くにさくロゴ
1990/03/29 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 農林水産委員会 第2号
姉妹サイト
 
1990/03/29 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 農林水産委員会 第2号

#1
第118回国会 農林水産委員会 第2号
平成二年三月二十九日(木曜日)
   午前十時九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     大渕 絹子君     菅野 久光君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         仲川 幸男君
    理 事
                大浜 方栄君
                北  修二君
                上野 雄文君
                村沢  牧君
                井上 哲夫君
    委 員
                青木 幹雄君
                鎌田 要人君
                鈴木 貞敏君
                高木 正明君
                成瀬 守重君
                初村滝一郎君
                本村 和喜君
                一井 淳治君
                菅野 久光君
                谷本  巍君
                細谷 昭雄君
                三上 隆雄君
                猪熊 重二君
                刈田 貞子君
                林  紀子君
                橋本孝一郎君
                喜屋武眞榮君
                星野 朋市君
   衆議院議員
       発  議  者  大原 一三君
   国務大臣
       農林水産大臣   山本 富雄君
   政府委員
       防衛施設庁施設
       部長       大原 重信君
       国土庁地方振興
       局長       野沢 達夫君
       農林水産政務次
       官        大塚清次郎君
       農林水産大臣官
       房長       鶴岡 俊彦君
       農林水産省経済
       局長       川合 淳二君
       農林水産省構造
       改善局長     片桐 久雄君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     松山 光治君
       農林水産省食品
       流通局長     鷲野  宏君
       農林水産技術会
       議事務局長    西尾 敏彦君
       食糧庁長官    浜口 義曠君
       林野庁長官    甕   滋君
       水産庁長官    京谷 昭夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        片岡  光君
   説明員
       厚生省生活衛生
       局乳肉衛生課長  難波  江君
       農林水産大臣官
       房審議官     武智 敏夫君
       農林水産省経済
       局統計情報部長  海野 研一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
 (平成二年度の農林水産行政の基本施策に関する件)
 (畜産物等の価格安定等に関する件)
 (畜産物価格及び繭糸価格に関する決議の件)
○砂糖の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○山村振興法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(仲川幸男君) ただいまから農林水産委
員会を開会いたします。
 農林水産政策に関する調査を議題といたします。
 平成二年度農林水産行政の基本施策について農林水産大臣から所信を聴取いたします。山本農林水産大臣。
#3
○国務大臣(山本富雄君) 農林水産委員会の開催に当たりまして、私の所信の一端を申し上げます。
 農林水産業及び食品産業などの関連産業は、国民生活にとって最も大切な食料等の安定供給のほか、地域社会の活力の維持、国土・自然環境の保全など、我が国経済社会の発展と国民生活の安定に不可欠な役割を果たしております。また、農山漁村は、農林水産業の生産の場であるほか、地域ごとにそれぞれ特色のある文化をはぐくみ、都市住民が健康的な余暇を楽しむ空間として、重要かつ多面的な機能を担っております。
 したがって、農林水産業や関連産業の健全な発展と農山漁村の活性化なくしては、我が国経済社会の調和ある発展と、豊かでゆとりある国民生活の実現はあり得ないと考えております。
 我が国は、豊かな太陽と水、温暖多雨な気候に恵まれ、南北に長く変化に富んだ自然条件にあります。また、消費水準の高い大きな国内市場、すぐれた生産者、高度な加工技術を有する食品産業などにも恵まれ、農林水産業や関連産業の発展を図る上で有利な条件を備えていると考えております。
 私は、こうした有利な条件を生かし、我が国の農林水産業や関連産業の持てる力を遺憾なく発揮すれば、二十一世紀へ向けて新たな展望が開けるものと確信しております。
 このため、先般閣議決定した「農産物の需要と生産の長期見通し」などを指針とし、より一層の生産性の向上を進め、国内での基本的な食料供給力の確保を図りつつ、国民の納得できる価格での食料の安定供給に努めることを基本として、各般の施策を講じてまいります。
 以下、平成二年度における主要な農林水産施策につきまして申し上げます。
 まず、農業の振興についてであります。
 第一は、構造政策の推進であります。
 土地利用型農業の経営規模の拡大を促進し、生産性の向上を図るため、昨年改正された農用地利用増進法を基軸として、農作業の受委託も含めた農地流動化を促進するほか、新しい資金の創設などにより経営体質の強化を図ってまいります。また、地域の立地条件に応じた農業・農村の活性化を図るため、新たな農業構造改善事業を発足させます。農業基盤整備事業につきましては、土地改良負担金対策の充実を図りつつ、農村地域の生活環境の整備という観点にも留意して着実に推進します。さらに、新規就農者を含め、すぐれた担い手の育成、確保に努めるほか、農業者の老後保障の安定等の観点から、農業者年金制度の充実を図ります。
 第二は、需要の動向に応じた生産性の高い農業を展開することであります。
 本年から始まる水田農業確立後期対策につきましては、米の需給均衡を図ることを基本とし、多様な水田農業と水田利用の展開、効率的な生産単位の形成、地域輪作農法の一層の推進に重点を置いて実施します。また、この後期対策とも関連させて、米の消費拡大対策を強化します。
 さらに、土地利用型農作物である稲、麦、大豆について、生産性向上指針を策定し、その実現に向けて各種対策を集中的、計画的に実施します。
 畜産につきましては、来年四月からの牛肉の輸入自由化に備え、肉用牛生産などの生産性向上に重点を置いて、総合的な対策を推進してまいります。
 かんきつ等につきましても、国際化の進展などに対応し、生産、流通及び加工の全般にわたる対策を実施してまいります。
 第三は、条件が不利な中山間地域を初めとする農山漁村の活性化対策であります。
 活力ある地域社会の維持と国土の均衡ある発展を図る観点から、地域の特性を生かした農林水産業の振興、農村地域への工業等の導入などによる就業機会の確保を図るとともに、生活環境の整備、都市との交流などを推進し、地域の活性化に努めるほか、中山間地域の活性化のための新しい資金を創設します。
 第四は、技術の開発、普及を推進することであります。
 農林水産業や食品産業における生産の飛躍的向上と多様な消費者ニーズに対応した付加価値の高い食品の生産を実現するため、バイオテクノロジーなど基礎的、先導的技術の開発、普及を推進します。
 第五は、健康的で豊かな食生活の保障と、食品産業などの振興についてであります。
 高品質で安全な食品に対する志向の高まりなど、多様化する消費者ニーズに対応できるよう、総合的な消費者対策を推進するとともに、日本型食生活の定着に努めてまいります。
 食糧管理制度につきましては、昨年六月に農政審議会から御報告いただいた「今後の米政策及び米管理の方向」に沿って、需給及び価格の安定を図るという食糧管理制度の基本的役割を堅持し、条件整備を図りつつ、逐次具体的施策を展開してまいります。現在、自主流通米について、需給動向や品質評価を価格に的確に反映させるための「価格形成の場」についての検討を行っており、可及的速やかに結論を得たいと考えております。
 また、食品産業などの関連産業につきましても、その体質と経営基盤の強化を図るため、技術対策、原料対策などを総合的に推進します。
 このほか、以上申し上げた各般の施策に即して各種制度資金の内容を充実させるとともに、農業災害補償制度の円滑な運営を図ります。
 次に、林業の振興についてであります。
 林業につきましては、来るべき国産材時代に向けて、林業生産基盤の整備、担い手の育成、流通体制の整備などにより、外材との競争に耐え得る生産性の高い林業の確立と木材産業の体質強化に努めてまいります。また、水資源の涵養、国土保全、レクリエーションの場の提供など国民の多様な要請にこたえ、質の高い森林の保全整備とその総合利用を推進します。
 国有林野事業につきましては、昭和六十二年に改定強化した改善計画に基づき自主的改善努力の徹底を図りつつ、経営健全化のための検討を進めます。
 次に、水産業の振興についてであります。
 我が国水産業の健全な発展と国民のニーズに対応した水産物の安定的供給を図るため、漁業生産基盤の整備、つくり育てる漁業の推進などにより、我が国周辺水域の漁業振興に努めてまいります。
 また、沿岸漁業の推進の中核となる漁業協同組合の経営基盤の強化と水産物需給の安定に努めてまいります。
 さらに、国際漁業に関する規制強化の動きに対応して、操業の確保に努めるとともに、国際漁業の計画的かつ円滑な再編整備を推進してまいります。
 このほか、国産農林水産物の輸出促進を図るため、海外市場調査、輸出戦略の確立、生産条件の整備を推進します。また、熱帯林の減少、砂漠化の進行、地球の温暖化など地球規模の環境問題に対処するための調査、研究を充実するとともに、農林水産業に関する国際協力を通じ、積極的に世界に貢献していく考えであります。
 以上のような農林水産施策を推進するため、平成二年度の農林水産予算の編成に際しましては、九〇年代の農林水産政策の基礎を形づくるものとして、十分に意を尽くしたところであります。
 また、施策の展開に伴って必要となる法制の整備につきましては、今後、当委員会の場におきまして、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
 最後に、農産物貿易問題について申し上げます。
 現在ガット・ウルグアイ・ラウンドにおいて農業交渉が進められておりますが、昨年中に主要国の提案が出そろい、本年末の期限に向けて、これから交渉が本格化する段階にあります。我が国としては、世界最大の農産物純輸入国としての立場から、食料の安全保障などに十分配慮した新しい農産物貿易ルールの策定に向けて、積極的に努力していく考えであります。
 米につきましては、我が国における米及び稲作の格別の重要性にかんがみ、国会における御決議などの趣旨を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいります。
 以上、所信の一端を申し述べた次第でありますが、私は、来るべき二十一世紀に向け、信頼される農林水産行政を確立し、農林水産業者、特に若い人たちが、誇りと希望を持って農林水産業に取り組めるよう、全力を尽くしてまいります。
 今後とも、農林水産業者を初め広く関係各方面の声に十分耳を傾けながら、政策を推進していきたいと考えておりますので、委員各位の御支援、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
#4
○委員長(仲川幸男君) 以上で所信の聴取を終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(仲川幸男君) 砂糖の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案、山村振興法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題といたします。
 順次趣旨説明を聴取いたします。山本農林水産大臣。
#6
○国務大臣(山本富雄君) 砂糖の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 砂糖の価格安定等に関する法律は、変動する国際糖価の影響を緩和して国内糖価の安定を図るとともに、国内産糖と輸入糖との価格調整を行うことにより、甘味資源作物の保護育成と国民生活の安定を図ることを目的として、昭和四十年に制定されたものであります。
 その後、経済成長の中で砂糖の需要は順調に伸び、昭和五十年ごろまでは、輸入糖も増加傾向を続けてまいりましたが、昭和五十年代半ばに、でん粉を原料とする甘味料である異性化糖が出現し、砂糖との代替が急速に進んだため、輸入糖の単位当たりの負担が急増し、糖価安定制度の円滑な運営が危ぶまれる事態となりました。このため、昭和五十七年に本法を改正して、国内産異性化糖を蚕糸砂糖類価格安定事業団の売買の対象とし、砂糖との価格調整を行うこととしたところであります。
 これらの価格調整措置を通じ、これまで、国内糖価の安定と甘味資源作物の安定的生産の確保に努めてきたところであります。
 このような中で、昭和六十三年七月の日米協議により、異性化糖あるいは砂糖と他の糖とを混合した糖類について、平成二年四月一日から輸入数量の制限を撤廃することが決定されたところであります。
 政府といたしましては、輸入自由化に伴う国内糖価への悪影響を防止し、糖価安定制度の円滑な運営を確保するため、輸入数量制限が撤廃されるこれらの糖について、輸入糖や国内産異性化糖と同様、事業団の売買の対象とすることにより、その価格調整を図るための措置等を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、輸入される砂糖と他の糖とを混合した糖を事業団の売買の対象に追加することであります。これらの混合糖につきましては、輸入糖と同様の一定の場合に事業団による売買を行うことにより、これに含まれる砂糖分について価格調整を行うこととしております。また、この場合の売買差額は、砂糖の含有率に応じて輸入糖の場合と同様の方法により算出される額としております。
 第二に、輸入される異性化糖及び異性化糖と他の糖とを混合した糖を事業団の売買の対象に追加することであります。輸入されるこれらの糖につきましても、国内産異性化糖と同様の一定の場合に事業団による売買を行うことにより、砂糖との価格調整を行うこととしております。また、この場合の売買差額は、輸入される異性化糖については、国内産異性化糖と同様の方法により算出される額とするとともに、輸入される異性化糖と他の糖とを混合した糖については、異性化糖の含有率に応じた額としております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#7
○委員長(仲川幸男君) 次に、発議者衆議院議員大原一三君。
#8
○衆議院議員(大原一三君) ただいま議題となりました山村振興法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 昭和四十年に制定された山村振興法に基づく山村の振興対策につきましては、昭和五十年及び六十年の法改正を経て今日まで、産業基盤や生活環境などの地域格差の是正を図ることを目的とした各般にわたる施策が推進され、一定の成果を上げてきているところでありますが、山村の現状は依然として他の地域との格差が解消されず、また、若年層を中心とする人口の減少がなお続くなど極めて厳しいものがあります。
 今後、土地条件の制約等から総じて生産条件が不利な山村地域について、その活性化を図っていくためには、個別の農林漁業経営の改善に加え、地域における就業の改善と生活環境の整備を進めていくことが必要であり、このため、生産基盤の整備等の施策とあわせ、地元農林水産物の加工の増進、担い手の定住化促進のための生活環境の整備等多様な事業を展開していくことが緊要な課題となっているのであります。
 また、これらの事業を円滑かつ効果的に推進していくためには、地域を挙げての積極的な取り組みに期待されるところが大きく、最近では、農業協同組合等の法人による実施も増加してきていることから、これらの資金需要にこたえ、その取り組みを促進していくことが必要となっております。
 このような実情にかんがみまして、農林漁業金融公庫資金に設けられております振興山村・過疎地域経営改善資金について、貸し付けの相手方及び貸付対象事業の追加を行い、山村地域の農林漁業の振興、地域の活性化の推進に資することとし、ここにこの法律案を提出いたした次第であります。
 以下、改正の主要な内容について御説明申し上げます。
 第一に、本資金の貸し付けの相手方として、農林漁業者の組織する法人を加えることといたしました。
 第二に、貸付対象事業として、農林漁業者の共同利用施設の造成等を加え、これにより、従来の農林漁業の経営改善から生活環境の整備、森林レクリエーション等まで対象を広げることといたしました。
 以上が山村振興法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#9
○委員長(仲川幸男君) 両案に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#10
○委員長(仲川幸男君) 農林水産政策に関する調査のうち、畜産物の価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#11
○菅野久光君 まず質問に入る前に、このたび山本大臣、御就任本当におめでとうございます。また、農林水産大臣が参議院から出られたというのは初めてだということで、この大変な時期にしかも大変な状況にある農林水産業、大臣も今の所信の中で述べられておりますが、「来るべき二十一世紀に向け、信頼される農林水産行政を確立し、農林水産業者、特に若い人たちが、誇りと希望を持って農林水産業に取り組めるよう、全力を尽くしてまいります。」、この所信、私は本当に今このことが求められているときではないかというふうに思いますし、このことにかかわっては政府・与党だけじゃなくて、今政治にかかわっている私たちに課せられている大事な任務ではないかというふうに思って、私もまた農林水産委員会の一員としてぜひこういったような方向に向けて取り組んでいきたいと、そのように思っておりまして、そのことをまず申し上げておきたいと思います。
 昨夜から何かけさにかけて、政府・与党でかなりいろんな論議を闘わされ、けさ私どもも資料としていただいた中で、保証価格が二・六%減、七十七円七十五銭、限度数量が五万トン増の二百三十五万トンというようなことで、きょう酪農部会が開かれますが、その数字で諮問されるということになるだろうというふうに思います。そんなことがありますが、それはそれといたしまして、今回の畜産価格の問題について、昨年は参議院選挙、そしてことしは衆議院選挙という国政選挙が半年ばかりの間に続けてあったわけで、それぞれ農業の問題については、それぞれの議員がそれぞれの立場で国民に対して公約をしてきているというような状況などもあるわけでありますが、私は、この数字を見まして非常にまたこれで農政不信が起きなければいいがなという思いをしながら、どうしてこういうことになるのかなという観点でこれから質問を申し上げたいというふうに思います。
 いろいろ今までの新聞論調などを見ていきますと、北海道での生乳の生産費が約五・八%下がっているというようなことから、引き下げの方向で作業が進められているというふうに報道されておりました。あらかじめそういうことで世論をつくっていくということもあったのかどうかは別にして、私も事前に何度か関係者と話をする中で、まず引き下げが前提ですべての作業がなされているというようなことを感じまして、これは大変な問題ではないかというふうに思ってまいりました。平成二年度からのアイスクリームの自由化や三年度からの牛肉の自由化、そして依然として解決されない酪農家の負債問題等、酪農経営をめぐる厳しい情勢を考えたときに、平成二年度の加工原料乳の価格は酪農経営の安定に十分配慮して、再生産、所得の確保が図られるように適正に決定することがどうしても必要だというふうに考えてまいりました。そして、生産費が下がったから価格を下げる、こういう何というのですか、生産現場の実態を無視した機械的な算定方式による価格決定は、これはもう断じて私は許されないというふうに思うんです。
 そこで、加工原料乳の価格が据え置かれた昨年に比べて最近の酪農をめぐる情勢はどのように変化してきたのか、この価格の引き下げを可能とする素地があるのかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。答えはなるべく簡潔にお願いいたします。
#12
○説明員(武智敏夫君) お答えいたします。
 酪農のその後の状況でございますが、流通飼料費ですとかあるいは労賃単価ですとか、あるいは資本利子とか、そういったものは上昇いたしておりますけれども、例えば頭数規模ですとかあるいは一頭当たりの乳量ですとか、そういったものはかなりよくなっております。逆にまた、副産物であります子牛価格につきましても、その後もかなりの高水準で推移いたしております。そういうこともございまして、トータルで、先ほど先生お話しございましたとおり、生産費が五・八%下がったというような状況でございます。
#13
○菅野久光君 大体言われていることは私どもも承知をしておりますが、今言われたように、副産物であります子牛価格は高値で安定している、あるいは一農家当たりの飼育頭数がふえた、そして一頭当たりの乳量がふえた、こんなことが主因だというようなことでありますが、しかしこのうちの子牛価格の高値安定については、子牛価格というのはそもそも、今は高値安定ですけれども、これは大幅に変動するものだということをやはり考えておかねばならぬというふうに思うんです。今の高値安定がいつまで続くか、それは保証できないわけでしょう。そして、先ほど申し上げましたが、平成三年度から牛肉が自由化される、こういうことによって子牛価格の低落は必至です、私はそう思うんです。したがって、子牛価格の異常高値で生産費が下がったから加工原料乳価格を下げてよいということは、私は断じて言えないと思うんです。価格算定に当たっては、来るべき自由化後の事態まで踏まえて適正に評価すべきではないかというふうに思うんです。
 ですから、保証価格の価格算定に当たっては、やはり何といっても牛乳なんですよ。こんな変動の激しい子牛価格、それがいいからということが、この価格引き下げの算定の大きな私は要因だと思うんです。例えば搾乳牛一頭当たり五十八年で調べたところでは、粗収益が六十二万四千円。その内訳は、大きいのは牛乳がもちろん五十六万四千円でありますが、子牛が当時は三万七千円だったんですね。それが五年たって六十三年を調べますと、粗収益が一頭当たり六十七万六千円、そのうち牛乳で得たものが五十六万六千円と、これはもう価格引き下げによってもわずか二千円しか上がっていないんです。ところが子牛が八万七千円、五万円上がっているんですよ。こんな状況になっているということを踏まえて、先ほど言ったような要因で価格を引き下げるという、そういう算定の仕方というのはおかしいのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#14
○説明員(武智敏夫君) 昨年の場合も、御承知のように九・八%生産費が下がったわけでございまして、そのときも子牛がかなり高くなっておったわけでございます。それをいろいろ自由化も決定したことでもあるということで調整いたしまして、ある程度下がるであろうというふうな見通しをいたしたわけでございますけれども、その後は必ずしも子牛は、子牛といいますか、ぬれ子は下がりませんで、むしろ上がりぎみというような、一時これは紆余曲折はございますけれども、トータルで見ますと下がっていないというようなことになっておりまして、そんなこともまたことしの五・八%の下げにも要因いたしておると思っております。
 先生御指摘のようなことで、我々も、来年から自由化されますので少なくとも今のままいくというふうには思っておりませんので、そこで一定の調整を加えまして、ぬれ子につきましては修正をいたしまして、再生産可能なというように調整いたしたつもりでございます。
#15
○菅野久光君 再生産が可能だと。これは変動するわけですから、私は非常に危険な要素を算定の中に加えているということをこれは指摘せざるを得ません。
 次に、一農家当たりの飼育頭数をふやして一頭当たりの作業労働時間を短縮すること、あるいは一頭当たりの搾乳量の増加による生産性の向上が、これが生産費の引き下げの要因となっているようでありますが、この生産性の向上は、酪農家が内外価格差を縮小して国際的にも胸の張れる酪農にするために一生懸命努力してきたそのたまものなんですね。しかしながら、酪農家が一生懸命努力して生産性を向上させれば、それがそのまま生産費の引き下げになってくる、そのまま価格引き下げの要因になっていってしまうという、これでは酪農家の努力は全く報われないのではないでしょうか。酪農家の努力を評価して生産性向上のメリットというものが酪農家にも還元されるような、そういうことというものをこの乳価の決定に当たって考えるべきではないかというふうに思うんですが、その点はいかがですか。
#16
○説明員(武智敏夫君) 御承知のとおり、従来からの加工原料乳の保証価格につきましては、北海道におきます牛乳の生産費をもとにいたしまして、直近の物価修正をする、あるいは家族労働費につきましては飼育労働の家族労働費でございますが、それ等につきまして評価がえを行うというような手法でやってきたわけでございます。その結果、先ほどお話しといいますか、きょう酪農部会に諮問いたしましたとおり二・六%の下げというふうになっておるわけでございますが、生産費調査では五・八%の下げというようなことになっておりますのを、乳量の調整なりあるいはぬれ子価格の調整というようなことで、農家の方々が努力した部分、これはもちろん努力した部分とぬれ子みたいに他律的な部分もございますけれども、努力した部分等につきましては全部を価格で吸収するのではなくて、当然に一部は農家にも還元するというふうに我々は考えております。
#17
○菅野久光君 それがまた、価格の引き下げになってきて幾らかはメリットは還元しているというようなことが言われますが、それでは私は、酪農家の人たちは納得できないというふうに思うんです。乳量アップをするということは大変な努力の中でやっているわけですね。これは当然のことながら乳牛に悪影響を与えております。近年、乳牛の更新の期間が短くなってきている、このように乳量アップは、すなわち乳牛の償却費のアップにつながっているわけですね。だから、乳量アップによって生産費が下がる、だから加工原料乳価格を下げてよいということは言えないというふうに思うんですが、その償却費、言えば今まで一年で一産だったものが一年三カ月なり四カ月なりで一産ですね。そんな状況になっているということが今回の算定に当たって十分考慮されているのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
#18
○説明員(武智敏夫君) 乳量アップにつきましては二つのことが言えると思うんですが、一つは、要は通常の状態といいますか、牛の能力を発揮するというような形で乳量アップが行われる場合と、それからこれは個々の酪農経営で事情は違うと思いますけれども、先生御指摘のようなかなり無理をして、耐用年数を縮めてまで乳量アップをさせるというような二つのケースが考えられると思います。それで、前段のようないわゆる牛の能力を発揮させるというような意味での乳量アップの場合には、これはコストの低減につながると思いますし、それから後者のようないわゆる耐用年数を縮めてまでしまして乳量アップをするというような場合には、これはむしろ償却費が上がるというふうに思っております。
#19
○菅野久光君 いやだから、乳量をかなり北海道なんかの場合でも上げているわけですね。そういうことによって来る乳牛の償却費、そういうものが今度の算定に当たっても十分考慮されているかどうか、いるのであれば考慮されている、いなかったらいない、あるいは十分でないんだったら十分でないとか、その辺簡単にはっきり答えてください。
#20
○説明員(武智敏夫君) 乳牛の償却費につきましては、物価修正いたしまして当然にカウントいたしております。
#21
○菅野久光君 十分にカウントしているかどうか、その辺のところまでは明確には今答えがないわけですけれども、それはまた別な機会にいろいろ論議をしたいというふうに思います。
