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1990/06/12 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 内閣委員会 第7号
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1990/06/12 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 内閣委員会 第7号

#1
第118回国会 内閣委員会 第7号
平成二年六月十二日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月五日
    辞任         補欠選任
     須藤良太郎君     田村 秀昭君
     野村 五男君     名尾 良孝君
 六月六日
    辞任         補欠選任
     野沢 太三君     永野 茂門君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         板垣  正君
    理 事
                大城 眞順君
                高橋 清孝君
                山口 哲夫君
                吉川 春子君
    委 員
                岡田  広君
                田村 秀昭君
                名尾 良孝君
                村上 正邦君
                翫  正敏君
                角田 義一君
                野田  哲君
                三石 久江君
                中川 嘉美君
                吉岡 吉典君
                星川 保松君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  石川 要三君
   政府委員
       人事院総裁    弥富啓之助君
       人事院事務総局
       給与局長     森園 幸男君
       防衛庁参事官   内田 勝久君
       防衛庁参事官   村田 直昭君
       防衛庁長官官房
       長        児玉 良雄君
       防衛庁防衛局長  日吉  章君
       防衛庁教育訓練
       局長       米山 市郎君
       防衛庁人事局長  畠山  蕃君
       防衛庁経理局長  藤井 一夫君
       防衛庁装備局長  植松  敏君
       防衛施設庁長官  松本 宗和君
       防衛施設庁施設
       部長       大原 重信君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        原   度君
   説明員
       総務庁人事局参
       事官       畠中誠二郎君
       法務省刑事局刑
       事課長      松尾 邦弘君
       外務大臣官房審
       議官
       兼外務省北米局
       審議官      時野谷 敦君
       大蔵省主計局共
       済課長      乾  文男君
       海難審判庁海難
       審判理事所調査
       課長       金光 令司君
       自治省行政局公
       務員部福利課長  石井 隆一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(板垣正君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る六月五日、野村五男君及び須藤良太郎君が委員を辞任され、その補欠として名尾良孝君及び田村秀昭君が選任されました。
 また、去る六月六日、野沢太三君が委員を辞任され、その補欠として永野茂門君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(板垣正君) 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は、前回既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○山口哲夫君 給与法の一部改正についてまず質問いたします。
 一時金の支給というのは具体的にどういうふうに行われるんでしょうか。
#5
○政府委員(畠山蕃君) 自衛官が退職をいたしまして、退職の月の、六月ないし十二月のいずれか近い方に第一回目の額を、全体の額の七分の二を支給することといたしておりまして、それから翌年の一年間の退職後の所得を把握した上で、退職の翌々年の、今八月を想定いたしておりますが、八月に第二回目の給付金として残りの七分の五を支給するという形にいたしております。
#6
○山口哲夫君 七年間のうち二回で支給するということですね。そうすると、二回目は退職して三年後に支給する。そうすると、その後の給与所得等について退職時の給与の総額を上回ることがあると思うんですけれども、それに対する処置はどういうふうにされますか。
#7
○政府委員(畠山蕃君) 御指摘のとおり、退職の翌年の所得を把握しましてそれで支給をする、支給の調整を行うという形にしておりますので、その翌々年以降についての所得が上昇したケースというのは、論理的には想定されるわけでありますが、実態を見てみますと、まずそういったケースは極めて少ないということが実態としてございます。仮にそういう事態があったといたしましても、これについては調整をしないということにいたしております。
 といいますのは、その趣旨は再就職後の自己努力を奨励するといいましょうか、仮にこれを減額するということにいたしますと、再就職後の自己努力を否定することにつながりかねないということもございますし、あるいはまたさらに、再就職先において、所得の調整を避けるために、給付の調整を避けるために再就職賃金をあえて低く抑えるというようなことにもつながりかねないということから、そこのところは高くなった場合については調整しないという形にいたしております。
#8
○山口哲夫君 この一時金の考え方というのは、五十三歳で定年を迎えて再就職しても、退職時の給与がほとんど保障されない。平均すると半分ぐらいの所得にしかならない。だから、あとの半分だけはきちっとやっぱり埋めていかなければ、退職と年金とが接続していないから、生活に支障が来るのでその分だけは保障しようという趣旨のもとに始まった制度なわけですね。そうすると、退
職時の給与をはるかに上回ることだって考えられるわけでしょう。例えば、三年後新しく就職した。退職時の給与よりも一割も二割も多いところに就職できた、あるいは何か事業をやったら退職時の給与の五倍も収入がふえるようになったということだってあり得るわけです。そのときに、その上回ったものを全然返還させないということになると、この一時金の制度の趣旨に大きく反することになりやしないでしょうか。
#9
○政府委員(畠山蕃君) まず前提といたしまして、退職後に直ちに再就職をするわけでありますから、そのときにおいて大体給与水準というのは決まるというふうに考えるのが通常だろうと思います。そして、その所得は御承知のとおり翌年の所得として翌々年までに把握をいたしまして、その所得が最終の在職時の給与を上回る場合にはこれを調整することといたしております。
 今の御質問の趣旨は、私は再就職後にさらに職場を変えるとかいうことで給与が上回るということになるということを想定しての御質問かと思いまして、そこのところは、さらにその三年目以降のたまたまあり得るかもしれない所得の上昇については調整することはいたしておりませんが、原則として退職の翌年の所得を把握しての給付の調整はいたすことにいたしております。
#10
○山口哲夫君 今私が申し上げたような事例というのは起こり得る可能性というのは十分あることですよね。そうでしょう。だって、五十三歳で退職して新しく就職した、しかし三年後にもっといい職場がたまたまあった、あるいは職場をやめて自分で事業をされるということだってあり得るわけです。そういう場合に、当然収入がはるかに上回ってきたときに、にもかかわらずその差額について国民の税金で保障をしたということになると、国民にしてみたら、自衛官だけ特別待遇しているじゃないか、そういうことになるんじゃないですか。これはちょっとやっぱり理解できないと思いますがね。
#11
○政府委員(畠山蕃君) 論理的な問題としてはあり得るかと思いますが、今問題となっておりますのは、再就職の賃金自体が非常に、やめたときの給与の四割というようなことで、低いということからこの制度を御提案申し上げているわけでありまして、その再就職後にもう一度、高齢者についての雇用条件が悪い中で、さらによりよい職場でかつ退職時の給与を大幅に上回るというようなことは実態として極めて考えにくいというふうに我我は考えております。
#12
○山口哲夫君 それはおかしいですよ。考えにくいということにならないです。当然常識としてあり得ることです。そう思いませんか。五十三でやめられて三年間は新しい職場についたときは平均すると四割の収入しかないと言うけれども、四年後に、四年後というとまだ五十七歳でしょう、それから事業を始める方だっていらっしゃいますよ、もっといい職業につく方だっておりますよ。そういうものは全然想定できないからといって、はるかに上回った場合に返還もさせないというんでは、税金をそんなに特定の人だけに対して生活をはるかに上回るようなことに使うということは、これは国民の立場で納得できないんじゃないですかね。大臣、どうですか、常識で考えてそういうことになるんじゃないですか。
#13
○国務大臣(石川要三君) 事務的ないろいろと検討の中でこういう案がまとまったわけでございますが、今聞いておりまして、そういうことは論理的には確かにあるかもしれませんが、今局長が答弁したように、あるとしても極めて少ない、蓋然性というものは非常に少ないんじゃないかと私は感じがするわけでございます。
 それから、事業について成功する、これはやはり一つの個人の努力ということで、ある程度そういうこともあるかもしれないが、事業は失敗することもあるんですから、全く退職金がパアになっちゃうこともあるんで、そういうところまで果たして、成功することもあるからということだけで律することがどうかなと、実はそんなような感じが今のやりとりの中で私に感じられた率直な感じでございます。
#14
○山口哲夫君 なぜ二回で支給するんでしょうか。七年間の生活を保障するんであれば、毎年毎年きちっと保障をしていくという、そういう形だってとれないはずはないと思うんです。それを一括して、七年間のものを前払いするような、そういう支給の仕方自体に私は問題があると思うんです。これはちょっと法律としては欠陥があり過ぎるんじゃないでしょうか。
#15
○政府委員(畠山蕃君) 自衛官の退職後の生活のライフサイクルというのは個々人によって異なっておるわけでございまして、したがって各個々人のライフサイクルに応じた使用を許すという意味から一時金として構成したものでございます。そして、一時金でありますが、所得を把握する関係で二回に分けてこれを支給することとしたわけであります。
 なお、支給を毎年やるということになりますと、非常に国の事務がかさみまして、国の増員あるいは予算といったようなことで非常に経費がかかる、手数がかかるというようなことにもなるわけでございまして、行政事務の簡素化という観点をも加味いたしまして一時金という構成をとった次第でございます。
#16
○山口哲夫君 それは手数がかかるのは当然ですね。しかし、手数をかけても国民の税金をむだに使わないという立場からすれば当然やらなきゃならない措置だと思うんです。私は、あえてやるんであれば、二回にしなくたって、三回でも五回でもいいから最終的に七年後にもう一度調整し直してみる、そして退職時の給与をはるかにオーバーしているような分については返還をさせるというような形だってとれると思うんです。そういうことについて検討してみる余地はありませんか。
#17
○政府委員(畠山蕃君) 先ほど来申し上げていることの繰り返しになりますけれども、再就職賃金が翌年において把握されまして、それが退職時の給与を上回っていないということが確認された場合において、その後の所得が上昇するケースというものについては調整しないこととしておりますが、それは個々人自己努力というものを尊重するということからそういう形にしておるわけでございます。さらに、先ほど来申し上げておりますように、実態としてそういうケースというのは、我々再就職賃金について把握をいたしておりますけれども、そういったケースというのは非常に生じにくいということから、六十歳になった段階での再調整というのはそういうケースについては行わないということにいたしておる次第でございます。
#18
○山口哲夫君 ちょっと納得できませんね。この問題については同僚委員からまた質問があると思いますので、この問題についてはこの程度にしますけれども、この一時金というのは税法上どういう扱いになるんですか。例えば税法からいきますと一時所得あるいは雑所得、給与所得、退職所得、いろいろあるんですよ。これはどれに当たるんでしょうか。
#19
○政府委員(畠山蕃君) 現在関係当局で検討していただいておりまして、まだ結論を得ておりません。今おっしゃったようなどの所得に該当するか、それらについて今検討いただいておりまして、いずれにいたしましても適正な課税がなされるということになろうかと思います。
#20
○山口哲夫君 少なくとも相当の予算を使って支給する金額、受ける方の立場からいってもこのどれに該当するかによって税率が物すごく違うわけでしょう。収入が相当開くんじゃないですか。そういうことを初めから決めてかからないというのはどういうことですか。
#21
○政府委員(畠山蕃君) 初めから決めてかからないという御質問でございますけれども、制度の仕組みを考えました上で、その制度の趣旨にのっとって今国税当局の方で検討いただいているということでございまして、その検討に時間を要しているということでございます。
#22
○山口哲夫君 国税当局と相談をしていると言うんですけれども、こういうものは国税当局で当
然、これは一時所得になりますよとか、これは退職金の形を変えたものだから退職所得になりますよというのはすぐ出るんじゃないですか。そういうことは初めから相談して、そうしないと、自衛官に例えば一千万なら一千万の総体的な支給がされると、しかしこの種類によっては、そのうち三百万税金で持っていかれるのか、あるいは百万税金で持っていかれるのか、これは受ける方の生活設計にも非常に大きな影響が出るはずなんです。そういうことを初めから何にも相談しないで出してくるというのはちょっと提案者としては手落ちじゃないでしょうか。
#23
○政府委員(畠山蕃君) おっしゃるように、受ける者の側から見ましても税額が幾らになるかということについては非常に関心の高いところだと思います。したがいまして、なるべく早く結論を得ることが望ましいことは事実でございますが、現在国税当局においてなお検討中というふうに聞いております。
#24
○山口哲夫君 長官、事務当局が法律を出してくるときに、こういうことをきちんと整理しないで出すというのは、これはちょっと欠陥法律でないかなと思うんですね。これはまだもう一日論議することもありますから、うちの同僚委員も質問をいたしますので、これは一度ちょっと検討しておいてもらえませんかね。それでないと私たちとしてもにわかに賛成ということになりませんです。これはどう常識で考えてもちょっと理解できない、常識を超えるような形になりはしないかという懸念があります。
#25
○国務大臣(石川要三君) 私はこういう方面に疎い方でございますが、今先生のいろいろと質問を聞いておりまして、実は正直のところ、なるほどそういうことも十分に考えなきゃいけないなという感じはいたしました。確かに、いただく方は、相当のお金でありますし、これによって税金が一体どのくらいになるのか大変心配なわけでありますから、やり方によっては相当の額の差が出てくるのは当然だと思います。そうなると、提案する前にそれがそういうふうにきちんとあるべきだ、確かに私は率直にそんな感じがするんですけれども、今も局長から答弁したように、その点については早急に答えを出す、こういうことでございますので、できればそういうことで今の段階におきましては御理解をいただきたいな、こういうのが私の率直な気持ちでございます。
#26
○山口哲夫君 せっかくの長官のお話ですけれども、ちょっと理解ができかねますので、同僚委員から後日もまた質問ありますから、その中でもう少し詰めていきたいと思います。
 それから、この問題の最後に、総務庁いらっしゃっていますか。――国家公務員の中でこのように退職と年金とが連続しないというか、接続しない、そういうような公務員というのはほかにあるんでしょうか。
#27
○説明員(畠中誠二郎君) お答えいたします。
 一般職の国家公務員につきましては定年年齢が原則として六十歳になっております。一方、年金の支給開始年齢は経過措置によりまして現在五十八歳になっております。したがいまして、御指摘のように定年年齢から年金の支給開始年齢までに空白期間のある者はございません。
#28
○山口哲夫君 安心しました。もしあったら防衛庁と同じような取り扱いをしてもらわなければならないと思ったものですから質問しました。
 それでは次に、ソ連脅威論の問題に入りたいと思います。日吉防衛局長が衆議院の予算委員会で、ソ連には潜在的脅威がある、こういう答弁をされております。長官もそのようにお考えでしょうか。
#29
○国務大臣(石川要三君) 私は衆議院の内閣、予算委員会におきましても、また当委員会におきましても再三申し上げたと思いますが、やはり脅威論、これは率直に言って今私にはちょっと言葉としてはなかなかこれが適切な言葉かなというような感じもしないわけじゃありません、正直のところ。しかし、現在国際的にこれが一つの軍事用語として脅威論、潜在脅威論というのが使われておるわけでありますが、そういうことから見てやはり潜在脅威というのは、先生御承知のとおり、能力とそこにパワー、こういうことになるわけです。そうしますと、やはり現在のソ連というものの軍事力、極東軍事力というものは確かに蓄積された相当膨大なものがあることは私は否めない事実だと思うんです。
 ただ、内容については、先般予算委員会の中で矢田部先生からもいろいろと質疑がございましたような、戦艦の何というんですか、古いもの、こういうものの内容もかなりこれは私どもはシビアに検討しなきゃならないと思いますけれども、いずれにしましても相当膨大な蓄積というものは私どもはやはり否定することができない。
 意図的なもの、意思と能力、この点については、前段については、これは最近、いわゆるソ連というものの実態を見まするとやはりかなり、例えば新思考においてのソ連外交の対応の仕方、あるいはまた現実にソ連の国内の中にいろいろと起こっております経済的な問題とか、あるいは民族的な問題とかいろいろと難しい問題が起こっている、そういうことから見て、私は、意図的な面においてはかなり変化も見られるということは、これは事実だと思うんです。そういう点をアメリカの国防関係者も言っておるわけでありますが、しかしそれはそれとしても、やはり潜在的能力というものはあるということについては、これはアメリカもそう認識をしておりますし、また私どもも現時点においてはそのような認識を持っているわけであります。それが今日の私のソ連に対する脅威論に対する見解でございます。
#30
○山口哲夫君 ソ連の脅威論というのは、意図と能力がなければこれはないと見なければいけないと思うんです。そういう点で、いろいろ防衛庁の方ではまだまだ潜在的な脅威があるんだと、特に外交・総合安全保障に関する調査会、これはことしの四月にやっているんですけれども、その中で、これは政府委員はどなたでしょうか、外務省、防衛庁かな、の方が言っているんですけれども、依然として潜在的脅威というものは我が国にとってはあるんだ、こういう言い方も報告としてされておるわけです。そうすると、やはり情勢は変わってきているけれども、そういう侵略の意図というものは全くなくなったとは見ない、そういう解釈になるんでしょうか。
#31
○国務大臣(石川要三君) 私は基本的にはそのような認識を持っております。
#32
○山口哲夫君 日吉局長は、意図というものは変化することがあるんだ、こういうことを衆議院の予算委員会でもおっしゃったんです。これはどういうことですか。
#33
○政府委員(日吉章君) もともと脅威といいますものは、侵略し得る能力と侵略しようとする意図とが結びついて顕在化するものでございまして、私どもはこの意味で我が国の周辺において武力をもって侵略しようとする意図を持つ国が現在あるとは考えていないと、これはソ連も含めまして、かねがねそういうふうに申し上げていたわけでございます。
 しかしながら、ただいまお尋ねの点でございますけれども、意図といいますものはそもそも外から見えないものでございます。もう一つは、ただいまもお尋ねございましたように、意図というものは変化しやすいものでございます。現にゴルバチョフ政権が誕生いたしましてから約五年たつわけでございますが、その間におきましてこれほど大きな変化がソ連を中心といたしまして東ヨーロッパ諸国で起こり得るとはだれも予想しなかったのではないかと思います。それぐらいに政治的な意図というものは変化しやすい面も持っております。
 したがいまして、防衛を考える場合には、私どもといたしましては能力というものを頭に置きながら防衛というものを考える必要があるのではないかと、かようにかねがね申し上げているところでございます。
#34
○山口哲夫君 衆議院の議事録を読んでみますと、局長の変化と言うのはむしろ悪い方に変化す
ることがあるんだというふうに読めるわけです。だから、いつどういうふうに侵略の意図が変わってくるかわからないから、そういう点では日本としてもある程度の防衛をしておかなきゃならない、そういうふうに読めた。
 しかし、今のお話ですと、ゴルバチョフ体制になってからむしろ意図というものは変わってきている、そういうふうに今おっしゃっているわけですね。確かにおっしゃっているように非常に大きく変わりました。長官も今おっしゃっておりましたけれども、軍事新思考というんですか、全くこれは武力革命なんという言葉はもう考えていない。それから、軍事ドクトリン見ましても、仮想敵国は一切つくらない、そして軍事行動は先には絶対に起こさない、防衛に必要以上の軍備は持たないんだと、だから非常に意図としてはよくなってきているわけでしょう。私は、そういう意味で、あえて全く侵略の意図はなくなったというふうに考えていいんですかと聞いたのはそこなんです。
 しかしなかなかそうは、そこまでは考えられない、こうおっしゃるんですね。しかし、侵略の意図というものは少なくともなくなっていく、そういう侵略しようという考え方というのはなくなってきているんで、意図がなくなっているのに能力があれば戦争が起こされるということになるんでしょうか。意図と能力が結びついて初めて侵略の顕在化があるんだというふうに局長はおっしゃるわけでしょう。意図がないのに能力があったってこれは侵略にはならないでしょう。脅威は全くそういう意味ではなくなったというふうに解釈していいんじゃないですか。
#35
○政府委員(日吉章君) 繰り返しお答え申し上げることになりますが、意図といいますものは外から正確に把握し得ないという点が一つございます。それから、もし仮に全く侵略の意図がないというようなことが事実であるといたしましても、その意図というものは変わりやすいものである、こういう性格を持つということを考える必要があると思います。私どもが国の安全、そういうようなものを確保するという政治、外交、行政の任に当たっている者といたしましては、やはりそういう観点に十分思いをいたして、周辺諸国に侵略し得る能力があるかどうかという点は重要な要素といたしまして、それを念頭に置きながら防衛を考えなければならない、かように考えております。
#36
○山口哲夫君 侵略の意図というものは変わりやすいものであるというふうにおっしゃるんですけれども、どういうふうに変わる可能性がありますか。今のこの東西の対立というものがなくなって、後ほども申し上げますけれども、朝鮮半島における緊張も緩和されて、そして新思考が出て、軍事ドクトリンが今申し上げたように出て、すべては東西対立がどんどんなくなる方向に、世界は平和の状態に向かっている。だから、ソ連の今までの侵略の意図ということは全くゼロの方向に向かって走っている。それがどうして途中で変更することも考えられるということになるんでしょうか。想定としてどういうこと考えられますか。
#37
○政府委員(日吉章君) 非常に具体的な形での御質問でございますのでなかなかお答えしがたいわけでございますけれども、例えばソ連が防衛のための合理的十分性というようなことを主張いたしておりますけれども、その定義、解釈そのものも必ずしも定かでないというような点もございます。
 なおかつ、ソ連の現在の動きは非常に歓迎すべきものであり、我々はそれを喜んでいるわけでございますけれども、なおソ連は国の中におきまして経済問題、民族問題その他もろもろの問題等を抱えているのも事実でございます。その結果いかんによりまして、ソ連が侵略の意図を持つことになるかどうかというようなことを尋ねられますと、その点はなかなか正確にお答えすることはできませんけれども、我々といたしましては、国の安全を考えます場合には、国家のそういうふうな政治的意図というようなものは変化しやすいものである、変化し得ることを前提といたしまして、容易には変化し得ない、変化するためにはある程度の期間が必要である軍事的能力というものを念頭に置きながら防衛を考えていく必要がある、これは国の安全を守るために業務についておる者の責務ではなかろうか、かように考えております。
#38
○山口哲夫君 ウェブスターCIA長官がこういうふうに言っていますね。既にソ連の軍事的脅威はなくなり、たとえゴルバチョフが失脚して保守派の政権になったとしても、国内の経済不振と民族問題を抱えた現状では、アメリカに軍事的対決をしかけてくる見込みはないと、こういうふうに言っていますね。要するに、ゴルバチョフ体制がかわって、今あなたが、経済問題、民族問題等抱えているんだ、ということは、その背景には場合によってはゴルバチョフ体制が崩れて新しい体制ができるかもしれない、保守派の体制ができるかもしれない、そういう考え方をおっしゃっていると思うんですけれども、たとえ保守派が台頭してもこの軍事新思考は変わらない。要するに、軍事力による革命というものは絶対にないんだということをアメリカのCIAの長官でさえおっしゃっているわけです。
 だから、ソ連の変化というのは、国民大衆そのものの意識が変わったわけでしょう。一党独裁というものを許さない、多党政治を行っていこうという、全くこれはソ連の体質がすべて国民の側から変えられていっている。だから、トップの方が保守派になろうがどうなろうが、今のこういった、これまでの軍事によって革命を行おうとかという考え方は絶対にあり得ない。だから、軍事ドクトリンで言っているように絶対に敵をつくらない、仮想敵というものはつくらない、ソ連みずから先制攻撃は絶対にしない、そのほか幾つかありますけれども、そういう体質というものはこれからも変わることはあり得ないと思うんです。
 だからあなたが、意図というものは変化しやすいものであるから、ソ連の内部事情がこういうふうな問題を抱えているからいつ変わるかもしれないというのは、ちょっとそれは今の世界の情勢の常識からいって私はおかしいんでないかと思うんですけれども、もう一度考え方があったら述べてください。
#39
○政府委員(日吉章君) 私は、ソ連が今後軍事的侵略を行う意図を持ち得るような国になる蓋然性が高い、こういうようなことを申しているのではございませんで、何度も繰り返しますように、大臣も先ほど御答弁ございましたように、ソ連がその軍事力を行使しにくい状況になっているという点は私どもも率直に認めているわけでございますけれども、先ほども申しましたが、それは逆方向のことだとおっしゃられましたけれども、これは可逆性があるんだと思います。ゴルバチョフ政権が誕生した後、数年の間にこのようにソ連の政治的意図が百八十度と言ってもいいくらいに変化するということはおおよその人は予想ができていなかったことだと思います。我々はそういうことを望んではおりませんけれども、ソ連に限らず一般的にそれぞれの国の外交的、政治的意図というものは変わりやすい、あるいは変わり得るものであるということを念頭に置いておく必要があろうと思います。
 それに比較いたしまして、軍事的な能力といいますものはある一定期間は客観的な事実として存在いたしますものですから、ソ連その他の国々が侵略し得る攻撃的な武力を全く持たないというような状態になれば別でございますけれども、相手を侵略し得る能力があるという限りにおきましては、その軍事的能力というものを念頭に置きながらそれぞれの国の防衛を考えなければならないというのは事実ではないかと思います。
#40
○山口哲夫君 能力の問題はまた後でやりましょう。
 少なくともあなたの考え方は、能力と意図が結びついて侵略というものは、脅威というものは顕在化してくるんだと言っているんですから、意図がなければ幾ら能力があったってこれを行使することはあり得ないわけでしょう。だから、今論議の中でいろいろとお話があったように、少なくと
もソ連という国はそういう侵略の意図というものはなくなったというふうに現時点においては解釈するべきでないですか。それは、一般的には外交上は常に、諸外国がある中で、そういう侵略というものは、意図というものは変化しやすいものだから、どういう事態が起きるかわからない、そういう考え方に立つかもしれないけれども、少なくとも今日の世界情勢を見た場合に、今までのようなソ連の意図というものはなくなったというふうに解釈をするべきときでないかと思うんです。
#41
○政府委員(日吉章君) 願わくはそういうふうなことが期待されるわけでございますけれども、これは私が申し上げているだけではございませんで、先ほど委員の方から米国CIA長官等の発言も御引用になられましたけれども、米国の国防報告なりあるいはこの間来ました「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み」なり、その他責任ある人たちの発言の中におきましても、ソ連の軍事的潜在能力というものは依然として厳然として存在するということを明言いたしておりまして、そのように考えるのが一般的な常識ではなかろうかと、私はさように考えております。
#42
○山口哲夫君 いろいろな方がこの脅威の問題について言っているというんであれば、私の方もあえて出したいと思うんですけれども、アメリカのチェイニー国防長官でさえ国防総省の記者会見の中で、ソ連が米軍やその同盟国にとって軍事的脅威でないと宣言してもよい、こう言い切っていますね。それからパウエル・アメリカ統合参謀本部議長、これは二月一日の上院の軍事委員会で、日本周辺のソ連の軍事的脅威について、ソ連軍がこの地域で西側の利益を侵す敵対行動に出る可能性は薄まった、こう言ってますね。こんなように随分アメリカの高官でさえ、ソビエトのこういった脅威論については意図というものは薄まってきているということをいろいろ言っているんじゃないんですか。長官、どうですかね。
#43
○国務大臣(石川要三君) 日吉防衛局長は、まあ役人という行政官としての立場からいろいろと脅威論についてのロジカルな点を説明されたわけでありますが、御質問が大変政治的な立場で今御質問でございます。
 そこで、私の所見を申し上げたいと思いますが、アメリカのチェイニーさんあるいはパウエルさん、そういう方々も今委員が言われたようなことを確かにおっしゃっているわけであります。しかし、それと同時にまた、後段にいきますと、依然として米国並びに同盟諸国にとりましてもソ連の軍事力は潜在的脅威だというようなことも付言されていることも私はあると、このように思うわけであります。いずれにしましても、そういう発言があることは承知しております。
 私、個人的な意見でございますが、今日はそういうふうに新思考という外交を展開し、そしてもう本当にあっという間に非常に大きな民主化への変化をしているわけでありまして、これがますますそのような方向に進むことを期待もするし、またそのようになることも私は可能性は十分にあると思うんです。そういう意味からいって、現時点においてソビエトが日本に武力的な攻撃をするであろうなんということを考える人の方がほとんどいないと言ってもいいくらいの私は今日の日本人の感覚ではないかなと、こんなふうに思います。
 それからまたもう一つは、もっと大きく開きますと、とにかく今、地球の環境問題がこれだけの大きな問題になっているわけですね。ですから、そこに戦争でもあれば、これは一遍に十年も二十年分もいわゆる地球を破壊する、そういうスピードというものは戦争一つあればそのような状態になると思うんです。そのようなことを考えた場合、世界じゅうの政治家あるいはそういう者も、もう恐らく正面衝突というような、こんな武力行使をするようなことはむしろ私は全く考えていないと言ってもいいくらいではないか、こんなふうにも感じます。
 しかし、私どもは再三、先生も御承知のとおり、我が国の防衛の基本政策というものはこれは直接脅威に対抗して持っているわけじゃありません。それは詳細を説明するまでもないと思いますが、そういうわけでありますから、恐らく全面的なそういったような侵攻とかそういうものはないと言ってもいい、断言してもいいくらいの今世界情勢でもあるし、これからそういうふうになる可能性は十分にあると私は思っております。しかし、では私どもの防衛力を怠っていいかというとそうでもなくて、そこに防衛の全く真空状態を置くこと自体が私は不安を醸成する一つの大きな原因になる、このように思うわけであります。したがって、私どもは防衛大綱の水準を何とか維持して、日本の適切な防衛力を確立していこう、これが私どもの基本的な政策でありますので、そのような見解を持っておりますことを申し上げて御回答にかえる次第でございます。
#44
