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1990/05/24 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 外務委員会 第4号
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1990/05/24 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 外務委員会 第4号

#1
第118回国会 外務委員会 第4号
平成二年五月二十四日(木曜日)
   午後二時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     高井 和伸君     中村 鋭一君
     勝木 健司君     猪木 寛至君
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     合馬  敬君     山本 富雄君
     須藤良太郎君     鳩山威一郎君
     田  英夫君     八百板 正君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     八百板 正君     田  英夫君
 五月二十四日
    辞任         補欠選任
     山本 富雄君     石渡 清元君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山東 昭子君
    理 事
                久世 公堯君
                宮澤  弘君
                竹村 泰子君
                中村 鋭一君
    委 員
                石渡 清元君
                大鷹 淑子君
                岡部 三郎君
                関口 恵造君
                原 文兵衛君
                久保田真苗君
                田  英夫君
                堂本 暁子君
                肥田美代子君
                矢田部 理君
                太田 淳夫君
                中西 珠子君
                立木  洋君
                猪木 寛至君
   国務大臣
       外 務 大 臣  中山 太郎君
   政府委員
       外務大臣官房外
       務報道官     渡邊 泰造君
       外務大臣官房審
       議官       川島  裕君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省北米局長  松浦晃一郎君
       外務省中南米局
       長        瀬木 博基君
       外務省欧亜局長  都甲 岳洋君
       外務省経済局長  林  貞行君
       外務省経済協力
       局長       木幡 昭七君
       外務省国際連合
       局長       赤尾 信敏君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        辻  啓明君
   説明員
       法務省入国管理
       局登録課長    山崎 哲夫君
       法務省入国管理
       局参事官     木原 哲郎君
       外務大臣官房審
       議官       丹波  實君
       大蔵省主税局国
       際租税課長    黒田 東彦君
       大蔵省国際金融
       局国際資本課長  北村 歳治君
       資源エネルギー
       庁石油部開発課
       長        杉山 秀二君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とタイとの間の条約の締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(山東昭子君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 先般、高井和伸君、勝木健司君、須藤良太郎君、合馬敬君が委員を辞任され、その補欠として中村鋭一君、猪木寛至君、鳩山威一郎君、山本富雄君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(山東昭子君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に竹村泰子君、中村鋭一君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(山東昭子君) 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とタイとの間の条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中山外務大臣。
#6
○国務大臣(中山太郎君) ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とタイとの間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 政府は、タイとの間の現行租税条約にかわる新たな租税条約を締結するため、タイ政府と数次にわたって交渉を行いました結果、平成二年四月七日に東京において、両国外務大臣の間でこの条約に署名を行った次第であります。
 この条約は、現行条約に比し、条約全般にわたって最近の租税条約の改善された規定をできる限り取り入れたものであり、近年我が国が諸外国との間で締結した租税条約と同様、OECDモデル条約案に基本的に沿ったものとなっております。
 この条約の主な内容としまして、まず、事業所得につきましては、企業が相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する利得に対してのみ相手国で課税できるものとしております。また、国際運輸業所得のうち、航空機の運用による所得に対する租税につきましては相手国において全額免除とし、船舶の運用による所得に対する租税につきましては相手国において五〇%軽減することを定めております。また、投資所得につきましては、一定の配当、利子及び使用料についてそれぞれ源泉地国における限度税率を定めております。
 この条約の締結によって日・タイ間の二重課税の回避等の制度がさらに整備され、両国間の経済及び文化の面での交流が一層促進されるものと期待されます。
 よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認あらんことを希望いたします。
#7
○委員長(山東昭子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○田英夫君 最初に、今議題になりました日本とタイの租税条約について伺いたいと思いますが、現行の条約にかわって新しい租税条約を結ぶに至った経緯といいましょうか、主としてタイ側にいろいろ要求といいますか、原因があったというふうにも聞いておりますけれども、この辺を簡単に伺いたいと思います。
#9
○説明員(丹波實君) お答え申し上げます。
 昭和六十二年の六月になりますが、タイ側から、昭和三十八年にバンコクで署名されました日タイ租税条約、現行の条約でございますが、一部が現状にそぐわなくなっているという理由で、日本側に対しまして現行条約の見直し交渉につき申し入れがございました。
 どういう点が現状にそぐわなくなっているかという点を中心とする御質問かと了解いたしますが、典型的には次の点だったと思います。すなわち、現行の条約、つまり改正された条約でございますが、その第十四条におきまして、タイの一九六二年にできました産業投資奨励法に基づきますタイの租税の減免につきまして、いわゆるみなし外国税額控除を適用することを規定しておりますが、このタイの法律が一九七二年に至りまして廃止されたということでございます。したがいまして、協定上そういうことが書かれておりますが空振りになっているということでございます。
 タイの先ほど申し上げました国内法が変わって新たなものができておるものですから、それは一九七七年に制定されたものですが、この新しい投資奨励法に基づく課税上の優遇措置というものを今度の新しい条約に入れてほしいというのが非常に大きな理由であったというふうに考えております。
#10
○田英夫君 今の御説明でわかりましたが、二重課税を排除する方式ですけれども、今のお話の外国税額控除方式、日本は各国と結んでいるのは原則としてこの方式をとっているのか、その理由、いわゆる外国所得免除方式というのと二つある中でこれを採用している理由といいますか、これはどういうことですか。
#11
○説明員(丹波實君) 先生おっしゃいますとおり、基本的に日本国と外国との間の租税条約を行います場合には外国税額控除方式をとっておりまして、この協定の二十一条にも同様の規定があるわけでございます。
 日本側がこのような方式をとっておりますのは、各国の国内法が、特に日本の国内法がそのような方式をとっておるものですから、それを協定に反映するのが非常に便利であるということでやっておるわけでございまして、多くの国が実はそういう方式をとっておるわけでございます。
#12
○田英夫君 その問題はこの程度にいたします。
 タイの問題に関連をすることですが、タイのチャチャイ首相が提案をいたしまして、カンボジア問題について海部総理との間で東京会議をやったらどうかということになって、これが実現をするというふうに聞いておりますが、日本政府がこういう積極的な姿勢に乗り出しておられることを私も大変評価いたします。
 六月の四日、五日ですかに実現をするというふうに聞いておりますけれども、ずばり見通しを外務大臣はどういうふうに見ておられますか。
#13
○国務大臣(中山太郎君) 田委員から東京での会談の見通しはどうかということでございますが、私どもは、長年対立をしてこられた両派の首脳が、停戦に向けて、また和平の構築に向けてお話し合いをされる場を我々が提供するということでございまして、この会談が成功するように日本政府としては努力をし、また期待もいたしておるということでございます。
#14
○田英夫君 タイのチャワリット副首相兼国防相もこの問題の解決のために大変熱心に活動しておられるようですが、このチャワリット副首相自身も一つの私案を持っていて、これを東京会議に反映させたいというようなことが報道されておりますけれども、これは事実東京会議に持ち込まれてくるのか。また、別に日本政府自身として一つの案を持っておられるということも聞いておりますが、それは事実なのか。この二つの点をお聞きしたいと思います。
#15
○国務大臣(中山太郎君) 現状の説明につきましては、アジア局長から御答弁させていただきたいと思います。
#16
○政府委員(谷野作太郎君) お答え申し上げます。
 チャワリット副首相が大変御熱心であることは事実でございまして、御自身いろいろなことを考えておられることも私ども漏れ承っておりますけれども、タイ政府のお立場もありましょうから、この場で詳細を申し上げることは差し控えたいと思いますが、ただ、そのようなこともございますものですから、今般担当の外務省の課長を急遽夕イに派遣いたしまして、タイ政府と十分その点を呼吸合わせをしてくるようにというふうに命じまして、二十四日、きょうでございますが、バンコクに参りました。それが第一点でございます。
 第二点は、日本政府として何か具体的な試案があるかというお尋ねでございましたが、これはとりあえずは、今般の東京会談というのはカンボジア紛争の直接の当事者に集まっていただいて、この方々の間の御議論の推移を見守るといいますか、ということではございますものの、他方、私どもといたしましても、求められればそのときどきに応じて、単に場所をお貸しするということを超えて積極的な何か役割を果たしてまいりたいと思っております。
 そこで、日本政府のカンボジア問題についての基本的な考え方だけを四点ばかり申し上げたいと思います。
 第一点は、何といっても永続的な和平を達成する必要がある。そのためには、よく言われます全体的な包括的な解決が必要であるということでございます。
 第二点は、総選挙に至る暫定期間といえども、やはりカンボジア人の民族自決といいますか、そのことは最大限に尊重されるべきであるということでございます。
 それから第三点は、国連の関与ということが話題になりますが、国連の関与はあるといたしましても、公正かつ自由な選挙の実施、そこにとりあえず重点が置かれるべきでなかろうかということが第三点でございます。
 それから第四点、最後の点はクメール・ルージュの問題でございますけれども、いずれにいたしましても、過去のあのような非人道的な政策の再来というものはやはり阻止されるべきであろうということでございますが、他方、クメール・ルージュというものを全く横に置いた形での解決というのは、永続的な和平というものを考える場合には、なかなかそれはそれで現実的ではないのではなかろうかという気がいたしております。
 いずれにいたしましても、その辺の将来の行政機構をどうするかとか、選挙のあり方をどうするかということにつきましては、最終的にはまさにカンボジア人同士のお話し合いによるべきものということが私どもの基本的な考え方でございます。
#17
○田英夫君 今の四つの点は私も全く同感、賛成でございますが、今度の東京会議の形式ですね、シアヌーク殿下とフン・セン首相が二人で会談をする、それに日本は主として場所を提供するという役割なのか、あるいはそこに日本政府側も随時必要に応じて参加する、あるいはタイの参加もあり得るとか、さらに残るソン・サン首相とかキュー・サムファン副大統領という人たちも参加をする可能性があるのかどうか。その辺の構造はどういうふうになりますか。
#18
○政府委員(谷野作太郎君) これはまさに始まってみないとわかりませんが、その辺のことも河野課長がバンコクで詰めてくることの一つだとは思
いますが、とりあえず私の想像では、一方においてはカンボジアの国民政府、他方においてはへン・サムリン政権、この二者の間でお話し合いが行われて、そこにその他の方々がどう入るかということではなかろうかと思います。また、その間日本政府が、あるいはこれに熱心なタイの政府がどういうふうに関与していくかというのは、まさにその軸となる二者のお話し合いの進展いかんによるのではないかと思いますが、この段階で軽々に会談を先取りしたような想像は差し控えたいと思っております。
#19
○田英夫君 今のお話で、大変流動的だということはわかるんですが、もう一つの大きな問題は、ベトナムをどういうふうに取り扱うのかということだと思うんですね。
 シアヌーク・フン・セン会談というのも、要するに二であるかあるいはそれが四になるか、最終的には四派というものが一つになっていかなくちゃいけないことは、これは政府もそうお考えだし、私どもも全くそうだと思います。さっきの谷野局長のお話にも、クメール・ルージュの取り扱い、これは排除するのはまずいというお話があった。そのとおりだと思うので、今度の会議の内容はどうあれ、いずれにしても四派は一つになる。そうすると、ベトナムをどうするのかというのはカンボジア問題解決のための一つの重要な部分だと思うんですが、東京会議については、ベトナムは一応問題の外と考えていいわけですか。
#20
○政府委員(谷野作太郎君) 確かに御指摘のように、ベトナム、もう一つは私は中国だと思いますが、重要な役割がカンボジア紛争についてはあるわけでございますが、今回はとりあえずはカンボジア人各派の間のお話し合いということで、お招きはしておりません。ただし、ベトナムと中国に対しましては、それぞれ今回の東京会議に至りました経緯を私どもの方から詳細に説明しておりまして、基本的に今回の会議について支持を得ております。
