くにさくロゴ
1990/06/19 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 地方行政委員会 第7号
姉妹サイト
 
1990/06/19 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 地方行政委員会 第7号

#1
第118回国会 地方行政委員会 第7号
平成二年六月十九日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十五日
    辞任         補欠選任
     鎌田 要人君     後藤 正夫君
     谷畑  孝君     栗村 和夫君
 六月十八日
    辞任         補欠選任
     栗村 和夫君     村田 誠醇君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 四郎君
    理 事
                竹山  裕君
                松浦  功君
                渕上 貞雄君
                諫山  博君
    委 員
                井上 章平君
                岩崎 純三君
                大塚清次郎君
                加藤 武徳君
                後藤 正夫君
                須藤良太郎君
                野村 五男君
                岩本 久人君
                佐藤 三吾君
                篠崎 年子君
                村田 誠醇君
                常松 克安君
                神谷信之助君
                高井 和伸君
                秋山  肇君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    奥田 敬和君
   政府委員
       警察庁長官    金津 昭雄君
       警察庁長官官房
       長        浅野信二郎君
       警察庁警務局長  仁平 圀雄君
       警察庁交通局長  関根 謙一君
       自治大臣官房長  小林  実君
       自治省行政局長  森  繁一君
       自治省行政局公
       務員部長     滝   実君
       自治省財政局長  持永 堯民君
       消防庁長官    木村  仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹村  晟君
   説明員
       労働省労働基準
       局労災管理課長  坂根 俊孝君
   参考人
       地方公務員災害
       補償基金理事   町田 千秋君
       全日本自治団体
       労働組合顧問医
       師        中桐 伸五君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(渡辺四郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十五日、谷畑孝君及び鎌田要人君が委員を辞任され、その補欠として栗村和夫君及び後藤正夫君が選任されました。
 また、昨十八日、栗村和夫君が委員を辞任され、その補欠として村田誠醇君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(渡辺四郎君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人として、本日、地方公務員災害補償基金理事町田千秋君及び全日本自治団体労働組合顧問医師中桐伸五君の出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(渡辺四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(渡辺四郎君) これより地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。奥田自治大臣。
#6
○国務大臣(奥田敬和君) ただいま議題となりました地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
 政府は、国家公務員の災害補償制度につきまして、人事院の意見の申し出に基づき、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしておりますが、地方公務員の災害補償制度につきましても、これとの均衡を考慮して、同様の措置を講ずる必要があります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 まず第一に、年金たる補償の額の完全自動給与スライド制への移行であります。
 年金たる補償の額の算定の基礎として用いる平均給与額について、年度ごとの四月一日における国の職員の給与水準の変動に応じて計算することとしております。
 第二に、長期療養者の休業補償の平均給与額への最低限度額及び最高限度額の設定であります。
 療養開始後一年六月を経過した職員の休業補償の算定の基礎となる平均給与額については、その職員の年齢に応じて自治大臣が定める最低限度額を下回り、または最高限度額を超える場合には、この最低限度額または最高限度額をその職員の平均給与額とすることとしております。
 なお、これらの限度額は、労働者災害補償保険制度において用いられる額を考慮して定めることとしております。
 その他、関係法律の規定の整備等を行うこととしております。
 以上の改正は、平成二年十月一日から施行することとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決賜りますようお願い申し上げます。
#7
○委員長(渡辺四郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○佐藤三吾君 自治大臣、せっかく朝の気分のいいときに少しぶっつけるようで恐縮なんですが、過労死という国際語を御存じですか。中身は何かといいますと、働き盛りの勤労者が在職中に急死をする。これは日本語なんですが、今ローマ字でもKAROSHIということで世界で通用するそうです。仕事のし過ぎで死ぬ、こういう社会現象というのは、外国から見れば私は不気味な感じがすると思うんですね。理解できないんじゃないかと思うんですが、それが今の日本の現状であるわけです。
 東京、大阪、ここの弁護士さんやお医者さんが過労死一一〇番を設置しましたら千五百件の相談があったそうでございますが、大臣としての認識というか感想はいかがでしょう。
#9
○国務大臣(奥田敬和君) 過労死の国際的なそういった定義については不勉強で残念ながら知りません。
 ただ、日本人の働き過ぎという形が今広範な形でもう世界の定説になっているくらいの状態であることはよく認識いたしております。大体私たちの世代も含めて余り余暇を楽しむということを知らないと申しますか、ともかく働くことがいいことだという形で、生きがいが即仕事というような私たちの観念が国際的には通用しない。楽しむことを知らないとか一体何のために働くんだというような形で、今日本人そのものに対しても大きな批判の対象になっていることもよく認識しております。
 しかし、これからの世代の人はやはりよく働きよく遊び、まあよく学ぶ方はどうか知りませんけれども、ともかく多彩な趣味も持って余暇を楽しむ世代に入りつつあるような気がいたします。したがって、過労死現象というのは、極端に言えば、ある程度これから徐々に当然改善されていくはずでありますし、職場管理を含めて、使用者側にとっては最大の仕事と申しますか、最大のことがこの人的な健康管理であろう、その認識は同じと思います。
 ですけれども、今の四十代、五十代、働き盛り、そして我々の世代というのは、先ほど言いましたような、どちらかというと仕事のし過ぎの傾向、そういった形で自分の健康管理よりも一つの仕事に対する責任感の方が先立ってこういったことが起きていくということは大変残念なことだ。できるだけ過労死なんというそういった疑惑を招かれるような形がなくなっていくような方向で、管理者は当然そういった形に最大の注意を払うべきであろう。過労死が多いということはまことに残念な現象であるという認識を持っております。
#10
○佐藤三吾君 過労死も四十とか三十とか、近ごろは二十代でもあるそうですね。そういう一家の大黒柱が突然死んじゃう、これも悲劇ですが、もう一つ問題なのは何かというと、それに対して補償体制ができていない。特にこの死の場合には脳とか心臓とかこういうものも伴うものですから、なかなか労災、公務災害ともに適用しないというような評判もあるんですが、町田さん、地方公務員災害補償基金はどの程度認定しましたか。
#11
○参考人(町田千秋君) 過労死一一〇番の問題が報道されておりますし、そのような事例が多くなっているということについては私どもも認識しております。
 今お話がございましたように、過労死というのは脳とか心臓の病気が突然起きて亡くなったり高度の障害を受けられる事例が多いわけでございますけれども、それらにつきましては、私どもは脳・心臓疾患としてそれが公務と関係があるのかどうかを判断いたしまして、そういう起因性が認められれば、それについては補償をいたすという取り扱いをいたしております。
#12
○佐藤三吾君 先日、福島かどこかで一人、前の日に休んだけれども、翌日亡くなったという方が過労死の認定をされましたね。大臣が今おっしゃったようには全然認定されていないわけですが、私はやっぱりある意味では、これは一つは労働強化もしくは過酷な労働、任命権者の責任にかかわる部分が多いと思いますけれども、しかしもう一つは、今度それに対して救済の手が、とりわけ公務災害、労災という点でほとんど行き届いていないというここに私は二重の問題があると思うんです。この点はひとつ大臣、これからおいおい中に入っていきますが、私はこういう公務災害とか労災とかいうものは、それに携わる皆さんというのは、血が流れておるというか人道的というか、そういうものをちゃんと持って対応していかなきゃいかぬのじゃないかなというような感じがするんですが、大臣はいかがですか。
#13
○国務大臣(奥田敬和君) 労務災害に関しては、それは一定の基準が当然あるんでしょうけれども、やっぱり今言われたような、勤務条件が非常にハードであって、だれの目から見てもそういった形が原因でなかろうかなという形の過労死に対しては、その犠牲者の身になってできるだけ有利な材料を集めてあげて、できるだけその基準に資するようなお互いの助け合い、思いやり、そういった形の姿勢は大事であろう、基本的に、そう思います。
#14
○佐藤三吾君 私も同感です。
 そこで、これから地方公務員災害補償基金の方に入っていくわけですが、公務災害に対する補償、救済、こういった点を地方公共団体にかわってやっておるというのが基金の趣旨ですね。そして、今大臣がおっしゃったように、迅速、公正に被災者の立場に立って業務を遂行する、こういうのが基金の趣旨だと私は思うんですが、町田さん、地方公務員災害補償基金はそういうことで自信が持てますか。
#15
○参考人(町田千秋君) ただいま御質問がございました、あるいは大臣から御答弁がございましたその趣旨で私どもは地方公務員災害補償基金の運営に心がけておるつもりでございます。
#16
○佐藤三吾君 ちょっとお聞きしますが、迅速というのが法文の中にありますね。あれはどういう御認識ですか。
#17
○参考人(町田千秋君) 迅速というのは、なるべく早く速やかにという意味だと思います。それはもっと具体的に申しますと、被災者の救済に時間をかけることがないようにという趣旨で迅速という言葉が使われているものと考えております。
#18
○佐藤三吾君 そうですよね。
 公正というのはどういう意味ですか。
#19
○参考人(町田千秋君) 地方公務員は非常にたくさんの数がおられますし、それからまた各種の職種がございます。いろいろの職種に従事しておる公務員がおるわけでございますが、そのような者を通じて不公正のないように、それから全国的に各地域によって不公正がないように、それを公正というふうに考えております。
#20
○佐藤三吾君 迅速ということはなるべく早く、辞書を引いてみましても、機敏で早くやれるようにと、こうなっていますが、申請が出て、そして調査をし認定するのに三年、五年から十年、ひどいのになると十年から十五年。これが基金の言う迅速ですか。
#21
○参考人(町田千秋君) 認定請求が出て三年も五年もかかっておる事例がいささかございますけれども、これについては私ども迅速な処理をしているというふうには考えておりません。