○山口哲夫君 防衛当局がソ連の侵略の意図の問題についてあえてそういう答弁をされるということは、これからの我が国の次期防の計画であるとか、あるいは大綱の見直し等の問題について非常に大きな影響が私は出てくると思う。それだけにあえて局長にソ連の脅威の問題について固執して伺っているわけなんです。
 今長官がおっしゃったように、世界的な動きというものが出てきているわけです。少なくとも東西の対立というものは完全になくなってきている、世界は平和の方向に向かっている、そういう中で日本の防衛庁だけが依然として能力というものが一つある、そして意図というものは変わり得るものなんだ、だからその変わり得るものということをやっぱり頭に置いておかなければならないんだというようなかたくなな意見をいつまでも持ち続けていくならば、せっかくの世界の冷戦構造の終えん、平和への志向というものに我が国だけがおくれをとっていくんじゃないか。むしろそういう冷戦構造の終えんというものをこれから諸国が一致協力してつくっていかなきゃならないのに、アジアの非常に大事な中心的な役割を担っていく日本がその平和の方向にむしろさお差すような、そういう考え方になっていきはしないか、そういう心配があるからあえて意図の問題に固執して申し上げたわけであります。
 どうかひとつ、ソ連のそういう意図というものは大きく変わってきているということを少しやはり頭にしっかり入れて、これからの日本の防衛の進むべき方向というものを考えてもらわなければ大変な間違いを犯すことになると思いますので、あえて申し上げておきたいと思うわけであります。
 それで、能力の問題に触れてみたいと思うんですけれども、私が昨年の十一月十六日のこの内閣委員会で防衛白書のデータは捏造しているんではないかという問題について質問をいたしました。これはもう少し詳しく触れていきたいと思うんですけれども、資料をお配りしてください。
   〔資料配付〕
#45
○山口哲夫君 質問するのでという通告しておりますので用意しているかと思ったけれども、今配付しているのは我が国の防衛白書とそれからアメリカの国防総省が発行した「ソ連の軍事力」、それからミリタリー・バランス等のソ連の軍事力との数字の違いが鮮明に出ているわけでありますけれども、その中で防衛白書のソ連の水上艦、潜水艦の隻数の基準は何かという、そういう質問に対しまして防衛庁は、戦力として評価し得るものを挙げた、こういうふうにおっしゃっているわけです、これは当時の議事録でございますけれども。一定の基準に基づいてやっているというんですけれども、その基準というものはどういうものなのですかという私の質問に対して、小野寺参事官ですか、「白書の方は一定の基準でやっているつもりでございます。我々としては戦力として評価し得るものをその軍事力の構成要素として、そういう基準に基づいて見ているわけでございます。」、戦力として評価し得るものを挙げたんだ、こんなふうに言っているわけです。
 ところが、六月六日の参議院の予算委員会において、我が党の矢田部議員の質問に対して、ソ連太平洋艦隊の潜水艦及び主要水上艦艇について隻
数を明らかにしてもらいたいということに対して、潜水艦は百四十隻である、そのうち艦齢二十五年以上と思われるものは八十隻、約五割でございます、こういうふうに答弁しているわけです。それから、主要水上艦艇は百隻のうち二十五年以上と思われるものは四十隻です、約四割ですと。というのは老朽艦ですね。もう戦争には役に立たない。そういうものが潜水艦では約五割、水上艦では四割を占めている、こう言っている。
 ところが、私の質問に対しては、戦力として評価し得るものなんだというふうに言っているんです。そうすると、全然違うんじゃないでしょうか。私の方の質問では戦力として評価し得るものだと。例えば潜水艦百四十隻、これは戦力として評価し得るものなんだと。ところが、こっちの方に出してきた潜水艦は、五割は二十五年以上なんだ、老朽艦だ、耐用年数が来ているのだ、こういうことなんです。これは戦力に耐え得るものじゃない。戦力に耐え得るものは防衛庁の考え方からいくと半分の七十隻だと。この数字の違い、考え方の違いを説明してください。
#46
○政府委員(内田勝久君) 委員ただいま御説明になりましたとおり、白書の公表の数値についての基本的な考え方は、まず第一には、各種の情報を総合いたしまして、これを客観的に分析して、その結果をお示ししているものでございます。その際の基準としては、ただいま委員が御説明になりました戦力として評価し得るもの、そういうものを軍事力の構成要素として私どもは考えている次第でございます。三番目に、あえて申し上げれば、そういう基本的な考え方をもとにいたしまして、各年におけるソ連太平洋艦隊の軍事力について、例えば廃艦ですとか除籍とか、そういったものが行われました場合にはそれを減じますし、新たに配備されたものがありました場合にはこれを加えて一年間の増減を取りまとめて、それで公表しているものでございます。
 その中で、ただいま御指摘にありましたように、船齢が二十五年を超えるものが例えば潜水艦につきましては約五割、百四十隻のうちの約七十隻ということを先般の予算委員会の席でも御説明申し上げた次第でございますが、この二十五年を超えるといったものがそのままこれが例えばスクラップ同然のものであるとかあるいは廃艦される寸前の予備艦であるとかということを申し上げているという意味では全くございません。こういうものも基本的に戦力として、行動戦力としての価値を持っているというのが私どもの考えでございまして、例えばそういった老朽艦が砲とか魚雷を有していれば、そういう艦艇は当然十分な戦力として評価し得るものであると私どもは考えている次第でございます。
 なお、こういうソ連太平洋艦隊の艦艇数が将来削減されるというような事態になりますとすれば、それはこのような老齢艦の中からその対象が出てくるということは当然考えられる次第でございますけれども、もちろん当然にその際には他方新鋭艦が配備されるということになるということも可能性として考えておかなければいけないわけでございまして、もしそういうことになれば、全体として見ますと戦力の近代化、合理化が図られるということになる、このように考えている次第でございます。
#47
○山口哲夫君 潜水艦の我が国の耐用年数は何年ですか。
#48
○政府委員(日吉章君) 個艦によりましていろいろ老齢検査等をいたしますのではっきりしたことは申し上げかねますが、二十年足らずというふうに御理解いただければと思います。
#49
○山口哲夫君 防衛庁が決算委員会に出しました「主要兵器の耐用命数」では、潜水艦十四年と書いてありますね、護衛艦は二十年。変わったんですか。
#50
○政府委員(日吉章君) お手元に先生お持ちの資料、私は存じませんけれども、十四年ということはあり得ないと思います。それは何かの資料の間違いではないかと思います。
#51
○山口哲夫君 耐用年数というのはずっと変わっていないんですか。
#52
○政府委員(植松敏君) お答えいたします。
 我が国の潜水艦は電池式でございますので、原子力潜水艦と全く違いますけれども、それぞれ耐用年数につきましては個艦ごとに、老齢化いたしますと、一定の年限がたちますと技術的な調査をいたしまして、その結果安全性等を勘案してそれぞれ使用年限を決めております。したがって、個艦ごとに違いますけれども、平均いたしますと潜水艦は約十六年という実績が出ております。
#53
○山口哲夫君 あなたの答えたのが正しいんです。防衛庁が参議院の決算委員長の要求資料に出したのが今私が申し上げた護衛艦が二十年、潜水艦は十四年が耐用命数の基準となっている。これは防衛庁が出した資料です。だから、十四年が間違いない。
 それで、今局長は大体二十年未満だろうというふうに言っているんですけれども、そうするとソ連の二十五年以上というのは、これはあなたに言わせると予備艦の中に含められるようなものではないんだ、こう言っているんですね。しかし、二十五年以上たったらこれはもう老朽艦でしょう。それこそエンジンも古くなっているだろうし、レーダーも古くなっているだろうし、あるいは取りかえているかもしれない。スピードも余り出なくなる。こんなのはいざというときにすぐ役立つものじゃないですよ。その二十五年以上のものをこれは老朽艦の中には入れられませんという考え方というのはちょっとおかしいんじゃないんでしょうか。
#54
○政府委員(内田勝久君) 先般の参議院の予算委員会におきまして私どもが申し上げました鑑齢二十五年以上と思われるそういう潜水艦でございますけれども、この二十五年というのは国際的に見ましても約二十年から三十年というその程度が、艦艇の鑑齢として見ましてその艦艇が通常老齢化したということでとらえられている、そういう鑑齢であるというように私どもは理解しております。したがいまして、二十年、三十年程度の中間をとりまして二十五年ということで今般ソ連太平洋艦隊の実態をお示しした、こういう経緯でございます。
#55
○山口哲夫君 非常に大ざっぱですね、二十年から三十年。潜水艦が大体二十年というのがこれは軍事専門家の共通した意見なんです。それから、水上艦艇が三十年というふうに言われているんです。だから、二十年から三十年。海の中を潜っているのと海上を走っているのと、常識で考えたって海の中を潜っている方が耐用年数が短いと考えるのはこれはだれだってわかることでしょう。だから、二十年以上として出すのが私は正しいと思うんです。
 それで、二十年から二十五年の間のソ連の潜水艦、これは何隻ありますか。
#56
○政府委員(内田勝久君) ただいま御説明申し上げたとおり、私どもとしては一応二十五年というところで区切らせていただきまして、その二十五年以上の艦艇の数をお示ししたわけでございますが、お尋ねございましたように、ソ連太平洋艦隊の潜水艦の隻数を例えば艦齢によって五年ごとに細分化してお示しできるかということでございますが、そういう形になりますと、私どもの情報収集の能力ですとか、あるいは情報分析の能力にも深くかかわってくる問題でございまして、現時点でその答弁をここで申し上げることは困難でございます。この点御理解をいただけたらと思います。
#57
○山口哲夫君 二十年から二十五年の間の隻数はわからないということですね。
#58
○政府委員(内田勝久君) 私、今手元には持っておりませんけれども、この辺どこまでどういうものが明らかにできるものであるかどうかということはこれから私どもも慎重に検討しなければいけないと思っております。ただいま申し上げましたとおり、一つには情報収集の機微にわたる問題点もございますが、他方国民の皆様にできるだけ実態を紹介し、国民の理解を得るということも大事な私どもの作業でございますので、その両者の兼
ね合いの中で何ができるかということを今後の検討課題としたいということを申し上げている次第でございます。
#59
○山口哲夫君 それじゃもう一度前に戻って聞きますけれども、私に対する小野寺参事官の答弁は、少なくとも戦力として評価し得るものを基準として挙げているんですと、こう言っている。だから、百四十隻というのはあくまでも戦力として使えるものなんだ。ところが、今度防衛庁の方で予算委員会に出してきたものは、潜水艦に限って半分はもう耐用年数を過ぎている。あなた方は予備艦としては見るわけにいかないんだ、そう言うけれども、今ちょっと議論したように少なくとも二十年以下が耐用年数というのは国際的なこれは基準と言ってもいい。それが二十五年以上でさえ七十隻もあるんです。そうすると半分は使い物にならないんじゃないですか。私に対する答弁とこれとの食い違い、もう一度解明してください。
#60
○政府委員(内田勝久君) 私の前任の小野寺参事官から御説明申し上げましたとおり、白書の公表の数字について申し上げますと、委員御指摘のとおり、戦力として評価できるものという点を重視しているわけでございます。別の言葉で申し上げれば、ソ連太平洋艦隊の持っている隻数の総保有隻数的な考え方に立っているということは先般も申し上げた次第でございます。
 こういう次第でございますので、私どもはこの隻数というものが、このこういった二十五年以上たっている老齢化した艦船につきましても、これは当然私どもといたしましては戦力として評価し得るものであるというように考えております。先ほども御説明申し上げましたとおり、この二十五年を過ぎたという事実をもってこれだけで艦艇が予備艦になっているとか、あるいは老齢化してもう使い物にならないといったようなことは全く申し上げておりません。この艦艇が兵器を積んで行動すれば、当然それなりの戦力としての意味を持っている、このように考えている次第でございます。
#61
○山口哲夫君 ここで論議しても結論は出ないでしょうけれども、少なくとも耐用年数は二十年以下というふうに一般的に言われているのに、二十五年以上のものでさえ半分も占めているのにそれを戦力として使えると言うことは、これはもうこじつけとしか私はとれません。
 なぜこういうようなことを防衛庁は固執するかといえば、長官、ここはぜひ聞いてほしいんですけれども、お手元に配ったこれでは、防衛白書では潜水艦は百四十隻だと言っている。ところが、アメリカの国防総省が発行している「ソ連の軍事力」でさえ百十八隻なんです。あるいはジェーン年鑑とかミリタリー・バランスでも出しているように百十三隻、百二十隻。なぜ日本の防衛庁だけがこういう高い数字を出しているのか。いかにもソ連の軍事能力というものは高いんだと言わんばかりの数字をつくるためにこういう数字を出してきた。(「でっち上げだ」と呼ぶ者あり)全くそうですよ、でっち上げですよ、これは。捏造なんです。それで、ずっと調べていったら半分も老朽艦があるにかかわらず、老朽艦さえあえてこの数字の中に入れてきている。そして私に対する答弁としては、戦力として評価し得るものなんですと、こう言っている。これは明らかに、前の小野寺参事官の私に対する答弁というものは、答弁そのものがそれこそ捏造している、そういうふうにしか思えないんです。長官どう考えますか。
#62
○国務大臣(石川要三君) 非常に具体的な内容でございまして、非常に難しいのでございますが、私今この先生からの資料の内容、お話を聞いたり、防衛庁の方からの政府委員の答弁を両方聞いておりまして感じますことは、答弁が捏造であるというのは私はそのようには理解をしていないわけでありまして、確かに先生のときの質問に対する答弁、これは先ほど来言ったように、いわゆる平たく言えば要するに一朝有事の際には使える隻数、先般の百四十隻に対する二十五年の隻数というものは半分になるわけでありますが、それは要するに極端に言えば戦力には使えるけれども艦歴というものは非常に古い、こういうことでありまして、それが現実的に、じゃもうスクラップになってしまうものかどうかというところに一つの問題点があろうかと思いますが、今いろいろと政府委員からの答弁にありますように、確かに艦歴は古いけれども直ちにこれをスクラップにするというふうなそういう認識には立っていない、こういうことではなかろうかな、こういうふうに思います。
 いずれにしましても、私どもの防衛というのはあえてソビエトのそういう脅威を拡大してその上に立って防衛政策を立案しているというふうには私は認識しておりません。
#63
○山口哲夫君 長官が本当にそういうふうに考えているとすればこれは大変な問題です、後ほども申し上げますけれども。少なくとも文民統制の中で長官が、あるいは総理大臣や予算をつける大蔵大臣がしっかりとした判断を持たなければ私はいけないと思う。ところが、実際に防衛庁当局から出してくるものがこういう、私に言わせれば捏造したような数字をもっていかにもソ連の脅威というものをあおり立てている。それにまんまと乗っかったとするならば、これはもうそれこそ大変な問題になると思うんです。そういうことがあるものですからあえて申し上げているわけであります。そのことについてはもう少し触れますけれども、その前にちょっと一つ。
 百四十隻のうち原子力潜水艦、これは何隻ですか。
#64
○政府委員(内田勝久君) 約七十五隻であると私ども把握しております。
#65
○山口哲夫君 防衛白書には確かに四十八ページに原子力潜水艦は七十五隻と書いています。しかし、この予算委員会に出した数字を見ますと、「二十五年以上と思われるものの概要」というものはこれはすべてディーゼルでしょう。原子力であればNがつかなければならない、SSBN、NがつかなきゃならないんですけれどもNが一つもない。そうすると、これ七十隻を引けば原子力潜水艦というのは七十隻にしかならないんじゃないんですか。
#66
○政府委員(内田勝久君) 艦齢二十五年以上と思われるもの七十隻は主として在来型のものでございますが、「等」ということを、この前出させていただきました資料には「SS等」と書かせていただきまして、原子力潜水艦もこの中に含まれることを示させていただいた次第でございます。しかし、繰り返しになりますけれども、基本的には在来型の潜水艦というように御理解いただいてよろしいと思います。
#67
○山口哲夫君 非常に重要な問題だけに「等」でごまかすようなことをしないでください。これを見たらだれが考えたって、ああこれはもうすべてディーゼルなんだなというふうに解釈します。この中で原子力潜水艦というのは五隻なら五隻あるんだというんであればきちっと五隻は原子力潜水艦だと書くべきじゃないですか。全部ディーゼルエンジンだというふうにわかるようにしておいて、我々としては判断に迷うことがありますので、その点はもう少し親切に資料を出していただきたいということを申し上げておきます。
 それで、長官は決して防衛白書が捏造したものとは考えていない、こういうふうに言うんですけれども、例えば二十三ページに「ソ連海軍は、沿岸防衛型から外洋型の海軍への成長のため、過去四半世紀以上にわたり一貫して増強されてきた。」、こう言っているんですね。ソ連の海軍力というのは一貫してずっと増強しているんだ、こう言っている。ところが、増強しているのかどうかということになれば、これは増強していないんですね。
 これはアメリカの国防総省が出した「ソ連の軍事力」というものですけれども、これを見ますとこういうふうに書いているんです。これは七十五ページですけれども、ソ連海軍の戦力構成の相当な部分は一九五〇年代と六〇年代に建造され、まとまって旧式化しつつある。一九八七年以来二十隻のソ連海軍の主要戦闘艦がスクラップ化された
り、武器と電子装置を外してスクラップ待ちである。さっき私が言ったのはちゃんとアメリカの国防総省ではっきり言っているわけですよ。半分は二十五年以上、老朽化しているんじゃないかと言ったら、戦力として使えるものなんだ、いざというときには。しかし、私が言ったようにスクラップ化を待っているんだ、そういうふうに言っているわけですよ。
 また、数ダースの寿命の過ぎた潜水艦がスクラップ候補だとされている。今日のソ連海軍は世界じゅうに展開しているが、一九八〇年代初期に比べその規模は小さくなっているというふうに書いているわけです。まだ書いています。百十三ページには、太平洋艦隊に多数の老朽化しつつある潜水艦、駆逐艦を抱えており、その大部分は近代戦ではほとんど役に立たないと書いている。そのほかありますけれども、時間もありませんので。
 そういうふうにアメリカの国防総省でさえソ連の海軍力というのはもう老朽化して役に立たないんだというふうに言っているんですけれども、防衛白書では依然として海軍力は増強されているんだと、こう言っている。その違いを長官はどういうふうに考えますか。
#68
○国務大臣(石川要三君) その資料につきまして私は拝見しておりませんのでよくわかりませんが、その点についての相違についてはまたもし必要ならば政府委員の方からよく答弁をさせたいと思いますけれども、私は、誤解があってはいけませんけれども、一般論として申し上げたのは、少なくとも国の防衛をつかさどる防衛庁長官が、その防衛庁でつくり、そして閣議にも諮り了承された、報告しそれを認められたその内容が捏造されているとか、ためにあえて過大な数字を挙げられているものであるとするならばこれは重大なゆゆしい問題でありまして、そういうことの上に立って防衛政策を決定したり予算を決定するということはこれはもうあり得ないと私は思っております。そういう意味で、この我が防衛庁が発行しておる防衛白書というものを私は信頼をしている、こういうわけでございます。
 もちろん、その内容がいろんな角度から検討されてさらに改善される、あるいは間違っている点があるならば直していくということはこれは当然必要ではなかろうかと思いますが、前段私が申し上げたのはそういうことでございまして、今後もこの内容については大いにさらに精密を期していかなければいけないものだ、かように私は考えて申し上げたわけでございます。
 私は、だまされるようなことのないように大いに私自身も勉強しながら、そういう発行されたものについてこれからも信頼に基づいてやっていきたい、かように考えているわけでございます。
#69
○山口哲夫君 本当に勉強していただかないと私は困ると思う。シビリアンコントロールの重要性というのはそこにあると思う。私は防衛庁の今までのこういういろんな数字を見たり、外国で出しているものと我が国のものと比較した場合に余りにも違う。一体これはどういうことなんですか。もしこの違いが事実だとすれば本当に大臣や総理がだまされているとしか言えないんですね。それじゃシビリアンコントロールというのは何にも発効されていないというか、そういう効力がないわけでしょう。
 だから、私はそこをもっとやっぱり真剣に検討してくださいと言って松本前防衛庁長官に申し上げたら、その解明については努力をします、こう言ったんですよ。その努力した結果、小野寺参事官、答弁に立った本人が私のところへ来て、庁内で検討した結果こうこうこういうことですと言ってきたんです。しかしそれは全然納得できるものではない。ちょうど今の日吉防衛局長が答弁していると同じようなことなんです。そういった防衛白書に関係した責任者が私のところに解明した結果こういうものですと言ってきたって、これは信用できないでしょう。少なくともシビリアンコントロールというものをもう少し考えるならば、もっと庁内において真剣にこういう違いを正すくらいのことを私はやっぱり考えてもらわなければ困ると思うんです。そういう点で、あえて新しい長官にそのことをお願いしているわけであります。
 もう少し違う点があるんです。例えば四十六ページに「このような極東ソ連軍の動向は、わが国に対する潜在的脅威であるのみならず、」と、ソ連軍の最近における動向というのは我が国にとっては潜在的脅威であるというふうに書いているんです。それからもう一つあります。これは五十六ページなんですが、「ソ連軍用機の行動については、総じて実戦的かつ攻撃的な活動が目立ってきている。」、こう言っている。
 ところが、これも防衛庁から出された数字なんですけれども、「わが国周辺におけるソ連艦艇・軍用機の行動概要」というものを昭和五十九年から元年までずっと出した数字がある。そうすると、日本海を南下しているという軍用機は二百八十五機が百八十五機にずっと減ってきている。そのほかもずっと減っています。もう一つだけ申し上げますと、東京急行、東京に向けて飛んできている、これが五十九年が四十五機が十機に減っている。そういうものがずっとA、B、C、D、E、F、Gまで書いてあって、合計として三百九十五機が二百二十機に減っているんです。だから、白書で言っているのは、どんどんソ連の実戦というか、訓練というものは激しくなってきているんだ。いかにも脅威論をあおっている。ところが数字を見たらずっと減っているじゃないですか。これは艦艇についても同じように言える。対馬海峡、津軽海峡、宗谷海峡全部合計いたしますとこれも減ってきている。
 そんなように、一方では減っているのにかかわらず防衛白書には平気でこういうふうに「攻撃的な活動が目立ってきている。」というような書き方は、これは長官がおっしゃるように、本当に心から信用してもいいものなのかどうなのか私は疑問を感じるんですけれども、長官どうですか、疑問を全然感じないですか。長官に聞いているんですよ、疑問を感じませんか。
#70
○国務大臣(石川要三君) とにかく今の先生の列挙されたものと白書の大きな違いということがあるようでございます。これはもう根本的に解明しなければならないことでありますので、ぜひこの際政府委員からも十二分にひとつ聞いて、さらに論議を尽くしていただきたい、かように思います。
#71
○山口哲夫君 くどいようですけれども、本当にシビリアンコントロールを大切にするとするならば、こういう事実がもしあるとするならば大変な問題でございますので、この数字について解明をして、私はむしろここの部分だけは訂正してもらいたい、数字の訂正。それから、四十六ページ、五十六ページで書いたように、いかにもソ連の攻撃的な演習というかそういうものがふえてきているというくだりは、これは書き改めてもらわなければこれからの次期防の作成に大変な影響を来すと私は思いますので、ぜひひとつその訂正方について、今国会中にまだこの委員会何回か開かれますので、十分にひとつ検討して、その訂正についての考え方を明らかにしていただきたい、こういうふうに要望いたします。
#72
○政府委員(内田勝久君) ただいま委員の御指摘の点、まず第一点につきましてのソ連海軍艦艇の三海峡の通峡ですとか、あるいは軍用機の行動回数についての御指摘ございました。近年そういう機数であるとか行動の回数というのが減っているではないかという御指摘でございます。私ども必ずしもその理由を明らかにしていないところがございますが、委員御案内のとおり、確かに現在極東ソ連軍が全般的な戦力の再編とか近代化、合理化という過程にあることは事実でございます。それから第二に、私どもは、ソ連経済が大変な今不振でございますので、そういうことを背景といたしまして多量の燃料を消費するようなそういう遠距離行動というものが減少されているのではないか、このようにも見ているわけでございます。
 ただ、こういう行動パターンの変化というものが一時的なものになるのか、あるいは今後ともそのような傾向を続けていくのかという点は、私ど
もの当然の責務といたしまして今後とも注意深く見きわめていかなければいけないと思っている次第でございます。あえて現時点での私どもの評価をお尋ねでありますとすれば、私どもは極東ソ連軍の活動には基本的には変化がないというように考えている次第でございます。
 ただ、そういう回数の変更でありますとか具体的な数字の変化につきましては、私ども平成元年の白書は、平成元年の白書の時点といいますのは、平成元年の六月末と一定の期限を切りまして、そこまでにおける事実関係を取りまとめ、かつそれに対する客観的、総合的な評価を下してこういう白書という形に取りまとめさせていただいておりますので、ただいま委員御指摘の幾つかの問題点、私どももいろいろな最近の変化というものも踏まえましてこれをどのように取りまとめるか、これは今後の検討課題でございますが、私どもといたしましてはそれを平成二年の防衛白書という形でできるだけわかりやすく取りまとめて、これを国民の皆様にも理解していただくべくできるだけ取り計らいたい、このように考えている次第でございます。
#73
○山口哲夫君 ソ連の戦闘機や艦船の訓練回数が減ってきている、内部における燃料不足とかそういうことも絡んでいるんじゃないか。ちょっとこっけいな論議なんですけれども、内部に、国内にどんな事情があろうとも、とにかく回数が減ってきていることは事実なんですよ。日本周辺におけるそういった攻撃的な訓練というか行動というものは減ってきていることは事実なんです。そういうことだけはきちっとやっぱり数字的に着目をして、減ってきているんであれば減ってきていると書けばいいんであって、それをいかにもだんだん攻撃的な要素がふえてきているんだ、そういうふうな書き方というのはおかしいでしょうと言っている。だから、そこを私は捏造しているんじゃないんですかと言っている。そういうものを防衛庁長官がまともに受けるとなったら、本当にシビリアンコントロールというものは一体何のためなのかということを疑問視せざるを得なくなります。ここは十分ひとつ心得ていただきたい。
 私は、できるだけひとつこの防衛白書のこういった数字の違い等については今国会中にきちっと明らかにしてもらって、そしてもし間違いがあるならば訂正するだけのそういう態度をとっていただきたいということを要請しておきたいと思います。
 それで、軍縮問題にちょっと移っていきたいんですけれども、マルタ会談で米ソの冷戦構造は完全に終えんしたと思います。それで、先般のワシントンにおける米ソの首脳会談においても一層両国の軍縮方向というものが明らかになってきたわけでありますが、我が国だけが軍拡を進めているわけであります。これは時代錯誤でありますし、先ほど言ったように世界の平和への流れにさお差すものである。そういうことを考えた場合に、防衛計画大綱というものは軍縮の方向で私は見直すべき時期に来ている、そういうふうに思いますけれども、長官どうお考えでしょうか。
#74
○国務大臣(石川要三君) 先ほどの米ソ首脳会談というものが、さらに最近のヨーロッパにおけるいろいろとSTARTなどの交渉で一段とそれが確認された。そういう意味からいっても大変私は好ましいことでもあるし、さらにそれが終わってから韓ソ会談もあったり、いろんな面から見ても今先生が言われたように軍縮の方向に着々と前進をしている、このように評価して、大変いい傾向である、このように思っているわけであります。
 しかし、その中で我が国だけが軍拡路線をばく進しているというような御説でございますが、これは見解の差で、どうも幾ら説明してもなかなか御理解いただけないこともあろうかと思いますけれども、少なくとも我が国の防衛大綱に到達をするという、そういう一つのプロセスの中で今日まで努力をしてきたわけでございまして、結果的にそれが確かにいろんな外国の、特に米ソの最近の軍事費の伸び率などに比べれば我が国の数字がいささか違う、こういうふうなことにもなっているかもしれませんけれども、私はあくまでも軍拡路線を進んでいるというふうには認識をしていないわけでございます。
 それからもう一つ、ざっくばらんに言わせてもらえば、我が国の防衛というものも先生御承知のとおり五十一年のときにつくられた防衛大綱、これの水準を確保するために今日まで来たわけでありますが、考えてみれば私どもはやはり当時のあの国際情勢、それから今日の国際情勢、確かに現象面では大いに違っておりますけれども、やはり基本的な考え方、もうこれ以上東西の激突したそういうものはないだろう、それからもう一つは、日本の安保体制というものによって我が国の防衛をやることの選択がいい、こういうことで今日まで私は平和が構築されてきた、こういう面もあろうかと思います。いささか言葉を拡大的に使わせていただければ、むしろ先見の明があったと言っても私は間違いではなかろう、こんなふうに思っております。
 特に、今日、米ソがあのような会談をしてお互いに合意された点は何かといえば、いわゆる核の削減であります。考えてみれば、税金でもって核をつくり過ぎて、また税金でもってこれを少なくしていくなんということは、全くこれは考えようによれば愚かなことでもあろう。人間というものは大変理知的でもあるし利口な面もあるけれども、見方によれば税金でつくったものをまた税金でこれを廃止していくのだというようなことから見れば、我が国の防衛政策というものは決してそういうものを持たなかった、もちろん平和憲法というものの中から来るわけでありますが、今日までの四十年間の日本の防衛の基本的な政策というもの、選択というものは必ずしも私は間違っていない、このように認識をしているわけでございます。
 しかし、いずれにしましてもこれから世界はますますデタントに向かっていくことを好ましく思うし、またそのようにいくであろう、こういうふうに期待をしておりますので、そういう方向にさらなる一層の、私どもの防衛政策もさらにその努力をしなければいけない、かようなことは当然私も認識しているわけでございます。
#75
○山口哲夫君 長官はそう考えるかもしれないけれども私は全く逆なんであって、少なくとも今日まで我が国だけがこういった軍拡の路線を続けてきたということは、これは非常にやはり問題があるし、特に今、韓国とソ連の大統領の会談が行われましたですね、これによって朝鮮半島の緊張緩和というものは本当にいい方向に向かってきているわけです。いわば東西の対立という基本構造というか構図ですか、これは私はもう物すごく大きく変わってきていると思うのです。だから、欧州における東西の対立というものが本当に緩和されたと同じように、アジア・太平洋地域においても大きく対立というものがなくなってきている、そういう方向に向かってきていると思う。
 そういう中で、日本は依然として軍拡路線をとろうとしている。後ほど触れたいと思いますけれども、次期防なんか二十三兆四千億の計画を持っているという。そういうふうに軍拡路線をとるというのは、本当に日本だけが世界の平和に対する努力から孤立していってしまうのではないのでしょうか。私は、朝鮮半島を中心とする緊張緩和の方向が今はっきり出ている中で、今こそ我が国がアジア・太平洋地域の軍縮のためのイニシアチブを握るときだと思うのです。そういう点で積極的に我が国が軍縮の方向を今打ち出していかなければならない時期ではないのでしょうか。どういうふうにお考えですか。
#76
○国務大臣(石川要三君) 我が国は第二次世界大戦後、御承知のとおり平和国家として再生して今日に来たわけでありますが、したがって私どもの基本的な国の政策というものは軍拡ではない、私はそのように認識をしております。そして、今先生が言われましたように、これからのアジアにおける軍縮のイニシアチブをとってやれと、こういうことでございますが、当然そういう点につきましても、外交の中におきましてもそういう点がこ
れから積極的に今いろいろととられているということは先生も御承知のとおりだと思うのです。そういうことで、私どもはあくまでも平和を、決して平和路線に逆行するような考えというものはこれはもう私どもは国是として持たないわけであります。
 ただ、言葉を返すようでございますが、そういう確かに平和の、デタントには向かっておりますけれども、反面、考え方によればまた不安も非常に私はあるということも事実だと思うのです。例えば、韓ソ会談がいい方向に進むであろうとは思いますけれども、しかし今日の現時点におきましてはまだまだそれが定かでもないし、あるいは朝鮮民主主義人民共和国というものがどういうふうに出てくるかということも大きな一つの外交的な関心事ではなかろうかなと、かように思います。そういうことを含めまして、サッチャーさんの言葉を引用するわけではございませんが、雪解けのときこそまた非常に難しいという言葉がございましたが、そういうことも防衛を担当する立場としてはやはり頭の中にも入れておかなければならないことではなかろうかなと、かように思っております。
