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1990/05/28 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 予算委員会 第14号
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1990/05/28 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 予算委員会 第14号

#1
第118回国会 予算委員会 第14号
平成二年五月二十八日(月曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
     久保  亘君     村田 誠醇君
     白浜 一良君     常松 克安君
     林  紀子君     神谷信之助君
     乾  晴美君     粟森  喬君
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     秋山  肇君     星野 朋市君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         林田悠紀夫君
    理 事
                伊江 朝雄君
                石原健太郎君
                下稲葉耕吉君
                平井 卓志君
                穐山  篤君
                矢田部 理君
                安恒 良一君
                太田 淳夫君
                吉岡 吉典君
    委 員
                青木 幹雄君
                石井 道子君
                遠藤  要君
                小野 清子君
                合馬  敬君
                片山虎之助君
                北  修二君
                斎藤栄三郎君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                谷川 寛三君
                中曽根弘文君
                西田 吉宏君
                梶原 敬義君
                國弘 正雄君
                竹村 泰子君
                角田 義一君
                堂本 暁子君
                細谷 昭雄君
                村田 誠醇君
                本岡 昭次君
                山本 正和君
                猪熊 重二君
                常松 克安君
                和田 教美君
                神谷信之助君
                粟森  喬君
                池田  治君
                足立 良平君
                西川  潔君
                星野 朋市君
   国務大臣
       法 務 大 臣  長谷川 信君
       外 務 大 臣  中山 太郎君
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
       文 部 大 臣  保利 耕輔君
       厚 生 大 臣  津島 雄二君
       農林水産大臣   山本 富雄君
       通商産業大臣   武藤 嘉文君
       労 働 大 臣  塚原 俊平君
       建 設 大 臣  綿貫 民輔君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    奥田 敬和君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  塩崎  潤君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       砂田 重民君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       相沢 英之君
       国 務 大 臣
       (国土庁長)   佐藤 守良君
   政府委員
       警察庁交通局長  関根 謙一君
       総務庁行政管理
       局長       百崎  英君
       北海道開発庁総
       務監理官     松野 一博君
       経済企画庁総合
       計画局長     冨金原俊二君
       経済企画庁調査
       局長       田中 章介君
       国土庁長官官房
       長        北村廣太郎君
       国土庁長官官房
       会計課長     森   悠君
       国土庁計画・調
       整局長      長瀬 要石君
       国土庁大都市圏
       整備局長     三木 克彦君
       国土庁地方振興
       局長       野沢 達夫君
       法務省人権擁護
       局長       篠田 省二君
       法務省入国管理
       局長       股野 景親君
       外務大臣官房領
       事移住部長    久米 邦貞君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省経済局長  林  貞行君
       外務省経済協力
       局長       木幡 昭七君
       外務省条約局長  福田  博君
       外務省国際連合
       局長       赤尾 信敏君
       大蔵省主計局長  小粥 正巳君
       大蔵省主税局長  尾崎  護君
       文部大臣官房長  國分 正明君
       文部省初等中等
       教育局長     菱村 幸彦君
       文部省高等教育
       局長       坂元 弘直君
       文部省体育局長  前畑 安宏君
       厚生大臣官房総
       務審議官     加藤 栄一君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康策
       局長       仲村 英一君
       厚生省保健医療
       局長       長谷川慧重君
       厚生省社会局長  長尾 立子君
       厚生省児童家庭
       局長       古川貞二郎君
       厚生省保険局長  坂本 龍彦君
       厚生省援護局長  末次  彬君
       社会保険庁運営
       部長
       兼内閣審議官   土井  豊君
       農林水産大臣官
       房長       鶴岡 俊彦君
       農林水産大臣官
       房予算課長    山本  徹君
       農林水産省経済
       局長       川合 淳二君
       農林水産省構造
       改善局長     片桐 久雄君
       食糧庁長官    浜口 義曠君
       水産庁長官    京谷 昭夫君
       通商産業大臣官
       房商務流通審議
       官        山本 貞一君
       通商産業大臣官
       房審議官     横田 捷宏君
       中小企業庁長官  見学 信敬君
       労働大臣官房長  若林 之矩君
       労働大臣官房審
       議官       石岡慎太郎君
       労働省労政局長  岡部 晃三君
       労働省労働基準
       局長       野崎 和昭君
       労働省婦人局長  佐藤ギン子君
       労働省職業安定
       局長       清水 傳雄君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部長     七瀬 時雄君
       建設大臣官房長  牧野  徹君
       建設大臣官房総
       務審議官     福本 英三君
       建設大臣官房会
       計課長      小野 邦久君
       建設省建設経済
       局長       望月 薫雄君
       建設省住宅局長  伊藤 茂史君
       自治大臣官房長  小林  実君
       自治省財政局長  持永 堯民君
       消防庁長官    木村  仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮下 忠安君
   参考人
       建設業・清酒製
       造業・林業退職
       金共済組合理事  花田 達郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成二年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成二年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を開会いたします。
 平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算、平成二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
    ─────────────
#3
○委員長(林田悠紀夫君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成二年度総予算三案審査のため、本日、建設業・清酒製造業・林業退職金共済組合理事花田達郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(林田悠紀夫君) それでは、これより合馬敬君の一般質疑を行います。合馬君。
#6
○合馬敬君 伝統ある予算委員会におきまして私、初めて国民を代表いたしまして質問をさせていただきまして、まことに光栄でございます。御出席の大臣各位、政府委員の皆様、よろしくお願い申し上げます。
 最初に、財政につきましてお尋ねさせていただきます。
 平成二年度予算案につきましては、特例公債の依存体質脱却を初めといたしまして多くの難しい課題を抱えていたにもかかわりませず、これらの難題を克服いたしまして、歳出全般を厳しく見直し、真に必要な施策を適切に盛り込み、国民全般を満足させるものであると私は評価しております。まず、これを粛々と立派にまとめられた政府の努力を多といたしたいと思っております。
 さて、二年度予算案におきましては歴代内閣の悲願でありました特例公債依存体質からの脱却が十五年ぶりに実現いたしたわけであります。これは政府・自民党の長年にわたる血のにじむような財政改革の努力の成果でありまして、この間の先人の御労苦に思いをいたしますと感慨無量のものがあるわけでございます。また、財政改革を支えていただきました国民の皆様の御理解と協力に心から感謝を申し上げたいと思っております。
 しかしながら、特例公債依存体質からの脱却が成りましたとはいえ、我が国財政につきましては決して楽観を許されない状態でございます。公債残高は、平成二年度末には百六十四兆円にもなろうとしており、二年度予算におきます国債費は実に十四兆円ということで、歳出予算の二割を超える厳しい状況にあるわけでございます。
 国際的に見ますと、政府の長期債務残高の名目GNPに対します比率は、日本は四九・九%、アメリカが四五・九、イギリスが三八・九、西ドイツが二二・一、フランスが一二・八、その中で最悪ということになっております。歳出総額に占めます国債等の利払いにつきましても、日本は一六・七、アメリカは一四・〇、イギリスは八・五、西ドイツ一一・一、フランス一一・三と、これもまた最下位になっております。
 それに加えまして、相当処理が進んだとはいいますけれども、国鉄清算事業団の長期債務といったものも残っておりまして、財政の弾力性の回復はいまだしであるというように考えますが、政府としての財政についての現状認識をお伺いいたしたいと思います。
#7
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員からお話がありましたように、政府はこれまで歳出の徹底した節減合理化とともに三公社の民営化あるいは医療制度、年金制度の改革など既存の制度、施策につきまして国民の理解をいただきながらの見直しを行い、行財政改革というものを一生懸命に実現、実効あらしめることに努めてきました。
 そうした中で、ようやく今委員から御指摘のありましたような赤字公債依存体質を平成二年度において脱却すると同時に、公債依存度を八・四%まで低下させるという現在の状況にまでこぎつけたわけであります。確かに、これによりまして財政健全化の第一段階というところまで私どもは逢着をいたしました。しかし、委員が御指摘になりましたとおり、我々は依然として巨額の公債残高を抱えております。その累増にいつ歯どめがかけられるか、まだその見通しを立てるに至っておりません。
 また、国鉄清算事業団の累積債務を初め、ある程度解消に努めてはまいりましたが、いわゆる各種の繰り延べ措置等について解決しなければならぬ点も残しております。そうしたものを考えてまいりますと、国債費の重圧というものは非常にまだ厳しいものがありますし、完全に財政が健全化したと言える状況にはまだまだ到達をいたしております。
 御指摘のとおりの状況の中で、今後ともに私どもとしては血のにじむような努力を続けていき、一日も早く完全に財政の体質を改善し得たと国民に御報告できるようになりたいものだ、そのように念じております。
#8
○合馬敬君 ただいまの御答弁にもありましたように、財政の現状は依然として先進国中最悪となっているなど非常に厳しい状況にある。引き続き財政改革は厳しく進めていく必要があると考えております。遠からず到来いたします高齢化社会に向けて若い世代に多大の負担を残さないように、また経済大国日本の責任を果たしていくというためにも、財政が本当に必要とされるときに十分な力を発揮されますように財政の対応力を回復することが急務であるというように考えております。
 これからの日本の財政を運営していく上で、税収のもととなります景気を維持しながら、そしてインフレを惹起しないような困難なかじ取りをぜひ大蔵大臣にお願いいたしたいわけでございます。インフレが到来いたしますと、せっかく築き上げましたこの高齢福祉社会も無になるわけでございまして、年金生活者や特に弱い産業に従事しておる人に大変な負担がかかるわけでございます。
 これからの中長期的財政運営の基本的な考え方について大蔵大臣の考え方をお伺いいたしたいと思います。
#9
○国務大臣(橋本龍太郎君) 赤字公債脱却後、私もが財政に対するどういう目標を立てるか、いろいろな方々から今までにもいろいろな御意見がございました。そうした中におきまして、先般、財政制度審議会からの御報告あるいは新行革審の最終答申というものを踏まえまして私どもとしては次のように考えております。
 まず何よりも考えなければなりませんことは、今後高齢化、国際化というものがますます進展していく中で、財政需要につきましてはさまざまな要因が変化することも考えられます。こうしたものに対して適切に対応しながら、本格的な高齢化社会というのが到来する二十一世紀というものを見据えて効率的な資源配分を図る必要性があります。しかし、先ほど来の御論議にもありますように、先進国中最高水準の国債残高を抱えており、後代に極力大きな負担を残さないように私どもは今から心がけなければなりません。また、特例公債を発行するといった事態を二度と引き起こさないためにも、私どもとしては弾力的な財政構造というものを確立しなければなりません。
 そうした状況を考えますときに、中長期の財政運営において、まず何といいましても公債依存度の引き下げを図っていくこと、今の八・四を五%まで下げるという目標を既に示していただいておるところでありますが、公債依存度の引き下げを図ること、あわせて特例公債の早期償還に全力を挙げて努力をしていくことによりまして、国債残高が累増しないような財政体質を早急に築き上げること、これが中長期の目標として基本にあるべきものと、そのように考えております。
#10
○合馬敬君 次に、高齢化社会と国民の公的負担の問題についてお伺いいたしたいと思います。
 行政改革審議会の答申におきましては、高齢化がピークとなります二〇二〇年ごろでも国民負担率を五〇%未満にとどめるという目標が示されておるわけでございますが、将来の国民負担率の水準についてどのように考えていくのか、お伺いいたしたいと思います。
 一般的に申しまして、歳出の抑制ということになりますと国民負担率の上昇の抑制に資するということはなりますし、公債依存度の引き下げということになりますとむしろ当面の国民負担率の上昇要因になるのではないか。公債依存度八・四%から五・〇%以下に何とか実現いたしたい、ただいま大蔵大臣のお話もございましたが、そういった中で本格的高齢化社会における国民負担率をどのように抑制していくか、その道筋について政府の考え方をお伺いいたしたいと思います。
#11
○政府委員(小粥正巳君) 委員がただいま御指摘されましたように、新行革審の最終答申で高齢化のピーク時において国民負担率が五〇%を下回る目標、これは実は私どもにとりまして容易ならざる課題である、こう考えております。国民負担と申しますと、結局これ究極的には、委員御案内のように、国民が必要とする公共支出の水準といわば表裏をなすものでございます。受益と負担のバランスを考えながらそのときどきの情勢のもとでいわば国民的な選択が行われるべき事項であると考えております。
 そこで、この容易ならざる課題をどう達成するかというお尋ねでございますけれども、先ほど来大臣からも御答弁申し上げておりますが、まず公債依存度の引き下げを図り、あわせて特例公債の早期償還に努めることによりまして、いずれにしましても国債残高の累増を抑制していく、それによって将来の国債費の減少を図ること、これがやはり第一でございます。あわせて歳出面では、国及び地方の歳出のあり方を常に見直し、これも行革審からの御指摘もいただいておりますが、その規模の伸びを極力抑制することでございます。そして、社会保障につきまして受益と負担の公平を十分勘案しながら絶えず制度、施策の見直しを行うことがどうしても必要であろうと考えております。
 今後の財政運営に当たりまして、このたびのこの新行革審あるいは財政審報告の趣旨を踏まえながら本格的な高齢化社会の到来時における国民負担率の水準の上昇を極力抑制する、これがあくまで基本でございます。先ほど申し上げましたような政策の考え方に基づきまして、要は国債残高がこれ以上累増しないような財政体質をつくり上げること、これがやはり財政の立場からはどうしても必要であり、また、私ども今後とも全力を傾けてまいる所存でございます。
#12
○合馬敬君 大変困難な厳しい道でありますけれども、大蔵大臣以下一層の御努力をお願いいたしたいと思います。
 以上、中長期的な財政運営に関してお伺いをいたしたわけでございますが、財政につきましては、遠からず到来いたします高齢化社会に向けて若い世代に過大な負担を残さない、経済大国として国際社会での責任を十分に果たしていく、そういったためにも財政が必要なときに十分な力が発揮できるように対応力の回復を図っていくということが急務であるということは申すまでもございません。
 政府・自民党が財政再建の旗を掲げて以来十年間、歴代内閣は財政改革を大きな政策の柱としてまいりました。長い苦難の道のりではございましたけれども、ようやく財政改革の第一段階まで達したところであります。これからの改革の道のりというのは非常に遠く険しいものと思われますけれども、活力ある経済社会を次の世代に引き継ぐという大きな目標を見据えまして、先ほど承りましたような努力目標に向かって邁進していただきたいと存じます。
 最後に、財政に関連しまして公共投資についてお尋ねいたします。
 社会資本整備につきましては、さきのSIIのアメリカからの指摘をまつまでもなく我が国自身の課題として取り組んでいかなければならない問題でございますが、一方財政につきましては先般来の質疑でもわかりましたように財政体質の改善が強く要請されております。公共投資十カ年計画では四百兆円といったような数字も出ておりますけれども、社会資本整備の必要性と財政体質改善の必要性との関連、これについてどのようにお考えなのか、大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。
#13
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先般の日米構造協議における中間報告の中に、私どもは、今後の中長期的な公共投資のあり方につきましては、本格的な高齢化社会が到来する二十一世紀を見据えて着実に社会資本の整備を図っていくという宣言をいたしました。これは我々が我々自身に対して課した目標であります。しかし同時に、今委員からるる御指摘がありましたように、我が国の財政の状況というものは依然として厳しいものがあります。そして、国債残高の累増を抑制するということは今後にとって我々にとっての非常に大きな課題であります。
 こうして考えてみますと、特例公債の発行下において続けられました建設公債を公債発行限度額いっぱい発行する、こういう財政運営というものは、その当時として緊急避難的にやむを得なかったものではありますけれども、世代間の負担を公平にしていく、あるいは二度と特例公債を発行しないようにしていく、今私どもがこうして考えてまいります基本線を踏んで新たに考え直してみますと、やはり特例公債依存体質脱却後におきましては早急にこれは是正しなければなりません。むしろ社会資本整備の財源として税財源をできる限り充当しながら公債依存度を引き下げていく必要がございます。
 いずれにしましても、社会資本整備につきましては、今経済企画庁が公共投資の十カ年計画を策定しつつあるわけでありますが、それを目標として着実に中長期的な課題として実現を図ることが必要であります。
 しかし同時に、ここで特に明らかにしておかなければなりません問題点は、各年度における公共投資の水準というものはそれぞれの年度の予算編成の過程におきましてその折々の歳入歳出両面にわたる財政状況やそのときの経済情勢というものを十分に判断しながら慎重に決めていくべきものである、基本的にそういう点ははっきりさせておきたい、そのように思っております。
#14
○合馬敬君 次に、税制の問題についてお伺いいたします。
 税金の問題というのは非常に難しい問題でございますが、税金を負担する側に立てば少なければ少ないほどいいということになるわけでございますが、私たちは一方では安全で豊かな暮らしをやっていくためには公共サービスの提供も受けなければならない。それを受けるためには必要な財源は税金という形で国民自身が負担してもらわなきゃならない。そういうことで、賢明な多くの国民は税金の必要性ということは理解をしておるわけでございますけれども、問題はその負担の分かち合い方でございまして、先般の税制改革におきましては、所得、消費、資産の間でバランスのとれた公平な税体系を構築する、そして高齢化社会に対応していく、こういうことで実施をされたと理解しておるわけでございますが、この中で大幅な所得減税、消費税の創設、こういったようなものを初めとします間接税改革が一体として実現をしようとしているわけでございます。
 ところが、一方では、所得税減税などはそのままにして消費税だけをとにかく廃止した上で税制再改革をやろうという提案も野党からされておるわけでございますが、その間の穴埋め財源としましては、非常に問題が多いとみずからも認めておられます物品税なども提案されておるわけでございますが、こういった消費税につきまして国民の間にさまざまな御意見があることは事実でございます。
 そこで、政府並びに自由民主党は、このような国民の声に十分に耳を傾けて新税制の一層の定着を期すべく消費税の見直し案を提案しているところでございます。この見直し案は国民の間に要望の多かった非課税範囲の拡大、あるいは消費者の立場から御指摘をいただいた制度の公平化、そのための措置といったように幅広い視野からできる限りの措置が盛り込まれておるわけでございますが、大蔵大臣に消費税見直し案の基本的な考え方をさらにお伺いいたしますとともに、この見直し案成立に向けての御決意をお伺いいたしたいと思います。
#15
○国務大臣(橋本龍太郎君) 消費税は従来の我が国の税制が抱えておりましたさまざまなゆがみの是正、あるいはサラリーマン層を中心とする重税感の解消、急速に進む高齢化社会に備えた安定的な税体系を構築する、こうした目的を持って行われました先般の税制改革の中でその一つの柱として創設されたものでございます。
 私たちは、この改革によりまして我が国経済社会の活力を維持し、国際化に対応しながら豊かな長寿福祉社会をつくるという視点からふさわしい税体系の構築が図られておりますと確信しておりまして、消費税を含めて今回の税制改革全般は正しい選択であった、そう考えております。
 しかし、消費税につきまして本当に国民の中から非常にたくさんの御意見あるいは御指摘をいただいたことも事実でありまして、政府としては消費税が一層定着してくれるようにと願いを込めながら、その御指摘をいただきました点をすべて検討の対象とし、幅広い視野からさまざまな措置を盛り込んで今回消費税の見直しについての法律案を国会に御提案させていただきました。
 今その中を長々と申し上げるつもりはありませんけれども、確かに今御指摘がありましたような消費税の持つ所得に対する逆進性の緩和、あるいは社会的政策の配慮、こうしたものを充実するという視点から、国民からの御指摘を受けて、非課税範囲の拡大につきましても、消費者の方々が日日購入される飲食料品すべてについて小売段階を非課税とする、また卸売段階までの税率をこれまでの半分の一・五%に引き下げる特例措置を講じた、あるいは借家住まいの方々の負担軽減のために住宅家賃を新たに非課税とする、また、人の生命というものに対する国民感情に配慮する見地から出産費用、火葬料、埋葬料を非課税とする、さらに、学校教育に関して入学金あるいは施設整備費や教科書などに非課税範囲を拡大する、こうした措置もとってきました。また、社会福祉の面から身体障害者用の物品、老人福祉センター経営事業などの第二種社会福祉事業、ホームヘルパー等お年寄りに対する在宅サービスを非課税とする等の配慮を加えております。また、年金生活の方々に対しまして所得税や住民税の分野において一層の減税も講ずることといたしました。
 また、消費者の立場としてよく御指摘をいただいてまいりました面につきましても、その納税が年二回であるために大企業が納税までの間に消費税相当額を運用できるのではないかといった御懸念に対し、一定規模を超える事業者の納税回数を年四回にふやす、あるいは企業の交際費などへの支出について特別の負担を求めるために仕入れ額控除を認めないという措置を新たにとった。また、簡易課税制度のみなし仕入れ率について、実態に合わせて速やかな対応ができますように政令事項とすることといたしております。
 また、事業者免税点制度、簡易課税制度などのあり方につきましては、消費税の申告納付がこの五月いっぱいで一巡するわけでありますけれども、その結果を受けましてこれらの制度をどう見直すか十分検討することも明らかにいたしております。また、これは本当は厚生大臣からでもお答えいただく方がいいんですが、歳出面につきましても、消費税の使途の明確化と同時に高齢化に対応した公共福祉サービスの充実を図ってまいりました。
 私どもは、こうしたさまざまな視野から見直してまいりました結果として国会に御提案をいたしておりますこの見直し案というものは、現時点における最善の努力を尽くしたものと考えておりまして、このが国会における御論議を十分いただきました上で一日も早く結論をお出しいただけますように、そしてこの内容、趣旨といったことについて国民のより深い御理解がいただけることを心から願い、そのために全力を尽くすつもりであります。
#16
○合馬敬君 私も、この見直し案は皆様方の苦心のたまものであって、ぜひ実現したいと考えております。
 ただ、この見直し案につきましては、事業者の方から納税のための事務負担がいろんな特例措置によって増加するんじゃないかとか、あるいは消費者の方からこうしたコストアップが価格にはね返るのじゃないかといったような声もあるようでございます。こういった事業者、消費者の声につきまして、事務当局からでも結構でございますが、お答えいただきたいと思います。
#17
○政府委員(尾崎護君) お答え申し上げます。
 ただいまの大臣の御答弁にございましたように、国民の各方面の声、特に消費者の立場からの御指摘、御要望を踏まえまして非課税取引の拡大あるいは飲食料品に対する特別措置等を講ずることといたしているわけでございますが、そのような声に応じてまいりますためにはどうしても事業者の方々に何らかの事務負担をお願いしなくてはいけないということになるのは御指摘のとおり事実でございます。しかしながら、見直し案の策定に当たりましては、その負担をできるだけ軽減していくという観点も踏まえて検討を行ったところでございます。
 具体的に申しますと、転々流通する物品を非課税にするということにいたしますと、各事業者の売り上げ、仕入れ双方について影響が及んでくるわけでございます。現行の消費税法は教育、社会福祉あるいは医療というサービスの分野に限って政策的な非課税を置いておりますけれども、その種のサービスは事業間の取引に出てこない、したがって事業者間の取引を複雑にしないということからその分野に限ってきているわけでございます。基本的にはその考え方は今回も承継しているところでございまして、助産でございますとか、家賃でございますとか、あるいは入学金等に広げました教育の分野、あるいは在宅サービス等に広げました社会福祉、いずれもサービスの分野でございます。ただ、その中で検定済み教科書、それから身体障害者用物品について今回非課税といたしておりますけれども、これは物品ではございますが、関係する事業者が極めて限定されているという事情を考慮いたしまして特に非課税といたしている次第でございます。
 それから飲食料品でございますけれども、これはそのまま非課税にいたしますと各方面の取引に出てまいることになりまして、事業者全般にわたって事務の複雑化を招くわけでございます。したがいまして、事業者間の取引は課税のままにいたしまして、その税率を半分にするということにいたしております。こうすることによりまして事業者間取引の事務の煩雑化をかなり防ぐことができるということになっております。ただし、最終段階、事業者じゃなくて消費者に売る段階、その段階では、いわゆる小売でございますけれども、非課税ということにいたしまして、消費者の負担を軽減するという措置を講じたわけでございます。したがいまして、やや制度が複雑に見える今回の案でございますけれども、実際に事務負担という点から見ますと、その負担を大きくしないように配慮しているものであることをぜひ御理解いただきたいと存じます。
 それから物価面につきまして御指摘がございました。今回の飲食料品にかかわります特例措置は、価格の低下をより確実にするという観点からも配慮しているものでございまして、具体的に申しますと、事業者間取引の税率を半分にするということによりまして小売業者が仕入れる段階での税負担は確実に半分に減る。小売業者が卸売業者から買うときには、従来三%が乗っていたわけですが、それが一・五%になるわけでございますから、そこで確実に一・五%減る。しかも小売業者が売る段階は非課税でございますから、自己のマージン等につきましての負担軽減効果もそこに加わってくるということでございます。
 これらの点を消費者の方々によく御理解をいただくよう私どもも努力してまいりたいと存じます。また、関係省庁間で緊密な連絡をとりながら、税負担の変化が価格に適正に反映されるように取り組んでまいる所存でございます。
#18
○合馬敬君 次に、土地税制について簡単にお伺いしたいんですが、今回の地価の高騰というのは土地を持つ者と持たざる者との資産格差というものが拡大しまして、我が国の繁栄の基礎であります平等な活力ある社会というものを揺るがせつつあるわけでございますが、資産格差を是正するためには税制における相続税の役割というのが非常に重要でございまして、厳正な執行が期待されるわけでございますが、一方におきましてサラリーマンの中で、特にささやかなマイホームを手に入れたというのにもかかわりませず、これからの土地の値上がりで相続税が払えないんじゃないかという漠然とした不安を持っておるそういう状態がございますが、まず現在相続税が課税されます遺産を残した人というのはどのくらいの割合でいるのか御説明いただきたいと思います。
#19
○政府委員(尾崎護君) 昭和六十三年の実績でございますけれども、六十三年中にお亡くなりになった方の数は七十九万三千十四人でございました。そのうち相続税が課税される遺産を残された方、相続税法上の被相続人でございますが、それは三万六千四百六十八人でございまして、課税割合が四・六%、つまり死亡者百人に対しまして四・六人の方が相続税を納めておられるということでございます。
 なお、御承知のとおり昭和六十三年から相続税の減税が抜本的税制改正の中でございまして、例えば定額控除、従来二千万円でございましたものを四千万円に、あるいは法定相続人に比例した控除額を、法定相続人数一名につきまして四百万円でありましたものを八百万円にする、控除を倍増するという改正をいたしました。したがいまして、実は昭和六十二年分の課税割合は七・九%でありたわけでございますが、それが六十三年には四・六%に下がっているということでございます。
#20
○合馬敬君 標準的な住宅というのはあるかどうか私も知りませんけれども、例えば二百平米程度の住宅地で東京とか大阪で持っている場合には、具体的ケースで相続税の負担がどうなっておるか、わかる範囲で教えていただけたら。
#21
○政府委員(尾崎護君) 質問の御通告をいただきまして、どのようにとらえたらいいか考えてみたわけでございますけれども、国土庁が毎年公示価格を発表いたしますときに、東京圏などの沿線別の駅周辺の住宅地の公示価格、その例を公表されております。したがいまして、そのような地点をとりまして住宅地を二百平米所有しているというモデル計算を行ってみました。なお、その計算に当たりましては、過去の課税実績より推計いたしまして、その程度の土地をお持ちの方はほかにこのぐらいの他の財産がある、あるいは借金をどのぐらいお持ちであるという事例を過去の平均値でとりまして、東京国税局管内のものにつきましては東京国税局の事例、大阪国税局管内のものにつきましては大阪国税局の事例によりまして配分して置いてみました。
 二百平米ということでございますが、御承知のとおり二百平米までは特別の軽減がございます。居住の用に供している土地の場合にはその評価額の五割を減ずるということをいたしております。もしその土地が事業用のものでございましたら二百平米までは六割を減ずるという措置を講じております。これも御承知のとおり六十三年の抜本改正の際に、事業用のものは従来四〇%を減ずることとしておりましたがそれを六〇%に、それから居住用のものは三〇%を五〇%に引き上げるということをしたわけでございますが、それも計算に入れてございます。それで申し上げます。
 例えば、住宅地といたしまして近年地価高騰が著しかった東急田園都市線のたまプラーザ、所在地で申しますと横浜市緑区美しが丘五丁目でございますが、そこで土地の相続税評価額が平米四十七万円でございます。したがいまして、二百平米で九千四百万円ということになりますが、これに小規模宅地の課税の特例五〇%の減額を適用いたしますと評価額が四千七百万円になるわけでございます。それに、先ほど申しましたように課税実績等から他の財産もあるということで、比例的に千五百九十二万円ほかに財産をお持ちでありましょうということで乗っけまして、また平均的な債務金額四百六十六万円を引くということをいたしますと、総体といたしまして課税対象資産額が五千八百二十六万円ということに相なります。そこで、この方が一般的な相続のケースでございます配偶者と子供二人を残されたというように考えますと、その場合の課税最低限は、先ほど申しましたように四千万円プラス一人八百万円でございますから三人の方で二千四百万円、両方足した六千四百万円、これが課税最低限でございますので、このケースでは相続税は課税されません。
 それで、あと幾つか例を拾ってみました。例えば小田急線の新百合ケ丘、これは大体二十キロ圏になるわけでございますが、ここで同様の計算をいたしますと課税対象資産額は五千三百十八万円となりまして、これも相続税額ゼロでございます。それから中央線の武蔵小金井、これも二十キロ圏でございますが、小金井市本町二丁目というところを例にとって計算いたしますと課税対象資産額六千七十五万となりまして、これも相続税額はゼロでございます。十キロ圏内で総武線の西船橋、船橋市本郷町というところをとって計算いたしますと、課税対象資産額が四千三百三十八万円となりまして、これもゼロでございます。同様に、西川口、川口市西青木三丁目というところでとりましても、これは相続税額は二百平米でございますとゼロになります。大阪へ参りまして、十キロ圏、東海道線の千里丘、吹田市でございますが、そのあたりでも相続税額はゼロとなります。神戸電鉄の鈴蘭台、これは三十キロ圏になりますが、そこもゼロでございます。阪急宝塚線の宝塚、宝塚市御殿山三丁目の例をとりますと、これも相続税額ゼロでございます。それから奈良線の学園前をとりましてもゼロでございます。
 二百平米といいますと、サラリーマンの通勤時間一時間程度ということになりますと、大体、小規模の住宅地の場合には現在相続税がかかっていないというのが現状でございます。
#22
○合馬敬君 通勤時間一時間以内で二百平米ぐらいでは相続税の心配がないということでございますので、政府はこういう点につきましては、土地対策に絡んで一般サラリーマンの間にいろんな不安が起こっておりますので、その点も大いにPRをしてほしいと思うわけでございます。
 この問題、最後に、公共投資で経済企画庁長官にお伺いいたしますが、公共投資十カ年計画につきまして関係省庁からヒアリングを行っておるというようなことを聞いておりますけれども、私も、これからの社会資本整備に当たりましては、これまでの生産、産業、そういった対策に加えまして、生活環境にも特段の力点を置いていくべきだと思っておりますが、新公共投資計画の目的、目標についてどこに置いているのか、簡潔にお答え願います。
#23
○国務大臣(相沢英之君) 十カ年の計画につきましては、現在、関係の各省庁からいろいろと数字並びに御意見を聞きまして検討中であります。もともと、「世界とともに生きる日本」という長期計画におきましても、「豊かさを実感できる経済社会の実現のための国民生活基盤の整備」ということを社会資本整備の主要課題として掲げているのであります。
