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1990/05/29 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 内閣委員会 第4号
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1990/05/29 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 内閣委員会 第4号

#1
第118回国会 内閣委員会 第4号
平成二年五月二十九日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
     尾辻 秀久君     大島 友治君
     喜岡  淳君     翫  正敏君
     村田 誠醇君     八百板 正君
     山田 健一君     野田  哲君
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     八百板 正君     喜岡  淳君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     大島 友治君     須藤良太郎君
     吉岡 吉典君     近藤 忠孝君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         板垣  正君
    理 事
                大城 眞順君
                高橋 清孝君
                山口 哲夫君
                吉川 春子君
    委 員
                岡田  広君
                須藤良太郎君
                田村 秀昭君
                名尾 良孝君
                永野 茂門君
                村上 正邦君
                翫  正敏君
                喜岡  淳君
                角田 義一君
                野田  哲君
                三石 久江君
                中川 嘉美君
                近藤 忠孝君
                星川 保松君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  塩崎  潤君
   政府委員
       人事院事務総局
       給与局長     森園 幸男君
       内閣総理大臣官
       房審議官     文田 久雄君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    櫻井  溥君
       総務庁恩給局長  石川 雅嗣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        原   度君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房参事官     榊   誠君
       法務省入国管理
       局入国審査課長  堀口 松城君
       厚生省年金局年
       金課長      松本 省藏君
       厚生省援護局庶
       務課中国孤児等
       対策室長     田代 章一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(板垣正君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る五月二十五日、尾辻秀久君、山田健一君、村田誠醇君及び喜岡淳君が委員を辞任され、その補欠として大島友治君、野田哲君、八百板正君及び翫正敏君が選任されました。
 また、昨二十八日、八百板正君が委員を辞任され、その補欠として喜岡淳君が選任されました。
 また、本日、吉岡吉典君が委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(板垣正君) 恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は、前回既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○山口哲夫君 恩給法の一部改正について質問をいたしますけれども、一九八七年、昭和六十二年以降ですか、恩給のいわゆるベースアップというのは、今まで給与改定にスライドさせておりましたけれども、それが今度は総合勘案方式に変わったということでございますけれども、なぜ総合勘案方式に変えられたのでしょうか。その理由についてお聞きいたします。
#5
○政府委員(石川雅嗣君) 恩給の改善につきましては、昭和四十八年以降公務員給与の改善率を指標として行ってきたところはただいま先生御指摘のとおりでございますが、さきの公的年金制度改革に関連いたしまして、恩給制度につきましてもこれとのバランスを考慮した見直しが求められ、鋭意検討いたしました結果、恩給のベースアップについて昭和六十二年度以降公務員給与の改善、物価の変動等諸事情を総合勘案する方式で行うこととしたわけでございます。
#6
○山口哲夫君 これは臨調の答申に関係してくるわけですか。
#7
○政府委員(石川雅嗣君) 臨調、その後の行革審等の答申などでそうした御意見をちょうだいいたしております。
#8
○山口哲夫君 そうしますと、臨調、いわゆる行政改革の方針である財政再建、そういう一連の流れの中で年金も対象を給与スライドから物価スライドに変えた、したがって恩給の方もそれに合わせて変えざるを得なかった、こういうことですね。
#9
○政府委員(石川雅嗣君) 臨調の御意見の背景には当然年金制度の一元化というような問題がございまして、当時公務員の年金でございます共済につきましてもそうした一元化を目指しての改革の動きがあったわけでございますが、そうした臨調等の御意見には当然そのようなことも頭に置かれていたものと理解いたしております。
#10
○山口哲夫君 臨調、行革というのはいわゆる国の財政再建、そういうことを頭に置いて随分いろいろなものを制限してきました。そんな中で年金、恩給についても改定する場合の対象を変えるような、そういう方向で進んできたわけですね。私、ずっと見ておりますと、いわばそういう臨調、行革の犠牲に年金生活者だとか恩給生活者というのがさせられてきたんじゃないだろうか、そういうふうに思われてならないわけです。
 例えば、年金に例をとってみましても、今までは公務員の給与が変わりますと自動的にそれに右に倣えして変わってきたわけですね。ところが、年金の方は今度は物価が対象になる。公務員の給与というのは御案内のとおり、民間の労働者の賃年も同じですけれども、賃金のスライドと物価のスライドを見ますと、これはずっとはるかに給与のスライドの方が高いわけですね。ですから、例えば労働者の賃金が五%上がった、その中で物価のスライドはどのぐらいかというと一%しかない、そういうことが随分あるわけです。そうすると残りの四%というのはこれは何なのか、これはその労働者の生活水準を上げるための役割を担っているわけですね。
 そうしますと、年金生活者は物価だけにスライドするから、その場合は一%しか上がらない。一般の労働者は生活水準四%を加えて五%上がる。そういう形で持っていきますと、だんだん現職の労働者と年金生活者というのが格差が開いてくるわけです。恩給はもちろん全部物価スライドじゃないけれども、恩給も今まで給与スライドだけを対象にしていたのに今度は物価スライドも入れましたから、そういう要素というのは一部当然加わってくるわけです。そうすると、なぜ現職と年金、恩給生活者との生活レベルをだんだん差を広げていかなければならないのか。
 あなた方に言わせますと、五年に一度は給与改定を対象にしてそこでもう一度調整し直すからいいんだと言うけれども、四年間というのは完全にそういう差というものが段階的についていくわけですね。そういうやり方というのは――少なくとも恩給生活者、年金生活者というのは戦争の犠牲になって戦地で大変な御苦労をされて、そして終戦後は日本の復興のために物すごい活躍をされた方々です。むしろ老後の生活というものを本当に安定したものとしてきちっとした優遇をしていかなければならない、私たち若い者にむしろ責任があるんではないか。ですけれども、こういう改正をしてくるということはどうしても納得できないんですがね。どうですか、財政再建もせっかくできたときなんですから、もう一度給与スライドに変えてみるというお考えはありませんか。
#11
○国務大臣(塩崎潤君) 年金、恩給について現在まだ勤務されておる方々の給与とのバランスをどのようにとっていくかという問題は大変難しい問題でございます。私どもはいろいろの考え方があることも存じておりますが、やはり恩給については恩給の独自の考え方に基づいて、今申しましたようにいわゆる総合勘案方式、給与と物価とにスライドする方式が適当であろうかと思います。公的年金の制度については、これは所管外でございまするけれども、物価スライドが一つの方式であるということは民間の年金とのバランスで生まれてきたところでございますので、これを簡単に変えるということは現在では難しいんではないか。やはり今とられている方式も、恩給の制度の特色を生かしたものとして私は総合勘案方式が今のところは妥当なものだと、こんなふうに考えております。
#12
○山口哲夫君 この論議はなかなかかみ合っていかないと思うんですけれども、これから幾つかの例を申し上げて、やっぱり給与改定の方がいいんじゃないかということを論じてみたいと思うんです。
 昭和六十三年四月十九日の参議院のこの内閣委員会で、きょうこちらの方にいらっしゃる野田参議院議員が当時の高鳥長官に対していろいろと質問をされている議事録を読ませていただきました。その中で高鳥長官は野田議員の質問に対してこう答えているんですね。恩給額のアップというのは最終的には政治折衝によって決まったということです、しかし一定の方式が確立しておってそれで自動的に決まっていく方が仕事は楽でございます、こういうふうに答弁している。
 一定の方式というのはこれから後ほど申し上げていきたいと思うんですけれども、恩給受給者が毎年年末になって予算折衝の中で自分たちの恩給が来年幾らになるのかと気をもむわけですね。さっきも言ったように、年金生活者以上に恩給生活者というのは苦労していると思うんです。戦争の弾をくぐって命をかけて戦ってきた方々が大部分ですから。そういうことからいきますと、毎年毎年、八十を超えたような恩給生活者に来年のおれの恩給は幾らになるのかななんという、そんな心配をかけるというのはどういうものかなと思うんです。そういう点ではやっぱり一定のきちっとした方式というものを決めて、政治折衝で決めるなんということのないように、大変な金額じゃないんですから、私は給与改定にスライドさせるのがやっぱり先輩に対する礼でもないかなと思うんですが、どうでしょうか。
#13
○国務大臣(塩崎潤君) 確かに恩給の特殊性、私も戦前のいわゆる官吏であったものでございますので、恩給というものは今ありますところの共済年金的なものとは違った性格であることは十分存じているところでございますが、確かに何と申しますか、常に不安を与え、どれぐらいアップされるかわからないということは私は適当ではないと思うんです。
 しかし、御案内のようにこの総合勘案方式はもう四年続けられておりまして、これによってまずまず、自動的に計算ができるという点で、政治折衝とかあるいは何と申しますか、幾らになるかわからないというような不安を覚えるようなことにはなっていない、総合勘案方式と言われておりましても、そこが私は欠陥が少ない制度だと、こういうふうに考えております。
#14
○山口哲夫君 その問題についてはもう少し後に触れてみたいと思うんですけれども、恩給というのは公務員の退職または死亡したときの遺族の生活を支える国家の補償的性格なものだ、こういうふうに言われていますね。
 それで、恩給受給者の平均年齢と平均年額というのは一体どれぐらいなのかなと思って調べてみましたら、総体的な平均というのは七十二・九歳、相当高齢ですね。平均年額が八十六万三千円。実に低いんでびっくりしたんですけれども、高い方ちょっと見ておりますと、一般の文官の平均が何と八十歳ですね。平均年額が百九万円。それから一般文官の中でも普通恩給というのが八十・八歳、百二十七万六千円という金額が出ているわけです。そうすると月約十万円くらいで生活しなきゃならないという、非常に低いんですね。増加恩給をいただいている高度な障害を持っている方は別ですけれども、いわゆる一般の普通恩給で生活している人はこれによりますと月十万円くらいで生活しなければならない。これは余りにも私は低過ぎるんじゃないかと思うんです。これじゃ生活保護世帯以下の生活を強いられるんじゃないでしょうか。
 ですから、くどいようですけれども、今日を建設した最大の功労者である今の恩給生活者に対して余りにも低過ぎる。そういうことを考えたら、ほんのわずかの金額で給与スライドにしようと思えばできないことはないんですから、やっぱりもう一度考えてみていい問題でないかなと思うんです。そういう点で、今長官のお答えですと政治折衝というのはなるべくやらないようにしたい、そういう含みのある発言でしたけれども、どうでしょうか。
#15
○政府委員(石川雅嗣君) 先ほど大臣もお答えになりましたが、総合勘案も今回で四回目となるわけでございますけれども、私どもといたしましては、総合勘案方式だからといってその改定が毎年毎年大きく変わるということは恩給受給者の方々が大変な不安を持つということで非常に適切ではないだろうということは十分承知しているところでございます。したがいまして、この四年間にわたってとってきました改定率につきましても、結果的にはいろいろなことはあろうかと思いますが、総務庁といたしましては総合勘案方式について現時点において必ずしも確立した算式というものを持っているわけではございませんけれども、恩給の改定率ができるだけ安定的な水準でもって維持できるようにということでいろいろ努力を行ってきたところでございます。
 今後とも恩給改善に当たりましては、恩給が国家補償的性格を有する制度としてふさわしい処遇がなされるべきであるという基本的な考え方に立ちまして、恩給受給者の処遇の改善に精いっぱいの努力をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
#16
○山口哲夫君 答弁の方が質問より先の方へ行っているようです。きのう詳しく、数字の質問なんでお渡ししておきましたのでお読みいただけたと思うんです。これからいきますと、結論から先に申しますと、先ほど長官がおっしゃったように、一定のルールというのは大体もう確立されてきているんですね。今までの議事録をずっと読んでみますと、そういうものはないようなお答えがずっと続いているんですけれども、詳しく計算してみると大体、今局長もおっしゃったように毎年そう大きな変動がないような形になってきている。
 例えば、昭和で言いますと六十二年、恩給引き上げ率というのが二・〇%。これは給与改定率に対して八六%。この八六%という数字が非常に重要な意味を持つんですけれども、八六%を掛けるとちょうどこの恩給引き上げ率の二・〇%になるんですね。それで、総務庁はそういう一定の方式でやったんでないとおっしゃいますけれども、ずっと見ておりますと、給与改定に対しての考え方は八〇%、物価上昇見込み額に対する率は二〇%、八対二の割合でずっとやってきているわけですね。結果そういうふうになったとおっしゃるんですけれども、確かに昭和六十二年は給与改定率が二・三三%掛ける八〇%、それに物価上昇見込み率〇・七%掛ける二〇%でやりますと二・〇〇四になって約二・〇、こういう数字になるわけです。これはちょうど給与改定二・三三%の八六%に当たる。
 ところが、その翌年はそれじゃ給与改定率に八六%を掛けると、給与改定の八〇%、物価スライドの二〇%から出した率と一緒になるかというと、たまたまここはならないんですね。これは給与改定率が非常に低かったためです。一・四六%。それに八〇%掛けて、物価上昇見込み率〇・二%に二〇%掛けますと一・二〇八ということで、四捨五入して一・二一%になる。そうすると、恩給引き上げ率が一・二五%ですから〇・〇四%低いんです。そうするとこれは給与改定率の八三%にしか当たらない。そうすると、昨年は八六%ですから、その八六%を下げるということに対する私は抵抗があったんじゃないかと思う。それであえてここで八六%という数字をその給与改定率にいきなり掛けますと恩給引き上げ率の一・二五%という数字がここに出てくるわけです。ですから、ここでは八六%というその数字を重きを持って見て、きちっとその数字をあえてそこへ持ってきて掛けて恩給の引き上げ率を出している。これは結構だと思うんです。それだから少しは高くなっている。
