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1990/03/29 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 外務委員会 第1号
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1990/03/29 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 外務委員会 第1号

#1
第118回国会 外務委員会 第1号
平成二年三月二十九日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  委員氏名
    委員長         山東 昭子君
    理 事         久世 公堯君
    理 事         宮澤  弘君
    理 事         田  英夫君
    理 事         中村 鋭一君
                石井 一二君
                大鷹 淑子君
                岡部 三郎君
                関口 恵造君
                鳩山威一郎君
                原 文兵衛君
                久保田真苗君
                竹村 泰子君
                堂本 暁子君
                肥田美代子君
                矢田部 理君
                太田 淳夫君
                中西 珠子君
                立木  洋君
                猪木 寛至君
    ─────────────
   委員の異動
 三月五日
    辞任         補欠選任
     石井 一二君     山岡 賢次君
 三月六日
    辞任         補欠選任
     山岡 賢次君     山本 富雄君
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     山本 富雄君     成瀬 守重君
     田  英夫君     谷畑  孝君
     堂本 暁子君     翫  正敏君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山東 昭子君
    理 事
                久世 公堯君
                宮澤  弘君
                中村 鋭一君
    委 員
                大鷹 淑子君
                岡部 三郎君
                関口 恵造君
                成瀬 守重君
                原 文兵衛君
                翫  正敏君
                久保田真苗君
                竹村 泰子君
                谷畑  孝君
                肥田美代子君
                矢田部 理君
                太田 淳夫君
                中西 珠子君
                立木  洋君
                猪木 寛至君
   国務大臣
       外 務 大 臣  中山 太郎君
   政府委員
       外務政務次官   石井 一二君
       外務大臣官房長  佐藤 嘉恭君
       外務大臣官房審
       議官       太田  博君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省中南米局
       長        瀬木 博基君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    渡辺  允君
       外務省経済局次
       長        須藤 隆也君
       外務省経済協力
       局長       木幡 昭七君
       外務省条約局長  福田  博君
       外務省国際連合
       局長       赤尾 信敏君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        辻  啓明君
   説明員
       科学技術庁原子
       力局調査国際協
       力課長      林  幸秀君
       環境庁長官官房
       国際課長     加藤 三郎君
       文部省教育助成
       局海外子女教育
       課長       坂本 幸一君
       農林水産省経済
       局国際部国際経
       済課長      蛎灰谷 操君
       農林水産省食品
       流通局砂糖類課
       長        熊澤 英昭君
       建設省建設経済
       局国際課長    都丸 徳治君
       建設省住宅局住
       宅政策課長    五十嵐健之君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の認許表)に掲げる譲許を修正し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書の締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許の変更についての欧州経済共同体との合意に関する文書の締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(山東昭子君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る五日、石井一二君が委員を辞任され、その補欠として山岡賢次君が選任されました。
 また、去る六日、山岡賢次君が委員を辞任され、その補欠として山本富雄君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(山東昭子君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、国際情勢等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(山東昭子君) この際、中山外務大臣及び石井外務政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。中山外務大臣。
#6
○国務大臣(中山太郎君) このたび外務大臣に留任いたしましたので、一言ごあいさつを申し上げ
ます。
 御承知のとおり、国際社会は今歴史的変革の時期を迎えており、欧州情勢を中心とする東西関係、国際経済等の枠組み自体に大きな変化が見られております。このような国際情勢の中にあって、我が国の平和と繁栄を確保するため、外交に課せられた責任は極めて大きいと考えております。
 また、諸外国の我が国に対する期待と関心はいよいよ高まっており、我が国といたしましてもみずからの経済力、技術力、経験を生かしつつ、世界の平和と繁栄のために積極的に貢献をしてまいる所存でございます。
 このような認識のもと、私といたしましては今後とも海部総理大臣のもとで、これまでの日本の外交の成果を継承し、これをさらに発展させてまいる決意でございます。
 委員会に御出席の先生方は、多年にわたり外交問題に真摯に取り組んでこられた方々でございまして、どうぞ今後とも御指導のほどをお願い申し上げまして、就任のごあいさつにさせていただきます。
#7
○委員長(山東昭子君) 次に、石井外務政務次官。
#8
○政府委員(石井一二君) このたび外務政務次官に就任いたしました石井一二でございます。
 中山大臣を補佐いたしまして、微力ではありますが、職務を全うするため全力を傾ける所存であります。激動する国際情勢に対応しつつ、日本、そして世界の平和と繁栄を確保するため、積極的な外交に取り組んでいきたいと考えております。
 本委員会、諸先生方の御鞭撻と御協力をお願い申し上げまして、私の就任のごあいさつとさせていただきます。
 ありがとうございます。
    ─────────────
#9
○委員長(山東昭子君) 関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許の変更についての欧州経済共同体との合意に関する文書の締結について承認を求めるの件、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、以上三件を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。中山外務大臣。
#10
○国務大臣(中山太郎君) ただいま議題となりました関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書の締結について承認を求めるの件及び関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許の変更についての欧州経済共同体との合意に関する文書の締結について承認を求めるの件の二件につきまして、提案理由を御説明申し上げます。この二件は、それぞれ別個の案件でありますが、経緯上も内容的にも互いに密接な関係にありますので、まとめて御説明いたします。
 我が国は、ガット理事会の勧告を受けて、一定の農産物に係る輸入割り当て制度の多くを撤廃することとしております。このうち砂糖を主成分とする調製食料品につきましては、輸入割り当て制度を撤廃すると同時に、砂糖の類似品が低関税率で輸入されることにより国内の砂糖価格の安定に対して影響を及ぼすことを防止するため、当該調製食料品の一部分について譲許税率を引き上げることとし、このため、アメリカ合衆国及び欧州経済共同体とそれぞれ交渉を行ってまいりました結果、本年二月に合意に達しました。
 これらの文書は、当該調製食料品のうち砂糖の類似品について譲許税率を三五%から一キログラムにつき九十円に引き上げること及び砂糖の類似品以外のものの一部分について譲許税率を三五%から三〇%に引き下げることを規定しております。
 これらの文書は、国会の御承認を得た後、政府がガット事務局長ほ対して行う通告によって効力を生じ、実施されることとなっております。
 よって、ここに、これらの文書について御承認を求める次第であります。以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の概要について御説明いたします。
 改正の第一は、在外公館の設置についてであります。今回新たに設置しようとするのは大使館一、総領事館一の計二館であります。大使館は、南部アフリカにあるナミビア共和国に設置するものであり、ナミビアの近隣国に駐在する我が方大使をして兼轄させるものであります。総領事館は、英国のエジンバラに設置するものであります。英国北部において、我が国企業の進出が増大しており、在留邦人保護体制の強化を図るとともに、対英外交を一層強化するとの見地から設置するものであります。
 改正の第二は、最近の為替相場の変動等にかんがみ、既設在外公館の職員の在勤基本手当の基準額を全面的に改定するものであります。本改定は在外職員の生活に直接関係することであり、四月一日から実施する必要があります。このため年度内の法律改正が必要であります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#11
○委員長(山東昭子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#12
○竹村泰子君 今回のこの譲許表の改定ですけれども、これは、我が国の農産物、いわゆるガットに提訴されております十二品目、これを契機とすると思いますけれども、その交渉経過、合意文書に即した経緯などを少し伺いたいと思いますが。
#13
○政府委員(須藤隆也君) お答え申し上げます。
 今回御審議いただいております砂糖調製品、特に砂糖類似品の関税引き上げに関する経緯でございますが、御指摘のとおり、本件はいわゆる農産物十二品目の交渉の一部でございまして、いわゆるこの農産物十二品目の問題というのは、昭和五十八年の七月に、米国が、我が国の砂糖調製品を含む農産物輸入割り当て制度についてのガット上の二国間協議を求めてきたことに始まっております。
 その後、昭和六十一年七月のガット理事会におきまして、アメリカ側はこの農産物十二品目に関するパネルの設置を要請いたしまして、その年の十月にパネルの設置が決定されるに至ったわけでございます。その後、パネルは昭和六十二年に三回ほど会合いたしまして、昭和六十三年の二月のガット理事会におきましてパネルの報告書が採択されたわけでございます。
 そのパネルの報告書におきまして、十二品目のうち十品目については、ガットで一般的に制限しております数量制限の一般的廃止義務に反するという報告がなされまして、残りの二品目、雑豆と落花生でございますが、それにつきましては、輸入制限の一般的禁止の例外には当たるものの、ガット上規定された条件を満たしていないということで、いわば灰色の裁定が出たわけでございまして、この今回御審議いただいております砂糖を主成分といたします食料調製品につきましては、クロの判決が出た十品目の一部でございます。
#14
○竹村泰子君 大変長い名前の法律でして、ちょっと見ただけでは何のことやらさっぱりわからないと思うんですけれども、譲許税率というのはどういう性格なんでしょうか。例えば、譲許というのは、一定の線を決めたら常にそれから後は譲らなきゃならない、引き下げられなくちゃならな
い、そういう意味を持っているんでしょうか、どうでしょうか。
#15
○政府委員(須藤隆也君) 譲許税率と申しますのは、関税及び貿易に関する一般協定、いわゆるガットの第二条に規定されている譲許表に基づいて使われている言葉でございますが、関税交渉各国、関心国がお互いに二国間あるいは多国間で特定の産品の関税の交渉をするわけでございますが、その関税交渉の結果、各国について設定される最高の関税率のことを呼んでおります。これを一表に整理したものが譲許表と言われておりまして、各締約国は、自分の国の譲許表に記載された産品の他のガット締約国からの輸入に対しては、そこで定められた税率を超える関税は課さない。いわば最高限度を決めたものでございまして、それ以下の関税にするということはその国の自由にできることでございます。
 それから、一度譲許税率として譲許表に載りました関税率を引き上げようとする場合には、別途ガットの二十八条に規定がございまして、その二十八条の規定に従って一定の手続がございますが、特に関税を引き上げようとする場合には、その産品について特別な関心を持っている国、あるいは最初に交渉した国、そういう国とまず交渉して合意する必要があるというような手続が定められております。
#16
○竹村泰子君 そうすると、その都度品目によっていつもいつもねらって引き下げていかなければならないということではないわけですね。
 さっきちょっとお触れになりましたけれども、今回の対象になっています砂糖及び加糖製品と申しますか、それ以外の十一品目については今回どのような処理がされるんですか。
#17
○政府委員(須藤隆也君) 砂糖以外の十一品目につきましては、我が国は、ガットの理事会の勧告を受けましてから、ガットに訴えました米国との間でいろいろ協議を行ってきたわけでございますが、その協議の成果を踏まえまして昭和六十三年の七月及び八月に一連の市場開放措置について決定を行いまして、閣議の御承認もいただいて予定どおり実施してきております。
 具体的に申しますと、まず今回御審議をいただいております砂糖を主成分といたします調製食料品のほかに、プロセスチーズ、それからブドウ糖及びブドウ糖水等、それからフルーツピューレ及びペースト、パイナップルの調製品等、それから非かんきつ果汁、トマトジュース等並びに牛肉の調製品、そういうものにつきましては、本年四月一日までの間に逐次輸入割り当て制度を廃止しております。さらに、アイスクリーム、フローズンョーグルト等の乳製品の一部並びに雑豆の一部でありますひら豆及びひよこ豆につきましては、本年四月一日までの間に輸入割り当て制度を逐次廃止しておりまして、一部分は輸入割り当て枠の増大等によりまして輸入参入機会の増大を図っております。落花生につきましては平成二年度まで輸入参入機会を増大させるということにしておりまして、それからでん粉等につきましては、平成二年度までの間に一定水準以上の輸入割り当て数量の維持をしております。
 以上のような措置をとることによりまして、ガット違反とされました十品目のうちでん粉等及び乳製品を除く八品目につきましては、ガットとの整合性を回復する措置をとることとしておりまして、残りのでん粉等、乳製品につきましては輸入割り当て制度の撤廃は予定してはいませんが、この点につきましては本件をガットに訴えました米国の理解は得ております。
 以上でございます。
#18
○竹村泰子君 この譲許の修正、撤回の手続は、ガット二十八条で締約国がそれぞれ原交渉国及び主要供給国と交渉しているわけですけれども、今回の対象品目についてはその原交渉国でありますアメリカとだけ交渉すればよかったので、輸入実績のないEECとは交渉する必要はなかったのではないかと思うんですけれども、このEECとの交渉は、ガットのどの条項に基づくものなんでしょうか。
#19
○政府委員(須藤隆也君) 御指摘の点につきましては、確かに日本国政府といたしましてはガット第二十八条に定める交渉権を有するのはアメリカだけであるという立場をとっておりまして、アメリカと交渉をしてきたわけでございますが、他方EECからは、EECも関心がありということで、交渉の申し入れがあったわけでございますが、BBCにつきましては先生御指摘のとおり、今回関税を引き上げようとしております砂糖の類似品については過去の貿易実績がないわけでございまして、そういうことも理由といたしましてガット二十八条に基づく交渉権を認めることは適当でないという主張をしてきたわけでございます。
 これに対しましてEECの方は、当該品目すなわち砂糖の類似品の実績がないのは日本が輸入割り当てをしてきたからであって、それが取っ払われれば輸入実績はあるはずだというような点も含めまして、この砂糖調製品全体に対しては主要な供給国であるという立場を述べまして、二十八条に基づく交渉権があるという主張をしてきてまいりました。
 そういうことで双方の主張が折り合わなかったわけでございますが、ガットの規定上、譲許を引き上げる品目について貿易実績が存在しない場合どうするかということについては確立したルールが明記されておりませんで、我が国とEECとの主張は平行線をたどってきていたわけでございます。このまま我が国がEECの主張を無視してアメリカとだけ交渉してEECとの間を紛争状態のままにおきますと、一つには二十八条の三項というのがございまして、ある国が他の国の同意を得ないままに関税を引き上げた場合には、その国が対抗措置をとれるというような規定がございまして、EECとしては日本側と了解ができない場合には、対抗措置として日本側の監視品目の関税を一方的に引き上げるというようなことをする可能性もなきにしもあらずということが考えられますので、我が国といたしましては、EECとの間にそのような紛争の種を将来に残すことは適当ではないという判断がございまして、EECとの間でも調整を行っておいた方がいいんじゃないかという考慮に基づきまして今回EECとの合意文書を作成したわけでございます。
 このEECとの合意文書によりまして、二十八条に基づく交渉ではないわけでございますが、二十八条の交渉の枠外で譲許税率の引き上げについてEECの了解を得るということが今回の合意文書によってできるわけでございまして、それによって将来の紛争の種をなくすという効果があるわけでございます。
    ─────────────
#20
○委員長(山東昭子君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、堂本暁子君、田英夫君が委員を辞任され、その補欠として翫正敏君、谷畑孝君が選任されました。
    ─────────────
#21
○竹村泰子君 大臣とそれから農水省の方にお伺いしたいと思うんですけれども、今回の処置を講じなかった場合、我が国にはどんな影響が予想されるんでしょうか。
#22
○説明員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。
 先生御承知のとおり、私ども、国内産糖そしてその原料でありますてん菜、サトウキビの安定的な生産をこれまで確保してまいったわけでございますけれども、生産の確保に当たりましては、砂糖の価格安定等に関する法律というのがございまして、私ども糖価安定法あるいは糖価安定制度と呼んでおりますが、そうした糖価安定制度のもとで国内産糖とその原料でありますてん菜及びサトウキビの安定的な生産を確保してきているわけでございます。その糟価安定制度のもとで私ども輸入される砂糖に関税を課しております。さらに、糟価安定制度のもとで蚕糸砂糖類価格安定事業団への売買を通じまして調整金を徴収しております。そういったことを通じて輸入される砂糖と割
高な国内産糖との価格調整を図っておりますが、そういったメカニズムのもとでは、国内の砂糖の価格が外国に比べてやや割高になるということも否めない事実であります。
 他方、今回自由化されますいわゆるその他の加糖調製品でございますが、現在御審議をお願いしております関税の引き上げ措置を講じないといたしますと、砂糖を主成分とする食料調製品の中で極めて砂糖に近いものが安い価格で国内に輸入されるという事態が容易に想定されるわけであります。そうした加糖調製品が大量に国内に輸入されますと、国内の砂糖の価格に大きな影響を生ずることになります。そうした事態は、ひいては国内産糖あるいはその原料でありますてん菜とかサトウキビの生産農家にとりまして大変大きな打撃を生ずるということになります。
 したがいまして、私どもは糖価安定制度の機能あるいは効果を担保する上で、ぜひともこうした事態を防ぐためにも今回お願しているような措置、御審議いただいているような措置が必要であると考えております。
#23
○竹村泰子君 大臣、お伺いいたしますが、今お答えがありましたとおり砂糖生産農家というのは七万三千戸ぐらい、これはほとんど沖縄及び北海道に集中しているわけですね。私は北海道ですけれども、安い砂糖が大量に輸入されますと今の糖価の安定が非常に保たれなくなり、生産者が打撃を受けるわけですけれども、こういうふうに地域的に影響が集中することも考えられますので、今後ぜひやはりこういったしっかりとした生産者を、そして消費者をも守るようなそういう対策をとっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#24
○国務大臣(中山太郎君) 今先生から御指摘の点は、サトウキビをつくっている生産農家及びてん菜糖をつくっている農家の生活にも重大な影響を与えるものでございますから、政府といたしましても今後ともこのような生産者の立場を考えて十分な対策を立てていきたい、このように考えております。
#25
○竹村泰子君 国の対外政策と申しますか、工業製品を売り込むために農畜産物の輸入枠を広げていくというその交渉過程に生産者たちは非常に不安と不満を抱いているわけでございまして、そこのところをやはり言うべきときにははっきりとした態度をとっていただきたい、そういうふうに思います。
 ちょっと時間の関係で少し質問を残しますが、次に移りたいと思います。
 東チモールの問題なんですけれども、一九七五年にポルトガルから独立いたしまして、このときに六万人の東チモール人が殺されたというようなことがある過程の中で、それは隣国インドネシアの軍事侵略を受けたわけですけれども、それ以来戦闘、飢餓、疾病などで二十万人ぐらいの人が死んでいると伝えられております。これは当時の人口の三分の一です。大臣はこの事実を御存じでしょうか。
#26
○国務大臣(中山太郎君) 関係者から報告を受けております。
#27