#21
○田英夫君 私はそこを心配しますのは、クメール・ルージュのキュー・サムファン副大統領に、この前の委員会でも申し上げましたが、この一月にカンボジアへ行って会ってきました。そのときに彼が特に強調しておりましたのは、現在もベトナム軍がへン・サムリン政権の軍服を着ているんだ、あるいは入植者という形で数十万のベトナム人がカンボジアにいるんだ。たとえ国連管理下の選挙といえども、このままで選挙をやれば、そのベトナム人がカンボジア人の顔をして投票する結果になるじゃないかと、こういうことを主張していたわけですね。彼は非常に強い調子で、我々はベトナム人を敵だと思っているんだと。したがって、カンボジア問題解決の会議には必ずベトナムが当事者として参加しなければならない。にもかかわらず、現在、ベトナムは当事者ではなくて第三者のような顔をして会議に参加をするような雰囲気にある。これは自分たちは認められないということを強調しておりましたので、私もそれは確かに一理あると。彼の立場からすれば、そう言うのは当然だろうと思います。この辺のことを十二分に配慮しませんと、政府の大変積極的な御姿勢にもかかわらず、この東京会議というものはなかなかうまくいかないんじゃないだろうか。この辺をどう思われますか。
#22
○政府委員(谷野作太郎君) 田先生御存じのとおりでございますけれども、昨年の九月末だったと思いますが、の段階でカンボジアからベトナムは完全に兵を引いたということを宣言したわけでございますが、他方、このことにつきましては、御指摘のように、国際的にはいろいろな見方がその後あることも事実でございます。いずれにいたしましても、国際的にこのことが検証されないまま今日に来ておるわけでございまして、そのこと自体非常に私どもは残念なことだと思っておりますし、この検証の問題というのは今後の和平についていろいろお話し合いが進む中で大変重要なポイントの一つだと思っております。したがいまして、私どももこの問題について国際的に認知された形での検証というものがやはりぜひとも必要であるということは、先般のパリの国際会議におきましても中山大臣から強く主張されたところでありまして、その点での私ども日本政府の立場というのは変わっておらないわけでございます。
 いずれにいたしましても、パリ会議でもこの問題は非常に重要な御議論のポイントでございまして、その前に今安保理の五カ国でいろいろこれはこれで議論が続いておりますが、そこで何か一つのフォーミュラといいますかが見出されて、いずれパリの全体的な国際会議にこの問題がつながるということが望ましいんだと思います。まさにそこが、御指摘のように、永続的な包括的なと申しましたが、和平というものを考える場合に一番大切なポイントの一つだと思います。
#23
○田英夫君 中山外務大臣は、たしか私の記憶では外務大臣に就任されて一番最初に外国を訪問されたのがカンボジア・パリ会議だと思いますが、以後大変積極的に取り組んでおられるわけで、ぜひ今局長からお話のあったような方向で東京会議をうまく成功させていただきたい。特にさっきお話のあったいわば四原則ですね、日本政府の四原則の上に立って恐らくもっと具体的に今何か案をお持ちだと思うんですが、今はちょっと会議の前ですから手の内をというか、内容を言われるわけにはいかないと思いますけれども、そういう四原則の上に立った案をお持ちだろうと思うんで、その辺のところでむしろ東京会議に積極的に参加をされていい方向に持っていっていただきたい。
 もちろん海部総理、外務大臣も今度来られる皆さんにはお会いになるんだろうと思うんですが、その辺を最後にお答えいただきたいと思うんです。
#24
○国務大臣(中山太郎君) 委員から御指摘のように、私最初に、就任して十日目にパリのカンボジア和平会議に出席をいたしました。四派の方々の発言、関係する各国の動き等につきましては極めて複雑な歴史的背景があることを十分認識をいたしましたが、その後いろんな人たちがこの問題解決に協力する姿勢を示しておりましたけれども、先般のインドネシアの会議も期待されたような結果が出なかった。今般タイのチャチャイ首相のお話が発端となりまして東京会議に両派がそれぞれ出席をするということになりましたが、今局長がお話しいたしましたように、河野課長が現在タイに参っておりまして、課長が帰りましていろいろと各派の意見、またタイ政府の考え方、こういうものも十分参考にいたしました上で、日本政府としてはどのようなことができるのかということについてもこれから協議をしなければならないと考えております。
 積極的に日本が協力した方がいいという先生の御指摘につきましては、私も先生の御趣旨を受けて努力をしてまいるつもりでおります。
 なお、先般一時帰国のあいさつに参りました駐日ベトナム大使に対しましても、日本政府としては、ベトナムと日本の二国間の関係が改善されること、さらにカンボジアに和平が構築されるためのベトナム政府の一層の協力を日本が強く要請をしているというメッセージをぜひ伝えてもらいたい、そしてベトナムの外務大臣が、時間が許されれば、ぜひ日本を訪問されて協議をする機会を持ちたいということもメッセージとして伝えてあるということをこの機会に申し上げておきたいと思います。
#25
○田英夫君 この問題を終わりまして、きょうまさに韓国の盧泰愚大統領が来日をされたわけでありますが、まず最初に取り上げたいのは、天皇のいわゆるお言葉の問題です。
 韓国の方では既にかなり具体的にその内容を報道しているということが日本側でも報道されている。簡単に言いますと、韓国の報道によると、貴国に不幸な過去をもたらしたことに痛みと悲しみを禁じ得ないというようなことが報道されておりますが、今晩のことですからちょっと前になりますので、確認をしたいんですが、この報道のような内容だと考えてもいいでしょうかということです。
#26
○国務大臣(中山太郎君) いろいろと韓国でこれ
に関連する報道が行われていることは知っておりますけれども、先生も御指摘のように、今夜のごあいさつのことでございますので、この時点で外務大臣として申し上げるということは遠慮させていただきたいと思います。
#27
○田英夫君 この問題は実は日韓両国の間で報道も大変大きく扱われましたし、国民の間でもそれぞれ関心が高い問題だと思うんです。
 私は、これは一つの象徴であって日本と韓国の関係を十二分に理解する上でいい材料にしなくちゃいかぬと思うんですね。ところが、残念ながらはっきり申し上げて、自民党首脳が土下座というような発言をされたというようなことが逆に今度は韓国の世論を大変に刺激したというような残念なことがあります。これは御本人も陳謝されたことですから、内部で陳謝されたんですが、要するに韓国の民衆の本当の気持ちを果たして我々が正しく理解しているだろうかというところに一番大きな問題があると思うんです。
 日本の方でも実は政治家、政党の中でも両論があったと思うんですね。一つは、こういう言い方が今通用するかどうかわかりませんが、天皇にそういういろいろ謝罪をさせるというようなことは恐れ多いという感覚が底流にある意見。それからもう一つは、憲法の規定で天皇が政治にかかわるような発言をされることは適当ではないという意見。私は両論ともにいささか問題があると実は個人的には思っております。
 天皇御自身も、この問題については随分以前から、来日が決まって以来大変心配をしておられるということを聞いています。自分でもいろいろな人の意見を聞いて勉強されているということも承知をしておりますので、私は、やはり昭和天皇の時代のことでありますけれども、今の天皇が自分の気持ちを率直に自分の言葉で言われるという方向に行かなかったものかなと。ですから、日韓両国の問題と同時に、日本の皇室の問題ということをこの機会に我々は改めて考え、議論をするときじゃないかなと、こう考えさせられているわけです。
 どうも結局、今晩のいわゆるお言葉というものは、天皇御自身の気持ちを自分の言葉で述べられるのではなくて、いろいろもみにもんだあげくのものを、紙に書いたものを読まれるという、そういう結果になってしまったことを大変私は残念に思っているわけです。これはもう今から申し上げても仕方のないことですが。
 そこで伺いたいのは、今度の盧泰愚大統領の来日というのは一体どういう意義があるのか、政府はどういうふうにそれを受け取っておられるのか。韓国の大統領の来日というのは今度が初めてではないわけですから、そういう意味では新しいということは言えないわけですが、どういうふうに受け取っておられますか。
#28
○国務大臣(中山太郎君) 日韓間は既に条約的にも今後それぞれが外交関係を結ぶという形で一応国際法上あるいは条約法上の問題は終わっている。しかし三十六年間にわたる日本の植民地時代に韓国の方々というか、朝鮮半島の方々が受けられた、何といいますか、心の痛みといいますか、民族が持ってきた誇り、そういったものが傷つけられた、そういう気持ちがこの韓国の方々の心の中にも大きくまだ残っている。そういう状況の中で、私は外務大臣として外相会談に臨むときにみずからに言い聞かせたことは、我々は地理的にも歴史的にも極めて近い二つの国でありながら、本当にヨーロッパでこれだけ大きな歴史的な変革が起こって平和裏にすべての国々が動こうとしている中で、アジアの中でどうしてなかなか平和が構築される環境が出てこないのか。それはやっぱりまず一番近い国との間に相互の国民の間の信頼関係あるいは友情というものが本当につくられないと、アジアの平和というものはなかなかこれからつくり上げていくのは大変だという気持ちで実は臨んでまいりました。
 私は、私の気持ちは十分伝わっていると信じておりますけれども、やはりこの盧泰愚大統領が来られることを機会に、我々政府としても今までの過去の日本の韓国の方々あるいは朝鮮の方々、アジアの方々に与えた大きな心の痛手というものに対して、海部総理がみずからのお気持ちを率直に述べられると同時に、それを契機に、やはり日本民族、日本人に対して嫌な感じというものを抱いておられる方が多いと思いますけれども、そういう気持ちが徐々に晴れてこそ初めて新しいアジアの平和へ向かう話し合いがお互いに胸襟を開いて語られるのではないか。この大統領の訪日がそういう機会になれば、極めて実りの多いものになろう。この機会に解決すべき問題点を解決してしまいたい、このような考えでおります。
#29
○田英夫君 御本人の前であれですけれども、中山外務大臣は恐らく日本の閣僚の中で、私の記憶ではこの韓国問題について国会の委員会で、公式の席ではっきり謝罪という言葉を言われた最初の閣僚じゃないかなと思うのですが、そういう考えを基礎に置いて、ぜひ今度の来日というのは、政治的な交渉とかそういうことではなくて、まさに今言われたような意味を込めて、日本と韓国あるいは朝鮮民族との間の過去のことをきちんと日本が謝罪をして清算するという出発点にするような、そういう意義にすべきだ、既にいろんな問題提起で、天皇のお言葉問題などを中心にしてそういう雰囲気になっているのをいい方向に向けるのがこれからの課題じゃないかなと思うんです。
 そこで、また天皇のことに戻るんですが、恐らく盧泰愚大統領は天皇の韓国訪問ということを、いわゆる招請を今回の中でするのではないかと私も思います。これは外交的な儀礼としてという、つまり元首である本人が来たわけですが、天皇は象徴天皇ですけれども、韓国側の考えからすれば恐らくそうなるんじゃないか、そういう報道もありますが、そうなった場合に、日本政府としてはどういう対応をされるのですか。
#30
○国務大臣(中山太郎君) 今委員からお尋ねの点につきましては、具体的にそのようなお申し出がございましたならば、政府としても慎重にその時期等について検討しなければなるまいと考えております。
#31
○田英夫君 今慎重にという言葉がはしなくも出てきたわけですけれども、まさに慎重でなければならないというのが私の意見です。
 それは一九八六年に皇太子時代の今の天皇が韓国を訪問されるということが具体化しかかったという事実がありました。そのときは妃殿下の体調ということで中止になったわけですが、実はあの皇太子訪韓が報道されたときにすぐに金大中さんから電話がかかってきまして、韓国の世論はとてもそんなものじゃない、それはやめた方がよろしいという意見を、かなり長時間の電話でしたけれども、言ってきました。それを受けてすぐ当時の安倍外務大臣にそのことを伝えたことがあります。結果としては中止になりましたけれども、あのときに妃殿下のことがなければあるいは訪問されたかもしれない。当時の中曽根総理は大変熱心に進めておられたという空気があったと思います。実は、私の知る限り、韓国の世論は当時と現在と特に天皇、皇室の問題については変わっていないと言わざるを得ないと思います。今度の盧泰愚大統領の来日を機会にそれを変えるのが、さっき申し上げたように、一つの機会だと思うんですけれども、韓国の民衆のかつての日本の三十六年に及ぶ植民地支配ということに対する感情、それが天皇問題に象徴的に出てきている。日王と天皇のことを韓国では言うようでありますが、これはちょっと日本人から想像できないほどの厳しい世論がある。こういう中で天皇の訪韓ということは、もし申し入れがあっても、極めて慎重に対応すべきだというのが私の意見ですが、これは意見だけを申し上げておきます。
 そこで具体的にもう一つ出てくるのは、在日韓国人のいわゆる三世の問題ということに象徴される在日の人たちの取り扱いの問題ですが、既にこれは四月三十日に中山外務大臣がいわゆる日韓外相定期協議の中で大筋で合意しているということになっていますけれども、実際には在日韓国人、朝鮮人の皆さんの間でその内容については大変不
満が多いという事実があります。
 法務省の方が見えていると思いますが、例えばこれはきのう法務省に対して在日韓国人、朝鮮人の代表有志が申し入れをしておりますが、その文章の一部を紹介しますと、今回のこの大筋合意の特徴は、世代を経るに従って日本への定着度が深まるはずであるにもかかわらず、その在留権を不安定にするものだ。日本に住みにくくして帰化に追い込もうとしているのじゃないか。本来、韓国籍、朝鮮籍あるいは在日中国人を含めて、これらは差別をすべきではない。歴史的背景を日本はもっと考えるべきだ、こういう意見をきのう法務省に申し入れております。
 こういうことを考えますと、私は、今度の措置でも実現しなかったいわゆる強制退去制度あるいは再入国許可制度というものはやめるべきだと思いますが、政府はどうお考えですか。
#32
○説明員(木原哲郎君) 先生の御指摘の点は、在日韓国人なり一般的に退去強制あるいは再入国許可制度について廃止されてはどうかということではないかと思いますが、退去強制制度につきましても、再入国許可制度につきましても、これは出入国管理及び難民認定法に基づきまして外国人の公正な管理を図るという目的を持った制度でございまして、この目的及び趣旨から考えまして必要な制度であり、また合理性もあると考えております。
#33
○田英夫君 今外国人という言葉がありましたが、もちろん確かに外国人なんですけれども、さっきの意見にもありましたように、この人たちがなぜ日本にいるのかという歴史的背景というものを全く考えていないんですね、今の答弁は。結局、あの人たちは自分が好きで日本に来たわけじゃないんですね。当然、言うまでもなくいわゆる強制連行で連れてこられた人たちの子孫、三世であるわけです。中国人でもそういう人がたくさんいる、後で中国のことにも時間があったら触れたいんですが。
 指紋押捺制度あるいは外国人登録証の常時携帯制度という、この二つのことも私は廃止すべきだと思いますが、これはどうですか。
#34
○説明員(木原哲郎君) 先生おっしゃることでございますけれども、外国人登録制度につきましても、それからまた登録証明書の常時携帯義務につきましても、これもやはり外国人登録法という法律に基づきまして在留外国人の適正な管理に資するという目的で設けられたものでございます。
 もちろん、今回外務大臣が訪韓されてまとめられましたとおり、法務省といたしましても、三世につきましてはその歴史的経緯及び定住性につきまして十分承知しておりまして、そういった点から、三世につきましては対処方針に基づき今後具体策を立てていきたいというふうに考えております。
#35
○田英夫君 その対策の一つとして家族登録制度ということが言われていますけれども、これは簡単に言うとどういう制度を考えているんですか。
