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1990/06/01 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 法務委員会 第4号
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1990/06/01 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 法務委員会 第4号

#1
第118回国会 法務委員会 第4号
平成二年六月一日(金曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十四日
    辞任         補欠選任
     清水 澄子君     千葉 景子君
     高井 和伸君     山田耕三郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         黒柳  明君
    理 事
                鈴木 省吾君
                福田 宏一君
                安永 英雄君
                矢原 秀男君
    委 員
                下稲葉耕吉君
                林田悠紀夫君
                北村 哲男君
                櫻井 規順君
                千葉 景子君
                橋本  敦君
                山田耕三郎君
                紀平 悌子君
   国務大臣
       法 務 大 臣  長谷川 信君
   政府委員
       法務大臣官房長  井嶋 一友君
       法務大臣官房会
       計課長      木藤 繁夫君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  濱崎 恭生君
       法務省民事局長  清水  湛君
       法務省刑事局長  根來 泰周君
       法務省矯正局長  今岡 一容君
       法務省保護局長  佐藤 勲平君
       法務省人権擁護
       局長       篠田 省二君
       法務省入国管理
       局長       股野 景親君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   泉  徳治君
       最高裁判所事務
       総局経理局長   町田  顯君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   島田 仁郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        播磨 益夫君
   説明員
       警察庁刑事局刑
       事企画課長    泉  幸伸君
       警察庁刑事局保
       安部薬物対策課
       長        属  憲夫君
       外務大臣官房外
       務参事官     内藤 昌平君
       外務省国際連合
       局社会協力課長  鈴木 一泉君
       大蔵省銀行局銀
       行課長      小山 嘉昭君
       文部省体育局学
       校健康教育課長  石川  晋君
       厚生省薬務局麻
       薬課長      市川 和孝君
       通商産業省産業
       政策局企業行動
       課長       岩田 満泰君
       運輸大臣官房国
       有鉄道改革推進
       部施設課長    澤田  諄君
       労働省職業安定
       局外国人雇用対
       策室長      吉免 光顕君
       建設大臣官房技
       術調査室長    青山 俊樹君
       会計検査院事務
       総局第五局上席
       調査官      左近士信正君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成二年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成二年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について(裁判所所管及び法務省所管)
    ─────────────
#2
○委員長(黒柳明君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る五月二十四日、清水澄子君及び高井和伸君が委員を辞任され、その補欠として千葉景子君及び山田耕三郎君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(黒柳明君) 去る五月二十五日、予算委員会から、六月一日の一日間、平成二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 裁判所及び法務省関係予算につきましては、去る四月二十六日に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○千葉景子君 きょうはちょうど六月一日でございまして、本日、改正されました入管法が施行されるということになりました。その細かい政省令を含めました内容につきましては、また別途さまざまな問題点を論じさせていただきたいというふうに思いますけれども、まず、この施行に当たりまして、法務省も十分に御承知のところと思いますが、今回大変大きな問題点を残したのではなかろうかというふうに私は考えております。
 報道等でも十分多くの皆さんが御承知のところと思いますけれども、今入管の窓口等は大変なパニックを起こしているという状況でございます。例えば、東京入管などは早朝から千人を超すような外国人の皆さんが窓口に殺到されている。私の地元でございます横浜の入管などでも廊下にあふれるばかりの皆さんがこの施行を前にして窓口へ殺到していらっしゃる、こういう状態でございます。まさにこれは異常とも言うべき状態だと思いますし、職員の方にとってもこれは本当に業務上もこなし切れないという状況だというふうにお聞きしております。私は、やはりこれは施行に当たる所管官庁である法務省の責任が問われなければいけないんじゃないかというふうに思うわけです。
 このようなパニック、大変異常な事態をもたらしたのはさまざまな原因があろうかと思いますけれども、一つにはやはりこの国際社会、そういう中で法務省のみならず政府全体として国際社会に向けて日本も責任ある地位を占めていきたい、こういう発言はありますけれども、それが一体具体的にはどんなことを意味しているのか、そしてそのためにはどういう対応をこれからしていかなければいけないかという基本的な視点、問題意識、そういうところがまずもって欠けていたのではないだろうか、そういう感じがいたします。
 それともう一点、今回の入管法施行に当たっては、やはり現在の日本社会の実態あるいは産業構造の実態、こういうものをしっかりと認識されていたのかどうか。あるいはもし認識をされていないとすればこれは極めて無責任なことでもありますし、認識をしていたけれどもそれに目を向けていなかったとすれば、これまた大変なことでございます。このようなやはり実態を無視した今回の施行に至るやり方、これもこのパニックを起こした大きな原因になっているのではなかろうかというふうに思います。
 またそれから、施行に向かって直前までやはり各省庁間での調整が大変難しかったとも言われております。まさにこれは外国人の入国、出国、これにかかわる問題というのが大変難しい問題であって、そして政府の中でもまだまだ十分な意思一致がなされていない。それぞれの思惑などがまだまだそれぞれの立場で主張されている。そういう意味ではこの問題がいかに難しくそして重大であり深刻であるかということをむしろ今回の事態は物語っているように思います。
 きょうから施行されるということになりますので、このパニックをやはり解消し、多くの国民そして外国人の皆さんに理解をしていただくためには早急にさまざまな措置を講じていただかなければいけないだろうというふうに思います。まさか施行の期日をこれから延ばすということにはならないかというふうに思いますので、これから緊急にどんなことを考えられているのか、それをお聞きしたいというふうに思います。
 まず、第一点ですけれども、これまでこういう背景のもとに欠けていたのはやはり広報手段ですね、これが不十分であったということは大きな問題点であろうと思います。この入管法、この法務委員会で審議をされたときの附帯決議でも、衆議院などでもこの新しい改正に当たっては、「社会生活に不都合の生じることがないよう、事業主への指導・啓発に努める」、こういうことも附帯決議として決められているわけでございます。こういうことを含めて考えますと、今回施行に至る間十分にやはり指導、啓蒙あるいは広報、そういうものが行われてきたかどうか、私は大変疑問です。
 こういうパンフレットがございますね、これは私も読ませていただきました。しかし、これにはやはり欠けている点がございます。それから、これは私ども日本人が読めば内容はわかります。しかしどうでしょうか。日常会話などには何とか事足りても、十分に日本語が理解ができない、とりわけ法律の細かい精密な内容ということになりますと、やはり外国語というのは大変難しいことになります。そういう皆さんに対してどれだけのことができたかというと、これは全くと言っていいほどその措置がとられていなかったと言ってもいいかと思います。
 まず、この点について、これまでの反省に基づいてどんなことを今早急に措置をとられようとしているのかお聞きしたいと思います。
#5
○政府委員(股野景親君) 改正入管法の内容の広報について、私どもこれまで法務省自体で行う広報活動、それから関係省庁を通じて行う広報活動、さらには報道機関及び各種の公益団体等を通じて行う広報活動、これを中央、地方を通じて行ってきたところでございます。また、その中には英字の報道機関による広報ということについても心がけてまいりました。残念ながら、これらの広報活動にもかかわらず、至らざるところもあったと存じます。そういう意味で、我々としては今後一層広報を強化するという必要があると存じておりますので、正確な内容が関係者の方々によく理解されるよう、ただいままで重ねてまいりました努力を一層強化し、また関係方面のいろいろな御協力もいただくということによって、できる限り速やかに広報活動の結果が出てくるように努力をいたしてまいりたいと存じております。
#6
○千葉景子君 大変抽象的なお答えでして、それはこれまでも何らかの形でなさっていたわけですけれども、今窓口見てください。具体的にわからない、困っている、そういう人が殺到しているんですよ。努力してまいりますなんという場合じゃないと思いますけれどもね。
 例えば、早急に具体的にどんなことを考えているのか、そしてさらには、外国語といっても英語が通じる方もいらっしゃるけれども、やはりアジアの言葉というのは英語ではありませんよ、基本的には。さまざまな言葉がございますね。例えば、ベンガル語であるとかタガログ語であるとかウルドゥー語であるとかタイ語であるとか、そういう皆さんもいらっしゃるわけですよ。窓口にも現在いらっしゃっている。早急にこれは、努力いたしますじゃなくて、窓口にそういう説明のきちっとしたものをあすにでも備えるとか、それぐらいの努力できますでしょう、これまで施行に向かって期間があったわけですから。もし、それが全く準備もできないというんであれば、全くこれは無責任と言うほかないと思いますけれども、いかがですか。
#7
○政府委員(股野景親君) 外国語による広報については、先生の御指摘のようないろいろな言葉が関係してまいりますので、技術的に難しい面もいろいろございます。
 今、英語については、これはかなりのことについて既に行ってまいりましたし、今後もできるのでございますが、ほかの外国語についていろいろ技術的な困難もございます。にもかかわらず、今の先生の御指摘の点もございますので、我々として今ほかの言葉についてどういう広報ができるか考えているところでございまして、技術的な面もあわせて今検討を行っております。そういうことについて、まず我々としては英語のものを急ぎたいと考えておりまして、これまで行ってきた英字新聞による広報、それから入管局自身がつくるべき広報資料というものを基本にしながら、そのほかの外国語について技術的な面も含めて今検討を急いでいるところでございます。
#8
○千葉景子君 大変私は不満です。これは国際関係の中でも、一体日本ってどういう国なんだろうと、今の問題に直面している方はそういう印象だけ持って帰国される、そういうことにもなりかねないわけですよ。だから、さっき言ったように、やっぱり今の社会の実態とか、国際的に日本が信頼を得るというのは一体どういうことなのかということを本当に真剣に考えていただきたいと思いますよ。
 それから、今検討されると言いましたけれども、それは言葉の問題だけではなくて中身の問題も十分検討してほしいというふうに思います。というのは、今どうしてこれだけ混乱が起こっているかといいますと、六月一日になったら働いている者は全員捕まっちゃうんじゃないか、こういう話が大変多く出回っている。あるいは今度は雇い主の側では、これまた雇っている者を今首にしなければ我々も捕まるんじゃないか。無理やり解雇をしたり、そして今度は解雇をしたりあるいはやめてもらったために、もう自分の業務があるいは商売が立ち行かなくなったり、そういう事態だって起こっているわけですよ、現実に。ですから、やはり広報をするに当たっては正確に内容を伝えてほしい。
 これまで法の附則十一、雇用者処罰がこれから初めて適用されるんだという問題、あるいはさかのぼって適用されない、こういう点については極めて不正確にしか広報がされておりません。だから、これだけパニックが起こっている。産業ですら今停滞を来している、こういう状態ですよ。そういう意味ではその中身自体も、これまでの中身をそのまま引き移すというのではなくて、それを見てやはり該当者があるいはそれぞれの関係者が安心できる、あるいはきちっと理解をできる、そういう内容にしていただきたいと思いますけれども、その内容の点については、これまでの広報の仕方を踏まえていかがでしょうか。どう考えていらっしゃいますか。
#9
○政府委員(股野景親君) 私ども内容の点もいろいろ工夫をしてまいりましたが、内容的に我々の広報は不正確ではなかったと思いますが、しかし確かに足らざる点もあったかと思います。その結果として、一部の英字新聞等に誤った印象を与えるような記事が、これは我々の広報の結果ではなくて、報道として掲載されたという事実はあったと承知しておりますので、そういう点については英字新聞側にも我々として注意喚起をいたしました。
 また、内容的に、ただいま委員御指摘の附則の十一項の問題等については、かねてからその点について法務省側として説明を行ってまいりましたが、現在の段階に至るまでに改めて関係省庁側にもこの内容についての正しい理解を再度求めておると同時に、今後の広報の中においてもこういう点についてよく御理解できるよう今一生懸命努力をしているところでございますので、この点、内容についても委員の御指摘の点を十分念頭に踏まえて今努力をさせていただいておるということで御了解願いたいと思います。
#10
○千葉景子君 きょう施行になるという日に当たりまして、やはり多くの皆さんに理解をしていただくんだとすれば、きょう法務大臣であっても入管局長であっても、例えばきちっとした記者発表をして、やはりより多くの方は新聞とかあるいはテレビ報道とか、そういうことでまずいろいろな情報を得ることになると思うんですよ。もし、そういうことを考えるならば、今これからでもそういう手段を講ずる、そしてそれにきちっとした通訳の方などがついて広報をする、こういうことだってこういう時代ですから考えられないことはないわけですよね。しかしながら、大変これだけのもう数日前、しばらくの間パニックが起こっているような状況を目の前にして、やはり私はこの対応の遅さというのは法務省、もう一度考え直していただきたいというふうに思います。
 法務大臣、今のこういう事態を踏まえられて、法務大臣としていかがですか。きょう記者会見などをおやりになりませんか。
#11
○国務大臣(長谷川信君) 今千葉委員からお話ございまして、大変いろいろ御注意もいただきまして恐縮いたしております。
 きょう実は今から二時間ばかりちょっと前に、きょうから入管法の改正が施行されますので記者会見をやりました。今御説明がありましたようないろいろなことで御注意もいただいており、おしかりもいただいておりますし、私のところにも直接電話でもって、もっとしっかりやれよというお電話も二、三来ております。そういうことで、大変不行き届きの点がもしあったとすれば、若干あったことはあったんですが、そういう点心からおわびを申し上げておきます。
 なおしかし、一面考えてみますと、今単純労働者といいますか、不法入国している方が十万から十万二、三千くらいいらっしゃるんです。それから、正規の方がやはり七、八万ぐらい入っている。正規の方はこれは別でありますが、不法と称せられる方が十万人ちょっと超えているぐらいでございますので、それが今六月一日から云々ということで、PR不足も含めまして若干パニックと申し上げますか、そういう現象が起きたということは私どもも本当に大変いたくおわび申し上げなければなりません。しかし、これからはそういうことがないように、今入管局長からもお話がございましたが、もう万遺漏ないように措置をいたしたいというふうに考えております。
 しかしまた、弁解ではございませんが、日本の歴史の中で、十万人以上の外国人が入ってらっしゃいまして、それでこのようなパニックが起きたということはこれも恐らく有史以来初めてのことでございますので、若干経験不足というか前例もないような事態でございますので戸惑ったことは事実でございます。また今委員からお話がございましたように、私なり局長なりがいろいろテレビその他を通じてもう少し詳しく、入管法を施行しますけれども罰則はこのように適用いたしますのでそうそう御迷惑はかけませんよというふうなことを何かいろいろ検討してみたいと思いますし、今適正な御注意をいただきまして大変ありがとうございましたが、それらも含めましてきょう早速ひとつまたいろいろ検討させていただきたいと思います。
 しかし、若干の混乱というかそういう事態に至りましたことは、率直におわび申し上げておきます。これからも頑張ってやりますから、ひとつよろしくお願いいたします。
#12
○政府委員(股野景親君) 先ほど千葉先生から、きょうの施行に当たって大臣から何かの御発言がないのか、こういうことでございましたが、大臣、先ほどこの委員会開会に先立ちます記者会見の席で所感をお述べになりまして、その中で、改正法の運用に当たって国会で行われた附帯決議の趣旨を十分尊重して、その適正な運用を行って出入国管理行政を適切に進めていく所存であるという旨のお言葉を述べられたということがございまして、これが私ども入管局及び法務省としてのこの入管法の施行に当たって今後の運用に取り組む心構えでございます。
 それから、先ほど委員の同じく御指摘になりましたこの改正法の施行に先立って、この段階で何か改めての広報の措置をとらぬのかという御質問がございました。その点も、この改正法の施行に先立ちまして今週入管局で記者会見を行いまして、新法へ移行する際のいろいろな最初に当たっての留意点というものについて御説明をいたし、その中で、昨年来の御審議をいただいてきたいろいろな事項について、附則十一項の点も含めまして広報に努めたという経緯がございますので、委員の御指摘のような趣旨を踏まえながら、こういうような努力を今後とも重ねてまいりたいと存じております。
#13
○千葉景子君 さて、今回のこういう大変な混乱なんですけれども、この問題に拍車をかけることのもう一つの要因としては、最近、来日をしているアジア人に対して、被疑事実が大変微罪なもの、これでもたまに勾留請求をして、さらに裁判にまでなるというケースですね、そういう運用がどうも見受けられるような気がいたします。従来ですと、例えば外国人の万引きのような軽微な事件、被害額も一万円未満ですぐ被害も解消されるというようなもので公判請求をされるというふうなものはほとんどありませんでしたけれども、昨年以降大分こういうケースが見受けられるようになった。それからもう一点は、入管法違反のみ、例えばオーバーステイだけ、ほかの被疑事実は全くないわけですけれども、そういう入管法違反のみでやはり勾留請求がされたり、あるいは公判請求がされるというようなケース、これもしばしば見受けられるようになってきております。
 こういうものがやはり不安を助長するまた大きな要因になっているのではないかというふうに思うんですけれども、この微罪起訴について、それから入管法違反のみでの裁判、公判請求などについて何か特別な取り扱いとか、あるいはその取り扱い基準とでも言うのでしょうか、そういうのがございますのでしょうか、そういうものに基づいて行われているのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
#14
○政府委員(根來泰周君) ただいまお尋ねの点は、二点ございましたが、まず外国人、特にアジア人による刑法犯について厳重な処罰をしているかどうかという第一点の問題でございますが、具体的にどういう案件があるか私もよく存じておりませんけれども、そういうことについて全く検察庁として厳重にするとかあるいは寛大にするとかいう一定の方針を持っているわけではなくて、個々の事案に即した適切な処理をしているものと考えております。したがいまして、御質問の厳重に処罰するあるいは基準というものは設けていないと承知しております。
 第二番目のお尋ねの入管法の事件でございますけれども、これはやはりオーバーステイ等についてだけで処罰されているという例については、よくこれも承知しておりませんが、こういう事案は警察が検挙して検察庁へ送致してくるというのが通例であろうと思います。受理件数も、例えば昭和六十三年、少し前でございますけれども、六十三年では検察統計によると八百三十人というわけでございまして、その年に退去強制令状が発付されたのは一万七千何ぼというような数でございますから、本当に氷山の一角が検察庁へ送致されてくるというような状態でございますから、警察当局もそういう点については十分考えて検挙し、検察当局もこれを受け取って、それを非常に悪質なという感じで処理しているものと考えておりますので、特に入管法違反を目のかたきにしてやっておるということはないと考えております。
#15
○千葉景子君 目のかたきにするということになれば、今十数万人、もっとそれ以上と言われているいわゆる不法滞在といいますか、みんなやらなきゃならないじゃないですか。現実には到底そんなことはやり得ないと思うんですね。しかしながら、つまみ食いするように入管法違反での裁判が行われている。同じようなケースで、例えば一緒に滞在をしていたのが片方の人だけが何の理由もなく――何の理由もなくというのは変な言い方ですけれども逮捕され、そして裁判にまで行く。やはりこうなりますと大変不公平であり、そして不安を募らせ、さらにパニックを起こすということになります。偶然に来たからしようがないとか厳重にしていますということですけれども、やはりこの点についてもきちっとしたこれからの方向性とかあるいは必ずその要件、こういうものは厳重にするけれどもそのほかについてはできるだけその実態とかそういうものを配慮をするとか、やっぱりその運用基準あるいは捜査基準というものがなければいけないと思うんですね。ないならば十数万人全部やってくださいよ。その点についてはどんなふうにこれから対処されようと考えていらっしゃいますか。
#16
○政府委員(根來泰周君) 事情はよくおわかりのことと思いますけれども、こういう外国人の犯罪というのは外国人登録法違反ということにまず目を当てられていろいろ議論がございました。これは外国人登録法の改正に当たって衆参両議院の法務委員会で附帯決議がございまして、常識的、弾力的に行えという御指摘がございまして、これについては警察当局も私どもの方も件数も非常に減っております。そして、起訴している事件も非常に減少しているわけでございます。
 入管法違反の事件については、こう言うと若干弁解めきますけれども、非常に最近焦点が合わされた話でございまして、多少刑事事件の方は追いついていないという点があろうかと思います。お説のようにつまみ食いをして、ある者は起訴され、ある者は見過ごされるというのは非常に不公平であろうと思いますけれども、警察当局としましてもそうこれはアトランダムに摘発しているということではなくて、やはり何かほかに刑法犯が付随しているとか、そういうことで一緒にといいますか検挙してきておるものと考えておりまして、そういうことで悪質性ということで検察庁でも公判請求なり罰金なりということになっておろうかと思います。こういう点については将来十分個々の問題について研究しないと、ちょっと今お答えしかねるところでございます。
#17
○千葉景子君 ぜひこの点についても一定の、悪質であるとかあるいはほかの刑事犯罪が付随をしているとかその不法性が極めて高いというような運用基準なりをきちっとして、本当にたまたま見せしめのような形に当事者がならないように、ぜひ今後の運用に注意をしていただきたいというふうに思います。
 そしてもう一点、このような裁判がふえ、あるいは捜査がされるということに付随をいたしまして今問題になるのは、やはり逮捕、取り調べ、起訴、公判へと続くわけですけれども、そのプロセスにおいて言葉の問題が大変大きな壁になってきているというのも、これは十分もう御承知のところというふうに思います。私ども日本語を使っている者でもこういう極めてまれな事態、逮捕されるあるいは裁判になるというようなことになればやはり中身も十分に理解しにくいという部分もあります、日常性のことではありませんから。これがさらに言葉の壁があるということになりますと、一体自分に起こった事態がどういうことが起こっているのか、あるいはそういう事態の中で自分がやれること、あるいは持っている権利が一体どんなものがあるのか、これが十分やはり認識されないということが出てまいります。やはり手続の権利保障ということを実質的に保障する、そういう手段がこれから問われてくるだろうというふうに思います。
 そこで、時間が限られておりますので警察庁とそれから検察庁関係のことでお伺いしたいと思いますけれども、現在の通訳の制度、これをどうとられているか、そして実際にどれだけの数が確保できるのか。これはさまざまな言葉がありますけれども、例えば今日本の中でたくさんいらっしゃるとすればアジアの皆さんですけれども、それにかかわる言葉などについては一体どんな制度になり、そしてどんな人数確保ができているのか、まずその点についてそれぞれお尋ねしたいと思います。
#18
○説明員(泉幸伸君) 通訳の関係でございますが、御承知のとおり、日本語を理解することのできない外国人被疑者につきましては、被疑者が理解できる言語の通訳を付することにしております。その通訳の現状でございますが、英語、中国語及び韓国語等で外国人被疑者の取り調べができる場合にはおおむね警察部内の者を通訳としておりますが、それ以外の言語につきましては民間の方にも依頼して通訳を行っているという状況でございます。
#19
○政府委員(根來泰周君) 私どもの方は、要するに英語等については部内者もおりますけれども、その他のものについては部外者にお願いしているわけでございます。この問題についてはもう委員から御注意を受けているように非常に難しい問題がございます。通訳人といいましても法律知識がない方が大勢おりますので、私どもの方では各高検管内ごとに通訳人の名簿というのをつくりまして、そしてその名簿に基づいて通訳を委嘱するというふうな運用にしているわけでございます。そういうことでできるだけ正確な通訳を得るように努力しているところでございます。
#20
○千葉景子君 確かに専門的な知識も含めた通訳ということになると大変だということはわかります。今後さらにこれを充実するにはどうやったらいいのかということを早急に検討していただきたいと思うんです。
 それで、私はまず警察庁の方に指摘をしたいんですけれども、これは早急にできることだと思うんですよ。というのは、例えば逮捕状を執行するとき、逮捕状の罪名とか罰状、その中身ですね、要旨、こういうものはやはりすぐに本人が理解できなければいけない。それからさらに、その後やはりその権利保障の意味では弁護人の選任権、黙秘権、こういうものについてもまず何よりも第一に知らされなければいけない。これらは工夫をすれば、例えば一定の形式で書面を作成しておく、そしてすぐさまざまな言語でそれを知らせることが可能ですけれども、こういう工夫がやっぱりもうできると思いますし、当然実質的な手続の権利保障という意味でもされなければいけないと思いますが、どうですか、そういう対応をとられませんか。
#21
○説明員(泉幸伸君) ただいま御指摘のような被疑者の権利に関することを遅滞なく示すということは大変重要なものであるというふうに認識しております。現在は、被疑者が日本語を理解できない外国人であるということがあらかじめ予想される場合には、通訳等を帯同してその理解できる言語によって逮捕状の内容その他必要な権利の告知等を翻訳させておりますし、また逮捕状の翻訳文を添付するというような運用も引き続き行っております。今後御指摘の点も踏まえまして、より充実した形で行われるよう努力してまいる必要があると認識しております。
#22
○千葉景子君 これはすぐにでも対応できることですからやっていただきたいというふうに思います。
 それからもう一点、これは勾留などされた場合、現在日本の法制度上では翻訳を自己費用でして信書の発信、授受をするというようなことは可能なんですけれども、例えば外国語で直接来た信書、こういうものをどうするか、あるいは面会を外国語で会話をするということをどうするかという問題が残されておりまして、現在はケースによっては施設の担当者がわからないと何を言われているのかわからないから面会はさせないとか、あるいは読めない手紙ですとそれは何かの暗号で管理上大変なことになるかわからないからそこだけ墨を塗っちゃうとか、極めて配慮のない、そしてそういう意味では基本的な信書の発信、授受、こういうものを実質的に保障することを阻害するようなやり方が行われているんですね。
 これはむしろできないからということではなくて、できないんだったらばそれを担保するような手段、あるいは少なくともわずか自分のわかる言語で来たそういう手紙によってようやっと心の安定が得られるというようなこともあるわけですから、その点についてもう少し配慮をする、そして実質的な収容されている者の権利や人権を守っていくという態度、こういうことがやはりもう必要なんじゃないかというふうに思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
#23
○政府委員(今岡一容君) 拘置所側といたしましては、日本語を解しない外国人の面会でございますね、それから手紙等信書の授受について慎重に取り扱っているところでございます。その現状をまず御説明いたしますと、現在では拘置所によりましては外国語を理解する職員が配置されているところもございまして、例えば一例でございますが、東京拘置所におきましては英語、中国語、これはもっとも北京語でございますが、それから韓国語、このような外国語につきましては担当程度職員で対応できるようにしておりますので、このような言語を話す外国人についての面会あるいは信書の発受等は大体自前で対応して問題のないような取り扱いを行っていると承知いたしております。
しかし、最近はいろいろ外国から来る人の中には、先ほどもちょっと委員お触れになりましたが、ウルドゥー語とかタガログ語とかいったような言葉しかわからないというような被収容者もおるわけでございまして、そういうような場合には自前で対応が難しゅうございますので、これはそれぞれの国の領事館等に翻訳について便宜をいただいたり、あるいは領事館等の推薦される信頼できる通訳の方に面会の立ち会いの補助をしていただくというような運用につきまして配慮をいたしているところでございます。
 ただいま御指摘になりましたように翻訳につきましては、制度上は本人の負担で翻訳できないときにはこれを許さないという扱いになっておりますから、事例によりましてはそういう形で信書の授受を認めないという例がないわけではないと思いますけれども、現実の運用としましてはただいま申し上げましたような方法を最大限にとりまして遺漏のないようにやっているところでございます。
#24
○千葉景子君 ぜひこれは、今後法律の面でも整備をする必要があろうかと思いますけれども、まず運用の面で、やはりその言葉で理解する、それによってさまざまな意思疎通を図っている方について慎重な配慮、そして適切な運用をしていただきたいというふうに思います。
 ちょっと次の問題に移らせていただきたいというふうに思います。
 本年一月より、今拘置所等の問題が出ておりますけれども、土曜閉庁の制度がとられるようになりました。第二、第四土曜日が閉庁となりまして、その中には拘禁施設、拘置所等も含まれているわけです。これに伴って、拘置所等における面会あるいは差し入れ等が閉庁ということによって制限をされるようになり、今さまざまな問題が発生をしております。
 そこで、ちょっときょうは時間が限られておりますので、たくさんの問題あるんですけれども、きょうは弁護士の接見あるいは一般の面会、こういう問題に絞りまして質問させていただきたいというふうに思います。
 まず、弁護人の接見の問題なんですけれども、これは身柄を拘束された被疑者、被告人の防御権、それから弁護人の接見交通権ということから考えますと極めて基本的に重要な、制約されてはならない権利と言わざるを得ません。これは憲法、刑訴法上でも当然保障されている権利なわけです。本来これは、ここまで話をしますとちょっと長くなってしまいますけれども、休日というものと本当は関係ない権利であるはずなんです。休日だからこの権利を全く制約をしてしまう、あるいは接見をこの日は休みにしてしまう、こういう性格のものではない、こういうふうに私は認識をしています。
 したがって、現在休日、日曜日の拘置所の接見は一応置いておくとしましても、たまたま土曜日が閉庁になるということのゆえをもって安易にまたもう一つ休日と同じような取り扱いをふやすというのは、これは私は許されてはならないことだというふうに思います。日曜祭日も、逆に言えば取り調べ等の捜査側のさまざまな措置というのはとられているわけでして、そういう実態から考えましても、閉庁土曜日に接見が禁止される、大きく制約をされるということは、私は被告人の防御権という意味からも重大な後退であり権利侵害ではないかというふうに思っております。
 そういう意味で、現在閉庁土曜日、弁護人の接見について拘置所ではどういう基準での取り扱いがなされているのか、まずもってお知らせいただきたい。
#25
○政府委員(今岡一容君) 閉庁土曜日における弁護人の接見につきましては、まず結論だけ申しますと、できる限り御要望に沿うような形で対応しているところでございます。
 制度的なことを申し上げますと、閉庁土曜日は休日と同じ扱いということでございまして、接見は現行法令上のもとでは平日において行うという趣旨の定めになっておりますので、閉庁土曜日において接見をしなくても差し支えないということになるかと存じますが、従来から土曜日には午前中執務時間内において接見をしていただいていたという経緯もございます。それに、ただいま御指摘になりましたように弁護人の弁護権という権利を尊重するという趣旨も十分承知しているところでございまして、そのようなことから閉庁土曜日におきましても弁護人の接見につきましては、施設側の職員配置の許す範囲内でございますけれども、施設側の事情も御理解を賜った上で接見をいただいている、このような運用をやっておるところでございます。
#26
○千葉景子君 本来なら、先ほど言ったように接見というのは私は認めていただかなければいけないというふうに思いますが、その取り扱いも御理解をいただいてとおっしゃっているんですけれども、非常に統一されていないんですよ。例えば東京弁護士会あるいは第二東京弁護士会あるいは各地の弁護士会などでアンケート調査をやって、どういう形で接見をしているか、あるいはできたかできなかったかというようなことを調査をした結果が出ております。これは十分に後から認識をしていただきたいと思いますが、例えば事前に連絡をしたけれども、できなかった人もいればできた人もいる。あるいは当日やはり緊急にやむを得ないから出向していったら、認めてもらった人もいれば結局はできなかった人もいる。それから、指定をされたこの時間に来てほしいというのでその時間に行ったら、一時間も待たされたという人もいればすぐにできたというような人もいる。こういう大変不統一でそして不合理なやり方がなされている、これが実態なんです。もう一回よくそれは調べていただきたいと思うんですね、それぞれの拘置所でどういう扱いをなされているのか。
 そして、少なくともこの弁護人の接見については、人員の問題あろうと思います、そしてできるだけやはり職員の休日を確保するという問題は私も十分承知しております。しかし、それゆえに権利を剥奪してしまう、あるいはそれを制限してしまうということはあってはならないわけです。そういう意味での十分な対応、そして統一した対応というものをとっていただきたい。少なくとも前日に連絡をとれば接見ができる、当日行ってやむを得ずできなかったというケース、これは現状ではやむを得ないのかもしれませんが、連絡をしていれば当然それはきちっとした時間をとって接見ができる、そういう体制などは少なくともとっていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか、今後の対応策としては。
#27
○政府委員(今岡一容君) 現実に弁護人が閉庁土曜日に接見をされる場合の方法として私が承知いたしておりますのは、まず大多数の方は前日ころにお電話で接見の申し出がある。その際に、当日は休みでございまして職員の配置が極端に少人数になっておりますのでというような説明をすることはあろうかと思います。そういう段階で、いやそれなら別に急がないからまた別の日に出直すというふうにお申し出になる先生もあると伺っております。ですから、前日に電話でお申し出になった場合には事情を伺って、あるいはこちらの方からも事情を御説明申し上げまして、いやそれならわかったということで別の日に来るというふうにおっしゃる先生を除いて、そのほかの先生方には閉庁土曜日の日にも接見を現実にしていただいておるというふうに承知しております。
 それからまた、当日これから行くからというふうにおっしゃる先生もあるようでございますが、その場合も同じような取り扱いで対応しております。中には、いきなり飛び込んできてぜひ会わせろ、こういうふうな申し出をなさる先生もいらっしゃるようでございます。電話をかけておいでになる方が一番多いようでございますが、だしぬけにおいでになって、とにもかくにも会わせろとおっしゃる方もある。そういう場合には、限られた職員で前の日あたりから申し出を受けていて接見をしておいでになる先生の接見時間に割り込むということもできませんので、しばらくお待ちいただきたいというようなことになることもあろうかと思います。平日だしぬけにおいでになった先生方にも極力刑務所側としては、拘置所側といたしましては配置職員の許す範囲内で最大限の配慮をして運用しているところでございまして、少なくとも弁護権を侵害するような意図等は毛頭ございませんし、そういうことにならないように配慮して運用しているところでございます。
#28
○千葉景子君 ただ、弁護士もそれは鬼じゃありませんから、お忙しいと言われれば、じゃ何とかやりくりしましょうかということにもなるし、それからこれまでの土曜日の弁護人の接見、この数を東京拘置所あるいは大阪拘置所などを調べてみましても多いんですよ。例えば四十件近くある日もあれば平均しても十数人、十数件というようなことがこれまでの経過です。だから、わかっていただいたというよりもやむを得ないからむしろ遠慮させていただいているというのが実態なんですね。それはよくわかってください。必要がないんじゃないんですよ。そういう意味では、やはり少なくとも理解して御遠慮いただくというのではなくて、申し出があればきちっと接見体制をとるということを今後していただきたいと思いますが、その点もう一回確認させていただきたいと思います。
#29
○政府委員(今岡一容君) 職員の勤務条件を適正に確保していく必要あるいは職員配置の必要性等そういう面も私どもとしては考えていかなければならないところでございますが、しかし今御指摘のような趣旨も十分承知しているところでございますから、両方兼ね合わせまして適正な運用が行われるように努力してまいりたいというふうに思っております。
#30
○千葉景子君 本来ならばもう少し御質問したい部分がありますが、時間でもございますので、最後に弁護人以外の一般の面会、これにつきましても拘置所に収容されている人というのは無罪の推定を受け、そして少なくとも外部交通権も必要最低限の制約以外はやはり認めていくというのが基本的な権利だというふうに思います。そういう意味で、一つ休みがふえたから面会の日もまた減っちゃった、こういうことではなくて、やはりこれに対する十分な措置というものも考えてほしいと思うんです。
 土曜閉庁になったから何にもしなくていいというのではなくて、総務庁からのさまざまな指示の中でも、できるだけ工夫をしてサービスの低下がないように、そしてほかの時間に受け付けをするとか平日の延長をするとか工夫をしろと――いろいろ工夫をなさっている部分、官庁などもあるわけです。そういうことを踏まえて、一般の面会についても私前回も質問させていただいているんですけれども、ぜひ何らかの、これを逆な意味で保障する、違った形で保障できるような措置を早急にやはり検討いただきたいというふうに思います。その問題をお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。
#31
○政府委員(今岡一容君) 一般の方の面会の問題でございますが、これを平日並みに実施すると仮定いたしますと、そのために要する職員配置はざっと試算いたしますと、全体ひっくるめてでございますが五百数十名になります。そうしますと、この五百数十名の職員について別の日にそれぞれ休みを与えるとかいろいろ他の措置を講ずる必要が出てまいります。現有勢力ではとてもそれには応じられない状況でございまして、弁護人の接見は別といたしまして、一般の方の面会を平日同様に実施するといたしますと大幅な職員の純増を図らなければ面会一つも対応できないという問題がございます。
 私どもとしましても、被収容者と外部の方との面会の重要性そのものは理解いたしておりますけれども、それを実行する具体的な方策につきましては、職員の増員その他いろいろな事情を総合的に考えた上でやはり対応せざるを得ないところでございますので、一般の方の閉庁土曜日における面会というものは現在お休み日と同じように扱ってきているわけでございますが、やはりこの現状を直ちに改めるということはなかなか困難であろうと率直なところ考えておるところでございます。
#32
○櫻井規順君 本日施行の出入国管理法の実施をめぐって質問をさせていただきます。千葉委員から総括的な質問があったわけでございますので、それを受けまして具体的な問題で幾つかお伺いをしたいと思います。
 最初に、東京入管に大変な在日外国人の皆さんの申し出が殺到しているわけでございますが、このパニック的な状態で在日外国人の皆さんが殺到していることの原因ですね、これをひとつお聞かせをいただきたいと存じます。
 入管法違反の外国人が大勢いるからこうだということは当然言えるわけでありますが、直接今こうしてパニック的に皆さんが東京入管においでになっている理由として、新聞報道等で幾つか読み取れます。端的に出されている問題は、新法が実施されて六月一日以降入管法違反の外国人は逮捕されるというような情報がかなり行き渡っているように新聞報道がなされております。どこから出ているかというと、どうも新聞報道ですが、外国人を雇っている日本側の会社、いま一つは新聞報道、とりわけ日本の英字新聞にあるというふうに私は見るわけでございます。これは意外なことでありまして、新法実施に伴って政府側から新法の趣旨が行き渡って出てきたという面は比較的報道からは感ぜられないわけであります。
 そこで私質問なんですが、直接こうして皆さん在日外国人、とりわけ入管法違反の方が多いようでございますが、どっと押し寄せてきている原因を今私、若干触れたわけですが、民間側から出ている、それから報道から出ている、それからいま一つは政府側のPRから出ている、こういう面から原因を見てみた場合に、どんなふうにごらんになっているでしょうか。お聞かせ願いたいと思います。
#33
○政府委員(股野景親君) ただいま委員御指摘のとおり、不法就労あるいは不法残留の状態にある人たちの入管局への出頭申告が多数行われているという状況がございまして、その原因の背景となっているのは何かという点を私どもいろいろ今考えておりますが、一概に明確にこれが原因だとなかなか断定的に申し上げるほどのものについて、我々もまだ十分の判断というものをしていないわけでございますが、この改正法の御審議をいただいた際に、この改正法の一つの柱として不法就労の取り締まりに関する法的な規定を整備したという点を申し上げ、またこの点も改正法の成立を国会でいただきましてから対外的に御説明をしてきたという事情がございます。
 そこで、そういう点が報道機関によっても、また我々の政府自体の広報活動でも一つのポイントとして行われてきておりますので、そういうことが一つ背景にあったと考えております。
#34
○櫻井規順君 入管法違反の日本に滞在する外国人の数について、先ほども法務大臣からでしたか十万人とも十五万人ともというようなお話、ちょっと聞き間違いかもしれません、あるいはいろいろなところで十万とか十五万というふうに言われておりますが、この正確な数というのは、入国した人の数とそれから出国した人の数でかなり正確に国別に把握できると思うんですが、これは正確な、入管法違反で日本に在住される外国人の数並びに国別の数というのはどんなぐあいになっていますか。国別の数についてはいろいろな資料を今まで出していただいておりますが、その辺の関係はまだゼロでございまして、後刻また出していただければと思うんですが、いかがでしょうか。
#35
○政府委員(股野景親君) 不法残留の方が不法就労関係の人では一番多いわけでございますが、不法残留の統計についていろいろ入管当局で出入国管理統計からの推計を行っておるわけでございますが、なかなか正確な推計ということについては我々も自信を持てない状況でございますので、あくまで概数での推計ということでこれまで御報告申し上げまして、その数が最近、昨年の年末の段階で約十万程度と推計しているわけでございます。
 国籍の内訳につきましても、したがって同様に正確なものを我々としてまだ十分持ち合わせていないということでございます。
#36
○櫻井規順君 入国した人の国別の数、それから出国した人の数というのは当然基礎データとしては正確にあると思うんですが、何といいますか統計処理上難しくてわからないのかどうなのか、そこをひとつお聞きしたいことと、今回のパニック状態が徐々に始まったのは四月ごろからと伺っておりますが、五月末日現在までに、いわば入管法違反の在住者が何人みずから申し出たのか、その辺をお聞かせいただきたいと存じます。
