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1990/06/05 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 社会労働委員会 第6号
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1990/06/05 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 社会労働委員会 第6号

#1
第118回国会 社会労働委員会 第6号
平成二年六月五日(火曜日)
   午後零時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月一日
    辞任         補欠選任
     菅野 久光君     深田  肇君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜本 万三君
    理 事
                小野 清子君
                前島英三郎君
                糸久八重子君
                高桑 栄松君
    委 員
                尾辻 秀久君
                木暮 山人君
                佐々木 満君
                清水嘉与子君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                西田 吉宏君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                深田  肇君
                堀  利和君
                木庭健太郎君
                沓脱タケ子君
                乾  晴美君
                勝木 健司君
                西川  潔君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  津島 雄二君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     加藤 栄一君
       厚生大臣官房審
       議官       伊藤 卓雄君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       仲村 英一君
       厚生省薬務局長  北郷 勲夫君
       厚生省保険局長  坂本 龍彦君
       厚生省援護局長  末次  彬君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       自治省財政局調
       整室長      香山 充弘君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民健康保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○麻薬取締法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 去る一日、菅野久光君が委員を辞任され、その補欠として深田肇君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(浜本万三君) 国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○糸久八重子君 それでは、今回の改正案は、基本的には前回の改正で、八八年、そして八九年度二年間の暫定措置とされていた部分を恒久化しようとするものですね。前回改正時の附帯決議に、「制度の長期的安定を図るために必要な措置について、国と地方の役割分担と権限、低所得者への対応等を含め、幅広く検討を行い、その結果に基づいて、昭和六十五年度から抜本改革を行う」というふうに求められているわけですが、国保の現状は一刻も早く本質的な改革を必要としているわけですけれども、大臣、幅広い検討を行って抜本的改革として今国会に自信を持って提出をなされたのかどうか、まず冒頭にお伺いをしたいと存じます。
#5
○国務大臣(津島雄二君) 国民健康保険制度につきましては、参議院社会労働委員会で今御指摘のような附帯決議をちょうだいいたしております。その趣旨に沿いまして国保制度の長期安定確保策につきまして、昭和六十三年九月以来社会保障制度審議会において幅広い角度から御検討をいただいたわけでございまして、その結論として昨年十二月十四日に意見書が取りまとめられたところでございます。政府としては、その御意見を踏まえて、関係者と協議の上、今回の改正案を取りまとめたものでございます。
 その内容は、低所得層問題等国保制度の抱える構造的問題に対処していくために、国庫助成の充実による保険基盤安定制度の確立と財政調整機能の強化等の措置を講じることとしたものでございまして、保険者の財政負担を軽減し、制度運営の安定化を図るという趣旨に沿うものと私は考えております。
#6
○糸久八重子君 前回の改正は、老人保健制度とかそれから退職者医療制度の創設によって国保の年齢構成が被用者保険制度より高いことによります高齢者医療費の過重負担を是正するための措置がとられたその後を受けて、医療費の地域差や所得差という残された構造的な不安定要因を克服することによって財政基盤を強化する、そして医療保険制度の一元化への橋渡しをするというものであるという、趣旨説明の中にあったわけですが、二年間の事業の実施によってそういう所期の期待どおり国保の体質改善が進んだと考えてよろしいのかどうか、八八年度改正の総括も含めて大臣の御認識を承りたいと思いますが。
#7
○国務大臣(津島雄二君) ただいまお話がございましたように、昭和六十三年の制度改正におきましては、低所得者問題に対応するための保険基盤安定制度が導入され、医療費の地域格差の是正を図るための高医療費市町村の運営安定化対策などが実施され、国と地方が一体となって国保の構造問題に取り組む仕組みができたわけでございます。
 その後の推移を見ますと、市町村における国保事業の運営は医療費の伸びなどいろいろな要因の影響を受けてきたわけでございますが、この六十三年の制度改正によって国保の体質改善がどれだけ図られたか、判断をするにはなかなかいろんな要素があって難しいわけでございますが、例えば保険料負担で見てみますと、六十三年度の一人当たり保険料の伸び率は、昭和六十一年度一二・九%、六十二年度は八・六%であったのに対して六・一%に鈍化をしてございます。この背景には、六十三年度の医療費の伸びが相対的に低かったという事情もございますけれども、財政効果も働いているというふうに考えております。
#8
○糸久八重子君 体質改善が図られたかどうか非常に判断が難しいとおっしゃられたわけですが、そういう判断の難しい状況の中で恒久化するということについてはちょっと問題があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#9
○国務大臣(津島雄二君) もとより、今回の御提案しております改正が問題を完全に解決するものではないということは私も率直にお認めをいたしますけれども、とにかく目標といたしますところの医療保険の一元化、そしてまた負担と給付を公正にするという方向に向けてやれることはきちっとやっていかなければならない、そういう角度から考えますときに、当面これはぜひともやっていきたい、お認めをいただきたいという制度改正と私は受けとめております。
#10
○糸久八重子君 加入者本人が納める世帯当たりの保険料を医療保険制度別に比較しますと、一九七五年には国保が三万九千五百円、政管が四万八千三百円、組合が四万八千三百円ということで、一番国保が低かったわけですね。ところが、一九八〇年度になりますと、これが政管と組合を一気に追い抜いたわけです。国保八万二千百円、政管が八万円、組合が八万九百円。そして八八年になりますと、これがもうさらにその差が開きまして国保十三万八千円、政管が十一万八千円、それから組合が十一万四千円というふうに、一九八〇年以来ずっと三つの中ではトップの座を占めているわけですけれども、特に年間所得四百万円、収入ベースでは六百万円という形になりますが、この前後の加入者というのは国保の方が政管の二倍近く高い保険料を納めています。所得の水準が低くて、そして給付率が最も低い制度というのが国保なんですけれども、それが最も高負担になっているということは大変矛盾していると思うのですが、その点について幾つかお尋ねをしたいと思います。
 私は、この矛盾について、我が国の社会保障制度の一番恥ずかしい部分じゃないかなというふうに感ずるわけです。大臣はこれについて、少なくとも不公平のシンボルの一つであるという、そういう認識はお持ちでしょうか。
#11
○国務大臣(津島雄二君) 医療費を保険制度で賄っていく、国民皆保険ということで国民の皆様方が医療費の問題で公的に担保をされるという制度を私ども今大事に大事に運営をさせていただいておるわけでありますが、保険制度である以上その保険制度の背景にあるいろいろな事情が制度に浸透してくることはこれはやむを得ないことでございます。したがいまして、国保制度について人口の高齢化等が進んでまいります中で、今御指摘のような趨勢をたどっておるわけでございます。私はそのことは否定をいたしませんし、またそのことは放置してはならないということから、一連の制度改正をお願いをし、実施してきているわけでございます。
 医療保険制度である以上は、ほっておけばそういう問題は出てくるわけでありますから、私どもとしてやるべきことはそういう問題を一つ一つ丹念に取り上げて改善をする、解決をしていくというほかはないわけでございまして、そういう努力によりましていろいろな幾つかの医療保険の制度間における負担の公平化を進めていくということでございます。老人保健制度ができまして以来の委員各位にもお願いをし、私どもも一生懸命努力してきたところはすべてそういう角度からの努力であるということは御理解をいただきたいと思います。したがいまして、今その現状そのものを取り上げて直ちに不公平であるというふうには私は受けとめてございません。
#12
○糸久八重子君 三つの保険の中でトップの座を占めてから大体十年近くたっているわけですけれども、そういう異常事態を十年間もほっておいたという、その責任についてはどうなんでございましょうか。
#13
○国務大臣(津島雄二君) 何事もよく御理解の委員にお言葉を返すつもりはございませんけれども、十年間は決して放置してこなかったということはおわかりのとおりでございまして、ちょうど私、政務次官をやっておりましたときに老人保健制度を本院でも御検討いただいて、自来多くの制度改正をやってまいりましたその中心に、何としてでも国保制度を安定的な基盤に乗せなければならないという認識があったわけでございます。したがいまして、十年間のこれまでの努力をさらに一層進めまして、今回の制度改正をお願いし、その結果として国庫助成も強化をされる、そして保険料負担が抑制をされるということを私どもはねらっておるわけでありますから、御理解をいただきたいと思います。
#14
○糸久八重子君 不公平な状況が続く限り、やはり責任は追及されるのではないかと思うのです。そう言うことはどうしてかといいますと、行政責任というのは結果責任でありまして、努力してもなお矛盾を解決できないような責任は厳粛に受けとめるべきだと思うのですが、重ねてお伺いいたします。
#15
○国務大臣(津島雄二君) 先ほど申し上げましたように、今委員のおっしゃるような完全に、保険料におきましても、給付におきましても、同じだということを実現するためにはそれは一元化の実現しかないわけでございます。それぞれの歴史的な経緯があってでき上がってきた医療保険をまず運営していくということが大事であり、そして一元化に向けて辛抱強く一つ一つやっていく以外に一元化の道はないわけでございます。ですからお気持ちはわかりますけれども、制度の間の条件が完全に一つで同一でないということをもって努力が不足であるというふうにおっしゃられますと、私ども十年間何でこんなに努力をし、皆様方と対話をしてきたかという気持ちにもなるわけでございまして、今度もそういう努力の一里塚としてぜひとも御理解をいただきたい次第でございます。
#16
○糸久八重子君 この国保の制度別世帯当たり保険料が最低になるということを保険料平準化の行政目標として明確にすべきではないかと思いますが、その辺はいかがですか。
#17
○国務大臣(津島雄二君) 委員御指摘のとおり、私どもが目標として負担と給付の公平化、それから一元化と申し上げているのは全く委員のお気持ちと同じなわけでございまして、そこへ行くために一生懸命今汗をかいているわけでございますから、どうか御理解をいただきたいと思います。
#18
○糸久八重子君 保険基盤安定制度や市町村の医療費安定計画を導入して、国と自治体が一生懸命努力をすれば、他の制度よりも保険料が確実に安くなるのでしょうかね。その辺はいかがでしょうか。
#19
○政府委員(坂本龍彦君) 医療保険の運営につきましては、医療費のあり方とそれから保険料その他の費用負担のあり方、大きく分けますとこの両方を考えていく必要があるわけでございます。医療費の負担の問題につきましては、現在のようにいろいろ制度が分かれておりますけれども、例えば老人医療費につきましては、老人保健制度によって各国民ができるだけ公平に負担をしようというようなことでその制度を立てておりますし、また一方、保険料のいろいろな格差につきましては、それぞれに実情を踏まえながら公的な助成も行いつつできるだけ公平にしていきたいという基本的考え方に立って、私どもは医療保険全体の今後の運営について検討を進めており、またその結果に基づいて改正もさせていただいておるわけでございます。
 したがいまして、その際に、国民健康保険におきましては、地域を主体とした保険である、また実施主体も市町村であるということから、国と地方とが一体となってこの問題の解決に当たっていくのが望ましいという考え方のもとに関係方面とも折衝いたしましたし、またそれぞれ問題についての御理解も得ながら、そういう方向で今後進んでいくべきであるというように考えておるわけでございます。したがいまして、具体的な保険料の額が安くなるかならないか、これはいろいろな事情によって変わってまいりますから、端的にどのぐらいいつ安くなるかということはなかなか申し上げにくいわけでありますけれども、こういった努力を通じてこの保険の運営の安定というものは図られていくものであろうと私ども考えておる次第でございます。
#20
○糸久八重子君 いろいろと努力をなすってきたことはわかりますけれども、それが報いられないということでしょうか。当てにならない行政努力と言っては言い過ぎかもしれませんけれども、そういうことは効果的な税金の使い方ではないんじゃないかなというような感じがするんですね。
 国保の保険料の平準化というのならば、組合健保または政管健保のうちのいずれか平均的保険料の高い方と比較をして、そして国保の保険料が上回ることになる部分は国庫負担で補てんしようというシステムが確立していかなきゃいけないのではないかなというふうに考えるんですが、そうすれば行政努力に客観性が出てくるのではないかと思うのです。その辺はぜひ研究してほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
#21
○政府委員(坂本龍彦君) 各制度間の負担の比較の問題といたしましては、いろいろな要素が関連しておりますので、これは金額的な比較だけで論じるわけにはいかない面がございます。それぞれの保険の集団と申しますのは、やはりいろいろな形で共同意識を持って保険を運営していただくわけでありますので、その間における負担の差異というものはできるだけこれが公平であることが望ましいわけではございますけれども、それぞれ制度の事情によってまた異なってくるところもございます。
 むしろ、私どもとしては保険の集団が抱えております構造的問題、そういった点に着目をいたしまして、そういうところに重点的に公費の補助を行うという考え方で臨んでおりまして、国民健康保険におきましても、そういう見地からいろいろと内容を分析した上で効果的な補助の方法というものを考え、それに基づいた補助制度を実施しているところでございます。
 したがいまして、今後ともできるだけ負担の公平ということには努力いたしたいと思いますけれども、こういう各制度の構造問題、こういうところに焦点を合わせた国庫補助の方法というものも私どもはこれからさらに必要なものとして重視してまいりたいと考えております。
#22
○糸久八重子君 客観的に確かめられる行政のあり方かどうかという点について、もう一つ質問を申し上げたいのですが、それは市町村国保に対する国庫支出金が、私の手元にあります一九八三年から八七年までの数字によれば、二兆二千九百四十六億円から二兆三千三十一億円となっております。この間の医療費や物価の上昇を考えますと、間違いなく減少していることと判断いたします。つまり、行政が努力をしているということは、少なくとも八七年度までの間は国の持ち分を減らして地元自治体とサラリーマンの拠出をふやそうという努力だったのではないかなというふうに判断するんですが、その辺についてはいかがでしょうか。
#23
○国務大臣(津島雄二君) この数字をごらんになりまして、伸びていないではないかと、国庫補助金の給付に対する比率が落ちているではないかという御議論だと思うんですが、この数字を読むときに、委員も御専門でありますから恐らくおわかりの上おっしゃっているんだと思うんですけれども、老人保健制度の中で被用者保険にそれなりの負担をしていただく、老人保健制度にそれなりの負担をしていただくということが国保にとりましても、それから国庫助成にとりましても影響を与えたということがあるわけでございまして、老人保健制度の組み立て等々によりましてこういう結果になったわけでございまして、問題は国庫助成の金額がふえればそれでいいというものでは私はないと思っております。
 先ほどの前の御質問に関連して、私はぜひ二つの点を御指摘申し上げなきゃいけないわけでありますが、その一つは、市町村国保の財政というのは全体として大変厳しいわけではありますけれども、その基礎にある医療費の増高の傾向、また一人当たりの医療費におきまして非常に大きな地域格差がある。それをそのままにいたしまして、何と申しますか、赤字の大きいところにそのまま国庫助成がたくさん出ていく、結果としてですよ。先ほど委員がおっしゃったように、一人当たりで足らない部分を出していきなさいということになると、結果としてそういうことになるわけでありまして、そのこと自体は、医療保険のあり方について基本的な問題をはらんでいるということは御理解をいただきたいわけでございます。
 そしてもう一つは、市町村の間の医療費のばらつきばかりでなくて、貴重な医療資源をできるだけ上手に使って、国民によりよくサービスをして差し上げるという見地から申しますと、ただ医療費が伸びる、高い医療費をどんどんお払いをするから日本の医療保険はいいとは言えないわけでございまして、そこに保健であるとか、保健というのは通常の健康政策であるとか、あるいは在宅介護であるとか、福祉、医療を通ずる総合的ないろいろな努力をいたしまして、本当の意味で国民が健やかに生きていかれるような環境をつくっていく必要があると思うわけでございます。
 ですから、私の方からぜひここでお願いをしたいわけでありますが、国庫補助がふえた、一人当たりの医療費が高騰していくから、それをそのまま補ってあげたらいいということは恐らく委員はおっしゃっていないんであろうと、こういうふうに理解をさせていただきます。
#24
○糸久八重子君 私のところには国保の財政調整交付金が交付されない市町村からいろんな訴えが来ているんですね。そこで、交付団体と不交付団体とに分けて国庫負担がどうなったかを過去五年分の推移、そしてその二つのグループそれぞれにおける平均的な保険料の最近の比較はお示し願えますか。
#25
○政府委員(坂本龍彦君) 全国に三千余りの市町村がございますけれども、その中にただいまお尋ねになりましたように、国民健康保険の財政調整交付金の交付を受けるものと受けないものとがございます。
 最近の推移を申し上げますと、昭和六十年度におきましては、全体三千二百七十のうち交付団体が二千四百十九、七四%に当たります。それから不交付団体が八百五十一、二六%。六十一年度にまいりますと、交付団体が二千五百九十七で七九・四%、不交付団体が二〇・六%の六百七十三でございます。六十二年度は交付団体が二千五百八十四で七九%、不交付団体が六百八十五で二一%。六十三年度にまいりますと、交付団体が二千六百六で七九・九%、不交付団体が六百五十六で二〇・一%。平成元年度が交付団体二千六百三十六、八〇・八%、不交付団体六百二十六で一九・二%と、こういう結果でございまして、どちらかというと交付団体の割合が少しずつふえているという状況にございます。
 いずれにいたしましても、これは市町村ごとの財政状況に応じて調整交付金というものを配っておるわけでありますけれども、それぞれの交付団体、不交付団体別の平均保険料につきましての統計資料は現在とっておりませんので、その数字は具体的にお答えはできないわけでございますけれども、総体的に見まして、どちらかといえば交付団体の平均的な保険料の方が高いものと、私どもは推定をいたしておる次第でございます。
#26
○糸久八重子君 それでは、医療制度の一元化の問題についてお伺いをいたします。
 医療保険制度の給付と負担の公平化措置、すなわち一元化については、一九八四年の健康保険法案の審議の際に、厚生省より出されたいわゆる長期ビジョンの中で、昭和六十年代の後半とされたわけですね。その後の国会答弁では、六十年代後半のできるだけ早い時期とされてきたわけでありますが、一昨年の措置を踏まえて、また今回の法改正において、最大の問題点とされました低所得者対策についての対応方針が保険基盤安定制度の継続という形で決定した今日時点で、その時期についてはどのように考えておられるのかお答えをいただきたいと思います。
#27
○政府委員(坂本龍彦君) 医療保険制度の一元化の問題につきましては、将来の大きな目標ではございますけれども、その制度としての具体的な内容、さらにそこまでに至る道のりというような面におきまして、関係者の間に非常に多くの意見がございます。私どもとしては、この医療保険の関係者の方々の御意見というものも十分お伺いしながら、制度全体が将来に向けて安定的に運営できるように考えていかなければならないと思っておるわけでございますけれども、今回の国民健康保険制度の改正も、その一元化に向けての一つの段階として私どもは位置づけて考えております。
 六十三年の、つまり二年前の改正というのは暫定的な措置という形でございましたけれども、今回は、先ほども大臣からの御答弁もありましたが、社会保障制度審議会における幅広い角度からの御意見も十分私どもは踏まえまして、そして将来に向けての基本的な改革として考えておるわけでございます。これによりまして、今後いろいろな面で国民健康保険の運営面において安定が図られていくものと私ども期待しておりますけれども、そういった制度が改正されました際の実施状況、これも十分踏まえまして、そしてさらに今後の一元化における問題点というものも十分見きわめながら検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
 したがいまして、時期の問題、いろいろ従来から御意見もございましたし、私どももいろいろな考え方を述べてまいっておりますけれども、いずれにしても、今回の国民健康保険の改正状況というものの今後の推移というものを十分に見きわめながら検討を進めていきたいというのが現在の考え方でございます。
#28
○糸久八重子君 後半の、できるだけ早い時期ということから言いますと、昭和に直せば六十五年でございますから、そういう意味ではその時期を一刻でも早く国民の前に明らかにされることを要望したいと思います。
 一元化においては、時期もさることながら、最大の問題点は、何といっても一元化の最終的な姿ではないかと思います。この点に関しては、二年前の答弁の中で、制度の完全な統合一本化ではなく、被用者保険と地域保険という現行制度の基本的な枠組みを維持しながら、制度間の給付と負担の公平化措置を図っていくという、そういう趣旨の答弁をされておるのですけれども、こうした最終的な一元化像というのは、今時点でも変わっていないと考えてよろしいのでしょうか。
#29
○政府委員(坂本龍彦君) この一元化の具体的な姿については、いろいろと関係方面にも御議論があるところでございますけれども、私どもは被用者保険と地域保険という現在の医療保険の大きな仕組みというのは、日本の医療保険の歴史あるいは被用者とそれから自営業者あるいは一般の地域の住民の方、それぞれ労働の形態あるいは収入の状況、生活の状況等において相違もありますし、現時点におきましても、被用者保険と地域保険から成る現行の国民皆保険の基本を維持していくべきであるという考え方においては変わっておりません。
#30
○糸久八重子君 給付率の問題については、いろいろ答弁しにくい問題があると思いますけれども、この問題はまた後ほど伺うということにいたしまして、総合的な医療費の適正化対策についてはぜひとも積極的な取り組みをお願いしていきたい、そう思います。
 この際、八割か九割かは一応さておきまして、長期ビジョンという八割統一を前提に考えた場合に、最大の関門は、オール七割である国保の現在の給付率をどのような手法で八割に引き上げることかということがもう問題だと思うのですね。この問題については、八七年の十月に厚生省が当時の国保問題懇談会に提出をしたたたき台の中で、「国保本体について八割程度の給付水準に改善するために必要な措置を検討する。」ということになっていたにもかかわらず、今回は提案もなかったと。それらの問題については特別な検討はなされたのでしょうか、それとも基本的な考え方はどうなのでしょうか、お伺いいたします。
#31
○政府委員(坂本龍彦君) 国民健康保険の給付率につきましては、実は法律に定める療養の給付の給付率と、現実には高額療養費という制度がございますから、この高額療養費の支給を合わせた実効給付率、こういう二つの考え方が大きく分けるとあるわけでございます。私どもはこの一元化の問題あるいは給付率の八割の問題に関しまして、この八割というのはどういうものを意味するかという点につきまして、必ずしも固定した考え方を持っているわけではございません。
 いずれにしても、国民が医療費を医療保険によって担保される際に、実際の医療に要する費用と、それから患者の負担と、そしてまた保険料の負担と、いろいろな負担のあり方を考えたときに、実際に患者になったときの自己負担というものも、これは余り大きなものでないようにすることが望ましいわけでありますけれども、その一方において、今度は保険料の負担というものも適正な水準に保たなければならない。そういう考え方からいたしますと、大体給付率が八割程度というのが妥当な水準であろう、こういう考え方で八割と申しておるわけでございます。
 したがいまして、現在の実効給付率を見ますと、国民健康保険におきましても、高額療養費制度が存在するために、実効給付率はほぼ八割近いところとなっているわけでございまして、また高額療養費制度としての患者負担の限度額、これは各制度を通じて共通の金額でございまして、原則として月額五万七千円まで、こういう状況でございますから、もちろん今後給付率のあり方については十分検討をする必要があろうかと存じておりますけれども、当面国民健康保険制度の安定化を図るという意味におきまして、今回のように保険料負担の軽減という面に焦点を当てて、まず所要の制度改正をいたしたい、こう考えたわけでございます。給付率のあり方につきましては、今後引き続いて検討課題としてまいりたいと考えておる次第でございます。
#32
○糸久八重子君 政府の一元化の眼目は、被用者保険本人の九割給付を八割に引き下げて、そしてこの際国保の七割及び被用者家族、これは入院八割そして通院が七割ですけれども、これを八割に引き上げて、その給付を一元化しようとしているのではないかなという感じがするんですね。しかしこれ以上、今まで九割給付であったものを八割に引き下げてというのは大変問題なんですが、これ以上福祉を後退させるわけにはいかないわけですから、しばらく検討期間を置くと、そうおっしゃったわけですから、三年といいましょうか五、六年といいましょうか、少し時間をかけても段階的にその給付率を引き上げて、できれば九割にそろえるべきであるんじゃないかなと、私はそう思うんですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
#33
○政府委員(坂本龍彦君) この八割の考え方は、先ほど申しましたが、やはり医療を受ける際の自己負担としての負担額と、それから保険の財源としての保険料の負担、双方のバランスを考えまして、国民全体が同じような給付と負担を受けるとした場合には、給付率八割というのが妥当な水準であろうと考えたわけでございます。もちろん、御意見としては九割にすべきであるという御意見があることは私どもも承知しておりますけれども、何分にも国民全体にわたりまして九割給付というのは、財源的に見て極めて大きなものが必要になるわけでございまして、現実になかなかそれだけの財源を負担するということは極めて困難なことであろうと思っておる次第でございます。したがいまして、今後のいろいろな諸情勢を見ながら、この給付率というのは検討していかなければならない問題ではございますけれども、全部が九割給付というのは、私どもとしては極めて実現の可能性が少ないものと現地点では考えざるを得ないというのが率直なところでございます。