 ところが、平成元年度を見ますと、さっき言ったように給与改定八〇%、物価スライド二〇%でやりますと、きちっとこれまた恩給引き上げ率の二・〇二%と同じ数字なんです。これはちょうど八六%を給与改定率に掛けた数字とぴたっと一致するわけですね。
 そして今年度、平成二年度はどうかといえば、これは給与改定率は今までより高いですね、三・一五%の八〇%。それから物価も高いですね、二・三%に二〇%掛けると二・九八%という数字が出てくる。ところが、この年は三・一五%の給与改定率に八六%、今までずっと八六%という数字を使ってきたんでそれを掛けますと、今度は恩給引き上げ率がぐっと低くなる。それで幾らになるかというと、逆算をしてみますと給与改定率の九五%になる。今まで八六%できたのがことしだけは九五%、給与改定率がぽっと入るわけですね。そういうふうに数字を計算できるわけです。
 ですから、これから見ますと、さっき長官言ったように、大体そう変えるもんじゃない、一定のルールというのがだんだんできてきているんじゃないかというのは、これは意識してやったのか結果的になったのか、私は意識してやったというふうに思うんですけれども、給与改定の八〇%、物価上昇見込み率の二〇%というものをまず第一に一つのルールとするというものを私はそちらの方でお考えになったと思うんです。
 ただし、給与改定率に八六%を掛けたときよりも低いことが出てくる、給与の改定率がうんと低いときには低くなる。それではまずいんで八六%という数字だけは大事にしていこう、そしてことしのように八六%以上の数字になったときにはそれはそのままでいいと。だからもう完全に一定のルールができているんですよ。ですから、さっき言ったように、年末に政治折衝で恩給の来年の引き上げ率は幾らになるのかな、おれの恩給額は幾らになるのかなという不安を先輩に与えないように、せっかくルールができているんですから、こういうルールを公表してやってみたらどうですか。そして、だんだん給与改定率に近づいてきているんですから、こういう過去の例からいっても、先ほど来言ったようにこの際給与改定率にもう一度スライドさせるというふうに改めていった方がいいんではないか、私はこういうふうに思うんです。いかがですか。
#17
○国務大臣(塩崎潤君) 今おっしゃられたこれまでの四年間におきますところの計算の仕方等はまさしくある程度の想定がつく客観的なものであると私どもは考えているところでございますが、私どもはやっぱり恩給の特殊性を考え、さらにまた現行公務員の給与とのバランス等を考えてまいりますと、まだこれを確定したものとして私どもは考え――これからの進歩も私どもは考えなければならない、こんなふうに思いますので、今のところは、少し言葉が何と申しますか含蓄があり過ぎるというのでしょうか、総合勘案方式、しかしそれは今おっしゃられたようなことが大きな下支えだと思いますが、下支えとして考えていかれる数字で明らかでございますので、このような方式をひとつこれまでの結果として考え、今後はまた今後としていろいろ反省すべき点があり、また進歩すべき点がありましたら考えていきたい。
 特に私は、恩給というものは、今申されましたように、戦前の官吏にとって、そして旧軍人にとってみますれば大変重要なものでありますので、やはり常に進歩も考えていかなければならない、こんなふうに思いますので、数字の公表ということは、これは確定したものになってしまって動かなくなるおそれもありますし、これはひとつ御容赦を願いたい、こんなふうに考えております。
#18
○山口哲夫君 結果的にせよ、あるいは意図的にせよ、一定のルールというのはこの四年間の数字を見てみますと大体確定しているなということは明らかだと思うんです。それで、今お話があったように、少なくとも政治折衝でこういうものを決めていくということだけは避けますね。
#19
○国務大臣(塩崎潤君) 私は、政治折衝という意味はいろいろ幅の広い概念でなかなかい難しい概念だと思うのでございますけれども、ともかくも今は恩給について、政治折衝といいますか、恣意的な意味においての何と申しますか決定というものは避けられている、少なくとも最低限度これぐらいになるというような予想のつく恩給になっていると思うものですから、政治折衝によってのみ決まるというものではないと思います。
 ただ、恩給のことでございますから、恩給の精神に立脚して委員の言われましたような給与だけにスライドしろという意見もこれは出ることは出る。これはひとつ政治にそれが響くような話になることは私は当然あってしかるべきだ、こういうふうに思っておるのでございます。
#20
○山口哲夫君 先ほども例にとりましたように、野田参議院議員の質問に対して高鳥元長官が、最終的には政治折衝で決まったということですというふうに答えているものですから、少なくとも生活の糧である恩給金額を政治折衝で決めるなんというのは、これはちょっと不見識だなと思ったものですからそこにちょっとこだわったわけです。今の長官のお話からいけば、そういう要素というのはもう余り考えていない、そういうお考えのようですから、ぜひひとつ、先ほど私が申し上げましたように、これはやはり給与スライドに変えていく時期だなと思うんです。
 ということは、もう一つ例を挙げますと、今年度の恩給支給総額というのは一兆六千八百七十八億円ですね。それで、今回の改定によってどのぐらいの財源を必要とするかと思いましたら、平年度で計算しても四百九十六億円ですね。ところが、恩給生活者というのは御高齢の方がもう大部分ですから、お亡くなりになる人も非常に多い。実は数字見てびっくりしたんですが、一年間に四万二千人もお亡くなりになっているんですね。その方の恩給額というのは減額されていくわけですから、どのぐらい減額されていくかと思ったら毎年五百八十八億円も減額になっているんですね。そうすると、減るのが五百八十八億、ふえるのが四百九十六億、毎年九十二億ずつ恩給支給総額というのは減ってくるわけですね。ですから財源的に見れば何も心配がないんです。
 私は、そういう中でもあえて物価スライドの方をまだ少し勘案するということはどうかなと思うんです。さんざん言ってきましたからもうこれ以上くどく申し上げませんけれども、そういう財源の面から見てもだんだん必要財源が減ってきている中で、せめて老後の生活だけは安定したものにしていくためには、ほんのわずかのことなんですから、給与の改定にやっぱり切りかえていくべきであろう、私はそういうふうに思います。ぜひひとつそういうことを頭に置いてこれからの恩給に対するお考えというものを決めていっていただきたいものだな、こんなふうに強く要請しておきたいと思います。何か御所見があればお伺いしておきたいと思います。
#21
○国務大臣(塩崎潤君) 私は、恩給制度は、今の委員の申されましたような計算の考え方、これは十分根拠のあるものだと考えるものでございます。問題は、他の民間の年金制度あるいは公的年金制度に影響することを年金制度全般とのバランスで考えなけりゃならぬ点がありはしないかという点だと思うわけでございます。しかしながら、恩給については特色があるんだから、しかもまた恩給受給者というものは減るものだからこれは別途の考え方だけをとれという考え方もまた一つの考え方であろうかと思います。それらを考えて総合勘案方式が私どもはでき上がっておると思うのでございますが、委員の御主張も十分念頭に置いてこれから恩給制度についての検討を進めていきたいと考えております。
#22
○山口哲夫君 次に、恩給欠格者の問題に移りたいと思いますけれども、戦時中軍務に服した期間を厚生年金、国民年金になぜ通算されないんでしょうか。共済年金の方は通算しているわけですけれども、民間の方の厚生年金、国民年金だけは通算しない、その理由を少しお聞かせいただきたいと思います。
#23
○説明員(松本省藏君) お答えを申し上げます。
 先生御承知のとおり、厚生年金制度は民間サラリーマンの方々が一般的に加入していただく公的年金制度でございます。御指摘のように、現在、軍歴期間につきましては厚生年金制度におきまして通算をいたしておりません。
 なぜかと申しますと、厚生年金制度はいわゆる社会保険制度、社会保険の仕組みをとっておりまして、まず厚生年金制度に加入していただく、制度に乗っていただきまして、そして保険料という形で一定の拠出をしていただく。その拠出に応じまして年金の給付を行う。こういう仕組みをとっているわけでございまして、いわゆる軍歴期間、これは厚生年金制度に乗る以前の期間でございますし、拠出を伴わないこのような恩給期間につきまして通算をするということはこの制度の基本にかかわるということで通算ができないということになっているわけでございます。
#24
○山口哲夫君 公務員の共済年金もこれは社会保障制度ではないのですか。保険料も払っているのでないのですか。いかがでしょうか。
#25
○説明員(松本省藏君) 共済年金制度、これは厚生省所管外ではございますけれども、私ども承知いたしておりますのは、共済年金制度はもともと恩給制度を引き継ぎましたいわば一本の制度としてできている制度ということでございまして、軍歴期間を通算しているというふうに承知しているわけでございます。
 私どもの所管しております厚生年金制度につきましては、これは民間のサラリーマンの方々が一般的に加入していただく一般的な社会保障制度でございまして、厚生年金制度に加入する以前の状態といいますのは、厚生年金制度に加入する以前にサラリーマンであった方々あるいは自営業者であった方々あるいは特別に軍歴期間をお持ちの方々、いろいろあるわけでございますけれども、そういう方々を押しなべて厚生年金制度に乗ってから給付の対象にしていくという仕組みをとっておりまして、厚生年金制度におきまして特別の方々だけ特別の扱いをするというのはなかなか難しい、こういうことになろうかと思うわけでございます。
#26
○山口哲夫君 厚生年金、国民年金というのは社会保障制度で保険料を拠出しているというお話、共済年金は恩給制度から引き継がれてきていると言うけれども、実際今、共済年金で恩給の対象になっている人というのはごくわずかじゃないですか。ですから、ほとんどの方が今の共済年金というのは社会保障制度の中で適用され、そして相当の掛金を厚生年金、国民年金以上に払っているはずですよね。相当の掛金を払っているはずです。ですから、そういう制度からいきますと、厚生年金と共済年金の性格というのは何にも変わっていないと思うのですが、どうですか。
#27
○説明員(松本省藏君) 共済年金制度につきましても基本的には我が国の公的年金制度の一つであるということは御指摘のとおりであろうと思いますけれども、基本的に厚生年金制度は一般の民間のサラリーマンの方々を対象といたしました一般的な社会保障制度、一般的な公的年金制度ということでございまして、そこにはやはり過去の共済年金制度とは異なった生い立ちがございまして、その中での取り扱いにやはり違いが出てくるということはこれまたやむを得ない事情ではなかろうかと思っているわけでございます。
#28
○山口哲夫君 過去の生い立ちは必要ないんです。私の質問の中身というのはそういう過去の問題ではない。今の共済年金と厚生年金というのはお互いに社会保障制度であって、お互いにその掛金をきちっと払っている制度です。ですから、そういうことからいきますと、何にも内容が変わらないのにどうして恩欠者の方々の軍務に服していた期間を片方だけは通算させて片方は通算させないのですかという質問なんです。そこに答えてほしいんです。
#29
○説明員(松本省藏君) 私ども所管しております厚生年金保険制度の立場で御説明するしかないわけでございますが、厚生年金保険制度はもともとは昭和十七年からスタートをいたしているわけでございますが、現在のような形ですべての民間サラリーマンの方々が加入するという形でスタートをしたわけでは決してございませんで、最初は非常に限られた方々を対象としてスタートをいたしております。そのときどきで適用対象を拡大するという形になっているわけでございます。例えば、直近で申しますと、五人未満の事業所で働いておられる方々につきましては、サラリーマンであったとしても厚生年金の適用対象ではなかったわけでございます。それもつい最近、法人事業所につきましては、五人未満の事業所についても押しなべて厚生年金保険制度の対象にするという形で拡大をして現在の形に立ち至っているわけでございます。
 厚生年金制度に乗っかってくる、加入の対象になる以前の現実にサラリーマンであった期間、こういう期間を持っておられる方は多々あるわけでございます。仮に先生御指摘のような形で厚生年金保険制度におきまして厚生年金制度に加入する以前の一定の期間について特別の取り扱い、通算をするというような形をとりますと、軍歴期間を持っておられないで現実にサラリーマンをやっておられた方々、そういう方々は制度が適用対象の範囲が狭かったために厚生年金に入れなかったわけでございます。そういう方々についてもやはり何らかの措置が必要になってくるんではないか。自営業者の方についても同様でございます。
 そうなりますと、一般的な社会保障制度でございます厚生年金保険制度の基本でございます社会保険の仕組み、すなわち制度に加入していただきまして保険料を拠出していただく、それに応じまして年金給付を行うという厚生年金の基本的な仕組み自体が崩れてしまうということになるわけでございまして、なかなか御指摘のとおりにはならないというわけでございます。御理解を賜りたいと思います。
#30
○山口哲夫君 あなたは厚生年金の立場でしか物を考えていないからそういうお答えになってくるんです。五人未満の人たちが新しく厚生年金の対象になるようになってきた、そういうふうに中身がだんだん変わってきたというのはそのとおりでございます。そんなことを言いましたら、例えば最近公務員になった人たちが、おれたちは最近公務員になって掛金を納めているんだけれども、何で掛金を全然納めたことのない恩欠者の人たちが通算されて、その一部をおれたちが払わなきゃならないのか。それは確かに国費で払っているかもしれないけれども、税金ということからいけば同じですよね。だから、もう少し恩欠者の問題というのは国全体として考えるべき性格のものだと思っているわけです。
 だから、厚生年金の中で共済年金と同じような形をとった場合に、それじゃその加入者がどの程度恩欠者の方々の分を負担しなければならないのか。もしそういう不平等が共済年金との間に起きてくるとするならば、その不平等の分だけを国が面倒を見るという、そういう発想というのはどうして出てこないのでしょうか。共済年金の恩欠の期間というのは、これは国費で出しているんでしょう。どなたか知っている方いらっしゃいませんかね。多分そうだと思うのです。そうしたら、それにかわるべきものとして国費で厚生年金、国民年金に通算をさせて、その分だけは国費で見るということは不可能なことじゃないんじゃないですか。
#31
○説明員(松本省藏君) 先生御指摘のとおり共済年金につきましては過去の恩欠期間、これは国費で負担をしているというふうに私も承知いたしております。ただ、厚生年金の方でも同じような形で国費で負担をすればいいじゃないかというお考え、御指摘もあるかと思いますけれども、やはりそれは先ほど来私が申し上げておりますように、それでは他の厚生年金制度で一般的なサラリーマンであった方々、自営業者であった方々、こういう方々について果たしてどうするんだという議論にどうしても厚生年金保険制度という一般的なサラリーマンの方々を対象といたしました社会保障制度の中で考えますとなってしまうわけでございまして、国費で面倒を見れば現在の加入者に迷惑はかけないということであるかもしれませんけれども、やはり制度の立て方からして非常に難しいのではないかというふうに考えざるを得ないわけでございます。
#32
○山口哲夫君 今までの厚生年金の対象は十人以上の事業所ですね。それが五人以上というところに変わってきたんだ。そうすると、その人たちが今までの十人以上のときと同じように該当していたとするならば、その分はそれじゃ恩欠者を通算するときと同じようにどうしてくれるんですかという、そういうことをおっしゃっていると思うんですけれどもね。そういう問題とこの恩欠者の方々と一緒にするところに無理があるんです。
 恩欠者というのは鉄砲の弾の下をくぐってきたわけでしょう。命をかけて戦争で戦ってきたわけでしょう。そういう特殊な事情にあるということを考えるべきであって、それを厚生年金の制度が変わったから、その制度の変わったときに適用されていなかった人たちの今までの分はそれじゃどうしてくれるんですかといっても、次元が違うんですよ。その次元の違うものを一緒に持ってくるから理屈が私は合わなくなると思うんです。
 だから、その軍務に服していた恩欠者の方々の期間というものは、厚生年金であろうが、国民年金であろうが、通算をさせて、その分だけは国家が補償をするということになれば、何も私はほかの問題と不平等な扱いにはならないと思うんです。そういう発想というのはどうして出ないんでしょうか。
#33