 ただ、公務災害補償制度は、御承知のとおり公務に起因したものについて補償する制度でございますので、その公務起因性を証明するために非常に複雑な事案については、中には公正を保ちたいということで迅速性に欠けるというものも間々あることについては私どもはまことに遺憾に思っておりますが、しかし、そういう事案につきましてもなるべく早くやろうという精神でもって対応はいたしております。
#22
○佐藤三吾君 迅速という意味は、なぜ法文の中にあれほどああいう字を使っておるのかといえば、言いかえれば、その法文の中にございますように、地方公共団体にかわって事務を代行するわけですね。いわゆる任命権者にかわってやる。問題は、公務災害が起きた場合に、私は任命権者に一端の責任があると思うんです、労働実態その他を含めて。そういう意味で、それについては速や
かに、敏速に対応して、そして起きたことは仕方がないにしても、その後の対応にしても救済にしても敏速にやらなきゃいかぬ、こういう意味が私はあの条文の中に入っておると思うんです。
 そして、公正というのは、やっぱり任命権者が組合に対して押さえつけるようなことがあってはならないということだと思うんです。公平で公正でなきゃならぬという意味は、あなたは職種間の云々なんて言っておりますけれども、そうではないんです。任命権者が押さえつけて出さぬようにしたり、そんなことはしていけないという意味で、公正公平というのがあえてこの法文の中に入っておると私は思うんです。
 そういう意味合いから見て、基金の日常運営というものがいかがなものかという気がしたものですから今質問をしたんですが、私はそこら辺は、まあ後おいおいやっていきますけれども、胸を張れないんじゃないですか、率直に言って。きょうは柳澤さんが来ればちょっとそこら辺でやりたいなと思ったけれども、彼は変なことでやめちゃったものだからしようがございませんがね。
 そこで、基金の職員数、それからその中に地方公務員が何人いらっしゃるのか、それから役員、管理職、その中に地方公共団体の代表が何人いらっしゃるのか、それをちょっと教えてくれませんか。
#23
○政府委員(滝実君) 基金の本部の常勤職員でございますけれども、この中には現在地方団体からの出向職員と申しますか、そういう職員はおりません。ゼロでございます。それから役員でございますけれども、役員の中で、まず理事につきましては、地方団体の代表として二人が任命をされております。
#24
○佐藤三吾君 それは常勤ですか。
#25
○参考人(町田千秋君) これは非常勤理事でございます。それからあと本部の審査会があるわけでございますけれども、この審査会の中に参与という形で地方団体の関係者あるいは地方団体の職員を代表する者ということで、正確ではございませんけれども、七、八人でございますか、参与という格好で、本部の審査会には、地方団体をいわば代表する者あるいは職員を代表する者、こういう者が参与として存在をしております。
 以上でございます。
#26
○佐藤三吾君 その参与に私もなっていたんですよね、議員になるまでは。ところがこれは参与というのは本当に参与でね、率直に言って何も役ができぬようになっているわけだ。やはり地方公共機関にかわっての基金ですからね。ですから痛みの伴う地方団体の皆さんがおる、おらぬの問題と、私はそこに基金の問題があるんじゃないかと思う。言うならば、もう痛みを余り感じない役員と職員だけおって、そうなると何ていうんですか、基金の中で救済するというよりも、むしろ横を向いて労災がどうやっておるか、労災の範囲内でやろうか、こういう発想に流れていくんじゃないか、こういうような感じがしてならぬのですけれども、そこで職員の実態を聞いてみたんですけれどもね。その点は町田さんどうですか、あなた自身が運営に当たっておってそういう感じがするんじゃないですか。
#27
○政府委員(滝実君) 町田参考人がお答えする前に、先ほど申し上げた中で一つ抜けている点がございましたので、それを補足させていただきます。
 先ほど申しました以外にこの基金には運営審議会を設けておりまして、これは要するに地方団体の代表者という格好で、この基金の運営全般について審議する委員という格好で委員を置いておりまして、この運営審議会はほとんどが地方団体の代表者あるいは職員を代表する者、こういうような人たち、それから若干名が公務災害関係についての多少なりとも専門知識をお持ちの方々と、こういうような格好で運営審議会を置いておりますので、それだけ補足させていただきます。
#28
○参考人(町田千秋君) 基金の本部の職員は、ただいま公務員部長から申し上げましたように地方団体からの直接の出向者ではございませんが、私ども本部の職員の大部分は国の技術的援助ということで国からの援助を受けておる職員でございますが、その中で地方団体に勤務した経験のある者がほとんどでございまして、地方団体の実情は本部の職員といえどもわかっておるというふうに私ども思っておりますし、また認定権は支部長にございまして、認定の具体的な事務をするのは地方公共団体の長であります支部長、またその職員であります支部の職員がやっておりまして、私ども地方公務員の気持ちがわからないというような状況にはないので、非常にその辺のところはよくわかって仕事をさせていただいておると思っております。私自身も地方公共団体の勤務がほとんどでございまして、全然地方公共団体の実情を知らないで本部が仕事をしているというようなことはないと思っております。
#29
○佐藤三吾君 私は知らないでとは言っていないんですよ。いわゆる血が通ってないんじゃないか、被災者の痛みを自分の痛みとして受けとめていない原因はそこにあるんじゃないかと、こう言っておるわけです。皆さんは、あなただって自治省出身ですから地方自治体のことは知らないはずはない。しかし、本来労災に属するような問題を地方公務員の公務災害についてのみ限定して地方機関のかわりにこういう基金をつくったという趣旨は、やっぱりさっき言ったように、迅速に、そうして公平公正に救済していこう、補償していこうと、こういう趣旨なんですから、労災など見る必要はない。労災がどんなことをやろうとそんなことは構ったことではない。問題は、真っすぐに地方公務員を見て対応していく、こういうものが私はないんじゃないかというような感じがするんです。
 中桐さん、しょっちゅうこの問題でいろいろ御苦労なさっておるようですが、後ほど指曲がりで御意見をいただこうと思ったんですけれども、もしあれば今の組織、運営の問題について何か御意見いただけますか。
#30
○参考人(中桐伸五君) 私が日ごろ労働組合の方々からいろいろお話を聞いて職業病の相談を受けてくる中で非常に一つ全国的に共通して痛感していることは、やはり決定がなされるまでに時間がかかる。それの上にさらに現場調査、現場に立脚した調査というのがなかなか十分に行われていない。さらに、判定に当たって医師に相談をするという形をとるわけですけれども、その医師が現場を十分把握できていない医師の方が相談に応ずるものですから、かつ現場を見ないで書類審査で行うものですから、適切な判断がなされない場合がややもするとふえてくるというふうなことが私の経験上からありました。
#31
○佐藤三吾君 ありがとうございました。
 中桐さんは実務でしょっちゅう基金と折衝役をやっておるわけですから、今実感として話してもらったんですが、これは町田さん、お認めになりますか。
#32
○参考人(町田千秋君) 私ども請求されます公務災害の認定につきましては、九〇%以上のものを一カ月以内に処理をいたしておりまして、二カ月以内になりますと約九八%近くになるわけでございますけれども、ただ残りますものがございます。それが今時間がかかるとおっしゃったケースだろうと思います。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、事案が非常に複雑で、資料の収集等にまた時間がかかるというようなものがどうしても出てまいりますので、そういう面で、私どもは非常に遺憾だと思っておりますけれども、多少時間がかかるものがどうしても出てくるという現実はございます。
 それから、現場調査が行われていないというお話でございますが、迅速にやるためには一応書類でできるものは書類で見て、なるべく早く認定していこうというやり方をしておりますので、現場調査ということではなくて、書類で出していただいておるという取り扱いをいたしておるところでございます。
 次には、お医者さんの意見、要するに医学的な意見というものを参考にして決定するわけでござ
いますけれども、その医師が現場に精通していないということでございますが、いろんな資料をもって医師に説明することによって適切な判断、要するに医学的な判断を聞くわけでございますから、現場というよりはむしろその資料によって証明をしたいろいろの条件、そういうものから結果として起きた災害、疾病、負傷との因果関係を医学的に判断をしていただいて御意見をいただく、それらを総合判断をいたしまして判断をするということでございます。
 今中桐参考人の御意見の中でも三つほど指摘されたことにつきまして、私はそのような感想を持っております。
#33
○佐藤三吾君 最後の方はよくわからなかったけれども、あなたも総じて言えばやっぱり今中桐さんから御指摘のあったことについては肯定せざるを得ない部分もあるんじゃないかと思うんですがね。
 そこで二、三念を押しておきたいと思いますが、一番現場を知っておるのは支部ですよね、申請者の。その支部について自主性、主体性というものを尊重した運営、これが求められておるんですけれども、これは本部と協議すべき事項という表現の中で、そうでない、こういうことについてあなたの実務としての見解はいかがですか。
 それから、認定に当たっては任命権者にかわってやるわけですから、そういう意味ではさっき私が申し上げたように、任命権者の方から積極的に反証がない限りそれを認定する、こういう立場を持っておられるのかどうなのか、この辺いかがですか。
#34
○参考人(町田千秋君) 認定業務につきまして迅速に処理するために、認定権は支部長に委任されております。ただ、その中で問題になりますのは、判断の全国的な統一を保つ必要があるために各支部において本部から示された認定基準によって事務を行うことになっておりますものの、しかし事案によっては複雑多岐にわたるために支部段階では判断が困難だというものや、また認定基準として一律に具体的に示すことが技術上不可能で示されないというようなものがございます。これらについては本部に協議をしてもらうという制度をとっておる、そのことだろうと思います。本部協議は本部と支部とが協議をするわけでございまして、それが合意に達してから支部長がその結果に基づいて認定をするということでございますので、支部の意見というものをないがしろにして本部の意見を押しつけるというような運営はいたしておるつもりはございません。
 それからまた、任命権者の意見を尊重すべきだということにつきましては、これは法律上基金が公務災害または通勤災害の認定に当たっては被災職員の任命権者の意見を聞くべきことが定められております。任命権者は、今お話がございましたように、日常職場において命令を行ったり職員を指揮監督する立場にございますので、災害発生の状況を一番把握しているなどということを考慮しての規定だということだと思っております。しかし、任命権者につきましては医学的意見まで求められているわけではございませんので、任命権者の意見は尊重いたしますが、公務上外の判断は支部長においてさせていただいております。
#35
○佐藤三吾君 まず、認定について支部に委任しておるわけですから、支部の意見を最大限尊重するという確認というか姿勢、これは貫いていかなければいかぬと思いますね。
 それからもう一つは、公務災害というのはあってはならぬことじゃないですか。あってはならぬことがなぜ起こるのか。言えば大体いろいろな現象が出てきますね。そうするとその責任は任命権者にかかわる部分がかなり大きい。ですから、あってはならぬことだけれども、起こった場合は直ちに救済するという姿勢、これが一貫して私は貫かれていかなきゃならぬのじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#36
○参考人(町田千秋君) 今お話しございましたとおりのことでございまして、公務災害はあってはならぬことでありますし、そのあってはならぬことが起きたときにそれを補償していくのが我々の仕事だと思っております。ただ、それが公務災害であるかどうかということを認定いたさなければならないという作業があるわけでございまして、公務に起因して起きた災害でないものは公務災害とは申さないわけでございますので、その公務に起因して起きた災害かどうかという認定についていささか時間のかかるものも中にはあるということでございます。したがいまして、公務災害であることが決定いたしました場合には、もう直ちに補償を実施いたしております。
#37
○佐藤三吾君 私もさっき言ったように参与を十年ぐらいやっておりましたから、あなたの今の、私が議員に来てから途端に基金の方が機能し始めて、何不自由なくぴんぴん動いておるというふうには受け取れぬのですけれどもね。まあ、後ほどまた出てきますからやめます。