 いつも、この乳価の算定に当たって問題になるのは労賃の問題ですね。家族労働の評価についてでありますが、現状では飼育家族労働、それから、昨年から初めて認められた企画管理労働、これについては北海道の製造業五人以上規模労賃で評価をする。自給飼料生産労働については生乳生産費に使用されている農村雇用労賃で評価しているということで、同じ人間が仕事をしているのに自給飼料生産労働だけは低い賃金で評価をしているんですね。これはどんな理由によるものですか。
#22
○説明員(武智敏夫君) これは毎年、昨年もまた先生と御議論いたしたわけでございますけれども、いわゆる飼育家族労働につきましては、酪農が周年拘束的であるというような非常な特殊なものであるというようなことにかんがみまして、いわゆる北海道におきます五人以上の製造業の労賃で特別に評価しておると我々思っております。
 それに対しまして、いわゆる飼育労働につきましては、米以外の一般の農産物の価格も同じように算定いたしておるわけでございますけれども、いわゆる北海道におきます農村雇用労賃を採用いたしております。この農村雇用労賃と申しますのは、北海道におきます製造業ですとかあるいは建設業ですとか、あるいは運輸・通信業ですとか、農業とか、漁業とか、水産業とかそういった六業種全体の平均でございますので、いわば北海道の平均的な、まさに農村における平均的な賃金ということでございますので、それを用いまして飼料作労働に当てはめておるわけでございます。
#23
○菅野久光君 北海道の製造業五人以上規模労賃、これを一応評価の基準にしているわけですね。これを出しているところはどこですか、この出所を明らかにしてください。
#24
○説明員(武智敏夫君) 労働省の毎月勤労統計でございます。
#25
○菅野久光君 それは間違いございませんか。
#26
○説明員(武智敏夫君) ベースのデータがそうでございます。ただ、北海道におきましてはいわゆる五人以上というのはとっておりませんので、一部三十人以上というところから推計をいたしております。
#27
○菅野久光君 じゃ、今言っているのと違うじゃないですか、労働省の毎勤統計から出していると。でたらめですよ、それは。あなたたちがそう言っているから、だから労働省で私は調べたんですよ。そうしたら北海道の五人以上の毎勤統計なんかとっていないじゃないですか。ことしの一月からですよ。今までずっとそういうことを言ってきたんですよ。
#28
○説明員(武智敏夫君) 私が言いましたのは、間違っておりましたらおわびしたいと思いますが、労働省の毎月勤労統計の北海道は三十人以上しかございません。そこで、全国の五人以上がございますので、それをまた修正しまして北海道における五人以上を推定いたしまして出しておるわけでございまして、やはりベースは北海道の毎月勤労統計からでございます。
#29
○菅野久光君 五人以上規模の労働省の毎勤統計からだ、こういうふうに今まで言ってきたわけです。だから、それは当然あるものだと思って私ども調べた。そうしたらないんですよ。だから、あくまでもこれは推計でしょう。推計だということですね、今の答弁ね。それは私が質問しなかったらそういうことになってないんだ、これは。やっと労働省も北海道の統計資料、ことし一月からこれをやることになったということなんです。だから、三十人規模以上ということから推計したということですから、今まで言ってきたことは間違いであったということだけは、これははっきり確認をしておきますよ。いいですね。推計ということを言ってないんだから、今までですよ。
#30
○説明員(武智敏夫君) 毎月勤労統計からとっておりましたことは事実でございますが、御指摘のように北海道におきましては五人以上はなくて、三十人以上しかなかったということは先生がおっしゃるとおりでございます。
#31
○菅野久光君 そうですね、私もそのことは確認をいたしております。推計ですから、これは正確には当たってないということは言えるというふうに思うんです。
 それから、この毎勤統計の中で、六月だとかあるいは十二月に手当が出ますね。こういう手当の分なんかはどのように考えておられるんでしょうか。
#32
○説明員(武智敏夫君) 手当等につきましては入っております。
#33
○菅野久光君 手当を入れて、そして推計したものがあの賃金なんですね。そうですか、それではやはり低くなるのは私は当然だというふうに思うんです。北海道の経済状況は余りよくはないけれども、しかし全国と、ここで言われているようなそれほどの違いは私はないと思っているんですよ。それはまた別な機会にやります。
 労働組合は今賃上げのシーズンですね。この賃上げ分についてはどのような取り扱いをするんですか。
#34
○説明員(武智敏夫君) 先ほども申しましたとおり、乳価の決定におきましては去年のをベースにいたしまして、直近の物価で修正することにいたしております。その場合に、えさのように例えば六月にどうなるというふうに事実上わかっておるものにつきましては全部加味することにいたしておりますけれども、例えば春闘というようなことで上がることは上がると思いますけれども、どういうふうに上がるか具体的にまだ決まってないものにつきましては、従来からそれはカウントしないということになっておりまして、一年おくれで入ってくるというふうなことになっております。
#35
○菅野久光君 先ほどの労賃も、あくまでも推計でということで低く抑えているというふうに私は言わざるを得ません。それから、今お話ししましたように、労働者は今賃上げで、賃上げしたらこの四月一日から賃上げ分をもらうわけですね。しかし、この算定に当たっては直近の三カ月だから十一、十二、一ぐらいでしょうか、そのぐらいのところですね。そうすると、この算定に当たっては一年おくれの労働者の賃金、それをベースにしてこれが算定されるということなんですよ。これじゃ農家の人たちは大変じゃないでしょうか、おかしいんじゃないでしょうか。
 もちろん、どれだけ上がるかということを推計せいと言ってもそれは推計はできないかもしれない。しかし、そういうものをある程度見込まなかったら、農家の人たちは普通の――普通のと言ったら悪いんですが、ほかの労働者よりも低い生活で我慢しなさいということになるわけですよ、そうでしょう。(「少なくとも生産性向上分は全部入れるべきだよ」と呼ぶ者あり)今お話しありましたように、そこで生産性向上分はそのうちの幾らかしか見ないということですから、これは算定が低くなるのが当然ではないかというふうに私は思うんです。例えば、一時間当たり今のような算定で五百円低く算定したとしたら、農家の手取り、まあ年に二千時間として一人百万手取りが少なくなるということなんですよ。そういう状況に農家の人たちは置かれているということをもっとやっぱり考えてもらわなきゃいかんじゃないか。
 しかも、先ほど言いましたように、自給飼料生産にかかわる労賃については特に低い労賃で見ているわけですから、これじゃやっぱり価格を下げるためにそういう数字をつくり、はじき出している、つくり出していると言った方が正確じゃないでしょうか。そういうふうに思わざるを得ないんですよ。そうじゃないでしょうか。
#36
○説明員(武智敏夫君) おっしゃいますように、労賃の場合にはそういうことも一方では言えようかと思いますが、逆に例えば乳量なんかですと毎年向上いたしておりますけれども、これはカウントいたしていないわけでございますし、あるいは労働時間等もだんだん短くなっておるわけでございますが、これも入れてないわけでございます。したがいまして、入れておるものと、入れておるものといいますか、すべて先のわからないものについては入れておらないということでございまして、それが乳価に及ぼす影響は確かにプラスに働くものとマイナスに働くものと両方あるわけでございますので、そこは両方をとんとんにといいますか、押しなべて言うと、そこはお互いにわからないから、プラスもマイナスも全体の中で調整しておるというふうな考え方に立っております。
#37
○菅野久光君 全体の中で調整する、その調整の仕方が、前提がやっぱり内外価格差なるもの、何というか、名前を冠して引き下げるための要素に使っているのじゃないかというふうに私は農家の人たちが思うのは当たり前だと思うんですよ。
 そこで、生産費の調査なんですが、統計情報部長来ていますね。どういう階層、A、B、C、Dという階層がありますが、その階層別にきちっとなっているのかどうか、その辺統計のとり方、調査比のとり方、それをお答えください。
#38
○説明員(海野研一君) 私ども生乳の生産費調査の対象農家の場合には、規模別ないし地域別にできるだけ、何といいますか、均等にサンプルが配分されてそれによって全体の、いわば統計誤差が出ないようにということでやっておりまして、したがいまして、まず頭数規模別に配分をする。その次に、各統計情報事務所別に配分をしているということで、その中で無作為にということでございまして、いわゆる借金が多い少ないによって、何といいますか、特にバランスを考慮した選定は行っておりません。
#39
○菅野久光君 本当に無作為でやっておられるように今答弁されましたが、私はそれはうそだと。いやうそだなんて言ったら悪いんですが、そういうことにはなっておらぬ。そういうふうに申し上げざるを得ないんです。それは一年間でしょう。一年間の統計調査をするというのが無差別で、無作為で抽出して頼んで本当にやってもらえますか。まあ答弁があるなら言ってください。
#40
○説明員(海野研一君) 確かに、農家の記帳協力というものがだんだん難しくなってきておりますので、断られた場合にはその名簿の次の人に頼むというような格好で、ですから当初、全くさいころを振って決めたところがそのまま引き受けてくれるという実態にはございません。
#41
○菅野久光君 調査を頼めるところというのは、私の感覚で言えばやっぱりBの上かせめてAの下か、そのぐらいの階層のところでなかったら、一年間とても記帳に協力するなんというようなことになっていかないのではないかと私は思うんですよ。だから、そこから出てくる生産費というのは当然低くなるのは私は当たり前だと思うんです。だから、そういうところから出た生産費、しかしB階層もある、C階層、D階層とある、そこのところをどう補正するのかという作業がなされるのであれば私はまだ納得できるわけよ。だけどA、B、C、D、それぞれの階層から規模別、頭数別ということで出しましたということでいくんだったら私はそれは納得できない、そう思うんですが、どうですか。
#42
○説明員(海野研一君) 生産費調査、これあくまでも記帳調査でございまして、そういう意味で、確かにおっしゃるように記帳に協力をされる農家とされない農家で、生産費の差というものが何らかの有意差があるということはあり得るかと思うんですが、ただある意味じゃ、それを補正するというにはまたこれ記帳に頼らなきゃならないというようなことがございますので、私どもこれまで何十年間、他の作物もそうでございますけれども、ともかく同じ規模なり、地域なりの類型に入るところで記帳をしていただけるという農家の数字を出してまいったわけでございます。
#43
○菅野久光君 ですから、非常に私は難しいと思うんです、この生産費の調査も。それは私はわかるんです。先ほど言いましたように、やっぱり記帳に協力できる農家というのは、それなりに施設なり何なりがいいところでなかったらこれは協力できないんですよ。その生産費調査をもとにして、そして価格算定をするということになれば、じゃC階層、D階層の人たちは一体どうなるんじゃということにならざるを得ないと私は思っているんですね。A階層だとかあるいはBの上階層、それが全体のどのぐらいの割合なのかということは、私はまだ数字はつかんでおりませんけれども、しかし実態はそういうことにもなるんです。
 だから、農家の人たちはみんな笑っていますよ。ああ、あそこで調査されたんだったらいい数字が出てくるのは当たり前だと。そういう中でいかにももっともらしく、もっともらしくやらなかったらこれは説明できませんから。でも、そこのところも今のような実態ということを踏まえて、そういうところも一応配慮してやってくれているのかというような、納得できるようなそういうことにしないと私はだめだと思うんです。先ほどの五人以上規模のやつなんて北海道やってないのに、それをもとにしてやりましたなんというようなことできたって、今もうみんな真剣ですよ、自分たちの経営をどうやって守るかということで本当にみんな酪農家の皆さん方真剣です。
 だから、あなたたちがこういうことを言っていけば皆さん方何とか納得するだろうなんて思ったって、私の今質問しているようなことは、私が調べたものもありますけれども、農家の皆さん方からそれはいろいろ聞いてそして言っているんですよ。だから農家の方の声だ、生産者の声だということでしっかり受けとめてもらわないと、この委員会の中だけでやっているから委員会の中だけの話だなんて思ってもらったら大きな間違いです。そのことをしっかり踏まえてもらいたいというふうに思います。
 時間が私は十五分までということで、大分予定をしておったものがたくさんあるんですが、防衛庁来ていますか。――来ていますね。防衛庁の問題ちょっとやりましょう、先に。
 北海道の別海町で陸上自衛隊の矢臼別大演習場があるんですが、ここで砲撃騒音によって、演習場周辺地区で乳牛が過敏になって乳量が低下するという酪農被害が生じている。町は、平成二年度の予算に騒音振動調査費として二百五十万円を計上して、酪農被害の本格的な実態調査を行うことにしている。政府は、この矢臼別大演習場周辺地区の酪農被害についてどのように把握されておるのか。そしてまた、現在民間施設の騒音基準としては、飛行機の離発着の基準があるだけで砲撃騒音についての基準はないわけですね。このまま砲撃騒音を放置すれば、演習場周辺地区の酪農家の経営及び生活にゆゆしい事態が生ずる。したがって、政府はこの砲撃騒音についても基準を設けて、酪農被害解消のために積極的に取り組むべきだというふうに思うんですが、防衛施設庁としていかがお考えでしょうか。
#44
○政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。
 今までに、全国的にも砲撃音による騒音の苦情をちょうだいしたことはあるわけでございますが、酪農被害補償についてお申し出を受けたという事例はございません。また、その補償につきましても事例はないわけでございます。当庁といたしましては、砲撃による騒音につきましては、周辺整備法によりまして、学校防音あるいは病院の防音等、被害を受けていらっしゃる方々に誠心誠意対応いたしているところでございますが、砲撃による影響につきましては航空機騒音、これとは異なりまして学術上もかなり研究が進んでいないというようなことでございますので、当庁といたしましては、まず基礎的な事項について把握するべく勉強いたしたいというふうに考えております。
#45
○菅野久光君 よく現地調査をして、そして政府としてもやっぱりやり得ることをできるだけ誠意を持って対応してもらいたいということをこの機会に、私から要請しておきたいというふうに思います。
 引き続きまして、内外価格差の問題です。
 乳価の問題だけではなくて、農畜産物すべてにかかわって内外価格差の問題が非常に重要な問題になってきている。それで、内外価格差というのは生産者の段階での内外価格差なのか、それとも消費者価格の段階での内外価格差を言っているのか、そのどちらもそうなのか。それについて見解をお聞かせください。
#46
○説明員(武智敏夫君) 例えば牛乳、乳製品の場合でございますと、バターですとか脱粉の製品の段階が一つでございますし、当然製品をつくるためには原料の生乳が要るわけでございますので、その生乳の内外価格差という両方だと思っております。
#47
○菅野久光君 両方ですね。両方でなかったらおかしいんですよ。ところが、おかしいことが現実的におかしいことになっているんですよね。生産者の価格は下げる、これは一生懸命政府は努力してやってきました。しかし、生産者の価格を引き下げながら、その引き下げたことが消費者価格まで及んでいるのかどうか、そこまでちゃんといっているのかどうかですね。そのことについてはどのようにお考えでしょう。
#48
○説明員(武智敏夫君) 保証乳価につきましては、御承知のように六十一年度以降三年ほど下がっております。大体一〇%強でございます。それに対しましていわゆる乳製品の安定指標価格、これは政府が決めることになっておりますけれども、これが六十一年度以降、昨年も含めまして四年連続下げておりまして、これは、バターにつきましては一五%程度、脱粉につきましては五%ぐらい下げております。現実のバターの価格につきましては一〇%ぐらい下がっておるというようなことで、一部といいますか、消費者への還元もある程度図られておるというふうに思っております。
#49
○菅野久光君 私がいろいろ聞いている部分とは大分違うようなんですね。
 昭和六十年から平成元年までの間で、保証乳価は一四・二%下がっているんですね。これは途中で、六十二年に脂肪率三・二%から三・五%になったりしておりますが、これだけ下がっております。しかし、実際にバターの市販価格の消費者価格のところでいけば、これは八%下がっているということですが、脱粉は逆に二%上がっているというんです。これは、牛乳製品だけではないことは私はここでも何回か言ったんですけれども、生産者価格はここで決めればぱっと決められる、下げられる。ところが、消費者価格というのはその間に業者がいる、流通の関係ですね。そういうことがいろいろあるわけですよ。だから、生産者の価格は下がっているのに消費者価格は上がっている。そして、高い高いと言うんですよね。
 だから、生産者の価格を下げたのなら、それにやや見合う分ぐらい消費者価格が下がるようなそういう政府の行政指導というのが一体あるのかないのか。そのことについては非常に生産者の人も不信を持っています。どれだけ消費者に還元されているんだと。もっと極単なことを言えばいじめられているのは生産者、農民だけじゃないかと、こんな感じもあるわけですね。それはどのようにお考えでしょうか。
#50
○説明員(武智敏夫君) やはりこの不足払い制度そのものの基本が、バターなり脱粉なりの製品が内外価格差といいますか、海外とも競争できるようにすべきであるというような立法精神でもともとできておるものでございますので、しかもその八割が酪農家からの生乳であるというようなことになっておりますので、まさにそこは両々相まって下がってといいますか、内外価格差が是正されるような方向でいかなければいかぬと思っております。
 そこのバターなり脱粉につきましては御承知のようなことで、制度上は安定指標価格より四%超えますと、本来で言いますと、例えば輸入等でもやりまして冷やすというようなことでございますけれども、また輸入の問題、いろいろ難しい問題がございまして、今行政指導で何とかということでやっておりますが、御指摘のように若干安定指標価格の四%より上で推移しておる。これは何というんですか、自由経済といいますか、そういうこととの関連で、やや御指摘のように生産者の価格が下がっておる割に、末端の消費者価格は下がっていないというような状況に・なっております。
#51
○菅野久光君 メーカーだとか流通の段階にもうほとんど吸収されてしまって、生産者価格を下げたということが消費者に還元されていないということが多々あるわけです。だから、そういう点についての政府の行政指導、牛乳関係で言えば牛乳三社なんというのは空前の利益を上げている。それは別に牛乳だけで上げているのではないとメーカーはよく言うそうでありますけれども、しかし少なくとも、牛乳もその中の主要な部分を占めているわけですから、そういったようなものがやっぱり消費者にも還元される、あるいはメーカーがそれだけいいんであれば、そのいいある部分を生産者に何らかの形で還元するだとか、そういう痛みや喜びというものをお互いに分け合うようなそういうことをやっていかないと、これはやっぱり政治不信というものが高まってくるのは私は当然ではないかというふうに思うんですよ、ここの部分は。
 ですから、私はこれ以上言いませんが、私の言わんとするところはよくわかっていただけるというふうに思うんです。
 それで、今回の畜産価格の問題について、特に酪農の問題について一 つの大きな柱はヘルパーの問題です。私も前の委員会でこれは取り上げましたが、週休二日制がこれだけ普及してくる、そういう中で酪農、生き物を扱っているために、本当に三百六十五日うちをあけられないというようなことなどがあって、そのことがまた後継者難に拍車をかけている部分もあるというようなことから、今全国的にこのヘルパー制度の問題が大きな問題として挙がってきております。
 今回の場合も、けさの農業新聞を見ますと、一県平均一億円、五十億円を助成に充てようというようなことなどが出ておりますが、それは一歩私は進歩だと思いますが、ヘルパー問題についてはやっぱり制度化をするということが必要じゃないか。ただ単なる補助という、あるいは助成ということだけではこのヘルパー制度というものが私はうまくいかないのじゃないかというふうに思うんですが、ヘルパー制度を成功させるというんですか、ヘルパー制度をきちっとさせていくために大事な要因というものをどのようにお考えでしょうか。
#52
○説明員(武智敏夫君) 現在もヘルパー、各地域でそれなりにあるところがあるわけでございますが、いろいろお話を聞いていますと、酪農家の数が非常に減ってきておりまして、いわゆる従来ですと相互扶助というような形でやれておったのが非常にやりにくくなっておるというようなことが一つございます。それからもう一つは、やはり乳牛の品質が非常によくなっておりますし、それからあるいは機械設備も非常に高度化いたしております。したがいまして、そういうことにたえられるヘルパー、それを自由に使えるといいますか、そういったような高度の技術を持ったヘルパーでないと酪農家の方々は安心して任せられないというようなことになっております。
 したがいまして、そういう両方の要件を満たすといいますか、そういうようなことも考えながらやっていかなければいかぬということと、それからもう一つはヘルパーの方々のいわゆる身分保障が必ずしもはっきりしていないというようなこともございますので、そういったようなことも考えながら現在検討いたしておるわけでございます。
#53
○菅野久光君 まだ、検討の中だというんですからこれから検討していただきたいというふうに思うのは、確かにやはり制度化ということで身分が安定することによって私は人を得ることができるというふうに思うんです。また、そのことによって養成制度というものをきちっとやはりやれるようにもなるでしょうし、そういう意味でヘルパーの制度化というものについて、ただ単なる賃金の助成だとか何かをやることの助成だとかという、そういうことではなくて、やはりヘルパーの制度化というものによって安定的なものにしていくことが、これをより発展させていくことになるのではないかというふうに思うんです。
 これはもう、何はあってもこれからの酪農のことを考えていけば本当に大事なことだと思いますし、また今、いろんなところでヘルパーの問題でやっていて、そのことによって農民の方も自分のところの牛をほかの人に任せられるかという気持ちを持っておられる方も専任ヘルパー、やはりあの人になら安心して任せられるというような人を得て、休みをちゃんと取っていっているというようなところもあるわけですね。そういうような状況なども踏まえながら、これだけはひとつ何としても制度化の方向で努力をしてもらいたいというふうに思います。
 この問題について、最後に大臣から私がやりとりしたことを含めた感想を聞きたいと思いますが、もう一つもう時間がございませんから私の方から申し上げたいのは、農家負債の問題なんです。
 役所の人に聞きますと、農家の負債の問題についてはもう統計でも預金の方が多くて負債なんか少ないですよ、それこそ数字が物を言っているんですというようなことを言われるんですが、現実はそうじゃない。やはり現場を知らない人が言っているんだなというふうに思わざるを得ません。先日興部のある方が来られて話をされたのは、五十六年度に負債整理対策資金が導入された時点で、二百十六戸の酪農家がいて全部で負債が四十六億六千九百万円あった。一戸平均二千百六十一万。現在は平成二年二月二十八日で調べたところでは、戸数が百五十八戸に減った、そして四十六億六千九百万円が元金で四十四億六百万、約二億六千万程度、元金は約十年で二億六千万ぐらいしか減らないわけですよ。一戸平均にすると逆にふえて二千七百八十八万ということなんですよね。
 ですから、いろいろ言われているように補助金をくれとは言わない。しかし、長期の低利の資金をぜひ考えてもらいたい。言われているのは五十年二分ということなんですが、それを考えてもらえば本当に欧米にも、今の経営だけでいけば欧米並み、EC並みのあれはありますから、元金返済の負担が減れば、もう十分にやっていけるというような状況にあることも踏まえてこれから考えてもらいたいというふうに思うんです。
 最後に、大臣から感想などを含めてお答えいただいて私の質問を終わります。
   〔委員長退席、理事北修二君着席〕
#54
○国務大臣(山本富雄君) お答えいたします。
 菅野先生から各般にわたってるるお話がございました。傾聴しておりました。生産者の生の声を体されて、しかも数字も駆使されまして一々ごもっともだなというふうに個人的には考えることが非常に多いわけでございます。
 試算値ですね、これは今部会の方に出しております。おりますが、御指摘のとおり確かに二・六%価格の面で下げたということでございます。限度数量では五万トンほどふやしたということなどもございます。これは二・六%マイナスしたについてはそれなりの、生産費を初めとして数字だとか客観情勢とか先生さまざまな御指摘ございましたけれども、農林水産省としてはきちんと理屈をつけて、そしてまたいろいろな情勢も勘案して出した苦心の策だと、私どもはそういうふうに思っております。ただ、これで本当に生産者が十分満足できるのかという気持ちも実は私の中にないわけじゃありません。
 そこで、先ほど出たヘルパーの問題ですね、これ私非常に大事だと思っております。ですから、制度問題を含めて先生からいろいろ御指摘がございまして、まだそこまで実は詰まっておりません。おりませんが、この問題はどうしても前向きで検討するようにということで私の方からもお願いをしてございまして、もちろん金が大事ですから金の問題からいいますけれども、金だけで済むことではないというふうに思っておりますので、先生のせっかくの御提案を十分踏まえまして、これからしっかり勉強さしてもらい、そしていい形でこれが実りまするように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
 いろいろありがとうございました。
#55
○谷本巍君 今菅野委員から酪農問題を中心にして質問がありましたので、私は牛肉問題を中心に若干のお尋ねをしてまいりたいと思います。
 きょう、大臣から所信表明がありましたが、三月二十六日の当委員会で大臣があいさつされたのは極めて手短でありまして、私はあのあいさつに大変強い関心を持って聞かせていただきました。大臣が言われましたのは、農業は国の基だ、そして日本は高温多湿の国で、山間地あり、中山間部あり、平野部もあるという条件は決して不利な条件ではないと強調されながら、日本は消費水準の高い国内市場に恵まれているということを強調されました。そして、その中でそうした自然条件とすぐれた生産者、この能力をどう伸ばしていくのか、それができるならば農業の将来は決して暗いことはないと大臣言われましたね。そのとおりですね。
 そこで伺いたいのは、一月の十九日に閣議決定されました「農産物の需要と生産の長期見通し」、この問題で伺ってまいりたいと存じます。これを見てまいりますというと、牛肉の需要は十年後には百五十一から百七十三万トンになるであろうことが言われております。十五年後はどういうことになるかというと、おおむね二百万トンということで倍増という消費が見込まれるわけです。大幅な需要が見込まれる唯一の作目が肉牛だといっても過言ではなかろうと存じます。つまり、大臣の言う消費市場に恵まれた最たるものが牛肉だということになります。ところが、閣議決定されたこの見通しを見てみますというと、自給率は大変残念ながら六四%のものが四九%に下がるとされております。牛肉生産の見通しについて伺いたいのです。
#56
○国務大臣(山本富雄君) 数字の問題に対しましては後ほどまた、これは先生専門家でいらっしゃいますから審議官の方からもお話をいたしますが、今お話しのとおりの、私の今後の農政に対する考え方を申し述べたとおりでございます。私、そう思っております。今のようなお話を基本にして農政を展開していく、そして生産者にともども頑張りましょうというふうに働きかけ、勇気を持って新時代を切り開いていこうと、こういう話をしたわけでございます。
 その中で、確かに今先生御指摘のとおり、牛肉は非常に有力だと、有望だというふうに私自身も思っております。百五十一から百七十三万トン、十年で八割増だと、十五年たてば倍増するというこの需要が片やあるわけです。それでこの生産の方を見ますと、十二年度に今の百五十一ないし百七十三にバランスする数字というのは七十九万トンなんだと、こういうことなんです。しかし、今から見ますとこれ約四割強増なんですね。そういうふうに我々の方では進めていくという考え方をこの数字で示しておるということでございます。
 基本的にはやはりこれからいよいよ国際化、自由化ということになってきますので、コストの問題が非常に問題だということですからコストをできるだけ引き下げなくちゃならない。それから、この長期的な視点に立って肉用牛の将来というものを考えていかなくちゃならない。それにはやはり新技術をどうやって駆使してやっていくか、そしてこれを普及し推進することによって牛肉の将来というものをつくり上げていこうと、こういうふうにこの長期見通しでは述べられておる。私ども、この線に沿いまして仕事を進めていくことにしたい、こう思っておるわけでございます。
