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1990/04/26 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 内閣委員会 第2号
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1990/04/26 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 内閣委員会 第2号

#1
第118回国会 内閣委員会 第2号
平成二年四月二十六日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     会田 長栄君     八百板 正君
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     吉岡 吉典君     立木  洋君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     立木  洋君     吉岡 吉典君
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     八百板 正君     田  英夫君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     田  英夫君     八百板 正君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         板垣  正君
    理 事
                大城 眞順君
                高橋 清孝君
                山口 哲夫君
                吉川 春子君
    委 員
                岡田  広君
                名尾 良孝君
                永野 茂門君
                村上 正邦君
                翫  正敏君
                角田 義一君
                野田  哲君
                三石 久江君
                中川 嘉美君
                吉岡 吉典君
                星川 保松君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  塩崎  潤君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  石川 要三君
   政府委員
       内閣参事官
       兼内閣総理大臣
       官房会計課長   荒田  建君
       内閣官房内閣内
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房内政審議室
       長        公文  宏君
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一
       部長       大森 政輔君
       内閣法制局第二
       部長       秋山  收君
       人事院総裁    弥富啓之助君
       内閣総理大臣官
       房審議官     文田 久雄君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    櫻井  溥君
       宮内庁次長    宮尾  盤君
       宮内庁長官官房
       審議官      河部 正之君
       皇室経済主管   永岡 祿朗君
       総務庁長官官房
       長        山田 馨司君
       総務庁長官官房
       会計課長     大橋 豊彦君
       総務庁恩給局長  石川 雅嗣君
       防衛庁長官官房
       長        児玉 良雄君
       防衛庁経理局長  藤井 一夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        原   度君
   説明員
       内閣官房首席内
       閣参事官
       兼内閣総理大臣
       官房総務課長   多田  宏君
       警察庁警備局公
       安第二課長    渡邉 泉郎君
       警察庁警備局警
       備課長      桜井  勝君
       外務大臣官房儀
       典官       竹元 正美君
       外務省アジア局
       地域政策課長   渋谷  実君
       国税庁直税部法
       人税課長     栃本 道夫君
       文部省初等中等
       教育局高等学校
       課長       林田 英樹君
       自治大臣官房総
       務課長      石川 嘉延君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査
 (総理府関係の施策に関する件)
 (平成二年度内閣、総理府関係予算に関する件)
 (総務庁の基本方針に関する件)
 (平成二年度総務庁関係予算に関する件)
 (防衛庁の基本方針に関する件)
 (平成二年度防衛庁関係予算に関する件)
 (平成二年度皇室費に関する件)
○皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(板垣正君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る三月三十日、会田長栄君が委員を辞任され、その補欠として八百板正君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(板垣正君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題といたします。
 まず、内閣官房長官から所信及び平成二年度内閣、総理府関係予算の説明を聴取いたします。坂本内閣官房長官。
#4
○国務大臣(坂本三十次君) 総理府本府の所管行政につきまして、所信の一端を申し述べます。
 初めに、本年十一月には、日本国及び日本国民統合の象徴である天皇の皇位継承に伴う儀式として、即位の礼が挙行される運びとなっております。即位の礼は、国民がこぞってお祝い申し上げ、世界各国からも祝福されるものとして粛然と実施できるよう万全の準備を進めてまいります。また、これから御審議をいただきます即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案につきましても、速やかな成立をお願いする次第であります。
 次に、主な所管事項について申し上げます。
 まず、恩給欠格者問題、戦後強制抑留者問題、在外財産問題等のいわゆる戦後処理問題でありますが、一昨年五月に成立を見ました平和祈念事業特別基金等に関する法律に基づきまして同年七月に平和祈念事業特別基金を設立いたしました。現在、この基金を通じまして、関係者の戦争犠牲による労苦について国民の理解を深めること等により関係者に慰藉の念を示す事業を行うとともに、戦後強制抑留者に対する慰労品の贈呈等を行っているところであります。今後ともこの法律に基づく事業を引き続き適切に推進してまいる所存であります。
 また、台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等の支給につきましては、関係各議員の御努力により法律が制定され、一昨年九月から支給業務を開始し、現在順調にその処理が進んでいるところであります。本事業の趣旨を踏まえまして、今後とも迅速な処理に努めてまいる所存であります。
 次に、緑化の推進でございますが、昭和五十八年に緑化推進連絡会議を設置しまして、全国的な緑化推進運動の展開を図ってきました結果、地域に密着した市町村等の緑化推進運動の着実な実施、国及び都道府県の各種の緑化推進運動の積極的な展開により、国民の緑化意識の向上が図られ、全国的に大きな盛り上がりを見せております。昨年「みどりの日」が国民の祝日として制定され、また「みどりの週間」も制定されたことなどを契機として、今後さらに緑化推進運動の定着化を図るため、地域の実情に即応した緑化対策を推進し、花と緑に囲まれた潤いのある国づくりを目指してまいる所存であります。また、本年四月から開催されております国際花と緑の博覧会の成功を期して総理府の立場から格段の努力をしてまいる所存であります。
 婦人に関する施策の推進につきましては、昭和六十二年五月に「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」を策定し、現在、この計画に掲げられた諸目標達成のための施策を鋭意推進しているところであります。特に、国の審議会等委員への婦人の登用を図るなど政策決定過程への婦人の参加を促進することを最重点にいたしまして、今後もこの計画に沿って男女共同参加型社会の形成を目指して種々の施策のさらなる推進に努めてまいる所存であります。
 また、障害者対策につきましては、「国連障害者の十年」の後半期に向けて策定されました「障害者対策に関する長期計画後期重点施策」に沿って、広く国民の理解と協力を得ながら、障害者の社会への完全参加と平等を目指した各般の施策の推進に努力してまいる所存であります。
 さらに、政府広報につきましては、政府に対する国民の信頼を確保するため、我が国が当面している課題やそれに関する主要な施策、制度に重点を置き、広報活動を積極的に実施してまいる所存であります。
 明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等につきましては、本年三月に延長をお認めいただいた財政上の特別措置により一層その充実を図ってまいる所存であります。
 以上、所信の一端を申し述べさせていただきましたが、その他の所管事項につきましても、諸施策の推進に一層の努力を傾注してまいる所存であります。
 委員各位の深い御理解と格段の御協力をお願いする次第でございます。
 引き続きまして、平成二年度における内閣及び総理府所管の歳出予算要求額についてその概要を御説明いたします。
 内閣所管の平成二年度における歳出予算要求額は百二十六億五千六百万円でありまして、これを前年度歳出予算額百二十二億二千七百万円に比較いたしますと四億二千九百万円の増額となっております。
 以下、順を追って申し上げますと、内閣官房に必要な経費五十五億一千三百万円、内閣法制局に必要な経費六億八千四百万円、人事院に必要な経費六十四億五千九百万円であります。
 次に、総理府所管の平成二年度における歳出予算要求額は七兆八千二百五十八億六千五百万円でありまして、これを前年度歳出予算額七兆五千二百八十八億一千七百万円に比較いたしますと二千九百七十億四千八百万円の増額となっております。このうち、当委員会において御審議を願っております総理本府、日本学術会議及び宮内庁の歳出予算要求額は五百三十七億四千四百万円でありまして、これを前年度歳出予算額四百四十四億三千三百万円に比較いたしますと九十三億一千百万円の増額となっております。
 以下、順を追って申し上げますと、総理本府に必要な経費四百三十六億八千万円、日本学術会議に必要な経費九億五千百万円、宮内庁に必要な経費九十一億一千三百万円であります。
 次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。
 総理本府に必要な経費は、政府広報、栄典関係、平和祈念事業特別基金事業の推進、航空機の購入並びに即位の礼挙行等のための経費でありまして、前年度に比較して八十六億五千六百万円の増額となっております。
 日本学術会議に必要な経費は、科学に関する重要事項の審議、内外の研究連絡調査と国際共同事業の協力に関する業務等に必要な経費でありまして、前年度に比較して八千四百万円の増額となっております。
 宮内庁に必要な経費は、皇室の公的御活動、皇室用財産の維持管理に附帯して必要となる経費等でありまして、前年度に比較して五億七千百万円の増額となっております。
 以上をもちまして、平成二年度内閣及び総理府所管の歳出予算要求額の概要の説明を終わります。
 よろしく御審議くださるようお願いいたします。
#5
○委員長(板垣正君) 次に、総務庁長官から所信及び平成二年度総務庁関係予算の説明を聴取いたします。塩崎総務庁長官。
#6
○国務大臣(塩崎潤君) 第百十八回国会における内閣委員会の御審議に先立ち、所信の一端を申し上げます。
 第一に、行政改革の推進、機構・定員等の審査等についてであります。
 行政改革は、対話と改革の内閣たる現内閣の最重要課題の一つであります。政府としては、これまでも臨調、行革審の答申等を最大限に尊重しつつ、累次の行革大綱等に沿ってその推進に努め、成果は着実に上がりつつあります。
 しかし、今後とも推進すべき課題も数多く残されており、昨年十二月には国と地方の関係等に関する改革推進要綱及び平成二年度行革大綱を閣議決定し、国と地方を通ずる行政改革を初め、広範な分野にわたる行政改革を推進するほか、引き続き規制緩和推進要綱の着実な実施を推進していくこととしております。
 また、新行革審から四月十八日に今後の行政改革の基本的方向を示す最終答申が提出されましたが、この答申を最大限に尊重しつつ、さらに新たな気持ちで行政改革を全般的かつ強力に推進し、簡素にして効率的な行政の実現を図ってまいる所存であります。
 行政サービスの向上を目的としたさわやか行政サービス運動も、引き続き全国的かつ持続的に展開してまいります。
 平成二年度の機構・定員等の審査については、機構の膨張を厳に抑制し簡素合理化を推進するとともに、第七次定員削減計画に基づく定員削減を着実に実施する一方、増員を厳しく抑制し、三千百四十八人の純減を行うこととしております。
 行政情報システムの総合調整については、時代の変化に対応して、行政情報システムの高度化、効率化を一層推進するとともに、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律の全面施行に向けて所要の準備を進めてまいります。
 第二に、国家公務員の人事管理についてでありますが、全体の奉仕者である公務員が、その職務を行うに当たって国民からいささかの疑いも受けることのないよう、今後とも綱紀の厳正な保持に努めてまいります。
 国家公務員の週休二日制の推進については、完全週休二日制に向けた検討の一環として、本年度、交替制等職員の週四十時間勤務制の試行を実施し、その問題点の把握と対応策の検討を行うこととしております。
 この他、職員の適切な処遇の確保を図るとともに、能力開発・啓発等を推進し、公務能率の増進を図ってまいります。
 さらに今国会では、民間の労働者災害補償制度との均衡を図るための国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案の御審議をお願いしております。
 第三に、行政監察については、政府の重要政策課題の解決の促進及び既往の諸改革の定着と実効確保の観点に立ち、国有林野事業、高齢者対策等に引き続き、今後、規制行政、土地対策、JR旅客会社等の監察、調査を計画的に実施してまいります。
 また、民間有識者から国民的立場に立った意見を聴取するとともに監察機能との連携を図りつつ、行政苦情のあっせん業務に鋭意取り組んでまいります。
 第四に、恩給行政については、恩給制度の理念を尊重しつつ、受給者に対する処遇の適正な改善に努めてまいる所存であり、今国会において恩給法等の一部を改正する法律案の御審議をお願いしております。
 第五に、統計行政については、その総合調整に当たり、社会経済情勢の変化に対応したより精度の高い統計の整備充実及び高度利用の推進に努めるとともに、本年十月に実施する国勢調査については、個人の秘密の保護に十分配慮しつつ、その円滑な実施に万全を期してまいります。
 第六に、青少年対策等特定行政施策の総合調整について申し上げます。
 青少年対策については、昨年九月に申し合わせた青少年対策推進要綱に沿って、青少年の社会参加活動の促進を初めとする各種施策を、関係省庁との緊密な連携のもとに総合的に推進するとともに、家庭、学校、地域社会、関係機関等の協力連携を呼びかけ、非行防止対策の推進を図るなど、総合的な取り組みの一層の強化に努めてまいります。
 交通安全対策については、近年の厳しい交通事故状況はまさに非常事態であり、一昨年以来交通対策本部において各種の総合対策を決定し、その推進を図っておりますが、今後とも関係省庁との緊密な連携のもとに各般にわたる施策を推進するとともに、交通安全思想の普及、交通事故被害者の援護等に努めてまいります。
 長寿社会対策については、二十一世紀初頭の本格的な高齢社会の到来に備えるため、長寿社会対策大綱に基づき、雇用・所得保障を初めとする各般の施策を関係省庁との緊密な連携のもとに総合的に推進するとともに、高齢社会をめぐるさまざまな問題について国民各層の理解と関心を深めるため、啓発・情報提供活動の充実強化にも努めてまいります。
 地域改善対策については、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に基づき、地域改善対策特定事業を国及び地方公共団体が一体となって実施していますが、今後とも、地域改善対策の適正化等にも配慮しつつ、法失効後に一般対策に円滑に移行できるよう最善の努力をしてまいります。
 次に、平成二年度における総務庁の歳出予算についてその概要を御説明申し上げます。
 平成二年度の総務庁の歳出予算額は一兆七千九百三十三億六千七百万円で、前年度歳出予算額に比較しますと二百九十六億九千六百万円の増額となっております。
 以下、主なものを御説明申し上げますと、@恩給の支給に必要な経費として一兆六千八百七十八億二千六百万円、A行政改革の推進等、行政運営の効率化、合理化等を図るために必要な経費として二十五億八千八百万円、B青少年対策に必要な経費として二十五億六千三百万円、C交通安全対策に必要な経費として六億六千四百万円、D長寿社会対策を総合的に推進するために必要な経費として一億九百万円、E地域改善対策啓発活動等に必要な経費として六億六千六百万円、F国勢調査等統計調査の実施等に必要な経費として六百三十三億五千百万円を計上いたしております。
 以上、所信の一端を申し述べますとともに、総務庁予算の概要を御説明いたしましたが、委員各位の深い御理解と格段の御協力をお願いする次第であります。
#7
○委員長(板垣正君) 総務庁長官、御退席いただいて結構でございます。
 次に、防衛庁長官から所信及び平成二年度防衛庁関係予算の説明を聴取いたします。石川防衛庁長官。
#8
○国務大臣(石川要三君) 平素から我が国の安全保障に深い関心を持たれ、御指導をいただいている参議院内閣委員会の皆様に、私の所信の一端を申し述べさせていただきたいと存じます。
 御案内のとおり、最近の国際情勢には、ソ連の変化、東欧諸国における民主化への動きや市場原理の導入等、好ましい変化が生じております。これらの変化の中で、東西関係において、戦略兵器削減交渉(START)や欧州通常戦力交渉(CFE)の進展に見られるように、かねてから続けられてきた対話、協調への努力がようやく実りつつあるものと言えましょう。しかしながら、このようなソ連、東欧に始まった欧州を中心とする第二次世界大戦後かつてないほどの変化は、同時に情勢の流動化、不安定化をもたらす側面を有しており、最近におけるドイツ統一問題や、リトアニア問題の帰趨等に今後も十分注意を払っていく必要があります。
 一方、極東地域は、中国の存在、地政学的状況等もあって、欧州とは戦略環境を異にしております。また、ソ連はこの地域に膨大な軍事力の蓄積を有し、かつ質的強化を継続しております。最近の欧州における大きな変化は、いまだアジア地域の軍事情勢に大きな変化をもたらすには至っておりません。
 いずれにせよ、全体として見れば、引き続き、国際社会の平和と安定が米ソ両国の核戦力を中心とした均衡的関係により維持されていることは厳然たる事実であり、欧州を舞台にした兵力削減交渉もこのような枠組みの中で進められております。
 次に、我が国の防衛政策については、日米安全保障体制を堅持するとともに、みずから適切な規模の防衛力を保有することにより、我が国に対する侵略を未然に防止することをその基本としております。我が国の防衛力整備の指針となっている防衛計画の大綱は、このような考え方のもと、国際情勢について、大国間の均衡的関係及び日米安保体制の存在が国際関係の安定維持及び我が国に対する本格的侵略の防止に大きな役割を果たし続けるとの認識に立って、我が国が平時から保有すべき防衛力の水準を定めております。
 政府は、現在、大綱に定める防衛力の水準の達成を図るべく、中期防衛力整備計画の着実な実施に努めております。現在国会で御審議いただいている平成二年度の防衛予算におきましても、財政事情の厳しい中ではありますが、国の他の諸施策との調和を図りつつ、同計画の仕上げを図るために必要な経費を計上しているところであります。
 その具体的内容としては、正面装備の充実のみならず、各種後方支援施策の推進、さらには、基地対策の充実に配意したところであります。特に、近年の厳しい募集環境にかんがみ、自衛隊の魅力化を最重要課題として位置づけ、隊舎、宿舎等の生活関連施設の整備、自衛官若年定年退職者給付金制度の創設等、処遇改善施策の拡充に努力しております。また、中期防衛力整備計画終了後の平成三年度以降の防衛力整備につきましては、昭和六十三年十二月の安全保障会議において引き続き現行のような中期的な計画を策定する必要があるということで意見の一致を見たところであり、これを踏まえ、防衛庁といたしましても、所要の検討作業を着実に実施しているところであります。
 また、政府としては、日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用とその信頼性の維持・向上のため不断の努力を行う必要があると考えており、このため、日米防衛協力のための指針に基づく共同作戦計画の研究、日米共同訓練の実施、装備・技術面における日米協力関係の一層の緊密化、在日米軍駐留経費の負担等を通じて、日米の信頼関係をより確かなものとし、防衛分野における日米間の相互依存関係の強化に努めてまいりたいと考えております。
 さらに、我が国の防衛にとって必要不可欠な自衛隊や在日米軍の施設を確保するとともに、その安定的使用のため、防衛施設と周辺地域との調和を図るべく、防衛施設周辺の生活環境の整備等の諸施策につきましても引き続き積極的に推進してまいる所存であります。
 今日、我が国は、自由主義諸国の一員として世界の平和と繁栄に貢献すべき責務を負っております。このような国際的責務を果たすに当たっては、まず自国の平和と安全を守る努力が必要なことは言うまでもありません。政府といたしましては、今後とも、憲法及び専守防衛等の基本的防衛政策のもと、適切な規模の防衛力の整備を進めてまいる所存であります。私は、以上のような基本的な考えのもと、国民の理解と協力を得ながら、全力を尽くしてまいる覚悟でございます。
 最後に、委員長を初め委員各位の一層の御指導、御鞭撻を賜ることをお願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。
 なお、平成二年度の防衛予算の概要につきましては、藤井経理局長から説明をいたさせます。
#9
○委員長(板垣正君) 藤井経理局長。
#10
○政府委員(藤井一夫君) 平成二年度防衛庁予算について、その概要を御説明いたします。
 まず、防衛本庁について申し上げます。
 平成二年度の防衛本庁の歳出予算額は三兆七千二百十七億八千七百万円で、前年度の当初予算額に比べますと二千六十三億二千三百万円の増加となっております。
 次に、新規継続費は平成二年度甲W型警備艦建造費等で一千六百八十八億四千三百万円、国庫債務負担行為は武器購入、航空機購入、艦船建造、装備品等整備等で一兆五千二百五十億二千六百万円となっております。
 次に、防衛本庁の予算の内容について申し上げます。
 平成二年度予算は、厳しい財政事情のもと、国の他の諸施策との調和を図りつつ、防衛計画の大綱に定める防衛力の水準の達成を図ることを目標として閣議決定された中期防衛力整備計画の最終年度として、その総仕上げを図るとともに質の高い防衛力の着実な整備に努めることとし、正面装備の質的充実に加え、指揮通信・情報機能の充実、練度の向上、隊員施策の推進等後方部門を重視し、所要の経費を計上したものであります。