 いずれにしても、一番大事な点は、さっき言ったような基本姿勢が、あなたは今そういうことでやっておると言うけれども、私は余りそういうふうに感じない。むしろあなたの方は、労災に準じているということしか言えぬのじゃないかというような感じがしますから、ここら辺はひとつ心して今後の運営に当たって、再びこういう国会の中で議論にならぬように、被災者の立場を第一に考えて、そして公務災害というのはあってはならぬことなんだ、あってはならぬことが起こった場合には、やっぱりその原因を究明して、再び起こらぬように、同時にまた、それに対する救済を迅速に公正にやるというこういったことが絶えず職員全体の中に流れておらなきゃいけないと私は思うんですね。そうしなきゃ率直に言ってもう基金など要らぬじゃないかと、地方を回ってみるとそう言っておるんですよ。あんなのがあるのは邪魔くさい、むしろ労災の方がいいと、こう言っておる。ここまで言われたら、基金の存在価値というのはもうまさに根底から問われておるわけです。
 同じこういう事件でも、例えば林野庁の木を切る人たちの振動病と、全逓の配達する人のオートバイから来る振動病と、それから自治労関係の学校給食の指曲がりとか、それぞれそこの職の中で発生原因も実態も明確なんですよ。そこが一番はっきり、例えば労災の場合は労災、そして地方公務員災害の場合は地方公務員災害、直ちにそれは認定して救済していくという姿勢がない限り、私はこういう基金など設けておく必要は何もないと思う。そういう意味で、ちょっと言葉はきついかもしれませんが、強く注意を喚起しておきたいと思います。
 そこで、指曲がりの症状に入っていきたいと思うんですが、町田さん、自治体の学校給食調理員の中で、指曲がり症という言葉が新聞にちらほら報道されているんですね。職業病として多発しておる、こういう報道が最近多いんですが、その実情、原因、そして公務災害の申請状況、わかりますか。
#38
○参考人(町田千秋君) いわゆる指曲がり症に係ります認定請求でございますけれども、変形性手指関節症という症病名で、ことしの四月十一日現在で調べましたところ、二十四支部において百二十五件の認定請求を受理しておりますし、またそのほかに任命権者に提出されて支部に提出されるという段階にあるものが二十八件あるというふうに承知いたしております。これらの提出されました認定請求は、現在各支部とか任命権者において提出書類をチェックしたり、あるいは不足書類の収集等を行っているところであって、まだそのことについて認定された者はない状況でございます。
#39
○佐藤三吾君 きょうは、中桐さん、大変御多忙の中おいでいただきまして本当にありがとうございました。今指曲がりの問題で町田さんの御意見はあったとおりですが、あなたの場合にはこの問題をずっと取り上げてきておる内容でございますから、医師の立場からこの指曲がり症というのですか、これについて実情と原因を含めてお話しいただけませんか。
#40
○参考人(中桐伸五君) では、私の方から指曲が
り症の仕事との関係と、治療の現状と、それからこれからの公務災害認定の問題についての意見を述べさせていただきます。
 話をわかりやすくするためにきょうはパネルを持ってきましたので、今問題になっている指曲がり症という病気がどういう病気であるかということを、まずこれで、余り時間がございませんので、簡単に説明させていただきます。(パネル表示)
 指曲がり症は、手の指の骨と関節の病気であります。手の指の関節には非常に難しい医学的な名前がついておりますけれども、話をわかりやすくするために、つめ先の方から教えて一番近い方の関節を第一関節、そしてその次を第二、第三というふうにこれから呼びたいと思いますが、今問題になっている指曲がり症というのは、この手の第一関節と第二関節、場合によってはこの第三のところまで症状があらわれてくるという、いわゆる手の骨と関節の形が変形してきて、最後ひどくなりますと関節が動かなくなる、その間に痛みがあって仕事がやりにくいというふうなことが起こってくる病気であります。
 この方は公務災害の申請を出されている方ですが、親指を除いて四本の指全部の第一関節が曲がっております。それから、小指だとか人さし指だとか、そういうところに第二関節の変形も見られます。これは横から見た写真でありますけれども、こういうふうにくの字形に曲がってまいります。ひどくなりますと、曲がったままで伸びないという状態になります。
 こういう病気がどういう形で起こってくるかということなんですが、これはわかりやすく軽い段階から、その次、だんだん病気が重くなるという絵をかいております。要するに、手をよく使う仕事をする方の場合に、例えば昔だと農民の方だとか、あるいは洗濯をする方、そういう仕事をしている方にあったと言われているわけですけれども、この関節のところを見ていただきたいんですが、関節の間に軟骨というのがあるんですけれども、そこが外から力が加わってくることによりましてだんだんはれてきまして、それがひどくなってくるとこういうふうに余分な骨が出てきまして、ある部分は骨が非常に破壊されてくるという状態で、先ほどの写真のような状態になりますと、こういうふうに骨と骨の間がひっついてしまうというふうな状態になってくるということですね。そういう形で重症化してくる。それをレントゲン写真で見ますと、ちょっと近くの方しかわかりにくいと思うんですが、この辺は正常な関節なんですけれども、このあたりはもう骨と骨、関節の境目がはっきりしない、ひっついてしまっているというふうな状態なんです。そういう状態が起こってくるわけです。
 さて、この病気が非常に多発をしているということがわかったのは、実は岡山県下のある給食センターの調理員の方が会議を開いたときに、ある調理員の方が、私の指はこのようになっているけれどもこれは仕事と関係があるんではないかという問題を提起されまして、私がその調査の担当をいたしまして、全国の四万人を超える調理員を対象にいたしましてまずアンケート調査を行いました。それから、さらにアンケート調査に基づいて健康診断、直接指の診察を行いまして、もちろんレントゲン写真も必要な場合には撮るというふうな検査を行いました。その結果、約一割強の調理員の方が、これはもう勤続年数だとかそういったものによって多い少ないが出てまいりますが、私が調査した時点では一割強の調理員の方が今の指曲がり症という状態に陥っているということがわかったわけです。
 その次にこの調査で私どもが目的にいたしましたのは、この指曲がり症が仕事と関係があるかどうかという問題であります。その点で私どもの考え方としましては、一つは、同じ女性の方で、同じ年齢の方で、同じ自治体に働いている事務職員の方に協力をしていただきまして、女性の方ですと家事労働をされますね。その家事労働は同じように家でされるわけですけれども、家事で昼食をつくったり、家事の仕事をいろいろされるのは同じなんだけれども、給食調理員の場合には職場でも手を使って給食をつくるというところが違うという条件で、要するに同じ自治体で働いておられる同じ年齢の事務職員の方と比較をすることがこの職業病、これが給食の仕事によって起こっているかどうかということを裏づける一つの証拠になりますので、事務職員の協力を得て調査をいたしたわけです。そうしますと、給食調理員の場合には約五倍、結果の数字では調理員の場合が一三・五%で事務職員の場合が二・七%という結果が出てまいりまして、五倍多発をしているということがわかりました。かつ、曲がっている指の数も調理員の場合には二・五四本なんですが、事務職員では一・六というふうに、重症度も調理員の場合がひどいということがわかりました。これでまず公務起因性の一つの根拠が得られました。
 さらに、これだけでは不十分ですから、今度は年齢が同じである。加齢、年をとってくると関節が弱くなってくるという異常が起こってくるということはこれはよく理解できることですから、そういう年がどう影響するかということを外して考える。そのためには、同じ年齢の調理員でありながら仕事の勤続年数が違うという調理員の検討をいたしました。そうしますと、同じ年齢ですから年齢の要因はもうありません。勤続年数が長くなってくる、例えば七年以上、私どもの調査で七年以上になってきますと、勤続年数が短い方に比べて今の症状が多発をするということがわかりました。これが第二の根拠であります。
 第三番目は、勤続年数だけではなくて、今度はその調理員の方が一人当たり今幾ら給食をつくっているか。学校給食の給食数をそこに働いていらっしゃる調理員の方の人数で割りますと、一人当たりの調理員の方がつくる給食数が出てまいります。この給食数が多くなればそれだけ仕事量が多いということですから、そういうことで給食数との関係で見てまいりますと、大体単独校とセンターというふうに分けてまいりますと、単独校、一つ一つの学校に給食調理場がある、そこでは約二百食を超えてまいりますと指曲がり症がひどくなる。それからセンター、要するに幾つかの学校に一つの給食調理場から給食をつくって配送する。そのセンターになりますと三百食を超えてくると多発をする、こういう結果が出てまいります。
 以上、事務職員と比べると家事労働は同じようにしている女性の方ですけれども、給食調理員は給食というものをつくるために事務職員と比べて多発をしている。それから勤続年数が長くなってくると、年齢を横に置いておいて検討してみますと、勤続年数が長くなってくると指曲がりがふえてくる。それから調理昌一人当たりがつくる給食数がふえてくると指曲がりがふえてくるという結果が出てまいりまして、以上の結果から私どもは医学的に検討した結果、これは公務に起因する、要するに給食調理業務に起因する職業病であるという結論を得るに至りました。
 そのほか私どもの調査以外にも岡山大学の整形外科教室が協力した調査あるいはその他名古屋大学が行った調査あるいは三重大学が行った調査によりましても私どもが調査したと同じような指曲がり症の発症率を確認いたしておりますから、私どもが調査しただけだとそれは一つの調査機関が担当した調査だから普遍性が問題になるかもしれませんが、私どもが調査した後いろんなところが調査した結果によりましてもよく似た調査結果が得られておりますので、非常に再現性が高いということで、私どもの得た結果は非常に普遍性を持った結果ではないかというふうに考えております。
 それで、私の次に皆さん方にお話ししたい問題は、こういった指曲がり症の調査をしてみてわかることは、この病気は一日にしてできた病気ではないということでありまして、七年、八年、十年、十数年かかって指が曲がってまいります。したがいまして、その間にいろんな経験もされております。人によっては医者に行って治療を受けている方もいらっしゃるわけです。しかし多くの方のお
話を聞いてみますと、この病気は余り医者が関心を持っていない病気でありまして、痛いと言うと痛みどめを打つ。先生、これだんだんだんだん痛みとともに指がちょっと形が変わってくるんですけれどもというふうに言いますと、医者はいや、今は痛いけれども、これが曲がってしまうと痛みが取れるからそれまで我慢しなさいというふうな形で多くの医者が対応しているんですね。
 曲がってしまった方は今度、先生曲がってしまったんですけれども、ほかの同僚と同じように仕事をしていると物を落としたり、指の曲がっていない同僚と同じようにスピーディーに仕事をしようとするとうまくいかない。どうもおくれをとる。非常に悩んでおる。それで医者に相談する。先生、実はこういうふうに指が曲がって仕事がうまくいかないんですけれども何とかならないでしょうかと言ったら、しょうがないな、これは治す方法がないから君は調理員をやめるしかないなとこう言って、要するに調理員をやめさせたりなんかしまして、やっぱり今の医者が本当にこの病気に対して真剣に取り組んでこなかったということが私どもの今までの経験ではっきりしてまいりました。
 これはいけない、医者としてはこの問題について真剣に取り組まなきゃいけないということで、実は白紙の状態で、手探りの状態で、今まで整形外科のお医者さんの大半の方が冷たく曲がってくるまで我慢しろ、曲がってきて深刻な状態になったら仕事をやめるしかないというふうに言ってきたのでは困るので、それじゃ医者じゃないじゃないかということで私どもがいろいろ今試行錯誤しております。
 その結果、まだ最終的な結果は十分得られておりませんけれども、中間的には、初期であればいろいろ治療を講ずる、痛みを取って運動して、温めて運動して、あるいはちょっと曲がってきている人はちょっと夜引っ張るというふうなことをやりながら、かつ仕事の作業軽減をする。非常に痛みがひどいときには、その状態が悪いわけですから、ちょっと休んでもらうというふうな仕事の対策と医学的な治療をうまく組み合わせますと初期の場合には効果があるということがわかってまいりました。
 そうしますと、安心して治療ができるということが必要であります。また安心して治療と同時に、注射や痛みどめや、あるいは温める物理療法やそういったものと同時に仕事の対策をやることが非常に重要であるということがわかった。そうしますとこれは先ほど言いましたように病気の発症実態は公務起因性が明らかだというふうに私どもは医学的に判定を下しておりますから、これは一日も早く公務災害の認定をしていただきたい。そうしますとこれから今痛くて困っている方も救済することができますし、その人たちが公務災害の認定がおくれることによって病気がもっと悪くなって、現代の医学では最終段階になりますともとに戻す方法がありませんので、痛みは少し減るかもしれませんけれども、もとに戻らないわけです。ですから、もとに戻らないような人をこれからたくさん出さないためにはこれは公務災害として迅速に認定をしていただきたい。
