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1990/03/30 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 逓信委員会 第2号
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1990/03/30 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 逓信委員会 第2号

#1
第118回国会 逓信委員会 第2号
平成二年三月三十日(金曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     長谷川 信君     片山虎之助君
     宮田  輝君     野村 五男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         青木 薪次君
    理 事
                岡野  裕君
                永田 良雄君
                松前 達郎君
                磯村  修君
    委 員
                長田 裕二君
                片山虎之助君
                陣内 孝雄君
                野村 五男君
                平井 卓志君
                平野  清君
                守住 有信君
                及川 一夫君
                大森  昭君
                國弘 正雄君
                山田 健一君
                鶴岡  洋君
                山中 郁子君
                足立 良平君
                沢田 一精君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  深谷 隆司君
   政府委員
       郵政省通信政策
       局長       中村 泰三君
       郵政省電気通信
       局長       森本 哲夫君
       郵政省放送行政
       局長       大瀧 泰郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大野 敏行君
   説明員
       外務大臣官房海
       外広報課長    岡田 真樹君
       文部大臣官房審
       議官       井上 孝美君
   参考人
       日本放送協会会
       長        島  桂次君
       日本放送協会技
       師長・専務理事  中村 好郎君
       日本放送協会専
       務理事      植田  豊君
       日本放送協会理
       事        高橋 雄亮君
       日本放送協会理
       事        遠藤 利男君
       日本放送協会理
       事        青木 賢児君
       日本放送協会理
       事        尾畑 雅美君
       日本放送協会総
       合企画室局長   郷治 光義君
       日本放送協会予
       算部長      中野 正彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(青木薪次君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○及川一夫君 経営委員会の問題について、主にこれは郵政省ということになろうかと思うんですが、逓信委員会ではしばしば経営委員会の構成について問題にされてきたというふうに思っておりますし、論議の中では任期中の者を今どうのこうのというわけにいかないが、任期が来た際にはそういったことを考慮するというようなことを含めて検討したいというお答えをいただいているつもりですが、名簿を見る限り今日でもほとんど変わっておりません。確かに法律的には「教育、文化、科学、産業」という固有名詞が出てまいりまして、その他の各分野が公平に代表されるよう考慮されるべきだと法律はなっているわけです。したがって、固有名詞が出ているから優先的に、固有名詞が出ないで「その他の各分野」においてというのは後段の方で考えればいいというものでは私はないだろうと思うのです。
 現実に今、名簿を見まして分野別に整理をいたしますと、文化という肩書がついて選出されている方々が十二名の中で五名おります。産業という肩書でそれぞれの産業の分野から出ている方々が五名おります。そして、あと科学とその他ということでそれぞれ一名ということになっているわけです。産業という分野は大変広い範囲ですからなかなか五名の方を選ぶにしても大変だなという感じはしますけれども。一方、文化の方では、これを見ますと、言論界が三名、そして芸術関係が一名、教育関係が一名、こういうふうになっているわけです。
 それで、文化ということを言いながら言論だけが三名代表されているというのは、必ずしも各分野からのバランスという意味合いでの構成には私はなっていないと思うんです。これはぜひ私は検討してもらいたいと思うのですが、各分野といいましても、例えばここには労働というのはないんですが、各分野の中に入っているのだろうと思うのです。何といっても今、日本の労働界は一つに大きくまとまろう、まとまっている――現実は今二つありますけれども、しかし、その中の連合というのは大変大きな組織であり、八百万労働者がおって、家族を含めれば、おおむね三名という前提に立てば二千四百万人という人口、分野を代表する組織なんです。これは一例なんです。僕はここだけを言っているわけじゃない。
 そんなふうに考えますともう少し、いずれにしても議院運営委員会あるいは国会の承認事項になるわけですから、我々も気配りをして新たな観点からこの経営委員会の構成については考え直していかなきゃいかぬ、また注文もつけていかなきゃならぬのじゃないかというふうに思っているわけです。
 郵政省、この辺はどうなんですか。実際に人事の発令というか推薦をする行為というのは郵政省が行うのでしょうが、これまでの論議、経過を含めて私が今指摘をしたことに対してどのようにお答えになりますか、お聞きしたいと思います。
#4
○政府委員(大瀧泰郎君) 経営委員会の委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから内閣総理大臣が両院の同意を得て十二人を任命するということになっております。また、その選任に当たりましては、先生御指摘のように、「教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」とされているわけでございます。このような形で選任されるということで、経営委員会はNHKの自主性と中立、公正性
の確保に役立っているものと理解しているわけでございます。現在の制度はおおむね妥当であると私どもは考えているわけでございます。
 それから、組合のいわゆる代表ということで選任されていないという御指摘の面でございますが、これらに対しましては、確かに現在までのところ選任はされていないのでございます。具体的な人選に当たりましては、各界のいわゆる利益の代表というようなことではなくて、放送に関して公平中立な意見を述べる、そして判断を下せる人ということを選定の中心にしておるものでございますので、この意味ではなかなか困難ではないかと考えておるわけでございます。
 さらにまた、新聞関係の方が数多く入っておられるというような御指摘でございます。現に三人の方が社友というような形での新聞社の方々ではございますけれども、こういう社友という方々はそれぞれの新聞社の組織の中で一定の職を占めているという方々ではないと私どもは判断しておりまして、やはり各界の見識、経験、そういうようなものをお持ちの方として選ばせていただいておるわけでございます。
#5
○及川一夫君 配られた資料、これで言うと、文化(言論)、これが三名ですよ。要するに選出分野という前提で、こういったことが紹介されているわけです。だから、今現役であるかないか、そんなこと問いませんよ、私も。しかし、どこを分野にして選出をしたのかというのはNHKから配られたこの資料の中にちゃんと書いてあるじゃないですか、言論界じゃないですか。言論界に違いないですよ、それは。しかも毎日さん、読売さん、朝日さんという三大新聞ですよ。ですから、だれがどう見ても、身びいきに考えているわけじゃないんでしょうけれども、これがおおむね妥当だなどというふうにはどうしても考えられない。これは選出をしているんですからね、今、生身の人がいるんですからそういう答弁にならざるを得ないでしょう。だから、今現在のことに対して、今すぐ変えろなんというんじゃなしに、これからの問題としていかがなものかということを私は聞いているつもりなんです。
 しかも、NHKというのは歴史的にも経過的にもイギリスのBBCを大分モデルにして経営システムというものが考えられているはずです。イギリスにも経営委員会があるが、特段にどこだというようなことは決めていませんね。決めてはいませんが、実態的に見るならば、財政問題専門家であるとか、あるいは労働組合出身者であるとか外交官出身者であるとか、特に国際放送との関連などを重視しているとか、あるいは教育者であるとか、そういう方々に要するになっているんですよ。
 特に我が国の経営委員会の委員の選出の面で違いますのは、端的な例として政党代表を入れるか入れないかという問題があるんです。政党代表者は入れないことになっている。政党に所属をしている人は政党役員でない限りは選出をされてもいいことになっているけれども、政党代表的な役員をしている人は経営委員には入れてはならないという法律になっています。これは我が国の国情で選択された道でしょうからあながち悪いとは言えないんですが、こういう選択の仕方、選出の仕方というのはどうも各国ではなさそうです。アメリカなどは逆に政党の代表を入れる、あるいはイギリスでもそういったことを問わない、こういう状況になっておるんです。変な例だけれども、公正中立を守るためには核抑止力を防衛の基本に据えるか据えないかという議論とどうも似ているなと感ずるんですけれども、お互いの政党の代表を出しておけば結局公正中立にならざるを得ないだろう、こういう論旨にも受けとめることができるんです。
 ですから、狭い範囲で今経営委員会の委員の選出の問題について問題を提起するというよりは、もう一度ひとつ抜本的に、この経営委員会というのは何だ、経営委員会の役割と任務というのをもう少し鮮明にしようじゃないか、それから公正中立になるためには一体どういう分野、どういうことに配慮してやることが一番いいのか、政党代表というものを抜いていいのかどうかというようなことも含めて私は考えるべきだというふうに思っているわけです。ですから、これから先私どもはそういう立場に立って問題の提起をしていきたいと思っております。しかし、きょうはもう時間の関係もありますから私はこの程度にこの問題をとどめておきたいと思いますが、いずれにしても、極めて問題があり、極めて今の選出構成分野については私としては不公平だということだけ申し上げておきたいというふうに思います。
 次は、受信料の免除問題であります。
 これも再三再四議論をされるのですけれども、何といっても一年間で百五十七億ですね、五年間ということになれば七百八十五億という多額の金額になるわけです。そういう意味ではやはりNHKの負担というのはもう大変なものだというふうに私は理解せざるを得ないと思うんです。少なくともNHKというのは政府機関でないことだけははっきりしている。放送に当たっては公正中立ですから、そういう意味合いで、公共的なといいますか、あるいは福祉的な問題などについてそれなりの責任は持つとしても、財政負担という問題で責任を持たすということはどう考えてみても理解できない。受信料であるということを含めて考えると、なおのことこの負担行為というのは問題があるじゃないか。だからといって全部今免除しているところを有料にしてNHKが取り上げろ、こういうことを私は申し上げるつもりはないんです。
 文部省とか厚生省とか、要すればこの免除にかかわりのある自治省などを含めて、この負担のあり方について、その必要性があるならば、NHKに負担をさせるんじゃなしに各省が各省のやはり行政の中で、どちらにしても福祉問題というものは厚生省で一定の大きな要素になっているわけですから、そういう中で問題の解決を図っていくということが私は基本ではないかと。この辺、郵政大臣、いかがですか。いつでも議論になっている問題ですから、ひとつお答え願いたいと思います。
#6
○国務大臣(深谷隆司君) NHKの受信料は、NHKの放送を受信することのできる受信設備を設置したすべての方から公平に負担をしていただくというのが大原則でございます。今日まで小中学校や社会福祉施設等に対する免除が残っておりますけれども、これは公平負担の原則の例外でございまして、本来はそれぞれの所管の行政機関において措置されるべきものと思っております。郵政省といたしましては、免除の廃止の早期実現に向けてNHKに協力していきたいと考えております。
 なお、過日来から私は申し上げておるのでありますが、今及川先生がおっしゃるとおり、負担はどこが持つべきかというのはきちっと区別すべきだと思っております。今の形のまま推移することは納得できません。その意味で、あらゆる機会をとらえて正常な形に持っていくように努力したいと思っております。
#7
○及川一夫君 大臣がおっしゃる点は非常に重要だと思っております。
 NHKに対する政府の補助金という言い方をすると、国際放送にかかわる十六億ですね。もちろんそれが少ないからどうのこうのという議論もありますが、NHKに基本的に財政援助を政府がするということは、これはもう誤解を受けますから、そういった点ではやはり慎むべきだというふうに思いますけれども、何といっても一年間百五十七億対政府の方は十六億ですからね、要するに。だから、この観点からいってももう少し郵政省、直接監督されるところでもそれなりの論理性をひとつ確立して各省に御協力いただく、そして郵政大臣にその先頭に立って閣議でも発言をしていただいて何とかひとつ問題の処理を図っていただくように心からお願いを申し上げておきたいと思います。
 次に、議事進行に協力をしなければいけない立場でありますので少しはしょりますけれども、これも郵政大臣、新たな立場ですから少しお考え願いたいというふうに思うんですが、実は消費税の
問題に絡みまして昨年、受信料に対して三%の消費税をかけるかかけないかで逓信委員会でも大変議論があったわけです。NHKの立場はどうかということになればもう予算編成段階から、あるいはまた消費税について受信料に課すべきかどうかということなどについてNHK本体としては必ずしも賛成ではないという態度の表明もあったんですけれども、全体の中で受信料に対して消費税が要するに課せられているわけです。この点は消費税以前の問題として受信料の性格問題が大きくクローズアップされた議論を私はしたと思うんです。一体受信料というのは何ですかと、長年議論した上でやっと今日的に受信料の性格が各党合意というか、議員の皆さんを含めて大体そういったところだなというふうになってきているんです。
 私がきのうちょっと触れましたけれども、どちらにしても受信料というのは税金ではないということははっきりしている。それから、俗に言う民間あるいは商業ベース、こういう立場からいえば、NHKが放送するというサービスをしていますよ、だからその対価として受信料をいただくんだということでもないというふうになっているわけです。社会にある情報、世界にある情報、そういったものはお互いに知らなければならないことなんだから、その情報を集め公正中立に放映する役割をNHKが担ったんだから、NHKがそのために使うお金については国民が分担をすべきだ、負担をすべきだ、こういう性格で私は受信料というものが成り立っているんではないかというふうに思うんです。したがって負担行為なんですよ。善意のある負担行為というふうに位置づけているわけですから、その善意の負担行為に対して消費税をかけるというのはいかがなものかということと、長い間議論をしてきたこれまでの受信料の性格という問題からいっても余りにも唐突ではないかということで、これは大蔵省とかなり論議し合ったんですが、全体のことがあります、一つでも認めたらみんな非課税になってしまう、そういう議論で要するに大蔵省にやられてしまった、こういう経過が僕はあるものだと思うのです。
 そして、今現在は確かに見直しかあるいは廃止かということで大きな議論がありますが、政府・与党の立場に立てば、あるいは政府の立場に立てば、いずれにしても見直すという立場を捨てておられない。したがって受信料に対する消費税という問題については、私が申し上げたような意味からいっても最低でも見直しの対象にしてもらってでもこれは私は税金を課すべきじゃないと。月々、六十五億予定しておりますから三百円の中にも入っているんだろうと思う、トータル受信料の中に入っていると思う。六十五億ですよ。五年間で三百二十五億です。先ほどのものと合わせたらそれだけで一千億を超えてしまう。ある意味では余計な負担をNHKにさせているということになりはせぬか。その負担があるから三百円の値上げだ、こういうふうにも私はなってくると思うんです。
 郵政大臣は、できるだけ値上げは差し控えた方がいい、上げるにしてもできるだけ圧縮した方がいい、こう言われておりましたね。そういう立場から見ても、もしそういう議論が沸騰してくるならば、またそういう時期が国会に来ているわけですから、いずれにしても受信料に対して税金をかけるということについては問題があるんじゃないかというふうに私は思います。大臣、いかがでしょうか。
#8
○政府委員(大瀧泰郎君) 消費税の問題は大変な議論の末こういう結果となったわけでございまして、NHKの放送は消費税法施行令によりまして資産の譲渡等に類する行為の一つとされておりまして、受信料が消費税の対象になったわけでございます。したがいまして、現に施行されている法令でこれに基づいてNHKも消費税を含めた予算を策定しておるわけでございます。私といたしましては、この現状はやむを得ないと考えておるわけでございまして、これらの問題に関しましては現行の法令に基づいているということで御理解をいただきたいと思います。
#9
○及川一夫君 郵政大臣、行政官吏に答えさせるとああしかならないんですよ。あれを絶対越えられない、法律があるから。しかし、法律があっても法律に注文をつけ、こうしようああしようというふうに言えるのは我々であり郵政大臣あるいは政務次官だと思いますよ。ですから、そういう意味で私は郵政大臣の答弁を求めたいと思います。
#10
○国務大臣(深谷隆司君) この問題については法律的にもさまざまな角度から省内でも議論したのでありますが、目下の結論としてはただいま局長の答弁のとおりでございます。
#11
○及川一夫君 目下のところという目下にあるんでしょうけれども、ちょっとそこを判断してくれみたいな言い方だろうと思うんですが、郵政大臣、確かにここで税金をかけないように努力する、こうはなかなか今の段階で言えないかもしれない、まだ入口にも到達していない状況ですから。それはわかった上で僕も言っておりますよ。だけれども、お互い逓信行政に携わってきた者から言えば看過できない問題なんだ、そして、いい悪いは別にしてそういう論議をするチャンスが来ているんじゃないかということが僕はあるものですからあえて問題を一つ提起しておきたいんですよ。これはもう必ずどこでも問題になることですから、ぜひ御理解をいただいて、そういう時期が来たら改めて私は問題を提起しますが、郵政大臣にも篤とひとつ心にとめておいてもらいたい、こういうふうに思います。
 次の問題として、外務省、突然でちょっと申しわけなかったんですが、出席してもらって大変ありがとうございます。
 実は、国際放送の問題に関連をするというふうに考えたものですから、外務省にまずお伺いしたいんですが、三月二十三日のこれは東京新聞だと思うんですけれども、「ホットコーナー」という欄がございます。この中で、「日本紹介番組米で打ち切りか」という見出しがついていまして、それで記事が書かれている。中身は何だろう、こういうふうに思いましたら、日本人が社長で番組を提供する会社がある。日本を要するに紹介するわけです。日本の文化あるいは国民の生活実態、あるいは今国会でどんなことが議論されているんだろうか等を含めているかどうかは知りませんが、いずれにしてもそういう紹介を三千万世帯、それだけの視聴者が加入している放送会社に番組を提供してやっているわけです。ところが、番組の編成について外務省が、外務省とは書いてなかったんですが、通産省の人たちが監督をして番組をつくらせて放映をして、しかし表向きはいかにも独自にその会社がつくったように見せかけて放映をしているということがアメリカのマスコミにとらえられて、名指しで批判をされた。それが動機になって視聴率が一%あるいはそれ以下に下がってしまったためにその会社が成り立たなくなって要するに解散をするという通告がある。それをめぐって外務省と通産省がというような記事に実はなっておりまして、下手をするとこの紹介番組はなくなってしまう、それでいいのかというようなことの意味を含めての報道だと私は認識をいたしました。
 したがって、テレジャパンという、これは日本の会社なのかアメリカの会社なのか、社長さんは日本人であることは間違いないんですけれども、一体このテレジャパンというものをつくったいきさつなどについておわかりでしたらひとつ御紹介をいただきたいんです。そして同時に、その会社は何をやり、一体どんな運営をされているのか、そして資金関係はどういうところが出し合っているのかということを含めて、ひとつおわかりであれば御紹介いただきたいというふうに思います。
#12
○説明員(岡田真樹君) お答え申し上げます。
 ただいまの東京新聞の三月二十三日の記事でございますけれども、若干やはり事実自体を反映していない部分もございまして、テレジャパンでございますけれども、これは日本の民間会社でございます。いわば広告代理店の一つでございます。その設立に関しては外務省は直接関与してございませんのでつまびらかにしませんが、我々との関係からすれば、このCNNの「今週の日本」というものを外務省の認可団体である海外広報協会というのがアメリカのCNN会社の会長、テッド・ターナーといいますけれども、その人と相談しつつ、こういう日本紹介番組にしたらどうかということで始めたのが一九八四年でございます。実際のその番組の作成、編成等はすべてCNN側がやっております。
 それに対し日本は、そういういい日本の紹介をしてくれる番組だからということなので、これに対するコマーシャルを提供するという形でサポートしてきているということですが、そのコマーシャルを提供する際にこれは間にそういう広告代理店みたいなものが立って、これがコマーシャルの権利をCNN側から買い取って、それを日本のスポンサーに売る、そういうことなので、ある種のリスクを伴う仕事なものですから、そこで民間の一つの広告代理店というものがそこに関与してきているということです。
 それで、若干ここで、政府の関係の者が番組の内容の方まで立ち入っているかどうかという話がここに出ているのですが、そのようなことはないというふうに我々としては認識しております。若干テレジャパンという会社がアメリカとの関係あるいは外国との関係になれていないおかげでそのような印象を相手に与えたことがあるというふうに我々は了解しております。今までの御質問はそこまででございます。アメリカ側にそのような印象を与えたことがあるというふうには、我々はそういうことを聞いております。
#13
○及川一夫君 最後のくだりがちょっとわからなかったのですが、アメリカ側が関与していると、こう言っているわけだけれども、そういう事態には至っていないということですか。
#14
○説明員(岡田真樹君) 今御説明したいのは、実際に番組を作成しているのはアメリカのテレビ会社であり、それに対しアメリカのテレビ会社にこの番組はこうつくれああつくれというようなアメリカの一般の常識あるいはアメリカの中の考え方、規則からいえば、番組作成者の編集権に過度に立ち入ったようなことをテレジャパンという会社がしたのじゃないかというような印象をアメリカ側に持たれていたという、そういう事実があることは知っております。
#15