#34
○糸久八重子君 それでは次は、高医療費市町村の運営の健全化のための措置についてお伺いをしたいと思います。
 前回の改正によって、国保医療費の地域間格差を是正するために、基準給付費の一・一七倍を超える指定市町村は安定化計画を策定じて、それでも一・二倍を超える市町村については、高額な医療費の一部分について新たに地方負担を導入することによって医療費を適正化するという手だてを講じたわけですね。それで、市町村の指定が三年目を迎えた今日、安定化計画の作成は順調に推移をし、こうした手法で医療費の地域間格差が是正できるという確信をお持ちになったのかどうか、いかがでしょうか。
#35
○政府委員(坂本龍彦君) 高医療費市町村における安定化計画の策定という制度は、御承知のとおり、一昨年の国保法の改正によって新たに設けられたものでございますけれども、実際に施行になりましたのがおととしの十月からでございますので、実績といたしましては、六十三年度の後半が明確になったというところでございます。したがいまして、具体的にその効果と申しますか、成果という点について数量的に把握するというのは、現時点ではまだ困難でございますけれども、それぞれ市町村が、高医療費市町村として指定を受けたところはもとより、その他の市町村におきましても、それぞれ医療費の伸びの原因、あるいは特別に高医療費のところにつきましては、その要因というものについて十分分析をいたしまして、その結果に基づいて国、都道府県、市町村と一体となって医療費適正化等を講ずるという、こういう制度ができたこと自体が非常に今後の医療保険の運営にとっては大きな意味を持つものというように考えております。
 私どもも、いろいろ地方の方と話をしておりますと、この制度によって関係者が医療費のあり方あるいは国保制度の運営について相当関心を持って考えるようになったという話も伺っておるわけでございまして、今後こういった仕組みができたことによって、全体に医療費のあり方あるいは医療保険制度の運営の方法等についての熱意というものが高まってくるのではないかという期待を持っておるわけでございます。
 またさらに、この安定化対策の推進に当たりましては、単に医療あるいは医療保険というだけではなくて、保健でありますとか福祉でありますとか、そういった関連諸分野に関する施策との連携を図りまして、総合的な対策を講じながら事業の推進をしていく、こういう制度になっておりますので、そういった面からも国民健康保険の安定的な運営に対しまして効果が上がってくるものと私どもは期待をしているところでございます。
#36
○糸久八重子君 二年前に指定された百四十六市町村のうち幾つぐらいの市町村が実際に負担するということとなって、そしてその額はどのくらいの額に上るのか。そして、市町村の都道府県別の分布状況はおわかりですか。
#37
○政府委員(坂本龍彦君) 昭和六十三年度に高医療費市町村として指定されました市町村は、その中から平成二年度におきまして地域差指数が一・二〇を上回るということによって基準超過費用額に係る費用を負担するわけでございますけれども、その共同負担をいたします市町村の数は七十六市町村と見込んでおります。まだ最終的には決定しておりませんけれども、大体七十六市町村になるという見込みでございます。また、この共同負担額は五億九千六百万円になるであろうと、これも現時点での推計でございます。
 それから、都道府県別にどういうような状況になっておるかということでございますけれども、多いところは北海道の五十七でございますが、そのほかは大阪府が六、徳島県が四、その他の地域を合わせまして九、このような分布状況になっております。
#38
○糸久八重子君 高額医療費の市町村については、適正化のためのインセンティブを働かせるために地方負担を導入するというのがこの制度の本質であると思うのですけれども、どうも前回の法案審議のときから、地域の実情に応じた適正化対策を進めるのはいいとしても、医療費が高いということについては、一体地方にどのぐらい責任があるのかということが一つ納得がいかないことなのです。高医療費市町村は、今おっしゃられたように、北海道、そして近畿圏に集中しておるようでありまして、これは必ずしも自治体の責任とばかりは言えないと思うのですけれども、この辺についてはいかがでしょうか。
#39
○政府委員(坂本龍彦君) 高医療費が生じる要因というのは非常に複雑でございまして、比較的わかりやすいのは単純に医療費が高いか低いかという問題だけで考えますと、人口の年齢構成が高いというような要因がございます。しかしこれは、私どもといたしましても、市町村の責任であるとは考えておらないわけでございまして、こういった問題は医療費が高いといっても、それを直ちに市町村の責任においてどうしろということは申し上げるつもりはないわけでございます。
 そのほかに、例えば病床数が人口に比して多いとか、あるいは医療機関の診療パターンというものにいろいろ偏りがある。さらに住民の方で、例えば入院志向が強いというように、いろいろ考えられる要因がございます。このほかにも一律に言い切れないような地域固有の事情もございまして、そういった要因が相互に影響し合って高医療費というものが生じているものと考えております。
 したがって、この高医療費についてどこが責任を持つべきかという議論におきまして、なかなか単純な結論というものは得られないわけでございますが、いずれにしても、私どもは高医療費市町村を指定する際には、人口の年齢構成の差というものはこれを捨象いたしまして、そのほか地域における個別の事情もまた十分勘案し、そういった明確な理由によって高いという部分を除いてもなおかつ高い部分があった場合、そこにおいて市町村ごとにそれぞれその内容分析等を行っていただく、そしてそれに適した対策というものを考えていただくということによってできるだけ医療費の適正化を進めていきたいというものでございます。
 私どもとしても、単に市町村任せということではなくて、いろいろな分析の問題なり、あるいは対策の問題なりにつきまして、国としてもできるだけの指導も行っておりますし、また例えばこういった問題につきましては、単に医療の給付だけではなくて、保健施設事業というのがございまして、健康診断あるいは健康相談、そういった事業を市町村が行っておりますけれども、そういった事業についての助成等もあわせて行いまして、できるだけ高医療費市町村における安定化計画が順調に進むように配慮しているところでございます。
#40
○糸久八重子君 今御説明の中に、例えば高齢化とか入院指向が多いとか、それから病床数の問題とか、いろいろ挙げられましたけれども、以前に地域医療制度の導入というのがありましたね。その辺のところは既に各地域医療制度というのは導入をされているのではないかと思いますが、これを導入したことによって何か変わった部分というのはありますか。
#41
○政府委員(坂本龍彦君) お尋ねの地域医療制度というのは地域医療計画のことかと存じますが、私直接担当しておりませんので詳しいことはお答えできませんけれども、これは各地域ごとに医療機関の配備というものをできるだけバランスをとってそれぞれその地域において必要な医療機関は充足をいたしますけれども、余り人口に比べて過剰な病床数が存在しないように調整をしていこうという趣旨でございます。したがいまして、これは各都道府県において地域医療計画が大体策定されたというふうに伺っておりますけれども、今後その成果というものはもう少し時間を見ないと判断ができないのではないだろうかという気がいたします。
 と申しますのは、直接にこれによって医療費そのものを左右するという制度ではございませんで、医療機関の適正な配置というようなことが基本でございますから、これは長い間にいろいろとそういう周囲の事情の変化等もあわせながらこの効果というものを判断していかなければならないものではなかろうか、このように考えております。
#42
○糸久八重子君 高医療費地域のうち、北海道は入院日数が長いということで非常に高額になる、これは地域的な事情で、例えば冬の寒い間は雪が多いからしばらく入院させなければという長期化の問題というのは理解できるんですけれども、関西圏で非常に高いという理由、この辺はどういうふうに解釈をしたらよろしいのでしょうか。
#43
○政府委員(坂本龍彦君) 昔から医療費の西高東低と言われておる言葉がございます。つまり、西日本が比較的高くて東日本はそれに比べると相対的に低いということをあらわしておるものと理解しておりますけれども、現実に各都道府県別の平均的医療費をとってみますと、傾向として西日本が高いということがわかるわけでございます。ただ、いわゆる東日本の中でも北海道のように個別に見ますと高いところもございますが、大体の傾向としてそういうことがわかるわけでございます。
 なぜそうなっているのかという問題につきましては、私ども昔からいろいろと研究をしておりますけれども、一律的な理由というのはなかなか見出しにくいというのが現状でございます。ただ、個別にいろいろ分析してみますと、例えば人口の高齢化というものは西日本の方が東日本よりも進んでいるということが言えるようでありますし、それから医療機関の数も関西以西に多い。これは県によって多少相違はありますけれども、押しなべて申しますとそういうような状況がございます。
 そのほかに、これも明確にはなかなか数量的に把握できませんけれども、住民のいわゆる病院に対する診療の行動と申しますか診療面における行動、さらに医療機関における診療のパターンと申しますか、そういう面においても微妙な差があるようでございまして、そういったいろいろな要件が相互に関連し合って西日本の方に医療費の高い地域が多いという状況が出ているのではないかというように感じております。
#44
○糸久八重子君 どうしたらこういう高額医療費が適正化できるのでしょうかね。どうでしょうか。
#45
○政府委員(坂本龍彦君) 大変難しい問題でございまして、ただ、地域差というものはある程度あってもやむを得ないのかなという考え方もございます。つまり、全国の都道府県なり市町村でいろいろな事情が異なるにもかかわらず、医療費そのものがほとんど変わりがないというのもまたなぜか、もしそういうことがあれば逆に問題ではないかなという気もしないでもございません。ただ、医療費の差というものが非常に大きい、あるいはどっかの地域に偏っているということになりますと、それについてはいろいろ原因を探求して適正な対策をとるべきであろうということになるわけでございますけれども、こういった対策については各地域ごとの実情というものを十分見きわめながらそれに見合った対策をとる必要があるわけでございますので、引き続き各都道府県なり市町村においてそれぞれの地域の実情の分析というものは実施して、それに見合う効果的な方法を考えていただきたいと思うわけでございます。
 それから、国としましても、全体として医療費の適正化をどのように進めていくかという観点から、これは各地域の個別事情とは別に制度の一般論として適正化対策というものを考えていく必要があろうかと思っておりますけれども、これにつきましては、従来からレセプトの点検でありますとか、支払基金における審査の充実、あるいは指導監査の適正な執行、さらに薬価基準や診療報酬の合理化等、そのほかにもいろいろな対策を考えられるだけ講じておるわけでありますけれども、そういった中で最近は例えば長期入院の問題にいたしましても、単に病院における入院だけを取り上げて考えたのではなかなか効果も上がらないということから、例えば福祉面においても在宅医療の推進でありますとか、あるいは病院と個人の住宅以外の老人を適切に収容できる施設の整備というように、医療保険の周辺において福祉面あるいは健康増進や健康づくりといったようなそういう保健活動、こういったものとの連携において医療費のあり方というものも考えていかなければならない。そういう総合的見地に立っての施策が必要であるという考え方に立って、そういった新しい対策もこれから進めていきたいと考えておるところでございます。
#46
○糸久八重子君 医療費が高いというのは、高齢化の問題とか、それから寒冷地とか過疎とかいう地域的な問題を除けば、医療の出来高払い制度というその支払い方式そのものに矛盾があるのではないかなというふうに感ずるんですね。
 そういうことで、どんな軽い病気であっても医療給付の提供の仕方によっては医療費を高めるということは可能なわけですよね。ここの委員会、お医者さんもいらっしゃるんですけれども、そういう医療給付の提供の仕方、その辺が非常に私も気にかかるところであるわけですが、かつては検査づけとか薬づけとかということを言われて久しいわけですけれども、しかし最近は場所によっては病院も多いわけでして、非常に多額の資本を投下しているものですから病床をあけておくわけにはいかないような、そういうような傾向もありまして、私が体験をしたことなんですが、三年ほど前にヘルペスを患いまして、大体発疹が出尽くした後、お医者さんに行く暇がなかったんで、出尽くした後でお医者さんに行ったわけですけれども、そのときにその病院は、後で肋間神経痛という形で残るといけないから血液製剤を点滴でもした方がよろしいだろうということで入院をしたわけですね。二日で点滴終わったんですが、まだ退院してよろしいというお医者さんの言葉がなかったんですが、そんなに長くいてもしょうがないと思って私は自発的に退院をしてしまったんですね。
 それから、私、花粉症なんです。それで、ことし花粉症で病院に参りました。ところが、お医者さんが、これは別のお医者さんなんですけれども、しばらく心電図や胸部レントゲンを撮ってないから撮ったらいかがですかということがあったんですけれども、私は心臓のぐあいも悪くないし、胸の方もそういうあれはないから結構ですというふうにしてお断りしたんですね。
 患者からしてみれば、自分の健康のためにいろいろお医者さんが手だてをしてくださるということは、決してこれは困ることではなくてむしろ感謝すべきことなんですね。そういうことで、先生がそうおっしゃれば、ありがとうございますということでいろいろ健診をしていただく。ひところ、水虫の治療に行ってもレントゲンを撮ったとか、いろんなお話があるわけですけれども、そういうようなことで、不必要な医療というのをある程度抑制しない限り、医療費というのはどんどんどん増加してしまうと思うんですね。
 そういう意味からいうと、これはお医者さんだけの問題ではなくて、患者の姿勢も必要だと思うんですね。風邪を引いても大学病院に駆け込むとか、軽い病気でも専門病院に行かなければ気が済まないとか、そういうこともあって、この前の改正の中には大学病院や高度専門病院の紹介の外来制導入ということも、恐らくこういうことで行われたのではないかと思うわけですけれども、そういう意味で患者も、それからお医者さんも、双方のモラル、それらを十分に考えていかなければ、どうしても医療費の高騰というのは防げないんではないかなという気がするんです。大変難しい問題なんですが、一体その患者やお医者さんのモラルを高めるにはどうしたらいいんでしょうね、これは。
#47
○政府委員(坂本龍彦君) 大変難しい問題ではございますが、医療保険にとっては極めて重要と申しましょうか、もう基本的な問題であろうかと思います。それは、確かに御指摘のように現在の診療報酬の支払い方式が出来高払いになっておりますから、仮に不必要な医療をやって診療報酬を高くしようと思えば仕組みの上からはできるわけでございます。ただ、基本的には私どもは医師の専門的判断というものを信頼いたしまして、素人目にはあるいは不要と思われるようなものでも医師の判断というものをまず尊重したいという考え方で制度はできておるわけでございます。しかし、それも今度は別の専門家としてのチェックというものも必要になるわけでございますから、御承知のように支払基金における審査というものを通じて、これはいろいろと患者の病状あるいは医師の考え方によっても幅はございますけれども、医学常識からかけ離れたようなものについては減点査定をする、そして余り保険のルールに甚だしく逸脱するものについては指導監査なりあるいは極端な場合には保険医療機関の取り消しというようなことによって適正化を図っておるわけでございます。
 したがいまして、私どもはできるだけ医師の職業的診断というものに対して信頼を持ちたいとは存じておりますけれども、一方において、医療費の負担をする国民の側から見て不適正な使用とならないようなチェックというものも十分適正に働かせていかなければならないと考えておるわけでございます。
 その際に、そういう法律上の制度によって規制をするというよりは、自主的な判断によって適正な診療を行っていただくのが最も望ましいわけでありますから、私どもとしては関係団体ともいろいろ連絡をとり、共同の形で社会保険医療についての講習なり、いろいろな指導なり、こういったようなものも実施いたしまして、十分制度に対する御理解を持った上で診療に当たっていただけるようにお願いをしておるところでございます。
 また、患者の立場からいたしますと、これは自分の身体、健康に対していろいろ不安があるということから、大学病院でありますとか、大病院というところに行きたくなるというのもやむを得ない面もございますし、最終的には患者の選択という点で自由が認められておりますから、直接規制をするわけにはまいりませんけれども、国民が何らかの形で負担した保険料なり税金なりによって医療保険が運営されているということを十分認識していただくために、医療保険制度における医療の問題についてのいろいろな広報活動を行っております。
 また同時に、実際に医療を受けた場合にどれぐらいの医療費がかかったかということについても、御理解を得るために、医療費通知運動というものもやっておりまして、これはみんなの出し合った財源でこれだけの医療費を使った、そういう点について御理解をいただけるようにこの制度もあるわけでございます。
 そのようなことから、いろいろな方法を通じて、診療側においても、受診側においても、適正な医療資源の使い方というものに御関心を持ち、理解を高めていただくように、今後とも努力をいたしたいと考えております。
#48
○糸久八重子君 それなりの努力をいろいろしていらっしゃることは今お伺いいたしました。
 その中で、医療費通知、これは国保の健全な運営をさせるために患者の認識を深めさせるという目的で行っているようですが、この医療費通知の効果というのはどうなんでしょうか。
#49
○政府委員(坂本龍彦君) まず、この医療費通知の目的でございますけれども、実際に被保険者あるいはその家族という方が利用した医療の額を被保険者に知っていただいて、そして医療費のコスト意識を持っていただくということが、相互扶助に基づく医療保険制度への理解を深めるという点で非常に大きな意味を持っていると思うわけでございます。と同時に、結果としてでございますけれども、医療機関からの請求の中に誤っているものとか、あるいは不適正なものというものが現実にあり得るわけでございまして、そういったものも発見する端緒となることもあるわけでございます。当初から、医療機関の請求等を私どもは不信の念を持って見ておるわけではございませんけれども、実際に医療費を負担する被保険者の側からすると、そういう誤りや不適正なものがあれば当然正すべきだということになりますので、この医療費通知によって結果としてそういう点も是正されるという面もございます。
 現在の実施状況でございますが、国民健康保険では全保険者のうちの九八・六%が実施をいたしております。また、健康保険組合におきましては全組合のうちの九五・二%が実施をいたしております。政府管掌健康保険は全国で一本の制度でございますけれども、大体年間に二カ月分のレセプトを対象といたしまして医療費通知を行っているというのが現時点での実施状況でございます。
 ただ、これによって医療費の面でどれぐらい効果があったか。これを数量的に把握するというのは極めて困難でございまして、この効果も、先ほど申し上げましたように、コスト意識でありますとか、制度への理解というような、いわば金銭に換算できない効果というものがございますので、そういった意味で私どもとしては制度の運営においては必ずしも金額的な把握はなされないまでも、いろんな面で効果が上がっているだろうというように考えております。
#50
○糸久八重子君 私も国保の加入者でございますから、この医療費通知が来るわけですね。多くの郵便物にまじって、ダイレクトメールやなんかと一緒にまじって参りまして、しかも二月から三月ぐらい前のことなんですね。だから、そのときに行ったのかどうかというようなことはちょっと忘れてしまう。しょっちゅう行く人は三月前には何回行ったかなんというのはよくわからないという状況がありまして、私も余り詳しく中身は見ないのですが、そういう医療費通知を重ねるよりも、明細書を被保険者に渡すよう医療機関に指導する方が効果的ではないのかなと思うんですが、その辺はいかがですか。
#51
○政府委員(坂本龍彦君) 医療機関から支払基金に提出されます診療報酬請求書は、実際に医師が行いました医療の内容をカルテに基づいて記載してあるわけでございます。医師の診療内容というものは非常に患者との関係、微妙なものでございまして、例えば患者には、病気の状況でありますとか、医療の内容というのを直接言わない方が適当であると治療効果上の問題あるいは病名上の問題、いろいろそういうケースもあり得るわけでございます。また、特に診療内容について、これは医師の職業的判断に基づいて行っているものでありますから、患者との関係である程度の説明ということはあり得ても、専門的な見地からこれを直接見せるということについては信頼感を損ねかねないという問題もありまして、非常に難しい問題があろうかと思うわけでございます。
 したがいまして、患者の方から医師の方へ照会をされることは一向に差し支えないと思いますけれども、一方的に医師の出した明細書を患者に見せるということは問題があろうかと思っております。そういう意味で、ただいま御指摘ありましたように、実際の受診時期と医療費通知の時期というのがずれるということはございますけれども、現在の医療費通知というものが考えられる方法としては一番適切な方法ではないだろうかというように考えておる次第でございます。
#52
○糸久八重子君 安定化の問題の中で、保健施設事業について先ほど御説明がございましたけれども、これは予防面から住民の生活全体にアプローチするのがこの保健施設事業と受けとめてよろしいわけですね。
#53
○政府委員(坂本龍彦君) 保健施設事業の目的といたしましては、これは疾病の予防というものが大きなものでございます。つまり、保険としてはできれば疾病が減って、そうしてそれによる給付も減り、そして保険料負担も軽減されるというのが望ましい姿でありますから、そういう意味でできるだけ病気にかからないようにしていくための効果的手段としての保健施設活動というものが考えられておるわけでございます。
#54
○糸久八重子君 この事業として各市町村はどんな事業を主として行っておりますか。
#55
○政府委員(坂本龍彦君) 実態は非常に多くのさまざまな状況に分かれておりますけれども、例えば具体的な例を申し上げますと、被保険者の健康管理のためのデータの収集、分析でありますとか、あるいは健康診断、さらに健康相談、あるいはスポーツ、レクリエーションの奨励、また各家庭に対する訪問指導サービス、あるいはこれも間接的には健康管理につながるわけでありますけれども、いろいろな広報活動でありますとか、講演会といったようなものというように、非常に広範多岐にわたっております。
#56
○糸久八重子君 最近はり、きゅう、マッサージ事業を保険で見ているという自治体があると聞いているんですが、全国でどのぐらい行っておりますか。これは保健施設事業の中で行っているのでしょうか。その辺はいかがですか。
#57
○政府委員(坂本龍彦君) はり、きゅう、マッサージについて国民健康保険が、実際に医師が必要と診断した場合には給付として支給できることになっております。したがいまして、骨折とか打撲とかで医師の必要という診断を受けて、そしてはり、きゅう、マッサージの施術を受けたという場合には、これは本来の療養費の支給として患者に給付が行われるわけでございます。しかし、そのほかに私どもが聞いております例では、そういう実際の医療の給付とは別に国民健康保険の保健施設事業として費用負担をしている例があるということも聞いております。ただ、具体的にどのぐらい全国でそういうケースがあるかということは把握はいたしておりませんけれども、福岡県下の市町村には比較的そういう内容を持っているところが多いというようなことを聞いておるというのが現状でございます。
#58
○糸久八重子君 その問題については、できましたら調査をお願いしておきたいと思います。
 それで、自治省の方いらっしゃっておりますので、地方財政措置についてお伺いしますが、今回基盤安定制度等が暫定措置から恒久制度化されることに伴いまして、従来行われていた地方負担の増加額六百九十億円という、その措置は一体どうなるんでしょうか。
#59
○説明員(香山充弘君) 国保につきまして、私ども国民皆保険の一環ということで財源は国費と保険料で賄われるのが基本原則であるというふうに考えておりますけれども、国保の場合は低所得者が多いという特殊事情がございまして、こういう方々に対しましては保険料を軽減しなくちゃいけないという要請が強うございます。こういう形の保険料軽減を行いましたことによりまして国保に生じました影響につきましては、いわば福祉政策的な意味合いを持つということで、今回の見直しにおきましては、国、地方の一般行政の方で負担をしようということにいたした次第でございます。
 この仕組みは、委員も御承知のとおり、六十三年度より暫定制度として発足いたしておったものでございますので、その際は暫定ということもございまして、地方負担相当額を別途交付税総額に特例加算をするという仕組みをとっておったわけでございますけれども、今回の見直しにおきましては、地方団体の要請も非常に強いということで、さきのような福祉行政的な考え方を取り入れまして、この仕組みを安定的な制度にしていこうという見直しをしたわけでございます。
 その際に、この保険基盤安定制度に対します国費につきましては、これまで療養給付費に係る国庫支出金の総枠の中から充てられておりましたものを、今回の見直しに対応いたしまして別建てで措置をするというふうに国庫の拡充がなされました。それと引きかえに地方団体の負担の方も地方の一般財源で賄おうということで、今回特例加算を廃止することといたしたものでございますけれども、この地方負担分につきましては、地方財政計画の歳出に計上をいたしまして、その上で全体として必要な地方交付税を確保するということにいたしております。こうして確保されました交付税につきましては、個別の算定を通じまして個々の地方団体へも財源措置がなされる仕組みになっておりますので、地方財政としては支障なく対応ができるものと考えております。
#60
○糸久八重子君 確認いたしますが、今後も引き続き同様の措置が行われるということでよろしゅうございますね。
#61
○説明員(香山充弘君) さようでございます。
#62
○糸久八重子君 ありがとうございました。自治省の方、どうぞもう結構です。
 次に、事務費の超過負担についてお伺いしたいと思います。従来より国保事務の施行に要する費用の負担について、超過負担の論議がありました。昨年、自治、厚生両省で実態調査を行ったとのことですが、その結果はどうでしたでしょうか。
#63
○政府委員(坂本龍彦君) このたびの実態調査の結果でございますが、被保険者一人当たりの単価につきまして二千七百十円という結果が出ております。この金額は六十三年度補正後の予算単価の約二千二十円に対しまして三四%上回っている、こういう結果でございますけれども、このうちで国が国庫負担の対象として単価改善を図るべき金額につきましては、実施をいたしました省の間で調整を行いまして、約一六%相当額に当たるものの所要の措置を講ずる、こういうことを決定いたしております。
#64
○糸久八重子君 この超過負担を三カ年で解消していくとの計画であったと聞いておりますが、その計画と総額は幾らになりますか。
#65
○政府委員(坂本龍彦君) 被保険者一人当たりの国庫負担の対象といたしまして、単価改善を図るべき額が約三百二十五円と考えております。平成二年度以降三年計画で措置をすることにいたしまして、平成二年度におきましては、その初年度分の所要経費として、被保険者一人当たり百十一円の増額を行うことにいたしております。これは総金額にいたしますと四十四億円に相当をするわけでございます。
#66
○糸久八重子君 自治省の一九八七年度の国保会計に対する繰入金の状況調べを見てみますと、事務費の補助不足額に充当するためとして約二百六十四億円が計上されております。ラスパイレス指数との問題も指摘されますが、これを一〇〇に直して試算しても、現在の職員数の五分の三の職員の給料にしか対応できないという状況なんですが、その辺についてはいかがでしょうか。
#67
○政府委員(坂本龍彦君) 私どもちょっとラスパイレスの関係は余りよくわからない面もございますけれども、いずれにいたしましても、現在市町村が実施しております国民健康保険の事務に要する経費につきましては、まず実態を調査いたしまして、そしてその金額と現在の段階で国の予算上計上されております金額と、そしてさらに、実際の事務に要する経費の中でも、市町村が独自に負担すべき部分、さらに国が負担すべき部分とございますので、国の場合には人件費等について国家公務員の給与ベースあるいは物件費等その他について、国の予算単価というものによって国庫負担の対象経費を確定いたしますので、そういった実際に市町村が支出しておる経費との差というものはどうしても出てくるだろうと思います。