 そして、あわせて入管法違反の外国人の皆さんが押しかけてきているのは、これまた新聞報道で恐縮ですが、東京入管に限定されているように報道されているわけですが、今も千葉委員から横浜入管の模様がお話しになったわけですが、他の入管含めていかがでしょうか。
#37
○政府委員(股野景親君) まず最初の点でございますが、先生御指摘のとおり、これは統計処理上の困難がございまして、出国とそれから入国とのそれぞれの統計の突き合わせでちょっと技術的な困難があって、正確な点がまだ我々として自信の持てる数字がないということでございます。
 それから、後者の点につきましては、これは東京入管がやはり最も集中的に出頭申告が行われておりますが、そのほかで多いところは横浜の入国管理局支局、それから一部は直接東京入管局の成田支局へ出頭しているという状況がございました。その数については、まだ私ども残念ながらなかなか正確な数を今集計しておるところでございまして、正確な数について今まだ申し上げる状況にございませんが、ことしの初めから五月末までの状態で、概数でおよそ一万五、六千人の人が出頭しているのではないかということで、今これは集計中でございます。
#38
○櫻井規順君 いま一つ、こうして東京入管に見えている外国人が非常に国が偏っておりまして、パキスタン、バングラデシュ、マレーシア、特にパキスタン、バングラデシュというところに偏っているようでございます。これは、私が思うのには、先ほどの局長の答弁とやや違うのですが、今度の皆さんが入管に来たのは、多分に東京なら東京で発行している英字新聞の英語による情報が非常に多かったからこういう状況が生まれているのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#39
○政府委員(股野景親君) 先生御指摘の、確かにバングラデシュ、パキスタンあるいはマレーシアという関係の人々が出頭申告をしている人たちの中に多いのは事実でございます。これは、そもそも特にパキスタンとバングラデシュにつきましては不法残留者が多いということが我々の推計でも出ておるわけでございまして、その理由は、この両国との間で昨年の一月まで査証免除取り決めが有効に存在しておりまして、それを一時停止するという措置を昨年の一月にとりました。したがって、それ以前にかなりの数の人が日本に入ってそのまま在留期間を超えて不法残留している状態が多いということが一つの大きな原因ではないかと思います。
 これらの方々が英語を多く解するということも先生の御指摘のとおりだと思いますので、英字新聞による一部のあるいは誤った情報というものがそれの一因になっているのではないかということも一つの推測としては成り立つと考えております。
#40
○櫻井規順君 次に、定員等予算にも関連したことでお伺いをしたいと思います。
 実は、私おととい東京入管に行ってまいりまして、東京入管の状況を入管の幹部の皆さんに御案内、御説明いただきながら見てまいりました。聞いてまいりました。大変な状況でございました。五月三十日の午後二時でございましたが、大分、二時だというと皆さん引いていた後かもしれませんが、非常に玄関の外側もまだごった返しの状態がありましたし、中は一階、二階、三階大変な状況でありました。数少ない職員の人が大変御努力をしている姿にも接することができました。
 そこで、職員の定数に関連した問題なんですが、ことしの予算で五十何人でしょうか、五十数人の増員が入国管理局で予算化されたわけであります。これは昨年の出入国管理法改正の討議、あるいは例の難民問題の討議の中で私ども声を大にしまして、入管の職員の犠牲者まで出るというような状況を迎えて大変ではないか、それと各種の在日外国人の申請業務、こうした問題がウナギ登りに上っているのにかかわらず定員が一九八〇年ころからそう変わらない、審査官にしてもほとんど変わらない状況が続いてきているというようなことで、定員増を私どもは私どもなりに問題にしてきたところであります。
 しかしまた今度は、予期しないといいますかある意味では十分予期できた必然的な問題かもしれませんが、こうした業務量が多発をしている。聞けば、朝はもう繰り上げて出勤をされて、五時に入り口の扉を閉めても九時、十時まで中にいる在日外国人の皆さんの申請に伴う業務が続くという日が毎日続いているようでございます。ボートピープルも私のつかんでいる範囲でも四隻ほど入ってきて大村の方も忙しい、東京入管からも大村の方に人の派遣も二十人ほどしている、こういう状況を今迎えているわけでありますが、これは入管にお見えになる外国人、とりわけ正式に入管法に基づいて在留期間延長申請なり資格変更申請なりする外国人も数多くいるわけであります。これもむしろ漸増傾向にあるわけでありまして、そこへ今度のこうした問題が発生した。これはまた大変な犠牲者が出ないとも限らない状況を迎えているわけですが、ここで審査官等を中心とした一般の職員を含めまして、これはどうしても職員増の手配というものが緊急、抜き差しならない問題じゃないかと思います。
 お話を聞けば、十万を超す入管法違反の外国人がなおいる、その中で四月、五月と二カ月かかって一万五千人ぐらいの皆さんが見えているという状況でありまして、正常な種々の申請の人たちの対応も含めまして事態は深刻なところに来ていると思います。この定員増の問題についてどんなふうにお考えになっているか、これはもう緊急な課題だと思いますが、いかがでしょうか。
#41
○政府委員(股野景親君) 委員が東京入管局の現状をごらんいただいていろいろ御指摘いただいた点、大変恐縮に存じております。
 入管局としても、職員が膨大な業務量に対して日夜必死の努力をいたしておるという現状がございます。最近、業務量が特に伸びが激しいということに伴いまして、法務省全体として入国管理局の特に第一線である地方入国管理官署の定員の拡充ということについて努力をしてまいりました。委員御指摘のとおり、平成二年度の予算案におきましては、地方入国管理官署につきまして従来とは飛躍的に大幅な拡充を図ることとしまして、政府全体としても大変厳しい財政事情の中で六十六名の増員、これに定員削減が加味されますので十六名の者を差し引く必要がございますので、純増五十名という増員の予算の案をただいま御審議願っているところでございまして、こういうものが実現いたしますと、今の厳しい状況に対して大変有効な措置となります。こういう努力を今後とも私ども重ねてまいりたいと思いますので、よろしく御支援賜りたいと存じます。
#42
○櫻井規順君 問題は、当面の人の配置、それから大変な、廊下にまでベンチを出して対応されているわけですが、聞けば消防法違反になるような込みぐあいになっております。このスペースの問題ですね、これも緊急に解決しなければならない問題ではないかと思います。当面、緊急に人の配置の問題で考えるべきではないか。それからそのスペースの問題、これももう配慮しないとどうしようもないじゃないかというふうに思います。
 ちょっとつけ加えておきますと、私、静岡清水港出張所もこの際ということで伺ってまいりました。そうしましたら、二人の審査官と四人の警備官の方がお見えで、ここは正常な滞在期間延長の申請とか資格外の申請とか、そういう皆さんで結構忙しくしておりまして、四人の警備官はほとんどもう外には出られない、中で審査官と一緒に業務処理のみに追われているという状況を迎えているというお話であります。ここも正常な業務だけでも大変だなという感じを持った次第です。
 それで、緊急の措置についての答弁とあわせて、入管の職場を見まして、やや男の職場だという感じがする。来る方は男女大勢お見えになっているわけですが、もう少し女性の進出という問題についても考えていく必要があるじゃないか。いわば日本の玄関ともいうべきそこが非常に何か現状ではそういうふうにごった返しているというような感じもありますけれども、やや殺伐とした玄関になっているように思うので、その辺いかがでしょうか。
#43
○政府委員(股野景親君) 施設の点について御指摘いただきまして、私どももそういう点について努力をいたしておりますところでございますので、大変恐縮に存じているわけでございますが、一番今混雑の激しい東京入国管理局につきましては、これは緊急に措置をする必要があると思いまして、本年になりまして既に目黒に分室をつくったということをいたしておりますが、さらにこの平成二年度におきまして新たに東京入国管理局の分庁舎を整備させていただくことで今準備をいたしております。こういうことによって施設面での窓口の混雑の緩和ということをぜひ図ってまいりたいと思っております。
 それから、女性の職員につきましては、仕事の中身に応じて女性が活躍をできる場面が入管局の仕事にはいろいろございますので、既にいろんな場面で女性の職員に活躍を願っておりますが、この点は今後も十分配慮してまいりたいと存じます。
#44
○櫻井規順君 細かな点を挙げれば切りがないわけでありまして、次に、千葉委員も指摘し、この前、清水委員も指摘した点ですが、その新法の宣伝、啓発の関係ですが、これはどのくらいの予算措置が講じられていて、この新法の日本の国民に対する周知、在日外国人に対する周知というのはどこの機関が主としておやりになるのか。聞けば新法の啓発活動は総理府の方にそのセクションがあるというふうなお話も聞くわけですが、この新法の実施の責任の官庁はどこなのか、そしてその予算措置というものはあるのかどうなのか、その辺をお聞かせください。
#45
○政府委員(股野景親君) この新法の広報につきましては政府全体として取り組む必要がございますので、具体的には今法務省が中心となって、先生御指摘のとおり総理府の協力も得て広報活動を行っております。また、政府独自の広報活動ではなかなか十分を期すことができませんので、法務省入管局の所管の公益法人である入管協会の諸活動を通じての広報を初めとして、各関係省庁それからまた関係の公益団体等による広報を行うことにいたしております。
 予算面につきましては、これはなかなか今財政事情が厳しいものでございますから、この改正入管法だけの予算ということでの特記したものとというのはなかなか私どもも確保する点について、技術的な問題もございますので予算上明記をするという形ではございませんが、この法務省の広報予算、それから総理府の広報予算の中で、今度の改正入管法の広報のためにいろいろな形で支出をさせていただくということでこれまでも行いましたし、これからも総理府の予算を使った広報も含めましていろいろな企画を今実施に向けて行っているところでございます。
#46
○櫻井規順君 新法が実施されて今から宣伝するという状況だということは今までのあれでわかっているわけですが、きょう六月に入りましたが、総理府も六月に入ってから何かポスターをおつくりになるというようなお話で、いかにも後手に回っているという感じでございます。私は、総理府は総理府の方で大幅に予算をとっていただいてこの新法の宣伝、啓発はしていただかなければならないと思いますが、入国管理局というよりも法務省自身で、入国管理局は当然責任を負ってもらわなきゃいかぬのですが、人権擁護局等ともプロジェクトをつくって、法務省自体がかなり徹底した国民に対する啓発をしないと追いついていかないのじゃないかと思いますので、強くその辺を要望しておきます。
 次の質問に移らしていただきます。
 今までの入管法ですと、入国資格につきまして四の一の十六の三というそのほかの資格といいますか、法務大臣が新たな資格を付与していたわけでございます。今度二十八に資格を拡大しまして結構多くの人から、入国者を決める場合にその二十八以外のしかるべき必要な、この弾力的な条項がなくなったがために閉ざされたのではないかという御指摘があります。やはり法務大臣が別枠でこういう権限を持ってやっていくということが必要ではないかと思います。細かな基準を見ますと、法務大臣が指定した者ということでもってたくさんの条項があることは前回の審議でも私触れた点ですが、その資格の問題でどういうふうに解釈されているのか、それは私は生きているものと思いますけれども、どういうふうに理解したらいいのか、答弁願いたいと思います。
#47
○政府委員(股野景親君) ただいま委員御指摘のとおり、旧法におきましては「法務省令で特に定める者」といたしまして四の一の十六という在留資格があり、これがいろいろな形での日本への入国目的ないしは在留活動に該当する項目として存在したことは事実でございまして、今度はこれがいろいろな形で法律・会計業務を初めとして多岐にわたる新しい在留資格に振り分けられました。しかし、委員御指摘のとおり在留資格として今度つくりました二十八種類の中で、それぞれの項目に書いてありますその在留資格の要件というものに必ずしも十分合致しないといったような活動につきましては、これはこのたび設けました在留資格の別表の第一の五の「特定活動」という項目がございますので、「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」というこの在留資格が、ただいま委員御指摘のような場合についての活用すべき項目であると考えております。
#48
○櫻井規順君 少し角度が変わりますが、外国人の日本への入国に関連はするわけですが、静岡県の数字、これは静岡県が法務局からいただいた数だと思うんですが、非常に外国人で急激にふえているのがブラジル人というのがございます。昭和六十三年末に三百五十一人だったブラジル人が平成元年末、昨年末二千三百四十四人というように、二千人からの方がふえております。これは韓国または朝鮮、フィリピンに次いで第三の位置にあります。これはどういうことかということをお尋ねしたいわけなんですが、これはブラジルにいる日本人の皆さんが急激にここ日本にお帰りになって、その関係でふえているのではないかというふうに思うわけです。
 そこで私は二つ質問したいわけですが、一つは在外国日本人の問題です。これは短期、中期、永住的というふうに分けられると思いますが、いわば五年以上の永久的滞在で在外国日本人の数というのは把握されているのかどうなのか。これが一つ。
 それからいま一つは、ブラジルに特定させていただきますが、ブラジルで日伯新聞等に大きくこういう求人、日本に来て働きませんかという求人広告が載って、大変な勢いで今ブラジルから日本へ二世を含めましてお帰りになっております。これは日本人がお帰りになるわけですから、それなりにといいますか保障しなければならないと思うわけであります。その皆さんと一緒に当然ブラジル人の方が大挙日本に今見えているわけであります。
 そこで、私は、こうした状況をどうごらんになるかということと、ブラジルがいわば移民によって成り立ってきた国、その国にいわば仕事を求めていって今大変ブラジルもインフレ、失業率――大分緩和されてきたとはいっても大変厳しい状況を迎えているようであります。そして今度は、日本の方がよりすぐれているということでまたお帰りになってくるわけですが、その権利はぜひ保障するように対応しなきゃならないと思いますが、問題はブラジルと日本の間で、特にブラジル側がどういうふうにその辺の対応を今しているのか。これは外務省の関係になると思いますけれども、外務省でブラジル人の日本に見える人の権利、それからブラジルと日本との正常な関係の維持発展、そういう角度から見て一定の対応が必要なときに来ていると思いますけれども、その辺の状況認識、対応というものをどんなふうにごらんになっているか質問をいたします。
#49
○説明員(内藤昌平君) 御質問の点、順を追ってお答えを申し上げます。
 現在といいますか、これは昭和六十一年に在外公館を通じて行った調査の結果でございますが、全世界の日本国籍を持った永住者は約二十五万人、現地の国籍に帰化したいわゆる日系人は約百四十万人という数字が出ております。さらにブラジル一国について見ますと、その調査の際出た数字は、永住者は約十一万人、日系人は約五十三万人という数字になっております。
 それから、確かに最近なかんずくブラジルからの日系人でございますね、先生御指摘のようにブラジル人でございますからブラジル国籍を持っている日系人が我が国に入国、滞在しているという現象は私どもとしても認めているところでございます。正確な人数は、一たん国内に入って何人残っているかというのは、外務省としては必ずしも把握できないわけでございますが、まあ推定を在外公館で現地の日系人会等とすり合わせてした限りでは、日系人全体として四、五万人ということかと思われます。
 さてそのような形で日系人が我が国に大量に来ている、現地の国からすれば流出しているということかと思いますが、しかし基本的にはいずこの国も国民の移動の自由ということかと思いますが、特に日系人が多く出ているということが現地の政府の注意を引いているという現象は、今のところ私どもは聞いておりません。もちろん、例えばブラジルのような国ですと、外国で就業をすることについて、ブラジルの国内で募集をするという行為、これはやはり現地の労働問題になりますので、一定の法律上の規制がございます。ただ、ブラジル国民個人が外国に行く、それがドイツであれ、イタリアであれ、日本であれ、行くということそのものについては特に規制はないと承知しております。
 以上でございます。
#50
○櫻井規順君 ちょっと外務省に最後の質問で、日本とブラジルとの友好関係に特に意を用いていただきたいということを要望しておきますが、その辺の現地採用の仕方に問題があって、ブラジル側の問題があるという御指摘があるわけですけれども、ぜひブラジルと日本との友好関係の配慮を願いたいということを要望しておきます。
 同じことで、ブラジル人の日本への入国問題について、法務省の方ではどんなふうにごらんになっていますか。ちょっとお聞かせいただけますか。
#51
○政府委員(股野景親君) ブラジルの方が日本に最近入国する数が大変ふえているということは委員御指摘のとおりでございます。ただこの中で、それではいわゆる日系の方々がどのぐらいおられるのかという数については、そういう統計をとっておりませんので把握ができないわけでございます。ただこの方たちは、日系の二世あるいは三世として、日本人の子供であられる方々あるいは日本に近親者を有せられる方々ということであることにかんがみまして、この方たちについては新法のもとでは新たに別表の第二の「定住者」という在留資格に該当するものと判断して、そういう待遇を与え、その意味での在留の活動にも特段の入管法上の制限は設けないという取り扱いをさせていただくことにいたしております。
#52
○櫻井規順君 私の質問を終わります。
#53
○北村哲男君 私は、最高裁判所の方に御質問したいんですが、国選弁護料の問題についてお伺いしたいと思います。
 我が国の刑事裁判における国選弁護事件の占める割合が最近年々増加しておりまして、六十三年度の司法統計によりますと、地方裁判所事件では五万六千三百十八人ある中で国選弁護人がついた事件が三万六千人、全国平均で六三・九%、簡易裁判所の事件では一万一千八百八十一人中九千九百九十四人の国選弁護人がついて、これが実に八四・一%に達しておるという統計がございます。
 このような弁護状況は、今や被告人の基本的人権を擁護して、我が国の刑事司法を被告人の立場から支えているのが国選弁護人制度であるということを示しつつあるように見えるんですけれども、この傾向について最高裁はどのように受けとめておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
#54
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) ただいま委員が御指摘されましたように、国選弁護人の選任事件が年々増加してきております。そのような傾向にかんがみまして、私どもといたしましては、国選弁護活動の充実ということ、そのための国選弁護人の報酬の増額という面においてなお一層の努力を重ねていかなければならないというふうに考えております。
#55
○北村哲男君 お言葉ですが、にもかかわらず、これを担う弁護人に対する報酬が余りにも低過ぎるということは、制度として極めて不正常なものであると言ってよいと思いますが、それについても、日弁連から毎年、最高裁判所を初め関係当局に対しまして国選弁護料の増額要求が行われておりますが、この要望に対して最高裁判所も一定の対応をされている、もちろんそれはわかります。しかし、先般、最高裁判所関係の予算の説明の際に、国選弁護料についての説明をお伺いしたところ、前年度比四・二%増額をされたというふうな報告をされました。そして、その根拠というか、それに関連しまして、いわゆる人事院勧告の三・一一%増額と比較して、これは手厚い扱いがなされているという説明もなされておりました。
 しかし、その額を具体的に見ますと、国選弁護料、弁護人の弁護活動に対して昨年は一件当たり五万九千円であったものが、ことしは六万一千五百円、すなわち四・二%プラスなんですが、金額にするとわずか二千五百円ということになるわけです。この傾向はずっともうこの数年続いておりまして、この五、六年を見ましても、パーセントはともかくとしても、一年に大体二千円ずつぐらいの増額がなされているように見受けられます。一方、日本弁護士連合会の弁護士報酬規程を見ますと、刑事事件については着手金二十万そして報酬金二十万という、これは最低額なんですが、これはもうかなり前からの決められた額であります。
 私は、このまま推移していきますと、被告人の基本的人権を擁護し、有効にして十分な弁護活動を保障することが次第に困難になりつつあるおそれが現実のものになって、ひいては国選弁護人制度の健全な維持にも重大な支障を来すことになりかねないということを申し上げたいと思うわけです。
 言うまでもなく、人権をいかに最大限に保障するかという国家の果たすべき役割は、今日本が世界に問われていると言っても過言でないと思います。先日、盧泰愚大統領もお見えになりましたけれども、その際にも、在日韓国並びに朝鮮人の人権の問題が大きく問題になろうとしておりますし、また、先ほどから問題になっております外国人労働者の人権問題も大きくクローズアップされております。また、先日来というか、ちょっと前に問題になりました、また法務大臣にも直接お伺いをしてお願いをした中国民航のハイジャック事件についても、人権問題が大きく取り上げられました。
 このように、日本が人権国家として世界に認知されるかどうかということは今世界じゅうが注目しているところであるというふうに私は考えておりますけれども、同様に、日本の刑事被告人の人権保障は、裁判所、法務省も気を配っていただいていることはわかるんですが、刑事裁判の現場で一被告人の立場に立ってこれを支えておるのは、まさに全国にたった一万四千人ぐらいしかいない弁護人、弁護士の集団の犠牲的な立場によって支えられてきているとも思います。
 そこで、最高裁判所は、この国選弁護人の報酬、そして訴訟の必要経費等の予算要求に関連して、毎年公務員給与についての人事院勧告の増額率を参考に、これを多少上回ることをもって努力しているというふうに言っておられますけれども、この人事院勧告の改定率を基準とすることは、国選弁護人の憲法上の地位、すなわち国家的機能とその職務内容との関係で相当なものであるかどうか、この点についてどうお考えかお聞きしたいと思います。
#56
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 近年、財政事情が非常に厳しい状況であるところ、私どもといたしましては財政当局の御理解を得ながら国選弁護人の報酬につきましてはただいま委員も仰せのように人事院勧告のアップ率よりは手厚いところで引き上げを実現してきたところでございます。もとより、ここで人事院勧告のアップ率ということを取り上げておりますのは、公務員給与の改定率を増額の一応の目安ということで、これよりは手厚い増額を図っていこうという趣旨のものでございまして、私どもとして国選弁護人の報酬が公務員の給与と同質、同等のものというふうに考えておるわけではございません。私どもといたしましては、この報酬額を決めるに当たりまして委員御指摘のとおり国選弁護人の弁護活動というものの重要性ということを十分に考えまして、また法廷活動のみならず、弁護活動をするには公判前の準備活動等も必要である、したがってそれらも十分しんしゃくされるべきものであるというふうに考えておるわけであります。