#77
○山口哲夫君 ゴルバチョフ大統領は来年来日しますね。シェワルナゼ外相がことし日本に来ることになるわけです。そのときにもしソ連側からそれこそ日本があっと驚くような、そういう具体的な軍縮方向というかそういったような問題が出されたときに、一体日本はどうするんだろうか。そのときに外務省や防衛庁がたじろいでしまって、それこそ国民から、何でもっと政府は真剣にそういう問題について我が国の方から提起していなかったのだというような指摘をされるようなことがあっては私は大変だと思うのです。
 だからこういう軍縮の外交というものは、少なくとも今こういういい雰囲気になってきている時代なんですから、真剣に我が国がアジア、太平洋の軍縮方向を志向するとするならば、もっと外交というのはこちらの方から先手をとっていくのが私は本当の外交のあるべき姿ではないかと思うのです。ソ連側から提案されてそれに追随するような、そういう形であっては、私はアジアのこれからの我が国の存在というものは非常にやはり危ぶまれると思うのです。
 今、世界の方向は間違いなく軍縮の方向に向かっている。それで、ヨーロッパの軍縮というのはアジアにも必ず出てきますよ。議事録を読んでみますと、日吉局長は、アジアについてはまだソ連の軍事力というものはそう軍縮されていない、こう言っているけれども、しかし少なくとも、ゴルバチョフ大統領がアメリカに行ってブッシュ大統領と会見した後の記者会見の記事を読んでみても、それからサンフランシスコの郊外の大学で講演していますね、そのときの講演の内容を読んでみても、やはりアジアも軍縮の方向に向かっていかなければならないんだ、そういう努力をするんだということをはっきり言っているんです。だから、少なくとも来年ゴルバチョフ大統領が日本に来たときにどういう方向が打ち出されるかということはもう目に見えているわけです。やはり我が国は北方領土の問題を抱えている今日、もっと軍縮に対して積極的な手を打つということが外交のあるべき姿ではないかと思うのですけれども、どうお考えでしょうか。
#78
○国務大臣(石川要三君) 実は私は外務大臣でございませんから、そういうことについての責任ある言及はいたしかねるわけでございますが、ただ一言、外交と防衛というものはまさに先生御認識のとおり表裏一体であるわけでありますから、ただいまのいろいろとゴルバチョフの今後の可能性については私は大いに期待をするわけでございますが、きょうの先生の御意見は御意見として、貴重な御意見として防衛庁長官としての立場で十二分に先生の御意見をきょうは頭にとどめさせていただきたいと、かように思って、これ以上私の立場ではお答えいたしかねるわけでございます。
#79
○山口哲夫君 そういうお考えからするならば、少なくとも今防衛庁が考えている次期防二十三兆四千億、しかも正面装備を含めたそういうことというものは考えられないと思うのです。こんなものを出しておいて、そしてソビエトとの間にこれからの平和外交をやろうといったって無理でしょう。明らかに日本は今までの次期防よりも相当金額が上回ったものを出してきている。これはだれが見たって軍拡ですよ。そういう防衛庁長官のお考えがあるならば、今出そうとしているこの次期防についてはしばらくの間見合わせるという考え方に立つべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。
#80
○国務大臣(石川要三君) 今、次期防の内容に触れられましたけれども、これは実は全くそういう具体的な数字は私の手元にはまだ参っておらないわけでございまして、そういう点について今言われましたけれども、これについては私は今とやかくこの内容、今指摘されたことにつきましてはお答えをいたしかねるわけでございます。
 ただ、いずれにしましても、近々国会が終わりますと安全保障会議が積極的に開かれるわけでありますので、そういう中で、今いろいろとこの場におきまして議論されましたような国際情勢、その中身につきましていろいろとこれから議論をし、そういう中で来るべき次期防というものをどういうふうな形でどういう内容でするか、こういうことが逐次政府全体として固まっていくわけでございますので、そのように御了承いただきたいと思います。
#81
○山口哲夫君 長官はそういうことをおっしゃっているけれども、六月七日の新聞には、一斉にこの次期防については「五年で総額二十三兆円台 高度な装備めざす 防衛庁が次期防原案の骨格 空中警戒管制機導入も」と出ているじゃないですか。しかも、総額の伸び率は四%、GNPの一%程度、経済成長率は四%と見込む、ここまで明らかになっているんですよ。それでも長官はそういうふうにおっしゃるんですか。
#82
○政府委員(日吉章君) 次期防を担当いたしております政府委員といたしまして、私の方から御答弁を申し上げさせていただきます。
 私どもは、次期防を策定するに当たりまして、まず総額ありきというような考え方に立っておりません。したがいまして、現時点におきましては、大臣の方からただいまも御説明申しましたように、国際情勢をどう読むかという点、それからその中におきまして、次期防衛力整備計画の期間内においてどのような整備を図っていくべきかというような整備の内容につきまして議論をしているところでございまして、これを金額の裏打ちをしまして積み上げたところで金額の結果が出てくるわけでございまして、いまだそういうふうな総額の積み上げの段階にまでは至っていないというのが現状でございまして、一部新聞等に報道されているという御指摘がございましたけれども、私どもといたしましてはいまだそのような段階に検討は至っていないというところが実情でございます。
#83
○山口哲夫君 実はこれは一番最後にやろうと思ったんですけれども、たまたま長官がいろいろと御答弁の中で関連した問題を出してきたので先に出しちゃったんですけれども、今局長がおっしゃったように、国際情勢というのはいろいろと分析していかなきゃならない、それは非常に重要なことです。その国際情勢の分析を誤ったら困るので、若干我が国を中心とするアジアの情勢について質問をまずしておきたいと思うんです。
 ことしの二月にチェイニー国防長官がフィリピン、韓国、日本を歴訪いたしまして、今後三年間で駐留米軍を一〇%から一二%、一万二千人から一万三千人を削減するというふうにこの三国の政府に伝えました。我が国は、これからいきますと五千人から六千人削減することになるんですけれども、これに対して政府は米軍の駐留を引き続き要請したというんですけれども、その要請した理由をお聞かせください。
#84
○政府委員(日吉章君) 私どもといたしましては、ただいまお話しの点は、四月十九日であったかと思いますが、米国国防省が議会に対しまし
東アジアにおきます「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み 二十一世紀に向けて」という報告書を出したわけでございますが、その報告書を出すに先立ちまして、チェイニー国防長官がアジア各国を歴訪され、この報告書の大体の考え方を私たちに話をしていったわけでございます。
 その米側の考え方は、今後とも米国はグローバルな役割を認識して、太平洋・アジア諸国の同盟国に対しまして今までコミットメントをしておったけれども、そのコミットメントを今後とも果たしていきたい、そのために引き続き前方展開戦略を維持するということを明らかにしたわけでございます。ただし、米側にはいろいろな財政状況等の制約等もございますので、そういうふうな基本的な考え方は維持しながらも、合理化等を図って段階的に兵力を削減することもあり得るというようなことを言ったわけでございますけれども、東アジアにおきます不透明な軍事情勢は十分見きわめる必要がありますので、そういうふうな合理化措置もこの地域の安定に配慮しながら段階的に慎重にしたい、こういうふうに米側は説明をしたわけでございます。
 それに対しまして私どもは、米側がこの地域で果たしております役割に大きな変化はない、こういうふうに米側が理解をしているということととりまして、私どもはそのことを評価いたしました次第でございまして、具体的に五、六千人の兵力削減に対しまして我々が米軍の駐留を希望した、こういうふうな事実は全くございませんで、私どもといたしましては、米側のこれまでに変わらないアジアにおきます前方展開戦略を維持するという基本的な方針を評価する、理解するということを申し上げたにすぎないわけでございます。
#85
○山口哲夫君 米軍の駐留というのが東アジアの安定にも役立っているんだという、そんな今御発言があったんですけれども、アメリカ軍の見ているのは違うんですね。
 三月二十七日のワシントン・ポストで、在日米海兵隊司令官スタックポール少将、これは在日米海軍の最高責任者だと思うんですけれども、こう言っているんですね。日本の軍事力は既に非常に強大だが、万一、駐留米軍が引き揚げることになれば、日本はさらに軍備増強に走るだろう。再軍備されたかっての軍国日本を願う人は一人もいない。だから我々は瓶のふたであるという、いわゆる瓶ふた論というのですか、在日米軍というのは日本が軍事国家になることを防ぐためのおもしになるんだという、そんなことをワシントン・ポストとの会見か何かの中で言っていると思うんですね。
 だから、日本はアジアの安定のためになる、東アジアの安定のために役立つんだという考え方、しかしアメリカ軍は必ずしもそうじゃないんですね、日本の軍事力増強を抑えるためにやっぱり我我は駐留していなければならないんだという、そういう認識の違いがあるんですけれども、長官、どういうふうにお考えでしょうか。
#86
○国務大臣(石川要三君) 細かいことはよく知りませんけれども、その司令官の発言というものは、その直後米国防省から徹底的に批判をされ、しかもそれについては国防省は全面的に否定をしている、こういうことを承知しております。
 いずれにしましても米軍が、我が国の防衛力がこれからますます増大して軍事大国になる、それを恐れてそのためにいるなどというのは、私個人の見解としては甚だナンセンスである、かように思います。
#87
○山口哲夫君 本当のことを言ったから慌てて打ち消されたんじゃないかというふうに思うんですけれども、少なくともそういう認識が日本に駐留する米海兵隊の最高司令官からなされているということは、我々はやはり心して考えなければならないと思うんです。
 それで、アジア・太平洋地域というのは、アメリカもソ連も両方とも軍縮の方向に向かおうとしていることは、これは事実だ。私は、そういうことは非常に冷戦構造の終えんの一環として歓迎すべきことだと思う。私はそういうような解釈に立って、むしろ積極的にこれからもアメリカ軍の日本からの撤退についてはあえてこちらの方から要請をしていくことがアジア・太平洋地域の本当の平和、安定につながっていくというふうに考えるんですけれども、そういう要請をする考え方はありますか。
#88
○政府委員(日吉章君) 先ほどもお答え申し上げましたように、アジア・太平洋地域の平和と安定のために米側が前方展開戦力を維持しているその意義というものは私どもは十分評価し、理解しているわけでございまして、今委員御指摘のようなことを要請する考え方は全くございません。
#89
○山口哲夫君 具体的にそれじゃお聞きしますけれども、沖縄の米軍施設二十三カ所の返還交渉、これは五月二十一日に防衛施設庁は極力早く結論を出す姿勢をとっている、詰めの段階に入っていると、こういうふうに言っております。もう半月以上たちますけれどもどうなっていますか。
#90
○政府委員(松本宗和君) ただいまお話しの沖縄の施設、区域の整理統合の問題でございますが、現在まだ鋭意米側と調整中でございます。
 この中間報告につきましては、以前、これは衆議院だったと思いますが、答弁申し上げましたように、外務省とも調整しながら米軍との交渉を鋭意進めて、できるだけ早く出させていただきたいというぐあいに考えております。
#91
○山口哲夫君 詰めの段階に入っていると言ってから大分たつので、早く結論を出すようにしていただきたいと思います。
 それから、アメリカがアジアから軍事力を撤退していく、そういうことになると、むしろアジアに力の真空が起きるんではないかということが言われています。そのときに、アジアの諸国民は、この力の真空を埋めるのは日本ではないだろうか、日本の軍事力というのは年々増加している、たまたまアメリカの軍隊がアジアから撤退をする、力の真空が起きるから、それを間違いなく日本の軍事力で埋めることになるだろう、こういう見方を持っているわけです。そして、非常にこれに対して戦慄を覚えている。そういうアジア諸国民の考え方というものをどういうふうに長官としては理解されますか。
#92
○国務大臣(石川要三君) 私はこの連休を利用しまして東南アジア三カ国、豪州、タイ、マレーシアを歴訪してきたわけでありますが、特に長官になりましてから、一部アジアには日本の軍事大国化の懸念があるというようなことを私も耳にしておりましたので、直接自分で行って自分の耳で、目で確かめてみたい、こういうことが私の目的でございました。
 その三国を訪問したわけでございますが、それぞれの国の首相あるいは国防大臣等とじかにひざを交えてのいろんなお話をしてみると、それは外交辞令だと言えばそういうふうに解釈されないこともないかもしれませんけれども、私の直接会った感じではそのような日本の軍事大国化の懸念というものは私には感じられなかったわけでございます。
 ただ、帰ってみますると、日本へ帰ってくるといろいろとまた逆な新聞報道も目についたこともありますけれども、先般も、つい二、三日前でございましたが、豪州からエバンス外務・貿易大伍が訪れてまいりましたときにも、その当時のことを思い出しながらいろいろと話をしたわけでありますが、やはりその新聞の報道も、彼自身からいってもそれは誤報であるというようなことをコミットしておりました。
 いずれにしましても、私がじかに会った範囲ではそのようなことがない、このように確信をしたわけでございますけれども、しかし、そういうことはさらにこれからも注意深くそういう軍事大国化の懸念は持たれないようなことを、私どももできるだけそういう方々ともよくお話をして、また実行をしてその懸念を払拭しなければいけない、かように思っているわけであります。
#93
○山口哲夫君 時間がなくてこの問題詰められないのが非常に残念ですけれども、防衛庁長官がアジアの諸国を歴訪したときに、マレーシアの国防
大臣が日本の軍事力に危惧の念を抱いたという報道がされております。これは一般的に考えられることは、やはり日本のかつての軍事力ということをアジアの諸国民はみんな脅威を持って見ていたわけです。体験しているわけです。そういうことからいくと、このアジア・太平洋地域でアメリカ軍が撤退したら、少なくとも日本は軍拡路線をとっているのだからその真空状態を日本が埋めるだろう、そうするとアメリカが駐留するよりもむしろ恐ろしいという感じを持つのはこれは第二次世界大戦の実態からいっても当然のことだと思うんです。
 そうすると、アジア、太平洋の平和のイニシアチブを今握ろうとしている日本が当面するべきことは、軍縮路線をきちっととって、アジア諸国民に安心感を与えるということが一番大事な問題ではないか、私はそう思うんです。そういう意味で軍縮の方向をきちっと出すべきだ。
 だから、さっき言ったように次期防の計画というものは、二十三兆なんというふうに出ているけれども、とんでもない話なんであって、少なくとも世の中が今これだけ動いているわけですから、ここ二、三年の間にどうなるかわからないような状態、毎日毎日がもう動いているわけです。そういう中であえて次期防をやらなくたっていいんじゃないですか。何年間か待ったってその間防衛予算を組めないわけじゃないでしょう、そうでしょう。だから私は、国際情勢をきちっと把握して、その上に立って日本のこれからの防衛計画というものをつくっていくべきだ、改めるべきだ、そう考えたときには、しばらくの間この次期防の作成というものを待つことが一番日本としてとるべき正しい道である、そういうふうに考えるのであります。長官の御意見をお聞かせください。
#94
○国務大臣(石川要三君) 簡潔にお答えいたします。
 とにかくこの世の中の移り変わりというものは非常に目まぐるしいわけでございますので、そういう先生の御意見というものは御意見として私はきょうは十分にお聞きをさせていただいていきたい、かように思います。
#95
○山口哲夫君 ぜひ十分検討して、国家の方向の誤りなきようにしていただきたいとお願いをしておきます。
 さて、ソ連との間に私たちはやはり軍縮の方向をきちっとつくり上げていくためには、まず両国の信頼醸成措置というものをどうつくっていくかということだと思います。それで、アメリカのハンター大学のドナルド・ザゴリア教授、この方がこういう提案をしております。アジア諸国から日本が信頼されるためには、米・ソ・日・中の四カ国が手始めに防衛計画、防衛予算のデータを交換してみてはどうかと提案をしておりますけれども、どうお考えでしょうか。
#96
○政府委員(日吉章君) 我が国の場合で申し上げますと、御指摘の防衛政策とか防衛予算のデータ等につきましては、国会におきます御審議とか防衛白書等を通じまして既に詳細にわたり明らかにされているところでございます。米国におきましても同様のことであろうかと思います。したがいまして、ソ連や中国もこれらにつきまして、むしろソ連や中国の方から我が国と同程度のものをまず明らかにされることが前提ではなかろうか、かように考えております。
#97
○山口哲夫君 真剣にこの信頼醸成措置というものを考えるのであれば、こういう提案は私は素直に受けて防衛庁の中でもよく検討してみる必要はあるんではないかと思うんです。
 それで、ソ連がウラジオストクの海軍を見せようと日本に対して招待をしたけれども、日本はこれを拒否したことがあります。今、米ソはお互いに艦隊を見せ合っている時代です。そして信頼醸成措置というものをつくっているわけですけれども、自衛隊の演習にこれからソ連を招待する、そういう考え方はございますか。
#98
○政府委員(日吉章君) 昨年でしたでしょうか、ソ連の方から演習につきましての招待があったのは事実でございますが、委員ただいまおっしゃられましたように拒否をしたというようなものではございませんで、非常にショートノーチスに御案内をちょうだいいたしまして、かつ演習の内容等を見ますと非常に日時も短くかつそれほど密度の高い演習というふうには思えなかったものでございますので、私どもといたしましては日程を差し繰ってそれに参加するには値しないということで丁重に外交ルートを通じてお断りを申し上げた、こういうふうな次第でございます。
 なお、我が国について申し上げますと、例えば展示訓練それから観艦式というような形で一般的な訓練等は招待もし、あるいは公開をなされているというようなことでございまして、我々の方といたしましてはそういうふうな情報公開につきましてはソ連側よりも一歩も二歩も先んじているのではないか、かように考えております。
#99
○山口哲夫君 一歩も二歩も先んじているのであれば、せっかく招待を受けたら、何も期間的に間に合わないわけじゃないんです、行こうと思えば行ける。密度がどうのこうのなんて言っているけれども、そんなもの行ってみなきゃわからないことだ。本当に信頼醸成措置というものを考えるのであれば、積極的にそういうところには行くべきじゃないですか。観艦式に招待したってそんなもの招待のうちに入らないですよ、儀式に招待してみたところで。少なくとも日本が行う演習に対して招待をしなければ意味がないので、そういうものも招待できないというのであれば我が国は信頼醸成措置をつくろうとする意図は全くないというふうに判断せざるを得ないんです。今後訓練に招待いたしますか。
#100
○政府委員(日吉章君) 信頼醸成措置といいますものは非常に重要なことでございまして、私どもといたしましてはできる限りお互いに信頼醸成措置が講ぜられていくことが望ましいと思っておりますけれども、事ソ連との間には平和条約も締結されておりませんし、北方領土問題もありますことは御案内のとおりでございます。したがいまして、大きく外交問題一般の中でどのような形で信頭醸成措置を講じていくかということは、慎重に全体的な観点から配慮していくべき問題だと思います。
 なお、防衛庁におきます訓練というようなものは、訓練の性格から考えまして一般的に公開するというような性格のものでそもそもないものであるという点は十分御理解をいただきたいと思います。ただ、ある程度のものにつきましては公開し得るものもございますので、それらにつきましては既に一般に公開されているところでございます。
#101
○山口哲夫君 長官、米ソでさえお互いに招待し合っているわけでしょう。日本が訓練にも招待できない、北方領土があるから。北方領土の問題を解決しようと思えばなおさらのこと、ソ連と日本というのはもっと信頼醸成措置をつくらないでどうするんですか。もう国際的にそういう時代に入っているんでしょう。もうそれこそソ連軍がアメリカの飛行機に乗ってアメリカの基地を見て歩く、アメリカがソ連の飛行機に乗って見て歩く、オープンスカイズと言うんですか、そういう時代に入っているんです。日本だけがおくれているんですよ。だから、日本というのはかたくなに軍拡の方向をたどっているんだなと、アジアの諸国民からそういうふうに疑って見られるのは当然じゃないですか。どうですか、これからの日本の訓練についてはソ連も招待いたします、そういうふうに言い切れませんか、長官。
#102
○国務大臣(石川要三君) 先ほど来先生のいろいろと御質問、一貫して流れを拝見いたしまして何となく感じますことは、ソ連の最近の平和に対する歩みというものは確かに私どももそのとおりの方向に今進んでいることは事実でありますが、そうかといって何でもかんでも私どもがいわゆるすべての脅威的な、潜在的な脅威論が全くなくなっているかというふうになると、そこいらが私は非常に見解が異なるのではなかろうかなと、こういうふうに思うんです。
 そういうことから見て、今のお尋ねでございま
すが、先ほど日吉局長が言ったように、やはり日ソの信頼醸成というものは、これは必ずしも米ソとは完全に一致するものでもない面があると思うんです。ですから、そういう意味で私はこれからの日ソの信頼醸成というものにつきましては、やはり外交問題を中心にして総合的、全体的な立場でこれからいろいろと接触の中でお互いに努力を尽くしてそれをつくり出していく、こういうことではなかろうか、かように思っております。したがいまして、当面これから直ちに我が国のいろいろな艦隊のそういう訓練について招待するかどうかということは、私はそういう全体を見なければ判断はできない、かように思っております。
#103
○山口哲夫君 全体を見ているからこそ私はあえてそういう提案をしているわけです。もう国際的にそういう軍縮の時代に入って、オープンスカイズの時代に入って、信頼醸成をみんなつくっていこうじゃないか、その中でどんどん軍縮の方向をたどっていこうというふうに世界の流れはそっちの方向に大きく動いているんです。日本だけがそういう孤立的な考え方を持っていたんでは本当に日本はおくれをとってしまうと私は危惧するわけです。ですから、そういうことを十分判断してこれからもっと信頼醸成措置をとっていくべきだ。
 それから、くどいようですけれども、次期防についてはしばらくの間きちっと見合わせる、これはやっぱり長官、考えてくださいよ。そうでなかったら取り返しのつかないことになりますよ。なぜ来年つくらなきゃならないんですか。来年つくらなくたって、くどいようだけれども、防衛予算組めるわけでしょう。世界の情勢が大きく変わっているのに一年も二年も待てないなんてことにはならないと思う。待てるか、待てないのか、それだけでいいです、お答えください。
#104
○国務大臣(石川要三君) 先ほどその点について私は申し上げたと思いますが、ただ一点、それはもう時間が過ぎたことで、このごろの半年は昔の十年にも二十年にも当たると言えばそういう反論もあろうかと思いますけれども、少なくとも一昨年の十二月に安保会議でいろいろと検討した中でとりあえず現在設けてありますようなそういう形の、これが五年か三年かタームは別にしまして、そういういわゆる防衛力整備なんですから、そういう面でやはり一定の期間を持ったそういう計画整備というものは必要であろう、こういうことは一応合意に達しているわけであります。
 それがあるからということだけではありません。今の御説明、それから今日までの間の世界の情勢の変化というのは全くその当時には予想もできなかったような大きなものでございますから、それにあえて私はしがみつくこともどうかと思いますけれども、しかし事が防衛というもののあり方について単年度でいいかどうかということも十分検討しなきゃならないと思う。そういうものをひっくるめましてこれから安保会議でやるわけでありますが、きょうの先生の御意見は御意見として私も防衛庁長官として頭にとどめておきたい、こんな気持ちでございます。
#105
○山口哲夫君 防衛予算というのは単年度では問題があるようなことをおっしゃるけれども、私はずっと単年度でいけと言っているんじゃないんです。少なくともこういう世の中の移り変わりのときに二、三年も待てないというのはどういうことなんですかと言っているんで、それこそ大変な間違いを犯さないようにぜひ二、三年は待っていただきたいということを強く要請して、時間もあと二、三分しかないので残念ですけれども、最後の質問をいたします。
 「日米防衛協力のための指針」、ガイドライン、これはベトナム戦争の後、日米安保の不要論等の中から生まれてきたものだと思いますけれども、ソ連の脅威論というものを一〇〇%対象にしてつくってきたものがこのガイドラインだと思うわけであります。
 ただ、米ソの冷戦構造が終えんされたのだからそういう中では当然これは見直すべきだと思いますし、これに基づいて日米共同作戦要領というのが中曽根時代につくられております。あのときは米ソの関係が非常に緊迫の状態にあった時代だと思う。しかし、今は全然違う世の中になっているんで、少なくともこの日米共同作戦要領というものは手直しする時期に来ているんだと思いますけれども、手直しする意思があるかどうか、お伺いします。
#106
○政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。
 我が国は、自衛のための適正な規模の防衛力を保有するとともに、日米安保体制を堅持することによりまして、我が国に対する侵略を未然に防止することを防衛政策の基本としているわけでございまして、万一侵略が起こりました場合には、日米が共同してこれに対処し、早期にこれを排除することとしているわけでございます。「日米防衛協力のための指針」、いわゆるガイドラインは、この万一侵略が起こった場合におきます自衛隊と米軍の共同対処行動のあり方などを示したものでございまして、日米安保体制を安全保障政策の基調としている我が国としては、このような指針に基づきまして米国との間で日ごろからいろいろな研究をしていくということは重要なことと認識しております。
 ただいま委員御指摘の、日米共同作戦要領とおっしゃられましたのは日米共同作戦計画研究のことを指すのかと思いますが、その研究もそのような物の考え方で進めているものでございまして、私どもは日米安保体制というものを堅持する限りこれらの研究は重要だと考えておりまして、このことは国際情勢のいかんとは直接には関係がないと。世界におきまして攻撃的な武力あるいは武力というものが全く存在しなくなるということでない限り、このような研究は常日ごろからしておくべき事柄であろうと考えております。
#107
○山口哲夫君 ガイドラインというのはソ連脅威論から発している、一〇〇%ソ連脅威に対してどう対抗していくかというところから生まれてきたものでしょう。その情勢が、今までずっと論議していたように大きく変わったわけでしょう。そうすると、当然基本が変わったんですから、直すのは当然じゃないですか。そういう答弁というのは私は全然時代錯誤だと思うし、特にそれに基づいてつくられたこの作戦要領というものは、ソ連の侵略の意図というものがさっきから論議しているようになくなってきたわけですから、そうすると万一の場合を想定して日米でもってそういう作戦要領というものを残しておくこと自体が私は非常に不信感を持って見られると思う。
 これを発表もできないというのはどういうわけですか。よほど危ない内容が書かれているんですか。当然やっぱりそういうものは公表するべきだと思うんですけれども、公表する余地があるのか。それともう一つ、世の中の情勢が変化したことに伴って、ガイドラインとあわせて見直しをするべきだと思うけれども、もう一度、できれば長官に最後答えていただきたい。
#108
○政府委員(日吉章君) 防衛庁、自衛隊というものが一つの国の安全を守るための実力組織として認められている以上、万一侵略が起こった場合に最も効果的に対処する方法を研究する、さらには日米安保体制を堅持することによって日米共同対処することを我が国の防衛政策の基本としている以上、万一侵略が起こりました場合に、日米が共同して最も有効に対処し得る方策を研究するということは当然のことだと考えております。その際私どもは、かねがね申し上げておりますように、特定の国を仮想敵国としてそういうふうな研究をしているわけでは全くございません。
 その性格の関係上、事柄の内容上、その内容を具体的に明らかにするということは、ある意味では国の安全をつかさどる事柄についての手のうちを明らかにするというようなことにもなりますので、公表にはなじまないもの、かように考えております。
#109
○国務大臣(石川要三君) 今、日吉局長からの答弁は防衛局長という立場で申されましたけれども、私はこれは一つの大きな政治的な見解もあろうかと思います。
 私は、再三申し上げましたように、今確かに世
界の動きは先生が御指摘されているように大変いい方向に進んでいる、それもスピードも速い、量も多い、質的にも高い、こういう点では全く意見は一致しているわけであります。しかし幾らそういう方向に進んでいるといっても、くどいようでございますが、私どもから見るとやはり我が国にとってはいわゆるソ連の潜在的脅威というものはある。ただ、これが量的にも低くなりつつあることも事実でありましょう。しかし、これが全く脅威論がなくなってきたということではございませんので、そういう観点に立って私どもはやはり責任ある行動をしなければいけない、かように思っているわけでございます。そのことだけはひとつ御理解もいただきたい、かように思います。
#110
○委員長(板垣正君) 午後一時五分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ─────・─────
   午後一時五分開会
#111
○委員長(板垣正君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#112
○角田義一君 まず防衛庁長官にお尋ねいたしますけれども、今回の制度は御案内のとおり新しい制度でございますし、自衛隊の隊員の方の特別な立場ということを考えますとやむを得ない措置だと、新しい制度だなという気もいたしますが、消防署員であるとかあるいは警察官もある意味では命をかけてみずからの職務を全うするという任務にも携わっているわけでございます。したがいまして、自衛隊の皆さんにこういう制度を新たにつくる以上は、これはやはり国民の広い理解を得なければならない。そうでなければ制度定着は私はしないと思いますし、いろいろ御批判も出てくるだろうと思うのでございますが、まずその辺について長官の基本的なお立場と、それから国民の理解を得るためにどういう御努力を払うかということについて所信を承っておきたいと思います。
#113
○国務大臣(石川要三君) 今先生、この新しい制度についてはやむを得ない制度というような表現されましたけれども、私どもは決してやむを得ないことでやっとこの制度をつくったわけではないんで、自衛隊という特性から、いわゆる若年定年者ということから見て大変ほかの公務員と大きな格差がある、そういうこと、この不公平感といいますか、そういうものを埋めていくための実は画期的な一つの新しい制度だ、こういうふうに認識しているわけであります。
 ただ問題は、今先生がおっしゃったように、では実際に同じ災害に生命を賭して仕事をしている方々、そういう警察官とか消防署員とか、そういうような方々と本当に格差があるのかないのか、もしそれがあると大変なことになるわけでありまして、こういう点については十二分に国民にPRをして正しく理解をしてもらわなければならないのは当然であります。
 ただ、具体的にどうする、どういうことをするのかという、この具体的なことについて、じゃ何をすればいいのかということはこれだということは私はないと思います。あらゆる機会に今回のこの自衛官に対しましての新しい制度、これについてはできるだけ機会をとらえて国民の皆様によくお話をして理解をしてもらう、これ以外に私はないんじゃないかなと思う。特別にこれだとかあれだとか、こういうものは私はないんじゃないかな、こんなふうに思うのでございますが、もしこれが一番いい方法だと、これをやりなさいというような御提言でもあれば十二分に検討していきたい、かように思います。
#114
○角田義一君 私はこの制度を国民の皆さんに理解してもらうためにはやっぱり自衛隊の広報でしっかりとした理解を得るような努力をしていただきませんと、これは今私が申し上げたようないろいろな問題も含んでおるところでもございますし、これはまた議論もあるところです、はっきり申し上げて。そうなりますと、一層のことそういう意味でこの制度を私は理解してもらう広報活動が非常に大事だというふうに思いますので、これは長官に強くまずもって要望しておきたいというふうに思います。
 そこでお尋ねするんですが、こういう制度をつくらざるを得ないというにはそれ相当のやっぱり理由がなきゃならぬわけであります。したがって、自衛隊の若年で定年を迎えた方が実際にどういう就職先についておられるのか、あるいは再就職した場合の賃金の実態はどうなのかということをやはりある程度国民の前にはっきりさせてもらいませんと、これは私は理解は得られないというふうに思います。少しここで局長の方からでも結構ですから、実態をはっきりと明らかにしてくれませんか。
#115
○政府委員(畠山蕃君) 非任期制の自衛官が退職をいたしまして、主として五十三歳の若年で退職をするわけでございますが、そうした場合にほとんどの者が再就職をいたします。