 特に重点を置いた事項について申し上げると次のとおりであります。
 第一に、陸上装備、航空機、艦船等の主要装備については、更新近代化を中心としてその整備を進めることとし、新戦車、対潜哨戒機P3C、要撃戦闘機F15の調達を行うほか、イージスシステム搭載護衛艦(七千二百トン型)等の建造に着手することとしております。
 第二に、防衛力を効果的に発揮させるため、弾薬の備蓄、魚雷・機雷の管理運用態勢の改善を初めとする継戦能力・即応態勢の着実な充実に努め、航空機用掩体の建設等抗堪性の向上のための諸施策を引き続き進めるとともに、防衛力の維持運営に最小限必要とする要員を確保することとしております。
 第三に、指揮通信・情報機能の充実を図るため、引き続き、防衛統合ディジタル通信網、超長波送信所、艦艇用衛星通信機能及び固定式三次元レーダー装置の整備等を図ることとしております。
 第四に、訓練内容及び教育訓練用装備等の充実等練度の向上等を図るため、油購入費、修理費、教育訓練経費等について、所要の経費を計上し、教育訓練の推進に努めることとしております。
 第五に、隊員施策については、隊舎、宿舎、食厨、浴場等の生活関連施設の充実を図るとともに、隊員の処遇改善に努めることとしております。
 また、若年定年制のもとにある自衛官の定年後の生活の不安を取り除くため、自衛官若年定年退職者給付金制度を創設することとしております。
 第六に、将来装備の動向等を勘案し、装備品の研究開発を推進するため、引き続き次期支援戦闘機等の研究開発を実施するとともに、新たに新重対舟艇対戦車誘導弾、艦載用新射撃指揮装置等の研究開発に着手することとしております。
 以下、機関別の主な内容について申し上げます。
 陸上自衛隊の歳出予算額は一兆四千七百四十八億五千三百万円、国庫債務負担行為は三千八百六十七億一千六百万円となっております。
 陸上装備については、新戦車三十両、八九式装甲戦闘車九両、七三式装甲車二十四両、二百三ミリ自走りゅう弾砲六門、百五十五ミリりゅう弾砲FH70四十四門、八七式自走高射機関砲八両等の調達を予定しております。
 誘導弾については、一個高射特科群の改良ホークの改善を予定するとともに、八八式地対艦誘導弾十六基等の調達を予定しております。
 航空機については、対戦車ヘリコプター八機、観測ヘリコプター十五機、多用途ヘリコプター八機、輸送ヘリコプター五機、合わせて三十六機の調達を予定しております。
 また、予備自衛官の員数を一千人増加することとしております。
 海上自衛隊の歳出予算額は九千七百六十億二千三百万円、新規継続費は一千六百八十八億四千三百万円、国庫債務負担行為は四千四百三十四億九千五百万円となっております。
 艦艇については、護衛艦七千二百トン型一隻、潜水艦二千四百トン型一隻、掃海艦一千トン型一隻、掃海艇四百九十トン型一隻、ミサイル艇五十トン型二隻、輸送艇四百二十トン型一隻、音響測定艦二千八百トン型一隻、合わせて八隻の建造に着手することとしております。
 航空機については、対潜哨戒機八機、連絡機二機、初級操縦練習機七機、対潜ヘリコプター十一機、合わせて二十八機の調達を予定しております。
 地対空誘導弾については、八一式短距離地対空誘導弾二セット等の調達を予定しております。
 また、自衛官の定数については、艦艇、航空機の就役等に伴い、百十四人の増加を図るとともに、予備自衛官の員数を三百人増加することとしております。
 航空自衛隊の歳出予算額は一兆一千二百十七億六百万円、国庫債務負担行為は六千一億二千四百万円となっております。
 航空機については、要撃戦闘機十機、早期警戒機二機、中等練習機十九機、飛行点検機一機、輸送ヘリコプター二機、救難ヘリコプター二機、合わせて三十六機の調達を予定しております。
 なお、F4EJについて、延命に伴う相対的な能力不足を改善するため、引き続き改修を行うこととしております。
 地対空誘導弾については、ペトリオット一個高射群分、八一式短距離地対空誘導弾二セット等の調達を予定しております。
 また、自衛官の定数については、航空機の就役机等に伴い百七十八人の増加を図るとともに、予備自衛官の員数を二百人増加することとしております。
 内部部局、統合幕僚会議、施設等機関等の歳出予算額は一千四百九十二億六百万円、国庫債務負担行為は九百四十六億九千二百万円となっております。
 これは各種装備品等の研究開発費、その他各機関の維持運営に必要な経費であります。
 以上のうち、昭和五十一年十一月五日に閣議決定された「防衛力の整備内容のうち主要な事項の取扱いについて」に基づき、安全保障会議に諮り決定されたものは、自衛官の定数及び予備自衛官の員数の変更のほか、新戦車等主要陸上装備の調達、地対空誘導弾ホークの改善、八八式地対艦誘導弾、八一式短距離地対空誘導弾及び地対空誘導弾ペトリオットの調達、対戦車ヘリコプター、輸送ヘリコプター、対潜哨戒機、対潜ヘリコプター、要撃戦闘機、早期警戒機等航空機百八機の調達等、護衛艦七千二百トン型等艦艇七隻の建造の着手であります。
 なお、平成二年度における自衛官の定数及び予備自衛官の員数の増加については平成元年度分とともに、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案とし、自衛官若年定年退職者給付金制度の創設については、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案としてそれぞれ提出し、別途、御審議をお願い申し上げております。
 続いて、防衛施設庁について申し上げます。
 平成二年度の防衛施設庁の歳出予算額は四千三百七十三億六千四百万円で、前年度の当初予算額に比べますと三百三十一億七千七百万円の増加となっております。
 また、国庫債務負担行為は、提供施設整備で八百九十四億八千八百万円となっております。
 次に、防衛施設庁の予算の内容について申し上げます。
 平成二年度予算において、特に重点を置いた事項は次のとおりであります。
 第一に、基地周辺対策事業については、住宅防音工事の助成に重点を置き、基地周辺地域の生活環境の整備等を図ることとしております。
 第二に、在日米軍駐留経費負担については、日米安全保障体制の円滑な運営に資するため、提供施設の整備及び労務費の一部負担の充実を図ることとしております。
 以下、各項目別の主な内容について申し上げます。
 施設運営等関連諸費は三千三百九十一億九千三百万円となっております。このうち、基地周辺対策事業については、基地問題の実態に有効に対処し得るように、個人住宅の防音工事費六百七十五億七百万円を含め、一千六百十五億八千三百万円を計上しております。
 このほか、日米安全保障体制の円滑な運営に資するため、提供施設の整備として歳出予算に一千一億三千八百万円、国庫債務負担行為で八百九十四億八千八百万円をそれぞれ計上しております。
 調達労務管理費については、在日米軍従業員の安定的雇用の維持を図り、もって在日米軍の効果的な活動を確保するため、地位協定第二十四条についての特別措置に関する協定に基づき負担する経費四百五十八億六千万円を含め基地従業員対策等に要する経費として七百二億九千六百万円を計上しております。
 その他、提供施設移設整備費二億九千五百万円、相互防衛援助協定交付金一億四千五百万円、一般行政事務に必要な防衛施設庁費二百七十四億三千五百万円を計上しております。
 以上申し述べました防衛本庁及び防衛施設庁予算に安全保障会議予算を加えた平成二年度防衛関係費は四兆一千五百九十三億四千百万円となり、前年度の当初予算額に比べますと二千三百九十五億七百万円、六・一%の増加となっております。
 以上をもちまして、防衛本庁及び防衛施設庁の予算の概要説明を終わります。
#11
○委員長(板垣正君) 次に、平成二年度皇室費について政府委員から説明を聴取いたします。宮尾宮内庁次長。
#12
○政府委員(宮尾盤君) 平成二年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明いたします。
 皇室費の平成二年度における歳出予算要求額は六十四億七千五百二十一万五千円でありまして、これを前年度予算額四十九億七千七百三十一万四千円に比較いたしますと、十四億九千七百九十万一千円の増加となっております。
 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。
 以下予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費二億九千万円、宮廷に必要な経費五十九億三千三百七十二万七千円、皇族に必要な経費二億五千百四十八万八千円であります。
 次に、その概要を御説明いたします。
 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度に比較して三千三百万円の増加となっております。
 これは内廷費の定額二億五千七百万円を平成二年度においては二億九千万円に増額改定することを予定していることによるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。
 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費三十一億九千四百五万七千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費二十七億三千九百六十七万円でありまして、前年度に比較して十四億三千二百四十二万一千円の増加となっております。
 その増加の主な理由は、皇室の行事として行われる皇位継承儀式のために必要な経費二十五億六千七百六十六万六千円を計上したことによるものであります。
 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して三千二百四十八万円の増加となっております。
 これは、内廷費と同様に、年額算定の基礎となる定額二千三百六十万円を平成二年度においては、二千七百十万円に増額改定することを予定していることによるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。
 以上をもちまして、平成二年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。
 よろしく御審議くださるようお願いいたします。
#13
○委員長(板垣正君) 以上で所信及び予算の説明聴取は終わりました。
    ─────────────
#14
○委員長(板垣正君) この際、弥富人事院総裁から発言を求められておりますので、これを許します。弥富人事院総裁。
#15
○政府委員(弥富啓之助君) 貴重な御審議の時間をいただきまして、一言ごあいさつを申し上げさせていただきます。
 このたび、国会の御承認をいただきまして、人事院総裁を拝命いたしました弥富啓之助でございます。
 国家公務員法の掲げております公務の民主的かつ能率的な運営の保障という目的を実現するため、人事院総裁としては新たな決意を持って人事行政に取り組み、人事院の使命達成のため全力を傾けてまいる所存でございます。
 委員長初め委員の諸先生には、何とぞよろしく御教示をいただきまして、御鞭撻をいただきますよう心からお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。よろしくお願いを申し上げます。    ─────────────
#16
○委員長(板垣正君) 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案の両案を一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。坂本内閣官房長官。
#17
○国務大臣(坂本三十次君) ただいま議題となりました皇室経済法施行法の一部を改正する法律案及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案でございますが、改正点は、内廷費の定額及び皇族費算出の基礎となる定額を改定することであります。
 内廷費の定額及び皇族費算出の基礎となる定額は、皇室経済法施行法第七条及び第八条の規定により、現在それぞれ二億五千七百万円及び二千三百六十万円となっております。これらの定額は、昭和五十九年四月に改定されたものでありますが、その後の経済情勢なかんずく物価の趨勢及び国家公務員給与の引き上げにかんがみ、内廷費の定額を二億九千万円、皇族費算出の基礎となる定額を二千七百十万円にいたしたいと存じます。
 なお、この法律案では、施行期日を平成二年四月一日といたしておりましたが、既にその日を経過しておりますので、衆議院においてこれを公布の日に改め、本年四月一日から適用することに修正されております。
 次に、即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案についてでございます。
 即位礼正殿の儀は、天皇陛下が御即位を公に宣明されるとともに、その御即位を内外の代表がことほぐ儀式であり、国事行為として、平成二年十一月十二日に行われます。
 本法律案は、即位礼正殿の儀に際しまして、国民こぞって祝意を表するため、この儀式の行われる日を休日とするものであります。
 なお、附則において、「この法律に規定する日は、他の法令の規定の適用については、国民の祝日に関する法律に規定する日とする。」旨を規定しております。
 以上が、両法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
#18
○委員長(板垣正君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#19
○山口哲夫君 質問に入ります前に、これは委員長にお願いすることになると思いますけれども、宮内庁長官の出席をお願いいたしました。しかし、政府委員にはなっていないということで断られたわけであります。説明員でも結構だ、特に御存じのとおり、何十年に一回しかない即位の礼あるいは大嘗祭、そういった諸問題について質問もしたい、こういうことで、これはやはり責任者である宮内庁長官が出席するべきではないだろうか、そういうふうにお願いしたんですけれども、出るわけにはいかないということでございました。
 しかし、議事録を読んでみましたら、昭和五十二年に宇佐美宮内庁長官ですけれども、衆議院の内閣委員会に出まして、この皇室経済法施行法の改正についてもその考え方について相当長時間にわたって答弁に立っているわけであります。ですから、できれば今後宮内庁長官については政府委員にしてもらって出席できるような、そういうことを委員長としてもぜひ御配慮していただきたい、このことをひとつお願いをしておきたい、こういうふうに思います。
#20
○委員長(板垣正君) 理事会で協議させていただきます。
#21
○山口哲夫君 それでは質問に入りますけれども、皇室の使っている用語というのは大変難しゅうございまして、間違った発言が出てくると思いますけれども、その際はひとつ遠慮なく御指摘をいただきたい、こういうふうに考えますので、お願いしたいと思います。
 官房長官は十一時から記者会見で三十分留守になるそうでありますので、最初に皇室行事のあり方について幾つか質問をしておきたいと思います。
 まず、今上天皇は新憲法のもとで初めて天皇になられた方であります。しかも、戦後の新しい教育制度の中で義務教育である中等教育もお受けになられましたし、また高等教育も民主的な教育の中でお受けになったわけであります。その天皇に仕える宮内庁といたしまして、やはり象徴天皇にふさわしい、もっと国民の心に結びつくような、そういうことを考えて今後皇室行事というものを行うべきではないだろうかな、そういうふうに思うわけでございますけれども、長官としていかがお考えでしょうか。
#22
○国務大臣(坂本三十次君) 象徴天皇として国民の皆さん方に、非常に親愛の情を持って国民の皆さんが象徴天皇を見ておる、私はそう思うております。天皇陛下におかれても象徴天皇としての御自覚は非常に深いものがあると拝察をいたしております。
 でありまするから、ただいま委員の御質問のように、国民と象徴天皇との間に、非常に親しい気持ちで、気持ちが通い合うということはまことに結構なことだと思うておりまして、いろいろな行事を行うに当たりましてもそのようなお気持ちを大切にしてやっていかなければならぬ。具体的にはいろいろな問題がありましょうが、そういう気持ちでひとつ配慮をしていきたいものだと思うております。
#23
○山口哲夫君 それでは、そういうお気持ちでこれからの皇室行事というものをやっていきたい、こういう長官のお話でございますけれども、宮内庁といたしまして、今長官がおっしゃったように、もっと親愛の情といいますか、敬愛の念が高まるような、そういうことを考えてもう少し国民に積極的に溶け込んでいくようなことを考えるべきでないだろうかと思うわけです。
 この間、テレビを見ておりましたら、花博ですか、花の万博会場で若者と握手をされているような、そんな映像が出ておりました。こういうようにもっと積極的に国民に溶け込むようなことを考えるべきだと思うんですけれども、具体的にどういうところを変えていきたいと思っているのか。そういう考え方が当然おありだと思うんですね。いかがでしょうか、具体的に何か考えていることがあったらお示しいただきたいと思います。
#24
○政府委員(宮尾盤君) 国民と親しく陛下がお接しになるようなことをもっと考えていったらいいではないか、こういう御趣旨の御質問でございますが、陛下は、いろいろな国事行為あるいは儀式、行事というようなものを行われるとともに、また地方へのお出ましということで国体だとか植樹祭だとか、あるいは先般の花と緑の博覧会というような機会におきまして地域の住民の方々とも接触をする機会というものがいろいろあるわけでございます。そういう意味で、陛下は常に国民とともに歩むという基本的なお考え方で御行動をなされているというふうに私どもも承知をいたしておりますし、今お話しのありましたように、花博等の機会に住民と親しくお話しになり接触される、こういうような場というものにおいて陛下御自身のそういう御姿勢というものをお示しになっておられるというふうに思っております。
 国民と接触する場というのは宮中行事とかそういうもの以外に地方行幸啓等に非常にそういう場が多いと思いますけれども、できるだけそういう場づくりができるようなことは考えてまいりたい。具体的にどういうことを考えるかということについてはちょっと今具体的に申し上げられるようなことはございませんが、そういう場を通じてできるだけそういう努力をしていただくようにお願いしてまいりたいというふうに思っております。
#25
○山口哲夫君 先ほども申しましたように、新憲法のもと初めて天皇になられた今上天皇なわけですね。もう一連の行事が始まっているわけです。そういうことを考えたときに、宮内庁では、今官房長官がおっしゃったように、国民に溶け込んでいけるようなことを具体的にやはり考えていくべきだと思うんです。これから考えるというよりも、それでは具体的にこういうところを直そうじゃないかということは当然考えてしかるべき問題だと思うわけですけれども、残念ながらまだお考えになっていらっしゃらないようなんで、私の方から幾つかちょっと提案してみたいと思います。
 まず、天皇の日常生活につきまして国民は非常に親愛の念を抱いているわけですね。そういった親愛の念を抱けば抱くほど天皇の日常の御生活についてももっともっと知りたいというような希望というのはあると思うんです。そういう点で、今まで昭和天皇の実績を見ますと、記者会見というのは一年にほんの一回か二回、天皇誕生日の前とそれからお正月でしょうか、たしかそのくらいしかおやりになっていないですね。外国に何か特別出かけられるときには記者会見をしているようでありますけれども、もう少し記者会見というものを一年に何回か定期的におやりになってはいかがでしょうか。どうでしょうか。
#26
○政府委員(宮尾盤君) 天皇陛下が報道関係の方々と会見をする、こういう機会は、今お話しに出ておりましたように、先帝陛下の場合であれば定例的なという、恒例のという意味ではお誕生日あるいは那須での御静養時というような機会が恒例となっていたわけでございます。
 今上陛下は御即位をなされてから昨年八月四日に即位後初めての記者会見が行われたわけでございますが、今お話しありましたように、報道関係の方々との会見というような場をどういうふうにしていくかということはまだ具体的には私どもも方針を定めてはおりません。
 今お話しのように、そういう機会があって国民の方々に陛下の御様子というものが正しく伝わっていくというふうなことは非常に結構だと思いますが、ただ、片方で御公務も非常に多いわけでございますし、それから陛下としてのお立場としてもいろいろあるということもございますので、そういった国民と接触する場が一つは報道という機会を通じてあるだろうという御指摘は十分わかりますが、今申し上げたような点もありますので、そういうことを踏まえながら今後また今上陛下のそういう報道の方々に対する接触の仕方というものについては十分検討していきたいというふうに思っているわけでございます。
#27
○山口哲夫君 よく途中聞き取れなかったんですけれども、最終的には検討してみたい、こういうことですね。
#28
○政府委員(宮尾盤君) 先ほど申し上げましたように、先帝陛下のいわば一つの恒例のパターンといいますか、というのはあるわけでございますが、今の陛下になられてから、今いろいろ皇室としても諸行事等控えておる中で、どういうふうに今後記者会見等を組み込むようなことを検討していくかということはこれからの問題でございますので、そういう御指摘の点も踏まえながら今後検討していきたい、こういうふうに申し上げているわけでございます。
#29
○山口哲夫君 ぜひ検討して実現できるように御努力をいただきたいと思います。
 官房長官はもう五分ぐらいしかおりませんので、それじゃもう一つ具体的な問題をお聞きしたいと思います。
 正月二日に行われます一般参賀、これは残念ながら今ガラスの部屋にお立ちになりまして参賀の国民にごあいさつをされていらっしゃるわけですね。昭和天皇の時代には、パチンコの玉を撃ち込んだりあるいは発煙筒をたいたり、いろんな危険な行動もあったようでございます。しかし、今はもっと世の中は平和になっておりますし、平穏な社会になっているというふうに思うわけです。それで、天皇御自身も常々国民との間に垣根を取り除いていきたいということをおっしゃられている、そういうふうに承っております。来年の参賀は天皇になられて初めての参賀であると思いますので、国民との垣根を取り除くためにもガラスはぜひこの機会に外された方がもっと国民との親愛関係、長官がおっしゃっている親愛関係が深まるんじゃないだろうかなというふうに思いますので、記者会見の問題とあわせて官房長官の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#30
○政府委員(宮尾盤君) ただいま御質問の中にありましたように、不幸なといいますか、残念なパチンコ事件というようなことを契機にいたしまして、今一般参賀の場合には風防ガラスの中で参賀の方々にお会いなさっておる、こういうことになっておるわけでございます。私どもも、それはそういう必要性が全くなければその方がいいということは御指摘のとおりでありますが、いわゆるこれは警備上の問題もあるということで、そういうことが検討のできる時期であるかどうかということがまず大前提の問題だろうというふうに思っております。
 それから、仮に警備上のというような問題を離れましても、例えばあのベランダに陛下がお出ましになるときには、雨が降ったりするようなケースの場合には、やはりそれだけの雨にぬれないようなことも考えなければなりませんので、そういう意味では悪天候のようなときにはそれなりの利点もあるのかなということも一つはあるわけでございますが、何分にいたしましても基本的なことはそういう警備上の問題というものが絡んでおり、これは警備当局のいろんな御判断も聞いて対処していかなければならない問題だというふうに私ども考えておるわけでございます。
#31
○山口哲夫君 官房長官がお答えになる前にもう一問だけ。
 今次長は雨との関係をお話しされましたけれども、雨とガラスは何も関係ないので、そこは取り違えないようにしていただきたいと思うんです。
 先ほども申しましたように、花と緑の博覧会のときに天皇が若者と握手されていましたよね。だから、天皇御自身がそういうふうに国民の中に溶け込んでいこうというお気持ちが私はおありになると思うんですね。そういうことを考えたときに、ガラスを張った中でこれからも参賀の国民にごあいさつされるということは天皇御自身が好んでいらっしゃらないというふうに私は思うんです。どうでしょう、一回検討してみるお考えございませんでしょうか。官房長官、いかがでしょうか。