 何分にも、最近の厳しい財政事情ということが一方の背景にございますので、私どもといたしましては先ほど御指摘の日弁連からの要望等につきましても真摯にこれを受けとめながら、そしてその御意見をも十分に参考にしながら毎年報酬の増額を図ってきているところではありますが、結果としてはただいまのところベストを尽くしてこの程度の改定率で今のところはやむを得ないというところに終わっているわけでございます。ただ、委員御指摘のような点は今後とも頭に置きまして鋭意努力を続けてまいりたいと思っております。
#57
○北村哲男君 最高裁は前からもう随分、私の知っている限りでも昭和四十七年ごろからともかく日弁連の基準に近づけたいというふうには言っておられる、これはもうお変わりないと思うんですけれども、それにつけましても何やら随分遅々として進まないということで、日弁連あるいは弁護士の世界もいらいらしておるということがあります。
 ところでいま一点ですが、最高裁判所は国選弁護人の報酬の予算要求、これは予算書を見ますと総額において大体二十八億円程度になっておるようですけれども、一方において訴訟費用負担の裁判による徴収が九億円ぐらいあるということも資料によるとあるわけです。そうすると、国庫の負担率は全体から見ると差し引き三分の二で十九億円ぐらいしか国からはもらっておらないということになるんですが、そうなると前年度よりもだんだん片や多くなり片や少なくなるということで、差し引き国選弁護料は弁護人の努力による収入と支出が少なくなっていくような感じがしているんですけれども、その辺についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#58
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) ただいま御指摘のように、訴訟費用の負担ということで国にある額が返ってくる、その分も相当あるという事実は十分に踏まえましてこれまで増額の努力をしてまいりましたし、これからもその辺のところは十分勘案しまして努力を続けていきたいと考えております。
#59
○北村哲男君 こういう質問は毎年のように行われておりますから大体同じようなお答えをいただいておるということがもう繰り返されておるんですけれども、しかし近年というか、この一、二年、また数年、一つは確かに報酬の問題もあるんですが、記録の謄写費用とか、それから面接に行く時間とか打ち合わせの時間とかということがだんだん弁護士の負担として多くなっております。また、先ほどの外国人の刑事事件がふえてくると通訳料なんかも問題になってきます。これらは報酬とは別に支払われるようになっておるんですけれども、どういうところからどういう根拠で支払われるようになっているんでしょうか。あるいは、それについて枠があって、これはもう相当大幅にそっちの方は請求できるような形になるのかどうか、その辺について御説明いただきたいと思います。
#60
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 御承知のように、刑事訴訟法の三十八条二項によりますと、弁護人――国選弁護人でありますが、これは「旅費、日当、宿泊料及び報酬を請求することができる。」というふうに規定しておりまして、国選弁護人に支払う報酬は国において支給するわけでありますけれども、国といたしましては、国選弁護人に対し、定額の旅費、日当、宿泊料以外はすべて報酬という形で支給することになるわけであります。
 そこで、謄写料等の諸費用につきまして、大体通常の事件で要すると見込まれる程度の額の分につきましては、いわゆる国選弁護報酬の支給基準の中に織り込んであるわけでございますが、それ以上に個々の具体的な事件の性質とか、あるいは今御指摘のような外国人の事件で特に被告人の防御に経費を要したというようなことで、特に訴訟活動をする上で必要であったというふうに認められる分につきましては個々の報酬決定の際に別にその分を参酌することになります。そのために、実際にも個々の事件を見ますと支給基準よりはかなり多く支払われているケースもあるわけでございます。
 特に、ただいま委員のお話の中に謄写料のことが出てまいりましたけれども、この謄写料相当分につきましては、これまでも報酬支給決定の際にこれを別枠でこの謄写料相当分ということで明記いたしまして、その分につきましては所得税の源泉徴収の対象にしないという取り扱いをしてきております。また、この支給の運用に関しましても必要な分の支給については十分に配慮してきておるところでございますが、さらに最近の日弁連の要望等も踏まえまして、今後この点につきましては一層の努力を図りたいと思っております。
#61
○北村哲男君 最高裁判所の事務総局通達というんでしょうか、最高裁判所から高等裁判所あるいは地方裁判所、家庭裁判所あてに、国選弁護人の報酬の支給基準に関する通達というのが出されております。ここにおきまして、資料として当然おわかりと思うんですけれども、「予算の執行上支障を生ずることのないよう特に配慮してください。」とあります。まあその前段としては、活動の実態に応じてお金を払うように、あるいは費用を支弁するようにということは十分言ってあるんですが、そしてその「訴訟の適正かつ迅速な運営に寄与した弁護人の弁護活動に報いる」ようにしてくださいという前半はとてもすばらしいんですが、しかし後半に、「予算の執行上支障を生ずることのないよう特に配慮してください。」ということが入っているわけですね。
 そして、日弁連が調べたところによると、先ほどの一件三開廷平均で六万一千五百円になるのが最低の基準、あるいは普通の基準らしいんですが、全国平均ですとそれを下回る例が相当あるというふうに資料によると出ておるんですけれども、質問は、「予算の執行上支障」とは一体何かということと、実際に基準よりも低い支給例というのがかなりあるというのは要望書にも出ておりますが、それは事実なのか、その二点についてお伺いしておきたいと思います。
#62
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 御質問の前段の方でございますけれども、ただいま仰せのように、最高裁判所におきましては報酬額決定の便宜を考慮いたしまして、一応の基準として参考支給基準というものを示しているわけであります。この参考基準は標準的な刑事事件につきまして、これまでの支給基準や各庁における支給の実情等、諸般の事情を勘案した上で決定しているわけでございます。ただ、もとより、国選弁護人の報酬の額の決定ということはあくまでも個々の受訴裁判所の裁量にゆだねられているものでありますので、この支給基準は受訴裁判所が報酬額を決定する際の便宜上、一応の参考として作成されているものでありまして、受訴裁判所を拘束するものではございません。ただ、仮に、各裁判所におきまして国選弁護人の報酬を定めるに当たり、この支給基準を全く無視するとか、あるいは大きく逸脱して決定されるということになりますと、これはもう予算に大幅な不足を生じ、文字どおり予算の適正、円滑な執行が阻害されることになりかねません。その意味での「予算の執行上支障」という言葉でございます。
 それから後段の方でございますが、これは先ほど委員からも御指摘のように、この支給基準自体は典型的な通常の事件を頭に置きまして、三開廷を前提にした基準でございます。実際の事件では一開廷、二開廷で終了するものもたくさんございます。そういったものも入れて平均を出しますと支給基準よりも若干低いところになる、こういうことだけでございまして、三開廷の事件でこの基準よりも下回った額が払われるということはまずないものと私どもは理解しております。
#63
○北村哲男君 わかりました。
 ところで、国選弁護の問題ですが、日弁連が最近、国選弁護シンポジウム記録集というのを出しまして、これも当然最高裁判所には届いております。これを見ますと、最近の刑事裁判の形骸化ということが非常に危機感を持って叫ばれております。また、私は、形骸化あるいは空洞化というふうな事態になりつつあるということもあると思います。それを一つ指摘しておきたいと思います。
 というのは、従来、国選弁護は、若い弁護人というか、若い層と、言いにくいことですけれども現役を引退されたような弁護士層に支えられておりまして、それはかなり前のことですけれども、やや弁護活動が余り活発でない、内容が余り充実してないということを言われておりました。その原因は、確かに中間層になると事務所経営に苦労している、大事だとは思いながらも国選弁護に多くの時間を費やすことが不可能であるという、原因は前も今も変わらないんですが、かつてそうであったけれども、しかし近年、弁護士会の努力と、そして多くの若い優秀な人たちの努力で国選弁護活動が全体として非常に充実をしてきたというふうに言われてきておると思います。私も長いある期間弁護士会の国選弁護委員会の役員をやってまいりまして、そのことを裁判所からも評価されてきた経過があります。
 ところが、それをせっかくやってきましても、ますます確かに弁護士に対する経済的な負担というのは大きくなってきているということと、もう一つ最近の傾向として、国選弁護というものが若い層からそっぽを向かれているという事態が生じております。というのは、若い弁護士層が一体どこを見ているのかといいますと、それはすべての傾向でもありますけれども、国際ビジネス社会あるいは日本の企業社会の弁護士としてどのようにやっていくか、収入もよいし格好もよい、そして世間から脚光を浴びてやりがいもあるということから、若い優秀な人たちが雪崩を打ってそういう国際関係の方に流れていっているという傾向があります。そうして事務所についても時間当たりの収益をもとにしてフィーの請求をするわけですから、とても高いものが取れるということ。そして企業もそれに応じて払う。どんどんどんどん格差が広がってきておりまして、国選弁護が非常にやりにくくなっておるということですね。ある意味では危機感があるわけです。
 そういうことから新しい形の刑事裁判の形骸化ということがありますので、その点について社会正義の実現とすぐれた国選弁護制度の発展のために刑事裁判の充実、そして活性化のために最大限の努力をしていただきたいと思います。これは私の意見です。
 最後に、今回弁護士会が裁判所に対して要望しております一つは、少なくとも国選弁護一件当たり十五万円の報酬を出していただきたいということ、そしてそれに伴って必要とする記録謄写費、交通費そして通信費の実費は必ず別途に支給できるよう予算上計上していただきたいという最低限の要望について裁判所はどのような覚悟で臨んでおられるかということをお伺いしたいと思います。
#64
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) ただいま委員が指摘されましたように、弁護士先生の間で刑事弁護離れという傾向がかなり見られるということは私ども裁判所の者としましても大変遺憾に思っておりますし、このことは国選弁護に限らず私選弁護にも見受けられることであります。
 一方、国選弁護人として若い弁護士さん方がついた場合にはひとつ大いにやってやろうということで大変熱心に国選弁護の事件の活動をしてくださる若い弁護士さんも非常に多くなっておられます。この点につきましては私どもとてもありがたい傾向であるというふうにも思っております。
 そういったことを踏まえまして、私どもといたしましては、そういうふうに国選弁護活動を充実してやってくださる方々になるべく負担を少なくしてその労に報いますように、今後とも大いに報酬の増額という点ではその辺のところを十分に踏まえて努力してまいりたいと思っております。
#65
○北村哲男君 それでは、次の問題一点だけお聞きしておきたいと思います。
 それは起訴前の刑事被告人に対する国選弁護人制度の問題であります。
 現在、まだその制度はできておらないんですが、我が国の刑事事件中勾留事件は年間約十万件あるというふうに聞いておりますが、勾留段階から弁護人がつけば弁護活動も比較的無理がなくて、また示談など起訴するまでの事案に至らないこと、あるいは冤罪の防止というためにも必要な制度だと思います。ところが一方、捜査機関のいわゆる目的といいますか、捕まえておいて早く処理したいといういわゆる義務の衝突、弁護人の義務とそれから捜査機関の義務の衝突があるためか、捜査機関は起訴前の弁護人をなるべくつけたがらない。そして、なるべく起訴後の国選弁護を勧めるような言辞が被告人に対してあるということも報告として時々見られることもあります。その選任の時期がおくれればおくれるだけ被疑者あるいは被告人を不利益な立場にやる結果になって弁護活動も非常に不利な状態から始めなければならないことになりまして、そのハンディを公判段階で克服した上で活発な弁護活動を展開することは、私選弁護に比べて国選弁護が何倍もの負担を国選弁護人に課する結果となって、捜査段階はもとより公判段階における国選弁護活動の内容を充実するためには、捜査段階からだれもが現実に弁護人を依頼できる制度的保障が必要であるというふうに私は考えるわけですけれども、その刑事弁護という法的サービスを受ける国民の側から見れば、起訴後にしか国選弁護人の選任が認められてない現在の弁護人制度そのものに問題もあろうと思います。
 その辺で、裁判所に対してまず被告人の人権を制度的に保障する立場からその制度の確立についてどうお考えかを聞きたいと同時に、この制度の導入に対して制度上の問題点やあるいは国際人権規約等の問題などから、あるいは問題があろうかとも思いますけれども、法務省に対してその点についての御意見をお伺いしたいと存じます。
#66
○政府委員(根來泰周君) この問題は、昭和六十三年の四月にこの委員会で千葉委員からも御指摘がありまして、当時の刑事局長が詳細答弁をしておりますのでそれを援用したいと思いますけれども、先ほどお話のありましたように、捜査の構造、要するに職権的である、職権主義的な構造をとっている、あるいは合目的的な色彩があるということから、現行の刑事訴訟法体系からなかなかとりにくい問題であろうという御答弁をいたしているわけでございまして、その答弁は現在もそのとおりだと考えております。
 なお、付加して申し上げますと、先ほど来先生がおっしゃっておった被告人に対する国選弁護の問題、これは非常に大きな問題でございます。いろいろ問題点がございます。これは私どもが言うわけではございませんけれども、例えば私選弁護を選ぶ資産があるのにどうして国選弁護をつけるのかというような意見を言う方もいらっしゃるわけでございます。
 そういうこと、いろいろの問題はやはり検討しなければならない。公判段階の国選弁護人の制度をもっと充実させなければならないという問題があるときに、被疑者まで広げていくということを考えるということよりも、そちらの方がまず大事ではないかという感じを持っております。
#67
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) この問題は、制度論、立法論ということにわたることでございますので、裁判所、私どもの立場といたしましては意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。もちろん、そのような制度を採用すべきであるという意見が多方面においてあるということはよく承知しておりますし、また国選弁護活動の充実という観点から、その点につきましても議論が深化すること自体は結構なことであるというふうに思っております。
#68
○北村哲男君 終わります。
#69
○委員長(黒柳明君) 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#70
○委員長(黒柳明君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#71
○下稲葉耕吉君 私からはまず、去る五月二十五日に行われました日韓法相会談についてお伺いいたしたいと思います。
 盧泰愚大統領の来日に伴いまして五月二十五日でございましたか、夕刻、長谷川法務大臣と李種南法相との会談が報道されております。各紙の報道を読みますと大体共通でございますけれども、
  在日韓国人の法的地位・待遇問題は、外相、法相両会談で取り上げられ、指紋押捺の適用除外を、三世だけでなく在日二世に対しても拡大して適用していく方向になるなど一応の前進を見た。
  しかし、法務省で行われた長谷川法相と李種南韓国法相との会談では、李法相は在日韓国人問題に対するわが国の対応について、「以前より相当改善されているが、我々の期待に沿うほどのものではない」と不満を表明。@指紋押捺義務、外国人登録証の常時携帯義務を在日一、二世も含めて廃止するA退去強制事由の全面撤廃B協定永住を申請しなかった在日韓国・朝鮮人に協定永住者と同一の地位を付与C戦前日本に居住し、一時本国に帰国したことがある「潜在居住者」への永住権付与――の四項目を要求した。
  これらの要求は、日本側にとって実現が難しいものばかり。
云々と、こういうふうになっておるわけでございますが、まず会談の内容について伺いたいと思います。
#72
○国務大臣(長谷川信君) 今、下稲葉委員からお話がございましたように、二十五日の日に李種南法相と私となお関係者を含めて会談をやったわけであります。
 結論から申し上げますと、非常に友好裏にまた親善的に行われたわけでございまして、いろんな報道がなされておるようでありますが、基本的には極めて親善のうちに終始しておったということであります。なお、大ざっぱに申し上げ、後でまた若干政府委員からも御答弁をいたさせますが、基本的には事前に取り決めました点についてはこれは全部両国の了承でやります。
 なお、今お話しございました幾つかの点等々につきましてそれぞれ意見がありましたが、これも何というかけんか別れとかそういうことでなく、いろいろこれからひとつお互いに機会を見て話を詰めていこうじゃないかということで、とげとげした感じは全くありません。極めて友好のうちに終始したということであります。
 細部の逐一のことにつきましては政府委員から答弁させます。
#73
○政府委員(股野景親君) 先般の日韓法相会談の概要についてはただいま大臣から申し述べられたとおりでございますが、その際議題とされたところは、ただいま大臣からも御披露ありましたとおり、在日韓国人の法的地位と待遇問題を初めとして両国間の法務当局者の交流拡大問題、刑事・司法における両国間の相互協力問題について意見交換を行い、また日本側からは不法就労者の抑止という問題について協力要請を行ったということがございます。
 そして、在日韓国人の法的地位と待遇の問題について、さらに委員のただいま御指摘の点について触れさせていただきますと、本来この日韓法相会談は両国の共通の関心事項について意見交換を行うために開かれたものでございまして、交渉を行うためのものではございませんでした。したがって、例えば合意に達するとか、あるいは物別れになるというような場ではなかったということでございます。
 そういう中にあって、在日韓国人の法的地位問題に関して、在日韓国人に対する退去強制の撤廃、協定永住未申請者への協定永住の付与、潜在居住者の法的な救済及び一、二世に対する指紋押捺義務の免除、登録証明書の常時携帯制度の撤廃などの点が提案をされたところでございます。
 これに対して、我が方の法務大臣より、先般まとまりました在日韓国人の三世問題の対処方針に基づいて、法務省の所管事項に関してこれから法令の改正等具体策について検討していくこととなる、その具体策を固めていく中で韓国側の要望の趣旨を念頭に置きつつ検討する考えである、こういうことを先方に伝えたという次第でございます。
#74
○下稲葉耕吉君 今のお話はわかりました。
 日本と韓国とは非常に歴史的にも古い関係にございますし、一衣帯水の両国関係でございますから親善の実を上げて、それぞれの立場を尊重しながら協力し合っていくことが基本的に大切なことだと思うのでございます。
 そこで、韓国人三世の指紋押捺問題に関連いたしまして、これは韓国人三世に限るのか、あるいは韓国以外の国交を持たない国の人たちについてはどういうふうなことになるのか、その辺のところをお伺いいたしたいと思います。
#75
○国務大臣(長谷川信君) 今、委員のお話の指紋押捺の問題でございますが、これはまだもちろん決定いたしておりません。部内関係者の中の打ち合わせもまだ結論は出ておりません。これから十分またいろいろ、今政府委員が話したようにあらゆる角度から検討して、あるいは歴史的な経緯その他いろいろ踏まえて方向づけをしたいということでございまして、今まだ決定したという段階でございませんので、若干時間をひとつちょうだいいたしたいと思っております。
#76
○下稲葉耕吉君 私どもは本籍なりなんなりございまして人定条項がはっきりするわけでございますが、特に国交のない国との関係におきましては、人定あるいは住居関係の特定ということにつきまして大変難しい問題があるだろうと思うのでございます。そういうようなことで指紋押捺問題が今日まで継続している、このように私は理解するわけでございますが、やはり日本の国内においていろいろな法律的な活動をなさる人たちの人定の問題について、もしとんでもない間違い等が起きますと、逆に人権上の問題にも発展することがあるわけでございますから、その辺について十分な対応をお願いいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#77
○国務大臣(長谷川信君) 十分になお慎重に、いろいろ各種各層の意見も拝聴いたした上でひとつ決定をいたしたいというふうに考えております。
#78
○下稲葉耕吉君 それでは、話題を変えまして、最高裁判所に司法修習生の問題を中心にしてお伺いいたしたいと思います。
 ここ数年で結構でございますから、司法修習生を終了いたしました方々がそれぞれ判事補、検事、弁護士になられるわけでございますが、大ざっぱで結構ございますが、その数字をお伺いいたしたいと思います。
#79
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) この五年間に司法修習生の修習を終了いたしました者は二千三百三十九人でございます。年平均いたしますと四百六十八人になります。このうち裁判官になりました者は三百四十二名でございまして、年平均いたしますと六十九人になるわけでございます。一方、弁護士になりました者は千七百九十二名でございまして、年平均いたしますと三百五十八名という数字でございます。
#80
○下稲葉耕吉君 大体四分の三ぐらいの方々が弁護士になっておられる、そういうふうに今の数字から拝見いたしまして理解するわけでございます。そこで、修習生を終わられましてそれぞれ三つの分野に分かれられるわけですが、分かれられるについては全くの自由意思でなさるのか、あるいは裁判所なりあるいは検察庁なりあるいは弁護士会の方からいろいろなお話があって、そして結論的にこういうふうな形になるのか、お伺いいたしたいと思います。
#81
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) 司法修習生の進路は、それぞれ修習生の全くの自由意思でございます。ただ、教官がおりますので、教官が修習生から進路につきましていろいろ相談を受けた場合には進路指導には当たっている、こういう状況でございます。
#82
○下稲葉耕吉君 それでは、予算書にちょっと入りたいと思いますが、平成二年度裁判所所管一般会計歳出予算各目明細書、この四ページ目に裁判所職員の研修に必要な経費、そのうち司法修習生手当三十二億四千万何がし、こういうふうに出ておりますが、これは今お話しの修習生の手当といいますか俸給といいますか、そういうふうなものである、このように理解してよろしゅうございましょうか。
#83
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) 修習生には給与を支給することになっております。この給与はほぼ国家公務員に準じて支給されておりまして、本俸のほかに扶養手当でありますとか調整手当等が支給されておるわけでございますが、そういったものをすべて含んだものがここにあります司法修習生手当の予算でございます。
#84
○下稲葉耕吉君 そうしますと、二年の間に一人の修習生が国から受けられる俸給等は幾らになりましょうか。
#85
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) これは概算でございますけれども、司法修習生が一年間に受けます司法修習生手当は約三百一万円でございます。
#86
○下稲葉耕吉君 法曹一元化ということで修習を一緒におやりになるということは、私理解できるわけでございます。普通の常識から申し上げますと、大学を卒業して就職する、あるいは一つの技術なりなんなりを身につけるというふうな場合には、修習を受ける人が月謝なりなんなり払って、そして資格を得るというのが常識だろうと思うんです。あるいは特定の役所に入りまして、その役所の人たちが、何といいますか公務員としての研修なりなんなりを受けるというのは、それはやはりそれぞれの役所の目的に従って研修を受けるわけですから、それはいいんですけれども、弁護士さんになる、在野法曹で大いに国家権力と闘おうというふうな気持ちを持っている人もおられると思うんですね。それは七五%全員か、あるいは幾らか知りませんよ。そういうふうな人たちが年間三百万ぐらいの俸給なりなんなり国からもらう。しかし、国からもらうのは潔しとしない、それはもう返したい、我々はいろいろ研修は受けるけれども、国から手当なんかもらってそういうふうにやるのは我々の在野精神に反するというふうなことでお話し合いのあったような修習生はいらっしゃいませんか。どうでしょうか。
#87
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) 今までのところ、そういうお話は承ってないわけでございます。
#88
○下稲葉耕吉君 私は昔、御承知かもしれませんが、警察におりまして、警察大学校の校長をやったことがあるんです。そうしますと、上級職に受かった諸君がいわゆる将来の警察幹部の卵として入ってまいりますね。そこで、何カ月かの研修をやるわけです。この諸君がまずびっくりしましたことは、警察大学校へ入った、今までは大学へ入っているときは我々は月謝を払っていた、今度は月謝何も払わぬでいい、そして制服まで着せてくれる、おまけに給料までもらう、びっくりしましたと、まだ一人前になっていないのにね。
 防衛大学の卒業生が任官を拒否いたしまして転換する。そうすると、それがけしからぬとか何だかんだという議論がある。国が何年かかけて自衛隊の幹部になってもらおうと教育した人たちが途中で転換していく。それがけしからぬとかいいとか、いろいろ議論があるのはわかっておるわけです。それについても相当な金を今までかけたと。弁護士さんになる人は、本来在野で一生懸命弁護活動なさろうというふうなことに対しまして、国が二カ年間とはいえ、今申し上げましたように俸給なりなんなり払ってやるということについて若干私、感ずるところがあるんですが、最高裁としては何か御感触ございませんか。
#89
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) ただいま委員の御指摘の点に関しましては、いろいろな考え方があろうかと存じますけれども、現在の制度が弁護士となる者に対しましても、国家が養成の便宜を供し、費用を負担しておりますことは、弁護士業務の司法運営上の公共的な意義を重視したものであろうかというふうに考えております。裁判官、検察官、弁護士は司法の作用をつかさどりまして、またこれに携わる者といたしまして、法曹というふうに総称されているわけでございますけれども、この三者の分化は司法に寄与する面の差異によるものでございまして、いずれか一つの職務の遂行が不十分でございましても国家の機能たる司法の運営が不完全となる、そういうおそれがあるわけでございます。
 裁判所法が定めております司法修習生制度というものは、この法曹を統一的に養成することによりまして司法制度の適正かつ円滑な運営に寄与しようとするものでございます。司法修習生に給与を支給するというのも、この統一的な司法修習制度を経済的に支えようとするものでございますので、その点をよろしく御理解をいただきたいというふうに考えている次第でございます。
#90
○下稲葉耕吉君 最高裁で当然そういうふうな御答弁をなさるということは、憲法についての解釈権までお持ちの最高裁でございますので、私も当初から予定いたしておりますけれども、我々政治家として、やはり法曹の一元化で、そしてまた修習生の同期生という方々の結束が非常に強い。裁判官なり検察官なり弁護士の方々が一緒になっておやりになる。これは非常にうらやましいことで、私はいいことだと思うんですけれども、そういうふうなことと、今の制度上の問題が果たしてマッチするかどうかなといういささか疑問を持ったものですからきょう御質問をいたしたわけでございます。その問題はその程度にとどめておきます。
 それから三番目にお伺いいたしたいのは、先般来いろいろ問題になっております麻薬等薬物問題についてお伺いいたしたいと思います。
 去る三月二十三日、予算委員会におきまして私が質問いたしました。この問題についての法務大臣の御答弁をいただいたわけでございますが、私は、今国会に提案されております向精神薬条約の批准の問題ではなくていわゆる麻薬新条約、正確には麻薬及び向精神薬不正取引防止条約について、もう既にことしの二月二十日にアメリカは国連に批准書を寄託いたしております。麻薬問題は国際的に大変な問題になっているわけでございまして、政府もこの新条約の批准に向けて国内法等の整備を早急にやるべきであるという立場から質問申し上げたのでございまするが、その際の法務大臣の答弁に若干行き違いがあったんじゃないかと思いますけれども、改めて麻薬新条約の批准に向けましての法務大臣の御決意をお伺いいたしたいと思います。
#91
○国務大臣(長谷川信君) お答えをいたします。
 御指摘の条約は、薬物犯罪鎮圧のため重要な条約と考えており、関係各省庁と協力して早期批准の実現に努力をいたすつもりであります。
#92
○下稲葉耕吉君 実は私、昨年、ブッシュ大統領の就任式に参る機会を得たのでございまするが、宣誓を終えまして大統領に就任した最初のスピーチの中で麻薬という問題が二カ所も触れられているわけでございます。その中で、特に麻薬を強調しておられるところを申し上げますと、
  われわれが社会として団結して立ち上がり、我慢ならないことを表明しなければならない、はっきりした場面はめったにない。今一番はっきりしているのは麻薬である。最初に船で密輸されたコカインは、致命的な細菌といっていいほど、麻薬がこの国の身体を傷つけてきた。されなければならず、言われなければならないことはたくさんある。しかし「この災禍を止める」という私の言葉を銘記してほしい。
というふうなことでございまして、その後の両院合同会議におきましてももう少し具体的に麻薬の問題を取り上げておられます。アメリカで麻薬の被害を受けている人たちは数千万人とも言われているわけでございまして、大変熱心に取り組み、そしてことし国連総会におきましても特別総会が開催されまして、参加百十二カ国の代表が麻薬に対決する姿勢を総会でスピーチいたしているわけでございます。
 そういうふうな過程の中で、日本は主として覚せい剤でございましたけれども、それでも毎年二万名前後の検挙者を国内で見ているわけでございまするが、国際的に見ますとまあまあ平穏な国である、このように思われる。ところが最近、覚せい剤のみならず、コカインですとか大麻ですとか、そういうふうなものが大量にこの日本に密輸されつつある、日本がそのターゲットになっておるんじゃないか、このように危惧されるわけでございます。私は、国際的な協調を強めるためには、やはり日本が一日も早く麻薬新条約を批准するための国内法の整備を急がなければならない、このように思うわけでございます。
 そういうふうな立場から検討いたしますと、その新条約の中には今までの日本の法制とは必ずしもなじまないマネーロンダリングを犯罪化する、あるいはコントロールドデリバリーの問題等があるわけでございまして、新条約批准に向けて国内法の整備に取り組んでいただいておるわけでございまするが、法務省としての問題点とそれに対する決意をお伺いいたしたいと思います。
#93
○政府委員(根來泰周君) ただいま委員から御指摘のありました麻薬新条約の批准のための必要な国内法の整備でございますけれども、私どもといたしましてはその罰則及び刑事法制度に関連する部分に関して現在洗い出しの作業を実施しているところでございます。
 先ほど委員からも御指摘のありましたいわゆるマネーロンダリング罪の新設の問題、二番目は自国民の国外犯の処罰の問題、これは麻薬犯罪を日本人がアメリカで犯して日本に逃げ帰ってきたというときに、逃亡犯罪人としてアメリカに引き渡せるかどうかという問題がございますが、そういう問題に関連した事柄でございます。それから、没収、追徴の範囲の拡大あるいは没収、追徴対象財産の保全のための凍結差し押さえに関する問題、それに関する国際共助手続の新設、それからコントロールドデリバリーということでございます。そういうことについては、委員の御指摘のありましたように、日本の制度に今までなかったところでございますので、私ども刑事局といたしましてはチームをつくりましていろいろ外国の法制等も研究いたしまして、できるだけこの条約の批准に持っていこうということで努力をしているところでございます。
 もっともこの問題につきましては、例えばマネーロンダリングの問題につきましては、いわゆる銀行行政、金融行政と密着に関連した問題がございます。そのほか、この薬物犯罪というのは厚生省の所管でございますので、厚生省あるいは大蔵省、あるいは仮差し押さえ、差し押さえの問題については裁判所の御意見も伺わなければならないわけでございますので、そういう関係当局と十分協議を続けているところでございますが、いずれにせよ委員が御指摘のありましたように麻薬戦争に勝つためにはこういう武器を日本が持たなければならないということは自明の理でございます。そういう点で努力をしているわけでございますが、一方には人権の問題がございますので、その兼ね合いも考えつつ検討を続けているところでございます。
#94
○下稲葉耕吉君 今国会に批准書が提案されておりますいわゆる向精神薬条約の問題にいたしましても、これはもう一九七一年に日本は調印いたしました。今国会成立すると思うのでございますが、麻取法等国内法の整備の問題と一緒に提案されておりますので、議員各位の御協力を得て成立させていただけるものだと私は思っております。それにいたしましても十九年かかっているわけでございまして、一九八五年からのサミット、先進国首脳会議の議題をずっと見てみますと常に麻薬の問題が出てくる。七月にはヒューストンでまたサミットが行われるわけでございますし、当然主催国であるアメリカが大きな関心を持っておりますだけに、この問題も重要な課題として取り上げられることは間違いないことだと思うのでございます。
 今刑事局長からお話がございましたように、国内的にも大変難しい問題があるわけでございまして、私はヒューストン・サミットまでに国内法の整備のための法案が必ずしもそこまでできるとは思いませんけれども、少なくともそういうふうなことを一つのめどとして改正の方向だけでも位置づけていただくべきではなかろうか。そういうふうな意味で関係省庁との強力な協力、努力をお願いし、そしてこのような国際的にもまた国内的にも大きな問題になっております麻薬等薬物関係に対処していかなければならない関係当局のせっかくの御努力を心から期待いたしまして、質問を終わります。
#95
○矢原秀男君 まず、平成二年度の法務省所管の予算関係の中から二、三点質問をしたいと思います。
 まず、第一点でございますけれども、私も兵庫県でございますが、毎年行われますボランティアの大きな表彰式等に出させていただきまして、ボランティアそのものにはいろんな幅広い活動が設けられているわけでございますが、法務省というこの関連の中では、非常に刑罰を受けた人も新しいまた社会で再出発をする、そういうようなことで非常に大切な部門を預かっていただいておりまして感謝を申し上げているわけでございますが、その関連で二、三点について伺ってみたいと思います。
 まず、篤志面接委員制度というのがございます。非常に御苦労願っているわけでございますけれども、これに対する所感をまず伺いたいと思います。
#96
○政府委員(今岡一容君) 篤志面接委員と申しますのは、現在全国の刑務所でございますとか少年院でございますとか少年鑑別所など、あるいは婦人補導院もございますが、ボランティアとして民間の方においでいただきまして、収容者の抱えておりますいろんな悩み事の相談に乗っていただくとか、あるいは趣味とか技能とか教養といったような面について指導をしていただくとか、あるいはスポーツ等を通じて心情の安定といったような面も含めて御指導いただくとか、いろいろな形で御活躍をいただいておるわけでございます。ひっくるめて篤志面接委員というふうに言っておりますが、これは篤志面接委員としてひとつお願いしたいということで委嘱させていただきまして、これは矯正管区長が委嘱いたしておりますが、そういう形で活躍していただいております。
 私どもとしましては、こういう民間のボランティアの方々が矯正施設における収容者の処遇の面で大変重要な働きをしていただいているということは大変感謝しているところでございます。施設の職員あるいは教官がいろんな指導をしておりますけれども、それとは別にいろいろ民間の中で御苦労された、いろいろな貴重な経験をされた、すぐれた技能を持っておられる、そういう方々からじかに収容者が話を聞いたり手ほどきを受けたりするということで大きな感銘を受ける、あるいはそこで自分の考え方を改めるきっかけをつかむというような面が多々ございまして、この収容者の処遇の面でこうした民間の方々の活躍は大変貴重であると同時に、私ども大変ありがたいと思っておりまして、これからもそういう民間の方々の御援助はできる限りいただくような方向でやっていこうというふうに考えているところでございます。
#97
○矢原秀男君 これは、資料では一年間に一万二千七百回も六十三年度は御苦労願った実施回数というものを挙げていらっしゃいますが、人員は今どうなんでしょうか、千百四十三と六十三年の報告を受けているんですが、ちょっとはふえていらっしゃるんでしょうか。
#98
○政府委員(今岡一容君) 大体、現在千九百六十数名ぐらいになっているかと思います。
#99
○矢原秀男君 どうか当局としても本当にこういう方々に対して十分の、やはり物心ともにできるだけの感謝という形で対応していただきたいと思います。
 それと、私も現場でいろいろと御相談を受けながらやはり感銘を受けているわけでございますが、もう一つは保護司の方々も活躍をしていただいているわけでございます。この方たちの御苦労というものも本当に全く尊敬に値するものでございますけれども、今定員が五万二千五百人と伺っておりますが、実員は今どのぐらいいらっしゃるんでしょうか。
#100
○政府委員(佐藤勲平君) 申し上げます。
 ただいま仰せの保護司の実員でございますが、ことしの一月一日現在では四万八千六百四十五人となっております。
#101
○矢原秀男君 非常勤国家公務員という形だと思いますけれども、これまた本当に御苦労願っておりますので、非常に予算は少ないと思いますが、最大の敬意と努力をいただきたいと思います。
 それから、更生保護会についてでございますが、兵庫県の明石にやはり更生保護会というところがございまして、私もかつてお伺いをしましたときに、対応されている方々の姿を見て胸を打たれるような思いで、本当にこれは大変なことだな、このように感じたわけでございます。
 今、更生保護会の実態はどういうふうな状況でございましょうか。
#102
○政府委員(佐藤勲平君) 更生保護会につきましては、委員御承知のとおり更生緊急保護法に基づいて例えば保護観察中の者、それから刑期を満了して刑務所から釈放された者などに対しまして宿泊設備を持っておりまして、宿泊所を提供したり、また食事を供与するといったようなことをした上で、さらに生活指導その他の保護ということをいたしておるわけでございます。
 この更生保護会では、その保護会の職員が被保護者と日常生活をともにしながら、夜でも被保護者の生活指導また就職の援助、それから親族との関係を維持しよくしていくというようなことに日夜努力いたしておりまして、そのような被保護者が泊まっておるところに一緒におりますので、夜でもやはり相談に乗ったり、委員仰せられたように本当に一生懸命努力して、それで本人の早い自立更生のために努力しておるというところでございます。
#103
○矢原秀男君 法務大臣、私も竹下総理大臣のときに予算委員会で、いわゆる本当に社会のためにいろいろの部門で努力をしていただいているボランティアの方々に対する、これは物や金にかえられない、国としてやはり礼を尽くして御協力をお願いしていかなければいけない、そういうふうなことを私は総理大臣に当時訴えたことがございます。法務省としても膨大な予算の中からいろいろの部門に対応されておりますので、本当は大蔵省から法務省にどっと予算をさらにつけて、そうしてこれらの方々に対しても対応すべきだろうと思いますけれども、法務大臣、刑を受けたいろんな方がおりますが、社会で再起するための大きなこれは力になっていただいておりますけれども、こういう方々の御苦労に対して法務大臣としての所感をひとつ述べていただけたらと思います。
#104
○国務大臣(長谷川信君) 今委員おっしゃいましたように、非常にいろいろ仕事はやっていただいておりますが報いるところがほとんどないという形に相なっておることは委員御説明のとおりであります。
 きのうからきょうにかけまして保護司の会だとか人権者の会だとかボランティアの会合の全国大会が東京において開かれております。さっきのお話は恐らく一万人くらいいらっしゃると思います、この間終わったばっかりの人権のボランティア、これは一万三千人とか言っていましたですね。それから、その他のものを含めましてほとんど法務省の仕事は大半がボランティアによって支えられております。
 しかも、今いろいろお話しなさいました点は放置しておくわけにいかないような状況でもございますので、今法務省の予算全体で五千億足らずでございますが、全体からすれば何百分の一ですよ。だから、国の法を守り国民の権利を守るこの法務省がわずか五千億ぐらいでは、これは仕事がなかなか今先生おっしゃるようなことに相なろうかと思うのでございまして、ちょうど予算の時期でもございますので各党からもひとつ御協力をいただきたい。さっきお話がありました入管の問題も、いろいろ御批判もありますが、もとは何といっても場所がない、スペースもない、またいろいろやる金もないということで、職員の皆さん大変な御努力をいただいておりますが、やっぱりいろいろな面で御意見も出ておるのでございまして、究極つまるところ、全部とは申し上げませんが、その理由の多くのものは今矢原委員も御指摘の予算の点に関連をしてくると思っております。
 そういうことでございますので、予算の編成等につきまして、あるいは今後の予算等々につきましてもまた格段の御協力をお願いしまして、今先生のおっしゃったようなことが少しでも実現をするように懸命な努力を注いでいきたいというふうに考えております。
#105
○矢原秀男君 予算関係でございますが、次に法律扶助事業の補助経費について伺いたいと思います。
 これは衆参ともにいろんな話題にもなっておりますけれども、現在法律扶助制度というものは日弁連の財団法人の法律扶助協会で実施をされておりますが、法務省予算より毎年補助がなされているのが現況でございます。その中でやはり民事、行政おのおの事件における法律扶助事業については、何といいましても憲法三十二条の裁判を受ける権利の保障、二番目に国際人権B規約における十四条、そういうふうな中からやはり裁判を受けたいと思っても現実にはお金がない、こういうふうなことで非常に苦しんでいられる方々があるわけでございます。
 こういう問題についてまずお伺いをしたいわけでございますが、年々予算の増額というものは数字には見えるわけでございますが、今後予算というものがさらにこの要望に応じて対応されていくのかどうか、この点はいかがでございますか。
#106
○政府委員(篠田省二君) 法律扶助事業補助費につきましては、昭和三十三年度に一千万円の予算が認められたのが最初でございまして、それ以来当局といたしましては増額に努めてきたところでございます。最近のことを申し上げますと、昭和五十八年から昭和六十二年までは七千二百万円という状態が続いていたわけでございますが、平成元年度におきましては七千二百万から一千五百万円増額となりまして、さらに今年度につきましては一千五百万円の増額をお願いしているところでございます。今後とも法律扶助制度の重要性にかんがみまして、現行の法律扶助制度の安定、充実に努めてまいりたいと思っております。
#107
○矢原秀男君 これも予算の関係等もあって、やはり扶助の対象となっている人々というのは訴訟について勝訴できるかどうか、そういうことが判断基準で整理をされていく、三分の一程度しか扶助を受けていない、こういうふうな現況があろうかと思うわけでございます。
 そこで、先進諸国では法制化されているように伺っておりますけれども、そういう意味では我が国でも基本法というものを制定すべきではないか、こういうふうに感じるわけでございますが、その点についてはいかがでございますか。
#108
○政府委員(篠田省二君) 各方面からいろいろな立法論も出ておりますことは承知いたしております。しかし、外国に比べまして額が少ないとかいろんなことが指摘されておりますけれども、諸外国の制度というのは国情とか国民性とかいろいろございますので一概には比較できないわけでございますが、今のところは法務省としては早急に新しい制度をというふうには考えておりませんけれども、そういった問題も含めて検討を重ねてまいりたいと思っております。
#109
○矢原秀男君 今後とも対応をよろしくお願いする次第であります。
 予算関係最後の質問でございますけれども、いじめ体罰人権問題等の対策経費を計上されているわけでございますが、その実態について伺いたいと思います。
#110
○政府委員(篠田省二君) いじめ、体罰の問題も重要な人権問題でございますが、平成二年度におけるいじめ体罰人権問題対策といたしましては、昨年公表した不登校児の人権実態調査を踏まえまして、不登校児問題啓発ポスターの作成を初めといたしまして、いじめ作文集、それから体罰問題啓発冊子等の作成を行うこととしております。今後とも、いじめ、体罰事象の根絶については努力を重ねてまいりたいと考えております。
#111
○矢原秀男君 法務大臣に簡単に伺いますが、いずれにいたしましても、この今いじめ等を通して人権という問題、これは国際的にも大きいし、また国内的にも問題がございますけれども、いろんな人権が侵されている、そういうところは新聞やテレビだけを見ておりましても、これは気をつけなくちゃいけないなということが数多くございます。こういう人権の時代に対して、法務大臣としての決意、対応、それを伺って終わります。
#112
○国務大臣(長谷川信君) 今委員お話しございましたように、法務省は人権の擁護が一枚看板でありますので、いささかも揺るぎない体制で対処しなければならないと考えているわけでございます。
