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1990/06/21 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 社会労働委員会 第10号
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1990/06/21 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 社会労働委員会 第10号

#1
第118回国会 社会労働委員会 第10号
平成二年六月二十一日(木曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜本 万三君
    理 事
                小野 清子君
                前島英三郎君
                糸久八重子君
                高桑 栄松君
    委 員
                尾辻 秀久君
                木暮 山人君
                佐々木 満君
                清水嘉与子君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                西田 吉宏君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                深田  肇君
                堀  利和君
                木庭健太郎君
                沓脱タケ子君
                乾  晴美君
                勝木 健司君
                西川  潔君
   衆議院議員
       社会労働委員長  畑 英次郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  津島 雄二君
       労 働 大 臣  塚原 俊平君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     加藤 栄一君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       仲村 英一君
       厚生省社会局長  長尾 立子君
       厚生省児童家庭
       局長       古川貞二郎君
       労働大臣官房長  若林 之矩君
       労働省労政局長  岡部 晃三君
       労働省労政局勤
       労者福祉部長   松本 邦宏君
       労働省婦人局長  佐藤ギン子君
       労働省職業安定
       局長       清水 傳雄君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部長     七瀬 時雄君
       労働省職業能力
       開発局長     甘粕 啓介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       経済企画庁総合
       計画局計画官   藤森 泰明君
       大蔵省主計局主
       計官       斎藤 徹郎君
       労働省労働基準
       局賃金時間部長  井上 文彦君
       建設省住宅局住
      宅建設課長     梅野捷一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○老人福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○優生保護法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず、高齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○深田肇君 おはようございます。
 きょうは、いただきました時間が五十分でありますので、少し労働省の皆さんと意見交換をさせていただきたいというふうに思います。
 高年齢者の雇用の安定に関しての施策に関連をしていろいろと御質問をいたしたいと思いますが、大変初歩的な質問で恐縮ですけれども、今使われております定年とか定年制というものについての労働省のこれに対する定義といいますか位置づけはどういうものなのでしょうか。昔の文献によりますと、停年、いわゆる車がとまる停年という言葉もあったようでありますが、それを現在の年を定める定年制に変わってきた経過などを含めて、労働省側の見解や解釈の御説明をまずいただいておきたいというふうに思います。
 と申しますのは、定年制ということについて、働く者の側からとりますと、その年まで働けるという権利だとか、一定の区切りが来ますと退職金をもらってやめていける、会社側からいいますと恩恵処置だとかという意味もあろうかと思いますし、また逆に、その年が来たら解雇できるというような意味で、定年によって解雇というようなぐあいの悪い面もありますし、などなどについて、現在はどういうふうにこのことを考えたらいいかについて、まずお答えをいただきたいと思います。
#4
○政府委員(清水傳雄君) 定年は、確かに定める年、以前はとめる年、こういう表記がされておったようでございますが、率直に申しまして、とめる年から定める年になった、これは言葉の使い方としてよりわかりやすさというふうな意味合いのものであろうかと思うわけでございますけれども、定年制の持つ意味合いを私どもなりに整理させていただきますと、一つは、定年年齢に到達したことを理由に自動的に雇用契約を終了させる、こういう個別契約上のものであるというふうに理解をいたしておるわけでございますが、二つ目には、そうしたことの反面、定年年齢までは特段の理由がない限り雇用が保障される、言うなれば勤労者に対して安定した収入の機会を長期的に提供する役割をも果たしている、このように理解をいたしておるわけでございまして、そうした意味合いから、労働省といたしましては、高年齢者雇用安定法に基づきまして、六十歳定年の定着のための行政指導を強力に推進をしてまいってきているところでございます。
#5
○深田肇君 今、お言葉の中で出ましたように、反面、働く者の側にとってはそのことが保障されるというふうに御指摘があったわけですが、そこは私の見解とは逆であって、むしろ定年制をつくるべきだという考え方は、働く意欲があって健康である限り、ちゃんと働く場が保障されているというような意味のことを実は強調いたしたいわけでありまして、そのことを申し上げながら、きょうは、その流れで全般的に少し意見を申し上げながら御質問してみたいというように思います。
 次の項目に入りますが、いわゆる完全失業率という言葉があるのでありますけれども、これはどういうふうに私どもは正確に理解をしたらいいのか、そしてその完全失業率というデータがたくさん出ておりますが、これの計算の方法についてお聞かせをいただきたいと思います。
 関連をして、最も失業率の高い職種というのはどういう職種にあらわれるのでしょうか。そしてまた、逆に完全失業率の最も低い職種はどういうものだというふうにデータは出ますか。
 そのまた関連いたしまして、今度は逆に求人率、人を求める側の高い率というのはどういう職種があって、人を求める率が大変低い職種はどういうものだというふうに考えればいいんでしょうか。これをまず御説明いただきたいと思います。
#6
○政府委員(七瀬時雄君) 完全失業率の定義でございますけれども、就業を希望する方々を分母にいたしまして、これに対しまして、求職をしながら就業していない人を分子にいたしまして出したものが完全失業率でございます。なお、失業率につきましては、業種別、産業別に出すことはいたしておりません。
#7
○深田肇君 ちょっと最後聞こえなかったけれども、そのデータとっておりませんと、こうおっしゃったんですか、今。これはなぜとらないんですか。とれないんですか、とらないんですか。
#8
○政府委員(清水傳雄君) 完全失業率の調査は、これは総務庁の統計局の労働力調査という調査でやっておるところでございまして、これまたかなり膨大な調査になっておりますが、労働省といたしましては、そうした何といいますか、いわゆる国勢調査的な人口というふうなものに着目した、国民全体を対象とする、そういうふうな性格の調査というふうに承知をいたしておるところでございます。そこで産業別なり職業別の状況は労働力調査からは出てきていない、こういうことでございます。
#9
○深田肇君 時間の関係ありますから、同じことやってもしようがありませんから、私大変これ重要な将来データになるだろうということも感じております、特に日本の産業構造を分析するときに。ということを申し上げておきたいというふうに思います。まあ労働省でなくてほかの所管局があるのかもわかりませんけれども、我々はできないことですから、政府がそれをやってもらいたいというふうにお願いをしておきたいんであります。
 そこで、計算の方法は、就業希望者を分母に置くとおっしゃったが、就業希望者の数をとるのはどうやってとっているんですか。――もう一遍言いますよ。完全失業率をどうやって計算しますかと聞いたら、就業希望者を分母にするとおっしゃったが、就業希望者の数はどうやって把握されるんですか。これによってえらい数字違ってくるでしょう。希望者数はどうやって当たるんですか。
#10
○政府委員(清水傳雄君) ちょっと手元に労働力調査のいろんな定義のものを持ち合わせておりませんが、私の理解しておりますところによりますと、これはサンプル調査で行っておるわけでございますけれども、全体の世帯に戸別に調査員が回られまして、全体の生産年齢人口があり、その中で就業をする意思のある、そういうふうな方々を労働力人口というふうな形で把握をいたしまして、そうした中で一定期間に就業した実績のある方が現実に就業しておられる方と、こういうふうな形で把握をされまして、そうした働きたいという気持ちを持っているけれども現実に就労されていない、そういう方々が失業者と、こういうふうな形で把握をされているものと承知をいたしております。
#11
○深田肇君 これをやりとりすることが目的でありませんから、次へ進めたいと思いますけれども、いずれにせよ完全失業率というのは、雇用問題との関係では大変重要な問題ですから、データのとり方や、それからまた分析の仕方というのが立場立場があったり、それからやり方があったり方程式が違ったり、たくさんのものがあると思いますので、よりより正確なものができることが大事だということを指摘の中で申し上げて、御承知のことでしょうけれども、よろしくお願いをいたしておきたいと思います。
 冒頭お断りすべきであったかもしれませんが、昨日わざわざ労働省の方からお越しいただきました。一定の質問項目申し上げたけれども、細かいことを申し上げなかったので、若干行き違いあるかもしれませんが、御勘弁いただきたいと思いますが、申し上げたとおり、ひらめきましたことをそのまましゃべりますので、御了承いただいておきたいというふうに思います。
 その次に、六十歳を高年齢者と考えまして、労働省の分析によりますと、六十歳の高年齢者のいわゆる求人倍率の方が〇・二一、それから失業率が四・二なんですね。それで年齢関係なく全体の方から言うと失業率の方は二・三で、今申し上げたように六十歳は四・二。これはもう明らかなように、六十歳の高年齢者の方にいきますと大変に求人倍率も低いし、逆に失業率は高い、こういうふうになるんでありますが、この理由は何だと考えますか。
#12
○政府委員(七瀬時雄君) 高年齢者、六十歳代の雇用が非常に厳しい、失業率で見ましても、あるいは求人倍率で見ても厳しいということは御指摘のとおりでございます。
 その中の一つには、企業の若年志向という問題もあろうかと思いますし、また高年齢者を取り巻く雇用環境あるいは高年齢者がやはり加齢に伴って能力の低下する部分も正直言ってあるわけでございますが、そういったものに対する補完措置を設けるとか、そういった高齢者を取り巻く雇用環境の条件整備がまだ十分でない、こういった面もあろうかと承知いたしております。
#13
○深田肇君 ちょっと私は意見を少し違いを持っておりますけれども、まあそれはそれとしまして、次へ行きましょう。
 その次に、いわゆる六十歳、これからの高年齢というのは大体六十歳中心で考えますので、私の質問は六十歳というふうに考えてもらっていいんでありますが、その六十歳の方々の就業希望、これはいろいろなアンケートや調査をされているようでありますが、労働省から私たちに事前にいただいた就労の意向という項目があって、丸い絵がありまして、できるだけ長く仕事をしたいのが幾らだとか、それから六十五歳ぐらいまでは仕事をしたいとかというようなことで書いておられて、逆に今度は六十歳以降は仕事をしたくないというのが幾らあるとかというふうに書いておられるのですが、そのデータ以外に僕はもっといろんな関係のところでデータがあるだろうと思うんです。
 私がたまたま見たデータによりますと、この就業を求める側の理由の一番大きいトップは、やはり六十歳になっても、これは定年であるかないか別にしても、六十歳以降も経済上の理由で、生活が大変だし、はっきり言えばローンも残っているし、それから六十歳で現在もらうことになっている年金も額が少ないし、物価なり生活とのアンバランスもあるし、などなど含めて男性の七七・九%はその理由で働かざるを得ない。女性は六八・三%がその理由で働きたいんだと、こういうデータが出ているので、労働省が我々に配られた就労の意向というものとは大分数字が違うと思います。
 そこは、これまたとり方なり質問項目なり、いろんなことがあろうかと思いますけれども、いずれにしても私は高齢者のこれから就業していこうという場合の理由は、こういう理由が大きいんじゃないか、こういうふうに思うんですが、こういう見方はいかがですか。まずちょっと簡単に意見を聞かしておいてください。
#14
○政府委員(七瀬時雄君) ただいま御指摘の高齢者の就業理由でございますけれども、例えば昭和六十三年六月に労働省が実施いたしました高年齢者就業実態調査によりますと、男子の高年齢者の就業理由として、「自分と家族の生活維持」のためなど「経済上の理由」を挙げる者が八四・五%、それから六十歳代前半層では七七・九%、先生御指摘のとおりでございまして、やはり率直に申しまして経済上の理由で働くという方が多いだろうと思っております。ただ、これにあわせまして「健康上の理由」とか、あるいは「社会参加」といった理由を挙げる方もかなりいると、こういうふうに状況を把握いたしております。
#15
○深田肇君 後二言必ずつけられるわけでありますが、社会参加はまあそれなりの意味があると思いますけれども、健康のために働きたいというのは、それはゴルフやるのも、それから町を走るのも健康のためということあるんだけれども、働きながらお金を稼げるということですから、むしろ足してもらうんなら経済上の理由で働きたい方へ足せばいいんですよ。それをわざわざ別に引っ張り出して、経済上の理由だけで働くんではないことを強調するためにそのデータを挙げるということに私は物の見方が違うだろうというふうに思います。もちろん健康のために働くということが、年齢的な問題で脳の関係含めて大事なことはそれなりに知っておりますけれども、私はこの際雇用の問題考えるときには、むしろ積極的に今の社会情勢の中で働かなきゃならないという感じを持っている方に物事の焦点を合わした方がいいんではないかということをこれは申し上げておきたいと思います。
 次に、定年制のこれから本題に入っていくわけでありますが、定年制をしいておられる企業の数でありますけれども、いわゆる六十歳のところはいただいた調査室の資料に基づくところの百三十六ページあたりに表がありまして、六十歳で五七・六%、現在定年制がしかれているということが出ております。そこで、同じページの中で企業の中の三十人から九十九人、いわゆる百人以下のところの六十歳は五六・四ということで、言うならば大手よりも中小企業にいくほど現在の定年制をしいている企業は少ない、こうなります。
 そこで、十人からデータがないんですけれども、あえて言えば一、二、三、四、五段階ありますから、六段階を仮に十人から二十九人までですか、それから一人から九人までですか、こういうふうに六段階、七段階というふうに定年制をしいている企業はどうなのかという調査資料はこれにはないんですけれども、労働省お持ちですか。もしないんであれば、それはとれないんですか、それともとる必要はないとお考えなんですか。いかがですか。
#16
○政府委員(七瀬時雄君) 三十人未満の企業における定年制の状況は労働省としては調査いたしておりません。これは雇用管理調査という調査の中で定年制の状況等を調べているわけでございますけれども、企業規模の小さいところにそういう詳細な調査表でお願いするということはいろいろ小規模に対する負担その他の問題もあって調査をいたしておらないわけでございます。ただ、例えば全国中小企業団体中央会などそういう経済団体で調査した例はございまして、そういう数字は私どもとして承知いたしているところでございます。
#17
○深田肇君 調査をしておられないというのは、お話によると中小企業ですか、特に小企業の負担が多いからとおっしゃるんだけれども、これは負担がない方法を考えてもらって、何が負担であるかということについては、それはいろんなやり方があろうと思います。時間がありませんから、私見を申し上げることもないと思いますけれども、その負担を少なくするなりかけないような方法をより考えながら、ひとつデータをお持ちいただいて、そこで働いている労働者がどうなのか、高年齢者がどういう待遇を受けているのかということが、私は今の社会の中で一番しわ寄せがいっているとするならばそこだろうと思いますから、ぜひひとつ施策をつくるときに、反映するときにその視点を持ってもらいたいということを申し上げておきたいんであります。
 そこで、ちょっとこれはもうデータがないとおっしゃるから、労働省これ以上言えないのかもしれませんが、中小企業の下へ下へいくほど、小さな企業にいけばいくほど、定年制というものはしかれていないと考えていいですか、それともそれはそれなりにやっているというふうに見るべきですか、これが一つ。
 それから、十人前後の企業で働いている六十歳の方々はどのぐらいの数今いらっしゃるというふうに、何か表がありますか。これはきょうなけりやなくていいんですが、私は相当数いるだろうということを言いたくて、そこに向けて労働行政の目が向くことが大事だというために言うんですけれども、ちょっとその辺について、時間の関係もありますから長いお話は要りませんから、簡単に御説明いただければありがたいと思います。
#18
○政府委員(七瀬時雄君) 小規模企業における定年制の状況でございますけれども、定年制というのは、先ほど局長が答弁いたしましたように、一定の年齢で自動的に雇用を終了する効果と、反面一定の年齢まで雇用を保障するといったような機能を持つわけでございまして、そういった意味ではある程度の企業規模以上で集団的に労務管理あるいは労使関係を持つ企業でより有効に機能するという、そういう一面があるのではないかと考えるわけでございます。
 そういった意味で、先ほど申し上げました中央会の調査によりまして定年制を設けている企業の割合を見ますと、例えば一人から九人の小規模事業所では三〇・三%、あるいは十人から二十九人規模になりますと七〇%ということになっておりまして、三十人以上あるいは百人以上の企業に比べますと定年制を採用している割合というのは相当低い状況になっているわけでございます。ただ、私どもといたしましては、そうは申しましても、定年制を採用する以上は六十歳を下回らない年齢にすべきである、その基本的な考え方は小規模企業でも同じでございますので、集団指導その他の場を通じて、定年を設ける以上は六十歳以上と、こういう基本姿勢で臨んでまいりたい、このように考えております。
 それから、現実に高年齢者を雇用しているという割合、ただいまちょっと手元に数字を持っておりませんけれども、規模が小さくなればなるほど高年齢者を雇用している割合が高いということはそのとおりでございまして、そういった意味で高年齢者の雇用対策を考えていく上で小規模企業を含めた中小企業というものにウエートを置いた行政姿勢をとっていかなければならないということは常に肝に銘じているところでございます。
#19
○政府委員(若林之矩君) ただいま小零細企業に雇用されている労働者の数についてのお尋ねでございますが、非農林業の雇用者、これは全部でございますけれども、平成元年の労働力調査で四千六百四十八万人でございますけれども、このうち一人から二十九人までが千五百五十万でございまして、さらにもう少し細かく申し上げますと、一人から四人までの企業で働いている雇用者の数が三百五十七万、五人から二十九人規模のところで千百九十四万、こういう数字でございます。
#20
○深田肇君 ありがとうございました。
 まあ直観的に申し上げて大変小企業といいますか、零細企業における高年齢者の働いている現状、そして一定の役割を果たしていることはお互いに認識できるということになりますと、そこに対して労働行政の目を向けてもらうということが大変大事なんではないかというふうに感じています。そういうふうにまた労働省のお言葉もあったわけであります。
 そこで、ちょっと気になるからもう一遍質問しておきたいんですけれども、定年制を設ける以上は六十歳とおっしゃったのは、現実的に労使関係があるところは大体スムーズにいっている。三人とか五人の労使関係というようなことは余りなくてもいいと思うし、むしろそこは中小企業の事業主も働くメンバーも一緒にして、労働行政として対応した方がいいだろうという個人見解を申し上げた上で、労使関係というのを一定程度労働組合が存在したり、それからそれに準ずるような労使関係が存在するということを前提に考えているんでしょうから、そうでなくてもいいことを含めてまさにいわゆる零細なり小さな企業におけるところの場合でも、私は定年制の問題やそれに匹敵するような社会保障の問題等々を精神的には大変大事にせにゃいかぬだろうと思いますから、その立場から思いますと、定年制を設ける以上六十歳をと、こうおっしゃったけれども、設ける以上じゃなくて設けるようにやらにゃいかぬということの積極性ですか、それともその辺はいろんな問題があるからなかなか零細企業の場合六十歳定年をやれやれと言うのは無理があると、もう今お答えが出ているんですか、いかがですか。
#21
○政府委員(七瀬時雄君) 高年齢者雇用安定法の基本的な考え方といたしまして、定年を設ける場合には六十歳を下回らないようにするものとするということになっておりますので、定年を設けるかどうかについてはやはり労使間でお決めになることである、こういう基本認識でございます。
#22
○深田肇君 そういう御答弁はお互いに知った上の話なんですけれども、ひとつ行政指導としてはぜひこの際六十歳定年が最低限貫徹できるようにお願いをしておきたいとこのところでは申し上げておきたいと思います。
 次に進めます。そのような本当に短いやりとりでありますけれども、せんだって労働省の皆さんからお話を聞いたり、そしてまたきょう若干やりとりをさしてもらったところから私なりに感じますことは、六十歳の完全失業率というのは大変高い、それから人を求める側の求人率は大変低い、こういう状況を直観的に感じます。そして、六十歳の定年制というのはデータでも明らかなように、完全にまだまだできてなくて大変少ないということも言える。しかも小規模にいけばいくほど大変難しい問題がそこに山積されているということが言えるんではないかと思います。
 それから、きょうはもう質問しなくても、皆さんの方のデータで出ておりましたから申し上げなかったんでありますが、大企業、大手の企業は六十歳定年は八六・四%までできている、まあまあこれでマルなんでしょうが、しかし、現実は五十五歳ぐらいから六十歳までの間の大手企業の定年制がある中においても、それが出向という形によって選択制を選ばれるとか、それからいわゆる窓際族という言葉があったり肩たたきがあったり早期の、いわゆる優遇することによって退職を勧めるとかいうのがあって、六十歳定年というのは現実には制度としてあるけれども、大変形骸化しているだろうということもお互いにわかるわけですから、完全定年制ということになるとまだまだ不十分なことが大手の場合でも言えるということも感じます。
 そういうふうにいろいろ考えていきながら、最初に申し上げたように六十歳の高齢者の方々が、これから大部分の方々は経済的理由などを中心にして生活面から働かなきゃならないんだ、したがって働きたいんだ、こういうふうなことを考えているというふうにきょうのやりとりでも直観的に感じます。
 こういうふうに考えてまいりますと、考え方によっては、自然現象として高齢化社会がどんどん進んでくるわけですね、到来してくるわけですから。そういう自然現象としての高齢化社会が到来してくる状況の中における高齢者の方々の将来の生活設計というのは大変深刻になるだろうというふうに思います。その点は労働省の方の見解にもはっきり出ているわけですから、その深刻な状況をどういうふうに解決していくかということが今後の課題だと思います。
 そこで、ちょっと大臣にお尋ねしておきたいと思うんですが、そういったことを解決するのは、たくさんのことをやっておられた上で今回はこの法律改正を出しておられるんだからとおっしゃるかもわからぬけれども、私は抜本的に日本の産業構造を一遍洗ってみるとか、それから日本における労使関係を抜本的に洗ってみて、これに対する改革をちゃんとやらなければいかぬだろうと思います。どうもそっちの方よりも、今回の提案された趣旨説明を中心に読みますと、例えば、我が国の経済社会を豊かで活動的な社会とするためには高年齢者の技能だとか経験の活用が不可欠である、その意欲と能力を基礎にした雇用機会をどんどん与えて、そして仕事ができるようにすることを、安定をさせることが国民的課題であるというふうに導入部分には書いておられるし、それからそのためには六十歳の定年を定着させなければいかぬし、今後は六十五歳までの安定した雇用を考えなきゃならない、こういうふうになるわけであります。
 私は、きょうちょっと違った角度から御質問申し上げているんでありますが、文化大国をこの日本で建設していこうということを考えたり、文化的で健康な生活を求めよう、これが人間社会である、これが日本のすばらしい豊かな社会である、こういったものを創造していこうではないかというふうに考えたときに、この法案を、もちろん賛否を今の段階で言うところじゃないんでありますけれども、どうも法案だけで感じますと、今日的な今申し上げたような諸課題との関係でいえば、完全雇用の問題を強調するために定年制を完全実施しよう、しかし定年制を求める側の気持ちはこんな気持ちだ、こんな理由だ、こんなようなことを考えますと、私は、もう少し全体的な労働行政を洗って改革することが大変大事なんじゃないか、その中における定年制問題ということの位置づけをやってもらうことが必要なんではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか、私はそういうふうに思いますが。
#23
○国務大臣(塚原俊平君) これから国を取り巻く環境というものも大変大きく変わってまいると思いますし、また一つ一つの企業の体質とか、あるいはそれぞれの生産に要する手段というものも、果たしてどれぐらいの人間が必要になるか、あるいは機械がどれぐらい入ってくるのかというようなこともこれからいろんな形のものが考えられると思います。また、ただいま先生が御指摘になられましたような、日本の国がこれからさらにゆとりを持った、また文化の香り高い国になっていくためにはまたそれなりの施策というものもこれから必要になってくると思います。大変に重要な勉強をしていかなければいけない一つ一つ課題であるというふうに今お伺いをさしていただきました。
 ただ、極めて当面の問題といたしまして、人手が大変に不足をしている。そういった中で、ただいま先生のまことにずばりの御指摘があった。高齢者を何でみんな余り雇いたがらないんだというのは、これは一番大切な部分でありまして、ただどうしてもこれからの少なくとも見通しの中では、ある程度の人手不足感が感じられるという中で、高齢者の方々に対していま一度頑張っていただかなければいけない。また、頑張りやすい環境を私どもつくっていかなくちゃいけないというようなところもあるかと思います。
 そういったことでありますので、何とかこの法律をまず御可決をいただきまして、それに基づきました一つ一つの施策を当面の課題として精いっぱい取り組んでまいりたいというふうに考えております。ますます今後ともの御指導をよろしくお願いいたします。
#24
○深田肇君 大臣お話がありましたように、そう思うんですよ。したがって、いろんなことも申し上げましたけれども、これからひとつ具体的な問題に入っていきたいと思います。
 六十歳までの働く側からいいますと、働きたい意思があるし働く権利もある。働くことは義務だという意見もあるけれども、私などは働く権利を我々が持っているんだと、そのことは保障されなきゃならない、こう考えますから、その意味では定年制の位置づけなりお互いの見解を交換さしてもらいましたけれども、今の段階で六十歳なり六十五歳までちゃんと働けるんだということが保障されることが大変大事だと、そのことは一定の見解が一致したわけでありますが、文化的な国をつくるために大事なことだというふうに思うわけです。
 そういうことを申し上げた上で、一九八六年、昭和では六十一年ですか、社労委の附帯決議の中にこういった問題が確認されておるわけでありますが、八六年以降今日までの行政指導の成果はどういうふうに上がっているのかなどについて具体的にお聞かせいただきたい。わずか二、三年のことでありますから、大変僕はスピードは遅いんだろうと思うんですね。先輩たちに聞くと、十年ぐらいさかのぼってみても定年制なんてものはほとんど進んでないよという意見までおっしゃる先輩もいらっしゃる。そういうことになると、これから果たして高齢化社会が急スピードで進んでいるというふうに言われている状況の中で間に合うんですかと、間に合わないからと強制でばんばんやっていいのかどうかということが前段の意見交換の中で出てくるわけでありますから、そういう状況の中で附帯決議というものは行政指導でどういう成果が上がっているんだろうかということをひとつお聞かせいただきたい。
 二つ目は、これは一九九〇年、平成二年ですか、中央職業安定審議会の答申の中で、一言だけ読み上げますと、「原案で止むを得ないものと認める。」と、「止むを得ない」というんですね。物すごく積極策を言っているのか言っていないのかわかりませんが、「原案で止むを得ないものと認める。」、こうくだりがありまして、それに加えてそのときの労働者側の方は全員で意見書を出している。この意見書について労働省はどういうふうに評価をしておられるのか。どういうふうに取り入れていこうとしているのかについて、二つ目御説明いただきたいというふうに思います。
 時間がありませんから全部先にやっちゃいますが、その次に、これはもう可決された問題じゃないらしいんですが、一九八二年、昭和で言うと五十七年ですか、社会党と公明党と民社党と共産党などが提出をした議案があって、審議未了で終わっているようですが、定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案というのを出しているんですね。そのときの提案理由なんか読みますと、五年前にだから一九八二年に五年前というんですから七〇何年になりますが、その五年前に国会で決議をしているにもかかわらず、今日六十歳未満の定年の企業が多くて大企業でも五十五歳ばかりじゃないかということを一九八二年に社公民共で提出をしているということなどを見ますと、そのことが審議されたり決まったわけではないけれども、労働省としては十分御承知のことなんだから、これを含めて大変スピードが遅いんではないか。定年制を何とかしなきゃいかぬということを前提として考えてそういうふうに感じますが、いかがなものですか。
 もう時間の関係もありますから余りしゃべらないんですが、定年の対象などの制限の項目とか雇い入れの拒否の制限だとかというようなことまで、ちゃんと俗に言う野党なり労働者側は提案をしているということを知るんですが、これについての少し、一、二、三、三つについての御説明をいただきたいと思います。
#25
○政府委員(七瀬時雄君) まず最初に、六十歳定年の普及に対する進捗状況あるいは行政指導の状況でございますけれども、昭和四十九年という時点をとってみますと、六十歳以上定年が三五・四%だったわけでございますが、それが現在では、平成元年で六一・九%になっておりますし、また六十歳定年を既に決定した、あるいは予定しているものを含めますと七九・三%になっているわけでございまして、私ども当初昭和六十年六十歳定年の一般化ということで行政指導を進め、さらに昭和六十一年に高年齢者雇用安定法に六十歳定年の努力義務を入れることによりまして六十歳定年は着々と進んできているんではないかというふうに思っております。
 ちなみに、昭和六十一年の高年齢者雇用安定法の成立の際の附帯決議におきまして、定年引き上げのための行政措置を講ずるに当たっては十分効果的な運用を図るべきであると、こういうことが院の決議としてなされたわけでございますが、その後私どもといたしましては、高年齢者雇用安定法に基づく行政措置、特に定年の引き上げの要請あるいは計画作成命令と、こういった行政措置を発動してきているわけでございますが、六十一年以降、約一万六千社に定年の引き上げの要請をいたしまして、そのうちの三分の二の一万余りの企業において六十歳定年が実現していると、こういう形で行政措置の効果も十分上がっているのではないかというふうに思っております。
 ただ、今後の問題といたしまして、六十歳定年というものが本当に社会的な規範となっていくようにするために、さらに完全定着のために行政指導あるいは法に基づく行政措置の発動を徹底してまいらなければならないと、こういうふうに思っているわけでございます。
 次に、先生からお話のございました中央職業安定審議会における審議経過で原案でやむを得ないと、こういうことがあったわけでございますけれども、これは六十歳定年をどういうふうにするかということについて雇用審議会あるいは中央職業安定審議会においていろいろな意見がございまして、より実効ある強行規定というような御議論も労働側の委員の方々から出た経緯も承知いたしておりますが、結論といたしまして、雇用審議会の答申の中で、国、労働大臣の定める基本方針の中に六十歳定年の完全定着の目標を定め、その目標に向かって努力をしていこうと、こういうことで雇用審議会の答申がなされたわけでございますが、中央職業安定審議会の審議の段階で、労働側の委員の方々がそれぞれの方々の共通の基本認識としてこういう考え方があるということで意見を添えられたものであると、こういうふうに認識いたしております。
#26
○深田肇君 もう時間がありませんので、今のお話は伺った上で、ちょっと別の話を最後にいたしておきたいというふうに思います。
 大臣にちょっと最初に伺いたいんですけれども、ここにも新聞があるんですが、一九八七年、昭和で六十二年、新聞に大きな見出しです。「高齢者に冷たい職安」、こういう見出しです。そして「総務庁、きょう改善勧告」という見出しですね。そのあと、今度はほかの新聞だけれども、「高齢者雇用 進める体制を 本質突かぬ総務庁の職安監察勧告」、本質を突いてない総務庁の職安監察勧告と言って、またわざわざ投稿されているのが大きくこれだけ新聞に載っているんですが、この勧告については大臣は新しく就任されたわけですけれども、引き継ぎをされて状況を把握されていますか。
#27
○国務大臣(塚原俊平君) 恥ずかしながら、先生からの御質問通告をいただきまして、現在、今は把握しておりますけれども、けさ把握したという段階でございます。
#28
○深田肇君 労働省の方は御存じだったらしいんで、それなりのいろいろ対応をされているんでしょうけれども、時間の関係もありますから、私は一方的にしゃべらせてもらって、あとはここでやりとりしなくったって幾らでも機会もありましょうし、労働省の御配慮をいただければいいんだというふうに思います。
 私は、最初いろいろ御質問申し上げたかったのは、この勧告の内容はどんなものかと、その勧告を受けて先ほど来出ているような附帯決議との絡みを含めてどういうふうに現在労働省が進めておられるか。それから、職安の方でどういうふうにやっておられるかということなどを伺いたかったわけでありますが、私はむしろ労働省で働いている一職員がいわゆる新聞に「論壇」という項目にきちんと名前入りで、写真入りで投稿されている文章に大変説得性があると思います。読んでみて思いました。
 したがって、勧告の方は正式に膨大な資料もありますし、それは労働省内部で十分討議されて、これからまた大臣も研究されて、よりよりやっていただきたいんでありますが、私はこのことで感じますことは、高齢者の方々に対するいわゆる「冷たい職安」という見出しがついて、それはその新聞社がそういう見方をしているのかどうかと、すっと文章を読んでみますと、監察した結果、これでは高齢者の方々は職安へ行っても仕事もなかなかつけないし、冷たいからなかなか高齢者の人も足が運びにくい、言うなら、職安は相手にならぬから、リクルートとはあえて言いませんけれども、何かそういう就職の情報誌を読んで仕事を探そうかというようなことになっている、職安しっかりしろというふうなことなんですね、一言で言えば。
 それに対して、働いている労働者の方が出されたものを一々読みますと、一、二、三、四、五ぐらいぱっと拾いますから。簡単に言いますと、職安の窓口に座っていて、次々と失業者の生み出される構造に悲鳴を上げたくなります。私もそう思います。それから、高年齢者が真っ先に雇用調整の対象になっている現状も実感されると、わかっておられるんですね。そして、しかしながら、五十五歳以上の求人倍率は〇・一四だ、それぐらい低いと。それで、高年齢者の排除には熱心で、高齢者の雇用には消極的な企業の体質がある、あるんですね。それは行政指導だとか、こういうところで決めたからといって、やったって企業側にも言い分があるわけでしょうから、その言い分をどういうふうに受けとめて政策として国全体が考えるか、でなければできないだろうと思うんですが、この人はびしっとそこのところをおっしゃっているんですね。同時に、そういう勧告が現在行われたと、それでマスコミからどんどんたたかれていると、改善を急がなきゃならぬことは私もよくわかると、この方も認めておられる。これ三番目。
 四番目では、なぜこのような状況になっているか。現在の職安や労働省は、なぜこのような状況になっているか。それで、高齢者の方々が来て不満を持たれるか、嫌な思いをされているかについて、なぜこうなっているかについての問題の本質や背景について勧告が言及してないと、こう言っているんです。言及していると言うんなら言及していることを聞かしてもらわなきゃいかぬのだけども、私がいただいた資料の、ここにある勧告本文を読む限りにおいては、確かにこの労働者というか、職員が指摘しているような背景や等々については指摘は余りないですよ。しっかりしとらぬと、職安何やっているんだ、労働省何やっているんだということばっかり書いてあって、なぜこういうことが起きているかということについては余り書いてないじゃないかということは、この人の指摘を私は素直に認めた方がいいんではないかというふうに思います。それが四番目。
 五番目。この人が書いていることが事実だと思うんだけれども、昭和四十三年に始まった第一次の定員削減以降、職安では実に二千人の職員が減っていると言うんです、減少している。昭和四十三年だから、まあ今から二十年前の話なんだが、二千人減っている。これは平均的職員数の職安が百カ所廃止されたことに相当すると言うんです。職安が百、この日本からなくなるというふうに。仮に単純計算でいけば、これは窓口は狭くなるし、働いている人は大変だしするから、それは求人なり求職仕事も余りできないだろうとなるだろうし、来るところの国民なり高齢者から見れば――高齢者に限らぬわね、一般の人だって大いに不満持ちますよね、これ、私は労災のときに申し上げたけれども、そういったことが起きるんだろうと。働いている側の方にも問題があるかもわからぬし、その人に対する思想改革や仕事に対する情熱を教えにゃいかぬというようにおっしゃるかもわからぬけれども、今度は働いてる側からすると、そういうちゃんとした反論をしているわけなんだね。
 ということを読んでみて、なるほどなと、そしたら、このころまでさかのぼって労働省とやりとりさせてもらって、それでちゃんとやらぬといかぬではないかというふうに、実はこの御本人の投稿原稿を読んで感じました。しかも、この方は労働組合のどうも幹部らしい。それでその方は、労働組合ではこれまで、これまでというのはいつのことか書いてないが、これまで中高年齢者、パートなどの大がかりな実態調査、研究を行って、労働省に対して、自分のところの省だな、労働省に対して政策提言を行ってきている。政策提言をもしもらっているなら後でいいからちょっともらいたい、もうきょう時間ないから。もらって、それで政策提言が間違っていたら間違っていると労働組合に言ってやりたいし、いいことなら応援したいと思うしということを含めて、私は事前に労働組合とやりとりしてないから、今ずばりこのこと読んで申し上げているんだが、政策提言を行ってきた。そういうこともやってるんだが、労働省と、これは労働大臣であるか局長であるかわからぬが、労働組合との間はどうも意思疎通がうまくいってないようだという感じがします。しかもその上いろんなこと調べに来られて、外へ歩いて求めてくる仕事をちゃんとやっとらぬ。だから高齢者は不満を持つ。不満を持つからリクルートの本を読んじゃうと、こういうふうな格好でずっと論争になるわけですね。
 それに対して反論をされている。反論は僕は大変もっともなものたくさんある、こういうふうに申し上げますと時間が来ましたから、これ以上言えないんでありますけれども、ぜひ労働省におかれましては、労働組合と話し合いをしろと私は申し上げておるんではなくて、こんなことは当たり前のことだから、労使関係というのはある限りやってもらうことは当然のことでありますけれども、そのことを強調しておるんではなくて、この勧告は勧告として受けなきゃならぬ問題なんだろうけれども、勧告の側に一方的であったり片手落ちがないのかどうか、それについては労働省はどういう見解をお持ちなのか、それを受けとめた労働省はどういうふうに今日まで施策を進めてきたのか。時間がありませんからこれで終わりますが、今後何かの機会でお話をしたいと思うし、個別でも結構です、いい意味における御報告や施策があればお願いをしておきたい。
 以上で終わります。
#29
○政府委員(清水傳雄君) 私どもといたしましては、総務庁の勧告はやはり我々自身の行政の至らなさを突いていただいておる。そういう面でこれは謙虚に受けとめて、そのことについての改善に努めてきてまいっておるところでございます。
 先ほどの新聞へ投稿された文書につきましても承知をいたしておりますし、これはまた労働組合としての見方として、その立場上そういう見方をされるということも理解もできるわけでございますし、我々自身の行政体制の整備という面、言うなれば高齢者雇用対策ということを大きな重点課題としてそういうことについての行政需要に見合った、業務量に見合った定員の確保ということについても引き続き最大の努力をしていかなければならないと思っております。
 それから、そうしたことも全体を含めまして私どもの職業安定行政、公共職業安定所におきます窓口における国民に対するサービスのあり方全体につきましても、今職業安定局を挙げて中央、地方一体となってその大きな改善へ向けての運動を展開しつつある状況でございまして、これからの大きないろんな課題を抱えておる中でそういう方向へ向けて努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
#30
○深田肇君 ありがとうございました。
#31
○糸久八重子君 総理府が発表いたしました高齢期のライフスタイルに関する世論調査によりますと、国民の七四%が年をとっても働きたいと考えております。高齢者の働く場所をつくり、その能力を生かすことは国の活力にとっても、高齢者の人生にとっても大切な施策でございます。このたびの法改正は六十歳定年の定着を基盤とし、六十五歳までの安定した雇用の確保を図る施策を積極的に推進するための法律案であると大臣は趣旨説明でお述べになられました。そこで、ただいま同僚議員も質問いたしましたけれども、六十歳定年制についてまずお伺いをしたいと思います。
 百四国会では中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部改正が行われまして、定年を設ける場合には六十歳定年を努力義務とされたわけでございます。一九八六年当時は六十歳定年制を採用している企業というのは五六・六%、そして一九八九年には六一・九%と、わずかながらふえてはいますけれども、いまだ四割の企業が六十歳未満定年のままであるわけです。雇用審議会の第二十一号答申でも六十歳定年はいまだ十分に定着していないと、そう指摘をしているわけですが、このような状況にありながら、今回の改正では六十歳定年の努力義務規定を強化する改正が盛り込まれておらないわけですが、この理由はどういうことでしょうか。
#32
○政府委員(清水傳雄君) いわゆる定年の引き上げということにつきましては、賃金のあり方、退職金問題のあり方あるいはその企業組織におきます人事労務管理の問題、そうした労務管理全般にわたりましての見直しを図りながら行われておるところでございまして、個々の企業それぞれが持っております、何と申しますか、企業文化とでも申しますか、あるいはそうした中で形としての六十歳定年というふうなものをどのように実現をしていくかということにつきましては、労使を含めまして非常にその企業組織全体にとってのいろんな角度からの見直し、検討が進められつつ行われる、そういう性格のものでございまして、そういった意味合いにおきまして極めて労使間の自主的な努力によって進められていく、そういう性格のものであろう、このように理解をいたしておるわけでございます。したがいまして、現在の法律におきましては、六十歳定年について努力義務というふうな形で規定をしつつ、単にこれを単純なる努力義務ということに終わらせることなく、一連の定年の引き上げの要請、計画の作成命令、最終的には企業名の公表、こうした一連の行政措置をつけました形の規定になっておるわけでございます
 私ども、この高年齢者雇用安定法という法律の体系の中でストレートに強行規定を持ち込むということにつきましては、ただいま申し上げましたような事柄の性格上なじまない性格のものである、このように考えておりまして、基本的に現行法の規定によって定年の引き上げ要請以降の一連の行政措置を、先ほどの御答弁にも申し上げましたように、現在強力に展開をしている最中、進行形の状況になっておるところでございます。そういうことを通じまして効果的な実施に最大の努力を払っていく、こういう方策をとるのが現在においては最大の方策である、最善の方策である、このような考え方から今般御提出を申し上げておりますような法案の内容でお願いを申し上げているところでございます。
#33
○糸久八重子君 六十歳定年の努力義務規定を義務規定にしてよい社会的条件というのは成熟しているのではないかと、そう思うのですね。今後の改定を予定している企業を含めますと八割近くが六十歳以上定年制を導入する、そう言っておるわけですね。ですから、六十歳未満定年を禁止する規定を設けてもおかしくないと思うんですけれどもね、もう一度御答弁お願いします。
#34
○政府委員(清水傳雄君) いわゆる禁止する規定、これは刑事罰をつけるかあるいは民事上無効にするとか、そうしたものはいわゆる強行規定というふうなものの持つ法律上の意味合いということになるだろうと思いますが、六十歳定年についてそうした強行規定を設けるということは、言うなればそれをミニマム、最低の労働条件とするということと等しい性格のものであろうかと思うわけでございまして、六十歳未満の定年というものの社会的な存在を許さない、こういう意味合いを持つものであろうかと思います。今の高年齢者雇用安定法という法律で全体として進めております内容というのは、望ましい雇用状態の実現ということへ向けて政策誘導的な体系で組み立てられておるわけでございまして、法律体系の中にそうした形の強行規定を導入するということが法律技術的に見ましても、その体系の上から見ましても、非常になじみがたい性格のものであろう、このように考えております。
 そのほか、幾つも法制的にクリアをしなければならない性格の問題を多々抱えているものであろうと思うわけでございます。現在の法律の規定というのが単なる努力義務ということではない、雇用という契約関係がベースの問題でございまして、そういう民事的な私権的な世界のものに、外から法律の枠組みでどんなふうな形でそうしたものについて現在の国民全体のコンセンサスを得つつ枠組みをはめ込んでいけるか、そういうぎりぎりのところの仕組みとして、いわゆる努力義務規定に一連の行政措置を講ずることができるような政策手段をとっていくということが最もいいあり方であろう、こういうふうな考え方に立っておるところでございまして、そうした手段を最大に活用して、六十歳定年の定着へ向けて努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
#35
○糸久八重子君 衆議院の修正で、法施行後三年を経過した場合において、施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果必要な措置を講ずる、そういう規定が追加されましたが、この修正は、三年後に六十歳定年が完全に定着していなければ六十歳定年の努力義務規定を強行規定に改正する、そう理解してよろしいのでしょうか。
#36
○政府委員(清水傳雄君) 衆議院で修正がなされた内容につきましては、御承知のところでございますし、また、衆議院段階におきます御質疑の過程の中におきましても、ただいま御指摘になりましたように、平成五年度までに六十歳定年の完全定着を図るために、高齢者雇用安定法に基づく行政指導等の一層の推進に努めて、同年度までの六十歳定年の実施状況を勘案しつつ、より実効ある措置について努力義務に関する規定の見直しを含めて検討を行う、こういうふうな考え方をお答え申し上げてきたところでございまして、今申しましたような考え方に沿って対応をいたしてまいりたい、このように考えております。
#37
○糸久八重子君 五千人以上規模の大企業では、六十歳定年が一般化しているように見えるんです。しかし、早期退職優遇制度やそれから退職出向等で定年前に退職する人が非常に多いわけです。定年で退職する人が少ないのです。
 労働省の高年齢者就業実態調査によりますと、千人以上規模の企業では高齢者退職理由を見ますと、定年退職者というのは三九・七%、残りは、定年前退職と、早期退職優遇制度を加えますと約七〇%あるわけです。つまり、きちんと定年で退職をした人は四割で、あとの六割から七割程度というのは定年前の退職の状況があるわけです。だから、六十歳定年というのは名ばかりで、定年制の形骸化が進んでいるのではないか、そう思わざるを得ないわけですが、この状況を労働省はどう認識していらっしゃるのですか。元年度の労働白書もこのことを指摘しているようですけれども、いかがでしょうか。
#38
○政府委員(七瀬時雄君) 六十歳定年の定着に向けて着々と六十歳定年が進んできているわけでございますが、その中で早期退職優遇制度あるいは退職出向によって退職する例が見られることは十分承知いたしているわけでございます。
 ちなみに、早期退職優遇制度を設ける企業の割合は、トータルで見ますと、四・二%でございますけれども、五千人以上の規模ではそういう制度を持っているところは五〇・一%ということになっているわけでございます。この早期退職優遇制度につきましては、退職金その他で優遇措置がとられるという労使間で決められた制度をもとにいたしまして、労働者本人が定年前の早期退職を希望した場合に、その制度に乗っかってやめていく、こういうことでございますので、この制度の運用につきましては、労使間で十分その制度のとおり行われているかを話し合いしながら、制度の適正な運営を見守っていくべき問題ではなかろうかというふうに思っているわけでございます。
 また、退職出向ということで、当該企業を退職いたしまして関連会社に出向していく、こういうケースも見受けられることは承知いたしておりますけれども、その場合に、もとの会社で六十歳定年が定着していることの実際上の効果といたしまして、出向先においても同程度までの年齢の雇用をいわば事実上保障するような形で退職出向制度が運用されているということがあろうかと思いますので、そういった面を考えますと、もとの企業に六十歳定年が定着していることの実際上の効果ということは、退職出向制度の運用の面でもプラスの面で効果を上げている面もあるのではなかろうか、このように考えているわけでございます。
#39
○糸久八重子君 大変きれいごとのように見えるのですけれども、実際には退職をしたくなくても肩たたきでやめざるを得ない状況というのはあるわけですよね。ですから、こうした企業の姿勢というのは六十歳定年の努力義務規定すらも空洞化させているものではないかと思いますし、こういう状況はどこの職場にもあるわけです。だから、労働省としては、この実態について十分認識をする中で十分な対応をしていかなければ、一見きれいに見えるんですが、実は中身はそうじゃないということもどうぞ御承知おきいただきたいと思うのです。
 中小企業の問題ですが、中小企業では六十歳以上定年は六割以下でありますが、特に産業間の中でも大変なばらつきがあります。鉱業とか運輸とか通信業では六十歳定年というのは五割以下でございます。これを見てもわかるとおり、きめ細かい、かつ特別な行政措置が必要なのではないか、そう考えます。中小企業や六十歳定年が立ちおくれている産業、業種に対してどのような措置をとられていらっしゃるのでしょうか。
#40
○政府委員(七瀬時雄君) 六十歳定年につきましては、高年齢者雇用安定法に基づく行政措置を講ずることによりまして定着しつつあるところでございますけれども、産業、業種によって六十歳定年をとる企業の割合にばらつきが見られるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましては、産業、業種の実情に応じた高年齢者雇用アドバイザーによるきめ細かな相談、助言等を行いながら、定年引き上げのための行政指導を強力に進めてまいりたいと思っておりますし、行政指導の過程の中では、同じ業種、同じ規模のところで六十歳定年を実現した好事例をお示しするとか、そういった形でのきめ細かな行政指導によりまして、それぞれの業種において立ちおくれの見られるところでそれを回復するといいますか、一層進めていく、そういったきめ細かな行政指導を展開してまいりたいと思っているわけでございます。
#41
○糸久八重子君 六十歳定年の完全定着の見通しについて、衆議院では平成五年度としておりますが、さらに早めるということはできませんか。
#42
○政府委員(七瀬時雄君) 私どもといたしましては、衆議院の御審議の際に、平成五年度までに完全定着を実現するように最大限の努力をすると申し上げてきたわけでございますが、定年の引き上げについて私どもが行政指導、あるいは引き上げの要請、計画作成命令といった措置を通じながら引き上げを企業に求めていく場合に、労使間で解決しなければならない問題というのもありますし、その場合に、ある程度の時間をかさなければなかなか、退職金制度の見直しでございますとか人事管理でございますとか、あるいはトータルの要員の問題でございますとか、そういった問題を解決するためにある程度の時間が必要だろうと思いますので、これから三年間という平成五年度というのをより早めるということは、なかなか難しいことであろうと、このように考えております。
#43
○糸久八重子君 それでは、六十五歳までの再雇用の努力義務の問題についてお伺いをいたします。
 今回の法改正の目玉は、六十歳以上六十五歳未満の定年到達者について、六十五歳までの再雇用の努力義務を事業主に課したことにありますけれども、その実効性について幾つかお伺いをいたします。
 また、大変懸念を持っておるわけですが、その第一に、現在定年制が六十歳以上の企業の中で、六十歳以上の者に対する勤務延長制度や再雇用制度を持つ企業は六六・三%です。再雇用するかどうかについては選別が行われておりまして、希望者全員を原則として再雇用する制度を有する企業は、たった四・四%しかないわけです。特に五千人以上の大企業では、今後こうした再雇用制度を設ける予定がないと答えた割合が六五%もあるわけでございます。このような状況の中で、果たして努力義務規定が有効に働くかどうか大変疑問に思うわけですが、労働省はどのように考えておいででしょうか。
#44
○政府委員(七瀬時雄君) 先生御指摘のとおり、一律定年制を設けている企業の中で、希望者全員を完全に再雇用で六十五歳までもっていくという企業の割合が四・四%ということは御指摘のとおりでございますけれども、ただ、原則として希望者全員とかそういった形で事実上雇用延長、再雇用なり継続雇用を進めている企業、あるいは実際にその適用を受けて同じ企業で継続して働いている方々の数は、もう少し割合として高くなるんではないかと思っております。
 いずれにいたしましても、今回御審議いただいている法案の成立を期しまして、六十五歳に向けての再雇用なり継続雇用について行政指導を積極的に展開しながら、最大限の努力をしてまいりたいと思っておりますし、これまでの雇用審なり中職審なり、いろんな場面での議論を通じ、また現在の人手不足基調の中で、あるいは将来の若年労働力の不足基調に関する国民各層、関係労使の基本的な認識の中で、六十五歳に向けての雇用の促進というものについてはかなり意識が高まってきているというふうに思っておりますので、そういうことを背景にしながら積極的に取り組んでまいりたい、このように思っております。
#45
○糸久八重子君 雇用審議会の論議の経過の中で、経営サイドは、六十五歳までの再雇用の法制化は時期尚早だとか、たとえ法制化する場合でも倫理規定にとどめるべきであるとか主張したと聞いております。こうした消極的姿勢の経営者が、果たしてこの努力義務規定を遵守すると考えるのは楽観的過ぎるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#46
○政府委員(七瀬時雄君) 雇用審議会の場で、六十五歳に向けての雇用確保についての法律的な仕組みについては、いろいろな角度から、あるいはそれぞれの立場からいろいろな御意見があったわけでございますけれども、最終的に現在の六十五歳に向けて条件整備を進めながら雇用を進めていくという努力義務規定については、全会一致で御答申をいただいて、それをもとに法案を作成しているわけでございますので、基本的に関係労使の御協力を得られるものであるし、そういう前提で、法律が成立いたしましたならば、行政指導を展開してまいりたい、このように考えております。
 また、実際問題といたしまして、法律の規定の仕方については、答申をいただく過程でいろいろ御議論がございましたけれども、ともかく六十五歳まで条件を整備しながら、計画的に雇用を進めていく枠組みをつくらなければならないということについては、労使を含めたコンセンサスが雇用審議会あるいは中央職業安定審議会の場で得られたものであるというふうに認識しておりますので、そういうコンセンサスを背景に積極的に行政を進めてまいりたいと思っております。
#47
○糸久八重子君 第四条の五の条文の中で非常にあいまいなただし書きがあります。「職業能力の開発及び向上並びに作業施設の改善その他の諸条件の整備を行つてもなおその者の能力に応じた雇用の機会が得られない場合」などは六十五歳までの再雇用に努める義務を負わないと解釈できる条文が含まれておりますが、この規定では再雇用するかどうかの判断は、結局のところ事業主の判断に任せられることになるわけですね。事業主の判断にゆだねないで、具体的な基準の明確化がこの際必要ではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#48
○政府委員(七瀬時雄君) このただし書きの規定の運用の基準につきましては、法律が成立いたしました場合には、通達等で明らかにしてまいりたい、このように考えております。
 このただし書きの規定の趣旨でございますけれども、六十歳を超える高年齢者につきましては、体力、健康などにつきまして非常に個人差が大きくなるということでございまして、そういった意味で職業能力の開発、向上あるいは作業施設の改善その他の条件の整備を一生懸命やってもその能力に応じた雇用機会が得られない、そういった場合については除外をせざるを得ないのではないか、こういうことでこの規定が設けられたわけでございます。いずれにいたしましても、この規定の趣旨とするところは、まず高年齢者を六十歳を超えても働けるように、職業能力の開発やその他の作業条件の整備に計画的に取り組んでいただきたいという、こういう気持ちでこの規定が入っているわけでございます。いずれにいたしましても、この規定の運用の基準なり考え方については通達等で明らかにしてまいりたい、このように考えております。
#49
○糸久八重子君 今、私は幾つかの懸念を申し上げましたけれども、こういう懸念からいって四条の六項、公共職業安定所長の勧告だけでは全く不十分な行政措置ではないかと思うわけです。最小限でも勧告に従わない企業の名前の公表の措置等を取り入れるべきではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
#50
○政府委員(七瀬時雄君) 六十歳代前半層の雇用の機会の確保につきましては、先ほど申し上げましたように、雇用審議会で議論がなされたわけでございますが、その雇用審議会の答申におきまして、「国は、業種や企業規模等実態に配慮しながら、事業主の自主性を尊重しつつ、」「指導に十分配慮する必要がある」ということ、「六十五歳までの雇用機会を確保する措置に関する規定については、事業主の自主的努力を促進する趣旨の規定とすることが適当である。」とされていることを踏まえまして、定年後の再雇用の努力義務のほかに、諸条件の整備について事業主の自主的努力を促進する趣旨の勧告を規定したものでございます。
 労働省の行っております加齢と職業能力に関する調査、ちょっと古く昭和五十六年でございますけれども、仕事量の調整でございますとか、仕事の分担の調整、勤務時間の調整あるいは作業環境の改善等について配慮があれば、労働者が六十歳以降も働けるというふうに考える者の割合は職場管理者でも六八%というようなことになっているわけでございまして、そういう配慮があれば働けるというそういう意識なり、あるいは実態を背景にいたしまして今回の諸条件の整備という努力義務を入れたわけでございますが、その実施につきましては、何と申しましても企業あるいは労使関係における条件の整備でございますので、何とかそういう労使の自主的努力を促す形でやっていただきたい、そういう気持ちを込めて勧告というところにとどめたわけでございますので、この勧告制度を最大限に活用しながら計画的に企業で条件整備ができていくように私どもとしては指導もいたしますし、またいろいろの援助もしてまいりたい、このように考えているわけでございまして、こういう雇用審の審議経過あるいは自主的努力で何かやっていただきたい、こういう気持ちで勧告にとどめた背景を御理解いただきたいと思うわけでございます。
#51
○糸久八重子君 再雇用の場合は賃金、労働条件が極端に悪くなるわけです。勤務延長の場合、賃金が下がる企業の数は大企業で四割から五割、そして再雇用制度では八割以上が賃金が下がってしまうわけです。幾ら六十五歳までの再雇用が進んでも、経済的理由から働くケースが最近非常に多くなってきているわけですが、そういうことを考慮すれば、賃金その他の労働条件について何らかのガイドラインを設けるべきではないのでしょうか。趣旨説明の中に、「我が国の経済社会を豊かで活力ある社会とするために」「雇用機会の確保を図ることが極めて重要な国民的課題」と言われているわけですが、そうならば再雇用を本当の意味のものにするには何らかの検討を考えなければ名ばかりになってしまうおそれは十分あるわけですが、この点についての御見解はいかがでしょうか。
#52
○政府委員(七瀬時雄君) 定年後の再雇用制度の導入に当たりましては、その円滑な実施のために賃金でございますとか、退職金のあり方あるいは人事の処遇制度についての見直しが必要になる場合があろうかと思いまして、労使によりまして各種の工夫、努力がなされている、そういう例がいろいろ見られるところでございます。このように再雇用制度の導入に伴う労働条件の問題は、基本的には労使が自主的に決定すべきものであろうかと思っておりまして、定年延長に伴う労働条件のあり方について一定の基準を設けたり、個別企業に対して指導を行っていくということは、労使関係の介入というふうにとられることもございまして適当ではないんではないか、これは再雇用の場合の労働条件の決め方についても同じようなことが言えるのではないかというふうに考えております。
 ただ、一つ例を挙げますと、再雇用後賃金がある程度減るけれども、それに対応して労働時間も例えば隔日勤務でございますとか、短縮された形での労働時間の運用を労使間で約束しながら、そして同時に賃金も下がっていくというような工夫をしてきている企業なども見られるところでございます。
#53
○糸久八重子君 それでは、ちょっと視点を変えまして、お金の問題についてお伺いをいたしましょう。
 六十歳前半層の雇用拡大のためには国の助成金の拡大が必要だと思うのです。一九九〇年度のこのための予算は千三十二億円でございます。ところが、その財源の内訳を見ますと、一般会計による支出はシルバー人材センターへの補助と、それから新規事業の高齢者地域雇用開発事業費を合わせてもわずか百四十五億円にすぎないわけです。継続雇用の促進や多数雇用の促進など肝心な助成金はもう全部労働保険特別会計雇用勘定で賄われている実態ですね。高齢者雇用促進のためには今後一般会計からの支出を抜本的にふやすように努力をすべきと思うのですけれども、この点についてはいかがですか。大臣いかがですか。
#54
○政府委員(七瀬時雄君) 高年齢者の雇用就業機会の確保は重要な政策課題でございまして、このために積極的に行政を展開すべきことは御指摘のとおりでございます。
 一般会計による施策といたしましては、従来からシルバー人材センターにかかわる経費について措置してきておりまして、これについて年々拡充を図ってきているところでございますし、また平成二年度におきましては、ただいま御指摘がございました高年齢者雇用促進のために、都道府県が経済団体と連携して行う活動に対しまして、国が援助を行う高年齢者地域雇用開発事業を一般会計により措置いたしたところでございます。
 いずれにいたしましても、本格的な高齢化社会を迎えるわけでございますので、高年齢者の雇用関係の施策の充実ということに一生懸命努めてまいりたい、このように考えております。
#55
○国務大臣(塚原俊平君) ただいま高対部長の方から御答弁ございましたが、施策の充実をこれから一生懸命もうさらに、法案をお通しいただきました場合、高齢者の雇用対策をやっていくわけですが、その施策の充実の中にできるだけ先生の御趣旨の部分も含めて一生懸命対応してまいりたいというふうに考えますが、御答弁はこの施策の充実というところまでにさしておいていただければと思います。
#56
○糸久八重子君 どうぞ今後、中小企業への助成の拡充を中心とした一般会計の増額に政府としても努力をいただきたい、そう重ねてお願いを申し上げるところでございます。
 次に、先ほど同僚議員も御質問いたしましたが、高齢者の法定雇用率の問題についてお伺いいたします。
 五月二十八日に総務庁が出しました身体障害者の福祉・雇用に関する調査を労働省としてどのように受けとめて、この報告に沿ったどのような具体的な改善策をとるおつもりなのか、その点についてお伺いします。
#57
○政府委員(七瀬時雄君) 今回総務庁より出されました「改善意見」は、企業に対する身体障害者の雇用促進指導の効果的実施を図る観点から行われたものでございまして、身体障害者雇い入れ計画作成命令等の的確な実施、雇い入れ指導の強化、それから公表制度の的確な運用ということを主な内容といたしているわけでございます。
 労働省といたしましては、これまでも最重点施策の一つといたしまして障害者の雇用問題に取り組んでまいっておりまして、事業主の方々の理解と協力を得ながら、毎年三万人程度の障害者の就職を実現しているところでございますけれども、今回の総務庁の調査結果に見られますように、事業主に対する指導が必ずしも十分でなかったという点、この点を踏まえまして計画作成命令を発する基準の明確化などによります制度の積極的運用、さらに労働省による直接指導も含めた多様な手段を使った計画的な雇い入れ指導の強化などの措置を講ずることといたしまして、さらに障害者の方々の雇用率達成に向けて努力してまいりたい、このように考えているわけでございます。
 また、このような達成指導を行いましても、正当な理由がなく改善努力を行わない、こういった場合については、最終的に企業名を公表するという法律の制度の的確な運用も考えてまいりたい、このように存ずる所存でございます。
#58
○糸久八重子君 報告書によりますと、約二百四十一万人の十八歳以上の身体障害者のうち七十万人は働いているけれども、約八万人は就職を希望しながら企業の側から門戸を閉ざされている。障害者雇用促進法に基づく政令と規則では、常用労働者六十三人以上の企業に、その一・六%以上の身障者を雇用することを義務づけられておりますけれども、精神薄弱者の方を含めて一・三二、それから身障者だけの数は八四年以降一・二五と横ばいになっているということでありますので、どうぞ今御答弁になられましたその視点でさらに向上するように御指導をいただきたいと思います。
 そういう法定雇用率とか、納付金制度が設けられている身障者の雇用ですらこのように進展をしていない状況だ、そういうことを考えれば、六十歳未満定年企業への行政措置、要請とか計画作成命令とか勧告とか公表とか、そういう行政措置や、勧告の一段階しか含んでいない六十五歳までの再雇用の問題は、私も何回も申し上げましたが、努力義務だけでは、特に大企業が高齢者を雇用すると期待するのは甘過ぎるのではないかな、そう考えるんですね。
 高齢者雇用についても、法定雇用率を設定して未達成企業から納付金を徴収する制度を取り入れるべきではないかなというふうに考えるわけですが、この辺についてはいかがでございましょうか。
#59
○政府委員(七瀬時雄君) 御指摘の高齢者の雇用率制度につきましては、企業における業種でございますとか業態あるいは年齢構成、そういったものが多様であるにもかかわらず、一律に一定割合の高年齢者雇用を求めるということは現実的でないということで、法定雇用率を設定して未達成企業から納付金を徴収するというような制度を設けることは適当ではないというふうに考えております。これに対しまして、六十歳定年の定着あるいは六十五歳に向けての雇用確保努力義務、こういった形で制度面から高年齢者の雇用を図っていくという方がより現実的ではないかというふうに考えているわけでございます。
 ただ、今後増大いたします六十歳代前半層の高年齢者の雇用機会を確保するために、制度とは別に現実に多数の高齢者を雇っている方々に対して奨励金を支給するという形で、逆に納付金を取るという形ではなくて多数雇っているところに奨励金を支給するという形で雇用を促進していくということが必要だろうということで、今回高年齢者多数雇用奨励金を充実いたしまして、四%以上の雇用を達成している企業に対する奨励金という制度を充実したところでございます。
#60
○糸久八重子君 次に、失業対策事業についてお伺いをいたします。
 失業対策事業に従事している方は、ことしの二月一日現在でおよそ一万五千名、その他の諸事業を合わせると三万名の就労者がいるわけでございますが、この事業は、就業者の生活安定を図るとともに、地域の生活環境整備を通じ地方自治行政を支える重要な役割を果たしておるわけでございます。しかし、国は毎年大幅な失対事業費を削減しまして、年々就労年齢が引き下げられてきました。そして現在、失対事業制度調査研究会で見直しの検討を始めておられるようですが、全国就労者の五団体は、失業事業にかわる充実した就労事業の確立がない限り失対事業の安易な打ち切りには反対をしておるわけです。
 この際、重視しなければならないことは、当事者とそれから地方自治体の意見でございます。九州市長会と北海道市長会は、失対事業と任意就労事業の存続と、加えて失対事業への国の補助率を三分の二に復元するように求めておるわけですが、こうした当事者の見解を十分に尊重すべきであると考えますが、労働省の御見解はいかがでしょうか。
#61
○政府委員(清水傳雄君) 失業対策事業につきましては、御承知のとおり非常に長い歴史を持っておるわけでございまして、いわゆる終戦直後の混乱期、多数の失業者に対しまして一時的、臨時的な就業の場を提供し、最終的には民間企業に再就職をしていただく、そうした事業として発足をいたしたわけでございます。ただしかしながら、こうした事業吸収方式によりまして失業対策を講じていくということにつきましては、その後の運営の経過等からも明らかなようにいろいろな問題点が出てまいり、いわゆる臨時的、一時的な就業の場であるにもかかわらずこれに定着をしてしまう、こういった結果が出てまいり、またそうした事業運営の現実の管理の面におきましてもさまざまな御批判等もいただいた経緯もございます。その後、我が国経済が三十年代、四十年代、高度成長期等を経てもなおかつなかなかこの事業というものが、就労しておられる方々の事業吸収方式に伴ういろんな問題のゆえに再就職というふうな形に結びついてこなかった。また、現実に一定数の方々が現在も就労しておられるという実態になっておるわけでございます。
 失対事業につきましては、昭和五十五年の失業対策制度調査研究会報告、さらに六十年の研究会報告等におきまして、基本的には終息を図るべき段階に来ている、また今後の雇用対策につきましては、失業者を吸収するために事業を起こす方式はとるべきではない、こうした基本的な見解を示されておるわけでございます。ただ、現実に相当数の就労者の方々がこの事業に生活を依存しているという現実、そうした実態も配慮し、先ほど御指摘ございましたように、一定の引退年齢を設定いたしまして、そうした形での労働政策としての考え方を貫徹させる方向をとりつつ任意就業事業等も設けまして、現実的な配慮を持って対処しつつ今日に至っておるところでございます。
 これにつきましては、五年ごとに見直しを行う、こういうことになっておりまして、ちょうどこの平成二年度におきましてその時期に当たっておるところから、緊急失対法第四条に基づきまして、現在、失業対策制度調査研究会に制度検討をお願いしておるところでございます。
 私どもといたしましては、この研究会の報告、また関係者の方々の御意見につきましても、十分にお伺いをしつつ適切に対処をいたしてまいりたい、このように考えます。
#62
○糸久八重子君 私が言うまでもないことでありますが、失対事業の就労者の実態はひとり暮らしとか、または老夫婦二人暮らしが多いわけでして、年金はほとんど国民年金なんですね。月三万というのがもうほとんどで、就労者が働く以外には生活ができない、そういう実態があるわけです。
 六十五歳を超える対策としては、労働省はシルバー人材センターの拡大等が中心になっておりますけれども、シルバー人材センターというのは生きがい対策なんですね。生活維持のための就労者にはシルバー人材センターというのはなじまないわけですね。
 そういう状況の中で、この失対事業に関しては、一九七一年の第六十五国会で本院での附帯決議があります。それは、「現在、失業対策事業に就労している者については、失業対策事業への就労によって維持されてきたと同程度の生活内容が、社会保障対策や高年齢者の仕事に関する対策によって充足されるようになるまでの間、引き続き就労できるよう配慮すること。」と、そう決議をされておるわけですが、この決議を政府としては当然尊重して施策の実行に当たるべきと思いますが、今回の見直しに際してもこの決議は尊重されると理解してよろしゅうございますか。
#63
○政府委員(七瀬時雄君) 昭和四十六年の中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法、いわゆる中高法の制定に際しまして、御指摘の附帯決議がございましたことは十分承知いたしております。こういった附帯決議の趣旨を踏まえまして、その後五年ごとに制度検討をやってまいっておりまして、特に昭和五十五年の失業対策制度調査研究報告におきましては、高年齢者雇用就業対策の充実や社会保障制度の改善により、失対事業を取り巻く諸事業が逐次整備充実されてきている旨指摘いたしまして、そういったことを背景に失対事業は基本的には終束の段階に来ているという報告を出したわけでございます。
 さらに、昭和六十年度の調査研究におきましても、五十五年の基本認識を繰り返しながら、ただ就労者の実情その他の事情からなお暫定的に継続することはやむを得ないと、こういう形で流れてきておりまして、さらに本年度、五年ごとの調査研究の年になってきていると、こういう事情でございますので、私どもといたしましては、これまでの経過、あるいは先生御指摘の四十六年のときの経過、昭和五十五年の調査研究の内容、経過、六十年の内容、経過、そういったものをフォローアップしながら、調査研究会において十分審議を尽くされて御報告をいただけるものと考えておりますので、その御報告内容をいただいた上で的確に対処してまいりたいと、このように考えているところでございます。
#64
○糸久八重子君 高齢者雇用問題につきましていろいろ申し上げましたけれども、最後に大臣、高齢者雇用問題についての御見解をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#65
○国務大臣(塚原俊平君) 衆議院におきましての御審議、そして、本日、本院におきまして御審議いただいているわけでございますし、また、私が就任いたしましてからも、各種委員会におきまして、高齢者雇用の問題につきまして一つ一つ大変貴重な御指摘をちょうだいいたしました。一々ごもっとものことでございますし、また我が国将来にとって極めて大切な問題でございますし、私ども、私自身にとりましても将来自分自身の問題でもあるわけでございまして、そういったことをしっかりと踏まえまして、当面、とりあえずは何とかこの法律を御可決いただきまして、しっかりとした行政というものをしていきたいというふうに決意をいたしております。
#66
○糸久八重子君 ありがとうございました。終わります。
#67
○小野清子君 六十五歳以上が人口の七%を占めますと高齢化社会と言われ、それが一四%を超えますと超高齢化社会と言われております。その超高齢化社会にあと三年余りと迫りましたところで、一定の経済成長を維持しながら活力ある高齢化社会を確立していくにはどうしていったらいいのか。二十一世紀を展望いたしました高齢化対策、雇用対策の取り組みにつきまして、まず大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#68
○国務大臣(塚原俊平君) たびたび御答弁申し上げましたが、非常に現在の労働力不足の状況の中から将来一体どういうような状況になるんだというようなことでなかなか展望の難しい点もございます。ただ、そういった中で確実に私どもがしていかなければいけない、まず日本の国の経済のことを考えてみました場合にも、しっかりとした国内におきます雇用の確保というものは、もう絶対に必要になってまいります。そういった状況の中でいよいよ超高齢化社会を迎える、また最近御婦人の労働、勤労社会におきます重要性というものが、男女雇用機会均等法の中からしっかりと認められてきて、それに対する対策というものも今一生懸命やっているわけでございますが、あわせて高齢者の方々が、ただいまも何点か御指摘をいただきましたが、不安なく働けるような環境の整備というものはしていく、そのことによって安心して精いっぱいできるだけ長くお働きをいただくような形のものをつくり上げていかなくちゃいけない。そのことがまた逆に、これからの日本の国のしっかりとした安定的な雇用の確保というものにつながっていくというふうに考えております。
 そういうようなことでございますので、この法律を何とか御可決いただきまして、そしてその法律の中に労働大臣が果たす役割というものも大変大きなものがあるわけでございまして、私どもも諸先生方の御指導をいただきながら、しっかりとした高齢化行政というものをしてまいるように努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
#69
○小野清子君 ありがとうございました。
 高齢者になりましても充実した職業生活を維持していくというためには、まず健康でなければならないという問題が出てこようかと思います。若いころからの健康管理や体力づくりが重要であると考えられますけれども、労働省といたしましては、企業において労働者の健康管理体制の充実を一層図っていかなければならないと思いますけれども、健康、体力づくりに対する労働省の予算というのはどれくらい取られておられますでしょうか。
#70
○政府委員(清水傳雄君) 健康、体力づくりに関する予算ということにつきましては、総務庁の方でおまとめになっていただいております関係予算調べがございますが、その中に計上されております労働省関係予算は八十九億円ということになっておりまして、その内容といたしましては、勤労者の福祉の増進を図る見地から設置をいたしております勤労者体育施設などの健康、体力づくりに関連した施設、これらは平成二年度で申し上げますと、予算額六十九億円ということでございますし、また若年者から一貫した心身両面にわたるトータルな健康づくりを目的といたしまして、すべての労働者を対象に健康測定、運動指導、メンタル・ヘルス・ケア、栄養指導、保健指導、こうしたことを総合的に推進をいたします労働者健康確保助成事業、これが十九億円でございますが、こうしたものが主な内容となっておるところでございます。
#71
○小野清子君 私もいろいろとデータを見さしていただきましたけれども、私ども人生の中で一番体力のあるのが十七歳でございます。二十代の後半になりますともう約一〇%弱体力が落ちてきまして、それで文部省が出しております体力測定をひもといてみましたら、五十九歳までしかデータがないんですね。ということは、やはりこれからの時代、六十五歳まで雇用ということになりますと、このデータづくりから変えていかなきゃならないということを今回発見したわけでございます。そしてまた、トレーニングセンターとかあるいは体力測定とかいろいろ行われているようではございますけれども、これは大企業の方にパーセンテージが多うございまして、しかもそのパーセンテージ自身も半数まではいっていない。特に中小零細企業が日本の大きな産業の活力となっているわけですけれども、その辺になってまいりますと、この九十億近い予算というものがほとんど生き切っていないんではないかという数字が、こういう表を見ますと出てくるわけでございます。
 そして、年齢的にちょうど五十九歳、そのあたりまでいきますと体力はピーク時の半分以下になってしまうわけです。日ごろ運動をしているかしていないかによっても肉体年齢差というものがつきまして、大体六十五歳前後ですとプラス・マイナス十六歳くらいの差がついてくるということでございます。ですから六十五歳に十六歳を足す人生になるのか、引く人生になるのかというふうな非常に大きな体力の差が出てくる、こういう年代に入るわけでございます。特に中小零細企業等は、例えばプレスの機械一つにしても同じリズムで機械が動くときに、体力的に落ちてくる、リズム感覚も悪くなる、目も悪くなる、そういう条件が悪くなった者がそういう中小零細企業の中において、新しい職場といっても細分化されて専門的な業種の少ないような状態では、企業の中における六十五歳までの定年を延長するということの中で、どうやってその職業を全うしていくかというのは非常に難しいことだと思います。
 そういうふうなことを考えていきますと、企業の職業能力開発の体制整備について大きな資金の援助が要るのではないかと思いますけれども、この辺はどんなふうにお考えでしょうか。
#72
○政府委員(甘粕啓介君) 先生御指摘のとおり、高齢者の人たちが十分働けるというためには職業能力の開発、向上、維持、これは非常に重要なテーマでありまして、国、企業、個人それぞれが責務を果たさなくちゃいかぬわけでございますが、特に企業の果たす役割は非常に大きいというふうに思っているところでございます。
 このため、私ども企業に能力開発推進者、こういう者をまず置いてほしい、能力開発を推進する責任者を置いてほしいということを一つしてございまして、現在四万人ぐらいが選任されているわけでございますが、これとあわせまして企業に能力の開発計画をつくってほしい。その能力の開発計画に基づきましていろいろな訓練を行った場合に、それにかかった必要経費につきまして、特に中小企業には手厚い助成を行うということで現在推進しているところでございます。
 同時に、特に中小企業の場合にはそういう手厚い助成を行っておりますが、どういう訓練の仕方があるのか、それから自分のところでできない場合にほかの専修学校でもいいんです、いろいろなところありますので、そういうどこで能力開発をやっているかという情報、どういうノーハウがあるのか、それからどういう仕方がいいのかというそういう情報提供につきまして、特に来年度から本格的にコンピューターを活用してそういう情報提供、相談機能の強化ということを含めまして推進していきたいというふうに考えているところでございます。
#73
○小野清子君 次に、御質問したい点の、今お答えがあったわけですけれども、中小零細企業にはそういう情報提供が非常に少ない、このパーセンテージを見ましても。より一層そういう面での充実が図られなければならないのではないかと思います。経験を増していくごとに磨きがかかる芸術的なもの、技術的なものと、年月を経ていけばだんだん落ちてくる体力的な能力、感覚的な能力と両方あるわけですけれども、これから二十一世紀に向かいますと、今おっしゃられたパーソナルコンピューターとかファミコンとかああいう機械関係というのは、今五十代以上というのはとても見ただけで学ぶということができないんですね。ですから、こういう先々の時代を考えたことを四、五十代の若い時代に第二の職業人生設計と申しますか、そういう形の中で教育していくことが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#74
○政府委員(甘粕啓介君) 私どもの能力開発のモットーといたしまして、生涯にわたる教育訓練ということで若いときからの計画的なことをぜひともお願いしたいということで、自己啓発あるいは企業に対する助成等を行っているところですが、先ほど先生からお話ありましたコンピューター関係、これにつきましても、そういうものの成果を活用した格好で高齢者の人たちの能力開発ができないかということで、私どもの訓練大学校で福祉工学科というのがございますが、そこのところでワープロ、そういうものの操作あるいはNC旋盤等の操作あるいは監視業務その他を含めまして、そういうME関係のそれに比較的容易になじめるような格好での機器を開発いたしまして、容易になじむ、それからそういう適性がどこまであるのか、それからどこまで上達したかというものができるような機器を開発いたしまして、今年度から必要なところにそういうものを配付いたしまして、積極的に高齢者の方も同時に取り組めるようなことを現在行っているところでございます。
#75
○小野清子君 ありがとうございました。
 それと、通勤地獄という言葉がありますけれども、これは都会に限ったことかもしれません。高齢者の方々の中には働きたいと思っても、例えば通勤による身体的な負担とかあるいは時間的に、体力的にもたなくなってくるという現実的な問題、時間短縮の問題、あるいは先ほどおっしゃったようなパソコンとか、ああいうものを使うことによって在宅でもできるような仕事とかいろいろなものが考えられるわけですけれども、そういった面でのいわゆるフレックスタイムの普及とか労働時間の短縮とか、そういった面のお考えはいかがなものでしょうか。
#76
○政府委員(七瀬時雄君) 高年齢者に安心して働いていただけるようにするためにはさまざまな面から高年齢者に配慮した措置が必要かと思いますが、特に先生御指摘の労働時間の短縮の問題でございますとか、あるいは勤務体制、そういった問題についての整備が進められる必要があるということを痛感いたしているところでございます。労働省といたしましては、従来からフレックスタイム制の普及拡大に努めるとともに、完全週休二日制の普及促進を基本に労働時間短縮を推進してきているところでございますが、今後ともこれらの施策を積極的に推進するとともに高年齢者等職業安定対策基本方針の中で定めます諸条件の整備に関する指針に沿って、高年齢者に配慮した勤務体制あるいは労働時間の問題について整備を図ってまいりたい、このように考えております。
#77
○小野清子君 長寿社会雇用ビジョンというものをこれから策定されるということを伺っておりますけれども、いわゆる雇用のあり方についての基本、国の政策の方向、それから労使双方の取り組むべき課題というものを示されるということが書かれているわけですけれども、従来あります雇用対策基本計画、これとの関係はどのように理解をすればよろしいんでしょうか。
#78
○政府委員(七瀬時雄君) 一つは今回の法案の中に盛り込まれております高年齢者等職業安定対策基本方針でございますが、これは雇用対策基本計画で雇用対策全般の基本方針が定められてくるわけでございますが、今回の法案に盛り込まれております基本方針は、いわばその中で高年齢者に焦点を当てて、雇用機会の増大の目標でございますとか、あるいは国がとるべき施策の基本方針を高年齢者に焦点を合わせて盛り込もうとする趣旨でございます。
 先生御指摘のございました長寿社会雇用ビジョン、これは現在研究会を設けて検討を進めていただいているところでございますが、いわば中長期的に二十一世紀をにらみながら、さらには高齢化のピークでございます二〇二〇年を長期的には見ながら、ただ実際に関係労使が取り組むべき事項でございますとか、あるいは政府が行うべき事項については、十年ぐらいになりましょうか、そういった中身で一つのビジョンを国民の前に示しながら高年齢者の雇用に当たってのコンセンサス形成に努めていく、こういう性格のものでございます。
#79
○小野清子君 長寿社会雇用ビジョンの研究会の中では、いわゆるこれからの人生八十年時代、ある方は一世紀時代と申しておりますけれども、定年制のあり方についてどのような議論が行われているのか、お伺いしたいと思うんです。
 例えば、六十歳定年を基盤として六十五歳までの継続雇用なのか、あるいは六十五歳定年を基本とした六十歳からの弾力的勤務なのか、この辺はどのような議論が行われているのでしょうか。
#80
○政府委員(七瀬時雄君) 研究会で熱心に議論をいただいておりますので、いろいろな御意見がございまして、それをまだ集約して一つの報告にまとめる段階に至っておりませんけれども、人生八十年時代の中でともかく六十五歳までは雇用の場でと、そしてその後引退過程に入っていくと、こういった基本的な考え方のもとで人生八十年をどういうふうに過ごしていくか、その中での雇用の位置づけあるいは人生八十年時代における労働時間と生活時間の配分とか、そういった問題についていろいろ議論が行われておりますので、六十五歳まで持っていく具体的な考え方として、六十五歳定年制がいいのか、あるいはそれ以外の方法があるかということについては、まださまざまな立場からの意見交換が行われている段階でございますので、ちょっとはっきりした方向を申し上げるのは御勘弁願いたいと思います。
#81
○小野清子君 同僚委員からもお話がございましたが、五十歳の半ばで肩たたきというのが新聞社関係あるいは報道関係等、いわば日本の第一線の中で現実に存在しているわけです。そういった点を考えていきますと、六十歳まで最低限持っていくためにはどのように労働省が指導していくかということに私どもも大変大きな関心と期待を持っているところですが、いわゆるホワイトカラー的な職種についている方々にも、退職後の就業機会の拡大というものをいろいろお考えになっていらっしゃるところがあろうかと思いますけれども、具体的にはどのような内容をお考えでいらっしゃいますでしょうか。
#82
○政府委員(七瀬時雄君) ホワイトカラーの方々につきましても、六十歳定年を基盤として、さらに再雇用あるいは勤務延長という形で六十五歳まで働けるような条件整備を進めながら、同一企業あるいは同一企業グループ、そういったものを基本に置きながらの継続雇用を進めていくということが一つの基本的な施策としてあるわけでございます。
 また、もう一つ引退過程に関連して申し上げますならば、シルバー人材センターが昭和五十五年度から発足いたしまして、平成元年度は全国で四百二十五カ所、また予定分を入れますと四百九十五、五百近くになるわけでございまして、このシルバー人材センターの活動も順調に推移しているわけでございますけれども、今後、私どもとしては、シルバー人材センターで就業していただく方々の仕事の中身としてホワイトカラー的な職種をうまく導入していけないか、こういったことを考えながら現在いろんな角度から検討を進めているところでございます。また、今年度委託事業といたしまして、老人介護サービスについて健康な高齢者の方々が何かお役に立てないかということで、シルバー人材センターが老人の方々を介護する、そういった仕事をやっていける可能性がないかどうかというようなことについても調査研究をいたしているところでございます。
#83
○小野清子君 最後になりましたが、定年退職をされた方ときのうちょっと話してみました。シルバー人材センターというものがあるということも承知しておりますけれども、いわば年金と恩給というものがあり、生活に対する昔のような不安はなくなった。今、自分自身にとって一番欲しいものはやはり生きがいであるということなんです。職を与えられても職場がないというのは、これは本当に寂しいものだと、こういう言葉は、私はなるほどなと思いました。やはり自分を評価してくれる、こういうものでなければ、仕事を与えられても、その生きがいというものは逆に生まれてこないのだという言葉を聞きましたときに、ただ単に仕事を用意し与えるという、与えるという言い方はまずいかもしれませんけれども、提供するだけではない、もっと大きな立場に立った施策というものを考えていかなければならないなということを痛切に感じたところでございます。
 こうした高齢化社会の中で、高齢者の面倒を高齢者が見るという時代にもなってこようかと思います、今のお話をお伺いしますと。やはり健康で、その能力を十分に生かして働けるようにするということが一番大切だと思いますけれども、最後に、高齢者の雇用、就業の場の確保に向けての大臣の御決意をお伺いして、終わりたいと思います。
#84
○国務大臣(塚原俊平君) 御指摘のように、高齢者の方が健康で、その能力を十分生かしながら働けますように、今後、この法律を通過させていただきましたならば、その趣旨を十分に生かしながら頑張ってまいりたいというふうに考えております。
#85
○委員長(浜本万三君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三分開会
#86
○委員長(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#87
○木庭健太郎君 人生八十年時代ということが朝からいろいろ論議になっておりましたけれども、この高齢者の雇用の問題は、まさに国民的課題というような御認識は大臣もあると思います。
 ところが、その一方で、これもいつも言われることですけれども、人手不足、人手不足といいながら高齢者の雇用問題の方をとってみると、六十歳以上を定年年齢と定めている企業の割合が平成元年度でまだ六一・九%しかないという厳しい現状だと思いますし、その他高年齢者の失業率、有効求人倍率、再就職など、いずれを見ても現状が厳しいという認識は大臣も十分御認識になっていることだと思います。
 そういった中で出された今回の改正案だと私も思いますけれども、一方では改正内容が少なく、大変物足りないというような批判もあるのも事実でございます。大臣、こういう点についてどのように認識されているか、まずお伺いしたいと思います。
#88
○国務大臣(塚原俊平君) 高齢者の雇用は国民的課題であるという認識を持っております。また、御指摘のように非常に雇用の厳しい環境にあるということも認識を持っております。
 今回の高齢者雇用が重要であるという中で、非常に改正内容の点が物足りないんじゃないかというような御質問をいただきました。何とか雇用審議会の御答申をいただきまして法案を提出したわけでございますが、当委員会におきまして、そしてまた参議院におきまして何とかこの法案を御可決をいただきまして、その中から労働大臣がさらに果たしていく役割等もございますので、諸先生方から御指導をいただきながら、精いっぱいこの法律を運用することによって物足りるものになるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#89
○木庭健太郎君 六十歳定年の普及の問題ですけれども、確認のためにちょっとお伺いしておきたいんですが、六十歳定年の普及というのを、具体的な目標として初めて労働省として打ち出されたのはいつのことになるんでしょうか。
#90
○政府委員(七瀬時雄君) 人口の高齢化が急速に進展する中で、高年齢者の雇用の確保を図ることが重要な政策課題となっているところでございますが、六十歳定年の普及を国の政策目標として掲げたのは、昭和四十八年一月に策定されました第二次雇用対策基本計画にさかのぼることができるわけでございます。あわせて昭和四十八年に行われた雇用対策法の一部改正の中で「定年の引上げの円滑な実施を促進するために必要な施策を充実すること。」ということが国の施策として法律の中に明記されたわけでございます。
#91
○木庭健太郎君 四十八年というと、私がまだ大学生時代のころですから、随分古い話なんですけれども、既に二十年近くたっている。その中でようやく六割程度だというようなのも、これまでのあり方がどうだったのかなという一つの論議にもなると思うんです。
 その中で、いつも言われるのは、行政指導だけでは限界が来ているというような意見をおっしゃる方もいらっしゃいます。この点についてどんなふうに認識されているか、お伺いしたいと思います。
#92
○国務大臣(塚原俊平君) まず、六一・九%の率の問題でございますが、これにつきましては、私自身決してまだ、当たり前のことでございますが、満足のいく数字であるということは思っておりません。
 ただ、午前中にも御答弁を事務方から申し上げましたが、昭和四十九年に調査をしましたところ、三五・四%であったということでございますので、それに比べれば非常に上がっているわけでございますが、ここに参りまして、六十二年度からはちょっと、まだ上がる率がよくないというようなこともございます。
 ただ、これは午前中もいろんな御議論いただいたんですが、それぞれの企業ごとの雇用者間あるいは働く方々との話し合いの問題とか、いろいろとそれぞれの企業の中で精いっぱいな努力をしていただいて、できる限り御理解と御納得をいただいた中で六十五歳へと進んでいくのが一番理想なわけでございまして、何とか今回この法律改正案を出させていただきましたものでございますから、繰り返しになりますが、衆議院並びに本院におきます御議論を通じまして、御指摘をいただきました一つ一つの諸問題につきまして、しっかりとした政策を打ち出さしていただきながらこの法律を適正に運用して理想に近づけるように努力をいたしたいと考えております。
#93
○木庭健太郎君 確かに、最近の六十歳定年の水準を見ると、急カーブで上がってきていてかなり努力はなさっているなというのはよくわかるんですけれども、逆に言えば依然として厳しい面があるなと、私自身は思うんです。そして、こういう問題を本気で実現しようとするなら、今から中長期的なプランをつくることが必要だというふうに認識します。
 労働省の先ほど議論の中で、長寿社会雇用ビジョンという話が出ましたけれども、このお話をお聞きしていると、二〇二〇年という非常に、中期というよりは長期的ビジョンだというふうに私は思えてならないんです。
 一方の高齢者対策として、厚生省さんの方は在宅介護という問題ではございましたけれども、既に高齢者の保健福祉推進十カ年計画というのを今実施に入ろうとしております。労働省としてもそういう長期ビジョンを掲げながら、もう一方で高齢者雇用拡大のための十カ年戦略というようなものを具体的に打ち出す必要があるというふうに私は思えてならないんですけれども、例えば来年の概算要求に向けてそういった取り組みにもぜひ臨んでほしいと思うんですが、その点についての見解をお伺いしたいと思います。
#94
○政府委員(七瀬時雄君) 高年齢者の雇用の確保に当たりましては、先生御指摘のとおりきちんとした方針のもとで計画的かつ段階的に進めていくことが重要であるというふうに考えております。そういった意味では平成五年度までに六十歳定年の完全定着を図るように努力をしていくというのも一つの方法でございます。また、計画的に進めていくということに関しましては、今回の改正案におきまして高年齢者等職業安定対策基本方針を策定して、六十五歳までの高齢者の雇用機会の増大の目標、あるいは高年齢者の職業の安定を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項を定めることといたしておりますので、一つにはこの基本方針を定める中で計画的に六十五歳までの雇用を進めていくような方針を立てていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 また、ただいまお話にございました人生八十年代時代における雇用のあり方を示す長寿社会雇用ビジョンについても現在鋭意取りまとめ作業を急いでいるところでございますが、
   〔委員長退席、理事糸久八重子君着席〕
紀元二〇二〇年、高齢化のピークをにらみながら、かつ国の講ずべき施策あるいは労使にやっていただく事項をある程度、例えば十年なら十年というような第一期の目標を示すようなことも取りまとめの中で考えていかなければならないかなというふうに思っておりまして、二〇二〇年を見据えながら、かつ中期的にビジョンを示すということも考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも高齢者の雇用の確保に向けて施策の総合的かつ計画的な推進に努めてまいりたいと、このように考えております。
#95
○木庭健太郎君 今長寿社会雇用ビジョン、一生懸命論議をなさって策定中だとは思います。その策定する中でぜひ私は何か具体的な数字というものが出てこないものかなということも実際感じるんです。例えば、そういうビジョンの中に雇用を確保すべき高齢者数を盛り込んでみるとか、これはいろいろ論議の分かれるところでしょうけれども、六十五歳定年の導入の問題を取り込むとか、シルバー人材センターの整備目標をきちんと明確に出すとか、そういったこともやっていただきたいとも思います。そして、特に六十五歳定年という問題については、いろいろ考え方があると思うんですが、定年という考え方を、いわゆる今の常用雇用型ということにとらわれるんじゃなくて、例えば短時間雇用の問題であったり、隔日勤務とか在宅勤務であっても、そういう何か弾力的な考え方を取り入れれば、六十五歳定年というような打ち出し方も十分取り込めるような気もいたしますが、その辺についての認識をお伺いしたいと思います。
#96
○政府委員(七瀬時雄君) 先生のおっしゃいました長寿社会雇用ビジョンの関係でございますけれども、やはり長寿社会雇用ビジョンを策定するに当たりましては、二〇二〇年までといいますか、長期的な展望に立った労働力人口の見通しでございますとか、そのときに高齢者が生産、労働の場で担う役割、そういったものをビジョンの中に盛り込んでいかなければならないというふうに思っておりますし、その中では加齢と職業能力の関係でございますとか、そういったことも含め、あるいは人生八十年代時代における人生設計、その中での雇用の期間の果たす役割、そういったものも盛り込んでまいらなければならないと、このように考えているところでございます。
 次に、先生おっしゃいました六十五歳定年の関係で、定年制ということについての物の考え方として、六十歳あるいは例えばある年齢を過ぎたときには隔日勤務になるとか、あるいは短時間勤務になるとか、そういったことも含めて定年制の概念の中に入れていけばと、こういうふうなお話でございましたけれども、私どもが現に今回の法案を提出させていただいておる中で御説明申し上げていることも、六十歳を過ぎた場合に定年の延長ということではなくて、再雇用なり継続雇用あるいは多様な形態での六十五歳までの雇用確保ということを申し上げているわけでございますので、表現の仕方はいろいろございますけれども、先生のおっしゃっている趣旨も入っているんではなかろうかというように私としては認識いたしているわけでございます。
#97
○木庭健太郎君 ちょっと話変えまして、シルバー人材センターについてお伺いしたいんですけれども、仕事の受注件数を見させていただきました。確かに受注件数そのものは順調に伸びておりましたけれども、若干気になる点もございまして、それは受注件数における公共分の割合なんです。ずっと一〇%未満で、どちらかというと受注量が全体で伸びていることもあるんでしょうけれども、低下傾向に今なっているということであり、契約金額自体を見ても同様に低くなっているような傾向がございます。
   〔理事糸久八重子君退席、委員長着席〕
ぜひこういう点、地方公共団体なんかにも協力を求めてシルバー人材センターへの発注をふやすよう指導を強めるべきではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
#98
○政府委員(七瀬時雄君) シルバー人材センターのシェアの問題でございますが、非常に大ざっぱに申しまして、シルバー人材センターが仕事を請け負ってくる対象としては公共団体もございますし、それから一般市民と申しますか、家庭、そういった方々、それからもう一つは、場合によっては一部企業からというようなこともあろうかと思います。
 御指摘のように、シルバー人材センターにおける公共部門からの受注のシェアは落ちているわけでございますが、これは民間部門の伸びに比べまして公共部門の伸びが下回っているという伸び率の問題でございますが、公共部門においても受注件数とか受注額は一貫して増大してきているわけでございます。
 また、公共部門からの仕事は地域の住民へのサービスが中心でございまして、こういったこともセンターの目的にかなっているわけでございますし、会員の方々の就業機会の確保にも資するわけでございますが、やはり受注量のかなりを公共部門に依存するという形はセンターの自主自立の理念ということといろいろ関係が出てまいります。そういった点を踏まえながら地方公共団体に対して必要な指導をしてまいりたいと、このように考えております。
#99
○木庭健太郎君 いろいろ聞きたいんです。もう一つ、今度は今年度高齢者雇用の一つの目玉として出されます高齢者地域雇用開発事業というのを創設されるということでございますけれども、この事業で高齢者の雇用創出効果として具体的にどのくらいの人数を見込んでいらっしゃるのかお尋ねしたいと思います。
#100
○政府委員(七瀬時雄君) 平成二年度において創設いたしました高年齢者地域雇用開発事業は、都道府県が地域経済団体、それからその傘下の事業所を活用しながら行います地域における高年齢者の雇用環境の整備活動に対して補助を行い、地域レベルでの高年齢者雇用の促進を図ることを目的といたしております。したがいまして、この事業は直接的に具体的な雇用創出効果をねらったものではございませんで、雇用創出効果はそういった意味で数字的に計算しておりませんけれども、この事業の円滑な実施によりまして地域の高年齢者雇用の環境整備が促進されまして、他の施策と相まって雇用創出効果が生まれてくると、こういうふうに考えておりまして、いわば都道府県が地域の経済団体と一緒になって条件整備を図っていこう、こういう性格でございますので、具体的な雇用創出効果ということについてはちょっと計算ができない、こういうことでございます。
#101
○木庭健太郎君 次は、長寿社会雇用ビジョン研究会の中間報告、平成元年八月八日です。この中で、高齢者関係の各種助成金の問題について「制度が複雑でわかりにくく、かつ、不十分である」という指摘がされて、それを受けた形で労働省でも今回助成金についてスクラップ・アンド・ビルドされたのか、かなり制度を変えていらっしゃいます。
 また、その報告の中で一項目、「特に中小企業に配慮する。」という提言があったと思うんですけれども、この「特に中小企業に配慮する。」という部分で、今回のスクラップ・アンド・ビルドなりそういう関係の中でどう対応されたのかを伺いたいと思います。
#102
○政府委員(清水傳雄君) 御指摘のように、今般助成金を整理いたしまして、わかりやすくかつ活用されやすいような形に組みかえる、しかもその内容の充実を図る、こういうことにいたしました。その結果として、高年齢者多数雇用奨励金、それから継続雇用制度導入奨励金、こういう二本を中心としてやっていくことにいたしたわけでございまして、高年齢者多数雇用奨励金につきましても、具体的な支給の単価の面におきまして大企業の場合二万円ということに対しまして中小企業の場合はこれを三万円にするとか、また継続雇用制度導入奨励金の場合につきましても、中小企業に対しての支給額を相対的に高く設定するとか、こうした面で中小企業に対して手厚く措置をいたしておるわけでございます。
 これらを有効に活用することによりまして、中小企業に十分配慮した実効ある結果が生まれてくるようにやってまいりたいと考えております。
#103
○木庭健太郎君 中小企業への配慮として私が一つお伺いしたいのは、今回新しく改正された高年齢者多数雇用奨励金のことでございます。
 以前の雇用報奨金の場合では、たとえ高年齢者を六%を超えて事業主が雇用したとしても、月平均で最低三人を超えて雇用しなければ助成が受けられないというような仕組みにたしかなっていたと思うんです。今回、雇用奨励金というふうに制度が変わって、月平均三人の要件というのはどんなふうに変わったのか、お伺いしたいんです。
#104
○政府委員(七瀬時雄君) 先生御指摘のとおり、多数雇用奨励金の支給要件につきましては、今般六%から四%に引き下げまして、中小企業の事業主を含め一層の高年齢者の雇用の促進を図ることといたしたわけでございます。
 この支給要件、率では六%から四%と戻したわけでございますが、人数につきましては三人という支給要件は今回は変えておりません。従来は五人であったわけでございますが、昭和六十二年五月の緊急経済対策におきまして雇用政策の充実の一環として五人から三人に引き下げたわけでございますが、多数雇っていただいている方に奨励的に助成金を支給するという性格から申しまして、率だけではなくて、やはりある程度の人数を最低基準として設けざるを得ないということについては御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#105
○木庭健太郎君 そうおっしゃるんですけれども、こうなると中小企業で雇うとき非常に苦しいと思うんですね。例えば、三十人規模ぐらいのところが、多数といったら、月に三人雇えばすごい多数になると思うんです。二人だって十分な多数だと私は思うんです。だから、さっきも言いましたけれども、中小企業を配慮してあげなくちゃいけないのに、実際さあ使おうかというときになると中小企業にとっては壁ができているんじゃないかと私自身には思えてならないんです。こうした意味で、月平均三人というのをどうにか緩和していく方向で検討するお考えがないかどうかだけ、私は緩和していただきたいと思うんですが、今回すぐやるということじゃなくて、それこそ次の年度へ向けて少しでも緩和の方向でいこうというお考えがないのかどうか、お伺いしたいと思います。
#106
○政府委員(七瀬時雄君) 助成金については、その支給の状況でありますとか雇用の進み方のぐあいとか、そういったことで適切な時期にいろんな形で見直し、検討を進めなければならないというふうには思っておりますけれども、この多数雇用奨励金の三人ということを具体的におっしゃられますと、ある程度多数、相対的に率が高いということと、絶対的な人数というものもある程度の数が必要ではないかというふうに思っているわけでございます。
#107
○木庭健太郎君 確かにそう言ったら多数ですけれども、そうとらずに、何か本当に利用したいときに、特に中小に利用していただけるような形というのはぜひやっていただきたい。実際にいろいろできているけれども、さあというときに壁があるような気もいたすんです。そういう細かいところにもぜひ目を配っていただきたいということを要望します。
 そして、今度は先ほどおっしゃっていました継続雇用制度導入奨励金のことでお尋ねいたします。大蔵省の方に来ていただいているんで、大蔵省の方にお伺いしたいと思うんです。
 たしか労働省は、この奨励金について概算要求時点では一般会計予算での要求でございましたけれども、午前中も論議がありましたが、査定の段階で雇用勘定からの支出ということに変わったと思います。なぜ一般会計予算からの支出とならなかったのか明らかにしていただきたいと思います。
#108
○説明員(斎藤徹郎君) 概算要求から大蔵原案に至る過程につきましては、政府部内の問題でもありますので、その経緯について申し述べることは差し控えさせていただきたいと存じますけれども、委員おっしゃいました継続雇用制度導入奨励金、これは六十歳代前半層の高年齢者を雇用する継続雇用制度を導入する事業主に対しまして一定額の助成金を支給する制度でございます。このような各企業における雇用関係を通じて高年齢者雇用の促進を図ろうとする施策でございますので、労働保険特別会計の財源により対応することが適当だというふうに考えた次第でございます。
 この奨励金は、従来ございました趣旨、目的を同じくする高年齢者雇用確保助成金をより実効あらしめるべく工夫、改善したものでございまして、従来ございました高年齢者雇用確保助成金につきましても、五十六年度の創設時から一貫して労働保険特別会計の事業としてきたところでございます。
#109
○木庭健太郎君 午前中同僚議員が言っておりましたけれども、労働省の一般会計予算のうちに高年齢者雇用対策費として、政策的経費として使えるのが平成二年度でざっと百四十五億円程度にしかならない。国を挙げて本気で高齢化社会の問題に取り組もうとしているときに、余りにも少ないような気がしてならないんです。労働大臣はいろんな立場もございますし、遠慮なさって言っていらっしゃったと思うんですけれども、私はこういう問題というのは大蔵省にもよくお考えになっていただきたい。国が積極的に取り組むならば、一般会計から出すという考え方も必要だと私は思っております。
 大蔵省に見解を伺いたいんですけれども、この高齢化社会対策をやろうとして、今労働省が一般会計では百四十五億円程度しかない、これに対するもし大蔵省としての御見解があれば、伺っておきたいと思います。
#110
○説明員(斎藤徹郎君) 私どもも、当面高年齢者雇用対策の重要性につきましては十分認識しているところでございまして、今委員おっしゃいましたように、平成二年度の一般会計におきます予算額は百四十六億円となっておりますが、これを元年度の予算額であります百二十五億円と比べますと一六・五%というふうに大幅な思い切った増額を図っているところでございます。
 それから、また特別会計におきます関係の予算がございまして、これが平成元年度で六百九十六億円、それから平成二年度におきましては八百六十五億円ということで、これも二四・四%という大幅な伸びになっているところでございます。
 今後におきましては、予算の量的確保の問題もさることながら、高年齢者雇用の現状を考えますときに、より有効でより合理的、効率的な施策がないものかどうか、労働省御当局とよく相談をしながら、高年齢者雇用対策の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
#111
○木庭健太郎君 確かに伸びが大きくなっているとも知ってはおるんですけれども、ある意味では、日本というのはこれから本当に信じられないようなスピードで高齢化社会を迎える。そんな中で厚生省さんのお取り組みとしてはいろんな形のものが出てきている。一方、労働省の方はどうだろうかなと思うと、なかなか厳しいところがあるなというふうに私は思っておるんです。私たちもそういった制度をきちんとしたいし、国の施策としてやっていく方向で一緒になって取り組みたい。私たちはこれからも大蔵省の方にもどんどん意見を言いながら、今、労働省の方とよくお話しされるとおっしゃいましたので、その点を酌んでいただきながら、取り組んでいただきたいと思います。
 大蔵省の方、どうもありがとうございました。
 今度は労働省の方に。六十歳以上の高齢者を百人以上雇用する事業主に対して、五年間毎年五千万円を助成するといったような大規模高齢者雇用開発助成金制度の創設というのを我が党で提唱いたしておるのですけれども、ある意味では、思い切った助成措置がなければこの問題というのはなかなか光明が見えてこないのじゃないかなという立場から、私たちの党としては提案をしておるのですけれども、この創設についてのお考えをお伺いしておきたいと思います。
#112
○国務大臣(塚原俊平君) 公明党さんがお出しになっております大規模高齢者雇用開発助成金制度というのは、地域関係者が一体となって事業所を新設して多くの高年齢者を雇用した事業主に対して思い切った助成を行う制度であるというふうに承知をいたしております。
 御指摘のような、地域ぐるみの大規模な雇用開発に対する思い切った援助といたしましては、雇用開発促進地域における大規模地域雇用開発モデルプロジェクト推進事業というのがございまして、高年齢者の雇用を主眼とするものでありましても、一定の要件が満たされれば、その援助対象とすることは可能でございます。また、高年齢者の雇用促進のための助成金制度につきましても、助成内容の充実等を今日まで図ってまいりましたわけでございまして、今後、これらの制度を有効に活用することによりまして、できるだけ高齢者の雇用の一層の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
#113
○木庭健太郎君 それから、衆議院の審議の過程で、六十歳定年完全定着の時期を平成六年度から平成五年度と、今までからいえば一年前倒しになったわけです。今も確かに厳しいのですけれども、一年前倒しにされたのですが、その目標実現へ向けて具体的施策、あと数年間ですけれども、特にどんなものを重点にやられようとしているのかをちょっとお伺いしておきたいと思うんです。
#114
○政府委員(七瀬時雄君) 私どもといたしましては、平成五年度までに六十歳定年の完全定着を図るために最大限の努力をするという基本姿勢で臨んでまいりたいと思っておりますが、このためには、何と申しましても現在の法律に書いてございます定年の引き上げの要請、計画作成命令、そういった諸措置を適切かつ厳正に適用しながら六十歳定年の個々の企業における推進を図っていくということが基本になろうかと思っております。また、六十歳定年を企業にやっていただくためには、高年齢者雇用開発協会の持っておりますいろいろなノーハウを提供いたしますとか、定年の引き上げに伴ういろんな労使関係の問題についての好事例をお示しするとか、あるいは高齢者雇用アドバイザーを活用していただくとか、そういった援助、助成活動にあわせて法に基づく行政措置を的確に運用していく、こういう考え方でございます。
#115
○木庭健太郎君 もう一つ。これも同僚議員が午前中言っておりましたけれども、六十歳定年が普及していく中で、大企業を中心に早期退職優遇制度とか退職出向の問題が取り上げられておりました。定年前に退職するという、いわば六十歳定年の形骸化、空洞化の問題でございますけれども、私も何かこういう定年制というのは形式だけではなくて、中身を伴っていなければいけないと思います。
 それについては、午前中、政府委員の方から答弁もありましたが、ちょっとその中で個別に聞きたいんですけれども、今回の定年到達者の再雇用の努力義務との関係でいくと、定年到達前にこういう早期退職優遇制度とか退職出向などによって退職してしまった場合、退職させた場合といいますか、事業主は六十五歳までの再雇用の努力義務というのは免れることになってしまうんですか、その辺を教えてほしいんです。
#116
○政府委員(七瀬時雄君) 今回提出いたしております法案では、六十歳以上の定年で定年に到達したことによって退職することとなる方に対する再雇用の努力義務でございまして、企業の労使間で早期退職の優遇制度を決めて、それに基づいていわば御本人の希望によって退職されるという方々については、再雇用の努力義務はかからないということになります。
 ただ、現在の法律で書いてございます再就職の援助義務ということについては、事業主の再就職に対する援助という努力義務はかかることになるわけでございます。
#117
○木庭健太郎君 その辺もちょっと何となくわかりにくいんです。というのは、この早期退職優遇制度に伴う再就職先での雇用保障年齢をちょっと見てみましたら、企業平均で大体六十一・二歳、退職出向者の出向先での雇用保障年齢の方は大体六十二・八歳。そうなると、確かに再雇用をするということになったとしても、結局その六十五歳の問題は一体どこへ行ってしまうのかというふうにも思うんですけれども、こういう早期退職優遇制度とか退職出向、こういう人たちの六十五歳までの雇用はどんなふうにして労働省としては確保する方向を目指されるのかというのをお伺いしたいんです。
#118
○政府委員(七瀬時雄君) 企業の中で早期退職優遇制度を持っておる、あるいは退職出向制度を持っておることによりまして、例えば五十五歳で退職をする、ただし、そのときの条件その他で退職出向なりあるいは再就職の援助、あっせんというような措置がついたといたしますと、恐らくその行った先の企業で六十歳定年が適用されるわけでございますので、そこのところで六十歳まで働き、さらに再雇用の努力義務がそこのところでかかっていく。いわば早期退職優遇制度を適用し、あるいは退職出向制度を適用しているもとの会社におきまして、これは労使間の話し合いの問題でございますけれども、いろんな関連会社への継続雇用の措置を講ずることもあり得るだろうと思いますし、またそこで六十歳になった場合に関連会社において努力義務を果たしていただく、こういうことになろうかと思います。
#119
○木庭健太郎君 高齢者の法定雇用率の問題なんですけれども、高年齢者雇用率制度というのは六十一年の法改正で一応廃止をされました。この法定雇用率が設定された当時は、労働省の方で、高齢者の雇用状況についてというようなやつをたしか毎年六月時点でまとめて発表されたと思うんですけれども、この制度が廃止された後は一体その雇用状況の発表みたいなことは毎年やってらっしゃるんですか。
#120
○政府委員(七瀬時雄君) 昭和六十一年以前におきましては、高年齢者雇用安定法のもととなりました中高年齢者雇用促進法によりまして、企業が高年齢者を全従業員の六%以上雇用するように努めるべき旨が定められていたわけでございまして、これに基づきまして高年齢者の雇用率の達成指導を実施してまいったわけでございますが、当時は、この六%という雇用率の目標の達成を促進するために、毎年高年齢者の雇用率を公表していたわけでございます。
 昭和六十一年の法改正におきまして、六十歳定年を努力義務という形で法定するとともに、行政措置を定め、これによって定年の引き上げという形で高年齢者の雇用を進めていくことといたした際に、この雇用率の努力義務制度を廃止いたしました。したがいまして、それ以後はこの雇用率制度に関連した雇用状況を発表いたしていることはございません。
#121
○木庭健太郎君 確かに法定雇用率というのがなくなったわけですから、未達成企業の割合とかそういうものは出せない形になったんでしょうけれども、じゃ実雇用率がどんなふうにして推移しているのかというようなことは、逆に言えば今どういう状況に高齢者が置かれているかというのを国民の側に知らせていって喚起して、そういうことが一つの高齢者雇用の対策の大きな項目にもなると思うんですよね。だから、突然もうやめちゃったからいいんだというようなことじゃなくて、毎年毎年状況というのはきちんとすべきじゃないかなと思います。
 そして、もしお調べになっていらっしゃるならば、現行法五十五条あるわけですから、現行法五十五条に基づいて高齢者の「雇用状況の報告」、これによって、例えば高齢者の企業規模別、作業別の実雇用率の状況というのはその後どんなふうに変化しているのか教えていただければと思います。
#122
○政府委員(七瀬時雄君) 御指摘のとおり、高年齢者の雇用を、労使あるいは国民各層のコンセンサスを得ながら進めていくためには、現状の雇用状況がどうなっているかというのを統計調査の形で把握するとか、あるいは個別の事例の集積という形で把握するということは極めて重要なことではなかろうかと思っております。
 現在私が手元に持っております資料といたしましては、十五歳以上の全雇用者に占める五十五歳以上の割合が一三・七%というような数字も持っておりますが、いろんな形で統計調査、資料を把握し、必要に応じて公表してまいりたい、このように思っております。
#123
○木庭健太郎君 もう時間になりましたので、そういうことをぜひ、現状認識を皆さんにしていただくというような態度が非常に不足しているようにも思いますので、その辺はよろしくお願いしておきます。
 時間になりましたので、終わらしていただきます。
#124
○沓脱タケ子君 本改正案は、労働大臣が高年齢者等職業安定対策基本方針を策定する、それから事業主は、特別な場合を除き、労働者を六十五歳まで雇用するように努めること等が主な内容になっております。
 この改正案は、考えてみますと、初めに年金六十五歳支給ありき、その批判かわしというんですか、それの対案というふうな、むしろ国民の側から見たら批判かわしという本質が非常に強く感じられるわけでございます。現にこの法案は、年金はもう六十五歳支給というのは決定をされている、今実施が延期されているだけであります。後で六十五歳までの雇用の問題が審議会にかけられる。そして使用者側のかなり抵抗があった末に努力規定ということで入れられた。それが本改正案を提出をするに至った経過でありました。
 こういう経過から見て、国民は年金六十五歳支給のつじつま合わせではないのかという見方も非常に強うございます。私はそうならないことを期待いたします。この点を最初にまず御指摘を申し上げておきたいと思います。
 そういうことなので、国民の期待にこたえるという立場というのが非常に大事だという点なんですね。私は、まずこの改正案の施行と並行して、労働省が努力をするべき幾つかの課題があると思いますが、この一、二をお伺いしたいと思います。
 きょうも、朝からの論議で集中をいたしましたまず六十歳定年制の早期実現の問題ですね。平成元年一月一日現在で見ますと、六十歳以上の定年制を決めているのが六一・九%、五十九歳以下が三八・二%、しかもそのうちまだ五十五歳以下二一・二%というのがいただいた統計の内容でございます。委員会での論議が多いのは当たり前なんですね。国民の関心というのは今六十歳定年の完全定着が先決だというのが非常に強いと思うわけでございます。衆議院では、平成五年度に完全定着をさせたい、そういうお立場で大臣が表明をされたようでございますけれども、必ずこれは実現できるという確信をお持ちでございましょうか。
#125
○政府委員(清水傳雄君) 高齢者雇用、特に六十歳定年の定着、六十歳代層の雇用、こうしたことを進めていかなきゃならないということは、年金問題と離れましても極めて重要な課題であり、またそうした必要性についての全体としての、総論的な意味合いにおいてのコンセンサスということについてはできつつある状況にあるだろう、私どもはこのように考えておるわけでございます。もちろん各論段階で具体的などういう手法で進めていくかにつきましては、これはいろんな御議論がございまして、この法案提出に至ります過程におきましての御議論というのも、そういう各論のいわばやり方の面における考え方、立場の違い、相違、こういうものとして御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。
 御承知のような労働力需給の逼迫基調は続くわけでございますし、中期的に見ましても、供給構造が大きく変わってくるということも大方の認識として定着しつつあるわけでございまして、そうした状況を背景として、私どもといたしましては、高齢化社会の中における我が国経済社会を活力のあるものとしていくためにも、高齢者雇用を進めていく非常に大きな、何と申しますか、環境としては進めやすい環境にあるというふうに考えております。
 現実に、現在の定年制の状況、御指摘のような数字でございます。ただ、同時に予定、決定を含めますと八割に達する企業が六十歳定年を現実に目指しておる、目指しつつ準備を行っている、こういうことになるわけでございまして、私どもこの法律に基づきます定年の引き上げ要請、計画の作成命令あるいは勧告、こういう一連の行政措置を昭和六十一年の法律以来、現在それを着々と実施をしているちょうど最中に当たるわけでございます。これらを通じてただいま申し上げましたような八割を超える、八割の企業がそうしたことへ向けて準備を進めている、これを現実のものにしていき、さらにそれを上回るような状況に持っていきたいということが平成五年度までに六十歳定年を完全に定着させていこう、こういう私どもの考え方であるわけでございまして、今申しましたようなことで積極的に進めてまいりたいと思います。
#126
○沓脱タケ子君 厳格に運用するというお立場のようですけれども、もう午前中から論議が出ておりますから多くを申し上げるつもりはありませんけれども、六十歳定年制をしいておる企業で、例えば損保の関係とか商社の関係でもこれは定年は六十歳延長制度を採用している、しかし、五十五歳になって、超えると賃金が四割ないし五割も減るという切り下げが現実に問題になっています。こういう事態、だから統計に出てくるのは六十歳定年延長制度をやった企業として出るんですよ。ところが、中が、底が抜けているというのは先ほどからも既に論議済みでございますから、そういうことをひとつしっかりと押さえていただきませんと、必ずやりますと言うて力入れてみたところで中が空洞化したんじゃ何にもならない。
 次に、定年後の再雇用についての第四条の五のただし書き、これは午前中も論議の対象になっておりましたが、非常に問題だなと思うんですね。これを見ますと、四条の五では「事業主は、」「その者が六十五歳に達するまでの間、その者を雇用するように努めなければならない。ただし、職業能力の開発及び向上並びに作業施設の改善その他の諸条件の整備を行ってもなおその者の能力に応じた雇用の機会が得られない場合又は雇用を継続することが著しく困難となつた場合は、この限りでない。」というただし書きがございます。このただし書きで事業主が上手に使うということになりますと、この法案は底抜けになる危険があります。いやまあ雇用継続はなかなかいろんな諸条件を見まして困難でございます、困難でございますと言うてたら六十五歳までの雇用の継続というのは成り立たなくなると思うんですね。そういう点で厳格に運用すると答えられておりますけれども、こういうただし書きがついている本法案が実施されるという段階になって本当に底抜けにならないという自信がおありになるかどうか、そこが一つ重要な問題なんですね。
#127
○政府委員(七瀬時雄君) 六十五歳までの雇用確保についての再雇用の努力義務という形で提案させていただいておるわけでございますが、これにつきましても雇用審議会でいろんな議論が行われたわけでございますが、まず基本的に六十五歳に向けて雇用を進めていくためにはそれぞれの労使というか、企業内において職業能力の開発でございますとか、作業施設の改善、職域の開発その他の条件整備が必要であり、その条件整備に努めながら雇用の確保を図っていく必要があるということが雇用審議会の答申の趣旨であったわけでございます。そういった意味でそういう条件整備を図るために一生懸命努力している。ただ、六十歳を過ぎた場合に御本人のいろいろ健康、能力その他に多様性があり、御本人にそういう条件整備を行ってもその方に適当な仕事の場がない、そういった場合には除外をせざるを得ないだろうということでこういう規定にいたしたわけでございます。したがいまして、この規定を実効あらしめるためにはともかく粘り強く事業主の方々に、六十五歳に向けての先ほど局長が総論的にコンセンサスができているというふうに申し上げたわけでございますが、そういう総論的なコンセンサスをもとにしながら条件整備を粘り強く進めていただくように、これまた私どもとして粘り強く指導していくというのが、これを底抜けとおっしゃいましたが、しないための基本ではなかろうかというふうに思っております。
 同時に、ただいろいろ同業他社の状況とかいろんな状況を見ながらなかなか努力をしていただけない、こういう場合には勧告制度というものを設けておりますので、この勧告制度もまた的確に運用していく、こういうことになろうかと思います。
#128
○沓脱タケ子君 労働省、それやったらきちんとやれるというふうに思っておられるんだったら私は認識が甘いと思うんですよ。というのは、以前にも私御指摘を申し上げたことがあるんですけれども、経営者というのはそんなに甘くない。日経連の「高齢化問題研究委員会中間報告」、平成元年十月二十四日の報告によりますと、「高齢化社会に向けての企業の対応」というのが書かれています。これ時間がありませんけれどもちょっと引用しますが、「I六十歳台前半層の雇用問題」「1企業の取り組みの基本方向」、「(1)一律的定年延長は行わない」、「(2)雇用延長・就労形態の弾力化と個別的対応」、そこでは、
  六十歳以降層は多くの点で個人差が大きい。しがって、雇用・就労の延長は再雇用を原則とし、企業ニーズにマッチした人との個別的契約を基本に、常勤・非常勤、フルタイム・パートタイム、日勤・在宅勤務、長期・短期、等高齢者雇用のメリットが生かせる多様な雇用・就労形態を選択可能なものとすべきである。
  なお、再雇用に当っては、従前の賃金は白紙とし、再雇用による個人別・能力別契約賃金とすべきである。
 (3)企業サイドの採用・不採用の選択権の確保
  六十歳台前半層は、個人差が拡大し、必ずしも全てが就労の延長を望むわけではない。周知の通り、能力の個・人差や企業ニーズとのミスマッチが大きいことから、採用、不採用の選択権は企業サイドに確保すべきである。
ということが言われているわけです。雇用者側、つまり日経連は「採用、不採用の選択権は企業サイドに確保すべきである。」とはっきり言っているんですね。これは逆にひっくり返して言うたら、非常に企業のエゴイズム丸出しだと思うんですよ。高齢化社会の中で企業活動を行うという、社会的責任という立場からいうたら、こんな企業エゴ丸出しのようなやり方で社会的責任の一かけらもないという考え方というのはまことに遺憾千万。まずこういう考え方、意識を変えてもらう必要があると思いますが、こういう点も含めて本当に厳正な運用をしていく必要があると思いますが、大臣、あえて、日経連ですからね、ひとつ御決意のほどを伺っておきたい。
#129
○国務大臣(塚原俊平君) 高齢者の方の雇用を確保いたしてまいります中で、今経営者の意識を変えていく必要性を御指摘になられました。
 すべてがすべてそういう意識を持っているわけでもないと思いますし、熱心な経営者の方もいらっしゃるんだと思います。ちょっとその文書を私読んでないんでございますが、いずれにいたしましても、改正案に盛り込まれております再雇用の努力義務というものもございますものですから、本法案を通していただきましたならば、履行されないということになればけしからぬことでありますので、十分に留意をいたしまして対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
#130
○沓脱タケ子君 定年延長に関して労働省に注意を喚起しておきたいと思いますのは、高齢労働者の賃金の問題なんですね。さきに引用いたしましたように、日経連は、六十歳以降は再雇用で賃金は白紙、個別に決定すると言っているわけですね。ですから、これは大変なことだなと思うんですが、六十歳以降どころか、今でも、さっきもちょっと触れましたように、大企業では五十歳とか五十五歳以降は出向転籍などを行うとともに賃金を削減するという傾向というのは御承知のとおりどんどんふえています。退職金も五十五歳時点で清算をする、以後は支払わないということもあるんですね。そんなむちゃなことがあるかということで、現に青森銀行、みちのく銀行、第四銀行労働者はこんな賃金ダウンというのはけしからぬということで裁判を起こしているという例があります。私は、こういうことを引き起こしたことについて労働省も責任があると思うんですよ。
 これは時間がないからゆっくり紹介するわけにもいかぬかもしれませんが、例えば昭和五十四年一月二十三日の労働省職安局長名で、「高年齢者雇用対策の推進について」という通達をお出しになっている。これを見たら、十三ページにこう書いてある。「定年延長を指導するに当つての基本的な考え方は、」「問題点を解消するため、延長後は、」「@労働能力、労働内容に応じ、横ばいないし低下するような賃金体系」、二番目は「延長後の期間を加算しない退職金制度」、三も含めてですが、「労使関係者の理解を得ることを中心に指導する」と。初めからもう、定年延長を指導するに当たっては賃金は「横ばいないし低下するような賃金体系」にするとか「延長後の期間を加算しない退職金制度」だとか、こんなものを局長名で出しているんだから、やるのは当たり前ですよ。
 これはその後改定をしたそうです。改定をしたそうだけれども、労働省の局長通達でそんなものが出てすぐに、それを実現させている企業がそんなもとへ簡単に戻しますか。ちょっと戻したとしても、その間に受けた労働者全体の損害は一体どうしますか。だから裁判が起こっているんですよ。私、この前も御指摘申し上げた三和銀行だってそうです。五十五歳でちゃんと退職金を計算してその時点でもらって、その後は銀行内ですけれども別の職場へ行って、賃金が下がって六十までおるというふうなことを既にちゃんと実施しているんです。
 そこで、ILOの百六十二号勧告、「高齢労働者に関する勧告」ですが、同一価値の労働に対する平等の報酬を受ける権利を保障すべきであると述べていますね。賃金の低下というのは、年金も一緒に、死ぬまで続く年金の金額の低下にもなるんですね。こういう点で行政努力というのは極めて大事で、とにかく横ばいから下げてもよろしいというふうなことをうかうかやるというようなことでは話にならない。そこでそういった点の行政努力というのは極めて大事、そういう点についての基本的な見解を伺いたいと思います。
#131
○政府委員(清水傳雄君) 先ほど六十歳定年について政策的にいつごろから取り上げて目標として掲げたかという御質問がございました。昭和四十年代の終わりごろから労働省として六十歳定年ということを主唱をして、当時の五十五歳定年が支配的であった時期から今日まで営々と努力を重ねてまいったわけでございます。
 当時、何が一番六十歳定年についての大きな障害であったか。これは率直に申しまして、賃金であり退職金であったわけでございます。したがいまして、賃金なり退職金についてのそうした見直しというふうなものがなければ六十歳定年について物事が動かなかった、こういう状況でございました。そしてまた、これは労働省ということだけじゃなしに、当時、関西労使会議というのがございまして、そこの提言として、賃金カーブを寝かしてでも六十歳定年に向けて進めていこう、こういうふうな提言もなされておったわけでございます。
 いずれにいたしましても、日本の年功序列の賃金体系の中におきましては、こうした高齢者雇用というものが賃金なり退職金という面についての見直しなしには非常に進まない、そういう現実的側面を持っておるわけでございますし、そしてまたこれは何と申しますか、能力評価の仕組みとして、年齢というよりも当該企業における経験と申しますか、そうしたものを能力評価の仕組みあるいは一定の仮の物差しとして持ちつつやってくる、こういうふうな形で行われておったわけでございます。
 いずれにいたしましても、定年延長あるいは再雇用ということについては、そうした問題を含めます人事処遇制度の見直し等いろんな工夫が伴わなければこれはできないわけでございまして、そうしてまた、そういう条件、内容につきましては、基本的には高齢者の雇用を推進を図るという観点から労使間でその望ましいあり方を十分に話し合いが行われて定められていくべきものであるというふうに考えておるわけでございます。
 私どもとしては、そうした状況を基本的に十分認識もしつつ高齢者雇用を進めていかなきゃならない、このように考えております。
#132
○沓脱タケ子君 まあその問題については大いに意見がありますが、時間の都合がありますから。考えておかなきゃいかぬのは、とにかく労働省が横ばいないし下げてもよろしいというようなことを言ったら、低賃金の高齢労働者がもうあふれるような結果になる。そんなことになったら大変ですよ。その点はもっと行政指導をやる場合に、そういう諸問題があるとしても物の言い方があるということを言っているんですね。
 私、時間がありませんから、次に身障者の雇用問題についてお聞きをしたい。
 一九八一年、国際障害者年、ことしでちょうど十年です。ところが、民間企業における障害者の雇用状況というのは、企業規模別に見ると、大企業ほど実雇用率も雇用率の未達成の企業の割合も悪いんですね。こういう傾向というのは十年続いている。労働省の職業安定局集計を見ますと、千人以上のところでは実雇用率が一・一七、五百人から九百九十九人までも一・一七、三百人以上が一・二四、それから雇用率の未達成企業の割合というのも千人以上は八〇%未達成ですよ。五百人以上が七〇%というふうに大企業ほど悪い。この傾向十年変わってないですね。そういう点では大企業の社会的に与える影響が極めて大きい。こんな障害者雇用を、しかも法定雇用率さえも守らない。いわば最低の社会的なルールも守らないというのは極めて遺憾だと思います。大臣そう思いませんか。
 もうちょっと時間がないから続けましょう。
 私、もう一つ不思議に思うのは、しかもそういうことが特定の業種に極端に悪いことですよ。産業別に雇用状況を見ますと、雇用率の未達成企業の割合というのが、金融・保険・不動産が実雇用率が物すごく悪い、一・〇五%。一・六ないといかぬでしょう。しかも、七五%の企業は雇用率未達成ですね。こういう傾向も十年続いている。金融・保険・不動産というのは、これはもう今の社会ではマネーゲームで大もうけ、土地を値上げして大もうけという主産業ですね。社会的な公正の立場から言うても大変問題ですよ。こういう業界に特に大臣から促進の要請を直接なさったらどうかと思うんですけれども、いかがですか。
#133
○政府委員(七瀬時雄君) 大企業の雇用率の問題とそれから業種別の雇用率の問題が出ましたので、私からお答えさせていただきます。
 一・六%の雇用率で、御指摘のとおり大企業の雇用率は一・三二%でございます。
#134
○沓脱タケ子君 いや違うんですよ。それは計でしょう、トータル。
#135
○政府委員(七瀬時雄君) トータルで一・三二%でございます。大企業については御指摘のとおり一・一七%でございますが、大企業の雇用率は十年前の昭和五十四年に比べまして〇・三一ポイント上昇いたしておりまして……
#136
○沓脱タケ子君 そんな話聞いてない。
#137
○政府委員(七瀬時雄君) 企業全体の増加幅と比べまして大幅な伸びを示しております。
#138
○沓脱タケ子君 そんなことは聞いてない。現状の中で大企業に対して促進方の要請をしたらどうかということを聞いておる。
#139
○政府委員(七瀬時雄君) 大企業につきましては、そういった形で雇用率の改善は見られるわけでございますが、ただ全体的な数が多いということもございまして、急速に進まないという事情もございます。
 ただ、いずれにいたしましても、大企業の雇用改善の状況が十分でないという認識は持っておりますので、私どもとしては雇用率の低い大企業を中心に雇い入れ計画の作成を命ずるとともに、適正実施の勧告を行うなど、強力に大企業を対象にして達成指導をしてまいりたいと思っております。
 また、昭和六十三年度からは雇用率の低い……
#140
○沓脱タケ子君 もういいですわ。私が求めている答弁じゃないから、よろしい。私、次聞かしてもらいます。そういうことだから大企業に申し入れたらどうですかって聞いているんですよ。
 六十三年度中に障害者が五万五千人職安に新しく職を求めています。三万人の方々が就職している。なお現在約四万七千人が求職をし待機中なんです。こういう中で実雇用は大企業は悪いという状況なんだ。しかも、十年間続いている。大変残念だと思うんですよ。こういう状態になっているから行政姿勢の甘さが非常に指摘をされている。この指摘が総務庁、この間の五月に指摘をされた御指摘なんですね。身体障害者の福祉・雇用に関する調査結果に基づく改善意見というのが総務庁から出されたでしょう。
 この内容は一口で言うと、労働省はもう少し力を入れて障害者の雇用促進に取り組む必要があるんではないかということを御指摘になったんですね。謙虚に受けとめますと朝も言うてたな。受けとめますて簡単なものじゃないです、指摘の内容は。どういう指摘をされているかということ、これ歯がゆい感じがするんですが、例えばこういうふうに指摘されているんですよ。「雇入れ計画の実効性の確保」「雇入れ計画については、雇用不足数に相当する身体障害者を雇い入れるための具体的かつ実効性のあるものであることが必要であり、安定所が当該計画書の作成指導を行うに当たっては、当該企業において十分な検討を行わせた上で事業所・業種ごとの雇入れ予定人数を具体的に明示させることが重要である。」。ところが、それは「雇入れを予定する事業所が特定されていないもの」とか「雇入れを予定する事業所が特定されていても、事業所ごとの雇入れ計画である事業所計画書が作成・添付されていないもの」「具体性・実効性に欠ける」と言うて指摘をされている。だから、大企業から雇い入れますよと言うて持ってきたら、何でもいいから受け取っているという結果になっている。
 だから、その結果はどうなるかというと、こういう姿勢の甘さを指摘をされているんだけれども、この計画書をうのみにしているから、後はどうなっているかというと、今度は該当する適正実施勧告もしていない。何ぼ適正実施勧告の実施状況を見ると言うて、適正実施勧告をしたのは四十七企業であると、残りの二百二十企業のうち百九十八企業については該当するとして適正実施勧告をしていない、やるべきことをやってないじゃないか。だから最後に言われているのはこう言われているんですよ。「なお、雇入計画作成命令を受けた事業主が正当な理由なく適正実施勧告に従わない場合は、労働大臣が雇用促進法第十六条に基づき企業名の公表を行うことができることとされているが、これまでその例はない。」というふうに指摘をされている。「したがって、労働省は、適正実施勧告を行った企業の幹部に対する都道府県幹部職員等による指導を一層強化することについて都道府県及び安定所を指導するとともに、実雇用率の改善がみられない企業については労働省において積極的に特別指導を実施し、」、それでもなおかつ聞かない「企業については最終的には公表制度の的確な運用によって適正実施勧告の効果の確保を図る必要がある。」と、大変厳しい御指摘を受けているわけでございます。
 大臣、この改善意見を率直に受け入れる必要があると私は思います。全体として障害者雇用の促進に労働省がもう少しきっぱりした姿勢をとりなさいということが指摘をされているわけですから、大臣、これは企業名の公表も含めて、この指摘どおりに雇用促進の努力をするべきではないかと思うんです。これをやれば今四万七千人待機中の障害者の皆さん、就職は片がつきますよ。そういう立場で大臣、ひとつ決意のほどを伺いたい。
#141
○国務大臣(塚原俊平君) 総務庁の改善意見が出ます前後の予算委員会におきましても、雇用率につきましての御指摘をいただきました。また、本委員会におきましても、何とか法定雇用率一・六でございましたか、に十年間でさせていただきたいということの御答弁もいたしました。そして、当然この改善意見につきましては、謙虚にこれを受けとめているわけでございます。ただ、就業の中で、いわゆる一回お勤めになって、なかなかそこになじまないでまたおやめになってというような部分もちょっとあるものでございますから、その辺の条件はあるにいたしましても、今先生からの一つ一つの御指摘もございましたが、何としても十年で法定雇用率に持っていくために、今御指摘のありました大企業に対します指導も、現在さらに強めております。そこのところを高対部長も答弁したかったんだと思うんですが、ちょっと前置きが長くて本当に申しわけなかったんでございますが、大企業に対する指導もさらに強化をいたしてまいりたいというふうに考えております。
 また、先生の御指摘というか、総務庁の方からございました公表制度の運用等も、当然これは大臣に与えられましたものでございますので、場合によりましては、余り悪質なものにつきましては、そういうようなこともこれからはしていかなくちゃいけないぐらいの決意で臨んでいきたいというふうに考えております。
#142
○乾晴美君 お願いいたします。
 昨年、連合が豊かでゆとりのある老後の生活に向けてというテーマで人生八十年時代における生活と福祉に関して組合員にアンケート調査を実施した結果があるわけです。このアンケート調査は、年金だとか、医療、介護の問題も含めた幅広い分野にわたって行ったものなんですけれも、雇用の問題に目を向けてみますと、まず何といっても目につくのは、高齢になってから何らかの形で働き続けたいかと、働き続けたいというように考えている人が非常に多いということです。定年退職した後も何歳まで働くことを希望しますかという質問には、体力が許せば生涯働き続けたいというふうに答えた人が二七・八%にもなっているわけですね。これらの人々を含めて六十五歳ぐらいまで働き続けることを希望するというように言った人は全体で六五・三%です。男性は七割を超えておるわけですね。
 こうした六十歳代の前半層の高齢者の問題に取り組んでいくためには、先ほどからも問題になっておりますけれども、その前提になるのは六十歳定年の問題が早急に解決されなければいけないなと思います。また、公的年金の完全支給開始の希望年数については、六十歳定年の企業にいる人の約七割が六十歳支給を希望しております。定年年齢と支給開始年齢の結合を強く望んでおるということを示していると思います。
 このように六十歳定年は六十歳代前半層の雇用の機会の確保を図る上での基盤であるというように思います。六十歳から支給される厚生年金との結合を図って収入に不安のない高齢期を保障する観点からも、その完全定着というのは速やかに解決していく国民的課題である、これは午前中から言われたとおりだと私は思います。
 午前中の政府の皆さんの御答弁やら同僚議員の会話を聞かしていただきまして、政府はよく国民的コンセンサスが得られたらこういうことをやるとか、得られないからできないとか言うんですけれども、先ほどのお答えでは、六十歳定年につきましては、予定、決定者が八割を超すと、八〇%の企業は準備もしているし、これからやろうとしているということをお答えしているわけなんですね。八〇%の人がそういうことをおっしゃっているのにもかかわらず、なおかつ国民的コンセンサスが得られないから六十歳定年ができないというのであれば、一体何%がくれば六十歳の定年制がしかれるのかというように疑問に思います。
 政府というのはどちらかといえば国民をリードしたり、また指導していく立場にありますので、もうここら辺で六十歳定年の早期定着に向けて実効ある措置が積極的に講じられてもいいのではないかというように思って座らしていただいておりましたが、まず労働大臣に、この決意を再度私からもお聞きしたいと思います。
#143
○国務大臣(塚原俊平君) ただいま御指摘ございました六十歳定年は、雇用審議会の答申でも御指摘いただきましたし、ただいま先生からも御指摘いただきましたが、高齢者の雇用、就業の場を確保する基盤となるものであるという認識を持っております。何とかこの法案を御可決をいただきまして、しっかりとした運用をすることによりまして、その趣旨が生かされますように精いっぱい努力をいたしてまいりたいと決意をいたしております。
#144
○乾晴美君 高齢になって職業生活から引退している人が、退職した後も何らかの形で社会参加をやりたい、生きがいを見出していきたいというように言う人も非常に多いわけですね。そのような人々にいろいろな形で就業の機会というのを提供する機関として、午前中もお話のありましたシルバー人材センターというのが全国で効果を発揮しているんだというようなお答えでございましたけれども、このシルバー人材センターの現状というのを簡単にお聞かせいただきたいと思います。
#145
○政府委員(七瀬時雄君) シルバー人材センターは、ただいま御指摘にもございましたけれども、急速に進展する我が国人口の高齢化に対応するための重要な施策として昭和五十五年度から発足いたしました。平成元年度において全国の主要都市に四百二十五団体の設置を見るに至っております。また会員数は約二十万人となっております。なお、団体数につきましては、平成二年度に七十団体の増設を予定しているところでございます。
 また、事業の運営につきましては、順調に推移してきておりまして、昭和六十三年度の請負金額は五百六十二億円、一団体当たりの額は約一億五千万円というふうになっております。
#146
○乾晴美君 シルバー人材センターという中におきましても、退職前に事務系の職種についていた人についてはなかなか適当な就業の場が確保されておらない、いわゆる受け皿が不十分であると聞いておるわけなんですが、このような人々も生きがいを持って老後を過ごすために就業機会の開発という対策を今後積極的に講じていっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#147
○政府委員(七瀬時雄君) 退職前に事務系の職務についていたいわゆるホワイトカラーの方々の加入者につきましては、これに対する仕事が必ずしも十分な現状ではなくて、加入者のニーズに見合った就業機会を確保していくということが今後の重要な課題であるというふうに認識いたしております。このため各それぞれのセンターにおきましては、これらホワイトカラーの加入者の就業ニーズに見合った例えば歴史、文化的資料の整理でございますとか、あるいはワープロによる文書作成等の仕事を積極的に確保するように努力いただいているわけでございますが、今後とも各種技能講習会の開催など必要な技能の習得の問題も含めまして各シルバー人材センターに対してそういった形で指導してまいりたい、このように考えているわけでございます。
 労働省といたしましても、このような現状にかんがみまして、さらにセンターにおけるこれら加入者に対する就業機会の開発拡大のための方策について検討をしてまいりたいというふうに考えております。
#148
○乾晴美君 高齢化社会においては若年層と高齢層との間で非常に典型的な扶養、被扶養の関係があると思います。例えば介護を要するようなお年寄に元気な高齢者がお世話するというようなことが必要になってくるんではないかと、これも早くから言われていることだと思いますけれども。一部のシルバー人材センターでは既にこういったものをやっておると、ひとり暮らしのお年寄りのお手伝いなどいわゆる家事援助サービスを開始したところもできているというふうに聞いておりますけれども、今後高齢化社会が急速に進んでいく中で寝たきりのお年寄りなどに対する介護サービスなどの需要がますます増大していくということが考えられますので、地域における福祉への貢献という面からも、このシルバー人材センターにおいて介護サービスについて積極的に取り組んでいくべきではないかと思うわけなんですが、労働省のお考え方はいかがでしょうか。
#149
○政府委員(七瀬時雄君) まず基本的に、健康な高齢者の方々が例えば寝たきりの老人の方々を介護していくという考え方は極めて大切な考え方であろうというふうに認識しているわけでございます。
 現在、シルバー人材センターが行っております福祉あるいは家事援助サービス事業は老人家庭におけるお話相手でございますとか、掃除、洗濯、一般の家事手伝いなどでございますが、この事業についてのノーハウの蓄積あるいは会員の確保も必ずしも十分でございませんので、労働省といたしましては、平成二年度予算で対老人福祉家事援助サービス事業ということで、そのあり方につきまして問題解決の具体的な方向などについて調査研究いたしまして今後の方向づけの参考にしてまいりたい、このように考えております。
#150
○乾晴美君 シルバー人材センターが成功していくというには、地域に密着した運営がなされているから成功していくのであろうというように思うわけです。私は高齢者の雇用の問題を考えるときでも同様ではないかと思います。高齢者はやはり地元志向が強く、自分が生きてきた地域社会の中で活躍の場を求めていると思います。高齢者の雇用を促進するためには事業主側でも地域レベルで集団的に取り組んでもらうということが効果的ではないのかなと思います。
 そこで、高齢者雇用についてもマクロ的な施策を展開するだけではなく、地域レベルで高齢者の雇用機会の確保を図っていく対策も積極的に講じていくということが非常に必要だと考えますけれども、労働省の対策はいかがでしょうか。
#151
○政府委員(清水傳雄君) 御指摘のように、高齢者の雇用就業対策、都道府県、市町村等の地方公共団体を初めといたしまして、地域的な広がりの中で対策を積極的に進めていくということが非常に重要であるというふうに私どもも考えております。今御指摘にございましたように、シルバー人材センター自体もそうした手法を用いつつ、高齢者雇用対策は地域に密着型の対策であるというふうに思うわけでございます。さらに、平成二年度におきましては、高年齢者地域雇用開発事業というのを創設いたしまして、都道府県段階において地域経済団体との連携を図りながら、高齢者雇用のための地域環境の整備を行っていく、こういう事業を行うこととし、それに対しても国庫補助を行って進めていく、こういう対策を講ずることといたしておるわけでございまして、全体の効率的な一定の枠組みというふうなものを加えつつも、地域段階におきます地域レベルの取り組みというものを進めてまいりたいというふうに考えております。
#152
○乾晴美君 高齢者の雇用がなかなか進まない理由には、やはり事業主を初めとする関係者の間に高齢者の雇用促進についての共通の理解が形成されていないのではないか、高齢者は使いにくいといったような間違った考えがまだまだ事業主の中で強いのではないかというように思うわけです。したがって、助成金制度とか各種の助言とか援助措置を講じていくだけではなかなか高齢者の雇用は進まないのではないか。だから、事業主を初めとする関係者の意識改革、いわゆる国民的コンセンサスを形成して、高齢者雇用の機運を醸成していくことが必要ではないかと思うんです。
 このような事情は、現在高齢者雇用と並び労働行政の重要な課題である労働時間短縮の問題と共通しておるというように思うわけなんですが、労働時間の短縮については、もう既に労働時間短縮政策会議というようなものを設けて、各界のトップクラスを集めてコンセンサス形成を図っているようですが、この労働時間短縮政策会議について、その開催状況というのはどういうふうになっておるのでしょうか。また、その成果について労働省としてはどのように考えられておられるのか、お伺いしたいと思います。
#153
○説明員(井上文彦君) 労働時間の短縮の問題でございますが、これは国民的合意のもとに進めることが重要でございます。このため、一昨年から労使のトップの方々を初め、各界で活躍されております方々二十三名から成ります労働時間短縮政策会議を開催しておりまして、これに基づきまして国民的コンセンサスの形成に努めているところでございます。
 この会議は、ことしの一月を含めましてこれまで四回開催されてございますが、平成元年一月には、「ゆとりある社会に向けて考え方の転換を」などを含みました十五項目にわたります「労働時間短縮に関する提言」をいただいたところでございます。今後とも、この提言の周知徹底を図るとともに、引き続きこの会議の御意見を伺いながら労働時間短縮に関します国民的コンセンサスの形成に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
#154
○乾晴美君 労働時間短縮については、労働時間短縮政策会議というものが設置されて、一定の成果を上げられているというような御答弁でございましたけれども、連合は、以前からこの高齢者雇用の問題に関して、高齢者雇用推進国民会議の設置を強く要求してきておったわけなんですけれども、高齢者の雇用機会の確保は、やはり雇用審議会答申でも言われているように、緊急の国民的課題であり、国民的なコンセンサスを形成して、その機運を醸成していくことが極めて重要であると思います。
 このような観点から、労使のトップを含めた各界の代表から成る高齢者雇用推進国民会議を設置すべきではないかというように考えておるわけなんですが、大臣の前向きな御答弁をお願いしたいと思います。
#155
○国務大臣(塚原俊平君) 御指摘のとおり、高年齢者の雇用の問題は広く国民の理解を得て進めなければならない問題であると認識をいたしております。このような観点から、六十歳定年の完全定着や六十五歳までの雇用機会の確保に向けて労使、国民の間の機運の醸成を図るため、ハイレベルの労使そのほかの関係者が参集する場を設けることは有意義であり、労働省としても今後既存の施策との関連にも留意しつつ、速やかにその具体化について検討してまいりたいと考えております。
#156
○乾晴美君 大変前向きにお答えいただいたというように、そしてぜひやっていただけると約束していただいたというように受けとめさせていただきたいと思います。
 通告いたしておりましたけれども、いいお答えがいただけましたので、私の質問はここで終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
#157
○勝木健司君 一昨日でしたか、六月十九日付の日経新聞によりますと、労働省は二〇一〇年までの中長期的な労働力需給の展望を示されておりますが、この中で、仮に現在の労働力率のまま推移いたしますと、二〇一〇年には九百十万人が不足するというふうに推測をされております。率に直すと一四・一%の需給ギャップということになるわけであります。さらに、これを解消するために女性あるいは高年齢者を活用するようにした場合でも、二〇一〇年には百八十六万人の不足を生じる、率にして二・六%に上るというふうにされております。女性あるいは高年齢者を活用いたしましても人手不足は解消できないというのでは非常に将来的に問題があるというふうに思うわけであります。
 この点につきまして、大臣はどのようにこの需給ギャップの解消、将来の労働力不足について考えられておるのか、お伺いしたいというふうに思います。
#158
○国務大臣(塚原俊平君) ただいま御指摘いただきました日経新聞の試算の記事でございますが、労働省の若手職員によりまして中長期的な労働政策の方向について勉強いたしましたその一環として、いわば今後の課題を検討する上での手がかりを得るために、数字は極めて大切だということで、一生懸命試算をしたものであるというふうに承知をいたしております。
 今後の労働力需給の動向は、今後の我が国の経済の動向により大きく左右をされるものでありますが、若年者の減少等に伴い、今後労働力の供給の伸びが鈍化していくことが見込まれます。引き続き人手不足基調が続くことが懸念をされると思います。こうした中で、人手不足を解消していくに当たっては、安定的な経済運営というのが大切でありますが、労働生産性の向上を図っていくとともに、増加が予想される女性や高齢者の能力が十分発揮できる環境整備を図る、あるいは今後貴重となる労働力の有効活用を図っていくということが重要になってくるというふうな認識をいたしております。
 労働省といたしましては、まず一つとして、六十五歳までの雇用機会の確保に向けて高年齢者の雇用対策の拡充をしていく、それから二つとして、育児休業制度の確立など女性の働きやすい環境を整備していく、三つとして、労働政策と産業政策の連携を密にして、この前の委員会でも御指摘もいただきましたが、中小企業に対する労働力確保対策等を講ずることといたしております。そして、今後の労働力の供給構造の変化に対応した雇用政策のあり方について、有識者から成る研究会を設置したわけでございますが、中長期的な観点、視点に立った対応を幅広く検討してまいりたいというふうに考えております。
#159
○勝木健司君 女性、高年齢者を活用した場合の推計の前提となる数字についてお伺いしたいというふうに思います。
 高年齢者については、二〇一〇年の男子の六十歳から六十四歳層の労働力率を現在の五十五歳ないしは五十九歳層と同率とされておるわけでありますが、五十五歳―五十九歳層の労働力率は現在のまま伸びないというふうに試算されておるというふうに思いますが、このことは、定年年齢が五十九歳以下の企業の割合というのが現在も三八・一%であるという現状をそのまま追認しておられるのではないかということで、問題があるのではないかというふうに思われまして、なぜ六十歳定年の完全定着を前提として五十五歳から五十九歳層の労働力率の向上を考慮に入れられなかったのか、あるいは六十歳定年が完全定着しても、それと連動して労働力率は上昇しないということなのか、お伺いをしたいというふうに思います。
#160
○政府委員(若林之矩君) このプロジェクトチームの報告のこの数字でございますけれども、ただいま大臣が答弁されましたように、若手の職員が、今後どういう課題があるかということの手がかりとするために一つの試算をしたものでございまして、その意味で大変まあラフなスケッチをしたものでございます。今後労働力率がどういうふうになっていくか、そういったような議論につきましては、ただいまお話しございましたような研究会の場等を通じましてさらに議論を深めなきゃならない問題だというふうに考えております。
 ただいま先生御指摘のように、五十五歳から五十九歳層の労働力率は、平成元年で九一・六%でございます。それから五十から五十四歳が九六・〇でございまして、五十五から五十九もかなり高い水準であるわけでございまして、これを六十から六十四歳層も同じ水準でいく、こういうような、これも大変ラフなスケッチでございまして、今後この辺についてはさらに議論を深めなきゃならない問題だというふうに考えております。
#161
○勝木健司君 今後議論を深めて、ぜひ六十歳定年の定着という方向で深めていただきたいというふうに思います。
 六十五歳までの雇用確保の努力義務規定が新設されたわけでありますが、六十歳以上から六十五歳未満の定年到達者に限られた点について、なぜ六十歳未満の定年到達者については努力義務が課せられなかったのか、お伺いしたいというふうに思います。
#162
○政府委員(清水傳雄君) 現行の雇用安定法、高齢者雇用安定法におきましては、御承知のように、六十歳以上定年というのを努力義務というふうにいたしておりまして、六十歳未満の定年を定めている事業主を対象に、先ほど来いろいろ御議論をいただいておるように、一定の行政措置を現在展開中でございます。そうしたことによって、まず六十歳定年の定着化について最大の努力を払っていく、こういう今過程にあるわけでございます。
 さらに、六十歳を超える問題につきまして、いわゆる再雇用の努力義務につきましては、そうした法律の立て方の上から、六十歳定年の努力義務の上に、さらにオンをしていく、こういう形になるわけでございますので、そういった意味合いにおいて、六十歳以上六十五歳未満の定年到達者を対象とするということといたしておるわけでございます。
#163
○勝木健司君 結局、そういうことであれば、六十歳未満の定年を定める企業の労働者については、六十五歳までの雇用確保という観点からは、今回の法改正では何らの措置も講じられなかったというふうに思うわけでありますけれども、それについての考え方をお聞きしたいというふうに思います。
#164
○政府委員(清水傳雄君) この法律におきましては、高齢者の雇用全体につきまして、事業主の責務ということを規定をいたしておりまして、年齢とかということを何ら問わずに、やはりそういうふうな責務を持って環境整備等について努めていく、そういうふうなことを事業主に対して規定をいたしておるわけでございます。
 そういう中で、さらに高齢者雇用を進める上での非常に大きな基盤となる六十歳定年ということについて、努力義務の規定をしつつ一定の行政措置を講じていく、こういうふうな形をとっておるわけでございまして、六十歳未満で定年退職するような方々につきましても、さらにその後の引き続きの、定年というふうな形ではない形でのいろんな形での、もちろん多様な雇用というふうな面について、一般的にこれは事業主に、私どもとしてこの法律に基づいて要請をしていくこともやっておるわけでございます。さらに、そういう六十歳未満の定年で退職することになる高齢者につきましても、事業主みずからの手による再就職のあっせん義務ということも規定をいたしておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、全体としての法律の考え方というのは、六十五歳程度までの継続雇用というふうなことを自分みずからの企業なりあるいは関連企業、そういうふうな中で、また多様な就業形態も含めて進めていくという全体の流れであるわけでございまして、法律技術的な構成の上で今のような規定の仕方になっているというふうに御理解をちょうだいいたしたいと思います。
#165
○勝木健司君 行政指導の中できちっとやっていかれるということでありますし、今回の法律の中では規定されてなくても、それ以外のところで規定をされているというふうに理解していいわけでありますかな。
 時間の関係で次に進ましていただきますが、六十歳から六十五歳の者を再び雇用する場合の労働条件のあり方についても、論議を先ほど来されておるわけでありますけれども、労働条件についてはいかなるものであっても構わないというふうに考えられておるのかどうか。例えば、非常に低い労働条件が示された場合、労働者の側で再雇用を希望しなくなるということは考えられないのかということで、定年到達者が定年直後一年契約のパートタイム勤務を希望した場合、契約期間が切れた場合、雇用確保の努力義務というのがこれにひっかかるのかどうか、かかわるのかどうか、もしかかわらないということであれば、このパートタイム労働を希望する高年齢者については、六十五歳までの雇用確保というのはあるいは有名無実になってしまうんじゃないかというふうに懸念されるわけでありますが、その辺の見解についてお伺いしたいというふうに思います。
#166
○政府委員(七瀬時雄君) 例えばでございますが、六十歳で定年になって退職される方が再雇用で一年のパートタイムになる。それが切れたときに努力義務がかかるかどうかということでございますが、これは法律に六十五歳に達するまでの間と書いてあるわけでございますから、この努力義務はかかるというふうな御理解をしていただいて結構でございます。
#167
○勝木健司君 労働条件のことですが、定年後の雇用について、一方で賃金等については不合理な低下は妨げなければいけないだろうというふうに思いますし、他方で労働時間等については、労働者のニーズに応じた弾力的な運用というものが考えられていかなければいけないというふうに思うわけでありますが、そういった面での労働条件というものが確保されなければ、せっかくの六十五歳までの雇用確保というのも水泡に帰していくというふうに思われるわけであります。
 そこで、先ほど来労使関係の問題だとかいろいろ言われておるわけでありますが、再雇用の際の労働条件については、労働省においてもガイドラインを示すべきじゃないかというふうに、特に中小企業、組合のないところはやはりそういう問題が生じるわけでありますから、示すべきではないかというふうに思うわけであります。高年齢者等職業安定対策基本方針等々の中できっちりとガイドラインを示すべきだと思いますが、見解を求めたいというふうに思います。
#168
○政府委員(七瀬時雄君) 先ほど来申し上げているわけでございますが、再雇用制度の導入に伴う労働条件の問題、基本的には労使が自主的に決定すべきものでございまして、定年延長に伴う労働条件のあり方について一定の基準を設けたり、あるいは個別企業に対して指導を行うことは、労使問題への介入という問題が起こってくるのではないかというふうに思うわけでございます。
 ただ、例えば六十歳を過ぎて再雇用という形で仕事をしていただく場合に、労働時間に対する配慮でございますとか、あるいは高齢に伴って落ちる能力を補完する諸条件の整備でございますとか、そういった問題については極めて重要なことでございますので、基本方針の中で盛り込まれます事業主が守るべき、尊重すべき指針という形で十分議論をした上でその中に取り入れてまいりたい、このように思っております。
#169
○勝木健司君 特に労働組合のないところは労働時間を初めいろんな労働条件についての一定の方針と指針というものをぜひ行政指導の中ででも生かしていただきたいというふうに思います。
 次に、六十五歳までの雇用確保の努力義務規定の中で、ただし書きが設けられておる。そして除外規定が設けられておるわけでありますが、この趣旨についてもたびたび論議を先ほど来やられておるわけでありますけれども、このただし書きの中でまず趣旨をお伺いしたいということと、ただし書きの中で「職業能力の開発及び向上並びに作業施設の改善その他の諸条件の整備を行つてもなおその者の能力に応じた雇用の機会が得られない場合」ということが書かれておるわけでありますが、「なおその者の能力に応じた雇用の機会が得られない場合」というのは具体的にどのような場合を指すのかお伺いしたい。例えばこういう能力開発あるいは作業施設の改善を行えば雇用機会の確保が可能となるわけでありますが、そのためにはコストが非常にかかるというような場合、除外されるのかどうか含めてお伺いしたいというふうに思います。
#170
○政府委員(七瀬時雄君) 六十歳を超える高年齢者の方々につきましては、何と申しましても体力、健康などについて個人差が大きくなるわけでございまして、職業能力の開発及び向上、それから作業施設の改善その他の諸条件の整備を行っても高年齢者の能力に応じた雇用機会が得られない場合についてはやはり除外することが適当であるということでこういう規定を設けたわけでございます。事業主が職域の拡大あるいは作業施設の改善とか職業能力とか、そういったことについて最大限の努力をする、努力をしてもどうしてもその方に見合う仕事が出てこない、こういった場合を想定して書いているわけでございます。したがいまして、事業主が、何と申しますか、高齢者の雇用を進めるために条件整備を進めていく、これについて最大限の努力をしていただくということがこの発想の根底にあるものであるというふうに理解いたしております。
#171
○勝木健司君 このようなただし書きの規定を設けたことによって、例えば障害者のように雇用機会確保のための能力開発と作業施設の改善が特に必要となる者については六十五歳までの雇用継続の努力義務がかからなくなるんじゃないかということですね、そういうことがないということなのかどうかお伺いしたい。
 ただでさえ障害者の場合は厳しい雇用環境の状況があるわけでありまして、その上でまた高年齢者の場合となると非常に厳しい雇用環境ということが容易に想像できるわけでありますので、この点に関して高年齢者の障害者の雇用状況、例えば失業率とか有効求人倍率はどの程度なのかということでお伺いしたいというふうに思います。
#172
○政府委員(七瀬時雄君) 今回の再雇用の努力義務を障害者の方々との関係で申し上げますと、もともと障害者の方々に適切な雇用の場を提供するためには作業施設の改善その他の条件整備が必要になるわけでございますが、ここの再雇用の場合につきましては、その障害者の方々、六十歳定年まで現に働いてきておられるわけでございますので、その方々がさらに六十歳の年齢を超えて六十五歳に向けて雇用を引き続き継続していく、そのための条件整備はやはりやっていただかなければ困る、こういう考え方に基本的になるんだろうというふうに認識いたしております。
#173
○勝木健司君 そこで、昭和六十三年の身体障害者雇用実態調査によりますと、身体障害者の離職理由の中で離職者の一七・三%の者が定年を理由として挙げておられるわけでありまして、これは一般の常用労働者についての四・〇%という数字に比べますとかなり大きいなというふうに思いまして、高年齢身体障害者の雇用確保については定年後の雇用確保が非常に大きな意味を持ってくるんじゃないかというふうに思われるわけであります。この点に関して労働大臣の見解、決意のほどをお伺いしたいというふうに思います。
#174
○国務大臣(塚原俊平君) 一般の労働者の方と比較いたしますと、障害者の場合は障害者特有の体力上の理由などによりまして、定年後再雇用されずにすぐ離職するケースが多いということは考えられると思いますし、数字が示していると思います。また再就職を希望する高齢の障害者の方の雇用の情勢も大変厳しいものであるということも認識をいたしております。
 障害者の雇用につきましては、各種の助成措置を講じているわけでございますが、特に四十五歳以上の中高年齢の障害者の方につきまして、雇い入れに係る各種助成制度において助成期間や助成率において手厚い措置を現在講じているところでございます。今後ともこれらの制度を活用して高齢の障害者の方々についても雇用促進が進められますように努力をしてまいりたいと考えております。
#175
○勝木健司君 次に、高年齢者向けのME機器等々の研究開発等についてお伺いしたいというふうに思うわけでありますが、高年齢者の雇用拡大を図るためには高年齢者層の職域拡大ということも重要なポイントではなかろうかというふうに思われます。
 そこで、労働省は昭和六十年度から五カ年かけて高年齢者向けのME機器等についての開発を行ったというふうに聞いておるわけでありますが、その開発状況はどうなっておるのかお伺いしたいというふうに思います。
#176
○政府委員(若林之矩君) 今後、高齢者の方々が働きやすい環境をつくっていくという意味でME機器の開発というのは非常に重要だというふうに考えておりまして、六十年度から五カ年計画で開発を進めてまいっております。六十三年度までには高年齢者向けのワードプロセッサーの開発、それから高年齢者向けのコンピューター制御の旋盤の開発などを行ってまいりました。また平成元年度までの成果につきましては、重量物の運搬を容易にいたしますための補助ロボットでございますとか、あるいは高年齢者を介護する作業者の方のための補助システム、こういったものを開発してまいっております。
#177
○勝木健司君 特に今ありましたように、高齢者向けのワードプロセッサーなどは現在においても非常に需要が大きいんじゃないかというふうに思われるわけでありまして、こういった高齢者向けのME機器等の実際の商品化というのはいつごろになるのかお伺いしたい。
 それと、高年齢者向けのME機器の開発というのは私ぜひ今後とも、五カ年だけで終わるということじゃなしに、今後も強力に推進をしていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、今後の計画についてもあればお伺いしたいというふうに思います。
#178
○政府委員(七瀬時雄君) 高齢者向けワードプロセッサーにつきましては、昭和六十一年度から三カ年計画で雇用促進事業団の雇用職業総合研究所が開発を進めまして昭和六十三年度に完成を見たわけでございます。現在、高年齢者雇用促進月間の一環として行われる高年齢者雇用開発フォーラムにおいて高年齢者向けワープロの展示を行うなどいろんな形でPRをいたしているわけでございますが、率直に申しまして商品化の具体的なめどというのはまだ立っていない状況にございます。
#179
○政府委員(若林之矩君) 今後の計画についてのお尋ねでございますが、今後ますますこういった高齢者向けのME機器の開発に取り組んでまいりたいというふうに考えておりまして、平成二年度から第二次の五カ年計画を策定いたしまして計画的に高年齢者向けの機器の開発を進めてまいりたいというふうに考えております。今年度はただいまこの推進計画、今後どういった機器を中心に進めていくか現在その議論を進めている段階でございます。
#180
○勝木健司君 もう最後になりますが、大臣より、高年齢者の雇用確保のためのそういう職域拡大も含めて、決意のほどをお伺いして、質問を終わりたいというふうに思います。
#181
○国務大臣(塚原俊平君) ただいま勝木先生からも一つ一つ具体的な点についての御指摘もいただきました。この法案通していただきました暁にはその趣旨にしっかりのっとりまして、また本院の審議、御議論をいただきました一つ一つの内容あるいは衆議院で御指摘いただきました一つ一つの内容をしっかり肝に銘じながら政策の遂行に当たってまいりたいと決意をいたしております。
#182
○西川潔君 よろしくお願いいたします。
 今回の改正案では、六十五歳までの再雇用の努力義務を規定する高齢者雇用をめぐる諸条件の整備に関して、労働大臣が高年齢者等職業安定対策基本方針の中で指針を策定するとともに、公共職業安定所長が事業主に対して必要な勧告をすることができるというふうになっておるわけですが、高齢者の雇用機会の確保のためにまずいろいろな諸条件整備が必要であると思いますが、労働大臣が策定する指針ではどのようなことを定められるのか、また公共職業安定所長の勧告はどのようなときに、どのような場合に行われるんでしょうか。
#183
○政府委員(七瀬時雄君) 基本方針の中で定めます諸条件の整備等に関する指針につきましては、事業主が高年齢者の雇用機会の確保を図るために実施する職域の拡大でございますとか勤務時間の変更、作業施設の改善などの必要な措置に関するガイドラインを具体的に示すことを考えております。これらにつきましては、労使の合意の上で定める必要がございますので、中央職業安定審議会の意見を十分聞いて定めてまいる所存でございます。
 また、事業主に対する公共職業安定所長の勧告につきましては、特段の事情がないにもかかわらず定年到達者の再雇用が実施されておらず、また同一地域、業種の状況と比較して、職業能力の開発でございますとか作業施設の改善とか、そういった諸条件の整備が著しくおくれている場合に行うことを考えているわけでございます。
#184
○西川潔君 よろしくお願いいたします。
 最近では、企業が高齢者の雇用機会を確保するために子会社の形で高齢者の会社をつくるという例が日本各地で見られるわけなんですけれども、この高齢者会社の設立、そして運営に当たりましてはいろいろとノーハウが必要ではないかなと思います。行政サイドといたしまして、例えば私が新たに設立をするというようなときには、行政からは積極的にはどういう援助をしていただけるのか、また助言をしていただけるのかというようなことをお伺いしたいと思います。
#185
○政府委員(七瀬時雄君) 例えば高齢者会社を設立するということを例に挙げますと、高年齢者雇用開発協会におきましていろいろと高齢者会社を設立してうまくいった事例を十分収集いたしておりますので、そういった場面を活用していただくというのが一つであろうと思います。
 それともう一つは、これからの話になりますけれども、先ほど出ておりました地域の高年齢者地域雇用開発事業という事業を本年度から実施いたしまして、各県に地域を指定し団体を指定しということで、地域ぐるみの高齢者雇用の活動をしていただくわけでございますが、その中に現実に、都道府県によって場合は違うかもしれませんが、高齢者会社の設立ということを一つの事業内容として考えるところも出てくるんではないかと思いますので、そういった形ででもいろいろと普及、PRあるいは事例の御紹介をお示しするようなことができるんではないか、このように考えております。
#186
○西川潔君 では、次に移ります。
 平成元年十一月、労働省、ワークシェアリング政策に関する研究会の発表でございますが、労働時間を細分化いたしまして、それに対応いたしましての雇用増はできない、また人事管理、職務編成の面で細分化された雇用はこれもできない、ワークシェアリングについての問題点が多々挙げられております。
 具体的に、例えば労働省といたしましては、このワークシェアリングについてどのように考えていらっしゃるのか。我々は、素人考えで最初お伺いしたときも、これはいい方法だなというふうに私自身感じたのでありますが、今の研究会の指摘につきましては、どのように考えておられるかお伺いしたいと思います。
#187
○政府委員(若林之矩君) ただいま先生御指摘のワークシェアリング政策に関する研究会の報告でございますけれども、短期的な雇用問題の解決という視点からワークシェアリングというものを考えますと、これはヨーロッパ諸国の経験から見ましても効果があるとは言えないと考えられまして、我が国にそういう観点で導入する必要性は乏しいのではないかという報告でございました。
 しかしながら、一方でただいま先生が御指摘のように現役の世代での労働時間、これは非常に長いわけでございますが、これを短縮いたしまして、今度は短時間の勤務形態の開発等によりまして高齢者の方々の雇用環境を整備をしていく。そういうことで年齢間の労働と余暇の不均衡を解消さしていく、こういったことも考えられまして、こういったような観点からワークシェアリング政策というものを展開していくということが重要だろう、こういう指摘でございます。
#188
○西川潔君 ありがとうございました。
 次に、経済企画庁、労働時間短縮のインパクト研究会でございますが、こちらの報告書を読ませていただきますと、勉強し過ぎる子供たち、仕事をし過ぎる父親、暇過ぎる高齢者、こういうふうに書いてありますが、「三過ぎる」と、こう書いてあります。このごろは三Kとか三過ぎとか、これは共通して働き方の不均衡だと僕自身思うんですけれども、今の働き方の不均衡を少しでも改めていくためには、仕事を分かち合うワークシェアリングの考え方が長期的には時間が少なからず必要ではないかなというふうにも思うんですけれども、そこで先般の「長寿社会対策フォロー・アップ報告」について御説明をいただきたいのと、またその中で、週四十四時間労働の促進により日本的ワークシェアリングを検討するようにというふうに書いてあるわけですが、日本的ワークシェアリングというのを具体的にこちらの方も御説明いただきたいのですが、お願いします。
#189
○政府委員(若林之矩君) 私の方から御説明さしていただきます。
 「長寿社会対策フォロー・アップ報告」と申しますのは、政府が推進すべき長寿社会対策の指針でございます長寿社会対策大綱というものの実施状況及び今後の課題について取りまとめたものでございまして、六十一年度に閣議決定がなされております。この大綱の実施状況と今後の課題について取りまとめたものでございます。
 この報告におきましては、ただいま御指摘ございましたように、現役の勤労世代の労働時間の短縮を進めまして勤労意欲の高い高齢者に仕事を分かち合う、そういう意味で日本的ワークシェアリングといっているようでございます。ヨーロッパでは若い人の失業が多いわけでございますので、むしろそちらの方に仕事をつくるということでございますが、この日本的と申しますのは、若い世代の労働時間を短縮いたしまして高齢者の方々に仕事を分かち合う、こういう意味で日本的なワークシェアリングでございまして、これを長期的な課題として検討を進める必要があるとされておるわけでございまして、私ども労働省といたしましても、労働時間の短縮に努めますとともに高齢者の雇用機会の確保という施策の充実に努めていきたいというふうに考えております。そういう観点でもこれをとらえていきたいというふうに考えております。
#190
○西川潔君 各方面で全国自治体、いろいろとアイデアを出されておられます。例えば、石川県の小松市などは、五十五歳以上の高齢者のお二人を一人として企業に雇用したり、シルバーペア作戦、こういうことでやっておられるわけですが、ある企業では、定年後も働く希望を持つ前社員を再雇用して幾つかの勤務形態に分けて、働きがい重視型、そしてゆとり重視型、どちらか選択をしていただきまして六十五歳まで再雇用するエルダースタッフ制度というのが導入されておるわけですけれども、労働省といたしましては、このワークシェアリングの考え方をもう一度お伺いしたいんですけれども、どのようにお考えになっておられるか。この二人を一人とかというようなことはいかがでしょうか。
#191
○政府委員(清水傳雄君) ただいま例としてお挙げになりましたような形で、個々の企業が高齢者雇用について非常に前向きに取り組んでいる、そういう事例も私自身もある程度承知もいたしておるわけでございますが、高齢者の場合に体力的な問題を含めまして就業のニーズが非常に多様化する。それから、何と言いますか、仕事の管理をみずから行うような、そういう就業の形態の方により志向するようになってくるとか、いろいろなそういった場合もございますし、それからフルタイムの雇用よりも短時間の勤務を希望する場合もある。そうした高齢者自身の就業ニーズというふうなものにうまくマッチした雇用の機会というものがうまく提供されていくということが高齢者雇用を進める上で非常に重要なことであるというふうに思うわけでございます。そうした形が現実の高齢者の雇用確保に結びついていくようにするためには、高齢者の雇用についての条件整備を図ることが非常に重要でございますし、そういう意味で今まで御議論になっております基本方針におきまして定めることとなります諸条件の整備についての指針、こういうものに沿って条件整備を図っていく、こういう考え方でございますし、また高齢者雇用開発協会等で、ただいま先生が例としてお挙げになりましたような事例というのを一生懸命収集をいたしておりまして、収集した成果というのをアドバイザーを通じて具体的に個別企業との接触の中で提示をしていく、そういうふうな活動も行っておりますし、そうした相談活動と先ほどの助成金というふうなものと同一の団体において扱うことによってよりその効果を高めていく、こんなふうな手法を講じておるところでございまして、こういうようなやり方でもって普及をさせてまいりたいと、このように思っております。
#192
○西川潔君 私たちは本当に皆さん方に選ばれてこちらへ参りまして、言ってみればいろいろ勉強させていただきまして、好き勝手なことを質問させていただくんですけれども、お答えになる方々もそれは大変だと思いますけれども、潔さん、税金払うてなにして、一票入れたんやからもうまじめにやってきてやということで、まじめにかつ真剣に質問をさせていただいておるわけですが、いろいろと地域社会を歩かしていただきまして、これはもう突然でございますが、大臣、ゆうべNHKの川崎市のビデオテープのニュースをごらんになりましたですか。
#193
○国務大臣(塚原俊平君) いや、見ておりません。
#194
○西川潔君 ああそうですか。いえ、実は突然ですけれども、大変いいアイデアだったものですから、ぜひ労働大臣にお願いをしたいなということを、先ほど自分が気がついたものですから、唐突で申しわけないんですけれども、今、労働省は例えばUターンというんですか、東京でお仕事をしておりまして、高齢になりますとふるさとへ帰りたい。例えば私でしたら高知県へ帰りたい。高知に六十、六十五になっていい仕事がないかなということでお伺いしますと、安定所のテレビの画面には高知ではこういうあなたに合う仕事がありますよというようなプログラムが出るわけですけれども、こういうことも大変ありがたいことでございますが、実はゆうべ川崎市のニュースを、NHK八時四十五分からでございましたかやっておりました。これは今までの働きたい人たちの個人紹介ではなしに、会社側の中をずうっとお仕事の内容を映しまして、そして、このビデオテープを皆さん方にごらんいただきまして、この仕事の内容に合う、これならやってみたいなと思う方々はどうぞこちらの方へお申し込みくださいというようなビデオテープの御紹介でございましたが、これなどを全国的に例えば行政の方で指導していただきましてPRしていただきますと、随分ぜいたくな話ではございますが、お金もかかることだと思いますが、昨晩見せていただきまして大変これはいいアイデアだなというふうに感じましたので、こういうことを進めていただくようなことはいかがでございましょうか。
#195
○国務大臣(塚原俊平君) 早速内容を調べさせていただきまして、先生がすばらしいとおっしゃるのですから、恐らくすばらしいものだと思いますので、積極的に前向きに取り組んでまいりたいと思ってます。
#196
○西川潔君 ありがとうございます。
 本当にいい方法だと思います。今までは、私が働きたかったら、座りまして、西川潔でございます、四十四歳でございます、こういう仕事があればお願いしますということの紹介だったんですけれども、たくさんお仕事の内容のプログラムがございまして、自分が働きたいなと思うところを自分で選択できるという、より身近なPRでございましたので、ぜひ一度ビデオを取り寄せてごらんいただきたいと思います。
 次に移らせていただきますが、労働省は昨年度から高年齢者のキャリアセンターというのを開設されましたが、これはどういうものか、もう一度説明していただきたいと思います。
#197
○政府委員(七瀬時雄君) 定年退職者の方々の円滑な再就職の促進を図るためには、その職業能力などを総合的に把握しているその定年前の事業主の方々が、退職前から再就職の援助に努めることが非常に効果的であると考えているわけでございます。このため、御指摘のとおり、高年齢者キャリアセンターを昨年の十月以降に東京、大阪、名古屋の公共職業安定所に設置いたしまして、定年退職予定者の再就職に結びつく可能性のある雇用ニーズに関する情報の収集あるいは提供を行うとか、それから事業主相互の話し合いのあっせん、それから当該その話し合いに関する的確な相談、援助というような業務を実施いたしておるわけでございます。
 このセンターは、まだ設立後間がないために現在登録事業所の拡大に努めているところでございますけれども、これからさらにセンター業務の積極的なPRを行いまして、その利用の促進を図りまして、いわば定年退職者を雇って活躍させたいと思っている事業主と、それから立派な人材を持っている事業主、定年を迎える労働者を雇っている事業主、その両者を的確に結合させていくと、こういう趣旨でございます。
#198
○西川潔君 大変すばらしい制度だと思います。厚生省で言えば本当に支援センターのようなところだと思いますし、どんどんまたふやしていただきたいと思います。先ほどのビデオ、そういうものがうまくジョイントされれば本当にお仕事したいなと希望されておられる方々は随分便利になると思うんですけれども、幾つか具体的な事例をお伺いいたしました。
 先日の委員会でも御質問させていただきましたが、高齢者の働く場として中小企業が大変大きな割合を果たしていると考えます。中小零細企業が使える制度づくり、またそれをバックアップする行政のあり方が問われていると思います。今後そういう点につきましてひとつ御検討いただきたいと思います。
 お伺いいたしますと、中小企業労働福祉推進会議をスタートされたようでございますが、こういう場でも高齢者の雇用、高齢者にとって働きやすい職場づくりということをぜひ御検討いただきたいと思います。
 企業からまた退職した後には地元に大変密着してここから離れたくない、密着した社会参加を望んでおられますおじいちゃんおばあちゃん、お年寄りの方々が多いわけですけれども、つまりシルバー人材センターが各地で大変好評を得ております。シルバー人材センターのまだない市町村もございます。せっかくシルバー人材センターの会員になりましても、またないところはもちろんですが、ホワイトカラー出身者の方々なかなか適当な仕事が回ってこないというような声も聞きます。これもひとつまた課題ではないかなと思われます。今後、シルバー人材センターの拡充、運営のあり方、労働省といたしましてはどのように取り組んでいかれるのか、ここでもう一度改めてお伺いしたいと思います。
#199
○政府委員(七瀬時雄君) シルバー人材センターにつきましては、設立後、五十五年度から発足いたしておりまして、着々と地域的な広がりも見せているところでございまして、平成二年度の予定を含めますと四百九十五団体ということになるわけでございます。臨時、短期的な就業のニーズに対してかなり的確に対応できていると思うわけでございますが、御指摘のホワイトカラー層について、そういった方々が就業を希望するような職域、仕事の範囲の研究とか、拡大とか、そういったことが重要な課題になっていると私ども認識いたしておりますので、今後ともそういった視点に立ちながら、数の増設と同時に一つ一つのシルバー人材センターの中での仕事の範囲の充実、こういった観点でさらに努力してまいりたいと思っております。
 また、地域住民のニーズが多いものとして対老人福祉サービスというのがございますが、これについても本年度の予算で研究、検討を進めていくことといたしているわけでございます。
#200
○西川潔君 それでは、最後の質問にさしていただきます。
 高齢者がふえていく一方で、先日厚生省から出生率がさらに低下をしているという発表がございました。このままでいきますと、六百五十年から七百年たちますと日本の国がなくなってしまうというようなニュースも出ておりましたし、二人ではだめで、最低三人は産んでもらわないとということでございますが、今の現状でいきますと夫婦でもともとってないというような御夫婦が大変多いわけですけれども、私どもは三人の子供に恵まれまして、何とか責任は果たしておるわけですが、いや本当に何か不安を感じます。労働大臣はお子さんは何人さんいらっしゃるんですか。
#201
○国務大臣(塚原俊平君) 私は二人でございまして責任を果たしていないわけでございますが、女房の方がもうこれ以上は育てる自信がないというものでございますから。
#202
○西川潔君 かえって失礼な質問になりまして申しわけございません。たくさん本当に子供さんを産み育てていっていただきますように我々もまた努力さしていただきます。いろいろPRをさしていただきます。いや、国が滅びることですから、本当にこれは。(「どんどんやってくれよ」と呼ぶ者あり)木暮先生もよろしくお願いいたします。
 人口の構成のためには、労働政策の面でも出生率の低下の防止に向けての配慮が必要だと思います。また、今後の労働力の人口の高齢化、現在の深刻な人手不足の中で女子の労働力はもっと活用されねばならないと私自身思います。しかし、一方で高齢者がふえる中で家庭での介護にはどうしても女性の割合が、我が家でもそうですが、大きいことが現実でございます。このような状況を考えますと、女子労働力を十分に活用するためには育児休業制度、介護休業制度などの女子労働者の就業環境の整備を総合的に考えていく必要があると思うんですけれども、今後労働省はこういう観点でどういうふうにお考えになっておられるのか、お伺いして終わりにしたいと思います。
#203
○政府委員(佐藤ギン子君) 今御指摘ございましたように、女性が結婚しても出産しても働き続けていく、こういう方がふえておられますので、こういう方たちが安心して子供を産み育てながら、職業人としても立派な生活を送っていけるようにということで、私どもにとりましても育児休業制度の普及その他環境条件の整備は重要な課題でございますので、労働省といたしましては、育児休業制度の確立に向けてさらに一層普及促進には熱心に取り組んでまいりたいと思っております。
#204
○西川潔君 よろしくお願いいたします。終わります。
#205
○委員長(浜本万三君) 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
 これより本案の討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#206
○委員長(浜本万三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、高桑栄松君から発言を求められておりますので、これを許します。高桑君。
#207
○高桑栄松君 私は、ただいま可決されました高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  高齢化社会を迎え、高年齢者の雇用就業機会の確保を図ることが極めて重要であることにかんがみ、政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう努めるべきである。
 一、高年齢者等職業安定対策基本方針の策定に当たっては、中央職業安定審議会において労使の意見を十分に聴きつつ、六十歳定年の完全定着及び六十五歳までの雇用機会の確保に向けて実効ある内容を定めるように努めること。
 二、平成五年度までに、六十歳定年の完全定着を図るため、高年齢者雇用安定法に基づく行政指導等の一層の推進に努めるとともに、同年度までの六十歳定年の実施状況を勘案し、より実効ある措置の実施について、努力義務に関する規定の見直しを含め、検討を行うこと。また、定年到達者の安定した雇用の確保を図るため、再雇用の努力義務等新法の効果的な運用に努めること。
 三、六十歳台前半層の高年齢者の雇用に係る助成に当たっては、中小企業に十分配慮して実効ある措置を講ずるよう努めること。
 四、雇用環境が厳しい状況にある中高年齢者の再就職の促進体制を強化するため、公共職業安定所の組織、機能について一層の充実強化を図ること。
 五、企業における雇用管理のあり方について、現実に高年齢者に雇用不安をもたらすことのないよう、また、積極的に高年齢者の雇用維持に取り組むよう、一層の普及啓蒙に努めるとともに、高年齢者の雇用機会を確保する対策の実施に当たっては、国民的コンセンサスの形成に努めること。
  右決議する。
 以上であります。
#208
○委員長(浜本万三君) ただいま高桑君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#209
○委員長(浜本万三君) 全会一致と認めます。よって、高桑君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、塚原労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塚原労働大臣。
#210
○国務大臣(塚原俊平君) ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。
#211
○委員長(浜本万三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#212
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#213
○委員長(浜本万三君) 次に、老人福祉法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#214
○勝木健司君 本会議でも質問をさせていただきましたが、この委員会でも確認の意味で、何点かダブる点もありますけれども、質問させていただきたいというふうに思います。
 我が国の福祉でありますが、社会保障費用の国民所得比で見た場合には、老人ホームや障害者のための施設あるいは母子家庭や児童に対する援助など、年金や医療以外のいわゆるその他の社会保障部分が二・七%ということで、年金一一・七%、医療九・三%に比べましたら極めて少ないわけであります。また、我が国の福祉は先進諸国に比べましても極めて少ない数字ではないかというふうに思われます。西欧諸国では年金、医療と同じか、それ以上じゃないかというふうに思われます。このように、社会保障費用に占める福祉額が少ないですので、今後私は増額しなければならないというふうに痛感をいたしておるわけでありますが、まず、厚生大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。
#215
○国務大臣(津島雄二君) 我が国の社会保障制度は、これまでも年金、医療、福祉の相互連携に配慮しつつ、国民生活の安定と福祉の向上を図るために推進を図ってまいりました。
 御指摘のとおり、社会保障給付費を見ますと、欧米諸国と比較してその全体に占める社会福祉サービスの比率が低いことは事実でございます。その原因というのはいろいろございますけれども、例えばこの項目の中に失業給付が入っておるわけでございます、これは厚生省の所管ではございませんけれども。これはまことに幸いなことに、我が国の失業率が低いものですから、ほかの国に比べて極めて比率が低い。これはありがたい面でございます。それからもう一つ、公的扶助、典型的なのが生活保護でございますけれども、保護率も、これはいい悪いは別として、日本はほかの国よりも低位にとどまってくれておるわけでございまして、こういう要素が比率が少ないということにかなり関与をしておると思います。
   〔委員長退席、理事糸久八重子君着席〕
 それからもう一つ、今委員がおっしゃいました年金とか医療保障、それからその他の項目の比率の判断上、国によってその関係がトレードオフになる関係がございます。例えば、生活保護にいく前にいろんな措置をやればそちらが減るとか、そういういろんな面がございますから、私どもは一概にこのことで優劣という即断は避けたいなというふうに思っておりますが、事実、割合が低いということを私も認めるのにやぶさかではございません。
 いずれにしましても、もしそこに福祉水準の決定上問題があるとすれば、それは今後検討し充実を図っていかなければならないと思いますが、しょせんこれはゴールドプランに示されたような福祉サービスの充実に努めていくということに尽きるかと思うのでございます。
#216
○勝木健司君 次に、出生率の問題でありますが、我が国の出生率の低下が高齢化の問題をより深刻化させておるわけでありまして、我が国の将来の活力に重大な影響を与えるのではないかということで、これも既に本会議で指摘したとおりでありますが、いろいろ出生率の低下については要因が指摘をされておるわけであります。最も肝心なことは、やはり国の宝であります子供を安心して産み育てられるようにしていくことにあるのじゃないかというふうに思うわけでありますが、そのような環境を整備するために厚生省としてどのような取り組みを進めていかれるのか、今までも進めてこられたのか、お伺いしたいというふうに思います。
#217
○国務大臣(津島雄二君) 出生率の低下は、本会議におきましても御議論させていただきましたように、私は大変重要かつ深刻な問題点であると受けとめさせていただいております。特に、人口が適正水準であればいいじゃないか、出生率はそんなに気にする必要はないじゃないかというような議論をされる方もあると思うんですが、我々が忘れてならないのは、要するに膨大な数の高齢者の方々がこれから数十年にわたって日本の社会に存在をするわけでありますから、これを支えてくれる若い社会のメンバー、子供たちが育ってくれなければ日本の社会はもたないというふうに考えております。二十一世紀を担う子供たちが心身ともに健やかに生まれ育っていけるように、長期的な視点に立って総合的に諸施策を進めてまいりたいと思います。
 具体的な点につきましては、政府委員から補足をさせます。
#218
○政府委員(古川貞二郎君) 大臣が御答弁申し上げましたような、健やかに生まれ育つための環境づくりということでの具体的な問題としては、例えば児童手当の支給とかあるいは家庭に対する支援等の相談体制の整備等、いわゆる児童養育の基本的な場である家庭に対する支援施策とか、あるいは遊び場の整備等地域における児童健全育成対策、あるいは乳児保育等の保育需要の多様化というものに対応いたしました保育対策、あるいはライフステージに即しました母子保健対策などの施策につきまして、これはひとり厚生省のみならずでございますが、育児休業等の労働政策とかあるいは住宅政策あるいは文教政策との連携を図りつつ幅広い見地に立ってこういった検討を進めてまいる、あるいは施策を推進していく、こういうことでございます。なお、家庭とか子育てに関するところの国民的な論議というようなものも広く行われることを私どもは期待しているわけでございます。
#219
○勝木健司君 子供が安心して育つようにするためには、特に弱い立場にあるそういう母子家庭等々に対する支援が必要じゃないかというふうに思うわけでありまして、母子家庭の母親も、離婚等に伴う複雑な家庭問題あるいは児童養育上のさまざまな悩みとか困り事を抱えておられるんじゃないかということで、精神的にも不安定な状態に置かれておるというふうに思うわけでありますので、こうした社会的に弱い立場に置かれている母子家庭に対してきめの細かな支援対策が必要だというふうに思うわけでありますが、どのような対策というものを持ち合わせておられるのか、講じられていくのか、お伺いしたいというふうに思います。
#220
○政府委員(古川貞二郎君) 母子家庭対策におきましては、自立の促進あるいは生活の基盤の安定というようなことを図っていくというようなことから、私どもは極めて重要な課題である、こういうふうに考えておるわけでございますが、今回、ヘルパー事業を社会福祉事業として法定化をいたしまして、その充実を図るということにいたしておるわけでございます。そのほかにも、例えば母子家庭の生活基盤の安定を図る観点から児童扶養手当等の支給を行う、あるいは母子家庭の自立の促進のための施策として母子福祉資金の貸し付け、技能習得のための講習会の実施、さらには母子相談員の設置、母子福祉センター等における生活指導等を実施しているわけでございます。さらに、平成二年度におきましては、母子家庭の母親が疾病等によりまして一時的に児童を養育できなくなった、そういう場合に対する家庭養育支援事業等を新たに実施するというふうにいたしておりまして、今後とも母子家庭の実情を踏まえまして、これら母子福祉対策の一層の充実に努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#221
○勝木健司君 次に、身体障害者の方々に対します福祉についてお伺いしたいというふうに思います。
 厚生省は、今回の改正によりまして、障害を持つ人たちに対する福祉サービスを市町村で一元化していこう、一元的に提供する体制をつくって、身近な地域できめの細かなサービスを提供するというふうに言われておりますけれども、現実にはこのような行政体制の整備だけでは不十分じゃないかということで、いわゆるノーマライゼーションの理念がこれだけで実現するとは思えないわけであります。本当に障害者の方たちが自分の生まれた地域で生涯を安心して暮らせるようにしていくためには、歩道の段差の解消とかあるいはガイドヘルパーの確保、手話通訳士の養成など、ハード面あるいはまたソフト両面をあわせた総合的な取り組みを進めるべきだというふうに思うわけでありますので、これについての見解をお伺いしたいというふうに思います。
 あわせて、本会議でも取り上げたわけでございますが、障害者の自立と社会参加を積極的に推進していくためには、我が国でもアメリカ障害者法に見られるような抜本的な法改正というものが必要じゃないかというふうに思いますので、見解をお伺いしたいというふうに思います。
#222
○政府委員(長尾立子君) 先生からお話しございましたように、確かに今回の法律の改正だけではノーマライゼーションの理念の実現というのは完成するものではないというような御指摘は、そのとおりであると思います。
 私どもは従来、体に障害を持つ方々が地域社会の中で地域社会のいろいろな活動に参加していただけるような社会を目指しまして、ハードの面では、今先生からも歩道の段差の解消というようなお話ございましたけれども、例えば点字ブロックを敷設しますとか、段差を解消いたしますとか、そういう生活環境面の改善を行う住みよい福祉の町づくり事業というのをやってまいりました。今度のゴールドプランにおいても、それを拡大した形で計画が入っておるわけでございます。
 それから、情報の面におきましては、点字によります即時情報のネットワーク事業でございますとか、今お話がございました手話奉仕員、それからガイドヘルパーの派遣などを行う社会参加促進事業費、これを県それぞれがいわばメニュー事業で、その地域で最も優先してやるものを御自分の方で御選択いただけるという形にはなっておりますが、こういうことを充実させる。ことしの予算の中では大幅な充実をさせていただいたわけでございますが、こういったさまざまな対策を総合的に実施することによりまして、障害を持つ方々が御自分のお住まいの地域の中で安心して生活し、積極的に社会の諸活動に参加できるような総合的な基盤整備を推進してまいりたいというふうに考えております。
 今、先生からお話しのございましたアメリカ障害者法、いわゆるADAでございますが、この制定につきましては私どもも高く評価しておるわけでございますけれども、我が国の法律の体系におきましては、心身障害者対策基本法、これを柱といたしまして障害者対策が総合的に推進されてきておると思いますので、私どもとしてはこの体系の中で障害者の完全参加と平等という国際障害者年の理念の実現を目指してまいりたいと思っております。
#223
○勝木健司君 精神薄弱の方々に対する福祉については、現在は施設中心の法体系となっておるわけでありますが、厚生省は今回の法改正によりまして、精神薄弱の方々につきましても在宅福祉対策を進めるというふうに言われておるわけであります。
 精神薄弱の子供を持つ親の最大の心配は、自分がいなくなった後の子供がどのように生活をしていくのかという点にあるんじゃなかろうかというふうに思われます。この親御さんの悩みにこたえられるような施策を進めなければ、本当の意味での地域の中での精神薄弱者の自立はあり得ないというふうに思うわけであります。厚生省は、この問題に対応して、精神薄弱者が地域で安心して暮らしていけるようにするためにどのような対策をお持ちか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
#224
○政府委員(古川貞二郎君) 今御指摘のように、精神薄弱者の方々につきましては、障害のある方もない方もともに自立して暮らしていけるような社会をつくっていくという考え方が普及してきているわけでございますが、私どもこれに対応した地域福祉の対策を講じているわけでございまして、さらにそういった推進を図っていく、充実させていくということが大変重要であるというふうに考えております。
   〔理事糸久八重子君退席、委員長着席〕
 具体的に申し上げますと、従来から通勤寮あるいは福祉ホーム等の拡充に努めてきているわけでございますが、平成元年度からはいわゆるグループホーム制度を実施してきているわけでございます。私どもこういったいろんな地域で暮らしていかれる場合のニーズというものに対応したやり方を提供していく。そしてそれを活用することによって地域社会の中で自立していただく、暮らしていただくということが大変大事なことだろうというふうに考えておるわけでございまして、今後とも精神薄弱者の方々の社会的な自立促進のために、その多様なニーズに対応できるよう各種の施策を充実してまいりたい、かように考えているわけでございます。
#225
○勝木健司君 私ども民社党は、かねてから東京一極集中を排除していこう、是正していこうということで、多極分散型の国土を形成する観点から、地方分権の推進を強く主張してまいっておるわけでありますが、このためにもそれぞれの地域におきます雇用の場を確保していこう、そして活性化を図っていこうということも重要であるわけでありますが、同時にそこに住まわれておられます地域の住民の方たちがおのおのの地域で生涯安心して暮らしていけるように、身近なところでいつでも福祉サービスが利用できるような福祉の分権化ということをも進めていく必要があるんじゃないかというふうに思われるわけでございます。
 今回の老人福祉法等の改正では、特別養護老人ホーム及び身体障害者更生施設への入所事務を町村に移譲していく。そして、施設福祉と在宅福祉を総合的に市町村で実施していくということについては、私どもも一歩前進ということで評価いたすわけでありますが、さらに一層の福祉の分権化を進めるためにも、もう一歩進んで精神薄弱者の援護施設への措置権、これを町村に移譲すべきであるというふうに思うわけでございますが、見解をお伺いしたいというふうに思います。
#226
○政府委員(古川貞二郎君) 精神薄弱者の方々につきましては、御案内のとおり、障害の程度とかあるいは内容というものをみずから判断し、みずから必要な福祉ニーズを訴えるというようなことが非常に困難な方が多いわけでございます。こういった点で精神薄弱者の方々の福祉行政につきましては、現在都道府県、市、それから福祉事務所を設置する町村というところが実施しておりまして、ほとんどの町村は実は関与しておらないわけでございまして、いわゆるそういった事業の実施基盤が大変脆弱である、こういう実情にあるわけでございます。したがいまして、私ども施設の入所措置につきましては、当面従来どおり都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村で実施するということが適当ではないかというふうに考えているわけでございます。
 ただ、先生御指摘のように、障害を持っている方々が家庭や地域で通常の生活を送るというふうな社会づくりという理念というものを、そういうものの精神に沿って精神薄弱者の福祉行政を進めていくということは大変大事なことでございますので、条件の整備を図りまして、できる限り身近な地方公共団体である市町村で実施するということが私どもも望ましい、こう考えているわけでございます。
 したがいまして、今回の老人福祉法等の改正によって、町村における福祉行政への理解あるいは実施体制の整備というものが進むということを念頭に置き、かつ私どももそういったことを推進するということを十分心にとめながら、将来における入所措置事務の町村移譲を目指しまして、町村職員に対する研修体制の充実など、精神薄弱者福祉行政の実施体制のいわゆる条件整備というものを進めてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#227
○勝木健司君 本会議でも指摘をさしていただきましたが、地域福祉の考え方に沿って市町村中心の福祉行政の体制づくりを進めていくためには国の市町村に対する強力なバックアップ、支援体制が必要じゃないかというふうに思います。ただ単に市町村に権限を移譲するだけでは国の責任逃れだというふうに思うわけでございますので、このためには特に財政力あるいは行財政基盤の弱い過疎地とか山間地とかあるいは離れ島等の町村に対して十分な財政措置がとられなければいけないんじゃないかというふうに思うわけでございますが、この点につきましてお伺いしたいというふうに思います。
#228
○政府委員(長尾立子君) 今回の改正に伴いまして、住民に最も身近な市町村において福祉サービスの提供が円滑に行われるということは大変重要でございます。そのためには、今御指摘いただきました必要な財源の確保、これはもう私どもも十分その点は承知をしておるつもりでございます。関係省庁とも協議しながら所要の手当てが講じられるように努めたいと思っております。
 こういった財政上の措置以外の面におきましても、市町村で適切に福祉サービスが提供できるよう市町村相互間の連絡調整、それから援助、こういうことを都道府県がその支援を行うことと、それから事務処理を円滑、効率的に進めるための事務の簡素化、合理化を図ること、それから市町村老人保健、福祉計画の策定に役立つようなガイドラインを設定することなどの技術的な援助を行うこと、こういったことによりまして町村の事務が円滑に進むよう配慮を行っておるわけでございます。このような施策を講じることによりまして、行財政基盤の弱い町村においても福祉サービスの水準が確保されますよう努めてまいりたいと思っております。
#229
○勝木健司君 次に、老人福祉法と身体障害者福祉法の中では、在宅サービスの実施につきまして、これらの「措置その他地域の実情に応じたきめ細かな措置の積極的な実施に努めるものとする。」というふうに文言が入っておるわけでありますが、こうしたきめ細かな措置が他の福祉法、精神薄弱者福祉法とかあるいは児童福祉法、母子及び寡婦福祉法等にも当然盛り込まれるべきではないかというふうに考えるわけでありますが、なぜこの「きめ細かな措置の積極的な実施に努めるものとする。」という文言が盛り込まれなかったのか、御説明を願いたいというふうに思います。
#230
○政府委員(古川貞二郎君) 御指摘のように、今回の改正によりまして老人福祉法及び身体障害者福祉法におきましては、居宅における介護等の在宅福祉サービスの措置を市町村という単一の行政主体で一元的に実施するということにいたしておるわけでございまして、その結果これらの措置につきまして、それ以外の措置とあわせて地域の実情に応じたきめ細かな実施を市町村で一元的に行うことが可能となるというようなことから、これにつきましての努力規定、老人福祉法と身障法につきましては努力規定を設けたというような経緯があるわけでございます。
 これに対しまして、精神薄弱者福祉法それから児童福祉法、母子及び寡婦福祉法につきましては、老人等の場合と異なりまして、居宅における介護等の在宅福祉サービスの措置の実施主体が都道府県とかあるいは市町村というふうに単一の行政主体ではないというようなことから個々の法律において努力規定を設けるというようなことはしなかったわけでございます。しかしながら、今回の改正におきましても、社会福祉事業法第三条におきまして社会福祉事業の基本理念といたしまして、国、地方公共団体等は福祉サービスを必要とする者の「環境、年齢及び心身の状況に応じ、地域において必要な福祉サービスを総合的に提供されるように、社会福祉事業その他の社会福祉を目的とする事業の広範かつ計画的な実施に努めなければならない。」、これは社会福祉事業法の三条でございますが、そういった努力規定を設けているわけでございまして、この規定の趣旨を踏まえまして、精神薄弱者、児童それから母子及び寡婦につきましても、都道府県、市町村それぞれの実施主体におきまして、在宅福祉サービスが適切に実施されるように十分努力してまいりたい、こういうふうなことでございまして、今御指摘の点は以上のような経過によるものでございます。
#231
○勝木健司君 先日の本会議におきまして、厚生大臣、必須義務化について、平成五年度以降総合的な検討を行うというふうに発言をしておられます。また老人福祉法等改正案の附則の第二条によりますと、「老人及び身体障害者に対する居宅における介護等の措置の推進のための方策及びこれに伴う国の費用負担の方式については、平成五年度以降において、市町村の居宅における介護等の措置に係る供給体制の確保の状況その他の事情を総合的に勘案して検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」となっております。
 そこで、まずお伺いしたいことは、今回の老人福祉法等の改正案の附則第二条「検討」についてでありますが、検討事項は国会審議の過程で修正されて挿入されるというケースが多いというふうに思うわけであります。当初からの政府案に検討事項が規定されているというのは大変珍しいというふうに思うわけでありますが、この検討項目を入れられましたその意義とか、検討事項に規定された経過等についてお伺いをしたいというふうに思います。
#232
○政府委員(長尾立子君) 今回の法案の附則二条についてのお尋ねであるかと思います。今回の法律改正は高齢者保健福祉推進十カ年戦略等を踏まえて行われるものでございますが、こういった十カ年戦略における在宅福祉サービスの整備目標の達成は政府として大変重大な課題である、重大な責任を持つものであるという認識を持っておるわけでございますから、この実現のために万全を期したいと思っておるわけでございます。
 そういう意味におきまして、今先生こういう規定は大変珍しいのではないかという御指摘でございますが、例えば国民年金ができましたときに被用者の妻についての今後のあり方、これは大変重要な課題であったわけでございますが、これがほぼ同じような形で将来の検討というふうに入った例があるかと思います。そういう意味では大変政府として重大な関心を持っておるという旨の意思の表明とお受け取りをいただきたいわけでございますが、平成五年度以降におきまして、市町村の居宅における介護等の措置についての供給体制の確保の状況その他の事情を総合的に勘案して検討を行い、その結果に基づきまして所要の措置を講じたい、こういうような政府の強い意思を示さしていただいたということでございます。
#233
○勝木健司君 そこで、この第二条の中身について四点ほど、もう時間も余りありませんので、まとめて質問をさしていただきたいというふうに思いますが、まず第一点は、この措置権の移譲は平成五年四月一日から行われるわけでございますが、本案が成立した後平成五年の四月一日までの間、市町村に対して具体的にどのようなことをなされるのか、お伺いをしたいというふうに思うわけであります。
 第二点目は、「介護等の措置の推進のための方策及びこれに伴う国の費用負担の方式について」具体的に説明をお願いしたいというふうに思います。
 それから第三点目は、「市町村の居宅における介護等の措置に係る供給体制の確保の状況その他の事情を総合的に勘案して検討を行い、」というふうになっておりますが、「その他の事情を総合的に勘案して」というのは一体どういうことなのか御説明をいただきたいということ。
 最後にもう一点は、「その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」というふうになっているわけでございますが、将来考えられます「所要の措置」とはどのようなことが考えられますのか、お伺いをしたいというふうに思います。
#234
○政府委員(長尾立子君) 措置権の移譲等の今回の改正の非常に大きな変更につきましては、平成五年の実施を考えておるわけでございますが、この点につきましては、措置権の移譲ということを考えますと、町村の担当職員に対する研修等の事務などの執行体制、これを確立していかなくてはいけません。それから新たなこういった体系の中の福祉行政の実施体制に伴います福祉事務所、市町村の事務の執行、それから計画策定に関するガイドライン、それから事務処理のマニュアルといった作成が必要でございます。それから、先ほど先生からも御指摘があったわけでございますが、財源の確保について関係省庁と協議しながら所要の手当てを行う、こういうことも必要でございます。こういったことを考えまして、三年間で新しい実施体制へ円滑に移行をしなくてはいけないという意味で準備期間を三年置かしていただいたわけでございますが、この間準備を進めるに当たりましては、一番関係します市町村の意見も、もちろん都道府県の意見も十分に聞きながら積極的に市町村を支援してまいりたいというふうに思っております。
 第二番目の点というのは、将来こういった新しい状況の中で、市町村への福祉の仕事の新しい状況をどう考えていくかという過程の中で費用負担の方式をどう考えていくかというのが第二点のお尋ねかと思いますが、今御提案しております法律の中では、在宅三本柱の事業につきましては、国、都道府県の責任を明確にするために法律上の補助規定を整備いたしました。それから施設福祉サービスにつきましては、町村部について入所決定権が都道府県から町村に移りますので、これにかんがみまして、従来国、都道府県が二分の一ずつ負担いたしておりましたのを国が二分の一、都道府県四分の一、町村四分の一の負担割合ということにいたしております。市につきましては、国、市が二分の一ずつ負担をするという従来の負担割合を変更はいたしておりません。
 その次の御質問は、検討事項の中で「市町村の居宅における介護等の措置に係る供給体制の確保の状況その他の事情を総合的に勘案して」という「総合的に」というのはどういうことかというお尋ねかと思いますが、居宅におきます介護の方式の推進方策及びこういったものに対する国の費用負担の方式を検討するに当たりましては、市町村における施設、それからマンパワーといったサービスの供給体制の問題でございますとか、サービスの実施状況ですとか、それから正直に申し上げまして全国的な定着状況、こういったものを全体として総合的に判断して勘案しながら考えていかなくてはならないのではないかというふうに思っておるわけでございます。
 最後のお尋ねは、「所要の措置」というふうな表現があるけれども「所要の措置」とは何かということかと思いますが、在宅福祉サービスの推進のための方策、この方策につきましていろんな考え方があるかと思います。また、それに伴う国の費用負担の方式につきましてもさまざまなお考えがあるかと思います。こういったことから平成五年度以降に、市町村における施設やマンパワーといったサービスの供給体制の問題、サービスの実施状況、全国的な定着状況、今申し上げましたこういったさまざまな事情を総合的に勘案いたしまして幅広い検討を行うことを私どもとしては考えておるわけでございまして、そういった検討の中で、具体的にどういったような対応をすることがその状況において一番ふさわしい形のものかということが明らかになってくるのではないかと思っております。
#235
○勝木健司君 最後に、厚生大臣にお伺いしたいというふうに思います。
 先ほど来出ておりますゴールドプランと老人福祉法等の改正案との関係についてお尋ねをいたしたいというふうに思いますが、ゴールドプランは本年度から既にスタートして平成十一年度が最終年度であります。一方、老人福祉法等の改正案が今国会で成立をいたしますと、いろいろな準備期間があって、市町村への権限の移譲が平成五年の四月一日からであるということでありまして、それから市町村は市町村老人福祉計画、都道府県は都道府県老人福祉計画を策定されるということでありますが、全国の市町村の老人福祉計画が出そろったところで国のゴールドプランといわゆるそごを生ずることがないのかどうかということで、その場合にはやはりゴールドプランの見直しというのも必要になってくるんじゃなかろうかというふうに思われるわけでございますので、この辺のゴールドプランとの兼ね合いも含めて厚生大臣の決意をお願いして、質問を終わりたいというふうに思います。
#236
○国務大臣(津島雄二君) 今回の法案によりまして、地方公共団体が老人保健、福祉計画を策定してまいりまして、これがゴールドプランの着実な実現に向けて計画的にそれぞれの地域で取り組まれ、進められていくわけでございます。
 私どもの立場から言えば、この十カ年戦略の目標の達成が全国津々浦々、どの地域でも実現されるということが必要だと思っておりますので、その実現のためには全力を挙げてまいりますが、十年間という長期的にわたる戦略でございますから、その間にはやはり立ちどまって考えたり、必要に応じて目標に向かっての検証をしたり、そういう必要が出てくることを私は否定すべきではないと思います。そのときには柔軟に考えて検証をし、改善を図っていくということにいたしたいと思いますが、現時点ではとにかくゴールドプランの実現のために全力を挙げるということで邁進してまいりたいと思っております。
#237
○勝木健司君 ありがとうございました。
#238
○糸久八重子君 老人福祉法等の一部を改正する法律案に対しまして、最後の質問者としての立場から、これまでの質疑を踏まえて締めくくりの質問をさせていただきます。
 今回、見直しの対象となっております社会福祉は、医療制度や年金制度などの他の社会保障の分野に比べて極めて立ちおくれた分野であり、従来の隔離収容型の施設中心主義からの脱却、救貧対策としての福祉から国民一般を対象とするサービスの普遍化、いわゆる権利としての福祉への転換が求められてきたところであります。本格的な高齢社会の到来を控え、政府は福祉制度の見直しに着手したわけですが、これからの福祉のあり方は、国民生活に豊かさとゆとりと安心感を与えるものでなければならず、地域においても住民の自治に根差したシステムとして構築していく必要があると考えますが、今回の改正案はこのような方向に沿うものなのか、大臣の御見解を伺います。
#239
○国務大臣(津島雄二君) 今回の老人福祉法等福祉関係八法案の改正でございますが、二十一世紀の本格的な高齢社会を目前に控えまして、高齢者、障害者等の福祉の一層の増進を図るという観点から御提案させていただいたものでございます。住民に身近な市町村において、在宅福祉サービスと施設福祉サービスとが一元的に提供できる体制の整備を計画的に進めるということが眼目でございます。
 この改正は、これからの福祉行政を円滑、効率的に進め、住民に対する福祉サービスを一層十分なものにしていくために不可欠なものと考えておりまして、今委員が御指摘の方向に合致した改正であると考えております。
#240
○糸久八重子君 次に、福祉の基本は、障害のある人もない人もともに地域や家庭で暮らしていけるような社会をつくるという考え方、すなわちノーマライゼーションの理念に立って行わなければなりません。このような観点から見て、今回の福祉関連法律の改正においてどのような改善が図られたのか。また、他省庁の協力体制が十分得られるのかどうか、お伺いをいたします。
#241
○国務大臣(津島雄二君) 障害のある方もない方もともに地域や家庭で暮らしていけるような社会をつくるとの観点に立ちまして、今回の法改正は住民に身近な市町村において福祉サービスを総合的に提供できる体制を整備する、そして障害があるために日常生活を営むのに支障が生じた場合であっても住みなれた地域で暮らせるようにするための在宅福祉サービスの一層の充実を図ろうとするものでございます。来るべき高齢化社会におきましても、このようなノーマライゼーションの理念のもとに高齢者、障害者の福祉が確保できる体制が整備されなければならないと考えております。
 御指摘のように、高齢者の福祉の一層の増進を図るためには、福祉サービスの面の充実はもとより、関連する住宅政策、雇用政策等とも十分連携をとりながら展開をしていく必要がございますので、あらゆる機会を通じ関係省庁の理解を求めながら相互の連携を深めてまいりたいと考えております。
#242
○糸久八重子君 次に、これからの福祉は保健、医療との連携をとり、住民のニーズに総合的にこたえられるシステムの確立が必要であると思います。例えば在宅福祉の推進をとりましても、ホームヘルパー、デイサービス、ショートステイの在宅福祉三本柱と訪問指導、訪問看護、機能訓練などがあり、その連携が求められているところでございます。今回の法改正においてこの点がどのように踏まえられているかお伺いしたいと思います。
#243
○政府委員(岡光序治君) 先生御指摘のように、保健、福祉、医療について連携のとれたサービスが提供されることが必要でございます。従来からこのような考え方に立ちまして、高齢者サービス調整チームを各市町村設置をしていただいて、各分野の行政関係者やサービスの従事者に集まっていただいて、総合的なサービスの提供のための協議とか調整を実施してきたところでございますが、今回の改正案におきましては、市町村がまず総合的な実施主体として位置づけられるということで位置づけた上で、寝たきり老人等の実情をきめ細かく把握をいたしまして、計画的に保健、福祉サービスの整備を図るということにいたします。そのために市町村老人保健、福祉計画を策定することといたしまして、保健と福祉両者の連携が図られるような、そして計画的に提供されるような進め方をしたいと思っております。
#244
○糸久八重子君 さらに、保健、福祉サービスについては、利用者の立場に立って常に評価され、必要な改善が図られなければなりません。今回の法改正により、市町村及び都道府県において老人保健、福祉計画が策定されることとなっていますが、このような観点から、計画の策定に当たっては、広く住民の意見を聞くため住民参加の方式により計画づくりを進めるべきであるとともに、利用者の声が反映される配慮が必要だと思いますが、政府の見解をお伺いいたします。
#245
○政府委員(岡光序治君) 老人保健、福祉計画は地域の保健、福祉サービスに対するニーズを十分に把握して、これに適切に対応するということが求められるわけでございますから、先生おっしゃいますように、計画の策定、推進に当たりまして利用者の声であるとか、地域住民の意思等を反映させることは基本的に必要なことだと考えております。
 具体的には、私ども厚生大臣が地方公共団体に計画策定のためのガイドラインとかマニュアルをお示しすることにしておりますので、そういったものの中で計画策定に当たりまして、今申し上げましたような配慮すべき事項としてきちっと指示をしたいというふうに考えております。
#246
○糸久八重子君 次に、特別養護老人ホーム等への入所措置権を都道府県から町村に移譲する件についてお伺いをいたします。
 福祉サービスの提供について、その権限を身近な市町村に移すことは地方自治の精神にもかない結構なことであると考えておりますが、問題はこのような改革が無理なく円滑に実施できる体制を確立することだと考えております。措置権の移譲についても町村関係者は十分な財政上の措置と職員の配置を求めておりまして、これがなければ今回の制度見直しは結果として福祉切り捨てになりかねません。幾ら身近な市町村において総合的に福祉サービスを実施すると言っても、十分な財政上の措置、職員の配置がなくては現実には機能いたしません。すべての市町村が三年の準備期間の間に十分な体制を整えることのできる行財政上の措置を早急に示すべきだと考えますが、一体いつこれを明らかになさるのかお伺いをいたします。
#247
○政府委員(長尾立子君) 特別養護老人ホーム等の施設の入所措置の事務の移譲に伴いまして、地方交付税上の措置として必要な人員の増員を盛り込むことといたしております。
 また、今回の改正に伴いまして、高齢者保健福祉推進十カ年戦略を踏まえた在宅福祉サービスの大幅な拡充、それから老人保健、福祉計画の策定を進めるということといたしておりますが、当面、特に福祉事務所を設置していない町村についてのこれに必要な人員の配置については、町村全体の事務量の動向との関係を十分に勘案しながら業務に支障が生じないよう、地方交付税上必要な措置を講ずることといたしたいと思います。
 財政措置でございますが、措置費についての地方分担分を含めましてきめ細かい住民の福祉ニーズに即した地方交付税上の手当てを行うように関係省庁と協議をしてまいりたいと思います。
 これらの措置につきましては、措置権が平成五年において移譲実施になるわけでございますが、準備のために必要な事項につきましては、事前に措置が講ぜられるよう関係省庁と協議をしてまいりたいと思っております。
#248
○糸久八重子君 措置権の移譲によりまして、特別養護老人ホームがある市町村とない市町村の格差がますます拡大するのではないかというのが地方自治体や福祉関係者が最も心配しているところでございます。このような持てるところと持たざるところの格差が生じないようにするために、国はどのような措置を講じていくお考えなのか、お伺いさせてください。
#249
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のように、特別養護老人ホームは地域における老人福祉の拠点施設でございます。そういう意味で、地域によって格差が生じないよう、広域的な視点に立った整備が必要だと考えております。
 今回の改正案におきましては、一つは都道府県老人福祉計画の策定によりまして、広域的な観点から各市町村を通ずる整備必要量に基づいて老人福祉施設の適正配置を図る。それからもう一つは、入所措置の実施に当たりまして、都道府県が市町村相互間の連絡調整や必要な援助等を行う、こういうことを盛り込んでおりまして、町村の規模の差とか、町村ごとの施設の立地の有無によりまして不公平や格差が生じないように配慮しているところでございます。
 なお、都道府県計画の策定や市町村への援助、連絡調整につきましては、県の福祉事務所に期待されるところが大きいものと考えております。
#250
○糸久八重子君 措置権移譲後の都道府県の福祉事務所について、町村に対する技術的な支援業務、措置業務を初めとする管内福祉行政に関する広域調整業務や計画策定業務などがありまして、その業務の重要性はますます高まるものと考えます。これらの業務に必要な体制の確保を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
 なお、現状における福祉事務所の福祉五法を担当する現業員の充足率を見ますと五九%にとどまっておりまして、現状でもその体制は問題であると思います。措置権の移譲に伴い、都道府県と市町村それぞれが新しい体制のもとで必要な職員の充足を図るべきであり、職員配置の標準的な目安になるものを設けるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
#251
○政府委員(長尾立子君) 先生が今御指摘になりましたように、措置権を町村が実施するという形に変更いたしますけれども、都道府県の福祉事務所の仕事といたしましては、こういった老人、身体障害者両方の対策を通じまして、在宅、施設を通じます市町村相互間の連絡調整、これが大きな仕事として出てまいりますし、それから当然のことでございますが、さまざまな福祉に関します情報提供、それから技術的な面での支援、こういった事務も行っていただかなくてはなりません。また、広域的な観点からの実情の把握、それから市町村老人保健、福祉計画の策定に対する助言、それから都道府県の区域ごとの計画策定業務などが生じると思っております。このための体制が必要であるということはもう御指摘のとおりでございます。
 この場合、どういうような人員配置をするかということでございますが、この人員配置の問題につきましては基本的には都道府県の判断に属するものであるというふうに思うわけでございますが、私どもとしては福祉事務所の業務に支障を来さないよう、関係省庁とも十分御相談しながら円滑な実施に努めてまいりたいと思っております。こういったものにつきましては、地方交付税上の適切な措置が行われますよう、自治省と協議をしてまいりたいと思っております。
 こういった配置基準について何か具体的に定めていくべきではないか、現在の五法担当職員の配置状況が大変悪いではないかという御指摘かと思っております。こういった配置の基準は、具体的には地方交付税において措置する際に定められるものでございますが、地方交付税の算定基礎として必要な職員配置が定められるものと私どもは考えておるわけでございます。
#252
○糸久八重子君 後半に言われました地方交付税で配置する際には、職員の配置基準は当然示されるものと、そう解釈してよろしゅうございますね。
#253
○政府委員(長尾立子君) 地方交付税上の配置の際、どういう形の算定基礎であるかというのは示されるわけでございます。
#254
○糸久八重子君 身体障害者福祉司については、今回の改正により福祉事務所から身体障害者更生相談所に必置場所が変更されますが、身体障害者福祉司の数は現状どおりとし、その業務にいささかの支障も生じないようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、今回町村に社会福祉主事を置くことができるとされておりますが、すべての町村に専門職である社会福祉主事が置かれるような措置を国は講ずべきであると思いますが、いかがでしょうか。
#255
○政府委員(長尾立子君) 都道府県の身体障害者福祉司は、事務移譲された後の市町村による援護の実施を支援する上で大変重要な役割を担っていただかなくてはならないと思っております。必置場所は変更になるといたしましても、現に身体障害者福祉司として勤務している人員を下回るような配置が行われることにならないよう、関係省庁と協議し、円滑な実施に努めてまいりたいと思っております。
 もう一つは、社会福祉主事の町村における設置の問題でございます。
 具体的に社会福祉主事を配置するかは町村の判断であると思いますけれども、町村におきます社会福祉主事の確保のために町村職員に対する研修の実施、こういったことをやりたいと思っておりまして、町村職員が社会福祉主事の資格を取得できる体制づくりを行うなどいたしまして、国としても必要な措置は講じてまいりたいと思っております。
#256
○糸久八重子君 大臣、福祉は人なりと言われますが、特に市町村ではヘルパーの確保に困難を来しております。これはヘルパーの賃金、労働条件等が劣悪であることが原因の一つだと思います。ヘルパーの賃金の大幅引き上げを含めたマンパワー対策を確立すべきと考えますが、いかがですか。
#257
○国務大臣(津島雄二君) ホームヘルパーを初めといたしますマンパワーの確保の問題は、在宅福祉を推進する上で最も重要な課題と認識しております。マンパワーの確保については、これまでも処遇の改善、活動費の引き上げ等を図ってまいりましたが、引き続きその改善に全力を挙げますとともに、社会的評価の向上や福祉業務のPR等を積極的に行うなど総合的な対策を講じ、マンパワーの確保に万全を図りたいと存じます。
#258
○糸久八重子君 市町村における超過負担もマンパワーの確保が進まない原因の一つと考えますので、ヘルパーの手当の増額はもちろんのこと、その活動費の増額や社会保険料等を算定するなど、きめ細かな配慮が必要ではないのでしょうか。
#259
○政府委員(岡光序治君) ホームヘルパーにつきましては、今後高齢者の介護需要が増大してまいると考えられますので、保健婦、看護婦、ケースワーカー等との連携によるチーム方式なども検討して、必要な処遇の改善に全力を挙げて、その確保のためにあらゆる努力を傾注してまいりたいと考えております。
#260
○糸久八重子君 シルバーハウジングは、入居した高齢者が要介護状態となった場合でも住みかえの必要が生じないような計画に改善する必要があるのではないかと考えていますが、どうでしょうか。
 また、そのために厚生省、建設省、両省間で協議機関をつくるような取り組みを考えてはいかがかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
#261
○政府委員(岡光序治君) 高齢者や障害者が住みなれた住居や地域で自立して住み続けられる、そういうことができるように在宅福祉サービスの大幅な拡充とあわせまして、その受け皿としての住環境の整備が重要であると考えております。これまでも高齢者向けの公共住宅と福祉サービスとの連携によりまして、先生おっしゃいましたようなシルバーハウジングを実施しておりますし、また食事、入浴等のサービスがついて、自炊できない人でも車いすで生活できるような新しいタイプのケアハウスの整備などを進めているところでございます。
 御指摘がありました建設省との連携ということでございますが、今後シルバーハウジングプロジェクトの積極的な実施とか、公営住宅等の福祉施策との連携による新たな取り組みにつきまして検討を進めていく必要がございますので、御指摘のように、建設省との間で恒常的な協議を開始しようということでいろいろ御相談をしているところでございます。
 また、建設省とばかりでは困りますので、実際こういう仕事をされておる地方におきましても、建設部門と民生部門というのでしょうか、そういう関係のところにおける連携が重要でございますので、都道府県レベルにおきましても協議の場を設けるように指導してまいりたいと考えております。
#262
○糸久八重子君 建設省にお伺いいたしますが、車いすとかつえを頼れば自立できるお年寄りとか障害者にとって暮らしやすい公営・公団住宅のあり方を検討すべきときではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
#263
○説明員(梅野捷一郎君) お答え申し上げます。
 現在、高齢者向けの公営あるいは公団の住宅につきましては、入居者の特性に応じまして建設時におきまして、段差の解消でございますとか手すりの設置、あるいは場合によりましては車いすの利用への対応というようなことを設計あるいは設備面で配慮を行ってきておるわけでございます。また新しい住宅だけではなくて、古い建物につきましても、そういう高齢者向けの住宅への改善事業というようなことも行ってきておるわけでございます。
 今後、御指摘のような本格的な高齢社会を迎えるに当たりまして、高齢者の生活の特性とかニーズというものに一層対応できるような公営・公団住宅の計画のあり方というものはさらに研究、検討を進めていくべきであるということで私ども取り組んでまいりたいと考えております。
#264
○糸久八重子君 寝たきりゼロを目指す以上、理学療法士とか作業療法士といったリハビリテーション専門職や看護婦、保健婦をたくさん養成確保すべきではないかと思います。これについて政府は、質と量の両面から現行の需給計画を見直す必要を認めていらっしゃいますが、それをいつ実施なさいますか。
#265
○政府委員(仲村英一君) 十カ年戦略の着実な実施を図るためには、御指摘のように高齢者の保健福祉分野を支えるさまざまな職種の人材確保のための取り組みが極めて重要だと認識しておるところでございます。御指摘の理学療法士あるいは作業療法士につきましては、今後とも計画的な養成を進めるなど必要な取り組みを図ってまいりたいと考えておるところでございます。また、看護職員につきましては平成元年度に策定いたしました需給見通しに基づいて計画的な確保に努めているところでございますけれども、今後十カ年戦略等の展開など新たな需要要因の動向を見きわめつつ必要数を確保するため早急に検討を行い、さらに適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
#266
○糸久八重子君 高齢者の在宅ケアを進めるに当たっては大変保健婦さんの役割が大きいわけですが、保健婦を設置していない市町村が百十七団体もある状況は大変問題だと思います。早急に保健婦が置けるような措置を講じていくべきではないかと思いますが、これについてはいかがですか。
#267
○政府委員(仲村英一君) 保健婦につきましては、高齢者の保健指導に重要な役割を果たすということにかんがみまして、昭和五十七年度以降、老人保健事業基盤整備計画に基づきましてその増員を図ってきたところでございますが、その結果、保健婦未設置市町村数というのは着実に減少を見てきたところでございます。しかしながら、今御指摘のようにまだ未設置の市町村もございますし、今回町村への権限移譲という法律的な措置もございますので、高齢者の地域における保健、医療、福祉の連携がますます重要になっているということから考えまして、今後早急にその解消を図るべく一層努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
#268
○糸久八重子君 今回の改正で母子家庭及び寡婦に対するヘルパー事業が法定化されましたが、これによって母子家庭にとってどのような支援が可能となるのか。あわせて父子家庭に対するヘルパーの派遣についても法定化されたことであり、高く評価はしますが、父子家庭の実態は一体どうなっておりますでしょうか。
#269
○政府委員(古川貞二郎君) 今回ヘルパー事業が社会福祉事業として法定化されることによりまして事業の一層の進展が期待でき、今後母子家庭や寡婦の方々の自立促進のための大きな支えになるものと考えております。また父子家庭につきましては、特に家事や育児の面で種々の困難があることにかんがみまして、今回ヘルパー事業を社会福祉事業として法定化したところでございます。今後、父子家庭の実情を把握いたしまして、相談等各種の施策と相まち、その福祉の向上に努めてまいる所存でございます。
#270
○糸久八重子君 今回の法改正には精神薄弱者福祉法も含まれておりますが、関係者の願いは、ノーマライゼーションの理念に即して地域において支援され、その自立が図られていくことだと思いますが、どのように推進していこうとなさっているのか、お考えを明らかにしていただきたいと思います。
#271
○政府委員(古川貞二郎君) 御指摘のとおり、精神薄弱者福祉につきまして、障害者が家庭や地域で通常の生活を送ることができる社会づくりというノーマライゼーションの理念に沿いまして、地域で自立した生活が送れるよう各般の施策を推進しなければならないというふうに考えておるわけでございます。このため、地域で通うことができる通所の更生施設や授産施設、さらには地域社会で自立していけるような精神薄弱者通勤寮や精神薄弱者福祉ホームなどの福祉施設の重点的な整備を進めるとともに、グループホームや地域療育拠点施設事業などのサービスの充実を図り、精神薄弱者の地域社会における自立促進を図ってまいりたいと考えております。
#272
○糸久八重子君 身体障害者福祉法の目的規定の中で「生活の安定に寄与する」という文言が削除されましたが、だからといってその趣旨を軽視するものでないことを明らかにしていただきたいと思います。
#273
○政府委員(長尾立子君) 身体障害者福祉法の目的である第一条につきましては、完全参加と平等の理念に沿い昭和五十九年の身体障害者福祉法改正に際して、国会の附帯決議などで指摘された幅広い障害者福祉の考え方に立脚したものとするために「身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進する」という新たな幅広い目的に改めたわけでございます。現行の規定に例示されている「生活の安定に寄与する」ということは、今回新たに規定いたしました「自立と社会経済活動への参加」の中に当然に含まれているものでございまして、これまでの考え方をいささかも後退させるものではございません。今後ともノーマライゼーション理念の一層の普及を図ってまいりたいと考えております。
#274
○糸久八重子君 視聴覚障害者情報提供施設が新たに規定されましたが、点字図書、字幕スーパー入りビデオ等の整備の拡充を図るべきではないのでしょうか。
#275
○政府委員(長尾立子君) 視聴覚障害者情報提供施設でございますが、これは視覚障害者のために点字図書を貸し出す点字図書館、それから点字図書を製作する点字出版施設、それから聴覚障害者のために、今先生お話しございました字幕や手話などが入ったビデオの貸し出しなどを行う施設の総称でございます。視聴覚障害者の社会参加の促進を図るという大きな目標のためには大変重要な役割を担うものと思っております。今後とも施設の充実に努めてまいりたいと考えております。こういう今回の改正につきまして、従来の点字図書館とか点字出版施設に関する施策を後退させるという考え方は全くございません。
#276
○糸久八重子君 政府は痴呆性老人にターゲットを絞った対策については立ちおくれの感が否めません。一刻も早い本格的な痴呆性老人対策の推進が必要だと考えますが、政府の御見解をお伺いします。
#277
○政府委員(岡光序治君) 超高齢社会を迎える我が国におきまして、痴呆性老人の問題は最も重要な課題の一つであろうと考えております。特に、介護に当たられる御家族の負担は深刻なものがあると認識をいたしております。これまでも介護に当たる家族への支援のための在宅対策とか施設対策を進めてきたところでございますが、今回の高齢者保健福祉推進十カ年戦略におきましても、ホームヘルパー、ショートステイ、デイサービスなどの在宅福祉対策の緊急整備、それから特別養護老人ホーム、老人保健施設等の緊急整備、それから痴呆の原因の究明、予防法、治療法の開発等の研究の推進などの施策を盛り込んでいるところでございます。
 しかしながら、痴呆性老人対策につきまして、介護に御苦労されている家族の実情にかんがみますときに、なお課題が残っているわけでございます。相談であるとか、状況に応じた適切な対応のための関係機関のネットワークを整備しなければならない。あるいは重度の痴呆性老人を緊急に受け入れるような施設の整備を図らなければならない。こういう課題があるわけでございますので、専門医療相談とか鑑別診断、それから救急的な対応、それから医療福祉サービスの情報提供、こういったことを総合的に行います老人性痴呆疾患センターの充実整備の促進であるとか、あるいは特別養護老人ホーム、老人保健施設、それから病院における緊急受け入れ体制の拡充など、これをもろもろ検討いたしまして、十カ年戦略と相まって痴呆性老人対策を強力に進めたいというふうに考えているところでございます。
#278
○糸久八重子君 我が国の出生率が一・五七と西独に次ぐ低位になったことについては、十九日の委員会でも論議をされました。その中で大臣は、女の人が働いていた方がよいというのは問題ではないかとおっしゃいました。また、先ごろある閣僚が、女性の高学歴化で出産率低下と発言したことで物議を醸したようなことが新聞に出ておりましたけれども、産む産まないは個人の問題であります。女性が働いていようが専業主婦であろうが、安心して子供を産める環境づくり、これが必要で、産みたくても産めない状態をなくすのが政府の仕事ではないかと思うのです。この点についての御見解を賜りたいと思います。
#279
○国務大臣(津島雄二君) 委員御指摘のとおり、高齢化対策と児童、家庭対策は車の両輪であるという意味におきまして、出生率が非常に低下したということは大変に深刻な問題だと思っております。
 このために、児童養育の基盤である家庭に対する支援の対策を強化するとか、遊び場の整備など地域における児童健全育成対策の推進であるとか、乳児保育など保育需要の多様化に対応した保育対策を進めるとか、あるいはライフステージに即した母子保健対策を進める、こういう諸施策を育児休業等の労働政策や住宅政策、文教政策との連携を図りつつ幅広い見地に立って推進してまいりたいと思います。
 なお、私の発言につきまして、女性が働いていることは問題であるというような御指摘がございましたが、私はそのような発言をした覚えはございませんで、女性が安心をして働けないという状況があればそれは問題である、労働力が非常に不足をして婦人に社会活動をしていただかなければならないというこれからの時代でございますから、先ほど申し上げましたような施策を充実いたしまして、安心して女性が社会活動をすると同時に育児をしていただけるようにしたいと、そういう趣旨を申し上げたと思っております。
#280
○糸久八重子君 児童の育成対策にとっては、特に保育所は重要であります。今回二十五年ぶりに保育指針が改正されましたが、保育を求める人には応ずるという皆保育の精神に立ち、引き続き保育行政の拡充強化に万全の対策を講ずべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#281
○政府委員(古川貞二郎君) 保育所は、保育に欠ける乳幼児の保育を目的とする児童福祉施設としての性格を持っておりますが、近年の保育需要の多様化に対応いたしまして、乳児保育、延長保育、一時的保育など、特別保育対策の充実に努めているところでございます。また、お年寄りや青少年との交流事業、さらに育児相談、育児講座を実施するなど、地域に開かれた保育所として幅広い活動を積極的に推進しております。
 今後とも、保育対策の拡充強化に努めてまいる所存でございます。
#282
○糸久八重子君 政府は、公共投資十カ年計画の中で、保健、医療、福祉及び関連事業を積極的に位置づけるべきではないかと思いますが、それについていかがでしょうか。また、経企庁としてこの考え方についてはいかがでしょうか、お答えください。
#283
○説明員(藤森泰明君) 公共投資十カ年計画につきましては、現在、経済企画庁を中心といたしまして、その策定に向けまして最終的な検討を進めているところでございます。そういうことでございまして、今その具体的な内容につきまして申し上げる段階にないことにつきましては、委員の御了解をお願いしたいところでございます。
 なお、公共投資十カ年計画の対象についてでございますが、現在、下水道、都市公園等十五本の公共事業関係の長期計画がございますが、これらの対象分野のみならず、社会福祉、保健、医療等も含めまして、これ以外の分野についても公的主体が実施する投資もその対象として位置づけまして検討しているところでございます。
 いずれにいたしましても、この計画は、本格的な高齢化社会が到来いたします二十一世紀を見据えまして、着実に社会資本整備の充実を図る上での指針となるべきものといたしまして、国民生活の質の向上に重点を置いた分野にできる限り配意しつつ、その取りまとめ作業を進めているところでございます。
#284
○国務大臣(津島雄二君) 公共投資十カ年計画については、その作業の現状は経済企画庁から御説明のとおりでございますが、厚生省といたしましては、今後のゴールドプランの達成を初め多くの課題を有しておりますので、国民の期待にこたえ、質の高い我が国社会をつくってまいりますために必要な事業は公共投資十カ年計画に適切に位置づけられるように努力してまいりたいと存じます。
#285
○糸久八重子君 大変膨大な問題がございましたので、大変早口で急いで申し上げましたが、以上、今回の法改正の重要なポイントにつきまして、政府の考え方をただしてまいりましたが、ここで定められる枠組みによって二十一世紀に向けての我が国の福祉制度が運営されるという重要な改正でございます。冒頭に指摘しましたとおり、我が国の社会保障は国民の満足のいくものではなく、その中でも社会福祉の分野は立ちおくれが著しいものがございます。既に先進国では確立している在宅福祉についても、我が国では始まったばかりであり、関係者の努力と財源、マンパワーを含めた社会資源の惜しみない投入がなければ、その確立、定着は望むべきもありません。
 今回の改正の柱である措置権の移譲、計画の策定、在宅福祉の推進のため、国の責任において公的福祉サービスの充実を図るという基本原則に立ち、これからの福祉施策を進めていくべきであると考えますが、この点について大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。
#286
○国務大臣(津島雄二君) 今回の法改正は、来るべき二十一世紀の超高齢社会の到来を目前に控えまして、これを活力ある長寿・福祉社会として迎えるための礎となるべきものとして提案させていただいたものでございます。
 この改正によりまして、住民に最も身近な市町村において在宅福祉、施設福祉を通じまして、公的サービスを一元的かつ計画的に提供できる体制が整うことになり、必ずや地域住民の福祉の向上に資するものと確信しているところでございます。
 国といたしましても、この改正に必要な財源については、平成五年四月までの間に関係省庁とも協議しながら所要の措置が講じられるように努めますとともに、基礎的なサービスについては、国や地方公共団体がその責任のもとに提供する責務があるという基本認識に立ちまして、この改正を真に実効あるものとするため全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
#287
○糸久八重子君 ありがとうございました。終わります。
#288
○委員長(浜本万三君) 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 老人福祉法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#289
○委員長(浜本万三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、前島英三郎君から発言を求められておりますので、これを許します。前島君。
#290
○前島英三郎君 私は、ただいま可決されました老人福祉法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    老人福祉法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
 一、市町村における実施体制を確保するため、地方交付税等による十分な措置を講ずること。また、在宅福祉サービスの都道府県・市町村間の格差の是正に努めること。
 二、老人等が寝たきりになるのを防ぐとともに、在宅及び施設における適切なサービスを確保するため、介護、看護及びリハビリテーション関係従事者の処遇の改善等マンパワーの確保につき、万全の策を講ずること。
 三、老人保健福祉計画の策定に当たっては、保健福祉サービスの利用者の意見が反映されるよう配慮すること。
 四、重度痴呆の老人に対する施設対策、痴呆性疾患に係る研究の推進等介護する家族の負担軽減対策の充実を早急に図ること。
 五、改正後の身体障害者福祉法の施行に当たっては、一般の雇用形態になじまない身体障害者の生活の安定に寄与し、十分な社会参加が図られるような施策の促進に努めること。
 六、在宅福祉サービスと保健、医療、住宅、教育等に関する施策との連携をとり、老人等が、できる限り地域において、自立した生活を営むことができるよう努めること。
  右決議する。
 以上であります。
#291
○委員長(浜本万三君) ただいま前島君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#292
○委員長(浜本万三君) 全会一致と認めます。よって、前島君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、津島厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。津島厚生大臣。
#293
○国務大臣(津島雄二君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。
#294
○委員長(浜本万三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#295
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#296
○委員長(浜本万三君) 次に、優生保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 衆議院社会労働委員長畑英次郎君から趣旨説明を聴取いたします。畑英次郎君。
#297
○衆議院議員(畑英次郎君) ただいま議題となりました優生保護法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。
 本案は、都道府県知事の指定を受けて受胎調節の実地指導を行う者が、受胎調節のために必要な医薬品を販売することができる期間を、平成七年七月三十一日まで延長しようとするものであります。
 以上が、本案の提案理由及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#298
○委員長(浜本万三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。――別に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 優生保護法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#299
○委員長(浜本万三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、糸久八重子君から発言を求められておりますので、これを許します。糸久君。
#300
○糸久八重子君 私は、ただいま可決されました優生保護法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    優生保護法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
 一、青少年を初めとして誰にとっても、避妊・妊娠・出産が健康の一環であるとしてとらえ、倫理観の上に立った、その正しい知識の普及に努めるとともに、きめ細かな相談・指導体制の整備を図ること。また、専門家による実情についての調査を検討すること。
 二、受胎調節実地指導員の養成については、今後、諸情勢の変化に応じたものになるよう検討すること。
  右決議する。
 以上でございます。
#301
○委員長(浜本万三君) ただいま糸久君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#302
○委員長(浜本万三君) 多数と認めます。よって、糸久君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、津島厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。津島厚生大臣。
#303
○国務大臣(津島雄二君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。
#304
○委員長(浜本万三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#305
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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