#32
○政府委員(宮尾盤君) 先ほども申し上げましたように、一つの残念な事件を契機にしてそういうことになったわけでございまして、そういった必要性がなければそういうものを取り除くということも一つの考え方としてあり得ると思いますし、その方がよかろうというふうに私ども思っております。具体的なそういう問題で、警備上の問題でございますので、十分警備当局と私ども御相談をしながら警備当局の判断も十分尊重していかざるを得ないだろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
#33
○山口哲夫君 官房長官、いかがですか。
#34
○国務大臣(坂本三十次君) 今、山口委員もおっしゃったように、国民の親愛の情は陛下に非常に集まっておるわけであります。陛下はまたそれ以上に国民とともに歩みたいという国民に対する親愛の情を人一倍持っておられると私は拝察いたします。そういう気持ちはございますけれども、しかし宮内庁から今答弁いたしましたように、やっぱり万一の警備上のことがあっては大変だと思うのもこれは宮内庁とすれば当然のことでありまして、その辺の兼ね合いで、今後警備上の問題についても宮内庁あるいは関係省庁も考えていただいて適当な具体案を検討してもらうというところできょうはひとつどうぞよろしくお願いをいたします。
#35
○山口哲夫君 ぜひ真剣に御検討いただきたいと思います。
 天皇は皇位を継承されたときに、こういうふうにおっしゃっていますね。「皆さんとともに日本国憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓い、」云々、こうおっしゃっています。憲法をあくまでも尊重していきたい。大変私どもとしてはうれしく思っておるわけであります。
 そこで、昭和で言いますと二十三年から二十七年まで昭和天皇は憲法記念日の記念式に御臨席になっております。その後残念ながら、政府主催の憲法記念日というのはなくなったのでしょうか、天皇の御臨席がなくなったわけでありますけれども、これから憲法記念日というものが政府の主催で行われるようになったときに天皇は御臨席になられるでしょうか。昭和天皇のときにも御臨席になっているわけでございますから、憲法を守っていくというお言葉のように、憲法記念日というものが実際に行われるようになったときには当然御臨席いただけるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#36
○政府委員(宮尾盤君) 天皇陛下は各種の行事あるいは式典というようなものに御臨席になっておるわけでございますが、そういうところへの御臨席は、これは主催者側の要請に基づきまして、御臨席になってしかるべしというものについては御臨席をいただく、こういうことになっておるわけでございます。
 したがいまして、仮に今後政府主催の記念式典というようなものがあった場合にどうか、こういうことでございますが、これはその主催者、政府主催であれば主催者である政府からそういう御要請があれば、そういうことを受けて十分検討をする、こういうことになるわけでございます。
#37
○山口哲夫君 四月二十二日の朝刊で韓国の盧泰愚大統領が訪日のときに天皇の訪韓を公式に招請する方針である、こういうふうに韓国の二十二日付の朝刊が報じた、こういうふうに言われております。そのような話は既に政府の方に来ているんでしょうか。また、公式に招請された場合には訪韓のお考えはあるのでしょうか。
#38
○説明員(渋谷実君) 新聞でそのような報道があったことは事実でございますけれども、日韓の両国政府間でこの件が話し合われたことはございません。
 また、そういう話が盧泰愚大統領が訪日をした際にあった場合はどう対応するかという御質問でございますけれども、現在では盧泰愚大統領訪日がまだ正式に発表されていない段階でございますので、この点についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、私どもといたしましては陛下の御訪韓については、陛下が皇太子殿下時代に御訪韓の計画がありまして、それが中止になった経緯も踏まえ、また今後諸般の事情を慎重に見きわめつつ検討していきたいと思っております。
#39
○山口哲夫君 正式に訪韓の要請があった場合には外務省としても検討をする、そういうことでございますね。
#40
○説明員(渋谷実君) そういうことでございます。
#41
○山口哲夫君 ぜひ実現をさせていただきたいと思うんです。
 残念ながら、朝鮮と日本との間には戦前非常に悲しむべき問題が発生しております。特に、日本の政府が朝鮮の人たちを強制労働ということで随分日本に連行してきてたくさんの方を死なせてしまいました。特に、まだサハリンにはたしか四万前後の朝鮮人が故国に帰れないで生活をしているわけであります。そういうことを考えたときに、確かに韓国の方々、朝鮮の方々は日本に対して非常に悪い印象を持っておるようであります。日本人を本当に好きだと思う方というのは非常に少ない。隣国として非常に残念なことであります。
 ですから、今後韓国、朝鮮ともっとやっぱり積極的におつき合いをして友好関係を深めていくためには、こういう機会にぜひ天皇が訪韓をされまして、そして過去の日本の犯した罪についても率直におわびをしていただきたいものだ、そういうふうに思うわけであります。そういうことを含めまして御検討していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#42
○説明員(渋谷実君) 韓国の国民の間に日韓間の過去の不幸な関係について種々の感情があることは私たちも承知しております。ですから、今後両国間の関係をいろいろと進める上でそういう点を十分考慮に含めなければいけないという点は御指摘のとおりだと思います。
#43
○山口哲夫君 ぜひひとつそういう立場で御検討いただきたい、お願いしておきたいと思います。
 それでは、即位の礼の基本的な問題について幾つか質問をしてみたいと思います。
 即位の礼準備委員会というのでしょうか、即位の礼のあり方につきまして各方面から意見を聞いて政府の見解をまとめた、こういうふうにおっしゃっているわけでありますけれども、準備委員会の第一回の有識者ヒアリングというのはたしか平成元年の十一月七日に行われているわけでありますけれども、同日付の東京新聞、毎日新聞だったと思いますけれども、その朝刊に、即位の礼、大嘗祭の政府の原案がもう既に報じられているわけであります。しかも、これは今の出されている政府見解と全くぴたり一致するものでございます。そういうことを考えると、有識者のヒアリングを行って即位の礼等についての中身について十分検討したいというふうにおっしゃっているんですけれども、もう既に検討に入る前にそういう結論が政府の方でつくり上げられていたんではないだろうか、そういうふうに思われてならないわけでありますけれども、いかがでしょうか。
#44
○説明員(多田宏君) 即位の礼の儀式のあり方等をめぐりまして大変各種の議論がございましたので、新憲法下における初のケースでもあるということで、即位の礼準備委員会では四回にわたりまして十五名の方々から御意見を伺いまして、それぞれの立場からいろいろな御意見をいただいたわけでございます。即位の礼準備委員会としては、これらの御意見を十分参考といたしまして慎重な検討を行って検討結果が取りまとめられていった、こういうふうに承知をしております。
#45
○山口哲夫君 今申し上げましたように四回にわたって十五名の方々から御意見を聞いたわけですね。聞く前に既にもう新聞発表で出されている考え方というものが、最終的に決まった政府の原案、これから申し上げますけれども、いわゆる政府見解とぴたり一致しているということは、最初にもう政府の方で一つの結論というものをつくり上げて出したんじゃないんですか。
#46
○説明員(多田宏君) 新聞報道等については、その時点では全くの推測記事というふうに私どもは考えております。私どもでまとめていたということはございません。
#47
○山口哲夫君 それではなぜ一致するんですかね。有識者の意見を聞くということは、それこそ新憲法のもとで初めて行われる即位の礼ですよね、ですからどういうあり方で行うのが一番この憲法にふさわしいのか、国民に一番喜んでいただけるのか、そういうことを有識者から聞くためのヒアリングだったんではないんですか。
#48
○説明員(多田宏君) おっしゃるとおり幅広く即位の礼の儀式のあり方、その周辺の儀式のあり方についていろいろ御意見をいただきました。
#49
○山口哲夫君 御意見は聞いたけれども、初めに用意していた政府見解と全く同じくなったということなんですか。
#50
○説明員(多田宏君) 最初に用意していたというものはないと申し上げているわけでございます。
#51
○山口哲夫君 それじゃ、新聞に出された政府見解というのは、それは全く考えてもいないことが出たんですか。
#52
○説明員(多田宏君) 新聞は大変いろいろなことをお書きになりますけれども、我々としてもびっくりするようなことがしばしば出ます。結果的にそれと同じような内容になる場合も多々あるわけでございまして、決して、それがあらかじめつくられていて、そしてあとは形式だというような形で審議はなされていないというふうに考えております。
#53
○山口哲夫君 政府が考えていないことが新聞に出るはずないじゃないですか。そういう場合には新聞としては、こういうふうにあるべきだと思うとか、推測として書かれることはあるでしょうけれども、政府が用意していたと同じような内容がどうして新聞に出ますか。私はそこはちょっと理解できないですね。
#54
○説明員(多田宏君) 先生はそうおっしゃいますけれども、私ども日常茶飯事でございます。方針を固めたとか決めたとか、まあどんどんお書きになります。しかし、決してそんなことはない事態がしばしばでございます。これはもう私の体験上、もしあれであれば具体例を後で整理してお届けをしてもよろしゅうございますが、大変たくさんそういう経験を持っております。
#55
○山口哲夫君 政府の関係者はいつでもあなたと同じような言葉でお答えになっておりますけれども、新聞にこういう問題が出たという場合においては。
 それじゃ、観点を変えてお聞きしますけれども、このヒアリングを行う場合には、政府の原案というものは出さないで全くフリーに有識者の御意見を聞いたわけですか。
#56
○説明員(多田宏君) そのとおりでございます。
#57
○山口哲夫君 その結果が今政府見解としてまとめられたものになった、有識者の御意見を尊重した結果こういうような結論になった、そういうふうに理解していいんですか。
#58
○説明員(多田宏君) 非常にいろんな御意見がございました。全く相反するような形での御意見もたくさんございました。それらについてはすべて取りまとめて御公表もさせていただいております。
 ただし、どなたがどうおっしゃったというのは、いろいろ不都合な点もございますので、それは明らかにしない形で公表させていただいておりまして、それらの御意見を全体に十分参照させていただきながら協議が進められて、最終的にああいう方向になっているわけでございます。
#59
○山口哲夫君 それでは、そのときに政府の方としては即位の礼については憲法の趣旨に沿って行っていきたい、そういう立場で有識者の方々の御意見を求めたいというようなことを前提として御意見を伺ったということでございましょうか。
#60
○説明員(多田宏君) かねてより政府は憲法の趣旨にのっとり、かつ皇室の伝統等を尊重してこの問題には取り組むということについて申し上げておりまして、その点については有識者の方々も十分御了解の上でそういうふうに意見を御陳述いただいたと思っております。
#61
○山口哲夫君 後でも触れたいと思いますけれども、憲法の精神にのっとるということはもちろん大事なことです。それから皇室の伝統というものを尊重することも大切かもしれません。しかし、伝統という、たとえそういうものがあったとしても、あくまでも新憲法のもとで行うという立場に立つならば、それは当然憲法の範囲内といいますか、そういう中での伝統というふうに理解をしていかなければいけないんじゃないかと思うんですけれども、そういう問題についてはどのように説明をされていらっしゃったんでしょうか。
#62
○説明員(多田宏君) 私どもの政府の方針は終始一貫、憲法の趣旨にのっとり、かつ皇室の伝統を尊重して、こういうことでございますから、憲法の趣旨に反するものについてやるという考えは全くございません。
#63
○山口哲夫君 伝統についても憲法の精神にのっとってやるんだ、そういうことでございますね。
#64
○説明員(多田宏君) そのとおりでございます。「かつ」ということで、両方の要件が整って初めてということでございますから、憲法の趣旨に反するようなものを伝統として取り上げていくという考えは全くございません。
#65
○山口哲夫君 わかりました。その点についてはまた後ほど具体的な中で質問をしてみたいと思います。
 確かに平成元年十二月二十一日に「「即位の礼」の挙行について」という政府見解が出されております。きのう政府委員の方からいただきました。これを読んでみますと、「憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重したものとするとの観点から、慎重な検討を行ってきたところであるが、」、こういうふうに前文で述べられているわけでございますけれども、しかしこの中身を見ますと、どうも憲法の趣旨というよりも戦前の法令を優先させた考え方が先行しているように思えてならない点があるんですけれども、いかがでしょうか。
#66
○説明員(多田宏君) 憲法の趣旨に沿う範囲内で皇室の伝統等を尊重していくという、それが「かつ」というものの考え方でございますので、基本的にはそういう構えで整理がされているというふうに御理解いただいて結構でございます。
#67
○山口哲夫君 そうしますと、戦前の法令等については一切考えていないということですね。
#68
○説明員(多田宏君) 戦前の法令等で憲法に反するようなものについては一切考慮していないということでございます。
#69
○山口哲夫君 なぜ私がそんなことを聞くかと申しますと、即位の儀式のあり方を見ておりますと戦前の皇室典範あるいは登極令に準拠しているところが非常に多いわけですね。
 それで、一月二十三日に賢所に期日奉告の儀がもう既に行われているわけですね。即位の礼というのはこれからではなくしてもう既に始まっているわけでございますけれども、こういった既に行われている儀式についてもこれは戦前の登極令に沿ったものではないんでしょうか。
#70
○政府委員(宮尾盤君) 先ほど首席参事官の方からお答えを申し上げましたように、憲法の精神にのっとり、かつ皇室の伝統を踏まえてというのが私どもの基本的な考え方でございます。
 そこで、ただいま期日奉告の儀のことが御質問に出たわけでございますが、期日奉告の儀というのは即位礼、大嘗祭を行う期日を宮中三殿に御奉告をする、こういうことでございまして、これは皇室の行事として行ったものでございます。
 この宮中三殿に奉告をするということは、登極令にもそういう儀式のあり方が載っておりますが、この登極令というのは現在法律的には廃止をされておりますけれども、これは形式的に法的な根拠を失ったということでありまして、その内容が現在の憲法の趣旨、精神等に反してすべて根拠を失ったというふうには私どもは考えておらないわけでございまして、皇室としては長い伝統に基づいてそういう儀式を皇室の行事として行う必要があるということから期日奉告の儀を行ったわけでございます。これは現在の皇室行事としてそういうことを行うことが憲法の精神あるいは趣旨に反するというふうには私どもは全く考えておらないわけでございます。
#71
○山口哲夫君 ちょっと具体的にそれじゃお聞きしますけれども、旧憲法における皇室令、それから登極令、これは廃止になったのは何年何月何日だったでしょうか。
#72
○政府委員(宮尾盤君) 旧皇室令は新憲法の施行と同時に廃止になっておるというふうに承知をいたしております。
#73
○山口哲夫君 新憲法と同時にですね。衆議院の答弁だったでしょうか、憲法が制定される前にそういったものはもう廃止されているんだというふうにお答えになっていたように聞いているんですけれども、同時に廃止されたわけですね。
#74
○政府委員(宮尾盤君) 日にちは、正確に申し上げますと昭和二十二年五月二日ですから、新憲法施行一日前ということになろうかと思います。
#75
○山口哲夫君 今次長のお話では、必ずしも憲法に違反しているものではないけれどもというような何かそんな趣旨のことをおっしゃっていましたね。それじゃ、なぜ廃止しなきゃならなかったんでしょうか。
#76
○政府委員(宮尾盤君) これは法律的にはあるいは法制局の方から正確にお答えをしていただいた方がよろしいかもしれませんが、御承知のように、旧憲法下におきましては皇室典範というものが憲法からは独立した一つの宮務法というような法体系をなしておりまして、そのもとに例えば登極令とかその他の皇室令というものが定められておったわけでございます。
 そこで、今の憲法が制定される段階になりまして、そのような憲法とは独立した法体系を持つ宮務法というような体系が許されない、すべて法律は憲法の下にある法律、制度になるわけでございますから、そういう意味でこれは形式的にその存続する根拠を失うということになりまして、二十二年五月二日にこれは一斉に廃止をされたわけでございます。ですから、その内容が憲法に違反をするということではなくて、法律の存在根拠というものがなくなって廃止をされた、こういうことになろうかと思います。
 したがいまして、それでは旧皇室令というのはその内容はどうかということでございますが、それが現在の憲法の趣旨、精神に反するようなものであれば、これはそういうものをいわば準用といいますか、そういうものを一つのよりどころとして諸行事を行うということは問題があるわけでございますが、現在の憲法の精神あるいは規定等に違反をしない限りこれは皇室としてのいろんな諸行事をやる場合の一つの参考といいますか、そういうものも一つのよりどころとしていくことは何ら差し支えがない、法律的に差し支えない、こういうふうに考えておるところでございます。
#77
○山口哲夫君 ちょっと理解できないんですけれども、今のお話は何をよりどころにしてということなんですか。
#78
○政府委員(宮尾盤君) 旧登極令で言えば、これは即位関連儀式というものについて皇室の長い伝統というようなものを一つの形に取りまとめた、整理をしたものであるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、皇室の行事として例えば期日奉告の儀というようなことを行う場合に、それを私どもは旧登極令に準拠して、よってやっているというのではありませんで、旧登極令に書いてあるようなやり力、これは先例でございます、そういうものを一つの参考とするということは憲法に違反しない限り何ら問題はないというふうに考えておるわけでございます。
#79
○山口哲夫君 今お聞きしているのはそのことではないんです。登極令というものが憲法に違反しないわけでしょう、あなたのお答えでは。登極令というのは、旧憲法と当時の皇室令、その下位法である登極令、これは別な法体系だということですね、今お話しがあったのは。これは憲法が上位法で、そのもとにつくられた皇室令ではなかったわけですね。その法体系のつくり方は戦前としてはわかります。だから、今の憲法となじまないんだから、趣旨に違反しているような内容がたくさんあるんだから、そういう点で廃止したんでないんですか。それはどうなんですか。
#80
○政府委員(宮尾盤君) 私が申し上げていますのは、内容が違反しているから失効になったものを廃止されたということではなくて、法律の一つの体系としてそういう体系が形式的に存立する根拠を失ったから廃止にされた。内容的にそれが現在の憲法に違反しているから廃止された、こういうことではない、こう申し上げたんです。
#81
○山口哲夫君 違反してないものならどうして残しておかなかったんですか。憲法の下位法として残しておいたって一向構わないんじゃないですか。なぜ同時に廃止しなければならなかったんですか。
#82
○政府委員(大森政輔君) ただいま宮内庁次長から御答弁がございましたのと余り変わらないのでございますが、なお敷衍してその理由を申し上げます。
 御承知のとおり、旧憲法の大日本帝国憲法でございますが、七十四条には、「皇室典範ノ改正ハ帝国議会ノ議ヲ経ルヲ要セス」と規定していたところでございます。このことから明らかなように、旧皇室典範と申しますのは旧憲法下の法律とは異なる法体系をなしていた、いわば独立した宮務法の体系という言葉を使って説明しておりましたが、宮務法の体系に属しておりまして、今お尋ねの旧登極令、これは旧皇室典範を頂点とする宮務法の体系に属していた法令でございます。
 そこで、現行憲法の施行とともに憲法とは別体系の法令の存在を許さなくなったということから、旧宮務法の内容が新憲法、日本国憲法に違反するかどうかということとは無関係に、その法令の存在根拠を失ったから一律に廃止されたということでございまして、旧登極令の規定内容が日本国憲法に違反することになったから、そのことのゆえに一律に廃止されたんではないということでございます。
#83
○山口哲夫君 それでは、新皇室典範というのはいつ制定されたんでしょうか。
#84
○政府委員(宮尾盤君) 昭和二十二年一月十六日に法律として公布をされておるわけでございます。
#85
○山口哲夫君 新憲法が制定された以降ですね。
#86
○政府委員(宮尾盤君) 制定、公布は二十二年の一月十六日、法律第三号でということになっておりますが、附則で「この法律は、日本国憲法施行の日から、これを施行する。」ということですから、施行は今の憲法と同じ日から施行されております。
#87
○山口哲夫君 それでは、旧皇室典範ですか、それから登極令、そういうものが今の憲法に必ずしも違反してないというふうにおっしゃるんであれば、どうして新皇室典範と旧皇室典範、登極令と中身がまるっきり違うんですか。
#88
○政府委員(大森政輔君) 先ほどのお答えを再び繰り返すことになりますが、旧皇室典範及びそのもとにおける宮務法の体系に属する法令は、要するに存在根拠がなくなったからということで一律に廃止されたのでございますが、その旧規定の中には新しい日本国憲法の規定に違反するものもあり、また趣旨に反するものもあり、また趣旨に反しないものもある。そのようないろいろな規定が混在していたと思います。しかし、一律に廃止したのは、要するに存在根拠がなくなったから一律に廃止されたものである。したがって、例えば旧登極令の規定内容が日本国憲法に反するかどうかということは、その個々の規定事項に則して具体的に検討すべき問題でありまして、一律に廃止されたからすなわちその規定内容がすべて日本国憲法の規定に反するんであるということにはならないということでございます。
 それから、もう一点敷衍いたしますと、いわゆる儀式の挙行とか行事を行うということにつきましては、憲法及びそのもとにおける法令の規定に反することはできない、またその儀式中で国民の権利を制限し、義務を課するということはもちろんできませんが、その範囲内では法令の根拠がなくても行えるんだということでございますから、そのあたりを御了解いただきたいと思います。
#89
○山口哲夫君 旧皇室典範それから登極令というものは新憲法の精神に反する点もあるということを初めて政府の方からお聞きしたわけです。今まで宮内庁の次長も、新憲法には違反してないんだと、たまたまそういう体系がなかったので廃止したんだというふうにおっしゃったんですけれども、中には憲法に違反するような項目もあるんで、そういうことで廃止をしているんだというふうに今おっしゃったんですけれども、それじゃ大嘗祭なんかはその部類に入るわけですね、新しい皇室典範の中には含まれていないから。どうですか。
#90
○政府委員(大森政輔君) まず、私が先ほど申し上げましたのは、旧登極令のどの規定が日本国憲法に違反するとかしないとかということを具体的に想定して申し上げたのではございませんで、旧登極令一つ挙げましても、その規定が日本国憲法に違反するかどうかはその規定事項をそれぞれ具体的に検討して決すべきことであるということを申し上げたにとどまりますから、念のため御了解いただきます。
 次に、ただいまお尋ねの件でございますが、御承知のとおり、現行皇室典範には旧皇室典範にございましたような大嘗祭ということについての規定はございません。そこで今回、御承知のとおり大嘗祭を即位の礼の一環として行えるかどうか、これを憲法に照らして検討したわけでございます。その検討の結果は、今までしばしば議論の対象になっております政府見解におきまして書かれているとおりでございます。