 しかし、私どもは、できるだけ実態に応じて国の方の事務費の単価というものも適正なものにしていこうという考え方で臨んでおるところでございまして、今回の改善につきましても、そういう見地から行っているものでございます。
#68
○糸久八重子君 国保は現在さまざまな課題を抱えておりますね。高医療費指定市町村の安定化計画とか、それから資格証明書とか、そしてレセプトの点検とか、医療費の適正化等々、そういうものを解消していくためには、市町村も努力をしていると思うんですけれども、さらに国としてバックアップをしていっていただきたいと思いますし、それから特定の市町村の問題にとどまらないで、これらの問題は全部の市町村に該当するものと考えて、事務費の増額をお願いしたいと思うのです。
 そして、私のところに実はある自治体の職員の声が寄せられたんですが、ちょっと紹介させていただきます。
 「市町村の国保の窓口は大変である。とりわけ新年度の保険料納入通知書を発送した直後はすさまじい。この時期になるといまだにおじけづく。窓口には朝早くから大勢の被保険者が列をなし、電話は置けばすぐ鳴り響く。すべて新年度の保険料に関してである。保険料が高いというのである。説明をしても納得してもらうことは難しい。消化不良のままである。ここでは保険料を賦課する側と支払う側という形しかあらわれない。」つまりコミュニケーションがないということですね。「一体だれのための努力か、非常にむなしくなる。大阪の医療費が高い原因については、さまざまな意見があるが、芳しいものはない。高いことについての合理性も見当たらない。とにかく市町村の対応にしては手に余る。そして、きょうも職員は窓口で苦労している。」
 これは大阪の高槻市の職員の声なのです。
 そういうことで、非常に市町村の窓口の職員は苦労なさっているということなんですが、いろいろ私も今まで申し上げましたけれども、やはり国保の制度基盤の脆弱化というのはますます進行していく状況でありまして、無職の世帯とか特別に低所得である世帯などは、保険という枠、保険制度の中に閉じ込めておくこと自体がもはや限界に来ておるのではないかと思うんですね。そのためには、従来の発想を変えた制度の抜本的な改革が必要なのではないかなということをしみじみ感ずるわけです。
 そういうことについて、最後に大臣の御意見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#69
○国務大臣(津島雄二君) ただいま糸久委員の国保の現場のお話、それから国保をめぐるいろいろな問題についての質疑を拝聴いたしまして、いろいろと御示唆に富む点があり、私もありがたく思っております。
 最後のお話でございますが、保険という発想方法を越えてとおっしゃったんですが、私はやはり我が国の医療保険は世界に冠たるものであると、国民皆保険、この制度を守ることが何よりも大切であり、欧米の先進国を歩いてみましても、こういう制度を維持できない、あるいは導入できない悩みをいろいろ聞いておりますので、私といたしましては、今の国保と被用者保険のこの二つの保険の柱を守っていくということでやらせていただきたいと思います。
 最後に一言、国も一生懸命やってもらいたいと、これはもうおっしゃるとおりでございまして、市町村にばかり負担をかけてはいけない、そのために例えば医療費の動向、すなわち限られた医療資源をどのように有効に生かすかということについても私どもいろいろやっておることは御理解いただけると思うんでありますが、診療報酬体系をだんだん工夫をしていると、特に老人の心身の特性に応じてふさわしい報酬体系をつくったという最近の動き、それから今度の十カ年戦略によりまして、在宅の福祉、介護を充実するということがいわゆる社会的入院というものを少しでも抑えていくと、御自宅で安心して介護をしていただくという方向、これもプラスになるでございましょう。
 それから、いずれ医療法等の改正をめぐって御議論いただくと思いますけれども、プライマリーケアを重視いたしまして、先ほどのどなたでもすぐ病院に駆け込んでいくというようなことも少しでも改善をする、各地域の専門家、お医者さん方にもっと地域で活躍をしていただこうという体制をつくる、そしてまたそのことによって早期診断もできると、こういう努力もしてまいらなければなりませんし、それからまた医薬分業もいわゆる薬歴の管理という形で不要な障害を除くことができるとか、私も就任以来いろいろな分野を見ますと、これすべて医療保険の安定に結びつく問題だなと、あらゆる点で一生懸命やらなければならないというふうに感じておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
#70
○糸久八重子君 ありがとうございました。終わります。
#71
○菅野壽君 今般の国保改正に関する大臣の御意見を承りたいんですが、今回の法律改正はただいま糸久委員からも指摘がございましたように、国庫負担の強化等の改善は見られますものの、基本的には二年前の暫定措置を恒久化するようなものでありまして、抜本改正とは言いがたいように私には思われます。また、今日既に一九九〇年代に入りまして、政府が以前約束された医療保険制度一元化の時期を迎えようとしておりますが、今回の国民健康保険法の改正内容を見ましても、依然として一元化の姿が浮かび上がっておりません。政府は、今回の改正で本当に国保の長期的安定が図られるものとお考えでございましょうか。大臣の御見解を承りたいと思います。
#72
○国務大臣(津島雄二君) 国民健康保険制度が、その財政基盤が脆弱で問題を抱えているという点は委員御指摘のとおりでございます。それがゆえに、医療保険各制度間の給付と負担の公平化を実現するためにさまざまな努力をしてまいったわけでございますが、こういう努力、そして今回御提案申し上げているものもそういう角度から言えば不可欠な改正であるというふうに受けとめておるところでございます。
 この改正を行った上で国民健康保険がどうなるかということにつきましては、老人保健制度の面でいわゆる老人保健拠出金が加入者案分率一〇〇%に移行することから、国保の負担がやや軽減されるという面もございまして、少なくとも一歩、二歩前進というふうに受けとめてございます。
 また、低所得層に対する今回の基盤安定制度というものも、これからずっと効果を発揮して将来に向けても安定化に寄与してもらえると思うわけでありますが、しかし、委員御指摘のとおり一元化の姿がまだはっきり地平線上に見えてこないというのは私もあえて否定はいたさないつもりでございます。ということは、裏から言えば、まだそこへ行くのに幾つかの課題があるということを私も率直にお認めいたします。
 そこで、これからの我が国の社会経済、医療環境の変化等見据えながら、どうやったら安定的な運営が図れるか、本院の御議論、それから必要に応じて審議会等の御議論も経まして、適切に対処してまいりたいと思います。
#73
○菅野壽君 国民医療費の増加の要因についてちょっと伺いたいんでございますが、今日国民医療費は二十兆円を突破しようとしておりますが、今後の本格的高齢化社会に向けまして国民医療費の増高は大きく問題となってくるものと思います。さらに高齢者を多く抱える国保の場合、この伸びは国民医療費の伸びをさらに上回るものとなっております。医療費の適正化は国保制度の安定化のために避けて通れない課題と思います。
 さて、この国民医療費の増加の要因でありますが、人口の高齢化、診療報酬の改定等さまざまな要因が考えられますが、政府はこの増加の要因はどのように分析しておられますか、お伺いいたします。
#74
○政府委員(坂本龍彦君) 医療費の伸びの要因というのは非常に複雑でございますが、例えば比較的わかりやすいものもございまして、昭和六十二年度の国民医療費の伸び五・九%を例にとってみますと、人口増が〇・五%、それから人口の高齢化による増が一・二%というように見ております。そこで五・九からこれらの要因を差し引きますと、残りはその他の要因として四・一%になるわけでございます。また、このほかに年によっては医療費の改定がございますので、そういう年には医療費の改定の率というものがここに登場してくるわけでございます。
 このその他の増というのが非常に難しい問題でございまして、私たちもいろいろ分析はいたしておりますけれども、数量的に把握するというのがなかなか困難という状況でございます。
#75
○菅野壽君 ただいまおっしゃいましたその他の分析でございますが、六十二年度で言いますれば、医療費の伸びは五・九%のうち四・一%がその他ということであります。つまり入院医療費や病床数の増高等、これからの医療費適正化対策を考えていく上で重要な要因がその他で処理されておりますが、国民医療費の増加については、このその他の分析こそ非常に大切じゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#76
○政府委員(坂本龍彦君) 御指摘のとおり、このその他というのが重要な内容を持っているものと私ども認識をいたしております。定量的に示すというのはなかなか難しいわけでございますけれども、原因としてその他と一口に言ってもどういうものがあるかという点についていろいろと考えてみますと、例えば医学の進歩による医療内容の高度化というものもございますし、それから医療機器の、特に高額な医療機器の普及という点もございます。それから新薬の開発等によります薬剤費の増加というのも考えられますし、また病床数がふえてまいりますと、それによって医療費がふえていくということもございます。さらに検査の増加、それぞれ医療費を押し上げていく要因として考えられるわけでございます。
 こういったものが具体的にどれぐらい医療費に影響を与えているかというのは、個別の検討としてはごく限られた例をとってみれば数字的に検証に近いものができないわけではございませんけれども、いろいろな対応がございますから、そういう意味で一律のコメントというのはなかなか難しい面がございます。しかし、いずれにしても、こういった面についてできるだけ増加要因の分析を行い、そしてそれに対応する対策というものを考えていくということが極めて重要な課題であると考えておりますので、引き続きこの問題に関する研究を進めてまいりたいと考える次第でございます。
#77
○菅野壽君 医療費の適正化に関する御見解をちょっと承りたいんですが、二十一世紀の我が国の医療保険体制を考えるとき、私は医療費の適正化の問題を抜きにしては語れないものと考えております。
 政府はこれまで病床の削減や医療費自己負担の引き上げ等でこれに対処してまいりましたが、こうした方策は時期がたてば効果が薄れるものと考えざるを得ません。早期受診、早期治療を妨げ、かえって医療費の増高を招くおそれがあります。医療費適正化については、この際従来の発想を改め、保健事業や供給体制のあり方等も含めた広い意味での医療費適正化方策を進めるべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#78
○政府委員(坂本龍彦君) 医療費の適正化という問題は幅広い角度から考えていく必要があると私どもは認識しております。例えば先ほど御指摘がございましたように、自己負担の引き上げ、あるいは病床の削減といったようなものにつきましては、私どもは直接医療費の額を減らすというような目的で実施したわけではございませんで、将来に向けて医療保険制度あるいは医療制度全体のあり方として一つのあるべき姿としての考え方から行ってきておるわけでありますけれども、結果として仮にそれが医療費の抑制につながるとしても、その効果自体においてはいろいろ限度があるというのは御指摘のとおりでございます。
 そこで、できれば病気になってから治療をするというよりは、病気にならないことを心がけるという、これはある意味では非常にわかりやすいことではございますけれども、なかなか実行面で具体的にはどのようにすれば効果が上がるかとなりますと、また相当考えなければならない面があるわけでございます。したがいまして、私どももできるだけ保健施設あるいは福祉施設といったような事業を充実いたしまして、健康増進、健康維持、そういったものに重点を置いた対策を考えたいというように思っているわけでございまして、この点につきましては、またいろいろと関係方面からの御意見も拝聴しながら充実を図ってまいりたいと考えております。
#79
○菅野壽君 長期入院患者の家庭復帰及び在宅ケアの実施についてちょっとお伺いしたいんでございますが、医療費適正化対策のうち、厚生省が示した本年度の医療費適正化対策を見ますと、長期入院患者の家庭復帰及び在宅ケアの実施という項目があります。これは六カ月以上の長期入院患者について家庭復帰、または老人保険施設等への入所指導を行い、家庭復帰した者の家庭を対象として、保健婦等による在宅ケアを行うモデル事業と説明されておりますが、医療費適正化対策の中でこうした文言が出てくることに危惧を感ぜざるを得ません。
 本年度の診療報酬の改定におきましても、入院時医学管理料の見直し等が行われ、長期入院費の低減化が図られておりますが、これらは決して患者の視点に立ったものではありません。在宅の受け皿づくりが不十分な状況で、医療の側から見ますと、早期退院策のみが先行するのは問題であると思います。長期入院患者の家庭復帰の名のもとに、長期入院患者の安易な病院追い出しが行われるようなことは何としても避けなければなりません。
 政府は、モデル事業の実施に当たってどのような長期入院患者を対象に家庭復帰を図るのか、また在宅ケアを初めとして具体的にどのような受け皿を対策として考えているのか、お伺いいたしたいと思います。
#80
○政府委員(坂本龍彦君) ただいまお述べになりました国民健康保険における長期入院者の家庭復帰等促進モデル事業でございますけれども、これはその名のとおりモデル事業でございまして、今後、長期入院患者のうちで退院が可能と見られる人についてどうやって適切な処遇をしていくのが一番適切であるか、こういう受け入れ基盤の整備等の対策の検討に資することを目的として実施をしております。したがって、現在、長期入院患者であるからといって実態を無視して家庭に無理やり帰すというのではなくて、現実に在宅医療ができるように持っていくためにどうやったらいいかということをいろいろ考えるための事業でございます。
 この対象となります人は、担当医師によって医療の継続をする必要がないと認められましたけれども、家庭事情等のためになかなか退院が困難であると認められた人が第一でございます。それから、六カ月以上入院している長期入院者の場合で、担当医師によって在宅での療養が可能と考えられる人、こういった方を対象としておるわけでございます。
 現実に、家庭復帰促進のための具体的な条件整備が必要でございますので、そういった問題については、それぞれ地域の実情に応じた対策を今後考えていかなければならないわけでございまして、この点については単に医療保険という分野だけではなくて、社会福祉その他の面で十分この受け入れの条件を整備するための施策の充実が必要であろうと考えております。
 現在の家庭復帰等促進モデル事業につきましては、こういった人たちについて現時点で個別にどのような処遇が行えるかということを関係者の間で十分連絡をとり合い、またその患者の家庭等にも理解を求めながら、現実に病院以外のところで療養ができるような方法をとるように考えながら実施しているというのが現状でございます。
#81
○菅野壽君 次に、いわゆる十カ年戦略における在宅ケア対策についてお伺いしたいんでございますが、在宅の受け皿づくりにつきましては、先般の高齢者保健福祉推進十カ年戦略によりまして、在宅福祉においておくればせながら施策の前進が図られようとしております。しかしながら、この十カ年戦略におきまして欠落しておりますのが保健婦による在宅ケア、訪問看護の視点であります。
 先般、厚生省は、訪問看護は医療施策だから十カ年戦略に含めなかったと説明しておりますが、医療、福祉、保健の連携強化が図られようとしている今日、そういう縦割りの説明では納得ができません。ましてヘルス事業の一環として保健婦等による在宅ケア、訪問指導が十カ年戦略から欠落しているのはどういう理由か、承りたいと思います。
#82
○政府委員(岡光序治君) お言葉ではございますが、高齢者保健福祉推進十カ年戦略には、高齢者の身体機能の維持、回復を目指しましてねたきり老人ゼロ作戦を展開することにしております。この作戦の中には、健康教育による脳卒中であるとか、骨折の予防等のいわゆる市町村が行う保健事業につきましても、その一環として位置づけておるわけでございまして、この保健事業の中で訪問指導、あるいは病気にならないようにするための生活指導、そういったことを行うということを考えているわけでございまして、そういう意味では、この戦略の中でも触れられておるというふうに私ども考えております。
 なお、いわゆる訪問看護につきましては、これは医療サービスでございますので、この十カ年戦略では高齢者のための保健、福祉分野のいわゆる公共福祉サービスについて十カ年間の計画目標を定めたものでございますから、その点で医療サービス部分については直接には触れておらなかったということでございまして、一応公共福祉サービスと医療サービスとを違えて整理をさせていただいたということでございます。
 なお、先生も御承知のとおり、訪問看護につきましては、医療機関でいろいろ行っていただいているわけでございますが、したがって、医療保険の方から診療報酬が支払われるわけでございますけれども、ことし四月の診療報酬改定におきまして、その点数を大幅に引き上げるとか、あるいは訪問看護に当たりまして、いわゆる准看護婦の皆さん方もそういった仕事に従事できるようにするなど大幅な拡充を図ったところでございまして、施策としては保健、福祉、医療が一体的に、総合的に提供されるということを望んでおり、またその推進を図りたいと考えておりますので、そういった方向で今後施策を充実したいと思っております。
#83
○菅野壽君 訪問看護等在宅ケア総合推進事業の実施状況についてお伺いしたいのでございますが、これからの高齢化社会におきましては、これまで以上に医療、保健、福祉の連携強化が必要とされてまいります。この話が出るたびに厚生省が施策の目玉として取り上げておりますのが訪問看護等在宅ケア総合推進事業の拡充であります。この実施状況について承りたいと思います。
#84
○政府委員(岡光序治君) 訪問看護等在宅ケア総合推進事業は、昭和六十三年度から全国で十一の市町でモデル的に実施をしていただいているところでございます。田園都市型あるいは農村型あるいは都市型、それから大都市近郊型というふうにパターン分けをいたしまして、それぞれモデル実施をいただいて、その各市町の実施状況を分析した上で、これをなお拡大し、かつ全国的にこの保健、医療、福祉の連携ができる仕事を進めるに当たってどういうふうなことを念頭に置いてやっていけばいいかという、そういう参考資料にしようということで進めさしていただいているところでございます。
#85
○菅野壽君 在宅ケア総合推進事業について承りたいんですが、昭和六十三年に実施してようやく全国で十五カ所、とても十分とは申されません。在宅ケア総合推進事業の理念自体は遅きに失したとはいえ、私どもは評価を申し上げております。しかしながら、その進捗状況たるや余りにも遅く、政府はこの在宅ケア総合推進事業を今後どのような目標を持って進めていかれますか、お伺いいたします。
#86
○政府委員(岡光序治君) 繰り返しになりますが、モデル的に実施をしておりまして、六十三年度からは十一市町、それから御指摘のありましたように、平成二年度からはこれを十五カ所に拡大をしております。これはモデル市町でございますので、その成果を踏まえまして全国的に展開が必要でございますから、そういったモデルの実績を分析した上でその市町村に置かれている状況にふさわしい形で保健、福祉、医療が展開できるようにということで、これはもちろん全国展開を期待をしておるわけでございまして、そういうモデルの成果を参考にしながら、適切にそういう展開ができるように持っていきたいと考えております。
#87
○菅野壽君 保健、福祉、医療の連携と国保の役割についてお伺いしたいと思いますが、こうした総合的な施策の推進に関しましては、昨年十二月の社会保障制度審議会におきましても、保健、福祉との連携といった地域医療の組織化を進めるべきであるとの意見具申が行われておりますが、この意見具申を受けて、今後国保を軸としたどのような保健、福祉との連携、地域医療の組織化を進めていかれますのか、お伺いいたしたいと思います。
#88
○政府委員(坂本龍彦君) 高齢化社会の進展に伴いまして、今後保健、医療、福祉の総合的な連携あるいは地域医療のネットワークづくりが極めて重要になってくると私どもも認識をしておる次第でございます。国民健康保険は市町村を経営主体としておりますので、市町村の一般行政との連携の面におきましても、あるいは地域住民の健康等に関するデータの総合的管理という面におきましても、さらに直営診療施設の活用といったような面におきまして、それぞれ極めてこの問題に関しては有利な地位を占めておるということが言えるだろうと思います。
 そういう意味で、国保事業のこういう利点を今後十分に生かしまして、国保関係者が保健や福祉との連携あるいは地域医療の組織化等に積極的に参加いたしまして、それぞれの地域の実情に即した地域づくりを進めていくということが期待されるわけでありまして、私どももできるだけ市町村の国保関係者と、それから国保関係以外の市町村の方々と、十分そういう意識を持ってお互いに有効な対策を樹立していかれるように、できるだけバックアップもしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#89
○菅野壽君 次に、技術料の尊重の診療報酬体系についてちょっとお伺いしたいのでございますが、技術重視の診療報酬体系の確立ということは先般の附帯決議におきましても示されております。最近政府がどのような技術料を尊重する診療報酬改定を行いましたか、お伺いいたしたいのであります。
 また診療報酬体系、医業経営、医療のあり方等にかかわる難しい事柄ではありますが、技術料を評価し、かつ医療機関の経営を安定させる診療報酬の仕組みについて、今後厚生省はどのような方策を講じてくださるのか、大臣にお伺いしたいんですが、いかがですか。
#90
○国務大臣(津島雄二君) 診療報酬につきましては、従来から技術料を重視するという立場で見直しを行ってまいりました。本年四月の改定におきましても、中央社会保険医療協議会における御議論を踏まえまして、診察料、指導料、処方料等の引き上げを行いますとともに、四週六休制の普及等、社会全体の労働時間短縮の動向をも勘案しまして、看護料の引き上げを行ったところでございます。
#91
○菅野壽君 次に、国保の保健施設についてお伺いいたしたいのでございますが、これまで国保中央会を中心に医療費適正化、医療費通知、保健施設の三%運動が展開されてまいりましたが、私は早期発見、早期治療の観点から、わけても保健施設の推進について大きな関心を持っております。保健施設事業の内容及びこれへの国の助成の状況をお伺いしたいと思います。
#92
○政府委員(坂本龍彦君) ただいま御指摘ございましたように、国民健康保険の被保険者の健康の維持増進、さらには中長期的な観点における医療費適正化対策といった面から見まして、国保の保健施設事業というのは非常に重要な意味を持っているというように私どもも認識しております。現在、市町村におきまして、いろいろな保健施設活動が実施されておるわけでございますが、例えば健康診査、健康指導、被保険者の健康管理のデータの収集分析、あるいは保健知識の啓蒙普及事業といったようないろいろな種類にわたっているわけでございます。
 同時に、国民健康保険団体連合会を中心にいたしまして、国保三%推進運動というのが展開されておりまして、私どもも、この国保三%推進運動は、今後の医療保険の安定的運営のために極めて効果的なものとしてその活動を高く評価しているところでございます。国におきましても、こういった保健施設事業の推進ができるだけ図られるようにいろいろと配慮をいたしておりますが、特にこういう事業の中で、ヘルスパイオニアタウン事業あるいは各種の健康管理に関するデータの管理事業等につきましては助成を行っておりまして、平成元年度におきましては二十七億円の国庫助成を行っております。また、健康管理センターといったようなものにつきましても設置が行われておるわけでございますが、これについても国費をもって助成をいたしておる次第でございます。今後ともこういった事業の推進がますます活発となりますように、私どもも意を用いてまいりたいと考えておる次第でございます。
#93
○菅野壽君 地域ケアに果たす国保の役割についてお伺いしたいのでございますが、本格的高齢化社会に向けて、疾病の予防からリハビリテーションに至るまでの一貫した保健事業の必要性が今日ほど高まっている時代はないものと思います。さきの社会保障制度審議会の「国民健康保険制度の長期安定確保策について」におきましても、国保の地域ケアへの参画について示唆されております。この意見を受けて、厚生省での検討状況、さらに地域ケアに果たす国保の役割についてお伺いしたいと思います。
#94
○政府委員(坂本龍彦君) 国民健康保険は市町村を経営主体としておりますので、地域における保健、福祉等との一般行政における連携という点で非常に重要な位置を占めておるわけでございます。また、地域住民の健康等に関するデータの総合的管理も可能ということになるわけでございます。同時に、国民健康保険が昔から持っております直営診療施設、これも活用によって非常な効果が上がるわけでございまして、こういう特性を生かしまして、今後その地域ケアにおける国保の機能というものをますます発揮することができるように私どもも十分考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
 社会保障制度審議会の御意見にもありますように、国保がその利点を生かすということが極めて重要でございまして、私どもも国保がこの利点を生かすことのできるよう保健施設事業の実態に見合った助成措置というものも講じながら、また今後の事業のあり方等についてもいろいろな角度から十分にバックアップしていくように心がけてまいりたいと考えております。
#95
○菅野壽君 療養取扱機関の申し出受理の取り消しについてちょっとお伺いしたいんですが、療養取扱機関の申し出の受理に関することであります。
 今回の改正案におきましては、都道府県知事が国保の療養取扱機関の申し出の受理を取り消すことができる事由として、「診療又は調剤の内容が適切さを欠くおそれがあるとして重ねて」厚生大臣または都道府県知事の「指導を受けたとき。」等が加えられております。この改正は、現在の健康保険法による保険医療機関の指定を拒むことができる事由に倣ったものと思われます。
 健康保険法のこの件に関する規定は、昭和五十九年の改正で加えられたものでありますが、その改正案の審議の際、規定の内容について種々意見が出されております。私も今、これらの意見と同様な事柄に関心を持たざるを得ません。
 そこで伺いたいのでありますが、健康保険法改正法の実施された昭和五十九年十月以降、この規定によりまして指定を拒まれた事例は何件ありましたか、その内容はどうでありましたか、お伺いしたいと思います。
#96
○政府委員(坂本龍彦君) ただいま御指摘の保険医療機関の指定拒否の問題につきましては、実際に健康保険法第四十三条の三第二項の規定によって指定を拒否した事例というのを私どもは聞いておりません。これは確かに、申請があったものを拒否した事例はございませんけれども、実情といたしましては、このような規定があることを認識いたしまして、申請をしようとしていた医療機関の方で自主的に申請を辞退したというような例はあるように承知をいたしております。
#97
○菅野壽君 最後に、保健施設の推進、国保の新しい役割についてお伺いしたいのでございますが、私は、国民健康保険は、地域住民に密着した地域保険として、医療等の給付を中心とした従来の医療保険の枠組みをさらに発展させ、住民の健康確保に関する積極的な役割を担うべきではないかと考えております。さらにこうした総合的な保健事業の推進こそがひいては医療費の適正化、国民健康保険制度の基盤安定につながることを私は確信しております。
 こうした観点から、国民健康保険制度の保健事業の推進、さらに国民健康保険制度の新しい役割について、大臣に承りたいと思います。
#98
○国務大臣(津島雄二君) 地域保険でございます国民健康保険に意義があるとすれば、それは今昔野委員の御指摘のとおり、地域住民の健康の確保について地域で具体的に積極的な役割を果たすことができるということにあると思います。特に、近時医療、保健、福祉の総合的な連携が叫ばれておるわけでございますから、そのような意味で国保に期待される役割はますます重要なものになると考えております。
 今後、地域保険としての国保の特性を生かして市町村の一般行政や老人保健事業との連携を図りながら、保健施設事業を推進していくことが必要でございまして、こうした事業の展開が国保そのものの安定化につながるという意味で国としても積極的に応援してまいりたいと思います。
#99
○菅野壽君 ありがとうございました。終わります。
#100
