものとして、一定の仮定のもとに、後年度負担推計額によりまして今後の財政事情を展望いたしました財政の中期展望を毎年予算委員会に提示させていただいてまいりました。
 今後の中長期的な国及び地方の歳出の伸び率ということになりますと、大きな政府を回避するために、新行革審の最終答申においても、「適度の経済成長率が維持されていることを前提に、名目成長率以下とすることを原則とする。」と提言をされておりまして、財政審の報告におきましても、「国及び地方の租税負担並びに社会保障負担の上昇を抑制するため、歳出の在り方を常に見直し、制度改革の推進と相まってその規模の伸びを極力抑制することとすべきである。」と述べられております。今後の財政運営に当たりましては、これらの提言の趣旨に立ち、国、地方を通ずる行財政改革というものを引き続き推し進めながら、安易な政府への依存というものを排し、政府と民間、国と地方の役割のあり方などに対して常に原点に立ち返って不断の見直しを行いながら、歳出の伸びに対する抑制の努力を続けてまいりたいと思います。
#21
○安恒良一君 今大蔵大臣は財政の中期展望が前に予算委員会に出してあると言うから、私、それを見ますと、これで果たして今後の展望になるのかというのがわからないんです。
 例えば税収を見ますと、元年度は五十一兆円、二年度は五十八兆円と、七兆円近く上がっています。ところが、これが三年度になるとわずか一兆九千億しか展望ではふえていないんですよね。急に景気が悪くなるということは私は考えられないんですよ。それから逆に歳出の方を見ますと、機械的といいますか、といいながら非常に意図的に高い伸び率であるから、私はこれでは中期展望にならぬと、こう思うんですよ。
 展望のないところに財政審が抽象的な目標を掲げたところで、それは実現は不可能であります。だから、財政が再び放漫に陥らないためには、明確な財政運営の方針を持つべきだと私は思います。そのためには、私がさきに指摘しました公債依存度だけではなくて、国債比率及び国債残高の目標値を持つべきだと思う。このことについて総理、大蔵大臣の考え方、こういうことを持って財政運営をやるべきだと思いますが、お考えをお聞かせください。
#22
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員から中期展望について御注意をいただきましたが、これはもう委員がよく御承知のように、前提を幾つか置いての仮定計算でありますから、確かに機械的と言われれば間違いなしにこれは機械的なものであります。しかし、やはり将来を考えます場合に、何らかの前提を置いて計算をしないと数字というものがはじけないということからこうした資料をお示しをしておるわけでありまして、この点については御理解を賜りたいと思います。
 今委員から述べられました公債依存度のみならず国債比率等他の指標をも国として考えるべきであるという御指摘は、確かにそういうものがつくれればいいなと私も思いますけれども、率直に申し上げて、今そこまで私自身にはそうした指標をつくり出すだけの将来に対しての推計をする自信がございません。
#23
○国務大臣(海部俊樹君) 特例公債依存体質脱却後の財政運営としては、高齢化社会に多大な負担を残さず、再び特例公債を発行しないことを基本として、公債依存度の引き下げ等により国債残高が累増しないような財政体質をつくり上げることに全力を傾けていかなければならないと考えております。
 このため行財政改革を引き続き推し進めていく必要があり、必要な財政需要には適切に対応しながら、国及び地方の「歳出規模の伸び率は名目成長率以下とすることを原則とする。」とされている新行革審最終答申の提言の趣旨に沿って、極力その抑制を図ってまいる所存でございます。
#24
○安恒良一君 大蔵大臣、今自信があるとかないとかじゃなくて、国債依存度は五%と示されていますから、国債費率及び国債残高の目標値を持って、それに向かってやっていったらどうですかということですから、一遍検討してみてください。あなたはまだ今はそんなことは難しいと言われる。財政をやはりきちっとするためにこういう指標が三つぐらいないと、総理が言ったようなことにもならないんですよ。その点どうですか、もう一遍。
#25
○国務大臣(橋本龍太郎君) 現実を考えますと、私は委員の御指摘のような方向に目標を設定することはなかなか困難であると考えますけれども、せっかくの御示唆であり、勉強させていただきたいと思います。
#26
○安恒良一君 それじゃ、次に税収見積もりについて。
 これもいつも議論しているんですが、御承知のように、まず三月の税収がわかった時点で、前回の委員会で大蔵大臣とやりとりをしましたが、私はこの元年度の税収見積もりは間違いないかと聞いたら、あなたは部下を信じていると言った。そこで、もう三月がわかったんですからもう一遍聞きますが、元年度の税収は政府の見積もりどおりで、一%の誤差を上回るような見込み違いはありませんね。依然として部下を信じられていますか。
#27
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに委員からその一%の範囲内におさめる自信があるかという御質問がございまして、私は率直に「私はそれだけの自信はございません。ただ、自分の部下の仕事は全力を尽くしてくれたものと考えておりますので、少なくとも最善を尽くしてくれたことは信じております。」というお答えを申し上げました。ですから、私は一%以内におさまると申し上げる自信はないとあのときも申し上げたと思います。
 元年度税収は三月末で補正後子算の四分の一以上が残っておりますこと、その中に特に振れの大きい法人税三月決算分及び過去に経験のない消費税が最後の段階で収納されることなどから確たることを申し上げる段階ではないと思いますが、詳しくは政府委員から御説明をさせたいと思います。
#28
○政府委員(尾崎護君) 平成二年三月末の税収状況でございますが、一般会計分全体といたしまして三十九兆七千二百四十八億円と相なっておりまして、補正後予算額五十四兆二千二百七十億円に対しまして七三・三%の進捗率ということになっております。しかしながら、例えばいつも問題になります法人税で見ますと、その進捗率は六二%程度ということでございます。御承知のように、年度末に約四割入ってくるというのが法人税の特色でございますが、それから消費税、これも導入初年度ということがございまして大変税収が後ろ倒しになっております。三月末現在でまだ進捗率が二六・三というような状況でございます。今後の進移を十分見守ってまいりたいと存じます。
#29
○安恒良一君 大臣、具体的に聞きたいんですが、ことしに入ってから円安、株安、トリプル安がありますね。金利上昇があります。民間機関は相次いで経済見通しを下方修正していますが、こうした経済環境がどの程度元年度の税収に影響すると考えられていますか。
#30
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今経済見通しのお話につきましては、これは経済企画庁からお答えを願いたいと思いますが、毎年の税収見積もり、これはもう委員が御承知のように、見積もり時点における課税実績や政府経済見通しの各諸指標、大法人に対する聞き取り調査の結果などを踏まえまして、個別税目ごとに積み上げておるわけであります。
 二年度の税収につきましては、新年度に入りましてからまだ一カ月半程度を経過したばかりでありますし、今後の経済情勢、税収動向というものを注意深く私どもとしては見守ってまいりたい、そのように考えております。
 経済見通しそのものにつきましては、経済企画庁の方から答弁をいただきたいと思います。
#31
○国務大臣(相沢英之君) 今委員御指摘のように、株価、債券あるいは為替相場のいわゆるトリプル安が景気に対して影響を与えるのではないかということの懸念がありまして、民間の研究機関等では後半に経済成長が若干落ちるのではないか、こういうような推定をしているところもあることは委員御指摘のとおりでございます。
 ただ、私どもは今の経済の情勢を見ますに、鉱工業の生産あるいは雇用情勢、卸売物価、消費者物価等々、いわゆる経済のファンダメンタルズに関する指標の推移を見る限りにおきましては、多少その心配はないでもございませんけれども、しかしながら基調に大きな変化はあるようには思われないのであります。御案内のように、平成二年の経済成長は実質四%と見込んでおりますけれども、今の推移で参りますと、昨年は当初四%の見込みが四・六になったわけでありまして、昨年の対比におきましては若干あるいは下がるかもしれませんけれども、しかしながら、平成二年の経済見通しの実質四%の成長は、今の諸指標を勘案する限りにおきましてはまず間違いはなかろうと思っておりますので、この見通しを現在下方修正しようという考え方はございません。
 税収につきましても、この経済の成長というものを前提として算定されているわけでございますから、私はそう大きな狂いを生ずるというふうには考えておりません。
#32
○安恒良一君 いや私も、税収と景気動向というのは若干のタイムラグもありますし、また今も経企庁長官が言われたように、大きな景気の落ち込みもないということでありますから、そうすると、今までの税収の勢いは当面まだ続くと見るのが私は正しいと思うんです。
 そこで、三月末の累計税収進捗歩合、あわせて消費税の進捗歩合及び消費税を除いた他の税の進捗歩合、税額等を説明してみてください、資料に基づいて。
#33
○政府委員(尾崎護君) 先ほども申し上げましたが、消費税は予算額に対しまして進捗率二六・三%というのが平成二年三月末現在の状況でございます。
 その他の税は、総体といたしまして進捗率七六・六%となっております。予算額五十兆六千九十億円に対しまして三十八兆七千七百三十九億円を収納いたしておりまして、申し上げましたように七六・六%の進捗率でございます。
 法人税も、これも先ほどちょっと申し上げましたが、予算十九兆五千七百七十億円に対しまして十二兆一千百十七億円を収納いたしておりまして、進捗率が六一・九%という状況にございます。法人税以外のその他の税は、全体といたしまして八五・九%既に三月末で収納いたしているわけでございます。以上合わせまして、一般会計分合計といたしましては進捗率が七三・三%というのが平成二年三月末の税収の累計でございます。
#34
○安恒良一君 大臣、聞かれたとおり進捗ぐあいは割合は七三・三、かなり高いんですよね。ことしに入って一、二カ月の税収は二けたの伸びですね。それから三月も四%伸びていますね。それで、しかもこれが経企庁長官、今あなたも認められたように、大きく変わるとか落ち込むという現状でない。ここまで来て、まだ私が言ったことについてあなたはわからないとか確固たることは言えない、こういうことを言うんですか。
#35
○国務大臣(橋本龍太郎君) 別にお言葉を返すつもりはありませんけれども、前回御質問いただきましたときに、委員は補正と決算の誤差率一%の範囲内におさめる自信があるかというお問いかけをされました。それに対して、私はそれだけの自信はございません、ただ自分の部下の仕事は全力を尽くしてくれていると信じておりますということを申し上げました。そして、その自信がないがと言うけれども何%ぐらいになるんだと繰り返しお尋ねをいただきまして、私は何%間違うという予測をするだけの自信を持っていないと正直な答弁を申し上げたところであります。今お聞きのような収納率でありまして、まだ確たることを申し上げるというところではない、そのように思います。
#36
○安恒良一君 じゃ聞きましょう。私は、今言った数字を全部見てみますと、補正後少なくとも五千億円程度の増収があるというふうに今の数字を全体に読み取るんですが、この点大蔵大臣どうですか。というのは、これはまた二カ月たったらすぐ安恒が言ったことが正しいということになるかもわからぬですからね。その点どうですか。
#37
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今申し上げましたように、私は自信がないということを率直に認めております。むしろ、税収の誤りがないにこしたことはありませんけれども、税収見積もりが誤る場合にはプラスに誤ってもらいたいと、率直にそんな気持ちでおります。
#38
○安恒良一君 答えになっていません。私は五千億程度あると思うが、あなたはどうかと聞いているんですよ。
#39
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、私は幾らと申し上げるだけの自信を今持ちません。これも率直にお答えを申し上げております。
#40
○安恒良一君 私は大蔵大臣としてもう少し見識を持ってもらいたいと思います。
 そんなことを言ってもしようがありませんから、そこで、やっぱりこんなに何回も何回も私が歴代大蔵大臣とやりとりをしなきゃならぬのは、やはり年度所属区分変更というものが税収見積もりを大きく狂わせているんですよ。私はこの点について直すように指摘したんですが、あなたは「いろいろなチャンスを探りながらこれをもとに戻せる時期を模索したい、」、こう答えられました
ね。その後何を検討されましたか。検討状況について話してください。
#41
○国務大臣(橋本龍太郎君) これはもう正直に申し上げますが、まだ毎日予算委員会でおしかりを受けておる状況でありまして、検討するだけの時間的ゆとりを持っておりません。
#42
○安恒良一君 三月二十三日に言ったことですからね。そういう点。
 それから、渡辺大蔵大臣もこういうことを言っているんですよ。財政再建の暁には考えたらいい、こう言っていますね。特例公債脱却ということになっていますから私はそれに当たると思うんですが、少なくとも私が今申し上げたような点についてこの際どうしようというお考えなのか、もう一遍聞かせてください。
#43
○国務大臣(橋本龍太郎君) 前回安恒委員からの御指摘に対し私は、
  今委員から御指摘のありましたポイントは、財政制度審議会の報告でも指摘をされております事項でありまして、現行の年度所属区分というものが税収見積もりを非常に難しくしておりますことは否めない事実であります。ただ、直ちにこれを旧に戻して、かつてのようにしようと思いますと、その財源として現在の状況では再び特例公債の発行によらざるを得ない状況を現出しかねません。我々としては、特例公債に依存することだけは今後はどんなことがあっても避けたいと考えておりますので、今後の重要な課題であると認識をいたしており、例えばいろいろなチャンスを探りながらこれをもとに戻せる時期を模索したい、そのように考えております。
と申し上げました。現時点においても同様のお答えを申し上げることになります。
#44
○安恒良一君 いつまでも模索やチャンスを探ってもだめなんですよね。
 そこで、じゃ私から具体的に提案しましょう。例えば元年度税収、政府の補正後見積もりにさらに五千億程度ここで出てきたと。あなたも上回ることを望んでいるとおっしゃる。そうすると、その余剰金の使途についてはこれは元年度補正のように財政法違反を犯すようなことに使うのではなくて、今後はこの余剰金はすべて年度所属区分変更のための積立金として残しておく。それはなぜかというと、これをやるためには一度に数兆円単位の金が要るわけですから、そういう資金をやっぱり僕は積み立てておくべきじゃないかと思うんです。こういう地道な努力をする中でこの問題を私は解決する以外に方法はないと思いますが、こういうことについて大蔵大臣と最高責任者の総理としては、今言ったような点についてどのようにお考えになりますか。
#45
○国務大臣(橋本龍太郎君) 年度所属区分の変更に対して一つのいわばファンドを持つ、そして予想以上の税収があったときにそれを積み立てるというのは、私は一つの考えとして否定をいたすものではありません。しかし、今私の立場で率直に気持ちを申し上げさせていただきますならば、私はやはりそれは国債残高の累増に歯どめをかける方にまず投入をさせていただきたい。私は率直にそう考えております。
#46
○国務大臣(海部俊樹君) 大蔵大臣と同じような考えでございます。
#47
○安恒良一君 次は、やはり税収の見込み違い及びその原因ともなっている見積書ですね、いわゆる税制改正要綱、租税及び印紙収入予算の説明、これが非常にずさんだということを私は宮澤元大蔵大臣にも言っている。宮澤さんは改善を約束されました。橋本さんもこれについては検討するとこう言ったんですが、説明書のどこをどのように、私が当時注文したように国会議員が見てわかるように検討し改善をされたんでしょうか。
#48
○国務大臣(橋本龍太郎君) 必要がありましたら事務方から補足をさせますけれども、委員から御指摘がございましたこと私も記憶をいたしております。
 そこで、平成二年度の資料を提出するに当たりまして、先国会での委員の御指摘も踏まえて、税収見積もりについて総括的に説明をいたしております見積もりの態様についてよりわかりやすくなるように修文をする努力もいたしましたが、新たに参考資料を添付するなど税収見積もりについてより一層わかりやすくするための工夫を凝らしたつもりであります。
 例えば平成二年度の「租税及び印紙収入予算の説明」につきまして先国会における委員から御指摘があり、その御指摘を踏まえていたしました工夫の一つとして、資料の末尾に四つの参考資料を追加いたしました。
 その四つの参考資料と申しますものは、一つは「所得税納税人員の推移」でありまして、これは給与所得に対する源泉所得課税及び申告所得税の税収見積もりの基礎となります納税人員が最税どのように推移しているか、また平成二年度におきましてどのように見込んでいるかをお示ししたものであります。「銀行預金金利の推移」につきましては、利子所得に対する源泉所得税の税収見積もりの基礎となります近年の預金金利動向をお示ししたものであります。「企業収益の予測状況」につきましては、法人税収の見積もりの参考として企業収益の伸びがどのような傾向にあるのか、またその水準がどの程度であるかということをお示ししておるものでございます。「相続税・贈与税の納税人員等の推移」につきましては、相続税、贈与税の見積もりの基礎となる課税件数、納税人員の最近の推移及び二年度の見込みを示したものでありまして、こうした点で委員の御指摘を受け、できる限りの努力をしてまいったつもりでおります。
#49
○安恒良一君 それじゃお聞きしましょう。
 私は、この四表を追加されたからといってこれで税収の見積もりが正しいのかどうか、なぜこのような見積もりになるのかわかりません。私は頭が悪いのかどうか知りませんが、これを見てわかりません。ひとつ大蔵大臣、あなたはよくわかっておるそうですから、この四表を使ってこちら側の中身についてこのようになるんだという説明をしてみてください。私ではこれではわかりません。
#50
○国務大臣(橋本龍太郎君) これはとても私の手に余る大事業でありますので、主税局長から答弁をさせます。
#51
○政府委員(尾崎護君) 先ほどの大臣の御答弁にございましたように、安恒委員から大変詳しくいろいろ御提案がございました。私どもその関係資料、どのようなものをつけ加えることによって御理解の便により以上資することができるか内部で検討させていただきました。その結果、その四つの表を選んだわけでございます。それからいろいろ記述等につきましても私ども不十分であったと思う点は直したつもりでございますが、御質問の四つの表との関係について御説明させていただきたいと存じます。
 一番最初につけました「所得税納税人員の推移」、なぜこれをつけたかといいますと、例えば給与所得に対します源泉所得税の計算をいたしますときに、見積もり方法に記載されておりますように、まず納税人員を決めまして、納税人員と給与総額、そこから給与総額を計算いたします。その給与総額から給与所得控除とか基礎控除とかいろいろ控除をしてまいりまして、また繰越滞納分などもございますから、そういうものの調整をいたしまして見込み額を出すわけでございます。したがいまして、所得税の計算に当たりましては、やはり基本的なものとしての所得税納税人員の推移、これが一番大切と考えましてそこに添付をさせていただきました。
 それから所得税の中に割合に大きな要素といたしまして利子所得に対する源泉所得税というのがございます。これは利子率が変動をいたしますと非常に影響を受けるわけでございますので、その見積もりに当たりまして預金金利の推移が御参考になるものと存じまして、第二表におきまして預金金利の推移を掲載した次第でございます。
 それから法人税につきましては、これは説明にございますように、前の年の年税額、税額を基礎にして次の年の見込み額を計算するという方法をとっております。先ほど所得税につきましては納税人員とか給与の総額とか所得の段階から推計をしているということを申し上げましたが、法人税の場合には税額、年税額を基準にして計算をしております。
 この年税額というのはややややこしい概念でございまして、各年の税収とぴったり合わない。というのは、法人というのは中間申告というものがあるものですから、その中間申告と本来の決算の申告とが同じ年度に落ちるものと二年度にわたってしまうものがありますのでその調整を要するわけでございますが、とにかくその企業の事業年度一年分の税額が幾らであるかということを基準に計算が行われているというようにお考えいただけたら幸いでございます。
 その年税額の実績見込み額を基礎といたしまして、生産の状況がどうなるか物価の状況がどうなるか等々を勘案しながら伸び率を推計していくわけでございますが、かねて法人税の見積もり誤りを生じました一つの原因といたしまして、製造業以外のものの税収見積もりに問題ありと私どもも考えまして、これも安恒委員の御指摘を受けた点でございますけれども、したがいまして消費等の動きも勘案する。そして企業収益の予測といたしまして予測状況を、大蔵省の景気予測調査と主要企業のいわゆる日銀の短観、この二つを参考資料として掲げてあるわけでございます。
 御参考までに申し上げますと、昭和六十三年度の実績、これは実績でございますが、大蔵省の景気予測調査では非製造業が二三・二%伸びる、これは六十三年度でございます。日銀短観の方は一〇・九%というようになっておりまして、この種の資料というのはどうしてもカバレージの関係でこういう差が出てくるわけでございます。そこで、いろいろそういう点もごらんいただきますとともに、このような資料をもとにしつつ、かつ大企業からの聞き取り調査等々を行いまして私どもの法人税の見積もりをしているわけでございます。
 それから四番目に添付してございます「相続税・贈与税の納税人員等の推移」、これはやはり基本的に納税人員によって決まってくるところが多うございます。昭和六十三年度におきまして、御承知のように抜本的税制改正の中で相続税の減税をいたしました。その関係がございまして、納税人員が例えば昭和六十二年度の実績では十六万八千人でございましたものが、六十三年度には十一万人に減っている、そういうような状況もお読み取りいただけると存じます。
 いろいろ議論をいたしまして、内部で検討いたしまして、その結果といたしましてこれらの資料を掲げさせていただいたものでございます。
#52
○安恒良一君 時間がありませんから、簡単に一言だけ聞いて。
 大蔵大臣、利子所得に対する源泉徴収が三兆二千七百七十億というのが七ページに書いある。その説明が書いてあるんですね。それと「銀行預金金利の推移」というこの表を見て、あなたは三兆二千七百七十億になるということが国民にまた私ども議員にわかるように説明できますか。
 それから海部総理、あなたはこの予算を決定されたんですが、この表とこれだけで私の疑問に説明できますか。できるなら答えてみてください。そこだけでいいです。ずっと長くやる必要はありませんから、七ページとこの表を見て、ああなるほどと、これでこれだけの税収になるんだという説明ができたらちょっとしてみてください。
#53
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私はできません。
#54
○安恒良一君 大蔵大臣ができないようなのが我我国会議員が見てわかるはずなんかないじゃないの、そうでしょう。私が何回も言っているのは、国会議員が審議するときに十分に審議ができるように、わかるようにつくってくれとこう言っているんです。大蔵大臣自身がこれとこれを見て説明できないと言うのをどうして議員が審議するんですか。
 私は、少なくとも歳入というのは非常に重要だから、我々議員がこれを議論するときにこれを見ればなるほどこういう収入になるんだと十分にわかるようにつくれと、こう言っているんですわ。大臣は私はできませんと一言でおっしゃいますけれども、それであなたたち各大臣は、そんなことがわからぬで、まあよかろうよかろうとみんな内容を十分に確認しないまま判を押したんですか、予算案。だれか説明できる人があったら説明してください。この表とこれの中で、今私が言ったところで、安恒さんこれはこうなるんだよ、だからこういうふうになっているんだと説明できる人がいたらだれでも結構ですからやってみてください。
#55
○国務大臣(橋本龍太郎君) 不見識だとおしかりを受ければ甘受をいたしますけれども、こうした事務的な計数を扱い正確を期して作業する能力を私は持っておりません。ただ、私は自分の事務方を信じて判をつきました。
#56
○安恒良一君 それでは審議にならないんですね。あなたは判を押されても私たちは中身を審議する方ですから、審議する方がわからぬようなのは困るんですよ。これだけではわからないです。
 ここに議員がおられるが、私が言ったことについて答えられる人は恐らく一人もいないんじゃないか、この表で見る限りですよ。中には詳しい方がおいでになる、財政は。しかし、これでわかるのかと聞いている。これでわかる人がおったら私は説明してもらいたい。わからぬということでそれで済まされてもどうしようもないんですよね、これ。
#57
○国務大臣(橋本龍太郎君) 事務方から改めて御説明をいたさせます。
#58
○政府委員(尾崎護君) 要は、この種の説明書をお出しいたしますときに、どこまでそれで説明をするかということであろうかと思います。ありとあらゆるものがもうそれだけ読めばわかるというように書かれていればそれは確かに便利であろうと思いますけれども、そのかわり膨大なものとなってしまうのではないかと存じます。
 ここでは積算の基礎となっておりますものは何かということが、まず最近までの課税実績であるということがおわかりいただけるわけでございます。それからもう一つは、その課税実績をどのように伸ばしたかといいますと、預金金利の水準などを勘案して伸ばしているということが御理解いただけると思います。それではその預金金利の水準というものは最近どうなっているのかということにつきましては、先ほど御説明申し上げましたような付表があるわけでございます。
 それはどこまで書くかということでございますが、それだけ読めば全部わかるように書けということになりましたら、それはなかなか大変なことに相なる。これだけの問題ではございませんで、すべての資料をどのようにつくるかということに関連してくることであろうかと思います。
#59
○安恒良一君 何を不見識なことを言っているんだ。全部書けとは言ってないじゃないか。これは我々が審議をするときに審議ができる、少なくとも大臣や我々が見てわかる程度のことを書かなきゃわからぬのじゃないかと言っている。大蔵大臣もわからぬと言っているじゃないか。何を不見識な……。
 自分たちだけ知っておけばいいということか、収入は。そんなばかなことはないじゃないか。予算審議というのは国会議員が審議するんだぞ。原案をつくるのは君たちだけど、それがわからぬじゃないか、これで。何だ、今の言い方は。大臣、何だあんな言い方は。自分だけわかればいいという言い方じゃないか。国会議員をばかにするもほどがあるじゃないか。
#60
○国務大臣(橋本龍太郎君) 事務方の説明に不備がありましたなら、私からおわびをいたします。私自身が説明の能力を持ちませんので、事務当局から御説明をいたさせました。その御説明に疎漏がありましたなら、私からおわびをいたします。
#61
○安恒良一君 少なくとも、国会議員の審議に値するように中身はさらに詳しく説明をつけましょうと、これがとるべき態度ではないですか。どこ
まで書いたらいいかわからぬ、書けば膨大になる、何という言い方だ。謝れ、おまえは。謝れ。
#62
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私からおわびを申し上げました。事務当局の言葉がお気にさわりましたのなら、私からおわびをいたします。
 しかし、少なくとも委員が前回御指摘をされましたことに対し、事務方としてできるだけの努力をして資料を添付いたしたつもりであります。その添付をした資料がなお不備であるというおしかりであるならば今後工夫はいたさせますけれども、それにいたしましても一体計数をどういう形で表示するか、特定の税目のみではない話でありますから作業としても非常に大きなものになりましょうし、今回ここまで少なくとも前進をさせたという努力には、私は事務方に対しても委員からちょうだいをいたしたいと思います。その上で足りない部分につきましてのおしかりであれば、私が甘受いたします。
#63
○安恒良一君 この問題はまた改めてやります。時間がありません。私が指摘したことをきちっとしていないんですよ。そこで私は言っているんですから。これだけで時間をとるのも――いずれこれは税の集中審議のときに私が指摘したことをこれとこれとこれもやっていないということを私が証明しますから、この問題はこれでよしましょう。
#64