 再就職でどういう職種かというお話でございますが、給仕、ビル管理等のサービス職に約二割、建設、生産等の現場作業職に二削弱、警備、守衛等の保安職にやはり二割弱、それから受付、伝票整理といった単純作業、あるいは外交員、セールスといったような職に合わせて二五%程度、そういったようなことでほとんどの者が現場作業的なものという感じの就職先でございます。
 それで、再就職賃金でございますが、私どもで六十三年度退職自衛官の生活実態調査ということで調査をいたしました結果によりますると、平均をいたしまして最終の在職時の給与の約四割、正確には四三%という再就職賃金の平均の実態でございます。
#116
○角田義一君 この給付金を得ることによって最終の賃金の大体どのぐらいのところまで補てんされるということになるのでございますか。
#117
○政府委員(畠山蕃君) 平均をいたしますと一年について本俸の六カ月分の給付金という計算になりまして、それに七年分ということでございますが、一年当たりで見ますると先ほどの再就職賃金約四割と、それから今の本俸の六カ月分でございますから年間にして半分でございますけれども、それは給与ベースに直しますと三三%程度になりますので、先ほどの再就職賃金約四割と合わせまして約七五%の水準になるということでございます。
#118
○角田義一君 まあ世間並み、ちょっといいぐらいかな、こんなものかなというようなところですけれどもね。
 そこで、これは十月一日から実施したいということですけれども、最終的には七年後に全部完成してくるわけですけれども、逐年どのぐらいの予算を予定しているんですか。
#119
○政府委員(畠山蕃君) 平成二年度予算額は御承知のとおり十三億五千万円を計上させていただいておりますが、ただいまの現在での見積もりによりますと三年度に八十億円、四年度に古五十億円、五年度に三百五十億円、六年度に四百五十億円、七年度に五百五十億円という数字になっております。
#120
○角田義一君 そうしますと、この制度が最終的に円滑に全部経過措置を終えてフルに稼働するというか動き出すと、大体年間五百五十億ということになるんでしょうか。
#121
○政府委員(畠山蕃君) 現在の価格で計算して大体五百五十ないし平成八年度になりますと六百億程度にはなるかと思いますが、それは退職人数の見積もりとの関係にもよりますので多少の振れはございますけれども、アバウトに申しますとおおむね平準化するのが六百億円程度というふうに御理解いただきたいと思います。
#122
○角田義一君 これは長官にお尋ねするんですけれども、この新しい制度ができて最終的には大体年間六百億円ぐらいになる、これはいわば広い意味での軍事費というか防衛費の中に算入をするお考えですか。それともそれは別枠でやるつもりなのか。一%というこの精神があるわけですから、
私どもは守れ守れと言っておるけれども、あなた方は精神精神と言っていて議論がちょっと違うんだけれども、いずれにしても一%以内に閉じ込めるというか、それが一つの目標になっているわけですから、やっぱりその中に入るのか入らないのか、この六百億は。入れるのか入れないのか。
#123
○国務大臣(石川要三君) まず、この経費六百億、概算ですね、につきましてはこれはいわゆる防衛費の中に含まれる、こういう見解でございます。それでいいですか。
#124
○角田義一君 含まれるということでいいですね。含まれるという形で今後も計算していく。わかりました。
 そこで、先ほど山口委員からちょっとお尋ねがございましたんですけれども、この防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の提案理由説明の中に、四ページですか、第四というところで「若年定年退職者給付金の追給」という制度があるわけですね。大体見てわかるんですけれども、ちょっとこれを説明してくれませんか。
#125
○政府委員(畠山蕃君) 退職の翌年の所得が高い場合にはこの給付金の額がフルに支給されずに減額調整を受けたりあるいは支給を全く受けないというケースが出てまいります。その場合に、退職翌年一年間の所得をもって判定いたしますものですから、実態といたしましてその後賃金が下がるというケースも考えられるわけでございまして、それを六十歳になった時点で振り返りまして平均給与を出した上でそれの平均と給付金プラス再就職賃金との多寡を比較いたしまして、それを超えていないということが判明いたしますると、既に減額調整を受けた分にはまさに若年定年からくる不利益を補ったことにならないものですから、そこを実質的に確保する意味でその足らない分を追給するという形にしております。
#126
○角田義一君 そうしますと、先ほどこれは議論になったところで、足らないときはいろいろ計算して後から支給してまあまあのさっき言った全部の七五%ぐらいのところへ持ってくるわけでしょう。ところが片っ方で、退職して三年、四年たって収入がふえたときには一切それはもう別に返してもらわないと。法律の制度とするとやっぱりそれは片手落ちだというそしりを私は免れないと思います。現実にあるということと、それから制度としてそういう場合に返してもらうと――失礼失礼、現実にそういうことは余りないんですよとあなた方はおっしゃるわけだ。蓋然性はないですよ、ないですよと言っておるけれども、しかし法というものはそういうものじゃないと思いますね。
 やはり法というものは、こういうふうに超えた場合には返してもらいますよと。あるかないかはこれは別です。そうでないと、片っ方は後からもらうけれども、うんともらった方は全然返さぬでもいいということは、ある意味では悪平等のそしりを免れないんじゃないか。これはやはりこの法律の一つの欠陥と言っていいかどうか、不備と言っていいかわからぬが、私は要は検討すべき大きな課題として残っていると思います。まだこれは相変わらず残っていると思います。どうですか。
#127
○政府委員(畠山蕃君) 実は立法の過程あるいはそれ以前の制度を仕組む場合に、我々といたしましてもその点については十分に検討もさしていただきました。しかしながら、先ほど山口先生の方にもお答えを申し上げましたとおり、まず第一に、この趣旨といたしまして、再就職賃金と給付金を加えても平均的には七五%水準でございますから相当の自己努力を要する形になっております。そこで、その再就職賃金が今平均で四割というようなところでございますので、その再就職賃金を少しでも上げようという自己努力を奨励する意味からも、もし仮にそれを少しでもオーバーすることが自後にわかった場合に返せという話になりますと、再就職時点におきます自己努力を否定することにつながりかねない。それからまた、さらに言えば企業側でもそういうことを理由として再就職賃金を低く抑えるという傾向にならざるを得ない面も出てくるということからいたしまして、そこは自己努力の範囲内ということで返還の方は求めないというふうに割り切ったものでございます。
 他方、御指摘のとおり退職翌年の再就職賃金が高くて減額調整受けた場合については、これはその後再就職賃金が下がったりあるいは失職したりというようなことは間々あることでもございますし、そういうことで実質的に若年定年退職者の不利益が解消されないということではまずいということからそこは振り返って追給という形の補てんをするという形で、一見非常にアンバランスのように見えるかもしれませんけれども、そこのところは実態及びそういう制度の趣旨ということを勘案いたしまして私どもはそういう形に割り切ったわけでございます。
#128
○角田義一君 必ずしも私の胸にすとんと落ちません。落ちないです。したがって、もしもそういう制度をあなた方の方であくまでも維持するということであれば、やはり一つにはこれからこれずっと制度は生きていくわけですけれども、再就職後の所得を、再就職の条件をよくするという努力をどうしていくかという問題。それから、それを一方でやる中で、今は六カ月ということになっていますけれども、そういう努力が積み重なって、そしてその実態がかなりいい賃金になってきているということであればやっぱり六カ月というものを下げるとか、そういうことはある程度考えてもらわないと、一遍制度ができちゃったからこれでもって永久にいっちまえばいいんだというような安易な考えでいてもらうとこれは私は容易でないと思いますよ。いかがですか。
#129
○政府委員(畠山蕃君) 現在の中高年者の再就職の労働市場が急激に変わるということは余り考えられないとは思いますが、確かに委員御指摘のとおり、そこが仮に再就職賃金が四割ではなくて上昇する、著しく上がってくるというようなことになりますると、これは今本俸の六カ月分ということで対応しておりますところの給付金制度について当然検討し見直すときがある、そういう事態になれば見直すことになろうかと思います。
#130
○角田義一君 ちょっとここで話題を変えますが、自治省から来てもらっていますのでちょっと自治省に先に質問しておきますが、昭和六十一年、一九八六年に地方公務員等共済組合法の改正があったわけでありますが、そのとき警察官や消防職員の年金の早期受給の特例措置というものは段階的に引き上げる、こういう改正がされているわけなんですけれども、二つのことをお尋ねしたいと思うんです。
 一つは、この地方公務員等共済組合法の法律改正をする前に、法案提出前に地方公務員共済組合審議会及び社会保障制度審議会にまず諮ったか諮らないかということについてお尋ねしておきたい。
#131
○説明員(石井隆一君) 御説明申し上げます。
 昭和六十一年の地方公務員等共済組合法の改正に際しましては、警察、消防職員の年金支給開始年齢の引き上げに関します事項を他の主な改正事項とあわせまして昭和六十年二月二十八日に地方公務員共済組合審議会に対して諮問を行っております。
#132
○角田義一君 これは諮問を行った理由といいましょうか法的な根拠、それから実態、両面について御説明していただけますか、なぜ諮問を行ったか。
#133
○説明員(石井隆一君) 諮問の理由につきましては、地方公務員等共済組合法第百二十二条に、制度の改正等の重要事項につきましては審議会に諮問するようにという規定がございまして、この趣旨に基づきまして諮問をいたしたわけでございます。
#134
○角田義一君 自治省の方は結横でございます。終わりました。
 そこで、今度の制度なんですけれども、この中の附則の四はやはり国家公務員等共済組合法の一部改正というものを含んでいるわけです。となりますと、これは当然国家公務員等共済組合法百十一条によりまして、私は国家公務員等共済組合審
議会、これにやはりかけなきゃいけないと思うんです。この法律を国会に出す前にかけなきゃいけないと思うんですが、まず一つ事実関係を聞いておきたいのは、かけてあるかかけてないかということ。
#135
○説明員(乾文男君) 事実関係を申し上げますと、国家公務員等共済組合審議会にはこのことだけについてはお諮りしてございません。
#136
○角田義一君 今度はこっちの局長に聞きます。なぜかけなかったんですか。
#137
○説明員(乾文男君) 国家公務員等共済組合審議会は私ども大蔵省が、大蔵大臣の諮問機関でございますので私の方からお答えさせていただきます。
 今回の審議をお願いしております法案の附則の中で共済年金制度の自衛官に関する部分の支給開始年齢繰り上げ支給についての改正もお願いしてございますけれども、これは本来共済年金制度と申しますのは社会保険制度ということでございまして、事業主たる国、それから組合員たる国家公務員、双方が費用を折半していわゆる社会保険方式で行っている制度でございまして、その内容は基本的に厚生年金等他の社会保険と同機でございます。
 こうした社会保険の仕組みの中で、自衛隊という一部の職域についてその自衛隊の精強性という政策上の、人事上の要請からくる問題をこの年金制度の中で処理することは本来社会保険の仕組みからいえば適当ではないと言えるわけでございますけれども、これまで他のそのような措置がとられてこなかったために当面の措置として共済年金制度の中で自衛官の特例というものを設けていたわけでございます。
 委員十分御案内のように、一般の国家公務員につきましては支給開始年齢は原則六十歳、それから繰り上げ支給は原則廃止ということになっているわけでございまして、今回の防衛庁の法案によりまして先ほど申し上げましたその人事政策上の要請のところが手当てされましたので、その結果反射的に国家公務員の共済年金制度の本来的な姿に戻ったわけでございまして、その意味で我々はこれは特に政策的な判断を改めて要する問題じゃないと考えまして改めて国共審にお諮りすることはいたしておりません。
#138
○角田義一君 これはあなたとここで大激諭してもしようがないんだ、大蔵大臣に本当は来てもらいたいぐらいだからね。まあしようがない、きょうは別のあれに行っているんだから。
 これはやっぱり制度の根幹に触れる重大な問題だと私は思っておるんです、新たな制度をつくり上げるわけだから。しかも、自衛隊の方も今度は六十歳になってから共済年金を全部受けるということになるわけですからね。これも政策的な判断がないからとかいって審議会にかけないというのはまずおかしいと思うんです。歴史的に言って、昭和三十四年に現在の共済年金制度にいろいろ移行する、年金と恩給統合のときだってこれは大激論になっておるわけですよ、自衛隊をどうするかという問題は。
 自衛隊の精強性を維持するためにという必要性と、それから職員の老後の心配をどうするか、これは非常に政策的な大激論をすべきことなんであって、私ははっきり申し上げるけれども、手続を急ぐ余り肝心な手順というものを今回踏むのを忘れているんじゃないかなというふうに思うんです。これはやはりこれだけの問題である以上、丁寧な手順を踏むのが私は筋だと思うがどうですか。これはこちらに聞いてもしようがないな、防衛庁に聞くのが筋だろう。
#139
○政府委員(畠山蕃君) 今、大蔵省の乾課長の方から答弁申し上げましたような考え方で、私どもそういう了解のもとにかける必要がないということから判断をいたしまして今度かけていないということでございまして、決して忘れたとか手続を無視したといったようなことではございません。
#140
○角田義一君 この辺は水かけ論になるんだけれども、僕は、これはちょっとうがった見方かもしれないけれども、余りこれがいろいろ国民的な議論になるということを避けているんじゃないかなという気がするんですよ、審議会にかけて。そうじゃないんですか、それがほんまじゃないですか。
#141
○政府委員(畠山蕃君) 先ほどいみじくも委員最初に御指摘いただきましたように、この制度は国民に周知徹底を図ることが必要だとさえ我々も思っておるところでございまして、これを国民に周知させないためにそういうところを隠したとか、そういうことは全くございません。
#142
○角田義一君 それなら私は言いたいんだよ。やっぱり手続をちゃんと踏んでそれは審議会にかけるべきだというふうに思うんです。
 もっと聞きましょうか。これは社会保障制度審議会にかけていますか、この問題を。
#143
○政府委員(畠山蕃君) かけておりません。
#144
○角田義一君 社会保障制度審議会設置法の二条の二項にはこうなっておるんですよ。「内閣総理大臣及び関係各大臣は、社会保障に関する企画、立法又は運営の大綱に関しては、あらかじめ、審議会の意見を求めなければならない。」となっているんです。これはまさに自衛隊員の社会保障の問題ですよ、老後の問題なんだから。となれば、それに対する新しい立法なんだから、社会保障制度審議会設置法の趣旨からいえば社会保障制度審議会にかけなきゃいかぬです、どうですか。
#145
○政府委員(畠山蕃君) 社会保障制度審議会設置法には今御指摘のとおり記されております。
 ただ、私どもの今度御提案申し上げております制度は、その提案してつくろうという制度の方はこれは社会保障制度ではございませんで、特別の給付金ということで一般公務員の定年対若年定年の間の不利益をどうやって埋めるかという特別の対策でございます。その制度ができる結果として反射的に今までいわば社会保障制度の一環と言える共済年金制度をかりてきた、その部分について支給が重複する関係でそれらを本則というか本来の姿に戻すということでございますので、そこに新たな特別の政策判断があったというわけではないということからかけないでもよいという判断に立ったものと思います。
#146
○角田義一君 それは前のいろいろの国会決議もあって、自衛隊の職員については特別ないろいろな措置をしなきゃならぬということになっています。しかし、どういう措置をしなきゃならぬということは国会決議は何も決めていないんです。これは今後のいろいろな審議会なりいろいろな機関なりの討議にゆだねておるわけです。まさにその結果として今度の制度が出てきているわけだ。私はこれはやっぱり社会保障制度の一つだと思っているんですよ。じゃ、あなたは社会保障的な面というのは全くないと思いますか。自衛隊員の若年定年後の生活保障をどうするかという問題でしょう、はっきり言えば。これはやっぱり新しい立法ですよ。当然新しい立法でかけなきゃいかぬですよ。
#147
○政府委員(畠山蕃君) 社会保障という言葉の意味をどう理解するかでございますけれども、社会保障というのはやはり老後の生活保障ということでございまして、私どもが現在提案申し上げておりますのは、いわば一般公務員であれば六十歳まで働ける、その期間において若年で定年を迎えざるを得ない、その間の不利益を是正しようという政策的配慮から出てくるものでございまして、これを社会保障という形には私どもは必ずしも理解していないということです。
#148
○角田義一君 四〇%の収入じゃ食っていけないからその上に乗っけて何しろ七五%ぐらいまで持っていこう、あるいは八〇%ぐらいまで持っていこうというんでしょう。(「社会保障ですよ」と呼ぶ者あり)まさにそれは社会保障ですよ、今ちょっとお話があったとおり。
 私が言っているのは、防衛庁長官に聞きたいんですけれども、こういう重要な制度というものはきちっとした手順をやっぱり踏むということですよ。どうも私は、後から聞きますけれども、防衛庁というのは昔で言えば別格官幣社だ、聖域である。あなた方国民は余りがたがた言うな、どうも
こういう潜在的なあれがあるのはしようがないんだ。これはちゃんと社会保障の審議会にかける、あるいは共済の審議会にかける。むだなように思うけれども、手順はきちっきちっと踏んでいく、これがやっぱり、ああそうか、自衛隊もちゃんとした手続を踏んでいくんだなと国民の信頼を得る糧になるんですよ。日本社会党が政権とればそういうふうにしますよ。ちゃんと手順をきちっきちっとやっていきます。どうですか。これは僕は長官に聞きたいんです。手順をきちっきちっとやっていくということです。
#149
○国務大臣(石川要三君) 今回の件につきまして手続上の瑕疵があったかということにつきましては、今局長から答弁をいたしましたように、十二分に検討した上でしかるべきとるべき措置はきちんととってきた、私はこういうふうに認識をしております。ただ、当然やるべきことをあえてそういうふうにやることは、これはもう許されないわけでありますから、きちんとやらなければいけないと思います。
 それから、ついで、まあついでと言っちゃ大変失礼ですが、どうも防衛庁についてのそういう御懸念というのは非常に多い。これはやはりある程度は防衛庁という性格、軍事秘密とか防衛秘密とか、そういうものがかなり多様に含まれておりますので、どうしてもそういうふうに見られがちであることは事実だと思います。
 しかし、何でもかんでもオープンにしていいかというと、そういうものじゃありません。そこの分岐点が極めて難しいことであって、やはり開かれた今日の自由社会でありますから、自慢をいささかさせていただくならば、午前中山口先生からいろんな御質問がありましたように、やはりソビエトあるいは中国のような社会主義国家に比べればもちろんのこと、他の国に比べても我が国の防衛白書が、それは間違っているとか間違っていないとかこれは見解のいろいろと分かれるところがあるかもしれませんけれども、例えば自衛艦の艦数、どういう種類のものという細部にわたってのそういうことについての公表は私は我が国の自衛隊が現実に一番やっているんじゃないかな、こういうふうに思います。ですから、あえてそういうことを隠しているわけじゃありませんけれども、性格的にはどの辺が分岐点になるかということが一つの大きな問題ではないか、こんなふうに思っております。
#150
○角田義一君 私はこれはこれ以上もう、またほかの同僚委員からも御質問あるかと思いますからやりませんけれども、まずぴんときたのは、両審議会、共済それから社会保障審議会、こういうものにやっぱり丁寧にかけるべきだ。十月一日から何しろやりたいからというような形で、焦ってというか、拙速じゃないかという印象を持っておるんです。あえて欠陥とは言いませんけれども、欠陥と言うと言葉はきつくなるけれども、手順はもうちょっときちっきちっとやるべきだということを再度、これは答えは要りませんけれども、申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、そこで掛金の問題がいろいろこれから問題になってくるわけなんですが、六十歳から最終的には共済年金に移っていくわけですから、掛金の問題が問題なんでちょっと聞きますけれども、平準保険料率という言葉がありますが、平準保険料率というのはどういう概念ですか。
#151
○政府委員(畠山蕃君) 平準保険料率といいますのは、一般に拠出原則に基づく年金制度では年金受給権の取得のためには一定期間の保険料拠出を必要とするため、制度発足後しばらくの間は受給者が発生せず、一定期間経過後初めて受給者があらわれ、以後次第に増大するという過程をとるものですから、したがって給付費も時間とともに増大していくことになるわけで、この増大する給付費を時間の経過と無関係にほぼ一定の水準を保つような拠出水準で賄うように計画するときに、この拠出水準を平準保険料率と言うことのようでございます。
#152
○角田義一君 大体わかりました。だけれども、その平準保険料率をそのまま適用したらえらいことになるんで、実際は実行保険料率という形でやられていると思うんですが、それでいいですか。
#153
○政府委員(畠山蕃君) そのとおりでございます。
#154
○角田義一君 そうしますと、八九年の十月に保険料率が改定になっておるはずでありますが、御案内のとおり任期制自衛官とそれから非任期制自衛官、それから自衛官以外の一般のいわゆる組合員、共済組合員、この三つがあると思うんです。その場合の八九年十月の時点で、私がお聞きしたいのは、任期制自衛官の平準保険料率は幾らであったか、それから非任期制自衛官の平準保険料率は幾らであったか、自衛官以外の一般の組合員の平準保険料率は幾らであったか、この三つについて数字を挙げて説明してくれますか。
#155
○政府委員(畠山蕃君) 平成元年十月の改定でございますが、任期制自衛官の平準保険料率は百四・一五、非任期制自衛官の平準保険料率は二百三十三・二〇、それから一般組合員の平準保険料率は二百八・三九でございます。
#156
○角田義一君 その八九年十月に改定された各単位、今言った任期制それから非任期制、一般、この場合の実行保険料率は幾らですか。
#157
○政府委員(畠山蕃君) 任期制自衛官が百四・四、非任期制自衛官が百六十八・〇、一般組合員が百五十二・〇でございます。いずれも千分比でございます。
#158
○角田義一君 その際、そうなりますと、本人分の負担でもいいんですが、各単位ごとの実行保険料率の引き上げ率は幾らずつになっていますか。
#159
○説明員(乾文男君) 今たまたま私の方からお答えさせていただきますが、引き上げの幅でよろしゅうございましょうか。
#160
○角田義一君 そうです、引き上げ率です。
#161
○説明員(乾文男君) 引き上げの幅は、一般公務員につきましては千分比で千分の三十八、それから非任期制の自衛官につきましては千分の二十二・四、それから任期制の自衛官につきましては千分の三十八でございます。
#162
○角田義一君 これは実際はどこで決定されるのですか。
#163
○説明員(乾文男君) 国家公務員の共済掛金の決定の仕組みを簡単に御説明いたしますと、まず掛金は五年ごとに再計算を行って決定することといたしておるわけでございますけれども、計算の方式につきましては大蔵大臣が定める方法によって国家公務員等共済組合連合会において所定の計算を行い、それによりまして共済連合会の運営審議会の議を経た上で、このように連合会の定款改正を行いたいということで大蔵大臣に定款の変更の承認申請が上がってまいり、それを大蔵大臣が承認するという形で掛金の変更が行われるわけでございます。
#164
○角田義一君 大蔵省、結構です。
 防衛庁にちょっとお尋ねしますけれども、今数字を出していただきまして見ますと、やはり非任期制自衛官の方々の場合は保険料率の上げ幅というのが任期制自衛官に比べると低いのですよ、上げ幅が低い。これは将来的にどういうことになってきましょうかね。任期制自衛官の場合はほとんど最初、恐らく二、三年しかいない、あるいは三、四年でやめてしまいますけれども、掛けたお金というのはずっと運用されていくわけです。ところが、非任期制の方はそうはいかないという中でいろいろアンバラが出てくるわけです。一口に言うと、任期制の方々のある程度の犠牲の上に立って非任期制の方々が賄われているというような傾向が数字的にはあるのじゃないかというふうに思いますので、将来自衛隊員の年金制度、将来構想というか、この辺をやっぱり考えておいてもらわないといかぬじゃないかというふうに思うのですけれども、いかがですか。それに、将来展望はありますか。
#165
○政府委員(畠山蕃君) 御承知のとおり現在公的年金の一元化という問題がございます。そうしますと、給付と負担の両面において制度が統一された形になるということが望ましいわけでございまして、現在その途上にあるものですから、できる
限りこの負担のところについて一般公務員、一般組合員に近づけるといいましょうか、一つの統一された形に近づける方向で実行上保険料率を定めるという傾向にございます。やがてこれがどういう形になるかということについては確たることを現段階で申し上げられませんけれども、恐らく一元化という方向へ向かって今後とも進んでいく、したがって給付、負担両方ともが大体同じようなことになるというようなふうに考えております。
#166
○角田義一君 これは将来展望として負担の平等ということをやはり自衛隊内部でも真剣に考えてもらわないといけないのじゃないかという気が私はいたしますので、強く要望をしておきたいと思います。
 時間がありませんので、次の問題に移らせていただきますが、防衛本庁の庁舎などの移転の計画についてちょっとお尋ねをいたします。
 まず、この移転の計画といいましょうか、実際どういう状況に今日まできているかということです。ちょっとその概要を説明していただけましょうか、簡単でいいですよ、時間かかるから。
#167
○政府委員(村田直昭君) 防衛庁本庁庁舎の移転計画でございますけれども、防衛庁本庁等のいわゆる防衛中枢でございますが、その所在する檜町地区周辺の商業地化が進んでいるということから、国土の有効利用の観点ということで、檜町地区から市ケ谷地区に移転させる、これに伴いまして首都及びその近郊の防衛施設の再配置を図るものでございます。
 これの予算の関係でございますけれども、施設整備につきましては昭和六十三年度から着手しておりまして、同年度の予算におきましては市ケ谷、十条、目黒、大宮、朝霞、霞ケ浦の六地区に係る調査工事費及び基本設計費を計上し、また平成元年度予算においては、同六地区に係る環境調査費並びに大宮、朝霞及び霞ケ浦の三地区に係る実施設計費を計上したところでございます。
 なお、平成二年度の予算におきましては市ケ谷、十条及び目黒の三地区に係る実施設計費並びに市ケ谷、目黒、大宮、朝霞、霞ケ浦の五地区に係る工事費を計上しておるという段階でございます。
#168
○角田義一君 もっと大ざっぱでいいですよ。これ今言った玉突きで全部移すでしょう。どのぐらい金かかるんですか、アバウトで。
#169
○政府委員(村田直昭君) 額でございますか。
#170
○角田義一君 金額。
#171
○政府委員(村田直昭君) お答えいたします。
 大体、この計画が約八年計画でございますが、当初見積もりました六十三年度の段階でおおむね約三千億円というふうに考えています。
#172
○角田義一君 この三千億円はどうやって捻出するんですか、土地を売ってつくるんですか。
#173
○政府委員(村田直昭君) 本計画は特別会計で行っておりまして、これに必要な経費は檜町地区、六本木地区の跡地を処分する収入によって賄うことと考えております。
#174
○角田義一君 八十九億かけてつくった中央指揮所はどうなりますか。
#175
○政府委員(村田直昭君) 中央指揮所につきましてはいろいろ検討をいたしたわけでございますけれども、この施設がその性格上本来防衛本庁庁舎と一体としてあることが必然的に不可欠でございますので、この跡地処分の際にはこれを取り壊す予定にしています。
 なお、八十九億という庁舎の費用と先生申されましたが、実際にかかりましたのは、ちょっと今手元に資料ございませんが、通信関係の経費がありまして、四十数億じゃなかったかと思いますけれども、建物の費用は四十数億と承知しております。
#176
○角田義一君 その通信だってみんな壊すんでしょう。また使うんですか。新しくつくるんでしょう。
#177
○政府委員(村田直昭君) 通信関係の施設は耐用命数等がございますから、これが移転が行われますのはこれから六、七年後の話でございますから、それまでは使用し、その間に新しく機材がなったものについては機材をかえていくということでございます。
#178
○角田義一君 それにしても何十億という金がむだになっちゃうわけですよ。そういうことは普通の官庁じゃとても考えられないんです。だから僕は長官に言うんです。防衛庁というのは、おれのところは別格官幣社だと、八十九億かけたやつをすぐまたぶっ壊して移せばいいというようなことを安易にやられてもらっちゃ困りますよ、どうですか。そんなこと普通通らないですよ。
#179
○国務大臣(石川要三君) 各省庁のそういう移転の内容につきましては私は熟知しておりませんので、そういうような例から見て我が防衛庁がいわゆる聖域化しているというふうなことは私にはわかりません。わかりませんけれども、ただ、この檜町からの移転につきましては、確かに私も今の中央指揮所ですか、大変なお金がかかっているということも聞いておりますし、こういうものをまた壊すのももったいないなというふうな感じも実はないわけではございませんけれども、いろいろと内容をさらによくお聞きをしてみますると、これは全体のやはりそういう移転計画の中では多少どこかはそういうものもあろうかと思います。
 先生御存じかもしれませんが、全体のあそこの建物というのはかなり老朽でございます。そういうようなことから見ると、トータルから見ると私はやはりこの計画というものは実行すべきではなかろうかな、こういうふうに思います。部分的に見るといろいろと意見は多少はあることも事実でございますが、やはりトータル的に考えてみた場合には必要ではなかろうかな、こういうふうに思っています。
#180
○角田義一君 資料をもらってみて僕はたまげたんだけれども、市ケ谷にできる建物を見ますと、庁舎Aというのは地上十九階だ、それから庁舎B、C1、C2、D、Eとあって、全部八階とか十階とかすごい建物ができる。特にたまげたのは地下四階地上十九階、これは新大本営ですな、新大本営ができるわけです、あそこへ。つくろうというわけだ。
 そこで、ちょっと聞きますけれども、旧大本営の地下ごう、あるいは歴史的な建物であります極東裁判が行われた講堂、こういうものは一体どうなるんですか。
#181
○政府委員(村田直昭君) 現在のところ、歴史的に由緒あるいはゆえんがある施設についてはできるだけ残置する考えでありますが、建物の配置計画上残置することが非常に困難なものについては取り壊さざるを得ないと考えております。
 お尋ねの地下どうや大講堂の取り扱いでございますけれども、現時点で確定しているわけではございませんが、昭和六十三年度予算において実施した基本設計におきましては、地下ごうについては一部を残置する、大講堂については配置計画上取り壊さざるを得ないということで計画しております。
 いずれにしましても、市ケ谷地区におけるこれらの取り扱いについては、今後、実施設計が行われる予定になっておりますので、これらの結果を踏まえて決定していきたいと考えております。
#182
○角田義一君 私は基本的には、市ケ谷にでっかい新大本営を、地上十九階のやつを建てる理由がわからないんです。これだけデタントになって、幸いにして戦後四十五年間戦争がなくきたのに、これからいい時代がまた来ようというときに、十九階をおっ建てて、さらにまた五つも六つも建物を建てて、はっきり言ってこれは戦争の準備ですよ。やらなければならぬという合理性が私には理解できないんだけれども、それはあなたに聞いてもしようがないからいいです。
 極東裁判というのはいわば日本が裁かれたわけです。それは極東裁判についていろいろ議論はありますよ。ありますけれども、勝者が敗者を裁いたとかなんとかと言うけれども、しかしやっぱりあれは侵略戦争だったという指弾を世界から受けたわけです。その歴史的な建物を取り壊しちゃって、全部なくしちゃって、きれいさっぱりしちゃって、それで新しい十九階のものをおっ建てて、
朝鮮、中国、東南アジアの人たちはどう思いますか。日本人は全部また過去を忘れて新しいものをおっ建てていよいよ東南アジアへ来るかと、こういうふうに思われたってしようがない。そういうところまであなた方は配慮してこういう計画を立てているかどうかということなんです、僕の聞きたいのは。
#183
○政府委員(村田直昭君) 今先生お尋ねの極東裁判の跡のいわゆる講堂でございますけれども、講堂につきましては、先ほど御説明したように、次に建てる建物との関係上どうしても取り壊さざるを得ないということで取り壊すことを今予定しているわけでございますけれども、同時に、先生の言われる趣旨が入っておるかどうかはともかくとしまして、そういうことが行われたという史実、あるいはそういう建物のミニチュアというようなものをつくって保存するとか、いろいろな格好でそれを伝えていくということは我々も考えておるわけでございます。ただ、建物の構造上、あそこを残して新しい建物を建てるというわけにはいかないということで、取り壊さざるを得ないというのが今の段階でございます。
#184
○角田義一君 私はパールハーバーというところへは行ったことはないんだけれども、人の話によると、パールハーバーでは日本の奇襲作戦によって攻撃を受けた戦艦が今でも海の中にひんぐり返って、ひんぐり返ってという言葉は悪いけれども、ひんぐり返って残っているわけだ。それで、アメリカ人はこれを見て、忘れるなと、リメンバーパールハーバーで、来年は五十年ですよ。片一方はそうやって日本に侵略されたことを忘れるなと。今日米友好とは言っておきながらこういうものは絶対残しておくわけだ、ここを忘れちゃだめだよというんでやっておるわけだ。
 歴史的な建物、これはやっぱり非常にいろいろな意味で価値があるわけですよ。そんなミニチュアモデルをつくったってどうにもならぬ。もしも本当にやる気があるのなら、それはどうしても何だったら明治村へでも持っていきなさいよ、そのまま持っていきなさいよ、明治村でもどこでも。それで、これはここでもって日本がかって裁かれたことがあるんだということをやっぱりちゃんと子供たちに見せなきゃいかぬですよ。それが歴史教育なんだ。そういう発想が防衛庁にないからいろいろなことを言われるんだ。長官のこれは政治判断、あなたの政治判断をちょっと聞きたい。そういうものにあなたは価値を認めますか認めませんか。
#185
○国務大臣(石川要三君) この計画は私が就任する前に実は決定されているわけでありまして、予算化されておるわけでありますが、ただ問題は、それと今の質疑応答の中でも感じましたことは、やはりああいう極東裁判が行われたその一つの歴史的な場所、この歴史的な価値観、これからの平和に対するこういうものが必要であるという意味も含めてそういうものを残すことが大変必要であるという、そういうことについてはこれは先生の意見も私はわからないことはない、非常によくわかるんですけれども、ただ反面、全体の計画とするとどうしてもこれを取り外さなければならないという面もあるわけであります。
 ただ問題は、それはさてこちらへおきまして、いささか先ほど来の先生の御発言を聞いておりまして、どうもやはり防衛庁も常にそういうふうに何かかたくなな姿勢だと言いながらも、先生の御質問の中にも何か防衛庁は建物をつくって戦争でも始めるんだというような、これはちょっと私はそういうことは全く事実認識が誤っているんじゃなかろうか。戦争をするためのこれは新しい防衛庁の建物をつくるわけじゃありませんので、この点はひとつ御認識を改めていただきたい、こんなふうな感じもするわけでございます。
 それから、十九階云々というんですけれども、これは土地の高騰、土地の貴重な時代に限れば、多少は高さを高くしてやる方が私は土地の本当の効率的な利用ではなかろうかなと、こんな見解を持っております。
#186
○角田義一君 時間がないので惜しいんでもったいないんだが、もうちょっとこれ、何しろすぐぶっ壊しちゃだめだよ、あなた。大事なものだから、これは簡単にぶっ壊してもらっちゃ困りますよ。よく慎重に考えてもらわなければこれはえらいことになる、はっきり申し上げておくけれども。それが一つ。
 もう一つ、朝霞の問題をちょっと聞いておきましょう。
 朝霞の留保地がありますな。朝霞の留保地は、私は、これは基地が返ってきてまた基地になるということは基本的には間違っていると思っているんです。論議ちょっと省略しちゃうけれども、要するにあの留保地は本来自衛隊が使えないんじゃないかと僕は思っているんです、あれは必要性、緊急性という両方からいっても。例えば、はっきり言いますけれども、ごみの焼却場であるとか公園であるとかあるいは下水道であるとか、本来そういうものにあれは活用されるべきものなのであって、自衛隊の施設としてあの留保地は使えないんじゃないかと僕は思っているんですけれども、どうですか。答申からいったら、いかがですか。
#187
○政府委員(村田直昭君) その前に、自衛隊が朝霞の留保地を使用したいという理由をまず御説明した後で今のことにお答えしたいと思います。
 防衛庁としましては、朝霞地区にある留保地のうち、朝霞駐屯地と訓練場に狭まれた留保地、キャンプ朝霞返還国有地の南地区でございますけれども、これの所管がえを希望しているわけでございます。これは、留保地が朝霞駐屯地と訓練場の間に狭まれていることから訓練等の面で不便であり、留保地が駐屯地及び訓練場と一体として使用できれば一層有効活用が図れるというのが第一点でございます。また第二点として、大規模災害時における増援部隊の集結、救援活動支援等のための機能を果たすためにも必要であるということ、さらに、お尋ねの本移転計画により、朝霞地区に現在所在する部隊等に加え新たに市ケ谷地区等から東京方面総監部等の部隊が再配置されることになりますので、このため所要の地積を必要とすること、こういうことから防衛庁としては所管がえをお願いしておるということでございます。
 そこで、先生お尋ねの件は、留保地の使用について国有財産中央審議会の答申が出ているんじゃないかということでお尋ねかと思いますが、その答申の中に、「留保地の利用要望がある場合は個別に検討し、必要性及び緊急性があると認められるものについては、留保地を利用することもやむを得ない」というふうにたしか規定されておるというふうに理解しておりまして、その必要性、緊急性の部分につきましては、その二項の(2)の@、アというところでございますが、「当該計画を認めなければ、」「国家的需要への対応に支障を来す場合。」というふうな答申があって、そこに従って、これは判断はまた別途審議会の判断を仰がなきゃなりませんけれども、私どもとしてはこの計画のお願いをしておるわけでございます。
#188
○角田義一君 私は二時一分までだからあと少ししかないんだからね。要するに、まだ地方審議会にもかかっていないんですよ。さっきから僕は言っているんだが、自衛隊というのは、防衛庁というのはまだ昔の統帥権のあれから抜けていないんじゃないかと思う。要するに、普通だったらちゃんと審議会にかけて順を追ってやらなきゃこれはえらいことになるんだ。審議会なんか全部、今の若者の言葉で言えばシカトだ、無視だ。そんなものは無視しちゃってどんどん計画だけ先に立てていっちゃっているんですよ、現に。これは移ることを前提にしてやっているんだもの、そんなことは許されない。
#189
○政府委員(村田直昭君) 私どもはこの計画を昭和六十三年度から進めておるわけでございますけれども、その時点において当該留保地を利用するという計画を立てまして、関係のところと御相談をし、もちろんこの前提として同地方審議会の了解が得られること、それから地元の了解が得られることということが前提となりまして計画を作成してきたということでございます。
 したがいまして、留保地の使用についてのまだ
決定を見ていないのは事実でございますけれども、埼玉県あるいは関係三市から先般五月二十五日、その利用はやむを得ないということで御了解をいただいておりますので、近々審議会に諮るということになっております。それで、審議会にまだ諮っておりませんので、朝霞の留保地にかかわるいろんな、先ほど予算を申し上げました環境調査費あるいは調査工事費については執行を留保しておる、まだ執行していないということでございます。できるだけ早く審議会を開いていただいて、その所管がえについて審議会の御了解を得たいと考えております。
#190
○角田義一君 最後に一つだけ。
 執行を留保するのは当然のことだよ、私に言わせれば。第一、予算を組んで、朝霞に行くことを前提にいろいろなことを進めるというのが昔の統帥権とちっとも変わらないような体質があるということなんだ、体質が。それじゃだめだ。もっとちゃんと手順を踏んで、民主国家なら民主国家のようなやり方で自衛隊というものが生きていかなかったらやはり私は国民の信頼が得られないということははっきり申し上げて質問を終わります。以上。
#191
○大城眞順君 法案の内容につきましては我が党の同僚の田村委員にお任せするといたしまして、昨今特に沖縄の米軍基地問題がクローズアップされる中でございますので、私は沖縄県選出の者といたしまして、今日までの論点とは違った観点から質問を展開してみたいと思います。
 まず、先般も出ておりましたけれども、平成元年十一月に調査いたしました「沖縄県民の意識に関する世論調査」の中で、特に米軍基地問題に対する県民の認識についてのアンケートの結果が出ておるわけでございまして、そしてまた自衛隊に対するその必要性、これについてもアンケートの結果が出ております。ここで大変おもしろいというのか、あるいは興味をそそるというのか大変関心の持てる結果が出ております。
 自衛隊にしろ米軍基地にしろ日本の安全にとって必要であるか否か、設問は全く同じであります。結果は全く逆であります。米軍基地は必要かというものに対して必要ではないと答えたのが六〇・七%、自衛隊は必要かというものに対して必要であるというのが五六・七%。同じ国を守るのに必要であるかどうかについて全く逆の数字が出ておりますけれども、これについての長官の分析、お考え方はいかがなものでしょうか、お伺いいたします。
#192
○国務大臣(石川要三君) 今の数字を見まして率直に感じますことは、米軍の基地の必要性についての要らないあるいは危険である、こういうアンケートが六〇・七%、これは非常に大きい。この原因はどこにあるんだろうか。これは理由を発見することはなかなか難しいと思いますけれども、その中の一つにはやはり沖縄に全在日米軍の施設の七五%、これが私は一つの原因であろうと思います。
 それからもう一つは、私も自民党の国防部会や何かで先生が本当に声を震わせて沖縄の米軍のいろんな、県民の感情を無視するような、逆なでするような、いろいろなマナーの悪いことやあるいは多少の事件、これをとらえて自民党のそういう部会の中で声を震わせて力説しておりましたことを常に私も非常に関心を持って見ていたわけでありますが、まさにそういうことも私は大きな原因である。
 ですから、同じ国防、同じ国を守る米軍と我が自衛隊は混同されやすいんですね。ところが、片方はこういう数字が出て片方はこういう数字、全く私はそういうふうに思っているわけでございまして、大いにこれからも米軍に対しては、これでは何のために日本を守っているのかということも声を大にして私はやっていかなきゃいけないな、こんなふうな感じがすると同時に、我が自衛隊もますます大いに努力をして励み、信頼をさらにかち得るように一層の努力も期待したい、こんなふうに思っております。
#193
○大城眞順君 この件について外務省の見解をお聞きしたいと思います。なぜ違うのか。
#194
○説明員(時野谷敦君) ただいま大臣もお述べになりましたところに尽きているかというふうに私も考えます。この世論調査の結果がどういうところに起因するものであるかという点は必ずしも明確ではございませんが、ただいま大臣がお述べになりましたところにあえてつけ加えるならば、最近の国際情勢は全体としては対立から協調へというふうに流れておるというようなこともあるいはこの世論調査の背景にあろうかというふうに考えます。
 そういう次第でございますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましても今後とも施設、区域の存在、それから米軍の活動に伴って生じますところの影響、こういうものが最小限にとどめられまして、地域の方々との関係が円滑に保てるようにそういう面での努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
#195
○大城眞順君 設問は日本の安全のためにという設問なんです、必要であるかないか。防衛庁長官の御答弁は私もそのとおりだと思います。
 外務省、ちょっとニュアンスが違いますよ。これはやっぱり設問は国防ということではあるけれども、国防の任に当たっている米軍と自衛隊のマナーとかビヘービアが余りにも違い過ぎて、そして演習その他の訓練、基地からくる事件事故が余り多過ぎて、沖縄県民の生命、財産に大変な危険を及ぼしているという、国防の根本的な認識よりも、むしろアメリカは危険な存在だ、自衛隊はいいんだというようなことにも通ずる一つの空気が私はそこに流れておると思うんです。この辺は十二分に今後とも分析をしていただきたい。同じ国を守るというものに対して全く逆な答えが出ているわけですから、その辺をもう少し分析もし、調査もしていただきたいと思います。
 既に次の質問に対して防衛庁長官は先に走っておられた感がいたしますけれども、先般の中川嘉美委員の質問に対してもお答えになっておりますし、あるいは衆参関係委員会で、なぜ米軍基地の不要論または拒否反応が六〇・七%もあるか。これは現時点で私はもっとこの数字が上がると思います。去年来の全県民で反対している恩納村におけるいわゆる都市型ゲリラ戦闘訓練の問題に関してやった場合に、これは去年の十一月時点の調査ですから、あれからこの問題が起こってきているわけですから、まだ数字は上がると思いますよ。
 まあそれはそれとして、この理由についておおむね次の三点に絞られるのではないか、防衛庁長官のお答えは。今さっきもおっしゃったように、在日米軍基地が占用基地の七五%も沖縄に集中いたしまして偏在している、こういう事実。そしてもう一つは米軍、集団または個人個人のマナーあるいはまたビヘービア、こういったのがもう全然なっておらぬ。これは場合によってはどこかに占領意識がまだ残っておるのではないかというように感じられるわけです。三番目に文化・風俗の違い、いろいろこれからくるパーセプションギャップとよく使われておりますけれども、こういったことがおおむね防衛庁長官のなぜ拒否反応があるかということに対する答弁ではなかろうかと思いますが、そのとおりですか、おおむねですから。
#196
○国務大臣(石川要三君) 大体そういうふうに思っております。
#197
○大城眞順君 これは大事な問題でございますので、外務省は防衛庁長官のこのような御答弁に対してどういう御見解を持っておられますか、同じようなお考えですか、それとも違いますか。
#198
○説明員(時野谷敦君) ただいま防衛庁長官がお述べになりました要因が先生御指摘の世論調査の背景にあるものと私どもも考えます。
#199
○大城眞順君 それでこの問題を、答弁に対するこれからどうするかということについて御質問申し上げるわけでございますけれども、午前中来いろいろと御質問ございました。東西の冷戦構造の終えん、あるいはまた米ソの軍事力の削減・縮小とか、あるいはソ連脅威論のトーンダウンなどが昨今言われておる一方で、アジアは欧州とは違うんだ、地政学的にもそうだし、現にまたソ連の軍
事力も削減されてはいないんじゃないか。こう見ますと、安全保障上の危険性はまだ残っておるという意見もまた一方にはあるわけであります。
 その中にあって、外務省も防衛庁も安全保障条約の堅持発展論の側に立っておられると思いますけれども、それはそうとして、世界的にやはり一般論として緊張から和解の方向に進んでおるのは否めない事実でありますし、そうであればあるほどこの安全保障に対する認識、理解というものを国民から得るのでなければならないし、そのためには大変な私は努力が必要だと思うのです。
 私が言わんとするところは、そういった緊張から和解へどんどん進んでいく中において、安保は必要だよ、基地は必要だよ、自衛隊は必要だよ、この認識を持たしていくためには今までの倍以上の努力が必要なんです。先ほど来のいろいろの論議からいたしましても、逆に皆さんの努力を倍加してくるんですね。皆さんよく、沖縄の基地問題が出ますと、県民の協力、御理解を得てという一点張りの返事でございますけれども、御理解いただきたいと繰り返してみましても、やはりそれに行動が伴わなければ人間というものは理解できるものではないんです。これはもう生活にかかわっている、特に沖縄米軍基地の場合に時々命にかかわるようなことも起こってくる。そういうことを考えた場合には、ただ御理解いただきたいというだけではちょっと前に進まぬじゃないかと私は考えております。
 それでお尋ねいたしますけれども、防衛庁長官は繰り返し、防衛は国民の理解が前提である、こうおっしゃっております。沖縄県民も、先ほど申し上げましたように基地に対するネガティブな姿勢にどんどん変わってきておりますし、理解を得るということは大変な努力が必要ですけれども、この理解を得るためにどんなことを今日までやってきたか、あるいはこれからどういった施策を持って、今長官が答弁としてお述べになられたこの三つのファクターに対してどういった施策をこれからとろうとしているのか、これについてお伺いいたします。
#200
○国務大臣(石川要三君) 細かい点は施設庁長官からまた答弁あろうと思いますが、今の質問に対して、じゃ何を具体的にやるか、こういうことでございますが、これ非常に難しいと思うんです、はっきり申し上げまして。今先生は三つばかりに理由を整理されました。その一つをとってみれば、いわゆる集中排除が必要なわけですね。集中排除できるかといったら、私はこれは、世の中に不可能ということはないのかあるのか知りませんが、いずれにしても大変不可能に近いことだ、こういうふうに認識しております。でありますから、そうであるならば、いわゆる代案と言うとおかしいんですけれども、せめてかわる何ができるかといったら、まずはそれの答えが出ると思いますが、やはりできるだけ早く施設を返還するとか、そういうことに最善の努力をすることが目先の具体的の一つの行動ではないかな、こんなふうに思います。
 あとはマナーとか言語、これはもう言語、文化の違いなどというのは埋められないわけでありますから、あとはマナーなんですけれども、これもなかなか大変。ただ一言先生に、これは参考になるかと思いますが、同じ米軍基地を持って、私の選挙区にもあるんですが、今ほとんどないんです。非常に融和がうまくいっているんです。そういう事件がないんですね。どうして沖縄だけにああいうふうにあるのかというのが私のまだちょっと究明できない点でありますが、そういう点にも今後大いに検討をすべきではなかろうかな、こんなふうに思います。
#201
○大城眞順君 外務省は特効薬持っていらっしゃいますか。
#202
○説明員(時野谷敦君) 安保条約を今後とも堅持すべきであるというふうに私ども考えておる次第でございますが、その点につきましては、先ほど先生がお述べになりましたように、現在の国際情勢、そういうものにかんがみますと、依然として不確実性なり不可測性なり、そういうものが伴うということでございまして、そういう考慮もあり、私どもは安保条約を堅持していくということで、国民の皆様にもその点を御理解いただきたいということで努力をいたしておるつもりでございます。
 そういう国民の皆様一般に対する御説明ということを離れて、沖縄県民の方々に、先ほど先生が御指摘になりましたような要因との関連で外務省としてどういうことを、どういう点に力を入れていくかという点について申し上げれば、不幸にして事故が起こります場合、こういうものの処理に当たって、なるべく迅速にかつ効果的な問題の解決に外務省としても今後とも努力をするということが当然要請されていることだと思います。また、沖縄県民の方々の生の声を直接外務省としても承知して対応していくということがこれまた重要だと思いますので、そういう意味で北米局には地位協定課という新しい課を設けてそういう面での努力を強化するということも行っている次第でございますし、ことし四月からは外務省の職員を沖縄県に出向させる、こういう措置もまた講じた次第でございます。そういうことで努力を続けさせていただきたいというふうに考えております。
#203
○大城眞順君 防衛庁長官は現実的に今処理しようとする、例えば基地の不要なもの、あるいは県民にとってこれからの経済社会の発展のために必要なところは返してもらおうという積極論。ああいったものは幾ら聞いてもわからないんですよ。生の声を聞いてと、何の生の声を聞く。もう聞き飽きていますよ。逆に、外務省の皆さんの生の声を聞きたい。大体においてこういった重要なときに北米局長ぐらい出さぬでどうするんですか、はっきり言って。皆さん言うたでしょう、外務大臣にかわってどんな責任ある答弁でもやりますと言いながら、今の答弁なんですか、はっきり言って。もっと具体的にあるべきだと思うんです。
 一応伺いましたけれども、私は今までのところ、これからは別ですよ、今までのところ、逆に県民の感情を逆なでするような、理解どころの話じゃない、協力とかの話じゃない、逆なでしてくる、このような方向で今まで進んできたと思うんです、どんどん逆なでをしてくる。きょうはその二、三の例を皆さんに申し上げてみます。理解を得るどころの話じゃない。これで安保はどうなるかわかりませんよ、沖縄は七五%基地を担いでいるわけですから。
 その第一点は、この前も参議院の沖特委で答弁ございましたけれども、政府はいわゆる軍用地が開放された場合、返還された場合に原状回復までの補償はしますけれども、その跡地利用までの補償はしません、それについては政府の権利でもなければ義務でもない、知ったことじゃない、このようなことをおっしゃっております。これは冗談じゃないと僕は言いたいんです、大体において。一応はこれについてもう一遍確認したいと思います。そうなんですか、政府は、外務省も防衛庁も、原状回復までは政府が責任持つけれども、跡地利用まではわかりません、これですか。もう一度。
#204
○政府委員(松本宗和君) お答え申し上げます。
 私ども提供施設、区域につきまして、これは民有地を借り上げまして提供しております場合には……
#205
○大城眞順君 確認だけですよ、前に言ったんですよ、それは。
#206
○政府委員(松本宗和君) 不要になって返還いたします場合には、賃貸借契約の当事者といたしまして、先ほど先生がおっしゃいましたように補償の点につきましては原状回復までの補償をするというのが防衛施設庁の賃貸借契約の当事者としての建前でございます。
#207
○大城眞順君 その辺が沖縄県民を逆なでしたんです、皆さんは。
 ということは、本土他県にある米軍基地のいわゆる接収のプロセスと申しましょうか、米軍基地の存在のいわゆる発生源というものと沖縄は全然違うんですよ。戦争にやられて二十数万の生命、財産、全部消失した。沖縄県民全部が一家族であ
ります。そして、二十七カ年里子に出された。異民族の支配であります。今なおかつ七五%の米軍基地を持たされておる。勝手ほうだいにとってきた基地なんですよ。地位協定も勝手に沖縄県民と相談しなくて、復帰したから適用しただけの話。米軍はいいところ全部とって、そのまま四十五年が経過いたしておるわけです。
 翻って、本土他県の米軍基地を見てください。かつて日本軍の使った場所を使っているでしょう。ほとんどと言っていいぐらい個人の土地は接収していない。沖縄はほとんど個人の土地の接収です。そうであるならば、もう少し――政令よりも先に法律直すんだったら直すで結構です。原状を回復したならば、跡地を利用して価値が出るまでは相当の期間がある、どうしますか、これ。勝手ほうだいに戦争を沖縄でして、勝手ほうだい二十七カ年里子に預けて、勝手ほうだいに七五%基地を押しつけて、本土と同じような法律で、原状回復以後は面倒見ません。これが政治ですか。その辺ですよ、逆なでして、理解どころの話じゃない、はっきり申し上げまして。
 そうしますと、この七五%の基地の継続というものはこれからいつまで続くのかわかりませんけれども、原状回復の後は、いろいろと三次振計との関係も出てくる、これからまた新しい段階として基地の返還が出てきておる、そういった中で関係省庁が協議会やらあるいはプロジェクトチームをつくってその間の面倒を見よう、その間はどうするのか、その計画やらあるいは制度的にバックアップしていこうという、そういった気持ちはないんですか、あるんですか。後はもうわかりませんですか。原状回復すれば、ペンペン草が生えようがどうしようが、政府としての考えは何もそこまで及ぼす必要はないとおっしゃるんですか。これは両省庁からお願いします。
#208
○国務大臣(石川要三君) 今の大城委員の御発言の内容について、私ども全く同感するところは多といたします。ただ、それでは問題の具体的な解決を、今ここに施設庁長官あるいは外務省の方がおりますが、この方では私は解決できないと思います。これはもう極めて高度な政治問題になると思います。でありますから、私個人の問題でも解決できません。言うならば、総理を含めて、七五%のいわゆるたくさんある、偏在といいますか、そういう沖縄県の実態の中からの問題点として、政治的な問題点としてこれを取り組んで解決しなければ不可能に近いと私は思っております。
 そういう点で、きょう私はやるとかやらないとか、これはここでは言えませんけれども、今後も大城先生、ぜひひとつそういう角度でもまた政治的な活躍をこれからも私は先生にも御期待したい、こんなふうに思います。
 それからもう一点、反論するようで失礼ですけれども、その内容の、例えば返還した跡地の補償関係の問題と、この米軍の存在はかえって危険だという問題のアンケートと果たしてダイレクトな問題かどうか。確かに影響はあるでしょうけれども、それはちょっと異質なものだと思うんですね、問題は。それはやはり違う要素があると思うんです。そういうものも含めまして検討もしていきたいし、またぜひ先生にもそういう角度でこれからも大いに今までのような以上のひとつ政治的な働きを私は先生にも御期待を申し上げる次第でございます。
#209
○大城眞順君 外務省一言。一言で結構です。
#210
○説明員(時野谷敦君) 私、制度的なことにつきましてお答えする用意がございませんが、先生御指摘の点は重要な問題でございますので、私どもも関係省庁と御相談をしつつ適切に対応してまいりたいというふうに考えます。
#211
○大城眞順君 確かにこの問題は政府全体を網羅してやらぬといけない問題だ。国の責任において戦争をし、国の責任において四十五カ年間も沖縄をこういった形にした。こんな沖縄にだれがしたと本当に言いたいんです。国でしょう。政府でしょう。そして今度は、土地が返還されたならば原状回復までは、更地にして返します、後はわかりません。長官、少なくともこれはもう大きな問題です。すぐはお答えになれないし、またする必要もないと思いますけれども、ただそこでぽつんと切って、後は知らぬ存ぜぬでいいのかどうかということ、ここをもう一遍聞きたいんです。何かあるべきでしょう、そこには、政府として。他県の土地の接収のプロセスとは全然違うんですよ。ぽつんと切って、そこからはわかりませんでいいのかどうか。
#212
○国務大臣(石川要三君) ぽつんと切っちゃっていいのかどうかという問題、これはなかなか難しい問題であるかと思います。クールに考えると、さっき施設庁長官が言ったように契約というクールなことから見れば、これは制度的にはもうこれ以上やはりできないという答えになると思うんです。ただ問題は、何でそういうところにあんなたくさんの施設が来て、しかも我々がそれに協力してきた。それで終わった、はい返されました、ぽつん。こういうことはもう制度の中では考えられないことでありますから、そういうことで考えていかなければならない。ただその場合に、全員が本当にそういうふうに、全部の土地が――その場所によっても、それから返還された内容によっても随分違ってくる場合もあるんじゃないかという推察もできるわけですね。
 それから、そういったことをやった場合に、じゃ北海道はどうなのかとか、そのほかはどうなのかということもあるかもしれません。しかし、いずれにしましても総合的な角度の中で、いわゆる七五%集中しているこの沖縄県の県民感情から見てこれをどうするかという大きな政治的な問題として、特に総理が先頭に立ってこれは頭を使って努力をしないと、私どもも一緒になってやらないと解決できない、こんなふうに思います。
#213
○大城眞順君 長官、与党同士ではありますけれども、今長官は僕をますます逆なでしていますよ。北海道の例――私は先ほど前提を申し上げたでしょう。沖縄のは米軍が勝手にとった土地なんです。本土他県の米軍基地と全然違うんです。戦争をさせて、二十五カ年もアメリカに勝手ほうだいにさせて、それを沖縄県民と相談もしない地位協定でがんじがらめにしておって、これが返されていったら、原状回復まではやりましょう、更地まで、後はわかりません、本当にこれが通るのか通らぬのか、その辺を私は聞いておるんですよ。感情の問題じゃないでしょう、沖縄県民の感情の問題じゃ。それが政府としての良心として許すのかどうか。
#214
○国務大臣(石川要三君) 先ほどちょっと北海道の例を出して、その点が事実とかなり内容が、認識が違っていると思いますから、そういう点は取り消しますけれども、いずれにしましてもとにかく大きな政治問題で解決しなければできない、これだけは再三繰り返してこれからもやっていきたいと思います。
#215
○大城眞順君 わかりました。これはそこに何かがなければいけないし、何かをやらないと結局沖縄は虐げられた県民としてそのまま滅んでいくしかないですよ、国の発展の犠牲になって、安保の犠牲になって。大変なことだと思うんです。真剣にあれだけ県民が、政府が力を入れても県民が七五%の所得しかない。期せずして基地も七五%、所得も七五%、こういった格好になっておりますけれども、この問題については私が国会議員である限り続けていきますから、命のある限り。これはただでは許しません。
 これはいわゆるアンケートに対する長官の答弁、それとは関係ないんじゃないかと、こうおっしゃっておりますが、少し関係ありますよ。ただ、国民の理解なくして国防なしとずっとおっしゃってきていますから、理解するどころかこういうふうなことをやるから、こういうふうなことを言うからますます逆なでされた、あしらわれたという形で激高してくるんです。もっと何かがなくちゃいかぬ。三次振計の中でこういった土地の利用を考えていかぬといかぬなということであればいいんですけれども、ぶっきらぼうに、原状回復までした後はわかりません、これが今までの答えでしょう。そこを県民は怒っているんです。だか
ら、理解どころか逆の方向にどんどん行っているんです。
 次の件。県議会や市町村議会が他県に比べて何倍も何十倍も東京参りをします。基地で何かが起こった、大変なことになっている、要請をする、抗議をする。これを何かマンネリ化してあしらった形で政府は対応しておるんです。県議会といえば県民の意思決定機関ですよ。しかも、全会一致で来た要請とか抗議、決議に対しまして課長、係長であしらって帰す。これが真実の姿なんです。
 地方交付税の中で基礎需要額の中の算定にその旅費は入っているのかどうかわからぬが、恐らく入ってないと思いますよ。むだな金を使わせながら、血も涙もないような形で理解をお願いしたい、理解をお願いしたい、これではお願いしたいといっても人間として理解できるはずないです。そうでしょう。もっと、場合によっては大臣、そうでなくても局長級ぐらいで、時には慰めも必要でしょう、励ましも必要でしょう、時には口論も必要でしょう。どうせ毎度のことだから課長、係長で対応して帰しなさい、これが真実。もう煮えくり返って帰ってくるんですよ、市町村の議会、県議会は。ますます火に油を注いでいる。これが理解を求める行動ですか。これについてどうお考えですか。今後誠意を持ってこういった住民代表とお会いするあれがありますか、お答え願います。
#216
○政府委員(松本宗和君) 事実の問題でございますので私の方からお答えさせていただきますが、沖縄に関します基地問題につきまして地元の方から再々陳情にお見えいただいております。私自身もたびたびお会いいたしましてお話を伺い、またその際、できることであればおこたえもしておるところでございますが、いずれにいたしましても御要望に従いましてできるだけ責任者に会っていただけるようにということを心がけております。
 しかしながら、やはりいろいろと忙しいものでございますから、場合によっては御期待に沿えない場合もございます。ひとつ今後ともできるだけ御希望に沿うように努めてまいりますが、その辺のところは御了承を賜りたいと思います。
#217
○大城眞順君 こういった方々は本当に耐えがたさを耐え切れずに、忍びがたきを忍び切れずに県民の代表として来るんだから、しかも平和、安全というものを我々は国会で論議をしております。安保の中の七五%を担がされた沖縄県民がそうした問題を持ってきたときに、むしろ大臣なんか私が会いましょうというぐらいのあれを持たないと、安保は崩れていきますよ、日本の安全も脅かされますよ、はっきり申し上げまして。
 もっと本当は私は言いたいんです、沖縄の犠牲がいかに悲惨なものであるかということを。みんな高まくらして寝られておるでしょうけれども、その平和の中にどのぐらいの血と涙の犠牲があるか、これがまさに沖縄に集中しているかということを絶えずその心に持ってやってください。そうしたら平和になりますよ。そうでない、こういった形で逆なでするようなことがあってはならないと思います。
 それで、この問題の最後ですけれども、バードンシェアリングとありますね。簡単に、何ですか、バードンシェアリングとは。
#218
○説明員(時野谷敦君) 最近特に日米間で使われておりますところのバードンシェアリングの意味合いは、国際的な諸問題に対する責任を日米あるいはその他友邦同盟諸国で分かち合っていこうという意味でバードンシェアリングという言葉が使われております。
#219
○大城眞順君 バードンシェアリング、まあいろいろ負担を分かち合おうということだと思うんです、そのままの言葉から言うならば。これについてもいろいろと深入りしたいわけですけれども、これは日米間でしょう。国内間のバードンシェアリングもあっていいんじゃないですか。何で七五%沖縄だけ、他県にも土地は幾らでもあるでしょう。沖縄でなくちゃならないというようなものもあるかもしれませんけれども、その陸海空のあるいはその機能の種類によって、東京であってもいいしあるいはほかの、他の県にあってもいいでしょう。
 こういった国内的なバードンシェアリングというものをお考えになったことがありますか。御理解願います、県民の皆さん御理解願います、負担を担いでください、犠牲を担いでください、いつまでもこれで通しますか。国内のバードンシェアリングはどうしたんですか。しかもそれがとっぴに戦後降ってわいたようなものじゃないし、二十五カ年間もアメリカの政権下にあり、その前は戦争をやって、いつまでもバードンシェアリングはこれは一方的ですか、一方通行ですか、その辺の御見解をお願いします。
#220
○政府委員(松本宗和君) 確かに御指摘のように沖縄には米軍占用施設が全国の七五%ございます。私どもこれにつきましては、その七五%を少しでも減らすという意味合いにおきまして現在も整備統合に努力しておるわけでございますが、何分この沖縄に所在いたします施設、区域は沖縄県内に駐留しております米軍が使用しておるものでございまして、県外に移設するということは私どもといたしましては困難ではなかろうかと思料しております。
 部隊の配備につきましては、これは米軍の運用の問題でございますので、当庁といたしましてちょっとコメントいたしかねますので、御容赦願います。
#221
○大城眞順君 沖縄におる米軍が使うから沖縄でなくちゃならないと。その米軍をどこかに移せばいいじゃない。そうしたら向こうで使うでしょう、演習場でも何でも。絶対できないというそんなあれはないでしょう。何でですか、それは。何で絶対に陸軍が沖縄にいなくちゃならないのか。ある程度おるにしても、ほかに分けられぬのか。何で日本の国防というものを沖縄だけで担がなくちゃならぬのか。もちろん僕は安保賛成派ですよ。もう少し苦しみも繁栄も一緒に担いでいこうじゃないですか。これが本当のバードンシェアリングですよ。
 沖縄の兵隊が使うから仕方がない。そうするんだったら隠さずに、何で――今度のいわゆるこれから返還されるであろうというふうに推測されている部分でもわずか二万五千ヘクタールの三・四%でしょう。これで大きな顔しちゃだめですよ。もっと沖縄のこれから二十一世紀に向けての繁栄の基礎になるようなプロジェクトをはめるなら、この基地は返還してもらわなくちゃならぬというものを政府がアドバイスをしてつくってやるところに本当の返還の意義があるんじゃないですか。だから、それを逃げて原状回復しかできませんと言うから怒るんですよ、沖縄県民は。そうでしょう。
 じゃ、もう一回聞きますけれども、バードンシェアリングは国内に関する限りなくてもいいということですか。一言で、イエスかノーか。バードンシェアリングは国内ではなくてもいい、イエスかノーかでいいですよ、簡単な問題です。
#222
○国務大臣(石川要三君) 先ほど先生の質問の中に、ちょっと私申し上げました三つの理由を挙げられまして、その一番最初の、やはり本当ならば七五%をもう少し均等に分けるとかそういう分散、これは私はもうほとんど不可能だということを申し上げたのは、やはりバードンシェアリングというのは、先ほども言ったように日米の防衛分担というような言葉に最近使われているわけでありますから、そういう中で、私は素人かもしれませんけれども、要するにアメリカの極東のいわゆる軍事戦略といいますか、そういう戦略、戦術の上から見て沖縄にある程度集中化されているのが一つの理由。
 それからもう一つは、やはり沖縄が戦争のときに一時占領されたという、そういう過去の経緯があるわけでありまして、それから復帰されたわけでありますから、そういうことから見て米軍が、先生の言葉をかりればもういや応なしに基地をつくった、こういうような過去の経緯がある。今日、じゃそれを分散できるかといったら、それをどこかに持っていくのに受け入れられるところが
あるかといったら、私はないと思うんです。そういうようなことから今日のようなことが厳然として存在していると思うんです。であるから、そういうものも前提として、いろいろと今御発言のことを政治的にどう解決するかということがこれからの残されている問題ではないかな、私はこんなふうに思います。
#223
○大城眞順君 今の長官の答弁もよくわかります、物理的に見まして。それじゃどうするか、未来に向かって、将来に向かって沖縄をどうするんだという発想がなければならないんです。
 その発想の議論についてはこの次に譲るといたしまして、最後に、事前通告制度と申しましょうか、通知制度、これはうまくいっているのかどうか。訓練をする、あるいは原子力潜水艦が入ってくる、B52がやってくる、あるいは砲弾射撃訓練をする、いろいろありますけれども、米軍からの事前通告があるようですけれども、この内容はどうなっておるのか。私は、皆さんは内容を十分に把握しないで、ただ向こうが必要だからやりましょうということで非常にマンネリ化しておるのじゃないかなという感じがするんです。
 というのは、非常におもしろいんですが、五月の十七日と二十三日、ホワイトピーチにガードフィッシュ、いわゆるパーミット級攻撃型原子力潜水艦が入ってきました。これまではいつものいわゆるルーチンの寄港かと思った。そうしたら、今度は二十七日午前八時に接岸して六時間後には出港していった。十一日間に三回寄港した。この種の潜水艦は、専門家に言わせると四十五日から六十日ぐらい潜ったままで平気なんだ、一回補給すれば、一回休養すれば。それが事前通告が休養であり、補給であり、維持である。同じものです。二、三日前に来たものが四十五日分を二、三日で食べてしまうわけないでしょう。切れましたからとりに米ました、あるいは忘れ物をしたからとりに来ましたでは、これはちょっとおかしいんじゃないですか。しかし通告は同じなんです、休養、補給、維持。これはおかしいですよ、幾ら考えても。十一日間に三回も、しかも四十五日分、六十日分も物資を積める、あるいはしっかりと休養すればそのぐらいは耐えられるという、専門家の間では。二、三日置きに来たんじゃ、それは周囲の住民というのはいぶかりますよ。
 これで復帰後五十四回、通算百九回、中にはトマホークを積むことができるという原子力潜水艦もどんどん入っているわけです。それで、運用上という言葉があります。運用上という通告は何ですか。これは期せずして二月ですから、米韓のチームスピリットの訓練と関係があったのかどうか。
 それともう一つは、B52の話。グアムに台風があって飛んでさますよと通告したら、一日先に来たんです。グアムから三時間ですよ、普通の飛行機でも。ましてやB52はすぐ飛んでこられるでしょう。急に天候が変わるわけはない。あした来ますよと通告したらきょう来たんです、二十四時間先に。こんな事前通告があるんですかね。
 私はいろいろと間接的に聞きますと、慣習化して、別に制度的になっていないけれども、やはり県民のそういった安全にかかわる問題の場合には向こうから誠意を持って通告してくるというんですけれども、はいそうですかと言うだけで終わっているのか。だからこういった変なミス通告が出てくるんじゃないですか。休養といって、二、三日したらすぐ戻ってくる。この辺、もう少ししっかりしてもらわぬと県民は納得しませんよ。外務省、こんなでたらめな通告制度をあなたたちはやっているんだよ、これについてコメントをいただきまして、終わります。
#224
○説明員(時野谷敦君) 先生が御提起になりました原子力潜水艦のガードフィッシュにつきましては、おっしゃいますように五月に三度ホワイトビーチに寄港したということでございますが、どうして寄港したのかといった点にわたります詳細につきましては、米軍の運用上の問題ということでございますので、私どもその詳細を承知していない次第でございます。
 先生のおっしゃいましたように、原子力潜水艦が我が国に入港します際には、通常、入港の少なくとも二十四時間前に日本側に通告するということを行っておりますが、これは条約上の義務の履行としてそういうことを行っているということではございませんで、米国が原子力に対する我が国国民の特殊な感情に配慮して自主的にとっている、そういう措置でございます。ややもしますとこの通告が適切でない形で行われるというような事態も間々あるわけでございまして、そういうことにつきましては、私どもも米側に対してきちんとした是正措置をこれまでも求めてきているという次第でございます。
 B52につきましても、先ほど申し上げたと同様の趣旨により、すなわち条約上の義務の履行という観点ではなくて、我が国国民の感情に配慮するという趣旨で事前の通告ということを行ってまいりましたが、この前先生に御答弁申し上げましたとおり、ただいまのところはグアムから撤収をした、こういうことでございますので、グアムから台風の避難という形でB52が飛来するという状況は目下のところはない、こういう状況でございます。
#225
○大城眞順君 終わります。
#226
○田村秀昭君 大城先生から大変重要な質問をされましたので、私は三時二分まで質問をさせていただきます。
 御承知のように、米ソのデタント、協調と対話の時代に入り、軍縮が行われております。アジアにも軍縮のムードは広がってまいると思います。軍事力というのは攻撃力と防御力から成っておりまして、我が国は防御力のみであります。現在の軍縮は攻撃力の分野で軍縮が行われていることは間違いありません。したがいまして、我が国の防衛は専守防衛で今後も防衛力を整備していくわけですが、装備の質、優秀な人材を確保するということは極めて重要なことだと考えております。
 六月一日の委嘱審査の機会にも隊員の処遇問題について質問を行いました。自衛官が、警察、消防の公務員などに比較して、殉職者や災害派遣時の諸手当について制度上の格差があることがわかりましたけれども、隊員の募集ということについては極めて厳しい状況に立ち至っておるという感じがいたします。
 特に本日は、隊員の募集問題につきまして質問をしたいわけでありますが、これは都市の隊員の募集を担当しておる地連部長が、隊員の募集状況を見て、隊員の募集をする広報官が涙ぐましい努力をしている、それに感謝の気持ちで三十一文字のごろ合わせで詩をつくっておりますので、ちょっと読ませていただきます。
 「かけられた ツバの悔しさ 胸に秘め 又声かける 君に感謝す」、「人の子の 面倒見ては安堵して 振り返りみて わが子やいかに」、「街頭で 広報すること 妻に秘し 今日も出ていく 木枯らしの街」、「日曜日 何してるかと 問われても いつ休んだか ついぞ憶えず」、「玄関で まかれた塩に 笑顔見せ 又来ますよと グッと我慢す」と、こういう厳しい状況の中で隊員の募集をしている地方連絡部の広報官の皆様に私は非常な敬意を表したいと考えております。
 今回の防衛庁職員給与法の一時給付金の改正の法律案を五十三歳で退職した自衛官たちは涙をこぼして喜ぶだろうと私は考えております。それで、現在隊員の処遇問題で、平成二年度どのような隊員の処遇問題をされておるのか、ちょっと防衛庁の方からお伺いいたします。
#227
○政府委員(畠山蕃君) 隊員の処遇一般については、広く平成二年度予算においても手当てしておりまして、一つは生活環境施設としての宿舎・隊舎の整備、これについても一段と力を入れた形になっております。それから、諸手当の、給与のたぐいでございますけれども、平成二年度予算におきましては災害派遣、事故等の際の死体の収容等に従事した隊員に新たに死体処理手当を支給すること、あるいは移動式レーダー等を持って業務に従事した移動警戒隊の隊員に対する手当、そういったものを設けるほか九手当についてその改定を行
うなど隊員の職務の特殊性を勘案した手当の改善に努めておるところでございます。
 そのほか、快適な職場環境ということに資するために体育館その他の厚生施設の整備、その他きめ細かい配慮のもとに特段に力を入れて処遇改善策を講じておるところでございます。
#228
○田村秀昭君 この広報官の活動というのは土、日が主力でありまして、昼間は高校生は勉強しておりますので、まず両親の理解を得なくてはだめだということで、土、日ほとんどつぶして両親の理解を得るために活動している。ある広報官などは、日曜日に自分の子供がいなくなったという連絡を受けて捜してみたら、お父さんと遊びたいために事務所に来ていたというようなこともあります。それから入隊までの責任を、ちょっと太ったような人は入れませんので、アスレチックに連れていったり運動させたりいろいろな雑費がかかる。市町村でお願いをした人などに折り詰めのいろいろなお菓子を持っていったり、自腹を切ってやっているというような現状であります。それから官舎も古くて、雪が降ったら屋根が落ちたという広報官もあります。
 こういう広報官を大別しますと、時間的なものの制約、金銭的なもの、精神的なもの。学校の先生に、自衛隊に入ると言ったらやめなさいと言われて、本人を一生懸命説得した、そういう事情であります。これは国民の理解が必要でありますけれども、命を賭して国を守ろうとするものに見合う名誉や処遇が受けられてないというようなことにも大きな影響を及ぼしていると思いますけれども、この広報官に対する手当というのは防衛庁の方では考えておられますか。
#229
○政府委員(畠山蕃君) 確かに御指摘のとおり、広報官が現実に広報活動をします際に本来考えられないような諸雑費がかかるというようなことで、経費的にもそれから御指摘のとおり精神的にもいろいろと御苦労をいただいているということは十分承知をいたしているところであります。
 しかしながら、広報官手当というようなことになりますと、これはまた一般公務員のいろんな人とのバランスの問題もございますし、それからそもそも広報官がそういう経費、諸雑費を支出しなくて済むような募集環境をつくることの方が先ではなかろうか。つまり、自衛隊というものが魅力ある職場であり、それからまた広報官が仮に広報活動をします場合に広報用の諸機材、例えばビデオテープとかあるいは車とかそういったものが円滑に給与されるということになりますれば、そういう募集環境の整備を努めることによってある程度、今非常にいたずらにといいますか、必要として負担しておりますそういった諸雑費も必要でないような状況をつくること、それがまず我々に課された課題ではなかろうかということで、今のところ広報官手当というものは検討をいたしておりません。
#230
○田村秀昭君 おっしゃるとおり、その環境が非常に募集しやすいような環境というものができ上がればいいですけれども、どうやってそういう環境をおつくりになる予定でありますか。
#231
○政府委員(畠山蕃君) 現在防衛庁では新規広報媒体の活用等募集施策の充実に努めておりまして、募集資格の年齢や任用制度の見直しといったような人事施策をまず推進をしているところであります。それから、自衛隊をより魅力ある職場として隊員がその任務に誇りを持ち安心して職務に精励できるようにするため、つまり多くの者がそう無理なく応募してくるような環境をつくるために隊舎・宿舎等の生活関連諸施設の改善等、先ほど私申し上げましたような諸施策を講じて、それから今回の今お諮りしております若年定年退職者給付金制度の新設等を通じまして一般的に隊員の処遇改善を進めているところでございます。
 そのほかに、具体的に申しますと広報諸機材、そういったものも当然広報の手段の一つとして整備をする必要があるわけでございまして、そういうところを総合的に募集環境を向上せしめるための努力を続けているところでございます。
#232
○田村秀昭君 時間が参りましたので最後の質問をさせていただきますが、次期防を現在策定中と聞いておりますが、こういう人の問題、人の魅力ある職場にするということが極めて重要な柱の一つであろうと私は考えております。また、現在の枠内ではもう募集の努力の限界が来ているというふうに考えております。いろいろな新しい制度を考える必要があるのではないかというふうに考えているわけです。
 例えば、これは一般隊員の高校卒ではありませんが、防大に来る人もたんだん質が下がっているというふうに聞いておりますが、防衛大学を一年間海外で教育をするとか、防衛大学というのは将来自衛官になるために入ってきているわけですから、会社で言えば入社試験と一緒であります。したがいまして、参事官以上の方が最終面接をするとか、防衛庁長官みずから面接をするとかそういう制度をしく、それから満期になった隊員は会社に再就職させるわけですが、同じ年度の扱いを会社でしてもらうとか、さらに一般大学の優秀な人材をどういうふうにしたら採っていけるかというようなことも、いろいろな広報の活動を通じて、マスコミを通じてそういうことをやっていくというようなことが非常に大切なことであると私は思っております。
 現在の枠内で努力していても――今安全保障が非常に重要な問題になっているこの時期に、特に優秀な人が自衛官、職員になられることが国民の理解を深めることにもなると思いますので、そういう処遇全般についての防衛庁長官の御所見を承りたいと思います。
#233
○国務大臣(石川要三君) 時間ももう少ないわけでございますから簡潔に申し上げたいと思いますが、今先生がいろいろと御発言ございましたような要するに後方整備、特に自衛官の処遇改善、これが当面のいかに大きな重要課題であるかということは申し上げる必要もないわけであります。したがいまして、次期防の中には大きな柱としてそれを掲げていろいろと対策を打ち出していきたい、かように考えております。
 それから、きょうは先生、特に時間の関係上、自衛隊の募集の点に絞って御質問されたわけでございますが、私は実はいろんなことの中で自衛官の募集くらい正直なこと言って情けなく思うことはありません。
 それは何かといいますと、国を守る自衛官を募集するのに、しかもあれは多分地方交付税か何かで手当てをやっていると思いますが、三千有余の自治体の中でやっておるわけですね、窓口は。調べませんからわかりませんけれども、恐らく庁舎あるいは役場の中にきちんとしたところにポスターが張ってある自治体が何カ所あるか、あるいは張ってあるかもしれませんが、もう本当に張ってあってそこに自衛官募集という札でもあれば最高であって、実態はやっていないと思うんです。そして、実際にやっているのはだれかというと自衛官のOBです。しかも、私の知る範囲で感じたことは、事務所もろくすっぽない、最近は幾らか事務所があるようですけれども。ひどいところになると、建設会社の二階を借りたり、ラーメン屋の二階を借りたり、本当に惨たんたる状態を見たときに、こういう中で募集活動が行われて、そこから募集された自衛官が一朝有事の際に国の役に立つかということを日本人として本当に考えざるを得ない感がします。
 私は決して何も軍国主義を謳歌したりそんなことは毛頭思いませんけれども、そういう一番基礎的なことが大切なことではないか。いたずらに正面装備だけの数をそろえてみたところでそれはナンセンスではないか、そんなふうな感じがしますので、そういう点は統合的な答えになりますけれども、今田村先生の御発言、十二分にひとつかみしめながら次期防の作成に当たっていきたい、こんなふうに思います。
#234
○吉川春子君 防衛庁職員給与法の改正案についてまず質問いたします。
 この問題について防衛庁から資料をいただいておりまして、その資料で防衛庁の方がモデルとして高卒二士入隊、最終准尉で定年退職を五十三歳
でした場合の俸給月額が三十九万九千二百円ということで資料が出てきていますので、私もそれに合わせて話を進めてまいりたいと思います。
 防衛庁に伺いますが、この十月よりもしこの自衛官について給付制度が導入されますと、平成二年十月退職の自衛官に支払われる給付金は幾らになるんでしょうか。
#235
○政府委員(畠山蕃君) 今のモデルを前提にいたしますと約二百四十万円ということになります。
#236
○吉川春子君 また、この自衛官が五十五歳の定年時より支給されます年金額は幾らになりますか。
#237
○政府委員(畠山蕃君) ちょっと今の質問に対するお答えの前に申し上げますが、今の二百四十万と申しましたのは年額相当ということでございます。
 それで、御質問でございますが、年金額は二百十七万ということになります。
#238
○吉川春子君 この自衛官について年金の減額支給ということはありますか、減額はありますか。
#239
○政府委員(畠山蕃君) 御質問の趣旨は、五十五歳まで給付金を支給された後に五十五歳から支給開始を受ける年金であるとすれば、それは減額はございません。
#240
○吉川春子君 そうしますと、このモデルの自衛官が五十九歳までに受け取る金額は、給付金が二年間で四百八十万円、そして年金は五十五歳から五十九歳の五年分、この合計ということになりますね。
#241
○政府委員(畠山蕃君) 給付金及び年金額に関します限りはそういうことになります。
#242
○吉川春子君 今の防衛庁の金額で計算しますと千五百六十七万円になるわけなんです。
 大蔵省、一般公務員については年金額の計算は基本的に自衛官と同じですね。
#243
○説明員(乾文男君) 年金額の計算方式は、国家公務員等共済組合法によってやっておりますので、基本的な考え方は同一でございます。
#244
○吉川春子君 もしことしの十月、五十三歳で一般公務員が退職いたしますと、年金を受け取る場合には減額されるわけですけれども、その減額率は何%ですか。
#245
○説明員(乾文男君) ただいま制度が同一と申しましたけれども、現在の支給開始年齢のところは先ほど来御議論いただいておりますような自衛官の人事政策上の要請から異なっておるわけでございまして、一般公務員の場合は退職共済年金の支給開始年齢は原則六十歳でございますけれども、経過措置がございまして、本日現在は五十八歳でございます。したがいまして、今退職される公務員がいるといたしますと、五十三歳で退職し、五年間の繰り上げ支給ということになりますと、減額率は一年につき四%でございますので、その五年分ということで本来の年金の二〇%減額ということになるわけでございます。
#246
○吉川春子君 そういう前提で計算いたしますと、一般公務員が五十三歳で定年より早く退職いたしますと五十九歳まで受け取る年金額は千二百十八万円で、自衛官より三百五十万円ほど少なくなる、これは全く単純計算なので論争点ではございません。
 しかし、もっと開くのはJR職員、元国鉄職員なんです。平成二年の四月以降、十月でもいいですけれども、元国鉄職員、現在のJR職員が五十三歳で退職したとして、年金の繰り上げ支給は受けられますか、大蔵省、どうでしょうか。
#247
○説明員(乾文男君) 年金の鉄道共済についてでございますけれども、鉄道共済につきましては、昨年の国会で当委員会でも御審議をお願いいたしましたように大変な財政状況になっておりまして、他の制度から制度間調整ということを通じて援助をお願いせざるを得ないような状況になっておりまして、その前提といたしまして鉄道共済において最大限の自助努力をするということでやってまいっているわけでございます。その自助努力の一環といたしまして、鉄道共済に所属するJR職員に係るこの共済年金の繰り上げ支給につきましては、先般の制度改正によりまして平成四年四月以降繰り上げ支給については原則としてこれを廃止することにいたしております。
#248
○吉川春子君 そうしますと、その六十歳の定年まで一銭ももらえない、ゼロだということですね。
#249
○説明員(乾文男君) 鉄道共済の財政状況を考えますと、年金の支給開始年齢は六十歳でございまして、かつ平成四年以降繰り上げ支給も廃止になりますので、その時点におきましてはおっしゃるとおりになるわけでございます。
#250
○吉川春子君 さらにお伺いいたしますけれども、JR職員の年金額は自衛官、一般公務員でもいいですけれども、比べて同じ額になりますか、計算はどうですか。
#251
○説明員(乾文男君) 初めにお断りいたしますが、年金額といいますのは、もう委員十分御案内のように、いわゆる年金の一階部分、現行制度で申しますといわゆる基礎年金に相当する部分と標準報酬に比例する部分との二つから成り立っておるわけでございまして、その平均標準報酬というものが基本的には個々の人の就職してから退職するまでどのような俸給をもらってきたかということに依存してまいりますので、実はこれは一概には言える問題ではございません。
 そういうことでございまして、私ども鉄道共済の場合であるとか一般公務員についてそのモデル的な年金額が幾らかという試算は行っておりませんので、その点御了解いただきたいと思います。
#252
○吉川春子君 私が伺いましたのは、鉄道共済の場合はいわゆる三階建ての部分が削られておりますので、公務員や自衛官に比べてその一〇%程度額が少なくなるのではないか、こういうことなんですが、どうですか。
#253
○説明員(乾文男君) いわゆる年金の三階部分につきましては、鉄道共済につきましてはやはり先ほど来申し上げましたような自助努力の一環といたしまして、鉄道共済については昭和六十一年からこの職域年金部分は支給をしないことといたしております。この職域年金部分、いわゆる三階部分は年金の二階部分に対しては二〇%、一階、二階合わせたところにつきましては約八%強でございますが、おっしゃいましたこの職域年金部分が鉄道共済の職員については支給されないことは御指摘のとおりでございます。
#254
○吉川春子君 JRの職員に、鉄道共済につきましては終生毎年一〇%程度の額の少ない年金だということで、これは鉄道共済の逼迫からくるのだという、こういう大蔵省の説明がありました。
 先ほど、新たな自衛官に対する給付制度が導入されると平成八年には六百億程度に財源がなるという答弁がありました。現状のまま推移しますと自衛官の年金も大変逼迫するというお話で、掛金率も大変高くなるという資料も出ておりますが、防衛庁にお伺いしますが、将来、今度の給付制度を導入せずに今のまま年金が推移すると、自衛官の掛金はどの程度になると推測しているんですか。
#255
○政府委員(畠山蕃君) 平成三十二年度ごろを考えますと、掛金率は千分の百九十八ぐらいになって一般公務員に比べて一・三倍、三〇%弱のオーバーということになります。
#256
○吉川春子君 大蔵省に伺いますが、鉄道共済についてはそのころの掛金率はどうなりますか。
#257
○説明員(乾文男君) 鉄道共済に係る掛金率につきましては、現在例えば一般の公務員が千分の百五十二、これは掛金の二倍の保険料率でございますけれども、千分の百五十二に対しまして鉄道共済は現在千分の百八十八・九、平成三年からは百九十・九に引き上げられますが、おおよそ約三割ほど高い水準にあるわけでございます。
 この鉄道共済の保険料率が今後どのように推移するかということにつきましては、鉄道共済の財政状況が議員御案内のような非常に厳しい状況にあることを踏まえまして、また今後公的年金一元化という観点からも検討を要する問題でございますので、今一般公務員なり自衛官なりについて一つの試算としてつくりましたような収支見通しをつくるところまではいっていないというのが現状
でございます。
#258
○吉川春子君 結局破綻してしまうからとても言えないというのが答弁の真意だと思うんです。
 そこでお伺いいたしますけれども、私がなぜ鉄道共済とそれから自衛官を比較したかと申しますと、若年定年制云々というお話で、これはそれでそれをフォローするものだというお話ですけれども、国鉄の分割・民営化によって元国鉄職員もいや応なしに職場を追われてこの春も何千人かの解雇があったわけですね。まさに自分の意思に反して若くて職場を追われた。しかも、財政が逼迫しているからということで大変掛金も今の自衛官よりは高いですね、国鉄の方が。しかも、それを全部の共済の負担にして鉄道共済はそうやっているわけですね。自衛官の場合は全く別な形で一〇〇%国からの負担でこの財政破綻を救い、しかも若年定年制の穴埋めをする、こういう制度が今度出されてきたわけなんです。
 順を追ってお伺いいたしますけれども、まず防衛庁でしょうか、人事院でしょうか、今度導入されましたこの給付金の制度は年金なのでしょうか、退職金なのでしょうか、それとも恩給なのでしょうか、その性格について説明してください。
#259
○政府委員(畠山蕃君) 今回御提案申し上げておりますこの給付金は、一般公務員が定年六十歳になるのに対して自衛官が若年定年でやめるということに対する不利益に対して政策的に特別の給付を行うというものでございまして、そこのところにつきましては部内の研究会でも議論をいたしましたけれども、今お挙げになりました年金でも退職手当でも恩給でもないという特殊な新たな性格の給付金であるというふうに結論づけておるところでございます。
#260
○吉川春子君 性格が全くないわけです。わからない、はっきりしないんですよね。
 人事院にお伺いいたしますけれども、その理由として若年定年制ということを盛んに今防衛庁は強調されましたけれども、その若年定年制をとる場合はそれを救済するために将来またこういうような給付金制度をどこかの公務員なり何なりに適用する可能性というのはあるんですか。
#261
○政府委員(森園幸男君) 新たな給付制度をいかなる場合に策定すべきかという御指摘でございますが、現在想定し得る範囲内では現時点においてそういうことを想定し得る事象はございませんので、現在そういうことは考えておりません。
#262
○吉川春子君 ちょっと語尾が聞き取れなかったんですけれども、要するに理論的な可能性として伺っているんですけれども、そういう若年定年制をしくような場合は、こういう一〇〇%国が負担してそれを穴埋めするというような制度をとり得る余地が理論的にはあるんですね、今度自衛官でやったんですから。
#263
○政府委員(森園幸男君) 私どもが所管しております一般職の職員について現時点において若年定年制ということを想定し得るような状況はございませんので、そういう意味でただいまの御質問にはちょっとお答えいたしかねるわけでございます。
#264
○吉川春子君 その答弁は逃げですよ。現在ない、それはわかってます。でも、将来そういうことがあれば同じような制度をとる可能性があるかと理論的に伺ったんですけれども、答えられないんですね、逃げてるんだから。
 官房長官にお伺いいたします。私が伺いたいのは、ともに若年で国の政策によって本人の意思とはかかわりなく職場を去らなきゃならないわけです。これはJRのときもさんざんやりましたので御承知のことと思います。しかし、JRについてはそういうことを全くやらなかったんですね。今度自衛官については国の政策でもって若年の定年だからその間の生活を保障しなきゃならないということでこういう制度をおとりになったわけです。だから、なぜJRのような場合と今度の自衛官の場合と全く違う方法をおとりになったのか、その理由についてお伺いしたいわけです。
#265
○国務大臣(坂本三十次君) 防衛庁が今回新たに設けることとしている若年定年給付金は、一般公務員については六十歳定年がとられている中で自衛官についてだけは若年定年制が定められ、そのことにより再就職賃金が著しく低下することへの対応策として行うものであります。他方、清算事業団職員はこの三年間給与を保障される中で再就職活動を行う一方、政府としても再就職対策に全力を挙げて取り組んできたところであります。しかしながら、再就職対策に応ずることがなく解雇という形で退職した職員がおりますが、これらの職員に対しては清算事業団が退職金を支給したと承知しております。
 以上のように、これらの措置のいずれもそれぞれの特別な事情を十分に考慮した上で実施し、またはしようとするものであります。このようにおのおの事情、性格の異なるこれら二つの措置について単純に比較して論ずることはいかがかと考えております。
#266
○吉川春子君 さっきも最初に申しましたけれども、五十三歳で退職して五十九歳まで、国鉄、JRですと一銭ももらえない。しかも意に反して職場を追われた、そういう国策なんです。そういう中で私は、今官房長官の御答弁ですけれども、納得できない。余りにもやり方が違うわけですよ。
 それで、重ねてお伺いいたしますけれども、人事院、将来は自衛官については軍人恩給でやれと、こういう考えをお持ちじゃないんですか。昭和三十三年の三月十四日の内閣委員会の答弁で、当時の淺井人事院総裁はこのように言っております。
 人事院といたしましては、現業の方は言うまでもないと思いますけれども、一般職の公務員につきましては、共済組合方式によるものは私どもは賛成いたしておりません。人事院勧告におきますように、あくまでも国家管掌でありたいと思っております。たとえば自衛隊のごときものを共済組合方式でどのようにしてやられるか。これは一たん事あるときにはきわめて死亡率の高い問題でございまして、われわれはまたそれほど自衛隊は勇敢であっていただきたいと思うのでございますが、これを相互扶助の形式でやりますならば、他の職員は自衛隊のために非常にたくさんの負担をしなければならぬということに相なります。このようなものは、国家が自分で全責任を持って軍人恩給と同じようにやるほかはないものじゃないかとも思っております。
人事院、こういう考えがあるんじゃないですか、今度の制度を導入した基礎には。
#267
○政府委員(弥富啓之助君) 人事院といたしまして昭和二十八年、ただいま委員が御発言になりましたように、退職金制度確立のために意見の申し出を行いました。その後、その意見の申し出がさまざまな御議論を経まして、御承知のとおり昭和三十三年、国会の議決によりまして国家公務員等共済組合法というものができまして、全国家公務員に共済組合制度が適用されることになったわけでございまして、その長期給付制度が国家公務員の退職年金制度として運営されていることは御承知のとおりでございます。
 したがいまして、委員が御指摘のただいまの淺井総裁がお答えいたしましたところのころはまだ共済制度が確立をされておりませんで、まだその議論中でございまして、その当時とは全く今事情が変わっておりますことを御理解を賜りたいと存じます。
#268
○吉川春子君 自衛官は恩給でやれと、こういう考え方は人事院はこれを否定されているということですね。
#269
○政府委員(森園幸男君) ただいま総裁から申し上げましたとおり、昭和二十八年に人事院が退職年金制度について意見の申し出をいたしました中で、当時といたしましては制度の主体を国とするかあるいは共済組合とするかという議論がありまして、人事院は前者の立場で意見の申し出をいたしたわけでございますので、当時議論中でありましたから、その立場からいろいろ主張を申し上げたということでございまして、今日におきます自衛官に関する制度がいかなる制度であったらよろ
しいかということとすぐ即応するものではないというふうに考えております。
#270
○吉川春子君 ちょっとイエスかノーかで答えてください。この人事院総裁の答弁は今も生きているんですか、それとも否定されるんですか、どっちですか。
#271
○政府委員(森園幸男君) 当時の事情下に置かれました人事院の立場で申し上げたわけでございまして、現在時点におきまして私どもが所管をしておりません自衛官に関する制度について意見を申し上げる立場にはないわけでございます。
#272
○吉川春子君 この人事院総裁の答弁については責任を持てない、こういうことですね。
 防衛庁長官、我が国は戦争の反省に立って今の平和憲法を施行しておりますが、再びあのような戦争を準備することがあってはならないと思います。憲法の精神からも、私たちは憲法違反と思っていますが、憲法の精神からも自衛官を特別扱いしてほかの国民とは違った優遇措置を行うことは将来にわたってできない、憲法の立場からもできないと思いますが、長官のお考えはいかがですか。
#273
○国務大臣(石川要三君) 自衛官を特別な扱いといいますか、今の言葉、そんなようなこと言われましたが、そういう考えは毛頭持っておりません。
#274
○吉川春子君 今度の給付金制度はこれは私は第一歩だと思うんです。その次にまた世論の動向を見ながらもっと優遇措置を出してくるんじゃないか。今の第一歩を見ても自衛官に対するすごい優遇ですよ。こういうことはやっぱり憲法も禁じている軍隊である自衛官のみ優遇するということはどこから見ても不当だ、そのことを指摘して、次の質問に移ります。
