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1990/06/14 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 内閣委員会 第8号
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1990/06/14 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 内閣委員会 第8号

#1
第118回国会 内閣委員会 第8号
平成二年六月十四日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十四日
    辞任         補欠選任
     大島 友治君     片山虎之助君
     八百板 正君     谷本  巍君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         板垣  正君
    理 事
                大城 眞順君
                高橋 清孝君
                山口 哲夫君
                吉川 春子君
    委 員
                岡田  広君
                片山虎之助君
                田村 秀昭君
                名尾 良孝君
                永野 茂門君
                村上 正邦君
                翫  正敏君
                谷本  巍君
                角田 義一君
                野田  哲君
                三石 久江君
                中川 嘉美君
                吉岡 吉典君
                星川 保松君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  塩崎  潤君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  石川 要三君
   政府委員
       宮内庁次長    宮尾  盤君
       皇室経済主管   永岡 祿朗君
       総務庁人事局長  勝又 博明君
       防衛庁参事官   内田 勝久君
       防衛庁参事官   玉木  武君
       防衛庁参事官   村田 直昭君
       防衛庁参事官   鈴木 輝雄君
       防衛庁長官官房
       長        児玉 良雄君
       防衛庁防衛局長  日吉  章君
       防衛庁教育訓練
       局長       米山 市郎君
       防衛庁人事局長  畠山  蕃君
       防衛庁経理局長  藤井 一夫君
       防衛庁装備局長  植松  敏君
       防衛施設庁長官  松本 宗和君
       防衛施設庁総務
       部長       吉住 愼吾君
       防衛施設庁施設
       部長       大原 重信君
       防衛施設庁建設
       部長       黒目 元雄君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
       労働省職業安定
       局次長      齋藤 邦彦君
   事務局側
      常任委員会専門員  原   度君
   説明員
       内閣官房首席内
       閣参事官     多田  宏君
       外務大臣官房審
       議官
       兼外務省北米局
       審議官      時野谷 敦君
       外務大臣官房審
       議官
       兼外務省アジア
       局審議官     川島  裕君
       外務大臣官房文
       書課長      鏡   武君
       外務省アジア局
       地域政策課長   渋谷  実君
       外務省アジア局
       南東アジア第二
       課長       野本 佳夫君
       外務省北米局北
       米第一課長    岡本 行夫君
       外務省北米局安
       全保障課長    重家 俊範君
       外務省北米局地
       位協定課長    森  敏光君
       外務省欧亜局ソ
       ヴィエト連邦課
       長        東郷 和彦君
       大蔵省主計局主
       計監査官     諸江 正義君
       運輸省航空局飛
       行場部計画課長  小坂 英治君
       運輸省航空局管
       制保安部管制課
       長        下里  晃君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(板垣正君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○翫正敏君 では、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に関して防衛庁に質問いたします。
 私は自衛隊は憲法第九条に違反する存在だと考えておりますので、したがって自衛隊を廃止し隊員は速やかに一般職の公務員としての仕事についていただくようにしなければならないと考えておるものでありますが、ただ自衛隊がいかに違憲とはいいましても、隊員の方々には家族の方々を含め、憲法に保障された健康で文化的な生活を営む基本的人権というものがあるわけでありますので、そういう意味において、国が隊員を雇用している責任において相当額の給料を支給したり、また退職後の年金を保障したりするということは必要なことであると、このように基本的に考えているものであります。
 さて、そこで具体的に質問いたしますが、この「自衛官の定年年齢の延長」という一覧表を見ますと、医師、歯科医師である自衛官や薬剤師である自衛官、音楽、警務の職務に従事する自衛官の定年は六十歳に延長されるのに、なぜ一般の自衛官は、将と将補という位の上の方の人は六十歳に延長されるのに、下の方へ下がると五十三歳というふうになるのか。これをお答え願いたいと思います。自衛隊が存続する間は定年は皆同じであるべきだと私は思うわけでありますが、この上の方と下の方で差がついている理由、それも地位の下の者ほど早く定年になる理由というものを簡単に御説明ください。
#4
○政府委員(畠山蕃君) 御承知のように、自衛官の定年年齢はその職務の特性上必要とされます体力に一方において着目いたしまして、他方同時に豊富な知識、経験を有する人材の有効活用という観点をも考慮して、両者の調和という形で階級ごとに定めているわけでございます。すなわち、知的能力といいますか経験も含めましてそういったものへの要求が高くて体力的要素が比較的少ない上級部隊等の指揮官等の職務を行う上位階級につきましては、体力的要素をより重視される下位階級に比べて高い年齢となっているということでございます。二つの要素というものをどう調和するかというその相対的関係で定まっているということでございます。
 なお、諸外国におきましても、我が国だけではございませんで、一般的に上位階級に行くほど定年年齢が高くなっているというのが実態であります。今回の定年延長を決定いたしました考え方も、そのような一環として考えていただければと思います。
#5
○翫正敏君 説明は聞きましたけれども、私としてはこのようなふうに下位の者ほど早く定年になるというようなことはおかしいと。定年である以上はどの自衛隊員も同じであるべきだというふうに思うんですけれども、まあ水かけ論になりますので次へ移りますが、この表を見ますと、一曹、二曹、三曹という方がおいででそれぞれ五十三歳が定年延長後の年齢なんですが、この下にさらに士長、一士、二士と下級の隊員の方がおられるわけですが、この方々の定年は幾つなのかお示しください。
#6
○政府委員(畠山蕃君) 士で採用される自衛官の多くはいわゆる任期制という形をとっておりまして、その任期は原則として陸上自衛隊については二年、海空自衛隊についてはそれぞれ三年という形になっております。
 なお、継続任用という形が認められておりますので、二任期目以降の任用期間は陸海空いずれも二年という形でございます。定年という形じゃなくて、そういう任期制という形をとっているわけでございます。
#7
○翫正敏君 とすると、士長以下のいわゆる一番下の方で自衛隊の仕事をしておられるそういう方は、二年ないし三年の任期ということになりますと、その任期がたてば使い捨てというふうになる場合もあるわけですね。そう考えてよろしいですか。
#8
○政府委員(畠山蕃君) 使い捨てという表現をなさいましたけれども、自衛隊におきましてはその任務の性格上組織を常に精強に保つ必要があるということで、中でも士長以下の自衛官につきましては自衛隊の統率、運用上、その気力、体力の充実を必要とするということから若く保つ必要があるということでございまして、その観点から任期制という特殊な形をとっているわけでございます。
 それで、今申しましたように陸においては三年任期、海空においては二年任期という形をとっているわけでございますが、本人が継続任用を希望しかつその任にたえ得るということであるならば、先ほども申し上げましたように二任期目以降の継続任用という形も認められておりますし、さらに本人が部内で選考されて合格するならば曹という以上のものに昇進する可能性がある。その場合には非任期制の隊員へ移行する道も広く開かれているわけでございます。
#9
○翫正敏君 説明はわかりましたけれども、何かこの表を見たり今ほどの御説明を聞いたりして感ずることは、自衛隊というところは上の方の人には非常に手厚く下へ行くほど何か差別的な待遇が行われているような気がしてならないわけでありますので、こういうことについて次に質問したいと思いますが、その前にちょっと確かめたいんです。
 前回のときに山口委員の方から御質問がありましたことについてですが、いわゆる退職をしましてから六十歳までの間の平均所得が一定水準を超えるというような場合、そういう場合は極めて事例としては少ないというようなことをお話しになりましたけれども、実際少ないかどうかはやってみなければわからないわけでございますから、こういうような場合には最終年度において給付金を調整すると、返還するというような場合も含めて調整すると、そういう措置を講ずるべきであるとそう思うんですけれども、前回の山口委員と同じ質問になりますけれども、二日日がたちましたがお考えは変わりませんか、そういうお考えは。
#10
○政府委員(畠山蕃君) ただいまの御質問にお答えする前に、私ちょっとその前の御質問に言い間違えたようでございまして、陸上自衛隊の任期が二年で海空が三年ということでございます。
 ただいまの御質問でございますけれども、この間も申し上げましたとおり、私ども法律案を作成する段階で正直申しまして非常にその点については問題意識の一部といたしまして議論したことは事実でございます。
 しかしながら、一つには、翌年の退職所得が非常に低くて給付金をフルに支給される状態で、その後三年目以降の状況が所得が上昇して、振り返ってみると平均所得が上回るケースについて償還をするということの御提案かと思いますけれども、その場合にはまず私どもの割り切りといたしましては、再就職をしたときの現在におきます中高年齢者層の労働環境から考えまして非常に厳しい状況にある。そういう中で若年で退職をして再就職の道を求めるわけでございますので、そのときに一生懸命努力をした者がさらにその努力が報われないでその分だけカットされるという形をとることは、これはやはりその自己努力を否定することにつながりかねないということから、そこは例外的ケースあるいは理論的な観点からすると全くないわけではないとは思いますけれども、その真摯な自己努力を我々としてはそれなりに受けとめなければならないだろう、そういうことから私どもとしては振り返ってその調整するということは必要ないであろうというふうに割り切った次第でございます。
#11
○翫正敏君 極めて納得がいかないんですけれども、おとといのときの質問へと同じ回答である、変わっていないとそういうことでありますから、次の方へ移りたいと思います。
 先ほど申しました下の方の隊員の方々についての待遇とか考え方のことに戻るんですが、昭和六十三年六月二十九日に小松基地で発生した事故の内容をごく簡単に説明してください。
#12
○政府委員(米山市郎君) 六十三年六月二十九日に小松基地で発生をいたしました事故の内容でございますが、要撃訓練のため同日十六時ごろ四機編成の二番機と三番機として小松基地を離陸いたしましたF15二機が、小松沖訓練空域におきまして他の二機と組んで二対二に分かれての訓練を実施中、十六時十八分ごろ空中衝突いたしまして爆発炎上し、その結果パイロット二名が死亡をしたというものでございます。
#13
○翫正敏君 小松基地のパイロットの方が二名お亡くなりになるという大変残念な事故が起こったわけなんですけれども、この事故後のことについてお聞きしたいんですが、小松基地司令が記者会見をされまして、あすからの訓練は続けると、このように発表されたわけであります。これに対しまして基地周辺住民の間から、墜落事故にも驚いたけれども訓練続行にはもっと驚いた、今は行方不明――そのときはまだ行方不明という状態でありましたから、行方不明の二名の隊員の捜索にこそ全力を挙げるべきではないか、自衛隊は人命軽視なのではないかというような趣旨の発言が新聞等々に報道されたという事実を把握しておられるかどうか、お聞きをいたします。
 またさらに、その後基地周辺の町内会長さんのお集まりの中でも、隊員の方が行方不明になり結局は二人お亡くなりになるということになったにもかかわらず、自衛隊は訓練を優先する余り人命の軽視があるのではないかと、このような趣旨の発言があったというふうに私は聞いておるわけですが、そのように防衛庁も把握をしておられますかどうですか。
#14
○政府委員(米山市郎君) 御指摘の小松基地司令の会見に関する報道については、私どもも承知をいたしております。また、当時の基地司令が事故の発生いたしました半日の記者会見で今御指摘のようにとられかねない発言をしたというのも事実であるというふうに私どもは承知をいたしておりますが、ただこの発言はあしたからやるということではなしに、現場の責任者としてできるだけ早く訓練を再開したいというような希望を表明したものであって、直ちに事故の翌日から訓練をするというふうなことを言ったものではないというふうに理解をいたしております。
 なお、この発言につきまして地元住民から具体的にどのような御意見があったか私どももつまびらかにはいたしておりませんが、そういった関係の報道については承知をいたしております。
#15
○翫正敏君 新聞等々の報道は把握しているということでありましたので申し上げますが、政府は、自衛隊員特に下級の隊員の方々について定年の問題でも早く定年をする、下の人は二年とか三年で任期切れになってやめなければならないというような場合もあり得る、こういうふうなことを考えていきますと、何か下級の隊員というものを消耗品のように見ているのではないかという疑問が禁じ得ないわけであります。今ほどの事故の場合につきましての対応にもそのことを感ずるわけでありますが、年齢の問題につきましても差別が強いのではないか。行方不明の隊員の捜索よりも訓練続行を優先するようなそういう自衛隊の体質というもの、こういうものを根本的に改めていくべきであると私は思うわけでありますけれども、これは定年制の問題とも私はつながっておるとこのように判断しておるわけでありますので、防衛庁長官の方から基本的なこととしてお考えをお聞きしたいと思います。
#16
○国務大臣(石川要三君) 今回の若年定年に対する制度でございますが、その中でなぜ下の方の者が五十三歳で上の方の者になると六十歳かという、余りにも差別があり過ぎるんじゃないか、こういうことの意見に対しては今局長の方から重ね重ねお話をいたしまして、見解が違っているようでございますけれども、私は局長のそういう見解は決して何か人間差別というような発想からこの制度ができているものではない、このように思うわけでございます。
 今回の事故の問題でありますが、これは私もまだ就任早々でございますので当時の司令の本当の気持ち、考え、これがつかめないわけでありますけれども、ただ確かに誤解されやすい発言だったなというふうな感じがいたします。それと定年制の何となく消耗品的な扱いと、これは私は、ちょっと失礼ですけれども先生も多少偏ったお考えではなかろうかな、こんなふうな感じがするわけでございますが、とにかく私どもは自衛隊というものは国を守るための若い隊員というものが必要なわけでありますから、それをあたかも何か消耗品のようなことでもし発想が成り立っているとするならば、これはとてもじゃないけれども強靱な自衛隊というものは養成できないわけでございますので、その点はいささか私は見解を異にしている、こんなわけでございます。
#17
○翫正敏君 見解の相違というお答えでありましたので、次の方へ移らせていただきます。
 前回、六月一日の日に日ソ関係について質問しましたとき時間がありませんでしたので、そのことに関連してちょっとお尋ねしたいんです。自衛隊がいわゆる脅威または潜在的脅威ということで認識をしているのがソ連でございますが、そのソ連との間の友好関係をどう確立していくかというそういう視点で前回も質問いたしましたので、その続きを少しさせていただきたいと思います。ソ連のシェワルナゼ外相の九月来日が決定したようでありますが、何といっても来年に予定されているゴルバチョフ大統領の来日というものを機にして日ソ間の平和条約の締結に道をつけなければならない、これが大きな今政治課題となってきていると思います。
 さてそこで、前回御質問いたしました日ソ平和条約締結のネックになっている北方領土返還問題になりますけれども、これを前回取り上げまして、新しくロシア共和国最高会議議長に当選をしましたエリツィン氏の五段階返還論というものについて坂本官房長官の所感をお尋ねしたところでありました。私なりに当時のメモを整理してこういうお答えだったかなと思ってまとめてみましたんですが、世界情勢が冷戦から緊張緩和へ大きく変化しやがてアジアにも世界的枠組みの変化が及ぼうというときだから、政府の北方領土四島一括返還そして日ソ平和条約を結ぶというこの立場に変化はないけれども、自民党の内部やまた国の内外においての世論の中で今までと違う柔軟な考え方やいろんな意見が出てくるというのも自然の経緯であろうと思う、大事なのはまず日ソ間の対話の促進であると、このような趣旨の御答弁であったかと思いますが、そのように受けとめさせていただいてよろしいでしょうか。
#18
○国務大臣(坂本三十次君) 大体委員のおっしゃるようなことを私申し上げたと思っております。
 四島を一括返還して平和条約を結ぶ、この姿勢は変わらぬけれども、それだけではなしに、それと同時に人的、経済的、文化的、いろいろな面で日ソ間の対話と交流を進めていく。領土の返還交渉の問題とそれからまた同時にそういう幅の広い対話を進めていく。これを拡大均衡と言う人もございますけれども、幅の広い対話を進めていってそして所期の目的を達成したい。これが私の気持ちでありまして、来年あたりゴルバチョフ大統領がおいでになられると思いますが、それまでにひとつ大いにその間対話を進めて、そしてゴルバチョフ大統領が来たときに私どもの考えておるような方向に歩み寄ってもらいたい、そういうふうに期待をしております。
#19
○翫正敏君 ソ連の方に歩み寄りを期待するばかりではなかなか難しいと私はそういうふうに思うのでありますが、この九月上旬にソ連の外相が来日するということが決定したという報道もきのう、おとといの新聞になされているとおりであります。
 そしてまた、昨年の末に来日をされたソ連のナンバーツーと言われますヤコブレフ氏の国内における発言でも、日本の主張、ソ連の主張、それを足して二で割るかどうかわかりませんが、第三の道というようなものも模索するということが必要ではないかというような発言もあったかと思います。また、六月十一日には来日中の日本研究センター所長という方が新聞を見ますと発言をしておられまして、それを見ましてもやはり「ゴルバチョフ大統領の訪日の際の日ソ間の対話を機に、北方領土問題は、新たな位置付けを迎える」、こういう指摘をされ、来年の大統領の来日を機にソ連政府が北方領土の解決、平和条約の締結に向けて本格的な取り組みを始めるとの見通しを示したと。このようにサルキソフ日本研究センター所長の発言なども新聞に報道されているとおりでございます。
 それに加えて、申し上げましたソ連の方では急進改革派と言われておりますエリツィンさんがことしの初旬に来られて、五段階返還論というようなものも言われたと。こういうふうにして変化球もいろいろ投げられてきていると思いますので、その点についてのことをさらに少し外務省の方にお伺いしたいと思います。
 外務省から北方領土問題に関する我が国の立場と主張というものについては六月一日にお伺いをしましたので、それはよくわかりました。で、ソ連側の主張というものをちょっと読んでみますと、ソ連側は、第二次大戦の現実に基づいて今日の世界がある。極東における戦後の現実の再検討は西部国境の再検討につながる。第二次大戦勃発の責任は日本軍国主義にある。これにより日ソ中立条約の条件は根本的に変わった。ソ連の対日参戦は同盟国の要請によるものである。ヤルタ協定は日本を強制する。一九五六年の共同宣言で歯舞、色丹を日本側に引き渡すというふうに言ったのは、第二次大戦の結果の再検討に基づくものではなく、ソ連の善意及び日本との善隣友好関係を確立するとの希望のあらわれであり、日本はこのようなソ連の善意を拒否した。一九六〇年の日米安保条約により極東の戦略情勢が変化したと、こういうようにソ連の主張があるわけであります。
 さらに、そういう意味で歯舞、色丹の二島返還もあり得ないと、このような主張をソ連側は繰り返しているというふうに理解をしておりますが、大体そういうことでよろしいでしょうか。
#20
○説明員(東郷和彦君) ソ連政府の現在述べております公式的な立場につきましてはまさに先生御指摘のとおりでございまして、政府間では過去四回にわたって平和条約作業グループで議論をしております。その間ソ連側の方から提起されておる考え方は、まさに今先生が御指摘になられたとおりでございます。
 最近の例でそういうソ連政府の考え方に基づく公式的な立場を最も象徴的に述べておりますのがゴルバチョフの四月二十六日のスペルドロフスクにおける発言でございまして、クリル群島の島々に関する質問があった。余った土地は我々にはない。我々は領土の不可侵を含む戦後の現実の承認というヘルシンキの立場に立っている。こういうことを申しておりまして、グラスノスチのもとで一部のソ連の学者等から種々の先生御指摘の変化球という表現が場合によっては当てはまるような発言はございますけれども、現下の政府間の交渉におけるソ連政府の立場は極めてかたいというのが現状でございます。
#21
○翫正敏君 ところで、世界情勢ということに関連して言いますと、昨年一九八九年十二月二日から三日にかけて地中海のマルタ島仲で、ブッシュ、ゴルバチョフの米ソ首脳会談というのが開かれたわけであります。そのとき新聞の報道で国民の中でももてはやされた言葉がャルタからマルタへの道と、こういう言葉でありました。
 歴史を振り返ってみますと、第二次世界大戦中、米英ソなど連合国は公式発表では常に我々は領土の拡大を求めない、こう言っていたにもかかわらず、ソ連のクリミア半島のヤルタで米英ソ三国首脳会談が行われ、そしてソ連の対日参戦がそこで決定をされまして、その見返りとして我が国固有の領土である北方領土四島のソ連への分割というものが密約をされたと、私はそのように理解をしております。しかし、今やソ連のペレストロイカというものに端を発して、世界に大きな変化が起きつつあるというそういう時代だと思います。ヤルタ協定、これが日本領土の一部を分割してソ連の支配下に置くという密約であったとするならば、なおさら逆にソ連が四十五年間にわたって北方領土四島を支配し続けてきたという、こういう重い現実というものもあると思います。
 エリツィン氏は五段階返還論というものを来日のときに唱えられましたけれども、この方はソ連随一の急進改革派というふうに言われておりますが、その一方で民族主義的傾向も強いという評価も物の本には載っておりました。この氏自身の発言の中にも、これは大事なことだと私は思いますが、ソ連の首脳が今ソ連国内で北方領土返還を言い出せば急速に国民の支持を失い指導力を失いかねない、急進改革派の随一の指導者で今度ロシア共和国の最高会議議長というものに当選をされたこの方でさえ、こういうことを日本へ来られたときの講演の中で言っておられるわけであります。
 そうしたことを考えますと、先ほど外務省が言われたゴルバチョフ大統領の領土問題についての対応は非常にかたいとこういうことでありますけれども、やはりそれはそれなりにソ連の国内事情というもの、日本の言葉で言うと日本の国民感情というような言葉がありますけれども、そういうものに相当するようなものがやはりあって、ソ連の国内事情というものの中からそういうのが出てきておるのではないかとこのように思うんですけれども、外務省としてはそういう日本で言うところの日本の国民感情とかいうような言葉、ソ連の国内事情、国民感情こういうようなものを、今ほど申し上げましたようなことをどのように把握しておられるかをお答えいただきたいと思います。
#22
○説明員(東郷和彦君) 先生まさに御指摘になられましたように、ソ連のペレストロイカに端を発して、ソ連国内及び世界に本当に大きな根本的な変化が生じつつあると私どもも認識しております。ソ連の国内の状況に関して申し上げれば、このペレストロイカの過程の中でソ連人自身の意見というようなものがいろいろな形のところで反映されてきていると。これはまさにゴルバチョフ政権が抱えている経済改革、政治改革、それから民族問題、この三つの大問題についてソ連人自身がどういうふうに物を考えているかということが色濃く反映されてきているわけでございます。
 一番最近の例で申し上げれば、ロシア共和国の主権宣言という、これは本当にこれまでのソ連邦の歴史の中で恐らくだれも想像しなかったような基本的な問題がこの数日間起きているわけでございまして、外交面における代表権をロシア共和国が主張し、かつそれを九百七票対十三票という圧倒的な多数で可決しているという状況は、恐らくこれは過去五年間のゴルバチョフが抱えてきた問題の中でも最も重要さの大きな問題だというふうに私どもも認識しておりますし、そういう状況の中で諸般の対外問題に関するゴルバチョフ政権の対応、これはゴルバチョフ政権としてはいろいろ難しい点もあるだろうという点はわからないわけではございません。しかしながら、私どもの認識としましては、こういう混乱の状況の中でこそ物事の筋目というものがより明らかになってきているというふうにも思われます。
 対外関係でヨーロッパ等で起きている問題、ベルリンの壁の崩壊、ドイツ統一に向かってというのはまさにそのような動きでございますし、我が北方領土問題についての筋目ある対応というものも、こういう混乱の状況の中でこそより明らかになってくる可能性もあり、筋目と同時にソ連にとって領土問題を解決して平和条約を結び日ソ関係を抜本的に改善するということがいかに今後のソ連及びアジア・太平洋にとって利益になるかということが、こういう状況の中でおのずから明らかになってくるはずだというふうに考えておりまして、それをこれから数年間のソ連最高首脳との対話の中においてぜひ実現したいというふうに考えている次第でございます。
#23
○翫正敏君 私は外務省の考え方はやはり非常にかたいというふうに思うわけでありまして、原則論に終始し教科書的であるというふうに思わざるを得ないのであります。
 ゴルバチョフ大統領が米ソ首脳会談の席で北方領土の返還について日本側の見返り云々というようなことを発言したというそういう報道もありましたが、その後そういうことはないという否定の報道もまたあったりしまして、真相は明らかでありません。やはり先ほど申しましたように、ソ連の首脳が今ソ連国内で北方領土返還というようなことを言い出せば急速に国民の支持を失い指導力を失いかねないというこういう状況などを考えてみますと、見返りに日本の経済協力というのを期待していたとしてもなかなかそういうことを言い出せないとか、言ったとしてもまた後で否定するとか、そのような状況なのかなとも思うわけであります。
 ペレストロイカというものが推進されておりますが、逆に経済が停滞しているということが報道されておりまして、ソ連経済の停滞している状態の建て直しを図りつつ政権の基盤の強化をねらっているとも見られるわけでありますけれども、ごく最近の米ソ首脳会談におけるゴルバチョフ大統領が言ったとかまた否定されたりもしております発言について、官房長官は大体どのような状況だというふうに政治的に見ておられるか、お答えいただきたいと思います。
#24
○国務大臣(坂本三十次君) 北方領土問題に関係して領土について日本と取引したいと思っているという説が流れましたので、これはやっぱりその真意は確かめにゃいかぬと思いまして、首脳会談ですからアメリカの政府の方に対しても念入りに照会をいたしましたけれども、アメリカ政府の方からはそのような領土問題で何らかの取引をしたいというようなことは一切なかったと、こういうのが今までの回答であります。
#25
○翫正敏君 この六月二日の米ソ首脳会談が国民の中でも大きな話題になりましたけれども、この中でゴルバチョフ大統領がいわゆる四つの自由ということを言ったというので、新聞にも大きく載りました。
 官房長官にちょっと政治的な判断としてのお考えをお聞きしたいのでまたちょっと読んでみますが、「フランクリン・ルーズベルトは半世紀前に、言論の自由、良心の自由、貧困からの自由、恐怖からの自由の四つの基本的自由について語った。この理想はどの国でも達成されていない。我々は共同の努力で新しい世界に歩んでいかねばならない。」云々と、後続くんですが、そのような発言が調印式のあいさつにあったということであります。
 そしてさらに、このペレストロイカの推進というものに当たって、いろいろ各種の論文などがゴルバチョフ大統領が書記長の時代から発表しておられますけれども、その中の一節をちょっと読んでみますと、これは一九八九年十一月の論文の一節なんですけれども、万人に共通するグローバルな問題が、人類の生活においてますます大きな地位を占め始めている。これらすべては次のように予想してよい根拠を与えている。すなわち、さまざまな社会体制は、それぞれの特殊性を保持しながらも、ますます全人類的諸価値――平和、安全、自由、各民族が自己の運命を決定する可能性のような諸価値――の優位によって限界づけられる枠の中で発展していくだろうと。