#57
○谷本巍君 この見通しを見てみますというと飼養頭数の場合で言いますと、昭和六十二年二百六十五万頭のものが、平成十二年度には四百十二万頭になるとされております。つまり伸び率で言うと五五%ということですね。ところで、昭和五十年対六十年の飼養頭数の伸びはどの程度であったか、私数字をきちっと調べておりませんが私の記憶によりますというと、多分間違いなかろうと思いますが一三・二%増であったように記憶をしております。今後、十年の伸びが過去の実績を大幅に上回るという見通しになっておるわけでありますが、その主要な根拠は何なのか、端的にひとつお答えいただきたいのです。
#58
○説明員(武智敏夫君) おっしゃいましたとおり、昭和五十年度の総飼養頭数は百九十一万頭でございましたのが、六十二年度、この長期見通しの基準年には二百六十五万頭になっております。ちょっと率は別でございます。要は、肉用牛の場合にはこれも先生の方が詳しいわけでございますが、当然に肉専用種と酪農から出てきます方の乳用種がございます。このトータルが、結果といたしまして先ほど言いました四百十二万頭になるわけでございまして、肉専用種が現在の百六十一万頭を二百七十万頭に持っていきたいと。これは我々といいますか、牛肉の需要が伸びるわけでございますので、伸びる需要に国内で何とか意欲的に伸ばしていきたいというようなかなり意欲も入っておりますが、伸ばしていきたいということでございます。
 それに対しまして酪農の方は、やはり牛乳の生産といいますか、乳製品の需要といいますか、要は牛乳、乳製品の需要からの拘束といいますか、当然そういうサイドがございます。したがいまして、そちらの方につきましては、基準年に百三万頭が目標年次では百四十二万頭ということで四割ぐらいの伸び、これを見込んでおります。
 肉専用種につきましては、これは最大限といいますか、国内で非常ないい肉でございますので、国内でできました雌につきまして最大限活用する。一部御承知のようなことでいろいろ肉専用種の雌につきましても、そのまま屠殺されたりいたしておるわけでございますが、例えばそういうなのは一産取りをやるというようなことですとか、あるいは現在はやや少しずつふえておるわけでございますが、いわゆる乳用種に肉専用種の黒牛をかけまして、そこから出てきたものを肉として供給するというようなこと。あるいはまた、そのF1をさらにまた肉専用種をかけましてF1Xをつくってやっていくというようなことですと非常に強健にもなりますし、酪農を活用しましていわゆる肉の生産ができる。あるいはまた後ほども出てこようかと思いますが、いわゆる新しい技術で受精卵移植というふうなことが最近ずっと、まだ普及の段階まで至っておりませんけれども、かなり技術的に確立いたしてきております。したがいまして、受精卵移植を用いましてふやしていきたいということでございます。
#59
○谷本巍君 そうしますと、この大幅な過去の実勢値を上回るような大幅な伸びを見たというのは、主たる要因というのは技術的展望、これが中心的な理由になっているということですね。
#60
○説明員(武智敏夫君) 幾つか要素がございますが、一つはおっしゃいましたとおり、技術的展望でございます。いわゆる受精卵移植等によります双子生産等の新技術でございますとか、それからあるいは交雑種の利用ですとか、あるいは一産取り、それからもう一つは生産技術のレベルアップ、そういったもの、それからもう一つは飼料基盤に立脚した肉用牛経営の安定的な規模拡大という四つぐらいでございます。
#61
○谷本巍君 そこで伺いたいのは、輸入自由化の影響を織り込んでいるのかいないのかということであります。平成五年までの関税率は既に決まっておりますけれども、六年以降の関税率というのは、これはウルグアイ・ラウンドでどう決まっていくかという問題もありましょう。そういう関税率が今後どのように推移していくのか、その辺のところを見込んでいるのかいないのか。
 さらにはまた輸入牛肉ですね、これは乳雄の場合と品質的には近いと言われておるわけでありますが、輸出する側でも日本向きの品質改善などを図る努力がされておるわけでありまして、そういったようなことなどを織り込んでいるのかどうか。さらにはまた、和牛とまさしく競合する開発輸入ですね。そういったようなものなどもどの程度織り込んでいるのか、その種のファクターがどのように織り込まれているか、そこのところを伺っておきたい。
#62
○説明員(武智敏夫君) 一応牛肉につきましては織り込んでおります。それから関税率につきましても御承知のようなことで、七、六、五というようなことで、その後につきましては、我々としては五〇%で頑張りたいというようなことで考えております。
#63
○谷本巍君 そうしますと、輸入自由化の影響というのはきちっと計算されたものではないわけですね。
   〔理事北修二君退席、委員長着席〕
#64
○説明員(武智敏夫君) いわゆる輸入自由化の影響につきましては、輸入量というふうな形で見込んでおります。先ほど、御指摘のような自給率が下がりますのも当然そういうようなことの結果でございまして、一応平成十二年度におきましては、輸入量が七十二万トンないし九十四万トンというようなことで見込んでおります。
#65
○谷本巍君 結局、お話を伺ってみますというと技術的展望というのが中心になって、それにまた今御答弁にありますように意欲的なものが入っているというお話でございましたが、言うなれば、目標的な数値であって確たるものとは言いがたい点が多いというふうに思われるのであります。そんな状況の中で今後貿易市場における牛肉の需給動向、これがどんなふうになっていくのか、その見通しのことについて若干伺っておきたいと思います。
 昭和四十八年でありましたか、世界の食糧危機になりましたのは、あの場合の主たる要因というのはソビエトの不作というのが引き金になったが、背景にあったのは東ヨーロッパの畜産消費の伸びということでありました。そういう状況を踏まえながら最近の状況を見てみますというと、新興工業国の畜産消費の伸び、これは東ヨーロッパの人口をはるかに上回る畜産消費の伸びということになってくるわけですが、そういう状況があり、そしてまた東ヨーロッパ、ソ連などでも畜産消費が伸びておるとされております。
 また、アメリカにしましても、日本に牛肉を買ってくれということを言っておりますけれども、アメリカ自身が牛肉の輸入国でもある、自給率は九三%ということですね。アメリカでも所得格差が解消されていくということになりますというと、ハンバーグステーキを食っておられる皆さんが、ビーフステーキに移っていくのではないかといったような話等々もありまして、そういう状況になってきたら、アメリカは牛肉の輸出国にはならないだろうというお話等々も既に出ておるわけであります。
 こうした消費の問題とともにもう一つの大きな問題は、もうこれ以上地球上の森林をつぶして畑にすることはできないと、環境上の問題から、そういうふうに言われてきておるわけであります。人口の増加問題などとを加えてみますというと、牛肉の貿易市場に出回る数量というのは決して明るいものではなかろうと存じます。しかも、牛肉市場に出回ってまいります牛肉の貿易量というのは、生産量で比べてみますというと、麦などに比べますと非常に少ないわけですね。そんな状況等々を踏まえますというと、牛肉についてはいつでも好きなだけ輸出できる時代ではなくなっていくと思うのだが、当局はどのように見ておられるか伺いたい。
#66
○説明員(武智敏夫君) 今お話しございましたように、牛肉、日本人に比べて例えばアメリカ人は七倍ぐらい食べておるというようなことでございますが、非常に国によって食べ方は違っております。全体的には、世界全体の消費量は大体近年横ばいないし微増というようなことになっております。それに対しまして、世界の生産でございますけれども、いわゆる需要量を現時点では若干上回る水準というようなことになっておりまして、牛肉全体としては、今のところはまあまあ安定的な状況で推移いたしております。ただ、牛肉の場合には、いわゆる牛肉を生産した国で消費するというような傾向が強いというようなこともございまして、全体の生産量に占める貿易量は非常に小さいということで、先生御指摘のようないわゆるこれらの貿易関係につきましては十分留意していかなきゃいかぬと思っております。
 特に、牛肉の場合にはいわゆる口蹄疫の汚染国と汚染国でないということがございまして、日本の場合には汚染国でないわけでございますので、取引しましても汚染国からはできなくて非汚染国からでないといかぬというような制約もございます。そういう意味におきまして、世界的にもかなり注意して見ておかなきゃならないというふうに思っております。
#67
○谷本巍君 そうしますと、安易な外国依存というのはやっぱり許されぬ状況になっていくだろうというふうにとらえてよかろうと思います。豊かな食生活を保障していくのには、長期見通しが示しておりますような自給率の維持というのが言うなれば最低だと、こんなふうに言ってよいと思うのですが、その点いかがでしょうか。
#68
○説明員(武智敏夫君) 先ほども申しましたとおり、来年の四月から牛肉が自由化されるわけでございまして、世界全体の需給は今言ったようなことでございますけれども、現時点だけで見ますと、例えばアメリカにつきましては、アメリカ人は今、年三十五キロぐらい食べておるわけでございますが、ややホワイトミートといいますか、いわゆるブロイラーの方に最近少し移りつつございます。そんなことでアメリカの牛肉事情は、関係者はやや悲観的になっておるというようなこともございますし、それからオーストラリアも現時点では輸出余力もございます。したがいまして、来年自由化した際には、そこは当然に今後ふえていかざるを得ないというふうに思っております。
 ただ、先ほど来申しておりますように、国内で需要があるわけでございますので、需要に見合って国内生産はやっていかぬといかぬということで、一応幅で示しておりますけれども、いわゆる五〇%前後というようなところで何とか頑張りたいというふうに思っておるわけでございます。
#69
○谷本巍君 そこで、長期見通しの自給率を維持していくということからいいましても、生産を支えるのは、大臣が言われましたように人であります。食肉生産の農家の最近の動向はどういう状況にあるのか、端的に申し上げますというと、借金でやめられない人たちが頑張っているという感じが大ざっぱにありますが、そういう状況が今強くなってきております。
 養豚農家で言いますというと、二、三十頭飼育の養豚農家で残っているところはまだ結構あるのでありますが、大体ことしいっぱいにほとんどやめてしまうであろうというのが私どもが聞く大方の声であります。農協などにしましても、このままにしておくというとどんどん赤字がふえて、借金の取り立てをやることができなくなっていくから、今のうちやめたらどうなんだといったような判断をなさる例もまた多いようであります。
 それなら、和牛の方はどうなのかということになってまいりますというと、和牛の生産農家は、十年ほど前に価格の暴落で倒産騒ぎをしたといったような経験を目の当たりに見てきておる人たちが多いわけでありますから、調子のいい時期に手を引くのがいいのではないかといったような判断が強くなっているところであります。人を確保するのにどうしたらいいのか、やっぱり積極的に、大臣がこの間所信表明されたような、ああした考え方に基づいて大胆な施策を打ち出していくことが大事だろうと思うのです。
 そこで、まず大臣に伺いたい第一点は、大臣が言われるように、地域の条件を生かしながら畜産を伸ばしていくというような点でいきますというと、畜産の場合にはもう一つの問題としてありますのは、それぞれの地域に見合った牛の導入あるいはまた牛の開発、これが大事になってまいります。この点について、大臣自身力を入れるお考えがあるかどうか伺っておきたい。
#70
○国務大臣(山本富雄君) もちろん力を入れていきたいと思っております。
#71
○谷本巍君 それから、もう一つの問題は資金問題であります。畜産をやるのには多額の資金を必要とします。
 そこで、二つほどお考えを伺っておきたいのでありますが、その一つは、そのために大臣が力を入れるというお考えがあるかどうか、これが一つ。それから二つ目の問題は、中身に少々関連した問題であります。どうもこれまで補助事業、これが多かったのでありますが、率直に申し上げまして、補助事業は使う農家にとって制約が余りにも大きい、そして農家の発想が生かされぬ、こういう不満が少なくないのであります。加えて、行政設計で過剰投資を強いられたために、それが負債累積の一因になったという例も数多くあるのであります。こうして見てみますというと、そうした補助事業に力を入れるということよりも、むしろ例えば無利子ないしは超低利といいましょうか、それで長期資金といったようなものの希望が強いのでありますが、こうした点の実現について、大臣が検討される用意があるのかどうか、これを伺っておきたいのです。
#72
○説明員(武智敏夫君) 金融につきましては、まさに農林漁業金融公庫資金等系統資金があるわけでございまして、いろいろそれによって肥育牛の導入ですとかあるいは機械、施設の導入が図られておるわけでございます。特に畜産の場合には、今先生御指摘のいわゆる無利子の資金で、農業改良資金の中に無利子の畜産振興資金というのを持っております。これは毎年二百三十億円の枠を持っておりますが、それを何とかもっと使っていただくようにしたいというふうに思っております。特にそういうような観点もございまして、いろいろメニューがあるわけでございますが、平成元年度からは、いわゆる産肉能力にすぐれた肥育素牛の導入に要する経費なんかも、その中で見ていくというような形にしておりますし、これからも要望等がありますれば検討さしていただきたいというふうに思っております。
#73
○谷本巍君 そうしますと、私がお願い申し上げましたような、農家の発想が生かされるような自由に使える利子の低いもので長期のもの、これを積極的にふやしていくといいますか、伸ばしていくというか、そういう努力をされる用意があるということでございますね。
#74
○説明員(武智敏夫君) 畜産振興資金、これは無利子の資金、ちょっと年次は忘れました、数年前に導入したわけでございますが、まだ必ずしも十分使われていないというような問題もございます。したがいまして、我々としてはこれは最大限使っていただきまして、もしも足りなくなればそれはまた努力するということでやりたいというふうに思っております。
#75
○谷本巍君 その点をお願いしておきます。
 続きまして、国内生産を伸ばしていくのにはもう一つの問題としてえさの問題があります。牛肉というのは、未来永劫にわたっていつでも好きなだけ安いものが手に入る時代ではなくなっていくという展望などからしますというと、やはり国内での飼料生産を考えていかなきゃならぬと存じます。
 大臣が言われた高温多湿の国とは飼料生産から見たらどういう意味なのか。これは、やはり草木の繁茂が非常に率がいいということであって、日本で言いますというと、いいところですと年四回草を刈ることができるというようなところもございます。外国の例と比べてみますというと非常にこの点は日本は恵まれた国だと言ってもよいでありましょうし、さらにまた穀物の単収にしましても、力の入れよう、技術研究のいかんによっては伸びる可能性というのはまだまだあるというふうに言ってよかろうと思います。
 そういう条件をどう生かすかということがさしずめ問題になってくるのでありますが、農政審の需給見通し小委員会に配付された資料、「食料自給率について」というやつを拝見いたしますというと、大臣のそういう発想とは全く逆なことしか書いていない、残念ながら。端的に申し上げますというと、書いてあることは、飼料の国内生産は割高になってしまうので畜産利用には無理であると、ぴしっと言い切っておるわけですね。さらにはまた、差額補てんをやるということになってくるというと、膨大な財政資金を伴うということを挙げ、さらにはまた、土地面積にも限界があるといったようなこと等を述べているだけであります。つまり自然条件の有利さを生かす姿勢が全くないのであります。この点について、大臣の所見を承りたい。
#76
○国務大臣(山本富雄君) 農政審のことは先生よく御存じのとおりでございます。しかし、今まで議論してきたように、やっぱり国内産の肉をこれから大いに我々が積極的に、今私申し上げたとおリカを入れていきますという私の考え方を、これから農政の中でどうやって生かしていくか。結局、乳の牛にしても、肉の牛にしてもやっぱり草地ですね、草地造成というものを中心にして経営体質の改善とか規模拡大、あるいは既耕地における飼料作物の作付の拡大だとか、あるいは草地開発というものをもう少し計画的に開発を各地各所で進めてみるとか、あるいは飼料作物の生産性の向上、いろいろございます。
 いずれにしても、低コストで生産ができなければこれからますます難しい状況になりますので、それを旨としながら、粗飼料の自給率を高めていくということに私は重点を置いて指導していきたい、こう考えております。
#77
○谷本巍君 努力を期待しております。
 同時に大臣、もう一つの問題があるのではないでしょうか。それは水田の活用ということであります。一月二十五日の日本経済新聞の東北版に出ておった記事なのでありますが、次のようなものが紹介されておりました。それは、東北電力の原町研究所が東北大学の星川教授の指導を受けながら米の単収、これは十アール当たり一万キロと書いてありましたが、の収量を実現させてアルコールかすを飼料化して販売をするという計画、これが紹介されておりました。なるほど、民間段階でやるところはやるなというのが率直に申し上げて私の感想であります。この星川教授はスイートソルガムの研究を、十年ほど前になりましょうか、その研究畑で十アール当たり二万三千キロの収量を実現したといったようなことをやられた方でありまして、大臣の言う日本的自然条件を生かした一つの例だと言ってよいのではないでしょうか。
 減反面積八十万ヘクタールをどう活用するかというのは、これはいろいろ議論のあるところでありますから、この議論は後日に譲るといたしますが、例えば農林水産省の中でも東北農業試験場ですか、あそこでは水田活用の研究をいろいろしておられるような話も聞いております。大臣の言ったこと、あれを理念というか夢というならば、これを実現していくというのは、これは政治家の使命でありますから、大臣が言われたことはもうぜひひとつ実現するためにやっていただきたいと思うのです。
 しかも、牛肉市場はこれから先、米と匹敵するような市場になっていくというようなことなのでありますから、そうした牛肉生産を伸ばしていく上でも飼料生産、粗飼料だけではなくて、もう一つ水田利用の問題についてもひとつ積極的に検討していく意思があるかどうか、これの所見を承っておきたいと思います。
#78
○国務大臣(山本富雄君) ただいまの先生のお話は、初めて私聞きました。寡聞でございまして申しわけございませんが、大変いい話だと思っております。よく勉強さしていただきます。
#79
○谷本巍君 次に、飼料問題からもう一つの肉牛生産のコストの大宗を占める素牛問題について伺いたいと思います。
 やっぱり素牛問題、国内生産をどう伸ばしていくかというのが基本に据えられなければなりません。日本の国土の七〇%は山林であって、四十万ヘクタールの薪炭林はいわば荒れほうだいの状況になっておるところであります。これをやっぱり活用していくことが大事なのではないでしょうか。私どもが知っている例を幾つか、時間がありませんので詳しく紹介することはできませんけれども、そういう山間地にあって谷地田の減反田、これを牧草地にしながら民間放牧をやってうまくいっている例といったものも幾つかあるのであります。素牛生産についても、そうした山林活用の林間放牧で子牛生産、これを伸ばしていくことについてもっと積極的な努力をされてしかるべきではないかと私は思います。国有林問題については、利用関係でいろいろ難しい問題等々も承知の上でお願いしておきたいのでありますが、その点についてまず一つ要望申し上げておきたいのです。
 それから二つ目の問題、素牛価格水準ですね、これをどうするかということについては既に一定のものをお示しいただいておるところでありますが、どうも私にとってはこれは不満でならぬのであります。輸入自由化がされていった場合にどういう事態が生じてくるか、これははかりがたい点が多くあるのでありますが、ともかくも実勢価格は下がっていくことが予測されておるところであります。しかも、今輸入肉はかなり倉庫の中に眠っておる、これがいつダンピングという状況になるのかどうなのか、そうした不安材料もありますし、それからまた自由化がされますというと、大体一ないし二年間ぐらいというのは外国の資本も乗り込んできて、言うならば市場争奪戦的な状況が起こる場合もあり得るといったようなことなども見ておかなければならぬと思います。
 そうしますというと、最悪の場合には牛肉価格がかなり急落するという場合もなしとしない、一時的現象でありましょうが、そういったような場合もなしとしないような感じがしてならないのであります。実勢価格が下がるということで生産費が下がるということは、これはイコールじゃありませんから、そこで子牛価格について一定の支えをしなきゃならぬ。これについては今のあり方ではどうもやっぱり不安でならない。生産費をベースとした子牛安定価格、これが実現できるようなものを考えていく必要があるのではないかと思うがいかがでしょうか。
#80
○説明員(武智敏夫君) 来年度の自由化に際しまして、ことしの四月から肉用子牛につきまして補給金制度ができるわけでございまして、その案をきのう食肉部会に諮問いたしたわけでございます。例の三十万四千円でございます。現在は生産費から出しておりませんけれども、これは畜産振興審議会の小委員会をつくってもらっていろいろ議論をしてもらっております。
 その中で、現在の統計情報部がやっております生産費そのものはいろんな事情でとりにくいけれども、これは各自充実してもらいまして、現実的に使えるようなといいますか、例えば酪農よりも労働時間が多いというような数字になっておりますので、そういったことじゃなくて、十分に使えるようなデータに拡充してもらう。そういうようなことを踏まえながら、現在の、今回やりましたのは需給実勢方式ということでやっておるんですから、これも自由化して何年かたちますと、そのままでは採用できなくなりますので、そういった意味で生産費の積み上げによるようなことも今後課題として検討していかなきゃいかぬというふうに思っております。
#81
○谷本巍君 それから、もう一つは素牛の輸入問題があるのでありますが、肥育農家に言わせますというと、肉の方を輸入自由化するのならば、素牛についても自由に買い付けすることができるようなものにならぬのかどうかといったような声が少なくありません。この点についてはどのようにしていくつもりなのか伺っておきたい。
#82
○説明員(武智敏夫君) 今までは、国内の肉用子牛に及ぼす影響というようなこと等も考慮いたしまして、いろいろやってきておったわけでございます。ただ、日本の国内の子牛の値段が高いものですから、外国の素牛を入れまして国内で肥育したいというような要望が非常に強かったことは事実でございます。我々それなりに、当然これは動物検疫を日本に来た場合に受けなきゃならぬものですから、これが日本で現在十五カ所だったですか、全国的にあるわけでございますが、この収容能力に限界がございます。現在定員も毎年十名ずつぐらいでございますが、この四年ぐらいふやしてきてもらっておりますし、例えば来年度から北海道にも動物検疫施設をつくるというようなことで、施設もあるいは人的にも拡充いたしておりますが、またまだ、そういった意味ではまだ限界があるというような部面でございます。貿易そのものは自由化されております。
#83
○谷本巍君 今の御答弁には、もう少し私の意見があるのでございますが、時間がなくなってしまいました。
 次に、最後ということになりましょうか、価格について若干伺っておきたいのです。
 大臣の言われる人の確保と能力の引き出し、これをやっていくのには、農家にとって食える所得の確保ができるということが前提に据えられなければなりません。ところが、大変残念でありますが、畜産物価格連年引き下げという状況が続いてまいりました。ことしの場合について言いますというと、牛肉がマイナス一%でしたか、それから加工乳がマイナス二・六%というようなことで、またぞろ引き下げということであります。こういうことを繰り返していきますと、長期見通しの実現だって私は不可能な状況になってくるのじゃないのかと思われてなりません。
 そこで、ことしの価格問題について若干大臣の所見を承りたいのでありますが、例えば加工用の原料乳にしましても、牛肉もそうでありますが、過去の数字を基礎にして算定されるわけですね。そうして、これから一年の価格を決めるというような算定の仕方になっておるのでありますが、どうもことしはそういう算定のあり方について若干の矛盾が生じておるのではないかと思われてなりません。
 といいますのは、これまで畜産農業が小康的状況と言われておった、それを支えていた要因がほとんどこれから逆転的な状況になっていくということが見通されるからであります。例えばえさは安い状況が続いていたが、値上がりに転じてきたという状況がその一つでありましょうし、それからまた需給状況で見てみましても、牛乳の場合で言うと、昨年の脱脂粉乳の相次ぐ輸入で市場がかなり需給緩和されてきた、肉にしましても輸入肉はだぶついておるといったような状況。さらにはまた、来年の四月以降開発牛肉がどの程度入ってくるのか、そうした問題等々があるし、それにまた、これまでぬれ子が高かったというのが値下がりに転じ始めてきたという状況が既に生じつつあるわけであります。
 そうであってみるならば、過去の生産費だけにこだわった算定のあり方であってはならないと思うのであります。戦後の農産物価格形成、インフレの時期などには価格の見直しをやったこともあるし、追加払いをやってきたこともありますし、そういう変動要因が多い状況が見通される場合は、必ずしも過去の算定要素だけにこだわったような算定じゃないやり方をしてきておるのでありまして、ことしの場合はまさしくそういうふうな年になっておるのでありますから、でありますから、算定方式だけにこだわらぬ、いわば政策価格としての政治判断的な要素が加えられてしかるべきだと思うのであります。その点について、大臣の特段の配慮をお願いしたいのでありますが、大臣いかがでありましょうか。
#84
○説明員(武智敏夫君) ことしの三月の価格につきましては、昨日食肉関係につきましては諮問いたしておりますし、それから乳価につきましても、きょう酪農部会を開いていただきまして諮問いたしております。その審議会の意見も踏まえまして最終的には決めたいというふうに思っております。
#85
○谷本巍君 大臣から答弁いただけないのは残念でありますが、大臣ひとつお願いをしておきますよ、その点は。
 最後に、これは負債の問題は時間がなくなりましたので、牛肉輸入に関連する若干の問題について伺っておきたいと思います。
 ECの場合は、アメリカの牛肉について、成長ホルモンの使用を国内でもやめると同時に、アメリカ牛肉についても成長ホルモンを使ったものについては輸入を禁止というような措置に出ておるわけであります。アメリカがそれはけしからぬといってこぶしを振り上げておるという話も伺っておるのでありますが、その辺の状況がどんな状況になっているかということが一つ。
 それから、もう一つ伺っておきたいと思いますのは、日本もEC並みの制限措置をとるべきではないのかと私は思います。その点についての行政当局の見解はどうなのか、その点を承っておきたいと思います。
#86
○説明員(武智敏夫君) ECの問題でございますが、ECにつきましては、肥育ホルモン剤を使用した家畜及び食肉につきましては一九八九年の二月一日から禁止をいたしております。このことと我が国との関連でございますけれども、いわゆるホルモンにつきましては天然型のものと合成型のものがございます。天然型のものにつきましては特段問題はないということでございまして、合成型のものが問題があるということでございますが、我が国の場合にはいまだ合成型の肥育ホルモンにつきましては薬事法に基づきます承認は行われていないということで、国内的には特に問題になっていないというふうに思っております。
#87
○谷本巍君 国内的には問題になっていない。これはホルモンの残留は調査しているんでしょう、今。
#88
○説明員(難波江君) お答えいたします。
 肥育用ホルモン剤を使用した牛から得られた食肉の安全性につきましては、食品として流通するその食肉にホルモンが残留するかどうか。仮に残留した場合に、当該ホルモンが、人体に影響があるかどうかを検討の上評価する必要があると考えておるところでございます。したがいまして、厚生省といたしましても、現在輸入牛肉を含めました牛肉について、ホルモン剤の残留の実態調査をいたしておりますけれども、現在のところ問題になるような程度の残留は認められていない現状にございます。
 なお、食肉に残留するホルモンの安全性につきましては、現在FAO、WHOの合同食品規格計画におきましても国際的な検討が加えられているところでございまして、私どもといたしましても、これらの動向を見ながら必要に応じて残留基準の設定等、所要の処置を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
#89
○谷本巍君 既に私の割り当て時間が来てしまいました。アメリカの牛肉については、アメリカ側で発表されたいろいろなデータを見ても随分問題があるようであります。例えばアメリカの連邦研究会が発表したものを見てみますというと、がん発生食品ワースト十五、その中にアメリカの牛肉は実に第二位にランクされておるといったような問題等々、多くの問題があるのでありますが、こうした問題、さらにはまた、農薬や輸入肉についての表示問題等についてこれはまた後の機会に、時間が来てしまいましたから、伺うことにいたしまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#90