 端的に申し上げますと、大嘗祭の意義、形式等に照らしますと、宗教上の儀式としての性格を有することは否定することができないから、大嘗祭を国事行為として行うことは憲法二十条三項との関係で問題があるから行うべきではないという結論に達したということでございます。
#91
○山口哲夫君 その点については午後の部でやりたいと思うんです。
 この登極令というのを読ませていただきました。大変に難しい漢字が羅列されておって容易でありませんでした。しかし、読んでみまして考えられることは、我が国、日本の国の統治者というのは天皇家の皇祖神であるアマテラスオオミカミの子孫である天皇だけである、天皇は神であって主権者であるという理念のもとに、その理念にふさわしい葬儀であるとか即位儀式はどうあるべきであるとか、そういうような観点からつくられているということがずっと見てみますとよくわかるわけであります。ですから、登極令というのは、今お話しがあったように、政教分離ということからいけばこれは確かに憲法に違反する点がある。あなたの言葉をかりれば国事行為として行うんであればということですけれども、公的なお金を出したと同じだと思うんですけれども、それは後にいたします。
 いずれにしても、新憲法にふさわしくないという内容を持ったのがこの登極令なわけですね。しかも、この登極令を読んでみますと、くどいようですけれども、天皇は神である、国を統治する神である、そういう理念のもとにつくられているわけでありますから、新憲法をつくったときには、これはあなた方は何だかんだおっしゃってはいるけれども、登極令の精神というものはまさに憲法に反するものである、そういう考え方のもとに立ってこれをなくした、廃止したと私は思うわけでございます。
 そこで、即位の礼ですけれども、新しい皇室典範に規定されているということはそのとおりなんですけれども、大嘗祭の規定というのは、今申し上げたような趣旨からいっても当然これは削除されてしかるべきだという考え方のもとに新皇室典範では削除されているわけでありますね。新しい憲法が申し上げるまでもなく国民主権、政教分離、基本的人権の確立、そういう理念のもとにあるわけでございますから、それに沿わない大嘗祭というものは当然削除をされるのが当たり前だと思うわけであります。ですから、即位の礼というのは、そう考えたら戦前の即位の礼とは全く違った考え方で行うべきでないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
#92
○説明員(多田宏君) 私どもは、再三申し上げておりますように、即位の礼は行うというのが皇室典範の規定でございますので、それを行う。そして、行うに当たってどういう基本理念で考えていくかということは、憲法の趣旨に沿って、のっとって、かつ皇室の伝統等を尊重してという基本的な考え方で対処しているところでございます。
#93
○山口哲夫君 おいおい憲法違反であるという問題については後ほど議論してみたいと思うんです。
 先ほどから、政府見解の中にもはっきり書いているんですけれども、皇室の伝統を尊重するということをあなた方は非常に大事に扱っているように思われるんですけれども、さっきもちょっと触れましたけれども、仮に伝統であっても新憲法の理念に抵触してもいいものなんでしょうか。
#94
○説明員(多田宏君) 先ほどもお答え申し上げたように、憲法の趣旨に沿い、かつ皇室の伝統でございますから、憲法の趣旨に反した皇室の伝統というものは当然盛り込めないというふうに考えております。
#95
○山口哲夫君 その点については後ほど触れるようになると思いますけれども、皇室の伝統という言葉は使っているけれども、それ自体が憲法に反するような内容を含んでいる、そういうことからいけば伝統という言葉を簡単に使うべきでは私はないと思う。あくまでも憲法の精神に沿ったものにするべきであって、即位の礼というものは、国民主権、政教分離の原則、これに基づいて当然政府の見解というものをまとめるべきであっただろう、そういう考え方で有識者の方々にも提起をして議論していただくべきでなかったのか。そういう点では非常に私は残念に思うわけでございます。
 それで、多田参事官が記者会見で大嘗祭の問題で質問されたときに、大嘗祭に政府が金を出すということは仏像のような文化財に政府が金を出すようなものなんだ、こんなような趣旨の発言をしているというふうに聞いているんですけれども、いかがでしょうか。
#96
○説明員(多田宏君) 政府がお金を出すに当たってその着目する側面とといいますか、そういったものをどこにどういう趣旨でお金を出すかということによって出せる場合と出せない場合と出てくるんだということを申し上げるために仏像の例を引いたまででございまして、別に仏像と同じものだとかなんとかということを言おうとした趣旨ではございません。
#97
○山口哲夫君 仏像に政府が金を出すというのはどういう理由なんでしょうか。
#98
○政府委員(大森政輔君) 御承知のとおり、文化財保護法第三十五条は、重要文化財の管理または修理についてその経費の一部を国が補助することができる、こういうふうに定めておりまして、この規定に基づきまして補助金が出ているものと承知しております。
 この補助金の交付の対象となっている有形文化財の中には、確かに御指摘のとおり、信仰の対象そのものである仏像のほか神社仏閣等の宗教上の施設が多数含まれております。しかし、文化財保護法の補助と申しますのは、国の重要文化財という側面に注目しまして、これらに認められる歴史上または芸術上の価値に着目して国の重要文化財としてその保護を図るためになされているものでございまして、決して特定の宗教に対する援助、助長等の効果を持つものでない、またその目的においても宗教的意義を有しないということでございまして、かような趣旨で出されているものと了解している次第でございます。
#99
○山口哲夫君 要するに仏像というものは有形文化財であって、文化財として国民に広く見ていただく、そういう価値はあるだろう、決して宗教的な意味を含めて信仰というんですかを高めるために、そういうことで出しているんじゃない、そういうことだと思うんですけれども、それじゃ大嘗祭も文化財ということですか、無形文化財のようなものなんですか。
#100
○政府委員(宮尾盤君) 大嘗祭につきましては、これは政府の準備委員会の結論にもありますように、大嘗祭というのは皇室の行事として行われるという位置づけがなされているわけでございますが、そういう皇室の行事として行う大嘗祭については、これは皇位が世襲であることに伴います一世に一度の極めて重要な伝統的皇位継承儀式でございますから、皇位の世襲制をとる我が国の憲法のもとにおきましては、その儀式の挙行について国としても深い関心を持ち、その挙行を可能にする手だてを講ずることは当然だ、こういう考え方に立っておるわけでございます。そういう意味で、大嘗祭というものは憲法の定める皇位の世襲制に基づく皇位継承儀式として非常に重要なものだ、こういう考え方に立っております。
#101
○山口哲夫君 大変失礼ですけれども、よく聞き取れないんです。
 それじゃ、ちょっと多田参事官にお聞きしたいんですけれども、今言ったように仏像に金を出すような、そんなような意味も考えられるんじゃないか、そういうことをおっしゃっていたと思うんですけれども、さっきと同じ質問ですけれども、大嘗祭というものもそういう文化財的な要素を持っているんだ、そういう意味も含まれているから金を出しているんだ、そういうふうに理解してよろしいんですか。
#102
○説明員(多田宏君) 宗教的側面を持つ事象があった場合に、それにお金が出せるかどうかというのは、その宗教を助長したり援助したりというような側面で出せばこれはまさに宗教的な規制にかかるというふうに理解をいたしますけれども、たまたまそれが宗教的な側面を持っていても、そうではない側面で非常に大事なことだというふうに考えて補助をすることは可能なのではないかというのが私どもの考え方でございます。そういう趣旨でこの文章をお読みいただけると、そういう可能にする手だてを講ずることは当然だという評価をしているわけでございます。
#103
○山口哲夫君 一面、文化財的な要素もあるんだというふうに解釈していいですか。
#104
○説明員(多田宏君) 文化財的という言葉が当たっているかどうか、そこは私は何とも申し上げられません。しかし、一世一度の極めて重要な伝統的な皇位継承儀式であって、皇位の世襲制をとる我が国の憲法のもとにおいては、その儀式について国としても深い関心を持つという、そういう側面でこれを援助していくという考え方でございますから、それでお酌み取りをいただきたいと思います。
#105
○山口哲夫君 お酌み取りいただきたいとおっしゃるんだけれども、ちょっと私の頭では理解ができないんですけれどもね。国が深い関心を持たなければならない行事だ。しかし、もしそれが宗教的な色彩を持っているとすれば、それは問題があるんだ。だから、宗教的な色彩でないのであればお金は出してもいいんだ、そういうことですね。
#106
○政府委員(大森政輔君) 議論の整理のために若干私から申し上げますが、先ほどの多田答弁は、必ずしも文化財的な側面があればいいんでそれ以外はだめなんだということではないわけでございまして、一つの事柄が二つの性格を持っている場合に、その一つの側面に着眼すれば問題な場合でも、他の側面に着眼すればいい、その場合に、その、他の側面に着眼して出すことがあり得るんだということでございます。
 そこで、先ほどは仏像の件だけに議論が幅寄せされようとしているわけでございますが、同じことがやはり学校教育に対する補助についてもございます。御承知のとおり、私立学校法五十九条、国は教育の振興上必要があると認める場合には、学校法人に助成をすることができる、この規定を踏まえました私立学校振興助成法に基づきまして宗教系の私立学校に対しましても補助が現実になされているわけでございます。
 この場合にも、宗教系の私立学校については宗教的な側面というものがあるわけでございますが、宗教系の学校に対する補助は宗教的な側面に着眼してその宗教に対する援助、助長ということで出されているのではございませんで、そこで行われている私立学校の教育条件の維持向上、そして私立学校に在学する児童、生徒、学生等に係る修学上の経済的負担の軽減、そして私立学校の経営の健全の確保という一般的な目的からなされているもので、私どもはそれは現行憲法の八十九条に違反しないというふうに解しているわけでございます。
 そして、お尋ねの、しからば大嘗祭についてはどうなのかということについてもう一度敷衍してお答え申し上げますと、御指摘のとおり大嘗祭はその趣旨、形式等からして宗教上の儀式としての性格があることは否定することができないわけでございますが、大賞祭のために必要な経費を宮廷費という公費から支出いたしますのは、大嘗祭のこのような宗教上の儀式としての性格に着目したものではなくて、皇位が世襲であることに伴う伝統的皇位継承儀式という大嘗祭の公的な目的に着目したものでございます。したがいまして、大嘗祭のために必要な費用を公金たる宮廷費から支出いたしましても、その支出はそういう公的な性格に着目して金を出すという行為でございますから、その支出が宗教的意義を持たないと言えますし、また特定の宗教に対する援助、助長等の効果を有することにはならないと考えるわけでございます。
 したがいまして、このような公金の支出は、八十九条が禁止している宗教上の組織もしくは団体に対するものとは言えないから、憲法に違反しないというふうに私どもは判断している次第でございます。
#107
○山口哲夫君 少し時間をとり過ぎてしまったんで、即位の礼だけでも午前中に終わらせようと思ったんですけれども、残念ながら時間がありませんので、先に進んでみたいと思います。
 即位の礼の国事行為として行うものは、即位礼正殿の儀、祝賀御列の儀、饗宴の儀、この三つですね。そうですね。――その中で、特に即位礼正殿の儀というのは、戦前の登極令の即位札当日紫宸殿の儀、それの名前を変えたものじゃないかというふうに言われていますけれども、いかがでしょうか。
#108
○説明員(多田宏君) 即位礼正殿の儀は内外の代表約二千五百名が参列を予定しておりまして、宮殿の正殿松の間において天皇陛下が御即位を内外に宣明するお言葉を述べられまして、内閣総理大臣がお祝いの言葉を述べるということが中核になる儀式ということで考えておりまして、具体的にどういう儀式立てにしていくかということについては、今後内閣総理大臣を委員長とする即位の礼委員会の協議を経まして内閣総理大臣が決定していくという段取りになっているところでございますので、まだ具体的な儀式立てについてはお答えできない状況でございます。
#109
○山口哲夫君 今の即位礼正殿の儀というのは国事行為でございますね。国事行為として行うわけですね。ところが同じときに、この正殿の儀の前に即位礼当日賢所大前の儀、即位礼当日皇霊殿神殿に奉告の儀、こういうのが行われるわけですね。それは間違いないですね。
#110
○政府委員(宮尾盤君) ただいま御質問のありましたような行事を皇室の行事として行うという予定にいたしております。
#111
○山口哲夫君 皇室の行事として行うんですけれども、全く同じ日に行われるということでございまして、そうすると即位礼というのは国事行為として行う三つだけではなくして、いわば天皇制を正当化する神話といいますか、そういうことに基づいて行われる儀式の一環でもあるというふうに誤解される面がないでしょうか。
#112
○政府委員(宮尾盤君) 皇室は非常に長い伝統を持っておいでになるわけでございまして、即位礼というような儀式も、これは文献等によれば奈良時代、さらにはこういうものが今のような形でしっかり形づくられてきたのは桓武天皇のころ以来こういう即位礼の儀式をやっておるわけでございます。そういう長い伝統の中で即位礼、いわゆる中核となる即位礼正殿の儀に相当するものを行う場合におきましては、皇室の長い伝統としてそういうもろもろの関連の行事というものを行っておるわけでございます。それが神話に基づくものだというようなそういう考え方ではありませんで、長い皇室の伝統的なものに基づく儀式だというふうに御理解をいただきたいと思います。
#113
○山口哲夫君 今申し上げた即位礼当日賢所大前の儀、それから神殿に奉告の儀、こういった皇室の伝統的な行事、桓武天皇のころからということでございますように、それこそ天皇制を正当化する神話に基づいて行われている儀式であることは間違いないわけですね。そうしますと、神道行事と国家行事が一体となって行われるのが今度の即位の礼だ、そういうふうに受け取られないでしょうか。
#114
○政府委員(宮尾盤君) その点につきましては、たびたび申し上げておりますように、政府で検討いたしました結果といいますか、準備委員会の結論としまして、国事行為として行う即位礼の儀式というのはこういうものでございますということを明確にしているわけでございます。それ以外の、いわゆる国事行為として行われる即位の礼関連の儀式以外のものは皇室の行事として行う、こういう位置づけを明確にいたしておるわけでございます。
#115
○山口哲夫君 だから、皇室行事として行うということは、これは国事行為として行うことのできない内容を持っている、宗教行事である。もしそうでなければ国事行為として行ったっていいわけでしょう、即位の礼という形の中で一連の行事として行われるんですから。その二つだけが皇室行事として、しかも同じ日に行われて、引き続いて今度は国事行為としての三つの儀式が行われていく。これはやっぱり一緒にできなかったんだと思うんですね、片方はあくまでも神事ですから。私はそういうふうに思うんです。
 お断りしておきますけれども、私は即位の礼そのものに反対しているんじゃないんです。即位の礼というのは当然やるべきだと思うんです。しかし、それはあくまでも新憲法にふさわしい、今上天皇の、憲法を守っていきたい、それに従っていきたいというお言葉のように、そういう考え方で即位の礼というものを当然宮内庁としては考えるべきことであって、神事と国事行為と一緒になってしまって、何か憲法に違反していると言われる登極令の精神をそのまま受け継いでやるところに私は非常に宮内庁に問題があったんじゃないだろうかなというように思うわけでございます。
 これは幾ら聞いてもそれ以上のあれはないでしょうから、午前中にそれじゃもう一つ。
 これは官房長官にお聞きしたいんです。今言ったことですけれども、即位の礼というのは、日本が主権在民の民主国家であること、それから天皇は象徴天皇であることをやはりきちんと内外にお示しになるときだと思うわけであります。特に外国の代表の方々が非常にたくさん参列されるわけでございます。戦前、残念ながら我が国は天皇の名におきまして開戦をいたしました。そして侵略戦争も行ったという印象が外国には非常に強いわけであります。そういう中で行われる即位の礼でございますから、近隣諸国民の感情を損ねたりあるいは誤解を招くことのないように本当に細かいところに注意をして即位の礼という儀式を行っていくべきではないだろうか。そういう基本的なお考え方について官房長官いかがでしょう。
#116
○国務大臣(坂本三十次君) 即位の礼の各儀式の具体的な内容につきましては、今後、総理大臣を委員長とします即位の礼委員会の協議を経て総理大臣が決定をするということになっております。だから、今政府委員からいろいろ答弁をいたしました大筋には従うこととなると思いますけれども、伝統を尊重するということは、形式は宗教的色彩のある大嘗祭みたいなものもありますし、いろいろ参拝の儀式もあるとは思いますけれども、日本国民とすれば象徴天皇の世襲だということで伝統的な儀礼をそこに、一連の中に皇室行事として入っておっても国民は理解してくれるだろうと思いまするし、外国からの代表におかれても私は理解をしていただけるものだなと、そういうふうな感想を持っております。
#117
○委員長(板垣正君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   正午休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#118
○委員長(板垣正君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#119
○山口哲夫君 即位の礼についてもう少し続けてみたいと思いますけれども、この即位の礼の淵源というのは、アマテラスオオミカミが皇孫を高御座につかしめて、国を統治させる神勅を賜ったことに由来する、そういうことが言われておりますけれども、どうでしょうか。
#120
○政府委員(宮尾盤君) 即位の礼というものの沿革でございますが、いわゆる昔は即位の礼、御即位と践祚というのは未分離の状態であったというふうに言われておるわけでございますが、即位の礼が践祚の儀と分離をいたしまして、いわばその儀式として定着をしてきたのは奈良時代ころからであったというふうに言われておりまして、平安朝の初めに現在のような、現在といいますか、平安朝の初めころからずっと即位の儀という形で、例えば貞観儀式等にもいろいろの記述がございますけれども、そういうものとして皇位継承の非常に重要な儀式として儀式のあり方が定まってきた、制度化されてきた、こういうふうに理解をいたしておるわけでございます。
#121
○山口哲夫君 ここに「昭和大礼要録」というのがあるんですが、これは大礼記録編さん委員会ということで、内閣書記官長の鳩山一郎さん初め内閣統計局長、法制局長官等によってつくられたものでありますが、それを見てみますと、「即位礼の淵源は天照大神が皇孫天津彦彦火瓊瓊杵尊を天つ高御座に即かしめられ、天璽の神器を授け給ひて瑞穂国統治の神勅を賜ひたるに由来す。」と、こういうふうに書いているわけですね。それで、今言ったように即位の礼の淵源というものは国を統治するという精神を持ったものでありまして、そこに出てくる高御座というのが非常に大きな意味を持っている、こういうふうに思うわけであります。
 それで、高御座は、今度お使いになるようですけれども、大正天皇、昭和天皇が即位のときに使ったものをお使いになるんでしょうか。
#122
○政府委員(宮尾盤君) 具体的には今後の詰めがあるわけでございますが、一応考え方といたしましては、大正天皇の御即位のときにお使いになったものを昭和天皇の御即位のときにもお使いになり、それが今京都御所にあるわけでございますので、したがいましてその高御座を今回修理して使ったらどうであろうか、こういう方向で検討を進めておるというふうに承知をいたしております。
#123
○山口哲夫君 この高御座というのは戦前の主権者としての天皇、それから神としての地位、そういうものを象徴するものなわけですね。それは今ここに読んだ「昭和大礼要録」の中にも書いているように、即位の礼の淵源というものはアマテラスオオミカミがその子孫を高御座につかしめたんだと、そして瑞穂の国を統治する神勅を賜いたるに由来しているんだと。ですから、即位の礼と高御座というのは切っても切れない、いわば戦前の天皇制、いわゆる神格化された意味での天皇、そういうものを象徴しているのが高御座なわけでありますけれども、高御座をなぜ今のこの主権在民の時代に使わなければならないんでしょうか。これは非常に、今申し上げたように、戦前の神としての天皇、そういうものにつながっているわけですね。そういうものをあえてここで主権在民の時代にあって使わなければならない理由は何なんでしょうか。
#124
○政府委員(宮尾盤君) 歴史的な問題として確実なその資料というものがどういうところであるのかというのはいろいろあれでございますが、先ほど私が申し上げましたように、いろいろな歴史書等でも確実にその記述があるようなものの記録を見ますと、即位礼というものが奈良あるいは平安朝のころから践祚の儀と分離して儀式として行われる、そのときに高御座というものが即位の儀に天皇の御座として用いられてきた、こういう長い伝統があるわけでございます。
 その起源がいつであるということは明らかでありませんけれども、少なくとも既に奈良時代以前からもあったであろう、こういうふうに推測をされておりまして、現在の高御座はそういう古い時代からの長い伝統に基づいた様式を伝えているというふうに考えられるわけでございます。
 このようにその歴史上、伝統的皇位継承儀式の中で、伝統的皇位継承儀式の中核でありますいわゆる即位の礼において用いられるというのが常とされまして、皇位と密接に結びついた非常に古式ゆかしい調度品として伝承されてきているわけでございますから、文化的、伝統的な面も持っておる。そういう意味でこの高御座をそのような伝統的な調度品ということで今回もこれを使用いたしたらどうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#125
○山口哲夫君 伝統的な調度品であっても、その高御座という由来からいきましても、神格化された天皇、そういう時代に使われていたものという歴史があるわけですね。そうすると、今の憲法に、象徴天皇としての地位にこれは必ずしもふさわしいものではないと思うんです。私はそういうものをあえて使わなければならないところに非常に疑問を感ずるわけです。これはそういう歴史をよく知った国民あるいは諸外国の方々に私は非常に誤解を与えるものではないかなというふうに思うんで、これはちょっとお使いになること自体どうかなというふうに思うわけであります。
 高御座というのは高さ、横幅とか、そういうものはどのぐらいあるんですか。
#126
○政府委員(宮尾盤君) 寸法でございますが、高さは六メートル余ございます。それから幅でございますが、どちらを縦、どちらを横というかですが、片方の長さが約六メートル。これは下の継壇、これは継壇とその上に御座の部分がありまして、継壇の一番底辺の一辺の大きさは一つは六メートル余、それからもう一つの辺は約五メートル五十センチぐらい、こういうものでございます。
#127
○山口哲夫君 京都から運んで修理するそうですけれども、どのぐらいのお金がかかるんでしょうか。
#128
○政府委員(荒田建君) 即位礼に関連します予算は総理府本府に計上してございまして、総体が三十三億八千五百万でございますが、そのうち高御座、御張台関係の予算といたしまして、これは輸送、それから修理、そういったもろもろも含めまして四億二千百万ほど要求してございます。
#129
○山口哲夫君 四億二千万、けたが違わないですか。
#130
○政府委員(荒田建君) この高御座、御張台関係の予算ということで、今先生おっしゃいましたように、京都から東京に運ぶということももちろん予算の中に入っておりますし、運んでからも、相当古くなっておりますので漆の塗りかえですとかいろんな修理、こういったものもやらなければいけません。そういったもろもろがございますので、全体として合わせて四億二千百万、こういうことでございます。