 日米の構造協議におきましても、「公共投資の配分に当たっては、国民生活の質の向上に重点を置いた分野に、できる限り配意していく。」、それから「実質的な社会資本整備の総額は、十年間に、現在の水準よりも大幅に拡充されることになろう。」、こういうようなことでございまして、国民生活の質の向上に重点を置いて、今後十カ年間の公共投資の総額を策定するという作業を今進めている段階でございまして、まだその総体の金額等について詳しく申し上げる段階には至っておりません。お許しいただきたいと思います。
#24
○合馬敬君 次に、農業、農村問題についてお伺いいたします。
 農業問題は非常に難しい問題でございまして、私もソ連に三年ほどおりましたけれども、社会主義農業の惨たんたる失敗も見てまいりましたが、ソ連では政治権力者を失墜させるのには農業問題をやらせたらいいというぐらい言われておるわけでございますが、我が国におきましても、近年の農業、農村を取り巻く情勢というのは、米市場の開放問題あるいは高齢化の進行、非常に厳しいものがあるわけでございます。しかしながら、将来にわたって国民に安全な食糧を安定的に供給していくというためには、今後とも我が国農業の健全な発展を図っていくことが重要であります。
 また、農村地域は、道路や下水道を初めといたします生活環境の整備が都市に比べて非常におくれておるわけでございますが、現在でも国民の約四割が居住する重要な生活空間となっております。近年、国民の価値観がゆとりや安らぎを重視するようになってきておることから、緑豊かな自然を残す農村地域が、都市住民を初めといたしまして広く国民の憩いの場として見直されてきておると考えております。
 こうしたことから私は、地域の伝統、文化や豊かな自然環境を生かしつつ、農業の体質強化によります魅力ある地域づくりを積極的に進めることが、東京一極集中の是正、さらには国土の均衡ある発展にもつながるというように考えるわけでございます。
 このためには、農業の生産性の一層の向上とともに、農村環境の整備のための農村地域の社会資本の充実、これを図ることがますます重要でございまして、このために土地改良事業の一層の推進が不可欠と考えております。また、日米構造協議などでも、国民生活の質の向上と、そのための事業の重視と言われておりますけれども、土地改良事業の実施に当たりましては、従来以上に農村地域の生活環境の整備に関連した事業を拡充、充実する、そして農村地域のよさを生かした整備を推進すべき、こういうように考えておりますが、農林水産省の御見解をお聞かせ願います。
#25
○政府委員(片桐久雄君) 農業と農村の健全な発展を実現するためには、農水省といたしまして、その基礎的条件を整備するため、農業基盤整備事業を積極的に推進している次第でございます。農業基盤整備事業は、農業の生産基盤の整備を基本としているわけでございますけれども、生産基盤の整備と一体的に農村生活環境の整備を行う農村総合整備事業等を積極的に推進しているというようなことで、最近、事業の重点を農村の生活環境の整備に置きつつあるところでございます。
 特に、近年、農業集落を対象に、生活排水等の処理を行う農業集落排水事業等を積極的に進めるなど、農村地域の生活環境の改善に資する事業の推進に努めているところでございます。また、従来よりかんがい排水事業におきまして、景観とか、それからまた親水空間、水辺空間の整備というような点にも配慮いたしました農業水利施設の整備を行っておりまして、平成二年度には中山間地域の持つ多面的な機能を生かした農業、農村の活性化を図ります中山間市域農村活性化総合整備事業というものを創設するということを考えておりまして、農村地域のよさを生かした事業の展開にも配慮しているところでございます。
 今後とも、これらの施策を活用しつつ、農業生産基盤の整備とあわせまして農村地域の生活環境の整備を一層進めてまいりたいと考えております。
#26
○合馬敬君 次に、土地改良事業の負担金の問題でございますが、この問題の背景には、労務費とか資材費が年々高くなる、事業の工期が長期化しまして建設に関します借入金の利息がふえていく、こういったことによって事業費が増大していくという問題があるわけでございますが、近年の農産物価格の低迷、転作の問題あるいは農産物の輸入自由化、こういった厳しい農業情勢の中で農家負担金に重圧感が生じておるわけでございまして、農業の将来に対する先行き不安というものがこの負担感を一層増幅しておるのではないかというように考えられるわけでございます。
 土地改良事業は、何といっても特に土地利用型農業の生産性の向上を図るために、工場でいわば工場設備に当たるようなものでございまして、これの近代化なくして将来の農業の展望というものは切り開けないわけでございますけれども、この緑豊かな日本の国土を残していくためにも、土地改良事業の推進というのは不可欠でございます。そういうために、土地改良負担金の軽減対策は農政の非常に重要な施策の一つと考えておりますけれども、これにつきまして農林水産省の取り組みについてお伺いをいたしたいと思います。
#27
○政府委員(片桐久雄君) 先生御指摘のように、農業をめぐる内外の厳しい情勢の中で、土地改良事業の農家負担の軽減を図るためのいろんな工夫を私どももいたしてまいりました。例えば土地改良の事業単価を迎制するとか、また基幹かんがい排水事業の創設など、国営事業制度の改善を行ったり、また国営事業における償還期間を延長するとか、それからまた負担金の支払いを円滑にするための融資措置、こういういろんな工夫をしてきたところでございます。さらに、平成二年度におきましても、最近の厳しい情勢を踏まえまして一千億円の資金を五年間で造成いたしまして、負担金の償還が困難な地区に対して償還総額を増加させずに負担金の償還を平準化するための助成を行うというようなことを考えておりまして、平成二年度の予算におきましても百五十億円の予算をお願いしているところでございます。
 今後とも、これらの諸施策を活用いたしまして、農家の負担の軽減に努めてまいる所存でございます。
#28
○合馬敬君 次に、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉についてお尋ねいたしたいと思います。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉は、昨年中に主要国の提案が出そろいまして、本年末の期限に向けてこれから交渉が本格化する段階にあるというように聞いております。最近、国際関係は非常にこの問題をめぐってかまびすしいようでございまして、OECDの閣僚理事会でも米の問題が取り上げられておりますし、またアメリカの全米精米業者協会でございますか、USTRにまたこの問題について通商法三〇一条で提訴するとか、そういったような話もまたありますし、大変厳しい事態になっておるわけでございますが、なかなか現時点におきまして各国の立場には非常に大きな隔たりがあるというように聞いておりますが、先ほど述べましたような事情の中で交渉を進める中で、米に対する市場開放要請というのはますます強まるのではないかというように考えております。
 しかしながら、米は国民の主食として総カロリー供給量の三割、我が国農業生産の三割を占める最も基幹的な農作物でありまして、農政は米を中心として構築されておると言っても過言ではないと思いますが、それに加えまして、水田は洪水や土壌流出の防止、そういった国土の保全あるいは地下水の涵養、自然環境の維持といったような面でも大きな役割を果たしておるわけでございます。さらに米は既に国内で生産過剰というようなことになっておりまして、関係農家は水田面積の三割にも及ぶ生産調整を行っておる、こういうような状況にございまして、このようなことに思いをいたしますと、米の自由化というのは到底受け入れることができないものであろうと考えております。
 このような状況を踏まえまして、ウルグアイ・ラウンドの農業交渉において、いよいよ年末に差し迫っておるわけでございますが、米の自由化を阻止するという農林水産大臣の決意に変わりはないのか、改めてお伺いをいたしたいと思います。
#29
○国務大臣(山本富雄君) お答えします。
 もう委員が先ほど来日本農政全般にわたりましてうんちくを傾けてお話になりましたとおりでございます。全く私同感です。
 それでウルグアイ・ラウンドでございますが、いよいよ正念場を迎えつつあるというふうなことでございます。かねて当委員会でもあるいはまた本会議などでも発言をしてまいりましたとおり、国内産で自給をしていくという考え方に何の変わりもない。また、昨年の十一月、我が国がガット・ウルグアイ・ラウンドで新しいルールづくりに向かって提案をいたしました中で、米については格別な事情があるんだというふうなことを旨といたしまして提案をしてございますし、これらを含めて、また国会の決議も両院にわたってされておりますので、国会の決議は大変重いということも繰り返し申し上げているところでございますが、農林水産大臣といたしましては従来の立場をとにかく堅持する、どんなことがあっても堅持するということでございますので、さらにひとつともども日本のために闘い抜いていただきたい、このことをお願いする次第でございます。
#30
○合馬敬君 国際交渉は非常に厳しいものがございまして、私もソ連におりましたときに日ソ漁業交渉でやりました。国内の調整のほかに、外国でやりますとこれまた大変な厳しいものがあるわけでございまして、なかなか今のように一粒でも米を入れさせないとか、そういった感情的な物の言い方ではとても律し切れないものがあると思います。大変御苦労でございますけれども、また一層の御努力をお願いいたしたいと思うわけでございます。
 それから、ウルグアイ・ラウンドの農業交渉では市場アクセス、それから輸出補助金といった国境措置の問題とあわせまして、国内農業支持の削減も重要な課題となっておるというように聞いております。
 このための交渉上の手段として、総合的計量手段、AMSでございますか、これを用いることが我が国を含めて各国から提案されておるというように聞いておりますが、総合的な計量手段の考え方はOECDが開発いたしました生産者補助金相当額、PSEと言うんだそうでございますが、その考え方に基づいておるものと聞いております。このPSEにおきましては、価格支持や不足払いの補助金といったようなものまでが含まれるということであります。これらの各種補助金が、一定の経過期間があるとはいえ、最終的に大幅な削減ないし廃止に至る場合には、我が国の農業の置かれておる厳しい状況から見まして、その与える影響は極めて重大なものがあると考えるところであります。
 先般のOECDの担当委員会の報告を見ますと、農業政策に伴うコストということで、財政負担が一九八九年でEC十二カ国で四百四十一億ドル、USA四百六十三億ドル、日本はこれに比べまして百五十六億ドルということでございますが、消費者負担でございますが、これはECが五百四十一億ドルに対しまして日本が五百二十四億ドル、USAは二百十六億ドルというようなことになっております。
 この算出の仕方、いろいろ非常に問題があらうかと思いますが、私は基本的には、もちろん日本の農業の生産性は、この国際化社会の中で産業として自立していくためにはそれなりの生産性の向上というものも図らなければならないというように考えておりますが、ただ、農業はほかの近代的な合理化が可能な産業と違いまして、土地条件、自然条件あるいは社会、労働条件、そういったものに非常に左右されます。経済合理性だけでは律し切れないものがある。その中で、何としてでも日本の農業、農村を守っていかなければならない、そういう非常に難しい問題があるというように理解をしておるわけでございますが、こういった国内の農業支持問題につきましていかに対応していくかについて、農林水産省にお尋ねをいたしたいと思います。
#31
○政府委員(川合淳二君) 今回のガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉の背景と申しますか、それは世界的な農産物の八〇年代におきます構造的な過剰がございます。これを受けまして、輸出各国が補助金つきの輸出の増大を図った、輸出競争が非常に激化したということが一つございまして、こうした背景の中から今お話がございましたような幾つかの提案がなされておりまして、その中に国内農業支持の問題がございます。
 したがいまして、我が国の置かれた立場、先ほど来お話が出ておりますように、世界最大の純輸入国というような立場から考えますと、この問題の取り上げ方は輸出国とはかなり違ったものがあるのではないかというふうに考えております。したがいまして、我が国といたしましては、これまでもガットの場で、農業の有する多様な役割にかんがみまして、国内の各般の支持政策を一律に撤廃することには応じられないという考え方を主張してきているわけでございます。
 農業交渉におきましては、具体的にはこの国内支持政策につきまして、貿易への影響の度合いを尺度にして大別いたしまして許容されるべきもの、これは規律あるいはルールにかけないものと、ガット上一定のルールのもとに置くべきものというふうに分類することが今検討されている段階でございます。したがいまして、こうした中で我が国といたしましては、先ほど申しましたような純輸入国、世界最大の純輸入国という立場を踏まえまして、このガット上一定の規律のもとに置くべき政策の範囲を限定的に定めるべきという立場をとっておりまして、今後の交渉におきましても、今まで申し上げましたような我が国の立場を踏まえまして我々の考え方が反映されるように努力してまいりたいと考えております。
#32
○合馬敬君 次に、漁業問題についてお伺いいたしたいと思います。
 西日本の水域におきましては、かねてから韓国それから中国の漁船が多数操業をしておるわけでございますが、特に福岡県の仲ノ島の周辺水域におきましては、韓国の底びき網漁船によります我が国の沖合底びき網漁業禁止水域内の操業、それから我が国イカ釣り漁船に対します操業妨害、こういったようなもので我が国の沿岸漁業者との間に種々の摩擦が生じておるところでございます。さらに、本年の春先におきましては、中国漁船が悪天候で緊急避難をした。そのときになかなか退去せずに、漁船や漁具等、そういったようなものにも被害を与えた、そういったようなこともあるわけでございますが、政府におきましては、その都度指導、取り締まりの強化の申し入れ、大変な努力を鋭意されておるというように存じておりますが、このように日中韓の漁船が入り会って操業しております水域につきましては、長期的な見地から、より安定的な漁業関係が樹立するように関係機関あるいは相手国に対しましても緊密な交渉、協議が行われますように、そういったことを希望したいと思いますが、これにつきましての農林水産省の御見解はいかがでございましょうか。
#33
○政府委員(京谷昭夫君) ただいま御指摘ございましたように、西日本の水域におきまして最近韓国、中国の漁船の操業が活発化をいたしまして、沿岸漁業者との間でいろいろ問題が生じておるということを私どもよく承知しております。
 御承知のとおり、韓国、中国及び日本の間では今日一般的に定着をしておりますいわゆる二百海里体制をしいておりませんで、従来からの歴史的経過等もございまして、それぞれ韓国、中国との間で漁業協定を結んで現在の操業規制をする建前になっておるわけでございます。特にまた、韓国との間ではこの協定を補完する意味で操業の自主規制のための合意を行いまして、これを誠実に実行していくという約束で現状を律しておるわけでございますが、御指摘のような摩擦が生じておりまして、その都度我々先方に注意喚起をすると同時に、我が方の監督指導も強化をしておるわけでございます。長期的に見て、日本と中国、韓国との間の漁業関係につきましては、お互いに共通の水域を対象にして漁業を展開しておるというふうな問題がございまして、やはりより安定した漁業関係というものを確立する必要があるということで私どもも検討しておりますけれども、相手のあることでございます。
 現状におきましては、現行の協定のもとでお互いに意思疎通を図って適正な操業を確保するということに最大限努力していくつもりでございますが、長期的な課題としては御指摘のとおり、いかなる形でそういった安定した適正な相互入り会い漁業関係というものをつくっていくかということについて我々自身よく検討し、また相手側の意向も踏まえて必要な交渉を行っていきたい、このように考えておる次第でございます。
#34
○合馬敬君 その点につきまして、またよろしくお願いを申し上げたいと思います。最近そういったような領海侵犯と申しますか、不法操業をたびたび惹起しておりまして、特にせっかく開発いたしました沿岸漁場等が荒らされるといったようなことも起こり、場合によっては漁船、漁具の被害も起こる、そういったようなことでございますが、先ほど水産庁長官が申されましたように何分外国相手のことでございまして、なかなかそういった面での被害補償、こういったようなものも非常に難しい状況にあるとは思います。私もソ連に駐在しましたときに、ソ連漁船が日本沿岸で操業いたしておりまして日本の漁船に与えた被害についての交渉、大変な労力と時間がかかったわけでございますが、それにつきましても、困難ではございましょうけれども、また御検討をお願いいたしたいと思う次第でございます。
 次に、地方振興、公共投資の関係について簡単にお尋ねいたしたいと思います。
 四全総の問題でございますが、特に四全総の理念に掲げられました国土の均衡ある発展、多極分散型国土の形成という非常に立派な概念が掲げられておるわけでございますが、その進捗状況ということを見ますと、国際化、情報化社会の中で特に首都圏、さらには関西、中京、こういったような大都市圏に情報、産業、文化、教育すべてのものが集中していく、これは非常に避けがたい面があるわけでございますけれども、私はこういった首都圏に加えまして少なくとも北の北海道、そして西日本は九州、こういったところに三大都市圏に匹敵する機能を持つ経済圏をつくる必要があるんじゃないか、そういうように考えております。これを核としますとさらに国土の均衡ある発展が図られる、こういうことでございますが、四全総で九州の位置づけというのをどのように考えておられるのか。
 そして、九州では特に最近福岡県といったものを、九州の中心のみならず、西日本の中心のみならず、中国、朝鮮半島あるいは東南アジアの窓口として情報、産業、文化あるいは政治、行政、こういったようなものの中心に持っていきたい、こういうように位置づけまして、福岡、北九州の政令指定都市を中心とした福北経済圏、こういった構想で地元でもそのための検討が進んでおるわけでございますが、そういったものについての総合的な戦略というものをひとつお示しをお願いしたいと思います。また、これを整備していきますには公共投資、特に高速・高規格道路の整備、こういったものを中心としました総合的な産業、生活基盤の整備、こういったものをぜひ集中して格段の配慮をお願いいたしたいと思いますが、これにつきましての考え方をお伺いいたしたいと思います。
#35
○政府委員(長瀬要石君) お答えいたします。
 ただいま先生から御指摘がございますように、東京一極集中を是正し多極分散型の国土を形成する、これは国土政策の大変重要な課題だと認識をいたしております。この場合におきまして、ただいま先生から御指摘がございましたように、札幌、福岡等の地方の中枢都市あるいは県庁所在都市を初めといたします地方の中核都市につきまして、地域の発展を主導いたします広域的な圏域の拠点といたしまして、研究開発でありますとか、あるいは国際交流等のいわば全国レベルの高次都市機能の集積強化を図るということが大変重要だと考えておりまして、そのような意味合いにおきまして地方の中枢中核都市、これを軸といたしまして広域的な活性化の拠点を形成していくということが重要だと考えております。
 そのような中におきまして、四全総における九州の位置づけと、こういうお尋ねでございますが、九州につきましては、御高承のように、相当程度の産業の集積やあるいは都市の集積を有しておりまして、近年九州の各県各地域におきまして創意工夫を生かしたさまざまな地域づくりに積極的に取り組んでいるという状況でございますし、また、先端産業の立地、この展開も進んでいるわけでありまして、今後発展の可能性が高い地域であると認識をいたしております。このために高規格幹線道路等の基盤整備でありますとか、あるいは特色ある産業・技術拠点の形成でありますとか、さらにはアジア等との国際交流の拠点、そういった点を踏まえましてこのための整備を図っていくということが重要でありまして、四全総におきましては地域活性化のための基盤整備等を重点的に推進していく必要がある地域であると、このように記述をいたしているところでございます。
 そういう中で公共投資、こういう点でございまして、公共投資に関しましても、先ほど申し上げましたように、多極分散型国土の形成、このような観点からいたしますと、地方におきます研究開発の拠点でありますとか、あるいは新しい産業の育成、さらには交通、情報通信体系の整備、こういうことが重要でありまして、これらの地域の戦略的な施策を支援いたしますために、公共投資の地方圏への適切な配分に今日までも努めてきたところでございますが、今後とも多極分散型国土の構築を促進いたしますために、公共投資の地方圏への適切な配分を確保することが重要だと考えておりまして、このような点に配慮しながら国土基盤の整備を推進してまいりたい、このように考えております。
#36
○合馬敬君 いろいろな努力がされておるようでございますが、私は、東京といいますか、首都圏の一極集中構造というのはこれからもますます強まる、強まりこそすれ弱まることはないというように思っております。東京は非常に住みにくい、一生働いても家が買えない、こういうことを言っておりますけれども、何といってもそれを上回ります都市の利便といいますか魅力、何よりも雇用の場があるわけでございます。皮肉を言うわけではございませんが、これから実施しようとします土地対策なりあるいは通勤交通対策なりでさらに改善されれば、ますます東京は住みやすくなる、東京に出ていきたい、こういう人もますますふえてくるんじゃないかというように思うわけでございます。
 それに、首都圏しか知らない、東京しか知らないといった子供たちもどんどん成人してきておりまして、人口の再生産も首都圏で行われておる。そういった人たちは今度は地方への就職というものも田舎はいやだというように考える、そういった傾向も出てきております。大規模プロジェクトも、いろいろなプロジェクトを見ましても、東京湾横断道路だとかリニア新幹線だとか、あるいはみなとみらい21だとか、目を見張るような大規模なプロジェクトは首都圏に、民活が主体ではありましょうけれども、集中をしておるわけでございまして、やはりここは何とか政府の力で人為的に東京首都圏への一極集中防止といったような対策を実施していく必要があるんじゃなかろうかというように考えられるわけでございます。
 その中で一つ、首都機能の移転と申しますか、その一環として政府関係機関の地方への移動というものが行われておるわけでございますが、その中でなかなか進捗状況は芳しくないようでございますけれども、今後の見通しはどうなっておるのかにつきましてもお答え願いたいと思います。
 それにつけ加えまして、私は首都機能の移転といったものはやはり真剣に考えるべきじゃないかと思っております。移転には遷都だとか分都だとか展都だとかいろいろな形態があるようでございますけれども、これまでも、昭和五十二年決定の三全総で「首都機能の移転問題」、あるいは六十二年の四全総で「一極集中の是正と各地域の役割」とかそういった中で検討され、そしてさらに国土庁長官の私的懇談会、首都機能移転問題に関する懇談会といったようなところでも検討が行われているようでございますけれども、その方向について、お答えできる範囲内で結構でございますからお願いいたします。
 私ははっきり申しまして、ある程度具体的にこの問題につきましてはやるならやるとアプリオリに決定して、それからその対策をどうするかといったようなことをしなければ、事は前には進まないんじゃないかというように考えるわけでございますが、御回答をお願いいたします。
#37
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 今先生の御指摘のとおりでございまして、一極集中は大変な問題というようなことがございまして、実は首都機能の移転問題につきましては、先生御存じのとおりでございますが、国民生活上非常に大きな影響を及ぼすので国土政策の観点のみでは決定できない面がありますというようなことでございまして、東京一極集中是正への基本的対応としまして、それからまた土地対策としても重要である、こんなことでございまして、実は第四次全国総合開発計画においても、「国民的規模での議論を踏まえ、引き続き検討する」ことにしているところでございまして、国土庁といたしましても各界各層の御意見を聞きたい、こんなことで、本年一月より首都機能移転問題に関する懇談会を現在までに二回開催しまして、国土政策の観点から首都機能の移転問題について幅広い分野の方々に議論をしていただいているわけでございます。現在のところ、国土庁で約二年ぐらいを目途にこの議論の答えを出していただく、その後総理の諮問機関で約二、三年検討願うというようなことで、数年先には方向づけしたい、こんなことで議論しております。
 また、中央行政機関の移転につきましては、これは七十九機関、十一部隊ございますが、実は私が国土庁に参りましてから、率直に言って期限がはっきりしていなかったので、おむね五年以内に移転を完了するというようなことで各閣僚にお願いして移転推進を図っているところでございます。
#38
○合馬敬君 どうもありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。
 それから建設大臣にお伺いいたしたいのでありますけれども、公共事業の重要性は二十一世紀に向けて大変重要なものがあるわけでございますけれども、先進諸国の中で際立っておくれておるというように聞いております。そういうふうな中で、特に、例えば下水道とかそういったものも四〇%から七〇%にするとかいろいろあるわけでございますが、それはそれで大事な問題でございますけれども、私は、この新規の投資とともにメンテナンスと申しますか、維持管理の話が非常に大きな問題になっておるんじゃないかと思うわけでございます。戦後膨大な公共投資が行われてきたわけでございますが、これが更新期にだんだん入ってきておるんじゃないか。
 いろいろお伺いいたしますと、道路でも橋でもトンネルでもそこここでひび割れとかいろんな心配もあるというようなことも聞いておりますし、これは維持管理に膨大な費用が要るんじゃないか。確かに社会資本の整備というのも大事でございますけれども、こういった点については決して忘却をしてはならない。災害対策等の関係もございますので、ぜひこの点についての現状及び今後の対策についてお聞かせをお願いいたしたいと思います。
#39
○国務大臣(綿貫民輔君) 公共事業費の中の維持更新費というようなものについていろいろお尋ねでございますが、今お尋ねのございました例えば下水道にいたしましても、日本の国は非常にアンバランスになっておりまして、二千余にわたる市町村ではいまだに下水道の未着手ということがあるにもかかわらず、我が国では大都市圏を中心に既に五十年前から下水道が普及いたしておりまして、例えば下水道の処理場等で五十年以上経過いたしましたものが十カ所、一一%ございます。また二十年から五十年を経過したものが三十四カ所、三八%。また管工事等につきましても五万八千キロのうちで既に二十年から五十年経過したものが二〇%、一万キロ以上ございます。また五十年以上経過したものは三千キロメートル以上というようなこと等々を考えましても、これらは既に更新期に入っておるということも言えるわけでございまして、この社会資本整備の中で維持更新ということは極めて重要な問題だと認識いたしております。
 特に昭和六十一年に建設省が定めた「国土建設の長期構想」におきましても、今後この問題について非常に重要であるということを指摘いたしておりまして、例えば現在公共投資全体の中で維持更新費は二三%ということになっておりますが、もしもこれが公共事業が伸びないということになりますと、二十年後には逆に維持更新費が七二%、新しい公共事業が二八%ということになるだろうというような想定もいたしております。
 また、一九七〇年代のアメリカにおきまして、公共投資を抑制したために維持補修が十分に行われなくて、公共施設が荒廃して社会全体にも非常な悪影響が及ぼされたということも言われておるわけでございまして、今後とも社会資本整備の着実な拡大といいましょうか、そういう中でこの問題についても十分対応していきたいというふうに考えております。
#40
○合馬敬君 ありがとうございました。
 それからもうあと一点だけ。公共事業において用地確保というのはこれから公共事業を進める上に非常に大事な問題であろうかと思いますが、特に高速道路等におきましても用地確保の問題は大変大きなボトルネックになると聞いております。地価の高騰、国民の権利意識、非常に問題があるわけでございますが、公共事業の推進のためにこの取得方法について一段と工夫を凝らす必要があるんじゃないかと考えておりますが、その点につきましてよろしくお願いいたします。
#41
○政府委員(望月薫雄君) お話のとおり、これからの公共事業を進める上で用地の取得というものが大変に重要であると私ども厳しく痛いほど認識しております。現在、もう言うまでもありませんけれども、公共用地の取得のためには、言うなれば国庫債務負担行為を活用いたしました先行取得、これを大いに使わせていただこうとか、あるいはまた個々の地権者との関係では生活再建対策の充実などに努めているわけでございますが、率直に言いまして、最近、私ども建設省直轄の事業につきましてもいわゆる用地ストック、保有分が年々減少傾向にあります。そういった意味で私ども用地の問題というのは真剣に受けとめなきゃならぬということで、とりわけ一昨年以来例の土地収用事務をしっかりと活用していただきたい、合理的に使っていこうということで関係公共団体あるいは事業者等にも指導、協力を要請しているところでございます。
 こういった中でできるだけの努力をさせていただいておりますが、今お話しのように特に都市部等におきましてはこういったものに加えて新たな発想も大事であるというふうな認識を持っておりまして、とりわけ土地区画整理事業手法を使いまして道路用地と沿道の整備を一体的にやろうということも具体的に進めさせていただいております。また、あわせて先般の国会等でお認めいただきました道路と建築物の一体整備、こういった法律制度を活用しての事業の推進、さらにまた今後の課題としましては地下の有効利用、こういった多面的な政策努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
#42
○合馬敬君 最後に、日米構造協議で焦点になりました大店法について簡単にお聞きいたしたいと思います。
 大店法につきましては、日米貿易収支のインバラ解消といったような大前提から、いよいよSIIでは双方の経済、産業の仕組みにまで踏み込んでくる、黒船来襲だ、農産物の自由化と並んで国難来る、こういう大変なあれを呼んだわけでございますが、その中でアメリカが大店法につきまして即時廃止、こういう強い要求を突きつけてきたのを、厳しい交渉の結果、今回の運用の改善そして次期通常国会におきます法改正の提出それから法改正二年後の見通し、こういう方向に持っていきました御努力に対しましては大変多とするわけでございます。最終報告は六月末ということでございますが、その間対応は変わることはないのか、現在の検討状況についてお知らせを願いたいと思うわけでございます。
 特にまず、こういった改正が行われますと、新潟市ではアメリカのトイザラスというおもちゃ専門店が出店をする、こういうことで注目を集めておるわけでございますが、特に外国資本だけではなくて、国内の大手流通資本もこれを契機に大いに進出をしてくるのじゃないか。そういう進出状況についても、わかっておる範囲内で結構でございますがお知らせを願いたいと思います。
 特にトイザラスにつきましては、中の売場面積だとかあるいはセルフサービスだとか、そういったバックルームなしの在庫なしの仕入れ商品直接販売だとかメーカー直接仕入れだとか、そういったような新流通方式で非常に日本の流通業界にも影響を与えると思いますけれども、これに触発された国内大型店の進出といったものもありますので、そこら辺についてももしわかりましたら簡単に御報告願いたいと思います。
#43
○政府委員(山本貞一君) 最初に、日米構造協議の最終報告に向けての見通しなりという御質問でございますが、中間報告で先ほど委員御指摘のような方向を出しまして、その中間報告を出された直後にアメリカ側がそれに対して出しましたコメントでも、こういう措置について歓迎する、もちろん今後を見守るということでございますが、基本的には中間報告の方向を評価しておりまして、私どもとしては最終報告に向けても中間報告の基本的な線でいける、大幅なというかその他の追加的なことはないものと私どもは考えております。
 それから新潟市に出店を計画しておりますトイザラスの件に関係した御質問でございますが、確かにトイザラスはアメリカであるいは各国で大規模なチェーン店を展開しておりまして、コストを下げて安い値段で供給するという戦略をとっております。日本でも相当な数の出店を計画しておるというふうに私どもも報道等で存じておるわけでございますが、今新潟では地元との調整が四月から始まったところでございますので、今後どういう動きになるのか明確ではございません。
 ただ、日本の既存の玩具商でも相当やはり、単に値段じゃなくて売り方あるいは相対による説明とかいろんな意味での消費者に合ったような対応、あるいはそれに対する努力もしていただきまして、新潟の案件でも地元での御努力もなされるように伺っております。今後いろんな調整の過程でまた検討が進むものと存じ上げるわけでございます。
 それからアメリカ等を中心にいたします流通資本の日本への進出でございますが、実は従来アメリカの流通資本が日本に進出するという話も内々というか、交渉段階というか前段階ではあったようにも聞いておりますけれども、大幅というか大規模なものはまだございませんで、トイザラスが今計画が進行中でございますが、それ以外では比較的小さな、例えば婦人服とかあるいは自動車の部品の関係とかで日本の流通資本と組んでいると申しますか、協力をして比較的小規模な店を出す、もちろんそれも幾つか全国へ出す、そういうような計画がございますが、今後とも大規模な流通資本が進出するというのは、日米の流通資本の利益率の差からいってもそう大きなものは想定できないんじゃないかなと思っております。
 一方、日本の流通資本の進出でございますが、これは景気にも大変左右されるわけでございます。私ども最近の出店届け出状況を見まして、確かにこの好況も反映いたしまして、かつ運用適正化措置の実施ということも背景にあると思いますが、最近ちょっと増加の傾向にはございます。ただ、大企業の方も、流通大手資本の方も、あるいは資金繰りあるいは従業員を集めなきゃいけないという問題あるいは需要の想定等を考えておりまして、かなり具体的にはというか、現実には相当慎重な出店計画が今練られておるというふうに想定をしておるわけでございます。
#44
○合馬敬君 終わります。ありがとうございました。
#45
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で合馬敬君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#46
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、常松克安君の一般質疑を行います。常松君。
#47
○常松克安君 冒頭からではございまするが、尼崎に続きましてまたまことに不幸な事件が起きました。板橋区における第一化成工場爆発事故に対しまして、人命を失うまことに痛ましい結果となり、死傷者並びに御家族に対し衷心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 なお、急ではございましょうが、事故の概況と現在までの調査結果を報告していただきたい。
#48
○政府委員(木村仁君) 大変恐れ入りますが、この質問の時間が二十五分ほど早くなりまして、私急いで駆けつけてまいりましたので、その関係の資料を部屋に置き忘れてまいりました。できますれば、他の質問の後にお願いできますれば大変ありがとうございますが。正確なお答えをいたしたいと存じますので。
#49
○常松克安君 まことに残念なお話でありますが、聞くところによりますと過去三回にわたって爆発事故が起きておる。そして警告まで出されている。そして、この事故はけさ起きたんじゃないんです。二十六日です。それはそれなりにお答えがあろうかと存じます、消防庁長官。
#50
○政府委員(木村仁君) 土曜日の午前十時四十一分ごろ志村橋の近くの化学工場で過酸化ベンゾイルの爆発事故が起こりました。火災そのものは十四時十七分ごろ鎮圧されておりますが、残念なことに八人の死傷者と十八名の負傷者が出まして、いずれもすべて従業員の方々でございます。近所の十数軒の家のガラス等が割れ、また非常に大きな音がいたしましたので、近所の住民の方も大変精神的にショックを受けられた、こういうことでございました。その後なお危険物の再火災の可能性がありましたので、昨日の午前中まではその後始末等を懸命にやっておりまして、昨日のお昼ごろから具体の調査に入ったと聞いております。
 過去、昭和五十年、昭和五十三年、さらにはことしの三月七日に爆発事故が起こっております。いずれも過酸化ベンゾイルという製品の爆発事故でありまして、その際は負傷者等は少のうございましたが、幾度も地元の消防署がこれに対して検査等を行い、そして三月七日には警告書を発しまして、その措置が十分とられて回答が来るまでは操業をしてはならない、こういうことを命令いたしました。pH測定器を備えたり必要な温度計を調製したりあるいは保安体制の再整備を図ったりしてその答弁をいたし、かつそれを消防署員が検査をいたしまして事業が再開になったと、こういうふうに聞いております。
 これまでのところの調査はまだ東京消防庁及び警視庁が行っておりますが、調査結果の詳細はまだ報告をいただいておりません。まだ十分明確でないと現時点では存じます。いずれにいたしましても、非常に不幸な大きな事故でございますので、私どもも十分東京消防庁と連絡をとって、その原因等の解明に努めてまいりたいと考えております。
 死傷者八名と申したそうでございますが、死者八名でございます。
#51
○常松克安君 後ほどまた詳しくいろいろな点からお伺いいたします。
 それでは本論に入りまして、私は救急医療体制の充実を一本にして、いろいろな角度から政策的に論議を提起したい、かように思いまして諸大臣に対して質問をいたします。
 まず一つ。御案内のとおり昭和三十九年四月一日法制化され実施され、当時二十四万の救急業務、今日に至りまして六十三年度二百五十四万七千七百件、十倍以上になんなんとするその業務が急増いたしております。中では五十三年度にはたらい回し事件だとか、あるいはまた交通事故センター、いろいろ社会状況の対応の変化によりまして死傷者あるいはそういう方々が増大しております。五十三年から六十三年を比べますと三六%の増であります。また応急処置に至りましては、五十三年から比べまして七五%の増と相なっておるような次第でございます。