#36
○説明員(木原哲郎君) 家族登録制度と申しますものは、新聞でいろいろ取りざたされたわけでございますけれども、これは指紋にかわりどうするかという話で取り上げられたわけでございます。法務省といたしましては、四月三十日に日韓外相定期協議でまとまった三世問題対処方針に基づき、三世以下の人につきましては、指紋にかわり同一人性の担保が確認できる手段を目下早期に開発すべく努力しているところでございます。その中で、たまたま外国人登録に関しまして身分制度を加味するとか戸籍的な事項も検討しているところでございます。
 ただ、実際に指紋にかわり得る制度というものを開発するにはなおいろいろ検討すべきところもございまして、したがいまして、まだ家族登録というものが何を指されているか私どもはっきりしないのでございますが、御指摘のような家族登録制度というものが固まっているということではございません。
#37
○田英夫君 要するに、これは政府というよりも法務省ですけれども、私に言わせれば、政府の中でこの問題の取り扱いについては意見が一致していないと思っているんですよ。基本的な認識が違うと思います。法務省は一番おくれている。そして過去に対する反省が一番ないお役所だと断定せざるを得ないんです。今過去のことを考えていると言われたけれども、過去のことを考えたら、一般の外国人と同じに扱うということ自体あり得ないことですよ。これはあなたに言ってもあれですが、法務大臣初め政府の中で十二分に考えていただきたい。今度の盧泰愚大統領の来日に当たってこのことを一回考え直してもらいたいということだけこの機会に申し上げておきます。
 その意味で、この問題の最後に触れたいのは、韓国の問題を含めて過去の清算といいますか、このことをどう考えるかということです。
 今改めて、戦後四十数年たった今、盧泰愚大統領の来日に当たって天皇のお言葉というような、あるいは日本の政府の謝罪というようなことが出てきているということ自体実は大変おかしな話ですね。今までの歴代の政府がこの問題について、過去の清算ということについて極めて消極的あいまいな態度をとってきた。具体的には今法務省の問題を申し上げたけれども、そういう政策をとってきた。このツケが全部今ここへ出てきているんだと言ってもいいんじゃないでしょうか。
 西ドイツ政府は、ユダヤ人を虐待したことの責任をとって既に以前からユダヤ人に対する賠償をやってきましたが、詳しく言う時間がありませんけれども、年金を含めて、今後支払うものも含めると総額九兆円になると言われているわけですよ。日本は、強制連行で連れてきた数百万の朝鮮人それから数万の中国人、こういう人のことを考えたら九兆円じゃ済まないはずですね。いわゆる国家賠償、戦争の賠償というものをそれぞれ放棄をしてくれたということの上に乗っかってしまって、個々のそうした被害を受けた人たちに対する賠償、補償というものを全くやらないできた。今ここでその問題を提起すると、戦後のことを処理してきた政府の担当の役所などは、ある一つの問題を補償で解決すると全体に広がるから困るということをはっきり言うんですね。冗談じゃないと言うんですよ。広がるなら広がるところまで広げて、何十兆かかろうとやるのが日本の責任じゃないですか。西ドイツ政府は九兆円ユダヤ人の問題だけで払っているんですよ。それからアメリカやカナダ政府は、日系のアメリカ人を戦争中虐待したことのために、つい最近になりましたけれども、補償金を支払っている。こういうことを考えると、日本の政府の今までの過去の清算というものは全くなっていない、こう言わざるを得ないと思います。
 ですから、今度のことを機会に国会で決議をしたらどうかということが提案をされた。しかも、それは韓国だけではなくて、朝鮮半島全体、中国あるいは東南アジア、あの戦争で被害を与えたそうした国々全体に対して国会の名において謝罪をする決議をすべきだということを社会党を中心に要求をされた。にもかかわらず、これが実現しなかった。その責任はだれかということは見る人が見ればすぐわかります。こういうことを私は大変残念なことだと思うんですね。国民の代表である国会が決議するというのは、今の憲法の制度の中で言えば一番明快なことであるはずです。それができないというその原因を、私はずばり申し上げて自民党の皆さんもこの際考えていただきたい。日本がこういう状態である限り、私は世界の人たちが日本を信頼しないと、こう申し上げざるを得ないと思います。
 このことについての外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
#38
○国務大臣(中山太郎君) 先生の御意見は十分承らせていただきましたが、問題は国権の最高機関である国会でお決めいただくことでございますので、政府の立場としてとやかく申し上げるべき問題ではなかろうかというふうに判断をいたします。
 いずれにいたしましても、新しい世紀を迎える前の十年、この世紀は実に多くの戦争が行われ、
侵略が行われたわけでありますが、そのような一つの世紀の終わりに、私どもが次の世紀のためにみずからを反省してみずからの過ちをわびていくという姿勢がこれからの新しい一つの地球社会をつくっていく上には非常に大事な問題ではなかろうかと私自身は認識をいたしております。
#39
○田英夫君 あと時間がなくなりましたが、最後に一つ別の問題に触れておきたいと思います。
 さきにアメリカのベーカー国務長官とソ連のシェワルナゼ外相の会談がモスクワで行われて、ゴルバチョフ大統領も会談したようですが、戦略核兵器の削減について合意をした。これはまことに核軍縮の前進ということで歓迎すべきことだと思いますが、その中で一つ政府のお考えを伺っておきたいのは、SLCM、海洋発射ミサイルの削減について、これは一連の合意の別枠のような形になっていて、上限の八百八十発というのを決めて、同時に検証はしない、こういうことが決まったということですけれども、ということになると、これは核の所在を明らかにしないというアメリカの政策がその意味では通ってしまったというふうに考えざるを得ないんですけれども、外務省はそのことに同意をいたしますか。
#40
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御指摘のように、先般の米ソ外相会談でSTARTに関しまして大きな前進がございましたし、その関連でSTARTの外ではございますけれども、政治的に拘束力のある宣言をSLCMに関しましてつくろうという基本的な合意ができました。その関連で、先生御指摘のように、検証なしでいこうということになったようでございます。ただ、この点に関しましてちょっと私どもまだ詳細がよくわかりませんが、これはまさに先生が御指摘のように、米側が核の存在に関しましては肯定も否定もしないという政策を貫いた結果であろうかと思っております。
#41
○田英夫君 そうなりますと、日本のいわゆる非核三原則というものがまたまた空洞化の状態を続けざるを得ない。実際にこれは日本に極めて直接的に結びつく問題で、横須賀や佐世保に入港するアメリカの艦船、艦艇に核を積んでいるかどうかという問題、まさに軍艦から発射するミサイルですから直接に関係する。これが検証ありということになっていれば、非核三原則を守っていくという上で一角が守れるという状態になったはずなんですけれども、まことに残念なんですね。こういう状態が続く限りは、そして政府が今までと同じ政策をとられる限りは、私は非核法案というものを、いわゆる非核三原則を守るための法律を提案せざるを得ないという時期に来たと判断をしています。私は、ここに持っていますけれども、近くこの非核三原則法案、非核法を、これは私の所属している核軍縮を求める二十二人委員会から各政党に対して申し入れるという形で各党にこれを取り上げていただくという提案をすることにしております。これは予告するわけですけれども、この非核三原則を法律にするということについて、外務大臣、どう思われますか。
#42
○政府委員(松浦晃一郎君) これは累次国会の場で私どもも既に御説明させていただいていることでございますけれども、日米安保条約上の、先生御指摘の艦船によるものを含めまして核の持ち込みが行われる場合はすべて事前協議の対象となり、また核の持ち込みについての事前協議が行われた場合には、政府としては常にこれを拒否する所存でございます。したがいまして、政府といたしましては先生御指摘の非核三原則を歴代内閣が堅持してきております。今後も堅持していくという考えでございます。
 先生御指摘の検証の問題でございますけれども、これは次元の違うことでございまして、私どもはこの安保条約のような国の安全保障の根本にかかわる条約につきましては日米間の確固たる信頼関係が絶対の条件であり、日米両国はそのような強い信頼関係を基礎として安保体制を運用していく、こういうふうに考えております。したがいまして、先生が今最後に御指摘になりました法制化の問題に関しましては、私どもといたしましては必要はないと考えております。
#43
○田英夫君 終わります。
#44
○久保田真苗君 ただいまの田委員の韓国大統領の訪日に関連しまして、私も一言だけ申し上げたいと思うんです。
 私は外務大臣の国会の御答弁や、それからテレビの御意見なんかも拝見いたしました。問題はその御発言の内容のようなことに内閣ないし与党の姿勢がなっていないということなんですね。そして、法務省は帰られましたけれども、法務省が一番古い役所だということが、そのツケが全部外交に回ってきているということだと思うんです。私、今度土井委員長のお供をしてヨーロッパへ行ってまいりました。社民党の党首のフォーゲルさんにお会いいたしました。もちろん両ドイツの統一について今非常に話題になっております。フォーゲルさんが言われるには、八千万のドイツが一つになるということに近隣は不安を感じて当然だと思う。でも幸いなことにドイツはこれまで努力して全欧の友人の好感を寄せてもらうようにしてきた。だから、これからも軍事ポテンシャルを大幅に低めて民主構造を堅固にすることに党として貢献したいと、つづめて言えばそういう趣旨の御意見も伺いました。私は、こういう努力がなかったら、今ドイツの統一などということはとても問題にならないことじゃないかと思うわけです。
 帰ってまいりまして、私またテレビや新聞を見ました。そこで余りにも何か違う二つの世界のような、そんな印象を率直に受けたのでございます。新聞には天皇のお言葉がどうなるかというようなことで非常に何日もごたごたしている状態でございました。マスメディアの方でもまるでそういうところ、海部首相がどこまで踏み込むかというようなことがクイズのように焦点になっているわけでございます。私はこういう問題はどこまで踏み込むか片言隻句をとらえて言うようなこととは事柄が違うと思うし、単なる外交の問題だけでもないと思うんですね。ですから、これはもう当然国会決議になるべきだと思っております。
 そもそもこういうことの根っこにありますのがやっぱり長年朝鮮半島の方々たちの法的地位の問題、先ほど田委員が挙げられましたような事柄を要求されてもされても渋々出し惜しみ、そういう状態が続いて、どれだけ韓国、朝鮮の方のいら立ちが強まったかということを考えなきゃならないんだと思うんです。そして何でそういう必要な言葉を惜しむのか、なぜ権利を認めるのを惜しむのか。アメリカにはノーと言えなかったのにアジア諸国にはノーを言い続けて、不合理にもですね。だから、私どもはやはりこれは本当に貧しい外交国家にしかなりようがないと思うんです。
 この一日、二日のうちに本当に好ましからざる嫌がらせが日本に起こっております。一部なら幸いです。韓国でも訪日への疑問の声、反発の声などがあるという報道がなされております。私はこういうものが出てくる素地として、やはり政治家や行政当局の責任は本当に重大だと思うんですね。もし両方の国民の間に敵対的な感情がこの訪日を機会に広がるというようなことが万が一にもあるとするならば、それはもうどんなにきれいな言葉でおしまいを飾ろうとも、それはもう成功とはとても言えなくなってしまうと思うんですね。これじゃ、もう外務省の外交はできないし、大臣がいろいろ心を尽くしていらっしゃることもそれは水泡に帰してしまう、そう思うんです。
 両方の間でもっと有好的な機運をつくる、そこが一番大事なことだと思いますし、言うべきことは本当に心が通るように言う。西ドイツの大統領があの八五年五月八日の敗戦記念日に、すべての犠牲者に向けて自分の非を認め、そしてこれからの決意を語った。あれだけの長い言葉を使ってやっているのに、なぜ本当に遺憾、遺憾という言葉がいかぬのかどうかというような、そういう次元に私たちはとどまってなきゃならないのか。私は、やはりこれは中山外務大臣に閣内で外交という立場から強いリーダーシップをとっていただかなきゃならないんだなということを痛切に感じております。
 このことは韓国だけじゃございません。北朝鮮も同じです。東南アジアも中国もやはりそういう気持ちがあるわけでして、聞くところによりますと、米軍がアジアから削減されていくということで一番心配なのは、日本軍がまた出張ってこやしないかという、そういう新聞論調があるということで、これはすぐにそういう反発を引き起こすような素地をまず何とかしないことには、大臣の外交は非常に困難だと思うんですね。その素地つくりのためにも、やはり国民と一緒に国民外交をやっていく。友好の基盤を広げていく。それを基本にしてぜひやっていただきたいなと、それが私の最近の感想なんですね。
 私、必ずしもお返事をいただこうとは思いませんけれども、もし御感想がございましたらおっしゃっていただけたらと思います。
#45
○国務大臣(中山太郎君) 最近ヨーロッパを訪問されていろんな首脳の方々と意見を交換された先生のお気持ちを今伺いまして、私はやはり外務大臣に就任させていただいて以来、ヨーロッパの統合あるいは東ヨーロッパの自由化、そういうものを目の当たりに見て、各国の指導者と意見を交換しながら、今新しい歴史がどんな方向で歯車を回し始めているのかということを実は私も痛いほど感じている一人でございます。
 そういう意味で、やはりヨーロッパで起こっているような、ヨーロッパを共通の屋根の下に住む家族のような一つの地域をつくろうという各国の指導者の願望とアジアの姿を比べるときに、アジアというのはそういう政治的な成熟度では余りにも貧しいのではないか。それぞれの地域、それぞれの国家に歴史や文化や誇りはございますけれども、みんなが話し合う機会というのは私はヨーロッパに比べてアジアは極めて乏しい。そういう環境の中で、私どもが平和国家を目指し、そして専守防衛に徹して二度と再び軍国化しないという国民の合意をもとに新しい外交を展開していくには、やはり信頼される国家ということを目指して努力しなきゃならない。それの一つのあらわれが今回のカンボジア和平に関する東京会談、これも一つの姿ではないかと私は日本政府の姿勢を御理解いただきたいし、アジアの平和の構築のために、日本は語らい合うこのアジアの国々の指導者たちとの間の信頼関係を醸成する必要がある、このような考え方で今日取り組んできておるわけでございます。
#46
○久保田真苗君 平和とそれから軍縮、安全、そういったことについてお伺いしたいと思います。
 ヨーロッパは今ドイツ統一問題、EC統合問題、それから東欧再建問題等が重なり合っておりまして、まさに歴史的な変革の過程の中にあるというふうに見てまいりました。現場でお話を聞きますと、やはり身に迫る迫力があると思います。
 米ソの協調が進みまして、NATOとワルシャワ条約機構の対決、それが解消の方向へもうどんどん向かっておりますし、共通の安全保障という言葉が現実の政策になってきていると思うんですが、そんな中で、安全保障を含めましてあらゆる面で新しい秩序の形成ということに政治のリーダーたちが真剣に取り組んで、そしてまた協議も重ねているというふうに見たわけなんでございます。
 外務大臣は、この欧州の変化それから今後についてどんな見方をしていらっしゃるか、あるいはどんなふうなことを期待していらっしゃるか、まず伺わせていただきます。
#47
○国務大臣(中山太郎君) 私は、ヨーロッパは新しい歴史的な変革を必ず遂げていくだろうという認識を持っております。