#131
○山口哲夫君 あんまり膨大な予算なんで、四百万か四千万かなと思って、私の方で単位を間違って聞いたのかなと思ったんですけれども、これは物すごい豪華なものというか、修理して運ぶだけで四億何千万。そして高さが六メートル、幅五メートル四方。
 これは、さっき申し上げましたように、戦前の神格化された天皇時代、いわば臣下を見おろすというか、そういうときには確かにお使いになるということはわかりますよ、神としての天皇の即位ですから。しかし、新憲法のもとにおいて主権在民のときに、そういう国民を見おろすような印象を与えるようなものを四億数千万もかけて修理をして使わなければならないものなんでしょうか。そういうことは天皇とお話し合いされているんでしょうか。先ほど申し上げたように、天皇御自身が、憲法を守っていかなきゃならない、憲法に従っていかなきゃならない、そう仰せになっているわけですね。私は本当にすばらしいお言葉だなと思って聞いておったんですけれども、どうなんでしょうか。
#132
○説明員(多田宏君) 高御座につきましては、先ほど宮内庁の方から御答弁申し上げたように、歴史上、伝統的皇位継承儀式の中核であるいわゆる即位礼において用いられるのが常とされ、皇位と密接に結びついた古式豊かな調度品であるというふうに我々承知しておりまして、そういうふうに伝承されてきたものでございますので、文化的、伝統的な面に着目いたしまして今回もこれを使用するということで、このことをもって国民主権主義に反するというふうには理解しておらないのでございます。
#133
○山口哲夫君 宮内庁の考えとしてそういうことを考えられたんですか。そういうことを私は天皇の御意思としては考えられないと思ったんであえて、天皇にお話しをされたんでしょうかというふうに先ほど聞いたんですけれども。
#134
○政府委員(宮尾盤君) 御承知のように、即位の礼というのは国事行為として行われるということになっておりますから、これは政府の助言と承認というんですか、そういうものに基づいて政府の責任において行われることになるわけでございます。そういう意味で、これから具体的ないろんなことは詰めていくわけでございますけれども、先ほど申し上げましたのが政府の基本的な考え方というふうに御理解をいただければよろしいと思います。
#135
○山口哲夫君 憲法第一条に、天皇の地位は「日本国民の総意に基く。」、こういうことになっているわけでありまして、伝統的な調度品をお使いになるのもそれは大事かもしれないけれども、この憲法の精神にのっとって即位の礼を真剣に宮内庁として、政府として考えた場合に、そういう発想が出てくること自体私は決して好ましいものではないと思うんです。先ほども言ったように即位の礼そのものに対してはやることは私は賛成です。諸外国の代表をお招きして、天皇が新しく天皇の地位に立たれたということをお示しになるのは当然やらなきゃならないことでしょう。
 しかし、くどいようですけれども、あくまでもそれは主権は国民に存するんであって、あくまでも天皇は象徴天皇であるということを諸外国にもきちっと示していく、そういう機会だと思うんです。それを誤解を招くようなやり方を考える側近の態度というものに私は非常に疑問を感じます。真剣にそういうことを今後考えて、これから即位の礼の式次第を考えるんでしょうけれども、一つ一つについてもっと細かな注意を払われて、本当に国民がこぞって喜んで即位の礼に参加できる、そんなような内容のものにしていただきたいものだ、このことを強くお願いをしておきたい、こう思います。
 それから、即位の礼あるいは関連行事に関連をいたしまして、政府の機関、地方自治体、学校教育機関などに国民の祝意をあらわすことを強制するようなことがあってはならないというふうに思いますけれども、自治省それから文部省いかがでしょうか。
 あわせて、過剰警備、人権侵害にわたることがないように、これは大喪の礼のときにも随分いろいろと国民の批判もございましたので、そういうことにならないような注意を払うべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
#136
○説明員(石川嘉延君) お答えします。
 現在のところ、即位の礼に際して地方団体に対し国として具体的にどのような要請をすることになるのか承知をしておりませんが、自治省といたしましては、内容が決定された段階では当然その趣旨に沿った協力を地方公共団体に要望することになるものと考えております。
 なお、もとより強制にわたるようなことは考えておりません。
#137
○説明員(林田英樹君) 即位の礼につきましては、現在政府内に設けられました即位の礼委員会におきまして検討が行われているところでございます。
 文部省といたしましては、政府全体としての方針を踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、政府全体の方針に沿った対応をということで考えてまいりたいと思っております。
#138
○説明員(桜井勝君) 過剰警備にならないようにということでございますが、さきの大喪の礼におきましては極左暴力集団が大変早い段階から全国各地でゲリラ事件を引き起こしまして、さらに大喪の礼当日におきましても御葬列をねらって中央自動車道における爆弾事件を引き起こしたりしまして、激しい反対闘争に取り組んでおります。こういう厳しい情勢の中で、警察といたしましては交通規制あるいは警備措置といったものによりまして、市民生活に及ぼす影響を最小限に抑えるよう十分配意しながら、総力を挙げて警備の万全を期したところでございます。したがいまして、過剰警備というふうには考えておりません。
 今度の即位の礼等につきましても、国民の理解と協力を踏まえながら警備の万全を期していく所存でございます。
#139
○山口哲夫君 自治省、文部省にくれぐれもお願いしておきますけれども、そういう場合にはよく事務次官通達というものを出します。私も自治体でそういうことを何回か経験しましたけれども、政府の方から通達が流れますと、これは決して強制的ではないといっても、どうしてもそれに拘束される、そういった心理的な面がございます。ですから、その点をくれぐれも注意されまして、決して強制にわたらないように十分細心の注意を払って対処していただきたいことをお願いしておきたいと思います。
 それから、大嘗祭についてですけれども、政府の見解を見ますと、大嘗祭については宗教上の儀式としての性格を有すると見られることは否定することができない、国がその内容に立ち入ることにはなじまない性格の儀式である、こういうふうに言ってるんですね。ところが、そう言いながら、新憲法のもとで登極令は廃止され、新皇室典範からも削除されている大嘗祭をなぜ内閣が即位の礼準備委員会として検討して、この大嘗祭という一項目をあえて設けたのでしょうか。これは国家がいわゆる宗教に介入したという具体的な事例だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#140
○説明員(多田宏君) 即位の礼準備委員会では即位の礼に関して各般の御意見のあるものを幅広く検討対象として考えておりました。したがいまして、大嘗祭につきましても即位の礼に含まれるという御意見も一部にございましたし、そういう意味では検討対象としては幅広く検討をしていったわけでございます。
 そしてその中で、国事行為とすべき即位の礼というのはどの範囲かということを詰めてまいりまして、三つの儀式が国事行為たる即位の礼にふさわしいものだということで整理をさせていただいたわけでございまして、その際に大嘗祭と国とのかかわり合いというのはどういうことになるのかということも大変いろいろ御議論がございましたので、そこについても見解を整理しておいたという位置づけになっておるわけでございます。
#141
○山口哲夫君 宗教上の儀式という性格を持っているんで国がその内容に立ち入ることはなじまないんだと、そこまで言っていながら、大嘗祭についてあえて書かれているわけですね、こういう理由でやらなきゃならないと。非常に矛盾していると私は思うんですよ。それほどなじまないんだったら、大嘗祭については一切検討しなければいいんです。非常にそこに矛盾がある、こじつけがあるというように私は考えざるを得ません。
 それで、大嘗祭の意義について三つ書いていますね。収穫儀礼に根差したものだ。それから二つ目には、皇祖及び天神地祇に対して安寧と五穀豊穣などを感謝されるとともに、国家・国民のために安寧と五穀豊穣などを祈念する儀式である。三つ目には、皇位継承に伴う一世に一度の重要な儀式である。こういうふうに言っているんですけれども、この中にもありますように、天皇みずからもお召し上がりになる、いわゆる共食の儀式であるということを書かれているんですけれども、そういうことですか。
#142
○政府委員(宮尾盤君) 今御質問にありましたように、天皇陛下は大嘗宮におきまして新穀を皇祖、天神地祇にお供えになり、それから御みずからもお召し上がりになる、こういうことがございます。
#143
○山口哲夫君 最後の語尾のところちょっと聞き取れなかったのですけれども……
#144
○政府委員(宮尾盤君) 御質問の趣旨は、皇祖、天神地祇にお供えになって、かつ陛下も御みずからお召し上がりになるのかと、こういうことですから、陛下もお召し上がりになりますと、こういうことを答えたわけでございます。
#145
○山口哲夫君 共食の儀式であるということを確定しているわけですけれども、それから覆衾というものは用意されているんでしょうか。
#146
○政府委員(宮尾盤君) いわゆる神座といいますか、神様の座というようなものが大嘗宮の中に設けられることになります。
 ただ、これは誤解がいろいろあってはいけないと思いますのでちょっと申し上げますが、いわゆる真床覆衾と言われるようなものは、その真床覆衾というもの自体がどういうものであるか厳密な定義はよくわかりませんが、そういうものはない、こういうふうに御理解いただければよろしいと思います。
#147
○山口哲夫君 そうすると、神々との共寝の儀式ということはないということですか。
#148
○政府委員(宮尾盤君) 「きょうしん」というのがよくわかりません。
#149
○山口哲夫君 ともに寝るという、字では共に寝るというか……
#150
○政府委員(宮尾盤君) 天皇陛下がそこでお休みになるという御所作はないというふうに承っております。
#151
○山口哲夫君 いずれにしても、これは神と一体になるという儀式であることは間違いないと思うんです。
 実は教科書ですけれども、国定修身教科書の初等科修身の四の中にこういうことが書いてある。「新嘗祭の御儀は、毎年行はれるものでありますが、天皇御即位のはじめの新嘗祭を、特に大嘗祭と申してをります。」。新嘗祭と大嘗祭というのは同じなわけですね。「大嘗祭は、わが国でいちばん尊い、いちばん大切な御祭であります。御一代に御一度、神代そのままに、かうがうしいこの御祭をあそばされるのは、実にわが大日本が、神の国であるからであります。」、こういうふうに書かれているわけでありますけれども、こういう教科書なんかをずっと見てみますと、こんなのを読んでみますと、どうも天皇が大神と御一体になる、そういう神事なんだということが書かれているわけなんです。日本が神の国であるということを明らかにすることが大嘗祭の意義なんだというように理解されるんですけれども、そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
#152
○政府委員(宮尾盤君) ただいま先生が引用なされましたのは国定修身教科書、昭和十八年から多分終戦までの時代に用いられた国定教科書の中身だろうというふうに思います。私も拝見をいたしましたが、その中にはそういうことが書いてありますが、御承知のようにこの時代というのは日本にとりまして非常に大変な時代でありまして、そういう時代的なその時代の特殊事情というようなものを背景にしたそういう教科書の記述であろうというふうに考えておるわけでございます。
#153
○山口哲夫君 しかし、大嘗祭の中身について余り変わらない、登極令との関係からいってもそう変わらないということになれば、どうしてもやっぱりそういう神事であるというふうにとられるんですけれども、この大嘗祭というのはいわゆる宗教行事であって、神事なんですね。神道によるところの行事というふうに理解してよろしいですね。
#154
○政府委員(宮尾盤君) 大嘗祭の行事というのは、政府の見解にも述べてありますように、稲作農業を中心とした我が国社会に非常に古くから伝承されてきておる収穫儀礼に根差したものだということでありますが、大嘗宮の中での陛下のなされることにつきましては、大嘗宮において新穀を皇祖、天神地祇にお供えになって、御みずからもお召し上がりになる、そして皇祖、天神地祇に安寧と五穀豊穣を感謝される、それから、これからも国民のために安寧、五穀豊穣でありますようにということを祈念される、これが大嘗祭の儀式そのものでございまして、大嘗祭は何かといえばそういうふうにお答えをせざるを得ないわけでございます。
 ただ、その儀式のいろいろなやり方というものについては皇室の伝統的なやり方によって行われる、こういうふうに御理解いただければよろしいかと思います。
#155
○山口哲夫君 ちょっと私が聞き取れなかったのかもしれませんけれども、もう一度聞きますけれども、大嘗祭というのは非常に宗教色が強いですね。それは認めているわけですね。それでは、宗教色が強いんだけれども、どんな宗教なんですか。私が今言ったように神道ということですか。
#156
○政府委員(宮尾盤君) 皇室はいろんな祭祀をなさっておいでになりますが、それは皇室の長い伝統に基づく方式といいますか、それであります。
 ただ、じゃそれは仏教であるか神道であるかとかというような大きな分け方というものでどれになるかといえば、広い意味では神道という部類に属するかもしれませんが、これはいわゆる神社神道というようなものと皇室が行っておられる祭祀のあり方というものは全く同じではないということは申し上げておかなければいけないと思います。
#157
○山口哲夫君 要するに広い意味での神道だということですね。
 それで、大嘗祭は即位のときには必ず行うということが何か義務づけられているんでしょうか。
#158
○政府委員(宮尾盤君) これは皇室の長い伝統であります。天皇が即位をされたときには必ず大嘗祭は行われるというのが長い伝統でありまして、皇室にとりましては非常に重い儀式であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#159
○山口哲夫君 それじゃ、大嘗祭を行わない天皇は天皇として認められないんですか。
#160
○政府委員(宮尾盤君) 歴史上大嘗祭が行われなかったということはあるわけでございまして、例えば仲恭天皇は大嘗祭も行われませんでしたけれども、即位礼も行われなくて早く御退位になったというような方もございます。それ以外にも何代かの方が大嘗祭を行っておられないケースがありますが、これは非常に世の中が戦乱で安定をしていない、皇室も大変御衰微になっているというような特殊なときに行われなかった、やむを得ず行えなかったということであろうと思います。そういうことを除けば大嘗祭というのは即位儀礼の一環として必ず皇室としては行われておりますし、また伝統からいえば必ず行うべきものだというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#161
○山口哲夫君 いずれにいたしましても、大嘗祭を行わなかった天皇というのが十数人いらっしゃるわけですから、行われなくても天皇の地位には変わりはないというように私は思うわけでありまして、現在の皇室典範の二十四条で「皇位の継承があったときは、即位の礼を行う。」、これだけが定められているわけでありまして、そのほかの大嘗祭を含めた諸行事というのは一切法的根拠を持たないわけですね。そういう法的根拠を持たない行事を天皇に私は行わせるべきものではないというように考えております。答弁はどうせ決まっているでしょうから、私の意見だけ申し上げておきますけれども……。
 天皇家のいわば私的な行事と言われている大嘗祭、これは天皇の私的行事ということで天皇の御意思で行われることになったわけですか。
#162
○政府委員(宮尾盤君) 大嘗祭は天皇の私的行事か、こういうお尋ねだったようでございますが、そういうことではございませんで、要するに大嘗祭は、たびたび申し上げておりますように、皇室にとって皇位継承儀礼として非常に重要な儀式であります。そういうことであります。そういう意味で皇室の行事として大嘗祭が行われる場合には、これは政府の見解にも述べてありますように、皇位継承儀礼の一環であって、そして世襲制に基づく現在の憲法のもとでは皇位継承儀礼として国としても十分それを挙行できるような、挙行を可能にならしめるような配慮をすべきものである、そういう意味で公的性格がある、こういうふうに位置づけられておりますし、私どももそう考えておるわけでございます。
#163
○山口哲夫君 公的な側面を持っていると言いますけれども、私はそれは非常に宮内庁が無理をしてそういう理由をつくったものというふうに考えるわけです。今までは、天皇の行為については国事行為、公的行為、私的行為、三つに分かれている。その私的行為をいつの間にか今度は宮内庁はその他の行為にしてしまって、そしてその他の行為には私事と、私的な行事と公的性格を持つものがあるんだ、その公的なものということであえて宮廷費を出すことにしたんだというふうに天皇としての行為を中身まで今度は変えてしまって、先に公費を出すことがあるためにそれに合わせて今までの制度そのものを変えていくというこのやり方に対しては私はとても理解できません。時間がありませんので答弁は要りません。
 要するに、さっき言ったように広い意味での神道、そういう宗教行事である。だから、政教分離という憲法の精神からするならば、こういうものに対して国費を支出するということは憲法二十条の政教分離の原則に反するというように思うわけであります。特に、さっき教科書を読みましたように、新嘗祭と大嘗祭は同じ性格を持っておりまして、その新嘗祭は内廷費からお金が出ているわけでありまして、にもかかわらず同じ性格の大嘗祭だけを国費から出す、宮廷費から出すということは非常に矛盾している、憲法違反だというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。
#164
○政府委員(大森政輔君) ただいまの御質問は、大嘗祭の経費を宮廷費という公費から出すのは憲法違反ではないかということでございますが、まず結論は、憲法には何ら抵触しないということでございます。
 その理由を若干申し上げますと、御指摘のとおり大嘗祭は宗教上の儀式という性格があることは否定できないわけではございますが、今回宮廷費を出しますのは、皇位が世襲であることに伴う伝統的皇位継承儀礼という大嘗祭の公的性格に着目したものでございまして、その支出が宗教的意義を持ちませんし、また特定の宗教に対する援助、助長等の効果を有することにもならないというふうに考えますので、このような公金の支出は憲法八十九条が禁止しています公金の支出にも当たりませんし、また憲法二十条三項が禁止しております国及びその機関が宗教的活動を行ったという評価を受けることにもならないというふうに考えている次第でございます。
#165
○山口哲夫君 随分無理なこじつけだなというふうに考えられますけれども、話を先に進めましょう。
 この大嘗祭で非常に重要な地位を占めている施設に悠紀殿、主基殿というのがありますけれども、この建設費用は幾らでしょうか。
#166
○政府委員(宮尾盤君) 御質問はいわゆる大嘗官の建設費用、こういうことだと思いますが、これは悠紀殿、主基殿、建物の建築費といたしまして約九億円余というふうになっております。
#167
○山口哲夫君 大嘗宮等設営費十四億五千三百五万円、違いますか。
#168
○政府委員(宮尾盤君) 十四億五千三百万円、これは大嘗官の設営関係全体をあれしますと、例えば土木工事その他もありますので、それを入れますとそういうことになるわけでございます。
#169
○山口哲夫君 いずれにしても、悠紀殿、主基殿を建てるための土木工事から建物から全部ひっくるめると十四億くらいということですね。
 それを建設して何日で壊すんですか。
#170
○政府委員(宮尾盤君) 何日で壊すかというのはちょっとまだ具体的には申し上げられないわけですが、実は昭和の先例等におきましても、悠紀殿、主基殿、いわゆる大嘗日宮について一般に参観をしてもらうようなことも行っておりました。したがいまして、そういうことを今回どうするかということはまだ確定をしておりませんが、大嘗宮の儀が行われて、そしてその後一定期間一般国民の方々にも参観をしてもらう期間が過ぎればそれは撤去をする、こういうことになるわけでございます。
#171
○山口哲夫君 いずれにしても何日かで壊すわけですね。
 先ほどの高御座もそうですけれども、相当の費用をかけてつくられているわけですね。いわば文化財的な要素も持っているくらいのものなんで、そういうものは私は国民によく見ていただくようなことをきちっと考えた方がいいと思うんです。それに対するお考えがあれば、あるかないかだけでいいです。
#172
○説明員(多田宏君) 国事行為たる即位札正殿の儀に用いられます高御座、御帳合等につきましては、今お話しのように一般参観を実施したいということで検討中でございます。
#173
○山口哲夫君 悠紀殿、主基殿というのは十四億もかけて何日かで壊される。これは国民の立場からするとちょっと理解できませんですね。内廷費でおやりになって、御自分のお金で建てられて壊すというんであれば別ですけれども、少なくとも国費が、国民の税金が十四億投入されて、それが壊される。なぜそういうことをしなきゃならないんでしょうか。宮中三殿というのがあるんですけれども、これを使ってできるという説もあるんですけれども、どうして宮中三殿、既設の施設ではだめなんですか。
#174
○政府委員(宮尾盤君) 大嘗祭というのは極めて伝統的な皇位継承儀式、儀礼でありますから、やはりできる限り伝統というものを尊重したやり方をしたいというのが私どもの基本的な考え方でございます。そこで、大嘗宮というのは古来から極めて質素な建物で、そこで大嘗祭が行われた後はこれを徹却するというのがいわば皇室の長い伝統になっておるわけでございます。したがいまして、私どもとすれば一つはそういう伝統的なこともございます。
 それからもう一つは、これは若干細かい話になるかもしれませんが、決して立派な材を使うわけでもございませんで、様式は古来の様式等で非常に伝統のあるものでございますが、生の木で皮つきのものを使うというような、そういう質素なつくりであります。そういうことからいきまして、これを何らかのものに再利用するということは、ほとんどそういう意味ではなかなか難しいような建物である、こういうこともあるわけでございます。
#175
○山口哲夫君 生の皮つきだから質素なものではないんですよ。十四億もかけたものが質素とは言えないんです。それはあなた方と私たちの感覚の全然違うところなんです。
 時間があと三分しかありませんので、最後の問題に入りますけれども、悠紀、主基という二つの国、秋田県と大分県になっているそうですけれども、神事用としてお米やアワ、織物等の献上が行われる。大正天皇、昭和天皇のときには全県から献上品をいただいているわけですね。いわば当時の登極令に基づくこういった大嘗祭の精神というものは、天皇が諸国の国民を服属させる、そういう意味を含めて各国からの献上品というものが上げられてきたというふうに言われているわけですね。ですから、そういう誤解を招いてはならないと私は思うんで、こういった二つの国からの献上品というものは行われないんでしょうね。それと、各県からの献上品というものも行われないんでしょうね。
#176
○政府委員(宮尾盤君) 先例で行われましたいわゆる悠紀の国、主基の国からの献物というのと、それから各県からの庭積の机代物、この二つのことの御質問だと思いますが、大嘗祭というものは伝統的には、まず献物の方ですが、これは大饗の儀、大嘗祭が終わった後、古制で言えば節会というのが行われておるわけでございますが、そういう際に披露をされた悠紀、主基、両地方のいわば特産品といいますか、そういうものであります。それから、机代物というのは、これは悠紀、主基両地方だけでなくて、各県からの特産物を机の上に並べて大嘗宮の儀に供される、こういうものでございます。
 これはいずれもそれぞれの伝統を持っておるわけでございますが、先ほど大嘗日祭の意義で申し上げましたように、大嘗祭というのは稲作民族というような日本の古来からのいわば収穫儀礼というものに根差す、こういう意味合いもあるわけでございまして、そういう悠紀、主基からの献物、あるいは各都道府県それぞれからの庭積の机代物、こういったものについては今回も前例に従ってお願いをしよう、こういうふうに考えておるわけでございます。