 これ訳文ですから、このようなちょっとかたいような表現もありますけれども、従来のいわゆる社会主義体制、資本主義体制という体制と体制の対決とか対立とかというものから全人類的課題というものへ人類が力を合わせて進んでいかなきゃならない時代へ来ているんだというような、こういう認識だと私受けとめておりますけれども、こういうような中でやはり来年の来日というものも迎えるわけでありますから、北方領土の問題を解決してそして平和条約を締結するという大きな課題についての官房長官の決意も含めて、今ほどの私が読みましたゴルバチョフ大統領また書記長時代のこの発言の感想なども少しお聞かせください。
#26
○国務大臣(坂本三十次君) 米ソ首脳会談でゴルバチョフ大統領がかってのルーズベルト大統領の四つの自由というのを引いて、つまりアメリカもソ連もそういうグローバルな普遍的価値というものを共有しておるという、非常に冷戦時代には考えられないようなやはりこれは私はソ連の指導者として立派な見識であろう、そういうふうに思うております。
 しかし、同時にゴルバチョフ大統領も国内で大変な問題を抱えて、あなたのおっしゃるとおりであります。しかも、それをうまく持っていかなきゃならぬということでありますから、非常に細心な表現もまた使っておるようなわけでありまして、ゴルバチョフ大統領の発言の中に、思慮の足りないせっかちさとか、あるいはバランスの不足とかが国際情勢全体の危険な不安定化をもたらす心配があるということも言っておりまして、歴史的変換期にある世界においてはなおさら慎重な対応が必要であるというふうにして、大きなグローバルな目的を達成するためには非常に細かい配慮が必要であるということを述べたものだと思いまして、これはやはり大きなソ連の一般的な見解を述べたものであろうと私は思うております。
 しかし、それが直ちに北方領土問題、日ソ間の問題にどうあらわれてくるかということはまだそう簡単に予測をする段階ではない。もちろん交渉事でありますから、今外務省の言ったように、ゴルバチョフさんは余った土地は寸土もないと言い切っておったり、あるいはまた大きな平和への前進という意味で細心の注意を払ってでもやっていきたい、こういう意向もございますので その辺はやっぱりもう少し見きわめさせていただきたいなと思うております。とにかくシェワルナゼ外相が九月の上旬に来ますから、そして日本の外務大臣もその後年内にもソ連へ行くでしょう。そしてゴルバチョフ大統領を迎える環境を整えて、そこで大きな歴史のうねりの中で前進を図っていきたい、対話を進めて問題解決に当たっていきたい、こういうのが私どもの今のところ見通しでございます。
#27
○翫正敏君 おとといの石川防衛庁長官のお言葉をかりるならば、氷は解けるときが危険だとこういう言葉でありましたから、慎重に運ばなければならないという政府の基本的な考えについて私が異を唱えておるわけではないんですけれども、しかしやはりこのようにして世界情勢が激変、激動しておる時代にその方向を我が国が誤ることなく平和国家として進んでいく基本的な道なわけでありますから、日ソ間の仮想敵国ということに、今仮想敵国という言葉はないんですからちょっと訂正いたしますけれども、潜在的脅威ですか、そういうことで対応しておられるわけでありますから、これからやはり平和条約を結んでいくためにはどうしてもネックになっているのは北方領土問題であるということは明らかなわけでありますから、この点のどのような解決を図っていくかというのは政府にかけられた非常に大きな国民の期待だと思いますので、その期待を述べさせていただきます。
 質問は変わりますが、次に自衛隊が五月二十九日に象徴天皇即位の礼に使用する高御座をヘリコプターで京都から東京まで運んだことについて防衛庁に質問をいたします。
 自衛隊の任務というものをハンドブックを読ませていただいて見てみますと、自衛隊の任務は「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」、こうなっていまして、自衛隊の行動としては「自衛隊がその任務遂行のため行う行動の概要は、次頁のとおりである。」、こうなっていまして、防衛出動、防衛出動待機、命令による治安出動、治安出動待機、要請による治安出動、海上における警備行動、災害派遣、地震防災派遣、対領空侵犯措置、機雷等の除去、不発弾の処理、こういうものが挙げられておるわけであります。
 この十一項目が自衛隊の行動と、こういうふうにハンドブックを見ますと書いてありますが、今回の象徴天皇即位の礼に使用するとされております高御座をヘリコプターで京都から東京まで運んだという自衛隊のこの行為は、このうちどの任務に該当するのでしょうか。
#28
○政府委員(日吉章君) 今般の高御座と御帳台の輸送につきましては、内閣官房長官からの依頼を受けまして、自衛隊法第百条に基づきまして輸送事業の受託として行ったものでございます。
#29
○翫正敏君 ちょっともう一遍言って。輸送事業の何ですか。
#30
○政府委員(日吉章君) 輸送事業の受託でございます。参考までに第百条……
#31
○翫正敏君 どこから委託を受けて、どうやったんですか。
#32
○政府委員(日吉章君) 内閣官房長官の方から依頼を受けまして行ったわけでございまして、百条を念のために読んでみますと、「長官」――これは防衛庁長官のことでございますが、「長官は、自衛隊の訓練の目的に適合する場合には、国、地方公共団体その他政令で定めるものの土木工事、通信工事その他政令で定める事業の施行の委託を受け、及びこれを実施することができる。」ということになっておりまして、「その他政令で定める事業」というものといたしまして自衛隊法施行令によりまして、第百二十一条の二項でございますがその中に「法第百条第一項に規定する政令で定める事業は、防疫事業、医療事業」云々とありまして、「又は輸送事業とする。」とございますので、この法律及びそれを受けます政令の規定に基づきまして法律で言います国、具体的には今回は内閣官房長官からの依願を受けまして行ったものでございます。
#33
○翫正敏君 わかりました。官房長官からの要請であるということなので官房長官にお尋ねいたします。
 今回のこの訓練の目的に適合する場合輸送できるというそういう条文に基づいてということですが、いかなる訓練のための輸送になるのかをお答えください、官房長官から要請があったので。
#34
○政府委員(日吉章君) 委託をされましたのは官房長官でございますけれども、私たちはそれを受けまして自衛隊法に基づきまして実施したわけでございますので、自衛隊法を所管しております私どもの方からまずお答えをさせていただきたいと思います。
 同条の要件であります「自衛隊の訓練の目的に適合する場合」といいますのは、自衛隊の訓練の目的を阻害せず一般的にその事業を実施することにより練度の維持向上を図ることができ訓練に資する場合であればよいと解しておりまして、その事業が具体的にどのような訓練に該当するかまでを特定する必要はないと解釈いたしております。
#35
○翫正敏君 官房長官も同じことですか。
#36
○説明員(多田宏君) 私ども今回自衛隊に輸送をお願いするということに至りました背景をちょっと御説明させていただきたいと思いますが、一部の勢力がとにかく高御座の輸送を阻止する、妨害するということを大変はっきりと公言しているような状況の中で、高御座を十一月に向けて準備しなければいけないということでございました。したがいまして、これを安全にまず輸送する、それから輸送の途中で不測の事態があって国民の皆様に余計な御迷惑をおかけするというようなことがあってはいけないというようなことで、どういう手段で輸送をするかということをいろいろ検討いたしました。その結果、なるたけ長距離をひとつ空輸という方式をとるのが一番そういう意味では適当ではないかということを考えまして、そうしてその空輸という手段をとるとすればどこにお願いできるだろうかということで、民間の会社はないかとかあるいは警察の方の何か手段はないかとかいろいろなことを検討いたしました。
 その中でどうも適当なものが――とにかく大変大きなものでございますし、重量も大変かかるものでございます。そういうもので、それを運ぶのにほかにどうも適当な空輸手段はないということで、自衛隊であればそれを可能とする手段を持っておられるというので、自衛隊にこういうことができないだろうかということを御相談申し上げたという経緯でございまして、訓練云々との関係は私どもの方で判断することではなくて、自衛隊の方の御判断で受けていただけたというふうに考えております。
#37
○翫正敏君 だから官房長官の方の要請は、訓練かどうかは別にして、とにかく運んでほしいので頼んだと。なぜ運んでほしいかというと、一部の者がそれを攻撃するとかというようなことの心配があった、そういうことで、だから安全に運んでほしいので自衛隊に頼んだと。自衛隊がそれを受けたのは訓練の目的に該当するところがあったのでそれでやった、こういうふうに一応理解をしました。
 しましたけれども、後でちょっと聞きますが、その前にこの高御座というものは一体どういう性格のものなのかを宮内庁にお聞きしておかなければならないのでお尋ねいたしますが、これは高さが約六メートルあって八角形の形状である、こういうことで間違いございませんね。
#38
○政府委員(宮尾盤君) 高御座の形状のお尋ねでございますが、高御座は継ぎ壇が三層ある、こういうことになっております。
#39
○翫正敏君 簡単でいいです。その形状の説明は簡単でいいです。
#40
○政府委員(宮尾盤君) ああ、そうですか。はい。
 それで、その三層の継ぎ壇の上に、継ぎ壇の上といいますか、継ぎ壇の第二層、第三層というのが八角形になっておりまして、その第三層の――形状はそういうことになっております。それから高さ等のお尋ねがあったと思いますが、高さは継ぎ壇の一番下から一番上のところまで全体を含めまして六・一六メートル、こういうことになっております。
#41
○翫正敏君 高さが約六メートルで八角形、大体そういうことだと思いますが、この八角形というのは、昔八紘一宇ということが言われた、日本を中心にして世界が一つの家のようになるという、こういう思想をあらわすものだとこういうふうに言われているんですけれども、なぜ八角形なのか、そしてそういう八紘一宇というものをあらわすものなのかどうか、そうでないとすればなぜ八角形なのか、それをどのように理解すればよろしいかをお答えいただきたいと思います。
#42
○政府委員(宮尾盤君) 高御座の二層、三層以上のところが八角形になっているということは先ほどのとおりでございますが、これがなぜ八角形になっているかということはよくわかりません。
 高御座というのは、御存じのようにその起源は明らかでございませんで、既に奈良時代以前にこのようなものが存在をしておって皇位継承儀礼の中で用いられたと、こういう記録があるわけでございます。そういういろいろな記述を調べてみますと、既に今と大体同じような形状のものが用いられてきておる、こういうふうに理解をいたしております。高御座というのは、ですからそういう意味で歴史上伝統的な皇位継承儀式の中で常に用いられるというふうになっておるものでございます。
 それが八紘一宇というふうなこととどういうふうに結びつくかということについては、これはいろいろな御意見とか説とかがあるようでございますけれども、必ずしもそういう点について私ども的確にお答えをする点は持っておりません。
#43
○翫正敏君 自衛隊がわざわざヘリコプターで運ばなければならない、そして自衛隊の方にその輸送を頼まなければならない、自衛隊はそれを受けて訓練としてしたとこういうことですが、そういう何といいますか、いろいろまあ問題があるんだと思うんですね。だからそういうふうになると思うんです。
 つまり私は、この象徴天皇の即位の礼の日に関しまして憲法第一条というものとの関係、国民主権というものから考えてみまして、この高さ六メートルのそれも八角形というのは学説の一部では、本当はどうかそれはわかりませんが、それは八紘一宇をあらわすんだというような学説も日本の国内で発表されているということは事実だと思いますね。そういうようなものに象徴天皇が登られて、そしてお言葉というようなものを述べられる。そしてそのときの服装も何か衣冠束帯というようなものであるそうでございますけれども、そのようなことは何か諸外国から誤解を招くおそれはありはしないかということを私は心配するんですけれども。官房長官にお聞きしたいんですが、官房長官もう退席の時間だそうですので、二月一日付の外国の、香港の方の新聞の記事をちょっとだけ引用させてもらって、それについての官房長官のお考えを、政府としてのお考えをお聞きしたい、こう思うんです。
 こういうふうに書いてあります。ちょっとそれだけ読んで、お答えできればお願いします。「左右の過激派が即位式を脅かしている」という香港のファー・イースタン・エコノミック・レビュー、一九九〇年ことしの二月一日の記事なんですが、
  本島等長崎市長が右翼団体員に襲われた事件は、日本で政治的過激主義が新たなより行動的な段階に入ろうとしていると警告している。本島市長が四十歳の狙撃者に胸を撃たれた事件の表向きの理由は、先の天皇はあの時代に生きていた我々と同じように第二次大戦中の日本の行動に責任があるという、一年ほど前の市長の言葉にあった。しかし真相はより深いところにあるようだ。
  狙撃事件が起こったのは、中核派という著名な左翼が先の天皇の弟の邸内にロケット弾を撃ちこんだ二日後であり、政府が今年十一月に行われる新天皇の即位行事日程を発表する前日であった。即位式は左右両過激派の目標になっているとみられている。というのは、天皇が政府主催の神道儀式の首長として神秘的重要性を付与されていた戦前の体制と実質的にはどれほど違ったのか、彼らは疑問を投げかけるからである。
  儀式の中でより公共性をもつのは十一月十二日の新天皇の即位式である。しかし政治的な議論は十一月二十二、二十三日夜になされる大嘗祭に集中している。大嘗祭は神道では天皇が神になる儀式とされており、戦後の憲法が政治と宗教の分離を述べているため問題となっている。天皇裕仁は戦後自らの神格を否定したが、世論調査では二〜三%のごく少数がなおも天皇は「神のようななにか」とみなしていた。
  明仁天皇の大嘗祭は「公的性格をもった皇室行事」であり国家儀式ではないと主張することで、政府は憲法上や宗教上の問題を緩和しようと努めている。しかし論点をごまかそうとする試みは左右の過激派を怒らせる結果になるだろう。破壊活動に対応するためぽ、即位式と大嘗祭の二つの儀式の前の数週間は政府が三万二千名以上の警察官を皇居周辺に配置するとみられている。儀式自体の予算は、大嘗祭で特別の建物を作るかわりにテントを使用することにして三十億円以下に減額したのであるが、安全保障をふくむ総額は数千億円になるだろう。
  未解決の問題は、大嘗祭に使用するための米を作る東西二つの水田の安全をどうやって確保するかである。伝統的には水田は米が収穫されるまでの数カ月間軍隊が保護することになっている。しかし政府は自衛隊をこの目的のために使うことは問題外と判断しているようだ。結局、特別警察を使うか、あるいは米が収穫できるまで水田の選択をしないでおくことになるかでる。
  政府の緊急の課題は、過激な左翼や右翼が大嘗祭を混乱させることを防ぐことにある。しかし一般の人々が儀式をどうみるかということにも疑念がある。「自由」の感情は、影響力のある少数派、たとえばキリスト教者や左派の学者をふくむ人々で即位式には伝統的な神道が介入することを一切拒むグループと、天皇制に関する開かれた議論がタブーであることに憤慨している多数派とが、共有している。多数派の人々は、明仁天皇が自由主義者や憲法擁護派の立場を承認したので、ある程度勇気づけられたようだ。しかし、言論の自由の抑圧を直接目的にした長崎での狙撃のような事件にあうと、問題の核心は制度にあって誰が代表しているかにはないということを指摘されているように思える。十一月の儀式の前に問題がこじれるかもしれない。たとえ大嘗祭が支障なく完了したとしても、この問題が消えるようにはみえない。
こんな報道が二月一日号ですけれども香港の新聞の中に載っているというわけなんですけれども、今ほど言いましたようなことを踏まえ、そして先ほど申しました高御座を自衛隊のヘリコプターで運ばなければならないというようなそういう事態を考えてみますと、やはり国民主権という立場、象徴天皇ということでのこの即位の儀式のあり方というものについて、もう一度我が国政府としてそのあり方、高御座を使ったり衣冠束帯したりああいう高いところから三権の長に上から下へとこうお言葉を言うというようなそういう形では、諸外国特に日本の侵略と戦争の相手国になったアジアの人たちに対する誤解を招くのではないかと。韓国の大統領がお見えになったときのお言葉問題でもあれほどいろいろあったわけでございますから、そういうことで官房長官の現在の御所見をお伺いしたいと思います。
#44
○国務大臣(坂本三十次君) 高御座についての議員のお考えも承りましたけれども、さあこの高御座というのはもう何か即位儀式のときにずっと使われてきたまあ伝統的な今となれば美術品でしょうかね、そういう伝統的な調度品といいますか、それを利用したというふうに見ておるわけで、そう感じる人が多いんじゃなかろうかなと私は思うわけでありますが、まあそういう高御座だとかそれから衣冠束帯というのも、これも昔の天皇制を思い出さすんではないかとかいう御意見もございましたけれども、さあそれはそういう方も中には今あなたのおっしゃったように二、三%はおるかもしれませんけれども、一般の人は余りそんなにこだわっておらないのではないかなと思うております。
 そして、特に最近の天皇の国民に対する接触の仕方と申しましても、この間も大阪の花と緑の博覧会でもみずから進んで皆さんの中に入り込んでいくとか、非常に象徴天皇として親しみを持っておるのが国民の一般的な感情ではなかろうかなと思うのです。余りそんな古いものを使うから誤解を起こすんだとおっしゃるかもしれませんけれども、そうかというてやっぱり古いものの中にも伝統美術品とすれば立派なものもございますからね。そういうところで国民の皆さんは見ておられるのではないかなと思うております。
 アジアの方々に不安がないかとおっしゃいますけれども、いわゆる過去の日本の軍国主義というものに対するそれは、それから引き続いて今日に至ってもそういう感情が残っておるという不安でございましょうが、これは我が国の外交の姿勢なり協力体制なり、政治全般、経済全般、文化の交流、そういう広い面で接触をしていけば私は理解がしていただけるんではないかなと。高御座や衣冠束帯だけで反発を起こすとかなんとかというのはちと思い過ぎではなかろうかなという、国民のやはりこれからの努力というか、政府のまたもちろん努力もございましょうが、そういう方向で過去に余りにもとらわれないで、新しいやはり時代に応べて前を向いて大いに建設的にアジアの皆さんに、日本はアジアの国でありますからアジアの皆さんにできるだけの貢献をしていくという努力を積み重ねるのが、これが私は常道ではなかろうかなと、そういう感じがいたしております。
#45
○翫正敏君 官房長官のお考えは承りましたけれども、自衛隊のヘリコプターを使って輸送しなきゃならないということ、それからさらにはその当日の状況を想定してみましても、やはりアジアの方々を初め全世界のお客様が来られる中で、象徴天皇が六メートルの調度品か美術品かわかりませんが、とにかくそういう高御座という高い台の上に登られて衣冠束帯のお姿で、そして象徴天皇と自分はなって今後世界平和のためにとおっしゃるとは思いますが、そういうようなことを言われると、そういうその形が問題なのではなくてそのときにどう言われるか、言葉の内容が一番問題だとおっしゃるかもしれませんが、私は形というものは写真なんかを通じまたテレビなんかを通じて全世界へぱあっとこう報道されますから、形もやはり重要だと思うんで心配して申し上げているわけですが、やはり再検討をぜひしていただきたいと、そういうふうに思うわけであります。
 大嘗祭のあり方につきましても同じでございます。それはお答えはもう結構でございますから、私の要望として述べさせていただきます。
 次に、外務省の方にちょっとお伺いしたいんですが、よろしいですか。
 栗山尚一外務次官が論文を書いておられまして「激動の九〇年代と日本外交の新展開」という題で書いておられます。読ませていただきましたが、この中でアジア・太平洋地域に関するくだりが非常に興味深かったので、ちょっとその部分を読み上げたいと思います。この栗山次官の御認識と外務省としての公式見解が同じなのかどうかということをお伺いしたいわけであります。違っている部分、これは個人的見解であるというような部分があるのならその部分を指摘していただきどこがどう違っているのか、それともこれはすなわち外務省の公式見解であるのか、そういうことでお答えいただきたいと思います。
  日本外交の主要舞台であるアジア・太平洋地域においても、このような新しい秩序作りへの動きが起きている。九〇年代は、まさしく、地球規模での変革の時代である。こうした時代に対応する日本の外交には何が求められているのであろうか。」
ちょっと中略をいたしますが、
  日本は、身に着けた巨大な経済力を一体どのように使おうと考えているのか。今や世界の多くの国は、一方では、日本が大国になったことに目覚めて、その地位に相応しい国際的責任を
果たして欲しいという期待を抱きながらも、他方では、日本はそうした責任を回避し、他国の犠牲において、ひたすらその経済力を伸ばそうとしているのではないかという不安と恐怖を感じ始めている。今日、日本の対外関係に生じている緊張や摩擦の真の原因は、こうした国際的な対日不安感や恐怖心にある。日本は、自分が急に大きくなったことがいかに世界に強い衝撃を与えているかをもっとよく理解して行動しなければならない。
このようなアジア・太平洋地域においてのくだりの一部なんですけれども、お答えください。
#46
○説明員(渋谷実君) 近年に至りまして、我が国とアジア・太平洋諸国との経済的相互依存関係やそれから我が国のこの地域におけるプレゼンスの高まりを背景としまして、この地域の諸国において我が国の巨大な経済力ですとかまたそれが軍事力に転化する可能性に対する懸念、これは現在声高に叫ばれているというわけではございませんけれども、折に触れ報道等で触れられることがございます。
 我が国としましては、その過去の歴史的な経緯もございますので、かかる懸念や不安感が一部のアジア・太平洋諸国の人たちの間に潜在的に存在しているという点は十分に認識して外交を進めていく必要があると認識をしております。
#47
○翫正敏君 この論文に述べられている「対日不安感や恐怖心」というものは、日本の侵略を受けたアジア・太平洋地域の国々において特に大きいと思うわけでありますが、そのことについての外務省の御見解をお伺いし、さらに防衛庁長官の御見解もお伺いしたいと思いますので、その参考資料といたしましてシンガポールのストレーツ・タイムズの社説を御紹介したいと思います。順序は、一月と五月なのですけれども、ことしの五月九日付から先に読みます。これは、「日本の防衛分担はいらない」という題の社説でありますが、チャチャイ首相が日本から訪タイ中の石川防衛庁長官に、米軍がフィリピンから撤退した際の地域の安全強化のため南シナ海でタイと日本の海上自衛隊と合同演習を行うことをほのめかしたと、こういうことに対しての批判の声なんです。
 日本の占領で痛ましい思いをした。日本兵による虐殺の記憶は消えてはいない。日本軍国主義の復活を恐れる者もいる。
  東南アジア地域の集団保障は最も重要であり、そこに住んでいる者たちだけの問題ではない。日本の自衛隊をまきこもうというほのめかしは、よく考えてすべきだ。南シナ海での共同演習に参加させるため日本の海上自衛隊をまきこむと、他の問題もこれにしたがって、日本に足がかりを与えていくことになる。日本国憲法は自衛隊の領域以外参戦を禁じているが、日本は戦略的参加への大きな誘惑に抗しきれない。もし参加することに日本が関心をもっているなら、憲法上の制約の抜け道をみつけるのは日本にとって難しいことではない。他の強国、たとえば中国やインドは、このような発展的関係をどうみているのだろうか。両国は身をひいて、日本の海上自衛隊が東南アジア海域を自由にうろつくのをみつめているのだろうか。海上自衛隊が東南アジア地域に駐留しないと予言できる者はいない。日本が東南アジア地域の経済発展に寄与することはいいが、警察の役割を担ってほしいとは思っていない。
こういう文章であります。
 もう一つ、順序は逆ですが、ことしの一月十日付の「日本が友人たちを説得するには」というのの一部をちょっと読みたいと思います。これもシンガポールのストレーツ・タイムズ社の社説でありますが、先ほどと同じです。
 最近、日本の自衛隊は急速に軍備拡張をすすめている。海上兵力のみをみても、潜水艦夕潮、フリゲート艦朝霧、対水雷艇初島などが配置された。この種の発展は、日本が工業国では第二の軍事国になることを痛切に悟らせた。日本の防衛費は国民総生産の一%を堅持している。確かに国民総生産に占める割合は少ないが、軍事専門家たちは今年は四兆一千六百億円という驚異的な額になることに気づいている。この額はシンガポールの国民生産総額を上まわるのである。
  日本には非常に小規模な軍事的外観を維持することだけが期待されている。米国の軍事的傘の中でいごこちよく座っている国家に対して、日本の軍事力を感じさせる緊急性はない。
そしてまた、
 ソ連や中国のような超大国ですら、東京から発される軍事的主導権を警戒している。不安は日本の防衛費のみではない。短期間に軍事機構を拡充するための防衛資金を供給する能力があることのほか、この経済超大国は膨大な工業資源を巨大な軍事機器に変換できるし、その優れた技術は良質の兵器を大量生産できる。
これは一部ですけれども、このような主張などがアジアの声として報道されているわけですけれども事実として把握しておられるかどうか、感想等をお述べください。外務省の方からお願いします。
#48
○説明員(渋谷実君) そのような報道が時々なされているということは私どもも十分承知しております。ただ、私どもの一般的な理解といたしましては、最近の我が国の防衛力整備につきましてアジア・太平洋諸国の少なくとも政府による公式の懸念や批判の声は行われておりませんし、今のような懸念を表明するような報道はもちろんございますけれども、おおむね事実関係をキャリーしたものが中心になっていると思います。
 ただ、そういう懸念や不安感が先ほど申しましたように潜在的に一部に存在しているということは認識しておく必要がございますので、我が国としましては、我が国の防衛力というのは日米安保条約の枠内で専守防衛なりあるいは非核三原則を基本としているということ等について、これら諸国の理解を得るよう十分努めていく必要があると思います。
#49
○翫正敏君 石川防衛庁長官のお名前も文章の中に出てまいります。東南アジアを訪問されたときのことでありますが、ひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
#50
○国務大臣(石川要三君) 私は、この報道の内容、これが特にいわゆるシンガポールの、第三国の報道でございますので、日本の防衛庁長官としてこの内容にコメントすることは差し控えたいと思うわけでありますが、しかし私の名前も出たことでございますしあえて申し上げたい点が一言あるんですが、それは何かというと、例えば先に読まれました五月九日付ですか、これはちょうど私が三国を訪問した直後のことでございますけれども、その際にタイのチャチャイ首相から我が国の海自と訓練をすることについてはいかがなものかという発言があったことは事実です。
 しかしそれは、ちょっと少し説明いたしますと、特にチャチャイ首相は我が海上自衛隊というものが規律の点からいってもあるいはまた技能の点からいっても非常に優秀である、そういう優秀な日本の海自からタイの海軍が非常に学びたいといいますか、そういう意味でこの訓練もできないものかと、こういう提案がございました。唐突でございましたが、私も首相の提案でもありますしいろいろと専門的な立場から検討はしてみたいという発言をしたことは事実でありますけれども、何かその後いろいろとタイの新聞にもあったと思いますが、帰って直ちに海部総理にそれを進言してひとつその実現を努力するがごとく報道されている向きもありまして、全くこれは事実無根でもあるし、それからチャチャイ首相が今るる申されたようなそういう意図のためのいわゆる共同訓練というものでは全くないようでございましたし、事実は全く私は相違している、こんなふうに思うんです。
 ですから、それから推して一月十日の見解も、なかなかいろいろとそれは見方によれば意見があるでしょうけれども、今私の三国だけでございますが旅をした中での肌身に感ずることは、日本の軍事費の大きいことだけで直ちにいつでも軍事大国に切りかえてさあ昔のようにというそういう懸念は、私が就任前にいろいろと耳にしておりましたよりもはるかに少ない。むしろ私の方の説明に大変理解を示された、こういうことを肌身に感じたわけでございますから、翫先生にはなかなかあるいは御理解できないかもしれませんが、実際に会った、話をした当事者としてそういうふうな感じを受けて、大変私はむしろ安心というか非常によかったと、こういうふうに理解をしているわけであります。
#51
○翫正敏君 タイの首相から要請があって、それに対して私の言葉で言えばやや不用意な回答をされて、それで誤解を招いて新聞等々に批判があった、こういうことであって、防衛庁長官としては事実無根でそういうことはないという強い否定というそういう今お立場を説明された、こういうふうに理解をさせていただきます。
 次に、話が変わりますが、来年度の防衛力整備の方針についてお尋ねしたいんですけれども、六月八日に石川防衛庁長官は自民党本部で開かれました国防関係三部会に出席をされまして、来年度防衛力整備の指針となる平成三年度業務計画の策定を求める長官指示の内容を御報告されたようでありますけれども、この内容を本内閣委員会へも文書を提出していただいて御説明いただくというわけにはまいりませんでしょうか。
#52
○国務大臣(石川要三君) そういう御要望があれば、それは可能でございます。
#53
○翫正敏君 ぜひ報告して子細に見せていただきたいと思いますので、それどういうふうになるのか私もょっとわかりませんが、ぜひ委員長の方でまたよろしくお願いいたします。
#54
○委員長(板垣正君) 理事会で協議いたします。
#55
○翫正敏君 それでは次に、防衛研究所の宮内邦子さんの論文のことについてちょっと防衛庁にお伺いしたいんですが、まず防衛研究所の宮内邦子さんが「世界」の最新の七月号、数日前に発売されたものに、「ソ連軍のペレストロイカ いま、何が起きているのか」という題で論文を発表しておられるんですが、防衛研究所というところはどういうところなのかをちょっと説明してください。どなたでも結構です。日吉さんお願いします。――どういうところというのは、要するに防衛庁とどんな関係があるのかと、そういうことです。
#56
○政府委員(日吉章君) 防衛庁の中の一つの機関でございまして、防衛に関する諸問題につきまして研究をする機関でございます。その中には研究員というような職員もおりまして、専らそういうふうな研究をしているところでございます。
#57
○翫正敏君 この宮内邦子さんの論文の三カ所をちょっと引用させていただいて御見解を承りたいと思いますが、