○西田吉宏君 ここへ来て三十分を二十分でやれと、こういうふうに言われましたので、私の方からは、一番最後に大臣から御答弁をいただくといたしまして、事務方の皆さん方も、私も端的に時間の関係で申し上げますので、ひとつ端的に明快に御答弁のほどお願い申し上げたいと思います。
 まず一点でございますが、国保の特徴等の問題であります。全医療の保険加入者の四割弱を占めております国保の医療保障における位置は重要なものがあると私は思うのであります。しかし、被用者を対象とする健康保険等と異なり、近年における産業構造の変化、人口の高齢化等の影響を強く受けて制度の基盤が不安になっていると言われております。そこでまず、医療保険としての国保の特徴、問題点について、まず一点お伺いをしたいと思います。
 数点ちょっとお伺いをしながら、時間の関係を見ながら進めてまいりたいと、このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 二番目は、国保運営の安定化対策についてお伺いをいたしたい、このように思うわけであります。特に過疎の町村等においては若年層の、若者が多く都市に流出をいたします。したがいまして、高齢者の方々が残るという状況にあるわけであります。保険料の負担能力の低い低所得者が保険料を支払うということになるのであります。一方、これらの人々は当然住民税も納めておると、こういうことであります。したがいまして、この財源の、地方において財源の措置というものは一般会計から補てんされると、こういうことになりますと、住民感情としては二重の税金を払っているんじゃないか、こういうふうな感覚になるんじゃなかろうかな、このように思うわけであります。
 そこで、まず一つは、年齢構成が高いために医療費が高いこと。二番目には、低所得者が多いこと、先ほど申し述べたとおりです。三番目は、医療費、保険料の地域格差が多いこと。これらが国保制度の運営が不安定になっている要因ではなかろうかと、このように思うわけであります。
 これに対して、国はどういう対策を講じて今日までこられたのか、これからの展望も含めて、まず二点をお伺いいたしたいと存じます。端的にやってください、時間がないので。
#101
○政府委員(坂本龍彦君) 国民健康保険はわかりやすく申しますと、サラリーマン以外の人を加入者とする制度でございますので、その勤労の状況でありますとか、あるいは収入の状況、生活の状況等、非常にさまざまな状態の人が入っておる制度であります。また、原則として市町村を運営主体とする地域保険であるとともに、国民皆保険の基盤となるというところに一つの特色がございます。
 同時に、制度発足時におきましては、農林漁業者や自営業者が主な加入者でございましたけれども、近年産業構造の変化、人口高齢化に伴って低所得者や高齢者の加入割合が高まっておるわけでございまして、財政基盤が脆弱化してきたと言えると思います。したがって、今後、保険者数も数多く、それぞれ地域の実情も多様であるために、医療費や保険料負担に大きな格差を生じている問題について今後対策を立てていかなければならないという状況にございます。
 さらに、国保の医療費につきまして、年齢構成が高いために医療費が高い、あるいは低所得者が多いといったようないろいろな地域格差がございますけれども、こういった問題については、これまで老人保険法の創設あるいは退職者医療制度の導入というような形で、高齢者等の医療費負担の公平化を図りつつ、国民健康保険の運営の安定化も図ってまいったわけでございますけれども、さらに六十三年及び今回の国保改正によりまして、低所得者問題や医療費の地域格差問題について、国と地方が共同して財政援助をする仕組みを導入していこうとするところでございます。
 そういったところから始まりまして、さらに市町村に応じて、いろいろと格差があります保険料の負担につきましても、できるだけ平準化をいたしたいということから、地方公共団体の御意見等も踏まえながら、今後の具体的対策として検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
#102
○西田吉宏君 今もお話がありましたが、六十三年度にもこの改正があったわけでありますけれども、今回の改正法案に対する地方側の理解、理解度といいますか、この点についてお伺いをいたしたい、こう思うわけであります。
 前回改正をされておいて、初めて国保に地方負担が導入されたとき、恒常的な制度としては地方公共団体の完全な合意が得られなかった、臨時応急的な措置として受け入れられたものと私は理解をしておりますが、いかがでございますか。
 そこで、そうだとすれば、今回保険基盤安定制度について、前回改正で二年間の暫定措置とされていたものを恒久化するに当たってどういう点に配慮をされたのか、また地方側の理解はどういう状態なのかお伺いをしたい、このように思うわけであります。
 もう一点続けてお伺いをいたします。さらに、保険料負担の格差の解消でございます。先ほども他の議員の皆さん方からも御発言がありまして、重複をいたしますけれども、ちょっと角度を変えてお尋ねをしたいと思うのであります。今回の改正で国保の基本的な改正は終わりなのかということは重要なポイントではなかろうか、このように私は思うのであります。御当局、すなわち厚生省は今回改正の実施状況を見た上で検討するという立場のようであると聞いておるところでありますが、この種の疑問が出てくるのは、やはり医療保険制度の根幹と言うべき保険料の問題がまだ手つかずであるからだと私は理解をいたします。しばしば指摘されているように、国保の保険料の格差は大きい。六十三年度では市町村間は最高が最低の六・八倍、都道府県間は最高が最低の二・四倍、こういう数字になっております。国保保険料負担の格差解消はまさに緊急の課題と言わなければならない、このように思うのであります。
 これらについての対策及び実施の目途についてお伺いをしたい、このように思うわけであります。
#103
○政府委員(坂本龍彦君) 二年前の国保の改正の際におきまして、地方負担を導入するということについてはいるいると御意見がございました。結局、暫定措置としての法律改正と、制度改正という形で一応の合意は見たわけでありますけれども、それまでには相当地方関係団体等との間でもいろいろなやりとりがございました。
 今回の改正でございますけれども、まず前回の改正に対しましては、国庫負担の増額というのが一つの相違でございます。これは保険基盤安定制度というものを恒久化する一方で、国庫助成についてもさらに強化を図り、また国庫負担の増額分について財政調整交付金にその相当部分を振り向けることによって、市町村間の財政調整機能の強化を図ったという新しい内容を持っておるわけであります。
 同時に、このような改正内容を決めるに当たりましては、事前に地方関係団体とも十分に御相談をしながら、その御意見を取り入れつつ成案を得るまでに検討をいたしたわけでございますので、そういう関係から地方団体としての御理解も今回は相当程度得られているものというように私どもは考えております。
 また、この法案につきましても、例えば全国市長会や全国町村長会から早期に成立を要望するという要望書も提出されているという状況でございます。
 次に、国保の保険料の都道府県間、市町村間の格差解消の問題でございますが、これはもう改めて申し上げるまでもなく、今相当な格差があることは事実でありまして、できるだけ縮小をいたしまして、医療費や所得が同一水準であれば、保険料負担もほぼ同じような水準になるというような方向に持っていく必要があると考えておる次第でございます。
 問題は具体的な方法でございますけれども、これはそれぞれ市町村において実情も違い、考え方もさまざまでございますので、十分に地方公共団体とも御意見を交換し、そして実態に見合った方法を見出していきたいと考えておりまして、現在地方公共団体の実務担当者の方々と検討会を設定いたしまして、御意見をお伺いしながら今後の方向を決めていきたいと考えております。また、時期等につきましては、平成三年度の着手を目途に検討を進めているところでございます。
#104
○西田吉宏君 格差の問題もありましたが、例えば西高東低だ、こういうような話がありましたが、一番一人当たりの医療費が高いのは北海道、私どもの住まいします京都市は政令都市では第五位だと、かつては第一位だったのですが、随分直ってきたのですが、第五位だと、こういうことで、この間の選挙でも日本一国保の高いとこやと、こう言うて、随分いろいろと争点になったところでありますことをつけ加えながら、大臣、先ほどから申し上げました問題も含めながら、ひとつ大臣の所見をお伺いしたいと思うのです。
 特に、大臣にお伺いいたしたいのは、先ほども申しますように、急速に高齢化する我が国の社会の変動に備えて、厚生省は福祉に関する基本的な構想を持っておられると思うのであります。この点について、まず一点お伺いをしたい。
 さらに、医療保険については一元化が一番大きい課題になっております。この一元化に当たって、おおむね八割程度という給付率の目標は変わっておらないのかどうか。この辺についてもお伺いをいたしたいと思います。また、それを達成するためにはどういう手法、段取りでお進めになられるのか、この辺もお伺いをしたい、このように思うわけであります。
 今後は、大臣もよく御承知のように、国民負担はふえる傾向にあり、社会保障全般について適正化が必要であると、私はこのように理解をいたします。国民の福祉の確保の重要性は十分認識しておりますが、何でも負担は安くせよ、給付は手厚くせよ、これでは困るのじゃなかろうか、このように私は理解もしております。
 二十一世紀に向けて、何としても一般国民が不満をできるだけ持たないような社会保障を構築することが一番肝要であろう、このように私は思うわけであります。この点を含め、大臣に御所見をお伺いいたしたいと思います。
#105
○国務大臣(津島雄二君) 委員御指摘のとおり、二十一世紀の超高齢社会に向けて私どもは新たな覚悟を持って進んでいかなければならないわけでありますが、これに当たって一定の方針を持っておるであろう、それを示せという御質問でございますけれども、基本的には医療保険については、国民皆保険の今の制度を安定的に維持していく、国民が病気になったときに基本的には心配がないという姿を構築することでございます。
 それから年金につきましても、年金を将来に向けて統合してまいりまして、一定の老後の所得保障をしなければならない。そのために必要な給付と負担の関係は今から論議を重ねて国民のコンセンサスを見出していこう、こういうことでございます。
 したがいまして、今の医療保険につきましても、年金につきましても、基本的なニーズは、これはもう国が中心になって、国が責任を持ってやらなければならない。それから老齢化社会における高齢者や障害者に対する福祉も、今度のゴールドプランでお示ししたように、これは少なくともやらなければならないということは、国が責任を持ってやるということでございまして、そしてこれを超えた国民の多様なニーズにこたえるためには民間においてひとつ知恵を出してやっていただければ大変幸いだと、こういう考え方でございます。
 要は、長寿社会が活力のある姿でなければ、福祉あるいは保険、年金というものそのものが維持できなくなるわけでありますから、したがって、国民負担が過重にならないようにという配慮をしていかなければならないということでございます。
 そういう基本的な方針の中で、医療保険の一元化について給付率八割という目標を立てておるが、これは変わることはないかという御質問でございますが、八割という目標をしっかりと掲げて、これに向けて条件整備をしていくというのが今の段階でございます。
 どういう段取りでいくかということにつきましては、まず今回の改正によりまして、国民健康保険制度の基盤を安定させる、そして、その後は例えば老人保健制度のあり方とか、あるいは医療保険の給付と負担のあり方等について、国民の御意見を伺いながら、検討を進めてまいるというのが基本的な考え方でございます。
#106
○西田吉宏君 私、実は地方に長いことおりましたので、どうもこちらへ来ますと、一遍このことだけは聞いておきたいなということで、どうも申しわけないと思っておるんですが、なるほどただで全部やるということはいけないと思う。やはり応分の負担をしながら、そして安心した老後を送れるような保障をきちっと立てていくということが大筋だということはよくわかっておるんです。ただ、国の施策そのもの自体では、すばらしいゴールドプラン等をお立てになっておりますけれども、その事業そのもの自体が市町村へ大体移管をしてやらなければならない問題がたくさん、この問題以外にもあるわけでしてね。したがって、先ほども述べましたように、市町村、自治体、これとの特に事前協議といいますか、合意といいますか、そういうものを十二分に図っていただきたい、このことを要望しておきながら、質問を終えたいと思います。
 ありがとうございました。
#107
○高桑栄松君 それでは、私、最初に、予防医学の推進ということについて、まずお伺いをしたいと思います。
 何回も行われている世論調査を見ますと、一番願っているのが健康で長生きだということが出ております。
 そこで、昭和五十九年の健康保険法の一部改正のところでございますが、これは私が参議院に出さしていただいて最初に仕事をさしていただいたものの一つでありますけれども、このときに初めて健康保険法の第二十三条が改正をされまして、そこに健康教育、健康相談、健康診査について保険者がこれを行うことができる、これが新しく入りました。
   〔委員長退席、理事糸久八重子君着席〕
これが私が予防給付と言っているものでございますが、これができまして、政府はどのように対応してきたか、特に国保における予防事業というものはどんなふうになってきているか、ちょっと伺いたいと思います。
#108
○政府委員(坂本龍彦君) ただいま予防給付というようにおっしゃいましたが、私どもは厳密な意味での給付とはまた別のものであるというように解釈はいたしております。しかし、現実に被保険者の健康の増進あるいは疾病の予防等に非常に効果があるという意味で、これは国民健康保険における重要な事業である、給付に匹敵するような重要な事業であるという認識は持っております。
 そこで、最近における疾病予防活動等の事業でございますけれども、これはそれぞれ保険者が国民健康保険の運営主体として独自の企画、判断によって行っておるところでございまして、その実施の市町村の数から申しますと千二百七十市町村という状況でございますけれども、これは数年順次増加している状況にございます。また、内容につきましても、例えば人間ドック、成人病健診といったようなものも既に実施しておるところもございまして、内容的にもかなり多彩になってきております。
 今後、それぞれ各地域における特色を生かした事業として私どもも十分充実が図られるようにいろいろな面でまた配慮をしてまいりたいと考えております。
#109
○高桑栄松君 私は、この私の言う予防給付につきまして、地方自治体も若干調査をしてみました。特に東京都で調べてみますと、非常に各区によりまして格差がございますが、ある区は非常に年齢をぐんと下げまして、たしか五十三歳以上でしたかね、区民であればだれでもこれこれこれこれの項目については全額区が持って健康診断を受けることができる、これは一〇〇%の予防給付だろう、こう思います。
 その項目を見ますと、一番進んでいるところは、これはやっぱり私は大したものだと思うような健康診査の項目があります。実際に開業医に聞いてみますと、これだけやられれば十分だと、十分というか非常に意味があると言っておりますし、一番問題になるのは、新しく患者として自分のところへ来たときに、その健康診査の結果があると非常に有効だと。先ほど、診察を受けるといろんな項目を改めて検査されるということでありますけれども、それがある程度もうわかっているということで非常に診断に有効であるということを開業医が言っております。
 その意味で、予防医学という立場からは少なくとも日帰りドック並みの健康診査を何らかの形で推進をしてもらいたいということを私は要望いたしますが、もちろん一〇〇%の負担というのは大変な、予算も食うことでございますから、それについていろんな制約があってもいいと思うんです。
 受益者負担という意味で自己負担率をどれくらいにするかということがありますが、私が大学に奉職をしておりましたときにも、数を限定されてその数の中で何番目か手を挙げると、その年に入ります。二泊三日かな、ドックで、半額自分負担なんです、半額は組合員が持つということで。それでも非常にたくさん希望者があるというようなことがあるわけで、そういったことをする必要があると思うのでありますが、今地方自治体もどんどん進んでいるということでありますが、東京のさっき申し上げた区に比べますと、地方自治体の項目というのは随分レベルが低いといって、言い方は悪いですけれども、悪いと思うんです。
 というのは、簡単な意味でのスクリーニングテストの非常に重大な、気になるところはフォールズネガティブですね。間違って大丈夫だと言っちゃった、何もないといったときに実際に精密検診をやればプラスにひっかかるということが非常に重要なんですね。自分は大丈夫だと思うんだから、それで何もしないわけだ。だから、そういう意味では非常に簡単な健康診査で大丈夫だと思うところが私は非常に困ることでないかということがあるわけです。
 その意味で、私が申し上げた日帰りドック並みの健康診断を何らかの給付を行うことを考えながらやれないか、あるいは地方自治体にそういう意味での推薦、リコメンデーションができないかということでお考えを承りたいと思います。
#110
○政府委員(坂本龍彦君) 日帰りドック等の健康診断が実施できるとすれば、それは住民の健康維持にとって極めて望ましいことであろうと私も考えております。ただ、国民健康保険におきましてはいろいろ財政事情もございます。やはりこの健康診断等の事業につきましても、保健予防事業につきましても、財源といたしまして被保険者の負担する保険料ということになるわけでございまして、それぞれ市町村がそういった問題、あるいは住民の健康度、あるいは具体的な要望、こういったものを考えまして今後この保健予防事業の内容を決定していくということになるかと思います。
 そこで、私どもとしてはいろいろな健康活動の例などについての紹介というようなものは今後考えていってもよろしいかと思いますけれども、具体的にどのような事業を行うか、これは市町村の最終的な判断にゆだねることにいたしまして、ただ、できるだけ各市町村が十分な保健事業活動を実施することができるようにいろいろな形で私どもも援助してまいりたいと思います。具体的にはこの保健予防事業に対する国の助成という制度もございますので、そういったようなものも通じながら今後はできるだけ市町村の行う事業の充実を図ってまいりたいと考えております。
#111
○高桑栄松君 これも事例でございますけれども、私が北海道、北大におりましたころですけれども、もう十年以上、十数年たちましたが、北海道医師会が新しい会館をつくるときに、どういう社会的な奉仕ができるだろうかというのが議題になりまして、新館の九階でございますが、北海道医師会の九階ワンフロアを全部提供いたしまして北海道民健康教育センターをつくりました。そのレイアウトというか、それは私のアイデアでそのとおりやってもらいました。医師会とすればワンフロアをどこかに貸せばテナントで利益が上がるんですけれども、もう利益を全部放棄するというか、それよりも医師会の社会的な使命を考えて健康教育センターをつくるということでございまして、これは当時の日本医師会長の武見太郎先生が、あの大変厳しいお方が絶賛をしてくださいました。世界にも誇るべきものではないかということで日本じゅうの医師会から見学においでになりました。外国人も見えております。中の一部は外国に輸出をするような状況にもなっておりますが、そのときに制作された健康教育の材料というのは北海道内の医師会にそれぞれ貸し出すというようなことをやっておりまして、それがもう十何年も続いてきております。
 そういうことを今事例として申し上げたのでありますけれども、私はさっき申し上げた健康保険法第二十三条に盛られた健康教育、健康相談、健康診査ということに関連しまして、一般の国民が健康保険法第二十三条を知らない人が多いわけでありますので、それを念頭に置きながら、健康教育、健康相談、健康診査に関する相談窓口というふうなものを、国公立病院という公の病院で窓口を設置してはどうかと。実情を伺いますと、しているところもあるようでありますけれども、積極的に進める必要はないか。そこへ行くといろんなことが一応相談できる。医師に相談いたしますと、・時間のことがありましてなかなか親切にしていただけないということがありますので、国公立病院に相談窓口というものを置いてはどうか。もちろんメディカルケースワーカーという職業、そういう仕事をする人もおりますし、あるいはあるところではベテランのナースが担当しているというところもあります。あるいは引退を、定年で退職をされた先生が顧問みたいな形でそこを担当するというところもあるようであります。私は、そういうことを積極的に進めていって、国民全部が健康で長生きという状況をつくることこそ、医療費も節約されるはずでありますし、国民が最も願望するところではないかと、こういうふうに思います。これについてのお考えを承りたいと存じます。
#112
○政府委員(伊藤卓雄君) 国公立の病院に医療あるいは健康相談に応じる窓口を設けてはどうかという御指摘でございますが、私、国立病院を所管しておるという立場から答弁させていただきたいと思います。
 もうこれ、先生、先刻御案内のとおりでございますけれども、保健施設事業というものは保険者が特定の被保険者を対象にやっておられるということでございますけれども、私ども国立病院の立場では広く国民一般の方を対象といたしておりまして、また地域的にも非常に広いエリアの方々を対象としていわば政策的な医療を担うというようなことで、医療という点に非常にウエートを置いてやってきております。したがいまして、みずから健康相談の事業というような形でやることはなかなか難しい問題だというふうに考えておりますが、実は、現実には患者サービスという立場に立ちまして、必要に応じましてケースワーカーを配置して患者さん方のいろいろな御相談にお答えもしております。また、ビデオとかパンフレット等を用いまして患者さんに健康教育といいますか、健康についての啓発活動を行うというような試みをやっているところもございます。さらには、退院後の患者さん方につきまして、医療相談とかございますれば、随時お医者さんが対応するという仕組みで対応しておるところでございます。
#113
○高桑栄松君 私が申し上げたのは、開業医の先生方、医師会の先生方なんかといろいろお話ししていまして、次第に予防医学に非常に社会的な、医師の活動の場というか、意義を考える先生もふえてきていることは、またふえていると思うんです。そういう意見を言う人がたくさん出てきています。
 それで、私は、健康教育、健康相談も、もう一つ健康診査までいっていいかどうかと私は思うんですが、少なくとも健康教育、健康相談についての、あるいは医療相談についての開業制度みたいなものが、ベテランの先生で実際の診療はもうこの辺でいい。ただ引退するか、それとも健康教育、健康医療相談等々の相談のための開業医というものはどうだろうか。これは、賛成、反対が半ばしておりまして、私もまだ行政当局にぜひやれと言う自信は持っておりません。しかし私は、それがもしできるのであればベテランの医師であればあるほどいいと思うので、一種の定年制ということはないんですけれども、ある年齢に達して、私はもうこういうことだけで看板をかけていきたいというふうなことができればなという、プライマリーケアのもう一つ前の段階なわけでありますが、そういった先生が適切に、あなたはこういうところの専門医に診てもらった方がいいとか、総合病院に行きなさいとかいう何かのアドバイスをする。そういうことを私は何年も前から実は考えておりますけれども、もしこれが開業するとなると、これについての点数ということも出てくるわけで、そういう意味で私はまだ自信を持ってお話ししているわけじゃありませんが、一応私の考えをちょっと述べたのでありまして、そうですね、これ厚生省に答えてもらうところまでいかないな。私の意見だけということにさせていただきましょう。
 そこで、今の健康診断に関連しまして、今国で進めている成人病予防健診がございますね。その成人病の予防健診の中で私取り上げたいと思っていたのはがんでございますけれども、がんはどういう項目を取り上げて今進めておられるんでしょうか。
#114
○政府委員(岡光序治君) 老人保険法に基づきます四十歳からの健康診査でございますが、その中でがんは胃がん、子宮がん、肺がん、乳がんの検診でございます。
#115
○高桑栄松君 いずれもやはり罹患率の高いものをマークしておられると思います。
 しかしもう一つ、最近の統計を見ておりますと、気がつくのは、例えば胃がんなんかは明らかに罹患率というのは下がってきている。肺がんは少し上がっているとかいろいろありますけれども、罹患率自身の数よりも増加傾向が左の側を例の指数でとりまして、ログでとりますと全く直線的に上がっているのが大腸がんですね。私は大腸がんというのは見逃されているんじゃないけれども、大変重要なものでございますし、私はこの際、大腸がんを今の予防健診に加えた方がいい、加えてもらいたいなと。しかも大腸がんの検診も割合にスクリーニングテストとしてのかなり有効なものがあるように聞いておりますので、そういったことで大腸がん検診を成人病予防健診に加えることについてのお考えはいかがでしょうか。
#116
○政府委員(岡光序治君) 先生御指摘のように、大腸がんによる死亡が食生活の欧米化とかいうふうなことがどうも理由のようでございますが、近年増加傾向にございまして、一部の市町村では大腸がんの検診も行われておりまして、この健診項目に加えるようにという御要望なり御指摘は大分承っております。
 それで、どういうものをいわゆる老人保健法による健診項目にするかということにつきましては、公衆衛生審議会でいろいろ御議論をいただいておりまして、この大腸がんについても検討をいただきました。その結果は、これは平成元年十二月にいただいたものでございますが、なお、時期尚早であると、全国的に実施するにはまだ条件整備が不十分であるということで、実は今後の検討課題にされているところでございまして、私どもそういう審議会の一応の方向づけをいただいておりますが、この検診についてどうするかということで、実は、現在調査研究をいただいておりまして、こういうマススクリーニングを大腸がんについて効果的に実施するためにはどうしたらいいんだということで御研究をいただいているところでございまして、その研究の成果を踏んまえながら、また審議会でも御議論いただきながら将来の方向を決めていきたいと考えております。
#117
○高桑栄松君 確かに、さっき申し上げたネガティーフが間違っていたときのことがありますのでね、そう簡単にやるわけにはいかぬのかもしれませんが、予防というのはやはり早い方がいいわけで、その意味では何か整備の整ったところからやるとか、何か早いというのが予防でございますから、早期発見あるいはそういうことを実施することによって予防教育ができると思うんですね。ですから、そういう意味では早く実施に移すべきではないか。例えば、排便のときに出血をしただけでもどうするかというのが一つあるわけで、単に痔だと思っていてはいけない場合が非常に多いわけですね。そういうようなことを踏まえて早速にでも条件整備の整ったところからやっていくということでお考えをいただいてはどうかと、こういうことを再度申し上げまして、次の質問にいきます。
 ある自治体の全町民、あるいは市民でも同じですが、町民全員の健康管理をしてカードをつくるということで、私が非常に感銘を受けたのは、北海道の中川町というところでありまして、もうどれくらいになりましょうか、私が北海道で教授をしておったころに応援をしたことがあるんで十数年になると思いますけれども、これはある病院が総力を挙げて、無償でその町を健康管理のために実験的に、実験というのは悪い意味じゃなくて、無償で健康管理を引き受けたという町でございますけれども、非常に効果がありまして、そういう全町を健康管理することによって、間違いなく医療費が減ってきています。
   〔理事糸久八重子君退席、委員長着席〕
数年たちますと、入院患者が減るとか、非常に減ってまいりまして、私はそのことがいつも念頭にあるんですけれども、これはよほどそういうことで医師グループのエネルギー、医師だけじゃありませんから、コメディカルの方々一緒になって行きますから、そういう人たちが無料奉仕をするぐらいの気持ちでやってきた場所でありますが、そういった自治体というのはどれくらいか御存じですか。例えば数、どのぐらいあるでしょうかね。
#118
○政府委員(仲村英一君) 申しわけございませんが、正確に把握しておりません。ただ、私どもから研究費でお願いしておるところでございますとか、情報をお寄せいただいたということで、幾つかの町村でおやりいただいているということは承知しております。
#119
