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1990/04/19 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 農林水産委員会 第4号
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1990/04/19 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 農林水産委員会 第4号

#1
第118回国会 農林水産委員会 第4号
平成二年四月十九日(木曜日)
   午後二時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     吉田 達男君     菅野 久光君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         仲川 幸男君
    理 事
                大浜 方栄君
                北  修二君
                上野 雄文君
                村沢  牧君
                井上 哲夫君
    委 員
                青木 幹雄君
                鎌田 要人君
                鈴木 貞敏君
                成瀬 守重君
                初村滝一郎君
                一井 淳治君
                谷本  巍君
                細谷 昭雄君
                三上 隆雄君
                猪熊 重二君
                刈田 貞子君
                林  紀子君
                橋本孝一郎君
                星野 朋市君
   国務大臣
       農林水産大臣   山本 富雄君
   政府委員
       農林水産省構造
       改善局長     片桐 久雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        片岡  光君
   参考人
       全国農業会議所
       専務理事     池田  斉君
       新潟県農業者年
       金受給者連盟会
       長        小川原俊夫君
       横浜国立大学教
       授        田代 洋一君
       農業者年金基金
       理事長      森実 孝郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(仲川幸男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、全国農業会議所専務理事池田斉君、新潟県農業者年金受給者連盟会長小川原俊夫君、横浜国立大学教授田代洋一君、農業者年金基金理事長森実孝郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(仲川幸男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(仲川幸男君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山本農林水産大臣。
#5
○国務大臣(山本富雄君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農業者年金制度は、昭和四十六年一月に発足して以来、農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金の給付を行うことにより、若い農業者の確保、規模拡大など農業構造改善の推進と、農業者の老後生活の安定に寄与してまいりました。
 しかしながら、農村における高齢化の進行等の状況のもとで受給権者数が増加し、被保険者数が減少するなど本年金の財政の現状は厳しいものになっております。また、農業構造改善の一層の促進が求められております。
 このため、農業構造の改善の一層の促進に資する観点から、本年金の財政基盤を長期的に安定させることを基本に置いて、最近の農村の高齢化の進行等に対応して年金の給付体系を変更するとともに、営農意欲の高い農業者の規模拡大を促進することとして、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、年金の給付体系の変更であります。
 農村における高齢化の進行等に対応して、六十歳での経営移譲を画一的に誘導するのでなく、農業者の選択により六十五歳までの間で適期の経営移譲を促進することが必要となっております。このため、経営移譲年金を終身同一水準の年金に変更し、支給開始時期は農業者の選択にゆだねることとしております。また、年金額については、どの支給開始時期を選択しても均衡のとれたものとすることとしております。
 このほか、農業経営の近代化と農地保有の合理化を一層推進するため、現行制度と同様に、経営移譲の相手方に応じて、年金額について一定の差を設けることとしております。
 第二に、年金財政基盤の長期安定を図るための措置であります。
 被保険者、受給権者及び国が一体となって年金財政基盤の長期的な安定を図るため、経営移譲年金の給付に要する費用につき、現行の定率の国庫助成に加えて、農業構造の改善の一層の促進に資する観点から、当分の間国庫から所要の追加助成を行うこととしております。また、保険料を段階的に引き上げるとともに、既受給権者の年金額につき従前の額を保障しつつ、必要な範囲で物価スライドを停止することとしております。
 第三に、分割経営移譲方式の創設であります。
 農地を農業の担い手たる農業者に集積するため、経営移譲農地を分割して相当部分の農地を農業者年金の被保険者などに処分し、被用者年金に加入している後継者などにその他の農地を処分する経営移譲方式を新たに設けることとしております。
 第四に、農業者年金の被保険者が被用者年金加入者となった場合の措置であります。
 最近の農業者の就業実態等に対応し、あわせて本年金への加入促進を図るため、農業者年金の被保険者が被用者年金加入者となった場合において、被用者年金加入期間のうち一定の期間を農業者年金の年金給付の受給資格期間として通算する措置等を講ずることとしております。
 第五に、農業者年金の被保険者等が死亡した場合の配偶者に係る措置であります。
 農業者年金の被保険者等が死亡した場合において、死亡のときにその配偶者であった者について、一定の期間を年金給付の受給資格期間として通算する措置等を講ずることとしております。
 第六に、離農給付金支給事業の延長実施であります。
 平成二年五月十五日までの措置として実施してきた離農給付金支給事業について、離農者の処分面積に応じて給付金額を設定するなど一定の見直しを行った上で、さらに十年間延長実施することとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#6
○委員長(仲川幸男君) 次に、補足説明を聴取いたします。片桐構造改善局長。
#7
○政府委員(片桐久雄君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容について若干補足させていただきます。
 第一に、給付体系の変更に伴う経営移譲年金に係る措置であります。
 経営移譲年金の額につきましては、六十五歳から加算つき経営移譲年金を支給する場合において厚生年金並みの水準とすることとしております。例えば、変更後の給付体系のもとでこの年金を受給する昭和十一年度生まれの者は、保険料納付済み期間が二十五年である場合には、平成二年度価格で月四万六千百円を六十五歳から受給することとなります。
 また、農業者年金の被保険者など農業の担い手たる農業者の経営規模の拡大を図るため、これらの者に対し経営移譲した者とその他の者に経営移譲をした者に支給する経営移譲年金の額については、四分の一の差を設けることとしております。
 なお、施行日において五十五歳以上であり、かつ、施行日以後受給権を有することとなる者の年金額については、給付体系の変更が老後の生活設計に大きな影響を及ぼすことのないよう一定の経過措置を適用することとしております。
 第二に、給付体系の変更に伴う農業者老齢年金に係る措置であります。
 農業者老齢年金につきましては、経営移譲年金に係る受給権者以外の者であって保険料納付済み期間等が二十年以上である者が六十五歳に達したときに、その者に支給することとしております。その年金額につきましては、変更後の給付体系のもとでこの年金を受給する昭和十一年度生まれの者は、保険料納付済み期間が二十五年である場合には、平成二年度価格で月一万九千九百円を六十五歳から受給することとなります。
 また、六十歳以上で経営移譲年金を受給している者が、経営再開などにより経営移譲年金の全額の支給を停止されている間、その者に農業者老齢年金の特例支給を行うこととしております。
 第三に、年金財政の長期安定を図るための措置であります。
 年金財政の長期安定を図るため、現行の定率の国庫助成に加え、農業経営の近代化と農地保有の合理化の一層の促進に資する観点から、国庫は、農業者年金基金に対し、平成三年度から平成七年度まで毎年度、経営移譲年金の給付に要する費用の額の一部として総額およそ千六百億円の助成を行うこととしており、さらに平成八年度から当分の間、別に法律で定めるところにより必要な助成を行うこととしております。
 また、保険料につきましては、農家経済への影響、年金財政の状況などを考慮いたしまして、平成二年度価格で、平成四年一月分から一月につき一万二千八百円とし、以後平成八年まで毎年八百円ずつ段階的に引き上げることとしております。
 なお、従来一定の要件を満たす後継者にのみ適用してきた保険料の軽減措置を、近代的な農業経営を担当するのにふさわしい者の育成を図る見地から、三十五歳未満の農業者年金の被保険者すべてに拡大適用することとしております。
 さらに、施行日において既に受給権を有している者については、改正前の給付体系を適用することとし、従前の年金額を保障しつつ、必要な範囲で物価スライドを停止することとしております。
 第四に、分割経営移譲方式の創設であります。
 新たに設けられる分割経営移譲方式において、農地保有の合理化により資すると認められる一定の要件を満たす場合には、加算つき経営移譲年金を支給することとしております。
 第五に、農業者年金の被保険者が被用者年金加入者となった場合における年金給付の受給資格期間の通算に関する措置等であります。
 農業者年金の被保険者が農業生産法人の構成員となり、被用者年金加入者となった場合において、農業生産法人の構成員であった期間のうち耕作または養畜の事業に従事する等一定の要件に適合する期間を、農業者年金の給付の受給資格期間として通算する措置等を講ずることとしております。
 また、農業者年金の被保険者が被用者年金の加入者となった場合において、被用者年金加入期間のうち耕作または養畜の事業を行う者であった期間等一定の期間を、五年を上限として農業者年金の年金給付の受給資格期間として通算する措置等を講ずることとしております。
 第六に、農業者年金の被保険者等が死亡する場合における配偶者の年金給付の受給資格期間の通算に関する措置等であります。
 農業者年金の被保険者等が死亡した場合において、死亡のときにその配偶者であり、その後農業経営主等となった者について、配偶者であった期間のうち一定の期間を年金給付の受給資格期間として通算する措置等を講ずることとしております。
 第七に、被保険者資格の拡大であります。
 耕作または養畜の事業を行っている農業者年金の任意加入資格者の直系卑属のうち一定の者は、新たに農業者年金の被保険者になることができることとしております。
 第八に、死亡一時金の支給対象の拡大であります。
 給付体系の変更に伴い、六十五歳に達する日の属する月の翌月以降に死亡した場合においても、死亡一時金を支給することとするとともに、既に農業者老齢年金の支給を受けていた場合においても、その給付の総額が保険料納付済み期間の区分に応じて定められる一定の金額に達しない場合には、その差額を死亡一時金として支給することとしております。
 さらに、平成四年一月以降に保険料を納付した期間に係る脱退一時金及び死亡一時金の額について、相当の引き上げを行うこととしております。
 第九に、農業者年金基金の業務の範囲の拡大であります。
 経営移譲の円滑化を図るため、農業者年金基金の業務に、農地などの借り受け及び貸し付けを行うことを加えることとしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上をもちまして、農業者年金基金法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(仲川幸男君) それでは、先ほど決定されました参考人の方々の御出席を願っておりますので、御意見を承ることといたします。
 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところを本委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の本法律案の審査の参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。
 御意見をお述べいただく時間は、議事の都合上、お一人十分以内とし、その順序は、池田参考人、小川原参考人、田代参考人、森実参考人といたします。参考人の御意見の開陳が一応済みました後で、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、池田参考人からお願いをいたします。池田参考人。
#9
○参考人(池田斉君) 私は農業会議所におります池田でございます。
 農業者年金基金法の改正案につきまして、当委員会で審議が始められたわけでございますが、その一部改正につきまして、参考人として意見を申し述べる機会を与えていただきましたことを、まず厚く御礼を申し上げたいと思います。
 農業会議所は、御案内かと思いますが、この年金制度と大変深いかかわりのある組織でございます。第一は、この基金制度をつくり上げるときにおきまして農業委員会系統組織が組織の総力を挙げまして、この法案の制定に対しまして国会方面に対して強くお願いを申し上げました経過があるわけでございます。二つ目には、現在の制度におきまして、農業委員会、農業会議がこの委託業務を行っておるということでございます。三つ目には、この制度を受給者、加入者の面からひとついろいろと今後の改正問題等にも取り組んでもらうというような非常に大きな関心がございましたので、これの組織が各県にできております。全部ではございませんが、相当の府県においてできておるわけでございまして、これの全国組織ができております。それのお世話を実は農業会議所が行っておるというようなことがあるわけでございます。そんな関係でございまして極めて深いかかわりがあるということを御理解願いたいと思うわけでございます。
 今回の改正の内容につきましては、実は全国農協中央会と一体になりましていろいろ政府にもその内容の改善を働きかけてまいりました。また、この法案の推進につきましても、農協中央会と一体になって今日まで運動を続けてきたわけでございます。このこともあわせて申し上げたいと思うわけでございます。