 まず第一に訪れてきたのが東ヨーロッパの自由化、民主化であります。また、ECの九二年の統合、これも一つの大きな歯車が回り出しています。こういう中で、東ヨーロッパ、ソ連も参加する新しい欧州復興開発銀行というものが、ソ連も含めた形で近く設立のための署名が行われるはずであります。そういう中で、アドリア海周辺のイタリーあるいはユーゴスラビア、それからドナウ周辺のハンガリー、オーストリア、チェコ、ここらが外相会談を開いてまた一つの地域の連絡を強化し始めている。それにまた、EFTAが今度は経済的にも大きなヨーロッパの一つの部門を形成していくだろう、こういう形を私は流れとして現在見れるんじゃないか。
 そういうふうな中で、先生も御指摘のようにドイツの統合というものが一つの大きな不安を投げかけていることも現実であろうと思います。
 そういうふうなヨーロッパが大きく統合された中でのドイツの統合という問題が将来のヨーロッパの政治と経済にどんな影響を与えていくのか。今委員も御指摘のように、東西両ドイツが統合された場合には人口七千六百万ぐらいの人口になっていく、あるいはGNPが名目で大体一兆四千億ドルぐらいの経済規模になろうかと。しかし、ヨーロッパ全体を見てみますと、東欧、EFTA、EC、これ全部合わせますと、大体六兆三千億ドルぐらいの経済規模になってまいります。そういうふうな流れ、これは私はなかなかそう簡単にとまらない、それがまた世界の経済に一つの大きな影響を与えていくんだろう、こういうふうに認識をしております。
#48
○久保田真苗君 それで、緊張緩和あるいは共通の安全保障の問題についてはどういうふうにお考えをお持ちでしょうか。
#49
○国務大臣(中山太郎君) 安全保障の面については、ワルシャワ条約機構も既にその軍事的な気質が失われつつありますし、またNATOの方も政治的な枠組みにこれが変化していくという一つの考え方が出始めている。そしてソ連のシェワルナゼ外相がNATOとかECの人たちと会う。こういう中で、地上兵力を中心にした軍備の削減問題が進行していっている。
 ただ問題は、私は深刻な問題が一つあると思うんです。それは核弾頭つきのミサイルを削減していくあるいは全廃するというような話は兵器を破壊することによって完了するわけでございますけれども、問題は、東ヨーロッパに展開しているソ連軍あるいは西ヨーロッパ、特に西ドイツに展開している各国の軍隊、この削減がどのような形で実際進んでいけるのか。例えばこの間チェコを訪問しましたときにチェコの首相が私に申しましたことは、七万人のソ連軍がチェコには現在駐留している、これを年内に撤退してもらいたい、こういう話をした。しかし、現実には年内の撤退は不可能だということをソ連から言われている。それは七万人の住宅、それからその人たちの雇用の問題、いろんな問題がソ連の国内問題としてあるんだと。チェコの七万人が撤退することが困難だということから考えると、東ドイツに駐留しているソ連軍が撤退していくことははるかに難しい問題だと。こういうふうな現場の政治指導者の声を聞くたびに、私は、兵器の破壊によって起こってくる軍縮という問題と実際の駐留軍が撤退していくというプロセスの間には一つの大きな質的な差異がある。この問題をどういうふうに処理していくんだろうか。それはただ単に東の問題だけではなしに西側にも言えることではないか。
 こういうふうに見ていきますと、軍備軍縮という話が今議論されている中で、平和の方向というものが打ち出されてきて世界じゅうの人が大変歓迎をしておりますけれども、現実にそれを実行する段階でいろんな問題がその行く手を阻んでいるということも事実ではないか。それを見ながら、私たちは理想を求めながら現実を踏まえてこの政治をやっていかなければならない、こんな認識を私は持っております。
#50
○久保田真苗君 確かに時間は必要だろうと思います。兵器産業にしろ軍隊にしろ、これを転換していくという作業は必要なんです。大変なんだけれども、それはどうしてもやらなきゃならない。そのためには、他の経済の面であるいは社会保障の面でいろいろな手が打たれなきゃならないと思います。
 私どもはミッテラン大統領にもお会いいたしましたけれども、ミッテラン大統領も急いではならないことだという御意見を言っていらっしゃいましたけれども、それは一つにはソビエトを今心配
させてはならない、これはもう言われていることですから当然のことなんですけれども、現在ソ連側の国内で非常に国内問題を抱えているから、だからソ連の弱体化をとらえるような格好で逆に脅威を与えるようなことをやってはならないんだ。やっぱりゴルバチョフのやりいいように助けていく必要がある。そうすれば新しいヨーロッパ、新しい経済協力というものがそこに生まれてくる。だから、ゴルバチョフが成功すればそういういろいろな効果が出てくる。軍備も今ほどに要らないし、というような意見を伺いました。そして私は、ヨーロッパの方々が新しいヨーロッパ、新しい秩序に向けて非常に大きな希望と活力を感じながらやっていらっしゃると同時に、一つ足を踏み滑らしては大変だという非常に緊張した決意を持って臨んでいらっしゃるということも感じたわけなんです。
 ところで、東西対決の緩和、解消の方向へ向かってみんなが努力しているという、それがアジアに影響しないはずはもちろんございませんね。ですから、この機会はやっぱり外務省が中心になりましてアジアのデタントのためにもうもろ肌を脱いでやらなきゃならない時期じゃないかなということを感じたわけなんです。そして、それは今非常に焦点になっているヨーロッパへの支援にもなっていくと。
 ですから、私はここで一つ日本がなすべきこととして、やっぱり最低限度軍備を抑えるんだという方針をはっきりさせるということが大事だと思うんです。それからもう一つは、さっきも言っていらっしゃいましたいろんな信頼関係を深めるという信頼醸成のための積極的な手を打っていくこと、それからアジアの立場から、アメリカともソ連とも協議が進むように日本がそれを進めていく立場に立つということ、それが大事だと思うんですね。外務大臣はその辺はどういうふうにお考えでございますか。
#51
○国務大臣(中山太郎君) 五月の末から六月二日にかけて軍縮を大きなテーマにした米ソの首脳会談が行われるわけでございます。これがうまくいきますと、現在核弾頭つきの大陸間弾道弾あるいは潜水艦発射のミサイルを含めて、ソ連側が約一万発、アメリカ側が九千六百発ぐらいのミサイルを持っておりますが、うまく協議が進めば、それぞれが六千発を持つという形でのいわゆる状況が生まれてくる。しかし六千発ずつ持ったにいたしましても、もしこの両国の指導者が判断を誤った場合には地球が何十個も破壊されるぐらいの核爆発力を持っておりますから、私どもはこの両大国の軍縮に関する話がうまく話が進むということがいわゆるそれぞれの国にとっても一番幸せであるし、世界にとっても幸せである。そういうことで、この米ソ首脳会談の軍縮交渉が合意に達することを実は期待を持って見詰めているというのが現実の姿であろうと思います。
 そういう国際環境が、スーパーパワーの話し合いというものが進んでいくことによってそれぞれの周辺にある国々もまた平和への期待というものが大きくなっていく。それによって緊張の緩和もされていくんだろうと思いますが、しかし欧州大陸とアジアとは基本的に海洋を含んでその軍事的な状況が違いますから、私どもとしては、アジアにある国家としてこの地域の平和がどのように構築されていくか、それはやっぱり地域紛争ができるだけ早い機会に話し合いによって平和的に話が進んでいくということが非常に必要だし、その環境をつくるための協力を日本がしていかなけりゃならないし、それによってまた信頼関係が樹立されていくというふうに考えております。
 私は、先週の土曜日でございましたか、NHKの放送でアメリカの常任の軍事委員会でソ連の大統領の軍事顧問が証言をしておるのをテレビで一時間以上見ておりまして、一つの新しい信頼関係が醸成されつつあると、こういう流れを我々もまた支持していかなければならない、今そのような心境でおります。
#52
○久保田真苗君 それを支持していただくためには、やっぱりみずから何らかの態度で示さないといけないと思うんです、いろいろあるでしょうけれども。これは五月二十二日のNATOの国防相会議で、東欧の民主化でもってワルシャワ条約機構はもはや脅威でなくなったと公式に認めたと聞いておりますし、また一九七七年に決めたNATO加盟国が国防支出を実質ベースで毎年三%ずつふやすような努力を目標としたんだけれども、それを廃止したという話ももうおとといの報道として聞いておるわけです。そういった前に例のストックホルム国際平和研究所の八九年版の報告書でも、八九年の軍事費が対前年比約二%しか減少しておらずという報告がされております。これは、二%しか減少しておらないという、それがSIPRIの立場だと思いますけれども、今までの軍拡競争、この十年、最近まで続いた軍拡の傾向から見ましたら、やっぱりこれは非常に大きい変化だと思うんです。前に国連の決議で軍事費を一%削減してそれを途上国の開発援助に向けようと言っていたその中身が幾ら言っても実現しなかったのが、まさに今その大きな変化に踏み切られているわけですね。
 ここでもって日本が六%を超えるような防衛費の伸びを毎年毎年計上していくということになりますと、これは非常に国際協調というものに背を向けた行動じゃないかと私は思うんです。やっぱり何らかの心意気を示さなければならないし、それがやっぱり苦労しているゴルバチョフさんなり西欧の政治のリーダーの方たちなり、そういったものの努力を実らせるための、言葉よりもそれだと思うんです。
 ですから、時間が少なくなりましたから私の方からもう一つ言わせていただきますと、外務大臣、極東ソ連軍の削減について、シェワルナゼさんが来日されたときにそのことを議論すると言っておられるんです。そして海部首相も、この膨大な極東ソ連軍の削減が重要なことだと、それを見ているんだというようなことを国会で答弁されたということなんです。ですけれども、同じ日の同じ予算委員会で防衛庁の政府委員の方は、極東ソ連軍削減と日本の防衛政策との関連について、極東ソ連軍が一部削減されても、その軍事能力が日本の防衛能力をはるかに超えるものであることは変わらず、我が国の防衛政策に影響はないと言っておられる。そして次期防につきましても、横ばいは極めて困難で、そして防衛費の増額が必要との認識を示されたと、そういうことなんです。大臣、これどうお思いになりますでしょうか。また、ソ連の外務大臣に対してこういうソ連軍の削減を一方的に要求するというふうなことをお考えなんでしょうか。
#53
○国務大臣(中山太郎君) 委員お尋ねの点につきましては、防衛庁のいわゆる防衛的な専門家としての意見として私は拝聴しておりますけれども、外交を預かる私の立場から見て、やはり日本のいわゆる安全保障というものは、我々の国はあくまでも専守防衛でしかございませんから、周辺国の軍事情勢がどのような削減が行われていくのか、あるいはその削減の計画が具体的に合意されたかということを確認して、その上で国家の安全というものをどのような形で整えるかということがやっぱり政治としては大きく考えなければならない点ではないか、私は政治家としてそのように思っております。来る米ソの首脳会談も、そういう意味では我が国にとっても極めて大きな意味のあるものでございますし、私どもがこれから、委員が言われるように、どういう形でアジアの軍縮ができていくのか、それには日本としても積極的に努力をしていかなければならないと、このように実は思っております。
#54
○久保田真苗君 外交のお立場とおっしゃいましたけれども、さっきの韓国との関係と同じだと思うんです。結局幾ら外務省が、外務大臣が進んだお考えでこういうことを本当に国のため世界のためにやろうとなさっても、やっぱり役所のセクトのようなものがあって、そういうところが足を引っ張るんじゃないか。一方的に軍備を削減なさいというようなことを言うこと、そして、しかもそのときに北方領土の話もしなければならないとい
うような、そういう外交交渉が本当に可能なのかどうか、私は本当に首をかしげてしまうんです。予算委員会の中でそういった随分いろいろな方のお話を総合してみますと、これは海部総理の言われるような対話と協調という新しい国際関係をアジアに実現するんだというような、そういう一貫した姿勢は本当に見られないんですね。ですから、そっちは引きなさい、しかしこっちは減らせませんよ、最小限度減らすこともできないんですよと。次期防の方も縮減の方向でもって基本から一度考え直してみますという、そういう姿勢がやっぱりおなかにあって、そして交渉するのでなければ非常に難しいと思うんですね。
 ですから、ぜひ私、これはそのときになってからでは間に合いませんので、今度の新政策を立てる時期に、やっぱりもっと内閣のいろんな政策の中に日本が外交国家としてやりやすい点、やりにくい点というのを全部はね上げてみていただきたいと思うんですね。そうしませんと、これは全部ツケが外務省に回って、その上どれもこれもがばらばらで矛盾した形で、私どもも本当に御質問一つするんでも全部掃き集めてきてやりませんとできないようなことで、大変残念だなという気分がございます。
 アジア・太平洋の信頼関係をお互いにつくるために、ひとつぜひカンボジアでは御尽力をお願いしたいと思いますし、また東西欧州の対立解消から共通の安全保障へ進むということを支援するためにも、ひとつぜひ国際協調の線で実行をお願いしたいと思うんです。国民外交にはやっぱり政府が、つまりチャンネルを握っている人がそういう心になってリーダーシップを発揮してもらわなきゃなりませんので、ぜひ外務大臣のお考えが閣内に響いていくように、その御尽力をお願いして私の質問を終わります。
#55
○中西珠子君 私はまず初めに、ただいま議題となっております所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とタイとの間の条約に関連して質問をいたします。
 この種の租税条約が現在我が国は三十六カ国との間に、協定の形をとるときもございましょうが、結ばれているということを聞いておりますが、そのとおりでしょうか。
#56
○説明員(丹波實君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
#57
○中西珠子君 現行のそういった条約や協定は、現状にそぐわないから改定してほしいという申し入れを行っている国がありますか。
#58
○説明員(丹波實君) 網羅的に申し上げますと、大体次のようなことになろうかと思います。
 まず、全く新しい条約の締結のための交渉を行っている国は五カ国ございまして、トルコ、ブルガリア、ユーゴ、アルゼンチン、バングラデシュ、こういうことになります。
 それから、まさに先生の御質問はここにあろうかと思いますが、現に条約はあるけれども、その条約を改定するための交渉を行っている国、これが三カ国ございまして、フィンランド、ニュージーランド、マレーシアということでございます。
 それから、交渉は行っておりませんけれども、先方から交渉の申し入れがある、これは全く新しい条約につきまして、そういう国は八カ国ございまして、クウェート、フィジー、チュニジア、アルジェリア、ルクセンブルク、サイプラス、バルバドス、ポルトガル、こういうことでございます。
 それから最後に、現在条約はありますが、その条約の改定について交渉したいと言ってきている国、まだ交渉は行っておりませんけれども申し入れだけはあるという国は、インドネシア、アイルランド、スリランカ、ノルウェー、オランダの五カ国でございます。
#59
○中西珠子君 このような租税条約を結ぶに当たりましてモデルというのがございますね。この日タイ租税条約につきましては、先ほどの御説明では、大体OECDモデル条約案に基本的に沿ったものだと、こういう御説明があったわけでございますが、OECDモデルのほかに国連モデルというのもございますでしょう。このOECDモデルと国連モデルの差異について御説明いただきたいと思います。
#60
○説明員(丹波實君) おっしゃるとおり、モデル条約と言われるものには二種類ございます。一つはOECD、これは御承知のとおり、先進資本主義国間の経済機構でございますが、このOECDの租税委員会というものがつくりましたモデル条約が一つでございます。これは一九六三年に初めてできましたが、それが一九七七年に改定されたものが現在のモデル条約となっております。これは資本が相互に行き来し合いますところの先進資本主義国間のモデル条約でございまして、基本的には相互主義的な考え方に立っております。