○委員長(林田悠紀夫君) 安恒君の残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#65
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を再開いたします。
 平成二年度総予算三案を一括して議題といたします。
 休憩前に引き続き、安恒良一君の質疑を行います。安恒君。
#66
○安恒良一君 それでは次の問題といたしまして、今非常な大きな話題になっています生活重視の公共投資についてお聞きしたいんですが、日米構造協議の最終報告との関連で公共投資十カ年計画を策定中だと聞きました。新聞の報道によりますと四百兆とか五百兆と言われていますが、この総投資額の使い方についてまず総理の見解を伺いたいと思うのであります。
#67
○国務大臣(海部俊樹君) 公共投資十カ年計画の策定につきましては、現在経済企画庁が中心となって関係省庁と密接な連絡調整を図りつつあると承知しておりますが、政府としてはこの計画によって本格的な高齢化社会が到来する二十一世紀を見据え、着実に社会資本の充実を図っていくという観点に立った総合的な計画にする考えでございます。これまでも公共投資の実施に当たっては社会、経済の動向、おのおのの社会資本の整備状況等を踏まえつつ適切に対応してきたところでありますが、今後とも社会資本に対するニーズの変化を的確にとらえながら十分配慮してその整備充実を図っていきたい、こう考えております。
#68
○安恒良一君 これまで総理が言ったとおりになっているかどうか後でおいおい立証しますが、公共投資の拡大ということの総論では皆さん一致をされていると思いますが、一歩踏み込みますと、大蔵省はやはり財政再建の第一歩を実現したところだからということで財政状態はやはり厳しいんだ、再建途上だと、いわば緊縮型のお考えがある。建設大臣、農水大臣、運輸大臣等の諸官庁は構造協議をてこにこのときとばかりに拡大を主張されている。新聞ではパイの奪い合いなどという報道がされています。
 そこで、この問題に対する以上申し上げた各大臣の所見を伺いたい。と同時に、この取りまとめ役であるところの経企庁長官の方針をあわせて説明されたい。
#69
○国務大臣(綿貫民輔君) 建設省では公共施設整備の長期目標というのをつくっておりまして、それは例えば現在下水道の普及率が四〇%でございますが、これを二〇〇〇年には七〇%にもっていきたい、また、高規格幹線自動車道は十次五カ年中に高速自動車国道五千五百キロの供用をしたいといたしておりますが西暦二〇〇〇年までに全体で九千キロにしたい、公園は五・二平方メートルにもっていきたい、こういう目標値を持っているわけでございまして、限りなくこれに近づけていきたいという期待を持っております。
#70
○国務大臣(山本富雄君) お答えいたします。
 農業基盤整備を初めとする農林水産関係の公共事業、これは首都圏を中心とする一極集中を是正して国土の均衡ある発展に資する、こういう政府の方針があるわけでございます。農山漁村、これはまだまだおくれておる、そしてこれはふるさと創生の意味でも充実強化をしていかなくちゃならないというふうなことを考えながら、この方向に沿って社会資本整備を行うというふうな意味合いも含めまして強力に進めてまいりたい、こう考えております。
#71
○国務大臣(大野明君) 運輸省といたしましては、国民生活の向上を図ると同時に国際化に対応して考えていかなければならないということで、私どもといたしましては鉄道あるいはまた港湾、空港の整備等を行うということは、やはり均衡ある国土発展のためには新幹線であるとか高速鉄道網であるとか、また同時に輸入インフラの整備のために空港、港湾施設、こういうふうなものを重点にしてやっていきたいと考えております。
#72
○国務大臣(相沢英之君) さきにも委員会でちょっとお答えを申し上げましたが、日米構造協議におきまして、先刻総理からの答弁がございましたように、生活公共投資の配分に当たりましては国民生活の質の向上に重点を置いた分野にできる限り配慮していく、こういう考え方のもとに十カ年間の公共投資の金額の策定を急いでいるところでありますが、その前段階におきまして、各省から、おおよそどの程度のものを考えているのかということで、それぞれ検討願いまして、先週の月曜以来今事務当局においてヒアリングを行っているところでございます。
 過去の十カ年間の実績、これには一般公共のほかに各地方公共団体の単独事業等も含みます、それらの実績を踏まえましてこれからなお検討を急いでまいりたい、このように考えているのであります。
#73
○安恒良一君 厚生大臣。
#74
○国務大臣(津島雄二君) 厚生省といたしましては、水道、廃棄物処理施設の整備それからゴールドプランの推進等大きな課題を抱えておりますので、しっかりこれに対処してまいりたいと思います。
 公共投資十カ年計画の取りまとめ作業につきましても、今企画庁長官からお話がございましたように、必要な資料を求められ、これを提出して今折衝しておるところでございます。
#75
○国務大臣(橋本龍太郎君) 午前中の御質問に対し、現時点において考えられる今後の財政の厳しさというものについてお聞きをいただいたところであります。
 今公共投資十カ年計画に関連してのお尋ねでありますが、まず私の方から申し上げたいことは、特例公債の発行をやむなくされておりました時代におきましては、建設公債を公債発行限度額いっぱい発行するという財政運営を緊急避難的に行ってまいりました。しかし、やはり世代間の負担の公平というものを考え、また二度と特例公債を発行しないで済む財政体質にもっていきたいということを考えてまいりますと、我々としては特例公債といえどもその発行をできるだけ慎んでいくべき責任がございます。
 今各所管閣僚から、経済企画庁で取りまとめていただいております十カ年計画に対するそれぞれの考え方というものの御説明がありましたけれども、私たちは社会資本整備というものについて今後中長期な課題として着実な充実を図らなければならないということ、また構造協議の中におきまして公共投資十カ年計画の総額を示すという中間報告をいたしておることをよく理解いたしておりますし、その目標を設定しました以上、それに向けて実現のために努力をすべきは当然であります。
 その場合におきましても、一般財源でできるだけ多くのものをこなしていきたい。建設公債に依存する度合いというものは、やはり公債依存度の引き下げという視点からできるだけ努力をしてまいりたい。そう考えてまいりますと、各年度の公共投資の水準につき、予算編成の過程において歳入歳出両面にわたる財政状況、またその折々の経済事情等を考えながら相当厳しい態度でチェックをする必要が生じようかと考えております。
#76
○安恒良一君 経企庁長官、あなたは取りまとめ役ですから、取りまとめ役としての方針を私は聞かせてくれと言ったんです。ヒアリングをされているということの現状を聞いているんじゃない。あなたの方針はどういう方針ですかということです。
#77
○国務大臣(橋本龍太郎君) ちょっと失礼しました。済みません。私、今特例公債と建設公債とを一カ所逆さに言い間違えたと秘書官から注意を受けました。その部分だけ訂正をさせていただきます。
#78
○国務大臣(相沢英之君) 先ほど申し上げましたが、国民生活の質の向上ということを一つの考え方に置いていくわけでありますけれども、それでは各般の公共投資の中で一体どういうものがそれに該当するものかということにつきましてもいろいろ議論がございます。それと同時に、いずれの公共事業をとりましても、とにかく社会資本が全体として不足をしているということは民間の設備投資の実態等に比べても明らかな点でありますので、そういう点を勘案しますと、極端な傾斜をつけるということもまた事実問題として難しい点がございます。
 と同時に、ただいま大蔵大臣から答弁がございましたように、これは当然今後における財政状況を勘案して決めなければならない問題でございます。それには今後におけるところの経済成長をどの程度に見込むかということも当然関連をしてまいりますので、そういった点をにらみましてその取りまとめを考えてまいりたい。
 大変に抽象的なお答えであるいは御満足いただけないかもしれませんけれども、国民生活の質の充実ということに重点を置いて考えるということでしばし御猶予願いたいと思うのであります。
#79
○安恒良一君 アメリカの指摘を待つまでもなく、生活関連資本の投資がおくれているということは日本国民が一番よく知っていますし、そのことは端的に言うならば、住宅がウサギ小屋と批判をされたり、経企庁長官も言われたように下水道がまだ日本は四割、先進主要諸国は八、九割の普及率であります。したがって、これを解消するためには、従来の生産と産業重視の公共投資の転換だと私は思いますが、この点について総理、経企庁長官のお考えを聞かせてください。
#80
○国務大臣(相沢英之君) 公共投資の配分につきまして、あるいは私の憶測かもしれませんが、委員はどうも、その比率が各事業別あるいは各省別に余り動いていない、固定しているじゃないかと、こういうような御意見があるやに承っておりますけれども、これは財政状況が極めて厳しくなってまいりましたここ数年間の、あるいは十年ぐらいの期間をとりますと確かに余り大きな比率の動きはないかもしれません。
 ただ、例えば昭和四十年と六十三年、実績の出ているところはそこでありますので、その間を比較してまいりますと、いわゆる生活関連、生活環境と申しますか、下水道とか廃棄物処理、水道、都市公園、文教、公共賃貸住宅、これらを含めて一応生活環境というようなカテゴリーに入れておりましたが、これは昭和四十年では一七・九%が六十三年では二七・七%というようになっておりまして、これは一例であります。ですから、少し長い期間をとってまいりますと確かに時代の要請に即した公共投資の配分の動きというものも認められるわけでございます。
 したがいまして、これらの趨勢というものも勘案いたしまして、そしてまた、特に先ほど申し上げましたように国民生活の質の向上に最も直接的に資するところの事業というものを重点に置きましてこれからの見通しを考えてまいりたい、このように考えております。
#81
○国務大臣(海部俊樹君) 企画庁長官が今申し上げたことに尽きるわけでありますけれども、日米構造協議の中間報告におきましても、公共投資の配分に当たっては国民生活の質の向上を図る、そういった分野に重点的に配意していくということを述べておるところでありまして、十カ年計画の策定に当たってはこの点に十分留意をしながら策定してもらうように、これは企画庁長官に私が当初要請したときに指示したことでございます。
#82
○安恒良一君 総理のお考えははっきりしているようですが、企画庁長官に私が言っていることは、従来の生産とか産業重視の公共投資から今総理が言われたように国民生活を重視する公共投資のあり方を私はあなたの口から聞きたかったわけです。
 そこで、少し実証的に、まず昭和五十六年から今年までの政府一般公共事業費の省庁別配分比率について説明をしてください。
#83
○政府委員(小粥正巳君) 五十六年度から平成二年度まで、各省庁別の公共事業費の配分比率の推移でございますが、建設省、五十六年度百分比で六八・二、五十七年度六八・二、五十八年度……
#84
○安恒良一君 全部読まぬでいいから。
#85
○政府委員(小粥正巳君) じゃ、最初と最後でよろしいですか。
#86
○安恒良一君 最初と最後の二年ぐらい。
#87
○政府委員(小粥正巳君) わかりました。ただし、平成二年度はいわゆるNTT売り払い収入が入っておりますが、それを除いた数字でそれでは申し上げましょう。
 建設省、五十六年度六八・二、平成二年度六八・二。農水省、五十六年度二一・九、二年度二二・一。運輸省、五十六年度六・二、二年度六・三。通商産業省、五十六年度〇・三、平成二年度〇・三。厚生省、五十六年度三・一、二年度三・一。その他、五十六年度〇・二、二年度〇・二。
 以上でございます。
#88
○安恒良一君 私は、総理がおっしゃる生活重視の公共投資ということになれば、財源配分にメスを入れなきゃなりませんね。総理、今五十六年から二年までこれを見ていただくと、建設省は大体六八、農水省が二二、運輸省六、残り四、ほとんど変わっていない、全然変わっていないです、これ。ですから、総理、大蔵大臣、経企庁長官、ここを改める、この辺にメスを入れる考えをお持ちかどうか聞かせてください。お三人から答弁してください。
#89
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず、長期計画を持っております十五本の公共事業部門の中で、平成二年度に終点を迎えます計画が八本ございます。これは当然私は、それぞれの今後の予測される事業によりまして、今後新たにスタートするであろう五カ年計画は数字が変動するであろうと思います。しかし、現在既にスタートをし、平成二年度に終点を迎えない七本の公共事業につきましては、それぞれの長期計画の終了時点まではその数字を私どもは動かすつもりはございません。ですから、委員の御指摘については、多少の時間的な差を見込んで国民生活の質の向上という視点から考え直していく、そういうお答えにさせていただきたいと思います。
#90
○国務大臣(相沢英之君) ただいま大蔵大臣から答弁がございましたように、当面来年から新しく始まるところの八本の公共事業の五カ年計画がございますし、あと残り七本につきましても、いずれ現行の長期計画の期限到来後は新しい計画を考えてくる、それとの絡みも当然にあるわけでございます。
 それで、国民生活の質の向上に重点を置いて考えるという基本方針はこれは総理からも指示をいただいておりますし、そういう方向で考えておりますけれども、その国民生活の質の向上に資するところの事業の範囲というものにつきましては、これはいろいろ各省も見方がございます。おっしゃいますように、住宅であるとか下水であるとか公園であるとか、直接生活環境に関連するものもありますけれども、同時に、道路にいたしましても、これは都市の街路その他、本当に生活に直接関連する部面も多いわけでありまして、それらのことで、国民生活の質の向上に重点を置いた場合にどの程度の範囲のものをそれとの関連において考えていくかという点についても問題がありますし、各省の御意見もありますし、ひとつこの点については今後慎重に検討してまいりたい、このように考えております。
#91
○国務大臣(海部俊樹君) 社会資本整備の基本方針については、既に六十三年五月の閣議決定を見ておる経済計画、いわゆる「世界とともに生きる日本」の中にもその方向を明らかにしておりますけれども、今回改めて公共投資十カ年計画の策定に当たって企画庁長官には、私が先ほど申し上げたように、国民生活の質の向上に重点を置いた分野にできるだけ配意していくことを特に指示してございます。現在その方向に向かって作業を続けておってもらうものと受けとめております。
#92
○安恒良一君 今皆さんのお手元に配付しております参考資料を見ながら答弁していただきたいんですが、省庁別のほかに、今度は一般会計の公共事業費の使用対象別配分比率というものを私は改めなきゃいかぬと思う。関係大臣、これをよく見てください。昭和五十年から元年度まで公共事業費の構成比率は全く固定化しているんです。全く固定化している。部門別の比率は一%動かないといった、こんな状態です。
 これで、総理は指示しておる指示しておると言われていますが、国民のニーズにこたえる財源配分ができるとお思いでしょうか。この点については運輸大臣、建設大臣、農水大臣、総理、大蔵大臣、経企庁長官、今申し上げたようなことについて、あなたたちは国民のニーズに基づいて、この十年間これ全く動いてないんです、全く動いてないんですからね、配分比率は、これをこれから変える気がありますかどうか、はっきり答弁してください。
#93
○国務大臣(大野明君) 配分比率につきましてはお答えする立場にないわけでございますけれども、先ほども御答弁申し上げましたように、運輸省といたしましては、二十一世紀を展望して今世紀の残された十年間にやるべきことをやりたい、こう考えております。
#94
○国務大臣(綿貫民輔君) 建設省の所管しております公共事業は、いずれも国民生活に最も関係のある公共事業ばかりだと思っております。それで、それぞれ五カ年計画等長期計画を策定しながらその達成に全力を挙げてきたところでございまして、これからもその方向でぜひ頑張っていきたいと考えております。
#95
○国務大臣(山本富雄君) お答えします。
 これは委員よく御承知だと思いますけれども、今建設大臣もお話しになりましたが、特に農林水産省の関係の公共事業費ですね、これは産業基盤を充実することと生活基盤を充実することと重なっているわけなんです。地方に行けば行くほどそういう形になっている。したがって、先ほど申し上げたとおり、これの充実強化こそ非常に大事なんだ、こういう観点で十カ年計画についてもお願いをしておる最中でございます。
 委員がおつくりになったこの表を見ましたけれども、同じだというところもございますし、その時代時代によって動いているところもある。その時期に即応して今まで、この数字を見る限りやってきたんだな、こういう感じがしておりますが、しかし、最近は余暇利用などということも非常に叫ばれるようになりました。これは農山漁村みんなそうなんで、その観点も含めてこれからも公共事業費を拡充強化させていただきたい、こう考えております。
#96
○国務大臣(相沢英之君) 委員からちょうだいしましたその縦書きの表でございますか、この一枚物ですね、この表を見ますと、確かにおっしゃいますような大きな変化はないというようにも見られますけれども、子細に見ますと、やはり例えば道路整備は五十年の三二・九が平成二年には二八・八になっている。それから住宅対策は五十年の一〇・一が平成二年には一二・三になっておりますし、下水道は九・七が一〇・六、公園が一・一が一・八と。ですから、そういう点ではかなり動きがあるわけであります。
 ただ、最近のこの十年近くは御案内のように公共投資全体の規模を抑えてきたという点もありますので、そうなりますとなかなか大きな動きというものは出てこないだろうと思うんです。ただ、一言つけ加えますと、いわゆる一般会計の公共事業のほかに、御承知のように住宅公団その他のいわゆる財政投融資を原資としますところの事業があるわけでありまして、これれを含めたところの公共投資の規模で見てまいりますと、例えば下水道のシェアが昭和五十年の五・二%が六十三年には九・六%になっております。それから都市公園も五十年の一%が六十三年には二・八%になっております。
 そういうようなことで財投も含めたいわゆる公共投資の額で見ると、一般の公共投資以上の変化をそこに見ることができるだろう、それも考え方のあらわれだというふうにお酌み取りをいただきたいと思うのであります。
#97
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今経済企画庁長官からもお話がありましたけれども、私から補足をして申し上げたいことは、委員これを一般会計公共事業費の構成比としてお出しをいただいたわけでありますが、私どもからいたしますと、ほかにNTTもございますということはつけ加えさせていただきたいと思います。ただ、御指摘のとおりに、そうは言いましても、確かに大きく動いているとは私は申しません。
 しかし、それぞれの事業の中を考えますときに、私どもはこの中におきましても、例えば産業道路から生活道路に視点を移すとか、あるいは河川におきましても都市の安全ということから都市河川に重点を移していくとか、さまざまな工夫はしてきたつもりであります。しかし、それが目に見える形になっていないという意味では委員の御指摘のとおりでありまして、先ほど申し上げましたように、平成二年度に終期を迎える八本の長期計画は恐らく明年度から新たな計画を発足させるでありましょうし、平成三年度以降も継続するそれぞれの長期計画はそれぞれの終期におきましてまた新たな計画を必要とすると思いますので、その都度今の委員の御注意等を頭に浮かべながら考えてまいりたい、そう思います。
#98
○国務大臣(海部俊樹君) 四人の大臣の御答弁で既に言うべきことは尽きておると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
#99
○安恒良一君 四人の大臣が同じ方向で言ったんじゃないんです、よくお聞きくださいよ。私のところはやりたいやりたいと言う人が多いわけですから、バランスのことなんか考えていないんです。
 そこで、なぜこうなったか、どうしなきゃいけないかというのは、公共事業費を一律に伸ばしてきた、この方式を改めなきゃならぬということが一つありますね。
 それから、それは省庁別、さらに各局別に配分比率というのがほとんど固定化しているんです。これを大蔵省は突破したいということでNTT資金を使って一遍突破を試みたんですが、そのときも大蔵省の志むなしく破れなかった。それはなぜかというと、公共事業受注業界が、いわゆる族議員と一体となって関係省庁を通じて予算を獲得する、こういう手法が既得権益として定着しているんです。だから省庁別に見ても、また今度は一般会計の公共事業費の構成比を見てもほとんど固定をしている。
 生活重点をやろうということで、NTT資金を使ってやりかけたけれども、そのときも成功しなかった。橋本さんはNTT資金があると言うからNTT資金の動きを見ても、これも残念ながら今言った族議員、さらに業界、これが一体となって働く。それに加えて役人の、自分のところだけの熱心さかどうかはわかりませんよ、おれのところは一番大切だ大切だと皆大臣が言うんだから。そういうものが重なって今日のこういう状態になっていますから、本当に国民生活重視のための公共投資をやろうと思えば、総理が相当の決意を持って指示をし指導されなければ、またこのことを繰り返す。
 せっかくこれから四百兆とか五百兆使う。使うことは結構ですよ、国民生活のために。しかし、今までと同じように一律にみんな伸ばしていくというやり方では、――総理はアメリカに行って、あなたは非常に評価はされてきているんです。それは公共投資その他を一生懸命やるということで評価を受けたと聞いていますが、中身が今までと同じことをやったんじゃ、今度はアメリカからも笑われることになると私は思います。その点について総理にお聞きしたいと思います。どうですか。
#100
○国務大臣(海部俊樹君) それぞれ今までお答えをしましたように、そのときの必要に応じて、画一的ではなくて、伸びたところ、減額になったところ、率の表だけ見ても目につくわけでありますけれども、今度は、特にこれから新たに定める十カ年計画においては、豊かさを実感できる国民生活を実現するために、その基盤としての社会資本の整備というところに重点を置いて特にやってほしいということを指示して、また各閣僚もそれを十分承知の上で、いかなることをしたら国民生活の質が向上できるかという角度の調整を今させておるわけでございますから、どうぞその点は御理解をいただきたいと思います。
#101
○安恒良一君 最後に大蔵大臣に聞きますが、各省庁の要求は夢物語か、こういう発言がおたくの平澤事務次官からあったということですが、私は、夢というものは目が覚めたら消えてなくなるということですから、この構造協議の重要なテーマが夢になってはいけないと思うんですね。
 それから第二点目には、私はやっぱり大蔵官僚の思い上がりと思います。
 それはなぜかというと、今日の社会資本不足、特に生活関連に対する投資の不足ということの責任は大蔵官僚にもあるんですよ。ところが夢物語、こういうふうにこれを片づけられたんじゃこれはたまったものじゃないし、せっかく各省庁が汗をかいて今四百兆、五百兆のプランを練っているのが夢扱いされたんじゃかなわぬと思いますが、この点大蔵大臣どうお考えですか。
#102
○国務大臣(橋本龍太郎君) 言葉遣いの点で御注意をいただくとすれば、これは私にも多少責任があるかと思います。と申しますのは、私も実は同様の表現、たしか夢のような話だというのは記者懇談か何かの席で申した覚えがあります。ただし、それは、その質問が五百兆とか五百何十兆という金額についてどう思うと聞かれたときでありました。ここ十年ぐらいの間の公共投資の総額は、私ちょっと正確に覚えておりませんけれども、恐らく二百五十兆前後であろうと思います。それが今後の十年に一挙に五百兆とか五百何十兆と言われますと、それは私どもの立場からすれば本当に夢のような話と申し上げる以外にないわけでありまして、私自身もそういう感想をたしか記者懇談か何かの席で申したことがありますだけに、その言葉について不適切であるとすれば、私を含めておわびを申し上げます。
 ただ同時に、国家財政を考えますとき、先ほど委員から御指摘がありましたように、それぞれの所管省がそれぞれの所管省のことのみを考え、そこのみの政策を強調され、それを積み重ねた場合には国家財政は破綻をいたします。我が国の財政状態に相応した計画にまとめ上げていく努力について、この場をかり、院の御協力をも、また関係閣僚の御協力をも得たいものだ、そう願っております。
#103
○安恒良一君 橋本さんの言われた後半は非常に重要なことで、いいんです。
 それじゃちょっとお聞きしますが、各大臣、あなた方の公共投資四百兆、五百兆というのは夢物語を提示されたんですか。それぞれ大臣ちょっと言ってみてください、関係大臣。
#104
○国務大臣(綿貫民輔君) 四百兆、五百兆という数字には触れておりません。先ほど申し上げましたように……
#105
○安恒良一君 おたくの計画は夢物語ですかと聞いているんです。
#106
○国務大臣(綿貫民輔君) 夢物語――私のところの計画は、国民生活のためにという計画でございます。
#107
○国務大臣(山本富雄君) 当方といたしましては四百兆円といった数字については了知はしておりません。
#108
○安恒良一君 数字じゃないんですよ。おたくが出された計画は夢物語ですかと聞いていますから、それにお答えください。数字のことを聞いているんじゃないんです。
#109
○国務大臣(大野明君) 国民生活向上のためには、これはもう何としてもやらなきゃならない。一朝の夢と化すようなことを考えてやっているわけではございません。
#110
○国務大臣(山本富雄君) 失礼いたしました。
 夢物語のはずはないのでございまして、先ほど来申し上げているような計画と熱意に基づいて、農山村の生活を重視して私ども出している数字でございます。
#111
○安恒良一君 大蔵省が財政を健全にするという立場の熱意はわかりますが、言葉を使われるときに、もう橋本さんがわびられましたから結構なんですが、私はやっぱり適当でなかったと思うんですね。今回のこれらの問題について夢物語という表現をされたとすれば適当でなかった。ですから私は、大臣のみならず官僚の場合においても、衆議院でも防衛庁の事務次官の発言が問題になりましたし、今後とも襟を正して、誤解を招くような言葉は使わない方がいい、こういうことを申し上げておきます。
 そこで、今度は公共事業の長期計画についてお聞きしますが、日米構造協議で日本の公共投資の拡大が大問題となりましたね。その経過をまずひとつ簡単に報告してみてください。総理ですか、これは。
#112
○国務大臣(橋本龍太郎君) 公共投資の分野についての議長省が大蔵省でありましたので、私の方から御報告をすべきだと思います。
 ただ、構造協議におきましては、双方が率直にお互いのアイデアのぶつけ合いをし、意見の交換をいたしましたというところから、具体的なやりとりについては控えさせていただきたいと思います。その上で申し上げますと、第三回の構造協議の席上、アメリカ側からGNP対比による公共投資の総額を考えるべきであり、また同時に都市にある程度それらの施策を集中すべきであり、またそれに関連して都市生活に直接関連の深いものにある程度重点を置くべきである、弾力的に運用すべきである、さらにはトータルとしてのいわばパイを配分することに垣根を取っ払えといったようないろんなアイデアが出ておったようであります。
 それについての一々の論議は別といたしまして、そうしたものに対し、例えばGNP対比というのは受けられないということは今までにも私何遍か申し上げてきたところでありますが、中間報告において日本側といたしましては、既に委員も御承知のような、我々が今後考えていく視点といたしまして、住宅、下水道、公園など平成二年度末に期限が到来する八本の長期計画についてこれらを更新し、現行規模を上回る計画を策定する、また今後の十年間の新しい総合的な公共投資計画を策定する、こうした方針を定め、最終報告においてその支出総額を明らかにするということを中間報告の中に盛り込んだわけであります。先ほど来、経企庁長官から御答弁がありましたように、現在経企庁においてこの支出総額を算定する作業をお願いしておるところであります。
#113
○安恒良一君 そこで、平成二年度に終わります八本の公共投資について、それぞれの投資規模、それから投資規模に対する進捗率を説明してください。
#114
○政府委員(牧野徹君) 私どもで五本所管しておりますから最初に申し上げます。
 まず公園につきまして、地方単独、調整費を除いた一般公共事業費ベースで申し上げます。額は、公園は一兆三千億、進捗率一一一・四%。下水道は六兆六千八百億の一般公共事業費、進捗率一一二・二%。海岸は額が七千六百億円、進捗率一〇〇・二%。それから特定交通安全、道路管理者分でございますが、一兆一千五百億円、進捗率一〇〇・七%。住宅につきましては、公的資金住宅分三百三十万戸に対し進捗率九七・四%でございます。
#115
○政府委員(御巫清泰君) 港湾整備五カ年計画の規模及び進捗状況について申し上げます。
