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1990/06/14 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 社会労働委員会 第8号
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1990/06/14 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 社会労働委員会 第8号

#1
第118回国会 社会労働委員会 第8号
平成二年六月十四日(木曜日)
   午前十時十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     木暮 山人君     木宮 和彦君
 六月十三日
    辞任         補欠選任
     木宮 和彦君     木暮 山人君
    日下部禮代子君     村田 誠醇君
 六月十四日
    辞任         補欠選任
    村田 誠醇君     日下部禮代子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜本 万三君
    理 事
                小野 清子君
                前島英三郎君
                糸久八重子君
                高桑 栄松君
    委 員
                尾辻 秀久君
                木暮 山人君
                佐々木 満君
                清水嘉与子君
                田代由紀男君
                西田 吉宏君
                菅野  壽君
               日下部禮代子君
                深田  肇君
                堀  利和君
                村田 誠醇君
                木庭健太郎君
                沓脱タケ子君
                乾  晴美君
                勝木 健司君
                西川  潔君
   衆議院議員
       社会労働委員長
       代理       持永 和見君
   国務大臣
       労 働 大 臣  塚原 俊平君
   政府委員
       労働大臣官房長  若林 之矩君
       労働大臣官房審
       議官       石岡慎太郎君
       労働省労政局長  岡部 晃三君
       労働省労政局勤
       労者福祉部長   松本 邦宏君
       労働省労働基準
       局長       野崎 和昭君
       労働省婦人局長  佐藤ギン子君
       労働省職業安定
       局長       清水 傳雄君
       労働省職業安定
       局次長      齋藤 邦彦君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部長     七瀬 時雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       労働省労働基準
       局監督課長    氣賀澤克己君
       労働省労働基準
       局労災管理課長  坂根 俊孝君
       労働省労働基準
       局補償課長    内田 勝久君
       労働省労働基準
       局賃金時間部長  井上 文彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十三日、日下部禮代子君が委員を辞任され、その補欠として村田誠醇君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(浜本万三君) 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○村田誠醇君 私は、労災保険法の一部を改正する法律案について二、三御質問をさせていただきます。
 まず最初に、この法律案が提出されるまでの間に、一九八八年八月に出ました労働基準法研究会の中間報告、平成元年度十二月に出ました労災保険審議会の答申案その他一連の流れをずっと勉強させていただきましたら、法律案に至るまでの間にかなり手直しといいましょうか、改正がされて提案されているようでございます。
 問題になりました一九八八年の中間報告では、休業補償の一律一年六カ月の打ち切りの問題ですとか、年齢スライドの問題、労災専門医委員会制度をつくるとか、こういう提案がございました。中でも重要なのは労働基準法第八章を削除するという答申案が出ていたわけでございますが、今回出された法律案の一部改正するところにはこのような条項が入っていない。これはこういう方向をとらない、あるいはこういう問題点については、労働省としては改正することを国民の反対が強いからあきらめた、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
#5
○政府委員(野崎和昭君) 先生御指摘のとおり、今回の改正法案に至りますまでには一年半以上にわたりまして労災保険審議会で検討を重ねたわけでございますが、その検討の参考資料の一つにただいま御指摘の労働基準法研究会の中間報告もあったわけでございます。
 中間報告におきましては、たくさんのことが指摘されておりますが、ただいま先生御指摘いただきました例えば休業補償につきましては、「休業補償は、症状が安定すると考えられる療養開始後の一定期間経過後(一年六カ月後)までとし、それ以後は現行の傷病補償年金に該当する場合も含めて、その傷病による障害の程度に応じて、障害補償給付を行うこととし、かつ、治っていない場合は、当然引き続き療養補償給付を行うように、給付体系を整備することを検討すべきであろう。」という提言となっていたわけでございます。しかしながら、労働基準法研究会におかれましては、その後もさらに引き続き研究を進められまして、例えばただいまの休業補償の問題につきましては、長期療養中の被災者の社会復帰等の問題、あるいは症状の推移に関する医学上の問題等を踏まえつつ慎重な検討がなされる必要があるという見解をその後また出されまして、したがいまして、審議会としてはそれらの研究会の御意見を参考として、具体的にはただいまの問題は昨年末の労災保険審議会の建議においては取り上げられなかったわけでございます。
 そのほか、御指摘のございました年齢スライドの問題、それから労働基準法第八章の削除の問題等についても事情はほとんど同じでございまして、当初の研究会の中間報告後さらに研究会で検討された結果、さらに検討を深めるべき問題点があるという御報告がございましたので、審議会としてはこれらの点は具体的に取り上げなかった、そういう経緯でございます。
   〔委員長退席、理事糸久八重子君着席〕
#6
○村田誠醇君 ということは、確認ですけれども、中間報告で出された問題点はいろいろ問題があるから審議を深める、今後も論議をしていくということなんですか。それとも、問題点があるのでそれについては検討しない、労働基準法第八章でいけば削除しないという方向で論議をするということなんですか。それともいろいろ問題点を勘案しながら今後も研究、検討は続けていくということなんですか。その点はどちらでございましょう。
#7
○政府委員(野崎和昭君) 経過はただいま御説明申し上げたとおりでございますが、問題によりまして若干審議会での取り扱いにニュアンスがあるようにも私ども受け取っております。具体的に申し上げますと、休業補償給付を一年半までとする提言や、労働基準法第八章の問題等につきましては、審議会の建議において触れられておりませんし、審議会において今後の検討も予定されておりません。
 それから、それ以外のものにつきましては、一応審議会の検討対象として残っていると思いますけれども、先ほど申し上げましたような具体的ないろいろな問題点、重要困難な問題点があるという形で残っておりますので、労働省としましては、そういった後者の問題につきましては、審議会の慎重な御検討をお待ちして、それを受けて必要な対応をしたいと考えているところでございます。
#8
○村田誠醇君 それでは続いて、今回の法律案の中身について触れさしていただきたいんですが、労災保険法という従来の法律からしますと、今回改正された大きな柱のうちの一つに、農業関係者に対する特別加入制度あるいは労災保険の強制適用を一つの柱となさっているわけですけれども、通常ほとんどの方が何で農業関係にという若干首をひねるような部分がありますし、余り実態を知らないことが多いと思うんですね。それで、なぜ今回こういう改正をしたのか、その疑問についてはとりあえず後の方で質問さしていただきますけれども、まず状況が一体どうなっているのか、つまり農業関係の特定農作業の従事者の加入状況、これは一体どんなふうになっているのか、ちょっと現状を御説明いただきたいと思います。
#9
○政府委員(石岡慎太郎君) 農業従事者の特別加入につきましては、現在中小事業主等とじての特別加入制度及び御指摘のような労働大臣が定めている農業機械を使用して土地の耕作等を行う特定農業機械作業従事者としての特別加入制度、この二つがございます。この二つの制度の状況を昭和六十三年度末現在の数字で申し上げますと、中小事業主等として特別加入している者は約二万四千人、それから特定農業機械作業従事者として特別加入している者が約十二万一千人、このようになっております。
#10
○村田誠醇君 これは農協さんで調べた数字ですけれども、六十二年度で加入人員、指定農業機械作業従事者十一万八千九百六十二人、中小事業主の加入者三万九百九十人、六十三年度、大体同じ数字ですけれども、加入人数、指定農業機械作業従事者十二万一千百三十五人、中小事業主二万三千七百三十人、この数字でよろしいですか。
#11
○政府委員(石岡慎太郎君) 先生御指摘の数字はそのとおりでございまして、間違いございません。
#12
○村田誠醇君 中身は別としまして、それではこの加入者、両方合わせると約十四万五千人弱ぐらいの人たちの労災事故の発生件数、一体どんなような事故が起こっているのか、特徴的なものがあれば御説明をいただきたいと思います。
#13
○政府委員(石岡慎太郎君) 制度が二つあるわけですが、そのうちの特定農業機械作業従事者として特別加入された方々の労災保険の新規受給者数を申し上げますと、昭和六十三年では一千六百十六人というふうになっております。
 この特定農業機械作業従事者といいますのはトラクターなど、そういう農作業用の機械を使いまして労災がございました場合に補償されるものでございますので、巻き込まれて腕や指にけがをした等々の労災事故があったものと考えております。
 それから、もう一つの中小事業主等の特別加入者につきましては、実は一般労働者と包括して保険加入する仕組みとなっておりますので、中小事業主等のみの労災事故の件数につきましては、把握しておりません。
#14
○村田誠醇君 先ほど指摘しました数字でいきますと、農業就業人口に対する比率でいけば、六十二年度は指定農業機械作業従事者はわずか一・九%、中小事業主に至っては〇・五%、全体合計しましても二・四%しかいないわけです。同じく六十三年度を見ても指定農業機械作業従事者はわずか二%、中小事業主は同じく〇・四%、両方合わせて二・四%、この労災には全体の農業の従事者、就労者からすれば非常にわずかな人しか入っていない。それなのに今回の労災保険の改正の目玉みたいな説明なりしても、もっとほかに改正すべき点があったんじゃないか、緊急にやるべき問題がもっとほかにあるんじゃないかと思うわけですけれども、この農業だけをわざわざ取り上げて、しかも特定農業機械作業従事者という、ほとんど大半の人にとってはわからない部分を拡大なさったというのは何か意味があるのかどうか、あるいはほかの施策との関係で、これが第一番目的に改正をしなければいけない理由がどこにあるのか。これは私は決して否定しているんじゃなくて、道が広がるということについては大変いいことですし、それによって救われる人や事故があるわけですからわかるんですけれども、もっとほかにあるんではないか、優先的にやるべき施策があるんじゃないかという気がしているんですけれども、その点についてはどういう御見解でしょうか。
#15
○政府委員(石岡慎太郎君) 先生御指摘のとおり、農業就業者全体に占めますところの特別加入者の割合は我々の試算によりましても六十三年度約一・三%ということでございまして、加入率が低いのは事実でございます。このような事実の原因の一つとしては、やはりこの制度が周知されていないといったようなこともあろうかと思います。したがいまして、この点につきましては、今後大いに周知に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
 一方、今回法改正をいたしまして、新たに農業の特別加入制度を拡充いたしますゆえんは次のとおりでございます。
 一つは、農業以外の暫定任意適用事業でございます林業や漁業、これも非常に重要でございますが、任意適用事業の範囲がこれらの場合については非常に農業に比べまして狭いし、かつ雇用される労働者数も少ないということ。それから二番目には、農業につきましては特別加入者の団体としての農業団体を通じまして事業の実態把握が比較的容易でございます、そういうこと。さらには三番目といたしまして、最近農業の労働の実態を見ますと、大型の機械が導入されましたり、あるいはまた新しい農薬が使用されたりいたしまして、比較的事故が多くなっているというような事情があること等を考慮いたしまして、まず農業の事業について特別加入制度の改善を通じまして適用の拡大を図ることとしたものでございます。
#16
○村田誠醇君 それでは、そういう農業の労働の実態に応じて適用拡大をしたい、どのくらいの人たちがこの法律の改正、枠が広がったことによって入る、あるいは労働省としては入れたい、そういうふうに思っておられるのか、ちょっとその目標的な数字がありましたらお聞かせ願いたい。
#17
○政府委員(石岡慎太郎君) 今回法改正をお認めいただきましたらできまする新たな農業の特別加入制度につきましては、既存の先ほどから申しております指定農業機械にかかる特別加入者からこの新制度へ移行するというものも含めまして、当面目標としましては、加入者数を約十五万人程度にいたしたいと考えております。
#18
○村田誠醇君 その加入を促進する方法についてはどういうふうなことを施策として考えておられるんですか。
#19
○政府委員(石岡慎太郎君) 農業の特別加入の拡大につきましては、特別加入者の団体としまして、農協等の農業団体、その他の団体に対しまして、働きかけ、新制度の広報、周知に努めてまいりたいと考えているわけでございます。
 それからもう一つ、この特別加入制度につきましては、手続が煩瑣になりますと、せっかく制度をつくりましても御加入いただけないといった問題もございますので、これから鋭意検討をしてまいりますけれども、できる限りこの制度におきましては手続の簡素化について工夫をいたしたい、これらによりましてこの制度への新規加入を促進したいと考えております。
#20
○村田誠醇君 先ほど、加入目標数を指定農作業従事者に関して十五万人ぐらいと、こういう御説明でございましたけれども、現在農協が進めております農協共済と俗に呼ばれているものが、六十三年度だけで百八十八万三千人加入しているんですね。この数字からいけば、目標値は低過ぎる、施策を行った割には非常に低いんじゃないか。それから、同じ農協共済の中に特定農機具の傷害災害という特約なんでしょうか、僕ちょっとこれはよくわかりませんけれども、これに加入している人数で計算しましても、こちらの人は三十四万四千人入っているんですね。むしろ国がやっている保険ですし、保険料も安いんで民間保険から公的な保険に切りかわるというのが普通だと思うんです。十五万人という目標はちょっと低過ぎるんじゃないでしょうか。その点はいかがでございますか。
#21
○政府委員(石岡慎太郎君) 今回予定しております新しい特別加入制度につきましては、これから農業団体等あるいは審議会等とも御相談いたしまして、例えばでございますが、農産物の売上高が年間幾ら幾らとか、あるいはまた労災補償の対象とします作業を特定するとか、そういうことを予定いたしております。
 したがいまして、おのずから一定の制約がございますので、すべての農業従事者の方にそもそもお入りいただけるとは思っておりません。
 さはさりながら、十五万という目標が低過ぎるのではないかという御指摘につきましては、私ども当面十五万を目標に努力していくわけでございまして、できるだけ早く周知徹底等、先ほど申しました加入促進策を講じまして、この十五万の目標を達成し、さらには次なる段階にはそれ以上の加入者数をねらってまいりたいと考えております。
#22
○村田誠醇君 私、ここに社団法人日本農業機械化協会、これは農水省の関係団体だと思うんですが、そこが出しております「農業者のための労災保険特別加入制度」というパンフレットがあるんです。ちょっと古い数値ですけれども、農業者の労災加入状況というデータがございまして、労災保険に未加入な理由、これをアンケートとりましたら、この制度を知らなかったというのが五二%、ちょっと古いデータですけれども、五十三年度データ。制度の内容がよくわからない、これが一一%、合わせて六割もの人がこの制度をほとんど知らないか、もしくは中身がよくわからない、だから入らない、こういうことがあるわけですね。さらに一三%の人は他の保険で賄っているから大丈夫。この他の保険というのは多分農協の共済だろうと思うんです、あるいは民間の生命保険。これ合わせるともう七割、八割近くいっちゃうわけですね。
 そうすると、労働省の方のこの労災保険、国の保険でありながら中身がわからないとか、こんな制度があること自体がわからなかったということでは、せっかく法律を直してもだれも入らないと思うわけです。そういう意味でぜひPRあるいは加入促進の方法について、もう一度労働省の方の決意をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#23
○政府委員(石岡慎太郎君) 先生御指摘のように、現在の二つの農業従事者の特別加入制度に加入者数が少ない原因は、一つはやはり制度を知らない、あるいはわからないと、今御指摘のようなことがあると思います。したがいまして、対策といたしましては、これら制度の周知徹底をもっともっと図らなければならないということになるわけでございますが、私ども現在の二つの制度はもとよりといたしまして、これからできる新しい制度につきましても、従前以上にその制度、内容等のPRには力を入れてまいりたいと考えております。
 なお、新しい制度につきましては、農業団体の御意見も伺っております。農業団体はこの新しい制度の導入につきまして非常に積極的でございますので、農業団体の御協力も得て制度の周知徹底に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
#24
○村田誠醇君 この法律改正の中身を勉強させていただきましたら、臨時といいましょうか、季節雇用で働く人も事業主と一緒に労災保険の適用対象にする、強制保険の対象にするということでございますが、その場合、季節雇用の人たちの雇用保険は当然かかるもの、加入すべきものと、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
   〔理事糸久八重子君退席、委員長着席〕
#25
○政府委員(齋藤邦彦君) 今回労災保険法の改正によりまして農業の特別加入事業主が労働者を雇用した場合には労災保険を強制適用すると、こういう形になっておるわけでございますが、雇用保険は若干労災保険とその性格を異にしているというふうに考えております。すなわち、雇用保険そもそもの基本的な性格から申し上げますと、自己の労働により賃金を得て生計を立てている労働者が失業をした場合に生活保障を行う保険制度、大ざっぱに申し上げればそういうような基本的性格があるだろうというふうに思っておりますが、そういうようなことから労災保険とは雇用保険、いろいろな面で仕組みが違っております。例えば、給付を受けるためには原則として離職前一年間に六カ月以上の被保険者期間を必要とするというようなこともございます。そういうようなことから考えますと、農業労働者の方、この雇用実態から見ますと、なかなか被保険者になってもこのような要件を満たすことができず、いわば保険として掛け捨てというような形になる場合があるのではないか。
 それからもう一つは、雇用保険につきましては、個々の労働者の入離職の状況等報告いただくというような、いろいろ労災保険と違った複雑な事務を事業主に負わせている。したがって、その適正な処理が担保できるかどうかというようなこと等々、いろいろ事情が違っておるところから、今回労災保険の改正と同様の措置を雇用保険についてとるということはいかがかというふうに考えておる次第でございます。
 なお、雇用保険制度につきましても、先生御承知のように、農業等で五人以上の労働者を雇用する事業主につきましては強制適用でございますし、また五人未満の事業でありましても任意加入の道が認められております。さらに、五人未満の事業場で任意加入の事業場でございましても、労働者の二分の一以上の方が希望すれば、事業主は加入手続をとらなければならないと、こういうような仕組みになっておるわけでございまして、そういうような任意加入等の制度を活用しながら制度の周知徹底を図ってまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
#26
○村田誠醇君 ちょっと年数は忘れましたけれども、たしか労働保険の強制適用事業を、一人以上の場合ですね、全部強制適用にするということが決まったときに、暫定任意適用は除きまして、決まって、その後労働省が施策を進めたときに、たしか会計検査院だったと思いますけれども、その実効性が上がっていないじゃないかということで指摘をされ、その後未手続事業所の解消、労働保険の加入状況拡大のために、労働省としては予算をくっつけていろいろな施策を現に行っているはずだと思うんですね。それは、農業だって同じだと思うんです。今言ったように法人格を持っているところは全部適用する。しかも、今度個人事業であっても臨時の季節雇用の人も適用する、労災保険だけ適用するんだというんであれば、片方だけを適用させるということは今まで労働省が行ってきた施策、労働保険として一本で適用するという、あるいは片肺を認めない、労災保険だけを認めないで労災、雇用を一緒に掛けさせる、そういう施策からすれば、今回この個人の農業労働者だけ外す、雇用保険から外すというのはちょっと合点がいかない。こういうように理解するんですけれども、その点はどうでしょう。
#27
○政府委員(齋藤邦彦君) 先ほど申し上げましたように、雇用保険と労災保険、それぞれの保険の性格から若干制度の仕組みが違うわけでございます。ただ先生お話しのように、できるだけ労働保険というのは一元的に処理しなければならないし、加入していただく方がベターであるという原則はもちろんそのとおりでございますけれども、やはり微妙な点になりますとそれぞれ保険の性格の差異が出てくるということでございます。
 雇用保険、先ほども性格的なことをお話し申し上げましたけれども、ただいずれにいたしましても、いろいろ時代の変化あるいは就業構造の変化、就業形態の多様化というような事態を踏まえまして、それに雇用保険も適用させていかなければならないということは事実あると思っております。昨年の国会に、パートタイマーにつきましても、一般とは違う若干特例的な制度ではございますけれども、加入の道を開くというようなことも講じてまいりました。そういうような意味で、時代に合わせた形での就業形態の多様化に応じて雇用保険制度のあり方というものをもう少し検討をしていきたいと、このように考えております。
#28
○村田誠醇君 そうすると、季節雇用の農作業の従事者ですね、家内労働力を使っている場合、これはわかるんですよね、労災だけ適用でいいですよ、失業の問題が起こらないから。しかし、同じ臨時の季節雇用といいましても、他人様を使う、他人の手をかりる、こういうことだってあるわけですよ。現にその方が多いと思います。家族労働プラス他人の労働力をかりる。このかりた人たちに労災は適用するけれども、雇用保険だけは適用しないということはちょっとわからないんです。この制度が出てきたときに、私は随分いい制度をつくったんだなと思ったんです。よくよく読んでみましたら、どうもこれはちょっと片手落ちかなと思っているんですよ。
 大臣にちょっとお聞きしたいんですけれどもね。私この政策を最初に読んだときに、ああ随分労働大臣は思い切った政策を打ち出したんだなと思ったんですよ。なぜなら、この人たちに雇用保険の適用を認める、そういう政策をとっていただければ、もらう金額はいろいろそれぞれ賃金に応じて違いますけれども、例えば雪国なんかで冬期間農作業に従事できない、あるいは就労することができない人たちが東京の方や大都市に建設労働等の形で出稼ぎに出てくるわけですよ。そして国に帰って失業給付をもらう。こういう形態をとっているんです。ところが、この臨時雇用の人たちに、今の農作業の臨時の人たちに雇用保険の適用を認めてあげれば、冬期間出稼ぎに行かなくても、自宅にいて、家族と一緒にいて失業給付を受けることができると思うんですよ。つまり、わざわざ家族と離れて出稼ぎという形をとって、いろんな社会問題を起こしている施策をする、そういうことをする必要性がないと思うんですね。もらう金額はそれぞれによって違うと思うんですね。だから大変いい政策を僕は労働大臣打ち出したなと思っているんですけれども、その点について大臣として、ぜひこれを枠を広げる、あるいは大臣としてのお考えをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#29
○政府委員(齋藤邦彦君) 先ほどから農業の関係につきましてはいろいろ御説明を申し上げてまいりましたが、いわゆる季節的な業務に従事している方につきましては、雇用保険としての特例的な一時金制度で対処をいたしておるわけでございます。
 それから、先生今御指摘になられましたのは、恐らくもっと短い期間の就労の場合を言われているんだろうというふうに思いますけれども、先ほども申し上げましたように、昨年いわゆるパートタイマーにつきましては、適用拡大を図ったわけでございますが、いかんせん非常に短期間の就労ということになりますと、先ほども申し上げましたように、離職前一年間に六カ月以上の被保険者期間を有するということは雇用保険にとっての基本的な原則だろうというふうに思いますので、その辺の原則から照らしてみますと、先生御指摘のようなものを考慮するというのは非常に難しい、保険制度の仕組み自体をいろいろ考え直さなければいけないことになるだろうというふうに思います。ただ、先ほども申し上げましたように、最近いろいろ就業形態が複雑化いたしておりますので、そういうような面での雇用保険のあり方というのはもう一回考え直さなければいけないというふうに考えておりますので、そういうような検討の課題の中の一つとしていろいろ考えさせていただきたいと、こういうふうに思っております。
   〔委員長退席、理事糸久八重子君着席〕
#30
○村田誠醇君 僕はその考え方はちょっと疑問だと思うんですよ。というのは、北の端から南の端まで気候条件も違うし農作業の従事の形態もそれぞれ違うんですよね。雪の降るところは確かに冬期間は働けない、ところが西日本のように、九州のように通年で年間で働くことのできるところもあるんですよね。この人たちにも適用しないんだ、確かに臨時かもしれない、でもずっと二年、三年を見てみれば経年でずっと同じようなところで働いているんですよね。その人たちにも適用しない、こういうことになっちゃうんですよ。臨時の農作業といってもそれは稲刈りのときだけとか、果実をもぐときだけ、選別するときだけとか、そういう人もいますけれども、ある程度の長い期間、雇用保険で言うところの最低六カ月間は継続して働くということは考えられるわけですよ。そういう人までも全部シャットアウトだというのは僕はちょっと解せない感じがするんですね。
#31
○政府委員(齋藤邦彦君) 先ほどから同じようなことを申し上げて恐縮でございますけれども、若干議論がかみ合わないところがあるかもしれないというふうに思っておりますが、いわば臨時的内職的な就労者がどのように取り扱われるかということに尽きるんではないかというふうに思いますが、先般の国会におきまして、パートタイマー的ないわば短時間労働者につきましては雇用保険の適用拡大を図ったところでございます。ただ、私どもといたしましては、やはり労働時間、賃金、雇用期間というようなものを十分に考えた上で、臨時内職的に就労するにすぎないと言われるような方々につきましては、雇用保険によって失業補償の給付を行う必要性はそこまではないのではないかというふうに考えて、被保険者とはしないという取り扱いをいたしておるわけでございますが、先生御指摘のような場合であれば、事情によっては雇用保険の被保険者になる場合もあり得るだろうというふうに今思った次第でございます。
#32
○村田誠醇君 余りこの問題ばかりやっていてもしようがないので、ひとつ大臣に雇用保険の適用もできるような、あるいは条件に応じて適合しているものであればきちんと雇用保険の適用もさせるようにしていただきたい。
 というのは、先ほどから何回も御説明の中に出てきているパート労働者に適用拡大したと、こういう説明ですけれども、現実的にそれぞれの基準監督署なり何なりの担当者に聞いてみれば、法律改正した以前に比べてそんなに加入率はふえてないんだということをはっきり言っているわけですよ。それは労働省がちゃんと数字を把握しているからおわかりだと思うんですよ。法律は直したけれども、実際にそれの恩恵を受けている人は少ないという現実、労働省が予定した数字よりもはるかに低い人間しか加入していないという現実があるわけです。ですから、その辺も踏まえてぜひお願いをしたいのと、それからせっかく農業者、ごくわずかな人かもしれない、全体から見れば。それに適用拡大したんですから、私はそれはそれなりに多とすべきだ。しかし幾つかの点でもっと適用拡大をするための障害を取り除く必要があるんじゃないかと思っているんですよ。
 それは、端的に言えば畜産の関係、牛や豚を飼っている人たちには適用はどうなんですか、ないんじゃないですか。その点はどうですか。
#33
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘の畜産につきましても、同じような扱いになるというふうに考えております。
#34
○村田誠醇君 それは中小事業主の特別加入でやるんですか。一人親方の特定農作業の従事者がふえるということなんですか。
#35
○政府委員(野崎和昭君) 今回適用拡大を図ります農業の中には畜産及び養蚕の事業を含むという取り扱いにいたしているところでございます。
#36
○村田誠醇君 細かいことを聞くようですけれども、特定農作業の従事者として加入が認められるんですか、それとも中小事業主の特別加入者として認められるんですか、どっちなんですか。
   〔理事糸久八重子君退席、委員長着席〕
#37
○政府委員(野崎和昭君) もう既に先生よく御存じのことと思いますけれども、今回の改正の趣旨は、要するに例外的に暫定任意適用事業になっております中で、特に五人未満の個人経営の農業に雇用される方の災害の可能性が高まってまいりまして、こういう方をこのまま適用拡大の道を広げませんと、雇った農家自身も不安であると同時に、被災を受けられた方が結局その場合は労働基準法によって農家自身が補償するということになるわけでございますけれども、それでは十分の補償が得られないということで、そういった要請が相まって今回の制度拡大になったわけでございます。
 その場合には、いろいろな方法があり得るかと思いますが、具体的には特定農業機械作業従事者の制度を基本に、それとは別でございますけれども、そういう特定作業従事者という形でとらえまして、これを拡大していくということが適当であろうということで、中小事業主とは別の、種類としては現在の特定農業作業従事者と同じ種類になりますけれども、そちらの範疇でとらえて新しい特別加入の制度をつくろうと、そういう趣旨でございます。
#38
○村田誠醇君 よくわからないんですね。指定農業機械の従事者、これ労働大臣が指定した農業機械という中に、これは耕運機だとか、トラクターだとか、溝掘り機だとか、その他が入っていて、どう考えたって養蚕や畜産の人たちが使うような機具は、機械が指定されてないと思うんですけれども、加入できるんですか。
#39
○政府委員(野崎和昭君) 今回の場合は、農業機械だけではございませんで、まあ作業をどのように限定するかは今後さらに詰める必要がございますけれども、例えば高所作業等の危険な作業あるいは農薬を扱うような作業、そういったものまで、機械だけではなくてそういった作業にまで範囲を広げた新しい特別加入制度をつくろうということでございます。そしてその農業の中には、先ほどお答え申し上げましたように、畜産、養蚕の事業も含むと、そういう取り扱いにするということでございます。
#40
○村田誠醇君 それじゃこういうふうに聞きますので、そう答えていただけますかね。今まで特定農作業の従事者等の範囲は、あるいは今度も出ているんですけれども、重度の障害を起こす危険が最も高いと認められる種類の農業機械を使う、そしてそのやる作業範囲は農業全般のことだけを適用にするんじゃなくて、土地の耕作及び開墾、耕すことですね、並びに植物の栽培もしくは採取の事業のみだというのが従来の解釈だったんですね、適用方法だった。これで見る限り畜産なんというのは絶対入ってこないんですよね、養蚕も。僕は広げることはいいんですよ、この解釈を広げるということですか、新たな範囲基準を明確に設定するという、そういう答弁で理解してよろしいのですか。