○竹村泰子君 一九七六年にインドネシアは東チモール併合を宣言したわけです。以来、現在でも常時一万五千人の軍隊を駐留させております。国連は侵攻直後から非植民地化委員会、国連総会あるいは国連安全保障理事会でインドネシアの武力侵攻を非難し東チモール人の自決権を支持する、こういう方針あるいは決議を八回にわたって採択してまいりました。これはよく御存じだと思います。日本政府はインドネシアの東チモール併合を認めますか。どうですか。
#28
○政府委員(谷野作太郎君) お答え申し上げます。
 この点につきましては、先生既に御存じのことであろうかと思いますが、お尋ねの問題につきましての日本政府の立場は、国連事務総長の仲介によりまして現在このインドネシアによる併合を認めるか否かという問題につきまして引き続き関係当事者間で話し合いが続いておるわけでございますので、そのような話し合いを静かに見守っていきたいということでございます。
#29
○竹村泰子君 これまで国会で何人かの議員が東チモールの問題を取り上げてまいりました。社会党委員長の土井たか子さんも質問のほかに二度にわたる質問主意書を歴代外務大臣に出しておりますけれども、今お答えがあったとおり、いつもそのせりふなんですね、静かに見守っておりますと。七五年の安全保障理事会ではインドネシアに非難の決議を日本も提案いたしましたけれども、それ以来日本はすべての決議に反対の票を投じているんですね。それが静かに見守っているということになるんでしょうか。ソ連のアフガニスタン侵攻やカンボジアの侵攻のときのようになぜ軍事介入は悪だと言ってくれないのでしょうか。大臣、いかがですか。
#30
○国務大臣(中山太郎君) ちょっと先に国連局長から。
#31
○政府委員(谷野作太郎君) 国連局長から補足的な御説明があろうかと思いますが、お尋ねのポイントが要するに東チモールの帰属につきまして日本政府の考え方はいかがなものであろうかということでありましたものですから、その点につきましてはせっかく国連事務総長の仲介によって話し合いが関係当事者間で行われておるわけでございますから、その話し合いを見守るというのが日本政府の立場であるということを申し上げたわけでございます。
#32
○政府委員(赤尾信敏君) ただいまアジア局長からお答えしましたとおりでございまして、特に追加することはございません。
#33
○国務大臣(中山太郎君) 日本政府としても、今アジア局長から御答弁申し上げましたように、当事者間の話し合いというものを国連事務総長の仲介のもとで進められている段階で、これを非難するという状況ではまだない、あくまでも国連の調整活動を支持するという形で姿勢を貫いております。
#34
○竹村泰子君 それでは、いつもこの十三年間ずっと静かに見守り続けてきたとおっしゃっているわけですけれども、少し日本との関係をお聞きしたいと思います。
 日本はインドネシアの最大貿易国であるということは、もうだれでも知っていることですけれども、非常に密接な経済関係があります。八五年、八六年ともインドネシアの輸出先の第一位は日本です。そして八七年度の輸入構成を見ますと、原油及び重油が三九・一%、液化天然ガスが三一・八%、合板が五・四%、その他木材などなど数え切れないほどの輸入があるわけですけれども、特にインドネシアからの原油輸入は日本の原油輸入総額の一〇%から一五%を占めています。よく御存じだと思いますが。
 それと同時に、日本はインドネシアへの最大投資国ですよ。直接投資認可累計額を見ますとダントツでトップです。インドネシアの産品は、日本へやってくる前に日本企業の資本投下によって設立された現地の合弁企業を通過いたしますよね。例えば住友商事が出資しているセントラルジャワ・マリンプロダクツはエビを冷凍して輸出しています。また、三井東圧化学の合弁会社アルジュナ・ウタマ・キミアは合板用接着剤を製造しています。そして、日本の合弁企業の製品はインドネシアの国内市場へ放出されています。自動車ではトヨタ、三菱、ダイハツ、スズキ、激しく首位を争っているわけですが、八七年度ではトヨタとダイハツで市場の五〇%、つまり二台に一台はこの二つの会社が押さえてしまっているわけです。インドネシア市場における日本車の占有率は約九五%です。ほとんど日本車が走っているということです。
 その他たくさんありますけれども、こういうことはもちろん御存じと思いますが、この事実をどうごらんになりますか。大臣、いかがですか。
#35
○国務大臣(中山太郎君) 日本は、御案内のように技術立国また貿易立国ということが国是でございまして、我々の国が生き続けるためには、国の外交の基本戦略として、どの国と友好関係を強化
するかということが、我々国民が生きていく一番の基本的な問題の一つではなかろうかと私は考えております。
 そういう意味で、石油に関しましても、従来サウジアラビアを中心とするアラブ湾岸諸国を中心に輸入対象国としておりましたけれども、御案内の石油ショックの当時、我々の国の備蓄は四十日に満たなかったというような事実にもかんがみまして、石油、重油等のエネルギーに関する輸入対象国を各国に分散する政策をとってまいっております。そういう意味からも、インドネシアにおける天然ガスあるいは産出される石油関係の輸入対象国として、日本としてはエネルギー源を確保するという国是にのっとって、この国に対する関係を強化しているということは事実でございます。
 また、中小企業を含めているんなメーカーが進出をしておりますけれども、これはあくまでも民間企業が進出しているという状況の中で、私どもとしたらASEAN地域の国々の国民の生活水準が上がっていくということに間接的に協力をすることによってこの地域の繁栄に貢献ができるのではなかろうか。
 こういうことで、私どもの貿易の立場で考えてまいりますと、いろんな国との関係を強化する中で、特にASEANにおきましては、タイを含むインドネシアというような国々における日本の企業の活動、ただしそれは現地の住民に大きな貢献をするものということが基本的な概念でなければならないけれども、そういう考え方に立ってこれらの国々との関係を強化しているというのが現状ではないかと考えております。
#36
○竹村泰子君 そのインドネシアが東チモールを大きく侵攻し、抑圧をし、そしてたくさんの人たちが死んでいっているという事実をどうごらんになるか私は今お聞きしているんです。
 もう少し続けたいと思いますが、対インドネシア援助国グループ(IGGI)というのがありますね。六六年九月ですか、この第一回の会合が東京で開催されました。そういった多国間による援助国グループができているわけですけれども、その中でインドネシアは日本の円借款の最大の受取国であるということも十分御存じだと思います。それから、日本の援助はそれじゃインドネシアに対してどういうふうになっているかといいますと、一九七五年から七六年、東チモール独立運動が起きてインドネシアが全面侵攻していったとき、この時期に日本の対インドネシア援助はどう動いていったんでしょうか、ちょっと簡単にお答え願えればと思います。
#37
○政府委員(谷野作太郎君) 担当の経済協力局長が参っておりませんものですから細かい数字は手元にございませんけれども、先生も御存じのとおり、いずれにいたしましても我が国の日本のインドネシアに対する経済協力と申しますのは、先ほども大臣からも御答弁がありましたように、何といいましても東南アジアでの最大の国土あるいは人口を有する、そして我が国とは伝統的な友好関係を有する国でございます。また、インドネシア自体の開発のニーズというものは大変大きなものがあるわけでございますから、東チモールの問題はありますけれども、それはそれとして、まさに仰せのように日本は伝統的にインドネシアの最大の援助国として今日まできておると思います。
#38
○竹村泰子君 それでは、こういうことをちょっと御紹介しましょう。
 七五年二月に東チモールではフレテリン(東チモール独立革命戦線)とチモール民主同盟が独立を目指した連合に入りました。このとき国営の石油会社プルタミナの経営危機が明るみに出て、スハルト政権は最大のピンチに立たされたわけですね。インドネシアでは七四年の輸出収入の五五%を石油が占めています。これは大変なことだったと思います。このプルタミナは、石油収入を担保に外国から借款や民間融資を際限なく導入したんです。このときに、七五年度中に返済期限の来るものが十一億八千七百ドルあったわけです。また、プルタミナのストウ総裁を中心とする莫大な汚職も発覚しました。そのとき日本が何をしたか。危機に立つプルタミナとスハルト政権に目いっぱいのてこ入れをしたんですよね、御存じだと思います。
 大蔵省の例外的な認可がおりて、インドネシア政府に対して一億五千万ドルの融資を行いました。サイゴン解放と同日の四月三十日、当時の通産相はジャカルタ入りし、第二次五カ年計画援助をするという名目で十七億ドルの円借款供与を約束しています。
 その他、申し上げるとたくさんあるんですけれども、液化天然ガス開発プロジェクトと円借款とか、それからアサハンアルミ製錬プロジェクトと円借款、日本とインドネシアのそういったあらゆる分野での、あらゆるステージでの深いつながりというのは、これはもう親戚以上のものだと申し上げてもいいくらいだと私は思います。よその国を援助するのはもちろんいいことだと思いますけれども、そのインドネシアの言語同断なと申しますか、まことに非情きわまりない、しかも国連で自治と独立を認められている国に対するそういった侵攻、抑圧に対して私は非常に日本の態度は責任があると思います。いかがですか、成り行きを静かに見守っておりますとか、そして何の関係もないようなそんな素知らぬ顔をしていられますか。お答えください、大臣。
#39
○政府委員(谷野作太郎君) 先ほど御答弁申し上げた点の繰り返しになりますが、静かにと申し上げましたのは、何分直接の当事者がその帰属について意見を異にしておるわけでございますから、そのような状況におきましてせっかく国連の事務総長の仲介の努力が継続しておるわけですから、その結果を静かに日本としては見守る以外になかろうではないかということを申し上げた次第でございます。それが第一点でございます。
 他方、恐らく先生のお気持ちの中にあるのは、よく報道等で散見されますいわゆる東チモールにおきます人権の問題が御心配なのだと思います。私ども外務省、政府といたしましてもこの問題については関心をおろそかにしておるわけではございません。定期的にジャカルタの大使館の館員を現地に遣わしまして状況の把握等に努めてきておるわけでございますし、近々またそのようなジャカルタからの館員による現地への出張を計画しておるわけでございます。ただ、インドネシアとて開発途上国でございますから、いわゆる西側の人権という物差しで見ますれば恐らく先生が御心配のいろんな点が出てくるのは、これはやむを得ないことでありますし、私もその点は十分理解できるわけでございます。
 それを申し上げた上であえて申し上げますと、最近の東チモールの状況といいますのは、インドネシア側のいろいろな努力によりまして、先生もあるいは御案内かと思いますけれども、例えばそれまで東チモールへの外からの人的なあるいは物的な交流の制限という状況にありましたし、外国人の同地への訪問もある種の制限を受けておりましたけれども、去年からこれらの制限を原則としてすべて撤廃いたしまして、いわばほかの州と同じ扱いをするということをインドネシアは発表いたしました。それから、お隣りのオーストラリアとは、大きな沖合いの大陸棚の開発についての協定の調印も最近なされたようでございますので、そういう状況から見まするに、御心配になっておるいろいろな人権をめぐる東チモールの状況というのは、年を追ってよい方向に向かいつつあるというのが私どもの認識でございます。
#40
○竹村泰子君 大臣、お答えないですか。――アメリカはことしの一月十七日、ジョン・モンジョ駐インドネシア大使が調査に行っておりますね。これまで日本はどんな調査をされたんでしょう
#41
○政府委員(谷野作太郎君) アメリカ大使がことしの一月に現地入りしましていろいろ現地の状況を視察したということは、私どもも報告を受けております。
 他方、日本につきましては、ただいま申し上げましたように、これまで四回ほど現地に在インドネシア大使館の館員を遣わしまして現地の状況を
つぶさに視察させてきたところでございます。また、ただいま同じような計画が近々あるということも申し上げました。
 これらの報告を総合いたしまするに、先ほど申し上げましたように、近年現地における人権をめぐる状況というのは改善されてきておる、いい方向に向かってきておるというのが私どもが現地の大使館から受けておる報告でございます。
#42
○竹村泰子君 それでは、そのときどういうことが起きたか、その事件を御存じですね。
#43
○政府委員(谷野作太郎君) そのときとおっしゃるのは、恐らくアメリカの大使が、本年の一月でございましたか、東チモールに訪問されたときの状況のことを念頭に置いておられるのかと思いますけれども……
#44
○竹村泰子君 そうです。
#45
○政府委員(谷野作太郎君) 現地でアメリカ大使を目がけてのかなりのデモがあったということ、そしてそういう状況の中でアメリカ大使は現地の住民の人とのある種の対話を持ったということの報告を受けております。
#46
○竹村泰子君 対話どころではないんです。
 私、ここに写真を持ってきておりますけれども、これ、何でしたらお回しいたしますが、「学生たちを打ちのめす機動隊」、「機動隊に打ちのめされ、山のように積み重ねられた学生たち」、人の山です。「目撃者に懇願する学生「ここで見たことを伝えて下さい」」、「大使に追いすがる学生たち」、これは一体何を物語っているとお思いになるでしょうか。
 この事件は、数人のオーストラリア人旅行者によって目撃されました。その中の一人がこの写真を撮ったわけですけれども、アメリカ大使一行が視察に行ったときに、ホテルに引き揚げた数分後、百人の学生たちが懇願をしようと思って、あるいはこの苦しさを何とかしてくれと、平和、正義、独立か死かというふうな横断幕を広げただけなんですね。そういうときにライフルで武装した兵士が横断幕を持っていた十人前後の学生たちに突入しました。彼らを銃で殴打し、捕らえました。警棒や銃の台じりでめった打ちにされ血を流した学生たちは、一カ所に積み上げられて人間の山をつくられた。一人の青年は、ぐったりとしたその体がトラックの荷台に投げ込まれる。それを見た人が注目しておりますと、乗り込んだ兵士が彼の体をけり上げたけれども何の反応もなかったと。こういったことが起きているんです。
 アメリカはもちろん遺憾の意を表明しておりますけれども、こういう事実をどうお考えになりますか。日本はそういった、さっきお述べになったような調査で十分その目的を果たしているとお思いになっていますか。
#47
○政府委員(谷野作太郎君) ただいま先生がお述べになりましたようなことが現地で――私は有権的に事件の背景なり、何名の方々が負傷されたかということを私の立場で述べるだけの材料を持っておりませんけれども、そのような、ただいま仰せのようなことと似たようなことが発生したということは現地からも報告を受けておりますし、とにかくデモ隊にかなりの負傷者が出たということのようでございますから、それ自体は非常に残念なことだと思っております。
#48
○竹村泰子君 大臣、こういった事実を、この生生しい写真をごらんいただくといいと思うんですけれども、どのようにお考えになりますか。
#49
○国務大臣(中山太郎君) 今先生からお話しのようなことが現実にあったとすれば、それはまことに遺憾なことであります。
#50
○竹村泰子君 まことに遺憾なことでございますということで済むのでしょうかと私は言いたいのですけれども、あとまだいろんなことがございます。
 例えばインドネシアが東チモールのこのフレテリンの人たちの無線装置を――日本やその他の外国にSOSを出していた無線装置をつぶしてしまったとか、そのときにフレテリンの人たちからアムネスティー・インターナショナルにこんな通信が入ってきたんですね。「アムネスティの東チモール訪問を歓迎します。東チモールへ来て調査を行ってください。」、それからフレテリンからデクエヤル国連事務総長へは、「フレテリンには和平交渉の用意があります。和平の提案について直接あなたとお話ししたいのですが。」と、そういった叫びが世界に無線で発信をされていた。これをインドネシアはぐあいが悪いのでつぶしてしまったんですよ。そういった事実とか、これも詳しく申し上げればいろいろあります。
 私は、ここでちょっとODAのことに触れたいと思いますが、このインドネシア周辺の島々にも三十七億円にわたる日本の大きなODAが行っているわけです。この間、八九年十二月の新聞ですけれども、きょう会計検査院においでいただいてないんですけれども、会計検査院の昭和六十三年度の決算検査報告は、対フィリピン援助に絡んだマルコス疑惑などをきっかけに疑問点が相次いで出てきたと報告をしておりますね。そして、ODAについて初めて指摘をしています。
 それによりますと、福祉や医療といった分野にも本格的にメスが入れられた。そして、年間一兆三千億円にも膨れ上がり使途面での不透明さが国会などでも問題になっているこのODAについて、会計検査院は、六十三年度の国や政府関係機関の浪費は約百五十一億円に上る、というふうに報告をしております。そして、私がここに持っております資料によりますと、インドネシアの地方病院への医療機材供与プロジェクトで供与された医療機材の約八〇%が、使い方がわからない、人間がいない、技術者がいない、そういうことで、三十七億円にわたる日本のODAのうちの医療機材の八割がほうりっ放しになっているという報告がございます。
 この援助は、インドネシア東部のスラウェシ島、旧セレベス島ですね、それから南スラウェシ、北スラウェシ両州と西部のスマトラ島の北スマトラ州の三つの州の計二十の地方病院にレントゲンや手術用の機材、臨床検査用機材、非常用発電装置など有償資金協力で供与するプロジェクトであったと。一九七九年八月、三十七億八千三百万円の借款契約が結ばれて、八二年、八三年に機材の搬入が行われた。そして、これらの調査に入ったある新聞社があるんですけれども、ウジュンパンダン病院、バンタイン病院、パレパレ病院の三カ所を取材したところ、おびただしい機材が一度も使われないままほうりっ放しになっていた。脳波計や心電計は木箱に入ったままであった。麻酔機や電気メスは手術室に置いてあったが未使用だった。使い方がわからない、操作する技術者がいない。
 これはほんの一例にすぎません。こういうことを、とにかく大国金持ち日本はお金を出せばいいんだと。ODAのことはまた改めてゆっくりやらなきゃいけないと思いますけれども、八割がこういうふうにして放置されているようなことを調査もせずに、初めて会計検査院がこうやって指摘をしているわけですけれども、このことについて大臣はどうお考えになりますか。
#51
○国務大臣(中山太郎君) 私もそういう事実があることを伺っております。
 問題は、このODAの中で有償資金協力の場合に、相手国からの要請主義が中心になって動いてきた事実がございます。そういう中で、どうもこの流れを見ておりますと、最先端の医療機器を請求する場合が非常に多い。そういう要請にこたえてこちらが協力をした場合に、それを使いこなすだけの人間の訓練が相手側にできていない。そういうことから、そのような最先端医療機器が放置されているという事実もあるというふうに私は聞いております。
 こういう問題は私ども外務省といたしましても重大な問題でございますから、私どもは単なる要請主義に基づかずに、むしろ積極的にそういうものが具体的に相手の人たちに有効にこちらの行為が生かされるようなシステムを今後考えなければならないと、このように考えております。
#52
○竹村泰子君 もう賢明な大臣は十分おわかりと思いますが、ODAというのはお金じゃないです
よ、建物じゃないんじゃないですか。お金を出したらそれに伴う技術も、そして指導していく力も出さなくちゃいけないんじゃないでしょうか。これはインドネシアの場合だけじゃないことはもうよく御存じのとおりです。フィリピン、マレーシア、パキスタン、エジプト、ケニア、これは会計検査院が調査に入っていますね。そして、世界じゅうのあらゆるところで大国日本はお金を出して、向こうから言われたらそのまま言いなりにはいはいと言って出して、そして八割も使われないで放置されているむだ遣い、本当にこれは何とかしなければならない切実な問題であると私は思いますので、今後御一緒にしっかり考えてまいりたいと思います。
#53
○国務大臣(中山太郎君) ただいま先生の御指摘の点は、これからのアジアあるいは発展途上国に対する医療協力等につきましても重大な問題点でございまして、私も既にそのことの重要性については十分認識しております。
 今年六月ごろをめどにJICAを主催団体としてASEAN及びアジア・太平洋地域あるいは発展途上国から医療の専門家を東京に招聘いたします。そして、現実に日本がやっていることの中で問題点がどこにあるかという現地側の専門家の意見を聞きまして、そのような批判が今後起こらないように、相手国との技術的な打ち合わせも十分できるような形でのこれからの協力体制をつくっていきたいと、こういうことで既に準備を進めておることもこの機会に申し上げておきたいと思います。
#54
○竹村泰子君 ぜひ徹底していただきたいと思います。
 それでは、ちょっとお話を国連の方に移したいと思いますけれども、国連に差別防止及び少数者保護小委員会というのがございますね。八九年の八月三十一日に東チモールの人権状況に関する決議というのを可決しております。その中では、まあいろいろありますけれども、最後の項ですが、「来るべき国連人権委員会第四六会期において、東チモールにおける人権状況と基本的自由が考察されることを要請する。」と。これはもちろん日本の代表の委員の方も入っておられますけれども、その前の項、四番目の項にも、「八九年一月以降の東チモール解放に関するインドネシア政府の新政策を評価し」というのがあるんですが、「しかしながら、より多くの逮捕、拷問、処刑が八八年末から行われているという訴えがあることを遺憾に思い」というふうに決議しております。
 これは八九年の八月に行われたんですけれども、二月に国連の差別小委員会というのが開かれましたね。これには日本の代表も出ておられると思いますけれども、このときはどんな発言をされたんでしょうか。
#55
○政府委員(赤尾信敏君) 先ほど先生から御説明のありましたとおり、昨年の八月の第四十一回差別小委員会におきまして、先ほど御説明のありましたような決議が採択されております。
 今御質問のことしの二月の委員会と言われましたのは、差別小委員会ではなくて国連の人権委員会のことかと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
#56
○竹村泰子君 ごめんなさい。間違えました。そうです。
#57
○政府委員(赤尾信敏君) 国連の人権委員会は、二月から三月の初めにかけまして六週間の会期で開かれました。ことしは四十六回の委員会でございますけれども、差別小委員会のそのような決議はありましたけれども、ことしの四十六回人権委員会の議題には、東チモールの問題は提起されておりません。議題にはのっておりません。そういうこともありまして、我が国代表といたしましては特に発言はいたしませんでした。
#58
○竹村泰子君 東チモールの問題は議題にのらなかったわけですね。
#59
○政府委員(赤尾信敏君) その四十六回人権委員会の議題にはのっておりませんでした。
#60
○竹村泰子君 そうですか。だから何も言わなかったということですね。わかりました。
 ちょっとお聞きしたいんですけれども、外務省にはもちろんたくさん世界地図があると思います。アジア局長のお部屋にも世界地図がありますか。
#61
○政府委員(谷野作太郎君) そのような御質問を賜るというふうに伺っておりましたので、けさほど見てまいりましたら、チモールのところをはっきり見てまいりましたが、境界線めいたものは記載されておりませんでした。
#62
○竹村泰子君 まだ何もお聞きしてないんですけれども。
#63
○政府委員(谷野作太郎君) そうですか。そういう御質問だったと……
#64
○竹村泰子君 その国境ラインはどういうふうになっておりますかとお聞きしようと思ったんです。
#65
○政府委員(谷野作太郎君) どうも失礼いたしました。ただいま答弁申し上げたとおりでございます。
#66
○竹村泰子君 どういうふうになっているかもう一度お答えください。
#67
○政府委員(谷野作太郎君) 大変失礼いたしました、そのことばかり考えていたものですから。
 東チモールの境界線につきましては、私の執務室にかかっておる地図には記載されておりません。
#68
○竹村泰子君 線が入っていないということですか。
#69
○政府委員(谷野作太郎君) さようでございます。