 さて、この農業者年金制度は発足以来二十年にぼつぼつなるわけでございますが、御案内のように、現在受給者は約六十一万人、そしてこの受給者が受けておる受給の全体の額も二千四百億というような大きな数字になっておるわけでございまして、今日のような農業を取り巻く厳しい情勢の中におきまして農家経済の支えとして今や無視できない、そういうものになっており、農村に定着するだけではなくて現在非常に喜ばれておるというようなことでございます。
 また、この制度が、この二十年間の間にいろんな農政上の役割を演じてきたのではないかというふうに考えるわけでございます。一つは、言うまでもなく経営の若返りの問題でございます。もう一つは、農地の細分化を防止するという機能でございます。いま一つは農地利用の方向づけというような形がこの制度の中にあるわけでございまして、それを通して経営規模の拡大、こういう問題につきまして、いわゆる構造政策年金として一定の役割を私は担ってきたというふうに考えるわけでございます。
 しかしながら、今日農村が超高齢化時代を迎えておるわけでございまして、いよいよ農業者年金も受給者数が加入者数を上回る、こういうような段階に参っておるわけでございます。したがいまして、このまま推移いたしますと六、七年ぐらいで、現在五千億ぐらいの基金がございますけれども、これが今の形のままいきますと枯渇をするというような、極めて不安な展望がそこに出てきておるということは御案内のとおりでございます。したがって、この段階でどうしても年金財政の長期安定を図る、この基盤を確立しなきゃならぬというのが我々の念願になっておるわけでございます。
 また、現在のこの仕組みの中におきまして、六十から六十五歳というような形を区切って経営移譲年金を出し、後は十分の一の経営移譲年金である、それに該当しない者はある一定の老齢年金である、こういう仕組みも実は今日のような高齢化社会の農村における経営移譲の実態、それぞれの個々の農家の実態から見ましてそぐわないというような面がございますので、ひとつ農村の実態にそぐうように、ふさわしい仕組みに切りかえるということが必要であるというふうに考えるわけでございます。
 この制度は、当初からいわゆる構造政策年金として仕組まれたわけでございますが、今日の情勢の中におきましてはさらに構造政策を大きく前進しなきゃならぬ、これが今農政の課題になっておることは御案内のとおりでありまして、農業を産業として確立するというような方向を急がなきゃならない、こういう意味におきまして、今度の改正の中におきましてもぜひ農村の実態を踏まえて、政策年金としてさらに一層構造政策にシフトする、そういう制度の改正をお願いしたい、そういうことをやってまいったわけでございます。そんなことを考えますと、今回の政府案は、極めて厳しい環境のもとでございますけれども、おおよそ我々の期待に沿ったものであるというふうに実は受けとめておるわけでございます。
 その第一は、今申し上げましたように年金財政の長期安定の問題でございます。加入者、受給者相応の負担が当然これは年金でございますけれども必要でございます。しかし、それはおのずから限界があることは農家の実態から見て御案内のとおりでありまして、ここでどうしても国庫補助の増額ルールを確立していただきたいというのが私どもの要請であったわけでございます。
 政府案におきましては、経営移譲年金の二分の一の国庫補助が現行の体制でございますけれども、今後二十五年間にわたって年平均約四百億円の追加助成を行うというのが、今度の法律の骨格になっておることは御案内のとおりであります。当面五年間の実額を法律に明記したこと、その結果、平均的には経営移譲年金のほぼ四分の三ということになるわけでございまして、これが国庫補助として確保されたことは、本制度が将来、今不安であるという展望を一応解消するものとして高く評価をするものでございます。これらのことに努力していただきました関係者の御努力に対し心から敬意を表したいと思うわけでございます。
 次に、保険料のアップの問題でございますが、保険料のアップというものが加入者にとっては決して楽なものではございません。また、農業経営の実態から見ましても、それにはおのずから限度があるわけでございます。しかし、これも国庫に負担を仰ぐ以上ある程度努力をしなきゃならぬというのがこれは加入者の立場ではないかと思います。当初かなり大きな額をアップしようという政府原案に対しまして、我々はもう少しこれを下げてもらいたいというようなことをお願いいたしまして、当初予想よりもかなり圧縮したということにつきましては評価をいたしておるわけでございます。
 第二の問題は、給付体系の変更の問題でございます。先ほどもちょっと触れましたけれども、経営移譲の時点におきまして六十歳から六十五歳まで今回は選択制にするということにいたしたわけでございます。高齢化時代にふさわしいものとして私どもは受けとめておるわけでございます。これはもう、それぞれの経営そのものが違うわけでございまして、やはり後継者を確保するという面から見ましても、若返りという問題につきましては従来より後退をするという議論もございますけれども、やはり六十から六十五の中で、自分の経営の実態に合うという形での経営移譲の時点をそれぞれが自主的に選び得るということは、私は当然、今度の改正におきましては有効な手段ではないかというふうに考えておるわけでございます。そういうことで、従来は五年間を限っての高い経営移譲年金でございましたけれども、これからは終身同一年金にするというようなことにいたしたわけでございまして、このことは、これからの長寿時代の老後の保障のあり方としては評価していいのではないかというふうに考えるわけでございます。
 また、今度の改正の中におきまして極めてもう期間的に間近な者がおる、これにつきましてはやはりある程度の経過措置、激変緩和の経過措置をとるというようなこともできておりまして、これはそれぞれの選択との関連におきまして行う仕組みになっております。これも私どもは評価をいたしておるわけでございます。
 もう一つは、厚生年金並みというのがこの制度がスタートしたときの一つの理念になっておりますが、この点はいろいろ議論があると思いますけれども、ともかく六十五からの経営移譲である場合にはいわゆる厚生年金並みという水準は確保されておる。早く経営移譲する場合には、これは国民年金でも何でも同じでございますが、若干減額になるというのは当然でございます。しかし、そこに近づいておる人々に対しては経過措置が行われているというようなことを含めまして、私どもはこの問題につきましては評価をいたしたいというふうに考えるわけでございます。
 第三は、政策年金として今回は制度の整備をある程度、かなりいろんな面におきまして行ったということでございます。もう一つは、加入促進のための問題につきましてもかなりな配慮が払われておるというわけでございまして、今回それらがかなり配慮が払われているということにつきましては敬意を表したいと思うわけでございます。特に、分割移譲方式の導入は、兼業農家等の段階的な経営縮小など、農村の実情に即しつつ農地利用の集積、これを加速するものとして期待される分野ではないかというふうに考えます。また、担い手不足地域における経営移譲の受け皿の整備、十分ではないわけでございますが、これに対してもある程度の配慮が払われておる。また、有限会社等の農業生産法人の構成員の取り扱いにおきましても、いろいろ工夫はされておるわけでございますけれども、これは今後農政展開の中で重要な意味を持つものと理解しております。
 今回の法制上の改善につきましては評価をするわけでございますが、さらに円滑な実施のための条件整備をこの際強く望むものでございます。また、我々が要請してまいりました離農給付金制度の継続につきましても、構造政策にシフトするという改善点を含めて、これが実現されるということの延期が行われるということが、この法案の中に出ておることにつきましては高く評価したいと思うわけでございます。さらに、他産業に従事している加入者の空期間の通算措置、特定保険料、いわゆる学割でございますが、これを三十五歳未満全員への適用拡大、加入者が死亡した場合の配偶者の加入特例など、多くの点できめ細かな改善措置が講ぜられていることは、今後の加入促進にも大いに役立つものというふうに期待をいたしておるわけでございます。
 以上の見解を申し上げましたが、今回の改正案はいわば高齢化社会の制度の再構築であるというふうに受けとめておるわけでございます。特に、離農給付金制度の期限切れが来月の五月十五日に迫っていることは御案内のとおりでございます。したがいまして、できる限り早期にこの法案が成立することをお願い申し上げたいというのが私の念願でございます。
 最後に、次の二点をお願い申し上げたいと思います。
 一つは、遺族年金の問題でございます。財政との関係におきまして、今回は見送らざるを得ないというふうに私も考えておりますが、これはかねてからの加入者、受給者の強い要望事項でございます。したがいまして、将来の実現に向けて積極的に政府は検討をお願いいたしたいというふうに考えております。
 第二の点は、今回政府においても検討いただいておるというふうに伺っておりますが、この機会に農業委員会が行う年金業務の法令上の位置づけと整備、業務を思い切って簡素化する。これは農業委員会が制度の上での整備については欠陥がある。実際は農業委員会がやっております。しかも、いわゆる認定業務等をやっておるわけでございまして、制度の整備というものとの関連の上でこれが位置づけられませんと、この問題は非常に荷の重い問題をやるわけでございまして、かつて農業委員会系統の事務局長さん等が二人も三人も自殺をした。認定をしたところが、後でこれはだめだというような問題になって返還をしなければならぬ。これは前任者がやったとかその前の人がやったとか、こういう問題があったわけでございまして、あくまでも農業委員会がやる以上は、農業委員会の制度上の整備ということの位置づけがしっかり行われないと、責任を持った形の仕事ができないということに相なるわけでございまして、この点は、法律の問題ではないかと思いますけれども、ぜひひとつこの際国会におきまして、この委員会におきましても政府に強くこの点のあり方を、ひとつ御質問を願いながら、その体制づくりについて御協力を願いたいというふうに考えます。
 以上で私の意見開陳を終わります。どうもありがとうございました。
#10
○委員長(仲川幸男君) どうもありがとうございました。
 次に、小川原参考人にお願いをいたしますのですが、先ほど申し上げましたように時間帯御承知のとおりでございます。後で、委員の質問の中でもお答えいただく部門もあると思いますから、ひとつそのように御配慮いただきたいと思います。それでは小川原参考人。
#11
○参考人(小川原俊夫君) ただいま御紹介をいただきました小川原でございます。
 本日は、当委員会において審議されております農業者年金制度の改正に関しまして、参考人といたしまして意見を申し上げる機会をいただきましたことはまことにありがたく、厚く御礼と感謝を申し上げる次第でございます。
 私は、昭和五十三年三月に経営移譲をいたしました農業者年金の受給者であります。その後、昭和五十五年に農業者年金の受給者の仲間とともに新発田市農業者年金受給者連盟を設立し、その会長に就任いたしました。自来、新潟県農業者年金受給者連盟の会長といたしまして、また全国農業者年金連絡協議会の世話人として本制度にかかわりを持ち、加入促進等にも取り組んでまいりました。きょうは、こうした立場から若干の所見を申し述べたいと存じます。
 私の新発田市におきましては、農業者年金の加入者が一千三十八人であるのに対しまして、受給者が八百八十六人で、まだ受給者の方が少ない状況ですが、年間受給額は三億六千二百万円を超えており老後の大きな支えとなっているのであります。また、このことを通じまして、経営の若返りや規模拡大などの構造政策の推進を図る上でも欠かせない制度となっているのであります。
 ところが、近年農村の高齢化が進む一方で、新規加入者の減少が続いており、今後約二十数年にわたって受給者が加入者を上回ると見込まれているため、年金財政の将来展望が危ぶまれ、またこのことが加入促進の滞る要因にもなっているのであります。私たち農業者年金の加入者や受給者の組織では、今回の改正を二十一世紀に向けて制度の新しい枠組みをつくるものと位置づけ、二年間にわたり県段階や全国段階におきまして数回にも及ぶ大会を開催するなど、高い関心を寄せて要請活動を行ってきました。それは、ただ単に財政面からのみ論議されるものではなく、我が国農業の将来展望に立って、本制度の政策上の役割、位置づけ等を明確にして、長期的に安定した農業者にとって魅力ある制度として早急に再構築していただきたいということであります。
 それでは、改正法案につきまして具体的に触れさせていただきます。
 第一に、制度の長期安定化の方向が明らかにされたことです。年金財政基盤の安定のためには、加入者、受給者も協力することが求められているとは思いますが、それには限度があり、何よりも国の積極的な支援が不可欠であります。現行の経営移譲年金に対する二分の一のほかに、改正案では二十数年間にわたり定額の追加的な国庫助成が行われるということでもあり、私どもが強く要望してきた新しい国庫補助の増額ルールが実現されたものとして極めて画期的なものと受けとめられております。また、このことは農業者の本制度に対する信頼を高めるものと確信をいたしております。
 第二に、新しい給付体系への変更であります。今までは六十歳から六十五歳のみの高い経営移譲年金を受給し、六十五歳以降はかなり年金額が下がるという形態であったのに対し、改正法案では終身同一年金となるため高齢化社会にふさわしい年金制度として加入者の納得が得られるものと考えております。また、経営移譲年金の受給開始年齢を六十歳から六十五歳までの選択制としたことは、従来のように経営移譲がおくれると年金受給総額が不利になるということもなくなり、個々の農家の実情に合わせて経営移譲時期が設定できるので大いに歓迎をしております。さらに、十分な経過措置、老齢年金額の引き上げなども高く評価しております。
 第三に、後継者と第三者への分割移譲方式を導入したことです。これまではすべての農地を一括して後継者に移譲するか、わずかな自留地だけ残して第三者に移譲するかといった経営移譲の方式がとられていたため、このことがかえって中核的な担い手農家への農地集積を停滞させているという意見が、農村現場におきましてしばしば聞かれてまいりました。今回の改正は、経営移譲を通じてより現実的に農地の流動化に寄与するものと考えております。
 第四に、農業者年金基金に農地の貸借事業を創設し、山村等担い手不足地域の経営移譲の受け皿を整備するということ、農業生産法人の構成員の本制度上の取り扱いを改善することにした点でございます。これらは、今までの制度の矛盾を解消していくものとして大変期待しております。
 第五に、加入促進の制度的整備で大きな前進を見ていることです。他産業従事期間のうち一定期間を空期間通算すること、特定保険料の対象者拡大などは、若い人の加入促進に効果があると見込んでおります。また、加入者が死亡した場合の配偶者の加入特例の措置にも評価いたしております。
 しかし、今回の改正におきまして、私どもの以前からの要望事項であります遺族年金に関しましては財政上の理由から見送らざるを得ないと考えられますが、受給者が死亡した場合には、家族経営の中で最も苦労をともにしてきた配偶者に全く配慮がないのはいかがなことかと思います。ぜひ近い将来の実現に向けて検討に着手していただくことを念願しております。
 終わりに、農業委員会等には本制度の業務に御苦労をいただいており、これらの業務執行体制について制度及び財政上の裏づけを含めて整備を求めたいと存じます。