 またさらに、この公務災害の認定をしていただくもう一つの意義は、病気をこれから出さないようにするための職場の改善、これをやっていくためにも公務災害の認定というのは第一歩であるというふうに私ども考えております。
#41
○佐藤三吾君 町田さんどうですか、今の中桐さんの御意見に何か反論ございますか。それと、そこにいらっしゃる公務員部長も含めてで結構ですが、この指曲がり症の方の曲がっておる指を拝見なさいましたか。
#42
○参考人(町田千秋君) 今中桐先生からのお話私どもも承っておりまして、私自身直接その指の曲がっている人の指は見たことはございませんが、私どもの事務所にはおいでいただいておりますので、私どもの担当者は見ております。
 それで、私どもとしましては、確かにそういう症状の方が現にいらっしゃいますし、それから非常に数多い、しかも割と全国的にそういう申請、認定請求が出ておりますので、この問題については誠意を持って対応しなければならないというふうに考えております。今お話がございましたように非常に疫学的な調査といたしましては評価すべきものがあるというふうに聞いておりますけれども、そのほかの研究も今お話しございましたようにありまして、疫学的調査ばかりではなくて医学的な検索も必要であるというような見解も出ておりますので、私どもといたしましては労働衛生学的な研究調査をする必要があるというふうに考えまして、昨年度からその専門機関であります中央労働災害防止協会の方にその専門的な労働衛生学的研究調査をお願いしているところでございます。私どもといたしましては公務との因果関係が医学的に確立されるということがどうしても必要でございますので、それを一日も早くそういうふうにしていただきたいということで、現在その調査結果が一日も早く出ることを待ち望んでおる状態でございます。
#43
○佐藤三吾君 ただ、こういう症状の皆さんが出てきますと任命権者の方もやっぱりこれは大変だという認識が働きますから、どんどん職場改善の一つの方向が出てくるんじゃないかと私は想像するんですがね。そうしてみると、あなたがさっき言ったように申請があって二カ月以内に九〇%処理しておるというんだけれども、これは二カ月以内じゃない、もう二年でしょう。だから、こういうふうにどんどんどんどん延ばしていけば、延ばしていく間にあの当時あったけれどももう今はなくなったと、そういうのをあなた自身が待っておるんじゃないか、こう受け取られてもしようがないんですよね。私は、やっぱりさっき中桐さんがおっしゃったように早期に治療をすればこれは治るというんだ。だったら、なぜ申請と同時に会ってみて、そうしてそうだと思えば仮認定でもして、そうして一年なら一年の間に医療機関を入れて調査をして本認定をするとか、そういう便法だってあるじゃないですか。なぜそれをやろうとしないんですか。
#44
○参考人(町田千秋君) 私どもは、公務起因性があるものを公務上の災害として認定をいたしましてそれに補償をするという機関でございますので、やっぱり公務との相当因果関係というものがなければそれが公務災害ということにはならないわけでございます。したがいまして、その辺を確認して公務災害と認定をして補償をするという手順をどうしてもとらなければならないわけでございますので、公務起因性あるいは公務との相当因果関係ということについて、やはり医学的な知見が必要でございまして、それはいわゆる医学的に確立された知見でなければ私どもは採用できない、そういう意味で、そういう知見を早く得たいと思いまして昨年度から研究に取り組んでおるわけでございます。
#45
○佐藤三吾君 取り組むのは、それはどこまでも、研究しているというのは結構ですよ。しかし、今言うように、私が聞いてみると、仕事をしておるときにはもう夢中になっておるから痛みを感じないというんですよ。しかし、夜寝たときにうずくというんですよ。そういう状態を何年させたらあなた方は納得するんですか。
 そうして、さっき言ったように、固定するともう公務災害から却下する、こういうやり口でしょう。治療の必要があるときだけ公務災害で、それが固定すれば、もう指が曲がったら曲がったでいいわ、固定すればもうこれは公務災害じゃない、こういうことでしょう。中桐先生、医学的な立場から、さっきお話がございましたように、早期に対応すれば治るという、それをちょっと説明してください。
#46
○参考人(中桐伸五君) 要するに今写真でお見せしたように、関節がちゃんと間があいてなくて、もう上と下の骨がひっついてしまっているという状態になりますと、一生懸命引っ張ったり温めて運動してもらったりしても、もうこれはちょっと難しい。ですから、手おくれということですね。そういう状態にならない初期の段階、これは痛み
があって、痛いわけです。しかしながら、外から見ると指がひどく曲がっていない、そういう状態のときに治療をしなきゃいけない、対策を立てなきゃいけない。そのときに私が非常に心配をするのは、今の認定制度ですと、もう明らかに指がひどくなってしまわないと職業病として認められないという基準があるわけです。認定というのは後始末だけするためのものじゃないわけですから、そのために考えてみますと、職業病としての認識というのを一日も早くこの問題ではしてもらわなきゃいけないと思うんですね。
 いろいろ調査をされておられるようでありますけれども、私はいろんなところでいろんな多角的な見解から実態把握がなされて、的確な対策ができるための根拠が得られるということは非常に歓迎すべきことだと思っているんですが、しかし問題は、そのための基本的な考え方を確立した上でやっていただかないと困ると思うんですね。そのときに、まず第一に、指曲がり症というのは、給食の仕事のほかに、仕事を長くやっていれば年もとるわけですね、そういう年の要因も加わってくるわけです。あるいは、そのほか遺伝の要因もあるかもしれませんね。そういうふうな要因はだれだってあるわけで、だれだって年をとるんだし、だれだって生まれつき遺伝の要素を持っているわけです。しかし、そういう遺伝の問題だとか年をとる問題というのは対策はないわけです。年をとらない方法というのはないわけです。遺伝を根本的に変える方法もないわけです。そうすると、職場や生活の状態を変えるしかないわけですね。
 そう考えたときに、病気というのは、どんな病気でも、仕事の原因もあれば個人の原因もあれば家庭の原因もあるでしょう。しかし、先ほど言いましたように、こういうふうに複合的な要因であったとしても、疫学的にもう仕事との関係が証明されたわけです。そのことを考えてみますと、私は次のような考え方を提案したいと思うんです。
 先ほど佐藤先生が仮認定という制度をつくるべきじゃないかとおっしゃいましたけれども、私は大賛成でございまして、その仮認定の制度の条件は、次のような三つの条件があるんではないかと思う。
 一つは、今の仕事についてからその病気が起こった、あるいは、今の仕事についてからその病気がひどくなったということが確認されるかどうか、これが一つだと。それからその次に問題なのは、給食調理員の場合でこの例を申しますと、給食調理員に多発をしている、先ほど言いましたように事務職に比べて多発をしておりますね、そういう同一職種あるいは同一職場の人たちの間に多発をしているかどうかという問題。それから三つ目は、対策をとったら、要するに職場対策、例えば今回の場合で言いますと、痛くてひどい状態になったときに、初期の段階ですね、休みを入れたり仕事の作業量を軽減して、あなたは指が痛そうだから重たいものを持つのをちょっと人よりも少なくしましょうというふうにして対策をとったら症状がよくなるということがもうわかったら、まず仮に認定していただいて、その上で本人の、いろいろな医学的な問題があるでしょう。例えば指曲がり症の場合であればリューマチがあるかどうかとか、あるいは糖尿病があるかどうかとか、あるいは仕事以外に手の指をけがしたんじゃないかとか、そういういろいろな問題を医学的に検討するのは、早く仮に認定した上で、そしてさらに詳細な調査をして最終的に審査をして判定を下す。もしそれで仕事以外の原因が問題だということになれば、これは公務災害の補償基金ではなくて今度は健康保険、いわゆる共済組合の保険へ支給を移せばいいわけですから、そういうふうな形で、要するに被災者が安心して療養ができる体制をぜひつくっていただきたいということです。
 それから私、この認定の問題で二、三ちょっと確認をしておきたい問題がございます。
 それは、先ほどの認定の制度の、迅速な認定と同時に的確な認定の問題で話させていただきましたけれども、もう一つ、私どうしても皆様方に認識していただきたい問題があります。それは、確かに現在の医学というのは、いろいろな要因が重なって起こってまいる病気が非常に多くなっておりますから、医師の診断も人によってはさまざま違う場合があり得るわけです。その場合にでも、例えば今の認定制度でいきますと、基金の方で一番最初の決定をされるわけですが、そのときに相談される専門医の方、この方の名前がはっきりされないわけですね。私どもはこれがどうも腑に落ちないわけです。アメリカでは、病気の診断はいろいろ医者によって違うだろうから少なくともセカンドオピニオンを聞こうじゃないかという制度がありますけれども、この制度があってもいいと私は思います。一人だけの医師の判断ではこれは間違いがあるかもしれないのでもう一人に診せようという制度ですね。しかし、その場合には医者の名前を明らかにされた上でのセカンドオピニオンです。そのことを考えてみますと、今の基金の判定をする場合に、私どもは一生懸命名前を書いて、全部承認の判こまで押して全部所在を明らかにして意見を書くわけですけれども、基金の判定をするセカンドオピニオンの医師は名前も明らかにしない。これはどう見ても公明正大ではないと私は思うわけです。これが一点です。
 それからもう一点は、今までの給食調理員の方の腰痛の認定であるとか、頸肩腕障害の認定であるとか、こういった認定の場合によく用いられる基準があります。これが私は非常に不当だと、医学的に見て非常に不適切だというふうに思ってます。それは、文部省が昭和三十五年の十二月十四日に決めました給食調理員の要員配置基準というのがございます。これは医学的にもう既に今日までに、かつて昭和三十五年の給食から比べれば今はもう相当手の入れた給食をつくっております。それに、この当時の給食の基準は、健康を配慮して、職業病も出さない、けがも余り起こさない、そういう基準を含めてこの基準が出されたと私そういうふうにとても思えない。その基準がクリアされていれば職業病は問題ないというふうな考え方で認定の実務をされるということは、私は非常に心配しておりますので、そういうふうにやられないようにぜひしていただきたい。
 そうして将来的には、安全で健康な職場をつくっていくためには今の調理員の要員配置基準、これをもう一度見直すと。今単に病気をしない、けがをしない職場ではなくて、健康な職場をつくろうではないかという時代ですから、そういう時代に昭和三十五年の基準というのはもう余りにも古過ぎると思いますので、ぜひその点をひとつ申し上げておきたいということと、そのときにそれに関連して決められている施設、設備の基準についてもこれも現状に即して改めていただくことをお願いしたいというふうに思います。
#47
○佐藤三吾君 、今中桐さんの後段の二つの問題については、いわゆるそれを認定をすることによって例えば文部省の基準にしてもそれから施設の要員配置にしても任命権者の方が再び起こらないために対応する一つのきっかけになる、そういう意味で申し上げたわけですから、何も基金にこれせいという意味じゃございませんけれども、いわゆる認定業務というものがそういうことを促進することになるわけですから、これは私は大事なことだと思うのです。何か町田さん、反論ございますか。
#48
○参考人(町田千秋君) 反論というわけではございませんが、今中桐参考人からの御意見、私どもも拝聴したわけでございますが、私どもやはり制度として、公務に起因したものについて補償するという制度の中で動いておりますので、やはり公務に起因したということがきちっといたしませんと、それが公務であるかどうかということがあいまいなままではちょっと認定できませんものですから、その辺は迅速にやらなければならない立場にございますけれども、やはりその基本の公務に起因したということを確定してから認定をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
#49
○佐藤三吾君 大臣、さっきから話をお聞きになったと思うんですけれども、今ここにいらっ
しやる速記者の皆さん、この速記制度は国会開会時に、三年ですか、五年ですか、実務研修をやって、そして大体何分置きにかわらないと腱鞘炎が起こるとかいうことを確定して今の要員配置を決めたわけです。本来ならそうすべきなんですね、給食でも。ところがそうじゃない。言いかえれば、公務災害認定というのは後追いなんです。事件が起こって、そして慌ててそれに対してどう対応するかという問題。それだけでも当該の労働者から見るとそれは腹の立つことですよ。まずやっぱりちゃんと任命権者として理想的な要員配置をして、仕事に見合って、公務災害を起こさぬようにしてもらいたいんですよ。公務災害を認定する前に起こさないようにしてもらいたいということが強い希望です。
 それを起こして、起こした後、今度はあなたがおっしゃるように公務と関係あるか。それはおたくの立場からそういう点は大事だろう。しかし、早期に治療すれば治るというんですからね。いわゆる公務災害を起こして、それで治らない場合、固定した場合には打ち切るんでしょう。そういうことじゃなくて、治るというんだから治すのが地方公共団体にかわるあなたたちの任務じゃないですか。そのくらいの英断がどうしてできないんですか。大臣、そのくらいのことがどうしてできないんですか。治すことが大事なんですよ、かかったのを診るよりも。そういう意味で私は今後の運営をきちんとしてもらいたいと思うんですが、大臣いかがですか。
#50
○国務大臣(奥田敬和君) この制度は、被災職員の身になって活用されていくということが基本であろうと思っております。ですから、できるだけ迅速に被災者の身になって有利な基準判定、そういった形を手助けするという形で、支部に全面的に責任をほとんど負わせておるというのも実情です。ですけれども、先ほどから参考人のお話を聞いて、非常に参考にもなって勉強させていただきましたけれども、これを新しい職業病としてとらえるかどうかという形については、参考人の御見識は御見識で、非常に具体的な数字も挙げて、もう客観的なデータだとは思います。しかし、医学的に新しい職業病認定ということになると、これはいろいろな判例でいろいろな意見を認めなければいかぬのじゃないかなということで時間が多少かかっておることも、先生、これは決して悪い方向に行くんじゃなくて、前向きにこれをとらえようという方向の中で時間がかかったということでしたら、これは新しい形の、パイオニアというか、開拓していくという形の中での御理解もいただきたいなと思います。
 今、速記の方をなぞらえてのお話でございましたけれども、恐らくこれは国会ではきちんとした職務条件を決められております。ですけれども、これも過去において相当明らかに長時間職業病という形の因果関係が余りにもはっきりしておったからこれはやりやすかったんだと思うんです。今の場合も、私は先生のお話を聞いて非常に客観的だなと思っておりましたのは、これは必ずしも仕事の原因が一〇〇%であるとは先生も言っておられないわけです、参考人も。やっぱり個人の資質もありますし、非常に複合的な要素はあるだろうと。しかし多発しているという先ほどの数字。ですから、これは健康管理や職場管理の問題にも起因していますし、これは早期治療ができるんだ、早期治療をやれば効果が必ずある、そういったこともはっきり言われておるわけですし、職場管理でも、設備を少しでも近代化するとか、皿洗い機を、もちろん入れてあるんでしょうけれども、自動皿洗い機なんかでも、そういった形でできるだけ水に触れる時間を少なくするとか、いろいろな形の改善があればこの多発の数字が少しは減ってくるだろう。
 いずれにしても、この職業によってある程度この病状が出てきておる、数があるという形は、職業との、職場との因果関係ということはこれははっきりしておるなと。ですから、これは今審査会の方でも検討されている事項だと思いますけれども、恐らくこれは前向きに対応されるであるう、そういった結論が出るであろうと。時間がかかったことは、こういった画期的な一つの認定における、裁判でも最高裁の判例まであるわけですから、これは多少時間がかかっても、いい判例が出ることにおいていい形になってこの人たちの救済ができるという方向になれば、これは余りおしかりばかりじゃなくて、前向きに行くという方向で、恐らく被災者の身になって制度の改善を図ってくれるであろうと私は期待しております。
#51
○佐藤三吾君 大臣の認識はかなり出てきたような感じはしますけれども、しかし率直に言って、前向きにそしてそれは解決することを私は期待しておるんですけれども、それでも今お聞きしたように、早期に治療すれば治るという病気ですから、だったらその辺もひとつ考えてみたらどうだと。やっぱり治すことが大事なんですから。認定することが大事じゃなくて、治すことが大事だから、そういう意味でこれは町田さん、きょうの大臣の言葉をいただいてぜひ早急にひとつ対応してほしい。
 それから、中桐さんのようにこの問題にずっとここ十年ぐらい取り組んでおる医者もおるわけだから、まずやっぱり医者の立場からのそういう意見を基金としても十分ひとつ勉強なさるということも私は大事だと思うんですよ。どこか全然関係のないと言ったら悪いけれども、全然新しい、こういう指曲がりなど研究していない医者に相談してみたって何の役にも立たぬと思う。だから、そこら辺はひとつ親身になって、痛みを感ずる対応をしてほしいということを私は申し上げておきたいと思うんです。きょう、ここにいらっしゃる皆さんも、率直に言って、恐らく夜も眠れない毎日を何とかこの国会の場で打開できないかという気持ちが多いと思いますから、そこら辺はひとつよろしくお願いしておきたいと思います。
 そこで、もう一つ二つほどお聞きしたいと思うんですが、東京都の場合に、腰痛症ということでおたくの方で認定をしておったのが八七年ごろから一斉に打ち切り始めた、こういうことを聞いておるんですが、今どのくらい打ち切りましたか。
#52
○参考人(町田千秋君) 療養補償は、その災害発生から治療までの間行うことにしておりますが、疾病の場合にありましては、症状が固定、いわゆる急性症状が消退して慢性症状が維持していても医療効果を期待し得ない場合には、これは治癒認定をするという取り扱いをしておりまして、東京都では六十一、二年ごろに、療養が長期にわたっている者について療養の現状調査を行った上に医師の所見とか顧問医の意見等によりまして、急性症状が既に消退して症状が固定していると認められるケースについて治癒したものとして認定したというふうに聞いております。
 その件数でございますが、六十一年度に四十四件、これは全部でございます。六十二年度が四十四件、それから六十三年度が二十八件、そういうような治癒認定をしているように聞いております。
#53
○佐藤三吾君 これの六十三ページに「公務上の腰痛は、適切な療養によれば、ほぼ三、四カ月以内にその症状が軽快するのが普通であり、特に症状の回復が遅延する場合でも一年程度の療養で消退又は固定する」、そういうふうにございますが、今打ち切られたのはこういう人だけじゃなくて、治療できない者までも打ち切ったり、一年未満の者も打ち切ったり、言いかえれば被災者の立場に立ってない打ち切りが多発しておるということに聞いておるんですけれども、そういうことございませんか。
#54
○参考人(町田千秋君) 災害性の原因による腰痛につきましては、今ちょっとお読みになりましたような通達を出しておりまして、それは医学上の見解によれば、一般的には三、四カ月で消退または固定するものとされておるわけでございますが、しかし個々のケースについては、これと異なるケースも当然あり得るわけでございます。このような基準によって治癒認定を行っているのではなくて、あくまで個々の事例における症状と治療の実情を把握して主治医、専門医等の医学的所見
をもとに判断して決めなければいけないということでございます。東京都におきましても、療養の内容を審査して、主治医等から医学的所見を求めて、これらを総合的に検討した結果、治癒認定を行っているものと聞いております。
#55
○佐藤三吾君 その場合でも町田さん、やっぱり認定された者が認定を打ち切られるわけですからね。症状が治ったら別ですよ。もしくはそれで治癒したら別ですよ。そういうことに対してもっと本人とじっくり相談して、こうこうこういう納得のいくような所要の措置があってしかるべきじゃないですか。どうですか。
#56
○参考人(町田千秋君) 先ほど私が申し上げました数字でございますが、先生、腰痛についてお尋ねのところを私治癒認定全部についての数字を申し上げてしまいましたので訂正させていただきます。腰痛は、六十一年が十一件でございます。それから六十二年が七件でございます。それから六十三年が十五件でございます。訂正させていただきます。
 それから、ただいまのお話のように、治癒認定というのは病気が治ったことを認定するわけでございますから、治ってないものを認定するということはありません。それはあってはいかぬことでございます。
#57
○佐藤三吾君 治ってなくて、これ見ると固定したやつも打ち切るんでしょう。そうじゃないんですか。
#58
○参考人(町田千秋君) 失礼しました。その治ったというのは症状固定の意味で申し上げたんですが、症状固定というのは、それ以上医療を加えてもそれ以上症状が改善されないというのが症状固定でございまして、その場合はもう療養をする、医療を加えるということができませんので、医療費を支給する必要がなくなるわけでございます。そういう意味で治癒認定ということで、それで障害が残りますれば、その障害に対して補償をするということになります。
#59
○佐藤三吾君 私がさっきから言っているように、公務災害というのはある意味じゃ公務中における災害ですから、したがって任命権者の責任も大きいわけです。そういう事例について、きちっとおたくの方でこれは公務災害認定よろしいということで認定したわけですね。認定したのを今度は、今言うように二、三カ月で治るはずであったと、固定したらもう打ち切る、こういうことで打ち切るのは、これは治療の必要がないという意味でこういうことになっておるんだと思いますが、だったらやっぱり被災者の皆さんの納得するような説明があってしかるべきじゃないですか。何か上から天下りで見て問答無用という発想じゃなくて、これはあなたに直接責任があるんじゃなくて東京支部でしょうけれども、今その支部にまた再認定の申請が出ておるようですから、ぜひひとつ今度は親身になって検討してもらって、そしてこの問題について、私がさっきから言っておるように、血の通った対応をぜひお願いしておきたいと思います。時間がございませんので、この辺で終わります。
#60
○常松克安君 端的にお尋ねいたします。
 まず、労働省には民間の六十三年度の過労死としての認定件数、それから自治省に対しましては地方公務員認定数並びに警察庁に対しては同じく六十三年度の認定、及び消防庁ございましたら数字をまずお知らせください。
#61
○説明員(坂根俊孝君) まず、六十三年度におきます脳心疾患についての請求件数でございますが六百七十六件でございます。その段階ではいわゆる過労死の請求なのかどうか明確でございませんので、いわゆる過労死そのものの請求件数は把握していないわけでございますが、この中で昭和六十三年度におきましていわゆる過労死として認定された件数は二十九件でございます。
#62
○政府委員(滝実君) 地方公務員の場合についてお答えをさせていただきます。
 ただいま労働省からもお話しございましたように、過労死という把握はしておりませんけれども、脳疾患で見ますと六十三年度で九件、これは認定件数でございます。それから心臓疾患で十件、合計十九件を脳疾患、心臓疾患として公務災害として認定をいたしております。
#63
○政府委員(仁平圀雄君) 警察官の関係についてお答えいたします。
 過労死という概念が必ずしも明確ではないわけでありますが、いわゆる過労死と認められる事案につきまして労務災害と認定されましたものは六件でごさいます。
#64
○政府委員(木村仁君) 先ほどの公務員部長の答弁の中の数字に含まれておりますが、消防職員については一件でございます。
#65
○常松克安君 第二番目といたしまして、例えば民間の二十九件、地方公務員の十九件、この中の数値には何年かかかってこの年にやっと認定になりましたと。五年、三年、二年、一年、いろいろございましょうけれども、同じくずっとおっしゃってください。
#66
○説明員(坂根俊孝君) 六十三年度におきまして認定いたしました八十一件の中には、いわゆる外傷性の脳・心疾患といいますか、そういうものも含まれておりまして、こういう災害性のものを除きましたいわゆる過労死として認定されましたこ十九件の請求から認定までに要した期間は平均で約八カ月程度となっております。
#67
○常松克安君 平均では困るんです。何年が何件、何年が何件と。
#68
○説明員(坂根俊孝君) 最長一年十一カ月、最短二カ月ということでございます。
#69
○政府委員(滝実君) 地方公務員の場合についてお答えをさせていただきます。
 まず、脳疾患について申し上げますと、六十三年度中の事案でございますけれども、一年末満で認定をいたしました件数が四件でございます。それから一年以上二年末満が二件でございます。
 それから次に、心臓疾患でございますけれども、一年末満が六件、それから一年以上二年末満が五件、こういう数字でございます。
#70
○政府委員(仁平圀雄君) 警察の関係でございますが、先ほどお答え申し上げました昭和六十三年度中に公務災害と認定されましたいわゆる過労死六件につきまして認定までに要しました期間は二カ月から二年二カ月まででございまして、平均約一年一カ月でございます。
#71
○常松克安君 今お尋ねいたしておりますのは死に至ったというまことに不幸な事案でございますが、これ以外にありましては死に至らずといえどもいろいろ内容が多岐にわたっております。お聞きいたしますと、民間の方では長きにわたっては五年もあれば三年もあるとか、こういうふうなものもあるようでございます。しかし、当委員会ではそれは次回に譲るといたしまして、時に死に至らしむるということにつきましては、残された御家族の方あるいは周辺の方々も非常に心労を煩わしているわけでありますから、そういうふうに至らしむる作業も大変かと思いますが、一刻も早く認定ができる、そういうふうな処置であっていただきたいと思いますが、これは自治省だけに限ってお尋ねいたしておきます。
#72
○政府委員(滝実君) ただいまの先生のお話のように、災害と申しますか、被災を受けた職員につきましては大変お気の毒なことでございますから、私どもとしてもこの認定業務につきましては極力スピードを上げて認定ができますように特段の督促をしてまいりたいと思います。
#73
○常松克安君 今おっしゃいましたのは脳疾患あるいは心疾患による過労死、これ以外に認定なされた内容、それについての症状をお知らせください。
#74
○説明員(坂根俊孝君) 今のお尋ねは、脳・心疾患以外で過労による死亡というふうに認定される要因としてはどんなものがあり得るかと、その事例ということかと思いますが、業務による過重負荷によって発症いたすものとしましては、脳血管疾患及び虚血性心疾患等が代表例として挙げられるわけでございますが、その他の疾病としましては心因性精神障害あるいはストレス性消化器系疾患等が考えられるわけでございます。
 なお、過去五年間に認定されたものとしては反応性うつ病が一件、十二指腸潰瘍が一件でございます。
#75
○政府委員(滝実君) ストレスによる精神疾患というのが典型的な例かと思いますので、それだけ申し上げますと、過去に、昭和五十年に入ってからの事件が多いわけでございますけれども、四件ほど公務に起因するということで、いわば精神疾患で認定したケースがございます。
#76
○常松克安君 警察庁にお尋ねしますが、ピストル自殺の場合どうなっておりましょうか。
#77
○政府委員(仁平圀雄君) ピストル自殺によって死亡した事案につきまして公務災害が認定されたという事例は一件もございません。
#78
○常松克安君 であるからお尋ねするわけであります。
 確かにそういうことに対しては、警察庁という体制の中では不幸な出来事であり、また避けねばならぬことでありましょう。しかし、残された子供にとってはたった一人のお父さん、奥さんにとってはたった一人の主人であります。そのことが、ただ暴発的じゃなくして、団体交渉権も認められていない、こういう立場において勤めている署内の体制の中でいろいろにストレスがたまる。少なくとも二十一世紀というのはもうストレス病との戦いであるとも指摘なさる方もいます。そういうことをありませんと言うんじゃなくて、あった場合についてはよく意見を聞いてあげるぐらいの度量があってしかるべきである。何によってそうなったのか。それは不名誉なことかもしれません。しかし、一人の命が失われてしまっているということに対して、公器たるピストルを使っている。これは刑罰は刑罰で別問題であります。しかし、男が命をかけるわけでありますから、それが職域から来るところのいろいろないきさつであるかないかというところについても、これはしていかなきゃならない。たとえて申しますと、横浜市でコアラの飼育、たった一人、コアラを飼育することがどうしてもできなかったために首をつって自殺なさった方、こういう方もいらっしゃいますし、あるいは学校の先生でも暴力教室の中で、そういうようなことの対応がどうも自分の性格的に合わずして、これは認定になったケースもございます。そういうふうなことでありますからこの辺のところ、時間も迫ってまいりますので意見を付してまいりますが、そういう問題と、それからいま一つ地方の健康センターに、過労死に至らないために、私の調査によりますと多くの方々が行っていらっしゃいますけれども、どうも全国一万五千カ所あるお巡りさん、こういう方については非常に高年齢の方が多い。何か事件が起こると、捜査課は来る、県警は来る、またあっちは来るで、同じひき逃げでも徹夜の状態を六十歳近くになっても何回も一緒にやる。それで体というものは非常にこたえていらっしゃるという声も多々聞いてまいりました。こういう方々に対するやはり健康、予防という意味で、これはひとつ粋な話でありますけれども、長官ぐらいのあれで、誕生日はもう指定して健康診断を受けさせてあげる。それからいま一つお聞きすると、この捜査員、刑事さんの方々、退職なすってからなかなか存命率が悪いとか、失礼な言い方でございますが。物すごい厳しい仕事の量である、そして後退職してほっとしてしまう、こういうようなことがある。
 月曜過労死というお言葉を御存じでしょうか、局長さん。月曜過労死というのがあります。遊んでいたものが月曜日に一遍に来て亡くなられる。言うなら今のこのデータの中で何曜日ですかと本当は聞きたかった。非常に月曜日がふえてきているんです。
 これは別にいたしまして、私は第一線にいらしている方、そういう方々の健康、予防、診断というものを、特に警察という体質の上からいっても、上の方は健康診断に行かれる方は多いようでございます。下の方はなかなか行けないそうです。そういうことへの気配りということも十二分に考えていただかなければいけないんじゃないか。粋な計らい、誕生日ぐらいは健康診断をしろ、こういうように、第一線で地域住民のコミュニケーションと接点するお巡りさんの方は非常に大変な作業でございます。その点についてひとつお願いします。
#79
○政府委員(仁平圀雄君) ただいま先生御指摘のとおり、警察官はその職務の特殊性からいたしまして一般の公務員に比べますと、精神的にも肉体的にも厳しい勤務に服しておるわけでありまして、ともすれば過労になりがちでございます。そういうことで、警察といたしましては健康管理につきましては、本人のみならず組織としても関心を持つべき重大な課題であると認識しているところでございます。
 具体的に申し上げますと、健康管理担当医師とか保健婦等を配置いたしまして健康管理体制の充実強化に努めておりますのを初め、定期健康診断や人間ドック等による疾病兆候の早期発見や早期治療に努めるようにいたしているところでございますし、また疾病の状況に応じた適切な要領指導や人事配置なども行っているところでございます。
 ちなみに、昨年全国の警察で行いました定期健康診断の受診率について申し上げますと、九八・五%に上っているわけでございまして、ほとんどの職員が定期健康診断を受けておるという状況になっております。それから先生御指摘の駐在所の勤務員等につきましては、警察署本署への招集日等に本署において健康診断を受けられるようにとか、あるいは捜査等で指定された健康診断日に受診できなかったような者につきましては、別の本人の都合のいい日にどこででも受診できるような配慮をするなど努力しているところでございます。
#80
○常松克安君 労働省にお聞きいたします。
 最終いろいろなもめごとがありましたら医者の診断書が非常に重要になります。同じ医者が一回目発行した診断書、二回目に発行した診断書、これによって狂いが生じて今問題になっております。端的で結構です。こういう場合はどっちが信頼できるものなんですか。
#81
○説明員(坂根俊孝君) そのような場合にはどちらがというふうに明確には答えられないと思いますので、総合的に判断するとしかちょっとお答えしかねるわけでございます。
#82
○常松克安君 結構です。これで終わります。
#83
○神谷信之助君 二つの問題をお尋ねします。
 まず第一点の方ですが、改正案の平均給与額の最高限度額の設定は、先ほど趣旨説明で御説明がありましたように、労災補償保険制度、これで用いられている限度額を考慮して自治大臣が自治省令で決めると、こうなっていますが、この限度額というのは労働省の毎年六月の民間企業の賃金実態調査である賃金構造基本統計調査、この結果に基づいて行うということで間違いありませんか。
#84
○政府委員(滝実君) そのように考えております。
#85
○神谷信之助君 自治省提出資料によりますと、既に最高限度額が設定されている傷病補償、それから障害補償、遺族補償の各年金の補償額のことし二月における年齢階層別最高限度額というのは、五十歳で二万六百八十四円が最高で、五十五歳で一万九千二百二十六円、六十歳が一万六千七百二十七円、六十五歳で一万一千八十二円、こう低下をしてきていますが、これも間違いありませんか。
#86
○政府委員(滝実君) 年齢階層ごとに高年齢になりますとそのように低下してまいります。
#87
○神谷信之助君 休業補償の場合はどうなっているんでしょうか。
#88
○政府委員(滝実君) 休業補償の場合も療養補償の額と同じことになろうかと思います。
#89
○神谷信之助君 一般には公務員は五十歳から五十九歳までは年々大体定期昇給もありますから給与は上がっていきます。ところが逆に、年金や休業補償の方は最高限度額で抑えられて低下をする、こういうことになります。そうすると、この休業補償額が労働基準法のいわゆる六割補償の原則に反するというようなことになる場合も起こっ
てくるんじゃありませんか。
#90
○政府委員(滝実君) 水準から見ますと、労働基準法上の問題が出てくるわけでございますけれども、これを純法律的に見ますと、地方公務員災害補償法の場合には、その補償規定の方を適用除外しておりますので、法律的な抵触関係はないものと考えております。
#91
○神谷信之助君 法律的には適用関係はないけれども、休業補償額基準法の六割補償という原則からは崩れてきますわね。この点は私は大変問題だというように思うんです。それでしょっちゅう政府の方は高齢化社会に対応するとか、あるいは高齢者保健福祉十カ年戦略とか言いながら、高齢者の被災者に対して年金や補償を削る、こういうことは言っていることと実際になさることとは全く違っているということになると私は思うんです。したがって、この点で我々はこの改正案には反対であるということを申し上げて次の問題に移ります。
 高齢者いじめという点で同じような意味を持ちます地共済の退職年金、この問題で聞きます。
 百三国会の六十年の十二月に共済年金の給付水準を厚生年金にすべて合わせるという改正、すなわち共済年金の方が高いから厚生年金に横並びにするということで、従来の退職前の一年間の平均給料月額、これを基準にしていたのを五年間の平均給料月額に政令で定める補正率を掛けて、全期間の平均給料月額を算定するという方式に変更になりました。当時、本委員会で審議をやりました際に、この補正率といいますか、現在はこれが全期間換算率ということになっていますが、当時これが明らかでないために、私は検討しようにもしようがないと主張したわけですが、結局、残念ながらあの法律が成立してしまいました。しかし、この全期間換算率が正しく一人一人の給与の歴史を反映しているかどうか、この点私は疑問を持っていました。
 そこで、公務員が民間に勤務して、同じ給料をもらった場合にどうなるかということを試算してみたわけであります。数人の人事記録に基づいて本俸月額を求め、これに手当率とされている一・二五を乗じ、給与月額を算出いたしました。さらにこの金額を厚生年金の標準報酬月額表に当てはめて標準報酬月額を確定いたしました。この標準報酬月額に基づいて厚生年金の計算方式によって、平均標準報酬月額を算出し、さらにまたこれを基礎にして、報酬比例部分の年金額というものを得ることができました。これと共済年金の年金額を比較しますと、驚いたことには、共済年金の方が低いというそういう事実を発見をいたしました。
 私どもの試算だけではこれは説得力がありませんから、その中で三例を自治省と厚生省に提示して、それぞれで試算をしてもらいました。それがお手元に配付をした資料であります。
 @、A、Bとありますが、まず@の例で御説明をいたしますと、平均給料月額が厚生年金方式では、三十五万四千八百二十一円、共済年金では三十二万一千二百十五円となって、その差は三万三千六百六円、こうなっております。また、報酬比例年金、これについて同じ厚生年金方式で見ますと、百六十九万六千八百円、共済方式でやりますと百五十三万六千百円、こうなりまして、約一割の十六万七百円共済方式の方が低くなってきています。六十年改正のときに、共済年金の方が高いと、その格差をなくすんだということで改正をなさったわけですけれども、しかし改正した結果を実際に当たって試算をしてみますと、今度は共済年金の方が低くなっているわけです。なぜこういう状態が起こるのか、まずその点についてお伺いしたいと思います。
#92
○政府委員(滝実君) 先生御指摘のこの@、A、Bの例でございますけれども、この数字についてはそれぞれ厚生省あるいは私どもで算定した数字でございますから、この数字そのものはこのとおりだというふうに思っております。