#70
○竹村泰子君 八六年十一月の衆議院の文教委員会で江田五月議員が、社会科教科書中の地図における東チモール地域の領界表示に関して質問いたしましたときに、政府は、東チモールとほかの地域との領界には未決及び紛争地域国界を引くことが適当であるとお述べになりました。これは八六年ですからもう四年前なんですけれども、それ以来まだ破線も入っていないということで、学生や生徒たちの使っている世界地図、これがどういうふうになっているかということは、その後調査されましたでしょうか。
#71
○政府委員(谷野作太郎君) 申しわけございません。調査しておるかどうかも含めて調査してみますが、私の承知する限りでは、現在市販されております世界地図なり地球儀におきましては、破線の入ったものと破線の入ってないものと、両様のものが市販されておるようでございます。
#72
○竹村泰子君 破線が入っていないとインドネシアの領土になってしまうわけですね。これは国連のたび重なる決議にも違反しているとお思いになりませんか。いかがですか。
#73
○政府委員(谷野作太郎君) 御趣旨を体していろいろと考えてみたいと思いますけれども、やはり企業の方々が出版される地図でございますから、そういう国連の決議をどの程度までどういうふうに受けとめるかという問題が基本的にあろうかと思いますけれども、考えさせていただきたいと思います。
#74
○竹村泰子君 大きな地図をたびたび毎年のように買いかえるということはとても大変なことだと思いますけれども、教科書というのは刷り直しますよね。もう四年もたっておりますのに、破線が入っているかどうか、そういう重大な問題をそのまま、これは子供たちに教えるわけですから、これはインドネシアの領土ですよと現在教えているわけです。そうでしょう。それは文部大臣にももちろんお願いしなければなりませんけれども、ぜひ外務省で率先してこのことを一度調査していただきたいと思いますが、よろしいですか。
#75
○政府委員(谷野作太郎君) 承りました。
#76
○竹村泰子君 日本は第二次世界大戦中チモール島を約三年半占領いたしました。それ以来、チモール人は日本のあり方をじっと見詰めています。特に、経済大国になり、もしかしたら軍事大国になる――もしかしたらじゃない、立派な軍事大国ではないでしょうか。かつての占領者は現在の占領者の非常に大きな、巨大なスポンサーであるわけですね。
 未来を自分の手で決定したいと、彼らは民族自決を強く望んでいるわけです。そして、こういった人権侵害がどんどんとされている現状。私たちは、インドネシア軍の東チモールからの撤退を日本の対インドネシア経済援助の条件にすること、これを日本政府に強く要求したいですが、大臣、いかがですか。
#77
○政府委員(赤尾信敏君) 私たちといたしましては、もう七五年の安全保障理事会のメンバー当時以来、事務総長の仲介努力が実現するよう各関係国に協力を求める安保理の決議の成立に向けて一生懸命努力した経緯がございますが、その後も事務総長の努力が実を結ぶよう一生懸命応援したいというふうに考えております。
#78
○国務大臣(中山太郎君) 今国連局長からも御答弁申し上げましたが、先生の御発言も極めて重要な意味も含まれています。こういうことで、私どもとしては、国連を通じてこの問題の早期の解決のために努力をしてまいるということを申し上げておきたいと思います。
#79
○竹村泰子君 今のは経済援助のことで申し上げましたが、日本の外交は、人権問題などはそっちのけで、国益優先の外交に走ってきたのではなかったでしょうか。超経済大国となった日本がこれまでどおりの外交を繰り広げていれば世界からつまはじきにされるのは――もう既にされつつあるではありませんか。平和、環境、人権というのは今国境を越えた三大テーマとなっているのではないでしょうか。
 日本政府は、東チモールの民族自決、人権の問題にしっかりと目を向けていただきたい。関係ございません、ょその国のことでございます、当事国との成り行きを静かに見守っております、などということは言わないでいただきたい。そして、背を向けることなく、これからも東チモールのこれらの人々の顔を見ていただきたい、そういう外交をしていただきたいと強くお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#80
○国務大臣(中山太郎君) 先生の御質問あるいは御意見十分承りまして、早急に在ジャカルタの日本大使館の館員をさらに近々調査に行かせることを申し上げておきます。
#81
○肥田美代子君 在外公館設置法の一部改正案について伺わせていただきます。
 私が外務委員会に所属させていただきましてはや七カ月がたちまして、その間国際情勢はもう私の想像をはるかに超えたスピードとスケールで刻一刻と変化しております。マルタでの米ソ首脳会談、その後の冷戦構造の変化、ベルリンの壁の崩壊、東欧の改革、ソ連の大統領制の導入など、どれ一つをとってみましても、まさに世界史の一行ずつが書きかえられているという思いがいたします。
 マスメディアの目覚ましい発達によって情報のはんらんしている現在ですが、世界の情勢を間違いなく把握して、その情報によって我が国を正しく導くことが外務省の任務であると私は信じておりますし、今ほど我が国の外務省がその力量を問われる時代はなかったのじゃないかという気がしております。言いかえれば、外務省は今日本の省庁の中で一番大切なポストではないか、そういう気がいたしておりますが、外務大臣の御意見を伺わせてください。
#82
○国務大臣(中山太郎君) 各省ともそれぞれ国民生活あるいは国家にとって重要なポスト、役所だと思いますけれども、外交の総攬者としては外務省が最終責任を持っているというふうに考えておりまして、外務省は非常に重要な責任のある役所であると考えております。
#83
○肥田美代子君 ところで、まだ平成二年度の予算の審議に入っていないので平成元年度の予算でお聞きいたします。
 外務省の平成元年度の予算は四千六百六十六億円、そのうちからODA予算を引いた残りの千百十四億円が外務省の本来的な予算ということになります。この金額をほかのものと比較してみますと、例えば防衛庁が購入するイージス艦が千二百億円、それから在日米軍のいわゆる思いやり予算が千四百二十三億円となり、いずれも外務省の予算はそれよりも低くなるわけです。それで、戦前のように砲艦外交ができない我が国の防衛費がGNP比一%を突破し、外交の果たす役割が極めて重要な日本の外務省の予算がGNP比〇・一%。私はこの数値がどうも腑に落ちないのですが、外務大臣はどうお考えでしょうか。
#84
○国務大臣(中山太郎君) 国を運営していく上で、防衛費あるいは外務省の予算というものはそれぞれ必要でございますけれども、他省庁と比較して外務省の予算がどうこうということではなくて、外務省が本来国民のために果たすべきその責任を執行するための人員と予算がこれで十分かどうかということの観点から申し上げますと、私は人員及び予算は極めて不十分であるということを率直に申し上げたいと思います。
#85
○肥田美代子君 昭和五十四年に外務省の定員を五千名にふやすという定員拡充計画をおつくりになられましたけれども、いまだにその計画は達成されておりません。その一方、経済協力額とか条約締結数、それから海外渡航者数など仕事量は何倍にもふえております。ところが、予算も定員も一向にふえないというわけですが、今後その定員拡充計画の見直しをなさるおつもりはございませんか。
#86
○国務大臣(中山太郎君) 定員の確保につきましては、毎年それぞれ総定員法の枠がございます。そういうことで、外務省も人員の増加につきまして要求を強くいたしておりますけれども、なかなか現在の総定員法の枠内で十分な人員を確保するということは困難な状況にあるというふうに私は判断しております。
#87
○肥田美代子君 五十四年に作成されました拡充計画の五千名に達するまでにあと恐らく七、八年かかるだろうという予想がされるのですが、例えばアメリカとかイギリスとかフランス、ソ連、そういう主要国の外務省の定員ほどのくらいでしょうか。
#88
○政府委員(佐藤嘉恭君) 諸外国の外務省との定員の比較につきましては、必ずしも数の面だけで比較できるということではないと思いますが、外務省の所掌事務も若干違う、あるいは援助の実施体制の機構を持っているか持っていないかといったような点がございます。
 いずれにいたしましても、数の面だけで比較いたしますと、アメリカとの関係では日本の定員は約四分の一、それから英国との比較におきましては約二分の一、フランス、西ドイツ、イタリア、カナダといったいわゆる主要な先進国でございますけれども、こういう国々と比較いたしましてもまだ劣っているというのが現状でございます。
#89
○肥田美代子君 私も、外務省の予算の額とか定員の数がすなわちそれが仕事のレベルに結びつくとは思わないのですが、私の日の浅い経験で申しますと、外務省というところはどうもまだ国民に十分に開かれていないという気がするんです。
 そのことは、確かに外交の秘密、そういうことが守られなければいけない場合も多かろうと思いますけれども、しかし国民の知らないところで外交がどんどん進んでいくという、そういう危険を感じますと、やっぱりこれはもう少し外務省が扉をあけて、国民に向かって何かのメッセージを送っていく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、外務大臣はどうお考えでしょうか。
#90
○国務大臣(中山太郎君) お説のとおりだと思います。
 私、大臣に就任いたしまして、国際情勢がこれだけ激動を始めたわけで予測を上回るスピードでございます。そういう中で、外務省は国内にいわゆる関係の組織というものがございません。在外公館の数でもまだ足らないぐらいでございますが、国内はもう非常に外務省の関係機関が少ない。そういう意味で、国民の皆様方に目まぐるしく変わる国際情勢をお知らせするいわゆる母体というものを構築しなければならない。
 私はそのような考え方に立ちまして、例えば青年会議所とか、あるいは全国の姉妹都市の首長さ
ん方あるいは名誉総領事をやっておられる方々、こういう方々に積極的に接触をして、昨年だけでもこの方々の組織に対して三回お集まりをいただいて、これから外交は即内政である、内政即外交である、こういう言葉でお話をしておりまして、ぜひひとつそのような国内の国民に御支持をいただけるような外交を展開できるための組織といいますか、そういうものをぜひこれから、国会ではもちろん政府は答弁をいたして国民の代表の皆様方にお話を申し上げておりますけれども、そういう直接国民にも呼びかける組織というものを強化してまいりたい、このように考えております。
#91
○肥田美代子君 もう一つ外務省について伺いたいのですが、私今度初めて外務省の中にキャリアとノンキャリアという言葉があるのを知ったのですけれども、外交官にパスされたキャリア組とそれからノンキャリア組というのが厳然としてあるということが、少なくとも外務省の中で一つのある既成事実になっております。そして、私なんかの感覚からしますと、ノンキャリアの方はどこか冷遇されていらっしゃるんじゃないか。せっかく人材も確かな方でそして知識もあって、そういう方がどこか、例えば管理職になられる時期もキャリアの方よりも遅いとか、そういうことがあるように聞いているのですが、管理職手当をもらわれているノンキャリアの数というのはわかりますでしょうか。
#92
○政府委員(佐藤嘉恭君) ただいま先生の御指摘になりました外務省の中の組織の問題でございますが、キャリアとノンキャリアというお言葉がございました。私ども省内で決してそういう言葉を使って組織を運営しているということではない、この点はぜひ御理解をいただきたいと思うのであります。いずれの組織におきましても、組織の活力をどうやって維持していくか、あるいは強化していくかということは重大な運営上の問題だと思います。
 これは単に外務省に限らない問題だと思っておりますが、私ども外務省といたしましては、外交基盤を強化するということが日々の仕事でございますし、そのために優秀な人材を適材適所に配置していく、あるいは優秀な人材を確保していくということが我々の組織を――今申し上げました外交実施体制、外交基盤というものを強化していく上でも非常に重要じゃないかというふうにまず思うわけでございます。上級試験合格者以外の方々につきましても有能な人材を確保することはもちろんでございますし、入省後、積極的に枢要なポストに抜てきしていくということも省としても考えてやってまいっておるわけでございます。
 具体的に若干申し上げますと、昭和五十年度以降、私ども登用制度と申しておりますけれども、これを実施いたしております。これは外務省独自の措置でございますけれども、五十年度以来十四年間に上級職に登用された方々が約三十名、それから中級職にさらに登用された方が九十三名と、計百二十三名に上っております。また、人材を確保していく上では採用の際の確保はもちろんでございますけれども、省の中にあっても十分研修を積み、外交官としての素養を身につけていかなければならないという要請がございます。そういう点につきましても私どもとしては省員の研修に万般用意をいたしてまいっておるということを御報告申し上げておきたいと思います。
#93
○肥田美代子君 参考までにお伺いしますが、ノンキャリアとそれからキャリアの方の管理職手当をもらわれる平均年齢の差はどのぐらいございますか。
#94
○政府委員(佐藤嘉恭君) 最後の御質問の点を失念いたしまして失礼いたしました。
 管理職手当をもらっているいわゆる上級職以外の者でございますが、本省でございますけれども、全体で六十四名ということになっております。これは全管理職が百九十八名でございますが、全体の三二%の方々が管理職手当を支給されているということでございます。
 年齢についてはちょっと手元に資料がございませんので、後ほど御報告をさせていただきたいと思います。
#95
○肥田美代子君 私がどうしてこういうことを伺ったかと申しますと、たった七カ月の本当にささやかな経験からなんですけれども、やっぱり外務省というところは頭のやわらかさと、それからすごくいいセンスが要求されるところだと思うんです。外交ということの基本的な理念というのは人間愛だと思いますし、そういうためにもまず外務省の中からどんどんと温かい血が流れてほしいなと思うからなんです。
 こういうことは外務大臣のお立場で本当に難しいと思いますけれども、キャリアとノンキャリアの差がどんどんなくなって、それで外務省が本当に何か人間らしい、もっともっと人間らしい顔をした省庁にしていただけたらなと思うんです。今人間らしくないと言っているんじゃなくて、外交というのはそういうものじゃないかなという気がするんですが、大臣、いかがでございましょうか。
#96
○国務大臣(中山太郎君) 外務省の機構というものは長い一つの伝統の中で生き続けているわけでございますが、やはりノンキャリアの方々でも有能な方は、今官房長が御説明いたしましたように、どんどん上へ上げるという考え方で現在進んでおりますから、これからもそのような傾向が続いていくものと考えております。
#97
○肥田美代子君 安心いたしましたので、次の質問に移らせていただきます。
 去る三月二十一日にアフリカ大陸の最後に残った植民地ナミビアが十七世紀以来続いた白人支配に終止符を打ち、独立したわけです。このことは既にテレビや新聞で報道されて、無名の黒人たちのあふれんばかりの笑顔に世界じゅうの人々が本当に心を震わせられたと思います。それはもう人間の原点にとって当然のことなのですが、その喜びを私は中山大臣に向こうで肌で感じていただきたかった。もちろん国会がございましたし、いろんな条件もありましたでしょうが、やっぱり中山外務大臣にあそこに行っていただきたかった。その残念な思いは今も変わらないんですけれども、そのことについて大臣のお気持ちを伺わせてください。
#98
○国務大臣(中山太郎君) 先生おっしゃるように、ナミビアの独立式典というものは極めて人種解放で印象的な式典でございますし、世界じゅうが注目していた式典でございます。そういう国民の喜びの姿に触れるということは外務大臣としても心得るべきことだと思いますけれども、何がさて外務省はこの国会に法律案と条約案件をお願いしておりまして、所管大臣が国会中に国会から離れるということは国会の御同意がなかなか得られないという状況下でございまして、日切れ法案を抱えておりますから法案が上げられない、主務大臣がいなかったら法案の審議に入れない、こういうふうな御批判を恐れまして実はこの出張をあきらめたわけでございます。
 そういうことで、この機会に申し上げさせていただくと、これからの国際外交は毎月というほど国際会議がいろんなところでございます。ところが、国会の御承認がなければ動けないという一つの基礎的事実がございますから、できるだけ野党の先生方にもお願いをさせていただいて、激しく動く国際政治の中で外務大臣がずっと国会中は国内にいなければならないというふうなことでは日本の外交の責任がなかなか果たせない、こういう事情にもございますので、どうぞひとつこの機会に改めて御了解を願っておきたいと思います。
#99
○肥田美代子君 このことに関しまして外務大臣は、行きたいということを国会の方に申告されましたでしょうか。
#100
○国務大臣(中山太郎君) 法案を抱えている官房長がおりまして、この官房長が、法案を上げないで日切れ法案を逃がした場合、大変なことになるということで役所としては法案成立に全力を挙げております。
 そういうことで、外国の場合は閣外大臣というのがおりまして、そういう人たちが海外の国際会議にも出たりしていわゆる外交の落ちがないよう
にやっておりますけれども、なかなか日本の場合そういうわけにまいりません。政務次官も農水省、大蔵省、通産省には二人ずつ配置をされておりますけれども、外務省はこのようなときにでもまだ一人でございますから、これからそういうこともお願いしないといかぬと思っておりますが、ぜひひとつ与野党の先生方の御理解をいただいて、日本の外交を進める上で外務大臣が出なければならない会議に行けば、例えばソ連のシェワルナゼ外務大臣も来ておられた、あるいはアメリカのベーカー長官も来ておられた。ゆうべ実は中国の大使とお目にかかりましたが、銭其シン外相とお目にかかられましたかというような話がありまして、やはりそういう会合に行くと各国から首脳が来ておりますから、そこでいろんな各国、二国間の協議もできる便宜がございます。
 そういうことで、ぜひひとつ今後は御理解を賜って、日本外交がその実を上げられるように御協力をぜひこの機会にお願い申し上げておきたいと思います。
#101
○肥田美代子君 本当に残念に思いますが、ひょっとしたら物わかりのいい野党が今回は大臣をお送りしたんじゃないかと思うんですけれども、もう過ぎたことですので。
 次の質問に移らせていただきます。
 ナミビアの独立は国連の地域紛争解決の努力、それから平和維持活動の重要な成果の一つであると私も思います。しかし、一方ナミビアは保育器に入ったばかりの未熟児とも言える新しい個体だと思うんです。ですから、未熟児というのはちょっと言葉が過ぎるかもしれませんけれども、その赤ん坊に一度にいろんなものを食べさせるということはよくないわけです。それに成長にもよくないわけです。じっくりと焦らず、この国の指導者たち自身が新しい国づくりを考えていくことが最も必要だと思うんですけれども、大臣はこのナミビアに対してどういう接し方を考えておられますでしょうか。
#102
○国務大臣(中山太郎君) せっかく熱い国民の願望の中で独立をした国家でございます。要請があれば、この国に対して経済ミッション、調査団を派遣する考えでおります。相手国政府との協議の上で、日本として協力できる面があれば協力していかなければならない、人づくりも含めてでございます。
#103
○肥田美代子君 そこでお聞きしたいんですけれども、一九七四年、国連ナミビア理事会がナミビア天然資源の保護に関する布告第一号を制定いたしましたが、そのときにナミビアのあらゆる天然資源の開発、それから売却、使用の一切が禁止されています。ナミビアが独立いたしましたらこの布告ほどのように扱われることになるでしょうか。
#104
○政府委員(赤尾信敏君) 今先生の申されましたナミビア天然資源に関するナミビア理事会の布告につきましては、ナミビアの独立とともに失効したというふうに私たちは思っております。
#105
○肥田美代子君 その布告に関連いたしましてお尋ねするのですが、昭和四十九年十二月十九日、衆議院の予算委員会で我が党の岡田春夫委員が、ナミビアのウラン鉱石を八千二百トン購入する計画について質問いたしております。そのやりとりの中で、先ほどお尋ねした布告との関係で、ナミビアからのウラン鉱石の購入は布告に従って今後処理する、すなわち購入しないと当時の三木総理がお答えになっていらっしゃいます。その後、昭和六十三年四月十三日、衆議院の外務委員会で、同じく我が党の岩垂委員のナミビアからウランを購入しているかどうかの質問に、ナミビアからはウランを購入している事実はないと答弁しておられます。そうなりますと、これはこのまま今の状況で続いていると考えてよろしいんでしょうか。
#106
○政府委員(赤尾信敏君) 私たちといたしましては、ナミビア理事会の布告の政治的な意味というのを十分理解しておりまして、それの周知徹底を図るべく外務省から通産省にお願いいたしまして、当時は通産省の広報ですとかジェトロの「通商弘報」にこれを掲載した経緯がありますし、その後も政府といたしましては、この布告が遵守されるように非常に注意を持って監視してきたところであります。その結果、私たちの承知しておりますところでは、ナミビアからのウラン鉱石の輸入はございません。
 他方、今申しましたように、ナミビアの独立とともにこの布告は失効いたしますので、これが失効したということを今度国民の皆さんに周知する必要があるんじゃないかというふうに思われますので、どのように周知するかということにつきまして今検討しているところでございます。
#107
○肥田美代子君 そういたしますと、今後ナミビアからウランは大手を振って購入できるということですね。
#108
○政府委員(赤尾信敏君) そのように解釈しております。
#109
○肥田美代子君 アパルトヘイトの政策を続ける南アフリカの共和国への制裁の一環として、ナミビアに対する経済的制裁措置は、独立国となった今当然解除すべきものだと思うんですが、アメリカのブッシュ大統領もナミビアに対する経済制裁措置を解除すると声明を発表されましたけれども、日本の態度はどうなんでしょうか。
#110
○政府委員(渡辺允君) ナミビアにつきましては、先生御指摘のとおり三月三十一日独立をいたしまして、新しい独立国として出発をいたしました。したがいまして、先ほど大臣から御答弁のございましたような経済、技術協力を通じての援助もございますし、あるいはまたナミビアの持っております天然資源の活用によるナミビア経済の活性化という方向での協力の仕方もあると思いますので、そういう方向で処置をするつもりにいたしております。
#111
○肥田美代子君 そうしますと、解除されるという発表はいつされましたでしょうか。
#112
○政府委員(渡辺允君) 実は、布告自体は三月二十一日で解除されましたので、法律的な意味ではもう既に国際的な意味での制約はございません。これを国内的にどういたしますか、若干事務的なことがございますので現在検討いたしております。なるべく早期に必要な措置をとりたいというふうに考えております。
#113
○肥田美代子君 ちょっと今私聞き漏らしたかもしれませんけれども、アメリカのブッシュ大統領はそのことについて声明を発表しましたが、日本ではもう自然にそういうふうになるというお考えで、声明とかを発表されることはないんですか。
#114
○政府委員(渡辺允君) 私アメリカの法制度を必ずしもつまびらかにいたしませんけれども、それぞれの国がナミビアの国連の布告に従いましてどういう法的な措置を国内的にとったかということとも解除の手続は関係をしてくるというふうに考えております。したがいまして私ども、先ほど国連局長より御答弁申し上げましたように、布告についていわば国内的に周知徹底する措置をとっておりますので、恐らく今度はその布告が解除になったということを周知徹底する措置をするということになるのではないかと思いますけれども、ちょっとその辺現在事務的に詰めておるところでございますので、できるだけ早くとにかく必要な措置をとることにしたいと思っております。
#115