  昨年一一月初めから本年二月末までの間、モスクワに暮らした。それ以前から私は、ソ連の今の変化を本質からの軍事柔軟化であると説いてはいたが、それはあくまでも各種のソ連の文献に表われた理論面での変化に基づく理解であった。この数カ月をモスクワに暮らして、私は、この理論面に表われていた変化が、既に様様な形で人々の意識を変え、現実に具体的に反映しているのをみた。
  モスクワに着く早々、私の関心を惹いたのは、昨年四月のグルジャでの暴動騒ぎに正規軍が出動したことにたいする様々な批判の発言であった。次に私を驚かしたのは徴兵制に反対する若者達に関する新聞記事であった。そして最後の仕上げは、本年二月四日のモスクワでのデモの群衆の中に見た、「軍隊なんかいらない」のプラカードだった。
  これらは、今ソ連の人達がいかに闊達な物言いをしているかを実証すると同時に、今ソ連で他でもない軍事が、軍隊が、曲り角にあることを示してもいる。ソ連は正に軍事改革期なのである。
このようにソ連の軍事的な変化というものの本質について分析をしておられるわけでございますけれども、日吉さんはどんなようにお考えかお聞かせください。
#58
○政府委員(内田勝久君) 日吉局長の御指名がございましたが、私、担当しておりますのでお答えさせていただきたいと思います。
 私ども、現在ソ連でペレストロイカ、グラスノスチあるいは民主化といった動き、国内の改革ということが進行しているということは十分承知しておりまして、この宮内論文が指摘しておりますとおり、今日では昔に比べましてよりさまざまな形でいろんな人々が意見を表明され始めているというような状況が出ているということは承知しているわけでございます。そしてそのペレストロイカでございますが、ソ連のペレストロイカは確かに軍も含むものでございまして、私どももかねてからソ連軍の再編、合理化、近代化といったものが行われているということはこの国会の場でもいろいろな形で御説明させていただいている次第でございまして、ただいま御引用になりました「ソ連は正に軍事改革期なのである。」というのはこのようなことを意味しているのかと思っている次第でございます。
 ただ、ここで言っております町の人たちがいろんなことを言っているというくだりがございますが、そういうちまたの声とそれがどのような形で政府の政策に反映されていくかということは全く別の問題であるというように理解しておりまして、ソ連の指導部特にゴルバチョフがいわゆる新思考という形態のもとで、そういう新思考外交の一環として軍事面でどのような動きを示してくるかということは大変注目している次第でございます。なお、ここで軍隊なんか要らないというプラカードなんかがあったというようなことも書いてございますけれども、軍隊なんか要らないとかあるいは何といいましょうか軍隊は弱いものでいいとか、そういったようなことをソ連の力で考えているというようなことでありますとすれば、全くそのような事実はございません。
 ペレストロイカの中でソ連軍の近代化とかそういう質の改善といった形を通じて、ソ連はソ連なりにソ連としての軍事的な近代化のための努力を進めているというのが実態であると私どもは考えておる次第でございます。
#59
○翫正敏君 最後のところにはもっと興味深いことが書いてありますので、また引用かとおしかりを受けるかもしれませんがちょっと言いますと、
 この何カ月かをモスクワに暮らしてみての今の私の感想は、既にゴルバチョフをはじめ多くのソ連の人達が何度も述べていることだが、ペレストロイカは最早、不可逆だということである。ソ連の改革派の学者達は、保守派の巻返しをひどく懸念していたが、私にはその懸念は取り越し苦労のように思える。たとえ保守派のアンチ・ペレストロイカ派の誰かがゴルバチョフを倒して、権力を握るのに成功したとしても、「軍隊なんかいらない」のプラカードを押し立てて行進していた青年達の意識を、もとへ戻すことなどとてもできはしまい。
  ペレストロイカがソ連の人々の一人一人の日日の生活にまぎれもない成果をもたらすまでには、ソ連の人達はまだまだ長い道のりを経なければならないだろうが、それでも、軍事の転換の賽は既に投げられたのである。私はイデオロギーのペレストロイカ、政治のペレストロイカは、経済のペレストロイカよりもはるかに容易であろうと言ってきたが、しかしいずれはソ連の人達も、今よりもはるかに良く機能する経済システムに到達できるだろう。
こういうふうに書いて、ソ連のペレストロイカの変化というものはもはや不可逆であると、こういうふうなことをおっしゃっておられるわけでありますけれども、そういうふうに認識しておられますか、外務省の方でも。いや、防衛庁の方もそういうふうに認識しておられますか。
#60
○政府委員(内田勝久君) ソ連のペレストロイカ自体につきましてはこれがどのような方向に進むか、あるいは委員御指名のとおり外務省の方からの答弁がよろしいかと思いますが、軍のペレストロイカという点に限って御答弁と申しますか、私どもこの宮内論文自体に公式にコメントする立場には全くないわけでございますが、あえて軍のペレストロイカについての一般的なコメントを申し上げますと、この宮内さんが言っておられるように容易であるとかあるいは楽観的であるとか、そういったものであるとは全く考えておりません。
 この宮内論文にもありますとおり、最近軍部の中でも軍のペレストロイカが予想以上に進捗していることに対する不満の声が非常に強くなってきていると。こういうことで本当にソ連の安全保障というものが確保できるのかという声も上がっているやに聞いておりますし、あるいはゴルバチョフ自身につきましても、これも宮内論文にもございますが、今度のリトアニア問題における軍への依存といったことも報道として流れている次第であります。
 いずれにしましても、軍のペレストロイカといいますのは、日本の言葉にいたしましたら恐らく軍の構造改革ということであろうと思いますが、構造改革というか構造調整と言ってもいいかと思いますが、我が国の場合におきましても、構造調整というものがいかに難しいかということは十分我々としても理解できるわけでございまして、ソ連の今までGNPの一五%から一七%という大きな部分を軍というものが占めてきたわけでございまして、ソ連社会の中で大きな何といいますかあぐらをかいたような状況にあったと。そういうものが一挙に構造調整で大きく変わるということは、通常考えてもなかなか難しい問題ではなかろうかと私は思っている次第でございます。
 例えば最近ソ連の東欧における駐留軍が本国に引き返すというような事態の中でも、彼らに与える職がない、住居がない、どうしようかと。軍のセクターをいわゆるシビリアンの非軍事的なセクターに吸収していくというのは大変な作業であると思いますので、この構造調整自体についても大変年月のかかる作業ではなかろうかと思っている次第でありまして、その間当然こういう先ほど御説明申し上げたような過去において大きく蓄積されたソ連の膨大な軍事力というものは存在するわけですし、またあるいはこの構造調整というものがうまくいった、軍のペレストロイカが成功した暁におきましては、先ほど申し上げたようにソ連というものはむしろよりスリム化した強力な近代化した軍事力というものを持つというように私は考えている次第でございます。
#61
○翫正敏君 最後の方のところで、ペレストロイカが推進されていくとソ連軍はいよいよ精強になっていくんだというような、そのようなことをおっしゃられるわけでありますけれども、宮内さんの、防衛研究所の室長さんの論文の見解などとはそこは違うように受けとめております。
 なぜこういうものを読み上げて御見解を防衛庁にお伺いしたかといいますと、あの超軍事大国でGNPの一七%ですか今まで軍事費に投入をしてきた国、それが経済状態が非常に悪くなってペレストロイカという国内改革に乗り出さざるを得ない状況になってきて、そして今日の事態を迎えているというそういうことの中から、例えばもう軍隊なんか要らないという声さえ、それはごく一部かもしれないけれども、ソ連の国内にもそういう、まあ日本にはそういう人はいっぱいいますけれども、ソ連の国内にさえ出てくるような事態になってきているというそういうことを考えたときに、我が国の防衛力のあり方というものを考えましたときに、やはり軍拡から軍縮へというこういうものが要請されていると、こういうことを申し上げたいわけであります。
 ですからこの論文も御紹介したわけでありますけれども、防衛庁長官にもう一度お伺いしたいと思います。やはり軍拡から軍縮への道の転換が今必要なのではないかと思いますが、いかがですか。
#62
○国務大臣(石川要三君) 今の宮内さんのエッセーといいますか、これにつきましては私も拝読しましたけれども、これは個人的な意見でございますから余りコメントするのはどうかと思いますが、ただそれに対する、ペレストロイカとグラスノスチの進んでおる今、ソ連の状況についての防衛庁としての見解は今内田参事官から答えたとおりで、私もそのとおりだと思います。ただ、こういうふうに物すごい勢いで今世の中が激変をしている中において、私は総体的に見て、一言で言えば今何がこれから本当に変化するのか、また実際に何が変革できないのか、こういうことを冷静に分析をして認識しないと間違いが起こると思うんですね。すべて私どもの方の政策というものも国際情勢が大きな前提になるわけですから、そういう中にインプットする材料というものが間違ったらとんでもないことであります。したがって、私はあえて余りにムードに流されては絶対いけない、正確なインプットをしてその答えを求めていく、そういう中でやっていかなければならない、かようにまず基本的に思っております。
 それから、先生方よく軍拡軍拡と言いますけれども、私は軍拡と思ってないんです。要するに、今再三言ったように、大綱に近づくための努力をして今日まで結果論としたら確かに増加した。予算の伸びの率が高いことは私も承知しておりますが、軍拡をやる――何で軍拡をやる必要があるのか。また、私どもは平和憲法のもとに、再三くどいようでございますが、むしろいわゆる真っ裸でいること自体の方が要するに不安要因になる、こういう前提のもとの防衛大綱の努力ですから、したがって何ら私は軍拡に向かって進んでいるなんとは毛頭思っていないわけであります。
 ただし、その前段に言ったような情勢分析というものを正しくして、そしてできるならば、税金をもって賄うんですからより合理的により省力化して、そしてできるだけ憲法のいわゆる精神というものを堅持して防衛整備をしていく、こういう大前提を私は堅持していかなきゃいけない、このように考えているわけであります。
#63
○翫正敏君 結局、いろいろアジアの声も御紹介したり、防衛庁部内の研究所の方のソ連のペレストロイカに対する御認識も御紹介したりしながら、何とか防衛庁の方にも日本の基本路線を軍拡から軍縮へと、軍拡でないとおっしゃったけれども、少なくとも費用の面では、金額の面では増大をしているということは事実なわけで、軍縮状態になっていないということだけは間違いないと思うのでありますけれども、(「給料が上がっているんだよ、みんな上がっているんだよ」と呼ぶ者あり)ああ、なるほどね。
 とにかく、正面装備をふやすなんということはやめてほしいということを基本的に申し上げたかったので、幾つかの例を引用して申し上げたわけでありますけれども、結局御回答は結論的には同じだったということで残念なんですけれども、今後また防衛問題というのは非常に重要になっていくと思います。そして、日ソ関係もやはり来年のゴルバチョフ大統領の来日というものを間近にして重要な政治問題になってくると思いますので、ぜひそういうことを視野に置いた政府の対応を期待しておきたいと思います。
 次に、変わりまして在日米軍関係のことについてお聞きをしたいんです。これは回答は外務省になるのかもしれまぜんが、ちょっと回答できる方からお聞かせ願いたいと思います。
 五月末に来日をされました米国のアレン・ホームズ大使が西廣防衛事務次官と会談し、在日米軍の駐留経費に関して円建て経費の全額を日本が肩がわりするよう求めたということは、これは事実でありますか。この米国の要求を丸のみするとした場合には、金額的には現状と比較をしてお示しを願いたいのですが、過去五年間の負担金額の変化というものを数字で示しながら、今回のアメリカの要求、円建て分全額負担の場合の金額を数字でお示しを願いたいと思います。
#64
○政府委員(日吉章君) 前段のアレン・ホームズ大使が西廣次官を訪問いたしましたときの話の内容でございますが、私からお答えいたしまして、ここ数年間におきます我が方の実績値等は、また担当の者から御回答をさせていただきたいと思います。
 五月の三十日に西廣事務次官とアレン・ホームズ米国バードンシェアリング担当大使との間におきまして話し合いが行われたのは事実でございます。といいますか、アレン・ホームズ大使が防衛庁を訪日の機会に来訪したということでございます。その際、当然大使の担当所掌事務でございますから在日米軍駐留経費の問題につきまして話が及んだのは事実でございますけれども、それはホームズ大使から一般的な期待の表明がなされたということでございまして、ただいま委員が御指摘になられましたように具体的な要請というものはございませんでした。
#65
○説明員(重家俊範君) 先ほどお話のございましたホームズ大使は、訪日の間外務省の事務当局とも意見交換をいたしました。日米安保関係を中心にいろいろ意見交換を行ったわけでございますが、その中で在日米軍経費負担の問題についても話題になったわけでございます。ホームズ大使の方から本件をめぐる米議会の厳しい雰囲気を踏まえまして我が方に対する強い期待の表明がございました。しかしながら、具体的な要求、要請といったようなものはなかったわけでございます。
 それから二番目に、過去五年間の米国の在日米軍経費負担の額でございますが、一九八六米会計年度、これが米側負担額は約三十三億ドルと承知しております。八七会計年度、これが三十八億ドル。八八会計年度、いずれも米会計年度でございますが約四十五億ドルと承知しておりますが、その後の年度につきましては数字がいまだ入手可能な状況になっておりません。
 それから、円建て経費全額云々の御質問でございますが、これにつきましては詳細を私どもも承知しておりません。米軍経費問題につきましては、今後ともできるだけ努力を続けてまいりたいということでございますが、円建て経費全額といったような仮定の話を含め、具体的なことにつきましては現段階で考えが固まっておるわけではございませんので、これ以上の答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
#66
○翫正敏君 実情はこういうことじゃないかと思うんです。八七年度からは日本人従業員に対して調整手当、扶養手当、通勤手当、住居手当、夏期手当、年末手当、年度末手当、退職手当の二分の一に相当する金額が、八九年度からはその四分の三が、九〇年度からはその全額が計上され、いわゆる思いやり予算の範囲が拡大されるに至りました。これには、政府も地位協定の解釈では説明できないとして、地位協定二十四条に関する特別協定を新たに締結した。八七年には前記の八手当の二分の一に相当する金額を限度として日本側が負担すること、さらにその翌年にはその特別協定を全額を限度として負担できるように改定した。これによって八七年度には千億円を突破し、九〇年度政府予算案では約千六百八十億円にも上っている。
 こうした在日米軍に対し日本が行っている負担はこれだけではない。例えば米軍基地の賃貸料が約六百八十八億円、九〇年度予算案で。基地周辺の対策、提供施設移設整備費などで約千六百億円などを肩がわりしているという実態がある。つまり、いわゆる思いやり予算というものを全部加算すると現在約四千億円と、こういうことになるのじゃありませんか。
#67
○政府委員(松本宗和君) 平成元年度の数字で申し上げますと、これは先生ただいまおっしゃいましたように、防衛施設庁が駐留経費の負担ということで提供施設の整備及び駐留軍従業員の経費の一部を負担しておるその分とそれから他省庁分がございます。さらにまた、提供施設を借り上げて、要するに民有地を借り上げて提供しておるという場合の借料、それからその他もろもろの経費、それにさらに加えまして提供しております普通財産を一応借り上げたものと試算いたしまして加算するというようなことで積み上げてまいりますと、平成元年度で三千六百五十六億円、平成二年度では約四千億円ということになるということでございます。
#68
○翫正敏君 ところで、現在米軍に対しては基地を無償で提供しておるわけでありますけれども、私が住んでおります小松における小松基地のような日米共同演習に使う基地というものは一応除外をしまして、有償で借り上げて無償で提供するのも含めて、とにかく現在米軍に無償提供している基地の数及びその合計全面積というものを数字でお示しください。
#69
○政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。
 平成二年一月一日現在で、地位協定第二条第一項、いわゆる専用施設でございますが、に基づき在日米軍に提供いたしております施設、区域は全部で百五施設でございまして、土地面積は約三百二十五平方キロメートルでございます。
#70
○翫正敏君 三百二十五平方キロメートルというのは三億二千四百七十万平方メートルじゃないですか、ちょっと数字お願いします。
#71
○政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおりでございます。
#72
○翫正敏君 その今ほどの面積でございますけれども、この無償提供している基地の周辺の時価というものを参考にしまして年間の借地代というものを計算してみた場合には、大体概略どれくらいになると御判断しておられますか。在日米軍に無償提供している全基地の借地代というものを仮に計算してみていただきたいと思います。どれぐらいになりますか。
#73
○政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。
 地位協定に基づきまして在日米軍に提供しています土地のうち、民公有地等を所有者から借り上げの上提供しているものの予算が平成二年度で約五百十五億円でございます。いわゆる借料でございます。また、国有地について仮に民公有地と同様に有償で借り上げたとした場合の試算額は約九百五十九億円となります。これを合計いたしますと、総額で約一千四百七十四億円となります。
#74
○翫正敏君 だから、いわゆる思いやり予算と言われているもの以外にもかなりの金額が在日米軍のために提供されている、使われているという、そういう事実がわかったわけです。
 ところで、フィリピンの場合は米国の方が借地代相当分の見返り援助というものを出していると思いますが、今年度で日本円に換算して幾ら出しているのかをお示しください。
#75
○説明員(野本佳夫君) アメリカとフィリピンの関係でございますので詳細はつまびらかにしておりませんが、米国政府は八八年十月の米国・フィリピン軍事基地協定見直し交渉の結果、米議会の承認を条件に九〇それから九一両会計年度にわたり九億六千二百万ドルの援助をフィリピンに供与するために最善の努力を払うという意図表明を当時のレーガン大統領からフィリピンのアキノ大統領に書簡で行ったと承知をしております。九億六千二百万ドルは最近のレートで計算いたしますと約千四百八十億円程度かと思われます。
#76
○翫正敏君 フィリピンの場合は日本とは逆に駐留米軍の方がお金を出している、こういう事実なんです。米国が外国に軍隊を駐留させているのは、私が調べましたところ、西ドイツが約二十四万七千人、日本に四万九千人、韓国に四万八千人、イギリスに三万人、フィリピンに一万六千人、イタリアに一万五千人、パナマに一万人という、概数ですがこういう上位七位の数字だと思うんです。日本とフィリピンの実情というものは一応わかるんですが、その他の国は今のこのことについてどういうふうになっているのか。つまりフィリピン型なのか日本型なのかを、金額はよろしいですから、分けて御説明ください。
#77
○説明員(重家俊範君) 先生御質問のフィリピン型か日本型かということがどのような趣旨であるか必ずしも定かでないわけでございますが、例えば韓国について申しますと、韓国の国防白書によれば、韓国政府は在韓米軍の駐留経費の一部といたしまして不動産支援など約二十二億ドルを負担しているというふうに理解しております。
 御質問のその他の国の状況につきましては、第三国間の事柄でございまして、私どもとして詳細につき承知する立場にございません。
#78
○翫正敏君 承知する立場にはないと言いますけれども、じや私の方から言いますが、この今上位七位というのを挙げた国の中で日本だけではないんですか、このように無償で基地を提供したり、それにまたプラスアルファ思いやり予算――名前はいいですよ、何の予算であろうが。それをつけて、プラスアルファまで出しているというのは。
 つまり、安保ただ乗り論云々というようなことも前に言われたりしたことを聞いたことがありますけれども、決してそういうことじゃなくて、ただ乗りなんかじゃなくて、こういうふうにして駐留米軍に対する非常に特別な費用を出したり無償で土地を提供して基地に使わせたりしているという、これは日本の特別な他の国にない状況なのではないでしょうか。そう考えてよろしいんじゃないでしょうか、よくわからないと言われますが。
#79
○説明員(重家俊範君) 正確な詳細については承知する立場にないわけでございますが、西独等につきましては施設、区域を同じように提供しているというふうに一般的に理解しておりますし、また西独につきましても種々米軍への支援を行っているということでございますので、我が国だけがそういうことをやっておるというふうには理解しておらないわけでございます。
#80
○翫正敏君 先ほど、その在日米軍の駐留経費日建て分全額負担をしてくれというアメリカからの要請云々のことについては、日本政府としてそういうことをするつもりはない、そういうふうにお聞きしたんですけれども、そう理解してよろしいですね。前向きなんですか、どうなんですか。
#81
○説明員(重家俊範君) 在日米軍経費の問題につきましては、従来から御説明しておりますように、我が国の安全保障にとりまして不可欠な日米安保体制の効果的な運用を確保していくことが極めて重要であるという観点から、従来から自主的にできる限りの努力を払ってきているところであります。今後ともそういう自主的な努力を、できる限りの努力を続けてまいりたいと考えておりますが、具体的なことにつきましては現時点で考え方が固まっているというわけではないので、これ以上の答弁を差し控えさせていただきたいと先ほど申し上げた次第でございます。
#82
○翫正敏君 円建て経費全額負担をする場合には、地位協定の特別協定ですか、それを変更しなければならないわけでしょう。そういうふうなことまでして米軍に思いやりをさらにふやす、そういうことまでしてやるという、そういうつもりは今のところはない、こういうふうに理解してよろしいんですか。そうじゃないんですか。前向き検討なんですか。それをはっきりお答えください。
#83
○説明員(重家俊範君) 重なる答弁で恐縮でございますが、今までも自主的な努力をできる限りやってきている、これからもできる限りの努力を続けていきたい、こういうことでございますが、具体的なことは現時点で政府部内で考え方が固まっているわけではないということを御説明させていただいた次第でございます。
#84
○翫正敏君 私は、我が国といたしましても日米安保三十年ということしは節目の年に当たりますので、ひとつ安保の実情というものを国民の前に明確にお示しをいただき、もっと真剣に今後のあり方を検討していきたいと思っております。
 関連をしまして、次に米軍機の超低空飛行の問題を少し取り上げたいと思います。
 この問題は各地で住民に大きな被害と不安を与えており、放置できない重大な問題となっております。ところで、この件に関する意見書や陳情書が全国各地の地方自治体及び議会から提出されていると思いますが、地方自治体から幾つ出ておりますか。そして議会から幾つ提出されておりますか。数字でお示し願いたいと思います。
#85
○政府委員(吉住愼吾君) 御質問の米軍機の低空飛行に関しまして、六十二年十一月から本年五月までの間におきまして防衛庁、防衛施設庁に提出されたものとしまして、八十一の地方議会から八十七件の意見書が提出されております。それからまた、十六の地方自治体から二十八件の陳情書が提出されておりまして、これらの意見書につきましてはその都度米側に通知しまして、事故防止及び地上に対する影響等に関しまして十分配慮するように注意を喚起しているところでございます。
#86
○翫正敏君 昭和六十三年十一月二十八日に長野県知事の吉村さんが提出されておりますこのものをちょっと読んでみますと、「米国軍用機の飛行中止について(依頼)」ということで、
  本県上伊那郡長谷村及び下伊那郡大鹿村周辺で最近頻繁に軍用ジェット機が低空で飛来しており、奈良県、岩手県等他県における軍用機事故の経過もあり地域住民に不安感を与えております。
  このため、県では関係機関に対して事実関係の確認を依願すると共に、長谷村に対しては軍用機の所属を確認するように伝えておりましたところ、去る、十一月十五日に長谷村当局から、この飛行機は米国軍用機であることを確認した旨の連絡を受けました。また、報道機関によっても米国軍用機であることが確認されました。
  飛行は県南部の赤石山脈と伊那山脈にはさまれた細長い谷沿いに北上するものが多く見受けられます。長谷村、大鹿村両村共この飛行コース沿いには多数の住居及び公共施設が存在しております。また、大鹿村においては昭和六十四年三月からヘリコプターを使用して送電線建設工事が予定されており、さらに長谷村には電力供給の大動脈である中部電力株式会社の送電線「信濃幹線」が設置されており、万一事故が発生すると重大な被害が生ずるものと予想されます。
  県といたしましては、地域住民に不安感を与え、今後不測の事態を生じかねない現在の状況に対し大きな懸念をいだいているところであります。
  つきましては、該当する軍用機の飛行を直ちに中止するよう申し入れます。
ということで、在日米国海軍司令部司令官ディーン・サケット少将殿と、それからさらには外務省北米局長有馬龍夫殿と、こういうふうにして提出されているという資料をいただいたんですけれども、間違いありませんね。
#87
○説明員(森敏光君) 先生御指摘のとおり、昭和六十三年十一月二十八日付で長野県知事より当時の北米局長に対しそのような依頼がございました。
#88
○翫正敏君 米軍機が日本の各地において超低空飛行というものを繰り広げて住民に多大な迷惑、被害を与えているという問題は私は放置できないゆゆしき問題である、このような認識を持っているところでありますけれども、米軍機による危険な超低空飛行が続発する原因は根本的には日米安保条約、地位協定に基づいて一九五二年、昭和二十七年につくられた航空特例法によって国内法の航空法の規制が在日米軍には除外されているため在日米軍の飛行機が野放しに近い状態で超低空飛行を繰り返している、このことに根本原因があると判断しているわけでありますけれども、外務省としての事実認識、国内法の航空法特例法によってこういうことが起こっているんだという、そういう事実認識はそれで間違いありませんか。
#89
○説明員(森敏光君) まず一般論について申し上げますと、一般国際法上外国軍隊につきましては特段の合意がある場合を除きますほかは接受国の法令がそのまま適用されることはないというふうにされておりまして、日米間におきましてもこの在日米軍を規定する地位協定もこのような考え方に基づいて締結されております。
 他方、このようなことは米軍が我が国において軍隊としての行動を行うに際しまして国内法を全く無視して行動してよいということを意味するわけではございません。例えば交通の秩序の維持のような公共の安全とかかわりを持つ部分にありましては、一般に関係法令を尊重しつつ行動すべきであることは当然でございます。本件との関連におきましても、米側は航空法にございます最低安全高度を尊重し、また極力村落を避けて飛行するなど安全面での配慮を払いますとともに、地域住民に対する影響についてもこれを最小限にするよう努めているものと私どもは承知しております。
 アメリカ軍が我が国に駐留しております目的は、我が国の安全を守り極東の国際の平和と安全を維持するということでございまして、その目的の達成のために軍隊として行わなければならない諸活動を行うということは、安保条約あるいは地位協定が前提として予想しているところであると考えております。
#90
○翫正敏君 いや、そういう一般論というかこうあるべき論とかそういうことを聞いているのではなくて、現実に全国各地の自治体や議会からこの米軍の超低空飛行の問題についての被害の訴え、これが出ているわけであります。そういう事実は先ほど数の上においてもはっきり出たわけでありますから、もっとカウントされていないのがまだあるかもしれませんけれども、今既に政府として把握しておられる数だけでも、各地の県や町や市やそういう自治体や議会からさまざまな超低空飛行をやめてほしいという要望が出ているということは事実です。
 そういうことがどうして起きるのかということを考えたときに、航空特例法というものによって在日米軍の飛行機は国内法の規制を受けなくてもよい、除外されている、そのことにこの原因があるとこういうふうに私は判断するんですが、そういう判断を外務省もしておられるかどうか、それだけをお聞きしたいわけで、一般論として米軍が日本の国の中に何のためにいるのかとか、そしてどういう努力をしておられるかとか、そういうことはまあさっき聞いたんでわかったんで、こういうことになっている根本理由がそこにあるのかどうか、それだけちょっとお答えください。
#91
○説明員(森敏光君) 私、先ほどの御説明で申し上げたかったことは、このような米軍の訓練は日米安保条約の目的達成のために行っておる、この目的達成のために極めて重要な訓練であるということを申し上げた次第でございます。
#92
○翫正敏君 あの、私嫌になってきたけれども、そういうことを聞いているんではなくて、陳情書や要望書がそういうことで出ているわけですね。困るというて全国各地から出ている。乳児が泣き出したとか、眠れない、授業が中断されたとか、切実なものもいっぱい出ている。先ほど数字が挙げられましたね。北海道、青森県、岩手県、秋田県、埼玉県、神奈川県、静岡県、長野県、奈良県、和歌山県、島根県、徳島県、愛媛県、高知県、沖縄県の十五県に広がっていると。そういうところの道府県や各市町村議会や、そこらから陳情書や要望書がいっぱい出ているわけですね。そういう事実はもちろんお認めになるわけでしょう。
 それをさあどうするかという話を今聞いているんじゃないんですよ。次に聞こうと思いますがそういうことを聞いているんじゃなくて、そういうふうになっている原因が米軍機は航空法の特例除外になっていると、そういうことに原因があるというふうに判断していいですねとそれを聞いているだけなんですから、いやそうではなくて別の理由なら別の理由だというふうにお答えいただきたいと思います。
#93