#177
○山口哲夫君 時間が参りましたので、最後になりますけれども、大嘗祭というのは昔は非常にひそかに秘儀として行われていたわけであります。それが明治天皇からでしょうか、登極令をつくられて、大正天皇、昭和天皇というときにこれは非常に大々的に行うようになりました。そして、地方にいろいろな品物の献上をさせる。いわば天皇の地位というものを神格化していった。それが大嘗祭の歴史である。これは多くの学説がそう言われているわけでありますから間違いのないところであります。
 ですから、新憲法になって象徴天皇になられたその天皇が今度初めて新憲法下において即位の礼を行うわけでございますから、そういう精神に基づいて、国民主権、政教の分離、こういったことをしっかりと踏まえて、国民に本当に心から親愛される、そういった即位の礼であるべきだし、そして諸外国にも誤解を招かないような、本当に諸外国と親しくこれからおつき合いをしていくという、そういった敬愛されるような即位の礼を行うべきである、私はそう思うわけであります。
 そういうことから考えると、今政府が考えている即位の礼、そして大嘗祭のやり方というものは非常に新憲法の精神にそぐわない。天皇のお言葉にもあるように、この憲法を守って、そして国民とともに進んでいきたいという天皇の精神にも私はちょっと反するものがあるんではないだろうかということを考えるときに、どうか官房長官、最後にこういうことについて、これから一つ一つの皇室行事として式次第を決めていくわけですから、その一つ一つの行事に細心の注意を払って、本当に国民から敬愛されるような即位の礼にするようにぜひひとつ御努力をいただきたい、その決意のほどをお聞きして私は質問を終わります。
#178
○国務大臣(坂本三十次君) 即位の礼の各儀式の具体的な内容については、今後内閣総理大臣を委員長とする即位の礼委員会の協議を経て総理大臣が決定することになっておりまするが、今委員が話されたように、国民の敬愛の念を素直に生かしながら、しかも皇室の伝統というものもやはり配慮しながら、その辺においていろいろな注意をしながら具体的な個々の行事についても今後ともやり方を詰めていきたいと思っております。
#179
○吉川春子君 四月二十二日にフェリス女学院大学学長銃撃事件が発生いたしました。キリスト教関係の四大学学長が大嘗祭に対する反対声明を出したことに反発する右翼関係者の犯行ではないか、このように言われております。去る一月十八日にも、天皇に戦争責任があると言明いたしました長崎市長が撃たれて重傷を負っておりますが、こういう事件がたびたび発生するわけですが、なぜこういうものを防げないんでしょうか。警察庁、お伺いします。
#180
○説明員(渡邉泉郎君) お尋ねの事件につきましては、四月二十二日午後十一時十四分ごろ、東京都練馬区所在のフェリス女学院大学弓削達学長宅にけん銃二発が撃ち込まれたという事件でございます。警察といたしましては、事件認知と同時に緊急配備を発令するとともに、犯人検挙に向けて鋭意捜査中でございます。
 なお、昨日夕刻に警視庁がけん銃一丁、実弾三発、空薬きょう二発を所持していた右翼団体元維新塾事務局長木村武士、四十九歳を銃刀法違反で検挙いたしましたが、この被疑者について本事件の被疑者である可能性が強いと見て、所持していたけん銃の鑑定や取り調べによりまして本事件との関連を追及することといたしております。
 警察といたしましては、このように不法行為を引き起こすおそれの強い右翼団体及び個人に対しまして、情勢に応じて所要の視察、警戒を行っているところでございますけれども、これらのすべてについて完全にその動向を把握することは困難でございます。今後ともこのような事件が発生しないように未然防止に全力を傾注したい、このように考えております。
#181
○吉川春子君 正しいことを発言するのに命がけでやらなければならない、これはもう民主国家でも何でもないわけです。今の御答弁ですと、何か一々そういうものを全部つかむことは難しいみたいなことをおっしゃいましたけれども、こういう事件がたびたび引き起こされていくことによって国民の言論の自由というものが奪われるわけですね。だから、こういう事件を絶対に再発させない対策が講じられなければならないと思うんです。弓削学長の自宅の周辺のパトロールはその事件前から警視庁は強めていたというふうに新聞で報道されていますけれども、やっぱりこれは警備のすきを突いた事件じゃないですか。こういうものが再発しないように厳重な措置をとっていただきたいと思いますが、どうですか。
#182
○説明員(渡邉泉郎君) 警察といたしましては、このような違法行為が未然に防止できるように最大限の努力をいたしているわけでございますけれども、今回のフェリス女学院大学学長の襲撃事件につきましても、学長らの声明が発表されて以来右翼の反発が懸念されましたので、警察といたしましては、こういった右翼の不穏動向の把握に努めるとともに、学長等に対しまして注意喚起をするなど全力を傾注したところでございます。
#183
○吉川春子君 予想されていたのに防げなかったということは警察の責任も重大だと思います。
 官房長官にお伺いします。今度のこの事件についてどういうふうに受けとめておられますでしょうか。
#184
○国務大臣(坂本三十次君) 民主主義の国で、意見が違うからといって言論を暴力で抑え込もうなんということはとんでもないことであります。我が国は世界じゅうの中でも、外国から来た人から聞くと、日本はこれでも秩序の保たれている方だというふうに聞く場合も多うございますけれども、さらば、なおさらこういう言論に対して暴力をもってするなんということは断じて許すべからざることであります。
 もちろん、政府はその方針で犯人検挙等に当たっておりますが、未然防止についても関係機関で全力を挙げて努力するものと思っております。
#185
○吉川春子君 官房長官、もう一つお伺いしたいんですが、長崎市長が撃たれた、そしてまた同じように大学学長が撃たれた。長崎市長が銃撃されて、その事件から十分教訓を酌み取ってこういう事件を再発させないようにするのが政府の役割だったと思うんですけれども、なぜ同じような事件が二度にわたって起きたんでしょうか。
#186
○説明員(渡邉泉郎君) 先ほども申し上げましたように、右翼の不穏動向を事前に入手するために警察としては最大限の努力を行っているわけでございますけれども、右翼団体、危険な団体も非常に多うございますし、最大限の努力はいたしているわけでございますけれども、なかなか事前の動向がつかめない、なかなか困難であるというのが実態でございます。
#187
○吉川春子君 何とも頼りのない警察という印象を受けましたけれども、こういう言論の自由を脅かすような事件が絶対に起きてはならないという立場で政府は全力を挙げて頑張っていただきたいと思います。
 次に質問を移しますが、即位の礼の問題についてお伺いいたします。
 先ほど高御座と御帳台の問題について論議がありましたけれども、私どもも参議院内閣委員会の視察で京都の御所に参りまして大変立派な高御座と御帳台を見てまいりました。これは皇室の伝統によるものだ、こういう宮内庁次長のお話でしたけれども、この高御座、御帳台、これはいつつくられたんですか。
#188
○政府委員(宮尾盤君) 現在京都御所にございますのは大正天皇の御即位のときにおつくりになったものでございます。
#189
○吉川春子君 そうすると、大正四年につくられて、そしてこれを使用されたのは大正天皇と昭和天皇二代だけですね。
#190
○政府委員(宮尾盤君) 大正天皇それから昭和天皇、二代お使いになっております。
#191
○吉川春子君 二代の天皇が使われただけなのに何で長い皇室の伝統と、こういうふうにおっしゃるんですか。
#192
○政府委員(宮尾盤君) 文献等でいつからかというようなことは余り明確ではありませんが、少なくとも奈良時代の記録あるいはそれ以降の記録には即位礼に際して天皇が高御座に渡御された、こういうようないろんな記録が出てまいります。そういう意味で、今あるものは大正天皇、昭和天皇の御即位のときにお使いになったわけでございますが、高御座というものについてはそういう長い伝統がある、こういうことでございます。
#193
○吉川春子君 そうしますと、大正四年につくられた以前の高御座、御帳台というのはなかったかもしれませんが、それはどういう形のものだったのかおわかりになりますか。
#194
○政府委員(宮尾盤君) どういうものかというのは、現物がございませんから正確なあれは目で見るわけにいかないわけですが、いろいろ記録には残っております。例えば、これは一番典型的なのは室町時代の文安御即位調度図というようなものが藤原光忠のものとしてあるようでございますが、この文安のときにどういう形の高御座をつくられたか、こういうようなものが記録としてあるわけでございます。
#195
○吉川春子君 私たちが見てまいりましたのは大変高さも高いし大きいし、そして金銀宝石類がちりばめられたような感じの豪華なものですけれども、高御座というのは歴史的にあったかもしれませんけれども、その大正天皇が使われたそれ以前のものは大変質素なものであったというふうに物の本には書いてありますし、それと比べて大正時代におつくりになった高御座というのは全く豪華けんらんといいますか、そして大変大きいもの、こういうものですけれども、そういう意味では伝統ということで言えばちょっと違うんじゃないんですか。
#196
○政府委員(宮尾盤君) 様式だとかあるいは規格だとか装飾、装飾といいますか飾りとか、いろいろなそういうものはその時代時代によって違っているだろうと思います。そういう意味では昔のものと今のものはいろいろとちょっと違うんではないか、こういうことはそのとおりでございますが、私どもが申し上げておるのは、いわゆる即位儀礼のときに御即位ということを内外に宣明する、こういう儀式だと言っておるわけです。その儀式のやり方として高御座にお上りになる、いわばこういうことが行われており、高御座がそういうことに使われておる、こういうことが伝統である、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
#197
○吉川春子君 その即位をするときに天皇はどうしてそんな高いところへ上らなきゃならないんですか。高御座というのは何をするものなんですか。
#198
○政府委員(宮尾盤君) これは何といいますか、即位儀礼というものをどういうふうに行うのが一番いいのか、どういう調度品を用いたらいいのかというようなことはそのときそのときの考え方で決まってくるわけですが、ただ、これはそういう意味で奈良あるいは平安、そういった時代にもそういう記録がありますように、高御座というものを即位儀礼にお使いになった。これが伝統でございますから、現に京都に大正、昭和でお使いになった高御座があるから、やはりその伝統的な儀式の形というものは今回もとるのがよろしいんではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#199
○吉川春子君 そのときそのときのやり方でやってもいいと今おっしゃいましたでしょう。そうしますと、今は新憲法、象徴天皇ですね。大正四年につくられた高御座は、「万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」、「神聖ニシテ侵スヘカラス」と、この明治憲法の立場でつくられて、しかも華やかなその装飾というのは日本の伝統でも何でもない、これは中国の様式を取り入れて、中国のそういう装飾を見習ってつくったものだ、こういうふうに専門的な本には書いてあるわけです。そうしますと、都合のいいときは皇室の伝統だと、都合が悪くなるとそのときそのときいろいろなものを使って構わないんだと、こういうふうにおっしゃって一貫性がないと思うんですね。
 高御座というああいう高いところで、私たちが見上げるような高いものでしたけれども、そういうところに上って、即位したぞと臣民に対して宣したわけですね。それが登極令のもとでの即位のセレモニーであったわけですけれども、そういうものを皇室の伝統と称して、そして現在の全く性質の違う民主的な憲法のもとでそういう即位をやるというのは憲法の主権在民の立場からいっても非常に好ましくないと思うんです。
 このことを言いますとまた答弁があるかもしれませんけれども、皇室の伝統というものは動かせないものじゃないんだから、今の憲法にふさわしいものでやるべきであって、天皇が絶対主義的な権力を持っていた登極令のもとでのそういう高御座あるいは御張台、そういうようなものを使ってやるのは全く国民主権の立場から離れているものだ、私はそういうふうに申し上げるわけですけれども、官房長官、お考えいかがですか。
#200
○説明員(多田宏君) 高御座は、先ほども答弁申し上げておりますように、歴史上、伝統的皇位継承儀式の中核であるいわゆる即位礼において用いられるのが常とされ、皇位と密接に結びついた古式にのっとった調度品というふうな形で伝承をされてきているものでございまして、文化的、伝統的なそういう側面を有しておりまして、今回もこのような側面に着目いたしましてこれを用いるということにしているわけでございまして、このことをもって国民主権主義の趣旨に反するというふうには理解をしておらないわけでございます。
#201
○吉川春子君 伝統といいますのは、いわゆる何千年かの皇室の伝統というような意味ですりかえて使っておられるようですけれども、そうではなくて、明治、大正、昭和、要するに天皇主権の時代の、天皇の権力がすごく強力に振るわれた時代のセレモニーによってやる、そのことを伝統と称しているんであって、これは今の憲法のもとでは大変けしからぬ、許されないことだというふうに思います。そのことを指摘して、次の質問に移りたいと思います。
 皇室経済法施行法の質問をいたしますが、現在の憲法では、憲法の八十八条あるいは八条において皇室経済に関する憲法の考え方というのがうたわれているわけですけれども、この趣旨はどういうことなんでしょうか、法制局に伺います。
#202
○政府委員(工藤敦夫君) ただいま御質問の憲法の八条あるいは八十八条でございますが、まず八十八条におきましては、「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。」、かように規定してございます。また八条におきましては、「皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。」、かように規定がございます。
 憲法八条の趣旨でございますが、ただいま八十八条を申し上げましたように、「すべて皇室財産は、国に属する。」、こういうことで、旧憲法時代と違いまして皇室財産は国に属するんだ、こういうことを前提といたしまして、皇室の私的な財産につきまして譲り受けあるいは譲り渡しあるいは賜与、こういうふうなことを規定しているわけでございます。したがいまして、皇室が皇室外のものと財産の授受をするには国会の議決を要するということで、皇室と皇室外のものとの間の財産の授受を通じて皇室に不当に財産が集中するのではないか、あるいは望ましくない支配力を有するに至るのではないか、こういう疑念が万一にも生ずることがないように配慮した趣旨のものである、かように考えております。
#203
○吉川春子君 今度、皇室経済法施行法の改正によりまして内廷費が二億九千万に引き上げられるわけですが、国税庁にお伺いいたしますが、この二億九千万というのは税金が全くかからない、手取りといいますか、その金額なんですけれども、これは今の天皇家の家族構成でいきますと税込み額は一体どれぐらいになるんでしょうか。
#204
○説明員(栃本道夫君) 今の御質問のお答えとしまして、仮定的な一般の給与所得者のケースについてのお尋ねというふうに了解してよろしゅうございますか。――そういう前提で申し上げますと、これはあくまでも仮定の計算でございますので、税込みの給与所得の収入金額の算出に当たって幾つか前提を置く必要があるわけでございますが、ただいまの御質問にございましたように手取り給与の金額が二億九千万円であるということにいたしまして、配偶者控除、扶養控除、基礎控除、社会保険料控除といった所得控除がございます。これを今仮に約三百四十万円ぐらい見込むというような計算をいたしまして、また地方税につきましてこれを考慮しないという前提で、この場合、給与所得のいわゆる総収入金額を計算いたしますと約五億四千万円となるわけでございます。
#205
○吉川春子君 そういたしますと、二億数千万円が税金ということになるわけなんですけれども、毎年国税庁が高額納税者の一覧表を発表されておりますが、この二億数千万の税金を納める高額納税者というのは何人ぐらいいらっしゃるかおわかりですか。
#206
○説明員(栃本道夫君) 高額納税者の人数そのものの計数は今持ち合わせてございませんが、税務統計の一つといたしまして毎年の民間給与の実態調査というのを実施しているわけでございます。これによりますと、昭和六十三年分で申し上げまして、一年を通じて勤務いたしました給与所得者、これが三千七百九十二万人いるわけでございますが、このうち給与の収入金額が二千万円を超えている人の数が約六万七千人というふうになってございます。
#207
○吉川春子君 昨年の五月一日の六十三年度高額納税者の一覧表によりますと、一位の方がレバノンの方で、不動産を譲渡した所得ということで六億八千万ほど払っておられますけれども、そのほか二億以上という方は数人しかおられないわけですね。ともかく大変高額な所得者である、納税者というふうに仮定すれば、そういうことになるわけです。
 宮内庁にお伺いします。そもそも内廷費というのはどういうものなんですか。生活費というふうに説明されておりますけれども、内廷費で賄われるべき生活費の範囲は一体どういうものでしょうか。
#208
○政府委員(宮尾盤君) 内廷費は皇室経済法の中にも規定がございますが、天皇及び内廷にある皇族の日常の費用、その他内廷諸費に充てるものというふうにされております。
 なお、これは御承知の点でありますが、内廷費として支出されたものは御手元金となりまして、宮内庁の経理に属する公金とはしない、こういうふうになっているわけでございます。
 いわゆる生活費かと、こういうことでございますが、生活費という言い方は相当これはラフな言い方でございまして、具体的なあれとしましては日常の御生活費だとかそういうものももちろんありますけれども、例えば災害時の都道府県に対するお見舞い金というようなものもこういう中で賄われておりますし、それから社会事業団体への事業御奨励のための賜り金、あるいは学術、芸術御奨励のかどで日本学士院賞、日本芸術院賞の恩賞受賞者に対する銀花瓶等の経費だとか、あるいは中央共同募金会の募金だとか、その他御祭祀関係の経費だとかいうようなものがあるわけでございます。いわゆる毎日の御生活とお身回りだけのことであるというふうに理解をされるとそこは大変誤解があるというふうに申し上げておきたいと思います。
#209
○吉川春子君 今度の内廷費の引き上げの根拠といいますのは、国家公務員の給与の改善率の累積、それから消費者物価の上昇率、こういうものを勘案しているわけです。国家公務員法の六十四条で俸給表というのは生計費、民間における賃金などを考慮して決めるとしておりまして、人事院も毎年その標準生計費に触れているわけですけれども、この中には食料、被服・履物、保健医療、教育、交通通信、娯楽あるいは共済掛金、住宅手当、こういうものが含まれているわけですけれども、それではこういういわゆる生活費の中身に当てはめますと大体どういうふうに内廷費が使われているのか、その数字をお示しいただきたいと思います。
#210
○政府委員(宮尾盤君) 内廷費がどういうふうに使われているか、こういうことでございますが、大きく分けますといわゆる物件費的なものと人件費的なものというふうに分けることができると思います。先ほど内廷費の中で人件費的なことはちょっと申し上げなかったわけですが、内廷でも内廷自身でお雇いの職員があるわけでございまして、そういう人たちにそれぞれ国家公務員に準じた給与を支払っておいでになります。したがいまして、そういう形で人件費的なものとして支出をされるものと、それから物件費的なものとして支出されるもの、こういうものがあるわけでございます。
 それで、大体の感じといたしましては、人件費がおおむね三分の一程度、残りが物件費、こういうふうに御理解をいただければよろしいかと思います。
#211
○吉川春子君 三対七というのはわかりました。
 じゃ、その内容ですね。三対七のそれぞれの内容について説明してください。
#212
○政府委員(宮尾盤君) 内容というのは、内廷費は御手元金となりまして、これは宮内庁の経理する公金ではありませんから、その具体的な内容について申し上げることはいかがか、こういうふうに思っておるわけでございまして、三分の一が人件費、約三分の二が物件費、こういうことで御理解をいただければありがたいというふうに思っております。
#213
○吉川春子君 何で今回はその中身についての説明をしないんですか、今まで答えていますでしょう。
#214
○政府委員(宮尾盤君) 構成比といいますか、割合で人件費の方は先ほどのように大体三分の一ですが、物件費の方については御服装とかお身回りの御用度の経費、これが約一八%程度、それからお食事、御会食、厨房器具等の経費、これが約一三%程度、奨励金、賜り金その他御交際上の経費が約九%程度、それから御研究、御教養関係の経費が七%程度、宮中祭祀の関係の経費が八%程度、その他雑費が一一%程度、大体こういうようなことになろうかと思っております。
#215
○吉川春子君 雑費の中には何が含まれますか。予備費的なもの、それから剰余金、そういうものが含まれますか。
#216
○政府委員(宮尾盤君) 雑費というのは我々の家庭生活での雑費と同じようにお考えいただければよろしいかと思います。
#217
○吉川春子君 そういうふうに一般的におっしゃられても、うちの雑費と宮中の雑費と随分違うと思うのですけれども、具体的にお願いします。
#218
○政府委員(宮尾盤君) どういうものを例示を申し上げたらいいのか、まさにもろもろの雑費なんでございまして、今分類をいたしましたような中に入ってこないようなもので、非常に細かいものですから、ちょっと今適切な例示をすぐ思い浮かべなくて恐縮でございます。
#219
○吉川春子君 この一一%の中に予備費とか余剰金は入りますね。それだけでいいです。
#220
○政府委員(宮尾盤君) 予備費というのは、先生御承知のように一割程度の予備費というものを積算上内廷費の中に組み込んでいるわけですが、この予備費というのは全体を通じての内廷費の額を決める際の予備的な経費をその程度見込むということであって、それが雑費だとかというふうに特定をされているものでは全くないわけでございます。
#221
○吉川春子君 そうしますと、一八%とか一三%とかおっしゃいました分母は、二億何千万かの現在の内廷費の額が分母でよろしいわけですね。
#222
○政府委員(宮尾盤君) 内廷費としてお支払いになられているその額全体に対してと、こういうことでございます。
#223
○吉川春子君 冠婚葬祭費はほとんど公費で賄われていますね。内廷費じゃないですね。
#224
○政府委員(宮尾盤君) 冠婚葬祭費は宮廷費ということはございません。内廷費でも支出をされるものはたくさんございます。
#225
○吉川春子君 大喪の礼、即位礼、大嘗祭、そして結婚の費用、こういう大きなものは公費だと思うんですね。
 教育費について伺いますけれども、例えばお子さん方三人が通われている学習院大学の費用などは内廷費から払われているんですか。
#226
○政府委員(宮尾盤君) 親王さんの教育費は宮廷費から出ております。内親王さんの教育費は内廷費から出ております。
#227
○吉川春子君 そうすると、男のお子さんだけは内廷費から払わないという理由は何ですか。
#228
○政府委員(宮尾盤君) これは何かそこにおかしいではないかというようなお考えもあるかもしれませんが、親王の場合には皇位継承権がございます。そういう意味でその御教育については宮廷費で支弁をしよう、こういう考え方になっているものというふうに承知をいたしております。
#229
○吉川春子君 ちょっとお伺いするだけしますが、食料費は、御料牧場というものがありますけれども、これとの関係、御料牧場の方から相当な金額に相当する品物が供給される、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
#230