 もう一つは国連モデルと呼ばれておりまして、一九七九年に国連の経済社会理事会が中心になってつくったものでございますが、これは先進資本主義国と開発途上国との間の関係を見ますと、どうしても資本ですとかあるいは国際運輸所得の発生の仕方というものが先進資本主義国に偏る、そういう関係にありますので、相互主義的な考え方に立ってつくりますと、開発途上国側にどうしても不利益になるという考え方に立ってできたモデルでございます。
 この二つのモデルの間に幾つかの違いがございますけれども、時間の関係上、一、二点だけ例示いたしますと、基本的には開発途上国側の課税権というものをOECDモデル条約に比べて強めるという考え方に立っております。
 具体的に一、二だけ例を申し上げますと、先生も御承知と思いますが、例えば事業所得をとりますと、日本の会社が相手国に出ていって相手国で事業所得を得る場合に、そういう国に恒久的な施設があってそこに帰属した所得にのみ相手国は課税をすることができるわけですが、開発途上国側はどうしてもこの場合、恒久的施設というものを広く定義したい、そういうぐあいに幅広くとることによって開発途上国側の課税権を広げたいという考え方を持つわけでございます。そういう意味で、国連モデル条約はOECDモデル条約よりも恒久的施設というものを広く定義する傾向がございます。この日タイの租税条約でも相手がタイという開発途上国でございますので、OECDモデル条約よりも広く恒久的施設というものを定義してございます。
 もう一つだけ違いを挙げておきますと、国際運輸所得、これは航空機による所得、それから船舶の移動による所得でございますが、先進資本主義諸国の間の考え方ですと、飛行機、船舶は大体相互に行ったり来たりするものですから非常に相互主義的な書き方になっておって、したがって相互に免除するという考え方に立っておるわけですが、国連モデル条約ですと、まさに先進資本主義国から開発途上国側に飛行機が一方的に行く、あるいは船も一方的に行くということでございますので、相手国に課税権を少し認めるという考え方に立っております。
 この日タイ租税条約におきましても、航空機につきましては相互免除になっておりますが、船舶につきましては五〇%の課税権をタイ側にも認めておるという意味で、OECD条約よりはむしろ国連モデル条約に近い書き方になってございます。
#61
○中西珠子君 結局のところ、日タイ租税条約は基本的にはOECDモデルに基づいているけれども、国連モデル条約を取り入れている、こういうことですね。国連モデル条約の途上国に対して有利な点は取り入れてやっている。例えば船舶の問題、それから恒久的施設も少し広範囲に考えているという、その二点だけですか、もう少しありますか。
#62
○説明員(丹波實君) 時間の関係上、余り答弁を長くしてはいけないと思ってまだ申し上げませんでした点は、例えば配当とか利子、使用料につきましては、やはりOECD条約とは異なっておりまして、タイ側の意見を取り入れて、タイ側にOECD条約で考えておるよりは高い課税権というものを与えているという点はもう一つの具体的な例かと思います。
#63
○中西珠子君 この日タイ租税条約におきましては、タイ側に対して途上国としてやはりメリットを与えている、こういうことですね、結局。
#64
○説明員(丹波實君) そもそも本件条約の改定はタイ側からの申し入れを受けて始まったわけですが、当然その改定交渉の中におきましては、タイ側としてメリットになるような条約の改定をしたと考えております。
#65
○中西珠子君 こういう租税条約というものがこれから多くの国と結ばれていくと思われるわけでございますが、そういったものの締結に当たって日本としてはどのような基本方針でいくというお立場なのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#66
○国務大臣(中山太郎君) 租税条約は、国際的な二重課税を排除すること、すなわち経済、文化交流の促進に当たって一つの障害となる国際的二重課税を除去することにより、資本、物資及び人的資源の円滑な交流のための素地をつくることを目的とするものでございまして、従来よりこの趣旨に沿って条約の締結を行ってきております。今後とも、これら交流の円滑化に一層資するため、引き続き関係諸外国との課税権の調整を図るべく、これら諸国と租税条約の枠組みの設定、整備に努めてまいりたいと考えております。
#67
○中西珠子君 外務省からいただいた資料によりますと、タイに対する日本の投資というのがここ五カ年ぐらいに急激に伸びているということが言えると思うんですね。例えば一九八四年は九億四百万バーツ、これはタイ投資委員会投資奨励承認ベースということだそうですが、それが八八年には百八十二億八千八百万バーツということで、この五年間に二十倍以上という目覚ましい増加ぶりを示しているわけですね。このように急激にふえた理由はどういうところにあるのでしょうか。
#68
○政府委員(川島裕君) 一つは、一九八五年の秋のプラザ合意以降円高が進み出しまして、そのころから日本の対外直接投資が急速にふえ出したわけでございます。それはその流れの中での増加という部分があるんだろうと思います。つまり、円高によって日本企業が構造調整をどうしても迫られて、生産拠点を海外に移していくという過程が進み出したわけでございます。
 ただ、その中でもタイへの直接投資はぬきんでて増加テンポが速いわけでございますが、これは幾つか理由があろうかと思いますが、一つにはタイの積極的な投資誘致活動、それから何と申しましても投資先としてタイが非常に政治的に安定していて良質で比較的労賃も安い労働力があること、それからタイ政府の経済政策がなかなかよろしきを得て堅実な経済成長が進んでおることというような受け入れ側たるタイが非常に健全な投資環境であるという要因も相まってのことかと思っております。
#69
○中西珠子君 現在、日本のタイへの投資は、タイに対する外国の投資全体の中の比率としてはどのくらいになっていますか。
#70
○政府委員(川島裕君) タイが受け取る海外投資額のそれぞれの年における投資額の中で我が国の投資額が占める割合は次のとおりでございます。
 すなわち、タイ投資奨励委員会の投資承認動向というもので見ますと、八六年が五三・四%、八七年が四三・五%、八八年が五七・一%、八九年が三九%となっております。ちなみに第二位は台湾からの投資でございますけれども、これはずっと少なくて、例えば一二%とか、そういう数字で推移しております。
#71
○中西珠子君 このように急激に増加しているタイに対する投資ですが、投資収益はどのようになっているか把握していらっしゃいますか。
#72
○説明員(北村歳治君) 投資収益を含みます国際収支統計につきましては、極めて多くの情報を整理、分類する作業を経まして作成しているわけでございますが、このため国際収支上、国別に内訳が示されておりますのは、米国、イギリス、西ドイツ等幾つかの国に限られているわけでございます。御指摘のタイにつきましては、現在個別に集計できる体制にはなっておりません。
#73
○中西珠子君 投資収益を集計してちゃんと把握していらっしゃるのは、英、米、仏、西独、イタリア、ソ連、中国。もっとありますか。
#74
○説明員(北村歳治君) 具体的に申し上げますと、米国、カナダ、フランス、西ドイツ、イタリア、イギリス、オーストラリア、それから中国、ソ連でございます。九カ国でございますか。
#75
○中西珠子君 なぜタイは把握しようとなさらないのですか。何か理由が特別にあるわけですか。
#76
○説明員(北村歳治君) 国別の内訳の資料を、データをそろえようとします場合には、一方では統計の今先生が御指摘になりましたような精度の向上という要請があると同時に、他方では、非常にたくさんの情報の収集を行いまして、それを整理しなければならないという制約の問題もございます。両者の調整を図るということでできるだけの努力をしているのが現状でございます。
#77
○中西珠子君 将来においては何とか把握しようという努力はなさいますか。
#78
○説明員(北村歳治君) 昭和六十二年の国際収支のものから先ほど申し上げました九カ国に範囲を拡大したわけでございます。それ以前は二カ国だったわけでございます。したがいまして、今の状況ではいましばらく様子を見てみたいというふうに思っているわけでございます。
#79
○中西珠子君 やはりできるだけ多くの国の投資状況、投資収益というのは日本の大蔵省さんとしても把握しておく必要があるんじゃないですか。ですから、将来において努力していただきたいと、こういう要望をいたしておきます。もちろん相手国の態度というものもあるでしょうし、いろいろ難しい問題もあると思いますよ、相手国の統計能力ということもありますでしょうしね。ですけれども、そういった面は技術協力もやれるということですし、やはり日本の企業の投資状況、またいろいろそれがデータとして国民にも役に立つということでもございますので、将来においては何とかやっていただきたいと要望を申し上げておきます。
 それで、タイに進出している日本の企業はどのくらい数があるか、また業種としてはどういうものがあるか。
#80
○政府委員(川島裕君) 八九年十二月現在で、ちょっと古い数字でございますけれども、バンコク日本人商工会議所加盟企業数というのがございますが、これは七百五十社でございます。ただ、その後またさらにふえて千に近くなっているのではないかということが現地では言われております。
 それで、業種別に見ますると、電機、金属、非鉄、繊維、食品、化学、機械等、要するに製造業が中心でございます。ですけれども、建設、商業、金融等も着実に増加しております。また、以前は大企業の進出というものが多かったんですけれども、最近の投資ブームではむしろ中小企業の進出が非常に目立っていると、こういうことでございます。
#81
○中西珠子君 一般的に海外へ進出しております日本の企業についてはいろいろ批判もあるわけでございますね。アメリカあたりでは、最近は利益の社会還元ということも考えて、そして大学への寄附などをやっている日本の大企業などもふえているというふうに聞いておりますけれども、一般的に申しますと、利益の社会還元が少ない、地域社会への貢献が少ない、地域住民との交流も非常に少ない、少ないというより無関心だという批判もあるわけですね。むしろ企業の人たちが閉鎖的な日本人社会を形成していて地域住民との交流もなかなかやらないし、地域社会への貢献も非常に少ない。利潤の追求ばかりやっているんじゃないか。日本のためだけ、我が社のためだけになればいいというふうな、そういう傾向があるという批判もないわけではないのでございますが、外務省としてはこういった海外進出企業に対してどのような指導をなすっておりますか。また、殊に現在の条約に関係しておりますタイの進出企業に対してはどのような指導を行っていらっしゃるか、伺いたいと思います。
#82
○政府委員(渡邊泰造君) 今のように投資摩擦が
社会・文化摩擦というような事態を生んでいる事態に応じまして、外務省といたしましては、海外に投資、進出している企業がよき企業市民として現地の社会に融和、貢献していくことは非常に重要だと、こういうふうに考えております。このような貢献活動というのは、基本的、第一義的には企業の自主的判断と責任において行われるべきものだと我々は考えております。しかし外務省としても、今までアメリカのみならず東南アジアにおきましても現地の進出企業関係者と、それからまた東京におきましても、進出している企業の本社の責任者との間で意見交換を行いましてこのような問題について理解を求め、そしてもっと海外貢献活動をしてほしい、何かできることがあれば支援したいということで我々の意見を伝えてございます。
 タイにつきましては、特におととしの十月、バンコクにおいて広報文化官民合同会議を開催し、タイへ進出している企業との間で意見交換を行いました。そして、その後も継続的に大使館、それから日本人会、商工会議所との間で会合の機会を設けて、このような趣旨に沿って皆さんが行動していただくようお願いし、こちらの方で何かできることがあったら何かしましょうということで意見も伺っております。
#83
○中西珠子君 既にもういろいろ指導をしているということであると思うんですが、もっと積極的に会合なども開いていろいろ意見交換というものもなさっていただきたい。
 在外企業協会というものがございますね、これはどうなんですか。この役割は外務省としてはどのように評価していらっしゃいますか。
#84
○政府委員(渡邊泰造君) 在外企業協会とも随時連絡をとっております。ただ、これは外務省の管轄ということではございませんので、側面的に我々が協力申し上げているというのが実情でございます。
#85
○中西珠子君 日タイ関係の質問はこれで終わりまして、まだ少し時間がございますので、同僚議員の質問と重なる面も出てこようかとは思いますが、ちょっと私の関心を持っているところをお聞きしたいと思います。
 自由と民主化を追求して市場経済原理を導入しようと試みている東欧の諸国、この前ポーランドやハンガリーにつきましてはお聞きいたしましたけれども、ブルガリア、チェコ、東ドイツ、ルーマニア、ユーゴスラビアなどに対して日本としてはどのように対応し、どのように支援していこうとお考えになっているのか、伺いたいと思います。
#86
○政府委員(都甲岳洋君) 先生御指摘のように、先年末までにポーランド、ハンガリーに対する支援体制を決めましたけれども、その後御指摘の他の五カ国に対して、民主化あるいは経済改革が進むにつれてこれらの国に対しても支援をしていこうということが西側二十四カ国のグループの中で決められましたので、私どももその中で決められる行動計画というものに従ってどのような貢献ができるかということを今後意見を交換しながら決めていこうというところでございます。
 これらの国につきまして、基本的にはやはり市場経済に移行するに当たってその市場経済がいかなるものであるかということについての知識を深め、そしてその経験を積むことを目的とした技術協力を中心として、それからさらにそれに加えて環境協力を加味しながら具体的な措置を検討していくという方向になるだろうというふうに思っております。
#87
○中西珠子君 環境協力というのはどういう意味ですか。環境問題に関する科学技術の面での協力関係、それからまた、技術協力とかそういった研究協力ばかりでなく、実際にいろいろの何というかハードの面で資金を提供するとか、そういったこともお考えになっているわけですか。
#88
○政府委員(都甲岳洋君) 押しなべてこれらの東欧諸国におきます公害問題というのが大変に大きな問題になってきております。従来このような企業活動におきましての公害問題に対する投資が十分行われなかったということで、技術開発も十分行われていないという状況にございますので、これらの分野におきましては我が国におきましてかなりの蓄積がございますので、そういう形で専門家を送ったりあるいは専門家を受け入れたりすることによるそういう技術的な習得というものが一つ考えられるわけでございます。そういうことで主として私的な協力ということになりますけれども、それに加えてできるだけ企業レベルでの協力というものがそれに付随して行われるという形になればいいというふうに考えておりますので、そのような方向での指導をしていくということも含まれてくるというふうに思います。
#89
○中西珠子君 生産施設の面でも非常に技術的なおくれ、また設備の老朽化ということが言われておりますし、また行ってみますと、何か大変古めかしいものを依然として使っているという感じがいたしますね。そういった面では大体において民間に任せる、民間との協力関係に任せるということでいらっしゃるんですか。
#90
○政府委員(都甲岳洋君) 先生御指摘のとおりでございます。押しなべてこれらの国におきます生産施設はかなり老朽化しておりますけれども、基本的にはやはり外資の導入あるいは民間との協力によるそういう技術あるいは施設の更新というようなことが今後考えられていくということでございますので、私どもとしましては、例えば投資保護協定の締結のような政府レベルにおきましてできる環境整備ということを行いながら、民間に対してこれらの国に対する投資を慫慂するということを中心として政府としては今後これらの国に対する協力を行っていきたい、このように考えております。