○説明員(森敏光君) 私、御説明いたしておりますのは、日米安保条約の六条に基づきまして米軍が我が国に駐留することを認められている。この安保条約の六条との関連におきまして、現在地位協定がございます。この航空法の特例法というのは、このような安保条約、地位協定のもとで適用除外を定められたものでございますので、現在のこの飛行というのは安保条約、地位協定に基づいて行われているということを御説明したわけでございます。
#94
○翫正敏君 同じお答えしかないのであれですけれども、やはり日米安保三十年というこの節目に当たって、そういう在日米軍の飛行機、戦闘機やヘリコプターやそういう航空機だけが国内法の適用を受けなくても日本の国の中を飛び回ることができるというようなそういうことは、これはやっぱりよくないことだと私は思うんです。ですから、それを直すためにはどうしたらいいかということを、これはやはり自民党なり社会党とか政府とかというそういう立場を超えて、私はみんなで考えてどうしたら国内法を遵守させることができるか、直さなければいけないところは直す、そういうふうにしていくということが大事だと思いますのでお聞きしようと思ったんですが、事実認識の時点でもう既に何といいますかどうしようもないような感じで、もうこれで十二時も回りましたので、午前中の質問は終わります。お答え結構です。
#95
○委員長(板垣正君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#96
○委員長(板垣正君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#97
○翫正敏君 次に、私の地元の基地であります小松基地の関係について質問いたします。
 まず防衛庁の方に質問いたしますが、ことしの四月十六日に小松基地の司令に対しまして、小松基地と戦争に反対する小松市民と石川県民の会など四団体が申し入れ書を提出しておりますが、その内容につきまして、四点にわたって質問しているわけですけれども、その中の二番目の「F4ファントム戦闘機を十八機から二十二機に増加させた理由について明らかにすること。」という質問についてこの場でお答え願いたいと思います。
#98
○政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。
 戦闘機の部隊定数につきましては、全体の枠組みの中におきまして、状況の変化に対応して防衛力を最も効率的に発揮し得るよう設定されているものでございます。
 お尋ねの小松基地でございますけれども、それに所在いたします飛行隊につきましては、従来定数を十八機というふうにいたしておりました。それは、小松基地に展開いたしました時期の全体的な防衛力の中からそういう機数を算定して出しておったわけでございます。ところが、その後我が国周辺におきますソ連航空機の活動が活発になってきたというようなことに対応いたしまして、航空自衛隊の戦闘機によります緊急発進回数が小松基地に展開をいたしましたころに比べまして高い水準を続けておりますので、要撃戦闘機部隊のパイロット、整備員の負担が増加するとともに所要の練成訓練量も確保するということから、やはり機数の増加を見ないといけないというようなことになったわけでございます。
 こういうような実情にかんがみまして、平成元年度におきまして要員の負担増の軽減それから所要の練成訓練量の確保、こういうことのために必要な措置といたしまして小松基地に所在いたします一個飛行隊につきまして戦闘機の定数を四機増加することといたしたところでございます。
#99
○翫正敏君 その件につきまして、地元小松市との間でどのような協議をなさいましたか。
#100
○政府委員(日吉章君) 小松基地のファントムの定数増につきましては、事前に小松市と調整の上で、平成二年三月三十日に小松基地司令から小松市長あてに正式に通知したものと承知をいたしております。
#101
○翫正敏君 防衛庁の方から小松市へ通知をしたということであって、小松市の方からどうぞというような返事があったわけではないと私は理解しているわけでありますが、ともかく戦闘機をふやせば騒音はひどくなるし、小松基地は民間機との共用飛行場でございますので、民間機との事故やニアミスの危険性も増大することは私は明らかだと思うんです。
 ここでちょっと運輸省にお聞きしたいんですが、一般論で結構なんですけれども、戦闘機の数が増加をしそしてスクランブルの数も先ほどの日吉局長の御答弁のように小松基地においては増加をしている。訓練の回数もふやさなければならないという状況であると。そういう状況であるかどうかの認識のことはちょっとおくとしましてとにかくふやしておる、こういうことなんですが、こういうふうにして戦闘機の数を増加させ訓練回数を増加させスクランブルもふえていくという状況の中で、民間空港との共用ということでありますのでニアミスや事故の危険性は、一般論としてこれはふえるものですか減るものですか。
#102
○説明員(下里晃君) お答え申し上げます。
 飛行場及びその周辺におきましては管制圏を設定する等によりまして安全にしてかつ円滑な航空機の流れを維持するための管制業務が適切に実施されており、航空機の数が増加し訓練回数がふえたといたしましても、このことから直ちにニアミスなどの具体的な危険性が生ずるとは我々は考えておりません。
#103
○翫正敏君 ただいまの答弁は納得できないんです。普通考えてみましても危険性はふえると思いますし、現に、後からるる資料を出しますが、小松基地における事故の発生回数は最近とみにふえている、こういう危険な実情であるわけであります。
 次に、ことしの六月七日の環境週間の日に防衛庁長官あてに要請書というものが小松基地と戦争に反対する小松市民と石川県民の会を初めとする三団体から提出されているわけでありますので、この内容につきまして、既に当日一部回答をいただいておりますけれども、さらに詳しく逐次お伺いしたいと思います。
 それに関連してまた運輸省の方からも御答弁をいただきたいと思っておりますけれども、まず一番目に書いてあります「「えん体整備に伴う基地拡張」は、昭和三十四年十二月四日締結の約定書の九項に違反しているものであるから、ただちに中止されたい。」というこの要請に対して、当日の回答でございますが「これを私なりに読んでみますと、いろいろ長い説明をしてありますが簡単に言えば、この約定書は地元に払い下げるという趣旨の約定書であるので、地元へその後払い下げたからこの約束はその時点で果たされた、こういうふうにお答えになっていると理解してよろしいですか。防衛施設庁ですか。
#104
○政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。
 そのとおりでございます。
#105
○翫正敏君 しかし、私はそれは非常におかしいと思うのでありまして、つまり、いやしくも公文書において書かれていることであります。地元に払い下げるものならば地元に払い下げるものとすると、こういうふうに書くべきであります。飛行場として使用しないとこう明記してあるわけでありますから、飛行場用地として買収するという場合にはこの約定書の改定をするか、つまりその場合は小松市とか小松市の議会と協議をしたり議決をしたりする必要があると思いますが、この条文を削除するとかそういうようにしない場合にはこの三昧谷という場所の買収に取りかかるということはできないというふうに考えるわけであります。法治国における行政の進め方という基本的なことから考えて、使用しないと書いてあるのの真意は払い下げるという意味であるというようなことではとても世の中に通用するものではないと思うんですけれども、その点について施設庁はどういうお考えでしょうか。
#106
○政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。
 三昧谷地区の土地をこの約定書の趣旨によりまして昭和四十年八月農林省から地元住民の方々へ払い下げられ、本条項は履行済みであると考えております。
 今回の用地取得につきまして、名古屋防衛施設局長は、この約定書の当事者でもあります小松市長に事前に協議をさせていただきまして、同市長はこれを了承されました。また、土地の所有者も理解をいただいたというふうに承知いたしております。したがいまして、本約定書を改定する必要はないというふうに考えます。さらに申し上げますと、この約定書が締結されました当時の三昧谷地区の土地は農林省所管の国有地でございまして、防衛庁はこの土地を払い下げるとか払い下げないとか言える立場にはないわけであります。したがいまして、そのような文言は協定書には書き込めないということであります。当時の約定書に書けることは、防衛庁が直接農林省から所管がえを受けて飛行場用地として使用することはないということであります。
 このことは、さらに申し上げますと、昭和三十九年四月三十日の覚書四項で「「三昧谷」国有地の払下げに関する対農林省との交渉については、当局において積極的に協力する。」と定められていることからも明らかであります。また、本件約定書の当事者である小松市長も、本件約定書の取り扱いにつきまして平成元年九月十二日の同市議会で、元三昧谷国有林は地元が払い下げてほしいということであったため約定書に確約したものであって、昭和四十年個人に払い下げられていることから約定書は履行されたものと解釈している旨の御答弁をなさっていらっしゃいます。約定締結の両当事者の意見は一致しているわけでございます。
#107
○翫正敏君 これは前にも再三にわたって質問もしたりまた地元からこれに対する反対の声も起こっていることでありますので、両当事者の間で了解済みだとこうおっしゃいますけれども、やはりこの問題については地元の中でも私が申し上げたと同じ考えの人もおられるわけでありますから、今後も機会あるごとに問題にしていきたいとは思っております。
 次に二番目の要請内容ですが、「一〇・四協定による環境基準達成は、第二種空港Bの区分を適用したものである。すなわち、住居専用地域でWECPNL七十以下、その他の地域では七十五以下に屋内・屋外を問わずすべて基準値以下にすることである。しかし現況では、達成はおろか騒音は益々増大し、騒音被害は深刻度を増している。一〇・四協定を守るために、具体的な年次計画を示されたい。」、こういう内容でありますけれども、このことについて環境基準の達成はいまだなされていない、こういう民家防音をしているということについてのことは別といたしまして、ともかく環境基準七十ないし七十五WECPNLの環境基準の達成はいまだなされていない、そういうふうに理解してよろしいですね。
#108
○政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。
 小松飛行場におきましては、環境基準を達成するため音源及び運航対策を講ずることによりまして騒音軽減に努めてきているところでございますが、これらには限界があることから、環境基準を超える地域におきましては住宅の防音工事を実施することにより環境基準が達成された場合と同等の屋内環境が保持されるよう努めているところでございます。同飛行場周辺に係る住宅防音工事につきましては、昭和五十七年六月に追加工事をした第一種区域内の希望世帯について昭和五十八年までに新規、すなわち一、二室工事でございますが、新規工事をほぼ完了しているところでございます。また、五十九年十二月に追加告示をさせていただきました区域におきましても、平成元年度までに工事を希望した世帯につきましてはほぼ完了しておりまして、追加工事、すなわち全室化でございますが、これについても努力しているところでございます。引き続き早期完成に向け努力してまいる所存であります。
#109
○翫正敏君 環境基準の達成に向け引き続き努力するという決意のほどはわかるんですけれども、ともかくまだ達成されていない。住宅防音工事においても達成されていないし、まして屋外における七十ないし七十五WECPNLの環境基準の達成はいまだなされていない、こういうふうに受けとめさせていただきました。
 次に三番目の問題に行きます。中島方式とも言われますが、この小松基地における飛行方式が余り守られていないという問題が三番目に取り上げられております。すなわちちょっと本文を読みますと、「一〇・四協定による安全対策の一つとして、市街地上空を飛ばない飛行経路(自衛隊が自ら選定、中島コース)をとることが約束されているが、我々の調査では、六割以上もこのコースに違反している。この現状について、見解を求める。また、小松基地を離着陸する戦闘機の運行
状況を調査し、その結果を公表されたい。」、こういうふうになっております。この結果の公表はできないというふうに六月七日にお答えになりましたので、そのことは私はおかしいとは思いますが、答えとしては一応わかりました。調査はしているけれども結果は公表できないとそういうことであるようですが、とにかく中島方式という騒音軽減コースは我々の調査では六割以上も違反している、こういう事実についてはお認めになりますね。
#110
○政府委員(米山市郎君) 今御指摘のいわゆる中島方式でございますが、これは今お話しのように、小松基地における場周経路の方式でございます。航空自衛隊は、小松の市街地等の騒音を軽減するため、昭和五十年一月一日にこの方式を採用して以来、部隊に対しましてこれに従って飛行を行うよう強く指導をいたしております。小松基地常駐機のみならず、飛来をしてまいります全自衛隊機に対しましてこの周知徹底を図っておりまして、パイロットは厳格にこの方式を守って飛行を実施いたしているところでございまして、守っていないということを認めろと言われましても、私どもとしては守っているということをお答えいたします。
 何か六割以上が違反をしているというようなお話もございます。具体的にどういう調査に基づくものか私どもよくわかりませんけれども、気象あるいは管制等の状況または機種によって多少の幅ができるということは、これはやむを得ないところだろうと思います。常に一定の地域を定規ではかったように飛行するというのはなかなか難しい問題だろうと思います。また、地上から見た場合にそれを外れているように見えるということも、人間の目でございますのであり得ることではなかろうかというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、冒頭申し上げましたように、私どもとしてはそれを遵守するように強く指導をいたしておりますし、パイロットからもそういうコースを守って運航しているという報告を得ております。今後ともさらにその徹底を図ってまいりたいとは思っております。
#111
○翫正敏君 御案内のように、我々は騒音をなくしようということで住民運動もしたりまた裁判も行ったりしているわけでありまして、その中でもこの飛行コースの問題は重要な争点になっているわけでありますから、今局長がおっしゃられたような事柄については、最終的には来年の判決の中でまた出ると思いますので、水かけ論になりますから、守っている守っていないということはこれだけにしたいと思います。
 四番目の点につきましては、「一〇・四協定による、騒音源対策の一つとして、「昼休み時間の離着陸等は中止」することになっているが、民航のフライトとの関連で、昼休みにも飛行を強行している現状にあるので、ただちに中止されたい。
 また、今後民航便が増便されると考えられるが、それとの関連における騒音軽減対策を示されたい。」、こういうふうになっているわけでありますけれども、昼休み時間の離着陸は中止するというのは一〇・四協定の音源対策の項目に明確に書かれているわけですから、これを破って訓練している理由というものを明確にお示し願いたいと思います。
#112
○政府委員(米山市郎君) 今お話しの昼休み時間の離発着の問題でございますが、覚書の中には早朝、夜間及び昼休み時間には緊急発進その他特にやむを得ない場合を除き離着陸及び試運転を中止するというふうに書いてございます。過去におきまして、小松基地では日常の訓練に際し一切昼休み時間の離着陸を自粛いたした時期がございました。ただ、昼休み前の時間帯に訓練から帰投する自衛隊機が集中することによりまして、その時間の航空機と競合して当該民航機の運航に遅延が生じるといったような事態、また天候の不良等のため訓練機の出発が遅延をした場合に、当該訓練機が燃料に余裕があるにもかかわらず当該昼休み時間前に帰投せざるを得ないというような状況が出てまいりまして訓練上も非常に非効率だといったようなことから、平成元年の六月に民航機の運航との調和及び訓練の効率的な実施を図りたいとのそういった観点から地元の小松市、加賀市と調整をいたしました。
 地元地方団体の御理解をいただいて、昼休み時間の訓練のための着陸につきましては協定のやむを得ない場合に当たるとそういう確認をいただきまして、その後この確認に基づきまして飛行訓練を行っているところでございます。そういう意味では、飛行訓練の協定の規定に従って実施をしているという点は御理解をいただきたいと思います。
#113
○翫正敏君 スクランブルなどやむを得ない場合に該当するというふうにはとても思えないんですけれども、ともかく民間機の飛行との関連で危険性を避けるために昼休み時間の訓練もしなきゃならないというような実情であるという、そういう御説明であったと受けとめておきます。
 そういうことは、やはりF4ファントムが十八機から二十二機にふえた、訓練回数もふえている、スクランブルもふえていると、そういう先ほど申しましたような状況というものの中から出てきていると思うんですけれども、そういう意味では今後ますます一〇・四協定の騒音に係る環境基準の達成というものは、努力はなされるのでしょうけれどもこれを達成するということは難しくなってくると、こういうふうに私は判断しておるわけであります。その結果が今まで飛んでいなかった昼休み中の訓練もしていく、こういうことだろうと思いますけれども、そういうふうに受けとめてよろしいでしょうか。
#114
○政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。
 小松基地におきます航空機騒音対策につきましては、防衛施設庁といたしまして自防隊機、民航機を問わずその騒音の実態に応じまして積極的に対応してきたところでございます。今後ともその騒音の実態に応じて適切に対処してまいりたいと考えております。
#115
○翫正敏君 次に、同じことを運輸省の方に御答弁願いたいんですが、こういう事態では、先ほどの質問の繰り返しになりますけれども、やはりニアミスや事故の危険性というものは必然的に増大する、こういうふうに思うわけです。先ほどはそういうことはないとこうお答えになったわけですけれども、昼休みさえも飛ばさなきゃならない、民航機のフライトとの関係でそういうふうになっているとこういうふうに防衛庁の訓練局長もおっしゃっておられるわけですから、それを踏まえてもう一度お答えになっていただけませんか。
#116
○説明員(下里晃君) 防衛庁機の運航状況につきましては、運輸省といたしましてはその詳細を承知する立場にはございませんけれども、いずれにいたしましてもこの小松飛行場におきましては管制業務が現在適切に実施されていると考えておりまして、航空機増、便数増、これが直ちにニアミスや事故の具体的な件数につながるとは考えておりません。
 なお、参考までに民航機の便数を申し上げたいと思いますが、現在小松飛行場に乗り入れている民航機の便数は国内線が一日当たり十八便、それから国際線が過単位でございますけれども八便でございます。
#117
○翫正敏君 一応答弁はわかりました。先ほどと同じお答えなので、次に事故の具体的なことを聞いてからもう一度お聞きしたいと思います。
 五番のところにありますのが、「今日の世界情勢は、軍拡の時代から、軍縮へ大きく進んでいるのであるから、その流れに逆行する日米合同軍事演習は、ただちに中止すべきである。」と、こういう内容なんですが、世界情勢の問題は午前中にいろいろ御質問しましたのでこれは飛ばしまして、六番に書いてあります、先ほどもお聞きしました昭和「六十三年六月二十九日、F15イーグル戦闘機の、接触・墜落によりパイロット二名が死亡する重大事故が発生し、その原因も公表されていない状況のなかで、最近、離陸失敗、整備中に暴走する事故など、極めて危険な状況が発生している。事故防止にむけた具体策を示されたい。」という、
こういう地元住民団体からの要望についてお聞きしたいんです。
 この昭和六十三年六月二十九日のF15同士の衝突事故のことは先ほどお聞きしました。その後小松基地においてどんな事故が起きているか、その概要を説明してください。簡単で結構です。
#118
○政府委員(米山市郎君) お尋ねの事故と申しますのは、平成二年一月二十六日のF15機の地上衝突事故がございます。これは地上試運転中不意に滑走を始め、格納庫に衝突したという事故でございます。
 まあほかに若干のトラブルと申しますか、あえて事故と申すまでもないオフランウェー等の事案が幾つか発生をいたしておりますが、一つは平成元年十一月二十日のF4機のオフランウェーでございまして、滑走を開始直後に左の方に偏向といいますか偏りまして滑走路を逸脱したという事案でございます。
 それからいま一つ、平成二年二月二十六日のT33機の燃料漏れ事案でございますが、離陸滑走を開始した直後に燃料排出口から燃料の流出が確認をされたために、滑走路上に停止をいたしました。
 それからいま一つ、平成二年六月七日のF4EJ型機の緊急着陸でございますが、これは離陸直後油圧が低下をしたため緊急着陸をした事案でございます。
 こういったものは大事をとってそのような形をとったというものでございます。
#119
○翫正敏君 今の御説明では、事故と言えるようなものは平成二年一月二十六日のこのF15が不意に滑走を始めて約二百二十メートル離れた格納庫に衝突したというこれだけであって、あとのものは事故と呼べるようなものではないが云々とこういうお話でありましたけれども、しかしそれは非常にやはりおかしいわけでありまして、民間機との共用飛行場でありますから、万一これが民間機と衝突したりターミナルに衝突したりするというようなことになりますと重大事故に発生する可能性というのは常に秘めているわけでありますから、やはりぶつかった事故とかそれからパイロットの方がお亡くなりになったそういう事故とかそういうものだけを事故として数えるのではなくて、そのほかの局長のおっしゃる事故と言えないようなものというものもきちっと事故としてその原因などを究明しながら、それをまた我々や小松市などには公表していただきながら、事故がないように最善の努力をしていただきたいということを要望したいと思います。
 もう一つ、ことしの三月三十日に管制塔内で火災が発生したと。管制塔の電源が切れて移動式離着陸監視所で代替管制を行ったという、こういう事故もあったんじゃありませんか。
#120
○政府委員(米山市郎君) 今お話しの事故と申しますか事案でございますが、小松管制塔において飛行場灯火操作盤付近から発煙をいたしましたため、十二時五十五分管制塔を閉鎖して飛行場管制業務を飛行群指揮所等で実施しているというようなトラブルが平成二年三月三十日に発生をしております。
#121
○翫正敏君 今ほど言いました二年三月、これは日にちはあれですが、この事故も民間機との関連がやはりあると思うんです。管制業務を一時閉鎖して、そして移動式の自動車の上についたようなそれを使って一時やったということでありますから。こうした事故が民間機やターミナルを巻き込んだ事故であったらと想像すると背筋が寒くなるわけであります。
 御案内のとおり、私は小松軍事基地そのものを廃止して民間専用空港にすべきであるという、こういう持論でずっと住民運動をしてきた立場にあるわけでありますけれども、その点は今一応おくといたしまして、地元小松市の方では北海道の千歳空港に倣って民間専用の滑走路をもう一本つくり、自衛隊用と合わせて滑走路二本化へ向けた運動というものが起こっているわけであります、御存じと思いますけれども。
 そこで運輸省と防衛庁に順次お聞きしたいのですけれども、まず運輸省にお聞きいたしますが、もう一本小松飛行場において民間専用の滑走路をつくるということは可能でしょうか。北海道の千歳空港の場合と比較をして御説明ください。
#122
○説明員(小坂英治君) お答えいたします。
 将来小松飛行場における航空需要が増加した場合等に、その対応として御指摘のような新滑走路を整備することは一つのアイデアとして考えられます。これにつきましては、需要等から見た必要性、滑走路の利用形態、周辺地形等の自然条件、周辺の土地利用等の社会条件、環境条件等多面的に調査検討した上で判断することが必要であると考えております。
 今御指摘のありました千歳との比較でございますが、幹線空港でございます千歳空港は、新滑走路が共用した昭和六十三年度で旅客数が千八十二万人、民航機の着陸回数が約二万七千回であるのに対しまして、小松飛行場は旅客数百四十六万人、着陸回数約四千回ということでございまして、現時点での滑走路に関する能力について特段の問題は現在のところないのではないかというふうに考えております。
#123
○翫正敏君 今お聞きしたかったのは、そういうこともありますが、さらに滑走路を二本つくる場合には、北海道の千歳空港の場合は千五百メートル離してつくってありますね、そういうようなことをしなければならないのかどうかということ、小松においてはそういうことが果たして可能性があるのかどうかということ、またお金がかかる問題でありますけれども、そういう場合はその費用というものは千歳の場合ほどなたが負担をしたのか、そういうようなことなどをお聞きしたかったんです。現在のところでまだ満杯になっていないから、千歳は二万七千回で小松は四千回だからまだ差があるので一本でいいと、そういうことをお聞きしたかったのではないんですけれども、よろしいですか。
#124
○説明員(小坂英治君) 滑走路を新たにつくるということに対しましては、もしそういう方法が考えられるとしたらどのような形状でつくるか、今御指摘のように何メートル離すとかいろいろなことはキャパシティーをふやすためのいろいろな条件として当然考えられることでございます。
 なお、千歳空港につきましては、新千歳空港でございますが、新たな滑走路の延長工事については、運輸省、民航側の負担でやっております。
#125
○翫正敏君 小松につきましては、先ほどおっしゃいましたように、千歳に比べて回数が少ないという状況の中で二本目の滑走路をつくる建設費用を運輸省が出すという、そのようなことは現状で考えられますか。
#126
○説明員(小坂英治君) 将来小松飛行場がいっぱいになると、その段階で私どもこの地区の民航用の空港容量を確保するということになれば、地元でも勉強しておられるようですが、新たによそにつくるとか滑走路を増設するとか、そういうもろもろの検討があると思います。もし民航側でやるということになれば、当然私ども、民航が設置管理者になり、民航側の負担になると考えます。
#127
○翫正敏君 防衛庁の方にお聞きをしたいんですけれども、滑走路二本化の可能性という問題についてお聞きをしたいんですが、現在の小松飛行場の施設の中に二本目の滑走路をつくるというそういうことは可能性がありますか。
#128
○政府委員(村田直昭君) 今運輸省の方からお答えがありましたように、どういうふうな格好で二本つくるかということによって地積が大分違いますからなかなかお答えしづらいところでありますけれども、仮に並行路としてつくるというようなことで考えるとしますと、配置上で見ましても現在の小松基地内に民間専用の滑走路を新たにもう一本つくるというには地積が足りないということでございます。
#129
○翫正敏君 はしを並べるように二本目の滑走路をつくることはできないと、こういうふうに受けとめさせていただきました。
 さて、ことしの二月二十四日に石川県内の有識者と言われる方々がお集まりになって小松空港の国際空港化の可能性、実現の方法を検討されたようであります。北陸国際空港懇話会が中間報告を発表されたわけですけれども、そこにおいては自衛隊との共用ではいずれ発着枠に限界がくるという認識が述べられております。
 私は、ファントム戦闘機の機数や訓練回数が増加し、そしてスクランブルの回数も先ほど日吉局長からの御答弁でも小松基地においてはふえているようなお話も一部ございましたけれども、こういうようなことなどを考えた場合には、そしてまた事故も、事故と言えるかどうかわからないという局長の話もありましたが、我々住民の方から見ればやはりこれは非常に危険な事故であるというふうに思いますが、これがもう一年間に何回も繰り返し起こっているというような状況、こういうものを考えた場合、そして一〇・四協定の環境基準の期限というものが七年も過ぎてもまだ達成ができないというその見込みも立っていない状況、こういうものを総合的に考えてみるならば、そして最近ではタッチ・アンド・ゴーというこういうものも年間七千回ぐらい行われているようであります。そしてそれがまた地域住民の人たちに非常に大きな騒音被害というものも与えているわけでありますから、こういうふうな状況を総合して考えてみるならば、既に発着枠というものの問題につきましても小松空港については今のままの状態で民間機とそして自衛隊機が共用して使っていくということは非常に無理があるのではないか、こういうふうに考えるわけでありますけれども、防衛庁次いで運輸省にこの問題についてのお考えをお聞きしたいと思います。
#130
○政府委員(村田直昭君) 今先生のお尋ねがその懇話会の発表による自衛隊との共用ではいずれ発着枠に限界がくるというようなことについての御意見であるということでお答えしますと、小松基地は先生御承知のとおり第六航空団等の部隊が配置されている本州においては日本海側で唯一の重要な戦闘基地でございまして、このことをまず最初に御理解いただきたいと思うわけでございます。
 そして、その場合にいずれにしましても防衛庁が管理する飛行場でございますから、防衛庁としては民間航空機等による小松基地の使用につきましては、隊務の遂行上支障がないと認められる範囲内においてこれまでと同様に許可するということにして今後とも運用してまいりたいと考えております。
#131
○翫正敏君 この懇話会の報告では、長期的には基地の移転が理想的だとこう述べられているわけであります。
 防衛庁にお聞きしますが、そういうことが可能性があるかどうかというような話はちょっと別といたしまして、現在小松基地と同じ規模の飛行場を別にどこかにつくるといたしますと大体どれくらいお金がかかるんですか。
#132
○政府委員(村田直昭君) 先ほどもお答えしましたように、小松基地の重要性ということにかんがみまして、先生がおっしゃられるようなことを私どもまだ全然考えておりません。移るというようなことは考えておりませんので、まだその金額等についても定かに積算しておらない次第でございます。
#133
○翫正敏君 私は先ほど申しましたように基地廃止論という立場でありまして、そのためにその方向でずっと住民運動も続けてまいりましたが、それはそれといたしまして、最近ある小松市民から聞きました小松基地の段階的廃止論というものについてちょっとお話をしたいと思います。