 第七次港湾整備五カ年計画の港湾整備事業の投資規模は総額で二兆五千五百億でございまして、これの実績見込みが二兆七千六百八十六億で、進捗率は一〇八・六%となります。
#116
○政府委員(丹羽晟君) 空港の関係の御説明を申し上げます。
 第五次空港整備五カ年計画、投資規模といたしましては調整費を除きまして一兆八千億円、調整費を含めますと一兆九千二百億円でございます。なお、そのうち公共分ということで一兆一千五百億でございます。進捗率につきましては、平成元年度につきましては補正後予算額、平成二年度につきましては予算案の額により計算いたしまして、調整費を除いた計画額に対しては一一八%、調整費を含めた計画額に対しましては一一〇%でございます。
#117
○政府委員(目黒克己君) 廃棄物処理施設整備計画について申し上げます。
 本計画額一兆百億円に対しまして、平成二年度末までの国庫補助対象事業量は一兆二百十七億円、進捗率は一〇一・二%と見込まれておりまして、全体についておおむね所期の目的を達成できるものと考えておるところでございます。
#118
○政府委員(関根謙一君) 交通安全施設等整備事業のうち、公安委員会分につきまして御報告申し上げます。
 特定事業、計画は千百五十億円でございますが、本年までの進捗率は一〇一・三%でございます。それから地方単独事業、計画は三千六百八十億円でございますが、地方単独の平成二年度当初予算までの進捗率は九三・五%でございます。
#119
○安恒良一君 今聞きますと、公共分は長期計画で策定した投資規模のほぼ一〇〇%を満たした、こう言っていますね。それだから予算もそのとおりつけた、こういうふうに今の答弁並びに資料を私は読んでいいんでしょうか。
#120
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今それぞれ所管省庁から御説明がございましたように、今年度終了する八本の計画につきましてはおおむね順調に推移している、進捗しておると評価をいたしております。
#121
○安恒良一君 先回りしておおむねと言った。私は一〇〇%かと聞いたのですが、おおむねとこう言われていますが、公共投資が今皆さんの説明ではほとんど一〇〇、一〇〇と言ったけれども、それは聞こえはいいが実際はそうじゃないんじゃないでしょうか。例えば六十年度の補助率一律カットがございましたね。それから六十一年度はこれに追随しました。ですから、これのように拡大型の補助率のカットの措置がとられて今日は及んでいますから、したがって、公共投資一〇〇%果たしたと言っても、今年度で終わる八本の長期計画はかなり地方におんぶした結果今言ったようなことが出てきたんじゃないかと思います。
 そこで、出された資料に基づいて各長期計画に、計画をつくった段階の国と地方の負担額、その割合、それが今度は、公共分は一〇〇%と報告されましたが、今日の負担額、負担割合はどう変わったのか、資料に基づいて報告してください。どの資料ということを言ってやってください。
#122
○政府委員(牧野徹君) お答えいたします。
 まず、委員お持ちの資料でまいりますと、一ページ目、治水でございます。
 それから、なお私ども五つ申し上げますが、計画策定時における負担割合と申しますのは、計画そのものにおいて定めているものではございませんで、その時点においてそのときの補助率あるいは過去の実績等を勘案しながら、作業の前提としておおむね想定したという数字であることを御理解いただきたいと思います。それから、後は実績でございますから、その実績について申し上げます。
 まず、一ページ目に治水がございますが、計画段階におきましては、国費は五五%程度、地方費は四五%程度でございますが、実績は、これは四カ年で国費五六・三、それから地方費四三・七、そういうふうにお読み取りいただきたいと思います。
 三ページをごらんいただきますと、海岸分でございますが、いずれも注に当初の計画がございますが、注の二 国費五五、地方費四五それぞれ程度、それに対し実績が国費五一・二、地方が四八・八でございます。
 それから四ページ、道路、国費は二八、地方費は四七%程度、財投等二四%程度に対し、実績は国費が二八、地方費が四七・六、財投が二四・四ということでございます。
 それから八ページをお開きいただきますと下水道でございますが、同じように国が三五程度、地方が六五程度、実績が国が三四、地方が六五・八、財投が少しございます。
 それから十ページ、公園でございますが、同じように国が二〇、地方七五、財投は五程度でございますが、実績が国が一九・九、地方が七三・三、財投六・八でございます。
 それから十三ページで特定交通安全、同じく国五四、地方四六程度でございますが、実績は国が五四・四、地方が四五・六でございます。
 それから最後、十五ページ、急傾斜地でございますが、同じく国が四三、地方が四二、財投等一五でございますが、実績は国が四二・四、地方が四二・四、財投等が一五・二、以上でございます。
#123
○政府委員(御巫清泰君) 資料の五ページにございますが、注にございますように、計画策定時に推定されておりました国費は四〇%程度、地方費は五五%程度、財投等が五%程度でございました。実績の方でありますけれども、表の小計の欄、合計というところがございますけれども、そこにございますように国費が四〇・四、地方費が五六・〇、財投等が三・六、こういうことでございます。
#124
○政府委員(丹羽晟君) 空港でございますが、先生のお手持ちの資料の七ページでございます。
 まず注の二という一番下に書いてございますが、そこで計画策定時におきます推計は国費五〇%程度、地方費が一〇%程度、財投等が四〇%程度、こういうことでございますが、その実績は、その小計の欄の合計欄、そこにございますように国費五三・二%、地方費が八・一%、それから財投等が三八・七%、以上でございます。
#125
○安恒良一君 あとはいいです、資料で見ますから。
 今説明をしていただいたんですが、私はここで次の問題点を提起したいんです。すなわち、政府がいろいろ説明されました公共事業費の長期計画の投資規模は調整費というのが含まっていると思いますが、その点は間違いありませんか。
#126
○国務大臣(橋本龍太郎君) そのとおりです。
#127
○安恒良一君 そうしますと、調整費を含めた数字が長期投資の規模だということになりますから、その投資規模で計算をした場合の進捗率はどうなっていますか。いわゆる調整費を含めた投資規模で計算する進捗率はどういうふうになっていますか、説明してください。
#128
○政府委員(牧野徹君) 先ほどお答えしました五つについて調整費込みを分母にして申し上げます。
 都市公園は七七・五%でございます。下水道は八四・二%でございます。海岸は八六・六%でございます。交通安全は八五・八%でございます。住宅は変わりありません、九七・四%でございます。
#129
○政府委員(御巫清泰君) 港湾整備事業につきましては調整費がございますが、これは全体に使うものでございますけれども、仮にその全額を港湾整備事業に割り振って計算をいたしたといたしますと、平成二年度末の見込みで八二・九%の達成率になります。
#130
○政府委員(丹羽晟君) 空港に関しましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、平成二年度末の見込みで一一〇・三%でございます。
#131
○安恒良一君 あとはいいです。
 今のやつで傾向値がおわかりだと思いますが、一〇〇%達成した達成したと言いますが、空港整備計画を除きますと、調整率を入れると進捗率というのは、一〇〇%達成した達成したということとはかなり違っていますね。ここに私は一つの問題があると思います。
 そこで、いま一つお聞きしたいんですが、この調整率を含めていわゆる長期計画を平成二年度までに一〇〇%達成をする、こういうことが言明できるのかどうか。建設大臣、運輸大臣、それから交通安全担当大臣、廃棄物担当大臣等、いわゆる調整費を含めてこれは一〇〇%達成ができるのかどうか、この点について、今年度が終わりになりますから、それを言ってください。
#132
○国務大臣(綿貫民輔君) お答えいたします。
 建設省所管の各五計につきましては、先ほど局長からお答えいたしましたように、調整費を入れないで一〇〇%を超えておりますが、調整費を入れますと一〇〇%には達しません。
#133
○国務大臣(大野明君) 先ほど政府委員から答弁いたしましたが、空港関係は一一〇%ということで達成しておるわけでございます。港湾関係も政府委員から御説明申し上げたように、公共に一〇〇%というわけでなく、災害関連とか地方単独とかあるいは港湾機能施設の整備等に使いますので、それを機械的に分けるわけにはいきませんが、まあほぼ達成する、こういうふうに考えております。
#134
○国務大臣(津島雄二君) 私どもの生活関連廃棄物処理施設の整備は国民生活の最も基盤的な事業でございますので快適な国民生活を確保する上で不可欠でございますが、調整費を含めて一〇〇%達成に向けて全力を挙げて努力をいたします。
#135
○安恒良一君 今達成できている項目もありますが、調整費を含めるとほとんど達成できないんですが、これの責任は各担当大臣はどうお考えになっていますか。
 また、平成二年度の予算編成の際に、各省大臣はこの点はどのように判断をして大蔵省に予算づけを折衝されたんでしょうか。
 それから、最終的に閣議決定となっていますが、そんなときにどのような注文をそれぞれの大臣はおつけになりましたか。
 そしてまた、総理はそれらの意見を受けて平成二年度の国家予算をここに提出されていますが、一〇〇%達成しないというものがたくさんあるんですが、こういう点についての責任を明確にしてもらいたいと思います。
#136
○国務大臣(綿貫民輔君) 調整費という概算要求の要求はいたしておりません。
 調整費につきましては、計画策定時におきまして経済情勢、財政事情等を総合的に勘案いたしまして、計画策定以後の情勢変化等に弾力的に対応するということで五カ年計画の決定段階において設けておるというふうに承知をいたしておるわけでございます。
 既に今回の平成二年度で切れます五計につきましては、策定後の情勢を踏まえまして閣議に報告をいたしまして調整費を一部充当いたしておるということでございまして、最初の状況といろいろ状況が変わった場合に調整費を取り崩していく、こういうことに理解をさせていただいております。
#137
○国務大臣(大野明君) 大変に厳しい財政状況の中で精いっぱいいろいろ努力してまいりました。先ほどもお答え申し上げましたように、これに沿ってほぼ当初の目的が達成できるようにこれからも努力をさせていただきます。
#138
○国務大臣(津島雄二君) 先ほどもお答えいたしましたが、現在の計画では調整費を加えれば一〇〇%に達しない状況を心配しておりますけれども、国民生活の最も基盤的な事業でございますから、今後の計画においては一〇〇%達成を目標に努力をいたしたいと思います。
#139
○安恒良一君 黙って聞いておったら、調整費の論争をここで僕はやる気はないんですけれども、国民に向けて公共事業の長期計画のときには調整費を含めた数字で大規模な公共投資を宣伝しているじゃないですか、あなたたちは。そして今度は予算編成では調整費を含まない数字で予算を組んでいる。そのことがいかにも正しいように建設大臣も言われましたが、私たちは国民に対するそれは欺瞞だと思いますよ。それなら初めから長期計画の中から調整費を除いた金額を国民に示すべきじゃないですか。調整費を入れてこれだけのことをやりますと言っておって、予算のときには、それを除いているのが当たり前だと建設大臣は言っておるけれども、そんなばかげた国民を欺瞞するような予算編成の方法がありますか。どうですか、その点は。
#140
○国務大臣(綿貫民輔君) 当たり前だと言ったんじゃないんです。調整費も入れた満額達成をしたいという願いは絶えず持っておりますけれども、いろいろ予算編成の経過あるいは五計をつくったときの経過からいたしましてそういうことになっておるということでございまして、残念だとは思っております。
#141
○安恒良一君 それじゃ、長期計画を担当しておる大臣に、長期計画の調整費比率がどうなっているか言ってください、それぞれ。
#142
○政府委員(牧野徹君) 今とっさに細かい数字が見当たりませんが、担当しておりましたので申し上げますと、平成二年で終わる五カ年計画につきましてはそれぞれ一八ないし一九、交通安全だけがやや低くてたしか一四%台の調整費率であったと記憶しております。
#143
○委員長(林田悠紀夫君) 安恒君、時間です。
#144
○安恒良一君 いや、答弁をしてもらわなきゃいかぬです。
 それでは、私は最後に自分のあれを言っておきますが、調整費率が二〇%近くあるんですから、私はやっぱりこういう予算の編成はいけないと思う。やはり調整費を外すなら最初から外した長期計画を組んで国民にわかりやすくすべきであるということを申し上げておきます。
#145
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私の方から手元にありますものでお答えを申し上げたいと思いますが、今年度で終了いたします長期計画につきましては、調整費の投資規模に対する割合は、下水道で一八%、都市公園で一八%、廃棄物で二〇%、空港で六%、港湾で一八%、交通安全で一五%、海岸が一九%となっております。たまたま今申し上げました中で空港が他に比べて低いのは、空港使用料など一般財源以外の収入を有して事業が安定的に実施が図られるということから調整費の割合が他に比べて低くなっていると私は承知をいたしております。
#146
○安恒良一君 終わります。
#147
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で安恒良一君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#148
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、近藤忠孝君の総括質疑を行います。近藤君。
#149
○近藤忠孝君 消費税について若干の質問をいたします。
 まず、海部総理は、総選挙によって消費税は国民の支持を得た、こう言っております。しかし私は、自民党は消費税を選挙の明確な争点にすることを避けたんだという、これが実態だと思うんです。
 そこで、坂本官房長官、あなたは総選挙における選挙公報で消費税についてどういう公約をいたしましたか。
#150
○国務大臣(坂本三十次君) 私の選挙公約ということで、政見放送……
#151
○近藤忠孝君 選挙公報で。
#152
○国務大臣(坂本三十次君) 選挙公報では消費税のことは抜きました。そして教育と福祉のことを入れました。
 というのは、これは御説明申さにゃならぬかもしれませんが、テレビの政見放送を最優先した、次は演説、それから法定ビラ、すべて消費税は最重点であります。余りにも重点をそこへ傾斜し過ぎるということで、私のスタッフに政見放送を主にして選挙公報の方もよろしくと任せておいたわけでありますが、そこから、どうも候補者は余りにも消費税のPRにウエートを置き過ぎるということで、公報に限っては福祉と教育に入れかえた、こういうことであります。私はそれはそれでいいと思っております。
#153
○近藤忠孝君 要するに、ここに選挙公報がありますけれども、消費税については一言も触れなかった。これはお認めになりますね。――認めるということでうなずいていますから。
 選挙公報に載せなかったと言いますけれども、選挙公報はかなり一定の時期出るものですし、これは公職選挙法で有権者に配布することが義務づけられている。要するに候補者としては政見放送と並んでその公約を訴える最も重要なものです。ここに記載しなかったということは、重視していなかった、要するに選挙の争点にしなかったということだと思うんです。
 そこで、これから申し上げる各閣僚、この皆さんも選挙公報には消費税を掲げませんでした。まず中山外務、それから大野運輸、綿貫建設、ずっと行きまして津島厚生、塚原労働、そしてその後ろに行きまして北川環境、最後に保利文部、この皆さんの中で、私は選挙公報にちゃんと消費税を掲げた、訴えたという方がおったら出てきてちょっとしゃべってください。
#154
○国務大臣(塚原俊平君) 税制改革については書いてあります、「財源としてよりよい税制確立に努めます。」と。
#155
○近藤忠孝君 消費税の消の字もないんです。ほかの方も皆同様です。
#156
○国務大臣(塚原俊平君) 選挙のテレビもあれは公職選挙法で認められたものでありまして、やはり私ぐらい当選六回もしますといろいろなことを訴えなくちゃいけない。ですから私は、テレビの中で訴えられないことは選挙公報に書いてある。テレビはほとんどすべてを消費税が必要であるということでやっておりますので、ぜひともごらんいただきたいと思います、ビデオもございますから。
#157
○国務大臣(中山太郎君) 私の公報に記載していないという御指摘ですが、私ちょっと一回拝見いたします。――なるほど、公報に私は記載しておりませんが、選挙の放送並びに各社のアンケートに対しては消費税に関する公約をいたしております。その今後の対応については見直し存続ということも明確にしておりますし、その理由としては、高齢化社会に向け特に老人医療と年金の充実が最重要課題であり、それを支える財政基盤が必要になります。年金については今回の法改正で給付の物価スライド制が確立され、老人医療ではホームヘルパーや老人医療保健の充実が必要です。一方、経済活動が一層国際化する中で総合的に判断して法人税、所得税の減税、物品税の廃止を進めながら薄く広く課税する消費税が必要ですと、こう述べておりまして、私は公報に書く書かないはその候補者に与えられたやはり一つの候補者に対する権利だと思っておりまして、どの政策をどこで訴えるか、それは候補者のみずからの選択にゆだねるものだと思っております。
#158
○国務大臣(保利耕輔君) 私の公報を正確には記憶いたしておりませんが、九〇年代の高齢化社会を支える諸政策の推進というようなことで消費税のことをうたったつもりであります。
 それから、先ほどお話がありましたように、NHKその他民放での政見放送におきましてはきちんと消費税の必要性を訴えておりますし、あらゆる機会にこれは言っておりますから、県民の皆様方、有権者の皆様方は私がどういう気持ちを持って立候補をしておるかということは十分承知の上御投票いただいたものだと私は理解をいたしております。
#159
○国務大臣(津島雄二君) 私も選挙公報をつまびらかに記憶しておりませんけれども、恐らく地元に一番関係のあることを三つ掲げたと思います。
   〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
 しかし私は税制改正、特に消費税の定着については、そう言ってはなんでございますが熱心に活動した方でございまして、貴党の候補を含めて地元では私は消費税の代表であるというキャンペーンをおやりになった。それは地元へお聞きになればおわかりだと思います。
#160
○国務大臣(北川石松君) 委員の御質問でありますが、きょうも限られた時間なら選挙も限られた時間、限られた紙面、戦術、戦略、そうして市民、国民に訴える方法は選挙法によっていろいろありますから、私は率直に申しまして、テレビを通じ、税の基本体制を確立しなくちゃいけない、それと同時に減税をいたします、約一兆二千八百億、数字まで出して言ったことをこの際委員にはっきりと申し上げておきます。
 以上です。
#161
○近藤忠孝君 保利さん、高齢化社会について言ったといいますが、こう言っていますね。「超高齢化社会に備えるべく政策を展開いたします。」。
 総理、今申し上げたとおり、閣僚のうち八名もの議員が、公報という一番大事なところ、重視すべきところにこれを載せなかったということは、公報に関して消費税についてだんまりを決め込んだと思うんです。原健三郎さんは消費税の廃止を公報に訴えた。要するに、争点とすることを避けたのじゃないかと思うんですが、どうですか。
#162
○国務大臣(海部俊樹君) 皆が自民党の候補者としていろいろな宣伝活動をしておるわけでありますから、たまたま公報に具体的に「消費税」と書いてなくても、テレビの政見放送その他で正確に申し上げたと皆が言っております。
 また私は、自由民主党を代表して党首討論会でも、テレビの「党首は訴える」という番組でも、また、全国を毎日回りました街頭演説でも、税の話は楽しい話ではありませんが聞いてくださいと言って消費税の問題について徹底的に申し上げてきたつもりでございますから、多くの我が党の候補の人々はそれを訴えなければならぬということで選挙を戦ってきたわけですし、世論もこの問題に焦点を当ててあの選挙戦は戦われたわけでございます。
 また、選挙戦のいろいろなやりとりの中でもマスコミを通じて報道された中に、今度の選挙は消費税の存否をめぐる国民投票の意味を持つということをおっしゃった野党首脳の御意見もあったわけで、国民の皆さんは、自民党の候補といえばこれは消費税、野党の方の方はそうではない廃止論者だというような分け方をしながらの報道の中で見きわめられたわけでありますから、テレビや街頭やあるいは個人演説会等でそれぞれの所属議員がこの問題には触れてきた、私はそう受けとめておりますし、その審判の結果を謙虚に受けとめておる、こういうことでございます。
#163
○近藤忠孝君 じゃ総理、そうおっしゃるんならば、これは自民党幹事長小沢一郎さんの選挙公報です。この選挙はまさに体制の選択を問う選挙ですと。次にこう言っています。「野党の硬直した税制論議」、「しかし、野党各党は、体制の選択という争点を避け、消費税の廃止を選挙の最大の争点にあげ、争点をすりかえています。」。要するに自民党の幹事長は、消費税は選挙の争点ではありませんとはっきり言っているんです、公報で。これについて、国民の支持を得たというのは私は事実に反すると思うんです。もう一度お答えいただきたいと思います。
#164
○国務大臣(海部俊樹君) その内容に入り込んでいろいろ議論するに私はここはふさわしい場だと思いませんし、すべての候補者が、自由民主党ですから自由な意見を持っていますから、いろんなところに焦点を当てていろいろ違った視点に立って物を申し上げておると思います。けれども、総裁であった私は、党の発表した公約の中にそのことはきちっと書きましたし、党の総裁として出た立場においては明確にすべて消費税の見直し問題についても事細かに説明をしてやってまいりましたから、それは自由民主党が消費税のことを隠して選挙をやったという御批判は当たらないと思いますし、いろいろなところで皆が述べておると私は信じております。
#165
○近藤忠孝君 あなたが公報に掲げたから私は指名しなかったんです。車の両輪である幹事長が争点でないと言ったということ、このことは極めて重視すべきことだと思います。
 次に進みます。
 歴代総理は、消費税の税率アップはしません、こう繰り返し答えております。しかしこれは国民は信用していないんです。それは私の内閣の間はという限定づきで、大体短命が予想される。同時に、ヨーロッパの例を見ましても、導入後十年でほぼ二倍の税率になっているからです。前にここでも議論になりましたけれども、税率アップをしないというんだったらなぜ自民党の党議として決議しないのか。それができないということは、その後に大幅の税率アップが控えているからじゃないんでしょうか。どうですか。
#166
○国務大臣(海部俊樹君) 政権を担当させていただいておる間は、これはしないということは私の決意でできるわけであります。けれども、いつまでもとか、あるいは自民党に決議させるとかいうことは政府代表の立場で今ここで申し上げるべきことではないと思いますので、政府がお願いしておるわけでありますから、現内閣の間は上げないということをはっきりと申し上げた次第でございます。
#167
○近藤忠孝君 新行革審最終答申が出ました。ここで国民負担率を五〇%未満にとなっていますが、これは二〇二〇年の国民負担率について五〇%までは容認するという計画だと思うんです。五〇%を超える可能性さえある。現在の国民負担率は四〇%で、要するに一〇%引き上がる。現在の国民所得が三百二十七兆円ですから、現在価格で三十二兆から三十三兆円の負担増になるということになりますね。これは何によって捻出するのか。社会保険料の引き上げといっても限度があります。結局、消費税の税率二〇%というこういうような大衆増税によって賄うことになるんじゃないでしょうか。どうですか。
#168
○国務大臣(橋本龍太郎君) 国民負担率というのは、その時代その時代の国民の政策に対する要望と負担の能力の中で決まっていくことでありますから、未来永劫のことを私が申し上げることはできません。しかし、行革審の最終の御意見の中でも目標を示されました中で我々は全力を尽くすつもりであります。
#169
○近藤忠孝君 そのときそのときとおっしゃいますけれども、これは海部総理の諮問に対する答申ですし、やっぱり二十年、三十年、これは高齢化社会、そういう展望のものですよ。我々だって生きますよね。ということは、総理も大蔵大臣もその時期についてもこれは責任を持たなきゃいかぬことだと思うんです。
 実際、アメリカの要求による公共投資の飛躍的増額、これは四百兆という話もあります。軍事費の増大、これは先日のこの委員会の討論でも横ばいは困難だ、要するにふえるということです。歳出要因増はメジロ押しであります。一方、国債発行残高百六十四兆を減らしていくという議論が先ほどありました。法人税は引き下げる。そして直間比率が直接税が多過ぎるから消費税だと。要するに間接税の増税以外にないんですね。となると結局消費税の税率アップ以外にない。ですから自民党政府のもとでは消費税の税率アップ必至という状況です。今度の見直し案で複数税率がありますが、複数税率というのはそれへの第一歩じゃないかと思うんですが、どうですか。
#170
○国務大臣(橋本龍太郎君) 少なくとも、海部総理がいつまで私をこの職にとどめておかれるかわかりませんが、私は消費税の税率を上げる意思はございませんし、食料品の小売段階の非課税と関連し飲食料品に対して軽減税率を採用しようとしておりますことは、今あなたがお述べになりましたような意図を持ってのものではございません。
   〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
#171
○近藤忠孝君 上げない上げないとおっしゃいましても、客観的情勢はまさにそうだということを申し上げます。
 関連に移ります。
#172
○委員長(林田悠紀夫君) 関連質疑を許します。吉岡吉典君。
#173
○吉岡吉典君 消費税の一方で行われたのが、大企業、大金持ちに対する減税措置でありました。一九八八年、消費税を初めとするいわゆる抜本的税制改革が行われた際、法人税率の引き下げが行われました。政府の発表された数字によっても、法人税率の改定だけで約一兆二千五百二十億円の減税、法人地方税へのはね返りを合計すると一兆四千六百八十九億円になります。このうち法人のいわゆる上位五十社、これだけで減税額は幾らになるか計算なさっていますか。
#174
○政府委員(尾崎護君) そのような計算はいたしておりません。
#175
○吉岡吉典君 計算なさっていないということですので、私ども、公表された資料が乏しい中で、公示所得額と有価証券報告書に基づき、この配付資料の1にある注記のような方法で計算してみました。そうしますと、法人所得上位五十社だけで、法人税、法人住民税の減税額は三千四百億円に達します。つまり減税額は全法人の二三%に当たります。これはもう大企業減税であるということが非常にはっきりすると思います。
 あわせて聞きますが、減税額を資本金階級別に見て、資本金百億円以上の法人の減税額は幾らになるか計算なさっていますか。
#176
○政府委員(尾崎護君) 減税額につきまして資本金階級別の分布を見るというような計算は私どもいたしておりません。
#177
○吉岡吉典君 今の問題は、一体だれが税を多く負担しているかということを示す上で非常に重要な問題であって、そういう計算も行われていないということは問題だと私は指摘せざるを得ません。そういう計算がないということですが、そこで私はお伺いします。
 今私が挙げた五十社の数字のほか、法人税率の減税は二段階にわたって行われました。二段階で計算すると減税額は二年間で幾らになるか、これの数字はわかりますか。
#178
○政府委員(尾崎護君) 昭和六十三年度ベースでございますけれども、法人税率の改正によります税収見込み額は一兆二千六百六十億円でございます。御承知のように、留保分につきまして四二%を四〇%に、さらに三七・五%に、配当分につきましては三二%から三五%、さらに三七・五%というように改正をしていくわけでございますが、その第一のステージにおきましての減税額は五千四百七十億円、それから第二のステージで七千百九十億円の減収というように見込んでおります。
#179
○吉岡吉典君 それでは、具体的にお伺いします。
 そのうちトヨタ、これは八九年、九〇年度で幾らの減税になりますか。トヨタ自動車です。
#180
○政府委員(尾崎護君) ちょっと個別の会社につきまして把握はいたしておりませんのと、先ほど申しましたように四二が四〇%になるというのは、実は今年度におきまして開始した事業年度ということでございますので、この三月決算の分から初めて新しい法人税率が適用されるということになるわけでございます。
#181
○吉岡吉典君 個別企業の減税を把握しないというのはこれは私は正確ではないというふうに思います。そういうふうに何もお答えにならないので、我々はお配りしてある資料2のように、国税庁発表の八八年度の申告所得額と有価証券報告書によってこれも計算してみますと、配付資料のようにトヨタの二年間の減税は四百四億円以上という試算ができます。ここに挙げている五社で一千億円以上、こういう数字が出てきます。この法人税減税というものが、国民の一方での消費税という
不公平税制を導入しながら一方で大企業に対する大変な減税であるということを証明する数字だと言わざるを得ません。
 私は、消費税を廃止し、このような大企業優遇税制の不公平を正すことを求めて、関連質問を終わります。
#182
○近藤忠孝君 あと若干の時間、見直し案について質問いたします。
 食料品の小売段階が非課税ということになりますと、これは消費者にとっては消費税は消えるんですね。完全な内税方式になります。小売段階までに転嫁された消費税が食料の本体価格の中に隠されたまま消費者に転嫁される。見直し案の本当のねらいは、このように消費税を国民の目から
見えないようにするところに目的があるのじゃないでしょうか。
#183
○国務大臣(橋本龍太郎君) 食料品に対する非課税を主張されました中には、共産党の皆さんも国会審議でおられたと思います。国民の中からも、いろいろな角度で食料品に対する非課税というものは求めておられました。そうした声を頭に入れながら見直し作業を行いました中で私どもとしては小売段階の非課税というものを採用したわけでありまして、消費税を見えなくするのが本来のねらいであるという御指摘は当たらないものと心得ます。
#184
○近藤忠孝君 日本共産党は食料にまで課税するような消費税は反対ということを申し上げたんです。
 見えなくするのがねらいだということを、このねらいを正直に語ってくれた人がいるんです、自民党の有力な政治家。取られたか取られなかったかわからないようにするのが今度の見直し案だ、これは本音をずばりとおっしゃる渡辺美智雄さんです。便乗値上げもわからなくなるんじゃないでしょうか。これについてお答えいただきたい。
 それから最後に、みなし仕入れ税率、これを政令委任事項にいたします。これは元来売り上げ掛ける〇・六という仕組みを変えてしまう、しかも納税者に不利に変える。これを変えれば負担増になる以外にないんですよね。こういうのは租税法律主義に反するんじゃないでしょうか。それぞれお答えいただきたい。
#185
○政府委員(尾崎護君) ちょっと先ほどお答えが中途半端になってしまったので申し上げたいのでございますが、ただいまお示しいただいた減税額上位五十社ということでございましたが、減税額が大きいということはそれだけ根っこでたくさん税金を払っておられるということでございまして、税収の面では非常に大きな貢献をしておられるということの裏返しであるわけでございます。
 それからただいまの政令委任の問題でございますけれども、それは不利になるからという御趣旨でございますが、その不利になるという意味は、例えば仕入れのみなしの率をいろいろ仮に変えたといたしますと、その結果として、簡易課税の計算をしたときにはそれが税額としてふえるということでございましょうか。このみなしの率というのは、これは制度の簡素さということを求めてやっているわけでございまして、それに伴います税額の増収という意味ではないわけでございます。反射的にいろいろと手元に残る額が多くなるのではないかという御批判をいただいているわけでございますけれども、その制度の趣旨が制度の簡素化を求めてのことであるということを御理解いただきたいと存じます。
#186
○委員長(林田悠紀夫君) 時間が参りました。
#187
○近藤忠孝君 余計なことを答弁するからもう一言言わなければいけませんよ。
#188
○委員長(林田悠紀夫君) 時間が参りました。
#189
○近藤忠孝君 大体大企業の減税に占める比率が多いじゃないかというのが吉岡議員が指摘した点です。
 それから、簡素化と言うけれども、要するに売り上げ掛ける三%掛ける〇・二、これがふえるんだから、〇・二の部分が。そうするとこれは増税に間違いないんです。そういったことを法律でやらないで政令でやるということはこれは矛盾なんです。また、私はそのこと自身に、見直したら余計悪くなってしまったということの中に……
#190
○委員長(林田悠紀夫君) 近藤君、時間が参りました。
#191
○近藤忠孝君 私はこの消費税は廃止以外にないんだということを重ねて申し上げて、質問を終わります。
#192
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で近藤忠孝君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#193
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、粟森喬君の総括質疑を行います。粟森君。
#194
○粟森喬君 まず、外務大臣にお尋ねをしたいと思います。
 カンボジア和平に関する東京会談を開催することが本日の記者会見といいますか、報道で一斉に出されておりますが、どのような経過で東京会談を開催することになったのか、説明をお願いしたいと思います。
#195
○国務大臣(中山太郎君) 昨年の八月にパリでカンボジア和平会議が国際会議の形で開かれました。しかし、会議は、第三の委員会の議長国を務めた日本がやった委員会で決議が出た以外は結論が出ず、そのまま半年以内に次回の会議を開くというような申し合わせの中で散会になりましたが、その後、オーストラリアのエバンス外務大臣の提案、あるいはまたこの二月に開かれたインドネシアでの四派の出席したカンボジア和平の会議、これも四派の合意が調わずに流れたわけであります。
 日本はかねて、カンボジアに和平を構築する、その場合に、四派が合意ができて選挙のための暫定的な政府ができる、その政府のもとで、国連の監視のもとに民主的な選挙が行われるときには、日本から機材もあるいはまた人も日本の国力に応じて提供させていただく、また、戦火がおさまって、民主的な選挙の結果、民主的な政府のもとで新しいいわゆる国づくりが行われるときの経済協力もいたすということを申しておりました。しかし私は、やはりアジアの一国として平和を構築するためのプロセスに日本は積極的に努力をするべきだという考え方でおりまして、今年の一月初頭に私はタイ、マレーシアを訪問した際にもいろいろ話をしておりましたが、先般タイのチャチャイ首相が東京を訪問されました際に海部総理に、このカンボジアの和平のための会談を東京でやったらどうかというお話がございまして、海部内閣としてはタイ国の首相のそのお考えに賛成をして、両派にそれぞれメッセージを送り、今回両派から東京に来る、会合の日にちは大体六月の四日、五日、こういうことで実は昨晩記者会見をやらせていただいたようなことでございます。
#196
○粟森喬君 場所を提供するというだけではなく、今回の問題というのは大変重要な、パリ会談の決裂の状況から見ても重要な意味を持っていると思います。そういう意味で評価もしたいし、期待をしなければならないわけでございますが、一方で強い懸念もございます。
 それは、ここで日本側が新しい提案をしないと場合によっては決裂状態を続けたままという可能性がありますので、その点のところはどう考えておられますか。
#197
○国務大臣(中山太郎君) 実はあす外務省の河野課長をタイに派遣して、このお話を進めてこられたタイの政府の責任者ともいろいろ協議をしながら、バンコクにおいて両派の関係者と協議をして、どのような形で会議を開くか、またどういうふうに運営をしていくかという協議をやらせる手配をいたしております。
 今委員から御指摘のように、国際的な地域紛争を調停するための場所を日本が提供し、積極的に和平に日本が協力をするというこの仕事は極めて大きな意味を持つものであると考えておりまして、政府としては、この機会にカンボジアに和平が来るような積極的な話し合いに協力をしていくということで、海部総理を初め私どもとしては両派にもいろいろとお話をする機会があろうかとい
うふうに考えております。
#198
○粟森喬君 総理にお尋ねをいたします。
 特に世界の中の日本という言葉を使うわけですが、私どもが強い懸念を持っているのは、日本は政治的にも軍事的にも中立国ではございません。そのような立場の者が、いわゆるカンボジアにおける内政といいますか、二つの政府があるということは、文字どおり中立の立場でやらなければならないわけでございますが、総理のこのことに臨む決意をお聞かせ願いたいと思います。
#199
○国務大臣(海部俊樹君) 私は、争いをおさめて平和になってもらうように努力をするときに、立場が中立でなければできないとは決して思っておりません。それは委員と私の考え方の違いだろうと思うんです。
 同時にまた、今世界は東西の大きな対立、対決という時代から、平和と安定を求めての歴史の大きな劇的な動きの中にあるわけでして、私はそういう立場を乗り越えて、地域の平和と繁栄のために力を尽くしていこうという私の考え方や我が国の発想というものをまた評価して受け入れて、戦争の火種をなくしていきたいという願いを率直に聞き入れてもらったからこそ、カンボジアの和平問題についても東京で両首脳が来て話そうということになってきておると思うのでありますから、私はそのように考えております。
#200
○国務大臣(中山太郎君) なお、この件に関しましては、アジア局長が参っておりますので、アジア局長からさらに細部にわたって御報告をさせていただきたいと思います。
#201
○政府委員(谷野作太郎君) ただいま総理大臣あるいは外務大臣から御答弁申し上げたことに尽きておるわけでございますが、先生も御案内のように、しょせんこのカンボジアの和平のかぎを握りますものはカンボジア人の方々だと思います。したがいまして、今回シアヌーク殿下あるいはフン・セン民その他の方々を東京にお迎えして、当事者同士が率直にカンボジアの将来に思いをかけながら、御熱心に和平の道を探られるということ自体に、実は今回の東京会談の一番大きな意味があろうかと思います。
 そこで、日本政府といたしましては、必要があれば、他方、そういうことで当事者同士のお話し合いとはいいますものの、やはり求められれば、積極的にその間にあって私どもといたしましても必要な役割を果たしていきたい、そういう考えで臨んでおるところでございます。
#202
○粟森喬君 総理の発言の中で、中立国でなければできないという意味で言ったんじゃないので、紛争を解決するときは中立的な立場でなかったらできないんではないかという立場を言ったつもりでございますが、これ以上これで再討論するより、来月結果が出ますから、むしろその段階で質問する機会があったらやらせていただきます。
 私は、今から外国人労働者問題を中心にしてやらせていただきます。
 入管法の改正法案が六月一日から施行されることになっておりますが、この法律の改正点についての評価について、まず労働省に不法就労者がこれで解消できるのかどうか、そういうことを中心にした見解をお尋ねしたいと思います。
#203
○国務大臣(塚原俊平君) 今回の改正入管法は、少なくとも受け入れ範囲が明確化されますものですから、そういう面では不法就労の抑止策の効果が大変大きいと期待をいたしております。
#204
○粟森喬君 法務省にお尋ねいたします。
 推定で結構でございますが、短期滞在者のうち、いわゆる不法就労者となっている人は今何名ぐらいというふうに推定していますか。これはあくまでも推定でございますから概数で結構でございます。
#205
○政府委員(股野景親君) ただいま委員御指摘のとおり、日本で不法就労に従事している者の数については、推計によらざるを得ませんが、法務当局としては平成元年末現在で約十万人おると推計をいたしております。
#206
○粟森喬君 重ねて法務省に質問いたしますが、本法が改正されることによって不法就労者がゼロにできるというふうに考えているのかどうか。このことについて改めて見解を聞きたいと思います。
#207
○政府委員(股野景親君) 今度の改正入管法におきまして、規制の対象といたします資格外活動というものの範囲を明確化し、また新たに、雇用者であって不法就労者を雇用するような者についての処罰の規定を設ける等、不法就労についての法的な対策を強化いたしているところでございます。
 そこで、この取り締まりにつきましては、これらの法整備の趣旨をまず生かす。同時にまた、関係の行政機関との連携のもとに対応を行う。こういうことをあわせましてこの問題に有効に対処できるものと、こう考えております。
#208
○粟森喬君 不法就労者を調査するときに、一つは労働省の立場というのは非常に重要だと思いますが、私どもも実は外国人労働者の相談をやっているそういう市民グループにも若干意見を聞いたわけですが、一般的に外国人労働者で不法就労者は、例えば労働基準法違反とか賃金未払いとか、そういうことがあったときに、これは監督署へ行って相談をしなさいと言っても、不法就労であるということがわかるから行かないというケースです。
 ですから、法務省はどのような方法をもってこのことについてゼロにする方法を考えているのか。関係省庁というのは労働省でございますが、まず法務省の考え方をお聞きしたいと思います。
#209
○政府委員(股野景親君) 昨年この改正入管法につきまして法案を国会で御審議いただきました際に、御指摘の点についての御論議もいただいた次第でございますが、その際に、労働基準の観点からの一つの配慮と、それからもう一つ、不法就労取り締まりということからの対策というものとについて、十分それぞれについて考えた対応をとる必要があると考えているところでございますが、不法就労というものをやはり抑えていくということ自体については、労働省当局も十分その意味を認識しておられますので、これについての労働省との協力を行っていくというところでございます。
 他方、いわゆる労働基準的な観点につきまして労働省の方で御配慮いただいておりますが、法務省といたしましても、法執行に当たって、例えば賃金未払いというようなままでその不法就労者が退去強制になるというような点については、その賃金未払いの状態が是正されるように労働省側との協力を行うことで対応していく、こういう考え方で臨んでおります。
#210
○粟森喬君 労働省にお尋ねを申し上げます。
 過去のといいますか、五月三十一日までの労働省の本問題、不法就労に対する対応が、どの点とどの点で変化をするのか、そのことについて説明をしていただきたいと思います。
#211
○政府委員(野崎和昭君) 労働省といたしましても、不法就労を容認するものでは決してございませんけれども、御指摘のとおり、賃金不払い等の労働基準法違反を放置することはできませんので、これは現在でもそうでございますので、申告等に基づきましてその是正に努めているところでございます。この点につきましては法施行後も変わりはないと思います。
 なお、この場合に出入国管理機関への通報の問題でございますけれども、これも御指摘のような問題がございますので、個人的な権利の救済を求めて監督署等に御相談等に来られました方につきましては原則として通報しない。しかし、悪質重大な法違反が繰り返されるおそれがあるとか、あるいは地域の他の労働者の労働条件に非常な悪影響を与えるというような場合についてはやむを得ず通報する、そういう態度で今日まで対応してきておりますが、法施行後も基本的には同じ考えで対応したいと思っております。
#212
○粟森喬君 今の答弁を聞いていますと、労働省の対応は従来と変わらないと言っている。そうしたら、入管は関係省庁と相談をしてそれをゼロにすると言っていますが、ちょっとその辺は全然変
わらないということになって、十万人と言われる違法な外国人労働者の問題は解決をしないのではないかと思いますが、再答弁をお願いします。
#213
○政府委員(股野景親君) 改正入管法の施行はいよいよ六月一日から行われるわけでございますので、六月一日以降の状況について十分見る必要があると思いますが、私どもといたしましてはやはりこの新しい法の規定の意味、そして関係機関の協力ということは効果を発揮するものと考えております。
#214
○粟森喬君 私は、これで取り締まってもいわゆる違法な外国人労働者の問題がますます潜在化するといいますか、地下に潜るといいますか、そして仲介人、ブローカーの違法になればなるほどそれが内部に沈殿化をするという問題があると思いますので、そういう視点から幾つかの見解をまずお聞きしたいと思います。
 労働省にもう一度お尋ねしますが、いわゆる賃金不払いだとか労働基準法違反のことについて外国人労働者が訪ねてきたとき、ビザを見せろと言ったときにそれが違法であったら、まず入管に報告をするのが先なのか、労働基準法違反のところを直すのが優先するのか、それだけ明確にしてください。
#215
○政府委員(野崎和昭君) 不法就労を容認するものではございませんが、私どもとしましては、まずその労働者の権利の救済を図るということを第一にいたしておるわけでございます。
#216
○粟森喬君 すなわち労働省としては通報義務がないという理解でいいんですね。
#217
○政府委員(野崎和昭君) 少しややこしい話になるのでございますけれども、労働基準法と申しますのは、国内における労働条件の最低基準を定めているものでございます。日本人はもちろんでございますけれども、外国人の場合といえどもその就労につきまして、違法性が非常に高い場合はまた別かと思いますけれども、例えば日本人の場合で申しますと、免許を持っていないというような違法性が伴っているような場合でございましても、やはり労働基準法等は適用になるわけでございます。したがいまして、労働基準法の適用になる部分についての救済はとらざるを得ないというのが第一点でございます。
 第二点として、その場合の通報でございますが、公務員として当然通報すべきでございますけれども、これも先ほど御指摘にもございましたけれども、監督署へ行きますと全部通報されて強制送還されてしまう、そういう話が世間に広く伝わりまして、一時期救済を求める方がほとんど来なくなってしまったということがございまして、この点は入管当局とも御相談しながら、個人の権利の救済を求めに来た場合に、そういう場合にまで一々通報するということはかえって権利の救済を損なうおそれがあるということで、その点は通報はしないでもやむを得ないだろう。ただ、その通報しないことによって次に再び悪質重大な法違反が繰り返される、あるいは地域の労働条件が下がる、日本人の法違反まで誘発するというような、そういうおそれのある場合には通報する、そういうことで運用いたしているところでございます。
#218
○粟森喬君 単純労働をこれによって締め出そうというのが一つの意図だというふうに言われていますが、単純労働に違法、合法を問わず来る方々の大半の国情というのは経済的にも大変な状態だと思います。外務省としても単にこれは単純労働者を締め出すということだけで、他の外国に対して本当に影響があるのかどうか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
#219
○政府委員(久米邦貞君) 我が国は開発途上国の経済社会開発問題を支援するという立場からODAの供与をやっておりまして、我が国のODAはそれ自体被援助国におきます雇用創出効果というものをねらったものでございます。ただ、それはそれといたしまして、別途、途上国と我が国の間には依然として極めて大きな経済格差、所得格差が存在するわけでございまして、これに加えて、国内においては一部の産業における深刻な労働力不足の問題がございまして、こういうことから、こうした内外の構造的な要因によりまして外国人労働者の流入圧力というのが非常に高まっているわけでございます。
 こういうのが我々の認識しております現状でございまして、現在政府の中では単純労働者の問題をいかに取り扱うかということをいろいろな角度から慎重な検討を進めているわけでございますけれども、この問題について何らかの結論が出ました暁には、対外的な面についてもまた検討が必要になってくるかと思います。
#220
○粟森喬君 労働大臣と経済企画庁にお尋ねしたいと思います。
 今、日本では単純労働といいますか、いわゆる外国人労働者が働いているところは大変な人手不足だと言われています。単純にこれを解消するというだけで果たして問題が解決するのか。経済企画庁に具体的にお尋ねしたいのは、あるいはこれは日本の経済にもある程度、これをゼロにした場合一定の影響があると思いますが、その点はいかがでしょうか、労働大臣と経済企画庁にお尋ねをいたします。
#221
○国務大臣(塚原俊平君) まさに本当にそこの指摘がずばりでして、物事を二つに分けて考えなくちゃいけないわけで、一つは、ともかく相手国はどうだということ。だれも自分の国を離れて日本に来て働きたいわけじゃなくて、自分の国できちんと食べていければそれが一番いいわけですから、だから、そういう面ではそういうような、ともかく自分の国でしっかりした技術者を養成して自分の国で働く場を提供するということの努力は日本の国は今一生懸命しております。これはこれからも一生懸命していかなくちゃいけないと思います。特に労働省も一生懸命やっています。
 それからもう一つ、今度、国内的にどうだということなんですが、これを人手不足だから、じゃ外国からということで考えてきちゃいますと、本当にいろいろと、ずっと昔の、私が生まれる前にあった許せないようなことがまた繰り返されるようなこともこれはあると思うんです。ですから、当然外国から労働者をもし仮に、どの範囲までを単純と言うのかわかりませんが、いわゆる三Kと言われているところが単純だとしても、それはもうそこに働いてもらう、外国から来ていただいて働いてもらうためにはもうそれなりのしっかりした労働環境を整えて、労働条件を整えてこれはやらなくちゃいけないわけです。
 ただ、何回もまた同じことの繰り返しですからちょっとだけでやめておきますが、日本の国の中でもまだ非常に労働力のミスマッチなんかがあるもんで、その辺のところもこれからしっかり見きわめていかなくちゃいけないというふうに考えております。
#222
○国務大臣(相沢英之君) おっしゃるように、外国人の労働者の問題につきましては、労働力の面から見ましてもいろいろ問題があるわけであります。
 経済審議会の構造調整部会労働力委員会というものがことしの四月に報告を出しておりまして、その中に外国人労働者につきましてこういうことを述べているのであります。マクロ政策の観点から労働力が不足しているから外国人労働力を導入するという考え方をとるべきじゃない。つまり足らないからすぐ入れるという考え方をとるべきではない。今の人手不足には供給構造、需要構造両面の要因が複雑に絡み合っており、外国人労働者を導入すれば解決するという筋合いのものではない。我が国労働市場には需給のミスマッチが現に存在しており、また日本人がつきたがらないとされる職業については魅力ある職場を整えることが先決である。まず労働力需要サイドの工夫をしていくべきである等々述べております。
 事実、指標を見ましても、全体に有効求人倍率が例えば平成元年では一・三九ということで一を上回っております。ただ、これを五十五歳以上に限ってみると〇・三三ということで、これは当然のことかもしれませんけれどもはるかに求職者が多い。それからまた完全失業率を見ましても、平成元年は男女計で二・三%でありますが、五十五歳から五十九歳の男子は二・六、六十歳から六十四歳の男子は五・九ということで平均を上回る完全失業率があるわけであります。こういった点につきましても、いわゆる労働力需給の一種のミスマッチでありますけれども、それを解消するという努力も必要かと存じます。また、そのためには、企業における省力投資の推進あるいは労働条件の改善などということも当然考えられていかなければならない、こういうふうに思っているのであります。
 無論、先ほど労働大臣から答弁がございましたように、基本的には相手国内における雇用を造出するということに日本側としてもこれからも大いに協力していくということが大事だろうというふうに考えております。
#223
○粟森喬君 私は、国内経済と国内における労働力の需給関係を聞いているんであって、外国ですることも大切でございますが、例えば中高年の方を単純労働にするなんということは完全にこれはミスマッチで、できないというのがこれ事実関係でしょう。労働大臣、経済企画庁、もう一度答弁をお願いします。
#224
○国務大臣(塚原俊平君) これはやっぱり職場環境、あるいはどれぐらい省力化されて、どれぐらい手間が省けて、そこに、その環境によっては、かなり高齢の方でもこれから第一線で働いて余り労働がきつくないというような状況が生まれてくるんじゃないかなというような気がいたしますけれども。
#225
○粟森喬君 今の労働大臣の答弁だけでは私は納得できないし、そんなことになるような労働力の需給関係の中ではないと思いますが、これは改めてお聞きをします。
 次に、今度の問題で労働と研修に分かれましたね。研修と労働の定義の違いについて説明をしてください。
#226
○政府委員(股野景親君) 研修と就労については、現行法においてもきちんと在留資格を分けておりますが、改正入管法におきましてはその区分を一層明確にする配慮をいたしております。
 基本的に、研修というのは、発展途上国の方々が日本に来て技術、技能等を習得し、そして本国に帰国してそれを生かすということに国際協力の見地から協力をする、こういうことでとらえております。したがって、基本的には技術、技能の移転ということ、それはしたがって報酬を伴うものではないということ、こういう点がポイントでございますが、就労は当然働くことによって報酬を手にするということがポイントになってまいります。
#227
○粟森喬君 通産省にお尋ねをしたいと思いますが、この制度によれば大企業が有利で、いわゆる研修制度をちゃんとつくれるということ。中小では個別にはできませんから、このようなことについてはやりにくい、こういう意見がちまたにあるわけでございますが、通産大臣の見解はいかがですか。
#228
○国務大臣(武藤嘉文君) 確かに、この間の中小白書によりますと、中小企業の皆さんはそういう点もあるので外国労働者を何とか採用したいという気持ちをお持ちである方がたしか三割近くあったと聞いております。しかし、先ほど来それぞれ御答弁がありますように、できれば省力化でできるだけ人手不足を解消する、あるいはまた中小企業においてもよりよい職場環境をつくってより多くの人が大企業と同じように来ていただけるようにするというのが私は本質的ではないかと思っております。
#229
○粟森喬君 総理にお尋ねをしたいと思います。
 日本は、地政上もそれから歴史的にも鎖国政策をとったことなどがありまして、外国人との人の交流といいますか、労働の交流というのは余り経験がございません。現実に経済格差があって、日本の企業で外国人労働者にも来てほしいという意見がある現状では、今のような入管法の改正や体制だけでは一つの限界があるのではないかと思います。国内にも意見が二つあることを承知しておりますが、総理として本問題について、国際社会や世界の中の日本と言われる日本国を代表するといいますか、そういう立場と総理という立場で答弁を聞かせていただきたいと思います。
#230
○国務大臣(海部俊樹君) 外国人労働者の受け入れ問題について今改正入管法というのが、今答弁しましたようにいろいろ項目を幅を広げる、それから一つの項目についてもここまでは広げていこうということできちっと受け入れのできる範囲というものを明確に示しておると私は思いますから、それが実行されることによってどのような影響が出るのか、それを十分見きわめたいと思いますが、単純労働者の問題につきましては、これ社会の各層にもいろいろな御意見があることを私もよく承知いたしております。
 それはそれとして前向きに検討をしなきゃならぬテーマであろうと思いますけれども、いろんな複雑な問題が絡み合っておりますから、引き続き私自身も研究をさせていただきたいと思っております。
#231
○粟森喬君 時間がなくなったのでこれでやめますが、特にオーバーステイの過渡的な措置については、ここは実態を見ながら良識ある配慮をお願いしたい、こういうことを申し上げまして、終わります。
#232
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で粟森喬君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#233
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、小西博行君の総括質疑を行います。小西君。
#234
○小西博行君 きょうは、大変貴重な時間をいただきましたが、何さま九分という短い時間ですので、ちょうど今国立博物館で国宝展が開催されておりますので、文化財についてひとつお尋ねをしたいというふうに思っております。
 今までこういう国宝展というのは京都で二回、東京で一回。今回の場合は東京で三十年ぶりというようなめったにない機会でございますし、当初は大体三十万人ぐらいの観覧者が来られたらというようなことで計画をされたそうでございますが、現在の段階では大体七十万人ぐらいの皆さんが来られるだろうということで、予想以上の関心が国民の皆さん方から上がっている。こういう現状を私自身も認識しているわけですが、こういういわゆる日本の宝といいましょうか、そういうものに対して一般の日本人が大変関心を持っている。こういう現象に対して、総理、大臣を代表してどのような御感想か、まずお尋ねをしたいと思います。
#235