○委員長(仲川幸男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十一分開会
#91
○委員長(仲川幸男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査のうち、畜産物の価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#92
○鎌田要人君 私は、昨日畜産振興審議会から答申がございました食肉、特に肉用子牛の保証基準価格等をめぐりましてお尋ねを申し上げたいと存じますが、その前に、昭和六十三年六月に、日米、日豪間の牛肉合意が行われました。御案内のとおり全国のこの畜産関係、特に肉用子牛の皆さん方大変なショックを受けたことは御案内のとおりでございます。その際に、この牛肉の輸入数量制限の撤廃等に伴う国内措置といたしまして、政府は当面の緊急対策として肉用子牛の価格安定対策、肥育経営等の安定対策、低コスト生産の推進対策並びに流通の合理化等の実施、この四項目につきまして引き続き万全を期するとともに、六十三年十二月に制定されましたところの肉用子牛生産安定等特別措置法に基づき、この四月から実施されますところの肉用子牛生産補給金制度について、その適切かつ円滑な運営の確保に努めることとしているところでございます。
 そこで、この肉用子牛の価格安定対策につきましては後ほどお尋ねするといたしまして、これに先立ちまして、ここに当面の緊急対策として掲げられておりますところの肥育経営等の安定対策、低コスト生産の推進対策、流通の合理化等の実施、これにつきまして今日までどのような万全を期するための措置を講じてこられたのか、またその具体的な進みぐあいはどのようであるか、まずお尋ねを申し上げる次第でございます。
#93
○説明員(武智敏夫君) 六十三年の夏に牛肉の輸入割り当て額の撤廃が決められたわけでございますが、そのときに緊急の対策といたしまして総額五百十七億円の財源をもちまして、今先生御指摘のような四つの柱で対策を打ち出すことにいたしておるわけでございます。
 まず、その第一の肉用子牛の安定事業の拡充の問題でございますが、これは当時といいますか、この制度につきましてはことしの四月から法律に基づく新制度に移るわけでございますが、二年前の話でございますので、そこからお話ししておきたいと思います。
 当時、業務対象年間四年間というのをまず二年間にいたしますと同時に、当時は乳用種につきましては雄だけに限定されておったわけでございますが、これは雌にも対象を広げるというようなこと、それから乳用種につきましては従来体重が二百十キロで換算いたしておったのですが、これは二百五十キロに上げまして保証基準価格を一頭当たり十六万円にいたしたわけでございます。
 そのほか、各県で基金があるわけでございますが、県の基金が、資金がなくなったときのために全国の基金から無利子で融資するための財源といたしまして、全国基金に百億円を拠出いたしております。それから、新しい制度に移りますために、新しい制度の周知徹底のための業務体制の整備というようなこともいたしてきております。それから、当時十二都道府県におきましては固有の基金を持っていなかったわけでございますが、それを早急に次の、したがいましてことしの四月までに全部つくるということにいたしまして、現在既に全都道府県で各基金ができ上がっております。
 それからもう一つ、いわゆる肉用の繁殖農家対策といたしまして、子牛の価格が一定水準を割りました場合に、繁殖雌牛の増頭なり維持をした者に対しまして奨励金を交付するようなシステムがございました。例えば、三十五万円を割ったときに一頭当たり二万円ですとか、三十万円を割ったときに一頭当たり一万円というような制度をつくったわけでございますが、これは御承知のようなことで、実際の市況、子牛の値段が高いわけでございますので、事実上は空振りといいますか、準備はしたけれども発動に至らなかったというような状況になっております。
 それから二つ目の肥育対策でございます。法律が、いわゆる繁殖にどちらかといえば偏っておるのではないかというようなことを当時言われたわけでございまして、要は予算措置で維持対策を講ずるというようなことにいたしておったわけでございます。そこで、一つは価格、いわゆる枝肉の価格が一定水準を下回った場合に、例えば肉専用種でございますと一頭当たり一万七千円出すとか、あるいは乳用種でございますと一頭当たり七千円出すというような措置も準備はいたしたわけでございますけれども、これも先生御承知のとおり、現実の卸売価格はかなり高水準で推移いたしておるというようなこともございまして、これも現実的には発動しないまま終わっております。
 それからそのほか、乳肉複合経営と申しまして、いわゆる酪農の方のぬれ子が下がるのではないかというような懸念等もございましたので、酪農の方の乳肉複合経営を育成していこうということで、例えば乳用種の哺育育成をやります場合に、一頭当たり例えば三千円出すとかあるいは一万二千円出すとかいろんな、それぞれの月齢ごとに金額は違っておりますが、そういう措置は講じておりまして、これらは現実的に機能をいたさせたわけでございます。
 それからそのほか、大家畜畜産経営強化対策資金といいまして、いわゆる負債の農家に対しまして、安い金利で貸し付けるというようなことも六十三年度からやり始めたわけでございますが、これらは自由化を契機にいたしまして四百億円ほど追加いたしまして、その枠を千五百億に広げたというような措置は実施いたしております。
 それから、低コスト生産につきましては、これはたまたまといいますか、自由化がなくとも当然進めていかなきゃいかぬわけでございまして、地域における活性化対策ですとかあるいは受精卵の供給センターですとか、あるいは放牧の新技術の定着対策ですとか、そういったようなことにつきましては既に予算といいますか、実行の措置をとっております。
 それから、かねてから農業改善資金の中に、無利子資金でございます畜産振興資金というのがあるわけでございますが、この枠百八十億円を二百三十億円に広げておりますし、例えば貸し付けの方法につきましても内容を拡充するというような措置は既にとってございます。
 それからそのほか、一定価格を下回りました場合にといいますか、肉資源の効率的利用ということでございまして、繁殖の子牛の価格が一定価格を割りました場合に非常に資源が枯渇するというようなこともございますので、農協等に対しまして資金を供給するというようなことも考えたわけでございますが、これも結果的には価格がかなり高く推移したというようなことで、現実的には貸し付けといいますか、実行が移されていないような状況でございます。
 それから、最後の流通の合理化でございますが、例えば小売段階におきます合理化で、食肉の共同仕入れですとかあるいは共同の販売体制の整備ですとか、あるいは輸入牛肉の共同保管の推進ですとか牛肉の適正表示の推進、こういったことにつきまして既にやっております。
 それから、もう一つの柱でございます牛肉の輸出振興でございますが、御承知のように、アメリカにつきましてはまだオーケーが出ておりませんで、間もなく何とかできるのではないかというふうに思っておりますが、そのためにロサンゼルスにおきましていわゆる日本の、まだ販売とまでいきませんが、展示しまして試食をやってもらったり、あるいは現実的に輸出の可能性があるかどうかというようなことでマーケティングをやったりというようなことで、これは既に実施いたしております。したがいまして、いわゆる一定価格を割った場合にという部分につきましては、まだ現実には子牛の価格も高いし、あるいは枝肉の価格も高いわけでございますので発動に至っておりませんが、大体やれるやつは全部実行いたしております。
 以上でございます。
#94
○鎌田要人君 今御説明がございましたように、当時は今にも黒船が来てひっくり返るような大騒ぎになる、こういうことであったわけでございますが、幸いにしまして、この状態のもとでむしろ肉用子牛の価格が非常に上がってまいる。こういう状態で、私どもも地方の現場で見ておりまして、一番低いときには二十万を割っておりましたのが、見る見るうちに三十万を超し四十万を超し、今では五十万台。こんなに高くなってどうするんだろうかと思うぐらいのところに高値で今まいっておるのが現状でございます。当時の予測に反してこれはうれしい誤算と言うべきかもしれませんが、このように子牛価格が高騰を続けてきたということにつきまして、その原因、理由といたしまして、当局の方ではどのような分析をしておられますのかお教えいただきたいと思います。
#95
○説明員(武智敏夫君) 今お話ございますとおり、肉用の子牛、五十八年、九年、一番の底でございまして、その後はずっと上昇傾向で推移いたしております。最近の二月一日現在で肉専用の子牛が五十三万ぐらいでございますし、乳用の雄牛も二十四万円ぐらいの高水準が続いておるわけでございます。その子牛が高い理由でございますけれども、幾つかあるのだろうと思いますが、二つぐらい一番中心的なものがあろうかと思います。
 一つは、牛の枝肉の価格がその後も依然としてずっと堅調しておるというような中におきまして、最近若干えさの値段が少し上がりぎみといいますか、そういう感じでございますが、当時六十年から現在まではかなりえさが安かったというようなことで、いわゆる肥育意欲が非常に旺盛であったというようなことが背景に一つあろうかと思います。それからもう一つは、五十六年から五十九年にかけましていわゆる子牛の値段が安かったというようなこともございまして、繁殖用の雌牛の屠殺が進んだというような影響で、いわゆる子牛の供給が伸び悩んだというようなことが一つであろうかと思います。
 それから、最近ではいわゆる肥育の農家がかなり大型化してきておるというようなこともございまして、これがまた子牛に対する需要の方を強めておるというような格好になっておるのじゃないかというふうに思っております。
 それで、これからの問題でございますけれども、特定銘柄といいますか、いわゆる伝統的な和牛の産地の特定の銘柄につきましては、やはりこれからもかなり高水準が続くというふうに思っておりますが、全体的に見ますと肥育経営も今のような高い子牛では負担能力がだんだん悪くなりつつございますので、現在の水準が大体高騰の山というふうに我々考えておりまして、これから輸入牛肉もだんだんふえてこようかというふうに思いますので、そういったようなことが徐々に浸透してくるのじゃないか。そういう意味におきましては、現在が山になりましてだんだん鎮静化に向かうのではないかというふうに我々としては見通しておるわけでございます。
#96
○鎌田要人君 今この原因について伺ったわけでございますが、今後の推移といたしまして、私も大体もうここいらが峠と、これからむしろ下がりぎみになるのではないか。こういう感じを持っておりますのは、この三月二十日現在でございましたか、全国の肉用子牛価格安定基金協会、ここでの主要家畜市場における肉用子牛価格の速報を見ておりますと、この速報で上がってまいっております二十一の全国の市場の中で、前回に比べて価格が下がったものが十四、逆に上がったものが七つということでございました。これは季節変動的な要因もあろうかと思いますのでこれで占うわけにはまいらないと思いますが、やはりさしも高値の状態も、ここで先行き一服ぎみで下がっていくのではないか。
 そこで、実はこのたびの子牛の価格につきましての保証基準価格の問題でお伺いをするわけでありますが、御案内のとおり、現行の子牛価格の安定基金制度、非常に私は畜産農家にとって心強い支えになってきたと思うんです。これは五十七年に現在の二十九万二千円、私の県ではそれに県で継ぎ足しをいたしまして三十万円の保証基準価格でございました。ところが、この年から三十万円を割り込む、こういう状態で五十九年まで続いてまいりまして、その間に、ひどいときには十五、六万というものも出てまいりました。それだけ基金協会は大変な財政基盤が揺らいだわけでございますが、農家にとりましてはこれが命綱ということで、その後ただいま申しましたように価格が戻ってまいりましたので農家の増頭も進む、こういうことで、非常に大きなこれが効用を発揮したことは私どもも大いに感謝しなければいけないと思っておる次第でございます。
 そこで、問題は新しい制度になりまして、いわゆる補給金制度ということになりまして、一方におきましていよいよ来年から自由化される。先ほどお話がありましたが、私どもの鹿児島県あるいはお隣の宮崎県、群馬県、この三県で、いつまでもとにかく外圧におびえて守り防ぐ一方の畜産ではこれはどうしようもない、むしろ攻めていこう、こういうことで、昨年は香港に鹿児島の肉が出ていって評判がよかったと。今度はアメリカにひとつこの肉用牛を打って出ようということで、御案内のとおり、ただいまお話がありましたように、とりあえずアンテナショップを設けてそこでやろうということで、これも非常に大きな期待を持っておるわけでございます。
 それだけ畜産農家というものがやる気を出してきておる。しかしながら、未知のいわば予測のできない自由化という事態、このもとでやはり一抹の不安があるわけでございまして、そういう意味でこの新しい制度になって初めての保証基準価格、これがどのように決められるだろうかということで大変深い関心と期待を持っておった次第でございます。
 そこでお伺いをするわけでございますが、昨日御答申になられましたこの新制度下での初めての保証基準価格、これが従来の算定方式、これまで二十九万二千円なりあるいは二十七万円なりというものを決められたときとこの算定方式、私も素人でよくのみ込めませんが、それまではいわゆる片対数式というもので、いわゆる牛のサイクルである七年間のこの価格というものの平均値から趨勢を出して需給実勢価格というものを出して決めてこられた、この方式を一てきされまして今度は新しい計算方式、肉用牛等の計算方式に移っておられるわけでありますが、これにつきましてどうしてこのようなこれまでの算式を踏襲されなかったのか、技術的なことで恐縮でございますが、簡単にお答えをお願いいたしたいと思います。
#97
○説明員(武智敏夫君) 実は、新しい法律に基づきます肉用子牛の生産者補給金制度、これは全く初めての制度でございます。ただいまのお話は保証基準価格のお話でございますが、これにあわせて合理化目標価格ということを決めねばならないというようなことでございます。これも全く初めてのことでございまして、自由化したときに、その自由化した外国の肉に対抗できる国産の肉といいますか、国産の子牛の価格は幾らであるかということは全く初めてのことでございますので、実は昨年の三月に、現在の一年前でございますが、畜産振興審議会の食肉部会に価格算定等小委員会というものを実はつくってもらいまして、そこでことしにかけて四回議論をしてもらっております。要は、保証基準価格なり合理化目標価格なりをどういうふうな算定方式でやればいいかというようなことをずっと議論いたしてもらったわけでございます。
 大半の方々が学識経験者の方々でございます、農家の方々もいらっしゃいましたけれども。そういう中におきまして大勢といたしましては、要は一定期間におきます過去の肉用子牛の実勢価格を基礎にいたしまして、物価ですとかあるいは生産条件の変化ですとか、それらを織り込んでやるのが一番いいのじゃないかというような意見になったわけでございます。その理由といたしまして、三つぐらいあるわけでございますけれども、要は過去の肉用子牛の生産状況、そのときどきの実勢水準いろいろ変わってはいるわけでございますけれども、中期的には緩やかな生産の増加が実現できておる、そういう意味からしますと、過去の実勢価格の水準というのは平均的に見ますと、肉用子牛の再生産の確保に寄与するような水準だったのではないかということが一つでございます。
 それからもう一つは、現在の制度でございますけれども、これによりまして各県がやっておるわけですが、一応この制度を受け継ぐというようなことになっております。この制度そのものも一応過去の実勢価格をベースに、算定方式は若干違うかもしれませんが、基礎にやっておりまして、先ほどお話ございました五十七年から六十年の間に非常に子牛が下がって、約六百億ものお金を出しまして何とか乗り越えたというような実績もあるというようなことでございます。
 それからもう一つは、肉用子牛生産がやはりどうしても二頭ですとか三頭ですとか、そういった零細あるいは小規模といいますか、副業的といいますか、そういうような経営が非常に多く占めておる現状におきましては、いわゆるそれ以外の数字、ある意味では端的に言いますと生産費調査ということでございますが、どうもこれを用いるのはやや問題といいますか、現状では難しいというふうな意見であったわけでございます。
 ただ、意見の中にはややまた変わったといいますか、今後の課題といたしましては、要はこういった需給実勢方式といいますのも一年たちますと自由化いたしまして、それからまた何年かたちますと、今度は場合によりますと下がった水準になりまして、下がった水準のときに需給実勢方式がとれなくなるのではないかというような御議論もございましたし、終局的にはいわゆる肉用子牛の生産コストの積み上げによることがいいのではないかというような御意見、ただしそのためには今の生産費調査をもっと拡充いたしまして、要は本当の農家といいますか、労働時間の実態などもきちっと織り込むような、そういったような内容も充実してその上で再検討して、場合によればコストの積み上げというような方向に持っていったらどうかというような御意見があったわけでございます。
 そういうことで、先ほど言いましたような需給実勢方式がとりあえずの方式としてはいいと。ただ、将来に向けては、この制度は初めての制度でございますので、弾力的に考えていくべきではないかというようなこともございましたので、そういうような方式をとるようにいたしたわけでございます。
#98
○鎌田要人君 時間が限られておりますので詳細お尋ねができないのが残念でございますが、私もいろいろ事務方の皆さん方に教えていただいたところでございまして、いまだ必ずしも納得できないところがある。
 例えば、過去七年間のいわゆる農家の子牛の販売価格、これをとっておられる。七年間でありますから八十四カ月でございますが、その中で、一標準偏差の中で上がり下がっておる。これを超えて上がり下がっておるものを除外しておられる。これが、たしか下がったものについて八十四カ月の中の十七カ月分が除外されている。逆に最近の四十万台、こういった高いところが十八カ月分カットされておる。したがいまして、八十四カ月のうちの十八プラス十七でございますから三十五カ月分は、この実勢価格の平均価格の計算からはカットされているわけですね。むしろ、全部平均をとられた方が高いところも低いところもならしていいんじゃないか。かえって標準偏差を超えたところをカットされることによって、午前中乳牛のお尋ねでも私伺っておって、邪推するわけじゃありませんが、やはり低目に低目にというふうに持っていくための、一応そういう操作があるのじゃないかという気が実はしないでもないわけであります。
 あるいはまた生産費指数をとりましても、生産費自身が今お話しになりましたようにかなりこれはばらつきがある、その結果の数値でございましてもなおかつ九三・三%、〇・九三三ということで、六・七%この算定期間中に対してことしは生産費が下がるであろう、この辺のところもちょっとどうかなという感じがございましたり、あるいは農家の販売価格を市場価格に置き直すための回帰方程式につきましても、現実に最近のやつを一つ当てはめてみるとちょっと低目にやはり出る、こういったようなこと等がございます。
 いずれにしましても、これは最初の年度であり、いよいよ来年から自由化に移っていくわけでございますので、この算式については絶えずやはり子牛価格の動向というものを見ながら、より現実に近い、また、おっしゃいますようにこれが全く中天にかかった星みたいにただ絵にかいたもちじゃ、空振りじゃというのでも、これはせっかくの制度でございますので、ある程度はいざというときには、これが支えになるんだよという実効の意味でも、この保証基準価格というものについては幸い毎会計年度見ることになっておりますので、ひとつよろしく御検討を絶えず加えていただくということをお願い申し上げたいのであります。
 ここで時間が参りました。最後になりますが、大臣に、当面緊急の措置につきましては幸か不幸か、幸いと言うべきでありましょうが、せっかく五百十七億用意されてもある程度使わないで済んだところもあるようでございます。ただ問題は、これからやはり本当に我が国の畜産農家を守り、あるいは牛肉の生産を守っていく、こういうことで、なお先ほどから御論議になっておりますような自給飼料、粗飼料の自給率を高めていくとか、あるいは私どもの県でも鋭意進めておりますが、いわゆる受精卵の移植技術等をさらに定着させていくとか、幸い家畜の改良センターもおつくりになられるようでございますが、そういった面等も含めまして長期的に肉牛生産の生産性を上げてまいり、農政審議会等で申しておりますところの生産性の高い、国際競争力のある畜産を育ててまいりますために、大臣の基本的な御方針を一言お伺いできればありがたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
#99
○国務大臣(山本富雄君) 午前中も谷本先生の御意見がございまして、また現場で、長い間県政をみずからおやりになった先生の御体験に基づいて大変いい指摘がございまして、前段の部分も十分これから配慮してまいりたい、新しい制度でございますから、その点もひとつ運用に誤りのなきよう期してまいりたい、こう思っております。
 さて、肉用牛でございますが、これにつきましては動物性のたんぱく質の資源だ、それからまた地域農業を今まで支えてきた大事な役割を随分と果たしてきた、こういうふうに私ども認識をしておりまして、これはもうどうしてもしっかりやっていこうというつもりで行政当局にもよく指示をしております。
 来春からいよいよ今お話しのとおり自由化ということになりますので、お話しのように中長期的な観点から国際化にも対応し得る肉用牛の生産の確立を目指す、こういうことを先般指針として出しております酪農及び肉用牛生産の近代化に関する基本方針、ここにございます。積極的に生産を拡大していくとかあるいは経営体質の強化を図っていくとか、流通、加工の合理化を図っていく、いろいろ諸施策を講じながら、とにもかくにも我が国の肉用牛の生産につきまして今後ともしっかり対応して守ってまいりたい、進めてまいりたい、こういうふうに決意をいたしております。
#100
○鎌田要人君 終わります。
#101
○猪熊重二君 きょうは、畜産物の価格の妥当性そのものについてお伺いをするというよりも、畜産物の価格を農水省で基準価格だとか保証価格だとかいろいろ決めるについて、畜産振興審議会の答申というものがどの程度の意味を持つかとか、あるいは畜産振興審議会というのが本来的な作用というか、効果というか、それを発揮しているのかどうかというふうな点をお伺いしたいと思います。要するに、畜産価格を決定するについて畜産振興審議会というものが非常に現実的には重要な作用をしていると。しかし、実際にどういうふうな運営をされているんだろうか、この辺についてお伺いしたいと思います。その意味では、ほかの委員が個別的に畜産価格の妥当性等についていろいろお伺いするのとは質問の方向が違いますが、私は基本的なものとしてそこのところをお伺いしたいと思います。
 まず、畜産振興審議会を設置した目的だとかあるいはその権限とか、その辺についてお伺いしたいと思います。
#102
○説明員(武智敏夫君) 畜産振興審議会につきましては、農林水産省の組織令の八十六条に基づきまして設立されておるものでございます。
 その権限としましては、たくさんございますが、例えば家畜改良増殖法ですとか、飼料需給安定法ですとか、あるいは酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律ですとか、あるいは畜産物の価格安定等に関する法律ですとか、あるいは加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づくものですとか、あるいは肉用子牛生産安定等特別措置法に基づきまして、その法律上畜産振興審議会の議を経てというふうな表現の部分もございますが、そういうような業務をやることになっております。
 具体的には、きょう諮っております例えば加工原料乳の生産者補給金等暫定措置法に基づきます加工原料乳の保証価格ですとか、あるいは昨日御答申いただきました畜産物の価格安定等に関する法律に基づく指定食肉の安定価格ですとか、あるいは肉用子牛生産安定等特別措置法、これは新しくことしの四月から動き出すわけでございますが、それに基づきます保証基準価格等が審議の対象になっております。
 以上でございます。
#103
○猪熊重二君 今のような目的あるいは権限等はわかりましたが、これの組織はどういうふうに機構上なっておりますか。
#104
○説明員(武智敏夫君) 審議会の構成でございますが、これは審議会令の一条にあるわけでございますが、一応委員が二十五人以内ということになっております。そのほかに、特別事項を調査審議させる必要があるときには特別委員を置くことができるということになっていまして、現在委員は二十五名で特別委員は二十四名が任命されております。
 それから、審議会には幾つかの部会がございます。これは審議会令の六条に基づきまして家畜改良増殖部会、酪農部会、養鶏部会、食肉部会及び飼料部会が置かれております。それからまた、必要があるときにはそれ以外の部会も置くことができるというふうになっておりまして、現在企画部会が別途置かれておりまして、いわゆる酪農及び肉用牛の近代化に関する計画につきまして、これから再度審議していただくというような構成になっております。
#105
○猪熊重二君 その委員あるいは特別委員は農水大臣が任命する、こういうことになっておりますが、その委員あるいは特別委員の選定の基準はどういうことになっていますか。
#106
○説明員(武智敏夫君) 委員と特別委員につきましては、これも政令の二条に基づきまして、学識経験のある者のうちから、農林水産大臣が任命するということになっております。
#107
○猪熊重二君 その学識経験ある者の中という、一口に言えば学識経験者ということになるわけですが、委員、特別委員が学識経験者でなきゃならぬ、こういうことになっている、その学識経験者というのを農水省としてはどのように考えておられますか。
#108
○説明員(武智敏夫君) 学識経験といいますのは二つあろうかと思いますが、一つといいますか、一般的に学識または経験ということでございまして、一般的には学問上の知識かあるいは実際問題に関する経験を意味するものという、強いて言いますと二つに分かれようかというふうに思っております。
#109
○猪熊重二君 学識経験者を学識者と経験者と分けて考えているわけですか。通常、学識経験を有する者といった場合の学識経験者というのを学識者、それとまた経験者、こういうふうに分けて考えるということは余りないように思うんですが、農水省としては学識経験ある者あるいは学識経験者というものを学識のところでちょん切って、学識者とそれから経験者と、こう分けておるわけです。私がなぜこんなことを言うかというと、現在の委員会の構成というものがこのようなことになっているかなっていないか、これは後で伺いますけれども、そういう観点から聞きますので、何か国語の論議みたいで申しわけないけれども、非常に重要なことなんです。
#110
○説明員(武智敏夫君) 一般的には学識経験者というふうに思っておりますけれども、大学の先生もおりますれば現実に農業をやっていらっしゃる方もいらっしゃるものですから、強いてもしも分けるとすれば、学問上の知識を持っていらっしゃる方と実際問題に関して経験を有する方というふうでございますが、特段一般的に区分けしておるわけでございませんで、通常は学識経験者ということでやっております。
#111
○猪熊重二君 農政審議会にも同じように、学識経験者をもって委員を選定すると、こういうことになっております。そちらのときにもそういうことでやっているのかどうか知りませんが、なぜこの学識経験者というものを委員や特別委員の選定の基準、要件にしたかということについてはどのようにお考えですか。
#112
○説明員(武智敏夫君) やはり畜産につきましての主として価格につきまして御審議願うわけでございますので、学識の豊かな方に意見を聞かなければやはりうまくいかないという意味で、学識経験のある方というふうになっておると思っております。
#113
○猪熊重二君 要するに、今あなたは価格の算定というふうな、価格の諮問についての答申というふうなことを言っておられるけれども、もちろんそれも非常に一つの重要な仕事ではあるが、それ以外に畜産振興に関する基本的な問題に関してのいろんな意見を伺う、あるいは農水省に建議してもらうとか、そういうことも非常に畜産振興審議会の大きな眼目であるように法文上はなっていると思うんです。ただ、そういう畜産振興に関する専門知識を有する方の意見とか建議とかでなくして、単に価格の諮問、答申ということだけに考えると、今あなたが言うようなお話になるのかもしれません。
 いずれにせよ、畜産振興審議会にはこのような委員、特別委員のほかに専門調査員という制度があります。この専門調査員というのはどういうことでどういうふうな人がなって、どういうことのために置かれているんですか。
#114