 しかし、この件にありまして、私、今日まで現場にこそ知恵ありといたしまして、全国のいろいろの第一線の医療関係者あるいは救急隊員の方々等とも接することをいただき、助かるはずの命にあすがもはや待てない、こういうふうな感をしみじみと深くいたして、現場第一の声を基準にして質問を皆さんに提示したい、かように考えております。
 まずそのためには、六十三年度の消防出動と救急出動及び平成元年度の東消――これより東京消防庁を東消と呼びます。東消と大阪消防局、同じようにあわせまして列挙していただく、六十三年度の実績。平成元年度はまだ出ていないようであります。各署、全国は出ておるんですけれども、消防庁はまだ出ていない。仕方ない。六十三年度の救急出動の実績とその応急処置の内容を分析したものを御提示願いたい、かように思います。
#52
○政府委員(木村仁君) 出場件数につきましては、全国の資料は昭和六十三年の数字でございます。御指摘のとおりでございます。総計二百五十四万七千七百件の出動になっております。東京消防庁につきましては、平成元年の数字を調べてまいりましたが三十七万八千二百五件、大阪市消防局におきましては、平成元年で十万六千五百五十一件でございます。搬送人員はこれと少し違うわけでございますが、全国の六十三年の数字は二百四十六万八千二百三十九人、東京消防庁は平成元年の数字で三十五万五千六百五十四人、それから大阪市消防局は九万七千五百三十八人、平成元年でございます。そういった数字になっております。それでよろしゅうございますか。
#53
○常松克安君 答弁漏れ。大事なことが抜けています。
#54
○政府委員(木村仁君) 恐れ入りました。
 搬送時間の問題でございますが……
#55
○常松克安君 聞きもせぬことを教えてもらわぬでも結構です。
#56
○政府委員(木村仁君) 応急手当でございましょうか。大変失礼いたしましたが、質問の後半を……
#57
○常松克安君 また手を挙げて言わなきゃいかぬですか。
 六十三年度の実績を踏まえて、救急処置の内容分析を説明されたいと申し上げておる。
#58
○政府委員(木村仁君) 失礼いたしました。
 恐らく御質問は搬送中の応急手当によってどういう救命の状態になっているかということであろうと存じますが、全国的には搬送中の応急処置によってどのような結果が生まれたかということは従来統計がございませんでした。
 そこで、取り急ぎ平成二年一月十日から平成二年二月九日までの全国の数字をとってみたわけでございますが、その結果は、搬送中に心肺蘇生処置をいたしました患者さんが一週間後に病院で生きておられた生存率が六・八%でございます。これに対しまして、東京消防庁では昭和六十三年一年分の数字を持っておりますが、その対応する心肺蘇生処置対象者の一週間後の生存率は七・二%でございます。こういうことから考えますと、おおむね救急車が着いた時点でDOAと申しますか、心肺が停止していた状態あるいは停止寸前にたっていた状態の方々について応急処置を、心肺蘇生をいたしまして病院でお医者さんに引き渡し、それが一週間後に生きておられた生存率は全国的に見て六ないし七%ではないかと、こういうふうに私どもは考えております。
 これに対しては、それは低いのではないかというお考えがあろうかと思いますが、それは応救手当ての内容が第一次応急処置を中心とするものが現行の制度になっているためにそういった低い蘇生率になっているのではないか、生存率になっていはしないかと考えております。
#59
○常松克安君 申しわけございませんが、問うていることにきちっとかみ合っていかないとこれは進んでいきませんので、大臣の方がもう冷や冷やしていらっしゃいます、はたで見ておりましても。
 私の申したいのは、四半世紀になって今日対応する変化によって救急行政が大きな曲がり角に一つは来ているんじゃなかろうか。そうしますと、出動件数、搬送人員、搬送人員の中において五〇%が急病として運ばれている。あとの二三%は交通事故、今社会問題で運ばれている。その急病の中でも、じゃもう一度お聞きします。その中において、高齢化あるいは在宅ケア、今申されましたDOA患者、こういうふうな内容についてはどのように把握していらっしゃいますか、お伺いします。
#60
○政府委員(木村仁君) 在宅ケアを受けている患者さんで急病になった方がどれくらいいらっしゃるか、それからDOAの状態であったというような方がどれくらいいらっしゃるか、残念ながらその正確な数字は現在持ち合わせておりません。
#61
○常松克安君 厚生省、どうでしょうか。
#62
○政府委員(仲村英一君) お尋ねのような趣旨での統計は持ち合わせておりません。
#63
○常松克安君 じゃ、いつどこででも最高の医療が私たちは受けられるんだという国民の健康、そして生きるか死ぬか、運ばれる、その実態がつかまれてないほど人の命に対する厚生省の感覚はないんですか、ないというのは。
#64
○政府委員(仲村英一君) 救急の搬送された患者さんのうちの約半分の方が急病で、交通事故が二三%というふうな一般的な数字を持っておるわけでございますし、そのほかの個別的な症例的なデータはございますけれども、全国的に救急患者だけに着目した、今おっしゃったような統計数字は残念ながら持ち合わせておらないということで申し上げたわけでございます。
#65
○常松克安君 もう一度機会を与えて消防庁に聞きます。
 データはあるはずなんです。慌てず読んでください。
#66
○政府委員(木村仁君) お尋ねの在宅ケアを行っている老人の急病の方というのはわかっていないのでございますが、六十五歳以上の方々の搬送いたしました数字は、昭和六十三年で五十六万九千七百十人、総人員が二百四十六万八千二百三十九名でございますので、比率でまいりますと一一・二%、六十三年でそういうことになっております。
#67
○常松克安君 これは昼からにも質問がまたがりますから、ゆっくり冷静にまたどんな答えでも後ほどできるように調査してください。
 それでは、時間がありませんから先へ進んでいきます。
 こちらのお訴えいたしたいのは、満六十五歳以上の方が過去五年、毎年毎年急病として十万人ずつふえているんです。一つ。それから在宅ケア、これは厚生省のやはり医療体制のあり方としまして在宅ケア、いろいろの手術を受けて家で治療を受ける、治療中である、こういう方々。具体的に申し上げます。八十八歳の女性の方、豆腐をのどへ詰めて即死した。私は豆腐には角が立たぬと思いましたけれども、豆腐ででも即死をする。現場は奇なものがある。いろんな状態で在宅ケアという問題はこれはおろそかにできない。こういう方々が、合併症で、急病、死病、重症、こういうふうなものと非常につながっている。昼から消防庁に聞きます。きちっとしておいてくださいよ。
 今一つ大事なのは、DOA、心臓がとまって肺活がとまってそうして死というふうに間近に迫ってくる。DOA患者、レベル三百とか二百とか専門的におっしゃっているようでございまするが、そういうふうな人たち、即ち心臓を傷めてしまう。搬送人員の中の症病例の数値の中に四十代、五十代が急激にふえてきているということです。例えて申しますと、東消におきましては五十三年度一万五千が今日は、六十三年度の実績をひもといて一万七千百。これは二千と思われますが、この病というのは、心不全が非常に怖い。こういうふうなものが出ております。そういう方々の救命率というのは一・七%。一たん倒れて病院へ行って治療を受けても、救命率、一週間以内に生きている人、これが一・七、百人そういう病に倒れたならば一・七人しか助かっていないというこの現状、指摘があるわけです。これに対して厚生省はどう思われますか、特に心臓疾患の場合。
#68
○政府委員(仲村英一君) 東京消防庁の救急隊員が心肺蘇生処置をしながら搬入した患者さんのうち、心疾患、心臓の病気での社会復帰率は一・七%ということでございます。実際の数字で申し上げますと百十六人、これは六十三年の十月から十二月までのデータでございまして、百十六人中軽快退院された方が一・七%という数字でございます。その百十六人のうち不幸にして亡くなられた方が六七%、七十八人という数字を把握しております。
#69
○常松克安君 人の命なんです。じゃ、この一・七%という数字はどういうふうな医学的な調査、結論から出てきたか、説明してください。
#70
○政府委員(仲村英一君) ただいまお答えさせていただきましたものは東京消防庁のデータでございますが、そのほかに私どもが把握しておりますデータによりますれば、事例的に申し上げさせていただきますと、例えば西宮市の場合には治癒退院率が三・一%でございますとか、大阪のデータでは二ないし三%、あるいは川崎医大、岡山でございますけれども一・七%ということでございまして、心臓疾患だけにもし着目いたしますれば、いろいろの対策によってその率をもう少し高められる可能性はあるのではないかというふうな考えを持っております。
#71
○常松克安君 じゃ詳しく。――そっちが答えることですよ、これは。
 東京におきまして、そんな消防庁が素人がそういう人体に関することの結論を出すことがあっていいのかという御批判の専門家の意があったので、正式に日本医大、東邦大、杏林大、女子医大、山本助教授、上嶋先生、島崎教授、それから鈴木助教授、これらの先生方が、倒れた現場へ行った、CPRをやらないかぬ。すぐさまハートメート、小型心電図、これをつけて搬送する。受ける病院は、DOA、すぐ処置をする。しかしだめだった。一・七人しか助からない。よって、そのまとめが大事なんです。そのプレホスピタルケア、治療に十二分なる最高の医学があるんですから、それに対してその搬送中にとまった心臓を除細動、電気ショックを与えるならば三〇%は救命率があるとはっきりここに報告書があるんです、医学的な。それを言わなきゃならぬじゃないですか、厚生省は。もう一度答えてください。
#72
○政府委員(仲村英一君) 今のおっしゃった事例は、ハートメイトで心電図を記録できた症例についてのお話だと理解させていただきますが、それによりますと、電気的除細動を適用される方が可能な、適用すべき方が三〇%ぐらいあったというふうなデータを御指摘になったのだと思います。
 したがって、先ほど申し上げましたように、心臓疾患だけに関してあるデータでございますけれども、一・七%の社会復帰率というのは低いのではないかということにつきましては、今後この際予後がどのようになるかということをもっと分析していただくという必要性があると思いますが、先ほど申し上げましたように、搬送途中に何らかの処置ができるということがもし周辺の状況が整えてできた場合には、その社会復帰率が上がるという可能性は否定できないというふうに私どもは考えております。
#73
○常松克安君 じゃ、あと一問でちょっと昼に入りますので、その点御了解ください。
 救急医療体制の充実強化については、今日ほど世論の盛り上がりを見たときはない。それもやはり医療行政、救助行政の谷間のボーダーにある。これじゃだめだ。そして報道関係の皆さん、全力を挙げてこの世論づくりに協力していただきました。重大な意義があると思うんです。五大各紙には社説に出ました。テレビ報道にはどんどん出ました。ちょうどこれはアメリカでパラメディックという制度ができ上がった社会条件、何となくそれはよく似たような経過でございます。交通事故死五万人、そしてアメリカの医者は一九七三年、その前後におきまして、損ねた命を修理して治したいんだ、だから我々の最高の治せるような状態を考えるならば救急車で運ぶのを搬送だけじゃなく、そこにプレホスピタルケアというものがあってしかるべきだ、お医者さんの方から出た。そしてそれを世論はいろんな形で一年間に対してアメリカ国民にやらせた。今日本が置かれた立場もこれまた一つ、一緒であります。
 私は心臓疾患のことを多く言いました。働き盛りの四十代、五十代がばたばたばたばたと、助かるはずの命のその処置がなされない。行政サービスができなくして亡くされた後の御家族はどんな思いでこのことをうらまねばならないのかということを申し上げた。よって、私はこれら報道関係がいろんな立場を通しておっしゃったこと、一つは、外国では救命率、社会復帰率が高いのになぜ日本は低いのか。二番、なぜ外国で許されている救急処置が日本では許されないのか。三番、助かる話が助からない、これは人命軽視にほかならないではないかという我が国のこの救急行政に対する厳しい批判であり、不安を訴えられていたのではなかろうか。よって、これに対して政府はこの現状をどうとらえていらっしゃるのか、今度は大臣に答弁を求めます。
#74
○国務大臣(津島雄二君) 常松委員の救急医療についての大変な熱心なお取り組み、まず敬意を表させていただきたいと思います。
 私も厚生大臣に就任をいたしまして、当委員会はもとより、衆議院におきましても数次の御質問を受け、問題の重要性を痛感いたしております。そういうことの中から一つはっきりしてまいりましたのは、総合的な取り組みにおいて体制不備でございまして、例えば私自身が今の統計、委員がお聞きになった統計を実は事務当局に聞きましても、はっきり申しますとここでも答弁できないわけでございまして、しっかりした統計が不在でございました。その点は私自身反省の意味を込めて申し上げさせていただきますが、ただそこで御理解をいただきたいのは、救急医療全体が三つによって成り立っておることは御承知のとおりで、まず現場から病院へ入ってくるまでのプレホスピタルケアが第一であり、その次は救急医療、救急車で搬送する前、問題が起こったときに周囲の皆様方が何をするかという問題がもう一つ。そして今度は病院へ入ってからの医療、この三つのあれがあるわけでありますが、実は厚生省は病院にお入りになってからの体制をつくるのにこれまで、ちょうど昭和四十年代ごろに非常に問題を指摘されてから一生懸命やってまいりまして、それで一次、二次、三次という体制がおおむねでき上がったわけでございます。
 この点は恐らく委員も評価をしていただけると思うのでございますが、医療の現場に参りまして私が感じましたのは、いわゆる救急患者というのが、実は救急車でお入りになる方は全体のかなり少ない比率であるというのでびっくりしたのでございます。例えばこの問題が大きくなって、私は第二次医療機関をこの間視察いたしましたが、千床ある病院でございますが、一年に救急でおいでになる方は一万人を超えているわけですね。そういう一万人の方のうちの大部分が御自分で駆けつけてこられる。それは委員のおっしゃるように胸が苦しくなった、問題があるというんで駆けつけてこられる方が非常に多いということもわかりました。そういう意味で私は消防庁の立場は理解できるんですけれども、搬送手段だけから全体の数字を見るというのはやっぱり難しいなと、やっぱり厚生省の方で全体を見てやらなきゃいかぬなという認識を新たにいたしました。
 いろいろ申し上げさせていただきましたけれども、そこで我々としてもこの問題についてできるだけ早く思い切ったことをしなきゃいかぬというわけで、省内に検討会、救急医療体制検討会を設けまして、つい五月の二十一日に第四回の検討会を開きまして、そこで小委員会を新たに設置して御要望にこたえるように早く結論を出したいということを行いました。と同時に自治省の御協力も得まして、厚生省と自治省との間の連絡協議の場を五月二十五日に設けさせていただきまして、それで救急搬送等の関連、それから今御指摘の現場における救急治療のあり方についてできるだけ早くいい結論を出して実施に移したいというのが私の考え方でございます。
#75
○常松克安君 自治大臣お願いします。
#76
○国務大臣(奥田敬和君) 常松委員の人命救急第一という形の日ごろの御提案に沿うということで、先般、今厚生大臣からお話しありましたように、厚生省と協議機関を設けることに成功いたしました。これはもう委員の日ごろの御熱心な御提案が、常松御提案が実った一つの第一歩であると私は思っております。
 はっきり申しまして、救命率の低さは欧米先進国と比べて比較する数字もないくらいお粗末なのは先ほど御指摘になられたとおりです。私も委員との御討議の中でDOAとかあのプレホスピタルケアとかパラメディックとか難しい言葉を覚えたわけでありますけれども、確かに救急車の搬送途中に、厚生省も踏み切ってくれましたから、私は必ずいい成果が出ると思いますけれども、搬送中に本当に単に手でやるような人工呼吸をするとか、ろくに血圧もはかれないわ、電気ショックもやることも何か今のことでは非常に厳しい規制があるとか等々で、もうほかのところがとっくにやっていることが日本ではなかなか難しいということで、二百五十万人、それは搬送はたくさんしているかもしれないけれども、肝心なそういったプレホスピタルケアの点においては問題にならない。この点の具体策を今本当に早急に結論を出してほしいという形で、人命救急第一で、一・七%や二%という数字はもう恥ずかしい、何としてもこれを二〇%くらいのせめて欧米の水準にまで高める努力をしなきゃいかぬ。その制度的な欠陥ありとすればこれは一日も早くやってほしいということで今お願いして発足をしたということでございます。
 途中まだ何点かの御質問があったようですけれども、ちょっと興奮して忘れてしまいましたので、また午後の御質問で答えさせていただきます。
#77
○委員長(林田悠紀夫君) 常松克安君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開会
#78
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を再開いたします。
 平成二年度総予算三案を一括して議題といたします。
 休憩前に引き続き、常松克安君の質疑を行います。
 この際、消防庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。木村消防庁長官。
#79
○政府委員(木村仁君) 午前の御質問の中で御答弁が漏れました点、あるいは不完全でございました点について補足して答弁させていただきます。
 まず、工場爆発事件の件でございますが、過去の事故の概要でございますが、午前に答弁を申し上げましたように、昭和五十年九月六日に一度爆発しております。これは、過酸化ベンゾイルの付着した金属物に投げ捨てた金棒が当たってその衝撃で爆発したものでございます。過酸化ベンゾイルが若干焼失して、死傷者はございません。五十三年七月二十日に、貯蔵されていました過酸化ベンゾイルが太陽の直射日光に長時間当たって蓄熱発火いたしまして、約八十キロの過酸化ベンゾイルが焼失し、十二名の負傷者を出しております。本年三月七日の事故でございますが、これは精製した過酸化ベンゾイルと原料の苛性ソーダ残存物が反応して爆発し、約百キロの過酸化ベンゾイルが焼失し、工場外壁八平方メートル、窓ガラス二枚が焼失いたしまして、洗浄槽等が焼失いたしております。死傷者はございません。
 これに対しまして東京消防庁は直ちに検査をいたしまして、過酸化ベンゾイルを許可数量の範囲を超えて取り扱っていましたためにこの点について警告を発しますとともに、発災施設に対して事故防止のための例えば温度指示計の設置、水洗工程におけるpH指示計の導入等を行うとともに、未反応物の洗浄工程において水洗回数を増加する等の保安措置を徹底するように、さらにそれらの点について消防署の検査を受けその後に工場を使用する、そういうことで三月九日と三月十九日、四月三日にそれぞれ改善がされ、消防署に報告がされ、それを消防署が検査して使用再開に踏み切っております。
 今回の場合は、二十六日午後二時十七分に鎮火いたしておりますが、その後、その日のうちに東京消防庁は文書によりこの工場の一時使用停止を命じておりまして、再開は不明であります。現時点では、昨日昼以来、原因等の調査を行っておりますが、私どもに報告するほどの結果はまだ出ていないというふうに報告を受けている次第でございます。
 次に、救急問題につきまして私どもが持っております数字で御答弁が抜けましたものは、救急隊が搬送中に行った応急処置の割合でございまして、これも先生御指摘のように、昭和六十三年でございますが、全搬送者の五七・五%に当たる百四十一万九千百二十人に対して応急処置を行っております。応急処置は一人について幾つもいたしますので、その延べのトータル数は百九十九万一千百六十件の応急処置を行っております。そのうち最も重要なものを申し上げますと、人工呼吸、心マッサージ、酸素吸入、気道確保等が合計五十一万一千五百七件ございます。その中で一番大いのは酸素吸入の二十九万九千七百十六でございますが、人工呼吸も三万五千件余、心マッサージも四万四千件近くございます。
 それから、不正確な数字を申し上げて失礼いたしましたが、老人の搬送人員の増加の傾向でございますが、六十三年では五十六万九千七百十人、数字をちょっと間違えましたが、これは全体の搬送人員のうちの二三・一%でございます。昭和五十九年、五年前を見ますと四十二万六千八百七十四人でございますので、五年間で六十五歳以上の老人の搬送人員が約十四万三千人ふえておりまして、それが全体の老人の人口比率で見ますと、五十九年が三・五七%、六十三年が四・一五%でございますから、これも比重がふえている。それから、全搬送者中の老人の比率で申しますと、昭和五十九年は一九・六%でございます。それが六十三年に二三・一%になっているわけでございますから、この比重も年々ふえ続けているという結果になっております。
 以上、補足させていただきました。
#80
○常松克安君 午前中に引き続きまして質問をさせていただきます。
 先ほど厚生大臣の方から、非常に政策通、非常に人命に関するとうとい立場においての御発言、敬意を表するものであります。
 なお、私自身も救急医療の向上とはすなわちシステムであると。第一番目には、やっぱり通報時におけるCPRである。第二番目には、救急搬送中における今認められている低い応急処置。第三番目には、受け入れ医療機関の完備である。この三つがやはり一体となって、大臣のおっしゃる救急医療というのは全般のものを含んで成果を上げていかなきゃならぬ、これは全く同感でありまするが、その搬送中の救命率だ、普及率が低い、恥ずかしくもデータも少ない、こういうようにおっしゃいました。本日は、中でもこの問題をやはり討議していかなきゃならないと思います。
 その前に一つ、文部大臣にお越し願っておりますから、文部大臣、のっけからまことに失礼でございますが、大臣はCPRの経験はございましょうか。
#81
○国務大臣(保利耕輔君) 実は私、少し前に母親を亡くしましたときに大変お世話になった経験がございます。
#82
○常松克安君 やはりこれは学校教育の中へも入れていかなきゃいけない、中学、高校。例えば、茨城県では本年九月より知事と医師会全部が合意の上で中学、高校にまでこういうところは踏み込もうじゃないか、大事だと、こういうのがありますが、これより文部行政の中でこういう救急講座をどう取り込まれていくか、お答え願いたいと思います。
#83
○国務大臣(保利耕輔君) 先生御指摘のように、現在中学の段階で、「中学保健体育」として教科書の中で十八ページほど割きまして子供たちに救急医療の重要さを教えております。
 ちょっとお時間をいただきまして御紹介をさせていただきたいと存じますが、「応急処置はなぜ必要か」という項目が書いてございます。
  急にけが人や病人がでたとき、そこに医師がいあわせなかったり、医師にみてもらうまでに時間がかかりそうなときには、さしあたっての手あてが必要になる。
  このように、医師の治療をうけるまでの間で、その場にいあわせた人が、状態を悪化させないためにおこなう一時的・臨時的な手あてを応急処置という。
  応急処置が適切におこなわれれば、患者の苦痛をやわらげたり、不安をとりのぞくことができる。また、治療をうけるまでの間に状態が悪化するのを防ぐことができるので、回復をはやめることにもつながる。そのまま放置しておけば生命にかかわるような場合でも、適切な処置によって生命をとりとめた例もある。
というような形で最初の章が起きておりまして、その後に、どのような順序でこの応急処置をすればいいかというようなことが書いてあります。これは絵も入っておりますが、傷害や急病人が発生をしたときに、まず安全な場所であるかどうかを確かめなさい。そしてすぐに一一九番に連絡をしなさい。あるいは安全な場所へ移すことをしなさい。その次に意識はあるかないかを確かめなさい。ない場合にはすぐに気道確保の体位、つまり呼吸ができるようにしてやってください。あるいは意識があるときは傷病者が楽な姿勢にして、出血や外傷があるかどうかを調べて、あるときには止血や包帯をしなさいとか、あるいは呼吸をしていないときには人工呼吸をやりなさいとかというようなことが詳しく書いてございます。一生懸命取り組んでおりますが、先生の御指摘もございます、十分に気をつけてこれからも取り組んでまいりたいと、このように思っております。
 また、高等学校段階におきましては、新学習指導要領の中に、保健体育において心肺蘇生法などの応急処置の意義と方法等について同様な指導をすることといたしております。
#84
○常松克安君 先ほど申し上げましたように、救急隊における応急処置というのは初歩的なものに限られておりますが、もう少しこれを拡大していくことによって救命率を上げる。経済成長一%にはもう全力を挙げますけれども、これはまた経済とは別な角度の話。しかし人の命を一%救うということは並大抵のことじゃございません。しかし、これは人の命である限りはやらなければなりません、たとえロスが多くあろうとも。
 こういう中におきまして、初歩的なことをどういうふうに認識なすっていらっしゃるか、お答え願いたいと思います。
#85
○国務大臣(津島雄二君) 先ほどの御答弁でも申し上げましたように、初期の応急処置、そして搬送途上の問題、これがようやく今多くの方々の関心を得て大きな課題として取り組まれるようになったわけでございまして、そして、考え方によってはそれが一番救命率を上げるのに今効くんではないかという印象を私は持っております。先ほどの政府委員の御答弁もそういうような認識を申し上げたと思うわけであります。
 そこで、きょう御議論をいただけると思いますが、まず、応急処置について学校ばかりでなく社会教育の面で、そしてあるいは地域医療の面でみんなに認識をしてもらうということが一つ。それから二番目に、今度は搬送途上の問題について、現場に行かれる方が必要な処置をできるだけ早くできるようにするという、これは基本的な要請。それと同時に、難しいケースについては医療事故等々の心配も起こる。また、それでございますと搬送の方も思い切ってできない。その二つの要請をどうやってうまく組み合わせるかということに焦点が合ってきているような気がいたしまして、厚生省としても今真剣に詰めておるところでございます。
#86
○常松克安君 これはまた別な見方でありますが、第二次救命処置の導入については医療機関の立場からその実現を望む声が寄せられております。
 まず一つ、自治省に対して昭和六十二年十月二十六日、時の自治大臣に対して茨城県県医師会長及び今日の国立水戸病院の院長渡辺先生が陳情に出向かれております。その内容についてお知らせ願いたい。
#87
○政府委員(木村仁君) 内容でございますが、三点ございまして、第一点は、救急隊員専門化の早期実現並びにパラメディック制度の導入という点でございます。第二点は、救急隊員による二次的救命救急処置行為を可能にする法の改正。第三点、国民に対する一次救命救急処置教育の実施、特に中高校生を対象とした救急医療の講義と救急蘇生法の習得の義務化、この三点について検討をしてほしいという陳情を受けております。
#88
○常松克安君 続いて、大阪府立千里救命救急センター所長――たしか東大名誉教授の浅野先生が心になりまして緊急に研究会をお持ちになりました。そのところに太田先生が出られましていろいろ短い所見を述べられております。その中においてどのようにこの救急隊の応急処置拡大が必要であると述べられておるかお知らせください。
#89
○政府委員(仲村英一君) 私どもが設けました救急医療体制の検討会におきましていろいろの方からの御意見をお聞きするということでやっておりますが、千里救命救急センターの太田先生につきましては、ことしの三月一日に御報告と申しますか、ヒアリングのような形でいろいろの御意見を賜っております。
 太田先生からの御意見の範囲は三次救急の立場からの御意見を賜ったわけでございまして、先ほども若干引用させていただきましたけれども、千里の救急センターにおきましてはDOAが年に約二百件ぐらいでございまして、そのうち外傷によるものが三〇%ぐらい、一次の蘇生率につきましては三〇ないし四〇%、社会復帰率が二ないし三%ということで御説明をちょうだいいたしました。
#90
○常松克安君 これが所見の内容であります。全然答弁を外されておっしゃっています。
  2 病院前救護について
  救命医療の現場から見て、病院前救護は現今救急医療の中で最も進歩が求められている部分で、先進諸外国のレベルに大きく遅れている。
  救命救急センターへのDOA搬入数は増加し続けているが、その社会復帰率は一向に向上していない。その要因の一つが現救急隊員の蘇生技術レベルの低迷にあることは周知の事実で、蘇生技術を含めて総体的技能の進歩が強く求められる。
大臣、これに対してのお考えをお願いいたします。
#91
○国務大臣(津島雄二君) 専門の現場の責任者がそういうふうに言っておられるのは、まさにそのとおりであろうというふうに思います。
#92
○常松克安君 次は自治大臣にちょっとお願いしたいと思います。
 五十三年度に応急処置、避難的処置としてこれがいろいろな論議をされまして、そしてその答申の中に救急医療体系の一環としてこの基準はあるべきだと、救急医療と明記して提示を受けました。今は亡き恩地先生を中心にして審議されました。それが六十一年度の法改正で応急の手当て、言うならば救急医療という広い意味での概念を含めて応急手当てと一歩も二歩も前進してあるわけであります。しかし、今日どれを見ても、どうしても救急隊員の活動の中においてそれを救命率、社会復帰率に大きく貢献をしていこう、こういうことにあってはこの救急処置の拡大ということがやはり論議が必要になってこよう。その応急処置の論議というのはやはり第二次的な救命処置にも関連してくる、こういうふうに深く考えを一にいたしておりますが、いかがでございましょうか。
#93
○国務大臣(奥田敬和君) それは先生のおっしゃるとおり大変大事なことだと思います。ですから、救命に必要な救急医療技術士という先生の御持論のパラメディックの制度導入が我が国にも喫緊の問題として必要であろうというぐあいに考えております。
#94
○常松克安君 大変前向きの答弁でありがとうございます。
 この基準が制定されてから十年余り経過しておりますが、この間、まず医療資機材が急速に発展いたしております。いま一つ、救急隊員の応急処置に関する技術向上、東消においては約五百時間も既に研修、研さんに励んでいらっしゃいます。加えて、最近の救急隊員の応急処置に対する国民の期待が非常に多い。あの白い服を着てこられた方が来てくれたので助けてもらえるというような気持ち、あわせて考えますと、やはり社会復帰率を高めるためにはこの基準の見直しは必要でないか。これはもう当然大臣の決断等をぜひ期待したいのでありますが、いかがでございましょうか。
#95
○国務大臣(奥田敬和君) 私が決断したくても、なかなかできない隘路があることは御存じのとおりでございます。
 そういうことで、きょうは厚生大臣にそっちの方の御質問を実はしていただきたいなと私は思っておるんですが、これはやっぱりお医者さんとの医療行為等々で、縄張りと言ったら悪いですけれども、そういったことで問題点があるんじゃないかと思うんです。ですけれども、これは人命救急の、今もうまさに搬送中の準医療行為というのが先生御指摘のようにどれほど大事な問題であるかという点は、厚生省も大臣は特に熱心でいらっしゃいまして、これは何とかお互いにしっかりやろうということを申し合わせておりますので、その点の決意のほどは厚生大臣からひとつぜひよろしくお願いしたいと思います。
#96
○常松克安君 じゃ、厚生大臣お願いします。
#97
○国務大臣(津島雄二君) 先ほどから救急隊員が一部の医療行為と申しますか、応急手当ては認められているが、それを超えた部分については非常に何と申しますか、消極的であるとおっしゃった。私はその原因のかなりの部分が私どもの方にあると思います。
 現場に参りまして非常に重篤な状況におられる方に対応するときに、この手当てをして一体その結果がどうであろうかというのはこれはやはりどなたも心配になる。また、法律的にやかましいことを言いますと、医療法との関係等々が出てくるわけでございますので、どうもインセンティブを与えないように与えないようにという制度の運用をしてきたんじゃないかなというのは、これは私が言うとちょっと立場上ぐあいが悪いかもしれませんけれども、私の率直な感じでございます。
 この今の現状を解決するためには、やはり医療の専門家からもある種の何と申しますか、その判断の傘をかぶせてあげて、現場にまで傘をかぶせてあげまして、その範囲の中であればそこに最初に到達された方が今以上のことを積極的にやれるだろうと。そういう仕組みを医療の側から、厚生行政の側からまずつくってさしあげることによって、今度はその中で今以上にもっとやっていただくには例えばどういうことをやっていただけるだろうかと。それをやっていただくときに、例えば医師、医師はちゃんと第二次救急センターに二十四時間いるわけでございますから、その間をつなげてさしあげれば、これは電話一本でできるわけでございまして、そういう仕組みをつくってあげることを恐らく救急隊員の方もまず望んでおられるんじゃないか。それをやった上で、その中で今度は現場でどういうことをやっていただけるかという次の議論をやろうということで、先ほどお話ししましたように、まず厚生省の中の検討会はそういう傘をつくるということを目標に制度を組み立てる、それができたときにはすぐ今度は消防庁の方とお話をして、こういうものができましたからその中でどうでしょうという仕組みまでこしらえるというのが現状でございます。
 委員の御指摘と私は認識が一致しておりますから、一生懸命させていただきたいと思います。
#98
○常松克安君 非常に一致をしていると、こう厚生大臣に御答弁いただいたものですから、消防庁長官、そういうふうに一致しているんです。ですから、基準を広げるとするならどういう手順で、どういうお考えで進まれるか、御答弁を。
#99
○政府委員(木村仁君) 私どもは応急処置等の基準の改定を検討することにいたしておりますので、まず何よりも、午前中に大臣から御答弁申し上げましたときに入っておりましたが、厚生省と消防庁で設置いたしました救急対策連絡協議会、これを軸といたしまして厚生省とお話し合いをしながら私どもの案をまとめていかなければいけないわけでございますが、これまで自治省消防庁では救急業務の将来像を考える懇話会という会議がありまして、そこでいろいろこの種の問題を議論してきたわけでございます。
 そこで、その議論を踏まえながら、今度は消防庁の直属の研究会でございます救急業務研究会を開催してその点について検討をしてまいりたいと思っておりますが、これは先生も御承知かと思いますが、昭和五十三年に応急処置等の基準をつくりますときにも、いろんな非公式の場から最後は救急業務研究会に持ち込んでそこで案を示していただいておりますし、五十九年に救急自動車に搭載する器具についての答申を得ましたのも最後はこの救急業務研究会でございます。したがいまして、連絡協議会と救急業務研究会の二本立てで、できるだけ早く改定の基準あるいはそれに対応して必要な教育の高度化、こういうことを研究してまいりたいと考えております。
#100
○常松克安君 ただいまこちらに委員長の許可をいただきまして持ち込みましたのが、これが除細動の器械でございます。心臓が少しとまった、病院に駆けつけるまでに、諸外国におきましてはこういう器械を使ってそして一度電気ショックを、これを胸に、パットがあるものですから、それを当てて回復をさせる。それでだめな場合は外国では注射を打つ。それでだめなら病院で切開し、手を入れて心臓を握って回復に努めるとかレクチーを受けてまいりました。あるいはまた、こちらにありますところの、スーパーへ行くと血圧計を買ってはかれますが、死ぬか生きるかの土壇場のところでも、救急隊は医療行為云々ではかれない。あるいはこういう、医者が所見の中において判断を示さなきゃいけない、よって、ここにありますのは、心臓がどのように激しくなろうともどうあろうとも血圧がはかれるとか、あるいはこれにありますマギール鉗子でございますが、もちを飲み込んで、救うときには背中をたたけという。たたいたぐらいで出るようなもちじゃございませんので、これを入れまして、それでもちを出す。またこれが医療行為でだめであります。
 諸事万端、こういうふうなところに羅列いたしましたのは、最近は非常にエレクトロニクスの最先端が向上いたしております。あるいはまた、そういうふうな非常に簡潔にしていく。一つ忘れました。ここにございます。これは傷害を受けて、特に首の骨が折れちゃいますと、全然口の中が作用できません。あるいは口がけがをした場合、これを鼻へ入れてここから気道を確保するとか、これもだめであります。
 というふうに、これを扱っていただくのにただ三十五時間の、来たから救急隊に、そういう考えはこれはだめ。これによってどんどんどんどん、こういう世論があり、そして最先端あり、そういうふうな気持ちがまとまったところで、こういうふうな処置というものがやはり拡大していくことであすに向けて救われるはずの命が救えるとするならば、一刻も時を過たずにこれに取り組むべきではなかろうか、こういうふうな考えでいま一度改めて厚生大臣に質問いたします。
 救急隊員の中においてこういうふうな相当のレベルアップが必要ですよ。大変なレベルアップが必要です。人の命を預かるのに、ただ運んでさえいりゃいいですよ、それじゃだめであります。そういうふうなことの時代の要請であり、医療器具の発展もここにあるとするならば、これは許されてもいい。今目の前で百人中一・七しか助けられない、この人たちが一名でも多く助かることはいかに大きなことでありましょうか。もう一度御所見をお願いしたい。
#101
○国務大臣(津島雄二君) 今委員がお示しになりましたそれぞれの器具はいずれも現場で早く使えればいいと、まあ私も素人ながらに、医療については素人でございますから、率直に感じました。
 そこで、例えば今のその除細動の器械を使う場合には、専門家の意見を聞いてみますと、ある患者さんがおいでになって心電図をとる、わかっている人なら、それはすぐショックを与えるのがいいなというのはわかるそうでございますが、ただ、専門家でない方にすぐにさせるについてはいろいろ問題がおありではなかろうか。その場合には、例えば現場にその器械を持っておいでになった方が、一言でもいいから、心電図をかけますよ、それでやりますよという、その専門医との連係の仕組みがあれば、そこですぐ動くわけでありますから、ですから私が先ほどから現場に医療サービスの傘をかけると言うのは、そういう仕組みがこれはできるわけでございまして、二次医療センターに二十四時間おられる専門医と現場の救急隊員と電話ですぐつながれるようにしてあげれば、まさに先生のおっしゃったそういうことは全部使えるようになるんじゃなかろうか。そういう事態ができたら、それじゃ今度は隊員の方にそれにふさわしい訓練をして差し上げなければならないという次の問題に移っていく。私の率直な意見は、そういうところにまで入っていってほしいなというふうに考えておるところでございます。
#102
○常松克安君 今大臣の中から、しっかりこれから研修をして、救急隊員にもそういうことをすることによって救える命があるならば、第二次救命処置というものがやはりそういう拡大の中にあってもいい、このように私は理解するものであります。