#41
○説明員(坂根俊孝君) もう一度御説明申し上げますが、今回法律改正に伴いまして農業に関する特別加入制度を拡充するわけでございますが、これは二つあるというふうに考えていただきたいわけでございます。
 まず第一に、従来の指定農業機械従事者、これは従来どおり、先生がおっしゃいましたように業種の内容が限定されているわけで畜産等が入っていないわけでございますが、もう一つ機械というようなことでなくてもっと広く農作業、その中で一定の危険な作業を対象とするわけでございますが、広く農作業を対象とする新たな特別加入制度を新設しよう、こういうことでございまして、この場合には農業機械と異なりまして、畜産あるいは養蚕、そういうものも対象にしていく、こういうことでございます。もう一つ別の制度ができるというふうにお考えいただきたいということでございます。
#42
○村田誠醇君 それは中小事業主として入った場合にそうなるんですか。特定作業従事者は入るんですか。
 質問を変えれば、こういうことなのですね。農作業全般について認めるのだということであれば、機械を限定する必要性はなくなると思うのですよね。大臣告示で今やっている制度そのものが要らなくなるのですよ。つまり私が言いたいのは、農作業一般も認めるのだということであれば、この機械だけ使って事故があった場合は労災保険の適用をしますよという現在の制度は廃止をして、全部こっちへ移りなさい、そうした方が範囲が広くなるのですよということになるわけですから、これはかなり重要な政策の転換であるというふうに私は理解するんですけれども、今言ったように特定農作業の機械従事者という制度は要らなくなると思うのですけれども、これは廃止するお考えなのですか。
#43
○政府委員(野崎和昭君) 検討の過程では御指摘のような御意見もございまして、特定機械の方はこの機会に廃止してはどうか、一本にまとめてはどうかという御意見もあったのでございますけれども、他方、これも先ほど御説明申し上げましたように、新しい広く農業作業を対象にする制度につきましては、一定の農業収入以上を得ている農家というような限定をやはり付する必要があろう、そういうことになりますと、従来の制度を廃止しますと、機械だけ入りたいという方の道が閉ざされてしまう、あるいは規模が小さいために入れない、今まであった制度がなくなってしまうという方が出ますので、若干重複ぎみなところは確かにございますけれども、両方ともそれぞれ存在意義があるということで両方を残すことにした次第でございます。
#44
○村田誠醇君 私は今言いましたように、労働省の方がこの法改正が成立をしたときに新たな範囲を決めたい、農作業全般についてのカバーをしたいという意向であるのであれば、特定農作業の機械を指定する意味は余り持たないのだろうと僕は思っていますけれども、そのことについて余りやりとりするつもりはありません。ただ、従来から言われておりました肥料や農薬による業務災害あるいは畜産、養豚、養蚕、こういうのが除外されておった、あるいは温室やサイロの中における作業というものが除外されておった、これが農作業全般にかかってくる、これは僕はいいことだと思う。ただし、収入制限三百万円以上とかという所得制限があること自体はちょっと問題はあると思いますけれども、まあ一歩大きく前進をしたというふうに私は考えているわけです。
 そこで、もう一つお聞きをしておきたいのは、この中小事業主の特別加入もそうなんですけれども、本来の制度からいきまして、労働者に準じた作業をしている場合に、中小事業主の場合は保護するというのが基本でございますよね。そうすると、今度新設されるものの労働者性というんでしょうか、もっと突き詰めたような言い方をすれば、農作業というものに労働時間という概念を持ち込んできてうまく制度上すり合うのかどうかということがあると思うんですね。
 これは、中小事業主の特別加入をやる場合は常に問題になっている。後でも触れたいと思うんですけれども、勤務時間を書けと、こう言うんですがね、農業もそうだと思うんですね、多分これ、どういうふうに今後なさるか別として。朝の何時から夕方何時まで労働時間としますなんという届けを、これは労働省としては必要かもしれないですけれども、農作業という実態から判断して労働時間を決めるということ自体は余り意味を持たないんじゃないかという気がしているんですけれども、その点の労働者性といいましょうか、判断、つまりそれが基準になって今度は自営農家の人たちの作業範囲といいましょうか、業務範囲が決まってくるわけでございますので、その点はどのように御理解しているのか、ちょっとお聞きをしたい。
#45
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のまず第一点の、農業に雇われたといったら労働者になってしまいますけれども、手伝いその他の形で従事した方が果たして今回強制適用になりました労働者かどうかという問題は非常に判定困難な問題であろうかと思います。従来、そういった労働者かどうかの判断が困難なために任意適用事業にせざるを得なかったということでございますけれども、今回の改正の場合には、農家自身が労災保険の恩恵に浴する以上は、そこで雇われた労働者はなおのこと労災保険の保護の対象になるべきだという考えでございますので、そういった見地に立ちまして、具体的に個々のケースについて労働者かどうかの判断をしてまいりたいと思うわけでございます。
 それから第二点の、その農業作業について労働時間の考えはあるのかというお尋ねでございますけれども、まず中小事業主の場合でございますけれども、これはもう先生よく御承知のとおり、その中小企業自身に既に保険関係が成立しておりまして、その保険関係の中に、事業主ではございますけれども、中小企業でございますので、従業員と同じような実態で働いているということで特別加入を認めているものでございます。したがいまして、この中小事業主の場合には、従業員と同じ考え方で労働時間の概念を入れまして、その労働時間内における災害を補償の対象としているわけでございます。
 一方、今回の農業作業につきましては、御指摘のとおり、もともと農業でございますので、労働時間の概念は入れにくいと思いますが、事柄の性質からいいましても、結局、そこで補償の対象となる農業作業であるかどうかという点の判断を客観的に行いまして、労働時間の観念というのは余り入る余地がないというふうに考えております。
#46
○村田誠醇君 それじゃ一、二、基礎的なことを、私もちょっとこれはよくわからないんでお聞きしたいんですけれども、特定農作業の機械を使用している場合ですね、これはこの機械一つずつを自分が指定するんでしょうか、それともこれらの告示で決まっている機械を使っている最中であれば、どの機械であっても給付を受けられる、事故に遭った場合は給付を受けられる、こういうふうに理解していいのかどうか、ちょっとその辺をお聞きしたい。
#47
○説明員(内田勝久君) 特定機械を使っているということで特別加入をしているものにつきましては、災害が起こった場合に私どもで定めております機械を使っていたかどうかということを事実を調査いたしまして、それに基づきまして給付するか否かを判断しているところでございます。
#48
○村田誠醇君 その場合、所有関係はどういうふうになるんでしょうかね。つまり、自分のものを使っている場合と、頼まれて作業をしたときに、その頼んだ方の人の持っている機械を使う場合と、それから共同所有している、農協さんが持っているとか、あるいは機械化センターで持っているものを借り受けて使う場合、幾つかの形態が考えられると思うんですけれども、それは所有の形態に関係なく、告示された機械であれば給付を受けられる、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
#49
○説明員(内田勝久君) 先生御指摘のように、いろいろな形態があると思いますけれども、第三者から借り受けた機械を操作中に災害をこうむったという場合には、それは補償の対象になるということでございます。
#50
○村田誠醇君 済みません、もう一度ちょっとお願いをしたい、今の質問。
#51
○説明員(坂根俊孝君) もう一度申し上げますが、機械の所有関係には関係がない。どういう所有関係であろうと、指定された機械で災害をこうむった場合には補償すると、そういうことでございます。
#52
○村田誠醇君 農水省さんが出しております、あるいは集めていただいたパンフレットには、他人の機械を使用した場合は適用除外だという説明がなされているんですけれども、それは間違いなんですか。
#53
○説明員(内田勝久君) いろいろな形態があるというふうに申し上げましたが、自分持ちの、自分持ちといいますか自分の機械、それから共同で持っている場合を含めまして、それにつきましては特に問題ございません。それから、第三者から単に借り受けたという場合には原則として適用がないということでございまして、私ちょっと先ほどの答弁、そういう意味で誤解を与えまして申しわけありませんが、訂正させていただきます。
#54
○村田誠醇君 それでわかりました。
 これは多分大臣もおわかりだと思うんですけれども、特定農作業の機械従事者、この機械は農作業の過程の中でいけばごく一部分しか使わないんですね。例えば、田植えの機械であれば田植えの時期だけなんですね。稲刈りコンバインであれば刈り取りのときだけ、ほんのわずかなんです。ところが、労災保険法上は、これは一年間使用するものとみなされてというかみなして年間分の保険料を取る、こういうことになるんですよ。つまり、保険の対象となる事故、機械は農作業の特定の時期しか使わない。しかし、払い込む方は、加入者としては一年分取られるんですよ、農作業に使ってなくても。だから、これは費用と効果の点から考えたら農家の人たちは入らない、こういうことが起こってくるんですね。その時期だけ気をつければいいと、極端な言い方をすれば。あるいは田植えの時期だけ事故を起こさなきゃいい、あとは関係ないですよ。つまり、この農作業の機械というのは、今言ったように通年、ずっと四六時中使っているわけじゃないんです。町工場のプレスの機械とかという、そういうものと違うんですよ。稼働する時期というのはほんのわずかしかない。それなのに保険期間は一年間。これが加入を阻害している理由ではないかと思うんです。
 使用する期間は機械によって、地域によって大体わかるんですよ。そんな変な時期に使わないんですよ。だから、期間を限定することが加入率を上げる一つの方法だと思うんですけれども、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
#55
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘のように、保険料は一年単位でいただいておりますが、仮にこれを月単位で保険料をいただくというふうにいたしますと、実質的に本人の希望する任意な時期に加入を認めるということになりますが、そのことは、例えば災害発生の可能性の高くなった時点から加入するというようなことでございまして、保険制度の趣旨にそぐわない面が出てまいります。あるいはまた非常に徴収事務が実際上煩雑になりまして扱いかねるといった、これまた制度上の問題も出てまいりますので、御指摘の点はある意味ではよくわかりますけれども、保険制度である以上そのような、例えば月単位で保険料をいただくといったことは現状では困難であると考えております。
#56
○村田誠醇君 大臣、同じような矛盾があるんですよね。つまり、特別加入者で入るあるいは中小事業主の立場で入る、その場合は、給付基礎日額といって自分で日額を選定して、事故が起こったときこれだけの給付をもらいますよという前提で自分が労働省が決めた幾つかのランクの中から選んで、そしてそれで三百六十五倍して、それがその人の年間の収入、賃金というふうに仮定をして、それに保険料率を掛けて払い込む、これが一般的なんです。ところが、農作業の場合は、地域によって、考えてみてくださいよね、米だけしかつくっていない人は年間働いていないんですよね。農作業に年間分従事していないんですよ。それから北海道のようにあるいは青森のように、冬期間雪の中に閉じ込められちゃうところは原則として農作業はできないんですよ。物理的にできない。サボッてやらないんじゃないですよ。物理的にできないんですよ。ところが、西日本のようなところは年間、表作やるか裏作やるか、あるいは米でも二毛作やるとか、あるいはいろんなことを、園芸やるとか果実をやるかということで通年働くかもしらぬ。しかし、米だけ単体でつくっているようなところでは、年間働くというか、農作業をするということは考えられないわけですよ。
 ところが、今言ったように決め方は年間ですよ。働いてないときも働いたものとみなしているんです。それで保険料は取られるんです。これも直してほしいという希望があるんですね。つまり、実労働に合わせてくれと。これは作物をつくっている地帯、種類によっては大体わかるんですよ。そんなに事務的に繁雑になるとは僕は思えないんですね。
 だから、その点についてもどうですか、労働省の考え方、これ月割りとか、緩めるといいましょうか、実情に応じて改善していただくというわけにはいかないものなんでしょうか。
#57
○政府委員(石岡慎太郎君) 確かに北海道のような例を挙げますと、物理的に冬期間働けないといった問題もあることはよく理解できます。しかしながら、保険制度としてやっております以上は、先ほど言いましたようないろんな、月決めなどにいたしますと問題点が出てくるのも事実でございます。そういう困難性もございますので、御指摘の点をこれからよく勉強させていただきたいと思います。
#58
○国務大臣(塚原俊平君) 一々ごもっともな矛盾点だと思います。私も勉強させていただきました。せっかく一つの制度ができてこれから運用されていくわけですので、ただいま、審議官が申しましたが、勉強というのはいわゆる役所の答弁で言う勉強というとどこまで前に進むのかわからないわけですけれども、一番の問題は果たして技術的にどこまで可能かという部分が出てくるんだと思いますが、特に農機具の問題なんかはもう全く現実とは、御指摘のとおりでかけ離れている部分が非常にあると思いますし、また加えて各地域間の問題というものもあるわけでございますので、でき得る限り何とかそういう矛盾を解消するためにどうすればいいかという、そういうしっかりとした目標を定めて役所の中で勉強していきたいというふうに考えております。
#59
○村田誠醇君 大変ありがたい答弁だと思います。
 そこで、勉強していただく、注文する中身として要望しておきたいのは、特定の機械を限定をするということ自体が果たして適切であるかどうかということ、これがまず一点目でございます。
 それから二点目は、さっき言いましたように、給付基礎日額が地域によっては、要するに労災保険法で言うところの賃金を認定する方法について、地域なりそのときの状況等を判断して月割りというものを認めるべきではないか。
 それからもう一つは、これは矛盾があるんですけれども、現行でもそうですけれども、特定農作業の従事者は、これは今言いましたように、たった一週間だけ仮に使うとしても、危険であるからといって一年分払わされる、農作業に従事している時期によって、例えば三月にその機械を使いたいと思えば、過ぎ去っちゃった四月から翌年の三月分までを、一年分を払い込むんですよ。そうしないと認めてくれない、こういう問題があるんです。あるいは年度の途中でもう自分は機械を使わなくなったからやめるよと、こう言っても、使わなくなった後ろの方まで、機械は廃棄しちゃっても年間分取られる、こういう仕組みになっているんですよ。これはおかしいんじゃないか。加入時の月割り、脱退時の月割り、こういうものもぜひ検討の中身に入れて実情に合うようにひとつしていただきたいと思うわけでございます。
 それで、こればかりをやっておれませんで、その他先ほど言いましたように、私は労災保険、いろいろな加入制度、一般的な労災保険のほかに特別加入、中小事業主等々の制度がある。その中でさらに一番少ない農業というものだけを拡充したのはなぜかと聞いたのは、もっとほかに適用しなきゃいけない人たちが多数いるんじゃないか。それは労働省のにいろんな要望なり、この労災保険に加入を認めてほしい、一人親方で認めてほしい、特別加入を認めてほしいという要求がかなり出ていると思うんです。私のところにも二、三来ています。
 一番いい例が、この前も事故が起こりました撮影現場における労災の事故なんです。これはこちらにいらっしゃる西川先生なんかはよく現場のことをおわかりだと思うんです。大変事故が起こっているんです。ところが、この人たちには労災保険の適用がないんです。業務災害として認められないということが起こってくるんです。つい最近も撮影現場で本身でもって人を殺しちゃったというのがあるわけです。殺された方は業務上の災害であるにもかかわらず一銭の金も、要するに労災保険に加入できない、こういう問題があるわけです。
 それからもっと変わっているのは、俗に外務員と呼ばれる人たち、生命保険の外交員の方々です。それから電気やガスの検針員、集金人の方、この人たちも、生命保険はどうも適用されているみたいらしいですけれども、外務員の方。大半の方々は適用除外、雇用関係が不明確だから労災保険の加入を認めないんです。これは約百万人いると言われているんです。こういう人たちの救済の方が、労働者性という観点から見ても救済しなきゃいけない対象者、そういうのから見てもかなり多いだろう。もっと、言葉は悪いんですけれども、農業の人たちよりもその対象とすべき人たちは多いし、社会的影響も大きいだろうと思うんですよ。こういう人たちがなぜ適用できないのか、加入できないのか、ちょっとその問題点について説明をいただきたい。
#60
○政府委員(野崎和昭君) 御承知のとおり、労災保険そのものは事業主の災害補償責任を保険化したものでございまして、基本的には労働者を対象としているものでございます。したがいまして、今御指摘のタレントの方とか外務員の方等も労働者であれば強制適用でもあり、問題なく労災保険の保護、適用を受けることができることになるわけでございますが、実態によりまして労働者、労働関係にないということになりますと、確かに御指摘のとおりけがをされましても労災保険の適用がないということになるわけでございます。
 そこで、特別加入の制度と申しますのは、そういう労災保険の制度をいわば利用いたしまして、実態的に見て労働者に準じたような扱いをすることが適当であり、かつ災害発生の危険性も高く、またそういった方を特別加入させることが労災保険の保険経済と申しますか、保険技術上適当と思われる場合に特別加入を認めているということでございまして、農業につきましては先ほども御説明申し上げましたが、最近非常に作業の危険度が高まってきた、それから特にそこに雇われた方は任意適用になっておりますので、その方たちを何とかしなきゃいけないというような観点で今回の特別加入の拡大を行ったわけでございます。
   〔委員長退席、理事糸久八重子君着席〕
それ以外の方につきましても、ただいま申し上げましたような三点ほどの見地、すなわち労働者に準ずるような実態があるかどうか、災害の危険が高いか、保険技術上可能か、そういった見地に立ちまして労災保険制度全体の効率性等を損なわない範囲内で今後ともそういった問題については十分検討してまいりたいというふうに思う次第でございます。
#61
○村田誠醇君 余り根掘り葉掘りの問題は質問しないんですけれども、労働者性が問題だと、あるいは労働者に準じてということであれば、農業は先ほど言ったように非常に労働者性があいまいなんですよね。区別がなかなか難しいんですよ。農業という季節、臨時の就労者、この人にだけ認めておいて、私が今言ったような俳優さんだとか外務員さんだとか、あるいは労働組合の一人専従の人なんかに適用の道が開かれてこないというのはどう考えたっておかしなことだと思うんですよ。特に俳優さんの場合は、これは我が党の先輩議員及川議員が決算委員会でだと思いますが、取り上げた。その結果として労働省が「テレビ番組等の制作の作業における労働災害の防止について」という通達を出して、業務災害防止に努力しなさいということを言っているわけですよ。しかし今の御説明でいけば、この人たちの労働者性を認められないわけでしょう。雇用主がだれであるかわからない。ところが、この通達の相手先といいましょうか、通知を出した相手先は必ずしも雇用者じゃないわけでしょう、俳優さんの現場。労働省はただ単に気休めで出したみたいなものじゃないですか。これを受けてこの社団法人日本テレビコマーシャル制作社連盟、これは何をやればいいんですか、労働災害防止という観点でいけば。雇用しているわけじゃないんですから、あなたの説明でいけば。この人たちが最終的な事業主団体であるというんであれば責任をとりなさい、こういうふうに業務災害を防止しなさいというのはわかりますけれども、労働者性は認められない、難しいと言っているんだったら、認められない全然違う相手に業務災害防止の通達を出しても事故はなくならないと思うんですけれども、その点はいかがでございますか。
#62
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のような俳優の方、あるいはテレビのいろいろなそういった撮影等に従事しておられる方の労働関係の有無というのは非常に複雑でございまして、中には労働関係があるという方もいらっしゃいますし、ないという方もいらっしゃるわけでございます。その判断が非常に難しいのは先生御指摘のとおりでございまして、ただ労災保険法につきましては、どうしても制度の性格上、労働者であれば補償される、労働者でなければ、それこそ特別加入等の形がない限りは補償の余地がないということになっているのは事実でございまして、これは労災保険が基本的には使用者の労働者に対する補償責任を保険化したものである。そこからゆえんするものでございまして、基本的にはそういった問題点は解消し得ないと思いますが、それをある程度実態に合わせて弾力的にする一つの方法としてまた特別加入制度というものがあるというふうに考えております。
 さはさりながら、特別加入を余りにも広げ過ぎますと、私どもの事務処理能力その他もございまして、かえって労災保険全体の業務の運営が円滑にいかなくなるおそれもございます。そういうことで、労働者に準じている、災害の危険が高い、それから労災保険の運営上も技術的に実行可能だと、そんな点を判断基準にして特別加入の取り扱いを認めているわけでございます。
#63
○村田誠醇君 特別加入制度というものをつくった趣旨は、その業務の実態とか災害の発生状況等に照らして、実質的に労働基準法を適用していい労働者に準じて保護するにふさわしい人という限定づきで認めているわけでしょう。今度の農業のやつもこれですよね。だから、農業という人にだけ、こっちは認めましたよというんであれば、私も今言ったように保険の外務員さんだけ認めて、電気、ガスの検針員、集金人の人を認めない。こういうふうな片手落ちをすることなく、一緒にもっと特別加入ということで災害の発生状況等に応じて適用拡大をしたっておかしくはないんじゃないんですかということなんです。
 その一つの例として挙げられるのは、今度労働省さんの方で、家内労働法の保護対象の追加として、家庭内におけるワープロを打つ作業まで認めたわけでしょう、適用対象として。これが認められたということは、家庭内におけるワープロ作業をやっている人たちは労災保険法上の手続をとれば特別加入することができるんですよ。この人だって、労働者性という今局長さんのお話からすれば全くないですよ。
   〔理事糸久八重子君退席、委員長着席〕
こういう人たちは認められるんですよ、ほかの法律によって。ところが、外務員さんとかあるいはテレビタレントの人たち、あるいは舞台裏の大部屋と呼ばれるようなその他大勢の俳優さんたち、カメラマンも含めて、こういう人たちは何にも、入る道すらない。もちろん人によっては強制適用の対象になるということはありますよ。しかし、大半の人は全部入らない。入らないから問題になっているわけでしょう。もっと私は、先ほど一番最初に言ったように、農業という非常に限定された、非常に狭い分野だけを広げた、もっとあるんじゃないですかと言っているのは、実はこういうところの部分を先に広げる、もしくは今度でもいいですよ、同時に広げる。こちらの方が僕は優先度が高いんじゃないかと思っているんです。
 それでお聞きしたいんですが、同じ外務員さんでありながら生命保険だけが労災保険の加入を認められていて、加入というよりも要するに労働者性が認められていて、そして電力、ガスの検針員だけ、あるいはNHKの集金人の方等が認められない。これはどういう基準でなっているんでしょうか、その辺を御説明いただけませんか。
#64
○説明員(氣賀澤克己君) 御指摘の生命保険の外務員や検針員につきましては、基本的には使用者との間に使用従属関係があるかどうか、すなわち使用者の指示監督のもとで労働に従事しているかどうか、あるいはその報酬が労働の対価として支払われているかどうかという点につきまして、個々の実態に即して総合的に判断をしていくということにいたしているところでございます。こういう考え方で、生命保険の外務員につきまして、私ども昭和二十三年に行政解釈も出しているところでございます。また、裁判例の中にもこのような考え方で労働者性を認めたというものもあるところでございます。
#65
○村田誠醇君 余りにも専門的なところばかりやってては申しわけないんで、二、三ほかのことも含めながら検討していただきたい点がございます。
 その一つは、この特別加入を今度の農業の問題でも結構でございますけれども、適用拡大をするためには当然その事務をやってもらうところがなきゃいけません。農水省の調べによると、この手続をできる農協さん、多分農協さんだと思うんですけれども、約九百カ所、労働保険事務組合の認可を持って農業労災の手続をしているところがあると報告されています。九百カ所じゃ足らないんですよね、恐らく。適用拡大が進まないというのはそういうことだと思うんです。しかし、それ以外の一人親方、特別加入をするために認可をもらっております労働保険事務組合というのは多数存在している。この同じ認可をもらっている事務組合の人たちが、労働省の指導を受ければ農業労災も適用していいですよと、加入者入れてください。今は三十人以上いない限り認可しないから事務手続をすることができない。しかし、どれか一つの特別加入の手続をしていいという認可をもらっているところはすべてほかのやつもやっていいと、もちろん片方で業務災害防止の努力もするという前提条件をくっつけて拡大をする、業務拡大を認めてあげる、こういう考えはございませんか。
#66
○政府委員(野崎和昭君) 特に一人親方として加入する場合には事業主に当たる団体が必要になるわけでございます。この団体につきましては、そういうことを目的とした団体であってかつ事務能力のあるものということで認めているわけでございます。したがいまして、御指摘のように、ほかの関係で特別加入の手続を行うことを認められているということから直ちに、例えば今回の農業の場合も特別加入の手続をすることができる団体というふうにするというのはなかなか困難ではないかというふうに思います。
#67
○村田誠醇君 それでは、農業労災、それだけじゃなくても、三十人以上集めない限り、労災保険に加入したいという希望者、対象者を集めない限り事務組合の認可をおろさない、これは一つの基準みたいな形になっていますね。この枠をもっと下げる、こういうお考えはございませんか。
#68
○政府委員(若林之矩君) ただいま御指摘のように、事務組合の認可に当たりましては三十人という基準を設けているわけでございまして、これは先生十分御承知のように、この事務組合と申しますものは徴収の事務を扱うものでございまして、私どももこの指導に専心をいたしておるわけでございますが、やはりその会計事務処理等の能力から申しましてこれを下げるということは難しい問題であるというふうに考えております。
#69
○村田誠醇君 適用を拡大する団体がなきゃできないわけですから、これは農協さんが勝手にやれるというものでもないわけですよ。それから個人が勝手にやれるものでもないし、自分が幾ら入りたいと思って役所の窓口へ行っても、団体をつくってそして三十人以上の団体になって初めて適用してあげますよというわけです。個人が役所の窓口へ行ったって受け付けないんですよ。その団体がなければ自分は入りたくても入れない。自分の周りにそういう団体がなければだめなんです。ですから、資格条件を緩めてください。そういう団体が、一人でも認可されるようになってもらわなければ実はこの加入促進の意味を持たないわけです。普通なら役所の窓口に行って加入手続をすればそれで済むことなんです。しかしこの制度、一人親方という特別加入制度はあくまでも真ん中に一つの労働保険事務組合という団体をつくって、この事業主団体を経由しない限りは役所が受け付けませんよということになっているんですから、この団体の認可を緩めてもらわなければ加入の促進ということはできないだろう、こう思うわけです。だから、その点についてぜひ本省の方で十分考慮し、検討を進めていただきたいと思うわけです。
 それでもう一つ、実は重要な点についてちょっとお聞きしたいんですが、労災保険の給付権の時効の問題、これはたしか法第四十二条で二年または五年という制限がある。これについてちょっと概略で結構ですから説明をいただけますか。
#70
○説明員(坂根俊孝君) 今先生の方からお話がございましたように、労災保険の給付の方の時効につきましては、例えば療養補償給付、休業補償給付等につきましては二年、それから障害補償給付、遺族補償給付等につきましては五年を経過したときに時効によって消滅するということになっているわけでございます。
#71
○村田誠醇君 それは事故が発生した、労災事故に遭ったときから数えて二年、または物によって五年経過したらすべて受けることができなくなる、こういうふうに理解していいんですか。
#72
○説明員(坂根俊孝君) そういうふうに理解しているわけでございます。
#73
○村田誠醇君 これは私大変な、労働者を保護しなきゃいけない労働省としてこの規定は大変片手落ちの規定だろうと思うんですよ。それはなぜかといいますと、年金の請求権の時効の例と比較してみればよくわかるんです。年金の方は、年金の基本権、それは二十年前に年金を受ける権利が証明されれば発生していた。しかし、その基本権を請求する権利、役所に請求しないと年金はくれませんから、基本権は二十年前に既に成立をしておったけれども、御本人さんが気がつかないで請求は二十年後になって出てきたというときには、基本的な権利は時効消滅にはかけないでおいて、支分権というか、受け取る権利についてだけ時効を設けているんですよ。これまでは請求はさかのぼれますよとやっている。だから、二十年前に自分は年金を受け取れるはずだったんだということが証明されれば年金はくれるんですよ。ところが、この労働省の労災保険の請求時効は、基本権そのものが時間がたてばだめなんですよということなんです。つまり五年たってから、実は後でよく調べてみたら、気がついてみたら、これは自分が労災の給付を受けられるんだというふうに判断できた、ところが基本権は既に消滅しちゃっている、請求できない、こういう問題が起こると思うんです。これは直せないんですか。
#74
○説明員(坂根俊孝君) 先ほど申し上げました点でちょっと誤解がある言い方をしたかもしれませんが、時効は、事故が起こってから基本的な権利の時効ということではなくて、決定された給付の時効が二年ないしは五年と、こういうことでございます。
 この時効を直せないかということにつきましては、これはいろんな時効制度と非常にかかわるわけでございますので、なかなか簡単にというわけにはいかないと思いますが、いろんな制度との関係の中で検討していくということだろうと思います。
#75
○村田誠醇君 そうすると、今の御説明ですと、年金と同じように考えていいということですか。基本的な権利は時効消滅にはかからない、その権利から発生する保険給付を受ける権利、これが消滅時効にかかるんだと、こういう理解でいいように今御説明があったんですけれども、それでよろしいんでしょうか。
#76
○説明員(坂根俊孝君) 済みません、もう一度申し上げますけれども、労災保険法の時効は、さっき申しましたけれども、基本権に関する時効ということでございまして、支分権ではなくて基本権に関する時効ということでございます。したがいまして、請求をしないで二年なり五年がたった場合には時効によって消滅すると、こういうことでございますが、その改正ということは先ほど申しましたように非常に同様の制度と密接にかかわるということでなかなか難しいんじゃないかと、こういうことでございます。
#77
○村田誠醇君 なぜ改正してほしいかといえば、今言ったように、農業労災に関しては、内容について知らない、制度についてよく知らないという人が圧倒的に多いんです。給付を受けられるかどうかというのがわからない人が多いわけですね。知った人に相談したときに、いやそれはもらえるんだよと、こういったときに役所に来て、これこれこういうふうなことになってどうなんでしょうかと聞いたときに、いやそれは適用になりますよ、労災の適用対象事故として認めますよ、しかし、もうあなたは相談に来るのが遅過ぎたから時効でもらえませんと、これでは余りにもかわいそうだ。
 だから、年金と同じように、労災の給付を受ける基本的な権利だけは時効にかける必要性なんか何にもないと思うんです。その権利を実際に実施する支分権といいましょうか、給付を受け取る権利だけは、これは請求しなければ時効にかかっていって受け取れない。僕はこの厚生省の年金の時効のかけ方の方が国民あるいは加入者にとってはプラスだろうと思うわけです。その点はいかがでございましょうか。
#78
○説明員(坂根俊孝君) 私どもにお尋ねの件が、理解が間違いなければ、この時効に関しては先ほども申しましたけれども、他制度との関係ということで申し上げましたけれども、厚生省の方の年金の時効についても基本的には私どもと同様ではないかというふうに考えているわけでございます。
 また、どうしてこういう時効が決められているかということでございますが、やはり保険という、社会保険につきましては非常に大量な保険請求があり得るという中での一定の何といいますか、事務処理といいますか、そういうことも勘案して決められているものかと思います。要するに、いつまでも請求を認めるということになりますと正確な判断ができないとか、そういうこともあろうかと思います。先生おっしゃっている趣旨はわかりますけれども、気がついてからでは遅いではないかと、こういう御趣旨はわかりますけれども、そういうような保険制度から来る制約ということも御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。
#79
○村田誠醇君 今の答弁で、厚生省の考え方とほぼ同じようだということですけれども、厚生省は明らかに違う、明らかに違いますよ。厚生省は本人が気がついて年金受給権といいましょうか、自分が年金を受けることができるんだと気がついた時点で請求を出せば、それは何年前であっても認めてくれるんです。また認めなきゃお金出せないんです、基本的には。受け取る権利は、それは二十年もさかのぼるということはできませんよ。だから、ぜひそのことを考えていただきたい。
 もう一つは、これは一種のパズルみたいな形になってしまってまことに申しわけない、農水省さんにも聞いてみたら、どうやって考えていいのかわからないと、こういうことだったんですけれども。最後にちょっとお聞かせ願いたいんですが、農作業する場合、大変最近は機械化、近代化が進んでまいりまして、ごく特定の時期だけ作業に従事すればいい、あるいはその作業そのものも場合によっては請負みたいな形、もしくは隣近所の人に手をかしていただいてやることによって賄うことができる。昔みたいにつきっきりになる必要性はだんだん少なくなってきました。そのために、土曜、日曜、週休二日制がだんだん普及してまいりますと、この時期を利用して田植えなり稲刈りなり、いろんな農作業に従事する。従事するというのは一時的に従事する、他に職業を持っておって手伝いをする。こういうケースが出てまいりますし、それぞれの民間企業においては労使協定によって田植え休暇ですとか、稲刈り休暇のように特別に休暇を認める、こういう制度をとっているところがあるわけなんです。
 ところが、一番厄介になりますのは、そういう若手の労働力を使いたい、あそこに若いのがいるから手伝ってもらおうというときに、農村にいる若い人というのは民間企業に勤めている人よりも恐らく地方公務員や国家公務員として職業に従事している人が結構いらっしゃる。この人たちが農作業を手伝う。自分のところの田んぼや畑をやっていればいいでしょうけれども、共同社会でございますから、あそこのおじいちゃんの田んぼもやってやろう、ここのおじいちゃんの田んぼもやってやろうということになる。危険だから労災に入る、一年に一遍しか扱いませんから、危ないからということで保険に入っておる。そうすると、地方公務員法や国家公務員法による兼職禁止の部分に事故があったときにひっかかるんじゃないかという危険を言う方がいらっしゃるのですよ。それで、これ保険給付したら問題が起こるんじゃないか、こういうふうに真剣に考えている人がいらっしゃるのですよ。たわいないと言えばたわいないかもしれないし、労災保険の問題じゃなくて、これはほかの法律なんで、労働省さんがどうのこうのということはないとは思うんですけれども、実はこんな問題が末端の現に入っている人の中からも、給付を受けちゃったら就労していたということになって問題が出ないだろうかという質問をして、どこが答えていいのか、どう答えていいのかわからないのですよ。ぜひその見解をひとつお聞きをして、終わりたいと思います。
#80
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のようなケースは十分あり得るケースかと思いますが、まず私どもの労災保険の立場から申しますと、労災保険に任意加入の形で加入をしていただいている場合には、たとえ仮にそれが公務員法違反というような場合でございましても、当然補償の保険給付は受けられるということになるわけでございます。
 そういう休日に収入のある仕事に従事することが公務員法に違反するかどうかという問題は、それぞれの各当局の解釈に従わなければならないかと思いますが、通常よく見られる事態でございますので、何らかの許可とか必要な手続をとれば許されることではないだろうかというふうに一応感ずる次第でございます。
#81
○深田肇君 十二時になっていますから、申しわけありませんが、少しの時間おつき合いいただきまして、お願いいたしたいと思います。
 中退金共済法の改正に関連して、一、二御質問を申し上げたいと思います。労働省の出しました文書の中に、その普及状況及び内容はいまだ必ずしも十分なものとは言いがたいと、こうみずからおっしゃっていますから、そのことを踏まえて大きな枠組みで一、二御質問申し上げますので、お答えいただければありがたいと思います。
 衆議院におけるやりとりを参考に拝見いたしますと、約六百万人ぐらいのいわゆるこの中退金共済によって補償されるべき人が補償されていないような数字が出ておりますけれども、この計算の根拠というものはどういうものなのかなというふうに率直に思います。その意味を申し上げた上で、その六百万人のうちにいわゆる特定業種と言われる建設業関係者はどのぐらいおるというふうに何かデータがありますか、なければどういうふうに考えられますか、伺っておきたいと思います。
 なお、建設業関係の中で、私は、俗に言う小規模、いわゆる一人から四人とか五人とか九人とかというデータの基準があるようでありますが、この小規模のところのメンバーはこの六百万人のうちにどのぐらいを占めるんだろうかと。私は六百万の中には相当そういうのが大きな部分を占めているのではないかと、これは直観で申し上げるのですが、何かデータがあればお聞かせをいただければありがたいと思います。以上です。
#82
○政府委員(岡部晃三君) そのあたりの数字につきましては、私どもも四苦八苦していろいろ推計を重ねているところでございます。
 まず、六百万人と申しておりますのは、中小企業の従業員はどれぐらいあるかということになりますというと、事業所センサスによりますれば約二千八百万人と出るわけでございます。これは、建設業も含んだ数字でございます。それで、ほかの調査によりまして自社退職金、自分のところの退職金の制度がある、これは中企業などはかなり完備していると思いますが、小企業でもだんだん普及をしているわけでございます。それが、約千六百万人の方が自社退職金によってカバーをされているというふうに見られるわけでございます。そういたしますと、あと千二百万人が残るわけでございますが、御審議いただいております中退金制度によりまして、約二百四十四万人の方がカバーをされております。それから、商工会議所などが行っておりますいわゆる特退共、これは税法に基づいてできるわけでございますが、これが百六十万人と百七十万人の間であろうかと思います。それからまた、その他特退の制度、中退法に基づく特退の制度につきましては、これは百六十五万人が現在カバーをされています。それから、生命保険会社とかいろいろなところで退職ということを事故と見立てまして、いろんな商品を出しております。それが百万あるとも言われております。そういうことを考えまして、約六百万人が何の制度の恩典にも浴していない、こういうふうに見たわけでございます。
 そこで、その六百万人のうち、それでは建設業はどれぐらいかと。これは、実は私ども数字を持ち合わせていないわけでございますが、ごく大ざっぱなことを申しまするというと、建設業約三十五万事業所でございます。建退共に入っておられますのは十二万五千の建設業の事業所が入っているわけでございます。さて、それでその数字は百六十五万ということになるわけでございますが、それではその建設業労働者全体の数いかんということになりますというと、中小企業建設業の労働者数というのは三百十一万と六十一年の事業所センサスでは出ております。しかしながら、いわゆる建設業労働者は俗に五百万と言われているわけでございますが、一人親方がこれは相当おられるわけであります。したがいまして、ごくごく大ざっぱなところ三百数十万人の建設業労働者のうち百六十五万が建退に入っている。それじゃそのほかの人たちがどうであろうか、つまり百数十万の人は一体どうなのであろうかというところが、実は把握が私どもできないわけでございますが、この方たちは何の制度の恩典にも浴していないというふうにも実は推測がされるところでございます。
 なお、零細規模建設業はどれぐらいあるかというお尋ねでございますが、これまた甚だ難しいお尋ねでございますが、先ほどの建設業三十五万事業所のうち一―九人規模は二十八万でございます。
#83
○深田肇君 きょうは数字のやりとりをやることが目的じゃないものですから、また課長さんたちといろんな意見交換をさせていただいて、よりよい正確なデータをお持ちいただきまして、労働省だけじゃなくて、労働省や厚生省にいつもお願いしておるんですけれども、要するところは、この社会で一番苦労しているメンバーをよりより社会保障で保障できるようにしたいものだと思いますので、目がそっちの方に向いておりますので、小規模といいますか、零細といいますか、一人親方なども含めていろんな制度上の保障ができますようにお願いをして、次の方に入りたいというふうに思います。
 いろいろもうお話がありましたように、私はもちろんお互いにデータが正確なものがあるわけではありませんが、社会党でありますから、労働組合などを中心とした現場労働者との接点が多うございますから、そこあたりの生の話や現場の話を聞いたりして考えるところ、やはり建設業というのは大変な苦労が多いんだろうというふうに思います。事業主というか親方の方も大変だし、働く労働者ももちろん大変だ、親方と労働者は必ずしも単純な賃労働では解決できないような問題もあるわけですから、などなど含めていろんなことがあるだろうと思いますので、これからの特段の御配慮をお願いした上で、実は昭和六十一年の附帯決議の中に建設業関係に対しての給付の改善を決めてあるわけでありますが、ことし一九九〇年でありますから数年たっているわけなんですが、この給付改善について具体的に何かやられたことがあったらお聞かせいただいて、同時にこれからまた、ことしは出ていないわけでありますから、どういうふうにされるのかについて、まずは伺っておきたいと思います。
#84
○政府委員(岡部晃三君) 建退制度につきましては、昭和六十一年十一月に、中小企業退職金共済法施行令の一部を改正いたしまして、退職金給付水準の改善を行ったところでございます。
 それから、掛金の日額でございますが、これは昭和六十二年七月に、建設業は百八十円から二百円に引き上げをさせていただいたところでございます。この建退共制度の掛金につきましては、これは法律で定める日額の範囲内で定款で単一の額を定めるということになっております。この法律でどのように定まっているかと申しますというと、現在百二十円以上四百五十円以下ということで定款で定めよということになっているわけでございます。賃金とかあるいは退職金水準が、これは年々向上をしておるわけでございまして、したがいまして、この掛金日額も適正にそのような動向に合わせて決定することが重要でございます。
 先生御指摘のように、今後、建退制度につきましては、建退組合と連携を密にいたしまして、改善に努めてまいりたいと考えております。
#85
○深田肇君 まあ答弁というのはそういうものなんでしょうけれども、もう少し具体的に少し積極的な施策を発表してもらいたいと思いますね。
 もう一度お願いしたいと思います。
#86
○政府委員(岡部晃三君) これについては、実はまだ内々の段階でございますが、前向きの検討が現在進められております。
#87
○深田肇君 内々というのは、我々にはいつ教えてもらえるんですか。
#88
○政府委員(岡部晃三君) 来年度を目指しまして検討を詰めたいというふうに考えております。
#89
○深田肇君 ありがとうございます。よろしくお願いいたしたいと思います。
 そこで、大臣にお願いしたいんですが、せんだって大臣が所信を表明されるとき、私、別件で中国の方に行っておりましたのでお会いできなかったんでありますけれども、いわゆる衣食住という言葉が日本にありまして、人間の生活における住宅といいますか住まいの問題は、我々が住むところなりこういう会議室の問題だけではなくて、人間の健康にまで関係をするわけでありますから、最近は空調だとか、いわゆる光線の問題だとか、いろいろあるわけでありますけれども、そういうことで僕は衣食住の中でも大変重要な部分を占めているだろうと思います、この人間社会にとっては。同時にまた、最近のいわゆる持ち家要求というのは、もうデータが明らかになっているように高い要求があることも調査で出てきているわけです。
 もう一つ、角度を変えて、きのうですか、おとついですか、出ました新聞によると、大工さんが大変不足している。十年後には大工さんが足らなくて住宅難になるだろうというのが、えらい大胆な発表があって、大工さんが不足する理由は、後継者づくりがなかなか進まない、後継者づくりが進まないのは、もちろん近代化との絡みで在来工法等々に対する技術習得が大変だということもあるけれども、働く労働者や技能労働者や技術者の言うなら経済的な地位が低かったり、社会的地位が低いとか、社会的保障の度合いが低いとか、それから本人たちも宵越しの金は持たねえという江戸時代の言葉が残っていて、稼いだものをその日のうちに使い終わっちゃうというようなことも、古い習慣があることも事実でありますけれども、なかなか、社会的に見てそういう大工さんたちを大事にして、自分たちの住環境というものをつくってくれるメンバーなんだというような位置づけなり評価も低いこともあるとは思いますけれども、いずれにせよ、いわゆる建設なり建築の関係の後継者づくりがうまくいかない。そのことは我々の住宅生産や住宅環境もうまくいくために大変なことが起きてくるんではないかというのは、この新聞報道のデータにあることがすべて正確であるかどうかは別にしても、そういうふうに見てそう間違いないだろうというふうに思います。
 そうなりますと、先ほど若干のお話がありましたように、六百万人のうちの何百万人かがそうなって、そのメンバーが、いわゆる中退金といいますか、退職金という社会的保障の場面もその恩恵になかなか当たれないという状況にある。それは、親方が掛けてくれないとか、自分が云々だとかいろんなことがあろうけれども、現実にこの世の中でそういうふうな日の当たらないやつがおることは間違いないんで、そういう格好にならざるを得なくなっているというシステムはあるわけでありますから、いわゆる加入を促進するということになってくると、相当抜本的な対策が必要だというふうに思います。そういう意味合いでは、大工さんを中心とする建設技能者などに対する激励も含めて、大臣のひとつ積極的な御見解をいただけるといいと思いますので、お言葉をちょうだいいたしたいと思います。
#90
○国務大臣(塚原俊平君) 建設業の皆様方も、御指摘のとおり、私どもの人間生活の根幹にかかわる基幹産業の一つであることはもう当然でございますし、それから国民生活にとりましても不可欠な産業でございます。ましてや、昨今、人手不足感の広がる中でその重要性というのは非常に認められているというところはマスコミ報道等でも示されているわけでございますが、やはり環境的に厳しいものがあるということはこれは現実だと思います。そこで、建設業で働く労働者の方々の労働福祉の向上を図ることが最重要であると考えておりまして、この観点からも建退共制度の普及促進に精いっぱい努めてまいりたいというふうに考えております。
#91
○深田肇君 ひとつよろしくお願いをいたしたいというふうに思います。
 そこで、時間の関係がありますので、その次のことに入りたいんですが、極めて具体的なことで一つお話し申し上げて、積極的な対応をお願いいたしたいと思います。
 いわゆる中退法の二十一条の二に関連をしてのことでありますが、被共済者の過去勤務期間の月数を掛金の納付月数に通算することができるというのがあるわけでありまして、それは現在の法によりますと最長が百二十カ月間ということですから、十年ですかね、というふうに規定されているわけでありますけれども、いろんなデータで明らかになってますように、六十三年ぐらいになりますと平均の勤続年数が十五年未満の方がもう七割を超えている、こういうふうな状況でもありますから、それを含めて大体考えますと、平均の勤続年数というのはだんだんと長くなるだろうというふうに考えます。
 そこででありますが、いろんな難しい問題はあるんだろうと思います。いわゆる収入、支出ということの関係でバランスをとるんでしょうから、いろんなことがありましょうけれども、いわゆる過去の勤務期間の最長月数の百二十カ月というのを見直してもらって、十五年間百八十カ月ぐらいにすることができないかなというふうに思いますが、この点はどんなもんでしょうかね。
#92
○政府委員(岡部晃三君) 勤続年数長期化しておりまして、この十年という法制をとっておった時代、十年までにおやめになる方ということでカバーをいたしますというと約四分の三というふうなことでございましたが、これは四分の三という同じレベルを考えますと十五年程度というように昭和六十二年の統計によりますというと長期化をしてきております。
 そこで、私どもこの法案を提出するに当たりまして、この十年を十五年にできないであろうかということで、実は税当局と相当激しい攻防があったわけでございます。しかしながら、これにつきましては調整がつきませんで、今回実現を見なかったものでございます。
 過去勤務期間につきまして、例えばその分の掛金月額を高くするというふうなことによりまして、十年を超える勤務、例えば十五年分相当の過去の勤務の評価ということを事業主が与えるというふうな対応も可能だと考えますが、本件、せっかくの御指摘もございます、労働省としては、もともとその気であったわけでございますので、今後さらに勉強してまいりたいと思います。
#93
○深田肇君 大変積極的なお話をいただきましたので、ひとつ頑張ってもらいたいと思いますが、掛金の額を上げることについて私どもが今の段階で同意というわけになかなかいかないものですから、そこのところは一応別にして、税務当局との間の調整方を積極的にお願いいたしておきたいというふうに思います。
 そこで、もう一点お願いしたいんでありますが、いわゆるパートの労働者の問題なんですね。これはお互いが確認しているように加入促進をすることが必要なわけでありますから、そのために掛金月額の特例を設けて今までいろいろやるわけですから、今後もそれで一定の成果は上がるだろうと思いますけれども、社会的常識の中でわがままであったり、非常識であったりということの御指摘があるのかもわかりませんが、掛け捨てという感じがこういう掛けるものに対してはありますし、掛け捨てだけではなくて掛け損だというふうなことの観念がどうしてもあると思います。そういう観念は直さにゃいかぬといえばそれまでのことなんだけれども、実際はそういうことが現実に存在する、こういう状況でありますから、そこらあたりを中和していきながら加入を促進していく。パート労働者は現在の産業構造としては現実に存在するものだし、一面では必要性もあるわけでありますから、そうなりますと、加入促進のためにはいろんな意味において、月額の特例があるんだけれども、それだけで果たしてパート労働者の加入は促進することができるんだろうかという疑問視をお互いにする面もあるだろうと思います。
 そこで、大変微妙な問題でありますけれども、時間の関係もありますから、もう現在の内容についてお話しすることはないと思いますが、一言で言って、いわゆる一年未満のものは掛け捨てだ、これは一方では社会的常識でもあるんですね。二千円を一年掛けたって二万四千円だし、十カ月なら二万円。そのぐらいのものはそこでやめちゃうんだから退職金と称するものをもらえなくたってしようがないじゃないかというのも一つの観念として存在するが、ただの二万円でも、パート労働者が掛けた、ところが十カ月とか十一カ月でやめた場合はそこで掛け捨てでもうもらえない、それで二年目でこうなって、三年目で初めて少し色がつくというような格好になるわけでありますから、何かそこのところを救済する、掛け捨てだとか掛け損だとかということを少しでも少なくすることによって、パート労働者もそういう意識を持ってどんどんと掛けていくということができるようにしていく、加入を促進するためにそういったことを少し研究してみたらどうかなという意見があります。全体のバランスのことがあることを承知しておりますけれども、そういう意味合いでそういうパート労働者や、そしてまた一緒になって頑張っている労働組合のサイドにもそういう要求もあることも事実でありますから、できれば中小企業退職金共済審議会の中でこういったものに関連する小委員会などを設けてもらって少し積極的な検討をしてもらう。パート労働者に対する保障といいますかはどういうふうにこれからよりより積極的にしたらいいのか、そのためにどうやって加入を促進することができるのかなどについて、御検討いただくための小委員会づくりなどをお願いできないものかということを提起を含めて申し上げて、お答えをいただきたいと思います。
#94
○政府委員(岡部晃三君) ひとつ誤解があってはならないと思いますが、この中退金制度は、労働者が掛ける、掛金を出すのではなくて全額事業主が掛けるわけでございます。そこで掛け捨て、掛け損という言葉が生じますのは、パートさんが掛け捨て、掛け損になるんじゃなくて、事業主が掛け捨て、掛け損になるということでございます。
 さて、そのお尋ねでございますが、非常に短期のパートの方というよりも、むしろ私ども今回改正でパートにつきまして大いに入っていだだきたいということで構築いたしましたのは、比較的長期にわたって勤務されるパートさんに大いに喜んでいただこう、こういうことでございます。これは昨年の雇用保険にパートを拡大したときも同じ発想でございます。したがいまして、どうせ短期なのだという人につきましては、最初からわかっているような方につきましては、恐らく事業主の方もその点注意をして選別をいたしまして加入をしていくというふうなことが実際には起こり得るのだろうと思いますが、しかし、何せパートにつきましての労働行政というのは始まったばかりでございまして、私どもまだ十分注意が行き届かない点が多々あろうかというふうに実感をいたしております。
 先生御指摘の、中退金とパートタイムという問題につきまして、さらに制度のあり方を勉強せよということでございます。私どもさらに審議会に諮りましていろいろと検討を尽くしてまいりたいと思っております。
#95
○深田肇君 時間の関係で意見交換ができないことが残念なんですけれども、どうせ短期という言葉が出ましたけれども、これは本人たちの方はどうせ短期もあるかもしれませんが、事業主の方で短期にしてくれということで短期に絞ってくる場合もあるんですね。そういういろんな問題がありますから、事業主の方は掛金を掛けなくていいことも頭にひらめくでしょうから、いろんなことがありますので御検討のほどをお願いいたしておきたいというふうに思います。
 そこで、労働災害の保険法について時間のある限り一、二御質問をしておきたいと思います。またもや建設業関係のところに絞りますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 いわゆる死亡なり障害を含めてのちょっとデータを拝見いたしますと、死亡者が二千五百四十九のうち千百六人というのが建設業関係者のようで、全体の二十二万六千三百十八人というのはいわゆる障害者を含めるんでしょうが、それのうち建設関係が六万六千八百五十一、こういうふうにデータが出ているんですけれども、このデータは私の見方で間違いないのですね。
#96
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のとおり労働災害は全般的には減少傾向にあるわけでございますけれども、また建設業も減少傾向にございますが、その中で占める建設業の割合は今先生御指摘のとおりでございます。
#97
○深田肇君 そのように、いずれにせよ減少傾向というのはいろんなことがあると思うんです。死亡のような場合はデータが上がってまいりますけれども、また後でお話しすべき時間があればしたいのでありますけれども、本人たちがいわゆる治療に当たっての病院窓口との折衝だとかいろんなことがあるようでありますから、それは別にいたしましても、いずれにしても建設業関係者が大変大きな比率を占めていることはお互いがこれまた直観的にも認めることができるわけであります。
 同時にまた、先ほど申し上げたような退職金のような社会保障も必ずしも恵まれていない、それから賃金問題もこれまた大変に複雑でありまして、三省協定賃金なんかの、私に言わせれば、あえて言えば悪影響などもあって、建設労働者の賃金というのは大変に難しい状況にあるだろうというふうに思います。特に年功賃金の体系になっていないことは御案内のとおりでありまして、そういう意味からしますと、今回の改正の中にあります年齢階層別の最低・最高限度額の導入というのは、建設労働者における賃金体系の問題や建設労働者の中のいわゆる高齢者の問題などと重ねて考えましたときに極めて不都合なものだと思いますよ。これは建設労働者の仲間たちも審議委員のメンバーにいていろんな意見交換をさせてもらっているようでありますけれども、私に言わせれば、あえて言えばこんなものは反対した方がいいと思うんです。
 しかし、決まるものは決まってきているようでありますから、と思いますがと申し上げた上で話を進めたいんでありますけれども、衆議院の附帯決議にもあるようでありますから、労働省はいわゆる建設産業で働いている労働者の賃金体系の問題やその中における高齢者問題などをお考えいただいて、私は特別にいろんな意味でこれから配慮してもらって検討してもらうべきものが必要だろうというふうに率直に思っているんです。そういう意味のことを申し上げて、少し附帯決議に関連をして御見解を賜れればありがたいと思います。
#98
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘の休業補償に対する最低限度額、最高限度額の導入の件につきましては、確かに年功賃金体系にない方についてそういう問題があるのはそのとおりかと思いますが、年功賃金体系にある方が若い時期に被災されますと、非常に低い基礎給付日額のまま一生給付を受けることになるという問題もございまして、ある程度年齢、階級に応じた最低、それとセットになりますが、最高額を設けるということで、この点につきましては年金につきまして既にそういった措置がとられておりますので、それとのバランスも考えまして、今回休業補償についても導入さしていただくよう提案さしていただいているわけでございます。ただし、最高限度額と申しましても、一番高い方から五%目の額を上限にしております。また、特に下がり方の大きい六十五歳以上の方の最高限度額につきましては、原則よりも若干最高限度額を政策的に配慮して高くしているというようなこともございまして、そういう年功賃金体系にない方につきましても、最高限度額の適用を受ける方は決してそれほど多くないというふうには思っております。
 しかし、いずれにいたしましても、こういった問題につきましては、年金とあわせて検討する必要がございますので、衆議院でも御議論がございましたけれども、昨年十二月に出されました労災保険審議会の建議におきまして、各種給付における被災時年齢等による不均衡の問題については引き続き検討を進めるとされておりますので、その一環といたしまして御指摘の点に留意しつつ、現在六十五歳以上一律とされている高齢者の年齢区分をどう考えるかという点も含めまして、年金の取り扱いとあわせまして今後審議会において検討をしていただくようにしたいと考えております。
#99
○深田肇君 これも意見交換をお互いにする時間がないので残念でありますけれども、ぜひひとつ建設産業の労働者の特別な状況というものを意識してもらったらいいと思うんですね、もう御存じなことですから多く言いませんけれども。
 私の周辺などの判断でいきますと、今のような一般的御答弁ではやはり私たちは忘れられている、私たちは労働省の頭の中に入ってないんだな、こういうふうに思うんですよ。思うのが間違っていると言われればそれまでのことだけれども。したがって、ぜひひとつ建設業に携わる方の賃金体系の問題や、その中における災害なり等々の関係でありますから、しかもその中で小規模なり一人親方なりの問題でありますから、そのことは要望としてぜひひとつ、一般論ではなくて頭の中に入れていただいて、審議の際御検討賜りたいということをお願いいたしたいと思います。
 約束の時間が参りましたから、最後に一言だけ、もう一つお願いをしておきたいと思いますが、これも現場の声でありますけれども、認定されて不服審査をお願いするときのことなんです。これはいわゆる法律上はきちんと物事は保証されて、こういう民主的な社会でありますし、国でありますから、問題が文章上あるわけではないんでありますが、現実的社会にとってはけがをした側なり、そのことについて認定を受ける側なり、そしてその認定に対して、どうも横と比べてみておれの方は違うなと思って、そのことを持ち込みに行くわけですね、お役所へ。
 私のおつき合いの多い現場の大工さんや職人さんたちの雰囲気から言うと、江戸時代からお上ですから、やっぱりお上に対して恐る恐る行くんですよ。もっと言えば、一方では権利意識があって、けがをしたときにもらえるものはもらえるんだとわかりながらも、ありがたくもらっているわけですね。もっとたくさんもらいたいと思うけれども、ありがたくこの程度と思っている。ところが、仲間との間で比べてみて違うじゃないかということがあったりして行くわけですね。行くときは痛みを感じた側が行くんだから、事務サイドの側もそうだろうし、お医者さんもそうだろうし、審査する方もそうだろうと思うけれども、痛みを感じている側が来るんだから、こちらも痛い気持ちになってやりとりしてもらっているんだろうが、片方からすれば痛くて泣いていたときに、痛い者の立場でないような雰囲気があって恐る恐る書類を出すわけですから。それで書類が難しい。
 我々はなかなか自分の賃金すら正確に書けない、住所だってやっとだ、最近のように住所表示どんどん変わると、もう一遍手帳を見て自分の住所の番号を見る、やっと電話番号だけそらんじているというような状況だというような方が、またけがが多いですね、そういう方が。そういう人たちが行ったときの扱いですから、言葉で言うならば中央、地方における現状をよく調査をいただきまして、そのための体制づくりをよろしくお願いしたいし、内容のことも御検討いただくようにして充実をしてやってほしいということをお願いしておきたいと思います。
 何かこのことについて、積極的な御発言をいただければ激励になると思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
#100
○国務大臣(塚原俊平君) 労働省は窓口を幾つか持っているわけでございます。いずれも何といっても労働省の第一線の顔でございますので、少しでもイメージ、応対、よくなるように努力をいたしております。そういう中でさわやか行政サービス運動が推進をされておりまして、特に努力をしてまいりました。本年総務庁が、平成元年度さわやか行政サービス改善評価調査結果というのを出しまして、主要三十機関のうち印象がよいとするもので、労働基準局が八位、労働基準監督署が十四位ということでございまして、かなり成果は上がっているとは思うんですが、これもやはりベストファイブ、ベストテンに入るようにこれから努力をしていかなくちゃいけないと思います。
 それで、今御指摘の特に労災の被災者方に対する対応についてなんですが、まさに今一つ一つ先生から御指摘いただきましたが、特に配慮しなければいけないというふうに考えております。そういうことで現在までもいたしてきたわけでございますが、さらに指導の一層の徹底を図る必要があるというふうにも感じておりますし、もう一度窓口に対しましても私どもの方ででき得る限り目を行き届かせるようにいたしてまいりたいと思います。そして先般部内に基準局担当審議官をキャップといたしまして関係各課の課長から成ります労災行政サービス向上検討委員会というものを設けまして、その中で窓口対応のあり方につきまして一層の改善を図るべく現在検討を開始しております。その成果も踏まえましてただいま先生からいただきました御指摘を受ける場合にお褒めをいただくような御指摘がいただけますように心の通った行政の推進にさらに努めてまいりたいというふうに考えております。
#101
○深田肇君 どうもありがとうございました。
 時間が来ましたからこれで終わりますが、労働省が皆悪いと言っているわけでは決してないんでありまして、町の声を聞きますと、お医者さんも冷たい方がいらっしゃるようですし、病院経営の側にもいろんなことがあるようでありますから、総体的に監督署として目を光らせていただく、こういうことでありますから、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
#102
○委員長(浜本万三君) 両案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時三十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十五分開会
#103
○委員長(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、村田誠醇君が委員を辞任され、その補欠として日下部禮代子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#104
○委員長(浜本万三君) 休憩前に引き続き、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案並びに中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#105
○糸久八重子君 それではまず、中小企業退職金共済法改正案につきまして、お伺いを申し上げます。
 今回の制度改正で、退職金の額については、五・五%の利回りで設計されている基本退職金に金利の変動に応じて決まる付加退職金を合算した額とされておるわけでございます。現在の金利水準が継続した場合、付加退職金と基本退職金を合算した額は現行の退職金水準六・九%、設計上は六・六%と言われておりますけれども、これは確保できるでしょうけれども、相手が金利ですから六・五%になるのか六・七%になるのかわからないわけですね。したがって、現行の退職金水準を確保できるかどうかは大きな課題になってくると思います。新しい退職金が現行の退職金水準を仮に下回ることになった場合は一体どうなさるのか、適切な援助措置は考えていらっしゃるのかどうか、お伺いをいたします。
#106
○国務大臣(塚原俊平君) 今回の制度の安定充実を図るために付加退職金制度を採用することにしたわけですが、労働省といたしましては、資産の効率運用に努め、新制度の給付水準が現行の給付水準を確保できるように最大限の努力をしてまいるというふうに考えておりますが、ちょっと技術的な点につきまして、労政局長から答弁いたします。
#107
○政府委員(岡部晃三君) 仮に下回ったらどうするのかということでございますが、今大臣お答えのとおり、下回らないように最大限の努力をするわけでございますが、相手が何しろ金利でございますので、これは全く神のみぞ知るという相手でございますので、金利の変動に従いまして付加退職金部分が変動するということの性格上そのようなことも起こり得ないわけではないと考えますが、しかし、現行の金利水準であれば、私ども頑張って確保してまいりたいというふうに考えております。
#108
○糸久八重子君 現行がやはり維持できるかということは、現行はこれよりも物すごく上がるということはちょっと期待はできないのじゃないかと思うんですが、今大臣が運用面で効率的な運用とおっしゃったわけですけれども、その運用面というのは具体的に言うとどういうことなんでございましょうか。
#109
○政府委員(岡部晃三君) 現在約一兆六千億近くの資金を運用しているわけでございますが、約半分が商工債を買っているわけでございます。これは、中小企業退職金制度でございますので、中小企業に集まったお金が回って、そこで中小企業の下支えをするというふうなことに使ってほしいと、こういうことでございます。これが約五割。それから、二割がこれは財投に供託をしているわけでございます。
 この商工債も財投も、いずれも従来非常に金利が低かったわけでございます。最近は改善を見ておりますが、低かった。そこで残りの三割につきまして生保運用と申しますか、そのような非常に高く利回りが得られるようなところで運用をするというふうなことでやってまいっておりますが、何しろその七割の部分が商工債とそれから財投でございますので、これはいかんとも挽回が難しいと、こういうのが今までの状況であったわけでございます。そこで、通産省及び大蔵省の理解も得まして、その部分を抑えまして、それを有利な運用先に向けるということがようやく始まったばかりでございます。そのような努力をさらに続けましていい運用を図ってまいりたいと、このように考えております。
#110
○糸久八重子君 確かに半分が商工債、これは利回り七%ですね、財投は六・七、生保が七・四七、かなり生保の方が高くなっているわけですけれども、そういうまさに効果的な運用をぜひよろしくお願いいたしまして、水準が下回らないように御努力をいただきたい、そのように考えるところでございます。
 それから、今回の法改正のもう一つの柱にパートの問題がございます。パート労働者の加入を容易にしようということなのですが、事業主が中退金制度に加入しようとするときは包括加入の原則を現行の週所定労働時間三十三時間以上の者とし、三十三時間未満の者は二千円、三千円の掛金月額の特例を設けるとしておるわけですね。雇用保険法の改正は百十四国会でいたしましたけれども、そこで二十二時間以上三十三時間未満の者については短時間被保険者として適用が拡大されたわけですね。今回の中退金改正法においても、この雇用保険の適用に倣って、現行の包括加入の原則を週所定労働時間二十二時間以上三十三時間未満の者にも拡大した上で、今回の特例として設けられる二千円、三千円の掛金月額の納付を認めることにしてはいかがかなと思うのですが、その辺の御見解はいかがでしょうか。
#111
○政府委員(岡部晃三君) パートと退職金というこの課題は、我が国でまだ十分に認識が固っていないように思うわけでございます。パートに退職金というものを差し上げるということにつきましては、長く働いたから退職金を上げるよということから、退職金制度は江戸時代から始まったと言われておりますが、そのような意味における、いわば事業主の恩恵的な性格というものがやはりまだ尾を引いているというのが現在の我が国の退職金制度ではなかろうかと思うわけでございます。したがいまして、パートに退職金というのはなじみにくいという社会一般の認識がまたあることも否定できないところでございまして、そのことは、例えばパートにいわゆる自社退職金、自分の会社の常用労働者に与える退職金制度がパートにも適用されているかということになりますと、これは非常に低いわけでございまして、そのことにもあらわれているのではないかと思われるわけでございます。
 中退制度も、三十三時間以上の者につきましては、これはパートといえども、言うなれば包括加入と申しますか、そういうことでやっているわけでございますが、わずか二万人ぐらいしかまだ入っていない、そのような事業主の選択が行われているということであるようでございます。
 そこで、この包括加入の対象を三十三時間未満の者にも、パートさんにも広げたらどうかという御提言でございます。掛金というものが全額事業主負担であるというこの制度からいたしまして、にわかに普及がなかなか困難であるというふうにも思うわけでございます。しかし、とりあえず今御提案申し上げております改正法案におきましては、掛金月額の下限につきまして二千円、三千円という入りやすい刻みを設けることによりまして加入促進に努めるというふうな、ある意味では苦肉の策でございまするけれども、しかしながら、パート労働者の問題というのは我が国において非常に大きな労働問題でもございます。パートと退職金という課題につきましても、せっかくの御指摘でもございます、さらに今後とも研究を続けてまいりたいと考えております。
#112
○糸久八重子君 それでは次に、労働者災害補償保険法の改正問題についてお伺いをさせていただきます。
 一九八一年から日本政府が承認をいたしました国連決議に基づき国際障害者年が始まりました。その行動計画の決議に次の文章がございます。「国際障害者年は、個人の特質である「身体的・精神的不全」と、それによって引き起こされる機能的な支障である「障害(能力不全)」そして能力不全の社会的な結果である「不利(ハンディキャップ)」の間には区別があるという事実について認識を促進すべきである。」、そのように書かれてありますが、この「認識を促進」という部分についてどういう施策を行っていらっしゃいますでしょうか、まずお伺いいたします。
#113
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘の点につきましては、労災保険は、基本的には労働災害によって失われました稼得能力をてん補するということが基本的な性格でございますので、そういった見地からの補償ということが中心になるわけでございますけれども、それだけではなくて、現実に社会復帰に伴ういろいろな困難を社会的に負っておられる方に対しましては、労働福祉事業によりまして社会復帰施策の充実を図る、そういう認識に立ちまして御指摘のような問題についても認識を持って努力しているところでございます。
#114
○糸久八重子君 年金などの現行労災補償法の補償給付は、機能的支障である障害のさらにその一部でしかない今おっしゃいました稼得能力について、これも全額ならばまだしも、その一部をてん補するにすぎないと私は考えます。個人の特質である身体的、精神的不全という一次的な損害を支給理由とする年金給付を実現できないものなのでしょうか。
#115
○政府委員(野崎和昭君) 労災保険はもともとは使用者の負っております補償責任を保険化したものでございますが、保険化に伴いまして、一つは保険ということである程度画一的な処理、それは公平な処理ということにもつながるわけでございますので、どうしても一面では画一的にならざるを得ない面がございます。また、しかし逆に、保険化されましたことによって年金等個人ではできないことが実現できるということもあるわけでございますけれども、保険制度としてはやはりそういった大きなシステムとして公平という見地もどうしても重要にならざるを得ないんではないかというふうに考えるわけでございます。
#116
○糸久八重子君 障害等級認定基準の基準には一体何を用いておるのでしょうか。認定基準は、障害の認定であって、その障害に対する補償でなければならないのに、その補償は障害による労働能力喪失に対する損失てん補を目的とするものと決めていらっしゃることがちょっとおかしいと思うのですけれども、医療補償を行ってもなお治らない長期慢性疾患とか残された障害について補償するというのがやっぱり当然ではないかと思うのですが、その辺の御見解はいかがでしょう。
#117
○政府委員(野崎和昭君) あるいは御質問の意味を十分正確に理解し得ないでお答えしているかということを恐れますが、障害等級表につきましては、ごらんいただきまするとおわかりのように、要するに、障害の程度と申しますか、四肢あるいは体の部分がどの程度損なわれたかということをもって労働能力、稼得能力の損失の程度をはかりまして、それによって補償額を決める基準にしているということかと思います。
#118
○糸久八重子君 なかなかこの問題についてははっきりとしたお答えがいただけないんですが、時間的な関係もございますので、先に進ませていただきます。
 まず、職場の安全衛生の問題についてでございますけれども、日本で使われている化学物質というのは二万三千種あるわけですが、廃棄物の処理法で決められている有害物質というのはこの中の八種類にすぎないわけです。西ドイツでは八十五種類、アメリカでは四百五十種類であると聞いております。
 この有害物質問題一つをとってみても、危険が蔓延している状態を除去しなければならないわけですが、そこで日本がまだ未批准になっております四つのILO条約、まず職業上の安全衛生及び作業環境に関する条約の百五十五号条約、それから空気汚染、騒音及び振動に起因する労働環境における職業病の危害に対する労働者保護に関する百四十八号条約、それから職業衛生機関に関する百六十一号条約、職業リハビリテーション及び雇用に関する条約の百五十九号条約ですが、これらの条約の基本精神は、労働現場における労働者がその労働条件そして労働環境を自主的に改善し、労災、職業病を予防するということにあるわけですね。これらの条約をやはり日本としては早期に批准すべきであろうと思いますけれども、この辺の御見解はいかがでしょうか。
#119
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘のございましたILO条約第百五十五号、百四十八号、百六十一号及び百五十九号につきましては、その内容は、労働安全衛生法、障害者の雇用の促進等に関する法律その他の関係法令によりまして、我が国におきましておおむね実施されているところであると考えておりますが、なおこの条約と国内法の間におきまして若干の問題点が残っております。我々としましても、これらの条約はできるだけ批准したいという気持ちを持っておりますが、そういう問題点も若干ございますので、さらに検討させていただきたいと考えております。
#120
○糸久八重子君 どうぞよろしくお願い申し上げます。問題点種々あることは私も伺ってはおるわけですけれども、そこを細かくここではとやかくは申し上げませんけれども、よろしくお願い申し上げます。
 次に、労災保険財政の問題をお伺いをいたします。
 最近、労働省の外郭団体であります労災年金福祉協会の使途不明金問題がございました。労災保険というのは被災者の救済と職場、社会復帰を目的としておりまして、それ以外の目的で使用されるべきものではないということはもう言うまでもないことであります。
 そこで、昨年十月から事業を開始しております労災保険情報センターですが、この業務内容はどういうもので、労災保険からどのような名目でどのくらい支出をされておるのか、お伺いをさせてください。
#121
○政府委員(石岡慎太郎君) 財団法人労災保険情報センターは主として二つの仕事をやっております。一つは、労災診療費のレセプト等の記入漏れの有無につきまして事前点検を行い、そしてそれが終わりましたら、支払いのためにそれを機械にインプットするという事業でございます。この事業につきましては、労働保険特別会計労災勘定から、平成元年度の数字でございますが、平成元年度約九億九千六百万円委託として支出をいたしております。
 それからもう一つの大きなこの財団法人の仕事は、国から労災指定医療機関に対しまして労災診療費が支払われるまでに若干時間がかかりますけれども、この間労災診療費相当額を貸し付ける、こういう業務を行っているわけでございます。この業務に対しまして、補助金といたしまして、平成元年度におきまして総額九十五億九千百万円を支出いたしているところでございます。
#122
○糸久八重子君 労災保険情報センター事業は、本来行政体制の整備によって改善すべき問題ではないかと思うのですね。それを第三者機関によって対応する、そして労災医療への統制介入の強化を何か図るんじゃないかなというようにも考えられるわけですけれども、先ほど私が冒頭申し上げましたとおり、労災保険というのはあくまでも被災者の救済、そして職場復帰、社会復帰を目的としているわけですから、そういう目的をきちっと押さえた上で、それ以外の目的で使用してはならないということを肝に銘じていただきたい、そう思いましてお伺いをさせていただいたところでございます。
 それでは次に、スライド制の問題についてお伺いをいたします。
 年金、一時金のスライド制が完全自動賃金スライドになったことはこれは前進と認めるわけですが、その引き上げの実施時期が八月以降となっている点をこれは改善すべきではないかと思います。例えば四月に遡及することも検討すべきではないかなと思いますし、国民年金などの老齢年金とは性格が異なって、現役の労働者が労災被害に遭い、そして稼得能力の喪失に伴う補償措置としての年金でありまして、賃金と同様な性格を持っておって、現役労働者の賃金がほとんど四月実施になっている現状を踏まえるならば、この労災年金の実施時期も四月にするということに合理性があると思うのですけれども、この辺の見解いかがでしょうか。
#123
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のように労災年金は災害によって失われました稼得能力のてん補ということでございますので、そのような観点から国民年金、厚生年金等と異なりまして賃金スライドとなっていると、厚生年金等は御承知のとおり物価スライドになっているということは御指摘のとおりかと思います。しかしながら、逆に厚生年金等におきましても物価の上昇をできるだけ早くスライドさせたいという要請は労災年金の場合と異なるところは必ずしもないというふうに思うわけでございまして、先生よく御承知のとおり、現実にも両年金はそれぞれ互いに影響し合いながらこれまで発展してきておりまして、今回の完全自動スライドにつきましてもそのような経緯でございます。したがいまして、この問題につきましてはやはり国民年金、厚生年金等とのバランスということが非常に重要になるんではないかというふうに考える次第でございます。
 また、なお労災年金のスライドの改定時期が八月になっておりますのは、年度ごとの賃金水準の変動の結果が五月に明らかになりますので、その明らかになった数値をもとに今事務的な作業を詰めまして八月から改定するということになるのでございますが、これを四月に改定するということになりますと、何カ月か常に遡及をするということになりまして、これも従来のスライド制とは相当大きな変化かと思います。
 そのようなことで、御指摘の点につきましては、なかなか容易には結論を出せない問題かと思いますが、今後よく検討させていただきたいというふうに思います。
#124
○糸久八重子君 人口の高齢化とともに被災労働者の高齢化も進んでおります。昭和六十年時点で六十歳以上の年金受給者は全体の三六%、六万二千八十三人のようですが、これは高齢重度障害者がふえて介護が必要な被災労働者がふえていることを意味していると思います。
 介護については、現在年金に含まれる割り増し加算とは別に、労働福祉事業で月額四万五百円の介護料が支給されることとされておりますけれども、この金額では付き添いも雇えない不十分な水準ではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
#125
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のとおり、今後高齢化が進むにつれまして高齢重度の被災者の介護の問題が非常に重要になってくるんではないかというふうに認識しております。
 今回の労災保険審議会の御建議をいただくまでの審議会の御議論の中におきましても、この問題については大変議論がございまして、御承知のとおり一、二級の重度の障害者につきましては、それぞれ介護の費用を考慮しまして六十八日分と三十二日分の割り増し加算が行われております。これに今先生御指摘の介護料月額四万五百円が加わるわけでございますが、実はこの六十八日分なら六十八日分と申しますのは被災時の平均賃金、基礎給付日額を基準にして算定されておりますので、被災時の賃金が非常に安い方は、この四万五百円の介護料を加えましても総額として現実に必要とされる介護の費用を賄い切れないという問題点が指摘をされまして、公労使各側から相当突っ込んだ議論をいただいたわけでございます。
 しかしながら、問題が非常に大きな問題でございましたのと、時間の制約もございまして結論が得られませんでしたので、今回の労災保険審議会の建議におきましては、重度障害者等に対する介護に係る補償のあり方については、引き続き検討を進め、早期に結論を得るよう努めるべき課題とされたところでございます。今後の検討に当たりましても、このような問題点をどう改善していくかが重要な課題になるというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、今後審議会におきまして本問題についての取り扱いが議論されることになると考えますので、その推移を見つつ適切に対応してまいりたいというふうに思います。
#126
○糸久八重子君 それでは、幾つかお尋ねをいたしましたけれども、大臣に確認をさせていただきたいと思います。
 まず第一に、休業補償給付等のスライド制の要件が改善されて賃金上昇水準が一〇%とされましたが、この率を今後さらに引き上げるなど、スライド要件を緩和し、完全自動賃金スライド制に向けて改善すべきではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
#127
○国務大臣(塚原俊平君) 休業補償給付のスライド制につきましては、最近の賃金水準の動向や年金スライドの改善の経緯等を考慮して今回その発動要件を一〇%としたものでありますが、休業補償給付のスライドの発動要件については、今後とも賃金水準の変動状況の推移等を見守りつつ、労災保険審議会の御意見を伺いながら引き続き検討してまいりたいと考えております。
#128
○糸久八重子君 休業補償給付等に年齢階層別の最高限度額が設けられたことによりまして、特に六十五歳以上の高齢者については最高限度額が六十四歳までの一万六千二百二十二円から一万七百四十七円と、一挙に五千四百七十五円も急激に下がっておるわけです。これは大変な影響を与えるものでありまして、こうした著しい不利益をこうむる人々に対する特段の配慮が必要であると思いますが、この辺についてはいかがでございますか。
#129
○政府委員(野崎和昭君) 今回導入を予定しております最高限度額は、賃金構造基本統計調査をもとに賃金の高い方から五%目の方の受けている水準の賃金の額を原則としておりまして、特に賃金が高い層を除き大多数の方にとっては影響がないものと思います。
 ただ、六十五歳以上の方につきましては、一般の高齢者の就労実態を反映して最高限度額が低いことから影響を受ける方が若干多くなりますが、この限度額も原則どおり算定した最高限度額を政策的に配慮してさらに高い額を採用しており、大部分の方にはそれほど大きな影響はないと見込まれるところでございます。
 また、御指摘のような問題点を改善するための措置を検討するといたしましても、休業補償給付に導入する最低・最高限度額は既に年金に導入されているものと同様でございまして、年金による取り扱いとあわせて検討する必要があるものと考えます。
 そこで、御指摘の問題につきましては、昨年十二月に出されました労災保険審議会の建議において、各種給付における被災時年齢等による不均衡の問題については引き続き検討を進めることとされていることから、御指摘の点に留意しつつこの検討の一環として、現在六十五歳以上一律とされている高年齢者の年齢区分をどう考えるかという点を含め、年金の取り扱いとあわせて今後審議会において御検討いただくことにしたいと考えております。
#130
○糸久八重子君 労災保険審議会の建議では、重度障害者等に対する介護に係る補償のあり方の問題について引き続き検討を進め、早期に結論を得るよう努めるべき課題とされておりますが、先ほど御答弁もいただきましたけれども、労働省としてはこの問題について、特に大臣ですが、具体的にどのような方向で検討していこうとなされるのか。また、その御決意をお聞かせください。
#131
○国務大臣(塚原俊平君) 労災保険審議会の御議論の中でも介護費用を考慮した割り増し加算は給付基礎日額を基礎としているため、実際の介護の必要度や費用に応じたものには必ずしもなっていないという問題が指摘され、種々御議論をいただいております。時間の制約もあり結論が得られなかったと承知をしております。今後の検討に当たりまして、このような問題点をどのように改善していくかが重要な課題になろうというふうに考えます。
 いずれにいたしましても、今後労災保険審議会において本問題について取り扱いが議論されることになるというふうに考えておりますので、その推移を見つつ適切に対処をしてまいりたいというふうに考えております。
#132
○糸久八重子君 もう一つ、労災保険審議会の建議では、給付基礎日額の最低保障額を引き上げるということになっておりますが、どのように引き上げるお考えなのか。また、引き続き最低保障額の改善に努めるべきではないかと思いますけれども、この点についてはいかがですか。
#133
○国務大臣(塚原俊平君) 給付基礎日額の最低保障額につきましては、最近の賃金水準の上昇の推移等を考慮しまして、今年度中にも三千二百十円から三千八百六十円程度に引き上げることを予定しているところであります。今後も先生の御説のように賃金水準の変動の動向を見守りつつ、引き続き必要な改善に努めてまいりたいというふうに考えております。
#134
○糸久八重子君 労災保険の未手続事業が昭和六十一年末で百四十万ほどあると聞いておりますが、その早急な解消に向けて努力をしていかなければならないと思いますけれども、この点につきましては、いかがでしょうか。
#135
○国務大臣(塚原俊平君) 労働保険の適用促進につきましては、従来から積極的な努力を講じてきたところでありますが、商業、サービス業等の小零細事業を中心として未手続事業はなお相当残されているものと見られております。これら未手続事業については今後なお一層その把握に努めるとともに、一つ、事業主に対する広報の充実による自主的手続の促進、二つ目として、労働保険事務組合等事業主団体の活用、三つ目として、関係職員の増員等事務処理体制の整備充実を行いまして、その解消に向けて積極的な努力を続けてまいりたいと考えております。
#136
○糸久八重子君 大変ありがとうございました。被災された皆さん、そして遺族の方たちの幸せのために一層労働省御努力をいただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
#137
○木庭健太郎君 まず、中小企業退職金共済法の改正に関連いたしまして何点か最初に伺いたいと思います。
 先ほどもちょっと御指摘があっておりましたけれども、今回の改正の中で一つの大きなポイントは、パートタイム労働者が加入しやすい状況をつくられたということが大いに評価できるものだと思いますし、私たちもパート労働の問題をやっておりますし、そういった意味では評価するんですが、ただ加入促進の面ではいろんな意味でまだ残された課題が多いんではないかとも感じております。
 先ほど指摘もあっておりますけれども、包括加入の問題がお話しあっておりました。やはり私、週二十二時間―三十三時間未満の人たちにもぜひこれは適用する必要があるんじゃないか、拡大しなくちゃいけないんじゃないかというふうに感じます。先ほどの御答弁では、にわかに現状非常に厳しいという状況を話された上で、さらに研究というようなこともおっしゃったんですけれども、逆に言えば大きな労働問題でもあるというふうにおっしゃいましたから、そういった意味ではさらに研究というような形じゃなくて、実施状況を本当に見ながらある意味では検討を早めていくというような態度が必要だと思うんですけれども、その点まずどうでしょうか。
#138
○政府委員(松本邦宏君) 今回、パートタイム労働者についての中退金制度の拡大を図ったというふうに理解しております。従来も包括加入ということで一部もちろん入っていたわけでございますが、従来はとにかく包括加入、一括加入させろということになっておったものですから、それが逆にむしろ入りにくいような面もあったんではないかというふうに思いまして、包括加入の範囲とは別に一般のパートタイム労働者にも入っていただきやすいように別の掛金を設ける、こういうことで対応したわけでございます。
 ただ、これによって具体的に加入状況がどういうふうに変わってくるのかどうかというようなところは、まだ我々としても未知数な分野でございますので、その状況を見ましてそれに応じたまた制度に改善をしていく必要があるんではないか、かように考えているわけでございます。
#139
○木庭健太郎君 事業主の判断に任せる場合には逆のケースも、今度は選別みたいなことも起こり得るわけですね。その辺どちらがいいかというのは状況を見ながらということになると思うんですけれども、促進という意味でいけばそういった方法も必要だと思うんです。
 それともう一点、加入促進のためのパートの問題なんですけれども、現在の制度でも、新規加入に当たっては、制度に入れば事業主にメリットがあるような工夫がなされておりますけれども、パートタイムの労働者についても、例えば既に今この制度に入っている事業主がパートタイム労働者をこの制度に新たに加入させる、そういうことが起きた場合については、ある意味じゃ新規加入と同じようなそういう、助成も含めてなんですけれども、これもぜひ検討していただきたいな、それは加入促進につながるんじゃないかなと感じているんですが、この点、もしよければ大臣、話せることがあれば御見解伺いたいんです。
#140
○政府委員(岡部晃三君) この法律改正をお認めいただきました場合には、その施行は来年度から、来年の四月一日からでございます。したがいまして、財政面にわたる助成というお尋ねでございますが、これは平成三年度予算に属するわけでございまして、したがいまして、その検討は来年度予算要求事項である、こういう分類になろうかと思うわけでございます。
 もとより、パートの加入促進につきまして、法施行に際しましてはあらゆる手だて、周知、指導を図っていくわけでございますが、そしてまた、いろいろ刻みを二千円、三千円というふうにいたしまして加入しやすくする措置もとっておりますので、加入促進が進むと一般的に考えておりますが、しかし財政的な何らかの方策がないかということにつきましては、これは来年度予算の検討に際しまして、今後、検討事項ということで御了解をいただきたいと思います。
#141
○木庭健太郎君 来年度の予算という話が具体的に出ましたので、その段階で何かできる手だてがあればぜひ工夫をしていただきたいし、そういうものが出てきましたら喜んで応援をさせていただきたいというふうに思っております。
 それから、パートの問題ではもう一つ、中退金の適用対象とならない一般企業の問題もまた残されていると思います。先ほどのお話の中で、なかなか一般の場合も退職金制度の適用状況がよくない、難しいということをおっしゃっておりました。ただ、労働省としては、これももちろんそういった面でも普及促進に努めなくちゃいけないと思っておるんですけれども、現在どんなふうにしてパートタイムの退職金制度の適用への努力というか、どういう取り組みをなさっているかを具体的例があれば何点か教えていただきたいんですけれども。
#142
○政府委員(石岡慎太郎君) 中退金制度の対象とならない、大企業だと思いますが、におけるパートタイム労働者についての退職金の状況を申し上げますと、これは六十年に労働省が調査したものでございますが、調査産業計でパートタイム労働者に退職金を支給する企業の割合は一二%となっております。これを規模別に見てみますと、千人以上では一五・九%、三百人から九百九十人の規模では一〇・七%等となっております。したがいまして、大企業におきましても、パートタイム労働者に退職金を支給するという制度を持っている企業の割合はまだまだ低い、そういう状況にございます。
 したがいまして、労働省といたしましては、そもそもパートタイム労働者の退職金につきましては、本来労使の自主的な話し合いによって決められるべきこととは考えておりますけれども、昨年六月にパートタイム労働指針を策定いたしました。これに基づきまして、労使において通常の労働者との均衡等を考慮しまして、パートタイム労働者の退職金を設けるよう啓発指導に努めてきているところでございますが、今後におきましても、この指針に基づきましてパートタイム労働者の退職金の普及促進に強力に取り組んでまいりたいと考えております。
#143
○木庭健太郎君 やはりこういう中退金の枠内だけじゃなくて、今おっしゃったみたいにパートタイム全体のそういう問題に取り組むとするならば、例えばこれは将来的な課題になってまいりますけれども、パートタイム労働者全体を対象にしたような退職金制度を検討する必要もあると私は思うんです。この点についてまずお伺いしたいし、さらに言うならば、退職金問題だけじゃなくて、あらゆる労働条件見ましても、パートがさまざまな問題を抱えているのは事実でもございますし、総合的に検討する時期も来ておるし、私たちはパートタイム労働法というのを提出をしておりますが、その制定に向かって歩み出すときが来ているように思うんですけれども、御見解をぜひお伺いしておきたいと思います。
#144
○政府委員(佐藤ギン子君) パートタイマーの労働条件全般、退職金も含めて法制化について検討というお話でございました。
 このパートタイム労働者の就業条件の整備を図るための法的整備の問題につきましては、労使の合意形成を図りながら、関係諸法令についての検討も含めまして、今後私ども真剣に引き続き検討してまいりたいと考えております。
#145
○木庭健太郎君 それでは次に、中退金の掛金の通算の問題で何点かお尋ねしたいと思います。
 まず、掛金の月数が二十四月未満の場合の問題でございます。中退金法の第十四条を見ますと、括弧書きでありますけれども、その中に、自己都合などであってもやむを得ない事情が認められるときは通算されることになっております。そのやむを得ない事情としてこの施行規則の二十七条の二を見ましたら、一として負傷、疾病、二として親族の介護、三としてその他前二号に準ずる事情によりやむを得なく退職する場合というのを挙げておられます。当然今後パートタイムの労働者の加入が進んでいけば、女性の加入者がふえることが予想されるわけでございます。そのとき心配なのは、この掛金の納付月額二十四月未満の女性労働者が出産とか育児でやむなく退職した場合、こういう場合はどう取り扱われるのか、まず教えていただきたいんです。
#146
○政府委員(松本邦宏君) 先生御承知のように、一つの企業をやめまして次の企業へ移ったときに通算ができるかどうか、その場合に前の企業で二十四月以上掛金がなければだめだと。しかし、二十四月未満であってもやむを得ない事情があれば認められるということになっておるわけです。
 今法律上は、先生おっしゃいましたように、負傷、疾病とかあるいは別居親族の扶養、介護というのが明記してございますが、その他の場合、それに準ずるような場合には労働大臣が認定をして、オーケーをすると、こういう制度もございます。しかし、認定事例を実際に拝見しますと、今まではそういう事例は余りないようでございます。これは、恐らく、退職はしたけれども再び就職しなかったとか、あるいは就職したけれども実際には二年を経過をしておったとか、いろんな事情があるんだろうと思いますが、理論的に言えば、例えば乳幼児の世話もする者がいないのでやむを得ず退職をしたというようなケースであれば、当然やむを得ない事情として出てくれば我々認定することに恐らくなるんではないかというふうに思っておりますが、今後女性の労働力の職場進出というものもふえるということは十分予想されますので、こういったケースについて明文化するかどうかということについても前向きで検討してみたいというふうに考えております。
#147
○木庭健太郎君 今おっしゃったとおりなんです。本当なら女性の働きやすい状況をつくるためには育児休業法でもできればより一層いいんですけれども、そういった問題は今のところまだ難しい面もございますし、そういった意味では、それは別問題としまして、今おっしゃった明文化の問題ですね。やはりそういうことがあってやめようとしていても、ないと、どうなのかわからないということであれば、女性の方は不安に思うと思うんですよね。そういうことが具体的にきちんとわかっているということであれば対応しやすいと思いますし、今おっしゃいましたけれども、ぜひこの二十七条の二に出産、育児という項目をぜひ追加していただきたいなと、そうすればかなり変わってくるのではないかなと思うので、もう一度答弁をお願いします。
#148
○政府委員(松本邦宏君) 御提案でもございますので、審議会とも御相談をいたしまして対処したいと思います。
#149
○木庭健太郎君 それからもう一つ、通算の問題でお聞きしたいと思いましたのは、現行制度では中退金制度のない企業から制度のある企業へ再就職いたしましても、前の企業の勤続年数というのは再就職後の中退金制度の中には全然反映されないことになっております。
 確かに、退職金の性格ということを考えたり、それから見ていったら、前の企業の勤続年数を通算させるというのはかなり困難だと私自身も思うんです。ただ、今の制度を見ておりましたら、新しく企業主が加入する場合ですけれども、前の額を追加することによってできるというような制度も実際にあるわけですね。そうすると、例えばこの制度を活用することで優秀な人材を集めたいというようなもし事業主がいらっしゃって、この事業主がその応分の掛金を自分が納めるというようなことをおっしゃるようなケースも出てくると思うんですね、今人材不足の時代でもございますし。そういった意味では、そういうふうな次の事業主が自分が払うと申し出た場合通算することができるというような規定を設けられないものかというふうに感じるんですけれども、その点はどうでしょうか。
#150
○政府委員(松本邦宏君) 退職金というのは、払います事業主の側からすればやはり当該企業において貢献をしたということに対する報奨というような性格が多いでありましょうから、実際問題として他の企業で働いていた分まで評価をして払おうというようなケースは、まず実際問題としては考えられないのじゃないかと思いますが、ただ、万一もしそういう事業主がおられれば、それは掛金をいわば普通の人よりは高くするとか、そういう形で対応はできないことではないというふうに思います。したがって、実際問題としては困らないのではないかと思います。制度的に他の事業主の分まで通算をするというのは、ちょっと正直申し上げて難しいというふうに思います。
#151
○木庭健太郎君 それでは次は、国の助成のあり方でお伺いしたいんですけれども、見ましたらこれ六十一年度の改正で一般会計予算から行われていた給付費補助が廃止されるとともに、事業主が掛金を納付することのインセンティブの強化というような意味もございまして、掛金助成へと変更になっております。その経過を簡潔に教えていただきたいんです。
#152
○政府委員(岡部晃三君) 当時の加入者の実態を見ますというと、最低掛金での加入が全体の一五・七%、それから三千円未満の掛金での加入者が全体の三六・五%ということで非常に掛金水準が低かったわけでございます。したがって、平均退職金支給額が三十七万円とこれまた非常に低額にとどまっていたわけでございます。制度全体として極めて魅力に、精彩に乏しいというふうな状況であったわけでございます。
 なぜこのように低水準なのかという検討が当時行われまして、基本的に中小企業そのものの経営基盤の問題でもございますが、当時の国庫補助のやり方が掛金の多寡にかかわらず最低掛金月額千二百円部分に対しまして一律にその期間に応じまして五%とか一〇%とかいうふうな形で補助が行われていたわけでございます。つまり多く掛けてもメリットが、だんだん多く掛ければ掛けるほど目減りをするという制度になっていたわけでございまして、そのことにも原因があるものと考えられたわけでございます。それから、当時退職金制度の普及率が非常に低うございまして、中退金制度も横ばいの状態であったわけでございます。
 このような状況を打開するために、従来の方式を改めまして、事業主に対する掛金助成、掛金についての助成をインセンティブとして導入したものでございます。これによりまして、御承知のとおり飛躍的に中退金制度は発展をその後遂げたわけでございます。したがいまして、この六十一年改正、私ども成功であったと評価しているところでございます。
#153
○木庭健太郎君 掛金助成の問題なんですけれども、掛金助成は現在労災勘定と雇用勘定で行われているというふうに聞いておるんです。素人の私が非常にわかりにくいのは、中退金とは直接関係のない労災勘定が使われているというのがどう理解しようもないわけですね。なぜ労災という勘定が中退金に持っていかれるのか、その理由をお聞きしたいし、また、私自身本来労災保険財政というのは労働災害とか通勤災害ですね、この保護の事業のみに支出して、それ以外今例えば不払い賃金立てかえ事業なんかにも使っております。こういったのは本来の筋でいけば、政府の一般会計から支出していくのが本筋のように私は思えるんですけれども、この点についてもぜひ御見解を聞いておきたいと思います。
#154
○政府委員(岡部晃三君) 先生おっしゃいましたように、賃金の支払の確保等に関する法律、賃確法の財源も労災勘定でございます。もともと退職金行政と申しますか、これは労働基準行政と非常に密接なかかわり合いがあるものとして位置づけられておりまして、中退金制度も労働基準局の中で処理をされておったというふうな歴史的な沿革もございます。労働基準行政におきまして、やはり退職金がきちんと支払われるということが大きな関心事でもあるわけでございます。これは労働条件の賃金の一つの形態といたしまして退職金というものが払われる、そのためには退職金が保全をされるということが大事でございまして、事業主が積み立てます退職給与引当金というものがしっかりと保全をされておるというこのことを指導もしてまいったわけでございます。中退制度に加入するということは、掛金をちゃんと納めて、それが法律に基づきまして中小企業退職金共済事業団が管理するわけでございますので、退職金保全の方法としては非常にしっかりしたものであるわけでございます。
 そういう意味と、つまり退職金の保全の措置という意味合いと、それから中退金制度から退職金が支払われるわけでございますから、退職金が積み立てられたものが何かに流用されてしまって破産、倒産の場合に退職金が支払われないという状態になった場合に、賃確法で立てかえ払いをするわけでございますが、中退金に入ることによりまして賃確法発動の余地がなからしめるといいますか、必要がないようにしっかりした保全が行われる。こういうことで労災勘定になじむという判断で支弁を行っているものでございます。
#155
○木庭健太郎君 ちょっとまだ私にはよく理解しにくいところがございますけれども、中退金制度について、最後に、今からより一層魅力あるものとするということが必要だと思うんです。特にまた、中小企業で働く人たちへの配慮をするためにも、例えば掛金助成の割合を二分の一まで引き上げてみたり、また助成期間の延長も検討してみたらどうだろうかと思いますし、また、中小企業の総合福祉という観点から見て、国の姿勢を示すために、例えば給付費に対する一般会計からの補助を復活させるのも一つの方法だと思います。これらの点について見解を伺いたいのと、ぜひ大臣、最後に、この中退金制度をより一層魅力あるものとするためにどうされようとしているのか、御決意を伺って、この問題については終わろうと思います。
#156
○政府委員(岡部晃三君) お尋ねの前段につきまして、私から御答弁を申し上げます。
 この制度をさらに魅力あるものとするために掛金助成制度を設けているわけでございますが、本来掛金は事業主負担が原則でございます。したがいまして、助成といいましても、そこにおのずからなる限界が生じてくるわけでございまして、各種助成制度を総合的に勘案をいたしまして助成率を三分の一というふうにしているわけでございます。それから助成につきましては、この制度に新規に加入する場合におきまして、事業主に一挙に負担が大きくならないようにということで、一定の期間だけ負担の軽減を図るということによって加入を容易とするものでございます。二年間でございますが、二年間助成すれば企業にとりまして制度は定着するであろうということでできているわけでございます。したがって、助成の割合及び助成の期間ということにつきましては、もろもろの諸制度との総合勘案の上決まってきているという点を御理解を賜りたいと存ずるわけでございます。
 それから、給付費助成の復活のお話もございましたけれども、一般会計によって従来給付費助成をやっていたわけでございまするが、しかしながら、ゼロシーリングあるいはマイナスシーリングという状況のもとにおきまして、これにつきましては非常に財源捻出に苦慮したという私ども経験を持っているわけでございます。そこで、給付費補助というやり方にかえまして掛金助成ということにして、金額的にどうなったかと申しますというと、昭和六十年、法改正前の給付費補助の総額は十八億五千万円でございましたが、平成元年度の掛金助成というふうに改まった後における助成費総額は百十四億七千万円でございまして、大幅な予算増としてこの制度を魅力あるものにしているというふうに考えるわけでございます。したがいまして、現行の方式の方が現下の財政事情あるいは諸般の情勢からいってより有効であるというふうに考えているところでございます。
 後段は大臣から申し上げます。
#157
○国務大臣(塚原俊平君) 中小企業退職金制度、昭和三十四年に発足いたしましてから、加入事業主が約三十六万人、加入被共済者数が約二百四十三万人に達しておりまして着実に発展をいたしております。まさに今中小企業の労働福祉対策の主要な柱となっております。こうした実情を踏まえまして、中退金制度の安定充実を図るために、今般、中退法の改正をただいま国会で御審議をお願いしているところでございますが、今後とも制度の適切な運営について精いっぱいの努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
#158
○木庭健太郎君 そうしましたら、もう一つの法案の方の労働者災害補償保険法の改正に関連して、先ほども少し指摘があっておりましたけれども、介護補償のあり方についてまず聞きたいと思います。
 先般、財団法人の労災年金福祉協会が行った労災障害年金受給者の生活実態調査でしたか、あれを見ましたら、現在、日額を決めていただいている一―三級の人に限らず、四級から七級の人たちも、三六・六%もの人が介護を受けているというふうな実態が出ておりまして、現在の補償は実際の介護とかけ離れているんじゃないかな、実際の介護に十分見合ったものになってないというふうに私は思えるんですけれども、審議会の建議ということもございましたが、まず、こういった介護の足りない面、不備な面について、大臣の認識をお伺いしたいと思います。
#159
○国務大臣(塚原俊平君) 現行の介護に係る補償は実際の介護の必要度に応じたものに必ずしもなっていないというような指摘がされておりまして、今回の労災保険審議会の建議においても、介護に係る補償のあり方については引き続き検討することとされております。今後の高齢化社会の進展等を考えると、介護に係る補償のあり方の問題は労災保険制度の重要な課題の一つであります。審議会の建議でも述べられているように早急に検討を進めていく必要があるというふうな認識を持っております。
#160
○木庭健太郎君 早急に結論を得るというのがいつごろなのかよくわからないので、ぜひもし教えていただけるものなら。いろんな建議があっておりましたけれども、あの建議の中で一番最優先課題はこの介護補償の問題じゃないかなというふうに私は感じたんです。ですから、最優先課題としてもちろん審議会で諮っていただきたいし、その審議の経過を見て結論を出すのは当たり前のことですけれども、労働省としてできれば、今後検討のスケジュールをこうやってやっていきたい、さらに言うならば大体いつごろを目途にこの件に関してだけはやっていきたいというようなものがありましたら、この問題については少し明確にしていただけないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#161
○政府委員(野崎和昭君) 大臣からもお答え申し上げましたとおり、この問題は労災保険制度の最重要課題という認識につきましては私どもも、審議会御自身も同じでございまして、そういう意味で早急に検討を進めていくべき課題であるというふうに建議でもされているところでございます。したがいまして、時期、いつまでということはなかなか現時点で申し上げるのは困難でございますが、いずれにしましても、労災保険審議会において本問題の取り扱いが近く開始されることになると思います。恐らく審議も熱心に行われるんではないかと思います。労働省としてはその推移に対応して適切に対応してまいりたいというふうに思います。
#162
○木庭健太郎君 ぜひ本当に、次の審議会の最優先課題として、何としても早い時期に本当に結論を出していただきたいなと思っていますし、ぜひこの点をやらないとますます厳しい状況になるんじゃないかなというふうにも感じます。
 そして介護についてもう一点、労災特別介護施設のいわゆる労災ナーシングホームの件なんですけれども、現在の整備状況はどうなっているのか、そのまた基本的考え方、簡潔で結構ですから教えてください。
#163
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘の労災ナーシングホームにつきましては、特に高齢重度の被災者で、家庭内において介護者が得られないという方が今後、現在も既に相当いらっしゃいますけれども、今後ますます増加すると考えられますので、そういった方々のために、その障害の特性に即した適切な介護と生活の場を提供できる施設として、現在建設計画を推進しているところでございます。現在、第一次施設として千葉県四街道市、第二次のものとして愛知県瀬戸市、第三次のものとして熊本県宇土市の三施設の土地購入費が予算措置されておりまして、第一次施設は来年度開設の予定で、現在鋭意準備を進めておるところでございます。
#164
○木庭健太郎君 最初たしか、六十二年ですかね、高齢被災労働者に対する福祉・援護事業についての調査研究会の報告ですね、あれにおきますと、まず当面全国に四カ所ということで、そういった意味じゃ、ややちょっとおくれているんじゃないかなという気もしないでもないんですけれども、そしてこのナーシングホームの具体的な入居基準、それから職員構成というのはどうなっているかということをお伺いしたいのと、また入居に当たっては、介護者の高齢化なども考慮いたしまして、介護者も一緒に入居できるように検討されてはどうかと思うんですが、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
#165
○政府委員(野崎和昭君) 具体的な入居基準あるいは職員の配置についての考え方でございますが、現在鋭意検討中のところでございますが、今のところ入居対象者につきましては、原則として傷病年金、障害年金受給者のうち、障害等級が一級ないし三級で、日常的な介護が必要であるにもかかわらず、家族等の介護が期待し得ない六十歳以上の方を中心に検討いたしております。職員につきましては、介護等に従事する看護婦、寮母、事務員等、一施設当たり四十人ないし五十人程度を見込んでいるところでございます。
 なお、お尋ねの介護者の入居の件でございますが、私どもにおきましても、そういった点については関係の方の御意見を聞きながら、鋭意検討しているところでございますが、大変難しい問題でもございまして、もともと介護に恵まれない方ということでございまして、逆に施設にお入りいただければ、本人が十分な介護を受けられるということ、また恐らく相当数の希望者がいらっしゃると思いますので、そういう方々を優先するというような考えに立ちますと、介護者の入居についてはなかなか実現が難しいんではないか、そういうようにも思っておりますが、いずれにせよ十分検討させていただきたいと思います。
#166
○木庭健太郎君 たしか千葉県のが平成三年の七月の開所予定でございますし、それまでにできるだけそういった面を整備しながらやっていただきたいと思います。
 それと、ナーシングホームの考え方なんですけれども、将来的には、それは各都道府県ぐらいにあれば一番いいんだろうと思うんです。実際それぐらい配備できればいいでしょうけれども、なかなかそうはいかない面もあると思うんです。今後大体ナーシングホームについてはどういうふうな整備計画を持っていらっしゃいますか、もしあればそれを伺っておきたいと思います。
#167
○政府委員(野崎和昭君) まず当面、来年度予算におきましては第四カ所目の施設の予算要求をいたしたいというふうに思っております。その後のことにつきましては、施設も現実に運営が始まるわけでございますので、その運営の状況等を見ながら検討してまいりたいというふうに思っております。
#168
○木庭健太郎君 何か前これ全国八ブロックぐらいに分けて、それぞれ一カ所はとかという話はございませんでしたかね、最低。
#169
○政府委員(野崎和昭君) 検討の過程では、そういう全国のブロックに一つという検討もいたしております。ただ、何分にも全く初めての施設でございまして、現実に入居者がどの程度出ていらっしゃるか、そういった点、まだちょっとつかみかねておりますので、そういったものを見ながら検討してまいりたいということでございます。
#170
○木庭健太郎君 次は、被災労働者の社会、職場復帰対策についてお伺いいたします。
 被災労働者に対するリハビリから円滑な住生活の確保、職業訓練、職場復帰、雇用保障、こういう一連の流れに向けた対策確保が今求められているわけですけれども、まず大臣に、この社会、職場復帰対策に対する基本的な姿勢を明らかにしていただきたいと思います。
#171
○国務大臣(塚原俊平君) 社会復帰対策につきましては、これまでも労災病院やリハビリテーションセンター等の施設を設置しましてその充実を図るとともに、職業復帰を図る観点から、本人や事業主に対して各種の助成措置を講じてまいりました。平成二年度におきましても、林業振動障害者の雇用促進を図るために事業主に対する援護金の充実を行うとともに、行政体制の整備を進めることとしております。労働省といたしましては、昨年の十二月に労災保険審議会から出されました建議を踏まえて、今後とも社会復帰施策の一層の充実を図るとともに、関係機関の協力も得まして、これらの対策を強力に推進していくことによりまして、被災労働者の早期社会復帰ができますように万全を期してまいりたいというふうに考えております。
#172
○木庭健太郎君 じゃ、具体的な問題に少し入らせていただきまして、被災労働者対策の一つの核となるはずの労災病院の問題について伺いたいんです。
 この労災病院、今全国で三十八病院と聞いておりますけれども、労災病院における労災患者比率が数字を見ましたら年々低下する一方でございまして、私もちょっと調べてみましたが、例えば入院患者の労災患者比率を見ましたら、四十年度三七・三%もあったのが、平成元年を見ましたらついに一〇%を割っておりまして、九・八%しかない。著しい低下だと思いました。外来患者も見ましたけれども、同じように昭和四十年度で一二・三%あったものが、平成元年度見ましたら五・五%まで落ち込んでおります。
 また、今度は労災患者比率が一〇%を切っている労災病院の数を調べてみました。これも例えば入院の場合ですけれども、四十年度でしたら、一〇%未満という病院は一病院もなかったわけです。ところが、これ平成元年度見ましたら三十八病院中二十三病院、この現状私もちょっとなかなか理解しにくいんですけれども、労働省はどう認識されているかをまずお伺いしたいし、それとさらに労災病院の件でもう一点、ちょっと古くなりますけれども、五十九年度の行政監察結果を見ますと、労災病院は粉じん、鉛などの有害業務従事者に対する特殊健康診断の第二次健診の実施が低調というような指摘もなされておりました。これについてはもうかなりたっておりますから、どれくらい改善されたのか、この二点をお伺いしたいと思います。
#173
○政府委員(石岡慎太郎君) 最初に、労災病院における労災患者の比率は入院、外来とも低下してきているということで、具体的なパーセンテージを挙げて御指摘がございましたが、これは全く事実でございます。
 このような傾向がなぜ生ずるかと考えてみますと、一つには労働災害の被災者数が長期的に着実に減少してきていること、それから労災病院の地域における評価が高まる等の理由によりまして一般患者の来院が増加したこと、それから労災指定医療機関という制度がございますが、それによりまして労災指定医となる機関が大幅にその間増加してきたこと等が原因として考えられます。
 したがいまして、ある程度このような傾向はやむを得ない面があるわけでございますが、労災病院の設置の趣旨から見まして、現状には全く問題がないとは考えておりません。問題あると考えております。このため、労働省といたしましては、今後の労災病院のあり方といたしまして、被災労働者に対する高度の診療の確保と早期かつ適切な職場復帰の促進に優先的に取り組むということはもとよりといたしまして、さらに新たな観点から労働者の心身の健康管理、あるいはまた産業医学への貢献等の分野も強化していきたいということで、今後いろいろ内部でも検討を行いまして、そのような方向に進んでまいりたいと認識いたしている次第でございます。
 それからもう一点、御指摘のとおり昭和五十九年の行政監察で、労災病院においては鉛、粉じん等有害業務についての健康診断、特に第二次健診が低下しているという指摘がございました。五十九年の行政監察において指摘を受けましたときに用いられました数字は昭和五十七年度の数字でございましたが、その数字を申し上げますと、第二次健診の受診者数は二万一千百三十五人でございました。それ以後、指摘を受けましたので努力をしてまいりまして、例えば昭和六十二年ではこの第二次健診の受診者数が二万三千百四十一人ということで、五十七年に比べまして約一〇%増加したのでございますが、最近、昭和六十三年、また平成元年とこれがまた二万台に戻ってまいっております。甚だ遺憾と思いますので、さらに一層努力いたしまして、第二次健診の受診者数がふえ、労災病院の健康診断機能が一層充実されますように努力をしてまいりたいと考えております。
#174
○木庭健太郎君 私もちょっと調べてみてびっくりしまして、やはりできた趣旨があるわけですから、今検討されているというふうに、問題と認識されているともおっしゃいましたし、健康診断体制の中でもぜひこういう労災病院を活用していただきたいし、また、今具体的にいろいろお話がありましたけれども、例えば労災病院あたりで、新しい職業病という問題も出てまいります、産業医科大の問題もございます。それと含めて、新しい職業病の治療、研究とか、そんな問題にも積極的に取り組んでいったらいいんじゃないかというふうに私は思っているんですけれども、その点についてもお伺いしておきたいと思います。
#175
○政府委員(石岡慎太郎君) 先生御指摘のとおりでございまして、労災病院におきましては、これからの新しい職業性疾病等についての調査研究をやはり積極的にやっていくべきであると考えております。このため、労働福祉事業団本部には労災病院間での研究協力体制によるプロジェクトチームも結成いたしておりまして、従来からも新しい職業性疾病の治療方法の開発研究を行ってきたところでございますが、労働省としましても事業団を指導いたしまして、労災病院におきましてこのような活動あるいは研究がもっと盛んになるよう努力をしてまいりたいと思います。
#176
○木庭健太郎君 それともう一つ、これも五十九年の行政監察結果で一点ありましたので、ちょっとお尋ねしようと思ったんですけれども、今被災労働者の社会復帰のために労働省とその関係団体で社会復帰指導官、労働保険相談員、社会復帰指導員というのをそれぞれ置かれて対応なされております。ところが、五十九年の監察結果を見たら、勧告の中で社会復帰指導業務を十分実施していない、相互の連携がなされていないというような指摘がございましたけれども、その後この問題についてはどう対応され、どう取り組まれたのかをお聞かせ願いたいと思います。
#177
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘のとおり昭和五十九年の行政管理庁の指摘の中に、社会復帰対策を相互に連携を図りつつ行う必要があるというところがございました。労災の被災労働者の社会復帰の促進につきましては、労働省も従来から第一線を含めまして積極的に取り組んできたところでございます。
 そのための具体的な方法といたしましては、各局に社会復帰促進の連絡会議を設置いたしまして、その中で地方労働基準局に配置されています社会復帰指導官と、それから労災病院に配置されております社会復帰指導員とが相互に連携を図りながら、社会復帰の仕事ができるようにいろいろ努力もしてきたところでございます。
 しかしながら、現状を見ますと、まだまだこの連携体制も不十分でございますし、また社会復帰対策は、きょうもいろいろ御議論いただいておりますが、今後ますます重要性を増すとも思えますので、労働省といたしましては、両者の連携強化を図ることはもちろんといたしまして、いろんな手段を講じまして被災労働者の早期社会復帰の促進に努力をしてまいりたいと考えております。
#178
○木庭健太郎君 ぜひ努力をしていただきたいし、実際になかなかこれ連携とれてなくて、現場からの声が上がってくる部分もございます。
 今度は一つなかなかいいことをやっていらっしゃるなというやつで、その後の経過を聞きたいんですけれども、リハビリテーションということではもちろん医学的リハビリから職業的リハビリへの連携をとる、それから社会復帰を図るというような連携というのが欠かせないんです。その意味では吉備に吉備高原医療リハビリテーションセンターというのをつくられまして、その取り組みというのは確かに注目されているのも事実でございます。実際に少し資料も見せていただいたんですけれども、このセンターを経まして実際に職場復帰したケースがどれくらいあるのかをお伺いしたいと思います。
#179
○政府委員(石岡慎太郎君) 吉備高原医療リハビリテーションセンターは、被災労働者等の重度障害者に対しまして治療から社会復帰に至るまでの一貫したリハビリテーションを実施するため医療リハビリテーション部門、それから職業リハビリテーション部門から成る総合的なリハビリテーション施設といたしまして、昭和六十二年四月に岡山県に設置されまして活動を開始したものでございます。
 開所以来の状況を申してみたいと思いますが、平成元年度末までに医療リハビリテーションセンターよりいずれかの職業に復帰した者につきましては、これは労災患者だけしか数字を把握しておりませんが、それで申しますと、退院した労災患者六十八名のうち三十二名が職場復帰をしているということでございます。
 それから、もう一つの部門でございます職業評価とか訓練を行います職業リハビリテーションセンターの修了者につきましては、平成元年度末まで開所以来八十六名の者が修了いたしましたが、このうち職業に復帰した者は八十名という実績でございます。
#180
○木庭健太郎君 それでは、先ほどまでやっておりましたけれども、労災保険の未手続事業の問題について数点伺いたいと思います。
 今、労働省として未手続事業所の数と、そこで働く労働者の数をどれくらいあるというふうに現在推計されておりますか。
#181
○政府委員(若林之矩君) 平成元年度末におきます労災保険の適用事業数は約二百三十四万事業でございます。適用労働者は、昭和六十三年度末におきまして三千九百七十二万人というふうになっております。
 未手続事業の数につきましては、事業所統計調査報告、これは昭和六十一年のものでございますけれども、これと比較をいたしますと、この調査で事業所数は三百五十二万事業、雇用者数が三千九百四十万ということになっております。同じ六十一年度におきまして労災の適用事業数は約二百十一万、適用労働者は三千六百七十万人でございますので、事業数では約百四十万、労働者数では約二百七十万の差が存在をいたします。その後は、六十一年以降はこういった対応のデータはございませんので正確な把握はできませんけれども、なお相当数の未手続事業があるというふうに考えております。
 これらの未手続事業は、小零細事業が多いわけでございまして、ただいま申しましたように、労働者の数で申しますと相当数をカバーいたしておりますが、事業所の数でいきますと、まだ百四十万の差があるということでございまして、これはいずれも小零細事業ということでここに問題があるということでございます。
#182
○木庭健太郎君 まず最初の基本となるどれくらいあるかが六十一年度以降ないというのも私は、積極的にやっていこうという先ほど少しお話もあったんですけれども、それと比べると何か納得がいかないような部分もございます。大体どれくらいあるのかという部分を何とか調べる方法はないのかとも思うんですけれども、その点どうですかね、もう一度。
#183
○政府委員(若林之矩君) 未手続事業がどのくらいあるかという推計、やはり五年に一回やっております事業所統計調査との比較、これは全数で調査をいたしますので、この調査による以外にないだろうというふうに思います。その最新の統計が六十一年ということでございますので、今申しましたような数字を申し上げたわけでございまして、来年になりますとまた事業所統計が実施されるわけでございまして、その時点での比較ということになろうかと思いますが、現時点で申し上げる数は六十一年度ということでございます。
#184
○木庭健太郎君 そしたら、この未手続事業における労働災害に関して労災保険給付種類別の支給状況は何か把握されておりますか。
#185
○政府委員(野崎和昭君) 大変申しわけないんでございますが、未手続事業場で発生した労働災害についての保険給付の状況を調査した数字は現在のところ持ち合わせておりませんで、いろいろな前提を置きまして推計をいたしたわけでございますが、大体年間約二千五百件程度が未手続の事業場で起こっているんではないだろうかというふうに推測しているところでございます。
#186
○木庭健太郎君 それともう一つ、もしわかれば教えてほしいんですけれども、この未手続事業の存在によって保険料収入に与えている影響額をどのくらいと推計されているかも教えていただきたいと思います。
#187
○政府委員(野崎和昭君) この点につきましては、先ほど官房長が御説明申し上げました数字をもとにかなり正確に推計できるかと思いますが、そういった計算によりますと、もし未手続事業場のすべてにおいて手続がとられたならば保険料は約七百二十億円が増収になるんではないか、そういうふうに推計いたしております。
#188
○木庭健太郎君 最後に、大臣に見解を伺って終わりたいと思いますけれども、法の履行の面とか費用の公平負担を考えまして、また労働者の福祉などどんな観点から見ても、未手続事業の解消というのは早急に進めなければならないというふうに私も考えております。先ほど大臣、幾つかのPRの問題とか組合による適用促進の問題とかおっしゃいましたけれども、ぜひ決意も含めて、これを早急に解消するための御見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#189
○国務大臣(塚原俊平君) 労災保険の適用の促進につきましては、従来から積極的な努力を講じてきております。労災保険の適用事業数は年々増加いたしまして、先ほど申し上げましたが、平成元年度末現在において大体二百三十四万事業となっております。しかしながら、商業、サービス業等の小零細事業を中心として、法令上、労災保険の適用があるにもかかわらず労災保険の具体的な適用の手続がとられていない御指摘の未手続事業はなお相当数残されているものと見られます。これらの未手続事業について、今後なお一層その把握に努めるとともに、先ほども御答弁さしていただきましたが、一つ、事業主に対する広報の充実による自主的手続の促進、二つ、労働保険事務組合等事業主団体の活用、三つ、関係職員の増員等事務処理体制の整備充実を図りまして、未手続の解消に向けて積極的な努力を続けてまいりたいと考えております。
#190
○木庭健太郎君 終わります。
#191
○沓脱タケ子君 それでは、まず労災保険法の一部改正からお伺いをしたいと思います。
 たまたま私新聞を持ってまいりましたが、これはことしの五月二十六日の新聞でございます。これも同じくことしの五月二十六日の新聞でございますが、一つの方は「熊谷組、工事ずさん 川崎一年前の土砂崩壊五人死亡」、しかもそれが「杭打ち込みが不十分」「熊谷組を書類送検」というふうに報道されていますね。こちらの方は同じく二十六日の報道ですが、板橋の第一化成工業で、化学工場が爆発、炎上して六人死亡、二十二人けが。それで、六人の死亡者はその後ふえまして八人になったということでございます。この第一化成工業も、既に御承知のように過去三回以上にわたってずさんなことがあって、労働省でも監督もしておられたということが既に報道もされています。
 私、なぜこの新聞を持ち出したかといいますと、この二件だけの報道で十三人の労働者が亡くなっているわけですね。この死亡事故というのは、考えてみれば労働者に全く何の責任もないわけです。事業主が管理責任を十分に果たしておりさえすれば事故は防げたはずなんです。そして、労働者自身は死亡しなくて済んだんです。まさに労働災害というのはそういうもんだ。労働者に何の責めもなくて命を奪われあるいは健康を奪われる、稼動能力を奪われるというふうなことになるということが非常に明白だと思うんですが、基本的にそういうふうに認識をお持ちだろうと思いますが、いかがですか。
#192
○政府委員(野崎和昭君) 労働者が働くことによって災害を受けるということはあってはならないことであると考えます。その意味で労働福祉の基本であるというふうに認識しておりまして、そういった見地に立ちまして労働災害が起こりました場合には、私どもといたしましてはその原因を徹底的に究明いたしまして再発の防止を図るとともに、もし法違反が原因で事故が発生したというような場合には、事業者に対し司法処分を行う等厳しく責任追及を行っているところでございます。
#193
○沓脱タケ子君 基準局、労働省としては当然だと思うんです。しかし、労働者自身にとりましたら、全く殺されたような格好になるわけですね。少なくとも遺族から見たら、これは感情的には殺されたと同然だと思うに違いありません。私は、なぜこのことを冒頭に申し上げているかといいますと、このような事故に対して補償するのが労災保険だと、したがって、労災保険の特徴がここにあるんだという点をはっきりさせないと、他の一般の保険とは補償の性格が違うのだという点を基本的にはまずはっきりさせておかなければならないと思って、特に引用しながら申し上げたわけでございます。
 そこで、労災事故で死亡なさった遺族の生活実態が一体どうなっているかということなんですが、これは、労災遺族年金受給者の生活実態調査の結果報告書というのが去年の三月、財団法人労災年金福祉協会でおまとめになっているものを拝見をいたしましたが、これは時間がありませんから簡単に見ましても、例えば小学生以下を抱えている世帯が三〇%。それから被災のために三割の方は住居を転居しておられる。約七割の方々は家計に影響がある。それから家計への影響への対応をどうしているかというと、生活を切り詰めた、預金をおろした、借金をした、働きに出た、こういうことになっております。家計への影響が残っているという方々は七四・七%。子供たちの学校生活の変化では、進学を断念した、退学をした、昼間から夜間へ移ったという方々が二一%以上おられます。こういうことで労災で死亡された場合、遺族の生活には非常に重大な影響が出ているということがこの調査でも明らかでございます。
 もう一つ、私この中でびっくりしたんですが、重大なことは、労災死亡遺族に対して五二%の遺族の方々には事業主から何の援助金もないということのようですね。これ同じくこの調査を見ますと、特に援助を受けていない者が五二%です。何らかの援助を受けた方々の四八%のうち、葬祭費等の一時金の支給を受けた者というのが約九割ですから、もう一時金を除いてほとんどないという状況なんですね。こういう実態でございますから、労災保険給付以外の何の援助もないという立場なんですね。ここで労災保険の重要な使命があるということを十分踏まえておかなければならないということだと思います。
 そこで、時間の都合もございますので、少し具体問題を申し上げておきたいと思いますが、例えば葬祭料ですね。葬祭料というのは六十三年度は平均五十万六千二百九十五円だそうですね。大変手の込んだ形で葬祭料の支給をされておられるんですね。昭和六十一年度からは二十二万五千円プラス三十日分かあるいは給与の高い方は六十日分というふうな計算の仕方、多い方をもらうんだそうですけれどもね。六十三年からは二十四万円プラス三十日分かあるいは給与の六十日分、多い方を支給する。平成二年、ことしの四月からは二十五万円プラス三十日分かあるいは六十日分、それの高い方というわけですから、なかなか芸が細かいわけでございます。その平均が六十三年度五十万六千二百九十五円だというわけですけれども、実際にこれだけで葬儀というのができるんだろうか。昨今、普通の葬儀でも百五十万や二百万がかかるということになっておりますが、こういう芸を細かく、一年置きぐらいに上げておられるのだけれども、ひとつ実態に合うように思い切りお上げになったらどうなのかなと思いますが、いかがでございますか。
#194
○政府委員(石岡慎太郎君) 葬祭料につきましては、労災保険法第十七条の規定によりまして、「通常葬祭に要する費用を考慮して労働大臣が定める金額とする。」とされております。これを受けまして先生御指摘のような金額になっているわけでございます。特に、平成二年四月からは、定額部分を二十四万から二十五万に上げまして改善をしたところでございます。
 今後とも葬祭費用の実情をよく調べまして、必要があれば積極的に葬祭料の額の改善に努力してまいりたいと考えます。
#195
○沓脱タケ子君 必要があればってね、それは葬儀というのはピンからキリまでありますからね。生活保護の水準の葬儀もあればあるいは一千万、二千万の葬儀もあるわけです。しかし、働く人たちが普通の水準の葬儀に一体幾らかかるのかということをぜひ御調査をなさる必要があります。私どものいろいろな経験、調査しましても、直接の葬儀費用だって六十万を下らないそうですよ。葬儀というのは、祭壇を含めての直接のものだけで済まないわけですよ。そのことが社会的には百五十万、二百万の葬儀の費用がかかるというふうに言われているわけですから、これは御検討になってぜひ思い切った改善をしていただきたいと思うんです。特にこれは大臣がお決めになることができるわけですからね。ひとつ大臣、覚えておいてくださいね。
 もう一つ申し上げたいのは、労災で死亡したときに支給をされます特別支給金の遺族一時金なんですね。これ今三百万円です。大事な人が亡くなって一時金三百万円というのは、もうこんなもの見舞い金みたいなものですよね。しかし、この特別支給金の創設の経過を見ますと、昭和四十九年に創設をされたときは百万円であった。それが五十二年に改善をされて二百万円、五十五年には三百万円に上がって、現行三百万で続いているんですが、これちょっと見ておかしいなと思うのは、何で十年もこんな大事な特別支給金が据え置きになっているのかなと。さっきも申し上げたように、五二%の方々というのは事業主からは一円も援助も補償もされていないわけでしょう。御遺族にとっては唯一の一時金ですよ。こんな大事なものをどうしてこのまま十年も据え置いてきたのかなと思うんです。この間の賃金上昇というのは、このごろのベースアップ随分低いですけれども、それでも一三四・四%になっています。ですから、これはぜひ引き上げてもらいたいと思うんです。額は労働省が省令で決められるわけでしょう。だから早急に五百万以上に引き上げてもらいたいと思いますが、いかがですか。
#196
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘のとおり、遺族特別支給金は五十五年に三百万円となりまして現在に至っております。この特別支給金の性格でございますが、これはまあ見舞い金的なものとされておりますが、今般、労災保険審議会で労災制度の改正のために広般な議論をいたしました際に、この特別支給金につきましても、本体給付化といいますか、保険給付化を図るべきではないかという御意見もございまして、いろいろこの特別支給金につきましても御議論をいただいたわけですが、審議会におきましては、昨年末、これらにつきましては引き続き検討をするというところとなった事情がございます。したがいまして、労働省といたしましては、審議会の御検討を待って適切に対処してまいりたいと考えております。
#197
○沓脱タケ子君 検討をされると言うんだからよろしいのですが、審議会の結論を待ってとおっしゃるけれども、大臣、これ、労働省の省令で引き上げることができるんですよ。ですから、大臣がどういう姿勢をおとりになるかということによって決まると思うんです。ぜひこれはせめて五百万以上に引き上げるように御努力をいただきたいと思いますが、一言いかがですか、大臣。
#198
○国務大臣(塚原俊平君) よく状況の把握をいたしまして適切に対処したいと思います。
#199
○沓脱タケ子君 その次に、もうちょっと具体的な問題に触れたいと思いますが、同僚委員からも労災の方々の社会復帰問題というのがいろいろと論議をされてまいりました。私もそのことについて一つお伺いをしておきたいと思っております。
 それは、振動障害者の社会復帰の問題でございますが、振動障害者の社会復帰特別援護金というのが百日分ぐらいの予定で出されるそうでございますけれども、この社会復帰の援護金というのがなぜ林業による振動障害者だけが対象なのかというのが、これは私も知らなかった、まさかそんなことになっていると思っていなかったんですが、林業による障害者だけが対象になっているというふうに言われていますが、事実はどうなんですか。
#200
○政府委員(野崎和昭君) 社会復帰施策全般につきまして、私どもも近年鋭意充実に努めているわけでございますが、御指摘の林業振動障害者につきましては、山村部にお住みでございまして、せっかく傷病が症状固定治癒となりましても就職の機会がないという状態の方が多数見られるわけでございます。したがいまして、そういう方が職業に復帰できるように、社会復帰できるようにいろいろな援護施策を講じているわけでございますけれども、御指摘の援護金もその一つでございまして、従来は給付基礎日額の六十日分を再就職のための経費として支給をしていたのでございますけれども、これを一部百日分に引き上げたいということで、平成二年度からそのようにすることにいたしているところでございます。
#201
○沓脱タケ子君 いや、私、そのことは大変結構だと思うんですが、林業の方だけに限っているのかどうかということをお聞きしているんです。
#202
○政府委員(野崎和昭君) 現時点におきましては、林業の振動障害者に限っております。
 なお、先般も他の委員会で御質問ございまして、同じような事情にある方がいる場合には、その方に対しても同じような施策を講ずべきではないかという御意見がございまして、もしそのような事情がある場合につきましては、私どもといたしましても、それに対応した措置をとるように検討したいというふうに考えているところでございます。
   〔委員長退席、理事糸久八重子君着席〕
#203
○沓脱タケ子君 それは大変結構なんですが、私、たまたま医者の端くれなものだから、同じ振動病の患者さんで、社会復帰するのに林業の方々だけがもし選択的にやられているんなら、何か根拠があるのかなと思って、ちょっとそんなことをお聞きしたんですがね。
 一方、労働基準局長名で、「第四次振動障害総合対策の推進について」というのが出されておりますが、これを拝見しますと、これは局長名で出ておるんですが、「振動障害防止対策の推進について」という項目のところにずっと例示をしておられるんですね。イは「林業及び製材業」、これは「チェーンソー及び刈払機の取り扱う作業」、ロは「建設業」で「さく岩機、ピックハンマー、コンクリートブレーカー、チッピングハンマー、コンクリートバイブレーター、バイブレーションドリル及びチェーンソーを取り扱う作業」、ハは「鉱業」で「さく岩機、ピックハンマー及びチッピングハンマーを取り扱う作業」、「製造業のうち次のもの」というふうに例示をされておられますね。ですから、私は、それらの林業以外の産業で働いている方々も、同様の労災被災者がおられるに違いないと思いますし、そういう人たちも当然社会復帰をするという場合には適用されるものだと思いますし、そういうおつもりなんですか。今やってないんだけれども、それはそういうふうにやっていくということなんですか。その辺はちょっと聞かせておいていただきたい。
#204
○政府委員(野崎和昭君) 補償と社会復帰、二つの重要な施策があるんでございますけれども、例えば障害が残った場合の補償費というのは、これはすべての障害について一律に障害の程度、部位に応じまして補償をするということは当然かと思います。しかし、社会復帰という問題になりますと、やはりその方の置かれました社会的な状況によって現実に社会復帰が困難か困難でないかということを考えまして、困難な方に手厚くするということが必要かと思います。そういう意味におきまして、同じ振動障害者、振動障害者も当初は林業が中心でございましたけれども、最近では建設業等にも相当数見られるようになっております。そういう意味で、振動障害者で治癒された方という点では同じであった場合でも、山村部にお住まいの方で林業にしか従事できない、職業がないというような方、しかし林業につきますとまた振動業務につかなければならない、振動業務にはつけないという状況の場合には、そういった実態に応じた社会復帰援助施策を講ずべきだというふうに考えまして、現在、御指摘のような林業振動障害者に限った援助施策を講じているところでございます。ただ、そういう山村部林業振動障害者以外でも同じような状況があるならば、それに対しては同じように社会復帰施策を講ずる必要がある、講じていきたい、そういう考えで対処しているところでございます。
#205
○沓脱タケ子君 私は、林業で働く人たちの振動障害者に手厚くしてあげるということは非常に大事だと思いますし、結構だと思うんです。しかし、労災保険法という立場からいえば、これは同じ状況の方々があれば同じように対応していくということでなければ、やはりぐあいが悪いんじゃないか。とりわけ、障害を持つ方々は社会復帰はだれでもみんな望んでいると思うんです。そういう点で、さっきも局長おっしゃいましたけれども、林業従事者に限定するのではなくて、同じような状況があれば他の産業で起こっている振動障害者に対しても前向きに検討をなさるということのようですが、これはぜひそういうふうにやっていただきたいと思いますが、重ねてですが、ひとつお伺いをしておきます。
#206
○政府委員(野崎和昭君) 先ほど来申し上げておりますように、御指摘のような考え方で対応してまいりたいというふうに思っているところでございます。
#207
○沓脱タケ子君 じゃ次に、労働省にちょっと聞いておきたいなと思うのは、この労災保険の給付水準というのは、今これで大体十分と考えておられますか。随分私も長い間拝見をしてきて、次々といろいろな改善をされてきたということはよく存じておりますが、その点はいかがですか。
#208
○政府委員(野崎和昭君) 我が国の労災保険給付の水準でございますけれども、発足以来たび重なる改善を行ってまいりました結果、現在では国際的に見て遜色のないレベルに達しているというふうに思っているところでございます。
 しかしながら、全般的水準についてはそのように認識いたしておりますが、その細部について見ますと、例えば高齢化の進展に伴って、先ほど来話に出ております介護等の点についてはなお改善すべき点があるというふうに認識しておりますし、また全般的な水準は高いと申しましても、これも先ほど来申し上げておりますが、労災保険の給付というのは、被災したときの基礎給付日額、平均賃金で一生涯それを基礎にして補償が計算されるという形になっておりますので、日本のように年功賃金序列体系の中にあります方で、若いときに被災しますと、その額で一生補償を受けるという点等にも問題がある。そういった点については、今後とも改善に努めていかなければならないというふうに認識しておるところでございます。
#209
○沓脱タケ子君 それで、努力はしてきたということを私も知っているということを申し上げておりますんですが、国際的に見て遜色がないというふうにおっしゃったんですが、たまたまこれ西ドイツやフランスと比べてみるとやっぱりまだというふうに思いますね。日本では、標準世帯で、妻と子供二人の遺族補償給付を見ますと、これは給付基礎日額の二百十二日分で五八%、率で言いますと。西ドイツでは年間労働所得の八〇%ですよ。それから、フランスではこれはなかなか芸が細かくて、奥さんが五十五歳未満のときには六〇%、五十五歳以上の方の場合には有効賃金の八〇%ということになっておるようでございます。ですから、国際的な水準に大分近づいてはいるけれども、遜色がないとは言い切れないなと思います。
 それからもう一つは、実際の障害年金の実情でございますけれども、例えば障害の一級、二級の方というのは全くの寝たきりの方ですね。介護の問題等が問題にならなきゃならない方々ですが、その方々が、三百万以下の障害年金の受給者が全体としてどれだけいるかというと五二%ですよ。これはもう大変な状況だと思います。それから、三級というのは、これは労働能力一〇〇%喪失の方だと思いますが、三百万以下の方は七六・三%、四分の三がそういう状況でございますから、決してこれは十分だと思えないわけです。冒頭に申し上げたように、労働者の責任でなく死亡あるいは終生障害を持って生活をしていかなきゃならない、こういう労災被災者の本人とその御家族に対して、私はまだまだこれは十分な補償だとは思わないんですよ。そういう点では大いに改善をしていかなければならないと思います。
 時間がありませんので、この問題の最後に一言言うておきたいなと思っておりますのは、もう既に他の委員からも御指摘がありましたし、局長もおっしゃっておられますけれども、私は、被災者の労働者本人と家族の生活実態から見てまだまだ改善をしなきゃならない余地があろうと考えますし、特に御指摘も出ております従前の賃金の低い方、それから若年で労災被災者になられた方、この問題というのは一番重要な問題じゃないかなと思うんですね。これスライドは少々あっても、低いベースが低いままで一生ついてまとうということで、この問題は今回もバランス論などといって下をちょっと引き上げましたけれども、上は抑えて下を上げたわけで、御努力はなさっておると思いますけれども、最大の検討課題ではないかと思っておるんです。その点はいかがですか。
#210
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のとおり、給付の水準を引き上げることについて、これで満足という点はあるわけではもちろんないと思います。そういう意味では引き続きできる限りの努力をしてまいりたいというふうに思っておりますが、その場合の最大の問題点の一つが今御指摘の若年被災者の問題であるというふうに認識いたしております。
#211
○沓脱タケ子君 それで、労働者災害補償保険の審議会では、民事損害賠償との調整のあり方とか、あるいは社会保険との調整のあり方などということを引き続き検討課題にしておりますね。私は、考えなきゃならないのは、労働省が検討すべき課題というのは、先ほどから御指摘を申し上げたように、労災の被災労働者とその家族の生活の援護の拡充の視点から検討を進めていくことこそが必要であって、調整などというのは、これは労働災害やその補償という性格上なじまないなと思うんです。
 何より、こういうやり方については労働者は反対でありますから、調整などというのは、基本的にこれは既に話にも出ております労基法の研究会の報告だとか、あるいはその前段である財界の主張ですね、日経連の要請書あたりから出てきている調整、こういうものがいまだに審議会で引きずっている。こういうものの調整ではなくて、本当に被災労働者やその家族の生活の援護充実のための検討こそが私は検討されるべき最大の課題だと思うんですが、その点での、これは最後に大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
#212
○政府委員(野崎和昭君) 大臣からお答えを申し上げます前に、私からまず事務的にお答え申し上げたいと思いますが、給付内容の充実ということも労災保険制度の重大な使命だと思いますが、同時に保険制度でございますので、公平、均衡を図るということも重要な課題でございまして、そういう意味におきましては、御指摘のございました民事損害賠償との調整というのも避けて通れない重要な課題だというふうに認識しているところでございます。
#213
○沓脱タケ子君 大臣一言。
#214
○国務大臣(塚原俊平君) やはり常に目標を、理想を高く掲げて精いっぱい努力していくというのは大切なことだと思います。
 ただ、現実面のこともございますが、そういった中で政治家が大臣をやらしていただいているのもそういうできるだけ理想に向かえというようなこともあるんだと思いますので、みずからの職務を全うしていきたいと思っております。
#215
○沓脱タケ子君 では時間が来ましたので、中退金の法案が出ておりますけれども、もう終わらしていただきます。
#216
○乾晴美君 私は、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案の方から先にお願いしたいと思います。
 我が国は高齢化の進展が激しいわけなんですけれども、高齢者の介護の問題というのは非常に重要になってきております。しかし、労災保険の場合というのはもともと障害を持ったお方が高齢化していくというようなことで、緊急でかつ重要な課題だと考えております。
 今回の労災保険審議会の建議において、「重度障害者等に対する介護に係る補償のあり方」というのが問題になりまして、「引き続き検討を進め、早期に結論を得るよう努めるべき」課題とされておりますけれども、この介護補償の問題について、労災保険審議会ではどのような議論がなされたのかお伺いしてみたいと思います。
#217
○政府委員(野崎和昭君) 審議会におきましては、その点に恐らく最も多くの時間を割いて議論をしていただいたわけでございますけれども、現在の、まず介護に関する費用がどのように措置されているかということでございますけれども、一級、二級の障害の一番重い方々に対しまして、一級の方に対しては基礎給付日額の六十八日分、それから二級の方に対しては三十二日分という実質的に介護費用に見合った給付が出ているということでございます。そのほかに労働福祉事業費で介護料が月額四万五百円出ているということでございます。
 問題は、一級、二級の割り増し加算が給付基礎日額を基礎にしておりますので、給付基礎日額というのは結局被災したときの平均賃金の額でございます。若い方は非常に少ないということになりまして、この金額を一番少ない方、一番高い方をそれぞれ試算してみますと、一番少ない方はたしか年間七十万円くらいの介護費用の給付を受けている。多い方は百八十万ほどの給付を受けているということで、給付基礎日額の違いだけでそれだけの大きな違いがあるわけでございます。
 七十万では介護の費用として極めて不十分ではないかというような御意見で、その辺の問題をどのように処理するか。低い方の方を何とか上げなければならないということは公益労使一致していたわけでございますけれども、では具体的にどういうふうに上げるかという問題で非常に難しい問題がございまして、一体介護の必要な程度というのをまずどういうふうに判断するのかという問題がございます。それから、低い方の分を上げるとして、それでは高い方の部分を抑えるのかという問題になりますと、またそれはそれで非常に問題になってまいりまして、そんなことで残念ながらついに時間の制約もございまして結論が得られなかったため、「引き続き検討を進め、早期に結論を得るよう努める」という結論に今般の建議ではなったわけでございます。
#218
○乾晴美君 介護の問題は引き続き検討を進めていくということですけれども、基本的にどのような考え方に立って検討していこうというように考えておいでになるのか、そしてまた介護の必要度に応じて介護費用の実態に見合った介護給付が行われるように、そういうことを考えたり、また介護者を派遣するといったようなサービスの事業を行ったりする必要があるのではないかと思うわけなんですけれども、労働大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#219
○国務大臣(塚原俊平君) 今後の高齢化社会の進展等を考えますと、介護に係る補償のあり方の問題は、特に先生冒頭にも御指摘になられましたが、労災保険制度の重要な課題の一つであるというふうに考えております。労災保険審議会の建議でもやはり指摘されておりまして、早期に検討を進めていくべき課題であるというふうに私どもも考えております。
 いずれにしても、今後労災保険審議会において本問題についての取り扱いを議論することになると思われますので、その推移を見つつ、適切に対処していきたいというふうに考えております。
 また、このような制度的な検討と並行しつつ、家庭で適切な介護を受けられない、高齢、重度の障害者等のために労災特別介護施設の建設を進めるとともに、御指摘のような介護者に関するサービス事業についても積極的に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
#220
○乾晴美君 今回の法改正で、長期療養者に係る休業補償給付は、先ほど午前中も問題になりましたけれども、最低・最高限度額が適用されるということになっておりますけれども、この最高限度額を導入するということについては法律家の中から労働基準法との関連で疑義も出されておるわけなんで、特に六十五歳以上の高齢者については最高限度額が六十四歳と比べて急激に下がるということは非常に大きい影響があるだろうと思います。やはり高齢者福祉の立場より、この点について改善の余地はないものでしょうか、お伺いさしていただきたいと思います。
#221
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘の点につきましては、今回導入を予定しております最高限度額は、賃金構造基本統計調査をもとに、賃金の高い方から五%目の方の賃金の水準を上限としておりまして、大多数の方には影響がないはずというふうに思っております。また、同時に導入をされます最低限度額の設定によりまして給付額が引き上げられる方も少なくない状況でございまして、全体的に見ますと労働基準法の休業補償に相当する給付と考えられ、労働基準法違反の問題はないというふうに考えているところでございます。
 また、御指摘の六十五歳以上の方についてでございますが、一般の高齢者の就労実態を反映しまして、最高限度額が低いことから、影響を受ける方が他の年齢層よりも若干多くなることは事実でございますが、またこの限度額も原則どおり算定しました限度額を政策的に配慮して若干それより高い額にいたしているところでございまして、大部分の方にはそれほど大きな影響はないというふうに考えているところでございます。
 それからまた、御指摘のような問題を改善するためには、年金についても同じ制度が既に採用されておりますので、年金による取り扱いとあわせて検討する必要があるというふうに考えます。
 そこで、先ほども御答弁申し上げましたが、御指摘の問題につきましては、昨年十二月に出されました労災保険審議会の建議において、各種給付における被災時年齢等による不均衡の問題については、引き続き検討を進めることとされておりますので、御指摘の点に留意しつつ、この検討の一環として、現在六十五歳以上一律とされております高年齢者の年齢区分をどう考えるかという点も含めまして、年金の取り扱いとあわせて、今後審議会において御検討をいただくことにしたいと考えているところでございます。
#222
○乾晴美君 次に、過労死についてお伺いしてみたいと思うんですが、六十二年度に認定基準が改正された、そして発症直前の状態だけではなく、発症前の一週間の状態を勘案するようになったということなので、これは大きな前進であると評価さしていただいておるわけなんですけれども、やはり疲労というのは一週間程度ではなく、ある程度長期間のものが蓄積した結果が大きな影響を与えるというのが実感ではないかと思うわけです。したがって、認定に当たっては発症前の一週間のみならず、それ以前の仕事の状況をも十分に配慮するような認定基準なり運用なりを改善すべきであるというふうに考えるわけなんですが、御見解をお伺いしたいと思います。
#223
○政府委員(野崎和昭君) いわゆる過労死で業務上とされますのは、御承知のとおり、基礎疾病であります動脈硬化あるいは動脈瘤が業務に起因する過重負荷によりまして自然的な経過を超えて急激に悪化し、血管が破裂する、あるいは閉塞するというような場合を指すものと考えております。現行の認定基準は、そういう意味における業務による過重負荷は発症に近いほど影響が大きいという専門家の医学的知見に基づきまして、原則として発症前一週間以内における業務を考慮することとしているところでございます。
 しかしながら、その専門家によって作成いただきました認定基準におきましても、発症前一週間より前の業務を無関係としているわけではなくて、付加的要因として考慮することとしているところでもございまして、当面この認定基準の一層適切な運用に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 同時に、ただいま御指摘のございました長期の疲労の蓄積が脳、心疾患の発症とどのように関連するかというような問題につきましては、医学的な解明は現在ほとんどなされていないというふうにもお聞きしておりまして、今後とも医学研究の動向を見守り、その成果の収集、分析に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#224
○乾晴美君 次に、労働組合の一人専従のことについてお伺いしたいんですが、これ午前中に同僚委員からも問題提起されておったと思いますけれども、労働組合の一人専従役員は労災保険に加入することができないというような現状にあるわけなんです。今回の労災保険審議会の建議の中で加入の対象とする方向で調査、検討を進めるということになっておるんですけれども、今後はそれをどのような手順で具体化する御予定なんですか。聞かしていただきたいと思います。
#225
○政府委員(石岡慎太郎君) 現在、労働組合の役員につきましては、中小事業主等として労災保険に特別加入できますが、労働組合業務に従事する者が委員長等一人のみで、他に専従職員を持たない場合におきましては、すなわちこれをいわゆる一人専従と言っているわけでございますが、こういう場合におきましては労災保険へ加入する道がないところでございます。
 しかしながら、このような場合代表者といいましても行っている業務は一般の専従職員と実質的な差は少ないと考えられることなどを考慮いたしますと、労災保険の保護を及ぼすことは十分考えられると考えております。
 今回、御指摘のように、労災保険審議会の建議において労働組合の一人専従役員について特別加入の対象とする方向で調査、検討を進める旨の御提言をいただいた趣旨は以上のようなところにあると考えておりますが、労働省といたしましては、この建議を踏まえまして、今後関係労働組合の協力も得ながら、労働組合の一人専従者の就業実態等についての調査を行うなど、特別加入制度の改正に向けて早急に準備作業を進めたいと考えております。
#226
○乾晴美君 それで、具体的な制度、そういうのが制度化するという時期はいつごろになるのでしょうか。
#227
○政府委員(石岡慎太郎君) 特別加入者は年度単位で保険料を納入していただく等の関係がございますので、平成三年四月一日施行を目指して準備作業を進めてまいりたいと考えております。
#228
○乾晴美君 ありがとうございました。明るい見通しの御答弁をいただいたと思います。うれしく思います。ぜひによろしく実施していただきたいというように思います。
 それでは、次に中退金の方の問題に質問を変えさせていただきたいと思います。
 今回の法改正でパート労働者への適用ということで、非常にこれはうれしいことだと思うんですけれども、事実上は現制度のままでの適用というのは加入が困難なのではないかと思います。それはパート労働ということが非常に雇用の関係も独特でありますので、こういった常用労働者を前提とした制度の中では事業主側の方も加入を拒むものではないかというように思うんですが、いかがでございましょうか。
#229
○政府委員(岡部晃三君) 事業主の側でパート労働者についての中退金加入をヘジテートすることがあるとすれば、一つは勤続年数がどうせ短いのだからこれは掛け捨て、掛け損になるのじゃないかというふうな御懸念が一つあるのかなと思うわけでございます。ただ、しかしパートさんの勤続は、年々延びてきておりまして、平均四・一年でございます。勤続年数が一年以上の者についての平均値をとりますというと五・六年ということになってきておりまして、年々延びてきておりまして、常用労働者の方だって必ずしも終身雇用ということじゃございませんから、パートの勤続年数は非常に延びてきておる、そんなに短くないということをひとつ事業主でも十分に理解をしていただきたいというふうに思っております。
 したがいまして、今度は掛金の内容につきまして、余り高い掛金ですとヘジテートするわけでございますが、二千円、三千円というような刻みを設けましたので、事業主の方でも入りやすい、こういうふうな仕組みでございます。
 短期のパートは一定程度もちろん存在するわけでございまして、私どもの統計でいいますというと半分が二年未満のパートでございます。こういう方たちは、今回の改正で入っていただこう、こういうもくろみではございませんで、我々の行政のターゲットは長期パートに入っていただきたい、こういうことでございます。
 ただ、短期雇用パートも含めまして、パートそのものと退職金という我が国伝統的な制度との間の関係いかん、まだまだ未解明の分野が随分ございます。特に中退金との絡みでどのようにパートを位置づけていったらいいかというのは非常に問題が多いわけでございます。したがいまして、短期雇用パートも含めましてパート全体の労働者の退職金問題ということにつきましては、本制度の実施状況も踏まえまして今後さらに検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
#230
○乾晴美君 中退金制度にパートタイムの労働者を加入させていく、そういった促進を図っていくということでPRなさるのだろうと思うんですけれども、そのときに事業主の認識を変えていかなければ制度への加入は進まないのではないか。そこら辺をどうお考えになっていらっしゃるでしょうか。
#231
○政府委員(岡部晃三君) これはまさしく同感でございます。事業主に対しまして、パート労働者というのは基幹労働力になってきているのだというような社会的情勢を背景といたしまして、まず第一に、退職金の完備ということが労働者の福祉の増進に大きな役割を果たす、そしてまた退職金制度の確立がパートタイム労働者の確保、定着につながるのだ、こういう重要な事項を十分に事業主に注意喚起してまいりたい、周知、指導を徹底してまいりたいと考えております。
#232
○乾晴美君 本気で加入促進を行うということにするのであれば、全国的に行っていかなければならないだろうと思うんです。そういうときに、制度の運営に当たる中退金共済事業団というのは地方には支部がおありになるのでしょうか。
#233
○政府委員(松本邦宏君) 中退事業団は地方には支部は持っておりません。しかしながら、支部にかわるものという形で現在全国に六カ所、今年度一カ所増設する予定でございますが、退職金の相談コーナーを設置いたしておりますし、そのほか全国各地に相談員を今年度は全体で七十名ほど配置をする予定にいたしております。こうした機関を通じて加入促進を図ってまいりたいと思っておりますし、それ以外にも実は地方公共団体等でもいろいろ広報紙等に宣伝をしていただくように関係の部局を通じてお願いをいたしておりますし、それから事業主団体あるいは金融機関等でもこの加入の奨励をやっていただいておりますので、そういったところの広く御協力を得ながら加入促進を図ってまいりたい、かように考えております。
#234
○乾晴美君 大変難しいのではないかと思うんですね。それはどうしてかといいますと、徳島県でパートタイマーの退職金制度について調べさしていただきましたら、全産業で、あるというのが四・〇%なんです。ほとんどの事業者は退職金制度を設けていないわけなんですね。産業別で見ましたら、金融・保険業では二二・二%、そして製造業では四・三%、卸・小売業では五・六%ということなんですけれども、鉱業それから建設業、運輸・通信業、サービスというところは全部〇%でほとんどないというわけなんです。こういうふうに非常に低いところにある、その原因もそこら辺にあるのではないかと私は思うわけなんですけれども、こういったところの原因、対策をちょっと聞かせていただきたいと思います。
#235
○政府委員(石岡慎太郎君) 私どもの調査によりましても、パートタイム労働者について退職金を持っている企業の割合は六十年度の調査でございますが一二%ということでございます。徳島県におきます比率が四%でございましたらこれよりさらに低い、そういう状況にあるわけでございます。このような制度の普及が進まない理由はいろいろあろうかと思います。事業主がそういうパートの方に退職金を設けることについての認識が低いなどなどの理由があろうかと思います。
 しかしながら、労働省といたしましては、先般、昨年の六月でございますが、パートタイム労働指針を策定いたしました。その中におきましては、労使においてパートタイム労働者についても退職金を設けるようにしていこうという規定を入れております。この規定に基づきまして、労働省としましても、事業主等に対しまして積極的に啓発指導をこれからも行ってまいりたいと考えている次第でございます。
 また、今般中退法の改正法案を御提案申し上げているわけでございますが、この法案が成立いたしますとパートの方々が中退制度に従来よりも非常に入りやすくなるわけでございます。この制度の普及も我が国におけるパートタイム労働者の退職金制度の確立に大きく貢献するものと考えておりますが、この制度の普及等も、したがいまして大いに図っていくべきであろうと考えております。
#236
○乾晴美君 公官庁が民間企業にいろんなものを発注する場合、その企業が中退金制度があるかどうかとか、また健全な労働組合があるかどうかといったようなことを審査の対象にすべきだというように思うんですが、いかがでしょうか。
#237
○政府委員(岡部晃三君) 建設業退職金共済につきましては、業界退職というシステムを用いていることもございまして、建設業を含む大部分の事業主が本制度に加入することが必要であるという観点から、労働省では従前から特退共のほかに建設省、都道府県その他関係行政機関と緊密な連携をとりながら、公共事業の入札参加者の資格審査に当たりまして、建退制度に入っているかどうかということを考慮するという措置を講じているわけでございます。このことが建退共への加入促進に随分と力があると我々感じております。
 ただ、公共事業以外の官公需の受注業者の場合ということになりますというと、中退制度以外に例えば自社退職金制度でうちはいくんだというところもございましょうし、その他商工会議所等の特退共制度でいくんだというところもございましょうし、単に中退制度への加入の有無ということでチェックをするというのはなかなか難しいことであろうかと思うのでございます。まして退職金制度そのものが法律上まだ強制されていない段階では、労働基準法上そういうようにはなっておりませんのでなかなか難しい点があろうかと思うわけでございます。先生御指摘のようなそのような措置がとれればさぞかしこの中退加入が促進するだろうなと私ども思うわけでございますが、現実問題といたしましては、建退共を除きましてはなかなか困難であるという事情をひとつ御理解を賜りたいと思うのでございます。
 なお、労働組合があるかどうかをチェック材料にしたらどうかという点につきましては、政府は組合の結成、育成あるいは逆に阻害というふうなことについては介入はしない、中立の立場であるということでございますので、お答えは御勘弁をいただきたいと思います。
#238
○乾晴美君 労働組合の有無にかかわらず、では当該事業所の労働者の過半数の要求があった場合は全員加入の義務づけをするというようなことについてはいかがでしょうか。
#239
○政府委員(岡部晃三君) この制度、そもそも中小企業につきまして事業主の相互共済の仕組みでございまして、まさに国が援助するという制度でございます。したがいまして、これを法的に強制するということは、この制度は本来任意制度であるということからいって難しいかなと思うわけでございます。
 ただしかし、先生がおっしゃるような労働者の過半数の要求があるというふうな場合を考えてみますというと、現在の労働事情からいたしますれば事業主はその意向を無視できないものというふうなことではなかろうかと私ども考えております。
#240
○乾晴美君 中小企業退職金の共済制度に加入していくというのは、これは中小企業基本法で定める中小企業であるということだと思うんですけれども、製造業では三百人以下とか卸業では百人以下とか小売ではとかというようなことで決めているわけですね。これらの規模を若干でも超えたらすぐ中小企業の退職金制度に加入できないわけなんですね。それをどこかで線を引いてやるとまた同じような問題も出てくるのではないかという、非常に難しい問題だとは思うんですけれども、中退金制度の加入に関する規模の要件を見直す考え方というのはございますでしょうか。
#241
○政府委員(岡部晃三君) 中退法における中小企業者の定義につきましては、ほかの中小企業施策との整合性を保ちつつ定めているわけでございます。具体的に言いますというと、中小企業基本法の範囲と一致をさせているわけでございます。ただ、この範囲といいますのは、なかなか最近情勢がさまざまに変わってきておりまして、昨日も中小企業労働福祉推進会議、大臣も出まして中小企業問題につきまして議論を交わしたわけでございますが、そこでも中小企業範囲論が実は闘わされたわけでございます。というのは、中小企業と一見定義に入っておっても実はハイテク産業なんかで非常に高収益、内容が高度であるというものもございます。また、大企業といえども生産性が低いものあるいは人事労務管理に問題があるものというふうにいろんな問題がありまして、十把一からげに大企業、中小企業という分け方が果たして今日的であろうかというふうな疑問も幾多出されたわけでございます。しかしながら、そうは申しましても、今日本の国全体として中小企業基本法の範囲でこの中小企業問題というのを把握しているわけでございまして、中小企業の定義につきまして、私どもさまざまな疑問を持ちながらも一応それに従っておるということでございます。
 経済社会実態の変化を踏まえまして、私どもさらに他の中小企業施策との整合性を保ちつつ、今後検討課題としてちょうだいをいたしたいと思います。
#242
○乾晴美君 ゆとり、豊かさ、公平、公正というふうな社会づくりに力を入れているというわけなんですけれども、豊かさを実感できる国民生活の充実のために、今まで国の施策、運営の基本が産業優先であったり、企業優先だったりしがちであったと、これを労働者福祉優先に転換させるべきだというように私思うんですけれども、この御見解を労働大臣にお伺いして私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#243
○国務大臣(塚原俊平君) まさに御指摘のとおりだと思います。中小企業と大企業の間には、まだまださまざまな格差がございまして、これを縮小して中小企業の勤労者の方がその能力を十分に発揮できるように、そして生きがい、働きがいのある充実した勤労者生活を送ることができるようにすることが、中小企業労働対策の基本であるというふうに考えております。中小企業労働福祉推進会議というのを、今労政局長も申しておりましたが、昨日設置をいたしましたので、ここで広く議論をいただきまして、その議論を踏まえまして対策の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
#244
○勝木健司君 中小企業退職金の共済制度についてお伺いをしたいというふうに思います。
 これは中小企業における退職金制度の普及、充実を目指したものでありますが、退職金制度自体の普及率をとってみましても、一千人以上規模の企業においては、昭和六十年の労働省調査によりましても一〇〇%に近い九九・九%の企業に退職金が普及をいたしておるのに対しまして、九人未満の企業におきましては、平成元年の全国中小企業団体中央会の調査によりましても、わずか六三・七%しか普及をしていない状況にあるわけでございます。このような格差が中小企業におきます人手不足の原因の一つにもなっているのではないかというふうに思うわけであります。そこで、中小企業における退職金の問題はそういった意味でのただ単に普及率だけの問題には限らないというふうに思います。その内容面、質の面についても問題があるんじゃないかというふうに思われます。
 そこで、三点ほどお伺いをしたいというふうに思いますが、退職金制度の規定方法についてみますと、労働省の調査によりますと、十人から九十九人規模の企業の一九・三%が規定する文書がないというふうにされております。これらの企業におきましては、退職金支給の確実性ということで、そういう面から大変な危惧が感じられるわけでありますけれども、この点についての労働省はどのような対応をされておるのかお伺いをしたい。
 第二点でありますが、さらに退職一時金の支払い準備形態について見てみましても、三十人から九十九人規模の企業の四六・九%の企業が社内準備のみだというふうにしております。中小企業の場合、大企業と比較いたしまして資金余力が少ないことも確かに現実であるわけでありますが、したがいまして、退職金支払い確保の観点から、例えば賃金の支払の確保等に関する法律第五条の退職手当保全措置の努力義務がありますが、これを完全に義務化するような、そういった対応をすることが考えられないのかお伺いをしたいというふうに思います。
   〔理事糸久八重子君退席、委員長着席〕
 第三点でありますが、退職金の支払いの確保という意味からもまた共済制度加入が望まれるわけでありますが、実際には共済制度加入事業者数で見てみますと、一般の退職金共済で約三十四万三千件と、まだまだ少ない状況にあるんじゃないかというふうに思われます。このような状況について、その原因は一体どこにあるのかということで、どういうふうにとらえられておるのか、以上三点についてお伺いをしたいというふうに思います。
#245
○説明員(井上文彦君) 退職金の定め方でございますが、労働基準法では事業場に退職金制度がある場合には、使用者は労働契約の締結に際しまして退職金制度の明示を義務づけておるわけでございます。また、常時十名以上の労働者を使用する使用者に対しましては、その内容を就業規則中に規定することとなってございます。労働基準監督官といたしましては、監督指導時等にこれらにつきまして確認を行い、法違反が認められればその都度是正させ、退職金支給契約の明確化を図っているところでございます。さらに、退職金の保全につきましては、退職金の支払いに充てるべき額の一定額につきまして保全措置を講ずるよう、賃確法などにより行政指導に努めているところでございます。
 次に、退職金の支払い準備形態でございますが、労働省が昭和六十年に実施いたしました退職金制度・支給実態調査によりますと、退職一時金制度のある三十人から九十九人規模企業の四六・九%では支払い準備形態が社内準備のみとなってございます。退職金の保全措置につきましては、退職金の支払いに充てるべき資金の確保を画一的かつ強制的に義務づけることといたしますと、企業の資金の流動性に相当な影響をもたらす。その結果、経営に支障を来す企業が出てきております。退職金制度そのものを後退させる企業が出てくるおそれがあること等を勘案いたしまして、賃金の確保等に関する法律第五条では努力義務規定としているところでございますが、なお私どもといたしましては、その努力義務規定が実効性を確保するよう、これからも行政指導に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
#246
○政府委員(松本邦宏君) 三点目の中退金への加入が少ないのではないかという御指摘でございますが、現在三十四万三千ということになっておりますが、そもそも中小企業二百七十万のうちで、退職金制度のない中小企業が約九十万ぐらいだというふうに我々推定いたしておりまして、これが今後中退制度への加入対象事業場だろうというふうに考えておりますが、この九十万のうち実は九割以上が一―九人という非常に零細な企業でございまして、やはり経営的に余力がないためになかなか退職金制度を設けることが困難であるとか、あるいは正直言いまして事業主にまだまだ退職金の役割に対する認識等も薄いというようなこともあろうかと思います。
 しかし、この退職金制度が労働者の福祉の増進に大きな役割を果たすことは事実でございますし、最近の労働力不足の中でこういった退職金制度の確立によって労働力を確保あるいは定着させるということは非常に重要なことでございますので、そういった点に注意しながら今後加入促進に努めてまいりたいというふうに思っております。
#247
○勝木健司君 先ほど同僚議員からもありましたけれども、中小企業退職金共済の対象範囲の拡大についてお伺いをしたいと思います。
 製造業では三百人以下、卸売業では百人以下と、そして小売業、サービス業に至っては五十人以下となっておるわけでありますが、企業努力によりまして規模が拡大するとともに対象から外されるというのはどうもおかしいんじゃないかと、理解しがたいというふうに思うわけでありまして、当面そういった面では卸、小売、サービス業についても三百人以下のものについて範囲を拡大すべきであるというふうに私は思うわけでありますが、御見解をお願いしたいというふうに思います。
#248
○政府委員(岡部晃三君) 中小企業の範囲につきましては、先ほども議論がございましたけれども、中小企業基本法の概念で我が国の施策すべてが一応仕切られているということでございます。しかしながら、私どもかねて経済実態からしまして、ある適用を受けている事業がたまたま少し企業が大きくなってこの枠をはみ出したというときについて、それがすぐ制度から外れてしまうというようなことは一体いいであろうかというふうなことも踏まえまして、実はこの法律案作成に当たりまして関係各方面と折衝したという背景がございます。しかしながらこれは実りませんでした。
 そのことと、中小企業というものの把握の仕方が昔からの概念でいいのかというのは基本的に私ども疑問を実は感じないではないのでございますが、しかしながら、例えば税制一つとりましてもこの概念一つですべて仕切られておるというふうなことから、例外を設けるというのはなかなか困難であるという事情につきましても御理解を賜りたいと思うのでございます。
 しかしながら、私どもといたしましては、中小企業の範囲の問題については、社会経済の情勢をさらに踏まえまして今後検討してまいりたいと考えております。
#249
○勝木健司君 今後検討されるということでありますけれども、三百人、百人、五十人というこの規定の仕方について、今のこの時代の中では合わないんじゃないかというふうに思いますので、早急に検討をしていただきたいというふうに思います。
 それから、これも同僚議員からありましたけれども、パートタイム労働者の加入促進ということも改正に盛り込まれておるわけでありますが、先ほどの回答の中でも、行政のターゲットは長期パートに絞っておる、長期パートだということでありますが、全パートタイム労働者の何%が今回のこの法改正によりまして加入対象となるのか。そして長期パートとは一体勤続年数どれぐらいで、どれぐらいのことを考えられておるのか、明らかにしていただきたいというふうに思います。
#250
○政府委員(岡部晃三君) 中小企業パートのどれぐらいが行政ターゲットになるのかということでございます。
 全体として中小企業のパートタイム労働者三百三十二万人程度と推計をいたしております。今回の掛金月額の特例の規定の対象となるパートタイム労働者、すなわち週三十三時間未満の労働者は、単純に計算いたしますというとこのうちの三六%の百二十万人程度というふうに考えているわけでございます。しかしながら、全中小企業のうち中退制度加入企業はまだ少ないわけでございますので、実際の具体的な適用を受ける者というのはこれよりさらに下回るというふうに考えるわけでございます。
#251
○勝木健司君 さらに、女性の社会進出が非常に進む中でパートタイム労働者の勤続年数も平均で四・一年ということで延びておるということでありますが、こういった意味で、今我が国の産業にとりましてもパートタイム労働者は単なる繁閑調整機能的なものから産業にとって重要な戦力となっておるわけでありまして、そういった意味での労働諸条件の整備はおくれていると言っても過言じゃないと思います。
 そこで、パートタイム労働者の退職金制度の実態につきまして、退職金制度あるいは慰労制度といったものを採用している企業はどの程度あるのか御報告をいただきたいのと、その退職金制度の導入が進んでいない理由について、もう一度明らかにしていただきたいというふうに思います。
#252
○政府委員(石岡慎太郎君) 労働省が実施いたしましたパートタイム労働実態調査、これは昭和六十年のものでございますが、によりますと、パートタイム労働者に退職金を支給する企業の割合は一二%となっております。この水準は決して高いとは言えないのでありますが、その原因といたしまして考えられることは、パートタイム労働者の勤続年数が通常の労働者に比べて一般に低いとか、あるいはまた事業主の意識が低いといったようなことが考えられるのではないかと思います。
#253
○勝木健司君 パートタイム労働者の雇用形態は二カ月契約あるいは半年契約、一年契約というような短期の労働契約でありますが、しかしそれを反復更改された結果勤続が長くなっているだけにすぎないんじゃないかというふうに思われます。そういった意味で通常の労働者に適用される退職金制度というのになじまないという意見もあるように聞くわけでありますが、しかし、パートタイム労働者が長年の勤務により習熟度が増しておるということで我が国産業の重要な労働力にもなっている現状を見た場合、退職金制度の導入というのは避けて通れないんじゃないかというふうに思います。
 そういった意味で、今回一歩前進ということで、この法改正以外にどういった方策がこれから考えられるのか、御見解をお伺いしたいというふうに思います。
#254
○政府委員(石岡慎太郎君) 昨年の六月に御承知のとおりパートタイム労働指針を制定いたしました。その中におきましては、労使においてパートタイム労働者の退職金を通常の労働者との均衡等も考慮して定めるよう努めるべきであるという規定を置いているわけでございます。
 今回中退制度が改正されますと、中小企業におけるパートタイム労働者の方々が一層退職金制度を持ちやすくなるものと考えておりますけれども、それ以外の大企業のパートタイム労働者につきましても、退職金の普及率は非常に低い現況にございますので、労働省といたしましては、このパートタイム労働指針に基づきまして大企業労使に対しましてもできるだけ退職金制度を設けるよう指導をしてまいるつもりでございます。
#255
○勝木健司君 中小企業対策を考えました場合に、やはり日本経済を支えている中小企業の活性化というものが大事になってくるんじゃないかというふうに思います。その点で、この中小企業退職金共済制度につきましても、ただ単に退職金制度だけの問題じゃなしに、中小企業における労働条件の向上の一環、そういう観点、さらには中小企業の活性化という観点から総合的に把握していく必要があるんじゃないかというふうに思われるわけであります。中退金制度だけでなく、大企業との賃金格差の是正、あるいは時短の推進、あるいは福利厚生施設の充実、ひいては労働条件の改善による人手不足の解消、そういったことを有機的に結びつけていかなければならないんじゃないかというふうに思うわけでありまして、そういった観点から中小企業庁などとも連携を取り合って総合的な中小企業対策を推進していく必要があるんじゃないかというふうに考えるわけでありますが、この点に関しまして労働大臣の見解をお伺いしたいというふうに思います。
#256
○国務大臣(塚原俊平君) 御指摘のように、労働政策とそれから通産省、中小企業庁の産業政策との連携を密にして効果的に中小企業対策を講じていく必要があるというふうに考えております。
 また、今幾つかの御指摘をいただきましたが、ほかの省庁とも連携を密にする必要があるというふうに考えております。通産省につきましては、本年の四月に局長レベルの中小企業人材確保推進協議会というものを設置いたしまして連携協力して人材確保対策に取り組むということにしたわけでございます。
 今後とも連携を密にして政策を進めてまいりたいと考えております。
#257
○勝木健司君 次に、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案に対する質問をしたいというふうに思います。
 私は、労働者が安心して安全に働くことが大切じゃないかということで、労働災害の発生しない職場環境づくりがまず一番大切だろうというふうに思います。不幸にして労働災害が発生した段階では被災労働者とその家族の生活保障、そしてまた完全なる職場復帰のための施策というものが求められるというふうに思うわけであります。
 そういった観点から質問を行いたいと思いますが、まず労災被災者の継続雇用についてでありますが、労災被災者を解雇してはならないというふうに思うわけであります。もちろん労働基準法上療養のための休業中は解雇制限にかかるというのは当然でありますけれども、リハビリ、社会復帰という観点から、療養休業終了後におきましても使用者は被災労働者の職場復帰を保障しなければならないというふうに思うわけでありますが、この被災労働者の同一企業への定着率は現在どうなっておりますか、お伺いしたいというふうに思います。
#258
○政府委員(野崎和昭君) 労働災害による被災者、被災の結果障害を受けた方が同一企業に引き続き継続して雇用されることが望ましいということは御指摘のとおりでございまして、労働省といたしましてもできる限りそのための援助、指導等に努めてきているところでございます。しかしながら、お尋ねの点についてぴったりの資料は実はないんでございますが、昭和五十八年十一月に実施しました身体障害者等雇用実態調査によりますと、五人以上の事業所に雇用されている身体障害者約三十三万四千人のうち、労働災害に被災しその後も同一企業に雇用されている労働者数は約三万六千人でございます。この三万六千人という数字をどう評価するかということでございますが、例えば障害年金の受給者は現在七万八千人でございます。ただ、障害年金の受給者というのはもちろん重い方でございますし、かつ高齢の方も含まれているということもございまして、単純に三万六千人というのは約半分というような評価はできませんが、いずれにいたしましても、被災後やはり御指摘のとおり相当数離職される方も多いというふうに認識せざるを得ないところでございまして、今後とも障害者雇用継続助成金等を活用して、その定着のために労働省としても努力してまいりたいと思います。
#259
○勝木健司君 この被災労働者の雇用継続のための身体障害者雇用納付金制度による助成金のほかに、今ありましたように、企業在職中に障害者になった方のための障害者雇用継続助成金が昭和六十二年度より設けられておりますが、その利用状況をまずお伺いしたいというふうに思います。
#260
○政府委員(七瀬時雄君) 労働災害あるいは交通事故などの理由によりまして、企業在職中に障害者になった方々につきましては、同一企業に職場復帰して雇用を継続することができるように援助を行う制度といたしまして、ただいま御指摘の障害者雇用継続助成金制度を六十二年七月から設けたところでございます。
 この助成金の中身につきましては、一つは作業施設設置等助成金という、いわば施設に関するハードの助成金と、それから重度中途障害者職場適応助成金という、いわばソフトの助成金と二つに分かれているわけでございますが、トータルで申しますと、六十二年度で三十七件、六百八十万円、六十三年度で三百二十一件、七千九百八十万円、平成元年度で八百二十五件で一億五千六百二十万円ということになっているわけでございます。
 この制度に基づきます助成金は、この制度をつくりましてから四年目になっているわけでございまして、その活用実績というものは必ずしもまだ十分でございませんけれども、ただいま申し上げましたように、かなりのテンポで伸びてきているということは言えようかと思いますので、私どもといたしましては、事業主の方々にこの制度をPR、普及する等、この消化といいますか、この制度の定着に努めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
 また、平成二年度予算におきまして、中途障害者の雇用を継続するために、施設設備の設置を行う事業主に対して助成しております施設設置等助成金につきましては、その限度額を一件当たり二百五十万円から四百五十万円に引き上げたところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この助成金の周知徹底にさらにいろいろな形で努めてまいりたいと思いますので、いましばらく時間をかしていただきたい、このように考えております。
#261
○勝木健司君 支給実績については、確かに毎年着実に伸びてきているということでありますが、前年度の二倍の伸びを示した平成元年度ということでありますが、しかし予算消化状況から見たらまだ一割弱だということで、今もありましたように制度の周知徹底を図るということでありますから、ぜひ制度の周知徹底を図り、被災労働者の継続雇用のために頑張っていただきたいというふうに思うところであります。
 時間がもうありませんので、次に進ませていただきますが、通勤災害のことについて一、二お伺いをしたいというふうに思います。
 労災保険は業務時に被災した場合だけでなく、通勤途上におきまして被災した場合にも適用があるわけでありますが、最近、地価高騰のあおりで住宅難ということで、通勤時間も非常に長時間化しておるということであります。そうしますと、当然通勤災害もふえるのじゃないかというふうに危惧をしておるわけでありますが、最近の通勤災害の件数はどうなっているのか、労災全体に占める割合はどの程度か、最近の傾向値をお伺いしたいというふうに思います。
#262
○政府委員(石岡慎太郎君) 通勤災害により新規に労災保険の給付を受けた者は、昭和六十三年度におきまして約五万二千人であります。労災保険全体の新規受給者数に対するこの者の割合は、約六・二%であります。
#263
○勝木健司君 そこで、通勤災害の認定に当たりまして、今、日常生活上必要な行為であって労働省令が定めるものということの中で、その行為による通勤の逸脱または中断が終了して通勤のための経路に復したときは、それ以後は通勤とされるようになっておるわけでありますが、例えば、その行為を行った後通常の経路を使うよりももっと合理的な経路及び方法によって違う経路を使った場合には、どのように今現在解釈されているのかお伺いしたいということ。
 それから、通勤途上でけんかの仲裁であるとか、あるいは人命救助等の善意の行為によって事故に遭った場合、通勤災害の認定をすべきではないかというふうに思うわけでありますが、その見解をお伺いしたいこと。
 それともう一点は、交通事情で道路が渋滞をしておるということで、他の経路を使用して事故に遭った場合はどうなっておるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
#264
○政府委員(石岡慎太郎君) まず、第一番目の御質問にお答えいたします。
 労働者が通勤の途上において就業または通勤とは関係のない目的で合理的な経路を逸脱いたしまして、または通勤の経路上において通勤とは関係のない行為によりまして通勤を中断する場合におきましては、その逸脱または中断は日常生活上必要な行為であってやむを得ない事由により行うための最小限のものであると認められる場合に限りまして、その逸脱または中断の間を除きまして、その後の往復行為を通勤としているところでございます。
 先生御指摘の事案につきましては、その詳細が不明でございますので、明確にはお答えできませんが、例えば通常の経路と違う経路が就業との関連を失わせない合理的な経路と判断されるものであれば、一般的にはそのケースは通勤災害と認められると思います。
 それから、二番目の御質問でございますが、労働者の通勤途上で発生した災害が通勤災害と認められるかどうかの判断に当たっては、その行為が通常通勤に伴う行為と評価されるかどうかによって判断されるものであります。
 御指摘のけんかの仲裁や人命救助等の善意の行為によって発生した災害については、一般的には通勤を継続する上での必要かつ合理的な行為であるとは認められないということが多いと思いますが、したがいまして、たとえ善意の行為でありましても、これが通勤に通常内在している危険が具体化したものとは認められないことから、一般的には御指摘のようなケースは通勤災害とは認められないと考えております。
 それから、第三点目の御指摘でございますが、通勤災害における合理的な経路とは、一般に労働者が用いるものと認められる通勤の経路をいいますが、この合理的な経路は必ずしも一つであると限定しておりません。通常利用する経路が複数存在する場合は、それが合理的な経路となるものでございます。
 ところで、先生御指摘の交通渋滞のために通勤上やむを得ず通常使っている経路とは異なる別の経路を用いた場合には、その経路が著しく遠回りになるようなものでない限り合理的な経路として扱っておりまして、その間において生じた災害につきましては、一般的には通勤災害と考えております。
#265
○勝木健司君 時間がありませんので、人命救助の善意の行為のところについてはちょっと解せないところがありますが、最後の質問に移りたいと思います。
 近年、単身赴任が増加いたしておりまして、金帰火来じゃありませんが、金帰月来の生活を送っているサラリーマンが多くなっておるわけでありまして、単身赴任者が帰省先から就業場所に行くときに事故に遭った場合、または逆に就業場所から帰省先に行くときに事故に遭った場合、飛行機あるいは新幹線あるいは自動車を含めまして、そういう場合の通勤災害の認定についてどのようになるのかお伺いをして、質問を終わりたいというふうに思います。
#266
○政府委員(石岡慎太郎君) 労災保険法でいう通勤とは、住居と就業の場所との間を往復することをいいます。そして、この場合の住居とは、労働者が居住して日常生活の用に供している家屋で就業のための拠点となる場所をいいます。したがいまして、単身赴任者の金帰月来型通勤途上の災害につきましては、帰省先が住居と認められない限り通勤災害とは認められないことになっております。
 ところで、先生御指摘の事案が通勤災害に該当するかどうかは非常に微妙なところがございます。今回、労災保険審議会の建議におきましても、通勤災害の金帰月来の基準が非常に明確ではないという御指摘がございまして、その基準を明確にせよとの提言もいただいておりますので、今後先生の御指摘の事案も念頭に置きまして、審議会にもお諮りいたしましてその基準の明確化を図ってまいりたいと考えております。
#267
○勝木健司君 終わります。
#268
○西川潔君 私は、まず中小企業退職金、こちらの方からお伺いいたします。よろしくお願いいたします。
 最近の好景気の持続によりまして、特に中小企業の人手不足が深刻化しているわけですが、中小企業の人手不足に伴いまして外国人の単純労働者の受け入れを求める声が大変強くなっております。先日の新聞報道によりますと、労働省は外国人単純労働者問題に関する新たな研究会を設ける、こういうふうに報じられておりますが、この研究会の目的、検討内容、またいつごろまでに私たちがその結論をお伺いできるかお伺いいたします。
#269
○政府委員(清水傳雄君) 外国人労働者の受け入れにつきましては、政府としては今後専門的、技術的な能力、外国人ならではの能力を有する外国人については可能な限り受け入れる方向で対処するが、いわゆる単純労働者については従来どおり十分慎重に対応するということとされておりまして、労働省といたしましても、この方針に沿いまして、労働政策の観点から労働力の需給調整、労働条件の確保に配慮した適正な受け入れ態勢が図られるよう、そうした対応に努めているところでございます。
 ところで、いわゆる単純労働分野等への外国人労働者の受け入れ問題は、労働面を初めといたしまして、我が国の経済社会全般に影響が及ぶ問題でございますので、今後とも十分慎重に対応すべきであると考えておりますが、中長期的視点からさらに検討を進めていくことは重要である、このように認識をいたしておりまして、当委員会におきましても、そうした考え方につきまして、これまでも労働大臣から御答弁も申し上げてきたところでございます。このため、そうした受け入れ問題のいわゆるメリットあるいはデメリットを多様な角度から十分に慎重に検討、整理してまいりたい、このように考えまして、今般学識経験者九人から成ります外国人労働者が労働面等に及ぼす影響等に関する研究会を開催をすることといたしたわけでございます。
 この研究会において検討をしていただく項目といたしましては、一つは西ドイツその他諸外国におきまして外国人労働者を受け入れた経験を持ち、またいわゆる定着問題等にさまざまな苦労、努力をしている国がございます。そうしたところにおきますいわゆる社会的統合政策等の現状がどういうふうになっているか、社会的コストの問題とか、そうした点を研究するということが一つ。それからまた、外国人労働者についての国際条約なりあるいは労働関係法令等の適用関係の研究ということも非常に重要なことであるというふうに思っております。そうしたものをベースにしつつ、外国人雇用あるいは労働力需給状況についての実情も念頭に置きながら、労働面等におきますメリット、デメリット、どんなふうな問題が起こり、どういうふうな社会が想定され、それらについての対応する方向というのはどんなものがあり得るか、そうしたものについても具体的な検討、整理ということをこの際十分に勉強しておく必要がある。
 以上のような三つの項目を大きく検討項目といたしまして、この研究会自体といたしましては年内を目標に進めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
#270
○西川潔君 御丁寧に御答弁いただきまして本当にありがとうございます。
 今日までの日本の歴史を振り返ってみましても、いろいろと我々も今日幸せになりまして、諸外国にお返しをしなければいけない。福祉というのは支え合い、私はそういうふうに思っているわけですけれども、外国人労働者に関しましてはいろいろ、我々まだ素人ですが、外務省の考え、そしてまた労働省、そして人の出入りによっては法務省あたりでも大変頭を痛めておられますし、そしてまた自分は高齢者福祉ということでお年寄りのことを勉強させていただいておりますが、やはり行く行く、今西ドイツの話も出たわけですけれども、そういう状況に日本がなった場合は最終的には厚生省の社会保障というような問題にもなってくるわけですし、そういう面から考えまして、いろいろ複雑な気持ちにもなるわけですが、外国人労働者、特に中小企業の方では一生懸命働いてくれております。
 この退職金共済制度について、外国人労働者の中には、もちろん今問題になっております不法就労者もおるわけですが、雇用しておられる事業主にしてみれば、退職金も出してあげたいなという気持ちになる方も僕はたくさんいらっしゃると思うんです。労災保険については不法就労者も適用されるということはお伺いしておるんですが、外国人労働者もこの制度に加入できるかどうかということをお伺いしたいと思います。
#271
○政府委員(岡部晃三君) 中小企業退職金制度におきましては、外国人であるか否かによって加入について制限を設けているわけではございません。したがいまして、外国人であってもこの制度に加入をいたしまして、掛金を事業主が掛けていれば退職時に退職金を受け取ることは可能でございます。しかし、それが不法就労者であると判明したときに、この制度とは全然別に入管法上の問題がそこであり得ることは、またこれは別論でございます。
#272
○西川潔君 ありがとうございました。
 次に移らしていただきます。
 建設業、清酒製造業また林業の退職金制度では今証紙制度という方法がとられておりますが、労働者が働いたら賃金の支払いの都度事業主から手帳に証紙を張っていただくわけですが、私も手帳とこの証紙を見せていただきました。これはお一人お一人が就労日数ごとに張られるわけですが、実に手間がかかって大変だと思います。
 実はこちらの方に見本をいただいてまいりましたんですが、十日ごと、そしてまた一日一日張ってもらう。十と一というような単位で区分けされておるわけですけれども、ただいまは大変なカード化の時代になりました。カードイコール大変な問題も起こってきてはおりますが、この部分に関しましてはぜひカード化を図っていただきたいなと、こういうふうに思うわけです。失ったらとか汚したらとか、いろんなことも書いてあるんですけれども、ぜひ、こういうことに対しては本当に素人ですが、素人だけにこういうふうな皆さん方が考えられないような発想も浮かぶわけですけれども、何とかこういう、雨にぬれたり汚れたりということになりますと、双方が大変だと思うんですが、何とかこれをカード化にかえていただけるような案はございませんでしょうか。いかがでしょう。
#273
○政府委員(岡部晃三君) この証紙方式、これは制度発足以来伝統的に証紙方式でやってきておりますが、いかにも前近代的ではないか、今日的ではないというふうな御批判もちょうだいいたしておるところでございます。煩雑さということもこれまたたびたび御指摘をちょうだいしているところでございます。この証紙にかわり得るものとしてICカードを採用できないかどうかということにつきまして、これは今後研究課題でございます。実は内々既に研究が始まっております。ただ、これにつきましては、各事業所ごとにICカードに入力をする、あるいは内容を読み取るという機械をそれぞれ設けなきゃならぬ、それから各労働者個々人についての状況を把握するために事業主と中央とをオンラインで結ばなければならないとか、いろいろな問題がございまして、そういうようなコスト計算なんかも含めましていろいろと検討を続けておる段階でございます。
#274
○西川潔君 大変楽しみなお答えをいただきまして、ありがとうございます。高齢者の方々とおつき合いが多いもんですから、いろいろこういうお話も聞いてまいりまして、特に高齢者の方々がこの仕事に従事していらっしゃる方が多いようにも聞いておりますので、どうぞひとつよろしくお願い申し上げます。
 次に、少し視点を変えて質問さしていただきますが、高齢者雇用における中小企業の役割について、昭和六十二年五月に労働省が発表されました「人生八〇年時代の勤労者生活に関する調査・研究」によりますと、将来公的年金の支給開始年齢が六十五歳になったと仮定をいたしまして、この場合、従業員の六十歳から六十四歳層の雇用と生活保障について企業はどのように考えているかを調べられておられます。それによりますと、三百人未満の中小企業では、四割以上が雇用の維持は困難である、企業努力にも限界がある、貯蓄や個人年金等の従業員の自助努力によって生活を賄ってもらわないと困る、こういうことでございます。また、五千人以上の企業では二六・五パー。企業規模別の六十歳以上の高齢者の雇用状況を見ますと、昭和六十三年では、三十人未満の企業で五二・五パー、百人未満の企業までですと何と七〇パー以上になります。高齢者の多くが中小企業で働いておられるわけですが、特に私の地元大阪では零細企業が多いわけですが、そういうところにたくさんおられるということになりますと、福利厚生面でも大変、退職後の生活の不安もまた大きいということになります。高齢者雇用を進める上では中小企業の果たす役割は大きいと思います。中小企業の努力だけでは従業員の生活の向上を果たすということはまた難しいと思われます。
 大臣にお伺いしたいのですが、将来の高齢者雇用に向けての行政としてのバックアップ、代表者としてのお言葉をいただきたいんですが。
#275
○国務大臣(塚原俊平君) 先生の御指摘のとおり、中小企業では大企業に比べまして高齢者の比率が大変に高くなっております。労働条件を初めとして大企業との間に格差が見られるわけでございまして、高齢者の雇用対策を推進するに当たっては特に中小企業に重点を置いていかなければならないというふうに考えております。
 高齢者雇用関係の各種助成金につきましては、中小企業に対しましては助成率を高めるなど手厚い措置を講じてきているわけでございますが、今後ともさらに高齢者の雇用の実態を十分考慮いたしまして、雇用対策の推進をしてまいりたいというふうに考えております。
#276
○西川潔君 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、労災の方に移らしていただきます。諸先輩からもたくさん多岐にわたって質問が出ておりますので、重複するところはよろしくお願いいたします。
 まず、労災保険は不幸にして業務災害や通勤災害に被災した労働者やその遺族にとって極めて重要な制度であります。その充実は図るべきだと思うんですが、今回どのような経緯で、またどのような考え方で労災保険法が改正されるのかを改めてお伺いしたいと思います。
#277
○政府委員(野崎和昭君) 労災保険制度につきましては、これまでも数次の改正を行ってまいったわけでございますが、今回は一昨年の八月以来審議会におきまして制度全般について幅広く御検討いただきまして、約一年半経過後、昨年十二月に、一つは高齢化の進展等経済社会情勢の変化に対応し、またもう一つは一層公平、均衡を図る見地から、当面講ずべき措置について公労使各側委員全員一致の建議をいただいたところでございます。
 今回の法律改正は、この建議のうち法律改正を要する部分、すなわち具体的には、年金等のスライド要件の改善、それから長期療養者に対する給付制度の改善、それから農業の特別加入制度の改善を通じた強制適用事業の範囲の拡大の三点について改正案を作成し、御審議をお願いしているところでございます。
#278
○西川潔君 その中で私が特別にまたお伺いしたいのは、建議の中で今後引き続き検討すべきであるという項目で、「介護に係る補償のあり方、各種給付における被災時年齢等による不均衡の問題」等がございます。これについてはどう対処されるか、改めてお伺いします。
#279
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のとおり、建議におきましては「重度障害者等に対する介護に係る補償のあり方」、それから「各種給付における被災時年齢等による不均衡の問題」等につきましては「引き続き検討を進め、早期に結論を得るよう努めるべきもの」とされたところでございます。またそのほか「各種認定基準のあり方や医学的判断を必要とする事項についての認定体制のあり方」、あるいは「社会保険との調整のあり方」等についても引き続き検討を深めるものとされております。
 そこで、これらの問題、特に「早期に結論を得るよう努める」とされました問題につきましては、法案成立後なるべく早い機会に審議会をお開きいただきまして、今後の検討の進め方も含めまして御議論をいただき、労働省としてはその状況を踏まえて適切に対処していきたいと考えているところでございます。
#280
○西川潔君 通勤災害のことをお伺いしようと思いましたが、勝木先生が本当に細かくお伺いしていただきましたので、これは省略させていただきます。
 続いて、建議について「引き続き検討を進め、早期に結論を得るよう努めるべき」課題とされた事項の中に「重度障害者等に対する介護に係る補償のあり方」の問題がございますが、この介護の問題は、今後の高齢化の進展などを考えますと、労災保険制度の中でも重要な課題だと思われます。
 昭和六十一年の労災保険法改正の際の附帯決議では、「最近における高齢化の進展を踏まえ、高齢被災労働者の介護施策について、積極的に検討を進めること。」となっております。この検討の結果をお伺いいたし、そしてまた、先ほども先輩議員から出ましたが、労災特別介護施設の具体的な内容及びこれまでの建設の状況、もう一度僕個人お伺いしたいと思います。
#281
○政府委員(野崎和昭君) 介護の問題につきましては、御指摘のとおり、六十一年法改正の附帯決議でも指摘をされているところでございます。
 労働省といたしましては、この附帯決議を踏まえまして、高齢被災労働者に対する福祉援護事業についての調査研究を進めた結果、特に家庭内において介護者に恵まれない高齢重度被災者が今後増加するということで、そういった方のために労災特別介護施設を整備することが必要であると考えまして、その建設計画を推進しているところでございます。
 この施設につきましては、現在、千葉県四街道市、愛知県瀬戸市、熊本県宇土市の三施設が土地の購入等の予算措置が終わっているところでございまして、千葉県四街道市については来年度開設のめどで準備を進めているところでございます。
#282
○西川潔君 同じ答弁を本当に申しわけなく思いますが、どうしても自分でお伺いして納得がしたいものですから、恐縮に存じます。一軒でも、一施設でもたくさんふやしていただきますように、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 ことしの六月の一日に発表されました労働省のことし一月から四月までの死亡災害発生状況によりますと、労働災害死亡者は七百三十五人で、昨年より一〇・七パーの増加となっております。中でも五十歳以上の高齢者の死亡事故は三百五十人です。全体の四八パーにもなります。昨年の同じ時期より約二〇パーもふえておるわけですが、従業員九人未満の事業所での死亡者も二百七十四人と昨年よりはやはり二〇パーふえております。高齢者の死亡者が多いわけですが、私といたしましては、お年寄りのことをいろいろ勉強させていただいておりますが、これを見て大変心配に思います。この点につきまして、労働省は高齢者が死亡するということに対しましてどのように分析をし、またこれからどういうふうに対応していかれるのかお伺いします。
#283
○政府委員(野崎和昭君) 労働災害は全体として見ますと、昭和四十年代の後半以降減少傾向で推移しているわけでございますが、ただいま御指摘ございましたように、この数年景気の急上昇に伴いまして特に死亡災害については増加傾向にあるわけでございます。特に昭和六十三年度におきましては死亡災害が前年よりも八・八%も増加するというかつてない増加になりましたので、平成元年度におきましては、労働大臣を本部長とします緊急対策本部をつくりまして関係者一丸となって努力した結果、平成元年度は減らすことができたのでございますが、残念ながら本年に入りましてまた死亡災害が増加をしているという状況でございます。
 死亡者の中身を見てみますと、御指摘のとおり、一つは小零細企業で多発しております。もう一つは、高齢者の死亡者が非常に多いということでございます。そこで、高齢者が多いという原因でございますけれども、高齢になりますと加齢に伴い心身の機能が低下するというようなことが大きいのではないかというふうに思います。
 そこで、その対策といたしまして、いずれにせよ今後ますますそういった高齢者が、特に死亡災害の多い建設業等でふえるわけでございますので、高齢者でも安全に作業ができるように設備や作業方法等の安全性を高めるということを目的に関係者一同努力しようということで今やっているところでございます。
 それからもう一つ、高齢になりましても体力が衰えないというふうに若いときから心身を鍛えるということも大事かと思います。そういった点で、昭和六十三年に労働安全衛生法を改正いたしまして若いときからの健康づくり対策も進めようということで努力しているところでございます。
#284
○西川潔君 ありがとうございました。それにこしたことはないと思うんですけれども、なかなか現場を回らせていただきますと、大臣いかがですか、こういう答弁が出たのですけれども、お年寄りが災害に遭われる。今内容で把握する部分は僕も納得はさせていただいたのですけれども、そして、高齢者の自殺が多いというようなことに関してはいかがでしょう。
#285
○国務大臣(塚原俊平君) 自殺につきましては、具体的な数字等をちょっと把握しておりませんのであれでございますが、全体的に国の政策が十分行き届いているときは御高齢でも楽しい時代を過ごせるわけでございまして、少しでも高齢の方にしわ寄せがあるというような状況が、委員からも御指摘をいただきましたし、時々諸先生方から御指摘いただきますが、そういう状況があるということはまだまだ私どもがやらなければいけないことがたくさん残っているというような感じがいたしております。
#286
○西川潔君 ありがとうございました。
 次に、今年度予算にシニア・セーフティー・リーダーという制度を新たに設けられておられますが、どういう内容か御説明をお願いします。
#287
○政府委員(野崎和昭君) ただいまも申し上げましたとおり、小零細企業では大企業に比べまして労働災害が非常に多いわけでございますが、その原因としては経営基盤が弱い、特に安全衛生その他人事、労務を担当する人材がいないということが大きいかと思います。
 そこで、御指摘のシニア・セーフティー・リーダー制度と申しますのは、大企業を定年退職された方で在職中に安全衛生活動を推進されて経験豊かな方が大勢いらっしゃいますので、そういった方に中小企業の安全衛生推進者になっていただいて中小企業の安全衛生水準の向上を図っていただこうということで、そういう方をシニア・セーフティー・リーダーというふうに名づけておりますが、そういう候補者の方に対しまして中小企業の安全衛生管理の推進に必要な研修を行いまして、研修を終わった方については私どもの方で登録をし、必要な安全衛生推進者になるについて御紹介等を申し上げまして、推進者就任後も企業における活動について必要な援助等をするようにしようと、そういうことで平成二年度から設けることにしているものでございます。
#288
○西川潔君 ありがとうございました。本当にこのシニア・セーフティー・リーダーというのはすばらしい制度だと思います。こういう内容を読ませていただきますと、これは現場でけがをされたり、されるような方が随分少なくなるんではないかな、またこういうお仕事に従事される方も自分自身うれしいのではないかなと、すばらしい制度だと思います。どんどん伸ばしていっていただきたいと思います。
 さて、福祉施設で働く方々は少人数で大変な重労働をこなしておられるわけですが、肩が悪くなったり背中、腕の痛みを覚えて頚肩腕障害になったり、腕も上がらなくなるような状態の方も施設なんかに行ってもたくさんおられます。高齢社会に向けて、それを支えるマンパワーに対して健康面での対応は果たして十分なのか。先ほどからいろいろとお伺いをいたしておりますが、労災認定を受けておられる方々、またこうして施設や福祉現場における労働安全、これをトータル、最後に、労働大臣に総括していただいて、お年寄りの健康を守ろう、またそういう方々の健康を守らなければいけないと、従事していらっしゃる方々がみずからの健康を害してしまうというようなことも多々ございます。ひとつ総括して一言、大臣にお言葉をいただきたいと思います。
#289
○国務大臣(塚原俊平君) いわゆる疾病の性格上、これ業務上かそれ以外かという認定が大変に容易ではないので、迅速公正な認定を行うための認定基準を作成し、それに基づき作業内容、作業環境等を十分調査の上、業務上あるいはそれ以外の判断を行っているということでなかなかスムーズにいっていないんだということがあるわけでございますが、これはもうまさに今先生が御指摘になられましたように、実際に本当に第一線で問題の解決に当たっている方々であります。むろん福祉施設以外の職業病の方についてもそうでございますが、今後これらのいわゆる労災認定のことにつきましてはできるだけ早く、なおかつ公正に、それでよく最近使われる言葉でございますが、血の通った形できっちりと作業をしてまいりたいというふうに考えております。
#290
○西川潔君 見通しの明るい御答弁をいただいて本当にありがとうございます。余り日ごろからこちらの方の専門ではないというふうなお話を伺っておりますが、どうぞひとつ大臣も御努力いただきまして、前向きな姿勢で一つでも制度がよくなるようによろしくお願いを申し上げまして、終わります。
#291
○委員長(浜本万三君) 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。
 これより両案の討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#292
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して労働者災害補償保険法の一部改正案に反対の討論をいたします。
 私が本改正案に反対する主な理由は、長期療養者の休業補償給付の給付基礎日額に年齢別の最高限度額を設けることであります。最高限度額は六十歳から急減します。労働省は、最低限度適用者、すなわち休業補償の引き上げになる者の方が多いということを説明しております。
 しかし、私は最高限度額の適用により現実に給付額が低下することが明らかな労災被災労働者が多数いる以上、単純にバランス論では片づけるわけにはいきません。
 労働省はまた、限度額の設定は既に年金制度で実施されているものの適用と言いますが、単純に年金制度に適用されているから問題なしとするわけにはまいりません。なぜなら、労働基準法第七十六条は、休業補償について平均賃金の百分の六十の支払いを使用者に義務づけているからであります。最高限度額を休業補償に適用した場合、賃金の高い、例えばパイロットや医師等は六〇プロの水準を下回ることになり、労働基準法の空洞化につながり、これを認めることはできません。
 労災補償は、単なる社会保険ではなく、労災被災労働者とその家族への使用者の損害補償義務を保険給付化したものであります。
 年金や長期療養者への限度額を設定するなどということは、結局、財界や批判の強い労働基準法研究会報告の方向に沿ったものであり、スライド要件の緩和等を考慮いたしましても容認することはできません。
 以上で反対討論を終わります。
 次に、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
 私は、日本共産党を代表して、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 本制度は、独力で退職金制度を設けることが困難な中小企業に対して、事業主の相互共済の仕組みと国の援助によって退職金制度を確立するもので、中小企業で働く労働者にとってさらに拡充すべき制度であります。
 現行制度は、運用益六・九%を見込んで設計されていましたが、本改正案ではこれを五・五プロに引き下げ、余裕があったらプラスしましょうという制度に切りかえるもので、退職金支給額の引き下げになることは明らかであります。
 この付加退職金の導入により、労働者は最終的に幾らの退職金がもらえるのか不明であるばかりか、既加入者と新規加入者では掛金が同一でも受給金額が異なることとなるなど、複雑で平等の原則を欠くものになります。今でも中小企業の一三%しかこの制度には加入していませんが、現行より一層魅力に乏しい制度となるわけで、制度の縮小につながり、存続をも問われかねません。
 現行制度は常用労働者を対象としているため、一年未満掛け捨て、二年未満掛け損、四十三月未満は掛金相当額となっており、短期雇用者には極めて不利な制度となっています。パート労働者への適用拡大に当たって手直しが必要であり、また、パート労働者に対して掛金月額の特例を設けることは、パート労働者の退職金を低い位置に固定化することになるという批判も出ています。
 最近、金利がまた上昇傾向にあることを考慮いたしますならば、政府はまず資金運用の抜本的見直しや国庫負担の見直しなど、さらに慎重に検討すべきであり、今回のような拙速な改正に対して反対であります。
 以上で反対討論を終わります。
#293
○委員長(浜本万三君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次採決に入ります。
 まず、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#294
○委員長(浜本万三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、糸久八重子君から発言を求められておりますので、これを許します。糸久君。
#295
○糸久八重子君 私は、ただいま可決されました労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
 一、高齢化の進展を踏まえ、重度障害者等に対する介護に係る補償のあり方を含め被災労働者の介護施策について、積極的に検討を進めること。
 二、長期療養者に対する給付については、これまでの国会における審議の経過を踏まえ、個々の被災者の症状の推移に即し、主治医の意見を尊重して、適切に行うこと。
 三、治ゆ後の医療措置を対象とするアフターケア制度、社会復帰援護制度等の拡充等を図るとともに、職業安定機関、職業能力開発機関等との連携のもとに、被災労働者の早期社会復帰の促進に努めること。
 四、給付基礎日額の最低保障額を最近の賃金水準の上昇の推移にかんがみ早急に引き上げるとともに、引き続きその改善に努めること。また、各種給付における被災時年齢等による不均衡の問題については、年功賃金体系にない労働者や高齢者の問題に留意しつつ、引き続き検討を進めること。
 五、業務に起因する脳・心疾患による突然死を予防する観点から、業務との関連について医学的な調査・研究を進めるとともに、職場における健康管理施策及び労働時間の短縮を積極的に推進すること。また、脳・心疾患に係る突然死の業務上外の認定については、医学的知見の動向に十分注意を払いつつ、適切な運用に努めること。
 六、労働組合の一人専従役員については、特別加入できるよう検討を進めること。
 七、労働災害の防止、強制適用事業における未手続事業の解消、保険給付の認定・審査請求処理の迅速化等を図るため、関係職員の増員を含め行政体制の充実強化を図ること。
  右決議する。
 以上でございます。
#296
○委員長(浜本万三君) ただいま糸久君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#297
○委員長(浜本万三君) 全会一致と認めます。よって、糸久君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
 ただいまの決議に対し、塚原労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塚原労働大臣。
#298
○国務大臣(塚原俊平君) ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。
#299
○委員長(浜本万三君) 次に、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#300
○委員長(浜本万三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、小野清子君から発言を求められておりますので、これを許します。小野君。
#301
○小野清子君 私は、ただいま可決されました中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、中小企業と大企業との間の労働条件、労働福祉等の面での格差を縮小する必要があることにかんがみ、中小企業労働者の労働条件、労働福祉等の改善・充実のための施策を総合的に推進するとともに、本法律の施行に当たっては、高齢化社会における老後保障として、退職金制度が今後一層重要な役割を果すことに十分留意しつつ、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一、中小企業退職金共済制度の適用拡大を図るため、地方公共団体への協力要請、相談体制の整備等加入促進対策を積極的に推進すること。
 二、増大するパートタイマー等の労働条件及び生活実態を踏まえ、これらの労働者の中小企業退職金共済制度への加入促進対策を積極的に推進するとともに、制度の改善に関する研究を進めること。
 三、中小企業退職金共済制度の安定・充実のため、資産運用については、その安全の確保に留意しつつ、効率化を図ること。
 四、特定業種退職金共済制度についても加入促進策を強化し、掛金日額の改善を図るとともに、引き続き共済手帳の交付及び共済証紙の貼付の履行確保に心要な措置を講ずること。
  右決議する。
 以上でございます。
#302
○委員長(浜本万三君) ただいま小野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#303
○委員長(浜本万三君) 全会一致と認めます。よって、小野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、塚原労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塚原労働大臣。
#304
○国務大臣(塚原俊平君) ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存でございます。
#305
○委員長(浜本万三君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#306
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#307
○委員長(浜本万三君) 次に、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。塚原労働大臣。
#308
○国務大臣(塚原俊平君) ただいま議題となりました高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 現在、我が国は本格的な高齢化社会の到来を迎えつつあり、今後、労働力人口も急速に高齢化が進展し、二十一世紀初頭には労働力人口の四人に一人は五十五歳以上の高年齢者が占めるものと見込まれております。
 他方、高年齢者の雇用失業情勢は、全般的な雇用失業情勢の好転の中にあっても依然として厳しい状況にあり、今後の労働力人口の高齢化の進展等に伴い、ますます深刻化することが懸念されております。
 このような状況の中で、我が国の経済社会を豊かで活力ある社会とするためには、高年齢者の技能と経験の活用が不可欠となっており、その意欲と能力に応じた雇用機会の確保を図ることが極めて重要な国民的課題となっております。
 このため、政府としては、従来から六十歳定年の定着を基盤とした六十五歳程度までの継続雇用の推進を労働行政の最重要課題として取り組んできたところでありますが、今後は、六十五歳までの安定した雇用の確保を図る施策を一層積極的に推進していくことが求められているところであります。
 この問題につきましては、昨年十月以来の雇用審議会における検討の結果、本年三月に同審議会から答申をいただき、法的整備の方向が示されたところであります。
 政府といたしましては、この答申に沿って、六十五歳までの安定した雇用を確保する対策を推進するための法律案を作成し、中央職業安定審議会にお諮りした上、ここに提出した次第であります。
 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。
 第一に、労働大臣が高年齢者等職業安定対策基本方針を策定し、六十五歳までの高年齢者の雇用機会の増大の目標や事業主が行うべき条件整備のための指針等を定めることとしております。
 第二に、六十歳以上六十五歳未満の定年到達者が定年後も同一の事業主に雇用されることを希望するときは、当該事業主は、諸条件の整備等を行ってもなおその者の能力に応じた雇用機会を確保することが著しく困難である場合を除き、その者が六十五歳に達するまでの間雇用するように努めなければならないものとすることとしております。
 第三に、公共職業安定所長は、定年到達者の安定した雇用の確保を図るため必要と認めるときは、事業主に対し、諸条件の整備等の実施に関して必要な勧告をすることができることとしております。
 なお、この法律は、本年十月一日から施行することといたしております。
 以上、この法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#309
○委員長(浜本万三君) この際、本案の衆議院における修正部分について、衆議院社会労働委員長代理理事持永和見君から説明を聴取いたします。持永君。
#310
○衆議院議員(持永和見君) 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、第一に、事業主は、毎年一回、労働省令で定めるところにより、定年に関する制度の状況その他高年齢者の雇用に関する状況を労働大臣に報告しなければならないものとすること。
 第二に、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、改正後の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、同法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#311
○委員長(浜本万三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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