#91
○中西珠子君 前回の質問で私は東西ドイツの統一の可能性につきましてお伺い申し上げましたけれども、最近、東ドイツと西ドイツの間で通貨経済社会同盟創設に関する条約というのが調印されまして、批准も必ず実現するであろうということが言われ、七月一日発効、実施の見通しという報道がございますが、外務省としては東西両ドイツの国内情勢、それからまたECとの関係、NATOやワルソー条約機構との関係というものについてどのような観測をしていらっしゃいますか。これはちょっと同僚議員の質問と重なる点も出てくると思いますが、私自身としても大変関心を持っておるものですから、外務省の方の御観測、そしてまた外務大臣の御観測をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#92
○政府委員(都甲岳洋君) 事務的に私の方から御説明申し上げたいと思います。
 まず、先生御指摘のように、通貨経済社会同盟条約というものが七月一日に発効するということで、七月二日から西独の通貨が全独に通用するという形になるだろうと思います。その後、対内的な面につきましてはいつ統一ドイツのための選挙が行われるかということが言われておりますけれども、ことしの末という意見もございますけれども、来年の半ばぐらいになるのではないかという観測もございます。ですから、今後それにつきましてはドイツの国内の動きというもの、あるいは十二月に予定されます連邦議会の選挙というようなものも見てみなきゃならないというふうに思っております。
 それに加えまして、対外的な側面につきまして、現在二プラス四と言われておりますこの六カ国の会議におきまして、特に統一ドイツの安全保障の問題をどうするかという点につきまして話し合いを続けなければなりませんので、ソ連側としてはこれを対内問題と切り離して進めたいと言っておりますけれども、ドイツ及び西側の諸国はやはりできるだけ早くこれの決着をつけて年末のヘルシンキ会議までに間に合わせたいというふうに考えております。
 このようなことで、対外的な問題につきましてもいろいろと折衝を要する問題が残っておりますので、どのようなプログラムで進むかということについて、現在確たる見通しを申し上げられる状況にないというのが現状だろうというふうに考え
ております。
#93
○国務大臣(中山太郎君) 先般チェコ、ユーゴを訪問した帰りにちょうどフランクフルトで飛行機を乗りかえる間に駐在しております日本の大使ともいろいろ情報を交換したんですが、今東ドイツから、御案内のように、多数の人々が西ドイツに移動している。本来ならばこの人たちによっていわゆる職のない人が増大するはずだと。ことし一月に私が参りましたときは大変そういう心配をしておりましたが、しかし今回参りましたときは、その入ってきた東ドイツの人たちがいわゆる勤め口ができたんでしょう、西ドイツの失業率が低下し始めたと、こういう新しい傾向を実は見出すことができるということ。それから、東西ドイツが合併いたしますとすれば、いわゆる首都をどこに置くのかという問題が既に議論の中にあるんだそうであります。もし首都をボンからベルリンに移すということになりますと、大統領はベルリンにいる、しかし行政府はボンにあるというような形がとられる可能性もあるという話を実は先般、つい二週間ほど前に聞いたところでございます。
 いずれにいたしましても、ドイツ統合をめぐる最大の問題は、統一ドイツがNATOの中に残るのか、あるいはソ連が主張しているような中立をとるのか。これが今恐らく六月のかかりに開かれる米ソ首脳会談の最大の議題の一つになってくると私どもは見ておりまして、ソ連政府がどのような政治決断をしてくるのか、これはこれからの長いヨーロッパの歴史に大きな一つのいしぶみを建てることになるんであろうという認識で事態の経緯を見ておるというのが今日の姿であります。
#94
○中西珠子君 どうもありがとうございました。残念ながら時間が参りましたので。
#95
○立木洋君 最初に、日タイ租税条約の問題についてお尋ねしたいと思います。
 先ほどの御説明でありましたように、旧条約は二十七年間実行されてきて、二十七年目に改定されたということになったわけですね。それはこれまでタイにあった産業投資奨励法が廃止されたということに基づいて、タイ側の要請もあり、実情に合う形で改定したいということだと思うんですが、幾つかの改定の条項があるんですが、政府として改定された一番中心的な点といいますか、最も主要な改定だというふうにお考えになっている点はどういう点でしょうか。
#96
○説明員(丹波實君) まず第一に、みなし控除制度の問題でございますけれども、タイのかつての国内法が廃止され、新しい法律になった、それが今回の改定交渉の中で取り入れられたというのは、先生御承知のとおり一つの大きなあれでございます。
 二つ目には、恒久的施設の定義につきまして、やはり日タイ間で交渉の結果新たなものがつけ加わったという点、これはやはり一つ意味のあることだったと思います。
 もう一つは、例えば不動産所得の定義につきまして前よりもより詳細になっておるというような問題、それから投資所得につきましての限度税率の変更というようなものも重要な問題として挙げることができるかと思います。
 そのほか人的範囲の定義あるいは国の定義につきましても詳細なものにしたということでございます。
 大体以上のような点が主要な点かと存じます。
#97
○立木洋君 今言われた点、産業投資奨励法で認めていたみなし控除の問題については、確かにこういう法に合うような形にされたということですが、この条項の中でも、今回でも二十一条の三項と四項などでみなし課税がやはり認められている。だから、みなし課税そのものがなくなったということじゃなくて、条項上変更されたというふうにみなすというか、そういうふうに見るのが適当じゃないんでしょうか。
#98
○説明員(丹波實君) みなし条項を適用する場合のタイ側の国内法が変わったものですから、その新しい国内法を取り入れたという点が違う点でございます。制度自体は変更してございません。
#99
○立木洋君 それから、交渉の内容についてちょっとお聞きしたいんですが、今も問題になりましたけれども、例えば日本側で進出している企業の実態、あるいはそれがどれだけの収益を上げているのか、それが納めた税額がほぼどれぐらいになるのか、あるいは控除された税額がほぼどの程度になるのか、そういうことなどが交渉の内容としては問題になるのでしょうか。それとも、全くそういうことは問題にならないで交渉が行われるものなんでしょうか、その交渉の内容について説明をしていただきたいんです。
#100
○説明員(黒田東彦君) 租税条約の交渉の場合、当然のことでございますけれども、我が国の方の関心事項、それから相手国の関心事項ということがそれぞれございまして、それぞれの立場からいわば要望とかあるいは考え方を示しまして各条ごとに話し合いをして、全体として相互にとって好ましいという条約を結ぶ、あるいは改定を行うということでございます。
 したがいまして、どの条項についてどういう交渉ということは、全体としてかかわっておるわけでございます。ただ、今御指摘の我が国の企業がタイでどのくらい税金を払っておるか、あるいはそういう企業に対して我が国でどの程度の外国税額控除、みなし外国税額控除を含めましてしておるかという点につきましては、まず前者の点につきましては、私どもはデータを持っておりません。
 それから、後者の点につきましては、これも御案内のとおり、我が国は一括控除、一括限度方式をとっておりますので、我が国の企業、法人でも個人でも同じですが、外国税額控除の申請というか、申告をいたします場合に、その控除がどこの国でどうなっておるかということは関係なく、全体として一括して外国税額控除をするという仕組みをとっておりますので、国ごとのそういうデータはお持ちしておらない。したがいまして、そういう個別のデータに基づいて交渉するということはいたしておりません。
#101
○立木洋君 これは大臣、前回もインドとベルギーの租税条約のときにお尋ねして、結局厳密に脱税なんかしないようにきちっとした納税を実行するという点から見ると、大蔵省の幹部自身もこういう点では大ざっぱだというふうな批判を論文で書いておるというふうな実態もあるので、こういう点については、やはり今後検討する必要があるのではないかという点で、去年の十一月でしたが、大臣から十分検討させていただきますという答弁をいただいたんですが、それから半年ですから、まだどういうふうになっておるかという実効が上がるという状況ではありませんけれども、引き続いてやはりこれは検討していただきたい。
 企業で見てみますと、企業では、結局どれどれの国にどれだけのいわゆる控除があって、それで計算して申告するわけです。計算するんだからもとはあるんですよ。もとがあるのを計算して、企業が出して一括でやるわけですから、これはきちっとやっぱり制度を守っていくならば守っていくでできるわけで、先ほど同僚議員の質問でもありましたように、当初の収益がどうなっているのかというふうな問題についても、その国との関係で要請があれば厳密にやるけれども、そうでない場合にはわからない、数カ国しか現実はわからないというふうな問題なんですね。これはどうしてかといいますと、先ほども出ましたけれども、日本企業のタイ政府に対する投資申請というのは、八四年は六件だったというんです。それが八五年に三十件になり、八六年に五十四件、八七年に二百四件、八八、八九、それぞれ三百件を超える、先ほど言われたように、もう千件にも上るという企業があるんです。
 いろいろ見てみますと、世界の首都で最大の企業団を有しておるのがバンコクだというんです。先ほど言われましたように、比較的安定しているタイの政治情勢のもとで、賃金も大体十分の一ぐらいのようですし、労働力も豊富にありますから、企業が進出するということは当然そうなるだろうと思いますけれども、考えてみますと、そこで出てきている、もちろん大きな事件が起こって
どうこうなっているという状態ではございませんけれども、バンコクの土地がこの数年間非常に値上がりしたということも、日本の企業とのかかわりがいろいろ報道されております。
 それからまた、あそこのエビの養殖の増設についても、あそこの反対運動というのがやっぱりあるんですね。それから、ミネベアでの去年の労使紛争問題で警官が出動したというふうな事態もありましたし、また日本の自動車部品のメーカーの中では、仕事についてなかった女子従業員を工場長が殴打したというふうなことで問題になったというふうなことも起こっているわけですね。いろいろ厳しい批判の目というのが出てきているということは、私はやはり非常に注意する必要がある点だと思うんです。
 先ほど同僚議員も述べ、担当官の方も向こうとの話し合いを進めている、企業との話し合いも進めているということを言われましたけれども、これはいろいろ見てみますと、やっぱり殺人事件が起こるだとか、企業の進出に対する反発というような問題が起こるだとか、実際にはいい環境をつくろうという努力も、一つの事件でもう大変な悪い状態をつくり出すということになりかねないことがあるんですね。
 ですから、今タイに進出している企業というのは非常に多くなって、それが小さな事件で済んでいるという状況だけではなくて、この間の新聞で見てみますと、何かあそこの人気バンドが「メード・イン・ジャパン」という歌をつくって歌っているらしいですね。これが非常にはやって、どっちを見ても日本の商品が蔓延しているというふうな非常に皮肉っている歌が流行している。これは通産省とも協力をしてできるだけ速やかに手を打つようにして、事件が起こってからでは遅いものですから、この点特に今のタイの事態とあわせて外務大臣に要望しておきたいんですが、その点についての大臣の御所見をちょっとお聞きしておきたいと思います。
#102
○国務大臣(中山太郎君) 先ほどの税制の問題につきましては、先般もお答えいたしましたとおり、引き続き検討してまいりたいと思います。
 なお、現地に進出している日本企業の問題につきましては、単にタイに限らず、いろんな進出した国家の地域社会の中で共存していけるような一つの精神的なものをちゃんと持ってやるべきだというのが外務省の考え方でございまして、日本におきます親会社等の経営者を集めて、外務省としては、そういうふうな考え方で、出先ではぜひそのように現地の社会の中で受け入れられるような進出企業であってほしいというふうに要望をしておるということをこの機会に申し上げておきます。
#103
○立木洋君 それとあわせて、前回も特に私の方で強く申し上げたのは、やはり間接税額控除の問題とみなし控除の問題です。もちろんそれは企業にその国が進出してほしいから税制上の優遇措置をとって進出してもらうという面があるということはわからないわけではありませんけれども、しかし自国にしてみると、やっぱりそれだけ税金を取り立てるという制約をするわけですから、そういう点では、前回も申し上げましたように、親会社と子会社というのはやっぱり別の法人ですから、こういう問題もきちっと検討して、そしてそれぞれ対等、平等に税額を払うことができるような、そういうこともぜひあわせて検討していただきたいということも、前回もお願いしたんですが、このこともあわせて今回も申し上げておきたいと思います。よろしいですか。
 では、この問題とは別なんですが、端的にお尋ねしますので端的にお答えいただきたいんですが、日米経済構造協議の問題です。
 一般の報道などでは、既にアメリカから要請された二百四十の項目が出されているということが報道されていますが、これは政府としては公表しなかったんですね。これを公表しない理由というのはどういうことだったのか、ちょっと端的にまずお聞きしておきたいんです。
#104
○国務大臣(中山太郎君) これは交渉といいますか、協議を始める前に、内容については公表しないということを双方で決めたものでございますから、現在のところ公表しないという考え方でまいっております。
#105
○立木洋君 これはもちろん外務大臣は全部内容をごらんになったんでしょうね、詳細に二百四十項目を。いかがでしょうか。
#106
○国務大臣(中山太郎君) 経済局長が実際の担当をしておりますから、経済局長から御答弁をさせていただきます。
#107
○政府委員(林貞行君) 今の大臣の答弁をちょっと補足させていただきたますと、この日米構造問題協議といいますのは、委員も御承知のとおり、相手国のアイデアも聞きながら、日本及びアメリカがみずからの問題点に取り組んでいくというものでございまして、その過程におきまして日米双方からいろんなアイデアが出されたということは事実でございます。しかしながら、この過程において、新聞報道等に出ております二百四十項目とか二百二十項目とか、そういうものについての文書を交わしたということは現実としてございません。
 いろいろなアイデアが出されて、今大臣に御質問ありましたが、それを私ども会議の席等で聞いた話を大臣に御報告申し上げるということはもちろんやっておりますが、文書としてこれを交換したということはございませんので、この点は申し上げさせていただきたいと思います。
#108
○立木洋君 きょうはもう時間がありませんから詳しく申し上げていろいろお聞きするということはできませんけれども、海部総理も、アメリカから出されている内容の問題について、国民に痛みを分かち合ってもらわなければならない点もあるというふうなことも述べていたわけですね。しかし、具体的にアメリカからどういう要求が出されてきているのかということを国民に公表しないで、そして国民に痛みを分かち合ってほしいということでは、本当に――どこに問題があって、どういう点をアメリカが言わんとしているのか、こういう点はけしからぬではないかだとか、こういう点は結構ではないかだとかということが何か新聞等ではいろいろ報道がされていますけれども、しかしアメリカの意思がいいにしろ悪いにしろ正確に日本の国民にわかるようにするということは、私は外務省としては大切なことじゃないかと思う。
これはいいか悪いかは別ですよ。正確にやっぱり国民に伝えるということは私は必要ではないかと思うんです。
 そういう点から考えるならば、アメリカから出された要請というのがそのまま公表されないで、いろいろな形で手が入れられて、結局最終的にはこういう形になりましたというふうな問題。しかし、国会の議論の中では既に朝日ジャーナルやいろいろ新聞を見た内容で議論されているという、これもまたある意味で言えばおかしなものだと。しかし、それもまた、そういうことは見ていませんというふうな政府の答弁もなくて、当然アメリカのそういう要望を受けた内容として答弁されている。そうすると、ますます国民としては、国会では何を議論しているのかというふうな問題にどうしてもなりかねないと思うんです。
 私は、そういう構造協議自体の問題については私たちの考え方というのはありますけれども、しかし少なくとも外務省としては、アメリカの考え方が正確に国民にわかるようにするということは私は大変必要なことではないかと思うので、この点についての大臣のお考えをお聞きしておきたいと思うんです。
#109
○国務大臣(中山太郎君) 四月に出された中間報告ということでございますが、いずれにいたしましても七月には最終報告がなされるわけでございまして、この最終報告は、当然いろいろなアイデアを出し合った、そのアイデアを整理された結果としてそれぞれの国がどのようなことをみずからのイニシアチブにおいて行うかということについては、国民の皆様方に御理解を得るために申し上げることがあろうかと私は思っております。
#110
○立木洋君 もう時間がないので最後にします
が、ぜひそういう点、いろいろ問題があるだけにやはり正確にそれぞれの立場がわかるように努力をするということが非常に大切だということは重ねて申し上げておきたいと思うんです。
 ただ、一つ非常に私が気になったのは、四月二十三日に日経でしたか、新聞で渡辺さんが出している中で「米大統領がおおやけに日本側の措置を称賛していることは非常に重要なことです。」というふうに述べて、「そういう雰囲気が持続するよう努力を続けなければならないでしょう」というふうに述べられている。これは例えばアメリカの大統領が日本に対して称賛してくれたということを非常に重視して、大統領がそういう気持ちをいつまでも持ってくれるようにすることが対米関係の上では大切だというふうな感じでとりますと、これはちょっといかがなものだろうかという気がするので、舌足らずなのかどうかわかりませんけれども、やはりアメリカの大統領に褒められるような外交政策を日本でやるんだみたいなことになりますとちょっといただけないので、この点は渡辺さんに苦言を呈しておきたい。渡辺さんはきょうおいでにならないので、ぜひ大臣の方からお伝えいただければありがたいと思います。
 以上です。
#111
○中村鋭一君 五月二十三日付の東京新聞に、「ODA追加融資を中止インドのサルダル・サロバルダム 立ち退き未解決で」と、こういう見出しで外務省が追加融資を打ち切られると、こういうニュースが報道されたんですが、この記事の内容は書かれたとおりであると理解してよろしゅうございますか。
#112
○政府委員(木幡昭七君) サルダル・サロバルダムについての追加融資の問題につきまして私どもとしての現状は、本件プロジェクトにつきましては、住民の移転問題、環境問題等をめぐりましていろいろまだ慎重な対応が必要であるということでございます。したがいまして、現時点においては追加融資については我が方としては慎重に対応する考えでございます。
#113
○中村鋭一君 当委員会でも堂本さんが先般の委員会で質問をしておいででございまして、現に資料要求もされているところでありますが、これまでの審議の内容等を見てまいりますと、調査は十分にやりました、援助は、ダイナモと言うんですかね、発電機でありますと。したがって、この流域の皆さんに迷惑がかかるかかからないかは、外務省としてはそのことについてはっきりと言及はできないけれども、しかし、調査の結果を踏んでの融資でありますから問題はなかろうというふうな御答弁であったと私は理解をしておりますが、今は、お答えによれば、慎重に対応してまいりたい、こういう発言であります。ということは、重ねて聞きますが、この新聞記事の内容は偽りであるわけですか。
#114
○政府委員(木幡昭七君) 本件についての経緯でございますので、私の方から重ねて御説明をさせていただきます。
 我が国が本件プロジェクトに対しまして融資を決定いたしましたのは、ちょっと簡単に経緯を申し上げさせていただきますが、一九八五年の三月にインド政府より正式に借款要請がございましたので、それを踏まえまして我が方の政府調査団、OECF審査ミッション等を派遣してインド側と協議を行った上で、本件が世銀との協調融資案件であるということがはっきりしておりましたので、その世銀の調査リポートを十分精査し、その上でインド側とも話し合いを行ったと、こういうことでございます。その際にポイントになりますのは、特に住民の移転問題等を含めまして環境面においてインド側が適切な配慮を払うということを世銀とインド側ではもう合意されているということを私どもの方としては確認いたしまして、その上で供与の決定を行ったと、こういうことでございます。
 しかし、その後本プロジェクトの実施が遅延しておりまして、住民の移転等をめぐってもいろいろと住民の反対運動もあると。先生御案内のとおり、日本にも代表が来られた。そういうことで、本来インド政府側がきちんと対応すべき問題についてまだ問題が残っているという感じでございますので、私どもとしては十分その辺の状況を見守ると、こういう慎重な姿勢で臨むということでございます。
#115
○中村鋭一君 経過はおっしゃるとおりでしょう。 私が先ほどからお尋ねをしておりますのは、この新聞記事では、「同ダムに対する追加融資を中止する方針を固めた。」と、こう書いてあります。この「方針を固めた。」ということは事実ですかとお伺いしているんです。
#116
○政府委員(木幡昭七君) 予算委員会等での大臣の御答弁、それから私どもの答弁におきましても、追加融資については我が方としては慎重に対応するということで一貫している次第でございます。
#117
○中村鋭一君 そうしますと、これは新聞の報道です。これは署名入りで佐々木記者は、「これまで融資した二十八億円は捨て金となるおそれもあるが、この決断で地元住民の理解も得られると思われる。」と。ということは、追加融資を中止する方針を固めたということについて新聞等々は外務省の英断に理解を示して、大変勇気ある今回の方針であると、このように評価をしているわけです。だから、その点について外務省はどうなのかということを重ねてお伺いをさせていただいたのです。
#118
○政府委員(木幡昭七君) ただいまの御質問の中にむだになるような感じのことではないかという御指摘でございましたが、私どもはそういうことにならないように、これOECFの借款でございます。大きな世銀の融資案件の中で協調融資のような形で、その一部でございますね、二十八億五千万円ほどの融資案件でございます。したがいまして、私どもとしてはそういう全体の計画が環境問題、住民の移転問題等時間はかかるかもしれませんが、せっかくのことでございますからうまく進展し、そのプロジェクトが世銀のリポートでは一千万人以上稗益するということでございますから、六万七千人の移転問題等も何とかうまく世銀、インド政府の合意のもとに実施されることを期待しつつ、今慎重に見守っているというところでございます。
#119
○中村鋭一君 どうも水かけ論のようになるのですけれどもね。その一千万人に稗益するところがあるという観点の一方では、やはり環境団体でありますとか地元の皆さんは十万人に及ぶ人たちが住む場所を奪われるのだと、そういうことに対する調査が行き届いていないから、だからこういったずさんなODA援助について再考を求めているわけですね。これは当委員会においても堂本さんはそのような観点から質問をされていたんだと思いますし、世論の示すところもそのようであったと私は理解する。だから、この新聞記事のそのような方針を固めたのであれば、それは大変結構なことであると、私はそう申し上げたいのです。だから、これまでに使った金を有益にこれからも活用すると、その方向で努力されるのはそれは当然でございましょう。私が言っているのは、これまで使った二十八億円をどうするつもりなんだと、それがけしからぬじゃないかと言っているつもりは全くないんです。要するに地元の住民の皆さんの住環境を奪うというような重要な影響があることであり、その点における調査が行き届いていなかったのであれば、今回外務省が追加融資の方針を中止するという方向を打ち出されたのは大変結構なことでありますから、その方針を決断されたその間の経緯をお伺いすると同時に、もう一遍そのことを確認をしたい、こういう意味でお尋ねをしているんですから、その点について明快にひとつお答えをお願いいたします。
#120
○国務大臣(中山太郎君) 具体的なことをお尋ねでございますし、私の国会答弁にも関連があることでございますので、当日堂本委員にだったと思いますが、お答えした言葉をそのまま申し上げますと、いろいろ御議論されている中で、いわゆる住民の移転等の問題でいろいろと混乱が起こって
おるというお話を承ったと、政府としては現地の日本大使を通じて状況をさらに慎重に把握した上で政治的に判断をすると、こういうふうな答弁を申し上げております。
#121
○中村鋭一君 この件につきましてはもう重ねてお伺いはいたしませんけれども、少なくともこういう報道がなされて、そのことについて自然環境でありますとかあるいは被援助国の住民の皆さんの環境を守るというような観点、さらに現実にここに住んでいる皆さんが喜んでいると、こういう方針が決定して、ということであれば、この方向で慎重になさるのは大いに結構でございますけれども、皆さんの環境がこれ以上悪化することのないように、それこそ慎重にかつ勇気を持って対処していっていただきたいということを改めてお願いを申し上げておきたいと思います。‐
 あした盧泰愚さんがお見えになりますけれども、この盧泰愚さんの来日に関連して例えば陛下のお言葉でありますとかあるいは海部総理大臣の表現でありますとか、こういったことの表現の内容について、いわば一つ一つの単語の表現について、その影響するところが相当に論議をされているように思います。
 私が外務大臣にお伺いしたいのは、あした盧泰愚さんが見えましたら、外務大臣は日本と韓国との外交の基軸というものをどこに置いて、どういう気持ちで盧泰愚さんをお迎えになりたいのか、そしてこれから日本と韓国が何を基本として外交を展開していくのか、その辺についての外務大臣のお考え、所信をお示し願えればありがたいんですが。
#122
○国務大臣(中山太郎君) きょう十二時に盧泰愚大統領が羽田にお着きになりまして、私はお出迎えをさしていただきました。政府を代表して盧泰愚大統領の来日を歓迎申し上げるとともに、この大統領の来訪が新しい日韓の時代をつくるための大きな成果を上げられることを心から期待しますということを私は政府を代表して申し上げましたけれども、私はアジアの国々の中で極めて歴史的に関係の深い両国が、ともに民主主義、自由主義を基盤にして国を立てている。そういう両国の間で、国民の気持ちの中に相互に痛み合うというような感情が残っておってはなかなか真の隣国のつき合いはできない。だから、今までの問題はこの大統領の訪日を契機に両国の国民の中から、まあ心が和むような結果、これが一番大きいのではないか。
 それから、二十一世紀に向かって我々隣国同士がお互いに自由主義経済の中でどのようなことを協力しながらやっていくかということは、今夕の六時に行われます首脳会談、また外相会談等においていろいろと議題を中心に協議を進めてまいる、こういう考え方でおります。
#123
○中村鋭一君 失礼いたしました。私、あした国会にお見えになりますので、あしたというふうに申し上げました。きょう既にお見えになっていらっしゃるわけでございます。
 今お伺いして、私本当にこれ大切なことで大変心強く思いました。文書にして発表されたいわば一つの単語の表現で、遺憾ならばよくてそうでないならばいけない、そういうようないわばテクニカルタームの論議じゃなくて、我々日本人の気持ちのありどころをしっかりと盧泰愚さん初め韓国の皆さんに理解してもらうことが大切だと思いますので、それをひとつ外務大臣にもよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
 社会党を初め有志の国会議員の間で、我々は韓国の皆さんに大変申しわけないことをこれまでたくさんしてきているんだし、韓国の国民感情の中にやはり我々日本及び日本人に対していろいろな感情の流れがあるわけだから、これはひとつ立法府において国会の決議という形で韓国の皆さんに我々の気持ちの存するところを伝えたい、こういう動きがあるわけでございますが、この謝罪の意を含めた国会決議を我々がしようという、こういう動きに対して外務大臣はどのようにお考えですか。
#124
○国務大臣(中山太郎君) 政府といたしましては、今夕行われます首脳会談で海部首相から率直な意見の開陳がされるだろうと、歓迎の辞の中に行われるだろうということを私は期待をいたしております。
 国会におきます御決議につきましては、行政府としては差し出がましいことは申し上げるべきではなかろう、国会での御意思でお決めいただくことではないかと考えております。
#125
○中村鋭一君 外交問題は外務省の専権事項である、こういう論がございます。しかし、まさに外交というのは、外国との話し合いとか気持ちの動きというものは、これは外務省だけに任しておいていいんじゃなくて、国民一人残らずがやはり積極的にこういうことには参加をすべきである。だからこそこの立法府においても、国民の代表である国会議員が自分たちの気持ちのあるところを決議という形であらわそう、こうしているわけですから、その辺も私は外務大臣初め外務省の皆さんの理解を心からお願いしておきたい、こう思います。
 外国人の指紋押捺問題について、特に在日韓国人の指紋押捺なんですが、外務省は現在これについてどのような御方針をお持ちで、どのようなお考えか。法務省でも結構でございます。
#126
○政府委員(川島裕君) 実は、先般来、在日韓国人の三世の問題につきまして、法的地位について日韓間で協議を行った次第でございます。これは四月末の日韓外相定期協議の際に一応その方向について韓国側と決着いたした次第ですが、その際、指紋押捺の問題、これは日韓間のやりとりで非常に難しいやりとりがあったわけでございます。
 と申しますのは、韓国側にしてみれば、三世ともなれば日本で生まれ恐らく日本で死んでいく、定着性が強いと言っておりますけれども、そういう人たちであって、そういう人たちについては日本人に限りなく近い扱いをしてくれという主張でございました。指紋押捺についてはこれを行わないこととするという形で決着したわけでございます。これを行わないこととするということで、そのかわりにどういう形の制度をつくっていくか。これは実は、先生御案内のとおり、指紋押捺というのは十六歳のときにやるわけですけれども、今三世の一番年の方で二歳ぐらいで、若干時間があるものですから、これは法務省の方で作業を進められているというふうに承知しております。
 それで問題は、一世、二世の方たちについては指紋押捺についていろいろ強い受けとめ方をしておられる方もおられるわけですが、その辺のところについては、この間は一切日韓間の協議では対象としておりませんで、ただ今後の問題として法務省の方でどういうふうにするのかなということは、それは念頭にはおありだ、こういうふうに承知をしております。
#127
○中村鋭一君 時間がありませんので、法務省。
#128
○説明員(山崎哲夫君) ただいま御議論になっております指紋押捺制度は、人物の同一人性を確認する上で最も確実な手段として外国人登録の正確性を担保するものでございまして、登録証明書の偽造等の不正を防止する上で極めて有効であると考えております。
 先ほど外務省の川島審議官の方から説明がありましたように、四月三十日に日韓外相定期協議でまとまりました在日韓国人の三世問題対処方針では、「指紋押捺については、三世以下の子孫の立場に配慮し、これを行なわないこととする。このために指紋押捺に代わる適切な手段を早期に講ずる。」との方針が示されております。このため法務省におきましては、指紋押捺制度にかわる制度について鋭意研究、検討を行っております。ただ、指紋にかわるものが現在整備されておらないわけでございますから、指紋は外国人登録を正確に維持する上で現在では必要なものと考えております。ただ、今やはり川島審議官の方から説明がありましたように、対処方針では「早期に講ずる。」ということになっておりますが、具体的には三世以下の子孫の押捺義務が生ずる時期は三世が十六歳になるときでございます。すなわち現在から約
十四年後でございますが、それは理論的な問題でございまして、できる限り早い時期に具体策を講ずるということで鋭意準備をしているところでございます。
#129
○中村鋭一君 時間が参りましたのでこれで質問を終わりますが、帰化の問題について法務省の方来ていただいたと思いますが、どうも失礼を申し上げました。
#130
○猪木寛至君 もう既に同僚議員から今注目になっておりますECの問題、また今回盧泰愚大統領の来日ということで質問がありまして、先ほど大臣の方からも再三やはり世界が平和でなくてはならないということでお言葉が出ておりますが、まさに世界を見ますと、まだまだ平和にはほど遠い。ヨーロッパあるいはアジアにおいても非常に問題があると思います。
 一つは、せんだってニカラグアの方へ行ってまいりましたけれども、その後の中南米状況というのをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#131
○政府委員(瀬木博基君) 先生御案内のとおり、中南米では民主化が進み、全体としては平和と安定の方向に進んでいると言っていいのではないかと思います。御存じのとおり、昨年一年間でも十四回、ことし一年間で九回の大統領選挙、総選挙が行われるというような状態でございまして、これを見ても、中南米全体としては民主化が進みつつあるということが見られると思います。
   〔委員長退席、理事宮澤弘君着席〕
 で、先生の御指摘のニカラグアにおきましては、非常に典型的にこの四月に新しい政権が誕生したわけでございます。このニカラグアというのは、やはり典型的な内戦に悩まされてきたわけでございまして、サンディニスタと言われてきた四月までの政権と、それに抗するコントラというものが戦って、その不信というものが長く続いておりまして、いまだにそれが解消していないというところでございますが、六月十日までにはコントラの武装解除が完成するという約束が一応できておりますので、いい方向に進んでいるというふうに認識いたしております。
#132
○猪木寛至君 これから一つ大きな問題というのは、当然戦争があってはいけないわけだし、それからまた人口問題が大変大きな問題になっておりますし、エネルギー問題、CO2、その中でやっぱりどうしても切り離せない問題としてエネルギー問題があると思います。
 前回もちょっとお伺いいたしましたが、せんだってソ連の方のエネルギー状況をちょっと調べてきたんですが、これについて今大変情報不足であったと思います。西側の中におけるエネルギーというのは大変知られていますが、これから東欧あるいはECの統合という中で、ソ連が今まで果たしてきた役割、これからそれがECと統合という形でどういうエネルギーのバランスになっていくんでしょうか。
#133
○政府委員(都甲岳洋君) ソ連とECのエネルギーの交流の現状ということについて簡単に御説明申し上げたいと思います。
 石油につきましては、交流の現状は、ソ連の石油総生産の約一五%が対西欧諸国に輸出されております。それから一二%ぐらいが東欧諸国に供給されているという状況にございまして、残りの約七〇%が国内消費ということになっております。
 それで、EC主要国の対ソ石油依存度を国別に見てみますと、フランスが九・三%、西独が八・八%、イタリアが一一・一%、英国九・七%ということになっておりまして、我が国は対ソ石油依存度につきましては〇・四%ということになっております。それから東欧コメコン諸国はおおむねその七〇%から九〇%の石油をソ連から輸入しているという状況でございます。
 これを天然ガスについて見ますと、数量的にはソ連からの対西欧諸国輸出というものは漸次増加しておりまして、しかし金額的には価格の低落によりまして不安定な状況にあるというのが実情でございます。そして一九八六年のEC主要国の対ソ天然ガスの依存度を国別に見てみますと、フランスが八・七%、西独が五・七%、イタリアが一一一・二%、イギリスが八・七%ということでございまして、我が国は天然ガスについては対ソ依存度はございません。
   〔理事宮澤弘君退席、委員長着席〕
 それから、東欧諸国の天然ガスの輸入も増大しておりまして、東欧諸国全体として見ました場合には、天然ガス消費の約四〇%強をソ連に依存しているということでございます。これはルーマニア、東独、ハンガリー等におきまして若干の天然ガスの生産がございますので、石油ほど依存度が大きくないという状況になっております。
#134
○猪木寛至君 今現実に油田が掘られている中で大変な問題が一つ起きております。今まで一九七○年代に相当生産に無理をしたということで、これは水攻式というんですが、水を井戸の中に入れまして、圧力をかけて増産する。今現実にくみ上げられてくる石油が、二〇%が石油で八〇%がほとんど水であるということで、これからもうちょっと先に行くと、これがもっとバランスが崩れて一五%ぐらいしか石油がとれないのではないか。
 もう一つは、やはり先ほど申し上げました公害という問題で、これはもうどこへ行っても公害問題が起きているわけですが、やはりこの石油生産の場においても、鉄パイプですね、ヨードとそれから塩分というものが非常に大量にまじっておりまして、腐食したところから水が流れ出す。非常に毒性の強いもので、そういうものが地下水にまじるというようなこともありまして、今後三年あるいは五年という中で見通していくと、非常にソ連のエネルギー事情が悪くなっていくであろう。そのときに、今お聞きしたような数字と、今後の見通しという部分についていかがでしょう。
#135
○政府委員(都甲岳洋君) ソ連の石油生産そのものにつきましては、一九八五年に一回落ち込んでおりますけれども、六億トンを割りましたけれども、その後順次回復してきておりますが、八九年になって再び落ち込んで六億七百万トンということで、前年比二・七%減ということでございますが、先生御指摘のようないろいろな問題も出てきておりますし、今後共和国との関係で機器の供給等がスムーズにいくかどうかというような問題も出てきておりますし、基本的に先生おっしゃったような構造的な問題もございます。そういうことで、新しい油田というのがますますそういう意味では地理的な条件が悪くなるということ、それから従来の技術的な採出の問題があったということで、石油の見通しは必ずしも楽観を許さないという状況があると思います。
 石炭につきましても、特に一九八六年以来減産傾向にございますけれども、特に昨年は炭鉱労働者のストライキの影響ということもあり、七億四千万トン、四・一%減ということになっておりまして、これも先行きなかなか難しいものがあるという状況だと思います。
 それから天然ガスにつきましては、引き続き増産傾向にございますので、これは八九年には七百九十六億立方メートルということで、対前年比三・三%増ということになっております。
 そういうことで、ソ連全体といたしましては、やはり石油の減産を天然ガスの増産によって補うという傾向になっておりますので、当面、天然ガスの供給の増加ということで石油の減産を補うという図式が続くんではないかというふうに考えております。
#136
○猪木寛至君 今ソ連の俗に赤いガスと言うそうですが、赤いガスがパイプラインによって今まさにEC統合と関係してくるんです。フランスにおいては十二万キロ、あるいはアメリカはこれは別で、イタリアのミラノまでこのパイプラインが延びてくるわけですけれども、やはりエネルギーというのは安全保障にも大きくつながってくる問題でもあると思います。その辺、我が国がどうしてもソ連と日ソ関係がもう一つとれない。これはもう十分北方領土というものを承知しておりますが、今後日ソ関係が良好になっていった、あるいは今懸案になっている問題が解決する方向に進むということになった場合に、ソ連のエネルギーというものと日本は関係していくのか。
 例えば一つは、一九七三年の第一次オイルショックあるいは一九七九年の第二次オイルショック以後、この二、三年においては非常に日本の国内も消費が伸びております。それから、開発途上国においては非常に大きな伸びを見せています、一五%から二五%という。そういう中で、中東が今既に新しい井戸を掘っていない、現状はだぶついているということで新たな投資をしていない中で、一九九五年あたりにそのバランスが変わってくるんではないかという予想の中で、今後ソ連との関係というものがぜひ良好になってもらいたいと思うんですが、そういうソ連のエネルギーについて、日本政府としてはどう考えておられますか。
#137
○政府委員(都甲岳洋君) 従来におきましても、エネルギー分野におきまして、例えば石炭について開発協力をし、その結果、今四百万トンぐらいでございますが、ソ連から輸入しているという状況がございます。それから、サハリンにおきまして石油及び天然ガスの探査を共同して行いまして、その後開発に至る段階におきまして市況が下がったということから、経済性がないということで当面その計画は停止しているという状況がございます。
 ということで、一定の分野におきましては協力が進んできており、現にまた行われているという状況にございますけれども、大規模な将来の協力ということになりますと、やはり先生がおっしゃいましたような日ソ間の全般的な改善の中で、そういう機運が強くなるということは十分に考えられるというふうに思っております。
#138
○猪木寛至君 今世界全般を見て、とにかくこのCO2というものが新聞紙上に出ない日がない。内容は大体似たり寄ったりの問題ですが、まずもって今省エネというか、オイルショックに我々が対応したような状況というか、まず我々の生活のライフスタイルというものを考え直さなきゃいけない時期である。しかしながら、今オイルショックはどこへやらというこの非常に豊かな生活の中で将来が見通せない。そういう中で、私は、CO2に関する問題としては、非常に対応が難しいかもしれませんが、まずもって省エネということで、あるいは代替エネルギーということで非常に天然ガスが豊富なソ連ということで今お伺いをしているわけですが、今後、ちょっと質問のあれが変わりますけれども、天然ガスについての見方は、需要はこれから石油との関係はどうなっていくのか、わかる人いませんか。
#139
○説明員(杉山秀二君) 先生の今御質問がございました天然ガスの今後の需要がどうなるかということでございますが、基本的には石油の依存度をなるべく下げていくという観点、あるいは今先生から御指摘がございましたCO2対応といったようなことから、天然ガスの我が国の需要というものは、今後着実に増大をしていくというふうに一般的に考えているところでございますが、じゃ具体的に今後中長期的にどのような需要が想定されるかということにつきましては、現在も通産省の機関でございます総合エネルギー調査会におきまして、二〇一〇年を見据えました長期のエネルギー需給見通しを策定していただいているところでございます。その中で、具体的に二〇〇〇年あるいは二〇一〇年を見据えました天然ガスの日本の需要量がどうなるかということにつきましては、具体的な数字がその中に示されてくるというふうに考えておるところでございます。
#140
○猪木寛至君 先ほどのソ連の油田の問題なんですが、非常に効率の悪い掘り方をしているという専門家のお話を聞いております。そういう中で、今回新聞にも出ていますが、代金の滞りということでいろんな技術がそれに生かされていない。その中で特にソ連が今必要としている部分では石油のそういう部品ということ、あるいは新しい技術によって今ある井戸でさらに増産するということも可能であるということなんですが、将来的な話で結構なんですが、そういうようなものに対して世界的な視野として考えてもらいたいんですが、公害という、同時にそういう世界のエネルギーという問題について日本政府として将来対応あるいは援助する気持ちはあるかないか、ちょっと聞かしてください。
#141
○政府委員(都甲岳洋君) 長い目で見まして、先生先ほども御発言がございましたけれども、日ソ関係の発展の中で経済関係も発展していくという状況でございましょうから、私どもといたしましては、そういう将来のエネルギーの状況というものを考慮に入れますと、日ソ関係が一日も早く完全な正常化をして全面的な協力ができる状況になっているということが望ましいと思いますし、そのために政府としては努力をしていくということでございます。
#142
○猪木寛至君 大体エネルギーの話はそのくらいのあれなんですが、本当にひとつの私の専門分野であります今後のスポーツ交流、先ほど平和という問題で再三大臣のお言葉の中にもありますし、どこを見ても必ず平和というものが頭についてくるわけですが、まずもってその平和を築くために政府も大変努力されていると思いますが、しかしながら、日韓問題も同じようにどこかにやはり食い違いがある。やはり交流の中から信頼関係を高めていくしかない。そういうことでスポーツ交流を私の方は訴えているんですが、なかなか資金の問題もありましてスムーズにいきません。
 とにかくこれからいろいろ世界的な公害問題というのが大きくなって、どんな問題を取り上げても必ず公害問題等避けて通れない問題があるわけです。この間大臣に質問申し上げましたら、各省庁から大変おしかりがあったということを聞いておりますが、まさに今外務省はもっともっと力をつけてください。重ねて私は申し上げて、そういう省庁に立ち向かって日本の外交がおくれないようにひとつお願いいたします。
 それで、時間はまだありますが、きょうは質問終わります。ありがとうございました。
#143
○委員長(山東昭子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#144
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
    ─────────────
#145
○委員長(山東昭子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、山本富雄君が委員を辞任され、その補欠として石渡清元君が選任されました。
    ─────────────
#146
○委員長(山東昭子君) それではこれより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#147
○立木洋君 ただいま議題になっております条約について反対の討論を行います。
 この条約は、とりわけ大企業の利益を税制上保護し、資本の海外進出を税の面で保護するものであるとともに、国の課税権を一部制限するという問題などによって反対するものであります。
 今回の改定は、タイに有利な石油所得税を新設することなどの新しい規定がありますが、大企業優遇税制の典型である間接税額控除やみなし外国税額控除の規定がありますし、しかも親子会社の産業的事業以外の事業における配当や金融機関以外が受け取る利子について課税権の制限を新たに拡大するものとなっております。
 以上、簡潔に反対の趣旨を述べて討論を終わります。
#148
○委員長(山東昭子君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#149
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とタイとの間の条約の締結について承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#150
○委員長(山東昭子君) 多数と認めます。よって、
本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#151
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時散会
ソース: 国立国会図書館
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