 それで、この数字のような違いがなぜあらわれるかということでございますけれども、これは私どもも実は判然としない部分がございます。私どもも試算はしてみましたんですけれども、よくわからない点が非常に多いわけでございます。
 例えばそのAとBと比べていただきますと、これ、みんな同じような条件の人たちでございますけれども、その差額にやはり例えばAで申しますと、三万六千円でございますけれども、Bの場合には一万円ちょっとと、こういうようなことでございますので、同じような人たちであるにもかかわらず、この差が出てくるというところからいたしましても、実はよくわからない点でございます。この辺のところが結論的に見て、正直なところ、そういうことでございます。
 基本的には先生のおっしゃるように、公務員の場合には昭和五十六年の四月以降の組合員期間につきまして、全期間をそれによって期間率を換算して、全生涯の率を年ごとに割り落としたりなんかして出しているわけでございます。そういうような公務員特有の方式をとっておりますから、その辺のところが厚生年金と一部分違うところがございます。したがって、その結果がこういうふうにあらわれるわけでございます。
 なぜこういうことになってくるかと申しますと、私どもとしてはこういうようなことを基本にして算定をして、その前提としては国家公務員の行政職(一)表を使ってモデル賃金をはじいて、それによってやったはずなんでございますけれども、どうも地方団体の場合には国家公務員の場合と違ってモデル賃金の上昇率と申しますか、そういうものの給与の運用上のその開きが団体によってもありますし、個々の職員についてもあると、こういうことがこのような結果になっているんだろうということでございますけれども、ここのところは私どももまだ実際に計算した例が余り多くありませんので、結論的に申しますと、先ほど申しましたように、どうもよくわからないということが正直なところでございます。
#93
○神谷信之助君 ここでお見せしたのは三例ですけれども、私も数例計算してみたんですよ。全部同様の結果が出てきています。今公務員部長おっしゃったように、Bの例は低いですわね。これは地方職員共済です。@、Aが東京都の職員共済でしょう。恐らくこれはそれぞれ全国の自治体でいわゆる特別昇給制度がありますからね、ベースアップの差があるでしょう、そういったものなんかもあるだろうと思うんですが、基本的には換算率が正確であったのかどうか、こういう点に問題がある。だからいろんなたくさんのモデルをおつくりになって、そしてカーブを描いてそこから換算率をお出しになったと、当時もそういう説明をなさっていましたから、そういうことをやられたんだけれども、今度はその出てきた換算率に基づいていろんなケースの公務員の実際の給与歴に基づいて計算をしてみると、それがそうやってみて換算率がうまく合っているのかどうか、厚生年金の場合と比べて。そういうところまで実際におやりになったのかどうかという疑問がわいてきたわけです。
 ですから、これはきょうは問題提起をいたしましたので、急に言ってもしようがないと思いますが、事実こういう逆格差といいますか、これが生じていることはもう明らかなんですから、したがってさらに大きな実例を自治省でも調査をしてもらう。そしてその原因は一体どこにあるのか、そしてそれが明らかになれば当然改善の措置をなすべきだ、こういうように私は思うんです。
 大臣、公務員で、戦後の困難な時期を含めて三十年前後働いて年金生活に入っている人にとってはこれは大変重大な問題であるわけですね。現在働いている人もまた国家公務員も同じやり方になっていますから、一・二五の部分が違いますけれども、あとは一緒になりますね。そういう状況ですから、これは公務員全体にも影響がある大変重要な問題だというように思うんです。したがって、今申し上げたように、自治省としても実際を調査をしてもらって改善すべき点があれば改善するという方向で処置をするべきだというように思うんですが、この点で大臣の見解をお聞きしてお
きたいと思うんです。
#94
○国務大臣(奥田敬和君) 公務員部長からお答えさせますけれども、今この換算率の問題で逆格差を生んでおるという実態、初めてお聞きして意外に思っているところでございますけれども、そんな形がどうしてできたのか、原因の内容も含めて調査をさせたいと思っております。
#95
○政府委員(滝実君) 大臣の御答弁にもございましたように、これについてはとにかく全般的に調査してみませんとその原因がまずわかりませんものですから、そのような格好で作業させていただきます。
#96
○高井和伸君 過労死についてお尋ねいたします。
 自治省の関係だけで結構でございますが、先ほどの六十三年度の認定件数は脳疾患で九件、心疾患で十件というようなことでございました。これの申請件数というのはわかるんでしょうか。
#97
○政府委員(滝実君) まことに申しわけありませんけれども、私ども申請件数までは把握しておりませんものですから、認定件数だけでしか数字を把握しておりませんので申しわけありません。
#98
○高井和伸君 町田千秋さんは見えないんですか。
#99
○委員長(渡辺四郎君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#100
○委員長(渡辺四郎君) 速記を起こして。
#101
○高井和伸君 基金の町田理事さんにお尋ねしたいんですが、六十三年度のいわゆる過労死の認定申請というものは何件くらいあったのかおわかりでしょうか。
#102
○参考人(町田千秋君) 過労死というのは最近非常にマスコミ等で言われている言葉でございますが、私の方では過労死ということでは実はやっておりませんので、脳・心臓疾患というようなことで認定をいたしております。過労死というのはいわば通称というふうに考えております。
 それで、六十三年度の脳・心臓疾患で私どもが公務災害と認定いたしました件数は三十一件でございます。
#103
○高井和伸君 認定したのでなくて、申請が三十一件ですか。
#104
○参考人(町田千秋君) 済みません、八十六件でございます。
#105
○高井和伸君 八十六件。今そして認定が三十一件とおっしゃいましたですね。それで、先ほどの公務員部長さんの数字とはどういう整合性をとればいいですか。
#106
○参考人(町田千秋君) 数字が合わなくて申しわけございません。六十三年度三十二件というのが申請件数でございます。
#107
○高井和伸君 申請件数ですか。
#108
○参考人(町田千秋君) はい、間違えました。
#109
○高井和伸君 脳血管疾患だとか虚血性心疾患等というようなことで通達など流れているということで理解しておりますけれども、私の知りたいのは、今のように三十二件申請で十九件認定ということです。仕事で、公務の上でお亡くなりになるなんということは通常考えられないことが起きているわけで、それが公務災害という概念で今議論されているわけでございますが、過労死というものの原因というのをどのように把握しておられるのか。過労死というか、今申し上げました脳疾患、心疾患で亡くなられる、公務の災害として亡くなられるという現象はどのように理解しておられるんでしょうか。
#110
○参考人(町田千秋君) 一般に脳疾患、心疾患は死病増悪型の疾病というように言われているように、基礎になる動脈硬化とかあるいは血管病変または動脈瘤、心筋変性等の病変が加齢や一般生活等におきます諸種の要因によって増悪をいたしまして発症に至るものとされておるわけでございますが、公務による過重な負荷が血管病変等を自然経過を超えて急激に著しく増悪をさせ発症させたと医学的に認められる脳疾患、心臓疾患については、公務と相当因果関係を持って発症したことが明らかな疾病として公務上の災害として取り扱われております。公務上の災害として取り扱われるためにはその過重な負荷があるということが前提になりますが、それは異常な出来事に遭遇したとか、あるいは日常生活に比較して特に過重な業務に就労したことが挙げられますが、これについては医学経験則上、発症前から前日までの業務が発症に最も密接な関連を有し、次いで発症前一週間以内に過重な業務が継続している場合には血管病変等を著しく増悪させることとされております。このことは、脳血管疾患及び虚血性心疾患等に関する専門家会議において五年間検討された結果でございます。
 そういうことで、脳疾患、心疾患によって発症され、死亡に至る方もおられるわけでございますが、そういうものを公務上として取り扱っておるということでございます。
#111
○高井和伸君 そうしますと、今のお話を聞いておりますと、基本的には業務上の問題で過重な労働があったかどうかということが中心なんだ、それが直近一日、さらに一週間というふうにさかのぼって中身を検討しているんだ、こういうお話でございました。私の知りたいのは、やはりそういった個々の具体的な事例が、職務が同一のものならばいざ知らず、非常に千差万別の公務に従事なさっている、そういった千差万別のファクターをどのように取り込んでくるのか。
 先ほどのもう一方の参考人のお話を聞きますと、どうも医師という方が一人しか診ないような感じだし、その名前も特定されていないというようなことで、どうも経験則上おかしなことをやっておられるような話をちょっと仄聞しておりますし、私の聞きたいのは、特に家庭における例えば御主人が亡くなった場合なら、奥さんからそういった直近の話などを聞き取らなきゃいかぬシステムが組み込まれていないと大変おかしいと思うんですが、そういった調査マンというんですか、第三者的な権威を持った、そういった過労死の認定に携わる、事実関係の認定確定、そういったものには第三者的な人は介入しているんでしょうか。
#112
○参考人(町田千秋君) 認定の具体的な業務についてのお尋ねだと思いますけれども、まず、その認定請求をされる方がそれぞれの自分の主張を一応申し述べられるわけでございます。それに、その勤務の実態等につきましては任命権者が助力義務がございますので、どのような勤務をしてきたかということが任命権者によって証明されます。それらを参考にした上で、それらの勤務とそれから起きました災害との間の因果関係を認定権者であります支部長、これは知事、政令市の市長でございますが、そこで判断をするわけでございますが、その際、その業務と結果として起きました災害との間の医学的な意見を求めるわけでございまして、これは必ずしも単数の医者ではございません。ものによっては数名の医者の意見を求めることもございます。そこで公務との因果関係が明確になったものが公務災害として認定をされるという仕組みでございます。
#113
○高井和伸君 公務災害における今の心疾患、脳疾患によって亡くなられるということはこれは例外的な現象と認識されておるんでしょうか、その一点だけちょっと。
#114
○参考人(町田千秋君) 私、医学に堪能ではございませんので、的確なお答えができるかどうかわかりませんが、私どもの認定件数の中から見ると、申請件数自体も年間三万件ぐらいの認定をいたしておるわけでございますが、先ほども申しましたようにその中の三十件とかいう数字でございますので、今までの統計から見ますとそんなに多いケースではないというふうに考えております。
#115
○高井和伸君 例外的だというような御意見だろうと思うんですが、私の申し上げたいことは、非常にこういった近代社会というか現代社会というところでストレスの多い職場環境になってきて、世の中の動きがGNPが大きくなるに従って非常に激しい組織内改組だとか、新しい仕事がふえる。そして、コンピューターが入ってくるワープロが入ってくる。そして、なれないことがたくさんある。ストレスがふえる。それの証左の一つに
自殺する人が二万四千名ぐらいあるということで、交通事故で亡くなられる方の倍ぐらいというようなことで、日本の社会情勢が非常にある意味ではストレスの多い社会になってきているんだろうということが背景にあるんじゃないかと思うんですが、私の意見についていかがでございますか、認定されている立場から。
#116
○参考人(町田千秋君) 確かに私も個人的には今おっしゃったような感じはいたしておりますけれども、私どもの認定をしております統計をとっているわけでございますが、その中からは最近特にそれが顕著にというような数字は出ていないように思います。
#117
○高井和伸君 時間がなくなりまして、先ほどの質問の中にも健康診断の話が出ておりましたが、さらにその前に勤務時間というか労働時間がやはり非常な大きな面でこういった過労死的な側面をなくする一番根源的なところにあるんじゃなかろうか。健康診断をたくさんしたところで、基本的に働き過ぎはいけないというような側面があろうかと思います。
 それで地方公務員の勤務時間の短縮の方策として、時間もありませんので、現在の現状と将来へ向かっての御努力は自治省としてはどのようなことをおやりになっているのか、その一点をお尋ねして最後にいたしたいと思います。
#118
○政府委員(滝実君) この問題は、基本的には私どもは週休二日制と申しますか、現在は四週間のうち土曜日を二回休むという四週六休制が基本でやっているわけでございますけれども、いわゆるこれに基づいて月に二回だけ土曜を閉庁するという閉庁条例の推進をやっておりまして、これが現在段階で大体七四%ぐらいの団体が土曜閉庁条例をつくって月のうち二回土曜日をお休みと、こういうことでやってきております。したがって、私どもとしては、この土曜閉庁をもう少し、一〇〇%までできるだけ努力をしていきたいというのが一つでございます。