○及川一夫君 わかりました。
 いずれにいたしましても、この問題がどうなるかは一つの会社の問題ではあるのですが、ただ、国策的な立場から見て、我が国の文化を初めとしたさまざまなことがアメリカにも知られるということは、これは非常にいいことだと私は思うのです。それが断ち切られるということは決して歓迎すべきことではないわけですから、そういった点で、政府が先立ってやることはできないでしょうが、民間人を中心にして何らかの対策は立てられるだろうと私は期待します。
 期待をするのですが、これほどアメリカだけではなしにヨーロッパでも言論の自由という問題について放送局の主体性、独自性という問題については非常に厳しい感覚なんです。法律じゃないんです。法律も書いてあるけれども、そういう感覚を持っておるということを、国際社会にこれから大いに出ていかなきゃならぬということになりますと、我々自身が本当の意味で反省というか、そういう認識を持たなきゃならないというふうに実は思っているわけです。そういう観点から、NHKの今度の予算の中における国際放送という面でNHKがそのために使う経費というのは一体どのぐらいなんですか。
#16
○参考人(遠藤利男君) 国際放送の経費、平成二年度の予算総額は七十四億円でございます。そのうち番組経費が十五億円でございます。
#17
○及川一夫君 七十四億お使いになる。政府の補助が十五億である。これを全部政府が負担すべきだというところまで言うには多少時間がかかるような気がします。これはお金の問題じゃなしに、要するにNHKという放送圏域に権力の介入があるなしという議論がありますから、もう少し時間はかかると思うのですが、しかし、国際放送というのはどちらにしても国民的な立場に立って、そして独自にNHKがどんな番組をつくり編成し放送するかという立場のものであることだけは私は間違いないと思う。そういう意味ではもう少し国民全体が負担し合ってもいいのじゃないか。受信料という性格とは異なる、こんな気が私はして実はならないのです。
 ただ、その場合に一番問題になるのが、アメリカでもすぐ問題にされるような、政府が関与していると。金で放送を買って世界に向かって我々を洗脳しようとしている、日本イズム的に洗脳しようとしている、けしからぬ、こういう議論が直ちに返るようなものであっては私はならないだろうというふうに思うんです。したがって、その点、会長でもいいんですけれども、会長よりも実際に番組編成に当たっておられる担当の方から、どういう立場に立って国際放送の問題について番組を編集し報道しているか、そして各国の反応はいかがですか、あなたの立場で結構ですからひとつ教えていただきたいと思います。
#18
○参考人(遠藤利男君) 国際放送を編集する私どもの態度でございますが、これはNHKの自主的な編集判断によってまず放送番組をつくり編集すると。もちろん政府の交付金というのはございますが、編集の判断はそういうことでさせていただいております。その基本となるところは、やはりこれだけの国際化社会の中にあって、グローバルに情報が流通している中で日本の国の本当の姿というものを外国の方々にわかっていただく。それはいい面もありますし外国から御批判をいただいている部分もある。そういう部分についても正しく御理解いただくということがまず第一でございます。そういうものを通じて外国の方々と国際交流を進めていく、あるいは文化の交流を進めていくということが重要な課題となっていると私ども考えております。
 それからもう一つには、最近のこの国際化の中で日本人が海外で生活をするあるいは旅行をするという方が大変にふえていらっしゃいます。そういう意味で見ますと、年間一千万人を超える人々が海外に出かけております。そういう方々に的確に毎日毎日日本の国の状況というものを伝える、あるいは海外で何かあったときに日本人がどう対応したらいいのか。例えばサンフランシスコ地震であるとか天安門事件であるとか、あるいはフィリピンで起きましたクーデターでありますとか、そういうときにどういうふうに日本人が対応したらいいかということを的確に伝えるということもやっぱり重要な使命であると思っております。
 それからもう一つには、日本語の放送を通じて、これは外国の方にも日本の文化とかあるいは伝統とかわかっていただくような放送もしておりますが、海外におります日本の子女に対しても、そういう日本人として知らなくてはならない日本の文化についての情報も伝えたいというふうに思っております。
 そういうことが私どもの編集の基本でありまして、番組の編集の基本の姿勢というものを毎年毎年つくっておりまして、その前には番組基準というものもございまして、そういうものを自主的につくりまして放送を行っております。
#19
○及川一夫君 遠藤さん、もう一つ。反応はどうかと私は聞いているんだけれども、もう一つ含めて、確かにNHK全体の番組に対する国内での意見の聴取の場というのは、視聴者会議とかあるいは中央放送番組審議会、こういったものがありますね。この中でも出てはくるんだろうと思うけれども、国際放送というのは、私から見ると、歴史は長いけれども、どの程度重きを置いてきたかという点で言うと国内の番組に比べるとちょっと薄いと思います。そういう意味では、この国際放送番組はどうあるべきかとか、どんなものが欲しいとか、いわば視聴者の、あるいは各国の意見などを集めるような場所というものがあるのかないのかということと、現在ある反応について、その二つだけお伺いします。
#20
○参考人(遠藤利男君) まず、最初の点でございますが、一つは国際放送番組審議会という、国内放送でも中央放送番組審議会あるいは各地方の番組審議会を行っておりますが、そういう制度を設けておりまして、海外によくお出かけになる有識者の先生方に海外においでになったときにしばしば聞いていただき、あるいは私どもがつくっている放送のテープを会のときに聞いていただいていろいろ御批判を仰いでおります。
 それからもう一つには、海外に短波放送をよく受信なさる方々がずっといらっしゃいます。そういう方々にモニターを委嘱いたしまして、そういう方々から番組についての御批判、御希望等もいただいております。これは全世界で約二百五十名ぐらいのモニターの方を委嘱いたしております。そのほかに、絶えず放送の中でも呼びかけておりますけれども、NHKの海外放送、国際放送をお聞きになった方々からお手紙をいただきたい、そのお手紙をまた番組の中で披露するというようなことを行いまして、これは非常にたくさん、年間を通じますと数十万になりますが、たくさんのお手紙をいただいております。
 そういうお手紙を総合いたしますと、二番目の御質問の件でございますけれども、NHKの国際放送は非常に公平で的確に、日本の国内の情報だけではなくて世界じゅうの情報もまとめて知らせてくれる、そういうことでは頼りになる、特にいろんな放送メディアの管制が強い、情報の少ない地域からは大変喜ばれているという状況でございます。
#21
○及川一夫君 もうかなり基礎ができ上がって、それだけの実効を上げていると言い切れるところまで来ているようですが、なお一層ひとつ努力をお願いしたいというふうに思います。
 それと、最後になりますけれども、郵政省にもお願いをしておきたいんですが、NHK、長期計画を基礎にしてこれから発展をしていく、そういう中ではいろんな限界論とか議論が沸き出てくる。それを受けるには第三セクターということも頭の中では意識しなくちゃいかぬ、こういうお話がございました。それはそれで結構なんですけれども、問題は、国際という条件がつくところではやはり何といっても政府の干渉とかあるいはその金で何か皆買ってしまうというような取材の方法なんかについても、国内では余り聞かないことなんですが、国外へ行きますと、民放とNHKを比べるとNHKは金権取材だというような批判を聞いたりなんかするんですよ。特に国際、うちでは國弘先生が大変詳しいんですが、そういうお話を伺ったこともあるんです。ですから、そういったことを検証しながら、少なくともお金とか権力が介入しているとか、そういうような印象なり事実というものがないように、ぜひこれからも国際放送にひとつ力を入れていただきたいということを申し上げまして、議事進行に協力いたしまして終わります。
#22
○平野清君 まず、料金改定のことでお尋ねをいたします。
 今回の受信料改定は五十一年度の平均五〇%に次ぐ三〇%という高額になっているわけです。五十一年度のときはインフレ要因等がありましたけれども、それに次ぐ高額な改定ということになります。しかも、もう四月一日まであしたを残すのみということで、聴視者の皆さんに周知期間が非常に少ないということもこれは非常に問題になると思いますけれども、それよりも改定分をどのように有効に使ってくれるのか、聴視者の方としては何をしてくれるのか、そういうことが明確にならなければ、聴視者の方の料金支払いということに対する気持ちに即応できないんではないかという気がいたします。私たちには膨大な資料をいただきますけれども、一般聴視者には余りそういう資料が回ってこないわけですね。そういう意味で、今回の値上げ分を特に番組制作等でどういう方面に使っていかれようとしているのか、まずその点をお聞かせいただければと思います。
#23
○参考人(尾畑雅美君) 今度御承認をお願いしております改定分でございますが、この使途につきましては、まず数字でもってきちんとお答えしたいと思います。
 我々放送局でございまして、放送内容の充実刷新、これに最も力を入れたいというふうに思っております。地上放送の、これはもう非常に高度情報化社会でございますので、一番頼りにされる放送、これを目指しております。それから各視聴者の方々から非常に高度なものの求め、また多様な各界各層にまたがるいろいろなサービスをしてほしいという要望が非常に多岐にわたっております。それからもう一つは地域放送でございますが、これは東京の一極集中じゃなくて各地がそれぞれ個性ある発展を遂げたい、そのために地域放送を役立ててほしいというような要望もございます。こういう放送も充実いたします。それから将来に向かってハイビジョンの開発普及ということも考えなければなりません。これら放送の充実刷新のために四一%、二千六十六億、これが最も大きい改定分のパーセントを占めております。
 あとは国際放送、海外への映像提供、こういったものに三%、百四十六億、改定分の三%を割きたい。
 それから、NHKは放送法によりましてより質の高い放送の調査研究ということを命じられております。放送における調査研究にこれも三%程度充てたい。
 それから、収納活動それから視聴者とのもう少し結びつきを図りなさいと。聴視料のあり方それからNHKの企業のあり方がまだPRが足りないということを言われております。そういうことにこれも三%割きたいと思っております。
 それから、給与、退職金など人件費でございますが、これは長年抑えてきましたので、主な企業それから新聞社、もちろん民放とははるかに差がついてきております。ある一定限の改善をいたしませんと人材が確保できません。創意あふれる人材確保等のために二一%、千六十五億割きたいと思っております。
 その他事業運営費、減価償却費、財務費、これに千五百億、二九%。
 合計一〇〇%、これは値上げ分の五千四十八億円をこういうふうな配分で充てたいと思います。まず何よりも視聴者へのサービスの向上、放送の充実刷新に一番力を注ぎたいというふうに考えております。
#24
○平野清君 番組改善に四一%と、番組制作に大変力を入れるというお返事でございました。きのうも御質問がありましたけれども、NHKは今回の料金改定に当たってあらゆる手段をつかって国民に、聴視者の方々に周知徹底をさせていくと。雑誌を使い、広告を出し、それから出版物を通じて、またそれから会長のあいさつ等でPRをしていくというふうに言われました。それはそれで十分だと言えるかどうかわかりませんし、こんなことを言っては申しわけありませんが、島会長さんがゴールデンアワーでぱっと顔を出して料金改定をお願いしますと言っても、チャンネルを回してしまう人がいたんじゃ困るわけで、あらゆる手段を使ってPRをしていただきたいと思います。
 NHKは常々、私たちこの委員会で聞いていますと、番組内容がよければ理解してもらえるということをしばしば言明なさっていらっしゃいました。そういう意味では公共放送従事者が放送文化をしょっているという自負心は大変いいと思いますけれども、ここらでやはり料金をいただいているんだと、それから聴視者はお客様だというような意識改革が必要じゃないかと思うんです。そういう意味ではいろんな媒体を使ってPRされるのは結構ですけれども、仮にカラーの訪問集金だけでも今度改定しますと年一万六千四百四十円になるわけです。そうしたらそのうちの何%かを使って年に一遍ぐらい全聴視者にわかりやすいNHKの中身とか放送改善の模様とかダイレクトメールを送るぐらいのことをしてもいいんじゃないかと思うんですけれども、そういう点はいかがでしょうか。
#25
○参考人(島桂次君) 平野先生御指摘の点は我々が最も心がけなければいかぬ問題でございまして、確かに長い間私どもがいいニュースを送り出し、いい番組をつくっていれば少しぐらい金がかかってもそれは仕方がないんだというような感じで、どちらかというと一方通行的な面がかなりあったということ、逆に言葉をかえて言いますと、NHKのやっている仕事、経営そのものについて本当に国民的な理解を得ようとする私たちの努力が非常に足りなかったということを痛感しております。
 特に、今度は三百円という本当に多額の負担を国民に、聴視者に願うわけでございますから、さらに御指摘の点のダイレクトメールも含めまして、まさに考え方を変えまして、もっと積極的に我々のやっている経営とか番組内容とか、さらにその番組に対する御批判とか要望とかそういうものを双方向的にむしろ受けとめなきゃいかぬということで、今これから一生懸命力を入れてやっていきたい、こう考えているわけでございます。
#26
○平野清君 そのダイレクトメールですけれども、郵政省の方もあて名のない地域配達とかいろんなことをやり始めていますので、郵政省と御相談になれば低額にできると思うんですね。一万何がしいただく中からPR誌に二百円か三百円使っても、そのことによってNHKへの理解度が深まれば相当大きな効果が上がるんじゃないかと思います。
 次に、毎年のことですけれども、郵政大臣から経営改善についての意見書が出されます。平成元年度の予算案のときも経営努力がまだ足りないという御指摘がありました。それから一年たつわけですが、平成元年度の意見をいただいたことにどういうふうにこたえてきた実績がおありになるのか、それをお伺いいたします。
#27
○参考人(尾畑雅美君) 郵政大臣からそういう意見書をいただきまして、我々も最大限頑張ってまいりました。
 まず第一に、視聴者の受信料でございますけれども、御存じのように六年間据え置いてまいりました。六十年度から平成元年度までの五年間におきまして、支出面ではゼロシーリングが続いておりまして、それからさらにマイナスシーリングというふうに効率化、節約のグレードを高めております。その間、組織の見直し、それから技術開発成果の導入をしまして、できるだけ効率的な事業運営ができるようにやってまいりました。業務の効率的な運用の徹底で六十年度から平成元年度まで五年間で六百二十七億円の経費節減を行いました。
 また、要員につきましても、一万五千人体制を一年繰り上げて平成元年度に実現しまして、五年間で千四百十六人、八・八%節減しました。要員削減に伴います業務委託費を差し引きましても百八十億円の節減効果を上げております。引き続きこういった努力を続けてまいります。
 平成二年度も要員等の節減、それから業務の効率的な運用等はさらに徹底していきたいというふうに考えております。
#28
○平野清君 毎年毎年、テレビの聴視者の世帯数の増加がだんだん難しくなってきているということで、四十五万人が三十三万人ですか、目標を落としていらっしゃいますね。これは何回もいろいろ問題になりましたけれども、テレビを見ていながら料金を納めていない世帯というのが相当数あると思うんです。特に旅館とかホテルとか、それから観光バス、ハイヤー、そういうところにテレビがありながら聴視料を払っていないというケースが多分うんとあるんじゃないかと思います。観光バスとか大型ハイヤー、バスには必ずテレビがついております。私たち旅行したりなんかしますと、ちょうど相撲のときなんかはちゃんと相撲放送を聞かせてくれますし見せてくれます。そういうものの料金が取れないでいる数というのはどのように踏んでいらっしゃるんでしょうか。
#29
○参考人(高橋雄亮君) 私どもは、移動体でございましてもテレビが受像できるということでございますれば、そういう施設に対しては料金をいただくように日ごろから接触して働きかけております。
 しかしながら、例えば観光バス、ハイヤー等の移動体につきましては利用者の、乗客の利用実績が低下しているとか、それから設置している目的がビデオの再生だというようなことから、なかなか受信料支払いについて御理解を得づらいというのが現状でございまして、こういったものについては引き続き粘り強く契約化を進めてまいりたいと思いますが、六十三年度末の実績でお答えを申し上げると、観光バスは全国で六千七百件でございます。その契約率は約四百台でございまして約六%ということになっております。それから、ハイヤー、タクシーは二千五百件でございまして、契約率は六百台で二四%というような状況で大変低いということでございますので、引き続きこういうものについては強化してまいりたいと思っております。
#30
○平野清君 先般はフクロウ部隊などといって夜までかかって大変な集金努力をなさっているわけでして、今聞いていますと観光バスなんというのは相当数漏れているわけですね。こういうのは事業者が理解してくれれば相当数の聴視料が上がると思うんです。そういうものはもっともっと粘り強く料金徴収ができるように御努力なさることを望んでおきます。
 次に、長期展望を拝見しましたら、「放送衛星リース法人」という言葉が出てまいりました。これについて郵政省とNHKの方、両方からそのデメリットとメリットを御説明いただければと思います。
#31
○政府委員(大瀧泰郎君) この調達法人の構想はメリットの方が多いんじゃないかと私は考えておるわけでございますが、その一つに衛星の開発というのは非常に長期間にわたるわけでございます。実際約五年程度必要なのでございますが、現在の方式でやりますと、その開発にかかる前にそれぞれのユーザーの方々が経費の分担を協議するというようなことでございます。かなり経費の分担の詳細にわたって検討せにゃならぬというようなことで、なかなか導入の際のいわゆる打ち合わせ等が円滑にいかないという問題があります。そういうのがこういう調達法人ということになりますれば、前もって調達しておいて、そしてそれをリースするというような形ですので、責任のある調達法人が前向きにいろいろなことをやることができるというメリットがあろうかと思います。
 それから、さらには放送事業者が故障であるとか打ち上げの失敗とか、いろんなリスクを非常に現在心配しているわけでございますが、そういう点での心配あるいは対処、そういうものが軽減されるのではないかと思うわけでございます。
 さらにはまた、保険の契約とか専門的な事務に当たります当事者としていろいろなことをやらなければなりません。そういう点でも軽減されて、新規参入といいますか、新しくやってみたい、放送衛星の事業に参入してみたいというような方々がふえてくるんじゃないか、このように考えているわけでございます。
 しかしながら、そういう新規参入の方々がたくさん来られるという場合に、ではその調達法人というものの主体がどこを主体にして構成されるべきかというようなことも大変大きな問題であろうと思います。その辺が検討事項として大きくなろうかと思いますし、調達法人と放送事業者の間の関係が非常に円滑にいくようにお互いが努力をせにゃならぬということも検討課題ではないかと思っているわけでございます。
#32
○参考人(島桂次君) 衛星放送につきましては、今まで御存じのように国とNHKが主体になってこのBS計画を進めてまいってきたわけでございます。NHKとしましてもこの十数年間相当の経費をこの衛星放送のために支払っております。これから先どうするかという問題、これにつきましては我々数年前から、これは今の地上放送も実はほとんどNTTの回線を借りて我々は放送を出しておるわけでございます。したがって、衛星につきましても私どもはやはりユーザーの立場に立って必要な分だけ借りる、そういう形ができれば非常に好ましいということで、この衛星放送の第三セクターについてはNHK部内、これは経営委員会とか外部の審議会の審議でございますけれども、そういうものを早くつくろうじゃないか。
 いずれにしても、もう本格的に世界的に完全な衛星時代、宇宙時代に入っていく、この中で早くかなりの規模とかなりの能力のある一つの機関、そういう衛星時代におけるパワフルな一つの機関をつくっておかないと、国際的にも著しく劣ってくるどころか、場合によっては、極端に言えば外国資本のそういうものが日本へも進出してくるおそれもあるということで、できるだけ早く我々はそういうものをつくっていただきたいということを非公式にはいろいろのところに呼びかけているわけでございます。しかし、ただいま郵政省の方から申し上げたとおり、それを具体的にどういう形でどういうふうにやっていくかということはかなり難しい問題もございますけれども、NHKも、もし必要があればユーザーでございますから有力な、いろいろな形で参加することをいろいろ今準備しているという段階でございます。
#33
○平野清君 終わります。
#34
○磯村修君 まず、料金の値上げのことにつきましてお伺いしたいんですけれども、今回の放送受信料二八%引き上げというふうなことなんですけれども、今、四月から公共料金と称される料金が非常に軒並み値上げされるということも予想されているわけですね。そうした中での放送受信料の二八%の値上げというのは大変国民生活への影響も大きいと思うんです。しかも消費税を含む負担ということですので、大変生活への危機感というものも言われているわけでございます。
 こうした大幅な値上げに当たりまして、公共放送という立場から考えた場合には、受信料値上げに対する国民的な合意を協会は求めていくべきではないか。例えば、審議会等の内容を踏まえてのこうした改定ということでございましょうけれども、やはりテレビを見る者は一般の視聴者でございまして、料金改定という大きな問題につきましては何らかの形で国民的な合意を得ていくという努力が必要ではないか、こういうふうにも考えられるわけでございます。四月に予定されているたくさんの公共料金の値上げ、こうした中での受信料の引き上げ、こういう問題につきましてのまずNHKの認識というものを伺いたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#35
○参考人(島桂次君) 磯村先生御指摘のように、公共料金であるNHKの聴視料を三百円上げるということ、これは大変なことであるというふうに私どもは深く受けとめております。ただ、今まで六年間、それからこれから五年間この料金でやっていくということで、いろいろ今まで職員討議その他いろいろ経まして、最終的にこういう五カ年計画を提出させていただいたわけでございますけれども、それは決して生易しいことではない。先生御指摘のように事前に聴視者に対する理解と協力を得る時間と、そういう方法が足りなかったということについても、私どもも昨日の委員会でもるる申し上げたとおり、我々としても精いっぱいやってきたつもりでございますけれども、問題は、仮にこの五カ年計画が国会で承認されても、視聴者の協力と理解がなければ、これは現に聴視料で成り立っているNHKとしては金が集まってきませんので、むしろこれからますますそういった我々のやっている経営、我々の出している放送その他全般について、今までとは違ってもっと積極的にいろいろな形で御理解を得るように努力したい、こういうふうに考えております。
#36
○磯村修君 私もいろいろな方とこの値上げのことにつきましてはお話したんですけれども、そうしたいろいろな声の中には、新しい経営計画というものをつくっていく一つの準備段階というものもあるはずだと、そうした場合には審議会という特定の人たちが集まって論議をするほかにも一般庶民の声を率直に聞き入れる、聞く、そして考えていくというふうな機会をNHKはつくるべきではないか、そうしたことによって協会に対する一般の理解というものも一段と深まっていく、そういうふうな声も聞いたわけでございます。かたい話で言えば公聴会ということもございます。しかし、そういう型にはまったものではなくても、何か一般の人たちの声を吸い上げる、そういう機会をこの準備段階の中で持っておく必要があるんではないか、こういう意見も聞いたわけですけれども、これからそういうことをもこの経営の中に生かしていってほしい、このように思うわけでございます。