○肥田美代子君 ナミビアという国が南アフリカ第五の州と言われ、輸入の七五%を南アフリカに頼っておりますし、多数の財政援助で運営されてきておりますけれども、独立後の援助がなくなりますと二億ドルの財政赤字が出ると言われていますが、例えば日本では、先日渡辺中近東アフリカ局長がなるべく早く経済協力調査団を送ると語っていらっしゃったようですが、調査団を送る計画はもう煮詰まりましたでしょうか。
#116
○政府委員(渡辺允君) 今先生の御指摘をいただきましたとおり、私どもなるべく早く調査団を出したいと思っております。
 実は、今のところまだはっきりいつという時期までは決めておりませんけれども、部内で相談をいたしまして、できるだけ早い機会にということで考えております。
#117
○肥田美代子君 大体いつごろとお考えなんでし
ょうか。
#118
○政府委員(渡辺允君) 人のやりくりとかいろいろございますけれども、例えば二、三カ月のうちにはというぐらいのことで考えたいと思っております。
 実は、六月に国連の主催するナミビア援助に関する国際的な会議というものも予定されているように聞いておりますけれども、そういうようなものもにらみながら派遣の時期は決めさせていただきたいと思います。
#119
○肥田美代子君 ナミビアの大使館は、いただいた資料によりますと、国家承認を行った日以後設置するとありますが、国家承認はいつ行い、大使館はいつ設置されるんでしょうか。
#120
○政府委員(渡辺允君) ナミビアが三月二十一日に独立をいたしましたので、まず日本政府といたしましては、その日付でナミビアという新しい国家を承認をいたしました。この承認というのは、日本政府が一方的に行う意思決定でございます。その次の段取りといたしまして、やはり同じ二十一日付で外交関係の開設をいたしました。これは、ナミビア独立式典に御出席をいただいた倉成元外務大臣と先方の新しい外務大臣との間で書簡を交換いたしまして外交関係を開設いたしました。
 それから、国内的な措置といたしましては、法律的に新しくナミビアの大使館を設置する措置を今お願いいたしておるわけでございます。それで、このような措置がすべて済みましたところで理論的な意味でナミビアとの間で外交関係が開設され、それから在外公館を設置する合意ができるわけでございますけれども、実態的には、当面の間ジンバブエにございます我が方大使館からナミビアを兼轄してもらうという体制を考えております。
#121
○肥田美代子君 どうしてナミビアは兼轄になるんでしょうか。
#122
○政府委員(渡辺允君) いわゆるサハラ以南のアフリカというのは現在ナミビアが独立いたしましたので四十六カ国になりますけれども、ここに日本といたしましては十五カ国に大使館を設置しております。したがいまして、これまでの状況でも必ずしもすべての国に全部一つ一つ大使館を置いておりません。これは予算上の制約、人員上の制約等がございますので、実際にどこに大使館を置くかというのは、その相手国との関係を考えながら一つ一つ決めておるわけでございます。大使館を置いておりません残りの国につきましては、ございます大使館からそれぞれ兼轄をいたしております。したがいまして、ほとんどの場合、アフリカにあります大使館は一つの大使館からほかに二つか三つの国を兼轄しておるわけでございます。
 ナミビアの場合も、できたばかりでございますので、とりあえずの措置としてジンバブエから兼轄をするということでございますが、それでは将来アフリカのどこの国にどういうふうに大使館をつくっていくのかという問題がございまして、それを全体としてにらみながらナミビアについても今後どうするかということは考えていきたいと思っております。
#123
○肥田美代子君 そうしますと、今おっしゃいましたけれども、外務省の定員が足りないということも一つの理由であると。それからもう一つは、外交上ひょっとするとアフリカだから大して問題がないからということが兼轄の理由でもあるわけですか。
#124
○政府委員(渡辺允君) アフリカだからいいんだというようなことは私ども毛頭考えておりませんで、もしそういうなぜかという御質問がおありになるとすれば、我が国とアフリカ諸国との関係というのは、例えばアジアの国々、ヨーロッパの国国に比べて比較的新しいものでございますから、したがって大使館をつくりますのも最近になりましてから新しく一つ一つつくっていっているという状態にございますので、そういう意味で必ずしも全部に置いていないということでございます。決してアフリカを軽視しているとかそういうことではございません。
#125
○肥田美代子君 次の質問に移らせていただきます。
 昨日、反アパルトヘイトの国際美術展のオープニングセレモニーに海部総理大臣も行っていらっしゃいまして、アパルトヘイトの運動がいい方向に進むように日本も協力していくつもりだというお話でございました。それで、マンデラさんからもメッセージが参っておりまして、アパルトヘイトを撤廃させるためにこれからも努力していただきたい、そのためにも南アとの膨大な貿易量を効果的な武器として使ってほしい、アフリカの人民のためにも経済措置を強化してほしい、そういうことでございました。まだ世界じゅうにいる数多くのマンデラさんを自由にするためにも、ナミビアの制裁解除とは別に南アの経済制裁解除を考えておられると思いますが、大臣の御見解を伺わせてください。
#126
○政府委員(渡辺允君) 南アフリカの状態につきましては、最近デクラーク大統領になりましてから、特に二月になりましてからでございますが、マンデラ氏の釈放がございましたし、ANCを初めといたします反アパルトヘイト団体の合法化等の措置もとられまして、南ア政府としてアパルトヘイトの改革に向けて大きな前進をしているというふうに考えております。
 ただ、まず当面の問題といたしましても、非常事態宣言の撤廃の問題でございますとか、政治犯の釈放の問題でございますとか、まだそういう問題が残っております。そういう問題が解決されたといたしまして、その次の話として政府とそれから黒人の人たちとの間の交渉が始まる、その交渉を経て最後の問題としてアパルトヘイト撤廃に向かうということでございますので、まだこれからの道のりは非常に長いように思いますし、紆余曲折もあり得るというふうに考えております。
 そういう中で我が国といたしましては、まず南アのアパルトヘイト改革に向けての動きそのものはこれを評価し支援していきたいというふうに考えております。そのためには、南ア政府及び黒人それぞれとの対話の強化というようなこともございますし、それから南アにおります黒人の人たちに対する支援をさらに将来のために強化していく必要があるというふうにも考えております。
 それから、先ほどの制裁の問題でございますけれども、これは現在のところでは、これまでとっておりました制裁措置をそのままにいたしております。今後の問題といたしましては、まず南アの国内での改革がどういうふうに進んでいくかという問題がございますし、そしてこれはやはり国際的な協調のもとでとってきている措置でございますので、その国際的協調との関連をどう考えるかということもございますので、今後その事態の進展に伴いまして、その辺を慎重に考えていきたいと思っております。
#127
○肥田美代子君 そうしますと、日本が考えていらっしゃる南アの経済制裁解除の条件は何でしょうか。
#128
○政府委員(渡辺允君) 先ほど申し上げましたように、まず南ア日体の情勢というのは非常に流動的なところがございます。それから、国際的な動きとしても、今後これにどう対処していくかということについてはいろいろな考え方もございますし、複雑なところがございます。したがいまして、私どもといたしましては、そういう情勢を見きわめながら今後その事態の進展に応じまして制裁をどうしていくかということを考えたいと思っておりますので、例えばどういうことがあったら制裁を解除するとか、あるいはどういう時点であれば解除するとかしないとかということは、必ずしも今から申し上げられないのではないかと考えております。
#129
○肥田美代子君 そうしますと、アパルトヘイト完全撤廃が制裁解除の条件だというふうに言うんじゃなくて、これはもっと流動的だというお話ですか。
#130
○政府委員(渡辺允君) 制裁措置と申しましても実は非常にいろいろなものがございますし、またいろいろな時点でそのときそのときの情勢に応じ
て導入したものがあるわけでございます。したがいまして、これを全体としてどのように考えるのかということがございますし、それからアパルトヘイトの完全撤廃までにはなお長い時間がかかり得ると思います。
 そのような場合にむしろアパルトヘイト撤廃の方向をどうやって助長するか、あるいは南アの黒人の人たちの利益をどういうふうに考えるかというふうないろいろな要素を考えなければならないというふうに思いますので、先ほど申し上げましたように、この問題は今後の検討課題として常に検討をしていきたいというふうに思っておるわけでございます。
#131
○肥田美代子君 アフリカ民族会議、いわゆるANCに関してなんですけれども、マンデラ氏が副議長となって、これはタンボ議長が病気療養中のためということなので、その事実上のトップの役割をマンデラ氏が担うことになったわけなんですが、このANCとデクラーク政権との間でアパルトヘイトの体制改革に向けて予備会談が四月十一日に開催されるということになっております。外務省は、この両者の間で今後の前進はあると見ていらっしゃるのか、それともANCの要求はデクラーク政権が受け入れないと見ていらっしゃるのか、どっらでございましょうか。
#132
○政府委員(渡辺允君) 先生御指摘のように、四月十一日に南アの政府とANCの代表との予備的な話し合いというのが始まることになりました。これは、本格的な交渉を始めるに当たっての障害とされているものがまだ幾つか残っておりますので、それについて話し合いたいということでございます。したがいまして、まだ非常に予備的な段階の話し合いであろうというふうに考えておりますが、私どもは、予備的な話し合いであれ、話し合いの方向に物事が動き出しているということは大いに歓迎をすべきことだと思っております。
 私どもは、これで合意ができるだろうか、できないだろうかということではなく、むしろ交渉を通じて平和的な方法でこの問題が解決されるように期待をいたしますし、希望をいたしますし、またそのために日本としてできることがあれば、それを支援していきたいという立場でございます。
#133
○肥田美代子君 話題を変えさせていただきますが、PLOの東京事務所は、東京にあるほかの国の大使館とどこがどう違って、どこが同じなんでしょうか。
#134
○政府委員(渡辺允君) ただいまの御質問は、PLOの東京事務所でございますか。
#135
○肥田美代子君 はい。
#136
○政府委員(渡辺允君) PLOと申しますのは、申すまでもございませんが、パレスチナ人を代表する政治的な団体であるというふうに私どもは認識をいたしております。したがいまして、これは国家ではございませんので、東京にございますPLOの事務所というのは、法律的に申し上げればいわば私的な事務所でございます。そういう意味で、国の代表としてございます大使館とは法律的な性格を異にしております。
#137
○肥田美代子君 そういたしますと、ANCの東京事務所とは全く同じと考えていいわけですか。
#138
○政府委員(渡辺允君) ANCの東京事務所の方はと申しますか、ANCの東京事務所は、これは昭和六十二年でございますけれども、当時のタンボANC議長が日本に参りましたときに、先方から事務所を開きたいという話がございまして、それで、これに対して当時の倉成外務大臣から、私的な事務所を開設することは差し支えない、ただ、国ではございませんので、普通外交使節団に与えるような外交特権・免除は与えないということを答えております。それに従って今ANC事務所があるわけでございます。したがって、そういう意味で、法律的にはPLOの事務所とANCの事務所というのは同じ法的な地位を日本では持っております。
#139
○肥田美代子君 じゃ、もう一度重ねて伺いますが、本当に全く同じだと考えてよろしいわけですか。私的な形というのにはいろんなニュアンスがあるわけですけれども、全く同じような扱いをしていただくんだというふうに考えてよろしいんですか。
#140
○政府委員(渡辺允君) 先ほど申し上げましたように、私的な事務所であるということ、それから外交的な特権・免除を持っていないということ、そういう意味で法律的には全く同じ扱いでございます。
#141
○肥田美代子君 昭和六十三年の二月十七日の衆議院の予算委員会で我が党の井上一成委員が質問しているわけですが、そのときに、ANCの東京事務所は外交特権等を付与されない私的な形での事務所だと確かに説明しておられます。それで、PLOに関しては、私はちょっと今記憶に定かでないんですけれども、五つぐらいの項目で許されているとか認められていることがございますか。
 そうしたらもう一つ、質問を変えさせていただきますけれども、その私的な形というのは、外国の企業が東京に事務所を設置する、そういうものじゃなくて、PLO並みというふうに考えてよろしいんですね。
#142
○政府委員(渡辺允君) ちょっと御質問の意味が私必ずしも十分理解できないのでございますけれども、国の代表としての大使館がございます。これと比較いたしますと、国ではございませんから全く私的な事務所でございますし、特権・免除も与えておりません。これは法律的な問題でございます。恐らく法律的な問題として考えれば、そういう意味で、今おっしゃる外国の企業の事務所とあるいは基本的には同じではないかと思います。
 ただ、これは政治団体の事務所でございますし、企業の事務所とはその政治的な意味では、それは立場が違うと思いますけれども、私がお答え申し上げておりますのは、法律的な意味でこういう地位があるということでございます。
#143
○肥田美代子君 実は、ANCの東京事務所では、PLO並みに扱っていただければという願望がございましたものですから今回質問させていただいたんですけれども、私は、今お答えいただいて本当にありがたく思っております。
 アパルトヘイトは地球上で最後に法律で許された人権差別であるというきのうは垂れ幕がかかっておりまして、私がきのう行きました反アパルトヘイトの美術展でそういう言葉がありまして大変感動いたしました。
 日本人は経済の面では大国だけれども、モラリティーの面でいえば小国であると、そういうふうに何かどこに行っても言われているような気がするんですけれども、反アパルトヘイトの姿勢を示す意味でも、ANC東京事務所に今PLOと同じくらいの扱いをするとおっしゃっていただいたんですから、これからも反アパルトヘイトをどんどん日本が支持して、そして日本の姿勢を世界に示すためにも応援していただきたいと思っております。
 ちょうどうまく時間が余りましたので、この間、初質問させていただきました子供の権利条約の続きをちょっとさせていただいてよろしいでしょうか。
 この間外務大臣が、今度の子供サミットまでには日本でいつ批准するかというメッセージを送るとおっしゃっていただいたのですが、それ以後そういう作業ははかどっておりますでしょうか。
#144
○政府委員(赤尾信敏君) 私たちといたしましては、できるだけ早く批准を目指しまして、今児童の権利条約の中身につきまして鋭意作業しているところでございます。条約の中身をどういうふうに解釈したらいいかどうかということと、関連国内法との整合性の問題等、鋭意検討している段階でございます。
#145
○肥田美代子君 そういたしますと、中山外務大臣がおっしゃっていただきました時期に本当に間に合うんでしょうか、その批准に向けてのメッセージというのは。
#146
○政府委員(赤尾信敏君) 私たちは鋭意とにかく早く日本政府としての立場を表明できるように作業しておりますが、今の段階ではちょっと私としては申し上げる立場にございません。
#147
○肥田美代子君 子供サミットには海部総理大臣
が参加されるやに伺っておりますけれども、それはその認識でよろしゅうございますか、外務大臣。
#148
○国務大臣(中山太郎君) 海部総理も大変強い関心をお持ちでございまして、国会の日程が許せば御出席をしたいというお気持ちをお持ちでございます。
#149
○肥田美代子君 ちょうど時期も九月二十九日と三十日と決まっておりますことですし、せっかく海部総理が出ていただくわけですから、何とかさっきおっしゃいましたように批准のメッセージがそのサミットに間に合わないということじゃなくて、本当に日本じゅうの子供のため、それから世界じゅうの子供のために日本の政治を担当していらっしゃる方が全身全霊でこの子供の権利条約を大切に思っているということを見せていただきたいと思うのですけれども、そのことはお願いできますでしょうか。そして最後に、そのことを外務大臣にお伺いしたいんですけれども。
#150
○国務大臣(中山太郎君) 今事務の担当者の意見を確認いたしましたが、努力目標として努力をするということを申しております。大臣といたしましても、やはり省内の事務手続あるいは各省との関係を調整しませんと、このような大きな問題の解決に当たれないということで現場は作業中でございますから、どうぞそのようにひとつ私どもの努力をお認めいただきたい。
#151
○肥田美代子君 それでは、私の心の支えとして、大臣が本当に努力してくださるということを信じまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#152
○委員長(山東昭子君) 午前中の質疑はこの程度にいたし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十六分開会
#153
○委員長(山東昭子君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#154
○中西珠子君 まず、ただいま議題になっております譲許税率修正合意文書二件について申し上げます。
 一九八八年の二月にガット違反とされました農産物十二品目の一つである砂糖調製品の輸入制限撤廃というのはやむを得ないと思いますが、輸入制限撤廃ということは国内、殊に沖縄、鹿児島、北海道に集中している砂糖の原料を生産している農家には大きな打撃を与えると思います。国際競争力のない七万三千戸に上る、それもほとんどが零細な砂糖原料生産農家の打撃を軽減するためには、砂糖類似品の関税率を引き上げるのは当然だと思います。関税率の引き上げばかりでなく、零細な砂糖生産農家を政府としては温かく保護していただくということを条件にいたしまして、このガット第三十八表の日本の譲許税率変更についてのそれぞれECと米国との間の合意文書に関しましては、賛成の意を表します。
 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 英国エジンバラに総領事館を設置することは、在留邦人の保護体制を強化する、また英国に対する外交を強化するために必要であると思います。賛成です。
 それから、ナミビア共和国の大使館設置はいわゆる兼館ということだそうでございますが、その理由を御説明願います。
#155
○政府委員(佐藤嘉恭君) 我が国がある国を承認いたしますと、特段の事由がない限り、直ちに外交関係を結ぶということを私どもの基本的な考え方といたしております。他方、この外交関係を結んでいく場合に、やはり実館を設けるということが理想的な姿であったとしても、財政上の理由といったような私どもの制約が残念ながらございます。同時に、当該独立国の国際社会に占める位置あるいは日本と当該国との間の貿易・投資関係、あるいは新しく進んでいくであろう諸般の経済協力関係といったような全般的な配慮をしながら実館を置くか否かということを決めてまいるわけでございます。
 今般のナミビアにつきましては、まさに新しい国でありますし、他方、アフリカの中におきましては先般来のいろいろな動きの中で独立した国でありますから、私どもとしてはできるだけ実館を置くことが望ましいと考えてはおりますけれども、とりあえず今の状況のもとで考えるについては兼館をし、この親在外公館といいますか、ジンバブエの大使館が日本とナミビアとの関係をフォローしていく、このように考えておるわけでございます。
#156
○中西珠子君 それは財政事情もあるし、新しい国でもあるということで、とりあえずの間はやむを得ないかもしれませんね。しかし、このナミビア共和国は、国連及び国際社会の支援を得てやっと独立ができたといういわば世界注視の的の国であるわけでございますから、日本の外務省としてもやはりアンタイアパサイドの精神、それからそういう新しい独立国を助けていくという精神からもなるたけ早い時期に独立の大使館ができることを希望いたしますが、大臣、いかがでございますか。
#157
○国務大臣(中山太郎君) 先生の御趣旨もよく体しまして、外務省としては検討を続けてまいりたいと思います。
#158
○中西珠子君 それから、この同じ法案の中にございます現地で勤務されている外務公務員の方々の在勤基本手当の基準額の改定、これはもう本当に為替相場の変動も最近ありますし、外地、殊に開発途上国で生活必需品も現地調達ができないような本当に瘴癘の地にいらっしゃる方々の生活というのは、先進国における生活も大変ですが、御若労も多く大変だと思います。ぜひこれは引き上げていただきたいものだと前から考えておりましたので、この引き上げの幅などにつきましてはよく御検討いただいて実施していただきたいと思います。これについても賛成いたします。
 それから私は、国連機関に対する拠出金、また分担金などのことにつきまして、ちょっと質問させていただきたいわけでございます。
 これはもう外務省、外務大臣を初め、国連局長それから国連局関係の方々も、その他の経済協力関係の局の方々も大変為替変動が激しいので頭を悩ましていらっしゃる問題ではないかと思うわけでございます。平成元年度には一ドルが百二十三円ということで計算なさったわけですね。平成二年度予算は一ドル百三十六円で計算していらっしゃるわけですか。
#159
○政府委員(佐藤嘉恭君) おっしゃるとおりでございます。
#160
○中西珠子君 最近また円安になりまして、きのうあたりは百五十八円だなんということでございますから、大変これはドル建てで払う場合は御苦労が多いと思うわけございます。
 平成元年度予算政府原案のリストを拝見いたしましたわけでございますが、この平成元年が百二十三円一ドル、二年は百三十六円一ドルとして計算なさったせいか、平成元年度よりも減っているところもあるわけですね。だから、ドル建ての場合には大変難しい状況にあるのではないかと思うわけでございます。例えばUNIDOあたりは分担金がちょっとふえておりますけれども、拠出金が減っている。これはやっぱりドルの関係ですか、為替相場の関係ですか。
#161
○政府委員(赤尾信敏君) 分担金の場合は義務的な拠出ですので、円安ドル高の動向いかんにかかわらず私どもとしては定められた額を払うということになっております。
 他方、拠出金につきましては、外務省が予算をいただくときは円建てでいただきますし、外国に払うときはドル建てということですので、円高傾向が続く際は比較的ふやしやすい状況にありますし、昨今のごとく円安状況のもとでは、ドルベースでの拠出をふやしがたい状況にあるということは事実として認めざるを得ないと思います。
#162
○中西珠子君 やはりドルでもらうことを期待している国際機関が多いから、ドルと円の為替相場の変動で減ったものが行くと大変困るということがございますね。ですから、いろいろ御配慮いただきたいと思うわけでございます。
 例えば、これは余り大きいところじゃございませんが、APDCなんというのがございます。アジア太平洋開発センター、これなどは邦貨では予算が上がっているのにもかかわらず、米貨では百三十六円の段階でも少し減っています。このAPDCというものの活動について、外務省ほどのように評価していらっしゃいますか。
#163
○政府委員(赤尾信敏君) 外務省といたしましては、APDCはアジア・太平洋地域における経済社会開発のために着実な実績を上げているということで、私たちとしても高く評価しております。
 そういう観点から、予算上は、今先生からも御指摘がございましたように、円ベースで予算をふやしているわけでございますけれども、残念ながら円安のために、ドルベースでは平成二年度の予算案では対前年度比二万ドル弱の減というふうになっております。
#164
○中西珠子君 国連大学に対しましてはドル建てで拠出金として外務省がお出しになっていて、平成元年度は百十万ドルですね。それから、今度の平成二年度予算としては少しふえておりまして、邦貨としては余りふえていないんだけれども、百三十万ドルと、こういうことになっています。これはまだ予算の案でございますから流動性があると思うわけでございますけれども、この拠出金というのはどういう性質のものですか。
#165
○政府委員(赤尾信敏君) 外務省から国連大学に対する拠出金につきましては、今先生から御説明のありましたとおりです。外務省が行っております国連大学への拠出金は、主として国連大学の人件費、事業費等に充てられております。
#166
○中西珠子君 人件費にも充てられていますか。事業費、プログラム予算と私は考えていたんですけれども、人件費にも充てられているわけです
#167
○政府委員(赤尾信敏君) 今の百十万ドル、百二十万ドル等の拠出は事業費にというか、プログラムに充てられております。私が今申しましたのは、外務省が過去からもう一億ドル以上出しておりますが、その収益も含めての対象は人件費、事業費が主体であるということを申したかったんです。
#168
○中西珠子君 今文部省をお呼びしておりませんが、文部省予算の中にも国連関係、国連大学の関係予算が入っていますね。それで、平成元年度予算は三十三億、それは本部施設建設等ということで、それから平成二年度の概算決定額というのは一応四十一億と、こうなっているわけです。これは円ベースで払われているわけでしょう。
#169
○政府委員(赤尾信敏君) 円ベースでございます。
 外務省と文部省との間では、外務省は人件費、事業費等を主として見るということと、他方、文部省におきましては今借り上げております本部事務所の借り上げ代等、今建設中の新しい本部事務所の建設費、それを文部省が担当しているということでございます。
#170
○中西珠子君 日本が国連大学を誘致したのはいいのですけれども、大変長い間東邦生命ビルの部屋を借りてずっときたわけですね。そして、東京都が青山車庫の跡地を無償で提供され、そしてその後も建設がなかなか始まらなかったんですが、最近やっと建設が軌道に乗ってきて、来年の十月には完成するであろうというめどが立ってきたわけで、これはもう日本政府の御努力が大変であったと思うのでございますが、この建設につきまして外務省は、文部省がやっていることだからといって、全然タッチしていらっしゃらないわけでしょうか。
#171
○政府委員(赤尾信敏君) 私が先ほど申しましたように、外務省と文部省との間では、一応目的に応じて予算を分けていただいております。そういうことで、国連大学の本部の事務所建設経費はすべて文部省の方でお願いしておるわけですが、外務省と文部省との間におきましては、終始緊密に協議しつつ進めております。
#172
○中西珠子君 私ごとになって恐縮でございますけれども、私は長い間ILOという国連機関におりまして、そして国連大学が創設以来理事会にいつもILO代表として出ていたということもございますし、ILOを退職いたしました後も私のやっていた仕事の関係で国連大学とタイアップしてやるという、国際公務員の養成コースとかいうのをやっていたもんですから、そういう面が多かったので国連大学に知人が多いわけでございます。
 それで申し上げたいのは、文部省は、国内の国立の学校を建てるのには大変なれていらっしゃるんだけれども、国際機関というものを余り御存じないということで、国際機関としての国連大学の建設に当たりまして、やはり外側の建物だけつくりやいいという考え方であったり、将来こういう機能を持たせるためには、今の建設段階からこれを設備としてつけておく必要があるというふうな面での御配慮が余りなさ過ぎて大変困っているらしいんですね。
 私は、文部大臣にはまだ申し上げておりませんけれども、外務省さんとしてもう少し国連大学の面倒を見てやっていただきたい。そして、国連大学の建設中のあれをもう少し国際機関らしい機能を持たせる。例えば国際的な研究発表をいろんな国の教授が来て発表する。もしくはいろいろ委託している研究の発表を本部に来てやらせるような場合に、やはりコンピュータライズされたいわばインテリジェントビル的な施設というものがどうしても必要であると私も考えますし、国連大学の人たちも考えているわけでございます。そういう面で、文部省の方はやはり日本の大学やなんかの校舎のようなものを建てるという頭でなさっているので、もう大変困っているということのようでございます。
 それで、外務省としてはそのプログラム、事業に対する拠出金をなさっているわけでございますけれども、とにかく今の建設段階においてももう少し外務大臣から文部省の方にもお口添えをしていただきたいとお願い申し上げたいわけでございます。私は、外務大臣にこの前昨年の十一月九日、本委員会におきまして国連開発計画にあるUNIFEMへの拠出金を増額していただきたいというお願いをいたしまして、それもお聞き入れ願って、この間そのUNIFEMのディレクターのシャロン・キプリングが来まして、大変感謝の意を日本政府に対して表していたわけでございます。またWID、婦人と開発の問題に関しましても、民間の人の意見を聞いていただきたいということをお願いいたしまして、早速にJICAに対してWID委員会、婦人と開発のための委員会をおつくりいただくなど本当に前向きに対処していただいたことに対して心から外務大臣に感謝しているわけでございます。
 この国連大学のことにつきましても、非常に国際感覚がおありになって、しかも大変学者でいらっしゃる外務大臣に文部省に対してお口添えをしていただけないものかと考えているわけでございます。学校みたいな設備は何もなくて、とにかく建物はつくっちゃうということで、中の家具とか備品とか、先ほど申し上げましたようなインテリジェントビル的な設備というふうなものはもう全然やらないということでは、家具や備品は後からも入れられますけれども、コンピュータライズされた設備を整えるには、今いろんな面でその建設の段階からやはりそういう点を考慮に入れた建て方をしなければならないのではないかと考えておりますので、外務省として、また外務大臣としてちょっと文部省に対してお話しをいただけないものでございましょうか。どうぞよろしくお願いいたします。外務大臣、御意見を賜りたいと思いますが。
#173
○国務大臣(中山太郎君) 先生の御趣旨を体しまして、できるだけ早く文部大臣にお言葉を伝えさしていただきたいと思います。
#174
○中西珠子君 はっきり申しますと、文部省の施
設部がなかなかわからないそうです。国際機関としての国連大学というものは、そこら辺にある国立大学の建物とは違うということがわからないんだそうですね。私、たくさん知人がいるものですから、そういうことが耳に入っておりまして、外務省がもう少し面倒を見ていただくように、また外務大臣が国際人として、また学者としてお口添えをいただけるようによろしくお願いを申し上げます。とにかくこれは建設が大変おくれておりまして、来年の十月に完成するということはもう本当に喜ばしいことなんでございますが、日本が誘致した国連大学に対して、やはり新しい設備をきちっと持ったものにしていただきたい。それが日本のプレスティージのためでもございますし、また国際社会への貢献だと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それから、何だか細かいことをお聞きするようであれでございますが、今回のODA予算は非常に環境問題というものに重点を置いた予算をお組みになっておりまして、例えば国連の環境問題を扱っておりますUNEPですね、こういうものに対する拠出金は非常にふえているわけです。五百万ドルだったのが七百五十万ドルになるということでございますが、同じ環境問題の中で、住居とか居住環境の問題を扱っております国連ハビタット(国連人間居住センター)これへの拠出金というのは国際居住年のときに七十五万ドルに前年の五十万ドルから引き上げていただいて以来、全然変わってなくて七十五万ドルということなんですね。これは同じ居住環境という問題は扱っていても、こういう面では余りいい仕事をしていないという御評価でいらっしゃるのかどうか。
 御承知のように、家のない人というのは今世界で四億おります。そして、その中で家のない子供は一億数千人いるわけです。それからまた給水、飲料水とかそういったものの設備が一切なくて、また排せつ物処理の設備も一切ない、早く言えばトイレもないような、そういうふうな非常に非衛生的な、不適切な住居に住んでいる人が世界で十億いるわけです。こういう人たちのために家を紀元二〇〇〇年までに与えよう、または居住環境をよくしようということで、御承知のように一九八八年十二月にグローバル・シェルター・ストラテジーというものが国連総会で採択されたわけでございます。
 とにかく、グローバル・シェルター・ストラテジー、世界居住戦略と申しますか、これを実施していく機関がハビタットであるわけでございますけれども、余りにも資金難であるということで非常にこれも重要な基本的人権にもかかわる問題だと思うのでございますが、そういった面での仕事をしているハビタットをどのように外務省は評価していらっしゃるのか。私自身は非常に大事なことをしていると思いまして、家なき子に愛の手をということで、国連居住基金に対して少しでも寄附をしていきたいということで募金活動をやり始めたところでございますけれども、外務省の方はどのように評価なさっていらっしゃるのでしょうか、お伺いしたいわけでございます。
#175
○政府委員(赤尾信敏君) ただいまも先生から御指摘のございましたとおり、特に開発途上国の居住問題というのは非常に深刻な面もありまして、私たちといたしましては、国連の人間居住センターが行っております役割、活動を非常に高く評価しているわけでございます。そういうこともありまして、日本政府といたしましては従来から国連の居住財団に対する自発的な拠出を行ってきているわけであります。特に、過去六年ぐらいを見てみますと、日本の拠出額が世界で一番大きいということです。従来年間五十万ドルぐらいの拠出額だったわけですけれども、八七年のこの国際居住年を機に年間の拠出額を七十五万ドルに引き上げました。その後も毎年引き続き七十五万ドルを拠出しているということで、これは私たちがいかにその活動を重視しているかということだと思います。
 なお、日ごろ先生には特にハビタット推進議員連盟の事務局長としていろいろとこの分野でも御協力いただいており、先生の居住問題に対するいろいろな御活躍につきまして、この際、この機会を利用させていただきまして感謝申し上げたいと思います。
 特にことしの秋、九月下旬には第四回ハビタット世界国会議員連盟というのが日本で開催されるわけですが、先生が事務局長としていろいろと準備に当たっておられますので、私たちといたしましてもできるだけ協力させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
#176
○中西珠子君 どうぞよろしくお願いいたします。
 これは私だけのことではございませんで、議員連盟として仕事をするということで、先ほど申しましたのは私個人としてやっているというお話をしたわけでございます。
 今は国連ハビタットは国土庁が所管だそうですが、国際居住年のときには建設省と国土庁と両方御一緒に随分仕事をなさって、建設省の方が所管かなと思っていたんですが、最近また国土庁だけにおなりになったそうでございますが、それはどういう理由でございましょうか。
#177
○政府委員(赤尾信敏君) 国内の問題についてどの省が担当するかということは建設省と国土庁との間の話し合いの問題だと思いますので、私がお答えする立場にはありませんけれども、少なくとも国連における居住分野での活動についての審議あるいはそれに対する資金面での協力等につきましては、外務省が責任を持ってやっております。そういう観点から、この居住センターの次長には日本人の職員も私たち一生懸命働きかけて採用していただいたわけなんですけれども、そういう分野でも大いに協力しているわけでございます。
#178
○中西珠子君 ただいまは国土庁だけと。もちろん外務省が国連の諸機関としての国連居住基金に対しては資金をお出しになったりいろいろ面倒を見ていらっしゃるということでございますが、仕事の分野や何かに関しましては国土庁だけが所管ということですか、建設省の関係はもう今はなくなったのですか。
#179
○政府委員(赤尾信敏君) 例えば国連関連のいろんな対応ぶり等に当たりましては、外務省としましては国土庁と建設省、両省庁と緊密に協議してやっておりますので、国内におきましても国土庁と建設省両方で国内的な対応につきましては当たっておられるというふうに承知しております。
#180
○中西珠子君 現在もですか。
#181
○政府委員(赤尾信敏君) はい。
#182
○中西珠子君 そうですか。
 国連の決めました国際居住年というのは一九八七年にございましたね。その一九八七年に建設省が日本建築センターに委託をなさいまして、住宅・住環境分野における国際協力活動の推進に関する調査報告という調査報告書を出させていらっしゃるわけでございますが、これは大来佐武郎先生が委員長としていろいろ調査をなさってそして提言をなさり、そして住宅の問題とか居住環境の問題における国際協力、殊にODAを推進していくことの必要性と、またそのためのいろいろ御提案をなさっているわけです。バイラテラルの二国間のODAばかりでなく、やはりマルチラテラルのハビタットのようなところと日本とが協力していくいわゆるマルチバイ、こういったものもやはり提案されているわけでございますが、現在この分野におけるODAほどのようになっていますでしょうか。
 と申しますのは、この報告書にございます居住分野における我が国の二国間政府開発援助の実績というものが大変少ないわけです。技術協力の分野において研修員の受け入れ員数は、七七年から八五年までは集団研修が三・四%、個別研修が一・一%というふうになっておりますが、専門家の派遣も一・一%ぐらいしかない。機材の供与、これは実績不詳。プロジェクト技術協力案件数、これは〇・二%、七七年から八六年までです。そして、開発調査案件数は三・六%、同じ年、期間です。それから資金協力は、無償資金協力額が二%、有償資金協力額はゼロ。こういうことになっ
ておりますが、この八六年ごろまでの資料しか私の方にございませんので、最近はどうなっているかちょっとお教え願いたいわけですが。
#183
○政府委員(木幡昭七君) 今先生が御指摘の数字を私どももいただいております。
 かなり詳しく個別に分かれている数字でございますが、御理解の便宜上私どものODA予算のカテゴリー別に申し上げますと、この住宅環境分野におきましては「私ども研修員受け入れ等の技術協力を中心に実施しているわけでございます。しかし、そればかりではございませんで、資金協力につきましても技術協力との関連、連携に十分配慮しつつ、例えば最近ではインドネシアにおける人間居住研究所の整備計画等もやっているところでございます。若干数字を挙げさせていただきますと、八九年度の無償資金協力ではこの関連で十四億円強の無償資金協力がございます。
 また、狭い意味の住宅分野のみならず住環境という点で見ますと、上下水道とか都市衛生、そういう分野にも広がりがございます。基礎生活分野のこうした分野の援助は従来よりもより積極的に実施してまいりたいと考えております。
 なお、この今の分類、実は定義の問題もございまして、正確にこれにぴったりする現在の数字というのをちょっと申し上げるような準備がございませんことを御了承賜りたいと存じます。
#184
○中西珠子君 建設省の方はこの報告書をどのように受けとめていらっしゃるんですか。
#185
○説明員(五十嵐健之君) お答え申し上げます。
 建設省といたしましては、かねてから途上国への居住問題に関する専門家の派遣でありますとか、いろいろなことをやってきたつもりでございます。
 それで、国際居住年以降、特に先生御指摘の大来レポートという文書もございまして、居住分野におきます集団研修コースというコースを増設したり、あるいは国際居住年記念基金というのを新たに設けまして、これを活用いたしましていろいろな活動をやっているというようなところでございます。今後とも国際協力の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
#186
○中西珠子君 この報告書は高く評価していらっしゃるんですか。
#187
○説明員(五十嵐健之君) 私どもそういうように受けとめさせていただいております。
#188
○中西珠子君 大いにこの分野でもODAを伸ばしていただきたいと思いますので、外務大臣にもお願い申し上げ、また建設省さん、国土庁さんにもお願いしておきたいと思いますが、外務大任、いかがでございましょうか、こういう居住環境の面でございますね。
#189
○国務大臣(中山太郎君) 前向きに対処させていただきます。
#190
○中西珠子君 ありがとうございました。
 それから、私はまだまだたくさんお伺いしたいことがあるわけでございますけれども、少し細かくなりまして申しわけがございませんが、環境対策の推進ということで、ITTOに対する拠出金がことしは大変ふえております。これの拠出金は外務省予算でなさっておりますけれども、農林水産省関係の予算にもITTOの予算が入っているんですね。これはどういう関係にあるのか、御説明いただけますか。
#191
○政府委員(須藤隆也君) ITTOと申しますのは国際熱帯木材機関でございますが、このITTOは熱帯林の保全ということを目的としておりまして、外務省といたしましても、現在の非常に大きな問題になっております地球環境の保全のために極めて重要な問題であるという認識のもとに、ITTOに対する協力をできる限り行っていきたいという考えに基づましてITTOに対する拠出も行っているわけでございますが、御指摘のとおり外務省予算と農水省予算と両方から拠出しております。
 外務省の方といたしましては、国際社会における日本の枢要な地位にふさわしい貢献を行うという観点から、ITTOの事業活動、特にプロジェクトの準備事業並びに特定のプロジェクトにイヤマーク、割り当てられていない資金の形でITTOに対する拠出を行っているわけでございます。
 他方、農水省の方からは、木材需要というような観点から適当と判断される具体的なプロジェクトを対象に、プロジェクトにイヤマークした形で拠出を行っているというふうに理解しております。
#192
○中西珠子君 ODA予算が平成二年度予算から十七省庁に今度は分かれているわけですね。非常に複雑で、同じ機関に対する拠出も国連大学は文部省と外務省に分かれています。それから、ITTOは外務省と農林水産省に分かれている。こういうことで大変わかりにくい予算であるわけですけれども、それぞれのエキスパティーズの利用を最大限に発揮されて、そして例えばITTOに対する日本の支援というものを効率的にやっていただきたいと思います。いかがでございますか。
#193
○政府委員(須藤隆也君) ただいま申し上げましたとおり、ITTOに対しては外務省並びに農水省それぞれの立場からできる限りの協力を行ってまいりたいということでございますが、もちろん実際の予算の獲得並びにITTOに対する運営その他に対する協力に関しましては農水省と十分緊密に協議、相談させていただいた上で援助資金の効率的な使用に努力してまいりたいと思います。
#194
○中西珠子君 余りにもばらばらで総合調整がないという印象を与えないようにしていただきたいし、国民の税金を使うわけでございますから、効果的に使えるように、生きるように予算を使っていただきたいと思うんです。
 それで、私は経済協力局に大変褒めてさしあげたいことがあります。ODAの漫画の本です。これは開発協力に対してはとても貢献するいい本だと思いますので、各小中高のレベルでうんと使ってもらうように、文部省とそれこそタイアップなさって、また地方公共団体ともタイアップなさって、これをもう少し安くして、もちろんこれくらいの値段なら買えると思うんですけれども、特別価格かなんかで学校にたくさん配付するというふうなことで大いに使っていただきたいと思っております。いかがですか。
#195
○政府委員(木幡昭七君) ODA漫画につきましては、中山外務大臣じきじきの御指示に基づまして私ども事務方が研究させて第一部をつくらせていただいたわけでございます。引き続き外務大臣からさらに第二版、第三版というふうに改訂したいいものをつくれという御指示をちょうだいしておりますので、先生方の御理解と御支援を賜りましてまたもう少しいいものをというふうに努力を続けてまいりたいと思っております。
#196
○中西珠子君 さすがは中山外務大臣ですね。文部省ともどうぞタイアップなさいまして、学校にうんと使わせるようにしていただきたいと思います。
 それから、もう少し環境関係のことをお聞きしたいのでございますが、環境問題を扱っている国連のUNEPに対する拠出金が非常にふえましたことは、環境問題は非常に重要な問題でございますので結構だと思うんですけれども、環境庁予算の中で環境庁のODA関係予算というのが出ておりますね。開発途上国環境保全計画策定支援調査費とか開発途上国環境保全企画推進費、これは新しいものらしいですけれども、一体どういうことをなさるんでしょうか。環境庁の方いらしておりますか。
#197
○説明員(加藤三郎君) 先生今お尋ねの我が環境庁の関連のODAでございますけれども、これは比政的新しくて昭和六十一年度から始めさせていただいております。先ほど先生もお触れになられましたように、最初は数百万という非常に少額でございましたけれども、平成元年度で約一億、それから平成二年度予算案の中におきまして約一億八千五百万というふうに、額そのものは小そうございますが、急速に伸ばさせていただいているわけでございます。
 それで、今お尋ねの特定の問題でございますが、先生からお尋ねいただきました途上国におきます環境保全企画推進費でございますけれども、
これにつきましては途上国の実情に十分配慮した協力を行うのに必要な条件整備をするという観点から、途上国の環境に関する既存の幅広い各種情報を整理分析いたしまして、また途上国に専門家を派遣する、それから日本の経験を紹介するといったようなことで途上国との協力関係を今後推進をいたしたいという、そういう趣旨で予算を要求させていただいたものでございます。
 それから、もう一つの項目でございますけれども、それは開発途上国環境保全計画策定支援調査費でございますけれども、これにつきましては、先ほどとやや似ておりますけれども、開発途上国の環境保全に関する情報を整備しまして、そして途上国における環境保全に関する意識を高める、環境保全計画の策定を推進したいということで、そういう趣旨で要求をさせていただいておるところでございます。
#198
○中西珠子君 大蔵省にこれまで、昨年までついておりました――昨年というのは、平成元年度予算まではついておりました食糧増産等援助費、これは今度平成二年度から外務省が予算を計上していらっしゃいますが、その理由は何でしょうか。
#199
○政府委員(木幡昭七君) 今回食糧増産等援助費を外務省の予算に計上することにいたしましたのは、予算執行の実態に即したものとするという考慮が第一点でございます。これまで大蔵省の予算に計上されておりましたが、私ども外務省の方におきまして、大蔵大臣の支出委任を受けた形で実施してまいったところでございます。
 第二点は、二国間無償資金協力を全体として一層効果的効率的に実施していくという観点から、このような予算を一本化することが適当であるという大蔵省及び外務省両省間の判断が一致したということがございます。
#200
○中西珠子君 行政監察報告を読みましたら、外務省が実質的にやっていらっしゃるのに大蔵省の方に予算がついていて、それが移管されるというのはちょっとおかしいのではないかというニュアンスだったんですね。ですから、これは監察報告書なども勘案して、そういうことになさったのかなとも思いますが、その行政監察報告書の中に、食糧増産援助を外務省がお決めになるに当たって大蔵省と相談してお決めになる、これまではあんまり農林水産省の方の意見をお聞きにならなかった、農林水産省が非常に専門的な知識をお持ちになっているのにお聞きにならないという不満がないわけではなかった、というふうな指摘があったと私は記憶しております。
 今回は農林水産省の方の予算に新たなるニーズへの対応として、食糧増産等に係る援助効率化基礎調査、こういうことの予算が入っているわけですね。こういったことで横の連携を非常に強め、そしてそれぞれの各省庁のエキスパティーズというか専門性を生かしたやり方をなさるようになさったということは大変いいことだと思っているんです。
 ODAに関しましては、余りに縦割り行政であり過ぎて効率的にいかないとか、また国際機関の人たちの中にも国際機関に対する対応が日本国内の縦割り行政のために大変困っている、こういうふうなことを聞かされるわけでございます。援助行政それから国際機関に対する対応というものは、できれば一元化した方がいいんでしょうけれども、本当にエキスパティーズを生かせるという意味では、各省庁のエキスパティーズというものを尊重してやっていかなきゃいけませんけれども、常にやはり総合調整というものをやっていただかないと困るわけで、今度の食糧増産等に関する援助につきましては大変結構な措置であったんじゃないかと考えておりますし、農林水産省あたりも大いにこれで頑張っていただきたいと思いますが、農林水産省、いらしていますか。
#201
○説明員(蛎灰谷操君) ただいま先生からお話がありました件につきましては、私どもも先生のお話しされましたように受けとめておりますし、これからも私どものエキスパティーズをできるだけ生かせるように頑張っていきたいと思っています。
#202
○中西珠子君 よろしくお願いします。
 それから、建設省、まだ帰ってないでしょうね。さっき国土庁は帰りたいと言ったから帰っていいと言ったんだけれども、建設省、まだ帰っていませんね。
 海外建設技術開発とか海外建設事業技術協力というふうな平成二年度予算要求が出ているわけでございますが、建設省のODA関係の予算の中で、これは建設省が独自でなさるわけですか。
#203
○説明員(都丸徳治君) お答えいたします。
 実際には委託をしてやっております。
#204
○中西珠子君 どういうところへ委託するんですか。
#205
○説明員(都丸徳治君) 国際建設技術協会だとか、それからアイ・ディー・シーだとか、そういう法人関係に委託しております。
#206
○中西珠子君 大来さんのいわゆる大来報告、こういうものの線に沿って大いにODAをふやしていこうということでなさっているわけですか。
#207
○説明員(都丸徳治君) 必ずしも大来レポートこ沿ってということではありませんが、建設省独自に判断いたしまして、必要があればそういう調査を実施する、こういうことでございます。
#208
○中西珠子君 わかりました。
 少し細かいことを伺って、まだ時間が少しございますので、外務省のODA予算のことにつきましてちょっとお伺いしたいのでございますが、無償資金協力と技術協力の充実ということで貧困国支援などの拡充をお考えになっておりまして、後発開発途上国の債務救済ということで元年度には二百二十二億円を要求していらっしゃいます。既にお使いになったと思うんですが、二年度には三百二十四億円というものを計上していらっしゃるわけですね。これはどういう国が対象でしょうか。それはおっしゃることはできませんか。
#209
○政府委員(木幡昭七君) 御質問の件は、昭和五十三年度から実施しております債務救済無償資金協力についてのお考えをお述べになったことと存じますけれども、この援助の対象国は、昭和六十二年度以前に我が国との間で円借款取り決めを締結した後発開発途上国、いわゆるLLDC及び昭和五十二年度以前に我が国との間で借款取り決めを締結したMSAC、いわゆる石油価格上昇の際に経済的困難を抱えた国に対するものでございます。
 平成元年度につきまして、債務救済無償援助を実施した国は、LLDCにつきましてはバングラデシュ、タンザニア等を含む十七カ国でございます。MSACにつきましては、インド、スリランカ、パキスタン、ケニアの四カ国でございます。
#210
○中西珠子君 平成元年につきましては今の御報告でわかりましたが、二年度につきましては三百二十四億円というものを計上なさった積算の基礎として対象国があるわけでしょう。
#211
○政府委員(木幡昭七君) これは平成二年度の予算の御承認をいただいて、私ども具体的な対象国等についてさらに具体的な計画をつくるということでございます。
 現在、私ども先生のおっしゃる積算の根拠的なものは一応持っておりますけれども、実は大変要望も多うございますので、今の時点で実績として、申し上げたような形で具体的国名を挙げることはちょっと差し控えさせていただきたいと存じます。
#212
○中西珠子君 じゃ、アフリカなどの経済構造改善支援の無償援助第二次実施ですね、これは第一次ほどことどこだったんですか。
#213
○政府委員(木幡昭七君) 第一次につきまして、これも実は具体的な国名を挙げるのはなかなか難しいのでございますが、アフリカにつきまして第一次の中での六十三年度について若干例示させていただきますと、例えばソマリア、象牙海岸、ナイジェリア、マダガスカルその他、計十カ国がございます。
#214
○中西珠子君 六十三年の国名しか出せないわけですか。その次の年ぐらいまでは出せるんじゃないんですか。
#215
○政府委員(木幡昭七君) 平成元年度の実績につ
いて申し上げますと十二カ国でございまして、例示的に挙げますと、ザイール、ルアンダ、タンザニア等でございます。
#216
○中西珠子君 これは非常に喜ばれているわけですか。それから、世銀とタイアップしているわけですか。
#217
○政府委員(木幡昭七君) そのとおりでございます。
 経済構造改善努力をしている国を支援するということで供与しております無償援助でございまして、先方は大変この点については高い評価を与えてくれております。タンザニアあるいはザンビア大統領の感謝の言葉を例示して申し上げますと、日本はいろんな時期に全天候型で援助をしてくれる大変ありがたい援助国であるというようなことを言って感謝しているそうでございます。
#218
○中西珠子君 感謝状が来たりして大変結構なことでございますが、決めるときには世銀とは協議なさるんですか。
#219
○政府委員(木幡昭七君) いろんなときによく協議はしておりますが、常に個別について全部協議をしなければ進められないというほどの性格のものではございません。
#220
○中西珠子君 それから、NGOとの関係ですが、海外のNGOなどへの支援ということにも使える小規模無償資金協力ですね、これはまだ案でございますが、倍増の計画をお持ちのことは大変結構だと思いますけれども、これは前年と同額ということですが、三億円ですね。この対象となる海外のNGOはたくさんありますか。
#221
○政府委員(木幡昭七君) この小規模無償資金協力についての要請は大変多うございます。これも援助を受ける国から大変喜ばれておりますし、さらにまた、この援助を実際に担当する我が方の出先公館からも大変いい制度である、こういうふうに言われております。
 御指摘のとおり、平成二年度の政府原案については前年度と同額の三億円を計上してございます。
#222
○中西珠子君 三億円で足りますか。
#223
○政府委員(木幡昭七君) 昨年度お認めいただいて発足したばかりの制度でございますので、効果的効率的という国会の方の御指摘も踏まえまして、私どもまず実績を着実に積み上げてまいりたいと考えております。
#224
○中西珠子君 もう時間も迫りましたのでございますが、ODAがばらばらの縦割り行政の上でやられているということでございますが、とにかく現在の状況でやっていくということを海部総理もおっしゃっておりますし、効率的に横の連携を非常に強めてやっていただきたい。
 国民の税金を使っていることでございますから、あの漫画にございますように、開発協力も進めながら効率的に日本の国際社会への貢献というものをますます高めて、日本のODAは質がいい、本当にきめが細かくて質がいいと、草の根の人たちにも届いている、こういうODAにしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでございますか。最後にひとつ御所信を伺います。
#225
○国務大臣(中山太郎君) 先生からいろいろと貴重な御意見をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。
 ODAにつきましては、先生の御指摘のように、国民の貴重な税金を使ってやるわけでございますから、国民の御理解をいただくようにこの内容の充実を図らなければならないし、また制度等も非常に難しい仕組みになっておりますから、これをわかりやすい形で国民の皆様方に御理解をいただくように外務省としては努力をしなければならないと思います。
 十七、八省庁に上る多省庁でやっておりますが、実際は、外向きには外務省、それから海外経済協力基金、これは大蔵でございますけれども、あとは技術的に各専門の省庁にお願いをしておりまして、そういう意味でこれから御批判のないように評価・システム等も充実させていきたい、このように考えております。
#226
○中西珠子君 どうぞよろしくお願いします。
 もう一つ、ガラス張りにしていただいて情報公開をやっていただきたいということをあわせてお願い申し上げます。
#227
○国務大臣(中山太郎君) ちょっと私申し上げるのを間違えましたが、訂正させていただきたいと思います。
 海外経済協力基金は経済企画庁でございます。訂正させていただきます。
#228
○中西珠子君 ガラス張りにやはりしていただきたい、情報公開はできるだけやっていただきたいということを、それは国民の支持を得るためにも必要なんですから、よろしくお願いいたします。大臣、一言どうぞ。
#229
○国務大臣(中山太郎君) 重ねてのお尋ねでございますから、私どもも御趣旨を体して、国民になぜODAに国家が努力をしなければならないか、そういう原点から国民の皆様方の御理解を得るようにこれからも努力を進めてまいりたいと考えております。
#230
○中西珠子君 日本の国内にもたくさん問題があるわけですから、税金を使って海外に援助をしなければならないということをよくわからせるということがやはり必要だと思います。大臣、どうぞよろしく頑張っていただきたいと思います。
 終わります。
#231
○立木洋君 法案に入る前に一つお尋ねしておきたいと思いますが、それは、去る三月の八日に日米両国の間で核物質の遠隔監視についての共同研究について口上書が交わされ、決定されたという問題です。
 これは日本原子力研究所とアメリカのサンディア研究所との間での共同研究、共同実験ということになっております。このサンディア研究所というのは、もう御承知のように、ネバダの実験場を持って核兵器の開発などを進めてきた軍事中心の研究機関でありますし、こことの共同研究ということになればこれは問題があるのではないかという懸念がありますので、この点についてただしておきたいという点です。
 最初に、その交わされた口上書の内容について御説明いただきたいと思います。
#232
○政府委員(赤尾信敏君) 口上書につきましては、三月七日付で交換いたしまして、その交換いたしました事実の概要等につきましては三月八日付で外務省から発表いたしまして、先生のお手元にもお届けしたと思います。
 もう少し補足的に内容を御説明させていただきますと、まず趣旨といたしましては、これは核物質の保障措置、防護措置技術の長期的な稼働の信頼性を実施するための実験を日米共同で行うということでございまして、その目的、実施の基本的な枠組み等について書いたものでございます。口上書自体は在米日本大使館と国務省との間で交わしまして、実際この実験に当たるのは日本の日本原子力研究所とアメリカの軍備管理軍縮庁でございます。
 その中身をもう少し御紹介いたしますと、日本原子力研究所は、保障措置、核物質防護措置のために開発されたいわゆるトランシーバーシステムの信頼性の検証のための共同実験をアメリカの軍備管理軍縮庁との間で行う。このシステムは軍備管理目的にとっても有益であるというふうに考えられております。
 第二に、この共同実験は、アメリカ側がセンサーを供与し、日本側が解析用データ収集のための監視システムを提供する形で行われます。さらに具体的には、今先生から御指摘のありましたアメリカのサンディア国立研究所に既に設置されておりますセンサーの発する信号を原子力研究所の東海研究所内のトランシーバーシステム地上制御センターで受信するということになっておりまして、こういうことをやることによってこのシステムの信頼性をテストするということになっております。
 第三に、この実験の結果につきましては、原子力研究所及びアメリカの軍備管理軍縮庁との共同報告書により公表することになっております。
 第四に、日本側が提供する設備は、専らこの実
験のためのみに使用されるということになっております。
 第五に、この実験関係の施設は、双方の関係者による相互訪問のために開放されるということになっております。
 以上でございます。
#233
○立木洋君 日本の原子力基本法、これはもう御案内のように平和目的に限るということが明確にされておりますし、この基本法が提案されたときには軍事的利用は絶対に禁止するということが提起されております。今聞いた範囲内でも事実上軍事にかかわるということになるのではないか。
 これはもちろん軍備管理軍縮庁が窓口になっておりますけれども、実際に進めるセーフガード研究機構の内容を見てみますと、これは軍事研究の中枢部になっているわけですから、非軍事ということが完全に保証されるのかどうなのか、そういうことが口上書の中では明確にされているのかどうなのか、軍事的な目的にかかわるような共同研究になった場合にそれを明確に拒否する、そういうことがこの口上書の中では明記されているのかどうなのか、その点はどうでしょうか。
#234
○政府委員(赤尾信敏君) 口上書の主な内容は先ほど私が御説明したとおりでございますが、この実験というものは、核物質の移転を伴うものではなくて、原研の開発した技術が検証に役に立つかどうかということをテストするということでございまして、あくまでこれは平和目的で行われるということであります。
#235
○立木洋君 その平和目的というのは、防衛という見地も入れて、広く言えば平和目的ということに解釈され得るという考え方があることは私も承知しています。しかし問題は、軍事目的に絶対に利用が禁止されるという日本の原子力基本法が提起されたときの説明の見地から――防衛であらうと軍事目的には絶対に禁止されるという見地から言うならば、これは口上書の中でそういうことが担保されていなければ問題になるのではないでしょうか。
#236
○政府委員(赤尾信敏君) あくまでも原研の開発した技術が長期的な信頼性を実証できるかどうかということで、核物質の保障措置あるいはテロ等からの防護に役立ち得るかどうかということを目的にするものです。もしもそのテストがうまくいけば、将来米ソ間あるいは世界的に軍備管理・軍縮が進展しました場合の検証等に活用できるという、それがあくまで目的であります。したがいまして、アメリカ側におきましてもこの技術を武器の製造等の分野に用いたりするものでないということは、この技術の性格から見て明らかであるというふうに私たちは判断しております。
#237
○立木洋君 あなたは拡大解釈をしようとしているんです。つまり、軍備管理の範囲であればだとか、あるいは軍縮の検証に将来役に立つものであればということはあなたの解釈であって、どのような見地であれ、軍事利用は絶対禁止するという我が国の原子力基本法の見地から外れるということになるおそれがあった場合に、それを拒否することができるのかどうかということが明確に口上書の中で担保されていなかったならば、極めてその危険性というのはあるんじゃないでしょうか。だから、その点をはっきりされているのかどうかということを聞きたいんです。
 これは、相手は軍事研究部門の中枢部で行う研究ですからね。軍事目的にかかわらないだとか、軍備管理に関する問題だからいいんだとかいうふうなあいまいな形でこれを進めていくことが危険だから、口上書にそのことが明記されているのかどうかということを私は聞いているんです。書いていないなら書いていないとはっきりさせてください、いい悪いという判断は別として。
#238
○説明員(林幸秀君) 先生の御質問の今回の実験でございますけれども、内容的には今局長の方から御説明されましたように、保障措置あるいは核物質の防護というものの技術を長期信頼性について確認するといったものでございまして、中身的には全く平和利用を推進するといった協力でございます。
 なお、今回共同実験を行おうというふうに考えておりますサンディア研究所、これは確かに核兵器の開発ということも当然やっておる研究所でございますけれども、我々が今共同研究の相手ということで考えておりますのは、その中で非兵器部門、核兵器に関係しない部門でございます国際保障措置課というところでございます。
 なおちなみに、この国際保障措置課と申しますのは、民生用の核物質の保障措置といったものの機器開発をやっておるということでございまして、これまでにもIAEA等の委託を受けておるといった極めてそういう意味では実績のある機関でございます。なおかつ、今度のサンディア研究所につきましては、過去に原研、動燃といったところが共同研究を既にしております。
 原研につきましては、一九八三年以来原子炉の安全研究あるいは廃棄物の処理処分といった共同研究を行っております。
 さらには、動燃におきましては、一九八八年以降保障措置あるいは核物質防護といった点につきまして共同研究ないしは委託研究をやっておるということでございまして、我々としては、こういうことが軍事研究につながらないというふうに確信いたしております。
#239
○立木洋君 あなたが今説明されたここでは原発の問題に関係する研究も当然同時並行的に行っている、それを私は否定しようとは思っていないんです。今までも私この問題について、動燃の職員が向こうに行って共同研究を行っているという問題についてもお尋ねしたことがあります。
 しかし、だんだん事態が進展して口上書が交わされて行われる場合に、このセーフガード研究機構というのを見てみるとこれは軍事の中枢部なんですよ。そういう危険性が伴ってくるから、なおさら口上書の上では日本の原子力基本法の見地に明確に立った見地で口上書を交わしておくことが必要ではないか。あなた方が判断されて、その危険はございません、だから結構ですというふうなことになっても、現実に進む事態の中でその危険性があるからそういうことを明記しておく必要があるんではないか、明記していないなら明記していないと。それは危険性が伴うんだということを私は指摘しておきたいがために述べているんです。明記されていないんでしょう。
#240
○政府委員(赤尾信敏君) 私たちが説明しておりますことは、その目的は先ほどもう申しましたから繰り返しませんけれども、この技術の性格というものは武器製造へ用いられたりするものではないということがはっきりしていることは第一点として申し上げたいと思います。
 第二に、原研の方から提供される機器の使用目的、これはもう特定されております。実験の成果についても公表されます。それと、先ほども申しましたけれども、実験施設が双方の関係者に開放されるということですべて問題は確保されているというふうに考えております。
#241
○立木洋君 核物質の遠隔監視という内容になりてくれば、核兵器そのものにも適用できる遠隔監視ということがあり得るんではないか。あなたの答弁では、これは軍備管理だと検証を伴うんだ、だから平和利用だと言われるかもしれないけれども、それはまさに軍事目的にかかわるわけですね。そういうことは結構だというふうなことが日本の原子力基本法のときに述べられていたわけではないんですよ、そんなこと。だんだん拡大解釈される危険性がある。あなたは公開すると言うけれども、全文公開されるという保証がありますか、研究結果について、全文完全に保証されると。保証されないということを今まで書いてあるんですよ。国会の答弁の中にもあるんです。双方の秘密にかかわる部分については公表されないということがあり得ますという国会の答弁にあるわけですから、必要な部分は全文が必ず公開されるという保証は、私は考えられないと思うんです。構わない部分が公開されるんでしょうが。
 そういう問題点があるので、私は委員長の方にお願いしたいんですが、その口上書の中でいわゆる非軍事ということが明確に担保されているのか
どうなのか、その部分で結構ですから委員長の方に提出をしてもらいたい。全文じゃなくて結構です。軍事目的はかかわらずということが、必ずそれが禁じられているといき項目があるのかどうか、内容的に提出してもらうようにお願いしたいと思います。
#242
○政府委員(福田博君) ただいまの委員のお尋ねは、口上書に「平和目的一という四つの漢字が書いてあるかどうかという御質問であれば、それは書いてないわけでございます。しかしそれは、今まで政府委員がお答えいたしましたように、この機器の使用目的の特定というものは非常に技術的にきちっとしておりますので、単に平和目的と書くよりももっと技術的にきもっと、まさに核物質の防護のための技術の信頼性を検証するために行われる研究であるということが非常に明らかになっておるわけでございます。
 それから、今の御質問の中のいわゆる口上書のその部分そのものを提出せよという話につきましては、内容については十分御説明するつもりですし、もう既に御説明しておるわけでございますが、口上書そのものは外交文書でございますし、先方との関係もあるので提出は控えさせていただきたいと思います。
#243
○立木洋君 「平和目的」という四文字が書いてあるかどうかということではなくて、私はもっと厳密に言えば非軍事と。いわゆる防衛という範囲で平和ということを含む危険性がありますから、そういう意味ではないんです。非軍事、つまり軍事目的に利用されない、絶対に禁止されるという基本的な見地が書かれているかどうかという問題、それは書かれていないということがあなたの御答弁でわかりました。
 この問題というのは、なぜこういうことを私は強く言うかといえば、危険性が伴うという問題があるので、そのことは日本のいわゆる平和憲法の立場、原子力基本法、核兵器に対する国是というものは明確でしょうから、その見地をきちっと守る必要があるということを改めて強調したいために私はそういうことを要求したわけです。
 大臣、この問題については、やはり核兵器に関する日本の政府の国是ともいうべき立場があるわけですから、このことをも完全に貫くようなことを一つ一つの交渉の中でおろそかにされないように、今後厳しい態度でもって臨んでいただきたいということを改めて強調しておきたいと思いますが、いかがでしょう。
#244
○国務大臣(中山太郎君) 我が国は、御案内のように唯一の被爆国であり「非核三原則を厳守することを国是といたしておりますから、そのような方針で臨んでまいります。
#245
○立木洋君 次に、このガット譲許表の変更の問題についてですが、これはもともともう既に明らかにされている十二品目にかかわるアメリカの圧力のもとでああいう決着になったということ自体に私たちは大きな問題があるというふうに考えております。
 今回のこの関税率を変更することによって八五%以上の砂糖のまがい品を抑えることができるので、糖価の安定に悪影響を与えることがなく、それは防止することができるというふうに説明されているかのように聞いておりますが、そういう考え方でしょうか。
#246
○政府委員(須藤隆也君) 砂糖の国内の生産業者を守るためには、外国からの砂糖の輸入そのものを禁止するとか制限するということができれば最も簡単で確実な方法でございますが、午前中の会議でも経緯を御説明いたしましたように、ガットの十一条で輸出入に関する数量制限は一般的に禁止するという原則がございまして、我が国が従来やっておりました輸入制限がガットのパネルで取り上げられまして、ガット違反という裁定を受けております。
#247
○立木洋君 その経過は知っておりますから。
#248
○政府委員(須藤隆也君) そこで、そういう経過を踏まえまして輸入制限の撤廃をしなければいけなくなったわけでございますが、それに伴いまして国内の砂糖業者を保護するために関税の引き上げを必要な程度にまで行うということで、いろいろ農水省とも相談させていただいた上で三五%の現行関税を一キログラム当たり九十円に引き上げるということによって、国内の砂糖業者、砂糖の生産者を守れるというふうに考えましてこの取り決めを結ぶこととした次第でございます。
#249
○立木洋君 つまり、砂糖の生産者に対する悪影響をこれによって防ぐことが可能だという考え方についても私は理解できないんです。
 一つ言いますと、砂糖の含有量が八五%以上の調製品ということについても、そういう調製品というのはこれは現実に存在していないということが一つあります。
 それから二つ目の点としては、八五%以上の調製品であっても、小売容器入りの場合にはそれが除去されている。つまり、八五%以上の調製品であっても小売容器で輸入されてくる場合には、これは関税率は三〇%ですよね。それから、五〇%から八五%未満の調製品という点についても、これはEECにしてもアメリカについてもこの点では輸出力を持っているわけですから、ここに集中してくるという可能性は除去されない。そういう調製品の輸出が日本に向けて集中してくるという問題も除去されない。
 そうした場合、これが大幅にふえてくるというもろもろの条件を考えると、この関税率八五%以上を九十円にしたからだということで悪影響を除去することができたというふうに考えるのは、私は適切ではないというふうに思いますが、どうでしょうか。
#250
○説明員(熊澤英昭君) 先生のお尋ねの点で二つあると思いますけれども、一つは最初の小売容器入りのものが八五%以上で除外されている点でございますけれども、今回のこの合意の中で小売容器入りのものにつきましてはそのまま小売ができるという形態に限定しておりますので、例えば容器ともの重量が五百グラム以上というふうに限定をいたしております。したがいまして、容器代あるいは包装代、そういったものを考えますと商品としてはかなり割高なものになります。したがって、この小売容器は砂糖をかなり入れて輸入が行われたとしましても経済的にはなかなか引き合わないというふうに考えられますので、そのような形で砂糖の輸入を目的として輸入が行われるということは考えがたいというふうに思っております。
 それから、二点目の五〇%から八五%未満のものについてでございますけれども、私ども確かにこういった分野につきましてはこれまで輸入割り当て制度をとってきたわけでございますが、これまでのそういった制度のもとで輸入されたものを見てみますと、かなり付加価値の高い商品が多うございます。例えば粉末ジュースのもととか、あるいはゼリーのもととか、そういった形態のものが大変多いわけでございます。通常、砂糖の含有率が五割から六割といったものが多いわけでございますが、ただ個々の商品の単価というものが相当高い商品でございまして、個々の商品をとりましても砂糖の輸入を目的としたというよりも、むしろ別個の独立したジュースのもととかゼリーのもととかそういう商品として売られているというものでございます。割り当ての数量も二年前は四十五トンということで、量としても大変少ないものでございました。
 なおその後、日米合意の中で割り当て数量を設定して輸入を認めるというアクセスの改善を行ったわけでございますが、昭和六十三年度が二千トン、平成元年度が三千トンという割り当て枠を設定いたしましたけれども、実際割り当ての申請がございましたのが昭和六十三年度の二千トンに対しましては千八百四十一トン、それから平成元年度の割り当て枠三千トンに対しましては二千二百三十一トンということで、いずれも割り当て枠を満たさない申請の状況にございました。このようなことから考えましても、こういった分野で糟価安定制度の機能を損なうよるな大量の輸入が行われるということは考えがたいというふうは思っています。
#251
○立木洋君 当面の問題について言えば、そういう事情については私自身もよく知っております。輸入量についても、それからどこに集中してくるかという問題についても。しかし、長期的に見るならば、やはり問題として考えなければならない。考え方としては、農産物の自由化の問題ということが今集中的に行われている状況の中で、今後いわゆる輸入制限を撤廃して自由化しても御心配はございませんよという考え方で対処される危険があるから私は特に強調したいんです。だから、砂糖の問題に関しては糖価安定で影響がございません、それは何ぼ自由化しても関税率で調整できれば問題がございませんよという主張の仕方をするならば、私はそういう態度には賛成できないということをはっきりさせておきたいがために、特にその点を強調しているわけです。
 今の農産物の自由化という問題については大きな問題になっているわけですから、私は長期的に見るならば、やはり砂糖の生産者、とりわけ限定された地域の生産者に対する影響が必ず出てくると思う。そうした場合でも、あなた方は問題がないというふうに言えるのか。やはり私は言えないだろうと思う。そのことを私は、この問題については、この砂糖調製品という問題にかかわらず、農産物の自由化の問題という基本的な見地から見て、そういう考え方で対処されないように私は強く要求しておきたいということを、この点では申し述べておきたいと思うんです。
 最後、もう時間がありませんから一つだけですが、ナミビアが独立したという問題については今まで御説明もありましたし、それに対する態度も聞きましたが、これは南アの植民地であったという七十五年間にわたる歴史の経過を見ても、アパルトヘイトの一つの崩壊というふうに主張することも可能だろうと思うんです。今、南アフリカの状況も大きく動いております。マンデラ氏の釈放もありましたし、それから交渉も開始されるということもありますし、先ほど御説明が午前中ございましたけれども、この南アに対する今後の基本的な日本の政策としてはどういう政策をとっていくのか。
 これはどうして私がそういうことを言うかというと、今までこの十年間を見てみますと、日本の政府は、公の場ではアパルトヘイトについては賛成していない、反対だということを言われます。しかし、本当にアパルトヘイトに反対しているのだろうか。国連におけるアパルトヘイトを非難した決議内容、そしてそれに対して経済措置を加えるという内容がこの十年間国連で提起されてきましたが、この十年間の経緯を見てみると、棄権が三回、あとは全部反対しているんですよ、日本の政府は。
 今後、国際的な推移を見てみますと、このような人類にとって極めて野蛮な人種差別の政策をとっているアパルトヘイトは、国際的にも厳しい批判を受ける事態というのはますます強まるだろう。だから、ことしの国連総会でそういう決議案が出されたら、政府は一体どういう態度をとるんだろうか。今までのようなあいまいな主張をして、アパルトヘイト反対というふうなことを言われるかのようだけれども、実質的にはアパルトヘイトの政策を進めている政権を助けるような態度をとるというふうなあいまいさがあってはならないと私は思うんです。
 そういう点で、この南アに対する基本的な問題、経済措置の問題も含めてどういうふうな対応をしていかれるのか、その基本的な考え方について大臣のお考え方をお聞きして、私の質問の終わりにしたいと思います。
#252
○政府委員(渡辺允君) 南アのアパルトヘイト政策が人種差別に基づくものであって我が国としてはそれを容認できない、これを撤廃すべきであるというのはこれまでも一貫して主張してきたところでございますし、今後もその基本的立場は維持することになるのは当然でございます。
 ただ、南ア国内における情勢が最近非常に大きく変化しているということもまた考慮に入れる必要があるというふうに考えております。それは、現在の南ア政権が昨年の秋以来、特にことしの二月以来とってきております幾つかの措置は、実質的な意味で南アの国内的な変革につながるものだというふうに私どもは考えておりますので、前向きの措置に関する限りは、これをできるだけ助長するようにするというのがひとつ必要であろうと思います。
 したがいまして、私どもといたしましては、今後南ア政策を考えます場合に一番基本的に考えるべきことは、南アのすべての当事者の間で交渉によって平和的にアパルトヘイト撤廃という最終的な目標に向かって前進が見られるように、それを目的にしていろいろな措置をとっていくということであろうというふうに考えております。
#253
○中村鋭一君 私は、この合意文書二件とそれから本日の法律案件一件につきまして、賛成の立場から質問をさせていただきます。
 初めにこの合意文書ですが、砂糖生産農家に対する打撃を防ぐために砂糖類似品の関税率を引き上げる必要がある、こういうことからすれば、その砂糖類似品が日本にどんどん入ってきた場合に、それが砂糖生産農家に打撃となってあらわれなければなりません。ということは、砂糖類似品はあくまで砂糖類似品であるのか、それとも、これまでの経過から見ますと、砂糖類似品は容易に砂糖に代替するものとして、イコールとして使われるから、だから砂糖生産農家に対して打撃を与えるんだという見方があるとすれば、砂糖類似品はイコール砂糖であるという証明がなされなければならないと思います。
 そこでお尋ねをいたしますが、具体的にまがいもの、砂糖類似品というのはどういうものなんですか。
#254
○説明員(熊澤英昭君) 今先生お尋ねの砂糖の類似品あるいは擬似砂糖、呼び方はいろいろあるわけでございますけれども、例えば商品の中で砂糖を九七、八%あるいは九八、九%にいたしまして、一、二%あるいは二、三%ほかの食べることのできる物質を混入するということが典型的な例として考えられるわけでございますが、実際現在の流通あるいは商品の分野でそういった形態の商品というのは存在しておりませんし、流通しておりません。したがいまして、仮にそういう商品を輸入しようとすれば、やはりそれは国内に入れて、砂糖の代用として使うという意図が容易に酌み取れるというものでございます。
 したがいまして、そういうものが大量に安い関税率のもとで入ってくるということになりますと砂糖の利用が減退する、侵食される、そういうことによって国内産糖への影響、ひいてはサトウキビ、てん菜といった原料作物の生産農家への影響が大きくなるという意味で、そういった砂糖類似品については、今回御審議をお願いしておりますように、関税率を引き上げて防止したいという意味でございます。
#255
○中村鋭一君 私がお尋ねしているのは、その打撃を与えるというそのことの前に、砂糖類似品がイコール砂糖として容易に使われ得る具体的な例示、一番の眼目ですから、だから私はそれを知りたいと言っている。商品名はあるんですか。現実にこれまでにそれが架空の類推に属するものとしてではなく、日本だけではなく世界各国において、仮に今回と同じようなことが他国においてあった場合に、この関税率の引き上げがなされなかったために具体的に砂糖類似品がその国にどんどん輸入されて、その国の砂糖の業者に対して影響を与えたという事例はありますか。それが知りたい。
 例えばこういうものです。小麦粉が一%で九九%は砂糖で、その小麦粉は別の袋に入れて、形としては砂糖類似品として輸入するけれども、輸入してから後でその小麦粉はぱっとのけて、現実の販売は砂糖として販売するんですか、しないんですかと、そういう意味のことをお尋ねしているんです。
#256
○説明員(熊澤英昭君) 現実に例えば砂糖が九七、八%で小麦粉が二、三%という商品は存在してございません。ただ、砂糖と小麦粉をまぜると
いうのは極めて簡単な技術で、単にまぜればいいわけでございますので、そういう形態の商品というよりは、そういったまぜ物をつくるということは簡単にできるわけでございます。
   〔委員長退席、理事宮澤弘君着席〕
 仮にそういったものが国内に入った場合には、例えば砂糖が九七、八%で小麦粉が二、三%といったようなものは、用途としては例えばビスケットの原料で砂糖を使う部分に使うとか、あるいはまた砂糖とほかのいろいろなものが考えられますけれども、そういった特定の物品、物資を使ってもいいような分野には、簡単に砂糖に代替する甘味原料として容易に使えるということでございます。
#257
○中村鋭一君 あなたのお話を聞いていますと、仮にとか、現実にはそういうことはないと。すべて考えてみますと、あなたの言い方はサブジャンクティブュースなんですね。私は現実を知りたいんです。だから、仮に私は小麦粉と言いましたが、小麦粉以外のものもあるかもわかりませんが、これはもう水かけ論になりますからいいですが、そういうものが関税率を上げなければ入ってくる可能性があるからおっしゃっているわけで、今度はそのプロバビリティーといいますか、蓋然性ですね、どれぐらいの確率で絶対的にそういうものが入ってくると外務省は見ておられるんでしょうか。
#258
○政府委員(須藤隆也君) ただいま農水省から説明ありましたように、砂糖類似品というのは現実にはこれまでのところ実績はないわけでございます。現在のまま砂糖調製品の輸入制限を解いた場合に、砂糖を消費する立場からすれば、砂糖生産国から少しでも安い原料を外から買えた方が得になるわけですから、砂糖に少しまぜ物をして関税を安く入れて、それをまた砂糖に戻すなりそのまま使うなりして……
#259
○中村鋭一君 いや、私は確率をお尋ねしているんです。
#260
○政府委員(須藤隆也君) そういうふうなことになる可能性があろうということで、一種の予防的な引き上げだと思いますけれども、その可能性は何%かと言われましても、数字で何%と言うことは難しいかと思いますけれども、可能性はあるんじゃないかという判断でこのような取り決めを行ったわけでございます。
#261
○中村鋭一君 そうしますと、確実に、絶対的に砂糖農家に打撃を与える砂糖類似品が関税を引き上げなければ入ってくる、だから今回このような審議をしているというんじゃなくて、そのおそれが強い、しかしこれまではそういう例はないし、そういう品物も確認はしていない。しかしそうなった場合は、そういう心配が大きいから一つの予防措置として今回この審議に立ち至ったと、そのような理解でよろしゅうございますか。
#262
○政府委員(須藤隆也君) そのように考えていただいてよろしいかと思います。
#263
○中村鋭一君 次に、外務省の在外公館に勤務していらっしゃる外務公務員の皆さんですね、この給与ほどのようにして決められて、そしてどのようにして支給されているんですか、簡単にそのシステムだけお教え願います。
#264
○政府委員(佐藤嘉恭君) 在外公館職員の給与の問題でございますが、若干テクニカルになる点はお許しいただきたいと思いますけれども、私どもの在外職員の給与につきましては国内の公務員に支給されるのと同様の俸給及びその他の諸手当と、それからもう一つは、今御審議いただいております名称、位置の給与法の規定に基づいて支給されるいわゆる在勤手当というものの二つから構成されているわけであります。
   〔理事宮澤弘君退席、委員長着席〕
 本日御審議いただいている法律との関係で申し上げれば、この第五条に在外勤務手当の給与の目的と額について定めておるわけでございます。すなわち在外職員が在外公館において勤務するのに必要な衣食住等の経費に充当するために支給されるというのが支給の目的でございまして、その額は、在外職員がその体面を維持し、かつ、その職務を責任を持って遂行する、能率よく遂行するということが確保される、そういうものでなければならない、こういう趣旨になっているわけでございます。
 実際、この額がそれぞれの当該国におきましてどういうふうに定められていくかということがこの現実の問題でございます。在勤地における外交官としての生活費と申しますか、生計費を算定いたしまして、さらに在勤地の物価水準あるいは為替変動等の諸点を年々勘案しながら厳正に査定をいたしておるというのが現在のシステムでございます。
#265
○中村鋭一君 中山大臣にお尋ねをさせていただきます。
 外務省の職員、特に現地にあってディプロマットとして活躍していらっしゃる皆さんですね、これは公務員には違いないわけですが、一面、やっぱり外交官といいますのは文字どおりレプリゼンタティブで場合によれば日本のフェイスですか、顔としてやっていらっしゃるわけですから、それは衣食足りて礼節を知る、それに対する体面とおっしゃいましたけれども、それだけのいわばその分の特別の手当というものは、私は同じ公務員でありましてもその面の配慮は十二分になされてしかるべきだと、こう思うのですが、その点について大臣のお考えはいかがでございますか。
#266
○国務大臣(中山太郎君) 大変適切な御意見だろうと思っております。
#267
○中村鋭一君 そこで、円建てで今支給していらっしゃるわけでございますが、これは南アメリカのどこの国でしたかね、ちょっと国名が思い出せませんが、アルゼンチンでしたか、昨年のインフレの年率が三六〇%なんて国がありますね。だから、そういうふうに外地で勤務していらっしゃる公務員の皆さんの給与について、例えばインフレの率でありますとか交換レートでありますとか、そういうものは現実にほどのように皆さんの給与に反映されているわけでございますか。
#268
○政府委員(佐藤嘉恭君) 先生今御指摘のとおり、私どもの在勤手当というものは円建てでなされております。したがいまして、この円の価値の変動ということに伴いまして、現地で受け取る給与というものが大幅に変動するということは御理解いただいているものと理解いたしました。
 それからさらに、物価の上昇率ということについても言及がございました。まさしく一部の途上国におきましては相当のインフレ率が現実に存在をいたしております。私どもこういう数字をできるだけやはり客観的にとらえていかなければいけないと思っておりますけれども、例えば物価の変動率等につきましては、OECDあるいはIMFといった客観的な国際機関が年々発表しております数字であるとか、あるいは現地の公的な機関が発表をしている数字、あるいは私どもの在外公館員が現実の生活感として抱く物価高、そういうものを総合的に判断いたして年々財政当局と協議に当たっておるというのが実情でございます。
#269
○中村鋭一君 ということは、そういった現地に赴任していらっしゃる外務公務員の皆さんの給与を決める場合は、その基準になる資料というものは、それぞれの任地における皆さんがお集めになったものが反映されている、こういうわけでございますか。
#270
○政府委員(佐藤嘉恭君) 基本的にはそのように御理解いただいて結構だと思いますが、ただいま御報告申し上げましたとおり、現地のみで十分かどうか、そういう場合にはやはり客観的な国際機関、まあIMFというのが割に世界じゅうの国々の物価統計というものを見ておるわけですけれども、そういった国際機関の資料も念頭に置く必要があろうかと思っております。
#271
○中村鋭一君 そこで私は、これは具体的な提案として申し上げたいんですけれども、今おっしゃったように、現地で資料を集めてそれを本省に言って、それでその都度こうやって法改正をして基準手当が決まっていくそういうシステムよりも、例えばインフレ率でありますとか現地の物価水準でありますとか、そういうことを客観公平に判断
する機関等がありまして、それは例えば自動的にスライドすると。そうやってスライドしたものが具体的に各任地において手当となって返っていく。それは、むしろ大枠として外務省が予算枠を持っていらして、一々法改正を伴わなくても最も適正な給与が支給されるような、そういうシステムをお考えになったらいかがか。
 そういうことについて我々立法府も、もし御提案があればそのことについて審議をすることにはやぶさかではない、こう思うんでございますが、その点についていかがでしょうか。
#272
○政府委員(佐藤嘉恭君) 大変ありがたい御指摘をいただいたと思います。同時に、私ども国家公務員の給与というものは、法定主義と申しますか、法律できちんと定められていなければならないものというふうに理解をいたすわけでございます。したがいまして、諸般の経済情勢の変動ということを踏まえますときに、ある程度自由のきく幅があるということは、国内の国家公務員の給与につきましても予想をしているところでございます。
 しかしながら、この法定主義ということとの関連で申し上げますと、やはり国民の税金ということでございますから、法令に仮に委任するということであっても、その範囲は合理的なものでなければならないと思うわけでございます。それなりの厳しさを持った幅ということが想定されておるわけでございます。
 私どもといたしましても、在外公館職員の給与につきましては、御説明申し上げましたような経済情勢からくる状況に対処するに当たりまして、ある基準額の上下二五%の範囲の中で移動するというか、変化が生じているということであるならば、これはある種の合理性があろうかと思っておりますし、また同時にそういう定め方をこの給与法はしておるわけでございます。今回法律の改正をお願いしておりますのは、一部の国におきましてどうしてもこの二五%の幅の中では処理できないほどに経済変動というものが生じてしまったと、そういうことで法律の改正をお願いしているということでございます。
#273
○中村鋭一君 まさにその点を私が指摘しているわけでございまして、今二五%とおっしゃいましたけれども、開発途上国、これはもう物価の変動ただならざるものがありますね。それに、東ヨーロッパを見ておりましても、もうそれは政治体制、社会体制、経済体制が旬日を入れざる間にごろごろごろごろ変わっていっているわけでしょう。そのときに、何か客観的でかつ合理的な判断の基準というものがあって、それを非常にフレキシブルなものにして、そして大きく外務省の裁量権の中にそういう給与の改定を認め得るような、もっと幅のあるものができていれば随分皆さんも安心して仕事ができるんじゃなかろうかと、こう思って申し上げているんですが、その点について大臣ほどのようにお考えでございましょうか。
#274
○国務大臣(中山太郎君) 大変温かい思いやりを外務省の在外公館職員にいただいていることをまずお礼を申し上げておきたいと思います。
 先般、東欧大使会議を数日前に外務省で開催をいたしましたが、そこでもいろいろと給与と為替の変動の問題について雑談のうちに話が出ておりました。これだけの大きな変動幅が生じてくるということになると、大使クラスではそんなに大きな生活に影響があるというわけではないが、しかし一般の在外職員については、例えば百三十六円で予算を組んだものが百五十六円とかそういう値段になりますと二十円違うわけでございますから、そういうことでやはり実質の、何といいますか、手取り賃金といいますか、給与というものが減るわけでございまして、それはいわゆる一般の職員にとっては大変大きな打撃になるというお話も聞いておりますので、私どもの外務省といたしましては、現地で苦労しておる職員たちがそういう面で不安のないような給与の支払い方式ができればこれにこしたものはなかろうと、このように大臣としては考えております。
#275
○中村鋭一君 私も本当に、具体的に今大臣のおっしゃったとおり、外務公務員の皆さんが安心して生活ができるような、そういう給与の仕組みというんですか、給与の与え方の仕組みといいますか、そういうものができればいいなと思っての意見でございますので、その旨お含みおきをお願いしておきたいと思います。
 それからもう一つ、現地採用の職員の給与体系というのは、本省から出ていらっしゃる職員の皆さんにおおむね準拠しているんですか。
#276
○政府委員(佐藤嘉恭君) 私ども外交活動をするに当たりまして、現地の現場において協力を得なきゃならないということが一つございます。先生御指摘のとおり、今いわゆる現地採用の者の支援をもって私どもの活動をやっております。
 その場合に、どういう給与体系で対応するかというお尋ねでございますが、私どもとしては現地雇用の給与水準というものは、現地の国家公務員の給与水準というものをまずは念頭に置きながら対応をいたしているところでございます。なかなかこれも十分な対応にはなっておりませんけれども、私どもとしては経済問題あるいは現地の政治問題、あるいは現地に対する広報活動という分野におきまして現地の事情にそれなりに詳しい方々の補助員を必要とするわけでございますから、できるだけ待遇の改善ということを念頭に置いて対応をしていく所存でございます。
#277
○中村鋭一君 その現地採用にも、現地にいる在留の日本人の方、それからかの国の人たち、外国人があると思うんですが、これは給与に違いはありますか。
#278
○政府委員(佐藤嘉恭君) 現地採用ということで見ますと、基本的に差をつけるということはございません。
#279
○中村鋭一君 それを伺って安心をいたしました。やはりその国の人たちからすれば、日本の大使館に採用されるということは、ある一面大変結構で名誉なことと思っていらっしゃるかの国の人たちもあるかと思います。そのときに給料が随分違いますと何かしらぐあいが悪いなというふうにその人たちは思うかもしれませんので、あなた方の給料は日本の人と同じですよということが保証されていればありがたいなということにもなりましょうから、それを伺って安心をいたしました。
#280
○政府委員(佐藤嘉恭君) ちょっと言葉足らずで恐縮だったと思いますが、今の先生の御質問の趣旨が、東京から行っている日本人の職員と現地で採用されるその国の職員との給与の差というお尋ねであるとすれば、これは若干修正をしなくてはいけないと思います。
#281
○中村鋭一君 それは違います。違います。
#282
○政府委員(佐藤嘉恭君) 違いますね。
#283
○中村鋭一君 はい。
 海外勤務の公務員の皆さんのお子さんの教育ですけれども、この教育については外務省はどういう配慮や措置を講じておいでになりますか。
#284
○政府委員(佐藤嘉恭君) いわゆる在外におきます日本人の教育の問題というふうに伺いますが、私ども外務省職員の子弟の教育の問題について申し上げれば、いわゆる在留邦人の教育の問題の一環としてとらえているわけでございます。これは教育事情の厳しい勤務地もございます。また、その土地に適当な教育施設がない勤務地もございます。こういう状況を考えながら、日本人学校を設定するなり、あるいは補習授業校と言いますが、その設定をするなり、私どもの日本人としての教育がそれなりに十分勤務地においてなされるような対応をいたしておるわけでございます。
 省内におきましても、いろんな相談事がございますので、そのための特別な部屋を設けたり、あるいは単身で赴任し東京に教育のために子弟を残していくというような場合にも対応できるような環境づくりというものも努力をしている次第でございます。
#285
○中村鋭一君 文部省の方に来ていただいておると思うんですが、今官房長がこういうお話でございましたけれども、これは外務省の職員だけじゃなくて、今もう日本から諸外国に物すごい数の人が行っておりまして、その子女の数も恐らく数十
万じゃないでしょうか、と私は思うんですが、それは親にとりましては子供の教育は大変なことで、長期にわたる場合、特に日本語教育ですね、これが小学校から中学校にかけてその国の言葉ばっかりしゃべっておりますと、なかなか帰ってきても日本語がしゃべれなくて大変だ、そういう親の嘆きもよく耳にするんですが、こういった点を中心に文部省は、外国に出ている子女の教育問題にはどのような措置を講じ、どういう対処をしていらっしゃいますか。
#286
○説明員(坂本幸一君) 先生御指摘のように、近年の海外に長期間在留する日本人及びその人たちの同伴する子供というのは非常にふえているわけでございまして、海外子女教育は大事な課題になってきておるわけでございます。
 海外子女教育につきましては、文部省と外務省とが協力しているんな施策を講じているわけでございますけれども、文部省といたしましては幾つかの施策を講じておりますが、一つは、日本人学校それから補習授業校に対しまして教員を派遣するという仕事をやっております。そのほかに教材整備を援助するというようなこと、それから海外の子供に対しまして国内と同様に教科書の無償配付、それから日本人学校に行けないような子供に対しましては通信教育を実施するというようなこと、そういった施策を講じているわけでございます。
 日本語教育ということにつきましては、日本人学校でありますれば国内の小学校、中学校に準じた教育をやっておりますので、そこで相当な日本語教育はできる。補習授業校の場合には、現地の学校などに行っている子供さん方が週に一回ないし特定の時間に補習授業校へ来て、特に国語だとか算数だとかに力を入れて補習授業をやっておるというわけでございます。
#287
○中村鋭一君 私は、特に外務省の職員は、冒頭に官房長も指摘をされたように、日本の代表として出ていらっしゃる側面もあるんですからね、十分に体面を維持して、生活を維持して、そうしてまた在留邦人も含めて子供の教育に我々日本人が十分安心できるような体制をつとに心がけていただきたいし、またそのことについてもし立法府がお役に立てるならば大いに応援もさしていただきたい、少なくとも我々連合参議院はそのように考えております。そのことを指摘いたしまして、質問を終わらしていただきます。
#288
○猪木寛至君 幾つか質問を用意したんですが、いつも最後になると質問が重複するものですから……。
 私、今回、三月十日よりブラジル大統領の就任に招待をされまして、二週間の予定で行ってまいりました。その中でブラジルとメキシコとまたニカラグア、キューバということで訪問してまいりまして、先ほどほかの先生からも話があったように、在外職員の苦労というものを直接話を伺ってまいりました。
 その中で、私月身今回は環境問題、特にアマゾン問題ということで一日飛行機を飛ばして視察をしてまいりました。
 それからまた、リオに参りましたら、動物保護ということで世界的に今話題になっておりますレオンドラードというライオンザルが今二百五十匹しか生存をしておらず、その保護地域一帯が火事に見舞われまして九年間燃え続けている。それはどういうことかというと、非常に有機質の泥炭が長年堆積したもので、その中の五メートルも六メートルも奥に火が入ってしまいまして、消防署としても手に負えない、消せないということで九年間燃え続けている。今JICAに援助をお願いしているんですという現地の消防署の話も聞いたんですが、しかしながらこの現場を見まして、そのような状況で、まずおぼれている子が、危険地域ですから、立ち入り禁止という名札の中で法律を論じているような感じがいたしました。私も現場を見まして、ならば私がやりましょうということで即座に約束をしまして、消す一つの方法、その応援をすることを約束してきたんですが、その後政府の関係者にもお願いしながら、植林や何かも今お願いしております。
 それと、メキシコに参りまして、これも一つは経済援助、無償援助ということで、スポーツ交流ですが、オリンピックでも高地トレーニングの効果というものが大変今評価されているわけですけれども、日本もぜひスポーツ交流でそういう高地のトレーニングを使ってほしい、同時に、そういう我々の足らない器具を援助してほしい、ドーピングの測定器並びに高地ではかるいろんな器械を日本からも援助してほしいということでした。たまたま大使館の方もその話が同時進行しまして、五千万という援助を来年の予算に組み込みますということで大変話がいい方向へ進みました。
 それから、今大変話題になっておりますニカラグアに参りまして、チャモロ次期大統領と一時間ほど会見する機会を得まして、政権移譲が平和的に行われるということでインタビューもさせてもらいました。コントラの解体ということが最大の条件であるから、我々は何とか平和的な解決を望んでいるというようなことと、それから今日本に何を望むかということを言いましたところ、ニカラグアとしても日本に何かをお願いするという立場ではない、していただくことを待つのみである。世界的な援助が欲しいんだということの中で一つお願いができるのであれば、野球の道具を送ってほしいということがありました。
 これはやっぱり今コントラの解体あるいは撤兵問題、国民が今一番夢を持ってほしいということで、大変野球の盛んなところで野球の道具を送ってもらって、それで大統領の就任式にそれを発表したいということで、これも結構ですと私は返事を申し上げたんですが、そこにちょうど大使も随行していまして、大使としても、相手のそういう要望にこたえたいところでしょうが、さっきからいろんな話が出ておるとおり、なかなか日本の手続上の問題があります。翌日またオルテガ大統領と一時間ほど会いまして、これはやっぱりコントラ、それから環境問題、そういうことでとにかく我々は反対の野党ではないということで、今の政権を応援していきますということで明確に申しておりました。
 そんなことでもう一つ、・私自身が見てきたことにマナグア湖という大きな湖があるんですが、これはもう五十年間にわたって下水道がなくて、そこへ汚水が全部垂れ流しになって流れ込んで、もう本当ににおいと信じられないような汚れという、そういう現場を見まして、大変世界的な環境汚染というのが今大変叫ばれているのですが、その現場を知らずして新聞なりそういう情報だけで今論じていることが多いんじゃないか。そういうことで、私の今回の旅は大変有意義であったし、大使館の人たちも非常に私はお骨折りをいただきました。
 そしてまた、キューバに飛びましてカストロ大統領と約四時間、大使公邸で食事をさしてもらいまして、その中でぜひ日本からの協力も欲しい、平和を望んでいる。それから、即位の礼ははどうぞ日本に来てくださいよ、ということを申し上げたら、ぜひお伺いしたいということでいろんな細かいことも聞いてくれました。おれの自分の飛行機で行けばいいのか、あるいはどういうルートで行けばいいとか、ふだん聞けない話を聞かしてもらったわけなんです。
 もう一回ブラジルに戻しますと、ブラジルのアマゾンは今どういう状況で森林破壊が行われているか。これは問題になっていることと現場で見てみると大変違う情報が入ってきまして、一つはあそこに今ゴールドラッシュがいろんなところで起きていまして、アマゾンというのは本当に地球上のあらゆる資源を眠らせている、あるいは鉄鉱石にしても三百年掘り続けても掘り尽くせないというような大きな資源が眠っている。そういう意味で、政府としてもコントロールができない。あるいは密輸業者がアマゾンの中に入っている。そして、金を掘っている人たちの現場を見ますと、金を採取するときに水銀を混ぜてそれを金にくっつけるわけなんですが、その水銀を川に垂れ流しております。その中で、もう本当に魚の奇形が産ま
れまして、そういうようなものを食べたインディオが、日本で言うイタイイタイ病でしょうかね、そういうことに侵されているという現場も見てまいりました。
 そんなことで、本当にこれから日本の国際的に果たさなきゃいけない役割というのは大変大きなものになっているわけだし、先ほど在外公館での職員の待遇とか、私も本当に行く先々でそういう話を聞きました。さっき中村先生の方から御指摘が随分ありました。そういう人たちが本当に夢を持って我々は日本のために、そしてそういう職務に希望が持てて、責任感というか、そういうものを感じるような今の行政になってないということを痛感しました。先ほどからお伺いしていますと、大変これもやっています、あれもやっていますということをお聞きしておりましたが、実際の現場ではそういうことに満足していない、まだまだやっていただかなければいけないことがたくさんあるんじゃないか。
 そこで、まずもって、私も重複しますが、本当に今回の為替相場の変動による在外の外務公務員の給与の引き上げ、これはもう大変ありがたい、大賛成でした。そういうことから、ひとつこれから思い切った状況をやっぱりつくってもらいたい。今言った百三十二円、百三十六円、そして現在百五十八円という調整は一年に一回の調整なんでしょうか。それとももっともっと年に三カ月置きにやるのか、これをちょっと質問したいと思います。
#289
○政府委員(佐藤嘉恭君) ただいま猪木先生から大変貴重な御意見を承りました。私どもとしてほ、本省といたしまして最大限のことをやらなくてはならないという気持ちは持っているつもりでございます。しかしながら、現場の我々の同僚が完全に満足をしているかというと、そこは我々自身にとっても反省をしていかなければならない要素がまだまだ残っているというふうに思っておりますので、引き続き諸先生の御支援をいただきながら今後の対応も考えていきたいと思います。
 御質問の改正をどの程度考えるかということでございますけれども、私どもの今の制度の中では為替変動率がある一定のパーセンテージを上下しますとき、その範囲を超えた場合には見直しをしようという定めになっておるわけでございます。したがいまして、そういう為替変動の状況が数カ月にわたり続くというような事態においては、年度内でありましても見直しの作業をし、所要の給与を設定する、そういう仕組みになっていることを御報告したいと思います。
#290
○猪木寛至君 そういう中で、例えば細かい話になりますが食料の問題です。私は大変食べることが商売でしたから食べる方に気が行くんですが、在外職員がやはり日本食が食べられないという、日本人にとってこれは非常に厳しい問題だと思うんです。例えばそれを調達に行く場合に、それの経費というのはどういう形になっているんでしょうか。
#291
○政府委員(佐藤嘉恭君) 私どもの在外勤務地のいわゆる困難度と申しますか、それはいろんな要素によって十五項目ぐらいあるのでございますが、そういう十五項目ぐらいの内容を基準にいたしまして、特勤度と申しますかハードシップの順序を六階級ぐらいつけているわけでございます。
 その中で、まさに今先生が御指摘になりましたように、食料品の調達が容易であるかどうかということも特勤度を決める際の一つの判断基準になっているわけであります。
 そこで、実際にそれではどう運用をするかということでございますが、例えばアフリカの諸国あるいは中南米の諸国におきまして食料品調達が非常に困難な地におきましては、例えば中南米の場合ですとメキシコで調達するとか、あるいは中南米の北の方であればニューヨーク等において調達をするとか、そういう特定の場所を決め、それに伴う出張旅費あるいは調達に係るその他の経費につきまして予算を計上し、財政当局の承認をもらい、国会の承認をいただいている、こういう状況でございます。
#292
○猪木寛至君 例えば、買ったものを大使側の公費で賄う部分と、それからまた今度は個人で食べる部分、それを一括して買ってくるわけですけれども、そのときに輸送湾というかオーバー料金というか、こういうものは個人負担と聞いておりますが。
#293
○政府委員(佐藤嘉恭君) 物資の調達につきましては、公用品と私用のものと両方あろうかと思いますけれども、公用品につきましてはもちろん公費でございますが、私用に供するもの、これは当然私費で払わなければなりません。ただ、当該人が出張するその経費につきましては政府の予算で賄っていただいておる、こういうことでございます。
#294
○猪木寛至君 本当に外国において、今まさに在外公務員あるいは大使の役割というのは大変大きいわけで、本当にそういう生の生きた情報を得るには、やはり現地の人たちとのつき合いが一番大事だと思うんです。そのつき合いの中で、今の待遇で十分そういうつき合いをでき得ると思いますか、どうでしょうか。
#295
○政府委員(佐藤嘉恭君) 大変厳しい御質問なんでございますが、私どもとしては、現地の生活水準と申しますか、外交官にふさわしい給与水準というものを定めなければならないという義務が課せられております。したがいまして、治安の状況、経済情勢の変化等を十分組み入れて、我々の同僚が十分な給与を支給されるということを毎年努力をしている次第でございます。
 十分な交際ができているかどうか、私どもとしても毎年のレビューを重ねるとともに、数年に一度ということになるかもしれませんけれども、いわゆる査察というのを行いまして、在外の大使あるいは館員が十分そういう外交活動が社交の面においてもなされているかどうかということを査察する制度も導入をしているわけでございます。そういうあらゆる手段を講じて我々の現場におる外交官が十分な活動ができるようになお一層努力をしたいと思う次第でございます。
#296
○猪木寛至君 中山外務大臣もその辺は十分御配慮されていると思うんですが、私が今回見てきて聞いたことを御報告申し上げました。
 それからもう一つ、先ほどの動物保護ということと、それから野球の道具のプレゼントをしてくれないかという依頼があったんですが、動物保護という部分もこれは世界的な大きなことだと思いますし、これが必要なときに必要なものが必要なだけというか、本当に間に合わない。そこで今小規模無償資金協力、これはどのようなあれなのか、ちょっと説明をしていただきたいと思います。
#297
○政府委員(木幡昭七君) この小規模無償資金協力導入の背景につきまして、まず申し上げます。
 開発途上国にさまざまなニーズ、援助要請がございますが、それをできるだけ機敏に、いうなれば現地の大使、大使館等が即対応できるようなこができれば一番いいわけでございます。しかし、さまざまな国からのあらゆる要請にこたえるのに仕組みをきちんとしてチェックもするということもやっておかなきゃいけない。そんな両面を考えまして、私どもできるだけ手続も余り頻繁にせずに、しかし金融等は、そのかわり小さいものでできるだけ先方の要請に小回りのきく形で対応する、そういうことから始めたものでございます。
 ただし、実際に供与する仕組みについてやはりある程度の枠組みをつくりませんと、ちょっとこれまた後の会計のきちんとしたチェックができなくなっても困る。そういうことで私ども対象国であるとか、実際に供与する額等については、内々に内規のようなものをつくっているところでございます。
#298
○猪木寛至君 ここにちょっとその手続のフローチャートがあるんですけれども、こんな手続をしていたら、例えば何かが起きたときに間に合いますかね。
#299
○政府委員(木幡昭七君) これは、国民の税金で援助をしてやる場合にできるだけ公明正大にきちんとするという考慮が働いておりまして、チャー
ト等もきちんとつくったわけでございますが、だんだんその仕組みになれてきますればその辺のところは現地にも相当程度手続面の委譲もできますですし、要はきちんとした目的に従って、しかし機敏に使われるということを確保するということであろうかと存じます。
#300
○猪木寛至君 私のこれは一つ提案なんですけれども、大使の名称は全権大使ということで全権を委ねられているわけですから、そういう部分での権限が余りにも弱過ぎるんじゃないか、例えば何かが起きたときにやはり日本がいつも確かに量は一番多く持っていくわけですが、大変国際的にも評価が薄いということから、現地において一番早く対応できるためにもその大使の権限というものを強めてもらう、あるいはそういうことに対応できる資金を積み立てておいてもらうということはいかがでしょうか。
#301
○政府委員(木幡昭七君) 小規模無償につきましては、先生御案内のとおり、まだ発足したばかりでございますので、多々改善を要する点があることも私ども認めなければいけないところでございます。
 しかし、緊急の場合につきまして申し上げますと、緊急援助につきましては、我が国の場合時々遅いじゃないかという御指摘をいただきまして私ども反省もいたしますが、しかし、早い例がかなりあるのでございます。特に医療協力等につきましては、最近は飛行場のところに医薬品等常時備えておきまして、いつでもそれを使用して飛び立てるような形にもしてございます。いろいろ改善を常に心がけなければいけないわけでございますけれども、小規模無償あるいは緊急援助体制、さらにはまたNGOに対する事業補助、そういうものを組み合わせてまいりますと、今まで小回りのきかなかったことについて相当程度時間的にも、あるいはきめ細かにその他細かいプロジェクトも拾い上げる、そういうことをやっていけるのではないかと思っております。
#302
○猪木寛至君 余り時間がありませんので、今回私は特に中南米を回ってきたものですから、中南米情勢というのは、東欧の変化と同時にアメリカ、キューバと、今後どうなっていくのかというのが世界平和に大分大きく寄与するものだと思うんです。
 そこで、外務大臣に中南米の今後の動向というものについてちょっとお話をお伺いしたいと思います。
#303
○国務大臣(中山太郎君) 中南米のいろんな国々におきまして民主化が大変進みつつあるという認識を持っております。そういう認識の中で、私どもの日本もその立ち上がるための経済協力、こういうものをこれから進めていかなければならない。先生も今お話しございましたニカラグア等に対しましても、先般次期大統領顧問という方が外務省をお訪ねになりまして、日本からの早急な援助をぜひお願いしたい、こういうことで、即刻それに対応するような調査をただいま始めているところでございます。
 また、最近パナマからも協力に対する要請が来ております。いろいろと各国で要請がございますが、日本政府といたしましては、できるだけそのように民主化、自由化していく国に対する経済協力をこれから進めていきたいと、このように考えております。
#304
○猪木寛至君 中南米局長にもちょっとお伺いしたいと思います。
#305
○政府委員(瀬木博基君) ただいま大臣から御発言がございましたとおり、まさに中南米に新しい風が吹いていると思います。これまでいろいろな意味で中南米は困難な問題を抱えておりました。世界の中で非常に困難の典型である内戦であれ、また累積債務であれ、環境の破壊であれ、こういうものがある意味では中南米を象徴していたということだと思います。
 しかしながら、この新しい風、今大臣が申されましたところの民主化の風というものによって新しい機運が生まれつつあると思います。私どもは、まさにこういう新しい機運の中でこそ日本の働ける場が出てきたというように認識いたしております。
#306
○猪木寛至君 最後に、第二パナマ運河というのがずっと話題になっておりましたが、ここのところに来て消えてしまったんですが、その第二パナマ運河の構想というのはまだそのまま続いているんでしょうか。
#307
○政府委員(瀬木博基君) 先生御案内のとおり、パナマ運河は非常に長い歴史を持っておりますが、必ずしも完全な運河航行が進められるという状態ではないわけでございます。
 このために、運河をどういうふうにしたら改善できるか、また場合によったら新しい運河を必要とするのかどうか、そういうような問題が国際的に論議されてきました。それを受けまして、パナマ運河の今後のあるべき姿をどういうふうにすべきであるか、果たして新しい運河をつくる必要があるのか、またそれが経済的に可能であるのか、そういう調査をしなくちゃならないだろう。しかして、その調査にすら非常に大きなお金が要るわけでございますから、そういう調査をするだけの価値があるのだろうかという検討を現在行っているわけでございます。
 そういう意味での第一次的な検討が今年中に完成する。その先どうするか。そこで我々としては結論を出そうということになると思います。
#308
○猪木寛至君 最後に、冒頭にも申し上げたように、私も外回りをしてまいりまして、本当に皆さんが外で子女の教育の問題、食料の問題、いろんなものの中で頑張ってくれている。何とかそういう人たちの期待にこたえられるように、いろいろ資金の面も予算の問題もあると思いますが、ひとつ頑張っていただいて、そういう皆さんの声にこたえていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
    ─────────────
#309
○委員長(山東昭子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、山本富雄君が委員を辞任され、その補欠として成瀬守重君が選任されました。
    ─────────────
#310
○委員長(山東昭子君) それでは、これで質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#311
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#312
○立木洋君 ガットの譲許表に係る二件について、私は反対の立場で討論をいたします。
 そもそも砂糖を主成分とする調製食料品の輸入割り当て制度をどうするかということが問われなければならないにもかかわらず、今回の件は、アメリカの農産物十二品目自由化要求に押し切られて決定した輸入割り当て制度撤廃を前提とし、その対米交渉の結果合意した関税率の変更について承認を得ようとするものになっているわけであります。
 そこで、まず私は、農産物自由化のガット裁定を受け入れることに賛成することができないということを述べておきたいと思います。また、政府は砂糖調製品の輸入割り当て制度を撤廃しても関税率の変更で国内関係産業への不当な影響は防止することができるとしていることは、非自由化品目の農産品の今後にかかわる問題としても容認できません。さらに、今回の具体的な内容についても、関税率を引き上げ、それによって仮にまがいものを防げるとしても、それは仮定の問題であり、現実に流通している多くの砂糖調製品の関税が引き下げられ、こうした商品が大量に輸入されることになるならば、長期的に見て国内関係産業への不当な影響を防止することができず、決して国内生産者が安心できるものではないと考えます。
 以上のような理由を述べ、反対討論を終わりま
す。
#313
○委員長(山東昭子君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#314
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 まず、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#315
○委員長(山東昭子君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許の変更についての欧州経済共同体との合意に関する文書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#316
○委員長(山東昭子君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#317
○委員長(山東昭子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、以上三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#318
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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