○国務大臣(海部俊樹君) 先日私もお隣の美術館のほかの催し物にちょっと行きましたときに、できたら寄りたいと思ったが、物すごい行列がたくさんございました。それだけ国民の皆さんが見ようという気持ちでおいでいただいておるということは、心豊かな社会をつくっていきたい、人々の心に潤いを持っていただきたい、我が国の歴史や文化や伝統とも親しんでいただいて正しくそういったものを認識してほしいということを常々考えておる私としては、これは大変結構なことだと思いました。
 ただ、余り長時間ああいうところに立っていらっしゃらずに見れる方法はないかなと思いますけれども、器も一つでございますし、それから余り中へたくさん人が入ってしまってまたいろいろな危険が起こってもいけないという配慮をそれぞれされておるんだろうと思いますが、そんな率直な印象を受けてきました。
#236
○小西博行君 私自身が今文教委員会のメンバーでございますので、この間参議院では見学をさしていただいたわけです。そういう意味で、きょうは大臣の皆さんいらっしゃいますが、非常にこの予算委員会が今忙しいですから多分余り見ておられないんじゃないかというふうに思いまして、ちょっとお尋ねしますが、皆さんの中であの国宝展を見に行かれた方、ちょっと挙手を願えませんか。――どうもありがとうございました。やっぱり大蔵大臣と文部大臣はさすがにちゃんと見ておられるということで安心をいたしました。
 こういう日本の国宝あるいは重要文化財、こういうようなものをどうやってきちんと後世に残していくかという実は大きな課題があるわけであります。そういう意味で少し何点かについて私はこの際質問をさせていただきたいと思います。
 大体国宝といいましてもいろんなものがございまして、建築物が二百七件、それから美術工芸品八百二十七件のうちで今度は二百十三件出品している。あわせて奈良でも仏教説話展、こういうものを現在ちょうど同じように五月二十七日までやっております。そういうことですから、全部が全部ではないんですけれども、ほぼ非常に立派なものが集まっている、そのように認識をぜひしていただきたいというふうに思います。
 したがいまして、このように国民の皆さん方が、経済大国になったんだけれども、今度は心のゆとりというか、そういう意味で非常にこういうものに対して関心の高まりを持っている、こういうようなことを私も考えます。
 全国でいわゆる国宝とかあるいは重文に指定していないものも実はございます。そういうものを含めて非常に立派なものが散在しているというように聞いておるんですが、こういうものは文化庁はかなりつぶさに調査をして、しかもその保護状態といいましょうか、修復が必要であるかどうかというようなそういう判断というものは相当詳しく調査しているのかどうか、まずその点をお伺いしたいと思います。
#237
○国務大臣(保利耕輔君) お答えの前でございますが、先生からかねて御指摘をいただいておりました文化財の保護の件、そしてまた国立博物館におきますいろいろな修復の問題等、私も勉強しなきゃいけないと思いまして行ってまいりました。そのときにたまたま国宝展をやっておりましたから見せていただきまして、大変感銘を受けましたし、また日本の国の歴史の長さ、伝統の重要さというものをつくづく感じた次第でございます。
 そうしたものが、国宝のみならず地方にもたくさんの文化財があるということは先生御指摘のとおりでございまして、国におきましては国指定の文化財という形で指定をいたしておるところでございますが、そのほかに地方公共団体が指定しているものもございます。こういったものの措置の問題につきましては政府委員から答弁をさせていただきたいと存じます。
#238
○政府委員(遠山敦子君) ただいま文部大臣からお答えを申し上げましたように、文化財の調査に関しましては、国におきましては、これまで各分野の文化財につきまして、みずからの調査、あるいは国立の博物館、研究所におきます調査研究の成果を通じまして、重要なものにつきましては既に多くの情報が蓄積されているところでございます。例えば美術品の分野では、都道府県等と協力をいたしまして、文化財の集中地区調査でありますとか重要社寺の歴史資料調査等を実施しているところでございます。都道府県段階で指定されたものにつきましては、それぞれ地方公共団体において調査がある程度なされているものと思われます。ただ、未指定の分野のことにつきましては、先生も御指摘のように、その実態がすべて把握されているかどうかといいますと、必ずしもまだ十分でない点もあるわけでございます。
#239
○小西博行君 総理、実際は調査というものはかなり大変なのは事実なんですね。というのは、公のそういう美術館とかという場合だったら相当率直に調べられるんですが、神社仏閣あるいは個人がそういうものを持っているという場合がありますので、むしろ申し出てくれればいいんですけれども、無理やりに行って調査するというのが非常に難しいという分野が確かにあるわけです。もちろん、修復する場合の助成とか、いろんなそういうような措置をとる場合にわかるわけですけれども、そういう意味で、せっかくの機会ですから、一度こういう調査を何かの方法で完全にやっていく必要があるんじゃないか、大変難しいんですけれども。
 もう一つは、やっぱり日本のそういう貴重なものというのはまず材料が紙であるとかあるいは漆、それから木材関係、あるいは絹というようなもの、こういうような材料なものですから、大体ヨーロッパなんかのそういうものと比べて大分性質が違うわけですね。石で物をつくるというよりも、むしろ今申し上げたような形でつくっている。材料が非常に脆弱であるというようなことがございまして、保存する場合にはできるだけ早く保存しなきゃいけないし、そして修復も案外タイミングを逸すると全然だめになってしまう。
 そういうものは、ちょうど国立博物館のすぐ隣に文化庁の研究所がございまして、そこでいろんな電子工学を使ったりなんかしまして早くその壊れぐあいを調べる、こういうような割合自然科学的な、ハイテクというんでしょうか、そういうような分野も導入されておりますので、したがって、そういう分野があるだけに、早く調査をしないと間に合わない、そういうふうに思いまして、それに対してできるだけ早く現状を調査してもらいたい、そういうのが私の気持ちなんですが、どうでしょうか。
#240
○国務大臣(保利耕輔君) 先日、甲胄等のいわゆる修復状況を私もつぶさに拝見をさしていただきましたし、畳の部屋に上がり込んでいろいろ話を聞かせていただきました。同時にまた、絹にかきました絵画等の欠損している部分についてこれを修復するという作業も、細かい作業でございますが拝見をさせていただきました。
 そういう中で感じましたことは、こうした日本が持つ重要な文化財、それは中央のみならず地方にもあろうと思いますが、こうした文化財の修復体制については十分に力を入れていかなければならない分野だということを痛感いたしましたことを御報告申し上げたいと存じます。
#241
○小西博行君 できるだけ早くその調査をして、そしてその手順どおり早く修復できるようにまず努力していただきたいというふうに思います。
 私はたまたま広島県なんですが、愛媛県の大三島に大山祇神社というのがございまして、これは佐藤大臣もよく御存じだと思いますが、そこにはよろいかぶとといいますか、こういうものが大体全国の七〇%ぐらい立派なものがあるということなんですね。私も二、三回行ったんですけれども、やっぱり修復するのに相当予算がかかるというのですね。したがって、なかなかそれが申請はできないし、全部が全部国の予算で修復するわけじゃございませんし、そういうことで、これは何とかしてもらわないとと。例えば刀剣類なんかでも相当さびがきていると。しかし、そのまま置いておきますとこれは朽ちていくわけでございまして、幾ら研いでも、今度はやせてしまって本来の姿がなくなる、こういうふうなことがございます。
 そういう意味で、さきにやりました国立劇場法、この改正で芸術文化振興基金の創設という非常に大きなことでございますが、これを現在うたっているわけです。この予算は御存じだと思いますが、政府が大体五百億、それから民間が百億、六百億でやる。文化庁の予算が四百ちょっとでございますから、それよりも大きなのを基金でやろうというのが現在の考え方だろうと私は思うのです。そういうものが導入されたら、こういうような地方の神社仏閣にあるような、従来文化庁でなかなか手が届かなかったような分野、これが具体的に修復作業にどうプラスになるのか、その点をお伺いしたいと思います。
#242
○政府委員(遠山敦子君) 芸術文化振興基金の創設で保存修復についてどれぐらいの援助ができるかということでございますけれども、その前に文化財につきまして、国といたしましては所有者とか管理団体が行います重要文化財の保存修理に要する経費に対して補助を行っておりますし、あるいは例えば甲胄の修理でありますとか刀槍の金具の製作、修理など、文化財の保存のために欠くことのできない伝統的な技術の保存につきましては、これを選定保存技術として選定をするという形で国のやるべきことをやっているわけでございます。
 ところで、芸術文化振興基金におきましても、あのとき御審議をいただいたとおりでございますが、文化財を保存し、あるいは活用する活動を助成の対象としておりまして、美術工芸品の修理に関連いたしたものといたしましては、文化財の保存のための伝統的な技術または技能の伝承者の養成活動で国の助成対象となっていないものに対するもの、これを新たに助成しようということでございますが、当面国指定以外の美術工芸品の修理費そのものを直接援助するということまでは考えていないところでございます。
#243
○小西博行君 そこで、修理をどうしても早くしなきゃいけない。修理技術者というのが非常に少ないわけですね。私が言えばいいんですけれども、時間がもったいないものですから、どういう分野でどのぐらいの人数の修理技術者がいるか、ちょっと教えていただきたい。
#244
○政府委員(遠山敦子君) 現在、国指定の文化財を修理する技術者は、美術工芸品の分野に例をとりますと約百六十名が従事いたしております。その内容は、詳しく申しますとかなりの分野に分かれておりますが、例えば仏師は二十五人、装こう師七十五人というふうな形でそれぞれの分野に分かれて、合わせて百六十人というような数の方々がこの仕事に従事されておられます。
#245
○小西博行君 その中で、甲胄とさっき申し上げたのですが、甲胄師はただ一人なんですね。全国でとにかく一人しかいない。それで、今修理技術者と言いましたが、それは全部民間の人です。必要に応じて民間の人があの美術館の下の、私言葉が悪いのですが、タコ部屋みたいなところで修理しているという感じで、だから、なかなか後継者が難しい。つまり、需要と供給というのが一つあるでしょう。日光あたりの東照宮あるいはその他を修理したあのときは彩色という漆の色つけですね、それが非常に盛んだったものですから、需要と供給の関係で百二、三十人おったのが現在四十名です。ところが、実際の甲胄師だとかいうことになりますとほとんどいない、一人だけだと。三十七歳か八歳の人一人です。
 そういう意味で、少なくとも東京の国立美術館とか奈良とか京都とか、そういう公の美術館で相当数の職員がいるようなところは専門家をやっぱり養成していかなきゃいけないんじゃないか、私はそのように思うんですが、その辺の考え方はいかがでしょうか。
#246
○国務大臣(保利耕輔君) 先生御指摘のたった一人の甲胄師という方に私はお目にかかりました。そしていろいろお話をさせていただいたんですが、あの建物自体が大変古い建物になっておりますから、あれ全体の建てかえをやって明るい作業環境をつくるかどうかという問題は別途あろうかと思います。しかし、これはかなり大きな費用を要するものでありますから、その作業環境等については国立博物館において十分配慮をしてさしあげなきゃいけないなということを考えました。同時にまたよろい関係の技術者、私は京都の方にもいらっしゃると伺っておりますけれども、大変古いものがたくさんございますから、できるだけそうした技術者の確保等については私どもも頑張っていかなければならないと思っております。
 ただ、限られた予算の中でこれをやっていこうということになりますと、どうしても国指定の文化財の修理ということが中心になってしまいますものですから、現在のところ百六十名と申しましたけれども、民族の大変大事な文化財でございますから、私どもも関心を持ってその充実には努めていかなければならない、このように思っております。
#247
○小西博行君 今予算というお話がありまして、法律的には日本のああいう文化財の保護の仕方というのはきちっとできておるんです。割合きめ細かいんです、種類も多いですしね。だから、そういう面では世界で一流だと言われておりますが、問題は予算ですね。文部省の予算が今何ぼでしょうか。随分大きいんですが、四兆七千億ぐらいでしょうか。その中で四百三十二億円が文化庁の予算ですね。その中で、しかも保護する立場というのはもっともっと小さいわけです。
 こういういいものをどうやってやろうかという予算が余りにも少ない。だから基金でもってやろうと、こういう発想なんですけれども、私はこの問題はもう少し国全体として考えるべきだと。タイミングをとにかく逸すると、さっきも申し上げたようにだめになってしまう。だから、全体をよく調べて、その中で絞ってでもいいから、いいものは今修復しなきゃいかぬ、こういう感じがして、ちょっと時間が足りなくて皆さんに十分御理解願えなかったかわかりませんけれども、ぜひともこの面で努力していただきたい、そういうことを申し上げて終わらせていただきたいというふうに思います。
#248
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で小西博行君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#249
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、下村泰君の総括質疑を行います。下村君。
#250
○下村泰君 冒頭に当たりまして、骨髄バンクから入りたいと思います。
 この骨髄バンクということに関しまして、四月二十六日に「骨髄移植の評価に関する研究」の報告書がまとめられました。その内容と、それに対する厚生省の今後の対応についてまずお伺いします。
#251
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 報告書の内容でございますが、高久東京大学医学部教授を主任研究者といたしまして、研究協力者によりますいろいろの検討会を開きまして議論をおまとめいただいた次第でございます。
 中身といたしましては、まず骨髄移植につきましては、再発白血病や重症再生不良性貧血におきまして、現在長期生存を期待し得る最善の治療法である。
 第三者からの骨髄採取は、ドナーのリスク等内在する問題が幾つかある。しかしながら、他にかわり得る採取方法がないため、現時点における第三者からの骨髄移植はやむを得ない治療法というぐあいに位置づけられております。そして、いわゆる骨髄バンクは移植医療機関等から独立いたしまして、公共性なり公平性が担保された広域的な組織により推進されるべきであります。
 それから、骨髄バンクの設立及び運営に関しましては公的な機関の何らかの関与が必要と考えられますが、その程度については今後の検討課題ということでおまとめいただいた次第でございます。
#252
○下村泰君 厚生省の方としては、その対応はどういうふうに考えていますか。
#253
○国務大臣(津島雄二君) ただいま御答弁いたしましたような御意見が今回出てまいりまして、これを受けて今後有識者を集めた研究班により検討を進め、具体的にどうしたらいいか早急に結論を出したいと思っております。
#254
○下村泰君 今大臣くしくも研究班をつくって対応策を考えたいというふうにおっしゃいましたけれども、いつごろをめどに。
#255
○国務大臣(津島雄二君) その点につきましては今国会におきまして種々の御質問を受けておりますが、私は大体御質問をいただいておられる委員の各位がお許しをいただける範囲内で、つまり常識的にお認めをいただける範囲内で結論を出すように、関係者、担当者の方に指示をしておるところでございます。ただ非常に専門的にわたるところでございますから、何と申しますか、今具体的な日にちを言えないということは大変申しわけないと思いますが、ただ委員の皆さん方がお認めいただける範囲内で結論を出さなきゃいかぬということを指示しておるところでございます。
#256
○下村泰君 大臣の苦しそうな御答弁がよくわかります。ただ、この研究報告書の方にも、報告書のまとめの四番目に、「骨髄バンクの設立及び運営に関しては公的な機関の何らかの関与が必要と考えられるが、その程度については今後の検討課題として残された。」、こういうふうになっています。それで、一番大事なことはこの骨髄バンクを
設立する場合、日赤が一番適当だと私は思うんです。その辺を厚生省がどういうふうにお考えになっているか、これが一番今大事なことなんで、ひとつお答え願いたいと思います。
#257
○政府委員(長谷川慧重君) 骨髄バンクの設置に関しまして大臣から御答弁いただきましたように、私ども研究者の皆さん方にできるだけ早くお答えをおまとめいただきたいというぐあいにお願いいたすつもりでございます。
 ただいま先生からお話ございました日赤の活用の問題でございますが、この骨髄バンクをつくるに当たりましては、いわゆる骨髄バンクの組織の問題やら、あるいは公的機関の関与の問題あるいはその他いろいろ検討すべき問題がございますので、日赤をどうするこうするという話につきましては、現時点ではその検討会の結論を待って考えたいというぐあいに考えておりますので、それ以上のことについてはちょっとコメントを差し控えさしていただきたいというぐあいに思っております。
#258
○下村泰君 そのままちょっと待ってください。全然頭の中にないわけじゃないんですね。
#259
○政府委員(長谷川慧重君) 日赤が現在血漿板の血液の供給に当たりましてHLAの検査をやっておるという実績はよく承知いたしております。そういう面で、厚生省の中といたしましては、関係の部局ともよく相談をしながら、今後骨髄バンクのあり方についていろいろ検討してまいりたいというぐあいに思っております。
#260
○下村泰君 何で私がこんなに焦っているかといいますと、今しゃべっている最中にもこの患者は命が危ないんです。こういうところが、どうも私はこの国会の、しかも行政府のあり方、政府の皆さんの態度が私は納得いかない。今まさに風前のともしびという患者がたくさんいるんです。ですから、ここまで何回も私質問しているんです。本来なら私は大きな声出して、けつまくりたいところなんです。そういうことをどうぞ何とかひとつ頭に残しておいていただきたい。
#261
○国務大臣(津島雄二君) 委員御指摘のとおり、大変苦しんでおられる方々にとっては切実な問題でございまして、私自身そういう方々の代表ともお会いをいたしました。早く対策を立てなければいけないわけでございまして、今政府委員から御答弁いたしました研究班による検討というのは、例えば年を越さない範囲内で出すというようなことを実は先ほど申し上げたわけでございまして、そういうことの中から今の日赤の問題についても適切な結論が出ると思っております。
#262
○下村泰君 別に突っかかるわけじゃございませんけれども、過去に四回のこの委員会で質問させていただいておりますし、それから直接大臣にも三回も陳情に行っています。だから、私と同じような、例えば今度の報告書をまとめた先生の中に十字先生がいらっしゃいますけれども、この先生でも私と同じ感覚なんですよ。ましてや患者を抱えている親御さんとか、その周囲の方々にとっては一体日本の国の政府というのは何をやっとんのかいなと、私たちのこの悲しい、苦しい叫びが全然皆さんには通じないのかと、こう怨嗟の声を出しても、喜ぶような声は出ていませんよ、今。それだけに私はお願いしたい。ただ唯々諾々として全然進まないことよりは、現況として少し喜ばなきゃなりませんし、ありがとうございますと半分だけお礼を申し上げますけれども、全面的にありがとうございましたと腹の底からお礼の申し上げられない状態が非常に私は腹が立つし、悔しいんです。
 今後ともそれこそ速やかに、可及的速やかなんて言葉でなくして一日も早くこの公的機関を設けていただいて処理に当たっていただけることをお約束していただけますかどうか。
#263
○国務大臣(津島雄二君) 私も委員と全く同じ気持ちで督励をしております。ただ、なぜ難しいかという点についてはもう委員御存じだと思いますが、実は骨髄を提供される側にとって相当のリスクを伴う、そのリスクをどうカバーするか、非常に難しい問題でございますので、そういうこともあるということをひとつ御理解をいただきたいと思います。
#264
○下村泰君 私も全然わからないで質問をしているわけじゃございません。ですけれども、そういういろんな問題を解決してくださるのが行政の府に立っている方々の私はお務めじゃないかと思うんです。ただ、あれも難しい、これも難しいじゃ、いつまでたったって難しいだけが先に立って何にもやさしくならない。それじゃ困るんです。よろしくお願いします。
 障害者年に入りましてからいろいろの長期計画が策定されて、ことしで九年目に入りました。最終段階に入ったと思います。そこでこの機会に、関係各省に障害児者、難病の方々へのこれまでの施策の実施状況と未達成、未実施の課題についてお伺いします。
 その一番先に、まとめた質問が通産省にはないんです。通産省の方からひとつおやり残したようなことがございましたら発表してください。
#265
○国務大臣(武藤嘉文君) ちょうど私手元に持っておりますけれども、こういう「高福祉社会をめざして」というので、工業技術院が中心となってやっておるわけでございますが、これ私の方は工学の立場にございますが、医学の立場の厚生省とよく協力をしながら今日までやってまいりまして、福祉機器では十三基完成をいたしております。例えばこの中にございますけれども、モジュール型の電動車いすであるとか、あるいは身体障害者用の機能回復訓練装置でありますとか、あるいは重度身体障害者用のベッドでございますとか、いろいろとやってきておりますが、残っておるのは福祉機器四基が継続してやってきておりまして、これをこの年度で開発をやりたい、こう考えておるわけであります。
#266
○下村泰君 ありがとうございました。
 私は、障害者問題の基本的課題は住居、移動、町づくり、教育、介護、コミュニケーション、差別、人権、雇用、所得、この九つが私自身は基本だと考えております。
 まず建設省に伺いますが、障害者向け住宅の需要をどういうふうに認識していらっしゃいましょうか。
#267
○政府委員(伊藤茂史君) お答えします。
 障害者の方々が、厚生省の資料によりますと、昭和六十二年現在、全国で約二百五十万人程度ということを言われておるようでございます。
 この中で、住宅需要といいますか、現に住んでおられる住宅をどういうふうに改善したい、あるいは公営住宅に自分は入る資格があるんだけれども入りたいという方がどのくらいおるかということを的確に数字で私どもつかんではおりません。ただ、公営住宅につきましては、公共団体におきまして必ずその公共団体の所轄内の住宅需要というものを的確に把握し供給する義務がございますので、公共団体では、そういうものにつきまして的確に把握をして特定目的の公営住宅の建設等を行っているということでございまして、私どももそういう公共団体の把握に期待をしておるわけでございます。
 ただ、厚生省の方で、障害者の方々がどういうことを問題視しておられるかということで、要望状況というのを調査されておりますが、この中に住宅の確保というような項目がございます。これを見ますと、医療機関であるとか所得保障とかいうようないろんな項目がありますけれども、それに比べますと、約一割の方々が現在の住宅ではちょっと困るという方がおられるというような数字か出ておるようでございます。
#268
○下村泰君 つまり、どういうタイプの住宅をどれくらい建設すればいいか、それからまた、それはいつごろをめどにしているのか、こういうことを具体的にお答えできますか。
#269
○政府委員(伊藤茂史君) 今の住宅対策の体系が、今申しましたように、公営住宅というような形で本当に低額所得者に対しましてはきちっと公共団体がつかまえて供給する体系になっておりますが、その他のものにつきましては、その住宅を必要とする方々からの住宅市場に対する動きということで住宅が供給されるという仕組みになっております。したがいまして、例えば自分が持っております住宅をこういうふうに改善したいという気持ちがあれば、金融公庫の窓口をたたいて、こういう改善をしたいので融資をお願いしたいということが出てくるわけでございます。したがいまして、住宅対策側でそういう需要者側の需要の中身をきちっと押さえて、どういうものがどれだけ要るというような形では押さえておりません。
#270
○下村泰君 以前の私でしたら、ああそうですかで下がるところなんですけれどもね。
 そうしてみると、例えばもうこの委員会が開かれてから、一時間半圏内にお勤めする方が自分の家さえ持てない、一生持てないんじゃないかというお話がのべつ出ていますね。そういう人たちに対する対策すら満足にいかないのに、障害者はなおざりにされている。そういうことが、今の局長のあの答えの中にすっかり入っているということがよくわかりましたね。こんなことでどうするんでしょう、日本は。これまで福祉ホームとかグループホームというのは、障害者の住宅対策というのはいわゆる福祉サイド、自分たちサイドで考えてつくられてきたわけですね。これはもうこういうことは建設行政の責任だと思いますよ。土地の高騰以前からの問題なんです。本腰を入れていただきたいと思いますけれども、どうですか、建設大臣、これ何か具体案ありますか。
#271
○国務大臣(綿貫民輔君) お答えします。
 ただいま御指摘のように、障害者対策としての住宅政策にもっと力を入れるということだと思いますが、御指摘の点についてもう一つ力を入れるように今研究してみたいと思っております。
#272
○下村泰君 わかったようなわかんないような話ですけれども。
 本年二月二十一日の神奈川県議会に提出された神奈川県建築基準条例の改正案というのがあるんです。それをどういうふうに見ているか、建設省は感想を述べてください。
#273
○政府委員(伊藤茂史君) 神奈川県が建築基準法の四十条だったと思いますが、これに基づきましてさらに厳しい、厳しいと申しますか、高度の規制をするという形で条例を定めたことは承知しております。
 ただ、先ほどの障害者年に定められました長期計画の中でも申し述べておりますように、身体障害者に配慮した建築設計指針というようなことで、一般の建築物を設計するときにはこういう配慮が要りますよということを設計者、建築事務所でありますとかデベロッパーでありますとか、あるいは個々人に対して十分に知識を普及するということがまずはやるべきことだと思っておりまして、神奈川県の例は全国で初めてのケースでございますし、建設省としてもその効果に注目して、ほかの公共団体が今後どう考えていくかというようなことを見守りつつ対応を検討していきたいというふうに考えております。
#274
○下村泰君 何か局長、全然人の顔も見ないで、ただびたびたびたびたと読んで下がっていきますけれども、こんなことは本当は国が先にやるべきことじゃないんですか。これを神奈川県が先にやって、神奈川県がもしこの結果がよかったらどうなるんですか、国の方は。こんな恥ずかしいことないんじゃないですか。どういうふうに考えているんですかな。どうも私ら一般庶民としてはずっこけますな、こういうところが。
 この神奈川県でつくるような建築法によってできた建物が完成するとなると、これはすばらしい町づくりになると思うんです、住居づくりが。そうなりますと、障害者や高齢者のみならず、けがをした方、妊産婦、体調の悪い人、こういう人たちにとっても優しい町づくりになるんですよ。どうですか、そろそろ建築基準法というのを変えてみる考えございませんか、大臣。
#275
○国務大臣(綿貫民輔君) 建設省でも今まで身体障害者に配慮した建築指針等の策定とか普及とか低利融資等をやってきたわけですが、まだまだ足りないということなんですね。そういうことで今御指摘のような点を含めて検討させていただきたいと思っております。
#276
○下村泰君 大体健常者の方が基準になっていますから、すべての建築物その他が。やっと近ごろ公民館とか市民公会堂とか劇場などがスロープなんかつくるようになりましたけれども、全然そういうのが今までなかったですからね。どうぞひとつお願いしたいと思います。
 それから運輸大臣、ずばりお答えを願いたいと思いますが、例えば車いす障害者が自由にバスや鉄道を利用できない状況が今なお続いています。いつになったらこれ自由に利用できるようになりますか、お答えください。
#277
○国務大臣(大野明君) お答えいたします。
 いつになったらと言われても、これはなかなか大変難しいところもございます。それは何といっても身障者の方々が近年大変自立をし、そしてまた社会に参加をしていただくためには、そういうようなところからの改善をするのは当然のことでございまして、今それらに対して、いわゆる鉄道事業者に対していろいろと駅舎の整備であるとか、あるいはまた車両の改善であるとか、そういうようなことを含めて指導をいたしております。
 いずれにしても、こういう今日の状態からいって将来を見詰めますと、可及的速やかにやらなければならないと考えております。
#278
○下村泰君 こういった公共交通機関の問題というのは大変日本はおくれているんですけれども、これ環境整備の一環として考えていただきたいんですね。少なくともこういう方たちが一々名古屋駅とか東京駅とか、こういう交通機関を利用するときに電話をしておかなければエレベーターが動かないとか、電話をしておかなければ汽車に乗れないんだと。――汽車というのは古いですわな、電車に乗れないというようなこんな状況では、福祉の日本とかそういう言葉を使えないと思いますよ。それだけにいち早くこういうことの目標を達成するために進んでいただきたいと思いますが、いま一度運輸大臣のお覚悟を聞かせてください。
#279
○国務大臣(大野明君) 先ほども申し上げましたが、今日、駅舎においてはエレベーターとかエスカレーターの設置であるとか、また階段じゃなくスロープ化をさせるとか、あるいはまた例えばバスなんかは低床式のもので乗りやすいようにするとか、あるいはまたドアを大きくして乗りやすいようにするとか、いろいろな形で努力はいたしております。ですから私どもも、先生の御指摘のとおり国際障害者年が一九八一年ございましたが、それ以降努力をいたしておりますけれども、いずれにしても駅舎等々は既設のものについてはスペースとかそういうものが大変に少ないものですから、これらを設置することは大変難しい部分がありますけれども、より一層努力をさせていただきます。
#280
○下村泰君 ありがとうございました。
 今度は自治省に参ります。
 去る三月二十八日、百九十七人の手話通訳士が試験に合格したと発表されました。政見放送への手話通訳導入については、それをもとに政見放送研究会で検討すると伺っておりますが、どうなりましたでしょうか。
#281
○国務大臣(奥田敬和君) ことしの二月から今先生の御指摘になった手話通訳士制度ができたということは、大変喜ばしいことだと思っております。ただ、今政見放送云々というお話でございましたけれども、確かに多くの人に政見を広く聞いていただくということは最も大事なことですけれども、先生御存じのとおり、今百数十人という合格者、ようやくこれだけの人材が確保できたわけですけれども、これから徐々に毎年の試験で手話通訳士が誕生していただけることを期待いたします。
 そうしないと、政見放送と簡単に言いますけれども、例えば衆議院選挙を例に引きますと、百三十の選挙区で公平公正にやるときに、それだけの資格を持って果たして自分の言っている政見が正しく相手に伝えられるかどうかということも大変大事な要素ですから、私は先生の御提案のように近き将来、これは決して逃げる意味で言いません、近き将来において手話通訳士の人材が確保された時点で、当然そういった制度導入は図られるべきだと思います。とりあえず、やっぱり政党代表者の討論とかそういった形の中で、こういった形で手話通訳士が活躍していただけるように、制度導入のまず手始めをそういうところくらいからやりたいと思っています。
#282
○下村泰君 大臣のお答えまことに結構なんですが、実はこの問題はもう数年前からやっているんです、私はここで。何回もやっておるんです。それでやっとここまで来たんですよ、実は。ですからもう大臣のおっしゃっている気持ちはよくわかるんですけれども、おっしゃっていることと実際の動きというのは全然こんなになっているんですよ、離れ切っているんですよ。
 ですから、いつも申し上げますとおりに聴覚障害者の方は、じゃこの方たちの参政権はどうなるんだと。それはもう字幕を出しますとかいろんなことを言いますよ、文章で出すとか。そうじゃなくして、やはりテレビの中で政見発表しているのならば、その横にいて手話通訳士がお耳の不自由な方々が目で見ることによってその人の主張がわかるというような、そんなことはもっと早くやらなきゃならぬことじゃなかったかと思うんです。その意味で、これは総理いきなり参りますがね、今度国会の百年の記念事業がございますね、そういった政治改革の一環にこれは入りませんか。
#283
○国務大臣(海部俊樹君) 私がお答えしようと思ったことは今自治大臣から既にお答えされておりますので、その先のことを申し上げますと、やはり一人でも多くの方に政見を聞いていただくようにするというのもやっぱり国会の政治が多くの人人に理解をされていくということにとっては大切なことだと考えますので、せっかく手話通訳士の方も誕生されたわけでありますから、その放送研究会の場で研究の結論が早く出ますように、そして出たときにはまたよく自治大臣とも相談をして、こういった制度の普及が今度は進行していきますように私も協力をさせていただきたいと思います。
#284
○下村泰君 ありがとうございました。
 本来ならば、こうしてやりとりしているのがここに手話通訳士がいて全部見ている方にね、そうなれば本当に私は開けた国会だと思いますよ。大蔵大臣、お金のかかるような顔していますがね。
 郵政省に伺いますが、きのうのお昼のニュースで報じられたあのはがきの裏表の問題ですけれども、あれどういう経路でああいうふうになったか、ちょっと御説明してください。
#285
○国務大臣(深谷隆司君) 去る四月の二十日にNHKのラジオで、「私たちのことば」というのがございますが、そこで目の御不自由な方から、点字ワープロがだんだん普及してきている、しかしはがきで打ちたくても裏表上下がわからない、どこかカットしたらできるんではないかというこういう貴重な御意見がございました。
 全く同感でございましたので、その日のうちに郵政省の郵務局に命じまして対応を急ぐように準備をさせました。下村委員からも途中お電話をいただきまして、できるだけ早くするようにということでございましたので督促をいたしまして、ようやく内容について正確に報告できるように相なったわけでございます。中身につきましては既にきのう発表しておりますけれども、十一月一日に発売をしようと、その十一月一日は我が国で点字が制定されてちょうど百年になるものですから、記念切手もあわせて出すというそのときにお出しをしようということで、一千万枚まず発行させていただくことにしたわけでございます。
#286
○下村泰君 これは大変すばらしいことなんですよ。国民全体の視野から見れば小さいことかもわかりませんけれども、当事者にとっては大きな問題なんですよ。大変これすばらしいことをやったと思います。そういったきめの細かさ、優しさというのが私は政治に求められているんだと思いますけれども。
 まだほかにも点字絵本、これは唐沢郵政大臣のときに無料にしていただきました。聴覚障害者のためのテープの送料の減免、これも実施していただきました。さらに公衆ファクス、それから点字による内容証明の扱い、これまだ残っているんです。こういったことも当事者にとっては大変大きな問題なので、郵政省のきめ細やかな努力をさらにお願いしたいと思いますが、大臣ひとつお答えください。
#287
○国務大臣(深谷隆司君) かねてから下村委員が大変御熱心にただいまのような問題について郵政省に御発言、御提言ありますことをよく承知しております。私どもといたしましてはさまざまな角度から、例えばワープロとかキャプテンとかニューメディアを、これは障害者の方たちだけとは限りませんが、できる限り郵便局に設置して御利用を図っていただこうというふうに思っております。
 なお、内容証明の問題については、もう委員の方が先刻御承知のように、二通つくりましてぴったり同じものを確認した上で局長が印を押して封筒に入れて発送して、一通を残しておくということになっておるわけでありますが、点字の場合に素人が比較してぴったり同じだというのがなかなか判断しにくい。最大のネックはそこにあるわけでございます。そこで、今までさまざまな検討を郵政省ではやっておりまして、例えばボランティアの方に御協力いただいたらどうだ。ところが、国の信用において行う郵便事業なものですから、やはりボランティアではどうであろうかといったような問題が起こる。あるいはコピーではどうだというのでやってみたんですが、私も実はさっきお昼時間にテストしてみたんですが、コピーにはあの点が写らない。それから点字判読機というのも活用してみたのでありますが、まだまだ誤読が多くて実際問題としては比較してきちんと合わせて、一点でも意味が違ってしまうものですから、それがなかなかできない現状であります。
 しかし、大事なことでございますから、不可能なということは機械においてはこれから先はない、不可能なことはないと私は思っていますので、例えば点字を打っていただくときにぴたっと二重に写せるような形で写して、それを郵便局へ持っていって目の前ではがして一通といっておくとかいったようなことも含めて、全力を挙げて実現に向けて頑張ってみたいと思っております。
#288
○下村泰君 想像以上に細やかにお答えいただきまして、ありがとうございました。本当に生き生きとしたお顔でいらっしゃいます。本当にリクルートさえなきゃね。これは余計なことでして、どうも私は余計なことを一言言う性格でございまして。
 今度は厚生省に伺います。
 難病と闘っている方々、精神障害を持つと言われる人々への福祉対策は十分でしょうか。
#289
○国務大臣(津島雄二君) 難病に苦しんでおられる方につきましては、特定疾患治療研究事業ということで指定をいたしまして医療費の自己負担分がないようにいたしておりますほか、患者本人、その御家族の疾病に対する不安や生活上の問題について、相談モデル事業として平成元年から始めております。
 それから一方、精神障害者の方にとりましては、社会復帰施設の整備であるとか保健所や精神保健センターにおける社会復帰相談、指導等の対策を進めるほか、年金や税制面でも御案内のとおり身体障害者と同様の措置をとっておりますけれども、これで十分とは必ずしも言えないかと思います。一層努力が必要であろうと思います。
#290
○下村泰君 とにかく、法が整備されたとはいえ一応の形でありまして、結局その不整備の中に泣いている谷間の方が多いということは、これは事実でございますから。
 それで、三年後になりますか、精神保健法の見直しというのがございます。このテーマとスケジュールはどういうふうになっておるんでしょうか。
#291
○政府委員(長谷川慧重君) 先生御存じのとおり、先ほどの精神衛生法を改正いたしまして精神保健法といたしたわけでございますが、その時点の問題といたしましては、いわゆる精神障害者の定義の問題、いろいろの精神疾患がございますのでその精神障害の定義の問題、あるいはその保護義務者の範囲の問題等いろいろ検討すべき事項があるということで、それらの点につきましては引き続き検討という形で、当面患者の人権あるいは社会復帰の促進という形で精神保健法の改正をいたしたわけでございます。
 そういうことで、一応附則におきまして、五年後を目途に検討を行い必要があれば所要の措置を講ずるというぐあいに書かれているわけでございますので、そういう面で現在問題になっております事柄につきましては私ども内部でいろいろ研究、勉強いたしているところでございます。
#292
○下村泰君 それから、精神障害に関連することなんですけれども、例えば地域に中間施設みたいなものがあったにしても受け皿が義務化されてない、ただ単に措置すればよろしいというようなことになっているので、この方たちが地域で生きる場がないんですね。それで入院の必要のない方が半分以上いる、あるいは現在精神障害で入院されている方でも受け皿さえきちんとしていれば半分以上の方が退院できる能力がある、こういうふうに常から言われておるんですけれども、一体こういうことに対する厚生省の感覚はどうなんでしょうか。
#293
○政府委員(長谷川慧重君) 精神障害者につきましては、昭和五十八年度におきます精神衛生実態調査におきまして、精神病院に入院している患者さんのうちに家族の受け入れや社会復帰施設等何らかの受け皿があれば退院可能な者というのは約三〇%、約十万人いると言われているわけでございます。そういう方々が退院をして社会復帰できるように、社会復帰施設の整備等社会復帰対策の推進に努めているところでございます。
#294
○下村泰君 余り強く望めない問題なんですけれども、この精神障害という言葉は大変誤解がありまして、特に犯罪との関係で報道されるときは、もうその伝えられ方が偏見や誤解を助長することが多いんですね。こういう方々が犯した犯罪というのは、パーセンテージでいけば健常者よりははるかに小さいんです。ところが、一つ事件が起きると全部の精神障害者がそうであるというような新聞の報道やなんかがされるわけですね。ここのところの偏見と誤解がどうも大き過ぎると思うんです。
 それで、こういう問題を解決するためには、精神障害の方々と実際に地域の中で生きていく、これが一番大切だと考えますけれども、厚生大臣はどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
#295
○国務大臣(津島雄二君) 下村委員御指摘のとおり、精神障害者の方に対する問題は、精神保健法の冒頭二条の二に書かれているとおりでございまして、「精神障害者等に対する理解を深め、及び精神障害者等がその障害を克服し、社会復帰をしようとする努力に対し、協力するように」努めろ、そういう法律の大きな柱があるにもかかわらず、それが必ずしも社会の中に浸透していないのではないかということでございまして、私どももその点は大変努力が不足をしている、これからも一生懸命やらなきゃいかぬと思っておりますが、そういう正しい知識の普及に努めるとともに、これから十カ年戦略を進めてまいります、いわゆるゴールドプランを進めてまいります中で、一般に高齢者の方に対する施策がいろいろと言われておりますけれども、同時に障害のある方々、もちろん精神障害のある方々に対する在宅のサービスも同じようにそれぞれの地域社会できめ細かくやっていく、これを出発点にしなきゃいかぬだろうというふうに私は考えております。
#296
○下村泰君 昭和六十二年一月に、厚生省は各省に欠格事項について検討の指示を出したと言われる。その内容の説明をしていただきたいと思います。それから、その後どうなったか教えてください。
#297
○政府委員(長谷川慧重君) お尋ねの件につきましては、精神保健法の改正作業の中におきまして、六十二年一月に、法令に基づきますいろいろの資格、諸制度のうち精神障害者を理由に資格制限または利用制限を行っているものにつきまして関係各省に調査をお願いいたしますとともに、いろいろ御意見を承ったところでございます。この調査を踏まえまして、精神保健法の改正の際に、公衆浴場の利用制限、これにつきましては廃止いたしたところでございます。
 それからまた、先生御存じのとおり、「障害者対策に関する長期計画 後期重点施策」におきまして、「精神障害を理由として設けられている資格制限等について検討を行うこと。」というのが決められているわけでございますので、他の資格制限等につきましては関係各省におきましていろいろ検討されているものというぐあいに承知いたしております。
 厚生省といたしましては、精神障害者にかかわります資格制限等につきましては必要最小限度のものにとどめるべきであるというぐあいに考えているわけでございまして、今後とも関係各省と連絡をとりつつ対応してまいりたいというぐあいに考えております。
#298
○下村泰君 結局、総理も聞いておいてほしいんですけれども、こういった健常者の精神障害者に対する偏見のあり方が、こういうところではこういうことでこういう人間が来たら入れちゃいけないとか、犬猫同様の扱いをするような結果の指示が飛んでいるわけですね。ですから、こういうことがあるうちは日本というのは文明国とは言えないんですね。
 一国の文明度をはかるには、その国がその国民の弱き者、例えば子供、老人、病める人、障害がある人、特に精神障害者をいかに取り扱っているかということによって判断すべきである。これはカーター元大統領夫人が語った今や有名な言葉なんです。これは本当に同感なんですよ。その意味からいくと、日本は非常に文明度が低い。あとこんな状態がどのぐらい続くと思いますか、総理。
#299
○国務大臣(津島雄二君) 私からかわって述べさせていただきますが、先ほどお答え申し上げましたような精神保健法の冒頭に掲げている理念、あの理念が本当に社会に浸透するかどうかが文明の尺度であるということをカーターさんの奥様は言われたのではないかと思いますが、私どもも全く同感でございます。
 それで、先ほどの調査の中で例えば公衆浴場に入れる入れないというようなことがあったということはやっぱりショッキングでございまして、残された欠格事由の中にも再検討すべきものがあるんじゃないかというようなことも含めて一生懸命努力をいたしたいと思います。考え方は委員のおっしゃるとおりでございます。
#300
○下村泰君 ちょっとへんてこりんなものを出しますけれども、これなんです。(図表を示す)
 国家公安委員長にちょっとお伺いします。このマークは何だと思いますか、これ。――いいんですよ、わからなきゃわからなくていいんですから。
#301
○国務大臣(奥田敬和君) わからない。
#302
○下村泰君 わからない。わからないのは当たり前です。私だってわからなかったんです、これは。これ何かいなと思いました。そうしましたらね、ある大学の先生がスペインを旅行なさったんですね。マドリードの警察が新聞に発表したんだそうです、このマークを。どういうのだといったら、これは実は強盗団、泥棒が使う符牒なんだそうです。それで、この右側のAがありますね、こっち。テレビが映っているからしようがない、見せなきゃいけない。これは、知恵おくれの子供がいる、盗むな、害を与えるなというのがこのAなんです。Bの方が、身障者あり、盗むな。これ強盗団、泥棒のマークなんだそうです。その家の柱やなんかにこのマークがこう刻み込まれている。それを泥棒が見てその家へは入らない。泥棒にも三分の理というのはこれから始まっているんじゃないかと思う。そこへいくと日本の泥棒はだらしがないんですよ。
 この間筑波学園の方で例えば用務員の数を減らしたそうですよ、行革のあれで。ところが、用務員を減らしたところが、目の不自由なのを手にとって近所の、筑波学園の附属の学校の近所のどういうやつがするのか知りませんが、目の不自由な女性をからかっているんだそうです、いろんな意味で。いろんな形で。一言じゃ申し上げません。大体想像つくでしょう、皆さん男だから。そういういやがらせをする。用務員が一人減って四人になって目が届かなくなっただけでそれだけのことが起きているんですよ。マドリードの泥棒はマークをつけて入らないんです。えらい違いなんだ。ですから、人を減らすのもよしあしということを考えてほしいですね。
 法務省に伺いますが、現在障害者や高齢者の人権について擁護してくれる具体的機関はどこなんでしょうか。
#303
○国務大臣(長谷川信君) 法務省でお答えする前に私から申し上げたいと思いますが、今も委員からいろいろお話がございましたが、政治の基本はやっぱりおくれておるところを引き上げること、そして日の当たらないところに日を当てるということ、これがやっぱり政治の基本であり先決でなければならない。先ほどから委員のお話を聞いておりまして全く感銘を深めておるわけであります。そういうことでございますので、法務省――人権局のあるのは政府の中で法務省だけなんですよ。だから、先ほどから法務省への質問がないのはどういうわけかなと思っておったわけでございますが、全面的にひとつこれから御協力申し上げまして、障害者の人権擁護についていろいろまた御指導をいただきたいと思うのであります。
 法務省といたしまして、後で局長から細かく話をいたしますが、障害児、障害者の人権の問題等について総理府障害者対策推進本部等々ございますが、具体的には我が法務省で全国八法務局の人権擁護部、それから四十二の地方法務局人権擁護課、及びそれらの下部組織等全国二百七十三支局、及び各市町村の推薦を受けて法務大臣が委嘱をした者が一万三千人おります。そういうものをひとつまたいろいろ御利用いただいたり、またいろいろ御指導いただいて、先ほど委員からお話しございますように、障害者の人権が擁護されるように、そしてまたそれらの人に日の光が当たるようなそういうことを、まあ政治はやっぱり、今の委員のお話を聞いてしみじみ思いましたが、やらなきゃならないことは山ほどありますが、一番大事なことがどうもやっぱりちょっと疎んじられておるのではないかというふうなことを先ほどから痛切に感じておったわけでございます。頑張ってやりますから、ひとつあれしてください。
 それでは、ちょっと担当から説明させます。
#304
○政府委員(篠田省二君) どういう機関があるかということについては今大臣からお答えがありましたとおりでございまして、法務局、地方法務局、それからその支局、それと民間のボランティアであります人権擁護委員ということになっております。
 それで、具体的にどういう対応をしておるかといいますと、まず手始めには人権相談ということでございますけれども、その結果いろいろ対応する必要が出てまいりました場合には、それに応じていろいろな措置をとっております。
#305
○下村泰君 その人権擁護局のあり方なんですがね、稲葉さんが法務大臣のときに私渡り合ったことがあるんですが、ロッククライミングをしているときザイルが――これはもう橋本大蔵大臣は山登りが好きだからおわかりでしょう。ロッククライミングをやっているんですね、ザイルを使って。だれが見てもそのザイルが今切れそうだ。当然切れる。人権擁護局というのは訴えがなけりゃやらないでしょう、私はこういう人権を侵されたって。だから、このザイルが切れて落っこちて死人になるか重傷になるか、それから初めて人権擁護局というのは動くんですかと言ったの。そうしたら稲葉先生が、それは君ちょっと例が違い過ぎると言う。庶民の感覚というのはそんなもんだと私は言いたい。ですから、人権擁護局のあり方、もうちょっとあり方自身考えてほしいと思いますが、どうですか。
#306
○政府委員(篠田省二君) 申し立てがないと動かないかという御質問でございますけれども、それが多いわけですけれども、新聞その他情報によって情報を入手した場合にはこちらから積極的に動くこともございます。
#307
○下村泰君 それは障害者や高齢者がいじめられて無残な姿が報道されてから初めて動くということでしょう。それじゃ困るというの、私は。もうちょっと何か方法がないのか。
#308
○政府委員(篠田省二君) とにかく情報がないといたし方ありませんので、これから今後努力してまいりたいと思います。
#309
○下村泰君 あなた一人をいじめたってしようがないからね、これは。とにかくそういうふうなことのないように積極的に動いてください。
 今月の末、東京都が発達障害、知恵おくれの方や痴呆性老人の方専門の人権擁護機関設置のための検討会というのを発足させるんです。具体的にこのことについて法務省は御存じですか。御存じならば説明してください。
#310
○政府委員(篠田省二君) 現段階では新聞情報を入手している程度でございます。
#311
○下村泰君 その新聞に書かれている内容も御存じありませんか。
#312
○政府委員(篠田省二君) 新聞に書かれている程度しか存じておりません。
#313
○下村泰君 ですから、その内容御存じですか。
#314
○政府委員(篠田省二君) 内容は、平成二年五月十日付の朝日新聞の記事でございます。
#315
○下村泰君 どういう内容だからょっと言ってください。
#316
○政府委員(篠田省二君) この内容でございますか。精神薄弱者とか痴呆老人の財産、人権を守るために保護を行う専門機関を設置するための検討会を設けたということでございます。
#317
○下村泰君 よくわかってないんだな。例えば知恵おくれの方々がお父さんやお母さんが亡くなった場合、もしその親に財産があった場合その子はだまされるんです、これは。あるいは痴呆性の老人になった場合に、その老人もだまされる。いわゆる豊田商事みたいなのがはびこるわけです。これが年に数千人あるらしい。それを東京都がいち早くキャッチしてそういう人たちを保護しようと、こういう会なんです。
 なぜこういう機関が東京都の方にあって国の方にないのかというのが私の疑問なんですが、それに法務省は答えてください。
#318
○国務大臣(長谷川信君) 局長にかわりまして。
 法務省として今すぐきょうただいまどうこうといって答弁ということでなくて、これは前向きで十分ひとつ御期待に沿うように検討いたします。
#319
○下村泰君 総務庁に伺いますけれども、オンブズマン制度というのがありますけれどもこのオンブズマン制度というのは何でしょう。
#320
○政府委員(鈴木昭雄君) オンブズマン制度と申しますのは一八一〇年にスウェーデンで任命されたのが一番最初でございまして、その後各国に普及していったわけでございますが、それぞれの国情によりまして若干いろいろ違うものがございます。ただ一般的に申し上げますと、高い識見あるいは権威を持った方が単数ないしは複数任命されまして、行政に関する苦情を受けつけまして中立的な立場から調査検討いたし、それぞれの関係機関へ是正措置を勧告する等によりまして簡易迅速に問題の解決を図る、こういうような制度を一般にオンブズマン制度と言われているようでございます。
#321
○下村泰君 最近、中野区で福祉オンブズマン制度を導入するということなんですね。都の制度、中野区の制度、それぞれ目的、方法も違いますが、基本的には障害者や高齢者の権利を守ろうというものなんですね。
 国として障害者や高齢者を対象にした人権擁護機関をつくるべきだと私は思いますが、改めて法務大臣に伺います。どうですか。中野区、東京都でもやるというんです。
#322
○政府委員(篠田省二君) 法務省の人権擁護機構というのは啓発が主な機関でございまして、現在
のところはそういう新たな制度というのをつくる考えはございません。
#323
○下村泰君 法務省はああ言っていますが、どうですか将来に向かって総理大臣、何かほかのことを考えていらっしゃるようですけれども、いかがでございましょうか。
#324
○国務大臣(海部俊樹君) オンブズマン制度のことについての御質疑であったろうかと思いますが、私もかつてスウェーデンに行ってオンブズマン制度というものの実態に触れたり、委員に任命されておる数少なき方とのお話し合いをしてきたこともございました。たしか四種類に分かれておったと思いますけれども、いろいろな。そういったところで一般の人々の行政に対する不満とか希望を吸い上げて、それを行政手続を経ないで、オンブズマン事務所といったか何といったかちょっと正確には今資料がありませんけれども、そのオンブズマンに任命されている人の事務所からその担当の役所を探して早くこのように解決してあげたらいいということを通告し、その後どうなったかも監視をすると。なかなか行き届いたことができるのはやはり聞いておっても気持ちのいいものだなと思いましたが、さてそれをどうするかというような具体的なことについては、今後も十分研究をしていかなければならぬと思います。
#325
○下村泰君 突然ですけれども、厚生省、ノーマライゼーションの理念について御説明願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
#326
○政府委員(長尾立子君) お答えさせていただきます。
 ノーマライゼーションの理念はなかなかに広い深い意味を持った言葉だと思いますが、障害を持った方々が健常者と同じような生活を社会の中でできるような、そういったことを理念として進まなければならないという一つの大きな我々の人類の目標を示した言葉であるというふうに考えております。
#327
○下村泰君 文部大臣にお伺いしますが、教育におけるノーマライゼーションとは何でしょうか。
#328
○国務大臣(保利耕輔君) ただいま厚生省の方から理念的なお答えがあったわけでございますが、教育におきましても障害者対策ということで、障害を有する者、有しない者、これが同じ社会を構成する一員であるという、そういう気持ちを持たせるために手を携えて一緒の場で教育を受けていくことだと私は思っております。
 ただ、実際の障害を持つ方々というのは程度がいろいろございますから、その程度に応じたやはり教育を授けていくというのが現在の体系でございまして、そのために、学校へ就学する適齢期の子供がまず身体検査を受け、そして県の教育委員会等からこの学校へ入れあの学校へ入れという御指示を親の理解を得ながらやっていくわけですけれども、そういうような形で現在は行われております。しかし、やはり障害者も社会の一員であるというその理念は非常に大事にしていかなければなならない、私もそのように考えております。
#329
○下村泰君 いろいろな御意見はありましょうけれども、一番単純に考えれば子供は子供、隣人は隣人、こういう考え方だと思うんですよ、私は。現在の障害児の就学指導のあり方というのは画一的なんですよね。地域による対応が違ったり親の意見、考えが無視されたり、多くの問題があると私は思います。
 教育は知識や技術を身につけるだけではないんです。生きる力をその子らが修得することが大切だと思います。各地でいろいろなトラブルが生じております。どうすればそんなことがなくなるのか。このあたりで障害児教育のあり方を根本的に考え直す、見詰め直す時期に来ているのではないか。殊に障害児教育は教育の原点であるとも言われております。これに対して文部大臣、もう一度お考えをください。
#330
○国務大臣(保利耕輔君) 現在の教育体系は先ほど私が申し上げましたとおりの形になっておりますが、これから先生のお考えその他十分勘案して研究すべき課題だと思います。
#331
○下村泰君 今度はちょっと雇用について伺います。