 それから、先ほど来NHKの公共放送という中身を一般の視聴者に理解してもらうためにはいろいろなメディアを通じてPRしていくというふうなお話も出ておりますけれども、この資料を見ますと、NHKの性格というものを正確に理解している方は思ったより少ないわけですね。例えば国営の機関であるという方が二五%もいる。半官半民の団体であるというふうに受けとめている方も三一%いる。こういうふうなことから見ましても、なかなかNHKの性格というものが、機関の性格というものが一般の方にはまだまだ理解されていない面がこの数字からうかがえるわけでございます。あるいはまた受信料というもの、この財源の調査の結果を見ましても、ほとんど受信料でNHKの財源は賄われているんだというふうなことを答えている方は四五%という数字が出ているんですけれども、これは五十八年の数字六二%と比べて減少している結果になっているわけですね。しかも何らかの形で国の予算で負担されているという方も四七%もあるわけです。
 そうしますと、この数字から見てもNHKに対する理解というものがまだまだ行き届いていない。こういう面からも非常にこの料金値上げに対する一般の人たちの理解というものも深まらないと思うのです。
 そこで、ちょっと伺いたいんですけれども、NHKというのはせっかくの放送機関でございますので大胆な企画を持ってもいいんではないか、私はこう思います。例えばあの消費税の問題でもって大きな討論番組というものを制作しましたね。ああいうふうなことをしろとは言いませんけれども、いわばNHKというものはこういう事業体であるということを知らしめると同時に、NHKがやっている事業というものはこういうものをやっているんだ、そしてそれにはこういう財源が必要になっているんです、皆さんに御負担をかけているんです、こういうことを周知徹底あるいは本当にこの意味のNHKに対する信頼感というものを得ていくためにもNHKのメディアを使ってどうして討論番組をつくらないんでしょうか。
 例えば、この資料を見ましても、先ほどから協会の方々はPRにテレマップとかあるいはいろんなPRの枠の番組を使ってやりますとか言っておりますけれども、これはただ一方的にNHKの考えを伝えるだけなんですね。受け手はただそれを聞いているだけなんです、見ているだけなんです。それでは僕は理解は深まらないと思う。やはり放送を通じて消費者の声、一般の視聴者の声というものを率直にテレビの中でもって討論できるような番組をつくりなさいと言うんです。
   〔委員長退席、理事松前達郎君着席〕
こういう大胆な企画を持ってこそ初めてNHKに対する一般の人たちの信頼というものも高まるし理解というものも深まっていくと私は思うんです。そういうものをなぜつくらないんでしょうかお伺いしたいと思います。
#37
○参考人(島桂次君) 今先生御指摘の問題、直接NHK放送の中でもっと積極的にNHKの経営のあり方、番組のつくり方その他もろもろについて実際に視聴者の方々に出ていただいて、我々との間で大いに議論をし合うという番組が今までなかったことは事実でございます。したがって、平成二年度の四月以降の番組の中でそれを年間何回かやるように私から放送総局長に既に指示してあります。もう今までのやり方ではいかぬ、もうちょっとやはりいろいろな方法で積極的にやらなきゃいかぬという趣旨で今懸命の努力をこれから続けたいというふうに考えておるわけでございます。
#38
○磯村修君 ぜひそういうふうにお願いしたいと思うんです。
 とにかく、従来の形のワンパターンでもってNHKというものを理解してもらおうと思っても、
その認識というものはもう通用しないと思うんです。お互いの交流があって初めてお互いの理解を持つことができるわけですから、NHKはNHKとしての、立派な放送機関でございますので、その手段を使って堂々とNHKのありようというものを消費者と、あるいは一般の視聴者と一緒に話し合いながらNHKというものを考えていく、そういうことがぜひ必要ではなかろうかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、NHKには受信料の免除制度というものがあると先ほどもお話がありましたけれども、これまで長いことNHKは学校放送あるいは福祉施設に対する負担というものをしてきたわけですね。もうぼつぼつここはもう積極的に見直しをして、こういう財政状況にあるわけですから、この促進というものもしていかなきゃならない、こういうふうに思うわけでございます。学校教育あるいは福祉というものは、それぞれ国の機関が行うべきものであって、NHKは放送によってサービスするという立場でもって受信料免除措置というものを廃止していく方向にぜひ促進願いたい、こういうふうに考えているところでございますけれども、文部省の方はいらっしゃいますでしょうか。――文部省の方まだお見えになっていないそうですけれども、特に郵政大臣からもぜひ関係機関に対しまして積極的にこの問題に取り組んでほしい。そして、国の財源措置を条件にして早くこの免除の廃止というものを打ち出してほしい。このように思うわけでございますけれども、御答弁願いたいと思うのです。
#39
○国務大臣(深谷隆司君) ただいまの委員の御指摘はまことに当然のことだと思いまして、全力を挙げる覚悟であります。
#40
○磯村修君 早急な実施によってNHKの財政負担というものもそれだけ軽減されていくわけでございますから、ぜひよろしくお願いしたいと思うのです。
 それから、CATVの協力を得て、衛星料金の受信契約と申しましょうか、そういうふうなことがこれまでいろいろされてきたわけでございますけれども、今CATVとNHKとの協力関係というものは実態はいかがでございましょうかお伺いしたいと思います。
#41
○参考人(高橋雄亮君) CATVとはかねがね、衛星放送の普及はCATVの普及にもつながるし、CATVの普及は衛星放送の普及にもつながるということで、友好関係を続けてきたわけですが、元年の八月に有料化したことを機会に、CATV側は有料化に反対だということを、昨年の二月にそういう方針を打ち出しまして、大変話し合いは難航しておったんです。東京にある連盟本部とそれから地方のCATVに対しましては、地方の放送局が挙げてこれに対応してまいりました。
 その結果、ことしに入りまして、有料化反対ということはやめる、今後は共存共栄の道をお互いに考えていこうということになりまして、現在、CATVがどういう格好になれば成り立つのか、つまりどういうソフトをNHKに求めておるのか。またNHKとしてはCATVの発展のためにどういう協力ができるのか。またNHKの衛星放送有料化契約の促進という意味でCATVにどういうことを協力していただけるのかというようなことで具体的に話し合いをしているわけであります。
 それで、平成元年度予算の中で、衛星放送の有料化に当たりまして、CATVがNHKにかわって各加入者からNHKの受信料を徴収して支払いいただけるならば団体一括割引制度ということで有利な制度を導入いたしまして、これを適用しようということになりまして、今次予算でも一件当たり平成元年度は百五十円割引きということでございましたが、二百五十円割り引こうということで予算をお願いしているわけでございます。これが御承認いただけるならば、これをもってさらにCATVとの関係改善のために話し合いを深めてまいりたいというように考えておるわけであります。
#42
○磯村修君 次に、向こう五年間の経営計画の中でもって地方局の組織体制の改革ということがあるんですけれども、「組織・要員体制の見直しを行い、地方局組織を含めいっそう能率的・合理的な体制に改革する。」ということがうたわれているんですけれども、これは具体的に決定されているのでございましょうか、あるいは計画中の内容のものでございましょうか。
   〔理事松前達郎君退席、委員長着席〕
#43
○参考人(植田豊君) NHKの経営計画の中での地域向けサービスの基本的な理念といたしまして、地域の事情に即して画一的でない多様な放送サービスをしたいというのが最も根本の理念になってございます。各地の社会状況、経済状況等々さまざまな発展をしておるわけでございますが、その中でNHKもそれぞれの地域に応じた仕事をしていくべきだと、こういうことが基本でございます。
 これに立ちまして、御質問の組織業務体制につきましては、各地域ごとの独自性、自律性を最大限に尊重しましょうということを最も根幹に置いてございます。先生御承知のように、従来ですと東京がまず管理監督をする。これを受けまして、かつて中央放送局といわれました組織がさらに中間管理機構として存在する。その下に各放送局がある。これは編制にしましても人事にしましても予算にしましても、すべてそういういわば管理機構の中に地方局がございました。今現在私どもが目指しておりますのは、徹底して各地の自主性、自律性を尊重しようじゃないか。そのためには、編制の権限、予算の権限、それからできる限りのところではございますけれども、人事にかかわる権限も含めましてなるべく各局に任せたいという方向で今見直し中でございます。そのために、かつての地方本部、中央局といった組織を支援の位置づけといったぐあいに既にレベルを下げてございまして、これに即しましてこの後順次各局の自律性を高める方向で見直しを続けてまいりたい、かように考えております。
#44
○磯村修君 これからのNHKの仕事を進めていくためにも重要な問題に要員の体制の問題があると思うんですね。きのうもNHKの側から、NHKの仕事は人材確保による創造の世界である、こういうふうな趣旨の御答弁がございました。人員の効率化ということによりまして、取材現場とかあるいは放送現場とか、さらには営業現場、こういったところへ大変しわ寄せが来る。一人の職員が非常にたくさんの仕事を抱える結果にもなってくるわけです。そうしますと、非常に勤務時間も所定よりも長くなってくる。いわば超過勤務が非常に多くなってくる。こういうふうないわば労働条件といいましょうか、そういう過酷なものが強いられるようなおそれもあるわけですね。そういうことから申しますとゆとりもなくなってくる。放送現場あるいは取材現場にも創造性というものが非常に薄らいでくる。NHKにとっては大変損な面がそこに生じてくるわけです。
 そういう意味から、現在NHK自体が要員の効率化による労働時間の増加、こういったものに対してどういうふうに取り組まれているのか。例えば組合の調査によりますと総労働時間は二千三百時間から二千四百時間、このような数字が示されているんですけれども、これからの長期計画の中でこうしたいわば創造力を発揮していくだけの労働条件というものをどのようにつくっていくのか、改善していくのか、これからの経営計画の中でこれを具体的にどういうふうにしていくのか、まずその辺のことをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
#45
○参考人(植田豊君) 先生御指摘のように、NHKの業務が放送番組の創造性によって支えられておる、これなくして国民の理解を得られない事業体であろうかと思います。そのためにはきちんとした人材の確保あるいは労働条件の確保といったことなくして創造性の確保ということはあり得ないというふうに思っております。一方で、従来以上の能率性を受信者、国民の方に我々はおこたえをしなきゃならぬ責任ある立場だというふうにも思うわけでございます。
 この両面を考えまして今私どもが今次経営計画の中で考えておりますのは、番組にかかわる社会的な分業がいろいろな形で進んでございます。共同制作といったこともいろんな形で可能になりました。海外との共同制作もひところから見るともう画期的に今容易になってございます。これらの取り組みもぜひやりたいと思いますし、関連団体の活用もぜひやってまいりたい。あるいはNHKと関係がないと従来見られておりましたディレクターでありますとかという外部のパワーも私どもは一生懸命利用させていただきたい。従来のようにNHKの職員だけで何事もやるという体質から切りかえていく必要があるんじゃなかろうかというふうに一つ思います。
 それからもう一つは、これも先生御指摘のように、衛星放送、ハイビジョン等の新規業務がございます。これへの対応に当たりましては、いたずらに従来の仕事をそのまま確保しつつ新規業務に取り組むのではなくて、積極的にスクラップすべきものはスクラップしていく、大胆に切り捨てていくという中で新しい仕事への取り組みも考えなきゃならぬと思ってございます。総合的に新しい公共放送の構築に向けて努めてまいりたい。その中で職員の創造性も十分配慮してまいりたい、かように考えてございます。
#46
○磯村修君 労働省では千八百時間という指針を持っているようですけれども、とにかくNHKの創造性というものがマイナスにならないような状態を維持しながら経営というものに努力してほしい、こういうふうに私は思います。
 それから、経営計画の中で地域放送の一層の充実ということもうたわれているんですけれども、何といってもこれは地域の放送を豊かにしていくためには取材体制ということが必要になってくるんではなかろうかと思いますね。この要員の効率化に伴いまして、いわばNHKの最前線にあるところの取材基地の通信部、この箇所というものが非常に減少してきている。例えば十年前の昭和五十五年には百七十一カ所、五年前の六十年には百五十六カ所、そして平成二年の一月では百十二カ所、さらに五年後にはこの三分の二程度に減少させていく、こういうふうなことのようでございますけれども、こうしたいわば取材体制の縮小ということが果たして地域放送の充実につながっていくんだろうか、こういう疑問もあるわけです。
 それからもう一つは、地域にNHKの拠点があるということは地域の人々とNHKとのつながりというものが非常に濃くなっていくわけですね。しかし、それを引き揚げることによってまたそのつながりというものも薄くなる、こういうことにもなるわけなんですけれども、両面のことを考えた場合、取材の拠点、こういう整備については十分に留意しながら考えてほしい、こう思うわけでございますけれども、会長、いかがでございますか。
#47
○参考人(遠藤利男君) 先生御指摘のように、地域放送の充実のためには地域の生活に根をおろした取材が大切であるというのは私どもも全く同感でございます。
 御指摘のように、例えば通信部につきましてはこの十数年の間でかなりの数を減らしております。これは単純に、私どもとしましては、効率化という側面だけで考えているわけではございません。地域の交通事情あるいは情報のネットワーク、テクノロジーがいろいろ進歩しました。FPUということで映像を伝送できるようにもなっております。そういうような事情。それからいろんな地域の自治体あるいは組織が広報活動を活発にやるようになり、大変な情報提供源になっている。あるいは個々人の、最近で言えば八ミリビデオとか、そういうようなものが発達して、そういう方々からの情報提供もたくさん受けるようになっている。そういう現在の情報活動の状況が通信部を最初につくりました時代とは非常に飛躍的に変化している。そういう中で我々の取材活動の見直しをしたいということが一点ございます。
 それからもう一つには、例えばテレビの取材というのは、かつてのように一人の記者が電話で原稿を送るということよりは、やはりカメラマンと一緒になって取材をするというような時代になってきております。ですから、拠点を集約しまして一人であった体制を二人にしたり、あるいは拠点がなくなった地点にはロービングカーというような形でカメラマン、取材記者を一体に車でもって常に巡回をさせながら情報をとって歩くというような活動をしながらNHKの地域でのプレゼンスをきちっと保ち、あるいは高めていきたいというふうに思っておりますので、御理解願いたいと思います。
#48
○磯村修君 地域放送のいわば充実ということを根底に置いて、地域との結びつきとか取材の強化とかといういろんな面からも、余り効率効率だけに走らないような配慮をぜひともお願いしたいと思います。
 それから、この資料によりますと、今の放送体制につきましての世論調査の結果が出ております。NHKと民放の併存体制ということにつきまして八七%の人々が現行の併存体制を支持しているわけですね。そういう意味からいって、私は一つお尋ねしたいんですが、併存体制がせっかくあるわけでございますから、NHKと民放とのかかわり合いというものもやはり持っていかなければならないと思うんです。特にその中で、民放でも大変良質の番組もあるわけです。そういうものを紹介していくのに、民放の放送というのはなかなか視聴者に対して再放送する機会が少ないようでございます。そこで、そういったところをNHKが救済して、この併存体制がせっかくあるわけでございますから、また視聴者の八七%が支持しているわけでございますから、そういう意義というものを生かしていくためにもNHKが民放の本当にすぐれた番組を全国に紹介してやる、こういう機会を積極的に取り上げていくべきではなかろうか、こういうふうに私は思います。既にNHKでも一部そういうことが衛星放送などでなされておりますけれども、それだけではなくて、今後ともNHKの積極的な協力によって再放送の機会を与えてやるということをぜひお考え願いたいと思うわけでございます。その辺につきましてお伺いしたいと思います。
#49
○参考人(島桂次君) 民間放送のすぐれた番組をNHKで再放送する、これは当然私はそのようにすべきだと思いまして、既に一年あるいは二年ぐらい前から中川民放連会長にもぜひそうさせてくれということで、特に地方の民放のすぐれた作品というのはその地方にしか出ていない。少なくとも全国各地で見る価値のある極めてすぐれた番組が私はあると考えております。そういうものを中心にぜひ我々は紹介したいということで、何遍も私は民放側へ伝えているんですけれども、例えば何か賞に入ったとかそういう特殊なものを除いて、なかなかそういうことに応じてこないケースが非常に多いので、これはもう私どもの方の連絡をもっと密にしなければいかぬなと。特に、地上波ではある程度の時間的な制限もございますけれども、衛星放送というのはかなりの時間的余裕がありますので、大いに積極的にやりたいと思います。民放連の会長も今度おかわりになりましたから引き続きその方針でいきたい、こう考えております。
#50
○磯村修君 私は去年の臨時国会のこの席で、地域放送局を地方の文化の拠点にして、住民とともに歩むNHKに発展させてほしい、こういうことを発言したわけでございますけれども、視聴者に対する施設の開放、あるいはNHKと視聴者との交流、こういうものを向こう五年間の長期計画の中でどのように具体化しておるかお伺いしたいと思います。
#51
○参考人(尾畑雅美君) 先生の御指摘の地方の放送局を文化、情報の拠点にしたいということは、向こう五カ年間のNHKの経営計画の中でも重大な柱として取り上げております。特に最近の傾向といたしましては、地方の放送局はその地方の発展に役立つようなきめの細かいいろいろなサービスをするということのほかに、自治体ですとか文化団体、それから各団体等から、NHKの持っているノーハウをそういうイベントとかいろんなものに協力してもらいたいという要望も強くなっておりますので、一層その成果を、NHKの中の持っている力をそういう方面に振り向けて、この五カ年間で各地の個性ある発展にNHKがお役に立つという方向に力を入れてまいりたいというふうに考えております。
#52
○磯村修君 最後にお伺いします。国際放送についてです。
 長期展望に関する提言の中では、国際映像サービスのための第三セクターというふうなものを設置することを提言しておりますね。その上に、現在、今NHKが行っております音声の国際放送、この実施体制につきましても第三セクターとの有機的な結びつきを考慮することが必要ということを示唆しております。これはNHKから音声国際放送を切り離してしまって第三セクターに統合する方向で検討がなされるのかなというふうな受けとめ方もあるわけなんですけれども、いかがでございましょうか。
 そしてまた、音声国際放送がこれまでのNHKから実際にもし第三セクターに行くとするならば、いわば従来のNHKが行ってまいりました実績あるいは公共放送としての中立的な立場、あるいはまた視聴者の信頼そしてまた番組の編集権を確保することはもうできなくなるわけでございますから、仮にそうなった場合には信頼度の高い番組というものができなくなってしまうんじゃないか、こういう危惧も出てくるわけですね。NHKがこれまで長年やってまいりました音声の国際放送というものは維持して、そして中立公正な情報というものをぜひとも世界に放送していくべきであるというふうに私は思いますけれども、その辺のお考えを最後に伺っておきます。
#53
○参考人(青木賢児君) お答えいたします。
 長期計画の中に国際情報についての第三セクターの提案が、検討が入っておりますけれども、これは主として私どもが現在やっております映像による海外情報の提供ということについて、我々が積極的にこれから進めていくということが基本にございます。
 と申しますのは、現在日本から外国に出ております映像による情報というのは極めて微々たるものでありまして、日銀の貿易統計によりますと、六十三年度、映画あるいはテレビ、ホームビデオ、こういったものの輸入が二億七千六百万ドルというふうになっておりますが、輸出についてはほとんど統計上数字が出てこないというぐらい微々たるもので、年間およそ一千万ドル程度というふうに想像されております。
 そこで、我々としては、NHKを中心に国際的な番組をこれからどんどん送り出していくための第三セクターを、NHKだけではなくてさまざまな民間団体あるいは公的資金も糾合して第三セクターをつくりたいということをこの検討項目の中に入れているわけでございます。
 これと国際放送のいわゆる従来の短波の放送との関係でございますが、我々は現在の国際放送は放送法に基づいて実施しているものでございまして、第三セクターとのかかわりについてはこれからNHKの一存で実現するものではありませんので、こういった中で、これからの推移を見ながら、こういった公の場で御検討いただきながら将来に向けて検討していきたいというふうに考えているところでございます。
#54
○磯村修君 先ほど私は最後と申しましたけれども、せっかく文部省の方がお見えになっておりますので、先ほどお尋ねしました受信料の免除措置に対する国側のお考えをお伺いしたいと思います。
 学校放送の場合は、あるいは福祉の問題は、国の行政の中でもって負担すべき問題である、こういうふうにとらえます。
 NHKの学校放送なり福祉施設の免除措置を廃止するということについては、自治体も大変財政的な負担というふうなことになりますので非常に消極的な面もあるわけなんですけれども、ここは国が積極的に取り組めば免除措置の廃止ということは促進できるわけですので、やはり国の財政措置ということでお願いしたいわけなんでございますけれども、文部省としては今この問題についてはどういうふうに取り組んでいるかお伺いしたいと思います。
#55
○説明員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 ただいま先生からお話がございましたように、今年度につきましてもNHKの会長から文部大臣あてに前年度と同様に小中学校等の受信料免除措置について早期に廃止したいという御要望をいただいたところでございます。これに対しまして、文部省といたしましては前年度のNHKとの話し合いの経緯を踏まえまして、これらの学校におけるテレビ等の利用に関する実態調査を行いまして、NHKや関係省庁に対しまして御説明を行うとともに、学校におきます教育放送の持つ意義あるいは役割、NHKさんの公共的性格にかんがみまして、平成元年の九月にNHK、あるいは昨年の十二月に郵政省に対しまして、文書によりまして受信料の免除措置の継続を申し入れたところでございます。
 文部省といたしましては、今後とも義務教育諸学校等におきますテレビの利用実態や学校における教育放送の持つ意義、役割等を踏まえまして、学校における放送の円滑な教育利用を確保するため、これらの学校に係る受信料の取り扱いにつきましては、NHKと話し合い、また財政当局を含む関係省庁とも協議をしながら関係者間の合意の形成に努力をしていきたい、このように考えておるところでございます。
#56
○磯村修君 何にしろ、何か積極性に欠けるところがあるんじゃないかと思うんですけれども、国はこういう問題につきましてもっと進んで取り組んで実施に移していくべきである、こういうふうに視聴者は願っているんです。よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
#57