 それから、いずれ完全週休二日制を目指しての問題がございますので、従来から週休二日制が実施困難と思われるような交代制職場、例えば病院でございますとかいろんな施設でありますとか、そういうところはなかなか一律に土曜日をお休みにするとかあるいは月に六回お休みにする、こういうわけにもまいりませんので、そういうような交代制職場についてはこの春からできるだけトライアルとして一遍完全週休二日を目指して、いわば月のうち四回の土曜日を休むようなそういうようなローテーションを組んだ勤務体制ができないかどうか、その試行をやっていただくように話を持ちかけているところでございます。
 国家公務員の方も同じでございますけれども、地方団体の方も国家公務員に呼応いたしまして、今年度中にできましたらそういう交代制の職場を中心にしてできるだけ完全週休制を実施するべくトライアル、要するに実験をしてみると、こういうようなことを現在やっているわけでございます。
#119
○委員長(渡辺四郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#120
○諫山博君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 反対の理由は、長期療養者の休業補償の平均給与額への最高限度額を設定していることであります。
 政府提出の法案には、年金たる補償の額の完全自動給与スライド制の導入及び長期療養者の休業補償の平均給与額への最低限度額の設定など、我が党としても賛成できる部分が含まれています。したがって我が党は、衆議院でこの最高限度額の設定部分だけを削除する修正案を提出しましたが、残念ながら可決されませんでした。
 休業補償の平均給与額への最高限度額の設定に反対する理由の第一は、これにより自治体労働者によっては休業補償が労働基準法の定める休業補償より下回るケースが生まれることであります。
 労働基準法第七十六条では、労働者が業務上負傷し、または疾病にかかった場合における休業補償について、「使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない。」としています。しかし、最高限度額の設定によって休業補償が平均賃金の百分の六十を下回るケースが生まれることは明らかであります。労働基準法の原則を踏みにじるような法改正はやるべきではありません。
 最高限度額の設定に反対する第二の理由は、休業補償の総額抑制を図るものであり、給付水準の引き下げをもたらすことであります。
 最高限度額の設定が賃金構造基本統計調査に基づき定められ、このことから五十五歳を超えると平均給与額が下がり、六十歳以上は最高限度額が急低下しています。これは給付費削減のしわ寄せを働くことの困難な高齢の被災者に押しつけるものであり、到底容認することはできません。
 そもそも本法による災害補償制度の目的は、自治体労働者が公務で被災しても、被災労働者とその家族が人たるに値する生活を営むことができるようにすることであります。この制度の目的からするなら、平均給与額の六割を基礎にするという極めて不十分な現行の休業補償そのものの改善こそ必要であり、最高限度額を設定して休業補償水準を引き下げるなどということは、本法の補償制度の趣旨に逆行するものであり、制度の後退であると言わざるを得ません。
 労働基準法違反の可能性を含み、休業補償の総額抑制を図り、給付水準を引き下げる最高限度額設定は削除すべきことを強く主張して反対討論といたします。
#121
○委員長(渡辺四郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#122
○委員長(渡辺四郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、渕上君から発言を求められておりますので、これを許します。渕上君。
#123
○渕上貞雄君 私は、ただいま可決されました地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、税金党平和の会の各派共同提案による附帯決議案を提案いたします。
 案文を朗読いたします。
    地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、地方公務員の良好な職場環境の保全及び健康管理について万全を期するとともに、左の事項について善処すべきである。
 一、災害の予防及び職業病の発生防止のため、なお一層努力するとともに、公務災害の審査及び認定については、現在懸案中のものを含め、その作業を促進して早期処理に努めること。
 二、高齢化社会の進展にかんがみ、重度障害者等に対する介護に係る補償のあり方を含め、被災職員の介護施策について積極的に検討すること。
 三、脳・心疾患に係る突然死の公務上外の認定については、医学的知見の動向等を踏まえ、適切な運用に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、皆様の御賛同をお願いいたします。
#124
○委員長(渡辺四郎君) ただいま渕上君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#125
○委員長(渡辺四郎君) 全会一致と認めます。
よって、渕上君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、奥田自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。奥田自治大臣。
#126
○国務大臣(奥田敬和君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
#127
○委員長(渡辺四郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#128
○委員長(渡辺四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#129
○委員長(渡辺四郎君) これより道路交通法の一部を改正する法律案及び自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 まず、政府から順次両案の趣旨説明を聴取いたします。奥田国務大臣。
#130
○国務大臣(奥田敬和君) ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
 この法律案は、放置車両及び転落積載物等が道路における危険を生じさせ、または交通の妨害となっている実情等にかんがみ、放置車両について適正な管理を行っていない使用者に対する公安委員会による指示及び運行の制限の措置を設け、並びに放置行為に係る罰金の額及び反則金の限度額を引き上げるとともに、転落積載物等に係る警察署長の措置に関する規定を整備するほか、地域交通安全活動推進委員の制度について定めること等をその内容としております。
 以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。
 まず、第一は、放置行為の防止に係る使用者の責任等に関する規定の整備並びに放置行為に係る罰金の額及び反則金の限度額の引き上げであります。
 これは、違法駐車車両のうち、現場に運転者等がいない放置車両は、交通の妨害となる程度が特に高いことにかんがみ、車両を離れて直ちに運転することができない状態にする放置行為の防止を図ろうとするものであります。
 その一は、移動等の措置がとられた放置車両について、その使用者が放置行為を防止するため必要な運行の管理を行っていると認められない場合には、公安委員会は、その使用者に対し、放置行為を防止するため必要な措置をとることを指示することができることとするものであります。
 その二は、公安委員会が放置行為を防止するため必要な措置をとることを指示したにもかかわらず、その指示に係る自動車につき、指示をした後一年以内に放置行為が行われ、その自動車の使用者がその自動車を使用することが著しく交通の危険を生じさせ、または著しく交通の妨害となるおそれがあると認めるときは、公安委員会は、使用者に対し、三月を超えない範囲内で期間を定めて、その自動車を運転し、または運転させてはならない旨を命じることができることとするものであります。
 その三は、自動車の使用者がその業務に関し下命しまたは容認してはならないこととされている違反行違に放置行為を加えることとするものであります。
 その四は、放置行為に係る罰金の額及び反則金の限度額を引き上げることとするものであります。
 第二に、転落積載物等及び交通事故に係る損壊物等の除去等に関する規定の整備であります。
 これは、転落積載物等及び交通事故に係る損壊物等の早期排除を図るため、これらの物件について警察署長または警察官が移動、除去等の措置をとることができることとするものであります。
 第三に、地域交通安全活動推進委員制度の新設であります。
 これは、違法駐車の防止活動その他地域における交通の安全と円滑に資するための住民の自主的な活動を支援するため、公安委員会は、地域における交通の状況について知識を有する者のうちから、地域交通安全活動推進委員を委嘱することができることとするものであります。
 その他、違法停車車両に対する措置等所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律の施行日は、公布の日から六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
 引き続き、自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
 ただいま議題となりました自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
 この法律案は、道路上の場所以外の場所に保管場所が確保されていない自動車が道路における危険を生じさせ、または円滑な道路交通に支障を及ぼしている実情にかんがみ、自動車の保有者の保管場所確保義務の履行を確保するため、軽自動車を新規に運行の用に供しようとするとき及び自動車の保管場所の位置を変更したときにおける保管場所の届け出を義務づけるとともに、自動車に保管場所標章を表示させる制度を導入するほか、保管場所が確保されていない自動車の運行を制限する措置について定めること等をその内容としております。
 以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。
 まず、第一に、自動車の保管場所の継続的確保を図るための制度を設けることであります。
 これは、道路上の場所以外の場所に保管場所が確保されていない自動車が道路における危険を生じさせ、または円滑な道路交通に支障を及ぼしていることから、すべての自動車について保管場所の継続的確保を図ろうとするものであります。
 その一は、軽自動車の保有者が軽自動車を新規に運行の用に供しようとするとき、または登録自動車もしくは軽自動車の保有者が保管場所の位置を変更したときは、保管場所を管轄する警察署長に、保管場所の位置等を届け出ることとするものであります。
 その二は、警察署長は、登録自動車の保管場所証明書を交付したとき、もしくは軽自動車の保管場所の届け出を受理したとき、またはこれらの自動車について保管場所の位置の変更の届け出を受理したときは、自動車の保有者に対し、保管場所の位置等について表示する保管場所標章を交付しなければならないこととし、保管場所標章の交付を受けた者は、これを自動車に表示しなければならないこととするものであります。
 第二に、保管場所の確保されていない自動車の保有者に対して、自動車の運行を制限する措置を設けることであります。
 これは、道路上の場所以外の場所に保管場所の確保されていない自動車について、保管場所を確保させるために行おうとするものであります。
 すなわち、自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会は、道路上の場所以外の場所に自動車の保管場所が確保されていると認められないときは、その保有者に対し、保管場所が確保されたことについて公安委員会の確認を受けるまでの間、自動車を運行の用に供してはならないことを命ずることができることとするものであります。
 これ以外にこの法律案では、運送事業用自動車に関する法令の適用関係の明確化その他所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概
要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
#131
○委員長(渡辺四郎君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト