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1990/05/24 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 文教委員会 第3号
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1990/05/24 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 文教委員会 第3号

#1
第118回国会 文教委員会 第3号
平成二年五月二十四日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     森  暢子君     栗村 和夫君
 五月八日
    辞任         補欠選任
     栗村 和夫君     森  暢子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         柳川 覺治君
    理 事
                石井 道子君
                田沢 智治君
                粕谷 照美君
                山本 正和君
    委 員
                井上  裕君
                石井 一二君
                木宮 和彦君
                世耕 政隆君
                森山 眞弓君
                会田 長栄君
                小林  正君
                西岡瑠璃子君
                森  暢子君
                高木健太郎君
                針生 雄吉君
                高崎 裕子君
                笹野 貞子君
                小西 博行君
   国務大臣
       文 部 大 臣  保利 耕輔君
   政府委員
       文部大臣官房長  國分 正明君
       文部大臣官房総
       務審議官     佐藤 次郎君
       文部省生涯学習
       局長       横瀬 庄次君
       文部省初等中等
       教育局長     菱村 幸彦君
       文部省教育助成
       局長       倉地 克次君
       文部省高等教育
       局長       坂元 弘直君
       文部省学術国際
       局長       川村 恒明君
       文部省体育局長  前畑 安宏君
       文化庁次長    遠山 敦子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊池  守君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房参事官     藤井紀代子君
       厚生省健康政策
       局看護課長    矢野 正子君
       厚生省児童家庭
       局障害福祉課長  吉武 民樹君
       運輸省国際運
       輸・観光局観光
       部旅行業課長   中島 憲司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (文教行政の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(柳川覺治君) ただいまから文教委員会
を開会いたします。
 教育、文化及び学術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○会田長栄君 会田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、第百十八回国会本委員会で、大臣の所信表明八項目、文部省所管予算概要説明九項目について伺いました。
 文部大臣は、「教育・学術・文化・スポーツの担当大臣として」「国民の期待と、高齢化・国際化・情報化などの社会の動向に的確に応えつつ」「課題の解決のために全力を」尽くすと述べられました。私は、この文部大臣の力強い所信に対し、以下十点にわたってお聞きしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず第一は、二十一世紀を目指して教育のあるべき姿や文化の振興を図るには、財政的な裏打ちがあって初めて図れるものと思っているところでございます。日本は、国民所得が世界でアメリカに次いで第二位というところまで発展をしてまいりました。今大臣も御承知のとおり、日米貿易摩擦、日米構造協議など多様にわたって議論されているところでありますが、日本政府の公共投資の今後の成長率一〇%という、こういう強い要請も出て、とりわけ今後十年間で何百兆という金が公共投資に投ぜられるように今議論されているやに聞いております。
 しかし、公教育費の総額の国民所得に対する比率は下降の一途をたどっていると思っております。これは文部省統計でも明らかでございます。また、総行政費に占める公教育費の割合も年々下がっているところでございます。こうした文教予算の現状に対して国立教育研究所の部長さんでも、色あせた教育国日本というような表題をつけて今述べられているところでございます。
 そこでお聞きいたします。文部大臣、国民所得に占める教育費の比率の現状についてどのようにお考えになっているか、御所見をまずお伺いしたいと思います。
#4
○国務大臣(保利耕輔君) まず冒頭、この委員会におきまして所信に対する質疑をいち早く行っていただきましたことに対して、心から感謝を申し上げる次第でございます。
 ただいまお尋ねの国民所得に対する割合、手元のデータでちょっと私なりに見てみますというと、公教育が明治初年に始まりまして、明治十八年のデータを見ますというと、公教育費の金額が約一千万余でございます。それに対して国民所得が当時六億円という状態でございました。したがいまして、パーセンテージで申しまして一・七八%というのが明治十八年の姿であります。さらに昭和に入りまして昭和五年のデータを見てまいりますというと、国民所得が当時百十三億円でございますが、それに対しまして公教育費の割合が四億五千万余になっております。この割合が約四%で、昭和に入りまして明治の時代から公教育費の割合がふえてきております。さらに手元にございます昭和六十二年度のデータを見ますというと、国民所得が二百七十四兆円というふうに上がってきておりますが、公教育費が十七兆余になっておるわけでございます。その比率が六・三四%となっておりまして、日本が公教育に大変力を入れてまいったということがこのデータからもおわかりいただけると思います。
 また、義務教育年限の延長でありますとか、あるいは高校や大学への進学率の上昇でありますとか、そういったものがこのいわゆる公教育費の割合というものをふやしていっておるのではないかと思っております。
 文部省といたしましても、今後とも予算の充実へ向けまして努力をしてまいりたいと、このように考えております。
#5
○会田長栄君 文部大臣は、所信の中で、「我が国が、きたるべき二十一世紀に向けて、創造的で活力ある心豊かな社会を形成し、変化著しい国際社会において積極的にその役割を果たしていくとともに、国民一人一人が、その生涯にわたり、生きがいと潤いをもって一層充実した生活を営むことができるようになるために、教育・学術・文化・スポーツの」極めて重要な役割というものについて述べられました。
 こういう重要な情勢を受けて課題を提起しているときに、教育予算の現状を見ると、政府一般会計予算に占める文部省所管の予算比率というのは、昭和三十年代、四十年代と年代を過ぎるごとに大変下がってまいりました。平成二年は七・二%になっていると聞いております。このまま推移しますと六%台に入ってしまうのではないかという危機感を持っている一人であります。
 そこで、この現状についての文部大臣としての御所見をまずお伺いいたします。
#6
○国務大臣(保利耕輔君) 文部省といたしましては、学校教育あるいは学術、それからスポーツあるいは文化、そういった問題についてこれからもいろいろとお力添えをいただきながらこの予算の拡充には努めてまいりたいと思っております。しかし、また同時に財政等の状況もあり、なかなかこの拡充について難しい問題もございますけれども、一層努力を重ねたいと、このように思っております。
#7
○会田長栄君 実は昭和三十年代というのは一二・五%でございました。四十年代も一二・二%でございました。一〇%というものをキープしてきたわけでございますが、どうも昭和六十一年度以降というものはなかなか回復の兆しすら見えてまいりません。教育は人件費、これが主要なものでございますから、その点については触れませんけれども、政策経費というのがどうしても下がってきている。したがって、重要な課題と役割というものを期待しつつも、なかなかその予算的裏打ちができない状況になってきている。
 景気も回復している。まさに好景気になっている。国際的に見ても、まことにこの税収の伸びというものも含めまして、うらやましい限りになってきている状況にあります。したがって、この時期にもう一度教育を予算的に裏打ちをして二十一世紀を見直していく、つくりかえていくという非常に強いものがなければいけないと、こう思いますが、平成三年度の予算の概算要求、政府案決定に当たって、この教育予算の政府一般会計予算に占める比率というものについて、下降に歯どめをかけて、何としても三十年代、四十年代に近づける決意がありや否や、御所見を伺いたいと思います。
#8
○国務大臣(保利耕輔君) 確かに、国の全体の予算の割合に対する文部省予算の比率というものが下降いたしておることは、データを見ましても事実でございます。いろいろな理由があったと思いますけれども、先生御指摘のように、下降傾向に歯どめをかけるべきだということについては、私も全く同じ意見を持っております。したがいまして、これから先いろいろな場合が想定をされますけれども、いろいろ工夫をしたり、あるいは基本的な考え方をいろいろ勉強させていただいて、その上でこの下降傾向に何とか歯どめをかけたい、このように考えております。
#9
○会田長栄君 さきの本委員会におきまして、前の文部大臣でありました石橋さんが、この教育予算増、いわゆる低下をしているのに歯どめをかけて、何としても今後全力を尽くしたいということを申されました。また、歴代の文部大臣、文部省、総力を挙げてこの点についてはやらなければいけないということを反省しますと述べられました。しかし、この点については、二十一世紀を展望すれば反省して終わるものではない。したがって、それこそ新しい活力ある保利文部大臣を迎えたわけでありますから、文部省一丸となって財政当局と政府に、この文教予算というものについて大幅なアップをできるように、ひとつ決意のほどを聞かせてもらいたい。
#10
○国務大臣(保利耕輔君) 文部省の予算を子細にいろいろ点検いたしてみますというと、費目別にいろいろございます。そうした費目別のありさまをつぶさに検討いたしまして、関係省庁と十分協議の上、こういうことでいいのかどうかということを改めて問い直すなどの形をとり、この全体の予算に対する低下傾向に歯どめをかけ、さらに、できれば増額をするように努力をしてまいりたい、このように思います。
#11
○会田長栄君 その点につきましては、今の内閣総理大臣が元の文部大臣でありますから、とりわけ教育を重視するということについて力説することについては人後に落ちない総理大臣だと私は思っています。だからその点では、よろしくひとつ文部省一丸となってこの教育予算の増額に御努力を願いたいと、こう思います。
 次に移りますが、次は、例年、ここ六年の間絶えず文教予算の中では問題になってまいりました義務教育費国庫負担制度の堅持問題についてお伺いいたします。
 文部大臣の決意のほどをお伺いいたしましたが、教育の機会均等、義務教育の水準向上の立場から、昭和二十七年に義務教育費国庫負担法を制定されました。これにより、一時途絶えていた義務教育職員の給与費の二分の一と教材費、旅費の一部が国庫負担となり、今日の義務教育費の全国的な水準向上に寄与してきたわけでございます。
 ところが六年前、この国庫負担法の対象から学校事務職員、栄養職員を除外しようとする財政筋からの動きが出て、毎年政府案決定期に政治問題化してきたことは御承知だと思います。文部省もこの制度を堅持するために、学校事務職員、栄養職員、これは学校を営むための基幹職員であって、どうしても相譲ることのできない問題だと強固な姿勢で今日まで御努力を重ねてきたことも承知をしております。
 そこで、この六年間というのは、実は事務職員と学校栄養職員の年度末に対する不安というのは大変でございました。その点で、平成二年度でこの話は終わりにしてもらいたい、平成三年度からはこういう学校事務職員、学校栄養職員という仕事をやっている人たちに不安のないように、その決意や御所見などを含めてお伺いしたいし、文部省自体としても不退転の決意でこの問題についての新たな財政当局からの働きかけにはストップをかけてもらいたいということを含めてお聞きしたいと、こう思います。
#12
○国務大臣(保利耕輔君) 事務職員あるいは学校栄養職員というものは、基幹的な職員として大変教育上重要な地位を占めていると思います。私ども、この義務教育国庫負担につきましては、今後とも国庫負担の対象にするべく考えておりますし、またそのように努力をしてまいりたいと思っております。
 なお、平成二年度の予算につきましても、平成二年度予算案の中に、今御審議をいただいておりますが、事務職員、学校栄養職員につきましては従来どおり国庫負担を行うということで盛り込まれております。今後とも、財政当局は財政当局の立場でいろいろ言ってくるかもしれませんけれども、私どもはこれは国庫負担でやるんだということで対処してまいりたいと思っております。
#13
○会田長栄君 文部大臣の力強いお言葉をいただいて安心できるでございましょう。
 しかしもう一言、まことに失礼だと思いますが、念を押します。この問題については財政当局からいかなる働きかけがあろうとも、絶対に文部大臣としてこの制度は堅持するということを、再度その決意のほどを学校事務職員と栄養職員の皆さんにこの場で明らかにしてほしいと、こう思います。どうぞよろしく。
#14
○国務大臣(保利耕輔君) 私自身も大変強くこのことについては御陳情をいただいております。そして、しっかり頑張りますということをお答え申し上げておるわけでございまして、またこの国会の場におきましても、先生からこういう御質問をいただき、私自身この義務教育国庫負担の問題についてはしっかり頑張りますことを申し上げさしていただきたいと思います。
#15
○会田長栄君 どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、教職員定数改善計画についてお伺いいたします。
 個性豊かで行き届いた教育をするためには、一学級当たりの児童生徒数を少なくし、そして専科教員の増、教職員の配置率を改善することが重要であると考えます。
 そこで、昭和五十五年度から十二カ年計画で進められている第五次教職員定数改善計画、高校の第四次計画は平成三年度で完結することになっております。計画は残り一年で、政府案確定期までに残り六カ月という期日になりました。平成元年度までの達成率はどのぐらいだったでしょうか。
#16
○政府委員(倉地克次君) 平成二年度までの達成率でございますが、今御審議いただいている予算の関係もございますけれども、学級編制の改善の方につきましては八〇・四%でございます。それから教職員定数の改善につきましては六〇%ということでございまして、両者を合わせますと全体に対して七〇・五%ということになっている次第でございます。
#17
○会田長栄君 それでは、この標準法が法律どおり完結するためには残り二九・五%、こういうことになるわけでありますが、これを人数で言いますとどのくらいでありますか。
#18
○政府委員(倉地克次君) 平成三年度の予定の数でございますけれども、平成三年度におきましてはなお相当数の児童生徒が減少いたしますので、教職員の定数もそれに見合って減少する次第でございます。そうした要素がございますので、いろいろ総合的に差し引き算定いたしますと、約一万四千名強の定数を新たに措置する必要があるのではないか、そのように考えておる次第でございます。
#19
○会田長栄君 平成二年度で定数がどのぐらい増になったかといえばこれは明らかでありまして、この二万三千四百十八人というのは並み大抵の決意や覚悟では貫徹できないと私は思っているところでございますが、これは何としても法律でありますから完結させてもらわなければならない、こう思っております。とりわけ政府予算は赤字国債発行ゼロという年になりました。そういう意味でも、父母や教育関係者は、まことにこの点についての完結を期待しているわけであります。とりわけ十二年間かかって完結をするなどという法律はなかなかそうございません。十二年間という長い間の計画でありますから、この教職員定数改善計画というのは、どうしても完結してもらわなければならないという強い意見を持っております。
 そこでお伺いします。これは文部大臣にお伺いします。
 財政当局の一部には、標準定数法を改正しても完結年度を延ばすという動きがあるそうでございますが、お聞きでございますか。
#20
○国務大臣(保利耕輔君) 私は承知をいたしておりません。
#21
○会田長栄君 いや、聞いていなくて安心しました。
 しかし、今この完結年度を迎える平成三年度の改善計画をこれからつくるわけでございましょうけれども、文部省としては不退転の決意でこの問題に取り組まなければいけないし、当然その具体的な中身も今省内挙げて取り組んでいられると、こう思いますけれども、その点についての経過などを含めましてお聞かせ願いたい、こう思います。
#22
○政府委員(倉地克次君) 平成三年度の定数改善計画の要求の問題でございますけれども、私どもいろいろ児童生徒数の減少に伴います自然減の状況などにつきましても調査を進めているわけでございまして、今後さらに数字を詰めるよう努力しているところでございます。
#23
○会田長栄君 それではもう一つお聞きいたします。
 来年度の第五次計画完成がほぼ不可能ではないのかということを文部省内でも語り合われているということをお聞きいたしますが、そういうことはございませんね。
#24
○政府委員(倉地克次君) 私ども第五次教職員定数改善計画につきましては、これまでも着実にその推進を図ってきたところでございますけれども、大変現在厳しい財政事情の中にあるわけでございます。そういう事情でございますけれども、その完成に向けて私ども十分努力している次第でございますし、今後とも努力してまいりたい、そのように考えているわけでございます。
#25
○会田長栄君 あるんですかないんですか、そういうことが省内で語られていることが。
#26
○政府委員(倉地克次君) 私が所管している局の中では、そのようなことを言っている者はないと思います。
#27
○会田長栄君 それではもう一つこれと関連してお聞きいたします。
 来年度完成というのは、大蔵、自治両省も含めて、これは文部省もでございますよ、含めて暗黙の了解だということが言い古されているやに聞きますが、そういうことは万に一つもないということでございますね。
#28
○政府委員(倉地克次君) 来年度の完成に向かっての予算の問題でございますので、これは要求、それからその後の予算の折衝、その中で各省ともいろいろ折衝して合意を得ていく問題だ、そのように理解している次第でございます。
#29
○会田長栄君 私が聞いているのは、そういうことがどうも自治省筋、大蔵省筋から聞かれるものでございますから、そこを念のために今お聞きしているんです、大変なことでありますから。今その話は出せないけれども、これは難しい問題だから別な方法を考えるほかないんじゃないのかなというのは、文部省自身もよく知っているし、そのことも内々承知しているであろうということが地方まで聞こえてきているから、私は改めて聞いているんです。
#30
○政府委員(倉地克次君) どういうお話が先生のお耳に入っているかということは私存じませんけれども、やはりこれは予算を要求し、かつその要求の中でいろいろ各省折衝しまして予算をつくるという段階の中で処理されるべきものでございますので、そうした中で今後とも十分努力していきたいと、そのように考えている次第でございます。
#31
○会田長栄君 文部大臣にお伺いします。
 今局長から説明ありました。私もそういう経過あるいは言い古されていることについて述べました。この教職員の定数増の第五次計画というのは、まさしく平成三年度が完結年度でございます。したがいまして、いかなる困難があろうとも文部省はこの計画を達成するという決意、今後の取り組み、こういうものを聞かせていただきたい、こう思います。
#32
○国務大臣(保利耕輔君) 私が文部大臣に就任をいたしまして、文部省各局長からいろいろとその状況についてレクを受けました。その中で私は、この問題は最も大きな問題の一つであるという認識を就任早々強く持ったわけであります。なぜならば、先生御指摘のようにこの問題は法律事項である。政府としては法律を厳正に執行していかなければならないという立場に立って考えますならば、この問題はどんなことがあってもきちんとした姿で完結をさせるということが文部省に課せられた使命だということを私は感じたわけであります。
 したがいまして、その立場に立って、いろいろな事情がありましょうとも、きちんと要求をし、その要求を貫徹させるべく努力をするのが、私並びに文部省の職員に課せられた責務であろうと考えております。そういう意味で、これは一生懸命に努力をさせていただいて、必ず完結するように努力をしてまいりたいと思っております。
#33
○会田長栄君 力強い御所見をいただきまして安心をいたしましたが、特に法律を遵守するということについては、とりわけあらゆる階層の中でも飛び切り教職員の分野では今日まで強く文部省自身も指導してきたところでございますから、これは法律そのものでありますから、ぜひその決意で完結させてほしいと、こう思う次第でございます。文部大臣、政治生命をかけてもひとつやってほしいというのが私の偽らざる気持ちでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に移りますが、当然この第五次教職員定数改善計画というのは、完結年度を今まさに半年過ぎて迎えるわけでありますから、文部省としては、当然次の計画というのがもう調査研究に入っているのが普通だと思われますが、その点についての考え方を聞かせてもらいたいと思います。
#34
○政府委員(倉地克次君) 今先生が第五次改善計画の完結の問題についていろいろ御質問されましたけれども、大臣から、非常に厳しい財政事情の中でも並み並みならぬ御決意を披露された次第でございます。そうした大変な決意と努力で目下その第五次改善計画の完成のために努力している最中でございますので、まだ、その次の段階のことについてまで検討する段階に至っていないのが現状でございます。
#35
○会田長栄君 政府の政策予算というものを分析してみますと、非常に近年、財政的事情と言いながらも、時の情勢や課題によって相当アップしている分野もある。ところが下がっている分野もある。文部省の予算というのは、上がりもしない下がりもしないということで、政策予算というのが大体ここ五年間の指標を見ますと真ん中を走っていると、こういう特徴になっていますね。
 そこで、実はもう一つ言われているのは、当事者の責任として、来年度の完成、そして次の計画などについて云々するわけにはいかないということであります。しかし、文部大臣の力強い決意があるとすれば、当然にして来年以降の第六次計画というものの調査研究に入るのが私は仕事だと思っています。その点について、調査研究、対応にお入りになっているかどうかお聞かせください。
#36
○政府委員(倉地克次君) 先ほども申し上げましたように、非常に厳しい財政事情の中でこれから第五次改善計画の完成に向けて最大限の努力をしてまいるところでございます。そうした実情でございますので、せっかくの御質問でございますけれども、その後の計画について、まだ調査し研究する段階に立ち至っていないというのが実情でございます。
#37
○会田長栄君 局長、必ずまくら言葉に財政事情というのが入りますね。それは、言わんとすることは承知していますけれども、財政事情というものについても、先ほど前段私申し上げましたが、今や日本の政府が公共投資に十カ年計画でもう何百兆という金を投入しなければならないという情勢の中にあるんです。これはほごにするわけにはいかない状況になってきているんです。したがって、この公共投資の中に当然にして私は教育の問題も入ってくるものと承知しています。したがって、後手にならないようにどうぞ前に進んでほしいというのが希望であります。
 なかなか第五次改善計画が完結するという見通しがつかないうちに第六次に着手するわけにはいかないと、こう言っておりますが、今も申し上げたとおり、文部大臣が不退転の決意でやると、こう言っているんですから、その点につきまして、文部省内でも積極的に前向きに私は取り組むべきだと、こう思っているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 ここで、親が最も今希望しているのは、一学級当たりの子供の数というものを減らしてほしい、これが非常に強い。四十人学級、それから三十五人学級、三十人学級と、こういってほしいというのが親であります。もちろん、個性重視、子供重視、二十一世紀に向けてと、こう言っているわけでありますから、その点は検討されていると思いますけれども、全くこの点については白紙なんでございますか、お伺いいたします。
#38
○政府委員(倉地克次君) 先ほど申し上げましたように、第五次改善計画後のことについて私ども検討している段階ではないわけでございますけれども、若干私、個人的な見解で踏み込んで申し上げれば、臨時教育審議会の答申に第五次改善計画後のことについてのコメントがある次第でございます。具体的には、改善計画が完成した暁にはそのような方向で検討されることになるのではないか、そのように考える次第でございます。
#39
○会田長栄君 どうぞ、父母の最も強い要求というのは、行き届いた教育をやってほしいというのが切なる願いであります。私の知っている県の中では、高等学校で言えばいまだに一学級四十七というのが普通でございます。このことは非常に危惧しているわけでありますけれども、第五次計画が完結すれば何としてもこの問題に入らなければいけないと私は思っているところでございますから、今からひとつ省内にあっては鋭意取り組んでほしいということを申し上げておきたいと思います。
#40
○政府委員(倉地克次君) 私の先ほどの御答弁、若干ちょっと誤解を生ずるようなおそれがありますので答弁させていただく次第でございますが、臨時教育審議会におきましては、第二次答申におきまして、「現行改善計画の完成後は、小・中学校の教員配置について、欧米主要国における教員と児童・生徒数の比率等を参考としつつ、児童・生徒数の推移等を勘案しながら、さらに改善し、学級編制基準については弾力化する。」という答申がある次第でございます。そのような方向でと申し上げたのは、これを指していることでございますので、ひとつその点を御理解いただきたいと思う次第でございます。
#41
○会田長栄君 この機会でありますから、参考にお聞かせ願います。
 アメリカやイギリスやフランスや西ドイツは、一体小学校、中学校の一学級の定員というのはどのような数になっているでございましょうか、お聞かせ願います。
#42
○政府委員(倉地克次君) イギリス、アメリカ、フランスの一学級の決め方の問題でございますけれども、アメリカにつきましては各州でいろいろな規則によって決めている次第でございます。例えばインディアナ州の例を申し上げますと、第一学年から第三学年までは三十人以下ということになっている次第でございます。
 イギリスについてはそうした具体的な基準がないというのが実情でございます。
 また、フランスについては通達、省令などで決まっておりますけれども、小学校でございますと第一学年が二十五人、第二から五学年が三十人、これが標準ということになっている次第でございます。
 それから西ドイツでございますと、これも州ごとに決まっているわけでございますが、初等教育の一から四学年は標準人数が二十三人、しかし上限の人数が三十人とか三十五人というようなふうに定められているのが実情でございます。
#43
○会田長栄君 これに関連して、もう一度確かめておきます。
 文部省で「教育指標の国際比較」というものを出しましたね。いかがですか。
#44
○政府委員(倉地克次君) そのような文書が出されている次第でございます。
#45
○会田長栄君 この文部省の「教育指標の国際比較」によりますと――公立学校の教員一人当たりの児童生徒数というのは、実は文部省のこの統計表に国際比較として出ているんです。その数字をひとつおっしゃってください。
#46
○政府委員(倉地克次君) その国際比較の数でございますけれども、若干これは先生がお手持ちの資料とは異なるかもわかりませんけれども、これは、初等学校については一学級当たりの児童生徒数の実態でございますけれども、日本ですと、平成元年で三十・二人ということでございます。それからイギリスでは、これは昭和六十二年でございますけれども、二十五・八人ということでございます。フランスでは、六十年でございますけれども、二十一・五人ということになっている次第でございます。
 以上、よろしゅうございましょうか。
#47
○会田長栄君 そのように、実は本当に行き届いた教育をしていくというのであれば、教員一人当たりの児童生徒数というものについての考え方というのは、国際的に見ても非常に少ないんです。日本はなかなかそこまでいっていないというのが現状です。したがって、教職員の第五次定数改善計画、これを完結させて、第六次に向かってぜひ三十五人学級に糸口をつけてもらいたいというのが私の強い希望でございます。
 それでは、次に入ります。次は、初任者研修問題について幾つか確かめておきたい、こう思っております。
 昭和六十三年四月から初任者研修が本格的に実施されています。文部省は、実践的指導力や教員としての成長に欠くことができないものとして実施して、高くみずから評価しているようでございますが、現場ではさまざまな問題が生じていることも御承知だと思います。現場で起きているさまざまな問題というものについて文部省がどのように把握しているか、お聞きしたいと思います。
#48
○政府委員(倉地克次君) 初任者研修の効果などにつきまして、私どもいろいろ承っているわけでございますけれども、何と申しましても初任者の指導力の向上が短期間の間に著しいということでございます。それからまた、使命感などの養成についても大変効果があるということでございます。また、初任者の研修を通じまして、学校全体が一体としてそのようなことに当たるわけでございますので、学校の中の活性化が図られるということも聞いている次第でございます。
 ただ、先生が今申されました問題点ということにつきましては、なかなか非常勤講師の採用がスムーズにいかない点もあるということでございまして、そうした点については、今後十分県を指導し努力してまいりたいと、そのように考えているところでございます。
#49
○会田長栄君 それでは、これに関連をいたしまして以下お聞きいたします。
 文部省が初任者研修をやるために初任者研修実施要項というものを出しております。これはあくまでもモデルなんでしょうか、お伺いいたします。
#50
○政府委員(倉地克次君) 文部省の作成した実施要項モデルでございますけれども、これは、初任者研修の実施に当たりまして、研修の日数それから研修の基本的な内容など、各県市の共通理解が必要なものにつきまして全国的に一定の研修水準を保つ必要があるわけでございますので、国の考え方を示している次第でございます。
 そうしたことでございますので、各県市におかれましては、この内容を十分尊重されつつ、かつ地域や学校の実情も考慮して適切に計画を定め、実施していただきたいというふうに考えている次第でございます。
#51
○会田長栄君 地域や学校の実情によって創意工夫を凝らしつつ実施した方が研修の実が上がるとお考えのようでございますね。
 しかし、ここで私が確かめておきたいのは、モデルということでございますから、拘束力が一体あるのかないのかということなんです。というのは、地域や学校の実情によって創意工夫を凝らしたい、その上で校長を中心にして実を上げたい、こういうことでございます。しかし、本当にこれは一つの素案として提起しているのか、このとおりやらなければだめだというところでこの実施要項を提起しているのか、お聞きしたいわけであります。
#52
○政府委員(倉地克次君) 実施要項モデルということでお示ししているわけでございますけれども、先ほども申し述べましたように、各県市の共通理解が必要なものについて全国的に一定の研修水準を保つ必要があるということで国の考え方を示している次第でございます。
 各県市におかれまして、地域や学校の実情を考慮して創意工夫を凝らし、より適切なものにしていただくことは結構でございますけれども、そういった意味でお示ししている国の考え方でございますので、できるだけ尊重していただきたい、そのように考えている次第でございます。
#53
○会田長栄君 これはひとまずここでおきます。
 そこで、次の問題に入りますが、文部大臣にお伺いいたします。
 第百十二回国会の本委員会の審議の中で、当時の竹下内閣総理大臣、中島文部大臣から締めくくり質疑の中で初任者研修のあり方について答弁がございました。その上で、本委員会では附帯決議が成立しているところでございます。これらの政府答弁、附帯決議は、初任者研修の本当に誠意ある方法をとっていく場合に非常に重要な政府答弁であり、あるいは本委員会の附帯決議であると私は思っています。
 その点につきまして、とりわけ昭和六十三年五月十九日、五月二十四日の政府答弁議事録あるいは国会における附帯決議、このようなものにつきまして、この各答弁どおり、附帯決議どおり文部大臣も確認して、これから初任者研修というものの実効が上がるようにしていきたいという所信でございますか、見解をお聞かせいただきたいと思います。
#54
○国務大臣(保利耕輔君) 先生御指摘の、当時の中島文部大臣並びに竹下総理の御答弁等につきましては、私もそれを読ませていただきました。その中で感じたことでございますが、文教委員会におけるこの答弁は、実施要項の拘束力について答えたものではないんではないか、率直に申して私はそのように思いました。
 初任者研修の具体的な内容については、地域や学校の実情を考慮して適切な計画が行われることが当然であるというような御答弁になっております。その拘束力につきましてはただいま局長の方から御答弁を申し上げた次第でありますが、実施要項モデルというのも、私も概略見させていただきましたが、その中には、いわゆる教育公務員特例法に決められておりますところの初任者研修の事項をほぼそのまま書いた部分もございますし、この法律を背景としてこのモデルが書かれ、それを一つの線として御検討いただきたいというふうに国が指導する実施要項モデルだと私は考えております。
#55
○会田長栄君 私は、局長の方から答弁のあった質問については一時棚上げにいたしまして、文部大臣から直接答弁をいただきたいのは、第百十二回国会の本委員会での審議あるいは本会議での決議、初任者研修にかかわる政府答弁あるいは附帯決議、こういったものにつきまして、保利文部大臣としてもこれを尊重して今後進めていくのかどうかということを率直にお伺いしたいわけでございます。
#56
○国務大臣(保利耕輔君) 当時の中島文部大臣あるいは竹下総理の御答弁は、私もこれは引き継いでいかなければならないと思っております。
 それから、今お尋ねの附帯決議でございますが、これは委員会として御決議をいただいておる国会の御意思でありますから、尊重していかなければならないことは当然だと心得ております。
#57
○会田長栄君 ありがとうございます。
 それでは、一番目に戻りまして助成局長にお伺いいたします。なかなか局長の言わんとしていることを理解するのに時間がかかります。そこで率直にお聞きいたします。
 文部省が初任者研修実施要項として各都道府県教育委員会に提起しているモデルというものは、絶対的なものなんですか絶対的なものでないんですか、お聞かせください。
#58
○政府委員(倉地克次君) 大変難しい御質問でございますけれども、私ども率直に申し上げまして、この実施要項モデルというのは全国的に一定の研修水準を保つ必要があるためお示ししたものでございます。そういうことでございますので、もちろん各県市において地域の実情によりましてさらにより有効なものにしていただくことは結構でございますけれども、全国的に一定の水準を保つという必要性の観点から、このモデルについても十分尊重してやっていただきたい、このように考えている次第でございます。
#59
○会田長栄君 それでは、もっと私流にわかりやすくお聞きいたします。このモデル案というのは拘束力はないと解釈してよろしゅうございますね。
#60
○政府委員(倉地克次君) 拘束力ということがまた若干私は問題ではないかと思うわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような趣旨で国の考え方を示しているわけでございますから、できるだけ尊重していただきたいというふうに考えている次第でございます。
#61
○会田長栄君 できるだけ尊重するというのはわかりますよ。しかし、地域や学校の実情によって創意工夫を凝らして初任者研修の実の上がるようにしたらいいと思っていたって、このとおりやらなければだめだという指導助言があったら容易でないんですよ。だから私は聞いているんです。なかなかそういうことをやっても、皆さんの意見では、まだ実が上がらぬ、このとおりやりなさいと言って、モデルから一歩も下がらない状況があるからお聞きしているんです。一歩も下がらないというのは、拘束力があると同じなんですよ。それでお聞きしているんです。このとおりやらなければだめだ、おまえらの学校で考えてきたのはどうも初任者研修の枠から外れる、やり直せ、こういう例があるから私はお聞きしているんです。だから、本委員会で政府が答弁した状況、確認あるいは附帯決議、それを誠意を持って履行するというなら、私は、モデルを可能な限り尊重してやってもらいたいが、それぞれの地域や学校の実情によって初任者研修の実の上がるようにしてもらえばそれでいいんですと言ってくれればいいんです。当たり前の話を聞いているんですよ。
 再度伺います。当たり前のことを聞いているんです。ところが、局長が言うと難し過ぎるんだ。私が頭が悪いのかもわかりませんよ。実際にそういうことがやりとりされているから私はお聞きしているんです。先生方が一生懸命議論をして、政府が誠意ある答弁をして、附帯決議をして出た結論も、誠意を持って履行されないような状況になっているから、私はあえてそのことを聞いているんです。本当はこんなところで拘束力なんという言葉は使いたくないんです。改めて聞きます。
#62
○政府委員(倉地克次君) 大変恐縮でございますが、私も率直にお答えしているつもりでございますけれども、全国的に一定の研修水準を保つ必要があるという観点から国としての考え方をお示ししているわけでございます。だから、そういう意味で十分尊重はしていただきたいということでございますが、ただ、地域や学校の実情も考えまして、一層よくなるものであれば、それは地域や学校の実情に基づいて適切に計画をお決めいただいても結構であるというふうに言っているわけでございます。
#63
○会田長栄君 それでは、この初任者研修というものが実施されて以来、実は一つだけきょうは課題にいたしましてお答えをいただきます。
 産休・育休というものの補充教員、この問題。実は初任者研修が実施されて以降もろもろの問題が起きております。その中の一つだけ取り上げます。
 産休・育休、そういう希望があれば、当然今日の情勢から、経過からいって、はい、わかりましたと言うのが普通であります。普通ですよ。ところが、今や初任者研修の指導教員の補充という問題があって、現場では対応できないようになっているものだから、産休・育休をとる者が自分で見つけてこいというところまで来ているんです。見つけてきたら認めるというんですよ。一体、産休・育休該当者がそこまで責任ございますかという例でございます。ひとつ、こういう点についてどのような見解をお持ちかお聞かせください。
#64
○政府委員(倉地克次君) 大変恐縮でございますが、私、それを今初めてお聞きする次第でございます。ひとつ、よく実情について私どもとしても調べてみたい、このように考える次第でございます。
#65
○会田長栄君 これは幾つもあるんですが、一つだけとったんです。局長、これは全国至るところで出ているんですよ。
 私は、これは管理職の職の放棄ではないかと、こう言っているわけです。しかしこの点については、当然初任者研修を実施する、指導教員を設けるということであれば、この種の問題というのが出てくるんですよ。とりわけ中学校に出てきているんですよ。これは、中学校は教科ごとでありますから、そう簡単に補充できるものではございません。したがって、初任者研修を実施していこう、成果のところだけに目を向けるのではなくて、もろもろの問題が今現場で相当悩みつつあるということについても細かな配慮をぜひしてもらうようにしていただきたいということでございますから、ひとつ御所見を伺います。これは局長でいいです。
#66
○政府委員(倉地克次君) 最初にも申し上げましたように、私ども非常勤講師の採用について若干問題があるということを申し上げたわけでございますけれども、今先生の御指摘の問題につきましてもこの非常勤講師の採用の問題とかかわることでございますので、この点について十分実情を把握するように努め、かつ適切な指導をしてまいりたい、そのように考える次第でございます。
#67
○会田長栄君 それでは簡単に聞きます。
 自分で見つけてこいなんというのは間違いでしょう。間違いだと言ってくれればそれで終わるんです。
#68
○政府委員(倉地克次君) その経過として、いろいろなやりとりがあった中でそういうことがあったかと思うわけでございますけれども、結果的には教育委員会の方で適正にそうした代替の教員を確保しているものというふうに考えている次第でございます。
#69
○会田長栄君 そう難しく言わないでください。例えば産休・育休の申請があって、休みたいというのが当然でしょう。しかし代替を自分で見つけてこなければだめですというような言動は間違いでしょうと言うんですから、そうですと言ってくださいよ。そんな難しくないでしょう、あなた。
#70
○政府委員(倉地克次君) 代替教員を確保するのは教育委員会の義務ということになっている次第でございますから、やはり教育委員会が積極的に主体的に見つけるべきだというふうに考える次第でございます。
#71
○会田長栄君 今育休とる、産休とるという人に、どのような経過はあるにせよ、そういう言葉を述べるということについては、それは間違いでしょうと言っているんですよ。間違いじゃないんですか。
#72
○政府委員(倉地克次君) 余り妥当ではないというふうに考える次第でございます。
#73
○会田長栄君 余りね……、やめます、言葉遊びはしたくありません。私は間違いだと思います。だから、それは間違いと言った方がいいんですよ。間違ったからどうしろなんと言うわけじゃないんですから。そういう何となくぴんとこないような言葉がやりとりされている限り、私は一つ一つが不信になって、そういう人間関係ができ上がっていくと言うんですよ。そういうことがあってはならないと思うから、私は確かめているんです。それは感情的に言うときもあるでしょう。
 そこで、次に入ります。
 スポーツ振興対策に関する行政監察結果に基づく勧告というのが平成二年四月に総務庁から出されております。また、文部大臣は、本委員会における所信あいさつの中で、基本的な考え方の第三としてスポーツの振興について述べられました。私も、「生涯スポーツ、競技スポーツ及び学校体育の各面にわたるスポーツの振興のための諸施策の一層の推進」については賛成でございます。
 そこでお伺いいたします。
 文部大臣、この総務庁の行政監察の結果報告で、国民体育大会に関して学校と関連するところについて述べられております。その点について御所見などを承りたいと思います。
#74
○国務大臣(保利耕輔君) スポーツの振興は大変大事なことだということを私も強く認識をいたしております。今先生御指摘の問題は、恐らく国民体育大会等に開会式、閉会式等のマスゲーム等で児童生徒が参加する、そのために教育活動に支障が来ているんではないかというような御趣旨を踏まえてのお話でございますけれども、これは総務庁からも先生御指摘のように、行政監察結果に基づく勧告ということでそのようなことが出されております。私もそれを拝見いたしております。「各学校における集団演技のための練習に係る指導を国が定める教育課程の基準の範囲内で適切に行うよう指導」すべきだと御指摘を受けておるわけでございます。
 文部省といたしましては、この勧告を受けまして直ちに都道府県の教育委員会にこの通知を発しまして、勧告の趣旨に沿った指導を行ったところでございます。今後ともその指導を徹底してまいりまして、スポーツについてはしっかりやってもらいたいけれども、あくまでも教育の本体を損なうことのないように、そういった趣旨に基づいた活動をしてもらいたいということで今後指導してまいりたいと思います。
#75
○会田長栄君 いわゆる学校教育への支障の防止の問題というのは非常に大事でございますから、どうぞその点、国体に関するこの勧告に基づいての見直し指導というものについて、ひとつよろしくお願いいたします。
 それからもう一つお伺いいたします。それは具体的に例を出します。
 文部省は、体育協会とともに重要な主催団体であると同時に、文部省設置法に基づきまして監督官庁でもございます。したがって、この国体に関して以降こういうことのないように見直しも含めてお願いをしておきます。
 その例とは、平成六年に福島県で国体がやられることになっております。平成六年の予定だから、福島県といたしましても教育委員会といたしましても、既に国体開催計画、準備計画というのは進捗しております。
 そこで、今問題になったのは、平成六年の国体について開催要請を受けて、みずから準備に入って施設設備を整えている最中に、日本体育協会が国体の成年二部はやめたい、廃止するという意向を出して、実は関係者に危惧の念を与えております。
 そこで、監督官庁といたしまして、少なくとも見直しと同時に、各都道府県教育委員会としても、このような仕事が始まってから、やめると、始まった仕事をどうするかということになったら、それは行政にとって大変な混乱が地域に起きますので、長期的に見て、そういう政治的な空白や問題や行政の措置に誤りのないように、日本体育協会にも働きかけ、指導監督してほしいということを申し上げて、御所見を伺います。
#76
○政府委員(前畑安宏君) 今先生御指摘の成年二部の問題につきましては、御案内のとおり、二巡目の国体からのより広く国民の参加を求めるという趣旨で設けられた種目でありますが、やってみますと、いろんな問題点も指摘されて、現在日本体育協会の国民体育大会委員会では、御指摘ございましたようにこれを廃止をしたいと、こういう意向が出されております。
 しかしながら、最初に御指摘ございましたように、総務庁の勧告におきましても、国体の共同開催者であるとともに日本体育協会に対する指導監督を行う立場としての文部省が、もっと主体的に国体について参画をすべきである、こういう御指摘もちょうだいいたしておりますので、私どもの方では既に日本体育協会にもこの勧告は送付しておりまして、今後の運営の改善について体協で検討するとともに、私どもとしては体協及び開催決定あるいは開催内定しております都道府県とともに、今後の国体のあり方について十分検討いたしたいと考えておる次第であります。
 そこで、今の成年二部の問題につきましても、福島県にもそういう御事情がおありと伺っておりますし、またほかの県からも既にそれを予定して県下の市町村に会場を割り当てたりしているので大変困るという御意向もありますので、廃止をするかどうか、また廃止するとすれば、いつの国体から適用すべきかという問題についても、十分体協及び開催内定県と相談をいたしたいと、このように考えている次第であります。
#77
○会田長栄君 その点はひとつよろしくお願いいたします。施設はつくったわ、やらなかったわ、県民にはうそをついたわなどというような国体では、それは名に恥じます。したがって、これは長期的にそういう不安のないように取り組んでほしいということを強くお願いしておきます。
 次に、実は今文部省ではそういう集約は恐らくないんでありましょうが、教職員の切なる願い、あるいは悲鳴にも似た声というのが実は全国的にそれぞれの現場から出ております。悲鳴にも似た声でございますよ。しかし、なかなかその糸口が見つからないでいるという現状にあります。したがって、大変子供も先生もいら立っている状況にあります。
 ここでお尋ねいたします。
 教職員の週休二日制・学校五日制という問題について、平成四年度までに必ずできるような取り組みが今されているかどうかお聞きしたい。
#78
○政府委員(菱村幸彦君) 学校五日制につきましては、昭和六十三年に文部省内に関係局長等をもって組織します教員の週休二日制・学校週五日制に関する省内連絡会議を設置いたしましてその検討を行ってきております。さらに、平成元年度から、社会の変化に対応した新しい学校運営等に関する調査研究協力者会議を設けておりまして、ここには外部の関係者、専門家ないしは教育行政の担当者、さらには各学校の先生方等にもお入りいただきまして学校週五日制についての研究を行っております。そして、この調査研究協力者会議の御意見を聞きながら、平成元年十二月には九都県六十八校の学校週五日制を試行する調査研究協力校を指定いたしました。
 この研究協力校におきましては、学校週五日制を月に一ないし二回試行して、実際上の問題点、どのような具体的な問題点があるかについて研究を進めるということにしております。この研究協力校は昨年指定いたしましたが、その後いろいろ各学校内におきまして年間の指導計画等の策定を行いまして、この四月から実施に入っているわけでございます。
 学校週五日制の問題につきましては、教育課程審議会の答申もございます。そうしました答申を踏まえながら、先ほど来申し上げております各種の研究協力者の会議、さらには実際の研究協力校におきます実践、そういうものをもとにしまして、教育課程のあり方、教員の勤務形態など学校運営のあり方、さらには学校五日制をとりました場合の子供の生活にかかわります問題、学校以外の家庭、地域社会でどのように受けとめていくかというような点、それらを具体的に研究を進めていきたいと考えておるわけでございます。
 その際には、民間におきます週休二日制が中小企業等ではまだ十分普及していない状況もございますし、世論調査の結果を見ましても学校週五日制にはなお反対の意見が多い状況がございます。国民世論の動向にも十分配慮しながら検討を進め、平成三年度末までには一応の結論を得たいと、このように考えておるところでございます。
#79
○会田長栄君 学習指導要領を改訂してゆとりの時間を設けましたね。しかし、今ゆとりの時間じゃないですね。もう学校現場はそんな状況じゃないんですよ。実際は、子供にゆとりを持たせるということでゆとりの時間を創設いたしました。しかし、余りにも教育界に対する要求が多過ぎて、問題が大き過ぎて、ゆとりの時間がゆとりでなくなって別な方に使われているというのが、その具体的な中身を私はここでは申し上げませんけれども、今日的な状況でございますね。
 これはなぜそうなるかというと、やっぱり学校に対する過大な仕事量というものがあり、それを調査、分析をして整理させていかなければいけないというのが一つであります。教職員の定数が不足していることも一つでございます。それから、これも大きな問題でありますが、研究指定校というこの体制もまた大きな問題でございます。同時に進路指導、受験、部活、問題行動児対応というようなことがありまして、相当教育内容の精選と学校行事の精選、これと相まって学校五日制というものを試行していかなければならないと、こう思っているところでございます。
 実験校に学校五日制をやらせて、平成三年の年末で結論を出して四年から入っていきたいと、こういう気持ちはもうわかりました。しかし、今私が申し上げたような、中身についても整理しつつこの実験校に対応するというものを文部省内で検討しなければいけないんじゃないかと、こう思っています。この点について見解をいただきます。
#80
○政府委員(菱村幸彦君) 昭和五十年代の学習指導要領の改訂におきまして、ゆとりと充実のある学校生活を送らせる、ゆとりと充実のある教育を行うということで改訂を行ったわけでございます。御案内のように在校時間はそのままにして、ただし授業時数はほぼ一割縮小する。そして、あわせまして教育内容につきましてもかなり大幅な内容の削減、基礎基本に絞りまして内容を絞っていったという経緯がございます。したがいまして、各学校におきましては授業時数の減った分、週四時間程度ございますが、これがゆとりの時間として各学校で創意工夫をしてこれを使用していくということでございますから、学校によりましては授業時間の間の時間を長くしたり業間体操を行ったり、ないしは子供たちが自発的な活動を行えるような各種のプログラムを組んだりということで、ゆとりある教育というのは定着してきているというふうに私どもは考えております。
 ただ、先生御指摘のように、いろいろ研修会が多いとか、それから各種の学校に持ち込まれる行事が多いとかいろいろなことがございます。したがいまして各学校におきましては、いろいろそうしました学校内の行事等につきまして、本当に必要なものに絞っていく、精選していくということは、これはこれでまた重要なことであろうというふうに考えております。
 ただ、私どもが行っております各種の研究協力校、いろいろございますけれども、これは教育の進展ないしは新しい教育の開発のために必要なものとして私どもは考えて各学校にお願いしているわけでございまして、これらにつきましては、各学校の御協力を得まして、よりよい教育を目指すための一つの実験、実践を今後とも行っていただきたいというふうに考えております。
#81
○会田長栄君 時間でございますからやめますが、どうしても申し上げなければならないのは、学校行事の精選、縮小、これが大事であります。しかしその中にあって、例えば今局長がおっしゃったように、文部省は研究指定校を指定して研究、実践をし、成果の上がるようにしていきますと聞きました。ところが、文部省が研究指定校をつくると、どういうふうに指定校が波及するかというと、各都道府県教育委員会が研究指定校をまたつくるんです。市町村教育委員会がまた市町村教育委員会研究指定校というのをつくるんです。オール指定校なんですよ。そうすると、オールその学校でみずから与えられた課題に向かってそこを重点にやっていくわけでありますから、これは大変な作業なんですね。これが悲鳴の一つなんです。だから文部省がぽっと思っても、各都道府県や各市町村の教育委員会は、文部省がやるいいことならおれらもやるわといってみんなやるんですよ。ここのところを精選していかなきゃならない。
 それだけじゃないんですよ。これは局長も御承知のように、今度は小学校教育研究会、中学校教育研究会、高等学校教育研究会とまた研究指定校をつくるんですよ。毎日の子供と接する日常活動というのを学校は一番大事にしなきゃいかぬというのに、こういう体制になってきているということも見逃せないことだから私は申し上げているんです。
 学校五日制も週休二日も時代の要請でごく当たり前のことです。しかしそれに伴って子供の生活というものを基本的に見直す。そうでなければ、二十一世紀に本当に個性のある活力のある創造的な自主的な子供、国際的な心豊かな子供などというものは育たないということを私は基本にしているんです。だから、その点は文部省自身も、ひとつ今までの成果は成果として受けとめて、現実の問題は現実の問題として的確に調査、把握をして対応してもらいたいということを申し上げて私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#82
○西岡瑠璃子君 文部大臣の所信表明をお受けいたしまして、私は具体的には二点にわたって質問をさせていただきたいと存じますけれども、まず最初に、きょう韓国の盧泰愚大統領が間もなく国賓として来日されます。
 戦後四十五年、日韓国交正常化から既に二十五年の歳月が流れております。日本と朝鮮半島はもともと一番近い隣国であり、我が国は文化、芸術また伝統技能など多方面にわたって幾多の影響そして恩恵を受けてまいりました。
 にもかかわらず、日本がかつて日韓併合の名のもとに植民地として支配し、朝鮮民族を塗炭の苦しみに陥れたという不幸な両国間の歴史が厳然として存在しております。我が国は今その歴史的責任を率直に認め、反省し、今後の両国間の緊密な友好関係の構築と発展の基礎としなければならないときだと思います。
 盧泰愚大統領の来日に当たっての我が国の対応は、今後の対韓関係だけでなく、日本の外交の将来にとっても試金石となるものであると注目をいたしておりますけれども、海部内閣の一員として保利文部大臣は、今回の盧泰愚大統領の訪日をどのように受けとめておられるのか。我が国の朝鮮半島に対する責任問題、第二次大戦の総括、そして今後の日韓関係のあり方などについて、まず最初にお伺いしておきたいと思います。
#83
○国務大臣(保利耕輔君) このたび盧泰愚大統領が日本を訪問されることになられまして、きょうからおいでになるわけであります。三日間御滞在ということでございますが、大変画期的な出来事であると私は受けとめております。
 実は私は九州の玄界灘に面しております唐津という町の出身でございます。古来、この唐津という町は大陸あるいは朝鮮半島と大変深いかかわりを持っておりました。豊臣秀吉の時代に二つの戦役があったり、ひところはいろいろなそういう形の交渉があったわけでありますが、それと同時に、私は日本と韓国との間のいろいろな文化交流というものがなされておったということも承知をいたしております。唐津焼というような焼物もございますが、これは朝鮮半島を通じて入ってきた一つの文化であろう、私はそのように理解をいたしておるわけであります。
 しかしながら、長い朝鮮半島との交渉の歴史を見てみますというと、私は日本が反省をしなければならない事象が多かったということは率直に認めなければならないと思います。こうした観点に立って、極めてふぐあいな、ぐあいの悪いことがあったことについては心から陳謝をしなければなりませんし、このことについては海部総理大臣もあらゆる機会を通じて御発言をなさっていらっしゃいます。私は海部総理のお気持ちと全く同じ気持ちでございます。その上に立って、新たな日韓の、あるいは朝鮮半島全体と日本との間の友好的な関係を未来永劫にわたって樹立していかなければならない、その一つの大きな機会が今回の盧泰愚大統領の訪日ではないか、このように考えております。
#84
○西岡瑠璃子君 文部大臣が言われましたように、海部首相も先日の予算委員会の答弁におきまして、太平洋戦争は侵略戦争であったという認識を持っている、こうはっきりと率直に認める答弁をされまして、このことは先日大きく報道されたところでございます。
 私も先ほど申し上げましたように、過去の歴史的事実は正確に把握をし、そしてその責任は率直に認め、その反省の上に立ってよりよい関係を樹立するように努力をすることが国際関係においても当然のルールであり、また責務であると存じます。戦争を知らない世代が大半を占めるに至った今日、次の世代が担うべき今後の日韓関係、外交関係をより良好で安定的にさせるその基礎となるべきものは、正しい認識に基づく歴史教育、そしてそれに裏づけされた国際性の育成にあると言っても私は言い過ぎではないと思うわけでございます。
 現在は教科書で侵略という用語も使えるようになっておりますね。教科書検定においては、しかしながら相変わらず事実認識、歴史的評価、そして表現上の問題でまだまだいろんなトラブルが生じているように伺っております。教科書における戦争の評価、そして戦争責任、我が国と朝鮮半島との関係などの記述の現状をお伺いしたい。そして、このことについて大臣がどのように評価をしていらっしゃるか伺います。
#85
○政府委員(菱村幸彦君) 御案内のように、学校におきます指導内容につきましては、学習指導要領で小中高等学校それぞれ指導事項を決めているわけでございます。したがいまして、それぞれ子供たちの発達段階に応じまして、小学校、中学校、高等学校におきまして、歴史学習でございますと、その指導事項等が規定されているわけでございますが、これらはいずれもかなり大綱的な基準でございます。したがいまして、それを具体的に教科書にするということになりますと、これは現在教科書は検定制度をとっておりまして、民間の著作本を国が検定をするという立場でございますので、まず著者、編集者がどのような記述をし、どのような歴史認識のもとに記述をしていくかということになってくるわけでございます。
 それを文部省が検定制度にのっとりまして検定を行います。その際には、現在検定基準におきましていろいろ決めておりますけれども、ただいま御指摘の件につきましては、アジア近隣諸国との友好親善について教育的な配慮をする、今ちょっと正確な文書を持ってきておりませんが、そういう検定基準がございまして、それに基づいて適切な検定が行われているというふうに認識しております。
#86
○西岡瑠璃子君 我が国のみならず朝鮮半島の側でも、我が国との友好的で安定的な外交関係を望んでいるわけでございます。しかし、かつての不幸な植民地時代の体験世代に劣らず、現在の学生やまた青年層にも今日なお鋭い対日批判が受け継がれていると聞いております。
 日本が犯した過ちを次の世代が二度と繰り返さないよう、また諸外国から信頼されるよう、我が国の歴史教育、教科書記述については歴史の正しい認識、反省が必要であると思われます。重ねて私は文部大臣の御見解を承りたい。
#87
○国務大臣(保利耕輔君) 歴史についての正しい認識を児童生徒に与えることは、私は大変大事なことだと考えております。中学の段階におきましては、世界の中の日本ということで、これが中心になって記述がされておると承知をいたしておりますし、また高等学校におきましては世界史が必修になったというような形で歴史教育が行われております。正しい歴史を教育するということが、私は学校教育に課せられた大変重要な役割だと存じております。委員御指摘のような事柄につきましても、できるだけ正しく指導していくというのが課せられた任務かと存じます。
#88
○西岡瑠璃子君 私は、両国の青少年が正しい歴史観を持ち、一層の友好関係を深めていくために、教科書記述について両国の学者、専門家が話し合う場を設定することも大変重要ではないかと考えますが、御所見をお聞かせください。
#89
○政府委員(菱村幸彦君) 学校教育において使用いたします教科書についてそれぞれの政府が、そういう何といいますか、共同的な検討をするというのは、これは学校教育の事柄からいいましてなじまないと存じますが、例えば民間におきますいろいろなそういう検討が行われるというようなことは、それはそれとしてあり得ることかもしれないと思います。
#90
○西岡瑠璃子君 それでは、一定の評価をしていただいて、そのようにぜひ御努力をいただきたいと思います。
 次に移らせていただきます。
 文部大臣の所信表明の冒頭に、「新しい二十一世紀の時代に対応した教育・学術・文化・スポーツの在り方を見据えつつ、次代の我が国社会を担うにふさわしい、国際社会の中でたくましく活動できる豊かな心を持ち創造性に富んだ青少年の育成を目指し」たいとうたわれております。またさらに結びの部分では、「二十一世紀初頭における十万人の留学生受入れ」を初め、「留学生施策の総合的推進」及び「日本人学校等の在外教育施設における現地社会との国際交流活動の推進、海外での貴重な体験を生かす教育の充実に努力」をしていくと強調されていらっしゃいます。
 文部大臣にお尋ねいたします。
 青少年の国際性の育成、涵養の重要性について、私は大臣がいかように認識され、どのように具体的な施策を講じようとなさっておられるのかお伺いしたいと存じます。
#91
○国務大臣(保利耕輔君) 国際化が大変著しく進展する中にございまして、学校教育におきましても、異文化と申しますか、外国のそうした文化を理解し尊重する国際理解の教育を進めていくことは、先生御指摘のとおり非常に大事なことだと今思っております。
 私自身も海外で子供を育て、海外の学校に行かせた経験がございまして、異文化と接触をする中で――異文化という言葉は私は余り好きではございませんが、外国の文化、いろいろな事象と接触をする中で、外国を理解する心が子供たちの中に育ってきた、そのありさまをよく見ております。したがいまして、できる限り外国、いろいろな外国がございますけれども、接触する機会を深め、そして国際性豊かな次代の国民を育てるということは非常に大事なことだと心得ております。そのような観点に立って、今後とも国際性のある児童の教育のために私どもも頑張ってまいりたいと思います。
 ただ、私自身、少々長くなりますが、感じておりますことは、それではアメリカならアメリカ、ヨーロッパならヨーロッパの人たちと同じものになればそれが国際化と言われると、私は必ずしもそうは思いません。やはり日本人としての教養を身につけ、そしてしっかりした考え方の上に立って、さらにその上に国際性豊かな心を育てていくということがいいのではないか、このように考えております。
#92
○西岡瑠璃子君 文部大臣のお説のとおりだと思いますけれども、九〇年代の日本社会を展望するキーワードはまさに国際化であると言われておりますし、国際化は世界の中の日本というキャッチフレーズで八〇年代後半からずっと強調されてまいりました。文部省におかれましても、昭和五十八年の八月に「二十一世紀への留学生政策に関する提言」と題して、留学生の派遣と受け入れについて骨子をまとめられたと伺っております。以後七年間、今異文化という言葉はお好きでないと言われましたけれども、まさにその異文化とともに生きてきた相互の留学生交流が年々活発になっていることは、私は国際交流の一環として評価をしなければならないと思います。
 しかし一方で、最近マスコミなどで高校生や大学生の海外留学、ホームステイに関して、現地における相次ぐトラブル例が報道されていることは御存じでしょうか。
#93
○政府委員(川村恒明君) ただいま御指摘をいただきましたように、最近の国際化の中で留学生、日本から海外に行く学生あるいは海外から来る学生、それぞれ大変にふえているわけでございます。
 日本から海外に参る学生で申し上げますと、これは法務省の出入国管理統計でございますけれども、平成元年度に留学、研修、技術修得等の目的で海外に出国した日本人の数が十一万三千人ぐらいでございます。過去五年間で大体六倍ぐらいになっているという状況でございます。
 また、海外から日本に来る留学生の方も、今御指摘のございました十万人計画というものがスタートしたときには、ちょうど日本にいる留学生は一万人ぐらいでございました。それから現在に至るまで二十数%の伸びで、現在三万人を超える留学生が国内で勉強している、こういう状況でございます。
 こうやって出国する学生あるいは日本にやってくる留学生、そういう者がふえてまいりますと、どうしてもそこで今御指摘がございましたいろいろな形でのトラブルと申しましょうか摩擦と申しましょうか、そういうことが一面において生じてくる、これもまた事実でございまして、私どもその出ていく学生あるいは来る学生両方について、できるだけそういうことがないように、それぞれの所期の留学の目的が達成できるようにということで、いろんなことでできる限りの手当てを講じている、こんな状況でございます。
#94
○西岡瑠璃子君 先ほど文部大臣がかつて商社マンとしてフランスに駐在されたと言われました。その御経験の中で、日本からの海外留学生の実情を当時見聞されたことはございませんでしょうか。
#95
○国務大臣(保利耕輔君) フランスにもいろいろな形で留学生が参っておりました。私の知り合いの者がやはりフランス語の研修のために来ておりまして、屋根裏の部屋を借りまして、そして極めて質素な生活の中で言葉を一生懸命勉強していたのを思い出します。また、時々私の家にシャワーを使わせてくれというような形で参りまして、あなたのところはシャワーもないのか、ええ、シャワーはなくても我慢できますからというような形で留学生の人が勉強しておられたのも知っております。
 また、私は当時フランスで小さな会社の責任者をやっておりましたので、日本から参りました者に、これは社会人でございますが、パリから大分離れましたところのフランス語の学校に三カ月ほど研修に出させております。その間、責任者として必ず一回はその場所を訪問をし、どういう生活をしておるか、心理的にどういう状態にあるかというようなことも自分の目で見て、そしていろいろと話を聞いてあげた経験を持っております。そういう中で大変苦心をしながら覚えた言葉というものが実社会でかなり生かされて、いろいろな活動をしてきたということを記憶をいたしております。
#96
○西岡瑠璃子君 大臣の御経験ですけれども、シャンソンではありませんけれども、「パリの屋根の下」というのもございますが、その屋根裏に住んで質素な生活を送る、シャワーもない、私はそれでも生きてはいけると思うんですね。けれども、今これから私が御紹介していきたい例は、そういうことよりももっともっと人間が生きるという原点で、食を断たなければならないような目に遭遇をしている、そういうようなことを私は今からちょっと申し上げてまいりたいと思います。
 今、留学生をあっせんする一部の業者の非常に営利本位の無責任な運営によって、希望に胸を膨らませて旅立った子供たちが、現地で心身ともに傷つき帰国をせざるを得なかったというケースがあります。
 このような体験は幾つかあるわけですけれども、とりわけその中で一人の保護者による、こうした悪質な業者を告発をしなければならない、被害の実態を把握して、自分の子供の体験を踏まえながらこれからの子供の命と人権を守るために社会問題として提起をしたい、真の国際交流とは何かを考えたい、そういう発露によりまして、ホームステイ被害を考える会というのを、恐らく日本では初めての組織だろうと思いますけれども、大阪で西村郁子さんという方が組織をしております。その会に寄せられた被害の実態、またマスコミの調査によるものなど私は幾つか御紹介をしておきたいと思います。
 今ここに、私はテープを四巻持っています。これは裏表にびっしりその切実な悲痛な父母の、保護者の叫び声が入っております。この中から聴取したものもございますけれども、まず、現地でほとんど食べ物が与えられない。そして、学校のある日にランチを食べだめをする。私が、食べだめをする動物は何ですかとお隣の森先生に伺ったら、カンガルーじゃないですかとおっしゃる。カンガルーならいいですけれども、人間なんですから。冷蔵庫の中にはといいますと、腐りかけたハムとカビの生えたパンだけで、到着早々から絶食のまま眠るというまさに地獄に遭遇をしたと言っております。
 それからもう一人、富田林の十五歳の少年ですけれども、昨年の八月に太平洋教育文化交流協会、略称PEACEと言っております。ここを通してオクラホマ州の高校に留学いたしました。ステイ先には両親と四人の子供がいます。ホストマザーが妊娠中で仕事ができないというわけで、そこの家の仕事というのはビル清掃、ビルメークアップなんですけれども、そこにその十五歳の少年が連れていかれて仕事をさせられた。その日当はホストファミリーが全部懐に入れてしまう。それからまた、こういったいろいろな例を学校や地域担当員に相談をしたけれども、学校がそのホストに事情聴取をすると、ホストはその少年の訴えをすべて否定をして信じてもらえない。結局、通訳と両親が現地に急行いたしまして、去年の十二月二十八日に無事に現地から救出をしてきております。
 また、女子の留学生にもかかわらず、父親と息子だけという男世帯にホームステイをあっせんされて、ホストファミリーから性的暴行を受けた、こういうケースもございます。
 それからまた、ホストファミリーの離婚に遭って住むところがなくなり、帰国を余儀なくされた。そして、あげくの果てに帰国の際に留学生は自分の衣服や持ち物、現金などを全部ホストファミリーに強奪をされて無一文であったということです。
 それからもう一つは、人種差別的虐待を受けた。留学生のことをイエローと言って差別をした。髪の毛を短く切られた。
 まだありますけれども、もう本当に聞くにたえないのです。三歳児と同量しか食事が与えられなかった。そのステイ先は十三歳を頭に六人の子供がいたんです。床に落ちているパンくずまで拾って食べて飢えをしのいだと言っております。本当にこれが私は事実だろうかと耳を疑いました。
 ある女生徒は三カ月で栄養失調の診断を受けて生理もとまってしまった。
 こういうふうに、もう本当にこのテープ全部を申し上げたら、夜までかかっても申し上げ切れませんからやめますけれども、実際、学校へも距離が非常に遠距離で、送迎バスなどもちろんございませんから、通学途中で射殺をされて無言の帰宅をしたという最悪の事件もつい最近報道されております。
 本当に私は、これらはホームステイ被害のほんの氷山の一角だと思うわけです。まさにこの被害の状況を見ますときに、このことは一つには業者のステイ先に対する調査の不十分さ、無責任なステイ先の選択によるものであり、留学生やその保護者からの訴えに対して何らの適切な措置も講じていないということがわかるわけでございます。そして、業者みずからの責任を留学生本人に転嫁している。最後、あげくの果てには帰国、不適応ということで強制送還に追い込むという、こういう悪質ぶりでございます。
 たった一、二カ月前に本当に優秀だということで希望に燃えて海を越えたその生徒が、不良になりましたと烙印を押されて帰ってくる。そしてまた保護者が、思いもかけないことで途中帰国したことによる前払い金の返還請求をいたしましても、無視をして応じてくれない。こういったことは、留学生制度を悪用して留学生と保護者をまさに食い物にしている、そういう悪質業者が実際野放しになっているのではないかと私は思うわけでございます。
 そこで、文部省にお尋ねいたします。海外留学のホームステイの数、先ほどちょっとおっしゃいましたけれども、トラブルの実態など、現状をどの程度に把握をなさっていらっしゃいますか。
#97
○政府委員(川村恒明君) ただいまいろいろ御指摘をいただいたわけでございますが、いわゆるホームステイということに起因をする日本人の学生が海外に行った場合に生ずる問題でございます。
 そもそもホームステイというのがどの程度行われているのかということ自体、ただいま先生のお話がございましたように、全く民間で業者があっせんをしているというようなこともございまして、大変残念でございますが全体としてどれくらいかということは私ども把握するに至っておりません。
 私どもの文部省関係で若干の財政援助をするとか便宜供与をしているとかいったたぐいのホームステイの数を見ますと、平成元年度で約三千三百人ぐらいでございますけれども、御指摘のように実態はもっと多い、これ以外のものが大変あるんだろうと思います。この三千三百人というのは、ただいま申し上げましたような財政援助をしたりいろんな関係で、きちっとした団体だろうと思います。
 ただ、今お話がございましたようなホームステイ被害を考える会の方から御要望書もいただきまして、一体こういう実態がどうなっているのか、とりあえず私どもが把握している団体について、そういう状況があるのかということについて早速調べてみたことがございます。これは、そういった言うならばしっかりした団体ということでございますけれども、若干やっぱりそういうケースがございました。
 例えば、そういう中で、三つの団体――AFS日本協会、YFU日本協会、日本国際生活体験協会という三つの団体について実態はどうであろうかということを尋ねてみますと、例えば平成元年度で、この三団体を合わせて一年間の長期で留学をした学生の数が約千人、九百六十九人でございます。その中で何らかの理由で早期に帰ってきてしまったという学生が七人で、〇・七%と非常に少ないわけでございます。ただ一方、向こうにはいるんだけれども、いわゆるホームステイ先を変更するというケースが大変多うございまして、これがこの元年度で見ると全体の一八%ぐらいでございます。ですから、二割近い子供が早期に帰ってくるなりホームステイ先を変更している、そういう何らかの理由がやっぱりできているわけでございます。
 どうしてそういうことになるのかということについて、一つ一ついろんなケースがございますから聞いてみますと、これはいろいろございまして、今先生の御指摘がございましたように、ホームステイ先の家庭に問題があるというケースももちろん多いわけでございますけれども、同時に留学生本人に起因する場合、例えばその本人が非常にその家庭内でのコミュニケーションをしない。日本の家庭で個室で育ったままでひょっと行って向こうの家庭で自分の個室に閉じこもってしまう。向こうはファミリーで一緒に御飯を食べようと言っても、私はこっちで、嫌だといったようなケース。つまり、それは本人に責任があるというよりも、両方のやはり文化の違いでございますね。
 やっぱり文化、生活習慣の違いから非常に誤解が出てくる。食事の量が多い少ないということも、日本人は小さいからこれくらいと向こうの方は一方的に決めつける。こちらの方は、いやこれじゃ足りない、そう言いたいんだけれども、言葉が十分でない。そこで行動が行き違ってしまうとかいったような、どちらがどちらと言えないようなケースもございますが、私どもが尋ねてみた中でも、今先生の御指摘がございましたような、例えば女子の生徒が男子ばかりの家庭にホームステイをして性的なあれを受けたというようなこともございます。また、非常にその家庭が経済的に貧困でございまして、文字どおりおっしゃるように厳しい条件にある。あてがわれたベッドに寝ると、そのベッドはスプリングがはみ出しちゃって、もう痛くて寝ていられないというようなケースもやっぱり中にはあるわけでございます。私どもがごく一部をつかまえた中でもそういうケースがございますから、やはり現在これだけ数がふえている中で、やっぱりかなりの部分がといいますか、そういう問題が多かれ少なかれ何らかの形でできているのではなかろうかというふうに思っております。
 ただ、一言つけ加えさせていただきますが、ただいま御指摘がございましたこの被害を考える会の方でお話をいただいたときに――今PEACEという団体のことをおっしゃいました。これは太平洋教育文化交流協会というのが正式の名前でございますが、この団体のあっせんによって参った子供について若干のトラブルが起こったということがございました。実はこのPEACEという団体自体は、私どもの見るところでは大変にしっかりした団体でございまして、つまりこれはアメリカに本部がございまして、アメリカのUSIAと言っておりますけれども、アメリカ連邦政府の広報文化局でこれはしっかりした団体であるという適格認定を受けている。アメリカの場合はホームステイが非常に盛んでございますから、そういうホームステイを行う団体について連邦政府でもってここはしっかりした団体だよという一定のガイドラインをつくって適格認定をしているわけでございます。
 このただいまのPEACEの場合はそれに該当している団体で、PEACEはアメリカに本部があって日本に支部がございます。日本支部の方はこれは全くの任意団体でございますけれども、そういった意味では、アメリカ政府も一応しっかりした団体だと言っているようなところでやっぱり御指摘のような若干のトラブルが起こっているというようなことは、大変残念なことだというふうに思っております。
#98
○西岡瑠璃子君 今、そのPEACEは文部省の関連団体ではないというふうに言われたわけですけれども、そうしますと、今JATAの旅行業者団体、六団体ほどありますね、それは全部文部省が助成金を交付しているということになりますか。
#99
○政府委員(川村恒明君) 私どもの方で直接的な形で、つまり財政援助を行っております団体はAFS日本協会という団体でございます。このほかに政府レベルで申しますと、YFU日本協会というのがございますけれども、これは外務省の方で補助金を計上しておられるように伺っております。
 このほか、例えば先ほど申し上げました日本国際生活体験協会、EILと言っておりますが、こういった団体の事業につきましては、その生徒を募集する際に私どもの方で、これはしっかりした団体だからということを文書でもって各都道府県に通知をするというようなことはやっております。大体ただいま申し上げましたようなのが主な団体でございます。
#100
○西岡瑠璃子君 私もある一部のパンフレットを拝見しましたら、確かに海部首相の顔写真が載ってコメントも載っておりました。きょうはそれはちょっと持っておりませんけれども、それはこの六団体の中にはございませんでした。
 そこで、私は今、どんな事情があれ、傷ついて帰国をした高校生、一年間という日程で留学をしたにもかかわらず、途中でそういうトラブルに遭ってやむを得ず数カ月で帰国をしなければならなかったそういう高校生が、復学ができない、留年をしなければいけない、そういうふうなことを聞いたわけですけれども、その現状は本当ですか。
#101
○政府委員(菱村幸彦君) 最近高校生の留学がふえておりまして、高校時代にそういう外国経験を持つことはいいことなんでございますけれども、今御指摘がございましたようないろいろなトラブルが聞こえてまいります。特に高校生は未成年者でございますので、そうしたトラブルの際の対応というのは大変いろいろ深刻な問題があるというふうに考えております。
 そこで、今お尋ねの中途帰国した生徒が高等学校に戻った場合にどのような扱いになるかということでございますが、これは個々の生徒によりまして、どのような状態で留学し、どのような状態で帰国したかという状況はさまざまでございますので、これを一律にどうということはなかなか対応が難しいわけでございますが、文部省としましては、教育的見地から、できる限り学校が弾力的な対応をするように指導しているところでございます。
 それからもう一つ、今高校生が、申し上げましたようにいろいろ外国にたくさん行くようになってトラブルなども聞こえてまいりますので、そのほか先生も御指摘になりましたように、営利を目的とするコマーシャリズムだけの業者の問題もいろいろございます。それからホームステイの問題と同時に受け入れ先の向こうの学校の問題もございまして、いろいろ問題点が多うございますので、今文部省に外部の専門家を入れまして、高等学校における留学等に関する調査研究協力者会議を設けてそういうことを鋭意検討をしているところでございます。この結論がこの夏には恐らく出ると思いますので、出ましたら、それに基づきましていろいろ実態を調査したり、ないしは教育委員会を通じまして学校に指導したりして、問題がないように、また問題が起きたときも適切に対応できるようにしていきたいというふうに考えているところでございます。
#102
○西岡瑠璃子君 ぜひそのようにお願いします。
 それで、今言われましたように確かに商業主義による業者の不法行為に対しては、それは文部省は直接関係ないかもわかりませんけれども、私はやっぱりこれは国としてただいたずらに手をこまねいて拱手傍観すべきものではないと考えるわけでございます。そのホームステイについて、旅行業の立場からいいますと運輸省になるわけですね。それから出入国管理の面からは法務省、在外邦人の保護や旅券の発給等の面からいいますと外務省、そして留学という観点から文部省、もう本当に多岐にわたって省庁がそれぞれ関係しているわけですけれども、全面的にまたあるいはその主務としてかかわる官庁がない。ですから、縦割り行政の欠陥がホームステイ一つをとってみましてもこのような実態であらわれている。
 この今の被害の実態も、本当に潜在的なものを明らかにすることができないわけでございますので、今後適切有効な対策を講じるために、私は救済のための機関や窓口、そういったものがないというのはどうかと思いますけれども、今後は担当窓口を設けるとか、あるいは主務官庁を設ける、そして総合的に連絡をし合っていく、連携をし合っていく、万全の体制をとる必要があると思うのですけれども、具体的に今後の方針を示していただきたいと思います。
#103
○政府委員(川村恒明君) ただいま先生から御指摘をいただきましたように、大変関係省庁も多いわけでございます。従来、留学生施策で申しますと、海外から日本に来る留学生をどうやって受け入れるかという方に非常に力点がかかっておりまして、十万人計画といい、そのために政府全体として閣僚協議会をつくろうとか、各省の連絡をよくしようということで一生懸命やっておりまして、まあ大変申しわけありませんけれども、日本から向こうへ出ていく方のところの対応がそういう日本に来る留学生に比べて若干後手に回っておったということは御指摘のとおりだと思っております。しかし、先ほど申しましたように、まあいろんな形がありますけれども、十一万人もの人たちが海外に出ていっているという状況でございますので、私どもとしてはできるだけこういった日本から出ていく留学生についての対応というものを考えていかなきゃならない。
 それで、ただいま初中局長からお話がございましたように、まず高等学校レベルの留学生につきましては、既にそういうことで調査会で間もなく御結論がいただけるということも伺っておりますし、それからまた大学レベルの方につきましては、先ほどの二十一世紀に向けての十万人計画の全体的な見直しの中で、日本から海外に行く学生の問題についても本腰を入れて取り組もう。五十八年に十万人計画をつくった際には、正直言ってまあ迎え入れる方の話で精いっぱいでございまして、出ていく方の話はほとんどございませんでしたから、それじゃぐあいが悪い、今度はまあそういうことで、その辺も考えていただきたいということで、今月にそういう調査会をまた新しくお願いをしたわけでございます。
 ですから、そういうところでも御議論いただきますし、同時に行政自身におきましても、ただいま御指摘がございましたような関係省庁とも十分に連携をとって進めていかなくちゃならない。これはそういう審議会等でも御検討いただかなければならない課題でございますけれども、まず一つは、今窓口とおっしゃいましたけれども、留学相談の体制でございますね、窓口というものはやっぱりきちんとつくらなきゃいけないんではないか。
 現在辛うじてその機能を果たしておりますのが、これは文部省の外郭団体でございますけれども、日本国際教育協会という財団法人がございます。ここに留学情報センターというものを今つくっておりまして、この留学情報センターは国内の学生が海外に出ていく際のインフォメーションを与えるということでございますけれども、非常に今手薄でございます。こういったところをきちんと充実をする。
 それから二番目には、ここで現在留学先として適切な教育機関、まず学校の方を押さえて、この大学、この高校なら大丈夫ですよというところのリストづくりをしていこうというので、一部今そんなことを始めているわけでございます。
 それから三番目には、今お話がございましたような、そういう留学生あっせんについてのきちんとしたガイドライン的なものを決めて、それでまあ先ほどのアメリカのUSIAみたいな認定制度をとるのがいいのかどうかよくわかりませんが、そういうあっせん業者についても何らかの、既に業界では自主的なガイドラインを決めておられますけれども、そういうものをベースにしながら、業者についてのある程度の判断機能というものを持った方がいいんじゃないか。その窓口に行きますと、この団体でやっているんなら、まあそれほどおかしくないんじゃないか、過去にトラブルもなかったようだしというようなインフォメーションを、これはまあ民間の自主的な事業に対して国が直接的な形で関与するのはどうかと思いますけれども、そんなことを含めて対応を進めていかなきゃならない。そんなことを全体としてこれから先ほどの調査会等でも御審議をいただければというふうに思っているところでございます。
#104
○西岡瑠璃子君 私は、例えば高校生の留学の場合は、原則として文部省と受け入れ国の教育機関との直轄方式をとるとかいうふうなことなどもお考えになってみてはいかがかと思いますし、また民間の留学業者に対する指導、監督の強化というのは、これは関連団体以外に対してもぜひ適切にしていただきたいと思うわけでございます。
 今や衛星放送におきましては海外の情報がそのままテレビを通じて報道されておりますし、日本人にとっても国境の壁がなくなっております。政治、文化、生活のレベルのすべてにわたって国際化の時代でございます。このような中で我が国の青少年が国際性を身につけることは、今後その必要性が一層増すのではないかと思います。したがって、相手国との関係はもちろんあると思いますけれども、海外留学生派遣についての私は長期拡充計画の策定がぜひ必要だと思うわけでございますが、文部省の見解を伺いたいと思います。
#105
○政府委員(川村恒明君) 御指摘のとおりだと思います。現在、例えば大学レベルで申しますと、向こうの大学へ出ていくという際に、そういうあっせん業者によるよりも大学間の協定でやる。それで、大学間でまず協定を結んでいただいて、そこでその大学同士で単位の互換の協定を結ぶという形で行くというのが非常によろしいんじゃなかろうかということで、既に現在国内にあります四年制大学、約五百校でございますね、四百九十一、この中で約二百八十ぐらいの大学がそういう意味での協定を結んでおります。そういった協定を大学単位でやっているところもございますし学部単位でやっているところもございますが、何らかの形でその協定を結んでいる。そういう協定を結んで、それに乗って学生が行く場合に、その単位の互換を認めるというような仕組みというものを進めているわけでございます。
 そういった形で学生が行く場合に若干の予算的な措置もしようというようなことで考えているわけでございまして、これからだんだんふえてまいります際に、民間の業者任せということについてはやはりこれは適切じゃない。それをしてはいけないとは申しませんけれども、やはり民間の業界について、それがきちんとされるような一方で業界としての自主的な規制というものが前提になって、それをまたそのしかるべき例えば政府関係団体においても、これは間違いないだろうというふうな形で押さえていく。そういうことをしながら、交流というものは基本的に、先ほど大臣が御答弁なされましたように、異文化に触れて異文化を理解する、それによって国際理解の基礎を培うというまさに教育の目的でやっているわけでございますから、教育的な配慮というものがやっぱり基礎にならなければいけないだろう。そんなことで、これからさらにふえていくということを基本にしながら、先ほど来申し上げておりますようないろんな施策を進めていきたいというふうに思っております。
#106
○西岡瑠璃子君 私は、その民間業者任せではいけないというお言葉を信じたいと思います。
 言ってみれば、留学生、留学をしていく青少年たちは、私は小さな民間の親善大使だというふうに言っても言い過ぎではないと思いますので、この役割を私は評価をしなければならないと思います。しかし、私が先ほどるる述べましたように、被害者によりいろいろな人権侵害がございます。こういった人権侵害の訴えに対して、その当時の塩川文部大臣は、何の法律も罰則規定もない、どうしようもない、こういうふうに答えておられます。私は、もはや今日文部省が従来のような旅行の一形態と言って、ただ逃げの姿勢で対応しているべきときではないと考えますので、今のお考えを本当にありがたく受けとめたいと思います。留学生ホームステイの重要性を、そして意義を認識されまして、その振興と内容充実のために積極的な取り組みをしていただきたいと思います。
 そこで、私は、きょう運輸省の方においでになっていただいていると思いますけれども、運輸省にお尋ねをしたいと思います。
 先ほどのホームステイ協会の信用性が事故に結びつくかどうかということでございますけれども、この旅行業者団体、JATAですね、そこでは契約前にその調査をすることを旅行業者に義務づけているというふうに聞いておりますけれども、どの程度の調査が行われておりますでしょうか、運輸省にお尋ねいたします。
#107
○説明員(中島憲司君) 旅行業者の行うホームステイツアーについての問題でございます。
 こちらの方の指導監督といたしましては、六十三年六月に旅行者保護に遺漏のなきよう通達を発出するとともに、ホームステイツアーのトラブルを防止し実りあるものとするため、日本旅行業協会におきまして運輸省の指導のもと、旅行業者が行うホームステイツアーにつきまして、これを適正に実施するための「ホームステイ・ツアー主催取扱ガイドライン」、これを昨年十一月に作成したところでございます。
 それで、そのガイドラインの内容でございますが、オリエンテーションの実施、パンフレット等により旅行者へのホームステイの意義の周知を図ること、事前に受け入れ団体を十分調査すること、それからホストファミリーと旅行者との間で事前にコミュニケーションが図れるよう措置すること、こういったことを内容といたしてございます。
 現在、関係旅行業者に対しまして、連絡会議を開催しガイドラインの周知徹底を図るとともに、日本旅行業協会を通じまして遵守状況につきまして調査を行っておるところでございます。
#108
○西岡瑠璃子君 その調査の結果はいつ出るのでしょうか。
#109
○説明員(中島憲司君) 現在行っている最中でございまして、ただいまこの場でいつごろというのはなかなかちょっと申し上げにくいのでございます。
#110
○西岡瑠璃子君 私が先ほどから運輸省のガイドラインのことを伺っておりますと、もう確かに優等生的な答弁で、まさにそのとおりであればいろんな問題は起こらないと思うわけですけれども、現実に本当に想像を絶することが次々と起こっているわけでございますから、今後これからの留学生たちにとって本当に悔いのないようにするために、私は政府におきましても万全の措置をとっていただかなければならないと思います。国民にとっても、私は、ホームステイに関する理解と認識というものを深めさせる広報、PR活動がもっと積極的に行われなければならないのではないかというふうに思いますけれども、旅行業のサイドあるいは学校側、いずれもそうした面での情報提供、相談に応じる体制が非常に不十分と言わざるを得ないと思います。
 それから、先ほどそちらの方で御答弁ございましたけれども、確かに一部には社会的に未成熟な高校生、生徒もございます。国際化社会への対応という美名のもとに行きますから、語学力が不足しているままで行っているから、それはいろんなトラブルが起こってまいりますし、またさっき言われたように、ホストファミリーとの交流を避けているということもあるかもわかりません。あるいは家の中で非常に甘やかされて育ってきた人たちが全く家と同じような気分でいるというようなことも、それは中にはあるかもわかりません。そして私は、そういった青少年たちが、もっと日本のことをいろいろとホストファミリーの方を初め向こうのステイ先の皆さんに知らせることができるようなそういう情報とかあるいは知識とか、そういったものを留学をする前に少し研修をしていくことも一つの方法ではないかと思います。
 それはそれといたしまして、何といっても私は、この被害の問題は人権擁護の点でも考えていかなくてはならないと思っておりますので、ぜひぜひ運輸省におかれましても、ホストファミリーが今一定の水準に達していないということで、本当に劣悪なところにまで無責任な選択によって次々と子供たちを送り出していくということは、これはやめさせなければならないのではないかと思うわけでございます。何といっても一方的に留学不適格者のレッテルを張られて中途帰国をさせられた傷心の高校生たちに対して、私は学校側がもう少し適切に復学措置ができるような、そういう文部省の方での指導体制をしていただきたいと思うわけでございます。
 それから、留学生ホームステイを扱う業者が、公立、私立の高校を初め大学の先生方を若干の自己負担金で海外旅行に招待をしていたという、そういう情報が入っております。これは大阪府の教育委員会もこれを重視いたしまして調査をしているということを聞いております。その事実関係、真相の把握をしておられるか伺いたいと思います。
#111
○政府委員(菱村幸彦君) ただいま先生が御指摘になりました大阪府の例でございますが、これにつきましては、大阪府教育委員会、それから研修旅行を実施しました旅行業者、ISAという会社でございますけれども、そこから事情を私どもも聞いております。
 この研修旅行は、この会社が行っております留学事情について理解を深めてもらうために、教員を対象に編成しましてアメリカに派遣したというふうに聞いております。そして研修内容は、アメリカの学校関係者に会うとか現地留学実施法人を訪ねるとかホームスティファミリーと懇談をするとか、そういうようないろいろな活動をしたようでございます。また費用につきまして、旅行運賃は航空会社等のサービスで、本人は十万円程度負担したというふうに聞いております。
 大阪府の教育委員会の調査では、いろいろ調べたけれども、必ずしも違法とは考えていないという報告を私どもは受けております。しかし、私どもとしましては、こういう教育の世界のことでございますし、社会から誤解を招くようなことがあるのは好ましくないというふうに考えております。今後、世間から誤解を招くような行為のないよう教育委員会ないし学校に対しまして指導を進めていきたいと考えております。
 それから、先ほど先生がいろいろ御指摘になりました行く前のオリエンテーションの問題であるとか、それから帰国後の対応につきましては、これは本当に重要なことだと私どもも考えております。したがいまして、先ほど申し上げました検討会で今そういう問題も含めましてかなり細かな議論を重ねておりますので、その結論を待ちまして、こうしたことにつきましても必要な指導をしてまいりたいと考えております。
#112
○西岡瑠璃子君 最後に、私は先ほどいろいろな被害の例を申し上げました。この被害者の会の代表の関西の西村さんが去る四月にアメリカのユタ州を中心に現地視察を行ってきております。その際に出合ったユタ州下院議員のクレイグ・ムーディさんという共和党の方のお手紙によりますと、私はその英文の手紙を翻訳して拝見をいたしましたけれども、外国人学生にもアメリカ人学生同様個人の権利の侵害に関する州の保護機関がある、日本人学生は、日本を出発してアメリカに来る前に、自分たちの保護のためこれらの訴訟手続について通知を受けるべきである、そしてまた、海外に青少年を送る上での倫理あるいは道義的行為に関する適切な基準に従うために、留学生ホームステイを扱う旅行業者を取り締まったり認証したりする何らかの機構の設立を日本政府に促すべきである、このように書いておられます。
 また、もう一通のお手紙ですけれども、ホーソン大学の総長でございますアルフレッド・ムーンザート教授ですが、この方も同様な見解を述べながら、日本人学生の何人かに降りかかった不幸な状況を見直すために尽力をしておられる日本のグループを支援をしたいとアドバイスの手紙をよこしているわけでございます。
 私は、文部大臣に重ねてこの件に関する今後の適切な措置とお考えをお聞きいたしたいと思います。
#113
○国務大臣(保利耕輔君) ただいま委員からいろいろな例についてお聞かせをいただきまして、拝聴をさせていただきました。先ごろ衆議院の予算委員会分科会におきましてもこの問題が取り上げられておりまして、記憶をいたしております。
 そういう中で、こうした留学生の人権が侵されるというようなことは、やはり我々政府としても重大な関心を持って取り組んでいくべき事項だと思っております。そういう意味で、たまたま文部省といたしましても、留学生政策に関する調査研究協力者会議というのを先ごろ設置をいたしまして、さらに細かい点まで協議をしていただくということになっております。こういった場においても、日本から出ていく留学生についてもやはりそうした施策を考えてほしいということをまた要請もしなければいけませんし、協力者会議の中でもそういった問題を取り上げていただくというように私ども伺っておりますので、そこの先生方にいろいろ対策について御協議をいただきたいと思います。そのときは、もちろんきょうの文教委員会のありさまでありますとか、あるいは過日の衆議院予算委員会分科会におけるいろいろな御発言等が参考資料として使われるであろうということを期待いたしておりますし、私どもからも御説明を申し上げなければならない事項だと思います。
 ただ、一言だけつけ加えさせていただきますが、私は、外国に住んでおりました者として申し上げたいと思いますが、割と日本人に安易に海外に行くということを考えておられる方々がいらっしゃることも事実のようでございます。外国で本当に一人ぼっちで投げ出されたときはどんなに心細くなるものか、あるいは本当に途方に暮れてしまうということがあります。ましてや英語圏でないところでたった一人でほうり出されて、頼るところもないということになった場合にどういうことになるのかというようなことについて、やはり世間一般がもう少し理解をすべきであろうと思いますし、日本と違う社会の中で孤立をした場合にどうなるかということについて、世間一般が理解すると同時に、またこうした留学生を出される保護者の皆様方も、こうしたことについての御理解を深めていただくように我々も努力をしなければならない、このように思っております。
 業者等については十分に注意をしていかなければなりませんし、また関係省庁とも連絡を取り合って、これからの国際化社会に対応する留学生政策というものを、やはり我々としてもしっかり立てていかなければならないなということを感想として申し上げさせていただきます。
#114
○西岡瑠璃子君 今の文部大臣の誠実なお言葉を、私は被害者の会の西村さんにかわって非常に感謝の気持ちで受けとめさせていただきます。
 どうか一度しかない青春を取り返しのつかない地獄のふちに追いやることのないように、今日の国際化時代、国境を越えた心のかけ橋としての健全な留学生交流として文部行政の推進に当たっていただきたいことを重ねて強く要請をいたしまして、この問題についての質問を終わらせていただきまして、次に移ります。
 私は次に青少年、未成年の喫煙、そしてシンナー吸引、アルコールなどの飲酒の問題についてお伺いをしたいと思います。
 私は、昨年の初質問の際に、児童生徒の登校拒否及び高校生の中途退学の問題について当時の石橋文部大臣にお尋ねしたことがございます。今回、大臣の所信表明の中にも「児童生徒の登校拒否等の学校不適応の問題についても、その解決を図る」とあります。また、「子どもの心身の健全な発達と、生涯の各時期を通じた国民の健康増進に資する」、こういう御決意がございますけれども、私がお尋ねしようといたします青少年、未成年の喫煙、シンナー、アルコール等飲酒の問題は、まさに近年における学校教育の荒廃の中で、はけ口を求めている子供たちの言ってみれば側面の現象であるととらえられないでありましょうか。
 中学生や高校生のこうした実態についての調査を、文部省及び厚生省といった政府機関でどのように取り組んでおられるかお伺いしたいと思います。
#115
○政府委員(前畑安宏君) 御指摘の問題について、文部省として全国的な実態調査をやっておりませんので、また関係のところでそういう調査をやったということも承知しておりませんので、全国的な状況については御報告できないところであります。ただ、ある機関が実施をした調査、これは喫煙と飲酒でございますが、小学校、中学校、高等学校四十九校にわたりまして約一万三千人を対象に調査をした数字がございます。
 これによりますと、かいつまんで申し上げますが、これまでにたばこを一口でも吸ったことがある者という数字が、小学校の一年生で申し上げますと男子で八%であり女子で四%、小学校の四年生について申し上げますと男子で一四%、女子で七%、中学校の一年になりますと男子で三〇%、女子で一一%、高等学校の三年生になりますと、一口でもたばこを吸ったことがある者という数字は男子で六六%、女子で四二%、こういう数字がございます。またさらに、ここ一週間に一本以上たばこを吸ったことがある者ということになりますと、小学校では数字がございませんが、中学校の一年生では男子で二%、女子がゼロ、高等学校の三年になりますと男子で三四%、女子が一二%ございます。
 次にアルコールでございますが、これまでアルコールの入った飲み物を一口でも飲んだことがある者という数字について申し上げますと、小学校の四年生では男子で六一%、女子で五〇%、中学校の一年になりますと男子で七九%、女子で七三%、高等学校の三年になりますと男女とも九六%。さらに、ここ一週間にアルコールの入った飲み物を飲んだことがある者ということになりますと、中学校の一年が男子で一二%、女子が七%、高等学校の一年になりますと男子で二八%、女子で一五%、高等学校の三年になりますと男子が三三%、女子が二二%、こういう数字がございます。
 なお、警察庁で調査をいたしております不良行為少年、飲酒、喫煙等を行って警察に補導された二十歳未満の者という数字がございますが、これで見ますと、昭和六十三年度には喫煙による補導というのが五十四万人、飲酒による補導というのが三万五千人、シンナー等により補導した犯罪少年の人員は二万四千五百人、こういう数字になっております。
#116
○西岡瑠璃子君 私の地元高知市におきまして調査を行ったまとめの資料がございますけれども、これは喫煙とシンナー吸引に関するものでございまして、まだ飲酒に関して、アルコールに関してはデータが出ておりません。伺うと、全国的にもそういった調査のデータがないというふうに承りましたけれども、このアルコールの問題の調査というものは非常に難しいものでございましょうか。
#117
○政府委員(前畑安宏君) 基本的にどういう観点から調査をするかという見方があろうかと思います。その調査のやり方によっては、かなりいろんな方面に難しい問題を惹起するおそれがあるというふうに私どもは懸念をいたしております。ただ、私どもとしては、この飲酒なりあるいは喫煙あるいはシンナーという問題につきまして、従来は、先ほど先生の御指摘もございましたが、社会に対する不適応といったような、非行というような観点でとらえるというのがいわば一つの傾向でございました。
 例えばたばこ、アルコールは未成年は吸ってはいけないという法律があるからこれを守らなければいけない、それを守らないのは悪い子供だ、こういうふうな観点で取り組んできた嫌いがありました。例えば高等学校の学習指導要領につきましても、従来は飲酒、喫煙あるいは麻薬といった問題は、欲求と適応規制という、要するに一つの欲望があっても、それを社会全体のいろんな仕組みの中で、あるいは自分の健康を考えて抑えなければならないんだ、こういうふうな指導をしておりましたが、今後の改訂学習指導要領におきましては、むしろ生活行動と健康という観点から、たばこなりあるいはアルコールなりあるいはシンナー、麻薬といったようなものの健康に及ぼす害あるいは周囲に及ぼす害といったものをきちっと教えまして、そして自分自身の健康は自分自身で守らなければならない、そういうふうな観点で指導の充実を図るべきではないか、このように考えています。
 したがいまして、現実に一体何人の者がたばこを吸っているか、あるいはアルコールに親しんでおるかというようなことの調査を具体にやるということについては、現在私どもは用意をいたしておりません。
#118
○西岡瑠璃子君 私は、きょう時間の都合で飲酒、アルコールの問題に絞って質問をさせていただくしかないと思うんですけれども、今から三十二年前の日本で、全国に先駆けて断酒会を発足させ、全日本断酒連盟の誕生に力を尽くし、現在も国立久里浜病院と連携をとりながらアルコール依存症の治療に情熱を傾けている地元高知市の下司孝麿医師の患者を対象にした大変ショッキングな調査の結果が出ておりますので、御紹介しておきたいと思います。
 それによりますと、アルコール依存症で入院している患者の半数が、初めて飲酒の体験を持ったのが何と十五歳から十九歳で、また外来患者の四割が同様に十五歳から十九歳で飲酒を始めております。また、これら飲酒体験を持った場所が圧倒的に自宅が多い、家庭が多いという結果も出ております。こうした一病院の調査を見ましても、未成年者の飲酒問題は従来アル中と呼ばれたアルコール依存症の患者となる確立が非常に高いことから、人生の始まりの時期においてその道を誤ることのないように指導していく責任があるのではないかと思うわけでございます。
 私は、時間がございませんけれども、こうした実態及びその後の健康に与える影響、アルコール依存症に発展する可能性を考えますと、何としても国の何らかの調査が必要だと思うわけでございます。そして文部省、厚生省、青少年対策本部、警察庁などが連携をして実態調査に取り組むべきではないかと思うわけです。文部省は関係省庁と相談して、私は調査の実現に積極的な役割を果たすべきだと思うわけですけれども、ぜひ大臣に決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
#119
○政府委員(前畑安宏君) 私どもは、今先生御指摘ございましたように、たばこについて申し上げますと、御案内のとおりたばこというのは一度習慣になりますとなかなかこれを断つのが難しいということから、特に小学校の段階から、たばこについてはその害ということを十分指導をして、これからの生涯にわたって、先ほど先生御指摘ございましたように、かけがえのない青春の一時期でございますので、たばこに親しむことがないようにということをきちっと教育をしていきたい。
 また飲酒につきましては、これは小学校では扱っておりませんが、中学校になりますと、今御指摘ございましたように、若年におけるアルコールの摂取というのがいわゆるアルコール症あるいはアルコール依存症と言われているものにつながるおそれが非常に大きいということから、きちっとその点についての指導を行っておるところであります。
 そういう観点からいたしますと、具体に家庭の中にまでかかわって、一体アルコールをどれぐらい飲んでおるのかというような調査を全国的規模でやるということになりますと、その及ぼす影響あるいは調査をした結果、それにどう対処をするかということになりますと、また関係各省庁ともいろんな問題もございますので、当面は全国的な規模で飲酒、喫煙といったことについて、児童生徒を対象にした調査ということについては用意をいたしておりません。
#120
○西岡瑠璃子君 私は、新しい学習指導要領の中で、今度保健体育の中で飲酒について取り扱うと伺いましたので、大変そのことについては期待を持っております。
 ちょっと時間がなくなりましたのでいろいろと飛ばしてまいりますけれども、非行経歴を多く重ねている少年ほど飲酒経験者が多いというのは私は当然だと思うわけでございますし、先ほどゆとりの時間のお話も出ましたけれども、何とか先生方にもゆとりの時間を持つようにしていただきまして、現場の先生も大変お忙しいわけですけれども、私は病める現代の青少年たちが、喫煙とかあるいは飲酒、シンナーなどの薬物乱用によって人生の入り口のところで挫折することのないように、指導性を発揮していただきたいと思うわけでございます。
 何といっても私は文部省に、青少年が飲酒する場所が圧倒的に家庭だという点で、学校と家庭との協力体制をつくるとか、酒害についての広報活動を関係各省庁とも協力して行っていっていただきたい、そういう対応というものはできないものか。また、今、自販機のことが出ておりますけれども、自動販売機で深夜もそのまま簡単にお酒が手に入るような状態があるということでは私は困ると思いますので、そういったことも含めて、今後アルコール問題対策に具体的に取り組んでいっていただきたいと思うわけでございます。
#121
○政府委員(前畑安宏君) 私どもの方では、かねてから学校医、学校薬剤師等の専門家の集団であります財団法人日本学校保健会の協力を得まして、中学校あるいは高等学校、さらには小学校におけるそういった喫煙等の防止に関する指導の手引というのを作成いたして各学校に配付いたしておりますが、その中でも学校で教えることができるのはたばこ、アルコールあるいはシンナー、薬物の害でありまして、具体に子供たちがたばこを吸ったり酒を飲んだりというのは、今先生御指摘のように学校外の場所が多いわけでございますので、その問題の指導に当たりましては、学校、地域における一体的な指導、特にPTAであったりあるいは保護者会といったようなところと十分連絡をとって、そういった保護者を集めての研修会を開く等によって指導の徹底を図るようにということで指導をいたしておるところであります。
#122
○国務大臣(保利耕輔君) 喫煙、飲酒等については、私は私なりの見解を申し上げさせていただきますが、成人になってからはこれは自由だと思います、嗜好の問題でございますから、これまでどうということは言いません。しかし、未成年者であります限りは、やはり健康その他の問題を考え、家庭と学校が協力をしてそれに至らしめないような環境をつくっていかなければならないのではないかということを私も認識いたしております。
 実は、私自身余りお酒が飲めませんし、さらにまたたばこは一切やったことがございませんで、大変男性の皆さんからは煙たがられることがございますんですけれども、私はスポーツをやっておりましたものですから、そういうふうな傾向になってしまったのではないかと思っております。
 しかし、酒は百薬の長という言葉もありまして、またお料理等におきましてお料理の味をよくする役割もしており、決して害だけではないのでありますが、未成年者がこれを吸ったりあるいは飲んだりするということについては、健康上問題があるという教育をもっと――もっとといいますか、今もやっておりますが、徹底をしていかなければならないし、御家庭においても御協力をいただいていかなければならない問題ではないかと、このように思っておる次第であります。
#123
○西岡瑠璃子君 ありがとうございました。
 今回はこれで終わらせていただきます。
#124
○委員長(柳川覺治君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時四十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十分開会
   〔理事石井道子君委員長席に着く〕
#125
○理事(石井道子君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#126
○田沢智治君 大変フレッシュな非常に我が国を代表する保利文部大臣が就任されたこと、我々同志として心から歓迎を申し上げるのでございますが、質問につきましては本当のことをいろいろお聞き申し上げますので、ひとつお答えをいただきたいと存じます。
 まず、生涯学習の振興策について二、三お伺い申し上げます。
 近時、国民の所得水準が向上し、自由時間の増大や国際化、情報化時代が進展する中で、国民の学習意欲もまた多様化し高度化していることは周知のとおりだと思います。真に国民一人一人が物質的豊かさばかりじゃなく精神的な豊かさをも実感として享受できるためには、多くの国民が生涯の各時期に自発的意思に基づいて適時適切な学習を行うことができる生涯学習教育体制の整備充実がどうしても必要な時期に来ていると私は思うのでございます。
 そこで、去る一月三十日には中央教育審議会から「生涯学習の基盤整備について」という答申がなされ、文部省はその提言を受けて今回新たに生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案を国会に提出されたと承っております。
 そこで、本法律の提出に当たっての文部大臣の御所見と、あわせて今度の法律案の趣旨及びその概要について御説明をいただきたいと存じます。
#127
○国務大臣(保利耕輔君) 社会の変化に伴いまして多様化、高度化する国民の学習の意欲、需要に対しまして、生涯の各時期において自発的な意思に基づき適時適切な学習を行うことができ、またその成果が適切に評価をされる生涯学習社会の実現を図ることは、国政の重要課題であると認識をいたしております。文部省といたしましては、生涯学習の振興のために各種の施策を講じ、その実現に努めてきたところでございます。
 御指摘のとおり、本年一月に中央教育審議会の「生涯学習の基盤整備について」という答申をいただきまして、その中で述べられた施策のうち、法律によって実現を図るべき事項について法案化の検討を進めてきたところでございますけれども、このたび生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案として国会に提出をさせていただきました。生涯学習に対する国民の期待にこたえますために、この法律案の早期成立に向けて私どもも努力をしてまいりたいと思いますし、また国会の諸先生におかれましては、ぜひともお力添えをいただき、この法案が成立をするようにお願いを申し上げたいところでございます。
 生涯学習法案の趣旨及び概要については事務当局から御答弁させます。
#128
○政府委員(横瀬庄次君) 今回の法律案につきましては、ただいま大臣から申し上げましたように、国民の多様化、高度化した学習需要に対応いたしまして、生涯にわたる学習が円滑に行われますように、国と地方公共団体を通じての生涯学習の振興のための体制の整備ということを主眼といたしまして、その趣旨の実現を盛り込んでいるものでございます。
 内容につきましては大きく分けまして三つございまして、一つは、都道府県の教育委員会におきます生涯学習の振興のための体制整備に関してでございます。
 それから第二番目は、都道府県が民間事業者の能力を活用して地域の住民に生涯学習の多様な機会を提供するため行う地域生涯学習振興基本構想というものについて規定しているものでございます。
 それから第三番目は、生涯学習に資するための施策に関する重要事項等を調査、審議するために文部省に生涯学習審議会を置く。それから都道府県に都道府県生涯学習審議会を条例で設置することができるように規定する。さらに市町村につきまして関係機関及び関係団体等との連携協力体制の整備に努めるということについて規定をする。
 大きく分けてこの三つの事項について盛り込んだものでございますので、どうかよろしく御理解のほどをお願い申し上げたいと思います。
#129
○田沢智治君 ただいまの説明を受けまして、私は非常に時代に合うものだと思うんです。今、東京一極主義というものが大きな弊害をも生み出し、人口というものを集中すると同時に、物とお金も寄せ集めて大きく日本という国の将来に危機感を与えているという次元から見た場合、生涯学習というものを基盤として都道府県、市町村単位に生涯学習体制を確立するということは、大変時宜に合った日本の均衡ある発展に大きく貢献する要素があると、私はそう思うのでございます。我々一生懸命やりますが、文部省も所期の目的に徹して、大きく汗を流しながら一つ一つ国家国民のために努力してもらう意欲的な姿勢を続けていただきたいということを御要望申し上げるのでございます。
 次に、芸術文化の振興について二、三お伺いをいたしたいと思います。
 今日我が国は世界の多くの国々から経済面のみならず文化面においても積極的な貢献を求められていることは御承知のとおりだと存じます。国際社会で真に信頼と尊敬を得るためには、進んで世界の文化財の保存維持や学術文化の発展に貢献できる水準の高い芸術文化を創造、開発し、その国際交流を図ることが大切であると私は思います。そのため、国としても国際的誇りある文化政策を強力に推進していかなければならないと思うのであります。
 しかし、欧米諸国に比べて我が国の芸術文化振興の予算は少なく、芸術文化に取り組む体制はまことに不十分と言わなければなりません。このたび芸術文化振興基金が一千億円を目標として設定されたことは大変喜ばしいことであると思うのでございますが、これを契機として芸術文化の振興のためにその施策を飛躍的に拡大していかなければならないと思いますが、文部大臣の決意のほどをお伺いいたしたいと存じます。
#130
○国務大臣(保利耕輔君) 今日、国民の文化に対する関心は大変高くなってまいりました。また、国際的にも文化面で貢献をすることが求められております。これからの我が国は、経済的な豊かさだけではなくて文化的な豊かさを実感できる心豊かな社会へ転換していくことが肝要であると存じております。このため、平成二年度の予算案におきましては、文化庁の予算といたしまして対前年度比五・六%増の四百三十二億三千七百万円を計上いたしました。
 先般、すぐれた芸術文化の多彩な展開と普及や文化による町づくりに対する援助を行うため、先生御指摘の芸術文化振興基金を創設いたしまして、芸術文化振興施策の格段の強化を図ったところでございます。この基金の創設を一つの契機といたしまして、国民一人一人が文化に身近に親しみ、みずから文化の創造に参加していける環境の醸成と基盤の確立を図っていくことが必要だと存じます。そして、伝統文化を継承しつつ、新しい芸術文化が創造される真の文化国家が形成されるように努めてまいりたいと、このように思っております。
 今後、関係予算の充実を含めましてさらに創意工夫を凝らすなどいたしまして、芸術文化振興施策の充実について一層の努力を傾注してまいりたいと思います。
#131
○田沢智治君 ところで、先般、私たち文教委員会の一行が東京芸術大学等を視察したときに、近年は特に美術品等の値段が上がり、なかなか美術品の購入ができない状況にあると大学関係者から説明を受けたのでございます。
 さきの報道によりますと、ニューヨークで行われた競売においては、ゴッホの名画が百二十四億五千七百万円、ルノワールの名画がこれまた百十九億円で我が国の資産家に落札されたと報じております。また、朝日新聞の整理された記事を見てみますと、一九七七年の九月から、山梨県がミレーの「種まく人」、それから安田火災海上がゴッホの「ひまわり」、それからピカソの「軽業師と道化師」というのが三越など、日本の関係者が大体十六点前後何億、何百億という名画を買われている。国際社会の中では、日本は金持ちだからどんどこどんどこそういうものを買いあさるのか、困ったものだなという声もあります。
 御承知のとおり、アメリカのコロンビアの買収問題において、大変感情的な日米間の経済摩擦というか文化摩擦といいますか、そういうようなものも惹起され、日米構造問題へと発展しつつある様子を見たときに、いい芸術作品を日本の関係者が買い入れるということそのものは、私は決して悪いことじゃないだろうと思うんですが、ただ、高くても買えれば買っちゃうんだというそういう感覚が、果たしてそれでいいものかどうか。この辺の問題をもう一遍――日本人の倫理観といいますか、金さえあれば何でも買いまくっていくんだというような印象を国際社会の中に与えること自体が、我が国の将来にとってどうなのかなという一面に不安を覚えるものでございます。
 まあ土地を大金で買って大きな利益を上げるというようなことよりも、まだ文化財とかそういうすばらしい芸術作品に眼を向けるということの方がいいのではないかという考えもありますけれども、文部大臣として、このような日本の経済的豊かさの中で起きている国際社会からの批判というものに対してどういうような所見を持っているか、お聞かせをいただければと思うんですが。
#132
○国務大臣(保利耕輔君) 大変難しい問題だと思います。正直言って、私は、一枚の絵が百二十五億円だと。これは競争相手があって競り上げられてそこまでいって落札をした価格でありますから何とも言えませんけれども、正直申しまして一枚の絵が百二十五億円というのはいささか高い感じがいたします。しかし、何といいましても芸術作品でありますし、我が国にそのような名画が入ってまいりますことは、国民の一人としては私はうれしいなという気はいたします。しかし、それをできるだけ公開の場で国民の皆さんに見ていただけるようにしていただければという願望を持っております。
 このような状態といいますのは、やはり日本が土地の価格がかなり高騰しているというような全体の経済現象からきている一つのあらわれと申しますか、そういうようなものを私は感じます。しかし、絵をお買いになるかお買いにならないかというのは、先日予算委員会でもお話が出ておりましたけれども、仮に個人がお買いになる場合に、税引き後のいわゆる可処分所得でお買いになるのは、これは個人の自由だろうと思います。さらに、会社等が正当な手続を経てお買いになるのであれば、それもまた自由ということが言えるかもしれません。しかしながら、そうしたものはやはり一つの国民の財産としてできるだけ公開をしていただくということは、私も強く念願をし、希望をいたしておるところでございます。
 率直な感想を申し上げさせていただきました。
#133
○田沢智治君 そこで私は、我が国の企業や資産家等が購入した世界的な芸術文化財、これは人類共通の宝として、保存するだけではなくて、やはり広く一般国民に公開すべきであろうと私は思っておるんです。国民の多くも、何百億とする名画は見てみたいなという欲求もありますし、関心も興味もあるんじゃないだろうか。日本という国は、そういう意味でいろいろな名画も集めておるというような実相を見たときに、国立美術館等の特別企画の中で、展示会に多くの名画を出品してもらうというような一つの行き方、国民全体がそういう文化の恩恵に浴するという中に立って、いいものが日本にあるんだなというそういう誇りを持てるんじゃないだろうか。文部省なりあるいは文化庁が積極的にそういう企画をつくって、多くの人たちに見せるということが大事じゃないだろうか。
 特に、先般、国宝展に皆さんと一緒に行きましたが、一日に二万人近い人たちがあそこへ集まって、みんなが行列しつつ、見るだけでも何か安らぎが持てるというような感じを持っておる。そうなると、やはり日本人というものは文化的音痴じゃなくして、文化的に欲求があるが、その欲求を満たしていく行政の方がおくれているんじゃないだろうかというような感じを私は持っておるんですが、そういうような次元の中で、もっと多くの文化の薫り豊かなる日本人をつくるということになれば、そのような文化を通して日本人の心というものの触れ合いをさせていきながら、もっともっと芸術文化に造詣を深めて、日本人の心を養成するという意味において、そういうような企画を立て、それを推進していくのが文部省の大きな仕事だろうと思うんですが、文化庁次長と文部大臣にそういう決意があるかどうかをお聞かせいただきたいと思います。
#134
○政府委員(遠山敦子君) 確かに御指摘のように、今開かれております国宝展での国民の皆様の関心を見ましても、本物への志向といいますか、あるいは日本の文化、伝統に対する関心のみならず、今日のいろいろな芸術作品等へ接したいという気持ちの高まりというのを私どもひしひし感じているところでございます。
 御指摘のように、企業などが外国で購入した作品などを含めて、広くそういうすばらしい芸術作品を国民が広く公開されて見ることができるようになるということは大変重要なことであると考えているわけでございます。
 国立美術館等におきましては、現在寄託制度というものもございまして、各企業から寄託を受けてこれをいろいろな陳列の際に使わしていただくというようなこともあるわけでございます。ただ、企業あるいは個人がお買いになりましたその作品を寄託していただく、あるいは貸していただいて特別展をやるというような場合には、そのことへの御理解、御協力というのは大変必要なわけでございます。私どもも、寄託制度の活用も含めて、そういうことへの御協力も訴えながら、できるだけの努力をしてまいりたいと思います。
#135
○国務大臣(保利耕輔君) ただいま文化庁次長からお話を申し上げましたとおり、大変埋もれた芸術作品といいますか、そういうものをできるだけ多くの国民の皆様方に見ていただく、そういう機会を提供するのは私ども文化行政を預かる者の一つの任務であろうかと思います。先生の御指摘のございますそういった機会をより一層充実し多くしていくために努力を重ねてまいりたい、このように思います。
#136
○田沢智治君 ちなみに、平成二年度の文化庁の予算総額はお幾らでございますか。
#137
○国務大臣(保利耕輔君) 四百三十二億と承知いたしております。
#138
○田沢智治君 四百三十二億なら、絵三枚買ったらなくなっちゃうんですね。ここが問題ですね、ここが。やっぱり文化大国にならないと、日本は世界から私は尊敬されないと思うんですね。金持ちが尊敬される要因は何かというと、その金は公共のために奉仕するものであって、個の欲望を達成し、我が子孫のためにあるものじゃないという一つの物の見方、考え方に立った生かし方、人類福祉のために生かしていくという生かし方の中でその人が評価されると思うんです。
 日本では国民の預貯金が今八百兆ある、あるいは一千兆あるんじゃないかと、こう言われる。そのお金が世界じゅうをぐるぐる回って日本人の懐へみんな返ってきちゃうんじゃないだろうか。そういう日本が、何ぼ外国に援助したって感謝は余りされていないという要因は、一本通った日本人、日本国としての哲学がないからじゃないかという危惧を私は持っております。ですから、日本という国は、ある意味において国民の勤勉と努力でお金を収集する能力を持って、ある程度蓄えたとするならば、やはり文化というものを通して世界の平和と人類福祉のために貢献する一つの方途をみずからが主体的に行動を起こして位置づけていくということがないと、日本人は余り尊敬されないんじゃないかな、こう思うんです。
 そこで問題なのは、これは文部大臣や文部省を責めてもいかぬと思うんですが、日本人としてやはり文化というものに対しては特別に考えなきゃならない。あるいは敦煌などの史跡の保存というものに日本が大変力を入れるということは、敦煌そのものが、中国のものであるということよりも、世界の文化遺産として大切な位置づけがあるから日本はそれを維持し保存するのに協力するんだ。あるいはカンボジアの文化遺産というもの。これはもう世界に一つきりないから、戦争で荒廃したものを全力を挙げて修復して日本は守ってくれたんだというような、こういう物の見方、考え方を持つ戦略を立てるべきじゃないか。橋をつくった、道路をつくった、あるいはダムをつくる。これも大事だろうと思うけれども、それよりももっと大事な人間の心のふるさとというものを、文化遺産を通してその国の主体性を守ってその民族に誇りを与えつつ、かつ、我が友がこれをこうしてくれたんだと言われるよき友だちになろうとするならば、私は絵三つ買ってなくなるような文化庁の予算でいいのかなという寂しさを持つのでございますが、そういう次元の中で、この実態について、文部大臣、どのような御感想を持たれているか、お聞かせをいただきたいと思います。
#139
○国務大臣(保利耕輔君) 私は、文部大臣に就任いたしましたときに、いろいろ文部省の中のことについて各担当からお話を承りました。そのときに文部予算というのは全体で四兆七千億あるというふうに伺ったわけでありますが、さらに細かく聞いてみますというと、文化庁関係の予算が四百三十二億、平成元年度予算でそのようになっているという状態を見ましたときに、やはりこれは少々少ないんじゃないかなという感じはいたしておりました。
 時たまたま、就任早々でございましたけれども、芸術文化振興基金の御審議をいただいたわけでございます。補正予算の御審議をいただきまして、いろいろ御指摘を受けながらも、あれは成立をさせていただきました。大変感謝をいたしておりますが、こうした一つ一つ苦労をしながら文化関係の予算をふやしていくという仕事を私ども文部省といたしましても一生懸命やっております。しかし、まだまだ先生御指摘のように、絵のたった三枚分ではないかというお話を伺いますと、もう少し私どもとしても予算が欲しいなという感じがいたしております。
 特に、先生御指摘のように、国宝展においでをいただいてごらんいただきましたように、日本は大変歴史の長い国でありますから、そうした文化財をたくさん持っております。そうしたものの保存、修理の費用でありますとか、そういったところへいろいろとお金をつぎ込んでいかなきゃならないと思います。
 少々長くなりますが、文化財保護法というのがございまして、私も勉強させていただきましたが、有形文化財、無形文化財、民俗文化財、そしてまた埋蔵文化財、いろんな文化財がこの日本の長い歴史の中で蓄えられてきたということを考えてみますと、これらの保存に対する費用等も含め文化関係の予算というものは、さらに充実をしていかなければならないんだなということを痛切に感じた次第でございますので、ありていに申し上げさせていただきます。
#140
○田沢智治君 やはり、文化にかかる費用というものは国家予算の中でも重点的施策として考えてもらうような努力を私たちもしなきゃならぬと思っております。大臣のそういう御心情をも理解しつつ、お互いに少し予算を余分にもらえるように頑張りたいと思っております。
 次に、東京国立文化財研究所を視察いたしました。そこでの文化財の修復技術は、広く海外からも期待されるほど大変高度な技術、優秀な人材をそろえておるということについて、私たちも大変心を強くいたしました。特に敦煌の文化財保護の協力やスミソニアン研究機構との研究交流、国の内外の研究者の受け入れなどを行っていると説明を承りました。
 しかしながら、建物が全般的に老朽化しており、研究者の交流、受け入れには、スペース的に狭くて、効率的に物を見、物を考えることができないような印象を私は持ってきました。施設の新設計画があるやに聞いておりますが、現在どのようになっておるのか。また、平成二年度の予算の中でどのくらい計上されており、何年ぐらいで完成できるような状況下にあるのか。お金がたくさんあればいいというものじゃなくて、ないお金でも有効適切に使うということが大事だろうと思うのでございまして、そういう施設にもある意味において力を入れるべきだ、こう思うんですが、現況について御報告をいただきたいと思います。
#141
○政府委員(遠山敦子君) 御指摘の東京国立文化財研究所、ここは、文化財に関します調査研究、あるいは資料の作成、公表等を使命としておりますが、前身であります帝国美術院附属研究所として発足してから六十年、戦後文化財研究所として設立されてから既に四十年ということで、建物も大変老朽化していることは事実でございます。
 加えて、御指摘のように、近年いろいろな形での保存とか修理、修復についての自然科学的な手法による研究、あるいは国際的な協力の推進などに伴いまして、施設もますます狭隘になっていることは事実でございます。
 このような状況を踏まえまして、同研究所では新たに施設をつくるということについての構想も研究が進められているところでございます。この関係の予算といたしましては、平成元年度実施設計準備費といたしまして二千四百万円を予算措置させていただき、平成二年度の予算案におきましては同じく実施設計準備費といたしまして六百万円を計上しているところでございます。
 実際の建設に関しましては、今後建設省を初めとする関係省庁と調整を行う必要がありまして、その調整を経まして実施設計あるいは建築工事等が順調に進められましても、まだなお数年を要するかとは思いますけれども、可能な限り早期の完成を目指して努力をしてまいりたいと考えております。
#142
○田沢智治君 そこで、国宝展をやっておった東京国立博物館を我々も見学させてもらいましたが、入場料は、一般、大学・高校生、及び小中学生と区分されています。しかし、大変多くの高齢者が見に来ておるという現実に接しまして、我が国も高齢化社会を迎えるという意味では、年金生活者も気楽に芸術文化が鑑賞できる、子供を育て上げた御両親がある程度の年齢になって、そういうところへ二人で手をつなぎながら、お父さん、こういうすばらしいものを見てよかったねと、こう言い合える状況が一つのやはり心の豊かさじゃないか。ある人は、その国の福祉の実態、その国の住みよい状況を見るにはお年寄りを見ろと、こう言われておりますが、そういう意味では、やはり一般、大学・高校生、及び小中学生と区分されているならば、高齢者のための入場料の区分があっていいのではないか。多くの方々が国家、社会のために汗を流して我が子を立派に育て、教育し、社会に巣立っていったその後、自分の心のすき間を埋めていくということになると、日本の自然、世界のあそこへ行って心をいやしたいと思う心、そして芸術文化に接して充実感を持ってさらに生き長らえる喜びを持つということは大事だと思うんです。ですから、高齢者の割引制度というものをあえてつくられることが私は必要だと思う。特に来年度は三年に一度の料金改定期を迎えると聞いておりますが、ぜひこの機会にそのような割引制度の創設を提言して、せめて公立の施設だけでもそういうものがきちっと位置づけられ、全国的にそういうところに波及していくような努力を文部省がやるべきだと思うんですが、来年度に三年に一度の料金改定期があるということを聞いておりますが、そういうところへそういう高齢者割引料金等含めた提言を提案する意思があるかないか、御確認をいただきたいと思います。
#143
○国務大臣(保利耕輔君) 高齢者にいろいろな文化財に接していただく機会をたくさん持っていただくということは、私は大変大事なことだと思いますし、やがて私もまた高齢者の仲間入りをする、そういうことを考える年代になってきたということを思いますと、やはり高齢者が充実した老後を送る、そういった意味で、先生の御提言というのは大変傾聴に値する御意見だと思います。現在、都内を見てみましても、デパート等でもいろいろな催し物をやっておりますが、大変高い入場料が取られておることを考えますと、せめて国立のこうした機関で率先して先生のような御意見を具体化するように私たちも努めていかなければならないかと思っております。平成三年度からそれを直ちにやれるかどうかについては、私どもも十分検討をさせていただきたいと存じます。
#144
○田沢智治君 文化庁次長、どうですか。
#145
○政府委員(遠山敦子君) 大臣のお答えのように、この問題について私どもとしましても、その事柄の意味づけについては共感するものが多いわけでございます。新しい制度でございますので、なお研究を要するとは思いますけれども、できるだけ努力をしてまいりたいと存じます。
#146
○田沢智治君 余り時間がないので、文部省の予算の内容について二、三お伺いさせてもらいたいと思います。
 平成二年度の文部省所管一般会計予算は四兆七千九百八十七億七千二百万、昨年度に比べると三・五%の増加を示しており、文部大臣初め文部当局の御努力にまずもって敬意を表したいと思っております。近年珍しく三・五の伸びをしたということは大変努力のあとがうかがわれると私は思っておるんですが、平成二年度の政府全体の一般会計予算は前年度に比べ九・七%伸びておるということを考えた場合、やはりもっともっと頑張って文部省予算を多くとる努力をしなきゃならぬだろうということを私は思っております。
 文部省の予算が過去高い伸びを示してきた時期は、子供の数が増加傾向にあったり、学校施設の整備や教職員の増員を図らなければならないなど、いわば当然に負担しなければならない義務的経費がかさんできた背景があると思います。しかし、これからは子供の数が減り、こうした当然の義務的経費が減少あるいは現状維持で済むことが予想されるとすれば、文部省当局がもっともっと一生懸命努力しなければ、文教予算は思うように伸びないのではないだろうかなという心配を私はしております。したがって、これからは生涯学習体制の整備、国際社会への貢献、教育条件の質的向上、父母の教育費の負担のあり方など、文部省としていわば二十一世紀社会を展望した教育の理念、文教政策の方向性の確立、そして予算編成に臨む必要性があると痛感するものでありますが、文部大臣の御所見を伺いたいと思います。
#147
○国務大臣(保利耕輔君) 国全体の予算は御承知のように六十六兆ほどでございますが、オイルショックから派生いたしましたところのいわゆる赤字公債の発行等で景気対策をやってきて、それの積み重ねが借金にして百六十四兆ほどになってきた。これの元利返済等が大変大きな圧迫要因として国の財政を苦しめておるというのは事実でございます。
 そういった問題がございまして、なかなか国全体の予算の伸びと同じような文教予算の確保というものができないできております。五十五年以降のいわゆるシーリングの枠はめによる予算編成作業、そういったもので大変きつい思いをしながら、やりくり算段をして予算編成を毎年やってきたという姿がありありと見受けられるわけでありますが、もうそろそろそのやりくり算段も限界に来ているんじゃないか。したがって、これはやはりパイを大きくして、その中でやりくりをつけていかなければいけない時期に入ってきているんではないか。私は、全体としての認識はありていに申しましてそのように認識をいたしております。
 したがいまして、曲がり角に来た今、私どもが決意を新たにして文教予算の編成に取り組んでいかなければなりませんが、現在の段階は平成二年度予算の御審議をいただいている最中でございますから、それから先のことについて申し上げる段階にはございませんけれども、大勢の流れとしての認識はそのように思っております。今後とも文教予算の充実については頑張ってまいりたいと思っておりますので、先生方の御支援もひとつよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
#148
○田沢智治君 近時、マスコミが我が国の教育費の高騰を盛んに報じております。教育費の高騰が物価上昇率を上回っているということを考えると、教育費の父母負担軽減問題が重要視されてきます。
 平成二年度の幼稚園、高等学校、大学の授業料、入学金、施設設備費等、学校納付金の状況を国公、私立の別にお伺いしたいと思います。
 そして、育英奨学金や就園奨励費などの拡充を図っておるようでございますが、今後、私学振興予算をも含めてどういうような対応の仕方を考えておるか、お聞かせいただきたいと存じます。
#149
○政府委員(坂元弘直君) 私の方から数字を中心にお答えをいたしたいと思います。
 最初に、平成二年度の国立と私立の幼稚園から大学までの学生納付金、これは初年度の学生納付金の状況でございますが、平成二年度の国立、私立大学の初年度学生納付金は、国立大学で五十四万五千六百円、私立大学で百五万八千八百七十八円というふうになっております。国立と私立の倍率は約二倍、一対二ということでございます。
 それから、平成二年度の国立の高校、幼稚園の初年度の納付金は、高校で十三万、幼稚園で八万百円でございます。私立の高校、幼稚園の初年度の生徒納付金につきましては、平成二年度の状況は現在調査中でございますが、平成元年度の数字で申し上げますと、高校で五十万八千四百九十八円、幼稚園で二十一万七千三百六十二円と相なっております。倍率と申しますか国立との比較で申し上げますと、高等学校で申し上げますと約四倍、それから幼稚園で申し上げますと私立が約二・八倍、三倍弱という状況でございます。
 それから、育英奨学事業の施策の状況等の御質問でございますが、国の育英奨学事業は御承知のとおり日本育英会において行ってきております。現在御審議いただいております平成二年度の予算案におきましては、前年度に引き続きまして大学院の貸与人員を中心にして増員をいたしております。それから、事業費総額は政府出資金と返還金充当等でございますが、事業費総額として千七百五十億、本年度に比べまして九十四億増でございますが、四十五万人の奨学生に奨学金を貸与するということといたしております。
 私どもとしましては、地方公共団体あるいは民間奨学法人等により多面的に実施されております育英奨学事業の育成をぜひ図ってまいりたいというふうにも考えております。ちなみに、地方公共団体を含めまして国以外の奨学法人の奨学事業費総額は約五百五十億、奨学生が約二十九万人おりますが、これらの民間団体で行われる奨学事業の育成も図るとともに、国でやります日本育英会の育英奨学事業の充実にも努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#150
○田沢智治君 今局長から、大学の方は一対二、国立が五十四万、私立が百五万、高校は国立が十三万、私学が五十万で四倍だと、幼稚園は国立が八万で私立が二十一万で約三倍ということで、かなりやはり私学に上げている御父兄は教育費負担を多くしておる。国立の方々に対して税金ということで私学へ上げている人たちは負担をし、かつ自分の子供に五倍だ三倍だというほど高い教育費をまた二重、三重の負担をせざるを得ないという現実があります。特に幼稚園などは七七・四%が私学の幼稚園に就園しておるという実態、高等学校ですら二八・四%を私学が占めておる。まして短大は九一%、四年制大学が七二・六%、それから専修学校が九四%、各種学校が九八%といって、日本の教育の主体的役割を実態は私学教育に託しているという現実がこういう数字の中で、はっきりと位置づけられると思うんです。
 年々我々は私学の予算獲得運動を一生懸命やっているんですが、経常費助成も昭和五十五年には二九%まで上がったんですが、最近は一六%まで満たないんじゃないだろうかということで、片っ方は教育費を加算し、助成金の方は以前より半分ぐらいっきりもらえてないというような非常にアンバランスな実態になっているということは、大変不公平な状況を醸し出しているんじゃないだろうか。やはり私学振興予算というものについても、真剣に見直しながら、やはり多くの人々が公平な次元で教育の恩恵を受け、さらに国家社会の発展のためのよき人材として御活躍をいただくという意味においては、もう一工夫する必要性を痛感しておるのでありますが、文部大臣いかがでございますか。
#151
○国務大臣(保利耕輔君) 私学の持つ重要性につきましては、今先生から御指摘のとおりでございます。私もまた私学の出身でございますので、その点については強い認識を持っておるところでございます。
 翻りまして、私学の助成がだんだんとパーセンテージでも落ちてきている、大学に対する助成で見てみまして昭和六十三年度が経常経費に対して一六%というところまできた、最高は昭和五十五年の二九・五%であったということを考えますと、これは法律上半分までは助成できるということになっているわけですから、随分落ちてきたなという感じがいたしております。
 しかし、いろいろと文部省内部で私も勉強させていただいて、話を聞いてみましたところ、この私学助成については毎年マイナスシーリングをかけられてきた、このマイナスシーリングをかけられる中で、どうやって私学助成をふやしていくかということに苦心惨たんをしてきたというその歴史を聞かせていただきました。いろいろなところからお金を持ってきて、私学のために助成が減らないように文部省としてもさんざん苦労して、やっと水平状態を保つことができてきたという説明を受けております。したがいまして、私どもとしては、私学の助成については、順当な伸びをもって予算編成上やられていくのが私学の持つ意味合いからいって重要なことだと考えておりますので、私学助成、これはやりくりではなくて、本当に私学助成をするんだという形の国の意思として予算をきちんとつけていただくように、我々もこれから努力をしてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
#152
○田沢智治君 文部大臣の決意を聞きまして安堵しました。一生懸命我々も努力しますので、ひとつ御協力をいただきたいと思っております。
 最後に、高校中退者の問題を二、三お聞きいたしたいと存じます。
 文部省はことしの三月十五日、昭和六十三年度の公私立高校における中途退学者の数と状況を発表しております。それによれば、六十三年度の中退者は十一万六千六百十七名と過去最高を示しておるようでございます。
 中退率を府県別に見ますと、高いのは東京が三・六%、次いで沖縄が三・〇%と三%台を示し、低いのは大分の〇・九%、鳥取一・一%、富山、山口、鹿児島となっておりますが、地域別に高い、低いという中退率があるということの理由、それから分析したものがあれば、どういうようなお考えか示してもらいたいと存じます。
#153
○政府委員(菱村幸彦君) 高等学校の中途退学の数につきましては、ただいま先生から御指摘のあったとおりでございます。各都道府県によりましてその割合に差がございます。
 これの分析でございますが、中途退学の理由は生徒によりましてさまざまでございますので、なかなかこれを一律にどうこう言うのは難しいわけでございますが、いずれにしましても、各都道府県教育委員会とか高等学校は、中退者を出さないという取り組みを一生懸命やっているところでございます。
 その理由などをいろいろ考えてみますと、まず一つは、高等学校、教育委員会の取り組みの問題があろうと思います。これは先ほど申し上げましたように、どの学校も一生懸命やっていると思うのでございますが、地区の実態とか学校の実態によりまして、その問題が一つあろうと思います。
 それから、中退した後にどこに行くかということを考えますと、例えば都会地ですと専修学校とか各種学校がございますので、比較的高等学校になじまなくて、じゃそういう専修学校とか各種学校に行こうかと非常に行きやすいところもございますし、地方に行きますとそういうところがございませんので、高等学校になじめなくてもそこで我慢をする、また先生も熱心に指導をするというところがあろうかと思います。そのほか、また中退後の就職先などもやはり影響しているのではないだろうか。
 ですから、いろいろな理由が考えられるわけでございますが、これらも複合的に働いていることもございますし、そういう種々の原因によりまして各都道府県によって中退率の差が出てきているというふうに考えております。しかし、いずれにしましても、一たん高等学校に入りました子供が、せっかくの後期中等教育を受ける機会なわけでございますので、私どもとしましては、基本的に高校中退者がないように、それには中学校におきます進路指導の充実ということもございましょうし、高等学校に入りましてからはその適応指導、さらには学校教育自体を、充実した子供たちにとって本当に成就感のある教育にするように、今後とも一層教育課程の編成、生徒指導のあり方等につきまして指導をしてまいりたいと考えております。
#154
○田沢智治君 最近、通信制高校というのが生徒増で定員を上回っている、こう聞いておるんですが、私の知り合いもNHK学園の通信制高校へ入りたいというので随分相談に来ましたが、一生懸命やることはどこへ入ってもいいんだよということで激励したこともあるんですが、通信制高校という制度、これをもう少し内容的に充実して、そういう人たちが喜んで来ることによって、なお内容的に充実感を与えていくという一つの考え方などはお持ちでございますか。
#155
○政府委員(菱村幸彦君) 御指摘のように、高等学校の通信制課程に在籍する子供は従来横ばいでございましたけれども、このところ急にふえておりまして、平成元年には過去最高の十六万四千人になっております。
 その背景としましては、いろいろあろうかと思いますけれども、従来はかなり年の多い方が通信教育を受けていた割合が多かったんですが、このごろ調べてみますと、高等学校に相当する年齢の人がふえているのであります。そういうことから見ますと、全日制などからの中退者が転入、編入をして入ってきているのではないだろうかということが考えられます。
 通信教育は、勤労青少年教育機関としてもともとは発足してずっとまいったわけでございますが、全日制高等学校のああいう集団生活にはなじめないけれども、個別に学習するこういう教育形態にはなじめるという子供もかなりいるであろうことはこの事実から推測されるわけでありまして、それはそれで後期中等教育を受ける機会の場として意味があるし、そのこと自体はいいことではないだろうかというふうに考えるわけであります。ただ、通信教育を受けますにはかなり学習上の困難点がございますので、私どもとしましても、通信教育の充実ということは今後とも一層図ってまいりたいと思います。
 また、単位制高校の制度を臨教審の答申に基づきましてつくりましたけれども、この単位制高校は、定時制高校と同時に従来の通信制高校が単位制高校に変わっていく、それによって、従来の通信教育高校が非常に魅力のあるものになっていくという例も多うございますので、そういう単位制高校の今後の一層の改善充実というような観点からも、これに対して支援をしていきたいと考えております。
#156
○田沢智治君 ぜひ創意工夫をされて、若い世代の人たちが何らかの形で学校教育制度の中に飛び込んでいけるような一つの仕組みを考えてやることが大事じゃないだろうか。特に、職業科においては、資格取得や職業上の知識の修得のために、学ぶ喜びを与える学習教育の創意工夫というのが、これが新しい次元の中での教育効果を生み出していく一つの考え方だろうと私は思うんです。やはり、学ぶというところに喜びがある学習の創意工夫というのは非常に大事であり、学ぶことによって喜びを得、喜びを得てさらに学習し資格をもらえるんだというような一つの物の見方、考え方。人格形成のみが教育なんだなんて昔のものを引きずって歩くんじゃなくて、もちろんそれも大事だろうけれども、そういう一つの弾力性ある考え方がこれからの学校教育の中になければならぬ分野だろうと思うので、その点しっかりひとつ考えてほしいということを要望しておきます。
 最後に、予算面で行き詰まっているような状況を私は思うとき、文教関係の公共投資の問題を二、三お伺いさしてもらいます。
 今、日米構造問題で、いろいろ社会資本投資が足らぬじゃないかということを日本はアメリカから指摘されております。公共投資十カ年計画というものを策定し、早急にこの実態を整理整とんするというのは、政府そのもののこれからやらなきゃならぬ大きな課題です。私は、やはりこの分野の中でも文教関係の公共投資というものはかなり大きな内容を持っていると思うんです。一般予算で取れなければ、公共投資十カ年計画で、何百兆になるんですか、かなりの予算を積まなきゃならぬ。その中で五十兆や六十兆ぐらい取ってくるぐらいの元気を出して、文部省横鉢巻きで努力してもらうということもこれは大事だと思うんですよ。
 そういうような意味で、基本構想があれば、ちょっともう時間がございませんので、簡潔に御説明をいただきたいと思います。
#157
○国務大臣(保利耕輔君) 日米構造協議の中で、日本の公共投資について促進をせよというお話が出ておりましたことは私も承知をいたしております。
 そこで、現在いろいろな協議が持たれておるわけでございますが、この予算委員会の中でもこのお話がいろいろ出ておりました。文教がお呼びでないなということがちょっと気になりましたんですけれども、実は経済企画庁からは、文教についてもその範囲の中に入れて考えなければいけないということで、現在ヒアリングを受けておる段階であります。
 その中で私どもは、文教の施設については、これは単に学校建築のみならず、スポーツの施設でありますとか、あるいは芸術、文化を紹介するいろいろなホールや展示施設でありますとか、そういうものも含めて、やはりこれは広い意味での公共投資には違いないわけでありますから、そこの中で私どもも予算を獲得すべくきちんと主張をし、そしてほかの公共投資におくれることのないように努力をしていかなければならないと、文部省の中でも私自身そういうふうに申しておりますし、またそのような動きをいたしておりますことを御報告を申し上げておきたいと思います。
 しっかり頑張ってこの予算を取ってきたいと思いますから、どうぞよろしく御協力、お力添えのほどをお願い申し上げる次第であります。
#158
○田沢智治君 局長、何かつけ足すことありませんか。
 もうこれで終わりなんですが、公共投資十カ年計画というと、橋をつくったり道路をつくったらいいものじゃないんですよ。違うんですよ。やっぱり文化の伝統をつくるという中で、世界の頭脳をそこへ集めるとか、世界的にすばらしいものを世界の国々の方々が来て見たり聞いたり研究したり、シンポジウムができるとか、こういう文化遺産をこれから一生懸命構築するところに公共投資の目的がある。だから、逆に公共投資とは何だということは文部省がレクチャーしたらいいよ。足らなかったら、僕が出かけていって一生懸命やってあげますよ。公共投資というのは、道路をつくった、下水道をつくった、橋をつくったというような感覚のものじゃなくて文化的なものなんだということを肝に銘じて一生懸命やってくれれば、多分与野党とも一生懸命になってやってくれるんじゃないかと私は思うので、ひとつそういう決意のもとに頑張っていただきたいということをお願い申し上げまして、時間でございますので、これで終わらしてもらいます。
   〔理事石井道子君退席、理事田沢智治君着席〕
#159
○高木健太郎君 文部大臣の所信、たくさん項目がございますが、そのうち本日は、文化、健康、道徳それから高等教育というものについて、時間のあるだけお尋ねいたしたいと存じます。
 文部省は、児童並びに職員等の健康保全のために学校保健法というものを昭和三十三年に制定されておりますが、その第一条の「目的」のところに、「学校における保健管理及び安全管理に関し必要な事項を定め、児童、生徒、学生及び幼児並びに職員の健康の保持増進を図り、もつて学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資する」、こういうふうにございます。その第五条には、「健康診断の結果に基き、治療を勧告し、保健上必要な助言を行い」とありまして、「義務の猶予」「免除」等を行って適当な指導をする、こういうことが学校保健法にあるわけであります。その第六条には、「学校においては、毎学年定期に、児童、生徒、学生又は幼児の健康診断を行わなければならない。」、こう書いてございまして、その施行令には、就学時の健康診断の「検査の項目」としまして、三に「視力及び聴力」というのがございます。また、四に「眼の疾病及び異常の有無」というのがあります。そして、その施行規則の第四条の四に「視力、色覚及び聴力」というのがあります。私、この色覚についてひとつお尋ねしたいと思うわけであります。
   〔理事田沢智治君退席、理事石井道子君着席〕
 こういう色覚を検査されまして、まず第一に、どのくらい今色覚異常というものが全体の生徒の中であるかということはおわかりでしょうか。もしおわかりでしたら、お聞きしたいんですが、別にそれが私の目的ではございません。これは劣性遺伝でございまして、女性にはあらわれない、男性にだけそれが出てくる。しかし女性はその劣性因子を持っておりますので、生まれた子供の男の子の何分の一かに出てくる、こういうことでございます。
 それで、こういう検査をして、それがどういうことに役に立っているのか。最初に申し上げましたように、「治療を勧告し、保健上必要な助言を」行うというんですけれども、これが治療ができるのかどうか、治療を勧告することができるのかどうか、そういうことなんです。これはどういうふうにこのデータをお使いになっているんでしょうか。
#160
○国務大臣(保利耕輔君) 医学的に極めて見識の高い先生の御質問でございます。私は、医学的な立場から、あるいはそのデータの利用等についてまだ十分な知識を持っておりません。体育局長が参っておりますので、体育局長から御答弁させます。
#161
○政府委員(前畑安宏君) 最初にお尋ねがございました色覚異常者の割合ということでございますが、御指摘のございましたように健康診断で実施いたしておりますので、その結果から申し上げます。
   〔理事石井道子君退席、理事田沢智治君着席〕
 小学校、中学校、高等学校、ただいま先生御指摘のようにほぼ同じでございまして、それを通じて見ますと、男子で三・八六%、女子では〇・二二%、こういうふうな状況でございます。
 御指摘のように、この色覚異常については、これが治るものであるか治らないものであるかという御議論があるようでございまして、私どもの方でこの検査を実施いたしますのは、基本的には、色覚異常の子供に対して学校教育指導上、例えば黒板における板書であるとか、あるいは地図等の掛け図による指導であるとか、あるいは教師の色インク等による添削指導であるとか、そういった場合に適切な配慮を行う必要がございますので、学校としてもそういった色覚異常の者を的確に把握する必要がある、こういうことで検査を実施いたしておるところでございます。
 御指摘のように、その後の措置についてはなかなか難しい問題もございますが、保護者に対して連絡をいたしまして、特に医療機関等において色覚異常の程度等について具体の診断を受け、そしてその後日常生活を送るについてどういった点に留意しなければいけないかというような指導を受けるようにいたしているところでございます。
#162
○高木健太郎君 こういう色覚の異常を非常に心配している父兄が多いわけです。特に私が御注文申し上げたいのは、色覚検査をするときに本人の両親以外のほかの方が大勢そこへずっと並んでいる、そういう場所で色覚の異常を検査する。赤なら赤をたどりなさいと言うと、色覚異常の子供はどこか別の方向へ指が走っていくわけです。それをみんなが見て、あっと言ってびっくりするわけです。私が聞いた話では、そういう色覚異常を持っているお母さんはそれを人には見せたくないわけです。特にあの人にだけは見せたくないというような母親がそこに入っているわけでして、母親が後で知人のところへ行きまして、涙を流して本当に私悲しいということを言っている。そういうこともありますので、まず私、最初に申し上げたいのは、もし色覚異常をお調べになるようであるなら、その本人あるいは家族のプライバシーに属することでございますから、そういうことが知れないような形で検査をされる。これも一種の医療診断でございますからして、人に見られるようなことは絶対に避けるべきでないかと私は思いますが、現実に行われているのは、人前でそういう検査をする、非常にそれが安易に行われている、そういうことがございますので、ぜひひとつこれを御留意願いたい、こういうことでございます。
 もう一つは、色覚異常の方は今おっしゃいましたように四%近くあるわけでございますが、それが、高等教育の入学、就職、特に困るのは結婚というようなときにそういうものが持ち出されて、非常に不利益をこうむっているということがございます。だからして、学校教育においてももちろんその子供は非常に苦労でしょうけれども、また学校当局においてもいろいろ気配りをされていることは私も承知しておりますけれども、そういう不利益をこうむらないようにする。
 色覚異常を持った人で医者になって立派にやっておられる方もございますし、ほかの職業でもお困りになっているというようなことは余り多くは聞かないわけでございまして、これを一つの疾患として、そして職業、就職の差別に使われるということがないようにしたい、こういうように思うわけです。大学におきましても、医学部の中で色覚の異常というものを盾にとって入学を拒否している学校もごく少数ですがございます。
 文部省の方に眼科医会の方から、こういうことはやめてくれというお申し入れが行っているやに聞いておりますが、眼科医会の方から何か御連絡がございましたでしょうか。
#163
○政府委員(前畑安宏君) 最初に御指摘ございました検査方法といわゆるプライバシーの問題でございますが、私どもの方では「色覚問題に関する指導の手引」、こういうものを作成いたしまして各学校に配付をいたしておりますが、その中で、児童生徒一人一人のプライバシーを守るため、個別検査が実施できるような会場を設営し、検査者や被験者の声が他の児童生徒に聞こえない距離を確保する。そういった会場が設営できないときには、カーテン、つい立て等を利用いたしまして、前の人の検査が済むまで外で待たせて、検査会場の中には一人ずつ入れる。また、結果をもちろん他の児童生徒には見られないようにする。また、保護者への連絡についても十分慎重に配慮をいたしまして、家庭訪問のときであるとかあるいは面接の際に直接に話すとか、あるいは封書で連絡をするとか、そういうふうなことについて指導をいたしております。
 それから、後段お尋ねがございました眼科学会からの問題でございますが、これも御専門の立場で御案内のとおりでございまして、幾つかの意見をちょうだいいたしておりますが、私どもの方では、現在、日本学校保健会にお願いをいたしまして、全体としての学校における健康診断のあり方について御検討をお願いいたしておるところでございます。
 その中におきましては、基本的にはやめてもいいんではないかというような御意見もあるわけでございますが、ただ、現段階における専門家集団によります検討の中では、学校教育指導上の必要性からやることは必要だけれども、それを健康診断として一斉に実施するかどうかということについては検討の必要があるんではないかということと、さらには、実施するといたしましても、現在は御案内のとおり小学校一年それから小学校四年、中学校一年、高等学校一年と、こういうふうに在学時において四回やっておりますが、それを簡素化するという方向で検討すべきではないか、このような方向でただいま検討をいただいておるところでございます。
#164
○高木健太郎君 色覚異常のために大学入学あるいは就職に非常にハンディを持つということがございますので、親は何とかして治らないかと、こういうふうに非常に苦慮しているわけです。そのために、色覚異常は治るというような宣伝を出されますと、それに飛びつくわけです。実際そのような書籍がどれぐらい出ているか私知りませんけれども、いろいろございまして、それで親はそこに通う、色覚異常は治るものだと思っている、こういうことがあるわけです。
 これは、私、眼科の医師並びに生理の方からいろいろ聞きましても、全くこれは遺伝的な疾患でございまして、そういう細胞が欠けているということに問題がありますので、いかにこれを治そうとしても現在の医療では治らない、私はそう確信しているわけです。そういうことであるのに、治るというようなことを宣伝する、それに親が迷わされる、これは非常に私はよくないことであると思います。
 あれが治るか治らないか、私は治らないと思っておりますけれども、もう一度本当にそれは治るのか治らないのか、これは文部省の管轄ではございませんけれども、検査している主体者として一度よく眼科医会なりにお尋ねいただいて、治らないものであるなら、そういうものに一切迷わされないように御指導をしていただければありがたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#165
○政府委員(前畑安宏君) 御指摘のとおり、当該一つの疾病なり、あるいは異常が治るか治らないかというような問題について、私どもが個別具体に判断をする立場にはないわけでございますが、ただいま先生からお話がございましたように、健康診断として実施する場合には、その事後措置という問題が常についていくわけでございますので、ただいま検討をいただいております学校保健会の検討の中でも、そういう点について十分御意見を承りながら対応させていただきたいと思っておりますし、また学校教育の中でも色覚異常というものがどういうものであるかということについても、指導するようにいたしておりますので、それを通じましても色覚異常の子供のみならず全体の子供にそういう点についての正しい理解を得るように配慮してまいりたい、このように考えております。
#166
○高木健太郎君 先ほどから、プライバシーを守るような検査をしている、そういうように指導していると。大変これは大事なことでございまして、そういう知らせが行っているわけでございますけれども、実際は非常に安易に行われておって、先ほど申し上げましたように、それによって非常に大きな心のショックを本人も家族も受けている。そして、将来の結婚ということにまで親は気を回している。こういうことをお考えいただきまして、検査そしてそれを告知するということにつきましては、十分なカウンセリングが絶対に必要である、いわゆる個人的なカウンセリングが他の遺伝的疾患と同様に注意深く行われなければならない、そういうことをぜひお願い申し上げたいと存じます。
 これに少し関連をいたすわけでございますが、髪が縮れている、いわゆる縮れ毛といいますか、癖毛といいますか、そういうものを持っている人がおられるわけです。その癖毛を見ますと、あれはパーマをかけている、こういうふうに学校の教官はみなすわけでございまして、おまえはパーマをかけていてけしからぬ、こういうことで強くその子供を叱責する。子供は、パーマをかけていないということを非常に主張するわけでありますが、それならば親に証明書をもらってこいと、こういうふうなことを聞いております。これは私、余りに学校が一様な人間にしたい、形も服装も何もかも画一的にしたい、それの方が学校教育の遂行に非常に便利であるといいますか効率が上がるといいますか、そういうことに余りとらわれ過ぎておって、形の幾らかでも違うものを何とかしようという気持ちがそこにあらわれているように思うわけですね。本人にとっては癖毛を持っているということは、もうそういう学校に入った途端に非常に引け目を感じることになります。そのために、癖毛だといっていじめがその子供に加えられるということがございますが、そういうお話をお聞きになったことがございましょうか。
 あるいはまた、色が少し違う、例えば白子みたいなものがあるとか、そういう少し普通の人と違った遺伝性の疾患があるときに、その子供が学校の中で非常に引け目を感じている。そういうことがあるのを、学校はそれを画一的にしようとする、ここに非常に大きな私は欠陥があるように思うのですが、そういうお話をお聞きになったことがございますでしょうか。
#167
○政府委員(菱村幸彦君) ただいま先生から御指摘がありました天然パーマといいますか縮れ毛といいますか、これをめぐります生徒指導上の問題がマスコミ等に時折報道されるということは私どもも承知しております。
 最近のでは、この五月二十日の北海タイムスに、北九州の例としまして天然パーマを届け出させている、それに対して父母が反発しているというニュースも報じられております。過去にもこうしたニュースが報じられたことはございます。
 これは、学校の立場から申し上げますと、毛が縮れているとか天然パーマであるということで問題にするということよりはむしろ、髪の毛にパーマをかけたり異常に長くしたり、ないしは服装が派手になったり乱れてきたりということから生徒の非行の問題がとかく起きやすいし、ないしは非行を犯す子がそういうことから始まっていく一つのシグナルになっているというようなことがございまして、学校の先生としては、一生懸命生徒指導をやろうと、そのときにたまたま縮れ毛の子供はパーマをかけているんじゃないかと先生から指摘されて、いや、これはそうではないということで、そこでいろいろなトラブルめいた問題が出てくるということであろうと思います。ですから、これは学校側にとりましても、善意といいますか、やはりあくまでも子供たちを健全に育てたいということから行っていることであろうと思います。
 しかし、今先生も御指摘になりましたように、それがかえって子供の教育にマイナスになると申しますか、非教育的であってはもちろんならないわけでございます。学校におきましては、教師と生徒ないしは生徒間の信頼関係というのが教育の基本になければなりませんので、そういうことから教師と生徒の間で不信感を持つとか、ないしは生徒の間同士でいじめと申しますか、からかいの対象になるというようなことはあってはもちろんならないわけでございますので、そうしたことのないような十分そういう点に配慮した生徒指導が行われることを私どもも期待しておりますし、そういう指導をしていきたいと考えております。
#168
○高木健太郎君 そういうことでいろいろ指摘された子供というのは、それだけで非常に大きなショックを受けて、それが一生心の傷になるというふうに私は思うのです。それは学校教育の遂行上不都合であるというので、できるだけ同じようにしたいという気持ちはわからないことはありませんけれども、余りにこれが行き過ぎるというと、結局管理教育になる。昔の兵隊のような軍隊教育のような形になる。これは少し行き過ぎじゃないか。こういうことは十分文部省の方から注意されて、まあ学校当局も考えておられるでしょうけれども、こういうことから何かいろんな問題が起こってくることは十分お考えになって、今後さらに善処をしていただきたいということをお願いをしておきます。
 こういうことは諸外国、欧米諸国ではほとんど見られないで、服装であれ髪型であれ、そういうものは余りとんちゃくしません。日本の小中学校で同じ洋服を着ているというのを見て、私なんかの友人は、あれは軍隊じゃないのかということを私に質問したこともございます。何で同じ洋服を着なきゃならないのだというようなことも、もう少しこれは考えておく必要があるんじゃないか。
 というのは、日本人というのは同一民族の集まりでございますので、大体同じような形をしているわけでございますが、シンガポールだとかその他外国においでになった御経験もおありでございましょうけれども、そういうところへおいでになりますと、もう黒いのも白いのもいろいろいるわけでございまして、画一化しようということはもう困難なわけですね。日本人はそういうところに生まれていないために、同じようにしたい、同じようになっていなければ何だか自分がのけものになると、こういう気持ちがあるわけです。これが、先ほどの色覚異常であるとか縮れ毛であるとか、あるいはその他障害者というようなものが普通の生活の中に入っていったときに、絶えずその方々が引け目を感ずる、人の目を感ずる、こういうことになると私は思うんです。
 私考えておりますのは、我々普通だと考えております人間でも、いわゆる異常遺伝子というようなものの二つや三つは持っているわけでございまして、何代かの先にそういう異常児あるいは障害者が出てくる可能性はあるわけであります。どんなに医学が進みましても、それを完全にゼロにするということはできない。これが我々の現在の常識であります。そういうことでありまして、私は、何人かのそういう障害者なり変わった人がいるということが正常な社会である、こういう感覚を学校の先生にぜひ持っていただいて、そういう人間がいるということはノーマルである、こういうふうに考えなければ、きっといろんなことが起こってくるのではないか。色盲といわゆる癖毛のことを申し上げましたけれども、私が申し上げたことは実はそういうことでございます。
 現在日本でいわゆる胎児の診断というのが非常にもう正確にやられるようになりました。それによりますと、まあ大体五千人に一人だとかそういうところは、ダウンであるとかフェニルケトン尿症であるとか、いろんなそういう遺伝性の疾患を持って生まれてくるわけです。それを胎児のときに診断しますと、現在日本では全部――全部と言っちゃ悪いですけれども、まあまあ中絶をされているんじゃないかと思うんですね。たまたまその状態で生まれてきたダウンだとかその他の遺伝性の疾患の子供というものは非常に気の毒なあれでして、家族はもっと気の毒なんですね。それを社会が、そういうものがあるんだと考えてくれれば、その人たちはもっと堂々と社会で生活していくことができるのじゃないか。小中学校の教育の間にそういう感覚を植えつけておく、そういう感情を植えつけておくことが、実は他人のことを思いやるとか、先ほど大臣の所信にございましたようないわゆる道徳というものの基本になってくるものじゃないかと思いますので、縮れ毛というようなものはごくささいなことでございますけれども、そういうものを基本にして、今後文部省が各小中学校の教育の担当者、責任者に、そういうことを一種の哲学として教育をしていただくように心からお願いをする次第でございますが、もし大臣、御所感がございましたらひとつお願いをいたします。
#169
○国務大臣(保利耕輔君) 色覚について大変造詣の深い先生のいろいろお話をちょうだいいたしました。先ほど局長から御答弁申し上げましたとおり、十二分に注意を払うように指導いたしておりますが、現実に先生御指摘のような問題があるとするならば、さらにきちんとした指導をやっていかなければならないんじゃないか、このように思いました。
 さらに、縮れ毛の問題でございますが、私ども小さいときにもいろいろ経験をいたしておりますが、そういった方々もいらっしゃるのが当たり前なんだという、そういった感覚を持ってやるということが大事だという先生の御指摘は、大変貴重なものとして受けとめさせていただきます。
 同時に、やはり学校教育にありましては、先生と生徒と、そして家庭の保護者の間の信頼関係というものがやはり一番大事ではないか。先ほどの縮れ毛の子供を例にとってみましても私はそのようなことを感じておりますし、また色覚異常のある子供に対する配慮についても、先生、生徒、そしてまた家庭との間の信頼関係の上で、その子供さんが正常に生育をしていくように配慮をしていくべきである、こういうふうな感じを持ちました。そういった観点に基づいて私どもも一生懸命頑張って指導してまいりたいと存じます。
#170
○高木健太郎君 先ほど体育局長も言われましたように、色覚の検査というものをどうするかということも眼科医会とよく御相談いただきまして、検査しないというわけにもいかないかもしれませんけれども、これは一種の遺伝性疾患として、その取り扱いについては十分慎重にやっていただきたいと思います。
 ほかのいわゆる胎児診断とかその他につきましては、厚生省の方でいわゆる母性保護法とかそういう法律のもとに一種のカウンセリングシステムをしいているわけですから、そういうカウンセリングをしないで、いきなりおまえは色盲だと言うのはこれは非常に大きなショックですから、そういう意味では、取りやめたんだ、おれは知らぬというのではなくて、検査されるのならされるとしても、その後どのようにその患者にカウンセリングをしていくか。ちょうどがんの告知とかそういうものと同じような考えでこの問題は取り扱っていかなきゃならぬ問題である、そういうふうに思いますので、十分ひとつ御考慮をお願いいたしたいと思います。
 あと、文化の方をちょっとお聞きしたいと思いますが、もう一つちょっとその前に道徳のことをお話しさせていただきたいと思います。
 心豊かなというようなことがこの所信にはたくさん出てくるわけでございまして、大臣のお気持ちは十分私はお察しできるわけでございまして、我々自身も何とかして心豊かになりたい、こういうふうに思っているわけでございますが、その豊かというものをよく考えてみますと、経済的に豊かである、もう一つは時間的にも豊かであると。まあ労働時間の短縮ということが現在言われておりますけれども、なかなかそれがドイツとか英国並みにはいかない、まだ二カ月も違うということで、少しずつそれは改められていくわけでございましょうが、私は、豊かであるというのとゆとりがあるというのとは少し違うので、ある程度経済的時間的にそれが豊かになって、そしてあと自分が何かができる、いわゆる選択の自由があるというときにゆとりというものを感ずるのじゃないかなと思っております。
 日本は現在非常に金持ちになったと言われ、外国でもいろんなことを言っております。例えばヘラルド・トリビューンをこの間見ましたところが、日本人の生活態度を見て、「ゲッティング・アンド・スペンディング」、稼いでは使うと。そういう「ゲッティング・アンド・スペンディング」という言葉を使って、これが日本人の特徴だと言っておりますし、あるいはほかのところで私見ましたけれども、「バイイング・アンド・バイイング」、買って買って「アット・デパートメント・ストアズ・アンド・アザー・ストアズ」、そして「ウェルドレスド・アンド・ウェルフェッド」でグルメだと。だから、日本人は金持ちじゃないかなと、こうみんなが見るわけなんですね。しかし実際は私たちは本当にそんなに豊かではない、こういうふうに言っているわけですが。
 去年の海外旅行者の金が百九十何億ドル、約二兆九千億円に上っておるわけでありまして、それだけの赤字というか海外にそれだけの金が流れたわけですね。それで、原油の総輸入額というのは二百十五億ドルで、もうあと二十億ドルぐらいしか違わないわけで、それだけ海外旅行に使って、そしてショッピング・アンド・ショッピングと。こういうふうな日本人の姿を見れば、日本人は非常にリッチだとだれしも思うのではないかなと思うわけです。
 そこで、心豊かになるのにはどういうふうにしたらいいのか。ここに書いてあるようなことをおやりいただければ、これで心豊かになるのかなということが私は最初にどうもひっかかったわけなんです。臨時教育審議会とかあるいは中央教育審議会とか、そういうところでこれは何年もやっておられるのですけれども、どうも入学試験ぐらいのところにとまっておりまして、本当の意味の心豊かになるような教育というものがなかなか得られそうもない、何とかしなきゃいけないんじゃないか。どうも中央教育審議会だとか、そういうところに任せておいても余りぱっとせぬのじゃないかなという気がするのですが、大臣は率直にどんなふうにお考えでしょうか。
 例えばこの間、女子高校生のコンクリート詰め殺人事件というのがありまして、無期懲役が求刑されました。その前には、幼女を三人も四人も殺すというようなことがございました。どうも心豊かだとは思えないんです。そういうことをおいておいて入学試験をさわっても、技術はよくなっていますけれども、どうも情操方面で何だか抜けているというように思うんですけれども、どこにその原因があって、どんなふうな教育をこれから進めていけばそういうことがなくなるか、ちょっと大臣の率直な御意見をまずお聞きしておきたいんです。
#171
○国務大臣(保利耕輔君) 心豊かとは何かという大変哲学的なお話になります。私自身もこちらで所見を申し述べさせていただいておりますが、議論を尽くせば限りなく続く議論ではなかろうか、このように思っております。
 しかしながら、私は、知識と同時に豊かな精神を養うということは教育の一つの大きな目的でございますので、いわゆる理詰めの世界のほかに、情緒というものをどう考えるかという教育のあり方があっていいのではないか、このように思います。例えば、美しいものを見て本当に美しいと感ずるその心を養う、これは一つの生き方ではなかろうかと思います。率直にきれいだなと。そこのところに理詰めの心等が働きますと、なぜきれいなのだろう、こういうふうになっていくわけですけれども、きれいなものはきれいだと率直に受けとめる、そういう心というものを育てていくことが大事なのではないかと思います。
 大変難しい御質問でございますので、なお私もよく考えてみたいと思っておりますが、また先生からもいろいろとお教えを賜れば大変ありがたいことだと存じます。不十分でございますが、率直にお答えをさせていただきます。
#172
○高木健太郎君 どうもありがとうございました。
 いろいろお考え願えれば大変――私は、わかっているからお聞きしているのではなくて、私も考えなければわからないということでございますので、失礼な質問でどうも悪かったですけれども、ひとつお互いにこれは考えていきたい、こう思うわけです。
 ところで、今度導入される小学校の生活科というものは、「これまで社会や理科で育ててきた科学的な認識の芽を摘み取り、第二道徳の新設になる」、こういうふうなことが新聞に書いてあるわけです。それは、知識の芽を摘み取って道徳的なものをそこへ入れようとしているという批判があるということなんです。それはお気持ちはわかって、何とかそういうところで情操を少し養っていきたい、あるいは道徳律を教えていきたいという気持ちが文部省の中に全くないとは言えないのだろうと思うんです、しつけを重視するということですから。
 ところで、昔を思い出しますのは、文部省から出してそういうことが成功したことがないんです。というのは、これは政府が出したのじゃないですが、昭和四十九年の五月に、御存じのように田中元総理が、田中総理を励ます新潟県人の集いというところで、日本武道館でやったやつですが、覚えていらっしゃるでしょうか、「五つの大切」「十の反省」というのがあるわけです。これを私も読んで、ああ、いいことが書いてあるなと思ったんですね。人間を大切にしよう、自然を大切にしよう、時間を大切にしよう……五つの大切ですね、これは。あるいは十の反省というのは、弱い者いじめをしなかっただろうか、生き物や草花を大事にしただろうか、交通ルールを守っただろうか、正しいことに勇気を持って行動しただろうかというようなことをここに挙げてあるわけです。私はこれはいいことを言ったなと思っておったんですが、全く無視されちゃったんですね。どちらかといえば反駁を買ったということなんです。もちろん田中元総理がああいう結果になられましたので、もう今では顧みる人もないわけでございますけれども、言ってあることは私非常にいいことだと思うんですね。ところがそれが全然行われない。
 そういう意味で、これは情操教育なりあるいは道徳教育なりというものを、ただ指導要領とかそういうもので、親切をしなさい、あれをしなさい、こうしなさいと言ったところで、いつまでたったって道徳が根づくとかあるいはそういうしつけができるとか、そういうことはちょっと難しいんじゃないか。心豊かな人間なんというのは、そうやってできてくるものではないんじゃないかというふうに私は思う。これは私の考え方でございますから、大臣にもひとつ考えていただきたいんです。
 石原慎太郎さんは―先生ですか、石原慎太郎さんはいろんなことを書かれますけれども、その中にちょっと私はおもしろいヒントがあると思うんですね。例えば、私、献体とかあるいは臓器移植とかに今熱を上げているわけなんですけれども、その臓器移植ということにつきましては、梅原猛さんはこの脳死には絶対反対なんです、あの方は。そんなことは日本人にやっちゃいかぬといって反対なんです。ところが臓器移植には非常に賛成なんですね。あれは菩薩行である、非常にいいことじゃないかというふうに言っておられるわけです。それで、石原慎太郎さんも、臓器移植は非常にいい、献体とかそういうものは非常にとうとい行為である。だから、子供の読み物の中にさりげなくそういうものを書いて、そして、ああ、いいものだなというように感ずるように書かないと、あなたは献体をしなさいとか、あるいは親切をしなさいと言って、子供がそういうふうになるものではないと。私も、こういうことじゃないかなと思う。
 だから、今科学がどんどん進歩しておりまして、それを追っかけるのに学校教育というのはもう一生懸命なんですね。ついていけるかいけないかぐらいに毎日知識を入れていなきゃいかぬ。どうしても知識の偏重になりたがって、そういう情操教育というものは後に置かれる。そうすると、頭ばっかりよくて人間でないような人間をつくってしまうことになるのじゃないか。そういう意味では、私は、文部省のおやりになることとしては――副読本も読まぬでしょうね、何か漫画でもいいでしょうし、何かそういう読み物の中にそういうものがある、物語の中にそれが含まれている、物語を読んでその子供が感激をする、こういうやり方でなければ、幾らあれをせい、これをせいと言ったところで、それは反駁を買うだけで、決していい人間が育ってはいかない、こう思っておるわけです。
 これが道徳というものに対する私自身の考えでございますが、大臣、今私が申し上げたことで何かお感じになりましたら、お言葉をいただきたいと思います。
#173
○国務大臣(保利耕輔君) 重ねてのお尋ねでございます。
 豊かな心。そして私は率直に申し上げますけれども、日本という国の中に多くの人が住んでいる。私も世界各国を回りましたけれども、極めて人口密度の高いのが日本である。その人口密度の高い中で人間同士が生活をしていて、それでスムーズにその人間関係が行われ、そして摩擦少なく過ごしていくための一つの技術がやはり、あいさつでありますとか、あるいはいろいろなお話し合いでありますとか、そういうことだろうと思います。
 でございますから、そういった人口の多いところで人間同士が摩擦なく過ごしていくという技術、これが日本人の気持ちの中には自然に備わっておったんではないか。それが、例えば聖徳太子以来の和をもってとうとしとなすというような言葉がございますが、そういう形で日本人の心の中に残っているんじゃないか。隣はもうすぐ近くにおります。朝、顔を合わせればおはようございます、そしてありがとうございましたという言葉が自然に出てくるように日本人はなっているんではないかと思います。
 それが最近、理性偏重の教育というものがもし仮に行われているとするならば、なぜおはようございますと言わなきゃいけないのかというようなことを理詰めで考える癖をつけるようなことがあったんではないか。そうなってまいりますと、なぜなぜが先に入ってしまいまして、そんなものは必要ないからあいさつなんかする必要ないということになってしまいますと、やはりこの日本の中での人間関係というのはうまくいかない、私はそう思います。
 そこで、相手を尊重する、お近くにいられる隣の方を尊重するという立場でやはり物を考えていかなければ、この日本の中では生活がしていけないという、そういったことを十分理解をさせる中で、自然に人との円滑なおつき合いができるようにしていくのが一つの教育の目的ではなかろうかと思います。理性とともに情操という言葉を先生おっしゃられましたけれども、私も理性とともに情操の面での子供の教育というもののあり方というものについて十分に考えていかなければならない、このように思っております。
#174
○高木健太郎君 私もそのように思います。
 ただ、入学試験があったり、現実の学校というものはそう簡単にはいかない、どうしてもそっちに行ってしまうということになりますので、何かもう少しいい方法を考えて、その情操がどこかで養われるように今後やっていかなければ、本当にかたわな人間が生まれてくるんじゃないかと私は考えております。
 おはようという例を挙げられましたが、オアシスなんという例がありまして、何かそういうことが言われておりますですね、おはよう、ありがとうとかというような。ただ、私の友人で、これはお笑いの話ですけれども、おはようと言わない男がいるわけです。どうしておまえはおはようと言わないんだと私聞きましたら、自分がおはようと相手に言うと、相手はおはようと言わなきゃならない、それは相手に大変失礼だと、そういう話がありますが、だから余り他人のことを思いやると、何も今度は言わなくなるというようなこともある。まあ一つの例ですけれども、大変変わった人間もおるというようなことも考えておかなければならぬのじゃないかと思います。
 もう時間がなくなりましたので、大事な文化のお話を最後にお聞きをいたします。
 先ほどから何回も皆さんがお聞きになりましたように、芸術文化振興基金ができまして私大変喜んでいるわけで、まことにささやかですけれども、これから大いにこれを活用していただきたい、こう思います。
 文部省の方からの御好意で時々私国立劇場で歌舞伎を見させていただいておりまして、これは勉強しなきゃいかぬ、古典もやっぱり知るべきである、こういう意味で時々参っているわけでございますが、山本夏彦という方を御存じだと思いますが、あの方が、もう日本人は芝居を持たない国民になったということを言っているわけです。昔は魚河岸のあんちゃんだとか、いわゆる連中ですね、あるいは芸者さんのような方が歌舞伎を見に行ったわけですけれども、その方々がもうだんだんいなくなってしまった。衰亡していった。だから、現在日本には五万か十万ぐらいの見に行く人はいるんじゃないか、あとは企業か会社が招待をして、そしてお弁当を持たせて歌舞伎を見に行く、こういう状況になっているんだし、中村歌右衛門も、今早く若い連中を鍛えておかなきゃいかぬ、こういうことを言っているが、今になって遅いよということを山本さんは言っているわけですね。玉三郎が大変ブームでございますけれども、玉三郎がやっている芸を見にいくんじゃなくて、玉三郎そのものを見にいくんだと、こういうことになっておりまして、もう芝居という時代は終わったのだと非常に悲観的なことを書いているわけです。
 それはいろいろの原因があると思いますが、文化庁の次長として、どういうようにしたらもっと客足が伸びるか。幾ら俳優だといっても、だれもいないところでやるというのは、これほど切ないことはないわけですから、やっぱりファンが来てくれなきゃいかぬ。なぜこういうふうに芝居がだめになってきたか、どういうふうにしたらば、この観客をもっと寄せ集めることができるのか。これについていろいろ方策をお考えになっているでしょうから、ひとつそれをお聞かせ願いたいと思います。
#175
○政府委員(遠山敦子君) 大変包括的なお話でございますので、的確にお答えできるかどうかあれでございますけれども、日本の古典芸能の、特に芝居の時代は終わったというふうな評論も出るような時代のようでございますけれども、私どもといたしましては、古典芸能、日本の歴史的あるいは芸術的にもすぐれた価値を有するこういったものについては、しっかりと守っていきたいというふうに考えておりまして、幾つかの施策を講じているわけでございます。
 文化庁のこれまでの行き方といたしまして、やはりこういう伝統的な芸能の保存、振興のために、特に重要ですぐれたものを重要無形文化財に指定して、そのわざの保持者に対して援助をしていく。それによってそのわざを継承していってもらうというふうなことが一つございます。
 それからもう一つの仕事といたしましては、そういう伝統芸能が行われる機会を増すということのために国立の劇場をつくりまして、国立劇場本館のほか能楽堂とか文楽劇場とか演芸資料館というふうなものをつくったりいたしまして、そういう芸を持った方々の公開の場を充実していくということにも力を入れているわけでございます。同時に、そういう場におきましては、研修を行ったり調査研究を行ったりというふうなこともあるわけでございます。
 同時に、後継者の養成ということも極めて大事でございますので、そういう劇場を中心にしながら、若い人々はそういう職業につくということについて、将来性の問題あるいは観客の動員の問題などを考えられますと、なかなか希望者も少ないというふうな現状もございますけれども、文化庁としましては、そういうことについてのわざの伝承ということについて特に意を用いて、研修制度の充実に努めてまいっているわけでございます。
 また同時に、若い人たちがそういう伝統的な芸能を見たりみずから行ったりと、そういうことについて関心を持っていただくために、例えば各地での移動芸術祭でありますとか芸術鑑賞教室でありますとか、そういう機会に学校などでも公開できるようにしたり、あるいは国立劇場におきまして青少年を対象として特にそういう伝統芸能の鑑賞教室というふうなものを、年間最近では二十万弱でございますけれども、毎年高校生を対象にして開いたりいたしております。
 また、身近にその中身を理解することができるように、イヤホンガイドをつけましたりパンフレットを工夫したりとかというふうないろいろなことをやっておりますけれども、全体の傾向といたしましては、なかなか難しい現状にあることは先生の御指摘のとおりでございます。
#176
○国務大臣(保利耕輔君) 役所としての対応については、今文化庁次長からお話を申し上げたとおりであります。
 私の経験から申し上げますと、フランスにおりますときに若い女性が訪ねてまいりまして、あなたは日本人だから歌舞伎のことはよく承知をしておるでしょうと言われまして、多少のことは知っておりますという御返事を申し上げましたところ、それではあなたは十六夜清心についてどう思いますかと、こういう質問をいただきまして、びっくりいたしました。実はそのとき十六夜清心というものがどういうドラマであるか私は恥ずかしながら知らなかったわけであります。これはいけない、フランスにおいてすらこういう名前を知っている人がいる。したがって、日本の誇るべき伝統文化であるから、これはやっぱりきちんとした形で残していかなければいけないんだなということは、そのときの経験を思い起こしましても今強く思うわけでございます。
 同時にまた、私の学生時代はテレビというものがない時代でございました。その時代の文化に対するありさまと、現在テレビが発達をした段階でのありさまとは大分違うように思います。確かに、じかに芝居を見に行く人は減少傾向にあるかもしれませんけれども、テレビを通じてごらんになっていらっしゃる方はたくさんいらっしゃるんではないかと思います。いい番組がかかりますと、私の家内も全くテレビの前から動かなくなりまして、時々困ることがあるのでございますが、そういう隠れたファンというのがあろうかと思います。
 同時にまた、私の娘でございますが、どういうわけか大変歌舞伎に興味を持っております。何でおまえはそんなに歌舞伎がおもしろいのだと言うと、所作と同時に衣装でありますとか当時の風物でありますとか、そういうものを見るのが非常に楽しい、こういうことを言っておりました。したがいまして、歌舞伎を支えるのは観客であるという立場に立って考えますならば、やはりその観客の層というのは隠れた形であるのではないかと思います。
 そういうことでございますから、今次長が御答弁申し上げました諸施策を講ずることによって、またその隠れた層を育成をしていかなければならないし、同時にまた、この伝統文化はなくしてはならない、私はそのように感じております。
#177
○高木健太郎君 時間が来ましたが、一分だけ。
 狂言のことを学校の教科書に何か書いたらば、それから非常に学校の方で興味を持ったということもございます。だから、こういう歌舞伎だとか狂言というものの精神とか歴史というようなものを教科書とかそういうものに載せておけば、あるいは子供がもっと興味を持つようになるんじゃないかということが一つ。
 それから、伝統を残すということもございますが、伝統を破って新しいものをつくっていく、こういう心がけのために先ほど出た基金の方をお使いいただければ大変ありがたい。例えば猿之助なんか、非常に変わった芝居をやります。そうすると、ほかの人から非常に批判もあるわけですけれども、それをやる。あるいは落語家では桂枝雀なんというのが英語で落語をやるとか、あるいは和歌の方では俵万智とかという人が新万葉集とかと言われているとか、こういうふうに、私はやはり歌舞伎のいいものはとっておかなければなりませんけれども、現代の人に理解のいくようなそういう新しい方へ歌舞伎でも落語でもあるいはその他のこういう芸術というようなものも進歩させていくという、それへ行きたいと思う人はいるわけですから、それに対して援助をぜひ与えていただきたい、こういうふうにお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#178
○高崎裕子君 義務教育における教科書ですけれども、これは言うまでもなくすべての子供の人間形成と文化の伝達に大きな影響を持つものです。多様な可能性を持つ子供の能力と感性を自由に発達させ、基本的人権尊重の精神に基づいて性にとらわれない男女平等の教育が行われなければなりません。教科書もこの立場からこの理念を体現するものでなければならないと思うわけです。
 そこで、最初に総理府に伺います。
 この三月、国連婦人の地位委員会が、「西歴二〇〇〇年に向けての婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略の実施に関する第一回見直しと評価に伴う勧告」案をまとめ、きょうあす、近日中にも国連経済社会理事会でほぼ原案どおり決議される見通しと聞いております。この中で、Iとして「婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略実施のペースを早めること。」として、政府等に対して二十二項目にわたる勧告がなされています。
 そこでお尋ねしますが、勧告が決議された場合、日本政府としては当然これを尊重し、実行していかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
#179
○説明員(藤井紀代子君) 御承知のとおり、一九八五年にナイロビにおきまして世界会議が開催されまして、そのときにいわゆるナイロビ将来戦略というものが採択されたわけでございます。そのナイロビ将来戦略は、五年ごとに見直しと評価が行われることになっておりまして、ちょうどことしの二月から三月にかけて行われました第三十四回国連の婦人の地位委員会におきまして審議が行われまして、先ほど先生がおっしゃられましたように、「ナイロビ将来戦略の実施に関する第一回見直しと評価に伴う勧告及び結論」が決議案として採択されたわけでございます。現在、本決議案は国連の経済社会理事会で審議されているところでございます。
 勧告は拘束力を持つものではございませんが、本勧告及び結論が採択された際には、その趣旨を踏まえ関係省庁との連携を図りながら婦人施策の推進に努めてまいりたいと存じております。
#180
○高崎裕子君 尊重して実行していかれるということで大変心強いお言葉ですが、それを受けて文部省にお尋ねいたします。
 この勧告案IIIでは、主に教育の分野における問題について勧告をしています。文部省もこの勧告案の内容を承知していると聞いていますが、勧告が決議された場合、文部省としても当然これを尊重していかれますね。
#181
○政府委員(菱村幸彦君) ただいま御指摘の勧告案には、一九九五年までに教科書の性による差別的な表現を除去すべく速やかに改訂を完了すべきであるという旨の勧告が盛り込まれていることについては承知いたしております。
 ただ、その中には、同じように、各国の教科書制度はさまざまであるため、勧告後におきましても教科書の改訂については国の法律や慣習に従って行われることとされている、となっているようでございます。
 我が国におきましては、御案内のように、教科書は民間の発行者が著作、編集いたしましたものを文部大臣が検定をするという制度をとっております。したがいまして、政府はみずから教科書の改訂を行うことはできませんけれども、仮にも男女差別を助長するような部分があれば、検定においてこれまでも指摘しておりますし、こうした勧告の精神にのっとって検定を行っていくということになろうかと存じます。
#182
○高崎裕子君 今局長も言われましたが、この勧告案IIIの中で、性に関し偏見のある表現を除去すべく、速やかに、できれば一九九五年という期限を示して、それまでに教科書の改訂を完了すべきであるということで、この精神にのっとって尊重されるということで大変心強いお言葉でしたが、この教科書における男女差別をなくしていくという問題について、国内の各団体からも以前から指摘がなされているところです。
 私が所属している札幌弁護士会、そして日本弁護士連合会は、小中学校の教員を対象にアンケート調査を行い、それを踏まえて昨年の二月ですが、日弁連で「「教科書における男女平等」についての意見書」を発表いたしました。私自身は札幌弁護士会の調査の際、教科書の分析の作業にかかわったわけです。
 例えば家庭科ですが、男女の固定的性別役割分担意識を植えつけ、かつ助長するおそれがある記述や挿絵が幾つか見られました。具体的には、六年生の家庭科の教科書で家族の生活時間を調べさせている部分ですけれども、家事は圧倒的に母親が、しかも共働きの場合でも例外なく母親が負担しています。そして、女の子だけが夕食の用意を手伝って、そのとき兄はその横でテレビを見ている挿絵が載っている。あるいは母親と女の子が食事の後片づけをしていて、その横で父親と男の子が木工をしている写真などなど、こういう点は早急な改善が必要だと思うわけです。
 日弁連の「意見書」でも、小中学校の国語、社会、家庭、道徳の各科目の教科書を検討した結果、全体として記述、挿絵、写真に次のような傾向を指摘して提言をしています。
 第一に、「男性に比較して、登場する女性の数が少なく、多様な女性の生き方が描かれていない。」、第二に、「「男は仕事、女は家庭」という、いわゆる固定的性別役割分担とその意識が変化しつつあるにもかかわらず、教科書においては性別役割分担を固定的、普遍的なものとしてとらえ、男性の職業に比較して女性の職業を狭い領域に限定し、女性は、主として家事、育児、老人看護等家庭責任を担当する者であるとしている。」、それから三に、「共働き家庭の描き方が否定的で、新しい男女が共生する人間関係の展望が示されていない。」、四に、「「男らしさ」「女らしさ」の定型化された固定観念を、男女の生まれながらの特性として肯定的にとらえるものが多い。」、五は、「女性の歴史的な地位、性差別の状況と原因、男女平等実現への方策の記述が少なく、具体性に欠ける。」。
 この五つの点を踏まえて、「固定的性別役割分担意識と「男らしさ」「女らしさ」の定型化された観念を、子どもに植えつけ、助長する記述、写真及び挿絵を改善し、男女平等の理念に立ち、男性も女性も共に、人間として自立した豊かで多様な生き方を学ぶことができる教科書とすること」という提言を行っています。
 そこで、教科書における男女平等を実現していくためには、こうした貴重な調査や意見などを大いに参考にする、さらに女性の有識者の方々を中心にして意見を聞く場を設ける、あるいはさきの国連の勧告が決議された場合、これを教科書出版社などに広報等で周知徹底させていくなど、検定制度のもとでも改善をしていく必要があると思いますが、文教行政の責任者である大臣にぜひこの点での所信を伺いたいと思います。
#183
○国務大臣(保利耕輔君) 憲法二十四条を読んでみますというと、「法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」、こう書いてございますが、これが文部行政を進めていく場合の一つのよりどころになろうかと思います。
 そういった観点から、いろいろ御指摘をいただきました問題につきまして、教科書の問題については基本的には著作者の執筆方針あるいは発行者の編集方針にかかわることでありますが、しかしながら、御指摘のような男女の役割等についてのいろいろな固定化するような記述があるとするならば、それは十分に適切な表現になるように改めてもらうことを私も期待をいたしております。
#184
○高崎裕子君 大変心強いお話で、私ども日弁連の会員も喜ぶことと思います。
 次の質問に移りますが、文部大臣は所信表明で、障害児教育に関しては「特殊教育の充実などにも積極的に取り組んでまいります。」と、ごく簡単に触れておられますので、この機会に改めて障害児教育に対する大臣の所信、考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#185
○国務大臣(保利耕輔君) 心身に障害を有する子供たちにつきましては、その障害の状態やあるいは発達段階等に応じまして、よりよい環境を与え、特別の配慮のもとに適切な教育を行い、その能力を最大限に伸ばし、可能な限り積極的に社会に参加するように育てるとともに、これらの子供たちに対する社会の正しい理解と認識を深めていくことが重要であると考えております。
 このため、文部省におきましても、かねてから特殊教育の充実について、施設でございますとか、あるいは設備の充実、教育内容・方法の改善、教職員の養成と資質の向上あるいは研究体制の整備を図るとともに、心身障害児に対する国民各層の理解、認識の推進にも力を注いでいるところでございまして、今後ともこのような方向でその充実に努めてまいりたいと存じております。
#186
○高崎裕子君 そこでさらにお伺いしたいのですが、障害児に対して教育を受ける権利を保障するという観点から見て、現在は養護学校の義務化の段階から後期中等教育をどう保障するかという段階に来ていると考えるわけですが、この点での大臣の認識はいかがでしょうか。
#187
○国務大臣(保利耕輔君) 義務教育を修了した後の心身障害児の進路につきましては、心身障害児の能力、適性や障害の状態などに応じて盲、聾、養護学校の高等部、高等学校への進学あるいは職業訓練校、福祉施設、授産施設などの労働福祉関係機関への入所あるいは就職などの中から、最も適切な進路が選択されることが望ましいと考えております。
 文部省といたしましても、心身障害児の障害の状態あるいは能力、適性等に即した多様な職業教育などを行う場として、盲、聾、養護学校の高等部の施設設備の整備に国庫補助を行うなど、その整備充実を図ってきたところでございまして、今後ともその充実に努めてまいりたいと存じております。
#188
○高崎裕子君 そこで、後期中等教育に関して具体的に伺いたいと思います。
 養護学校中等部卒業生の高等部への進学率及び障害児学級卒業生の進学率は、全国的にどうなっておりますか。県によってかなりアンバランスがあると思いますが、これはいかがでしょうか。また、精神薄弱、肢体不自由、病弱の障害別でもアンバランスがあると思うのですが、これはいかがでございますか。
#189
○政府委員(菱村幸彦君) 平成元年三月の養護学校中学部の卒業生の進学率を見てまいりますと、全国平均が六七・八%でございますが、各県別に見ますと、ただいま御指摘がありましたように、最も高い県で九九・四%、最も低い県では二三・八%となっておりまして、いろいろばらつきがあることは御指摘のとおりでございます。
 また、中学校の特殊学級の卒業生の進学率も全国平均では五五%でございますが、県別に見ますと、やはり高い県は八七・三%、低い県ですと一八・九%となっておりまして、これもばらつきがございます。
 また、障害別の進学率等につきましても、御指摘のようにいろいろ差がございます。盲聾学校は進学率が九割五分を超えておりまして高いわけでございますが、精薄の場合はただいま申し上げましたように低くなっているとか、いろいろ障害の種類によりましてこれも違ってきているということでございます。
#190
○高崎裕子君 高等学校への進学率が九四・七%、また今言われましたように、盲学校が九五・一%、聾学校で九七・一%という中で、養護学校中等部及び障害児学級の進学率は年々増加しているとはいえ、中等部で六七・八%、障害児学級で五五・〇%と、まだまだ低い状況にあるわけです。しかも、養護学校の場合を見ますと、全国的には、広島や京都、奈良、高知などのように九〇%を超える進学率のところもあれば、福島や熊本、長崎、そして私の北海道などのように二〇から三〇%台の極めて低い進学率のところもあるわけです。こういう全国的に見てアンバランスが生じている原因を文部省としてはどう考えておられますか。
#191
○政府委員(菱村幸彦君) 養護学校の中学部それから特殊学級の卒業生の進学率につきましては、ただいま申し上げましたようにいろいろばらつきがございます。これの理由はいろいろあるわけでございますが、これは都道府県の設置、管理にかかわる問題でございますので、都道府県の判断によりまして行われているわけでございますけれども、県によりましては、中度、軽度の障害の生徒を養護学校の高等部に受け入れるという考えのところもございますし、あるいは重度の者も含めまして養護学校の高等部に受け入れるという考えをとっているところもございます。したがいまして、その受け入れの方針が異なっているというところにも一つ原因がございます。
 さらにまた、都道府県によりましては、学校教育以外の、先ほど大臣から御答弁がございましたように、労働関係の機関とか福祉関係の機関、いろいろ進路はさまざまなのでございますが、そうしました労働福祉関係機関の設置状況などの各地域の実情ということもございます。
 したがいまして、いろんな理由によりましてこのばらつきがあるわけでございますが、私どもとしましては、都道府県によりまして中等教育修了後の学習の機会というものが余り格差が生じないように、格差が生じているのは適切でないと考えておりますので、設置率の低いところにつきましてはそれを高めるように指導しているところでございます。
#192
○高崎裕子君 このアンバランスの問題については、基本的には国の考え方の問題だというふうに私も考えておるわけで、例えば北海道の進学率は三四・一%と全国でも下から四番目といういわゆる最低グループのところにあるわけです。その原因としては、先ほど答弁の中でもありましたが、これまで北海道としては障害の中度、軽度の生徒を受け入れるということでやってきたということもあるわけですが、もともと養護学校の高等部の設置が非常におくれているということがあります。
 北海道の場合、道立の養護学校高等部は一校しかなく、あとはすべて単独の高等養護学校として設置されています。その高等養護学校も、精神薄弱が六校、肢体不自由が一校、病弱が一校と全部で八校しかありません。このため、障害児が進学を希望してもなかなか入れないというのが実情で、八十八年度で六十九人、八十九年度で九十六人、今年度は六十人もの不合格者を出しています。しかも、高等部の教育を希望している障害児がすべて受験しているわけではないんです。中等部段階での足切りとか、いろんな条件でやむなく受験そのものをあきらめている障害児もたくさんいるというのが実情になっています。特に、重い障害を持つ子供には高等部教育の機会が保障されていないというのが実情です。そのため、北海道では、障害児を持つ親や先生たちが中心になって、今高等部増設を進める運動が行われているところです。
 昨年の十二月五日付の読売新聞でこのことを取り上げています。昨年二月、札幌西区、手稲区の情緒障害やダウン症、自閉症、知恵おくれなどの障害児を持つ父母らが、たんぽぽの会というのをつくったのに触れての記事で、その子供たちが通えるのは、札幌と周辺では二校だけ、両校で受け入れは四十人しかなく、九十人余りが入学できなかった、この二校も片道一時間から二時間もかけて通う、だから、遠くて通学できないケースも多く、高等部の増設を求める声は増加していると報道されています。
 また、障害児を持つ親が北海道新聞の昨年三月三日付で投書していますが、「五十人定員のところに七十九人の志願者がいて、私のダウン症の息子は合格できませんでした。」「特殊学級や養護学校卒の中学生の七割余りは行く学校がないのです。夏、冬休みが終わりに近づくと、早く学校へ行きたくて準備を始める息子を見るにつけ、僕たちの行ける高等部を、と要求できない障害児の心情を思い、涙が出ます。」とお母さんは訴えています。
 そこで、文部省に確認しますが、高等部への進学を希望する障害児に対して教育を保障していく、これが国や地方を問わず文教行政の基本的考えだと思いますが、この点いかがでしょうか。
#193
○政府委員(菱村幸彦君) 後期中等教育は義務教育ではございませんので、生徒の能力、適性等に応じていろんな教育の機会が用意されるという必要があろうかと思います。ただ、私どもも、この義務教育修了後の心身障害児の適切な進路を確保するという観点から、高等部ができる限り門戸を広げまして後期中等教育の機会を提供することは望ましいと考えております。したがいまして、文部省におきましても、従来から各都道府県に対しまして労働福祉関係機関等の整備状況等も考慮しながら高等部の整備を図るように指導してきているところでございますけれども、今後とも、とりわけ北海道は低いという御指摘がございましたが、進学率の低い県等につきましては、高等部の整備について一層指導してまいりたいと思っております。
 ただ、北海道の方ではいろいろお考えのようでございまして、何とか教育の機会を広げようということで新設の準備を進めていらっしゃると聞いております。
#194
○高崎裕子君 今御答弁の北海道のケースは二年先の問題であるということで、今の高等部増設を求める父母の声にはまだまだこたえ切れていないという問題があるわけですね。障害児に対して高等部への進学を保障していくということになれば、当然養護学校高等部を増設する必要があるということになるわけですけれども、文部省もその点については同じ考えだということで確認してよろしいわけですね。
#195
○政府委員(菱村幸彦君) 先ほど申し上げましたように、できる限り教育の機会を提供することは望ましいというふうに考えております。
#196
○高崎裕子君 次に、高等部の重複障害児学級について伺いますが、重複障害児学級の設置も各県によって大変なアンバランスがあるのではないかと思いますが、実態はどうなっていますか。
#197
○政府委員(菱村幸彦君) 御指摘のように、県によってかなりアンバランスがございます。非常に高い県は、神奈川とか京都、それから広島のように高い県もございますが、非常に少ない県、例えば北海道は少ないようでございますが、ばらつきがあると承知しております。
#198
○高崎裕子君 全国的な設置状況を見ますと、例えば広島のように学級総数百九十七学級に対して百五十一学級が重複障害児学級のところもあれば、北海道のように学級総数百十学級に対してわずか三学級しかないという、極端に低いところもあるわけですね。特殊教育の改善に関する調査研究会が一九七五年に初中局長に対して重複障害児に対する教育の重要性を指摘し、重複障害児のための学級増を図るという報告を出しています。文部省は、この特殊教育調査研究会報告に基づいて、その点きちんと指導をされているわけでしょうか。
#199
○政府委員(菱村幸彦君) ただいま御指摘の昭和五十年の「重度・重複障害児に対する学校教育の在り方について」という報告では、確かに重度・重複障害児のための学級を増設し、その整備を図るものとするという報告をいただいておりますが、これは先生も御承知のように、義務制との関連で述べられているわけでございます。しだがいまして、義務教育につきましてはそうした整備を図ってきております。
 ただ、この報告と離れましても、養護学校の高等部におきます重複障害学級のあり方につきましては、これは先ほども申し上げましたけれども、障害児の適切な進路を確保するという観点から、労働福祉等の関係機関の整備状況を考慮しながらすることは必要でございますが、高等部の整備を図るよう私どもは指導しているところでございます。
#200
○高崎裕子君 これは義務制のことだという御答弁でしたけれども、定数法を見ましても高等部における重複障害学級の基準を定めているわけで、この報告は当然高等部にも準用されるわけです。重複障害児がいるという実態があれば、それはもう障害児学級を設置していく考えだというふうに先ほどの答弁を伺ったわけですけれども、それでよろしいわけですね。
#201
○政府委員(菱村幸彦君) 繰り返しになりますけれども、義務教育修了後の心身障害児の適切な進路を確保する、そういう観点から、種々の労働福祉関係機関等の整備状況を考慮しながら高等部の整備を図るように指導しているということでございます。
#202
○高崎裕子君 障害の重い子供に対しても後期中等教育を保障するために高等部の重複障害児学級の増設がどうしても必要なわけで、おくれているところに対して、特に北海道のように大変おくれているところに対して指導を強化することを強く要望して、時間ですが厚生省に来ていただいておりますので最後の質問をいたしたいと思います。
 障害児問題を考える場合、障害の早期発見、早期療育が非常に重要であることが指摘されています。その点で、乳幼児の段階からの療育を行える施設の充実も切実な問題なわけです。
 札幌に自閉症や知恵おくれ、ダウン症などの障害を持つ乳幼児の通園施設として麦の子学園というものがあります。この通園施設は、八三年四月にキリスト教の教会の会堂を借りて入園児五名で出発し、大変苦労しながら今日まで活動を続けてきているわけです。
 先日私は、この施設に伺っていろいろお話を伺ってきたわけですけれども、この施設に通うことによって障害を持つ子供たちがどんなふうに変わっていったか、お母さん方にどんなに感謝されているかという話も具体的に伺ってきたわけです。
 ある自閉症児について、療育は戸外での公園の遊具を利用しての遊びや訓練、山登り、プール、それから室内でのリズム運動などなど、こういう療育の中でわずか一年間でいすに落ちついて座り続けられるようになった、待つことができるようになった、模倣ができ始めるようになるなど成長してきましたと。
 あるいは、一歳を過ぎたころから息子の笑顔が消え、表情一つ変えなくなったそんな子が、この麦の子に来て一カ月たった七月に、ホースで水をまいている様子を見ていると楽しそうに笑っている、その笑顔が戻ったと思って、うれしくて思わず子供に駆け寄ったところ、子供に水をかけられた、その私を見てまた子供が笑った、日一日と息子の表情が生き生きとして、少しずつだけれども確実に変化していることに私たちは新たな勇気が持てるようになりましたと。
 こういう大変すばらしい活動を続けておられて感動したわけですが、この施設は無認可です。札幌からの助成金がやっとついたんですが、ほとんど父母負担と寄附によって賄われており、職員もわずか月九万円という低賃金で、本当に厳しい状況の中で頑張っているわけです。
 療育を必要とする乳幼児は札幌市内だけでも千人はいると見られて、こういう施設の充実が言われているわけですが、今この麦の子学園が来年度から札幌市の認可施設として施設建設もし、発展させようという準備を進めている段階です。いずれ国の方にも施設建設への国庫補助などの援助をしてほしいという要望があると思います。その場合には、厚生省になりますが、しっかりこれを受けとめていただきたいと思いますが、この点いかがでしょうか。
#203
○説明員(吉武民樹君) ただいまお尋ねの麦の子学園でございますが、札幌市の方で実際にこの学園を運営しておられる方々とお話をしていただいているようでございます。
 いずれにいたしましても、私ども、施設整備の国庫補助という形でこういう早期療育の場、精神薄弱児の通園施設ということになる場合ですけれども、そこで検討させていただくということになるわけでございます。
 まだ札幌市の方からも具体的な詳細なお話は伺っておりませんので、今用地の問題等御検討いただいているようでございますので、この問題がめどがついた時点で、多分札幌市の方から私の方にお話があるかと思いますので、実際には平成三年度の予算にかかわる問題でございますので、その時点で十分検討さしていただきたいというふうに考えております。
#204
○高崎裕子君 ありがとうございました。終わります。
#205
○笹野貞子君 文部大臣の所信ですけれども、活字になったものを再度拝見させていただました。大変バラ色な文化行政ということでうれしくなったのですけれども、しかし文化行政というのはかけ声だけでは実を上げることができませんので、きょうはそういう点で私の最もここをしていただきたいという部分をお尋ねをいたしたいと思います。
 大臣の所信の中ですけれども、三ページを見ますと、ここに「婦人の社会参加の推進」ということが書かれております。我々女性にとっては大変うれしいことですけれども、しかしこれはなかなか難しいことで、先ほど大臣もうちの家内がというふうにおっしゃいまして、女はうちにいるものだという潜在意識がやっぱりありますし、また、婦人がお相撲さんに賞状を渡すために土俵に進出しようとすると断わられてしまったりという、社会進出というのはなかなかそう簡単にいかないものです。
 まず第一に大臣にお伺いいたしますけれども、この社会進出というのを具体的に大臣はどのようにお考えになっているのか、先にお聞きいたしたいと思います。
#206
○国務大臣(保利耕輔君) 女性の社会進出につきましては、私自身、家族の問題としていろいろ考えるところが多うございます。娘が二人おりますが、両方とも学校を卒業いたしまして、そして社会に働きに出ました。大変忙しい仕事でございましたものですから、体を壊すというようなこともございましたが、体の方は治りまして現在もなお勤めを続けております。勤めはおもしろいかと聞いてみますと、非常におもしろいと申します。それで私は、子供の親として、また特に女の子の親として、できれば早くあなたも一家を構えてもらいたいがなという希望を子供に申しております。しかし子供は、一方では社会の一員として働くことの喜びを感じておるようでございまして、勤めをしばらくさせてもらうという状態が何年か続いて、まだその問題が解決をされておりません。ある意味では、最近の非常に難しい問題の一つかなと思っております。
 子供の親としての気持ちと、それから女性の社会進出を進めていくと所信の中で申しておる文部大臣の気持ちと合わないところも若干ございまして、難しい問題だなということを痛切に感じておるというのが私の偽らざる気持ちでございます。女性の皆様方にも社会で働いていただかなければならないということについては、私もその考え方を否定をすることはもちろんできませんし、私自身そういう立場でお話を申し上げておるところでございます。ただ、実情ということになりますと、今正直に申し上げましたようないろいろな悩みがあるということを私自身感じております。
#207
○笹野貞子君 そこで、きょうは私は婦人の社会参加、大臣が矛盾に悩んでいらっしゃるとはいうものの、これを推進していただくということと、それから二ページにあります「高齢化・国際化」という問題、この二つを合わせて看護婦さんのことをひとつお尋ねいたしたいというふうに思います。
 日本は今、高齢化社会に向けてどんどん老人のパーセントがふえていっていることは、これはもう皆さん御認識のとおりだというふうに思います。こういう中にあって、看護婦さんというものは、その量的、質的な面で非常に重大な役割をこれから果たしていくというふうに思います。
 実は、私がこの問題を取り上げましたのは、私自身ある公立の医科大学、看護短期大学、保健婦専門学校そして私立の看護学校と、そういうところで長らく教えておりましたものですから、この実情を実体験として、その矛盾点について非常に怒りを込めたような感じで長らくやってまいりました。
 なぜ私がそういう医療関係の学校に行ったのかといいますと、これは私が長年、これからの看護というのは医者と看護婦との視点からではなくて、病人と看護婦という、そういう視点も取り上げなければいけない、高齢化社会になってきますと、物知りおじいさん、物知りおばあさんがたくさん出てくるわけですから、そういう人の精神状態をしっかりと自立に向けていくということは、看護婦さんの方にも高い識見と技術と人格がなければできない、そういう意味において一般教養というのが必要であるということを盛んに力説をしましたところ、私の話を聞いて、それではその科目をつくるから教えに来なさいと言われるものですから、そうなったら嫌ですと言えないもので、あちこち駆けずり回って憲法を教えてまいりました。
 やはり、これから看護婦さんというのは、人間を相手にする仕事、特に病める人を相手にする仕事というのは、基本的人権という問題をしっかりと踏まえていなければできない職業ですから、そういう点で私は、これからの高齢化社会に向けての新しい看護婦さんづくりというものをひとつ大臣にやっていただきたいというふうに思い、きょう御質問するわけです。
 この質問は、去年粕谷委員がちょうど質問をしております。粕谷委員の質問は、看護婦さん不足という量的な問題から質問をしておりますけれども、その質問に対して政府委員の坂元さんという方が非常に心強い御回答をなさっております。それによりますと、「より高度な看護婦の養成という社会的需要を踏まえまして私どもとしても努力をしていきたいというふうに考えております。」という結論と、再度の質問に対して、「看護婦の増員につきましては努力を続けてまいりたいというふうに考えております。」というふうに、もうやりますという宣言をしておりますので、きょうは私は、そのやるまでの具体的なプロセスの問題で幾つか御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 さて、これだけ重大な看護婦さんですけれども、どうも私も教えておりますと、いろんな学校があるんですね。何か養成所という名前があったり専門学校という名前があったり大学という名前があったり短大という名前があったり、いろいろあるんですけれども、今、看護婦さんという資格を取るためにどのような学校のプロセスがあるのかを、ひとつ教えていただきたいと思います。
#208
○国務大臣(保利耕輔君) お答えの前に、先ほど私が御質問に対して御答弁を申し上げた中に家内という表現がございましたが、妻と改めさせていただきます。
 大変大切な看護婦さんの養成についてのありさまでございますが、先ほど先生御指摘の坂元高等教育局長が参っておりますので、そのありさまについての御答弁を坂元局長からさせていただきます。
#209
○政府委員(坂元弘直君) 看護婦の養成が現在どういうような学校種別で行われておるかというような御質問でございますが、まず文部大臣が所管しております指定看護婦養成機関といたしましては、大学、短期大学それから高等学校、それから大学・短期大学に附属される専修学校等でございます。それからあとは厚生大臣が所管する養成所としまして、専修学校、各種学校等が大体千百校ぐらいございます。
#210
○笹野貞子君 今の御答弁を聞きますと、とにかく看護婦という資格を取るために幾つかの学校がいっぱいありまして、それも人数は大体五十人単位です。ですから、こっちの学校を出てからこっちの学校へ行って、またこっちへ入り直すという、大変ややこしいのが現実だと思います。
 実は、厚生省に看護制度検討会というのがあるわけですが、そこが報告書というのを出しております。これは昭和六十二年四月二十八日に出しているんですけれども、これは非常にいい報告書ですね。私などはこれを見て、まさに私が言おうとしていることをそのままずばり言っているわけですから、きょうはもう最大の応援を得たような感じで、この中にあることを幾つか御質問さしていただきたいんですけれども、今お話を聞きますと、もういろんな学校がありまして、例えば私が教えておりました保健婦専門学校というのは、高等学校を出て、そして短大を出て、それからまたその学校に入り直すという、保健婦というのを取るためには二段階の学校を出なければなりません。私が教えていたところは非常に高度でいい学生の入るところだと言われているにもかかわらず、学校の設備とかいろんなものを見ると大変貧弱な感じがいたしました。私は、教育内容という看護婦さんの質的な問題を考えるときには、これだけたくさんの学校がばらばらあって、あっちへ行ったりこっちへ行ったりするということ、また今もお話のあったように、文部省の所轄と厚生省の所轄があるということは非常にわかりづらいわけですし、これを何とかもっと合理的な学校制度に変えるということについては、文部大臣はいかがお考えですか。
#211
○政府委員(坂元弘直君) 私どもが抱えております学校というのは、学校教育法一条で正規の学校としまして大学から幼稚園まであるわけでございます。それからあと専修学校があるわけでございますが、これらの学校の中で、ある一定の資格を有する職業人の養成に当たりましては、それぞれの所管する省庁が必要な免許資格等を決め、必要な試験等を行っているわけでございます。それで、それぞれの大学なり短大なり、あるいは高等学校で一定の、看護婦の場合ですと、所轄する厚生省が決める教科・科目等を取得している場合には試験が免除されるというような仕組みになっておりまして、看護婦の資格免許状の取得が厚生省の所管になっておりますので、その辺は文部省限りで看護婦の養成問題について、学校制度の中できっちりと仕分けしていくというのは大変難しい問題じゃないかというふうに思っております。
#212
○笹野貞子君 難しいといえば難しいでしょうけれども、しかしこれからの看護婦さんの資質というものを考えるならば、やっぱりその教育内容はある水準に保たなければいけない。そういう意味では、これだけ細切れになっているということは、やはり看護婦さんの資質を一定化するというためには非常に不合理だというふうに思います。この報告書を見ましても、その五ページにこれだけたくさんある。だから、これはもっとわかりやすい学校制度に変えるべきだという、そういうふうな報告書が出ておりますので、これは厚生省の方で、御自分の出した報告書なわけですから、やはりそれなりに努力をしていただかなければ、ただ難しいでは済まされないというふうに思います。
 時間がありませんから、次に移りますが、私は、今現実に看護婦さんの人間としての資質を高めるために、普通の一般の学生とどのような教育環境が違うのかということを調べてみました。これは大変いい表がありまして、国立大学及び私立の加盟大学は日本私立大学連盟というところが調査書を出しております。それに私立の大学、国立の大学の一人にかかる教育費というのが出ております。
 これを見ますと、文科系、理科系、医科歯科系、そして平均とありますが、これは看護婦さんのは全部抜けていますので比較ができません。そこで、私は比較ができないというのでは困りますので、自分で調査をいたしまして、その費用を調べてみました。大学の表で見ますと、これは大変いい表ですが、平均で国立大学では一人二百五十六万、私立にしますと百十六万九千という一人の経費です。それに対して私が調べました学校は、公立の学校ですが、三十三万円という数字が出てまいりました。私は、これを調べるために役所に電話をしたんですけれども、なかなか資料を出していただけなくて大変な目に遭いました。お役人というのは非常に資料を出すのを嫌がるという傾向を初めて私も体験いたしまして、大変資料をとるのが苦労いたしました。
 この数値、私は非常に少ないサンプリングですので、間違っていたら困りますので、どうでしょうか、厚生省の方で一人の学生にかかる教育費というのを調べた数値がありますでしょうか。
#213
○説明員(矢野正子君) 今の御質問でございますが、先ほどから御指摘がありますように学校の形態が非常にさまざまでありますけれども、ちょっと前のお言葉をお返しするかもしれませんが、教育の内容につきましては文部省、厚生省も一つの基準を持ってやっておるということを最初にお答えいたしまして、ただ、数字につきましては、非常に学校の運営の形態によってまちまちでございまして、確かに三十三万とかというところもありますし、それからもっと高いところもございます。
#214
○笹野貞子君 もっと高ければ幾らになりますか。
#215
○説明員(矢野正子君) 例えば学生一人に対しまして百万とか、そういう数字を持っているところもございます。
#216
○笹野貞子君 私はこの資料をとるのに大変苦労をいたしました。もし、そういうふうに簡単に出るのであるならば、看護婦さん一人にかかる経費の資料をぜひともいただきたいというふうに思います。
 さて、そこで大臣にお伺いいたしますけれども、しかしどんなに高くても、公立大学、私立大学の平均、またこの医者を見ますと、国立では六百四十七万二千、私立では八百三十九万六千という数字が出ております。これは比較にはならないかもしれませんが、しかし、片や三十三万、高くても百万、片やこの数字について、これからの看護教育というものに対して大臣はどのようにお考えになりますか。
#217
○政府委員(坂元弘直君) ちょっと数字なものですから。
 私どもまことに恐縮でございますが、看護婦学校、専修学校、各種学校を含めまして、どのぐらい一人当たり経費がかかっておるのかという数字は文部省では持っておりませんけれども、全般的には普通の、これは私の個人的な感覚で申し上げて恐縮でございますが、普通の専修学校よりは看護系の専修学校の方が経費がかかっておるんじゃないかというような感じを持っております。
 いずれにしましても、一定の職業資格を取得するためには一定の水準の教育を受けなければ職業資格が得られないわけでありますので、適正な教育内容が確保できるような投資を一般の専修学校でも行っていただきたいというふうに私どもは強く期待しておりますし、大学・短大附属の専修学校では、かなりの投資を行っているものと私ども考えております。
#218
○笹野貞子君 わかったようなわからないような感じで、結論としてはその資料をいただければ私は大変ためになりますので、どこがそういう資料を持っているんですか。――厚生省ですか。それでは、その資料をぜひとも見せていただきたいと思います。
 次に、看護学、そして保健学という二つのコースがありますが、日本の国立の大学の中で、四年制で看護学を持っている大学はありますでしょうか。
#219
○政府委員(坂元弘直君) 千葉大学に看護学部という学部がございまして、そこに看護学科という学科が置かれております。それから東京大学の医学部に保健学科というものが置かれておりまして、その保健学科の中が保健コースと看護コースというふうに二つに分かれております。東京医科歯科大学の医学部に保健衛生学科というのがございまして、その保健衛生学科がやはり看護コースと保健コースに分かれております。琉球大学も同じく医学部に保健学科がございまして、看護コースと保健コース、二つ持っております。したがって、国立大学で四年制の学部として看護コースを持っておるものは四つでございます。ちなみに、公立大学で一つ、それから私立大学で四つございます。
#220
○笹野貞子君 これだけ看護婦さんが重大な時期に差しかかっておるときに、四つの大学しか看護学科がなくて、その収容する人数は四つ合わせて二百八十八名という数字が出ております。
 大臣、この四つの大学の二百八十八人という数字は適正でしょうか。多いんでしょうかそれとも少ないんでしょうか。
#221
○国務大臣(保利耕輔君) これからの迫り来る超高齢化社会と申しますか、それを支えていく看護婦さんの養成というものは、これはしっかり国としてやっていかなければならないという立場に立って考えますと、正直申しましてもう少し多くてもいいかなという気もいたしております。ただしかし、毎年新卒で看護婦さんにおなりになる方は大体五万五、六千人というふうに伺っておりまして、少しずつふえていっていることは事実でございます。同時にまた退職者もございますから、それとの兼ね合いで、これは厚生省の方から御答弁いただく方がよろしいのかもしれませんけれども、「看護職員需給見通し」というのがございまして、それに基づきますと、平成六年度で需要数が九十三万五千人に対して、供給と申しますか、就業者の数が九十三万五千人ということで均衡するというふうに私も報告を受けておりますが、そういう形の中でしっかり整備はしていかなければならない、このように思っております。
#222
○笹野貞子君 ちょうど大臣の方から、厚生省が出しています「看護職員需給見通し」という表のお話がありましたが、私も見ました。これは非常に不思議な表なんですね。看護婦さんの需給をするために、卒業生の数とそれから再就業者ですね、つまりやめた看護婦さんをもう一度引き出すという数、それを足したもので需給見通しを立てておりますが、この表を見ますと、毎年毎年四万一千、四万九千、五万二千という看護婦さんがやめていっているわけですね。そうすると、このやめていったのと同じように大学の卒業生が毎年出てきます。つまり、もっとはっきり言うと、大学の卒業生の数と同じ数が毎年やめていっているという現実があります。
 なぜ看護婦さんがこれほどやめるのか。平成二年度、ことしを見ますと、四万三千六百人がやめていっています。ですから、ふえるといっても、やめる数の方もまた多いんです。そして、一度やめた看護婦さんの就職するかしないかわからない数を足しての需給見通しというのは、これはいかにも机上の空論で、それだったら、足りないと言っているわけですから、つまりなぜやめるのかまず質問をいたします。なぜこれだけ多くの看護婦さんがやめるのか。そして、これだけ足りない数字を、やめた看護婦さんがまた就職するだろうという、そういう架空の数字で補てんしている。
 今、看護婦さんの学校は非常に受験が大変多いんです。新聞等でも続々と出ておりますけれども、新聞を見ますと、学校に入れない、「「狭き門」白衣の天使」と、こうありまして、看護婦さんの学校に入るのに予備校ができているのが今の現状です。私の教えていた学校も数学の試験が入学試験にあります。なぜ看護婦さんの試験に数学なんかをつけるのかというと、落とすためにつけるんだというのが現状です。ですから、この表を今ごらんになっていて、看護婦さんの現実の学生数をふやすことが一番見通しとして需給の一〇〇%に近くなるんですけれども、大臣はいかがお考えですか。
#223
○国務大臣(保利耕輔君) ただいま引用させていただきました「看護職員需給見通し」等につきましては、数字の問題でございますから、できれば政府委員から御答弁をさせたいと思いますけれども、この表を見る限りにおきましては、おやめになっていく方よりも新卒就業者数の方が多い形になっておりますので、実際は供給の方が多くなっていくというふうに見られるわけでございます。
 しかしながら、先生が実際の御経験からおっしゃっていることでございますので、そこら辺のつじつま合わせはしっかりやらなきゃいけないと思いますから、政府委員から御答弁をさせます。
#224
○政府委員(坂元弘直君) 需給見通しそのものの根拠、それからなぜやめるかというような問題は厚生省の所管でございますので、後ほど厚生省の方からお答えがあると思いますけれども、先ほど先生が、もう少し学校をふやすべきじゃないかという御指摘でございます。
 この点につきましては、従来私どもも専ら大学の医学部の附属の専修学校で看護婦養成を行ってきたわけでございますが、昭和四十二年度から、先ほど先生が御指摘になりましたように、これからの医療に対応するためには、幅広い知識と高度の技術をともに有する者の養成が必要だという観点から、既設の専修学校を逐次短期大学に改組して今日まで来ております。今日まで二十二の国立大学の専修学校を短期大学に改組しておりまして、国立大学で専修学校のまま持っておるところというのは岐阜大学と広島大学の二つだけでございます。これにつきましても、もう早急に私どもは短期大学なりあるいは学部に切りかえるという方向で現在検討を進めております。
 それから、学部レベルにつきましても、先ほど申し上げましたような数字でございますけれども、とりあえず専修学校を短期大学に切りかえるという、そういう作業が終わりましたら、学部レベルの看護婦の養成につきましても、社会的要請と、それからあとは個々の大学の検討も必要でございますので、個々の大学の検討状況を勘案しながら適切に対処してまいりたいというふうに思っております。
 ちなみに、大学、短大の入学定員がどのぐらいふえてきたかということについて御説明申し上げますと、平成二年度で大学、短期大学の入学定員は八十一校で五千三百九十八人でございます。これが昭和五十年度ですと三十八校で入学定員二千七十人でございます。したがって、学校数で約二倍、入学定員は二・六倍に大学、短期大学は定員をふやしてきております。この間、看護婦全体の入学定員、専修学校を含めた入学定員も二万八千から三万八千と一・三倍にはなっておりますが、それに比較しますと、一・三倍に対して私どもの方では二・六倍に大学、短大の入学定員をふやしてきておりますので、先生が先ほど、これからの看護婦養成のあり方ということで御指摘になりましたそういう姿には、若干ではありますが、私どもとしても努力しているということを御理解いただきたいと思います。
#225
○笹野貞子君 時間がないので最後の質問にさせていただきますけれども、この看護婦さんの学校が遅々として学生数をふやせない原因がほかに一つあります。それはなぜかというと、高度の看護婦さんを教える先生が非常に不足しているということなんです。今実情を見ますと、看護大学はほとんど医者が兼務しております。ですから、専任の先生よりも医者の兼任の方がたくさんで、専任の先生が非常に少ないというのが現状です。お医者さんが教えるということは決して悪いことではないのですけれども、どうしても医者と看護婦という側面から授業をしてしまいます。
 そこで、先生を養成するということが大変急務です。今この看護、保健に対して大学院で博士コースを持っている大学は三つあります。東京大学の博士コース、それから聖路加大学の博士コース、北里大学がありますが、東京大学は定員が九人、聖路加が四人、北里が三人、合わせて何人になるんでしょうか、私は、こんな少ない数字でよろしいんでしょうかということを問いかけたいと思います。
 きょうは時間がありませんが、この問題は女性の職場あるいは女性の社会進出にとっては重大なことです。まして、これから高齢化社会に向けて、老人が現在で一千四百八十一万九千人おります。これが二〇二〇年になると三千百八十八万人に膨らみます。こういう現状を踏まえて、看護のあり方、看護制度のあり方というのはもっと真剣に取り組まなければいけないというふうに思いますので、これは継続してまた質問させていただきます。
 きょうはこれで終わらせていただきます。
#226
○小西博行君 きょうは、地球環境というようなちょっと大きなテーマで何点かお尋ねをしたいというふうに思います。
 きのうは、予算委員会で文部大臣の方からいろいろ答弁もいただきました。何さま文部省というのは非常に大きな省だろうというふうに私は思います。四兆七千億になんなんとする予算を持って、それから大学から小学校まで、あるいはいろんな研究部門を含めますと、本当にこれは大変な行政府だなというふうに思います。それだけに、大臣も初めて文部大臣に就任されて、なかなかこれは大変だなというのが私は実感だろうと思うんです。
 それから、毎年のように予算というものが各省庁の話し合いといいましょうか折衝の中で決まっているわけですが、今の看護婦さんの数の不足の問題をとらえても、恐らくこれはもう数年前からそういうことが大体予測はされていたと思うんです。ところが具体的にそれが対応できないというところに非常に大きな問題がありはしないか。つまり、従来と同じような、予算折衝の中で少しふやしたり減らしたりというようなことは当然なされていると思うんですが、大臣がかわるということは、やっぱりそれだけに明確な個性を出していかないと、恐らく日本の行政というのはもう後手後手で、なかなかその解決にならないだろう、どなたが大臣をやっても同じような結果に終わりはしないかということを、きのうつくづく予算委員会の中でも感じさせていただいたし、それから一般の予算でも、きのういろんな議員の方が質問されておりましたが、一つ一つの本当の意味づけというものがなかなか難しい。
 そういう問題もありまして、私はそういう面を若い大臣の方から積極的に、これから先、今度後の大臣にバトンタッチするにしましても、色づけを明確にした一つの方向というものもやっぱり必要ではないかな、そのように感じまして、環境問題に入る前に、その辺の考え方といいますか感想といいましょうか、その辺をまず大臣からお伺いをしたいと思います。
#227
○国務大臣(保利耕輔君) 大変御理解ある御発言をちょうだいいたしまして、恐縮に存じております。
 確かに文部行政は、教育、学術、芸術、文化さらにスポーツと大変多岐にわたる仕事でございまして、私も実は議員歴が何年かになりますけれども、余り文教行政にタッチをしていなかっただけに、入ってみまして勉強して、大変広い分野の仕事を担当しているんだなということでびっくりいたしますと同時に、今までの認識不足について反省をいたしております。そして、その上に立って、日本の文教その他の行政についてしっかり取り組んでいかなきゃならぬということを感じました。
 ことしの予算委員会は、補正予算の御審議もいただきましたし、あるいは平成二年度の予算の御審議をただいまちょうだいをいたしております。大変毎日精力的な審議をしていただいている中で、私自身いろいろ勉強させていただきましたが、あれもやらなければならないこれもやらなければならない、全部やらなければならないということで、これは本当に大変なことだということをつくづく感じております。
 それと同時に、私が従来までタッチしてきました分野も、やはりこれはまた大事な仕事だと、文部省以外の所管でございますが。しかし私は、現在文部省のつかさどっております行政の最高責任者として、やはり日本の文部行政がきちんとした姿でとり行われるように、いろいろな政策の立案その他もございますが、やはりその裏づけとなる予算の獲得については努力をしなければならない、また先生方にも御理解をいただくようにお願いをしなければならない、そういう中でしっかり進めていかなければならないと思っております。
 パイを分け合いながら、あるいはいわゆるやりくり算段をしながらというのは、先ほども申しましたけれども、限界が来ているという感じが私はいたしておりますので、そういった面について関係省庁の理解を得るように私は一生懸命努力をしてまいりたい、このように思っております。
#228
○小西博行君 それと、私もまだ十年ぐらいでございますけれども、つくづく思うのは、大臣が一人でもって全部やられるというのはなかなか大変だと思うので、局長さんあるいは課長さんというようなそれぞれ優秀な方も大勢いらっしゃるわけですから、思い切った施策というのもその辺から十分議論して、主張すべきはされたらどうかなと思います。我々のところへ来てもらって、いろんな法案について説明してもらったり、あるいは私どもの質問に答えていろんな資料をもらって説明を受けたり、こういうことがたくさんあるわけでありますが、それではあしたからどうしたらいいの、日本の教育行政というのはこれからどうしたらいいのかというような問いに対しては、なかなか答えられない。というのは、恐らく国会のこういう場で、だれそれ課長がこう言ったぞと、こういうことを大変恐れておられるのではないか。
 そういう意味で、前向きの発言といいましょうか、これは大臣の了解を得ていないからなかなか発言できないと。それは議員の方にもそういう非があるだろうと思うんです。そういう意味で、もう少し積極的に一番詳しい担当者の方々からどんどん前向きの意見を出していただけるような形になれば、我々も非常にありがたい。先ほどのデータが出にくいというのも、その一つの問題点ではないかな、そういうように思います。
 それからもう一つ、私はきょう環境という問題について少し質問させてもらおうと思っているんですが、時代とともにやはり教育の中身というものも相当変わってくるのではないだろうか。大昔だったら、環境なんというのはほとんど言葉もなかったくらいでありますから、できる限り工場の排水は海へ捨てろというのが、私どもが実際に入社した当時の大体社長のお考え方だったという経験があります、製鉄会社出身でございますが。そのうちに、だんだんそれではいけないというようなことで、今は公害の対策というものはいろんな角度でやらなければいけない、こういうふうになっていると思うんです。
 そういう意味で、地球の環境というものが最近物すごく大きな問題になっております。前の総理もそうでございましたが、東京会議なんかで世界じゅうの学者が集まって、地球の環境をどうすべきかと。なかなか金がない国もある。したがって、基金制度を設けて、そしてそういう研究であるとか、あるいは具体的に国々を支援するというような形で、大きな基金制度を何とかしよう、経済大国日本だからもっと出しなさい、そういうような議論も昨年あたりも相当されております。
 したがって、きょう私が、例えば地球環境というものを全面的にとらえるとしたら、これは大変大きな問題でありますし、環境庁中心と申しましても、環境庁そのものの予算というものは、大臣も御存じのように大変小さいものです。もう人件費が半分です。ですから、環境庁が中心になって世界の公害といいますか、環境保全に努力しろと言ってもできるはずがない。
 そういうようなことで、総理がいろんな国を歩いたときに、思い切ってこれだけ金を出そう、例えば開発援助で三千億だという言葉がどんどん先行はしております。しかし現実に、開発援助というのはでは環境をよくするかといいますと、マレーシアのいろんな問題がございます。材木をカットして、そして雨が降りますと、その泥が全部流れる、そして川床を上げて洪水になる。こういう現象になってくるものですから、果たして開発援助の金が本当に地球の保全といいますか、そういう意味でプラスになっているのか。私はかえってそれがマイナスになっているのじゃないかと思う。
 あるいはブラジルなんかの熱帯林の伐採とかいろんな問題がございまして、地球的な規模でいきますと、これも酸素が少なくなるから困るということを世界の先進国は皆言うんですけれども、現実問題としてはなかなかその国はその国の事情がありまして、材木しか売るものはない、外貨を獲得しようと思えば材木を売ると、こういうような問題も一方ではあるんではないか。そういうようないろんな複雑な条件がありながらも、地球環境というものをこれからよくしていこうと、そういうような決議がなされて、特に先進諸国というのは、もっと積極的に金も出し知恵も出し、そして世界をリードしなきゃいけない、こういうのが今の実態だろうというふうに思います。
 そこで私は、きょうはこの環境教育の必要性という面を一、二点、提案のような形になるかもわかりませんが、お話をちょっとさせていただきたいというふうに思います。
 非常にわかりやすいんですけれども、例えば象牙とか割りばし、こういうのは最近は自然保護の立場あるいは環境保全の立場、こういうものと大変つながりがある。したがいまして、そういうものを教育の場で子供さんの時代から認識をさす必要があるんじゃないかなと私は思っております。
 それからもう一つ、大きな問題になりますと、オゾン層の破壊であるとかあるいは酸性雨、炭酸ガスによる温暖化、これは北欧まで行ってもそういう影響が出ておるということになりますから、そういうものを、従来はただ、汚物を捨てたらいかぬとか、あるいは森林伐採をしちゃいかぬというような意味で、道徳心を植えつけることによって解決ができるんじゃないかというようなことでの学校教育というものを考えておったんですけれども、それではもうなかなか難しくなってきたのではないか、そういうふうに私は思いますので、何か学校教育の中でそういう問題に対して認識をもっと深めなきゃいかぬというふうに私は思っておるんですけれども、文部大臣はどのようにお考えなんでしょうか。
#229
○国務大臣(保利耕輔君) 環境の問題については、従来社会科でありますとか理科の中でこれを取り扱って、子供たちに教えるように文部省としては努力をしておるところでございます。今後もこういった方向につきましては、十分に子供たちに教えるようにさらに努力をしていかなければならない、このように思っております。
 ただ、環境の問題について一言私から申し上げさせていただけるならば、私は、最近の環境問題の一つの側面は、文明の進化のスピードが物すごく上がってきたということに起因をしているのではないかなという感じがいたしてなりません。同時にまた、人口の増加が大変環境に対して大きな影響を与えているという感じがいたしております。
 したがいまして、これは非常に難しい問題でありますが、文明の進化の度合いのスローダウンということができるのかできないのか、そういった全世界的な問題にもかかわってくることだと思いますから、こういった問題については、関係する皆様方あるいは全国民的にと申し上げてもいいかもしれませんが、十分に論議をしていかなければならない問題ではないかなと、このように思っております。学校教育におきましては、先ほど申しましたように理科、社会科で当面はしっかり教えていくことといたします。
#230
○小西博行君 小中学校のカリキュラムの中で、こういう環境問題というのは大体どの程度触れているというのは、私データを持っているので、先ほど大臣がおっしゃったことについてまた後でお話をしてみたいというふうに思います。
 私は、昨年北欧を旅をいたしました。それから、十二月十七日から、私どもの永末前委員長について東欧諸国へ参りまして、ちょうどその行っているときに、門が開いたり、あるいはルーマニアの内戦ということが真っ最中でございました。
 そういうようなことでございましたが、スウェーデンへ行きまして、環境教育というのは一体どういうふうになっているんだというお尋ねをいたしましたら、これは一九八〇年の学習指導要領ですが、このようにうたっております。「生徒が日常経験することを出発点とし、学校は生徒に、世界が立脚する生存の問題の知識を与えなくてはならない。すべてのものはエネルギー、水、山林、高地などの地球の資源が寄与することに重点を置くことに自覚を持たなくてはならない。」、こういうように学習指導要領できちっとうたっている。これは同時に、先ほど一学級何名というお話もございましたが、スウェーデンでは大体小中学校平均で、一人の先生で六名という数字が出ておるわけです。一人の先生が六名平均一クラスで教えているということですから、かなり細かくこういう問題についてもやっているんじゃないかなと。したがって、環境問題を生存の問題と一体にしてとらえているという、しかもそれは日常の体験の中で本人自身が自覚をしていく、こういうような非常に具体的な環境教育をやっておるわけです。これは私はスウェーデンだけですが、しかし、恐らくアメリカでもそうでしょうし、ヨーロッパのいろんな国でもいろんな環境教育の仕方をしているんじゃないか。その辺の調査は文部省の方ではやっているのかどうか。どこの国でどういうことをやっているかというのがもしおわかりだったら、教えていただきたいと思います。
#231
○政府委員(菱村幸彦君) 今御指摘がありましたように、スウェーデンでは環境問題につきましては以前からかなり高い国民の意識があったようでございます。一九六九年度ころから、もう既に学校教育の中で環境問題を取り上げておりますし、ただいま先生から御指摘がありましたように、近年それが一層充実しているということでございます。
 それから、アメリカでは環境教育に関します連邦の法律がございまして、あそこは連邦でやろうと思ってもなかなかできなくて、各州を資金的に援助して推進するわけでございますが、そういう法律をつくってやっている。
 それから、イギリスでは、昨年でございますが、ナショナルカリキュラムをつくりまして、その理科の中を見ますと、この環境問題につきましてかなり取り入れております。地球における人間の影響というターゲットを決めまして、それで人間活動と廃棄物の関係とか汚染の関係とか水の問題、オゾン層の問題等を指導内容に取り上げております。
 それから、西ドイツでは、あれは各州でやはり教育をやっておりますので文部大臣が各州ごとにいるわけでございますが、各州ばらばらになるというので、各州の文部大臣会議で基本的なことは決めて実施しております。その文部大臣会議の決定の中に、環境と教育というのを一九八〇年に決定しておりまして、一生懸命やっていると聞いております。
 それから、フランスでは一九八五年にカリキュラム改訂を行っておりますが、そこで、小学校では新しい教科として科学と技術という教科を置きまして、人間とその環境との関係の問題を取り扱うというようなことでございます。したがいまして、近年、七〇年代からとりわけ八〇年代にかけまして、先進主要国では環境教育の問題が大きな課題となってきているというふうに理解しております。私どもも従来からやっておりますが、今回の指導要領の改訂におきましては、その環境教育の内容を充実したつもりでおります。
#232
○小西博行君 今のカリキュラムの問題なんですが、財団法人日本環境協会が一九八三年三月に発表した環境教育についての全国調査によりますと、具体的に環境教育のカリキュラム、これをやっているところが小学校が四・六%、中学校が四・二%、高校が三・四%にすぎない、こういう結論を実は出しているわけです。何でこういうふうに環境教育が少ないのかなといろいろ考えてみましても、日本の教育というのは、小中学校、高等学校ともに大学受験のためのカリキュラム編成にどうしてもなっていると思うんですね、英、数、国、社会、理科。だから、当然その社会科とか理科の中にそういう分野があってもいいと思うんですが、非常に全体のウエートとしては少ないわけですね。だから、私はそういうものをどのように具体的に織り込んでいくのか、あるいは試験内容にそういうものを織り込めばもっと熱心にやってもらえるのか、そういうふうにちょっと思うんですよね。
 私は、きのうの話もそうですが、何か絵画につきましても、私ども自身が子供のときには、ダ・ビンチと言えばモナリザと。ルーブルへ行ってみますと、ダ・ビンチの作品というのはえらい大きいのがたくさんありまして、モナリザは小さいのが一つぽつんとある。つまり全体というか、幅広く教育は受けてないんですよね。何となく一つだけみたいに思っている。だから、モナリザが来ますと、日本の場合は大変好評ですし、そういう感じがあります。これも恐らく、大学受験のときにそういうものが果たしてどの程度受験問題で出るのかなと。非常に情けないんですけれども、そういうものから教育はすべてやられているのかなという感じがしてならないんですが、その辺の実際のカリキュラムは時間的に少ないんですね。これを、これから先はどのように地球環境という問題でお考えなのか、お答え願います。
#233
○政府委員(菱村幸彦君) ただいま先生が御指摘になりました日本環境協会の報告書は一九八三年でございますので、古い指導要領のときの教育状況だと思いますが、確かに御指摘のように、学校教育におきます環境教育の現状が弱いという指摘がされております。そこで、今回の新しい学習指導要領では、かなり充実しているわけでございますが、その詳細を述べておりますと時間を食いますので省略さしていただきます。
 いずれにしましても、これからの学校教育におきましては、環境教育の問題は重要な課題であると認識しておりまして、まず私どもの方では、全国の先生方にそれを認識していただくということが第一に重要であろうと思いまして、今年度の予算案におきましてその指導の手引の経費を計上いたしております。それによりまして指導書をつくりまして全国の先生方に配付し、また学習指導要領の趣旨徹底の講演会などをやっておりますが、その中でもこういう問題は強調していきたいというふうに考えているところでございます。
#234
○小西博行君 いろんな日本としての体制づくりというのはたくさん問題がありまして、地球の環境という大きな問題を日本も先進諸国の一員としてこれから先頑張っていくというのは、相当力が要るな、努力しなきゃいかぬなというふうに思いますが、しかし文部省の中では、今私が申し上げたように、たくさんのことは時間的にちょっと言えないんですけれども、これから先の教育という問題にそういうものをじっくりとやっぱり定着さしていく、そういうような必要性があるんではないかなと、そのように考えております。
 もう一方ではごみの処理という問題が今大きな問題になっておりまして、これもいろいろ廃棄物を捨てる業者に聞いてみますと、やっぱりこれもはっきりしてないんですね。例えば船でごみを捨てる、し尿処理だとかいうのも外洋で捨てるわけですが、岸壁の許可というのは市町村の許可にかかっている。だから、その市町村で岸壁を全然使わせないと言ったらもうおしまいと、そういうような問題も実はありまして、山形とか青森とか大変迷惑をかけていると思いますね。こういうことも実は環境汚染の一つにもなるんじゃないかと思う。
 何か非常にわかりやすい形で、自分たちがどのように努力すれば、もう少し地球環境をよくするようになるんだというようなことを、子供のときから教育の中できちっと教える必要があるんじゃないかなと、そういう感じがして、きょうは短い時間でありましたけれども、二、三点大臣にちょっとお話をさしていただいて、これから先、何年後になるか知りませんが、具体的にこういうものを十分織り込んで教育行政に生かしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらしていただきたいと思います。
#235
○国務大臣(保利耕輔君) 環境の問題について数々の貴重な御意見、御指摘をちょうだいいたしまして、大変ありがたく存じております。どんなに学校できちんと環境問題を教えましても、実社会においてきちんとした環境に対する処理がなされていなければ、子供たちに対する影響は、これはよくないのではないかと思います。例えば家庭にありましても、使い捨てでありますとか、あるいは過剰包装でありますとか、いろいろな問題があろうかと思います。こういったことを実社会の大人がきちんと反省をし、そうした施策を講じていくということが一つの大きな教育ではなかろうかと思います。学校教育において、もちろん環境問題について、先生御指摘のような観点からきちんと教育をしていくということは当然のことだと考えます。
#236
○理事(田沢智治君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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