 人権擁護行政につきましては、国民の基本的人権の保障をより一層確かなものとするため、各種の広報活動によって国民の間に広く人権尊重の思想を普及徹底するように努めるとともに、具体的な人権に関する相談や人権侵犯の調査、処理を通じて関係者に人権思想を啓発し、被害者の救済に努めているところであります。中でも、社会の国際化に伴う外国人の人権問題、いじめの問題及び教育職員による体罰の問題、さらに部落差別を初めとするもろもろの差別事象の問題につきましては、関係各省と緊密な連絡をとりながら、一層の啓発活動を充実強化して、国民の人権意識を高め、その根絶を図ってまいりたいと強く念じておるわけであります。
 以上でございます。
#113
○矢原秀男君 二番目には恩赦についてちょっと質問をしたいと思います。
 恩赦の実施については、憲法第一章天皇の第七条国事行為の六項及び十項というものが該当するでしょう。それによって皇室典範の即位の礼の第二十四条、また大喪の礼の第二十五条、それからそれを受けて内閣総理大臣の職権の憲法第七十二条、内閣の職権の第七十三条の七項、そして恩赦法というものがあるわけでございますが、まず恩赦について、また十一月にはやってくると思うのでございますが、特に、選挙違反者救済の恩赦実施というものは、常にその都度話題に出て、反対の世論というものが圧倒的である。こういうことは、お互いに皆様がよく御承知だと思うんです。
 戦後の恩赦は、昭和二十一年十一月三日の日本国憲法制定以来、八回の恩赦を行っております。そういう中で、これは平成元年四月二十九日の毎日新聞の報道を引用させていただくわけですが、この世論調査では、恩赦実施は当然と肯定した人が二四%、実施反対派は四二%、わからないが三〇%、こういうふうな形で選挙違反者救済に反発をした厳しい目というものがこの数字の中に出てくるわけでございます。こういう世論の批判に対して、まず法務省としてはどういう見解を持っていらっしゃるのか、説明を伺いたい。
#114
○政府委員(佐藤勲平君) ただいま委員御指摘の新聞につきましては、昨年四月の毎日新聞の朝刊に、天皇問題に関する全国世論調査の質問と回答結果というものが掲載されておりまして、委員御指摘の内容がそこに報道されておるということは承知しておるところでございます。私どもといたしましては、恩赦の持っております公平の理念と申しますか、法に内在する法的安定性を具体的妥当という理念で修正していくという、その基礎になります公平の理念から見て妥当であるかどうかという観点から恩赦が行われるべきであろうかと思っております。
 そこで、御指摘の選挙違反者につきましては、やはりそれは選挙違反であると否とを問わず、今申しましたような観点からどうであるかというふうに考えられるべきものであろうと思いますし、また、今申し上げたような恩赦制度の機能、また運用につきましては、やはり国民の理解を得ながら行われなければならないと思いますので、その方面でも努力いたしたいと思っております。
#115
○矢原秀男君 二点目には大赦についてですが、大赦を行う基本的な見解を説明をしていただきたいと思っておりますが、これは今申し上げたように、前回の実施の恩赦を見ると、やはりまたしても選挙違反者救済のための恩赦というふうな感触がどうしても出てくるわけでございます。こういうことですから、この際、大赦を行う基本的な見解をやはりはっきりしておかなければいけない、こう思うわけでございます。その点についてもっと明確にお願いします。
#116
○政府委員(佐藤勲平君) 今委員仰せられた大赦も含めまして、恩赦をどのような基準、考え方で行うかという点でございますけれども、委員御承知のように、恩赦の種類には大赦と特赦と減刑と刑の執行の免除、復権と、五種類ございまして、またその中でも特定の者について行われる例えば特赦、それから刑の執行の免除、それから減刑ですか、というようなものと、そのほか一律に行うものと二種類あるわけでございます。個別の者について行われますのは一般の、日常といいますか、常に申請によって行われますし、先般の昭和天皇の御大喪の恩赦の際には特別の基準というものが定められまして、それに従って行われたわけでございます。それから、一般的に行うのは政令によって行われるわけでございまして、いずれの場合におきましても、先ほど私が申し上げたような公平という観点から行われるもので、そのときどきの情勢といいますか、諸般の事情を考慮しながら判断されるべきものであろうと思っております。
#117
○矢原秀男君 この平成二年十一月に新天皇即位の礼、こういうことで恩赦が実施されると思うわけですが、その規模、二番目には時期、そして三番目には内容など具体的なそういう取り扱いというか展望、これをちょっと早いような期日でございますけれどももう検討されておられるのではないか、このように思いますが明確にしてください。
#118
○政府委員(佐藤勲平君) お尋ねの即位の礼に際して恩赦を行うかどうかという点でございますが、全く白紙の状態でございまして、特に検討ということはいたしておりません。
#119
○矢原秀男君 法務大臣、今質問しましたことは憲法の条項の第一章天皇のところの第七条の国事行為、それからそれらを受けて総理大臣の職権の七十二条、内閣の職権の七十三条の七項、これは当然法務大臣もこの内閣の中に含まれているわけですから、本当は総理大臣来てもらって私は質問したらいいわけですが、委員会ですからそういうわけにいきません。だから、これは法務大臣、どういうふうなお考えなのか御説明してください。
#120
○国務大臣(長谷川信君) ただいま事務方からお話がございましたように、即位の礼に際し恩赦ということでございますが、今のところそれを行うか行わないかということについては全くまだ白紙であり、検討いたしておりません。
 なお、恩赦の対象に選挙違反事件が含まれるかどうかということにつきましても白紙の状態でございまして、御報告できる段階ではございません。
 以上でございます。
#121
○矢原秀男君 新しい天皇のこれは大体もう決まっているわけですから、じゃいつごろから内閣として取り組んでいくのか、そのぐらいはやはりきちっとしておられると思いますがね。
#122
○国務大臣(長谷川信君) 今まで幾つか前例がたくさんあったわけでございますが、その前例を見ましても、二月も三月も前から事前に何月何日から恩赦をやります、あるいは選挙違反も入れます、ほかも入れますというふうなことは、これはやっておりません。何といいますか、前例からしてもそういうことでございますし、今この段階で何月何日からどの範囲を恩赦の対象にするということをまだ言明するような時点ではございません。
#123
○矢原秀男君 じゃ私の方からも提案しておきますけれども、やはり現代にふさわしい恩赦法の改正というものを私は検討をしてもらわなければいけないなと思っているわけでございますが、恩赦法は昭和二十二年の三月二十八日、法二十号で制定、その後昭和二十七年の改正以来のままであります。二十四年に廃止をされた恩赦制度審議会ですね、内閣の諮問機関、これが最終報告書の中で恩赦に対する重視すべき点として、一つは法の画一性に基づく妥当性を欠くケースの矯正、二番目には事情変更による裁判の事後変更、三番目は誤判の救済、四番目は有罪確定者のその後の行状などによる裁判の変更や資格の回復、この四点を挙げております。いろいろとその後これらについてあったと思うわけでございますけれども、やはり現行の憲法下で政令恩赦というものが先ほどから言っておりますけれども必要なのかどうか。こういうふうなことを加味する中で、やはり現代にふさわしい恩赦法というものの改正を検討すべきではないか、こう思うわけですけれども、これに対して答えていただきたい。
#124
○国務大臣(長谷川信君) 委員のいろいろ御意見等を念頭に置いて、いろいろ今後また勉強させていただきたいと思います。
#125
○矢原秀男君 法務省の方はどうですか。
#126
○政府委員(佐藤勲平君) ただいま委員御指摘のように、確かに現行の恩赦法は昭和二十二年の制定でございまして時間がたっておることは申すまでもないところでありまして、またそれの内容につきましても、いろいろただいま委員御指摘の恩赦制度審議会の意見書の中でも触れられておりますし、その後のいろいろと御意見があることは私ども承知しておるつもりでございます。そのことを念頭に置きながら恩赦法のあり方等についてはいろいろ考えなければいかぬとは思いますけれども、ただいまのところではこのような点を念頭に置きながら現在の時代に即応した運用で対処していきたいと思っております。
#127
○矢原秀男君 よく検討していただきたいと思います。
 次に、マネーロンダリングの質問をしたいと思いますけれども、その前に、昨夜の夕刊またテレビで、五月三十一日までに東京都内の私立高校生グループによる大麻事件、こういうことがテレビや新聞で報道をされております。内容を見ると、「二年生の男子生徒と同校OBら計五人を大麻取締法違反容疑で検挙」したと。まず、この問題について警察庁に事件の概要と、二番目には、全国で少年たちによる近年のそういう状況の数字というものはどうなっているのか、この二点をまず伺ってみたいと思います。
#128
○説明員(属憲夫君) 警視庁では、都内の高校生らのグループによります大麻事件を捜査しておりましたけれども、本年五月三十一日までに高校生一名を含みます七名を大麻取締法違反で検挙しています。
 本件は、高校生が本年五月上旬に自宅におきまして大麻を所持していた事案をその端緒にいたしまして捜査を開始したわけであります。その後、この高校生が昨年の五月に上級生から教室で大麻を譲り受けたということが判明いたしまして、そのほかにも教室内で生徒間の大麻の売買があったということで鋭意捜査をしたわけであります。そういうことで、現在に至るまで少年ら、一部は成人もおりますけれども、全部で七人を検挙している状況にあります。
 それから第二点ですけれども、少年の最近の薬物の検挙状況について申し上げます。
 覚せい剤につきましては、昭和六十二年には千五百二人の検挙でありましたけれども、これが昨年は九百八十六人ということで少年の検挙人員そのものは減ってきております。しかし、大麻につきましては、昭和六十二年が百二十四人、それが去年は百二十六人ということでほぼ横ばい状態ということであります。さらに、麻薬の関係につきましてはほとんどありませんで、毎年大体一人ぐらいといったような状況でございます。
#129
○矢原秀男君 これはあれですか、やはり教室内でのそういう引き渡しやなんかがされていたんでしょうか、学校の教室で。
#130
○説明員(属憲夫君) 実際の私立高校の教室の中で上級生が下級生に売っていたという部分と、さらに同級生同士でそういう売買が行われた、そういう事実がございます。
#131
○矢原秀男君 文部省に来ていただいておりますけれども、これは文部省としてもやはり非常に今少年、もちろん中学、高校生とそれから女性に対しても暴力団のそういうふうな関係からもあるでしょうけれども、常用する人が女性やそういう生徒にも多くなっている。しかし、今回の事件は教室内で大麻が受け渡しをされている。文部省としては、大事な生徒に対してどういうふうな教育であるとか啓蒙であるとかそういうことをしているのか非常に疑問に思うわけですけれども、こういう問題に対する平素の対応はどうされているんでしょうか。
#132
○説明員(石川晋君) 今、先生御指摘の大麻等を含みます麻薬あるいは覚せい剤、薬物乱用等につきましては、学校の保健体育の授業それから生徒指導、生活指導的な側面もございますので特別活動、こういったところで取り上げるよう指導してきているところであります。このため、かねてから私どもといたしましては日本学校保健会の専門家の協力を得まして、薬物乱用についての、これは一つには的確な知識、それから健康な生活習慣、両面あるわけでございますが、こういったことにつきまして保健指導の手引書というようなものをつくりまして、先生方の指導の向上に努めているわけでございます。このような観点から、保健指導の先生方の研修会等におきましては、常に薬物乱用の問題は取り上げてございます。
 なお、今回学習指導要領が改訂されたわけでございますが、この問題の重要性にかんがみまして、従来一つのアイテムとして明確に打ち出していなかったわけでございますが、薬物乱用の問題と健康に関することを項目として取り上げるようにいたしたわけでございます。しかしながら、御指摘のような事例があったわけでございまして、我々としても大変残念であるというふうに感じているわけでございますが、今後ともこのような点についての指導を充実し、こういったことが再び起きないように努めてまいりたいというふうに考えている次第であります。
#133
○矢原秀男君 どうか学校教育の中でもきちっとした指導体制をとって努力をしていただきたいと思います。文部大臣にもきちっと伝えておいてください。
 次に、重複もございますけれども、簡単に質問をいたしておきます。
 マネーロンダリングについてでございますけれども、先ほども質疑がございました。国際金融市場を舞台にした麻薬資金のマネーロンダリングの防止については、各国の本当に共通の課題になっております。この問題については、法務省は今質疑をやっていらっしゃいましたので大体わかりましたけれども、あと大蔵省としてのこれに対する対応がやはり大きいと思うんですけれども、大蔵省、今の取り組みの対応を報告してください。
#134
○説明員(小山嘉昭君) お答えいたします。
 マネーロンダリングを犯罪にするなどの法的措置は二つ流れがございまして、御承知のとおりでございますが麻薬新条約の流れと、それから経済サミットのもとにおきましてマネーロンダリングに関する金融活動作業グループ、これが報告書を本年の四月十九日公表いたしております。この報告書に盛り込まれていること、この二つの流れがございます。
 現在、この件は政府部内で鋭意検討を行っているところでございまして、大蔵省もその一員として参加いたしておるわけでございます。大蔵省といたしましては、国際協力のもとで麻薬問題に積極的に取り組んでいく所存でございまして、このような法制的な措置につきましてもできるだけ早く検討作業を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#135
○矢原秀男君 時間がございませんので外務省、ウィーン条約の内容、我が国の対応、外務省も窓口でございますので伺いたいと思います。
#136
○説明員(鈴木一泉君) お答えいたします。
 いわゆるウィーン条約と呼ばれております麻薬新条約でございますが、これは正式に申しますと長い名前がついております。麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約と今仮に訳させていただいておるわけです。この条約の中身についてでございますが、まず麻薬と向精神薬、これは覚せい剤を中心とするもので向精神薬と呼んでおりますが、この物質の不正な製造、販売、輸出入、それから栽培、それに加えまして、先生からの御指摘もございますように、これらの行為から生じます収益の譲渡、隠匿、マネーロンダリングでございますね、この行為をこの条約で犯罪といたしまして不正取引という言葉で定義しております。
 それで、この条約の特色でございますが、この不正取引につきまして国際協力を一層推進するという見地から、この防止それから処罰のための国際協力の強化、促進を目的としまして制裁、それから犯罪についての裁判権の設定、これは国外犯も含むという形になっております。それから、犯罪から生じた収益を没収すること、それから犯罪人の引き渡し、それから捜査共助、司法共助等の法律上の相互援助、それから犯罪人を特定するための管理のもとに置かれた移送と申しますか、コントロールドデリバリーと言われておるものでございますがこういう措置。それから、こういう物質を製造するために頻繁に使用される材料となります物質を不正製造に流用することを防止する。それから、そのほかにも海上における取引の防止ですとか郵便の利用の防止ですとか、そういうことが書かれております。
#137
○矢原秀男君 厚生省に伺いますが、刑罰措置の一環として麻薬四法との関連、これはどういうふうになっていますか。
#138
○説明員(市川和孝君) 御説明申し上げます。
 ただいま外務省の方から御説明ございましたように、我が国が麻薬新条約を受け入れるというためには、これまでにない刑罰の規定あるいは刑事手続規定というようなものを設けていかなければいけないということでございまして、現在政府部内で検討作業が進められているわけでございますが、その立法の形式につきましても今後関係各省で検討をしていく必要があるというように考えております。
 厚生省といたしましても、現在のこの麻薬問題にかんがみますと、この新条約の重要性ということは十分認識をいたしておりまして、今後批准のために努力をしていきたい、このように考えております。
#139
○矢原秀男君 この件に対して法務省に最後に伺いますが、法整備、刑罰措置の関係から法務省の対応を伺います。
#140
○政府委員(根來泰周君) 先ほど下稲葉委員からお尋ねのあった際に申し上げましたように、いずれにせよ麻薬戦争と言われている諸外国の情勢、それがだんだん我が国に浸透してきておるわけでございまして、取り締まり機関としてもそれに対応する武器を備えなければならないということも、これは自明の理でございます。そういう見地から、ただいま外務省なり厚生省あるいは大蔵省からお話があったような問題点につきまして、各省と協力いたしましてできるだけ早く成案を得たいものと期待しておるわけでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、我が国にない制度を取り上げるわけでございますし、麻薬戦争と言いながら人権にも深くかかわり合いのある問題でございますので、そういう点についても十分慎重に配慮しながらやっていきたいと思いますので、成案を得た暁にはひとつ十分御審議をいただきたいというふうに考えておる次第でございます。
#141
○矢原秀男君 時間の関係ございますので、その点はよろしくお願いいたします。
 最後に、今までも質疑に出ておりますが、外国人労働者関連の質問をしたいと思います。
 まず、労働省にお願いをしますけれども、関係の事業団の調査の一つに、首都圏を中心に一万社を対象にして回答を二千二百十八社からこれはとっておるようでございます。それによりますと、最近二年間に外国人の労働者を雇用した会社は一三・九%、七社に一社、それから業種別に見ると飲食業が二八・七%、製造・加工が一七・八%、雇用人数は一社平均が二・八人、就労のビザ所持者が一七・六%、留学のビザが四八・四%、観光ビザが二三・五%、規定では週二十時間が限度と、こういうふうになっているようでございます。まだ多くございますけれども、やはり非常に中小企業でどうしても人手が欲しい、それは日本人、外国人を問わず、そういうふうな労働の実態というものがございますし、また一面では働く人がおらないので会社が倒産をしたと、人件費が高いから。こういうこともあるんでございますけれども、労働省としてはきょう施行された法律の入管の問題ですね、そういう中から、私が今申し上げた実態調査、時間がないから一部だけ申し上げましたけれども、外国人労働者と経営との評価、必要性、そういうものについてどういうふうに考えていらっしゃるのか、労働省としての見解を伺いたいと思います。
#142
○説明員(吉免光顕君) お答えいたします。
 委員が今御指摘の調査は、財団法人中小企業経営者災害補償事業団というところが確かに実施をされております。回答は二千二百十八社、御指摘のようにございまして、ただ雇用形態は半数以上がアルバイトという形になっておるようでございます。この結果を見ますと、確かに中小企業におきます外国人労働者の雇用の実態の一端をうかがわせるものだというふうに見ておるわけですけれども、これをそのまますべて一般化して受けとめるかどうかについてはデータ等なお慎重に精査をして見てみたいというふうに考えております。
 こういった調査結果もあるわけでございますけれども、労働省としては公共職業安定所の窓口でありますとか、あるいは労働基準監督署の窓口等を通して、事業主さんの方からいろいろそういった面での情報収集をさせていただいたり、またいろんな情報を整理をさせていただいているということでございます。それで、きょうちょうど改正入管法の施行に当たりますので、きょう付で全国の都道府県知事に通達をしまして、それぞれ地域ごとに、例えば雇用主懇談会というようなものを開催しましてさらにこういった面での情報収集に当たりたいというふうに思っております。
 また、人手不足感が確かに広がってきておりますけれども、片方で多数の失業者も抱えているという状況でもございますので、そういった面でのミスマッチ解消といいますか、そういう点での努力をさらに重ねていきたいというふうに考えております。
#143
○矢原秀男君 通産省に伺います。
 通産省では人手不足、外国人労働力受け入れ、こういう展望の中で、産業政策局長の諮問機関であります産業労働問題懇談会が外国人労働者問題への対応について提言をしている。資料いろいろあるんですが時間ございませんので申しませんが、非常に私は評価いたしております。通産省としてこの懇談会をまた発展的に、横、縦、連携をとって進められると思うのでございますけれども、今までの経過等についての御報告をお願いしたいと思います。
#144
○説明員(岩田満泰君) お答えいたします。
 委員御指摘のように、産業労働問題懇談会という懇談会を産業政策局長のもとに設置をしていただきまして、昨年十一月以来外国人労働者問題について御検討を賜りました。先般報告書をいただいたところでございますが、結論といたしまして大きく二つ結論がございます。一つは、いわゆる単純労働者と呼ばれる労働者の受け入れにつきましては当面慎重な対応が必要であるということでございまして、その意味で改正入管法の適正な運用というものが期待されるという点が一点でございますが、同時にそうした適正な運用に当たりまして幾つか配慮されるべき事項があるのではないかという御指摘が第二でございます。その中で、産業界にも広く関係をいたすという意味におきまして特に研修制度が取り上げられておりまして、途上国の自立的な発展基盤を育成するというような観点からも人材の育成という点で日本が貢献できる面があるはずであるということで、この研修制度の拡充ということが御提案されているわけであります。
 それで、そのいわば研修制度の拡充に当たりましての前提条件というようなことにもなるわけでございますが、国がこの研修制度につきましていろいろな基準を設定いたしまして、業界団体あるいは中小企業団体というようなところの公益性のある団体がある程度責任を事実上分担するような枠組みをつくったらどうか、そういう形で単に波打ち際においてチェックをするということにとどまらず、国内において研修期間全期間を通じて入管御当局のみならず業界、産業界もともに秩序のあるような形で行っていくというような仕組みを考えたらばどうだろうか、こういう御提案が行われたわけでございます。せっかくいただきました御提案でございますので、通産省といたしましては、今後法務省など関係の御当局とも御相談をいたしまして、こうした枠組みの実現というものの可否につきましても御相談をしていきたい、このように考えているところであります。
#145
○矢原秀男君 最後に法務省に伺いますが、今ECにおける外国人労働者受け入れの概況というものは約六百万人と、こういうように言われております。家族を含めて一千二百万人。欧米諸国における外国人労働者受け入れの範囲、受け入れが許可される範囲、イギリス、西ドイツ、フランス、アメリカを見ておりますと、やはり受け入れが許可をされる範囲というのは、それぞれの国のいろんな法制度ございます。今も通産省からお話しございましたが、これは各省庁とも法務省を中心として一致していると思うんですけれども、日本で対応できる研修制度というものを内外にやはり設けていく政策というものが検討されなければいけない。まあ時間がございませんのでこれを全部申し上げて答弁を受けるわけにいきませんけれども、法務省として法の許される範囲の中で研修制度というもののいろんなそういう多角的な対応というものも法律の中に加味すべきではないかと思いますが、簡単で結構でございますので、最後に伺います。
#146
○国務大臣(長谷川信君) 今、委員からお話しございましたように、この外国人労働者の問題は最近いろんな問題ございますが、その中でも最も難しい問題でありましていろいろ苦慮しているところでございますが、今ほどお話しございましたように、関係各省の御意見もお聞きしたり、また関係閣僚等々の意見もお聞きをした上で、今の研修制度の問題等々も含めて早急になお迅速にこの解決方法というものについて検討する必要があります。まさに昨今における一番難しい問題でございますので、関係者一同真剣にひとつ対応いたしていきたいというふうに考えております。
#147
○矢原秀男君 終わります。
#148
○橋本敦君 予算の委嘱審査ということでございまして、予算に関連をしてまず最初に簡単にお伺いをしたいと思う問題がございます。それは国選弁護人の報酬の引き上げという問題でございます。この問題については先ほど北村委員から詳しく質問がございまして、私もその立場に基本的に賛成でございます。
 そこで、最高裁刑事局長にお伺いしたい二点ばかりがあるんですが、一つは刑事局長も現状でいいというわけではないということをお認めの上で今後引き上げについては善処をしたいという御意向が示されました。それにしても、今回の引き上げもごくわずかでございますから、日弁連が期待する方向、あるいはまた国選弁護という憲法下での人権保障の建前を維持していくという国家の立場からの手当てを考えました場合に、かなり思い切った努力がなされねばならないというふうに思うわけですね。そういう点で、一体どのくらいを目標にして、どういうふうに努力するかということを検討される必要があるんですが、この点についてお考えございますか。
#149
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 今委員もおっしゃられましたように、国選弁護の充実のためにこの報酬の値上げについては最大限努力してきておりますが、今現在のこれで全く十分というふうには感じてないわけでございまして、この上とも努力してまいりたいと思っております。
 その努力の一つの方向といたしましては、一般的な支給基準額もさることながら、具体的な個々の事件におきまして謄写料等必要な経費が余分にかかったというような場合には、その点について個々の国選弁護の方から裁判所の方へ言っていただければ、その分については十分手厚く報酬に繰り入れて支払っていこうという方向で、またさらにいま一段突っ込んで努力してまいりたいと思っております。
#150
○橋本敦君 そこで、その問題ですが、記録の謄写というのは私ども経験しておりますが、弁護活動にとっては基本的に不可欠な、必要なことでございますから、基本的には必要経費ということで見ていただかなくちゃならぬ。それはそれとして見るけれども、報酬の中での問題として見るとなりますと、それは結局はやっぱり経費として見ないで報酬枠全体で見る、そして予算執行に支障がないようにとこうなりますので、今の御趣旨ではあるけれども、この記録の謄写部分については、これは報酬とは別途に必要経費だということをもう少しはっきりと貫くような工夫はないのであろうか、これが一つであります。そして、結局は報酬がどうであるかということを基準に従って受訴裁判所が決めるについても、全体としての予算執行に支障がないようにというまた大枠がかかってきます。ですから、根本的には報酬を含めて予算額の向上ということがベースになければ、今おっしゃったようなことの具体的な保障もないわけですね。
 そこで、来年度のことになります、ことしはもう予算決まってまいりますので。現在約二十八億というような程度でありますけれども、一定の目標を立てて思い切って予算の増額要求をするということを最高裁としても腹をくくってやる、この点について遠慮なく政府に要求するというそういう姿勢でやってもらわなくては前へ進まぬと思うんですね。
 局長は先ほどの答弁でも、人事院給与の引き上げとはパラレルではないにしても、厳しい財政事情を勘案しながらとおっしゃったわけですが、厳しい財政事情どうこうということはこれは国全体の問題でありまして、六十数兆円の予算額から見れば二十八億というのは微々たるものであって、最高裁は余りそれにこだわらずに、やっぱり民主的な司法体制確立ということで必要なものは遠慮なく予算要求していくという構えで、大幅な予算要求をやるという気構えで来年度は頑張ってもらいたいと思うんですが、どうですか。
#151
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 今委員が御指摘された趣意は十分に念頭に置きまして、今後とも要求に努力してまいりたいと思っております。しかしながら、国選弁護の高度の公共的な性格等も考え、また厳しい財政状況その他社会情勢、諸般の事情をももちろん参酌しながらやってまいらなければいかぬ問題でございますので、その辺の事情との兼ね合いにおいて、なるべく私どもといたしましては最大限の努力を積んでまいりたいというふうに思っております。
#152
○橋本敦君 最高裁に対して日弁連もたびたび要請をし、国会でも私ども議論しておりますが、この問題については日弁連の意見等も十分しんしゃくされて、来年度はそういった日弁連との話し合いも踏まえて要求については検討していただくことをまずお願いしておきますが、よろしゅうございますか。
#153
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 日弁連の要望につきましては、真摯にこれを受けとめまして、その御意見も十分参考にしながら今後やってまいりたいと思っております。
#154
○橋本敦君 この問題の最後で、法務大臣、予算のことでございますので、大臣の立場でもひとつ最高裁の予算要望の実現に向けて御尽力をお願いしておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#155
○国務大臣(長谷川信君) この問題を所管する裁判所において適切に対応されることと考えておりますが、国選弁護の運用が適正に行われることは極めて重要なことであると認識をいたしております。法務大臣としても御協力できることがあれば十分協力する覚悟であります。
#156
○橋本敦君 それでは、次の質問に移りますので、刑事局長ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。
 次は、ことしの一月二十二日にJR東日本御徒町駅高架橋下の工事に関連をして起こりました事故、これは極めて重大な事故でございますが、これについて質問をしたいと思います。
 この事故は、幅約十メートル、長さ十メートル、深さ五メートルという巨大な陥没が突如発生をいたしまして、その陥没と同時に多量の土砂が飛散をしたために、周辺に多くの被害を与え、直接には付近通行中の十八名の方々が負傷いたしまして、自動車四台が陥没した穴に転落するというそういう事故になりました。幸いにして死者がなかったということで救われた思いがいたしますけれども、大都会の真ん中において突如かかる事故が起こったということは、これは人命の安全にとりましてもまことに重大で、看過できない事故であります。
 この事故に関連をいたしまして、その原因の調査がどう進むか、原因が何であるかということを解明するというのは、当面極めて重大な課題だと思うのでありますが、この事故原因の究明についてはどのように進められておりますか。運輸省、お答えいただきたいと思います。
#157
○説明員(澤田諄君) 去る一月二十二日午後三時ごろ、JR御徒町駅付近の通称春日通りの道路下で、東北新幹線御徒町トンネルが圧気式シールド工法により掘進中に起こした事故と思われましたので、即座にJR東日本の中に学識経験者を踏まえました御徒町駅付近陥没事故究明検討委員会というものを設置いたしまして、事故原因の究明に当たってまいりました。現在まで五回の慎重審議を行いましたところ、次のような結論が得られているということでございます。
 その事故委員会の結論は、若干難しい言葉が入っておりますが、結論どおり読み上げさせていただきます。
  当該地点は、一般区間と異なり、
 @地下連続壁施工時の溝壁崩壊に伴うトンネル上部の不透気土層の損傷
 A地下連続壁切断のため長時間シールド停止中の圧気継続に伴う乾燥・透気による地山の劣化
 B地下連続壁切断に伴う地山のゆるみがあり、かつその上部が埋戻した砂で透気性の高い状況にあった。
  これらの要因に加えて、全般的に薬液注入の不足していたことが、地山のゆるみを増大させ、また、湧水量の増加に対して圧気圧を高めに保持することとなった。
  このような状況下において、シールドの推進がきっかけとなって、切羽直上部の地山が崩壊し噴発したと考えられる。
という結論になっております。
 以上でございます。
#158
○橋本敦君 事故原因は単純でなく複合的な状況があるということではあっても、しかし今おっしゃった@、A、Bの状況に加えて、全般的に薬液注入の不足していたことがこれがまさに事故を誘発したということが指摘されているわけでありますが、今答弁なさったのは五月二十二日に提出をされた事故報告と承ってよろしゅうございますか。
#159
○説明員(澤田諄君) 結構でございます。
#160
○橋本敦君 この問題については、何といっても手抜き工事があったという問題がこれがやっぱり重大な問題ですね。
 この工事の契約当事者というのはどことどこですか。
#161
○説明員(澤田諄君) 発注者は東日本旅客鉄道株式会社でございます。東日本旅客鉄道株式会社が発注し、請負業者は株式会社熊谷組だと聞いております。
#162
○橋本敦君 三月二十二日にその熊谷組が記者会見をして、この薬液注入に手抜きがあったということを認め、かつJR東日本に報告をして、会社責任者が陳謝をしたという事実は運輸省も了知しておりますね。
#163
○説明員(澤田諄君) 報告を受けております。
#164
○橋本敦君 だから、薬液注入に手抜き工事があったという事実はもう否定できないわけであります。
 建設省、お越しいただいておりますね。建設省にいただきました五月十八日付の建設経済局長の関係建設業者団体の長あてのこれは通達と思いますが、「薬液注入工法による建設工事の施工管理の徹底について」というのを拝見いたしますと、この事故に関連をいたしまして、「最近、一部薬液注入工事において、手抜きの事実が明らかになった。今般の手抜き工事は、発注者と受注者の間の信頼関係や建設工事の安全に対する信頼性を損なうものとして誠に遺憾である。」、こう指摘をして、「いやしくも手抜き工事が再発することのないよう、傘下の会員に対してさらなる指導を徹底されたい。」というように述べておられますが、間違いございませんか。
#165
○説明員(青山俊樹君) お答え申し上げます。
 今の文章で間違いございません。
#166
○橋本敦君 だから、したがって政府としても手抜き工事があったことはもうはっきりと認めざるを得ない状況であるわけであります。
 この件については、刑事上の責任の解明としては今どのような捜査が行われておりますか。刑事局長、お答えいただけますでしょうか。
#167
○政府委員(根來泰周君) この件は、まだ検察庁に送致になっていないわけでございますので、警視庁で業務上過失傷害事件ということで捜査を行っているのではないかというふうに考えております。
 なお、労働災害という面からいいますと労働安全衛生法違反ということも考えられますので、そういうことになりますと労働基準監督署においても調査中であろうと考えております。
#168
○橋本敦君 わかりました。
 そこで、重大な問題として一体どういう工事の手抜きが行われたかということを、今おっしゃった捜査あるいは労働省の調査あるいは事故究明委員会の調査でもこれはやっぱり究明する必要があると思うんですが、報道された状況によりますと、この薬液注入については自動的にそれをグラフ化していくチャートがつくられている、こういうわけでありますけれども、二万枚も作成されたそのチャートのうち、何と六千枚ぐらいが偽造されたという状況があるということが明らかになったという報道があるわけです。さらに薬液のかわりに水を注入したというような状況もある。
 それからさらには、この薬液を運ぶのがタンクローリーですけれども、このタンクローリーの数をごまかすために、タンクローリーで実際に運んだら、今度は空のタンクローリーを出して、そしてそれを抜き取ってまた一から回ってきて回数は合わせるというそういうことをやったり、その写真を撮るのに、一方だけから撮らなくて二、三カ所の方向を変えて撮ったりなどして、要するに空の車を動かすということによってそれが実際に運ばれたような偽装工作が行われたとか、とんでもないことが言われておるわけであります。そして、この薬剤の設計量はもともと一万七百三十一立方メートルのはずですが、それの約五〇%あるいは三〇%が手抜きをされたのではないかというこういう報道もなされているわけであります。
 ですから、積極的にそういった偽装工作がなされた。なぜこれが見つからなかったのか。熊谷組は現場監督責任者がおるはずですが、なぜこのことが事前につかめなかったのか。ここにも重大な問題がありますが、その点について事故調査委員会はどう判断しておるか、運輸省おわかりでしょうか。
#169
○説明員(澤田諄君) 事故調査委員会におきましては、陥没事故におきます事故原因、その中に薬液注入不足があったという事実についての確認をしておりますが、その不正のやり方がどうであったかということを調査する委員会ではございませんものですから、その点につきましては事故調査委員会の中では検討はしておらないというふうに聞いております。
#170
○橋本敦君 これは、そういうふうな調査委員会の状況であるならば、国の責任できっちり調査をさらにする必要があると私は思います。
 労働安全衛生法違反の観点から労働基準監督署が調査をしている過程で、今私が指摘したようなことが実際に明るみに出たということが報道されておるわけであります。だから、政府としてはこの点について、建設省、運輸省、労働省、ここらを通じて、原因とともに実際にどういう手抜き工事がなされたかは政府の責任で明らかにするような仕組みを考えていく必要がこの重大事故については私はあるのではないかと思っておりますが、政府の対応としてそういう方向でやるべきだという私の見解について法務大臣どのようにお考えでしょうか。
#171
○国務大臣(長谷川信君) 今委員のお話をお聞きいたしておりまして、全くそのとおりだと思います。
#172
○橋本敦君 その点について大臣の御協力、御援助もまたお願いをしておきたいと思います。
 私が重大だと思いますのは、この熊谷組の大塚専務とそれから新井東京支店次長とが記者団と一問一答をしているのが出ておるわけです。これは三月二十二日のことでございますが、はっきりとこの二人はこう言っているんですね、「申し訳ない。新聞の報道に近い手抜きの事実があり、注入量が不十分だった。どんな処分にも従う」と。だから、今私が指摘したようなそういう積極的な欺罔行為も含む悪質な手抜き工事があったことを熊谷組が認めておるんです。そして、その上でこの二人は「元請けとしては管理責任を免れることはできない」ということもはっきり認めているわけですね。
 この問題について一部の報道によりますと、熊谷組の現場監督が下請業者の注入工事について、うまくやっておけよ、適当にやってくれよと、こういうようなことも言ったということも報道されておりまして、まさに熊谷組そのものが下請と意思相通じてやったと疑われる事情もある。これは重大なことであります。
 この下請は三社ありますが、この注入業者三社のうち一社は熊谷組の一〇〇%出資の子会社であるという事実を運輸省知っていますか。
#173
○説明員(澤田諄君) 聞いておりません。
#174
○橋本敦君 聞いてない。それじゃ教えてあげるから調べてください、間違いないですから。間違いないんですよ。
 そこで、建設省に次に伺いたいのでありますが、先ほどのような手抜き工事を起こしてはならぬということで通達をお出しになりまして、これだけにとどまらず、さらにこの問題については今後どう対応されていかれるかということでありますが、これについて防止の検討委員会を設置するなど案が出ておるようでありますが、いかがですか。
#175
○説明員(青山俊樹君) お答え申し上げます。
 今回の事件を受けまして、薬液注入工事における適正な施工を実施するための施工管理手法につきまして検討を行うために、財団法人の国土開発技術研究センター内に薬液注入工事の施工管理に関する検討委員会、これは委員長が日本大学の山村和也先生でございますが、五月十六日に設置されたところでございます。この検討委員会は、大学、建設省、自治体、建設業界、薬液注入業界から成る十五人の委員で構成されております。これまで五月十六日、二十五日に二回の検討委員会を開催いたしまして、現状の施工管理の実態を踏まえまして、材料搬入時及び注入作業時の注入管理手法の改善策、注入効果確認手法の検討を進めているところでございます。
#176
○橋本敦君 それはこれからも進めていただくことは結構です。
 そこでもう一つ、建設省、問題があるんですよ。といいますのは今度の事故は、大体十四億の請負金額の工事だと言われておるんですが、薬液注入契約そのものでは八億四千八百万円と言われているんです。熊谷組が八億四千八百万円で請け負って、それで約三〇%いわゆる元請のピンはねですが、二億八千三百万円余りを中間取得いたしまして、下請三社には五億六千四百九十六万円で発注しているという事実がこれは新聞その他で明らかになっていますね。そういたしますと、下請業者の皆さんは、これだけ取られると何らかのことをやらなきゃ採算が合わぬというそういう悲痛な声を上げていることが、新聞では上野労基署の調べで業者が言っている。「こんな値段では(手抜きをしないと)やっていけない。そんなことは熊谷組もわかっていたはずだ」という声が上がっている。通常、元請の取得は一五%だと言われておるのを私も承知しておりますが、三三%も熊谷組がここで取っているという問題がある。
 そこで、そうした今後の検討もさることながら、政府の指導としては、実際工事をする下請が何らかの不正に追い込まれなければやっていけないような、そういうような下請に発注をするということを大企業はやってはならぬ。だから、大企業の中間取得はどうあるべきかということも含めて、過大な負担を実際工事をする下請に元請が与えないようにすることもこういうことを防止する一つの重大な課題ではないか。そういう面の検討も建設省としては指導の面で検討すべきだと思いますが、いかがですか。
#177
○説明員(青山俊樹君) お答え申し上げます。
 公共建設工事、特に土木工事につきましては、地形、地質、気象、土地利用等極めて多様な自然的、社会的条件のもとで行われることがございまして、設計施工法も多種多様となっております。その中で元請、下請の関係があるわけでございますが、元請、下請とも良好な工事をしていただくように、これは業界指導の立場としての建設省といたしましても十分指導してまいりたいというふうに考えております。
#178
○橋本敦君 次に、会計検査院にお伺いさせていただきます。
 このような類似と言ってもいいようなことがかつて昭和六十一年名古屋の地下鉄工事に関してありまして、会計検査院は凝固剤の手抜き工事、その当時は約一億五千万の水増しと、こう聞いております。これについて検査をなさったということがあるように聞いておりますが、どういう状況だったんでしょうか。
#179
○説明員(左近士信正君) お答え申し上げます。
 御指摘の工事は、名古屋市地下鉄六号線の工事の一環といたしまして、国鉄の名古屋駅付近において駅庁舎、東海道新幹線、在来線等の下部に地下鉄の名古屋駅を建設するもので、五十八年三月国鉄岐阜工事事務所が名古屋市から工事を受託し施工したものの一部であります。
 検査の対象となりましたのは、名古屋駅地下鉄六号線東工区四工事ほか四件工事で、このうち薬液注入工事につきましては、国鉄名古屋駅付近はほとんどが砂質地盤で地下水位も高いので、止水及び地盤を強化するため地中に薬液を注入して地盤改良を行い、工事施工の安全確保と駅庁舎等の変状防止を図る目的で薬液約一万一千立米を注入することとしておりました。
 六十一年四月の会計実地検査の際、注入作業が施工中でありましたので施工の実態を調査しましたところ、実際の注入量は契約注入量を相当下回っておりますのに、注入量等を記録した測定記録紙をつくり変えて設計どおり注入したものとして支払いを受けていたことが判明したものであります。
#180
○橋本敦君 その場合は、会計検査院の検査の結果はどのような処置になったんでしょうか。
#181
○説明員(左近士信正君) 会計検査報告として特に掲記はいたしておりません。
#182
○橋本敦君 その理由はなぜですか。
#183
○説明員(左近士信正君) この工事を検査報告に掲記しなかった理由といたしましては、本件工事が全額名古屋市から受託したものであるということ、したがいまして旧国鉄でございますが、直接損害が国鉄にはなかったということ、それから過大に支払われた分につきましては直ちに名古屋市に返還されたということ、それから薬液注入後の本体の躯体工事については安全に施工されたというような状況でございますので、それらの状況を統合的に判断いたしまして特に検査報告には掲記しなかったものと思われます。
#184
○橋本敦君 今回とまことに類似の事件だということはわかりました。そして今回は、この注入契約の全体が約八億ですから、その三割近くあるいは五割とも言われておりますが、これが手抜きをされたとすれば、名古屋の一億五千万円以上、二億円以上の不正支払いが行われるというそういう結果にもなりかねません。
 そこで、会計検査院にお伺いしますが、今度の私が指摘をした御徒町事故に係るこの工事については会計検査院の検査対象には当然なると思いますが、いかがですか。
#185
○説明員(左近士信正君) 会計検査院が行う検査の対象には、会計検査院が必ず検査しなければならないもの、いわゆる必要的検査事項、必要的な検査対象、それと会計検査院が必要と認めるときに検査することができるもの、いわゆる選択的検査対象とがございます。
 JR東日本の場合は国が資本金を出資しております清算事業団がさらに出資している法人でございまして、いわゆる選択的検査対象でございますが、会計検査院といたしましてはJR東日本については検査をすることに決定しておりますので、本件工事も当然検査の対象になります。
#186
○橋本敦君 本件工事は会計検査院として至急に検査に入ってほしいと思いますが、検査に入ることを決めておることはわかりましたが、具体的には近いうちにやっていただけますか。
#187
○説明員(左近士信正君) 本件工事を担当いたしましたのはJR東日本の東京工事事務所でございますが、これの検査は七月末から八月初めにかけて実施するつもりでございますので、本件工事につきましてはその際厳重に検査をしたいというふうに考えております。
#188
○橋本敦君 その検査の結果、指摘をしたような手抜き工事における不正な金銭の要求ということ、あるいは不正な支払い、過大な支払いということになりますと、検査報告として当然不当事項として、違法でないとしても不当事項として、今度は名古屋と違って検査報告に明記をされてしかるべきだと私は思うんですが、いかがですか。
#189
○説明員(左近士信正君) 本院が不当事項として掲記いたします場合には一件一件のケース・バイ・ケースということで、法令に違反しているとか予算に違反しているとか、あるいは不経済な事態であるとか不効率の事態であるとか、あるいは効果が上がっていないというような事態がケース・バイ・ケースで必ずしも同じ尺度ではかれないものですから一つ一つ判断することになると思います。そして、最終的な判断は検査官会議で下されますので、私がここで不当に該当するとかということを申し上げるわけにいかないのでございますけれども、私どもの認識をもしお聞きになるんであれば、これは不当に該当するんではないかという認識は私は持っております。
#190
○橋本敦君 わかりました。いずれ結論はおっしゃったように検査官会議で決まるということですね。
 時間が参りましたので、最後に法務大臣あるいは刑事局長にお伺いいたしますが、こういった問題について厳しい対処が政府としても要るわけですが、今まだ警察段階で業務上過失傷害で捜査をしておる段階で検察庁の手元には行っていないようですが、私はこの問題については会計検査あるいは政府による原因究明、それと並んでやはりこの問題は業務上過失傷害ということにもちろんかかわっておりますけれども、それ以上にまさにこれは積極的な熊谷組を先頭とする欺罔行為を伴った詐欺罪に該当するという重大な事犯ではないかという気もいたしますが、法律論の適用はともかくとして、今後検察庁で捜査される場合には重大な事件として厳重に公正に捜査を遂げていただくということを期待をして、御答弁をいただいて終わりたいと思います。
#191
○政府委員(根來泰周君) 御指摘のように、警察あるいは労働省関係のお役所で調べているわけでございますので何とも私の方から申し上げかねるわけでございますが、警察等におきましても業務上過失傷害罪というものを中心に据えまして、その輪郭を含めて十分捜査をしてくるものと期待しておりますから、それを受けて検察庁でも全容解明に努力するものと考えております。
#192
○橋本敦君 終わります。
#193
○紀平悌子君 法務省にお伺いいたします。
 きょうは入管法、難民認定法施行日に当たりますので、これに関連いたしまして、広報関係予算につきまして御質問が前にもございましたけれども、再度承りたいと思います。
 外国人登録法、難民認定法関係でいわゆる外国人の登録に必要な経費として登録業務庁費というのがございます。これが一億五千八百九十万八千円、外国人登録事務委託費として二十七億八千五百六十万六千円がそれぞれ計上されておりますけれども、このうち旧法から新法に移行しましたこの際の広報にかかわる費用は幾ら含まれておりますんでしょうか。広報活動というものは、午前中からの御審議にもございましたように民主政治の重要なポイントだと思いますので、できるだけ具体的に伺いたいと思います。
#194
○政府委員(股野景親君) ただいま委員から御指摘の外国人登録事務に関連した予算が計上されておりますが、その内容につきましては、これは外国人登録事務の関連で都道府県及び市町村長に国がこの外国人登録事務を機関委任をいたしております。その関連で登録事務にかかわるその処理の経費として物件にかかわるようなものについての庁費というもの、それからもう一つはその事務処理を行う職員のための人件費にかかわるものとしての委託費というようなもの、こういうものがそれぞれ計上されているわけでございます。
 そこで、これは本来の登録事務のための経費でございますので、改正入管法の施行に伴っての経費としては計上されておりません。改正入管法と登録法の性質の違いからその点は分けておるわけでございます。ただ、登録事務に従事いたします地方公共団体の職員の方々に対して、外国人登録法上も改正入管法の在留資格等の扱いについて正確に理解をしていただく必要がございますので、その関連で地方公共団体の職員の方々に対する各種の研修会、あるいはもろもろの会議を通じまして、改正入管法の内容についての理解を得るようないろいろな活動を法務省として行ってまいった経緯がございます。
#195
○紀平悌子君 法務大臣にお伺いしたいと思います。
 本日の朝からの委員会で午前中の御発言に特に多かったわけですけれども、きょう施行されるいわゆる入管事務の混乱の状況というものがこもごも指摘されました。そして、政府の広報のあり方というものが十分でなかったんじゃないかという御指摘でごさいました。問題はいろいろあると思いますが、入管現場での現在ある物理的状況というものは御当局の御努力がこれからあると思いますのでいずれ鎮静化に向かうのではないかというふうに思いますけれども、さらに本質的な問題の積み残しがあるというふうに思います。
 それで、この法律は日本に在留している外国人について在留資格の整備や手続の簡素化ということでいわば権利の拡張という側面がございましたけれども、新設の七十三条の二の不法就労活動助長罪というものについては、外国人労働者にかかわる日本人等に対する罰則として新たな規制強化、外国人に対しては間接的であれ何らかの圧力を加える側面を持つ法律でございます。日本の入管行政、あるいは移民等の受け入れ体制が国際的な人権常識の中で日本は法改正によって不当に外国人の労働権を制約し、締め出しを図っているというふうな誤解、これはクエスチョンマークですけれども、または批判が生じることは今後ないでしょうか。外交上の摩擦の原因にはならないでしょうか。国内の十万人を超えると言われる外国人労働者、あるいは雇い入れ側の企業側への広報活動はもちろんですけれども、国の内外への広報を含めて、これからのお見通しがあればお聞かせいただきたいと思います。
#196
○政府委員(股野景親君) ただいまの改正入管法の内容についての外国の側に対する説明という観点は、委員御指摘のような観点から、誤解のないように政府としても努める必要があると考えております。我々といたしましては、従来も関係各国の政府関係者に対して入管当局が直接各国の入管当局関係者との接触、あるいは外交的な接触の機会を通じて改正入管法の意図するところを説明をしてまいっております。各国とも出入国の管理行政については、それぞれの国の事情を踏まえて、それぞれの必要と考える規制を加えているという事実はございます。そのため、外国人の労働者がほかの国へ移って、そこで就労しようとする場合に、いろいろな規制があるというのは、世界各国それぞれの事情に応じて現実にございますので、そういう観点から日本が日本の現状を踏まえた、しかも国内での一つの国民的な合意というものを踏まえた規制を加えるということについては、外国においてもその理解が得られるものと思います。
 ただ、実際に日本におられる方々についての就労の形が適正な合法的な形で行われるように確保するということ、これは政府として十分心がけねばならぬと思いますし、また仮に不法就労を行っている人についても、人権上の配慮というものは十分尽くすべきものと考えております。
#197
○紀平悌子君 恐れ入りますが、大臣、一言で結構でございますので御感想をお願いします。
#198
○国務大臣(長谷川信君) 今紀平委員からいろいろお話ございましたが、何しろ、これは正直申し上げまして、歴史的に見ましても日本始まって以来の問題だと思うんですね。今入っている人が十万か、あるいは十二、三万くらいいらっしゃると思うんですが、それで二週間ぐらい前ですか、私も現場見たんです。そうしたらもう座っている場所がないんでなくて、立っている場所がないくらい、本当にどうにもならないような、言葉は悪いけれどもまさにパニック状況であるということでございまして、あそこが悪かった、ここが悪かった、ここはよかった、ここは悪かったということ、今になってみればいろいろ御指摘もありますし、私どもも感じておりますが、まさかここまで来るとは正直考えてもおらなかったことであります。
 しかし、それは後の愚痴話でございまして、これからでございますが、これは広報の点も確かに委員御指摘のとおり、若干おくれたということは否めないかもわからない。それから、わかりやすいものをつくれと、さっき午前中の委員もおっしゃいましたが、そういう面もございますし、いろいろ私もきょう日本語のパンフレット見ましたけれども、あれは外国人にはなかなか難解だと思いますよ、読むのも。通訳でも使って読めば別でありますが、一人じゃなかなか読めない。そういう面、いろんな御指摘の面がございますが、しかし何はともあれこの問題は、国際的な問題でもありますので、あそこに六時間も立っている人が国へ帰ったら日本の国のことをよく言うわけはないと思いますね。これはもう本当に、たとえ気持ちだけでも、麦茶の一杯でも出して、いすでもあればまだなんですけれども、六時間も立たせられて、水もお茶も出さないで、これじゃバングラデシュへ帰ったとかインドへ帰った、ああ日本の国はよかったななどと言う人は、これは余り数はないと思うんです。そういう面を考えますと、これは日本の窓口であり玄関でありますので、これはやっぱりもう少し、何というか当然対応についてはこれからも勉強させていただかなければならないと思います。
 ちょうどいい機会でございますので委員各位にお願いでございますが、さっき五十名ばかり定員をふやそうという話が出ています。五十名で間に合うか間に合わぬかわかりませんが、この予算もぜひ通していただいて、足りなかったらもう五十人でも百人でも入れて、これは入ってくる人も出る人も、あそこは玄関ですから、外国へ行って何だかんだ悪口言われたり、当時の法務大臣はだれだ、長谷川信だ、あいつはだめだなんということになったんじゃ、これは話になりませんので、その点は十分にこれから注意していきたい。いろいろ各省の意見もございますので、さっきもお話ございましたように、関係各省の意見も聞いたり、またいろいろ各方面の意見も徴して、これはまだ決まっておりませんが、関係閣僚会議というようなものもこれからつくって、法務省だけでできるという問題でもございません。そういうことで十分慎重に対応いたしたいと思ってやっております。
#199
○紀平悌子君 率直な御意見ありがとうございました。
 次に、警察庁にお伺いしたいと思います。
 外国人登録法、難民認定法で逮捕をされた外国人被疑者への対応につきましては、前々回の委員会でもさまざまいろいろなお話がございましたけれども、各国の慣習あるいは食事、宗教等々について配慮のある取り扱いをするようこれを徹底されるというお話でございました。これはどのように実行されておりますか、お伺いしたいと思います。入管法、難民認定法施行の機でございますので、よろしくお答えいただきたいと思います。
#200
○説明員(泉幸伸君) 外国人被疑者の取り調べ、取り扱いにつきましては、御指摘のようにその国の法制度、慣習などを十分配慮することが必要でございます。これまでから関連する事項について各種の資料を作成し、その適正を図っているところでございます。今後ともそのような資料を充実し、第一線に徹底させていきたいというふうに考えております。
#201
○紀平悌子君 私は、常々行政の評価というものは窓口で決まるという考え方を持っております。やはり現場の警察官を見てその国の警察行政が批判されたり、あるいは評価されたりすると思います。第一線の現場のお仕事をなさる警察官の方々に、何か緊急にインドシナ難民対策連絡調整会議でつくられたようなマニュアルというか、そういうものをおつくりになって、内部資料としてお使いになるというふうな御用意はございませんか、警察庁にお伺いします。
#202
○説明員(泉幸伸君) 今お話のございました特定の事項についての資料という格別のものは現在のところございません。先ほど申しましたように、それぞれ言葉の違う外国人の被疑者等に対する取り扱い、その国の法制、実はさまざまでございますので、そういうものについては既存のものがございますし、なお資料を充実させて対応してまいる、こういうふうに考えております。
#203
○紀平悌子君 次は、法務省にお伺いしたいと思います。
 非行青少年対策として平成二年度予算では三百九十七億七千六百万円の予算がついている。その中で、近年の非行増加、悪質化への対策はどのように図られておられますか。広報活動、啓発活動、具体的に御説明をいただきたいと思います。
#204
○政府委員(木藤繁夫君) 非行青少年に対する対策経費でございますけれども、四月二十六日に開催されました当委員会におきまして官房長から読み上げ資料の一部として御説明申し上げたところでございますが、委員御指摘のように総額三百九十七億七千六百万円を計上しておりまして、前年度予算額と比較いたしますと十八億五千九百万円の増額となっております。
 その内容は、青少年検察の充実経費が十三億七千八百万円、少年院教化活動の充実経費が百七十五億六千六百万円、少年鑑別所業務の充実経費が八十五億七千七百万円、それと青少年保護観察の充実経費として百二十二億五千五百万円を計上しておるところでございます。
#205
○紀平悌子君 少年非行というか少年犯罪に関しまして法務大臣に御所見を承りたいと思います。
 近ごろ、女学生を監禁してこれを殺害し、ドラム缶に詰めて死体を遺棄した事件がございました。主犯格の少年に無期刑の求刑が検察当局から行われましたけれども、行為の残虐性、一般予防性の見地からのこの求刑は適切なものでございましたでしょうか。大臣の御所見を伺いたいと思います。
#206
○国務大臣(長谷川信君) お尋ねの件につきましては、検察当局において、事案の内容、本人の年齢、性格その他あらゆる事情を慎重に検討した上で適正に決定したものと承知をいたしております。法務大臣の任にある私といたしましては、目下審理中でございますので見解は御遠慮させていただきたい、こう思っております。
#207
○紀平悌子君 法務省にお伺いします。
 青少年犯罪とその施設内処遇についてさきの大臣所信では、「時代の要請にもこたえ得る適切な矯正処遇の実現に努める」とございました。これは青少年の犯罪者に対してはどのような処遇でもっていかれることを意味しておりますのでしょうか、簡単で結構でございますので御説明お願いします。
#208
○政府委員(今岡一容君) 青少年の矯正施設の収容者、刑務所に入っております受刑者の中で大体二十六歳ぐらいまでを青年受刑者と言いますが、こういう者に対しましては、出所後、就職とかいうことが非常に有利になりますように職業訓練等が例えばございます。電気工事とかガス溶接、いろいろ建築関係の免許、資格、そういうふうな職業訓練、こういうことにつきまして技能を付与するということが本人の更生にも十分役立つというようなことが一つの具体的な例としてございます。それから、少年院に収容されております少年につきましても、例えば最近非常にパソコン関係、情報機器関係の技能等が社会で求められておりますので、こういう方面の技能を付与してやるということがやはり非行少年の出院後の更生にも役立つ、こういうことがございます。
 それから刑務所などの場合では、大体この数年来覚せい剤関係の事犯で収容されている者が相当高率を占めております。二八%前後あると思いますが、こういうふうな覚せい剤の事犯によって収容された者たちが出所後に覚せい剤から手を切って生活できるような教育、こういうふうなことが二、三の例でございますけれども、現在の時点における出所後の更生に役立つという意味で、「時代の要請にもこたえ得る」ということの一つの例になろうかと思います。
#209
○紀平悌子君 さらにお伺いしたいのですけれども、「時代の要請にもこたえ得る適正な矯正処遇の実現」、この中には少年法の改正作業も近々の予定として含んでおられるのでしょうか。特に少年法改正現地説明会出席旅費というので六十六万八千円が計上されておりますようですが、これは過去数年にわたって計上されている予算のようにも伺います。これはどのようにお使いになっていらっしゃるのですか。
 またもう一つ、近年アメリカでは一九七〇年、全州統一で改正投票権法を施行いたしました。投票年齢を十八歳に引き下げております。アメリカの多くの州で刑事成年とそして有権者年齢を今一致させております。フランスは刑事年齢、投票年齢とも十八歳、それからイギリスは刑事成年十七歳、投票年齢十八歳、こうした国際的な傾向を踏まえて、青少年犯罪への対応は日本においては今後どのように検討されていくというふうにお考えでございましょうか。
#210
○政府委員(根來泰周君) 御承知のように少年法の改正につきましては、昭和五十二年の六月に法制審議会がいわゆる中間答申ということで意見を答申されたのでございます。これはやはり当時の背景といたしまして、年長少年による犯罪がふえておったということが一つの背景になりまして、要するに十八歳以上の者について特別の審判手続を定める、あるいは検察官の関与を認める、あるいは国選の付添人を認めるというような内容でございました。しかしながら、これについては法曹三者の中でもいろいろ意見がございました。また外部からも非常な反対がございました。
 しかしながら、私どもとしてはそれから継続的に少年法の改正ということを頭に置いて研究してきたわけでございまして、そういうことから、常時少年法の改正ということについて意見をいただくために委員あるいは幹事の出張あるいはそういう意見聴取ということの経費ということで、金額は大してございませんが六十六万円の経費の要求を行っているところでございます。
 ところが最近になりまして、少年犯罪というのは数的には非常に減っているわけでございます。ところが、その内容たるや非常に社会の注目を引く、先ほど委員の御指摘のあったような事件等がありまして、外部的には非常に少年事件というのは悪質になっているというような印象を与えているわけでございます。そういう問題も含めまして、常時私どもは研究して、少年法の改正ということについて断念したわけではなくて継続的に検討を続けているという状況でございます。
 また、最後にお触れになりました投票年齢との関係でございますが、これは非常にまた議論のあるところでございまして、これはちょっとここで意見を申し上げるほどの私は資料を持っておりませんが、なるべく刑事責任の年齢あるいは成人と少年の区別等々、やはり投票年齢というものと少しリンクさせる必要もあるのかなという感じはいたしております。
#211
○紀平悌子君 少年法に関しましてはまた時期を変えましていろいろお伺いしたいと思いますので、次の問題に移ります。
 先ほど同僚委員からも関連した御質問ございましたけれども、いじめの問題でございますが、いじめ体罰人権問題対策費が二千三十六万六千円計上されております。現在のところ、小、中、高校における教師の生徒に対する暴行事件の現状というのが先ごろも報道をされておりますけれども、実情というか、それをどういうふうにおとらえになっていらっしゃいますか。
 また、この対策は法務当局と文部当局との連携体制があってこそ教師の生徒いじめ、または生徒間のいじめの解決にも役立つと思うのですけれども、その連携体制はどのようになっておりますか。法務当局にお尋ねをしたいと思います。
#212
○政府委員(篠田省二君) まず、最初のいじめ体罰人権問題対策費の問題でございますが、これは先ほど矢原委員にお答えした答えでよろしゅうございますか。
#213
○紀平悌子君 結構でございます。
#214
○政府委員(篠田省二君) それで、その次の学校内でのいじめや体罰に関する人権侵犯の訴えの件数でございますが、いじめと体罰とちょっと統計のとり方が違っておりまして、いじめというのは人権擁護機関に人権相談という形で出てまいりまして、その件数を申し上げますと、昭和六十二年が一千百八十四件、それから昭和六十三年が三百八十二件、平成元年は二百五十六件ということでございます。数字の上では昭和六十二年と昭和六十三年以降とではかなり減っているように見えるんですけれども、これは実際に減っているわけではどうもなさそうでございまして、中学生の作文コンテストなどの作文にあらわれている事例の数からいきますと、やはりそうは減ってないんではないかという感じがいたしております。
 それから、体罰として取り扱いました人権侵害事件数は、昭和六十二年が百四十六件、それから昭和六十三年が百三十三件、平成元年が百十三件となっております。
 それから、最後の文部当局との連携体制はどうなっているかという御質問でございますが、法務省と文部省と本省レベルでの連携体制ということはございませんけれども、法務省の人権擁護機関といたしましては、原則としていじめについてはその事案を学校に連絡いたしまして学校における人権擁護の観点に立った対応を要請し、必要に応じて学校と協力し、家庭及び地域社会に対する個別啓発を実施することによっていじめ事案の解決を図ってきております。
 また、体罰の関係につきましては、これは学校教育法十一条によりまして禁止されているところでございますので、これは人権侵犯事件として積極的に取り組んでいるところでございまして、その処理に当たりましては体罰を行った先生及び学校に対し啓発を行うとともに、必要がある場合には教育委員会に再発防止等について要望を行ってきたりしているところでございます。
#215
○紀平悌子君 時間もなくなりまして、用意をいたしました質問のできないところもあり、政府委員側には大変失礼でございますが、最後に一点法務省にお伺いします。
 弁護士制度でございますが、現在、日米構造協議の対象にもなっております。特に、いわゆる外国人弁護士、外国法事務弁護士の問題でございますけれども、日本での活動の規制緩和などが進んでおりますということを聞いておりますが、現状はいかがでございましょうか。アメリカ側の要求とそれに対する日本側の対応について具体的に御説明をいただきたいと思います。
#216
○政府委員(濱崎恭生君) 我が国におきます外国人弁護士の受け入れの問題につきましては、御案内のとおり昭和六十一年五月に外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法という法律が成立し、六十二年四月から施行されておりますが、この制度のもとに運用されておるところでございます。
 この制度につきましては、法律制定までの間に米国との間で協議を尽くした上で成立し、その運用がされているわけでございますが、アメリカ側といたしましてはなお現行制度の制限が厳し過ぎるという認識に立ちまして、この制度が実施されてから三年という期間を経過するということを踏まえまして、昨年来、この制度の規制緩和につきまして数点にわたる要望をしております。
 その内容、要点を申し上げますと、一つは外国法事務弁護士と日本弁護士との共同経営を認めること、共同経営ができるようにしてもらいたいということ。二つ目に、外国法事務弁護士が日本の弁護士を雇用することができるようにしてもらいたいということ。三つ目といたしまして、外国法事務弁護士としての承認のための資格要件でございます五年間の職務経験、これの中に日本において日本の弁護士とかあるいは外国法事務弁護士に雇用されて補助的な立場で仕事に従事した期間を算入するということができるようにすべきであるということ。四点目に、外国法事務弁護士が本国において自分が所属しております法律事務所、ローファームでございますが、その名称を我が国における外国法事務弁護士の事務所の名称として使うことができるようにすべきであるということ。五点目に、国際的な商事仲裁の手続、これが我が国で行われる場合において、外国法事務弁護士が広くその手続に関与することができるようにするということ。そういう点について要求が出されているわけであります。
 この具体的な要求は昨年秋十一月に提示されまして、これを踏まえましてことしの二月にアメリカ通商代表部の次席代表と我が法務事務次官との間の第一回の会談が行われ、これを受けましてことしの五月二十五、二十六の両日、実務的な観点からもう少し細かい問題点の整理をするということで担当課長レベルの協議がハワイで行われたという状況にございます。今後ともこの協議が継続されるということになろうと存じます。
#217
○紀平悌子君 ありがとうございました。終わります。
#218
○委員長(黒柳明君) これをもって平成二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#219
○委員長(黒柳明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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