○説明員(松本省藏君) 私どもも、戦争に行かれて非常に御苦労をされたという軍務期間を持っておられる方々の事情自体を別にとやかく申し上げているわけではございません。非常に御苦労されたと思っておるわけでございます。
 ただ、一般的な社会保障制度でありまして、民間のサラリーマンの方々が普遍的に入る厚生年金の制度の中におきまして、厚生年金制度あるいは国民年金制度に加入する以前の過去の期間のそれぞれの事情につきまして特別の取り扱いをするというのはなかなか難しいのではないかということを申し上げているわけでございます。
#34
○山口哲夫君 大変失礼ですけれども、年金課長さんにこれ以上の考え方を求めても無理だと思います。これはまさに政治的な立場できちっと判断をしてもらわなければならない非常に重大な問題だと思うんです。ですから、私が言ったように、その軍務に服していた期間だけはこれは全然別な問題だと、厚生年金の制度が変わったために、前の制度のときに不遇にされていた人たちを、新しい制度になったんだからその制度でもって昔のことも考えるというのとは次元が違うんです。その違うものをあなた方事務屋さんは無理に今の制度で解釈しようとするから、そこに無理が生じてくる。
 だから、軍務に服していた恩欠者の通算問題というのは極めて政治的にきちっと判断をしなければならない問題なんで、本当は厚生大臣にでもおいでいただいて論争したいところなんですけれども、残念ながら内閣委員会には厚生大臣の出席というのはないそうでございますので、これ以上無理だと思うんですけれども、一つだけちょっと提案しておきたいと思うんです。
 仮に百歩譲って、恩欠期間、恩欠者の期間がもし通算されれば二十年で厚生年金が支給該当になる、十七年間は厚生年金受給の期間だ、あとの三年間というのはこの恩欠の期間だと。その恩欠の期間だけを足せば二十年で厚生年金がもらえるということになる人がおったとしましょう。その場合に、三年間の分だけは年金は要りません、しかし通算だけはしてください。通算だけは二十年ということで対象にしてほしい。そして、十七年間なら十七年間の年金だけはもらいたい。厚生省がどうしてもだめだというんであれば、百歩譲ってそういう一つの方法だって考えられるんではないんですか。何と言うんですか、そういうのを空期間と言うんですか、空期間だけでもいいから入れて通算の基礎にしてくださいというのは無理がありますか。
#35
○説明員(松本省藏君) 厚生年金の制度が、先ほど来申し上げておりますように、厚生年金の加入期間以前の期間について特別な扱いは基本的に何もしていないわけでございます。
 それで、例えば先ほど五人未満の新しい適用のケースをちょっと御説明申し上げましたけれども、そういうことで新たに制度が拡大することによって新しく厚生年金の制度に入ってこられたというようなケースがございます。そのときに、例えば先生が今申し上げられましたように、従前は二十年間が厚生年金の受給資格要件の期間でございました。例えば既に四十歳を超えておりまして、今からじゃ二十年ないではないかというようなケースも実は出てくるものですから、そういう場合を想定いたしまして、中高齢特例ということで、四十歳以上の方々については十五年間で年金がもらえるという特例措置を設けていたわけでございます。そういうことで、年金制度の中で期間短縮をするという措置を従前よりとっておりまして、先生今御提案のような厚生年金制度の外の期間をいわゆる空期間という形で通算したらどうかという御提案でございますけれども、なかなか難しいことではなかろうかと思っております。
#36
○山口哲夫君 言おうと思ったら先に言ってくれたんで、そういう特例措置だってあるわけです。
 しかし、さっきから言っているように、軍務に服していたという特殊な――これはそれこそ日本は恐らくもう未来永劫そういうことはないでしょう。そういう日本の特殊な期間で苦労されてきた恩欠者の方というのは政治的にやっぱり戦後処理の問題としてもきちっと考えるのが政治ではないんですかというんです。だから、特例だってちゃんとつくろうと思えばつくれるんですから、そういう今の政治的な戦後処理の問題をきちっとここで決着つけるんであれば、そういう問題は私はやっぱり決断すべきときだと思うんです。そういう提案は、ずっと議事録を読ましてもらいましたけれども、今まで余り出ていなかったものですからあえて申し上げたんで、これはぜひ厚生大臣と議論をしたいところなんですけれども、そういう意見のあったということだけはひとつ大臣にお伝えしてください。そして、内部でもって一度検討の課題にしてください。あるいは、いずれ予算委員会の中でやるような機会でもあればぜひこの問題はやってみたい問題だなと思っています。ひとつぜひそれはお願いします。
 それで、もう一つ恩欠者の関係ですけれども、シベリアの抑留者に対しては銀杯と書状とそれから十万円のお金を支出しているんですけれども、恩欠者の方もやはりシベリア抑留者の方と比較してどうこうという意見はあるようですけれども、しかし戦争中大変な苦労をされたことにおいては変わりはないと思うんです。そういう意味からいきますと、銀杯と書状だけということでなしに何がしかのやはりお金を考えるべきではないんだろうかなと私は思うんですけれども、どうでしょうか。
#37
○政府委員(文田久雄君) お答えを申し上げます。
 先生御案内のとおり、恩給欠格者に対しましては、平成元年の九月から、外地等の勤務の経験を有しまして加算年を含めた在職年が三年以上の方につきましては書状と銀杯の贈呈事業をお示しのとおり行っているところでございますが、平成二年度におきましても引き続きこれを着実に実施することといたしております。
 また、この事業に加えまして、平成二年度におきましては基金果実による新規の恩給欠格者の慰藉事業を開始することといたしておりまして、現在これの措置方については基金の運営委員会でもっていかようにするかということを議論していただいているところでございまして、私どもといたしましてもこれらの方々の御労苦に思いをいたしまして真摯に取り組んでいるところでございます。
#38
○山口哲夫君 基金の運営委員会の話がこれからすぐ出てくるんでしょうけれども、それはそれとして、政府の考え方という立場で私はお聞きしたいんです。基金そのものを政府がお金を出してつくってきたものですから、その運営委員会で自主的に決めるというんでしょうけれども、多分に政府の意思というものがそこに反映されてくると思うんです。ですから、そういう立場で恩欠者の方々にも何がしかの金銭的な面でのことを考えるべきではないんだろうか、そういうものについてのお考えを聞いているわけです。
#39
○政府委員(文田久雄君) 繰り返しての答弁で恐縮なんですが、一つは書状と銀杯を御贈呈する。さらに、今般これらの方々に対するさらなる慰藉という見地から特別の慰藉事業を行うということを決めておりまして、予算措置も講じられているところでございますけれども、これの内容につきましては、基金法の二十四条におきまして、基金の運営の重要事項を審議するというために設置されております基金の運営委員会というのがございますので、そこの御討議を真摯に受けとめたい、かように存じておるところでございます。
#40
○山口哲夫君 これもやっぱり総務庁長官でなくして官房長官でないとだめなんですかね、こういう判断というのは。非常に残念ですけれども、官房長官いらっしゃらないから、これ以上話が進まないと思うんですけれども、その場合に、考え方としてこれは軍属も全部一緒ですね。軍人軍属すべてが対象になるわけですね。
#41
○政府委員(文田久雄君) 恩給法上での軍人軍属、こういう意味でございます。
#42
○山口哲夫君 わかりました。
 それから年金課長さん、ちょっと先ほど一つ質問を落としました。これは恐らくお答えできないと思うんで、調べてほしいんですけれども、さっき私が提案しました軍務に服した期間を通算しないと厚生年金、国民年金の受給資格がない方、反対に言いますと、この軍務に服した期間を通算すれば国民年金、厚生年金の対象になる、そういう方というのは何人ぐらいいらっしゃるものなんでしょうか。
#43
○説明員(松本省藏君) 厚生年金の制度、先ほど申しましたように、国民年金もそうなんでございますが、加入いたしますと、その時点以降個人データが極めて詳細に社会保険庁の方で記録がされているわけでございますが、それ以前の軍歴期間について、あるいはそれ以外の事情につきましてはデータとしてそもそも入れていないものでございますので、具体的に今先生お話のありましたように、仮に空期間として通算すればもらえるというような方はどれだけになるのだろうかということは恐らく出ないだろうと思います。そういう形で社会保険庁でデータを記録してないと思います。
#44
○山口哲夫君 いろいろと調べたんですけれども、その数字がないんですね。何かうまい方法ないものですかね。厚生省でなくても、どこかでやろうと思えばできるのではないかという、そんな話というのは出たことないですか。私はぜひそれを把握してほしいんです。政府全体として調べる方法というのはないですかね。
 長官、実はこの議論を進めていく場合にはその基礎数字というのは非常に大事なものですから、いろいろ聞いてみたんですけれども、どこも持っていらっしゃらない。これは把握するのはそんなに難しい問題かなと思うんですけれども、一度ちょっと検討してみていただけませんでしょうか。必ず出してくれとは言いませんよ。一生懸命やってもなかなか出ないということもあるのかもしれないし、何かうまい方法があるのではないかなと思うものですから、ぜひ検討してみてほしいんです。
#45
○国務大臣(塩崎潤君) 今の質疑応答を伺っておりまして、なかなか難しい問題だと思いますが、そのような御意見が出たことを厚生大臣によく伝えておきたいと思います。
#46
○山口哲夫君 これは極めて事務的な問題になると思いますので、できれば御指示いただいて、そういう数字が出せないかどうかぜひ内部で検討してほしいことと、それから厚生大臣にお伝えになるときに、先ほどから軍歴期間というお話をしましたけれども、それは軍人だけでなくして軍属も基金の対象になっていますから、当然その場合には軍属もあわせて対象にする、そういう考え方で私は申し上げておりますので、その点もお含みの上お伝えをいただきたいと思います。恩欠問題は以上で終わります。
 次に、いわゆる相沢会、斎藤会、これはもう皆さん御専門ですから、一々説明しなくてもおわかりだろうと思うんですけれども、その問題に入ります。
 シベリア抑留者に関係する団体は二つあるというふうに聞いていますけれども、その団体名と代表者の名前、組織人員、これはどうなっておりますでしょうか。
#47
○政府委員(文田久雄君) お答え申し上げます。
 シベリア抑留者団体としましては、一つは公益法人たる財団法人全国強制抑留者協会というのがございまして、その理事長は青木泰三氏でございます。またもう一つは、これは任意団体でございますが、全国抑留者補償協議会というのがございまして、会長は斎藤六郎氏でございます。
 これら団体の人員につきましてはそれぞれ五万人というふうにお聞きをいたしております。
#48
○山口哲夫君 財団法人全国強制抑留者協会代表青木さん、これは相沢さんからいつかわったんですか。
#49
○政府委員(文田久雄君) 先生お示しのとおり、会長は相沢英之先生でございますが、国務大臣に御就任なされているということで、兼職禁止規定の観点にかんがみまして、次回の総会でもって手続を要する問題でございますので、その手続を現在お待ちをしているということでございます。
#50
○山口哲夫君 そうすると、今は経済企画庁長官になった相沢英之さんであることは間違いないですね。
#51
○政府委員(文田久雄君) 形式上そのとおりでございます。
#52
○山口哲夫君 大臣になられてもう大分たつと思うんですけれども、なぜ今まで放置していたんでしょうか。
#53
○政府委員(文田久雄君) 先生御案内のとおり、会長の辞任その他の手続につきましてはそれぞれ総会の手続というものが必要でございます。その総会の招集がおくれているというふうにお聞きをしているところでございます。
#54
○山口哲夫君 普通そういうものというのは大臣に就任したときに直ちにやるべきことだと思うんです。もし、あすにでも内閣改造になっておやめになったら、大臣の期間中は兼職禁止の法律に違反したということになりませんか。
#55
○政府委員(文田久雄君) 相沢英之先生が御就任になられたということで、私ども監督官庁の立場としてもその旨をお伝えして、早急な手続をとられるよう申し入れているところでございますけれども、なお早急にさよう手続がとられるよう指導をさせていただきたいと存じております。
#56
○山口哲夫君 極めて事務的な問題のようにとられるかもしれませんけれども、これは非常に私は重要な問題だというふうに思うんです。法律で兼職禁止ということがされている以上は、こういったものは直ちにやるべきです。少なくとも一週間や十日くらいでやろうと思えばすぐできるわけですからね、総会開いて。それを今まで放置しておった責任というのは私はやっぱり免れないだろうと思います。この点強く指摘をしておきたいと思います。
 それから、組織人員は五万人というのですけれども、その五万人という基礎は何で五万人ということになるんですか。
#57
○政府委員(文田久雄君) 全国抑留者補償協議会につきましては、これは任意の団体でございまして、私ども所管をいたしておりませんので、これについては五万人というふうにお聞きしているという情報でございます。片や財団法人の全国強制抑留者協会、これは御案内のとおり財団法人でございまして、社員をもって構成する社団法人でございませんので、その正確な数字というのはつかんでいないところでございます。ただ、俗に五万人というふうにお聞きをしているところでございます。
#58
○山口哲夫君 ちょっとそれは大ざっぱ過ぎませんかね。少なくとも財団法人を許可するという、そういう立場にあるわけでしょう。それであるならば、その会の組織人員は一体幾らかというのは決算書を見ればすぐわかることです。今までの議事録をずっと読んでみますと、大体五万人、五万人と言っている。何で五万人なのかな、基礎数字は何なのかなと思って、それなりに決算書を私なりに入手してみました。そうしましたら――これからさっき申し上げましたように相沢会、斎藤会と言います。なぜならば、略称が両方とも全抑協と同じだからです。それで、相沢会の方は決算書によりますと三万四千八百四十九名です。斎藤会の方は四万九千五十二名です。いずれも六十二年度決算です。そうすると、片方は四捨五入して五万人、片方は四捨五入して三万五千人、どうですか。
#59
○説明員(榊誠君) 先ほど来審議官の方から御答弁がありましたように、財団法人につきましては基本財産が主体になって事業を行っていくということでございまして、社団法人と違いまして人員ということについての審査ということが特に私どもとしては必要になっていないわけでございます。
 また、今先生御指摘のございました数字につきましては、私どもはそれぞれの任意法人に関しての資料ということで必ずしも承知しておらないわけでございますが、私どもそれぞれの関係者が大体五万人ぐらいじゃないかというふうに考えておりますのは、平和祈念事業特別基金の方で、先ほど来御説明したかもしれませんが、シベリア抑留者に関しまして書状、銀杯、慰労金等の贈呈事務を行っているわけでございます。これらの申請に当たりまして、それぞれの関係団体の方に必要な関係の申請資料といいますか、申請書類を差し上げているわけでございまして、その申請書類がそれぞれの関係者から大体約五万人ぐらいの数が上がってきておるということから見て、大体その関係の方がそれぞれ五万人ぐらいおるのかなというふうに承知するわけでございます。
#60
○山口哲夫君 申請書類を五万通持っていったから五万人だろう。しかし、財団法人を許可する立場にある人がそんなに大ざっぱな仕事しかできないんですか。私は非常に問題があると思いますよ。
 それで、それじゃ立ち入って聞きますけれども、議事録読んでみましたら、二つのいわゆる全抑協から申請がされる、されるというか話を持ち込まれたのになぜ一つしか許可しないんですかということに対して、総合判断に基づいてやりました、こう言っているんです。
 そこで、総合判断についてお聞きしたいんです。総合判断とはどういう中身を総合的に判断したことになるんでしょうか。
#61
○政府委員(文田久雄君) お答えを申し上げます。
 一般に、公益法人の設立許可申請があった場合でございますが、その目的、事業内容の公益性等これら種々の観点からそれらを総合的に審査した上でこれを許可すべきかどうかと、かように判断することになろうと、そういう趣旨で総合的にという言葉が出ているものと考える次第でございます。
#62
○山口哲夫君 私の総合判断に必要とするものというのは次の問題だと思うんです。まず組織人員、基本財産、これまでの運動経歴、運営に必要な財源、こういうものが許可のための絶対的な条件だ。
 それについて一つずつお聞きします。組織人員について、斎藤会は四万九千、相沢会は三万四千、どっちが多いですか。
#63