○説明員(武智敏夫君) 専門調査目につきましては、専門事項を調査させるために置くことができるということになっております。現在は任命いたしておりませんが、少し古くなって恐縮でございますけれども、昭和四十二年、四十三年の当時におきましては専門調査員を任命したことはございますが、現在は置いておりません。
#115
○猪熊重二君 要するに、学識経験者が委員、特別委員になって審議会を構成する、しかし非常勤だから具体的な問題についていろいろ調査研究する必要がある、そのための専門調査員を置くということが建前になっている。しかも、この専門調査員も学識経験を有する者をもって充てる、こういうことになっている。今お話しのように、昭和四十二年、三年ですか、そのときは置いたけれども、それからもう二十年以上全然置いてない。そうすると、専門調査員というふうなものを置くような必要がないと。もし置くような必要がないとすればどういう理由からそうお考えなんですか。
#116
○説明員(武智敏夫君) また繰り返しになって恐縮でございますが、現在の委員なり特別委員が学識経験者でありまして、あえて調査員で手足を使わなくてもできるということで現在は置いてないというふうに理解いたしております。
#117
○猪熊重二君 そこでお伺いしたいのは、現在の委員会の委員、特別委員はどのような方がなっておられますか。
#118
○説明員(武智敏夫君) 二十五人いらっしゃるわけでございますが、生産者関係の方々ですとかあるいは加工・流通の方々ですとか、あるいは消費者関係の方々ですとか、あるいは大学の先生ですとかあるいは報道機関の方々ですとか、そういった方々が入っていらっしゃいます。
#119
○猪熊重二君 個別的にどの人がどうということでなくて結構ですが、もう少し委員もしくは特別委員の構成について、人数的なことを言っていただけませんか。
#120
○説明員(武智敏夫君) 全部で二十五名でございますが、大くくりいたしますと、生産者関係が七名でございます。それから加工・流通関係が三名でございます。それから、どうくくるかちょっと難しいんですが、強いてくくりますと消費者関係、直接消費者関係の方々が二人でございまして、そのほか大学の先生あるいは報道機関の先生、中立関係と申しますか、あるいはそういう方々も消費者ではございますけれども、十三名いらっしゃいます。
#121
○猪熊重二君 私はいただいた資料の中から、委員のその方の立場とかあるいは職業とか、そんなようなものをいろいろ検討してみると、二十五人のうちいわゆる生産者ないしそれに関連する、ほとんど同視される方が十一人ぐらいおられるんじゃなかろうかと、こう思います。あなたは七名とおっしゃる。それから、マスコミ関係等を含めての学識経験者が十名ぐらいおられる。消費者関係の方が二人ぐらいおられる、こんなようなことですが、私が伺いたいのは、学識経験者という枠にこのような委員の構成で対応できるんでしょうか。非常に疑問に思うんです。
 私は、生産者が学識経験者であるとかないとかということを言っているのじゃないんです。あなたが先ほど言ったように、学識と点を打って、こっちは、生産者の方は経験者なんだと、こういう法文の読み方をすれば生産者が半分近くを占めているのも妥当かどうか知りませんが、通常学識経験者といったときに、今のような委員の構成ということでは、審議会が、本来法規が要求している、あるいは期待しているようなありようというものが満たされないように思うんですが、その点、人数の構成についてもう一度御意見を伺いたい。
#122
○説明員(武智敏夫君) 私どもが二十五名見ましても生産者の方々は七名だと思っています。それから、加工・流通の方々は、これはまたあくまでも加工・流通でございますのでこれは三名でございますし、消費者の方々というのは、これどこまで含めるかであれでございますが、直接的な消費者の方々はお二人でございます。そのほかに、大学の先生ですとかあるいはいわゆる報道機関の方々ですとか、あるいは金融機関の方々ですとかあるいは町村会の方々、そういったような方々が十三名というふうに思っております。
#123
○猪熊重二君 審議会に、畜産物の価格について諮問するということは、もう少しはっきり言うとどういう目的でやっているわけですか。
#124
○説明員(武智敏夫君) 例えば、きょう議論いただいておりますのは、加工原料乳の不足払い法に基づきます保証乳価でございますとかあるいは限度数量でございますとか、安定指標価格でございますし、それから昨日食肉部会で御意見を聞きましたのは牛肉ですとか豚肉の安定帯価格ですとか、あるいは今度の四月一日から初めて適用いたします、牛肉の自由化に対応いたします肉用子牛の保証基準価格ですとか合理化目標価格で、要はそういった価格関係につきまして、現在、きのうときょうは御意見を聞いております。
 先ほど先生おっしゃいました畜産政策の基本的なことも、もちろん先ほど言いました企画部会でこれから聞いていくことになると思いますが、そういったことにつきまして聞いておるわけでございまして、生産者の方々もいらっしゃいますし、流通の方々もいらっしゃいますしあるいは消費者の方もいらっしゃいますし、学識経験の方々はそれなりにまた学識経験、いわゆる狭い意味の学識経験の方々はそういった立場から、広い立場からの御意見を言っていただけるというふうに思っております。
#125
○猪熊重二君 今あなたが言ったそこが一番私は言いたいというか、伺いたいところなんです。あなたは現在の委員のうち、生産者あるいは加工製造業者・流通業者、消費者そして学識経験者とこう言っているでしょう。あなた今そう言ったじゃないですか。まさにその学識経験者、それで、その後で今度はこれは狭い意味の学識経験者とこう言い直している。法が要求しているのは、あなたの言う狭い意味の学識経験者を規定しているんじゃありませんか。それにもかかわらず、今申し上げたような生産者、加工製造業者、流通業者、販売業者、こういうふうな方々が、この委員会の委員になるということは委員会が客観的な、第三者的な性格を失っている、こういうことにはなりませんか。
#126
○説明員(武智敏夫君) 我々が現在、きのうもきょうも審議願っておりますのは、例えて言いますと、法律上でございますが、畜産物の生産条件ですとか、需給事情ですとかあるいは物価ですとか経済事情ですとか、そういったことを勘案して、再生産が可能であるようにしなさいというふうに法律で書いてあるわけでございまして、そのときに生産条件とか、需給事情ですとかあるいは経済事情について判断していただきますためには、やはり生産事情について詳しい人あるいは需給事情について詳しい方、あるいは経済事情について詳しい方、言いかえれば学識経験を持った方々の意見を聞くということであると思っております。
#127
○猪熊重二君 そのような利害が対立する方々の意見をすべて検討、集約した上で、客観的に、第三者的立場において、価格の相当性というふうなものを畜産振興審議会というところで審議するということを法は予定しているだろうと思うんです。決定するその機関の委員そのものに当事者が入ってくるというのだったら、それは今、法が予定しているような審議会の性格とは全然違ってくると思います。もし、そういうふうに相互に利害が対立する、利害関係のある方が委員会の構成員になるのだったら、例えば労働委員会のように第三者と、使用者側と労働者側と意見が対立する、利害が対立する双方と、それから客観的な第三者としての公益委員、こういうふうな三者構成で労働委員会というものが構成されています。
 あなたの今のお話だと、審議会というのはそういう利益団体の代表の方が学識経験者として委員になってやっている。しかしまた、それは学識経験者の委員会なんだと。何かその辺余りすっきりしませんが、もう少しわかるような説明はありませんか。
#128
○説明員(武智敏夫君) 例えば、加工原料乳の保証乳価にいたしましても、先ほど来議論をいたしておりますけれども、酪農家の方々が生乳をつくりまして、それをメーカーの方々が買いましてバターなり脱粉にして消費者の方々に供給することをやっておるわけでございます。したがって、そういう過程におきまして加工原料乳向けの価格が幾らであるかというようなことにつきまして、生産の実態がどうであるかということは、当然これは大きな判断の要素に入ると思いますし、あるいは流通の実態がどうかというようなこともございますし、あるいは製造の過程がどういうふうになっておるかというようなこともございますし、あるいはでき上がったものを消費の段階に移すためにどういうふうなことがまた問題であるかというふうなことも議論になって、いわばそれが全体として最終的な意見になろうかと思います。
 そういった際に、要は生産者の方々といわゆる流通の方々あるいは消費者の方々、我々は必ずしも対立概念で使用者と労働者というふうには思っておりませんで、やはり農家の方々もできたものは食べますし、あるいはメーカーの方々も原料がなければできぬわけでございますので、そういった意味で、それぞれの各段階におきます学識経験者の意見を聞くことは、やはり妥当だというふうに思っております。
#129
○猪熊重二君 私が申し上げていることは非常に誤解を招くかもしれませんが、今のような形で審議会というふうなものを運営していると、審議会の権威だとか実際的な効果とか、そういうふうなものが余り意味をなさなくなってくるのじゃなかろうか。だから、本来の学識経験者による審議会というものをもっときちんとやっていく方が、本来の畜産振興というものに役立つのじゃなかろうか。もし、そうでなくして、今農水省がやっているような審議会の運営をするのであるとすれば、もう少し消費者の意向というのもその中に反映されなければならない。
 先ほど労働委員会のことを申し上げたのは、比喩的な問題として、労働者側、使用者側、そして公益委員という三者構成になっている。もし現在のような審議会を今後も運営するのであれば、極論すれば生産、流通、販売業者のグループと消費者のグループ、こういうものにほとんど対等に委員として入っていただいて、そこで双方が本当に納得し合えるような議論というものを尽くしていかないと、審議会が出した結論が真に消費者に納得できるのかできないのか、こういう問題のところへいってしまうのじゃなかろうか、こう思うから申し上げているんです。それで、現在のような委員会の構成、運営を今後もやっていくのだとすれば、もう少し消費者を委員に、極論すれば生産者、加工、流通、販売業者の数と同じくらいに消費者の委員を任命するというふうなことについてはどうお考えですか。
#130
○説明員(武智敏夫君) 我々としましては、先ほども言いましたように、生産者と消費者というのは対立概念というふうには理解いたしておりません。したがいまして、先ほど言いました学者の先生ですとかあるいは報道機関の方々は、いわゆる狭い意味での学識経験者でございますけれども、そういった方々ももちろん消費者的な代表でもございますので、そこは生産者が何人、消費者が何人、またそれとは違った狭い意味の学識経験者が何人というふうには割り切らない方がいいのではないかというふうに思っております。
#131
○猪熊重二君 これは狭い意味の学識経験者という用語は、あなたやめた方が適切だと思う。法律には学識経験者としか書いてないんです。狭いとか広いとかなんて書いてないんです。もし本当に、現在の法規に従って運営しようとするのであれば学識経験者であるはずなんです。狭い意味の学識経験者、そしてあるいは学識経験者の学識と経験の間に点を打って二種類に考える、そんなことは世間で通らぬ議論です。
 私が申し上げたいのは、もう同じことになりますから言いませんが、要するに、生産者の意見を聞く形をとるだけで、生産者にはもうしょうがないんだよと、あなた方の意見も聞いたんだからという形だけをとる。そして、消費者に対しては、審議会の答申をもらったんだと、学識経験者の審議会の答申をもらったんだ、客観的な、公正な第三者的判断を経由しているんだというふうなことを言って消費者には納得させる。結局、現在のような審議会のあり方は農水省が自分で考えたものを審議会に持っていって、本当に客観的にそれを判断してもらうということじゃなくして、生産者側の言い分を聞いた形、そして消費者側には権威づけというだけに終わっているのじゃありませんかと、もう少し審議会というものをまともに運営することを考えられたらどうでしょうかと、こう思います、私は。その消費者を参加させることがどうだこうだということに関して農水大臣に伺いたいんです。
 これは、ことしの三月二十五日に上毛新聞に「山本農相に聞く」というインタビュー記事があるんです。私も群馬なものですから群馬の上毛新聞が来ている。この中に、農水大臣はちゃんといいことを言っているんです。
 インタビューに答えて、「生産者、消費者の農政不信にどうこたえるのか。」こういうふうな質問に対して、大臣が「食べる人がいて作る人がいる。また、作る人がいるから食べられる。」、生産者、消費者は「決して二律背反ではない。てのひらの裏表と同じ。」ことだというふうに答えておられる。ですから、生産者と消費者が何もけんかの相手じゃない、しかし経済的利害は一応は対立するんです。経済的利害は一応対立するけれども、そこでどっちがどっちといっても手のひらの表と裏だから表だけが手になるわけにはいかぬ、裏だけが手になるわけにはいかぬ、やっぱり表と裏で手になっているというふうに非常にいいことを言っておられるので、私もなるほどそうだなとこう思ったんですが、大臣どうですか。もう少し、今のような運営をするんだったら消費者を三分の一ぐらいこの審議会に入れるか、そうでなければ審議会をもう少し本来の姿に返すとか、その辺いかがですか。
#132
○国務大臣(山本富雄君) 御高説はよく承りました。
 それから、今先生のおっしゃったように、上毛新聞に書いてあることは一言一句私の言ったとおり書いてある。私はそう言ったんです。また今もそう思っている、そう思っているんです。それは、消費者と生産者がいつも対立しているかのごとき設問をよくマスコミはなさる。そのときもそう言ったんですよ、そうじゃないと。消費者と生産者というのは対立しているんじゃない、つくる人がいて食べる人がいる、つくる人がいるから食べられるんだと。また、今度は食べる人のことも考えてつくらなくちゃならない、そういうことでしょうと。だから、紙の裏表、手のひらの裏表ですよと、こういう意味の話をしたんです。
 そこで、先生が先ほど来、審議会に的を絞りまして消費者の意向をもっと十分反映できるような審議会の組織、運営を考えよと、こういう御高説でございますから、それは十分拝聴いたしました。
 ただ先生、これは私はこう思っているんですが、先ほどちょっと審議官が申し上げましたが、生産者だって消費者の一人なんですよね。ですから、そのことを考えていけばこれは全く対立する間柄じゃないんです。ただ、先生が今最後に申したとおり利害は一致しない場合がある、それを行政と政治がどうやって公平を旨としながら裁いていくか、国民の声を広く聞いてと私どもが言うのは、その意味だというふうに御理解を願いたいと思います。
#133
○猪熊重二君 ここで私は、畜産振興審議会の審議の実態というものについてお伺いしたいんです。
 例えば、本年度の加工原料乳の審議会の審議について、どの程度審議会が審議しているんだろうか、こういうことについてお伺いしたいんです。
 まず本年度の、しかも加工原料乳の価格についての審議会が何日間ぐらい、あるいは何カ月間ぐらい、どのくらいの審議をやったのかお伺いしたい。
#134
○説明員(武智敏夫君) 畜産物につきましては十六日だったですか、まず総会を開きまして全体的な畜産をめぐる情勢全般の報告をし、議論をいたしております。それから数日たちましてえさ部会を開きまして、えさに関する議論をいたしております。それで、このえさと申しますのは当然のことで酪農にも関係します。肉用牛にも関係いたします。それから二十三日の日に、いわゆる肉用牛の肉用子牛に関する小委員会の最後の締めくくりと、午後食肉部会をやりまして、先ほど来言っております肉用子牛についての算定方式の四回目の会合をやっております。これは肉用子牛、乳用種も入っておりますし、乳用種について議論をいたしますれば、これはぬれ子の価格にも関連いたしてきます。ぬれ子の価格に関連しますということは酪農にも関係いたすというようなことでございます。
 そういう過程を経まして昨日食肉の部会をやりまして、きょう酪農の部会をやっておるということでございます。それぞれ独立はしておりますが、またがっておる委員の先生方もいらっしゃいますし、今言いましたえさの問題にしましても肉用子牛にしましても、それぞれ酪農と絡んでおるというようなことでご、ざいます。
#135
○猪熊重二君 私が聞いたのは、加工原料乳の価格についての酪農部会のことを聞いているんです。それは何か関係しているといえば、委員が全部のところへ関係しているわけでしょう。もっと露骨にはっきり言えば、酪農部会に対して加工原料乳の価格についての諮問をして、諮問の資料とかそういうものを持っていったのはきょうの二十九日、そしてそれの答申が出るのも二十九日、こういうことじゃありませんか。
#136
○説明員(武智敏夫君) 十六日のときに総会をやりまして、そのときに議論をし、必要な資料につきましては求めましてその間に資料も提出し、きょう御議論をいたしてもらっております。
#137
○猪熊重二君 だから、せっかく審議会というものをつくったとしても、極端に言えば資料をきょうもらってきょうじゅうに結論を出せというふうな審議会が何を審議、これは審議会の方に怒られるかもしれませんけれども、もう少し審議会が学識経験者で本当に客観的に構成されているんならば、一カ月、二カ月かかって、その間に生産者の意向も聞き、消費者の意向も聞き、すべてのものをいろいろ検討した上でなかったら本来答申なんか出てくる筋合いのものじゃないと私は思うんです。私が委員だとしたら、きょうの十時ごろ資料をもらってまだ読み切らないうちにもう夕方答申する、こんなものが審議会の何の審議をしているんですか、それで。こんなのは、もう全く審議会というところの答申を得ましたという形だけのものでしかないように思うんです。そうでなかったら審議会の委員は非常に天才的な学識経験者ばかりだから、見ただけで一、二時間ですべてのことがわかる、そういうわけにもいかぬでしょう。だとしたら、もう少し審議会というものを審議できるような場にしたらどうですか。
 結局、私が先ほどから申し上げている審議会というのが学識経験者で構成されるべきだ、そしてその学識経験者のところに生産者が本当の自分たちのすべての実態というものを明らかにする。また、国際価格の問題だとか、消費者の意向だとかあるいは畜産物の安全性の問題だとか、そういうことを専門的に研究するための畜産振興審議会なんだろうと私は思うんです。ところが、いろんなことを言うべき生産者が審議会の委員に入っちゃったんじゃ、自分で自分のことを何言ってるんです。要するに、審議会は生産者が半分近く占めるような状況になっていたら、そこで、自分の意見を言ってみたところで第三者に聞いてもらえる場所がないんです。要するに、審議会というのはもっと客観的な、公正な人々によって組織され運営されなければならない。一日のうちに諮問されて資料をもらって、そしてまた数時間後に答申するなんということじゃない方法というものをもう少し考えられないですか。
#138
○説明員(武智敏夫君) 審議会におきましては、例えば現地調査なんかもやったこともございますし、それから例えば子牛につきまして言いますと、四回にわたりまして議論もしてもらったりしておりますし、委員の方々の御意向等を聞きまして審議をしておるというふうに思っております。
#139
○猪熊重二君 今のような審議会の運営をしているから、法が予定している専門調査員なんというのも要りやしないんです。専門調査員なんて、大体審議会の委員自体が一日仕事なんだから、その下働きの専門調査員なんというのは半日仕事になっちゃって何にも仕事がない、要らない。そうじゃなくて専門調査員もきちんとやって、調査して継続的に、それから、審議会の委員も生産者、消費者あらゆる部門の意見を聞いて、そして行政当局の考える諮問案というものが妥当かどうかということを客観的に、第三者的に判断するような審議会、そのような運営をするということをもう少し考えられたらどうなんでしょうか。そういうふうにすることが本当に畜産振興、生産者の立場にも究極的には利益になるだろうと思うんです。審議会の委員になって、審議会に行って言ってみたところでそれを聞いてくれる人がいるわけじゃない。もっと客観的な権威ある審議会があれば、そこで事実調査をし各意見を統合調整する。そして、社会の各層の方が納得できるような答申というものが出てくれば畜産が結果的に振興されていく、こういうふうになると思うんです。
 私は、余りに畜産振興審議会というふうなものが、法が予定している実態と全く違うところに行っているということを強く感じたものですから、非常に貴重な時間ですがいろいろ申し上げたわけです。農水省の方で、自分たちが出した数字の権威づけのためにだけ審議会を運営するのであれば、今のようなことでいいけれども、本当に畜産振興審議会ということであるとすればもう少しありようが違うんじゃなかろうかと思います。
 以上で終わります。意見を申し述べました。
#140
○村沢牧君 農蚕園芸局長、あなたが公務の都合でどうしても日程がつかないというので、私の質問の順序を変更して取り計らって質問しますから、それにこたえて誠意を持って答弁してください。
 そこで、繭糸価格安定法に基づく安定基準価格並びに上位価格はいつ決めますか。
#141
○政府委員(松山光治君) あす三十日に審議会の価格部会の開催を予定しておりまして、その審議会の議を経て決定する運びにいたしたい、このように考えておる次第でございます。
#142
○村沢牧君 最近の生糸価格の推移を見ますると、八八年の十二月には一万一千二百八十円であったけれども、昨年八九年二月にはこれが上昇して一万四千九百四十円になり、さらに六月にはぐっと上がって一万九千二百七十円になった。ところが、十月になりますとこれがずっと下がってまいりまして一万九百三十円、また十二月になるとぐっと上がって一万七千八百五十円です。現在は大体一万四千円程度。このように極端に乱高下しているんですね。相場であるから上がったり下がったりするのは当然としても全く異常なんですよ。この原因は一体何だと思いますか。
#143
○政府委員(松山光治君) 御指摘ございましたように、六十二年の秋以降かなり激しい乱高下が続いておるわけでございます。それの要因につきましてはいろんな見方があり得るかとは思いますけれども、御案内のように国内の繭の減産がここのところちょっと続いておりましたし、かつまた中国等からの供給にある程度依存するという状況の中で、特に昨年は天安門事件等のこともございまして、そういう意味での生糸の供給力に対する、何と申しましょうか、不安と申しましょうか、そういったようなものがやはり背景にございまして、一種の先高観的なものが恐らくあったのではなかろうかと思います。
 と同時に、御案内のような一般経済情勢を背景にしながら相場におきまして強気の見方が優勢になってくる。そういう状況の中で糸価が急騰していく。もちろん、その間事業団におきましても糸価の動向を見きわめながら、かなりの生糸を放出してまいったわけでございますけれども、そういう意味での相場の動き、なかなかやまないというのが実態であったわけであります。逆にまた、そういった動きが落ちつきました場合に、相場の動きが行き過ぎました場合に、その反動で糸価が下降するという場合も多かったというふうに考えられるわけでございまして、今回の変動は大体そういうような事情を背景にしておるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
#144
○村沢牧君 私の持ち時間も余りございませんから、答弁簡潔にしてください。
 そこで、今局長が答弁の中で、主として物不足だということのようですが、そのほかにもやっぱり業者の思惑がいろいろある、あったことは事実だと思う。同時にこの政府の保証価格、政策価格のあり方にも直接、間接に響いているというように思いますが、どうですか。
#145
○政府委員(松山光治君) 先ほども申しましたように、相場におきまして、一定の需給状況の中で強気の見方が優勢になったというふうに申し上げたのもそういう意味合いを込めたつもりでございます。
 なお、保証価格と申しましょうか、行政価格帯との関係の問題につきましては、やはり価格帯の実勢との関係というのは我々十分留意せないかぬことではなかろうかというふうに考えております。
#146
○村沢牧君 答弁がありましたように、この行政価格についても留意しなきゃならない原因もあったということを私は指摘したいのであります。
 そこで、この生糸価格がこのように乱高下すること、そのことは製糸並びに養蚕家にどのような影響を与えていますか。
#147
○政府委員(松山光治君) 生糸取引所におきます相場、これは必ずしも現実に形成される糸価ということではないわけでございますけれども、そこの糸価をもとにいたしまして繭価が算出される、あるいは生糸なり絹織物の取引が行われるというのが一般的な実態でございます。そうなってまいりますと、取引所価格が乱高下いたしますと、おのずから繭代なりあるいは取引価格の変動が生じるということで、養蚕業あるいは製糸業はもとよりでございますけれども、絹業につきましてもどうしても経営の安定という点からいたしますれば好ましくない状況が生まれておる、こういうことであろうと思います。
#148
○村沢牧君 業者の思惑によって相場が上がったり下がったりする、それがすぐ養蚕家に響いてくる。ですから、どうしてもこれは安定をしなきゃいけないわけですね。
 そこで、本年の二月、神戸の生糸取引所で異常事態が発生して生糸取引が混乱を生じたといいますけれども、この事実関係となぜそのようになったのか、説明してください。
#149
○政府委員(鷲野宏君) 神戸の生糸取引所で二月に異常事態が発生したのでございますが、これにつきまして同取引所から聴取をしたところに従って申し上げますと、発端は、一部の仕手の筋による大量の買い注文で取引所の価格が急騰をしたということでございます。これが二月十六日でございまして、前日の価格が一万四千九百五円、これが二月十六日は一万六千円にはね上がりました。通常は横浜と神戸の取引所の相場というのはほぼ並行して動くのでございますが、その結果、神戸と横浜の取引所の値段で千二百円という乖離が生じた、全く異常事態でございます。この事態の処理を行うために取引所の方では割り増し証拠金の増額とか、あるいは建て玉の規制の強化等の措置を行ったわけでございますが、その結果、買い仕手筋の基幹店、要するに中心になって買い仕手に回ったその取引員が、取引所で定められた証拠金等の支払いができなくなりまして、結局違約処分ということで取引停止になった。最終的には倒産をしたわけでございます。
 そういうことになりますと、結局売買停止になった取引員の保有した建て玉を他の取引員等に割り振って処理をする必要が出てくるのでございますが、その割り振られた建て玉が大変大量であったもので、これをこのまま処理していきますと、連鎖倒産とかあるいはまた委託者への不測の損害等を及ぼすという、そういうことが懸念されましたために、神戸取引所の総会の決議によりまして解け合いということを決めたわけでございます。そういうことでもって、神戸それから横浜の両取引所が、納会日等を除きまして前後四日間ないし五日間立ち会いを停止した、こういう事態になったわけでございます。二月二十七日以降立ち会いも再開されまして、市場は正常化したものというふうに私どもは見ているわけでございます。
#150
○村沢牧君 この異常取引を犯した業者は、業務規程違反として取引停止処分を受けたと。
 しかしそれはそれとして、この生糸取引所の監督官庁は農水省あるいは通産省だと思いますが、その監督官庁としてはどういう対応をしたのか、あるいはこのようなことが発生をしないためにはどうするのか、取引所のあり方をどういうふうに考えますか。
#151
○政府委員(鷲野宏君) 生糸取引所の監督官庁は我が省でございまして、したがって私ども、主務省といたしまして今回の混乱の事態に際しまして、神戸生糸取引所が生糸の公設市場としての機能を果たすために一日も早く混乱を是正しまして、市場を再開するように同取引所を指導したところでございます。先ほどもお話が出ましたように、昨年の二月以降生糸市場の混乱がございまして、そういった事態を踏まえまして、私どもこの繭糸関係の取引所の市場管理措置というものについて種々指導をしてきたところでございます。今回、再びこういった異常事態を招きまして、相場の混乱あるいは解け会いという事態を招いたということは非常に遺憾に存じておるところでございます。
 私ども、このような事態が再発しないように、繭糸関係取引所に対しまして市場管理の一層の強化を図るよう指導をしているところでございます。これを受けまして繭糸関係四取引所におきましては、取引員の総建て玉枚数の制限あるいは証拠金の引き上げ等の措置を講じております。
 さらに中長期的な問題になりますが、やはりこういった我が国の商品市場、特に生糸市場が市場規模が小さいとかあるいは信用力がないとか、そういったようなことがこういった事態を招く根本的な原因とも考えられておりますので、ただいま商品取引所審議会の答申を得まして、商品取引所全体の制度の見直しを行っているところでございます。そういったような中で、さらに中長期的な検討に取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
#152
○村沢牧君 監督官庁としてよく指導監督の責任があると思うんです。今後このようなことが発生したらまた大変なことになる。いろいろと今後検討すべきこともあるようですけれども、ぜひ積極的に対応してください。いずれにいたしましても、このようなことが起こること、あるいは乱高下が起こるということは物が足らないということなんですよ。