 現在、日本の労働市場は人手不足と言われて外国人労働者問題も大きな社会問題となっております一方で、障害者や高齢者の雇用が深刻になっております。労働大臣及び文部大臣、最近の障害者雇用の現状についてどう見ておられますか。
#332
○国務大臣(塚原俊平君) この前下村委員から御質問がありましたときに、労働省といたしましてはお褒めをいただくぐらい一生懸命やっていると実は言ってしまったんですが、あの当時は八千人やっぱり六十三年から平成元年も雇用もふえていましたしかなりいいと思ったんですが、分母がもうふえているということもあって、その雇用をする一・六%の目標があるんですけれども、それがまだ一・三二%しかいっていないということで、ちょっと答弁のあれがまずかったようですので、本当に申しわけございませんでした。
#333
○国務大臣(保利耕輔君) 心身障害児の社会自立を達成させますために、盲学校あるいは聾学校、養護学校等の中高の課程等で職業教育あるいは進路指導を行っております。また文部省におきましても、昭和六十三年度に心身障害児職業自立推進のための調査研究ということを各都道府県に申しまして、教育委員会に委嘱をして現在行わせているところでございます。等々、職業教育をしっかり持たせまして、そして社会に自立し得る子供をつくっていかなければならない、このように考えております。
#334
○下村泰君 労働大臣のお答え、結構ですよ。だけど、自分で言って間違えたら間違えてもいいんですから、言い間違えた線に近づけてください。
 法定雇用率が一・六%ですね。この設定の根拠にも疑問がありますけれども、これは別の機会にお話しするとして、この五年間の民間の実雇用率、それから六十三年四月の改定内容、これを教えてください。
#335
○政府委員(清水傳雄君) お答え申し上げます。
 一般の民間企業におきます法定雇用率は、昭和六十二年度まで一・五%でございました。六十三年四月一日以降はこれを一・六%ということにいたしております。五年間の実雇用率は、昭和六十年が一・二六%、六十一年が一・二六%、六十二年が一・二五%、六十三年一・三一%、平成元年一・三二%となっております。
 なお、六十三年以降の実雇用率には精神薄弱者が含まれているという状況でございます。
#336
○下村泰君 お聞きのとおりでございますが、この五年間で実質的な伸びというのは平均で〇・〇一以下ということなんですね。目標とする雇用率、法定雇用率一・六%と昨年の一・三二%、その差が〇・二八%、年平均の伸び率を〇・〇一%とするとあと二十八年かかる計算になるんですよ、これ全部達成するには。そうすると、目標達成をあと何年後に置いていますか。これこそ労働大臣。
#337
○国務大臣(塚原俊平君) やっぱりなかなかちょっと見通し、数字を出すのは難しい、何年というのを。難しいみたいです。
#338
○政府委員(清水傳雄君) 私ども、身体障害者の雇用は本当に総力を挙げてやっております。
 それで、法定雇用率の決められておりますのは、御承知のように六十三人以上の規模の企業に対して言っておるわけでございまして、それより下の零細企業も含めますと、大体安定所において年間お世話して就職をしていただいているのが三万人ぐらいになるわけでございます。ただ、雇用率が適用になっている以上の部になりますと大体年間で一万二、三千人ぐらい、それからおやめになる方々もおられますので実際に伸びている数としては八千人ぐらい、雇用率としていきますと先ほど申しましたような数にしか伸びていないわけでございますが、いずれにいたしましても雇用関係というのは合意の上で成立しそれを結びつけていかなきゃならないわけでございますし、だんだんと障害者も重度化しておられる。そうした職域を新たに開発するようなノーハウももっともっと蓄積していかなければならない。
 いずれにいたしましても、そういうふうな形でもちまして懸命に努力をいたしてまいります。ただ、年限を設定するのは難しい問題でございますが、最大の努力を払ってまいりたいと思います。
#339
○下村泰君 労働省としてもそういうお答え以外にはないとは思いますけれども、努力することには努力をしていただきたいと思います。
 昭和三十五年に身体障害者雇用促進法案が全会一致で成立しました。そのときの附帯決議の「二」というものを改めて読んでいただきたい。
#340
○政府委員(清水傳雄君) 大変恐縮でございますが、今手元に持ち合わせておりませんので御容赦願いたいと思います。
#341
○下村泰君 そのことについてぐずぐず言っていると時間がありませんから……。
 このときの法定雇用率が一・一%、七年後には達成し、法定雇用率も一・三%に改定された。そして、五十一年の大改正以後そうした附帯決議もなくなりました。これは国会自身の問題であると思いますけれども、こうした具体的目標を掲げるときは、恐らく何年で達成しようとか考えるのは当たり前だと思うんです。先ほどから伺っていると、それはなかなか難しいと。では逆に、達成のための努力はどういうふうに具体的になさっていらっしゃいますか。それを聞かせてください。
#342
○政府委員(清水傳雄君) いずれにいたしましても、国際障害者年の終期をあと三年に控えておりまして、そうした中で目に見えた雇用の改善効果を出していくということをできる限りやってまいりたいというふうに思っております。
 具体的には、特にこの際三点ほど重点を私ども定めまして、それを全国に通達いたしまして取り組んでいくことにいたしております。
 第一点は、ともかく障害者の働く場を広げる取り組みということでございまして、特に実雇用率の低い大企業、それから金融、保険等の業種、そうしたところを重点に徹底した求人開拓を実施する。それから、多様な方法によりまして特にトップの理解を得るということが極めて障害者雇用の場合に重要でございますし、人事担当者の集まり、そうしたものを全国各地で随時開催いたしまして理解を深めていくというふうなことをやってまいります。
 それから、さらに重度障害者を多数雇用するモデル事業所をどんどんつくってまいりたい。向こう三年間に百カ所程度そうしたものの増設を図っていく、こういう目標を掲げてやってまいりたいと考えておりますし、さらに特に職域の開発ということにつきましてはノーハウの蓄積が大変大事でございますので、障害者の総合センターの中でそうしたものを研究し、さらにそうしたものを民間企業にも御利用いただく、こういうふうな形で進めてまいりたいというふうに思っております。
 さらにもう一点、身体障害者雇用促進法に基づきます雇用率制度の厳正な適正な運用ということについてもさらにそれを突っ込んだ格好で運用してまいりたい、このように考えております。
#343
○下村泰君 次にお金の方に移りたいと思いますが、この五年間の納付金の収支及び残高を教えてください。
#344
○政府委員(清水傳雄君) お答えを申し上げます。
 納付金の収入は、昭和六十一年度から申し上げますと、昭和六十一年度で百七十六億でございます。それから、それが以下百七十七億、百八十五億、二百二十二億、平成二年度予算案におきましては二百二十八億、こういうことでございます。
 支出をいたしております金額につきましては、昭和六十一年度で百二十六億、六十二年度で百二十七億、六十三年度百三十六億、平成元年度の見込みは百九十九億ということでございます。若干累積をしている関係もございますし、収支バランスを保つ関係上、平成二年度におきましては、納付金による各般の助成金の中身の見直しを行いまして改善を行うことによって二百八十六億の支出を見込んでおるということでございます。
#345
○下村泰君 これは雇用率が伸びないから結局納付金というのはふえるばかりなんですけれども、一体このお金はどうなっちゃうんですかね。これ、使い方を考えたことはありますか。考え方を変えませんか、この使い方の。
#346
○政府委員(清水傳雄君) この仕組みは、いわゆる事業主の方々が身体障害者を雇用されるに当たりましてはいろんな形でコストもかかる、そういうコストのかかる事業主相互間のコストの相互調整、こういう意味合いを持ちまして雇用率を達成しておられない企業の方から納付金を徴収いたしまして、そして雇用を進めていらっしゃるところに調整金として交付をしていく、それからまたその財源を通じまして作業設備の改善でございますとかその他各般の身体障害者を雇用するための努力をされる方々に対する助成を行うという形でもって運用をいたしております。
 いずれにいたしましても、これはもう御利用をどんどん積極的に行っていただく、まあ予算の範囲でございますけれども、ということでやっていかなきゃならぬわけでございまして、積立金がたまっていくということは全く本意じゃないわけでございまして、そういった意味で諸般の状況を見つつ改善等を行いながら、より雇用が積極的に進むように見直しも行っていくということにいたしております。
#347
○下村泰君 実はこの納付金制度ができて、昭和五十五年でございましたか、やはりその当時二百八十億近くあった。そして、私は三年半お休みになりまして、五十八年に来ました。それで、社労でもってこれをお伺いした。そのときはこの残高が四億になったんです。頭のいい人がいるんですな、悪い方に。マドリードの強盗とは違う。悪いことばかり考えるやつがいる。うまいこと運転資金にこれを転がして、それこそ水の漏れるがごとくに使い込んで四億になったんです。
 そうしたところが、労働省の方ではそれを私が申し上げましてからだんだんともとへ戻っちゃって、今ではまたこれだけたまっているんですよ。この使い道をどうするのか。障害者の方々を雇用したときに、その方たちの働きやすいように状況を整えるんであるとか、あるいは送り迎えのバスを、あるいは寮を建てるとかいうふうにしてその人たちの働きやすいようにやる、このためのお金なんだ、こういうお話でございました。ところが、この金をうまく利用すると、三年雇っておいて、二年で延長線があって、五年でころころ切りかえるわけですよ。ですから、障害者の場合、一万人就職すると七千人が解雇になるんです。
 本当は時間がもっとあればこれはゆっくりやりたいんです。そして、現状をお話しして皆様方に本当に判断していただきたいと思うんです。何のためにこの納付金制度があるのか。それをもう少しうまく活用できないのか。例えば私どもあゆみの箱というのを昭和三十八年から運動しておりますけれども、そこに集まりました全国の皆様方の善意を、御浄財を上手に各施設に使っていますよ。ところが、政府がこれだけのことを一生懸命おやりになって、これだけの多額の金額がありながら、それが有効に生かされないというのは、こんなばかな話はないと思うんです。
 もう時間がないんでこれは後でゆっくりやりますけれども、そういうことに関してこの法をもう少し変えてみる方法を考えたことがございますか、労働大臣。考えてみようと思いますか。
#348
○国務大臣(塚原俊平君) 本当に子供のころから先生のことを崇拝いたしておりまして、ずっといろんな御意見、結構私はいろんなところで先生の御意見を拝聴いたしております。
 私も広告代理店に勤めておりまして同じような企画を何回かやったことがあるわけですが、やはり国のお金をいろいろな形で動かすことの大変難しさというものはもうそのとき肌で感じました。ただ、そういう体験もございますので、許される範囲でどこまでできるのか一生懸命勉強をしてみようと思います。
#349
○下村泰君 これ以上のことを何回言っても御無理だろうと思いますから、申し上げません。
 官房長官に一つお願いがあるんですが、障害者の権利宣言の日というのが十二月九日なんですよ。これ祝日になりませんかね。
#350
○国務大臣(坂本三十次君) 障害者の日、十二月九日を国民の祝日としたらどうかという御熱心な御意見は承っております。
 しかし、これは障害者というお気の毒な方々に対する理解と認識でみんなで助け合おうという気持ち、そういう認識を深めるということは非常に結構なことだと思っておりますけれども、一方また我が国の祝日は既に年間十三日にもなっております。いろいろな祝日の要望がございまして、海の日だとか働く人の日だとか相当な数の要望がございますが、国民生活に与える影響もございますので、これから国民世論の動向とかそれから皆さん方の御意見も十分見きわめて考えていきたい、対処をいたしたいと思っております。
#351
○下村泰君 世界じゅうから働き過ぎだとたたかれているんですから、いいんじゃないかと思いますけれどもね。
 今これからしゃべりますと少し時間がオーバーになるかもわかりませんが、委員長、大していきませんからお許し願いたいと思います。これ詰めでございますから。
 もうとにかく障害者年も残されましたのはあと二年半ですか、この障害者の十年で今ある課題はとても達成されないと思います。きょうは時間の都合で触れられませんでしたが、施設のあり方、所得保障、介護のあり方、そして難病、例えばてんかん、小人症、自閉症を含めた障害というものの定義、とらえ方も含め基本的な問題が解決されていない現状を考えますと、記念事業も大切ですけれども、現体制の後の体制をどういうふうにするかきちんと位置づけて、そして具体的な法制度、例えばアクセス法や全障害者、難病の方を対象とした権利法などの検討に入るべきだと私は思います。ことしは身障福祉法制定から四十年です。その果たしてきた役割は評価いたします。今求められているのはより一層の飛躍なんです。新長期計画の作成の意思、体制について総理にお伺いしたいと思います。
 そして、今までるる申し上げましたことは、実は総理、きょうのお昼のNHKのニュースで、この間総理に三月二十六日の予算委員会で申し上げましたね、障害を持つアメリカ国民法、ADA、これがきょう下院を通ったんです。これは画期的なものです。そのことに関して総理は、「アメリカの法案審議の動向等も踏まえながら、できることがあるなればそのような方向にも配慮をしていかなければならない、こう受けとめさせていただいて努力をいたします。」、こういうふうにお答えになっておるんです。したがいまして……
#352
○委員長(林田悠紀夫君) 下村君、時間が参りました。
#353
○下村泰君 はい、わかっております。
 こういうふうにアメリカがこれだけ画期的なことをやっています。いつも申し上げるように、日本も世界にそういう手本を示す国になってほしい。そういう意味で、いろいろとお金もかかります。大蔵大臣のお覚悟と総理大臣のお覚悟を聞かせてください。
#354
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほどから私はお答えをしたくてうずうずいたしておりました。障害者対策は大事でありますから、財政当局としても当然これからも着実にその推進に努力をしていくということをまず申し上げます。
 ただ私は、委員は御承知のとおり、障害を持つ父親を毎日見て育ってまいりました。その中から、先ほど来の御論議を聞いておりまして、さまざまなことを感じさせられております。私の父親が何回か引っ越しをいたしましたが、どこに越しましてもまず必要なことは、階段に手すりをつけること、浴槽の中に、また外に段をつけること、そして手洗いを改造することでありました。わずかなことでありますけれども、それだけで障害者、たまたまこれは下腿障害でありますけれども、日常生活を送ることができました。ただし、死ぬまでつえを放すことができませんでした。
 そして、私は子供心にその足の不自由な父親にいろいろな場合に向けられるさげすみの目というものを非常に悔しい思いで見てまいりました。相当長じましてからもそういう目は残っておりました。そして、その父親がよく申しましたこと、ハンディキャップはハンディキャップだ、しかしそのハンディを超えて障害を持つ者に公平な競争の機会を社会が与えてほしい。私はこの言葉は非常に真理だと思います。
 そして、委員のように影響力の大きい方にお願いを申し上げたいことは、政府もそれぞれの施策は着実に実施をいたしますけれども、その施策を超えて必要なものは、実は一般の国民の中に障害者に対するいたわりの気持ちがあるかないか、またそのいたわりの気持ちを踏まえた上で公平な競争の機会を与えてくれるかどうか、私はそこに尽きると思います。先刻の身体障害者雇用法の関係で委員が述べられましたような事態も、もし社会にそのような気持ちがありましたなら事態は変わっていたでありましょう。障害を持つ者の子供として率直な感じを申し上げます。
#355
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろ御意見をいただき、また国連の障害者の十年、これをその後どのようにしていくかという御議論でございました。大蔵大臣の話を聞いておって、私も自分が国会議員の秘書となって初めてこの議会に来たとき、私を指導してくれたのはやっぱり障害を持つ代議士でした。河野金昇先生といいました。その方の話は長くなりますからしませんが、一つだけ言わせていただくと、夢を見て目が覚めて一番悲しかったのは、その夢が自分の足が治って運動会で一等をとったときの夢であった。けれども、これがいじけないできょうまでこれたのは、大勢の兄弟の中で、親は貧しかったけれども、おまえだけは学校へ行かせると言って大学まで出してくれたことであった。このことだけは自分がいじけなくてきょうまで歯を食いしばって頑張ってくることができた心の支えであったと言われたことは私は今も覚えております。
 そういった気持ちでやはり国の施策も取り組んでいかなきゃならぬ問題だということを率直に感じております。
#356
○下村泰君 ありがとうございました。
#357
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で下村泰君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#358
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、野末陳平君の総括質疑を行います。野末君。
#359
○野末陳平君 土地問題は業界や国民の利害が絡み合いまして非常に難しい複雑な問題だと思うんですけれども、今真っ先に我々がやるべきことは、土地がほかに比べて飛び切り有利な財産であるというこの現実を壊すことだろうと思うんですね。俗に土地神話といいますけれども、この土地神話すらも税制によって支えられてきた面がないとは言えないと思うんですね。
 そこで、これまで税制は補完的な役割を果たしてきたわけですけれども、もうここらで何歩も踏み込んで、やはり積極的に税制が土地問題の解決をリードするという気概で幅広く土地税制に取り組むべきではないかとそう思いますので、まず総理と大蔵大臣、それぞれのお立場ありますが、御所見をお伺いしてその後具体的にいろいろお聞きしたいと思うんです。
#360
○国務大臣(橋本龍太郎君) 従来から、土地政策というものの中で税制の占める役割というものにつきましてはいろいろな御論議がございました。そして私は、常に重要なわき役ではあるけれどもやはり土地政策というものの基本理念が確立しない限りにおいて、税が主役を演じることは無理だということを申し上げてまいりました。
 それはなぜかと申しますと、例えば東京都の都心で平家の建物にお住みになっている方があるとする。あるいは、そこで商売をしておられる。税制としてはそのままそこで居住が続けられる、営業が続けられるようにしていくべきであるのか、あるいはその方に土地の高度利用という見地からそこをどいていただいて、建てかえたりあるいは場合によっては再開発を行うといったような方向に誘導するのか、あるいは首都圏の土地利用を考えますときに都心の再開発を中心に考えるのか、それとも多極分散型の国土形成というものを優先するのかといった基本哲学がなしに、税のみが主役を負うということには私は無理があったと思っております。
 また、政策目的に応じて土地の供給を促進するという視点から特定の土地の譲渡所得に対する課税を軽減いたしますと、結果的には土地を所有していた方を優遇してしまう結果になるわけでありまして、土地政策の観点からの要請と資産課税の公平という観点からの要請が相反するような場合があります。
 幸い、昨年土地基本法を成立させていただきまして、土地の公共性に立脚した土地に対する共通認識というものを確立することができたわけでありまして、税制調査会の土地税制小委員会で現在御審議をいただいておりますけれども、今後は上記のような土地利用のあり方につきましてもその考え方が十分に議論をされ、また地価対策を含む土地政策の一環として税制が果たすべき役割というもの、また総合的な土地税制のあり方というものについて検討が真剣に行われる状態が生まれたと考えております。役割の重要性は決して否定をいたしません。
#361
○国務大臣(海部俊樹君) 土地政策の手段としての税制の重要性や有効性を私は否定するものではありませんが、土地税制を活用して特定の政策目的に沿って個人や企業を望ましい方向に誘導しようとする場合には、望ましい土地利用のあり方等に関する基本理念やそれに即応して講じられる関連諸制度、諸施策が整備されていることもまた必要な条件であると考えます。
 幸い、土地基本法によって土地政策の理念は示されておるわけでありますし、また各種の施策その他についても会議でいろいろと決めておるわけでありますから、今土地税制の問題については税制調査会の審議等において総合的な検討が真剣に行われておりますので、これらの政策目標を達成するために土地税制が有効に発動され採用されていくことを心から願っております。
#362
○野末陳平君 それでは、私は税制面から主にこの土地問題にアプローチしていきたいと思うんですけれども、最近は法人の持つ土地に対して保有課税を強化するというような案が、中身はともかくとしてこれが世論になりつつあるように感じますけれども、私はこの保有税は新規に国税でやる方がいいんじゃないかと思うんですね。
 それは、地方税であるところの特別土地保有税が本当に機能しているのかどうかということも考え、そして今置かれている法人の土地を持った場合のいろいろな税制上の措置なども考えて新規に国税でやった方がいいと思っておりますが、少なくも課税対象とすべき土地を低利用、未利用に限定しないで、今法人が事業をやっている土地全部ひっくるめて対象にしないと結果的にはうまく機能しないし、不公平も起きるんじゃないかとそう思っているんですよ。そして、それについては次回に細かくやっていきたいと思うんです。
 そこで私は、こういう課税強化を言いますとこれはもう必ず企業サイドからは反対意見が出るに決まっているんですけれども、ちょっと待ってほしいなとこう思うんですね。ということは、企業が今税制面でいろいろと都合のいい思いをしているというか、表現がちょっと難しいんですけれども、必ずしも税制が企業の土地所有に有利に働いているとは思っていないんですが、そもそも時代の変化とともに税制が思わぬ方向に動いている、企業に全く予想もしないことで利用されているという面が物すごくあるんで、昔はいざ知らず今は大分考えを変えなければいけないと、こう思ってきたわけです。
 そこで具体的に言いますと、そうですね、例えばこういうのはどうでしょうか。法人が土地を借金で買いますね、取得しますね、それでその上に事業をのせるわけですけれども、その際の借入金の利息ですね、これが全額損金に算入されるから結果的に法人税を引き下げる働きをしてしまいますね。こういう現状がとにかくあることを国税庁まずちょっと認めてください。
#363
○政府委員(岡本吉司君) 法人が土地を借入金で購入いたしまして事業に供した場合、その借入金に対します支払い利息、これは損金に計上になります、損金に算入になります。
#364
○野末陳平君 ですから、法人税はそれだけでも安くなるんですけれども、さてかねてから疑問に思っている点は、そうしますとね、金融機関がお金借してくれるからどんどん借金をしますね。そうして土地を買います。そうして事業をどんどん拡張していく。その場合、利息が損金つまり経費で落とせるわけで、もうかっていても法人税を払わないで済むことになりますからね、これは。
 そうなると、幅広い事業をやって黒字なのに申告上は赤字で法人税はゼロである、手持ちの土地はふえる一方で資産価値は上がる、そういう法人が結構あるわけですよね。これが目立ってきちゃったんですね。昔そういうのはなかったんですよ、目立ってきたからなんで。例えば堤義明さんみたいな人が典型なんですけれども、観光事業というか不動産事業というか、そういう事業を見ますと何かこんなことで土地がふえている。そうして法人税を払わないで済む。どう考えても素人の納税者感覚で言うとこれはもうおかしいなと思うんですけれども、これは大蔵当局は、個人的感想でいいんですけれども、こういうのは別におかしいとは思いませんか。
#365
○政府委員(尾崎護君) 法人税法上あるいは個人につきましても事業を行っております場合に、先ほど国税庁次長から申し上げましたように、借入金につきましては経費として落とすわけでございますけれども、基本的な考え方は、借金をして土地を買うとか、その土地の上に工場をあるいは事務所などを建てまして製品を販売したりサービスを提供したりということをやります。そこから得られた収入、その収入を得るに当たってその借入金がかかったんだということで負担をさせるというのは基本的な費用とするということが基本的な考え方であるわけでございますから、それが確かに会計上は利益をもって新たな土地の取得のための借入金の利子の支払いに充てるという形で、直接工場を建てたり事務所を建てたりという以上の土地の保有にまで回っているという状況が起きていることは、御指摘のとおりだろうと思います。
 そういう点につきましても税制調査会等で議論が行われるのではないかと考えておりますが、委員もよく御承知のとおりに、所得課税の世界でございますとどうしてもそういう問題が起きてくるということであろうかと思います。私ども、六十三年度の税制改正におきまして、土地の取得のための借入金、これが直ちに利用されない土地の場合には一定期間にわたりまして経費に算入することを認めないという制度をつくりましたが、それも同じような一つの観点からとった措置でございます。
#366
○野末陳平君 基本を悪用しているのかもしれませんけれども、今の四年の制限をつけているのもちょっと甘いなともう思わざるを得ないんですね、最近。
 それで私が言いたいのは、要するに土地購入の借入金の利息を無制限に損金にしちゃっていていいのかという、こういうことなんですよ。だから、堤さんの例を言うわけじゃないんだけれども、こういう借金経営を続けたら保有コストの安いまま土地を上等な財産に化かしてしまうことができるし、一方で法人税を払わないということになると、意図的にこれをやったら節税じゃなくて逃税行為、一種の租税回避行為だから、僕に言わせれば税金逃れとしか思えないんだよね。
   〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
ということになりますと、赤字法人の中にはこういうケースもたくさんありますから一、二を言うわけじゃありませんけれども、どうでしょうか、こういう行為すらもうまい経営になっているという、それを支える法人税も少しゆがんできたんじゃないかと、こう思わざるを得ないんですよ。
 そこで、土地を買った場合の借入金の利息を無
制限に損金に算入させないということにしたら、そうしたらお金を借りて土地買ってということにちょっとブレーキがかかるんじゃないかと思ったりするんで、これについては企業会計上は確かにこれでいいんでしょう。税法は個人と法人との課税の扱いも違いますからこれはこれで今まで通ってきましたが、少なくも税法ではここらでこの点にブレーキをかけてほしいなと、こういうふうに私は思わざるを得ないんですが、大蔵大臣はどういうふうにお考えですか。
#367
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今主税局長からも御答弁を申し上げましたように、昭和六十三年税制改正によりまして、新規に取得した土地にかかる借入金の利子について一定期間損金不算入という考え方を打ち出しましたのも、問題意識としては同様のものがあっただろうと私は思います。ただ、私ども今資産格差の開いていく中で資産課税の適正化を求める国民の声、同時に、大変素朴な言い方でいつも申し上げて恐縮でありますけれども、大都市部において本当にまじめに働く国民が自分の家を持ちたいという夢をかなえる土地政策の中で税がどういう役割を果たすべきか、この二つの視点のみをつけて税制調査会の小委員会に検討をお願い申し上げております。
 個人的な意見は控えさしていただきますけれども、私は今委員が御指摘になりましたような視点からの論議というものも小委員会の中において当然行われるであろうと期待をいたしております。
#368
○野末陳平君 個人に比べて法人に都合のいい税制というのはまだもう幾らもあるんですよね。僕も昔はそんなに気にならなかったんです。これはこれでいいんじゃないかと思っていたんですが、目に余るいろいろな土地投機の実情などを見ると、やはりこれはおかしい、何かチェックをしなきゃいけないと、こう思うようになったですね。
 そこで次のポイントは、土地の含み益とよく言われるようになりましたけれども、これを考える一つのきっかけとして例を挙げますと相続の面で、これは素朴な疑問なんですけれども、土地の含み益というのは個人の相続の場合にはこれはいわば実現益となって相続税の課税が当然ありますね。これは個人に対しては土地の再評価が行われると。これは路線価を使うんですけれども、土地の再評価が行われるということになるわけでして、相続税にはね返る。
 法人はどうかというと、法人には相続もないんで、これは税制調査会でも意見が出たそうですが、僕もどうもおかしいと思ったんですが、相続がないからそういう再評価をやらないでずっと済むという、まずこういう事実は国税庁認めますよね。
#369
○政府委員(岡本吉司君) そのとおりでございます。
#370
○野末陳平君 そこで、これはおかしいじゃないかと言うんですが、まあ専門的に言えばこういう場合も法人というのは株の評価にその含み益が反映される仕組みにはなっているわけですよ。しかし、現実には個人の場合ほどストレートに反映はしない。これは中小企業の事業承継税制を見てもわかるとおりでして、そこで私思うんですけれども、結局大中小の法人を含めて個人に比べてかなり有利な税制のもとに安い土地を持ち続ける、そして値上がりとか担保貸しとかそういう大きなメリットを受ける、こういうふうにしてますます土地が企業に集中していって個人から遠くなっちゃうんですね。そうするとやはりこれは税制に責任があるんじゃないかと、こういうふうに思うんですよ。
 それで主税局長に聞きますけれども、こういう意味の法人、個人間の不平等というか不公平というか、かなりこれは感覚的なものですけれども、それと同時に法人の土地の再評価というものは一体どこに問題があってなかなか難しいか、その辺の問題意識ですね、これを簡単に説明してください。
#371
○政府委員(尾崎護君) 土地を再評価いたしまして未実現のキャピタルゲインに対して課税をするという考え方につきましては、やはり現実にキャッシュが入ってきていない利益でございますので、そこで課税をすることについてはやはりなかなか難しい問題があるというのが従来からの考え方でございます。
#372
○野末陳平君 どうして率直に今の税制ではそうなると、法人にやや得になるとかということを認めてくれないのかなと思うんですけれども、まあいいですよ。そういう事実がたくさんあってどうも割り切れない思いをみんながしていると、こういうことを訴えたいわけですから。
 そこで大蔵大臣、含み益課税の問題が出たからちょっと触れますけれども、もう今や避けて通れない問題かなと。土地基本法にもこの場合は適切な負担を求めるとこういうふうに出ておりますので、今度土地税制を考えるときにこの含み益課税の考え方を何らかの形で取り入れざるを得ないのではないかとそういう気がしますが、これについてはどうでしょう。
#373
○国務大臣(橋本龍太郎君) たまたま今局長からは、未実現のキャピタルゲインに対する課税という所得課税からの考え方を申し上げておりました。
 従来ありました議論は、保有課税として考えた場合現行の固定資産税や特別土地保有税との関係がどうなるか、あるいは企業の生産活動に活用されている土地への課税は資本集約型産業を中心として企業活動にかなりの影響を及ぼすといった問題の指摘がされております。
   〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
また、その含み益への課税ということについて、古くから持っている土地にはかなりの税負担が求められるけれども、比較的今地価高騰の時代になって手当てをしたような土地については課税がなされないなんということについてどうするかといった問題点が従来から論議をされていた点でありました。
 しかし、もうそんな論議を超えて私どもとしては事態を考えなければならない状況に立ち至っているわけでありまして、今までこうした指摘もありましたこともこれは踏まえなければなりませんけれども、土地対策の観点に加えて税負担の公平確保という観点から一層の検討を加える必要があると私も思います。当然、こうした問題を含めて土地税制の総合的見直しの一環として検討対象になるものと私は心得ています。
#374
○野末陳平君 じゃ、今度はもっとがらっと個人的なひがみねたみの対象になりそうな話を一つ入れますけれども、法人において土地絡みの資産がうまみを発揮している例は数々あるけれども、社長個人というか経営者個人の自宅とか別荘とか海外資産とかもう全く個人用の資産がなぜか会社の名義になっている、こういう例は大企業では少ないと思いますよ。でも結構多いですね。そうすると、初めから個人資産を会社につくらせ会社に持たせ、社長は形式的に安い家賃を払ったりとかそういうのはあるんでしょうけれども、少なくも社員なんかは余り利用していないわけですね。
 さあそこで考えるんですけれども、こういう公私混交を今の税法は当たり前だという感じで認めちゃっているんですよね。そういうことはたくさんありますよね、国税庁。
#375
○政府委員(岡本吉司君) 抽象的な御質問でございまして、どの程度あるか、私も先生の今お考えになっているケースがどういうものであるかちょっと理解しかねますので、ちょっとお答えはできないかと思っております。
#376
○野末陳平君 まさかそんな、専門家がそれはないでしょう。理解しがたいわけはないんで、現実はそうだけれども、それに触れるには非常に課税技術上難しいから黙っているだけのことで、理解はできるでしょう。
#377
○政府委員(岡本吉司君) 仮に本来社長なり等が個人負担すべきものを例えば会社の経費でもって自分の私的費用に充てているといった場合には、我々それは調査をするといたしまして、認定賞与なり報酬なり等の処分を行っているところでございます。
#378
○野末陳平君 いや、がっかりしちゃったですね。もうちょっと、何といいますかね、はっきり言ってくれると思って。だって、事実そうでしょうと聞いたんだから。そうなんだから、間違いなく。でもいいわ、理解できなかったらもうしようがないから。要するにこういう身近な例が、専門家がどう思おうが税の公平感を著しく損なっているという、こういう事実ですよ。これにやはり気がつかなきゃいけないと、こういうふうに思うんですね。
 そこで私が言っているのは、法人税法が結果的にはいろんな点で利用されちゃって土地絡みの資産を有利なものにしてしまっているな、こういうことを言いたかったわけです。そこで、保有税をつくるというのもこの観点からいずれは必要になってくるだろうと思ったんですけれども、国税庁、大蔵省はなかなか事実すらもはっきり認めてくれないから、角度を変えますね。
 保有税をつくったとして、強化したとして、今度はこの土地をどう利用して国民のプラスにするか、こちらの方がまた大きな問題ですからこちらの方に触れていきたいんです。国土庁に聞きますけれども、民間では低利用、未利用地を社宅にするから税金の方で少し優遇してくれと、そういうような誘導策を望む声があるやに聞き、国土庁もまたそれを検討していると聞いたんですけれども、これはどうですか。その構想の中身を簡単に教えてください。
#379
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたしますが、御指摘のとおりでございまして、私四月二十二日にヘリコプターで東京、神奈川、埼玉、千葉を回りましたが、非常に企業の低・未利用地が多いです。そうすると青空駐車場になっているということで、先生と同じような考えを持って今いろいろ検討しております。
 ただ問題は、税の問題につきましては今大蔵大臣から話ありましたけれども、三つの点にポイントを置いてお願いしております。一つは、土地としての資産の有利性を減殺する、そんなことで投機とか仮需要の抑制をする。それからもう一つは、先生今御指摘されました個人と法人企業を公平にする。税を公平に取る。それからもう一つは、そういう土地の高度利用を図る。こんな形で税制小委員会にもお願いしているわけでございますが、そんなことでございまして、ぜひそれを推進したいとこういうふうに考えております。
#380
○野末陳平君 これはこれから非常に議論が出てくる問題だと思うのであえてもう少し時間をつぶしますが、僕はこれは賛成じゃないんですよ。民間でそういう声が出て国土庁も検討しているとおっしゃる。一見いいアイデアに見えますけれども、こんなことをしなくても企業は今のところどんどん社宅をつくり始めたので、これは節税と人集めのためなんですね。となると、社宅優遇というか、政府が減税のようなおまけまでつけて大企業の社宅づくりを手伝う必要なんか全くないんだというのが僕の考え方なんですよ。これを誤解しないでくださいね。
 で、社宅に対する疑問を幾つかお話ししていきます。そう簡単に推進されても困ると思うんです。というのは、社宅というのは社員のほんの一部しか利用できないから、社宅に入れる人入れない人の間で運不運だけでない不公平の問題も起きなくはないんです。起きるんですが、これは社内事情ですからおいといても、じゃ社宅に入れた人が幸運かというと、なまじ安い家賃で安住しちゃって自分が持ち家のチャンスを逃しちゃうというか、現実に社宅にいる間にマイホームを持ち損なっちゃった人というのはたくさんいるんですね、年とっちゃってから。だから、そういう意味で考えると、社宅の充実というのは一方においてマイホームを持てない中高年をどんどんつくるという皮肉な結果もあるんですよ。ヘリコプターで見たら確かにあるんですよ、低利用地、未利用地。それを社宅にすれば、じゃ住宅事情にプラスかとこういうことになると、必ずプラスとは言えないんですね。
 建設省はどういうふうにこれについてお考えですか。社宅そのものは善なりなんだけれども、必ずしもその辺を政府が減税までして推進していいかどうかとなると非常に――これはちょっと建設大臣の方がいいですね。
#381
○国務大臣(佐藤守良君) 今のことについてちょっといいですか。
#382
○野末陳平君 ああそうですか、どうぞ。
#383
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えしますが、今ちょっと私は言葉足らずでございましたけれども、ただ、今住まいを持ちたい人に住まいを持たせたいというようなことでございまして、社宅制度の推進という意味じゃないわけです。
 御存じだと思いますが、先生御指摘のように全国で約六割の方が住まいを持っておりまして、四割の方が住まいを持っておりません。そのうち東京首都圏におきましては四割の方が住まいを持って六割が住まいを持ってないわけでございまして、したがって今私が言いましたのは、住まいを持ちたい人にその低・未利用地を使ったらどうだろうか、そんなことでぜひ持ち家制度を推進したい、こういう意味であったわけでございまして、ちょっと言葉足らずでございましたが、そういう意味でございますから。
#384
○野末陳平君 それならとても僕も賛成というか、ぜひ推進したいというアイデアの一つなんで、つまり社宅そのものは企業に縛られた企業に従属する会社人間をつくるだけのことで、ILOでもこれは禁止しているようなんですけれども、もし社員のためそしてまた国民のための住宅政策に企業に未利用地を何とか活用させようというのであれば、それが一生社員の持ち家になるような、つまり定年後もそこに住めるようなそういう持ち家づくりを企業が推進する、そのサポートを政府がする、こういうことならこれはとてもいいだろうと思うんですね。だから、労働大臣などはこういう意味でそういう社宅をつくることを勤労サラリーマンのためにどんどんあれしたらどうでしょう。いいアイデアをまとめてアピールするというのがむしろ未利用地の一番の活用じゃないんでしょうか。
#385
○国務大臣(塚原俊平君) 今ちょっと私は国土庁長官の答弁の肝心の部分を聞き漏らしたんですが、最終的に一生ということの場合ILOがどういう判断をするのかこれはちょっとわからないんですが、少なくともILOでは、日本も政労使一致して一応社宅制度は好ましくないという勧告を全会一致で賛成をしているという経緯もございます。
 ただ、そういう状況の中でやむを得ない場合というのがございまして、ILOは結社の自由とかそういうことが侵害されることを随分心配していますものですから「やむを得ない」という項目があるので、労働省としてはあくまでも補完的な位置づけ、あくまでも大前提は個人が持ち家を持つということであって社宅は補完的なものというようなことでなら、その勧告も読めるんじゃないかなというような気がいたします。
#386
○野末陳平君 ちょっと問題が広がっちゃいましたから、税制に戻って質問しますね。
 ここがポイントなんですけれども、社宅というのはしょせんは大企業の資産なんですね。大法人の資産なんですよ。というのは、赤字になったら企業はそれをつぶして売るんです。あるいはほかに利用ニーズができたらやっぱりほかの者にやっちゃうんです。つまり、社員には権利はないんです。居住権はないんですね。だから社宅を生かすも殺すも企業の自由である、こういうふうに考えますと、まして昨今の社宅が節税、テレビなんかでよくやっているでしょう、節税のためにやっている、黒字減らしでやっているんだからもう豪華な独身寮をつくったりしゃれた社宅をつくっちゃったりしているけれども、何をやっているんだろうと疑問に感じるときがありますよ。すべてこれは節税あるいは人集めという企業のニーズに沿ったやり方なんです。
 そこで、結論は簡単。こういう社宅を減税の優遇、つまり税の優遇までつけて政府が推進するなんということになったら、これはとんでもない間違った方向に行っちゃうよ、そんな必要は全くないよというのが私の考えで、社宅をつくるのは企業が自分の都合でどんどんやるから余り触れない方がいいとそういうことなんですけれどもね、大蔵大臣どうですか。
#387
○国務大臣(橋本龍太郎君) かつて私も紡績会社におりましたとき社宅住まいをいたしたことがございますけれども、自分のうちのドアのかぎをかけますまで何となく会社の延長線上のような気分で、余り私は好きな住環境ではありませんでした。そんな感じを持ちますだけに、今委員の御質問を聞いておりましていろいろなことを考えさせられます。
 確かに、今企業による社宅建設の動きというものを支援しろという御意見があることも承知をいたしておりますが、今委員から御指摘がありましたような幾つかのポイントは私どもも同感でありまして、税制でこれを支援するということについては私は慎重な態度でありたいと思います。
#388
○野末陳平君 勤労サラリーマンの話が出ましたので、ちょっと今日的な話題でタクシー料金の値上げのことで質問したいと思うんですけれども、運輸大臣、このタクシー料金の値上げはどうもすっきりしないですね。特に深夜の料金が十一時から三割増しになったりしているけれどもおかしいような気がするんで、こういう深夜料金というのは私の知る限り先進国に例がないように思うんですが、それはともかくとして、大臣にはこの深夜の割り増し料金を何でここまで認可する必要があったかというところをひとつ説明してほしいんですが。
#389
○国務大臣(大野明君) お答えいたします。
 野末先生は税の専門家であると同時に、大変タクシー愛好者であるということも承っております。私よりも詳しいんじゃないかと思いますが、本当に今東京のタクシー不足というものは随所から指摘されておりまして、それにはやはりタクシードライバー、良質な労働力を十分に確保いたしませんと、現況の車両でも一割はやむを得ず休車しているんです。
 そういうようなことでタクシーが大体少ないということを考えますと、やはり待遇の改善ということになります。こういう業界は大変難しい部分がございますけれども、やはり時短をやるとかそういうようなことも含めて労働条件の改善、これをやるということをはっきりさせた上で今回認可したんです。そして深夜の方が昼間よりも労働条件からいってもそれから労賃からいっても高いものですから、それをカバーするためにも割り増しにしたということになっております。
 私も実は三十年ぐらい前にタクシー会社を経営したことがあるんです。余り運転手が待遇がどうたらこうたら言うものですから、自分で二カ月ほど経験もしました。そして今日のタクシーを見ますと、車両とか服装はよくなったけれども中身はどうも余り変わっていない。これじゃいつまでたっても同じことが繰り返されるので、異例のことではございましたけれども、私はこの十八日に認可をすることを決めたときにすぐタクシー業界の会長等々を呼びまして、異例の大臣談話というものを発表させていただきました。ですから、今度の運賃の改定については労働者にほとんどが、まあ条件の改善等に使う分はあるでしょうけれども、はね返るようにということを十分言っておきました。そういう意味で運賃の改定に踏み切ったところでございます。
#390
○野末陳平君 それでは業者に大臣からよく言っておいてほしいんですが、深夜の割り増し三割ということになると逆にドライバーはロングのいい客を選ぶようになるんですね。自分たちの体験から言って大体そうなんですよ。そうすると、かえって乗車拒否なんかもふえちゃってお客にとっては迷惑になる、こういう面があるんで、それだけはないように強調しておいてほしいんですよ。お答えがありますか。
#391
○国務大臣(大野明君) お答えします。
 その点につきましても業界と十分話をいたしました。そして、タクシー近代化センターという、先生なんかが銀座へでも行った夜遅くの帰り、腕章を巻いた者がおると思うんですけれども、なかなか彼らの言うことも聞かないようですが、これらも含めてこれは地域交通局長にもひとつまた十分注意するようにということも言っておきましたし、また同時に迎車という制度、私はこれは自分自身で思うんですが、あの迎車を悪く活用している者がおるんです、迎車のままぐるぐる回っている者が。それが今先生がおっしゃられたロングをつかまえようとするドライバーじゃないか、こんなふうに推察をいたしておりますが、これは昔から、当時私なんかがやっていたころはエントツなんというのもございましたし、いろいろあります。
 それですから、冒頭申し上げたように、良質な労働力を確保するためにはやはり他の業界の人々と同じくらいのインカムがあるようにしなきゃならない。ですから、これをやってからどういう結果が出るかわかりませんけれども、これでまた悪ければ十分改善させるようにいたします。
#392
○野末陳平君 じゃもう一つ、サラリーマンが困っていることを大臣にお聞きしておきます、根本的なことで。
 東京の深夜の輸送需要というのは今後ともふえていくのは間違いないんですね。それに対応するには、タクシーの増強とかあるいは運転手さんの確保とかそんなことじゃ追いつかないんで、むしろ運輸省としては深夜の輸送力の増強対策というか、それをやらなきゃいけないと思うんですね。それには、深夜バスの充実それから終電の延長のようなことを含めて具体的に検討して早くそれを打ち出さないと、タクシーだけ値上げしたらまるで普通の人は被害者というか、非常に腹立ってくるだけですよ、それは。どうですか、具体的に言ってください。
#393
○国務大臣(大野明君) 先生御指摘のとおりでございます。
 特に、今先生が質問なさってから土地問題等もお話がありましたけれども、本当にサラリーマンが郊外へ郊外へ出ていまして、やはり毎晩何千円というようなタクシー代を払うということは、これはもう不可能じゃないかと思うんですね。そういう意味で、やはり列車ダイヤを夜間の時間帯にふやすとか、あるいはまた終電の延長であるとか、またバスの路線の整備をし、またバスだけじゃだめですからバスと鉄道をドッキングさせてとか、そういうようなことで対応したいと思って遅まきながら今勉強を始めました。
 そういうようなことで、私どもとしては何としてでも、特に夜いわゆる盛り場というかもうその時間帯に集中しちゃいますから、どうしてもそこでも拾えないしまたほかの場所でも拾えないという不合理な面もございますので、そういうことを考えて今申し上げたようなことを十二分に整備していきたい、こういうふうに思っております。
#394
○野末陳平君 もう早急に具体策を出した方がいいと思います。特に都心だけじゃなくて、やはりこれは郊外における深夜バスの充実なんというのも物すごく重要なんで、できるかどうかは別として検討してください。お願いしておきますね。
 土地の問題に戻らなきゃならないんですけれども、一番大事な言いたいのは市街化区域内農地の宅地並み課税の問題でして、これはアメリカでも日米構造協議の中でこの問題を言ってきたというんですが、アメリカはどんな視点からどんな改善を要求してきたのか、それをまず簡単に説明してくれますか。
#395
○政府委員(湯浅利夫君) 日米構造協議の土地利用問題におきましてアメリカ側から指摘がございましたのは、大都市地域における市街化区域内農地につきましては税負担が特に低いために土地の有効利用を阻害しているという指摘でございました。
#396
○野末陳平君 まさにそのとおりで、かねてから国会のテーマだったわけですね。そしてまた、土地基本法が成立した今もう待ったなしの問題なんですけれども、問題は、市街化区域と調整区域となっているんですけれども、一般の人の中でこの区別が明確にわからないという人もなきにしもあ
らずで、建設省にまずこの定義を説明してもらって、それから税負担の問題に移りたいんです。
#397
○政府委員(真嶋一男君) お答えいたします。
 都市のスプロール化を防止して健全で秩序ある都市の発展を図るために、都市計画の制度として都市計画区域というものを定めまして、「市街化区域及び市街化調整区域を定める」ということに都市計画法でいたしております。そして、市街化区域は「すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」であり、市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」であるということといたしております。
#398
○野末陳平君 まさにその市街化区域というのはもうとっくに宅地になっていなきゃいけない地域だから、だからこそまた土地の値段も上がるんですよ。調整区域はそれを抑制するからそう簡単に売れないから土地の値段も半端になっている、こういう現実があるんで、市街化区域内の農地の税金をまけてあげているということがそもそもおかしくて理にかなっていないわけなんですね。
 どうして、じゃ今までアメリカに言われるまでまだ実現していないかというと、これも簡単で反対意見が強いからですよね。この反対意見も、坪何百万円もする土地で野菜や果物をつくるんですから非能率的に決まっているんですけれども、しかしそれも公共性があるし同時に都市の農業を守れという意見も出てくる。だから、反対意見にも一理ある。あるけれども、しかし宅地化すべき区域のど真ん中で農業をやってそれが公共性だと言うけれども、そういう公共性よりもむしろ宅地その他の幅広い有効利用をする方がさらに公共性が高くて国民の利益になるというのはこれは当たり前のことでして、この正論がなぜ今までできなかったかというところが問題なんですね。私は、もう待ったなしだから、とにかく第一にけりをつけるべきは課税の公平なんだ、まず課税の公平という点をきちっとしなきゃいけないという意味で、これから二、三質問しますね。
 世間では宅地並み課税というと固定資産税のことばかりに目を奪われているんですけれども、実はこれは相続税の方がけた外れに優遇なんですよ。不公平という点では宅地並み課税においては相続税、これはまさに罪が深い。大蔵省はこれはわかりますね。これわかるでしょう、僕の言うことね。国税庁でもいいですよ。
#399
○政府委員(岡本吉司君) 委員御質問の趣旨は、農地に係る相続税の納税猶予制度、一定期間農地を継続していれば相続税が免除される、こういった制度のことかと存じております。
#400
○野末陳平君 そうなんです。でも、説明を加えないとそれだけじゃきっとテレビ見ている人にはわからないと思ったりするんですけれども、相続税の面でいかに市街化の農地が有利かということを実態をお話ししておきますからね。
 これは数年前なんですけれども、東京でそれまでグラウンドとかそれから児童遊園地とかそういうことに開放されていた、市民に開放されていた農地が突然閉鎖、グラウンドも遊園地も閉鎖、そして農地に逆戻り。あるいは農家が駐車場ビジネスをやっていた土地が突然また駐車場をやめ、そして何といいますか農業をやることになって野菜をつくり始めちゃった。突然のことだから市民たちみんな困っちゃう。なぜかと言うと、これはまさにこの背景には相続税対策があるわけですね。
 その相続税対策は、今簡単に納税猶予制度と国税庁は説明したけれども、要するに地代をもらいながら農地をグラウンドや児童遊園地に貸していてもいいんです。地方自治体に貸していてもいいんです。しかし、そのままで相続を迎えると広い土地だからウン億円、十ウン億円というすごい相続税になっちゃうの。これだれだって払いたくないですからね。となると農地にしちゃうの、相続が近づくと。農地に戻してしばらくして相続が来ると、今度は農業を続けるということでもってこの高い相続税が猶予してもらえる。億、十億の単位で猶予してもらえる。猶予だけじゃなくて、二十年形ばかりの農業をやっていればこれがただになっちゃう。ただになっちゃうというと相続税一円も負担しないで土地が自分のものになるんだから、宅地に比べて農地がいかに有利かと、ここだ。その農地はもう宅地転用自由だから時価で売れるんだから。
 こんなことが今までずっと続いた。これが長期営農継続農地における相続税の猶予制度とこういうふうになっているわけで、国税庁が説明しないから僕が説明しちゃったわけ。
 だから、簡単に言うとこういうようなもう不公平が単なる不公平でなくて、土地の有効利用を妨げる、供給促進の邪魔をする、すべてにおいて土地問題はこれが都会においては元凶なんですよ。わかり切ったことができなかった。もう待ったなし。ですから大蔵大臣は、この相続税の猶予制度というのは廃止するしかないと思うけれども、見通しをはっきり示してください。
#401
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員が例示に挙げられましたような相続直前に農業を開始するといったケース、私は具体的に存じておりませんけれども、従来からこの問題はしばしば論議の対象になってまいりました。
 政府としては、昨年十二月二十一日の土地対策関係閣僚会議におきまして「今後の土地対策の重点実施方針」を申し合わせ、その中におきまして大都市地域の市街化区域内農地に関する税制については、総合土地対策要綱に沿って関係制度の整備、充実とあわせながら資産課税の適正化の観点から見直しを行うという方針を決めまして、税制調査会の検討を踏まえながら平成四年度からの円滑な実施を図る決心であります。
#402
○野末陳平君 平成四年度を楽しみにしておりますけれども、もう一つ固定資産税のことも自治大臣にお聞きしておきますね。
 宅地に比べて農地が百分の一とか二百分の一とかばか安い固定資産税の負担、これは公平を欠きますから直さなきゃいけませんが、ただ、宅地並み課税に持っていく場合に一挙に持っていくのがいいのか段階的にやるのか、いろいろ個別事情もありますからそこが難しい。自治省はどういう構想をお待ちでしょうか。
#403
○国務大臣(奥田敬和君) 委員も御存じのとおり、現行制度でも宅地化する場合には大体五年間くらいの緩和措置で一年目は二〇%、二年目は四〇%、三年目は六〇%というような形で激変緩和の形で宅地化の形をやっているわけです。今回の場合に、それでは市街化区域の農地を宅地化するという形の検討が今行われている段階ですけれども、これに従って、やっぱり本当はこの農地が宅地化されて有効利用していただくことがねらいでございますから、そういった面にも当然配慮して検討が行われると思っております。
#404
○野末陳平君 私は、固定資産税だけではなかなか手放さない、有効利用にも踏み切らないだろうけれども、相続税の猶予制度をなくすことをセットにすれば土地の供給は出てくるし有効利用に農家が踏み切ってくれるだろう、そういうふうに思っていますのでお願いします。ただし関係省庁は、税負担だけ厳しくしたってしようがない、その後知恵を絞って、農家の人たちに魅力ある誘導策を示して秩序ある計画利用というのをするというところまで一挙にこの際やってほしい、こういうことを最後にお願いしておきますね。
 そこで農水大臣なんですが、こうやって宅地並み課税の完全実施を迫りますと、もう農家の人はおびえちゃって農業いじめをやっているんじゃないか、そういうふうにとる人も中にはいるようなんですが、これはあくまで宅地化すべき区域内の農地であり、しかも有効利用を考えるという国民的利益、公共性、これを踏まえておりますので、そういう点を農水大臣からひとつこの場ではっきり言っていたずらに農家に不安を与えないようにしてください。僕は郷里に帰ると、もう静岡県の田舎なのにおまえのおかげで農業がやれなくなるかもしれないなんて言われて非常に困っているんで、それだけ最後に締めくくりでお願いします。
#405
○国務大臣(山本富雄君) 農業を愛する気持ちが今の質問から惻々と私に伝わってくるわけなんです。私は、日本の農業を守り育てる、これの総本山の責任者ですから非常に答弁難しいんですけれども、しかし委員のお話のとおりだと、そして守るべき農地はしっかり守っていく、そして市街化していける農地、これはそのように考えて住みよい都市づくりに協力していく、こういうことでいいんだろうと思うんです。
 あと税制面につきましては大蔵大臣のお話に尽きておる、こういうふうに考えておりますので、今後ともひとつ農業のことをよろしくお願いいたします。
#406
○野末陳平君 どうもありがとうございました。じゃ、終わります。
#407
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で野末陳平君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて総括質疑はすべて終了いたしました。
 明日は午前十時に公聴会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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