 まず第一段階が、航空管制を自衛隊から運輸省に移す、こういうことであります。第二段階が、国の防衛予算の削減という事態になった時点で小松基地の二飛行隊を一飛行隊に削減するということであります。ここまでに三年ぐらいをめどとします。次に第三段階が、戦闘機の減った分に見合って七十五WECPNLという環境基準を守る範囲内で民間機の便数をだんだんふやしていく、こういう段階であります。第四段階が、小松基地を緊急発進、スクランブル基地でなくて単なる訓練だけの飛行場にする、こういうふうにいたします。ここまでに五年を見込んで、最後の三年つまり現時点から十年後、二十一世紀の初年度においては小松は文字どおり民間専用の空港になる、こういう段階的廃止論というものを考えているわけであります。これはただしある小松市民から聞いた意見であります。
 そこで、官房長官お見えになったのでお伺いをしたいんですが、ことし三月二十四日の日に金沢の方で記者会見をされましたときにこの問題につきましてのコメントをされまして、「まず、地元から(空港実現へ向けて)具体策を提示することが大事だ。それを受けて、中央がサポートしていく」、このようは述べられているわけであります。この発言を踏まえてお答えいただきたいわけでありますけれども、この小松空港の民間専用化とかまた国際空港化とか滑走路二本化とか、さまざまなことが地元の方では言われているわけでありまして、官房長官御存じのように決して県民世論やまた小松基地周辺の自治体の世論や住民の世論が一本になっているということはないと思います。私のような考えの者もおりますし、それから今ほど紹介しましたような人の意見もあるし、いろいろとあると思うんですけれども、そういうようなことを踏まえて現在の御見解をお伺いしたいと思います。
#134
○国務大臣(坂本三十次君) 私が金沢で記者会見をしたときは、やっぱり北陸国際空港ですから石川県空港というわけじゃないんですね。私の考えるところでは、少なくとも北陸三県の空港というようなことで感じておりましたからね。特に石川県は熱心なんです、それは確かに。ですけれども、三県という歩調をそろえないと本物のそんな北陸国際空港というものはできるものでないよと。ですから、やっぱりよく地元で特に三県、石川県が中心になるでしょうけれども、三県でよく構想を練ってそしてちゃんと意見をまとめてくださいよと。それがまとまって中央の方に働きかけがあれば、中央としても政府の方としてもいろいろ判断をして、そしてそれがいいということになればサポートをするというのが順序じゃないでしょうか、まず自分たちのところで考えてくださいよとそういう趣旨の気持ちで申し上げたわけなんです。
 それで、しかしいろいろの意見交換の場でお話が出ておるということは聞いておりますけれども、北陸国際空港だから北陸三県でこういうふうに大体地元の案をまとめました、だからこれをひとつやってくださいというような話は正式には何もまだ来ておりません。そういう仮定の上ですけれども、これ小松飛行場を北陸国際空港として利用するということにつきましては、国に対してお話があれば、つまり地元の意向が固まってそして国に対しても北陸国際空港の具体策について要望が正式にあれば、同飛行場の防衛上の役割も踏まえて慎重に検討をされることになろうというのが今の認識であります。
#135
○翫正敏君 それに関連をいたしまして防衛庁にお聞きをしたいんですが、小松飛行場は自衛隊が航空管制をしているわけですが、同様な官民共用飛行場は全国に何カ所あるのか、そして官民共用飛行場で運輸省が航空管制をしているところは何カ所あるのか、それをお答え願いたいと思います。
#136
○政府委員(米山市郎君) お尋ねの防衛庁長官が設置、告示し運輸大臣が航空法に基づいて共用飛行場に指定をしている飛行場につきましては自衛隊が航空管制業務を実施しておりますが、その数は小松を含めまして五カ所、千歳、札幌、小松、徳島、美保、この五カ所でございます。また、これらの飛行場と同様に民間航空の定期便が就航している米軍管理の三沢飛行場の航空管制業務も自衛隊が実施をいたしております。
 それから、運輸大臣が設置をし告示している空港で自衛隊の部隊が所在をしている空港、これは九カ所でございます。
#137
○翫正敏君 航空法第九十六条を読みますと、その趣旨からいうと運輸大臣つまり運輸省が航空管制をするというのが原則で、それを防衛庁長官ですか、防衛庁の方に委嘱をする、どういうんですかね、とにかく航空法第九十六条の趣旨からいうと運輸省が航空管制するというのが飛行場の原則なんではありませんか。そんなことはないんですか。ちょっとお答えください。
#138
○説明員(下里晃君) 今お尋ねの航空法九十六条、これに基づきます航空交通管制業務、それにかかわる運輸大臣の権限でございますけれども、運輸省が本来行うべきでございますが、同航空法第百三十七条第三項の規定によりましてこれは政令で定めるところにより防衛庁長官に権限を委任するものとされてございます。
#139
○翫正敏君 昭和四十七年三月三日の運輸大臣と防衛庁長官の覚書というものをちょっと見てみますと、この航空管制の問題、運輸省と防衛庁で今後も協議して決めるとか、こういうふうに述べられていると思うんですけれども、こういうふうに理解してよろしいですか。昭和四十七年三月三日の運輸大臣と防衛庁長官の覚書ですけれども、防衛庁そして運輸省に順次お答え願います。
#140
○政府委員(米山市郎君) 今お尋ねの昭和四十七年三月三日の覚書は、航空交通管制区等の指定や訓練試験空域の設定に係る両省庁間の協議手続等について定めたものでございまして、御指摘の航空管制の問題が共用飛行場に係る航空管制を運輸省と防衛庁のいずれが実施するかというような問題であるとするならば、これはこの覚書に基づいて処理するものではございません。
 管制業務に係る運輸大臣の権限は、先ほど運輸省の方からも答弁ございましたように、防衛庁長官に委任をされて防衛庁が管制業務に携わるわけでございますが、その根拠規定は航空法第百三十七条第三項の規定に基づきまして政令で措置をされるものでございます。その過程におきまして、当然のことながら両省庁間で必要な調整が行われるわけでございます。防衛庁と運輸省の航空局とは常に緊密な連携といいますか連絡をとり合いながら、航空交通の安全確保に努力をいたしておるところでございます。
#141
○説明員(下里晃君) ただいま防衛庁の方から御説明あったとおりでございます。
#142
○翫正敏君 そのことはそれといたしまして、坂本官房長官にお伺いしたいんですけれども、この地元の方での意見がまとまっていないというか話がいろいろ出ていて、まだ中央の方にもまとまった話が上がってきていない段階では云々とこういうお話でございましたけれども、この小松飛行場を国際空港にするのか民間専用空港にするのかそれともこのまま自衛隊と民間空港の共用のままいくのかどうしていくのかというようなことは、この石川県に住んでおります者にとっては非常に大きな関心事だとそういうふうに思うわけであります。
 そして、先ほど言いましたように、ことしの二月二十四日に出されました北陸国際空港懇話会、ここでの中間報告におきましてもそのような認識、非常に重要な問題であるという認識が出ておるわけであります。ちょっと読んでみますと、もう一度繰り返しになりますけれども、
 航空自衛隊との共用には将来滑走路の処理能力に限界がくるが、当面は発着枠に余裕があるため、共存のもとで活性化を図り、国際航空路線の充実などで実績を積み重ねる。中期的には臨空工業団地造成など空港を核にした地域開発推進、長期的には第二滑走路の新設、民航か基地の移転という選択では基地の移転が理想的。それには防衛庁の理解を得る必要があり、適切に対応していく。
こんなような報告がなされております。
 その後も話し合いというものが石川県の中では行われているようでありますけれども、現在は残念ながら、先ほどの覚書の条項からいって、私は防衛庁は必然的にこの協議に入らなければならないのではないかなとそういうふうに思っておりましたけれども、局長の答弁ではそうではないとこういうことでありましたけれども、その覚書のことはことといたしまして、やはり防衛庁と運輸省の間でこの石川県民の中で大きな関心を持たれている問題について両省庁間の今後どうしていくかという協議を開始していただかなくてはならないと思いますし、それは石川県の中に現在ありますこの北陸国際空港懇話会というようなものの中に両省庁が参加をして、そして小松市、石川県、こういうところも一緒になって、また有識者の方々も集まられて、今後どうしていくかということが協議されていくということが望ましいのではないかと私思うんです。
 その場合にやはり政府の、そういう場合ですと防衛庁の方がそういう話に入ってくるのかこないのかとか、運輸省はどうなのかというようなことになって、各省庁間のいろいろ関係があると思いますから、やはり官房長官がそういう中に入って地元のお話も聞いていただきながら、吸い上げていただきながら両省庁間に話をかけていただいて、こういうものに両省、防衛庁も運輸省も入るように、こういうような形で橋渡しといいますかそういうものが求められているのではないか、そういう期待が私は石川県民の中には強いのではないかとそのように思うんですけれども、地元の方の話がまとまって上がってきたら何とかしますよというそういうことではなくて、私が今申し上げましたような意味で長官としての今のお考えをもう一度お聞かせ願いたいと思うんです。
#143
○国務大臣(坂本三十次君) これはしかし、せっかくの委員のお尋ねでございますけれども、石川県で勉強会をやっていろいろ意見が出ておるということはいいことだと思いますけれども、まだその段階のところに政府の機関が公式に入ってきて、運輸省も防衛庁も入って県の団体と一緒になってというのはちょっとまだ時期が早いのではないでしょうかね。
 やっぱり石川県が中心になって北陸三県を説得して、そしていろいろな協力のもとにじゃひとつ私どもとすればぜひこれをやってくれという意見がまとまった段階でそれは、先ほども申し上げましたように、国に対して申し入れをすれば、国としての立場からその辺は検討を開始するというのが順序じゃないかと思いますね。
#144
○翫正敏君 まあやむを得ないかもしれませんけれども、私としてはさらに積極的な対応を期待したいと思います。
 時間があれば、あと横田基地の公害被害に対する要望書も六月七日の環境週間の日に出されておりますので、この内容についても質問したかったのです。それからさらには池子の米軍住宅建設の反対の要請書も同日に出されておりますし、さらには三宅島の方のNLP空港建設反対の要請書も当日防衛庁長官の方に提出されておりますので、この内容についても逐次質問して意思を確かめたかったんですけれども、時間の関係もありますのでこれで私の質問を終わります。
#145
○吉岡吉典君 直接法案と関係ありませんけれども、私は間接的には重要な意味を持つと思っている問題ですので、最初に官房長官にお伺いしておきたいと思います。
 私、この委員会で在日朝鮮人の強制連行問題について質問した際に、この調査の対象は単に名簿づくりだけでなく、どんなにひどいやり方で強制連行してきたかということ、また連行されてきた朝鮮人がどんなにひどい苦労をしたかということをも含めて調査すべきではないかという立場に立って調査対象は何ですかということをお伺いしたのに対して、官房長官は名簿だということに限定しての答弁がありました。その後、予算委員会で海部総理の答弁では、どのような実態があったかできる限り調査をするよう指示しており、事実ができるだけ解明されるように努力している、こういう答弁であり、これを報道した新聞では、単に名簿だけでなくもっと広くこれに伴う諸問題も調査するという答弁があったというふうに報道しております。
 これは重要な問題だと思いますので、私、官房長官、調査対象は依然として名簿だというふうに限定なさるのか、いやもうちょっと広げて調査するということなのか、お伺いしておきます。
#146
○国務大臣(坂本三十次君) 韓国政府から要請がありまして、そして我が国政府がお約束をしたのは名簿の調査であります。まず第一に名簿を確認するということが私は一番大事だという趣旨のことを申し上げたわけであります。その名簿がわからなくて一般的に調査をするというても、なかなかこれは古い話のことでもあり難しいことが想像されます。まず第一に韓国政府と約束をした名簿を調査するということが第一点であろうと思います。
 しかし、その名簿が調査の結果わかりますれば、具体的にどの人がどこへ来てとこういうことになりますから、その名簿が明らかになれば次の段階でその名簿の人について追跡調査をすれば一番それは実態が明らかになる。そういうような趣旨ではまず名簿を調査し、そしてその次にその名簿が出てきたらそれに基づいて実態の調査をするということになろうかなと、こう思います。
#147
○吉岡吉典君 今の答弁ですと名簿に限定しないということでありました。私は前回の答弁とかなり変わった答弁だと思いますけれども、あらゆる面調査するということは結構です。
 私はこの前にも申し上げましたが、ことしは朝鮮併合八十周年という年です。私は改めて、名簿にとどまらず、第一に三十六年間という植民地支配にさえもとどまらないで、日本政府が朝鮮への侵略を開始して朝鮮併合に至る間の一連の出来事、この中身には日本が軍事的な威圧下で次々と併合条約まで強制していったという経過があります。この間に日本人が朝鮮の王妃を殺害するというふうな事件もありましたし、それからまた日本の保護政策、併合直前の時期ですが、このやり方が余りにもひどいというので万国平和大会に日本のやり方の不当さを訴えに出す、いわゆるへーグ密使事件というのがありますが、それに関連して韓国の国王を日本が強制的に退位させたというふうな事件、こういうふうなものは今でも朝鮮の中で日本に対する怒りの対象になっているものであります。
 こういう朝鮮併合前からさらに三十六年間の植民地支配の実態、第三には戦後今日に至るまでこれらを明確に反省しないで逆にいいことをしてきたんだというふうな発言まで行われてきた戦後の日本外交ですね、こういうものも含めて全面的な日本の重要な反省の機会にすることが必要だというふうに思います。そうしなければ、経済大国になった日本の軍事大国化という不安、これは朝鮮からもアジア諸国からも消し去ることはできないと思います。もちろん反省の対象は朝鮮だけでなく私はアジア諸国すべてに対して行うべきものだと思いますが、そういう点について官房長官どのようにお考えになるか。
#148
○国務大臣(坂本三十次君) この間盧泰愚大統領が来られたときに、海部総理も政府を代表して日本の責任で朝鮮の方々に大変な御不幸を与えたということは申しわけがない、おわびを申し上げますと丁重に謝罪を申し上げたわけであります。それは朝鮮半島の方々だけではなしに、中国大陸初め広くアジアに及んでいるそのことに対しても、これはやはり日本の過去の歴史の責任は我が国にあるわけでありますから、そこは謙虚に反省をしてそしてアジア諸国の皆様方におわびを申し上げるということは、これは当然のことであると思っています。
#149
○吉岡吉典君 今の答弁を具体的な中身でぜひ行ってもらいたいと思います。
 私はこの際ついでにお伺いしておきたいんですが、来年は日本が太平洋戦争を始めて五十年になるわけですね。いわゆる真珠湾に対する奇襲攻撃を行った年からであります。アメリカでは日本批判とあわせてこのことが最近改めて問題になっていることが報道されています。そこで、これは外務省になると思いますが、日本はあの真珠湾に対する奇襲攻撃についてアメリカに公式に何らかの形で謝罪したことがあるのかないのか。あるとすれば、いつどこでだれがだれに対してどういう形で謝罪したのか、明らかにしていただきたいと思います。
#150
○説明員(岡本行夫君) 真珠湾攻撃について政府として御指摘のように公式に謝罪するといったようなことはしておりませんし、またそもそも真珠湾攻撃に対する謝罪といったことが問題になったとも承知しておりません。
#151
○吉岡吉典君 私は今の答弁を聞いて本当に驚かざるを得ないんですね。謝罪というのは向こうから迫られたらやるというものではないと思うんです。特に真珠湾の奇襲攻撃というのはどれだけ世界の歴史的に大変な問題になりてきたか。それをそういう公式の場がなかったというふうな答弁で戦後四十五年も済ませていたというのは、日本があの戦争に対して何ら反省をしていないというふうに世界じゅうから見られてもしようがないことであって、だから今の答弁で私はなぞが解けました。これは数年前になります。昭和六十一年の九月二日、自民党の機関紙自由新報に、この真珠湾奇襲攻撃のときの指導者でもあった源田実さんがこの真珠湾攻撃をたたえて、「世紀の奇襲成功せり飛行機乗り冥利につきた」、こういう大特集をやっているんですね。こういうのが出たときに、私は自民党ってどんな感覚だろうかなと思って大変驚いたんですが、謝ってもいない、謝る必要も今まで感じてこなかったとすれば、これはやっぱりこういう新聞特集が出るのも当然だと思います。
 私は、これは官房長官に事前に通告はしていませんでしたけれども、一応今ここに政府の責任ある立場でおられますので、こういうことでいいのかどうなのか、アメリカから言われなくても、遅きに失しますけれども、日本はとんでもないことをやったということを何らかの形で意思表示する必要があるとお考えにならないのかどうなのか、お伺いしておきたいと思います。
#152
○国務大臣(坂本三十次君) 真珠湾奇襲ということはいいことか悪いことか、こういうお尋ねのようでありますけれども、真珠湾奇襲は、真珠湾の戦闘に関する限りはそれは我が国の方に有利であったでありましょう。しかし、それがアメリカの国民に日本に対する大変な反発を抱かせて、そしてアメリカがあの大きな国が火の玉になって戦ったということであります。戦略的に大局的に見れば決してプラスではありません。そういうような意味においては私は私なりの、決してプラスではない、褒められたことじゃない、そういう感想を持っております。
 しかし、韓国を併合したりそれからアジア諸国に向かって侵略をしたりというような次元とは、日米戦争というのはまた違った要素があると思います。その戦争は、結末はサンフランシスコ講話条約において日米間で合意が成立をした。その後の日本のこの発展というものは、その日米戦争を最大の反面教師にして、そして日米が連帯をし協力をして今日に至ったわけであります。この日米協力が世界に貢献する大変な力強い連帯に成長し、日本の国が今日ここまで経済成長をなし遂げてきたということを考えれば、過去の歴史の教訓を生かして日米関係は非常にうまくいっているというこの現実が何より、戦後の日本のとってきた国民の歩み、政府の歩みとして間違ってはいなかった、そういう感じが私はいたします。
#153
○吉岡吉典君 この問題で深入りしようとは思いませんからこれはこれでとどめますけれども、サンフランシスコ平和条約で決着がついたとおっしゃると一言この点だけ言っておきたいと思います。
 これは外務省が出した会議の議事録です。ここでアジアの七カ国が日本の侵略によってどんなひどい仕打ちを受けたかということを告発しています。インドネシアは四百万殺されたと言っている。フィリピンの代表が日本に百万殺されたと言っている。そういう告発がやられているんですね。それについて受諾演説では一言も触れていないんです、日本政府は。ですから、日本政府は戦後あの戦争について対外的にきちっとした反省はやっていないんです。だから戦後四十五年たって朝鮮との間でもこういう問題が起こるわけだし、また幾ら自衛隊が魅力ある自衛隊ということでいろいろ努力されても、東南アジア諸国では日本の軍事大国化という不安が一向に消えない。その出発点の一つはそういう日本の侵略に対する反省のなさということにあるのであって、サンフランシスコ平和条約ですべて決着がついたというふうな言い方は私は全く納得できないということだけを申し上げておきたいと思います。
 次のテーマに移らせていただきたいと思います。
 議題になっています若年定年退職者に対する給付制度の問題です。この問題について、これまでの討論、衆議院から参議院からずっと行われてきましたが、私流に速記録をもとにしてまとめてみますと、こういうのが政府の見解だと思います。自衛隊員に一般公務員と違う若年定年退職者給付金というものを退職金と別に給付する、これは性格が非常にはっきりしない。政府の答弁によると、年金の性格を持つものでもないと言う。給与の後払い的なものでもないと言う。また退職手当の追加分でもないと言う。つまり、他の公務員と違った一種独特の政策的な給付だということが言われております。つまり政策的な給付であると。これは性格不明の支給金だというふうに私は言わざるを得ないと思います。
 また、こういう答弁もあります。自衛隊の退職者への支給金というのは政府が今進めている公的年金一元化、この枠内で処理するわけにはいかない問題だと。精強な自衛隊を維持しなければならないので社会保障たる年金という形では法理の問題としても制度の問題としても適当でない、こういう答弁がありました。この答弁、とりわけこれは政策的な給付だということは再確認されます
#154
○政府委員(畠山蕃君) そのとおりでございます。
#155
○吉岡吉典君 そうだとすると、私は、この前この委員会で吉川委員が指摘したように、非常に重大な危惧を抱かざるを得ない。特に吉川委員が人事院総裁の答弁を引用して、軍人恩給復活への危険を感じざるを得ないという指摘がありました。人事院総裁は、「自衛隊は勇敢であっていただきたいと思うのでございます」と。勇敢であってもらうためには軍人恩給が必要だとこういう議論なんです、他の公務員と違って。今度の場合にも、社会保障その他の今ある公務員の制度の枠内で処理する方法はないのかというのに対して、それではだめであり、政策的な給付をやるのだということですね。これのたどりつくところは私は、吉川議員が指摘したように、軍人恩給復活への危険をはらむものだと言わざるを得ない。
 なぜ私がその点を重ねて言わざるを得ないかというと、戦後、連合国最高司令官が「恩給及び恵与に関する覚え書き」というものを出して、日本における軍人恩給制度というものが結局軍隊というものを魅力あるものに感じさせてそしてあのような戦争に導くもとになったんだと、こういうことを言っているわけです。私はこの結果犠牲者になった人々を今とやかく言おうというものではなく、それらの人々については犠牲者としてしかるべき処遇がされることは当然であるという立場でありますけれども、しかし軍人に魅力を感じさせてそして戦争へと駆り立てていったということを繰り返してはならないんだということを戦後連合国最高司令官の覚書でも言っている。
 その中で養老年金や各種の社会保障の必要性、これは強調しています、覚書でも。これらの権利は日本人の全部に属するものであり、一部少数者のものであってはならないということも指摘しています。ところが、今問題になっている若年定年退職給付金というのは、他の制度でいろいろ措置する方法があるではないかと言っても、それではだめなんだ、それは一種独特の政策的給付としてやるんだと。こうなると、私はそういう心配を抱かざるを得ません。軍人恩給などということが発想される余地は今後永久に絶対ないと断言できますか。
#156
○政府委員(畠山蕃君) いろいろお述べになりましたけれども、私どもが提案申し上げておりますこの若年定年給付金は、一般公務員がすべて六十歳の定年まで働けるのは対して、自衛官がその体力を要するという特殊な任務の要請から主として五十三歳でやめさせざるを得ないという現にある不利益を補うための一つの対策として御提案申し上げているわけでございまして、特別に自衛官をそれ以上に優遇しようということではなくて、現に存する不利益を補うという趣旨でございます。
 そして、これは性格分類ということから申し上げますと、恩給との関係で申し上げますと、恩給というのは委員御承知のとおり年功的な給付でございまして、長年公務員が忠実に勤務したことに対する報償的な給付でございますから、勤続期間が長ければそれに対して給付が厚くなるという性格のものでございます。それに対して今御提案申し上げておりますこの給付金は逆でございまして、若くしてやめるということは定年六十までの期間が長くなるということで、若くしてやめれば給付が厚くなるということでございますから、恩給あるいは軍人恩給とはその法的な性格を全く異にするものでございまして、したがってこれに恩給という位置づけをすることは将来ともあり得ない話でございます。
#157
○吉岡吉典君 最後の一言で済む言葉を何でそんなにあなたは長々答弁して人に不愉快な思いをさせなきゃならないんですか。それがあなたの職業ですか。
 まあそれはいいです。次にお伺いします。
 自衛隊の充足率、また防衛大学校卒業者の任官拒否者の数、これを一番新しい数字だけでいいですから示していただきたい。同時に、ふえる傾向にあるか減る傾向にあるか、これも結論だけでいいですから。
#158
○政府委員(日吉章君) 陸海空各自衛隊によりまして充足率が異なりますので、それの最も新しい平成二年度予算上の充足率を申し上げます。
 陸上自衛隊は八四・五%、海上自衛隊は九四・〇%、航空自衛隊は九四・〇%でございます。
#159
○政府委員(米山市郎君) 防衛大学校卒業生の任官辞退者の数でございますが、この五年間をとってみますと、六十一年三月卒業生が十五名、六十二年三月卒業生が三十三名、六十三年三月卒業生が三十二名、元年三月卒業生五十一名、二年三月卒業生が五十九名ということで、率にいたしまして六十一年三月が三・七%、以下七・七%、七・九%、一一・四%、一三・九%ということになっておりまして、漸増の傾向にあるということでございます。私どもとしても大変残念に思っております。
#160
○吉岡吉典君 自衛隊の充足率もそれから防衛大学校卒業者の任官辞退者も、だんだん充足率は低くなり辞退者は率が高くなっております。これは私は自衛隊に魅力がないことのあらわれだと思います。自衛隊に魅力がないからそれをどうしたら魅力あるものにするかということで石川防衛庁長官、この委員会での所信表明演説の中で自衛隊の魅力化を最重要課題として位置づける、そして隊舎等々述べられている。その中にこの自衛官若年定年退職者給付金制度ということも述べられております。ですから、こういう退職者給付金制度というものを導入すれば自衛隊の魅力が高まってくるだろうということから出発したものだと思います。しかし、私はそれによって自衛隊の魅力が高まるというふうには思えません。自衛隊ははっきり申し上げましてさまざまの理由から魅力のない存在になっている。その第一は何といっても憲法違反。もちろんいろいろ議論がありますけれども、憲法の厳密な解釈をすればこれが憲法違反であるということは私は明白だと思います。
 在日米軍にいて警察予備隊という名前での日本の軍隊の創設にも参加したコワルスキーという人はこう書いております。サイマル出版から出た「日本再軍備」という本ですが、「アメリカおよび私も、個人として参加する「時代の大うそ」が始まろうとしている。これは、日本の憲法は文面通りの意味を持っていないと、世界中に宣言する大うそ、兵隊も小火器・戦車・火砲・ロケットや航空機も戦力でないという大うそである。」、こういうふうに日本の自衛隊の前身警察予備隊をつくった当事者が、私も参加して時代の大うそが始まると言っている。こういうところから出発した自衛隊、何よりも魅力がない第一はここに私はあると思います。
 この本、お読みになったことありますか、どなたか。
#161
○国務大臣(石川要三君) 読んでございません。
#162
○吉岡吉典君 だれも読んでいませんか。――長官、もう一般的な答弁はいいですが、こういう本ぐらいは読んでおかないと自衛隊の魅力化ということを幾ら強調されても魅力ある自衛隊にはならないと私は思います。さて、この自衛隊の魅力化ということがより説得力を持たないものになっている。それは日本の自衛隊というのが憲法で言うところの戦力という規定を離れて、憲法が認めないですね、だんだん大きくなるだけでなく、これが今ではアジア・太平洋諸国の不安の対象にまでなるに至った。
 私はここで今憲法について一つお伺いしておきたいと思いますけれども、参議院の予算委員会で私が質問したときに中曽根総理は、憲法というのは情勢の変化によってその解釈は変わるものだと、こういう答弁がありました。私はこれは大変恐るべき答弁だと思います。石川長官この間ここで、東南アジアを回ったときに憲法の趣旨を幾ら説明してもなかなかわかってくれないと、憲法というのはすぐ変わると相手はとっているんだと、こういう答弁がありました。私は半分当たっていると思うんです。憲法の文面は変わらないけれども、憲法解釈はどんどん変わる。変わるどころか、総理大臣が情勢の変化とともに憲法解釈は変わるものだとこう言っているわけですからね、それは諸外国から見たら文面はそのままでも解釈はどんどん変わっていくと、いつどこまでいくのかわからないという不安が出てくるのは当たり前だと思います。
 私は、こういう解釈をすること自体が日本に対する世界の不安を強めるもとになると思います。憲法解釈これでいいですか。まあ法制局おられませんからこれ長官に、情勢の変化とともに変わっていいかどうか。
#163
○国務大臣(石川要三君) 吉岡委員は余り長く答弁すると怒られますから少し簡単に申し上げますけれども、自分だけは随分長くしゃべっておりますけれども、答弁の方は短くというのは私はいささか不満です。特に先ほどの事務当局の答弁に対しては大変失礼な言葉があったように私は思います。これはちょっといかぬと思うんですが、それだけは感じを申し上げます。
 憲法のことを尋ねられましたけれども、私は現在のこの自衛隊というものは合憲である。これは政府でも常にこの点については言及されておりますから詳しいことは抜きにいたしまして、特に私は法律家でないからそういう論争はできませんけれども、ただ御承知のとおり、なぜかというならばいわゆる憲法第九条の中のこの前段ではいわゆる戦争を放棄し戦力の保持を禁止しておりますけれども、しかしこの九条においては我が国がいわゆる主権国として持つ固有の自衛権までは否定されておらない、こういう政府の従来の解釈があるわけでございます。私もそのとおりと思っておりますので、したがって自衛隊は合憲である、このように今認識をしているわけでございます。
 憲法については中曽根さんがそういうふうな見解を出されたようでございますが、私は専門家でないからよくわからないけれども、しかしある意味では私はそれは必ずしも間違っていないというような感じも持っております。
 以上でございます。
#164
○吉岡吉典君 私が聞いてもいないことを長々答えられるから……
#165
○国務大臣(石川要三君) いや、そういう商売かと言うのは、それは失礼だよ。
#166
○吉岡吉典君 それは、質問していることについてならどんなに詳しく答えられようと、それは私はあえて異議を唱えません。それはいいです。
 今の長官の答弁、憲法解釈が情勢の変化とともに変わるという答弁、これはやっぱりそういう答弁をここでなさっている限り、諸外国へ行かれて幾ら憲法の趣旨がこうだと言われても私は通らない答弁をなさったというふうに言わざるを得ません。日本の憲法というものをめぐる論争、これはここではやめましょう。私はもう憲法は日本の自衛権を認めているという立場です。しかし、その憲法が自衛権を認めているけれども、自衛権を行使するための手段としての軍隊の保持は禁止している。そういう条件下で日本の安全、主権をどう守るかということを我々は憲法を厳格に守って考えなくちゃならないというのが我々の立場だということだけは申し上げておきたいと思います。で、その知恵の出し合いはまた別途やりましょう。