○高桑栄松君 そのときに、一番問題になるものの一つはカードをどう整理するかということでありまして、私はもっと大分前、例えば十年ぐらい前でしたら、病気そのものもプライバシーに非常に深くかかわっているから、何か聞かれると健康カードについては賛成をしないできました。しかしここ二、三年来健康カード以外のカードですと、もう市町村でほとんどコンピューター化されつつある。そうすると、問題はプライバシーをどう保護していくかという一点さえあれば、国民は健康カードがあれば、さっきちょっと申し上げましたが、健康診断を受けた患者が、そのデータがあって、病気になったときに見に来てくれたらすぐもう見当がつく。例えば、心臓にはもう前に検査して影響がなかった、肺のレントゲン検査ではなかった、それが半年たって急速にどうこうということはまずなかろう、例えばそういう判断がつくわけでありまして、だから健康カードというのは本人のみならず、医師の診断にも役立つし、医療そのものの向上、そして終局的には医療費もその分だけ減っていくことになろうかと私は思うんです。健康カードについては、ですから、私はプライバシーを守るという意味で進めた方がいい、今現在そう思っておりますが、このことについて厚生省としては何か検討しておられるでしょうか、これについて伺いたいと思います。
#120
○政府委員(仲村英一君) いろいろな、何というんでしょうか、考え方といいますか、やり方があるのではないかと思います。健康保険の保険証にそういう機能を持たせるやり方もあるでしょうし、今先生がおっしゃった一般的な健康カードと申しますか、そういうものに入力するものとか、あるいは住民の台帳的なものにいろいろのデータをだんだん載っけていく方法でございますとか、いろいろあるんだろうと思います。
 私ども、実は、昭和六十二年から三年の計画で医療情報システム開発センターというのがございまして、そこへ委託研究でお願いいたしましたのは兵庫県の五色町というところでございまして、ここでは、二番目に申し上げましたように、個人の情報にいろいろの健康情報を追加していくというようなことで、実験的にカードシステムの実験をお願いいたしたわけでございます。現在千八百五十人ぐらいで、そう規模は大きくございませんけれども、カードを持っていただいて、それを診療機関へ持っていっていただくと、先生が今おっしゃったような過去の検査データとかいうのが入っておるということで、かなり実験的には私どもとしては成功したものだと思っておりますが、これを今後実施レベルまで持っていくにはまだまだいろいろの問題があるという認識を持っております。
 実は、きょう現在今この研究班の評価の会議をやっておるところでございまして、その結果、いろいろまた、こういうカード方式と申しますか、評価を加えられた結果を受けまして、私どももどういう形で持っていくか、あるいはいろんなパターンがあると思いますので、こういうカードシステムもいろんな形で導入させていく工夫というのは必要だろうと思います。
 先ほど先生もお触れになりましたけれども、プライバシーの保護の問題は非常に重要でございますが、同時に、カードが一枚五千円とか八千円とかいう単価のものもございますし、機械と申しますか、そのリーダー等につきましての費用についても、どういう形でそれを社会的に捻出するかという問題も含めまして、このシステム化についてはさらに研究を重ねたいと思いますが、方向としては先生がおっしゃるとおりでございまして、他の、銀行でございますとか、いろいろもうカード化している部分が非常に多いわけでございますので、この健康情報に関しましても、その方向になろうかと思います。しかし、そのどの分野と連携と申しますか、同じ情報を共用するかとか、いろいろの角度の検討がまだ今後必要ではないかというふうに考えておるところでございます。
#121
○高桑栄松君 五色町というのは人口どれくらいでしょうか。枚数もう一度伺いたいと思います。
#122
○政府委員(仲村英一君) 淡路島にございます人口一万七百人ぐらいの町でございまして、これに御参加いただいた診療所は、開業の先生が三軒、それから町営の診療所が二軒、それから病院、県立の淡路病院、こういう形で御参加いただいて、カードを今持っておられる方が、当初五百人弱でございましたけれども、現在千八百五十人ということでございます。
#123
○高桑栄松君 そうすると、二千とすると五人に一人ということになりますから、一世帯に一人まではいっていませんね。希望者だけなんですか、これは。
#124
○政府委員(仲村英一君) 当初、高齢者の慢性疾患をお持ちの方ということで若干絞りまして、それからだんだんすそ野が広がったような格好でございます。
#125
○高桑栄松君 非常にこれはいいことだろうと私、今思ってお話を伺っておったんですけれども、要するに、全国規模で共同利用ができるかということになりますね。そうすると、今のリーダーだとか、コンピューターに入れるのはどういうふうにするのか。そして共同利用ができるようになると、一方ではプライバシーというのがその分だけ拡散していくのかなという心配もないわけではございませんが、どうぞ急いでというか、研究開発を進められて、そして、こういうことをもし広く広域にわたって使うようになったら、地方自治体にも助成をするとか、そういったことが考えられてもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#126
○政府委員(仲村英一君) いろいろの考え方と申しますか、やり方があり得るのではないかと思うわけでございまして、今、出雲市で御計画になっておられるのは、こういう健康情報と同時に、健診のデータとか、それから一般の行政窓口サービスについても、そのカードで請求書の自動発行とかいうこともお考えのようでございますので、そういう場合には一般の行政の経費になると思いますし、健康保険証に載っけていくとすれば、どういう形か、保険者から出すのか、あるいは健康といいますか、予防健診のサイドからいえば衛生行政当局になるのか、いろいろのことが考えられると思いますが、いずれにしても、かなり社会実験的なことをやりませんと実際上なかなか難しい問題もありますし、広域化すればするほどデータの互換性の問題とか、プライバシーの保護の問題、今、五色町でやりましたのは四回パスワードを間違えるとデータを出さないようにするとかいう仕掛けにしてございますけれども、だれでも引き出されるという危険性はあり得るわけでございます。そういうのも配慮しませんといけませんので、私どもとしては実施段階にまではまだ至らないと思いますけれども、方向としてはこういうものを導入することを考えていく時代ではないかというふうに理解しておるところでございます。
#127
○高桑栄松君 それでは大臣に、私申し上げました予防医学の推進につきまして、ひとつちょっと私、各論的な話を大分いたしましたけれども、トータルとして予防医学の推進についてのお考え、御熱意等を承りたいと思います。
#128
○国務大臣(津島雄二君) ただいま、専門家でおられる高桑先生から一貫して、日ごろの地域の健康づくりと、それから早期健診、早期治療という角度からのお話がございまして、これが最後には健康カードで管理をしたらどうかと。お考えは一貫しておりますし、大変感銘を受けて承らせていただいたわけでございますが、今さら私から申し上げるまでもなく、老齢化が進んでまいりますときに、日ごろの積極的な健康増進ということが、お一人お一人の方にとってはもとよりでございますが、国民全体、国民医療の見地から申しましても、あるいは急がば回れで、最も早く医療の資源の効率的な活用につながるのではないだろうかということを今感じております。
 厚生省としてどうかと言われますと、決して手をこまねいていたわけでございませんで、従来から、生活習慣を栄養とか運動、休養のいろいろな面から健康的なものとするため総合的施策を進めてまいりまして、昭和六十三年度から運動習慣の普及に重点を置いた健康づくり対策、アクティブ80ヘルスプランというようなものも地方団体にお勧めをして、そして平成二年度予算においてもその充実を図っておるわけでございまして、こういうモデル事業を打ち出していくことはもちろん結構なことだと思います。
 ただ、今ずっと承ってみまして、どうもこれだけでは足らないな、やっぱり地域社会で例えば地域福祉とか在宅介護とか、そういうものについてもう少しきめ細かくやろうではないかという方向に行くときに、地域に住んでおられる方に日ごろからの健康の配慮あるいは指導、そしてまた健診というもののネットワークをもう少し努力をしてつくっていくべきだなというふうに感じております。
 ただ、私の立場から、これは言うは易しいんですけれども、実行する段になりますと、市町村、地域の自治体が担い手になっていただかなければならないわけでございますから、これからゴールドプランについていろいろな議論が行われていく、それは今度は健康とか医療という面についてまで進んでいく、それからまたプライマリーケアを充実するということで、医療体制についても専門家を中心にいろいろ工夫がなされる、こういうものが全体としてうまくかみ合っていって、今先生が提唱されるようなものができ上がっていけばいいな、そういう意味で私どももいろいろ研究してみなければならないなというのが私の率直な感じでございます。
#129
○高桑栄松君 それでは、その次に国保財政について質問をしたいと思います。
 昭和六十三年に法改正があったということで、その後、国保の収支は、細かいのは時間が減ってきましたので、収支のところでどうなっているかをちょっと伺いたいと思います。
#130
○政府委員(坂本龍彦君) 昭和六十三年の制度改正によるいわば財政的な効果の状況と申しますか、その数量的な把握というのは極めて困難でございますけれども、ちょうど六十三年度の制度改正を行わなかった場合との比較におきましては、二百億円程度の保険料軽減効果があったのではないかというように私どもは推定をしておるところでございます。
 こういう効果もあったということから、一人当たりの保険料の伸び率というものを見ますと、昭和六十一年度に一二・九%、昭和六十二年度に八・六%伸びておりましたのが、昭和六十三年度では六・一%、それからさらに、これはまだ平成元年度につきましては見込みでございますけれども、伸びが五・一%というように見込まれますので、いずれにしても、保険料の伸びというのは従来に比べますと低くなってきているというような実態がうかがわれるわけでございます。
#131
○高桑栄松君 私の持っております資料で、市町村国保の財政状況というところを見ますと、昭和六十三年度の実質収支差引で一千百六十三億円が黒字みたいに出ているわけですが、そこの中を見ますと、一般会計の繰入金というのがございまして、その中で国が二百五十億ですか、繰り入れているものを引きますと、二千八百十九億から二百五十億円を引きますと二千五百六十九億円という繰入金が入っているわけで、国庫とは別にですね。ですから、それを一千百六十三億円の黒字だと考えますと、実質的には千四百六億円の赤字になっているのではないか、こういうふうに思うんです。そうすると、今のようなやり方で、果たして国保は安定効果を得ることができるだろうかということが一つ考えられるわけであります。
 そして、今までのことをいろいろ考えてみますと、退職者医療制度が発足をした、それから老人保健の加入者按分率が一〇〇%に移行したんでしたね、もうしましたね。そうすると、この二つとも中身をよく見ますと、要するに、こういうことによって国保に対する国の負担が減っていっているのではないか、そして健保の負担が増加しているというふうに思われるわけです。したがって、国の立場からいうと負担が軽減をして安定したということになるのでしょうが、一般健保、地方自治体の国保財政の方を考えますと、これはマイナスに働いていないかということでありまして、国の国保に対する考え方に後退があるというふうに判断することができるように思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
#132
○政府委員(坂本龍彦君) 老人保健制度を創設いたしましたのは、今後高齢化に伴って老人の医療費というものを従来のように各制度の加入者の加入状況に応じて負担していただくというのは、これは非常に無理が出てくるであろう。したがって、各医療保険制度が公平に負担をしていただかなければ今後の医療保険制度の安定的な運営は期しがたい、こういうところから今の老人保健制度の仕組みが基本的には決まってまいったわけでございます。したがいまして、これは直接国庫負担を減らすとかあるいは国保の国庫負担の削減を目的とするというものではなくて、国民が共同に公平に老人医療費を負担しようとする結果、結果論として国民健康保険の方は、従来の老人医療費の負担に比べますと、被用者保険の方へ実質的な負担をしていただく分が多くなって、その結果国民健康保険の方の財政が軽減される、こういう結果になっておるわけでございます。
 したがいまして、これは私どもは決して後退というようには考えておらないわけでございまして、同時に、それでは被用者保険の方の拠出の負担というものが相当今後は厳しくなるではないか。これは老人医療費がふえてまいりますと、確かにそういう結果が出てまいります。それに対しましては、私どもも別の形でそれぞれ被用者保険の保険者の運営についても安定化が図られるように、それはそれなりの対策も考える。こういうことで、一方的に被用者保険だけに負担を押しつけるということではないわけでございます。
 そのような意味で、これからの費用負担のあり方というのは、公平な負担と同時にそれぞれその保険者に対しても適切な助成を行っていく、こういう施策の組み合わせで考えておるわけでございまして、ただいま御指摘になりましたような後退というようなことは私どもとしては考えておらないという次第でございます。
#133
○高桑栄松君 時間のこともございますので、余り突っ込んだ議論ができないのがちょっと残念でありますけれども、私が今申し上げたのは、数字の上で国の負担が減っていって、そして今言ったように、自治体と国保の保険者ですね、自治体とそれから組合健保の方に圧迫がいっているのではないかという部分を指摘しておきまして、今後の推移と対応を見守っていきたいな、こう思っております。
 次は国保の医療費の地域格差でございますが、私は北海道大学におりましたし、いろんな医療関係に、医師会活動にも私は学術担当で参加いたしましたし、いろいろの関連を持っておりますが、何せ医療費の西高東低と言われる中で、北海道は特別突出しておりまして、西高東低どころか北海道一位、一番高い。先ほど来何遍も出されて、私の責任では何にもないんですが、何となくちょっと肩身が狭いような気がいたしまして、ちょっと反論をしておきたいなと思うのであります。
 北海道の特殊性、いろいろかばってくだすった方々もおられるようでありますが、このうち私が注目をしたいのは、人口構成による標準化、つまり基準医療費と書いてありましたね、この基準化された基準医療費で見ますと、実質一位の北海道が三十二番目であるということでありまして、人口構成で標準化すると真ん中以下になるということで、必ずしも北海道の医療が、特に医療費が高いとかお医者さんがもうけ過ぎているのではないかとかいうことではなくて、基本的には基準化すれば違ってくるということが指摘されるわけであります。しかし、ともかく北海道が一番で沖縄が四十七番で、その差は二・一倍だと言われておりまして、北海道医師会の方もこれについては大分苦慮しておることは事実であります。これはただ事実を申し上げて、次にいきたいと思います。
 高医療費対策、低所得者対策というのが国保安定の非常に重要なポイントだと思うんですが、高医療費市町村の数、特に基準医療費の一・二倍超の市町村というのはこの二、三年でどういうふうに変動したでしょうか、それを一つ伺いたいのと、それから低所得者層の保険料軽減世帯は年々増加しているのか減っているのかということ、それから所得なし層はどうなのか、この辺をちょっと伺いたいと思います。
#134
○政府委員(坂本龍彦君) まず、高医療費市町村の指定の状況でございますが、昭和六十三年度にこの制度が初めてできまして、まず百四十六市町村が指定されております。これは十五道府県にまたがっております。それから平成元年度には百四十七市町村が指定されまして、これは十八道府県にまたがっております。なお平成二年度でございますが、これは現在の段階での一応の見込みでありますけれども、百三十市町村、これは十八道府県にまたがる見込みでございます。
 六十三年度に指定されました百四十六市町村のうちで、昭和六十三年度の地域差指数が一・二〇を上回るというものにつきましては、この基準超過費用額にかかる共同負担が生ずるわけでございますが、その市町村は七十六市町村になるものと、現在まだ見込みの段階でございますが、見込んでおります。これは十道府県にまたがっております。
 次に、今度は低所得者層の問題でございますけれども、まず保険料軽減世帯の割合でございまして、国保世帯に占める保険料軽減世帯の割合は平成元年度において二三・七%となっておりますが、この割合は数年間で少しずつ増加をしてきているという状況でございます。例えば昭和六十年度におきましては二二・七一%でございましたから、この間にほぼ一%程度ふえたというような推移になっております。
 また、所得なしという世帯の状況でございますが、所得階層別に見まして所得なしという階層が昭和五十三年度に一二・二%でございました。これが昭和五十五年度に一三・一%、昭和六十三年度には一六・五%というような数字になっております。
#135
○高桑栄松君 時間がなくなりましたので、今、質問をいたしまして、後大臣の御答弁を加えさせていただいてと思っておりますが、今お話を伺いましたように、保険料軽減世帯が大体四分の一ぐらい、二十数%ですから四分の一ぐらいになっている。それから今の所得なし層も増加しているということですので、この辺を埋めるだけの政策というのは対症療法でありまして、原因療法ではないわけで、何か国保の健全財政というものの中ではどうしたらいいのかということがあると思うんです。つまり、高齢者がふえている世界では低所得者も増加してまいるわけでありまして、これが国保の構造的な体質なわけで、これに対して安定制度を確立するために、最近の国の事業予算は大体年間一千億くらいだということでありますが、そういうことで抜本対策となるんだろうか。先ほどお触れになりましたけれども、この際医療福祉制度というものを十分に検討する必要がないかということがございます。私、医療費レベルが地方自治体の責任なのかなということについても疑問を持っておりますけれども、こういったことで御答弁いただきながら、大臣には抜本的改革になっていないのではないかと今申し上げましたが、大臣はどういうふうにお考えになっているか承りたい、こう思っております。
#136
○国務大臣(津島雄二君) 本日、当委員会の御質問に対してもお答えをしておるわけでありますが、国民健康保険をめぐる環境は大変厳しいものがございまして、これまでも基盤安定のための制度改正が行われてまいりましたけれども、その延長線上でこのたび暫定的な制度としてお願いをしておった基盤安定制度、低所得者に対する配慮というものを恒久化していただくということが中心の改正をお願いしておるわけでございます。これと被用者保険との関係で、老人保健制度の持ち分と申しますか、加入者按分率一〇〇%という変化と相まって、当面、国民健康保険制度はやや改善をされるという点は委員もお認めをいただけると思うのでありますが、しからば将来に向けてどうか、抜本的な対策になるかとおっしゃられますと、別の言い方で申し上げますと、将来一元化と申しますか、給付と負担をできるだけ公平にしていくという方向で努力をしなければならない中で、なお大きな課題が残されているということを私は率直にお認めをいたします。
 背景にいろんな事情がございます。地方団体ごとのばらつき等は今御議論があったとおりでございますが、これから老齢化が進む中で一人当たりの医療費がどうなってしまうのか、それを国民の負担の許す範囲内で皆保険で対処していくにはどうしたらいいかということでありますが、私の感じでは現在のところ日本の一人当たり医療費というのは外国と比べましても、老齢化の割合が外国よりもまだ低いからということはあるかもしれませんけれども、まだ法外なところにはいっていないであろう、問題はこれからだというふうに思っておりますが、これを国民が負担できる範囲内におさめていくためには老人保健制度を中心といたしましていろいろと工夫をし、また努力していく必要があると思います。
 しょせんは国民にどのような給付と負担を受け入れていただくかというコンセンサスをつくっていただくことが第一でございまして、そしてそのコンセンサスに従って国民皆保険というものを超高齢社会になってもしっかりと維持できる体制をつくり上げるということであろうと思います。こうすればいいという処方せんがはっきり出てきているとは言えないのはまことに残念でありますけれども、一生懸命努力を重ねていく、国民と対話をする以外には道はないのではないかというふうに思っております。
#137
○沓脱タケ子君 それでは、厚生省は国民健康保険制度をいろいろと手直しをしてこられました。最近の改革の方向は果たして国民生活の実態や要望から見て適切な方向になっておるのかどうか、私は大変強い疑念を感じておるわけでございますが、そういう趣旨から幾つかの点をお聞きをしたいと思います。
 既に、同僚委員からも御指摘もありましたように、国保が持っておる構造上の脆弱化、これはもう何人も否めないと思うわけです。国保加入者の低所得者が非常に多い。これは資料によりましても、昭和四十年に無職の人が六・四%だったのが、六十三年には二九・六%ということになっております。それから、平均年齢も非常に高い。これは御案内のとおり、国保の平均年齢は昭和五十年度三十五・八歳であった、それが今四十四・四歳になっております。組合健保だと六十三年度三十一・一歳ですね。だから十三歳以上の開きがあるという高齢化になっておりますから、一人当たりの医療費が高くなるのも当然であろうと思います。
 さらに、その結果、国保では一世帯当たりの保険料も高いです。全国平均ですけれども、六十三年度、国保は十三万八千円、政管では自己負担分が十一万八千円、組合で十一万四千円ということで、半額は使用者が負担をしているわけですね。伸び率からいいましても、国保の場合には昭和五十年と六十三年と比べましても三・五倍になっておるという状況なのであります。
 したがって、こういう国保が抱えております構造上の脆弱さというのはもう客観的事実でございます。しかし、そういう客観的な事実が被保険者本人の責任、責めになるかというと、そうじゃなかろうと思うんです。その点はどうでしょう。
#138
○政府委員(坂本龍彦君) 国民健康保険の加入者の状況は今御指摘のとおりでございまして、確かに他の制度に比べますと非常に財政的な基盤が脆弱でございます。こういう状況というのは昭和三十年代に国民皆保険が達成されまして以降、社会経済情勢というものは大きく変わってまいりまして、もともと決して強固な状況ではなかったものがさらに脆弱になってきておるわけでございます。したがって、これは被保険者にとりましては自分たちの責任ではないという気持ちになるということは私ども理解できるわけでございまして、そういう意味において、現在でも給付費の約二分の一に相当する国庫負担を導入いたしまして、それだけ国としてもこの制度に対して必要な助成をしているというわけでございます。常に国保というのは、他の制度と比べましてそういう特色を持っておるという観点からの対策というものを進めてまいってきておるわけでございます。
#139
○沓脱タケ子君 これはお聞きしたことでないお答えをいただいたんですね。
 私はこういう急速に脆弱化してきている国保の現状というものをしっかりと見据えた制度改革が本筋だと思うんです。しかし、政府がこれまでやってこられた手直しは少々違うなと思うんです。特に臨調行革以後というのは、例えば国保に限ってみましてもいろいろな制度改革をしてこられました。文字どおりあの手この手というほど随分御苦労をされたわけでございます。
 申し上げてみましても、五十八年の二月には老人保健制度の創設をされたわけですね。このときに七割分が費用負担の肩がわりをしたわけで、政府が今まで国保に対して五〇%持っていた分が老人保健制度に移行したということで、三割の自己負担分の二割をということで、そこで政府の持ち出しというのが減っているわけですね、減らされている。さらに退職者医療制度が五十九年の十月にやられたわけでございますが、このときに退職者医療制度を新たにおつくりになったわけですけれども、これは退職者の保険料と、それから療養給付費の交付金、つまり退職者が所属していた各保険者から拠出をするというものであって、国の負担というのは全くのゼロということで新しい制度をおつくりになった。そういうことで国保に対する影響というのが大きかろうということで、国保に対する国庫支出金を四五%出していたのを三八・五%に削ったという有名な変化がありました。
 六十二年の一月には老人保健制度の改革がやられまして、従来外来の一カ月四百円を八百円、入院一日四百円ということで、さらに加入者按分率の引き上げというものがやられて、六十一年度八〇%から段階的にことし一〇〇プロにするということになったわけですが、その際にも、加入者按分率で被用者保険から老健制度に拠出してくる金額との絡みでは、これは当然国庫負担が減るという状況になったわけです。さらに六十三年六月に国民健康保険法の制度改正がやられまして、ちょうど二年前ですね、ここでも初めて地方負担を入れるというやり方をしてまいりましたが、その機会に老人保健拠出金に係る国庫負担の見直しということで、五六%程度のものを五二・三%に国庫負担率の見直しというのがやられてきたという経過がございます。
 そういうことをやられて、さらにいわゆる保険基盤安定制度なるものを一昨年から地方団体負担で恒常化するというやり方をしてきたわけですけれども、今なお都市部における国保というのは運営上大変深刻な状態というものが打開されるに至っていないというふうに思いますが、その点はいかがですか。
#140
○国務大臣(津島雄二君) 沓脱委員からこれまでの変化をずっとたどりながら国庫負担が変化をしているというところにスポットライトを当ててお話がございました。
 そのことはそのことといたしまして、冒頭沓脱委員は国保に構造的な脆弱性があるとおっしゃった。そこは私どもと認識が同じなんですね。そこで、脆弱性をそのままにしておいて、それに対応するのにただただ一般会計から、要するに国庫といったってこれ税金でございますから、国民全体の税金をつぎ込むということは、私は必ずしもいいこととは言えない。つまり、脆弱性がどこからくるか、それはやはりオールジャパンといいますか、国民全体で支えるということをやらなきゃいけないというのが老人保健制度の改正であったんじゃないでしょうか。つまり、すべての方は高齢者になる、そのときに医療費の負担をだれかがしなきゃならない。そうであるとすれば、被用者保険に入っていても、国保に最初から入っておられても、みんなその部分は持ち合おうということではなかったんでしょうか。これは国保の持っているゆがみというものを制度として直していったわけであって、そして国民の御理解を得てみんなで支えてやろう、老後の心配はみんなで守ろうではないかということであるとすれば、そちらの角度から光を当ててみれば、これはやらなければならなかったことだと私は思っているのでございますよ。
 その結果、被用者按分率がとうとう一〇〇%まできて、ここまでくるとみんなが平等に持とうというところまでくるわけでありますから、そのプロセスにおいて国庫負担、つまり一般会計から国民の税金をつぎ込む割合がふえなかった、あるいは減ったという議論は、これは今の制度改正とはまた別の次元の話だと思います。
 そこで、そういうオールジャパンで持ってあげようという改正が一〇〇%になって一応来るところまで来て、あとは、もう一つは、低所得層が多いというところから来る問題がある。それは二年前に暫定的にやったから今度はそれを恒久的にやろう、こういうところまで来たわけでございまして、制度の脆弱性を一つ一つ手直ししてきたという面から、ひとつ明晰な沓脱委員のまた御理解をお願いしたいと思うわけであります。
 ただ、私は、決してだからこれでいいとは申し上げておりませんですよ。先ほどから何度もお答えしておりますように、問題はこれからであって、これはひとつ国民と対話しながら、給付と負担、しかも公平な給付と負担の問題としてこれから検討していかなければならないと申し上げているところでございます。
#141
○沓脱タケ子君 大臣、今おっしゃった大変脆弱性を持っていることに対して対応するために、いろいろとあの手この手をお打ちになってこられた、このことが全部よくないと私申し上げてないんです。いろいろと御苦心を、御苦労をされておるということについてはよくわかるけれども、新たな制度をやるたびに国の支出が減るようなことがぐあいが悪いんじゃないか。せっかくいろいろ知恵を働かすんなら、もうちょっと金の方もちゃんとしてくれたらよかったのになということなんです。
 というのは事実が示しているんですよ。例えば、国民健康保険財政に占める保険料等の割合というところを見てみますと、例えば五十八年は国庫支出金は五六・一%であったのがどんどん減って六十三年度は三九・五%になっている。そして逆に保険料は三六・〇%が三九・九%になっている。そして都道府県支出金、一般会計繰り入れ等が、これは三・七%が六・一%になっている。いろいろな施策をおやりになってきたけれども、結果としてふえているのは保険料という国民の保険料負担と地方団体なんです。政府の国庫支出金というのは文字どおり減っているというところに問題がある。私はせっかく御苦労されたんだから、せめてこんなことにならないようなやり方というのが大事ではなかったかと思って御指摘を申し上げているわけです。
 ですから、時間余りありませんから多くを論じることはできませんが、そういうことになってまいりますと、例えば地方団体とか国民にはどういう影響が出ているかということのほんの一、二の例を申し上げたいと思うんですよ。例えば国保運営上の問題で、これはやっぱり政府がこの間の責任を負わねばならないであろうと思いますが、その一つに、代表的なのは退職者医療制度創設のときの国保財政への影響の問題でございますね。あのときに加入者の見込み違いやということで大問題になって、そういうことの結果、五十九年度からどかんと赤字団体が急増したというのは、もう皆さんも御指摘のとおり、数字も示されております。