○政府委員(文田久雄君) 先ほど来申し述べておりますとおり、私どもの方でぴしっとした何名という数字まで確保いたしておりませんものですから、先ほど来ほぼ五万人とお聞きしたところでございます。先生のお示しの数字がそのとおりということでございますならば、文字どおり全国抑留者補償協議会、先生のお示しの斎藤派というところの数が多いと言えるかと存じます。
#64
○山口哲夫君 本当に無責任ですね。その事務をつかさどっているあなた方のやるべきことではないです。大ざっぱに、申請書を持っていったのが五万人だから五万人ですと、そんな無責任なことで法人の許可をされたらたまったものじゃありません。斎藤会の方が間違いなく多いということだけは事実です。
 基本財産、斎藤会の方は流動資産が二千万円です。定期預金です。決算書に全部出ています。それから固定資産一億です。これは資料館を持っております。相沢会の方は、流動資産は三千万円です。これは登記簿、登記の申請したときに使ったもののそれを見てみますと三千万、こういうふうに書いてます。片方は基本財産が一億二千万、片方は三千万、どっちが多いですか。
#65
○政府委員(文田久雄君) 先生お示しの斎藤派という団体につきましての資産内容につきましては私どもは不承知でございます。お示しの相沢派と目されますところの全国強制抑留者協会の財産につきましては、設立当初三千万というのはお示しのとおりでございまして、先生がお示し賜りました数字のとおりということでございましたならば、これも同様に斎藤派の財産の方が大と言えるかと存じます。
#66
○山口哲夫君 よく聞き取れないんですが、私が言ったとおりだとするならばというんですけれども、あなた方は調べてないんですか。この登記簿、財産目録というのがついてるんです。我々だれでも調べることができる。法務局に行って調べてみた。そうしたら、これにはっきり基本財産は三千万、定期預金として、しかも備考に全抑協中央連合会、こういう直接申請しているところとは違う団体の名前が書かれている。間違いないですね、三千万というのは。私が言ったのが正しいとするならばなんという、そういう答弁はないです、あなた方はこの仕事をやってきているんですから。
#67
○政府委員(文田久雄君) 御説明で舌足らずでございまして大変失礼をいたしましたが、私が申し述べましたのは所管いたします協会につきましては基本財産は三千万円、これはそのとおりでございます。舌足らずと申し上げましたのは、その任意団体の方の資産内容については私どもが承知していないので、先生のお示しでどちらが大か、こういうお尋ねでございますので、さようでありますならばと、さような趣旨でお答えした次第でございます。
#68
○山口哲夫君 斎藤会の方は知りませんということにはなりません。あなたのところに代表が何回も足を運んでいるでしょう。そして中身について克明に話をしているんです。そういうものを全部記録にとっているとするならば、それを出してほしいくらいだ。そういう言い逃れというのは許されませんよ。知りませんなんということにならぬ。
 それで、基本財産について聞きますけれども、ここに公認会計士の長澤栄一郎さんが出した本のコピーがあります。「社団法人財団法人の設立要件」という中に、この財団法人を設立するためには永続性が必要だ、「目的・事業内容は非常によいが、金が足りない。これは地方公共団体の補助金をあてにしている。これでは、法人の永続性は期待できない。やはり、法人の永続性を保証する財政的基盤が必要である。この点に関し、近時は設立における財団法人の基本財産を少なくとも一億円程度とし、社団・財団法人の予算規模を三千万円程度とする」、基本財産は一億程度が必要なんだ。公認会計士の一人の方ですけれども、大体財団法人の許可に当たってはこれが通例だと、そういうふうに一般的に言われております。どうお考えでしょうか。
#69
○政府委員(文田久雄君) 私ども、この法人の設立許可をするに当たりましては、昭和四十七年の三月に公益法人監督事務連絡協議会、これが、各省庁の「公益法人設立許可審査基準等に関する申し合わせ」という基準がございまして、これに合わせまして審査の上、許可をしたところでございます。
 先生お示しのとおり、この基本財産は、設立当初三千万でございます。この果実をもってその運営をしていくということ。趣旨からいきますと、この基本財産がより大であるということは御指摘のとおりでございます。
 当該法人につきましても、まだ登記の手続が了しておりませんけれども、さらに二千万の造成をしてこれを五千万にするというふうにもお聞きいたしておりまして、今後ともその基金がさらに大きくなっていくことを期待しているところでございます。
#70
○山口哲夫君 私の聞いているのは、申請したときの財団法人としての許可をする時点での基本財産の金額を聞いているんです。これからふやしていくでしょうなんていう、そんな甘いもので許可されてはたまったものじゃありません。
 それで、基本財産は斎藤会は一億二千万、片方は三千万、斉藤会の方がはるかに多いということだけはお認めになりますね。
#71
○政府委員(文田久雄君) 再々の答弁で恐縮ですが、斎藤会の方の資産状況というのは私ども的確に承知しておりませんので、お示しのとおりでございますならば先生の御指摘のとおりと存じます。
#72
○山口哲夫君 何でしたら決算書をお見せしてもいいですけれども、時間がないから先に進みます。
 これまでの運動経歴、斎藤会の方では引揚者、抑留者に関する貴重な文献を七千冊持っています。これは知っているはずです。資料は三千数百点を収集しております。資料館を建設しております。それで、約一億円の固定資産になっております。こういう運動をきちっとやっております。二つ目、シベリアの墓参を六回実施しておりまして、参加人員は数百名です。三つ目、シベリアの死亡者の確認調査をやっています。日本側は約六万人死亡していると言っていますけれども、ソ連側は正式には三千九百五十七人、以下は不明ということになっているようです。そこで、ソ連と長年交渉をいたしまして、シベリアにおける死亡者数を明らかにしてということをソ連政府の方と折衝しているのが斎藤会。六月の二十日、二十一日に東京で初めてのシンポジウムを開いて、ソ連から相当の要人が三人来ることになっております。これは本来政府が行うべきことだと思います。それを残念ながらやられておりませんので斎藤会がかわってやっております。こういう運動をやっておる。
 一方、相沢会の方はほとんどこれに該当する運動はなし。認めますね。
#73
○政府委員(文田久雄君) 先生ただいまお示しの斎藤会の団体につきましての活動というのは新聞等でも承知いたしておりまして、その活動につきましては敬意を表しておるところでございます。
 なお、全国強制抑留者協会の事業でございますが、これは平成元年の三月一日に総理府所管の公益法人として設立許可して以来、戦後強制抑留者に関する情報の収集、それから請求書の協力など平和祈念事業特別基金が行う事業に対する協力、抑留中死亡した者に関する調査その他関係者に対する相談等の事業、さらには協会に設けられております五億円の慰藉基金の果実によって慰霊祭事業を行う等、誠意を持ってその事業活動に努めているという実態でございます。
#74
○山口哲夫君 私先ほどから言っていますように、財団法人を許可する時点の話をしているんです。許可する時点では片方はそういう今言ったような運動は全然していないということだけは確認できるでしょうo
#75
○政府委員(文田久雄君) 設立の時点においてその実績ありやとお尋ねでございますが、その時点では先生お示しのとおり私どもの方ではそのような実態を的確には承知をいたしておりません。
#76
○山口哲夫君 最後に、運営に必要な財源、斎藤会の方は各支部を持っておりまして、負担金年間七千四百五十万円、これは決算書に出ております。一方、相沢会の方は会員の会費三千四百八十五万円、これは直接相沢会というところでなくして全抑協中央連合会、別な団体ですけれども、その会費として三千四百八十五万円。そうしますと、斎藤会の方が相沢会よりも年間の必要財源は倍以上だということは確認できますね。
#77
○政府委員(文田久雄君) 再々のお答えで恐縮でございますが、斎藤会の方の事実を承知しておりませんが、先生お示しのとおりでございましたならばそのとおりだと存じます。
#78
○山口哲夫君 決算書で両方とも見ているんですから間違いありません。
 以上申し上げましたように、総合判断に必要な問題というのはすべて相沢会よりも斎藤会の方が上回っていることはもう事実であります。にもかかわらず、両方から財団法人の許可をぜひ出していただきたいという要請をしたときに、ずっとすぐれている斎藤会の方に対してこういうふうに言っている。平和祈念事業の助成は、事業そのものを対象とするものだからわざわざ財団法人はつくる必要はない、そう言ってえんきょくに斎藤会の方の申請を抑えている。そして、その一方で相沢会の方に対しましては平成元年三月一日突然許可をしておるわけです。内容がずっとすぐれている方をそんなものはつくる必要はないと抑えておいて、内容がすぐれていないところに対して許可をしたという理由についてお聞かせください。
#79
○政府委員(文田久雄君) 具体的にその二つから同時に申請がありまして、そのどちらを選ぶかという選択になっていた、こういう次第は承知いたしておりませんで、全国強制抑留者協会の方につきましては、かかる法人をつくりたいという御要請が相当前からございまして、平成元年の三月にこれを許可したということでございます。法人をつくりたいというような御要望はそれなりにお聞きしておりますけれども、基金室としまして具体的にこれこれということでもって手続的にも踏みたい、かようなお話を賜っているというふうにはお聞きしていないところでございます。
#80
○山口哲夫君 斎藤会の代表の方から財団法人設立の願いをおたくの方に持ち込んだときに相手をされた方はどなたですか。
#81
○説明員(榊誠君) 私が担当の者でございますが、私ちょうど二年前に今の職についたわけですが、その段階では私の方に特に具体的にそういうお話があったということでは承知しておりません。
 ただし私、一般的に斎藤さんともいろいろなやりとりをさせていただいておるわけでございますが、斎藤さんの団体の従来行っている活動の内容が、例えばジュネーブ条約の批准の運動を促進する、あるいは今先生言われましたようにシベリアの墓参、そういう関係の事業を中心にやっておられますものですから、これが私ども平和祈念事業特別基金を所管しております総理府の所管として公益法人をつくる際に私どもの所管になるのかというような問題もございまして、具体的な申請書類を持ってまいりまして、あるいは具体的な事業計画なりの内容を持ってまいりまして御相談を受けたことはちょっと私どもの時代にはまだございません。
#82
○山口哲夫君 あなたの言っていることは、国会のように議事録がないので適当なことをおっしゃっているようですけれども、それは随分違うんじゃないですか。きちっといろんな今までの運動経過を説明し、今私が申し上げたような内容についても話をし、そして許可の申請をぜひ出したいと言ったのに、あなたの方は補助金なんというものは事業そのものに出すんだから財団法人なんかつくらなくたっていいんだ、そういうふうに言ったことは間違いないです。
 そういう経過をたどりながら、中身についてむしろ非常に問題のある方に財団法人の許可を与えたということは極めて政治的なやり方である。これは事務屋としてやるべきことではありません。あるいは上の方からそういう指示があってあなた方の考えている事務的な判断を曲げざるを得なかったのかもしれないけれども、いずれにしてもこういうものは政治的な判断で行うべきことではない、そういうふうに思います。
 それで、もし新しく申請が斎藤会の方からなされた場合、当然これは許可すべきものだと思いますけれども、いかがですか。
#83
○政府委員(文田久雄君) 先ほど来御説明申し上げておりますとおり、具体的な御提示がございましたならば、私どもといたしましては公益法人の設立許可基準に照らしまして、その目的、事業内容の公益性等諸般にわたります事項につきまして慎重に審査の上、許可すべきかどうか判断をいたしたいと思っております。
#84
○山口哲夫君 今まで申し上げたように、私が仮にその衝に当たる事務屋であったならば、政治的にどんな話が上からなされようとも、それはきちっと両方とも許可するべきものだろう。一方だけということになれば、当然斎藤会の方に許可すべき立場に立つわけです。事務的に判断すればこれはそういう内容です。それをあえて曲げて、そうでない条件の整っていない方に許可をする、しかもそれに国費五億円を助成するというやり方、私は非常に政治的過ぎると思います。
 それで、委員長にお願いしますけれども、こういう考え方でこれからの財団法人等の設立許可等を行われたのでは大変なことになります。そこで、この経過についてそれぞれの団体の代表を参考人として呼んで、内閣委員会としてこういう内容を克明に調査する必要がある、私はそういうふうに判断をいたします。したがって、ぜひ委員長のお計らいによってそういう機会を設けていただくようにお願いしたいと思います。
#85
○委員長(板垣正君) 理事会で協議させていただきます。
#86
○山口哲夫君 ぜひ理事会で協議をしていただきたいと思います。
 そこで、もう少し具体的な問題に入りたいと思います。
 政府がシベリア抑留者に関するという理由から基金を通して五億円が相沢会に出されております。なぜこれは相沢会にだけ出したのでしょうか。
#87
○政府委員(文田久雄君) 平成元年度予算におきまして、戦後強制抑留者に対する特別の慰藉事業費として先生お示しのとおり五億円が措置されましたが、その使途につきましては、基金の運営委員会におきまして検討していただいた結果、公益法人に設けられる基金に対し助成を行うことにより、その運用益によるきめ細かな慰藉事業を継続的に行わせることが最も適当である、かような結論に至りまして、これを踏まえて昨年の九月、助成金の交付を行ったところでございます。この慰藉基金の果実をもちましていろいろの慰霊事業等施行をいたしているところでございます。
#88
○山口哲夫君 シベリア抑留者に関する諸問題について慰藉事業を行うから五億円を出した、この基金の方に出したので基金の運営委員会で協議をした、こういうことですね。
 それで、きのう運営委員会の理事長さんと総務部長さんにこの委員会に出席していただきたい、私は直接要請をいたしました。そうしましたら、あした運営委員会があるので準備に忙しくて出られないというお断りの返事です。三十分でいいですから出られませんかと言ったら、出られないという話でありました。非常に私は残念に思ったと同時に、何かその中に隠されている問題があるのかなというような感じがしてなりませんでした。この基金に五億円を出したというのは、運営委員会で一切を処理していいということではなくして、初めからこれは相沢会に出すべきお金として基金に五億円を出した、こういうふうに解釈をしてよろしいですか。
#89
○政府委員(文田久雄君) 本件の五億円の予算でございますが、これら戦後強制抑留者の方々は、戦後大変酷寒の地におきまして大変な御労苦をなされた、これをさらに慰藉すべきであるという関係者の方々の強い要望がありまして予算措置が講ぜられたところでございます。
 その五億円の使途につきましては、先ほど来申し述べておりますとおり、よりきめ細かく、かつ効率的に使途していただくのが一番よろしいのではないかということでもって、特に明細なしに予算措置が講ぜられて、基金法の二十四条で設立されております基金の運営の重要事項を審議する、かようの運営委員会において御討議を賜ったということでございまして、その結果が、先ほど来申し述べておりますとおり、総理府の所管法人たる公益法人の設けております基金に助成して、それをもとにした果実をもって継続的にきめ細かな効率的な執行を期すべきである、そういうようなお答えを賜ったことでございまして、当初からさような趣旨でもって予算措置されているということでは決してございません。
#90
○山口哲夫君 そういう詭弁は弄しない方が私はいいと思いますね。
 ここに全抑協中央連合会、代表は国務大臣相沢英之中央連合会会長、これの会報があります。その会報の中に、来賓のあいさつとして三人の自民党代議士が出席しております。
 議連衆議院幹事会会長、衆議院議員吹田先生、「財団法人になったら、その組織に対して、基金を通じて、五億円を活用できることも決着した訳であります。これは一般基金とは全く別個のものであり、はっきりと強制抑留者の為に使うことに決められた金であります。」、もう自民党と政府との間で、財団法人に相沢会がなったら五億円の金はそこに行くのだということがはっきりあいさつの中で述べられております。それから東家先生、議連事務局長、衆議院議員のあいさつで、「幹事長から話のあった五億円をどう使うかということであります。幹事長と最終的の詰めの話として、自由に使えるという前提のもとで了解された五億円と解釈しております。」、もう既に自民党と政府との間で、この五億円というのは基金を通して相沢会に出すということがはっきりしているのじゃないですか。そういうことも本当に知らなかったのですか。
#91
○政府委員(文田久雄君) 繰り返しての答弁で恐縮ですが、本件措置に関しましては、平成元年の一月二十三日の、これは政府と党の了解によりまして、平成元年度に限り強制抑留者に対する慰藉事業のために別途基金に五億円の補助を行う、慰藉事業の内容については関係者の意見を尊重して基金において検討する、かような政府と党の了解のもとに措置されまして、先ほど来申し述べておりますように、基金の運営事項の重要事項を審議するという運営委員会に付議をいたしまして、その結果によって措置されたものであることを重ねて申し添えたいと存じます。
#92
○山口哲夫君 何と答弁しようとも、この連合会の機関誌の中に相沢会長自身もそうとられるような、これは五億円というのは自分の方に来ることになっていると言わんばかりのあいさつもしております。そういうことからいって初めからこの五億円は相沢会に基金を通して流すということだけは明らかであります。そういうことで、私は、基金の運営委員会の議事録をぜひ要請したいと思って出席を要請したんですけれども、断られたわけであります。非常に不誠意だと思います。
 あなたの方で運営委員会の五億円の支出に関する一連の議事録についてぜひひとつ委員会の方に提出していただきたい、こう思いますけれども、約束していただけますね。
#93
○政府委員(文田久雄君) お答えを申し上げます。
 平和祈念事業特別基金の運営委員会につきましては、その議事運営規則というのが定められておりまして、その第八条におきまして、委員会は非公開とする、かような定めがなされておりまして、先生の御要望は困難かと存じます。
#94
○山口哲夫君 運営委員会は非公開であっても議事録はとっておるはずです。少なくとも国費五億円を支出している団体です。委員会がそういうものを出してもらいたいということに対して断る理由はないと思います。委員長、いかがですか、ぜひ提出していただけるように取り計らっていただきたいと思います。
#95
○委員長(板垣正君) 理事会で協議いたします。
#96
○山口哲夫君 ぜひひとつ理事会で協議していただきたいと思います。
 そこで、この五億円の使い道については、あなたが衆議院の内閣委員会で平成元年五月二十五日にこう言っています。戦後強制抑留者の方々が、戦後酷寒の地で強制労働に従事する等大変な御苦労をされたことについての慰藉事業のために支出をいたします、こう言っております。とするならば、少なくともこの対象になる人たちは、今両方の会で明らかなように、十万人なら十万人いるといたします。そうすると、片方の人数の少ない方だけを慰藉事業をやらせて、人数の多い方の強制労働に従事した人たちの慰藉ということは全然やらなくてもいいということにもつながるわけであります。そういう点で、斎藤会の方から同じような事業をやりたいというふうに出てきた場合に、当然これは相沢会に基金を通して出したと同じように支出すべき性格のものだと思いますけれども、いかがでしょうか。
#97
○政府委員(文田久雄君) お示しの点でございますが、これはいやしくも公金の支出に係る事業でございますので、すべての戦後強制抑留者を対象として公正に執行されまするよう基金の理事長の承認を受けさせることといたしております。同基金ともども今後ともさようの御趣旨の徹底方についてさらに指導、監督に努めてまいりたいと思っております。
#98
○山口哲夫君 時間ですのでこれでやめなければならないのですけれども、十分慰藉事業が公平に行われるように指導をしたいということですけれども、そういう甘い考え方でやられてはたまったものではありません。現実に公平にやろうと思えばやれるわけであります。
 現にその五億円でやられたんでしょうか、相沢会が中心になりましてソ連抑留関係者慰霊祭というのを本年の三月一日九段会館で行われております。これは特別慰藉事業中央慰霊祭という銘を打って行われておりまして、総理府とそれから財団法人全国抑留者協会が後援になっております。行われておりますけれども、一連のこの大会の議事録、会議録を読みますと、国会議員の招待は自民党の議員だけを招待しております。これはそういう意味では先ほど来言っているように非常に政治的に偏った形をとっている。
 確かにシベリアで抑留されてお亡くなりになった方々の霊を祭る、そういう趣旨の事業は結構なことだと思います。しかし、政府の、国民の税金を出してそういうことを行う以上は当然公平を期すべきであります。憲法十四条に申すまでもなく「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と、こう書いてあります。あなた方のやっていることは憲法違反だと言っても過言ではありません。どう弁解しようが一連の今日までの経過を見、資料をつぶさに調べてみてもそういうことが言えると思います。
 しかも、運営委員会の理事長はあなた方の先輩、総理府の次長をついこの間までやった方であります。総務部長、これもあなた方の先輩、総理府大臣官房参事官であります。そういう少なくとも公務員の職責を持ち、高級役人として国民のための政治、行政をあずかっていかなければならない立場にある人たちが、極めて政治的な判断で財団法人の許可をし、国費の支出を行っていくというやり方は公務員としてあるまじき行為であります。私は、あなた方がそういう責任を当然負うべきだと思います。きょうは官房長官がいないのが非常に残念でありますけれども、国民の名において、そういうことを平気で行ってきたあなた方の責任を今後も追及していきたい、そういうふうに思います。
 以上で終わります。
#99
○吉川春子君 いわゆる中国残留婦人の帰国、定着問題について質問いたします。
 長野県の泰阜村は戦前満蒙開拓団を黒龍江省に送り込み、分村をつくりました。そのため大量の戦争犠牲者を出した悲劇の村です。埼玉県の荒川村を初め全国でこういう自治体が幾つかあるわけですけれども、きょうは残留婦人の問題に絞ってお伺いしたいと思います。
 昨年の九月、NHKスペシャルで「忘れられた女たち」という番組が放映されました。そのときにも触れられていますように、一時あるいは永住帰国に当たって身元保証人が必要とされており、内親等にこれを頼めない場合は第三者、自治体などが身元引受人となるわけですけれども、その場合でも肉親の同意が必要とされてきましたので、その肉親が同意しない場合は帰国できない、こういう問題があるわけなんですね。
 同意を与えない肉親の側にもさまざまな事情がありまして、戦後四十数年たっていると。そしてもう自分の代ではなくて子や孫の代になっているとか、さまざまな事情があって肉親側が同意を与えないということも無理からぬというふうに私は思うわけです。こういう問題について、やはり戦争という国家の行為により犠牲にされた方々ですので、国が身元引き受けになり、あるいは肉親の同意なしにこういう婦人たちを帰国させられるような手だてを講ずべきであると思いますが、いかがですか。
#100
○説明員(田代章一君) お答え申し上げます。
 一時帰国の際に旅費等の国庫負担をいたしておりますけれども、先生御質問いただきましたように、一時帰国制度そのものにつきましては、中国と国交正常化しました翌年の昭和四十八年から一時帰国制度が発足いたしました。
 この制度につきましては、肉親訪問でありますとか、あるいは肉親の墓参をするというような目的で発足したわけでございまして、この一時帰国制度によりまして帰国を希望される場合につきましては、滞在費を含めまして滞在中のお世話をするということもございます。そういうことで基本的には在日親族の同意を得ながら帰国をしていただくということが望ましいというふうに考えております。
 従来から大半のケースにつきましては、在日親族が身元引き受けを行うということで一時帰国が実現いたしております。また、在日親族によって身元引き受けが期待できない、今先生申しましたような事態でいろいろな状況ございますけれども、そういう状況の中で身元引き受けが期待できないという場合につきましてはボランティア団体でありますとか、あるいは知人等の第三者によって身元引き受けするということも可能でございます。このような場合でありましても、それに要します帰国旅費の負担をいたしておるところでございます。
 近年は、先生も御承知だと思いますけれども、ボランティア団体等が集団的な一時帰国という事業を試みておるところでございますけれども、厚生省といたしましては、このような集団一時帰国をするというような場合でございましても、同様に帰国旅費を負担しておりまして、そのほかに関係都道府県の協力を得ながら帰国時の出迎えでありますとか、あるいは落ちつき先の確保でありますとか、そういうものに努力をいたしておるところでございます。
 さらに厚生省といたしましては、外郭団体でございますけれども、財団法人中国残留孤児援護基金というのがございますが、そちらの方を活用いたしまして、本年度におきましては往復の旅費を国が負担するというようなことで、滞在費を含めました滞在中のお世話を援護基金にやっていただくというような形をとりまして、残留婦人の方々が一時帰国をしたいという希望をかなえることについて努力をいたしておるところでございます。
#101
○吉川春子君 自治体とかボランティア団体が身元引受人になった場合、肉親の同意書が今までも必要とされたんですけれども、その点についてはどうなりますか。必要なくなったということですね。
#102
○説明員(田代章一君) 現在私どもで行っております身元引受人制度と申しますのは、現在は例えば中国残留孤児につきましては必要といたしておりません。
#103
○吉川春子君 ちょっと済みません、よく聞こえません。
 もう一度確認しますが、肉親の同意書が必要なくても帰国できるというふうにことしから変えたと、そういうふうにおっしゃったんですね。
#104
○説明員(田代章一君) 中国残留孤児と中国残留婦人ということでございますけれども、残留婦人につきましては、身元引き受けを行う方々が、国費でもって帰国したいという場合には国費の申請をしていただくわけです。その場合はその帰国申請書をもって身元引き受けにかえるというようなことでございます。
#105
○吉川春子君 済みません。その場合に、身元引き受けにはその申請をもってかえるんだけれども、重ねて、その場合に肉親の同意というのは必要ないんですよね。そこだけお答えください。
#106
○説明員(田代章一君) 先ほど申し上げましたように、一時帰国の目的が墓参あるいは親族訪問ということでございますので、帰国後のトラブルを防ぐというような趣旨から在日親族のできるだけ同意がある方が帰国促進につながるというふうに考えております。
#107
○吉川春子君 できるだけでいいんですね。どうしても得られない場合はそれを必要要件とはしない、こういうことでよろしいですか。
#108
○説明員(田代章一君) できるだけと申し上げましたけれども、これは先ほど申し上げましたように、やはり肉親間のトラブルを防ぐというのが前提でございますので、帰国するという同意は必要だと思います。ただ、肉親のところに一緒に住まなきゃいけないとかそういうことではございません。帰ってくることについては同意していただくということでございます。
#109
○吉川春子君 そうすると今までとどういうふうに変わったんですか。今までは肉親の同意がなければ第三者が身元引受人になっても帰ってこられませんでしたよね。その今までの方法と基本的には変わりないということですか。それとも何らかの改善があったんですか。
#110
○説明員(田代章一君) 基本的には変わっておりませんが、同意を必要としないということについては変わっておりません。
#111
○吉川春子君 済みません。同意を必要としないということについては変わってないというと、全然意味が通じないんですけれども、そこをちょっとはっきりおっしゃってください。
#112
○説明員(田代章一君) 従来の制度でございますとその同意書が必ず必要であるということできておりました。今先生がおっしゃいましたように、その必ずという意味での同意書は必要でないということでございます。
#113
○吉川春子君 それから、帰国旅費の支給の対象者が本人または配偶者、そして十八歳未満の子供ということになっているんですけれども、そういたしますと、もう六十過ぎ、七十過ぎの婦人たちですから十八歳未満の子供ということではもうなくなりまして、孫ももう二十になるとか、そういう年代の人なんです。ですから、対象を十八歳未満の子としないでただ子供としたり、あるいはその孫の範囲にまで拡大してほしい、そういう強い要求があるんですけれども、それはどうですか。
#114
○説明員(田代章一君) 帰国費用を支出いたします場合に、永住帰国と一時帰国両方あるわけでございますけれども、この対象者につきましては、一時帰国の場合ですと、一時帰国ですから当然御本人が先ほど申し上げましたように墓参であるとか肉親訪問という目的でお帰りになるわけです。そういう趣旨からいたしまして、御本人と、それから御本人が病気をしているとかけがをしているとかというようなことで介護が必要であるというような場合がございます、それから今先生おっしゃいましたように十八歳未満の場合、こういうところで今支給の対象を限定しております。
 ただ、これをそれ以外の方、例えば十八歳以上の方でありますとかそういう場合についてまで拡大するという考えはございません。
#115
○吉川春子君 いやいや、それは拡大しないということによって配偶者だけになっちゃうわけですよね。そうすると大変困るという強い要求があるんですけれども、その点について今後ぜひ検討していただきたいと思うんです。
 それで、泰阜村では今十三名の村出身の中国残留婦人がまだ中国にいるわけですけれども、この秋から来年にかけて里帰りを希望する十三名でしたか、婦人を村の世話で呼ぶんですけれども、その場合の旅費の適用なんですけれども、これは十年に一遍というふうになっているわけですね。十年に一遍となりますと、もう高齢の方も多いわけですから、本当に実情にそぐわないわけです。少なくとも三年に一遍とかもっと期間を縮めていただきたいと思うんです。いろいろ詳しい答弁は要りませんので、要するに十年を三年ぐらいに縮めて、危篤とかそういう特別な事情じゃなければ認めないということじゃなくて、もっと簡単に帰国旅費が出るような、そういう改善をしていただきたいと思うんですけれども、その点端的にお答えください。
#116
○説明員(田代章一君) 今先生申されましたことにつきましては、恐らく再一時帰国の制度のことではないかと思います。
#117
○吉川春子君 そうです。
#118
○説明員(田代章一君) この再一時帰国制度につきましては、昭和四十八年に一時帰国制度、再一時帰国制度の前の一時帰国制度がございますが、これを四十八年に制度化いたしたわけでございます。発足しまして十年を経過いたしました段階で大半の方々が……
#119
○吉川春子君 済みません、詳しいことはいいんですけれども、縮められないかということに限ってお答えいただきたいんです。
#120
○説明員(田代章一君) それで申し上げますと、十年を経過した後に再度一時帰国をしたいということで、そういう要望がございましたので、六十二年に再度一時帰国をしたいという希望の方々を受け入れるために再度一時帰国を認めたわけでございます。その再一時帰国につきましては、先ほど申し上げましたように昭和四十八年に一度一時帰国制度をつくっておりますので、それによる経験者というのが大半でございます。そういう方々がこの再一時帰国制度を適用していただければ大半の方はその制度によって救われるというふうに考えております。
#121
○吉川春子君 ちょっと時間がないので端的に、その救われない場合を私は聞いているんですけれども、だから十年たたないとまた帰ってこれないという場合、例えば泰阜村でこの際一時里帰りを認めようとしているんですけれども、そうするとその旅費が出ない人がたくさん出ちゃうんですね。そうじゃなくて、やっぱり十年というふうにきちっと決めないで、そういう高齢者も多いわけですから、もっと期限を縮めて五年とか三年とか、そういう期限で再帰国できるようにその点の改善をお願いしたい、どうですか。
#122
○説明員(田代章一君) ちょっと舌足らずでございました。今十年を三年ないし五年というようなところでやってもらえないかという御趣旨でございますが、この十年というのはおおむね十年ということでございまして、先生おっしゃいましたようにかなり高齢化していることは承知しております。そういうことで高齢化あるいは肉親側に病気等の事態があるというようなことで緊急に帰国を必要とするというような場合につきましては、そのおおむね十年というものを弾力的に運用するということで帰国の促進を図っていきたいというふうに考えております。
#123
○吉川春子君 その集団的に一時里帰りさせるという泰阜村の場合、全員に旅費が出るように弾力的な運営してもらえますね。
#124
○説明員(田代章一君) ただいま申し上げましたようにこの制度につきましては、やはり十年というのは前回からの十年ということでございますので、先ほどの一時帰国制度からほとんどの方が十年を経過しております。そういうことで今おっしゃいました泰阜村の方々がその十年を経過しておれば、直ちにこの制度によって帰国旅費を負担するということは可能でございます。
#125
○吉川春子君 ちょっと私の質問をちゃんと受けとめてほしいんですよ、それでひっかからない者についてどうするかと質問しているんですから。十年経ていれば直ちに旅費が出るのは当たり前じゃないですか。そうじゃなくて、その制度の適用によっては救えない人たちがいる、だからそういう人たちにもこの制度を拡大して弾力的にやってほしいということなんです。それは検討していただけませんか。
#126
○説明員(田代章一君) この十年経過といいますのは、先ほど申し上げましたようにおおむね十年ということを申し上げておるわけでございますけれども、その個別のケースによって弾力的な運営ができれば可能だと思います。
#127
○吉川春子君 じゃその点ひとつよろしくお願いいたします。
 法務省にお伺いいたしますが、中国に残された婦人たちで国籍を失っている人たちがいるんですけれども、日本にいたということははっきりしているわけです。そういう婦人たちを入国させるに当たりまして、日本人として入国させる方法はないものでしょうか。といいますのは、日本人として入国しませんと旅費が出ないものですからね。それとの関係で、中国のパスポートではなくて日本人としてぜひ入国させるように御尽力いただきたいと思いますが、いかがですか。
#128
○説明員(堀口松城君) 我が国の法制上、日本国籍を持たない者を法律上日本人として処遇することはできないところでございますけれども、中国残留婦人と言われる方々に関しましては、日本国籍を確認できない場合であっても、日本人の子として出生したということが認められます場合には日本人の子としての事情を勘案して、考慮して入国、在留を認めてきております。したがいまして、六月一日から施行いたします新入管法のもとにおきましても、日本人の配偶者等というその在留資格のもとで入国、在留が認められるということでございます。
#129
○吉川春子君 そうしますと、日本人の子としてということが証明されればというのは具体的にどういうことですか。村の人たちがこの人はこの村にいたんだと、日本人なんだと、こういうことで証明できるわけですか。
#130
○説明員(堀口松城君) おっしゃるとおりでございます。
#131
○吉川春子君 わかりました。ちょっと時間がないんで、中国残留婦人の問題はこの程度にしたいと思うんですが、ともかく日本に帰りたい帰りたい、一日千秋の思いで中国に暮らしているわけですね。生活も厳しい。だから、私はこの問題について引き続き質問してまいりますけれども、ぜひそういう婦人たちの願いがかなえられるような方向で引き続き御努力いただきたいと申し上げておきます。
 それから、先ほど山口先生がやられましたいわゆる相沢派、斎藤派の問題についてですけれども、この五億円の基金を相沢派に補助金として出したと、助成したと、その理由は何でしょうか。
#132
○政府委員(文田久雄君) お答えを申し上げます。
 お示しの法人が広く戦後強制抑留者にかかわる方々の公益活動を実施するという団体であることにかんがみまして、先ほど来申し述べておりますとおり、基金の運営委員会において当該法人に助成するのが相当であると、さようの建議を賜りましたので、その建議に沿って措置したところでございます。
#133
○吉川春子君 いわゆる斎藤派にその助成をしなかった理由は何ですか。
#134
○政府委員(文田久雄君) 基金の運営委員会においては種々御検討がされたと存じます。一つは、当該法人が広く不特定多数の方々を含めた関係者の方に対する慰藉事業を行うにふさわしい、かような判断があってさようの措置をとったと、こういうことでございます。
 先生お示しの斎藤会に助成しなかったということについては、これは基金の運営委員会で、一括して当該基金のより細かな効率的な執行をどのように確保するかということで当該団体が相当であると、さような判断が示されたためでございます。
#135
○吉川春子君 法律を制定した時点では、二つの団体とも財団法人でなかったわけです。だから同じ立場だったと思うんですけれども、その一方についてこっちは適当だとしたと、この一方にこっちは適当としなかったという理由が、将来に向かってどういう事業をやれるか、広くやれるかということを理由にして相沢派の方に助成したと、こういうことですか。
#136
○政府委員(文田久雄君) お答えを申し上げます。
 当該五億円と申しますのは、これは国民のとうとい血税をもって措置されているものでございますので、当該執行については政府としてもしかとして監督し得る立場においてそれが執行されることを担保される必要があろうと存じます。ただいま先生お示しがございましたが、既にその法人が設立されておりましたし、その法人に助成してしかと執行していただくのが相当と、かような判断があって措置したところでございます。
#137
○吉川春子君 いわゆる斎藤会の方もその時点で財団法人を設立していればそちらに行ったかもしれないわけですね。
#138
○政府委員(文田久雄君) その当時に斎藤会が法人の設立があったらばという仮定の問題でございますので、お答えに窮するところでございますが、いずれにいたしましても、これは五億円まとめてやはり効率的に執行されるべきである、さようの観点から当該法人が指定されたものと判断をいたしております。
#139
○吉川春子君 相沢会の方に五億円を助成した理由として、それは財団法人だからと、こういうふうにおっしゃるわけだから、斎藤会の方が財団法人でなかったから助成ができなかった、こういうことになるんじゃありませんか。だから、その当時斎藤会の方が財団法人を設立していればそちらに行く可能性もあったのじゃないですか。それとも財団法人を設立していようと何しようと斎藤会の方に行く可能性はなかったと、そういうふうにおっしゃるのですか。
#140
○政府委員(文田久雄君) 重ねてのお答えで恐縮でございますが、これは貴重な資金でございますので、有効かつ効率的に使用することができまするよう、この事業を推進するにふさわしい公益法人が新たに設けられた基金に対して必要な助成を行う、こういう趣旨でございまして、公益法人であるからと、かようの一点のみをもって助成をしたということではございません。
#141
○吉川春子君 そうすると、そのほかの理由はどういうことですか。公益的法人のみではないとおっしゃるのだから、もう一つほかの理由とは何ですか。
#142
○政府委員(文田久雄君) 先ほど来御説明申しておりますとおり、当該全国強制抑留者協会というのは崇高な目的を持って設立されておりまして、その目的、事業内容、それらを判断して同協会に助成をいたした次第でございます。
#143
○吉川春子君 平和祈念事業特別基金運営委員会で決定したということですけれども、この運営委員会の中には二つの団体の双方の幹部の方がメンバーとして入っているんですか。
#144
○政府委員(文田久雄君) お示しの二つの団体からそれぞれ出ているかと、こういうお尋ねかと存じますが、そういうことにはなっていないと存じます。
#145
○吉川春子君 どちらの会の方が運営委員会のメンバーになっているんですか。
#146
○政府委員(文田久雄君) これは私どもが考えておりますのは、戦後強制抑留を経験という関係者の一員として戦後強制抑留者関係の方としてお一人、運営委員会十名のうちの一人として御出席していただいておりまして、当該運営委員は専一団体、一会派等々の観点から論ずるのじゃなくて、広く戦後強制抑留者問題について識見を有する、こういう観点から御出席を賜っていると聞いております。
#147
○吉川春子君 その方の名前と現在の役職を言ってください。
#148
○政府委員(文田久雄君) 青木泰三氏でございます。財団法人全国強制抑留者協会の理事長でございます。
#149
○吉川春子君 そういう一方を入れているということは――その二つの会はとにかく相対立していろんな点で争っているわけですね、現時点で。そういうことだけから見ても、一方の方だけ運営委員会のメンバーに入れて、そして運営委員会がその人の入っている方に五億円の助成をするというのはいかにも不公平で、行政の中立性とは相入れないと思うんです。この運営委員会の人事も二年ごとに改正になりますけれども、こういう不公平は今後は是正していただきたいと思いますが、どうですか。
#150
○政府委員(文田久雄君) お示しの運営委員会は基金の運営に関する重要事項を審議する機関でございますので、公正かつ客観的な立場において高い見地から審議していただくことにいたしております。したがって、委員にはいわゆる戦後処理問題について幅広い見識を有する方をもって充てているところでございますので、今後ともその構成についてはその趣旨が生かされまするような任命をいたしてまいりたいというふうに考えております。
#151
○吉川春子君 今後ともではなくて今後はですね。今後はもっと中立公正にやっていただきたいというふうに思うわけです。
 国の五億円という基金を特定の団体に助成しちゃうというようなことは本当によくないことですし、先ほどもいろいろありましたけれども、その団体の運動の実績とかそういうことから考えましてもいかにも政治的な決定であったというふうに思われます。その点については全シベリア抑留者のために活動できるようなそういう体制、そういう内容にするように強く要望しておきたいと思います。
 時間がもうわずかになってきましたので、最後に従軍看護婦の慰労給付金の問題について一言お伺いいたします。
 従軍看護婦の方の慰労給付金というのがあるわけですけれども、この給付者の七割弱の方が実務期間が三年から五年まで、年額が最低の十二万円、こういうところに集中しているわけですね。片や恩給と比べてみて、恩給とは性格が確かに違うというところからスタートはしているんですけれども、それにしても恩給の方は現行最低保障額が四十六万三千二百円、今度の改正では四十七万七千円になるわけで、この比較からいっても非常に看護婦さんの方は低いというふうに思うわけです。この格差といいますか、こういう給付内容の引き上げについて強く検討していただきたいと思います。これが第一点です。
 もう一つは、従軍看護婦の方の中にもこの給付金を受けられない欠格者の方がおられるわけです。現在一万三千六百人いるわけですけれども、もう非常に高齢の方もおられるというふうに聞いています。軍人恩給の欠格者について昨年度から何らかの措置を講ずるというふうに聞いていますけれども、どういう措置を講じられるんでしょうか。少なくとも従軍看護婦にも軍人恩給の欠格者と同様の問題がありますので、そういう問題も解決するために努力していただきたい。
 その二点、質問します。
#152
○政府委員(櫻井溥君) 御質問は二点あったかと思うわけでございますが、旧日赤の看護婦さん、それから旧陸海軍の従軍看護婦さんに対する慰労給付金の値上げの問題でございますが、これは先生御案内のとおり、兵役の義務のない女性の身でありながら戦時中の救護医療業務に従事したという非常に特殊な事情に考慮いたしましてとられた措置でございます。したがいまして、所得を保障するという意味におきましての年金的な性格を有しているわけではございませんので、本来でしたらこの額改定というのはその都度行うものではございませんが、過去二回ほど物価の上昇等を考慮いたしまして給付改善をした経緯もございますので、その点を踏まえながら将来これを検討してまいりたい、こう思うわけでございます。
 それから、お尋ねの二点目のいわゆる資格要件を満たしていない、期間が足りない方々に対する措置でございますが、これは先生も先ほど御指摘のございましたように、いわゆる恩給法の適用を受けない、外の別な系列の関係者でございますので、全く同じような扱いをするということにつきましてはいろいろと問題があろうかと思います。現時点におきましては、恩欠者に対する措置がどのような内容かは別といたしまして、いわゆる看護婦さんの期間の短い方に対する措置等につきましては現在のところ考えてはおりません。
#153
○吉川春子君 そういう答弁じゃ納得できません。やっぱり戦争で大変御苦労されて、しかも女性の身で激しい戦争のもとをくぐってこられた方々ですから、考えておりませんなんてそんな冷たい答弁では納得できないんです。いろんな問題はあろうけれども、やっぱりこの問題は常に念頭に置いて従軍看護婦の方々にも少しでもいい内容になるように努力していただきたいと思いますけれども、どうですか。
#154
○政府委員(櫻井溥君) 答弁の繰り返しで大変恐縮でございますけれども、時間がございませんもので詳しくちょっと御説明できないのでございますが、先ほどお話がありました看護婦さんに対します慰労給付金を出す措置のそもそもの基本は特別な異例の措置であるというところから出発しておるわけでございます。したがいまして、それの延長といたしましてさらに拡大するとか等につきましてはいろいろと踏み込んだ話になろうかと思います。現時点では少なくとも考えておりませんということを、まことに残念でございますが、答弁を繰り返させていただきたいと思います。
#155
○吉川春子君 時間なので終わりますが、納得しませんよ、そんな答弁。
#156
○中川嘉美君 今回の本法律案の提案理由説明によりますと、恩給年額を平成元年における公務員給与の改定、そして消費者物価の上昇その他の諸事情を総合勘案して平成二年四日から二・九八%引き上げようとするものであって、今回のこの恩給の増額改定に当たって勘案した昨年の公務員給与の改定及び消費者物価の上昇というものはどのようなものであったのか、この点まずお答えをいただきたいと思います。
#157
○政府委員(石川雅嗣君) 二・九八%の算定根拠とした公務員給与の改定率と消費者物価の上昇率はどうであったか、こういうお尋ねでございますが、私どもがこの際に考慮に入れました公務員給与の改定率と申しますのは、行政職(一)の俸給表、これが公務員の基本的な俸給表であるというふうに理解しているわけでございますが、この行政職(一)の俸給表の本俸改定率が三・一五%であった、このように理解しているところでございます。また、消費者物価の上昇率につきましては、予算編成時におきます見込みが二・三%でございまして、この数字を参考にしながら検討させていただいたわけでございますが、消費者物価につきましては結果的にも昨年一年間の上昇率は二・三%ということで、見込みの数字と同じ数字に結果的にはなった、こういうことでございます。
#158
○中川嘉美君 ただいま御答弁いただいたように、公務員給与の改定率の方は三・一五%という御答弁であったわけですが、消費者物価の上昇率の方は二・三%。これを見てみますと、公務員給与の改定率の方は小数点以下が第二位まで、三・一五ですね。それから消費者物価の上昇率の方は小数点以下が第一位ですね、二・三%。この両者で小数点以下の位のとり方が現実に異なっているわけですけれども、その理由をここで伺いたいというのと、それから数字の出どころと入手方法、この辺もう一回ちょっと詳しく教えていただきたいと思います。
#159
○政府委員(石川雅嗣君) 公務員給与の改定率につきましては、これは私どもいろいろ人事院勧告における数字等を参考にさせていただいているわけでございますが、ただ、私どもが恩給の改善に当たりまして従来から参考にさせていただいております改定率と申しますのは、行(一)の俸給表でもってとらせていただいているということでございますので、この点につきましては人事院の方からもいろいろ御教示をいただいたりしてきたところでございます。また、消費者物価につきましては、従来から総務庁の統計局がはじいております、公表されている数字に従いまして、その数字を参考にしながら検討させていただいている、こういう状況でございます。
#160
○中川嘉美君 この消費者物価の上昇率ですか、これについては総務庁の統計局、それから公務員給与の改定率については人事院がそれぞれ数字の出どころというふうに私たちは解釈しているわけですけれども、人事院から一般に公表されている国家公務員行政職の俸給表、これを見てみますと、給与改定率、これが先ほど三・一五ですか、これがこの表を見てみますと三・二%、小数点以下一けたですね。こういうふうになっているわけで、たとえ三・一五%を四捨五入した結果が三・二%になったとしても、人事院という権威ある機関が一般に公表した数字と別の数字がこのような形で用いられる、これは極めて問題ありと言わざるを得ないと私は思います。ちなみに、公務員給与の改定率を三・二%とすると、今回の恩給改定率は三・〇二%になってしかるべきではないかということなんで、いずれにしても人事院が公表している数字三・二%を恩給の増額改定の基準にすべきではないか、このように考えますけれども、人事院及び総務庁のこれに対する御見解を承りたいと思います。
#161
○政府委員(森園幸男君) 官民較差を埋める場合に、私どもは俸給月額、いわゆる俸給表の改善のほかに諸手当の改善等があるわけでございますが、俸給月額の改善につきましては、先ほど恩給局長から答弁がございましたように、率で言いますと三・一五ということです。私どもは通常小数点以下一けたで公表しておりまして、これは御案内のように私どもの勧告の中身といいますのはパーセント自体に強い意味があるわけじゃなくて、そのもとになります金額、額の方に意味がございまして、額で言いますと昨年の行政職(一)の改善額は七千七百四十六円ということでございまして、それのもとになりました俸給月額が二十四万五千七百二十二円ということでございますので、その額に重きがあるわけでございますが、これを率に表示する場合に私どもは数字を一けたまでで表示をしているにすぎないということでございます。額であるということを御理解いただきたいと思います。
#162
○中川嘉美君 時間がないんでどんどん進みたいと思いますが、こうやってパーセンテージで出ている以上、先ほど来のような発想に立たざるを得ない。片や小数点以下二けた出ているわけですから、一けたの場合で計算すれば全然違ってくる。そういうことでこの問題、これは時間がないんでこれ以上質問を重ねませんけれども、これは今後の問題としてやはりここで提起しておかなきゃならないんじゃなかろうか、こう思います。
 次に、平和祈念事業特別基金について若干伺っておきたいと思いますが、この基金については昨年十二月二十二日に平成二年度予算折衝の過程において、政府・自民党との間で四項目から成る了解が行われている。これを受けて平成二年度予算に一部措置がされているわけでありますけれども、まずこの了解に至る経緯及び了解の趣旨、この辺をここで伺っておきたいのと、また了解事項において基金果実による新規の恩欠者慰藉事業、これを開始することとしておりますが、この事業の対象となる恩欠者の範囲並びに事業内容についてもここで御答弁をいただきたいと思います。
#163
○政府委員(文田久雄君) まず、昨年十二月二十二日に政府と党との間で交わされました了解のことについてお答えを申し上げます。
 これは平成二年度予算の編成に当たりまして政府と自民党の間で了解された事項でございますが、一つは平和祈念事業特別基金に対する出資枠を現行の二百億円から四百億円に拡大すること、二、追加出資の二百億円は現行枠二百億円の出資完了後に造成すること、三、平成二年度の出資額は六十五億円とすること、四、書状・銀杯贈呈事業に加え基金果実による新規の恩欠者慰藉事業を開始すること、及び、事業の内容は基金の運営委員会で検討するものとし政府はその結果を尊重すること、五、これによりいわゆる戦後処理問題に関する措置はすべて確定、終了したというものでございます。
 それから、二番目のお尋ねは、その新規事業の内容いかんということであったろうと存じますが、これは基金の運営事項の重要事項を審議します運営委員会において現在鋭意その内容について御討議を願っているところでございます。
#164
○中川嘉美君 質問をよく聞いておいていただきたいと思うんですね。何か大ざっぱな答弁で、先ほどから事業の対象となる恩欠者の範囲も聞いているわけなんです。これはどうなっていますか。
#165
○政府委員(文田久雄君) つまびらかに確定いたしておりますならば先生の御趣旨に即してお答えいたしたいんでございますが、その対象者の範囲それから具体的な細目についてもその基金の運営委員会に付議をいたしておりまして、まだ内容については私たちも承知いたしておりません。したがって細かに先生に御答弁できない状態でございます。
#166
○中川嘉美君 時間がありませんから余りがたがた言いたくないんですが、責任ある立場で、やはり先ほど来の同僚委員の皆さんの御質問に対してももう一つ明確さを欠くというか、責任ある立場で責任ある答弁といいますか、これを私たちは本当にこの際強く要望しておきたい、こう思います。
 平和祈念事業特別基金において既に六十三年度から戦後強制抑留者に対する慰労品及び慰労金のこういった贈呈事業を開始するとともに、昨年度から新たに外地勤務の経験を有する恩給欠格者、こういう人たちに対しても書状及び銀杯等を贈呈する事業を行っているわけですが、そこで、事業別にこの対象者数それから応募者数、贈呈者数、さらには進捗率がどのようになっているのか、この辺もお答えをいただきたいと思います。
#167
○政府委員(文田久雄君) お答えを申し上げます。
 まず恩給欠格者に対する書状、銀林の贈呈事業につきましては、事業対象者数は約百八万人でございまして、請求者数が平成二年の三月末現在で約十五万六千件でございます。贈呈件数も同じく平成二年三月末現在で書状と銀杯とを合わせまして三万四千件でございます。
 次に、戦後強制抑留者に対します慰労品等の贈呈事業につきましては、恩給等非受給者の事業対象者数は約二十八万四千人でございまして、請求者数は平成二年三月末現在で約十五万七千件、贈呈件数が同じく平成二年三月末で十三万五千件でございます。
 次に、恩給等受給者の事業対象者数が、これは約十八万九千人、請求者数が同時点で約九万五千件、贈呈件数が同時点で三万三千件。
 次に、抑留中死亡者の事業対象者数でございますが、これが約五万五千人、請求者数が同時点で約二千件、贈呈件数が同時点で一千件、かようの実態になっております。
#168
○中川嘉美君 いわゆる戦後強制抑留者の中の恩欠者に対しては慰労金十万円が贈呈されているわけですけれども、この慰労金の金額水準を含めて平和祈念事業特別基金の贈呈事業に対する戦後強制抑留者の反応、これは一体どんなものであったのか、ちょっとこの点お聞きしておきたいと思います。
#169
○政府委員(文田久雄君) 私どもにお越し賜る方々の意見やらおはがき等で承知する範囲でございますが、書状あるいは銀杯、あるいは戦後強制抑留者に関しましては十万円の慰労金を支給するというふうないろいろな国の謝意を示しているということについて、私どもの方でお聞きするところでは、大変好意的な御返事を承っております。
#170
○中川嘉美君 そういう御答弁でもありますが、戦後強制抑留者に対する慰労品のうちの銀杯について、恩給受給者には三つ重ねというんですか、これは具体的な話になってしまいますが、恩給欠格者については単杯ですね、一つの杯ですけれども、このように聞いているわけで、こうした慰労品の性格からして受給者によってこのような差をつける、設けるといいますか、ちょっと趣旨に反するのじゃないか、こう思います。このことを知ったら、当事者としてせっかく感謝の気持ちといいますか、そういったものは逆に怒りを覚えるのじゃなかろうか、こんなふうにも思うんです。恩給受給者には慰労金の十万円が増呈されなかったことが背景にあるかもしれないけれども、しかしそれは恩給を受給しているということでもってそれなりの割り切りも必要であったのじゃないか、こんなふうに思うわけです。
 そこで、ここでは恩給受給者と恩給欠格者とで慰労品に格差をつけた理由、なぜそういうふうに格差をつけたのか。また、今後の慰難事業の実施に当たってはぜひともこれは公平を旨として対処されたい、してもらいたいというふうに感じるわけですが、このことを強く要望して、今の、なぜ格差をつけたのか、この辺の理由、ちょっとお答えいただきたいと思います。
#171
○政府委員(文田久雄君) まず、先生の御指摘は、シベリアにおきますところの戦後強制抑留者に対する慰藉の対応と、それからそうでない恩給欠格者に対する措置との格差、乖離と申しますか、その点のお尋ねかと存じますが、戦後強制抑留者の方につきましては、御案内のとおり、大変酷寒の地におきまして強制労働に服されるという大変御労苦いただいた、こういうことにかんがみまして、書状、あわせて銀杯、それに慰労金の十万円、かようの手当てを講じているところでございます。恩給欠格者につきましても、これは大変その御労苦ということについて同情し得るところがありますので、これについても書状と銀杯。ただ、先生がお示しのとおり、恩給を受けておられる方につきましては、これはその基礎在職年にその年数が通算されているということもかんがみまして、強制抑留者の方につきましては恩給をもらっている人については先生お示しのとおり三つ重ね、いわゆる一組みという手厚い措置を講じているところでございます。
#172
○中川嘉美君 私の意見としてぜひお聞きおきをいただきたい、こう思います。
 最後に、これは質問じゃありませんが、いずれにしてもこの慰労品とかあるいは慰労金の受給者は非常に高齢者であることも当然想像されるわけで、できる限り早急に処理するとともに、贈呈漏れがないように対象者に対する周知徹底方をこの席で強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
#173
○星川保松君 恩給欠格者の問題を中心に質問いたしますが、その前に、きょうも戦後抑留者の皆さんのことでいろいろと質問がございました。前にも私は指摘をしたことがございますが、いわゆる平和祈念の基金でもって慰藉事業をやるということになっておるわけでございます。あなた方行政の担当者がどうも慰藉ということを十分わきまえておられないのではないかという気がしてならないのでありますが、慰藉事業の慰藉という言葉の意味をどのようにとらえておられるか、まずお伺いしたいと思います。
#174
○政府委員(文田久雄君) 慰藉ということについてどのように認識しているかというお尋ねかと存じますが、これは、これらの方々の御労苦をしのびまして心よりお慰め申し上げたい、かようの心を込めた語彙かと存じております。
#175
○星川保松君 そのとおり、いわゆる傷ついた心をお慰めする、心を慰めるというのが慰藉なわけでございます。そういう非常に微妙な仕事をあなた方がなさっておるわけでありますから、細心の注意をして行政を運びませんと、逆にその心を傷つけるようなことになってしまうということですね。
 先ほどからいろいろお聞きをしておりますと、相沢会と斎藤会というのがあって、その取り扱いについてはかなり私は斎藤会の方の会員の皆さんが傷ついたのではないか、こういうふうに思うわけでございます。ですから、公平を欠いて一方の皆さんを傷つけるというようなことでは慰藉事業の目的に反するわけでありますから、そういうことについては今後は十分ひとつ反省をして事を進めていただきたいと思いますが、その点、どうお考えですか。
#176
○政府委員(文田久雄君) 私ども本件の業務を担当いたしておりますが、戦後強制抑留者の問題につきましては、これは一つの団体のことのみで判断しているのじゃありませんで、広く戦後強制抑留者の方々の御労苦ということにかんがみまして全体的な視野で判断をいたしておりますが、なお御不興の点がございましたならばこれは改め、今後ともこれらの方々のために誠意を持って業務を執行してまいりたい、かように考えております。
#177
○星川保松君 ひとつ今までの指摘されましたことは十分反省をして公平に進めていただきたい、こう思います。
 この戦後処理問題については、関係の皆さんから大変多くの不満が出ておるようでございます。その原因は、日本の戦後処理が非常におくれておるということにある、こういうふうに思います。第二次大戦の関係国などもお聞きいたしますと、ほとんどがもう早々と戦後処理は解決済みで、四十五年もたってまだ解決がつかないというのはもう日本だけだということを聞くわけでございます。そういうことで、おくれておるということによっていろいろな不満がまず出ておると思うわけでございまして、四十五年にもなれば第二次大戦の際の二十の人がもう六十五歳になるわけでありまして、六十五歳といえばもう老齢人口に数えられるわけでございます。もう先が短いという焦りもあるようでございます。
 そういうことで、少し具体的に恩給欠格者の問題をお尋ねいたしますが、恩給欠格者に対する銀杯の支給は七十歳以上、こういうふうになっておるわけでありますが、七十歳を待たずに亡くなっていくという方が非常に多いようでございます。そういう方々を救済するためにこの七十歳にならなければ請求できないというような制限をひとつ撤廃してはどうか、してほしいというような声がありますが、これはどうお考えでしょうか。
#178
○政府委員(文田久雄君) ただいま先生の御指摘の気持ちは私ども十分理解できるところでございますけれども、何しろ恩欠者の方について申しますと該当者が約百八万人に上るという数でございます。したがいまして、より早い執行という見地に立ちましても、私どもといたしましては高齢者から順にという配慮が相当ではないかと考えております。何はともあれ業務の迅速な執行というのが何よりと存じておりますし、基金に対しましてもさようの方針で指導いたしております。さらに努力を重ねてまいりたいと存じております。
#179
○星川保松君 百八万という大変多くの方がおられるわけでありますから大変な仕事なわけでございますが、外地に三年未満の方あるいは恩給公務員以外の軍属、特に戦地で軍人以上の戦務に従事した方々が大勢いられるわけであります。例えば南方の石油部隊とかガダルカナル島などの飛行場の建設などをやった方、あるいは内地の航空隊とか戦地外戦務加算というんですか、これを受けている方々は資格がないということでありますけれども、これらの軍人軍属の皆さんから私たちに、何とか緩和して受給資格を与えてもらいたいという希望が非常に多いわけでありますが、これらの人はあくまでも切り捨ててもやむを得ないというふうに考えているんでしょうか、どうでしょうか。
#180
○政府委員(文田久雄君) 先生お示しのとおり、この戦後処理問題と申しますのは、さきの大戦が大変未曾有の大戦でございまして、国民それぞれの立場で大変御労苦をいただいたところでございます。
 それで、今般私どもが対象といたしておりますこの恩欠者に対する措置でも、御検討願った結果、その余の戦争被害をこうむった方々とのバランス等を考慮して現在、外地勤務等含めまして三年以上の方、かようの措置となっておる次第でございまして、私どもとしましては、この事業の推進につきましては請求のあった方すべてにできるだけ速やかに贈呈することが先決であろう、かように考えておりまして、当面当該事業の拡大ということを行うことは非常に困難であろうというふうに考えておる次第でございます。
#181
○星川保松君 それから、恩給欠格者の皆さんは、まず戦後強制抑留者の問題を先に早く解決してもらって、そして次は恩給欠格者の私たちの番だというような期待を持っておるわけでありますけれども、何しろ戦後抑留者の方の仕事が進んでまいりませんと困るわけでありますので、書状、銀杯、それから交付公債の十万円が支給されておりますけれども、このピークはいつごろ越えるんだろうかというようなことでありますが、いつごろになるでしょうか。
#182
○政府委員(文田久雄君) 逐次該当者が例えば七十歳以上の方になってくる年次も進んでくるわけでございますが、私どもの判断としましては、今年から来年というところが一応の山というふうに考えております。
#183
○星川保松君 昨年の十二月に政府・与党の了解事項という中に、新規慰藉事業ということが盛られておるわけでありますが、これは恩給欠格者の皆さんは当然慰労金であろう、こういうふうに期待をしておるようでありますが、これはどうでしょうか。
#184
○政府委員(文田久雄君) 再々のお答えで大変恐縮でございますが、現在これは基金の運営委員会で御討議を賜っておりまして、その結果を速やかにちょうだいできるようにということでお待ちを申しておるところでございます。
#185
○星川保松君 基金の運営委員会の結論ということでありますけれども、この運営委員会もやはり政府の方の意向を組んで進めていくのではないかというふうに思いますので、あなた方も恩給欠格者の皆さんの期待にこたえるようにやはり慰労金の方向でぜひ進めていただきたいというふうに思います。
 それから、平和祈念事業の特別基金への出資額を四百億円に拡大をして、その資金果実で新規の恩欠者の慰藉事業を開始するという了解事項があるわけでありますけれども、この果実は恩欠者のために使用されるというふうに解釈してよろしいのでしょうか。
#186
○政府委員(文田久雄君) この平和祈念事業特別基金の対象といたしますのはいわゆる恩給欠格者の方、戦後強制抑留者の方、引揚者の方、三問題を中心とするものでございますが、この予算措置が講ぜられた背景等をかんがみますれば非常にウエートは高いものであろうというふうに考えております。
#187
○星川保松君 それから、平成二年度の恩欠者の慰藉事業は十一億から十二億円というふうに聞いておりますが、この予算でどのような措置がなされるということでしょうか。
#188
○政府委員(文田久雄君) お答えいたします。
 恩給欠格者に対する慰藉事業の平成二年度の総額はお示しのとおり十一億四千六百万円でございまして、その内容でございますが、一つは書状・銀杯贈呈事業、二つ目は恩給欠格者の新規慰藉事業、この二つになっております。
#189
○星川保松君 それで、この四百億円の果実によって書状、銀杯、それに新規の慰藉事業を実施する場合に、この三点で一人当たりどのぐらいの費用を要することになるか、また全員支給に何年ぐらいを要するか、お尋ねいたします。
#190
○政府委員(文田久雄君) お答えをいたします。
 この新規事業につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますとおり、内容的に固まっておりませんので、金額的にいかほどになるかということ、それからどれぐらいの期間でもってその処理が可能なのかというお尋ねにつきましても、本件の内容が確定し得ませんのでつまびらかでございません。
#191
○星川保松君 先ほども指摘しましたように、皆さん大変年をとっておられるわけでございます。したがって、これからずるずると何十年もかかるというようなことではもう我慢ができないということになるわけでございますので、ひとつ全員支給のめどぐらいはやっぱり立てておいてもらわないといけないと思うんですが、どうでしょうか。
#192
○政府委員(文田久雄君) 御指摘に沿いまして、今後申請の状況等を見定めつつ、予算の確保を含めまして迅速なる処理をいたしたいと存ずる次第でございます。
#193
○星川保松君 最後に、恩給欠格者の数は戦後抑留者の数の倍ということでありまして、これを四百億円の果実で処理するのは非常に無理ではないかという声があるわけでございます。
 それに、この平和祈念事業特別基金等に関する法律には、第二十七条の第一項第五号の中に目的達成事業として恩給欠格者のことがまとめて規定されておるわけです。それに対して、戦後強制抑留者の場合は新たに章を設けてかなり細かく規定をしておるわけでございます。これに対して、恩給欠格者の皆さんはどうもこれでは扱いが不公平ではないかというような声があるわけでございます。それで、やはり恩給欠格者の方も章を改めて規定をしてもらいたいものだというようなことでありますが、将来これらの法の改正、修正と申しますか、これについてはお考えはないでしょうか。
#194
○政府委員(文田久雄君) 私ども、先ほども申しておりますとおり、ただいまは百八万という人数の方々の慰藉事業を適切に執行していかなければならない立場でございまして、先生お示しの法第三条の「目的」に則して第二十七条の一項第五号の適用をもって恩給欠格者の方々に対する慰藉の措置が可能と判断いたしておりますので、現在さようの法改正をいたすという考えは有していないところでございます。
#195
○星川保松君 最後に、いずれにいたしましても祈念事業の該当者の皆さんからは本当に切実な声として、おれたちはもう死んでしまうというような声が聞こえてくるわけでございます。そういうことで、とにかく急がなければその目的が達成されないわけでありますから、もう何としてでももっと急いでこの事業が進められるよう強く希望いたしまして、質問を終わります。
#196
○田渕哲也君 まず、恩給のベースアップというものについてお伺いしますが、恩給のベースアップの意義及び目的は実質的価値の維持ということだと言われておりますが、この実質的価値の維持とはどういうことなのか、この点についてお伺いをします。
#197
○政府委員(石川雅嗣君) 恩給年額は退職時の俸給を基礎として計算されるものでございますために、退職後におきまして物価の上昇あるいは経済成長等に伴う国民の生活水準の向上など社会経済上の変動がある場合に、これを放置しておきますと恩給の実質的な価値が減ずるということになるわけでございます。恩給のベースアップはこのような社会経済上の変動を恩給受給者にも反映させるために恩給年額の調整を行いまして、これによりまして恩給の価値をできる限り同等のものにするということを目的としているものでございます。
 なお、この点につきまして恩給法では、その二条ノ二の規定の中で「年金タル恩給ノ額ニ付テハ国民ノ生活水準、国家公務員ノ給与、物価其ノ他ノ諸事情ニ著シキ変動ガ生ジタル場合ニ於テハ変動後ノ諸事情ヲ総合勘案シ速ニ改定ノ措置ヲ講ズルモノトス」と、こういう規定があるところでございます。
#198
○田渕哲也君 実質的価値の維持のために一番合理的な基準というのは公務員の給与にスライドするということではないかと思いますが、この点はいかがですか。
#199
○政府委員(石川雅嗣君) 実質的な価値を維持するためにどういう指標をとるか、これは考え方といたしましてはいろいろな考え方があろうと思います。ただいま先生が御指摘のように、そのときどきにおける賃金の上昇率というようなものも一つの指標でございましょうし、それからまた生活水準がどの程度上がっているかということも一つの指標でございましょうし、それからまた物価が変動したその分を補てんするということも一つの考え方であろうかと思います。
 ただ、先ほど申し上げましたように恩給法の二条ノ二におきましては、これらのただいま申し上げましたようなさまざまな事情に変動が生じた場合においては、これらを総合勘案して速やかに改定をするんだというような趣旨の規定があるわけでございまして、私どもとしましてはそのときどきの最も適切と考えられるものをとりながら価値の維持を図っている、こういうことで御理解を賜りたいと思います。
#200
○田渕哲也君 ここ数年来この恩給の問題につきましては臨調あるいは社会保障制度審議会、さらには衆参両院の委員会あるいは国家公務員等共済組合審議会、これらの答申あるいは決議等が出ておるわけでありますが、これではやはり恩給制度と公的年金制度との間にアンバランスがある、これを是正するために必要な見直しをやれということが言われておるわけでありますが、この公的年金制度と恩給とのアンバランスというのは具体的にどういうことなのかお伺いいたします。
#201
○政府委員(石川雅嗣君) さきの年金改革は、いわゆる基礎年金制度の導入などの公的年金制度の一元化を目指した改革であったわけでございますが、共済年金における給与スライドから物価スライドへのスライド方式の変更もその一連のものというふうに考えているわけでございます。こうした年金制度改革との関連で、年金という点では共通性を有する恩給制度ではございますけれども、ただいま申し上げましたようなこれら公的年金制度の改革とのバランス上検討が求められたということでございまして、具体的には何をかということでございますが、今申し上げましたような基礎年金制度とかあるいはスライドのあり方とか、そうしたもろもろのものを含んでいるというふうに考えられるところでございます。
 しかし、臨調等のこのような指摘を受けまして、私どもとしては鋭意検討を行ったわけでございますが、恩給は国家補償的な性格を有すること、また新規参入者がない、それから対象者が旧軍人またはその遺族で極めて高齢であるというような恩給の特殊性から、基礎年金の導入といった制度の基本的な枠組みを変更するようなことは困難であるというような点、また一方、年金という機能におきましては他の公的年金に共通性を有すること、特にかつての公務員に対する退職年金という意味におきましても共通性を有します共済制度が物価スライドになったこと等を考慮いたしまして、これとの公平を図る見地からスライド方式について変更を加えることにいたしまして、従来の公務員給与スライドにかえまして公的年金で用いている物価の要素も具体的に取り入れ、恩給法二条ノ二の規定に見られるような諸般の事情を総合勘案するという方式にしたところでございます。
#202
○田渕哲也君 総合勘案方式を導入したというのはこれらの年金制度とのバランスを考慮して行われたと思います。しかし、総合勘案方式が六十二年度から採用されたにかかわらず、その後、六十二年度における国家公務員等共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部改正についての答申、社会保障制度審議会の答申、あるいは昨年の一月及び十二月に出された財政制度審議会の「歳出の節減合理化の方策に関する報告」等において再度この点について付言をしております、見直しをさらにやるように。ということは、総合勘案方式でもこういうバランスをとることは不十分だ、こういう見解でしょうか、こういう答申は。
#203
○政府委員(石川雅嗣君) 現在行っておりますいわゆる総合勘案方式は、公的年金制度改革の動きの中で、恩給の特殊性を考慮しつつ公的年金におけるスライド方式とのバランスを図る、こういう見地から、先ほど来申し上げておりますように、恩給法二条ノ二の規定に基づきまして現時点における最も適切な恩給改定の方式としてとっているものでございますが、これによりまして恩給と他の公的年金とのバランスが十分に図られているかどうかという点につきましては、恩給制度と公的年金とはその考え方あるいは制度の仕組みが異なるということから比較をするということはなかなか困難な面があるわけでございますけれども、少なくとも現時点におきましては私どもとしては一定のバランスがとれているのではないか、このように考えております。
#204
○田渕哲也君 恩給のベースアップについて総合勘案方式が導入された理由の一つとして、国家公務員等の共済年金の額が物価スライド方式に移行したことが挙げられております。しかし、国家公務員等の共済年金は、毎年の物価スライドに加えて、財政再計算時に年金算定の基礎となる標準報酬月額を再評価するという措置がとられておるわけでありまして、公務員の給与の引き上げを加味した年金の引き上げが行われる制度になっております。そういうことを考えると、恩給についても従来の公務員の給与スライドで何ら不都合はないのではないかという気がしますが、いかがですか。
#205
○国務大臣(塩崎潤君) この総合勘案方式を給与水準一本に改めたらどうかという御意見、もうここで山口委員を初め皆様方から主張されているところでございます。私どもも確かに公的年金制度とのバランスも大事なような気もいたしまするけれども、やっぱり恩給というものは私は特殊なものであると。殊に、私は戦前の官僚を志したものでございますから恩給については、しかも当時は民間の年金制度もないころの官吏独特の制度であって、恩給は年金とは違って御承知のように掛金もなくて一方的に国家補償という形で給付されたもので、私はまだまだその特徴は恩給の中に維持されるべきものだと。したがって、これを完全に他の公的年金制度とバランスをとれということは、完全にとるということはなかなか難しいことではないか。
 しかも、これだけの既得権として考えられますところの受給者がいることを考えますれば、やはり恩給は恩給としての特殊性を維持して、そして給与水準一本でもいくという考え方も成り立つほどの恩給の特殊性があると私は思うんですけれども、とにかく批判に応じてバランスをとるために消費者物価水準を考慮したものとすれば、現行の総合勘案方式をとるということで、ひとつこれはしばらくは恩給制度の基準として継続していくのが適当ではないか、こんなふうに考えているところでございます。
#206
○田渕哲也君 総合勘案方式に対しましてはどうも明瞭ではない。どういう仕組みでこういう数字が出てきたかということがはっきりしない。公務員の給与の改善率あるいは物価の変動等を総合勘案するということになっておりますが、この等というのに何が含まれているかよくわからない。それから、政治の介入を許す可能性がある。それから、恩給の受給者自体がどれぐらい上がるかわからぬから不安を招く。こういうような批判があるわけですが、もう既に導入四回目を迎えておるわけですが、これらの批判に対してどのように考えられておられるか、お伺いします。
#207
○国務大臣(塩崎潤君) もう四回経験をいたしましたので、受給者の方からこれについて恣意的とかいうような批判は余りないように思っているところでございます。確かに、消費者物価の加味の仕方が幾らか、あるいは給与の加味の仕方が幾らか、そこが明らかにされてないようでございまするけれども、おのずと四回の経験で不文法のように確立されてきた、こういうふうに私は思うものでございます。
 私は、この恩給制度をやはり改善する方向での基準は依然として考えていくべきであろう、こういうふうに思いますので、これを固定的なものにする、あるいはこれしかないというふうな考え方じゃなくて、恩給の本質に即応した改善を図っていくという形は常にとっていきたい、こんなふうに考えております。
#208
○田渕哲也君 最後に、恩給のベースアップの方法としまして、昭和五十一年から六十一年度までは公務員の給与にスライドしながらも、給与回帰分析方式というのがとられて上下の上がりぐあいというものが反映されたわけですが、総合勘案方式になるとこれが全部一律になる。今回も二・九八%ということですけれども、公務員の給与の改善も上の方は大体二・九%だからそれを上回る改善になる。大体恩給と年金のアンバランスというのは、特に恩給の高額を取っている者が非常に高いということも言われております。これは最終俸給を基礎として算定される等のことからそういうアンバランスが出てきておる。だから、むしろ私は五十一年から六十一年度まで採用した給与回帰分析方式を採用するのが妥当ではないかと思いますが、いかがですか。
#209
○政府委員(石川雅嗣君) 恩給年額の改定につきましては、現在は公務員給与の改善率、それから物価の変動等を総合勘案する方式により行っているわけでございますが、これは従来からのベースアップにおける回帰分析方式の導入、あるいは低額恩給の改善を図るための最低保障制度の導入等の措置によりまして上下格差が縮小されてきているわけでございますが、特に現在では受給者の相当部分が最低保障制度の対象者になっているというようなことを考慮いたしまして一律の増額改定を行うこととしたものでございます。今後とも一律アップの方式を続けていくかどうかにつきましては、社会経済情勢の推移とかあるいは公務員給与改善の傾向等を見ながら検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
#210
○田渕哲也君 終わります。
#211
○委員長(板垣正君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#212
○委員長(板垣正君) 御異議ないと認めます。
    ─────────────
#213
○委員長(板垣正君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、大島友治君が委員を辞任され、その補欠として須藤良太郎君が選任されました。
    ─────────────
#214
○委員長(板垣正君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 恩給法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#215
○委員長(板垣正君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 高橋君から発言を求められておりますので、これを許します。高橋清孝君。
#216
○高橋清孝君 ただいま可決されました恩給法等の一部を改正する法律案に対して、自由民主党、日本社会党・護憲共同、日本共産党、公明党・国民会議、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附常決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について速やかに善処すべきである。
 一 恩給年額の改定については、国家補償としての恩給の性格、恩給受給者の高齢化等に配意し、今後とも現職公務員の給与水準との均衡を維持するように努めること。
 一 恩給の改定実施時期については、現職公務員の給与との遅れをなくすよう特段の配慮をすること。
 一 恩給の最低保障額については、引き続きその引上げ等を図るとともに扶助料については、さらに給付水準の実質的向上を図ること。
 一 恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。
 一 外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分の件について、速やかに再検討を加え適切な措置を講ずること。
 一 戦地勤務に服した旧日赤救護看護婦及び旧陸海軍従軍看護婦に対する慰労給付金の増額について適切な措置をとること。
 一 恩給欠格者等の処遇について検討の上、適切な措置を講ずるよう努めること。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#217
○委員長(板垣正君) ただいま高橋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#218
○委員長(板垣正君) 全会一致と認めます。よって、高橋君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、塩崎総務庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。塩崎総務庁長官。
#219
○国務大臣(塩崎潤君) ただいまの附帯決議につきましては、今後慎重に検討してまいりたいと存じます。
#220
○委員長(板垣正君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#221
○委員長(板垣正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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