 日本の自衛隊というのは、今やそういう憲法が禁止する自衛隊として世界の第三番目の軍事予算を持つほどに大きくなって、世界各国の軍隊と対等のおつき合いをやるに至っている、これが私は現状だと思います。リムパックへの参加、これもその一つのあらわれだと思います。しかし、これはしばしば論議されましたので、私はひとつここで、日本が太平洋地域陸軍管理セミナーあるいは後方セミナーというふうなものに参加しているということを報道で見まして、これは何年、何カ国が参加したかと国数、国名まで挙げると大変な数になりますので、日本は何回参加したか、そしてそのとき何カ国が参加したかということだけ管理セミナーと後方セミナーについて報告してください。
#167
○政府委員(植松敏君) 所管でございます太平洋地域後方セミナーへの自衛隊の参加状況の方を先にそれじゃお答えいたしますが、この後方セミナーには第九回及び第十回の二回、昭和五十五年及び五十六年の二回参加をいたしております。それぞれ第九回には二名、それから第十回には三名がオブザーバーとして出席をいたしております。そのときの参加国でございますが、第九回は十三カ国、第十回は十二カ国が参加をいたしております。中身は、各国の後方補給業務の円滑な実施に資するために、そういった業務について出席者がそれぞれの立場から研究成果の発表等を行う研修の場であるということで理解をいたしております。
#168
○吉岡吉典君 管理セミナーの方は何カ国ですか。
#169
○政府委員(米山市郎君) 太平洋地域陸軍管理セミナー、PAMSと略称されております。これは、昭和五十三年に第一回が開催されて以来ほぼ毎年開催をされておりますけれども、当庁からは米国ハワイで開催された場合のみ陸上自衛隊二名――一回だけ一名でございますが、オブザーバとして通算八回参加をいたしております。
 そこで、参加国教でございますが、第一回は八カ国、第二回が十カ国、それから第三回が十三カ国、第四回が十二カ国、それから第五回欠席、第六回が十四カ国、それから第七回欠席、第八回が十五カ国、それから第九回欠席で、第十回が十八カ国、第十一回欠席、第十二回が二十三カ国、第十三回は欠席、第十四回も欠席でございます。
#170
○吉岡吉典君 私は、この中身がどうだこうだということをここで論議しようと思いませんけれども、私が言いたいことは、日本の自衛隊というのはもうこういう形で各国と変わらないように例えば太平洋地域管理セミナーというふうなものにも参加している。今の説明にもありましたが、国会答弁では何か一種の研修のようなものだから参加したんだとこういうふうにおっしゃっていますし、政府の質問趣意書への答弁でもそういうふうに書かれています。しかしながら、この主催者はそういうふうに言っていない。主催者は、これはあなた方も御存じだと思いますが、米太平洋軍の広報誌「ディフェンス・フォーラム」、この中ではこう言っているんですね。第十二回セミナーについてのこれですが、二十五カ国が出席、約二週間にわたって統合、連合作戦について討論した、こういうふうに言っています。あなた方が説明してきたことと主催者が発表していることとはこういうふうに違う。
 日本はオブザーバーだとおっしゃいました。そういう形式かもしれませんけれども、オブザーバーであってもそれは単なる傍聴者ではない。こういう会議に憲法で戦力が否定されている日本の自衛隊が参加して、そして二十五カ国と一緒になって統合、連合作戦についての討論をし合っている、こういう状況というのは日本の自衛隊が憲法から見てもますますかけ離れたものになっていると私は思います。
 私は続いて聞きます。
 日本の自衛隊、防衛庁関係者が外国へ留学している国名、また外国から日本の防衛庁関係機関への留学生が来ている国の名前、これ最近のもので結構ですから、国の名前だけ教えていただきたいと思います。
#171
○政府委員(米山市郎君) 平成元年度の状況について申し上げますと、防衛庁への諸外国からの留学生の受け入れでございますが、タイ、シンガポール、パキスタン、アメリカ合衆国、フランスで、合計十九名でございます。
 それから、諸外国への留学生の派遣でございますが、これも平成元年度、アメリカ合衆国、イギリス、ドイツ連邦共和国、フランス、オーストラリア、タイ、スウェーデン、合計八十三名でございますが、大半がアメリカ合衆国でございます。
#172
○吉岡吉典君 こうなってみますと、私は日本の自衛隊というのは各国の軍隊と全く同じだと言わざるを得ません、憲法九条があるにもかかわらず。日本の自衛隊と外国の軍隊とはどう違うんですか。同じなんですか。
#173
○政府委員(児玉良雄君) 自衛隊につきましての憲法解釈は先ほど来長官がお答えしたとおりでございますが、自衛隊につきましては必要最小限の実力しか行使し得ないというような憲法上の制約があるということから、通常の観念で考えられる軍隊とはその意味で異なるものと考えております。
#174
○吉岡吉典君 憲法解釈では異なる。しかし、国際会議にはこういうふうな形で出、各国とお互いに留学も交換し合っているという状況ですね。
 それだけじゃない。日米安保条約があるから、我々は反対はしているけれども、日米共同訓練というふうなものはこれは一つの法的根拠があると思いますが、日本はアメリカ以外の国との共同演習もやる意思があるのかないのか。この間石川長官は、外交辞令でお答えになったものが話題になった模様ですけれども、タイですか、それは私はさっきの答弁を聞いて外交辞令での答弁をなさったのが大きな話題になったのかなというふうにさっきの答弁に関する限りではとりました。しかし、それは単なる外交辞令にとどまらないのではないかというのが私の持っている疑問です。というのは、国会の答弁で米山教育訓練局長は二国間の共同演習というのは、いろんな国との二国間はですね、法律的にはあり得るんだとこう答弁なさっているわけですね。ですから私は、日米安保条約があるアメリカ以外の国との共同演習というのはどういう見解なのか、もう一度ここでお伺いしたいと思います。
#175
○政府委員(米山市郎君) 自衛隊と外国の軍隊との共同訓練につきましては、根拠規定は防衛庁設置法六条十二号ということでこれまでも再々御答弁申し上げているところでございますが、外国との共同訓練ということにつきましては、それが所掌事務の遂行に必要な範囲内のものであれば法律的には可能であるということでございます。ただし、具体的にいかなる共同訓練を行うか、さらに政策的妥当性あるいは教育訓練上の効果等の観点からも検討すべきだというふうに思っております。
 日米共同訓練の関係でございますが……
#176
○吉岡吉典君 それはわかります。安保条約がありますからね。
#177
○政府委員(米山市郎君) 自衛隊と米国以外の国との親善を目的とする親善訓練等は既に行った実績がございまして、アルゼンチン、チリ、ブラジル、オーストラリア、カナダ、ベネズエラ及びペルーの各海軍と遠洋練習航海部隊との間の親善訓練、それを実施いたしました。また、我が国を訪問したカナダ、英国、オーストラリア・フランス、オランダ及びイタリアの海軍艦艇と海上自衛隊との間の親善訓練も実施した実績がございます。
#178
○吉岡吉典君 私は、今の解釈を聞けば、日本の自衛隊の今日の性格というものがだんだんはっきりしてきました。
 中曽根元総理はイギリスに行かれたときに戦略研究所で講演して、自衛隊というのは本来専守防衛のはずですが、日本を守ること以上の目的は全くないはずですけれども、極東の平和及び安定に寄与するのが自衛隊だということをおっしゃっている。ですから、もう専守防衛どころの話ではない。私は今のリムパックへの参加、それから関連セミナーへの参加、それからアメリカ以外との共同訓練の実態を見ても、中曽根さんのこれが情勢変化に伴う憲法解釈かどうかは知りませんけれども、そういうふうに自衛隊の性格、これも専ら日本を守るためのものでない、極東の平和と安全のためのものだというふうに変わってきている。これが今の自衛隊。そうなれば、それは幾らか退職給付金を出すぐらいでは魅力ある自衛隊なんということには私はならないと思います。
 一つだけこの際お伺いしておきますけれども、アジア・太平洋諸国で日本に対する不安は私は非常に強いと思います。それに対して先ほどの答弁で潜在的な不安、批判があるという答弁があった。私はこれを潜在的というふうにとるのはやっぱり認識不足も甚だしいと思います。もちろん私も知っています。批判だけでなく、長官もお話しあったように、各国わかってくれたという話もあります。わかってくれるどころか、私が聞いているところでは歓迎される日本軍国主義という議論もあって、企業進出とともに防衛体制も一緒に出てくれということを言う声さえあるということも聞いていますから批判一色だとは言いませんけれども、アジア・太平洋諸国の中にある日本の軍事大国化への不安を潜在的なものだというとらえ方では私は正確な対処はできないと思いますが、やはり潜在的とおっしゃいますか。
#179
○政府委員(日吉章君) 先ほど大臣から御答弁を申し上げましたけれども、私の方から申し上げますと、まず韓国でございますけれども、国防白書では、日本は自衛の目的に限定する最小限の兵力の水準を維持と評しております。それからオーストラリア、タイ、マレーシアにつきましては、先般大臣が訪問いたしまして我が国の防衛政策に対する理解を十分深めることができたと考えております。それから、一昨年になりますでしょうか、瓦防衛庁長官が初めてASEAN諸国を訪問いたしまして、インドネシア、シンガポール等を訪問いたしましたが、その際にも我が国の防衛政策についての理解は十分深めることができたと、かように理解をいたしております。
 以上でございます。
#180
○吉岡吉典君 私はここで次期防の問題を少し突っ込んで論議したかったんですけれども、時間の方がだんだん迫ってきましたので。
 アジアの情勢も世界の情勢とともに大きく変わろうとしているということは総理も長官もお認めになっております。そこで、そういうときにどうして安保条約をこれまでどおり継続するのかどうなのか、日本で大論議になっている。また次期防を見通しも立たない今の時期になぜつくらなきゃならないかということも、この委員会でこの間も大輪議になりました。
 そこで、私、外務省にお願いします。
 きょうの新聞にも出ておりますが、「日米安保条約の今日的意味について」という文書が外務省の中でまとめられているそうですが、提出していただきたい。
#181
○説明員(重家俊範君) 日米安保条約の今日的意味につきまして私ども内部でいろいろ考えをまとめていることは事実でございますが、外部に提供できるような形の文書は存在しないということでございます。
#182
○吉岡吉典君 私は二回にわたって外務省に提出を要求したら、そのような文書はないという返事でした。ちゃんとあるんですよ。私は持っています。こういうわけで出せないと言うのなら、それなりに私は了解します。出せないものを必ず出せとは言いません。しかし、今のようにないと言うのではこれはとんでもない答弁で許せません。
 そこで、私はお伺いします。
 外務省、外務省には外へ出せない機密文書というものが何件ありますか。
#183
○説明員(鏡武君) お答え申し上げます。
 ただいま機密文書というお尋ねでございますけれども、外務省の場合は機密という区分を使っておりませんで、いわゆる秘密を要する文書については極秘と秘との二つに区分しております。
 外務省が保有するこういう秘密文書の数をすべて把握するということは非常に難しいのでございますが、外務省の主要な活動の分野であります本省とそれから在外公館との間に交された秘密文書はどれぐらいあるかということになりますと、御参考までですが、昭和六十三年の時点で約十二万四千件、このうち極秘という区分が九千三百件、残りが秘でございます。
#184
○吉岡吉典君 ついでに防衛庁にもお伺いしておきます。
#185
○政府委員(日吉章君) 防衛庁の場合には防衛秘密と庁密という二つの区分をいたしておりますが、防衛秘密では約七千二百件、それから庁秘でございますが、これは件数で約十四万五千件足らずでございます。
#186
○吉岡吉典君 外務省にしても防衛庁にしてもかくも膨大な秘密文書あるいは機密文書というものがあって、国民は本当に聞きたいことは知ることもできない。これが自衛隊の現状。国民に隠しておいて退職給付金では魅力が出ないということを私は繰り返しここで強調せざるを得ません。
 そこで、次の問題。
 私、時間の関係で飛ばしてお伺いしますが、FSXですね、これの性能について私は防衛庁に何回か要求しました。要求しましたら、この紙きれ一枚しかもらえませんでした。そこで私、時間ないからもうなぜこういうことを言うかということを言いますけれども、これを私もらって、わざわざ親切につくって持ってきてくださったかと思ってお礼を言ったんです。私の無知ぶりを発揮したわけですね。それは、新聞記者会見で発表したこんな大きいものがあるんですね、その中の一枚を持ってきてこれしか出せませんと、それが防衛庁の態度でした。そういうのが防衛庁です。新聞記者会見で配れる資料が議員には出せないんですか。長打、これでいいんですか。こういうふうにすると魅力が出てくるんですか。
#187
○国務大臣(石川要三君) 魅力には全く関係ございませんが、その今の本件については突然ですし、私はいいとも悪いとも間違っているとも正しいとも何とも言えませんが、これは特別に我が防衛庁だけが国際的に各国に比べてはるかに秘密だなんとは私は思いませんけれども、今の具体的なことについては今唐突ですから何とも申し上げられません。
#188
○吉岡吉典君 とにかく私は発表、公表できるすべてのものを欲しいと言って二回要求して、この一枚をいただいたという事実だけは申し上げておきます。
 それで、FSXの問題で私はここで一つ重要だと思う問題は、ベーカー国務長官から松永大使あての書簡という中に、日米安保条約についてこう書かれている。「FSX計画の早期実施を期待するとともに、同計画が日米安保体制の目指すところの北西太平洋の平和と安全に対し重大な貢献をなすことを確信している。」と、こう書かれている。私は、日米安保条約の目的というのは、これは六〇年安保国会当時の記録、きょうも私改めて読んでまいりましたけれども、こういう北西太平洋の平和と安全というふうなことにはなっておりません。安保条約はいつこういうものに変わったんですか。
#189
○説明員(重家俊範君) 突然の御質問であれでございますが、FSX問題というのは日米間でそれぞれすぐれた技術を持ち寄って新しいそういう戦闘機をつくろうということでございます。そういう意味で、防衛分野での日米間の協力が進むという意味で日米安保条約下の協力に貢献するものであると、そういう趣旨のことが松永大使の書簡の中に書いてあるということであろうと思います。
#190
○吉岡吉典君 いや、そういうことが書いてあるのなら私問題にしませんよ。安保条約が目指すところが北西太平洋の平和と安全と、こう書いてあるからそれを問題にしているわけですよ。だから、私がさっきから言いますように、安保条約のもとで今や管理セミナーだとか共同訓練もどこの国とも可能だ等々、日本の自衛隊というのは安保を軸にして今こういうものになっている。安保自体も、日本独力で守れないから安保条約で守ってもらうといったような性質のものではなくなっています。そこを問題にしているわけです。
 今、両国の高い性能を持ち寄って云々ということがありましたので、私は以前外務省の方にお伺いしたこともありますが、アメリカから日本が提供を受ける技術力、同時に日本もアメリカに技術を提供することになっていますが、それぞれの技術料は幾らであるか報告してください。
#191
○政府委員(植松敏君) 先生御案内のとおり、このFSXは日米のすぐれた技術を結集してF16を改造開発することによりまして我が国自衛隊が専ら使います次期支援戦闘機の開発をいたすわけでございますので、F16の関連の技術を米国から供与を受けます。また、このF16の改造開発に当たりまして日米がそれぞれ技術陣が共同で開発をするということで、そこで生じます成果技術につきましては、一定の条件がございますけれども米国にも供与をするということで日米の技術の相互交流もやろうとこういうことにいたしておりますが、今お尋ねの技術料でございますが、F16関連技術をいただきますものにつきましては当然米国に対してライセンスフィー等を支払いますが、これは民間企業間の契約にかかわることでございますので、また米国との関係もございまして、具体的な数字については答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
 また、我が国から提供しますFSX関連技術につきましては、これは先ほども申しましたようにFSX、次期支援戦闘機を我が国防衛庁の負担におきまして開発するわけでございまして、負担は当然防衛庁の負担になりますが、そのときに日米両技術陣の共同参加によりましてよりよいものをつくるということで、設計から試験まで米国にも参加をしていただきます。その過程で我が国が保有します技術についても開示いたしませんとFSXの開発が円滑に行われないわけで、そういう意味で技術は供与いたしますけれども、そのFSX開発に必要な費用は防衛庁が負担をするということになろうかと思います。
#192
○吉岡吉典君 この「THIS IS」という読売新聞社発行の雑誌によれば、アメリカに日本が支払う技術料は七千五百万ドルから一億五千万ドルであると、こういうふうに書いています。今の相場に換算すれば低い方をとって百十六億、高い方をとれば二百三十一億。答弁がなければ私は大体こういう数字だなととりますが、全く違っているというのなら一言言ってください。
#193
○政府委員(植松敏君) 数字を具体的に申し上げるわけにはまいりませんですが、私どもとしましてはそれぞれ民間の日本の主契約者と米図及び日本のサブコントラクターとの間でそれぞれ分担をいたしまして共同設計、共同開発をしていただきます。防衛庁としては、主契約者との間で契約をいたしまして必要な予算の範囲で必要と認められる対価を支払うわけでございますが、これからの商議に差し支える面もございますし、ここに出ております数字につきましても具体的に多いとか少ないとかということを申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
#194
○吉岡吉典君 私は、実はある人に大体の額は聞きました。だから、否定できないんです。私はそのことだけを言って、大体これがとんでもない数字を書いているものでないということだけ言っておきます。
 同時に、この雑誌でも指摘していますが、日本がアメリカに提供する技術料は無料だと。アメリカには低い方をとっても百十六億も支払う。それから同時に、日本もアメリカに主翼の複合材等新しい技術を提供する。それは無料だと。これは幾ら何でも国民は納得できない出来事だと私は思わざるを得ません。そういう膨大な金をかけて。
 一つだけここでお伺いしておきますが、大体これは二十一世紀用の支援戦闘機だと言われていますけれども、そういう性能の高い支援戦闘機と防衛庁が称するところの当該戦闘機が二十一世紀という時期になお必要なアジア情勢だという情勢見通しですか。
#195
○政府委員(日吉章君) 我が国といたしましては、独立国として基盤的な防衛力は持っている必要があろうかと思います。その際に、着上陸侵攻をされるおそれがあります場合にそれに対しまして有効に対処し得るためには、我が国の地理的な特性等を考えますとこのような支援戦闘機というものは保有する必要があろうと、かように考えております。
#196
○吉岡吉典君 私は、今の答弁ではでき上がったころに要らなくなるという情勢になってまるでむだ遣いをするというふうなことがないように、防衛庁は真剣に今日の情勢を次期防を含めて検討していただきたいということを申し上げておきたい。
 そして最後に、外務省に一問だけお伺いしておきます。
 それは日本がシーレーン防衛を約束したのはどの場面なのか。これは一九八一年の当時の鈴木元総理とレーガン会談の機会の公約だということをアメリカ側は盛んに言っていますけれども、日本側の発表では、首脳会談の中身でそれがあったという発表は私は見ておりません。私が見たのはナショナル・プレスクラブでの記者の質問に対する答弁で鈴木当時の総理が答えておられるのが最初だと思いますけれども、首脳会談の中でこの約束は行われたのか、それともそれ以外の記者会見が実は公約ということになっているのか、この点だけ最後にお伺いして質問を終わります。
#197
○政府委員(日吉章君) 鈴木総理が米国に参りました際の話し合い等につきましては外務省からお答えをいただくといたしまして、私ども防衛庁といたしましては、シーレーン防衛といいますのはまさに四面を海に囲まれました狭小な国土に存在しております日本としましてはぜひとも達成しなければならない防衛構想でございまして、自衛隊が本来的にこういうふうな構想は持っておったということをまず最初に申し上げておきたいと思います。
#198
○説明員(重家俊範君) シーレーン防衛に関します我が国の政策につきましては、先ほど先生から御指摘がありましたように、昭和五十六年の鈴木総理のワシントンでのナショナル・プレスクラブにおきます質問に答える形で総理が説明されたことでございます。この鈴木総理の発言は具体的な約束といったようなものではなくて、我が国が自主的に取り進めているというそういう政策の説明であったというふうに考えております。
 なお、首脳会談で具体的にどういうやりとりがあったのかなかったのかにつきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
#199
○星川保松君 大変かたい防衛論議が展開されてきておるわけでございまして、長官初め大変お疲れだと思いますが、私はひとつやわらかい質問を申し上げたいと思います。
 といいますのは、私もまだ国会に来てから間もないわけでありまして、私の防衛に対する考えというものも全く民間ベースそのものでございまして、民間の感覚なわけでございます。そういう点から防衛庁の皆さんのお話を聞いておりますと、国民の支持を得ない防衛ということはあり得ないということをおっしゃって一生懸命頑張っておられますけれども、どうもその国民一般の防衛に対する考えというものをよくおわかりになっていらっしゃらないんじゃないかという気がしてならないわけですね。そこで、日本の防衛あるいは防衛庁、自衛隊を取り巻く日本の国民の一般の皆さんがどういうことを考えておるのかというこの周辺のお話をして、それに対する感想で結構ですからひとつ答弁をしていただきたいと、こう思います。
 まず、議員になりまして内閣委員会に所属をいたしました。昨年の秋に北海道の自衛隊の状況などを視察させていただいたわけでございます。そしていろいろと視察をさせていただきまして、いわゆる北の守りを固めるということで皆さんが大変一生懸命やっておられて、なるほど北の守りはかたいなという感じを持ったわけでございます。私は皆さんと一緒に帰ることができませんで、帰りは汽車で、列車で一人で帰ってまいりました。そのときに、北海道の中をずっと旅しながら、方方に農家の廃墟が至るところにあるんですね。大きなサイロが荒れるままになって、そのわきにもうつぶれた農家があるというようなことで、そういう状況を見ながら大変複雑な気持ちになったわけでございます。
 といいますのは、いわゆる北の脅威に対して北の守りということで防衛力を整備して守っておるという中で、日本の北海道の農家がつぶれていく。つぶれたのは北から侵入した兵力でつぶされたわけじゃないんで、これは農産物の生産コストの問題でその競争に敗れてそういうことになったんだとこういうふうに思うわけですけれども、農産物は北の方からは入ってこないわけですね。むしろアメリカの方から入ってきているわけなんですよ。北に備えて防衛を固めておるときに、味方であるはずのアメリカの方から安い農産物が入ってきてそれで北海道の農家がつぶれていくということになりますと、さて国の安全保障というものはこれは難しいものだなと、こういうふうに考えたわけでございます。
 聞くところによりますとこれは農業だけでなくて、今度は北洋漁業もだめになってもう生活が立たなくなって、漁業も衰退をしていった。それから今度は北海道の優秀な炭鉱が片っ端からつぶれていって、それだけ働く人々の生活も破れていったということになるわけですね。そうしますと、本当に一国の安全保障、安全を守るというのは難しいことだなとこう思ったんですが、そういうことについて長官の感想をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#200
○国務大臣(石川要三君) 今突然お話を聞いた感想でございますから非常に粗雑な答えしかできませんが、考え方に、見方によれば随分皮肉だなと。一生懸命北の方に向かって守っていて、その農家のつぶれた原因というものが同盟国であるアメリカの方からの力によってそういうことがあらわれているということに、なるほどそういう見方もあるのかなと思うけれども、今度はアメリカから見れば、一生懸命日米安保体制で今まで極東の平和や日本の平和のためにやっていた。それが最近は、逆に今度は日本の経済力でもってどんどんどんどんアメリカがやられていく。ですから、今日はアメリカにとってみれば脅威論はソビエトではなくして日本の経済だと、こういうふうなことも言われている。
 まさにこれも今先生が北海道の車窓の中から眺めながら感じたことをアメリカ人も感じているんじゃないかなと、まことにそういう面から見ると両方ともこの矛盾を感じているんじゃないかと思いますが、これは経済と防衛との関係でやはり別でありますから、相対的にはそういう現象の中で非常に多くの矛盾もある、こういうことではないかなとこんなふうに今先生のお話を聞いて私は私なりに感想を感じたわけであります。
#201
○星川保松君 そういうことになりますと、いわゆる防衛というのは防衛庁の方は国土を守ると、こういうことなわけでございますね。国土というのは、いわゆる国民の命と暮らしの入れ物なわけですね。その入れ物を守るということで頑張っていても、その中身がだめになるということを考えますと、やはり入れ物も中身もこれは安全を保
っていかなければならないということになりますと、これはやはり防衛庁だけが幾ら頑張っても中身についてはもうどうにもならないんだなと、こういうふうに思うわけです。
 中身についてはむしろ防衛庁よりもこれは外務省が頑張ってもらわなくちゃならないのじゃないかとこう思いますので、ひとつ外務省の方からもどうお考えになりますか、感想をお聞かせください。
#202
○説明員(時野谷敦君) 突然のお尋ねでございますのであれでございますが、先生が先ほどお述べになりましたその農産物と軍事力というものには本質的な性格の違いがあるということは御承知の上で先ほどのようなことをお述べになったんだというふうに私は思います。
 入れ物は守らなきゃいけませんと私どもも思いますし、他方中身の発展の過程においておっしゃるようなそういう外からの蹄争という面で摩擦なりつらい局面というのが社会的に生ずるということはあることではないかと思いますし、あるのであればそれに対する対応策が必要な場合には講じられるべきものだろうというふうに思います。
#203
○星川保松君 ですからね、やはり外務省は中身の安全を守る方策、これをもっとやっぱりしっかりやってもらわないと、入れ物だけ立派に保ってもどうにもならないんじゃないか、そっちの方が大変おくれているんじゃないかと、こう思うんですよ。
 ですから、その離農した農家はもちろんのこと、それからもう離農寸前の農家もあるでしょう。それから経営の苦しい農家もあるでしょう。それらの方々がいわゆる防衛というものをどう見るかということにこれがかかわってくると思うんですよ。そうしますと、北に脅威がある、それを守らなくちゃならないと言っても、これらの方々にとってはそれはぴんとこないわけなんですよ。我々の本当の脅威はそれじゃないんだと、こうなるわけなんですね。ですから、中身も守る施策をやっていかなくちゃいけない。それがおくれてだんだん農業が衰退していく、漁業、鉱山も衰退していくということになりますと、やはりこの防衛力、防衛費が突出してはいないとこういうことを防衛庁の皆さんが幾ら言っても、おれたちの生活、はさっぱり守られないじゃないかということから、やはり突出しているんじゃないかということを思わざるを得なくなると思うんですよ。それが一般の皆さんの考えになると思うんですが、この点については長官どうでしょうか。
#204
○国務大臣(石川要三君) そのとおりだと思いますね。国民の生活それと防衛費というものは、やはり生活がしっかりしていなければこれは防衛費はどんなに少なくても突出に見えるだろうし、まず生活というものがしっかり優先すべきではないか、私はかように思います。
#205
○星川保松君 そういうことで、いわゆる経済がもう急速に国際化が進んでおるわけでございます。そういたしますと、やはり国と国との利害関係というものも非常にこれふくそうしてくるわけですね。そういうことからいいますと、いわゆる脅威というものもさっき言ったように単純なものではなくなってくる。つまり敵と味方というものももう単純なものではないということになるわけです。
 例えば東西対立で米ソが対立をしてきたわけでありますけれども、ソ連がアフガニスタンに侵攻をしたというときにアメリカはその制裁措置をとったわけです。いわゆるソ連に対する穀物の輸出をストップした。ところが、その制裁をとつたところが、穀物が入らなくなったソ連も非常に困っただろうと思いますけれども、それよりも困ったのはその品物が売れなくなった、穀物が売れなくなったアメリカの農家だと、こういうんですね。アメリカの農業の方がむしろ困ったということで、途中で早々とその制裁措置のいわゆる穀物禁輸を解除したということがあったわけですよ。
 そういうことを考えますと、非常にふくそうをした経済の国際化という中では、もう今までのように敵味方を単純に分けて、脅威というものも単純に分けて、そうして防衛というものを考えていくということにはならないんじゃないかと。ですから、そういう複雑な国際化に対応する防衛というものをやはり考えていかなくちゃいけないんじゃないかなとこう思いますが、長官いかがでしょうか。
#206
○国務大臣(石川要三君) 非常にこれは難しい問題だと思いますね。脅威が敵味方のそういう単純なものでもなくて、もっともっと全体的な立場からの考えも必要だというような今の御説もそのとおりだと思います。それと同時に、例えば軍縮が今行われております。これは極端な言い方かもしれませんが、今回の米ソの軍縮のあの交渉状態を見て私が率直に本当に瞬間的に感じたことは、ああいう軍縮というものは本当に例えば人類のためだとかそういったようなことよりも、むしろ米ソのやはりエゴといいますか経済的な理由、ここから私は発想していると思うんですね。だから本来のもっともっと崇高な次元の高いヒューマニズムから出たそういうものとは私にはどうも余り感じられない、残念ながら。
 そういうことから見ると、やはり脅威もそれから軍縮もすべてそういうものは単純にああ軍縮だからよくなった、これでもう絶対大丈夫だとかということには私はなかなか安心できない。また、経済状態が変わればあるいはどういうふうになるかもわからない、そういう危険性もある、こんなふうにも実は思うわけであります。そういうことの一つの見解、ちょっと瞬間的に感じたわけでありますからこれが正確なものとは思いませんけれども、今の先生の質問の中にありましたように、脅威というものもそういう意味では単なる敵味方の能力と意思と、こんな図式だけではなかなかはかれないものもあろうかなと、こんなふうに思います。