 そこで、最近年度における我が国の生糸の需要量と国内生産量について数字的に述べてください。
#153
○政府委員(松山光治君) 国内の生糸需要でございますが、これを数字で国内での引き渡し数量といいましょうか、流通量という形で一応とらまえてみますと、当然在庫調整もございますので年々の変動はあるわけであります。
 私どもの今の推定としましては、元生糸年度で見まして大体十四万俵から十五万俵程度、国内生産量は十万俵程度、このように見ておるところでございます。
#154
○村沢牧君 需要量に対して五万俵足らないということですね。
 そこで、この足らない分については事業団の在庫と輸入によって補って価格の安定を図っておるというふうに思いますが、事業団の在庫については後ほど聞きますけれども、我が国の生糸が不足するからといって外国から期待する量の輸入がそんなにできるわけではないというふうに思う。特に、期待をしておる中国との関係について簡単に説明してください。
#155
○政府委員(松山光治君) 先ほども申しましたように、需要量十四、五万俵、国内生産量十万俵ということでございますから、大体四、五万俵程度の需給ギャップということに相なるわけでございます。私どもやはりこれを事業団の持っております糸、外国から引いてくる糸、これをうまく活用しながら需給の安定に努めていくという基本的な考え方でございます。
 お尋ねのございました中国との関係でございますが、この一月に北京で一度交渉を行い、それから先般東京で交渉を行いまして、元生糸年度といいましょうか、元年度の分ということで四万俵という、そういう一応約束ができました。
#156
○村沢牧君 元年度分として四万俵の中国との契約ができた。昨年は特別措置として二万俵約束したんですが、これが二万俵完結したのはいつですか。二万俵完全に入ったのはいつですか。
#157
○政府委員(松山光治君) 中国からの二万俵は三月で全部入ってございまして、今回の四万俵は履行期限をことしの十二月末までということの約束に相なっております。
#158
○村沢牧君 昨年契約して二万俵がことしの三月になって最近全部入ったと。今契約したのが十二月までに四万俵入る、そういう確信を持っていますか。
#159
○政府委員(松山光治君) ただいまも申し上げましたように、中国との約束は履行期限を十二月末ということでございますので、その約束に従った的確な輸出を行っていただけるもの、このように考えておりますし、またその線で努力をさせたいと思っております。
 なお、中国のほかにブラジルその他の国からの輸入も毎年ございまして、それもひとつあわせて需給の安定を図っていく、こういう考え方でございます。
#160
○村沢牧君 生糸の輸入は、生産国も限られておるし今は生産国においても生糸で輸入するのではなくて製品として、織物として輸入したい、そういう傾向が高まっておりますから、私は足らないものを輸入する、そんなに大きな期待は持てないというふうに思うんですよ。これは私の意見です。
 そこで、生糸の輸入売り渡しは安定法あるいは事業団二法によって定められて幾らでもやっていいというものじゃないし、幾ら売り渡してもいいというものじゃないでしょう。それはお認めになりますね。そうするとするならば、不足分はやっぱり輸入によって賄うということではなくて、極力国内生産を高めて需要にこたえる、これが我が国の姿勢であり農林水産省の姿勢であろうと思いますが、大臣どうでしょうか。
#161
○政府委員(松山光治君) 事務的な状況説明をさせていただきたいと思いますが、現実に国内生産と需要との間にギャップがあると、輸入を行う必要があるということのほかに、かなり織物業者は絹織物の貿易関係で、当然のことながら、生糸にも内外価格差は大きいわけでございますから苦労しておるという現状が一つあるわけでございます。
 私どもは、先生御指摘がございましたように、やはり国内の優良な繭からつくられましたしっかりした糸を例えば縦糸として使うという意味では、一定の生産をきちっと確保しておくことが必要だというふうに考えておりますし、そういう意味では今の十万俵水準というのは、やはりこれはきちんと確保するように努力していかにゃいかぬというふうに思っておるところでございます。
#162
○村沢牧君 次は、事業団の在庫について聞きますが、生糸の事業団在庫は五十八年には十七万八千俵もあったんですが、現在は幾らありますか。
#163
○政府委員(松山光治君) 現在、事業団の保有しております在庫でございますが、この二月末現在で一万二千俵ということに相なっております。
#164
○村沢牧君 その一万二千俵は国産糸ですか、輸入糸ですか。
#165
○政府委員(松山光治君) 先ほど先生から御指摘のございました十七万俵余の糸は国内糸として、実は過剰問題で大変関係の皆さんにも御苦労をかけた糸であったわけでございますが、これを順次国内に売却してまいりまして、今持っております糸は輸入糸でございます。
#166
○村沢牧君 今事業団の在庫の一万二千俵は全部輸入のものだと。
 そこで、農水省は今まで在庫について、適正在庫は五万俵であるという答弁を当委員会でも何回も繰り返してきたんですが、五万俵適正に持っていれば需給がうまく安定できるという趣旨であったというふうに思いますが、なぜこんなに在庫が減ってしまったか。これでは需給の安定ができないじゃないですか。一万二千俵ばかりでもって、生糸の価格が上がったからといって安定法に基づいて、それを売り渡しをする法律をしようといったってこの安定法の機能が果たせなくなってしまうんじゃないですか。
#167
○政府委員(松山光治君) 今の五万俵という御指摘の点は、たしか五十七年の国会の答弁でもやっておると思います。
 なかなか適正在庫水準をどう見るかというのは難しい議論があろうと思いますが、当時の、今から思いますと相当多い二十数万俵という生系取引流通量を頭に置きながらの恐らく考え方であったのではなかろうかと思います。確かに一万二千俵、ひところに比べればかなり減っておるわけでございますが、最近の需給を見ておりますと民間在庫がかなりあるという状況が一つございますし、何よりもただいま申し上げましたような中国との二国間協議で四万俵の糸の確保のめどがついておる、その他の国についても必要なものはきちっと入れていく、こういう考え方の中でこれらを有効、適切に活用しながら需給と価格の安定に努力していきたい、こういうのが私どもの考え方でございます。
#168
○村沢牧君 五万俵が適正在庫と言ったら昔のことだと言われる。じゃ、現在は適正在庫を何万俵に見積もっていますか。数字だけで結構です。
#169
○政府委員(松山光治君) なかなか適正在庫という見方をどう見ればいいのか、実は難しい話でございます。そういう意味ではなかなか申し上げにくい話なわけでございますけれども、当時の二十数万俵で五万俵ということと比例計算を仮にいたしたといたしますと、単純な比例計算をいたしますと、今の流通規模からすると三万俵という数字も出てくるわけでございます。
#170
○村沢牧君 適正在庫が五万俵になったり三万俵になったり、たくさん持っておるときには、在庫が多いときには適正在庫は五万俵と。今みたいに減ってきたら今度は三万俵だと。そんないいかげんなことで価格の安定ができるというふうに思いますか。
 そこで、五十八年当時十七万から十八万俵の在庫があった、確かに多過ぎたと。なぜこんなにできたかといえば、五十三年ごろまでは五万俵程度の在庫であったんです。それが四、五年のうちにこんなにふえたということは、それまでは農林水産省が繭を増産せよ、増産せよということで盛んに繭をつくらせた。その反面で生糸の輸入を増大させた。ところが需要は伸びない、それで在庫がこんなにたまってしまったんですよ。そして、この在庫を処理するために国内の繭や生糸の生産を抑制した。そして、今度は在庫が減り過ぎちゃってこの安定帯の機能を果たすことができなくなってしまった、そしてこんなに在庫が減っちゃった。適正在庫が三万俵であるとするならば一歩譲って、三万俵になるころに何らかの手を打つべきだった、私はそういうふうに思うんです。農林水産省のこうした蚕糸政策の誤りが今日こういうことになっているんです。そのことを反省いたしませんか。
#171
○政府委員(松山光治君) 今御指摘のございましたような需給の経過をたどっておるわけでございますが、特にやはり非常に難しい状況になったと思われます背景の一つといたしまして、五十年代の中ごろに入りまして以降の需要の減退が極めて大きかったということが一つあろうかというふうに思っております。ちなみに生糸の引き渡し数量で見まして、昭和五十三生糸年度が約三十三万俵でございましたけれども、六十一年度には十五万俵弱まで五割以上の減になっておる。片方では、やはり養蚕の場合は桑をつくってやるという意味での永年性の作物の世界でもございます。それだけにいろんな努力が行われたわけではございますけれども、なかなか的確な対応ができなかったという意味では、非常に難しい問題であるということを痛感いたしておる次第でございます。
#172
○村沢牧君 痛感でなくて、そういうことをあなたたちはやってきたんですから、あなたが、局長がやったとは言わぬけれども、先輩諸君が皆やってきたわけですね。そのツケが今日回っておるんです。このことは養蚕農家を苦しめただけじゃないんですよ、多額の国費を支出された。現に今度の補正予算、これは野党は反対したんですが、この事業団の在庫を処理するために一千二百十三億六千万も補正予算で出しているじゃありませんか。その前だってずっと利子補給出したでしょう。一体在庫を処理するために幾ら国費を使ったんですか、あわせて言ってください。
#173
○政府委員(松山光治君) ただいま申し上げましたような状況の中で、大量の在庫を抱えるに至りまして、六十年の法律改正でその当時のいわば過剰在庫を分離いたしまして、それを特別計画的に処理していく、こういう考え方をとったわけであります。そのために、国民の税金で使わしていただきました分が補正の千二百十四億のほかに、元年度までに二百七十二億円の税金を使わしていただいております。私どもとしては大変申しわけないことでもございます。官民挙げまして、関係者一体となって二度とこうした事態を起こさないような努力をしなきゃいかぬ、このように考えておる次第でございます。
#174
○村沢牧君 繭の生産金額は、我が国では一年間どのぐらいですか。
#175
○政府委員(松山光治君) 現在の繭の生産金額は約六百億でございます。
#176
○村沢牧君 繭の生産金額が六百億だというんですね。在庫をこんなに処理がまずくて千五百億も今まで国費を出しているんですよ。本当は、私は予算委員会で追及しようと思ったけれども、いろいろあってやらなかったが、この委員会から申し上げますけれども許されませんよ。こんな行政を今後ともすることは絶対許さない、そのことを強く申し上げておきましょう。国費をこんなにたくさん使って、そしてうんと繭の減産をさせてきた。そしてまた、その結果農民にうんと負担をかけてきた、だから繭がうんと減ったんです。当時の三分の一になった、養蚕面積も減った。こういうふうにだんだん養蚕が魅力がなくなってきたわけであります。一々答弁を求めませんけれども、十年前に比べて養蚕農家は三分の一になった、桑園面積は二分の一になった、収繭量も減ったんですね。ですから、これは六十五年体制の長期見通しとうんと狂ってしまったんです。こういう状態です。
 そこで大臣、養蚕は我が国の伝統的な産業である、畑作の重要作物である。地域によっては養蚕でなくてはならない地域もある。養蚕が最もよい、あなたたちがこれから手を入れようとする、力を入れようとする中山間地帯もあります。ところが、我が国の養蚕は今指摘したような状態になっておる。その中でも群馬県は全国一の養蚕県を誇っていますね。
 昨年、私は当農林水産委員会で群馬県へ調査に行った。養蚕とコンニャクについて強い要請があって養蚕農家とも懇談をしてきた。しかし大臣、幸いにして群馬県選出の大臣でありますから、養蚕、生糸についても詳しいであろうというふうに思いますが、我が国農業の中で養蚕業を位置づけて、今までの行政を反省して、これから養蚕家に魅力を持たしていく、そういうことをしなけりゃいけないと思いますが、どうですか。
#177
○国務大臣(山本富雄君) 先生のお話のとおりでございます。特に、私はほとんどお蚕地帯で育ったわけなんです。選挙区がお蚕なんです。痛いほど今までの経過をよく知っておるつもりでございます。そこで先生、確かに戸数は三分の一になったり、あるいは桑園面積も半分になったということですけれども、やっぱり中山間地域ですね、山地帯ではこれはどうしても重要な農業経営上の作物だということがこれがお蚕なんだと。製糸はこれと不可分なんですから、これを車の両輪として考えながら今後今までの、今在庫に関するいろいろな御指摘がありましたけれども、ああいうことの反省に立って誤りを繰り返さないようにしなければならない。また同時に、養蚕家や製糸家が安心して将来を展望できるような方途というものを講じなきゃいかぬ。
 もう一つ大事なことは、やっぱり絹業者というのがいるんですね。私ども蚕糸絹業と随分言ってきましたけれども、この蚕糸絹業一体だという観点の中で、養蚕新技術の開発普及とかあるいは養蚕の産地形成、あるいはハイブリッドと呼ばれる新素材、こういうものあるいはまた絹の需要促進、絹は最近非常に多くなってまいりました、御承知のとおりでございます。こういうことをひとつ各般の政策をまとめ上げながら、しっかり養蚕、製糸業の振興に向かって頑張ってまいりたい、こう考えております。
#178
○村沢牧君 養蚕がこのような現状になったことは、これは養蚕家の責任ばかりじゃない。政府の価格決定のあり方、つまり五十五年から今日を見てまいりますと、基準糸価、当時一万四千七百円、五十五年が。それが五十六年になって一万四千円になり二年間据え置き、しかも五十九年には三月に決めたのをまた年の途中で決めて下げたんですよ、これ一万二千円にした。そして、昭和六十二年には九千八百円までおろした。ところが、繭が不足になったからということで昨年ちょっと上げたということですね。同時に、糸価の基準価格を下げただけじゃない、これに基づいて減反を農林水産省は指導して強いたわけです。桑をこぎなさい、繭を抑制しなさいというんですね。その前は繭を増産してください、桑を植えなさいということで勧める。これが在庫が多くなったから基準糸価を下げて今度は減反をさせて繭を抑制した。そして最近になってまた繭が足らなくなったら桑を植えてください、養蚕をやってくださいと、全くこれが猫の目農政と言うんですね。
 ですから、こういうことをやってきたからもう農民は養蚕というのはだめだ、見通しがないと。そこでもうあきらめちゃったんですよ。だから後継者がなくて年寄りばかりになっちゃった、これは否定することができない事実だと思う。
 そこで、あした決める安定基準価格は極めて養蚕に、大臣が言うように期待を持たすんなら重要な要素を持つと思いますね。そこで局長にお伺いいたしますが、本年度における安定基準価格、上位価格、基準繭価、数字だけで結構です、今現在。
#179
○政府委員(松山光治君) 現行の価格でございますが、消費税抜きで安定基準価格がキログラム当たり一万四百円、安定上位価格が一万三千五百円、それからいわゆる基準繭価、安定基準価格に見合う基準繭価でございますが、これが千五百十八円、こういうことに相なっております。
#180
○村沢牧君 ちょっと待ってくださいよ。上位価格が一万三千五百円……。
#181
○政府委員(松山光治君) 一万三千五百円、安定基準価格が一万四百円、基準繭価、これは下値の方でございますけれども千五百十八円でございます。消費税抜きでございます。
#182
○村沢牧君 そこで、この一年間の生糸取引でこの安定価格帯におさまった期間あるいは安定価格帯を、上位価格を上回った期間、これを数字で言ってください。
#183
○政府委員(松山光治君) 下回った期間はないわけでございますが、すぐ近くまで行ったときはございます。
#184
○村沢牧君 安定価格帯の中に入った期間は。
#185
○政府委員(松山光治君) 安定価格帯の中に入った日にちでございますが、元生糸年度に入りましてから営業日数が約二百日でございますが、そのうち三十七日でございます。
 なお、最近六カ月をとってみますと百十四日中の三十七日、こういう姿に相なっております。
#186
○村沢牧君 そうすると、二百日のうちこの安定価格帯の中におさまったのは三十七日きりだと、あとはそれより全部高かったということですね。そうすれば、この安定価格帯のとり方が間違ったということなんです、いけないということは。ですから結局、安定上位価格が一万三千五百円ですね、これよりも実勢の糸価は三割くらい高かった。だから、それらを勘案してことしの価格を決めなければならない。安定上位価格よりもうんと高くなったから在庫を放出しようといっても在庫はないじゃないですか。安定帯の役割を果たさない。したがって、ことしの価格決定についてはこの現実を踏まえて、また現行の糸価を踏まえて、現行の実勢繭価を踏まえて決めなければならない。どうですか。
#187
○政府委員(松山光治君) 今さら申すまでもないことでございますが、繭糸の行政価格、法に基づきまして生糸の生産条件及び需給事情その他経済事情から見て適正と認められる水準に生糸の価格を安定させることを旨として定める、こういうことになっておるわけでございまして、私ども当然のことながら、この趣旨に則して適正な価格決定を行っていく必要がある、このように考えておるわけでございます。
 それで、若干今の先生の現実を踏まえた御指摘との関係で、最近の状況をちょっと申し上げておきたいと思いますけれども……
#188
○村沢牧君 状況はいいです、状況は知っていますよ。時間がもうないから。
 いずれにしても、皆さんがあした決めるであろうけれども、今のような低い上位価格であっては価格安定制度があってもなくても同じことになっちゃう。このことはあなたきょうの場所では言えないというふうに思いますけれども、あなた自身も十分承知をしておるというふうに思いますから、ただ小幅の上げ幅じゃだめだ、もう少し上位価格を上げなきゃいけないと強く指摘をしておきましょう。そしてあしたの晩結果を見ましょう。また連絡しましょうね。
 さてそこで、この基準価格によって繭の価格も決まるんですが、きょう発表になったことしの繭の生産費、数字だけ報告してください。
#189
○説明員(海野研一君) 繭の生産費、本日公表いたしました数字でございますが、繭の場合どうもほかの作物と違いまして非常に高齢の方が多いものですから……
#190
○村沢牧君 そんな余分なことはいいんだ。数字だけ言ってください、時間がないから。出ているんでしょう。
#191
○説明員(海野研一君) 全くほかのものと同じ方式で算定いたしますと、上繭一キログラム当たりで物材費が対前年五・七%アップの……
#192
○村沢牧君 そんな細かいことはいい、最後の結論だけでいいですよ。
#193
○説明員(海野研一君) 千二百二十七円、労働費二千七十三円、第一次生産費で三千二百八十七円、第二次生産費で五・一%アップの三千六百十一円ということになっております。
#194
○村沢牧君 一キロ当たり繭の生産費は三千六百十一円。昨年がたしか三千四百三十七円であったというふうに思いますからかなり上昇していますね。ところが、今の農水省の基準繭価というのは千五百十八円だ。一キロ当たり三千六百十一円かかるのに、千五百十八円以下になったら保証しましょう、こんな数字で保証価格と言えるんですか。言えないと思うんですよ、私は。この基準繭価を上げるためには安定基準糸価も上げなければならぬ、そうでしょう。だから上位帯を上げるだけじゃなくて糸価そのものだって、基準糸価だって私は上げる必要があると思う。ちなみに、今の繭の実勢価格は恐らく、こういう保証価格は千五百何ぼであるけれども、二千五百円程度ずっといったと思うんですね。今の繭の実勢の価格は二千五百円。そうするとそれを基準にして上位価格をはじいたら、基準糸価をはじいたらどのくらいになりますか。
#195
○政府委員(松山光治君) 今先生から御指摘のありました二千五百円というのは、昨年のあのかなり変動する価格の中で形成された繭価水準というふうに考えております。それに見合う糸価水準はたしか一万六千三百円ということだと思っております。
#196
○村沢牧君 実際に基準糸価が低い。生産費から比べてはるかに低いですね。しかし実勢はそんなに低いことじゃ繭はもう足らないんですから取引できない。だから二千五百円ぐらになっている。そこから糸価や繭価、今話があったように一万六千円、今の上位価格は一万三千五百円で市場価格でそれだけ開きがあるんです。そこらもやっぱり基準価格、上位価格を決める一つの目安になってくるというふうに私は思うわけでありますし、またそういうふうにしなければならないというふうに思っておるところであります。
 それ以上の答弁はここで言っても出てこないというふうに思いますが、しかし局長、くどいようですが、安定上位価格は上げる必要がある、金額は別としてそのぐらいな答弁はできるでしょう。
#197
○政府委員(松山光治君) 先ほど大臣からもお答えがございましたように、私ども今回の価格決定に当たりましては、法律の規定に基づいて適正に決定するということではございますが、同時に、蚕糸業が健全に展開する、他方絹業もちゃんと成り立っていく、そういう意味での蚕糸絹業一体となった展開を図り得るような価格ということに重点を置いて考えていきたいというふうに思っておるわけでございます。
 先生から御指摘のございましたように、いろんなファクターを頭に置きながら決定していく必要があろうと思いますけれども、現在の安定上位価格の水準が糸価の実勢の水準、これはどの程度と見るか人によって大分違いはあるわけでございますが、ある程度の乖離が出ておるあるいは変動がある、大きくなっておるといったようなことは十分頭に置かなければいかぬ要因の一つであろう、このように考えておるわけでございます。
#198
○村沢牧君 もちろん養蚕あるいはまた生糸のことだけを私は言っているんじゃなくて、使う絹業のことだって考えなければいかぬ、このことは承知していますよ。承知をしておるけれども、農水省の姿勢としてはやはり養蚕を振興して生糸をふやしていく、それが農水省のあるべき姿。余分なことを言うようですが、農水省の最近の担当の意見なんか聞いておると、何か第二通産省みたいになったようなことで、そっちの方ばかり心配しておるということが私の耳に養蚕家なんかから入ってくるわけです。あなたたちはやっぱり農業を守っていくという立場でやるべきだと思う。
 そこで、絹業のことも考えなければいけないけれども、今着物一枚つくるのに生糸はどのぐらいかかるんですか。
#199
○政府委員(松山光治君) 着物一枚につき一キログラムの生糸、こういうふうに承知をいたしております。
#200
○村沢牧君 金額は。
#201
○政府委員(松山光治君) 去年の平均の取引所価格を一応申し上げますと一万五千三百円でございましたが、それを仮にとりますればそういう水準ということになりますが、現実に取引されている糸の値段についてはいろいろあろうかというふうに思っております。
#202
○村沢牧君 着物一枚に必要な生糸は一万五千円だと。しかし、着物としてつくると五十万、六十万もする着物もあるわけです。一体その間の流通経費について本当に真剣に考えておるのかどうか。やっぱり絹業の皆さん方も、それから流通関係のことだって考えなきゃいけないと思います。農水省はそういうことを検討したことがありますか。
#203
○政府委員(松山光治君) 今着物の例でお話があったわけでございますけれども、御案内のようにいろんな絹製品があるわけでございまして、特に私どもの方に非常にきつい状況になっているんだということでお見えになる方の多くは、一つは比較的生糸代のウエートの高い小物を扱っておられるような方、それから物によりましては輸入物と相当の競合をしておる、そういう方々が多いわけでございます。私ども、やはり蚕糸が健全に発展していくためにはしっかりした絹業が展開しておらなきゃいかぬというふうにも思っております。
 今お尋ねの流通問題につきましては、やはり関係省庁ともこれからもよくいろいろと御相談しながら進めていくべき話であろうというふうに考えておる次第でございます。
#204
○村沢牧君 ぼつぼつ私の時間も参りますので終わりたいと思いますが、やっぱり農水省はそういう生糸を生産していく、あるいは養蚕を振興さしていくという基本的な立場に立って、せっかくできたものが消費者のところに安く行くような、そういう形にしなければいけないというふうに思います。ですから、農水省もそういう立場でもってやってもらいたいし、新年度予算でも養蚕振興なんかについていろいろ予算を持っておりますけれども、大臣幾らそんな予算を持ったって、生糸の保証価格がこんなことでは本当に養蚕をやる人はないんです。皆さんが技術指導だとか、新しい技術だとかいろいろやりますけれども、農家はあなたも知っているとおり、見てごらんなさい、若い後継者だってそんなにいないですね。ですから、希望を持たせるためには政府の保証する価格、基準繭価にしても基準糸価にしてもあるいは上位安定価格にしても、そのことをまず政府がしっかり示して、そして養蚕の振興を誘導すべきではないか。
 さっき申しましたように、現在の取引糸価と政府の決めた保証価格とはこんなに開いておる。開いたから在庫を出して売り渡して、放出して価格を安定しよう、乱高下を減らせといったって出す在庫がないじゃありませんか。外国へ頼ったって私はそんなに期待するほど入ってこないと思う。あくまで我が国の生糸、養蚕を振興させるという立場に立ってことしの価格決定について、せっかく群馬県選出の大臣が出たんですから、ここらで我が県のいい大臣が出たと、やっぱり群馬の養蚕家の皆さん、群馬だけじゃありません、喜ばれるようなひとつ価格決定をしてください。
 大臣、最後に見解を伺って私の質問を終わりたいと思う。
#205
○国務大臣(山本富雄君) どうもありがとうございました。先生の御激励をしっかり体しまして、とりあえず明日の価格決定、諸般をにらみながら適正に決定をさしていただきたいというふうに考えております。
#206
○林紀子君 きのう牛肉の安定価格の引き下げが諮問されました。またきょうは、加工原料乳保証価格の引き下げが諮問されました。畜産農家の実態を無視して一層赤字経営を押しつける引き下げ諮問に強く抗議し、まず私は撤回を求めたいと思います。
 諮問についてはほかの委員からも質問がされましたので重複を避けたいと思いますが、特に指摘しておきたいのは、農家にとっての賃金とも言うべき家族労働費が大変低く評価されていることです。加工原料乳の保証価格の試算で使っている北海道の製造業五人規模以上の労賃、これは先ほどは推定だということが明らかになりましたけれども、これを一〇〇とすると全国平均賃金は一三六に当たります。ですから、加工原料乳保証価格を全国平均賃金で計算しますと、キロ八十五・九五円、こういう引き上げになり、引き下げどころか七・六%の引き上げをしなければならないということではないでしょうか。長時間の重労働にあえぐ酪農家にせめて人並みの賃金を保証する、これは当然のことではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、三百六十五日乳を搾り飼料を与えなければならない、冠婚葬祭にも出席できない、休みもとれないという酪農家にとって酪農ヘルパー制度は本当に切実な願いです。関連対策で総額五十億円程度のヘルパー助成金を検討しているということですが、当初予算できちんとした制度をつくるべきだということを私からもぜひ要求したいと思います。また、制度をつくるだけではなく、加工原料乳保証価格にこれを反映させるということもぜひお考えいただきたいと思います。酪農ヘルパーを雇った場合の雇用労働費を含めるべきだと考えますが、それについてもぜひお答えをいただきたいと思います。
#207
○説明員(武智敏夫君) 二つございますが、まず前段の方の加工原料乳の労賃評価の問題でございます。これは法律に規定がございまして、今加工原料乳が生産されておる地域、現在におきますれば加工原料乳向けは、五〇%以上ありますのは北海道だけでございますので、北海道の製造業五人以上労賃をとるということになっております。
 それから、後段のヘルパーにつきましては、ヘルパーを雇った労賃につきましては当然生産費の中に加味されることに現在もなっております。これから使うであろう者につきましては、使った段階で来年に反映されるというふうな形になっております。
#208
○林紀子君 この飼育労働費、雇用というところにその酪農ヘルパーのあれは入っているわけですか。
#209
○説明員(武智敏夫君) そういうことでございます。
#210
○林紀子君 それでは、もう以前からこれは計算をされているということなんですね。
#211
○説明員(武智敏夫君) 酪農ヘルパーにつきましては、現在でも全国幾つかの地域でやっておる地域があります。したがいまして、そのやっておる地域で実際にお金をヘルパーを雇って支出した場合には、その雇用労賃の中に入っております。要は今関係団体の皆さんが言っておりますのは、まだ全国的にはそれほど多くないものですから、これを全国でやれるような形にしてもらいたい。それからあるいは非常に専任のヘルパーのためにはいろいろ経費もかかりますので、そういった面倒も見てほしいというようなことで、いろいろ酪農団体が運動しておるというふうに理解をいたしております。
#212