 例えば、私、大阪府の資料をたまたま見せてもらいましたが、これによりますと、六十二年度には国保特別交付金で見込み違いの差額の全額を、全国で一千八億円を補てんするというてなさったんですよ。ところが、それまでの累積の、例えば大阪府の集計によりますと、影響残高というのが二百十五億円なんです。全部始末しますと言われた一千八億円の大阪分というのはわずかに六十四億ですよ。こういう影響というのが出ているわけですね。ですから、こういう被害というのは実際黙って辛抱しておるわけですよ。
 また、今安定化計画の中で地方自治体がどのようなことになっているかというのをちょっと申し上げておきたい。その一つに大阪府下の門真市というのがあります。これは元年度安定化計画の指定市です。ことしもそうなったのかもわかりませんね。ここの町というのは非常に低所得層が多くて、所得百五十万までが五〇%、三百万までが七七・八%なんですね。しかも医療費の水準が非常に高いために保険料は六十二年度の大阪府の平均よりも三〇%高い。これは私、前回にも一遍触れたところのある市でござますけれども、あのときのデータを見ますと、最高限度額の支払いをしている世帯というのは約四分の一ある。そういう状況になっておるわけで、保険料の収納率が悪いわけです。昭和五十二年に九〇%を下回った。それ以来ずっと八〇%台しか収納率を上げることができない。そこで、どういうことをやっているかといったら、これは厚生省の御指導だと思いますけれども、夜間、日曜に大変な徴収努力をしておられます。
 やっているデータの一部を大臣にも持ってもらったらと思ってお見せいたしましたが、これは昨年の三月四日の日曜日、一日だけのをちょっととって申し上げてみますと、三十八班、これは国保や年金課だけでは間に合わないので、各課の管理職、そういう方々を先頭にして三十八の班をつくって、訪問件数一日で千三百七十六件回った。面談できたのが五百七軒、留守やその他で五百七件しか会えなくて、そして滞納処分をしたのが百十四件で、動いた人たちの一班当たり二百二十四万六千四十円集めてきた。一班当たりの徴収金額というのは五万九千百六円。こういう涙ぐましい努力をしているわけです。これは門真市だけではありません、東大阪市でもやっています。
 そこで、行ってみて、管理職先頭に行ってますから状況がよくわかるので、面談した世帯を色分けして感想をまとめた。納付不可能と思われるという家庭がそのうち一九%。一部ぐらいは納付できるなと思えるのが四九%。それを合わせたら六八%は支払い困難だ、こういうことが明らかになっておるわけです。それは納付力があると思うけれども、納付をしないというのも約三〇%ありますからね。しかし、ここまで来ているというのが状況です。
 こんなに血の出るような苦労をしながら必至になって徴収をする。医療費を押し下げるためにということでレセプトは全部外注をする。医療費通知は年に四回やる。一生懸命にやっても、どないも格好つかぬというふうな状況まで来ている。何でこんなにかんかんになってやるかというたら、厚生省の通達によって、大体保険料の収納率によって普通調整交付金が左右されるわけですね。ここは一般被保険者五万人以上の町でありますから、八・〇%台というんだから、大体一〇%ぐらい減額される。だから一%でも稼ぎたいということでかんかんになってやるという事態が起こってきている。
 これは私、時間があれば多くのことをこれに関連して申し上げたいですけれども、時間がありません。だから、関係者は国保の問題では対政府との関係、大阪府との関係で、特にこの指定された市町村では本当に死に物狂いという状況になっているわけです。かんかんになって集めに来られるものだから、市民にとっては日曜日も夜間も安心しておられないんですね。いつ集めに飛び込んで来るかわからぬという状況まで来ているんですよね。それで、納めなかったら保険証はもらえないから、病気になっても病院へ行けない、それはまあひどいことになっていますわな。役人が見て徴収不能と思うのが全部それじゃ安定化計画で減免対象になっているかといったら、なってないんですよ。これはまあ言う暇ないから、なってないということだけ申し上げておきましょう。
 もう一つ考えなきゃならないのは国民の動向です。現在、任意給付というのがありますな。これも時間の都合があるのでたくさん申し上げられないのは残念でございますが、任意給付に助産費、葬祭費、傷病手当金というのがありますね。健康保険の場合はこれが出ている、全部ね。ところが、これと同じようにやっている国民健康保険というのは全国皆無じゃないかと思います。あったら言ってください。これは助産費だって健康保険、政管健保でも最低が二十万。葬祭費が十万でしょう。国民健康保険は葬祭費は一万から三万五千円ぐらい、それで助産費が十万余りでしょう。傷病手当金が非常に強い要求がある。傷病手当金は難しい言うてお出しにならない。
 そこで、私はせめて、少々問題があろうとも入院に限って傷病手当を出す必要がありはしないかというふうに思うんです。財政的にそんな余裕はございませんという返事が来るであろうと思います。もう返事聞きませんけれども、そういう状況だから、国民はみずから自衛をせざるを得ないというところへ来ているんですよ、そのことを申し上げたい。
 実は、生命保険に関する全国実態調査結果の概要、生命保険文化センターの一九八八年十月、これの資料を拝見しまして驚きました。大体入院した場合の保障というのは、世帯主が入院した場合、差額ベッド、付添看護、それから交通費、健康保険診療の範囲外の費用として必要な資金は月額二十六・二万円要るというのが一番多いというわけですね。それで世帯主が入院したときに大夫丈か不安かというのをとっているんですね。
   〔委員長退席、理事糸久八重子君着席〕
不安感を抱いている世帯が七割近く。その結果どうなっているかというと、生命保険の入院給付の契約件数というのが何と恐ろしくふえていますね。昭和五十四年、疾病の入院給付のついた保険に入っている人が二千三百一万人ですわ。それが六十三年度は四千七百九十七万人、二倍にふえておる。私、この数字見てびっくりしましたよ。細かく申し上げられないのは残念ですけれども、これ大臣どう思いますか。私はこんなもの、基本的には公的保障に対する不十分さの結果、これは国民の不安感、自衛策、こういうことだと見なきゃならないんじゃないでしょうか。大臣、御見解いかがですか。
#142
○国務大臣(津島雄二君) 見解をぜひ言わせていただきます。
 被用者保険とそれから国民健康保険という地域保険とを組み合わせて国民皆保険を持っておる、これは日本の宝でございます。委員はほかのいわゆる主要先進国へおいでになって、その国の医療保険の現状をお調べになったことはあると思いますけれども、日本のように立派な皆保険を持っている国の方がはるかに少ないわけであります。そして、今民間の生命保険ということをおっしゃいましたけれども、まず数字を申し上げます。生命保険の設計の中で健康保険的な要素を組み合わせるということが一つの流行になったということで契約者はふえておりますよ。しかし、これはいわゆる別の意味の老後の貯蓄手段であります。実際民間の生命保険が医療費のどのくらいを払っておられるかというと、二%にもなっていない。ですからそれは、今委員のおっしゃったことは数字の魔術というやつでございまして、日本の公的医療保険というものは厳と存在し、そして国民の健康を守っているということだけは申し上げなければならないわけでございます。
 そして、今先進国がすべて悩んでおりますのは、どうやって立派な皆保険をつくるか。私は先般訪れたある国では皆保険がない。そこを民間の保険に頼っておったけれども、民間の保険の方が医療費の高騰でもたなくなって、何とか日本のように皆保険にしたいけれども、なかなか難しいという悩みを持っておられるわけです。私どもは、幸いに、将来不安だということを盛んにおっしゃいましたけれども、立派な皆保険を持っているわけでありますから、これを二十一世紀に向けて守っていくということが大切だ。そして、その保険制度が加入者の負担の範囲内で維持をされるということを考えていかなければならない。そういうことを私からぜひ申し上げ、どうか沓脱委員におかれても国民健康保険を温かく見詰めていただきたいと思います。
#143
○沓脱タケ子君 国民健康保険、温かくどころやない、改善をしたいという意欲は大臣以上に強いはずです。生命保険の数字が魔術だというふうに言われたのですが、それはきょうは時間がありませんから論議をしません。しかし、そういうことが幾らはやりだというてもびっくりするような数字で広がっているということは、これは国民健康保険には高い保険料を出しているけれども、入院時の傷病手当金制度がないのだというところに問題があるのだということだけ申し上げておきます。
 時間がありませんので、最後に、本改正案による国庫負担、これは一体どうなるのかということを聞きたいんですよ。これはもう時間の都合があって、聞きたいのはやまやまなんだけれども、五百二十七億円出して、老人保健拠出金に対する国庫負担の引き下げが二・三%あるので、それを引いたら残りが二百五億円ふえることになるのだと、国の支出が。そういうふうに御説明を聞きましたが、よろしいか。
#144
○政府委員(坂本龍彦君) その前に先ほど傷病手当金についてちょっとお触れになりましたので、簡単に申し上げておきますが、国民健康保険というのはサラリーマンを対象とした保険ではございません。傷病手当金というのはサラリーマンが休業したことによって賃金の支払いが行われなかった者に対する社会保障給付でございますから、国保としてはなかなかなじむケースが少ないのではないか。ただ、法律上は保険者が条例で行えるということになっておると、こういう状況なのでございます。
 それから、ただいまの今回改正の財政効果でございますが、保険基盤安定制度に対する国庫負担の増は五百二十七億円、そして老人保健拠出金に対する国庫負担の合理化につきましては三百二十二億円の減で、この両者を合わせますと差し引き二百五億円の増と、こういう結果でございます。
#145
○沓脱タケ子君 傷病手当金のことを言いたかったけれども、もうやめます。今度別にやります。こんな短い時間で論議できない。
 ところが、今お話しのように二百五億円ふえるように見えるけれども、実際にはお金を出された五百二十七億円、それで減る方は今言われた老人保険拠出金に対する国庫負担の引き下げの二・三%分の三百二十二億円、それから交付税の特別加算、さっき話がありました四百億、それから老人保健の拠出金、加入者按分率一〇〇%になったらその見返りというのが厚生省はあるわけですね。それが大体五百九十一億円、合わせたら大体千三百十三億円減るんですね、出すのが。それで、五百二十七億円拠出するわけだから、結果としては国の台所からは七百八十六億円お出しになるのが減るのだという計算になりますけれども、そういうふうに見てよろしいか。
#146
○政府委員(坂本龍彦君) これはどの部分の増減をとるかによって数字としては違ってくるかと思いますが、私どもは、一応国民健康保険の市町村の国保特別会計に与える財政影響として先ほどの五百二十七億円と三百二十二億円を申し上げたわけでございます。
 なお、そのほかに地方交付税の問題につきましては、これは私の直接の担当ではございませんけれども、市町村の国保特別会計に直接繰り入れるものではございませんので、別の観点からの考え方が必要であろうかと思います。
 また、老人保険の加入者按分率一〇〇%移行に伴う減額というのも、国民健康保険からの拠出金が減になることによってそれに対する国庫負担が減になるという結果論でございます。その問題は、国保財政にとりましては拠出金の減によって保険料の負担が軽減されるという効果が出てまいりますけれども、国の収入支出全体を考えれば、また別の面での支出の要因というものもございますから、これは単純に今おっしゃった七百八十億円という数字については、私どもはそのような整理をいたすことについていささか問題があろうかと考えております。
#147
○沓脱タケ子君 もう時間がありませんので、それもごてごて言う余裕はありません。しかし、国の負担全体で見れば七百八十六億円拠出が減るという事実だけは明らかですね。私は、いろいろな手だてをおとりになることについて決して否定をしていない。それをやるたびに国が出すお金が減っていく、減らしていくというやり方については、その分は国民と地方自治体の負担になるわけなんで、国民の願いにはかなわない。この辺を改善して国保運営の安定化をするという立場にお立ちにならないと国民の信は得られない、国民に対する責任も持てない、こういうことを申し上げて、それじゃもう時間がありませんので、終わります。
#148
○乾晴美君 私は、徳島市の保険年金課長さんというのが去る六月二日に御自宅で自殺なされたという非常に悲しい報に接しているわけなんですけれども、新聞紙上によりますと、徳島市は二十億円を超える国保の会計赤字を出しておったということで、その赤字解消のために日夜心労を重ねて大変なことであったということなんですけれども、この事実関係の把握はできていらっしゃいますでしょうか。
#149
○政府委員(坂本龍彦君) 徳島市の国保担当課長が自殺されたという点につきましては、私どもも現地の新聞も送っていただきましたし、また県からの報告も受けておりまして、大変に心の痛む思いでございますが、ただこういう事件でございますからまだ詳細につきましては、私どもの方に特別の情報が入っておりません。今申し上げた範囲内でそういう事実を知ったというだけでございます。
 一方において、徳島市の国民健康保険制度の運営の状況でございますけれども、これはいろいろと赤字もございまして、市としては運営に大変御苦労をされておるというように認識をいたしております。
#150
○乾晴美君 大臣の御認識も伺わせていただきたいと思います。
#151
○国務大臣(津島雄二君) 徳島市の状況を今数字で拝見いたしますと、国保は大変厳しい状況にあるなという感じがいたします。それで一人当たりの所得も全国より大分低い。その一方、一人当たりの医療費がかなり高いわけですから、当然そういう結果になるんではないだろうか。御担当の方が責任感の強い方であったと思いますけれども、非常に御苦労が多かったと想像できるわけでありますけれども、心から御冥福を祈りたいと思います。
 ただ、保険を維持していくためには、先ほどもお話しがございましたけれども、契約者の皆さん方が協力していただかなければなりませんから、そういう意味では厳しい環境の中でも担当の方には頑張っていただかなきゃならないなというふうに思います。
#152
○乾晴美君 そこで、徳島市の国保の収納率、それと赤字額の単年度、また累積、それから一人当たりの医療費、高齢化率というのはどうなっておるか、聞かせていただきたいと思います。
#153
○政府委員(坂本龍彦君) 徳島市の赤字額でございますが、これは二十一億四千万円というような状況でございます。
 また、徳島市におきます国保の収納率につきましては九三・〇三%、これは全国平均が九四・一三%でありますから、少し全国平均よりは低いわけでありますけれども、ただ前年度よりは一・一五%という上昇を見せておりまして、関係者の方の努力の跡はうかがわれておるわけでございます。
 なお、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、六十三年度の単年度収支につきましては、二億二千七百万円の剰余を生じておりまして、単年度では剰余を生じておりますが、累積赤字額につきましては二十一億四千百万円残っておる。ただ、これも前年度に比べまして九・六%の改善がなされております。
 なお、その他の状況でございますが、一人当たりの医療費は二十五万四千五百六十三円でありまして、これは全国平均の十八万七千七百四十一円に比べますとかなり高いということになるわけであります。また、関係する数字といたしまして、そのほかに老人加入率、これは一四・三%で、全国平均一四・六%にほぼ同じ水準、こういう状況でございます。
#154
○乾晴美君 徳島市も、大変苦労して率を上げていっているということがわかりましたですけれども、徳島市の悪質滞納者の対応の内容はどういうものであったとお考えでしょうか。
#155
○政府委員(坂本龍彦君) 徳島市の悪質滞納者自体の具体的な状況というのは、国では直接には把握をいたしておりませんけれども、これは市の方でいろいろ御苦労をされてそれなりの対策をお考えであったというように理解しております。一般的には悪質滞納者に対しましては、被保険者証の返還でありますとか、被保険者資格証明書の発行でありますとか、あるいは名簿を作成して滞納処分の実施を行って、悪質滞納者の一掃に努めるというような指導を行っているところでございます。やはり徳島市におきましても、今申し上げましたような、被保険者資格証明書の発行あるいは差し押さえの実施というようなことをやっておられたようでございまして、個々の詳細までは私どもも承知いたしておりませんけれども、それなりの対策として差し押さえも含めた処分対策の実行が行われたものと理解しております。
#156
○乾晴美君 やっぱり大変な努力であったということも私わかるわけなんですけれども、依然として滞納者が多いということの原因ですね、なぜそういうように滞納者が多くなるかという、これ保険料が高過ぎるのではないかと私思うんですが、その実態把握、今大阪の方のこともお話しいただきましたけれども、なぜそういった滞納者が多いかという原因と、それから実態把握、そして滞納者に対する対策をどのように考えていらっしゃるか、あわせてお答え願いたいと思います。
#157
○政府委員(坂本龍彦君) 保険料の水準と滞納者の多少ということの関連につきましては、ある程度保険料が高ければなかなか納付が容易でないということは想像できますけれども、実際の例といたしましては、保険料水準が高くても収納率も高いというケースもございまして、必ずしも水準の高さと密接な相関関係があるかどうかははっきりいたしません。これはいろいろな原因があろうと思いまして、保険料の高さ以外に被保険者の納付意欲の問題でありますとか、保険者の徴収努力、あるいは滞納の状況というのが本当に納められないのか、あるいは納められるにもかかわらず納付しようとしないのか、あるいはそれも特に悪意がある場合と、あるいは特にないけれども何となく滞納というような、いろいろな状況があろうかと思いますので、滞納者の実態としては地方によっての実情というものがまたさまざまな状況であろうかと思っております。
 したがいまして、そういう状況というものを的確に把握をいたしまして、それに伴った対策が必要でありますし、また被保険者の側におきましても、納付できる人や納付できない人、この状況もいろいろでございますから、実際に納付が困難である場合、また容易である場合、それに対応した適切な対策が必要であろうか、このように考えておる次第でございます。
#158
○乾晴美君 対策というのは大変個々にわたって難しいことだと思いますけれども、まず状況分析をやって対策を早急にしていただきたいと思います。
 先ほどから議論になっておりますけれども、高齢者だとか低所得者が多い市町村というのは赤字の市町村が多いのではないかと思います。全国三千二百ある市町村の中で赤字であるという市町村の数を教えていただきたいと思います。
#159
○政府委員(坂本龍彦君) 昭和六十三年度の国保財政決算によりますと、実質収支で赤字となった市町村は二百六十一市町村ございます。これは全国で三千二百六十二でございまして、その中の二百六十一という数字でございます。なお、この赤字保険者の数のうち市部が百三十七、町村部が百二十四という状況でございます。
#160
○乾晴美君 思ったより少ないなというふうにも思うわけなんですが、こういった二百六十一市町村でもあるということなんで、今回の法改正で市町村の赤字が健全化されるというようにお考えなんでしょうか。
#161
○政府委員(坂本龍彦君) 実際に財政状況が数字的にどのように動くか、これは市町村における医療費でございますとか、所得の変化でございますとか、あるいはその他政策的な問題もありまして、これはそれぞれにいろんな要因が絡んでまいりますから、私どもの方で数字的に予測をすることは極めて困難でございますが、いずれにしても国保法の改正による財政効果と、それから平成二年度は老人保健の加入者按分率一〇〇%移行による財政効果と合わせて、国保全体で約八百五十億円前後の保険料負担軽減効果というものが考えられておるわけでございますので、実際に赤字の市町村数が減るかどうかは別といたしまして、財政負担に対する軽減効果というものは出てくるものと考えております。
#162
○乾晴美君 実際に徳島市は二十億円を超える赤字があったというわけなんですけれども、これはどうしてそんなになったかというように原因についてお考えでしょうか。
#163
○政府委員(坂本龍彦君) 徳島市の場合は、先ほども申し上げましたように、一般的に見た場合でありますけれども、一人当たり医療費というものが全国平均に比べてかなり高い水準にございます。これがまたなぜそんなに高いのかという問題になるわけでありますけれども、医療費の高い理由というのは、いろいろな要因が絡んでおりますから、一概には申し上げられませんけれども、例えば医療機関が全国的なレベルから見ますと、人口に比べてかなり多いということもございます。そういったことも一つは影響しておるのではないだろうかというように推測されるわけでございます。そのほかに、赤字というのは収支の問題でありますから、支出が多いという問題と、さらに収入が少ないという問題、両方から出てまいります。
 したがいまして、徳島市の場合には、保険料の面においても、財政的な見地から申しますと、いろいろ市も御努力になり、また被保険者の方にも相当の御負担をいただいておるようではありますけれども、まだ医療費に対する保険料の負担の面において難しい面があるのではなかろうか、このように推測をいたすわけでございます。
#164
○乾晴美君 収支の関係でそうなっているというお答えでしたけれども、納めたくても納められない、先ほど大臣の方からも非常に所得平均が低いのではないかと言われておりましたですが、実際に徳島県の国保の被保険者の一人当たりの所得平均はどれぐらいなのでしょうか。また、全国平均はどれぐらいでしょうか。
#165
○政府委員(坂本龍彦君) 今手元にありますのが徳島県の一人当たりでございますけれども、六十三年の数字で申しますと四十二万二千円ということになっております。これが全国平均の七十二万三千円に比べますと、五八%という確かに低い数字になっておるようでございます。
#166
○乾晴美君 ということで、非常に所得が少ない、そこで納めにくいということなんで、先ほどからもありましたけれども、低所得者対策ということが急がれると思うんですね。保険基盤安定制度、これで十分なんだろうかとか、先ほどから聞かせていただいて、福祉医療制度の検討も要るのではないか、それから生活保護の医療補助の見直しも要るのではないか、保険料の軽減措置のあり方も考えていかなきゃいけないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#167
○政府委員(坂本龍彦君) 今回の改正で、低所得者に対する一つの制度として、保険基盤安定制度を確立するということになっておりますが、これは低所得者に対する保険料の軽減を行った場合に、その軽減額に見合う額を国と都道府県と市町村で補てんしようというものでございます。
 したがいまして、市町村がそれぞれ被保険者の所得状況に応じて適正な軽減をいたしました場合には、それを公費で補てんするわけでございますので、今後軽減の規模等によって財政上の効果というものもまた変わってくる、こういう仕組みになっております。私どもは保険料の平準化を進めるに当たりまして、この保険料軽減制度につきましてもあわせて検討いたしていきたいと考えております。この両方を組み合わせることによりまして、被保険者の実情に合った保険料軽減制度あるいは保険基盤安定制度というものがこの制度の中で実施できるような、こういう仕組みになっておるわけでございます。
 なお、福祉医療制度ということをおっしゃいましたけれども、福祉医療制度というのは必ずしも明確な定義がございませんので、私どもとしてはどのような内容で理解していいのかちょっとにわかに判断しかねるわけでございますけれども、例えば一昨年の改正を検討しておる段階で、厚生省が一つの試案のような形で福祉医療制度というのを国保の改正の際にいわば提言したことがございます。これは低所得者が多数加入している国民健康保険制度の改正を考える際に、いわゆる低所得者の部分を別建てというような形にいたしまして、そこに特別に国庫負担を導入するというような、あるいは地方負担を導入するというような考え方が実はあったわけであります。まだ固まってはおりませんでしたけれども、一つの試案としてそういうものがありました。
 しかしこれについては、そういう国民健康保険の被保険者の中で低所得の人だけを何か分離したような、いわば差別的な扱いというようなことも、そういう面での批判もございましたし、制度が複雑化することによって市町村の事務もまた実施がいろいろ支障が出るのではないか、その他いろいろな批判がございまして、この考え方は日の目を見なかったということもございます。
 それから、生活保護の問題につきましては、私は直接の担当ではございませんけれども、生活保護水準につきましては、毎年これを見直しまして、社会経済の実勢に見合って改定を行っておるところでございます。
#168
○乾晴美君 こういった所得が低いということもさることながら、保険料というのが各地方で違っているのではないか。非常に徳島県は高くなっているのではないかなというふうに思うんですが、この国保医療費の地域格差はどうなっておるでしょうか。徳島県の場合、一人当たりの実績医療費だとか基準医療費、地域差指数というのがわかったら教えていただきたいと思います。
#169
○政府委員(坂本龍彦君) 徳島県の国民健康保険の一人当たり保険税の調定額でございますが、平均五万八千百十三円という数字でありまして、全国平均五万六千三百七十四円に比べますとやや上回っております。一・〇三倍でございまして、これはむしろ税の額は高くなっております。
 それから、一人当たりの診療費は、平均徳島県が二十三万四千四百十一円で、全国平均十八万七千七百四十一円の一・二五倍と、これはかなり高くなっておるわけでございます。このような状況でございますので、収入の面においてはやや全国平均を上回っておりますが、支出の方が相当上回るという状況で、財政収支が不均衡になっているのではないかと思われます。
 それから、なお医療費の地域差指数の関係でございますけれども、実績の医療費そのものについて見ますと、一人当たりが二十三万二千円、これは六十三年度の数字でございまして、全国平均十八万二千円、ちょっと比率はここに出ておりませんが、このような数字でございます。
 それから、基準医療費、つまり人口の高齢化の影響度を除外した医療費のレベルでございますが、徳島が一人当たり十九万五千円、全国計が平均が十八万二千円でございまして、これはかなり接近をしてきております。
#170
○乾晴美君 このように所得は低いし医療費も高いということになったら、非常に苦しいだろうと思うのですけれども、
   〔理事糸久八重子君退席、委員長着席〕
こういった医療費の地域差というものは地域の責任なんでしょうか。私は地域差に対する国の責任も大きいのではないかと思いますし、また、医療供給体制全体の問題であろうかと思うんです。先ほどからるる説明もありましたけれども、地域差対策というものも大事であるというように思いますけれども、いかがでしょうか。
#171
○政府委員(坂本龍彦君) 地域差対策が重要であるということは、私どもも全く同じ考え方でございまして、これまでもそういう見地からの対策も進めてきております。ただ、責任というような考え方で国か、地方か、だれかというようなことになりますと、これは極めて医療費そのものが複雑な要因によって決まってまいりますので、一概にどこの責任というような議論をいたしますと、なかなか整理がつかなくなるんじゃないかというように思うわけでございます。
 いずれにしても、国も医療費の適正化あるいは合理化という点について基本的な責任を持っておりますから、地域差についてもそういった面での対策を立てるべき責務を負っておるわけでありますし、地方におきましても、これは地方独自の要因というものもまたあり得るわけでありますから、その範囲において、地方において適正化が可能な部分につきましては、その御努力をいただくということが必要ではなかろうかと思うわけであります。個別のいろいろな要因については、例えば年齢構成などは、これはそれぞれの市町村なりあるいは被保除者自身の責めというわけにはまいりませんけれども、その他の事情によっては責任ということではなく、むしろその要因に対する適切な対策を独自に考えられる面もあるのではないか、また、それを実行することによって適正化が可能になってくる面もあるのではないかということは言えるのではないかと思います。
 そのようないろいろな角度からこの問題を考えて、国と地方とが一体となって、医療費の格差というものを是正していくように努力をいたすべく、私たちもそういった観点に立って今後対策を考慮してまいりたいと考えます。
#172
○乾晴美君 先ほど徳島市の場合の収納率は九三・〇%というようにお答えいただきましたんですけれども、これは何%以上収納率があれば国からの財政調整交付金というものが受けられるのでしょうか。
#173