#207
○星川保松君 長官はシビリアンでありますからそういう考えにもすぐ応じられるかと思いますけれども、やはり防衛の専門家の皆さんは、どうも私は今までの話を聞いておりますと、そういうふくそうした変わってきている国際的な関係というものを十分考えて日本の防衛を進めておるのだろうかという疑問を持つわけですよ。ですから、今度は国際化の中での防衛はいかにあるべきかということを専門家の皆さんもひとつ新たな検討の場を設けてそしてやっていくべきだと思いますが、局長どうでしょう。
#208
○政府委員(日吉章君) 星川委員の方から御指摘になられております趣旨というのは、私も非常によくわかるつもりでございます。国防の基本方針が三十二年に出されておりますけれども、それは四項目書かれてございますが、最初に平和外交の推進、二番目に内政の安定ということが書かれていると思います。三番目に防衛力の整価について触れておりますけれども、国力、国情に応じた防衛力の備備。四番目に日米安保体制の堅持、こういうようなことが書かれていると思います。そういうようなすべてのばらんすのとれた統合的な判断で、その全体的な政策の中でバランスをとって防衛力の整備をする、あるいは防衛政策を打ち立てていくということが非常に重要だと私たちも考えております。
 私たちがそういうような物の考え方に立ってございますので、脅威というふうなことを星川委員は何度もおっしゃられましたけれども、私どもは、五十一年に防衛計画の大綱で防衛力整備の目標を掲げましたときには既にその脅威に直接対抗する、対処するということを防衛力整備の目標とすることはやめまして、とにかく国際関係は国際間の協力、努力によりまして安定化の方向に向かっていくんだとこういうふうな前提のもとに、しかしながらその中にありましても、現在におきましては依然として根底には力の均衡とその抑止によりまして平和が保たれているという面がございますので、我が国も力の空白となってかえって近隣諸国といいますか世界の不安定要因になってはいけないと、そういう意味で必要最小限度の自衛の範囲内で平時から国家として持っておくべき防衛力を整備していこうというような考え方に立って
努力をしてきているつもりでございます。
 ますますもってそういうふうな視点からの防衛力整備ということは重要であろうと思いますので、星川委員御指摘の点もさらに踏まえまして、今後の防衛力整備に努力をしていくべきだと、かように考えております。
#209
○星川保松君 それから、今まで防衛庁の皆さんのお話を聞いておりまして、いわゆる軍事力があってそしてそこに意図が結びつけば、いわゆる侵攻の脅威というんですかそういうものが出てくるんだとこういうお話がしばしばあったと思いますが、私はその一国の武力侵攻の意図というものはそう簡単にまとまるものじゃないし、出てくるものでもないんじゃないかと思うんですね。意図というのはいつ変わるかわからないということで、人の心のように一朝にして変わるかもしれないというような印象を与えるのは私は間違いじゃないかなと、こう思うわけです。特に今までと違って世界各国とも民主化の動きがあるわけですから、民主化の動きということはつまり権力の集中する人がいきなり独走をするということができないシステムになっていくということですから、その侵攻の意図というものも以前よりははるかに私は形成されにくい、しかも形成されたとしてもいろんな今度は民主的なプロセスがそこに来ますから、それを通さなければ、それを発動もできないということだと思うんですね。
 そういう意味で、その侵攻の意図というものを余り簡単に考え過ぎているんじゃないかなという感じが今までしたわけですけれども、それは私は今までとは違ってだんだん形成されにくい、発動されにくいという方向に来ていると思いますが、その点についてはどうでしょう。
#210
○政府委員(日吉章君) 今先生の方から御指摘ございました点は、すべて相対的な概念ではないかと思います。この能力と意図、この比較において見ました場合、意図といいますものは外から把握しがたい。かつ能力に比べて変わりやすい。能力、特に軍事的な能力につきましては、それを装備するに当たりましては何年かの努力が必要でございますし、その袋価は何年間か有効に機能し得るといいますか、能力を持つわけでございます。そういう意味で、意図といいますものは外からはかりがたく、かつ相対的概念として変わりやすいということかと思います。
 したがいまして、事国防に携わる者にとりましては、そういう意味で変わりやすい意図というものも念頭に置いて、変わらない能力というもの、変わりがたい能力というものが厳然として存在する以上それを念頭に置かざるを得ないということを申し上げたわけでございますが、ただ、委員ただいまおっしゃられましたように世の中がだんだん民主化の方向が強まってまいりますと、特にソ連及び東欧圏諸国が従来のようなイデオロギーを捨てまして民主化の方向に歩んでいくといいますと、これはまた相対的な問題といたしましてなかなか他国を侵略するような意思決定をするということは、独裁体制、全体主義体制よりもしがたくなってくる状況にあるということは、これはまた相対的な考え方としてそういう方向に世の中は動いていっているのだと思います。
 そういう意味で、再々申し上げて恐縮でございますが、五十一年に防衛計画の大綱をつくりましたときにも、国際関係安定化のそういうふうな各国の努力によりまして、大規模な武力紛争あるいは本格的な日本に対する侵攻というようなものはないであろう、その可能性は極めて少ないであろうというようなことで、我が国の防衛力整備の目標が設定したということでございます。
#211
○星川保松君 そのことについて、ひとつ外務省からも御意見をいただきたいと思います。
#212
○説明員(時野谷敦君) 私どももヨーロッパを中心として生じつつあります変化というものは歓迎すべき状況だと思いますし、物事が対決から協調へというふうに動きつつあるということでございますし、そういうことであってみれば、例えばソ連が昔のごとき対外膨脹的な政策をとる可能性というのが低くなるということは、それはそのとおりだと思いますが、私どもはそういうことにもかかわらず、やはり国際政治が抑止というものを安定の一つのよりどころにするであろう、そういう状況は今後とも変わらないのではなかろうかと、そういう意味で私どもとしても抑止の維持ということには留意すべきものではないかというふうに考えております。
#213
○星川保松君 これはむしろ侵攻の意図などというものは突如として出てくるものじゃないんですね。その前にいわゆる外交折衝があるわけですよ。外交折衝があって、たび重ねてそれをやったけれども、それが行き詰まって初めてそういうものが出てくるわけですよ。ですから、この侵攻の意図というようなものが出てくるかどうかは一にかかって本当は外務省にあるんですよ、これはね。ですから、もっと真剣にこのことについては外務省考えていただきたいとこう思いますが、同じですか。
#214
○説明員(時野谷敦君) おっしゃいます意味が、広い意味での安全保障というものが単に軍事力に基づきますところの抑止ということだけで維持され、あるいはそういうことのみによってよりよい国際環境が醸成され得るということではないだろうという御指摘であれば、私どももまさにそういうふうに思いますし、したがいまして私どもも広い意味での日本の安全保障政策の三本柱といえば、外交努力というものがあり、日米安保体制の堅持ということがあり、そして節度ある防衛力の整備ということがあるんだろうというふうに認識しておりまして、それがゆえにもろもろの外交努力によって我が国の置かれました安全保障の環境の改善に引き続き努めていく必要があるというふうに認識をいたしております。
#215
○星川保松君 どうも外務省は頼りないですね。
 今いわゆるマルタの東西冷戦の解消というところから始まって、米ソがいわゆる核戦略等を中心にして軍縮が話し合われておるわけであります。これを振り返ってみますと、今までは米ソ両方とも自国の安全を保つにはよりすぐれた兵器を備えることだ、開発することだ、こういうことで両方で懸命に軍拡の姿勢で続けてきたわけですね。そして、もう行くところまで行ってしまった。もう世界の人類を何回も殺すほどの核兵力があるというようなところまで行って、ボタン一つで敵も味方も壊滅するというところまで行って、いわゆる抑止とはいいますものの、相互恐怖状態というところまで行って、初めて軍拡というのは安全を高めるということにはならないんだ、それで軍縮だけがやはりその国の安全を保障するんだということになって、今軍縮以外にないということになって軍縮の話が進んでおるわけですね。ですから、今までと世界がもう逆になってきたと思うんですよ。一国の安全保障を保つために軍拡ではもうだめだ、軍縮以外にないんだと、こういうことだと思うんですね。
 世界がそういうふうに動いてきているのでありますが、我が国のいわゆる防衛費というものが、ミリタリー・バランスの表によりますと、よそは減ったりふえたりしているんですが、我が国の場合の棒グラフは極めて整然と上昇カーブで続いているわけですね。世界がそういう軍縮でなければ安全が保てないということになっていったら、やはり世界の動きに日本も歩調を合わせていかなければならないんじゃないかな。このまま続けていけば日本突出ということに問題が生じてくるんじゃないかとこう思いますが、長官どうでしょう
#216
○国務大臣(石川要三君) 今先生が今回のいわゆる米ソを中心とする軍縮、これに対する一つの所見を質問の中で述べられましたけれども、私も全くそのとおりだと思うんです。そういうことですから、見方によれば、私は防衛力というものが一つあって、例えばその中を分析すれば攻撃的なものとそれからいわゆるセルフディフェンスの自衛的なもの、この二つがあるとすれば、むしろ私はこちらの攻撃的なものは非常に今合意が調って、一時は非常に緊張が高まったけれどもそれがぐっと下がっておる、こういうのが今日の私は米ソの軍縮の今合意に達した、こういうことではないかなとこういうふうに思うんです。そのことを先生も今言われたわけですから、基本的にはそういうふうに私も同感するわけであります。
 ところが、これは再三こういう席で申し上げておりますが、我が国は言うなれば、先ほど来外国の軍隊と我が国の自衛隊がどこが違うかというような議論もありましたけれども、そういう中でも言われましたように、私どもは要するに憲法の中でいわゆる専守防衛というこういう守るだけの防衛面でありますから、ですからそういう点では私はまさしく今米ソを中心とするその軍縮と合わせてじゃ我が国もそれと同じような歩調で同じようなことをやれといっても、なかなかこれは同次元で論じられない面があるのではなかろうかな、私はこういうふうに基本的には考えているわけでございます。
 そういうわけでございますけれども、しかしその軍縮に対するスピードというものはますますこれから私は定着をするし、加速されると思うんですね。そういうことを期待しているわけです。ですから、そういうことを十二分に前提に考えながら、私どものやってきたみずからの本当に専守防衛ではありますけれどもさらに一層の努力をして、少しでも省力化あるいは合理化ということも考えながら、全体の中でこの軍縮という世界の波の中でやはり逆行するようなこともこれは国民がなかなか理解できないんじゃないかな、こういう私も感じがいたしますが、しかし基本的には先ほど言ったように米ソとは性格が違うということをよく御認識もいただき御理解もいただいた上で、そういう方向でこれからも努力をしていきたい、このように思うわけでございます。
#217
○星川保松君 それから、今まで予算委員会等を見ましても、欧州ではいわゆる東西対立がもう急速に雪解けに向かっておる。平和軍縮の方に向かっておる。で、アジアではということになりますとアジアはその状況が違うんだ、総理もそうおっしゃるわけですよ。アジアは地政的特性も全く違う。違う違うと。それは違いますよね。それは違うのはわかっているわけですよ。違うと言うのはそこまででしたらそれは評論家のことでありまして、一国の安全をどうやって保っていくかという政治の立場からすれば、ただ違う違うではこれは国民が納得できないわけですね。違うならば違う方法を打ち出すべきではないかというのが国民の気持ちだと思うんですよ。
 ですから、ヨーロッパとアジアはそれは違う。その違った状況に対して、ヨーロッパとは違った対応をしていくということを考えた場合にどういう対応をしていこうとするのか、これをやっぱり示していただきたいと思いますね。
#218
○説明員(川島裕君) お答えいたします。
 まさに先生御指摘のとおり違うんですが、他方ヨーロッパを中心として対話と協調が次第に定着してきているということをどういうふうにアジアにこれから生かすかというのは大変な課題であり、このチャンスを生かすべきであると考えております。
 例えば朝鮮半島でございますけれども、これはある意味で東西対立というか、冷戦の中で典型的な地域紛争だったわけで、いまだに南北朝鮮が軍事的に対峙しているわけですけれども、東西関係が変貌しつつある中で、これをどうやって朝鮮半島の緊張緩和の方向に持っていくかとか、それから東アジアのもう一つの大変大きな地域紛争でございますカンボジア、これもやはり東西関係が動くのに伴ってそろそろ紛争解決の時期ではないかという雰囲気が高まっております。
 この辺をどういうふうに解決につなげていくかということは、まさに日本外交にとって大変な課題だと考えておりまして、例えば朝鮮半島につきましては先般の盧泰愚大統領訪日の際にも、日韓の首脳会談で今後朝鮮半島をどういうふうに緊張緩和の方向に持っていくかということは最大の一つの話題だったわけでございますし、これは粘り強く南北対話あるいは日朝対話等の働きかけを通じてやっていくべきものだと考えますし、それからカンボジア問題につきましても先般東京でカンボジア会議というものをいたしましたけれども、そういう個々の地域紛争等につきまして対話と協調でせっかく国際社会全般が動き出した時期でございますから、これをどうやってアジアにも定着させていくか、こういう観点からやっていっているつもりでございますし、これはアジア外交最大の課題だと考えております。
#219
○星川保松君 どうも外務省はとんちんかんな考え方をしているんじゃないかと思うんですね。
 いわゆるヨーロッパにおける東西の冷戦状況が変わってきたということなんですね。それで、その東西の接点はアジアにもあるわけですよ。それは日本とソ連なんですね。ここが東西の接点でしょう。そのことをどうするかということを考えなくちゃいけないですね。それはカンボジアには何も日本はあそこで東西対立の中には入っていませんよ。それは言っちゃいけませんけれども直接的なものじゃないでしょう。韓国の三十八度線だって、そこで日本が東西対決の中に入っているわけじゃないでしょう。そんなことじゃなくて、自分のことを考えなさいよ、日本のことを。
 日本の場合は、いわゆる日本とアメリカがダブり、そして西側の陣営となってダブりで、ソ連と東西対決をしているわけですよ。ですからヨーロッパでの状況というのとは、あっちはいわゆるソ連の西の端っこの方の状況ですから、こっちは当然東の方の端っこの状況にこれをどう生かしていくかということですよね。カンボジアとか韓国とかそんなことよりもまずそのことをどうするか考えなくちゃいけないんでしょう。とんちんかんなことじゃなくて自分のことを考えなさいよ。
#220
○説明員(時野谷敦君) 先ほど川島審議官からお答え申し上げましたのは、日本が置かれておりますところのアジア・太平洋地域における国際環境をいかにして改善していくか、そういうことについては日本も知恵を絞らなきゃいけないし、そういうことについては日本もそれなりの役割を果たす必要がある、こういうことが申し上げた趣旨でございますが、おっしゃるようにソ連と日本との関係ということも日本の安全保障にとって非常に重要な要素だというふうに私どもも思っておりますし、そういう観点でソ連との対話ということも深めていかなければならないということは、私どもも認識をいたしているつもりでございます。
#221
○星川保松君 そこのところをもう少し真剣に考えてもらわなきゃ困るわけですよ。いわゆる地政的にどう違うのかという分析をどうやっているのか。ヨーロッパと、日本とアメリカのダブりとソ連との、この東西のいわゆる対立のところをどう現状分析しているのか。そしてアジアは違うと言うんなら、アジアではこうしなくちゃいけないという方法がもう出てきてしかるべきだと思うんですよ。ないんですか。なければないでもうこれからかかっていただきたいんですが、それだけ。
#222
○政府委員(日吉章君) 外交政策につきましては外務省が所管をされておられますので、後ほど必要とあれば補足していただきたいと思いますが、東西の軍事情勢の認識につきまして防衛庁としての認識を申し上げさせていただきたいと思います。
 委員ただいま御指摘のように、ヨーロッパにおきましては非常にダイナミックに軍備管理の方向に動いているのは事実でございます。ところが、これは地理的に陸続きにワルシャワ条約機構とそれからNATOとが鋭く先鋭に高いレベルの軍事的水準で相対峙しておったという現実がございます。その現実に対しまして、ソ連側の方におきましては国内の事情等々もございまして、できるだけ低い形にそのレベルを落としたいということから軍備管理・軍縮交渉が始まったわけでございまして、まずINF全廃条約が締結されましてそれが実施に移されておりますけれども、それが完全に来年五月三十一日で実施されましても、保有しております核の数%の廃棄にしかすぎないということでございます。なお、STARTもこれが実施に移されましても核の五〇%の廃棄にとどまるということでございます。CFEの交渉が行われておりまして、これも年内に妥結の方向に向かっていると期待をいたしておりますけれども、その場合にも依然として極東に比べますと高いレベルで地上軍が相対峙するというような形になってございます。
 なお、その場合にはおおむねパリティを維持するという観点で、現状におきましては東側の方が兵力が大きゅうございますので、その削減の度合いは東側の方が非常に大きいような姿になってございます。これがCFEII、IIIというふうになってまいりますとどうなるかは知りませんが、現状におきましては非常にダイナミックにヨーロッパは動いておりますけれども、どうもその根底にはやはり力と力の対決といいますか、対峙、均衡、それに基づく抑止という力が働きながら、その対称形においてパリティを維持しながらの軍備管理が進められているという状況でございます。
 それに対しまして、アジアにおきましては地政学的なこともございましてまず陸続きにおきましてそのような対峙構造がございません。強いてそれを求めるとしますと朝鮮半島におきます韓国と北朝鮮との対峙がそれに類するかと思いますが、ヨーロッパにおきます対峙と比べますとその国境線は短いものでございます。なお、極東におきましては中国という東西いずれにも属さない超大国がございます。そういうような関係で、極東におきましてはソ連側と――もちろん日本というふうなものは自衛のための防衛力しか持っていないわけでございますから、強いて言いますと海を隔てた米国でございますが、これは相対的な形で相対峙し得るような状態でございません。したがいまして、極東ソ連軍といいますものは、ソ連のある意味では思いのまま自律的に膨大な軍事力を沿海地方を含みます極東に配備をしているという状態であろうかと思います。そういう状態でございますので、なかなかヨーロッパにおきますような軍備管理交渉というのはしがたい客観的な情勢があるんだと思います。
 その点はゴルバチョフ大統領自身も認めているところと思いまして、先般の米ソ首脳会談後の米ソ首脳の共同記者会見におきましても、ゴルバチョフ大統領は記者の質問に答えまして、アジアの情勢は非常に複雑でありヨーロッパのプログラムをそのまま適用することはできない、こういうようなことを言っているかと思います。そういうふうな基本的に違っている状態があるというところに極東におきますなかなか今後の外交の難しさがあるんではないかと思います。そういう意味で、私たちとしましては、まずやはりソ連との間で信頼醸成を講じていくという意味でソ連の強大な軍事力を一方的に削減していっていただき、そこから信頼醸成を図っていくということが一つの方法ではなかろうかと考えております。
#223
○星川保松君 防衛庁は防衛庁なりで大分考えておるようですが、防衛庁が先になったんじゃ困るんだよな。やっぱり外務省が先へ立ってやらなきゃならないんですよ。あなた方はさっぱりその方法がなくて防衛力が先へ出ちゃう、これは困るんだ。もう少しあなた方が平和外交をどのように進めるか、アジアがヨーロッパと違うなら違った方法がそこにあるに違いないということで、あなた方が先へ行かなきゃ困るんですよ。もう少ししっかりしてくださいよ。それは外務大臣に言いたいんですけれども、よく言っておいてください。
 次に、これはさっきのと少しダブるんですけれども、民間がどういうことを考えておるかということを参考までにお話ししたいんです。
 今例えば日本の国民といってもいろんな層があるわけですね。そのそれぞれの立場によっていわゆる外国からの脅威というものは受けとめ方が皆違うということです。端的に言いますと、今は米づくり農家はアメリカの米を輸入しろということでカリフォルニアの農家それとヤイター農務長官が一番脅威なんですよ。それは米づくり農家だけじゃありません。オレンジの自由化で今度はオレンジをつくっている皆さんも、それから畜産をやっている皆さんも牛肉の自由化でどうなるんだろうかということで、アメリカあるいはオーストラリアの畜産農家、これがもう寝ても覚めても頭からとれない大変な脅威なんですよ。
 そういうふうに国際的な脅威というものは国民各層、各産業によってみんな違うということですよ。違うのに、それらの方々に防衛庁の皆さんが今北の方が脅威ですよ、これ何とかしなくちゃなりませんよと言っても、そういう皆さんにはぴんとこないわけなんですよ。そういう脅威で四苦八苦しているおやじさんたちの姿を見ている子弟に自衛官になって国を守ってくれと言っても、いやおれのおやじはとにかく外国の、アメリカとかオーストラリアの農業に今脅かされて四苦八苦しているんだと。北の脅威なんと言ったって、やっぱりその子供たちもぴんとこないわけなんですね。そういう国民の各分野においてはそれぞれの、あなた方がおっしゃるようなのはストレートに入っていかない状況にあるということをひとつ頭に入れておいていただきたいとこう思います。
 次に、いわゆるシビリアンコントロールについてひとつ長官にお尋ねをしたいと思います。
 このシビリアンコントロールというものは極めて大切なことだとはいいますけれども、なかなか具体的にこれが働くシステムといいますか、そういうものができ上がっておらない。そういうものがない以上、一番大事なのは長官だと私は思うんですね。長官にはシビリアンコントロールについて、我々の意向をも十分体してやっていただきたいという大きな期待がかかっているとこう思うんです。
 そこで、私どもこのシビリアンコントロールについて若いころに非常に驚いたことがあったわけです。それは、日本で一番偉いのは天皇陛下だとこういうふうに聞かされて育ったわけでありますけれども、敗戦後はその天皇陛下よりももっと偉いマッカーサーという人が来た。何でもかんでもマッカーサー命令ということになるともうどうしようもないという時代がありました。ところが、そのマッカーサーが朝鮮戦争の際にいわゆる北進して戦術核兵器を使えと言ったのか使うと言ったのか使ってほしいと言ったのかそれはわかりませんけれども、そう言っただけで――使わないんですよ。そう言っただけで当時の大統領のトルーマンに解任されたんですね。それで私たち驚いたわけですよ。いやマッカーサーというのは偉いんだ、アメリカの軍というのは偉いんだとこう思っておったわけです。そうするとまだ偉いのがおって、それが、やったのでもない、やると言っただけでその首を切ったというので、いや本当にアメリカという国はシビリアンコントロールというものが厳しい国だなとこう思ったわけです。
 そのときは長官も若かったので、今防衛庁長官になるとはまだあのころは思っていないでしょうけれども、あのときどうお感じになりましたか。
#224
○国務大臣(石川要三君) あのころちょうど私も学生だったと思いますが、詳しいことはわかりませんけれども、今先生がおっしゃったようなことぐらいの程度しか私にはわかりませんでした。ただ、マッカーサーといえば、今先生がおっしゃったように、天皇陛下の方がむしろ出かけていって面会をするようなそういう当時の地位にあり、権力のあるそういう方が何で急に呼ばれてそして解任ですわね、そういうふうになったのかなということを私は大変疑問にも思ったりいたしました。それは後ほど、今先生がおっしゃったようなことの理由だということを私も薄ら薄ら聞きまして、そういうものかな、シビリアンコントロールなんというそんな言葉は当時は思いませんでしたけれども、実に大統領の権限というものの大きさというものをそういうふうに私はむしろ感じた次第であります。
#225
○星川保松君 そういうことからして、どうも防衛庁の専門家の皆さんはやはり新しい立派な兵器ができればそれは当然欲しいということになるでしょうし、それは部隊に預けたいとこう思うでありましょう。そういうことで、あれも買ってくれこれも買ってくれと言う気持ちはそれはわかるわけですけれども、それをやはりああそうかと、それじゃこれも買ってやろうこれも買ってやろうと、それで議会の方にこれも買ってくれこれも買ってくれというようなことになったのでは、やはり長官としてのシビリアンコントロールはきかなくなってしまうと思うんですね。
 今、農家の皆さんに次から次といい農機具が出てまいりました。で、息子があれ買ってくれなきゃおれ百姓やらないぞと。それで、おやじさんはこれを買ってあげるんですね。そうしますとたちまち一千万ぐらいになっちゃうんですよ、一式で。コンバインから田植え機から何からですね。そうしますと、収穫した米の代金が全部農機具屋にすとんと行っちゃうんです。それで、自分が暮らすのは出稼ぎして暮らすというような、機械化貧乏といいますけれども、防衛庁の皆さんから言われるままに買ってやったら恐らく百姓の農機具貧乏みたいなことになりはしないかなという心配もするわけです。
 ですから、やはり長官はあくまでも冷静な立場でこれを見ていって、幾ら欲しがってもこれはだめならだめだと、こういうふうに言ってもらわなければ本当のシビリアンコントロールは私はぎかないと思うんですよ。どうも今までの長官と皆さんの姿を見ていますと、すべて情にさお差して流されているみたいな感じがしてならないわけです。やはり知に働いて角が立ってもそこのところはきちんとやっていただきたいとこう思うんですが、長官いかがでしょうか。
#226
○国務大臣(石川要三君) 非常に難しい今の質問ですけれども、ただ誤解があるといけませんからはっきりこの際申し上げたいと思いますけれども、いろいろと新しいそういう高性能の武器というものは、確かにどちらかといえば、平たく言えば、ざっくばらんに言えば、ユニホームの方々はやはりそういうものをどうしても備えて、そして精強な自衛官というようなことを志向しやすいことは事実であろうと思いますね。しかしそれは、そういうことがあるからといったって、それを何でもかんでも言われたままを買い求めるという、そういうことは絶対あり得ないわけでありまして、そういう方々の意見、そしてまたきょうここに幾人か代表者がいますが、こういう内局の私を支えてくださるいわゆる参事官、事務次官、そういったような要するにシビリアンの方々、そういうのとまず激論するわけですね。それの中で一つの答えが出る。それをさらにまた私が一つのシビリアンの立場で、防衛庁長官という立場でこれをまた決定するわけです。
 その内容をまたさらにこれは安保会議にかけて、総理まであるいは大蔵大臣、渋々金を出す方の大蔵大臣まで入って、そしていろいろと検討して決定するわけですから、私はそれなりにシビリアンコントロールというものはかなりきいておるし、またそれを国会に出せば今度は皆さんの方からかんかんがくがくとしての意見が出るし、いろんな意味で日本の防衛というものはそう危険な要素というものはむしろ私はない、このように判断をしているわけであります。
 むしろ私に言わせれば、よくこれも繰り返すようですが、軍事大国化だとかあるいは軍拡だとかということの言葉の方が少し多いんじゃなかろうかな、逆にそんなような感じもしないわけではございません。いずれにしましても、シビリアンコントロールでなければやはり我が国の民主政治というものは成り立たないわけでありますから、そういう哲学を持って私どもは防衛の努力をしていきたい、かように思います。
#227
○星川保松君 時間がだんだん迫ってまいりましたんですが、ここでいわゆる今回の法案と関係してまいりますけれども、いわゆる中期防がことしで終わるということでありますけれども、防衛庁は常に前方と後方のバランスをとりながらやってきた、やっていくということをおっしゃっているわけですね。そういうことからいいますと、今回のこの若年退職者の救済措置というものも私は後方整備の中のいわゆるソフトに入るんじゃないかと、こういうふうに思うわけですね。
 中期防が完了するということでありますけれども、まだ宿舎とかあるいは体育館とかいうものは大分残っているとこういうことでありますけれども、これは後方として私は前方後方バランスをとって進めてきたならばやはりことしで終わっていなくちゃならないんじゃないかなと、こう思うわけですよ。なぜこれだけがバランスの中から落ちたのか、この点をひとつお尋ねしておきたいと思います。
#228
○政府委員(日吉章君) 委員ただいま御指摘のように、防衛庁としましては、従来から各年度の防衛力の整価に当たりましては、正面と後方とのバランスのとれた質の高い防衛力の整備に配意してきたつもりでございます。したがいまして、依然として隊舎の不足等が必ずしも十分に満足される状態になっていないのは事実でございますけれども、これは正面ばかりに中期防期間中力を入れてきたのが原因だというふうには考えておりませんで、これまでの防衛力の整備におきまして、装備品の老朽化による減耗量がかなりの程度に及んでいたというようなことが主たる原因だと考えております。しかしながら、中期防最終年度の本年度を終了いたしますと、大綱に定めます防衛力の水準をおおむね達成するということになりますので、次期防以降につきましては後方にも十分配意をしながら整備を進めていきたいと、かように考えておる次第でございます。
#229