 在日米軍の駐留経費負担増の問題に対して質問いたします。
 去る十八日に参議院予算委員会で私も質問し、防衛庁長官もお答えになっておられますが、そのときはまだ具体的にアメリカの方から要求が来ていない段階でした。そのときでも防衛庁長官は、正式に要請を受けたわけではないけれどもという立場で答弁をされておりました。五月三十日にアメリカ政府のアレン・ホームズ防衛分担担当大使が来日して西廣防衛事務次官との会談で、日本人従業員の基本給やガス、水道、光熱費、装備品の修理代の全額の負担を公式に求めたということが明らかにされています。日本側は可能な限り努力するというふうに返事をしたそうですけれども、長官、まず、アメリカから公式な要求があったわけですね、要請があったわけですね。
#275
○国務大臣(石川要三君) 先般五月三十日、そういうホームズさんというバードンシェアリングの担当大使がおいでになって、西廣事務次官とお会いし、その内容についてはほぼ、内容についての一般的な要請、要請といいますか要望、これがあったことは事実であります。
 しかし、今委員がおっしゃったように、細かい内容の、例えば本俸がどうだとかこうだとか、そういうものではなかったように報告を受けております。そしてまた、日本もイエスというようなそういう簡単にお答えしたわけではなくして、そういう内容についてはいわゆる十分に検討を、自主的な立場で検討する、こういうふうなことでお話し合いがされたというふうに報告を受けております。
#276
○吉川春子君 わざわざ来日されてお話をなさったんですから、水道料、光熱費、こうこうこういうものをというふうに話をされるというのは当然だと思うんですね。何か全般的な話としてあいまいな漠とした話をするためにわざわざ訪日されたとは思えないんですけれども、具体的なこういう要求があったんじゃないですか、光熱費とか装備品の修理代とか。
#277
○国務大臣(石川要三君) 多分報道にもあったと思いますが、日本へわざわざ来たわけじゃないんですね。ずっと回ってきてその中の、その帰りというか何というか、その一環として我が国を訪問された、こういうわけでありまして、特に今委員がお尋ねのような水道料がどうだとかこうだとか、そういう項目的なことはないというふうに承っております。
#278
○吉川春子君 自主的に決めるというふうに長官が今おっしゃいましたけれども、アメリカ側が要求しています、漠として要求したと言いましたけれども、その基地従業員の基本給とか水道、ガス、光熱費、もし具体的に要求されてもこれは絶対に負担できないものなんですね。こういうものを、できないものを自主的にやると、自主的に判断するということはどういうやり方で負担をされようとしているのか、そこはどうですか。
#279
○国務大臣(石川要三君) 現時点におきましてはそういう具体的なことをやろうという、まだ具体的な話といいますか、準備をしているわけじゃありませんから、したがって今の段階ではその内容についての返答はいたしかねるわけであります。
#280
○吉川春子君 じゃ、もし具体的にそういう要望があったとして、今の協定のままでは負担できないと思います。やはり改定かあるいは新たな協定を結ぶ、特別協定を結ぶ、こういうことをやらないとできないんじゃないですか。それはどうですか。
#281
○国務大臣(石川要三君) もちろん内容によっては、今の地位協定とそれから特別協定ありますが、その範囲内でできるかどうかということも具体的に示されなければ何とも言えない、かように思います。
#282
○吉川春子君 本当に逃げの答弁だと思うんです。そんなもの子供の使いじゃあるまいし、漠として具体的な項目も言わないでただ一般的に負担してくれなんて、そんなことをわざわざ大人が言いに来るとは私は常識では考えられないんです。しかも、それはやっぱり今の地位協定では負担できないものであるから、やはりそこで答弁を逃げられているんじゃないかと思いますけれども、いずれにしてもこれは軍事費の増強につながるわけですから私たちはもう絶対にすべきじゃない、負担すべきじゃないということを指摘して次の質問に移ります。
 佐世保、呉湾での米軍弾薬係留問題に関してですけれども、外務省お見えですね。長崎県の佐世保湾、広島県の呉湾の水域に米軍の大量の弾薬が積載されたコンテナ船が長期にわたって係留されています。係留されている水域は漁船や民間船の交通の要所で漁場の操業海域であり、非常に漁民の生活を脅かす、安全上もゆゆしいことで重大問題なんですね。現地の漁協など漁民団体を初め市民も撤去を強く要求しているわけです。佐世保の市長も呉の市長も外務省に同様の申し入れを行っていると思います。
 外務省、米側に対してこういう危険なものを速やかに撤去させるように申し入れるべきだと思うんですけれども、もう申し入れはしましたか。
#283
○説明員(時野谷敦君) ただいま御指摘のございました件は、基本的にはアメリカ軍の運用にかかわる問題でございまして、その詳細について私ども承知をしているわけではございませんが、お話しの弾薬はそれぞれ港の中の米軍の提供水域内に係留されているというふうに承知をいたしております。米軍が施設、区域内の水域を利用しまして弾薬の積みおろし、あるいはこの弾薬を積んでおりますところの一種のいかだと申しますか、コンテナと申しますか、そういうものの点検等の作業を行うということ、これは地位協定上米軍に認められております権利に基づくものでございまして、したがいまして私どもといたしまして米側に対して作業の中止を申し入れるという考えはございません。
 他方、ただいまお話がございましたが、米軍が我が国の公共の安全に妥当な考慮を払う、払った上で活動すべきであるということは当然でございまして、地元の方々からもその懸念というものを私ども御連絡を受けておるということでございまして、そういう懸念等は米側に伝えまして米側に対しても十分な配慮を申し入れているところであります。
 米側からは、従来から米軍の活動については船
舶の航行でありますとか、漁船の操業でありますとか、そういうものを含みます我が国の公共の安全に妥当な考慮を払った上で活動してきておるということを申しておりまして、今回の弾薬の積みおろし等の作業に当たりましても、漁民の方々等の心配については十分承知をしておって真摯に受けとめておる、そういう次第であるので米側としてはこの作業の安全面に最大限の配慮を行っている次第であるという回答を申し越しておる次第であります。
 この作業を長期というお話がございましたが、いずれにしても恒久的にこういうことが行われるということではないというふうに私ども承知しておりまして、その期間は私ども承知しておりませんが、いずれにしても恒久的な形での作業ではないということでございます。
#284
○吉川春子君 こういう危険なことをやっているのに米軍に中止も申し入れられないなんというのは驚くべきことですね。恒久的になんてやられたらかなわないですよ。
 過去に湾内に大量の弾薬を係留するという例がありましたですか。
#285
○説明員(時野谷敦君) お尋ねの点の詳細については承知をいたしておりませんが、米軍がこれまでも佐世保あるいは呉の米軍の提供水域内におきまして一時的に弾薬を係留するということはあったというふうに承知をしております。
#286
○吉川春子君 大量に弾薬を係留した例があるかというふうに聞いたわけです。
 お伺いいたしますけれども、こういう大量にやったことは過去にも例がないわけです。弾薬積載の船は何隻いるんですか。
#287
○説明員(時野谷敦君) 詳細承知いたしておりません。
#288
○吉川春子君 武器弾薬の中身は何ですか。
#289
○説明員(時野谷敦君) 承知をいたしておりません。
#290
○吉川春子君 何にも知らないで何で安全だなんというふうに言えるんですか。無責任じゃないですか。
#291
○説明員(時野谷敦君) 先ほど申し上げましたのは、こういう作業に当たりまして米軍が公共の安全に妥当な考慮を払うべきことは当然のことだということでございまして、私どもそういう認識に基づきましてアメリカ側にそういう安全面での懸念に対して十分な配慮を行うよう申し入れた、こういうことでございまして、米側もその点は十分心得て、安全面には最大限の配慮を払うということを申しておるということを申し上げた次第でございます。
#292
○吉川春子君 どういう安全措置がとられたと米軍から連絡があったんですか、明らかにしてください。
#293
○説明員(時野谷敦君) 安全措置の具体的な内容にまで私ども承知いたしておりませんが、船舶の航行でございますとか漁船の操業でございますとか、そういう面での安全面での配慮、安全措置をとるということを米側より申し越しているということでございます。
#294
○吉川春子君 危険物船舶運送及び貯蔵規則というものが火薬類取締法第五十条「けい留船等の特則」という形であって、さまざまな安全措置を義務づけているわけですね、日本の船ならば。こういうことがやられているかどうかも一切わからないで、ただアメリカに安全を申し入れてある、アメリカも安全に努めているはずだと。中身も何にも確かめない。これは本当にどこの国の外務省かと思うぐらいです。
 この呉湾などの海域は、定期便は毎日十便、五トン以上の貨物船、漁船を含めると一日二百隻の船が行き来するわけです。しかも、八つの漁協の操業海域でもある。佐世保も定期便を含めて一日約八十隻の船が行き交う、五つの漁協が操業しているわけです。こういう狭い湾内の水域に大量の弾薬を保管係留することがどうして許されるんですか。どうしてこれが安全なんですか。見れば兵隊が二人、船の上から銃を構えているじゃないですか。こういうことがどうして許されるんですか。根拠を言ってください。
#295
○説明員(時野谷敦君) お答えが繰り返しになるかと思いますが、米軍が施設、区域内の水域を利用しまして、ただいま御提起がございました種類の作業を行うということは地位協定上米軍に認められた権利であるということでございまして、そのことを私先ほど申し上げた次第でございます。
 他方、米軍が我が国の公共の安全に十分な考慮を払うべきである、その上で活動すべきであるということは当然でございまして、したがいまして米軍にも、米側にもそのことは私どもから申し入れているということでございます。米側ももとよりそういう考え方は十分了としているところでございまして、したがいまして船舶の航行、漁船の操業等を含む安全面に妥当な考慮を払うということを申している次第でございます。
 なお、米側は、漁民の方々の心配を少なくするということで、将来につきましてはどういう方策があり得るかということも含めて検討を行っていきたいということを申している次第でございます。
#296
○吉川春子君 ちょっとまた戻りますけれども、恒久的でないとおっしゃいましたけれども、じゃいつまでこういう状態が続くんですか。
#297
○説明員(時野谷敦君) 私ども承知しておるところによりますと、呉につきましては、先ほど申し上げましたいかだ、いかだと申しますか、弾薬を積みましたいかだ様の船でございますが、これは十一日呉を出港したというふうに聞いております。ただ、佐世保につきましてはいつということにつきまして私ども目下のところ情報を有しておりません。
#298
○吉川春子君 船が出港するまではわからない、これが外務省ですね。
 地位協定上の根拠とおっしゃいましたけれども、地位協定上のどこにそういう根拠があるんですか。提供水域といっても、漁場や航路ですから大変危険性が高いわけです、こういうところでやられては。そして、こういうところに弾薬を係留することが協定上のどこに定められているんでしょうか。協定三条三項には、米軍が必要な措置をとる場合には、「公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。」とされていますし、十六条には、「日本国の法令を尊重し、」というふうになっているわけです。外務省、何をもって公共の安全が確保されていると判断しているんですか。さっき私が指摘しました火薬類取締法によるこういう措置でもとられているというふうに考えておられるんですか。
#299
○説明員(時野谷敦君) 根拠でございますが、これは地位協定上、地位協定二条におきまして、アメリカは安保条約「第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。」ということが定められている次第でございます。日本の国内法令、これが御指摘のような法令を含めまして米軍に対してそのまま適用されるということはございません。ございませんが、米軍が作業を行うに当たりまして、我が国において公共の安全に妥当な配慮を払うということは当然ということを再三私申し上げている次第でございまして、米軍もそのことは十分認識をしておる、こういうことでございまして、私どもからの懸念の指摘に対しまして、米軍として十分な措置をとるということを回答としているという次第でございます。
#300
○吉川春子君 いかに安保条約だ地位協定だといっても、そんなことまでやられたらたまらないわけです。海兵隊がM16ライフルを構えて接近する漁民を威嚇する、こういうことまでやっているんです。
 防衛庁長官、外務大臣がいらっしゃいませんので防衛庁長官に伺いますけれども、こういうようなあり方が一体いいと思っているのかどうか。私は、もっときちっとした形で日本の政府として米軍に対して抗議するなり撤去を申し入れるなりしてほしいと思うんです。米軍は注意しているはずだ、考慮を払っているはずだ、そういうことでは済まされない問題じゃないですか、いかがでしょうか。
#301
○国務大臣(石川要三君) これは外務大臣の所管でございますけれども、あえてお尋ねでございますから私の見解を申し上げたいと思いますが、今外務省の方がいろいろと説明いたしましたように、私もこれを聞いておりまして、やはりかなりの、外務省としても、今委員がお尋ねになりましたようないわゆる国家上の安全ですね、そういったようなものにつきましてはそれなりの私は努力をされているというふうに拝聴するわけでございます。したがいまして、この問題、私も現場を見ておりませんからそれ以上のコメントはできませんけれども、いずれにしましても、とにかく安全確保というのは最大の重要なものでございますから、今後も一層そういうところに十分に留意してやるべきである、かような見解を持っております。
#302
○吉川春子君 私は、こういう危険きわまりない海上での弾薬係留を直ちに撤去するように米国に申し入れるべきだ、そのことを強く要求して次の質問に移ります。
 海上自衛隊潜水艦「なだしお」の衝突事件に関してお伺いいたします。
 一九八八年の七月に横須賀沖で海上自衛隊潜水艦「なだしお」と釣り船第一富士丸が衝突いたしました。第一富士丸の乗客乗員三十名が死亡した事故の海難審判の裁決言い渡しが昨年の七月二十五日、横浜地方海難審判庁で行われました。その後、審理は東京霞が関の高等海難審判庁に移して行われて、ことしの四月十九日は理事官側の意見陳述がありました。
 そこでお伺いしますけれども、その理事官の意見書では「なだしお」に主因があるとしていますけれども、その理由について説明していただきたいと思います。
#303
○説明員(金光令司君) お答えします。
 「なだしお」と第一富士丸との態勢は、海上衝突予防法に規定されております横切りの航法に適用されております。第一富士丸を右舷側に見る「なだしお」はできる限り早期にかつ大幅に避航の処置をとらなければならなかったわけでございます、ならない義務があるわけでございます。それにもかかわらずその規定を守らなかったからでございます。以上です。
#304
○吉川春子君 横浜地方海難審判庁の裁決でも、「なだしお」が動向監視不十分で、早期に第一富士丸との衝突を避けるための措置をとらなかったことに主因があると認定した上で、さらに海上自衛隊第二潜水隊群に対して、「安全航行上の基本事項である見張り、動向判断及び早期避航の遵守について、潜水艦乗員に対する指導が不十分であったことは本件発生の原因」と、自衛隊の組織の責任を厳しく指摘し勧告をしています。山下前艦長の過失責任はもとよりですが、自衛隊組織の責任を問われたことに対して防衛庁長官、組織の責任を問われたことは対してどのようにお考えでしょうか。
#305
○政府委員(米山市郎君) 判決要旨の中に今おっしゃられたような形で第二潜水隊群に対して、安全航行上の基本事項である見張り、動向判断及び早期避航の遵守について、乗組員に対する指導が不十分であったというような点を指摘されて勧告がなされているわけでございますが、防衛庁といたしましては、この点につきましては第二審におきまして、それまでも十分な指導を行っていたということで、そのような事実はないということで見解を述べております。
#306
○吉川春子君 防衛庁長官、改めて伺いますけれども、組織責任を指摘されているわけですね。そのことについてどういうふうにお考えなのかということと、続けて、竹下総理とか当時の瓦防衛庁長官は、「なだしお」が法令規則に違反していなかったというふうに繰り返し国会で答弁されているわけです。ところが、こういう指摘をされているわけですから、今の時点で「なだしお」の過失責任は明白になったわけですから、この点について従来の答弁を訂正されますね。
#307
○政府委員(米山市郎君) 今、事故当時、当時の防衛庁長官あるいは竹下総理の発言と申しますか、法令規則違反はしていない旨再々述べているというようなお話がございましたが、当時の防衛庁長官につきましては、私どもも議事録あるいは記者会見資料等を見ましても、そのようなことは申していないというふうに承知をいたしております。
 ただ、竹下総理、今おっしゃられましたように、事故に関連しては海上自衛隊の隊員がとった措置は明らかに法令規則に違反しているといったようなものではなく、彼らなりにその場において精いっぱいの努力をしたものであったというような報告を防衛庁から受け、そのことはそれなりに理解できるといった趣旨を述べられていることは事実でございます。私どもこういったことに対しまして、それが誤った発言だというふうには思っておりません。
#308
○吉川春子君 「なだしお」の過失責任は今の時点で明白になったわけですね。だから、それは法令規則に違反していなかったというような発言とは矛盾するわけなんです。
 高等海難審判庁の理事官の意見陳述についてまたお伺いしますけれども、「なだしお」の衝突事故については海上衝突予防法の第十五条に規定する横切り船の航法を適用するのが相当としています。当然のことだと思いますけれども、この条項を適用することが相当とした理由はどういうことですか。
#309
○説明員(金光令司君) 「なだしお」と第一富士丸とは互いに進路を横切る態勢でございました。その方位に明確な変化がなく、衝突のおそれがある態勢となったわけでございまして、海上衝突予防法十五条の横切り船の航法を適用するのが妥当であると考えております。
#310
○吉川春子君 今回の場合はこの十五条第一項に基づけば「なだしお」が第一富士丸の進路を避けなければならなかった。その場合、「なだしお」は避航船であり、第一富士丸の進路に対してできる限り早期にかつ大幅に回避動作をとらなければならなかった、これが法律で義務づけられているわけですけれども、「なだしお」がこういう動作、回避動作をとらなかったということですね。
#311
○説明員(金光令司君) そうでございます。
#312
○吉川春子君 その衝突時間についてですけれども、二十三日の十五時三十八分半と認定していますが、どういう事実に基づいて認定されたんですか。
#313
○説明員(金光令司君) これは理事官が証拠の中で真実であると認定したからでございます。
#314
○吉川春子君 幾つか挙げて認定されているわけですね。事故直後、「なだしお」の山下艦長が上級司令部に打った第一報、さらに「なだしお」から発信された艦船事故速報も衝突時間は十五時三十八分、当初航泊日誌にも衝突時間は三十八分と記載されてありました。それを後になって山下艦長らが衝突時間を四十分と改ざんしましたね。そして横浜地方海難審判の審判廷の中で、山下前艦長、高原群司令初め衝突時間について四十分と主張していましたけれども、審理途中でそれを三十九分というふうに証言で訂正をしたわけなんです。横浜地方海難審判廷は衝突時間を三十九分少し前というふうに認定し、今回のその高等海難審判庁の理事官の意見書では三十八分半というふうに認定しているわけなんです。
 防衛庁に伺います。実際の衝突時間は何時何分だったんですか。
#315
○政府委員(米山市郎君) これは前回この問題いろいろ議論をなされた際にも私の方からも御答弁申し上げていることでございまして、時計とにらめっこをしながらこの衝突時間の確実なところをつかんでいるわけではございません。いずれにいたしましても、海難審判における判断と申しますか決定、それに防衛庁といたしましても異義を挟むものは何もございません。それに従っているわけでございます。
#316
○吉川春子君 三十八分三十秒に訂正されるんですね。確認だけでいいです。
#317
○政府委員(米山市郎君) まだ二審の裁決が出ておりません。一審ではそういう形になっておりま
すが、二審における裁決を私どももそれに従うつもりでございます。
#318
○吉川春子君 従うというのもおかしな話ですね。衝突したのは自衛隊の潜水艦なんですから、一番よく知っているはずですよね。それが二転三転して、海難審判庁で言われたらそれに従いますと。事実はやっぱり防衛庁が本当はよく御存じなんです。それを従うとかという形で消極的におっしゃらないで、やはり衝突時間が三時三十八分半だったんだというふうに訂正されたらどうなんですか。
#319
○政府委員(米山市郎君) 二審における「なだしお」側の主張といたしましては、十五時三十八分四十秒ごろというような主張もいたしております。
 いずれにいたしましても、この五秒、十秒あるいは三十秒というところが、冒頭に申し上げましたように、時計とにらめっこしながらの確定ではございませんので、海難審判の審判に従うと申しますか、その決定を待つというところでございます。
#320
○吉川春子君 救助活動と関連する問題について聞きますが、横浜地方海難審判庁の裁決書によれば、「衝突と同時に機関を停止することに思い及ばず、富士丸が艦首に乗揚げ、次いで艦体から落下して左舷側に大傾斜、横転するのを認め、同午後三時三九分少し過ぎでき者救助用意に続いて機関停止を令したので、後進の行き足により衝突地点から一八〇メートルばかり後退してでき者から遠ざかり、」、そのためにその救助活動ができなかった、こういうふうに認定されているわけですね。
 日吉局長は委員会で何度も、衝突直後に機関停止をしたけれども後進の惰力で衝突地点から離れたと答弁してきたわけなんです。しかし、その裁決書では、機関停止がおくれて後進の行き足でというふうに明確に認定しているわけですね。答弁訂正しますか。御本人どうですか。
#321
○政府委員(米山市郎君) 現在、海難審判の第二審におきまして最終的な判断を待っている状況でございますので、その海難審判の裁決を待ちたいと思っております。
#322
○吉川春子君 時間が迫ってまいりましたけれども、とにかく山下前艦長も、一昨年十月の文芸春秋で、衝突して二百メートルぐらい後退した後すぐに後進をとめたと述べています。そして海上保安庁の野尻さんも、衝突後しばらくして機関停止している、こういうふうに答弁しているわけです。だから、惰力なんかではなくて、機関停止をしないで後進いっぱいの行き足で現場から離れた、そういうことなんですね。
 時間の関係で、法務省お見えですか。――法務省に最後にお伺いいたしますけれども、現在、高等海難審判庁の審理が最終段階にあります。裁決を待つだけということになっていますけれども、まず一般論として答えてください。裁決と刑事処分の関係はどうなるんですか。裁決が出れば刑事処分というふうに行くわけですね。
#323
○説明員(松尾邦弘君) 海難審判庁の審判が続いているわけなんですが、こういった事故の性質上、検察庁としても同一の事故が刑事事件として係属していましても、できる限り海難審判の推移を見守りつつ処理をする、従来からこういった捜査経過をたどっております。
#324
○吉川春子君 そうしますと、近々裁決が出されると思いますけれども、今回の場合、海難審判の手続を先行させてその結果を待って刑事処分を行う、こういう方針で臨んでいるということでいいんですね。
#325
○説明員(松尾邦弘君) 必ずしも海難審判庁の裁決の結果が出ないと刑事処分ができないかどうかということではございませんが、一般論として申し上げれば、海難審判庁におけるおおよその主要なところの審理がどのように推移するのかという点については、検察庁も興味を持ってその推移を見守るということが従来から行ってきたことでございます。
#326
○吉川春子君 時間なので終わります。
#327
○中川嘉美君 まず、防衛庁長官に伺いたいと思います。
 長官、先ほど来、若干お疲れだと思いますけれども、私が最後の質問者ですので、もうしばらく御辛抱いただきたいと思います。
 我が国の防衛政策、これを進めるに当たっては国民のコンセンサス、これを得るということが重要であって、政府はそのために当然の努力をすべきである、このように考えますが、長官はどのように思われるか、まずお答えをいただきたいと思います。
#328
○国務大臣(石川要三君) 一口に言えば国民の理解なくして防衛なし、こういうことでございます。
#329
○中川嘉美君 国民のコンセンサス、今理解というお言葉もありましたけれども、これを形成する上で、国民の代表たる国会での論議というもの、これが極めて重要であるわけですね。政府としても情報の提供については可能な限り協力をして、そして実りある議論、これが展開されるようにお互いに努力すべきである、こう思うわけでございますが、長官、どのようにこの点について考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
#330
○国務大臣(石川要三君) 全く先生の御意見のとおりでございます。
#331
○中川嘉美君 防衛庁長官の御認識が我々の認識と同様であって、国会での論議というものをお互いに重要視しているということを確認させていただいた上で伺うわけでありますけれども、先日、当委員会で行われた平成二年度予算の委嘱察査において私が沖縄の米軍基地の返還問題について質問を行ったことは多分御記憶に新しいと思います。
 その中で、米軍基地の十七施設、区域の返還が今月の二十一日にも日米合同委員会で正式合意に至る、この報道についてその真意を確認したわけですけれども、施設庁長官がその折にどのような答弁をされたのか、長官も隣に座っておられたんで御記憶じゃないかと思うわけですけれども、別に詳しくというほどでもありません、肯定したのか否定したのか、答弁の趣旨ですね、その辺について記憶しておられる範囲で御答弁をいただきたいと思います。
#332
○国務大臣(石川要三君) 定かに記憶してございませんが、いわゆる米軍施設の返還、これは非常に案件も多いわけですね。当初からあったものと、さらに知事が要請したもの等もございまして、大変数も多うございますが、できるだけ県民の意に沿うような、そういう努力を、もちろんこれは防衛庁だけではできないわけでありますが、合同委員会に諮って決定されるわけでございますので、そういう中で努力をしていきたい。時期はということでお尋ねがあったと思いますが、できるだけ速やかにという、こんなふうな答弁があったんではなかろうか、こんなふうに記憶しております。
#333
○中川嘉美君 長官の今の御答弁としてはまことに常識的な範囲での御答弁であろうかと思います。というのは、やっぱり私がお聞きしたそのポイントに対して、あの折に施設庁長官がむしろ否定的な立場から答弁をされた、こういうわけですね。というのは、施設庁長官が言われたのは、現在一件一件詰めている段階であり、いつ合意に達するのか見通しが立っていないという意味の御答弁であったわけです。念のために速記録を若干引用してみたいと思いますが、長官こういうふうに言われております。
 「確かにきょう一部の新聞に沖縄基地の返還問題につきまして報道されております。ただ、私どもは整理統合について現在その促進を図りますために鋭意努力をしておるわけでございますけれども、これはまだ一件ずつ詰めておる段階でございまして、これが全体でいつ結論に達するかということについては見通しを得ておりません。もちろん、これは予算委員会でも答弁させていただいておりますけれども、近い将来には中間報告ぐらいはできるのではなかろうかという見通しは持っておりますけれども、」と、こうなっておりまして、
続けてこのように答弁をしておられます。「新聞にございましたように二十一日に合同委員会にかけて最終報告ができるとかそういう状況にはございません。ただ、その新聞報道について、それが本当かどうかということをただいまお尋ねでございましたけれども、報道のことでございますので私どもの方でこれに対してコメントは差し控えさせていただきます。」、こういうことでございましたね。
 そこで、施設庁長官に伺いたいのですが、あなたは六月一日の内閣委員会、ここで行われましたね、あれが終わって、この案件について何か重要なことをお話しになりましたか、どうですか。
#334
○政府委員(松本宗和君) ちょっと御質問の趣旨がはっきり飲み込めない嫌いがあるかもしれませんが、この問題に関して重要なことを私が公式の場で申し上げる機会というのは国会の答弁を除いてはございません。
#335
○中川嘉美君 実は午前中も本件に関して、一問だけでしたけれども、山口委員の方から質問がありまして、そのとき長官はやはり先ほど引用したと同趣旨といいますか、私が記憶している範囲では、現在まだ鋭意米側と調整中であるということ、そして、過日も衆議院だったと思うけれども質問があったので、できるだけ早く結論を出したい、こういう趣旨でしたね、けさほどの答弁は。
 しかし、衆議院じゃなくて参議院のこの当委員会で私が伺ったわけです。先ほども御答弁があったように、特にそういった発言はしておりませんということであれば、私はあのとき実は委員会が終わりまして、長官が否定されたので沖縄の方にどういうふうに連絡をしようかということを思っていたやさきに、翌日複数の新聞報道を見て唖然としたわけです。
 初めある一紙が報道をした、それに対してこの間あのような質問をした、長官は否定された。ところがその翌日の朝ですよ、今度は二つの新聞報道です。六月一日だから当委員会が行われた日とも同じわけで、その翌日の報道によれば、この日に施設庁首脳が二十一日の日米合同委員会で合意されることを明らかにした、またまたこういうふうに報道されているわけです。ほかならぬ施設庁長官が当委員会においていつ結論に達するか見通しを得ておりません、このように答弁しておるわけですから、恐らく委員会散会後その日のうちに見通しが立ったとしか理解できないじゃないですか、このままでいけば。
 そこで伺いたいが、施設庁の首脳というのは一般的にだれを指すのか、そしてまた六月一日の何時に合意の見通しが立ったのか教えてください。
#336
○政府委員(松本宗和君) 首脳と申しましてもこれは新聞社がお使いになったものですから、だれを指しておるのかということはそのときそのときに応じて違うと存じますので、正確には申し上げるわけにはまいらないと思います。
 それから、六月二十一日にいつ決まったのかという御質問でございますが、現在もまだ六月二十一日と決まったわけではございません。
#337
○中川嘉美君 いや、六月二十一日にいつ決まったじゃなくて、六月一日の想定で今質問しているわけだけれども、要するに翌日にぱんとああいうふうに二紙が報道するとなりますと、当委員会であそこまで否定されたんですから、そうなると一体あの委員会が終わった後で結局はだれかが発言しただろうということになるわけだ。だったら、六月一日に委員会が終わって夜中になるまでに、次の新聞報道に間に合うこの時間差があるわけだけれども、どの時点でそういった一つの見直しが、いわゆる結論が出たのかということでこれは当然疑問を抱かざるを得ない、こういうことなんですよ。そこを私は今質問しているわけです。
 しかし、六月一日の委員会では明確に否定しておかれながら、終わってから、これは首脳がだれかわかりませんとおっしゃったけれども、マスコミに対してこんな重要な案件を漏らすような姿勢、これはこの前の委員会で私は何やらのないところに煙は立たないと言った。もしそうじゃなくて、その報道自体は全然違います、うそですということになったら報道を全く否定することになってしまう、真実性を。午前中の答弁を引用してあれですけれども、先ほどの答弁ですね、現在ですらいまだ米側と調整中、平気でそういうふうにおっしゃっている、こうなるわけですよ、順序は。こういう姿勢では国会軽視も甚しいと私は言わざるを得ないと思いますが、なぜこのような態度と不誠実な姿勢をとられるのか、明確に納得いく答弁をもらわないと、この問題は質問を留保せざるを得ない。そうじゃないですか。
 新聞が首脳と言うんだから、私はだれか知りませんよと。まことに無責任な、こういう重要な国の、米軍の基地を返還するんだという、これをめぐって今論議をされているわけですから、これは長官の責任問われますよ、これじゃ。こんなことじゃまじめに報道を読んでいる一般の国民も沖縄県民も、一体どこまで期待感を持ってこれを見詰めていっていいかわからないじゃないですか。どうですか、お答えいただきたい。
#338
○政府委員(松本宗和君) 同じような答弁を繰り返すようで失礼でございますけれども……
#339
○中川嘉美君 同じ答弁はもういいですよ。今の質問に答えてください。
#340
○政府委員(松本宗和君) この問題につきましては現在まだ最終的にいつ公表できるかということについての結論といいますか、見通しと申しますか、それには達しておりません。確かに作業は煮詰まってきておるということは申し上げられるかと思います。かなり以前、一日に御答弁申し上げてから時間もたっておりますので、外務省が主体となりますけれども、外務省それから私ども、米側との間で鋭意作業を続けておりますので、進展はしております。
 しかし、これをいつ国会で、たびたび御答弁を申し上げておるような形で中間報告といったものにまとめて御提示できるかということについては、まだ私は責任を持ってここでいつということを申し上げるわけにはまいりません。
#341
○中川嘉美君 もう今の御答弁は私が聞かんとしていることの問題をはぐらかそうとしている。
 外務省はどうですか。いますか、外務省。――だめだ、こんな大事な質問しているときにいなくなっちゃ。
 いずれにしても、国会に対して速やかにこの情報を提供すべきなんです。けさほどの山口委員の次期防に対する質問に対しても、防衛局長何と言いましたか、報道の事実を否定したじゃないですか。こんなことが何回も何回もあったらたまったものじゃない。防衛問題に関しては国会の場において真剣な論議を行うということがシビリアンコントロールの観点からも重要なんです。国会に正確な情報を速やかに提供することによって国会論議というものが実りあるものになって、ひいては国民の理解と協力に資するという、これが議会制民主主義のあるべき姿じゃないか、このように考えれば今回のこの姿勢は国会軽視と言わざるを得ない、こう私は思うわけで、この点に関して最後に防衛庁長官からも御意見を伺いたい。
#342
○国務大臣(石川要三君) 中川先生が感情を高ぶらせて御発言をされる気持ちは全く私もよくわかります。と申しますのは、ある意味においては私も被害者みたいなもので、全く知らないうちに人事がどんどん発表になって、石川長官指示したとか、写真まで載っかっちゃうんですね。何でおれが何にも知らないうちにと、こういうことが随分あるわけであります。
 それから今、次期防の額の問題、それから施設庁の発表の問題ですね、ここいらは全く私も実はざっくばらんに申しますと、施設庁長官に、何でおれに言わないんだと、同じようなことを実は言ったんです。そういうこともあるんです。そういうことになると、じゃ一体どこにその原因があったのか。それにはまた取材の秘密もあるでしょうからいちいち余りコメントできませんが、民主主義というのは全く開かれた社会ですからある程度はやはり、マスコミも朝な夕な本当に神経を削って取材をしているわけですから、そういう動物的な勘もあるでしょうけれども、いろんなものがあ
るでしょうね。そういうことから情報を得るんじゃないかと思いますが、いずれにしましてもこれはなかなかそうかといって抑えることもできない。
 ただし私は、繰り返すようですが、わずか大臣三カ月ぐらいの間の中でもそう感じますから、先生が激怒されるのも無理もないかなと思うんですけれども、ただ最終的に国会というところがやはりシビリアンコントロールの一番本場だ、こういうふうな考え方についてはこれは私もしっかり持っていきたい、こんな気持ちであります。
#343
○中川嘉美君 防衛庁長官の御答弁で施設庁長官もすっぽり守られたような感じが今するわけですけれども、私別に余り高ぶる男じゃないんだが、これだけはやはり一度だけ、この間の委員会でそれはあれで終わったとすればまだしも、しかもあの委員会が終わったその次の日二紙が報道しているんです。それはないだろう、こういうわけです。
 これに関してちょっと伺いますけれども、今回返還予定の各施設全部合わせてみてもこれは基地全体の面積の約三・四%、こんなものです。この現実に対して我々は全く不満なんですけれども、当局は沖縄県民なかんずく国民全体に対してどのような所感を持っておられるか、この一点ちょっと伺っておきたいと思います。
#344
○政府委員(松本宗和君) 再々御答弁申し上げておりますように、私ども今作業しておりますのは第十四、十五、十六回の日米安保協議委員会で決定されました施設、区域の返還の整理統合の予定でなお残されておるもの十八件、及び最近でございますが、西銘知事がアメリカにいらっしゃいまして要請されてこられた七件、これ合わせて二十五件になりますが、ダブりがございまして二十三件という教え方もできます。これを中心にいたしまして、もちろん関連いたしまして検討しておるものもございますけれども、はっきりしておりますのはこの二十三件でございますが、これにつきましてその返還の見通し等可能性を検討しておるということでございます。
 したがいまして、現在はこれの状況を今の段階でどのようになっておるかということについて一件ずつお示しするために作業の詰めをやっておるということになろうかと思います。したがいまして、この結果につきましては、再々申し上げておりますようにできるだけ早い時期に公表させていただくという計画で現在作業を進めさせておるというのが実情でございます。
#345
○中川嘉美君 時間も余りありませんので進みますが、ついせんだって我が党の石田委員長が沖縄に参りましてつぶさに実態を見てまいったわけですが、そのときに記者会見等でもいろんなテーマについて語っておりますが、その中の二、三点だけちょっと確認しておきたいんです。
 それを見て私はこの際あえて基地返還について県民の一番の要求でもある恩納村、この都市型訓練施設とかあるいは県道に面した基地、こういった住民を脅かしている基地の返還そのもの、これはどうしても急ぐべきじゃないか、このように思います。今交渉の途上ですということになるかもしれないけれども、この辺について具体的に今名前を挙げたわけですが、交渉の現状と返還への政府の決意、この辺をちょっと伺っておきたいと思います。
#346
○政府委員(松本宗和君) 全体につきましては交渉の途中でございますが、具体的に申し上げられますのは、今恩納村の都市型訓練施設の関連を御指摘になりましたけれども、私ども検討しております対象の中には現在は当該区域は入っておりません。
#347
○中川嘉美君 当然願望というものを含めてのこれは質問ということに御理解いただきたいんだけれども、例えばそれじゃ那覇港湾施設とか普夫間の飛行場であるとか、あるいは北部の訓練場、こういったものについての返還交渉に関して日米合同委員会の議題の中の中心として扱うべき努力、こういった努力とその見通しまで踏み込んで決意を示すべきじゃないだろうか、このように思いますけれども、これらの三施設についての現状と返還時期は一体いつごろになるだろうか、この点はどうでしょうか。
#348
○政府委員(松本宗和君) ただいまの三つの施設につきましては、たしか安保協議委員会及び普天間の飛行場につきましては知事の要請の中にも入っておったと記憶しております。これの交渉の状況でございますが、大変失礼でございますけれども、これは外交交渉にも絡むということでございまして、まだ結論を得ておりませんので、交渉の段階でございますので明確にここで御説明するのは差し控えさせていただきたいと存じます。
#349
○中川嘉美君 これは当委員会で発言するだけではとても無理な話なんで、以後また引き続いて論議の対象としていきたいと思いますけれども、今後とも返還された基地の地主に対して、この方々が不利益をこうむらないように法的な整備も必要になってくる、こう思います。先ほど関連の質問が大城委員からも行われておりましたが、我が党としても改めて政府の具体的検討状況というか、こういったものを確認しておきたいと思うわけですけれども、この点はいかがですか。
#350
○政府委員(松本宗和君) これは先ほどの御質問にお答えしたかと思いますけれども、まず原則論から申し上げますと、国は契約の一方の当事者といたしまして賃貸借契約を締結して、その契約に基づいて土地をお借りして提供しております。提供が必要でなくなった場合にはその土地を米軍から引き取って必要な原状回復等の補償をいたしまして地主の方にお返しするというのがこれは賃貸借契約の条項の問題でございます。
 原則的にはこの賃貸借契約に基づきまして貸借人としての国の立場で対処してまいるわけでございますけれども、沖縄の場合非常にいろいろの過去のいきさつもございますし、規模も大きゅうございます。さらに沖縄振興開発計画等との関係もあろうかと存じます。そこで返還に当たりましては防衛施設庁のみでは対処し得ない将来の問題もあろうかと思いますので、関係機関等と十分調整をとりながら、もちろんその立場は貸借人としての立場以上に出ることができるかどうかという問題もありますが、遺漏のないように対処してまいりたいというぐあいに考えております。
#351
○中川嘉美君 今の御答弁を踏まえて今後論議を発展させていきたい、こう思うわけです。
 基地問題で最後に一点聞きますが、米軍が基地を撤退した後のこの施設の利用のあり方、これについてはもしも入れかわりに自衛隊が米軍施設を利用する、こういうことについては基本的に我が党は反対ですけれども、そのような事態にならないということをここでお約束できますか、どうですか。
#352
○政府委員(松本宗和君) 私ども現在の基地の整理統合の作業につきましては、これは沖縄県におきます米軍の施設の、米軍の基地の非常に密度の高さというものを前提にして、一刻も早くこれを緩和していくということを一つの前提として作業を行っておるのでございまして、その作業の中に将来これを自衛隊が利用するということを前提にしたものはございません。
#353
○中川嘉美君 次に、先日の委員会で私は、主に自衛隊の隊舎等の問題で自衛官の待遇、処遇問題、これを指摘したわけですけれども、今回は給与法の改正案であるので処遇面についての質問から若干入っていきたいと思います。
 まず初めに、防衛庁職員給与制度等研究会なるものがあると聞いておりますけれども、これについて端的に五項目にわたりますが、伺っていきたいと思うんです。まず第一項目が設置目的、次に設置時期、三番目が委員名がどういうものであったか、四番目が現在までの検討内容、最後が一応の結論が出る時期の見通し、これらについて御説明をいただきたいと思います。
#354
○政府委員(畠山蕃君) 防衛庁職員給与制度等研究会についてのお尋ねでございますが、この目的といたしましては、特に答申等をいただくというようなことではなくて、人事局長が防衛庁職員の俸給、諸手当等の給与制度等について参考意見を
伺うというのが目的といいますか、性格でございます。
 それから、設置の時期は五十三年の四月でございました。構成メンバーは尾崎朝夷氏、宮崎清文氏、岩尾一氏及び小川泰一氏の各氏でございます。
 それから、検討内容でございますが、自衛官俸給における階級と一般職の職務の等級等の対応関係の改善、これは昭和六十年度にそういう御意見をいただきました。それから、災害派遣手当を設けるべきだというのを昭和五十九年度にいただきました。それから移動警戒作業手当、これは平成二年度に設けることにいたしております。そういった御意見が出てきたのを踏まえて我が方としても対応しているところでございます。
 それで、時期でございますが、特に答申をいただくというようなものでもございませんので、いつ終わるという性格のものではございませんで、今後とも必要に応じ御意見を賜っていきたいというふうに考えております。
#355
○中川嘉美君 最近では同研究会が積極的な活動をしていないように聞いているわけですけれども、防衛庁としては自衛官の給与制度についての検討は終了したものと考えておられるかどうかという点、今若干御答弁最後の方にありましたけれども、この点どうですか。
#356
○政府委員(畠山蕃君) 一応研究会の中でいろいろな御意見をいただきましたけれども、いついつまでにまとまった答えをいただくというような性格のものではございませんので、今後とも随時御意見を賜っていきたいということでございます。
#357
○中川嘉美君 これまでも自衛官の給与制度の問題については数々の指摘がなされているわけですが、このうちの一つである俸給表の対応関係、これについてはどのような認識を持っておられるか御説明をいただきたい。
#358
○政府委員(畠山蕃君) 御承知のとおり、自衛官の俸給表につきましては、位によりまして、一般職の行政職と対応させる部分と、あるいは指定職と対応させる部分と、それから公安職(一)の俸給表に対応させる部分とがございまして、それはそれでバランスがとれているものと考えております。
#359
○中川嘉美君 いわば二曹から二尉までの六階級、これが今も御答弁にありました公安職(一)の三級と四級に対応していることが問題じゃないんだろうかと。六十年度のこの給与制度見直しのときに、一佐以上については改善されたようですけれども、下の階級についての手直しが十分じゃなかったんじゃないか、こんなふうに考えますが、この点どうですか。
#360
○政府委員(畠山蕃君) 今の御指摘の中にもございましたが、見直しは若干行ったところでございますけれども、なお十全かどうか、今後とも十分検討させていただきたいと思っております。
#361
○中川嘉美君 下の方の階級についての手直しについてはやはり十分にひとつ今後ともまた検討を続けていただきたい、このように思います。
 そのほかにも、自衛官の俸給月額を算出する計算式の複雑性であるとか、あるいは医療費控除を行う妥当性とか、さらには諸手当のあり方とか、さまざまな指摘がなされてきたわけですけれども、これらについて防衛庁としてどのような認識を持っておられるか伺いたいと思います。
#362
○政府委員(畠山蕃君) 医療費控除につきましては、この数年にわたりまして改善をしているところでございまして、これは今後あるいはもう少し幅広い観点から見直していく必要があろうかと思っております。
 それから諸手当でございますけれども、諸手当につきましても、防衛庁に原則的には一般職の諸手当と横並びの手当を設け、それの単価としてもそれを採用しているわけでございますけれども、御承知のとおり防衛庁の任務の特殊性から防衛庁にしかない独自の手当というものも存在するわけでございます。ただし、この手当である場合につきましても、一般職であっても勤務の困難性あるいは職務の危険性、そういったものに着目して特殊勤務手当として措置されているであろうという範疇のものとして、そういう性格のものについて手当を設けているところでございまして、なお今後ともそういった観点から必要な都度見直しをしてまいりたいというふうに思います。
#363
○中川嘉美君 自衛官の処遇については、いわゆる労働三権が認められていない、こういうことから自衛官の切実な要求といったものをいかに把握するかが大きな問題ではないか、私はこう思います。現在、防衛庁においてはどのような手段でそういったものを把握しておられるのか、この点をお伺いしたい。
#364
○政府委員(畠山蕃君) 特に処遇改善に関して、そのことだけで隊員の声を吸い上げるというようなシステムができ上がっているわけではございませんけれども、例えばそういうものに寄与をするものとして、各年度の業務計画というものを概算要求の作成の前提としてつくるわけでありますが、その場合にそれぞれの指揮系統を通じまして各部隊等の要望を把握した上で、幕僚監部あるいは内局において審議して、それを反映させるというようなことが毎年行われているわけでございます。
 それからまた、これは定期的ではございませんけれども、適宜隊員の要望や不満についてのアンケート調査等を実施しまして、こういったことでさまざまな機会をとらえて末端の隊員の意向を吸い上げるという努力をいたしているところでございます。
#365
○中川嘉美君 長官のちょっとお耳を拝借したいと思いますが、防衛庁自体が果たして自衛官の声なき声に耳を傾ける努力をしているのかどうかという問題、これらのことが十分に行われているのかどうかという、こういった角度から伺っているわけですけれども、口では人が基本であるんだと、人が基本だということを言われながらも正面装備の方の重視、こういうことの姿勢を保っているようでは問題がありと、私はこう言わざるを得ないわけです。長官のお考えとしてはこれらのことに関してどのように感じておられるか伺います
#366
○国務大臣(石川要三君) 人を大切にするということは、それぞれの人の意見を十分発揮させて、いろいろと欠陥があったら直す、こういうことが一番必要なわけでありますが、じゃどこでどういうふうなことをやるか、それを今組織的にやるということもなかなか難しい点もあろうかと思います。ただ、私の防衛庁長官としての立場で、できるだけそういうことをするには部隊を一回でも多く視察をするとか、そういうことがまず必要ではないかな、こんなふうに考えて、今国会が終わり次第飛び出したい、こんな気持ちでいるわけでございます。うまい何かいい提案でもあれば大いにまた検討してみたい、こんなふうに思っております。
#367
○中川嘉美君 そういう御答弁ですけれども、本改正案の提出のきっかけとなった若年定年制の下にある自衛官の定年退職後の処遇に関する研究会、この研究会における検討結果の中にも、資料ありますけれども、抜粋してみると、「自衛官の処遇にはなお解決すべき点が残るが、それらの問題については今後とも継続して検討を行っていくことが必要である。」、これは一番最後のいわゆる結語のところにこういうふうに記述されているわけですが、防衛庁はこの指摘に対してどのような認識を持っておられるか。もう先に言っちゃいますが、給与面の検討にもう幕引きをしてしまったのかどうかというような問題、先ほどちょっと触れましたが、この点に関してお答えをいただきたいと思います。
#368
○政府委員(畠山蕃君) 一般的に、仮にこの給付金制度が成立をいたしましても、なお自衛官の処遇の問題として十分でない部分があるという認識の上に立っての御指摘かと思いますので、それを踏まえまして私どもといたしましては、先ほどのお話にもございました給与制度研究会等も踏まえながら部内でもいろんな角度から検討を進めていきたいというふうに思っております。
#369
○中川嘉美君 ここで若年定年退職者給付金制
について伺いますけれども、まず初めに本制度創設の基本的認識として自衛隊の精強性維持のために若年定年制が不可欠、このように説明がなされているわけですけれども、この点についての御説明をいただきたいと思います。
#370
○政府委員(畠山蕃君) 自衛官の定年年齢は、御承知のとおり自衛隊の精強性の確保ということを第一といたしまして、他方に豊富な知識経験を有する人材の有効活用という観点をもあわせ考慮いたしまして、階級ごとに両者の調和を図るということで定められているところでございます。一般的には八割方五十三歳の定年でやめていることでございます。
 その五十三歳の定年につきまして今回この給付金制度の御提案を申し上げるに際しまして、これを契機として検討をいたしましたけれども、一部の職種あるいはその他例外的な部分は除きますと、やはり体力を要する根幹の部分についての一律延長は困難だということで、この五十三歳を大宗とする現在とられております若年定年制はまさに維持していくべきものという評価をいたしておるところでございます。
#371
○中川嘉美君 おっしゃったとおり現在自衛官は階級ごとに定年が定められているわけで、これによると一尉までについては五十三歳以下、こうされているわけです。そこで、今いろいろ御答弁がありましたけれども、この年齢の妥当性というか科学的合理性というか、何かデータなりの根拠に基づいて定められたものなのか、この辺どうですか。
#372
○政府委員(畠山蕃君) 五十三歳が一尉から曹長までについて大宗の定年年齢として定められましたのはそう昔ではございませんで、定年の引き上げということが五十年代に行われておりますので、そのときの定年の設定の仕方が医学的根拠に基づいて五十三歳がまさに最も妥当でありかつそれ以外にはあり得ないというところまで研究がなされた結果かどうかについては必ずしも私は自信を持ち得ませんけれども、少なくとも申し上げられることは、物のデータ等によりますと五十歳を過ぎた段階でかなり医学的な、例えば視力、聴力、瞬発力といったようなものが極端に落ちるというようなこともございますので、現在の五十三歳を大宗とする若年年齢も体力的な意味からいいますとかなり限界的なものであろう。
 他方において人材の有効活用を図るためにはこれを延ばすという要因もありますので、その調和点として五十三歳というのはある意味で、御質問の趣旨には必ずしも沿わないかもしれません、科学的根拠に基づいたものとは必ずしも言えませんけれども、妥当なところだろうというふうに思っているところであります。
#373
○中川嘉美君 確かに任務とかあるいは職務の関連から一般の公務員よりもそれは若い年齢での定年という考え方、これは理解できないわけじゃないんですけれども、それがなぜ五十三歳にしなければならないのかその必然性がどうもよく理解できない。今後もできる限りこれについては延長を検討する考えはないかどうか、この点はどうですか。
#374
○政府委員(畠山蕃君) 今回の給付金制度を提案申し上げるに際しましても検討をいたしまして、一部上位の将、将補については定年を延長いたしましたし、それから一部下の者についても五十三歳に一律延長いたしました。それから、横断的に職種別について一部職種についてこれは体力よりも知識経験が求められるということで定年延長いたしました。今後とも一律に五十三歳について定年延長することは困難だと思いますが、そういった意味で職種別に可能な限り人事管理的な意味も検討の上そういった意味での定年延長は検討を進めていきたいと考えております。
#375
○中川嘉美君 本制度は創設に当たって若年定年による不利益が強調されているわけで、これは本制度を創設した後でも抜本的に解決する問題ではないと思うわけです。したがって、できる限り定年は延長させる方向を考えた方が処遇面では有利になるんじゃないかと私は思うわけですけれども、ここではやりとりをいろいろやる十分な時間はないので、このことを真剣に検討をされるように要望しておきたい、こう思います。
 防衛庁長官、今そこにせっかくいらっしゃるわけですから、要望はしましたけれども、どうですか、今後防衛においてもいわゆる機械化とかあるいはハイテク化、こういったものが予想されるわけで、体力だけを基準にしていた時代と大きくさま変わりをしてきているのじゃないか、こう思います。いわば極論するならば自衛官はもう技術者と言ってもいいぐらいですね。そういった面が今後さらに拡大してくるのではないか、こう思いますが、そういった角度から定年延長努力というものは引き続き検討していくべきじゃないか、このように私考えるわけですが、長官はどのように認識されるか伺いたいと思います。
#376
○国務大臣(石川要三君) なかなか難しい問題で私にもなかなかわかりませんけれども、確かに時代はまさにハイテク時代といいますか、そういう時代になっていくわけでありますから、体力と言っても体力の内容も違ってくると思います。それから、逆にまた機械的になると今度は、先生お幾つだか知りませんが、私なんかなかなかコンピューターというのは扱いがわからないようなもので、だれにでもこれはあるんじゃないか、こんなふうにも思うんです。いずれにしましてもそうなってくると、じゃ女性もかなりある部分においては進出もできるんじゃないかな、こんなふうにも思うし、いろいろと考えますと難しいんですけれども、時代はやはりそういう時代ですから、今局長が言ったように、定年の延長というものについてはやはり考えられることではなかろうかな、こんなふうに思います。
#377
○中川嘉美君 大変結構な御答弁だと受けとめていきたいと思います。
 テーマは若干変わりますけれども、六月一日の予算の委嘱審査で、殉職自衛官の遺族に対する賞じゅつ金あるいは特別弔慰金、こういった問題と、それから殉職警察官の方ですね、遺族に対する見舞い金等の一時金との論議、これは既にもうたびたびここでなされたわけですけれども、その後いろいろ調べた結果、金額の差が余りにも大きいことがさらにわかってきたと。新聞報道にもあったように殉職警察官の場合最高で八千五百万、ところが殉職自衛官は最高でも千七百万、この辺の議論がありました。これでは余りにも気の毒じゃないだろうか。
 確かにこういった先般来論議がたびたび交わされていることを承知の上でいま一度伺うわけですけれども、当面せめて警察官に対し国から支出されているところの最高三千万円にするような検討をするおつもりがないかどうか、内閣の一員であって、しかも自衛隊を管轄している防衛庁長官の本件に関する御見解を伺いたいと思います。
#378
○国務大臣(石川要三君) この問題につきましてもいろいろと御意見を拝聴したわけでありますけれども、これも実際よく内容を検討してみないとうかつなことは発言できませんけれども、いずれにしましても他省庁の公務員と横並びに行けるようなそういう方向でこれからもやはり検討していきたい、こんなふうに思っております。
#379
○中川嘉美君 各省庁との関係性というのはもちろん大事ですけれども、私としては殉職した自衛官の親族の立場に立ってやはりこのことについては真剣に取り組んでいただきたい、こんなふうな気がいたします。
 時間がだんだんなくなりましたので、最後に防衛関係費について若干の御見解だけ伺っておきたいと思います。
 平成二年度の防衛関係費よく御承知のとおり四兆一千五百九十三億円余の巨額に達しているわけですけれども、まず防衛庁長官からこの予算の規模について率直な感想といいますか、どんなものか伺いたい。
#380
○国務大臣(石川要三君) 感想でございますから率直に申し上げますが、予算規模、額というものは決して小さいとは思っておりません。ある意味においては、例えば東南アジア等へ参りますと、
本当に我が国の防衛の額というものは少なからず大きいものだな、こういうふうに思っております。
#381
○中川嘉美君 おっしゃるとおりだと私も思いながら質問をもう少し続けたいと思いますが、要するに政府は二年度予算について、中期防の最終年度としてその達成を図るため他の諸施策との調和を配慮して必要最小限度の予算を計上した、こう述べておられるわけですね。
 これまでも国会で指摘がなされていたように、一般の常識から見ればこれは大変な額に達しているというのが率直な私の感想であるわけですが、外国からも実は我が国の防衛費についてさまざまな論調が伝えられているわけです。英国国際戦略研究所のミリタリー・バランス、一九八九から九〇ですね、この記述によりますと、我が国の防衛費は「仮にNATO定義を適用するとすれば、日本は先進工業国中で第二番目に多い国防支出国ということになる。」、こうなっているわけです。防衛庁長官はこの記述についてそれこそどのような感想を持たれるか、またこの事実を認められるかどうか、先ほどの御答弁を踏まえてひとつまた御返事をいただきたいと思います。
#382
○国務大臣(石川要三君) 英国のミリタリー・バランスのその件でございますが、私がいろいろと政府委員からその内容についての勉強の中におきましては第六位というふうに、後ほどもし必要になれば政府委員の方から答弁させますが、そういうふうに理解をしております。
 ただ、軍事費大国イコール軍事大国ではない、私はこう思うんです。中身を見るといろいろとありますと思います。一つには我が国の、要するに先生も御承知かと思いますが、特に徴兵制度ではありませんし、非常に高い人件費を払っているわけでありますから、そういう人件費、糧食費が大体四〇%あるわけです。そして、しかもこれも一つの理由になると思いますが、例えば先進諸外国に比べて我が国の自衛隊の発足の歴史的な時間が短い、そういう中で積み重ねてまいりましたから、そういうストックのある国とない国とのそういう違いもあろうかと思います。
 それから、我が国の置かれている地理的条件の中にいろいろとやはり周囲のいろんな国々の技術水準というものも合わせていかなきゃならない、こういうようなこと。いろんな要素から見ると、私はやはりいたずらに高いわけでもなくして、そこには高くなった理由というものはちゃんとある、このように理解をしておるわけであります。
 最近、特にこういうデタント時代でありますから、貴党におきましても、これを三年間ぐらいストップしたらどうだという御提言もございました。一つの提言として大変私は貴重な御意見だと思っておりまして、いろいろと検討しているわけでございますが、なかなか中を見ると、今言ったように大体人件費、糧食費で四〇%、それからいろいろと武器を買う年度の何というんですか、五年の期間ぐらいで払っておりますから、そういう歳出義務の歳出化経費というんですか、これが大体四〇%ぐらい、もうこれだけで八〇%。残りの二〇%のうちの中には弾薬だの油だの教育費だのいろいろとあるわけであります。特に、再三くどいようでございますが、まだまだ後方の整備が非常におくれている。こんなようなことを考えますと、非常にすき間が少ない、こういうのも実態でありますから、これをきちっと抑えてしまうということはなかなか私は困難であろう、こんなふうにも思うわけでございます。
 したがいまして、くどいようでございますが、このミリタリー・バランスにつきましてはそのような認識を持っておりますが、ただしかし、諸外国のいろんな例を並べてみると、人口比、GNP比、その他いろいろとやってみると必ずしも我が国が極めて突出したそういう軍事大国であるというふうには私は認識をしていないわけでございます。
#383
○中川嘉美君 御答弁の冒頭に六位という答弁がありましたけれども、私が言った二位が、よく調べてみたら実は三位でしたというのならまだ話はわかるけれども、二位が六位にぽんと跳んでしまうんですから、これは余りにもかけ離れ過ぎる、要するに見解の違いを指摘せざるを得ないと私は思います。
 防衛庁に伺いますけれども、今こういう長官の御答弁があったわけですが、ミリタリー・バランスがどのような根拠でこのような認識を示していると考えておられるか。先ほど冒頭にミリタリー・バランスの表現を言いましたけれども、防衛庁も白書等でよく引用する権威あるものと思いますので、いいかげんなことは記述してあるとは思いませんけれども、防衛庁の御見解を伺っておきたいと思います。
#384
○政府委員(藤井一夫君) ただいまのミリタリー・バランスに書かれました防衛費の国際比較の問題でございますけれども「先ほど大臣がお答えいたしましたように、巻末に各国の防衛費が列挙してございます。これで比べますと第六位ということになるわけでございますが、一方本文には、西側第二位になっているという指摘がございます。これは恐らくNATO定義というものを引用して計算をした場合だと思います。
 ただ、NATO定義といいますのは、再三御答弁申し上げておりますように内容が秘密になっておりまして、正確なことはわかりませんが、多分これには軍人恩給費とかあるいは準軍隊の経費が入っているというふうに言われております。そこで、仮に我が方の軍人恩給費と、それから準軍隊という意味で海上保安庁の経費を足して計算をいたしますと防衛関係費は一・四倍という形になりまして、確かに西側第二位というような計算に相なりますけれども、こうした計算がよろしいのかどうなのか、これはなかなか議論のあるところだと思います。
 ただ、先ほど来大臣が申し上げておりますように、こうした経費で維持しております防衛費の規模なり内容といいますのは、諸外国と比べましても私ども決して大きくなっていないと考えておりますので、こういうNATO定義の比較が即防衛力の内容、規模の比較に直結するものではない、かように心得ておるものでございます。
#385
○中川嘉美君 もう時間がないので最後に伺いますが、そういう御答弁に対して、政府がいかように説明しようとも諸外国からは、ミリタリー・バランスに記述されたような認識でもって我が国の防衛費とかあるいは防衛力の規模、そういったものが見詰められていることはこれ否定できないと私は思うわけです。
 しかも、このような防衛費の規模にもかかわらず、政府はその事実さえも素直に認めないというふうな印象が非常に強いわけです。我が国の防衛力がむしろつつましやかなものだというふうに述べておられるわけですけれども、国民の我々にもこういったギャップに戸惑いを感ぜざるを得ない、こんなような気がするわけですが、防衛庁長官から最後にこの点に関する明確なひとつ御答弁をいただいていきたい。我が国の防衛費が世界のレベルで見ても相当なレベルにあるんだという認識を、冒頭の御答弁にはそのような趣旨のあれが述べられておりましたげれども、少なくともそういう認識を持つべきじゃないかと考えますけれども、長官の御答弁を最後にいただいて終わりたいと思います。
#386
○国務大臣(石川要三君) 確かにミリタリー・バランスでも六位としても、世界じゅうには百六十ぐらい国があるんですから、それはその中でも六位というようなことは決してこれは下位でないことは言うまでもないわけであります。特にアジアなどの諸外国、ASEAN等を見ても、ASEANでまとまったってとてもじゃないけれども追いつかないぐらいの規模ですから、そういう意味ではなかなかこれは説明してもそういう懸念というものが払拭できないことも事実あると私は思っております。
 ただ私は最近、アジア三国だけでございますが、歩いてみた範囲では、案外理解はしてくれた、そういうことは私は肌身に感じました。しかし、特に最後の訪問国のマレーシアのリタウディン
大臣とのいろいろと話の中で、私はそうは思っていないけれども、やはりマスコミとか一部そういうところにはかなりありますよという、そういう発言がありました。そういうことに対してあなたはどういうふうにこれを払拭する努力をするかというような、こんなお話もございました。私がいろいろとお話をしたんですが、なかなかそれもそう簡単には理解できたかどうかというものは私は自信がないわけでありますけれども、よくわかると言いながらも、なかなかどこまで理解できたかということにはまだまだこれからも努力が必要だなと、こんなふうに思いました。
 一つ、これは私見でございます、間違っているかもしれませんが、要するに我が国の憲法で私どもがこういうふうな規制があって、こういうふうな縛られ方もしているんで、決して攻撃的にもならないし、軍事大国にはならないんですよということを口を酸っぱくして言っても、憲法というのはいつでも変え得るんじゃないか、こういう認識もあるわけですね。そこいらがもう我が国会における憲法論議と全然違うわけでございますから、非常にその点はなかなか理解を得にくい一つの要素かな、こんなふうにも思うわけでございます。
 しかし、結論として私は、とにかくデタントの世の中ですから、これは国民の皆さんに理解してもらわなきゃしようがないですから、この理解はなかなか難しいと思うんです。緊張が高まっているときの防衛政策、それからこういう時代の防衛の内容とはこれは非常に国民の理解をなかなか得にくい、三倍も四倍も汗をかかないとなかなか難しい点もあろうか、こんなふうに思います。いずれにしましても、私どもはやはりいたずらにこのデタントのムードにだけは余り流されてはいけない、現実を見詰めて、直視して正しい防衛のあり方を探求していくべきではなかろうかな、こんなふうに思います。
#387
○中川嘉美君 終わります。
#388
○委員長(板垣正君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後五時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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