○政府委員(宮尾盤君) 御料牧場は、先生も御承知のように宮内庁法あるいは宮内庁組織令の中に御料牧場の規定がございまして、皇室の御用に供するための御料牧場、こういうことで設置されておるわけでございます。したがいまして、そこの生産品の、これはもちろん全部ではございませんが、一部内廷の御用に役立てられておるということはあります。
#231
○吉川春子君 住宅費については内廷費から払われている部分がありますか。
#232
○政府委員(宮尾盤君) 先ほど憲法八十八条のことがお尋ねがあって、お答えがそちらからもありましたが、要するに憲法の建前は、すべて皇室の費用については国がそれを賄う、こういう考え方になっておりまして、住宅というのは、天皇、皇后両陛下あるいは内廷の方々は御承知のように今は赤坂御所においでになります。あるいは吹上御所に皇太后陛下がおいでになる。こういうようにそれぞれそのお住まいは国が所有をしております財産、その中で皇室用財産として管理をしておる、そういうものをお使いになっていただく、こういう建前になっているわけでございます。
#233
○吉川春子君 そうしますと、内廷費からは住宅修繕費も含めて一切支出はされなくてもいいようになっている、こういうことですね。
#234
○政府委員(宮尾盤君) 住宅関連の経費というものは、いわゆるお住まいに必要な関係ではそういうものは必要ないわけでございます。
#235
○吉川春子君 そういたしますと、公務員給与に含まれております具体的な内容について今お伺いいたしましたが、かなり中身が違うようですね、住宅費、教育費、食料費。
 それから、医療費について伺いますが、宮内庁病院に天皇家がかかられる場合は費用は要らないわけですか。
#236
○政府委員(宮尾盤君) 病院のことをお答えする前に、公務員給与のアップ率を勘案しているということから、公務員給与の中にはいわゆる一般の国家公務員の生活費として住居費的なものとかいろんなそういうものがあるだろう、それを使うのはちょっとおかしいじゃないか、こういうお考えかと思います。
 この内廷費の中でいわゆる国家公務員の給与改善率というのを考えておりますのは、先ほど御説明をしましたように、内廷では内廷自身で人件費を支払っておる相当数の職員を抱えているわけです。ですから、そういう内廷の職員に支払う経費というものが要る。そういう要素を国家公務員の給与改善率というようなものを使ってどうしたらいいかという計算をしておる、こういうことでございます。
 それから、宮内庁病院のお尋ねでございますが、宮内庁病院に御入院になる、あるいは医療等を受けられる、こういう場合には、宮内庁病院はつまり宮内庁に属するわけですが、国が設置をしておる病院でございますから、これについて内廷費からお支払いになるということはないわけでございます。
#237
○吉川春子君 消費者物価指数というものも内廷費を引き上げるときの参考にしているわけですね、東京都二十三区の。ですから、要するに生活費という関係で見た場合に、消費者物価指数なり公務員給与の改善率なりをそのまま内廷費の引き上げということで率を上乗せするという合理的な根拠が大変乏しいように思うわけですね。
 それから、当初内廷費は八百万円というふうに決められたわけですけれども、そういう決め方自体がどういう根拠かということも余りはっきりはしていないわけで、高いところへ持ってきて、そこへまたどんどん積み重ねていくという形になって、私たちの党は率直に言って今度の内廷費の引き上げというのは必要ないじゃないかという立場ですけれども、そういう非常に高い金額ではないかというふうに思うわけです。
 重ねてお伺いいたしますけれども、内廷費を内廷会計審議会というところで管理されているというふうに伺ったんですけれども、この内廷会計審議会というものはどういうものですか。
#238
○政府委員(宮尾盤君) 内廷会計審議会のお尋ねでございますが、内廷費につきましては御手元金となるわけでございますけれども、宮内庁は皇室の全般的なお世話をする、こういう立場にありますから、内廷費の会計経理につきましては内廷会計主管というものを置いてこの会計の処理をお手伝いを行っているわけでございます。
 ただ、その際、宮内庁の中には今お尋ねのありました内廷会計審議会というものを設けまして、そこで決算等の重要事項とかいろいろもろもろのことを審議して、そして内廷会計主管の会計経理の指針にしたりあるいはその経理に誤りがないようにする、こういう意味で審議会でそういういわば内廷会計主管をチェックしておる、こういう感じに受け取っていただければよろしいかと思います。
#239
○吉川春子君 内廷費を御手元金として渡されるから、もう後はノータッチだと言いながら、宮内庁長官以下八人の方が的廷会計審議会というものをつくってチェックしているということなんですけれども、このことについても公職の人がこれを管理しているということについてどういうふうにお考えなのかと思うんです。
 管理しているというのでお伺いいたしますが、そうしますと内廷費の余剰金というのはどれぐらいあるんですか。
#240
○政府委員(宮尾盤君) 内廷費の決算状況その他がどうなっているか、こういうことになるわけですが、これは御手元金であり、いわばプライバシーに属する事項になるわけでございますから、どういうことになっているかということを具体的に申し上げることは差し控えたいと思います。
 ただ、余剰金があるのか赤字があるのかというような、そういう面からのお尋ねかと思いますが、これは年度年度によりまして、単年度で見ればいろいろ御用が多くて足りないというケースもあれば、若干の剰余が出る年度というものもある。ただ、そういうものは全体として年度間で繰り越しその他のことでならしてお使いになっておる、こういうふうに御理解いただければありがたいと思います。
#241
○吉川春子君 剰余金が出た場合に、そのお金を株の投資というようなところにもお使いになっているわけですね。
#242
○政府委員(宮尾盤君) 株がどうかと、こういうことですが、そういうことはまたこれプライバシーにわたることでございますので具体的にお答えを申し上げることは控えますが、単年度黒字が出たからそれで株式を買って投資をするというような、そういうことをすることはなされていないようであります。
 また、全体として眺めれば、今回の場合にも、六年間内廷費というのは据え置きになっているわけでございますから、その六年間というものの年度を通じて見れば足らないようなときもあるし、若干の余りも出てくることもある。その余りが出てきたときには足らない年度の方に繰り越して、全体としてその予算の中で工夫をしながらお使いになっている、こういうことになっているわけでございます。
#243
○吉川春子君 七十二回国会の衆議院内閣委員会の議事録によりますと、内廷費のうちで、時により預金をしたり、有価証券を買ったりしておられる、こういう答弁を宮内庁がなさっておりますけれども、例えば、去年の七月八日の新聞にこういう記事が出ています。昭和天皇死去の際の「遺産の大部分を占めた金融資産は、天皇家の私的財産として株、国債などで運用され、約二十億円になったと見られていた。」。あるいはサンデー毎日、八九年十一月十二日号、元東宮侍従、教育評論家浜尾実氏によりますと、「宮内庁の経済主管の名前で買い、運用も経済顧問(現在は森永貞一郎前日銀総裁)のアドバイスを受けつつ、経済主管が行っております。」、こういう記事がありますが、いかがですか。事実ですか。
#244
○政府委員(宮尾盤君) その新聞の記事が事実か、こう言われますと、いろいろ推測のこともありましょうし、それがすべて事実であるというふうに申し上げるわけにはまいらないと思いますが、先ほど申し上げましたように、宮内庁としては内廷の会計経理等のお手伝いをするということは、これは一つのまた宮内庁の立場でもございますので、内廷会計主管がその会計経理等のお手伝いをしておる、これは事実でございます。
#245
○吉川春子君 株投資のお手伝いもしておる、こういうことも否定されないわけですね。
#246
○政府委員(宮尾盤君) 株式をお持ちになっているということは、それはあるようでございます。
 ただ、これは内廷費が余ったから株式投資をしてというようなことをなさっておられるわけではございませんで、御承知のように、憲法が施行されたときに皇室の財産というものはすべて国に帰属することになったわけでございますが、そのときに不時の用に充てるため、こういうことで当時の金額で千五百万円というものが内廷に残されたといいますか、国としてそういう措置をなされたわけでございます。そういうものの中にいわゆるいろいろの証券等もありますし、また資産というものを適正にといいますか、管理する意味でいろいろなそういうケースもあったということで御理解をいただきたいと思います。
#247
○吉川春子君 法制局にお伺いいたします。
 先ほど現憲法の皇室経済に関する原則についての御答弁をいただきましたが、「注釈 日本国憲法」に、八条は、「私人としての天皇および皇族の財産法上の行為能力に対する特別の制限を定め、天皇および皇族の財産授受を国会のコントロールのもとにおくことによって、皇室への財産の再蓄積や、財産授受を通ずる皇室の影響力の行使を、防ごうとするもの」、かつて、「皇室は、巨大な財産所有者となっており、また、その財産は、政治上あるいは軍事上の意味をもつ支出に充てられることがあったのである。八八条とともに、本条は、旧憲法のもとにおける皇室財政自律主義を否定して、旧憲法の天皇制の物質的基礎を変革するとともに、財政上の国会中心主義をつらぬこうとするものである。」、こういうふうに書かれているわけです。
 株などで二十億の金融資産があったということですけれども、そういうことで財産形成をされるということは現憲法の予想してないことじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺の解釈はいかがですか。
#248
○政府委員(工藤敦夫君) 先ほど憲法の八条あるいは八十八条についてお答え申し上げましたが、皇室経済法におきましても、いわば「相当の対価による売買等通常の私的経済行為に係る場合」、これは皇室経済法の二条におきまして、「その度ごとに国会の議決を経なくても、」というふうなことがございまして、いわば私的経済行為の範幅のものにつきましてはあえてそこで個々の国会の議決ということは不要ということになっております。
 八条の趣旨が、先ほど申し上げましたように、あるいは今委員御指摘の「注釈 日本国憲法」などにございますように、皇室に不当にと申しますか、八十八条の趣旨を損ねるような形でいわば皇室財産が集中してくる、あるいは望ましくない支配力を有するに至る、こういうことを防ぐ趣旨でございますので、そういう意味から申し上げて皇室経済法の二条はそのような趣旨に反しない限りにおいて個々の議決を要しない、かように定めたものと考えております。
#249
○吉川春子君 終わります。
#250
○中川嘉美君 まず、皇室経済法第四条第一項に、内廷費は天皇及び内廷皇族の日常の費用及び内廷諸費に充てるというふうに規定されておりますが、この内廷費というのはどういうようなものを言うのか、まずお答えをいただきたいと思います。
#251
○政府委員(宮尾盤君) これは経済法の中でも規定されておりますが、内廷費というのは天皇及び内廷にある皇族の日常の費用その他内廷諸費に充てるためのものというふうに規定されておるわけでございます。
 これだけでなかなかおわかりにくい点があろうかと思いますが、この内廷費として支出されたものは御手元金となり宮内庁の経理に属する公金にはならないということはこれも規定があるわけですが、例えば御服装とか御食事、御研究あるいは御交際というようないわゆる御日常のものもあれば、それから内廷職員の給与等もこの中から出ておりますし、また先ほど申し上げましたように、災害だとかあるいはその他もろもろの内廷というお立場でお出しになるようなものもこの内廷費の中に含まれておるわけでございます。
#252
○中川嘉美君 質問をよく聞いておいていただきたい。もう時間が三十秒過ぎている。そんな御答弁はさっき聞いているわけですね。だから、今聞いたのは内廷諸費。今の答弁全部わかっています。内廷諸費というのはどういう内容のものであるか。
#253
○政府委員(宮尾盤君) 失礼をいたしました。
 内廷諸費でございますが、具体的に申し上げますと、災害時の都道府県に対するお見舞い金、それから社会事業団体への事業御奨励のための賜り金、学術、芸術御奨励のかどで日本学士院賞あるいは日本芸術院賞の恩賜賞受賞者に対する銀花瓶の経費、それから中央共同募金会の募金、御教養、御研究等の経費、それから宮中三殿の祭儀等祭祀関係の経費、それから宮中祭祀等に携わります職員の給与、こういったものが内廷諸費というふうに考えております。
#254
○中川嘉美君 その範囲と理解して、皇室経済法に内廷費のほかにいわゆる先ほど来出ております宮廷費ですね、これも規定されておるわけですが、これは内廷費と比較して果たしてどんな性格を持つのか。第五条に規定された「内廷諸費以外の宮廷諸費」ということだけではどうも非常に簡単過ぎる。もう少しこの点は具体的に説明いただきたい。
#255
○政府委員(宮尾盤君) 宮廷費と申しますのは、天皇及び皇族の公的な地位及び公的な御活動に関連をする経費に充てるものでございます。
 具体的な例で申し上げますと、宮中で行われる諸儀式あるいは国公賓の御接待、あるいは公的な行幸啓、外国訪問、皇室用財産たる土地、建物の取得、管理、あるいは皇室に由緒の深い文化財の管理等に要する費用というものがこれに当たるものと考えております。
#256
○中川嘉美君 今回の改定が行われますと内廷費の定額が二億九千万円、こういうことですけれども、この額が果たして適切なものと宮内庁としては結論的に考えておられるかどうか、この点はどうですか。
#257
○政府委員(宮尾盤君) 内廷費、皇族費の改定につきましては、私ども事務的にいろいろな検討はするわけでございますが、御承知のように経済法の中に皇室経済会議に諮ってそのお考えを聞きなさい、こう規定があります。今回のものにつきましては、皇室経済会議にお諮りをいたしまして、その御結論も今回改定をすべきであるという結論でございますので、これを内閣に報告し、また国会にもそのあれが提出されております。私どもはそういうことを全般的にあれしまして今回改定をお願いをいたしておるわけでございます。
#258
○中川嘉美君 今言われましたように、内廷費を改定する場合に、昭和四十三年十二月の皇室経済に関する懇談会決定、これによって増加見込み額が定額の一割を超える場合に行うことと、こういうふうにされたわけですけれども、この見込み額の算出そのものが東京都区部の消費者物価指数、国家公務員の給与改善率、こういったものをもとに計算しますと、昭和五十一年、五十四年、五十七年、五十八年、それから昨年、この過去五回定額の一割を超えたことがあったはずであるということなんです。なぜこれらの時期に改定が行われなかったのか、まずこの点をちょっと伺ってみたいと思います。
#259
○政府委員(宮尾盤君) まず、前回の改定以降のことでございますが、昨年度、平成元年度におきましては、内廷費については一〇・一%、皇族費については一一・四%という増加見込み額になりまして、これは一割を超えたわけでございます。ただこの場合、一割を超えた程度というものが割合少なかったということが一つございますし、それからそのときの諸般の事情等も考慮をいたしまして、昨年度は定額改定を見送るといたしました。
 それから、それ以前にもそういう御指摘のようなことがございますが、例えば昭和五十八年度において内廷費一四%、皇族費一三・二%、五十七年度は内廷費一一・八%、皇族費一一・八%、こういうようなことがございましたが、この当時は国家公務員の給与につきましても人事院勧告の完全実施が見送られるというような経済事情等がございましたので、そのときには改定を見送っておるわけでございます。
#260
○中川嘉美君 やはりこれは一つの改定ということですから、厳密に一定のルールに沿って行われるべきじゃないだろうか。宮内庁の恣意的な判断の介入というものはあっちゃならないと私は思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
#261
○政府委員(宮尾盤君) 皇室経済に関する懇談会のそういう改定に対する一つの指針というようなものもございますので、私どもとすればでき得れば一割を超えたら改定をする、こういうふうにしてまいりたいという気持ちは持っております。ただ、先ほど申し上げましたようなそういうそれぞれの時期にそれぞれの事情がございましたので、これまではそういうことにしてまいりましたけれども、でき得れば今後はなるべく一割を超えたら改定ができるような方向で考えていければいいなというふうに思っておるわけでございます。
#262
○中川嘉美君 私は改定そのものは何も一〇〇%歓迎云々ということでは全くないわけで、決めたルールというものはきちっと守るべきではないか、少なくとも宮内庁の主観的なものがそこに介入してはならないんじゃないかということを申し上げたわけでございます。
 次に、内廷費の内容についてその使い道、先ほど来御論議があったわけですが、使い道について、過去の国会審議においては、いわゆるその内訳やパーセンテージ、きょうもパーセンテージ何分の一とかいうことでやっておられたわけですが、御手元金というその内廷費の性格から見ますと、その中にいわば純然たるプライベートなものに属する部分というものがあるのはこれはもう当然だと思います。この部分の使い道といいますか、使途、これについては明らかにしないまでも、二億九千万円のすべてが秘密を要するものとも考えられない。
 そこで、宮内庁は厳密に、プライバシーに属する部分、あるいはそうでない部分、これはやっぱり判断して、そして前者について、いわゆるプライベートに属する部分についてはパーセンテージで示す場合もあろうかと思いますけれども、後者、すなわちプライバシーとは考えられない部分、これについては使途を国民の前に明らかにするべきじゃないだろうか、これはもう具体的に明らかにしてもいいのではないか、こんなふうに思いますが、御見解を承りたいと思います。
#263
○政府委員(宮尾盤君) 内廷費は、国庫から支出をされますとこれは全体の御手元金ということで、法律にも明確に書いてありますように、宮内庁の経理に属する公金ではなくなるわけでございます。
 御質問の趣旨は、その中でもプライバシーの度合いの濃いものとそうでないものとがあるのではなかろうか、こういうことかと思いますが、私どもとしては、やはりこれは全体がそういうものでございますので、その中身につきまして立ち入って御答弁を申し上げるというのはいかがかということで、これまでもどうしても必要がある場合には項目ごとにパーセンテージで申し上げる、こういうようなことにさせていただいておるわけでございます。
#264
○中川嘉美君 そうしますと、例えば内廷費の剰余金の額ですが、この額についてもこれまで明らかにされていないわけですけれども、これはプライバシーにかかわるものとは言えないと思うんですが、昨年度までの各年度の剰余金、その累積額、この辺はどうでしょうか。
#265
○政府委員(宮尾盤君) これは、御手元金として差し上げられた後は、それをいわばその額の範囲内で諸事工夫をしながらお使いになるわけでございます。
 それで、先ほどもちょっと御答弁を申し上げましたように、実際には、足りないというようなことで赤字を出すわけにいかないことでございますから、足りないようであれば足りないように御工夫をして節約なさるというようなことになるわけです。
 したがいまして、単年度で見ればもちろん若干工夫をして余ったということがありましても、これは例えば六年間据え置かれますと、初めの方は比較的内廷経済は楽ということになりましょうけれども、終わりの方の六年目になると大変厳しいということになります。
 そして、一割を超えた場合に定額改定を検討するということになっておりますから、そういうこともお使いになるときに十分御工夫になって、不足前が出る、赤字が出るというようなことにしない。全体を通してうまくお使いができるように、若干余ればそれは翌年度に繰り越して終わりの方で足りない部分に充てていく、そんなふうな経理をされていますから、剰余金が幾らだとか赤字が幾らだというようなことは少し私どもとしてはいかがかなというふうに思っているわけでございます。
#266
○中川嘉美君 次に、即位の礼の方に入りますが、即位の礼並びに大嘗祭について平成二年度の予算にそれぞれ三十三億五千万円ほど、それから二十五億六千七百万円、こういうふうに計上されているわけですけれども、これらの内訳の全部というわけにも時間がありませんのでなんですが、主な事項はどのようになっているか、主な分だけでもちょっと挙げてみてください。
#267
○政府委員(荒田建君) 十一月に予定されております即位の礼に必要な経費でございます。
 まず即位の礼の方、大嘗祭関係は後ほど宮内庁から答弁あろうかと思いますが、総理府本府に予算計上してお願いしておりますのが三十三億八千五百万円を予定しております。その内訳といたしましては、即位礼の正殿の儀関係ですけれども、これで十四億三千五百万。それから、即位礼正殿の儀が終わりました後のパレード、祝賀御列の儀でございますが、これを予定しておりまして、それに一億二千万円。それから饗宴の儀と申しまして、即位に伴って国民がこぞってお祝いするという意味も込めまして饗宴の儀を行います。これに四億三千三百万。それからまた、その他といたしましていろいろ広報の関係ですとか報道関係の経費ですとか、あるいは記録の関係、そういったもろもろを含めまして十三億九千七百万。以上、合わせまして三十三億八千五百万を計上してございます。
#268
○政府委員(宮尾盤君) 大嘗祭関係の経費でございますが、御承知のように皇室行事として行われます儀式の中には即位礼及び大嘗祭の両方に関係するものもありますので、厳密な意味で大嘗祭だけ幾らかかるのか、こういうことはちょっと難しい面もありますけれども、大嘗祭のまず中心になります大嘗宮の儀、それから大饗の儀に要する経費といたしまして二十二億四千八百万円を予定しております。なお、そのほかに斎田抜穂の儀とか山陵等への御親謁なども予定をされておりますので、皇室行事として行われます諸儀式、諸行事に全体では二十五億六千七百万円を予定いたしておるわけでございます。
 それから、大嘗祭の儀式経費二十二億四千八百万円の中でございますが、大嘗宮の儀に十八億二千七百万円余を予定しております。それから、大饗の儀で三億四千六百万円余を予定いたしておるわけでございます。
 以上でございます。
#269
○中川嘉美君 今回の即位の礼、これは現憲法下象徴天皇として初めてのものであるということはもうそのとおりなんですが、先ほど来議論が出ています高御座の修理、輸送で四億二千万、それから装束費に関しては四億円、こういった多額な額になっているという、いわゆる先ほど来御議論が出たのは、私が思うには旧態依然たる儀式形態、こういったものをずっと引きずってきているんじゃないか、そういう感じがするわけです。
 本法律案の趣旨説明にもあったとおり、即位の礼というのは天皇が即位を宣明してそれをお祝いすることで必要十分ではないかというふうに思うわけですけれども、いわゆる簡素を旨とし、新時代の象徴天皇にふさわしい儀式を考えることが果たしてできなかったのかという問題なんですが、この点についてお答えをいただきたい。
#270
○説明員(多田宏君) 即位の礼につきましては、天皇陛下が御即位を宣明されるとともに国民こぞって御即位をことほぐという趣旨の儀式でございますので、その趣旨に沿ったように各儀式の式次第等細目について今検討中ということでございまして、先生の御指摘のような点も配慮しながら適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
#271
○中川嘉美君 次に大嘗祭ですけれども、以前は大嘗祭を行うということが完全な天皇たる要件といいますか、こういうふうにされたこともあるようですけれども、以前は大嘗祭に大いに公的な側面が認められたというか。現憲法下においては皇位の継承というものは実質的には前天皇の崩御と同時に完了しというか、形式的に、儀礼的にも、天皇の地位というものは国民の総意に基づくものであるということから、即位の礼において国民からのお祝いを受ける、こういうことで完了するんじゃないか、こう思うわけです。すなわち、皇位継承の公的な部分というものは即位の礼においてすべて終了、その後に行われる大嘗祭というものはもはや公的な側面はないというふうに考えるわけです。
 公的側面があると思われない行事、こういうものに公金を支出してよいのだというこの根拠、先ほど来いろんな議論が出ていますからなんですけれども、この根拠は一体どこにあるのか、もう一回ここのところをはっきりさせておいていただきたい、このように思います。
#272
○政府委員(宮尾盤君) 大嘗祭というのは、これはたびたび御答弁申し上げておりますように、皇室の行事という位置づけで行われることを予定されておるわけでございます。
 大嘗祭は確かに、非常に戦乱のちまたであったとか、あるいは皇室が大変御衰微をしたというようないろいろな状況のときには行われなかったこともありますけれども、そういうときを除きましては、これはいろんな文献等にもありますように、必ず一世一度の極めて重要な伝統的な皇位継承儀式だということで行われておるわけでございます。そういうことから、現在の憲法は皇位の世襲制ということをとっておりますので、そういう観点からやはり伝統的な皇位継承儀式として、その儀式の挙行について国としても深い関心を持ち、その挙行を可能にするような方途を講じていくということは当然であろう、こういうふうに考えてこの前の準備委員会の結論もそういうことになっておるわけでございます。
 したがいまして、そういう意味合いから大嘗祭というものはやはり一世一度のこととして伝統を守った形で行われてしかるべきであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
#273
○中川嘉美君 もう一つすっきりしないんですが、ここで法制局に確認の意味で聞きたいと思いますけれども、憲法第八十九条、これは宗教活動への公金の支出を禁じているわけですけれども、こういった公金を支出するのであれば大嘗祭に宗教色があってはならない、こういうふうに考えます。政府が平成元年十二月二十一日の即位の礼準備委員会、この検討結果報告の中で、先ほどから出ていますような、宗教上の儀式という性格を有すると見られることは否定することができないと、こうしていますけれども、こういった矛盾ですね、今後のやはり議論に資するためにもここできちっともう一度交通整理しておいていただきたい、こう思います。きちっと言ってください。
#274
○政府委員(大森政輔君) 大嘗祭は宗教上の儀式としての性格を有すると見られることを否定できないということと、大嘗祭の経費として宮廷費から公金を支出するということは矛盾しないというのが私どもの考え方でございます。
 それを若干敷衍して申し上げますと、今まで何度も申し上げて恐縮でございますが、大嘗祭は皇位の継承があったときは必ず挙行されるところの一世に一度の儀式として古来から行われてきた極めて重要な儀式である、皇位の世襲制と結びついた即位に伴う儀式の一環をなすものとして皇室に伝承されてきたものである。いわば皇位とともに伝わるべき由緒ある儀式とも言えるものでございます。したがいまして、皇位の世襲制をとる日本国憲法のもとにおきましては、その儀式の挙行について国としても関心を持ち、人的、物的側面からその挙行を可能にする手だてを講ずることは当然と考えられるところである。その意味において公的性格があると私どもは考える次第でございます。
 先ほど委員の御質問で、公的性格を有しないものに公金を出すのはおかしいじゃないかという御質問がございましたが、そのように聞き取ったわけでございますが、私どもは公的性格があるから宮廷費を支出できるんであるという前提に立っているわけでございます。
 そこで、憲法八十九条及び二十条三項との関係でございますが、大嘗祭は宗教上の儀式としての性格を有すると見られることは否定できないところではございますが、先ほど申しましたように、まず皇室の行事として行われるものであり、しかもその挙行のために必要な費用は大嘗祭の公的な性格という面に着目して支出するものでございますから、国がそのような財政的な面でかかわりを持ちましても、その支出がその目的において宗教的意義を有するということにはならないと考えられますし、また効果の面におきましても、特定宗教への援助、助長というような効果を有する行為であるということには到底ならないのではないかと考える次第でございます。したがいまして、憲法八十九条が禁止をしています公金の支出にも当たらないのみならず、憲法二十条三項が国及びその機関が行ってはならないとしております宗教的活動にも当たらない、このように考えている次第でございます。
#275
○中川嘉美君 これは、時間が余りありませんので、見解の相違と言ってしまえばそれまでですけれども、先ほど申し上げたように、今後のいわゆる議論、これに資するため今の御答弁は聞きおいておきたい、このように思います。
 次に、ちょっとテーマが違いますが、皇室の今後の外交計画、外遊計画について伺いたいと思いますが、既に昭和天皇の一年間の喪も明けて落ちつきを取り戻してきた、そういう感じがしますけれども、国内情勢を初め海外各国の動きも大変揺れ動いているとはいうものの、懸案の皇室外交、そろそろ軌道に乗せていく時期に来ているんじゃないかな、こういうふうに思いますが、この点に関する政府の認識と関係省庁の対応について伺っておきたいと思います。
#276
○政府委員(宮尾盤君) いわゆる皇室外交という観点からのお尋ねでございますが、皇室におかれましてはこれまでも国公賓の接遇だとかあるいは外国訪問というようなことで、国際親善にお努めをいただいておるわけでございます。
 今お話しにございましたように、世界情勢が大きく変化している中で今後皇室外交を一体どういうふうにしていくのか、こういうことでございますが、いずれにいたしましても、これは政府の適切な御判断に基づいて行われるものでございますので、皇室におかれましては、そういう政府の適切な判断、御決定によりまして引き続き各国との友好親善関係の増進にお努めをいただくということになると思います。
 今具体的にどうというような外国訪問等のスケジュールは現在聞いておりません。
#277
○中川嘉美君 外務省の方も聞いておいていただきたいと思います。
 そこで、本年度以降、皇室の外遊計画について、今御答弁はそういう形でありましたけれども、具体的な時期とか相手国、これはここで即座には無理であろうかとは思いますけれども、この辺の問題、それから、今年度即位の礼等で日程から非常に無理な場合も当然考えられますけれども、来年はそれじゃ何らかの計画が具体化するものなのかどうか、この辺どうでしょうか。
#278
○説明員(竹元正美君) 皇室によります外遊でございますけれども、先生ただいまのお話のとおり、本年につきましては即位の礼がございます。したがいまして、外務省といたしましても、本年につきましては天皇陛下の外国御訪問ということにつきましては考えておりません。
 ただ、即位の礼が終わりまして、来年以降につきましては、天皇陛下に各国との友好親善の増進を図っていただくという観点から進めていただければありがたいと考えております。
#279
○中川嘉美君 特に昨年の夏、天泉陛下が共同記者会見のときに訪韓、訪中に対しても積極的な姿勢を示しておられるわけですけれども、この陛下の御意向に対して関係省庁としてどのように受けとめておられるか。また、皇室外交の日程に、今も御答弁がありましたけれども、今後どうこういった御意向が反映されるのか。特に外務省サイドとしては、この陛下の御発言を受けて既に外交チャンネルの接触を図っておられるものかどうか。もし図っている場合ならば、その見通しはいつごろを想定しておられる。この辺についてもお答えをいただければと思います。
#280
○説明員(竹元正美君) ただいま先生の御質問でございますけれども、陛下の記者会見におきましての韓国訪問それから中国訪問のことかと存じますけれども、外務省といたしましてはこの両国との間で現在までのところ外交チャネルでもって話し合いをしているという事実はございません。
 ただ、先ほども申し上げましたとおり、今後の外国御訪問の計画につきましては、あらゆる観点から政府としまして適切に判断して、各国との友好親善関係の増進のために外国御訪問をしていただくという方向で今後検討していきたいと考えております。
#281
○中川嘉美君 外務省としては現時点として非常に漠然とした御答弁のような気がしてならないわけです。
 天皇陛下が記者会見のときに次のように言われているわけですね。私の外国訪問は政府が決めることですが、中国と韓国の訪問についてはそのような機会があればこれらの国々との理解と親善関係の増進に努めて意義あるようにしたい、このように明確に述べておられるわけですけれども、もう一度政府側の今後の対応、こう述べておられることに対して今の御答弁ではちょっとまだ漠然としたはね返りしかないんですけれども、今後の展望等ももう一度ここで伺っておきたい。時期等が果たして明示できないのかどうかという問題なんです。ぜひもう一度御答弁をいただきたい。
#282
○説明員(竹元正美君) 特に韓国御訪問につきましては、陛下の皇太子殿下の時代に韓国御訪問が中止になったという経緯がございますので、そういった経緯も踏まえまして今後諸般の事情を慎重に見きわめつつ検討をしていくということを考えております。
#283
○中川嘉美君 諸般の事情を見きわめつつと、言葉じりを云々するつもりはありませんけれども、何とも全然進んでいないというふうに考えざるを得ない。
 私は、政府の態度というものは、いわゆる国際親善はもちろんですけれども、世界平和にも連動していこうとするこういった皇室外交、さらには国民が国民とともにある皇室に非常に親しみを持って期待しているところのこういった皇室外交、こういったことにもっともっと前向きであっていいんじゃないだろうか、こういうふうに思います。政府が皇室外交ということの役割をもっと自覚して、政府みずから主体的に取り組もうとしなければ、今後の実現性というものは本来あるべき姿、こういったものよりも比較的薄いものになってしまうのではないだろうか、こう思います。したがって、今後はむしろ、例えて言うならば特定な国とは定期的な皇室外交というようなものも展開していってもいいんじゃないだろうか、この点に対する考え方。
 もう一点は、現時点で皇室外交として懸案事項となっている国はどこの国とどこの国か、この辺についてもお答えをいただきたい。
#284
○説明員(竹元正美君) 先ほど申し上げましたけれども、外務省といたしましても各国との友好親善関係を増進していく、それがひいては世界の平和にもつながるということで、皇室外交につきましては積極的に進めていっていただきたいと考えておるわけでございます。
 それから、現在懸案となっている国ということでございますけれども、これにつきましては、天皇陛下の各国御訪問につきましては大きく分けまして答礼訪問と親善訪問ということに分けられるかと思いますけれども、答礼訪問につきましては各国から我が国に元首が国賓として訪問された国に対しまして天皇陛下が答礼の御訪問をされるということでございます。この答礼訪問がまだ済んでいない国につきましては、これはかなりの国が残っております。それからさらに、親善訪問につきましては、各国から天皇陛下に対しまして招待が来ているという国も幾つかございます。こういった国を中心といたしまして御訪問いただく、こういう方向で今後検討してまいりたいと考えております。
#285
○中川嘉美君 非常に残念なことで、積極性、外務省としても積極的なというか、あるいは具体的なというか、こっちが期待していたほどの御答弁ではないということと、どことどこの国がと具体的にこちらが質問しているわけですけれども、それが全く上がってこない。こういう状態で、このような皇室外交をだれが推進するかという問題にもなっているわけなんで、この問題については宮内庁というよりもむしろ政府云々ということになるわけですから、もう少し皇室外交ということに対してはさらに関心を抱きながら取り組んでいただきたい、こんなふうに思うわけです。
 あわせて伺っておきますけれども、昭和天皇が沖縄訪問に強いお気持ちを持たれながらついに実現できないで終わったわけでございます。したがって、沖縄県のみがいまだに天皇をお迎えしたことがない。そこで、今年中に現陛下の沖縄御訪問の予定ですね。先ほど日程的に非常にきついとはいうものの、それでなければ来年でも結構です、こういった見通しのあるものがあるかどうか、この点についてもあわせて伺っておきたいと思います。
#286
○政府委員(宮尾盤君) 現在の陛下が沖縄に非常に深い関心をお寄せになっておるということは、先ほど記者会見でのお言葉等で御説明があり、私どももそういうふうに陛下のお気持ちを体しておるわけでございます。
 ただ、陛下も機会があればというふうにおっしゃっておりますように、いずれにしてもその御訪問の機会というものがどういうときに考えられるか、こういうことでございまして、現在の段階では、まだ具体的に沖縄御訪問というしかるべき機会がいつごろであるかというような検討は全く今のところはないわけでございますが、陛下のお気持ちはそういう今のようなことで大変沖縄については深いお心をお配りされておるということは確かでございますので、そういうことを体しながらまた今後いろいろ検討してまいりたいというふうに思っております。
#287
○中川嘉美君 陛下が機会があればということでお述べになっておられるということですが、その機会をつくるのがやはり政府なんでね。ですから、どうですか、この沖縄訪問の問題について、これからの見通し、官房長官にお願いします。
#288
○国務大臣(坂本三十次君) それは外務省に言ってもちょっとあれで、沖縄の訪問の件はもちろんでございますけれども、外国の親善訪問、答礼訪問につきましてもやはりそこは政府が方針を決めて、そしていかなるタイミングに行うかということをよく考えて、そして外務省に指示をいたしますれば外務省は具体的に作業を詰めていくものと思っております。
 とにかく、昭和天皇も今の天皇陛下におかれても、象徴天皇としてのお気持ちは本当に憲法を守ろうというお気持ちの方でございまして、それからまた世界の平和と国際親善ということを非常に大切に考えておられる方でございます。ですから、やはり適当な機会に陛下に諸外国の訪問、あるいはまた沖縄訪問も含めてでございますが、そういう機会をとらえて陛下にお出ましをいただくということは私は非常に有意義なことであろう、そう思っております。
 しかし、今のところ具体的に時期も含めて政府はまだ考えを詰めておりませんが、まあまあ、これは私の個人的な考えですけれども、即位の礼がお済みになればいよいよ皇室外交というもの、また国民も非常に期待をしておられるし、諸外国の人々も大変な期待をしておられるわけでありますので、その時点から具体的な計画が詰められていくものだと思っております。
#289
○中川嘉美君 官房長官からの大変丁重な御答弁がありましたけれども、そうなるとことしの暮れから来年にかけてといいますか、特に来年を目指してといいますか、沖縄を初め先ほど来の訪中、訪韓、こういった皇室外交が活発に展開されるだろうというふうに現時点では理解しておきたい、このように思います。
 だんだん時間がなくなりましたが、次に文仁親王殿下の今後のスケジュールというか、御予定について伺ってみたいと思います。
 去る一月十二日、文仁親王殿下と川嶋紀子さんの納采の儀が交わされたわけでありますけれども、いよいよこの次は御結婚の日取り、こういったものを正式に告げる告期の儀が行われる予定になっておりますが、うかがうところによると結婚の儀の一カ月ほど前といいますか、一カ月程度前に、具体的にいつ告期の儀が行われるか、こういったことが明らかになるようにも聞いていますけれども、この辺について果たしてどうかという問題ですね、この点いかがですか、お答えをいただきたい。
#290
○政府委員(宮尾盤君) 文仁親王殿下と川嶋紀子嬢との御結婚のことでございますが、昨年九月十二日に皇室会議が開催をされましてこのことが議決されたわけでございます。そして、今お話しのありましたように、一月十二日に納采の儀を行われたわけでございますが、そこで、今度はいつ御結婚になるのか。その結婚の日取りが決まれば告期の儀というものがまずありまして、それからいわゆる結婚の儀ということがあるわけでございます。ただ、これはまだいろいろ検討段階でございまして、具体的にいつ、何月何日というところまでまだ煮詰まっておりません。
 ただ、およその日程としては、現在オックスフォード大学に御修学中でございますけれども、大体六月の中旬ごろには御修学修了ということになる予定と見込まれておりますので、大体の目見当といいますか、見当としては六月末ごろを予定をする、こういうことになっておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、では六月何日ですかと、こう言われますと、そこは決まっておりません。
#291
○中川嘉美君 かなり具体的に煮詰まってはいるんではないかと思ったわけですが、正式に発表できる発表そのものの日取りですね、大体いつ幾日という、その発表できる日取りだけでもわかりますか。
#292
○政府委員(宮尾盤君) 正式発表ということになりますと、これは告期の儀において正式に表に発表される、こういうことになるわけでございます。
 そこで、告期の儀がいつ行われるかということですが、告期の儀をいつやると、そこまでもまだ実は煮詰まっておりません。ただ、いずれにしても六月末を予定するということでございますので、早急にこれらの点は詰めていかなければならないというふうに考えております。
#293
○中川嘉美君 結婚の儀そのものについては、日程的には既にマスコミ等で具体的に報道されている点でも六月二十九日でしたか、そんなような報道もあったようですけれども、この点はどうでしょうか。
#294
○政府委員(宮尾盤君) 六月末ということでございますから、二十九日という日もそれは末の中に入ってくるわけでございますが、二十九日であるということは先ほど申し上げましたようにまだ決まっておらないわけでございます。
#295
○中川嘉美君 時間が余りないのでまとめてお聞きしますけれども、文仁親王殿下はこうした所定の皇室行事が終了して正式にといいますか、独立されるわけですね。独立されるわけですけれども、こうしたときはどのような手続あるいは段階を踏んでいわゆる独立した生活形態になるのか、これが第一点。その際、皇室経済法あるいは皇室典範によってどのように扱われるものなのか、これが第二点。次に、一次金と称するもの、そして皇族費はどのぐらいが支給されるのか。第四点目が、皇族が初めて独立の生計を営むことの認定をする皇室経済会議はいつごろを予定しておられるのか。全部で四点になりますか、時間がありませんのでまとめてお答えいただきたいと思います。
#296
○政府委員(宮尾盤君) まず、独立の問題でございますが、各皇族方は内廷あるいは宮家におきまして生計を営まれていて、御結婚というようなこ等になりましてその内廷あるいは宮家から分離独立をされる、そして御夫妻で新しいいわば生計を営まれる、こういう場合に独立の生計を営む、こういうふうに経済法では言っておるわけでございます。
 それで、御結婚があった場合、これまでの一般的なあれとしましては、御結婚の日をもって独立される、こういうふうに考えておるわけでございます。それで、皇室経済法では、独立については「皇族が初めて独立の生計を営むことの認定は、皇室経済会議の議を経る」と、こういうふうに定めておりまして、これまでの各宮家のあれからいきまして、皇室経済会議におかけをして御結婚の日をもって独立する、こういうようなことにされております。
 それから、そこで次に一次金、皇族費の問題でございますが、独立認定がなされますとその際に、いわば独立一次金というふうに私ども呼んでおりますものが支給されるわけでございますが、これは皇室経済法の規定によりまして、「年額の二倍に相当する額」と規定されておるものが支給をされる、こういうことになっております。現在御審議いただいておる法案の改正後の定額でいきますと二千七百十万円の二倍である五千四百二十万円を国から支給される、こういうことになります。
 それから毎年の定額による皇族費でございますが、これは殿下と妃殿下ということになりますから、それも平成二年度分につきましては十カ月分が支給されるということになりまして、お二方でどのくらいになるかといいますと三千三百八十七万五千円、こういう計算になります。
 それから経済会議との関係でございますが、皇室経済会議は、そのように独立認定をここでしていただかなければなりませんので、いずれにしても結婚の日取りが決まると告期の儀が行われる、そしてその後皇室経済会議を開催していただく、こういう段取りになるわけでございますが、これまでの先例等によれば非常に間近なケースもありましたし、あるいはある程度その期間があくということもあるわけでございまして、いずれにしてもこれは告期の儀の後になるということでございます。
#297
○中川嘉美君 今度は皇太子殿下の件になりますが、御結婚の目標とされてきた三十歳も過ぎられて、今国民の間からも大きな関心が持たれていることも事実です。そこで、御結婚については年内にでも発表できるように進んでいるものかどうか、現在どのような段階にあるものか、この点いかがですか。
#298
○政府委員(宮尾盤君) 皇太子殿下の御結婚の問題でございますが、これは皇太子殿下という御地位にあられる方のおききき問題でございますので、私どもとすれば御年齢等も考慮してできるだけ早い時期にというふうには基本的には考えておるわけでございます。
 ただ、今申し上げましたような御地位にあられる方であるということもありまして、事柄の性質上極めて重要な問題であるというふうに考えておりまして、宮内庁としても慎重に対処し、またいろいろな努力をいたしておるわけでございますけれども、現段階で具体的にこういう時期にこういうことで御結婚が成るというような見通しを今申し上げる段階にはございません。
#299
○中川嘉美君 最後の一問、まとめて聞いてしまいます。
 昭和天皇も、それからまた現陛下も常に国民とともにある皇室という言葉を述べてこられたわけですけれども、事実、現陛下も各地御訪問の折に国民との触れ合いを非常に大事にされておる、けさほどもこの問題は出ておりました。今後目指そうとする開かれた皇室とは一体どのようなことを示そうとしておられるのか、もう一度基本的な宮内庁の見解。
 それから、皇室のあり方について各国さまざまであろうとは思いますけれども、その際参考となる海外の皇室の姿、どの国の姿が最も参考になると考えておられるか、あるいは全くもう独自に日本の風俗習慣等に倣った形のものを目指そうとされるのか、この点についても宮内庁として描いておられる開かれた皇室のあり方、これを最後に伺って終わりたいと思います。
#300
○政府委員(宮尾盤君) 開かれた皇室というのは、私どもそういう言葉を余り使ってはおらないわけですが、ただ、今お話しにもございましたように、陛下は国民とともに歩むということもおっしゃっておりまして、常に国民のことに深い御関心を持ち、皇室のそういう深いつながりの中で敬愛される皇室でありたいと、こういうふうにお努めになっているというふうに私どもも拝察をいたしておるわけでございます。
 そういう意味で新聞等でも開かれた皇室という言葉がよく使われるわけでございますが、開かれた皇室というのはどういうことかというのはなかなか難しいことではありますが、我々の気持ちとしては、そういう国民とともに歩む陛下のお気持ちを体しましていろいろな意味で国民とも接触する機会があれば積極的に接触をし、国民のことも陛下に十分御理解をいただくとともに、国民からも深く陛下のお気持ちを御理解いただき、また敬愛される皇室になっていく必要がある、こういうふうに考えておるわけでございます。
 ただ、開かれた皇室ということで警備の問題がいろいろ出てまいりますけれども、そういう警備の点等につきましては、私ども警察当局にもできるだけソフトなといいますか、余り垣根をつくるようなことにしないで警備をやっていただけないかということをお願いしておりますし、警察御当局も、これは治安情勢に対応していろいろお考えになることでございますが、万全でかつ国民との間の親和を妨げないようソフトな警備ということもいろいろ御工夫願っております。
 そういう意味で、心情的にももちろん皇室と国民との間に垣根というものがあろうはずはありませんし、あってはいけないわけですが、そういう警備とかあるいは接触の仕方、そういったような点についてももう少しソフトな親しみのある形を今後我々も考えていかなければなりませんし、いろいろ御協力を願う警察その他の方々にもそういう方向でお願いをしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#301
○中川嘉美君 各国の状況等、どういう国を参考とするかとかいろいろ御質問したはずですけれども、時間がありませんのできょうは終わります。
#302
○委員長(板垣正君) 両案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後三時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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