○鶴岡洋君 最初に会長にお伺いをいたします。
 昨年の夏、NHKの島会長が今後のNHKのあり方を探ってもらう、こういうことで諮問していたNHKの長期展望に関する審議会の提案がことしの二月平岩座長から島会長に提出されたわけでございます。内容を見ると、非常に現実性のある、実現性のあるものもあるし、また理想に近い提言も中にはいろいろありますけれども、私はこのように目まぐるしく変わる時代に、また進歩が非常に激しい時代に、NHKの五年先の確固たる未来像、こういうものはだれが考えても難しいということはわかりますけれども、この内容から見るとNHKの将来像が見えない、こういういわゆる批判がございます。この点に対して島会長はどういうふうに思っておられるのか、最初にお伺いいたします。
#58
○参考人(島桂次君) 私も、この審議会の答申がなかなか私たち執行部から見ても非常に難しい問題があって、審議会の先生方も非常に苦しんだのは、これだけ速い放送を取り巻く社会的な現状というものが一体どういうテンポでどういうふうに進んでいくのかという、その見きわめが極めて難しかったことであります。
 したがって、私はあの答申をいただきまして、少なくとも、特に主として衛星放送だと思うんですけれども、衛星放送の普及発展、その他いろいろのメディアの発展もございますけれども、それが五年間ぐらいの間にどの程度普及していくかという、これを見定めた上で五年間ぐらい、現状のNHKのチャンネル、NHKの規模、こういうものについては五年間ぐらい続けざるを得ないなというような結論に達した最大の理由は、やはり明確に、委員会の先生方の各個人個人はそれぞれの御意見ございますけれども、共通して、この五年間にNHKがこうすべきだと、こういう波とこういう波とこういう波を持つべきだという合意が得られなかった。したがって、NHKの全体の姿がややぼけたような形になって、私どものこの五カ年計画になってそれが出てしまったという点が若干あったんじゃないかということは反省しておりますけれども、我々はぎりぎり我々の見通せる範囲でやったというつもりでいるわけでございます。
#59
○鶴岡洋君 今予算を審議しているわけですけれども、NHKは国会に予算案を提出する前に、NHKのあり方、経営のあり方等を含めて何らかの形で外部の意見を聞いておるわけです。例えば昭和五十年の七月から十一月にかけて第一次NHK基本問題調査会、それから五十四年の五月から十一月に第二次NHK基本問題調査会、昭和五十八年四月から十二月、NHK経営計画に関する審議会、そして今回のNHKの長期展望に関する審議会と、こういうふうに意見を聞いておるわけでございますけれども、外部の意見を聞くということは非常に結構でありますし、また大切なことでありますし、当然といえば当然だと私は思います。しかし、これら調査会や審議会の結論は、どれを見ても結果的に料金値上げの理由づけと、このように利用しているというふうに思えてならないわけです。私どもそう思いますけれども、こういう意見が非常に強いわけですが、NHKはこの点についてどのような考えを持っておられますか。
#60
○参考人(尾畑雅美君) 私どもの立場は、国会にこういう経営計画を出しまして、その間の事業を、やるべきことをきちんと説明して、それに沿ってやっていくという考えに立っております。先生御存じのように、昭和五十九年度から六十一年度にかけてのNHKの計画はありますが、今それが欠けた状態であります。ですから、私どもは去年の国会の附帯決議を受けまして、できるだけ長期の計画を立てなさい、これが大前提でございます。これがやっぱり何よりも優先する。そういうわけでありますので、今先生が幾つか並べられましたそういった審議会の意見も今回の長期展望審議会の先生方に一緒になって考えていただきました。これも事実でございます。
 そうした中で、今後の五カ年間、これが今会長が申しましたように難しい多メディア、多チャンネル時代の、情報はんらん時代で激変していく世界を見通せるぎりぎりの我々の長期展望であろう、長期計画であろうということで、その間にやるべき事業、それからみずから律すべき節約、節減、増収の努力、そういったものの項目を挙げまして、それが一番大前提でございます。それで計画をまとめましたところ、結果として、増収それから節約をしましてもどうしても五千億円余りの不足が立ちましたので、これを今回料金の値上げという結果としてお願いしているという実情をぜひ御理解いただきたいというふうに思います。
#61
○鶴岡洋君 そこで、今回の受信料の値上げの問題でございますが、二八%、三百円と大幅になっているわけです。NHKは、放送法第七条、すなわち、「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内放送を行うとともに、」云々、「あわせて国際放送を行うこと」と明記されているように、私はこれを遵守しなければならないともちろん思いますし、また公共放送として求められているいわゆる社会的使命を果たすためには財政基盤の安定が不可欠であるということも大条件、大要因であると私は思っております。しかも、その財政基盤となるいわゆる財源の大部分、九三%は受信料によって賄われていることも承知をしております。
 その受信料ですけれども、テレビが普及し尽くしたという段階になると受信料収入はそれほど伸びない、これはそのとおりであると思うんです。こういうことについては新聞社も同じことのように思えますし、また私鉄も同じようなことが言えるのではないかと思うわけです。加えて、番組のいわゆる制作費、経費の増加に伴いNHKの財政が危機状態にあるということも承知をしております。
 したがって、百歩譲って値上げはやむを得ない、こういうふうに思いますけれども、反面公共放送として、それならば三百円の値上げでございますから、公共放送としての使命を腹に据えてというか、腹をくくってというか、これを自覚して番組の編成、経営の効率化そして合理化、多方面にわたる一層の努力を今まで以上にしていかなければならない、こういうふうに私は思うわけでございます。
 と同時に、受信料を払う国民に対して、それから視聴者に対して、それらの課題について納得のいく、しかも具体的な施策と展望を明示していくのが当たり前だと、こういうふうに思うんですけれども、この点について、最高責任者である会長にはっきりと決意を述べていただきたい。
#62
○参考人(島桂次君) ただいま御指摘されましたNHKに対する見解、まさにそのとおりでございまして、これから新しい時代の新しい公共放送を続けていくためには、今御指摘のようなことを本当に肝に銘じてやっていきませんと国民の理解が得られない。まさにNHKにとっては非常事態であるというぐらいの認識を持って我々今いろいろ考えているところでございます。
#63
○鶴岡洋君 今私が申し上げたように、それを踏まえて、また会長も非常事態だということを頭の中に入れて一層努力をする、こういうことでございますので、今から具体的な例を挙げて何点か申し上げますので、明快な答弁をお願い申し上げます。
 まず、公共放送としての保有メディアの件でございますが、NHKは現在御存じのようにテレビ四波、それから中波ラジオ二波、FMラジオ一波、国際放送一波、文字放送一波、合計九波を持っているわけです。結論からいって、私が申し上げたいのは、NHKが保有するメディアは思い切って整理をする必要がある、こういうふうに思うんです。昨日の大臣の答弁の中にもスリム化というようなことで関連するような御答弁がございますけれども、これを論議していくと、受益者負担か、今の受信料制度でいいのか、こういう問題にもなってきます。
 私がこれを申し上げる一つの理由として、衛星放送が二チャンネルとも独自放送になり、さらにハイビジョン放送へと発展していくと、NHKはますます巨大化、大きくなってくる。巨大化の弊害というのは新聞、出版事業を見ても私ははっきりしていると思うんです。さらに巨大化すればそこに財政負担が大きくなる。しかも、その財政負担の財源というのは受信料になっている。受信料になっているということは、当然視聴者の負担になってくる、こういうことになるわけです。
 NHKのモアサービスというのも私は結構だと思う。モアサービスがあるからいわゆるモア受信料と。ところが、モアモアサービスでモアモア受信料ということになると、ちょっとこれは困るわけです。今九波もあるわけでございます。受信料を払う人とそれからサービスを受ける人、これは同一人物であります。一日二十四時間しかないわけです。ですから、今千七十円払っておっても中には天気予報とニュースしか見ない、こういう人もいるわけです。そういう理由が一つ。
 それから二つ目には、民放が今日のように多くなってくるとチャンネルも多くなってきているわけです。視聴者には視聴者の選択権が広がっている、こういう理由も成り立つわけです。また、たくさんの意見として、民放のチャンネル数がふえ、CATV共同受信、それからビデオ、こういうものが普及してきている今日でございますので、NHKは報道や教育などに限って放送サービスをすればよい、こういう意見もございます。そういった意見を踏まえて先ほど言ったように保有するメディアを思い切って整理する必要があるんではないか、こういうふうに思いますけれども、この点についていかがお考えですか。
#64
○参考人(島桂次君) 先ほどもちょっと触れたかと思いますけれども、先生おっしゃるとおり、一つの放送機関が巨大化するということは民主主義国家においては決して好ましいことではございません。したがってNHKの適正規模というのを絶えず我々は考えているわけでございます。現に九波持っていることに対して、郵政省を初め国会議員の皆さん方、各方面からやや規模が大き過ぎるんじゃないかというような声が出始まっているということもよくわかっております。
 しかし、私は先ほども申し上げましたとおり、この五カ年間はいずれにしましても九波をベースにして仕事を進めていく中で、これから先の著しい放送事情の変化、具体的に申しますと衛星放送の普及とかCATVの普及、こういうものが急速に進んでいく場合には、これは当然のことながら適正規模ということにつきまして我々は改めて我々の考え方を示して、政府あるいは国会の皆さん方と御相談しなければいかぬ時期が必ず来るなということは考えております。ただ、現状この五カ年計画の中では当面九波体制で進んでいくということを考えておるわけでございます。
#65
○鶴岡洋君 大臣、いかがですか。
#66
○国務大臣(深谷隆司君) NHKが公共放送として幾つかの基本的な使命というものを持っております。その持っている使命に基づいて今日までさまざまなメディアで放送を行ってまいったわけであります。しかし、最近のように民間放送が非常に発展してまいったり、あるいはNHK自身の財政問題などを考えてまいりますと、このままの形でいいのかという点については疑問を持つのであります。
 特に、斎藤英四郎経団連会長の座長になっております放送の公共性に関する調査研究会、これの中間報告において保有メディアの見直しを提言いたしております。私どもはそういう意味でNHKの今日持っているメディアをこのまま持ち続けなければならないとは考えておりませんで、できる限りスリム化という方向で検討していきたい、そのように思っております。
#67
○鶴岡洋君 それに関連して、この間あるテレビだったか雑誌だったか、NHKの一日の放映量というのは新刊本七冊ぐらいに当たる、この情報化時代でそれだけの価値がある量を放映している。こういうことで、先ほど言ったように私たちとすれば受信料を払うのと、それからそのサービスを受けるのは同一人物で、二十四時間しか時間的にはないわけです。そういった意味で、いつどこでも何時間でも自分の好きなものが見られる、こういうことは私は結構なことだと思いますけれども、今受信料を三百円上げるということを取り上げて、それに関連して私は申し上げているわけでございます。
 これに関連して、郵政省の放送の公共性に関する調査研究会は、一昨年ですかNHKテレビを地上波、衛星合わせて四波か三波に減らすことなどを提言しておりますし、また日放労も昨年衛星二波と地上一波で十分として、受信料も今の公的負担金からいわゆる視聴者が選択した番組の対価、この性格を導入すべきだ、こういうことでいわゆる新公共放送論を発表しておりますけれども、これらの提言、提案について、この点についてはどういうふうに、同じようなことですけれども、お考えでございますか。
#68
○参考人(島桂次君) 郵政省あるいは日放労のいろいろこの問題についての提言というのは私も詳しく検討させていただいておりますけれども、全体的な傾向としてはこれは尊重していかなければいかぬ。しかし、今直ちに何波にするかということについてはもうちょっと客観情勢が熟するのを待たなければいかぬのではないか。何遍でも申しますけれども、この五カ年計画の中で今波を直ちに減らすという考え方はございませんけれども、何せ今の放送を取り巻く環境というのは非常に急速に変わってきておりますので、将来の重要な検討課題の一つであるというふうに認識しております。
#69
○鶴岡洋君 それでは、多メディア時代における公共放送の役割について二点ほどお伺いします。
 NHKの長期展望に関する審議会の提言は、CATVや衛星などによるニューメディアの発展によって急速に多メディア、多チャンネル化が進んでいると指摘した上で、「今後は、放送系、通信系のさまざまなメディアが競い合う状況となる。」と言っております。また、このような状況のもとでスポーツイベントの放送権などをめぐる国際的な競争も激しくなっていると述べておりますけれども、まずこうした新しいメディアの状況によってどのような影響が出ているかという点についてお伺いしたいと思います。
#70
○参考人(尾畑雅美君) 先生御指摘のように、また審議会の答申にありましたように、私どもがおります放送界の周辺といいますのは、まず我々の地上放送のほかにCATV、それからパッケージメディア等々、それからさらには去年の放送法の改正によりまして通信衛星を使った事業体が別にあっても放送がやれるというように非常にすそ野の幅が広がってきております。そういった状況でありますので、一番私どもが困っておる点はソフトの奪い合い、ソフトが非常に窮屈になり、高騰化している状態が出てきております。こういったものに対応するということが今後の五カ年間の一番大きな課題になっております。
 先生の御指摘にありましたように、提言の中ではそういった中でNHKは受信料という制度によりまして独立性を守られ、しかも視聴率にとらわれないで非常に質の高いものをつくっていく、情報がはんらん過多になるほどその中でどんと国民に根を張った信頼のあるものに返ってくるんだと指摘されておりますので、そういった指摘にこたえて、放送面その他で努力してまいりたいというふうに考えております。
#71
○鶴岡洋君 次に、NHKの国内放送費についてお伺いしたいんですが、その前に、経費の中には人件費が大部分であるということは承知しておりますけれども、先ほど尾畑さんの方から他委員に対する答弁の中で、番組制作には力を入れると。もちろん、この長期展望の中にも出ておりますけれども、番組は公共放送にふさわしいいわゆる質の高い、ニーズに合ったいい番組をつくろうとすればそれなりに経費がかさむことは、これは当然であります。
 この資料から見ますと、例えば一本当たりの制作直接経費といいますか、「NHKニュース・トゥデー」、これは六十分で二百九十九万円。「トライ&トライ」が三十分で三百二十五万一千円。「おはようジャーナル」、これは一時間で百六十一万七千円。それから「大相撲」、これが百六十九分ですから二時間四十九分で一千七百三十八万九千円。こういう具体例が出ておりますけれども、最近、ことしに入って私が感銘を受けたというか、やはりNHKならではと思われる番組が幾つかございますので、この番組にどのぐらいお金がかかっているかちょっとお聞かせ願いたいんです。二月十九日と二十日、「徹底討論・政治は変わるか」、これが三時間十五分行われました。それから二月十二日、「ラブアンド・ピースは永遠に・レノンとヨーコ その時代」という五十五分、それから三番目が一月二十一日放送の「チャウシェスク政権の崩壊」、これは一時間、それから昨年だったですか、「崩れたベルリンの壁」、これは二時間、これらはどのぐらいかかったかおわかりになりますでしょうか。
#72
○参考人(遠藤利男君) 御質問の件でございますが、「徹底討論・政治は変わるか」という二月十九日と二十日の放送の分でございますが、これは千九百二十五万円です。それから二月十二日の「レノンとヨーコ その時代」、NHKスペシャルでございますが、これは千九百九十九万円でございます。それから「チャウシェスク政権の崩壊」は千八百十五万円。ほかのところは目下資料が整っておりませんので御報告できません。申しわけございません。また後ほど……。
#73
○鶴岡洋君 それほどにかかるということはわかりました。
 そこでお聞きしたいんですが、平成二年度の予算を見ますと千五百五十三億円、こうなっております。これは前年度比較二二・七%増になっているわけですね。六十三年度から比較してみますと四六・五%、約五割上がっているわけです。わずか二年で約五〇%アップになっているわけでございますけれども、この国内放送のアップ率が五〇%というのはちょっと多いんじゃないかなという感じがするんですけれども、この点、詳しくどうしてこうなるのか教えていただきたいと思います。
#74
○参考人(尾畑雅美君) 先ほど先生が言われました「崩れたベルリンの壁」でございますが、これは百二十分の番組でございますけれども、五千二百十九万円でございます。
 それで、今の御質問でございますが、五十九年に設定しました受信料を今まで据え置いてまいりましたので、私どもは総合テレビ、教育テレビとも一本当たりの番組制作費の単価を長い間据え置いてまいりました。これから来る矛盾は非常にたくさん出ております。出演者の方にも御迷惑をかけておりますし、ディレクターがいろいろな工夫を持ってやっております。取材の回数を減らしますとか出張回数を減らすとか、昔のビデオを使ってうまく何とか運用するとか、いろいろ苦労しながらやってまいりました。出演料につきましては民放との開きが相当出てきております。
 ただ、その中で先生にぜひ御理解いただきたいのは、一方、視聴者の方は好みが非常に多岐にわたってきておりますし高度になってきております。我々に対する要望というのは目が高くなってきております。こういったものにこたえなければいけませんので、それが一つございます。
 それから、先ほどもちょっと触れましたけれども、多メディア、多チャンネル時代になりますと、商事会社とかいろいろなところが放送に関するソフトの獲得に乗り出してきておりまして、二倍、三倍、四倍とウナギ登りでございます。これが内外の現状でございます。
 そういった中で我々はずっと放送の経費を抑えてきたのですけれども、何よりもNHKは放送の充実、これで視聴者にこたえなきゃいけませんので、そこで平成元年度から、昭和六十三年度も一部手直ししましたし、平成元年度から二年度にかけましては放送にかける経費を二二・七%上げさせていただきました。しかし、そのほかの経費につきましては極めて厳しくやっておりまして、契約の収納の経費は平成元年度と二年度に比べますと四・一%の伸びに抑えております。それから管理費につきましては四・二%に抑えております。こういったほかの経費はできるだけ削減しても何とか放送の充実刷新というものについては気を配らなければいけませんし、それから、抑えてきた矛盾がここに来て噴き出してきておりますので、何とかその辺についておこたえしていくという努力を御理解いただきたいというふうにお願い申し上げます。
#75
○鶴岡洋君 飛び飛びになって大変恐縮ですが、次はハイビジョンについてお伺いします。
 四点ほどあります。端的に申し上げますと、ハイビジョンの実用化の時期ですけれども、五年後とか十年後とかいろいろお聞きしているんですが、NHKとしてはいつごろと予想されているのか、これが一点。
 それから、ハイビジョンの世界規格統一の件でございますけれども、これも今日までいろいろ交渉もされているやに聞きますし、それから海外においていわゆる会議ですか、持たれていることも聞きますけれども、どのような見通しなのか。これが二点目。
 それから、ハイビジョンは放送以外の医学や産業、それも広く応用されつつある、こう聞いておるわけですけれども、どんな例があるのか。
 また、NHKはそれに対してどんな協力をされているのか。四点になりますけれども、お答えいただきたいと思います。
#76
○参考人(島桂次君) ハイビジョンにつきましては、放送の面については現在衛星を使いまして一日一時間の実験放送をやっておりますけれども、私は十年後、二十年後は別にいたしまして、少なくともこの五年間には現状を維持する程度であろう。つまり、受像機が何しろまだ非常に高価でございますから、これ以上急速に日本国内においてふえるという見通しはないんじゃないか。したがって、放送面についてはこの五年間はせいぜい一時間か二時間の実験放送を続ける程度であろう、こう考えておるわけでございます。
 それから、規格統一の問題でございますけれども、これはハイビジョンがすぐれて放送以外の分野に広く応用できる、つまり、二十一世は情報産業時代だと言われておりますけれども、恐らくその根幹をなすハイテク部門のまたこのハイビジョン産業というのが中心的な存在になるであろうということで、ハイビジョンの規格につきましては、ヨーロッパはもちろんでございますけれども、アメリカも、社会主義国であるソビエトも、この規格問題については、放送という側面だけではなくて、それぞれの国の持つ政治、経済、社会全般的な問題としてとらえておりますので、なかなか統一が、現在数年間かかっていろいろやっているわけでございますが、できない現状にございます。
 ただ、我々が今当面その中にあって求めているのは、プロダクション規格といいまして、素材のための規格ですね、これを統一しておきませんと、今のテレビがそうでありますように、一遍つくったものをいろいろな方式に転換しなければいかぬ、そのたびに画質も悪くなりますし不便でもありますので、プロダクション規格だけでも早急に決めようということで今鋭意やっておりまして、これはことしじゅうにも何とか決めよう、全世界的にだめであれば、さしあたって今のテレビがそうでありますように、例えば日本とアメリカとカナダあるいはラテンアメリカというようなところだけでも最小限度統一できないかということで努力しているわけでございます。
 それから、ハイビジョン放送以外の側面でも、既にどういう実績があるかというお話でございますけれども、これはもう数年前から、例えば映画会社とハイビジョンを使って共同制作、これはもう既にどんどんやっておりますし、例えばアメリカの国内で最近の例を見ますと、スポーツパブというようなところへこのハイろビジョンスクリーンを置きまして、そこでスポーツ素材、これをハイビジョンでやったものをどんどん放映するとか、あるいは印刷会社がハイビジョンによる写真集といいますか、あるいはカタログ、そういうものをつくりますと在来の技術によるよりもはるかに鮮明に写るというので、これは日本あるいはアメリカの業界ともいろいろ我々の技術提供を求めてきておりますし、写真メーカーとかあるいは医療器具メーカーとかいろいろのところと共同開発、あるいはNHKの技術提供を申し込まれて、かなり多方面にわたって既に放送以外の分野では全世界にわたって我々はいろいろの面でいろいろの関係する人たちと共同で仕事を進めておるわけでございます。
#77
○鶴岡洋君 次は、国際放送についてですけれども、先ほど磯村先生からお話がありましたが、国際放送というのは私はこれからますます重要になってくるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。
 我が国の国際的な地位の向上によって国際社会において日本への期待はますます大きくなりつつあるということははっきりしておるわけです。反面、貿易摩擦、経済摩擦、こういう問題も騒がれてきて久しいわけでございますけれども、これは一面において我が国のいわゆる見解、それから立場、これが諸外国に正しく伝達し切れていない、こういうところにも一部そういう問題が起きるのではないか、摩擦の問題を大きくしておるのじゃないか、こういうふうに私は言えると思うんです。相互理解のために正しい情報の交流、この重要性を踏まえて、国際放送の充実、拡大というのは大きな課題ととって対処していかなきゃいけないのじゃないか、こういうふうに私は思います。
 お聞きしたいのは三つございますけれども、一つは、現在のNHKの国際放送の規模は世界各国に比べて何番目ぐらいになるのか、これが一つ。二つ目は、今回の五カ年計画の中でどこまでこの国際放送を拡充していくのか、二つ目。それから三つ目は、これは郵政省にお聞きしたいんですが、充実、拡大のために国としてもNHKに対して費用の負担をすべきだ、NHKが国際放送をやっている以上、今言ったような事情から負担をすべきだ、こういうふうに私は考えますけれども、この点は郵政省としていかがお考えか、この三点をお伺いいたします。
#78
○参考人(遠藤利男君) 先生お尋ねの件でございますが、現在NHKの国際放送が世界の国際放送の中でどのくらいの位置におるかということでございますが、現在、残念ながら日本の国際放送は世界の中で約二十位ぐらいの位置におります。
 先生御存じのように、BBCの国際放送あるいはアメリカのVOAあるいはソビエトの放送あるいは西ドイツの放送等々、非常に精力的な国際放送をやっておりますが、残念ながら二十位でございます。
 それで、この五カ年計画の中でどういう地位にまで充実していくのかというお尋ねでございますが、我々としましては、これから一つには放送時間をふやすということでございます。それをこの五カ年の中で、現在平成元年では約四十三時間ぐらいの総放送時間でございますが、それを六十時間ぐらいまでふやしたい。それから、放送を聞きやすくする状況も海外の中継放送所を借りるなどしてもっと改善いたしまして、現在の世界の規模の中で十位ぐらい、現在フランスが行っております国際放送の規模ぐらいまで上昇させたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
#79
○政府委員(大瀧泰郎君) 国際放送の交付金の問題でございますが、これは毎年の財政的な問題からシーリングという非常に厳しい状況のもとで毎年少しではありますが、増額の方向へ向かっているわけでございます。
 来年度の予算におきましては二千万円増の十四億九千七百万円ということでございます。私どもも今後ともこの点に関しましては最大限の努力をしてまいりたいと思います。交付金を五十五年度を一〇〇といたしますと来年度の場合は一五九ということになりますが、一般会計予算相対では一一二というふうに私ども郵政省の一般会計の伸びよりは格段とふえているわけでございます。そういう意味で、私ども今後とも一生懸命にこの増額に向けて努力をしてまいりたいと存じております。
#80
○鶴岡洋君 五年間で十番目ぐらいまでですか、そういうことで努力をしていく、こういうことでございますけれども、NHKとしては真剣に取り組まなきゃならない、思い切ってやらなきゃならない問題がたくさんあることは承知しております。その中でも私が先ほど言ったように、経済摩擦、貿易摩擦、我々も外国へ行ってみてこんなことまで日本のことがわからないのかなという点を非常に多く私たちは経験するわけでございます。そういった面からも、国際放送という立派なものがあるわけですから、今日までやってきたわけですから、この点についてはこちらの方からよろしくお願いします。頑張ってやってください。
 これに関連して国際映像サービスということですけれども、これは何といっても聞くよりも見ると。聞く方がいい人もいれば見る方がいい人もいる。大体聞くよりも見る、私はこういう世の中になってきたんではないか、こういうふうに思うわけです。
 海外への情報伝達も映像によることが必要と考えますけれども、NHKの取り組みの状況はどうなのか。余り進んでいないとすれば障害となっているのは何なのか、これが一つ。
 どちらにしても、映像情報の提供には極めて多額の資金とそれからきちんとした組織が必要であります。これはNHKだけに任せておいていいかというと、多少私は問題があるんじゃないかなと。国家的な事業として第三セクターを設けて推進すべきではないかなと思うんです。
 これは郵政省とNHK、両方にお聞きしたいんです。
#81
○参考人(青木賢児君) 国際情報につきましては、映像化が世界的に進んでおります中でNHKも積極的に日本の情報を外国に映像をもって知らせるということで力を尽くしておるわけでございますけれども、現在、NHKエンタープライズあるいはNHK情報ネットワークあるいはNHKインターナショナルというような関連団体を通じまして、NHKが持っておりますさまざまな形のソフトを外国に提供するということで努力しておるわけでございます。
 これがなかなか進んでいかない、大量に外国に出ていかない事情というのはいろいろございますが、映像を外国に持っていくということについてはかなり大きなお金がかかるというのが実態でございます。例えば、去年からNHKでは「トゥデーズ・ジャパン」というデイリーニュースをアメリカのPBS局に提供しておりますけれども、全米二十二の都市でこれが放送になっておりますし、カナダのCBSからもカナダで放送になっております。これの衛星回線が毎日必要でございますが、このために八千万円余りの衛星回線が必要になるというようなことでございます。
 そのほか、こういった映像を提供するというのは、短波の放送と違いまして言葉の問題、あるいは外国で受けられるようなつくりかえというようなことも必要でございまして、かなり多額の金がかかるというのが実態でございます。そのために、これから五カ年間にNHKといたしましては、九十四億円の予算を計上いたしまして、こういった問題に積極的に取り組んでいく。さしあたって平成二年度の予算の中では十億円を計上いたしましてこういった問題に当たるということで現在力を尽くしているところでございます。
#82
○鶴岡洋君 終わります。
#83
○委員長(青木薪次君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時十六分開会
#84
○委員長(青木薪次君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#85
○山中郁子君 NHKは公共放送として戦後再出発してことしで四十年という一つの歴史的な区切りを迎えるわけでありますし、また、これから二十一世紀に向けてどのような対応をするかということで、その展望は国民的な関心もあり、また昨日来の当委員会でも論議をされてきたところです。
 それで、初めに私は会長にこのあたりの点について基本的なお考え方を伺いたいと思います。
 会長は、これは電波タイムズという業界新聞ですけれども、ここでインタビューに応じてそれらのことについて述べておられますが、その中で、
  私は、基本的には、どんな時代になろうが、やはり公共放送は、必要だと、少なくとも日本においては絶対必要だと考えています。それは公共放送であるNHKがあり、民間放送がある、たとえば別の側面からいいますと地上のテレビ放送があり、ラジオがあり、衛星放送があり、CATVがあり、また諾々のメディアがこれからどんどんでてきますね。
  そういうものが共存し共栄していく時代だと思いますけれども、いずれにしても、そのなかで広い視野の総合的な情報といったらいいですかね。基幹的な部分というのは、公共放送であるNHKが担っていくべきではないかと基本的には考えております。
こういう趣旨のことを述べておられます。
 これは先ほどの鶴岡委員の御質問の中にもありましたし、昨日来の論議の中にもありましたけれども、NHKが、波の数だけではないけれども、そういうことも含めて肥大化していくことに対するさまざまな懸念とかそれから批判的な見解もあります。そういうこととの関連も含めて改めて会長の御所見を伺います。
#86
○参考人(島桂次君) ただいま先生の読み上げられましたとおりの趣旨で私はやっておるわけでございまして、特にこれから先注意しなければいかぬのは、今までの議論の中でも出ましたけれども、新しい時代の新しい公共放送のあり方、特にNHKの規模ですね、この問題については、もう目をみはる勢いでこれから放送といいますか通信事業といいますか、そういうものが変化して、発展していきますから、何が適正であるかということは特に我々は考えていかなければいかぬ、こう考えております。
#87
○山中郁子君 私は、これらの問題は基本的な問題として、今会長が焦点を当てて答えられた規模の問題ということのみならず、公共放送としての理念というかその立場、そうしたものがどのようにさらに放送法の精神に基づいて深められ、一層視聴者のニーズにこたえるように発展させていくかということがさらに重要な課題であるというふうに私どもは認識しております。
 そういう点で、巷間さまざまな点で議論されている、NHKの規模はどういうものが適切なのか、あるいは巨大化し過ぎているのではないか、あるいは波が多過ぎるのではないか、そういう問題の見方だけに偏重しない、公共放送としてあるべき理念、そういうものの立場をより一層深められていくということもあわせてぜひお考えいただきたい。もちろんお考えいただいていることという前提に立ってお伺いしているんですけれども、私は、今こういう時代ですから、会長自身がおっしゃったようにそういう重要な時代でありますから、ぜひその点についての見識を深められる、そういう立場で運営に当たっていただきたい、このことを私たち自身の問題としても考えておりますので、その点のお考えを重ねてお伺いをしたいと思います。
#88
○参考人(島桂次君) 公共放送につきましての基本的な物の考え方、これは先生もお述べになったとおりでございまして、私どもはNHK、民間放送その他いろいろの放送機関がある中で、本当に公共放送でなければできない質のいい番組、多様性のある番組、文化的に豊かな番組、こういうものをできるだけ視聴者の負担を軽くしながら出す、この基本的な理念は放送法に明示されているとおり公正中立な立場で国民のために尽くすというところにあると考えております。
#89
○山中郁子君 次に、消費税をめぐる問題について伺います。
 昨年の三月末の当委員会でも、NHKの予算審議に当たって消費税問題は大変大きな議論になりました。それで、その後参議院選挙において一定の国民の審判がおりた、それからまた、見直しあるいは再見直しなどという政府・自民党のかけ声のもとに総選挙も行われたという状態がありますけれども、いわば政治的決着はついていない、つまり再見直しなるものの中身も明らかにされていないという状況です。
 私が今なぜこの問題について触れるかと申しますと、NHKの昨年の受信料の問題に関して、受信料は言うところのサービスの対価ではないとする郵政省あるいはNHKの立場がありました。私どももそういう点で消費税の対象になるということは不当であるという考え方で議論をいたしました。今度また再見直しなどという問題が今不透明のまま事態が推移しているわけですから、そういうこととの関連でサービスの対価でないとする郵政省ないしはNHKのお考え方は変わりがないのか、あるいはそういうことが変わりがないとすれば今何らかのお考えをこの消費税の問題に関してお示しになるお気持ちがあるのかどうかお伺いいたします。これは会長並びに郵政大臣からもお答えをいただきたい。
#90
○参考人(島桂次君) 消費税につきましては、かねがね私どもの立場では聴視料は消費税になじまないのではないかという主張をしておるわけでございますけれども、国会の議決によりこれが消費税の対象になって現在法律として施行されているわけでございます。法律で施行されているわけですからそれに従っているというのが私たちの立場でございます。
#91
○政府委員(大瀧泰郎君) 消費税は、NHKの放送に対しましていわゆる資産の譲渡等に類する行為の一つということで受信料が消費税の課税対象になったわけでございますので、そういう意味で現在の予算の要求等はすべて消費税を含めたものとしてなされているわけでございます。これは国会で議決された法律にのっとった対応でございますので当然と考えているわけでございます。
#92
○山中郁子君 昨年の御見解はあるけれども、あえて今そのことをもう一度問題にはしないという態度であると。郵政省とNHKの御答弁は若干の違いがありますけれども、押し切られてしまったからそのままにせざるを得ない、こういうことになるのでありましょうか。この問題についても私どもは今回の予算について意見を持っているファクターであるということを申し上げておきます。
 それから、今回の予算では消費税相当分の収入は幾らで、幾ら差し引きされて幾ら納税される計画かという数字が端的におわかりになればお示しをいただきたい。
#93
○参考人(尾畑雅美君) 今御審議いただいておりますNHKの平成二年度予算における消費税は受信料等収入にかかる売上消費税でございますが、これが百三十八億円でございます。それから、一方、NHKの物品、サービスの購入に含まれる仕入れ消費税が七十四億円でございます。そして、売上消費税と仕入れ消費税の差額が納付消費税でございまして、これが六十四億円でございます。
#94
○山中郁子君 次に、放送衛星の問題についてお伺いいたします。
 BS2X、これもさまざまな角度から論議が交わされました。打ち上げに失敗したわけですけれども、その原因はどのようなものか。
#95
○参考人(中村好郎君) BS2Xはことしの二月の二十三日に打ち上げたわけでございますけれども、打ち上げ約六秒後にロケットの不調で成功しなかったわけでございます。
#96
○山中郁子君 会長にも思い出していただきたいと思うのですけれども、それからまた昨日も及川委員がかなり時間を使って論議をされておられましたけれども、私も実は昨年の委員会でかなり議論をいたしました。その際NHKの方たちから、たまたま安く買えるものがあった、それで緊急避難的にどうしても必要だということで強調されたわけです。そういうことで、たまたまあったと。それで、どうしても必要だと。そういうことだけれども、それじゃどうしても必要なものがたまたまなかったらどうするのかというようなことだとか、それからあるいは、どうしても必要だというものが今回の事態を招くようなことがあったらどうなるのかという趣旨のことも含めて私は御質問いたしました。そうしたら島会長はちょっと気色ばんで、たまたまあったというふうなことを言うとは何事だ、だれが言ったか知らないけれども、この衛星の推進の責任者として自分はバックアップ体制を初めから現在に至るまできちっとやってきたつもりであるということをかなり強調されました。
 私はその点について改めて会長のお考えを伺いたいんです。ということは、最近の会長の記者会見での話された中身として報道されていることについても、先月打ち上げに失敗した放送衛星BS2Xにかわる補完衛星を新たに調達する考えを明らかにしたというふうに報道されております。そういう点での現時点での会長のお考えをお伺いいたしたい。
#97
○参考人(島桂次君) 元来、衛星放送というのは非常にまだ技術的に不安定な部分も残念ながら残っております。衛星放送はまだ技術的に万全ではないという側面がございまして、やはり本格放送のためには絶えずバックアップ体制が必要であるという考え方をかねてから持っておりまして、それは現在も持っておるわけでございますけれども、2Xが世界でも一番安全度の高いアリアンロケットの事故という思いがけない事故によってああいうことにはなりましたけれども、私は依然としてバックアップ体制が必要であるということは今現在もそのままそのとおりであると思っているわけでございます。
 したがって私どもは、今、先ほど来の委員会でも申し上げているとおり、現在上げておりますBS2b、これは来年一月まで安定的に運用できると一〇〇%近い確度で私は信じておりますけれども、3aの打ち上げのこともあり、できましたらことしじゅうにも、この一年以内にもそのバックアップ体制がとれるような衛星とロケットがあるかどうか、日本国内を初め全世界をいろいろ今調査しているわけでございます。もしこの調査がきちっとあるということになっても、これはNHK一存で打ち上げるわけにはいきません。当然のことながら郵政省を初め政府あるいは国会の皆さん方とその際には御相談申し上げなければいかぬ、こういう考え方を現在持っているわけでございます。
#98
○山中郁子君 この打ち上げが失敗したときに、NHKのどなたがということは申し上げませんけれども、かなり反射的にNHKの方が反応されたことは、いや今のものが優秀なんで大丈夫なんだ、それはバックアップができなくても大丈夫なんだということをおっしゃるんですよ。だけれども、片方ではバックアップはどうしても必要なんだ、こういうことにもなるわけです。私はだからどっちだというふうに今主張するという立場ではないんですよ。だけれども、そこのところは一体どう考えていくべきなのかということをNHKの方にお伺いしたいということがあるんです。
 それで、八月にBS3が打ち上げられてうまく働くということになると、バックアップは要らないわけですね。要らないというか、要るというあなた方の主張なんだけれども、一〇〇%に近い技術的なあれが大丈夫なんだと、こういうお立場で今もいらっしゃるわけだから、大丈夫だよというふうにして、視聴者に安心してもらうというお気持ちが働くのかどうかわかりませんけれども、そういう問題との矛盾がどうしても出てくるんですが、BS3がうまく働いたら、今度は、もしそれまでにバックアップ衛星というものが動いているという前提に立って考えるならば、バックアップ衛星は何に使うことになるのですか。
#99
○参考人(島桂次君) 3aとかbが無事に上がったときに何に使うかという前に、残念ながら今の衛星技術では一〇〇%完全にというわけにはまいらないわけでございます。万一の場合がありましたら、私どもはやはり公共放送、しかも衛星放送を現実にもう初めており、もう二百万以上の方がパラボラアンテナを買っているわけでございます。そういった人たちに対してNHKとしてまことに申しわけない。もうこれはとんでもない事態になる、それを防ぐ。万一のどんな少ないパーセンテージであっても万一の場合に備えるというのは私どもとして当然の義務じゃないか。
 何かNHKの一部の云々というような先生のお話もございましたけれども、この問題についてもそうでございますけれども、NHKの最終的な執行部の意思決定は私がやっているわけでございますから、ひとつ私の言うことを信用していただきたいと思います。
#100
○山中郁子君 別に島会長の言うことを信用しないということではありません。ああいう事故が起きると反射的にいろんなところから漏れてくる、いや大丈夫なんだ、大丈夫なんだと、こういうふうに出てくるわけでしょう。そうすれば、大丈夫なのにそれじゃどうして上げなきゃいけないのか、こうなる。
 なぜ私がこのことを申し上げるかというと、あなた方も御承知だと思いますけれども、今おっしゃったように、機械のことだから万一ということがある、その場合には大問題になるわけでしょう。たくさんの方が高いお金を出して設備を購入していらっしゃる。そしてまた、昨年以降は本来ならまだ未契約の方もいらっしゃるかもしれない、いらっしゃるでしょうけれども、契約されてお金を払っていらっしゃるわけだから。きのうもそのお話が出ました。万一のことがあったらどうするのか、どうなるのかというときに、もちろん受信料はいただきませんと、ここまでは御答弁があったんですね。放送を聞けないような状況になっているんだから受信料をいただかないのはそれは当然だと思いますけれども、問題は、やはりそうしたときのNHKとしての、視聴者が高いお金を出して衛星放送を見るために買った設備に対して投資したお金とか、そういうものに対する補償みたいなものは一体どうなるのかという問題があります。
 これは前から私も問題にしてきましたけれども、NHKは少し地上波の放送で衛星放送の宣伝をやり過ぎるんです。本当にいつからNHKはコマーシャル放送になったのかという意見がかなりあるぐらい頻繁にやるでしょう。ああいうのを見ていると、ああ衛生放送見たいなと、こう思ってそして多くの方がお買いになるわけです。そして、あるときパアになったということになったら損害賠償をNHKに求めようと、こういう思惑で今や設備の購入に走っているということが週刊誌なんかで話題になって取り上げられているような状況もつくり出されている。言いかえるならば社会問題になるという可能性を含んでいるということなんです。
 端的に伺いますが、今会長もおっしゃったように、もしかしたら万一ということは確かにあると。今現在だってあるわけでしょう、あれは落ちてしまったままですからね。そうしたときの損害賠償というものはどういうふうに考えておられますか。
#101
○参考人(島桂次君) そういう事態を、万一の事態を招かないように今全力を私は尽くしているわけでございます。
#102
○山中郁子君 招かないようにということは、万一の事態が起こる可能性があるから、先ほどからおっしゃっているように、バックアップも必要で探しているんだとかおっしゃっているわけでしょう。だから、そういうことになったらどうする考えなのかということを私は伺ったんです。
 しかし、昨日来そういうお答えから一歩も出ませんから、あなた方は補償するということの事態は考えておられない、何とかしてそういう補償問題が現実の社会問題になるような事態にならないようにしますと言うだけでかわしていらっしゃるわけなんだけれども、それは裏を返せば、そういう事態が起こる可能性があるということをあなた自身が認めていらっしゃるからこそ先ほどからおっしゃっていて、自分の言うことを信用してくれとおっしゃるから、私が会長のおっしゃることを信用すればそういうことになるんですよ。
 だから、万一ということがあるからバックアップ打ち上げるわけでしょう。それが今ない状況なんだから、今だって万一ということがすぐに起こる可能性があるわけでしょう。そのときの問題として、現にそういうことで週刊誌なんかで報道されているような、その節には、そういうことが起こったら損害補償をNHKに求めよう、郵政省に求めようということで機器を買い込んでいる人がいるみたいなことが報道されて、真偽のほどがどこまでかは別として、そういう事態があるということを私は申し上げていますので、これ以上押してもそれを越える御答弁がいただけるとは思えませんから、その点の指摘をして、真剣にやはり考えなければならない問題であるということをぜひ認識していただきたいと思います。
 それから、SNG、つまりサテライト・ニュース・ギャザリングですが、SNG用の衛星放送中継車、今回の年度予算の建設計画の中の大きな柱として計上されているわけですけれども、全国配備の計画のようですが、具体的にはどうなるのでしょうか。どういう地方に何台配備されるという御計画か伺いたい。
#103
○参考人(中村好郎君) できるだけ早期に各県域の放送局に配備することで今考えております。
#104
○山中郁子君 ちょっとよくわからなかったんです。できるだけ早期にはわかったんだけれども、どこに何台、どういうところに何台配備されるという具体的な計画になっているのですか。
#105
○参考人(中村好郎君) NHKは県単位に局が一局ずつございますので、そういう局に一合ずつ配備することで計画をしております。
#106
○山中郁子君 早期にというと大体どのぐらいのめどをお考えでしょうか。
#107
○参考人(中村好郎君) 予算が御承認されました
ら直ちに設計をして製作にかかっていくということになりますので、大体早くて六カ月くらいはかかるというように考えております。
#108
○山中郁子君 次に、受信料の収納体制の問題についてお伺いいたします。
 これもNHKの方からレクチャーを受けた中で、新営業計画、これは前から言葉としては伺っている記憶があるんですが、その中で収納関係経費を切り詰めたいというお考えがあるというふうに伺っているんです。そうしますと、いわゆる今の委託集金人の方たちの要員削減というふうにどうしても結びつかざるを得ないと思うのですけれども、その場合に、一般的な意味での経費節減とか合理化とかということだけじゃなくて、今、衛星放送が発足して衛星放送の受信者の契約というものをあなた方は進めなくてはならないということが一つの大きな問題点、課題であるわけでしょう。そうすると、その場合に委託集金人の削減をするとすればそれはどういう問題が引き起こされるのか。あるいは今回値上げをされるという、私どもはこれに反対ですけれども、その値上げをされるとすれば、またそれはそれで視聴者の方々にいろいろ説明もされなきゃいけないわけでしょう。そういう問題を考え合わせると、新営業計画なるものの中にある収納関係経費の切り詰め、つまり具体的には一八%を占めているものを一五%までに縮めたいという御説明だったわけですけれども、この問題についてのお考えを伺います。
#109
○参考人(高橋雄亮君) 先生御指摘の新営業構想でございますが、これはかねがねNHKの集金にかかる営業経費が高過ぎるという御指摘がございまして、もう少し経費を下げたらどうだということが種々指摘されました。そういう中で、六十三年度からこの新営業構想をとりまして一八%台の営業経費を今後五カ年間に一五%台に引き下げようということで努力してまいっているわけであります。
 そこで、今度新しい五カ年計画をお願いいたしまして、平成二年度の予算を今御審議いただいているわけですが、この五カ年間の経営計画の中で、私どもは新営業構想の考え方を引き継ぎながらこの経費を削減していく。それともう一つは、地上の契約、衛星の契約促進、こういうようなものを計画どおり実行する。それから、最近の労働力の構造変化に伴う需給見通しといいますか、労働力不足というか、こういうものも勘案しながらこの五カ年計画の中でなおかつ営業経費の削減に努めたいというふうに考えているわけであります。
 そのためには、平成二年度で申し上げるならば六百七十六億が営業経費になっておりますが、その八割が人件費であるということですから、おのずから営業経費の削減には先生御指摘のように人件費を減らしていかなければならないということになります。
 そこで、契約を促進し、しかも一定の量を確保していくということですから大変厳しい環境に立つことは間違いないわけでございますが、我々といたしましては、現在の訪問集金をできるだけ圧縮するために、現在七五%程度の口座を五年間の間には八八%程度まで引き上げることによって労働力の再配分というものを考えてまいりたい。
 それから、最近は委託に一定の区域を持たせて集金業務その他に携わってもらっているわけですが、欠区が出てくるわけです。そういう場合に、この労働力不足の時代でございますから、多角的な労働力の活用というものを考えていきたい。つまり、パートとかあるいは主婦の力をかりるとかあるいは地方の組織の力をかりるとか、あるいはいろんなデリバリー会社の協力も得ながら、NHKの公共性というものについての趣旨を十分御理解いただいた上でお力添えを願いながら、多角的な労働力の活用といいますか、集金労働力の見直しというものを進めてまいりたい。そういうことで、この五カ年間の中には、そういう事態について十分見込んだ上で我々としてはなお営業経費の削減に努力するということでお願いしているわけでございます。
#110
○山中郁子君 私が今ここでちょっと申し上げたいのは、今NHKは一般的にも、あなたがずっと削減とかそういうことをおっしゃるけれども、衛星放送の契約をちゃんと実質的にやっていかなきゃいけないという新たな課題を抱えていらっしゃる。それからさらに、ことし受信料を上げるとすれば、受信料を上げさせていただきました、ぜひ――何回もいろいろおっしゃっているそういうことを視聴者の方にも説明しなきゃいけない、そういう新しい仕事がふえるわけですよ。直接視聴者に結びついてそれでいろいろと理解を得ていかなきゃいけない問題が出てくる。にもかかわらず、そのような形で委託集金人の方々の削減とか、そういうところの仕事というのは簡単に、それじゃおっしゃるように、わかりました、振り込みにします、衛星料金も払います、そう簡単にいかないことはもうあなた方が一番よく御存じのところだと思うのです。そこを無理に推し進めると、あなた方が本来進めなければならない営業の仕事自体と矛盾することになる。
 それから、今お答えがあった多角的なというふうにおっしゃるけれども、それは今まで委員会の中でも何回も議論されてきたことですが、委託集金人の方たちが本当にNHKの放送の公共性、受信料制度というもののその本質を理解されて、それで視聴者の方との契約を進めなきゃいけないんだということで、教育的な重視も含め、また委託集金人の方たちのその仕事に対する誇りとかその意義の理解ということも進める、そういうことが議論になってきていることでしょう。それなのに、それを何かパートの人に頼めばいいとか、多角的という言葉の中身というのは、要するにその内容が一層軽んぜられるというところに結びつかざるを得ない内容を持っているということを私は申し上げております。
 このことだけで今私は議論に時間をとれませんので、今私が申し上げました委託集金人の方の労働条件、雇用の問題も含めて慎重にこの問題についてはお取り扱いになるべきであると思いますので、その点についてだけの、特別な御異議がなければお約束をいただきたい。
#111
○参考人(高橋雄亮君) 誤解があると困りますので一言だけ補足させていただきますが、今働いている、私どもがお願いしている委託さんを積極的にやめさせていくという意味の削減ではございませんで、おやめになった後補充しようと思っても、なかなか実際のところ、いろんな手を使って募集しても集まってこないというのが現状なわけです、これだけ労働力が逼迫しておりますから。したがいまして、私どもはそういうことであるならば新しい形の労働力の確保というものに努めていかなきゃならない。しかしながら、私がかねがね申し上げておりますように、委託さんというのはNHKの先兵でございますから、NHKの企業内容について十分熟知していただいて視聴者と接触してもらわなきゃいけませんので、そういう新しい方たちについてはそういうようなトレーニングする場を充実しつつ質の向上を図ってまいりたい。しかしながら、残念ながら思うように集まらないという現状がありますので、一定の数は確保しなきゃなりませんので、そういうところを申し上げたということでございます。
#112
○山中郁子君 ちょっと違うんですね。私が問題提起したのは、あなた方は収納関係経費を切り詰めるよということで、それで一八%から一五%にする目標をお立てになっているから、それで、業務内容はそれじゃどうなるのかと今申し上げたら今度は、人が集まらないからほかの人を頼んで、切り詰まらなくなるでしょう、それ。同じことでしょう、それだったら、あなた方のおっしゃることは。だから、そういう何というか、言い逃れ的な答弁はなさらないで、私が申し上げました本質は、衛星放送の契約だってあなた方はちゃんととらなきゃいけないんでしょう。値上げをしたらそのことについて視聴者の理解も得なきゃいけないんでしょう。それだったら、いわゆる新営業計画などといって収納関係経費を減らさなきゃいけない、そういうようなことにはならないでしょうということを私は申し上げているので、そういうことはちゃんとお受けとめにならないといけないのではないですか。
 特に辺地難視解消ということがあります。これも大変重要なことなんです。これは例えば私も自分の経験でもって、NTTの電話料の収納なんかの問題で、振り込みにという、そういう方向でNTTが進めてきている。だけれども、地方へ行けば行くほど、例えばひとり暮らしのお年寄りの中にはやはり振り込みでというのはとても抵抗を感じて、実際に電話局へお金を持っていって納めるようにしたい、したがって電話局の営業が閉鎖されてしまうのは困る、こういう要求というのは結構あるんです。ですから、辺地難視なんかの問題を考えてみれば、やはりどうしてもそういうケースも出てくるわけですから、今申し上げましたことをよくお考えになって、理屈の上で言い逃れるというふうなあなた方の答弁の姿勢は以後改めていただきたいということを申し上げます。
 次に、今の問題と関連いたしますけれども、労働条件の問題です。
 いわゆる長期展望に関する提言も「意欲の向上とゆとりを重視した勤務管理によって、創造性と専門性をもった人材の育成、確保を図ることが肝要である。」ということが言われております。それで、そういうことを保証するものは何かといえば、やはり労働条件というか職員が作業する場合の条件です。そこが大変大きな問題になっていますけれども、この点について職員の方から実態を伺えば、それからまた労働組合のさまざまな新聞だとか機関紙だとかそういうものによってもわかるのですけれども、ゆとりどころか状況はますます厳しいものになってきていて、そういう労働実態が改まっていないという現状があるんです。
 例えば、年休も十分とれない、それから残業もひどい状況にあるというようなことが訴えられていますが、年休の取得状況とか残業の実態はいかがでしょうか、お調べいただいたでしょうか。
#113
○参考人(植田豊君) NHK職員の年次有給休暇でございますが、計画的な取得促進に年々努力してまいりまして、全職員平均で六十三年度で十八・九日になってございます。取得しにくいということで私ども非常に努力をしておるのが放送現場でございますが、この放送現場で十六日程度となってございます。なお、労働省調査によります平成元年度の全産業平均が八日というふうに聞いてございます。
 それから、残業の実態でございますが、ここ数年間時間外勤務の平均は月間ほぼ三十時間となってございます。放送業界の特殊性から一般に極めて残業時間が多いというのが実情でございますが、同業の民放に比べますと低いという状況かというふうに思います。
#114
○山中郁子君 民放と比べれば低いというふうな御答弁を現場の職員の方がお聞きになると、民放の賃金とそれじゃどうなのかともう反射的におっしゃるでしょう、というのが私の感想でありますけれども。具体的な数字は私どもの把握している数字と開きがありますので、それはまた引き続き詰めたいと思います。
 それで、いずれにしても有給休暇は二十一日ですね、NHKは。それはみんな消化されていない、あなた方の数字によっても消化されていないという状況で、特に放送現場にあってはそれがさらに低い。ほかの全般の産業実態はどうであるかということとの比較でもって少しでもいいじゃないかみたいなことは、これまたあなた方の答弁の態度としては私はいただけません。
 そのことと、それからちょっとあわせてお伺いしたいのですが、NHKでは祝祭日とそれから休日がダブった場合に、ダブり損というんですか、そのまま例えば手当も出ないというふうな形になているようですけれども、その辺の改善策は何かお考えがありますか。
#115
○参考人(植田豊君) NHKは現在四週七休制でございます。四週七休制は四週間で四日の法定休日をとる、あわせまして四週間で三日の付加休日をとると、こういうことになってございます。法定休日が日曜日で、かつ祝祭日のときはその翌日の月曜日に法定休日の振りかえを行い、休日とするということは先生御指摘のとおりでございます。なお、日曜日以外の法定休日が祝祭日に当たるというふうなときには振りかえを行いませんが、後日代休を付与するということにしてございます。
 御質問の付加休日でございますが、法定外の休日でもございますので、祝日と重なりましても振りかえ、代休の付与を行ってございません。
#116
○山中郁子君 四週七休とおっしゃったけれども、これは時短なしの四週七休なんです、もう御承知のように。それでいて、なおかつ今お答えのような状況で職員の方が意見を持っているということは当然のことだと思います。
 ちょっと御紹介をしておきますが、先ほどの残業その他の問題の実態との乖離もあると私は思いました。これは日放労の機関紙での組合員の方の発言ですけれども、「時間外は増える、休みは取れないというのがいまの実態だ。困難な状況のなかだが、まず時短を実現し、完全週休二日制に結びつけたい。」という発言をしておられますけれども、そういうのが実情だということで、これに類する多くの発言は組合関係の文書などにも出ています。
 もう一つあわせて、職員の労働条件とのかかわりでお尋ねしたいのは海外取材体制の問題なんです。同じく日放労の労働組合のこの中で、組合員の方が主張していらっしゃるんですけれども、「海外取材は、へき地や不衛生な地域の取材が多く、危険手当を求める声も多い。また一人でカメラ、照明、音声をこなさなければならず、想像を超える過密労働だ。国内基準との同一化を実現したい。」、してほしいということを主張されておられます。
 これは私、少し前のある雑誌での対談で見てきたんですけれども、ここで前の経営委員長の磯田一郎さんと、それからやはり前NHKのキャスターをしていらっしゃった、フリーのキャスターだと伺っておりますが、宮崎緑さんが対談をなさっている中で、宮崎さんが、「私は報道の現場におりますが、」、当時おられたわけですね、「たとえば特派員にしても、アメリカのABCあたりは何百人のオーダーで世界中においているんです。一方、NHKは五〇人もいない」というようなことを述べておられたり、先ほど紹介しましたこの現場の方の発言、こういうものともあわせて、NHKは国際的にどういう状況にあるのか、それからこういういうものを補充強化していくということがやはり必要なのではないか、これからの放送のあり方との関連で。その辺はいかがでしょうか、お考えをお伺いいたします。
#117
○参考人(植田豊君) 海外総支局がただいま衛星の二十四時間放送というものへの取り組みを一生懸命やってくれております。したがいまして、情報が一段と国際化し、あるいは東欧が激動するといったような中で、業務が増高しておるというのは事実でございます。
 これに対して、協会といたしましては、昭和六十年度以降ぐらいになりますが、情勢変化に即応した形で海外の再編成を行ってまいりました。この中には現地で関連団体を一部活用するというような取り組みもいたしましたり、あるいは現地のプロダクションを活用するというようなこともしてございます。それから、取材クルーを東京から必要に応じて臨機に派遣をするということも取り組んでまいりました。かような努力を続けながら、できるだけ日常の業務を軽減してまいりたい。結果として、真に国際ジャーナリストとしての資質、能力を高めていく、本当のジャーナリストを育成していくという方向で経営としては努力をしてまいりたいというふうに考えております。
 なお、新聞等との対比でございますが、全国紙に比べまして同程度かややNHKは下回っているのが実情でございます。私どもとしては、海外業務の増高というのはまことに顕著なものがございますが、この増員というものにつきましては軽々にすべきものではない、先ほど申し上げましたような総合的な施策の中で努力を続けてまいりたいというふうに考えてございます。
#118
○山中郁子君 この問題は、一つ一つのことでもっていろいろと話を詰めていくという条件が今ありませんので、ぜひ会長にもお約束をいただきたいというか、見解を披瀝していただきたいと思うのですが、先ほど私引用しました長期展望に関する提言の中でも、「意欲の向上とゆとりを重視した勤務管理によって、創造性と専門性をもった人材の育成、確保を図ることが肝要である。」と。また同じように、他の場所でありますけれども、とにかくクリエイティブでなければならない、つまり創造性をもったと。今ここのところがさらにより重視されて、そういうものでないNHKというものはむしろ必要ではないんだというところまで強調されている部分があります。こういうものは、そこで働く人々の、創造に携わる人々のゆとりを持った労働現場の状況というものが不可欠だという点で、私は幾つかの具体的な問題を指摘しましたけれども、それの一つ一つについてどうこうということを今やっている時間がありませんけれども、その点はNHKの基本的な姿勢として重要な問題として重視し、努力をされるというお約束はぜひいただきたいと思います。
#119
○参考人(島桂次君) ただいま先生が指摘された問題はそのとおりであると考えております。
#120
○山中郁子君 次に、NHKの政治的公平、報道姿勢の問題についてお伺いいたします。
 私どもは毎回、従来から国会中継が時間切れになったり、特定の政党の質疑応答が深夜に放映されるような事態は公平原則に反する、そういうことで指摘をしてまいりました。最近はそういうケースになることが結果論として少なくなっております、現在のところは。それからまたNHKの側の態度も、最初は大変かたくなにそういう問題は関知しないかのような態度をとっていらっしゃった時期があったんですけれども、研究しなきゃならないというふうなことに多少とも変化が見られておりますから、いつまでも私はこのことを大きな問題として問題にするということに必ずしもこだわるわけではありません。しかし、保証がないんですね。今そういう形にして改善されてきているけれども、NHKの中立公正な報道姿勢というものの確立の問題と絡んで、その保証がないから、予算委員会の運営自体の結果、今六時以降に特定の政党が夜中の放映になるというようなことがなくて済んでいるけれども、それはNHK自身が例えば三チャンネルに変えるとか、もう少し早い時期にあれするとかというふうなことについて約束がされていない以上、やはり保証がないということはそのほかの現象とも絡んで重視せざるを得ないということを私は今申し上げたいわけであります。
 ほかの問題というのは何かと言えば、ごく具体的に最近の例を申し上げますと、三月二十四日に放映されました長時間討論番組「超高齢化社会の衝撃」というものがありました。これに政党として出席して討論をしたのは自民党と社会党だけでありました。公明党も共産党も民社党もそれからは排除されている。そして短時間の責任者のインタビューをその中に織り込むということでいわばお茶を濁したということは、これはもってのほかであって、こういう姿勢が後を絶たないということがあるから、放映問題についてもなお重視しなければならないのだということです。
 ちなみに、さらにもう一つ例を申し上げますと、昨年の十二月二十四日の「いま政治を問う・消費税」、これは別の観点からも話題になってきているものですけれども、これでも第一部では自民党と社会党の方のみの討論でありました。こういう政治的な不公正が行われていること自体、一番最初に私が確認をいたしました公共放送としてのNHKの立場の理念、それにもとるものであるということを私は強く指摘しなければならないし、今後こういうことは絶対にあってはならないということを反省を含めて会長からお約束いただきたい。
#121
○参考人(島桂次君) 政治的公平さという問題については、現にここの委員会に出席されている各党の方々もそれぞれ立場が全く同じではないんじゃないかと思うんです。
 我々としては、すべての、あらゆる要素を含めた総合的な判断として何が公正かということを考えているのでございまして、物理的に一括して考えているということじゃありませんので、あくまで我々は編集判断としてこういう形が一番公正であるという一つの基準をつくってきちっとやっているわけでございます。
#122
○山中郁子君 では、その基準をお示しください。
#123
○参考人(島桂次君) 基準というものは、もちろん放送番組の多様性、いろいろのケース、一時間番組もあれば十時間番組もあります、極端に言いますと。そういうケースごとにその番組それぞれの中で何が一番公正かということを考えているわけでございます。
#124
○山中郁子君 それは基準にも何にもならないじゃないですか。あなた方の恣意的な判断でやるよということだけにすぎないでしょう。私は最低でもこの問題だけは明らかにしてもらいます。
 伺いますが、三月二十四日の長時間討論「超高齢化社会の衝撃」という番組は何時間でしたか。
#125
○参考人(遠藤利男君) この番組は午後七時二十分から九時まで、九時十五分から十一時までという時間でございます。
#126
○山中郁子君 全部で何時間何分。
#127
○参考人(遠藤利男君) 三時間二十五分でございます。
#128
○山中郁子君 三時間二十五分の長時間番組の中で、自民党と社会党だけを討論で出して、私ども共産党の場合で言えば一分三十秒のインタビューですよ。ほかの党も同じでしょう。そういうことがどうしてバランスなんですか。何が基準でそういうことが公正だとおっしゃるんですか。
#129
○参考人(遠藤利男君) この「NHKスペシャル」の長時間討論は、「超高齢化社会の衝撃」ということで、「日本型福祉社会はつくれるか」という表題でもってこの日の討論を行ったわけでございます。超高齢化社会というのは、これから三十年後、これはもう先生方既に御承知のことと思いますが、大変な勢いで我々の負担として押し寄せてくる。その高齢化社会というものをどういうふうにつくったらいいのかということをみんなで考えてみようということでございまして、もちろん、これには当面の政治家の方々も御参加いただきましたけれども、作家の方あるいは評論家の方あるいは病院の医長さんあるいは学校の先生、そういう方々と一緒になって高齢化社会を考えましょうということでございまして、これは直近に迫った政治的な課題について、ある政策についてここでもって討論しましょうという形ではございません。そういうことで私たちはこれから三十年後のことをみんなで考えてみましょう、討論しましょうというつもりでつくった番組でございます。
#130
○山中郁子君 あなた、重大なことをおっしゃっているんですよ。そういうことだと自民党と社会党だけでいいんですか。何にも答えてないじゃないですか。私、あなたに答えていただかなくていいですよ。会長、答えてください。三時間二十五分にも及ぶ長時間番組の中で、それは政党以外の方たちもいらっしゃったでしょう、私知っていますよ。それなのにその政党として自民党と社会党しか出さない。その前にも、去年もあったんですよ、それが。そういうことが何で政治的に公平なんですか。放送法にいう政治的な中立公正のNHKの番組なんですか。違うでしょう。私はそのことを言っているんです。いいですよ、会長に答えていただきます。そういうことに対してあなた方何の反省もしないでこれからもそういうことをやると言うのですか。
#131
○参考人(島桂次君) 先ほど遠藤理事が申し上げましたように、番組にはいろいろの種類があるわけでございます。これが仮に政党間討論というような形で高齢化社会という問題に取り組んだ番組で三時間二十五分やった中で自民、社会だけで、政府側も出席したわけでございますけれども、やりましたらこれはお説のとおり政治的公平を欠くと思いますけれども、これはむしろ現在の高齢化社会に対してどう対応するかという、厚生省が中心になって政府で今つくっている十カ年計画というものがどういうものであるか、特に外国のスウェーデンとかあるいはアメリカとかいろいろそういうところとの対比の中で、政治家の方々にも一部参加していただきますけれども、要は国民各界各層の人たちがどういうふうに判断するかというところにウエートを置いた番組でございますから、これは私が申し上げているように番組の目的、趣旨、それによっていろいろのバリエーションが出てくるというのは当然のことじゃないかと思うんです。あらゆるときに何か自民党が出れば必ず五つの政党、四つの政党を全部そろえるとか、あるいは自社、いろいろケース・バイ・ケースであるということの方がむしろ私たちは公正ではないか、こう考えております。
#132
○山中郁子君 政治家も政党も参加する、じゃ政党と政治家は自民党と社会党だけだ、そういうことをおっしゃっているわけですね。
 もう一つ言いますよ。昨年の十二月二十四日はまさに「いま政治を問う・消費税」、こういう番組だったんですよ。そうでしょう。それなのに自民党と社会党の討論しか第一部でやらないんです。これが政治的公正を欠かないということをあなた方言い張るなら、自分たちの思うだけで、自分たちの恣意的な考えだけでやるよということ以外の何物でもないじゃないですか。どういう基準があるんですか。十二月二十四日、「いま政治を問う・消費税」の第一部の討論が自民党と社会党だけであったということについてはどういう基準でおやりになったんですか。
 それから、先ほど申し上げました「超高齢化社会の衝撃」の問題だってこれは政治の問題じゃないですか。それは政治家だけじゃなくてほかのいろんな方がお集まりになっていることはよく知っていますよ。番組としてのいろいろな中身ありましょう、そういう貴重なところありましょう。だけれども、政治家として政党として自民党と社会党だけでは政治的中立公正を欠くじゃないかということを今私申し上げている。そういうのはそれぞれどういう基準なんですか。今までのあなた方のおっしゃることだったら自分たちの胸三寸だ、そういうことだけにしかならないじゃないですか。そこを私は一番最初から問題にしているんです。
#133
○参考人(島桂次君) これは結局、先生と私との間にはかなり考え方の差が最後まで残るんじゃないかということを言わざるを得ないのは、私は政治的な公正中立というのは必ずしも物理的に全部同じに扱うということではないというふうに考えているわけです。それは政党にも大きいところから小さいところいろいろあるでしょう……
#134
○山中郁子君 小さいところは無視すんですか。
#135
○参考人(島桂次君) 無視はいたしません。無視はいたしませんけれども、それを必要に応じてきちっとやっていくということの方が私は国民全体、視聴者全体の側から言えば、私は私なりの、あなた方勝手に恣意でやっているとおっしゃいますけれども、恣意じゃなくてむしろ、あの番組についてももちろん先生のような御指摘もございました。しかし、ああいう形が一番よかったという御意見もかなりそれを上回る多数の数であるわけでございます。決して私どもは恣意的に勝手に判断してやっているわけではないということを申し上げておきたいと思います。
#136
○山中郁子君 ああいう番組の方がよかったという意見があるというのは何人、どういう形で出したのか、それじゃ言ってください。どういう意見があったんですか。何人の人からああいうやり方がいいという意見があったんですか。会長、いいかげんなことを言わないでほしいんです。
 それで、問題は、三時間を超えるような大きな番組ですよ。そして、当面する重要な政治課題であるそういうものを自民党と社会党だけの大きな政党さえ呼べばいいんだ、それじゃどこに中立公正の基準があるのかと私は言っているんです。ないでしょう。私の言うことをあなたは考え方の違いだなんて、それじゃ中立公正というのは一体どういうことなんですか。三時間を超える番組の中で、そして各政党がそれぞれの立場で、政治活動で、逓信委員会だってそうですよ、各政党の代表としているわけでしょう。そういうのを無視して、大きな政党だけ呼べばそれでいいんだということの基準というのは何ですか。政治的中立公正というのはそうしたらどういうことなんですか。責任を持って明らかにして、誠意を持って私は考え直してくださいと言っているんですよ。反省してくださいと言っているんです。考えてみましょうと何で言えないんですか。
#137
○参考人(島桂次君) これ以上また具体的な話になりますと非常に問題が混線するおそれもございますけれども、一つだけ申し上げておきたいのは、例えば三時間二十五分と先生おっしゃいますけれども、その中での政治家の先生方の発言というのは延べ時間にすればかなり少ないんじゃないか。三時間二十五分対一分半ということではなかったように、私は、具体的に計算しておりませんけれども、そういうことも含めまして、せっかくの先生の御指摘はよくわかりましたので、その御意見をもう一度部内でいろいろ検討させていただきます。
#138
○山中郁子君 第一部と第二部があったぐらい私だってよく知っていますよ。そういうのはどういう時間帯であったかということだってよく知っていますよ。ようわからないけれども大してバランス欠いてないみたいなことは、あなた随分不見識な態度ですよ。最初から随分偉そうに大きな顔して言っているけれども、よく考えてください、この問題が公共放送としての生命なんだから。私どもはそういう立場に立って、NHKが公共放送としての任務に照らしてよりよくあるように一生懸命いろんな点でもって、逓信委員会だって申し上げているんですよ。そこのところが大きな問題だということを私たちは何回も今まで言ってきました。
 はしなくも、それがこんなに象徴的な形で明らかになるとは私はゆめ思いませんでしたけれども、島会長がせっかくの御指摘だなんて、全くどういう言い方ですか。どうにもならない。当たり前な、国民がみんな感じている指摘ですよ。そういうものを少なくともとにかく考えるというふうにおっしゃったんだから、ちゃんと心して、公共放送の何たるか、一番最初にあなたはおっしゃったけれども、そういうところを私は初めにきちんと押さえてほしい。そういうことがなければNHKの今後の展望というものが開けないですよということを申し上げてきたんです。よく心してお考えになり、今後の問題として解決を図っていただきたい。私もこの問題については、ちゃんとした決着を図っていかない限りは、重要な問題として引き続き取り扱ってまいります。そのことを申し上げまして私の質問を終わります。
#139
○足立良平君 この委員会におきまして今審議がされておりますのは予算を中心にしたNHKの問題でございますが、受信料というものを考えてみますと、これはもう正直に申しまして幾らでも、幾らでもと言ったら言葉は悪いかもしれませんけれども、安い方がいいというのは、これはもうやっぱり庶民の一般的な感覚だ、このように思うわけであります。ただ私は、そういう安いことは望ましいというけれども、それでは一般的な公共料金というものがそれぞれの経営体が赤字のまま、そのまま将来的に存置をされ、放置をされ、そして政治的にその料金というものは赤字のままでいいんだ、安い方がいいんだ、こういうことで決めていくことは、ある面におきましては、ちょっと言葉は言い過ぎになるかもしれませんけれども、かつての国鉄のような状況になってしまう危険性を持っているというふうに思いますから、そういう面からいたしますと、この公共放送というものの責務を遂行していくという観点で、やはり適正な料金の改定というものはある時期においては必要だ、私はこういう立場を実はとっております。
 その立場から考えてみましても、ただ一点だけ、既にこれはそれぞれの委員の皆さん方が議論されてきておりますから、余り何回も繰り返すことは適当でないと思いますけれども、少なくとも私が申しましたような立場をとったといたしましても、今回のような例えば三月の二十日でございましたか、こういう提出をされてきた時期、あるいはまたこの大幅な、三百円という三〇%に近いような値上げの幅、そういう点から見ますと、一体この公共料金というものがその視聴者、お客様、国民がお客様であります。NHKの皆さん方は、ここでずっと私はお聞きをいたしておりますと、視聴者という言葉を使われておりますけれども、NHKから見るならこれはお客様だと。お客様という概念が私はちょっと欠けているなという感じを実は受けたわけであります。
 しかし、いずれにいたしましてもそういうふうにお客様の概念からするとちょっと荒っぼ過ぎるのではないか、こういう感じを私はぬぐえないということですが、これはもう今まで既に議論をされておりますから、この考え方云々ということであえて同じ答弁を求めようとは思いませんけれども、立場として私はそのことをはっきりとまず申し上げておきたい、このように思うわけでございます。
 その上で私はNHKの方にお聞きをいたしたいと思うのですが、この値上げを考えられたときに、昨日の議論であったかと思いますけれども、なぜこのような値上げになったのかということをお聞きいたしておりますと、例えば番組の制作費がどうであるか、これは五年間の経営計画に基づいて、あるいはま国際放送をさらに充実していかなければならないとか、それぞれの各項目をこれからNHKとしてこういうふうにやっていきます、こういうふうに充実をしていきたいということに基づいてこの三百円の改定ということが必要になる、こういうふうに説明があったと思います。
 そうしますと、考え方としてこれはサービスの対価であるかどうかといういろんな議論が今までの国会であったやに聞いておりますけれども、これは一種の総合原価主義といいますか、その原価というものをある程度算定して、そしてその上に基づいて受信料というものの水準が決定されていくのか、こういう感じを実は私受けたのですけれども、ちょっとその点につきましてNHK側の見解をお伺いいたしたいと思います。
#140
○参考人(尾畑雅美君) 足立先生から御指摘いただいたとおりでございまして、私どもは公共放送の果たすべき役割、これが一番重要と考えております。受信料はもとより、NHKという独立体、右にも左にも偏らない独立を維持していくために受信者の皆様方から運営の資金をというふうに思っておりますけれども、一番大事なのは、これからどういう時代の中でどういうことをやっていけば公共放送の使命が達成できるかということが一番重大でございますので、昨日来御説明申し上げておりますように、NHKの一万五千人の英知も結集してきましたし、それから各界各層の先生方の多角的な御審議、非常に洞察力に富んだ御審議もいただきましてその上で経営計画を立てまして、それに伴う費用をはかりまして、その中でどうしても足りない部分を御負担いただく。こういう放送体を維持するための負担金ということでお願いしておるわけでございます。
#141
○足立良平君 その上に立って、これもまた一番最後の方になりますと大体ダブってしまうのでありますけれども、もう少しこの辺明らかにいたしたいと思います。そうしますと、これからのNHKの規模というものあるいは公共放送というものの限度というもの、それが一体どうなのかということが実のところは一番初めに議論されて、そのフレームワークがきちんとした上でないと逆に言いますとこの受信料というものは決めていくことができない、こういうことになってくると思うのです。ですから、そういう面からいたしますと、昨日もそれから本日も午前中含めましてそれぞれの委員の皆さん方の議論がそのようなところに集中いたしたわけでありますけれども、そこで今、島会長の御答弁をずっとお聞きいたしておりますと、五年間は少なくとも今のままいくのですよという考え方を提示されております。
 仮に、NHKの長期展望に関する審議会というものもいろんな点から議論されておりますけれども、これだけ読んだところでは、私も正直言って、大変これは含蓄のある表現をされ過ぎているだけに、逆に具体的なイメージというものがわいてこない。大変うまい含蓄のある表現をされ過ぎているというふうに私は思うわけでありますが、それだけにちょっとはっきりしないという問題点が逆に出てきたんではないかなと、私はこんな感じを受けます。
 それで、ここで私は私の考え方をあえて申し上げさせていただくとするなら、この多メディアの中でNHKのスリム化ということについては必要ではないか。将来のこれからの我が国の大きなメディアの中においては、NHKが余り巨大化過ぎるということはやっぱり問題がある、私はこのように実は考えている一人であります。
 その上に立って、先ほど島会長の方で、五カ年間の計画中は現状でいくけれども、将来にわたっては一応検討をしていかなきゃならない、こういうふうにおっしゃっているわけでありますけれども、この五カ年間はとりあえずそれならそれで現状のまま推移するといたしまして、それでは五年以上の将来にわたって一体この五年間でどういうふうな方向性で検討されようとしているのか、この点につきましてひとつお聞かせを願いたいと思います。
#142
○参考人(島桂次君) 放送を取り巻く環境が非常に大きく変化していることは、るる申し上げなくても先生おわかりのとおりだと思います。その中にあって、NHKがどういうテンポでどういう事業をどういうふうにやっていくかということは甚だ難しい問題であります。一方、国会の皆さん方からは、できるだけ長期にわたってのNHKの役割、仕事をはっきりさせろということは、何回か附帯決議もしていただいております。あるいは先ほど先生がお示しになった審議会の答申その他もろもろ、国民の皆さん方からの意向もいろいろ聞きました。
 私としては、今まで申し上げておるとおり、さしあたってこの五年間は一応現在の波のままで進むけれども、この場合であってもNHKを取り巻く客観的条件が大きく変わってくれば、これはもう聴視者と申しますか、国民の皆さん方の御意向によって我々は形が決まっていく企業でございますからそういうこともあり得るかもしれません。しかし、五年間は大体今の波を維持していっても著しく巨大化という状態には至らないであろうというのが私の観測でございます。
 しかし、そのことは同時に、五年たった後は再編成といいますか、何か一つの適正規模というものを考えなければいかぬ時代に入ってきているな、そのための準備はこの五年の間にいろいろな面で立てていかなけりゃいかぬなというふうに感じていることも事実でございます。そういったことで、当面この五カ年計画につきましてぜひ皆さん方の御理解をいただきたいというのが私の立場でございます。
#143
○足立良平君 実は私、まだ参議院の方に去年の七月に来たばかりでございますから、余り内容的な、議会のシステムというものが実はわかっていない面があるかもしれないのですが、一般的な議論といたしまして、将来の問題を一体どのように洞察していくのか、あるいは変革をしていくものに向かってどのように準備をしていかなければならないのだろうかという議論をいたしますときに、えてして、例えばきょうここで郵政大臣がこのように答弁された、島会長がこのように答弁された、一年後になってそのとおりに全くなっていないのはけしからぬではないかという議論をやる前提で将来のあるべき姿の議論をやりますと、本当の意味の議論というものはなかなか進んでいかない。無責任なことを言ってもらっては困りますけれども、しかし、本当にこれから検討していこうとする、あるいはこれをどうしようとするときに、むしろ言葉じりなり、あのときにこう言ったからこうなっていないのはけしからぬではないか、こういう議論をいたしますと、逆に話が何もできなくなってしまうということになると。本来の国政としてこれからどうなのかという議論は、政治的な思惑はちょっとあるかもしれませんけれども、なるべくそれを避けながら将来のものを虚心坦懐に議論していくということが極めて必要なのではないかと、こんな感じを私は来て半年足らずでございますけれども、実は持っているわけであります。
 そういう面で、今いろんな将来的な問題につきましてもちょっと申し上げたわけであります。したがって、私はこの点についてこれからもさらにNHKの方で検討していただきたいと思いますけれども、今島会長が巨大化しないだろうというふうに御発言されておりますけれども、各民放なりメディアの中ではちょっとどうなのかなという感じを私は持っておりますから、将来の課題にいたしたいと思います。
 それでは、次の課題に移らせていただきたいと思います。
 この料金システム、システムと言ったらちょっと言葉は悪いかもしれませんが、先ほど受信料の関係について、ある一定の公共料金というのは低ければ低いほど幾らでもいいんだという立場はとらないというふうに私は申し上げたわけでありますが、考えてみますと、NHKの受信料というのは、まず一つは御承知のように定額制であるということ、あるいはまた契約口数といいますか、お客さんとの契約の数がその料金の収入を決めるわけでございますから、そうすると実際的にはこの定額制の分をふやしていくのか、あるいはまたお客さんの数を定額制を一定にするならふやしていくのかとか、あるいはまた営業外収入というものをどれだけふやしていくのか、あるいは経費をどれだけ削減していくのか。言ってみれば私は、これだけの選択肢しか実際的には公共放送として責務を果たしていくことはできない、こういう選択肢になってくるんだろう、このように思うわけであります。
 そうすると、ここでこの受信料の改定という問題はちょっと横に置きまして、営業規模の拡大、いわゆる契約の口数をふやしていくということを考えてみますと、これは実は大変ジレンマがあるのではないかというふうに思うわけであります。それは何かといいますと、経営的な側面からいたしますと、実際的には相当のコストをかければ、私は今現実に何%の契約口数になっているか後ほど答えていただきたいと思いますけれども、べらぼうなお金をかければほとんど一〇〇%の契約口数というものを結んでいくことは不可能ではないだろうと思いますね。しかし、それはそれだけの投資効果があるのかどうなのかという、これは選択の幅があります。
 それから、もう一方でこの契約口数というもの、いわゆる契約をしておられないお客さんというのは全国で相当数おられる。そうすると、これは社会的な公平論という立場、公平なんでしょうか、公正なんでしょうか、そういう立場からいたしますと、少々のコストを投入したとしても社会的な公平というものを達成するためにはすべからくテレビを持っておられる方々には契約をしてもらわなければならない、こういう側面があると思うんです。これは一般的に公共料金の場合、特にNHKの場合には罰則規定がございませんから、私は契約口数をふやすに当たってのどちらの調整を図ってバランスを見ながら中心に置いていくかというのは実は大変難しい問題ではないかというふうに思うわけでございます。その点につきましてのNHKの考え方をお聞かせ願いたいと思います。
#144
○参考人(高橋雄亮君) 先生御指摘のように、NHKは受信料制度で成り立っているわけですから、公平負担というこの概念を私どもは限りなく大事にしなければこの制度の維持というものは難しい。営業活動の全精力はここに集中しているわけではございますが、そうは申しましてもなかなかやはり契約をしていただきながらも支払いが滞るという方がふえてくるわけでございます。それをこのところ企業努力によりまして全体の契約数がふえる中で百万以下にずっと抑えてきているということでございます。率にしますと三%程度になろうかと思いますが、それで抑えてきているわけでございます。
 その契約をしながら支払いが滞っている方たちの内容は、NHKの集金なり職員が面会に行ってもなかなか会えないという方が五十二万ぐらいおろうかと思いますけれども、そのほか、うちの番組が気に入らないとか民放しか見ていないとかいろんな理由でもって意識的に支払いを拒否している方、そういう方も三十四万件ぐらいおるわけです、内容的には。ですから、そういう方たちに対しては私どもはこの受信料制度というものを守る意味から手間暇かけて現在深夜あるいは日曜日などの出勤もしながら対応をしておるということでございます。このことは今後とも努力を続けなければなりませんけれども、費用対効果という点も将来いろいろ考えていかなければなりません。そこのところの隘路というものをどう打開していくか、そういうことで多角的な収納体制というものを今後真剣に考えていかなければならないだろうというふうに考えているわけであります。
#145
○足立良平君 確かにそのぐらいの答弁にしかならないのかもしれませんけれども、実際的に公共料金でNHKの場合には実は一番そこが問題になってくる点だろうと思います。ですからNHKとして、ある面におきましては、この契約口数、これは今それぞれちょっと数字をおっしゃいましたけれども、実際的には相当数がまだ漏れている面があるわけですから、こういう料金を改定した、値上げをしたその時点で本当はある面においては思い切ってそのことをきちんとやっていくという体制が私は必要なのではないか、こういうふうに思いますけれども、これは後ほどさらに議論の対象に残しておきたいと思います。
 それでは、第二点目といたしまして営業外収入、副次的な収入の問題でございますけれども、昭和六十三年度の実績を見ますと約三十七億円くらいであったと思います。これは全体収入の約一%くらいというふうに考えます。私は余りその内容を十分把握し切れておりませんけれども、今日まで、本日の午前中までの議論等を含めましてNHKが今日まで累積しているといいますか、積み重ねてきたソフトの部分あるいはまたいろんな点というのは、私は相当の財産を持っているというふうに実は思っているわけであります。そうしますと、その点では営業外収入、副次的な収入というものはそのソフトをどれだけこれから活用していくのか、極端に言ったら売却もしながらやっていけば実際的には三十七億程度の、一%前後くらいの価値ではないのではないかというふうに私は思えてならないわけでありますけれども、この点につきましてNHK側の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
#146
○参考人(青木賢児君) お答えいたします。
 現在、NHKが副次収入として外部から入れております収入というのは、今先生がおっしゃったようにNHKの番組を国内、国外に提供する、つまり販売することによって入ってくる収入、それから共同制作を行うことによって負担金、分担金として参加してくれる人たちが払ってくれる収入、それからNHKの著作物、これを使用することによって著作権使用料というのが入ってまいります。それからさらに、外部の人がいろんなものをつくるときにNHKが持っております素材を使うという形でNHKはその素材を提供する、さらにNHKの番組にかかわるテキスト、印刷物を出版する、あるいはNHKが持っております技術、ノーハウ、特許、こういったものを外部に提供する、さらにNHKが持っております施設あるいはいろんなノーハウを外部の、最近では情報化が進んでいろんな方が類似の事業を始めておられますので、こういう方々に提供するという形で収入が入ってくるわけでございますが、こういう副次収入というのが先ほど六十三年度に続いて今年度平成元年度におきましては四十三億円という見込みになっております。
 今御審議いただいております二年度の予算の中では副次収入五十八億円を見込んでおりますが、これから五年先、平成六年度においては八十七億円という収入を一応我々としては見込んでおるというのが実情でございます。
#147
○足立良平君 今八十七億円を将来見込んでいるというふうに御発言がございましたけれども、実際的にはこれは商売の問題でありますからなんですけれども、いささかこれではまだ少ないのではないかという感じを今私自身持っておる、このように申し上げておきたいと思います。
 それでは次に、経費の削減の関係についてでございますけれども、これは人員問題とか、また島会長自身も効率というものをきちんとしていかなければならない、こういうふうにこの委員会におきましても何度か発言をされているわけであります。私は公共料金というものを、定額でずっと赤字のまま残してそのまま存置することはおかしいという立場をとりますだけに、逆に公共事業体というものがお客様の受信料によって経営が成り立っていく以上は、NHK側に効率的な経営というものをもっともっと私はやっていただかなきゃならないというふうに思うのです。
 もう一度申し上げておきますが、料金がいつも低ければ低いほどいいという概念は私はとりませんし、今回は改定をしなければならない、このように私は考えますけれども、それを考えれば考えるほど逆にこういう公共放送のような、NHKさんも含めてそういう企業体は、国民の皆さん方なりあるいは受信者の皆さんから受信料としていただくわけでありますから、それに対して効率的な経営を絶対にやらなければいけない義務というものをNHKの側は持っておる、このことをはっきりと認識をしておかなければならないのではないかというふうに私は思うわけです。上げなくてもいい、あるいはまたゆっくり仕事をしてもよろしい、こういう立場はとるべきではない、このように私は思っております。
 そういう面からいたしますと、実はこれは急にちょっと思い出したので数字がNHKなり郵政省側にあるのかないのかわかりませんが、全民法の売上高の中における人件費率というものと、それからNHKの全収入の中における人件費率というものは一体どのくらいになっているのか、そちらの方で資料がございますでしょうか。
#148
○参考人(植田豊君) ただいまお示ししております平成二年度の事業計画予算、収支予算の中では、NHKの人件費比率は三八・〇%となってございます。
 民放でございますが、有価証券報告書から私どもが推定する以外に手段はございませんが、若干の上下はございますけれども、おおむね二〇%程度と推定されます。
 ただ、これはもう先生十分御承知のとおり、民放の場合に番組制作の大幅な外注という事実がございます。NHKの場合には、平成二年度におきまして外部制作委託あるいは外部から購入する番組の比率が二割弱という感じでございます。この辺のところがございますので、人件費比率の対比が従来ともなかなか難しいというのが正直なところでございます。
#149
○足立良平君 私は、この人件費率というのは単に人件費率だけでその状況というのはすべてわからない。今御発言のようないわゆる業務内容、外注の状況、いろんな状況を前提にきちんと検査しませんと一概に言えない、このように私は思っております。
 ただ、それにいたしましても、いろんな誤差というものを前提にいたしましても十数%高いということは、これはいいか悪いかは別ですよ。今の全民放の方が、今日まで議論されてきた中で、それは本当の公共放送としての公共的なものが向こうもありますけれども、その番組制作を含めていかがかということは、それはもういろんな前提条件がありますから一概には言えないとしても、私はNHK側でもっともっと効率的にやっていかなければならない要素というのがあるのではなかろうかということを類推させる一つの資料であることは間違いなかろうというふうに思います。具体的には今ここで時間も余りございませんから詰めて話は私はいたしません。
 さりとて、これもはっきり私申し上げておきますけれども、それでは一人当たりの人件費なり、あるいはまた先ほどもいろんな議論がございましたけれども、労働条件をいたずらに抑え込んで、そして全体の比率というものを削減していったらいいというこの立場も私はとりません。やはり労働に見合ってきちんと処遇するところは処遇していく。けれども一方において公共放送としての社会的な責務である効率的な運営というものはきちんと推進していくという、ある面においてはこの辺のところの経営姿勢というものが極めてNHKの場合に必要なのではないか。あくまでもお客様から受信料をいただいて経営をしている、こういう概念が、姿勢が私はNHKの側に今求められているのではなかろうか、こんな感じを実は今持っているところでございます。
 その上でお聞きをいたしたいと思いますのは、受信料の収納をめぐりまして、これは昨日も衛星の機構法でも若干議論があったわけでございますが、山間僻地等でいわゆる自然条件で一般的にテレビ障害というものが生じております。これは実際的にはテレビ障害の問題で昨日郵政省の方からその基準として一から五まであるんだというふうに答弁がございました。大体いわゆるテレビ障害というふうに認定されるのは一、二というふうにきのう答弁がございました。具体的にどの程度のものなのかお教えを願いたいと思います。