○政府委員(坂本龍彦君) 財政調整交付金の支給につきましては、保険料の収納率によって交付率に差を設けてございます。これは限られた財源を配分するに際しまして、できるだけ徴収の努力あるいはその結果というところを重視しておるわけでございますが、お尋ねの配分の基準でございます。これにつきましては、被保険者数の数によって若干異なっておりますけれども、大体徳島市の場合には、恐らく人口五万人以上の市町村と推計されますので、九〇%以上九二%未満の場合には五%の減額率がかかりますけれども、それを超えた場合には減額がございませんので、一〇〇%の交付ということになるわけでございます。
#174
○乾晴美君 そういうことなんで、非常に徳島市も頑張っておったんだろうと思うわけでありますが、こういった低収納の市町村に対しては、行政指導としてはどんなことをなされておるんでしょうか。国の行政指導ということで、実際には窓口になっている市町村の職員というものに非常にしわ寄せがいっているんではないかというような心配をするんですけれども、どのような行政指導をなさっていますでしょうか。
#175
○政府委員(坂本龍彦君) 収納率の低い市町村に対する指導状況でございますけれども、なぜ収納率が低いかというのは、またそれぞれ地域によって実情に差があるのではないかと思われるわけでございます。これはしたがって、国としてもどういうような要因によって低いのかということを考えた上で指導する必要があるわけでありますが、都道府県というものが中間に入っておりまして、各市町村を指導する立場にございますから、私どもとしてはできるだけ都道府県がまたそういった問題についても指導を励行していただければというように考えております。
 いずれにしましても、保険料をどうやれば納めやすくなるかというようなことで、例えば銀行なりの口座振替あるいは納付組織、これは市町村の中に保険料あるいは保険税の納付組織をつくりまして、その組織の人的なつながりを活用して、できるだけ納付率を高めるというような制度でありますが、そういった組織の育成強化というようなことも考えておる次第でございます。
 なお、現実の対策といたしましては、今申しましたようなほかに、例えば戸別訪問でありますとか、あるいは広報活動、さらに相談窓口の開設、あるいはやや厳しい方法になりますけれども、滞納処分の強化、このようないろいろな手段を組み合わせて実施していただくように指導しているところでございます。
#176
○乾晴美君 それでは、徳島市は高医療費の指定市町村に入っていますでしょうか。入っているとするならば、ほかにもどんなところが入っているか教えていただきたいと思います。
#177
○政府委員(坂本龍彦君) 徳島県内に指定市町村となっております市町村につきまして申し上げますと、平成二年度の指定では、徳島市、小松島市、那賀川町、上板町、吉野町、木屋平村、一宇村、こういう七市町村が対象になっております。
 全国の指定の数でございますけれども、同じ平成二年度では百三十市町村が対象となっております。
#178
○乾晴美君 ちょっと今聞かしていただきましたら、問題点としては、こういった指定になっている市町村というのは過疎化のために高齢化率の高い地域だということがわかります。
 それから徳島市というのは、先ほどもおっしゃっておりましたけれども、全国屈指の医師の過密地帯だと言われておりますけれども、医療費がかさむのに保険料が入らないということだと思います。今後こういった高齢化、それから過疎化、それから徳島市のように医療施設があるところへ高齢者が移動していく、そこで移籍する、一年間入院しておったらそれ以後はもうそこの市町村に移籍するという、そういったことについてどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
#179
○政府委員(坂本龍彦君) 高齢化率が高いということになりますと、これは一般論でございますけれども、医療費の負担も高くなっていくということは考えられるわけでございます。こういったようにいろいろな理由で医療費の水準というものが決まってまいりますけれども、いずれにしても、市町村の財政力というものに相当差がある現状から考えまして、私どもとしては国の財政調整交付金によってできるだけ格差の是正に努めていきたいと考えておる次第でございます。現在、財政調整交付金の制度があるわけでありますけれども、今回の改正によりまして国庫負担の増額を図るわけでありますが、その増額分のうちの六割を財政調整交付金に回しまして、現在の財政調整交付金の機能をさらに高めてまいりたいと考えております。
 それから他の市町村から転入してきた被保険者が新しく転入してきた市町村にいろいろな医療費の負担増をもたらすのではないかという御懸念も確かにあろうかと思います。このような問題はどの市町村に住むかという問題について直接これを左右するわけにはまいりませんけれども、その結果、市町村の医療費の負担というものが重くなるということがあるとすれば、それは先ほど申しました財政調整交付金による不均衡是正の一つの対象と考えてもよろしいわけでありまして、このようなケースによった場合におきましても、最終的に医療費の負担についての財政調整交付金の交付基準の考え方に基づいて所要の額を交付するということになるわけでございます。
#180
○乾晴美君 そういうことでしょうけれども、六割までカットして入れてくれるとおっしゃっても、非常に緊迫しているのではないかと思うんですね。それで一般会計からの繰り入れということの措置もしておると思うんですけれども、国保財政の健全化ということから言えば支障を来すのではないかと思ったりするのが一点。もう一点は、市町村単位では非常に苦しいから、後々郡単位だとか、それを都道府県単位というように広域に広めていくということはできませんでしょうか。
#181
○政府委員(坂本龍彦君) 市町村の一般会計からの繰り入れは、特に国の方では制度化しておるわけではございませんが、各市町村が国民健康保険の運営主体として独自の判断に基づいてこれを実施しているところでございます。したがいまして、国民健康保険の特別会計の財政状況と、さらに市町村自体の財政状況との関連から市町村が独自に判断をして実施されるものでありますので、この場合にはただいまお話に出ておりました転入の問題、こういった問題については、直接にはどのようにするかという点について、市町村のお考えによるべき問題であろうかと思うわけでございます。
 それから、実際の経営主体の規模の問題でありますけれども、確かに市町村と申しますと、大きいものから小さいものまで非常に規模に差がありまして、特に小規模市町村の場合には、例えば高額の医療費が何件か出ると制度の運営が不安定になる、こういう心配はございます。その際に、例えば郡単位あるいは都道府県単位で国民健康保険が運営できないかという問題としては、昔から経営主体の問題として議論されておるところでございますけれども、被保険者の住民としての地域保険ということから考えて、今の市町村が最も適当な形ではないかというのが私たちの認識でございます。また、現実に事務を執行するに当たりましても、市町村単位でないとなかなか住民の異動の把握でありますとか保険料徴収、さらには保健施設事業の連絡調整、こういった問題について都道府県ではなかなか現実に難しいような面があろうかと思いますので、実際の運営は市町村が適当であろうかと思いますが、先ほど申し上げました小規模の市町村の運営の不安定化を防ぐために、例えば高額医療費の共同事業のようなものによって、相互に財源を拠出し合って極端な財政支出の膨張を防ぐ、こういう制度でこれをあわせて実施していくのが最も望ましい姿ではなかろうかと考えておる次第でございます。
#182
○委員長(浜本万三君) もう五分も過ぎてますから。
#183
○乾晴美君 済みません。時間過ぎているんですが、とにかく徳島県は自殺者も出ているということで、今度この法改正に当たって十分配慮していただきたいということで、大臣から一言その御決意のほどお聞かせいただきたいと思います。
#184
○国務大臣(津島雄二君) 委員御指摘のとおり、地域によって国保の事情が変わり、その結果保険料にも相当の格差が出ておるということは大変問題だと思います。徳島県の事情をお話ございましたが、私自身過疎の町村をたくさん抱えておる地域の出身でございますから、いかに町村によっては苦労しておられるか、また低所得者の方々にも御協力を得ているかという事情はつぶさに承知をしているつもりでございます。
 いずれにしても、国民ひとしく保険を支えていけるような姿でなければならないという要請がある一方で、みんなで支えてもらう、特定の人だけが滞納してしまうということはやはりぐあいが悪いので、その滞納の問題の管理というのは、これは避けて通れないということだけは御理解をいただきたいと思います。
#185
○勝木健司君 まず、厚生大臣にお伺いしたいというふうに思います。
 我が国の高齢化が短時間のうちに急速に進んでおる。そして、欧米諸国の二倍から五倍の超スピードで超高齢化社会へ向かっておるわけであります。
 そこで私は、本格的な高齢化社会と言われる二十一世紀に向けては、現在早急に我が国のあらゆる分野の政策の見直しを余儀なくされておるというふうに思うわけでありますけれども、恐縮ではございますが、時間の関係でポイントのみ御所見をお伺いしたいというふうに思います。
#186
○国務大臣(津島雄二君) 委員御指摘のとおりでございまして、二十一世紀まで残るところ十年間。今ここで私どもは、立ちどまって、福祉、医療、あらゆる面について真剣に将来の問題を考えていかなきゃならない。そういう意味で政府は、昭和六十一年六月に長寿社会対策大綱を閣議決定し、さらにこれを踏まえて六十三年十月に国会にいわゆる福祉ビジョンを御提出申し上げ、年金、医療、福祉等について具体的に掘り下げたものをお示ししたわけでございます。さらに今度は、高齢者の保健福祉の分野を中心といたしまして、これから十カ年の目標を掲げて進んでまいろうとしております。今後もさらに折に触れて問題点を分析し、対策を講じてまいりたいと思います。
#187
○勝木健司君 これからの国民に対する医療はどうあるべきなのかということで、医療のあり方、またその中での医療保険制度のあり方につきまして、構想がありましたら、お考えをお示しいただきたいと思います。
#188
○政府委員(坂本龍彦君) これからの本格的な高齢化社会におきましては、国民すべてが安心して医療を受けられるようにするために、患者の心身の状況に応じた良質かつ適切な医療を効率的に提供するためのシステムをつくることが非常に重要な課題でございます。また同時に、医療保険各制度間の給付と負担の公平化を図りまして、その長期的安定化を確保する必要がございます。
 このために、これまでも給付と負担の公平化のために改革を逐次実施してまいりまして、今回の国民健康保険制度の改正も、そういった給付と負担の公平化に向けての条件整備の一環として位置づけられるものと考えております。さらに、必要な医療につきましては、これを医療保険でカバーするとともに、医療費につきましての国民の負担が過大なものとならないように、良質な医療を効率的に供給するための医療システムの合理化、効率化というものに取り組んでまいりたいと考えております。
#189
○勝木健司君 私は、国民皆保険は堅持されるべきものというふうに思っておりますが、最近の政府の民間の活力導入の考え方を推し進めていきますと、医療費が大変高くなって、そのため著しく民間の医療保険の発達しているアメリカ型になるのではないかというふうに思われます。そうなりますと、金持ちでないとより質の高い医療サービスを受けることができないんじゃないかと一部で指摘するような声もあるわけでございますが、厚生大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。
#190
○国務大臣(津島雄二君) 国民の生命と健康を守ることが厚生省の最大の使命でございまして、将来においても国の責任においてすべての国民に安心して医療を受けられるような体制を維持してまいりたいと思います。具体的には、被用者保険とそれから地域保険から成る現行の国民皆保険体制を維持していくことが必要だと思います。そのための各制度の長期的安定を図っていかなければならないと思います。
 御質問の民間保険について申されましたけれども、一般的に申しますと、国民のニーズや考え方が多様化していることを踏まえて、個人的な需要に対応するために民間のお力を発揮していただく場面もそれはあっていいと思いますけれども、現状におきましては、先ほども御答弁いたしましたように、総医療費の中で民間の生命保険がお払いになっておるのは二%にも達しない、一・五%ぐらいだと思います。微々たるものであるということだけ申し上げておきたいと思います。
#191
○勝木健司君 次に、最近一部の健康保険組合におきまして、保健施設事業の一環ということで高齢者の在宅介護に対しまして一定の援助を行うところが出てきたというふうに聞いております。これからの医療保険制度の運営のあり方として、単に医療の分野のみならず、こういった意味での保健や福祉の関連領域との連携を図って、これらを総合的に推進していくという視点が重要ではないかというふうに私は考えるわけでございます。このような保険者の努力が被保険者の疾病の予防、健康の増進を通して、結果的に医療費の有効活用につながっていくものだというふうに思います。厚生省としても健康保険組合のこのような活動に対して積極的に支援をしていくべきであるというふうに思いますが、御見解をお伺いしたいというふうに思います。
#192
○政府委員(坂本龍彦君) 厚生省としても全く同感でございまして、特に健康保険組合の側において最近このような事業に対する意欲が非常に盛り上がってきているということは私どもも力強く感じる次第でございまして、できるだけこのような事業が強力に進められるようにいろいろな形で支援をしてまいりたいと考えております。
 具体的には、六十三年の十二月でありますけれども、健康保険組合の事業運営基準を改正いたしまして、健康保険組合ができるだけこのような在宅の保健施設事業でありますとか、あるいは機器の貸与事業、こういったような高齢者の在宅介護に関する事業を推進できるようにいたしたところでございます。同時にまた、今回の老人保健制度の加入者案分率が一〇〇%に移行することに伴って老人保健の基盤安定化措置が講じられているところでありますけれども、この際健康保険組合の行う高齢者の在宅介護等の事業に対しましては、積極的に助成を進める方針でございます。
#193
○勝木健司君 近年、国民健康保険制度をめぐりまして大きな制度の改革が行われておるわけでありまして、老人保健制度の創設とかあるいは退職者医療制度の創設等があります。そしてまた、昭和六十三年には国保制度の改正が二カ年度の暫定措置としてでありますが行われました。そこで、この二年間を振り返りまして国保財政の状況はどうなっておるのか、そういうことにつきまして、まず手短に御説明願いたいというふうに思います。
#194
○政府委員(坂本龍彦君) 六十三年度に二年間の暫定措置として制度改正が行われたわけでありますけれども、
   〔委員長退席、理事糸久八重子君着席〕
これは現在の時点で財政状況が明確になっておりますのが六十三年度の決算のみでございますから、実は数字的に判断するというのはなかなか難しい問題がございます。一応形の上では国民健康保険全体としての収支差し引き額、これは全市町村を通じまして一千百六十三億円の黒字となっております。これはただ市町村の一般会計繰り入れも含めての数字でございますけれども、昭和六十二年度とほぼ同様の財政収支でございます。
 したがって、全体としては余り大きな変化というものは見られないわけでありますけれども、例えば保険料の状況について申しますと、昭和六十三年度の一人当たり保険料の伸び率が六・一%でございまして、これは昭和六十一年度の一二・九%、六十二年度の八・六%に対して伸びが鈍化しておりますので、これには六十三年度の医療費の伸びが総体的に低かったという事情があるにしても、やはり六十三年度の制度改正による財政効果があったと考えてよろしいのではないかというように思っております。
#195
○勝木健司君 小規模市町村対策として高額医療費の共同事業が実施されておるわけでありますが、この事業は法律に基づき実施されているものではなく、あくまでも都道府県ごとに任意に実施されておるというふうに伺っております。事業に対する信頼性が薄くなるのではないかというふうに思います。
 二年前の国保の改正において、高額医療費の共同事業の拡充強化を図ると厚生省は言っておりましたけれども、法律上実施義務がないような状態の中で各県においてきちんと実施されていると言えるのかどうか。二年前の改正内容と、それが実際にどのように実施されているのか、御説明願いたい。
 それとあわせまして、高額医療費の共同事業は小規模市町村対策として当面の有効な対策であるというふうに私も思うわけでありますが、この二年間の実施状況を踏まえて高額医療費共同事業の効果をどのように分析評価されておるのか、お伺いしたいというふうに思います。
#196
○政府委員(坂本龍彦君) まず、高額医療費共同事業の性格でございますけれども、確かに都道府県なり市町村に法律上義務づけられているものではございません。しかし、これは都道府県なり市町村の考え方を十分私どもの方で酌み取りながら制度が円滑にいくように考えた結果、法律上の義務的なものとするには今の時期はまだ適当ではない。とにかく任意事業ではあっても、しかしできるだけ市町村の国保の運営の安定化のためにお互いに努力しようということで全国的に進められておりますので、そういう点では決して制度の意義は小さくないものと考えております。
   〔理事糸久八重子君退席、委員長着席〕
 そこで、現在の状況でありますけれども、各都道府県ごとに実際に行われております事業の推移について見ますと、この事業がそもそも始まりましたのは相当以前からでございます。そこで、例えば昭和五十九年度には、この事業に基づく医療費の交付額といたしまして百四十一億一千二百万円ばかりの額でございましたが、六十三年度になりますと四百十億五千六百万円程度というように、三倍ぐらいに拡大してまいりました。なお、都道府県の数につきましても、五十九年度四十二であったものが現在六十三年度は四十七になっている。こういうことで、それなりの効果を発揮しているものと評価をいたしております。
#197
○勝木健司君 高額医療費の共同事業の対象になっております高額医療費は、現在レセプト一件当たり八十万円以上とされておりますけれども、人工透析とか血友病の長期慢性疾患については、一件当たりの医療費が平均して四十五万円前後であるということから、この事業の対象から外れてしまうということになっておるということであります。しかし、これらの疾病は一たん生じると長期間継続をするということで、市町村国保の財政を非常に圧迫をする大きな要因となっておるというふうに聞いております。健康保険におきましても、これらの疾病については高額医療費共同事業の対象とされているというふうに聞いておりますので、また市町村の要望も強いということから、国民健康保険においても、これらの長期慢性疾患を高額医療費共同事業の対象にするとともに公費助成をする、公費助成を行うべきであるというふうに思うわけでありますが、見解をお伺いしたいというふうに思います。
#198
○政府委員(坂本龍彦君) 人工透析あるいは血友病等の長期慢性疾患につきましては、ただいま御指摘のとおりの疾病であり、また健康保険組合についてもこれに対する高額医療費共同事業が実施されておるところでございますが、国民健康保険においてこのような疾病を対象とすることにつきましては、現在の段階ではまだ地方団体の関係者からいろいろな御意見が出ておりまして、合意を得るには至っておりません。このような事業そのものを実施すること自体はいろいろな面で理由があろうかと思いますけれども、現実に共同事業としてまだ踏み切るまでには至っておらないわけであります。
 しかしながら、いずれにしても現在の高額医療費共同事業につきましては、現行の方式で継続をいたしまして、三年後にこの実施状況等を踏まえて事業のあり方について見直しを行うということになっておりますので、その時点において、あるいはそれまでの時点において、この問題についてはいろいろな角度からまた検討してまいりたいと考えております。
#199
○勝木健司君 三年後に見直しをするということでありますが、この高額医療費共同事業につきましては、今回の改正でも現行方式を三年間継続をしていく、そしてその時点で事業のあり方等について見直しを行うということでありますけれども、三年後の見直しの結果、この事業を廃止するという、あるいはこの事業に対する国及び都道府県の助成を廃止するといったような事態は考えられないのかどうかということで、市町村の中にはそのような心配の声が大変多く出ているわけでありますが、今回このような取り扱いになった経緯と、そしてその三年後の見直しにおきまして、市町村が心配しているような事態が生じる可能性はないのかということで、厚生省の考え方をお聞かせ願いたいというふうに思います。
#200
○政府委員(坂本龍彦君) 今回の制度改正案を取りまとめるに当たりまして、いろいろと地方公共団体の方の御意見も伺ったわけでありますけれども、高額医療費共同事業のあり方につきましては、さらに引き続きその実施状況、効果を見ていく必要があるという意見が強かったわけでございます。とりあえず現行方式を継続して、三年後に再度見直しをしようという合意が成立をいたしたわけでありますが、これは何も三年たった時点で廃止を前提としてそのようなことを考えているわけでもございませんで、むしろ今の段階におきましても、市町村それぞれ、この事業につきましては今後とも継続して実施をしていこうという意向はあるものと私どもは理解をいたしておりまして、今後の医療保険制度の運営の面からは、具体的な姿をどのようにするかということは今申し上げることは困難でありますけれども、事業の必要性、重要性は極めて大きいものと考えております。
 したがいまして、厚生省といたしましては、この事業が継続して行われるように最大限の努力を続けてまいりたいと考えておりますし、また市町村の側でもその必要性を十分認識されて、この事業の継続に御賛同をいただけるよう、期待をしておるところでございます。
#201
○勝木健司君 次に、国保の経営主体の問題について伺います。
 前回改正におきまして、高医療費の市町村の運営安定化事業等の意味はわかるわけでありますが、これまでの対策や今回の法案では、果たして十分な格差解消ができるのかどうか、あるいはできないんじゃないかというふうに疑問に思う点が多々あるわけでございます。従来の制度、経営主体をそのままにしておいて抜本的な解決が本当に図られるのだろうかということであります。
 国保の経営主体の論議というのは、近年各方面で行われておるわけでありますが、純粋な県営論もありますれば、経営主体の広域化を論ずる意見もあるわけでございます。それぞれについて長短を論じている時間はないわけでありますが、一般論として、市町村営と都道府県営の長所、短所を挙げればどういうものがあるのか。そして、厚生省はこれらの長所、短所のうち特に重視すべきものはどれとどれであるのか、手短に見解をお伺いしたいというふうに思います。
#202
○政府委員(坂本龍彦君) まず、市町村営とした場合の長所でありますけれども、第一に地域の保健医療活動との連携が密接になるということであります。第二に、被保険者の把握、保険料の徴収が容易であるということであります。三番目に、地域の連帯感の維持というメリットがあると考えられております。
 逆に、短所といたしまして、小規模市町村においては財政運営が医療費の変動によって左右されやすいということ、それから第二に、医療費あるいは保険料の格差が生じやすいといったようなことが考えられるわけでございます。
 一方、都道府県営とした場合の長所といたしましては、保険者規模が拡大して安定化に向かうということが考えられますけれども、短所として地域の保健医療活動との連携が困難になり、被保険者の把握、保険料徴収が困難になるといった点が考えられるわけでありまして、両案とも一長一短を有するものということになりますが、保険者の規模の問題については、高額医療費共同事業といったような他の手段によって対応も可能であるという点から、私どもとしては地域の保健医療活動との連携あるいは被保険者の把握、保険料の徴収といった実施体制面のメリットを重視いたしたいと考えておりまして、市町村による運営が現実的な選択であると考えておる次第でございます。
#203
○勝木健司君 今お聞きしていますと、厚生省は都道府県営における被保険者の把握とか保険料徴収が困難というデメリットを重視しておられるということでありますが、市町村営の著しい医療費とか保険料の格差というデメリットも私は重要ではないかというふうに思います。保険料とか医療費の格差にしても、都道府県営の場合は市町村営に比べましてかなり緩和されることは確かじゃないかというふうに思われます。
 もっとも、私たち民社党も都道府県営だけにこだわるものではないわけでありまして、画一的に都道府県にするのかあるいは市町村かと決めつけることではなく、やはり双方が必要に応じて国保経営を管理する考え方が成り立つんじゃないかというふうに思うわけでございまして、この国保の経営主体について、都道府県、市町村の共同管理化、共管化を提唱しているわけでございますが、これについての厚生省の考え方を承りたいというふうに思います。
#204
○政府委員(坂本龍彦君) この国保の運営につきましては、都道府県営といった広域化の議論が昔からあるわけでありまして、これは理論的にも一つの考え方として私どもも理解はできるわけでございます。現実の問題として、やはり市町村の保健活動との関連でありますとか、被保険者の把握、保険料の徴収といった事務処理体制からいって、市町村というものが現実的な選択であるとは考えておりますけれども、同時に、運営の安定化を図るために、高額医療費共同事業というものもできるだけ充実さしていきたいと考えております。これはある意味におきましては、市町村と都道府県の共同による運営と実質的には考えてよろしいんじゃないかと思うわけでございまして、この高額医療費共同事業そのものは、都道府県ごとに管内の市町村を集めて行っておるわけでありますから、民社党の御提唱になっている共管化構想とはぴったり一致はいたしませんけれども、趣旨においては近いものがあるのではないかというように考えております。
 なお、制度的な問題について申し上げますと、法律上は市町村が一部事務組合をつくりまして、そこで国民健康保険を運営するということも可能になっておりますけれども、現実の問題としてなかなか一部事務組合というのは少数の例にとどまっておるという状況でございます。法律上は市町村に限らずもう少し広域で運営できるようになっているという事実があることを申し添えておきます。
#205
○勝木健司君 ところで、厚生省は六十二年の十月に、国保問題懇談会で、「国保制度の課題と改革の基本的考え方」が提出をされております。この中で「小規模保険者については、県営保険等運営の広域化を図るみちを開く。」と述べられておるわけでありまして、このことがその後具体的な形で出てきていないんじゃないかと。私今回の改正においても何ら見直しが行われていないというふうに思っておりますので、これが一体どうなっておるのか、厚生省はこういう考え方を放棄したのかどうか。
 また、経営主体の問題については、確かにそのほかの解決策と同様に、それ一つで万能のものではないというふうに私どもも思うわけでございますが、しかし国保の抜本的対策ができ上がったものとはいいがたい現在では、この問題については今後検討に値する事柄ではないかというふうに思うわけでありまして、厚生大臣の所信を賜りたいというふうに思います。
#206
○国務大臣(津島雄二君) 県営保険等の点につきましては、先ほどから政府委員から御答弁いたしましたように、いろいろ検討いたしまして、県営保険等運営の広域化を図るという趣旨は、現在の高額医療費共同事業の拡充強化により対応することができるということで、今そういう方向に行っておるわけでございます。
 今後、制度見直しにおいても、こういう問題についてはいろいろ検討を行ってまいりますけれども、今のところ、市町村による運営が現実的な選択であろうというふうに思っております。
#207
○勝木健司君 終わりたいと思いますので、あわせて厚生大臣、この国保の改正についての決意のほどを述べていただきたいと思います。
#208
○国務大臣(津島雄二君) 今回は、当面の国保制度の基盤安定化のために改正をお願いしておるところでございますけれども、先ほどからの御指摘にございましたように、国民健康保険を真に安定した基盤に乗せる、そしてまた保険料の平準化とか、さらには一元化へ向けて進んでいくためには、まだまだ解決すべき問題が多く残っておると思います。今回の改正を実現させていただいて、さらに衆知を集め、この制度の一層の安定を図ってまいりたいと思います。
#209
○勝木健司君 終わります。
#210
○西川潔君 早朝より御苦労さんでございます。最後になりました。よろしくお願いいたします。諸先生方と重複するところが多々ございます。どうぞひとつ最後までよろしく御答弁のほどをお願いいたします。
 私は、これからの日本の医療費問題は老人医療費問題だと思います。確かに世界的に見ても日本の老人医療費の全医療費に占める割合は本当に高いと思います。平成二年度も総医療費が二十兆九千億円、うちお年寄りの皆さん方の費用が五兆八千百億円、何と二七・八%であります。では、なぜ老人医療が高いのかを考えますと、一つは医療そのものによるものと、もう一つは医療以外の医療を取り巻く環境だと思います。例えば、住宅問題であるとか福祉問題であるとか、いわゆる社会的入院などと世間ではよく言われておりますが、こういうことも考えられると思います。
