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1990/06/01 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 内閣委員会 第5号
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1990/06/01 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 内閣委員会 第5号

#1
第118回国会 内閣委員会 第5号
平成二年六月一日(金曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     喜岡  淳君     八百板 正君
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     須藤良太郎君     大島 友治君
     近藤 忠孝君     吉岡 吉典君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         板垣  正君
    理 事
                大城 眞順君
                高橋 清孝君
                山口 哲夫君
                吉川 春子君
    委 員
                岡田  広君
                田村 秀昭君
                名尾 良孝君
                永野 茂門君
                村上 正邦君
                翫  正敏君
                角田 義一君
                野田  哲君
                三石 久江君
                中川 嘉美君
                吉岡 吉典君
                星川 保松君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  塩崎  潤君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  石川 要三君
        ─────
       会計検査院長   中村  清君
        ─────
   政府委員
       内閣参事官
       兼内閣総理大臣
       官房会計課長   荒田  建君
       内閣官房内閣内
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房内政審議室
       長        公文  宏君
       内閣官房内閣外
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房外政審議室
       長        有馬 龍夫君
       内閣官房内閣広
       報官室内閣広報
       官
       兼内閣総理大臣
       官房広報室長   岡村  健君
       内閣法制局第一
       部長       大森 政輔君
       人事院総裁    弥富啓之助君
       人事院事務総局
       任用局長     大島  満君
       人事院事務総局
       職員局長     大城 二郎君
       内閣総理大臣官
       房審議官     文田 久雄君
       宮内庁次長    宮尾  盤君
       宮内庁長官官房
       審議官      河部 正之君
       皇室経済主管   永岡 祿朗君
       総務庁長官官房
       長        山田 馨司君
       総務庁人事局長  勝又 博明君
       総務庁行政管理
       局長       百崎  英君
       総務庁行政監察
       局長       鈴木 昭雄君
       総務庁統計局長  井出  満君
       北海道開発庁計
       画監理官     竹中 勝好君
       防衛庁参事官   内田 勝久君
       防衛庁参事官   玉木  武君
       防衛庁参事官   村田 直昭君
       防衛庁参事官   鈴木 輝雄君
       防衛庁長官官房
       長        児玉 良雄君
       防衛庁防衛局長  日吉  章君
       防衛庁教育訓練
       局長       米山 市郎君
       防衛庁人事局長  畠山  蕃君
       防衛庁経理局長  藤井 一夫君
       防衛庁装備局長  植松  敏君
       防衛施設庁長官  松本 宗和君
       防衛施設庁総務
       部長       吉住 愼吾君
       防衛施設庁施設
       部長       大原 重信君
       防衛施設庁建設
       部長       黒目 元雄君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
       外務大臣官房審
       議官       川島  裕君
   事務局側
       事 務 総 長  佐伯 英明君
       常任委員会専門
       員        原   度君
   衆議院事務局側
       事 務 総 長  緒方信一郎君
   裁判官弾劾裁判所事務局側
       事 務 局 長  新川 行雄君
   裁判官訴追委員会事務局側
       事 務 局 長  澁川  滿君
   国立国会図書館側
       館     長  指宿 清秀君
   説明員
       経済企画庁物価
       局物価政策課長  井坂 武彦君
       外務大臣官房審
       議官
       兼外務省欧亜局
       審議官      高島 有終君
       外務大臣官房外
       務参事官
       兼外務省経済協
       力局外務参事官  畠中  篤君
       大蔵大臣官房企
       画官       橋本 孝伸君
       大蔵省証券局業
       務課長      水谷 英明君
       国税庁長官官房
       総務課長     阪田 雅裕君
       国税庁直税部法
       人税課長     栃本 道夫君
       国税庁間税部消
       費税課長     濱田 明正君
       文部省初等中等
       教育局高等学校
       課長       林田 英樹君
       文部省教育助成
       局教職員課長   遠藤 昭雄君
       文部省高等教育
       局大学課長    泊  龍雄君
       厚生省健康政策
       局指導課長    澤  宏紀君
       林野庁業務部経
       営企画課長    高橋  勲君
       労働省婦人局婦
       人福祉課長    堀内 光子君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部障害者雇
       用対策課長    小泉 南男君
       消防庁防災課長  神林 章元君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成二年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成二年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管(総理本府、日本学術会議、宮内庁、総務庁(北方対策本部を除く)、防衛本庁、防衛施設庁))
    ─────────────
#2
○委員長(板垣正君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る五月二十九日、喜岡淳君が委員を辞任され、その補欠として八百板正君が選任されました。
 また、去る五月三十日、近藤忠孝君及び須藤良太郎君が委員を辞任され、その補欠として吉岡吉典君及び大島友治君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(板垣正君) 去る五月二十五日、予算委員会から、六月一日一日間、平成二年度総予算中、皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、日本学術会議、宮内庁、北方対策本部を除く総務庁、防衛本庁、防衛施設庁について審査の委嘱がありましたので、御報告いたします。
 この際、本件を議題とし、順次予算の説明を聴取いたします。
 予算の説明につきましては、国会所管及び会計検査院所管以外は去る四月二十六日の本委員会におきまして既に聴取しておりますので、この際、国会所管及び会計検査院所管の予算の説明を聴取いたします。
 まず、国会所管のうち衆議院関係予算の説明を求めます。緒方衆議院事務総長。
#4
○衆議院事務総長(緒方信一郎君) 平成二年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成二年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、五百億九百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二十一億七千六百万円余の増加となっております。
 次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして四百八十六億一千四百万円余を計上いたしております。
 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し二十一億七千二百万円余の増加となっておりますが、その主なものは、国会議員航空機利用経費の増額、議員秘書の待遇改善経費、議会開設百年記念行事経費、議員歳費並びに議員秘書及び職員の人件費等の増加によるものであります。
 第二は、衆議院の施設整備に必要な経費といたしまして、十三億八千八百万円余を計上いたしております。これは、第二議員会館の昇降機改修費、噴泉の新設、本館塔屋照明装置の設置及びその他庁舎の諸整備に要する経費でございます。
 また、国会周辺等整備に必要な土地購入費は、引き続き一億円計上することといたしております。
 第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。
 以上簡単でございますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#5
○委員長(板垣正君) 次に、参議院関係予算の説明を求めます。佐伯参議院事務総長。
#6
○事務総長(佐伯英明君) 平成二年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成二年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、二百八十八億五千三百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、約三億六千万円の増加となっております。
 次に、その概略を御説明申し上げます。
 第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、二百七十八億五千七百万円余を計上いたしております。
 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し約三億五千万円の増加となっております。これは主として、国会議員航空機利用経費の増額、議員秘書の待遇改善、議会開設百年記念行事経費の計上のほか、議員歳費及び議員秘書、職員の人件費の増加等によるものであります。
 第二は、参議院の施設整備に必要な経費でありまして、九億九千万円余を計上いたしております。これは、本館その他庁舎等の整備に要する経費であります。
 なお、議会開設百年記念行事の一環として、本館正玄関前噴泉及び本館塔屋照明装置の設置に要する経費を計上いたしております。
 第三は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。
 以上簡単でありますが、参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#7
○委員長(板垣正君) 次に、国立国会図書館関係予算の説明を求めます。指宿国立国会図書館長。
#8
○国立国会図書館長(指宿清秀君) 平成二年度国立国会図書館歳出予算について御説明いたします。
 平成二年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、百二十九億三千五百万円余でありまして、これを前年度予算額百二十五億一千万円余と比較いたしますと、四億二千四百万円余の増額となっております。
 要求額の主なものについて、その概略を御説明申し上げます。
 第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は、百六億八千九百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、三億九千九百万円余の増額となっております。これは主として、図書館資料の購入費、立法調査業務に必要な経費、図書館業務の機械化に必要な経費、関西図書館プロジェクトの調査を実施するために必要な経費及び職員の人件費等について増額計上いたしましたことと、新たに和図書書誌情報遡及入力経費及び議会開設百年記念展示会のための経費を計上いたしましたことによるものでございます。
 第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、前年度と同額の五億三千二百万円余を計上いたしております。
 第三は、施設整備に必要な経費でありまして、十七億一千三百万円余を計上いたしております。これは、主に新館整備及び本館改修に要する経費で、前年度予算額と比較いたしますと、二千四百万円余の増額となっております。
 なお、新館整備に関しまして、平成二年度を初年度とする三カ年の国庫債務負担行為二十四億五百万円余、本館改修に関しまして、平成二年度を初年度とする二カ年の国庫債務負担行為四億円余を要求いたしております。
 以上、簡単でありますが、国立国会図書館歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#9
○委員長(板垣正君) 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を求めます。新川裁判官弾劾裁判所事務局長。
#10
○裁判官弾劾裁判所参事(新川行雄君) 平成二年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成二年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、九千五百三十五万一千円でありまして、これを前年度予算額九千百二十万八千円に比較いたしますと、四百十四万三千円の増加となっております。
 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、裁判員の旅費及び事務局職員の給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費、庁費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは、主として職員給与関係経費の増加によるものであります。
 以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
#11
○委員長(板垣正君) 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を求めます。澁川裁判官訴追委員会事務局長。
#12
○裁判官訴追委員会参事(澁川滿君) 平成二年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成二年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億一千三十一万五千円でありまして、これを前年度予算額一億四百十万九千円に比較いたしますと、六百二十万六千円の増加となっております。
 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは、職員給与関係経費等の増加によるものであります。
 以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
#13
○委員長(板垣正君) 以上をもちまして国会所管の予算の説明聴取は終わりました。
 次に、会計検査院所管の予算の説明を求めます。中村会計検査院長。
#14
○会計検査院長(中村清君) 平成二年度会計検査院所管の歳出予算について御説明いたします。
 会計検査院の平成二年度予定経費要求額は、百十九億六千五百九十万三千円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。
 今、要求額の主なものについて申し上げますと、人件費として百三億六千七百六十三万円を計上いたしましたが、これは総額の八七%に当たっております。これらのうちには、会計検査の充実を図るため、一般職員十人を増置する経費も含まれております。
 旅費として七億四千三百八十万一千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が七億一千九十三万七千円、外国旅費が二千百二万円であります。
 施設整備費として二億二百六十四万円を計上いたしましたが、このうち主なものは、庁舎空気調和設備改修工事費一億二千百四十三万七千円、宿舎関係修繕費五千八十三万五千円であります。
 その他の経費として六億五千百八十三万二千円を計上いたしましたが、これらのうちには、検査の円滑な実施を図るための会計検査活動費七千八百二十一万六千円、検査業務の効率化を図るための経費一億八千四百六十九万八千円、並びに会計検査の充実強化のための経費七千百四十万四千円及び検査手法開発のための経費一千六百三十六万四千円が含まれております。
 次に、ただいま申し上げました平成二年度予定経費要求額百十九億六千五百九十万三千円を前年度予算額百十四億二千百三十九万六千円に比較いたしますと、五億四千四百五十万七千円の増加となっておりますが、これは人件費において三億四千三百二十二万四千円増加したことなどによるものであります。
 以上、簡単でありますが、本院の平成二年度予定経費要求額の概要の御説明を終わります。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
#15
○委員長(板垣正君) 以上で予算の説明聴取は終わりました。
 御退席いただいて結構であります。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#16
○山口哲夫君 防衛問題の基本的な論議につきましては、次回の委員会にゆっくりひとつさせていただきたいと思いますので、きょうは極めて具体的な問題一つに絞って質問をしたいと思います。
 一九八三年から八四年度の予算で沖縄のキャンプ・コートニーの中に三億六千六百万円でキリスト教の教会を建設しております。また、同じく一九八七年から八八年度の予算で、沖縄の牧港補給基地内に五億六千二百万円で同じく教会を建てております。今年度の予算でも同じようなものがあるのかどうなのか。
 それから、この二つの予算の支出は憲法二十条の信教の自由、国の宗教活動の禁止、八十九条の公の財産の支出または利用の制限の規定に違反していると思いますけれども、どうでしょうか。
#17
○政府委員(松本宗和君) まず、本年度の予算について同様のものがあるかどうかという御質問でございますが、これはございません。
 それから、憲法との関係でございますが、そもそも提供施設の整備につきましては地位協定の二十四条の二項、これに基づきましてすべての施設、区域をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供することができることとされておりまして、これに基づきまして安全保障条約の目的達成のための必要な米軍の施設につきまして我が国がその経費を負担し、整備しておるものでございます。したがいまして、地位協定上は、施設、区域であれば整備し、提供することは可能であるという基本的認識に立っております。
 なお、個々の施設を選定いたします場合に、それぞれ安保条約の目的の達成との関係、我が国の財政負担との関係、それから社会経済的影響等を勘案いたしまして個々に我が国の自主的判断により決定しておるところでございますが、本件建物につきましては米軍の駐留を円滑にするということを目的といたしまして、米軍に対する施設提供の一環としまして米軍人、米軍属及びその家族の日常生活に必要不可欠とされる施設であるとの観点から建設いたしまして提供したものでありまして、宗教に対する援助等を目的とするものではないと理解しております。
 また、本件建物の建設のための国費の支出でございますけれども、これは米軍への提供は、宗教上の組織または団体に対する財政援助的な支出とは言えないというぐあいに理解しております。
#18
○山口哲夫君 米軍の、アメリカの宗教団体に対する支出とはみなされない、こういうことですか。
#19
○政府委員(松本宗和君) これは駐留米軍に対する施設の提供であるというぐあいに我々は位置づけております。
#20
○山口哲夫君 駐留米軍に対する支出だから宗教団体に対する支出ではないんだ、こういうような解釈のようでありますけれども、憲法の解釈はそういうことではないんですね。
 日本評論社の「基本法コンメンタール「憲法」」という、この八十九条の解釈を読んでみますと、宗教上の組織と団体の意味についてこういうふうに書いてある。「団体とは、宗派や教団のように人の結合を中心とした社団的なものをさすと解するものと」。もう一つは、「団体とは、宗派、教団のように、みぎの目的のための人の結合体をさすとするものとがある」。それで、法律としては、法律の解釈ではですよ、「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする……礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他」を団体というんだと。
 ですから、キリスト教団とかそういう一つの団体を指すんではなくして、教会そのもの、教会を中心として人と人との結合がある、そういう教会施設そのものを団体として指すんだと。ですから、そういうことからいけばこれは明らかに宗教団体に対する支出である、憲法二十条、八十九条の違反であるというふうに解釈するんですけれども、その解釈はどうでしょうか。
#21
○政府委員(大森政輔君) ただいまお尋ねの八十九条前段にいいます「宗教上の組織若しくは団体」の意義いかんという問題でございますが、これにつきましては、ただいま御指摘のとおり文字どおり組織または団体に限ると解する説と、ただいま御指摘になりましたような事業または活動に着目いたしまして、宗教上の信仰、礼拝ないし普及を目的とする事業ないし活動を広く意味するという両説がございます。
 したがいまして、ただいま紹介いたしました文字どおりの組織または団体に限るんだという狭い立場に立ちますと、在日駐留米軍というものはこれに当たらないことは明らかでございますが、確かに広い意味におきましてはなお検討する点が残っておろうかと思います。この点に関しまして、最高裁判所の判例上、憲法の法意はどちらであるかということがはっきりしておりませんので、私どもとしては念のため広い意味における組織もしくは団体との関係においても問題がないというふうに解しているわけでございます。
 この点を若干敷衍して申し上げますと、先ほど防衛施設庁から答弁がございましたように、教会用の建物と申しますのは安保条約の効率的運用のため、米軍の駐留を円滑ならしめることを目的としている、そして米軍に対する施設提供の一環として米軍人、米軍属及びその家族の日常生活に必要不可欠とされる施設という点に着目してこれを建設、提供するものであって、決して特定の宗教を援助、助長するということをねらいとしてするものではないという、そこがポイントでございます。
 御承知のとおり、昭和五十二年の津地鎮祭判決において示されました最高裁判所の政教分離に関する基準というものにおきましては、その目的において宗教的意義を有しない、そしてその効果において特定の宗教に対する援助、助長の効果を有しないというものは憲法二十条三項にいう宗教的活動にも該当しないし、また八十九条にいう禁止される公金の支出にも当たらないということになるわけでございまして、本件建物の建設、提供と申しますのはそのような宗教的意義は有しない、また宗教的な効果は有しないというふうに私どもは判断している次第でございます。
#22
○山口哲夫君 安保条約の効果的運用のためとか、そういう問題で論じているんではないんです。相手が米軍であろうがなかろうがどこでもいいんですよ。問題は、日本政府がそういう施設に対して公金を出すということは、今あなた、法制局が答えたように二つの意見がある。しかし、二つ三つ読んでみましたけれども、大体の解釈では、今ここに書いているように、神社、仏閣、教会、そういったものそのものを団体というふうに解釈するんだと、大体の解釈がこうなんです。だから、キリスト教団とか仏教団とか、そういうまとまった団体のことを言うのではなくして、あくまでも教会なり神社、仏閣なりに集まってくる人と人との結合の場所であるそのものを指すんだと、こういう解釈が憲法の解釈の大体通説でないですか。ちょっとこじつけのように思うんですがね。
 だから、法制局自体もまだはっきりしていないということなんでしょう。だから、少なくともこういうはっきりしていないことに対して、防衛施設庁、これは出すときに法制局に相談されたんですか。
#23
○政府委員(大森政輔君) 先ほどのお答えで法制局として見解が不確定であるということを申し上げたつもりはございません。先ほど私が申し上げましたのは、八十九条に規定する「宗教上の組織若しくは団体」に関する広い意義と狭い意義、どちらに解すべきかについては最高裁判所の判例もないことでございますから、狭い意味のみならず広い意味に立っても合憲であるかどうかということを常に念のため検討するのである、ところが広い意味を前提としてもなお八十九条との関係で憲法上問題がないということをお答えしたつもりでございます。
#24
○山口哲夫君 相談したんですか。
#25
○政府委員(松本宗和君) この施設の建設に当たりまして事前に相談をさせていただいております。
#26
○山口哲夫君 している。
#27
○政府委員(松本宗和君) はい。
#28
○山口哲夫君 法制局の方でも、まだ最高裁の判決もないことだし、いろいろと解釈に相違もあるのだというように先ほど答えましたね。前段でそういうふうに答えたんですけれども、非常にこれは問題のあることだと思うのです。そういう中で自信を持って出せるようなものとは違うと思うんですよ。二十条の解釈につきましても、やはり信教の自由の同じ「コンメンタール」の解釈ですけれども、こういうふうに書いているんです。「国家と宗教ないし教会を完全に分離し相互に干渉しないことを主義とする」解釈である。これは特に「日本国憲法はこの方式をとるものであり、ほかにアメリカ合衆国およびフランスがこれに属する。」のだ。アメリカも政教分離なんですよね。ですから、相手国も政教分離、こちらの金を出す方も政教分離、ある程度共通した考え方というのは私はあると思うんです。
 二十条の解釈からいってもこれは明らかに宗教と国家、これを完全に分離をするという趣旨なんだから、そういう中で明らかにこれは教会であるということがわかっていながら公金を出すということはどう解釈しても私は憲法違反だなと思うんです。どうでしょうか。
#29
○政府委員(大森政輔君) まず、先ほどお答えした内容をもう一度敷衍して申し上げますと……
#30
○山口哲夫君 時間がないから簡単に答えてください、大体聞いてわかっていますから。
#31
○政府委員(大森政輔君) 八十九条の「組織若しくは団体」をいわゆる狭い意味において解しますと、これは米軍に提供するのですから、米軍は宗教団体ではございません。したがってもうそこでセーフである、こういうことになります。ところが、広い意味で事業または活動を意味するのだという立場をとった場合には、米軍が教会活動に関与する面がある場合にはなお当たるのであるかという心配もあるから、そういうことなのかどうかも念のため検討してみた。そうしたら、それも大丈夫であるという趣旨でございまして、いずれの説に立っても八十九条との関係では何ら問題がないというのが私どもの考えでございます。
 もう一点は、先ほど著書を引用なさいましたが、学者はいろいろなことをいろいろな立場で言うものでございますが、私どもといたしましては、先ほども紹介いたしましたような昭和五十二年七月十三日の最高裁判所大法廷判決におきまして政教分離の明確な基準が示されておりますので、それに従って行動するのが相当であるというふうに考えている次第でございます。
#32
○山口哲夫君 最高裁のその判決というのは、例えば三億も五億もの公金を教会という建物を建てることに支出することが憲法に適合するのだという解釈ではないはずですよね。あなた先ほど冒頭に答弁されたように、まだこの問題については最高裁の判例が出ていないと言ったじゃないですか。今のは津裁判ですか、津判決でしょう、それと一緒にするというのは私はちょっと憲法解釈上無理があると思う。
 それで、ちょっと外務省いらっしゃっていますか。――ODAの関係で、発展途上国からいろいろと要望があると思うんですけれども、こういう宗教施設に対する建設についての要望というのはあるんでしょうか。仮にあった場合には、やはり防衛庁と同じように公金を支出するんでしょうか。
#33
○説明員(畠中篤君) お答えいたします。
 我が国のODAは開発途上国の民生の安定及び福祉の向上を目的として供与されるものであります。そういう寺院あるいは教会、宗教施設の趣設はODAの本旨に適するものではないと考えます。したがって、仮に要請がありましたとしてもかかる援助の実施は困難であります。
 なお、過去におきまして、かかる案件につき正式な要請があったとは承知しておりません。また、かかる援助を行った実績もございません。
#34
○山口哲夫君 ODAの精神からいってもそういうことにはならない。ODAというのはその国の国民の生活の安定、そういう立場で援助するわけです。国民の生活の安定のために神社、仏閣等が必要なんだということからいけば、防衛庁の解釈、法制局の解釈からいけば全く同じなんです。米軍の駐留している軍隊やあるいは家族の人たちが日常生活に困らないように生活安定のために出すんだというんですから、ODAの解釈と全く同じになる。しかし片方、外務省の関係は、それはODAの目的に反するんだと言うし、こちらの方はそれは米軍に提供するのであって決して問題ではないと、こう言うんですけれども、例えば無宗教の人あるいは仏教とかそのほかの宗教を信仰している人たちが、全然自分に関係のない宗教に自分たちが納めた税金が払われるということになると、これはやはり好ましいことじゃないですよね。そういうことを規定しているのが憲法二十条ではないんですか、どうでしょうか。
#35
○政府委員(大森政輔君) ただいまのお尋ねは国と宗教とのかかわりの限度いかんということに関するものであろうと思いますが、この点に関しましては、先ほどの最高裁判所の判例を紹介することが相当であろうかと思います。最高裁判所はこの点につきましては端的に述べておりまして、「憲法二〇条三項により禁止される宗教的活動」とは、「およそ国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いをもつすべての行為を指すものではなく、」「当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいう」のだ、このような目的、効果を有する行為を国及びその機関が行ってはならないということを憲法が明示しているものであるということでございます。したがいまして、国費の支出に関しましても、この限度内では必ずしも禁止するものではないということでございます。
#36
○山口哲夫君 ちょっと解釈に無理があるように私には思えてならないんです。
 やはり二十条の解釈についてこう書いていますね。「特定の宗教またはすべての宗教に対する財政援助の禁止」ということは、「特定の宗教または宗教一般を信じない者の所得を特定宗教または宗教一般に転用することになるから」その二十条で政府の財政支出を禁止しているんだ。私はこれはやっぱり正しいだろうと思うんです。
 要するに、先ほども申しましたように、国家と宗教あるいは教会、これを完全に分離していかなければならない、互いに干渉しないということを一つの主義として、考え方として決めたのが二十条の考え方であって、それを受けて八十九条として、特定の宗教団体、組織には出してはならない。そして団体というのは、くどいようですけれども、何々教団とかそういうものではなくして、神社、仏閣あるいは教会等に人と人とが結合している、そういう施設のことを言うのであって、そういういろんな解釈からいきましても、これはどうも憲法二十条、八十九条に違反するものである。
 思いやり予算というんですけれども、私は、言葉は悪いけれども、これは何かアメリカ軍に対してごまをすっているようなごますり予算でないかなというふうな感じがしてならないんですけれども、私の立場からいきますと、こういう憲法に違反するような支出についてはぜひひとつ十分検討して、返還を要請する、そういうことを防衛施設庁としては考えてほしいと思うんです。
 大体、防衛施設庁自体がこの宗教問題に対してきちっと答えられない、法制局の方にお任せするような、自信を持った答弁が防衛施設庁からないということは、やっぱり出す方としてもう少しきちっと確信を持ってやってもらわなければ、法の解釈は法制局の解釈でという、単なるそれだけでやられたんでは私たちとしては非常に納得がいかない、こんなふうに思います。
 この問題はこの程度で終わります。
 次に、アイヌ新法の制定について質問をいたします。
 北海道の横路知事、北海道議会議長、ウタリ協会の三者から一九八八年の八月に内閣総理大臣、当時の竹下さんですけれども、それから厚生大臣、北海道開発庁長官に対しまして、アイヌ新法の制定について陳情書が出ていると思いますけれども、政府として今日までどういうふうに対処されてきたのか、それから、これからどういうふうに対処していこうとしているのか、極めて概略で結構でございますので、要点だけお答えください。
#37
○政府委員(公文宏君) アイヌ新法問題についての御質問でございますけれども、委員おっしゃられましたようにウタリ協会からの御陳情がありましたし、それからその後、北海道知事からアイヌ新法の制定についての要望をいただいております。中身を見ますと、大変内容が多岐にわたっておりますし、また法制上の問題もございますし、いろいろ難しい問題がございますので、政府としては慎重かつ十分に検討しなきゃいけないなというふうに思っているわけでございます。
 本委員会におきましてもたびたび山口委員からも御質問、御指摘をいただいているところでありまして、政府といたしましては、これはもう前からあった、四十九年に設置されておりますけれども、北海道ウタリ対策関係省庁連絡会議というのがございますが、その中にアイヌ新法問題の検討委員会を設けまして、ただいま鋭意検討を行っているという状況でございます。
#38
○山口哲夫君 新法の制定について関係者等を含めて恐らく検討委員会等もつくられると思うんですけれども、それを設置するのは大体いつごろというふうに考えて作業を進めていらっしゃいますか。
#39
○政府委員(公文宏君) 先ほどお答え申し上げました検討委員会はことしの一月に第一回の委員会をスタートさせておりまして、その後数回議論を行ってこの論点の整理をやっております。
 私どもの気持ちといたしましては、今後の取り組みとしては、やはり要望をいただきました北海道庁からよく中身を、お話を聞くということが先決ではないかというふうに考えておりまして、それを近々のうちにやりたいと思っておりますので、その後の段取りはその説明を聞いた後に考えていきたいというふうに今のところは思っております。
#40
○山口哲夫君 せっかく北海道庁が中心となって相当年数をかけて実に深い論議をした結果、一応の骨子といいますか、法案の骨子になるものがまとまってきたわけですから、さらにそんなに一から論議を始めなければならない問題ではないと思うんです。それで、ぜひひとつ北海道の方から論議の経過等について説明を受けられて、なるべく早い機会に検討委員会を、アイヌの代表の方々、それから学識経験者を含めまして、ぜひ政府としてそういった委員会を設置されまして、その上で新法制定についてひとつなるべく早く実現できるように作業を進めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#41
○政府委員(公文宏君) 先ほどお答え申し上げましたように、北海道庁からの詳細な説明を聞くということが私は先決ではないかというふうに考えております。道庁の方もかなり慎重に多角的に御検討をされておられると思われますので、まずその御意見を聞いた上で今後の対応を考えていきたいというふうに思います。
#42
○山口哲夫君 再三にわたってお願いして、前の官房長官、森山さんのときに、そういった総理府の中に組織をつくっていただいたのが一月ですから、まだ数カ月しかたっていないのでそんなに無理を言ってもいけないと思いますので、時間はかかるでしょうけれども、少なくとも検討委員会は一年後くらいにはつくれるように、少し事務的な作業をスピードアップしていただきたい、このことを特にお願いしておきたいと思います。
 それで、そういった検討委員会をつくる場合には間違いなく、北海道でもやったように、やはりアイヌの代表、学識経験者を入れることだけはぜひひとつ考えて作業を進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それで、北海道のウタリ問題懇話会から出されている内容を見ますと、まずアイヌの人たちの人権問題がありますね、それから教育、文化の問題、それから経済の関係で自立化基金の創設の問題、それから今申し上げた審議機関の設置とかいろいろとあるんですけれども、きょうこの問題、最初でもありますし、時間もそんなにとれませんので、特に教育問題一つに絞ってきょうは質問をしてみたいと思います。
 それで、少数民族で最も大切なことは、あらゆる分野で差別をなくすることだと思うんです。そのために和人に対して子供のころから少数民族を尊重する教育をすることが非常に大事だろう、そんなふうに思います。ところが、学校教育の中で非常に差別が多く発生していることは大変残念に思いますし、中でも教師そのものが差別的な教育を行っている、これは非常にゆゆしき問題だと私は思うわけであります。
 きのうコピーして差し上げておりますので長官もお持ちかと思うんですけれども、「アイヌ民族の自立への道」という、この二十一ページを読んでみましたら、一九八三年に北海道のある高等学校で、「学校の教師が差別授業をしていた事実が明るみに出てきている。社会科地理の授業で、「アイヌを見たことがあるか。見分けがつかなかったら大変だぞ」と言ったあと、一女生徒に向かい「おまえアイヌのところへ嫁に行ってもいいのか」と聞き、さらに男子生徒に「アイヌの女でいいってやつ」と手を上げさせた。そして身体的特徴をあげてアイヌの見分け方を教えた」という、そういう実態が載っているわけですね。これは教師としてあるまじきことでないかなと思うんですけれども、こういう教育についてどうお考えでしょうか。文部省でしょうか、どちらでしょうか。
#43
○説明員(林田英樹君) 去る昭和五十八年に北海道立の高等学校の社会科の授業におきまして、教師がアイヌ民族に対する差別発言をいたしましたことにつきましては、北海道教育委員会から報告を受けて承知しておるところでございますけれども、このようなことは極めて遺憾な行為であったと考えておるところでございます。
 私ども、学校教育におきまして、基本的人権尊重の教育が極めて重要であると考えておりまして、児童生徒の発達段階に即し、各教科、道徳、特別活動などの学校の教育活動全体を通して基本的人権の尊重の涵養に努めているところでございます。今後とも基本的人権尊重の教育が一層適切に行われるよう指導してまいりたいと考えております。
#44
○山口哲夫君 このことは教師に対してアイヌ問題についての教育自体がやっぱり行われていなかったという一つの証拠だと思うんです。
 それで、札幌市の教育委員会で出しております札幌市立学校教員、幼・小・中・高ですけれども、その「アイヌに関するアンケート 集計結果とその分析」という冊子があるんですけれども、それを読んでみましたら、こう書いてある。あなたは学校教育の中でアイヌについて学んだことがありますかと。小学校で学んだことがあるというのは五二・一%、ないというのが四四・九%。中学校になると逆転いたしまして、学んだことがあるというのが四三%、ないというのが五四・八%。高等学校になるともっとひどくて、学んだことがあるというのが三四・五%、学んだことがないというのが六三・六%という結果が出ているわけであります。だから、教師自身がアイヌ問題について学校の中で学ぶ機会がなかったと思うんです。そういう点では、もっと学校教育の中で真剣にアイヌ問題を教育していくということが私はやっぱり必要でないかと思うんです。いかがでしょうか。
#45
○説明員(遠藤昭雄君) お答えいたします。
 大学での教員養成段階においてそういった問題を取り上げてはどうかという御質問でございますが、教員免許状を取得するためには、大学の養成課程で教員としての基礎的資質を養うということを目的とします教職専門教育科目というものを履修しなければならないことになっております。この教職専門教育科目につきましては、昨年三月に免許法の施行規則等の改正を行いまして、各大学が弾力的に開設できるように改正をしたところでございます。この改められた科目の中には、教育の本質と目標に関する科目、あるいは教育に係る社会的、制度的または経営的な事項に関する科目というものがございまして、こういった中でアイヌに関する科目を開設し、教員を志望する者に履修させるということは可能であると思います。
 ただ、いずれにしましても、こういったアイヌに関する科目の開設の有無等、具体的な取り扱いにつきましては各大学の自主的な御判断によるということになっております。
#46
○山口哲夫君 先の方のお答えをいただいてしまったようですけれども、その問題は後から触れようと思っていたんですけれども、教科書でアイヌ問題をどういうふうに取り上げているかというのを一応ずっと調べてみました。一九八三年から八九年まで、検定内容の原案がこういうふうに書いて、それに検定としてこういう意見をつけて、それに基づいて本文としてこういうふうに直ったというふうに克明にある。これを読んでおりましたら、随分検定としてはひどいことを言うなというふうに実は思って読んでいたんです。例えばアイヌがいかに差別されているか、和人がアイヌをどう侵略していったかということが原案に書かれていると、それは少し書き過ぎでないかとか、こういう法律でもって保護対策をやっているんだからそっちのこともちゃんと書けとか、そういうふうに非常にどうかな、検定がそこまで言うというのはおかしいんじゃないかなというふうに思ったんです。
 実は一九九〇年から九二年までの教科書に大体載ったやつを全部入手しまして読んでおりましたら、ここ三年くらいの間に少数民族問題が国会の中で非常にやかましく取り上げられるようになってから、随分教科書は変わりましたね。読んでみて随分内容が、問題はまだまだあるけれども、変わつてきたなと、相当我々が主張していたことも教科書の中でちゃんと書かれるようになってきたなというふうに思って読んでいたんです。
 ただ、読んでおりますと、歴史の面では非常によく書いています、ところが中学校の公民教育の教科書の中には余り取り上げられていない、取り上げられても非常にわずかしか取り上げられていない。そういうことを考えると、この公民教育というのは、子供たちに対して人間としてのあるべき道、人権であるとか差別をしちゃならないとか、そういう人間として踏まえなければならないことをきちっと教育していくところでないかと思うんです。だから、やっぱり歴史だけで取り上げるんではなくして、そういう差別がどうしたらなくなるのか、そんなような観点に立って教育の中で私はもっと真剣に取り上げていくべき必要があるんでないだろうかな、そのためにはやはり差別の実態というものを明らかにすることも必要でしょうし、なぜそういうものが生まれてきたのか、どうしなければならないのかということをきちっとやっぱり教育していく必要がある。だから、これからも公民教育の中でももっと積極的にこの問題を取り上げていくように文部省としても指導できないものだろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#47
○説明員(林田英樹君) 先生御指摘のように、例えば中学校で使います教科書でございますと、現在地理的分野、歴史的分野、公民的分野というような形で教育が行われるわけでございまして、これらをすべて中学校で教えるわけでございますが、例えば歴史的分野などでもかなり記述が見られるというような御指摘もございましたけれども、これら全体を使いまして中学校では指導をいたしておるという事実があるわけでございます。
 いずれにいたしましても中学校の社会科の公民的分野の教科書について申しますと、例えば日本国憲法のもとの平等の学習におきまして解決されるべき差別の事例の一つとしてほとんどの教科書に記述が見られるわけでございますが、私ども現在の教科書検定制度のもとにおきましては、アイヌ系民族の問題をどのように取り上げるかにつきましては原則として著者の執筆方針にゆだねられているということでございますけれども、文部省としては人権尊重の観点からこれらの記述の充実が図られることを期待いたしておるところでございます。
#48
○山口哲夫君 期待しているのでは困るので、日韓の教育指導について文部省が二十九日の日に、「日韓併合など日韓間の歴史を授業で取り上げるよう学校に求める異例の指導を開始した。」というのが新聞に出ていますね、ついこの間のことです。文部省がその気になれば各学校に対してそういった指導を開始することができると思うんです。やはり国内に存在する差別の非常に大きな問題です。ですから、そういう問題をしっかりと公民教育の中で取り上げていくという指導をできないことはないと思うんです。どうですか。
#49
○説明員(林田英樹君) 私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように人権尊重の教育が適切に行われるように指導を従来からいたしておりますし、これからも大事な観点として指導してまいるつもりでございますけれども、教科書の記述そのものにつきましては、先ほど申しましたように原則として著者の執筆方針にゆだねられるということでございまして、文部省としてはこのような記述の充実が図られることを期待するということが今の教科書制度の中では適切ではないかと思うわけでございます。
#50
○山口哲夫君 せっかく日韓問題についてもそういった歴史的な問題、特に日本が韓国の方々に対して大変な迫害をしてきた、そういったことについての歴史についての指導をきちっとしていくというふうに言っているんですから、もう古くからある日本のアイヌ民族に対する差別の問題については同様に今までも指導してきたとおっしゃるんですから、これからもひとつ強力に指導するように特に強く要請をしておきたいと思います。
 それで、このアンケートを読んでみますと、非常に興味深いものがあるんですけれども、アイヌ史やアイヌ文化についてあなたはどの程度の知識をもっていると思いますかと先生方に聞いている。あまりよく知らないと思うというのが六二%、まったく知らないというのが六・八%、何と全体の六八・八%、七割近い先生方がよくアイヌのことについては知らないというふうにおっしゃっているんですね。
 それからもう一つ、こういうのもあるんです。あなたは現在使用している教科書のアイヌについての記述に問題点があると思いますか。わからないというのが五四・六%ある。半分以上の方がよく教科書に出ているけれども教える方としてもわからないというんですね。それからもう一つあるんです。あなたは小学校社会科副読本のアイヌに関する記述が適切であると思いますか。わからないというのが六九%もある。適切と思うというのは何と一六・二%しかない。適切でないというのが九・九%ある。教える方が本当にどうしていいかわからないというのが実態なんではないか。
 だから、それではアイヌに対してどう差別してきたかということをとても学校の先生に教えてくれなんていうことを期待する方が無理だと思うんですけれども、大学の教育課程で、アイヌ問題について先ほどお答えがございましたですね、できるだけ実習できるような体制はとっているんだ、改定をしてそういう実習できるような場をつくるようにしたんだというお答えがありましたけれども、もう少し積極的にこういった授業というものを義務的に、少なくとも教育課程の中でアイヌ問題についてきちっとした科目を設けて学生にそういうことを教えるという、そういうことは必要ではないでしょうか。
#51
○説明員(遠藤昭雄君) 教員養成段階につきましては先ほどお答えしたとおりでございまして、教員の必要な基礎的資質として教師が人権についてしっかりとした基礎的素養を身につけるということは大変重要なことだというふうに考えておりますが、それの具体的な授業料目名とかいうことになりますと、やはりこれは各大学の御判断にまつということになっておりますので御理解をいただきたいと思います。
#52
○山口哲夫君 北海道の国立大学幾つかありますけれども、そういう中ではアイヌ問題の教育についてはカリキュラムの中には載っているんでしょうか。
#53
○説明員(泊龍雄君) お答えいたします。
 北海道大学につきましては、今先生御指摘のような授業科目といたしましては、一般教育科目関係といたしましては、「一般教育演習」でありますとか、あるいは専門教育科目として「オホーツク文化の研究」といったようなもの、あるいは「教育史学(アイヌ民族と教育)」といったようなもの、あるいは「社会科教育法」といったような形で授業科目が開設されておるところでございます。
 なお、御参考までに申し上げますと、北海道大学におきましてはアイヌ文化を含む、先生御案内のとおりの北方文化研究施設等も設けて、研究面のみならずに学生の教育指導の面でも活用するようにという運営をとっているところでございます。
 それから北海道教育大学につきまして実情を調べてみますと、北海道教育大学におきましても、一般教育科目として「アイヌ民族」あるいは「少数民族と教育」といったような授業科目、専門教育科目といたしましては「アイヌ語、アイヌ文化」といったような授業料目が開設されておるという状況でございます。
#54
○山口哲夫君 大学の自主性というものは尊重しなければならないことは当然ですけれども、できるだけひとつ、文部省としても大学側と十分協議する機関もあるでしょうから、そういう中で努めてこういった差別問題を全国的に教育課程に取り上げていけるようにこれからも御努力をいただきたいということを強く要請しておきたいと思います。
 それで、大学に関連いたしまして、アイヌ語やアイヌ文化を勉強したいという方が随分ありまして、アイヌ語教室なんかがあちこちで開かれているんですけれども、どうも奉仕活動でやられているのが多いようであります。やっぱり課外授業でもいいですから、少数民族の自決権というのを認めているわけですから、少なくとも民族として誇りに思っているアイヌ語というものを課外授業なら課外授業の中でも少し考えていってもいいんではないかと思うけれども、いかがでしょうか。
#55
○説明員(林田英樹君) 北海道の教育委員会におきましては「アイヌの歴史・文化に関する指導の手引」といったような指導資料の作成、配付するなどによりまして、学校教育において社会科学習としてアイヌの歴史や文化などに対する正しい理解が行われるように努めておると聞いておるところでございます。
 我が国の学校教育そのものの中におきましては、公教育の観点から、国民として必要な基礎的、基本的資質を身につけさせることにしておるわけでございまして、現在の学習指導要領では国語により教育を行うとしておるわけでございまして、正規の教育活動としてアイヌ語教育の時間を設けるということは、このような学校教育の性格に照らしてはなじまないというふうに考えるわけでございますが、なお承知しておるところでは、文化庁におきましてアイヌの民族文化財の保存と伝承というふうな観点から、社団法人北海道ウタリ協会の開催いたしますアイヌ語教室に対しまして昭和六十三年度より助成をしておるというふうに聞いておるわけでございます。
#56
○山口哲夫君 ぜひひとつ文化庁でそういった助成をこれからも十分拡大をしていくようにお願いをしておきたいというように思います。
 本州のある大学では、何かアイヌ語を教える先生がいらっしゃって、そこでやっぱり講座を持っているらしいのですね。ところが、北海道では直接そういうものがないということで、わざわざ北海道でアイヌ語を勉強したい人は自分で金を出して東京まで来ているようなんです。北海道でぜひその先生に来ていただきたいということになれば自分たちが金を出すか、あるいはその教授が自腹を切って行かなければならないということで、非常にアイヌ語を勉強したい人たちが機会に恵まれないということもあるようでございまして、文化庁ではそういった動きもあるようでございますから、大学内においてもアイヌの言葉あるいは文化等についての教育を、学生だけでなくて一般の人たちにも公開講座的に開けるようなことをぜひひとつ検討していただきたいものだ、このことは要望しておきたいと思います。
 それから、アイヌ民族の子供たちに対する教育の問題なんですけれども、北海道の民生部が出しました北海道ウタリ生活実態調査報告書を読んで見ますと、高等学校の進学率というのがウタリの人たち、アイヌの人たちは七八・四%。ところが、アイヌの方々の地域を含めた市町村の進学率は九四%で、アイヌの方々が住んでいる地域というのはアイヌの方々の進学率というのは一五・六%も低い。それから、大学の進学率に至っては、市町村が二七・四%に対してアイヌの方々は八・一%と一九・三%も低い。これは家庭の経済力がやっぱり弱いためではないだろうかと思うんです。
 住民税課税区分別世帯数というのがあるんですけれども、これは四年前の調査ですけれども、それを見ましても、いわゆる低所得者というふうに分類される人たちがアイヌの人たちは五二・九%もある。市町村の場合には二八・五%というふうに数からいくと倍くらいになるわけです。この道が行った報告書を読んでみましても、とても学校教育までは手が回らない、食べるのが精いっぱいだ、このままでは暮らしていけない、四六%以上もあるわけであります。
 国や道からウタリ福祉対策奨学金等給付制度というのがございまして、確かに高校生になりますと一定の給付がされているようであります。しかし、非常に低いと思いますね、一カ月国公立で一万六千円くらいですから。大学は、これは貸し付けですけれども、国公立で三万六千円。ですから、せめて高校だけでも経済に関係なく十分ひとつ進学できるという、そういう体制を整えるような奨学制度というものを検討してみてはいかがかと思うんですけれども、どうでしょうか。
#57
○説明員(林田英樹君) 北海道に在住しておりますウタリの子弟で経済的な理由によりまして進学後の修学が困難な生徒に対しましては、現在奨学資金を援助いたしておるところでございます。
 御指摘のように、実態といたしますと、北海道全体の高校進学率や大学進学率に比べましてウタリの子弟の進学率が低いことは事実でございまして、私どもとしてもこれまでこのウタリ対策、進学奨励事業の充実を図るということに努力をしてきたわけでございます。進学奨励費の特に単価につきまして毎年改善を図るように努力をいたしておりまして、現在御審議をお願いしております平成二年度の予算案の中におきましても、高等学校などで国公立学校の場合には月額五百円、私立学校の場合で千円というふうな単価増をお願いいたしておるところでございます。厳しい財政事情ではございますけれども、今後ともその充実に努力をいたしてまいりたいと考えております。
#58
○山口哲夫君 アイヌ問題の最後に、北海道旧土人保護法のもとではアイヌに対する差別を確かに助長させてきたと思うんです。ひいては、アイヌ民族の教育の発展をこれが妨げてきたことは事実だと思うんです。このことがアイヌ民族をして社会的、経済的にも非常に劣勢にさせる一要因になったと私は思うわけであります。このような現状を打破して、アイヌ民族に対する差別を根絶していくためにもアイヌ民族に対する教育に重点を私は置いていく必要がある、こんなふうに思うわけであります。
 それで、北海道の方から出された新法制定に対する考え方についていろいろと書かれておりますけれども、特に教育の分野で幾つかの問題が指摘されていると思います。
 まず第一は、アイヌ子弟の総合的教育対策を実施してもらいたいということ。それから二番目には、アイヌ子弟教育にはアイヌ語学習を計画的に導入すること。三つ目には、学校教育及び社会教育からアイヌ民族に対する差別を一掃するための対策を実施すること。四つ目には、大学教育においてはアイヌ語、アイヌ民族文化、アイヌ史等についての講座を開設すること。五つ、アイヌ語、アイヌ文化の研究維持を主目的とする国立研究施設を設置すること。そのほかありますけれども、これはアイヌの教育、文化というものを守っていくためにはどれも欠くことのできない問題であろうと思うわけであります。
 こういうことについてアイヌ新法の中でやはりきちっとした法制化をして、そして国がこういった方針に基づいてそれぞれ自治体も含めて努力をしていくということを私たちは努力していかなければならないと思いますけれども、こういう問題について法制化の中で検討する、そういう考え方がございますか。
#59
○政府委員(公文宏君) 今委員の方から御紹介のありましたアイヌ新法の中での要望事項については私どもも承知をいたしております。ウタリ協会がつくりましたアイヌ民族に関する法律案の中でもそのことは触れられておりますし、それから北海道庁からの要望の中にもそのことは触れられております。今後の検討委員会の検討の中で十分テークノートしていきたいというふうに思います。
#60
○山口哲夫君 ぜひ申し上げた点について御努力いただくようにお願いをして、次に移ります。
 次には、林野庁職員の人員の削減についてでございます。
 さきに解散いたしました行財政改革推進委員会の報告によりますと、一九八二年から九〇年までの九年間で国家公務員の削減数は三万一千九百四十六人でありますけれども、国有林野事業特別会計の削減数は何と三九・二%の一万二千五百二十七人に達しております。緑を守らなければならないという国家的使命から見ましても、これは異常としか言えないと思いますけれども、どうお考えでしょうか。
#61
○政府委員(百崎英君) 申し上げるまでもなく、国有林野事業の経営改善を図るということは目下の急務の課題でございまして、その一環としての要員規模の適正化ということも非常に重要な課題であろうと考えております。そういう意味で、今日まで事業量に見合った規模を決めた経営改善計画というものをつくりまして、これにのっとって縮減を図ってまいったものでございまして、私どもといたしましては適切な措置ではなかったかと考えております。
#62
○山口哲夫君 私は決して適切な措置とは思っておりませんけれども、今の一万二千五百二十七人というのは定員内の職員なんです。この期間に定員外職員の削減数を合計しますと何と倍くらい、二万三千五百人にも達しているわけです。国有林野事業特別会計の経営改善が始まったのは一九七八年です。これから計算しますと、ことしまで、一九九〇年までに何と三万一千四百二十七人、四八%からの削減になっておるわけであります。こうした削減は、あなた方は事業の請負によってカバーしているんだというように言っておりますけれども、民間の林業労働力から見ても、これを請負に回していくというのには限度があるんじゃないかというように思うんですけれども、いかがでしょうか。
#63
○説明員(高橋勲君) 御指摘のように、今国有林、民有林を問わず林業労働力問題ということは大変重要な課題であると認識はしております。国有林野事業につきましては、先ほどのお話のように経営改善計画に基づいて要員の縮減とか組織の簡素合理化をしておるわけでありますけれども、事業実行に当たりましてはやはり民間事業体に請負で実行してもらうという方針を改善計画として立てておるわけであります。
 その民間事業体の育成という点につきましては、民有林施策と連携を図りまして地域の実態に即した請負事業を計画的に発注するとか、あるいは責任施業体制の確立を図るとか、あるいは安全衛生対策を充実するというふうなことで事業体の育成整備を図って請負事業を推進して、そして適切な森林管理を図るという考えでございます。
#64
○山口哲夫君 総務庁長官もいらっしゃるけれども、行政改革をずっと進めてこられた政府側としてこの実態というのはよくひとつ頭に入れておいてほしいなと思うんです。
 今林野庁の方から民間の請負に出してそっちの方で何とかやってもらうんだと言っているんですけれども、民間労働者自体が物すごく減ってきているんです。一九六五年から約二十年間の間に総数からいきますと五三%に減っている。そして若い人たち、十五歳から二十九歳までは二一%から六%に減っている。三十歳から四十九歳は五四%から三五%に減っている。そして五十歳以上、高齢者が二五%から倍以上の五九%にふえている。だから、林業労働という非常に重労働の中で若い人たちが本当はたくさんいてもらわなければならないのにどんどん減って高齢化になってきている。民間全体を含めてこうなんです。
 しかも、こういう状態なものですから、どうしても山の作業については手抜きをせざるを得なくなったんですね。どういうふうに手抜きをしたかと申しますと、人工林齢級別面積という調査があるんですけれども、要するに木を植えてから間伐をしなければならない年数というのは大体十六年から三十年くらいの間というふうに言われているんですね。その間に間伐をしなきゃならない。それが国有林と民有林を合わせますと何と約五百万ヘクタールあるわけです。そのうち緊急にもう今すぐ間伐しないと山はどうにもならなくなりますよというのが百四十万ヘクタールもあるわけです。
 それじゃ、緊急に今すぐ間伐しなきゃならないというその百四十万ヘクタールをどのぐらいやっているのか、この五年間での調査を見ますと、何と合わせましてわずかに三十二万二千ヘクタールしかやっていない。四分の一弱ですね。しかも、民間でそのうちの大多数をやっているわけです、約六十何%ですか。七〇%以上をやっているのかな、そうですね、七五%くらいやっているんです。だから、大体民間と国有林というのは、四分の一くらいですよ、国有林が、極めて大ざっぱに言うと。そうすると、四分の一くらいは当然間伐をやらなきゃならないんだけれども、その四分の一まではやっていないんですね。四分の一というのは二五%ですけれども、調べてみたら一三%、半分以下しかやっていない。民間も含めても緊急に間伐をしなければならないものが百四十万ヘクタールあるのに、くどいようですけれども三十二万ヘクタールしかやっていない。四分の一しかやっていない。だから、山がこれは大変なことになっていると思うんですね。
 だから、こういうふうにもう民間でもできないからこんなような実態で山をほったらかしにしている、これではとても日本の大切な緑を守ることができないんじゃないだろうか。今大阪で緑の博覧会をやっていますけれども、片方では非常に華やかなことを言っているけれども、実態から見るとこういうことだということなんです。だから、やっぱりこういう実態を林野庁はしっかり知っていただかなければ、簡単に民間におろせばいいんです、民間労働者を中心にしてやっているとは言いますけれども、実際には民間だってこういう手抜きをして山はもう放任されているということをもう少しやっぱり頭に置いた上で林野庁は対処してもらわなければいけないんじゃないか、そう思うんですが、林野庁、どうですか。
#65
○説明員(高橋勲君) 間伐の必要数量とか実行量につきましてちょっと手元に資料がございませんが、確かに間伐の必要面積に対する間伐の実行率が全面的になされていないということはよく承知しております。ただ、御承知のとおり間伐というのはやはり林業の中の経済行為ということで、木材価格にもよるわけですけれども、一つは収入が得られるような状態であれば間伐の実行もできるというような体制になるわけですけれども、現在のところ木材価格の水準等の問題もあってなかなか全面的な間伐はできていない。
 ただ、林野庁といたしましては、やはりそういう問題につきまして造林事業あるいは間伐対策というふうなことで助成などもしつつ、一方事業体の助成もしながらそういう事業が円滑に行われるように努力しているところでございます。
#66
○山口哲夫君 いつも使う言葉ですけれども、あなた方の言っていることとやっていることはまるっきり違うので、本当にこれで日本の山というのはどうなるのかな、そういう心配が出てくるんです。
 一九六九年に林野庁が経営基本計画というのを作成していますね。これを見ますと、人工林施業、一番山を守っていくためには大事なことですよね。人工造林を行っていかなければならない、そういう人工造林で出てきた木を切った後に人工で植えていく、あるいは天然林を切った後に人工でいい木を植えていく。本当にいい木を日本で大切に育てていくためにはこの人工林施業というのは一番大事なんです。これを一九六九年ですか、昭和で言えば四十四年にあなた方は三百三十万ヘクタール、全体の四七%を人工林施業でやりたい、こういうふうに計画を立てたんです。ところが、九年後にそれが四七%が三六%に減っている。そしてまた十年後になると二八%に減っている。それじゃほかの方はどうなるのかといえば、天然林施業、自然にその木が生えるような方向に任せちゃっているんですね。これじゃ山はよくなるはずがないと思うんです。
 私も二年ほど前に知床の営林署を中心に山を見せていただきました。私みたいな素人が見ましても、これでいいんだろうかなと思いましたですよ。もう立派な木につるは絡まっておるし、こんなに木を生やせておいて間伐しなくてほかの木が育つんだろうか、切っていない、これは大変だなというふうに私は思いました。そして現場の方に聞いたら、手が回らないと言うんですね。だんだん人が減らされちゃって、民間だって今はさっき言ったようになかなか林業に従事する人が少ない。このままだったら日本の山は大変なことになるなというふうに素人目で見てもわかりましたですね。
 そういうことなんですけれども、あなた方に言わせると、これは十年ごとに見直しをやっているのであって、決してそういう意識的にやったものじゃないとおっしゃるんでしょうけれども、時間がないから私の方で答弁しておきますけれども、そういうふうに林野庁の方は言っていらっしゃる。私はこれではとても林業は守っていけない、そういうふうに思うんです。どうなんですか、こういった変更せざるを得なくなってきたということについては疑問を感じるんですけれども。
#67
○説明員(高橋勲君) 国有林の全体の面積が約七百六十万ヘクタールほどありますけれども、確かに昭和四十四年ごろまでは資源政策として木材供給ということが非常に大きな国有林の使命でございました。そのためにはやはり成長の低い天然林を人工林にかえて人工林の面積をふやして木材生産をする、これが大きな目的でございました、方向でございました。
 そのころからやはり自然保護というふうな観点も出てまいりまして、天然林を天然林のままとして施業をする、あるいは健全な山にしていく、こういう方向も重要な方向であるということが認識されまして、経営基本計画という計画がございますけれども、そういうものの編成の都度そういう世の中の状況に合わせて対処してきたわけでございます。それによりまして先生御指摘のように四十四年から五十三年の十年後には人工林としてやっていこうという面積はまた減りまして、それから最近の、六十三年度ではさらに人工林として経営をしていこうという面積は二百万ヘクタールになったわけであります。それぞれ人工林も人工林化したところは適切な手を加えてやっていく、それから天然林施業も天然の力を利用して原生林の保存というふうな自然保護の面にも対処しながら森林を管理していく、こういう基本的な森林の整備方針でやっているところでございます。
#68
○山口哲夫君 世の中の情勢に従ってそういうふうに変わってきたというんですけれども、世の中の情勢というのはむしろ緑を守っていこう、はげ山にしないでいこう、いい木をきちっとやっぱり山に植えていこう、そして五十年、六十年後、我我の子孫にいい財産を残していこう、それが私たちの役目だと思うんです。そうしますと、自然保護の関係で天然林に任せておけばいいというのは私は詭弁に聞こえるんですね。
 最初に、一九六九年に林野庁みずからがつくったのが、人工林施業というのはやっぱり四七%くらいは必要なんだというふうに書かれたということは、今私が申し上げたような気持ちがあったから書いたと思う。ところが、だんだんやっていくうちに人は減らされる、民間に出しても民間も人手が足りない。そういう中で、日本の林業行政というのがだんだん後退していったから、それに合わせてこういった縮小をせざるを私は得なくなったと思う。こういった道に詳しい方は、大体私の言っていることは正しいとおっしゃっています。林野庁は、世の中の情勢に、変化に対応してと言うけれども、悪い方の変化に合わせているだけにすぎないんじゃないかなと思うんです。
 国有林事業の経営改善というのはそこに働く職員の削減だけではないと思う。機構の削減も伴ってきているわけです。私たち日本社会党が国政調査ということで全国各地を回りました。その中で、例えば高知県の馬路村というのがあるんですけれども、ここでは営林署の廃止によりまして人口が何と二八・五%も減っている。小中学校が複式化になったり郵便局の廃止まで言われている。
 政府はふるさと創生ということを大変熱心にやられている。一億円を市町村にばらまかれている。それ自体は私は結構だと思う。ふるさと創生というのは非常に大事なことだと思う。しかし、一億円を出したからといって、ふるさとが創生されるとは私は思わない。ふるさとと呼ばれる町村の多くは農業で生計を立て、林業で生計を立て、漁業で生計を立てている。第一次産業を本当に真剣に守ってこそ私は日本のふるさと創生というものができてくると思う。その一番大事な第一次産業を手抜きしているということは、これはふるさと創生、政府が掲げている方針にも私は反するんでないだろうか、そう思う。そういう点で、山を守るということは目先の利益にとらわれてはできることではないと思う。ぜひひとつ政府としてそういうことの御認識を私はいただきたい、考えていただきたいと思う。
 それで、もう少し経営内容について調べてみますと、我が国の林業の利回りというのは一・七%台というふうに非常に低いんです。公定歩合が二・五%でありながら林業の利回りが一・七%なんですから、これだったら林業なんというのはやらない方が得なんです。
 民間の方には造林事業に特別融資制度があって、三・五%といって政府の方で利子補給をしているんですね。それでも大変だと思うんですよ。ところが、国有林の事業を見ますと六・三三%と利率が非常に高い。民間にさえ三・五%の利率で利子補給をしているのに、国有林の経営に対しては六・三三%という高い利子を払わせて林野行政をやりなさいといっても、私はここには無理があると思う。当然政府として林野事業に対して、特別会計に対して利子補給をみずから行うと同時に、もっとやっぱり一般会計で大幅に特別会計に対する支出をしなければ日本の山は将来大変なことになる、私はそう感ぜざるを得ないわけですけれども、どうお考えでしょうか。
#69
○説明員(高橋勲君) 国有林野事業が昭和五十一年度から財投資金を借り入れておりますけれども、その債務の借り入れの利率は、昭和六十三年度末債務残高を平均いたしますと六・三%でございます。大変厳しい状況ですので、国有林野事業改善特別措置法という法律に基づきまして造林とか林道、こういう民有林の方にも助成している施設費につきまして一般会計の繰り入れを行っております。それから、昭和五十九年度からは定員内の職員の退職手当を借り入れしてその利子補給を行っております。それから、六十二年度からは造林、林道等にかかわる借入金の借りかえ借入金、これについて利子補給を行うというふうなことで、全般的な金利負担の軽減を図っている状況でございます。
#70
○山口哲夫君 いろいろとやっていることはそれは事実でしょう。しかし、私たちに言わせればまことに微々たるものであって、日本の林野行政そのもの全体を見るならば、今一例として利子補給の面を挙げたように、民間にさえ利子補給をこれだけしているのに、自分のところは、足元は全然やっていないという、六・三%で、こんな高い利率では経営していけないでしょうね。
 それで、これは林野庁にお聞きしても無理だと思うんです。そのためにきょうは大蔵省の主計官も聞いていていただいておりますし、予算を実際につける方にもね。きょうは実力ある閣僚三人もそろっているわけですから、私は本当に大臣の皆さん方にお願いしたいんです。目先の利益だけ、効率だけを考えてどんどん人員を削減したり、特別会計だということで、特別会計でやりなさいと言ってこれを続けていったら、何十年かたって気がついたら本当に日本の山というのはもう取り返しつかない状態になっていた。そのときの国民の人たちに、我々の先祖、五十年前の先祖は一体何をやっていたんだ、こんな貴重な日本の山をどうして放置しておいたんだと言って私たちは批判されるんじゃないだろうかと思うんです。
 そういう点では行政というのは長い五十年、百年の年月で考えて、今それにどう手を打つかということが一番やはり大事な問題だと思いますので、どうかひとつ各大臣の皆さん方にそういう点を御配慮いただいて、閣議の中でも真剣にひとつこの問題に対処をしていただくように強くお願いをして、この問題については終わります。
 その次は国税職員をぜひ増員してほしいということです。大蔵省の方はいらしていますか。――これから大体年間五千億から六千億もうける話をしますんで、ぜひひとつ聞いていてください。
 国税の税務職場の事務量というのは、社会経済構造の変化や経済取引の複雑化、広域化、さらに一層の国際化などによる納税人口の急増等によって質、量の両面にわたって増加をしてきているのは事実であります。以下、数字を申し上げますけれども、国税庁には質問全部そのまま渡してありますので、特に数字の問題でございますから間違っておったらぜひ言ってくださいと言っておりましたけれども、一、二を除いて言ってこないということは大体間違っていないというふうに判断しております。時間の関係もありますので、間違っているか間違っていないかで結構でございます。
 まず職員一人当たりの納税者数、ここ十年間、一九七七年から八七年まで国税庁の職員はふえておりません。一・〇倍です。ところが申告所得税納税者数は一・四倍、法人数は一・二倍、源泉徴収義務者数は一・一倍、還付申告発生件数は二・四倍、滞納件数は一・四倍になっております。定員がふえないのに職員一人当たりの納税者数あるいは税の対象件数だけは大幅にふえているということだけは認めますね。
#71
○説明員(阪田雅裕君) 今御指摘の数字は多分昭和五十二年から六十二年の十年間ということかと思いますが、おおむねそのとおりでございます。
#72
○山口哲夫君 納税者の規模が大型化、複雑化しております。ここ十年間の比較であります。申告所得のうち高額所得者数は二・八倍、大法人数は一・六倍、滞納件数は一・三倍、海外事業所数は四千百社から一万一千六百社に、二・八倍。若干年月のとり方が違っておりますけれども、大勢に影響ありません。海外事業所の不正所得金額は何とここ八〇年から八四年の五年間で六・〇倍になっております。定員がふえていないのに税務調査の対象となる件数だけはこんなに大幅にふえているということは認めますね。
#73
○説明員(阪田雅裕君) 御指摘のように大変経済社会が発展いたしました。また、今もお話がありましたように我が国経済が国際化したとか、あるいは取引が非常に広域化したということで調査の対象とするべき事業者といいますか、納税者が大変ふえておりますし、また税務調査も非常に難しくなっているというようなことは事実でございます。一言申し上げさせていただきますと、こういった状況に対処するべく私どもとしましては資料、情報の収集に一生懸命努め、今海外関連の不正所得が六倍になっているというお話もございましたけれども、これは単にふえたから不正がふえるというわけではありませんので、きちんとした調査をした結果としてふえておるということであろうかと思います。
 そういう意味で的確な資料、情報の収集活用に努める、あるいは納税者管理を充実させるといったようなことで高額、悪質重点の調査を推進している。したがいまして、今機械化、国際化につきましてもそういったことに対応できるような専門的な部局を設けるとか専門家を養成する、あるいは最近では海外の主要都市に長期出張者を常駐させるといったようないろんな工夫を凝らしておりまして、的確な税務行政が推進できるように努めておるところでございます。
#74
○山口哲夫君 いろいろとお話がありましたけれども、こういう件数が伸びていることだけは事実であります。
 それで次に、今もお話がありましたように機械化も進めているとおっしゃっていました。事務量の増加に対応するためにADP予算、いわゆるコンピューター化、これをふやしているというのですけれども、日米の比較を見ますと一九八六年、日本は何とADP関係予算は百十億円で、アメリカはその一年前で千四百七十億円です。一ドル百四十円の換算でした。十三・四倍もアメリカの方が多いのです。定数はどうかと思ったら、日本は四百四十八人、アメリカは二万五千七百七十三人、何と五十七・五倍にもなっております。これでは職員の仕事に対する意欲さえ奪ってしまうのではないかというふうに思いますし、税の本来の目的である課税の公平が達成できないのではないかと心配になるのですけれども、どうでしょうか。
#75
○説明員(阪田雅裕君) コンピューターの話でございますけれども、国税庁では、役所の中では大変早い方ではなかったかと思いますが、昭和四十一年にコンピューター利用ということに着手をいたしまして、以来着実にまた積極的にその電算処理の推進に努めてきております。現在全国で五百十六税務署がございますけれども、今ではすべての税務署で多くの事務について電算処理ができるというような形になっております。こういった事務の機械化といったことがなければ、先ほど来先生お話がございましたような納税者の増加、それに恐らく対応できなかったであろうというような意味で、私どもとしては精いっぱいやってきたというつもりでおります。
 また、予算につきましても、今お話がございましたように、アメリカに比べると金額――どの範囲をとるかということで少し違うような部分もありますのでにわかには比較しがたいという点もありますし、またアメリカと日本の税務行政を取り巻く環境もかなり違っております。例えば一例を挙げて申し上げますと、給与所得者の源泉徴収制度といったようなものが我が国にはございますけれども、アメリカではなくて申告納税者が非常に多い。そういった給与所得者もみんな申告納税であるというような制度の違いもありますし、また納税者の絶対数も違うというような違いの面がありますので、一概にどっちが多いとか少ないということは難しいかと思いますが、私ども予算に関します限りは予算当局と関係各方面の御理解を賜りまして、今先生は昭和六十一年度の数字を御指摘をいただきましたけれども、その後も年々増額が認められてきておりまして、平成二年度につきまして申しますと、例えば総額で大体二百九十億円というようなことで、この数年間はこの三倍程度の規模になってきております。
 国税庁といたしましては、情報処理あるいは通信の技術水準が今後一段と高まるというふうに見込まれる、あるいは今後予想される課税対象の増大に対してさらに積極的に対応しなきゃいけないということで、今年度から新しく国税総合管理システムと私ども言っておりますけれども、新しいトータルシステムの開発に着手することにいたしました。これができ上がりますと相当な省力効果が期待できるというふうに考えております。
#76
○山口哲夫君 いろいろと努力していることは認めますけれども、アメリカと日本とは一概にきちっと対比できないこともわかりますけれども、それにしても定数が、ADP関係の職員が五十七倍いるという、アメリカは。日本だって国税庁では、お金さえあれば、もっともっとADPの予算さえあれば機械化していきたい、コンピューター化していきたいというのはみんな持っておると思うのですよ、現場の方は。だから、なかなか予算がつけられないのでこういうふうにやっているのであって、しかしこういうことがやっぱり税の不公平というものが現実に発生する原因になっているんじゃないかと思うのです。
 例えば、法人税一件当たりの調査日数を見ますと、せっかく今まで八・五日だったのが何とこの十年間で六・五日に減ったり、それから所得税の調査日数が四・五日が四・〇日に減ったり、対象の客体に対してきちっと調査をしなければならないのに、その調査の日数がだんだん減ってくるんですよ。だから、きちっとした捕捉ができなくなるわけですね。これはいかに職員の数が少ないか、機械化が少ないか、手が足りないかという証拠だと思うのです。それで、こんなことで今の実調率、所得では二十五年に一回、法人については十年に一回しか客体に接触できないというんですけれども、これも事実ですね。
#77
○説明員(阪田雅裕君) 六十三事務年度を通じて申し上げますと、所得税のうち主として私どもの調査の対象になります営庶業所得者、商売をやっておられた方あるいは文筆業を営んでおられるような方ということでありますが、営庶業所得者について見ますと、私どもは事後に実際に調査をする、実地に調査をする割合、いわゆる実調率というふうに称しておりますけれども、これが約四%、それから法人の実調率は約九%ということでございますので、単純に計算しますと今先生御指摘のようにおおむね個人については二十五年に一回、法人の場合は十年に一回ということになります。
 ただ、申告納税制度というのができましてから四十年たっておるわけでございます。この四十年間にわたりまして私どもも一生懸命広報、指導、相談といったことに努めてまいりました。また、租税教育なんかも一生懸命やってきました。基本的に我が国は申告納税制度でございます。そういう意味でタックスコンプライアンスといいますか、納税意識なり納税道義をどうやって高めていくかということで営々とやってきたわけでございます。そういう意味で非常に多くの人、多くの納税者につきましては現在既に正しい申告といいますか、適正な申告をしていただける状態になっているというふうに私ども思っております。
 したがいまして、今の税務調査というのはいろんな資料、情報を集め、また実際に私どもの方に提出されました申告書をよく検討いたしまして、申告内容に問題があるという人を選んでやっておるわけでございますので、そうした問題のある人だけについて見ますと、二十五年に一回とか十年に一回ということではなくて、相当頻繁に接触させていただいているというような面があることをまた御認識いただければと思います。
#78
○山口哲夫君 あなたのおっしゃるようなことであれば脱税している人なんて日本じゅういなくなりますよ。正しい申告をしているのだからなんというのじゃ何も税務調査をする必要はないんで、現実に税務調査すればほとんど大変な、九十何%ぐらいの脱税者がいるわけでしょう。二十五年に一回、十年に一回。これは時効は七年でしょう。そうすると、七年以降に調査に行ったらもう脱税したのはパアですね。だから、これは七年に一回は最低しなきゃならないんですよ。
 七年に一回するということになると、答弁が長いので僕の方で答えておきますけれども、七年に一回ということになりますと、これから計算すると実調率一四・三%になる。そうすると、今職員は幾ら要るかといったら一万八千百十四名要るという計算が出ている。それで一万八千百十四名必要なんだけれども、大体半分で一万人当面ふやす。それで、一年間に一万人ふやせばどのくらいの収入が得られるものなのかなと思って調べてみました。最初に調べたのは渡してありますね。何も言ってこないということは、大体三千億くらいは入るだろうという見込みなんです。
 それで私はゆうべもう一回点検してみたんです。そうしたら、私のちょっと思い違いで、これは一九八七年、昭和六十二年を対象にしてやったんです。これ六十二年じゃだめなんですね。ということは、一万人ふやして実調率を一四・三%にしたときに申告漏れの所得が幾らなのかという計算をしなきゃならないのですね。それで、けさ早く計算したので汚い字ですが間違いないでしょうねと言ってあるんですけれども、大体これからいきますと、申告漏れ所得というのが法人税二兆一千二百九十四億円。九千八百人の職員がいるので、一人当たり二億一千七百二十八万円。五千人これに新しい職員をふやしますと、何と一兆八百六十四億。その税率三〇%と見て、法人だけで三千二百五十九億入るということに計算上なるわけです。所得税を同じようにやっていきますと、何と二千百六十億入る。合わせまして五千四百十九億入る。それに相続税、贈与税、源泉所得税を合わせますと、約六千億円くらいの新しい収入を得ることができるという、単純計算ですけれどもなるわけです。どうですか、この数字。
#79
○説明員(阪田雅裕君) 今先生お示しの数字についてちょっと私ども子細に検討する時間がなかったわけで申しわけないんですけれども、少なくとも前提といたしまして、およそあらゆる納税者を調査しているわけではなく、私どもが今調査しておらない納税者もいるわけで、先ほど申し上げましたように高額な不正があると見込まれる人、あるいは大口の申告漏れがあると見込まれる人を重点的に選んでやった結果の増差税額あるいは増差所得金額であるわけでございます。だんだん人数をふやして調査の対象件数をふやしていきますと、これは一件当たりの増差税額あるいは増差所得金額というのはどんどん下がっていくということは当然予想されるわけでございます。言ってみれば限界効用が逓減するといいますか、そういう面もありますので、なかなか一概に一万人ふやしてどうかということには、計算は非常に難しいと思います。
 ただ、私ども六十三事務年度で、これは先生の方は所得金額の方からのお話でございましたけれども、実際に調査したものの増産税額、これは重加算税とか過少申告加算税とかいういわゆる加算税も含めた数字でございますけれども、それを見ますと、申告所得税で千九百五億円、それから法人税で六千百六十四億円の増差税額が出ておるわけでございます。これは、職員の数で割りまして単純に計算しますと、申告所得税では一人当たり約千八百万円、法人税は約五千四百万円というような数字にはなっております。
#80
○山口哲夫君 数字で大臣退屈でしょうけれども、特に総務庁長官、合理化の親分ですからよく聞いていてください。私はこういうものこそ合理化だと思うんですよ。人をふやせばそれで十倍以上も金が入ってくるんですから、こんないい合理化はないと思うんです。そういう点で聞いてほしいんですけれども、確かにいろいろと数字のとり方ありますよ。しかし、大勢に影響ないですよ。一千億違ったって六千億が五千億ですから、大勢に影響ない。
 それで、今あなたがおっしゃっていましたけれども、対象になる人たちは特に脱税しているんじゃないかなと思うようなところからやっていくわけでしょう。しかし、二十五年に一回でしょう、あるいは十年に一回でしょう。それが七年に一回やったからといって本当に良心的に納めている人を対象にするということにならないですよ。今までの税務調査の結果、九十何%も脱税者がおるんですから。そういうことからいくと、十年に一回が七年に一回やったからといって物すごく脱税率がぐっと落ちるなんてことには私はならないと思うんです。これは現場の人たちもそう言っていますよ、やれば幾らでも出てくるんじゃないですかと。
 だから、一遍に全部ふやせと言いません。ただ、一万人ふやしますと一人大体三百万かかりますね。大卒四〇%、高卒六〇%、初任給、通勤費から何から入れて計算しましたよ。僕は三百万と言ったら、きのう、それは違います、幾らですか、七百六十五万だと言うから、どうしてそんな計算になるんですかと言ったら、人件費全部を今の職員数で割ったら七百万何ぼだと言うんです。それなら部長さんも課長さんも全部入っているじゃないですか。それこそあなたの方が粗っぽいですよと言ったんですけれども、もう一度やり直してみましたです、初任給から通勤費から住宅費から全部みんな含めて。そうしたら、平均して一人二百三十万ですよ。物件費全部入れても三百万です。そうすると、一万人入れたって三百億でしょう。六千億の金が入って三百億使う。三百億使って六千億、二十倍ですよ。大ざっぱに見たって十倍から二十倍の金が入るということだけは事実だということがわかったわけであります。
 そこで、一万人全部一遍に入れるとは言いませんですよ。例えば三カ年なら三カ年計画で三千人ずつ入れてみてごらんなさい。やってごらんなさい。ぐっとそれこそ十倍くらいの収入が一年間か二年間で上がってくることは私は間違いないと思うんです。こういうことをきちっとやっていくことが私は政府としてのやるべきことでないかなと思うんです。もしこれを政府がやらないということになれば、税の不公平感というものを国民の中に助長させることに私はつながっていくと思う。それから、公務員として本当にこういうことがわかっていながら手をつけないということになると、公務員としての私は怠慢にもつながっていくと思うんです。だから、職員の数を減らすだけが能じゃないんです、本当に国の収入というものを高めていくためにその衝に当たって大変に苦労しているわけですからね。
 私も自治体で税務の仕事を割に長くやりました。本当に大変ですよ。徴収なんかやってごらんなさい。犬には追いかけられる、それこそ親分みたいのがおって、何言ってんだと、そんなもの払えるか、市長出せなんと言って短刀を目の前に突きつけられたり、えらい苦労したことがあります。税務の現場職員というのは本当に大変です。身をもって体験しております。そういう職員をもっとふやすことによって財政を少しでも潤うようにさせるということが私はやはり政府としてのとるべき道ではないかと思うんです。十分ひとつこういうことを検討してみていただきたいと思うんですけれども、総務庁長官、いかがでしょうか。
#81
○国務大臣(塩崎潤君) 私も山口委員以上に税務に携わってまいりました。非常に残念なことに、大蔵省の主務局長までやらされましたものですから、税一筋でございましたので、今山口委員が申されていることはもう十分理解できるところでございますし、現状において人員をふやすべき対象の仕事の中にはやはり税務は相当なウエートを持った分野だと私は考えているところでございます。しかし、まだまだ私は人員管理、定員管理は厳しいものがあろうかと思います。したがって、その中で私は税務行政のあり方も考えていただきたいと思います。
 税務の調査によって何と申しますか、不正を挙げ、そして課税の公平を図るということも大事なことでございますが、まず申告でほとんどの税金、大法人あるいは源泉所得税、これは申告制度で上がっているわけでございますんで、税務署はそのお手伝いと。したがって、本当に調査の対象は不正と思われるものを本当にあらかじめ選定してやっていくようなことによって人員をふやさなくても済むようなこと、あるいは内部の事務を簡素化してその方に回していくこと、まだまだやっていただかなきゃいかぬという点がございます。
 もう一つは税制の簡素化でございます。そしてまた、例えばそれだけ納税人員が多くて手が回らなければ、課税最低限を上げることによって特定の高額所得者に対しての税務調査人員を振り向けていくというような検討は、単に人員の増加だけではなくして、納税者の協力を求めつつ、さらにまた税制改正の簡素化をさらに進めることによって上げるという点は、私の経験からまだまだやっていただきたい、こういうふうに思いますので、そういう観点も入れて、そして今の山口委員の何といいますか、御主張を取り入れながら検討してまいりたいと思っております。
#82
○山口哲夫君 大臣が、人をふやすならまずやはり税務関係だろうと、そういうことも考えられるということをさっきちょっとおっしゃっていましたけれども、大変心強く思ったんですが、確かにいろいろと皆さん努力されていると思うんです。これからも努力していかなきゃならないと思います。
 それで、私は時間がないから取り上げなかったんですけれども、大臣もおっしゃったように、やはり納税者の意識、これは教育でもっと真剣にやらなきゃならない。学校教育の中で税ということに対して余りきちっとした教育をしてないですね。こういうことをやっていけば国民はむしろみずからきちっとした申告をして納める。しかしただ、人間ですから、なかなか仏さんばかりじゃないんで、残念ながらやはりこれだけの滞納が、脱税があるわけですからね。企業関係なんて特に多いわけでしょう。ですから、そういう点ではやはりある程度税務調査もやらなければならない。これは現実の問題なんですね。
 ですから、ひとつ現実の問題として今申し上げたような数字、これについても一度ぜひ分析していただいて、テストでまず三年計画なら三年計画でとりあえず二、三千人ふやしてみるというようなことからでも結構でございますので始めていただきたいな、このことを強くお願いしてこの問題は終わります。
 次に、国勢調査に関連いたしまして、統計調査員の問題に入ります。
 五月二十一日の毎日新聞を見ましたら、「十月の国勢調査 人手不足 思わぬ余波 調査員や〜い 大都市圏では半数以下」。必要な調査員は八十万人と言われているけれども、大都市圏では予定の半数にも達しない自治体が続出している、これでは一体国勢調査ができるんだろうか、そういう記事が載っておりました。それで、総務庁ではこの対策として、一地点について一律四万円の報酬額の引き上げ、調査員が集まらない市町村での特例的な報酬の上積みを検討中だと、こう出ております。
 調査員の不足というのは今国勢調査だけではないと思うんです。これからも続いていくというふうに私は思っておりまして、北海道・東北地区統計調査員協議会連合会から昨年の七月に政府に陳情書が出ております。ずっと見ておりますとやっぱり報酬が余りにも低過ぎるんですね。わずか五千二百十円、これはもう少し大幅にアップする必要があるんでないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#83
○政府委員(井出満君) ことしの十月一日に行われます国勢調査の調査員については、現在市町村において選考中でございまして、この八月十日まで我々の方に推薦してくるということで今鋭意調査員の選考に当たっており、ほとんどの市町村では順調に調査員の確保が行われているというふうに聞いております。もちろん、先生がおっしゃいましたように一部の市で調査員の確保が難しいということも聞いております。
 その報酬の件でございますが、これは公務員の二級二号俸の格付で、これは統計審議会の答申に基づいて算定してございますので、私どもとしてはその額は適当であるというふうに思っております。
#84
○山口哲夫君 多摩市では何回も広報で公募したんだけれども、それでも半分も集まらなくて大変だという実態です。ですから、大方のところは集まっているというのは私はちょっと甘いと思うんです。
 この報酬は確かに統計審議会で国家公務員の二級二号俸に該当するんだといって、それの日額計算してみますと大体この程度ですね。そういうことでずっと上げてきたんでしょうけれども、これは二十五年前の答申ですよね。それこそ随分社会情勢は私は変わってきていると思う。そして、大学卒の二級二号というのは、これは二十三歳くらいの職員です。統計調査員というのは高齢者が非常に多いんです。その町でも結構有識者といいますか名士の方が多いですね。そういうことから見ますと、ちょっと二十三歳の人のこれに対照するのは無理があるんじゃないかなと思う。
 そして、これは単なる事務的な面から見ればその程度だというふうにおっしゃるかもしれないけれども、私も昔統計やったことがあるんですけれども、統計調査員というのはやっぱり人と人との関係といいますか、なかなか難しいものがあります。単に行ってただ書いてもらってくればいいというものではなくして、ちゃんと丁寧に統計のことを教えて、そして人間関係というものも大事にしながらいただいてくるということだと思うんです。そういう点からいきますと、二級二号俸に該当させることに私はちょっと無理があると思うんで、もう二十五年にもなっておりますので、統計審議会にもう一度こういったことを検討していただいてみてはどうかと思うんですけれども、どうでしょうか。
#85
○政府委員(井出満君) 先生のおっしゃいますように、統計調査員というのはそれぞれの地域の人望の高い方が多い、あるいは年齢も高い人が多い、こういうことでございますが、統計審議会で決める際、統計調査員の業務ということを分析しまして、そのころは七等級二号俸なんですが、今は二級二号俸でございます。この二級二号俸に相当するということでございまして、確かに二十五年前に決めましたんですが、統計調査員の業務そのものは二十五年前と、先生御承知のように調査票を配付して、そして説明して、そして回収して点検をして、そして提出する、こういうふうな仕組みは二十五年前と変わっておるわけではございませんので、私どもとしてはこれは相応の金額であるというふうに認識しておりますので、さしあたって今統計審議会の方に諮問をしてこれを変えるということは今のところ考えておりません。
#86
○山口哲夫君 新聞を見ましても、労働力が不足でなかなか集まらないんだと、今まで統計調査員をやっていただいている方がどこかのスーパーに働きは行っているとか、人手が足りないためにみんな働きに行ってなかなか集まらないと。大変な苦労をしているわけです。そういう中からいけば、統計調査員のこの日額五千二百円何がしの金額というのはやっぱりもっと上げるべきだと思うんです、そういう点から見ましてもね。私はそこを考えてほしいと思うんです。
 それで、もう少しその問題は後に回しまして、国勢調査ではプライバシーというものを非常に大切にしておりますね。アメリカではプライバシーを非常に大切にしようというようなことが中心なんでしょう、郵送方式をとっているわけです。それで、日本でも私はやっぱり統計調査員がこれからだんだん不足していくんで、こういう郵送方式に基づく調査というものを一度テストとしてやってみたらどうか。回収率が悪くなるということはわかります。確かに悪くなるでしょう。しかし、どの程度でおさまるのか。
 幸か不幸かと言えば悪いですけれども、調査員がいなくて国勢調査でもってどうしても空白地帯が幾つか出るわけですから、そういうところだけでも結構ですよ。どうでしょうか、一回やってみたらどうですか。大蔵省にもきょう来ていただいて、予算をつけるというようなことで金かないなんということになったら、それこそ予備費ちょっと使ってもこういうテストをやってみるべきでないかなと思っているんで大蔵省に来ていただいているんですけれども、やっぱり五年に一回のチャンスしかないんですからね。そうすると、ことしでしょう。また五年先にテストするといったって大変ですよ。ちょうどいいチャンスだ、一回テストでやってみたらどうでしょうか。
#87
○政府委員(井出満君) 郵送調査については我々もいろいろ検討しまして、国勢調査の本番に向けて昨年、一昨年と試験調査を四回ほどやっておるわけです。そのときにもメール調査についてもいろいろ考えてテストしました。ただ、本番でこのテストをやって、先ほど先生がおっしゃいましたように、アメリカで実はこの四月一日に調査をやっておるわけですが、四月一日に締め切りのものが、四月二十六日現在でございますが、情報が入っておりますが、約六三%の回収率だということで、これではとてもセンサスというものの結果としては使い物にならないということでございますので、センサスの、今度の国勢調査の本番でテストをやるということはとても考えられないわけでございます。
 これは将来、先生がおっしゃるようにいろいろな調査環境が変わってきますので、いろいろと検討することは我々としても考えていきたいというふうに思っております。
#88
○山口哲夫君 いずれ郵送方式に切りかえなきゃならないような時代が私はやってくるんでないかなと思うんです。なかなか日本の今の統計というのはすぐれていますから、確かに統計調査員で面談でやるというのが一番理想でしょうけれども、しかし現に拒否される人も随分おるわけでしょう。それであえて封筒に入れて、封をしてもらってくるということまでやってきているわけですね、プライバシーを守るために。ですから、いずれ私はそういう時代が来るんでないかなと思うものですからあえて提案してみたんですけれども、検討していただければありがたいと思うんですね。
 それで、もう一度報酬問題に移りたいと思うんですけれども、この調査の従事日数が、報酬の支払い総額の枠があるんだと、予算の。だから、実際には十日間やっても八日間に切られたり、何かそういうようなことがあるというふうに陳情書に出ているんですね。もしそうだとすれば、これはちょっとひどいんで、どうでしょうか。
#89
○政府委員(井出満君) 先生がおっしゃいましたような統計調査員の報酬の支払いというものが単価とそれから稼働日数を掛けたものでお支払いする、こういうことでございますので、その額を一定にして単価が上がった場合、稼働日数を減らす、そういう話は私どもは聞いておりません。もちろん、調査事項の削減とか調査方法の簡便化等等をやりまして稼働日数を少なくする、こういうことはあり得ると思いますが、先ほどの先生のおっしゃったようなことは私どもは聞いておりません。
#90
○山口哲夫君 統計局では聞いていなくても、指定統計というのは通産省から労働省から各省にまたがっておりますから、そちらの方で自主的にやっている、そういう中であるいはあるかもしれないですね。現に陳情された側はそういうことがあるというふうに言うわけですからね。もしあったら大変なのでやはり各省庁との、後ほど申し上げようと思いましたけれども、連絡会議等をきちっと持ちましてそういうことがないように統計局としてやはり指導していただきたいと思うんです。
 それから、統計調査員の公務災害なんですが、統計に実際従事している間に事故があった場合には災害補償ということになるんですけれども、この一環である研究会や大会に出るときにはこれは対象にならないというのは私はちょっと無理でないかなと思うんです。どこか法改正しまして、統計に関係する研究会、大会に出席したときも公務災害としてみなすような、そういう法改正は考えられませんか。
#91
○政府委員(井出満君) 統計調査員は一応指定統計調査の実施のために調査実施期間に限って任命されている非常勤の公務員でございまして、調査期間中は公務員としての身分が保障されますから、何か事故が起これば公務災害の対象となるわけでございますが、研修会あるいは統計大会に出席と、こういうものについては、もちろん統計調査には関係するわけでございますが、実際に統計調査そのものに従事していない、こういうことでいわゆる公務員に任命されているとみなせませんので、その辺は非常に困難だというふうに考えております。
#92
○山口哲夫君 ちょっと厳格過ぎると思いますよ。公務員の災害関係、随分要求が多くて、随分直ってきましたよね。通勤途上であってもそれは公務災害にみなすとか、随分幅が大きく広がってきているんです。
 ですから、統計調査員として研修を受けなければやはり統計調査に影響してくるんですし、せっかく統計調査員が集まって大会を開いているときに、それが事故に遭ったからといってそれはだめだというのはちょっと私は酷だなというふうに思うんです。だから統計調査員の方がこういう要求を出されるのは当然のことだと思うんです。そんなにあるものではないし、あっては困りますんで、本当にまれにしかないことですから。まれにしかないことであっても統計局がそこまで統計調査員のために配慮してくれているのだと、そういう気持ちだけでもこれは随分違うと思いますよ。統計調査員の感じとしては、やはり政府は考えてくれているんだなと思うんですよ。一回検討してみてくれませんかね。後ほど長官からお伺いできればありがたいんですけれども。
 それで、調査のために通信費、交通費。これは通信費は全然出ていないんですね。交通費も増額してもらいたいという要望出ていますね。とにかく難しくなってきましたね、統計というのは。客体が不在が非常に多いんです。何回も足を運ばなきゃならない。何回も電話してみなきゃならない。それから、やはり調査を拒否される方も中にはおりますし、だから足を運ぶ回数が物すごくふえているんです。だから、その実費くらいは考えるべきでないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
#93
○政府委員(井出満君) この統計調査員の特に交通費でございますが、これは統計調査の、何といいますか、性格によりましていろいろ違うわけでございまして、各省庁それぞれその調査の実情に合わせて交通費を支給する。我が統計局の方も一応実費弁償という意味で交通費を支払うような仕組みになっております。
#94
○山口哲夫君 先ほど申し上げましたように各省庁にまたがっておりますので、連絡会議を開いてぜひひとつせめて実費弁償くらいは考えてほしいなと思うんです。きょうはそのためにわざわざ主計官にまでおいでいただいて、統計局の方から要求したときにひとつそのぐらいのことを配慮してくださいということで来ていただいておりますのでね。
 それで最後に、日本の統計というのは世界的に非常にすぐれているというふうに言われております。私は大変結構なことだと思うんです。
 それでアジア・太平洋地域では、特に日本の場合には指導的役割を持ってアジア太平洋統計研修所までつくられて随分各国の方々から喜ばれているというふうに思いますけれども、しかし、それでもまだまだ各国の希望が非常に多い。もう少しこの研修所の拡大強化を図ってもらえないかという要望もあるというふうに聞いております。経済大国日本、特にアジアの中でそれぞれの国の統計のためにこれからも尽くしていかなければならない、そういった役割も日本にはあると思うんです。そういう点でこういう研修所の拡大強化にも御努力をいただきたいものだなと思いますけれども、先ほどの一連の統計関係の統計調査員に対する身分、報酬、そういうことも含めまして長官の御意見があればお聞きしたい。
#95
○国務大臣(塩崎潤君) 私どもの統計調査員を初め統計の整備について、しかも外国人も含めての統計研修所の充実を含めての御意見を賜りました。非常に私どもを勇気づける御意見でございます。ひとつこれは慎重に検討してまいりたいと思います。
#96
○山口哲夫君 ぜひひとつ前向きに御検討をくださるようにお願いしておきます。
 それでは最後に、視力障害者の国家公務員試験の受験の件について御質問をいたしたいと思います。
 官房長官に一言お礼を申し上げておきたいと思います。堀委員と一緒にお会いしまして、これはぜひ障害者年の最後の締めくくりとして努力をしていただきたい。随分それなりに御努力をいただいたようでございますので、その点に関してはお礼を申し上げておきたいと思います。
 ただ、残念ながら私どもが考えているようなところまではまだ至っておりません。若干の論議をしてさらに一歩前向きの御検討をいただきたい、こう思うわけであります。
 それで、三月三十日にこの委員会でも私取り上げたわけですけれども、どうですか、人事院として本年度から実行することになったでしょうか。
#97
○政府委員(大島満君) 前回、三月三十日に御質問いただいたわけでございますが、国家公務員の採用試験は採用を前提とする試験でございますので、各省庁において視覚障害者の職域の開拓があって、一般の競争試験での点字試験の実施につながるものであるとしましてこれまで点字試験は実施していなかったところでございます。
 また、お申し入れもございまして、人事院といたしまして本年度実施の可能性があるかにつきまして真剣に検討を行ってきたところでございますが、ただいま申し上げました職域開拓の問題以外にも点字試験を実施するとした場合には、試験実施機関として受験者から、あのような表現の問題では問題そのものがわからないなどといったような批判を受けないようにしなければなりませんので、試験問題が視覚障害者にとって不適切でないかどうか専門家の意見を聞く等の検討が必要であることなど事前の準備に相当の時間を要するところから、本年度の国家公務員採用試験を適正円滑に実施していく上では点字試験を本年度から実施することは技術的にも困難であるというぐあいに考えているところでございます。
#98
○山口哲夫君 報道でも取り上げられておりましたけれども、早稲田大学を首席で卒業されたと言われている石津明夫さんから受験願書が提出されておりますね。それで、もう既に五月十八日で締め切られているわけですけれども、この石津さんのほかに身体障害者で願書を提出している人はいらっしゃるのですか、視力障害者で。
#99
○政府委員(大島満君) お話しのように、平成二年度の採用試験においてI種試験とII種試験の点字試験を石津さんが申し出ていらっしゃることは承知しております。
 他の身体障害者についてでございますけれども、私たちのとっておりますシステムといたしましては、受験申し込みの段階で障害者であることの申し出を受けることにはしておりません。御本人の御希望もあろうかと思いましてそういうことにしておりますが、試験を受験なさる場合に便宜を希望するなどの申し出をなさった場合に障害者であることの把握ができるというようになっておりまして、現時点においてはそのような申し出は受けていないところでございます。
#100
○山口哲夫君 この試験の概要を見ておりましたら、国家公務員採用試験を受けられない者というのがありまして、この中には障害者というのが入っていないわけですよね。ですから、障害者はだれでも受けられるわけです。もし障害者で受ける場合には点字希望なら点字希望と先に書いてくださいよとかそういうこともないわけですね。ですから、障害者は自由に受けるという概要になっているわけです。
 そこで、石津さんはちゃんと願書に点字受験というふうに書いていると思うんです。これはテレビで出ていましたよ。点字受験とちゃんと書いている、間違いありませんね。
#101
○政府委員(大島満君) そのとおりでございます。
#102
○山口哲夫君 ですから、そのほかに点字受験というふうに書いていないということは、点字受験を希望されている方は石津さん一人というふうに判断をするわけです。そういうふうに解釈していいですね。
#103
○政府委員(大島満君) 先ほど申し上げましたように身体障害者、視覚障害者も含めまして現在私どもとしては受験者の方から申し出を受けておりませんので、現在把握しているところでは石津さん一人であるというぐあいに思っております。
#104
○山口哲夫君 それなら一人に絞って受験できるような対策を講じようと思えばできないことは私はないと思う。例えば試験問題を全部書きかえるというなら大変でしょうけれども、そうじゃないわけでしょう。例えば視力障害者の方では風景の表現がこういう設問では難しいなというような判断のときにその内容をちょっと変えていくとか、そういうものというのは全体の中でほんのわずかだと思うんですよ。例えば数学だとかそういうものは一切関係ないわけでしょう。だから、そういう問題というのはごくわずかなのになぜそこだけを直せないのですか。
#105
○政府委員(大島満君) 先ほど申し上げた御答弁の繰り返しになるようでございますが、点字試験を実施する場合には視覚障害者の職域開拓が必要であるほか、試験問題が視覚障害者にとって不適切でないかどうかの専門家の意見を聞く等の検討が必要でございます。そういったことで事前の準備に相当の時間を要するところから本年度点字試験を実施することは技術的にも困難であると私たち考えておりまして、受験希望者がお一人であってもその事情に変わりはないと思っております。
 なお、点字試験を実施する場合には、公平適正な試験を実施するためにその旨をあらかじめ周知して行うのが適当であるんじゃないかと考えておりまして、本年度はそのような措置をとっていなかったことも理由の一つになると思っております。
#106
○山口哲夫君 専門家の意見を聞いて、結構ですよ。専門家に何人か集まっていただいて、どういうところが試験に問題があるか、表現に問題があるか、そういうことは大いにお聞きになって結構だと思うんです。そんなに何カ月もかかる作業ではないですね。本当にやったら何日間かかければできる問題だと思うんです。それでもどうしてできないのでしょうか。
#107
○政府委員(大島満君) いろいろと専門家に御意見をお聞きしまして、その後で点訳をいたしまして点字の試験問題をつくるには相当の時間がかかるというぐあいに私たち思っておるところでございます、調査の結果でございますが。
#108
○山口哲夫君 そんなにかからないというふうに専門家の方は言っているんです。やる気があればそんなに何カ月もかかるようなものではない。そして、例えば点字でなくたって、たったお一人なわけでしょう、そうすると試験問題を読んであげたっていいわけでしょう。問題を別な部屋でもって読んであげてもいいわけでしょう。そしてそれに対して点字で答えるとか、そういう便法だって私は考えれば幾らでもできると思うんです。
 それから、一般に周知させていなかったと言うけれども、先ほど申し上げましたように点字で試験を受けたいという方はお一人しかいないということだけははっきりしているんですから、これは初めからそういう障害者の方は受けちゃならないというふうに書いているなら別だけれども、だれでも受けられるという受験の概要になっているわけですから、自分が受けたいなと思った方は当然申し込みが出てきていると思う。そういう申し込みがないということは石津さんお一人なんですから、一人に絞ってやるということは周知には関係ない問題だと思う。私はやる気があれば本当にできると思うんです。
#109
○政府委員(大島満君) 試験問題を読み上げてということでございましたけれども、試験問題として出題例が見られますグラフとか表などにつきましては試験官が読み上げて受験者に理解をさせることは非常に困難なことであるんではないかというぐあいに考えているわけでございます。
 また、周知の問題でございますが、先生おっしゃいますように現体制では一人ということでございますけれども、やはり点字試験を実施するということを決定した場合にはその旨を周知するのが先ほど申し上げましたように適当であるんじゃないか。そういう周知を受けておれば私たちだって受けたのだという方があり得るわけでございますので、そういったことも考えました場合には、今年度周知の措置をとっていないということもできない理由の一つになろうかと思います。
#110
○山口哲夫君 それはあなた方の責任であって、少なくとも点字試験は受けちゃならないとかやっていないとかというふうに言ってないんですから、だれでも受けられるようになっているんですから、その申告に基づいて私は点字試験を受けたいんですというふうに申告された方は一人しかいないんですから、その方を対象にしてやるというのは当然のことだと思うんです。
 それで、車いすの方とか聴力障害者の方はどうなっているんですか。やっぱり受けさせないんですか。
#111
○政府委員(大島満君) 車いすを使用している人とか聴覚に障害のある人につきましては一般の受験者と同じ方法、同じ問題により試験を行っておりますが、例えば車いすを使用する人につきましては、受験番号で部屋が高い階にあるような人については試験室を低位の階に移動していただくとか、あるいは特別の机を用意するとか、あるいは入退室の際に介助を認めることなど、さらに聴覚障害者につきましては着席位置を最前列にすること、あるいは試験官の発言事項をメモで示すことなど、試験の公平性を損なわない範囲内で必要な配慮を行っているところでございます。
#112
○山口哲夫君 車いす、聴覚障害者についてはやっているわけですね。この場合も車いすで受けたいです、聴覚障害だけれども受けたいですということは申告をさせているわけですか。
#113
○政府委員(大島満君) 先ほど申し上げましたように、願書を出していただく段階ではそのことを把握しておりませんが、試験を実施するに当たりましてこのような便宜を図ってほしいというお申し出を受けまして、そういう状況を把握して適切な対処をしているところでございます。
#114
○山口哲夫君 それなら視力障害者だって同じじゃないですか。同じ障害を持たれる方が、何で視力障害者だけは、せっかく点字受験を希望するというふうに申告までしているのに、そこだけは差別しなければならないんですか。
#115
○政府委員(大島満君) 先ほども申し上げましたように、点字試験の場合には試験問題を点訳するという作業、作業といいますか、そういう一連の作業が要るわけでございまして、車いすの使用者の方とか聴覚障害者の方は通常の墨字の試験で受けていただくというところは違うところになると思います。
#116
○山口哲夫君 私はどうしてもことしやっていただきたいんです。しかし、政府がそういうような考えである、できないんだというので非常に残念に思っているんですけれども、まだ検討すればやれる余地は残っているというふうに思っているので、ぜひ検討してほしいものだなと思うんですけれども、新しい人事院の総裁もきょうは御出席でございますけれども、今後はどうするんですか。来年もまた同じようなことを繰り返すつもりですか。
#117
○政府委員(弥富啓之助君) この問題に対しましては従来から熱心に御質問をいただいておるところでございまして、その際、人事院当局といたしましては今任用局長が申し上げたようなことをお答えしてきたと理解をいたしております。
 ただ、私としては現在身体障害者の方に対しまする社会的な通念と申しますか考え方、これは日に日に変わってきているのではないか。例えばごく最近の例でございますが、アメリカでは障害者福祉法という法律が制定されたというようなことを耳にもいたしております。国内的に見ましても、司法試験とか各地方自治体の試験では視覚障害者の方も受けられる、そういうことをやはり考えますときに、社会通念なり社会的な要請がある。これに対して行政として的確に対処していくのも一つの行政の大切な眼目ではないか、そういうことを考えておる次第でございます。
 ただ、今申し上げましたように本年の点字問題の試験につきましては、いろいろとこれは人事院当局におきましても熱心に何とかできないかということを検討をいたしました。しかし、残念ながら、まことに申しわけないのでございますが、本年度のもう来月七月に第I種、第II種の試験が始まるわけでございます。それに間に合わなかったことを甚だ申しわけないと思っております。
 しかしながら、私といたしましてはさきに申し上げた趣旨、これは十分に踏まえまして、来年度の早い時期と申しますか、平成三年度以降の早い時期の実現に向けまして、点字試験の具体的方法など各般にわたりまして、例えば具体的には人事院の中にこの問題の検討プロジェクトというようなものを設けて、外部の専門家の意見を聞き、鋭意検討を進めてまいりたいと存じております。
#118
○山口哲夫君 ことしはできなくても、来年はぜひやるという方向で努力をするという大変前向きな答弁だと思うんです。その点は多といたしたいと思うんですけれども、しかし来年になってまたやろうと思ったら機械も必要でした、これも必要でした、そういった予算かついておりませんでしたなどと言われたのでは困るので、一体何が必要なんですか。本当に点字の試験を実際にやる場合に隘路になっているのは何ですか。ちょっと事務方で結構ですから具体的に。
#119
○政府委員(大島満君) 一つは、先ほど来申し上げておりますように、国家公務員の採用試験は一定数の採用が予定される事務、技術等の官職のグループを対象として行うものでありますが、これらの官職の職務は通常文書を媒介として行われるものであるところから、強度の視覚障害者の職域開拓は図られていない状況にあるため、点字による試験を行ってきていなかったものでございますので、今後点字試験の実施を想定した場合、職域の開拓とともに、先ほど来申し上げておりますような点字試験の実施についての技術的問題点の解決、実施体制の整備等こういったものを一歩進める必要があるというぐあいに考えております。
#120
○山口哲夫君 器材というのはそんなに高いものじゃないですよね。何百万かあればできることであって、そんなに何億の金という問題ではない。そういう点では、きょうは大蔵省の方も聞いていただいておりますので、ぜひひとつ障害者年をきちっと締めくくっていくためにも、日本でこういう差別がなくなるように大蔵当局としても配慮をしていただきたいと思うんです。
 それで、今人事院の方からお話があった職域の開拓なんですけれども、せっかく合格して名簿に登載されたんだけれども、使ってくれるところがないんじゃ困ります。これはやっぱり職域開拓というのは当然政府として考えるべきだと思うんです。これは総務庁長官の方になるんでしょうか、中央人事行政機関としての総務庁のお立場だと思うんですけれども、ぜひひとつこういうことを考えてほしいと思うんですけれども、どうでしょうか。
#121
○政府委員(勝又博明君) 視力障害者を含めました身体障害者の雇用につきましては、障害者の雇用の促進等に関する法律によりまして、官民を通じました雇用の促進が図られているところでございます。公務部門におきます身体障害者の採用につきましては、法律を所管しております労働省から各省庁に対しまして身体障害者の雇用促進の協力要請がなされているところでございまして、これを受けて各任命権者においては対処されているところというふうに承知しております。
#122
○山口哲夫君 ちょっとよく聞き取れなかったんですけれども、せっかく名簿に登載されても省庁で責任を持って採用してくれないのでは大変なので、これは私は特に厚生省なんかは率先して、よし、それじゃ私の方で何とか引き受けましょう、そうおっしゃってもらえるものだと思っていた。今まで折衝しましたよ、局長ともいろいろと。そうしたら、それは私の方ではとても引き受けるわけにはまいりません、官庁というのはあくまでも文書によって仕事をしているのでなどというような返事で、これで厚生行政をやっていかれるんじゃ大変だなと思った。みずから障害者のために、よし、それじゃ自分のところで職場を開拓するために総務庁とも折衝しても努力をしてみましょうというくらいの意欲を持った御返事がいただけると思ったら、全然逆だったので私は唖然としたことがある。
 これはぜひひとつ長官に、きょうは障害者対策推進本部の副本部長として官房長官もおいででございますし、ぜひお力を合わせて今後合格なされた方の職場を責任を持って政府でもって考えるというようなことを努力していただきたいと思います。
 それで、もう時間になりましたので、最後に。アメリカでは、税務サービス局に四百人の視力障害者を採用している。視力障害者の方としては非常にいい仕事なんですね。頭だけで税務の法律全部勉強して、そして税務相談に応ずるという、こういう仕事のために四百人も視力障害者のために新しい職場をつくっている、これは相当前から。それから、同じようにアメリカでは社会保障局に三百人同じ視力障害者に働いていただいているわけです。これも社会保障に関する相談のお仕事をなさっているわけです。これも障害者のためにわざわざ職場を開拓しているわけです。西ドイツでは、十二年前でも、既に法律関係の事務職に六十四人も採用をしていた。
 ですから、各国がみんな障害者のために一生懸命に職場開拓している。政府としてもことしは障害者年だということで、あと二年で終わりになるわけでございますけれども、わざわざ官房長官を副本部長、本部長を総理大臣にして努力をされているわけですから、ぜひここ一、二年の間に本当に障害者の方々が国家公務員の職場にもどんどん進出できるように御配慮をいただきたいと思いますけれども、最後に、官房長官、副本部長として、それから総務庁長官の御見解をお聞かせいただいて、質問を終わります。
#123
○国務大臣(坂本三十次君) 国際障害者年であるということはもちろんでございますけれども、今山口委員のお話しになったようなことは私も感触的には非常に共鳴するところが多いものであります。
 しかし、私はまた、人事院の採用の技術的なことは素人でありますし、しかしどうも常識から見て、もう少し努力をしてみたらどうかと大分人事院の諸君にも申し上げたわけであります。塙保己一みたいなのがおったら多少のことはあっても採ったら大変な得になるぞというようなもので、いろいろ話もしてみたわけでありますけれども、どうもなかなか役所というのは新しいことをするときは急なわけにいかぬものでありまして、それはいかぬよと、こう言うのだけれども、まあしかし一面では職務に忠実でありまして、やっぱり欠点のあるような採用試験技術面におきまして非常に慎重なわけであります。
 しかし、今も答弁が人事院の方からも、総裁からもありましたから、まあ私は来年までには知恵を絞れば必ずできるんだろう、間に合うだろうと、私もそういう感触でおります。来年はいいだろうねと言ったら、来年はひとつ何とかやりますと、こう言うております。人事院総裁、新総裁今も来まして、皆さんにもそういう意向だということを申し上げたわけであります。新総裁は相当な荒武者をこなしてきたような経歴もありますから、その辺はやってくれるだろう、私もそういうふうに思っております。
 何か技術的なことはいろいろ難しいことがあるということは私も聞きました。さっきはグラフの話も出ましたが、色の話だとか文字の話などは、やっぱりそんな試験を出して、もしも受験者に、そんなむちゃくちゃなことを聞いてと言われても困るだろうというようないろいろ心配をしておるようであります。しかし、そういうようなことは今度はどうも間に合わなんだというのは、私らみたいな素人にすればもう少し詰めたらできるじゃないかとせかしましたけれども、人事院は非常に公正厳格な役所でありますので、もう少しどうかひとつ勉強させてくれ、来年は何とかしますと言うものですから、それじゃひとつやむを得ぬなということで、これは残念ながら、けさも実はそんな話をしてきたところであります。
 そういうことで、しばらくひとつ御猶予を願いたい、来年には間に合うだろうと思っております。
#124
○国務大臣(塩崎潤君) いろいろ難しい問題もあると思いますけれども、私どもは障害者の職場がふえるように、雇用がふえる方向で努力すべきだと考えます。
#125
○委員長(板垣正君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時三十分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#126
○委員長(板垣正君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成二年度総予算中、皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、日本学術会議、宮内庁、北方対策本部を除く総務庁、防衛本庁、防衛施設庁を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#127
○三石久江君 私は、四月二十六日内閣官房長官より御説明いただきました総理府関係施策、特に婦人に関する施策についてお伺いいたします。
 その前に私は、大変こだわるようでございますけれども、婦人という言葉について考えて使っていただきたいと思うわけです。その理由は、性別役割分業の固定観念を変えるには、まず言葉からもと考えるものです。婦人の婦について書かれているこの本を読ませていただきます。
 婦人と女性ちょっと違うんです。
  婦人問題を女性問題、婦人施設を女性センター、婦人雑誌コーナーを女性誌コーナーというように、最近、「婦人」という言葉が使われなくなってきた。ここ数年の活発な女性の社会進出にともない、婦人という呼称が女性や女に変わり、書く場合は平仮名で「おんな」となることもある。
  このように変わってきたのは、婦人という言葉のもつイメージが古くて、時代にそぐわないと考えられるようになったからである。つまり、男女平等といいながら、婦人に対する男性の呼称がない。また、婦人の「婦」の旁(つくり)は帚(ほうき)であり、帚を持つ女が婦人であることは、女性が家事をするのを当然とする発想が含まれることなど。
  従って、これからは女性と男性、女子と男子、女と男と使うのが望ましいという声が増えている。
からです。この新国内行動計画を見ましても、婦人というのが随分出てくるわけです。これを要望として聞いていただきたいと思います。
 さて、官房長官は、婦人に関する施策は、昭和六十二年五月の「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」に基づく諸施策を推進していると述べられております。私もこの計画を読みましたが、改めてこの計画を作成するに至った経緯を御説明をお願いいたします。
#128
○政府委員(文田久雄君) 御説明申し上げます。
 政府は、昭和五十年の国際婦人年に際しまして婦人問題企画推進本部を設置しまして、昭和五十二年一月「国内行動計画」を策定したところでございます。同計画におきましては、関係各省庁の御努力によりまして、女子差別撤廃条約の批准を初めとしまして男女雇用機会均等法の制定等男女平等についての諸法制の整備を中心に所期の目標がほぼ達成されたところでございます。
 昭和五十一年から同六十年は、先生御案内のとおり「国連婦人の十年」でございましたが、その最終年の昭和六十年において国連が採択いたしましたナイロビ将来戦略を受けて、六十一年三月、婦人問題企画推進有識者会議、これにおきまして西暦二〇〇〇年に向けて長期的展望に立った婦人関係施策の推進についての意見という取りまとめを依頼した次第でございます。同有識者会議は、六十二年の三月その意見を取りまとめ、本部長あてに提出されまして、本部は六十二年の五月、同意見の趣旨に沿い、先生お示しの「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」を策定いたしまして、現在その推進に鋭意努めているところでございます。
#129
○三石久江君 次に、婦人に関する施策の推進、これにも、「昭和六十二年五月に「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」を策定し、現在、この計画に掲げられた諸目標達成のための施策を鋭意推進しているところであります。特に、国の審議会等委員への婦人の登用を図るなど政策決定過程への婦人の参加を促進することを最重点にいたしまして、今後もこの計画に沿って男女共同参加型社会の形成を目指して種々の施策のさらなる推進に努めてまいる所存であります。」と書かれております。この文章の中で「現在、この計画に掲げられた諸目標達成のための施策を鋭意推進している」というところであります。諸目標並びに施策を具体的に項目を挙げて御説明ください。
#130
○政府委員(文田久雄君) お答えをいたします。
 お示しの新国内行動計画におきましては、五つの基本目標と十五の重点目標を掲げております。その目標でございますが、指標でもって示しておりますのが先生お示しの国の審議会等における婦人委員の登用についてでございます。それについて見ますと、昭和五十年の二・四%から昭和五十五年には四・一%、さらに平成元年の三月三十一日時点ではこれが六・七%というふうに逐次上昇は示してきております。そうは申しましても、これはまだ目標が平成二年度末で一〇%という指標になってございまして、西暦二〇〇〇年には一五%、こういう指標でございますから、私どもといたしましてはさらなる努力を傾けてまいらなくてはならない、かように思っております。
#131
○三石久江君 一五%目標、これはまだまだ女性は、人口の半分が女性ですので、もっともっと伸ばしていただきたいと思います。
 そして、計画が作成されて以来三年を経過いたしました。この三年の歳月の中で計画に掲げられた目標のうち達成したものがあるでしょうか。その計画の実績をお示し願いたいんです。
#132
○政府委員(文田久雄君) 先生御案内のとおり、これは国際婦人年を契機としまして長期計画は策定されまして、先ほど申し述べましたとおり、法制面の問題は各面の評価も、男女雇用機会均等法とかいろいろ婦人の相続の問題等々あらゆる法制の面についての検討が加えられまして、大変な成果も上げているという評価も受けております。
 それで国際婦人年の終了後、西暦二〇〇〇年までにどのような施策をさらに展開していくべきかというのがお示しのナイロビ戦略であろうと存じますが、その目標として掲げられておりますのが先ほども申し上げております五つの目標と十五の重点、それをそれぞれ一生懸命やっているところでございまして、指標として明示できるのは先ほど申しました国の審議会等における婦人の委員の登用ということでございまして、正確にその余の事項についてどのような成果の状態になっているかということをお示しできないのはそのような性格から来ておりますので、御理解を賜わりたいと存じております。
 ただ、各省庁それぞれその目標に向かって一生懸命御努力なさっているということについては、それぞれ自負しながら努力をいたしておるというふうに承知いたしております。
#133
○三石久江君 これからも鋭意推進をしていただきたいと思います。
 先ほど国の審議会委員などへの女性の登用のところでパーセントをお聞きしましたけれども、その審議会に女性はどういう基準で決められたんでしょうか、審議会委員は。それと、その女性の中には一般市民からも、例えばパートで働く女性、専業主婦、学生、OLなどからも選んでいるのかどうか、お尋ねいたします。
#134
○政府委員(文田久雄君) 国の審議会等におきますところの委員の登用の基準というのは、それぞれの審議会の御性格等によって登用がなされているかと存じますが、おおむね申し上げますと、私どもとしてこの婦人登用の根っことしていろいろ検討もさしていただいておりますが、一つとしては学識経験者から選ばれる委員とか、あるいは団体推薦の委員の場合とか、それから職務指定の場合とか、こういうふうないろんなパターンがあろうと存じます。そういう中で、婦人の委員が占める割合が非常に少ない、こういうふうな事情もありますので、その方面の根っこからの御努力、一層の推進ということも求められております。
 そういう半面から見ますと、審議会の委員の登用というのは、やはりそれぞれ識見を非常に求められる審議会でございますので、学識経験あるいはその団体としての意見、場合によっては職務指定でそれぞれの御意見も賜る必要があろう、そういう各面からの御意見を賜るというような形になっているのではないか、かように考えております。
#135
○三石久江君 ということは、私が先ほどお尋ねしましたパートで働く女性とか専業主婦とか学生、OLとかからは選んでいらっしゃらないということなんですね。この間、一九九〇年五月八日、読売新聞に「女性を含め九委員 ポスト新行革審設置法案」というその最後の方に「従来の財界や労組代表のほか、消費者代表や女性の起用を検討、」と書かれてありましたものですから、女性といっても大変広いんですね。私たち一般庶民の間では、どうやって選ばれたのか、一般市民の一般女性の声が入らないなという声が随分入るわけです。ですからお尋ねしたわけですけれども、今後はやはりそういう女性の声もぜひ入れていただきたいと願うわけです。そういうことで、よろしくまたお願いいたします。
 時間が余りないので急ぎますが、次に「男女共同参加型社会の形成を目指す」とありますが、「男女共同参加型社会を目指す」とは具体的にどのような社会を目指すのか、御説明いただきたいんです。
#136
○政府委員(文田久雄君) お答えをいたします。
 お示しの「男女共同参加型社会」、これはどういうふうな社会か、こういうお尋ねかと存じますが、これはあらゆる分野において男女平等を基礎とする女性の参加が促進され、女性の能力が十分発揮されることによりまして、家庭、地域、社会、職場など、これらのあらゆる生活領域におきまして対等なパートナーとして男女が共同に参加する社会を言うもの、かように理解しておりまして、そのように進めていくべき社会であろう、かように考えております。
#137
○三石久江君 今の御説明では私はぴんとこないんですけれども、急ぎますので次に行かせていただきます。
 坂本官房長官、言葉で男女共同参加型社会をつくるとか、政策決定の場へ女性を参加させるといっても、実態が伴わなければ意味がないと思うわけです。今日、日本社会は女性の参加なしではほとんど成り立たない構造になっているのではないでしょうか。そこでお伺いいたしますが、政策決定の場といいましても抽象的でよくわかりません。政策決定過程、具体的にどういうことを指しているのでしょうか。お伺いします。
#138
○政府委員(文田久雄君) この政策決定の参加の過程というのは、先生お示しのとおり、一つは審議会等というのも一つの形だろうと存じますけれども、それに至るまでには審議会でいろいろ御審議賜る場合でも、専門員というのを大変委嘱をいたしております。私どもは審議会の委員への婦人の登用につきましても、まず専門員への登用ということもよろしく御認識されたい、あわせてその専門員の方々からも審議会等の委員への登用ということもお考えになっていただきたいということで、あらゆる場面を通じましてお願いもいたしております。
 そういうことで、あらゆる場面へというのは、男女共同参加型社会のこれは一つ目標の重点でございまして、文字どおり二十一世紀は御婦人の力なくしては成り立たない社会であろう、かように思いますし、そういう面におきまして婦人のシェアと申しますか、参加するシェアというのは、男女対等という観点から文字どおりあらゆる分野に非常に広いというふうに受けとめております。
#139
○三石久江君 ということは、女性の意見が政策に反映されているということだと思います。
 そこで、官房長官、やはり二〇〇〇年に向けて女性が男性と肩を並べて働き、生きるための社会づくりにより努力をしていただきたいと思います。御決意のほどをお伺いしたいんです。
#140
○国務大臣(坂本三十次君) 今、「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」というお話が出ました。これは婦人の地位の向上のために各般にわたる目標を示しておるものでございまして、これの啓蒙ということは非常に大切なことであろうと思っております。あらゆる機会を通じてその周知徹底に努めていきたいと思っております。
 特に、二十一世紀に向けて婦人の果たすべき役割は大変ますます大きくなってまいっております。婦人の意欲、能力を十分に発揮されることが重要な課題であると思っております。今後は、男女雇用均等法などもできましたけれども、そういう制度上のみならず実際上の婦人の地位の向上に当たって、婦人が男性とひとしく能力を発揮し、男女がともに社会の発展に寄与できるように男女共同参加型社会の形成を目指してこの計画の着実な推進に努力してまいりたいと思っております。
 特に、政策決定関係の審議会のお話が出ましたが、その面では確かに今まで婦人の御意見が、あるいは反映が少なかったということは事実であろうと思いますが、しかし最近はなかなか活発な御意見もいただけるようになっております。御承知のとおり大臣だって女性も出てくるのは珍しくないようになりましたし、政務次官はもちろんでございますし、あるいは事務次官もやがて近いうちに出てくるかもしれません。ということになれば、実務的な政策決定にあずかって力があるというようなことはまあそう遠いことではなかろうかと思っておりますので、まさに男女均等で、力を合わせて我が国の社会を築いていかなきゃならぬし、それが世界の大勢でもあろう、こう思っております。
 私は、数年前に労働大臣をやっておりましたときに男女均等法の責任者でございました。とにかく三S主義というものを申しまして、とにかくスタートしなきゃだめだと。しかし、最初はスタートした直後からふっ飛ばすといってもちょっと難しいから、初めはちょっとスローでもいい。しかし、その後はステディーで着実に進歩していこう、こういう三S主義というのを唱えましてやったことを思い出しまするが、いよいよこれからがこの行動計画に向かって着実な前進を図っていく。そのためには啓蒙も非常に大切である、政策決定機関にも女性の参加がますます望ましい、そう思っております。
#141
○三石久江君 大変時間がないのでお礼を述べながら、障害者の雇用促進について労働省の方にお伺いいたします。
 まず、五月二十八日、総務庁行政監察局は、労働省、厚生省は身体障害者の雇用についてまだ努力が足りないといった内容の身体障害者の福祉・雇用に関する調査結果に基づく改善意見を出しました。
 雇用促進にはまず政府みずからが率先すべきだと思いますが、現在国家公務員については非現業二%、現業一・九%の雇用率が定められています。この雇用率は達成されているのでしょうか、お尋ねいたします。
#142
○説明員(小泉南男君) 御説明いたします。
 ただいま御指摘のございました官公庁の雇用率の状況でございますが、私ども毎年六月一日現在でその雇用状況を把握しているわけでございまして、平成元年の状況で申し上げますと、官公庁のうち一・九%が適用される現業的機関における実際の雇用率は二・一二%でございます。また、二・〇%が適用される非現業的機関の実雇用率を見ますと一・九六%でございまして、平均的にはおおむね達成しているのではないかというふうに考えております。
#143
○三石久江君 同僚議員が障害者のことで先ほどなさいましたので、時間もありませんので、ずっと人事院の方にお尋ねするはずでしたけれども、それを割愛させていただきます。
 次に、人事院の方に障害者のことで、正確に細かい字を書くことが難しい障害者の方が公務員試験を受けるときにワープロの使用を認めることというのが、画一試験、マル・ペケ式で正解番号の枠を塗りつぶす場合、細かい枠の塗りつぶしが困難な場合は別室で係官が立ち合いのもとで清書をするとか、大学入試の共通試験では行われているのですが、便宜を図られないのかというお話をよく聞きます。公務員試験の場合は漢字の知識を見ることも試験に含まれるのでという理由で、障害者だけに特別にワープロを認められないとある自治体で聞いたことがありますが、障害者が社会性を確立するためにいろいろと工夫して努力をしていることを認めてあげられないものか。
 また、ワープロの答案はそれなりに漢字の知識が必要であり必ずしも有利とは限らない、現実にワープロは一般にも日常的に使われている現在ですから、採点の基準を変えるとかして判断することは可能ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#144
○政府委員(大島満君) 国家公務員の採用試験は職務遂行能力を検証するための競争試験でございまして、平等な条件で公正に実施することが原則でございます。この原則に従いつつ適正な試験の実施に支障のない範囲で身体障害者に対して必要な配慮を行うことといたしておりますが、今お尋ねのワードプロセッサーにつきましては、御質問の中でも若干お触れになりましたけれども、漢字変換機能あるいは編集機能というものを有するところから、これを使わない他の受験者との間で公正を欠くと考えますので、試験における使用は認めておりません。したがいまして、身体障害者の記述式問題の回答方法については、当面電動タイプライター等を使用していただいて受験をしていただきたいというように考えております。
#145
○三石久江君 急いで申し上げますけれども、私の知っている大学の学生が、大学に入るときはワープロが使えたと、今度公務員試験を受けるときには――その学生はノートの一ページに字を書きますと三文字か四文字しか書けない、しかしワープロはとてもよく使えるんですね。ですから、公務員試験という場合にぜひワープロを使いたいという願いが随分あるわけです。そこのところをもう少し障害者に向けて考えていただきたいと思うわけです。
 最後に、官房長官にお尋ねします。お尋ねというよりもお願いをいたしたいんですけれども、リーダーシップをとって身障者の完全雇用に向けてやはり努力をしていただきたい、そういうところから官房長官の御決意をお聞かせください。
#146
○国務大臣(坂本三十次君) 身障者のお立場も考えて、それは体のどこかに非常に不幸なハンディキャップを背負っておられるかもしれませんけれども、しかしそのほかのところは常人以上にすばらしいものを持っておられる方もたくさんおいでになります。そのいいところをやはりどうしても引き出して社会に参加をしていただくということは非常に意義のあることだと思っております。そういう意味で、いろいろ政府としても計画を立てておりますので、それに従って一生懸命努力をしていきたいと思っております。
#147
○三石久江君 終わります。ありがとうございました。
#148
○翫正敏君 外務省に日ソ友好問題についてお伺いをいたします。
 日ソ平和条約締結問題に関する我が国の基本姿勢について簡単に御説明ください。外務省の方にお願いします。
#149
○説明員(高島有終君) ちょっと申しわけございません。今質問を十分に聞き取れなかったものでございますから、恐縮でございます。
#150
○翫正敏君 日ソ関係について外務省にお尋ねします。
 日ソ平和条約締結に関する我が国の基本姿勢を簡単に説明してください。
#151
○説明員(高島有終君) お答え申し上げます。
 我が国の重要な隣国たるソ連との関係は、日ソ二国間だけでなく、アジア・太平洋地域の平和と安定の強化、さらには東西関係の一層の改善の観点からも重要な意義を持つものというふうに考えております。
 このような認識のもとに、戦後最大の懸案でございます額土問題を解決して平和条約を締結するということを最も重要な課題として、日ソ関係全体を安定的な均衡のとれた形で拡大させていくということが基本的な考え方でございます。
#152
○翫正敏君 その問題の北方領土の問題ですが、我が国の立場及びその根拠をごく簡単に御説明ください。
#153
○説明員(高島有終君) 北方四島は歴史的にも法的にも我が国の固有の領土でございます。これら諸島は歴史的にも一度も他国の領土となったということがないという歴史的な事実に照らしましても、また過去の日露通好条約あるいは樺太千島交換条約等の規定から見ましても我が国がサンフランシスコ平和条約第二条(c)項により放棄いたしました千島列島には含まれないことは明らかでございます。まさにこのような立場から、我が国としては北方領土の返還を主張しているところでございます。
#154
○翫正敏君 その我が国が北方領土返還を求める立場とその根拠についてはよくわかったわけでありますが、ところで、ソ連の方ではペレストロイカということで非常に大きな変化が起こってきておるわけでございます。数日前の新聞では改革派のリーダーと目されておりましたエリツィンさんがロシア共和国最高会議議長、こういう職に当選をされたわけであります。ソビエト社会主義共和国連邦には十五の共和国があり、その中で最も大きいのがこのロシア共和国であります。二億八千万の人口の約半数を占めており、面積は約四分の三、北方領土もソ連側の主張によればこのロシア共和国の中の管轄下にある、こういうようになると理解しておりますが、そういうことでよろしいでしょうか。
#155
○説明員(高島有終君) 御指摘のとおりに私どもも理解いたしております。
#156
○翫正敏君 ソ連の大統領は、ことし大統領制になりまして、ゴルバチョフさんがおなりになったわけでありますけれども、ロシア共和国の議長になられたエリツィンさんですが、つまりソビエト連邦の中の最大の共和国の議長という職務は相当な権限を持った職務である、そういうふうに考えてよろしいのでしょうか。
#157
○説明員(高島有終君) 今御指摘のとおり、ロシア共和国はソ連邦の中では最大の中核的な存在でございます。そして、このロシア共和国の元首に相当する職にエリツィン氏が選ばれたわけでございます。この機能は、連邦との比較におきまして国防、外交、経済等の基本方針の策定は連邦の権限というふうにされておりまして、また連邦法が共和国法に優先するといったような点では依然として権限という観点では連邦の方がはるかに大きな権限を現在はまだ持っているということでございます。
#158
○翫正敏君 ロシア共和国の議長になられたエリツィンさんがことし一月に来日をされましたときの講演、またインタビューの記録を見ながらさらにお聞きをしたいんですが、この中でこういうふうに言っておられます。
 「各共和国が、国家として自主性を拡大することによって、ロシア共和国は日本と独自に条約を結ぶ可能性を得ることができます。 日本は一億二千万強の人口を有しておりますし、ロシア共和国は一億四千万の人口を有しております。本質的に言うと、日本が抱えているソ連との政治問題、たとえば領土問題にしても、これは直接にはロシア共和国にかかわっている問題でして、」云々と、このようなことをおっしゃっておられまして、さらに北方領土の問題につきまして、来られたときの講演の記録を見ますと、五段階返還論というものを提唱しておられるわけであります。
 ちょっとその部分を読んでみますと、「ソ連が公式に領土問題の存在を認める」という第一段階。「わが国の側から「このような問題は、存在している」ということを、公式、公的に宣言すること、表明すること。それを本年中、つまり一九九〇年のうちにやってしまう。あるいは、九一年、すなわちゴルバチョフの来日の時点で、それを行ってしまう。」、こういうふうに言っておられます。
 第二段階として、「四島を自由興業地帯とする」、「これらの島を、日本にとっての自由興業地帯(企業を興こすという興業)とし、日本人がそこへ移って行くことを楽に、簡便化する――アメリカの言葉で言うと、いわゆる最恵国待遇を日本に与えるということ。 この第二段階の中に、たとえば、ロシア共和国と日本国との間で条約を結ぶという行為も加えていいと思います。 第一段階に加えて、この二段階は、大体二年から三年の期間でありましょう。」、こう言っておられます。
 第三段階として、「四島の非軍事化」ということを言っておられます。「これは、そんなに簡単に早くはできないでしょう。なぜならば、これらの島島は、わが国家に所属しているというよりは、わが軍に帰属しているからです。」、こうおっしゃっております。
 そして、四番目の段階として、「平和条約の締結」ということをおっしゃって、「ここで日本側は、半歩われわれに歩み寄っていただかなければなりません。 皆さんは、平和条約締結は、島の移譲、引き渡し以後であるというようにおっしゃっておりますけれども、私の考えでは、この平和条約というのは、この問題が解決される、しかも五段階にわたって解決される過程において、そのプロセスを促進するものであろうというわけで、私は四番目に平和条約を締結することを提唱しているわけです。」。
 そして、この段階が終わって、その後すべての四段階を大体十五年以内で実現して、そして第五段階で最終的に問題を解決をする、したいと、このようなことをおっしゃっておられます。これがことしの一月に日本に来られたときのエリツィンさんの北方領土五段階返還論というものなんですけれども、このことについて外務省はどんなように考えておられますか。
#159
○説明員(高島有終君) 今委員御指摘になられましたように、エリツィン氏がことしの一月の訪日に際しまして北方領土問題につきまして、いわゆる五段階の提案を行われたということは私どもも十分承知いたしているところでございます。しかし、この提案はあくまでエリツィン氏の個人的な見解ということで打ち出されているものでございまして、政府といたしましては、このような個人的な見解に対しましてコメントする立場にはないというふうに考えているところでございます。
 ただ、このエリツィン氏を含めましてソ連の一部の要人あるいは学者の方々が北方領土問題につきましていろいろ発言しておられること、そのことはいずれも日ソ関係打開のために北方領土問題を解決する必要があるという観点に立って、そういう認識の上での発言ということでございますので、私どもとしてはこのような認識がソ連国内においてもっと広がることを期待しているところでございます。ただ、残念ながら、ソ連政府の立場につきましては、その変化は見られないという現状でございます。
#160
○翫正敏君 とおっしゃいますけれども、去年の十一月にゴルバチョフ大統領のナンバーツーのヤコブレフさんが来日されましたときにはこんなふうにおっしゃっておられるわけで、「問題があるとしても、その解決に第三の方法、つまり、四島一括返還で平和条約締結の日本案と領土問題棚上げで経済交流拡大のソ連案との間に妥協案はないかという姿勢であった」、こういうことをおっしゃったわけであります。これに比べるならば、ソ連邦の共和国の中で最大のロシア共和国議長に今度なられた方の日本へ来られたときの北方領土の段階的な返還論というものは極めて注目すべきものであると私は思うわけであります。
 自民党の中にも最近二島返還論とか、また段階的返還論とか柔軟な考え方が芽生えているように聞いております。外務省としてもやはり来春のゴルバチョフ大統領の来日を念頭に置きながら日ソ間の永遠の平和を確立し、アジアの平和、ひいては世界平和に貢献できるよう努力すべきである、そのように考えるところであります。外務省の考えは先ほど聞きましたのでわかりましたが、ぜひ坂本官房長官のこの問題についてのお考え、御決意を一言お聞きしたい、そのように思うわけであります。
#161
○国務大臣(坂本三十次君) 我が国は四島一括返還して、そして平和条約を結ぶと一点張り、ソ連の方は領土問題はもうのっけから存在しないと門前払い、そんな姿勢で長くやってきたわけでありますけれども、やはり世界情勢の大きな転換で冷戦時代からデタントの時代に移ってきております。そして、ヨーロッパはもちろん大きな激動でありますが、やがてアジアにもやはり世界的な枠組みの変化というものの影響は及んでくるであろうと思っております。
 そういうときでありますから、我が国の内外において、今までのパターンにとらわれないでより柔軟に前進しろという意見の出てくるのも、これまた自然の勢いであろうかと思っております。しかし、政府といたしましては四島一括返還して平和条約を結ぶというのが骨子で、大前提であります。
 しかし、それはそれといたしまして、やはりそれだけではいかぬのではないかなと。世界情勢が動くんですから、やはり政治、経済、文化の交流すべてがやがて動いてくるものではないかな、こう思いまするがゆえに、まず人がやっぱり経済を運び、そして政治を動かし、文化を伝えて交流をするわけでありますから、まず人的な交流、各般のいろんな要素を持った人的交流というものを進めていく。もちろん、経済的な面から入りやすければ経済的な面からもやるというようなことで、拡大均衡と申しまして、いろいろ人の交流が多方面に多角的に交流をして、そしてお互いの理解と納得を進めていく。そういう方向で今一歩を踏み出しておるということは委員の御承知のとおりでございましょう。
 かつての歴史を見ましても、日中国交回復のときなどでも、初めは人の往来、スポーツから、それから小規模の経済から、それからいろいろ政治的な面にわたって発展をいたしまして、一たび進んだならばあっという間に国交回復が成功し、平和条約も締結をされたというわけでありまして、私ども決して悲観をしないで、そして日ソの友交の対話の促進に努力をしていきたい。日本海にある何らかのあのカーテンをひとつやがて取り払わなければいかぬというつもりで今後とも努力をしていきたいと思っております。
#162
○翫正敏君 ぜひそのような方向で、原則は原則として、しかし柔軟に対応していっていただきたいということを切に要望したいと思います。
 次回のときに防衛問題でお聞きしますが、一点だけ石川防衛庁長官にお伺いしておきたいと思いますが、ソ連のペレストロイカに始まって東欧の激動というものに移り、いよいよアジアへも大きな流れが変わりつつある、このように思います。
 きのうの新聞では、「ソ連大統領、首脳会談へ米国入り マルタ合意の定着図る」、このような一面の記事でございますし、きょうの新聞では、「韓国・ソ連 国交めざし首脳会談 緊張緩和を論議 冷戦後の世界再編 加速」というこのような劇的な感じの記事が、毎日のように紙面を飾るようになってきているわけであります。我が国もやはり今までの軍備の増強、その中での抑止と均衡という、このような基本路線というものを大きく転換するということが基本的に求められているということを私は昨年から一環してお願いをし、議論をしてきているところでありますけれども、きょうは時間もありませんから、長官の方からそのことについて一言だけ今のお考えをお述べいただきたいと思います。
#163
○国務大臣(石川要三君) 余り時間もないようでございますから簡潔に申し上げたいと思いますが、今、翫先生がおっしゃったように、とにかく最近の世界の情勢、特に軍事情勢も含めて非常に激しい激動の中にあることはもう想像を越えているような状態であります。私も実は大臣になりましてちょうど三月が過ぎたわけでありますが、この三月の間にかなりもう情勢がどんどん変化している。このような状態は本当に今先生の御説明されたとおりであります。
 そういう中にあって我が国の防衛をどうしていくか、これはなかなか難しい問題でありまして、ただ先生に一言御理解をいただきたいのは、私どもは、あくまでも我が国の防衛というのは、ここでくどくどしく申し上げるものではなく、いわゆる五十一年に策定された大綱の水準というものにようやく到達した、この到達の間に確かに予算の額も伸びてきたと思います。その原因は、私は到達させるための、かなり私はやはり一つの理由があった、こんなふうに思っております。
 さて、これが到達しました、これからどうなるかということでございますが、そういう国際情勢の中でこれからやっていくわけでありますけれども、御承知のとおり私どもは憲法やあるいは基本的な国の政策でございますが、いわゆる専守防衛、こういういわゆる制約があるわけでありまして、決して他国に侵略しない、あくまでも限定的なそういう紛争といいますか、状態に対する、専守防衛でやるわけでありますから、そういう基本的な一つの大きな方針があるわけですね。
 したがって、世の中はどんどんどんどん動いていますけれども、私どもはそういう性格の中から、むしろアジア・太平洋の中で我が国が素っ裸で、防衛の努力をしておかないということ自体が非常に不安を発生するわけでありますから、そういう中で平時においての最低の持つべきものを持っている、こういうことでございますから、直ちに大きな目に映る、世界の情勢から見て私どもの防衛政策というものは少し動きが鈍いじゃないかという御意見も多々あることは聞いておりますが、性格的には私はそういうものだということを御理解をいただきたい。したがってソ連の脅威論で成り立っているわけじゃございませんから、その点の御理解もいただきたい、かように思っているわけでございます。
#164
○翫正敏君 いろいろ申し上げたいことは、次回の内閣委員会のときに防衛問題に絞って質問させていただきたいと思いますので、きょうは終わります。
#165
○田村秀昭君 自由民主党の田村でございます。
 現在、三十一日、一日とワシントンで米ソ首脳会談が開かれております。ホワイトハウスの歓迎式典で、報道によりますと、ブッシュ大統領は、一年前には考えられなかった新しい地平線が我々に開けている、新しい欧州と脅威のない安全な世界づくりに努めよう。これに対してゴルバチョフ大統領は答礼のスピーチで、このサミットこそソ米両国関係がより安定し、互いにより予見しやすい間柄になったことを証明、両国が平和な世界へ向けて共通の歩みを踏み出したと、こう述べて、恒久的協力時代への幕あけということを強調されております。
 それで、報道によりますと、この二日間に四回にわたって会談が行われる。それで、先ほど翫先生もおっしゃいましたように、それが終わってからキャンプ・デービッドの個別会談、米ソ首脳だけの会談が行われて、その帰りにサンフランシスコで盧泰愚大統領との韓ソ会談が開かれる。それでまた、報道によりますと、その後カムチャッカにおいてアジアの政策を、第三回目の政策をゴルバチョフ大統領がお述べになるということでありましたけれども、これは何か国内事情でキャンセル、中止という報道もなされております。
 それで、今度の米ソ会談では、特に安全保障に関する件、戦略核の削減問題、それから化学兵器の削減問題、統一ドイツのNATOに組み込まれるのか否か、さらにはリトアニアの独立問題等が話し合われるわけでありますが、その合意に達するということよりも、ともに対話し、協力協調関係を続けていくことが大切なことなんだということをブッシュ大統領も言っておられるようですが、この会談も歴史的な会談というふうに私も受けとめておるんです。
 欧州を含めた安全保障に関連する、安全保障が結局どうなるかという枠組みの問題が一番重要でありますけれども、その辺の安全保障にとってどういう軍事情勢になるのかというのが一点。それから第二点に、それは極東においてはどのような影響をするのかということについて防衛庁の方から御見解を伺いたいと思います。
#166
○政府委員(内田勝久君) ただいま委員から御指摘ございましたとおり、昨日以来ワシントンにおきまして米ソ首脳会談が開催されております。第一回会談後のフィッツウォーター米大統領報道官の発表、ブリーフによりますと、会談は順調に進んでいるということでございます。
 ただ、現時点ではまだ会談の途中でございますので、この会談からしかとどのような新しい方向性というものが生まれてくるかということにつきましては申し上げかねる状況でございますが、一般的に申し上げまして、戦略兵器の削減の交渉、あるいは欧州通常戦力の交渉、さらには委員御指摘のとおり統一ドイツの問題、リトアニア問題等々広範な問題につきまして包括的かつ率直な話し合いが行われていると承知しております。
 私どもといたしましても、こういう現在のような世界の激動の時期におきまして、世界の平和と安定に大変大きな役割を果たしております米ソ両国の首脳がこのような会談を行うということは極めて意義が深いというように認識をしている次第でございます。
 次に、この会談を受けて国際軍事情勢がどのようになるであろうか、どのように認識しているかということのお尋ねでございますけれども、ただいま申し上げましたとおり、現時点におきましては会談がまだ進行中でございますのでその内容については確たることをなかなか申し上げられない次第でございますが、いずれにいたしましてもこの会談が米ソ関係あるいは東西関係に大きな影響を及ぼすということは十分予想されますし、さらに加えまして、我が国周辺の情勢についてもいろいろな形で影響を与えてくるという可能性を考えなければいけないと思っております。そういうことから、私どもといたしましてもこの会談の成り行きに大きな関心を持って今見守っているということでございます。
#167
○田村秀昭君 現在、我が国の防衛庁は防衛計画の策定中で、特に次期防の策定中であるというふうに聞いておりますけれども、こういう東西関係のデタントは現在進んでおりまして、南北問題のデタントは一つも進んでいないわけでありまして、大変不安定であり、大変不確実な時代を迎えたというふうに言えると思うわけですが、次期防策定の時期に当たってどのような点を基本とされて整備されているのか。まあ策定中でございますので細かいことは結構ですので、どういうのを基本にされて整備されていくかということについてお伺いしたいと思います。
#168
○国務大臣(石川要三君) 次期防策定につきましては、これから安保会議の中で政府全体として最終的に決まるわけでありますが、それに対して安全保障という一つの所管の立場からいろいろと今検討をこれから始めるわけであります。
 基本的な考え方は、当然国際情勢の変化というものを十分ににらんで、その中で節度ある、しかも財政事情も勘案しながらの次期防を策定していかなければならないわけでありますが、先生も御承知のとおり、現在の中期防の骨格となっておりますものは何といっても防衛計画の大綱にあるわけでありますから、その大綱を策定したときのいわゆる国際情勢の見方、特にその前提として、中期防をつくる一つの前提となる柱としてはいわゆるデタントの中におけるこれからの大局的な真正面の激突はなかろうというような認識と、さらに日米の安保条約によってこれからも日本の平和というものは構築されるであろう、こういう二つの大きな柱を前提条件として次期防が策定されているわけであります。
 私はやはり先ほど来、翫先生あるいは田村先生の御説のとおり、ますますデタントに向かっての好ましい変化というものは大きく前進していきたい、きてもらいたい、こういう希望は持つわけでありますが、しかしその前提となるものは、やはり基本的な考え方、枠組みというものは、私はこのままこれを堅持していくことも決して間違う選択ではなかろう、こういうふうに思っているわけであります。
 しかし、そうはいいながらも、やはり十五年前に比べればますますの平和的なムードというものが高まっているわけでありますから、そういうものも十二分に認識をしながら、そして特にこれからの視点としてどこにポイントを置くかとすれば、私はやはり前面の正面装備の拡大よりも、量的な拡大よりも質的なものを求め、あるいは二番目にはその正面装備をさらに効率的に運用させるためのいろんな衛星、通信とか、そういったもののところに力点を置く、そしてさらにはやはりそういうものを扱うのはこれは自衛隊員であるわけでありますから、そういう隊員の士気高揚のためにも後方の整備に重点を置く、こういう点がこれからのやはり大きく注目すべき点ではなかろうかな、かように思っているわけであります。
#169
○田村秀昭君 今の長官のお話を聞きまして、特に私が強調したいのは、職員も含めました、事務官も含めました防衛庁の自衛隊員の処遇問題が非常に私は日本の防衛にとって重要だというふうに考えております。
 二、三の例を挙げまして御質問をさせていただきたいんですが、二月十七日ですか十六日の未明に沖縄から発進した救急患者の救助のための陸上自衛隊のLR1という飛行機がお医者さんを乗せたまま墜落してしまった。それについて事故の概要を簡単にちょっと言っていただけませんか。
#170
○政府委員(米山市郎君) お尋ねの事故は、去る二月十七日の深夜午前零時三十分でございますが、沖縄県知事から救急患者輸送のための災害派遣要請を受けましたことから、第一混成団所属のLR1型機が午前一時二十分、医師を同乗させ那覇基地を離陸し、宮古島に向かって飛行中、午前一時五十分ごろ宮古島北東約五十二キロ付近で行方不明になったというものでございます。当日の天候は曇りでございました。
 防衛庁といたしまして、この事故発生以来原因究明のための諸調査を実施いたしておりますが、特に事故原因の究明にとって重要な資料となり得る事故機の機体回収というものがまず重要なことだということでそれに努力いたしました。なかなか事故機の水没地点の特定に手間取ったということもございまして日時を要したわけでございますが、四月十八日から二十五日にかけてエンジン等の事故機の一部を回収することができたわけでございます。
 現在その回収した機体の一部につきましての技術的な調査を行っている段階でございます。
#171
○田村秀昭君 五月十四日の読売新聞に、「任務中殉職でも弔慰金九百万円 警察官なら八千万 自衛官の命安過ぎる」、こう出ております。それから、五月六日の日曜日の産経新聞ですが、「自衛官の命九百万円也 警察・消防との間に格差」、それで、「最近自衛隊パイロットが続々と退職していく。陸海空あわせて八八年度が六十一人、八九年度が七十四人。防大卒業生の任官辞退もそれぞれ五十一人、五十九人。」となっております。「自衛隊に背を向けていくかれらの最大の動機は、社会的処遇の低さなど、自衛隊に対する失望感である。」「自分たちの生命を犠牲にしても国民の生命や安全を守る自衛官に、」、自衛官のことを「いま考えないと、自衛隊はいずれ内部崩壊し、国の安全保障も成り立たなくなるだろう。」というふうに書いてあります。
 それで、これは新聞どおりかどうかわかりませんが、自衛官の殉職した場合と警察官が殉職した場合の違いだけを述べていただきたい、あるいは消防との格差を。
#172
○政府委員(畠山蕃君) お尋ねの死亡した場合の国から出されます補償金的なものといたしましては、大きく分けて二つございまして、一つは国家公務員災害補償法を自衛官の場合、防衛庁職員給与法で準用いたしまして、一般職と同様の公務災害補償が出るわけであります。それから第二に、功労に対する見舞い金的なものとして賞じゅつ金という制度がございます。
 国家公務員災害補償法を準用しております補償の方は、これは全く一般国家公務員と同様でございまして、警察官、消防と同じでございます。それから、賞じゅつ金の方につきましては、国の制度といたしましては全く同様の制度になっておりますが、ただ地方公務員たる警察官ないし消防署及び消防官につきましては、国からの見舞い金的なもののほかに、地方公共団体において独自に設けております同様の見舞い金的なものが同時に支給されるということがあるものですから、その限りにおいて自衛官に支給されるものを上回るケースがあるということでございまして、国の制度としては同じでございます。
#173
○田村秀昭君 ちょっとお尋ねいたしますけれども、これは沖縄県知事が要請をして、夜中の一時に医師を乗せて救急患者七十二歳の方を救急輸送するのに行ったわけですが、要請をした沖縄県知事さんは自衛隊員に対して何にもしないんですか。ちょっとこれは自治省の方。
#174
○説明員(神林章元君) 委員お尋ねの事故につきましては、平成二年二月十七日未明、宮古島で発生しました交通事故によります救急患者の緊急搬送でございますが、自衛隊法第八十三条の規定に基づきます災害派遣要請を沖縄県知事から陸上自衛隊に対して行ったものでございます。
 遭難されました自衛隊員三名及び添乗されました医師一名の方の御遺族に対しましては、県からの派遣要請に基づき遭難したという経緯にかんがみまして、県知事より感謝状を贈呈させていただき、また見舞い金をお贈りしたと聞いております。
#175
○田村秀昭君 それは制度としておやりになったんではなくて、そういう事故に対して積極的におやりになったわけですね。それは制度でないですね。
#176
○説明員(神林章元君) お尋ねのとおりでございます。制度ではございませんで、県として行ったものでございます。
#177
○田村秀昭君 それから、私が聞くところによると、厚生大臣はその二十六歳のお医者様、徳洲会のお医者さんと聞いていますが、その方には感謝状を出しているけれども、機長とコパイと整備員、ともに四十歳前後の、子供さんが三人も二人もいる、このお医者さんはまだ結婚されていないと聞いておりますが、厚生大臣はそのお医者さんには感謝状を出しているんですが、自衛隊員には何にもしていないのはどういうことでありますか。
#178
○説明員(澤宏紀君) 不幸にして亡くなられました医師に対しまして、委員おっしゃられますように厚生大臣感謝状を差し上げさせていただいたところでございます。不幸にして亡くなられました自衛隊員の方々に対しましては、公務上の殉職とのことでありますので、厚生大臣の感謝状はインターン、医療機関の医師にのみ差し上げさせていただいたところでございます。
#179
○田村秀昭君 それは、厚生大臣が感謝状を出されたのは制度ではないんですね。
#180
○説明員(澤宏紀君) 制度ではございません。
#181
○田村秀昭君 そうしますと、先ほどの防衛庁人事局長の御答弁もございましたけれども、結局制度として自衛隊員は消防、警察官と違ってそういう弔慰金をもらえないのは、殉職者の救慰金、これが約二千万、それから死亡見舞い金、これは警視総監から出される二千万、それから内閣の決定の特別褒賞金、これが一千万以下と書いてありますが、これは自衛隊員は警務官だけということですからパイロットはもらえないわけで、その三つはもらえないということに制度上なるということでよろしいですか、解釈として。
#182
○政府委員(畠山蕃君) 御指摘のとおり、警察官等に対する特別褒賞金というのは警察官等に対する特別褒賞金ということでございまして、これは自衛隊員のうち警務官等に対しては警察行為を行いますので同様に解釈して支給されることになりますが、制度の趣旨からいたしまして、これは一般のその他の自衛官については支給されないということでございます。
#183
○田村秀昭君 それから、「諸君」の二月号ですが、産経新聞の牛場氏が書いているんですが、「自衛官と警察官の給与の差」というところで、六十年八月の日航一二三便の群馬県の御巣鷹山の山中に堕落した事故で、群馬県警と自衛隊が出動して救難に当たったと。そのときに、
 二日間で警官が日当、宿泊費、超勤手当、死体処理手当などで一万六千五百五十円。自衛官は災害出動手当だけで一千三百二十円と実に十二・五倍もの差がついてしまった。おまけに、自衛官は乾パンにかんづめの非常食と炊き出しのニギリメシ。警察官は折り詰め弁当。日没になれば引き揚げる警察に比べ自衛隊は徹夜作業もあって、「自衛隊さんの前では弁当が開けなかった」とある警察官は述懐している。
  自衛官の給与が悪いことは警察官も聞いて驚くほどで、長崎県佐世保に転勤になった海上自衛隊の三佐が、長崎県警の警部補をしている伯父の家を夫婦で訪問。談たまたま月給の話になったが、この伯父さんは「そんなに働いて給料がその程度であるわけはない」と三佐の話を信ぜず、夫人に「こいつは手当ての分をどこかに隠している」と言い張って三佐を閉口させたというエピソードもある。
こういうふうなことを言っております。
 それから、「昭和天皇の大葬の礼に警視庁の部隊と並んで堵列したある自衛官は、不謹慎とは知りながらも「今ここで爆弾でも投げられたらこっちは二千万円、隣りは六千万円」と複雑な思いがしたという。」と、こう載っているんですが、これは事実でありますか、事実でありませんか、ちょっと教えてください。
#184
○政府委員(畠山蕃君) 今お話の中にいろいろなことを述べられましたけれども、まず御巣鷹山の日航機の事故のときの記事に関して申し上げますと、災害に際して派遣されました警察官に支給されます特殊勤務手当と、それから自衛官に支給されます災害派遣手当は、ほぼ同程度の額というふうに承知をいたしております。その他の手当等につきまして、警察官には超過勤務手当が支給されておりますが、自衛官につきましては御承知のとおり俸給の中に超過勤務手当相当額が含まれて支給されておりますので、特に災害出動をした折に、これに直接伴って別途支給されるという制度にはなっておりませんので、そこの点が違います。
 それからまた、警察官には食事代等が出動旅費として当該出動に伴って支給されるわけでありますが、自衛官の場合はこれが現物支給等となるということから、制度の違いからくる部分で実際に現金で比較するといいますか、当該災害に直接伴って支給される額を比較いたしますとおっしゃるとおり差がございますけれども、実質的な意味ではさほどの差はないというふうに承知をいたしております。
 なお、給与水準の比較については、それぞれ制度が違いまして、特に国家公務員と地方公務員との場合で違いますから一概に比較は困難でございますけれども、自衛官の場合の給与体系は御存じのとおり一般職の国家公務員、特に公安職との比較で定められておりますので、その限りにおいては適正に一般国家公務員の給与とバランスがとれた形になっておるものと考えております。
#185
○田村秀昭君 防衛庁の方も非常に一生懸命隊員の処遇に全力を尽くしておられると思うんですが、お聞きしていますと結局制度の差があるわけでありまして、自衛隊員は一般の職場と違った任務や職務上の特性があるわけで、それにふさわしい処遇が求められないとならない。そういたしますと、その他生活関係にしても勤務状態にしても、亡くなる人が非常に若年者だということもありまして、こういう特別職の自衛隊の隊員に対しては、公正な立場から第三者機関が設置されて給与や補償その他手当の処遇改善が勧告されないといけないと思うんですが、きょう官房長官も、総務庁長官も、防衛庁長官も来ておられますので、ぜひ第三者機関を設置していただきたいということを私は考えておるんですが、いかがですか。
#186
○国務大臣(石川要三君) そういう制度をつくるのは防衛庁長官の権限ではないと思いますけれども、いずれにしましても今委員も言われましたように、もし自衛官と他の公務員といろんな処遇の中で大きな格差があるということになると、これは重大な問題だと思います。したがいまして、そういう点をさらに、私もまだ就任して日は少ないわけでございますが、大いにひとつ内容を勉強させていただきまして、そういうもし格差があるならばその格差の解消に全力を尽くしていきたい、かように思います。ただ、第三者機関云々ということでございますが、そういう点はなかなかこれ実際問題としてやるとすると相当難しいものもあろうかと思います。
 ただ問題は、そういうこともさることながら、例えば若年退職者の特別給付金におきましても、今回また参議院の内閣委員会の先生方には御審議いただくわけでありますが、衆議院はおかげさまでこれにつきましては多くの政党の賛成を得て成立をいただきました。これも一つの私は大きな画期的な処遇改善の政策である、かように思っておりますので、こういうことも考えれば、必ずしもそういう第三者の機関がなくともやろうと思えばかなりできる部分があるんじゃなかろうか、こんなふうにも思うわけでございまして、いずれにしましてもその処遇の改善には努力をしていきたい、かように考えております。
#187
○田村秀昭君 ありがとうございました。
 私は、今の状況では総務庁と大蔵省にいろいろな改善をお願いしていくという状況になっておりますので、ぜひ第三者機関ですね、例えば国家行政組織法の八条機関とか、四十八年に長官の諮問機関ができて非常に改善されたということも聞いておりますし、労働三権を持っていない隊員に対しては第三者機関を設置していくということが公平ではないかというふうに考えておりますので、今後も内閣委員会でお願いを続けてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 終わります。
#188
○吉川春子君 育児休業制度についてお伺いいたします。
 まず官房長官、総理府の長として、また婦人問題企画推進副本部長として、女子の国家公務員がどういう実情にあるのかお聞きいただきたいと思います。
 女性の社会進出は非常に目覚ましいものがありますけれども、働き続けるためには大変な困難があります。
 公務員も例外ではありません。育児もその一つです。例えば、二歳半の娘のいるある女性は、生後二カ月より預けるところを探しましたけれども、公立保育所は一歳からしか預かってくれないし、ベビーホテル、保育ママをたらい回しして何とか切り抜けた。今二人目が欲しいと考えているけれども、あんな思いをするのではと二の足を踏んでいるそうです。また少年院では、入所してきた少女の指導に当たるのはすべて女子の教官ですが、寮に住み込み、二十四時間勤務体制で、出産後も出勤一カ月でこの勤務につくために働き続けることができずに経験豊かな職員も退職してしまうといいます。
 このほか、航空管制官、気象観測など夜勤交代、あるいは公務員の場合は職場が離島から大都市までありますので、全国に散在しておりますので、公務員への就職をためらわせたり、あるいは出産が退職につながったりまたは出産を思いとどまる、こういう例も少なからずあるんですけれども、こういう女子国家公務員の実情について御認識いただいているでしょうか。
#189
○国務大臣(坂本三十次君) ただいま委員いろいろと実例を挙げられてお話しになりました。私はその職場へ行って詳しく話を聞いたことはありませんけれども、一般的には一生懸命精励恪勤をしておるという報告は承っております。幼い赤ん坊を抱えてしかも非常によくやっておるというお話は聞いております。そして、職務は非常に一生懸命やっておるというようなことは承っております。
#190
○吉川春子君 労働省にお伺いしますが、民間の育児休業制度の普及状態はどうなっておりますか。
#191
○説明員(堀内光子君) 労働省の調査によりますと、育児休業制度を導入した事業所はわずかずつではございますけれども着実に増加しておりまして、昭和六十三年の調査によりますと、従業員三十人以上の事業所の一九・二%が育児休業制度を実施しておりまして、女子雇用者の二三・五%に適用があるという状況になっております。
#192
○吉川春子君 私は毎年質問しているんですけれども、わずか一年ぐらいで五%この制度が広まっているということは、大変需要がふえてきているということだとも思うんです。
 そこで、人事院の職員局長の私的諮問機関の勤務時間問題研究会でも「公務員の勤務時間に関する課題」という文書で、女子の目覚ましい社会進出による共働き世帯、また核家族の増加も踏まえて育児と職業生活の両立、職員の福祉の増進という立場から、職員が育児に当たって一定期間職務を離れ、再び職場に復帰できるような制度を整備する必要があるとしているわけです。
 人事院にお伺いいたします、というより要求いたしますけれども、育児休業制度を国家公務員女子一般に適用すべきだと、こういう人事院勧告をことしはぜひ行っていただきたいと思います。どうですか。
#193
○政府委員(弥富啓之助君) お答えを申し上げます。
 現在、公務におきましては、義務教育諸学校等における教員及び医療施設等における業務の円滑な実施の確保を目的として、女子の教育職員、看護婦等の特定職種に限った育児のための休業制度が設けられているのは御承知のとおりでございます。
 ただいま御指摘のように、現行の制度を他の職種にも拡大するとする意味でございますが、一つは、他の職種にも拡大するとした場合には、現行制度を適用されている職種と同様に職務の特殊性、人材確保の必要等が認められるかどうかを勘案する必要がある。そういう意味と、もう一つは育児休業制度を職員全般に広げていきたいと、こういう御要求でありますならば、これはやはり勤務条件の一環として、導入するに当たりましては、他の勤務条件と同様に社会一般の情勢に適応するように民間との均衡にも配慮する必要があると考えられるところでございます。
 ただいまいろいろ女性の社会進出、それから核家族等の進化というように育児休業制度についての関心が非常に高くなっていることを、またただいまお話がございました勤務時間問題研究会の報告でもその必要性が指摘されているなどのことから、人事院といたしましては、民間での普及状況等を十分に勘案しながら、総合的に検討を進めてまいりたいと考えております。
 なお、ただいま御質問がありました勧告の問題でございますが、今こうした検討を行っている段階でございますので、本年の勧告での対応については、ちょっとここで申し上げるまだ状況にないことを申し添えさせていただきたいと存ずる次第でございます。
#194
○吉川春子君 民間の普及率が何%になればこれは機が熟したというふうにお考えでしょうか。その点だけ端的にお聞かせください。
#195
○政府委員(大城二郎君) ただいま総裁からお答えがありましたように、社会一般の情勢に適応するようにという勤務条件改善の基本原則がございます。その際に民間の普及状況というのが一つのメルクマールになるということでございますが、そういう情勢判断はやはりいわゆる総合的な判断として行うということになろうかと思います。したがって、端的にこの数字が何%ということではなくて、社会一般の情勢としてそういうものが受け入れられるような状況に来ているかどうかというのがやはり判断の基礎になろうかと思います。
#196
○吉川春子君 今労働省のお答えでも約五分の一の女性労働者が適用を受けているということですので、かなり機は熟してきていると思います。ことしの人勧にぜひ盛り込んでいただきたいということを要望しておきます。
 官房長官、もう一度お伺いいたしますけれども、総理の施政方針演説の中で育児休業制度の確立ということをおっしゃられているわけなんです。今も申し上げたように、民間でも二割近くになっている。国がここで国家公務員の女子にこの制度の適用に踏み切れば、さらに民間でも普及するということはもう明らかですね。それで、ぜひ民間でも普及できるように、隗より始めよという言葉が中国にありますよね、まずおひざ元の女子国家公務員からこの制度を適用していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#197
○国務大臣(坂本三十次君) ただいま人事院総裁からも話がありましたように、我が国のこの給与制度というものはどうも先憂後楽という気持ちを反映したものかどうか、とにかく民間準拠ということが基本になっておるように思われます。しかし、育児休業制度というものを活用して、そして女性が十分に能力が発揮できるようにということは非常に結構なことでございますので、ひとつ前向きに検討させてください。
#198
○吉川春子君 西側の一員という言葉を防衛庁初め政府は好きなんですけれども、サミット参加国で女子一般に育児休業を制度化していないのは日本だけなんですね。地方公務員の中にもこの制度は大変もう広がって定着してきております。本人選択制、原職復帰、有給、もちろん代替要員を確保して実のある育児休業制度を制度化し、また保育園も母親の要求に見合ったものにして、安心して子供を産んで育てられるようにしていただきたい、そのことを心から要望申し上げておきます。
 時間の関係で次の質問に移ります。
 政府広報の問題ですが、総理府が主管する政府広報予算は平成二年度で幾らになっていますか。
#199
○政府委員(岡村健君) 平成二年度の政府予算案における総理府広報室予算は総額で約百二十二億円となっております。
#200
○吉川春子君 政府広報室が発足しました一九六〇年と比べますとこれは何倍になっていますか。
#201
○政府委員(岡村健君) 政府予算における平成二年度の広報室予算の総額はただいま申し上げましたように百二十二億円でございます。昭和三十五年、今おっしゃいました一九六〇年に当たりますが、当初は定期刊行物の配付等が主体となっておりまして、ごく微々たるものでございまして、約二億円でございました。その後メディアの著しい発達もございまして予算が伸びてまいりまして、したがいまして先ほど申しました額は約六十倍という数字でございます。
#202
○吉川春子君 総理府だけではなくて、他の省庁の広報予算を含めますと昨年度の執行額は幾らになりますか。
#203
○政府委員(岡村健君) 平成二年の四月に参議院の予算委員会から平成元年度の各省庁の広報経費につきまして資料要求がございまして、これを総理府で取りまとめて提出いたしたのでございますが、この資料をもとに積み上げますと、平成二年の二月末までに各省庁が実施いたしました広報に係る経費は約二百六億円となっております。
#204
○吉川春子君 これが三月はまだ計算されていない数字ですので、三月を含めると二百二十億を超えるというふうに思いますが、膨大な国の予算が政府広報予算として使われています。しかも外郭団体の広報予算もあります。読売新聞の調査だと、昨年度公官庁、公的団体のマスコミ向け広告費は四百三十億、前年度比で二七・二%もふえているということです。
 それで、膨大な消費税の広告、消費税導入に関する広告も行っているわけですけれども、新聞、テレビは別にしまして、これまで各省庁が消費税PRのために出したパンフレット、書籍の類は二百二十億の約五%、十一億円程度ですけれども、何冊ぐらいパンフレット出されていますか。
#205
○政府委員(岡村健君) 政府全体の数はつまびらかではございませんが、私どもでつくりましたパンフレットの数は、消費税に関しまして三回というふうになっております。
#206
○吉川春子君 ちょっと聞こえませんでした。何冊ですか。
#207
○政府委員(岡村健君) 三回でございます。三冊でございます。
#208
○吉川春子君 総数を伺っています。
#209
○政府委員(岡村健君) 約三百万冊でございます。
#210
○吉川春子君 予算委員会に提出された資料、各省庁から出された資料を合計すれば九千六百九十四万冊、国民一人当たりに一冊ずつぐらいのパンフレットを出している、大変な数になるわけです。これだけ出して消費税導入の推進を図ったわけですね。
 問題は、今も申し上げましたように政府広報の予算で何が行われているかということなんです。私はここに見直しをめぐって昨年末からことしの初めにかけての新聞に掲載された広報をコピーで持っているんですけれども、もう時間がないので私の方で言っちゃいますけれども、例えば消費税あるいは見直しの問題で政府広報は、これからは「食料品、出産費、入学金、住宅家賃などを非課税とします。」と、ムーミンの漫画のイラストを使ってこういうものを平成二年一月十七日掲誠とか、総選挙の直前まで大々的に広告をやっているわけなんですね。それからもう一方、自由党の広告はこれなんですけれども、これは二月十四日ですが、政府広報と内容は全く同じです。ムーミンを使っていないだけなんですね。食料品、お家賃、子供たちの教育費、出産、火葬料、こういうものを非課税にします、こういう広報をやっているわけなんです。
 自民党の、一つの政党の行う宣伝、これは正当な政党活動として当然ですが、これと政府の広報予算でやっている内容と全く同じだということは一体どういうわけですか。
#211
○国務大臣(坂本三十次君) 自民党のPRを政府広報でやるというのならこれは問題、大変なことであります。ですけれども、今政党政治で議院内閣制ですから、自由民主党が今政府をつくっておるわけでありますから、それは考え方は似ておるということになりますね。
 しかし、政府の政策は政府の閣議でもって決定をせられますので、閣議で決定をされましたならば、国民のために何が一番適切であるか、この政策が一番適切であるかということは、これは政党でなくして政府が国民に対して責任を負うものであります。ですから、こういうことを政府は決定をし、お願いをしたいと思っておるということを、その内容を親切丁寧に国民の皆様方にお知らせをして、そして賛成、反対はそれは国民の皆さん方の御判断は自由なんですけれども、我々とすれば、国民に責任を持つ政府とすれば、やはりその内容を詳細にお示しをして御判断の材料にしてもらうということは私は当然のことだろうと思っております。知らしむべからずよらしむべしなんていう考えはいけない、そういうふうに私は考えておりますから、政府の広報活動というものは私は当然の責任だと思っております。
#212
○政府委員(岡村健君) 消費税に関する政府広報につきましては、私ども主管官庁であります大蔵省と緊密な連絡をとりまして、その内容を検討しながらやっておるわけでございまして、自民党の広報にまねをするとか似せるとか、そういったようなことは全くございません。
#213
○吉川春子君 それでは、総理府、大蔵省、経済企画庁にお伺いいたしますけれども、消費税問題で広報予算をどれぐらいお使いになったでしょうか。そのうち見直し問題の広報でテレビ、ラジオその他どのような形で幾ら使われたんでしょうか、明らかにしてください。
#214
○政府委員(岡村健君) 媒体によりまして他のテーマと重複するものもございますので、税制についての広報の所要経費だけを抽出するということはなかなか難しいわけでありますが、平成元年度に実施いたしました消費税を含む税制についての政府広報関係経費は、新聞広告、テレビスポット、パンフレット作製等につきましてこれをあえて抽出いたしますならば、総額で約十六億円ということになっています。
#215
○説明員(橋本孝伸君) お答え申し上げます。
 大蔵省関係につきまして申し上げます。
 私ども大蔵省におきましても消費税を含めましていわゆる税制全般にわたりまして御理解を賜るための広報を実施しているところでございまして、具体的に平成元年度におきましてはテレビ、ラジオを使いました広報あるいは新聞広告あるいはそのほか週刊誌、パンフレット等全体含めまして平成元年度におきましていわゆる税制関係の広報所要経費、実績額といたしましては合計約三十九億円程度大蔵省におきましては使用しております。
#216
○政府委員(岡村健君) ただいま御質問の中で、お答え落とした点がございました。消費税の見直しに関するものでございますが、全体で約二億五千万円程度でございます。
#217
○説明員(橋本孝伸君) 大蔵省におきましては、今回の消費税見直し案につきましての広報につきましては、ただいまお答えのございました政府広報のほか、大蔵省におきましても新聞広告を実施しておりまして、新聞広告実施に当たりましての所要経費は、新聞広告一回約一億円程度ということになっています。
#218
○説明員(井坂武彦君) 経済企画庁といたしましては、消費税の導入のときに政府全体の広報体制の一環といたしまして、主として消費者の方々に消費税の仕組みでありますとか、あるいは物価対策という点について御理解を深めるために、媒体は同じようなものでございますが、パンフレットとかポスター、ビデオの作製、テレビの放映、新聞広報等を行っておりまして、その金額は一億円弱、九千七百万円でございます。
 なお、消費税の見直しに関しましては経済企画庁としては独自の広報はやっておりません。
#219
○吉川春子君 莫大な国の予算が税金、端的に言うと消費税あるいは見直しのために使われているんですけれども、官房長官、この莫大な政府の宣伝が、消費税見直します、必要なんですと、これが自民党のさきの総選挙での勝利につながったと思いませんか。
#220
○国務大臣(坂本三十次君) 政府が消費税見直しのPRなどをやるのは当然だと申し上げましたが、そんな簡単なことで選挙の勝敗が決まるものだとはとても思えません。これは国民の総合的な御判断の結果だと思っております。
#221
○吉川春子君 私は政府広報が、さっき官房長官が政権党であるから自民党と政府の考えが似てい、るのは当然だとおっしゃられましたけれども、自民党がつくっている内閣・政府でありましても、政府と政党の区切りというのはきちっとつけなきゃいけない。だから政府の、というのはつまり国民の予算を使って一政党が有利になるようなこういう意見広告、宣伝というのはやるべきじゃないというふうに強く思うんです。
 ダイヤルインというのがありますけれども、これをちょっと私は回してみたんですね。そうしましたら、東京のものはもう選挙が終わっていますので、この電話は使われていませんと、大阪のものはテープが疲れ切ったらしくてふにゃふにゃ回っているんですね。ですから、要するに政府の宣伝のねらいというのは選挙までなんですよ。選挙後でもけしからぬですけれども、選挙までだということがこのダイヤルイン一つ見たってはっきりしているんです。
 ちょっと視点を変えて官房長官にお伺いいたします。
 ことしは広告百年だそうですけれども、戦前の歴史を振り返ってみたときに、例えば新聞などでよく見ますけれども、欲しがりません勝つまではとか、ぜいたくは敵とか、一億火の玉というんですか、こういうスローガンで一億国民を一つの目標へ引っ張っていったという歴史があるわけなんですね。まさに今で言う広報の機能をフル動員しまして国論を統一して、その結果どうだったか。非常に悲劇的な結末になったわけです。
 これは一般論として当然お伺いするんですけれども、政府の音頭で国論を統一するような、一つの方向へ引っ張っていくような、こういうことはもう二度とやってはいけないと思いますけれども、いかがですか。
#222
○国務大臣(坂本三十次君) 日本の過去の軍国主義は、これはもう間違い、大失敗だった。そんなところへ国論を統一しようということ、これは危ういであろうと思いますよ。
 だけれども、今はもうすっかり時代が変わっていまして民主主義の時代ですから、民主主義の時代であればあるほど国民の皆さんにいろいろの情報をお知らせして、政府はこう決めた、どうですかというふうにして御批判を仰ぐ。特に選挙などもございますれば、国民の皆さんがなるほど各党の言っている意見はどうだということをよく聞く、その上で政府はどういうふうな意見かということもよく聞いて、そして国民みずからが判断を下す、それが選挙というものでございますから、選挙のそれは前であろうと後であろうと、国民の皆さんに判断を願うというそのことは私は民主主義の国家とすれば基本になろう、そう思っております。
#223
○吉川春子君 その情報を提供するということと、百歩譲って、国論が真っ二つに分かれている消費税とかあるいは原発とか、そういう問題について一つの方向へ持っていこうとするために莫大な広報予算が使われてはならないと私は思うわけです。だから、情報をお届けするということと政府の意見、国民が反対しようと何しようととにかくこれが政府の意見なんですということを数百億の予算を使ってやるというのは、これは民主主義にも何にも反すると思うんですね。
 行監局に伺いますけれども、行政監察を広報予算について行ったことはありますか。
#224
○政府委員(鈴木昭雄君) 各省庁等の広報事務だけを取り上げて監察したことは従来ございませんし、また今もそのような予定はございません。ただし、従来から例えば昨年九月に勧告いたしましたODAの監察等におきましても、例えば外務省、通商産業省、OECFですか、基金等で広報が個別に行われている、内容とかあるいは時期等で調整する必要があるんじゃないかというようなことも考えましたので、そのような勧告を行っております。
#225
○吉川春子君 オンブズマン制度というのが、ノルウェーですか、スウェーデンですか、中心にあるんですけれども、日本はまだその制度がなくて行政監察ということで総務庁の内部機構として、行政の執行の是非といいますか、これを監察していますが、そのメスもまだ広報予算については入っていないということは大変問題なんじゃないかと思うんです。
 官房長官、私は、その広報予算の使い方も、これはODAとかいろいろ予算の使われ方が問題になっていますけれども、やっぱり無制限じゃないし、まさにこういうものはチェックが必要だろうというふうに思うわけなんです。今は何のチェックもなくて、それで三年ぐらい前は御存じのように総理府の汚職まで発生しているわけですね。汚職の問題とはまた次元も違いますけれども、マスコミ各社も倫理協定を持っていまして、倫理綱領を持っていまして、こういうものは報道しないとかということで自主規制しているわけです。
 政府の広報にいたしましても、それは本当に妥当なものなのかどうか、国民にとって必要なものなのかどうか、これは政府自身ではなくて、やっぱり客観的に少し中立性を持たせた機関でもつくってそういうものをチェックするというか、みずからを正すといいますか、そういうことは少なくとも必要じゃないかと思うんです。政策の宣伝は必要だ、自民党と同じ考えだっていいじゃないか、こういうふうにおっしゃるんですけれども、それだけじゃなくて、やっぱり広報は国民にPRするものですからいろんな制約があると思うんですけれども、それを公平に厳格に、まさに民主主義の立場に立って行うために、そういう監視機関といいますか、チェックする機関というのを私は設けるように強く要望したいんですけれども、お考えはいかがですか。
#226
○国務大臣(坂本三十次君) マスコミなどは倫理綱領を持っておるというお話ですね。それはそれで私は結構だと思いますし、マスコミはやっぱりこれはどうしても商業主義から逃げるというわけにはいきません。言論の自由、真理の探求、それは当然のことでありますけれども、しかしやっぱり経営というものもありますから、そういう意味でみずから反省をし、倫理綱領を持っておるのだ、こういうふうに思うております。
 政府の立場は、憲法上の制度として成立をしておるわけでありまして、マスコミとはやはり大分性格が違うものだと思います。しかし、みずからやっぱり反省をして、そして適切公正な広報を行うべしということは、それは当然のことであります。そういうような意味において、私どもも謙虚に御批判には耳を傾けていきたい。現に今あなたのおっしゃることも耳を傾けて聞いておる、そういうことでありまして、議会におけるチェックというのは、これは一番やっぱり政府に対する憲法上のチェックで最高のものだ、こう思うておりますが、今まで結構私の見たところでは、公正適切にやっておられると思いますので、マスコミのまねをして倫理綱領などをつくるという必要はないのではないかと思います。
#227
○吉川春子君 時間が来ましたので、残念ですが終わります。
#228
○吉岡吉典君 官房長官出席の委員会ですので、今話題になっております朝鮮人強制連行問題について最初に少しお尋ねしておきたいと思います。
 まず最初に、次の三点についてお答えを願いたいと思います。それは、強制連行問題の調査ではこれまでこれに関連することで政府は調査なさってきたことがあるのかどうか、これが第一点です。第二点は、名簿はともあれ、強制連行した朝鮮人の人数の概数ぐらいは現在わかっているかどうかということです。三番目の問題は、この調査というのは、名簿づくりだけなのか、それとも朝鮮人の強制連行の非常にひどいやり方、また連行されてきた在日朝鮮人がいかに大変な苦難を強いられたか、こういうことをも含めて調査なさるのかどうなのか。以上三点、簡潔に結論だけで結構ですから。
#229
○政府委員(川島裕君) お答えいたします。
 実は、朝鮮人の強制労働の件でございますけれども、これは日韓国交正常化は昭和四十年にできたわけでございますけれども、それに先立つ大変長い両国間の交渉がございまして、その過程で請求権の処理の一つの問題としてずっと韓国側とのやりとりがあったと承知しております。当初そういうまさに賠償等々の請求権の取り扱いで、法的根拠とか事実関係等について相当詰めようとしたようでございますけれども、終戦の混乱とか、それから朝鮮動乱による韓国側の資料の散逸等がございまして、結局個々の事例、個々の事案の積み上げという形で請求権の解決をすることができなかったということで、我が国から韓国に対して経済協力を行うこととして、これと……
#230
○吉岡吉典君 調査したかどうかでいいんですよ。
#231
○政府委員(川島裕君) 並行して請求権を解決するということで解決を見た、それで現在に至っている、こういうことと承知をいたしております。
#232
○吉岡吉典君 概数はわからないかどうか。それはわからないということですか。今後の調査のテーマは。
#233
○政府委員(川島裕君) したがいまして、概数等についてもわかっておりません。
#234
○吉岡吉典君 今後の調査は。一々、私は三点聞いたんですから。今後の調査テーマ。
#235
○政府委員(川島裕君) 今後の調査につきましては、まさに内閣の方の取りまとめにお願いして、どこにあるかということで調査を進めているところでございますけれども、まだ結論は出ていないということでございます。
#236
○吉岡吉典君 名簿だけかどうかということを聞いているんですよ。
#237
○国務大臣(坂本三十次君) それじゃ、三点目ですね。三点目は、この前の盧泰愚大統領が来日されたときに日韓外相会談がありまして、その席で韓国側から日本側に、強制連行者の名簿があったら提出を願いたいと、こういう依頼がありました。そこで私どもといたしましては、関係各省に当たって今調査をしておるという段階でございまして、韓国側から求められたのはその名簿を出してくださいということだけでありました。
#238
○吉岡吉典君 私は今の報告を聞きまして、概数さえもわからないということを聞いて、日本政府は今まで調べようとも全然してこなかったことがこれで明らかになったと思います。
 資料が散逸したとおっしゃいましたけれども、残っている資料によっても朝鮮人がどれぐらい運れてこられたかということの概数は、民間人は戦後ずっとこの問題を研究してきまして答えをいろいろと出しております。私も三十年ほどこの問題をやってきました。ですから、いろいろな数字もあることも知っております。例えば、政府関係の資料によっても、百五十一万九千人以上の朝鮮人が強制的に連れてこられたという統計も、試算することができる政府の統計もあります。例えば、そのもとになる朝鮮総督府の資料なんか活字になって出て、ちゃんとこれは国会図書館にもあります。それから、人数がこういうのに比べて少ないのですが、公安調査庁が一九五三年に「朝鮮人労務者渡航状況調査表」というのを「在日朝鮮人の概況」という本の中でも彼らは出しております。
 先ほど日韓交渉でいろいろ論議があったという話がありました。このときには数字を挙げての話があったと私は推測しております。というのは、まさに日韓交渉の真っ最中に、元運輸大臣であった荒舩清十郎氏、故人ですけれども、この人が行われた講演があります。これは一九六五年十一月二十日の講演の一部ですけれども、徴用工に戦争中連れてきて成績がよいので軍隊に使ったが、この人の中で五十七万六千人が死んでいる、またこの間予算委員会でも問題になりましたが、朝鮮の慰安婦が十四万二千人死んでいると、こういう講演をなさっております。ですから、こういう数字を講演でしゃべれるということは、日韓交渉の過程で具体的な数字を挙げての交渉があったということだと思います。そんなものをもう忘れ去って概数さえもわからないというのでは、日本が朝鮮で行ってきたことについていかに反省のない態度をとり続けてきたかということを示すものだと私は言わざるを得ません。
 また、ハーバード大学のワグナーという教授が「日本における朝鮮少数民族」という本を書いております。これはGHQの資料も使って書いたものですが、この本によりますと、それまでに日本に来ていた者に加えて戦争中の八年間で百二十五万名の朝鮮人が産業に追加投入されたとこのワグナー教授は書いております。こういうふうに概数はいろいろな言い方があります。しかし、全くわからないということでは私は全然話にならないというふうに思います。
 同時に今、官房長官は名簿を求められたから名簿を提出するという話でした。外国に植民地支配を行い、相手に非常に大きい被害を与えた国として、求められたものを出すというだけでは私はいかぬと思いますね。在日朝鮮人はどういうふうにして日本に連れてこられたか、この日本への連れてき方というのはまことにひどいものなんですよね。
 これは元朝鮮総督府の顧問をやっておられた鎌田澤一郎さんという人が戦後お書きになっている本です。これをちょっと読んでみますけれども、こういう連れてき方をしたんですね。「もっともひどいのは労務の徴用である。戦争が次第に苛烈になるに従って、朝鮮にも志願兵制度が敷かれる一方、労務徴用者の割当が相当厳しくなって来た。
 納得の上で応募させていたのでは、その予定数に仲々達しない。そこで郡とか面(村)とかの労務係が深夜や早暁、突如男手のある家の寝込みを襲い、或いは田畑で働いている最中に、トラックを回して何げなくそれに乗せ、かくてそれらで集団を編成して、北海道や九州の炭鉱へ送り込み、」と、これは朝鮮総督府の顧問をやっている人が書いているわけですね。
 それから、地方のこういういろいろな研究が行われておりますが、その中には、当時、朝鮮に人狩りに行った人が自分自身で反省を込めて、憲兵と一緒に朝鮮に行って片っ端から働きそうな者はトラックに乗せて日本へ運び込んだんだと、こういうことを告白している、こういうものもあります。
 そういう資料というのは無数にあります。調べようと思えば幾らでも調べられる。向こうが名簿を出せと言ったから名簿を出すというふうなことだけでなくて、その名簿をめぐって、一体日本と朝鮮との間に何かあったのか、日本が朝鮮に何を行ったかということを抜きに名簿だけ渡したので片づくのかどうか、私はこれは片づかないと思います。官房長官、もう一度お伺いします。
#239
○国務大臣(坂本三十次君) 名簿というのは最も正確な、最も事実をそこに凝縮できる一番の証拠になるものでありますから、そういう意味で、それはたくさんの方々のいろいろな説、概数がございましょうけれども、一番確かなものは、我が国の政府が責任を持って調査して、そういう名簿があればそれが一番やっぱり基本になる事実だ、そう私は思っております。それを依頼されたから、それならばひとつできる限り関係各省ずっと今調査をしておるという段階であります。
 そういうようなことで、この名簿の調査につきましては、韓国側は何もそれ以上のことは申しておりませんけれども、名簿そのものの提出ということは重大な問題を内蔵している、それが請求権にいくとかいかぬとかということよりも、名簿ということは最大の事実だというふうに私どもは真剣に考えて、そしてそれがあれば調査の上韓国側に提出をしたい、こういうふうに申し上げておるところであります。
 しかし、韓国側の基本姿勢も、歴史の事実はこれを共有すべきである、そして我が国も我が国によってもたらされた事実に対して、不幸を与えたんですからそれはもう過去を厳しく反省いたします、おわびをしますというようなことで歴史的認識を同じうし、それではひとつ将来に向けて協力をしようと韓国側も快く言っていただいたというのが現状でございます。そういう雰囲気の中で出された名簿の問題でございますが、事実関係を調べてくれというので私ども素直にそれに応じておる、こういうことでありまして、まだこの問題は調査中でありますから、確たることは、事実関係は申し上げるわけにはまだまいりません。
#240
○吉岡吉典君 向こうから求められた名簿だけを出せば片づくという姿勢であっては、日韓の政府間は片づくかもしれませんが、朝鮮の一般国民はそれではおさまらないと私は思います。名簿だけだと言われますから私はそれ以上言いません。関東大震災の際、七千人に及ぶ虐殺事件、朝鮮の三・一独立運動のときにも七千五百人以上の虐殺等々に代表されるように日本が朝鮮で行ったこと、これを向こうから催促されるまでもなく、日本が朝鮮の植民地支配を反省するというならこちらの側から調査してきちっとさせていくという姿勢が必要だということを指摘しておきたいと思います。
 次に、私は前回のこの委員会でも質問した点ですが、皇室予算をふやそうということが新しい予算で提起されているわけです。皇室予算をふやそうというのなら、我々としては皇室の懐ぐあいというものもある程度知っておきたいと思います。そこで、この前の委員会のときに、戦後皇室財産は全部国有になって千五百万円だけが天皇家に残されたという説明がありました。この千五百万円、戦後の時期、この当時の時価と比べて現在の天皇家の財産どいうのはふえているのか減っているのかということと同時に、ついでですから、国家の所有になった天皇家の財産というのは総額どれだけあったのか、わかれば教えていただきたいと思います。
#241
○政府委員(永岡祿朗君) ただいま委員お尋ねの現在の皇室の財産が幾らか、それから二十二年当時の千五百万に比べてふえているのか減っているのかということでございますが、何度も申し上げて大変恐縮でございますけれども、これは私経済に属することでございますので具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと存ずるわけでございます。
 それから二番目のお尋ねは、千五百万円が戦争直後幾らであったか……
#242
○吉岡吉典君 戦争直後に国有になった天皇家の財産は総額幾らだったかと聞いている。
#243
○政府委員(永岡祿朗君) それは前にも申し上げたことがございますが、戦後大部分の皇室の財産は財産税により国に納付されまして、その納付されました財産税額は三十三億円余であったと承知しております。さらに日本国憲法が施行の際に、委員御案内のように、八十八条によりまして国に皇室の財産が移管されました。その額は三億円余と承知しております。
#244
○吉岡吉典君 皇室の予算をふやせと言いながら懐ぐあいは言えないということは私はやっぱり問題が残りますけれども、この前問題にしました点の続きとして、天皇の株の取引の問題について質問します。
 私はこの前、天皇の株が天皇の名義でなく別の人の名義になっている、これは証券局の通達で禁止されている仮名取引に当たらないんですかと尋ねたところ、委任を受けた株取引は本人名義でなくてもよい、そういうふうに私にはとれる答弁でした。
 正確を期すために、私はまず一般論としてお伺いしておきます。私が私の委任もないまま私の秘書が私の名義で株を買うということはこれはできないですね。どうですか。
#245
○説明員(水谷英明君) お尋ねにお答えいたします。
 私ども、証券会社に対していわゆる仮名通達というものを出しておりますが、これは広く一般投資家が参加する証券市場の公正を確保するという観点から、証券会社に対する行為規制として、六十三年九月に証券局長通達を発出いたしたものでございまして、証券会社が「株式の委託注文が本人名義以外の名義(いわゆる仮名)であることを知った場合は、当該委託注文を受託しないこと」等と規定しているものでございます。
#246
○吉岡吉典君 私の質問に全然答えてないじゃないか、耳があるのか。
#247
○説明員(水谷英明君) 今のお答えに補足させていただきますが、こういうような趣旨でできておる通達でございますので、証券市場の公正を確保する観点から、非常に一般論でお答えする以外、いろいろなケースがあり得ますので非常に難しいわけではございますけれども、まずAさんからBさんへの委任関係が明確な場合というような場合に、実際に委任を受けたBさんの方がお金の支払いも現実的にしておるというような場合にこの通達に違反しない場合が当然あり得るだろうというように考えております。
#248
○吉岡吉典君 委任があれば本人名義でなくていいという答弁なんですね。この三種類これまで証券局の通達が出ていますが、どれを読んでもそういうふうには書いてありません。本人名義でない場合は本人名義にするように指導せよということが三回にわたって通達が出され、特に三回目には他人名義であることを知った上で行った場合にはその担当者について厳正に対処することと、いわば処罰すると言わんばかりのことまで書かれているわけです。今の答弁だと委任さえあればだれの名前でも構わないということですか。
#249
○説明員(水谷英明君) ただいまも申し上げましたように、この通達の趣旨は、証券会社に対する行為規制であるというのはまず一つの基本的性格でございます。一般投資家が参加する証券市場の公正性を確保するためということで、いわば仮名等の多数の名義を乱用する趣旨がないようにということをねらったものでございまして、個人間のいろいろな取引の前提にはその内々の私的関係というのもいろいろあり得るわけでございますので、そういう委任関係が明確にある場合にそういったものまでも排除する趣旨ではないというように我々は考えております。
#250
○吉岡吉典君 そうすると、この証券局の三回にわたって出された通達というのは厳密に描かれないで、そういう例外があることを述べていないものととっていいわけですか。そうじゃなくて天皇の株が天皇外の人の名義で取引が行われているから、苦し紛れにそういう説明を思いつかれたのと違うんですか。
#251
○説明員(水谷英明君) 御指摘のいわゆる内廷の株式運用という件のお尋ねでございますので、このことについては私どもどういう運用か詳しく承知しているわけではございませんけれども、宮内庁から私ども聞いたところによりますれば、御手元金の株式等の運用については内廷会計主管が内廷の会計をお世話するという立場から、内廷会計主管の名において行うことになっていると聞いております。このような方法での運用については、今も御説明申しましたように、こういうことによって証券会社が委託注文を受託することは証券局長通達に違反するものではないと考えております。
#252
○吉岡吉典君 そういう解釈が仮名取引のリクルート事件を初めさまざまの問題を生んだ。だから、通達が出たはずなんですよ。それをまたもとへ戻す、私はとんでもない答弁だと思います。天皇の株の問題をめぐってそういう解釈をする、これはやはり問題だと私は思います。しかし、時間の関係もありますから、次へ進みます。
 この天皇の株の名義人は内廷会計主管ということですね。かわるたびにこの名義がかわるということに当然なると思います。そうすると、株の名義人がかわると一般には譲渡ないし贈与がそこで働くことになって、それに課税ということも出てくるはずですが、これはどういう処置が行われているんですか。
#253
○説明員(栃本道夫君) お答えを申し上げます。
 一般的に所有者の異動がございました場合には、お尋ねのように譲渡の問題が生ずるわけでございますが、代理人がかわっても所有者本人がかわらない場合は所有関係は変更がないということで、課税関係は生じないというふうに考えております。
#254
○吉岡吉典君 そうすると、今度は株取引に代理人制度があるという話が飛び出してきましたね。これは一体どういうことなんですか。もう全く、これまでリクルート以降通達まで出して仮名取引を厳格に規制してきたものを、全部後戻りさせてしまおうということだと思います。
 細かなことは別としまして、株は天皇のポケットマネーによる株だと、この名義人は内廷会計主管。これは、歴代国家公務員である皇室経済主管が兼務しているというふうに聞いております。国事行為でも政府のいうところの公的行為でもない、そういう天皇の株取引の名義人やらそういう作業に国家公務員が当たるということは、これはどういうことになるんですか。私は国家公務員法にも違反するんじゃないかと思うんですが、これはどうですか。
#255
○政府委員(永岡祿朗君) 内廷のことにつきましてお世話を申し上げますことは、宮内庁法の第一条に書いてございます皇室関係の国家事務とされているわけでございまして、その面から宮内庁職員が宮内庁長官の命を受けて職務として行っているということでございますので、御理解を賜りたいと思います。
#256
○吉岡吉典君 個人の株の取引まで国家公務員の任務だと、そういうことなんですか。これもまた天皇のためならどんな解釈でもするということだと私は言わざるを得ません。何でこんな不自然なことをやらなきゃならないか。私は思うに、天皇が株取引をやっているということを何とかして人に知られないようにしたいという一心からこういう措置をとり、そしてそれを質問すれば今までの通達も否定するような解釈が出てくることだと、こういうふうに思います。
 同じ問題が税金でも行われている。天皇も一般国民と同じように税金を納める義務があるということは、これはもうはっきり確認されていることです。しかし、それに対して法律で免税措置をとっているもの、法律によらずに通達によって免税措置をとっているものがあるはずです。また、今はなくても、消費税導入まで幾つかの免税措置がとられていた。法律によるもの、通達によるもの、どういうものがあるのか、報告してください。
#257
○説明員(濱田明正君) お答えいたします。
 国税庁の立場から通達によるものだけお話しいたしたいと思います。現在通達で免税措置を講じているものは全くございません。過去におきましては御料品に対します物品税、砂糖消費税等に関します免税とする取り扱いを通達により行っておりましたけれども、先般税制改革における間接税の全般的な見直しの一環として物品税が廃止されたのを機会に、平成元年四月以降すべて廃止いたしております。
 以上でございます。
#258
○吉岡吉典君 過去と言われますけれども、つい去年までですよ。法律によらないで国税庁の通達で免税措置をとる。これは法的根拠は何ですか。いつごろからこういうことをやられていたんですか。
#259
○説明員(濱田明正君) お答えいたします。
 このような取り扱いは昭和十五年に物品税法ができた当初から行われておりまして、過去数十年間にわたり公開の通達で実施されていたものでございます。事実上の慣行として十分定着していたものと考えております。
#260
○吉岡吉典君 今の答弁を聞いて私は非常に重大だと思います。というのは、昭和十五年といえば明治憲法の時代なんです。新しい憲法で天皇の地位は根本的に変わったことは前回の委員会で冒頭法制局も御確認になったことです。天皇の地位が完全に変わった。そして主権者が国民に変わりた。にもかかわらず、昭和十五年、明治憲法下のやり方をいまだ続けているということは、憲法で天皇の地位が根本的に変わったことを全く無視した、明治憲法のままの扱いをしているということだと言わざるを得ません。
 私はなぜこういう問題を取り上げざるを得ないかといえば、やはり主権在民の憲法が貫かれていない、そういうことがあらゆる分野にわたって行われているということが言いたいからです。古関彰一という和光大学の教授が「新憲法の誕生」ということで新憲法制定当時の調査をした結論として、天皇の地位は根本的に変わったと。そして、「まさに「実ハ一ツモナイ」ことは、疑う余地のないところであるが、この報告書を見るかぎりイデオロギーとしての天皇制は、ほとんど戦前と戦後に断絶はなかったのではないかと、考えざるを得ない。」と、こう指摘しています。この終戦直後の文書を見てそう指摘している。その事態が今なお続いている、税制の面でもそういうことが続いているということが明らかになりました。
 私は最初にも、この前の委員会で言いましたけれども、主権在民の憲法に立ってすべてを取り仕切る、そういう立場に政府、宮内庁がきちっと立つこと、そして税制、株の取引等をも含め、すべての面で今のようなやり方が根本的に改められることを要求して、質問を終わります。
#261
○中川嘉美君 私はまず総務庁に伺いたいと思いますが、それは先ほど午前中でしたか、山口委員の方から御質問も行われていたようですけれども、この点に関して私の方からも一、二点確認をしておきたい、このように思います。
 というのは例の国勢調査の問題でございまして、前回の国勢調査のときと比べて今回の調査ではいわゆる調査区数、それから調査員及び指導員、これらの数において全国でどのぐらいふえる見込みなのか、この点はどうでしょうか、計算をしておられますか。
#262
○政府委員(井出満君) まず、前回の調査事項と今回の調査事項について御説明いたしますと、前回はいわゆる簡易調査ということで十七項目の調査事項を調べております。今回はいわゆる大規模調査ということで二十二項目調べております。ですから五項目ふえているということでございます。
 それから、調査員数、指導員数ということでございますが、現在市町村において指導員それから調査員を選考しているところでございまして、数字はまだ出ておりませんが、そのベースになります調査区数は、前回の昭和六十年の調査区数は七十七万八千百五十三、それから平成二年の、今回の国勢調査区は八十二万三千五百三十八、こういうふうになっております。
#263
○中川嘉美君 特に人口急増地あるいは都心における過疎地、こういったところでは調査員のやりくりが大変だろうと思いますけれども、私はあえて東京都の場合とかあるいは東京を取り巻く千葉、埼玉、神奈川、この辺の地域に関して調べてみたわけですけれども、いずれも担当の職員の方方は口々に大変だ大変だと言うような状態です。
 調べてみた結果、ちょっと二、三の例を挙げてみますと、東京都の場合は調査区数が前回は八万七千カ所、今回は九万三千カ所、こうなります。調査員が前回八万百六十人に対して、今回九万三千人が必要である。埼玉の場合を申し上げますと、前回の調査員の数が三万三千四百人。これが今回三万四千四百人。それで、県全体で千名ふえる見込みだ、このように言っている。神奈川県の場合は、前回の調査員にプラス五千名さらに必要である、四万七千名以上のスタッフが必要である、このような予定数を見込んでいるわけです。こうした予定数に対して関係都府県はその対策に大変苦労しているというのが実情です。
 長官に伺いたいと思いますが、政府もただ自治体に任すという安易な姿勢じゃなくして、今から連携を密にして、そして積極的な対応を講じておいていただきたい、このように私は思うわけです。けさももう既に御答弁あったようですけれども、しかし念のためにもう一度確認をさせていただきたい、このように思います。長官の確認だけで結構です。
#264
○国務大臣(塩崎潤君) 統計の中でも最も重要な国勢調査だと私どもは認識いたしております。調査員の確保、あるいは調査に関する費用その他については格別の努力を払って国勢調査が今年度も十分に行われるように努力をしたいと思っております。
#265
○中川嘉美君 ぜひともその方向で万全を期していただきたいし、そのことをこの席で強く要望しておきたい、このように思います。
 次に移っていきますが、自衛官の処遇問題、先ほど来ちょっと出ておりましたが、私は、国の安全、これを確保することは政治の重要な使命である、このように思います。この安全保障の一つの構成分野である防衛、これも適切な管理のもとに保有し、しかも運用することが非常に大事だ、このように思います。
 そこで防衛力の構築に当たっては、兵器だけを幾ら最新鋭のものにして、あるいは数をそろえてみてもこれはやっぱり有効であるとはとても思えない。むしろ人的な要素、つまり士気が高く優秀な自衛官が存在して初めて有効な防衛力が構築されるというふうに私は考えるわけです。この点に関する防衛庁長官の御所見、これを伺っておきたいと思います。
#266
○国務大臣(石川要三君) しっかりした防衛力というものは優秀な兵器とそれを扱う自衛官、たくましき自衛官、この両者が相まって強力な防衛ができるわけでありますけれども、なかんずく今委員が御指摘されたように、もう極端な話が性能の高い兵器、例えば戦車をそろえたところで、これを運用するのは自衛官ですから、いざというときに自衛官がさっさとその兵器を捨てて逃げておってはこれは何にもならないわけでありますから、そういう意味では自衛官というものがやはりしっかりしなきゃいけない、かように思います。
#267
○中川嘉美君 逃げる逃げないの前に非常に重要な問題が私はあると思うんで、そのいわゆる優秀な自衛官を確保するという観点、これから見ると、現在あるいは将来の見通しというものが非常に厳しいものがあるんじゃないか。この実態といいますか、それについて防衛庁の方から御説明をできたらいただきたいし、またこれに対してどのような対策を考えておられるか、これをお答えいただきたいと思います。
#268
○政府委員(畠山蕃君) 御指摘のとおり、現在自衛官の募集環境というのは非常に厳しいものがございまして、平成元年度におきます自衛官の募集状況を募集の大部分を占めます二士男子について申し上げますと、当初は第三・四半期ぐらいまでは当初の計画を九割程度しか達成できない状況で推移しておりました。それに対しまして、その後募集努力をしました結果、年度当初計画していた約二万人をようやく確保し得たという状況でございます。しかし、依然としてその募集環境というのは厳しい状況で推移していると認識しております。
 こうした募集環境の厳しさといいますのは、最近におきます求人倍率の急激な上昇からもうかがえますように、景気の拡大に伴います労働需給の著しい逼迫等がその直接の原因であるというふうに理解をいたしておるところであります。さらに自衛官の生活環境等の問題が募集難の背景にあるのではないかというふうに思います。しかも将来的に見ますと、二士男子の募集適齢人口が平成五年度をピークとして減少していくという構造上の問題もございまして、こうしたことも今後の自衛官の募集環境をより厳しくする要因として考えられるわけであります。
 そのため現在防衛庁では、広報活動の積極的な実施等募集施策の一層の拡充を図りますとともに、自衛隊をより魅力ある職場として隊員がその任務に誇りを持って安心して勤務に精励できるようにするための各種の処遇改善のための政策に努めているところでございます。
#269
○中川嘉美君 なかなか勘のいいところで、別に通告したわけじゃないんですが、次の次の質問までお答えをいただいてしまったような感じがします。私もいろんな要因が重なっていると思います。大きな要因の一つとしてやはり待遇とか処遇面でのおくれがどうしてもあるように思う。
 先日、当委員会で横須賀の海上自衛隊基地、これを視察したわけです。隊舎とか、これは非常にもう古くなっているし、それから非常に狭い、二段ベッドはまだいまだにある。こういったこととか、プライバシーに対する配慮が余り十分でなかったり、現実に見てみて決して若者が魅力を感じる居住空間とは思われないという印象を持って帰ってきたわけです。また護衛艦の中に入って船の中を見ましたが、やっぱり戦闘艦という性格から仕方ない点もあるかもわからないが、人間が乗り込んでいく船ですから、その点をもっともっと考慮してもいいんじゃないだろうか。本当にちょっと寝返り打ったら頭をぼんと上にぶつけるような本当に低い、狭いベッドであったわけです。何段にもなっている。
 防衛庁長官も我々が視察に行った一週間後に横須賀へ行かれたというふうに聞きましたけれども、これらの点に関する長官の御感想もここで伺っておきたいし、私たち委員会としても昨年北海道へ行きました。北海道の陸上自衛隊の隊舎等に関して、やはりこの委員会で前長官にこの二段ベッド問題を初めとしていろいろ改善を要請しまして、今回の予算面でも一歩前進の成果を生み出すことができたというふうに解釈していますが、そういうことで長官としてどのようにこれを今後改善していかれるか、あわせてここでお答えをいただきたいと思います。
#270
○国務大臣(石川要三君) 先般、私も横須賀の海上自衛隊へ行きまして、たまたま護衛艦にも乗ってみました。今先生が指摘されているように、船の中に入りますと、私なんか体が大きい方ですからやっと下におりて上ったり下がったり大変なものでございました。また、ベッドがありましたからちょっと寝てみたんですが、私なんかでは体が長いせいか頭をぶつけてとてもしようがない。しかし、これはある程度、やっぱり護衛艦という、ああいう中でございますから、これを個室などというわけにはとてもいかないと思います。しかし、さらに研究して、より住みよいようなところにしなきゃいけないな、そんなふうに思いました。
 それからもう一つは、陸上自衛隊に行ってみたんですが、これまた四十平米ですか、ここに何名ですか、ちょっと数を忘れましたが、かなり大勢なんですね。しかも、クーラーもないんです。ですから、夏は暑くて窓をあけなきゃ寝られない。しかも、相当の数の人が一部屋にいますから、今の若い人たちがみんな自分で個室を小さいうちから持っている生活から見ると、これは一体なれるのかなと、むしろそういうふうに大変私は疑問も感じたような次第でございまして、これは何とかしなきゃいけない、限られた予算の中で、一遍にできませんけれども、できるだけ改善をしていきたい、こんなふうに思っております。
#271
○中川嘉美君 今ちょっと、クーラーがない、確かにそれは薄々私たちもわかっておりましたけれども、クーラーがないと頭がぼけちまって敏速な活動に打って出られないというようなことも当然これは考えられますんで、これも一つの問題だと思う。一説によると、五年から十年かかってでもかっちりとそれを完全に改善していこうというようなお話があったようですが、そんな悠長な計画じゃなくて、もう本当にここ二、三年ですべてを改善するようなつもりで、隊員施策にもっと重点的に予算を配分するような努力をしていただきたい。現在の国際情勢を考えると、たとえ正面装備の調達をおくらせたとしても早急に取り組むべき課題である、このように私は思いますので、これはもうお答えいただく前に要望としてここで長官にお願いをしておきたいと思います。
 このような自衛官に対する待遇とか処遇面でのおくれ、あるいは先ほど質疑が展開されておりましたが、いわゆる任務遂行中の死亡に対する弔慰金の格差等、こういったことが隊員募集のみならず、例えば防衛大学の卒業生の任官拒否ですか、あるいはパイロットの引き抜かれ、こういったことの原因になっているんじゃないかな、このように考えますけれども、この点は長官としてはどうお考えでしょうか。
#272
○国務大臣(石川要三君) 防衛大学校の卒業生の任官拒否というのはことしは六十名、今までの中で最高でございまして、これは私心配するのはだんだん一名、二名ずつふえていくということなんですね。これは一つゆゆしき問題――五十九名ですか、失礼しました。一名間違えましたが、とにかく最高の数値でございます。だんだんふえている、このこと自体に私は大きな憂うべき点があるんじゃないか、こういうふうに思って、その原因をいろいろと検討しているんですが、これはという一つだけの理由じゃないと思うんですね。たくさんの理由があると思います。その中で、今先生も言われたような処遇の問題も一つあると思います。特にパイロットなんかの問題は私は民間のいろんなそういう需要と供給との関係が非常に大きく影響をしていることも事実だと思う。
 しかし、もう一つは、やはり自衛官というものに対する国民の、何というんですか、尊敬という言葉が適切かどうかはちょっとわかりませんけれども、そういう要するに認識、理解、これが私は非常に大切なことじゃないか、こんなふうに思うんです。こういうことをこれからどういうふうにしたら果たしてそれがそのような認識を持たれるようになるか、これは大いに検討すべき問題ではないか、かように思います。
#273
○中川嘉美君 順序がちょっと逆になって、長官に先にお聞きして大変恐縮だったんですが、防衛庁としては実情についてどういうふうにとらえていらっしゃるか、防衛庁の側の御説明がもしいただければと思います。
#274
○政府委員(米山市郎君) 防衛大学校の卒業生のうち自衛官への任官を辞退した、それは今長官の御答弁にもございましたように年々ふえてきております。具体的に数字をちょっと申し上げますと、昭和六十一年の卒業者につきましては四百十名中十五名、六十二年につきましては四百三十名中三十三、それから六十三年の卒業生につきましては四百四名中三十二、平成元年は四百四十七名中五十一、平成二年、本年の卒業生が四百二十四名中五十九名という状況でございまして、私どもこういった形で毎年ふえる状況につきましては大変残念なことだと思っております。
 今長官の方から御答弁がございましたように、一つは、やはり自衛隊自体が魅力ある職業としての、国民からも尊敬されると申しますか、といった形で職業の位置づけというものがなされるということが非常に重要なことではないかと思っております。そのほか、校内における生活環境の整備、こういった点につきましてもこれから精いっぱいの努力をしていかなければならない、そんなふうに思っております。
#275
○中川嘉美君 先ほどの長官の御答弁に沿ったといいますか、そういう成果が出るようにひとつこの点も要望をしておきたいと思います。
 次に、沖縄の基地問題について若干伺っておきたいと思いますが、先日、総理府による沖縄県民の意識に関する調査、これが発表されたわけですが、それによりますと、米軍基地について必要とする、この回答が五・九%、やむを得ない、これが二三・六%、このようになっていまして、肯定的な回答ですね、この二つは。どちらかといえば肯定的な回答、この合計が二九・五%、こういうふうになっております。これに対して、日本の安全に必要でないというのが二五・六%、かえって危険であるというのが三五・一%。したがって、この二つはいわば否定的な回答ですけれども、トータルしますと六〇・七%。この数字はさっき前段で言った肯定派の二倍以上に上るわけですね、否定派の方が。このような米軍基地に対する沖縄県民の意識について政府はどのように受けとめておられるか、この点いかがでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
#276
○国務大臣(石川要三君) 私もその数字を見まして実はいささかびっくりしたわけでございます。特に今回のアンケートによると数が悪い方にふえていますね。これも非常に私もゆゆしき問題だなと、こういうふうに受けとめました。その理由は一体どこにあるんだろう。いろいろと検討してみたんですが、なかなかこれはということもつかまりませんけれども、一つには、先生も御承知のとおりにとにかく七五%米軍施設が、基地が沖縄県一県にあるわけです。これも私は大きな一つの理由だと思うんです。余りにも一極集中といいますか一カ所にたくさんある。したがって、県の開発、発展というものについても常にいろいろとそこに摩擦が生じるというようなことが一つ。
 それからもう一つは、正直言って、そういうふうに数が多いんですから、どうしても文化も違い、言葉も違うし、いろんなことが違いますから、問題が起こる。その問題の発生率も圧倒的に多いですね。そういう数が多い。これは私の見方かもしれませんが、どうも沖縄県の米軍が幾らかマナーもちょっと悪いような感じもするし、それからこれは民族性の違いかどうかわかりませんが、デリカシーというか、細かなそういうものがちょっと欠けている、そういう点が、いろんなものが総合して最近幾らかそういう悪い傾向が出たんじゃなかろうかなと、こんなふうに思うのであります。
#277
○中川嘉美君 先ほど御答弁いただいたように今回、数が確かにふえているわけですね。前回の調査、八五年の六月を見てみますと、必要であるとか、やむを得ないの肯定派ですか、これがトータルで三四%。もう細かいこと言いません、三四%。必要でないとか危険であるという否定の方、これが五三・九%で、だから最近の方が非常に高まってきているわけです。今回のこういった調査結果が、前回に比べて米軍基地に対する反発がかなり強まったという結論を出していっても差し支えないと思うわけです。
 さすがに長官は政治家として見事に先ほど芸術的な答弁をされたと思うのですね。ということは、非常にうまく答弁を持っていかれたように思いますが、一番大事なところを私はおっしゃらなかったのじゃないかと。これは近年の米軍による事故とか、あるいは不祥事の続発、こういったことがやっぱり相当県民感情に影響を与えているのじゃないか、そんなふうになってきた原因の一つであることは間違いないのじゃないか、このように思うわけですけれども、政府としてこの米軍基地に対する反発が強まった理由をもう一度勘案、含んだ上でひとつ長官から御答弁をいただいておきたいと思います。
#278
○国務大臣(石川要三君) 今、私言葉が足らなかったかもしれませんが、そういうことも大きな理由の一つだということは確かに事実で、私も認識しております。
 いささか私ごとでございますが、私も選挙区に横田基地がございまして、もう戦後から今日まで、いわゆる進駐軍と言われた時代から、私はかつて学生時代にアルバイトもしたことがございます。いろんな関係でいい面悪い面こもごもかなり承知しているわけでございます。
 最近聞きますと、例えば沖縄のアメリカさんのむしろ子供さんがちょっといたずらなんかをかなりするのですな。そういうのがかなりあるらしいです。そういうのは昔、終戦直後もまだ今からかなり前の時代に横田基地周辺であったわけです。自転車がちょっとなくなったり、あるいは八高線――当時八高線が走っていて、あそこの線路の上に石ころを載っけてみたりいろいろとそういうものがあった。彼らはたわいない気持ちでやったかもしれません。しかし、それは非常に大きな危険があるし、非常に大きな問題なんです。そういう大陸的な子供たちと我が国の日本の子供と随分考え方も違うなというようなことを感じたことがあるのです。
 まだそんなことも若干あるやに聞くと、随分おくれていると言うとおかしいのですけれども、今のマナーの点とかそういう点が非常にある。それが小さいことが積み重なってかなり私は県民から非常にマイナス要素になっている。こんなふうに思うのです。
#279
○中川嘉美君 もうひとつ核心がつけなかったような気がしましたけれども、御答弁として受けとめておきたいと思います。時間がないので次に進みます。
 次に、米軍基地の整理統合について若干伺いたいと思いますが、この問題については返還の見通しに関連して昨晩ぐらいまでずっといろんな角度から質問を用意してみたのですが、きょうの一部のマスコミ報道においてその必要が何か半減したような感じなのです。というのは、沖縄米軍基地の整理統合問題が来る「二十一日の日米合同委員会で正式に合意する。」と、こんなふうに表現してあります。複数の政府筋が伝えているという、こういう記事があったわけなんです。だから、何かいろいろあらゆる角度から見込みを問いただしていこうと思ったのですが、その必要もちょっとなくなったやに思いますが、果たしてこの報道が事実かどうか、また事実とするならばそのことに対する評価はどんなものかちょっと伺っておきたいと思います。
#280
○政府委員(松本宗和君) 確かにきょう一部の新聞に沖縄基地の返還問題につきまして報道されております。ただ、私どもは整理統合について現在その促進を図りますために鋭意努力をしておるわけでございますけれども、これはまだ一件ずつ詰めておる段階でございまして、これが全体でいつ結論に達するかということについては見通しを得ておりません。もちろん、これは予算委員会でも答弁させていただいておりますけれども、近い将来には中間報告ぐらいはできるのではなかろうかという見通しは持っておりますけれども、新聞にございましたように二十一日に合同委員会にかけて最終報告ができるとかそういう状況にはございません。
 ただ、その新聞報道についてそれが本当かどうかということをただいまお尋ねでございましたけれども、報道のことでございますので私どもの方でこれに対してコメントは差し控えさせていただきます。
#281
○中川嘉美君 何とかがないところに煙は立たないという、何かなきゃ――非常に報道を見るとぴしっともう表までできていましてかなり具体的、一〇〇%具体的。だから、そういった点では今の御答弁はちょっと私の方としてはそれこそ一〇〇%納得いかないような御答弁だけれども、一応それはそれとして今の段階ではむしろ全面的に否定されたなと、こんなように受けとめざるを得ないわけです。いずれにしてもこれはここの委員会を通しながら我々としては逐一問いただしていかなきゃならない非常に重要な問題だと思います。
 そのことに関連して、今後の問題としては、この地元のいわゆる自治体との協力も含めた総合的な調整というものが当然必要になってくると思いますけれども、これをどう図っていかれるか、今の段階からちょっとこの点についてお考えを聞いておきたいと思います。
#282
○政府委員(松本宗和君) これは提供事務の手続にかかわってくると思います。沖縄の施設につきましては、大部分が賃貸借契約でもって私どもお借りいたしまして米軍に提供をしておるということでございますので、これが返還されてまいりますと、賃貸借契約に基づきまして地主の方にお返しするということになります。その場合は所要の原状回復に要します補償をいたしましてそれでお渡しするわけでございますが、何しろ沖縄の場合、地形の変更でありますとかが非常に甚だしいということで原状回復も容易でないかと思いますし、また相当の長期にわたって終戦後引き続いて提供されておったということもございますので、地域の開発との関係もあろうかと思います。
 そこで、私ども返還処理をいたしますに当たりましては、関係省庁あるいは地元と十分調整をさせていただき、地主の方々の意向も踏まえながら、賃貸借契約に基づいて適正に運用してまいりたいというぐあいに考えております。
#283
○中川嘉美君 時間がもうありませんのでちょっと急ぎますが、世界的な緊張緩和、また軍縮の潮流の中で在日米軍についても五千人から六千人の削減が米国側から表明されているわけですけれども、政府はこれに対して後方を中心とした合理化あるいは効率化の範囲であると、このようにしておられますけれども、この間、西廣防衛事務次官が韓国の合同参謀会議議長と会談された際に、後方部門だけでは五千から六千人の削減は無理で、場合によっては沖縄駐留の海兵隊に手をつけるのではないか、このように述べておられますけれども、これは従来の見解を修正して実戦部隊の削減もあり得るんだと、このように見ておられることなのかどうか。
 また、沖縄の海兵隊、航空関連の施設の建設あるいは改修計画の予算がアメリカ側において凍結されていることが報道されていますけれども、これは海兵隊の削減を念頭に置いてのことなのかどうか。この辺についてちょっと感触を伺っておきたいと思います。
#284
○政府委員(日吉章君) 前段の西廣事務次官の発言に関連したところにつきまして御答弁申し上げたいと思います。
 さきに米国の国防総省の方から公表されました「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み 二十一世紀に向けて」という報告書がございますが、それによりますと、在日米軍の再編につきましては、本質的に空軍及び海軍のプレゼンスは継続させるが、日本、特に沖縄から地上要員及び航空支援部隊の一部の慎重な削減をすることもあり得るという旨の記述が見られます。具体的にどの部隊をどう削減するかということにつきましては、今後アメリカの太平洋軍司令官が決定するというふうにこの報告書の中からは読み取れるわけでございます。
 先ほど御指摘がございました西廣事務次官の発言でございますが、私は韓国の要人の来日を受けての発言ではなかったのではないかと思っておりますけれども、西廣次官の発言は、実は在日米軍の兵員が約五万人あるわけでございますけれども、そのうち海兵隊が約二万五千人と半数でございますので、このようなことから考えますと、在日米軍を五、六千名削減するというようなことになりますと、海兵隊を全く削減の対象としないというようなことはなかなかあり得ないのではないかと、こういうような感想を述べたものではないかと理解いたしております。
 いずれにいたしましても、正面部隊であるのか後方部隊であるのかを含めまして、具体的にどの部隊を削減するかにつきましては、今後米太平洋軍司令官が決定するものと承知しておりまして、基本的にはやはり正面部隊は温存する、後方的なものから合理化を図っていくということではなかろうかと考えております。
#285
○中川嘉美君 最後に一問で終わりたいと思います。四点まとめて伺いますので、答弁漏れのないようにひとつお願いしたい。それでこの質問は聞きおいて終わりたいと思います。
 先日、キャンプ・ハンセンにおいて住民の反対を押し切って都市型の戦闘訓練、これが実施されたわけです。この訓練の内容、これはどのようなものであったか、これが一つ。
 また、この時期にこのような訓練を実施する米側の目的はどこにあるか、その認識ですね。どこにあると認識しておられるか。
 第三点は、この訓練場と一番近い住民の集落との距離、これはどのぐらいで、流弾事故が発生する危険性はないかどうか、これが第三点。
 さらに、現地である恩納村は観光地としても知られているわけですけれども、このような訓練を行うことによって観光産業に影響を与える懸念はないかどうか。これが第四点。
 この四点まとめて伺いますので、お答えをいただきたいと思います。
#286
○政府委員(松本宗和君) 先ほど行われましたキャンプ・ハンセンの都市型戦闘訓練施設での訓練の実施状況でございますが、五月十六日、十七日及び二十二日、三十三日、この四日間にわたって実施されております。
 この目的でございますけれども、この施設自体が市街戦を想定いたしまして、敵によって占領されました建物を小火器、けん銃とか小銃でございますが、これを用いまして奪回するという訓練でございます。
 三番目の御質問の、最も近い住民といいますか、住民との距離ということでございますが、ちょうど教会から一番近いところにあります建物でございますが、これは木造ですが、射座でございます。射座といいますか、射場でございますね。この射場から住居といいますか、民間建物までの一番近い距離が約六百メーターというぐあいに聞いております。ただし、この危険性でございますけれども、米軍が射撃いたします方向はすべて山の方向でございまして、しかも常に安全を管理するための要員もそこに派遣してやっておるということで、危険性はないというぐあいに私どもは判断しております。
 それから、産業への影響でございますけれども、確かにリゾート施設あるいはリゾート地域に近いところに設置されておるということで、私どもも必ずしも適当な場所ではないということは感じますけれども、もともとここにつきましては米軍が訓練をするために提供されておって、それ自体適法に訓練されておるわけですが、その施設を設置するに際しまして、その環境あるいは景観に与える影響をできるだけ少なくするような配慮をしておるということも考えまして、その辺の影響は最小限に食いとめられておるんではないかというぐあいに考えております。
#287
○中川嘉美君 市街戦の訓練で山に撃つというのはちょっと意味がわかりませんけれども、終わります。
#288
○星川保松君 防衛問題についてお尋ねをいたします。
 まず初めに、海部総理もよくアメリカの議会の方から防衛ただ乗り論ということで困ることがある、こういうことをおっしゃるわけでございます。このただ乗りと言われることを気にしてか、我が国はいわゆる思いやり予算などを組んでおるわけでありますが、その負担のあり方についてやはり我が国なりのしっかりした見解があってよいのではないか、こう思うわけであります。
 まず、在日米軍の司令官、ジェームズ・B・デービス空軍中将だそうでありますが、この方に週刊誌がただ乗り論についての考えを聞いているわけです。これに対してこの司令官は、「米戦略は前方展開」、これは記者が括弧して「(海外に兵力を前進配備する)」と、こう括弧してありますが、「を基礎とし、非常に安全な日本に基地を持つことは米国の重要な国益なのです。タダ乗り論には不同意です。」、こう司令官がおっしゃっておるわけでありますが、防衛庁はどのような考えでしょうか。
#289
○政府委員(日吉章君) 我が国の安全保障は、我が国みずからが国家といたしまして平時から保有すべき防衛力を持つとともに、国際情勢は今や一国では一国の安全保障が守り得ないような状態でございますので、米国との間に安全保障条約を締結いたしまして、両々相まって我が国の平和と安定を確保するという方針をとっているわけでございます。したがいまして、我が国といたしましてはできる限りの我が国としての努力はしているところでございまして、決してただ乗りをしているということではないと思います。
 ただ、米国もその前方展開戦略の中で、日本も含めまして自由主義諸国の国々の平和と安定のために努力をしているわけでございますから、その努力によって裨益する部分、受益する部分が我々自由主義諸国にもあるわけでございますから、それに対しましても米国をインカレッジし、あるいは我々として応分の負担をする努力をするということは当然のことである、かように考えております。
#290
○星川保松君 ことしの四月にアメリカの大統領が議会に提出したいわゆる東アジア戦略構想と呼ばれているものがあります。この中で、在日米軍経費のうち日本防衛分だけを示すのは、困難だがというふうに前置きをしまして、日本政府は現在、米軍駐留経費の三五%から四〇%を負担しており、日本防衛のために配備された米軍の直接経費を既に払っているとも言えると言っておりますが、これについてはどうお考えですか。
#291
○政府委員(日吉章君) ただいまのような記述が本年四月、国防省から米国議会に提出された中に出ていることは私も承知いたしておりますけれども、直接経費を既に支払っているというふうに断定的には書かれてなかったと思います。直接経費を既に支払っているというのが真相かもしれない、こういうふうな表現であったかと思います。
 と申しますのは、これらの経費のどの部分が日本の防衛の部分であり、どの部分が米国の防衛、安全にかかわる部分であるというふうに截然と区別ができる性格のものではない、自由主義諸国の同盟国としてお互いにそれぞれの安全がそれぞれの国の安全と絡まっている、こういうふうな性格のものだから截然と分けることはできないと思いますが、このような表現があったことは承知いたしております。
#292
○星川保松君 アメリカがこういうふうに数字を示しているわけですね。三五%から四〇%、これは既に払っているとも言えるというふうに、これは翻訳だろうと思いますが、こういうふうに言っておるわけです。これに対して日本の側で、それは多いとか少ないとか、日本なりの考えを示しておかなければいけないと思うんです。アメリカが数字で示してきておるんですから、それにこっちも数字で示すぐらいのしっかりした見解を持っていないと私は大変だと思うんです。
 その後に、だが米国の安全保障努力によって、地域だけでなく世界的にも大きな恩恵を日本は受けているので、一層の分担増を求めるのは妥当なことだということを言っているわけです。だから、日本だけでなくて、日本は世界とつき合っているんでもっともっとアメリカの厄介になっているんだと、だからもっと請求してもいいんだというようなことを言っているわけですが、こういう態度で出てきた場合に日本は日本なりのしっかりした態度、見解を持っていないと私は大変だと思うんですが、どうでしょうか。
#293
○政府委員(日吉章君) まず数字についてお答え申し上げますと、年度によりまして散らばりがございますし、米国の駐留米軍経費全体がどういう数字であるのか私どもとしては正確に知り得る立場にございませんが、米側の報告書にございますように三五%ないし四〇%を日本側が負担をしているというのは事実であろう、かように認識をいたしております。
 なお、ただいまも私申し上げましたように、駐留米軍のどの部分が米国のみの安全にかかわり、どの部分が日本のみの安全にかかわるというように分けられ得るものではございませんで、日本、米国、両々相まってその安全が確保されるというような性格のものでございますから、両国の総合的な関係の中でお互いが負担のし得るものをできるだけ負担をするというのがあるべき姿ではないか、かように考えております。
#294
○星川保松君 これは向こうが数字を示してきておるのに、こっちが何にも示さないということになったらどこまで押されるかわからないという事態になると思いますよ。ですから、日本は日本なりのきちんとした見解をまとめておかなくちゃいけないと思います。
 そこで、その後に、ことしの二月、チェイニー国防長官の訪日の際、日本政府は支援を拡大する必要性を認めたと、こうありますけれども、防衛庁は認めたんでしょうか。
#295
○国務大臣(石川要三君) チェイニー国防長官が、前任者の時代でございましたが、我が国に参りましていろいろと首脳会議をしたわけでございますが、その後、特に駐留経費についての今後の負担増を希望する旨の、テレビ放送にもそういうような発言をしたことは事実でございますが、ただ今我が国のあるべき駐留経費の負担すべき内容でございますが、それは今防衛局長から数字的な、数字的なというよりも、とにかく私どもの今までやってきた、また現在努力している内容については申し上げたわけでございます。これはただアメリカのチェイニー長官はそういう一般的な希望を私は述べたものと承知をしたわけでございます。
 これについて基本的には我が国の防衛というものはやはり日米安保体制というものが非常に大きく寄与しているわけでありますので、この日米安保体制というものをこれからもさらに効率的な運用をしていくという前提のもとに立つならば、やはり我が国の独自な判断のもとにできるだけの協力をしていくべきだという、そういう基本的な考えを持っているわけでございます。
 ただ、これはいたずらに何でもかんでも言われたことを唯々諾々として無制限に受けるものでは決してございません。そうであってはいけないわけでありますので、あくまでもその点につきましては自主的な判断に基づいてやる、こういう基本的なスタンスだけは堅持していくべきである、かように考えております。
#296
○星川保松君 これは防衛庁だけじゃなくて、政府、外務省が言ったか総理が言ったかわかりませんけれども、アメリカがもっと出してほしいということに対して防衛庁としてはそのことを認めたということはないと言うんですね。日本政府は支援を拡大する必要を認めたとありますけれども、これは防衛庁としてはそういうことはない、認めてはいないということですか。
#297
○国務大臣(石川要三君) 今申し上げましたように、我が国のいわゆる日米安保体制、こういう前提のもとに日米安保条約というもののさらに効果的な運用、こういう観点から私どもは防衛政策というものを考えていくべきであり、その範囲内においての自主的な判断をもとに協力できることはやっていく、こういうことの基本原則は私ども持っているわけでありますので、それを先方におきましてどういうふうに解釈したか、その点は定かでありませんけれども、基本的にはできるだけの自主的な判断のもとに協力はしていきたい、こういう考えでございます。
#298
○星川保松君 どうも半分認めたような半分認めないような御答弁ですけれども、これはやはりこういうこともきちんとしておかなきゃならないと思います。
 そこで、いわゆる在日米軍の性格を考えてみた場合、まず在日米軍の海軍、これは第七艦隊でありますけれども、この第七艦隊の守備範囲というのはカムチャツカ半島の東経百六十度からアフリカの喜望峰の東経十七度まで一億三千万平方キロ、地球表面積の四分の一、これを担当しているんですね。そして、その基地として横須賀を使っているということなわけですよ。それから、沖縄におります第三海兵両用戦部隊、これは奇襲上陸作戦軍でありますけれども、この行動範囲もやはり第七艦隊と同じですね。大変広い範囲の防衛に当たっておるわけです。これはもちろんアメリカの防衛に当たっておるわけですね。
 それから、今度は空軍は、これは三沢が中心でありますけれども、第四三二戦術戦闘航空団、F16、これは皆さんが言っていますことは、この航空団は攻撃目標はソ連の基地であるということを言っておるわけです。それから、今度は横田の第五空軍、これは戦略輸送航空機でありまして、これは韓国と密接な連絡があって、副司令官が韓国の烏山基地に常駐しているんですね。韓国と連動しているわけです。だから、もちろん日本だけを守っているのではないということです。
 それから、陸軍でありますが、司令部は座間にあるわけです。これは実動部隊を持っていないんですね。ただ、有事のための計画業務と駐留業務をやっておるということなわけです。米本土防衛をするのに、本土の水際作戦ではなくて兵力を海外に展開して相手国の近くに防衛線を張るというのがいわゆる前方防衛戦略なわけですけれども、この在日米軍は今言ったような広範囲にわたる前方展開の部隊であって、その基地が日本だということになっておるわけです。
 こういうことから考えますと、私は、米軍が言っている三五%から四〇%は、この駐留米軍の経費は日本が負担してもいいというのは到底理解ができないですね。余りにも多過ぎる、こう思わざるを得ないわけですけれども、長官はどのようにお考えでしょうか。
#299
○国務大臣(石川要三君) 先ほど防衛局長の答弁の中にもあったと思いますが、いわゆる在日米軍というものは、これは確かに我が国の平和、安全というものの、そのための存在であることも事実であるし、またアジア全体の平和と安全のための存在であることも事実です。それはどこからどこまで何%ということは分析はできないということを申し上げたわけでございますが、私もそのとおりである、このように思っております。したがって、そういう中で駐留経費が三五%が妥当なのか、四〇%が妥当なのか、四五%が妥当なのか、なかなかこれは一概には難しい点もあろうかと思います。
 ただ、私どもは、日米安保体制というものを堅持することによって我が国の平和並びにアジアの平和というものは守られる、こういう防衛政策の基本的な理念に立っているわけでありますので、そういう観点から日米安保条約の運用をさらに効果的ならしめるためにはできるだけのやはり自主的判断に基づいての協力はすべきである、インカレッジはすべきである、こういうことに私は考えているわけであります。
#300
○星川保松君 それから、同じ東アジア戦略構想の中で、米軍展開兵力を長期間日本に維持する利益という項目があるのでございますね。そこで二つのことが書いてあります。
 一つは、基地の地政戦略的位置、これは平たく言えば基地の場所が東アジア戦略に非常に都合がいいということだと思うんです。二番目は対質用効果ということがあります。これも平たく言えば他の基地よりも安上がりだということだと思うんです。ですから、非常に日本の基地はいやすいところだということをさきの司令官の言葉にも出てくるのだろうと思いますが、そういうことを考えますと、どうも私は、そんなにいやすいと言うならやはり日本としては駐留米軍に対してサービスが過剰なのではないか、こういうふうに思いますが、どうでしょうか。
#301
○国務大臣(石川要三君) これは、いろいろと認識の違いがかなりあると思いますが、確かに見方によれば、アメリカの基地が日本の中にあることによって経済的といいますか、費用が非常に安く済む、こういう点もあろうかと思います。それは当然だと思いますけれども、また逆に、我が国の立場から見れば、とにかくこれだけの先端技術の工業立国の我が国が、しかも置かれておる立地的なこういう条件から見れば我が国の専守防衛だけでは我が国を安全に平和を保つことはなかなか難しいわけでありますので、そういうことから見て私どもはいわゆる専守防衛の範囲内で防衛をし、そのさらに足らざるところは日米安保体制というものの中で平和を保っているわけでありますから、そこらのそういう点を考えるならばこれはいたずらにアメリカだけが得をして我が国がマイナスだとか、なかなか一概には私は測定できない要素も非常にあろうと、かように思うわけでございます。
 ただ、私は、何でもかんでもこれからもここまで負担をするという、そういう考えを申し上げたわけではございません。その点は誤解のないようにお願いいたします。
#302
○星川保松君 この問題はこのぐらいにしますけれども、フィリピンのクラーク基地の場合は米軍がフィリピンに多額の金を払って、しかも今追い出しを食っているんですね。それら等もよく勘案して日本の場合の対応をやっていただきたい、こう思います。
 次に、ソ連の脅威ということがよく言われておりますけれども、ソ連にもいわゆる戦力としては陸海空あるいは核兵器などもあるわけですけれども、何を称してソ連の脅威ということを考えているのか、これをお伺いします。
#303
○政府委員(内田勝久君) ただいまの委員の御質問は、何をもってどのような核及び核戦力が日本への脅威を構成しているのかという御質問かと理解いたします。
 極東のソ連軍は、ソ連全体の約四分の一から三分の一に当たります戦略核を持っておりますし、約八十五機のバックファイアその他の中距離核も持っております。さらに、陸上戦力につきましては約四十三個師団、約三十九万人の戦力。主要水上艦艇につきましては約百隻、及び潜水艦につきましては約百四十隻を擁する、そういう海上戦力。航空戦力につきましては作戦機約二千四百三十機を有しております。これらは核とそれから通常戦力のいずれにつきましてもソ連の全体の四分の一から三分の一に当たるものでございまして、私どもはこのようなソ連の軍事能力、軍事力の増大が日本への脅威を構成していると、このように考えている次第でございます。
#304
○星川保松君 戦略核等さまざま脅威があると、こういうことでありますけれども、戦略核は日本は持っていないわけですね、核は一切。それで、日本がソ連の核を脅威だと言うのは私はおかしいんじゃないかと思うんです、アメリカも核を持っていますから。戦略核はアメリカとソ連が対峙していますね。ですから、お互いにそれは脅威を持っているでしょう。しかし、日本がソ連の核が脅威だというのはちょっと私は理解できないですよね、このことは後で論じますけれども。
 それで、果たして核も何も持っていない日本の自衛隊をソ連は脅威と感じているでしょうか。
#305
○政府委員(日吉章君) 我が国は専守防衛に徹しておりまして、その保有する防衛力も客観的に見まして防衛的なものでございまして、我が国の防衛力がソ連を侵略し得る能力を有しているとは全く考えられません。したがいまして、我が国をソ連が脅威と感じているということはないものと認識しております。
 なお、申しわけございませんが、先ほど私が在日米軍の任務につきまして、我が国の安全に寄与していると考えられる部分と極東の安全に寄与していると考えられる部分を截然と区別することは非常に難しいという旨の御答弁を申し上げたつもりでございますが、極東と申し上げるところを米国と申し上げたようでございますので、おわびしまして訂正させていただきたいと思います。
#306
○星川保松君 それで私たち、内閣委員会でこの前横須賀に参りまして、私が艦隊司令官ですか、あの方に質問をいたしました。日本の防衛に当たって在日米軍と自衛隊が基本的にどういう役割分担をするのかと、こう言ったわけです。そうしましたら司令が、自衛隊は防衛である、そして米軍は攻撃だ、こういうふうに明快におっしゃったわけですね。なるほどなと私は思ったわけでございます。いわゆる専守防衛のこの自衛隊は、これはよく例えられますけれども、盾なんですね。そうすると攻撃というのはいわゆるやりなわけですよ。
 そうした場合に、やりを持った人と盾を持った人が一緒にいるということは、相手にとってやりを構えれば向こうもやりを構えますから、その隣にくっついて盾を持って立っていたらこっちも当然ねらわれるわけですよ。攻撃の対象になるわけです。そうじゃなくて、日本も盾だけ、あっちも盾だけという、そういう形でいこうやというのが日本の自衛隊の防衛の根本だと思うわけです。ですから、すばらしい攻撃力を持った米軍と盾だけの自衛隊が今のように一緒にべったりこうなって、そして日本の防衛に当たるということは極めて私は危険じゃないかと思うんです。
 それで私は、これはもう日本を守るにはそのやりは御遠慮していただいて盾だけだということを鮮明にすべきだ、こう思うんですが、どうでしょうか。
#307
○政府委員(日吉章君) 米国は、日米安保条約に基づきまして、日本が第三国から侵略を受けましたときに日本の防衛のために支援をし、日米で共同して対処するということでございまして、決して米国は日本を基地として第三国に対して攻撃的な役割を果たすというようなことではございません。
 我が国周辺の諸国を見ました場合に、日本のように専守防衛に徹している国というのは極めて特異な国でございまして、現在におきましては諸外国はいずれも攻撃的な部分も多かれ少なかれ持ったような状態になっているというのが現実の国際社会であるということにも思いをはせていただきたいと思います。
#308
○星川保松君 今のような理解は私は通らないんじゃないかと思うんですよ。例えば沖縄のあの海兵隊というのは敵前上陸部隊ですね。林の中に何かつくってありますけれども、あれは日本の家屋じゃないですよ。日本の集落だったら教会なんかありません。お寺さんかなんかあるはずです。ですから、日本のことを考えていない。それから、横田の基地というのは三十八度線と連動しているわけですよ。それから、三沢のF16というのはもう完全な攻撃隊です。
 そういうことを考えた場合、米軍が攻撃力を特っていないなんて――皆さん一緒に行ったんですから。そのときに艦隊司令からはっきりそういうことを聞いているわけですし、だれでもそう言っているわけですよ。ですから、この辺でひとつ盾だけの自衛隊と鋭くとがったやりを持っている米軍とはやはり一線を画すということが最も大事な日本の防衛策であろう、こう思うところでございます。
 それから、時間がだんだんなくなってまいりましたが、自衛隊が国土防衛構想の中で――今はもう世界がボタン一つで壊滅するという核兵器が至るところ配備されておるわけで、これはもう敵も味方もない、自滅するということで、今米ソで戦略核を中心とする軍縮が進められておるわけでありますけれども、それは戦略核の方はどっちももう恐怖の中にあって使えないということでありますけれども、そうとだけは核の問題は片づけられない状況にきているわけですね。
 そこで、いわゆる戦術核の方ですよ。戦術核兵器というのが非常に進んできまして、ある資料で私は読んだのでありますが、例えば爆発威力が〇・五から五百キロトン程度の兵器を戦術核兵器と言うんだそうですけれども、このうちで十キロトンの戦術核を使って、戦車中隊、定数十四両と見て、その集結地を攻撃した場合に、全戦車と中隊の全車両、全将兵を瞬時に壊滅させることができるというんですね。同じ状況を、今回の予算要求にも出ておりますけれども、百五十五ミリりゅう弾砲大隊、定数十八門として、これで一時に制圧をするという場合は約十三個大隊を要する、こういうのだそうでございます。
 ですから、戦略核の方は構えたまま使うことができないということのようですけれども、戦術核の方は大変な状況になっておるようでございます。この戦術核の十キロトンの威力に対応するに十三個大隊が要するというようなことを考えますと、今からのいわゆる戦闘というものに備えて、果たして日本を守るため、今の相手に対して対抗するという考えでいった場合、どこまで軍備を拡張しなければならないかわからないという状況になるわけです。こうしたことについて防衛庁はどのようにお考えでございましょうか。
#309
○国務大臣(石川要三君) 先ほどの質問に対する答弁、日吉防衛局長の方から大体述べられているわけでありまして、これに尽きるかと思いますが、ただ私は大変重要な問題の質問だ、こういうふうに認識をしております。
 何で盾だけでいいのにやりまで一緒になって、それで仲間、一緒になってやるか、盾だけでいいじゃないか、こういう御質問であったわけでありますが、私はそれをお聞きしておりまして、この辺がやはり一番大きな認識の相違点ではないかな。確かに盾だけでいって今日のように四十年間平和が守られたかどうか、それは証明できないわけでありますけれども、我々はやはり盾もそしてやりもともに必要だ、こういういわゆる俗に言われる盾とやり論がありますが、そういう一つの考え方で今日の我が国の平和が保たれてきた、また今後も保っていくんだという、そういう基本的な防衛政策になっているわけでありますから、そこが一番質問者の先生と私は意見が相違するところではないか、こんなふうに思うんです。
 もし今の先生の御意見をもっと詰めていきますと、最終的には一番いいのはやはり非武装中立論がそれじゃ一番平和なのかな、こういうことになる。私どもはそれは非現実的だという、そういう認識のもとに今日の防衛政策を立案してきたわけでございますから、その点は一晩じゅう議論をしても一致しないかもしれませんが、そういう点を申し上げたい、かように思うわけでございます。
 そして、今の問題でございますが、確かに今、昨晩から米ソ首脳会議が行われておりますが、それは御承知のとおりSTARTであり、それからCFEであります。そういうことでありますが、さらに、仮にそれが全部合意されたとしてもまだ相当のいわゆる今御指摘のような核が残っているわけでありますから、そういうものに対抗して我我は持つ意思もないし持ってはいけない。ただ、そういうことであるならば、私どもは、やはり我が国は日米安保体制のもとに核の脅威に対しては米国の核抑止力に依存する、こういう考え方に立脚しているわけでございますので、その点をひとつ御理解をいただきたい、こういうふうに思うわけであります。
#310
○星川保松君 時間がなくなったので急いで質問いたしますが、今のことでただ一つだけ、いわゆるやりを持とう、そのやりは際限がないということなわけです。ですから、私は盾というところでとめて、そうして相手を信頼していただいてやっていくのが最善の方法だ、こういうことでございます。
 いわゆる基地の返還が沖縄では今進んでおるようですけれども、これは本州の方でもぜひ進めていただきたい。特に首都圏に多くの基地がありますけれども、こういうものの返還もぜひ精力的にやっていただきたい、こう思うわけであります。
 きょうの朝日新聞でありますが、社説の中に、「駐日米大使だったアレクシス・ジョンソン氏は、佐藤首相時代、返還予定の(本土の)基地の数と面積を知らせたとき、防衛庁が財政上の理由で「多すぎる」と反対した、と回想録に書いている。」、こういうことがあるわけでございます。前にわかっておれば私はこの資料をきょうまでに出していただきたかったんですが、今これにお答えはできないと――お答えできますか。わからないでしょう。
#311
○政府委員(松本宗和君) 現在手元に資料がございませんので……。
#312
○委員長(板垣正君) もう時間ですから。
#313
○星川保松君 それ出してくれますね、その資料。
#314
○委員長(板垣正君) 星川委員、時間を詰めてください。
#315
○政府委員(松本宗和君) 調べさせていただきます。
#316
○星川保松君 じゃ、もう一つだけ、済みません。
 最後、英国の国際戦略研究所発行のいわゆるミリタリー・バランスの一九八九年から九〇年の中で、「NATO定義を適用するとすれば、日本は先進工業国中で第二番目に多い国防支出」となるというふうに指摘しておりますが、これをお認めになりますかどうか、これだけお聞きしておきます。
#317
○政府委員(日吉章君) ただいま先生が、ミリタリー・バランスの中に、NATO定義を当てはめればという前置きがあるとおっしゃられましたように、まさにそういう前置きが書かれましてそういう記述があるのは事実でございますが、NATO方式というものが果たしてどういうものか正確にもわかりませんし、各国によりまして予算の仕組みが違いますので、こういう形で比較をするのはいかがかと思います。といいますのは、一覧性のある表といたしまして、同じミリタリー・バランスが各国の防衛費の比較表をつくってございますが、それによりますと日本は第六位に位置づけられているような表が出ております。
 なお、防衛費という毎年毎年の予算の金額の規模がそのままその国の防衛力の規模をあらわすものでは決してないと、これはかねがね私どもが御説明申し上げているところでございます。
#318
○田渕哲也君 初めに防衛庁長官にお伺いをしたいと思います。
 現在もアメリカで米ソの首脳会談が行われ、軍縮の問題で話し合われておると聞いておりますけれども、世界の情勢が非常に大きく変化しております。そういう変化を反映して、米ソを初めとして各国は防衛構想や防衛力整備の見直しに着手しておるようであります。我が国の政府もこのような変化は好ましいとの見方で変化を認めておられるわけでありますけれども、それとの関連で、今後我が国の防衛構想なり防衛力整備のあり方についてどのように考えていこうとしておるのか、まずお伺いをしたいと思います。
#319
○国務大臣(石川要三君) 余り長い時間でないので簡単にお答えをさせていただきたいと思います。
 まず、今日の世界情勢のこの大きな変化というものは、再三申し上げておりますように極めて好ましい方向である。と同時にまた非常に大きな不安がある、これも事実だと思う。これはヨーロッパとアジアとはかなりまた様相も違っている。不安の点においては、アジアの方がもっと大きいような感じがする。そういう中で私どもこれからの防衛政策をどういうふうにやっていくかということでございます。
 ただ、委員も御承知だと思いますけれども、我が国の防衛というのは、再三繰り返すように、要するに専守防衛、憲法精神のもとに専守防衛という国の大方針、このもとに昭和五十一年に策定された大綱の水準を達成しようと今日まで努力をしてまいりました。これがようやくほぼ達成できる状態になったというわけでございまして、あくまでもこれは諸外国の防衛政策と私はかなり違っている性格であると、このように思っておりますので、今日の大きな世界情勢の変化が直ちにダイレクトに私どもの防衛政策に影響を及ぼし、これを変更させるほどの、私どものといささか違って見ていいんじゃないかと、こういうふうに思っております。
 ただし、申し上げるまでもなく、十二分にこの世界情勢の変動を分析しながら、そういう前提のもとにこれから新たなる中期計画をつくっていきたい、かように考えております。
#320
○田渕哲也君 防衛力の整備というのはやはり中長期にわたってやるべきものであって、すぐ強くするとか弱くするなんというのはなかなかできないわけでありますが、それから国際情勢の変化も昨年始まったばかりでありまして、非常に大きな変化だと思います。恐らく第二次世界大戦後初めてと言っていいほどの大変化だと思いますけれども、まだ始まったばかりで情勢は極めて流動的である。
 それから、ソ連においてもゴルバチョフ大統領が目指しておる方向は我々は極めて好ましいと思っておりますけれども、ゴルバチョフ大統領の政権が果たして安定しておるかというとまだまだそうも言い切れない。その意味ではまだ極めて流動的と見なければならないと思います。
 したがって、すぐ今年度の防衛費からどうこうというような論議を私はするつもりはありません。しかし、防衛力の整備というのはやはり中長期でやるべきものであるだけに、将来の変化というものをやっぱりよく検討しておかなければならないと思うんですね。そういった意味で、私は今すぐ今の構想がどうだこうだということは申しませんけれども、将来にかなりやっぱり大きな影響を及ぼすだろう、我が国の防衛のあり方に。それと同時に、日米安保条約に対してもやっぱり変化が出てくるのではないかという感じがするわけでありますけれども、その点についてどうお考えでありますか。
#321
○国務大臣(石川要三君) 田渕先生の御意見と私もほとんど認識の点では一致しているわけでございます。特に私どもはやはりこの国際情勢を認識する場合に慎重にしなければいけない。サッチャーさんの言葉をかりるわけじゃありませんけれども、雪解けのときこそむしろ危ないという言葉もあるわけでありまして、そういう点も考えた場合に慎重にしていかなければいけないと思います。
 それからもう一つは、よくこの本院におきましても、最近のデタントの中で防衛費の削減等もいろいろと御主張されます。それも私は非常に傾聴すべき意見の一つである、このように思うわけでありますけれども、ただ、では三年間据え置きとかストップとか、そういうことはなかなか現実的には私は不可能な面もあると思うんですね。防衛費を仮に軍縮に向かって削減するにしても相当時間がかかる。
 御承知のとおり、その四兆何がしかの全体の中で約八割はこれは事務的経費でありまして、その残りの二割、そのうちの油とか教育とかいろいろとありますから、可変の数字というものは非常に少ない。そういう中でやっておるわけでありますから、がたんととめてしまえば、それこそこれはかえっていろいろと問題が起こる可能性もあるわけであります。ちょうど私どもがスリムな体にしたいということで食事を注意したり運動をしますけれども、先生のことじゃありませんけれども、そういう意味で一遍にやってはいけないんで、十二分にお医者さんに相談して適切な指導のもとでやらないとかえって健康に悪影響を与える、こういうこともあります。まさに私は防衛には大変それが当てはまるような一つの理論ではないかなと、こんなふうに思っております。
 最終的には私は今後の将来の国際的な動き、これをどう展望をしっかりとらえるか、これが非常に難しい。それから、ちょうど日米安保の三十年でありますので、この辺で大きな一つの転換期にもなっている。こういうふうなことで、私どもは真剣にこれらの点については考慮していかなければいけない、かように思います。
#322
○田渕哲也君 私は、やはり防衛体制をつくる上に一番大事なのは国民の合意だと思うんです。そして、それに基づいた国民の協力だと思うんですね。したがって、こういう大きな変化の中でまだ事態はそんなに確定しておりませんから、軽々しく一つの方針を出せないと思いますけれども、やはり将来どういうことを検討しなければならないかとか、どういう考え方というものを念頭に置かなければならぬかというようなことは政府も国民もやはり共通の認識を持つ必要があると思うんです。だから、こういう第二次世界大戦後初めてという大きな変化の中で、政府がいつまでも同じことを繰り返しておるのでは逆に国民の理解は得られにくくなるだろう、こういう感じもするわけです。
 先般、朝日新聞とハリスの世論調査の結果が報道されておりますけれども、これによりますと、やはりソ連の脅威が減っているのだから、日本が防衛力をふやす必要はなくなっておるという見方が日本では五〇%、米国では六二%の国民がこういう考え方に賛同しておるということを聞いております。今緊張緩和だから防衛力は減らすのが当然、これは極めて自然な考え方だと思うんですね。
 ただ反面、私はこの同じ調査の中で注目すべき点が出ておると思うんですけれども、それは日米安保条約に対する評価であります。これはやはりやや変化してきておる。どういうふうに変化してきておるかというと、日米双方で、日本はもっと独自の防衛体制をつくる必要がある、これが日本では一番多くて四〇%、アメリカでは七一%かこういう考え方だと。それから、今までどおり安保条約によって日本の防衛をアメリカに頼っていくべきだというのは日本では三一%、アメリカでは二二%しかない。つまり国民の安保条約に対する認識が変化しつつある。これは私は極めて重要ではないかと思うんです。したがって、この世界の情勢の変化が日米安保条約に及ぼす影響はどのように考えればいいのかお伺いしたいと思います。
#323
○国務大臣(石川要三君) もう本当に申し上げるまでもなく防衛は国民の理解が前提でありまして、そういう点から見て実は正直のところ非常に今難しい時期の中のこれからの新しい次期防を策定しなければならないなと、こういうふうに私は痛切に感じております。
 というのは、緊張が高まっていれば、緊張が高いんだからこうですということは言えますが、事実現在下がっている中で、国民にどういうふうに説得して理解を求めるか、これは非常に難しいと思うんです。その点では先生の御所見――ただ私は、それと同時に、一般的に、防衛というのは国民の理解を求めるため、国民の意思を尊重することが前提でありますけれども、しかしまた反面防衛という、そういうまた一つの特殊性といいますか、非常にそれがわかりにくいけれども、安易なデタント論や何かに流されてはいけないということだけはやはり一方十二分に注意しなければいけない、かように思うのであります。
 そういう中で、安保の今の先生のおっしゃったアンケート、私も実は見てびっくりしました。こういう数字が予測できなかったわけですが、これも一つの今の大きな世界情勢の変化の中の国民の意思表示かなと、私はこういうふうに思うわけでありますが、こういう中で、ではこれからどうするかということは大変難しいことで、今ここで直ちにお答えは私にはいたしかねるわけでございますが、そういうことは十二分に考慮していかなきゃいけないということだけはお答えとして申し上げさせていただきたい、かように思うわけでございます。
#324
○田渕哲也君 私は、この日本の防衛体制とか防衛力というものがどういうものかということの理解は、恐らく日本の国民全般にもアメリカの国民にも理解されていない面があるのではないかという気がします。
 防衛計画の大綱に従ってやってきたわけですけれども、これは非常に限定的な防衛計画なんですね。平時において、十分な警戒態勢をとり得るということが一つ。もう一つは、限定的かつ小規模な侵略までの事態に有効に対処し得るものを目標として日本の防衛力はつくられておるわけです。だから、本当はこれは日本独自では国も守られないということを前提につくられた防衛計画、つまり日米安保条約で補完しなければ防衛が成り立たないということを前提につくられた防衛計画大綱だと思うんです。こういうことが必ずしも日米の国民には理解されていない。したがって、独自の防衛力をつくるという意見が一番日米両国には多いというのは、もし本当にそういうことで進めていけば大変なことになるんじゃないかという気がするんです、日本にとっては。
 それから同時に、じゃ安保条約はいつまでもこのまま続くかというと、やはりそうも言い切れないのではないか。やはり国際情勢が変わって、アメリカとソ連の間が今までの対立状態がなくなれば、アメリカが日米安保条約を持つというメリットは相対的には減ってくるでしょう。後は基地として日本を利用するということではあり得るかもわからないけれども、相対的にはメリットは減りてくる。日本を守ってやる必要も減ってくるかもわからない。そういうことを考えると、世論の中でこういう空気が反映されておるというのは、現在の情勢を非常に敏感に世論というのはとっておるとも言えないことはないわけであります。
 ただ、もし安保条約に頼らずに日本独自の防衛力をつくるとするならば、もちろん専守防衛の立場に立つとして、最低限度どれぐらいの防衛力は要るものか。少なくとも今の防衛費よりふえるのか減るのか。これからの情勢緩和も見通してどう判断されるかをお伺いしたいと思うんです。
#325
○政府委員(日吉章君) 現在の防衛計画の大綱は、ただいま田渕委員の方から御説明がございましたように、日本が平時から保有すべき基盤的な防衛力を整備するということになってございます。こういうふうな防衛計画の大綱を定めましたのは、それまで、昭和三十三年からだったでしょうか、第一次から第四次までの防衛力整備計画をつくったわけでございます。
 特にその第二次から第四次までの防衛力整備計画の防衛力整備の目標は通常兵器による局地戦というふうに限っておりますけれども、これに対して対処し得るような防衛力を整備しようということで整備を進めてきたわけでございますが、その目標にはなかなか到達せず、これがエンドレスに防衛努力を続けていかざるを得ないのではないかというような国民の不安あるいは懸念というようなこと等もありまして、今後の国際情勢を見通した場合には、国際社会安定化のための国際努力が続けられていくだろうと、しかも日本はアメリカとの安保体制のもとで本格的な侵攻を受けるというような蓋然性も少ないであろう、そういうことであるならば、限定的小規模な侵攻に原則として独力で対処し得る程度のもの、すなわち基盤的な防衛力整備にとどめても、平時においては基盤的なものとして許されるのではないだろうかという目標を設定いたしまして、防衛計画の大綱に基づいた防衛力の整備をしているところでございます。
 今御説明したことからもうおのずからおわかりのように、先生がただいまお尋ねの、もし日本が独力で、通常戦であれ、専守防衛という立場に立ってであれ、それに直接対処し得るような防衛力をみずから完備する、完結させようとしますと、これは比較すべくもなく現在の防衛力整備よりも膨大な経費と努力を要することになるということは確実だと思います。
#326
○田渕哲也君 先ほどの世論調査で、日本は独自の防衛体制をつくる必要があるといる意見が多いのとこれは反するようなことですけれども、反面、日本の防衛力の急増は他国に脅威を与えるという警戒心も非常に強い。日本では四八%がそういう考えを持っている。アメリカでは六〇%がそういう考えを持っている。恐らくアジアの諸国はもっとそういう脅威というものを強く感ずると思うんですね。だから私は、日本の防衛力というものはそういう面も配慮しなければならない。そうすると、やはり安保条約というものは当面できる限り維持していくことが非常に重要ではないか、日本の防衛力が大きくなることを防ぐ意味においても。ただ、世界の変化によって国際情勢ががらりと変わるわけですから、いつまでも同じものが続くという考え方も私は甘いように思うわけです。そういう意味で、これからの防衛構想というものについては、本当に真剣な検討が必要ではないかと思います。
 それで、私は政府に特に要望したいことは、もう既に次期防というものが始まるわけですけれども、今までの考え方はそのままにしておいてすぐ次期防の検討作業に入るよりも、ころいう国際情勢の変化を迎えて、日本の防衛というのはどういう考え方をしなければならないかということについていろいろ論議をして、国民間でできる限りのコンセンサスをつくり上げていく努力がまず大事ではないかと思うんです。比較的最近はずっと東西対立のもとで世界が安定しておりましたから、日本の自衛隊に対する国民の理解も進み、安定してきていたと思うんです。それから日米安保条約に対する理解も安定してきていたと思うんです。ただ、世界情勢が大きな変化を来すとそれも不安定な時期を迎えると思うんですね。それだけにどう国民のコンセンサスをつくり上げていくかというのが当面やる最大の課題ではないかと思いますが、防衛庁長官のお考えをお伺いしたいと思います。
#327
○国務大臣(石川要三君) 先生が今御主張されましたように、今のような激動の中でございますから、ただいたずらにすぐ既存のものを土台に足したり引いたりしてそういう数字的なものをやるよりも、当然前提条件となる世界情勢の十分な検討、これは当然だと思うんです。これは、議長が総理でありますから、私もいつやるかどうということは言えませんけれども、当然そういう前提で、近々まず招集されて、最初のうちはそういうことを十二分に議論をされるんではなかろうか、またそうするべきではなかろうか、こんなふうに思っております。
#328
○田渕哲也君 あと、ちょっとまだ別の問題用意しておりましたけれども、時間が中途半端になりましたので、きょうはこれで終わりたいと思います。
#329
○委員長(板垣正君) 他に御発言もなければ、これをもって平成二年度総予算中、皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、日本学術会議、宮内庁、北方対策本部を除く総務庁、防衛本庁、防衛施設庁についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#330
○委員長(板垣正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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