#150
○参考人(高橋雄亮君) 五段階ですが、一番いい五点の評価というのは極めて良好に映像が映っておる、音声も十分に聞こえているというようなことでございます。それで妨害がほとんどわからない、ゴーストその他一切見られない。それから四というのが良。三が可、普通ということでございます。ちょっとゴーストがかかるけれども気にならないという程度が可でございます。それから二がもう妨害がひどくて邪魔になる。それから一はもう極めて悪いというような段階でNHKでは一応評価をしております。
#151
○足立良平君 具体的にNHKといたしまして、例えば難視聴区域で特別契約、いわゆる衛星放送だけの特別契約で認定ができるのは、その一から五までの中で大体どこから特別契約とされることになっておりますか。
#152
○参考人(高橋雄亮君) NHKは契約を受信者と結ぶ場合に、先生御案内のように受信規約というものを大臣にお届けして御認可いただいて料額を決めております。その中で特別契約というものについては、自然条件で地上の放送が見えないということを今回平成元年度予算のときに、衛星料金をお認めいただいたときに特別契約ということで料金設定をしていただきましたので、この一、二のあたりが検討のときの課題になるかなと。いずれにしましても、一戸一戸状況が違いますので、うちの受信技術の専門家がお訪ねしまして調べてやっておるということで、ほとんどの場合はアンテナをちょっと高く上げたり方向を変えることによって解決されるという例もあります。料額の差が出てくるわけでございますので、そういうように慎重に対応しておるということでございます。
#153
○足立良平君 現実に実は福島県であった話でございますけれども、実際的に例えば大変よく映る地域から若干電波障害のあるような地域に行きますと、例えば二重映しになるとか、テレビが初めて入りますと少々ぼけておってもこれはテレビかということで喜んで見ていたわけでありますけれども、本当にきれいに映っている地域からこちらへ転宅して二重映しになったりカラー部分が白黒のような状態になったりしますと、何だこれは、こういう気持ちになる。ですから、それぞれのお客様のテレビというものに対する見方というのは、もともとそういうところにおる人と若干受け取り方は違うわけでありますけれども、実際的に少々二重映しになっているとかなんとか、普通の人から見るとこれは何だという感じのところでも、これは総合契約というのですか、地上と衛星と両方のこれは総合契約をやってもらわなければいけませんよということを、NHKの営業の方は商売熱心と言えば商売熱心でありますけれども、相当強く指導されるとかお話をされている。それぞれの電波障害というのは都心部もいろんな問題も出てきているわけでありますけれども、都心部の場合ははっきりしているんですけれども、自然の地形上から出てくるその種のところについてテレビがどうなのかというときにだんだんとこれは質の問題になってきているわけですね。
 ですから、社会的に今は質がどれだけきちんといい質、いい画面を提供できるかという観点からしますと、私はこの特別契約に対応するのももう少し柔軟に、現認ができるわけでありますから、対応する権限というものを例えばそれぞれの地方局とか地方の管理者の側に付与していくということが必要なのではないか、このように思うわけでございますが、この点につきましてお考え方をお聞かせ願いたいと思います。
#154
○参考人(高橋雄亮君) ただいま申し述べましたように、どの程度の状況で見られるかということを私どもの専門家が十分調査をした上で、その結論に基づきまして地元の局長が判断できるという仕組みになっております。
#155
○足立良平君 最後になりますけれども、国際放送の関係でございます。国際放送につきましても、我が国のこれからのいろんな国際関係というものを考えてまいりますと、国際放送というものをさらに充実していくべきだ、このように私も考えている一人でございます。その上に立ちましてお聞きいたしたいと思いますが、それぞれ各国でこの国際放送の経費の負担というのはどのような、例えば国が負担をしているのか、あるいはまた、それぞれNHKのような特殊法人が負担をしているのか。その辺の重立ったところをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#156
○参考人(遠藤利男君) 御質問の件で幾つかの国を挙げさせていただきます。アメリカ、VOAは政府予算で運営されております。それからソビエトも当然のように政府予算でございます。イギリス、BBCは公共放送が運営している国際放送ですが、これは全額政府交付金でございます。それからフランス、これは政府が徴収し配分する受信料の中から行われております。若干の広告収入も入っております。それから西ドイツ、これは公共放送が運営しておりますけれども、政府交付金でございます。そういうようなところでございます。
#157
○足立良平君 今話がございましたように、国際放送がこれから大変重要だという観点からいたしますと、既に話が出ておりますけれども、やはりこれはむしろ国の予算としてもっときちんとやっていくべきではないか、こういう立場をとりたいと思います。
 それは同時に受信料の免除、これも既に話が出ておりますから今さら答弁を求めません。求めませんので、私の考え方だけ最後に申し述べておきたいと思いますけれども、本来受信料の免除にいたしましても、学校放送であるとか、あるいはまた母子家庭であるとか生活保護の状態にあるとかいう、これは公共放送を維持していくためにお客様に出していただいている受信料でありますから、本来の社会政策としてやらなければならないことは国の財政として租税の中できちんとやっていくことはやっていく、そして公共放送の責務というものをきちんと果たしていくというこの区分けをやっていかないと、これは何かしらこう全部どこかに、出しやすいところにやっていけばいいというあいまいな状態を継続することはいかがなものであるか、このように私も考えておりますので、そういう面で受信料の免除あるいは国際放送等の問題につきましても問題点があるということを私は指摘をいたしまして終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
    ─────────────
#158
○委員長(青木薪次君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、長谷川信君及び宮田輝君が委員を辞任され、その補欠として片山虎之助君及び野村五男君が選任されました。
    ─────────────
#159
○沢田一精君 お疲れのところ恐縮でございますが、せっかくの機会でございますから幾つか質問をいたしたいと思います。
 個別的な問題で大変恐縮に存じますが、新年度予算の中に演奏所整備費約六十一億円が計上されております。その中で福岡放送会館建設に着工するとなっておりますが、この会館はいつ完成する予定でございますか。また、総事業費は幾らになっておりますかお尋ねをいたします。
#160
○参考人(中村好郎君) 福岡放送会館につきましてはトータル百七億の建設費でございます。平成四年度に完成を予定しております。
#161
○沢田一精君 わかりました。百七億ということになりますと、相当立派な施設ができると思いますが、一方、NHK熊本局は歴史的に見ますると、NHK発足以来九州の中央局であったわけであります。また、先年までは九州本部という名称で呼ばれておったわけでありますが、熊本局は古い建物で非常に狭小でございます。いつ熊本から福岡に九州の重点をお移しになったのか、あるいはその理由は何であるのかお伺いをいたしたいと思います。
#162
○参考人(植田豊君) NHKの全国組織の中で、かつては御指摘のように中央放送局が全国七カ所ございまして、それぞれ一定の地域を所管する中間管理機構として機能いたしておりました。ある時期これが地方本部という名称をとったこともございます。数年前に全体の組織見直しをいたしまして、こういう中間管理機能、機構を廃止しようということになってございます。
 今現在は、NHKの各放送局はいわば横並び一線でございます。それぞれが本部につながりながら独自の自律的な放送局運用を我々は期待してございます。ただし、一定のまとまりごとに例えば放送番組の編成に関しましてある程度お互いに話し合う、九州管内で九州地方向けのニュースをお互いに相談しながら出すといったことはございます。その種の調整機能として、例えば放送に関しては、これはかつてからそうでございましたけれども、福岡にその機能はございます。その種の調整機能が今現在熊本に例えば人事権に関してはございます。
 今後、私どもの五カ年計画の中で一層各放送局の自律を高めたい、実質を高めたいというふうに願ってございます。その中には、番組編成もございますし、人事権もございますし、あるいは建設計画といったこともなるべく各局の自律の中でやりたいというふうに考えてございます。したがいまして、上位局、下位局という概念がこの五カ年で急速に少なくなるだろう、弱くなっていくだろう、またそうしなきゃいかぬというふうに今考えてございます。
 いつごろ、どういう状態ができますかは今後具体的な年次計画の中で定めてまいりますが、大筋の方向といたしましては、各局の自律を求めていく、なおかつ一定の調整機能の置き方についても地域に応じて検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#163
○沢田一精君 わかったようでわからぬお答えでございますが、それでは現在のところ熊本局と福岡局の定数はどうなっておりますか、そのことをお伺いいたします。
 私がなぜそういうことを申すかと申しますと、さっきも申し上げましたように、NHK発足以来九州における中央局は熊本であったわけなんです。私ども地元でございますが、一生懸命NHKさんにはサービスをいたしてきたつもりでございます。ところが、いつの間にか福岡にウエートが移っていく、大変残念に思います。熊本には、御承知のように九州郵政局も現にあるわけなんです。岡野先生は、先年郵政局長をなさっておったわけなんで、事情はよく御存じです。電波監理局も熊本に現存しているわけなんです。地理的に見ましても、離島をたくさん抱えております九州の中心は熊本なんです。なぜ福岡に大きな機能を移さなきゃならぬのか。福岡の経済力に目がくらんで、そちらの方へ移られるのか知りませんが、私はやはり職員の居住環境としてもむしろ熊本の方が快適だろうと思うんです。一極集中排除ということが今大きな政治的な行政的な課題になっております。福岡にすべての機能を集中させるということが地域開発上ベターであるかどうかということも問題です。その辺どうお考えになりますか。
#164
○参考人(植田豊君) 両局の定数についての御質問でございますが、福岡が三百三十、熊本が百九十でございます。
 先生の熊本放送局に対するお気持ちをお聞きして、本当にありがたいと思います。そのような中で、NHKが各地域で皆さんの支持の中で仕事をさせていただいているというふうに本当に思っております。ただ、具体的に申し上げますと、実際の放送素材という側面では、九州での福岡にかかわる放送素材のウエートが極めて高いのは、これはもう現実でございます。動かしようがございません。それから、営業面でも九州全体の中での福岡の営業のウエートというのは極めて高いものがございます。この種のことが一つございますし、それから一方で、先ほど来申し上げておりますように各局を自律させたい、自律させないと公共放送がむしろあり得ない。何重にも管理コントロールするような組織機構の中では、NHKの本当に生き生きとした現場ができないじゃないかというようなことを私どもここ数年本当に真剣に議論してまいりました。極力その管理機構を簡素化しよう、現場は残そう、そういう思想でやってまいりました。
 したがいまして、かつての中央局、地方本部といったものの要員を思い切って減らしていく、当然本部も減らしてまいります。その種の管理機構としてはウエートをどんどん下げる、現場はしっかり守っていく。こんな思想で考えてございますので、この辺もひとつぜひ御理解いただきながら、九州の実態に応じた今後の対応を私どもとしてはいたしたい、かように考えておるところでございます。
#165
○沢田一精君 ただいまの答弁の中で、放送素材は福岡が断然多いと。放送素材という言葉を使われましたが、どういうことなんですか。
#166
○参考人(植田豊君) これは、放送一般論になりますと甚だ恐縮でございますが、放送というものが人口でありますとか社会経済の問題でありますとか、今で申し上げますと例えば都市問題でありますとか一般に人口稠密の地域に放送素材が多い。例えば、東京に極めて社会、経済、文化の集中がある中で東京の素材がどうしても多くなってくる。これは放送一般としてさようでございます。もちろん私どもは人口の少ないところに放送素材がないなどということを申し上げるつもりはございません。ここにも大事な放送素材があろうかと思いますが、九州で申し上げますと、福岡に社会、経済、文化、これらの集中の中で、私どもが放送に取り上げなければならないNHKとしての責任のある社会問題も経済問題も、いろいろな問題があるんじゃなかろうか。その集約の度合いが福岡にはかなり多いんじゃないかというようなことを一般論として申し上げさせていただきました。
#167
○沢田一精君 さっきもちょっと申し上げましたように、一極集中排除とか多極分散ということが非常に大きな課題になっております。
 また一方におきましては、自然環境の保全といったような問題もやはり私は大きな問題だろうと思うんです。だから、都市だけに目を向けた今後の対応ということについて私はいささか異論があるわけなんですが、余り申し上げてもどうかと思いますけれども、情報化時代になってまいりまして、NHKの存在というのは非常に大きなわけなんです。地域にとりましても大事なことなんです。だから、今後歴史的な背景あるいはその地域の実情をよくお考えいただいて、本当に地域と密着した放送網の展開と申しますか配置といいますか、そういうことについても十分お考えいただきたい。人口が多いから大都市だけを対象にしてやっていったらいいんだということでは決してないと私は思うわけなんですが、会長いかがですか。
#168
○参考人(島桂次君) まことにそのとおりでございまして、植田専務の説明がやや熊本から福岡に管理機能その他を移すというところに重点があるようにちょっと受け取られた向きもあるかもしれませんけれども、私は、会長になって以来一番重要なことは、現に東京に人口が過度に集中してどうにもならなくなっておる、政治的にも経済的にも文化的にもですね。地方の放送局の拡充、このためには植田専務も言ったように、東京対地方の関係を今までみたいにブロックごとにやるのじゃなくて、ダイレクトに地方局一局一局と東京が直接に結び合うということで、新しいローカル放送のあり方というものを検討しまして、今全国に既に去年からパイロット放送局ということで、先生の後任者の細川さんともよく御相談申し上げて、熊本と静岡と秋田、この三局を今取り上げまして、少なくともどれだけ数多くの、東京から出す放送じゃなくて、地元でつくる放送はどれだけ出せるかということを今実験的にやっているところでございます。
 そういうことでありますので、我々は決して地方との関係をゆるがせにしないということで御了承願いたいと思います。
#169
○沢田一精君 ありがとうございました。
 百億以上かけて福岡に放送会館が新設される。うらやましい話でございますが、半分程度でもいいですから、近い将来熊本も、今会長のお気持ちも拝聴いたしましたが、ひとつ細川知事も一生懸命頑張っておりますから、つくっていただきたいなと、こうお願いをいたしておきます。
 私は、実は昨年十二月五日当委員会におきまして質問をいたしております。そのときはNHKの皆さん方は出席しておられませんでした。私の質問の要旨は、今回の委員会でもたびたび出てまいっておりますが、メディア環境の急激な変化の中でNHKはますます巨大化しつつあるのではないか、このような現実を踏まえて民放関係者、その中でも特に地方に次々に新設されつつある民放関係者は将来について非常な危惧を抱き始めておるようでございます。自分たちはせっかく会社をつくったけれども、ここ五、六年先には恐らく押しつぶされてなくなっていくんではなかろうかという不安を抱き始めております。NHKと民放との共存、お互いの役割分担について郵政省はどう基本的にお考えでございますかという趣旨の質問を実は昨年の十二月五日いたしたわけでございます。
 その後、民放連会長から御承知のように「NHKのあり方に関する見解」を我々のところにもちょうだいいたしました。これにつきましては当委員会で昨日来いろいろ質疑が行われておりますので、私は改めてここで意見を申し上げることは差し控えさせていただきますが、民放との併存ということを十分お考えいただきまして、いろいろNHKとされましても困難もございましょうし、多事多難であろうとは思いますが、しっかりひとつ国民の要望にこたえて努力をしていただきたいということを最後に特にお願いを申し上げまして質問を終わります。ありがとうございました。
#170
○委員長(青木薪次君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#171
○委員長(青木薪次君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#172
○山中郁子君 私は、日本共産党を代表して、一九九〇年度のNHK予算案を承認することに反対の討論を行うものであります。
 承認できない第一の理由は、受信料に消費税を転嫁した予算案であることです。
 昨年三月二十八日のNHK予算を審議した当委員会では、消費税の転嫁を理由にすべての野党がこれを承認することに反対いたしました。申し上げるまでもなく、消費税は施行されて一年を経過しますが、この間、参議院で消費税廃止法案が可決され、政府も海部総理自身が再見直しを公約しています。しかし、その内容は一向に明らかになっていませんし、消費税廃止を願う国民の声は今なお強く存在しています。したがって、我が党はこの一年間で消費税を前提にした予算案を承認する新たな条件は生まれていないという政治的立場をこの際明らかにしておくものであります。
 第二は、受信料の値上げの問題であります。
 物価や人件費のアップ、またNHKが受信料に依拠した独立採算制をとっていることなど、値上げに至らざるを得ない一定の社会的条件があることは私どもも認識しております。今回は二八%というかつてない大幅な値上げであり、これについては衛星放送を含め収支全体を見直し、国民、視聴者の負担を軽減するという努力の余地は残されていると考えるものであります。しかも、受信料が公共放送を支える国民の負担金という性格を持つ点から考えても、値上げの決定には視聴者への十分な説明が必要であるにもかかわらず、NHKが四月一日から行うこの値上げを公式に発表したのは郵政大臣に予算案を提出した三月十四日であります。この点は昨日来の当委員会でも多くの委員が指摘されたところです。これでは視聴者、国民への説明どころか、国会での審議も十分にできないではありませんか。
 第三は、放送法に明記されている放送の政治的公平に反する事態が著しいことであります。
 我が党がかねてから改善を要求してきた国会中継の問題は、最近でも百十六国会の参議院予算委員会などで質疑の一部が深夜の放送になっているなど、根本的な解決を見ていません。さらに、昨年も大きな問題になった消費税反対の世論調査結果を公表しない問題、最近では長時間討論番組にも示された特定の政党中心の番組編成など、放送の不偏不党の原則に反した不公正な報道番組は後を絶ちません。こうしたことは、憲法で保障された国民の知る権利を守り、放送の政治的公平を確保するという公共放送の本来の使命からの重大な逸脱であることを強く指摘いたしまして、私の反対討論を終わります。
#173
○委員長(青木薪次君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#174
○委員長(青木薪次君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 この際、松前君から発言を求められておりますので、これを許します。松前君。
#175
○松前達郎君 私は、ただいま承認すべきものと決定いたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、連合参議院、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合の各派及び各派に属しない議員沢田一精君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
  政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。
 一、放送の不偏不党と放送による表現の自由を確保するとともに、放送の社会的影響の重大性を深く認識し、国民の放送に対する信頼を一層高めるよう努力すること。
 一、協会の最高意思決定機関である経営委員会については、広く視聴者の意向を反映し、その機能が十分発揮されるよう特段の配慮を加えること。
 一、協会は、その経営が受信料制度を基盤とするものであることにかんがみ、国民に対し経営内容を積極的に開示すること。また、受信料額改定について十分な周知活動を行い、受信者の確実な把握と収納の確保により受信料負担の公平を期すること。
 一、協会は、長期的展望に立った経営方針を確立し、業務全般にわたる抜本的な見直しを行い、事業運営の一層の効率化を推進するとともに、職員の処遇改善についても配意すること。
 一、衛星放送については、難視聴解消のために必要な放送を確保しつつ、放送衛星の特質を生かした番組編成によりさらに充実を図るとともに、その効率的、安定的な実施体制の在り方を検討すること。また、新しい放送サービスであるハイビジョンの実用化を促進すること。
 一、国際化の進展に対応するため、国際放送について、交付金の増額と一層の受信改善を図るとともに、映像メディアによる国際交流を推進すること。
 一 協会は、地域社会の発展に貢献する情報番組を提供する等地域の文化拠点としての役割を果たすとともに、地域放送の充実、強化に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 委員各位の御賛成をお願いいたします。
#176
○委員長(青木薪次君) ただいま松前君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#177
○委員長(青木薪次君) 多数と認めます。よって、松前君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、深谷郵政大臣並びに島日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。深谷郵政大臣。
#178
○国務大臣(深谷隆司君) ただいま日本放送協会平成二年度収支予算等につきまして、慎重なる御審議の上、御承認をいただき厚く御礼を申し上げます。
 本委員会の御審議を通じて賜りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
 まことにありがとうございました。
#179
○委員長(青木薪次君) 島日本放送協会会長。
#180
○参考人(島桂次君) 日本放送協会平成二年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして、厚く御礼申し上げます。
 本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣の意見書の趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。
 また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを体しまして、執行の万全を期したいと考えている次第でございます。
 まことにありがとうございました。
#181
○委員長(青木薪次君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#182
○委員長(青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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