 その意味で、老人医療と医療以外の環境全体を考えた政策をなされないと、これからの日本の医療問題はますます深刻になってくると思います。こういう面からの大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#211
○国務大臣(津島雄二君) 国民の医療費をどう賄うか、そしてまた皆保険の制度をどのようにして維持していくかという問題を考えます場合に、老齢化が進む中で老人医療費の高騰がどういう趨勢をたどっていくかということは最大の問題点であろうと思います。
 この問題に取り組むに当たりまして、委員御指摘のとおり、医療そのものにとどまらず、保健とか住宅とか、その他在宅の介護であるとか福祉の面にわたるまで、広い視野に立って施策を推進していくことが必要であろうと思います。また、そのことが回り回って本来の医療費を効率的に使うことにつながっていくと私は信じておるものでございます。このような意味で、このたび打ち出しました高齢者保健福祉推進十カ年戦略を着実に推進するということ。それから、私どもが直接手の届かない分野まで含めて、住宅対策であるとかいろいろな面で、行政全体で条件の整備をしていく必要があると思います。要は、国民が健やかで安心して老後を送れることができるような総合的な施策を推進してまいりたいと思っております。
#212
○西川潔君 ぜひ、ほかの省庁ともひとつ仲よくしていただいて、よろしくお願いいたします。
 次に、病院の格差についてお尋ねいたします。
 二月に日本大学医学部の病院管理学教室の梅里さんという方なんですけれども、この方の調査によりますと、同じ病気でも病院によって三倍の格差がある、こういうふうに発表されておられます。この調査は、東京の五つの病院で胆石症で重症度一と言われる方ですね。五百九十九人について入院日数と医療費を調べたものでありますが、その結果、A病院のある診療科は入院日数が三十九・九日で百十五万円の医療費です。Eという病院では十・七で約四十万円です。さらに、同じA病院の別の診療科では二十八・二日で約六十五万円ということです。患者の症状にもよりますが、もちろん個人差もあると思います。これは当然だと思うんですが、大体似通った病気で三倍の違いというのは一体何なんだろうなと素人の僕は考えざるを得ません。専門的なことはわかりませんが、ひとつわかりやすく御説明をいただきたいと思います。
#213
○政府委員(坂本龍彦君) ただいまお取り上げになりましたケースにつきまして、私どもは余りその内容を詳細に存じておりませんので、正確なことは申し上げられない面もございますが、一般的に申し上げまして、傷病名が同じでありましても、患者の年齢あるいは合併症の有無と、さらにその状況等によりまして治療に対する反応でありますとか、術後の回復期間というものが相当な差が出るということは考えられるわけでございます。また病院の方の要因として、基準看護のレベルいろいろございまして、それの違いによっても提供される医療の内容が変わるわけでございますので、医療費にも相当の差がでるというケースもあり得るわけでございます。
 こういった理由から、傷病名としては同じ傷病名でありましても、患者とそれに対する医療内容について相当の差があるために医療費がかなり違ってくるということはあり得るわけでございますけれども、それ以上に、ただいまお挙げになった例がそれぞれどうしてこんなに違うかという点につきましては、もう少し内容を詳細に見ませんと確実なことは申し上げられないという状況でございます。
 ただ、強いて申し上げれば、大体入院日数にほぼ見合って金額の差が出てきているように見受けられますので、これは一つには患者の回復力の差もありましょうし、それからいろいろな事情で病院にあるいは長期に入院する必要があったかどうか、あるいは病院の側でのまたいろいろな医師の判断があったかどうか、その辺のところがいろいろ関係しているとは思いますけれども、それ以上に詳しいことはちょっと私どもとしてはわからないという状況でございます。
#214
○西川潔君 ありがとうございました。
 次に、高額療養費についてお尋ねします。まず、この高額療養費というのはどのような場合が対象になるかをお伺いいたします。
#215
○政府委員(坂本龍彦君) これは健康保険の場合でも、国民健康保険の場合でも同様にある制度でございますけれども、実際に保険によって医療を受けたときに患者の自己負担として、例えば健康保険の本人であれば一割、家族であれば二割、それから国民健康保険の加入者であれば三割、医療費の自己負担が必要になるわけでございます。この自己負担額が一月において、現在の場合でありますが、原則として五万七千円を超えた場合にはこの超えた額を後ほど保険の方から現金で償還してもらえるというのが高額療養費の制度でございます。
 そこで、例外的にこの被保険者と申しますか、患者が低所得者であれば、先ほど申しました五万七千円というのが三万一千八百円まで下げられますので、負担が軽くなるという仕組みになっております。
 このほかに、例えば一つの世帯で医療を受けた人が何人もいる場合には、それぞれ三万円を超えるものを合算して、その合算した金額が五万七千円を超えれば、その超えた額が高額療養費として支給されるとか、あるいは長期療養を受けている方が一年の間に三回高額療養費を支給された場合には、四回目以降の一月の負担限度額が一般の場合で三万三千円、低所得者の場合では二万二千二百円になると、このようなケースもあわせて設けられております。
 そのほかに、人工透析を行っている慢性の腎不全患者と血漿分画製剤を使用している血友病患者は、高額療養費の負担限度額は月一万円と低い額になっておる。これが制度の概要でございます。
#216
○西川潔君 ありがとうございました。
 そこで、お伺いしたいのですが、実はこういうおはがきをいただきまして、僕は毎週テレビとラジオでこういうこと、相談を承っておるんですが、女性の方からですが、
 昨年七月二十六日より八月八日まで白内障の手術のため入院いたしました。術前、術後の通院もあり、支払総額が十万を超えましたので確定申告をいたしましたところ、高額療養費が支給されることを知りました。書類を取り寄せて、書き入れる段になって、一カ月の支払合計が五万七千円以上ということで、私の場合は七月の二十六日から七月三十一日。八月一日から八月の八日と計算書が二枚に分かれております。総額合計では確かに五万七千円以上になりますが、一カ月で五万七千円以上でないと支払いはありません。では八月一日から八月十四日までの入院ならば、支払ってもらえますかと尋ねたところ、一カ月単位ですから支払いますという社会保険の返事です。
  これでは不公平ではないでしょうか。このような事を知っていたら、命にかかわる病気でもなし、月がわたらないで入院すれば良かったと思って残念でなりません。
というおはがきをいただいたのです。
 当然そちらサイドの事務手続上やむを得ない事情も多々ございます。そう思います。しかし、国民の立場に立つ私といたしましては、どうしてもこのことをお伺いせずにはおられません。入院日以降一カ月間という計算方法は不可能なことなんでしょうか。今後また改善されないのでしょうか。よければ大臣の方からでも御答弁いただきたいと思いますが。
#217
○政府委員(坂本龍彦君) 今の問題は昔からいろいろと取り上げられておりまして、私どももそういう御要望があることは承知をいたしておりますが、全国で国民皆保険ということで非常に医療を受ける人の数が多いわけでございます。これに伴いまして、また医療機関も毎月多数の患者を扱っておられまして、医療機関における保険医療の診療報酬請求書をもとにいたしまして、高額療養費の支給事務を行っておるわけでございます。医療機関からの診療報酬請求書というのが暦月を単位にしてつくることになっておりまして、この暦月単位という線を崩すとどうしても事務的にまず実行不可能というようなことになってしまうということがございまして、現実にはお尋ねのような月と月をまたがる場合についてはまず実施が困難でございます。
 なお、いろいろ考え方がございまして、確かに不公平というお気持ちになるのも理解できないわけではないんですけれども、大体私どもの社会生活というのは、賃金の問題にいたしましても、その他の支払いの問題にいたしましても、月単位という一種の慣行の上に乗って動いておりますから、暦月単位というのが、このような国民皆保険という非常に大規模な制度を支障なく運営していくためには適切なシステムではないかというように考えておりまして、現時点におきまして、この問題では、私どもとしてはせっかくではございますけれども、今の方式で進めざるを得ない、このように考えております。
#218
○国務大臣(津島雄二君) ただいまの問題については、現在の保険事務処理方式を前提にする限りどうしても起こってくるわけでございますね。ある期間をとって、そこで集計をしてやらざるを得ないということになると、必ずこれは起こっちゃうんです。しかし、常識的に言って気の毒だなという気持ちもこれは否定できない。
 そこで、今後保険事務処理方式等を検討するときでないと、これはどうにもならないという政府委員の方の御答弁でございましたが、制度の一層の改善が可能であるかどうか研究はしてみたいと思っております。
#219
○西川潔君 地球の裏側の情報が本当に何分単位で入ってくるような時代でございますので、できたら、皆さん方の御苦労はよくわかりますが、これだけコンピューター化された時代ですので、人員をふやしたらいかぬとかいろんなことも言われておりますが、その中で何とか御苦労いただいて――随分何か損したような気持ちになるわけです。こういうことを僕の場合は特に御相談を受けるんですけれども、いつまでもだれかが言い続けていかなければいけないことだなと思いますので、そちらのサイドでもひとつよろしくお願いいたします。また定期的にお伺いしてみたいと思います。
 次に、保険料と保険税についてお伺いしたいのですが、昭和六十三年度の調査によりますと、保険税として徴収している市町村は九〇・二%です。保険料を採用しているのは九・八%です。この保険料と保険税の違いというのはどういうことなんでしょうか。
#220
○政府委員(坂本龍彦君) 国民健康保険も社会保険でございますから、保険料として必要な費用を徴収するというのがむしろ原則であると言ってよろしいかと思います。しかし、これは市町村が実施しておりまして、税の仕組みの中で保険税という税金として徴収するということも、実際の徴収事務としてはかなりいろいろな面で利便がございますので、法律上は市町村が実情に応じてどちらを選択してもいいというような仕組みになっております。しかしながら、保険料と保険税と名称とか形式は違いがありますけれども、実際の算定方法についてはほとんど差異はございません。
 ただ、なぜ現在保険税を採用している市町村の方が多いかということでございますが、現実の問題としては市町村の税当局の協力が得やすい、それから保険税の方が被保険者の納付意欲としてどうも高まるのではないか、こんな感じから実際の市町村が選択しているケースが多いという実情でございます。
 なお、先ほどお述べになりました保険税を選択している市町村が九〇・二%、これは市町村の数ではそのとおりでございますが、被保険者の数から見ますと、保険税が六二%程度で、保険料が四〇%ぐらいということで、もう少し保険料の方の比率が多くなっております。
#221
○西川潔君 よくわかりました。
 今回規定されることになった背景というのはどういうことでございましょうか。
#222
○政府委員(坂本龍彦君) 保険税の場合には地方税法に実際にいろいろ規定がございますけれども、保険料の方は国民健康保険法の方で法律の規定によって徴収することになっております。
 今回、保険基盤安定制度というのを暫定措置ではなくて恒久化することになったわけでありますけれども、この制度は保険料あるいは保険税の軽減に伴いまして、低所得者について軽減した額を公費で補てんするということになる制度でありますから、保険料の減額を初めといたしまして、保険料に関するいろいろな事項と密接な関連が出てまいります。
 これまで保険料の減額その他保険料に関する規定は市町村の条例で決めておりますけれども、それを国の方では条例準則という通知でお示しをしていたわけであります。今般保険基盤安定制度という制度もできますし、保険料の軽減に関してひとつ法令上の規定を整備することが望ましいのではないかということから、政令において一定の基準を定めまして、その基準に従って市町村が条例を制定するという、いわば法律上の体系の整備を図ろうということで改正を行うものでございまして、実質的には今徴収しておる保険料がそのまま引き続いて徴収することには格別変化はないということになるわけでございます。
#223
○西川潔君 どうしても実感といたしまして二つある、料と税となりますと、納めなかったら、何か保険税、税とつきますと、どうしても、先ほど乾先生もおっしゃっておられましたが、徳島の新聞のあの内容なんかも読ませていただきますと、ひょっとしたら恐ろしいんではないかな、差し押さえに来るんではないかなというような気持ちにも、そういう心配もございます。
 時間の関係で一つ二つ飛ばさせていただきますが、次に、遠隔地被保険者証についてお伺いいたします。
 これもテレビやラジオでやらせていただきまして大変反応がございました。こんな便利な制度が西川さんあったんですかということで、随分おはがきをいただきまして、実際に市役所へ行かれた方が随分おられます。その方からまたおはがきをいただいております。大阪の富田林の鈴木さんという人なんですが、
  以前、西川きよしさんが番組で、国民健康被保険証の遠隔地被保険者証が役所で申請できると聞き、さっそく事情で離れているおばあちゃん(扶養家族)のために手続きしました。ところが、三カ月の有効しかなく、長く離れている人にとってはあまり意味がありませんでした。元の国民健康被保険証と同じ期間だけ有効にしてもらえたらいいのに……。
という、こういうおはがきをいただいたのですけれども、この更新期間については法令などで定めはないということですが、大阪府へ尋ねてみましたところ、就学中の方の場合は一年か二年、またその他長期旅行者、入院などは三カ月ということでございますが、一方では理由に関係なく一年間有効という市町村もございますが、小さなことですけれども、これは何とか全国的に御配慮いただけないものでしょうか、大臣。
#224
○政府委員(坂本龍彦君) 今御指摘のありました国民健康保険の遠融地被保険者証の有効期限につきましては、確かに法律上特別の制限はございません。したがって、発行いたします市町村がそれなりの考え方によって決めておるわけでございまして、今御指摘のケースのように三カ月というのも現実にはあったわけでありますけれども、実質的にはもう少し長くてもいいのではないかなと私どもも感じるわけでございます。この市町村もどのような考え方でこうなっているのかというのも、直接には私たちは承知いたしておりませんけれども、もう少し実態に合った期間に考え直していただけるように期待するとともに、こちらからもそういった指導をいたしたいと考えております。
#225
○西川潔君 次に、国民健康保険には二つの大きな特徴があると思います。一つは、サラリーマンを退職した人が地元市町村の国民健康保険に入ります。当然お年寄りが多いわけですが、もう一つは無職の方や低所得者の方が多いわけですが、このため収入の少ない人たちが多いです。保険料収入に多くを期待できない、健康面でも比較的弱い方が多いわけです。医療費がかさむ、この二つが国民健康保険の財政を苦しくしている理由だと思います。
 そこで、私はお伺いしたいんですが、お年寄りが病院に長期に入院します。住民登録をします。その市町村の国民健康保険に入ります。保険料余り払えないお年寄りがふえるわけですから、国民健康保険の財政は当然苦しくなります。市町村の方でも財政がもちろん苦しくなるわけです。これは、今まで先生方もたくさんの方が質問なさいましたが、そこで私自身が老人福祉をやっておりまして特に心配になるのは、病院や公的老人ホーム、そして有料老人ホームなど、その建設に積極的に取り組まないのではないのかなという僕は心配があります。どちらかというと反対をするのではないかな、そういう悪循環を繰り返しては困ります。ゴールドプランでも施設の整備がうたわれております。
 今回の改正でも加入者の按分率を一〇〇%にし、財政調整交付金をふやすので大丈夫だと、こうおっしゃっておられますが、長期的に見て財政は本当に大丈夫なのでしょうか。また、こういう今お話しさせていただきましたような悪循環というようなところのお答えもあわせていただきたいと思います。
#226
○政府委員(坂本龍彦君) 一般的に申しますと、高齢者の方は医療費が高くて保険料負担能力は低いと、こういうように考えられておるわけでありまして、そういう意味で老人が増加をいたしますと市町村国保の財政にいろいろ影響が出ると、こういう御心配をされることには無理からぬ面もございます。厚生省の考え方としては、できるだけ老人の加入率の違いによって費用の負担に不均衡が生じることがないように老人保健法でそれを、加入者按分率を一〇〇%にすれば加入率の不均衡は是正できるわけでございますから、そういう考え方で老人保健法をつくり、またサラリーマンを退職した人が国民健康保険に入った場合には、退職者医療制度によって国民健康保険の昔から自営業等で加入している人に負担をかけないように、こういう制度改正もしてきております。
 さらに、今回のように所得の低い人に対する保険料軽減分について公費補てんを行う保険基盤安定制度も確立いたしましたから、いろいろの角度からこういう老人ホーム等の入所者についても、それが直ちに市町村に悪影響を及ぼすようなことのないようにいろいろと制度面で配慮はしておるわけでございまして、余りこの点について御心配をなさる必要はないのではないかなと、こう思っておりますが、これはそれぞれの立場でまたいろいろありましょうから、できるだけ私どもも、要するに国民健康保険の医療費として負担の重いところ、軽いところ、実際の状況を見ながら財政調整交付金等によって財政負担の不均衡を調整していこうと考えておりますので、その際の実際の医療費の状況というのは十分今後とも配慮しながら適切な対策をとっていきたいと考えております。
#227
○西川潔君 ぜひよろしくお願いいたします。
 時間の都合で、あと五分になりましたが、後先に、もし時間がなくなったら困りますので一つ抜いたものがございますが、改めましてよろしくお願いいたします。
 地域の格差でございますが、これも実はおはがきをいただきました。
  西川さん、国民健康保険のことで聞いてもらいたいことがあります。
  私の家族は、主人と子供二人の四人家族です。結婚後、大阪市で市営住宅に住んでおりましたが、今年やっとの思いで門真市にマイホームを手にすることができました。家族みんなが本当によろこんでおります。
  家計をあずかる私は、家のローシを払うため、食費、教育費、光熱費、そして年金、国民健康保険料と今後の家計の設計を立て、なんとかローンを払いながら生活ができると思っていました。
  ところが引越のあと、国民健康保険料の通知が届き、金額みてびっくりしました。なんと今までの倍近くの保険料なんです。私は本当にショックでした。
  西川さん、同じ家族構成で同じ所得の私たちなのに、こんなに保険料が違うことに納得いきません。どうか一度国会で聞いてください。
というおはがきをいただきました。これを最後の質問にさせていただきます。
#228
○政府委員(坂本龍彦君) たびたび御指摘のあります国民健康保険の保険料の格差という問題でございまして、確かにケースによってはこのようなケースがあるわけでございます。
 何とかこういった問題の解決を図ろうということで、これまでもいろいろ改正を行ってまいりましたし、また今回も制度改正を実施し、さらに来年度を目途に平準化を進めてまいりたい、また、それから先の時点におきましても、できるだけ平準化が進むような対策を講じていきたいと考えておる次第でございます。いろいろと市町村間における不均衡、非常に深刻な面がございますので、十分に実態を認識いたしまして、改善に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
#229
○西川潔君 どうぞよろしくお願いします。
 終わります。
#230
○委員長(浜本万三君) 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#231
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、国民健康保険法の一部を改正する法律案に反対する立場から、討論を行います。
 政府は、臨調行革路線に基づき、老人保健法や退職者医療制度を創設して、国民健康保険に対する国庫負担を大幅に削減し、増加する高齢者医療費は専ら労働者、国民に負担させてまいりました。
 さらに、昭和六十年度後半の遅くない時期に医療保険を一元化するとの方針のもとに、一昨年、この抜本改悪への条件整備としての国保改悪を実施しました。本改正案はその継続、強化であります。
 保険基盤安定制度は、国保に対する地方自治体負担の制度化であります。今まで法定化されていなかった都道府県及び市町村負担を新たに導入することは、国民健康保険法の目的及び国の義務を大きく変えるものであり、国の責任を地方自治体に転嫁するというにとどまらず、憲法第二十五条の国の責務規定の理念に反するものであります。
 この制度化に伴って、国庫負担を増額することになっておりますが、自治省は、この増額と引きかえに、地方交付税の特別加算を廃止しようとしております。さらに老人保健拠出金の国庫負担率を引き下げることや、老人保健の加入者按分率が一〇〇%となることによる国庫負担の減額等により、国庫負担が大幅に減額されることになります。この国庫負担率の引き下げ分は、加入者と地方自治体に負担が転嫁されるのであります。
 国民健康保険は近年、保険料負担能力が低い無職者や高齢者の負担が加重され、財政基盤が非常に弱い構造的なゆがみが拡大されています。
 この構造的な財政基盤の脆弱化は政府も認めながら、国庫負担の削減を図り、国保料を引き下げてほしいという国民の声に逆行するこの改正は、絶対に認めることはできません。
 政府が今なすべきことは、国の責任によって国民の負担を軽減するとともに、国民健康保険と老人医療の安定を図ることであります。
 国民の命と健康を守り、だれでもいつでもよりよい医療が受けられる体制をつくるために、国民健康保険の一層の充実に努力する決意を述べて反対の討論を終わります。
#232
○委員長(浜本万三君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 国民健康保険法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手をお願いします。
   〔賛成者挙手〕
#233
○委員長(浜本万三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、糸久八重子君から発言を求められておりますので、これを許します。糸久君。
#234
○糸久八重子君 私は、ただいま可決されました国民健康保険法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    国民健康保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項につき、適切な措置を講ずべきである。
 一、国民健康保険制度は、給付と負担の公平化を最も急がなければならない状態にあること等にかんがみ、その安定的運営のために必要な助成の強化に努めるとともに、計画的に医療保険制度一元化に向けた取組みを進めること。
 二、保険料の平準化については、低所得者に対する応益保険料の軽減制度のあり方等を含め幅広い角度から検討し、被保険者の保険料負担に十分配慮しつつ進めること。
 三、国は、都道府県及び市町村が保健、医療、福祉を総合する視点に立って円滑に医療費の適正化を進めることができるよう、その条件整備に努めること。
 四、国民健康保険の地域保険としての特性にかんがみ、地域住民の福祉向上の観点から、健康増進、疾病予防等保険施設事業の充実に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
#235
○委員長(浜本万三君) ただいま糸久君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#236
○委員長(浜本万三君) 多数と認めます。よって、糸久君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、津島厚生大臣から発一言を求められておりますので、これを許します。津島厚生大臣。
#237
○国務大臣(津島雄二君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。
#238
○委員長(浜本万三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#239
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#240
○委員長(浜本万三君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案及び麻薬取締法等の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。津島厚生大臣。
#241
○国務大臣(津島雄二君) ただいま議題となりました二法案につきまして、その提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、平成二年度においても、年金の支給額を引き上げることにより戦傷病者、戦没者遺族等に対する援護の一層の充実を図ろうとするものであります。
 改正の内容は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正し、障害年金、遺族年金等の額を恩給の額の引き上げに準じて引き上げるものであります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、この法律案につきましては、平成二年四月一日から施行することとしておりましたものを、衆議院において、公布の日から施行し、平成二年四月一日にさかのぼって適用することとする修正がなされております。
 次に、麻薬取締法等の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 近年、世界の多くの国々で、麻薬、覚せい剤、大麻等に加え、睡眠薬、精神安定剤等の向精神薬についても乱用が増加してきております。
 我が国では、乱用される薬物に対しては、麻薬取締法、覚せい剤取締法、大麻取締法等により厳しい規制措置が講じられてきましたが、向精神薬についても密造、密売事件が見受けられるようになり、国内での乱用が懸念される状況にあります。
 薬物の乱用は、一たび流行すれば、その撲滅には相当な困難を伴うものであり、向精神薬に対してその乱用を未然に防止するための措置を早急に講ずる必要があります。
 また、国際間の人的物的往来が増大した今日にあっては、薬物の乱用を一国の努力のみで解決することは極めて難しくなってきており、このため、我が国も向精神薬に関する条約を踏まえ、国際的な薬物の流通監視体制に参画することが要請されております。
 政府といたしましては、以上のような内外の状況にかんがみ、向精神薬の乱用の防止を図り、かつ向精神薬に関する条約の批准に備えることを目的として、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、麻薬取締法の一部改正について申し上げます。
 第一に、この法律の目的に、向精神薬について必要な取り締まりを行うことを加えるとともに、名称を「麻薬及び向精神薬取締法」に改めることとしております。
 第二に、向精神薬が医療または研究以外に用いられないよう、向精神薬の製造、輸出入、卸売、小売等を業として行う者については免許制度を、向精神薬の試験研究施設の設置者については登録制度を設け、向精神薬の譲渡先をこれらの免許業者、登録施設の設置者等に限定することとしております。
 第三に、免許業者等に製造、輸出入等に関する記録を義務づけるとともに、乱用による危害の大きい特定の向精神薬について、輸出入ごとの許可または届け出の制度を設けることとしております。
 第四に、向精神薬の一般向け広告の禁止、罰則の整備その他所要の改正を行うこととしております。
 このほか、覚せい剤取締法及び大麻取締法の一部を改正し、向精神薬に関する条約の批准に必要な一般向けの広告の禁止、罰則の整備等の措置を講ずることとしております。
 なお、この法律の施行は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日からとしております。
 以上、二法律案の提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#242
○委員長(浜本万三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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