 以上、私たちの組織がかねてから要望してきたことの多くが改正案に盛り込まれておりますことに深く感謝を申し上げます。離農給付金制度の期限切れも五月十五日に近づいておりますので、ぜひ本案を一日も早く成立させていただきとうございます。先生方にお願いを申し上げます。
 ありがとうございました。
#12
○委員長(仲川幸男君) ありがとうございました。
 それでは、次に田代参考人にお願いいたします。田代参考人。
#13
○参考人(田代洋一君) 田代です。
 私は、今まで農村調査を主たる手法として農業構造の研究をしてきました。そういう者の立場でもって若干農村の実態を踏まえながらお話をしてみたいと思います。私どもが長年同一の地域を調査しておりますと、かつては非常に先進的な取り組みをしたそういう集落が、何十年後かに訪ねてみますとかえって停滞している例によくぶつかるわけです。その原因の多くは地域をリードしてきた優秀な農業者たち、この人たちが死ぬまで世帯主の地位を守っているということのためにかえって地域農業の世代交代がおくれて、そのために停滞してしまうというようなことがあるわけです。
 この農業者年金制度は、我々死に譲りというふうに、死んだときに代を譲る、死に譲りというふうに呼んでおりますけれども、死に譲りを一般としてきた農村に、適切な時期に経営移譲をする規範あるいは慣行を持ち込むことで、農家及び地域農業の世代交代の促進に大きく貢献してきたというふうに考えています。
 しかし、制度発足以来二十年たちまして、農村人口の高齢化といいますか長寿化といいますか、あるいはサラリーマン後継者がふえてくるといいますか、そういう中でもって、一つは六十歳での画一的な経営移譲、また後継者への一括移譲、こういう制度の根幹部分において必ずしも農家の実態に合わない側面が出てきたのではないでしょうか。今回の改正は、このようないわば制度の硬直性を取り除いてより柔軟にしていく、そして農村の実態に即した世代交代と構造政策を促すものとして評価できるのではないかというふうに考えております。
 その評価の第一点は、先ほど来出ております年齢の選択制でございます。そもそも農業からのリタイアする年齢といいますのは、これは取り組んでいる経営作目でありますとか、また西日本、東日本、地域によってもかなり異なるわけです。第二点目に、この経営移譲といいますものは、本来は親の年齢によって画一的に決められるものじゃなくて、後継者がどれだけ成長しているか、そのことに即して決められるべきものでありますけれども、最近はそういう農業後継者の方々も、若い間は他産業に就業するということが一般化しています中では、そういう後継者の成長というものが制度発足時よりもおくれる傾向もなきにしもあらずだと。また三番目に、これだけ長寿化、高齢化していく中でもって、余り早過ぎる移譲ということが元気な高齢者の生きがいを奪ってしまう、あるいは今後の長い老後に対する不安を高める、そういう心配もあるわけです。
 今回の年齢の選択制は、こういう点でもっていわば各農家のお家の事情といいますか、そういうものに即した柔軟な対応が可能になってくるものとして評価できるのではないのかというふうに思っている次第です。なお、選択制によって世代交代がおくれるのではないか、こういう御心配もございます。しかし、その点につきましては、例えば、非常にしっかりした専業的な農業後継者のいるようなそういうお宅の場合には、なるべく早目の移譲に踏み切る。また逆に、サラリーマン後継者の場合には、親御さんが元気な間は農業継続でもって頑張って、その間に後継者の様子を見ながらあるいは第三者移譲の可能性があるかどうか、そういうことをじっくりと検討しながらそれぞれの家の最適の選択をする。そういうことで、それぞれの家の実情に即した無理のない移譲が可能になってくるのではないだろうか、こういうふうに考えております。
 改正の評価の第二点目は、後継者移譲と第三者移譲との併用制といいますか、それが可能になってきた点であると思います。率直に申しまして、サラリーマン後継者への移譲が半分以上を占めている今日では、サラリーマン後継者がかなりたくさんの面積の一括移譲を受けると、実際には、勤務との板挟みの中でもってややその農地をもてあまして必ずしも有効利用できない。そういう意味では、制度の趣旨に逆行するようなそういう側面もなきにしもあらずであるわけです。また、第三者移譲は全体の一〇%未満ということでございまして、規模拡大という意味での本来の構造政策への効果という点ではやはり限界があるわけです。
 今回の改正によりまして、後継者移譲と第三者移譲を両方行うことができるようになりますと、まずはサラリーマン後継者に無理のない範囲でもって、二町は無理だけれども一町ならばいいというような、無理のない範囲でもって移譲することができる。あるいはまた、当面はサラリーマン後継者に一括移譲をした上でもって、息子の様子を見ながらこれは無理だなと思ったら第三者に貸し付ける。そういう形でもって農家の実態に即した柔軟な対応が可能になってくるのではないかと思っております。これによりまして、第一に、親としましても先祖伝来の家業としての農業を絶やさずに年金を受給できる。また第二に、これまで遅遅として進まなかった第三者移譲、これに大きな弾みをつけるのではないのか。また三番目に、農地のより有効な利用が促進されるのではないのか、こういうふうに考えております。
 ただし、第三者移譲を促す点から見てみますと、今度の改正では四分の三以上を第三者に移譲しないと加算金がつかないという点がございます。その点については、二分の一以上の移譲であれば加算金をつけるとか、もう少し優遇をすることも考えられるのではないのかということが一点でございます。また、法とは関係がございませんけれども、第三者移譲といいましても、我々が農村で調査しておりますとやはり親戚同士の借り貸しということが結構あるわけです。立派な親戚であればいいですけれども、必ずしも親戚の状況がすべてそういう専業的農家と言えない場合もございます。したがって、第三者移譲といっても、親戚への移譲など必ずしも構造政策効果の高くない事例も見られるわけです。そうしますと、先ほど池田専務の方からもお話がありましたけれども、この制度改正によって農業委員会が適切な第三者への移譲を促進する、そういう努力がますます必要となってくるのではないだろうか、こういうふうに考えております。
 評価の第三点目は、皆さん方も申しましたけれども、財政措置の問題であります。御承知のように、現在年金に加入している方の多い専業的農家、これの一人当たり家計費をとってみますと、兼業農家、専業農家を含めまして農家の中でも最も水準が低いわけであります。普通の勤労者世帯の大体八六%程度の水準でしかないわけです。それからまた、御承知のように、農村地域経済の落ち込みといいますか、そういう状況も極めて厳しいわけであります。しかも、国際的な情勢の中でも、農産物過剰という中でもって農産物価格を通じる農家への所得の付与ということがなかなか困難になってくる。そういう中では、農業者年金が持っています農家経済なり地域経済を下支えしていく効果、これに対する期待はいよいよ高まっていくだろうというふうに考える次第であります。今回の財政措置は、こういういわば地方へのあるいは農村への年金が持っている所得移転効果といいますか、そういうものを安定させるものとして高く評価できるだろうというふうに考えております。また、リタイア後の老後が長くなる中で、終身一定額の年金が給付される、このこともまた老後の安定を図る福祉政策として評価できるのではないかというふうに考えています。
 最後に、若干の注文でございますけれども、この農業者年金は社会福祉的な年金としての側面とそれから構造政策に資するという、この二つの側面を強調してきたわけです。しかし今後は、国際的にもデカップリングとか、そういうことが問題になっておりますように、農産物価格を通じずに直接に農家に所得を付与していく、地域に所得を付与していく、こういう政策が国際的にも摩擦のないものとして評価を高めてきているわけです。そういう意味におきまして、社会福祉的な側面、構造政策的な側面に加えまして、第三の側面としてやはり地域社会維持的なそういう役割、側面をもっと強調することによって制度の一層の充実が図られるように期待をいたしたいというふうに考えています。
 それからまた、法改正にはかかわりのないことでありますけれども、御承知のようにこの年金制度は非常に難しくて、私どもなかなかよくのみ込めないところもありますので、ぜひ農家にわかりやすい制度ということを心がけていただきたいと思います。
 最後の最後でございますけれども、女性の問題でございます。現実に「いえ」の農業を現在では女性の方が担っている、特に専業婦人が担っているということが非常に多いわけです。そしてまた、実態としては農地は「いえ」の所有である、これが実態でありますけれども、形式的にはやはり世帯主個人に権利名義がついている。したがって、女性は形式的には農地の権利名義を持っていない、そのことによって年金加入の道を閉ざされている。そういう点では、農村の実態とあるいは農家の実態と制度との間の乖離はなおこの改正によっても残されているというふうに見られます。今後恐らく農業の仕組み自体が変わっていく、その中での婦人の地位が高まっていく、そういう中でもって、そういう営農と農家の実態に即して、かつては農業者にも年金をという声があったわけですけれども、これから恐らく農業婦人にも年金をということが強く言われてくるのではないか。直ちにこれにこたえるということは難しいと思いますけれども、農業の仕組み全体を変えていく中でもってこういう次の課題への検討をやはりそろそろ開始していった方がいいのではないだろうか、こういうふうに考えております。
 以上で終わります。
#14
○委員長(仲川幸男君) どうもありがとうございました。
 次に、森実参考人。
#15
○参考人(森実孝郎君) 年金基金の理事長の森実でございます。日ごろ基金制度の運営に何かと御尽力を賜っておりますことを、この機会に厚くお礼申し上げたいと思います。
 本日は、実施機関の立場から、制度の現状、役割及び今回の改正案について若干の所見を申し上げさせていただきます。
 まず、制度の現状でございます。制度発足以来二十年目になりました。急速に農村社会において定着成熟したというよりは、むしろ過成熟と言える状態に突入してきております。被保険者数は最近の時点では六十二万六千人、これに対して受給権者数はネットで申し上げますと六十四万六千人という数になっております。
 なお年金額は、加入年数の伸び、物価スライド等を反映いたしまして年々ふえてきておりまして、例えば六十五歳未満の経営移譲年金は平均して月六万一千百円という水準になっております。この結果、年金の総額として農村部に所得移転しております額は、平成元年度には二千三百八十億円に達しているわけでございます。年金財政は年年厳しくなってきております。平成元年度は、最新時の見込みでは約三百九十八億円の支出超過となるのではないかと思います。当面の給付には、なお最新時の見込みで四千九百億円の資産を持っておりますのでもちろん支障はございませんが、このままでは年金財政の将来は破綻するおそれがあり、この際、年金財政基盤の抜本的な強化措置が求められているところでございます。
 次に、制度の果たしてきた役割について申し上げます。本制度は、一つは農業者の老後保障でありもう一つは構造政策の改善効果、構造政策効果ということにあるわけでございますが、具体的には経営移譲を通じた経営主の若返りによる経営の活性化、またその何年かの実績を受けた相続時における農地の細分化防止という、いわば構造政策上の原点のような役割を果たしてきていると思っております。また同時に、今日の農業を取り巻く厳しい環境のもとで、本制度は中核農家への年金額の安定的支給を通じまして、中核農家の所得の下支え、さらには農政転換の下支えという機能を果たしてきたと考えております。
 次に、制度の運営上の課題について触れさせていただきます。何といっても未加入者の加入の促進ということが従来からも業務の最重点課題でございました。しかし、率直に申し上げまして、六十年度以降新規加入者数は年々減少する傾向にあります。その原因は、基本は言うまでもなく母集団である専業的農家の減少でございます。しかし、これ以外に年金財政の将来不安、また具体的には経営移譲への不安とか経営の先行きに対する不安、さらに就業形態の変化等、要因がふくそうしていると思われます。特にここ数年間では、制度改正の動きに対する結果待ちの機運がかなり要因として働いていたものと考えられます。幸い、今回の改正案では、加入の促進という視点からも課題となる幾つかの事項の解決が図られております。
 次に、業務の運営について申し上げますが、基金の業務というのは、直接被保険者、受給権者と長期間にわたって接触する、これらの方々の利害と密接に関係するものでございます。その業務の具体的内容は、被保険者、受給者の資格の管理、保険料の収納、経営移譲年金の裁定、支給、離農給付金の支給事業、農地等買い入れ資金の貸し付け等の業務があるわけでございますが、特に農家との窓口となっていただいている農業委員会、さらには農業協同組合の協力を得まして、この適正かつ円滑な運営が図られるよう努力しているところでございます。
 そこで最後に、今回の制度改正について意見を述べさせていただきます。
 政府が、今回の改正案づくりに取り組まれるに当たり、農業者年金が、さきに述べたような重要な政策上の役割を果たしてきたこと、農村、農家にとって重要な機能を持っているという現実、また中核農家の減少傾向は世界的な趨勢であり、ある意味では構造政策の流れの方向でもあるという事情、また農村の高齢化が急速に進行し、若い農業者の就労の実態や意識の多様化が急速に進んでいるという事情等を直視されまして、本制度を農業、農村の実情により適合した仕組みに改めるとともに、安定した年金財政の基盤の確立に取り組んでいただいたという意味では、今回の改正案はなかなか厳しい条件のもとで、これらの基本課題に正面から取り組んで解決に努められたものとして高く評価さしていただいているものでございます。
 特に、その内容について、重要な五点について意見を申し上げたいと思います。
 一つは、年金財政の長期安定を図るための国庫負担の拡充措置でございます。年金制度という点から申しますと、保険料と給付額とのバランスを財政の基本に置くということは言うまでもございませんが、農業者年金については、現在の中核農家の減少傾向や農業経営の状況のもとでは、加入者と受給者に負担のすべてを求めることには限界がございます。また、政策的重要性もますます高まっているわけでございます。その意味で、私ども国庫からの助成強化ということを強く求めてきたところでございます。今回、年金財政基盤の健全化を図るための抜本措置が講ぜられることにより、今後長期にわたり制度の財政的安定が確実に展望できることになりました。関係各位の御尽力に深く感謝しているところでございます。また同時に、このことが未加入者の加入説得には強力なてこになるものと期待しております。
 次に、給付体系の変更について触れさしていただきます。今日の農村の高齢化の進行、さらには農業の就労実態から見て、現行の給付体系にはかなりの無理が生じているという実感を率直に言って持っております。また、六十五歳からの支給額が経営移譲年金、老齢年金合わせましてそれ以前の三五%の額となることで、何と申しますか、老後保障という面では座りが悪い年金であったということは否定できないわけでございます。今回の改正案では、経営移譲の時期は従来どおり六十五歳までとするものの、受給開始時期は個々の農家の具体的な事情に応じ六十歳から六十五歳の間で選択できるようにする。また、終身同一額の経営移譲年金を支給しようとするものであり、現実に即した安定感の高い給付体系になるものと受けとめております。
 次に、分割経営移譲方式の導入について触れさせていただきます。現行制度で後継者に移譲する場合、全経営面積を一括して移譲してもらうことになっておりますが、最近における就労の状況から、サラリーマン後継者が譲り受け農地のすべてを耕作することが困難となる事態も発生しております。現場からは、一定の規模までは後継者に残し、それ以外の農地を第三者に移譲しても適格な経営移譲とし、さらに、第三者移譲する面積の比率が高い場合は、加算つき経営移譲年金の給付を受けられるようにしてほしいということ、また経営移譲後も、そのような分割をしても受給している経営移譲年金の支給停止にならないようにしてほしいという声が強く出ているわけでございます。また、構造政策という面から見ましても、中核農家への農地の集積を無理のない形で段階的に進めていく上において、分割経営移譲方式の導入は大きな機能を果たしていくものと期待しております。
 第四は、他産業に従事した加入者の空期間通算でございます。今日の農村の労働力事情を見ますと、農業と他産業との間の農業の労働力の流動性はかなり高まっております。さらに好況が持続する中で季節雇用も長期化するなど、若い農業者を中心に、何と申しますか、様子見の姿勢が出てきていることは否めません。今回の改正案により、途中で一たん他産業へ就労した期間を加入期間に空通算できる措置が講ぜられることで、農業労働力の今後中軸となるUターン層への積極的な対応が可能になりますし、また現在の就労実態に合った改正であるというふうに評価できるものと思っております。
 第五点は、経営移譲の受け皿の整備でございます。経営移譲の受け皿といたしましては、農業委員会の機能をフルに発揮していただいて受け手の発掘をするのが基本であり、同時に農協による経営受託、県公社の農地保有合理化事業等による積極的な対応が行われるべきものと考えますが、今回の改正案により、これに加えて基金が一時的に借り受ける措置が講ぜられることになれば、多くの地域で経営移譲に対する不安が緩和されることになると思います。これは加入促進にも大きなインパクトになるものと期待しております。
 以上のほか、離農給付金支給事業の延長継続、また弱年の後継者加入、いわゆる特定後継者加入の要件の緩和、加入者が死亡した場合の配偶者の加入特例、脱退・死亡一時金の給付水準の要件の改善等、かねてから実施機関として要望しておりました改善事項が積極的に取り入れられております。今回の改正は、将来に向けて制度を安定させていくために必要不可欠な措置であると私どもは受けとめております。特に、離農給付金支給事業は五月十五日に期限切れとなる事情は御案内のとおりでございます。ひとつ、できるだけ早期にこの法案が成立することをこの機会に切にお願い申し上げる次第でございます。
 私どもといたしましても、法案が成立した暁には、加入者、受給者、さらには未加入者に対して十分な理解と協力を得るための周知徹底、PR活動を総力を挙げて実施するとともに、年金制度の円滑かつ適正な運営に努力してまいりたいと思っております。
 どうもありがとうございました。
#16
○委員長(仲川幸男君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
 それでは、これより参考人の方々に対して質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#17
○細谷昭雄君 秋田選出の細谷でございます。ただいまは、私どもの法案審議に対しまして、御専門の立場から大変貴重な御意見をありがとうございました。要旨につきましては私の意見と大変同感の部分が多いわけでございますけれども、若干の質問をいたしたいと思います。
 最初に、池田参考人、田代参考人にお願いしたいと思いますが、これは共通の質問でございます。
 この農年は二十年という歳月をけみしましたけれども、これは要するに政策年金、いかにして日本の構造政策を推進するかという観点で生まれたものでございますが、この年金ばかりではございませんけれども、この構造政策がこの年金制度によって所期の目的を達成したと評価されておるのかどうか。もしも達成されておらない、不十分だとすればその原因は何か、これをお聞かせ願いたいと思います。
#18
○参考人(池田斉君) 私は、構造政策を加速的に推進しなきゃならぬのは、国際化の中での二十一世紀の農業を展望すると、最大の農政の課題であるというふうに考えております。そういう意味では、年金だけに構造政策の責任をかぶせるということは、これは無理な問題があると思います。やはりもろもろの構造政策を政府は確立して、それを総合的に前進させるその一翼として、この年金制度も構造政策の一翼を担う。従来の年金制度は、その面から見ますと必ずしも十分ではなかったと思うんです。今回の改正案ではそこをさらに一歩二歩進める、あるいは竿頭一歩を進める、こういう形で諸般の改正点が加えられるわけでございます。
 そういう意味では、従来にもましてこの政策年金としての年金制度も構造政策にもっと積極的な協力体制が整うのではないか、こういうふうに理解しております。年金だけでこの問題をやるというのは今後といえどもそれは無理な姿ではないか、こういうふうに理解しております。
#19
○参考人(田代洋一君) 先ほど申しましたように、日本の農家といいますのは、家といいますか、三際、直系家族といいますか、父から子へ親から子へという、そういう流れの中でもって動いてきたものだと思います。そういう点では、なかなかルールのなかったところに世代交代のルールをきちっとつくっていった、やはり六十歳前後になれば代がかわるんだよ、農家の面がかわるんだよ、こういうことでは私は非常に大きな効果を持っただろうというふうに考えております。
 しかしながら、先ほど述べましたように、第三者移譲という点につきましては、残念ながら一〇%未満というところでもってなかなか進まなかったという点は問題を残しているだろうと思います。恐らく私ども、農村で調査してみまして、これからいろいろと高齢化が進んでいく中でもって第三者移譲に踏み切る方も出てきますので、やや二十年の成果、親から子へという成果が、次は親から他人へという、そういう形に流れていくだろうというふうに考えております。
#20
○細谷昭雄君 次に、池田参考人と森実参考人にお伺いしたいと思います。
 農業団体なりないしは基金の方でいろんな要望をされたと思うんです。その要望された点がいろいろ実現されておるわけでありますが、先ほど積み残した部分として、共通の問題点として出されましたのがいわゆる遺族年金の問題でございます。
 先ほど田代参考人から、私どもが始終主張しておりますいわゆる女性の問題、妻や嫁さん、こういった皆さん方の現在の農村における農業経営の位置、こういったものを非常に私たち重視するわけでございます。そこで、遺族年金という問題が特に現実的な問題になってくるわけであります。これは財政上の負担ということで現在我々も何回も要求しておるんですが、できない現状でございます。ある程度これを負担する、もう自己負担するという点までいわば農業団体は踏み込むことができますか。
#21
○参考人(池田斉君) 先ほど、私も最後に遺族年金の問題はひとつ今後の課題として積極的に政府も考えてもらいたい、こういうことを申し上げました。
 今お話しのように、日本の農業の大宗は家族経営であり、しかも夫婦が中心になっておるという姿、そういう中で、非常に経営そのものから見ても重要な女性は役割を持っておる、こういうことになるわけですが、ただこの制度が土地利用型農業、土地を軸としておるという、土地の権利、これに関連した形で整理されている。そこに、経営の主体権というものは土地の所有なりそういうことと関連して一人の人に、それが主として主人の方に姿がなっている。こういうところに一つの問題があるというわけでございますので、制度の仕組みから見てやはり婦人の加入という問題がどういうふうに将来解決されるか。家族経営の中で夫婦一体になってやっているというものを土地の権利に関連した形の制度の仕組みになっている、この辺の難しい問題が一つあるわけでございます。
 ただ、遺族年金については、実態がそういう形で婦人がやっておるわけでございますから、これは掛金をさらに掛けて遺族年金という問題をやるのは、今の農家経済の実態から見たら相当酷である。主としてこれは政府が負担をする。しかし、その負担と滑り出しの姿は、経営がもっと確立していけばこれは負担の余力も出てくるというようなことを含めながら、中期的にこの辺の問題を次の再計算期ごろには十分考えていただきたい。婦人の加入の問題は、今の権利の問題が付随しているという問題との関係で非常に難しい問題を持っておりますが、これはいろいろ今後の課題としては考える問題ではないかというふうに思います。
 国民年金の改正の中で、いわゆる付加年金として地域年金その他の問題が新しく付加されますが、そういうものでとりあえずは救うというようなことがいいのかどうか、これは問題があると思いますが、何か婦人の問題は実態との関連で、遺族年金はもとよりですが、加入の問題等を含めて今後考えなきゃならぬ問題ではないか。ただ、権利に関連する問題が底辺にきちっとありますから、これは制度の仕組みの問題をどうするか、根本的な問題が絡んでいるのでさらに検討する今後の課題ではないか、こういうふうに考えております。
 以上であります。
#22
○参考人(森実孝郎君) 遺族年金の問題は、私どもも実施機関の立場で末端から強い要望があることをかねてから承知しております。しかし、これはなかなか難しい問題があり、その事情をお話しすると、また農家の皆さんの対応もなかなか複雑であるということは事実でございます。難しい側面と申しますのは、一つは今、池田参考人もおっしゃっていた土地の権利、名義に着目しての議論の問題です。それからもう一つは、これは保険料に直結してくる話だと、保険料を引き上げても遺族年金をやった方がいいかどうかという議論になると、率直に申し上げて受給者の皆さんは賛成、加入者の皆さんでも、年配の方は賛成するが若い方は首をひねるというふうななかなか難しい側面があるわけでございます。しかし、平均しまして奥さんが大体四、五歳若い、しかも四、五歳長生きされる。大体合わせて十年ぐらい後に続くということになると大変な負担になるわけでございまして、その負担をどう吸収するかになると、保険料の問題は避けて通れないという側面があるわけでございます。
 そこで私は、これは専門的な立場でもう一回農家の皆さんの意向も踏まえて、よく会話をしながら時間をかけて議論を進めてみる必要があると思います。その場合、大変重要なことは、婦人問題の一環として議論することが重要なんじゃないか。専業的な農家の中でも、一人の労働力で大体主として賄われている経営と、二人以上労働力がかかる経営があるわけでございます。主要な労働力が、基幹労働力が一人で賄われている経営の場合、婦人がかなり主力の経営もあるわけです。むしろ私は、そういうところは婦人加入を、奥さんに使用収益権を設定して婦人加入を進めることが本筋ではないかと思います。平均でも約四%おりますし、特に今三十代の階層では八%から一〇%ぐらいの高い数字になってきております。そうしますと、御主人がサラリーマンで奥さんは全く独立して農業という形もあるわけで、むしろそういう形はできるだけ進めた方がいいというふうに思います。
 さて問題は、もう一つ、どうしても夫婦が年間を通じて働かなければならない大規模経営、例えば稲作で言えば十ヘクタールの経営とか、あるいは搾乳牛で言えば三十頭とか五十頭の経営をどう受けとめるかです。こういう方々の要望は、保険料は倍払ってもいいから二人加入を認めてくれという要望もあります。こういった問題も婦人問題の一環として遺族年金とあわせて論議をする必要があるのではないか。いずれにせよ数字に絡む問題でございますし、また同じ関係者の中でも利害の対立もある問題でございますから、少し専門的に論議を詰める必要があるだろうと思っております。
#23
○細谷昭雄君 小川原参考人にお伺いいたします。
 先ほど掛金の問題が出たわけでございます。御案内のとおり、いろいろ提案が出たのは十二月だったと思いますが、あの当時は千円でございました。毎年千円ずつ上げていく。それに対しまして、議会側でも我々大いに反対いたしまして結果的には八百円というふうに落ちついておるわけでありますが、問題は、いわゆる給付を多くするということは負担が多くなるということに、裏腹の関係にございますが、現在のいわば被保険者、保険を掛けておる皆さん方が、実際の農家経済に比べまして非常に負担が重いなというふうにお考えなのか、いやもう少し掛けてもいいというふうにお考えなのか、そこら辺の実態はどうなんでしょうか。
#24
○参考人(小川原俊夫君) それでは御質問にお答えをいたします。
 年金の掛金でございますけれども、承知しておるところでは、最初の我々に教えられたのは千円という線でございましたが、皆さんの御努力によりまして八百円という線でございます。それも、この法律改正におきまして、我々加入者、農家におきましても痛みを若干分け合わなければならないというような観点で、今までも八百円で五年間やってきたわけでございますけれども、来年で終わりというような、また財政再計算までに五年八百円ずつ上げる、それ以後はどうなるかわからないというようなお話を聞いておりますが、何しろ我我農家といたしましても、米価はあのようでございますし、農産物は低迷の一途をたどっておるわけでございます。国民年金にも夫婦で納めなければならない、その上また余計になるということになれば、大変農家経済に対して、各家庭に対して大変負担でございますので、痛みを分け合うということでこの線で五年間をやって、我々も農家の人に説得をしようと思うわけでございますが、何分ひとつよろしくお願いします。
#25
○細谷昭雄君 田代参考人に二つの点でお伺いしたいと思うんです。
 一つは、先生先ほどお話がございました。私たちも大変その点を五年前にもいろいろ議論いたしました。それは、確かにこの農年の二面性があるわけです。一つは政策年金の面と、もう一つは老後保障という点と二つあるわけです。どう考えても、どうも老後保障の点でバランスが崩れておるのじゃないか、私たちはそういう主張をしているわけです。もう少し老後保障の面にウエートを置くべきじゃないか。確かに政策年金でございますので、移譲年金、こちらの方にウエートを置くというのはわかるけれども、先ほど言いましたように社会情勢がどんどん変わってきておる。そういう中で、もっとウエートを移すべきじゃないかという主張を私たちはしておるわけであります。先生の御研究の立場からすれば、その点いかがかという点。
 もう一つは、これは私たちも評価しておりますし、非常に努力されたと思いますが、財政の健全化の問題でございます。今回は特に、何といいますか、法律の附則に財政支出を明記するという今までにない画期的ないわば法案の出し方をしているわけであります。大変な大きな、私たちの立場からいいますとこれは評価すべき点だと思いますけれども、ただ少なくとも昨年の今ころの前の状況でありますと、あのとおり農業いじめ、本当に農業過保護論ということが非常に花盛りでございました。このような財政負担をかなり長期にわたって、少なくとも平成八年までこれを続ける、しかも法律に明記をするというそのことが一般の担税者、都市の市民、こういった人方にどのように支持され、受け入れられるのか。この点が、私たちが非常に心配をしておるところでございます。その二点について、先生の専門のお立場からお教え願えればありがたいと思います。
#26
○参考人(田代洋一君) 第一点目の老後保障の面をもっと強調すべきではないかというお話でございました。
 御承知のように、ヨーロッパ等々、ドイツ、フランス等でもかなり手厚い老後保障ということで、そういう制度が仕組まれているそうでございます。しかし、日本の実態ということを考えていきますと、これだけ自給率が低い、片方では過剰がありながらこれだけ自給率が低い。しかも、その背景になかなか構造政策は進まないというような現実を考えますと、ヨーロッパのように既に過剰を抱えて生産を刺激するよりも、老後の保障、所得の直接的な付与という形と、日本のこれだけ自給率の低い中でもって、やはりよりよい農業構造を目指すということとの間には差があるのではないか。そういう意味におきまして、日本のそういう特殊事情として構造政策的な側面を強調することは避けて通れない問題ではないだろうかというふうに考えております。
 それから二点目の、一般の担税者の負担感といいますか、ということにつきましては、私そういうことについて調査したことはございませんので、なかなか答えられない側面もあろうかと思います。しかし、御承知だと思いますけれども、農村に我々実態調査に行きますと、やっぱりリタイアした後もまだ格差がつくんですね。勤めているときに勤め人の方が給料がよくて農業者の方が所得が少ないという現実があるわけですけれども、働けなくなってからもまだ格差があるということは、これは自分が働けるときだったら取り返せますけれども、働けなくなったらもう取り返せないことですから、そういう側面について国民的な規模でもってカバーをしていく。と同時に、農業者としても自給率を高める、もっと農地の有効利用をするという形でもって国民の負託にこたえる、そういう側面で御理解をいただくことではないだろうか、こういうふうに考えております。
#27
○細谷昭雄君 ありがとうございました。
#28
○谷本巍君 参考人の皆さん、大変きょうは御苦労さまでございます。私は、若干不安に感じている点を中心にしまして、皆さんの御意見を伺いたいと存じます。
 まず初めに、池田参考人に伺いたいのであります。それは、この制度における農業生産法人構成員の扱いの問題についてであります。政府のこれまでの構造政策は中核農家の育成に中心が置かれてまいりました。同時に、最近は生産の集団化、協業化等による規模拡大、これが構造政策のもう一つの柱に据えられるようになってきました。ところが、この年金制度は個別的農家の規模拡大は対象にしておるのでありますが、法人組織については極めて冷ややかそのものであります。農産物の市場開放が進んでいく中で、これからどういう規模拡大をすべきか。市町村の段階にまいりますというと、村ぐるみの共同化をやったらどうか、集落別の共同化をやったらどうかといった議論が多くなってまいりました。
 先ほど池田参考人の話を伺いますというと、農業生産法人の扱いに触れた御発言の中で、工夫はされているが重要な意味を持つので条件整備を望むとおっしゃいました。こうした法人組織を対象としていく上でどういう問題解決が必要なのか。また、池田参考人が言われました条件整備の中身、これをひとつ教えていただきたいということであります。
#29
○参考人(池田斉君) 今、谷本委員が言われましたように、いろんな意見が、農業の展望の中でどういう形の農業の形態を将来つくり上げていくか。現在、個別経営が軸になっていることは御案内のとおりでございます。また、協業とか集団とか、こういう議論もございます。しかし、協業、集団にいたしましても共同経営ではございませんから、やっぱり個別経営の集まりにこれはなるわけでございます。農業生産法人というものは経営体としての人格を持つわけでございますので、個別経営からの発展形態としては、この生産法人というのはもともと日本の農政の中でもこれの位置づけをして高く評価をしながら、この育成を図るということは絶対必要な一つの姿ではないかというのが私の考え方でございます。
 ところが、有限会社等の法人がだんだんできてまいりますと、これは当然厚生年金に入るという問題になってくるわけでございます。そこで、実はこの生産法人の従事者というものが、やはり農業をやっているわけでございますから、この農業者年金に入れるあるいは今入っている者はそのまま継続できる。こういう問題を、法律上は当然厚生年金に入らなければならぬ。この辺のジレンマが非常にたくさんあるわけで、特に、北先生おいでですが、北海道にはその辺の事例がたくさんあるわけでございます。
 この辺を今回の改正の中で、制度として整備をするということになりますと、厚生年金からそれを除外できるということになりますとこれはなかなか問題がありますので、具体的にはその生産法人の実態との関連におきまして、この農業者年金に加入している者はそのまま続けても厚生年金の方に移らなくてもよろしい、あるいはこれから農業者年金に入ることも認める。こういうようなことを実はひとつ、制度を整備ということになりますと、法律の問題になりますとこれは大変でございますが、運用上、この際ひとつぜひとりあえずは解決してもらいたい。こういうのが私の念願であります。生産法人は農業者年金に入るのが基本であって、厚生年金に入る必要はないんだと、こういうことまでいきますと、これはなかなか大変な年金制度の仕組みの中のあつれきが出てまいりますので、実態に即した運営の改善をしていただきたい、これが念願でございます。
 また、その辺は厚生省におきましても割り切れない問題があるが、その運用の実態からはひとつそれを認めるといいますか、積極的ではないけれどもその辺は運用上了承していく、こういうような考え方もあるようでございますので、そういう格好で当面はやる以外にないのではないかというふうに考えております。
#30
○谷本巍君 続きまして、担い手不足地域における経営移譲の受け皿整備のことにつきまして、森実参考人と池田参考人から御意見を伺いたいと存じます。
 これは、統計数字は全くわからないことなのでありますけれども、中山間部を歩いてみますというと、借り手がない、不耕作地がふえているという状況が多くなってまいりました。平場の場合でも、金をつけても借りてくれる人がないという例が中にはあるような状況となってきております。農業生産を担っておる皆さんの労働力のリタイアのピーク時というのが、あと六年後だろうというふうに言われておるところでありますが、こうした状況が進んでいきますというと、農地についての買い手、借り手がなくなって、年金を掛けてきた人に、受給資格はできたが受給することはできないといったような状況が起こる可能性がかなり強いように私には思われます。
 申し上げるまでもなく、この年金制度は当然加入の政策年金でありますから、借り手がない、買い手がない、したがって年金を出すことができませんということではつじつまが合わないということになるわけでありまして、経営移譲への受け皿整備、これをやっぱりきちんとやっておかなきゃならぬということになるわけでございます。今度の改正を見てみますと、借り受け、売り渡しについても年金基金が扱うというようなことになってまいりました。
 そこで、まず初めに森実参考人に伺いたいのでありますが、現行制度でいきますというと、六十三年に基金が扱った売買はたったの一件であった。これが平成元年になりますと、これまたたったの八件であったというような状況であります。制度があるのだがなぜ現実に機能しないのか、その理由は一体何なのか。さらにはまた、今度の改正で、今後借り手がない、受け手がないという状況がかなりふえてきたとしても、今度の改正案だったら十分対応できるという改正案なのかどうなのか。もちろん限界があるとは存じますが、その辺のことについて伺いたいと思っております。
 それから、池田参考人に伺いたいと存じますのは、やはり経営移譲の受け皿整備というのは、もう一つの問題としまして条件不利地域の地帯が農業生産で生きられる、そういう農政を強化していかないとどうにもしようがないだろうという、もう一つの問題があるだろうと思うのであります。そうした条件不利地対策問題について農政としてどういうことを考えていけばいいのか。さらにまた、農政以外の問題でも多くの問題があろうと存じますが、そうしたことについて御所見をお願い申し上げたいのであります。
#31
○参考人(森実孝郎君) まず第一に、現在の売買の現状でございます。確かに、非常に抑制的というか実績が少ないわけでございます。これは、実は政策的な土地取得金融を補完するという性格で出発したものでございまして、例えば農地の売り手がある、それを買い手が数人あるというふうな場合に私どもが売買に介入していく。それで長期にわたって分割払いで、実質的には長期低利融資等を行う機能を果たしているという、そういう意味においてはいわば農年加入者への利益還元という趣旨で出発したわけでございますけれども、基本的には長期低利融資を補完する制度という意味でございまして、私は受け皿の問題としては基本論ではないだろうと思っております。
 さて、受け皿の問題でございます。もうこれも釈迦に説法でございますから率直に申し上げますと、中山間部と一部の平場で雇用機会、所得機会の少ない地域ではなかなか受け皿がない。それをどうやるかということについては、やはり基本は農業委員会のあっせんで貸し借りの受け手を捜していく、あるいは農地保有合理化法人の活用を図っていく、それから農協の経営受委託を活用していくということが私は基本だろうと思います。しかし、現実にはそれぞれのお立場があってなかなかこなせないという場合には、補充的には何か受けるところがなきゃいかぬだろう。そういう意味で私ども当基金が受けるということになったわけです。
 率直に申しまして、今受け手がないという問題をちょっと内容的に分析してみますと、しばらくはないが、いろいろ努力をすれば、若干の時間をかければ、二、三年かければ解決するであろうという状況の場合と、なかなかに、本質的にないという場合と二通りあるわけでございます。私は、前者の方にはかなり機能できるだろうと思っております。後者の問題は非常に難しい問題で、むしろ農政全体としてそういう耕作放棄の危険のある土地をどう受けとめるかという議論の中で受けとめていただく。その中で、どういうふうに機能するかということを少し時間をかけて検討していただく必要があると思います。
 私どもは、そういう意味においては補充的な機能ないしはつなぎの機能が、基金の実際の財政能力なり業務運営能力から見て限界であることは否めないだろうと思います。しかし、それだからといって経営移譲の相手方がいない、受けてくれと言われた場合はそれを拒否するということは好ましくないわけで、それはやはり受けとめて考えていく。少し役所にも御意見を申し上げながら詰めさせていただきたいと思っております。
#32
○参考人(池田斉君) これは非常にこれから難しい、しかも大事な問題の指摘だと思います。現在、安全保障というような言葉がございますが、日本の国で今、五百五十万ヘクタールを既に割ってきている、農地がむしろ減った方がいいのではないかというような話までございます。農業は平たん地でやったらよろしい、中山間地帯は、もうこれはあきらめてもいいじゃないかというとんでもない議論がだんだん出る危険さえあるわけでございます。我が国が安全保障を考える場合には、やはり土地の面積、しかもそれは農耕地として適するものは何としてもこれは守っていく、こういう基本的なラインが絶対に私は必要であろうと思います。そういう意味で、過疎化しつつある中山間地帯をどうするかということは非常に大きな課題であります。
 政府におきましても今、国会で審議されている予算の中にはその辺の手当てをできるだけしようというようなことがありますけれども、とても私は十分ではないというふうに考えております。基盤整備一つを考えましても、これは平場と違って大変な金がかかるわけでございます。その利子負担等におまして、国がある程度援助しようということも考えておりますが、その辺の問題は、従来の農政が全国画一的に行われているという問題を、中山間地帯を守り抜いてそこに整々とした農業が営まれるというようなことは、日本の安全保障の視点からも大事な問題であって、これはひとつ想を切りかえてやる。頭を切りかえてどうするかというような問題を考える時期に来ておるのではないか。
 言うなれば、例えばヨーロッパなんかにおきましても、そういう問題が、国境地帯を含めながらいろんな形の具体的な生産が行われ、場合によればいわゆるデカップリングといいますか、所得補償的な問題を含めながら、とにかく中山間地帯が荒れていって農業がなくなるのではなくて、今受け皿の問題がそこへひとつ入り込むわけでございますが、いろんなことを工夫して新しいアイデアで、新しい姿勢でこの問題に対応すべきではないか。受け皿の問題は本当に年金から見ますと心配でございます。
 私どもの方で今、広く国民全体から農業をやる人、いわゆる新規参入につきましてもあっせん行為を行おうとしておるわけでございます。日本国民全体の中には、とにかく中山間地帯でも、もし土地があるならばそこで農業をやってみたいというような者もおるわけでございます。しかし、それは経営から見ましたらなかなかそろばんが簡単に合いません。その辺を含めて中山間地帯を本当にどうするかということは、新しい発想を含めながら対応しなきゃならぬ政策の大変大きな課題ではないか。今ここで何をしたらいいかということを具体的に申し上げるまでの勉強をしておりませんが、そういう問題意識を持っているということを申し上げたいと思います。
#33
○谷本巍君 それで森実さん、これはあなたにお尋ねするのはちょっとあるいは酷かもしれませんけれども、農地保有合理化法人、それからまた農協の経営委託事業ですね、これが現実に機能しない、うまく機能しないということをよく私ども村回りをしましても聞くんですよ。これが、現実に機能できるようにしていくのにはどういう工夫をすればいいのか、ひとつ考え方があったら聞かせていただけませんか。そこをしっかりせぬと、もう受給資格は出たけれどももらえないという状況がかなり出てきますよ。
#34
○参考人(森実孝郎君) これは、基金の理事長という立場じゃなくて、全くの私見にわたることでございますが、堪忍していただきます。
 私は、今のもとでは農地保有合理化法人も農協の経営受委託も限度があるだろうと思います。やっぱり立地条件の悪い土地、それから特に分散錯圃の場合、この問題が起こってくるという本質があることは否めないと思います。そこで一つの問題は、市町村の区域を超えた土地の利用調整というのをまず農業の中で考えていただくということが、一つの解決へのアプローチであろうと思います。
 もう一つは、これは恐らくあるいは池田さんあたりから反対があるかもしれませんけれども、当面農業として利用する見込みがないものについては、今の例えば、ふるさと創生論というのは必ずしも地域の住民にふるさとを再認識させるだけではなくて、東京とか大都市の住民に、新しい自然に親しむふるさとを持ってもらうという意味も含めて考えるべきだと私は思っておりますし、そういう意味で、むしろ都市住民の中でホビーとして農業なり自然に親しむための道筋というものを本格的に考えた方がいいのじゃないか、単なる自然壊廃とかにゆだねるだけではなくてそういう側面、当面はこんなアプローチがどうも要るのではないだろうかと思っております。
#35
○谷本巍君 次に、田代参考人に伺いたいと思います。結論から申し上げますというと、どんな農業構造をこれから描いていけばいいのか、そしてそれと本年金制度のあり方とのかかわりですね、そのことについて若干御所見を伺いたいと思います。
 これまで農業の安定産地といいますというと、技術水準の高い中核農家がおって、そして周辺に兼業の豊富な労働力がある、これがうまく組み合わされますと安定産地としてうまくいくという実情というものを私どもが多く見てまいりました。最近さらには、こうした問題とともに有機複合生産、そして環境保全型農業、これを追求すべきだという声が都市サイドの中からも多くなってまいりました。そういう意味合いからしますと、この農年制度というのは中核農家育成一本やりであっていいのかどうなのかということについて、私はいささか疑問を持たざるを得ない面があるのです。
 例えば私の、これは当たっておるかどうかわからぬのでありますが、調べたところによりますというと、西ドイツの農業者年金は出発当初は離農年金であった。それが八六年を契機にいたしまして、低所得農業主への保険料補助制度などに見るように、人を確保するための制度に変わり始めてきた。これは何を意味するかというと、産地の安定化ということともう一つは先ほど田代参考人が言われた地域社会の維持問題、そして人口の都市集中化を避けていくという、こういったような政策判断もあってのことではないかと思うのです。日本の場合に、既に農産物市場は総開放も等しい状況に今なってきておるわけでありまして、そんな状況の中で輸入農産物がふえていく、そして日本列島が過疎と過密の二極化の方向になり始めてきているというような状況からしますと、都市問題を解決していく上でもこれからの農業構造というのをどういうふうに想定していけばいいのか、その辺の点について先生の御所見を承りたいのであります。
 また、さらにもう一つの問題は、これは先生自身のお話の中でも既に出ておるわけでありますけれども、女性の問題ですね。農業というのは、これまで経済的資源としてとらえられてきましたけれども、最近は豊かな暮らしを実現する生活資源としてとらえられるという側面が強くなってきておるわけでありまして、そういう意味でも婦人の担い手の出番の時代に私は来たと思うのです。そんな点も含めて、先生の御所見をお聞かせいただきたいのです。
#36
○参考人(田代洋一君) まず、第一点目の年金と農業構造とのかかわりといいますか、どういう経営をイメージしていくのか、それとヨーロッパとの比較ということでございますけれども、私が申し上げるまでもなく、西ドイツなんかでありますとかなり兼業農家も多いわけであります。もう一つ比較されますフランスなんかに行きますとかなり専業農家が多い。しかも西ドイツと日本に比べても、やはりあちらの方が専業農家が多いという形になっているわけです。したがいまして、一方で厚生年金が整備されているもとでもって、しかも広範な安定兼業農家がふえてくるという中では、そちらの方でもってカバーされるものが出てくるとしますと、農業者年金として主として担うべきは専業的な、中核的な農家になってくるだろうというふうに、日本の全体の仕組みからしてそういうふうに考えることになろうかと思います。
 どういう農業構造をということで、先ほど農業生産法人、有限会社のお話も出ましたけれども、これは社会主義も含めて、それからまた資本主義諸国を含めましてもう一度家族経営が見直されていると。中国等においてもやはり家族経営の復活ということが出てくる。そういう中ではこの家族による小経営といいますか、これがその大宗を担っていくものであるだろう。しかも日本の場合には、家族経営でも世界でもまれな直系家族といいますか、三際家族といいますか、こういう形になっていますので、そういう構造を一応健全なものとした上でもってそこでの世代交代を図っていく、こういう年金の仕組みは日本の社会、世界でもまれな日本の社会にフィットしたものであろうというふうに考えております。
 しかし問題は、御承知のように農業者年金に加入している方でも、結構百日、百五十日と日雇い兼業なんかに出ていっている、規模も一町五反とか二町とか比較的規模も中途半端である、こういう方々は現在非常に苦しい状況にございますので、そういうところでも、先ほど出ていました掛金の問題でありますとか農家負担の問題も出てくると思います。こういう人たちをどうやっていわば地域の中核的な担い手にしていくといいますか、そういう努力はどうしても必要ではないだろうか、問題はこの辺が一番今苦しんでいるのではないだろうかというふうに私は見ております。
 それからまた、二点目の婦人の問題でございますけれども、先ほど家族経営、親から子へという縦のつながりと同時に、夫と妻という横のつながりといいますか、それが両方で支えておるわけでありまして、ちょっと変な話ですけれども、私なんかも女房と共稼ぎでございまして、マンションを買ってもこれはやっぱり共有名義に当然なるわけでございまして、そういうことを考えていきますと、先ほどの年金と絡めてもやはり農業なり農地所有なり、農業経営の仕組み全体が骨組みが変わっていく中で、この年金と女性とのかかわりということも考えていかないと無理が生じるのではないだろうか、いろんな摩擦が違ったところで生じるのではないだろうかという感じがします。先ほど、森実参考人から使用収益権の設定とか、そういうお話もございました。最終的には、しかし農地保有自体に働く婦人がどういうふうにかかわっていくのかということがあるのじゃないだろうかというふうに考えております。
#37
○谷本巍君 最後に、池田参考人にお願いをいたします。
 それは、農業委員会の業務執行上の法的位置づけの問題であります。農業者年金の業務は、申し上げるまでもなく年金基金の市町村への委託契約、これを基本としておるわけでありまして、そして農業委員会はその下請ということになっております。形式から見ますとそうなんですけれども、実態から見ますと農業委員会が果たしている役割というのは極めて大きい。そしてまた、農業委員会は行政的にも独立した行政委員会であります。ところが、この関係法律をひもといてみますというとその関係のことは全く出てこないんです、不思議なことに。やはりこれは、業務執行上の位置づけは法的にもきちんと整備されるべきだというふうに考えますが、池田参考人のお考えがどうなのか。そしてまた、できるならばその中身についても御意見をお願いしたいと存じます。
#38
○参考人(池田斉君) 今おっしゃるような問題が、農業委員会として何かこの制度改正と絡んでしっかり位置づけが制度的にも行われるということを念願しておるわけで、この点は従来からも繰り返しお願いをした問題でございます。
 御案内のように、農業委員会は独立した執行機関ではございますけれども、予算の執行権がないというようなこともあるんでしょう、農業会議所とか農業会議は人格があり、農協はもちろんあるわけですが、この業務委託の問題がいわゆる農協と市町村になっておって、それで括弧して農業委員会と書いてあるんですね、括弧して。実態は、農業委員会にやってもらうんですよということですが、このことが括弧ではなくて、農協と農業委員会というふうに制度的にも仕組まれるのが一番望ましい。それがどうしても農業委員会に予算執行権その他がないという問題との関連ならば、市町村と農業委員会の関係を、ひとつこれは農業委員会がやる仕事であるということを市町村の、私は細かいことはよくわかりませんが、市町村が業務をはっきり委任するというようなことを明確にして、何か中途半端な格好で実際は農業委員会がやっている、国もそれを期待しているんですから、市町村と書いて括弧農業委員会と、括弧を事実上取れるというような形での制度の整備をぜひお願いしたい。
 なお、このことにつきましては、ひとつ何とか当委員会におきましてもその辺を強く、これは法律問題ではないようでございますが、聞くところによりますと、省令等でこの辺の問題を今回は工夫してみたいということが政府の側にもあるようでございますので、強くその点を附帯決議その他で御要望を願いたい、要請を願いたいということを私からもお願い申し上げたいと思います。
 以上であります。
#39
○一井淳治君 一井でございますけれども、まず小川原参考人に二点ばかりお尋ねをさせていただきたいと思います。
 第一点は掛金の問題でございます。国民年金の掛金もあわせて払わなければいけないわけですけれども、農家の実態からして農業者年金の掛金というのは相当負担になっているかどうか、その辺のことについてお尋ねをしたいと思うわけでございます。そして、年金の掛金を払わない未払い者が非常に多いわけですけれども、この未払い者が出る原因についてもあわせてお尋ねしたいわけでございます。
 それから第二点は、妻の年金加入、年金受給の問題でございますけれども、農業経営の実態からして妻の加入あるいは妻の受給がどういうことで必要なのかという、農業経営の実態からの必要性の問題。それからまた、いろいろお仕事をなさっておられまして、こういう方法、例えばまず任意加入から始めるべきであるとか、何か始めるについて一気にはなかなかいかないでしょうけれども、こういったところから進めていったらいいのじゃないかとかいうふうなお考えでもありましたらお尋ねしたいというふうに思います。
#40
○参考人(小川原俊夫君) それではお答えいたします。
 年金の掛金の問題で未払いという線でございますけれども、その実態も我々が現場においての大体聞くところによりますと、この改正であれば何とか掛金も掛けられるという線もあるかもしれないけれども、今まではマスコミとかさまざまの面で農業者年金は危ういのじゃないかというようなことで、またその未払いということは、加入したけれども他産業に従事しているというようなことで、先は不安、他産業については弁当を携えて土方に行くというような線であれば、やっぱり土方に行った方が最終的には例えばこれは社員にもなれる。そうすると、厚生年金を払うということになれば、またそれで我々も苦慮しておるところでございますけれども、今まではそういうような状態で、これから制度改正になれば、本当に長期安定というようなことで目標が立つわけでございますので、それについて我々もそれを督励して払うような線に持っていきたいと思うわけでございますが、何分よろしくお願いします。
#41
○一井淳治君 もう一点、後の方を。
#42
○参考人(小川原俊夫君) 婦人加入の問題でございますが、それらにつきましても、現場の声ということでございますと、我々といたしましても、年に一度の総会とかあるいは大会、研修会というようなことで、各組織から役員を集めて行事をやる、改正の問題とかさまざまの問題をやっているわけでございます。その時点におきまして、この婦人問題を何とか解決してくれというような声がありますので、おまえ一番偉いのだから、中央へ行ってそれを要請をしてこいというような会議の質問でございまして、それらにつきましても、きょうこういうような機会によろしくお願いを申し上げる次第でございます。
 終わります。
#43
○一井淳治君 池田参考人にお尋ねいたしますけれども、ただいまの婦人の問題でございます。これは、個人的な、思いつき的な御見解でも結構だと思いますけれども、財政上の問題というのが何といいましても一番大変な問題でございますが、一挙にいけないにしても、だんだんとこういうふうな進め方もあるというふうなお考えがありましたらお尋ねをしたいと思うわけでございます。
#44
○参考人(池田斉君) 婦人の問題は、一つは遺族年金の問題、加入の問題、二つあるわけでございます。
 遺族年金につきましては、これはその仕組みの仕方において、逐次段階的にやれる方法もあるのではないか、これが私の個人的な見解でございます。やはりこれは政府の財政にかなり依存しなければスタートができない、掛金をやたらに上げるということは限界がある、こういうことでございますので、どこから段階的に手をつけるかということです。その辺は、今ここでこういう格好はどうかということは申し上げられませんが、そういうような問題として具体的にスタートを切ることは、段階的にこれをさらに改善していくという形で一定の遺族年金の水準に持っていく、こういうことは可能ではないかというふうに考えております。
 それから加入の問題は、先ほども繰り返し申し上げましたが、森実参考人も言っておりますけれども、農家の実態は家族経営の中では全く差がない、使用収益権を奥さんに移譲すればこれはもう年金の正当な加入資格を持つわけですから、これでやるのならこれは簡単に解決いたしますが、なかなかそうはいかない。やっぱり土地の権利関係はどうしてもおやじがある程度握っているという仕組みを簡単に変えることは、かえって農家のいろいろ平和な問題に傷がつくということもありましょうし、その辺は、権利の所在との関係でできている制度ですからなかなか難しい問題があると思います。
 しかし、この問題は将来構造政策がある一定の水準までいきまして、ヨーロッパ水準のようにいわゆる家族経営を主体として、法人等を含めて日本の農業生産のシェアをそれぞれの作目において相当担う、こういう段階まで来ますと、これはむしろそういう農家をいかにして保全をするかという問題に年金の性格は変わってくると思うわけでございます。そういう段階になれば今のような問題はおのずから解決してくるのではないか、土地の権利に依存をしないような年金制度というものもでき上がるのではないか。そうなれば養鶏だとか養豚その他、農業は土地利用型だけではないのでございますから、それらを包括した年金制度というものが考究されてしかるべき時期が来るのではないか。一日も早くこの年金制度がそういう問題に肩がわりできる時期を私は念願いたしたいと思います。
#45
○一井淳治君 あと田代参考人と森実参考人に一緒にお尋ねしたいと思います。
 田代参考人にお尋ねしたい点は、若い後継者がなかなか加入してこないんですね。その原因あるいは対策というふうなものがありましたら簡潔にお答えいただきたいということでございます。
 それから森実参考人に対しましては、強制徴収をされておられませんね。農協にはちゃんと大変な預金があるんだけれども、未払い者をそのままほうっているというふうなことがありますが、強制徴収をされない何か理由があればおっしゃっていただきたいというわけでございます。
#46
○参考人(田代洋一君) 簡単にということでありますので。
 若い後継者が参加しない理由の一点は、極めて将来が不安定であって、自分自身の将来が不安定ということと年金の将来が不安定である、したがってここに掛けることができない、そういうことであると思います。したがって、前者の方の農業自体の将来が不安定であるということについては、これはやっぱり農業政策全体でもって確固とした日本はこれだけの自給率を守るという、そういうことがどうしても必要だろう。後者の年金の不安定性ということにつきましては、今回プラス四百億という中ではかなり信頼感が出てくるだろうというふうに見ております。
#47
○参考人(森実孝郎君) 保険料の未払いの問題でございますが、実は私は、実態的には農業者年金の保険料の未払いはほとんどないという見方をしております。どういう場合があるのかと申しますと二通りございまして、一つは保険料を納付できる期間、つまり逆に言うと時効期間というのは二年あるわけです。そこで都合のいいときまとめて払おうといって毎月きちっと払わないという方が今までかなりあった、それが過渡的には未払いという数字で出てくるという問題が一つあるわけです。
 それからもう一つは、経営移譲を行います際、私ども後継者加入をできるだけ勧奨するわけです。そうすると、入りたくないんだけれども、それじゃ一回だけ払っておこうかということで一回払っておいてあとやめてしまうというケースがあるんです。私どもちょっと仲間内ではぜい肉と言っているんですが、これは好ましいことではないので、余り無理をするなということを私申しておるんです。実質的には余り保険料の未払いはないと思います。
 そこで、強制徴収の問題の前に、実はことしからいよいよ本格実施に入るわけでございますが、農協の口座引き落とし契約を励行いたしまして、毎月決まった時期に自動的に引き落としてもらう、信連のコンピューターで自動的に、適期に私ども基金に送金してもらうというシステムを導入いたしましたので、そういった問題はほとんどこれからはなくなってくるのではないだろうか。この点はもう国民年金と本質的に違う点でございます。
 それから、なおこの機会におわびしたいんですが、先ほど細谷委員の御質問に答えました際、婦人の加入率でちょっと間違った数字を申し上げましたので。全体の平均が四%以下でございます。それで、八%から一〇%と申しましたのは二十代でございます。三十代が大体六%弱ぐらい、それ以外は実は四%以下という形で年齢によって非常に差がある、平均して四%と、こういうことでございます。おわびを申し上げます。
#48
○成瀬守重君 参考人の皆さん、御苦労さまでございます。質問時間が十五分でございまして、皆さん方のお答えまで含めてでございますので、基本的な問題に絞ってまとめてお伺いしたいと思います。
 今回の改正は、農業者の高齢化だとかあるいは経営規模の拡大や農業構造の変化に対応して、農業者年金制度の財政基盤の長期的安定をねらったものと思われますが、しかし年金財政は加入者が減っていることなどから、単年度収支で昭和六十一年から赤字が続いております。平成元年度の見込みからいいましても、保険料や国庫補助金、運用収入などで二千三十六億円に対して給付金は二千四百十八億円、差し引き三百八十二億円のマイナスで、年金の資産額を取り崩して補てんしている現状でございます。平成元年度の見込みで資産総額は四千九百十九億円ですから、このままでは七年ぐらいで資産を食いつぶしてしまうのではないか、当然改正しなければならないということを感じるわけですが、若い農業者が減り高齢の年金受給者がふえるという構造の中で、農家にとって必要不可欠な年金制度を維持し財政基盤を確立することは大切でありますから、速やかに成立を願うものでございますが、次のような点を御質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、第一点は小川原参考人にお願いしたいと思います。今回の改正案は、今述べましたような現状を踏まえて、将来を展望して行政当局その他の方々が立案したものでありますが、果たして農業者の実情というものから見てどのような感想をお持ちになっているか、再度伺いたいと思います。
 第二点は、田代参考人に伺いたいと思います。今回の改正案では、平成二十七年、二〇一五年ですが、被保険者数と受給権者数がそれぞれ三十四万人から三十五万人ぐらいでバランスがとれる、単年度収支が改善されるのではないか、そのときまで国が追加補助をすることで年金財政を支えていこうと考えられていると伺っておりますが、二〇一五年にバランスがとれる、つまりそういった面での年金受給者数と被保険者数とのバランスがとれるということについてどのようにお考えになっているか、その点をお伺いしたいと思います。
 第三点は、池田専務理事と森実参考人に伺いたいと思いますが、年金財政基盤の長期的な安定を図るために、保険料の段階的な引き上げだとかあるいは現在の受給額は保障されているけれども、年金額の必要な範囲での物価のスライドということも停止するということを考えられておりますが、そういった点についてどのようなお考えを持っておられるか。
 そういった点についてお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
#49
○参考人(小川原俊夫君) では、お答えいたしますが、年金についての農業者に対しまして将来の展望ということで御質問がありました。これは、我々といたしましては、このたびの改正によりまして将来展望が見出せると確信をいたしておる次第でございますが、よろしくお願いします。
#50
○参考人(田代洋一君) 御承知のように、二〇一五年でのバランスといいますのは新規加入者を大体最大で一万七千人、少なくとも一万五千人という数で見て、そこでバランスするだろうということであるわけですね。今の実績とそう変わらないわけであります。そうなってきますと、一万五千人を確保するということは農業政策全体として農業の明るい展望が出るような、そういうことがないとやはり苦しいだろうというふうに見ております。
#51
○参考人(池田斉君) 保険料を今回のように八百円ずつ段階的に引き上げていく、これは苦しいわけでございますが、やはりやむを得ない問題であり、国も大いに負担してもらうし加入者も負担をすると。ただ、受給者につきまして物価スライド等を一時停止をすることができる、こういうふうになっております。加入者の立場からの保険料の問題を考えますと、これは減らすのではなくて一定の時期までそれを待ってもらう、こういう問題が今後の中にあるわけでございまして、これは何も農業者年金だけではなくて、ほかの年金制度にも当然みんなあるわけでございます。したがいまして、受給者も若干我慢をしてもらうというようなこと、しばらく我慢してもらう、こういうことは大変だとは思いますけれどもそれ以外に手がないのではないか、こういうふうに考えますので、受給者と加入者それから政府と、これがそれぞれ痛み分けをしなきゃこの制度は成り立ちませんから、そういうふうに私は理解をいたしております。
#52
○参考人(森実孝郎君) 当初は、年々千円程度の保険料の引き上げということを、農家の実態から八百円程度の引き上げに抑えてくれないか、実は、保険設計としてはその結果国の追加助成がふえるという形になったわけでございますが、現実から考えてこの程度はやむを得ないし吸収できるのではないかと思っています。
 物価スライドの停止の問題は、ただいまも池田参考人からもお話がございましたように、他の公的年金とのバランスの問題として受忍されると思いますし、特に現在の受給者は、実は保険料と給付の関係が非常に有利な経過措置の適用を受けた方々が多いので、むしろその意味では、年齢差のアンバランスが多少なりとも是正される面もありまして御理解いただけるものと思っております。
#53
○成瀬守重君 以上です。
#54
○刈田貞子君 参考人の皆様きょうは大変御苦労さまでございます。先ほどから大変貴重な御意見を勉強させていただいております。私もたくさん時間を持っておりませんので、質問を先に申し上げまして後お答えをまとめて各参考人からいただきたいと思います。
 女性の年金権の話が出ておりましたので、そのことをまず最初にお伺いしたいと思います。私は、この前の改正のときにも農村女性の問題について集中的にお伺いした記憶がありますが、そのときに申し上げたのは、やはり日本の農村では、基幹的労働力というのは実は六割以上が女性ではないかということで、しかしその女性の農村社会における老後保障というのはまことに薄いものだろうということで、遺族年金等も含めて女性の年金権の問題を実はお訴えした記憶がございます。
 先ほどからお話を伺っておりまして、森実参考人の話を私も実は考えておった者の一人なんですが、確かにこの制度の中で女性の年金を何とかクリアしてみたいというのが言いたい部分なんですけれども、さっき言ったような痛しかゆしの部分が確かにあるわけですね。そこで婦人問題、女性問題としてこの農村女性の年金の問題を考えていくべきであるという御意見には私も賛成ではありますけれども、そうしますと、やはり基礎年金部分のところで考えていかなければならないだろうということになりますので、これはかなり課題が広がりまして大きくなっていくというようなことで、先ほどおっしゃっておられたけれども、いい案が何かないものでしょうか。もう一度これは伺いたい。
 それから、小川原参考人に同じ話をお伺いするのですが、農村社会において、老後保障という問題は非常に大きな課題であろうというふうに思います。超高齢化が進んでいく今日特に言えることであろうと思いますが、その中でも、特に一体農村の女の老後保障というのは現場でどんなふうにとらえられておるのかという問題ですね。これをひとつ現地の声として聞かせていただきたい、こんなふうに思います。
 それから、池田参考人にお伺いをしたいのは、この二十年続いている年金制度が、当初の目的としての構造政策に、先ほど来からお話を伺っていて大きに寄与しておるというお話でございますが、六十二年度で土地を譲り受けした後継者の就業状況を見ると、サラリーマン後継者が五八%になっているということ、これは農業会議所のデータじゃないでしょうか、数字を見るんですね。これで当初の目的が果たせておるのかどうなのかという問題と、それからこのサラリーマン農業者という人たちの意識調査もここにあわせてあるんですけれども、その中では、この方たちは小作料を取ってそれで暮らすんだと四〇%、宅地に転用したいが一〇%、ただで管理してもらいたいが四%で、農地として売りたいというサラリーマン農家は四%程度しかない、こういうふうな数字をお出しになっておられますね。この辺のところの、つまり移譲された後継者の実態がこんなふうな実態であるということについて、今後この制度と絡めてどういうふうに考えていけばいいのかという問題をお伺いしたい。
 それから田代参考人には、先ほどのお話の中で、この年金制度にはいわゆる構造政策的側面とそれから社会保障的側面と、もう一つは地域社会維持的な側面を付与していく必要があろうかというお話をなさいました。私は、何かおっしゃられようとすることがわかるような気がいたします。できれば、この地域社会維持的な側面の付与ということについて、もうちょっと詳しくお伺いできればというふうに思います。
 以上でございます。
#55
○参考人(森実孝郎君) 私、先ほど申し上げましたのは、現在審議していただいております法律の枠で考えた場合は、現に若い人からふえている婦人加入の問題をまずできるだけ運用として、実態がそうであればやってほしいということを指導し督励していくことがまずあるだろう。いわゆる二人加入の問題とかあるいは遺族年金の問題は、なかなか制度上の問題であり保険料負担の問題にも属するわけでございますので、これは少し専門的な立場で、時間をかけてじっくり議論をしてみる必要があろう、こういう意味で申し上げたわけでございます。
 いずれにせよ、これは数字の世界でございますので、何か直前の名案があるわけではございませんので、結局費用と負担の関係をどういうふうにバランスをとって調整するかという中で考えなきゃならぬし、それからもう一つは、保険というのは異世代間の負担と給付の関係の上に立っておりますから、異世代間の合意をどうつくっていくかという問題もあるわけでございまして、そういう意味で、じっくり専門的に勉強させていただく必要があるのではないかと申し上げたわけでございます。
#56
○参考人(小川原俊夫君) お答えをいたしますが、女の農村における老後保障につきまして現場の声がどうだろうというような御質問でございますけれども、さっきも申し上げましたとおり、農村におきまして、特に家族の経営の中で最も苦労しているのが女であるということがたびたび聞かれるわけでございまして、それらについて、この機会におきましてその制度の実現にひとつ御助力をお願いしたいと思うわけでございますが、何分ひとつよろしくお願いします。
#57
○参考人(池田斉君) 今統計の数字等でのお話があったわけでございますが、構造政策に寄与するということで二十年間来たわけです。それはそれなりの役割と成果を持った、こういうことを私は意見として申し上げたわけでございます。そういう中におきまして、特にサラリーマン農家に移譲する、サラリーマンに移譲する、これが圧倒的に数が現在多い。それで、サラリーマンとして経営移譲を受けたもののこれからどうするかというような、そういう意向調査というものに関連したお話があったわけでございますが、小作料を取ってそのまま暮らすんだ、サラリーマンを続けるんだ、これがかなり大きいという、これは当然だと思うんです。
 ただ、その場合に、小作料を取ってやるんだということではなくて、今度分割移譲の面におきまして、そういう面につきましてもある一定の率以上のものを第三者に移譲する、これは使用収益権でいいわけでございますので、それが出た場合にはおやじさんの年金は停止にならないというようなことに今度はなりますので、その辺のことを積極的にこれからは推進するようなことをPRをして、ただ小作料を取ってそのままおるということではなくて、ひとつ立派に将来農業をやろうという者に貸して、そして使用収益権をそこに設定をすれば、今までは、もう自留地は別でございますけれども、そんなことをするとすぐおやじさんの年金が停止になる、これを救う道が分割移譲の段階にあるわけです。
 また、サラリーマン農家に移譲する場合の経営移譲をする経営主は、できれば第三者に相当のものを移譲すればこれは今度は年金の支給停止にならないわけでございますから、また受けるサラリーマン農家はむしろ貸して、自分は依然としてサラリーマンとして働こう。こういう問題との調和もできると思いますので、今度の分割移譲のいろんな問題を上手にひとつPRをし、運営してもらえればその辺の問題はおのずから解決をしていくのではないか、この意向に沿うような形がとれるのではないか、こういうふうに私は考えております。
#58
○参考人(田代洋一君) 先ほど私が申しましたのは、年間で千四百億ですか、かなり大きな財政負担、これは先ほども御質問がありましたけれども、国民が一体それをどう見ているかという中でもって、こういう負担を根拠づけていく上で、今まで社会保障、構造政策、やはりもっと国民の支持を得るためにはその中にもう一つプラスする必要があるのじゃないか、こういうことで申し上げたんです。
 私どもは、過疎地の農村なんかを訪ねてみますと、こういう過疎地の農村だともう道も何もかもみんな荒れちゃっているだろうというふうに思って行きますと、例えば広島の山の中なんか行きますと、実は、そういう中でも非常に整正と道路も整備されているし、きちっとちり一つないものがある。だれが一体やっているのかということで考えていきますと、それはもうほとんど農業者がやっているわけです。
 もしも地域からそういう農業者がいなくなってしまって、国土保全、景観の維持、環境の保全、こういうお金がもしも、今までは農業者ははっきり言ってただでやってきたわけでありますから、これがなくなっちゃいますとこれからは農水省の予算はつかなくなるかもわかりませんけれども、もう恐らくその建設とか国土保全のための莫大な費用が逆にかかってくる。むしろ、そういう全体の国民の負担を減らす上でも、もうちょっと農業者がただでやってきた国土保全の機能でありますとか景観維持の機能でありますとか、こういう側面に着目をして、そういう景観を保持してくれた方々への感謝の気持ちと、これからまたそういう景観を保持してほしいという願いを込めることができれば、やはり財政負担の根拠がもう一本柱が立ってくるだろう、こういう考えで申し上げた次第であります。
#59
○刈田貞子君 もう一つ、田代先生に最後にお伺いしたいんですけれども、先ほどの婦人の年金の話ですが、今回の農業者年金について、遺族年金の問題がかなり前回あるいは前々回よりは真剣に取り扱われたというふうに私は思っています。ただ、それが今回実現しそうもない。しかし、させたいというふうにも思います。その中で、理由が財政負担が非常に大きいからという理由では農村婦人は納得しないだろうというふうに思うんですね。聞くところによると、三百億ですか、三百億の財政出動を伴うというような話もちょっと聞いておりますけれども、それでは私は、農村婦人は納得しないだろうと思うんです。やっぱり四百億それから三百億ですか、七百億のような、農村がそれだけの負担を得て、なおかつ農村婦人の女性の立場が非常に安定してくるのならば私は大きにやるべきであろうというふうには思いますけれども、むしろそれよりはこの制度そのものの仕組みの中に難しさがあろうかということを実は勉強しながら考えているんです。
 それで、もっと違う形で何か農村婦人の年金権の確立ということが言えないだろうか。もっと農村婦人の問題だけでなく、一般的に言っても国民皆年金ということで女性の年金権が保障されて基礎年金部分が導入されたけれども、あの基礎年金部分だって全く女性の立場からいえばお粗末なものであります。そういう観点から、農村婦人の年金権の問題も解決していく方向に持っていけるだろうか、いくべきだろうかということをもう一度お伺いしたいんです。
#60
○参考人(田代洋一君) 私、参考人の中でも利害関係者じゃございませんので、いわばそういう観点からは、財政負担の問題という側面を私は余り考えていなくて、おっしゃられるように制度上の問題だろうというふうに考えています。いわばヨーロッパ流の個人に年金が支払われるという個人主義と、それから日本の農村農家が「いえ」という形でもって「いえ」の家族が一体となってやってきた、この仕組みの違いがどうもしっくりいかない側面があるんだろうというふうに思う次第であります。
 したがいまして、むしろこれは、こういうところで申し上げると怒られちゃうかもわかりませんけれども、やはり女性が声を大にして、そういう家族経営の中で、農地保有も含めてみずからの権利を主張していくという、そちらの方でもって突破できない限りはなかなか年金の方でもって、出口の方で突破するというのは難しいのではないのか。お聞きするところでは、国民年金基金ですか、具体的な手だても講じられるそうでございますので、そういう中でもって実績を積まれていく、これだけ要望があるんだという形でもって突破していただくことをお願いしたいというふうに考えております。
#61
○刈田貞子君 終わります。
#62
○林紀子君 きょうは、どうも大変参考人の皆さんありがとうございます。質問する時間が限られておりまして、皆さんに御質問できないので大変申しわけありません。
 まず、田代参考人にお伺いしたいんですが、今の日本の農政の先行き不安、日本の農業に対してこれから先どういう面で展望を持てるのかという大変大きな、根本的な話なんですが、そこをお伺いしたいと思うわけです。
 といいますのは、基金が発行していらっしゃる「のうねん」百五号には、昭和六十二年の基金の未加入者のアンケート、どうして基金に加入しないかという調査をした結果を載せておりますのでそれを見せていただきましたが、農業の将来が不安である、だからこの年金には加入しないというのが二八・二%、保険料を納付するのが大変だというのが二二・一%、この二つの理由でもう五割を超えております。さらに、後継者がいない、こういうことのために加入しないという方が一四・四%、これも農業に対する先行き不安が原因だと思うわけですが、今の農業の現状というのを見ますと、牛肉・オレンジの自由化、減反は押しつけられる、畜産物価格は引き下げられる、しかも米の自由化の問題まで大きくクローズアップされている。すべてが農業の先行き不安というものに結びつくと思うわけです。
 大変短時間でこういう大きい問題をお聞きするのは恐縮ですが、ぜひこの辺の展望ということについて御意見をお伺いしたいと思います。
#63
○参考人(田代洋一君) なかなか難しい問題でございまして、まさにおっしゃられるとおりの……。我々は、自分の子供のことを考えても、やはり将来の展望もないのに一定の職につかせるというのはなかなかできかねることでありまして、私なんかも大学で教えていて内心じくじたるものがあるわけであります。
 私は、特に米の自由化の問題、ここははっきりと米の自給体制を死守する。一粒たりとも入れないということをはっきりと恒久的に約束をしていくという形でのひとつあれが必要ではないだろうか。また、国内におきましては、特に土地利用の規制緩和といいますか、いろいろと農地がまた売られていくような状況がありますので、その辺をきちっとしていくことが必要だろう。何といっても国民的な合意のもとに、食糧自給率を一体どの程度に保つのかというところをはっきりと示すということが、若い人たちに一定の展望を持ってもらう最大のポイントではないだろうかというふうに考えております。
#64
○林紀子君 それでは、申しわけありませんが、森実参考人と池田参考人に続けて質問をさせていただきますので、よろしくお願いします。
 まず、森実参考人にお願いいたします。今回の改正では、保険料を一九九六年まで毎年、月八百円ずつふやされるということになっておりますけれども、世帯単位で見ますと、国民年金の掛金、そしてこの農年金の保険料と毎月の家計費に占める割合というのは相当なものになると思います。農業者年金制度研究会の中間報告書では、フランスや西ドイツの農業者年金制度が紹介されておりますが、それによりますと、西ドイツでは国庫補助率が一九八六年で六九%に達している。低所得の農家には保険料の補てんを行っている。またフランスでは、一九八八年で補助率は八八・六%にも達しているということを聞いております。森実さんが、昨年一、二月号の「のうねん」の誌上座談会でも、フランス、西ドイツの例を引いて、デカップリングなどにも触れながらお話しになっていらっしゃいますが、将来の年金のあり方というものについて、どういうふうにお考えになっているかということについてお伺いしたいと思います。
 済みません、質問を先にさせていただきますが、池田参考人にお伺いしたいのは、今随分出されました女性の年金加入の問題ですけれども、今までも随分この場でも論議がなされましたし、また従来から論議がなされまして附帯決議も行われているわけです。この女性の年金というのはなかなか実現されていないわけですが、年金への新規加入者の確保という面でも、この女性の年金の加入とともに、農地を所有していないということでは先ほどちょっとお話がありましたが、養豚、養鶏、こういう農業者もこの年金には加入資格がないということなわけです。このあたりから加入資格を拡大するということについて検討もされてしかるべきではないかと思いますが、そのことについてどうお考えになるかということをお聞きしたいと思います。
#65
○参考人(森実孝郎君) 保険料の月額八百円の引き上げというのは、先ほども申し上げましたように、千円の引き上げという案を、農家の現実の声を反映して八百円の引き上げに抑えていただいたという経緯がございます。全体の研究会の論議といたしましては、やはり高い年金額よりも、ある程度年金額を抑えても保険料の値上がりを抑えるべきだという議論がかなりあった。そこら辺が、両者バランスがとれた形で今回の再計算が行われている。私は、現実的にはまあまあバランスがとれたものじゃないだろうかと見ております。
 それから国庫補助の問題でございます。これは国によって支給要件、支給額、皆それぞれ違います。国庫補助についても、ドイツとフランスでは国庫補助といってもむしろ内容が非常に違うわけで、一般財源、間接税等の特定財源、さらには他の年金基金からの拠出金等もありますので一概に議論できませんけれども、高額補助になっているわけでございます。実は、そういうものをお読みいただいたので、もう隠し立てしてもしようがありませんが、私も農政の重点が変わってきている今日の状況にかんがみ、やはり専業農家の数が減少するのは時代の趨勢であると同時に政策の方向でもあるわけで、そういう意味で、西ドイツ、フランスの例にあるように、思い切った国庫助成をこの際やってほしいということを強く要望して、経営移譲年金換算で言うならば七五%という、実質的には高い国庫補助を実現していただいたことには敬意を表しております。
#66
○参考人(池田斉君) 女性の年金加入の問題は、先ほどから繰り返し申し上げておるわけでございまして、家族経営という中での夫婦の土地所有に対するあり方との関連を含めてこれは仕組みができているので、その辺を将来どうするかということは一つの課題でありますが、当面なかなかこれは難しい問題ではないか。ただ、私は先ほど申し上げましたように、今のところ土地利用型農業の構造政策にシフトしながら、この年金が、将来の展望の中でどれだけの役割を他の構造政策と絡めながらでき上がるか。二十一世紀の農業の構造の姿というものが、本当に好ましい姿に日本の農業として確立すれば、その段階では土地制度に依存するような年金制度というものが果たしてその後も必要であるかどうかということは、私は疑問になるような感じがいたします。
 そういう段階で、婦人も男性も全く同一の姿の中での問題になるので、そういう段階になれば、今農業者として欠けておるいわゆる養豚、養鶏その他施設型農業にもいろいろあります。そういうものをひっくるめながら全体の年金制度のあり方をどうするか、むしろそういう立派な経営を我が国としてはそれを保有しなきゃならぬ。ヨーロッパはその水準にいっておると思います。そういう段階で、初めて整合性のある立派な年金制度というものができ上がるのではないか。これはかなり先の問題でございますが、そういうことが近づくことを私は念願いたしております。
 以上であります。
#67
○井上哲夫君 私から一点だけお尋ねをしたいと思います。
 今いろいろお忙しい中来ていただいてお話を伺いました。結局遺族年金といいますか、女性の年金の受給の問題にやや集中しておる感がありますが、この問題の中でどうも議論を聞いておりますと、行く行く農業構造といいますか、あるいは今池田さんがおっしゃったようなそういう体制が整備されれば、そこから新しい土地所有に限定されない年金システムが生まれるんだろうというふうなこと、一方では、今回の改正で加入促進はできると言いながらいろんな参考人の先生方のお話を伺うと、やってみないといささか不安は残るというふうに私自身受け取らさせていただいたわけですが、そうするとどうも鶏が先か、卵が先かという感じの議論になっていくのではないか。つまり加入促進が、本当にこの改正で実現が思うような数値を見るのかどうか。これはやってみないとわからないということになると、そういう受給者と加入者のアンバランスが是正されたときには新しいシステムが生まれると言っても、実際には絵にかいたもちの感がなきにしもあらずだと私はきょうの御意見の中で受けとめました。
 そこで、池田さんにお尋ねをするわけですが、女性の年金受給資格を導入しようとする場合には、新たな制度を考えないと本来は無理ではないかというふうに受けとめた方がいいのか、財政的な問題が解決されれば導入はできるとお考えになっているのか、その点何度も答弁の席に立っていただいて恐縮でございますが、よろしくお願いをいたします。
#68
○参考人(池田斉君) 女性の加入問題は、制度の仕組みが変わらないとなかなか困難ではないか。今の制度でも使用収益権を奥さんに渡せば、これはもう加入できるんですから問題はないわけです。ただ、遺族年金につきましては、財政の問題との絡みの中でそのスタートができないことはない、それは段階的にどういうふうにして遺族年金の問題はやるか、こういうことで私は解決できると思うんですが、加入の問題はなかなかその辺の問題が難しいのではないかというのが私の見解でございます。
#69
○井上哲夫君 以上です。
#70
○星野朋市君 最後でございますので、一点だけお尋ねをいたします。
 田代参考人にお願いしたいと思いますが、実は社会保障制度審議会から、
  農業者年金制度は、農業経営者の若返りや農業経営規模の維持拡大といった農業政策上の要請に応じることを主眼としているが、年金保険という形態をとっており、その政策効果についてはいぜんとして明らかではない。
  この際、本制度の目的とする農業政策上の有効性と、公的年金制度としての社会的妥当性について、その両面から根本的に再検討し、制度本来の在り方をめぐる累年の疑念を払拭するよう強く要望する。
という答申が出ております。ここら辺について先生はどうお考えでございますか。
 というのは、実は先ほどから問題になっております新規加入者の問題がございます。それで、今回の改正によって追加助成金は平成七年度において五百十六億円という金額になっております。本来の制度からいったらこれはバランスをとらなくてはおかしいことでございまして、農業政策上の助成というなら話はわかるのでございますけれども、これがその後平成二十七年ですか、四半世紀後に要するにバランスがとれるという状態では、その間累増するおそれがあるというわけですね。ここら辺の御見解を最後にお願いしたいと思います。
#71
○参考人(田代洋一君) まず、年金の政策効果ということでございますけれども、やはりまず第一点目に、農地の細分化の防止を行うということが大きな政策目標として掲げられているわけです。そのことに対して世間様は余りお考えになっていらっしゃらないわけですけれども、こういう話があるわけです。実際、今これだけ地価が高くなってくる中でもって、次男、三男、娘さんからもいろんな相続の要求があるというときに、おやじは年金でもって一括息子に渡さなきゃいけないんだから、もうおまえたちは我慢しろということでもって説得をするとか、これは一つの例でございますけれども、そういう意味では、細分化防止という点では非常に大きな効果を上げてきている。
 ただ、その辺についての正当な評価がなされていないということを感じるわけです。これは細分化防止をされた農地が、今後第三者移譲で移っていくならば、農地の細分化を防止しつつかつその規模拡大にも寄与する、こういう効果は大きいものがあるだろうということが一点目でございます。
 それから二点目に、一番最初に申しましたけれども、やはり農村では、地価が高くなれば高くなるほど世帯主が最後まで農地の所有権、収益権を持っていてなかなか手離さない。そのことによってせっかくいい経営ができていきながらも経営の若返り、世代交代が図れなくて、意欲があった経営が次の代には意欲をなくしてしまう。こういうものに対しまして、かなりの程度農村では一定の時期に、六十代で世代交代をやるのであるという社会的な慣行をつくっていく、そういう点では私はやっぱり大きな効果があるだろうと思います。このことは、サラリーマンの方々にはちょっとわかりにくい点かと思いますけれども、私はそういう効果があると思います。
 それからまた三点目には、構造政策効果としましての第三者移譲の点でございます。規模を大きく拡大していく、そういう点では確かに今まで、先ほど言いましたように第三者移譲は一〇%ということでありましたので、なかなかその点での効果は十分でないものがあったということは率直に認めざるを得ないと思います。しかし、それは制度が非常にある意味では硬直的でございまして、一括して今回渡さなければならないという中で、やっぱり裸になっちゃうわけでありますから、なかなかそこまで先祖伝来の農地でありますので踏ん切りがつかなかった。これが今回、第三者移譲と後継者移譲の分割が可能になってきますと、私はそこで大きく今までの難点がクリアされてくるだろうというふうに考えております。
 それからまた、財政負担の点につきましては、私はそういう点におきましては素人でございますので、余り申し上げられないわけですけれども、やはりこういう負担をどうやって位置づけていくかということは大きな問題でございまして、例えば農産物価格を引き上げる、そういう形では、もはや農業者の所得を高めていくことがなかなかできなくなっている状況の中でもって、国際的にもそういうものに対する摩擦がある中でもって必ずしも生産を刺激しない、そういう形でのむしろ生産の効率を高めていく、こういう形で農業者年金が果たしている役割を強調しつつ、やはり一定の財政負担をお願いする、こういう形になってくるのではないのかというふうに考えております。
#72
○星野朋市君 結構です。
#73
○委員長(仲川幸男君) 以上をもちまして参考人の方々に対する質疑を終わります。
 参考人の方々に一言お礼を申し上げます。
 本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席をいただき、長時間にわたり有意義な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。本委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。(拍手)
 本日の審査はこの程度にとどめます。本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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