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1990/06/12 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 外務委員会 第6号
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1990/06/12 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 外務委員会 第6号

#1
第118回国会 外務委員会 第6号
平成二年六月十二日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十一日
    辞任         補欠選任
     鳩山威一郎君     藤田 雄山君
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     大鷹 淑子君     合馬  敬君
     猪木 寛至君     三治 車信君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山東 昭子君
    理 事
                久世 公堯君
                宮澤  弘君
                竹村 泰子君
                中村 鋭一君
    委 員
                合馬  敬君
                岡部 三郎君
                関口 恵造君
                原 文兵衛君
                藤田 雄山君
                久保田真苗君
                田  英夫君
                堂本 暁子君
                肥田美代子君
                矢田部 理君
                太田 淳夫君
                中西 珠子君
                立木  洋君
                三治 重信君
   国務大臣
       外 務 大 臣  中山 太郎君
   政府委員
       外務大臣官房外
       務参事官     茂田  宏君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省中南米局
       長        瀬木 博基君
       厚生省保健医療
       局長       長谷川慧重君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        辻  啓明君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房参事官     平石 治兌君
       警察庁刑事局保
       安部薬物対策課
       長        属  憲夫君
       外務大臣官房審
       議官       丹波  實君
       外務大臣官房審
       議官       時野谷 敦君
       外務大臣官房審
       議官       原口 幸市君
       外務大臣官房審
       議官       石垣 泰司君
       大蔵省関税局監
       視課長      本村 芳行君
       大蔵省銀行局銀
       行課長      小山 嘉昭君
       文部大臣官房審
       議官       長谷川善一君
       文部省体育局学
       校健康教育課長  石川  晋君
       厚生省保健医療
       局精神保健課長  篠崎 英夫君
       厚生省保健医療
       局国立療養所課
       長        河路 明夫君
       厚生省薬務局麻
       薬課長      市川 和孝君
       海上保安庁警備
       救難部参事官   野崎 敦夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○向精神薬に関する条約の締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(山東昭子君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十一日、鳩山威一郎君が委員を辞任され、その補欠として藤田雄山君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(山東昭子君) 向精神薬に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 本件につきましては、前回の委員会におきまして趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○肥田美代子君 「人間やめますか」という悪魔のささやきが代表いたしますように、麻薬の問題は今世界的な大問題になっているわけですが、先日から国連の特別総会には下稲葉議員も代表に出ていかれましたり、それから海部総理も訪米の際にはブッシュ大統領と麻薬対策の協力についてお話しされたと伺っております。
 それで、今麻薬に関する国際的な現況について、ざっとで結構ですから御説明いただきたいと思うんです。
#5
○説明員(石垣泰司君) お答えいたします。
 国際的な薬物乱用の現状につきましては、国際的に麻薬、向精神薬等の薬物の乱用が最近とみに激化しております。薬物押収量の急増はこれを証明すると考えられますが、国連統計によりますと、全世界での個々の薬物押収量を見ますと、一九八二年から八七年の五年間で、例えばヘロインの押収量は約三倍、コカインは約十三倍、大麻、マリファナは約七倍にそれぞれ増加しております。また、世界で最も多く乱用されている薬物は、従来から引き続き大麻でございます。向精神薬の乱用はピーク時からは下回ってございますが、最近の数年間は激増しております。なお、国連の資料では、コカインとヘロインの乱用が増加しているのが特徴であるとしておりますし、青年による乱用も依然として多く、また女性の乱用も増加している、こういう状況にございます。
#6
○肥田美代子君 こういう国際的状況の中で、今回批准する向精神薬条約に関しましては二十年間保留されていたといいますか、二十年間ほっておかれたといいますか、そういう状態にあると私は認識するんですが、どうして放置されていたんでしょうか。その理由について説明いただきたいと思います。
#7
○説明員(石垣泰司君) 我が国は一九七一年十二月にこの条約の批准を条件に署名したわけでございますが、その後、我が国における薬物乱用の規制状況を踏まえつつ、各国のこの条約の締結状況、国内の実施の体制等につき慎重に検討を行ってきたため、国会提出に時間を要したとの事情がございます。しかし、今般この条約を実施する国内法の整備が行われるという見通しを政府部内で得ましたので、今国会において条約締結のための御審議をお願いしているところでございます。
#8
○肥田美代子君 国際協力につきましては、こういうことを本当に早く、日本がそれこそ率先して批准すべきであったと考えるんですが、薬物乱用の実態はこの二十年間で随分変わってきたように思うんですが、日本の現在の麻薬の汚染度についてどういう認識をお持ちでしょうか。お願いし
ます。
#9
○説明員(市川和孝君) 我が国におきます麻薬の汚染が戦後問題になりましたのは特に昭和三十年代でございます。この時代にヘロインが全国的に流行いたしました。しかしながら、ヘロインの流行は昭和四十年代に入りまして急速に鎮静化されたという経緯がございまして、以後今日に至るまで我が国は比較的ヘロインあるいはコカインというような麻薬の汚染は少ない状況で推移してまいりました。
 平成元年に麻薬取締法違反で検挙された者は約二百五十名でございまして、麻薬取締法の規定に基づきまして医師あるいは警察官等から発見、通報されました麻薬中毒者の数は十二名でございました。しかしながら、最近に至りまして、特に世界的に乱用が広まっておりますコカインにつきまして、大量に密輸されるというような事例が摘発されてまいりまして、これは今後十分な警戒が必要だというふうに考えております。同時に、我が国の法律上は麻薬ということでございませんが、大麻につきましても主として若い青少年が特に海外の渡航先から持ち帰るというような事例が出ておりまして、これも十分に注意を要するというように考えております。
#10
○肥田美代子君 今回の条約に関しまして、向精神薬という言葉は一般には随分耳なれない言葉だと思うんですけれども、この言葉についての定義なんですが、条約上と、それから関係法令上と、それから薬理学上といいますか、薬物学上の定義、それぞれお教えくださいますでしょうか。
#11
○説明員(石垣泰司君) 向精神薬という言葉についてでございますが、一般的に専門用語としては中枢神経に作用して精神機能に影響を及ぼし、幻覚、鎮静、興奮等をもたらす薬物の総称でございますが、この条約上の向精神薬とは、その第一条で、「付表Iから付表IVまでに掲げる天然若しくは合成の物質又は自然の産物をいう。」と定義してございまして、この条約の付表に掲げられた物質のみに限定されてございます。したがいまして、条約上の定義は薬物、薬学的専門用語としての向精神薬よりさらに狭いということが申し上げられると思います。
#12
○肥田美代子君 関係国内法についてはどうでしょう。
#13
○説明員(市川和孝君) 現在御審議をお願いいたしております麻薬取締法等の一部改正法案におきます向精神薬というものの範囲につきましては、条約で定める向精神薬の中から麻薬及び覚せい剤に該当するものを除いた物質を向精神薬というふうに定義づけております。具体的に改正法案におきます同精神薬の主たるものは、睡眠薬、それから精神安定剤といったようなものでございまして、通常医療の場で向精神薬というふうに医薬関係者が言いました際にすぐ想定される範囲に非常に近いものになっております。
#14
○肥田美代子君 この二十年の間にこの条約における対象品目が随分増加したと認識をしておりますけれども、例えば全体の数で言いますと約四倍にふえているんですけれども、これからもどんどんこれはふえていく可能性があるのか。それからもう一つは、そのふえる、例えば減らすということもあるでしょうけれども、その決定機関はどこなんでしょうか。
#15
○説明員(石垣泰司君) 先生御指摘のとおり、これまでに確かに対象物質の数はふえてございますが、現在この条約の対象物質、すなわち先ほど申しましたように付表IからIVまでに掲げられている物質の数は一九九〇年六月現在で百一となってございます。内訳は、付表I二十二物質、付表II十三物質、付表III八物質、付表IV五十八物質でございます。
 この物質の付表への追加または付表間の転記、付表からの削除、この手続につきましては条約に詳細な規定がございますが、基本的な手続を申し上げますと、第一に付表への追加でございますが、まず締約国または世界保健機関、WHOが、ある物質を付表に追加する必要がある旨を資料とともに国連事務総長に通告することになってございます。事務総長は、その通告及び資料を締約国、国連麻薬委員会に送付いたします。次いでWHOは、この物質が一定の基準を満たしていると認める場合には、その物質の評価を麻薬委員会に通知し、麻薬委員会はWHOの通知の内容を考慮の上、経済的、社会的、法律的及び行政的要因に留意してその物質を付表に追加することができるとされております。麻薬委員会の右決定は、国連事務総長がすべての国連加盟国、非加盟国であるこの条約の締約国、WHO、国際麻薬統制委員会に通知することとなってございます。第二に、付表間の転記、付表間の削除の手続についても、ただいま申しましたとほぼ同様の手続が規定されてございます。
#16
○肥田美代子君 薬局で今普通薬として売られている薬品につきましても、この対象薬となり得る可能性があるかどうか。それから、例えば付表IVからIIIに移行するとか、IIからIに移行するとかという可能性もこれからはあるんでしょうか。
#17
○説明員(市川和孝君) 現在、向精神薬条約の規制対象物質となっておりますものは、その一部が医薬品して使われているわけでございますけれども、すべて現行薬事法上の要指示医薬品というものに指定されておりまして、医師の処方せんあるいは指示がなければ購入できないという医薬品になっております。
 それから、先生御指摘の第二点でございますけれども、先ほどの外務省審議官の御説明にもございましたように、こうした薬物につきましてはWHOの方で乱用の状況等についての評価というものが行われていくわけでございますので、国際的な乱用状況等によりましては付表間の移動というものが、これまでもございましたし、これからもまたあり得るものというふうに考えております。
#18
○肥田美代子君 要指示薬についてはわかったんですが、例えば薬局で売られている今の普通薬が将来要指示薬になるなる可能性もございますね。というか、全くないとは言えないと思うんです。例えば、普通薬が要指示薬としてどうしても制限しなければいけない事情というのが将来起こり得ると仮定しますと、今の普通薬もこの付表に載る可能性はあるかどうかという質問をさせていただいたんですが、そういうことは考えられないんでしょうか。
#19
○説明員(市川和孝君) 今後、内外の薬物乱用の状況によりましては、現在条約上の規制対象となっていないもの、あるいは我が国で申し上げれば普通薬として売られているものというものが新たに条約の規制対象に入ってくる可能性ということももちろん考えられるところでございます。そのような場合におきましては、別途考慮しております法案におきましては、処方せんに基づいて使用されるような規制が新たに課せられるということが今後の方針として考えられております。
#20
○肥田美代子君 二十年間この条約が放置されていたという一つの理由に、広告の禁止と憲法の表現の自由、その二つの間での意思の統一というか兼ね合いといいますか、そういうものをかなり政府部内でいろいろと討議されたように伺っておりますけれども、どうクリアされたんでしょうか。
#21
○説明員(丹波實君) 本条約の第十条の二項におきまして「締約国は、自国の憲法上の規定に妥当な考慮を払って、一般大衆に対する向精神薬の広告を禁止する。」という規定がございまして、このような広告の禁止というものは憲法二十一条で保障されている表現の自由との関係でどのようなことになるのかという点の議論が一つありまして、それが国会提出がおくれた一つの理由であったことはおっしゃるとおりでございます。憲法との関係でございますので、政府部内で非常に慎重に表現の自由との関係を検討したということでございます。
 結果といたしましては、現在厚生省の方からこの条約を実施するための国内法の改正として麻薬取締法、覚せい剤取締法及び大麻取締法の改正法案を御提出申し上げておりますが、その中に医学関係者及び学術研究者を対象とする場合以外にはこの条約上の向精神薬に関する広告を禁止すると
の趣旨の規定を設けることによりまして、向精神薬の一般大衆に対する広告を禁止することにしております。
#22
○肥田美代子君 この向精神薬に関する条約とそれから二年前に採択されました新条約は、お互いが相互的に補うような形でこれから効果を発していくと私は考えるんですけれども、この二つの条約のそれぞれのポイントといいますか、特徴についてお述べいただきたいと思うんです。
#23
○説明員(石垣泰司君) ただいま先生より御指摘ございましたように、この向精神薬条約それから最近作成されましたいわゆる麻薬新条約は、それぞれ麻薬分野に関する国際条約でございまして、それよりも先に作成されてございます麻薬に関する単一条約とともに、麻薬に関する国際協力の枠組みを定めるものでございます。
 この向精神薬条約につきましては、先ほど申しましたように、いわゆる麻薬以外の乱用されるおそれのある薬物、すなわち条約上の向精神薬に関する、その薬物の物質に関する規制が主となってございまして、どういった薬物を対象とするか、先ほどお話にありましたように、いろいろ数は変遷してございます。それから、規制の手続をどうするか、国内的にどのような許可制にするかなど基本的なことを定めてございます。
 一方、麻薬新条約は、向精神薬条約、それからさきの麻薬単一条約に定めてございます乱用されるおそれのある麻薬及び向精神薬の国際的な取り締まりについての刑事手続その他を定めてございまして、言ってみれば先に作成されていました二つの条約の国際的な取り締まりに関する国際協力を一段と強化する、推進するといったさらに進んだ条約となってございます。
#24
○肥田美代子君 今伺っておりますと、その三つの条約がそれぞれ相まって力を出し合う。だから、三つそろって本当に国際的に力が出る、協力し合えるというふうに認識いたしますと、その新条約の批准ということが随分待たれるわけですけれども、このことについて各関係省庁に一問ずつお伺いしたいんですが、よろしいでしょうか。
 まず、厚生省に伺います。
 ある社会病理学者がこんなことを言っているんです。外国と違って、日本では完全に麻薬にむしばまれた患者の治療する施設はあるが、残念なことに予防的な治療をする場所はほとんどない。大切なことは、麻薬に手を染め出した者に対して社会的にガードを固め、本人に自覚を促すようなシステムづくりをすることが望ましい。患者になってしまってはもう遅いということを国はもっと認識してこの方面の整備に力を注いでほしい、そうおっしゃっておられるんですが、厚生省はこのことに対してどういうふうにお考えでしょうか。
#25
○説明員(篠崎英夫君) お答え申し上げます。
 ただいま先生の御指摘のように、やはり予防にすぐる治療はないというふうに考えております。
#26
○肥田美代子君 薬物依存に関する国の研究センターは幾つございますでしょうか。
#27
○説明員(河路明夫君) 国立の研究機関といたしまして、薬物依存につきましては、薬物乱用も含めてでございますけれども、国立精神・神経センターというのがございまして、その構成要素として精神保健研究所がございます。ここに薬物依存研究部というのがございまして、ここで研究を進めているところでございます。
#28
○肥田美代子君 そこなんですが、そこのスタッフは何人いらっしゃいますか。
#29
○説明員(河路明夫君) 現在、研究部長のもとに二つの研究室がございまして、それぞれ定員として研究室長がついております。計三名で構成されております。
#30
○肥田美代子君 予算についてはどのぐらい計上していらっしゃいますでしょうか。
#31
○説明員(河路明夫君) 研究費というお尋ねかと存じます。
 精神保健研究所は、固有の研究費といたしまして約一億三千万の研究費を有しております。そのほか薬物依存に関する研究ということで申し上げますと、精神・神経疾患研究委託費というのがございまして、その一部門といたしまして薬物依存の研究班が設けられております。これは全国の大学あるいは医療機関等の主な研究者の方々二十二名ほどで構成をした研究班でございますが、これの平成元年度の研究費の予算といたしましては、実行上二千三百万をもって研究を進めているところであります。
#32
○肥田美代子君 国立でたった一つしかない薬物乱用、薬物依存に関する研究の施設が、スタッフが三人で、今伺いましたように確かに予算も私は少ないと思います。私はこれから薬物乱用の問題はもっともっと大きくなると思うんですが、本当にこれで大丈夫かなという感じを持つんですけれども、どうお考えになりますでしょうか。
#33
○説明員(河路明夫君) 先ほど来いろいろお話がございましたように、本邦の場合ですと、まだ薬物乱用につきましてはさほど急激な伸びを示していないといったこともございます。今の段階で私ども一応研究の姿はフィールドワークが中心でございますので、一つの研究センターに大勢の人がということは必ずしも必要性はないかと存じますが、今後、向精神薬部門の研究につきましても部門の拡充を内部で検討しているところでございます。
#34
○肥田美代子君 次に、文部省に伺います。
 私は、二十一世紀を担う子供たちのたった一人でも薬物乱用の犠牲にしたくないという考えを持っておりますのですが、今教育現場でスポイルされている子供たちにとって、シンナー、それから覚せい剤、麻薬、そういう移行の段階というのは随分早く訪れるような気がするんです。それで、どういうふうに子供たちに指導していらっしゃるか、そのあたりから伺っていきたいと思うんです。
#35
○説明員(石川晋君) 学校におきましては、麻薬であるとか覚せい剤を含む薬物乱用の防止については、小中高とありますが、特に中学校、高等学校において、従来から教科としては保健体育、あるいは学校の教育指導の中では特別活動というのがございますが、その中での保健指導、こういった分野でこの問題を取り上げるように指導してきているところです。
 このため、かねてから、日本学校保健会と申しまして学校医、歯科医、あるいは薬剤師等から成る法人がございますが、そちらの専門家の協力を得て薬物乱用の害毒などについての指導をする教師用の指導書を作成配付するとともに、学校保健を担当いたします先生方については、研修会等でこれらの問題について随時取り上げ、意識の啓発とともに児童生徒への指導の徹底を図っているところであります。特に昨年学習指導要領を改訂したわけでありますが、この問題の重要性にかんがみ、教科保健体育において新たに薬物乱用と健康に関する内容を明確に項目として取り上げ、健康教育の観点から内容を強化するというようなことで指導の充実を図ってきたところであります。
 なお、今後ともこういった問題についての指導の充実には努めていきたいと考えております。
#36
○肥田美代子君 今学習指導要領が新しくなったとおっしゃいましたんですが、それが実施されるのはいつからでございましょうか。
#37
○説明員(石川晋君) 平成四年度からになります。現在は移行期間と申しまして、旧学習指導要領と新学習指導要領の違い等がございますので、教育現場につきましてそれについての指導会等を開いているところでございます。
#38
○肥田美代子君 指導要領が新しくなったということは、今の状況を考えてそういうふうになさったと私は認識するんですけれども、それならば、平成四年まで本当に待っていいものかどうかという疑問を感ずるんですが、どういうふうにお考えでしょうか。
#39
○説明員(石川晋君) 御指摘のように、問題は大変重要であるということで指導要領を改訂したわけでございますが、その技術的な面で言いますと、教科書の改訂でありますとか、こういったものが落ちつくには指導要領の改訂後時間がかかるというような面がございます。
 それから、今回の指導要領の改訂で新たに項目
として取り上げたわけでございますが、実際上の指導の問題としては、従前がゼロであって今後が一〇〇であるというような関係ではなく、従来から生活行動と健康というような観点からこの問題は取り上げてきている。それを今回いわば問題の重要性にかんがみ格上げしたということで、現場の先生方により必要なものとして指導してくださいと、こういう趣旨でございますので、それ以前がゼロであるとかいう関係ではございません。
#40
○肥田美代子君 ありがとうございました。
 次に大蔵省に伺わせていただきますが、今回の新条約の批准に向けて一番ネックになるのが大蔵省の内部での法的な調整かと思うんですけれども、そのあたり、今問題になっていること、それから、早い批准に向けてどのようにそれをやっていこうと考えていらっしゃるか、今の作業についてちょっとお教えくださいますでしょうか。
#41
○説明員(本村芳行君) お答えいたします。
 八八年の新条約につきましては早期にやはり批准していきたいということがございまして、私ども内部で鋭意検討している状況でございます。
 特に税関につきましては、八八年条約につきましては種々取り締まりの側面がございまして、特に税関といたしましては、関係省庁と取り締まりの面でどのようにやっていくのがいいかということで鋭意検討している状況でございます。
#42
○肥田美代子君 マネーロンダリングについては随分作業が進んでおりますでしょうか。
#43
○説明員(小山嘉昭君) お答えいたします。
 マネーロンダリングにつきましては、麻薬新条約また金融活動作業グループの勧告等を受けまして関係各省庁で現在協議中でございます。
 一般に考えられます検討項目としては、大変多岐にわたっておりまして、まず第一にマネーロンダリングに対しまして刑罰を科すと、これは罪刑法定主義でございますので、刑罰を科す以上法律が必要でございます。
 二番目に、金融機関の口座開設のときの本人確認等でございます。麻薬の金を犯罪団が得まして、それを何らかの形で隠きなきゃいけない、その相手先として金融機関があるわけです。そのときに金融機関が窓口で本人を確認する作業というのが必要だろう。それならばどういうやり方でやるのかというのが二番目の問題でございます。
 三番目に、疑わしい取引の通報義務を金融機関に課すのかどうか、こういう問題でございます。
 四番目に、金融機関に記録保存を義務づけるということでございます。
 五番目に、凍結とか没収とか、そういう事柄の法的な整備の問題がございます。
 六番目に司法共助、七番目に国際的な情報交換体制の確立。
 こういうふうに並べてまいりますと、各省庁に相当またがっております。したがいまして、現在関係省庁で協議中でございますけれども、以上申し上げました中には法律でなければできない事柄もございますし、行政上でできる事柄もあるかと思うわけでございまして、行政上でできる事柄としてどういうことがあるのかというのを現在協議している段階でございます。
 以上でございます。
#44
○肥田美代子君 次に、警察庁に伺いたいんですが、捜査協力についてなんですが、私たちから見ますと、縄張り争いがきつくて情報というのはお互いにうまく流れてないんじゃないかというふうに考えるんですが、情報交換なんかについては現状はどうなんでしょうか。
#45
○説明員(属憲夫君) 我が国で乱用されます薬物というのは、大半が海外から入ってきている状況にあります。そういうことで、特に海外から入らないように水際で押さえるということが非常に大事になってまいります。そういうことで、当然税関等関係機関との連携ということが非常に大事になります。また国内におきましても、厚生省の麻薬取り締まりの機関がありますし、そういうようなところと十分連携をとって情報交換などを今積極的にやっておると、そういうことでやっておりますので、かなり連携はとりながらよくやっているんじゃないかというふうに思っております。
#46
○肥田美代子君 ありがとうございます。
 次に、総理府に伺いたいと思います。
 薬物乱用対策推進本部というのがございますが、これが日本で唯一の薬物の取り締まりについての統一されている組織、統一されている組織というのはおかしいですね、唯一薬物取り締まり関係省庁の取り締まり機関だと、取り締まりというよりも取りまとめ機関だというふうに聞いておりますんですが、それはうまく機能しているんでしょうか。
#47
○説明員(平石治兌君) 御説明申し上げます。
 薬物乱用対策推進本部は昭和四十六年から設置されておりますが、設置以来、覚せい剤等に重点を置きまして種々の防止対策を講じてきたところでございます。構成員といたしましては、本部長が内閣官房長、本部員が関係十四省庁の局長クラス二十三名、幹事といたしまして関係十四省の課長クラス三十二名で構成されておりまして、このほか各都道府県において知事等を本部長といたします地方薬物乱用対策推進本部が設置されております。この機関の中で関係省庁集まりまして毎年薬物乱用防止対策実施要綱を制定するほか、必要に応じまして各省庁お集まりいただきまして種々対策につきまして協議を行っておるところでございます。
#48
○肥田美代子君 対策に関して協議をしていらっしゃるのはよくわかるんですけれども、どのぐらいの強制力といいますか、指示能力といいますか、そういう力はあるんでしょうか。
#49
○説明員(平石治兌君) 総理府というところは自分で何ら手足を持たない役所でございまして、各省庁それぞれの行っております行政につきまして連絡調整を行いまして、それぞれのやっている行政が円滑に連携がとれてスムーズに行われるようにするということで仕事を進めさせていただいております。
#50
○肥田美代子君 そうしますと、その手足を持たない総理府の推進本部が今の日本の薬物対策といいますか、薬物乱用に関する中央組織といいますか、まとめ役というふうに考えていいんですか、唯一の、もう一度お伺いしたいと思います。
#51
○説明員(平石治兌君) 薬物乱用対策推進本部というのは、先ほどちょっと御説明不足なんでございますが、総理府としては手足を持っておりませんが、参加されておる構成省庁につきましては、すべてそれぞれ実施機関は権限をお持ちでございますので、それらの間の調整をとらせていただくということでございます。
 それから、唯一かと申されますと、政府の機関としてはここが中心になって行われているということは事実でございます。それから、場合によりまして、個別いろいろな問題につきましては、別個に関係省庁それぞれ随時お集まりいただきまして協議を行っているというような状況にございます。
#52
○肥田美代子君 ありがとうございます。
 外務大臣にお伺いしたいんですが、私これまで各省庁にいろいろ話を伺ってきたんですけれども、例えば今総理府に伺いました推進本部にいたしましても、私はアメリカの麻薬取締局とかそれから財務省取り締まり情報伝達システム、そういういわゆるアメリカが目指しております情報の一元化とかそれから施策の一元化、そういうものとは日本は随分ほど遠いシステムしか持っていない、そういうふうに今感じたんですが、大臣はどうお考えになりますか。
#53
○国務大臣(中山太郎君) 今総理府から政府委員が答弁されましたけれども、総理府がやはり日本のセンター的機能を持っているんだろうと思います。ただし、今委員も御指摘のように、総理府には手足そのものはございません。大体総理府というところはそういう役所でございます。そして関係省庁を集めて、そして総理府の総務長官なら総務長官が座長になって対策本部長を兼務して、それで関係省庁に問題のいわゆる検討、さらにそれに対する対策を立てさせるというような仕組みになっておるのが実際の姿ではないか。私も昔総務
長官をやっておりましたから、事実そういうふうな会議を何遍か主宰した経験者でございます。実際の取り締まりは警察、そして薬に関するいわゆる取り締まりあるいは扱いというものについては厚生省、そういうふうにそれぞれの関係省庁が実施機関を通じてその政策を実施しているというふうに私は認識をいたしております。
#54
○肥田美代子君 麻薬問題には随分御関心の深い大臣だと私は伺っておりますので、あえて三つの点について提唱させていただきたいんですが、まず一つ目は、今回の新条約についても敏速な対応が必要である、批准に関しましても敏速な対応が必要であるということ。それから二つ目には、麻薬に関しては統一法をつくって統一した権限を持つセクションを考えていくべきじゃないかと思うんです。それから三つ目は、海外でやっているように聞いておりますんですが、お互いの国の取締官の交換といいますか海外派遣、そのことによって私はお互いの情報というのが人間にくっついて動くと思うし、そのことが麻薬取り締まりについては随分効果的で有効だと思うんですが、この三つの提案について、大臣はどうお考えになりますでしょうか。
#55
○国務大臣(中山太郎君) 実際には第三番目の質問ですが、三つお尋ねがございました。
 一つずつ申し上げると、日本の麻薬問題というのは、実際の純粋麻薬を扱って、それによって中毒を起こしている人たちはまだ極めて数が低いという状況であったと思います。日本で神経関係の薬としては覚せい剤問題、これは特に台湾、韓国からの密輸による、日本の国内においては暴力団を通じての一般市民社会への浸透というようなことが現実問題として今日までございました。コカインとかいろいろな問題が最近登場してきた新しい日本の麻薬問題、このように実は思っておりますけれども、そういう中で、取り締まりにおいては比較的うまくいっていたんではないか、私はこのように思っております。しかし、世界の趨勢として麻薬利用患者が増加する可能性がある。そういう場合に、やはり日本としてはこの取り締まりの一元化というものをさらに確立していく必要があるだろうと思います。
 委員も御存じと思いますけれども、日本におきましては各国の麻薬担当官を東京に集めてセミナー等を開催いたしておりまして、私も何遍かその会合には最近出席したことがございます、外務大臣になる前でございましたが。そこへ出ていろいろと各国の人たちのいわゆる情報の交換とか研修、そういうものを実際やられていることは事実でございます。こういうふうに私は理解をいたしております。
#56
○肥田美代子君 最後に、ヒューストン・サミットに向けましていろいろ報道されているんですけれども、麻薬対策にODAを振り向けられるということについては、今そういう考えは具体的に固まってきているんでしょうか。
#57
○国務大臣(中山太郎君) やはり麻薬の問題につきましては、生産、流通、それから消費、こういうふうな一般の商品と同じように一つのプロセスがあるわけでございまして、問題は、それを使っている人を見つけて治療する、流通経路は例えばマネーロンダリングのように資金面からの調査を行ってそれを挙げていくというようなこと。しかし、一番源泉は生産者でありまして、生産者は一般の農作物を耕作するよりも、ケシをつくったりいろんな麻薬関係の作物をつくることによって非常に高い収入を得ているわけです。そういう人たちに新しい代替作物の栽培法、つまり付加価値の高い農作物をつくる方法を教えるというために、例えば耕地の問題あるいは農機具の問題あるいはそれの研修の問題、このような問題につきましていわゆる三角地帯と言われる麻薬生産地帯の政府と協力をしながらそのようなところにODAを使っていくということについては、政府は積極的にこれに取り組む姿勢を持っております。
#58
○肥田美代子君 それからもう一つ、新条約の批准についてもかなり具体的な線まで作業が進められていると考えますが、批准についての具体的な進展状況について簡単に教えていただけますでしょうか。
#59
○国務大臣(中山太郎君) ちょっと政府委員から答弁させます。
#60
○説明員(石垣泰司君) いわゆる麻薬新条約は、先ほど御指摘ございましたように、麻薬分野におきます国際協力を進める上で極めて重要な条約であると私ども認識しております。私どもはその趣旨から条約の作成に賛成し、署名を行ったわけでございますが、現在、早急な批准に向けまして関係省庁との間で私ども中心となりまして極めて頻繁に協議を重ねておる次第でございます。
 先ほど来政府委員の側からも指摘がありましたように、現在の我が国の法制に新しい要素を持ち込むいろいろな点がございますので、慎重に国内法の担保の仕方等について鋭意検討を行っている段階でございまして、私どもとしてはできるだけ早急な締結に向けて一層邁進してまいりたいと考えております。
#61
○肥田美代子君 大臣にもう一度お伺いしたいんですが、新条約については、多分サミットまでにいつごろ批准できるかというメッセージを送るというふうに報道されておりますが、今大臣はどの程度までそのことについてお考えでしょうか。
#62
○国務大臣(中山太郎君) 今委員お尋ねの我が方の国内の手続については、ヒューストン・サミットの際に、いつの国会に提案するということを具体的に明示するように努力いたしたいと考えております。
#63
○肥田美代子君 ありがとうございました。
 最後に、子供の権利条約について一つだけ伺いたいんですが、この権利条約の三十三条にも麻薬とか向精神薬からの保護という条項がございまして、私はさっきも申し上げましたように、子供を一人たりとも麻薬乱用にはかかわらせたくない、そういう考えを持っておりますので、この条約が本当に一日も早く批准されることをそれこそ祈りに近い思いを持っておるわけですが、この条約の批准について大臣のお考えというか、現在の御心境などを伺って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#64
○国務大臣(中山太郎君) 大変熱心にかねて御論議をいただいておりますが、先般もお答え申し上げましたように、政府としては子供サミットの時期にこの条約を批准する時期を明示いたしたい、このように考えております。
#65
○肥田美代子君 そうしますと、次の臨時国会ぐらいにそういうことが批准の問題として上がってくるわけでしょうか。
#66
○国務大臣(中山太郎君) 次の臨時国会あるいは通常国会に向けて政府としては作業を進めたいということでございます。
#67
○肥田美代子君 ありがとうございます。
 終わります。
#68
○矢田部理君 麻薬問題でありますが、国際的にも極めて深刻な状況が広がっております。政府は、本年二月の国連麻薬総会で、麻薬問題に対する国際協力を拡充する方向でその姿勢を明らかにされました。具体的にどんな展開をされるのか、どんな方策を講じられるのか、御説明をいただきたいと思います。
#69
○説明員(石垣泰司君) お答えいたします。
 ただいま御指摘のございました国連麻薬特総におきましては、国際的な麻薬対策についての今後の協力につきまして政治宣言及び世界行動計画がコンセンサスで採択されたわけでございますが、私どもといたしましては、この採択されました政治宣言、世界行動計画に列挙されています生産削減、需要削減、法執行、治療、リハビリテーションその他いろいろな側面につきまして、具体的に国内レベル、地域レベル、国際レベルで何が可能か、採択されて期日もまだ経過しておりませんで、今後十年間にわたって麻薬撲滅のための国際協力の十年という宣言もあわせて採択されたわけでございまして、関係省庁と緊密な協議を重ねて方策を検討してまいりたいと考えております。
#70
○矢田部理君 麻薬をなくするための国際協力が極めて重要でありますが、同時に、そのことのた
めにそれらの当該国に対する内政干渉とか主権侵害があってはならないという懸念も中南米各国や中国などからも表明をされておるのですが、これに対する考え方なり対策は何か考えておられますか。アメリカのパナマ進攻などが争点にあったものと思われますが、いかがでしょうか。
#71
○説明員(石垣泰司君) 麻薬に関します国際協力を進めていく上では国境を越えたいろいろな協力も必要でございますが、その際、各国の主権あるいは内政干渉の原則等には十分配慮すべきであるということは、この国連総会で採択されました宣言、行動計画にも明記されているところでございまして、私どもといたしましてもこの点に十分留意しながら国際協力の方策を今後とも考えてまいりたいと考えております。
#72
○矢田部理君 警察庁に伺いますが、最近覚せい剤関連の犯罪が非常に多くなってきております。刑事事件の中に占める比重も高まってきているように思われるのですが、どんな問題点を持ち、犯罪の傾向がどんなふうにふえておるのか、それに対してどんな対策を考えておられるのかについてまとめて御説明をいただきたいと思います。
#73
○説明員(属憲夫君) 我が国の場合、最も乱用されておりますところの薬物は、御指摘のとおり覚せい剤であります。覚せい剤で毎年の検挙人員が大体二万人前後で推移をしておりまして、覚せい剤を入手するために犯罪を犯す、あるいは覚せい剤の薬理作用によって頭がおかしくなって、それで殺人とかあるいは凶悪な犯罪を犯すといった事例は毎年相当数発生しております。そういう意味で、犯罪予防上は非常に大きな問題になっている、そういったような認識でございます。
#74
○矢田部理君 話題を変えます。
 厚生省に伺うのが適当かどうかわかりませんが、アメリカの米陸軍感染症医学研究所というのはどういう研究をする団体でしょうか。
#75
○政府委員(長谷川慧重君) アメリカの研究所のお話でございますので詳細はよく承知いたしておりませんけれども、先生お話しの研究所の名称から考えますと、いろいろの感染症についての研究をやっておられるんだろうというぐあいに思うところでございます。
#76
○矢田部理君 もう一つ伺いますが、米陸軍のウォルター・リード研究所というのはどういう団体でしょうか。
#77
○政府委員(長谷川慧重君) お尋ねのウォルター・リード研究所も軍の附属の研究所というぐあいに理解いたしております。
#78
○矢田部理君 今二つの研究所を典型例として挙げましたが、これらはいずれも軍事目的を持った研究所なんです。幾つかの紹介文書、ここにもありますが、例えば米陸軍感染症医学研究所というのは、生物兵器戦争における防御手段を求める研究を目的とするというふうに明示をされております。また陸軍のウォルター・リード研究所も、軍事的に重要な選択された疾病の治療についての研究ということで明白に軍事目的を掲げている。軍の機関でありますから当然といえば当然なのでありますが。これらの諸機関と八〇年代に入ってからでも公にされただけで数回、私の調べではもっともっと数が多いわけでありますが、厚生省の国立予防研、文部省もおいでだと思いますが、北大などを中心とする大学がずっと密度濃く共同研究をしたり研究員の派遣をしたりしているのはどういう事情でしょうか。
#79
○政府委員(長谷川慧重君) いわゆる国立予防衛生研究所の研究者が先生御指摘の軍の関係の研究所のところと関連があったということが指摘された事例が幾つかございます。その一つ一つについて詳しく御説明する時間がございませんですが、極端に申し上げますれば、それは軍の研究機関から提供されたものを使っての研究を行った先の大学で、そういう軍から提供されたものを使って行った先の別な機関で研究をしておる、あるいはその一例は軍の研究所に行って研究したものでございますが、それは結核菌の免疫作用に関する研究ということでございまして、そういう面で、その研究内容等から見ましても、軍事目的の研究であるというぐあいには理解いたしていないところでございます。いずれにしましても、紛らわしいといいますか、誤解を招くおそれがあるものにつきましては、今後とも十分注意いたしまして誤解のないような形で対処してまいりたいというぐあいに思っております。
#80
○矢田部理君 八六年から二年間、北大の獣医学部の助手が、今の陸軍感染症医学研究所に出向いていって研究をしている。八六年から同じ二年間、国立予防研の主任研究官が同じように、この感染症医学研究所の研究者と共同研究に入っている。それから、八七年から一年間、国立予防研の中村室長がウォルター・リード研究所に協力研究員として滞在をする。八六年七月から八月にかけて、ウォルター・リードの感染免疫部長という、陸軍大佐でありますが、これが国立予防研究所に客員研究員として招かれる。そして、八七年から一年間、北大の獣医学部の助教授がウォルター・リード研究所に招かれて、これまた研究を行う。そして、八三年から八八年の五年間にわたって国立予研あるいは東大医科学研究所などが共同研究に当たっている。米軍の病理学研究所とか疾病管理センターなどでありますが、そして、研究の非常に多いテーマというのは、出血熱ウイルスに関する研究が非常に多いのであります。これが特徴的であります。国立予研や北大が深くかかわっている。これは特別な関係を米陸軍等と結んでいるんでしょうか。その点の説明をいただきたい。
#81
○政府委員(長谷川慧重君) 先生御指摘のございましたものについてまず一点申し上げますと、予研の職員がウォルター・リード研究所の研究を協力してやっているんじゃないかというお尋ねでございますが、御指摘の事例は従来から予研の研究員と共同研究を行っておりました米国のNIH、国立保健研究所のがんセンターの研究者が米陸軍のウォルター・リード研究所の方へ異動になったために、予研の研究員が全米科学アカデミーの外国人向けの研究費を受けまして、陸軍研究所の方へ出張いたしまして、同研究所で研究を行ったものでございまして、内容も結核免疫の機序を知るための研究でございまして、そういう面で軍事目的とは関係がないものというぐあいに理解いたしております。
 それからもう一点のものにつきましては、フォートデトリックの話でございますけれども、これにつきましては予研の研究員がイギリスのオックスフォード大学へ留学中に、その指導教授のもとで腎の症候性出血熱、ウイルス遺伝子の研究を行っていたものでございますけれども、この研究はWHOのプロジェクトの一環として行われたものでございます。なお、この研究につきましては、指導教授が米国のフォートデトリック研究所からウイルス遺伝子の株といいますか、ものを分けてもらったものでございまして、その分けてもらったものについていろいろ研究しておったということでございまして、予研の研究員はその米軍の、アメリカの陸軍感染症医学研究所とも、あるいは分けてもらった教授とも何ら関係はないというぐあいに理解いたしております。
 それから、韓国型出血熱の問題につきましては、これは先生御存じのとおり、韓国なりあるいは中国、ソ連等におきましてかなりの数の患者さんが毎年出ておりまして、そういう面で日本におきましても過去にそういう発生例もございます。そういう面で日本の国民のためにも、そういう韓国型出血熱につきましてはいろいろ調査、研究、診断等の研究も行う必要がございますので、そういう面で韓国型出血熱につきましての勉強もいろいろやっているし、予研においても中でいろんな研究をやっているというような状況にございます。
#82
○矢田部理君 私が伺っているのは、国立予研の研究者などが米軍関係の研究所といろんな意味で交流をしたり研究に行ったりしているのは、定期的な交流の計画なり特別な約束事でもあるのかと聞いているんです。それはいかがですか。
#83
○政府委員(長谷川慧重君) そのような特別な約束事はございません。
#84
○矢田部理君 北大の人たちが比較的多くこれに
かかわっているようにも思われるんですが、文部省いかがですか。
#85
○説明員(長谷川善一君) 北海道大学の獣医学部の教官が米国の陸軍感染症の研究所でやった研究というのも、今問題になっております出血熱ウイルスの研究でございます。この研究のテーマは、今お話ございましたように、実験動物の関係者の間で非常に関心の高い、また危険度が高い特殊な感染病でございまして、その研究を学術研究上の必要性から実施したというものでございます。
 経費は、アメリカの科学アカデミー等の連合組織でございます米国研究協議会が負担しております。
 このことは事前に獣医学部の教授会の承認済みということで渡米したわけでございますけれども、こういう件につきまして、本年一月でございますけれども、北大の獣医学部を中心に研究内容等の再審査を行っております。研究成果は学会誌に公表されておるわけでございますから、全く秘密で何かをやったというわけではございませんし、学術研究上の必要性に基づいてやったんだということで、軍事研究ではないということは北海道大学の学長が本年一月に見解表明をしておるところでございます。
#86
○矢田部理君 大学関係の研究者が向こうに出向いていって留学をする、共同研究をやるというようなことについて、研究費なり、それから出張関係の費用なりを文部省の予算から支出していることはありませんか。
#87
○説明員(長谷川善一君) 米軍のそういった研究所に出張する、あるいはそこで研究をするというような目的のために文部省が出しておる経費というのはございません。
#88
○矢田部理君 日米医学協力計画、これは外務省に伺いますが、これはどんないきさつで、いつごろから発足し、どんなことをやっているのでしょうか。
#89
○説明員(時野谷敦君) 今御提起がございました日米医学協力につきましては、昭和四十年に当時の佐藤総理大臣とジョンソン大統領との会談に基づきまして、結核でございますとかコレラでございますとか、そういういろいろな病気に関する研究を日米両国で共同して行うということになりまして、日米医学協力委員会が設置をされたということでございます。
 日米医学協力委員会自体は、研究計画の立案でございますとか協力計画の実施を円滑ならしめるための方途でございますとか、そういうことを検討いたしまして両国政府に報告をするといったようなことを任務といたしておりまして、毎年一回、東京あるいはワシントンにおいて交互に会合をいたしてきておるという次第でございます。この下に専門部会がございまして、現在、結核でありますとか、らいでありますとかコレラでありますとか、合計いたしまして十の専門部会が設けられておりまして、そういう形で共同の研究が進められているということでございます。
#90
○矢田部理君 八五年の十月二十八日にアメリカで開かれたウイルス病部会、その日米協力計画の一環でありますが、の主催者はどこだったでしょうか。
#91
○政府委員(長谷川慧重君) 先生のお尋ねの件は一九八五年、昭和六十年の十月二十八日から三十日にかけて日米医学協力の第十九回ウイルス病部会がアメリカにおいて開催されたということのお尋ねかと思います。ですから、ウイルス病部会が、ただいま外務省から御説明ございましたように、一年置きに日本とアメリカで交互に行われるわけでございまして、アメリカにおいて行われます場合には、アメリカ側の方でどういうテーマで、どこでやるかということについては日本側とも相談して決めて、それで開催されたものでございます。
#92
○矢田部理君 主催者、主催団体はどこかと聞いている。
#93
○政府委員(長谷川慧重君) アメリカ側のウイルス部会の部会長さんが主催者になるというぐあいに理解いたしております。
#94
○矢田部理君 ここにプログラムがありますが、主催者は先ほど申し上げた米陸軍感染症医学研究所なんですね。米側参加者に非常に軍人が多数参加しているのはどういうわけでしょうか。
#95
○政府委員(長谷川慧重君) 二点お尋ねございましたけれども、まず第一点目でございますが、申し上げましたように、第十九回ウイルス部会がアメリカにおいて開催されまして、一日目、二日目はNIHで開催されまして、三日目が御指摘のようにフォートデトリックの研究所で開催された経緯がございます。
 それから、もう一点の軍の関係者が数多くいらっしゃるという話でございますが、確かにアメリカ側の委員の中には軍の関係者がいわゆる部会のメンバーの中にも、部会のメンバーはそれぞれ五人ずつ選ぶわけでございますが、その五人の中にアメリカ側の軍の関係者がいたという事実もございます。それから、この部会は、そういう面で部会のメンバーとそれの共同研究者が集まって会議を開くわけでございますが、その会議は公開制でございますので、そのテーマについて関心のあるその他の研究者も部会にオブザーバーという形で出席をして話を聞くこともできるわけでございますので、そういう面で、部会が開かれましたときの参加者といいますか出席者の数は、そのときそのときにおいて大分変動がございます。
 そんな感じで、部会の構成メンバーに軍の関係者がおられるのは確かでございますけれども、これはあくまで部会そのものが、先ほど御説明ございましたように、アジアに蔓延しておりますコレラとか、そういう伝染病に対する対策、研究を共同でやろうという目的で行われておるものでございますので、そういう形で行われておりまして、その中にそれぞれの専門家がお入りいただいて、アメリカ側はアメリカ側のメンバーを選定し、日本側は日本側のメンバーを選定して部会が構成されるという状況にございます。
#96
○矢田部理君 説明しにくいようだから私から指摘をしますが、このウイルス病部会の主催者が陸軍感染症医学研究所であり、そこを借りて研究会も開かれておるわけでありますが、参加した人たちの中に軍関係者が目立つんですよ。例えばウォルター・リード研究所のドナルド・バーグ陸軍中佐、それから感染症医学研究所の所長であるハクソール大佐、それからフィッツシモンズ陸軍医療センター、ラッセル司令官。そして、そういう軍関係者が目立つだけではなくて、報告者も、先ほど問題にした米陸軍感染症医学研究所のシュマルジョンという人が報告をすると。ほとんど軍関係でこのウイルス病部会はイニシアチブがとられているという状況なんですね。日本側はだれが報告しましたか。
#97
○政府委員(長谷川慧重君) 部会の構成メンバーにつきましては、先ほど申し上げましたように、日本側は五名のウイルスの専門家の先生方、それからアメリカ側も五名の先生方を選んで部会を構成されております。そのアメリカ側の五名の中に先生お話しのございましたラッセル博士なり、あるいはドーリンプル博士という方が部会のメンバーに入ってはいらっしゃいます。これはアメリカ側はその道の専門家である方を日米医学協力のテーマ、趣旨に沿った形で選んでつくっているわけでございますので、それはアメリカ側の判断だと思いますけれども、それ以外に、そういう部会が開かれますときにはその他のそのテーマに関して関心のあるいろんな研究者が入ってくるわけでございますので、そういう面で、先生のお話しになられましたいろんな方といいますのは、逆に言いますと関心のあるその他のメンバーという形でその会議に出席をする、あるいは協力者という形で中に加わっておって発表されるという事例もあるかとは思います。ただ、日本側は、五名の先生方といいますのは、大谷先生とか橋本先生――正式に部会のメンバーにつきましては後ほど資料でまた御説明したいと思います。
#98
○矢田部理君 報告者を聞いているんですが。
 ここでも北大の橋本さんという獣医学部の教授が出てくるんですね。北大がいろんなところで随分出てくるんですよ。北大だけをやり玉に上げて
いるわけじゃなくて、北大の中でもこのことは大変問題になってきておるわけでありますが、北大とここの米陸軍の諸種の研究所とは何か定期的な交流の計画なり約束事でもあるんでしょうか、ないんでしょうか。
#99
○説明員(長谷川善一君) 北海道大学はこの研究所と何らのか特別な関係を持っているというぐあいには聞いておりません。
#100
○矢田部理君 八〇年の十一月に日本の大磯で日米医学協力計画の会議が開かれたのでありますが、合同専門部会で特別セッションとして韓国の出血熱が取り上げられて、以後毎年これに関する会議なり報告が行われてきているように見受けられるんですが、事実はいかがでしょうか。
#101
○政府委員(長谷川慧重君) 大磯で開かれた八四年の会議におきましては……
#102
○矢田部理君 八十年十一月。
#103
○政府委員(長谷川慧重君) 八四年のウイルス病部会は大磯で九月に三日間ほど開かれているわけでございますけれども、その場合におきましては……
#104
○矢田部理君 八十年十一月ですよ、私が聞いているのは。それ以降ずっとウイルスの研究が一貫して行われている。――わからないようなので私の方から説明しますが、ここでもずっとアメリカの軍が関与している。ここまできますと、日米医学協力計画、これはできた当初から日本のウイルス関係の学会などから猛烈な反発があったいわくつきのものなのでありますが、どうもやっぱりたまたまやっているとか、ある学者が好みでやっているとかいうふうにはどうしてもとれないんですね。
 問題は、この流行性出血熱というのはどういう病気か。これも改めて指摘するまでもありませんが、戦前中国の東北地方で日本の石井部隊、七三一部隊がかなり研究をした人体実験で悪名の高い病気なんですね。以後それが朝鮮戦争ではやって、石井部隊の研究はアメリカ陸軍に引き継がれ、その一部が日本の国立予防研でも受け継がれた。人的な関係でも明白なのでありますが、その国立予防研とアメリカの軍関係者が今でも執拗にこの問題の研究をやっている。一体その背景やねらいは何なのかということを考えざるを得ないのでありますが、思い当たる節は全くないんですか。純粋な学術的研究だとか、たまたまだとか、何とかのかかわりでかくやったというようなことでは説明がつかないんじゃありませんか。
#105
○政府委員(長谷川慧重君) 腎症候性出血熱につきましては、このウイルス病部会におきます重要な課題の一つでございます。そういう面で、部会が開かれますときに、それぞれの研究者が研究したものについて発表されるということは続いているものというぐあいに考えます。
 ただ、腎症候性出血熱につきましては、いわゆる韓国において一番多く発生しているといいますか、そういう事例が多うございまして、韓国の中にそういう動物なりあるいは罹患して亡くなった方の症例も多うございまして、そういう面での素材といいますか、材料と言ったら失礼かもしれませんけれども、そういう研究のもとになりますのは韓国側にある、あるいはそこから提供を受けているアメリカの軍の関係にあるというのは事実でございます。そういう面で、これについての研究をやります場合には、材料を得る、素材を得るというような意味からいいましても、そういうものの提供をどうしても必要としている事実は確かにあるかと思います。
 しかしながら、この腎症候性出血熱につきましては、これは韓国のみならず中国、ソ連においてもかなり発生しておりますし、日本においても、過去において大阪、あるいは各大学等の研究所において罹患をして死亡した事例等もございます。現実に町の中におりますネズミ等をとらえまして一部調べた事例を見ますと、これの抗体陽性の事例も見られるわけでございますので、現時点で患者の発生がないとは言いながらも発生のおそれもございますので、そういう面でこの韓国型出血熱につきましての病因の研究なりあるいは診断法の研究といいますのは、どうしても予研としましても、私どもとしてもやっておかなきゃならない課題であろうというぐあいに思うわけでございます。
 それがすぐに軍事の研究につながるということではございませんけれども、国民の安全の確保のために、あるいは東南アジアに蔓延しております韓国型出血熱の病因究明なり治療法の解明という問題につきましては、やはり研究を続ける必要があるものというぐあいに理解いたしておりまして、先生の御指摘のような軍の関係のためにやっているということにはならないものというぐあいに理解いたしております。
#106
○矢田部理君 米軍と韓国との間にチームスピリットという軍事演習が定期的に行われておりますが、このチームスピリットに参加した米軍が韓国型の出血熱にかかったという報道というか指摘も一部あるんですが、そういう事実は知りませんか。
#107
○政府委員(長谷川慧重君) 承知いたしておりません。
#108
○矢田部理君 八三、四年ごろに日本でも大学の研究所などで病人が出たりして研究が行われたが、一応血清というかワクチンができて日本では解決したとされているんですが、執拗にその後も米軍関係者を中心に追跡をされている。日本がこれにかかわっているというのは、どう見ても私は納得しかねるんです。
 だから、幾つかの指摘があるわけでありますが、どうもやっぱり第二次朝鮮戦争みたいなものを想定して、その対策としてこの問題が追求をされているんではないかという疑いなども持たれているのですが、外務省いかがですか。
#109
○説明員(時野谷敦君) 先ほど来、私御質疑を拝聴いたしましたが、この研究というのは学術目的のためにその道の専門家がお集まりになって進められていると、そういう性格のものであるというふうに認識をしておる次第でございまして、ただいま先生が御指摘のような可能性を念頭に置いた上での何らかの研究が行われているというふうには承知をいたしておりませんし、そのような性格のものと認識している次第でもございません。
#110
○矢田部理君 まとめなければなりませんのであれしますが、フォートデトリックにある先ほどの米軍の研究所、感染症医学研究所というのは米軍の生物兵器研究の中枢なんですね。こういう中枢にある軍の関係者と共同研究を行う。ここに大学ないし国立予研の研究者を配置する。しかも軍の施設を利用して研究をする。費用もその筋から出ている可能性もある。軍との情報交換をするということで、日米医学協力計画などを見ると、しかもそれが系統的にやられている。これはどんなに軍事目的でないと言っても問題があるのじゃありませんか。深く軍とかかわり、その研究成果が軍に利用される可能性も多分に含んでいるというふうに思われますが、いかがでしょうか。
#111
○政府委員(長谷川慧重君) 私ども今ウイルス部会で、特に先生がおっしゃっている腎症候性出血熱の研究につきましては現在もいろいろな課題がございますので、その課題について日米がそれぞれ研究をし、部会でそれぞれ発表してお互いの情報交換をやっている形でございます。そういう面でこのウイルス部会、日米医学協力といいますのは、会の目的自体がアジア地域に蔓延している各種の疾病に対する研究を共同で行おうというテーマでやっておりまして、そのために日米双方がそれぞれ専門家を出しましてその部会を開き、共同で勉強会をやる。そのデータも全部公表いたしておりますし、その会議も全部公開でやっております。それから、研究費の問題につきましては、それぞれの国でそれぞれの研究をやっているという形で、それを一緒の場で公開して情報交換をやるという形になっておりますので、そういう面で先生御指摘のような軍の目的の研究を一緒にやっているという形にはないというぐあいに理解いたしております。
#112
○矢田部理君 純粋な学術研究ということは軍が関与する関係ではあり得ないのであります。特に
研究所などの目的を見ますれば、軍はあくまでも細菌戦争等を想定して、ばらまかれるかもしれない細菌やウイルスの種類や特性を研究している。また、自分の側のその予防や対策のための研究をするということで、攻めるときと防ぐときと攻防両面にわたってこの研究が実は進められるものでありまして、それが基礎的なものであるから学術的であるとかということは言えないのであります。軍が関与する以上あるいは軍に関与してそれが行われる以上は、軍事目的に利用される可能性は極めて高い。また、利用されてもいたし方ない。そういうものに深く日本の大学や国立予研がかかわるということは大変問題なんじゃありませんか。これは外務大臣、いかがでしょうか。
#113
○国務大臣(中山太郎君) 純粋に学術的に研究が行われるというふうに考えると、私は医学の発展のために効果があるものというふうに理解をいたしております。一方、これが軍事的に利用されるのではないかという疑心暗鬼の念を持ってこれを追及していくと、そうではないかというふうな認識を持たれることもまたあり得ようと思いますが、私は、医学を学んだ者として、人類のために医学者が医学を研究するという考え方で物事を考えておる人間の一人でございます。
#114
○委員長(山東昭子君) 矢田部さん、時間でございます。
#115
○矢田部理君 最後にまとめますが、やはり医学の純粋な研究ならば、軍の施設を使ったり、軍に呼ばれて共同の研究をしたりするのではなくて、民間レベルで純粋に学術的に進めるべきである。とりわけABC兵器の中で生物兵器の研究開発ということは、とりわけ開発につながる研究はやっちゃならぬということに条約上もなっておるし、日本の学術会議としても軍事協力は一切しない。北大でも大変これは問題になったわけであります。そして三点目には、これは国会でも既に七七年段階で取り上げられておりまして、細菌兵器の開発につながる可能性のある米軍機関と日本人公務員や大学研究者との共同研究は停止させる、当時の福田総理が参議院の予算委員会で明確に約束をしておるのであります。こういう立場から見ても、疑わしいもの、利用される可能性のあるものについては中止をすべきものだと思いますが、福田総理の見解は今日もなお生きていると思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。
#116
○国務大臣(中山太郎君) 私、問題点を実際自分で検討しておりませんから、その研究がどのような目的で行われているかということについて、軍事的な目的で行われているかどうかという確認がされていない立場でこれを批判することは御遠慮させていただきたいと思います。
 ただ、一般的に申してアメリカの研究は軍の委託研究というものが非常に多い。それは生物兵器に関するものあるいは関しないもの、いろいろ医学上の例えば航空宇宙の研究でも随分共同研究が行われている。そういうことから考えると、その研究の内容自体が目的として何にあるかということを確認をしない立場でこれをコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、軍事目的でやるということであれば、福田内閣当時の福田総理の発言はそのままの形でとどまっているものというふうに思います。
#117
○矢田部理君 終わります。
#118
○太田淳夫君 それでは、今議題になっております向精神薬に関する条約の質問に入ります前に、関連しましてちょっと大臣にお聞きしておきたいと思うんですが、ペルーの新しい大統領が決まりました。
   〔委員長退席、理事宮澤弘君着席〕
ペルーは、御承知のとおり、今非常な経済的危機に見舞われている国でございます。これにはいろんな原因等もあったわけでございますけれども、そのほか、今審議しておりますところのこの法案に関係するところにおきましては、コカインの原料の生産地でありますし、コカの葉では世界最大の生産地と言われておりまして、コカインの世界でも有数な密輸出国になっているわけですね。これから新しい大統領が誕生されまして、そういう麻薬の対策あるいは経済問題について取り組んでいきたい、こうおっしゃっているわけでございます。
 特に新聞記者との会見等の記事がきょうございまして、それを見ますと、その中にこういうようなことがございましたね。「アジア諸国との友好関係を築き、経済協力関係を強化するため、大統領就任式前早ければ六月下旬にも日本をはじめ韓国、台湾を訪問したい」、こうおっしゃってみえたようでございます。ですから、記者会見でございますのでまだ公式には何ら決まってもおらないと思いますし、外務省にもそういった連絡はないと思いますけれども、海部総理大臣も感想をいろいろと発表されておるようでございます。「心からの祝意表明」ということで記事が出ているわけでございます。「日本政府はペルー次期大統領が国民の総意を結集してペルーが直面している諸困難を克服し、経済再建を達成されることを期待する」云々とありますね。やはり日本は世界に冠たる経済大国でございますし、あるいは平和国家として世界の中でも重要な地位を今占めている立場でございますし、これからペルーの大統領いろいろとまた日本にもお話あろうと思いますが、外務大臣としての御所見を最初に聞かしていただきたいと思っております。
   〔理事宮澤弘君退席、委員長着席〕
#119
○国務大臣(中山太郎君) フジモリ候補が大統領に当選されたことは心からお祝いを申し上げたいと思っております。
 今ペルーは大きな債務を抱えて経済状態は極めて悪い。こういう経済環境の中で新しく大統領に選ばれたフジモリ氏が、いずれにしても債務問題というものを早急に解決を迫られることは間違いがない、こういうふうに認識をいたしております。私どもは、彼が日系人であろうとなかろうと、やはり民主的な選挙によって選ばれた国の指導者としてみずからの国の民生の向上、あるいはまた、今委員御指摘のように、例えば麻薬等の栽培があった場合に、それを他の作物に作付転換するその技術指導等につきましては、ペルー政府から新しく要請があれば、政府としてはこれを前向きに検討しなければならない、このように考えております。
#120
○太田淳夫君 日系の方が大統領になられたのはこれが初めてでございますし、日系人の皆さん方の中にも対応の仕方はいろいろあったように聞いておりますけれども、しかし日系人大統領が誕生した意味というのは非常に大きなものがあろうと思います。これからやはり、人口的には日系人の皆さん方一%ぐらいですか、とお聞きしておりますけれども、しかし日本に対するまた期待も大きいと思いますので、できるだけのやはり協力を政府として取り組んでいただきたい、こう思います。
 それでは、法案の方に入りますけれども、やはり今までも同僚委員から意見の開陳やら質疑がございました。私も最初にちょっとお聞きしておきたいことは、この向精神薬に関する条約でございますけれども、一九七六年に発効して既に十四年もたっている。この条約は一昨年の一九八八年ですか、厚生省が今国会でも批准を行いますと明言しておったのが見送られてきましたね。国連の国際麻薬統制委員会でも日本の批准のおくれというものが名指しで指摘をされて国際信義上でも問題があったんではないかと思うんですが、そういった面で提出のおくれた理由とかあるいは影響について最初にお伺いしておきたいと思うんです。
#121
○説明員(石垣泰司君) お答えいたします。
 ただいま御指摘ございましたように、署名から締結まで時間を要したわけでございますが、これは我が国におきます薬物乱用の規制の状況を踏まえながら、各国の条約の締結状況、国内実施の体制等について慎重に検討を行い、この条約を実施する国内法の整備を行える見通しを得るまでに長期を要したという事情によるものでございます。
 で、国連その他の場で日本についての批判がなかったかということでございますが、各国ともそれぞれの国の事情等を踏まえて対応してございまして、参考までに申し上げますと、フランス、西
独につきましては七五年に締結してございますが、米国については八〇年、イタリア八一年、英国は八六年、カナダは二年前の八八年、それぞれ締結時期がまちまちでございまして、特に我が国について名指しで強い批判があったということは承知してございません。
#122
○太田淳夫君 マネーロンダリングについても、これがいろいろと条約の批准のためのいろんな難航の一つの条件になっているんじゃないかと思いますが、先ほども同僚委員からお話がありました。また時間がありましたら少し詳しくお話をお聞きしたいと思いますけれども、これにつきましては国際協力への四十項目の勧告も出ておりますし、ことし七月のヒューストン・サミット、これには大臣も先ほどお話がございましたんですが、我が国の基本的な考え方、内容についてちょっとお伺いしておきたいと思うんです。
#123
○説明員(小山嘉昭君) マネーロンダリングの防止につきましては、麻薬新条約あるいは金融活動作業グループの勧告を受けまして、本人確認等について何らかの行政上の措置がとれないものかどうかを現在検討しておるところでございます。
 で、このほかに法律を要する事柄が多々ございまして、それは多少時間がかかるかもしれませんけれども、国際的に見ましても、また問題の重要性にかんがみましても、検討を急がなければいけないというふうに考えております。
#124
○太田淳夫君 また後ほど時間があればお聞きします。
 先ごろタイ、ミャンマー、ラオス地域に麻薬の撲滅を目的としたミッション、調査団が派遣をされていたようでございますが、これについて衆議院でも論及されておりますけれども、この調査団が既に帰国されていると思うんですけれども、その成果についてお伺いしたいと思うんです。
#125
○政府委員(茂田宏君) お答えいたします。
 タイ、ラオスに対しまLて、麻薬対策関連の援助をどうするかという調査団を五月二十一日から二十九日まで派遣しました。調査団の構成ですけれども、外務省それから警察庁、大蔵省、厚生省、そして国際協力事業団の職員で、八名で行ってまいりました。
 向こうに行きまして調査した内容ですけれども、相手国政府それから関係機関、それから現地にあります主要援助国国際機関等との間で話し合いをしてきたということでございます。
 それで、調査団の目的は主として情報収集及び意見交換だったわけですけれども、この情報収集及び意見交換を踏まえまして、現在その調査の結果を取りまとめ中でございます。この調査の結果を踏まえまして、今後の日本のこの地域に対する麻薬関連援助の対策を立てていきたいと思っておりますけれども、相手国が行っている麻薬対策、これと非常に緊密に連絡した形での対策を立てていきたいと思っております。詳細についてはただいま取りまとめ中です。
 それから、ミャンマーに関しましては、総選挙実施直前といういわば微妙なタイミングだったものですから調査団の派遣は行いませんでした。見合わせた次第でございます。
#126
○太田淳夫君 今、調査した結果につきましては取りまとめ中だということでございますが、やはり成果というものを期待したいと思います。
 そこで大臣に、これらのミッションの成果がもし大きなものがあったとしたならば、あと、先ほど私申し上げましたペルーもそうですが、アンデス三国地域とか、あるいはパキスタン、アフガニスタン、イラン、そういった国々、地域へのこういった麻薬調査団というのを積極的に日本が派遣をしていろいろと調査されるべきじゃないか、こう思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
#127
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のように、今回タイ周辺の調査をいたしましたが、今御指摘のような麻薬の栽培地域と思われるところには、もし可能な時期が来れば、調査団を逐次派遣して麻薬撲滅のために日本としては国際的な協力をいたしたい、このように考えております。
#128
○太田淳夫君 先ほども外務大臣の方から御答弁いただきましたけれども、そういった国際的な麻薬の問題を解決するために、日本の警察関係を中心に各国から関係者を招いてシンポジウムを開催された、大臣も出席されたということでございますけれども、もう一歩これを前進させまして、アジアの麻薬生産国と言われる国々と日本とがあるいはアジアにおける問題点をいろいろと論議していくようなアジア麻薬サミットとか、そういう考え方、多少衆議院でも披瀝されていたようでございますが、こういうものを開かれるお気持ちはないでしょうか。
#129
○政府委員(茂田宏君) この間の調査団の結果等の話し合いの中では、麻薬サミットという構想は今のところ出てきておりません。
 従来、日本がODAを通じてやっております麻薬対策というのは、一つは技術協力でございます。それは麻薬取り締まり関連の方々を日本に招きまして、そして研修してもらう。その際に、各国それぞれいろいろな事情がございますので、各国の事情の披瀝をお願いいたしまして情報交換もしているということがございます。
 そのほかに各国からの要請としましては、機材の面で足りない面がある、例えば麻薬であるかどうかというのを判別するための試薬の問題ですとか、そういうものがありまして、それに対する協力をしております。
 それからもう一つは、麻薬撲滅のためには代替の作物をつくるということが非常に大切なものですから、そういう点での協力をしている。それで研修という形で、中南米に対しましてはコスタリカへ日本の専門家が行きまして、その周辺から関係者を呼んで研修をしているということでございます。
 麻薬サミットに関しては、現在のところ話はございませんけれども、先生からそういう御指摘があったということは念頭に置いておきます。
#130
○太田淳夫君 ちょっと当面の議題から外れますけれども、大臣が十五日に訪米されるということを報道でお聞きしたんですが、日米構造協議ですね、これは中間報告が出ましてうまく進んでいるのかなと思いましたら、先月末にハワイで開かれました非公式会合では、このままでは衝突の道しかない、そういう状態になっているんだということをアメリカ側の政府高官が発言しているわけですが、何が今問題になっているんでしょうか。外務省としてのお考えはどうでしょうか。
#131
○説明員(原口幸市君) 御存じのように、中間報告は先ごろまとまったわけでございますけれども、その後六月の下旬ないし七月の初めを目指しまして最終報告をまとめる作業が残ってございます。そしてこの作業の目玉は、中間報告で合意しました事項をさらに肉づけするということが中心でございまして、それとあと今後のフォローアップをどうするかという点が中心になろうかと思います。この関連につきましては、現在関係者の間で鋭意議論を進めているという状態でございます。
#132
○太田淳夫君 衝突の道しかないと言われるんですから相当悪化した状態なんでしょうか。どうなんですか、この点は。何かあなたの話を聞いていると穏やかな話し合いで進みそうな感じがするけれども、アメリカ側としては相当強硬に何か、公共投資の問題ですか、何ですか。
#133
○説明員(原口幸市君) 日米構造問題協議につきましては、私どもこれを円滑に進めていくことが日本にとって最も重要な二国間関係であります日米関係の維持発展にとって極めて重要であると考えておりますし、それから世界経済の安定的発展にも資するものであり、かつ国民生活の質の向上、消費者重視の視点からも大いに意義のあることと認識しております。こうした認識に立ちまして、現在本件協議の最終報告の取りまとめに向かいまして種々議論を重ねつつあるところでございます。
 最終報告に向けての作業は、基本的には今回中間報告に盛り込んだ措置の具体化が中心になるものと考えておりまして、政府といたしましてはかかる考えのもとで最終報告の取りまとめにできる
限りの努力をしてまいる所存でございます。
 今先生御指摘のありました新聞での報道でございますけれども、これは必ずしもそういう発言をしたと伝えられている人の意見を正確に反映しているものではないようでございまして、万一ちゃんとこの最終報告に向けての作業が行われなければ困ったことになる、そういうことを言ったのであるというふうに私どもは聞いてございます。
#134
○太田淳夫君 そこで、外務大臣も大変御苦労さまでございますが、アメリカへ十五日に行かれてサンフランシスコでベーカー長官との会談をされる。そこでアメリカ政府としては日本政府に対して公共投資の対GNP比率の明示や独占禁止法の強化など中山外務大臣との会談で要請をする、そういうふうに伝えられているわけでございますが、こういうような問題がまた提起されると思いますが、外務大臣としてはどのように対応される御所存でしょうか。
#135
○国務大臣(中山太郎君) 私は、四月に日米間で報告をいたしました中間報告、これを踏まえて最終報告を成功裏に終わらせるということで協議をいたしたい、このように考えております。特に公共投資の対GNP比というような問題につきましては、これは日本の予算編成権にかかわる問題でございますから、私は日本側の考え方というものは率直に述べてまいりたい、このように考えております。
#136
○太田淳夫君 最近、国際通貨基金あるいは経済協力開発機構、OECDですね、外務大臣も閣僚理事会に出席をされました。いわゆる黒字有用論ですか、これが唱え出されているわけですけれども、外務省は、日米構造問題協議に関連しまして日本が後ろ向きであるとの疑念を持たれることはよくないと、大蔵省が唱えておりますところの黒字有用論を批判しているようでございますが、外務大臣としてはどのような御見解をお持ちですか。
#137
○国務大臣(中山太郎君) 黒字が有用との議論が一部で見られておることは事実でございますけれども、対外不均衡、黒字の一層の削減の必要性については、先般のIMF暫定委員会、OECD閣僚理事会においても確認されておりまして、日本としてもこのような方向に向けた努力を続けていく考え方に変わりはございません。
 そのために、引き続きインフレなき持続的成長を目指した内需主導型の経済運営、規制緩和等、構造調整の推進を図ってまいり、消費者中心の経済を樹立していく、このような考え方であります。
#138
○太田淳夫君 次は、先ほどのマネーロンダリングの問題に入ります。
 麻薬の資金はアメリカの国内だけでも年間約一千百億ドルに達する、こう言われておるのですが、このうち日本の金融機関がかかわったケースでは、昨年の九月に明らかになったアメリカ政府の文書で、コロンビアの麻薬密売組織がアメリカ国内で得た巨額の不法利益を日本の大手都銀のロサンゼルス支店などを通じて洗濯、いわゆるロンダリングをして本国に送金した、こう指摘された例があったと報道されておりますが、それは事実でしょうか。
#139
○説明員(小山嘉昭君) マネーロンダリングに関しましては、我が国で犯罪になるに至っていないわけでございます。そのためには法律が必要であろうかということでございますけれども、そういう観点もありまして、こちらからアメリカ当局にそういう実情について問い合わせをすれば別でございますけれども、アメリカ当局から我が方に対しまして、これこれの案件が日本の銀行のアメリカの現法とか支店においてあったというような事柄について連絡なり通知があった事実はございません。したがって、新聞情報を確認するに至っておりません。
#140
○太田淳夫君 そこで、今マネーロンダリングの規制につきましては国内でもいろんな論議があって、慎重に御審議をされているということは聞いておるわけでございますが、マネーロンダリングの規制と没収の対象となりますいわゆる不正資金の中身、これについては諸外国でも中身の内容が分かれているんです。例えば、アメリカとカナダ、スイス、それと英国、フランス、西ドイツではちょっとニュアンスが違っていると思いますが、その点どのようにお考えでしょうか。
#141
○説明員(小山嘉昭君) 私も、昨年の九月からの金融活動作業グループに参加してまいったわけでございます。十五カ国の審議官、課長クラスが参加しましてかなり濃密な議論が行われたわけでございます。
 その作業グループの第一委員会というのは、今先生御指摘の、一体世界じゅうで麻薬の不正な金というのはどのぐらい流れているんだろうか、その推計作業に入りまして、それによって事柄の対応を、どのぐらいの法制の強さ、国際的な共助の必要性等を考えていく必要があるということでその作業に入ったわけでございます。しかし、現実にはなかなかクエスチョンマークが多くて、実際に報告書に幾つかの数字が載せられております。アメリカとヨーロッパにおいて麻薬資金というのが年間千二百二十億ドルぐらいあるであろう、これは日本円に直しまして十八兆円でございます。そのうち五割から七割ぐらい、また金額で言って八百五十億ドルという数字を書いた方がいいだろうという意見になりまして、八百五十億ドルぐらいがマネーロンダリングないし不正な投資の対象になっているんではないかということでございます。
 そして、その金が実際どう流れているかは、その規制を強めるとそこから逃れる。例えば地域にして言いますとマイアミというのが麻薬基地でございましたが、そこにアメリカ当局は膨大な先制攻撃をかけたわけでございます。そうしましたら、今度はサンフランシスコあたりが活用されるとか、そういうことでマネーのフローというのはそのときどきに応じて様相を変えております。そして実際には、もうグローバルに地球的な規模で非常に多くのソースを経由いたしまして金が流れている、こういう実情だろうと思いますが、お答えになっておりますかどうかでございま′すけれども、実際に大変複雑な金融操作が行われているというふうに考えております。
#142
○太田淳夫君 私がちょっとお聞きしたところによりますと、アメリカ、カナダ、スイスは、この不正資金の中身については強盗、殺人、恐喝といった一般重要犯罪によって得た収益全体を対象としている、イギリス、フランス、西ドイツは、麻薬や覚せい剤など薬物犯罪による収益に絞る、こういうふうに多少方向性が違うんじゃないかと思うんですが、日本としてはどういうふうにお考えでしょうか。
#143
○説明員(小山嘉昭君) 国際的なマネーロンダリングの会合におきましてもそこは激論がございます。麻薬だけに限定するべきだ、そこについて徹底的にやるべきだという主張の国もございますし、麻薬の金と、例えば麻薬団が行うテロとか武器の密輸出、これも膨大な利益を生むわけですが、そういうものがマネーと言うときに識別ができるのか。したがって、できない以上は無限に広がっていってしかるべきなんだというようなことを支持する国との間で果てしない論争が行われたわけでございます。
 我が国政府といたしましては、麻薬に限定するべきだと。麻薬新条約でもまず麻薬というものをどうするかという対応なんで、そこがテロとか武器の密輸出とか、そういうふうに広がっていき、さらに脱税まで広がっていくと、これまた問題の質が変わっていきかねないというふうに考えておりまして、私どもといたしましては、まず麻薬に限定してマネーロンダリングを考えていくべきだ、こういうふうに考えております。
#144
○太田淳夫君 それは麻薬に限定された場合でもそうですが、いわゆるロンダリングで洗濯するため汚れた金と言われていますけれども、これの没収ということがまた非常に大きな問題だろうと思うんです。これは国際化の時代でございますし、アメリカの映画で「フレンチ・コネクション」なんという映画を昔見たこともありますけれども、国際的に連携をとりながら対処をしていますね。
そうなりますと、いろんな他国からの要請があって、これからそういった口座の凍結あるいは没収措置というのが判決前に即座にとれなければ意味がなくなってくるんじゃないかとおっしゃる方もお見えになるんです。
 また、金の性格は一〇〇%特定できなくても、麻薬取引による金じゃないかと推定されたときには没収できるようにしなければ、これは国際的な犯罪組織になろうと思います。日本でも暴力団云々ということもありますけれども、そういったことのダメージを与える、この商売をやってもとても利益がないなというふうにするためには、やはり強い措置が必要になってくるんじゃないかと思うんですが、その点どのようにお考えでしょうか。
#145
○説明員(小山嘉昭君) 私は銀行局におりまして直接の所管でございませんが、関連して申し上げますと、アメリカ等におきましては没収というのを機動的に、また非常に軽いプロセスで実施できるようにしてもらいたい、諸外国はすべてそういうふうにしてもらいたい、こういうふうな強い考え方を持っております。一方、かなりの国は、やはり所有権の絶対性とか、間違って没収される、凍結されるケースも相当ございまして、それについての損害賠償を訴えられたときにどういうふうにするんだとか、第三者没収をどう考えるのかとか、そういう議論、これは法律学者が相当やっておりますが、そういう事柄でかなりここも対立がございます。やや神学論争めいた面すらあるわけでございますけれども、そういうことから今回の金融活動作業グループにおいては、そう明確な結論には至っていない。しかし、その没収規定が各国によって非常に違っている場合には、金が国境を通じてどんどん動きますものですから、ある国に行った場合にはもう逃れてしまう、没収が追及できなくなるということではいかぬので、とりあえず没収規定というのを各国みんな出し合ってみよう、出し合ってみますと相当違うわけでございまして、これの整合性、整備を専門家が集まってどんどん詰めていこうじゃないか、こういう作業が行われているわけでございます。
#146
○太田淳夫君 いずれにしましても、日本の場合はこれからいろいろな金融機関等の協議を通して詰めていかれる部分もあろうと思いますが、アメリカなどと比較しますと、非常に緩やかなことが考えられているような感じもするわけでございます。そういった意味でも、これから国際的なこれは大きな問題になろうと思いますので、政府の対応の姿勢も厳しくやっていくべきではないかと申し上げて、質問を終わりたいと思います。
#147
○立木洋君 麻薬あるいは覚せい剤などの乱用というのが大きな社会問題になっているということは御承知のとおりですが、今回の向精神薬、これ一方から言えば国民の医療にとっても重要な役割を持っている。しかし、もちろんこれは乱用ということはきちっと規制されなければならないということですが、先ほど来お話があったこの条約の審議がおくれたという点については、種々御説明がありましたから、これ以上お尋ねしませんが、ぜひ今後の対応の中では十分万全を期していただきたいということを御要望申し上げておきたいというふうに思います。
 それで、第二条の「物質の統制範囲」という問題にかかわるわけですが、今回の向精神薬の条約によりますと、規制される対象が百一物質というふうになっており、新たに日本では七十二がその対象に含まれるようになったというふうに理解しております。ただ、日本で習慣性医薬品として、この条約の対象物質に指定されていないが、国内的には既に規制されているという物質もあるというふうに承知しております。例えば、エプタゾシンだとかチアミラール、チオペンタールだとかというふうなものについては習慣性があり、劇薬で、要指示指定薬として記帳の義務も課せられている、こういうふうになっているわけですね。こういう条約の対象物質にはされていないが、国内的に一定の規制をされている物質が十四物質あるというふうに承知しておりますが、この第二条の「物質の統制範囲」で、「締約国又は世界保健機関は、まだ国際的な統制の下にない物質に関し、自己の有する資料により当該物質をこの条約のいずれかの付表に加えることが必要であると認める場合には」として、これが事務総長に対して通告する云々というふうに指摘をされておりますが、これらの習慣性医薬品で、条約の対象物質にまだなっていない十四物質に関して、今後はどういうふうになさっていくおつもりなのか。今の時点でのお考えをちょっとお聞きしておきたいと思います。
#148
○説明員(市川和孝君) 御説明申し上げます。
 ただいま先生から御指摘ございましたように、薬事法の規定に基づきまして習慣性医薬品というものが指定されるわけでございますが、この習慣性医薬品の指定は動物実験あるいは臨床上依存性があるというふうに認められる医薬品のうち、適用疾病の性質から見まして、例えば長期間、非常に長い間連用される可能性があるというようなものにつきまして、特に注意を喚起しておいた方がいいというふうなものを指定しているわけでございます。
 一方の向精神薬に関する条約におきましては、規制の対象といたしまして依存性を有することという基本的な性格のほかに、幻覚作用、それから中枢神経系の興奮あるいは抑制を引き起こすこと、それからさらに「国際的な統制の下に置くことを正当化するような公衆の健康上及び社会上の問題となるほど濫用されており又は濫用されるおそれがあるという十分な証拠があること」、並びに治療上の有用性といったさまざまな点を世界保健機関の方で総合的に評価した上で統制下に置くということになっております。したがいまして、我が国の習慣性医薬品と条約上の物質の指定の基準というものは必ずしも同じではございませんので、これらが直ちに一致するというものではないように考えております。しかしながら、厚生省といたしましては、現在御審議をいただいております麻薬取締法等の一部改正法案というものを契機といたしまして、今後国内でのこの種薬品の乱用状況等の把握に努めまして、国際的な統制下に置く必要があるというふうに考えられる場合には、そのための手続をとるなど、適切に対処してまいりたい、このように考えております。
#149
○立木洋君 これらの物質についての今述べられた評価をよく検討していただいて総合的に適切なやはり措置をとって、今世界的にも大きな問題になっておる状況ですから、十分に対応していただきたいというふうに思います。
 それから、世界的に見て、日本の社会体質は麻薬に対して脆弱性があるなどというふうな指摘がなされている文献等も見ることがあるわけですが、こういう点については厚生省としてはどういうふうな判断をしているでしょうか。
#150
○説明員(市川和孝君) 現在までのところ、我が国におきます麻薬の乱用というものは、これは比較の問題でございますけれども、欧米諸国に比べますると比較的少ない状況で推移してきたということがございます。これはさまざまな要因があろうかと思うのでございます。一つは水際あるいは国内での取り締まりの徹底ということもございますでしょうし、それから国民一般の中に麻薬の乱用は悪いことだというふうに考える規範意識というものが非常に強くこれまで維持されてきたということもその要因の一つではないかというふうに私ども考えております。したがいまして、現在のように外国におきましては非常に麻薬がはやっている、それから外国へ出かける人々の数も非常にふえてきているという状況のもとにおきましては、私どもといたしましては、国内におきます特に水際での取り締まりの強化ということとあわせて、麻薬乱用の危害というものについて国民の皆様に正しい認識を持っていただくというための啓発活動をより一層強化していきたい、このように考えておるところでございます。
#151
○立木洋君 大臣、今お尋ねしたんですけれども、日本の社会体質が麻薬に対して脆弱性があるのではないかというふうなことを指摘している文献もあるので、この面では大臣は医師で専門家でもお
ありですし、それにそういう麻薬の問題についてこれをきちっとやらぬといかぬという面でも努力をされているというお話も聞くので、特にやはりそういう社会的なあり方、アメリカの場合には大変にこれふえて大変な状態になっていますよね。特にあれはベトナム戦争なんかを一つの機にして大量にふえたというふうな状況があるわけで、しかしそこまでは日本がいっているというふうにはもちろん言えませんけれども、しかし、この推移を見ていると十年余りの間にやはりふえてきている。この影響というものは広がっている。この問題というのは、先ほどのアメリカのベトナム戦争で急増したということから推測してみても、今の社会におけるストレス、精神的ないろいろな不安定、精神疲労などが非常にこういうものを受け入れる、そういう素地になっているというふうなことを考えるので、そうすると、やはり社会全体にもきちっとした対応をする必要があるのではないかというふうに思うんですね。
 ですから、そういうストレスの解消、あるいは長時間労働などでそういう興奮剤を求めなければならないような状態を何としてもやはりなくしていくという点で言えば、やはりILOの条約等、関係の条約などについても積極的に批准をする方向に進めて、そういう国内的な、こういうものに依存しなくてもいいような、やはり社会の体質も変えていく努力も必要ではないだろうかというふうに思うんですが、こういう問題、社会的な背景の問題なんかについて総合的に検討する省庁、どこが責任を持たれているのか。また、そういう点で、外務省としては今後ILOなどについての積極的な批准をしていくような点についてどのようにお考えになっているのか。この条約の問題と関連してですが、そういう点について大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
#152
○国務大臣(中山太郎君) 麻薬の利用というのは、日本ではまだそんなに大きな社会問題になるほどのケースは出ていない。しかし、覚せい剤が非常に大きな問題になっております。これはILOのお話が出ましたけれども、労働問題にまで入る前に、一般の市民社会で、これを使えばやせますよとか、肥えられた御婦人のところに話を持っていくときにはそういう持っていき方をしているということも私よく聞かされます。あるいは、これを飲んだら心身的に非常に興奮状態になって快楽感が味わえるというようなことで、それによる将来の中毒症状というものを考えずに一般の市民社会に入りつつある、あるいは好奇心から入っている、今の日本の現状は私はそうだと思います。
 私も、自民党の麻薬対策議員連盟の会長をやっておりまして、日本の各省庁に分散された予算を確保するために大蔵省に随分いろいろと協力をさせて、協力するというか、大蔵省を督励させていただいた経験がございますが、全省庁にわたっておると思います。相当広範囲な役所がこれに関連をしている。ただし、それだけに関係国内法規の調整に手間取るのが日本の一つの特徴じゃないか。これが中心的な、総理府に薬物乱用対策推進本部がございますけれども、そういうところがどのような権限を持つかというところに一つの問題点があるのではないか。
 私はエイズの方も党の方で責任者をやっておりましたからやってまいりましたけれども、考え方によると、イギリスの社会なんというのは麻薬をある程度認めている。そういうところで結局麻薬常習患者にエイズ患者が多い。そういうことになると、それはなぜか。麻薬の注射器の回し打ちをやっているために、エイズが一般に麻薬患者に多く蔓延している。こういうふうに国によってそれぞれ特徴があると思うんです。もうアメリカの社会は子供まで運び屋になっているケースが報道されている。
 こういうことを考えますと、日本の場合にはむしろ経済が豊かになって社会がある程度爛熟をする可能性があるので、そういう意味では、私どもはきちっとした対策を今のうちに立てておかなければならない、私はそのように考えておりまして、これについては党派を挙げてそれぞれが社会を健全に維持するために努力していかなければならない。そのためには法律制度も整備しなきゃならない、このような考え方を私自身は持っております。
#153
○立木洋君 この条約を批准する機会に規制の問題をきちっとやると同時に、こういうものを受け入れやすいような社会の体質といいますか、こういうものについても広範に目を向けて、ぜひILO条約などの批准なんかの問題についても十分に今後注意を払っていただきたいということを重ねて要望しておきたいと思うんです。
 時間がちょっとありますので、この間行われましたカンボジアの東京会談の問題についてちょっとお尋ねしたいんですが、もう既に六月五日の日でしたか、大臣がこの問題に対する記者会見で述べられておりますから、非常に重要な成果があった会談だというふうに大臣述べられておりますから、そのことを重ねてお尋ねするわけじゃないですが、この成果を実りあるものにするために、今後日本の政府としてはどういう点に力を当面注いでいかれるのか。そういうプランといいますか計画といいますか、いろいろ新聞紙上ではうわさというか、いろいろな角度からこの問題が議論されておりますので、当面のカンボジア問題での施策についてお尋ねしたいと思います。
#154
○国務大臣(中山太郎君) 委員も国際問題については大変お詳しいお方ですから、私から申し上げるのは大変恐縮でございますけれども、今度のカンボジア会議は東京で行われる中で日本だけでこの会議にある程度関与したということでは決してない。これはやはり隣接しているタイの政府が大変この問題に熱心で、戦場から市場へという考え方を彼らは持っている。そういう中で、ベトナムとの関係、また中国との関係が非常に私は大きいと思っております。また、現に交渉の過程では、東京にある中国大使館が大使以下大変協力的にやっていただいたことも特筆すべきことであったろうと思います。
 今後は、私はやはり日本と中国の間でこのカンボジアの和平問題についてはよく話をする必要が外交的には非常に大きい問題である。先般、先週でしたか、かねて日本と一緒にカンボジア和平の経済復興の関係、戦後処理の問題での共同議長国であったオーストラリアのエバンス外務大臣が日本に来られまして、オーストラリア政府としてもこの問題に対しては大変大きな関心を持っていて、何とかして国連の安全保障理事会の五大理事国の会議にこの問題をつなげていく必要があるというふうにおっしゃっておりました。また昨日、ソ連の東京にいらっしゃるソロビヨフ大使が私に面談された際にも、ソ連政府はこの日本の積極的な和平への行動を大変高く評価しているというお話をシェワルナゼ外務大臣からのメッセージとして私にお伝えになりましたが、そのようにいろんな国がやはり和平への共同作業というものをやっていかなければならない。その中でも特に中国に対して日本は力を入れてこのカンボジアにおける和平への努力をしなきゃならない、このように日中の協力ということもやはり必要ではないか、このように考えております。
#155
○立木洋君 ちょっと事実関係だけお尋ねしておきたいんですが、調印されたときにはどういう肩書でお二人は調印されたんでしょうか。
#156
○国務大臣(中山太郎君) 肩書はございません。
#157
○立木洋君 タイの副首相のチャワリットさんが辞任をされましたが、これは何かの影響があるんでしょうか。
#158
○国務大臣(中山太郎君) 私はその点についてはコメントするだけの情報を持っておりません。
#159
○立木洋君 フン・セン首相が、国と国との関係はまだできていないわけで、そういう点で人道的な援助ということを幾つか提起され、アンコール・ワットの問題なんかも政府側に要請されたということをお聞きしたんですが、こういう点について日本政府はどういうふうに対応なさっておいでになるつもりなのか、その点はいかがでしょうか。
#160
○国務大臣(中山太郎君) 日本政府はこのアンコール・ワットの遺跡の修復等につきまして、委
員御案内のように、国連のユニセフに対して既に三十万ドルの拠出金を提出いたしております。
 それで、アンコール・ワットはカンボジア人だけの大切な遺跡ではない。これは人類共通の遺産である。そういう意味で、日本政府はアンコール・ワット周辺の戦闘が一日も早く終結することを両派に求める。それから、この修復のために、日本は関係国とも協力しながら応分の技術的、資金的な協力をいたしたい、こういうことを率直にフン・セン首相にもシアヌークさんにもはっきりと申し上げてきたようなことでございます。
#161
○立木洋君 じゃ、これで最後になりますが、カンボジアの事態がこういう形で動いている状況の中でのベトナムとの関係です。
 ベトナムの百四十億の援助は凍結されたままになっているわけですが、今後のベトナムとの関係や援助の資金なんかの問題についてはどういうふうに当面お考えになっておられるのか、その点を最後に一言お尋ねして終わりたいと思います。
#162
○国務大臣(中山太郎君) ちょうどこの二月にベトナムを訪問してまいりました谷野アジア局長が来ておりますので、この点についてはアジア局長から現場を踏まえた意見を報告させていただきたいと思います。
#163
○政府委員(谷野作太郎君) それでは、私の方から御説明させていただきます。
 私どもがベトナムの政府に申し上げておりますことは、本格的なべトナムに対する援助の再開というのは、やはりカンボジアの和平の到来を待たなければならないであろうということでございまして、この点は先方の外務大臣以下もそういう日本政府の立場はわかっておられると思います。
 他方、しかしながらそういう前提のもとに、やはり日本政府としてもできる範囲でいろいろなことをこれはこれで積極的に進めていきたいということでございまして、立木先生も御案内のように、その間人道的な援助、医療援助とかあるいは風水害に対する救済のための援助とか、そういうことをほぼ毎年やってきております。
 それから、御質問には直接関係がないかもしれませんが、もう一つ私どもが心がけたいと思っておりますのは文化面での活発な交流でございまして、文化学術交流と申しますか、そういう面で向こうからもいろんな方をお迎えし、こちらからも先般、春に一つの学術のテーマをめぐる大きなシンポジウムをベトナムでさせていただきました。そういった学術文化交流は、これはカンボジア紛争とは別に積極的に心がけていきたいと思っております。
#164
○国務大臣(中山太郎君) 先ほど委員に対する御答弁の中でユニセフと申しましたが、ユネスコでございます。修正させていただきます。
#165
○中村鋭一君 今回のこの条約名、向精神薬と、こうなっているわけですが、この説明を見ると、向精神薬というのは、薬学上はアヘン、モルヒネ、ヘロイン、マリファナ、コカイン等の麻薬、LSD等の幻覚剤、覚せい剤、催眠剤、すべてを総称した概念である、こういうことなんですが、特に今回条約で規定されている向精神薬と薬学上に言われるところの向精神薬との具体的な違いというのはどの辺にあるんですか。何のためにわざわざ向精神薬という単語をお使いになったんですか。
#166
○説明員(石垣泰司君) この向精神薬と麻薬との違いについてでございますが、一般的に専門用語としての向精神薬という言葉は、中枢神経系に作用いたしまして精神機能に影響を及ぼし、幻覚、覚せい、鎮静、興奮等をもたらす薬物の総称でございます。このうち特に徴量でも著しい鎮痛作用、麻酔作用かつ依存性及び禁断症状を呈しやすい薬物、例えばアヘン、ヘロイン、コカイン、大麻等でございますが、これが麻薬と呼ばれるものでございます。
 この条約の中では、向精神薬という言葉の定義はこの条約の付表のIからIVまでに掲げる物質と定義されておりますので、その範疇は一般的薬学的専門用語としての向精神薬の用語より狭い範囲のものを指してございます。
 他方、麻薬につきましては、この向精神薬条約の前にできました一九六一年の単一条約というのがございまして、これで大麻、コカイン、モルヒネ、ヘロイン、アヘン等の一般的な用語法の麻薬とほぼ同じ意味で使われてございます。
 要しまするに、一般的には向精神薬は中枢神経系に作用しまして精神機能に影響を及ぼすいわゆる薬物のすべてを指しますが、条約上は、このうちの麻薬は単一条約の対象とした残りの向精神薬のうち付表に掲げるものを指してございます。
 ちょっと回りくどくなりましたが、一言で申しますと、向精神薬というのは乱用される可能性のある薬物全体でございますが、麻薬単一条約が先にできましたために、それ以外のもの、その後にできた向精神薬をこの条約で規制している、こういうことでございます。
#167
○中村鋭一君 私がお尋ねしているのは、字引に例えば向精神薬とありますね、広辞苑なら広辞苑に。そうしたら、これは今おっしゃった薬学上の向精神薬を包括する概念としての規定がそこになされると、こう思うんですが、わざわざそういうふうに包括した概念としての定義の言葉が向精神薬としてあるにもかかわらず、条約にまた同じ単語をお使いになる点が私にはちょっと理解がしがたい。言葉を変えれば、これは向精神薬に関する条約というよりも、覚せい剤あるいは幻覚剤等に関する条約でもいいんじゃないかということをお尋ねしているんですが、その辺はどうなんでしょうか。
#168
○説明員(石垣泰司君) 端的に申し上げますと、通俗的な意味ではそのような用語法もあり得るかと思いますが、ただ先ほど申しましたように、麻薬単一条約という条約が先にできちゃいまして、その後麻薬以外の向精神薬を規制する必要が生じたということになりまして、したがって、もう麻薬が既にあるわけですから、それ以外のものを規制するために向精神薬という一般の言葉を使ってしまった、こういう条約交渉上の経緯に由来するものでございます。
#169
○中村鋭一君 それは条約締結上の経緯と言えばそれまでですけれども、私はやはりこういった言葉の使い方というのは、混乱を起こすことは避けた方がいいと思いますので、ここにもはっきり書いてあるように、包括した概念としての向精神薬という単語があって、その中の包括した概念の中でのまた幾つかを向精神薬と改めて取り出すのは、経緯があっても妥当ではないということを申し上げたかったんです。
 そこで、もう一つこだわらしていただきますが、向精神薬という単語そのものがまたこれ国民にとっては耳なれない言葉でありますが、この向というのはどういう意味なんでしょうね。厚生省の方いらっしゃいますか。
#170
○説明員(市川和孝君) 向精神薬というものがどういうものであるかという点につきましては、先ほど御説明がありましたとおりでございまして、中枢神経に作用して精神機能に影響を及ぼすというものをここでは向精神薬と言っているわけでございます。したがいまして、この向というのは何と申しましょうか、中枢神経に作用するということをあらわす言葉として使われているものというふうに考えております。
#171
○中村鋭一君 ということは、向という字の意味は精神状態にアゲンストする意味の向という、そういう意味なんですかね、刃向かっていく、向かうという。
#172
○説明員(市川和孝君) 作用を及ぼすということでございまして、及ぼす結果におきましては中枢神経を抑制する場合もございますし、興奮せしめる場合もあるということでございます。
#173
○中村鋭一君 とすれば、この向精神薬という字そのものももう一つわかりにくいですね、この向精神薬の向というのは。いや、それは結構でございますが。
 現実に今の日本で広い意味での、薬学上の意味での向精神薬全般についての今使われている種類と、使われているというのは医薬上の意味じゃなくて、悪い意味で使われているといいますか、アンダーマーケットで出回っているといいますか、
そういった向精神薬の種類や数量や検挙状況、取り締まりの実態等について伺いたいと思いますが、各省来ていただいていると思うのですが、それぞれに答弁をお願いいたします。
#174
○説明員(属憲夫君) 向精神薬の概念に覚せい剤とかあるいは幻覚剤とかいろいろ含まれることはあるんですけれども、今回の向精神薬条約で新たに我が国において規制が厳しくなるという観点から申し上げますと、そういう薬物としては例えば睡眠薬等ございますけれども、そういう睡眠薬等の向精神薬については、我が国の場合は暴力団がそれを不正に入手してそれを密売する、そういったような事犯が現に発生しております。それにつきましては、現在警察では薬事法の違反で検挙しておるわけでありますけれども、昨年の例で申し上げますと十八件、二十人を検挙しているといったような状況でございます。押収している量につきましては、睡眠薬等について九千六百錠といった実績になっております。
#175
○説明員(野崎敦夫君) お答えいたします。
 海上保安庁でも従来から麻薬、覚せい剤の密輸入取り締まりは精力的に続けてきております。中央におきましても、総理府で主宰しておられます薬物乱用対策推進本部というところへ参加しておりますし、また各地域におきましても、地区の麻薬取締会議といったようなもので海上保安庁の調査機関である管区海上保安本部あるいは海上保安部といったところは関係機関と協力して精力的に取り締まりを続けております。かつては百キロ以上の覚せい剤を押収したこともございます。私ども地道ではございますが、それらに努力を続けているところでございます。
#176
○説明員(市川和孝君) 向精神薬条約の対象物質のうちで我が国で乱用が最も問題になっておりますのは覚せい剤でございます。覚せい剤以外には幻覚剤でございますLSD、そのほか、現在、先ほど警察庁から御説明がありました睡眠薬等の乱用が若干ではございますが見られるという状況でございます。
 覚せい剤につきましての警察、海上保安庁、厚生省、関係省庁のそれぞれの検挙者を私どもの方で便宜上取りまとめさせていただいておりますのでちょっと申し上げさせていただきますと、平成元年におきます覚せい剤事犯の検挙者数は一万六千八百六十六名、押収量は二百十九キログラムでございました。LSDにつきましては、平成元年検挙者数二十五名、押収量二百八十錠でございます。
 以上でございます。
#177
○説明員(本村芳行君) 税関におきましても覚せい剤及びLSDの取り締まり等には力を入れておりまして、特に覚せい剤につきましては、本年二月に大阪伊丹空港におきまして六十一キロ摘発しておりますし、またそのほか、三月に伊丹で覚せい剤三・五キロ、それから羽田におきましても三月に三・九キロ、それから四月に福岡県警と門司税関の共同調査の結果、四・五キロということで摘発している状況でございます。
#178
○中村鋭一君 どうなんでしょうね、この覚せい剤、それからLSD、それから広い意味での向精神薬に含まれるコカイン、モルヒネ、アヘン、こういったものはおおむね外国から日本に入ってきているものですか、それとも一部ではありましても日本でつくられて、それが精製されて流通をしている、使う人がいると、そういうことについての調査結果はございますか、警察庁でもどちらでも結構でございますが。
#179
○説明員(属憲夫君) ただいまヘロインとかコカインとかいったそういう麻薬につきましては、これは大半が海外から不正に密輸されているといった実態です。さらに覚せい剤につきましても、相当以前には我が国で密造されていた時期もあるんですけれども、現在はもう大半が海外へ例えば台湾あるいは韓国、そういう国から不正に持ち込まれるといったような状況になっております。当然のことながら睡眠薬とかそういったようなものについては、これは国内で医薬品としてつくられているわけですから、そういうようなものを暴力団等が不正に入手して売りさばくといったような、こんなケースはございます。
#180
○中村鋭一君 コカインがコロンビアから大量に日本に持ち込まれ、それが水際で検挙された、こういうニュースが報道されておりましたが、あの節はどういう形で検挙をして、それは何キロぐらいであったんですか。
#181
○説明員(属憲夫君) コカインにつきましては、最近特にコロンビア等の麻薬シンジケートが我が国をターゲットにしてきているという事情がありまして、押収量も急激にふえてきておるといったような状況でございます。昨年につきましては十三・七キロのコカインを押収しておりますけれども、本年はもう既に現在までに約七十キロのコカインを押収するということで、昨年一年間の五倍ということで急激にふえてきておるといったような状況です。現在、税関等と特に水際で押さえるというために一緒になっていろいろ取り締まりを強化しているといったような状況でございます。
#182
○中村鋭一君 この押収されたコカインは、持ち込まれてから仮に検挙をされていなければ、これからそれが精製されまして末端でそれを使用する人はまたそのように使える形にしたものを使うことになるだろうと思うんですが、警察庁はそういったもの、覚せい剤も含めて、いわゆる原料の形で持ち込まれたものが使用にたえるように日本の国内で精製作業をする、そういう工場等があり、それが販売ルートに乗っていくというような事例もしくは傾向は承知していらっしゃいますか。
#183
○説明員(属憲夫君) 国内に入ってきます例えばコカインあるいは覚せい剤ですけれども、これはもう既に海外において精製されてすぐに使えるといったような状態で我が国に持ち込まれているというのが大半でございます。
#184
○中村鋭一君 そうすると、今まで伺った範囲でも、広い意味での向精神薬も、今回規定されておりますところの幻覚剤や覚せい剤についても、そのほとんどすべてが実は国外から、それも精製された形で日本に持ち込まれている、こういうことでありますから、その取り締まりは本当にしっかりとしなければいけない、こう思うんですが、今答弁していただいただけでも警察庁、運輸省、それから大蔵省ですね、税関、それから厚生省、こういろいろあるわけで、先ほども中山大臣はそのことについていろいろ分かれているということをおっしゃったんですが、こういう点につきまして、例えば外務省がイニシアチブをとっていわゆる縦割り行政というんですかね、そういうのじゃなくて、せっかくの条約が締結されるわけでありますから、もっと有機的にいい連動を保ちながらこういった水際での麻薬や向精神薬を取り締まることができるような体制をおつくりになることについてはいかがでございましょうか。
#185
○国務大臣(中山太郎君) 総理府にこの取り締まり本部がございます。これはもう長くございます。あと外務省とも十分連絡をとりながらやっておりますが、現実に摘発をする仕事をしている人たちは、麻薬捜査官あるいは厚生省の麻薬取締官事務所というのがございますし、この人たちは本当に身命を賭して仕事に携わっている人たちだということもこの機会に申し上げておきたいと思います。
 大変なシンジケートに対する捜査をやるわけでございまして、そういう捜査の内容についてはほとんど公開されることはございませんけれども、それぞれの部署において真剣にこの捜査が行われていることだけは御認識をいただいておきたいと思います。
#186
○中村鋭一君 最後に、今大臣が言っていただきましたけれども、これは本当に重大な問題でありますから、幸いに我が国はまだ外国に比べれば良好な状況にあると私は思いますから、さらに国内においての取り締まりと、外国からはもう一グラムたりともかようなものは入れない、そのことのためには各省庁におかれても緊密な連携を保ちつつ、縄張り意識を捨てて、身命を賭して頑張っていただきますようにお願いをいたしまして、質問
を終わります。
    ─────────────
#187
○委員長(山東昭子君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、大鷹淑子君、猪木寛至君が委員を辞任され、その補欠として合馬敬君、三治重信君が選任されました。
    ─────────────
#188
○委員長(山東昭子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#189
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 向精神薬に関する条約の締結について承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#190
○委員長(山東昭子君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#191
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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