○林紀子君 大臣にお伺いしたいと思うんですが、私は、先日畜産農民全国協議会という団体の代表の方で、北海道で酪農を経営している方からお話を聞きました。その方は、せっかく搾った牛乳を畑が真っ白くなるほど捨てさせられている、このことを唇を震わせて告発していらっしゃいました。生乳換算で三百万トンも現在乳製品を輸入している。ところが、わずか七万トン程度の牛乳過剰を理由に畑に乳を捨てなければいけない、こういう状況が起こっている。そして、農協の組合員に牛乳を捨ててくれと言って歩かなければいけない、涙を流してこういうことをおっしゃっていたわけですけれども、本当に私も胸が痛くなる思いがいたしました。搾った牛乳を畑に捨てさせるような政治はやめてほしい、こういう酪農家の血の出るような叫び、これは物をつくる農民の当然の声だと思いますけれども、こういう声に大臣、あなたはどうお答えになりますでしょうか。
#213
○国務大臣(山本富雄君) 生乳の計画生産は、生産者団体が需要に見合った生産を行うため実施しているものであります。そこで、生産目標を超える際には一般に、今先生捨てるとこういうお話でございますが、一部ではそういうこともあるようでございますけれども、全乳哺育、また飲ませるということですね。それから飼養頭数の調整などの方法によって出荷抑制、すなわちコントロールをしておるというのが実情だというふうに私は聞いております。しかし、出荷抑制という観点からは、生乳の廃棄よりも全乳哺育等によって経営の安定を確保しつつ計画生産を実施するのが望ましい、畑にみんなお乳をまいちゃうというふうなことはそれはもう大変なことですから、そういうことのないように関係者をしっかり指導してまいりたい、こう思っております。
#214
○林紀子君 子牛に食紅を入れて飲ませるとか、それから親牛に飲ませるとまた乳の出がよくなるので大変困るんだという、そういうお話も聞いたわけですけれども、牛乳の過剰というのは農民の責任ではないと思うわけです。昭和六十二年から飲用消費が伸びたということもあって、農水省はそれまでの減産方針から増産方針に転換しましたね。酪農民に増産を呼びかけました。農家はこの方針に基づいて牛をふやしたわけです。しかし、牛乳生産が回復するまでには三年かかる。酪農家の方が言っておりましたけれども、水のように蛇口をひねったらざあっと出て、要らなくなったといって蛇口をとめてそれがとまるわけじゃないんだということをおっしゃっていましたけれども、ことしがちょうど三年目に当たるわけですね。現在の事態の最大の原因というのは農水省の見込み違いではないでしょうか。
 北海道が計画を特にオーバーしているということもありますけれども、これはプラス七・四%の予定が八%になった程度だということを聞いています。生き物相手の生産にこの程度の誤差というのは当たりまえのことではないでしょうか。これまで農民の責任にするというのは余りにひどいのではないかと思います。むしろ、見込み違いをしたのは私は農水省の方ではないかと思うわけです。消費量がふえているということを前提にバターや脱脂紛乳の輸入をふやしました。見込みが違ったとわかった段階で輸入の方を減らして牛乳の需給調整を図る、それが政治の責任ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#215
○説明員(武智敏夫君) 輸入につきましては先生先ほど御指摘のように、六十二年度以降飲用牛乳の消費が非常に伸びたわけでございます。ところが、おっしゃいましたとおり生産の方が追いつかないというふうなこともございまして、要は六十二年、六十三年と乳製品がかなり逼迫いたしました。価格が上がりましたので緊急的に輸入をやったわけでございます。昨年の場合には、当初は脱粉は一万三千トン、バター一万トンぐらい予定いたしたわけでございますが、国内の需給といいますか、まだ足りなかったんですけれども、国内の需給も考えましてそれぞれ八千トンずつで抑えたというようなことでございまして、去年のクリスマスまではそれで何とかしのいだと思っております。
 ただ、飲用牛乳の伸びが去年の秋以降からだんだん悪くなってきておるのに対しまして、北海道におきます生乳の生産が、かなりまだフルピッチで伸びておったというようなことから短期的にギャップが出つつありますけれども、現時点ではまだおかしいというふうに我々は認識いたしておりません。したがいまして、輸入したことが間違っておったというふうには我々は思っておりません。
#216
○林紀子君 輸入の問題ですけれども、現実に昭和六十三年の場合、乳製品の輸入というのは調製品も含めて生乳換算で三百五十五万トン、国内生産量七百七十万トンの半分近くにもなっている。例えば調製食用脂とココア調製品は五十三万トンも輸入されているということを聞いております。これは、日本の商社などが外国企業に悪知恵をつけまして日本の輸入制限のハードルを逃れるためにだけ開発されたようなものです。こういう擬装乳製品、こういう事実上の非合法の輸入というものを二割抑えるだけでも生産調整というのは不要じゃないでしょうか。せめてこの程度の輸入規制を行うというのは農水省の責任だと思いますが、重ねてお伺いします。
#217
○説明員(武智敏夫君) ココア調製品にいたしましてもあるいは調製食用脂にいたしましても、いわゆる擬装乳製品と言われておるものでございますが、これは既に自由化されております。ただいろんな経緯がございまして、なるべく極力秩序ある輸入をやってもらった方がいいということで、例えばニュージーランドなんかにも協力要請いたしておりますし、国内のお菓子のメーカーですとかパンのメーカーですとか、そういったところにも協力を求めておりますけれども、やはりほかの企業からしますと、安い原料が入った方がいいということで、世界では必ずしも流通してないものが日本に入ってくるというのが実態でございます。我々は、そういうのを実態としまして輸入はなるべく入らないように努力をしながら、しかしそうは言っても国内でやはり需要に見合った計画生産をやらなきゃいかぬものでございますので、現在やっておるような計画生産をやっておるわけでございます。
#218
○林紀子君 そういうことがあるから農民は本当に自由化に反対してきたんだと思うわけです。自由化品目だから輸入規制はできないということでは自由化を進めてきた政府の責任、これは本当にますます農民からも追及されるのではないかと思います。こういうものさえ輸入規制をしないで農民に生産調整を押しつける、こういうやり方を一刻も早くやめてほしいということを要求して、次の問題に移りたいと思います。
 牛乳の過剰や自由化攻勢を理由にしたメーカーの買いたたきの問題について、ちょっとお伺いしたいと思います。
 現在、乳業メーカートップと言われる雪印の場合は、今公表されているもので計算いたしましても税引き後の利益というのは、昭和六十一年が前年比一二・七%増、六十二年には二〇・九%増、六十三年には一八・六%増、年々税引き後の利益というのがふえているわけです。ところが、酪農家の経営難をよそにこういう大もうけをしている大手乳業メーカー、これは雪印ばかりではなく明治や森永も同じような傾向だということですけれども、今度は乳脂率を三・五%から三・六%に引き上げる、こういう実質的な買いたたきを今行おうとしているということを聞いております。乳脂率が三・二%から三・五%に引き上げられたというのがまだ三年前ですね。これでも酪農民は大変大きな打撃を受けたわけですけれども、さらに三・六%に引き上げようという話もありますし、また最近北海道で明治乳業などが四月からのアイスクリーム自由化を理由に、アイスクリーム向けの乳価の設定というのを要求しているということも聞いております。こういう事実関係が本当にあるのかどうか、もしあるとしたらこういうやり方というのはやめさせるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#219
○説明員(武智敏夫君) まず、初めの方の三・五から三・六という問題でございますが、これは牛乳、我々が飲む牛乳、スーパーなんかで売っております牛乳につきまして三・五を三・六にしておる会社はございます。ただ、おっしゃいましたようないわゆる取引基準としての現在三・五でございますが、それを三・六にいたしまして、三・六以下は買わないと言っておるようなメーカーはあるというふうには聞いておりません。
 それからもう一つ、アイスクリームにつきましての原料乳価を安くしてほしいという話、これは聞いております。加工原料乳向け以外につきましては、これはまさに各メーカーと、それからそれぞれの各都道府県ごとにつくっております指定生乳生産者団体とが話し合いをして決めるということになっておりますので、その一環としてあるいはアイスクリーム向けに何とかしてほしいという話があることは、そのこと自体はお互いに話し合えばいいのではないかというふうに思っております。
#220
○林紀子君 今話し合えばいいというお話がありましたけれども、先ほど来お話がありますけれども、やはり農水省というのは第二通産省になってもらっては困るわけでして、やはり酪農家の味方をする、酪農家を守るという立場でこれを考えていただかなくちゃいけないと思います。メーカーというのは、今数字を引きましたけれども、事実上もうかっているわけですね。酪農家の方は大変だという事実があるわけですから、そういう事実もきちんと見ながら、独占的な地位に物を言わせて農民いじめを行う、こういうやり方ということは農水省としてもぜひ指導をしていただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
#221
○説明員(武智敏夫君) 現在の生乳の取引につきましては、御存じのように不足払い法がございまして、一元集荷多元販売ということで、各県に一つありますいわゆる生産者団体が全体を担って交渉をやっておりますので、いわゆる一企業とどちらが強いかということは必ずしもわかりませんが、少なくとも個々の農協がやっておるわけではございませんので、相当の何といいますか、力関係を持って交渉をやっておるというふうに理解いたしております。
#222
○林紀子君 そのお答えではちょっと私も十分納得はできないわけですけれども、時間の関係もありますので、最後に養豚経営にとって、今大変大きい問題になっているオーエスキー病の対策というものについてお伺いしたいと思います。
 日本では、この豚のオーエスキー病に効くワクチンが製造も輸入もされていない。そこで養豚農家の間では、ワクチンを台湾やアメリカ、デンマークにまで買いにいくワクチンツアーというようなものが流行しているというようなお話も聞いております。そして、そんな中で台湾産ワクチンに別の菌が入っていて、かえって豚が死んでしまったという被害をこうむったという、そういう実例さえあるということですが、今三年計画で野外試験が行われているということですが、これもまだ来年までかかるわけですね。一体いつになったらワクチンが製造されあるいは輸入されるのか。養豚家というのは本当に首を長くして待っていると思いますので、そのめど、なるべく早く、今々どうするのかということも含めてお答えをいただきたいと思います。
#223
○説明員(武智敏夫君) オーエスキー病のワクチン、残念ながら、国内で開発試験をやっておりますけれども、まだ現実に実用化されたものがない状態でございます。ただ、海外から何というのですか、海外で使っているワクチンを入れまして、この使い方が間違いますといわゆる常在化というのですか、もうどうしようもないような状態になりますので、相当やはり海外から入れるには慎重にやらなきゃいかぬというふうに思っております。したがいまして、本年度からやっておりますので、三年計画ということでございますので、極力最大限急がせるつもりでございますけれども、そのぐらい時間がかかるという実態でございます。
#224
○井上哲夫君 私は、まず豚のことについてお尋ねをいたします。
   〔委員長退席、理事北修二君着席〕
 豚肉の需要というのは、加工需要面も含めてその伸び率は鈍化したものの引き続き増加していると言われております。そして一方、供給といいますか、生産の方も需要に見合った形で推移していると言われております。しかし、牛肉の自由化を一年後に控えて、養豚農家の先行き不安というのもまた一概に無視し得ないところであります。
 そこで、今後の国産豚肉の需給がどのような情勢に推移するかという点で、農水省の見解をお尋ねしたいと思います。一部にはこれ以上の伸び率は望めないというような限界論といいますか、そういう声もあるようでありますし、あるいはともすれば牛肉に目がいき豚の方に目が届かないというような声も聞かれますので、お尋ねをいたしたいと思います。
#225
○説明員(武智敏夫君) 先生おっしゃいましたとおり、豚の需要量の伸び、年々鈍化しておりますことは事実でございます。特に豚の場合、家庭消費が四割ございます。この四割につきましては既に十年ぐらい前から三角といいますか、家庭消費は伸びがむしろマイナスになっておるというようなことがございます。ただ、豚の場合にはいわゆる加工品向け、ハムとかソーセージが大体三割ございますので、そちらの方がかなり伸びてきまして、全体としましては一、二%というようなことで伸びてきたのが現在まででございます。
 これからでございますが、先ほど話題に出ておりました長期見通し、ことし決めたわけでございますが、一応それで見ますと我々〇・七%から一・三%ぐらい年率では伸びるというふうに思っておりますけれども、単年度単年度につきましては、いわゆる生産者団体でつくっております、これも計画生産をやっておりますが、そういうところで議論をしていくのがいいのじゃないかというふうに思っております。
#226
○井上哲夫君 今のお答えにもありますが、加工豚肉の需要拡大といいますか、これは今大変重要な問題だと思います。的確な豚肉の消費の拡大策というのは、結局は加工利用促進対策が的確になされるかどうかというところに尽きるかと思うんですが、その点でさらに今に関連してお尋ねをいたしたいと思います。いかがでしょうか。
#227
○説明員(武智敏夫君) 近年加工向けで特にオールポークソーセージ、いわゆる豚肉だけでございます。若干ほかにもまぜてつくっておるようなものもあるわけでございますが、オールポークというような形で伸びてきたものもございますし、あるいは手づくりハムというような形で従来かなり伸びてきたりもいたしております。そういった加工向けの方の需要開発をやりますと同時に、やはり四割が家庭消費でございますので、その四割とそれからいわゆる業務用需要というのも三割ぐらいございます。そういった形につきましても、それぞれマスメディアを通じたような消費拡大ですとかあるいは国産の豚がいわゆる低級な部位、ヒレなんかでないものなど、そういったものにつきましても、これからやっぱり消費してもらうような形でやっていかなきゃいかぬのじゃないかというふうに思ったりもいたしております。販売店を通じました肉の日ですとかあるいは豚肉の特別販売ですとか、いろんなメディアなり、いろんなまた機会をとらえて消費拡大をやっていくというようなことが大事じゃないかというふうに思っております。
#228
○井上哲夫君 私が小耳に挟んだというか聞くところによりますと、例えば大手のハムメーカーといいますか加工業者は、相当輸入の豚肉を使っている。一説によると七割ぐらいそうではないだろうかと。そのために、国産の豚肉を使って手づくりハムだとかウインナーをつくっている小さな法人といいますか、農家の団体は非常にそういう大手の攻勢に苦しんでおる。それは、裏からいえば輸入豚肉の攻勢に苦しめられているというようなことを聞いております。
 そこで、商品にそういう国内の豚を使った商品とかあるいは輸入の豚肉を何割使った商品とか、そういう表示、義務とまでいかないにしても、そういう方法によって国内の豚肉の需要の拡大というようなことは考えられないでしょうか。
#229
○説明員(武智敏夫君) 現在JAS法という、いわゆる農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律というのがございまして、品質表示基準等も定めておるものがございます。したがいまして、これらの中で原材料ですとか内容等ですとか、あるいは輸入品にありましては輸入業者というようなことを表示できるようになっておるわけでございますが、残念ながら原料豚肉の表示につきましては必ずしも規定がないというようなことになっております。それに対しまして、一部の地域といいますか、自分たちがつくりました豚肉を原料にいたしまして手づくりハムをつくったというふうな形で、日本の各地域でいろいろPRされたりしておるところがございます。そういった形はそういった形で伸ばしていっていただきたいと思いますが、おっしゃるような形での、いわゆる原材料が国産かどうかということは、これは正直言いまして確認が技術的には難しいというふうなこともございますし、それから加工メーカーが仕入れの段階で国産も使っている、輸入品も使っておるわけでございますので、そういったどちらがどちらということも現実的には把握しにくいというようなこともございまして、現実的には先生御指摘のような、原料の中身まで規定することが現状ではまだ難しいというような実態でございます。
#230
○井上哲夫君 今まさに御指摘がありましたが、こういう自分たちで安全なといいますか、健康に育てた豚で、その肉で自分たちで商品をつくる。こういうところの仕事をやっている人たちにとっては、何か自分たちの商品と大手の業者との商品の、消費者が見て明らかな目印といいますか、あるいは銘柄商品と銘柄商品でない差別ができる方策はないかと、国の方がそういうところに側面援助をしてもらいたいんだというようなことがあるわけです。私の三重県の伊賀盆地でも、まさにそれに該当するような手づくりハムをつくっているわけですが、今のお答え以上には出ないんでしょうが、側面的援助は何か検討の余地があるのかどうか、もう一度お尋ねをしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#231
○説明員(武智敏夫君) いろんな地域の銘柄の、これは豚肉だけではございませんけれども、あるいはブロイラーだとか卵だとかいろんなものがございます。そういうことを出店するような機会は我々もPR費を持ったりいたしております。
   〔理事北修二君退席、委員長着席〕
そういうところに出すことによりまして、今は限定されて一地域だけにしかないものを全国的にといいますか、もっと広い分野でPRするというような手段はあろうかと思います。
#232
○井上哲夫君 次に、先ほど出ましたが、ぬれ子というんですか、いわゆる乳牛の雄の場合にはほどなく、生後してすぐに手放してしまう。しかし、最近では酪農家の間で乳肉複合経営というんですか、そういう考えで、国の指導もあってそれに挑戦をしている農家もあるということを聞いておるわけですが、この乳肉複合経営の酪農いわゆる農家に対して、国の方がどのくらい熱心に援助をするか。例えば施設整備あるいは人手の問題もあるかもしれませんし、融資の問題もさらにはノーハウの伝授というような問題もあるかもしれませんが、その点について今の時点でどのようなお考えがあるか、お示しをいただきたいと思います。
#233
○説明員(武智敏夫君) 酪農家が、生まれて普通一週間ぐらいで売り渡すのをぬれ子と称しておりますけれども、酪農家の労働条件なりあるいは施設なり、そういった点から酪農をやりながらぬれ子の哺育育成もやる、いわゆる乳肉複合経営をやるという形、これは四、五年前から農水省としましては推奨をしてきたわけでございます。酪農の方は計画生産というようなこともございまして乳を搾りにくいというようなこともございますので、肉の面から所得をふやすというような観点からも進めてきたわけでございますが、若干酪農の事情がよくなりますと、やはり沿革的なこともございまして肉の方には手を出さないといいますか、逆にまた手を引っ込めるというような傾向がございます。そんなことで必ずしも伸びておりませんけれども、やはりこれから基本的には複合経営でやっていくのがいいのじゃないかというふうに思っております。
 国としましても、先ほど言いましたいわゆる緊急対策の中でもやっておりますし、いわゆる複合経営を始めますれば一頭当たり幾らというような形も出していますし、あるいは農業改良資金の中に畜産振興資金というものがございますが、これは無利子の資金で、例えばカウハッチなんかも置けるようにしたりいたしておりまして、いろんな形で乳肉複合を進められるようにいたしております。
#234
○井上哲夫君 今の場合に、少し状況がよくなるとぬれ子の哺育、肥育ですか、そちらの方が努力しなくなるという、その原因というのはどういうところにあるんでしょうか、端的に言えばということでございますが。今いろいろおっしゃいましたが、最大の問題点というのはどこでしょうか。
#235
○説明員(武智敏夫君) 酪農の経営の状況がよくなりますと、いわゆる酪農の方にむしろ力を入れるといいますか、酪農の本来の姿に戻るということでございます。いわゆる計画生産で、例えば本来搾りたいけれども搾れない状況のときですと、お肉の方にも手を出してやろうかという機運がございますけれども、先ほど来言っておりますが、酪農もかなり需要と供給の関係が三、四年で変わるような格好になっておりますので、そういったような状況が一番の大きい原因じゃないかというふうに思っております。
#236
○井上哲夫君 もう一点、この乳牛の場合には相当以前から乳量、乳質のデータといいますか、それを一頭ごとに集めたいわばデータバンクといいますか、そういうものがかなりそろってあると。しかもそれが、そういうデータを維持してその活用といいますか、それを図るということでやってきた。聞くところによりますと昭和四十九年から行われているというふうに聞いておるわけですが、最近このデータの、これは乳用牛群検定データというんですか、これをさらに拡大していこうという機運よりも、むしろこれは縮小、取りやめられるのではないかというようなそういう懸念もあるようでございますが、この点について、むしろ今は情報化の時代でパソコンも各家庭にあるぐらいの時代ですから、もう一回再検討して拡大、さらにこれをうまく活用できるのではないかなというふうに考えますが、その点いかがでしょうか。
#237
○説明員(武智敏夫君) 牛群検定と称しておりますけれども、我々従来から力を入れておりますし、これからも力を入れていくつもりでおります。現在四〇%ぐらいじゃないかと思いますが、これをもっと高くやっていきたいと思いますが、これにつきましてはいわゆる検定組合というのをつくりまして、乳用種ホルスタインの雌一頭ごとに乳量ですとかあるいは乳質ですとか、あるいはえさのやり方ですとか繁殖ですとか、そういったものを一つ一つ記録をとりまして、要は全国の中で自分の位置づけもわかるようにいたしますし、都道府県の中での自分の位置づけもわかるようにいたしまして、いいものは残していってよくないものは淘汰していくというようなことを通じまして、まさにいい牛を置くというような格好でやっておりますので、これからも力を入れてやっていくつもりでございます。
#238
○井上哲夫君 最後に、先ほどちょっと大臣、席を外されましたのであれですが、もう一度豚の問題に戻ります。
 各地方には養豚業者が必死の努力で銘柄、いわゆる優秀な豚をしかも均一の肉がとれるように、そういうものをとろうということで必死に努力をしているということを聞いておるわけですが、今ともすれば牛肉というところにいくわけですが、日本における養豚業者のそういう一層の技術改良といいますかあるいは経営規模の努力、そういう点で特に種豚の改良育成、こういうところについてはどのようにお考えになっているか、お尋ねをいたしまして私の質問を終わります。よろしくお願いいたします。
#239
○国務大臣(山本富雄君) 先生せっかくのお尋ねですけれども、審議官の方から答弁させます。
#240
○説明員(武智敏夫君) 先ほど申しましたとおり、豚につきましても需要の伸びそのものは鈍化いたしておりますけれども、まだまだ需要は伸びることになっておりますので、我々もいい豚肉を食べてもらうというような形で、しかもそのためには、種豚のいい豚をつくっていかなきゃいかぬわけでございますので、そういう形でやりながら、他面ではまた消費促進というような形もやっていこうというふうに思っております。
#241
○井上哲夫君 終わります。
#242
○橋本孝一郎君 できるだけ重複しないように、まず大臣にお尋ねしたいんですが、和牛の質の向上の問題であります。
 当然、輸入自由化になりますれば国産牛肉と輸入牛肉の競争ということで、価格の面では大変コスト面、いろいろと問題がありますけれども、最近グルメ志向というのも非常に多くなってきておるわけであります。そういった点で、現在和牛の方が味の面から見ても上等とされているのが一般的な常識であります。特に日本人好みというんでしょうか。これも、日本をターゲットにして牛肉の輸出国がいろいろな優秀な種牛等、あるいは生産を含めて努力してくるというようなことも聞いております。過去、オーストラリアでもそういうことがあってそれがパアになって大変な問題になったこともありました。
 九〇年代を展望しますと、日本の牛肉生産は決定的な影響を受けてくるだろう、特にそれは後半にきつくなってくるだろう、そういう個々の改良も含めてですね。関税関係も後半にはそれも薄れていきまするし、そういう面で日本の和牛がいい肉になるためには、現在の家畜改良事業団、いろいろ努力されていると思いますが、一層の整備によって高品位の和牛を開発する必要があると考えられるわけですが、そういう点についてどのような対策を立てられておりますか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#243
○国務大臣(山本富雄君) お答えいたします。
 肉は私も大好きでして、特に和牛は何といいますか、独特の日本的な伝統と風味を持っていて、日本人の嗜好に非常に合う。ですから、これは大いに改良してそして立派なものに育てていく必要がある。肉の需要が今後、先ほど来の検討のとおりの状況でございますから、和牛を育てていくということは非常に大事だと、こう思っております。
 現在、国、都道府県及び先生おっしゃった家畜改良事業団一体となって、今和牛の改良ということを目指してやっているところでございますが、今後ともより能力の高い種雄牛の生産と和牛の改良に一層の努力を傾けていきたい、こう思っております。
#244
○橋本孝一郎君 次に、これはちょっと事務的な小さい問題ですけれども、いわゆる生産者補給金の交付の問題についてお尋ねしたいのですが、肉用子牛の価格が標準価格を下回った場合には、都道府県で肉用子牛価格安定基金協会が生産者に対して補給金を交付する、こういうふうになっております。何か今までのいろいろな実態のお話を聞きますと、子牛の生産農家に対し、補給金事務の円滑化というのがもっとスムースにならないものかというふうな意見もあるんですが、今はそういう状態ではないかもしれませんけれども、今後どのような措置を講じられるのか、お伺いしたいと思います。
#245
○説明員(武智敏夫君) 今先生おっしゃいましたとおり、ことしの春から新しい法律に基づいた制度に切りかわっていくわけでございますので、従来任意にやっておりまして、肉専用種の方はかなり加入率も高かったわけでございますが、例えば乳用種でございますと加入率が非常に低かったというようなこともございます。それから新しい制度はかなり内容的にも充実されておりますので、そういったPRもしなきゃいかぬというようなこともございまして、平成二年度の一般会計予算をこれから御審議していただかなきゃならぬわけでございますが、その中に都道府県が行います普及啓蒙に要する経費、一億円弱でございますが、そういうようなのを盛り込んでおります。
 それから、そのほかにそれぞれ先ほど言いましたとおり、現在では各都道府県に一つの団体、基金ができております。その基金がいろいろ経費もかかりますので、またその基金の運営が円滑にできるような形につきましても現在内部で検討いたしておりまして、そのうち決定できるというふうに思っておりますが、いわゆる県のPR費と許可の段階のいわゆる運営費というような面で面倒を見まして、各農家の方々が、一〇〇%というのはいろいろ難しい面もございますけれども、かなり入っていただきまして、現実は子牛の値段が高いものですから発動されませんけれども、いざというためにやっておくわけでございますので、そういう方向でやっていきたいというふうに思っております。
#246
○橋本孝一郎君 次に、畜産振興事業団の財務についてでありますけれども、畜産振興事業団が、六十三年度から平成二年度までの間の輸入牛肉勘定における利益の一部を平成二年度の生産者補給交付金等について充てるための資金として管理されていくことになっておるわけでありますが、資金の管理はどのようにして行われるのか、まずお伺いしておきたいと思います。
#247
○説明員(武智敏夫君) 新しく発足いたします肉用子牛の補給金制度でございますが、来年の自由化された後におきましては関税収入をもって充てるということにいたしておりますけれども、ことしの四月から来年の三月までの間におきましては、これは関税収入が入らないものですから、過年度といいますか、六十三年度の輸入牛肉の差益とそれから元年度、まだ経理を締めておりませんけれども、元年度の締めたところから二割を入れるということにいたしまして、既に百三十億円ほど資金として積み立てております。それに元年度を締めましてまた二割入れたものと、それから翌年度生ずるものから使えるということになっておりますが、それらを資金にいたしましてきちんと補給金に充てられるような状態で管理いたしております。
#248
○橋本孝一郎君 ちょっと飛び飛びですけれども、肥育豚についてお尋ねしたいと思います。
 肥育豚においては、第二次生産費は一・二%減となっているものの、粗収益が六・四%もの減となっております。したがって、肥育豚の経営は存亡の危機にあるということが言われておるわけでありますが、にもかかわらずきのう行われた食肉部会の答申では安定価格を据え置く、こういうふうにしているわけでありますが、肥育豚経営については大変これは問題でありまして、抜本的な改善が必要と考えられますけれども、今後どのような対処をする方針なのか、ひとつお伺いしたいと思います。
#249
○説明員(武智敏夫君) 豚肉につきましては、やはり基本的には需給関係といいますか、需要に見合った生産をやっていくことが必要だというふうに思っておりまして、その需要が先ほど来お話に出ておりますように、ほかの牛肉なんかに比べますと需要の伸び率が低いということでございます。それに対しまして、生産の方がかなりふやしやすいというような環境になっておりまして、ともしますと需給バランスが崩れやすいというような状況でございます。
 したがいましてといいますか、この一年間で見ますと、去年の秋、通常豚肉といいますのは、秋下がりまして春から回復してくるというのが通常のパターンでございますが、去年はかなり安定帯の中でも下の方で実勢が推移したということで、かなり経営的に厳しかったんじゃないかと思います。ただ、最近では値段がまた実勢がやや回復しておるというようなこともございまして、やや経営的に回復基調にあるのじゃないかというふうに思っております。
 いずれにしましても、生産者団体を通じましてきちっとした需要の見通しを立てて、それに対して生産をやっていくというようなことをやっていかなきゃいかぬというふうに思っております。それからいわゆる公害問題といいますか、豚につきましてはいろんな意味で公害がつきまとっておりますので、そういった面につきましてきちっと我々も対応をさしたいというふうに思っております。
#250
○橋本孝一郎君 最後に、行政価格の単年度主義に対する改善でありますけれども、現在生産費が下がったら行政価格も引き下げるという単年度主義をとっておるわけですね。しかし、これでは一生懸命農家が努力しても努力しただけ価格が下げられるというか、いつになっても経営が安定しない、常に将来に対する不安を抱えながら生産活動をしなきゃならないという単年度主義の欠点があるわけです。このように、現在毎年審議会を開きまして、その都度価格の引き下げを行っているのは、そういう意味では、ある意味において農家にも非常に農政不信という一つの原因にもなる、助長にもなると思うのであります。
 そこで、単年度主義を改めて、少なくとも五年とかあるいは十年単位がいいのかどうかわかりませんが、そういう価格設定を行って安心して経営ができるビジョンを示すべきではないかと考えるのですが、ひとつ御所見をお伺いしたいわけであります。
 加えまして、今回の畜産審議会に見られるように、政府が下げの諮問を提示する、いろいろの関係議員を含めて現行水準以上になるように努力するようにという、常にそういう構図が繰り返されておるわけであります。これは国民各層ばかりでなく、生産農家からもやっぱり不信を払拭しがたいのではないかと思います。そういう点からも、農産物行政価格の単年度主義というのを改めて、もう少し中長期というんでしょうか、価格水準を決定するような施策等の実現を図るべきではないかと思いますが、ひとつお答えを願いたいと思います。
#251
○政府委員(鶴岡俊彦君) 価格政策は、もう御案内のとおりでございまして、生産の豊凶でありますとか、あるいは国際的な市況変動によります国内市場の混乱を回避して、農産物の生産と消費の安定、あるいは農業所得と消費者家計の安定を図るというような機能を持っておるわけであります。そういう機能を頭に置きながら、我が国の主要農産物につきまして、作物の特性に適した価格安定制度が設けられているわけでございます。行政価格の決定に当たりましては、各それぞれの専門の方々に参加いただいている審議会に諮り、決めていくわけで、毎年決定しているわけでございますけれども、その際には生産費その他の生産事情でありますとか、あるいは需給事情、物価その他の経済事情を参酌して適正に決定しているわけでございます。
 そういうことから見ますと、基礎となります飼料など生産資材の価格の水準の変動でありますとか、あるいは農産物の変動、豊凶変動によります需給事情の変化等につきまして、将来にわたり的確に見通すということがなかなか率直に言いまして容易でないということで、行政価格を長期的に決定するというのを仮にしました場合に、実態との乖離を生じ価格が硬直的になるということで、価格政策の持つべき機能を必ずしも十分発揮し得ないということで、単年度ごとにそれぞれの事情を参酌しながら決定しているわけでございます。
 ただ、その際におきましても、特に昨日諮問いたしました畜産物、牛肉あるいは豚肉の価格につきましても、最も生産要素で変動の大きい素畜費等につきましては、異常な変動をならすような措置をやるとか、需給実勢方式を食肉はとっておるわけでございますけれども、その際に過去の実現した価格につきましても、異常な長期変動につきまして修正をしながらやるということで安定性を保つような配慮をしながら決定しておるわけでございます。今のところ、価格の安定ということが確かに重要な要素でありますけれども、それぞれの価格の持つ機能を発揮させるためには、現在のようなことで、専門の方々の御意見を拝聴しながら決定していくという方が実態に適しておるのじゃないかというようなことで、今のようなことでやらせていただいておるわけでございます。
#252
○喜屋武眞榮君 私は、持ち時間がわずかでありますけれども、歴代の農水大臣に初めての質疑をいたす場合に必ず確認しておることがございますので、よってきょうも農水大臣にまず次のことを尋ねたいと思います。
 それは、確認したいということは、いみじくも農水大臣が農は国のもとである、こういうことをおっしゃったわけなんです。そのことについて、もし国のもとということが事実であるならば、必ずその農のもとを担う、農民、農家が誇りを持ってそして意欲的に農業に携っていく。そうして、農民であって農家であってよかったという誇りを持って生活の裏づけもある、こういうことでなければ、その農のもとということは、これは絵にかいたもちにしかすぎない。私は顧みて、えてして日本の農政がれっきとした大黒柱を打ち立てられて、そして金科玉条としてそれが、歴代の農水大臣が大事にしておられるわけなんですが、事実はえてして理念的に先行して、農民、国民生活の立場からはギャップがある、ついていけない、ここに問題が介在しておると私は思っております。
 そこで、私が確認してきた一つは、国民の命と暮らし、健康をつくり上げるところのこの日本農業が、本当に国民の血となり肉となり、髄にしみて健康の裏づけに、命の裏づけになっておるとするならば是として、国民生活あるいは生産農家からしましても、不平、不満に満ち満ちておるということが現在及び過去における農民の怒りであり不満であると私は思うわけなんです。そこで、この日本農業の混乱、混迷、この事実はどこにその原因があるのか、こういうことをいろいろ私なりに考えてみた場合に、私が確認してきた一つは、何としても国内自給向上を確立していく、そしてそれで足りなければ外国に依存する、これは当然な道行きであると思うんです。
 そして、その中でわけても基幹作目というのは国の責任において保護、育成すべきである、こう私は常に信じておるわけなんです。そういう点から日本農業、そして農は国のもとという大黒柱と結びつけばはるかにそこに距離がある、これも否めない事実であると思うことなんです。
 そこで私は、いい政治というのは、善政というのは国際的にも国内的にも国民の理解と信頼を前提とするところにいい政治が広がり、高まり、そして国際的にも理解と信頼が培われてくる、こう信ずるわけです。そういう視点から見た場合に、まさに日本の農業は混乱、混迷に陥っておる。国際的にも理解と信頼ならざる、そこに違和感が広がりつつあるということも私は憂えるものであります。そしてまた、日本の農業が本当に国のもとであるという柱に結びついてその実を示しておるならば、後継者である若者たちが夢と希望を持って、それこそ体当たりで取り組むというのが当然のことだと思うわけなんですが、若者は農業離れをしておるということも事実であります。そこに後継者の問題も出てくるわけなんですね、問題となってくる。
 こういったあれこれ思い合わせた場合に、私は原点に戻って、大臣が農は国のもとであるということをずばりおっしゃったそのことを事実で示してもらいたい。絵にかいたもちではだめなんです。事実で国民に具体的にこたえてもらいたい。大きな期待を寄せることを前提にして大臣に、農は国のもとであるということは単に絵にかいたもちではなく、本当に血となり肉となり国民生活に溶け込んでいく、そして健康と命を支えていく、こういう農業でなければ、農政でなければいかぬのではないか。おっしゃることはどなたもおっしゃっておられるんです。ところが事実は、顧みて実らぬうちに次々とかわってしまって、そしてさらに国際情勢の激動の波に巻き込まれてますます停滞していく、これが事実のように私には思われる。今度こそひとつ、農水大臣がずばりおっしゃった国のもとであるということを事実で示していただきたい。
 そのことをまず冒頭に求めまして、そして短い時間でありますから、沖縄の農業問題はややもすると取り残されがちでありますので、時間の範囲内で沖縄問題を取り上げていきたいと思いますので、まず大臣の基本的な姿勢を問いたい。
#253
○国務大臣(山本富雄君) 今先生からさまざま御指摘がございましたが、農は国のもとというのは、私のもう言うなれば初心でございます。初心は忘れちゃならないと思っておりますのでこれは貫きます。
 また、絵にかいたもちにならないように、こういう御忠告でございますが、まさにそのとおりでございます。ただ、理想と現実のギャップというのはどうしてもあるというふうにも思う毎日でございまして、ひとつ理想を追い求めながら、ただそれが絵にかいたもちに終わらないように、一つ一つステップ・バイ・ステップで頑張ってまいりたいと思っておりますし、また参議院の仲間でもございますので、ぜひこれからも御指導を、農政進展のために一緒にお助けを願えれば大変ありがたい、こう思っております。よろしくお願いいたします。
#254
○喜屋武眞榮君 沖縄の畜産の問題についてひとつ触れたいことは、まず沖縄畜産の特徴は、日本における亜熱帯そして温暖、いわゆる自然条件が畜産にふさわしい条件を備えておる。ところが一面、本土から地理的条件、離れておる、あるいは気象条件、干ばつ、台風、こういったハンディを持っておることも事実なんです。そういうメリットとデメリットの面もありますけれども、それを克服しながら、農業総生産が千五十億の中で畜産が三百四十四億、約三分の一を占めておるんですね。ところが、こうして前向きでアップしつつある状況の中で、六十三年の六月に日米、日豪の合意による牛肉自由化の決定それから円高による畜産物輸入量の増加など、そうして豚肉、鶏卵価格の低迷、需給バランスの不均衡、こういった外圧によって瀕死の重傷に追いやられつつある。とりわけ、肉用牛を除く全畜種の生産調整問題を今引き起こしておる現状であるんですね。
 この状況を踏まえて、沖縄の畜産をめぐる厳しい環境という点に絞られるわけですが、さらに沖縄の特殊事情から十分御理解を願っておると思うんですが、基地被害というこのことを、農業のみならず沖縄の問題を論ずる場合に基地被害ですね、まず県土の一一%を基地が占めておる。そして、沖縄本島で二一%を占めておる。さらに地方自治の村づくり、ふるさとづくりの立場から一市町村で七五%以上基地が占めておるという、こういう特例を忘れてはいけないと思います。そしてさらに、機能の面から、日本における米軍基地の専用基地機能が七五%沖縄にあるという、基地の中に沖縄があるというこの事実を何としても抜きにしてはいけない、こう思われるんです。こういうことも踏まえて、さらに復帰の時点でもう十八年になりますが、十八年前に日米の合意によって返還が約束された。その中のまだ五〇%も返還されておらない。この事実なんですね。まさに踏んだりけったりと、こう言わざるを得ません。この事実を踏まえて、沖縄の農業そして畜産をどのように配慮していこうとしておられるのか、大臣の姿勢を、理解と愛情をひとつ述べてもらいたい。
#255
○国務大臣(山本富雄君) 先生の御出身の沖縄県が、我が国でただ一つの亜熱帯性気候地帯に位置しておりまして、農業というのはその気候風土によるわけでございますので、その特性を生かしていくことだ、それがあすの地域の農業の発展につながるわけでございます。中でも、今御指摘にございましたが、畜産につきましては、豚それから牛を中心にして、沖縄農業において非常に重要な分野を占めておる、きょう私は数字をもう一遍見直しましてその比率が非常に高いということをよく認識いたしました。
 特に畜産の問題でございますが、明年四月からのいわゆる自由化の問題がございます。この国際化の進展の中で沖縄県を含む我が国の畜産の振興、合理化を図るために、今までいろいろ御議論願いましたが、生産性の向上とかあるいは消費の拡大だとか、あるいは価格の安定などの各般の施策を総合的に展開して畜産経営の健全な発展を図ってまいりたい。これは畜産だけではございませんで、沖縄の農業、これはあしたまた糖価安定の問題をいろいろ御議論願いますけれども、それらなども含めましてできる限り沖縄の置かれている地域的な事情あるいは特殊事情なども十分考慮に入れながら、沖縄農業進展のために一生懸命やってまいりたい。
 特に私、この間閣議で砂田沖縄開発庁長官から沖縄の事情についていろいろ話がございまして、農政の問題でも山本君しっかりやってくれよと、沖縄と北海道の話が出ましていろいろな話を聞いたので、しっかり勉強してやっていきたいと思います。喜屋武先生にもお助けいただきたいと思います。
#256
○喜屋武眞榮君 それではもう一つ、時間が差し迫っておりますので簡単に申し上げます。
 もう一点は、それこそひとつ大胆な発想を発揮していただいて、本当に大臣は、歴代大臣みんな誠意を持って当たってくださることは敬意を表しておりますが、特にひとつ、沖縄問題についていろいろありますけれども、まず肉用牛の経営については子牛価格が近年高値を呼びつつある、それから乳用牛の経営においては生乳の生産量が需要期の夏場に減少し、春先に増加するため需給の間に不均衡を生じておる、それから養豚経営においては円高によって配合飼料価格が非常に低下しておる。こういった内外価格差の縮小の問題もありますけれども、食肉、酪農経営問題、この打開策を何としても抜本的に解決してもらいたいと切望するんですが、大臣の御見解を求めて私の質問を終わります。
#257
○国務大臣(山本富雄君) 審議官から答弁させます。
#258
○説明員(武智敏夫君) 牛肉の自由化のこととの関連で、沖縄につきましては関税率等が違っておったようなこともございます。したがいまして、そのあたりにつきましては現在まで沖縄県とも相談しておりますし、これからも相談してやっていきたいと思っております。
 えさの問題等につきましては、これは沖縄だけでなくて本土の方もございますが、為替レートの変動等による影響を何とか基金による補てんといったようなことで対応できるように、我々も努力したいというふうに思っております。沖縄の場合には、やはり内地に比べましても草資源が非常に恵まれておるといいますか、数回とれるわけでございまして数量が非常に大きいわけでございますので、肉用牛、酪農の場合にはまだまだ少ないわけでございますが、豚も含めまして、我々も県と相談しながらその振興策につきまして努力してまいりたいというふうに思っております。
#259
○星野朋市君 最後でございまして時間の制約もございますので、端的にお尋ねいたしたいと思います。
 牛乳の件でございますけれども、非常な農家の御努力によりまして生産性の向上が図られております。個々のデータその他につきましては多少異論があったと思うんですけれども、これは統計のいわゆる継続性ということから申しまして、現在の統計を見ますと、特に搾乳量その他については大変な生産性向上がなされておるわけです。これは競争の原理のもとでは当然でございまして、まして内外価格差の問題がございますので、これの生産性向上に伴う価格の引き下げということは必然的なものだと思っております。ただ、生産者価格の引き下げがいわゆる消費者の価格に反映しないという点では、これはいつも非常に問題でございまして、所管は農水省の問題ではないと思いますけれども、農林水産省としましてもこの点については十分な配慮を払っていただきたいと思うわけでございます。
 それで、生産者価格の引き下げについては、一種の妥当性は考えられるわけでございますけれども、生産性の向上が即価格の引き下げということでは、農家にとっては再生産の意欲がなくなるわけでございますから、この点について農水省は格別の御配慮をいただきたいと思うのでございますが、その施策その他についてお聞かせいただければありがたいと思っております。
#260
○説明員(武智敏夫君) 生産者価格と消費者価格の関係につきましては、きょう午前中、菅野先生からも御指摘ございましたとおりでございまして、我々、農家の方々が安く売ることになった分につきましては、当然にメーカーから消費者価格として安く回るように努力しなければならないというふうに思っております。
 それから、農家の方々がいわゆる生産性向上した部分につきまして全部吸収してしまうのでなくて、やはり生産者の方々に還元しなければならない、そうでなきゃ意欲がわかないということにつきましては、我々としましてはそれなりに配慮いたしておるつもりでございまして、五・八%の下げに対しまして今日試算いたしまして、きょうの審議会で御意見を聞いておるというふうなことでございまして、我々も従来からそういうことでございまして、これからもそういう考えでやってまいりたいというふうに思っております。
#261
○星野朋市君 先ほどからお話を聞いておりまして、牛乳の消費量の伸びが昨年あたりから非常に少なくなったというお話でございますけれども、ちょっと視点を変えて申し上げたいんですけれども、我が国の人口動態にこれが関係があるのではないかということでございます。
 私の記憶では、成人女子の再生産率がたしか一・六七、それから成婚女子の再生産率も二を割っているような状態でございます。これは農林水産関係だけではなくて、将来に向かっての社会的な大きな問題でございますけれども、そういう面から見ますと、ここら辺で乳製品の伸びの状態に何か変化が起きているのではないか。また、例えば牛乳は先ほど御指摘がありましたように、三・二から三・五というように脂肪を多くして牛乳をおいしくしたということで需要の伸びは多少見込めると思いますけれども、日本人の食生活全体が炭水化物への移行というような健康志向もございまして、特に乳製品及び畜産物に対する、高脂肪、高たんぱくの食生活というのはこれから少し変わっていくのじゃないかと思います。
 そういうことで、従来のような統計の延長上で物を考えていると将来に向かって構造上の大きな問題が起こると思うんですが、農水省、いかがでございましょうか。
#262
○説明員(武智敏夫君) 先生御指摘のように、人口との関係でいきますとやはり若い人たちが牛乳を飲みまして、高年齢になりますと牛乳や乳製品の消費が低いということは事実でございます。したがいまして、かなりの人口構造との関係があるということは、既に関係の団体等も言っておるところでございます。
 ただ我々、わかりませんといいますか分析が十分まだできていないわけでございますけれども、六十二年から元年度の上半期ぐらいまではかなり消費が伸びておったわけでございまして、それ以隆やや伸び率に陰りがきておるというようなことでございまして、人口の動態といいますのは、急激に二年や三年で変わるということではないというふうに我々思っておりますので、そのあたりの人口動態と牛乳の消費量の関係等、それから当然牛乳なり乳製品にいたしましても、いろいろな要因で消費が伸びたり減ったりだというふうに思っておりますので、そのあたりの関係につきましてこれからも十分調べていかなきゃならぬというふうに思っています。
 いずれにいたしましても、これは牛乳だけではないわけでございますが、そういった人口動態との絡みも考えながら、これからの消費の拡大等についても検討していかなきゃいかぬのじゃないかというふうに思っております。
#263
○星野朋市君 質問が多少ダブるかもしれませんけれども、もう一度お聞きしたいのでございますが、昨日審議会において肉用子牛の基準価格というのがほぼ決まったように思うんですけれども、その価格についてもう一度お知らせいただきたいと思います。
#264
○説明員(武智敏夫君) 肉用子牛の保証基準価格につきましては、昨日畜産振興審議会の食肉部会に諮問いたしましてやむを得ないということで答申をいただいております。この考え方につきましては、先ほども申し上げましたけれども、いろいろ自由化によりましてその影響がどう出てくるかということも初めての試みでございますので、正直言いまして、我々も審議会で四回にわたりまして審議してもらいまして、一つの方針は打ち出してもらったわけでございますが、これからもデータを整備しながら弾力的にといいますか、新しい物の動きに即したような形で弾力的に対応していきたいというふうに思っております。
#265
○星野朋市君 先ほどもどなたかからお話がございましたけれども、今肉用子牛の値段が非常に高い。確かに、一時の高価格からすればもうピークアウトしたと思いますけれども、実際には五十万円というような値段がつけられているということで、せっかくの基準価格が設けられましたけれども、実効があるのかどうかということをもう一度お確かめしたい。それから、この様子を見てまいりますと、要するにピッグサイクルのような形が起こらないのではないかということを思うわけですけれども、その点いかがでございましょうか。
#266
○説明員(武智敏夫君) この新しくできました肉用子牛の補給金制度につきましては、これはいわゆる牛肉の自由化による悪影響、いわば自由化されまして外国の牛肉がどんどん入ってきますれば、それが国内の国産の枝肉の価格を下げて、その結果肉用子牛の値段を下げるというような心配がございましたので、この法律をつくっていただいたわけでございます。
 それは、四月から動き出すわけでございますけれども、現実はその決められる価格よりもはるかな上の方を歩いておるということでございまして、我々が当初考えましたように、先ほども鎌田先生からお話がございましたが、要は自由化が近づくにつれて枝肉の価格が下がるであろうと思ったのが、現時点ではまだ下がっていないというようなことでございますので、ある意味でいいますれば、制度が動き出してもその適用にならないということが不幸中の幸いといえば変ですが、ある意味で発動がないということは農家の方々にとっても非常に喜ばしい次第じゃないかというふうに思います。ただ、これが本当にいつまで続くかどうかはもう少しといいますか、これからの推移を見ていかなければいかぬというふうに思っておりまして、あくまでもこの制度は自由化による悪影響を緩和する、したがいまして、通常の状態で発動されないのはおかしいというふうには必ずしも考えない方がいいのではないかというふうに我々は思っております。
#267
○星野朋市君 現実にはそういうことでございますので結構なことなんですけれども、いずれにしても、子牛の価格が高いということは飼育農家にとっては大変なコスト高になるわけです。ひいては、最終的な肉の価格にそれが反映されるというようなことで、実際上は余り望ましくはない事態だと思っております。
 それで、最後にお聞きしたいんでございますけれども、新技術によるいわゆる畜産物の改良、例えばイギリスなんかではクローン牛または双子の牛、こういうものが実験的にできております。日本の現状は今いかがなものでございましょうか。新技術に関する農水省の実態把握、ここら辺を少し詳しくお聞かせいただければありがたいと思っております。
#268
○政府委員(西尾敏彦君) 技術会議の事務局長でございます。
 畜産バイテクに関する御質問でございますので、最近の畜産バイテクについてお話を申し上げたいと思います。
 まず、受精卵移植の技術、さらにまたその応用であります双子生産の技術でございますけれども、この技術につきましては、昭和五十年の初めに私どもの畜産試験場において開発された技術でございまして、その後、牛の改良でありますとか増殖でありますとか、さらにまた低コストになってコストダウン技術であるということで大変有望視されておりまして、この技術開発はますます進めておりますし、さらに普及に移って積極的に努力をしているところであります。
 さらにまた、その受精卵移植の技術のためには安い卵が大量にあることが必要でありますので、そういう大量かつ安価な受精卵を得るために屠殺牛、屠殺されました牛の卵巣から卵を取り出しましてそれを成熟させ、さらにまた体外受精をする、そういう技術につきましても現在研究を進めているところであります。
 さらにもっとまいりますと、その受精卵を、受精卵は二分割、四分割、六分割、こういうふうに分かれていくわけでありますけれども、例えば十六分割ぐらいの段階でこれをばらばらにいたしまして、それを一匹一匹の牛のおなかの中に入れていく、こういう技術、これが先ほど先生お話がありましたクローン牛の技術でございます。こういう技術につきましても私どもの畜産試験場の方で研究を進めておりまして、十六個に割った卵の一つをおなかに入れて受胎をした、現に受胎をしているというのは最近の新聞にも出ているところでございます。そんなことで私ども今後ともそういう研究、バイテクの研究、さらにはまた核移植でありますとかそういう新しい研究を進めてまいりたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#269
○星野朋市君 国際的にそれは相当な水準にあると思われますか。
#270
○政府委員(西尾敏彦君) 国際的に見ましても、私どもの技術はかなり進んでいるというふうに自信を持って言えると思います。
#271
○星野朋市君 少し時間がございますけれども、ちょうど五時になりましたので質問を打ち切らしていただきます。
 ありがとうございました。
#272
○委員長(仲川幸男君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#273
○委員長(仲川幸男君) 村沢君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。村沢君。
#274
○村沢牧君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブ、税金党平和の会の各派共同提案に係る畜産物価格及び繭糸価格に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    畜産物価格及び繭糸価格に関する決議(案)
  我が国農業をめぐる内外の厳しい現状を踏まえ、政府は平成二年度畜産物価格、繭糸価格等の決定に当たっては、次の事項の実現に努め畜産業及び蚕糸業の安定的発展に万遺憾なきを期すべきである。
 一 加工原料乳保証価格については、長年にわたり計画生産を実施している酪農経営の安定と向上に配慮し、生乳の再生産が確保されること等を旨として決定すること。
   また、加工原料乳限度数量については、最近における特定乳製品の需給の動向等を踏まえて決定すること。
 二 豚肉・牛肉の安定基準価格については、再生産を確保すること等を旨として決定すること。
 三 肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家の経営の実情、肉用子牛の生産条件等を配慮し、肉用子牛の再生産を確保することを旨として決定するとともに、合理化目標価格については、我が国の肉用牛生産の実態等に配慮しつつ、国産牛肉が輸入牛肉に対抗し得るよう決定すること。
   また、肉用子牛価格安定基金への加入が促進されるよう指導を強化すること。
 四 来年度中に予定される粉乳・れん乳等の基幹的乳製品に関する米国との再協議に当たっては、今後とも国内供給を基本とし、現行輸入数量制限措置を継続する方針を堅持すること。
   また、偽装乳製品の輸入の増大、プロセスチーズ等の輸入自由化が生乳の需給及び酪農経営に悪影響を及ぼすことのないよう適切に対処すること。
 五 畜産経営の一層の合理化を促進し、経営体質の強化を図るため、肉専用種雌牛の繁殖対策、効率的肥育の促進、経営・財務管理指導等を推進するとともに、固定化負債の解消のための施策の推進を図ること。
 六 ゆとりある酪農経営の確立と経営の体質強化に資するため、酪農ヘルパー制度の普及・定着化対策を講ずること。
 七 繭糸の安定価格については、繭生産の動向、生糸価格の動向等蚕糸業をめぐる情勢を十分考慮し、蚕糸業の健全な発展に資するよう決定すること。
   また、良質な国産の繭及び生糸の安定供給を図るため、繭糸価格安定制度の適切な運営を期するともに、生産基盤の強化に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#275
○委員長(仲川幸男君) ただいまの村沢君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#276
○委員長(仲川幸男君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、山本農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山本農林水産大臣。
#277
○国務大臣(山本富雄君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近の畜産及び蚕糸業をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
#278
○委員長(仲川幸男君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト