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1947/08/06 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 決算委員会 第5号
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1947/08/06 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 決算委員会 第5号

#1
第001回国会 決算委員会 第5号
昭和二十二年八月六日(水曜日)
    午前十時三十八分開議
 出席委員
   委員長 竹山祐太郎君
   理事 竹谷源太郎君 理事 島村 一郎君
      高津 正道君    辻井民之助君
      戸叶 里子君    馬越  晃君
      大上  司君    中曽根康弘君
      長尾 達生君    西田 隆男君
      松本 一郎君    冨田  照君
      水田三喜男君    宮幡  靖君
      受田 新吉君
 出席政府委員
        大藏政務次官  小坂善太郎君
        大藏事務官   河野 一之君
 委員外の出席者
        會計檢査院長  荒井誠一郎君
        會計檢査院檢査
        官       東谷傳次郎君
    ―――――――――――――
八月二十六日
 建設省設置に關する請願(坂東幸太郎君紹介)
 (第三七號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 昭和二十二年度歳入歳出總決算、昭和二十年度
 特別會計歳入歳出決算
    ―――――――――――――
#2
○竹山委員長 これより會議を開きます。
 前囘政府提出の決算案について政府と會計檢査院長から概要についての説明を聽取いたしました。本日からこれについて質疑に入りたいと思います。
 この決算は日本の一番大きな終戰に直面をした決算でありまして、この大きな終戰に關して、政府のとつた處置によつて非常な大なる影響があるわけでありますから、終戰後の財政に關していろいろな處置を講じたことの概要をまず承知をいたしてまいりませんと、この審議にはいれないと思います。從つて政府からそれらのことをまず伺つて、あと資料としては、終戰を境にして、終戰前と終戰後とにわけて、ある程度の材料を提出願つて、併せて審議にはいつていきたいと考えております。なお會計檢査院の立場からもこの終戰に際してとられたその後の事情等について、できるだけ詳しく、また終戰後の處置に對して檢査院として特別にどう考えられたか、それらのことも今日は伺いたいと思うのであります。初めに政府の方から説明を願います。
#3
○河野(一)政府委員 二十年度の決算は終戰にかかつた決算でありまして、すなわち八月十五日以前は戰時中のものであります。以後終戰になつたわけでありますが、兩方にかかつておりまする關係上、戰時中における決算的な問題についてお話申し上げていつた方がおわかりいいんじやないかと存じております。戰爭になりまして會計の關係が、私どもその事務に當つている者から見ましても、相當ルーズになつたように存じます。それがだんだんひどくなり、昭和二十年度の終戰當時におきましては、いわば無法規と申すと失禮でありますが、陸海軍臨時軍事費關係で御承知のような事態も起つたわけであります。問題は會計事務がルーズになつたと申しますが、多少亂れた原因にはいろいろあるのでございまして、まずその原因をあげてみますると、戰爭の關係で徴用され、あるいは應召の關係で會計事務のエキスパートが少くなり、殊に會計事務については非常な專門的知識を要する關係上、その人がいなくなると會計事務が非常に阻害されるということと、人手が足りなかつたということが、これは各方面に通じた問題であると思いますけれども、これがまず第一にあげられると思います。
 それから會計法戰時特例という法律を出したのでありますが、その法律によつて報告その他を相當省略した。從來は歳入の徴收濟の報告書、あるいは歳出の支出濟報告書あるいは國庫現計というものは毎月々々とつておつたのでありますが、今申しました人の關係もありますし、交通通信の關係もありまして、それを大體四半期にいたしました。しかるにその四半期の報告もだんだんと出てこないようになつてまいりました。交通通信の關係もありますが、殊に戰爭の影響により、戰爭がだんだんと熾烈になつてくるにつれ、その戰災の影響を受けて書類が滅失してしまうというようなことが戰爭末期にはひどうございました。それから十八年の下期ごろからの状態でありますが、外地方面との交通通信が杜絶いたしまして、殊に南洋廳は十八年ごろからもうすでにまつたくの戰地になつた關係もありまして報告が來ないように相なりました。從いまして十八年度の決算からどういう經費をどこの款項から出したかわからないというようなものが出てまいりました。二十年度の決算にもそのようなものがあるわけであります。たとへば二十年度の決算を見ると、一般會計で歳入の款項目の不明なものが五百八十萬圓、歳出については三千二百萬圓、特別會計についても歳入が千七百萬圓、歳出で二億五百萬圓というような、どうなつたかわからぬ、一應出したことは出した、あるいは金は受取つたけれども、それがどういう目的のために出されたか、あるいはどういう原因で歳入になつているか全然わからないような事態に相なつたわけであります。そういたしまして、それとともに年度の締切りでありますが、大體現在の會計法の建前といたしましては――これは從來もそうでありますが、三月三十一日に年度が濟みまして、そのあと一定の歳入歳出の整理期間というものをおいております。その整理期間が七月の三十一日でありますが、報告の關係、それから今言つた交通通信の關係から、尋常の時期に締切りができないようになりました。昭和十九年度の決算で申しますると、七月三十一日の決算が十二月の三十一日までにできない。十二月三十一日にようやく締切りができたというような状況であります。二十年度の決算につきましては、七月の三十一日を九月三十日まで、特別の法令を出しまして、その締切の期間を延長した、こういうような關係になつております。
 それから戰時中及び終戰直後を通じてその全般的の問題を御説明申し上げます。われわれとして、二十年度の決算につきまして、終戰直後以來とつた措置につきまして、大體簡単に申し上げたいと思います。すなわちこの決算にもその跡が十分現われておるのでありますが、先ほど申し上げましたように、二十年度の決算は戰爭中と終了後の兩方にかかつておるのでありますが、二十年度の豫算自體について見ましても、その關係上特別な――從來であると行われなかつたような特別な措置が、豫算的にも決算にもとられております。豫算の問題で申しまするならば、緊急對策第一豫備金というのができておりまして、これは二十億圓計上いたしてありますが、これの支出額は約十八億ほどであります。この緊急對策第一豫備金と申しますのは、戰爭に關連して、その戰災を豫防しあるいはこれを輕減するための特別の豫備金ということになつておりまして、これが終戰の前後を通じて相當巨額に支出されております。終戰前でありまするならば、防空關係の經費、あるいは戰災に遭つた各種の施設の復舊でありますとかいうようなことに使われております。終戰後におきましては、戰災の跡始末あるいは戰災者に對する善後措置、たとえば戰災保護費の支出でありますとか、疎開者の跡始末の問題でありますとか、豫算的にはそういうような關係に使われております。決算的の問題といたしましては、ます終戰直後におきまして、戰爭終了時の特別の事態に即應いたしまして實行豫算を編成いたしております。これは從來の實行豫算の編成、實行豫算のやり方でありまするならば、豫算だけについてやつたのでありますが、豫備金で支出したものにつきましても、これを節約するというような措置を終戰直後において講じております。その結果一般會計においては、大體十八億程度の節約をいたしております。それからこれはこの決算に現われておるのでありますが、終戰の直後、大體九月ごろだつたと存じますが、各種の行政機構の改廢が行われております。たとえば、大東亜省を廢止いたしまして、この事務を外務省に統括いたしました。從つて決算上におきましては元大東亜省分は、移しかえて外務省の決算にはいつております。それから軍需省が廢止になりまして、これが商工省となりました。その關係で豫備金の支出が行われており、軍需省關係で商工省に移しかえることのできるような經費は、これまた決算上は移しかえの措置がとられております。それから陸海軍兩省の問題でありますが、これは御承知の通り昭和二十年十二月一日新しく第一復員省、第二復員省ができまして、陸海軍兩省は廢止せられたわけであります。これが二十一年度になりまして、現在の復員廳に移りかわつておるような状況になつております。九月になりまして行政整理が行われております。大體一般會計におきまして三割程度、それから特別會計について一割四、五分程度の人員の整理が行われております。
 それから先はど申し上げましたことにも關連するのでありますが、十二月の一日に陸海軍兩省が廢止になり、それと同時に從來の臨時軍事費の所管が陸軍省及び海軍省に屬しておつたものを大藏省に移管いたしました。臨時軍事費については前囘の帝國議會におきましてその決算の御承認を得たわけでありますが、終戰直後における各種の社會的混乱のために、終戰處理費についていろいろな風評その他問題があつたことは、御承知の通りであります。從いまして、これを陸海軍兩省にそのままおくということは、非常に社會的にも、あるいは單に決算的の問題としても相當問題であるというので、十二月一日にこれを大藏省所管に引繼ぎまして、從來の陸海軍關係の會計經理官というものは、すべて大藏大臣の指揮監督を受けることに切りかえております。その際に人的に全部を切かえるというのも一つの案でありますが、何と申しましても臨時軍事費の豫算經理というものは、一般會計その他政府の會計とは特別の經理方式になつておりまして、主として資金前渡の形式でもつて會計經理をする關係上、支出官のもとに多数の資金前渡官吏がおります。陸軍で申しますならば、支出官は當時の臨時軍事陸軍東京經理部長というものが一人おりまして、そのもとに資金前渡官吏がおる。そのもとに分任の資金前渡官吏というものがおります。最後の分擔にいきますと、中隊までも資金前渡官吏があるというような關係になつておりまして、その數は陸軍だけでも一萬數千名、海軍では艦隊その他を入れまして約七百名という厖大なる經理組織をもつておりましたので、これをすぐに一般の文官に切りかえるというわけにもいきませんでしたので、監督は大藏大臣がやるという建前にいたしまして、一應その構成は引繼いだわけであります。その他ある場合におきまして、從來いろいろな問題のありました點につきましては、大藏省直接あるいは會計檢査院と協力いたしまして、たびたび支出監査に出て、その状況を監査いたしたわけであります。この臨時軍事費はいわゆるポツダム勅令に基きまして、二月二十八日で臨時軍事費の特別會計は廢止になりまして、これを一般會計に引繼いだわけであります。そうしてその臨時軍事費特別會計の會計制度は、九月三十日をもつて主計簿を締切りまして、前囘の帝國議會にその決算を出したわけであります。同時に判明しておりました數字で一應決算をいたしまして、その後に出てくる異動につきましては、毎年度の一般會計豫算において整理をする、こういう關係に相なつております。
 その次の問題といたしましては、二十年度において數囘の緊急財政處分をいたしたということが特別の措置の一つであると思います。昭和二十年の暮から二十一年にかけて開かれます議會というものは、御承知のような事情で開會になりませんので、從いましてそのときに當該年度の追加豫算あるいは昭和二十一年度の豫算を出すことができません。それで必要な政府職員の待遇改善の經費でありますとか、あるいは復員關係の經費でありますとか、あるいは行政整理に伴う退職金の問題でありますとか、支出を要する額が非常に多かつたのでございますが、議會がございません關係上、その措置に代るべきものとして、前年度剰餘金をまず第一に拂い切りまして、これが約一億八千萬圓であります。これを拂い切りまして、殘つた金額につきましては舊憲法、すなわち帝國憲法の第七十條の規定によりまして、三囘にわたりまして緊急財政處分をいたしております。その金額は四十三億七千五百萬圓ほどであります。その財源は一般會計の歳入超過額と申しますか、一般會計の豫算執行上の歳入超過額をもつて支辯したわけであります。すなわち當該年度のみについて百一億という臨時軍事費の繰入れがございます。終戰に伴いましてこの百一億の繰入れということはする必要がなくなりまして、その結果百一億という豫算上の殘額ができた關係上、いわゆる赤字公債というものはそれたけ發行を減少してもいい筋合いでありますが、その赤字公債を從來通り發行することにいたしまして、これをもつて四十三億の緊急財政處分により支出額を賄う、こういうことをいたしたわけであります。これにつきましてはすでに九十一議會におきまして、事業承諾案を提出いたしまして、その承諾を得たわけであります。以上が大體、昭和二十年度についての終戰に際してとりました決算的な處置の大體でございます。數字その他につきましては、御質問によりまして調査の上御報告申し上げたいと存じます。
#4
○竹山委員長 なおあとからいろいろ要求が出てくると思いますが、終戰後、要するに、戰爭會計と平和會計とに二十年度をどこかで區分をして、決算をやつていく上において、同じ款項目だからといつても、支出の目的が非常に變つてくると思うのですが、それらの處置については、どういうふうにとれたか資料ができうるかどうか。
#5
○河野(一)政府委員 終戰の八月十五日で會計を締切りまして、その前後の金額はどうなつているかということはちよつとわかりかねます。と申しますのは、終戰前に債務が發生して、その支拂が終戰後に起つたというものが相當あるわけであります。それでありますから、毎月はつきり帳簿を締め切つておりますれば數字は大體わかるのでありますが、そういうことをやつておりませんでした關係上、毎月の支出濟額あるいは收入濟額というものは整理いたしておりますので、その數字で十分ではございませんが、ある程度の傾向は見ていただけるのではないかと存じます。
#6
○竹山委員長 その資料をひとつとりあえずつくつていただきます。では一應引續いて會計檢査院の方からの御報告を伺いたいと思います。
#7
○荒井説明員 ただいま大藏當局の方から戰爭中、竝びに戰爭直後の決算的あるいは豫算的の經理の状況についてお話がありましたが、會計檢査院の立場からいたしまして、これをいかに處理したかということについて申し上げます。あるいは重複の點もあるかもしれませんが、その點は御了承願います。終戰後に決算になりましたのは十九年度の決算、臨事軍事費の決算、このたび提出になつております二十年度の決算、この三者であります。十九年度の決算は戰爭中の支出であります。臨時軍事費は御承知の通り終戰の前後に、戰爭中はもちろんでありますが、終戰後においても支拂われたのでありまして、その終戰後の支拂がどのくらいになつているかということの推定の數字はございますが、いずれ大藏當局から數字の提出があるものと思います。臨時軍事費といたしまして、これは年度の區分はないのでありますが、一應二十年度に相當する分といたしまして支出されたものが四百四十億圓ほどございます、それに二十年度決算の數字に上つております一般會計の支出が二百十億圓、特別會計の支出が七百八十億圓、そういたしますと、二十年度におきましての支出は、この三つのものが同時に行われておつたということに相なるのであります。大體におきまして、臨時軍事費の檢査につきまして申し上げますると、これは御承知の通り當時の軍の作戰の關係もあり、檢査を行うことができない場合もありましたが、軍の會計經理は、當初におきましてはおおむね順調に行われておつたものと思われますが、戰局が苛烈になるに伴いまして、先ほどお話がありました通り、その經理は條規によりがたい場合ができまして、相當に會計法規等を無視し、あるいは前金拂いをたくさんやりまして、施設をさせるというようなことも行われまして、あるいは亂雑に陷つたのであります。さらに終戰となりましてからは、經理は混亂に陷りまして、これが收拾には當局者もずいぶん努力したようでありますが、檢査院もその跡始末につきまして早速人を派しまして檢査にかかつたのであります。その全貌は帳簿書類を燒却したり、滅失したものが多數ありましたためにこれを究めることができなかつたのであります。殊に檢査院といたしましては、戰爭が濟みますと、いろいろの問題もありましたので、直ちに工廠等に人を派しまして、その支拂の状況、あるいは物品の状況等の檢査にかかつたのであります。御承知の通り軍の物品といいますものは、兵器その他製造しておりますれば、これは出師準備品ということになりまして、これにつきましては、法律がありまして、會計檢査ができないことになつておつたのでありますから、これらの軍需品がどのくらいあつたかということは經理上わからないのであります。しかしその後におきまして、あるいは放出物資となり、あるいは特殊物件となりまして、世間に出、あるいは縣に引繼がれたものにつきましては、ある程度まで計表がありますので、相當に調査もいたしました。また内務省の調査局においてこれが處分について骨を折つておられるのであります。檢査院もこれと協力いたしまして、その特殊物件についての拂下げ状態あるいはその收入状態等を目下も檢査中でありまして、その書類について十分でない點が相當あるように認められますので、その有償とすべきものは有償にし、代金の取立の遲延しておるものは、これについて代金の取立を督促させるという方法もとつておるのであります。戰爭後におきまして、ある點まで檢査を勵行したのでありますが、しかし書類も燒失しておりますし、ただいま申し上げましたように十分な檢査はできなかつたのはまことに遺憾でございます。
 ただいま申し上げましたように、臨時軍事費の方においてかくのごとき支拂がありましたが、また二十年度の決算不當事項にも揚げておりますような支拂も、軍事費以外の會計にもあつたのであります。これについてはできるだけ是正の方法を講じさせておるのであります。
 大體ただいま申し上げました通り、戰爭中竝びに戰爭直後の經理が非常に亂れまして、書類の提出等も非常に遲延しておる状態であります。今日會計檢査上最も困難であります點は、各官署から規定通りの時期に、計算證明あるいはこれに對する證書書類が出てこないことであります。まずそのもとを質しまして、これらを定期的に、正確に提出させることに檢査院としては努力いたさなければならぬような立場でありますので、できるだけその督促に人も派しましたり、あるいは各官廳の當局者に注文をするなりいたしまして、これが整理をはかつておるのであります。これらの書類が整いますれば、それに基きまして、大體の状況を監察し、さらに實際の檢査に出かけるという方法が一番適當な方法であろうかと思うのであります。終戰後必要となります經費は、御承知の通り終戰處理費であります。これはある部分まで、日本銀行の立替金をもつて旅行されまして、その後議會におきまして、これが返償金その他につきまして、當時協贊を經まして、跡始末はついておつたのでありますが、これらの終戰處理費につきましても、できるだけ大藏當局とも一緒に實地檢査にも參りまして、それを軌道に乘せることに努めてまいつたのであります。そのほかに終戰後におきまして大きな經費がございます。公共事業費あるいは補助費等についても、ずいぶん終戰後緊急の事業といたしまして、それに對して相當巨額の金が使われたものもありますし、これは當時の状況からいたしまして、その支出が金は支出されましたが、事業が急速に行われておりませんので、これらのことにつきましては、二十年度の決算につきまして、未決算ということで後の審議に譲つたものもございます。これらの補助費等については相當に檢査も勵行していかなければいかぬかと思つております。また戰災復舊の經費等につきましても、相當に檢査を勵行しなければならぬかと思つております。そのほかに、戰爭中いろいろの會計法規に對する例外の法規が出まして、先ほどお話が出ましたように、戰時特例に關する法規、これらのことによりまして、前拂いをするというようなことも慣例をなしておりまするが、これらの法規が變つたにかかわらず、なお正常の經理が勵行されておらぬものもあります。これをできるだけ早く正常の道に引戻すことが必要であるかと思います。あるいは法規の制限に違反しまして、多額の前渡金を當該官吏が手に入れまして、これが經費の使用につきまして、はなはだ放漫に流れるということも相當起つたのであります。これらもなお十分に警戒いたしまして、戰爭竝びに戰爭直後の弊風を一掃しなければならぬかと努めておる次第であります。大體戰時中竝びに戰後、また今日とつております檢査に關する方針等を申し上げました。
#8
○竹山委員長 なお他の方から具體的な問題について御説明はありませんか。
#9
○東谷説明員 ただいま會計檢査院長から説明いたしたのでございますが、多少私から補足いたしたいと思います。
 戰爭中にとられた會計法に對する特例などについて、ちようど大藏省の方から御説明があつたのでありますが、御説明のごとく、會計法等特例というので、契約その他、戰爭中のことでありますから、非常に簡略にするといつたような法律が制定されたのであります。それに伴ひまして、會計規則等戰時特例というのも出ておるのでありますが、それに即應するといいますが、調子を合わせまして、會計檢査院におきましても、平常通りの證明を各廳からお願いをするということも困難な状態にあることがわかつておりましたので、會計檢査院におきまして、各廳から證明していただく基準といたしまして、計算證明規程――ただいま計算證明規則と申しておりますが、その會計檢査院のきめました計算證明規則に對する戰時特例及び臨時特例という二つの特例を設けまして、計算證明の方を大幅に簡略にして、書額の提出を省く、あるいは金額を指定しまして、十萬圓以下のものはよろしいとか、當時について申しますと、そういうふうな特例を設けまして、戰時中の計算證明をしていただく上に支障のないように計らつたのでありますが、戰爭が熾烈になるに從いまして、この證明もとかく遲れがちになつておつたのであります。そういたしまして會計檢査院の方では、各廳から出てまいります書面によつて檢査をいたしておるのでありまするが、ただいま申しましたように、書面をごく簡略に書くということに相なつておりますので、できるだけ實地について檢査をするという方針にしたのでありますが、しかしながら實地檢査にいたしましても、直接に軍部の方の關係で申しますと、作戰行動その他のことでなかなか思うように運べない。それから普通の官廳に參りましても、戰爭關係の仕事、或は疎開というようなことがございまして、Aの箇所にあるというので参りましてもBCの箇所に疎開しておられるというようなことで、實地檢査も思うに任せなかつたのであります。これは御了察が願えるかと思うのであります。そういうふうな状態であつたのでありますが終戰を迎えまして、これではならぬということとなりまして、會計檢査院では大評定をいたしまして、どういうふうに終戰後の檢査をやつていくかということを評定いたしたのであります。先ほども院長から話があつたのでありますが、まず實地を見て來ようというので、初め警察名義で軍その他一般官廳に、おしなべて警察名義で全國に人を派したのであります。普通ならば十日も要するところを、一日とか一日半をお邪魔いたしまして、大體どういうふうに終戰後の整理をやつていかれるか、あるいはこういうふうにやられたらよかろうというような、相談を受けたり、あるいは指導といいますか、もしくは協力というところまで進んで、何とかして終戰後の整理を正常化してやつていただくということに努力しようということに相なつたのであります。八月九月に大體それを終りまして二十年の十月ころから大體本格的な檢査に實地檢査としてはかかつたのであります。そうして、それも終戰前後を通じての檢査でありますが、一囘ではやはりいけないというので、實地檢査も、初め視察をしました箇所につきまして一囘ないし二囘、多いのは三囘も實地檢査をいたしまして、そこで計數を固めたのであります。會計檢査院は、できておりますところの支出計算書あるいは決算書について檢査するのでありますが、終戰後は特に指導及び協力、先ほど大藏當局からもお話がありましたが、進んで協力していこう、そうしなければ決算がなかなかできないのであります。というのは、實行廳の方は非常に用心されておるのでありまして、この程度の決算ではどうだろうというような、危ぶんでおられる箇所も相當あつたのでありますが、いやこれはこういうふうにやつていただくとよろしいというふうに、協力的な檢査を實行いたしたいのであります。そういうふうなぐあいで、實地檢査は相當に周密にやられたのであります。終戰前に比べますと、格段な差違が實地檢査の上にあるのであります。書面檢査の上におきましては、やはり書面が出てこないのが非常にたくさんあつたのであります。それは戰爭中に御承知のごとく戰災にかかりまして書類が燒けました。あるいは終戰後におきましては、やはり中央の指令、あるいはその本人の勘によりまして、證據書類その他を進んで燒却するというようなことがありました關係上、前の帝國議會で御承認になりました十九年度の決算におきましても、相當にたくさんの二十億、三十億という金に相當する證憑書類が會計檢査院に出てこなかつたのであります。今度の二十年度におきましては、檢査報告でごらん願いますとおわかりになるように、御參考に簡單に計數を申しておきますが、昭和十九年度で申しますと、一般會計で證擔書類が全然出てこなかつたというものが、歳入で五千七百萬圓、歳出で八億二千萬圓、一般會計でそれだけの計數に上つております。さらに特別會計で合計で申し上げますと、歳入では十二億七千五百萬圓というものが書類の提出がなかつたのであります。歳出におきましては二十五億六千五百萬圓というものが書類の提出がなかつたのであります。同じような事態はやはり二十年度にも起つております。二十年度ではこの檢査報告でごらんを願えばわかるのでありますが、一般會計の歳入で申しますと九千五百萬圓、歳出で二億五千六百圓、特別會計で申し上げますと、歳入で三億八千百萬圓、歳出で十億圓ということになつておるのであります。來ないような書類は實地檢査に行つても書類はもちろんないのであります。ないのでありますが、これをどういうふうにして檢査をしていくかということで、よほど惱みに惱んだのでありますが、これらにつきましてはできるだけ、先ほど申し上げましたように、實地につきまして、その當時の關係の方方に詳しくお話を聽き、メモがあればメモを出していただきまして、そのメモによつて檢査を補充していくというようなことになりまして、相當程度これならば大體間違いなかろうという見當をつけたのであります。それでもなお見當の全然つかぬというようなものが相當ありましたが、決算を確定する時期はどうせ來ないのであります。證據書類もないし、實地についてメモもない、こういつたようなものはいつになつても檢査の確定はできぬのでありますから、そこで會計檢査院では總會議を開きまして、こういつたようなものはやむを得ないだろう、永遠に確定することができないものは確定金額の中に入れておこう、確定するということではなく確定の金額の中に入れておこう、結局總括的に見れば檢査を確定したということになつておるのであります。非常に苦しい立場に會計檢査院もあつたのであります。この點は御了承を願いたいと思います。
 なお終戰後におきましては、院長も先ほど申しておられたのでありますが、終戰前及び終戰直後の經理、結局二十年度の經理を經常化するということがねらいでありましたが、それと同時に非常に遅延勝ちである書類の提出というものを會計檢査院かきめておりまする計算證明規程によりまして、一箇月後に出せということになつておるのでありますが、なるべくその線にもつていきたいというので、院長の特命によりまして、全國に特に證明督促ということだけに人を派しまして、毎月常時的に歸つてくることに努力いたしておるのであります。その效果はだんだん現われまして、證明は大分早くなつてきておるのであります。なおまだそういうものもある程度あるのでありますが、そういうやうにいたしまして、毎月檢査、常時檢査ということが實現できますように、各官廳に働きかけておるようなわけであります。以上をもちまして御説明を終ります。
#10
○竹山委員長 今伺いました十數億、二十億近いその證明のないものには、各省別に見るとどういうことになつてありますか。
#11
○東谷説明員 これは一般會計で申し上げますと、一般會計の歳入で九千五百萬圓と申しましたが、そのうちの大部分は大藏省の關係になつております。それから二億五千六百萬圓という歳出でございますが、これの大きなものは一億九千四百萬圓で外務省になつております。なお二千六百萬圓という農林省などもございます。それから特別會計で申し上げますと、歳入の三億八千百萬圓、この中の大きな部分は鐵道會計であります。なお專賣局が九千二百萬圓ということになつております。歳出で申し上げますと十億圓、その中の約半分はやはり鐵道會計になつております。そのほか海軍工厰資金というのが一億圓、陸軍造兵厰一億八千百萬圓ということになつております。ついでに十九年度を申し上げますと、十九年度は一般會計の歳入が五千七百萬圓と申し上げましたが、そのうちの半分は司法省が二千九百萬圓、それから歳出の方の八億二千四百萬圓でありますが、そのうち大東亜省が二億四千二百萬圓ということになつております。運輸省が一億八千九百萬圓、それから特別會計の十九年度で申し上げますと、歳入が十二億七千五百萬圓でございますが、やはり鐵道省でありまして、鐵道特別會計が相當多いのであります。その他で專賣局が四億五千萬圓になつております。歳出の方で申し上げますと二十五億六千五百萬圓でございますが、やはりそのうちの半分以上は鐵道會計であります。そのほかに專賣局がありますが、これは大きなものではございません。
#12
○竹山委員長 一應政府と會計檢査院からの報告はこの程度でありますが、何かこれに關連して御質問があればこの際御發言を願います。なお今の書類のない數字については、できるだけ詳しい資料をあとから御提出願いたいと思います。
#13
○東谷説明員 御參考に申し上げておきますが、二十年度の檢査報告をもしおもちでしたら、それの五頁、六頁、七頁にわたりまして、今申し上げた計數は出ております。
#14
○竹山委員長 それでは別に御質問がないようでございますから、今日はこの程度にして、この次は大藏省の歳入の面から各省へだんだんはいつていきたいと考えます。
 本日はこれにて散會いたします。
   午前十一時三十分散會
ソース: 国立国会図書館
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