 よって、もう一度消防庁長官にお尋ねいたします。そういうふうな非常に追い風になっているわけであります。これを大いに厚生省としても取り組もうじゃないか、こういう中におきまして、先ほど少しおっしゃいましたが、救急業務研究会を早急に開催して、こういうふうな今申し上げられる救急隊員による応急処置の範囲拡大、あるいはまた救急隊員の訓練教育のあり方、教育機関のあり方等も一つに含めて諮問していきたい、こういうふうに受けとめるんですが、いかがでございましょうか。
#103
○政府委員(木村仁君) 救急の将来像を考える懇話会等においてもいろいろ議論をしていただいておりますし、また東京消防庁の懇談会の答申におきましてもかなり煮詰まった議論が出されておることでもございますので、厚生省と十分連絡をとりながら、救急業務研究会において、ただいま先生御指摘の二点、すなわち応急処置の拡大の問題とそれに対応する救急隊員の高度教育の問題について早急に結論を出していただきたいと考えております。
#104
○常松克安君 大体の流れで、大臣この辺で総まとめでひとつお答え願いたいのでございますけれども、九月九日は救急の日でございます。どうかひとつ、いち早くこういうふうな問題を、いろいろ調整をとる、いろいろ大変なこともございましょうけれども、十年にして救急元年のような新しい流れを今大臣あるいは長官から答弁をちょうだいしたわけでありますから、これに対する最高の努力をしていくというふうな御決意のほどを御答弁をちょうだいしたいと存じます。
#105
○国務大臣(奥田敬和君) 今やらなきゃどうすというくらいの使命感を持ってやろうと思っております。幸いに厚生大臣も大変この問題について熱心で、せっかくの御提案を何とか物にしようと。私たちも、在任中にこの問題のめどをはっきりつけるという形で協力してまいりたいと思っております。
#106
○常松克安君 大蔵大臣、大変お待たせ申し上げました。
 最後はやはり、何だかんだといっても、これ教育機関だといったところで相当大きなもので、これは具体的にするとどうするか。何と申しますか、消防庁としては全体、しかし地域地域においてはマイナーな分で進んでおるところがございます。どうしても最終的には国家的に政治の重要課題の一つだとの見地からいたしますと、自治省だけの予算で、教育施設をつくるとか、今あるのを伸ばすにしても、講師にしても大変でございます。例えて申しますと、大統領が来る。しかしアメリカでは、横田基地へ救急車からヘリから全部分解して、パラメディカル要員まで連れてくる。日本の救急車はだめだ、パットもできぬのかというふうな御指摘がある。あるいはまた、島根県のバレー選手が一人倒れました。だれも何もできない。
 文部大臣もおっしゃいますけれども、別な感じとして、下手にさわって、さわらぬ神にたたりなしで、下手なことをしてこれが死んでしもうたらどうするかという気持ちが先に動いちゃうとか、いろいろ国際的にもこの問題が非常に提起されておりますのは一面――厚生大臣をした時分の議事録をよく読ませていただきました。救急医療についてはそれはもう戦場医学なんだ、問題はどこにあるか、もう戦場医学で、学問的には、救急医療の概念、学問、例えば国立大学の中にそれが定着したものがないじゃないか、こういうような平素からの非常にうんちくを傾けられた議事録を全部読ませていただきました。
 よって、非常に単純な計算でございますけれども、国立水戸病院の渡辺先生はこうおっしゃっています。交通事故においてですら二〇%のそういうふうな救急隊員のレベルアップをするなら助かる。今一万一千人。二〇パーというと二千二百人。補償金が一人一億。二千二百億が経済損失という名において国家が損失しております。あるいはまた御家族が非常に苦しんでいらっしゃいます。こういうふうな何か非常に短絡な計算をすべきじゃございませんでしょうけれども、大蔵大臣、これはひとつ各省庁を乗り越えて国家的な見地の予算の財政的なことを見ていただけないか、かように思う次第でございます。
#107
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず申し上げたいことは、先刻来の御議論を拝聴しておりまして、心から敬意を表したいということであります。
 ちょうど私の厚生大臣の在任中は、同じように救急医療の問題が非常に深刻でありながら、その当時の深刻さというものは、救急指定病院の数が足りない、そして殊に国公立病院あるいは大学附属病院においてその指定の度合いが低い、これをどうして向上するかということが中心でありました。ちょうど渡辺厚生大臣のころから始まりましてそうした努力をしておった当時であります。その点からまいりますと、今多分、国立病院・療養所、特殊な療養所を除きましてはほとんど全部救急指定を受けておられると思いますし、国立大学の附属病院におきましてもほとんど救急医療の体制は整備されたと思います。自治体立病院の中でも相当程度までそのレベルは向上してきたと考えておりまして、そういう意味では私どものころよりも一段さかのぼった御論議がしていただけるところまでようやく来たのかと、先ほどからその感を深くいたしました。
 殊に、今委員ここに除細動等を持ち込まれましたが、たまたま一昨年の夏に私の母親が倒れましたとき、救急車で運ばれます間まさに御指摘のとおりに補助的な措置が限定されておりましたときに、病院に到着をいたしました時点では既に呼吸停止の状態でありまして、心臓停止に既になっておりました。幸いに今ある程度まで回復をいたしており、その点では非常に幸せであります。しかしその時点におきましても、救急隊の行使し得る範囲がもう少し医学的に広範なものであったらという気持ちを持たずにいられなかった、そうした気持ちも確かにありました。
 ただ、委員が御指摘になりましたことで一つその前段に必要なことがございます。それは何かといえば、まさに生命の延長、保全という措置、これは医学上の行為であり、医療上の行為であります。医師法あるいは医療法等において医師が最善と信ずる処置を行った結果、不幸にしてその生を保全できなかった場合に医師は免責をされておるはずでありますが、救急隊員の行使し得る医療技術の範囲を今よりも広げる場合に、救急隊員に同じような免責特権を与えることが果たして法的に可能であるのかどうか、また、そこまでの責任を救急隊員にゆだねるべきであるのかどうか、これは全く異質な議論として今まで行われておりません。
 そして今日、医療の世界において医師が最善と信ずる処置を行使したにかかわらずその結果として生命の保全が行われなかった場合、あるいは生命は保持したがその結果として副作用等が、何らかの副次的な新たな疾患を発生させた場合、医療訴訟という形でその善意に報いられるケースというものは多々存在をいたします。こうしたことを考えますと私は、救急隊員がどこまでその責任を負えるのかということについてはこのごろ深刻な疑問を持ち始めました。最近報道機関等において各国の救急体制の整備状況、そしてそれによる生命の保持率といったものが提起をされておりますが、この部分については残念ながら報道でその結果を知ることができません。私として知りたいことの一つであります。
 また、戦場医学という答弁までお読みをいただいたということでありますから、大学医学部における講座の中においてこうした分野にどう取り組んでいただけるかといったことについて個人的な見解を申し述べるつもりはありません。
 ただ、私は今、地方組織として全国津々浦々にまでそのネットワークを持つ消防庁に患者搬送の責任を負うていただいております仕組みというものは、我が国においては非常に高度に機能している仕組みだと考えております。それだけに交付税でその点についての手当てをいたしますとともに、一次救急から救命救急に至るまでの間、国としてそれぞれの予算措置を行い、現在も最善の努力をしておるつもりでありますが、今後においてこうした分野になお新たな施策等が登場する場合、十分私どもとしては関心を持って検討させていただきたいと思います。
#108
○常松克安君 以上で終わります。
#109
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で常松克安君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#110
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、細谷昭雄君の一般質疑を行います。細谷君。
#111
○細谷昭雄君 労働大臣にお伺いします。
 五月十九日付の毎日新聞でございますが、さらには五月二十四日にTBSより放映されました、岩手県から出てまいりましたタクシー運転手のゴールデンウイークの死というふうな報道記事がございましたけれども、これは労働大臣ごらんになりましたか。そして労働省は現地調査をされたのであればその結果を報告願いたいと思います。
#112
○国務大臣(塚原俊平君) 出稼ぎで来られているタクシーの運転手さんが五月六日にアパートで死亡していることが発見されたという新聞記事は拝見をいたしました。あと現在の状況等につきましては政府委員の方から答弁させていただきます。
#113
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のございました新聞報道のタクシー運転手の死亡の件につきましては、現在までのところ御遺族の方等から労災保険の給付等に関する相談、請求はございませんので詳細な内容は把握しておりません。請求があれば早急に必要な調査を実施する方針でございます。
#114
○細谷昭雄君 一部の新聞の報道にもございますが、これは通年出稼ぎの方でございますけれども、一日大体夜勤で二十時間拘束、日勤で十二時間拘束。少なくとも二十時間の夜勤の場合は、十六時間実働でなければ夜勤と認められない。こういう出稼ぎの場合なんかはそれ以上超えて賃金を得たいということで働いておるというのが続いておるわけでございます。
 こういうふうな状況でございますけれども、こういう悲しい出来事について、これは極めて特殊な事件であるのか、それともこうしたタクシー運転手並びに底辺で働いておる労働者にとってはいつでも起こり得る一般的な事例とお考えなのか、この点について所感を労働大臣にお伺いしたいと思います。
#115
○国務大臣(塚原俊平君) 過去のいろいろな事件のどのような事案があったか等役所の方で今取りまとめをしておりますので、よろしければ政府委員の方から、これが非常にまれなケースであるのか、あるいはよくあるケースであるのかということにつきましては御必要であれば答弁をさせたいと思いますけれども。
#116
○細谷昭雄君 こうした過労死というのが最近大変ふえておるわけでございます。特に出稼ぎの皆さん方も高齢化をしておる、そしてそれぞれの現場が大変に人手不足だということでもございまして、非常に労働が過密になってきておるということからこういうふうな過労死と言われる労働死がふえておるわけでありますけれども、未然に防ぐ対策、こういうのを至急にとってもらいたいと思うんですが、一般的な過労死を防止するという対策について、労働大臣の対策のあり方をひとつ説明願いたいと思います。
#117
○国務大臣(塚原俊平君) 過労死につきましては、心臓あるいは脳の血管等が原因の病気ということになると思いますけれども、ともかく、まず何といっても起こさないように努力をするということをやらなければいけないことでございまして、労働省といたしましても健康診断の基準等を広げまして、今日できるだけ防ぐような努力をいたしております。必要でございましたらその細かな現在指導しております内容等につきましては政府委員の方から答弁させたいと思います。
#118
○政府委員(野崎和昭君) いわゆる過労死と申しますのは、御存じのとおり脳・心疾患による突然死でございまして、業務がその原因となって発生したものをいうというふうに考えますが、こういった過労死を防ぐためにはやはり企業による成人病発見のための健康診断の充実とその後の健康指導の適切な実施が最も重要かと思います。このため、昨年十月に定期健康診断項目を改正いたしまして、肝機能検査、血中脂質検査、心電図検査等を追加いたしまして成人病にも対応できるようにしたところでございます。そのほか、長時間労働による労働者の過重な負担が問題になりますので、これにつきましても労働時間短縮に努めているところでございます。
#119
○細谷昭雄君 五月の十九日付の朝日新聞の報道を見ますと、ここにありますが、労働省は内部文書としまして過労死の指導要綱、これは「指導要綱」というふうに書いておりますけれども、こういうのを検討されておるというふうに伝えられております。もしこれが本当だとすれば極めて重大な問題だと思うんですけれども、これの説明を求めたいと思うわけであります。
#120
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘の、一部の報道で内部のマニュアルと言われましたものは決してそのようなものではございませんで、六十二年十に新しい認定基準をつくったのでございますけども、そのための職員研修会で、新しい認定基で検討の対象になるいろいろなケースをパターン化しまして図にしたものでございまして、この図のどれかに当たれば認定するとか、それ以外は認定しないとか、そういう認定とは全く関係のないものでございまして、したがってマニュアルというものでもないわけでございます。
 なお、本来の認定基準におきましては、先ほども申し上げましたようないわゆる過労死と言われるものの性格から考えまして、業務上かどうかの判断につきましては、労働時間の長さのみならず業務の内容、さらには作業環境等を含めまして総合的に判断すべきものとされているところでございます。
#121
○細谷昭雄君 再度聞きますけれども、ここに示されておりますように、「認定されるとみられる二例」とか、それから「認定が難しいとみられる三例」とかというふうな具体的な表示が報道されておるわけであります。これはもう全くこういう基準ではやらないということを確認してもいいですか。
#122
○政府委員(野崎和昭君) そういう御理解が一部にあるとすれば全くの誤解でございますので、ぜひ私どもとしても解かしていただきたいと思います。
#123
○細谷昭雄君 先ほど過労死を防ぐためには健康診断、その健康診断に心電図その他を加えたということでございますが、季節労働者の過労死に結びつくものには高齢化に伴う疾病ということが非常に多いわけでございます。したがって、健康診断が不十分であるというふうなことから起きるわけですけれども、季節労働者、これの疾病の実態について労働省はどういうふうに把握されておりますか。
#124
○政府委員(野崎和昭君) 季節労働者の疾病の実態につきましては、昭和六十一年から三年間にわたりまして、特に建設業附属寄宿舎における疾病の状況を調査したことがございます。死亡または十四日以上入院することとなった者を集計したものでございますが、三年間で全国で死亡二十五件を含む五十九件のこのような疾病が発生しております。
#125
○細谷昭雄君 私の手元に秋田県の出かせぎ互助会のいわゆる罹病によって死亡した人に対する見舞い金の給付をした統計がございます。これは、料としてお上げしますけれども、これによりますと、労働省の調査というのは全くこれはもうずさんだと言わざるを得ません。
 ちなみにこの秋田県出かせぎ互助会の病気死亡弔慰金を給付したというふうな報告書によりますと、昭和六十二年に既に死亡が二十九名、これは病気による死亡でございます。それから、六十三年二十一名、平成元年二十五名。そうして、これが泉沢さんという先ほどのタクシーの運転手の死亡した方でございますが、こういうふうに宿舎で死亡、または現場で死亡、これが六十二年度に秋田県だけで二十一名、六十三年度十三名、平成元年度十三名というふうに続いておるわけであります。まして六十一年その他はもっと多いわけであります。全国で五十数名というのは、まことにこれはずさんだというふうに言わざるを得ません。こういうふうな実態について一体労働省は十分な対応をしておらない、このように思いますが、いかがでしょうか。
#126
○政府委員(野崎和昭君) 私どもの先ほど申し上げました調査の数字とお示しの数字には確かにかなりの差がございます。この場合には原則として私傷病の問題でございますので、なかなか事業主の方から私どもの方へ完全には報告がされてこない、そういった点は確かにあろうかと思います。しかし、今後とも鋭意正確な把握に努めてまいりたいと思います。
#127
○細谷昭雄君 昭和六十一年から三年間の調査は、私がかつて衆議院の予算委員会で要求をして実施されたものでございますが、要するに通達行政だけでは全く効果が上がらないという証左でございます。続けてこの対応についてはひとつ要求をしていきたいと、こんなふうに思います。
 厚生大臣はこのように過労死が大変ふえておる、ないしは職場、ないしは現場の死亡がふえておる、しかもこれは病気というふうに言われておりますが、こういうふうな問題に対しましてどのようにされるのか、労働省に任せていいのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
#128
○国務大臣(津島雄二君) 委員の御出身地も私の地元も出稼ぎ王国でございます。青森県から毎年六万人の出稼ぎが出ているという、地域社会にとっては重要な問題になっておるところでございます。そういう立場から申しますと、季節労働者に対する健康診断について安全就労の確保の観点から労働省において熱心に取り組まれているというふうに承知はしておりますけれども、厚生省として地域住民の健康を守るという立場でこの点についても留意をしつつ、健診の体制の整備を図っていかなきゃならないだろうというふうに思っております。また、無理な季節労働のために体を壊されるということは、統計資料はわかりませんけれども、常識的にはあり得ることかなと感じております。
 それからもう一つは、労働省の方で把握をしておられる中に入らない、例えば一匹オオカミ式に大工さんやなんかが中央へ出て働かれるというようなケースもたくさんあると思いますので、そういう方々にとっては、やはり地域の医療体制で受けていかなきゃならないだろうなと思っております。これからも労働省とよく相談をしながら真剣に検討させていただきます。
#129
○細谷昭雄君 ぜひお願い申し上げたいと思いますが、自治大臣にお聞きします。
 今のお話のとおり、これはやっぱり都道府県とか、市町村の事前の健康診断というのはどうしても必要なわけであります。そういう点で自治省がそれぞれの都道府県や市町村、これに対してどういう指導をされておるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
#130
○国務大臣(奥田敬和君) 最近の労働力の問題で、大変地方自治体も出稼ぎのそういった皆さん方の労働力に頼っている形はとても大事だと思っております。ですから、発注なんかに際しましては、いろいろこういった労務関係の保険加入が的確に行われているかどうかということが、はっきり言うと工事の指名業者選定の要件にもなっておるように聞いておるのでございますけれども、今委員御指摘のように、自治体がこの問題についてどういう対応をしているかということの詳細については、御質問の内容については私は今知識を持ち合わせておりませんので、また政府委員からでも説明させていただくことにしたいと思います。
#131
○細谷昭雄君 例えば大臣、これは愛知県で出しております「でかせぎ」というものなんです。これは愛知県自体が各市町村全部にこういうのを出しているんです。いわゆる出稼ぎ者を雇用しておる事業所に対してこれだけのことはやってもらいたいということをきちっと出しておるんです。これは大阪府も同様なんです。私の言っている大阪府と愛知県は恐らく模範的だと思うんです。こういうのを自治省は全然知らない、もう任せっ放し、これではだめなんです。その点をお聞きしているんです。
#132
○政府委員(小林実君) 地方団体の場合、特に市町村の場合には住民の健康診断等については行っておるわけでございますが、出稼ぎの方につきまして、出稼ぎで行かれた地域の方では自分の職務というふうになっておりませんので、そこまでいっていない団体が多いかと思います。私どもといたしましては、地方団体がそれぞれの地域に応じて講じました出稼ぎの方に対する措置につきましてはできる限りのことはしてまいりたいというふうに思います。
#133
○細谷昭雄君 労働省にお聞きしますけれども、健康管理が非常にずさんだ。この健康管理についてはどういうふうな指導をされておるのかお伺いしたいと思います。
#134
○国務大臣(塚原俊平君) 季節労働者の方に関してでございますか。今基準局長の方から答弁させていただきます。
#135
○政府委員(野崎和昭君) 季節労働者の健康管理の問題につきましては、今委員御指摘のとおり事前に健康診断を十分行うということが非常に重要かと思います。そういう意味で、出稼ぎ者を大勢送り出しております都道府県、市町村等では、都道府県または市町村で健康診断を実施しているところがございますので、私どもとしてはそれに対して国で経費の一部を助成させていただいておりまして、その実績を見ますと五万人余というふうに平成元年においてはなっております。
 そのほか、こういった方々は建設業に大体就労されることが多いわけでございます。したがいまして、建設業における安全管理の充実ということが私どもの対策の基本になるわけでございます。さらに関連しまして、建設業の中でも出稼ぎ者の方は特に附属寄宿舎で生活されますので、その寄宿舎の環境の確保ということについても監督、指導に努めているところでございます。
#136
○細谷昭雄君 労働大臣、大臣はいわゆる出稼ぎの宿舎、飯場と言われているところを視察されたことがございますか。
#137
○国務大臣(塚原俊平君) この前先生から大変に厳しい環境だということを伺いまして、その後国会が終わり次第視察をするように今日程を組んでおるところでございます。
#138
○細谷昭雄君 先ほどお話がございましたこの建設業の宿舎は建設業附属寄宿舎というふうに言われておりまして、その規程がございます。この規程にいわゆる合格しておらないといいますか、この規則に違反する寄宿舎というのは非常に多いわけでございますが、全国的な違反状況をお知らせ願いたいと思います。
#139
○政府委員(野崎和昭君) 建設業附属寄宿舎規程の違反状況でございますが、昭和六十三年の監督実施結果によりますと、安全基準に関する違反が三七・一%でございます。衛生基準に関する違反が六・四%でございます。そのほか寄宿舎規則の届け出等がなされていないというようなものも二一・四%ございます。
#140
○細谷昭雄君 それは非常に違反宿舎が少ないというふうに思うわけでございます。我々は毎年大阪の労働基準局に参りますけれども、私ことしで二十一年目でございます。だんだんよくなってはおるんですが、これは大阪の労働基準局のことしの三月十二日の調査でございます。この状況によりますと、抽出の調査でございますけれども、違反率が五九・〇%でございます。大体もうずっと一貫して五〇%ないしは六〇%、そこら辺の違反の状況でございまして、もう今言ったようなことは全く私は信用できませんが、どうですか。
#141
○政府委員(野崎和昭君) ただいまは監督結果の個別の項目ごとの違反率を申し上げたわけでございますが、そういったすべての違反がどこかの寄宿舎にあった場合を違反寄宿舎というふうに計算いたしますと五四・四%になります。何か一つ違反があればこれを違反事業場と数えた場合の数でございます。
#142
○細谷昭雄君 もう何か一つ違反すると違反宿舎なんですよ。したがって、いわゆる半分以上が違反宿舎、違法な宿舎だというところでございます。このような劣悪な宿舎にいわば寝起きをしておるということなんです。このことをひとつ政府も篤とお考え願いたい、このように思います。
 まず建設省にお尋ねしますが、このようないわゆる業界の違法な宿舎を放置しておるということに対してどういう行政指導をされておるのか、これをお伺いしたい。
#143
○政府委員(望月薫雄君) 労働基準法に基づきます御指摘の建設業附属宿舎、この違反問題につきましては私どもも、今労働省からお話がありましたように、ゼロでない、結構な件数があるということについて問題を重視しているわけでございます。
 申し上げるまでもありませんけれども、建設現場での仕事を本当に円滑安全に進めるということが建設業を適切に執行する上での最も基本のことでございます。そういった中で私どもも業界に対して労働省の御指導とあわせて業界指導を行っているさなかでございますが、具体的には、元請・下請指導要綱、こういった中にもこの宿舎問題というのは重要項目として位置づけております。先ほど先生お話しのように、現状においてはまだ一〇〇%をクリアできていないという現実がございますけれども、我々は、とにかくこの労働事情というものが非常に厳しい中で良質な労働力を確保する上では非常に重要な部分であるという認識を再度踏み締めながら今後とも指導を強めてまいりたいと考えておるところでございます。
#144
○細谷昭雄君 消防庁長官にお伺いしますが、非常に宿舎の火災が多くて毎年死亡者が出ておるわけであります。このように違法宿舎、つまり火災報知機をつけておらない、非常口を十二分につけておらない、こういうふうな宿舎が多いわけでございますが、一体消防庁はそういう一斉点検をされておるのかどうか、これをお伺いしたい。
#145
○政府委員(木村仁君) 御指摘の宿舎は、消防法及びその施行令によりまして防火対象物の中の寄宿舎という分類になっておりまして、その面積や収容人員等に応じまして防火管理者を選任し、消火器を設置し、自動火災報知機を設備し、屋内消火栓等を配置するということが義務づけられておりまして、したがいまして、消防機関としてはこれらの規定に従って立入検査等も行っていると考えております。
 また、各市町村の火災予防条例におきましては、これは全国的にそうでございますが、この寄宿舎もその設置のときに、使用開始前に消防機関に届け出ることになっておりまして、届け出があります場合には必ず検査をいたしているわけでございます。ただ、なかなか届け出をしてくれないという事情もございますので、労働基準監督署と協力をいたしまして、労働基準監督署に対する寄宿舎設置の届け出という手続がございますので、その際に消防機関にも必ず行くようにという指導をしていただくようお願いいたしている次第でございます。
#146
○細谷昭雄君 厚生大臣にお伺いします。
 今ずっとお聞きしまして、こういう季節労働者というのは大変重労働で働いている。そして、普通であれば家庭に帰るわけでありますが、この人方は帰る家庭がない。したがってこういうふうな違法ないわゆる飯場という宿舎に帰らざるを得ない、拘束されておるわけであります。こういうところで生活する労働者というのは一体疲労がどうなっていくのか、人間の命、健康を預かる責任ある大臣として、これは一般的な人間としてどうお考えですか。
#147
○国務大臣(津島雄二君) 委員の御指摘、まことにごもっともでございまして、私も地元で地域を歩くときに、大変元気であった方が中央へ出稼ぎに行って病を得てお帰りになるというケースに時時触れておりまして、胸を痛めておるところでございます。当然、そういう二重生活をする、半年も家庭から離れているということから健康に障害を来すことはあり得るわけでありますから、先ほども御答弁いたしましたように、その分をやはり念頭に置いて地域でも対策を講じなければいけないであろうというふうに思っております。
 自分のところを言うようで恥ずかしいんでありますが、青森県の男子の寿命が全国で一番短い。そのことの原因の中にはやはり出稼ぎ王国ということがあるんではないかと私は思ったりしておるところでございます。よくかみしめて対策を進めていきたいと思っております。
#148
○細谷昭雄君 労働大臣と建設大臣に特に宿舎の改善策については強く要望したいと思うわけでございます。特に建設大臣、これは後ほど下請元請関係についてもお尋ねしますけれども、本当に建設業界には強い指導を要求したいと思うわけでございます。自治大臣にもそういう点での、いわゆる発注する側の立場に立ってひとつ都道府県、市町村、特別区、特に指導を願いたいと思うんですが、その点での特別な行政指導ないしは助成というのをどうお考えですか。
#149
○国務大臣(奥田敬和君) 今委員御指摘の点を踏まえて、都道府県、市町村、自治体によく指導してまいりたいと思います。
#150
○細谷昭雄君 ここに並んでおられる大臣の皆さん方にお聞きしたいんですが、季節労働をしておる出稼ぎ者に対しては有給休暇がおありだと思いますか、それとも有給休暇制度はないと思いますか、代表で大蔵大臣にお尋ねしたい。
#151
○国務大臣(橋本龍太郎君) 通例ないと思います。
#152
○細谷昭雄君 これは明答でございますが、昭和六十年当時の労働大臣は藤波さんでございました。藤波さんに私同じようなととを聞いたことがございます。そうしたら藤波さんはあると思うというふうに言ったわけでございますが、もうこんな過酷な労働をしておる季節労働者でございますので、当然あるというのが普通だと思うんです、常識的には。しかし、今大蔵大臣お答えのように、残念ながら労働基準法上はないわけでございます。
 これについてでございますが、労働基準法で言う有給休暇の概念を労働省はどういうふうにとらえておられますか。
#153
○政府委員(野崎和昭君) 年次有給休暇制度は国際的なものでございますけれども、ILOの四十七号勧告におきましては、その目的を、「被用者に休息、娯楽及其の能力の啓発の為の機会を確保するに在る」というふうにされておりまして、そいう目的のために休日のほかに毎年一定日数の有給の休暇を与える制度であるというふうに承知しております。
#154
○細谷昭雄君 労働基準法の改正というのはこれはこの前行われました。その際に国会の附帯決議をつけまして、いわゆる一年未満の季節労働者に対しましても一定の有給休暇を導入すべきであるというふうな附帯決議が行われ、六十三年の四月一日に労働基準局長通達が出たわけでございますが、その効果のほどをどういうふうにお考えなのか、労働大臣からお答え願います。
#155
○国務大臣(塚原俊平君) 出稼ぎ労働者の方々に対する有給休暇の普及状況につきましては、昨年の六月に建設業に対して監督指導を実施した際にあわせて調査を行いました。調査した五百二十二事業所のうち一四・六%に該当する七十六事業所において有給休暇制度が設けられておりました。この有給休暇制度の普及状況につきましてはまだ十分ではなく、改善を要する状況にあると認識をいたしております。今後とも監督指導、各種集団指導、説明会等のあらゆる機会を通じて、またリーフレット等も活用してその普及のための啓発指導に一層努めてまいりたいと考えております。
#156
○細谷昭雄君 私もことし関東、それから阪神、それから愛知県を中心とする東海、この三地区について私ども大体百事業所ばかり回りましたが、有給休暇をやっておるという建設現場というのはたった三社しかございませんでした。大体そんなものだと思います。
 もうこのように通達行政だけではどうにもならないという問題でございます。どうかひとつこういう問題につきまして業界に対する積極的な指導、こういうのがなければならないと思います。労働省だけに任せておってはならない。そういう点での行政指導をどうされるのか、建設大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#157
○国務大臣(綿貫民輔君) 先ほどから御指摘のように、現場におけるいろんな状況をお聞きしておりますが、今後御指摘のような面について強く業界を指導してまいりたいと考えております。
#158
○細谷昭雄君 実際問題としまして、やっぱり法律で決めなければなかなかできない。今のところは業界の理解が得られないという形で、これは法改正ができないというふうに私は聞いております。労働基準法改正がこれはどうしても必要でございますし、パートにつきましても、一年以上ということでございますので、有給休暇制度は労働基準法上開けておるわけであります。ましてや、このような非常に過酷な条件のもとで働いておるこの季節労働者に対してもどうしてもこれは付与しなければならない、こんなふうに私は思うんですが、この点について今後の法改正について労働大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#159
○国務大臣(塚原俊平君) ただいま労働基準局長の方から、ILO等の例を引用いたしまして有給休暇に対する御説明を申し上げました。いわゆる年次有給休暇制度というもの自体をもうちょっとしっかりと、基本的に認識を、一つのものをつくり上げて、その上でこれはやっていかなくちゃいけない問題だと思います。
 ただ、ただいまの先生の御指摘、一つ一つもう本当に私どもも胸にずしりずしりとくる内容ばかりでございまして、そういう法律をつくるいろんな手続等はあるんだと思いますが、それにつきましては精いっぱいできる限り御満足いただけるような方に一生懸命勉強していきたいと思いますが、少なくともただいま建設大臣も申し上げておりましたが、何と言っても参議院の社会労働委員会の附帯決議という大変重いものがあるわけでございますから、私どもとりあえず今できます指導をしっかりとまずいたしてまいりたいというふうに考えております。
#160
○細谷昭雄君 きょうはお忙しいところ、参考人としまして建設業退職金共済組合の花田理事さんをお招きしておりますのでお伺いしたいと思うんですが、建設業退職金共済制度というのがございます。これは大変にもう、何といいますか、現場の労働者が待望しておる制度なんですけれども、実際は、加入がふえておるにもかかわらず給付はさっぱり下へおりてこないという問題がございますので、この実情と問題点についてお伺いしたいと思います。
#161
○参考人(花田達郎君) お答え申し上げます。
 まず、建退共制度の普及状況でございますけれども、いわゆる共済契約者、この制度に加入しております中小企業の建設業者ということでございますけれども、平成元年度末といいますか、今年の三月三十一日末で約十二万八千人ほどでございます。さらに、その適用を受けておりますいわゆる労働者数、被共済者と呼んでおりますけれども、これは同じ時点で約百六十五万五千人ということでございます。いずれも前年度に比べまして二%弱増加をしているという状況でございます。ここ数年来、ほぼ同じ状況でございます。見方によっては順調に伸びているということでございますけれども、やはり悩みといたしましては、なかなか飛躍的に伸びてこないということでございます。
 その理由、問題点ということでございますけれども、大きいところにはかなり御理解をしていただいていると思っておりますけれども、規模の小さいところにつきましてはなかなか浸透しないということでございます。それから、相対的に大都会に普及が結局おくれているということになっております。公共事業につきましてはかなり関係者の皆さんの御協力を得て浸透しているのではないかなと思いますけれども、大都会の場合は民間工事が多いことがございまして、任意の退職金制度ということもございまして、どうも民間工事に普及しないということでございます。それからさらに、下請業者に浸透しないということは、せっかく元請さんが証紙を購入してくれましても、受け皿がないことになりまして、張られないという問題もあるというふうに理解をしております。
 大まかに申しますと、そんな点が私ども問題点、悩みではないかというふうに思っております。
#162
○細谷昭雄君 ただいまのお話でもおわかりのとおり、公共事業では恐らく恩典に浴しているんじゃないかというふうにお考えのようでございますが、公共事業経費の計上の上でこれは政府指導上の配慮がなされておると思いますが、大蔵大臣いかがでしょうか。
#163
○国務大臣(橋本龍太郎君) 建設業退職金共済制度の普及という視点につきましては、委員が御承知のように、この促進を図るために前から加入促進対策費が計上されております。平成二年度の予算におきましても、多少ではありますけれども増額をいたしております。相談員等、御承知のとおりであります。今後とも関係各省庁の実態把握を待ち、よく相談しながら対応していきたいと考えております。
#164
○細谷昭雄君 今の大蔵大臣の答弁がございますように、十分配慮しているはずですが、今花田さんがお話しのとおり、実際の公共事業をやっておる下請の労働者には全くそれが入っていかないという問題なんです。これについては特に建設大臣と自治大臣からひとつ強力な業界指導ないしはそれぞれの発注者の注意を喚起していただきたい、こんなふうに思います。建設業で働く労働者のささやかな、そして非常に強い願望を持っておりますこの制度が、これは何としてもいろんな点で皆さん方の協力がなければ実際に入っていかないというふうに考えますので、特にこの建退共の所管大臣であります労働大臣、どういうふうにしてそれぞれの皆さん方の協力を得られるようにするか、これについての対応策をお伺いしたいと思います。
#165
○国務大臣(塚原俊平君) ただいま御質問のうちの具体的な対応策についてだけちょっと政府委員から答弁させます。
#166
○政府委員(岡部晃三君) 先生御指摘の点につきましては、私どもも常々問題意識を持っているところでございまして、特に事業団の方からもお答えがございましたように、加入促進の問題あるいはまた退職金支給額の水準の問題、それから購入されました証紙が張られていないというような問題、これをどのように取っ組んでいくかということでございます。
 具体的に、公共事業につきましてかなり進んでおると思いますが、やはり大蔵大臣からも御答弁がございましたように、まず工事費の積算に当たって建退制度掛金相当額が含まれるようなそのような公共事業の御酌層をいただいておりますとともに、入札参加者の資格審査に当たりまして建退制度加入状況を考慮もいただいておるということでございます。
 それから証紙の貼付の関係でございますが、受注業者が下請契約を締結する際に、下請業者に対しまして共済証紙を現物交付するということを勧奨するというふうな指導を行っておるところでございます。問題は民間工事でございますが、これも建退制度の普及促進が頭が痛いところでございます。私ども毎年加入促進強化月間を中心に、指導、勧奨を行っております。
 それからまた、下請事業主、それから現場労働者の意識を高めるために、本制度への加入促進を図るために、本年度より建退共の適用工事現場という標識を掲げていただくようにして推進を図っていくことにいたしております。
 それから新たに加入した被共済者を雇用した事業主に対しまして、国の補助の制度を講ずることにいたしておるところでございます。
 今後とも各施策の推進に努力してまいりたいと思っております。
#167
○細谷昭雄君 ぜひひとつ、これは促進方を政府に強く要望申し上げたいと思います。
 問題は、地方の賃金がもっともっと高ければ、これはもう無理して季節労務のために中央に出てくるということはないわけでありますが、地方の賃金が非常に低いわけでございます。公共事業が拡大されるというふうな現在の状況の中で、地元雇用とともに賃金の引き上げというのもこれは連動するように配慮できないのかどうか。まず大蔵大臣と経済企画庁長官にこの点の配慮をどういうふうにするのか、お答え願いたいと思います。
#168
○国務大臣(橋本龍太郎君) 公共事業の配分につきまして、委員が御承知のように、従来から通常の場合におきましても、例えば積雪寒冷地等の特例でおわかりのように、地域経済の実情あるいは社会資本整備の状況でありますとか、事業の優先度等さまざまな視点を見ながら地域配分を行ってまいりました。これから先も同じような考え方で私どもとしては公共事業というものを配分してまいりたいと思っております。
 ただ、それと、私どもの守備範囲から申しますと、それぞれの地域における給与水準、そしてそれと連動いたします公共事業に参入されます業者のそれぞれの賃金水準というものにつきまして、私どもとしてそれをどうこうという立場ではないと思います。
#169
○国務大臣(相沢英之君) 公共事業の配分につきましては、やはり地域格差の是正という考え方から各省庁におきましてもいろいろと留意いただいているところでありまして、最近における例えば六十二年の実績を見ましても、全国平均に対しましても北海道、東北、あるいは四国、九州というようなところに公共事業の配分が多く行われていることは明らかでございます。例えば一人当たりの公共投資を見ましても、北海道が三十六・二万円、東北が二十四・一万円、あるいは四国が二十四・二万円、これは関東の十六・五万円あるいは近畿の十七・二万円に対しまして確かに傾斜的に配分されております。この公共投資がそれぞれの地域におきまして生産を引き上げていることは明らかでありまして、六十二年におきましても、総体一兆五千億の投資に対して生産誘発額が五兆九千二百億、約四倍近い誘発をされているのであります。
 そういったことは当然賃金にも影響を及ぼしているのでありまして、御承知のように、高度成長期においてかなり賃金格差が締まりましたが、ここ五、六年と申しますか、七、八年前からまた格差がやや開いている状況にあったのであります。ただ、最近二、三年は、再び景気の拡大とともに景気が中央から地方にも浸透してまいりまして、有効求人倍率を見ましても、東北あるいは九州、四国といったところの倍率が高くなっておりまして、それが賃金にも影響を及ぼしていることが数字的にも、本当に明らかかというとそうではありませんけれども、かなり出てきているという状態で、これは今後もそういう傾向をたどるんではないかというふうに思っております。
#170
○細谷昭雄君 賃金といいますのは、何といいますか、やっぱり大変動くものでございまして、地価の高騰と比例しましてどんどん東京近辺の賃金が上がっております。人手不足というのはこれはもう反映していると思うのですが、地方の賃金と中央の賃金では、半分というとちょっと語弊がありますけれども、秋田なんかは約半分という状況でございます。一日五千五百円が秋田の現在の建設業関係の単純労働賃金です。東京は一万一千円でございます。大体半分ですね。ですから出稼ぎが多いわけでございますので、公共事業に含まれております三省賃金、いわゆる積算基礎、この積算基礎に近い賃金を確保するということをどうしても公共事業を発注する側としてやっていただかなくちゃいけないことなんですよ。
 大蔵大臣は、その点はもう、賃金水準について私はちょっと、何といいますか、その限りでないというふうにお話しでございましたが、公共事業の積算単価というのがあるわけですので、それをそのままというのはできないわけですけれども、それに近いものに近づけていくという政府の努力を特にお願いしたいというふうに思うんですよ。その点、どうでしょうか。
#171
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、率直に申しまして、お気持ちはわかりますが、私が御答弁を申し上げるのは多少筋違いかと思います。
 と申しますのは、建設業のみならずそれぞれの賃金における地域格差というものは、確かに現に存在をいたしております。そして、委員はたまたま公共事業というものを一つのいわば呼び水の地位に置かれて、建設業における給与水準を大都市部と地方において格差のある部分について是正するような方向へ誘導しろという御指示でありますが、それぞれの地域の給与水準というものは建設業のみではないわけでありまして、そうした地域の経済実態を、全く無視するという言い方は失礼かもしれませんけれども、頭から外しまして、公共事業等の人件費に係る部分の積算を全国一律というようなのは、これはむしろ実態に合わなくなってしまうのではなかろうか。むしろ、これは雇用政策その他の中で、あるいは地域経済対策というものの中で、それぞれの地域間の格差というものを埋めていく過程で縮小していくべきものではないでしょうか。
 これを公共事業における人件費部分という形で突出をさせることが結果的にバランスのとれた地域の経済状態を維持する、そして格差を埋めていく方向に働くばかりではないような気がいたします。
#172
○細谷昭雄君 これは後ほどまた機会があれば議論したいと思うんですけれども、冬期雇用奨励金給付制度というのがございます。これにつきまして北海道開発庁長官と労働省はどういうふうに評価されておるか、お伺いしたいと思います。
#173
○政府委員(清水傳雄君) 積雪寒冷地におきましては、冬場に離職を余儀なくされるそういう季節労働者の方々が北海道を中心に多数おられるわけでございまして、こうした方々の雇用の安定を図っていくということは非常に重要な課題でございます。
 現在、通年雇用奨励金を初めといたしまして、今御質問の冬期雇用奨励金等の雇用の安定を図るための各種の奨励金によりましてそのための施策を進めておるわけでございます。
 実績について申し上げますと、これらの給付金制度支給総額は約百五十五億円でございまして、通年雇用奨励金が約一万三千人、冬期雇用安定奨励金制度が約五万人、冬期職業講習助成金給付制度が約五万人というふうになっておりまして、これらを通じまして冬場における通年雇用のための素地づくり、そういうことを通じまして積雪寒冷地におきます労働者の雇用の安定に資する、あるいはまた事業主サイドにおきましても冬期雇用施工の拡大にも役立てていただく、こういうことで、その普及促進をやってまいっておるところでございます。
#174
○国務大臣(砂田重民君) お答えをいたします。
 北海道は御承知のような気象条件でございますから、建設業を中心にいたしまして多数の季節労働者がおられます。全国の季節労働者の中で北海道におられる方が四二%ばかりと承知をいたしております。これらの方々の雇用の安定を図りますことは極めて重要な問題でございまして、当庁といたしましても、北海道開発予算にかかわります事業の平準化を図る等、雇用の安定的確保に努めているところでございますが、労働省も冬期雇用安定対策を積極的に進めてくださいまして、今委員御指摘の冬期雇用奨励金の給付制度、北海道におきましても季節労働者の冬期雇用の促進や、また職業能力の向上に大変大きな役立ちをしてくれております。冬期下の北海道経済の下支えに寄与しているものと認識をいたしておるものでございます。
#175
○細谷昭雄君 このように大変北海道地域では有効に働いておるということでございます。したがいまして、これが三年ごとの細切れの計画になっておるわけでございますので、これをもっと中長期的な、例えば十年は固定するというふうなことにしてもらえないのか。そして同時に、この約百五十五億をある程度、雇用する業者に多少多い、それから労働者に対しては多少ない、それをもっと平均化するとか、そういう改善策があろうかと思うわけでございますが、大蔵大臣と労働大臣のその点について御努力を要請したいと思いますが、いかがですか。
#176
○国務大臣(塚原俊平君) いろいろな御議論をいただきながら、昭和六十三年度までの暫定措置となっておりました冬期雇用安定奨励金制度及び冬期技能講習助成給付金制度を平成元年に三年間延長をいたしました。通年雇用奨励金制度を含めまして、助成制度の定額制から定率制への変更、講習内容の高度化等、各給付金制度の改善を行ってまいりました。そういう中で、本年が最初の冬ということでございまして、まずどの程度これが効果が出るかということを見守らしていただきたいと思います。確かに、先生の三年三年の細切れ議論も非常にわかる部分があるのでございますが、それにつきましては、とりあえず今のところはまだ慎重に成果を見ながら対応してまいりたいというふうに考えております。
#177
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員の御指摘を受けながら、改めて元年度における制度改正と旧制度とを比べ合わせて眺めてみておりました。それぞれの仕組みの改め方、これはやはり通年雇用というものを定着させる方向に向けて私は非常におもしろい発想で内容を改めたなと、率直にそう感じます。
 ただ、それだけに、今委員がお述べになりましたように、もっと長期間にということが果たしてどうなのか。むしろ、これがうまくいくかどうか、私は様子を見てみたい。そして、もしそれがうまくいくものであるならば、そのまま定着していくということも次の延長時点において考えてもいいことでありましょうし、むしろなお改良を要するところがあるならば、この暫定の三年という期間が切れた時点で次の手法を考えるということがあってもいいのではなかろうか。いずれにしても、通年雇用に向けてのこうした仕組みの改良といいますものは非常に結構なことだな、そう思っております。
#178
○細谷昭雄君 次に、穐山委員からも要求がございましたけれども、外国人の単純労働者、不法労働者、この受け入れについて政府の統一見解はいかがでしょうか。もし統一見解がまだ出されないようでありましたら、法務大臣、この単純労働者に限って、現在の状況、これをお伺いしたいと思います。
#179
○国務大臣(長谷川信君) お答えを申し上げます。
 今、単純労働者の問題ということでございますが、数で正確なところは把握しておりませんが、大体十万から十万二、三千くらい入っておることは間違いないようであります。なぜそんなに入ったかと申しますと、これは委員御案内のとおり、東南アジアでもアジア諸国でも、もう泳いでも日本に到着して、働いて金をためて、そして帰ろうという若い諸君がまさに、何といいますか、果てしないくらい希望者があるわけで、そのうちの幾分かが来ているわけでございますが、それでもなお十万を超えていることは事実のようであります。ちなみに申し上げますが、これはあくまでも不法に入ってくる皆さんですね。その反面、合法に入っていらっしゃる方が七万から七万一千ぐらい、その程度の数の者は合法的に入っております。
 これからの法務省の対応でございますが、でき得べくんば合法的に入っていただいている方、要するに技能労働者、あるいは特別の、何といいますか、いろいろ技能を持っている方、そういう方からできるだけ入っていただいて、不法の皆さんはできるだけひとつ減らしていただきたいという考え方を持っておりますが、しかし今諸般の状況を見てみますと、これは私が計算した統計じゃありません、新聞の統計でございますが、今中小企業で七軒に一軒ぐらいの割合で外国人労働者が入っている、その大多数は単純労働者だというふうはいろいろ書いてございますが、私も大体そんなことだと思うんですよ。思いますが、それをできる限り技能労働者あるいは特別の方から余計入っていただいて、そして不法ということはこれはいずれにしろいいことじゃございませんので、不法の数をできるだけ合法的に入れるような形にまで、あるいは現地でもって教育を進めるとか、あるいは日本に入ってもいろいろまた技能の面を開発して教えていくとか、そういう面を多角的にいろいろ検討しまして、そういう方針で今進ませていただきたいというふうに考えております。
 以上であります。
#180
○細谷昭雄君 外国人労働者を考える場合に、私がずっと今まで指摘してまいりましたとおり、国内でいまだに労働条件が極めて悪いそういう底辺労働者がたくさんおるわけであります。その人たちをこのままにしまして外国人労働者を入れるということになりますと国際的な問題になるわけですよ。ですから私たちは、まずとにかく国内のきちっとした、労働条件を引き上げなさい、少なくとも最低のところ、法律の示すところまで引き上げなさい、その上で労働者が足りなかったら国際的ないわゆる自由な開放をしなさい、こういうふうに申し上げたいと思うんです。統一見解をつくる場合には、少なくともそのことだけは忘れないでほしいということを強く要望したいと思います。
 時間がございませんので、元請、下請関係に移りたいと思いますが、これはもう今や死文化しているんじゃないかというふうに思います。建設業界のこのままの状態では、これは日米の構造協議で非難されるのは当たり前だと思うんですよ。建設大臣と自治大臣は、このようないわば前近代的な下請重層構造、こういったものにどんなメスを入れどういう指導をされるのか、所見を伺いたいと思います。
#181
○政府委員(望月薫雄君) もう先生には申し上げるまでもありませんが、建設産業というのは言うなれば俗に言う元請下請を中心とする総合的な組み立て産業、こういった構造を持っているわけでございます。そういったものであるがゆえに、私ども元請と下請の関係、あるいはもっと俗に言う孫語の関係等々を含めて、いかにこの建設業そのものの体質を近代化し健全化するかということは大変重要な問題だというふうに考えております。
 御指摘のとおり、昭和五十三年に元請下請関係の合理化指導要綱というものを持って私ども指導しておりますが、先ほど来出ているもろもろの労働者不足問題、あるいは今後に向けての大きな役割等々考えまして、さらに今後に向けて建設業の健全化、良質化、近代化を図るために、言うところの今までの指導要綱というものを全面的に見直したいというふうに考えております。私ども現在建設業の将来に向けての構造改善対策に昨年度から取り組んでおるところでございまして、その一環としまして元請下請問題を総合建設業者と専門工事業者という関係にとらえて、言うなれば適正な役割分担、合理的、近代的な契約関係、こういったものを軸とした新しい指導要綱に改定を図りたいということで、現在精力的に作業中でございます。
#182
○国務大臣(奥田敬和君) 今建設省の政府委員が答えたとおり、発注体である自治体といたしましても、今言いました下請選定の名義人の届け出、そして下請に関して保険加入等々の、そういった公共工事に関してはその分が積算されておるわけですから、そういった実態等について適格であるかどうか、そういうことを審査の上で発注しておる、また、そういった方向で指導しておるというように聞いております。
#183
○細谷昭雄君 四月二十一日の報道によりますと、大手の日本建設業団体連合会、これが完全週休二日制を打ち出しました。問題は、現実には中小企業、零細企業の建設業界ではお天気次第でございまして、日曜日も休まないというのが現状でございます。
   〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
このような大手が完全週休二日制の場合、インパクトとしてこういうふうな下請企業にどう連動させるか。これについての指導を建設大臣はどうお考えでしょうか。
#184
○政府委員(望月薫雄君) 建設業の現状、なかなか労働条件がよくないということで、私どもも週休二日制、休日をしっかりとるという、あるいは超勤をできるだけ少なくするようにという指導を今強くしておるところでございます。もちろん、これは大手元請だけが達成いたしましても下請等への浸透にはならぬということは当然でございますので、その辺も含めて今後さらなる指導をしてまいりたいと思います。
#185
○細谷昭雄君 最後になりましたけれども、底辺労働者を守るためには、何といってもこれは国の労働行政、この監督官の数、それから質が問題でございますが、これは現在監督官の業務の負担実情、大変に高いのでございます。一人で大体千五百カ所を持っておるという状態でございますので、三百六十五日働いてもこれは追いつかない。したがいまして、こういうのに対しまして、総務庁長官はこれでいいと思っておられるかどうか。
#186
○国務大臣(塩崎潤君) 今委員御指摘の監督官についてのお話を聞いてまいりました。
 定員につきましては、御承知のように、厳しい管理下にありますけれども、労働基準監督官につきましては、私が資料をとってみますと、六年間のうちに二百八人、平均三十四、五人の増員を図ってまいりました。委員は、それでもまだ今千五百も受け持っておるんですから足りないのではないかという御質問だと思いますが、今後の問題につきまして、厳しい定員の管理状況にありますけれども、労働省と十分に相談していきたいと思っております。
#187
○細谷昭雄君 労働省、とりわけ現場の指導、事故防止の第一線の監督官が実質的な点検活動ができない状況にあります。したがって、労働大臣はこれに対して、今総務庁長官の問題ございますけれども、この底辺労働者の人権を守るという点で、具体的に政府部内でやはり監督官をふやすという、監督行政全体をふやすという点でのこれは所見をお伺いしたいと思います。
#188
○国務大臣(塚原俊平君) 本当に大変ありがたい御質問をいただきましてありがとうございます。また、ただいまは総務庁長官の方からも大変前向きの答弁を引き出していただきまして本当にありがとうございます。
 先生御指摘のとおりでございまして、本当にこれは確かにふえているとはいっても、今御指摘のとおり、一人の持つ事業所が物すごく多いものでございますから、まだまだ不足の現状にございます。さらに増員を図るように、大変厳しい条件が数多くございますが、そういう中で精いっぱい頑張ってまいりたいと思っておりますので、何とぞ御支援、御支持のほどよろしくお願いいたします。
#189
○細谷昭雄君 次に、米の問題についてお伺いしたいと思うんですが、ことしの四月二十七日に、「自主流通米の価格形成の場」検討会というのが、これは報告書が食糧庁長官に対して行われたと承っております。
 これを受けて食糧庁には対策室なるものができたそうでございますが、その性格を明らかにしていただきたいと思います。
#190
○政府委員(浜口義曠君) 先生御指摘のように、昨年の六月に農政審議会から御報告をいただきました。「今後の米政策及び米管理の方向」ということでございましたが、一つは国内の自給を基本とする、さらにまた米の需給と価格の安定を図るという食糧管理制度の基本的役割は維持するとした上で、自主流通米につきまして、民間流通のよさを一層生かし得るよう、需給の動向、品質の評価を価格に的確に反映させるための価格形成の場を設定するという御提言でございます。さらに、価格形成の場は一定の資格を有する集荷業者と卸売業者との間の価格形成を図る機能を果たす、こういうことでございまして、先生御指摘のとおり、これは昨年の九月から食糧庁におきまして学識経験の方々が御検討をいただきまして、連休の前に御答申を賜りました。
 私どもといたしましては、この報告の中にございますように、関係者と十分この点を詰めろ、こういうことでございますので、これまた御指摘のとおり、現在対策室というものを、課長レベルでございますが、部屋を設けました。それから次長をキャップといたしまして対策本部というものを設けまして、食糧庁挙げてこの御提案の内容を詰めている段階でございます。
 先生御指摘の、どういう性格かということでございますが、室の方は役所の室でございますけれども、内容的にはこれは現在既に食管法のもとで、通達レベルではございますけれども、協議会という方式で自主流通米の値決めが行われているわけでございますが、二十年たちまして自主流通米のウエートも高くなりました。そういったことから、今回価格形成の場という名前でその内容を提起されたものですので、この内容を詰めている段階でございます。
 この性格でございますけれども、なぜこの価格形成の場という議論がありますかということでございますが、取引所と違うわけでございます。報告の中にもありますように、先物をやらないというようなこともございます。そういう意味で、価格形成の場と言わせていただきたいと思います。
#191
○細谷昭雄君 これは、市場だとか運営を第三者機関にするとか、取引回数とか、細かい点がございますが、この内容についてもひとつ報告願いたいと思います。
#192
○政府委員(浜口義曠君) 基本的には一体化した御報告をいただいておりますが、現在具体的内容は先ほどの準備室あるいは対策本部ということで詰めることになります。
 なお、その報告の中での管理の主体でございますが、簡単に申し上げますと、これはいわゆる第三者機関といいますか、公平中立な第三者機関ということをうたっておりまして、いわば一つの例示としては国のといいますか、食糧庁の監督のもとに置かれます公益法人を一応予定、具体的事例を挙げております。
 また、取引数量でございますけれども、大体百万トンぐらいを目途にしたらどうだ、努力目標にしたらどうだということを言っております。現在、自主流通米四百万トンですが、そういった数字を挙げているところでございます。
 取引回数は月一回程度どうだろうというふうな御提案でございます。
#193
○細谷昭雄君 政府米の昨年産米、つまり平成元年産米は集荷が三〇%というふうに聞いております。こういうふうな市場を開設することによりまして政府米は一体大丈夫なのか、いわゆる需給調整をするための政府米そのものに不足を来すんじゃないかという懸念がございますが、いかがでしょうか。
#194
○政府委員(浜口義曠君) 先生御指摘の政府米に関連してでございますが、食管制度のもとにおきます安定供給を図っていくお米といたしましては、一つは今の政府米、それから自主流通米というのがあるわけでございまして、後者は先生御案のように昭和四十四年に発足をしておりまして、両々相まって安定的供給、食管制度のもとで政府米と自主流通米が二本足で歩く、こういう形になっているわけでございます。
 今比率のことで御提起になりましたように、おっしゃるとおりに、ここのところへまいりましていろいろな地域における良質米が出てきたということからそのバランスが少しずつ変わってきております。それで、大体集荷ベースは三割ですが、全体供給ベースで言いますと、政府の持ち越しがございますので四割程度になろうかと思いす。そういったことで、両々相まっていこうということで具体的には四割といったような提示、今度の自主流通米の報告では三、四割ということ提起しております。結論的に言いますと、これで十分安定的に供給するということをやっていきたいというふうに考えているところでございます。
#195
○細谷昭雄君 政府米はそれぞれ米価の決定がございますけれども、米価審議会その他に、この米価決定にどういうふうに連動するでしょうか。
#196
○政府委員(浜口義曠君) ただいま先生の御指摘のは平成二年の生産者米価等々であろうと思います。この点については最近の直近のデータをもって対応するということで、現在どういう形でということをまだ決めておりません。
#197
○細谷昭雄君 報道によりますと、良質米奨励金の見直しについても云々されておる。当然これは市場の価格形成ということでございますので、この点について産地間競争が大変激化するというふうに予想されておりますが、この点でどういうふうにお考えですか。
   〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
#198
○政府委員(浜口義曠君) 良質米奨励金の点が一点ございますが、この点につきましてもいろいろ御意見がありますけれども、現時点において私どもまだ決めておりません。
 なお、全体の動きの中で良質米がふえることによって食管制度自体についての影響ということを御指摘になられましたけれども、私はあくまでも、これは冒頭ちょっと長くお話しいたしましたように、具体的に現在やっております自主流通米の値決めの場合を変えていこうと。もう二十年たちまして一つの大きな姿に自主流通米がなったわけでございまして、そういう意味で一つのルール、やり方というものを検討している段階でございまして、それが御指摘のような形で食管制度に対して大きな影響を与えるというふうには考えていないところでございます。
#199
○細谷昭雄君 市場取引に参加する卸売業者の拡大を考えておりますか。
#200
○政府委員(浜口義曠君) 今回の御答申といいますか、報告によりますと、いわゆる二次集荷業者あるいは卸売の団体等があります。なお、検討項目としてまた実際にそれを実需者というものも取引の実態に応じて考えていけという提起はございますけれども、現時点で当面の問題としては、今申し上げましたように集荷業者においては原則二次集荷業者、経済運とか、それから卸売の場合においては卸売業者というふうに考えているところでございまして、まだその御提案のもとに従いまして食糧庁の中で検討しているところでございます。
#201
○細谷昭雄君 今後は。
#202
○政府委員(浜口義曠君) 今後まだそこのところまで十分考えておりません。
#203
○細谷昭雄君 大臣にお聞きしますが、市場開設といいますのは、食管制度の維持をうたいながら、一方では米の国内自由化を促すという極めて重大な問題を含んでおります。食管法を改正しない、したがって我々国会で議論をしない、そうしておってどんどんこういうふうなことを進めておるという点については、これはもう国会軽視だというふうに言わざるを得ません。その点について大臣はどうお考えですか。
#204
○国務大臣(山本富雄君) お答えいたします。
 今食糧庁長官と委員とのやりとりがいろいろございましたけれども、自主流通米側度というのがずっと比率を増してまいりまして、そしてしかも二十年経過をしたというふうなのが現段階なんです。着物も洋服も二十年たてば随分着せかえもしなきゃならない、世の中の二ーズにも合わせなきゃならないというふうなこと等を考えながら、今度の価格形成の場というのを――これは普通の取引所とは全然違う、先ほど来お話ししたとおり、先物やったりそんなことはいたしませんから。ただ、一方では消費者、一方では生産者、そして消費者も生産者も、この間この場で申し上げましたけれども、最近のある世論調査などによると、多少高くても安全でうまい米がいい、こういう世論が今ずっと出てきているわけでありますから、それに対応した形で今回この制度を考えた。しかし、あくまでもこれは国会が中心でございますから、ただこの検討会を隠れみの的に使ってそしてやるような不届きなことは一切考えておりません。またそんなことをするには余りにも大きい問題でございますから、よく国会の御意向も踏まえながら順次進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#205
○細谷昭雄君 このような自流米の自由化というのはついには米の部分管理に走るんじゃないかというふうに指摘されておりますし、私もそういう危惧を持っております。こうなりますと、これはもう政府米が当然不足をしてきます。高い方の自流米にどんどん走るわけです。それで結果的には調整機能を失っていって、ついには結果として米の輸入の素地をつくっていくということになるのではないか、こういうふうに私は危惧しますが、大臣はどうですか、その点。
#206
○政府委員(浜口義曠君) 先ほど来お話をしておりますように、今回の提案は食管制度を堅持してそのもとで行えということでもありますし、さらに食糧管理制度のもとで政府米及び自主流通米ともに政府管掌米でございます。先生の御提起の部分管理というものとは全然違いまして、その両者で安定供給を図っていこうということでございますので、私どもはそういうものの中で食糧管理制度の目的を全うしていきたいというふうに考えているところでございます。
#207
○細谷昭雄君 大臣、答弁。
#208
○国務大臣(山本富雄君) 部分管理とか空洞化とか、あるいは先々のことも御心配なすっておられますけれども、その一番先の問題についてはこれは全く逆でございまして、私どもの考え方はもう決まっておるということでございます。
 また、今我が方の政府委員である食糧庁長官から、二本足でやっていくことが必要なんだ、こういう現下の情勢に合わせた、消費者のニーズと生産者のニーズに合わせた方向で新しく踏み切ったと、こういうふうに御理解を賜りたいと思っております。
#209
○細谷昭雄君 よくシビリアンコントロールというのがありますが、食糧庁に任せないで、やっぱり主管大臣としましては十分こういう国民の懸念、我々も懸念しておるわけでありますので、その点十二分な監視、指導をこれはもう怠りないようにしていただきたいと強く要請申し上げたいと思います。
 外務大臣にお聞きします。
 このような国内の私は米の自由化というふうに思っておりますが、日本の農産物の十二品目に関するガットのパネル報告、これがありますけれども、このパネル報告において要件の一つに挙げております政府の措置による国内生産体制の我が国の主張の根拠をみずから放棄することになるんじゃないか、こんなふうに思いますが、いかがでしょうか。
#210
○国務大臣(中山太郎君) パネル報告につきましては、経済局長から御答弁させていただきます。
#211
○政府委員(林貞行君) 今先生の御質問は、米の国内の流通を自由にしていけば、パネル報告で示されているような輸入制限を正当化するような根拠がなくなるんじゃないか、こういう御質問かと思います。
 先生御指摘のガット十一条二項(C)項というものがございますが、これは農産物につき国内での販売もしくは生産に数量制限を行っている場合には、一定の条件のもとでこの産品につき輸入制限を行うことを認めているものでございます。したがいまして、この産品の国内での生産制限を行っている等の条件が満たされる限り、たとえ当該産品につきまして国内での流通を自由化いたしましても、これによって直ちに輸入制限を行っているガット上の根拠が失われるというものではございません。
#212
○細谷昭雄君 また、アメリカはガット交渉で非関税障壁の関税化を主張しております。そして最近は各国の品目別に関税率を試算してきたというふうに伝えられております。米は七〇〇%。ECが戦術転換をしたということに絡みまして、今後の交渉が極めて難しくなるというふうに予想されますけれども、外務大臣と農水大臣の決意を伺いたいと思います。
#213
○国務大臣(中山太郎君) 先般のガット・ウルグアイ・ラウンドの非公式協議におきましては、私から国会の決議等を踏まえて基礎的食糧の安全保障的な考え方を主張してまいりましたし、議長の報告書にもそれが載せられております。
 今後の見通しにつきまして今委員からお尋ねでございますが、米国の関税化提案に対し、ECは当初、米国提案の内容は非現実的であり交渉の基礎とならないと反応いたしておりましたが、最近になってECも、仮に一定の条件が満たされれば関税化の検討にも応じてよいとの立場を明らかにしていることは御案内のとおりでございます。しかしながら、同じ関税化とは言いながら米国、ECの考え方には相当隔たりがございます。こういうことで、今後の関税化ではかなり調整をしていくことも考えられるということで、私どもの政府としての立場はこの成り行きを注視しているというところでございます。
#214
○国務大臣(山本富雄君) もう先生百も承知でいろいろ御注意も含めましてお話があったわけでございますし、また外務大臣からも今答弁があったとおりでございまして、なかなかアメリカを初め議論が厳しいという状態が続いております。
 しかし、昨年十一月に各国提案の中で我が国も食糧安保問題を中心にした提案というものを正式にしておりまして、それを根拠にして今日まで何の変更もなしに積み上げてきた。さらに七月に向かって、さらに年内に向かって交渉を進めてまいりますけれども、先ほど来先生がきょうは角度を変えていろいろ御注意をしてくださいましたけれども、そのこともよく踏まえながら、またアメリカ側のあるいはEC側の動きなども見詰めながら、しかし日本としては昨年以来の方向についてはこれを貫くということでしっかり進めてまいりますので、従来どおりひとつよろしくお願いをしたい、こう思っております。
#215
○細谷昭雄君 あと一問。もう若干時間をいただきまして申しわけございません。
 最後に農水大臣にお願いしたいんですが、五月二十二日付でヤイター国務長官の書簡が報道されております。農水大臣はこのヤイター書簡を受け取られたのかどうか。そして、農水大臣の内政干渉の発言もございましたが、私はそういう意味では農水大臣に応援団という立場でお尋ねするんですけれども、ヤイター書簡の意図というのは、米を何といっても二国間交渉に引きずり込んで、そして直接圧力をかけることにあるんじゃないか、こんなふうに思うわけでございます。こうしたことで、よほど腹を固めてひとつ国益を主張するという立場で今後のウルグアイ・ラウンドその他に臨んでいただきたいと思うんですが、この一連のヤイター書簡その他の大臣の発言の真意、こういったものをお聞かせ願いたいと思います。
#216
○国務大臣(山本富雄君) いわゆるヤイター書簡、山本あてに出したということですけれども、届いておらないんです。出したものがどこへどうなっているかわかりませんが、届いておらない。したがって、報道その他ではいろいろ言われておりますけれども、私が正式に見もしないで中身をコメントするということは、これはもう大変な間違いを起こすことになるというふうに思っておりまして、私は従来の立場をもう堅持して、従来どおり物も言ってまいりましたし行動もとっていくということでひとつ御理解を願いたい、こう思っております。
#217
○細谷昭雄君 終わります。
#218
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で細谷昭雄君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#219
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、竹村泰子君の一般質疑を行います。竹村君。
#220
○竹村泰子君 在日外国人の人権の問題についてお伺いしたいと思います。
 五月四日の朝日新聞の「論壇」にこういう記がございました。「外国人を「罪人」視する日本という一人の日本人男性と結婚したイギリス人性の投稿が掲載されておりました。それは就労ビザを婚姻ビザに変更するときに提出を求められた書類についてであります。それは次のような書類だったそうです。これはまことに不思議なことなんですけれども、ちょっとお聞きください。「二人の就業契約書、在職証明書、昨年度の所得証明、住民票、アパートの契約書、」、この辺までは仕方がないかと思いますけれども、その次に、「最寄りの駅から自宅までの詳細な地図、二人が一緒に写った写真、いつどこでどうやって出会ったかを説明する文書、出会った時になぜ二人がそこにいたのかを説明する文書、二人の両親と兄弟姉妹全員の職業と年収」、これだけ要求されているんです。
 そこで法務大臣に次の質問をしたいと思いますけれども、なぜこのような書類が必要なのでしょうか。
#221
○国務大臣(長谷川信君) 詳細についてはまだよく熟知いたしておりませんが、今委員のおっしゃいましたことがもし事実であるとすれば、これは若干行き過ぎの感がなきにしもあらずであります。そういうことでございますが、しかし、この間私一回視察に行ったんですよ、入管の現場に。そうしましたら、座る場所がないというのはわかるけれども、立っている場所もないくらいですね。それで数百人の人がごった返しておりまして、ああいうところでいろいろ事務処理をやっていれば若干不親切とそしられるようなことがなきにしもあらずだというふうに私も思っているわけでございます。
 ただ、今お話がございましたように、全く予想せざるような書類の提出を要求されたということになりますと、これはいろいろ問題でございますので、入管局長来ておりますので、詳細にひとつ御答弁をさせていただきます。
#222
○政府委員(股野景親君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘になりました新聞の投稿でございますが、この内容について私どもの方でも調査をいたしました。
 現在、日本で日本人との婚姻を理由として日本に居住するものとしての在留資格を希望する人たちの数が年々非常にふえております。その中で、まことに不幸なことでございますが、形式上はまことに結婚の形を見事にとった、しかし内容的には結婚の事実が認められず、単に日本に在留するための手段として結婚を利用しようとするいわゆる偽装婚というものが現にあるという点が入管当局の大きな問題でございまして、その意味で、審査を行う際にただいま御指摘のありましたようなもののおおむね資料の提出を求めているわけでございます。
 ただ、今回のこの「論壇」に投稿されました方に求めました書類の中で、一部ほかの目的の書類の様式と同じ様式を使っている関係上、若干担当官の説明不足の点もあったと承知いたしておりますので、この辺は是正をいたすべきだと思っております。しかし結婚が真正に行われているということを入国審査官ないし資格変更の担当をいたします審査官が判断するについては、どうしても通常の書類のみならず、やはり結婚が真正に行われている、こういうことを立証する手段をいただくというために、ただいま御指摘のような書類を提示いただいておるわけですが、今後はやはりこういう点もよく考えながら適正な運用をさらに図っていくよう私どもとしても検討してまいりたいと思います。
 まことにそういう意味で、申請なさる方についていろいろ御不自由な点もあるんですが、他方、日本人が外国に参りましても、いろいろ入管当局の審査というものは各国でもいろいろございまして、特に、例えばイギリスの場合におきましても同じような問題が日本人の場合でもある程度経験があるという点もひとつ御理解を願いたいと思います。
#223
○竹村泰子君 若干ほかの用向きに使う書類がまじっていたということですが、それはどの書類でどういう目的に使われたのでしょうか。
 それからイギリスでそのようにこれらに似たような条件の書類を提出させられるということが事実あるんですか。
#224
○政府委員(股野景親君) ほかの目的と同様に使われておった同じ書式というのは、これは親族の職業、年収を示した書類でございます。これは永住許可を求めるときに、その生計扶養能力を確かめるために求めている書式で、これについての書き込みは必要なくて、その点についての説明が不十分だったということでございます。
 他方、英国について、私ども英国の場合に配偶者として英国に入る場合の規則も調べてみたのでございますが、英国でも同じく永続的に生活をともにする意思を有し、それから婚姻当事者同士が実際に会ったことがあるということ、さらには生活ができる必要な居住場所が確保され、かつ自己及び被扶養者の生計が十分に確保される、こういったようなことを英国においても規則として求めておるということでございます。
#225
○竹村泰子君 この方は、特に今おっしゃった二人の両親と兄弟姉妹全員の職業と年収を記した書類、括弧して「これは到底、用意できそうにありません」と言っていらっしゃるんですけれども、それは年金のために必要とおっしゃいますが、同居していない場合あるいは一緒に住んでいない場合とか、家族として今散り散りばらばらに外国にもしかしたら住んでいらっしゃるかもしれない、そういう場合にもこういうのは必要なのかどうか。
 それから全国の出入国管理事務所でおおむねこのような書類の提出を求めているのでしょうか、どうでしょうか。
#226
○政府委員(股野景親君) ただいまの御指摘の親族の職業そして収入というものについては、これは必要ございませんで、その点は必要がなかったので、現実にこの方もその点は書き込んでおられません。また、それで書式も受理されたわけでございます。
 他方、全国の入国管理局で原則としてほぼ同程度の書類の御提出を願っているという事実はございます。
#227
○竹村泰子君 これで偽装結婚の確認が、これだけの書類がそろったら偽装結婚を確認することが可能なのですか。
#228
○政府委員(股野景親君) 平成元年において、ある在留資格から日本人の配偶者または子への在留資格の変更を申請し、許可された数というのは一万七千六百五十九件に及んでおります。非常に数が多いということでございます。これだけの数を扱っておりますので、どうしても書類審査ということによらざるを得ないわけで、実際、申請の数がもっと少ないときには入国審査官ないし資格変更の審査官はいろいろ現場へ自分で足を運んで調査することもできたんですが、現在はそれがなかなか難しい状況で、どうしても書類審査でこういうことをお願いするという事情があるという点を御了解願いたいと思います。
#229
○竹村泰子君 確認できるかどうかとお聞きしているんです。
#230
○政府委員(股野景親君) これらの書類をもってその判断をさせていただいております。
#231
○竹村泰子君 答弁していただきたいんですが、これで確認、これだけの書類を提出させて、偽装結婚は確かにこれは偽装でありこれは本当であるという確認ができたんでしょうか。
#232
○政府委員(股野景親君) こういうものの調査をさせていただいた結果、偽装と判定されたケースがございます。
#233
○竹村泰子君 判定できたのがございますということですが、全部完璧にできないわけですよね。それなのに、少ない職員の手でこれだけの労力をかけたところでその本来の目的である偽装結婚の確認はほとんど不可能であり、ただこれは怪しいという心証を得るだけだという、しかも申請者のプライバシーの侵害という重大な損失をつくり出している。このような行政の非効率さは改めなければならないと思いますが、大臣いかがですか。
#234
○国務大臣(長谷川信君) 今いろいろ御指摘がございました点、必ずしもなきにしもあらずだと私も思っております。したがいまして、要するに国の玄関、入り口でございますので、外国人に与える印象等々もいろいろ十分考慮しなきゃなりませんので、今後とも、幸いにしましてこの予算をいただいてかなり改善ができる見通しがついておりますので、若干ひとつ時間をかしていただきたいというふうに考えております。
 詳細については、ちょっと政府委員に御説明させます。
#235
○政府委員(股野景親君) ただいま委員からも御指摘のありました点、申請者に対するいろいろなお願いということについて、十分我々も適切な手続が踏まれるよう今後ともいろいろな面で検討を加えてまいりたいと存じております。
#236
○竹村泰子君 この問題につきまして私ちょっと説明をお伺いしましたとき、次の二つの点に疑問を感じました。
 初めの点は、このように非効率な審査事務の根拠となっている通達などの指導文書の提供を求めたんですけれども、法務省は通達を公表しないことになっているとのお答えでございました。いつから、どのような理由で、どの確認文書によってこのような方針になったんでしょうか。法務省にも文書管理規程または秘密文書管理規程があると思いますけれども、通達のすべてが秘密の取り扱いになっているんでしょうか、いかがでしょうか。
#237
○国務大臣(長谷川信君) 大変恐縮でございますが、専門的な御質問でございますので担当局長の方から御答弁させていただきます。
#238
○政府委員(股野景親君) こういう審査に当たりまして、いろいろな資料の提出をお願いするということは、これは入管法及びそれの施行規則に基づいて行っていることでございまして、それでは個々の審査に当たってどういう点を審査のポイントとしていくかという審査の要領につきましては、これは内部的に基準を設けておるわけでございまして、この点についてはまさに審査の実態になりますので、物によっては全体についての御説明を控えさせていただきたいと考えている次第でございます。
#239
○竹村泰子君 この在日の外国の方たちに、就労ビザを婚姻ビザに変更するときにどんな書類を提出するかぐらいのことを出したって別にどうってことはないと思いますけれどもね。どうしてそういうふうにすべてを囲い込まれるのか非常に不思議に思います。これはどういう命令系統で通達があって、こういうたくさんの書類を出さなければ就労ビザを婚姻ビザに変更してもらえないのか。しかも、この方は御夫婦で手続をするのに一日かかりました、そして小さな狭い部屋に、さっきもちょっとお答えがありましたけれども、「三人の係官が、七十人ほどの順番待ちをしている外国人の用件を処理していました。イスは十脚しかなく、そのうち四つはたまたま二人の妊婦が使い、中にはしゃがみこんでいる人もいました。」というふうな状態で、本当に私どもも第一線といいますか、外国人を迎え入れる最前線でありますので、とても不思議に思うのです。
 もう一つの疑問は、日本は人権後進国とよく言われますが、行政サービスによります人権の侵害が非常に多い。欧米諸国における在留資格認定業務が申請者に対してどのような書類の提出を求めているか調査していただきたいんですけれども、法務省はこれを実施していないとおっしゃいます。日本の国際感覚や人権感覚を改善するためにも、これはすぐに実施すべきではないかと思いますが、大臣いかがでしょうか。
#240
○政府委員(股野景親君) 各国のこういう入国管理局による審査について、どういう審査の手続が行われているかについてのお互いに入管当局同士の情報交換を行っておりますが、審査の実態にわたりますと、これはなかなか各国ともそれぞれの事情がございまして、私どもとしても、たとえ当方が要請してもその要請に十分に応じていただけないという事情もございます。したがって、私どもとしては、基本的に法律、さらにはそれの施行規則等の情報を得るということと、あとは個別の情報交換ということでさせていただいておりますので、どうしてもその調査には限界があるという点を御了解願いたいと思います。
#241
○竹村泰子君 初めから限界があると言わないで、やる気があるかどうかという問題であると思うんですけれども、今後引き続き調査をしていただきたいと思います。
 大蔵大臣、これは法務省の中の人員配置の問題かもしれませんけれども、七十人もの人に対していすが十脚しかなくて、二人で丸一日つぶしてしまったというのは、余りにも貧しい経済大国の姿ではないんでしょうか。初めて日本へ来た人もこの日本の最前線の姿に驚くのではないかと思いますけれども、もう少しこういったところにも、国際化を言うならば、手の届いた温かい予算配分をということをお願いしたいと思います。
 もう一つ、関係する省庁で滞日あるいは在日の外国人に対する総合的な相談業務や窓口、そういったものも考えることはできないでしょうか。
#242
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、各省庁それぞれに対外的な窓口をどういうふうにしておられるか現場を十分に存じておるわけではございませんので、他の分野についてお答えをする能力は持っておりません。
 ただ、たまたま就任後税関業務の実態を見に参りました機会に、成田の入管のスペースに比して非常に多い来訪者と申しましょうか、そうした状況も見せていただきました。施設整備の上で御要請があれば、必要な部分については対応していかなければならないと思います。
#243
○竹村泰子君 次に、こういうことをお尋ねしたいと思います。
 八七年の七月九日、えせ同和行為排除の対策を考えるというテーマで東京都内に事業所のある企業を対象として講演会が開かれました。そのときに、前日弁連民事介入暴力対策委員長という弁護士さんの方ですけれども、これは主催は法務省と東京法務局でありますけれども、このときの講演会の記録がまとめられております。「えせ同和行為対応の手引」という、これは法務省人権実務研究会編というふうになっておりますけれども、大臣はこの本のことを御存じでしょうか。中をお読みになったでしょうか。
#244
○国務大臣(長谷川信君) けさ粗読みに拝見いたしましたが、なかなからょっと理解しづらいところもございますので、人権局長が参っておりますので、詳細に御説明させていただきます。
#245
○政府委員(篠田省二君) ただいま御指摘の書物は、部落差別の解消を妨げる原因の一つとなっておりますえせ同和行為を排除するための参考資料として一般の方々に読んでいただきたいということで発行されたものでございます。
#246
○竹村泰子君 中はお読みになりましたか。
#247
○政府委員(篠田省二君) 中は読んでおります。
#248
○竹村泰子君 この本の中で、先ほど申し上げた前日弁連民事介入暴力対策委員長、その方の講演の記録がございます。その五十六ページと六十八ページにこういう言葉が二カ所出てくるんです。
 「相手が精神異常者の場合だけ私は逃げます。この場合は三十六計逃げるにしかず、」、「それは逃げますが、相手がやくざであっても正常な精神の持主であるならば何も逃げる必要はない。」、もう一カ所「相手がどんなものであっても精神異常者でない限りは何も恐れる必要はない。皆さんがふるえたり何かなさるから、彼らは弱いと見たらとことん攻めてくる。そういうことになるわけです。」、こういうふうに言っていらっしゃるんです、二度もですね。
 これに対しまして、精神病差別で全障連全国事務局が法務大臣あてに抗議並びに話し合いの申し入れ書を出しました。この抗議に対してなぜか何の反応もなかったそうです。八八年の十月三十一日のことですが、このことをどう思われますか。
#249
○国務大臣(長谷川信君) 今ちょっと調べましたら、私の就任前のことでございますので、詳細は人権局長から御説明させていただきます。
#250
○政府委員(篠田省二君) 抗議文が来たことと、それからその都度何人かの方が法務省へおいでになりまして、その方々に対しては一応口頭で法務省の意図はこういうことであるということで説明しているわけでございます。
 私どもの考え方といたしましては、そこで使用されております精神異常者という言葉は、激情して自己抑制のきかない状態になった人の意味で使用されたということでございまして、精神障害者を指すものではないことはもちろん、このことによって精神障害者を差別するものではないと、そういう言葉は文脈全体を見ていただければわかっていただけるものと考えております。それからまた、講演の趣旨全体を読んでいただければ一層理解していただける、そういうふうに説明しております。
#251
○竹村泰子君 まだ私そこまでお聞きしていなかったんですけれども……。
 その後で、十二月に全国精神医療従事者連絡会議事務局がまた抗議文を法務大臣あてに出しております。これにも何の反応もありませんでした。全国精神医療従事者連絡会議事務局が法務省人権擁護局に電話を入れました。抗議文に対して対応を要求いたしますと、O係長とM課長が対応なさいました。その対応によりますと、精神異常者とは精神障害者を指しているのではない。だから、この文章は精神障害者差別ではない。そして、精神異常者とはじゃ何だという問いに対しては、精神異常者とは自分の主張をしつこく行動に移す人をいうという、まことに答えにもならない答えをなさったということですが、これは事実ですか。
#252
○政府委員(篠田省二君) 法務省へおいでになったことは事実でございますけれども、その言葉のやりとりの詳細については、どの程度正確なことであるかはちょっと承知しておりません。
#253
○竹村泰子君 それでは、精神障害者と精神異常者とは違うのですか。違うと思っておられるのですか。
#254
○政府委員(篠田省二君) 違うというふうに考えております。
#255
○竹村泰子君 違うということにおいて精神障害者を差別したのではないという論点なのですか、これは。
#256
○政府委員(篠田省二君) 差別したのではないというふうに考えております。そういうふうに御理解いただきたいと思います。
#257
○竹村泰子君 全国精神医療従事者連絡会議事務局が法務省人権擁護局に再び電話をしまして、発言者の責任というふうに責任逃れはせず、監修している以上は当局の責任と言いながら、文脈としては間違っていないというのが当局としての見解であると開き直られたそうですけれども、これは事実ですか。
#258
○政府委員(篠田省二君) 先ほど来申し上げておりますように、私どもとしては差別はしていないという見解をとっております。
 ただ、それを開き直りとお考えになるかどうかは考え方の相違であると思います。
#259
○竹村泰子君 この講演会は法務省と東京法務局の主催で開かれたものでありまして、この「えせ同和行為対応の手引」の編集責任は法務省人権実務研究会であります。
 法務省人権擁護局はみずからを電話の中でも当事者として認めておりますけれども、この本の編集責任は法務省人権擁護局にあると思いますが、いかがでしょうか。
#260
○政府委員(篠田省二君) 対外的には人権擁護局に責任があるというふうにお考えいただいて結構だと思います。
#261
○竹村泰子君 今のお答えのとおり、この本の責任は法務省人権擁護局にあるわけですね。
 精神病差別は、ですから一般の民間の出版社が出した本における差別とは性格を異にするのです。つまり国家権力みずからの責任による差別事件であること、しかも人権擁護をその職責とする人権擁護局による差別であること、とりわけ精神病院への不当強制入院に際して救済の法的手段である人身保護請求も取り扱う部局でありますね。ここがその精神病者の人権擁護のために働くのではなくて、保安思想をばらまくような、扇動するようなことをしていることに対して、全国障害者解放運動連絡会議、全国精神医療従事者連絡会議事務局、それから五月二十四日、つい最近ですが、日本精神神経学会理事会、それぞれに抗議の要請文をつくって、近くこの五月二十四日の要請文も法務大臣にお届けすると聞いておりますが、大臣の責任と御所見をお伺いしたいと思います。
#262
○国務大臣(長谷川信君) 今お話しの書類が出た場合、いろいろ部内でも十分検討いたしたいと思っております。
#263
○政府委員(篠田省二君) 先ほどの御質問はあの書物が差別をしているという前提に立っての御質問ですけれども、私どもはそうは考えておりませんので、前提が違っているということになります。
#264
○竹村泰子君 これを差別と考えない法務省人権擁護局の姿勢に私は問題を感じて質問をしているわけです。差別と感じないと繰り返しおっしゃっているからきょうの質問になっているわけです。
 この本は何部刷られましたか。どういうところへ配付をされましたか。私、さっき気がついたんですが、これは二千二百円と書いてあるんです。すごく高い本なんですけれども、これはお売りになっているんでしょうか。
#265
○政府委員(篠田省二君) 発行部数は五千部刷ったというふうに聞いております。どういうところへ行ったかというところまでは詳細は存じておりません。
#266
○竹村泰子君 売っていらっしゃるんですか。
#267
○政府委員(篠田省二君) 販売しております。
#268
○竹村泰子君 それでは、この本に対する差別感覚といいますか、法務省人権擁護局による精神障害者、異常者でもいいです、の人たちに対する差別というのは全くお認めにならないんですか。大臣、今の質疑を聞いていてどうお考えになりますか。
#269
○国務大臣(長谷川信君) 法務省は人権を守るということが最も大事な仕事でございますので、すべてその線からいろいろ検討、研究をしなければならない。しかし、まだ書類が出ておりませんので、出た段階でいろいろ検討させていただきたいということでございます。
#270
○竹村泰子君 非を認めてくださいまして、これを回収していただきたいと私は思います。これだけの人たちが怒っているんです。そして抗議と要請を続けているんです、ずっと何年間にわたって。こういったことをそのままにして、ないがしろにして、非を認めません、差別ではございませんと言い続けてきた法務省人権擁護局のあり方を私は問うているんです、どうですか。
#271
○政府委員(篠田省二君) 先ほど来申し上げておりますとおり、差別しているというふうには考えておりませんので、回収するつもりはございません。
#272
○竹村泰子君 大臣にお聞きしたんですけれども、どうお思いになりますか。
#273
○国務大臣(長谷川信君) 建前としては、人権擁護が法務省の重大な、何といいますか、表看板であることは御案内のとおりです。しかし、今の問題につきましてはいろいろ部内でも意見があり、また今局長からお話しのような考え方もありますので、若干時間をいただかなければなりません。
#274
○竹村泰子君 大臣がどうお思いになるかということをお聞きしたんですけれども、若干時間というのは本当に便利な言葉で、いつまで時間があればいいのかわかりませんけれども、非をお認めになったときにはぜひ訂正あるいは回収をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#275
○国務大臣(長谷川信君) さっき申し上げましたように、私一人であれするわけにはいきませんので、法務省部内においても十分いろいろ検討させていただいて、善処いたしたいと思っております。
#276
○竹村泰子君 あなたの一言でこんなことはできることですよ。そんなに部内で何回も、何年間も討論なさらなくても。法務省のこういう人権感覚を本当に許しがたいことであると思いますし、残念に思います。
 厚生大臣にお伺いいたします。
 精神医療の問題についてはまた改めて後日お尋ねをする予定でおりますけれども、苫小牧に植苗病院という精神神経科と老人内科を持つ病院があります。開院以来五年という新しい病院なんですけれども、ここは昼も夜も全くかぎをかけません。もちろん鉄格子などどこを探してもありません。そういう開放病棟でございます。確かに初めは一人でどこかへ出ていってしまったり、御近所の家に上がり込んでしまったり、そういった患者さんがいて苦情が出たり、大変なことが随分あったようでありますけれども、五年たった今は、地域に病院がないせいもあってすっかり地域に溶け込み、親しまれているといいます。地域の人が喜んでその病院に来るし、入院もしておられる。試行錯誤を繰り返しながらの五年だったといいますけれども、しかし勇気と努力があれば、こういう明るい精神病院というのが存在し得るんですね。
 そこで、大臣の御所見と、最近とみに耳にするようになりながら現実の問題としてはまだまだ実現不可能なのではないかなと思いますインフォームドコンセソトなどの見通しなども含めて、もしできたら事務当局から開放病棟の病院の実態なども教えていただければありがたいと思います。
#277
○国務大臣(津島雄二君) ただいまのお話を承って、精神保健法の基本を我々は踏まえなきゃいかぬなと、すなわちその社会復帰を促進し、発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めるということで厚生省も精神保健の問題に取り組んでいるわけでありますが、ただいまおっしゃいました植苗病院については私具体的なことは残念ながら存じておりません。それぞれの病院は、その症状に応じて最も制限の少ない方法により処遇するというのが一般的にはいいと、これは専門家もおっしゃっておりますから、そういう意味では参考になる点は多いと思いますが、症状によっては治療上行動を制限した方がよいという場合もあるということでございまして、この辺は専門家の領域でございますので、私からは特に発言を控えさせていただきたいと思います。ただ、今おっしゃったような方法が参考になるというふうに考え、また事務方もそういう意味で参考にしていくのではないかと思っております。
#278
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 まず開放病棟に関するお尋ねでございますが、数字は少し古うございますけれども、六十一年十二月の統計によりますれば、精神病棟五千五百三十四病棟のうち開放病棟は二千百三十七病棟、全体の三八・六%というぐあいになっております。現在の状況につきましては具体的には把握しておりませんが、精神保健法の施行以来徐々に開放病棟はふえているというぐあいに聞いているところでございます。
 それからもう一点、精神料医療におけるインフォームドコンセントの問題でございますが、精神障害者に対しましては、その人権を擁護する観点から、患者本人の同意に基づきます入院を原則的な入院形態としてその推進に努めているところでございます。しかしながら、個々の治療まで患者本人の同意を求めることにつきましては、精神科医療に限らず一般医療におきましても一般的となっていないこと、及び精神障害者の多くの方々が病識がないことから、極めて難しい問題であるというぐあいに認識いたしております。
#279
○竹村泰子君 御存じのとおりですけれども、なかなか精神医療というものの難しさということもありますけれども、しかし、ごく当り前に一人の人が社会の中で生きていくということが実現するために、ノーマライゼーションという言葉もありますけれども、どうか勇気を持ってこういった開放病棟などの施策を進めていただきたいし、それからどうやったらこの方たちが病院を出て地域に帰ることができるだろうかと、そういう明るい見通しなどももし大臣がお持ちならば御所見を伺いたいと思ったのですけれども、ぜひ機会がありましたらこういった病院に視察に行ってみていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#280
○国務大臣(津島雄二君) 機会があったら視察をさせていただきたいと思います。
#281
○竹村泰子君 それでは、今後の日韓関係について少しお尋ねをしたいと思います。
 今回の慮泰愚大統領の訪日で友好発展的な両国の関係の構築を確認できましたことは大変喜ばしいことであると思います。そして、宮中晩さん会や国会演説などを通じて慮泰愚大統領は温和なイメージと同時に日本による不幸な過去の清算を一貫して主張し、そして強い信念と行動力を印象づけたとマスコミは報じております。また、天皇や海部首相が表明された反省と謝罪を受け入れて、両国が今後友好協力関係を結ぶことを約束できたということは大きな一歩であったと思いますが、問題はこれからなのではないでしょうか。
 瞬時に情報が世界をめぐる今、世界がじっと見ていると思いますけれども、外務大臣は幾つかの大きな課題をどう行動に移していくおつもりか、伺わせていただきたいと思います。
#282
○国務大臣(中山太郎君) 去る四月三十日にソウルで行われました日韓外相会談での合意事項並びに今般の日韓両国首脳の首脳会談、あるいは外相会談によって合意ができました幾つかの事項については誠意を持って努力をいたしてまいる、このようなことでございますし、今委員から御指摘のございましたように、今回の大統領訪日は一つの歴史的な時期を画したと、私はこのように考えております。
#283
○竹村泰子君 天皇のお言葉と三世問題に今回の慮泰愚大統領の訪日は何だか集中したような感がありますけれども、大統領が記者会見でも要求していますとおり、三世のことばかりでなく一、二世についても同じく地位を向上してほしいと。これは、現在六十八万人と言われる在日韓国・朝鮮の人々が日本に居住する原因になったその値民地支配についての反省と責任があれば、本来外圧でなくてもとっくに解決をしている問題ではないかと私は思います。在日韓国・朝鮮の人々の指紋押捺や法的地位、外国人登録証の常時携帯などをどうするおつもりでしょうか。お考えを聞かせてください。
#284
○国務大臣(中山太郎君) 個別の事項につきましては、アジア局長から詳細御説明をいたしたいと思います。
#285
○政府委員(股野景親君) ただいま委員から御指摘の各項目でございますが、これは委員御高承のとおり、在日韓国人の三世以下の子孫の法的地位及び待遇の問題について、先般日韓外相定期協議でまとまりました対処方針があるわけでございまして、それを法務省の所管の法令に関連しまして今後三世以下の方々についての具体策について検討してまいります。
 その際、在日韓国人の一世及び二世の方々の問題については、その三世以下の方々に関する内容の具体策を固めていく中で韓国側の御要望というものの趣旨を念頭に置きながら検討してまいることといたしております。
#286
○竹村泰子君 もう少し具体的に伺いたいんですけれどもね。
 サハリンの残留韓国・朝鮮人の方々の里帰りにはどういう道をおつけになるおつもりでしょうか。
#287
○政府委員(谷野作太郎君) お答え申し上げます。
 今般の慮泰愚大統領と海部総理の間でいわゆる過去に起因する問題として三つのことが御議論がございました。ただいまの三世にかかわる問題、そして被爆者にかかわる問題、そしてただいまお尋ねの在サハリンの韓国人の方々の処遇の問題でございますが、これにつきましては、先生も御案内と思いますが、既にただいま国会で御審議をお願いしております政府の予算案におきまして一億円を計上しておりまして、そういった日本政府のこの面での姿勢について韓国側も高く評価しておりまして、引き続きそのような日本側の措置を拡大、拡充してほしいというような御希望がございました。
#288
○竹村泰子君 韓国、朝鮮の方たちの被爆の問題をどうお考えになるでしょうか。今後の具体的な援助の方向と、できれば予算措置を総合的にお教えいただければありがたいと思います。
#289
○政府委員(谷野作太郎君) この問題につきましても、既にただいま御審議いただいております予算案におきまして四千二百万円の予算をお願いしておるところでございますけれども、他方、今般首脳会談におきまして、別途これに加えてといいますか、より抜本的な措置を日本政府として講じたいということが合意されました。四十億円程度の金額をめどにして今後具体的にいろいろなことを進めていきたいというような首脳レベルでの合意がございまして、そのような金額を念頭に置きながら、在韓被爆者の方々の治療の問題、あるいは健康にかかわる事業に対するいろいろな支援、あるいは医療技術協力等を行うことを考えております。具体的に詳細は今後韓国側と協議してまいる段取りになっております。
#290
○竹村泰子君 私が在韓被爆者のお話をある方にいたしましたら、その方が、えっ、いつ韓国に原爆が落ちたんですかと、こういうお答えが返ってきたんですね。韓国や朝鮮籍の方たちがなぜ被爆をしなければならなかったかということは、もちろん強制連行されて日本に来ておられたからであることはおわかりのとおりだと思いますけれども、今、在韓被爆者の方たちあるいは在朝被爆者の方たちはどのぐらいおられますか。
#291
○政府委員(谷野作太郎君) 私どもが韓国政府から伺っております数字、すなわち韓国政府に被爆者として登録されたという限りにおいての数字でございますが、本年五月現在で、二千七十三名でございます。
#292
○竹村泰子君 民間の調査によりますと、大体二万人近い人々が在韓被爆者としておられるということを聞いておりまして、随分数字に差があり過ぎると思うんですけれども、しかし、いずれにいたしましても四千二百万円の予算、これは実態調査もできないんじゃないですか、いかがですか。
#293
○政府委員(谷野作太郎君) この四千二百万円と申しますのは、主として韓国におられる被爆者の方々の治療費でございます。
 ただ、仰せのように、確かにこれでは足りないというような御意見もございまして、今回の首脳会談で、いま少しく抜本的な措置を講ずるということに合意されたわけでございます。
#294
○竹村泰子君 大蔵大臣、いま少しくという御返答ですけれども、全然これはわかりませんが、どうお考えになりますか。
#295
○国務大臣(橋本龍太郎君) たまたま日韓条約イニシアルの直後に、日本の学生を連れて韓国の大学所在地を全部韓国側の学生と討論をしながら回りましたとき、私はソウルと釜山において在韓被爆者の方々に宿舎に訪問を受けお話を承りました。以来、この話には多少のかかわりを持っております。
 ただ、両国の政府間における話し合いにはいろいろな紆余曲折がありましたために、私として今そのプロセスを申し上げるわけにもまいりませんが、今回の慮泰愚大統領の訪日に際し、総理から、総額四十億円という数字を示しながら、具体的に今後両国の関係者の中において対応策を煮詰めるということになったという御連絡を受けておりまして、それが韓国内に居住しておられる被爆者の方々にとって朗報であってほしいと願っております。
#296
○竹村泰子君 今のお答えは私は大変不満足でございますけれども、厚生大臣、こういう状態でこの二万人と言われる在韓の被爆者の方たちはそれこそ仰げば青空の見えるようなまことに貧しい暮らしをしておられるというふうに聞いておりますが、強く予算を要求をしていただきまして、せめて実態調査、そして病んでいる方たちには医療をというくらいのことはやっていただかないと、日本の責任は果たせないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#297
○国務大臣(津島雄二君) 在韓被爆者の治療の支援については、人道上の見地から申しましても誠意を持って最大限に対応しなければならないということが基本的な考え方でございます。
 具体的なその施策につきましては、先ほど来御答弁がございましたように、外交ルートを通じてお話し合いが行われているわけでございまして、今後、韓国側との検討が進められていく過程におきまして、厚生省としても最大限の協力をいたすつもりでございます。
#298
○竹村泰子君 先日の私の予算委員会の質問で海部首相は、太平洋戦争は侵略だったとはっきりお答えになりました。昨年、ある機関が行った日韓意識調査では、二一%もの日本人が日本による朝鮮半島の植民地支配を知らなかったと言っております。植民地であったことは知っていても、日本政府によって行われた殺りくや強制連行などなど、数多くの苦悩の歴史は全く教科書に出てこないのです。侵略をしていったほかのアジアの国々では教科書にきちんとそういうことが載せられてみんな教わっている。戦争中、日本が行ったことを子供たちは教えられているわけです。日本の子供だけが一度もそんなことをだれからも聞いたことがない。私の知っているある若者は、韓国へ行ってお年寄りの方が日本語を実に上手に話されるのを聞いてびっくりして帰ってきました。どうしてそんなに日本語が上手に話せるんですかと、その方に聞いたんだそうです。屈辱と苦悩の歴史の中で強制的に命がけで教えられた日本語をその方が話しておられたわけですけれども、これでは真の国際人とはなれないのではないでしょうか、共通の国際感覚を持ち得ないのではないかと思いますが、文部大臣、いかがでしょうか。
#299
○国務大臣(保利耕輔君) 学校教育におきまして、我が国と朝鮮半島との近代史あるいは現代史の取り扱いにつきましては、昭和五十七年に歴史教科書についての官房長官談話あるいは文部大臣談話というものに示されておりますとおり、国際理解と国際協調の見地に立ってその友好親善を一層進めるよう指導してきたところでございますけれども、私も、教科書にどういう記述があるか、全部ではありませんけれども一部を見てみました。そうしましたら、先日、慮泰愚大統領が国会で演説をされました具体的ないろいろな事項について、こんなふうな取り上げ方をしてございます。例えば学校では日本語の使用を強制されたとか、あるいは姓名を日本風に変えることが求められた、これはいわゆる創氏改名といっている部分でございます。
 そして、朝鮮の人々にとっては耐えがたいことまで強制をした。さらに労働力の不足から約七十万の朝鮮の人たちが日本内地へ無理に連れてこられ、炭鉱や土木工事場などで厳しい監視のもとに空腹や疲労、病気や冬の寒さの中で働かされたというような記述がきちんと書いてございます。これは中学の教科書でございますが、現在はそのような形で勉強をされているものと私は考えております。
 さらに当時の日本人の気持ちとして石川啄木の歌などが引用されておりますが、例えば「地図の上朝鮮国にくろぐろと墨をぬりつ々秋風を聴く」という石川啄木の歌などが記載をされております。
 そういう形で教育がなされておりますが、先生今御指摘のそういう教育を受けたことがないという子供さんたちがいるということになりますれば、教科書上こういう取り扱いをいたしておりますので、今後は先生方にきちんと教科書に基づいた教え方をしていただくということについて私は希望を持っております。
#300
○竹村泰子君 それはどの教科書で、何年生の何の教科書でしょう。
#301
○国務大臣(保利耕輔君) 私が見ておりますのは日本書籍株式会社、中学校「社会」でございます。そして、「歴史的分野」と括弧でくくってございます。何年生か私は承知しておりませんが、政府委員が来ておりますのでお答えをさせます。
#302
○政府委員(菱村幸彦君) ただいま大臣が御紹介しました教科書は中学校の社会科の「歴史的分野」でございまして、これは大体一年生から使います。π(パイ)型学習と申しまして、地理と歴史を並行して一、二年やりますので、若干学校によりまして使用年度に差異がございますけれども、おおむね一年から習っている教科書であるというふうに御理解いただきたいと存じます。
#303
○竹村泰子君 本当にそこまで書いているのは珍しい教科書なんです。中学ですね、それは。そして、例えば小学生などに聞いてみたら、上級であってもほとんど戦争のことは、広島に原爆が落ちましたというふうなことは書いてあっても、それでどんな被害が起きたかとか、それから朝鮮の方たちの強制連行にしても本当に一言ぽんと触れてあるだけなんですけれども、それでもないよりはもちろんましでしょう。ですが、そんなことどころではなかったわけです。
 別に私は子供たちに生々しい残虐なことを教えろと言っているのではないですけれども、その結果どういうことが起きているかということをきちんと教えてほしいと思います。もし文部大臣がそれをお信じになるのでしたら、子供たちがたくさんいるところへ行って実際に尋ねてごらんになるとよくわかると思います。担任の先生の非常に意識的なお話を聞いている子供は別といたしまして、ほとんどの子供たちは中学生だって知らないです、侵略の事実を全く知らないと思います。そのまま大きくなっていっているんですから、青年たちが。子供たちにもぜひ歴史の真実を教えられる国となってほしいと思います。本気で検討していただきたいとお願いいたします。
#304
○国務大臣(保利耕輔君) 歴史の真実をきちんと教えるということは大変大事なことだと私も承知いたしております。
 先生から一遍子供たちに聞いてごらんというお話でございますので、私も機会があれば御指摘のそのようなことを聞いてみたいと思います。
#305
○竹村泰子君 私たち大人の責任でもあると思いますけれども、やはり真実を伝えられる国民でありたいと思います。特に教育の分野ではそう思います。
 日本はかって韓国、朝鮮の人々の生産物、土地、財産、言葉、信仰、生命まで奪い取ったわけでありますけれども、私の住んでいる北海道、かつては三百もありました炭鉱の歴史の中でも、強制連行されてタコ部屋に押し込められ、そして地底でこき使われ死んでいった韓国、朝鮮、中国の人々の苦悩の歴史のないところはないと言ってもいいくらいでございます。
 厚生大臣にお伺いしたいんですけれども、一体強制連行でどれくらいの人が連れてこられたと考えておられますか、全体であるいは国別に。
#306
○政府委員(末次彬君) お答え申し上げますが、厚生省は恩給の申達、遺家族の援護など、いわゆる旧陸海軍の軍人軍属についての人事関係業務を引ぎ継いでおるところでございまして、ただいま御質問のいわゆる強制連行の問題につきましては、当省は担当外でございまして答弁する立場にはございませんので御理解いただきたいと思います。
#307
○竹村泰子君 では立場にある方にお答えをいただきたいと思います。労働省ですか、大臣いかがですか。
#308
○政府委員(清水傳雄君) これは戦時中の徴用は国家総動員法に基づいて行われたものであると承知をしておるわけでございますが、労働省は戦前の勤労関係の部署を引き継いでおるわけでございますけれども、労働省発足の昭和二十二年九月には既に同法は廃止をされておりまして、同法に基づきます徴用工に関する当時の関係資料は労働省には全く残されていないという状況でございますので、正確なその状況は明確ではございません。
#309
○竹村泰子君 外務省はいかがでしょうか。
#310
○政府委員(谷野作太郎君) 私どももこのような場で有権的に申し上げる数字は把握いたしておりません。
#311
○竹村泰子君 我が国の政府は、このように強制連行で連れてきた人の数すらわからない。国すらわからない。調査もしたことがない。これは私は厚生省、非常に大きな責任があると思いますけれども、それでは慮泰愚さんが要求してまいりました強制連行の人々の名簿を出す気があるかということについては、どうおこたえになるおつもりですか。
#312
○政府委員(末次彬君) 先ほどのお答えの繰り返しになるかと存じますが、厚生省そのものは旧陸海軍の軍人軍属についての人事関係業務を引き継いでおるわけでございます。
 御質問のいわゆる強制連行の問題、これは当時の労働力確保対策に関連する問題であろうというふうに思われますが、現在、そういう行政につきましては厚生省が所管しておるわけではございませんので、そういった資料については当方にはございませんし、それ以上のお答えをする立場にもないというふうに考えております。
#313
○竹村泰子君 改めて外務大臣にお伺いいたしますが、慮奏愚さんの要求である名簿を出す御予定がおありでしょうか。
#314
○国務大臣(中山太郎君) 先般の会談でお話が出ておりますけれども、所管をする役所は厚生省という私どもは認識を持っております。
 当時、先生も御案内のように、私ども学生でございましたけれども、国家が初めて敗北をするという大混乱の中での問題でございまして、やはり当時併合後、朝鮮の方も日本人という扱いで私どもも同じ学徒動員を受けた方でございますが、やはり国内問題として当時は処理をされておったという認識でございます。しかし、戦後の終戦によってもたらされたいわゆる独立した国家への過程というものについて、終戦後の国としての事務処理というものが非常な混乱の状態にあったのではないか。私は当時の記録を確認いたしておりませんが、私が当時のみずから体験した敗戦の混乱の中でどういうふうに行政が処理されておったか、今お話のございました軍人軍属のたぐいは厚生省が所管をしておったという答弁がございましたけれども、その点については厚生省並びに当時の内務省も関係があったのではないかという認識を持っておりますが、そのような立場で再度検討をしてみなければならないと考えております。
#315
○政府委員(谷野作太郎君) 先ほどの大臣を通じて私が御答弁を示唆申し上げました点が若干正確を欠いていたようでございますので訂正させていただきます。
 厚生省において把握しておられるのは旧軍人軍属関係の名簿ということでございまして、その他の方々につきましては、厚生省においては少なくとも正確な名簿等は存在しないということのようでございます。
#316
○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#317
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
#318
○国務大臣(中山太郎君) 委員のお尋ねの件に関しましては、政府としては後刻調査をして報告をさせていただきたいと思います。
#319
○竹村泰子君 それでは、ただいまの質問は留保させていただきます。
 最後に、きょうは総理が御不在ですけれども、私は大阪の猪飼野でお医者さんをしておられて、韓国、朝鮮の人々の病や苦しみに深く接しておられた中山外務大臣の人間性に大きな期待を寄せるものです。韓国、朝鮮植民地支配を反省する国会決議をできるよう、外務大臣としてのお立場からひとつ強い決断をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#320
○国務大臣(中山太郎君) 委員から国会での決議についての私に決断を求められましたけれども、私は政府の立場でございますので、私が決断するというのは個人的なことで決断する以外方法ございませんが、国会でやはり各派各党が御協議の上で決断をいただくことが当然の筋道ではなかろうか、このように理解をいたしております。
#321
○竹村泰子君 以上で、先ほどの質問は留保させていただきますので、終わります。
    ─────────────
#322
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、堂本暁子君の一般質疑を行います。堂本君。
#323
○堂本暁子君 きょうは総理がおられないので残念ですが、海部総理のキーワードは経済的な豊かさよりも心の豊かさ、そして国民生活の質の向上、大変数多く伺いました。きょうは予算編成、総理のこういった施政方針演説と申しますか、政策を反映したものであるべきだと思いますので、この観点から質問させていただきます。
 前回の総括質問の少し続きになりますけれども、ODAの問題について最初に外務大臣に伺いたいんですが、こういった心の豊かさと申しますのは日本で独占すべきものではなくて、当然ODAの対象国にもそういった姿勢で日本が臨むんだと思いますけれども、人道的とよく言われます、どのように具体化なさるおつもりか、理念と申しますか、大臣のお考えをまず伺わせていただきとうございます。
#324
○国務大臣(中山太郎君) 心の豊かさを持っていただけるような経済協力あるいは援助というものがこれから求められるということについては、委員御指摘のとおりだと私思います。そういう中で、我々の国の制度として無償資金協力と有償資金協力がございます。
 ここで改めて申し上げますと、比較的開発のおくれた国々を中心に無償資金協力は実施をするという基本的な考え方でございまして、この中には食糧、農業、医療、保険、教育、運輸、通信、エネルギー等、相手国国民の基礎生活に直接かかわる分野及び人づくりに資する分野を中心としつつ、各国の経済困難克服の支援となる分野、文化交流の促進に資する分野でニーズに合致した分野を対象といたしております。一方、有償資金協力につきましては、途上国の大きな資金需要に応じられる反面で元本と利息の返済を前提としておりますため、比較的収益性がある鉄道、港湾建設、通信網整備等の経済社会基盤整備等に対する協力を主要な対象といたしております。これが基本的な考え方でございます。
#325
○堂本暁子君 ありがとうございました。
 今まさにおっしゃいました無償援助ですけれども、これは必ずしも人道的になっていない場合もあるのではないかというふうに思っております。
 政府委員の方に伺いたいのですが、先日取り上げましたフィリピンのレイテ島、ここへの無償援助について、金額そして受注業者など伺わせてください。
#326
○政府委員(木幡昭七君) フィリピンのレイテ島における無償資金協力案件といたしましては、昭和五十九年度及び六十年度の案件といたしまして実施いたしました国立航海技術訓練所拡充計画がございます。レイテ島の無償案件はこの案件のみでございます。
#327
○堂本暁子君 これは船の船員を養成するところなんですが、私現地へ参りましてわかったことは、レイテ島には海運業はありません。本来ならばこれはルソンまたはセブ島につくるべきもので、現地の大使館からもそのような報告が外務省に届いておりました。にもかかわらず、今もう一つ伺いたかった金額と、それから受注業者を伺いたいんですが、どうしてこういうものがレイテ島にできてしまったんでしょうか。
#328
○政府委員(木幡昭七君) 金額の方、ちょっと今調べてお答え申し上げます。申しわけございません。金額は至急チェックいたしますが、本件は二年度にわたっておりまして、既に存在いたします航海技術訓練所の拡充ということでやったものでございます。
 この拡充に至ります経緯についてはまた後ほど必要があれば御説明申し上げたいと存じますが、私どもとしてはフィリピンにおける船員の再教育、それがフィリピンにとって外貨獲得の面でも極めて重要であるし、さらにまた一般的に船員の質を高めないと今後国際的な水準に見合った海運の仕事ができなくなるということをフィリピン政府が懸念いたしまして要請してきたものでございまして、初めから私どもがそこにゼロからつくって協力したというものではございません。既にある施設を利用いたしまして、高度の教育をできるだけ施していくということでやったものでございます。
#329
○堂本暁子君 業者は。
#330
○政府委員(木幡昭七君) 本件プロジェクトにつきまして、先ほど御質問のございました協力の規模でございますが、二年にわたっておりまして、昭和五十九年におきましては十二億七千三百万円、翌年第二期分といたしまして二十四億二千七百万円でございます。
 それから第二点のお尋ねございました契約業者の氏名をということでございますが、先般もここで御説明したところでございますが、私どもできるだけこういう情報公開の御要望にこたえるということで公表の基準等を作成いたしまして、昭和六十二年以降のものについては先方政府の同意があるものを前提といたしましてできるだけ公表してまいる、こういうことでやっているところでございます。本件、ただいま御説明申し上げましたように、その決定の前の時点の案件でございますので、ここで直ちに御説明申し上げることは困難な次第でございます。
#331
○堂本暁子君 大体足しますと三十七億ぐらいのプロジェクトになるわけですが、実際に船員を教育するといってもサマール島を通ってここへ来る、大変内乱のあるところでございます。命がけで何のためにレイテまで行かなければならないのか、実際にそこに来ている人たちは大変困っていました。そういった現地の船員が困るような学校をあえてここに日本がつくってしまったということは大変問題だと思います。そのことに深入りはいたしませんけれども、同時にそこには病院もございまして、タクロバンというところですが、州立の病院、一億ほどの予算のものをつくっていました。しかし、予算がないために三分の一の工事でやめていましたし、大変多くの栄養失調の子供たちが亡くなるというような事態もございました。
 そこで、福祉関係の人はたとえその予算の一%でもいい、借款の方でしたら三百八十八億ありましたし、そのうちの一部でもいいからこういった住民のニードにこたえてほしいというふうに言っていました。先ほど大臣が御説明くださった無償援助の使い方と余りにも私はかけ離れているんではないかと思うんですけれども、大臣、大臣さっきおっしゃってくださった無償援助の内容とこのレイテへの無償援助というのはいささかかけ離れたもので、そこに住んでいる人たちが必要とする病院とかそれから障害者の福祉とか、そういうことへの要望は非常に強いんです、現地で。ところが、そういうところには日本から一銭も本当に行ってなくて、ほかからも来てませんが、そういったどちらかといえば現地の人に望まれない無償援助のプロジェクトができている。こういったことはどうして起こるというか、その感想を伺いたいと思います。
#332
○国務大臣(中山太郎君) 援助に関しましては、相手国政府からの要請主義というものが基本にございます。そういうことで私の感想を言えという委員からのお尋ねでございますから、率直に申し上げますと、やはり相手国政府を信用した要請主義というものが原点にあるというふうに私は理解をいたしております。
#333
○堂本暁子君 これだけ援助の額がふえているのに、援助にかかわるスタッフがいささか足りないのではないか。この前も少し申しましたが、やはり量だけではなくて質の問題があるかと存じます。本当にだれが必要でどういう計画を立てるかという立案の段階で、一体それに対応できるスタッフが日本にいるのかどうか。それから、そのスタッフを持たないがゆえに起こる弊害というのはないでしょうか。
#334
○国務大臣(中山太郎君) 援助に対する人の問題を今お尋ねでございました。私どもは、メモ帳には日本の援助額が七十五億ドルでこれを担当する人の数が千六百人、カナダは十九億ドルで千三百人、イギリスは十九億ドルで千六百人、アメリカは八十八億ドルで三千五百人、こういうことに相なっておりまして、そういう比較から考えますと、それに対応する人が不足をしているということは私率直に申し上げることができると思います。
#335
○堂本暁子君 今の大臣のお答えは人数の問題ですけれども、私はやはり質を問いたいと思います。さもないと、レイテでまた同じようなことが起こると思うんです。
 文部大臣に伺いますが、こういった開発教育、外国では大変盛んです。日本では幾つぐらいの大学でどのぐらいの講座を持っているかお聞かせください。
#336
○国務大臣(保利耕輔君) 開発援助にかかわる教育、特に大学においてどういうふうな形で教育がされているか、これはなかなか教育の内容がODAならODAあるいは開発援助なら開発援助に特定しての教育になっていない場合が多うございまして、例えば南北問題でありますと経済学あるいは政治学、社会学あるいは人文社会学、社会科学あるいは工学、農学、大変広い範囲にわたってこの問題が取り扱われておるわけでございます。したがいまして、授業科目数がどのくらいになっているか全体はなかなか把握し切っていないと思いますけれども、後ほどこれにつきましては政府委員から大体の状況について御答弁をさせたいと思いますが、例えば国立大学におきましては、国際経済あるいは地域経済、国際関係論などの講座を設けまして経済開発論あるいは発展途上国経済論、比較国際計画あるいは国際農業開発論などの関連する授業科目などが開設されております。
 この全体の姿、たくさんあるのかどうかと。その数等はなかなか政府でもつかまえてないかもしれませんけれども、あらましのありさまを政府委員から答弁をさせます。
#337
○堂本暁子君 結構です。別に国際関係論の講座を伺っているのではなくて、逆に日本に開発プロパーの教育がないということをむしろ今お答えいただいたというふうに私は理解させていただきたいと思います。農業とか工業、そういった講座はどこにでもあるわけでございまして、むしろそうではなくて、本当に南北問題なり、外国と差別意識を持たないで、先ほど竹村さんの韓国、朝鮮の問題もございましたけれども、そういうことを持たずに本当に援助ができる人を育てているのかどうか。さもないとどんなに人数がふえてもだめなのだということを申し上げたかっただけで、別に国際関係論の御説明は要りません。そして、むしろこれが国際化の本当に原点だろうと思います。
 そういった援助のないレイテですけれども、通産大臣に伺いたいんですが、総括質問で企業の公害の問題をお話しいたしました。その続きになりますけれども、こういった進出企業、レイテに限りません。公害輸出と言われています。そのことについて通産省の御見解を伺いたいと思います。
#338
○国務大臣(武藤嘉文君) 私どもは、海外へ進出する企業に対しては、その進出した国の自然環境あるいは生活環境、この保全に十分配慮しながら企業行動をしていくというのは当然のことだと考えておりまして、昭和六十二年ですからさきおととしでございますか、経済七団体でいわゆる海外進出に伴う企業の行動指針というのをつくっておりますし、また昨年は通産省におきまして産構審にお願いをいたしましていわゆる海外へ企業が進出した場合のやはり企業行動の指針というか、あるべき姿というようなことでつくっておりますけれども、その中に環境の保全を十分考えなさいということが書いてあるわけでございます。
 それに加えて、私大臣に就任いたしましてから、たまたまマニラかどこかの会議で日本の企業が公害をどうも出しているんじゃないかというようなことが話題になったということがございましたので、役所を通じて指導いたしまして、やっぱり日本は公害技術については何といっても最先進国だと思うのでございます。相手の国の環境の基準に合えばいいというだけではなくて、せっかく日本はそういう公害技術を開発しているんですから、この公害対策の技術をできるだけ生かしてやっぱり向こうの国の環境基準以上のことをやるようなことをしてこそ日本の企業がそれだけ信頼されるんじゃないか、こういうことはぜひ指導するようにということで今指導しておるわけでございます。
#339
○堂本暁子君 大変御趣旨は私も同感でございますけれども、指導でよろしいのか、それが問われるところだと思いますが。
#340
○国務大臣(武藤嘉文君) そこは私ども、民間企業と政府との関係で、やはり強制的にするわけにはいきません。やっぱりガイドラインでやっておりますので、そこはもう私どもはぜひその企業が良識を持ってやっていただきたい、それだけ言えば大体わかるんじゃないかと。あとは本当に企業の良識に私は訴えたいと思うのでございます。
#341
○堂本暁子君 良識が良識でないところが大変困るわけでございまして、そうなった場合にどうするのか。ですから、二つ問題があると思いますけれども、やはり公害を輸出してはならない。少なくとも日本の経験で、大臣がおっしゃったように、事前に防御する方法がないのかということが一点。それからもう現に公害が出てしまっているところ、これはもうどうすることもできない。それに対してどういう善後策が講じられるか。その二点、もう一度お願いいたします。
#342
○国務大臣(武藤嘉文君) もし公害が起きれば当然それを排除するように、それはもう国内法でもきちんとやっておりますから、当然それは国内法が外国においては通用いたしませんけれども、少なくともそういう面では私は、国内法を適用はできませんけれども国内法ではこうなっているじゃないか、日本の国でこういうことをやっているんだったら、相手の国でそれよりもっとひどいことをやっていいというものじゃないじゃないかということで本当に強くこれは行政指導できるわけでございますけれども、ただ法律という点からいきますと、やはりこれはそれぞれ相手国の国内法で規制をしていただくよりほかに方法ございませんので、そのような強い指導をさせていただくということではなかろうかと思います。
#343
○堂本暁子君 おっしゃることはごもっともだと思いますけれども、そういう公害が出てしまってしかもODAの基盤の上に、別かもしれない、しかしODAと結んだ形で開発されているケースがほとんどです。ODAが先に基盤整備をしということはどこでも言われていますし、そういった経済基盤が上がると申しますかつくられることに全面的に私は反対ではございませんけれども、その場合にやはり何としても公害とかそれから人権侵害、環境破壊、こういったものは防がなければいけない。
 そして、私はたまたまレイテでは調査をいたしました。日本の進出に一体どう思うか。一番トップが公害です。次が体を悪くする。三番目は魚がとれなくなったというようなことでした。そして、日本の印象というのを聞きましたところが、たった一つでしたけれども、死という答えがございました。私たちの税金を使ってのODA、そして企業進出を、ガイドラインでもいいんですけれども、こういうことで放置していいのかどうか大変危惧いたします。アジアの中で孤立してはいけないということをさんざんもういろいろな形でおっしゃっている今の政府、そしてこういうことは実際には相当に反日感情に結びつくのではないでしょうか。
#344
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほど来お答えしているように、大変難しいのはそれぞれの国の法律の中で行われていくわけでございますから、日本としてはやはり進出する企業に対して、進出する前の段階では日本でいろいろ接触がございますから、そのときにはもうこれから強く私は指導していきたいと思っております。特に先ほど申し上げましたように、このレイテの例は相当前からの話でございますし、たしかマニラの会議は三月ごろではなかったかと思いますから、その直後に私はそういう注意をいたしましたので、より一層の今行政指導をやっていると思うのでございますけれども、ひとつこれからも、もう一回私役所を督励して、そういうように日本の公害対策技術を思い切って活用して少なくとも公害を輸出しない、少なくとも日本の企業が来たら公害については自然環境も生活環境も守ってくれた、こういうことになるようにこれから指導していきたいと思っております。
 それからレイテのは、私もちょっと調べてみましたら、日本は三割ばかり出資をしておりますけれども、経営ももう全然今タッチをいたしていないようでございますし、ほとんど従業員も向こうの方のようでございまして、日本としては出資をしているだけで、しかもその出資は販売の方を受け持っているという形で出資をしているようでございまして、レイテの個別の問題になりますと日本は直接は注意をなかなかしにくいという状況にもあるようでございますので、念のために私からちょっと報告させていただきます。
#345
○堂本暁子君 それはよく存じております。だからこそ、あれだけのへんぴなところです。本当に自給自足というようなところですから。そこに突然発電所をつくり、二十メートル幅の道路を引き、そして日本の企業が全部プラントはつくりました。ですからこそ今公害が起きている。その辺のガイドラインだけではなくて、強い行政指導をぜひしていただきたいということを希望させていただきます。
 それから次に、外務大臣はこれからヨーロッパへいらっしゃるそうなのでもちょっと質問の順番を変えて、先に女性の問題、そして子供の権利条約の方に移らせていただきます。
 厚生省に伺いたいんですが、女性特に女性の健康と福祉という観点から伺いたいんですが、ここ十年ぐらいの出生率の傾向をまず伺わせてください。それから、ついでに二〇〇〇年、二〇五〇年、二一〇〇年の人口推計もお願いいたします。
#346
○政府委員(加藤栄一君) ここしばらくの近年の出生率の関係でございますが、各年におきまして一人の女子が一生の間に生む子供の数というもので出生率の一つのあらわし方をしております合計特殊出生率で見ますと、昭和五十年一・九一、六十年一・七六、六十三年一・六六でございます。
 それから将来の出生数でございますけれども……
#347
○堂本暁子君 人口です。
#348
○政府委員(加藤栄一君) 将来の人口でございますか。失礼いたしました。
 二〇〇〇年の人口の総数が、推計でございますけれども、一億三千百万になっております。それから、二〇五〇年でございますが、一億二千八百万というふうに推計しております。
#349
○堂本暁子君 二一〇〇年は。
#350
○政府委員(加藤栄一君) 推計しておりますのは二〇八五年まででございます。二〇八五年ですと一億二千四百万ということになります。
#351
○堂本暁子君 このように出生率が低下している原因というのはどこにあるとお考えでしょうか。
#352
○政府委員(加藤栄一君) 出生についてはいろいろな要件で動いてまいると思いますが、まず、子供を生むのに三つの大きな要因があるというふうに人口問題研究所等では考えておりまして、子供を生むのに適した、出産に適した年齢層の女子の人口の規模が一つ関係してまいります。それから結婚の動向と申しますか、結婚するのが早いとか遅いとか、そういう動向がどうなっておるか。それから結婚している女子の出生力がどうであるか、こういうことでございます。
 出産適齢期の女子人口についてはそのときそのときでベビーブームの山がどういうふうに動くかというようなことでいろいろと影響はしてまいりますが、長期的に見ますと、一つには現代の我が国社会におきましては次第に女性の方の晩婚化というものが進んできております。それから、結婚されております御家庭でどのくらい子供を生むかということでございますが、これが希望される子供数と実際に予定されます子供数とのギャップがございまして、やや予定する子供数の方が希望する子供数より少ない。これはやはりそういう子育ての環境というものを今後とも整備していく必要があるだろうというところが一つあると思います。そういうことが指摘されているわけでございます。
#353
○堂本暁子君 まさに今最後におっしゃった子育ての環境が一番大きいのではないかと女性の視点からは思っています。そこで二つの要素があると思うんですが、一つはやはり働きやすい環境、そしてもう一つは生活しやすい環境だと思います。
 まず労働省に、妊娠、出産を経験する女性がどのような働きやすい状況を今現実につくろうとしておられるか、そこから伺わせてください。
#354
○国務大臣(塚原俊平君) 男女雇用機会均等法がだんだんその効果が出てまいりまして、女性が特に職場内で極めて重要な存在にますますなってまいると思います。
 そういったときに、お子様を生まれて育てられるという期間の間はきちんとどうしてもこれはお休みにならなければいけないわけでございますから、重要性がますます認められることがこれから予想されるものでございますから、きちんとその子育て、お生みになって子供を育てる間、あるいはその子供を育てる間がいわゆる一年という判断をされる方もいらっしゃれば、やっぱり小学校に入るまでということを判断される方もあると思いますので、一つは先生方からいつも御指摘をいただいております育児休業という考え方と、それからもう一つはやはり五年、六年ということになりました場合には今度は再雇用という二つの考え方をあわせてしていかなければいけないと思うんですが、それらの制度がより皆様方に認識をされるように努力をいたしてまいりたいと考えております。
#355
○堂本暁子君 次に厚生大臣に、女性の健康そして福祉という観点からどのような形で今政策がとられているのか、それから、これから実際にとっていこうとしておられるか、所信を伺いたいと思います。
#356
○国務大臣(津島雄二君) ただいま子育てということ、また人口との関連において女子の社会的な地位あるいは就労体系等々を御指摘になりました。私はいろいろな要素が今の我が国の出生率の低下等に響いており、それから女性の方が安心して社会活動をやりながら子育てをするという環境が整っているとは言えないと思うのでございます。
 そこで、私どもとしては、まず家庭生活の基盤である子育ての環境をよくしなきゃならないということで、保育所の問題とか育児の問題とか、そしてまた子育てに関係をする婦人の健康問題とか、力を入れて取り組んでおるわけでございますが、一例を挙げますと、自営業の婦人等が健康診査の機会に恵まれないということから、昭和五十三年からこれらの方に健康診査の機会を提供する、それから食生活改善指導の実施等、健康づくりに力を入れてやってまいりました。それから母子保健の立場から、保健所や医療機関における妊産婦の健廉診査をいたしました。それから妊産婦に対する保健指導も力を入れてやっておりますし、それから栄養の援助を必要とする妊産婦に対する栄養食品の支給等の対策をやってまいりました。
 こういうことに加えて、生涯を通ずる包括的な健康対策をしなければいけないと思っておるところでございますが、全体としてやはり女の方が自信を持って社会生活と家庭生活をやれる、したがって子育てもできるという雰囲気が出てまいりますと、先ほど政府委員が答弁をいたしました、理想的な子供の数とそれから実際自分がつくる子供の数との今の乖離の問題というのは解消していくだろう。これを解消していきませんと、年金会計もおかしくなるということばかりでなくて、次の日本の社会は大変なことになると危機感を持って取り組んでまいります。
#357
○堂本暁子君 今最後に大臣は年金のことをおっしゃいました。それ以上にやはり女性の幸福と申しますか生き方自体もあるかと思いますが、そのためにも女性の意見を十分にお聞きいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#358
○国務大臣(津島雄二君) できるだけそのように努めてまいります。
#359
○堂本暁子君 そのことで大変残念だったのは、優生保護法の中絶時期の二十四週から二十二週への短縮、これは通達で出ましたけれども、その際に優生保護部会にいっぱい資料が出ているんですね。私ここに持っておりますが、日本の九つの団体から慎重に審議してほしいということが言われております。一番大きい団体で申しますと国際婦人年日本大会の決議を実現するための連絡会、これは二千万人の女性を網羅している五十団体でございます。この団体からどういう要望が出ているか。「当事者である女性の立場を最優先に考えて決定していただきたい。」、「女性の意見をきくための公聴会を早急に開いていただきたい。」、これは厚生省なさいましたでしょうか。
#360
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 優生保護法の妊娠の中絶時期の問題でございますが、ただいま先生お話がございましたように、国際婦人年日本大会の決議を実現するための連絡会というところでは、慎重審議という形でいろいろ要望が出されてございます。私ども、人工妊娠中絶の時期の問題につきましては、こういういろいろな団体からの御要望がございますので、その要望につきましては、優生保護部会という公衆衛生審議会の中の部会でございますが、この優生保護部会に全部資料として提出いたしまして、その各団体等からの意見を十分踏まえながら審議会の先生方が慎重な検討をして御答申をいただいたという経緯がございまして、そういう面で公聴会ということはやっていなかったわけでございますけれども、そういう意見は部会の中で十分御披露申し上げまして、その意見を踏まえて審議会で御意見をいただいたという経緯でございます。
#361
○堂本暁子君 この要望には、審議会のメンバーの半分は女性にしてほしいと書いてございます。
 それからここにございますこれですが、審議会にお出しになったのはいつですか。
#362
○政府委員(長谷川慧重君) 十二月十八日の優生保護部会におきまして、その間に集められました要望あるいは私ども用意いたしました資料を部会に提出いたしまして、そこで御議論をなされたということでございます。
#363
○堂本暁子君 その日に諮問をして、それからどれだけ後に答申は出ましたでしょうか。
#364
○政府委員(長谷川慧重君) 先生のお尋ねでございますが、十二月十八日に諮問をいたしまして当日お答えをいただきました。
 事実はそうでございますが、事前の段階といたしましては、元年の七月十日の部会におきまして、そこでその部会の中の御意見といたしましては、胎児の生育限界について専門団体の意見を聞くべしというような御意見がございましたので、それ以降七月二十八日に日本産婦人科学会、それから日本母性保護医協会に対しまして、胎児の生育限界についての実態の調査あるいはその見解についての照会をいたしたわけでございます。それを九月十九日にそれぞれの団体からのお返事をいただきまして、そういう団体からのお返事とあわせましていろんな団体からのいろんな要望があったということでございまして、その間いろいろ内部でも慎重審議をしながら十二月十八日に諮問をし答申をいただいたという経緯でございます。
#365
○堂本暁子君 七月のときはこれ出ていませんよ、局長さん。これは十二月の日付です、全部。どうやって二時間で十二月に出たものがお読みになれるんですか。
#366
○政府委員(長谷川慧重君) 九団体の要望につきましては、十二月十八日の審議会でそれを全部委員の先生方にお配りいたしまして、個々の資料につきまして御説明を申し上げました。それから、十二月十八日の段階におきましては同じように先ほど申し上げました日本産婦人科学会、それから日本母性保護医協会からのお答えもあわせて資料としてお配りいたしまして、審議をお願いいたした次第でございます。
#367
○堂本暁子君 ここにメンバーの半分は女性にしてください、また急いでやらないでもっと慎重に審議してくださいと女性の――これ二千万人の女性を代表して私は言わせていただきますが、それを無視してなさったわけですね。
#368
○政府委員(長谷川慧重君) 妊娠中絶の時期に関しましては、医学の進歩を踏まえて対応すべきであるというのが従前からの考え方でございました。そういう面で先ほど申し上げました学会の方にいろいろ実態の調査をお願いいたしまして、その結果をいただいたわけでございます。一方におきましては、女性団体等からいろんなお話がありますので、それにつきましては十分時間をかけてお話を承り、それについて十二月十八日に資料として提出し、御意見を賜ったということでございます。
 なお、先生お尋ねの優生保護部会に女性委員をもっとふやすべしということにつきましては、引き続き検討させていただきたいというふうに思っております。
#369
○堂本暁子君 医学とおっしゃいますけれども、医学だけで女性の体は動いているわけではございません。妊娠するというのはどのぐらい大変なことか。子供を生む、そして育てるということは一日のことではないんです。
 そして、この日にちは十二月十五日になっています。十分時間をかけてと、三日しかないではないですか。
#370
○政府委員(長谷川慧重君) 先ほど簡単に経緯を申し上げたわけでございますが、七月十日に部会を開きまして、専門団体の意見を聞くべしというようなことで二十八日に正式に照会をし、九月十九日に両学会からの返事があったわけでございます。その間いろんな情報等が新聞、ニュース等にも流れたわけでございまして、そういう面でいろんな関係の団体の方々がいろんな意見をお持ちで、それにつきましていろんな意見を私どもにお寄せいただいたということでございます。そういうお寄せいただいた意見をまとめて十二月十八日の部会にお諮りいたしたという経緯でございます。
#371
○堂本暁子君 最初にお聞きになったのは産婦人科学会やなんかで、女性は全然呼ばれていませんよ。私どもは押しかけました。何回も何回もみんないろんな団体の女性も押しかけました。厚生省から女性の団体が呼ばれたということはございまますか。
#372
○政府委員(長谷川慧重君) 先生お話がございましたように、九十七余のいろんな団体からいろんな意見が寄せられております。その中におきましては、直接私どもの方が招集した会はございませんけれども、必要に応じて私どもの考え方について御説明を申し上げたという経緯がございます。
#373
○堂本暁子君 これだけ二千万人の女性がこのときにはやらないでほしい、もっと時間をかけてほしいということにはどうしておこたえにならなかったんですか。
#374
○政府委員(長谷川慧重君) 繰り返しの答弁で大変恐縮でございますが、いろんな団体のところでは反対という御意見もございましたし、慎重な審議をやってほしい、特にこれから若年者に対します何といいますか、性教育といいますか、望まない妊娠をしないような教育、相談事というものについて十分対応をとってほしいというような御意見もございまして、そういう意見を踏まえながら、私ども胎児の生育限界につきましては現在の医学の進歩を踏まえて一定の時期にするべきであり、いろんな女性の方々の御心配事、悩み事につきましてはその対応ができるような形で対処してまいりたいというように思っております。
#375
○堂本暁子君 局長さん反対とおっしゃいましたけれども、この中には違う意見は入っていませんが、どういうことでしょうか。
#376
○政府委員(長谷川慧重君) 舌足らずで申しわけございません。人工妊娠中絶の時期を現在の二十四週から二十二週に縮めるのは反対である、あるいは慎重審議をお願いする、あるいは望まない妊娠等につきましてはさらに国がまず施策をやるべきであるというような御意見がいろいろあったということでございます。
#377
○堂本暁子君 反対なさった団体並びに名前をお出しいただけますでしょうか。
#378
○政府委員(長谷川慧重君) 十二月十八日の部会の前に、要望団体が全部で八団体ございます。その中におきまして答えが反対であるというぐあいに私ども受けとめておりますのが二団体、それから慎重審議という形で要望のございましたのが残りの六団体というぐあいに承知いたしております。
#379
○堂本暁子君 反対の団体の名前と住所と氏名を明確にしていただきたい。
#380
○政府委員(長谷川慧重君) 再度のお尋ねでございますので、反対というぐあいに私ども受けとめました二つの団体と申しますのは、優生保護法改悪阻止連絡会及びウィメンズヘルスセンター大阪というところの要望でございます。
#381
○堂本暁子君 逆でしょう、それは。逆のことを伺っているんですけれども。それじゃ逆です。通達にそれじゃ賛成です。今、逆さまのことをおっしゃったんでそう言いました。
#382
○政府委員(長谷川慧重君) 時期の短縮につきましては反対である、あるいは……
#383
○堂本暁子君 賛成はどうですか。
#384
○政府委員(長谷川慧重君) 賛成という方々についての要望につきましては、それは取りまとめてございません。個人的には、あるいは小グループにおきまして賛成であるという御意見もありたというぐあいに承知いたしておりますが、それにつきましては資料の整理をいたしておりませんので、お許しをいただきたいと思います。
#385
○堂本暁子君 では、どうして両方の意見があったということをおっしゃれるんですか。片方はちゃんと大変大きなグループですね。差別撤廃条約のときに一緒になった五十団体。そして私も伺いましたけれども、連絡先もわからないし名前もわからないということでした。そういうのをいろいろな意見と厚生省ではおっしゃるんですか。
#386
○政府委員(長谷川慧重君) 大変舌足らずで申しわけございませんでした。十二月十八日までの間に陳情、要望のありました団体が八団体ございまして、その八団体の中でいわゆる時期の短縮につきましては反対であるというのが二団体、それから時期の短縮につきましては慎重審議をお願いするというのが六団体という意味でございます。
#387
○堂本暁子君 逆はないわけですね。
#388
○政府委員(長谷川慧重君) 逆といいますのは、時期の短縮をもっとやれというような要望につきましてはございません。
#389
○堂本暁子君 入ってないということですね。
#390
○政府委員(長谷川慧重君) 入っておりません。
#391
○堂本暁子君 でしたらば、両方の意見があったということは、おっしゃってはおかしいんじゃないでしょうか。
#392
○政府委員(長谷川慧重君) 反対なり慎重審議という御意見を部会におきましてお配りをし、いろいろ御意見、それを踏まえて部会での御審議をいただいたということでございます。
#393
○堂本暁子君 厚生大臣に伺いますけれども、二時間前に諮問してこれだけのもの、本当に全国からいろんな人が寄せたもの、そして資料もその当日配られたそうですが、これだけ大部の資料を二時間でお読みいただいて、そしてそこでまた責任のあることを果たして答申としてお出しになれるんでしょうか。私は大変疑問に思います。
#394
○国務大臣(津島雄二君) 確かに委員御指摘のとおり、二時間前に出してすぐ判断しろということであるとすれば私は尚早であるという感じでございますが、ただ事務方から説明を聞いてみますと、この問題は長い議論の経緯があり、それぞれの方がそれぞれのお立場はよく踏まえている、十分なバックグラウンド、インフォメーションを持っておられるということの中で、さらに最後にこういう資料をお出ししたというふうに承っておりますが、いずれにしても今度のこの決定に至る経緯について多くの婦人団体の方から納得しない、その経緯について納得しないものがあるという御意見に私は謙虚に耳を傾けております。
#395
○堂本暁子君 前からの経緯は医学的な経緯でございまして、これは十二月の十五日とか十二月に入ってのものが出ているわけで、私は実際に審議委員の方と何人もお話しいたしましたが、当日もらったって読めないとおっしゃっていました。ですから、その答申の内容というのは大変信用できないものだと思っております。
 で、ちょっとまた観点を変えまして外務省に伺いたいと思いますけれども、子供の権利条約の前文について前回も伺いました。前文が条約の権利義務関係に直接関係ないかどうか、もう一度伺いとうございます。
#396
○政府委員(福田博君) たしかこの前でございますか先生からお尋ねがございまして私お答えした記憶がございますが、一般的に国際法の社会におきましては、条約の前文の持つ意味というのはその条約の締結に至った背景、あるいはその目的、あるいはその条約によって立つ基本原則、そういうものを述べるというのが一般国際法の原則でございます。じゃ、例外はないかと申しますと、それはこの前お答えしませんでしたがあるわけで、それは条約そのものにこの前文は法律的拘束力を持つと特に書いてあれば別でございます。しかし、お尋ねの児童の権利条約にはそういう規定もございませんので、一般の国際法の原則に従って解釈することでよろしいかと思います。
   〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
#397
○堂本暁子君 もう一つ伺いたいんですが、日本はこれは署名とか批准はもうしておりますか。
#398
○政府委員(赤尾信敏君) ただいま関係省庁間で鋭意検討中でございまして、いまだ署名も批准もしておりません。
#399
○堂本暁子君 この審議会に出された資料にそういったもののしかも前文のページだけが資料として提出されているのはどういうことでしょうか。
#400
○政府委員(長谷川慧重君) 先ほどの優生保護部会におきましていろんな資料、現在の資料ということでおつけしているわけでございますが、その中におきましてこの児童の権利条約の問題もいろいろ問題になっておるところでございますので、そういう面でこの権利条約の中身につきまして、特に会議の問題にかかわりますのは前文でございますので、そういう面でそういう資料をおつけして先生方に御説明を申し上げたという経緯でございます。
#401
○堂本暁子君 先ほどいろいろな意見があるとおっしゃったんですが、私は胎児の人権、女性の人権という形で今議論は全然しておりません。そういうものが対立する関係だというふうにも考えは持っておりません。そうではなくて、若い女性が必要ない中絶をすることが嫌だから、こういった二週間をそんな簡単に短縮しないでくださいということを言いたいわけです。にもかかわらず、中立であるべき厚生省がこういったものをお出しになることはどういうことなんでしょうか。しかも、批准もされてない、条約局長がおっしゃるのには、これは中の条約には何ら拘束力を持たない。そういったものを出すことがこれはフェアだとお思いになりますか。
#402
○政府委員(長谷川慧重君) 私ども、審議会におきまして当面審議をお願いする事項につきましての資料を用意いたします。あわせまして、その問題に関連するかもしれないあるいはしないかもしれませんというような問題につきまして、しかも国際的な動きの課題でございますので、そういう面で資料をおつけして簡単に御説明を申し上げたという経緯でございまして、この資料をもとに何やらの議論をやったということではございません。あくまで参考にということでおつけしまして、資料についての簡単な説明を申し上げたということでございます。
#403
○堂本暁子君 資料というのは判断の基準、参考ではないんでしょうか。
#404
○政府委員(長谷川慧重君) この子供の権利条約に基づきまして優生保護法をどうする、改正するかしないかという議論でございますれば、それが国際条約ではこういう形になっておりますのでこれをメーンに、これを踏まえて優生保護法の問題をどう考えるかという御意見を伺うことになるかと思います。しかしながら、現在の段階におきましては、あくまで人工妊娠中絶の時期の二十四週ということにつきましてそれを是とするか、あるいはもう少し縮めるかということについての御意見を承るということで、部会で御議論をいただいた次第でございます。したがいまして、子供の権利条約の前文につきましては、全く参考と言ったら語弊があるのかもしれませんけれども、世界の中でこういう問題はついて議論がされ前文にはこういう形で大体固まりつつありますよということを御紹介申し上げたという経緯でございます。
#405
○堂本暁子君 もう一回条約局長に伺いたいんですが、そういう優生保護法の改正のときに、この前文にどうかということの検討があるんでしょうか。多分、この前はないというふうに伺いました。
#406
○政府委員(福田博君) 私、優生保護法の改正についてはちょっと何も知識がないんですが、先ほど申し上げましたとおり、前文に書いてあることが、つまり、ある条約を結ぶ場合に権利義務を定めるのは本文で書くというのが普通でございます。前文は、先ほど申し上げましたように、背景とか目的あるいは参考になることということを書いてある。ただし、前文がそれ自身拘束力を持つというようなことを特に条約が決めて悪いわけではございません。ですから、そういう条約もあり得るとは思いますが、この児童の権利条約についてはそういう規定はございませんので、権利義務そのものは第一条以下の条文に書いてあるということでございます。
#407
○堂本暁子君 厚生大臣、外務省の御説明だと一条以下が権利義務、しかも批准もされていないものを、しかもこれ一枚だけですね、むしろ意図的に出したとしか私には思えませんが、大臣の御見解をまず伺いたい。今の議論をお聞きの上で大臣がどうお感じになったかを伺いたいと思います。――大臣に先に伺わせていただきとうございますが。大臣に先に伺いとうございますが。
#408
○国務大臣(津島雄二君) 条約と優生保護法の関係、非常に深い関係を洞察しての委員の御質問だと思います。
 法律論は、私、条約もよく勉強しておりませんからここで申し上げる立場ではございまぜんけれども、恐らく胎児の権利というものを非常に重視するというようなことの関連を意識しておられるんではないかと思うんですけれども、私は今の御議論をずっと承りまして、やはり女性が望まない人工中絶をするということはいろんな意味で社会的にも、社会教育をするとかいろいろな施策を積み上げて減らしていく、なくしていく、それが必要であろう、そしてその裏にあるのが、安心して自分の本当に望む子供を育てていただくという雰囲気をつくるということが恐らく委員も見ておられる最後の目標であろうと思います。そういう意味におきまして、今度のこの審議が一体どういう問題を醸し出したかということについては、よく勉強してみたいと思います。
 いずれにしても、今申し上げたような将来の目標についてはいろいろやるべきことがあると思います。そして、私ども実は男性では気がつかないいろんな有益な施策があり得ると思いますので、先ほど委員もおっしゃったように、女性の立場からのいろんな御提言をしていただければ、私ども真剣に受けとめてやってまいりたいと思います。
#409
○堂本暁子君 今大臣おっしゃったように、男性にはわからないことも確かにあると思います。やはり子供を生むのは女性ですし、妊娠するのも女性ですから。
 にもかかわらず、これだけもう本当に何度も多くの人が厚生省に足を運びながら、一切それを無視なすった。そしてなおかつ、今私は胎児の人権を云々しようとは思っておりません。むしろそうではなくて、行政上の手続としておかしいと思うんです。私どもはむしろ健康という問題を考えてほしい、日本の女性の置かれている状況、そして意見を聞いてくださいということをお願いしたのでありまして、いささか厚生省の早とちりと申しますか、先走りと申しますか、さもなければ何かほかの意図を厚生省がお持ちなのか、そこは私にはわかりませんが、しかも条約全部ではなくてこの一枚のこれだけですよ、何行でしょう、(資料を示す)そこだけをこうやって資料でお出しになる、そして諮問して二時間後に答申、これは余りにも無責任で日本の女性がみんなで怒っても無理ないことだと思います。みんな怒っています。
 そして、こういう変な子供扱いと申しますか、女性の訴えと申しますか意見というものを無視してやる行政のあり方に対して、大変疑問を抱きます。今回のこの審議のあり方というものを局長さんはそれでいいと思っていらっしゃるわけですか。
#410
○政府委員(長谷川慧重君) この人工妊娠中絶の時期の短縮の問題につきましては、六十一年の国会の予算委員会でも議論になりまして、私ども厚生省の中におきましてもいろいろ検討してまいりました。
   〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
そういうことで、現実に表へ出てまいりましたのが先ほど申し上げましたように平成元年以降の動きではございますけれども、その過程におきましても私ども女性団体等からめ意見に十分耳を傾け、それについて学問的な医学的の水準の判断と、それから先生のお話にございましたように、望まない妊娠をしないような方策については今後どうしたらよろしいかということもいろいろあわせ検討しながら、審議を進めてまいった経緯でございます。
 そういうことで、お尋ねにございましたように、諮問をし二時間後ほ答申をいただいたということでございますが、その時間の間にそれぞれの部会の先生方が専門知識を踏まえながら御意見をいただき、それを取りまとめられましたのが答申案でございますので、そういう面でなお配慮が足りなかったというおしかりは十分今後とも注意しながらやっていかなきゃならないと思いますけれども、手続的には十分時間をかけてやったというぐあいに思っているところでございます。
#411
○堂本暁子君 それは行政の中だけの手続で、その精神保健課に女性の方がいらっしゃるかどうか。多分おられないと思うんですが。いらしてもお一人ぐらい。――先ほど女性のというのがありましたけれども、私どもは新聞で初めて知りました。それまで全く存じませんでした。そういった形で行政の内部だけで進めて女性の意見を無視なすったということは、どうしても私は納得がまいりません。
 次へ参ります。老人の十カ年戦略について厚生大臣に伺いたいと思います。
 戦略というからには、きっと克服する目標がおありになるんだろう。どういう目標をお持ちか伺いたい。
#412
○国務大臣(津島雄二君) 二十一世紀の超高齢社会におきまして、活力のある長寿福祉社会が構築できるという目標でございます。
#413
○堂本暁子君 大変発想の転換みたいなものが必要かと思います。その方法はどのようにしておりますか。
#414
○国務大臣(津島雄二君) 当委員会でもこれまで御議論がございましたけれども、従来積み上げてまいりました福祉政策を今ここで総括して観察してみますと、施設の充実に力を入れてやってまいりました反面、在宅におられる高齢者の方に対する配慮がややおくれていたのではないだろうか、そして四人に一人が高齢者になられるような超高齢社会を考えますときに、その方々に対する社会的な親孝行をしてさしあげないとバランスのとれた公平な福祉政策は展開できないであろうという認識でございまして、在宅介護の充実を柱として全体として七つの柱を立て、また福祉施設の充実についても取り上げ、今度の戦略を仕上げたわけでございます。どうか御理解をいただきたいと思います。
#415
○堂本暁子君 地方への権限の移譲というのが平成五年からだそうですが、その財源について伺いたいと思います。
 地方交付税は国税の三二%。果たしてそれの中で、貧しい地方自治体もありますし、そうでないところもあると思いますが、自治大臣、十分にこのことが実行できるのかどうか。
#416
○国務大臣(奥田敬和君) 十分実行できると思っております。
 全体計画は六兆円強に及ぶと聞いておりますけれども、自治体の負担額はそのうち二兆円強になると思います。しかし、いずれにしても財政面ばかりじゃなくてこの十カ年戦略を実際に受ける受け手は地方、市町村自治体であります。情報もそうでございますけれども、国が幾ら財源的に、もちろん負担も国は当然するわけですけれども、しかし実際のこういったホームヘルパーとかショートステイとかデイ・サービスセンターとか、そういったきめの細かい形で人に接するのは、そうしてまたその手当てをするのは市町村自治体の大変大事な仕事でもあると私は思います。
 それで、今般の場合は、ことしの予算では八百億ほどの自治体負担でございますけれども、地方債で持つ施設負担、それがたしか三百四、五十億じゃなかったかと思いますけれども、あと残余の四百数十億に関しましてはこれは交付税で措置する。今後、年度年度によってふえていくわけですけれども、これらの場合は今のところ国との間の交付税で措置するという形で、弱い自治体の負担というものも交付税措置で賄っていくという方針でおります。大事な基幹的な自治体の仕事であるという認識に立ってやろうと思っております。
#417
○堂本暁子君 弱い自治体とおっしゃいましたけれども、今でも大変苦しい財政の自治体があると思うんですね。そういうところでこのホームヘルパーやなんかの、今でももう老人ホームやなんかもやっていますでしょうし、その上にこれが出て、くるということは、ほかをどこか削るということでしょうか。
#418
○国務大臣(奥田敬和君) 弱いところという形になると過疎を含むそういった財政力の弱いところということになるわけですけれども、こういった形のところでいわゆる養護老人センターとかそういった形は、過疎債も、今度は過疎法も適用の拡大も含めていい意味において拡大していただきましたし、それぞれの形で――幸いに現在の見通しにおいては税収も好調ですし、そういった意味においては今言った弱いところに対しては傾斜配分もいたしてやっていきますし、これらはそういった財政力の強い弱いにかかわらず、国としても自治体としてもどうしてもやらなきゃならないこれからの高齢化社会対応の大事な基幹的な自治体のお仕事であるという認識に立って、この面に関してはもう財政的に十分な形でお手伝いできるんじゃなかろうかと思っています。今地方自治体の状態はそんな決して悪くない、いつまで続くかは別として悪くない状態でございます。
#419
○堂本暁子君 大臣、まさに今最後におっしゃったいつまで続くかということが気になるんです。今は好景気で伸びがございますが、この好景気が続くとは限らない。でも、老人は逆にふえていくわけですね。そのときにどうでしょうか。
#420
○政府委員(持永堯民君) ただいま大臣からお答え申し上げましたように、十カ年戦略に基づきます必要な額については毎年財源手当てをきちんとしていかなければならないと思っております。
 そこで、将来例えば税収が落ち込んだというような、仮にそういうことを御想定してのお尋ねだと思いますけれども、いずれにしてもこういう福祉十カ年戦略に基づく経費を初めとして地方団体が地方財政を運営していく上で必要な額というものは全体をトータルとして毎年数字をはじきまして、それについては地方財政計画というものの策定を通じて全体としての所要額を確保するというやり方をしておりまして、仮に将来財政状況が悪化したような場合におきましても、いろんな形を通じて、これは国庫当局とも御相談をしなきゃなりませんけれども、全体として地方財政の運営に支障がないようにはしていかなきゃならないと思っております。その中で今の福祉の十カ年戦略分については最重点的にきちんと措置をしていきたい、こう思っております。
#421
○堂本暁子君 御覚悟のほどはよくわかりましたが、私ども予算書をひっくり返しましてもやはりよくわかりません。何が幾らでことしどれだけなのかということがとんとわからないんです。そして、覚悟のほどはわかりますけれども、でも果たしてこれが続くのか。そのためには、地方交付税の三二%を上げるとかそういうことで確実にこのことのために使うんだというお金を確保しない限り、十年ということは言い切れないんではないかという気がするんですね。その辺は自治大臣いかがお考えですか。
#422
○政府委員(持永堯民君) 現在の地方交付税の法律の規定の中におきましても、表現は別といたしまして、趣旨としては交付税の総額が数年間にわたって不足するような事態が起きた場合には国と地方の財源調整を行うという旨の規定がございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、全体として地方財源が長期間にわたって不足が続くというような事態が生ずれば、そういう段階で全体としての財源の調整をしていくということになろうと思います。
 いずれにしても、そういう規定もございますので、確かに経済情勢によっては先行き、先々まで今の調子が続くということは言いかねるかと思いますけれども、その時点において的確な地方財政措置を講じていくということで対応してまいりたいと思っております。
#423
○堂本暁子君 名前は格好いいんですね、十カ年戦略。でも、予算の方から見ますと一年ごとということで、大変にきちんと十カ年ということがつくられているわけではなく、積み上げていきますということのお答えのように思います。そうではなくて、きちんとやはり二%上げて、このために何が何でもこれはもう老人福祉に使うんだというようなことをスタートでやる必要はないんですか。
#424
○政府委員(持永堯民君) 十カ年戦略に基づきます事業は、国の負担と地方の負担と両方でやっていく事業でございまして、そういった意味で、毎年毎年の事業費の伸びをどうするかということにつきましては、やはりまず国の予算あるいは厚生省の予算の中でどういうふうに対応されていくかということが先決でございまして、それに見合った形でそれに必要な地方負担額を我々は措置をしていく、こういうことになるわけでございます。
#425
○堂本暁子君 まさに今おっしゃった国の方が気になります。大臣、国の方も十カ年ということでありましたらば、どうやったら十カ年にきちんと必ず実現できるのかということを、どういうのがあるかということを聞きましたところ、財政法の十五条には国庫債務負担行為というのがあるそうです。少なくとも五年間、それから後期の五年間をこういった国庫債務負担というふうにしていただくことはできないでしょうか。これは厚生大臣と大蔵大臣とお二人に伺いたい。
#426
○国務大臣(津島雄二君) 財政技術の問題は所管大臣でございます大蔵大臣の専管でございますが、私はこの十カ年戦略で何をおいても一番ありがたいのは、大蔵大臣と自治大臣がある意味では連名で御発表いただいたということでございます。国のいろんな施策もございますけれども、私は厚生省の施策で十カ年にわたって大蔵大臣、自治大臣が一緒に立案、発表にエンドースしていただいたという例は余り見ないわけでございまして、両大臣の御協力を得て、ぜひともこれは御期待にこたえるように、毎年毎年努力をしていきたいと思っております。
#427
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員から国庫債務負担行為をというお話がございました。私は国庫債務負担行為というものの性格上、今御指摘になりましたような形で国庫債務負担行為というものを使うということはいかがなものかと思います。
 同時に、委員が大変御心配をいただきましたけれども、今回の十カ年戦略というものは政府自身が今後十カ年間の目標を掲げたわけであります。当然我々はそれを実行して実現していく責任がございます。ただ同時に、今委員が述べられましたような例えば毎年ごとの事業量を決めてしまうとかいうことになりますと、これは私は一つはまさに先ほど来御心配をいただいておりますそれぞれの地域、地方におけるその整備状況、あるいはその整備の進捗状況そのものそれから財政状況等も含めて、固定はなかなか難しいものだと思いますす。また、特にその中でホームヘルパーといったような特定の分野について他よりもスピードを上げる必要が生じるとか、さまざまなケースが考えられるものであります。私は、やはりそうした状況を勘案しながら毎年の予算編成の中できちんと対応していく、十カ年においてこの目標を完了する、そうした考え方で取り組ませていただきたい、そう思います。
#428
○堂本暁子君 資料を配っていただきたいと思いますが。
   〔資料配付〕
#429
○堂本暁子君 大蔵、厚生両大臣のもとでつくられたプロジェクトということなんですけれども……
#430
○国務大臣(橋本龍太郎君) 自治大臣も。
#431
○堂本暁子君 ああそうですか。三大臣ということです。
 でも、六兆円というのは大変大きいんですけれども、この五十八年から平成二年度までの老人福祉予算の推移を見てまいりますと、まず二つのことが見えると思います。一つは、福祉費が伸びた分、医療費がふえている。ですから、老人医療費が非常に大きなウエートを持っていて、まさに地域在宅への福祉のお金がどんなに小さいかということが一つ見えます。
 もう一つは、最後の方の福祉年金ですが、これがどんどん減っています。六兆円とおっしゃいましたけれども、今回少なくとも計上していらっしゃる額は、この年金の額で足りるんじゃないでしょうか。これは厚生大臣にまず伺わせてください。
#432
○国務大臣(津島雄二君) 全体の姿については大蔵大臣からお話があると思いますが、福祉年金を受けておられる方々は、御案内のとおり、要するに数がだんだん減ってこられるわけでございます。したがいまして、この数字の推移というのはそういうことによるものでありまして、意図的、政策的に減らしたものではないわけでございます。
 これはごらんになってすぐおわかりになっていただくように、要するに全体の費用となりますと、医療費がいかに大きなウエートを占めておるか。これはその問題に対応するために別途老人保健制度をどうするかとか、あるいは国民健康保険をどうするかとか、被用者保険をどうするかとか、いろいろな苦労をしてきているわけでございますが、いわゆる十カ年戦略のための予算というのは、先ほどいみじくも委員がおっしゃいましたように、やらなければならないということであれば、私はこの数字を見てもやれないものではないなというのが私の達観した感じでございます。
#433
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今厚生大臣から御質問に対してお答えがありましたように、私は実はこの老人福祉予算の中で老齢福祉年金を加えて御論議をいただきますと、まさにこれからこれはどんどん拠出制の年金に移行していくわけでありますから額的に減少していく、これはちょっと外して物を申し上げたいと思います。
 むしろ、例えば在宅老人対策費、これが気がつくのが遅かったという御指摘はあるかもしれません。また、立ち上がりが遅いからなお金額が少ないという御指摘は私は甘受をいたすつもりでありますけれども、しかし、この数年間において、例えば六十三年から元年度、元年度から二年度、率的には随分大きく伸ばしてきました。そして、その意味では老人保護費等についても同じようなことが言えるわけでありまして、要は金額を計上いたしましてもそれを支えていただくだけの例えばマンパワーが確保できるのかとか、そうした問題と対応しながらこうした予算は伸ばしていかなければなりません。私どもとしては、今後ともに全力を尽くして目標を達成するために努力をしていくということを申し上げたいと思います。
 あとつけ加えさせていただければ、我々としてはやはりこの老人医療費が非常にふえていくという状況に対して、どうやって健やかに老いるかという視点をこの中に取り入れていくことがもっとできないものか、そういう気持ちは率直に持っております。
#434
○堂本暁子君 おっしゃったこと、私もまさにそう思いますが、予算を見る限りでは今の年金を外しますと決してふえていない、ということにならないんですよ。
#435
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変失礼でありますが、例えば在宅老人対策費、これは委員からちょうだいをいたしました数字をそのままに読み上げましても、五十八年には七十七億でありましたものが、六十三年に百八十六億、そして元年度は三百四十三億、二年度におきましては四百七十八億という形で、決してふえていないことはないと思います。ただ、その幅が大きいかどうかという御指摘であれば、私はそれについての御意見は甘受をいたします。ただ、それについても受けの問題がありますということを申し上げたわけであります。
#436
○堂本暁子君 私も別に今のこの老人在宅費だけを申し上げたわけではございませんで、これはちょうど六、八、四十八、六倍ぐらいにふえています。ですけれども、それと反比例した形で年金の方が減っているということであれば、トータルとして考えた場合にはそんなにふえていない。それから、これからもこれはどんどん年金の方は、まさに大臣おっしゃったように外して考えていただきたいと思いますけれども、減っていくわけですから、そうすると、もし三兆円を平均すると三千というこのお金とちょうど一緒になって、三兆円はどこへ行ったのかという感じになりますが。
#437
○国務大臣(橋本龍太郎君) そういうおっしゃり方をされるんなら、福祉年金の話も戻していただきましょう。
 私はむしろ今そんなに簡単に福祉年金を受けておられる方に死んでいただくことを前提に物を申し上げているわけじゃないんです。むしろそういう意味では必然的にある程度減少していく性格のものであり、そんなに急速度に急角度に今でも落ち込んでいくわけではございません。ただ、論議として今分けましたけれども、そういうおっしゃり方をされますとちょっと私はお答えに困るんで、むしろ高齢化の中において福祉年金を受けられる方々の数もまだ相当あるわけです。そしてその福祉年金を受けられる方々の年金水準というものは御承知のとおりに物価スライドがあるわけでありまして、金額的にそんなに簡単に減少するものではありません。その辺はよく御理解をいただきたいと思うんです。
#438
○堂本暁子君 私が申し上げたかったのは、こういう一方で自然減があるということですね。そのことが余り言われないで、六兆円ということばかりが踊っているような気が一方でするわけです。まさに今おっしゃった地域でどう上手に老いられるかということなんですけれども、これはむしろ財源としては今まで必要ない方たちまでが入院しているようなという形のものもございました。在宅も難しい。それから特養も都会では大変足りない。そういたしますと、そういった方たちがもし在宅で過ごすということになれば大変な額の予算が必要なんではないか、とてもホームヘルパーが一日に二時間とかそういうことで済まないのではないかというふうに思います。
#439
○国務大臣(津島雄二君) 実はこの予算の推移、委員がおつくりになったものでございまして、私もこの数字についてコンテストするつもりは全くないわけでございますが、例えばこの十カ年戦略関係で今御審議いただいております平成二年度予算をとりましても、在宅福祉対策で六百八十一億計上されているわけです。それから、寝たきり老人ゼロ作戦だけで全体で二百三十四億でございますしね。施設整備費は二千八十九億、いずれも国費でございますよ。でございますから、これはどういうふうに区分けされたか、私はわからないのでございますけれども、全体として国費でちゃんと三千三十四億お願いをいたして今御審議をしていただいているわけでございまして、このペースをきちっと守っていけば我々の目標の達成はできるというふうに思っております。
#440
○堂本暁子君 今おっしゃったことでいろいろ手当てしているというふうに言われましたけれども、その中で例えば受け手は地方になりますと福祉主事ということになりますけれども、その数字も出していただきました。いかに資格を持った人が少ないか、遅さに失したということであればそういう人的そして予算的な措置が今までには余りにもなかったのではないか。たとえ平成五年でも、それまでにどういう具体的な履行ができるのかということを伺いたい。
#441
○政府委員(長尾立子君) お答えさせていただきます。
 先生が今お話しになりましたのは、地方におきます社会福祉主事のそういった資格の者がどういった状況であるかという御質問であるかと思います。社会福祉主事はいわば行政官でございまして、福祉事務所におきます地方公務員という形でございます。現在の社会福祉事業法ができます以前から福祉を担当する行政官は福祉の専門の知識、経験というものを積む必要がある、こういう考え方に基づきまして一定の社会福祉主事という身分をつくりまして、専門的な地方公務員を福祉事務所に設置していただきたい、こういう形で整備をしてきた、そういう性格のものであると思っております。
 御承知のように、現在の社会福祉事務所におきます社会福祉主事の有資格者の数が必ずしも十分な状況ではないということは、御指摘のとおりであると思っております。これが今回の法律改正の中で、現在県が実施しておりますものが町村へ仕事が移っていくという過程の中では、地方公務員の中にもそういった専門の教養を持った方々がふえていただくということは、私どもも望ましいと思っております。
 で、社会福祉主事の資格をとります方法といたしましては、専門の大学におきまして専門の教育を受けるということのほかに都道府県が専門の講習会を実施しておりますし、私どもも全国社会福祉協議会の研修センターに委託をいたしまして、通信教育の上で地方公務員の方がそういった勉強をしていただくということをやらせていただいておりますが、今後はそれを町村の職員に拡大していくということを考えておりまして、今回御審議をいただいております予算の中で町村の方々につきましてもそういった専門的な研修をしていただくような予算をお願いしておるところでございまして、先生が御指摘になりましたこういう方向をぜひ進めさせていただきたいと思っております。
#442
○堂本暁子君 今おっしゃいました研修ですけれども、この研修は三週間と聞いております。そして、やはり福祉というのは大変に専門的なことではないか。もしかしたら、道をつくるとかそういったこと以上に専門、人間であるがゆえに専門。果たして三週間でそれだけの専門性を身につけることができるのかどうか。
 それから、厚生省に四年制の大学なり二年なりでそういった福祉学課、福祉を専門に勉強した人がどのぐらいいるか調べていただきたいとお願いいたしましたが、それは数字が出てきませんでした。ということは、それだけどういう受け皿があるのかわからないんではないか、大変専門性のない人がこれからプランを立てるというようなところで、果たして本当に福祉のレベルが保てるのかどうか。そこで、地域格差が出ないのかどうかということを伺わせてください。
#443
○政府委員(長尾立子君) お答えをさせていただきます。
 今回の法律改正の中で、地方公共団体がその地域において福祉の需要、これはさまざまに違うと思いますので、それから先生がさっきおっしゃいましたように社会的な資源その他の状況、これはいろいろ違うと思います。それぞれの地域に合った福祉の計画をつくっていただくような、その地域に根差した福祉の計画づくりということを今回の基本的な法律の中で、ある意味ではプログラム規定でございますが、書き込んでおります。
 老人につきましては、これはもっと具体的に計画をつくっていただくということで、老人福祉法、老人保健法の体系の中では計画づくりということをはっきり明確にいたしております。
 こういった計画をつくっていくまたそれを実施していくに当たりまして、確かに専門的な素養のある人間が必要であるということはおっしゃるとおりだと思っております。しかしながら、ある意味でこれは地方公共団体の全体の人事政策といいますか、そういうものにも絡んでいくものでございまして、余り大きな固定的な方針を国が示していくということにはある一定の限界があるということは御了解いただきたいと思います。
 私どもは、御承知のように日本社会事業大学というものに基本的な主導的な指導者の養成を委託しております。社会事業大学の充実、また社会事業大学を中心といたしまして福祉系の大学の中でこういった分野でのいろいろな研修、研究というものを積み重ねていただきまして、地方公務員になっていただく方の資質の向上でございますとか、それから今おっしゃいました地方がこれから実施いたします事業に対する専門的な援助、これは必ずしも公務員だけでできるものではないと思いますので、そういった多くの専門家の方の協力を得ながらそういうものを実施していくという体制づくりをやらせていただきたいと思っております。
#444
○堂本暁子君 余り私は、何といいましょうか、とても発想としては地方に、地域に住めるということ、ノーマライゼーションといいますか、地域で老い住むことの方が大変豊かだと思いますけれども、果たしてそれができるのかどうか。例えば交付税の問題にしても、本当に地域格差が出ないという自信があらゆる意味で自治大臣はおありになりますか。
#445
○国務大臣(奥田敬和君) この十カ年戦略の財政的な面においての心配というのはそう私はしていないんです。私はそれよりも今委員が御指摘なさり、今の御質疑を聞いておって感ずるところでありますけれども、むしろ人的な確保、自治体がそれぞれ努力しますけれども、このマンパワーが果たして、地方で開業なされておるお医者さんなんかももちろん中心になってこういった在宅ケアの問題に含める施設あるいは看護のあり方等々これから勉強していただくわけですけれども、人的な面の確保に各市町村が苦労されるだろうなと。だから、これらの養成の施設なり研修なり、そういった人の面からの形がまず急務であらうと。
 お金の面は後で何とでもして可能だと思いますけれども、むしろこういったある意味におけるヘルパーとしての資格、ある意味においての老人医療も含めたある程度の看護体制の知識を持った人たちの養成、そういった方たちがボランティア活動も含めて、それぞれの市町村の独自性を発揮して、もう周辺の人にボランティア活動もお願いしなきゃいかぬでしょうし、こういった方々の確保の方がむしろこれからこの十カ年戦略を遂行する上にとっては一番大きな問題点ではなかろうかと自覚いたしております。
#446
○堂本暁子君 今、長尾局長もこれから社会事業大学でとおっしゃいましたけれども、これから教育していたんじゃちょっと遅くて、やはりむしろ福祉の専門性を持った人がそれぞれの市町村にいないと本当にオーガナイズができないんではないか、そのことが大変難しい。働く人はいるかもしれませんけれども、専門的な人が必要だというふうに思います。同時に、やはり建物だと思うんですね。車いすを使い、そしてどうしても、どんなにしゃっきりしたおばあさんやおじいさんでもなかなか歩けない。建設省、建設大臣いらっしゃいますけれども、そういった一方であらゆる市町村にどういうような住宅の整備をしていくのか、その計画がおありになるのかどうか、聞かせてください。
#447
○政府委員(伊藤茂史君) お答えします。
 住宅対策上高齢化の進展にどういうふうに対応していくかというのは非常に重要な課題だということでございます。特に高齢者の方々は自然と身体機能の低下がございますし、それから住まい方も家族とどういうふうに住まっていくかを初めとしまして、いろんな多様なニーズがあるわけでございます。しかしながら、私どもはできるだけそういうものに対応しながら、家庭や住みなれた地域で生活していくことができるような施策を推進していくことが一番大事だろうと思っております。その際に、そういうふうにするためにも福祉政策との連携が非常に重要だというふうに考えております。
 今先生御指摘のとおりでございますが、これを計画できちっと決めるかどうかということでございます。本院の審議におきましても前にも聞かれたことがあるわけでございますが、やはりこの高齢者の身体の機能の低下でございますとか家族の環境とかというものは画一的に決めるわけにまいらぬわけでございます。したがいまして私どもは、やはり公共団体が自分自分の所轄の範囲内に本当にどういうふうな人たちがどういうふうなことで困っておるのかということをそのときどきしっかり把握をしまして、そして必要な住宅予算の要求をしていただくということが一番基本ではないかと思います。したがいまして、例えば国の住宅建設五カ年計画で何ぼ何ぼこういう住宅をつくる、あるいは都府県の住宅でこういうふうにつくるということを頭から決めていくことは極めて難しいというふうに思っております。
 それで、今現在どういうことをやっているかと申し上げますと、一つには持ち家関係でございますけれども、金融公庫融資で高齢者を含む世帯に対する割り増し貸し付け、あるいは改良工事というようなことで高齢者が住みよい住宅をつくったり改造したりすることができるような低利融資を設けてございます。したがいまして、これもそれぞれの高齢者の方々の身体の状況に応じて、あるいはその家族の構成、その成り行きに応じていろんなことがその融資をお受けになることによってできるということでございます。
 それから二番目には、公共住宅に住まわれる方もございます。特に低額所得者の場合には公営住宅ということになろうかと思いますが、そういうことの場合にはやはり入居されましてから設備その他で特注と申しましょうか、そういうことで流し台の高さから始まりまして、手すりの問題からございまして全部直す、あるいは増設をするというようなことをやっておりますし、したがいまして、そういう身体機能の低下や親族との同居に配慮した規模、設備、そういうものを有した公共住宅を公共団体の方でしっかりつかんでいただいて建てていただくというのが基本であろうと思います。
 それからこれはもう厚生省の施策と私どもと共同で勉強しまして六十二年度からやっておりますが、シルバーハウジング・プロジェクトというのがございます。これは生活支援サービスをしていただける、これは厚生省側の手当てを受けられる人員でございますけれども、その方が私どもの新しく建てます高齢者世帯向けの公共住宅の中に一緒に住んでいただくということで、通常の生活相談でございますとか緊急時のいろんな支援でございますとか、そういうものをそこでやっていただくというようなものもこれからやるということで、六十二年度から公共団体がそれぞれ必要に応じてやっています。こういう施策をこれからも公共団体と連携を保ちながら、厚生省の在宅福祉政策がうまくいくように私ども努力をしてまいりたいと考えております。
#448
○堂本暁子君 何か私には余りにも貧しいというか、消極的に思えてなりません。スウェーデンや何かだと車いすで住める公的な住宅がちゃんと整備されていますけれども、要介護の方たちのための住宅政策だとすれば、余りにもこれから融資を受けてというのはひとり暮らしとか二人暮らしの人には消極的過ぎる。それぞれの地域でも結構ですけれども、もっと積極的な住宅政策がない限りやはり老人はまた施設へ行かなければならないということになりかねない。
 もう一つやはり心配なのは、今いみじくもおっしゃいましたシルバーサービスとかシルバー産業と言われる部分で民活の健全育成とおっしゃっていらっしゃいますけれども、大変に介護というのは人手がかかります。お金がかかります。果たしてそれと企業の論理が整合性がありますでしょうか。大臣に伺っているんです、私は。大臣、簡潔に答えてください。
#449
○政府委員(岡光序治君) おっしゃいますように、高齢者のニーズは非常に多様化しておりますので、公的な施策を進めると同時に民間部門の創意工夫を生かしていく、そういうことが必要なのであろう、こういうふうに考えておりますが、そのためには民間部門の健全な育成ということが必要でございます。したがいまして、私どもは国なり地方を通じまして適切な行政指導をする。私どもガイドラインを示しておりまして、民間事業者につきまして、特にお年寄りを対象にする場合にはしっかりとした仕事をしてもらうようにということを考えております。
 あわせまして、民間事業者団体におきましても倫理綱領をつくっていただいてそれにのっとった仕事をしてもらう、そんなふうなことを考えております。
 なお、有料老人ホームに限りまして、入居者のお年寄りの保護ということが特に大切でございますので、現在国会に提出をしております老人福祉法等の一部改正法案におきまして、入居者の保護を念頭にした改正をお願いしたいと考えております。
#450
○堂本暁子君 ガイドラインというのは、私は余り頼りにならないと思います。そう数多く私は老人ホームを見たわけではございませんが、幾つか行きました。養護老人ホームに泊まったこともあります。社会福祉法人でさえ、夜になるとおじいさんおばあさんの両手両足を縛るんですね。私はもう本当に辛くて、夜になると助けてくれ、帰りたいという声がずっと聞こえてきました。それは老人ホームだけじゃありません、精神病院でも見ました。いろいろなところで見ました。収容施設というのはそういうものです。そして、人手が足りない。何百人という老人、重篤な方もおられましたけれども、どこかにドクターは一人いるはずなんですが、寝ていたんでしょう。近くの農家の奥さんが二人夜勤なんですが、その方たちが悪いという意味ではありませんが余りにも専門性がない。そして、三畳ぐらいの部屋にかぎをかけられて入っていたおばあさんもいました。あなたどこの人、よその人、だったら私を助けてちょうだい、そういうふうに言いました。
 結局、商売でやるということは、人が利潤追求の対象になってしまう。それは精神病院でもベビーホテルでも私は嫌というほど見てきたことです。それだけに私は、健全育成とは言葉でおっしゃるけれども、結局はノーマライゼーション、地域といいながら逆の現象が起こるのではないか。本当に十分な地域――大蔵大臣は今お金の方はと、自治大臣もおっしゃってくださいました。しかし、それだけのお金があったとしても、果たして本当に地域で十分な要介護の方たちの介護ができるんでしょうか。もしできなければ苦し紛れに共働きだろうが、それから子供がもう年老いているような場合でしたらばシルバー産業も利用しますでしょう。その場合、また新しい収容の形態というのが出てまいります。それは精神病院も、今三十二万人いる中で十万人は退院できるけれども、社会的な受け皿がない。同じようなことが老人に起こるのではないかという危慎を私は持っております。
 したがって、経済的なことも大変大きくなければなりませんし、人的な問題そして倫理は、先ほどの企業倫理というのが大変怖いですね。今不動産会社が盛んに福祉士の資格を持っている人を探しているというのも聞いてぞっとしたんですけれども。そういった形で本当に心の豊かな、そして生活の質の向上、長い間日本の経済成長のために働いてきた老人です。その人たちが心安らかに老後を過ごし、そして生涯を終えられるのかどうか、大変疑問を持っております。
 終わります。
#451
○国務大臣(津島雄二君) 一言だけお答えさせていただきますが、まず第一に、老人福祉施設につきまして大変断定的なおっしゃり方をされましたけれども、私自身いろいろ福祉施設も見ましたし地元にもございます。できれば今度委員と御一緒に見てまいりたいと思いますし、一般の特別養護老人ホームの場合には、これはやっぱり福祉法人あるいは公共法人でやっておりますからもうけ仕事でやっているものではない。問題は施設に入って在宅に戻れない方が多いということから、私どもは在宅サービスを強化していわゆる社会的入所、社会的入院というものをできるだけ減らしていこうということをやっているわけでございます。
 それから、くくりつけてというお話をされましたが、それはいわゆる痴呆性の方々の場合でございますが、これは老人保健施設等でも痴呆性の方方を専門に大変自由によくやっているところが私の地元にもございますので、ひとついい方もぜひ見ていただきまして、そのいい方をどんどん育てるように委員としてもお力添えをいただきたいと思います。
 以上でございます。
#452
○堂本暁子君 私が行ったところも実は大変いいと言われるところだったのです。いいと言われるところでもやはりそうです。やっぱり人手が足りないんだと思いました。
#453
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で堂本暁子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 明日は午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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