○星川保松君 最後に一つお伺いをいたしますが、いわゆる沖縄の米軍基地の返還ということでありますけれども、今その返還の話が出ておるのは果たして米軍の三十万人削減計画に基づくのかどうか。この三十万削減計画によりますと海軍は五万人を削減すると、そしてそれには三万八千の海兵隊を含む、こうなっておるわけですね。それで、この海兵隊というのは三個群というんですか、あるんですね。それで、三つあるうちのその二つはアメリカの国内ですね。一つはカリフォルニア州、それからもう一つはノースカロライナ州におるわけでして、いわゆる海外展開の海兵隊はこの沖縄だけなんですね。そういうことからしまして、この三十万人削減計画に基づく、さらには東アジア戦略構想の中には、沖縄の兵員削減と余剰基地の返還ということがはっきりうたわれておるわけですね。これから考えますと、私は大幅な返還があってもいいのではないかとこう期待しておるんですが、今の返還の話が出ておるのはこの三十万計画の話が出る前のことなんでしょうか、この三十万計画に連動したものでありましょうか、それをお伺いして終わります。
#230
○政府委員(松本宗和君) ただいま私どもが進めております沖縄県所在の施設、区域の整理統合でございますが、先生今確かにおっしゃいましたが、米軍の削減計画とは別に、これは昭和四十八年、四十九年、五十一年、この三回に分けまして日米安保協議委員会で合意されました整理統合計画がございます。これがまだ終了しないで残されておるものが五〇%以上ある。さらに、最近でございますが、これは六十三年と思いますが、沖縄県知事が訪米されまして返還要請を米側にされております。いずれにいたしましても、現在沖縄には日本にあります米軍基地の七五%が存在するということで沖縄の開発等に大変な影響を及ぼしておるということからその整理統合が急がれておるわけでございまして、この問題につきまして一刻も早く解決したいということで現在整理統合の作業を進めております。したがいまして、ただいま先生がおっしゃいました米軍の削減計画とは別の問題でございます。
#231
○星川保松君 そうしますと、別だとするならば、三十万削減計画でひとつ大幅に返してもらうように、これは外務省ももたもたしてないで防衛庁と一緒になって頑張っていただきたいということを要請して、終わります。
#232
○説明員(時野谷敦君) 先生今三十万削減計画とおっしゃいましたが、私ども三十万人の削減計画というものは承知をいたしておりません。
 私どもが承知をいたしておりますのは、米軍の再編成ということで当面この三年間に日本について申せば五千ないし六千を削減するという計画は米軍が持っておる、こういうことを承知している次第でございます。
 第三番目に申し上げますのは、先ほど施設庁長官より御答弁がございましたけれども、現在作業を行っておりますところの沖縄における基地の整理統合の問題は、直接には今も私が申し上げました五千ないし六千の削減計画とは関係がないものというふうに承知をいたしております。
#233
○田渕哲也君 大分時間も経過しておりますので、私は提出されております防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に関連した問題を中心に、かいつまんで質問をしたいと思います。
 まず第一は自衛官の処遇改善についてでありますが、この法律案提出の背景につきまして、防衛庁の資料によりますと、大部分の者が定年を迎える五十三歳は子弟の養育費や住宅ローン等いまだ出費のかさむ時期であること及び退職自衛官は一般公務員に比べると生活費を大幅に切り詰めているとの説明がなされております。
 初めに、退職自衛官の生活の実態について防衛庁としてどのような認識を持たれていますか、お伺いをしたいと思います。
#234
○政府委員(畠山蕃君) 自衛官につきましては、御承知のとおり、その職務の特殊性によりまして若年定年制をとっているわけでありますが、したがいまして、それから大部分の者が再就職をいたすわけでございます。しかしながら、その再就職賃金の平均が約四割というような状況になっております。他方、出費の面で見ますと、自衛官のこの時期、五十三歳の時期のライフサイクルから見ますと、今お話の中にもございましたとおり、まだ子弟の教育費等あるいは住宅ローンの返済といったような出費のかさむ時期に相当する年代でございます。したがいまして、非常にその生活は厳しい状況であるというように認識をいたしておる次第でございます。
#235
○田渕哲也君 このような状態は今に始まったことではなくて従前からこういう状態はわかっておったと思うんですけれども、今日まで防衛庁としてどのような対策をとってこられたのかお伺いをします。
#236
○政府委員(畠山蕃君) まず第一に私どもといたしましては、退職予定自衛官の再就職につきまして自衛官の人事施策上の最重要事項の一つという位置づけをいたしまして、従来から再就職を円滑有利に実施し得るよう職業訓練といったようなことを援護施策の一環として実施いたしております。それからまた自衛隊援護協会という財団法人がございますが、それの活用等を図りまして職業援護組織の充実を図る傍ら、無料職業紹介事業等を実施してきたところでございます。その点に加えまして、今まではいわば仮の姿といたしまして共済年金制度を借りてきまして、その中で、一般公務員の支給開始年齢の原則が六十歳となっておるのに対して、自衛官につきましては五十五歳というような制度を導入することによりましてある程度の収入面のカバーを図ってきたということでございますが、なおそれでも現在そういう措置によっても問題が生じていることから、現在この法律案を提案申し上げているというのは御承知のとおりでございます。
#237
○田渕哲也君 一昨年、航空自衛隊が隊員の意識調査のアンケートを実施しておりますが、この中で自分の息子たちを自衛隊に入隊させたいと思うかという設問に対しまして、過半数の五六%が思わないという返事をしております。そして、その理由の中で一番多かったのは若年定年、早くやめなければならない、そしてその後生活が非常に不安定である、こういう答えをしたのが三三%という結果が出ております。このアンケート調査の概要をお聞きしたいと思いますが。
#238
○政府委員(畠山蕃君) ただいま御指摘の航空自衛隊の意識調査でございますが、この調査は、就職援護に関する意識の実態を把握しまして今後の就職援護の施策の資料といたしますために、定年退職が予定されております一佐以下の隊員に対して昭和六十三年度に実施したものでございます。
 この調査は部内で検討するための資料として行ったものでございますけれども、概要について申し上げますと、第一点は、ただいま委員御指摘になりましたように、子息等の自衛隊入隊の意識調査結果については御指摘のとおりのような数字になっているわけでございます。それから、その他の主な項目について申し上げますと、再就職希望企業等につきましては、業種別ではサービス業が約二三%、職種別では事務職が約二〇%と最も多いという状況でございます。それから、再就職時に重視する条件といたしましては、自宅通勤というものを希望するのが約五割弱ございます。次いで自己能力が生かせるような職場につきたいというのが二〇%強といったような状況でございます。
 なお、陸上自衛隊、海上自衛隊についても同じような調査を行っておりますけれども、ただいま御説明申し上げましたような主な項目についてはほぼ同様の傾向にあると承知しております。
#239
○田渕哲也君 自衛官自体の処遇改善についての要望とか生の声というのはなかなかこれは聞く機会というのはないように思うわけです、労働組合があるわけでもないし。したがって、今まで防衛庁としては自衛官自身のそういう要求というものをどのような手段で把握されてきたのか、お伺いしたいと思います。
#240
○政府委員(畠山蕃君) 確かに、自衛官の処遇改善に関しまして、第一線の部隊等で活躍しております隊員が任務に誇りを持ち安心してその職務に精励できるように、その要望等を実際の施策に適切に反映していくことは御指摘のとおり必要なことだと考えております。
 そこで、制度的にはっきり意見を徴するという形で確立しているとも言えない話でございますけれども、例えば各年度の業務計画の作成に際しましては、それぞれの指揮系統を通じまして各部隊等の要望を把握した上で、各幕僚監部あるいは内部部局におきまして審議して把握しておるほか、適宜隊員の要望や不満についてアンケート調査を実施いたしまして、ごく最近においてもこのようなアンケート調査を実施したところでございますけれども、そのようなことでさまざまな機会をとらえまして隊員の処遇に関する要望等の把握に努めておるところでございます。
 なお、御指摘の趣旨を踏まえまして今後ともなお一層そういうふうな姿勢で臨みたいというふうに思います。
#241
○田渕哲也君 このアンケート調査の結果は、これはアンケートをとるときに結果を公表しないという前提でアンケートをされておるようでありますが、私は必要なものはやはりできるだけ公表して、国民全般に自衛隊の方がどういう考えやどういう不満を持っておるかということがわかった方がいいと思うんです。それで、今回の法案の審議にしてもそういう背景が理解できれば国民の理解も得やすいという面があると思いますけれども、この点についてどう考えておられますか。
#242
○政府委員(畠山蕃君) 今幾つか、前に御質問いただきました航空自衛隊の意識調査、就職援護に関する調査がございます。それから、それとは別にまた陸海空で実施しております部隊の意識調査というのがございます。それから、内局が主導でいろんな次期防に関する処遇改善に寄与せしめるものとしてこの間調査したアンケートがございます。いろいろな形のアンケートがございますが、そのアンケートの性格いかんによりまして、御提出申し上げて一般の供覧に供するというのが若干問題があるというところがございます。
 と申しますのは、内容にプライバシーにわたる部分、例えば生活状況といったようなことに関する部分もございまして、それを一々生のまま提出申し上げるというのは、防衛秘密という意味ではございませんけれども、そういったプライバシーにかかわるという点で若干問題のあるものがございます。したがいまして、先生の今御指摘の趣旨も私どもはよく理解できますので、取りまとめて概要の形で御提出申し上げるというのは私ども可能な限り努力をしたいというふうに思います。
#243
○田渕哲也君 防衛においては装備品がいかに優秀でもこれを使うのは自衛官、人間自身でありますから、やはり優秀で士気が高い人材を常に確保するというのは極めて大事なことだと思います。そのためには自衛隊が隊員にとって魅力のある職場でなければならないし、またそのような社会的な待遇や処遇が与えられていなければならないと思いますが、防衛庁長官の認識をお伺いしたいと思います。
#244
○国務大臣(石川要三君) この質問は何回かもういろいろと出てきたと思いますが、私は今先生が言われたように全く同感でございます。幾ら優秀ないわゆる武器があっても、兵器があっても、要はそれを用いるのはこれは自衛隊でありますから、その隊員が本当に優遇されてなくてもう魅力がないということになれば、全くこれはいわゆる精強な自衛豚ということにはならないと思います。
#245
○田渕哲也君 それから、自衛官の仕事というのはやはり非常に特殊性があるわけでありまして、例えば常時勤務態勢というようなこともあるし、それから離島とか遠隔地勤務ということもあります。したがって転勤も多い、あるいは単身赴任も多い、こういう勤務条件とすれば一般のところに比べてはやや厳しい面が多いと思います。問題は、例えば給与とかその他でそれに見合った処遇が与えられておると判断しておられるのかどうか、この辺でも細かな点にいろいろ問題があるように伺っておりますが、どういう認識を持っておられますか。
#246
○政府委員(畠山蕃君) よく既に御案内のとおり、自衛官の給与につきましては一般職のこれと類似する職種の、基本的にはそれに合わせた形で号給を設定しているわけでございます。ただ御指摘のとおり、勤務の特殊性からいろいろな違いがございます。
 そこで、例えば俸給につきましては、自衛官が常時勤務態勢のもとにあること等、その職務の特殊性を考慮しまして、超過勤務手当相当額を含めたものとなっている点がございます。それから諸手当につきましても、離島等生活の不便な地に勤務する職員には特地勤務手当を支給する等、この点は一般職国家公務員とおおむね同様の体系によっているところでございますけれども、落下傘隊員とかあるいは艦船乗組員、航空機乗員等については、必ずしも一般職にそれに見合いの職種がないということもございまして、その勤務の特殊性を考慮した特別な手当が設けられているところでございまして、一応勤務の特殊性に見合う手当を特別に設けているというのが現状であろうかと考えておりますが、いずれにいたしましても、この職務の特殊性に基づきましてそれがなお適切な処遇を得ているかどうかという点については、今後とも十分に検討してまいりたいと思います。
#247
○田渕哲也君 それから、隊舎とか宿舎等の生活環境面でもまだまだ量的、質的に不十分だということも指摘されておりますが、特に宿舎の現状についてお伺いしますが、まず、一般公務員と比較して充足状況とかあるいは宿舎の状態というものはやはり悪いということも聞いておりますが、この辺の状況をお伺いしたいと思います。
#248
○政府委員(畠山蕃君) 充足率でございますが、私どもが入手しておりますところでは、一般の公務員についての充足率は九五%ということのようでございますけれども、私ども自衛官につきましては、平成二年度の予算が完了し実行されて九〇%ということでございますので、若干充足率において劣っておるということだと思います。
 それから質の面で言いますと、これは比較し得る客観的なデータというのをとりにくい面がございますので必ずしも正確なことは申し上げられませんけれども、二十五年以上を経過した老朽木造宿舎があるとか、そういった意味の老朽狭隘な宿舎が非常に自衛官の場合には多いということは一般的な話として言えるのではないかと思います。
#249
○田渕哲也君 それから、宿舎の質といいますか形態といいますか、国設宿舎という率が自衛隊の場合非常に低い。国が設けた宿舎というのが低くて、それから共済からの借り上げとか民間の借り上げというのが他の公務員に比べたら非常に多いということを聞いていますが、その内訳はどうなっておりますか。
#250
○政府委員(畠山蕃君) 全体を一〇〇といたしまして国設宿舎の割合が四六%、それから特別借り上げ宿舎としております共済からの分が四四%、民間からの借り上げ宿舎が一〇%という割合になっております。
#251
○田渕哲也君 一般公務員の場合はどうなっていますか。
#252
○政府委員(畠山蕃君) 恐縮でございますけれども、一般公務員についてのその点についてのデータは把握しておりません。
#253
○田渕哲也君 一般公務員全般については私もわからないんですが、大蔵省で聞いてみると国設宿舎が九七%、それから法務省の場合は九九・九七%、省によってかなり差があるのかもしれませんけれども、自衛隊がこういう国設が少なくて借り上げが多いというのは特段に理由か何かあるわけでしょうか。
#254
○政府委員(畠山蕃君) 一つには、やはり宿舎の整備がおくれていることによって、何とか他の手段をもってこれの同じ充足を満たす努力の結果が一つそこにあらわれているのだと思いますが、これは私正確かどうかわかりませんけれども、民間からの借り上げを選ぶということは、異動の多い官署においてはある意味でそれなりの意味を持つ面もあるのではないかというふうに思われます。
#255
○田渕哲也君 次に、今回の若年定年退職者給付金というのは、若年定年退職後の所得保障、不利益のカバーといった観点から説明されております。しかし、もう一つの面として共済年金の一元化ということが言われておるわけですが、やはり自衛官の場合は早くやめるから掛ける期間が短い、それから早く支給されるから給付される金額も少ない、こういう点で一般の公務員とは大きな差があるわけであります。そういう中でこの一元化を進めると、どうしても不利な面が浮かび上がってきてカバーできない。したがって、この年金一元化に進んでいくはざまというような面で、それを埋めるためにこういう制度を設けたとも考えられるわけですが、この点はいかがですか。
#256
○政府委員(畠山蕃君) 御指摘のとおり、公的年金の一元化という基本的な方向の途上に今あるわけでございます。他方、御指摘の中にもございましたように、今のままの制度でいきますと自衛官の共済年金の負担の割合が大きく給付水準が不利になっているという状況で、そういった問題が生じておるということから、まず共済制度については本来の姿に戻すことを前提といたしまして、一般公務員の定年六十歳と若年定年の間の不利を今回の御提案申し上げている給付金という形で埋めることをまず前提にいたしまして、しかる後に、こういたしますと本来の形に給付水準を戻す余地が生じてくるわけでございまして、年金を六十歳支給開始という形で一般の公務員と同じ給付水準に持っていくというふうに、同時に両方をいわば目的としてにらんだ形の制度の仕組みになっているわけでございます。
#257
○田渕哲也君 自衛官の共済年金を将来一元化していくというのは、大体どういう手順で、どういう方向で行われるわけですか。
#258
○政府委員(畠山蕃君) 御指摘のとおり、平成七年度には支給開始年齢が六十歳という形になりますので、給付面において公務員と同様になりますが、したがって自衛官だけを今までみたいに一つの年金集団として独立させておく必要はないということでございますので、一元化の方向に進んでいくわけでございますけれども、そこのところの具体的なスケジュール、手順といったものについてはまだ確立されておりませんで、今後関係機関と調整してまいるということになろうかと思います。
#259
○田渕哲也君 自衛官の共済年金の財政見通しあるいは成熟度、こういう問題は去年の財政再計算のときに公務員共済連合会が試算しておると思いますが、どのようなものになっておるか、お伺いをしたいと思います。
#260
○説明員(諸江正義君) 今御質問のございました自衛官の将来見通しでございます。実は、昨年の十月に御指摘のように国家公務具等共済組合連合会が再計算の際に将来見通しを試算してございます。それによりますと、まず保険料率でございますけれども、平成三十二年、ほぼ掛金がピークに差しかかるのではないかと思われる時点でございますけれども、この時点での保険料率は千分の三百九十六と、この水準まで上昇するのではないかと見込まれてございます。次に成熟度でございますけれども、成熟度といいますのは年金受給者の現役組合員に対する割合を通常成熟度と言っているわけでございますけれども、この成熟度につきましては同じく平成三十二年度で約六〇%になるのではないかと、このような試算がなされております。
#261
○田渕哲也君 これから日本の社会全体が高齢化社会に向かうわけですが、その中で各年金はいずれも厳しい状況になっていくわけですが、特に自衛官の場合は非常に単位が小さいということ等もあり、それから若年退職等というような条件もあって、一層その厳しさが増すと思います。将来保険料率も一般公務員と同じにしていくあるいは給付率も同じにしていくということだと思いますけれども、これは財政単位も将来は一緒になっていくという方向と理解していいのかお伺いをしたい。つまり、財布が一つになるのかということですね。いかがでしょうか。
#262
○政府委員(畠山蕃君) その点も今現在ではっきりした形で詰まっているわけじゃございませんので、今後関係機関と詰めてまいりたいと思います。
#263
○田渕哲也君 それから、政府は将来において各公的年金の年金支給開始年齢を六十五歳に引き上げようという計画があるわけですが、公務員の年金支給開始年齢も仮に六十五歳に将来引き上げられたとした場合、自衛官の年金も当然そうなるわけですね。
#264
○政府委員(畠山蕃君) 自衛官の共済年金の支給開始年齢の問題につきましても、一般公務員の共済年金の支給開始年齢の問題の検討の一環として検討してまいりたいと思います。
#265
○田渕哲也君 今回の給付金は大体六十歳までの措置ということですが、例えば年金支給年齢が引き上げられた場合はこれは六十歳のままでいいのか、あるいはまたその時点で新たに考え直すのか、その点はいかがですか。
#266
○政府委員(畠山蕃君) 今回の給付金は、一般公務員の定年対自衛官の定年、その不利益の差を埋めるための給付金でございますので、直接的に一般公務員の年金支給開始年齢を六十五歳へ引き上げることとは直接の関係はないわけでございますけれども、いずれにいたしましてもこの支給開始年齢の問題に関しましては今後検討が進められるということでございますので、自衛官につきましても公務員一般についてそれに対応する対応策が検討される中でその一環として検討されることとなろうと思います。
#267
○田渕哲也君 次に災害補償の問題についてお伺いしますが、自衛官の場合も一般公務員と同じシステムで災害補償が行われると考えていいわけですね。
#268
○政府委員(畠山蕃君) そのとおりでございます。
#269
○田渕哲也君 これは平時の場合はそれでいいと思うんですけれども、しかし自衛隊というものはそもそも有事に備えてあるものですから、有事になった場合その同じシステムでできるのかどうか、この点はいかがですか。
#270
○政府委員(畠山蕃君) 有事の場合につきまして、防衛庁職員給与法第三十条の規定で「別に法律で定める」ということで、他の出動手当の支給等とあわせ並行しまして災害補償についてもそういう規定がございます。現在のところこれは未制定でございます。
#271
○田渕哲也君 これはまだこういうことが全然決められずにほうっておくということはいかがなものかという気がするんですが、どうですか。
#272
○政府委員(畠山蕃君) いろいろと勉強はしているところでございまして、この法律に盛り込むべき内容といたしましては、例えば災害補償の種類等が考えられるところでございます。これについては防衛庁における有事法制研究の第一分類に分類されるものでありますが、出動の規模、態様がいろいろ考えられるところでありまして、これらの場合におきます勤務の内容、災害の態様についてもさまざまな場合が考えられまして、また自衛官と他の公安国家公務員との均衡の問題もございまして、現在勉強している段階にあるわけでございます。
#273
○田渕哲也君 次に、自衛隊の充足率についてお伺いします。
 平成二年度予算におきましては、陸海空各自衛隊の充足率を二%ずつ下げております。この理由は何なのか、まずお伺いをしたいと思います。
#274
○政府委員(畠山蕃君) 景気の拡大に伴います労働需給の著しい逼迫等によりまして、御承知のとおり現在の自衛官の募集を取り巻く環境は非常に厳しいわけでございまして、平成元年度におきます充足率が当初の目標を一%程度下回ったのが実情でございました。そこで、平成二年度はこうした元年度の影響を受けまして、当初から厳しい状況でスタートせざるを得ない状況でございました。補充状況の改善は期待し得ないということも予想されましたため、充足率を元年度に比べて二%程度下げざるを得なかったということでございます。
#275
○田渕哲也君 充足率の低下によって、自衛隊の維持管理に関してどのような問題が生ずるか、あるいはそれに対してどのように対処するのか、この点お伺いしたいと思います。
#276
○政府委員(日吉章君) 自衛官の充足率は、平時におきます教育訓練や部隊運用のための所要として設定されているものでございますけれども、最近の募集環境の悪化などによりまして、やむを得ず二年度においてこれを低下させざるを得ない状況となったものでございます。
 充足率低下の影響につきましては、基本的には全国的レベルで負担せざるを得ないと考えておりますけれども、具体的な配員計画につきましては、教育訓練や部隊運用の観点も踏まえまして、現在どのようにするのが最もよろしいのか検討している段階でございます。いずれにいたしましても、具体的な配員に際しましては防衛庁において隊務運営上支障を生ずることがないように努力する必要がある、かように考えております。
#277
○田渕哲也君 この充足率というのはそもそも一〇〇%でなければならないものなのか。あるいは普段はある程度低くても構わないというか、ある程度低い方が経費上も望ましいという考え方もあると思いますが、そういう点はいかがですか。それからギリギリ下げるとすれば、どの程度まで可能なのか、お伺いしたいと思います。
#278
○政府委員(日吉章君) 委員も御案内と思いますが、定員に対しまして現員をどれだけというのが充足率という概念でございますが、定員の概念は予算上の概念でございますけれども、一年間三百六十五日を通しましてどの時点におきましてもその定数を上回ることがないということを目標にされておりますので、どう考えましても摩擦的にそこには充足率というものが生じてくるという性格のものであるということをまず御理解賜りたいと思います。
 私たちとしましては、したがいましてでき得ることならば摩擦的な充足率の範囲内で隊員を募集したいという考え方がございますけれども、装備に直接的につながっております定数につきましては、これを充足率を下げるということはなかなか難しゅうございますけれども、装備との牽連性がそれほど強くない、特に陸上自衛隊、これは各国の陸軍も同じでございますけれども、というような性格のものにつきましては、平時におきます隊務運営上あるいは教育訓練上、練度向上の観点から支障のない範囲で、ある程度充足率が下がるということもやむを得ないのではないかと思いますが、そういう性格のものでございますので、何%まで下げることが受忍できるかというような点に
つきましてはなかなかお答えができない。私たちとしましては、できるだけ充足率を高く保持したいという気持ちがある点を御理解いただきたいと思います。
#279
○田渕哲也君 現在でも特に実戦部隊である小隊レベルではさらに充足率が低くなっていると言われております。特に陸上は低いわけですが、これが陸上の全体でも今度は八四・五%になるわけですが、これは例えば小隊レベルではどのようになると見込まれますか。
#280
○政府委員(日吉章君) 御指摘の小隊レベルの充足率についてでございますけれども、例えば第一線の普通科連隊の小銃小隊というようなものを例にとりますと、平均五〇%というような基準に既になってございます。
 充足率低下の影響を全国的レベルで負担するに当たりましては、こうした小隊レベルの具体的な配員をどうするかという問題につきまして現在鋭意検討しているというところでございます。
#281
○田渕哲也君 新聞の報道によりますと、次期防において今までは陸上は有事十八万人体制をとってきたのを平時十六万人体制に転換する、これに伴って現在の各連隊、中隊とも均一の充足率で編成する充足管理方式をやめて、完全充足の部隊と未充足の部隊とに差をつける欠編部隊方式を採用するという報道がありました。現在の充足率を考えれば、訓練の密度を向上させる点ではこのような考え方の方がメリットがあるということも考えられますが、いかがですか。
#282
○政府委員(日吉章君) 報道の一々につきましてコメントすることはいかがかと思いますが、委員ただいまおっしゃられましたように、これを何といいますか、欠編部隊方式とおっしゃられましたでしょうか、そういうような方式にすることのある意味のメリットといいますか長所もあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては現在におきますような充足率の状態募集環境が非常に厳しいという状態を前提といたしまして、中長期的視点に立って、訓練への影響といったような点をも含めまして、防衛力全般にわたります効率化、合理化の徹底による省力化策というものなどにつきましていろいろ研究を行っているというようなことでございまして、その具体的内容について申し述べられるようなところまで検討が進んでいないことを御理解賜りたいと思います。
#283
○田渕哲也君 外国の場合は、やはり平時編成と有事編成と分けて考えているところが多いと思います。私も前にこの問題でお尋ねをしたことがありますけれども、我が国の場合はあくまでそういうことは考えない、常に必要なものを保持しておいて、仮に有事があってもそれで対応するというのが原則だということをお聞きしておりますが、しかしこれだけ充足率が低くなってきますと、それではやっぱり対応し切れないのではないか。そういうことで、予備自衛官制度の充実ということも言われるわけでありますけれども、外国の場合はこの予備兵といいますか、そういうものが非常に多いわけですね。我が国の場合は、予備自衛官といってもまだ非常に少数である。だから、今のような状態で有事の場合にどうするかということがどこまで準備されておるのか、考えられておるのか、お伺いをしたいと思います。
#284
○政府委員(日吉章君) 我が国におきます定員制度は、一口で言いますとどちらかというと有事編成定員方式であろうかと思いますけれども、それでも既に予備自衛官制度というものを持ってございます。したがいまして、今後定員というものをどういうふうにするかということにつきましては、予備自衛官制度というものも生かしまして、どういうふうな形で定員、予備自衛官も含めました定数管理を行うということがよろしいのか検討してみたいと考えております。
 これらの問題意識は既にございまして、予備自衛官制度、まあ自衛官未経験者から採用するのがいいのか、あるいはこれらの予備自衛官につきましてどのような訓練なり処遇をするといいのか、任用期間をどうすればいいのか等々いろいろな問題がございますので、幅広く勉強を続けていきたいと、かように考えております。
#285
○田渕哲也君 次に、任期制自衛官の問題でお尋ねをしますが、今非常に募集難であるということをお伺いしておりますが、現在任期制自衛官の募集状況はどのような状況になっていますか。
#286
○政府委員(畠山蕃君) 平成元年度におきまして、年内といいますか、昨年内におきましては当初計画いたしました数、約二万人でございますけれども、これの八十数%、九〇%弱の達成率しか達成できなかったわけでございます。しかしながら、その後非常にいろいろと広報活動等を頑張っていただきまして、今年に入りまして、平成元年度の三月まででございますけれども、非常にその後好調に推移いたしまして、ようやく当初の目標どおりの大体の水準が達成できた。しかし、それも非常な努力の結果でございまして、募集環境として非常に厳しい状況が続いているという認識は依然として持っております。
#287
○田渕哲也君 任期制自衛官の募集難の原因はどこにあるとお考えですか。
#288
○政府委員(畠山蕃君) やはりいろいろあろうと思いますけれども、一つには短期的には最近の景気の状況が依然として好調であるということから、民間に引っ張られる部分が強いということが一つあろうかと思います。それから第二には、やはり構造的な要因といたしまして募集適齢人口が、まあ将来にわたっての話でございますけれども、徐々に下がってくる、平成五年度をピークに下がってくるということがございます。したがって、これは将来の減少要因として考えられるわけでございます。それから一般的な問題といたしまして、やはり自衛隊員の処遇の問題ということが十分でないということで、魅力ある職場でないというようなところがあろうかと思います。
#289
○田渕哲也君 任期制の場合は大体二年ないし三年でやめられるわけです。まだ非常に若いときにやめるわけですから、この後の就職というのが非常に大事だと思うんですが、就職状況は現状はいかがですか。
#290
○政府委員(畠山蕃君) これはほぼ一〇〇%就職は達成されております。
#291
○田渕哲也君 そうすると、後の就職が心配で自衛官に行くのがためらわれるというようなことは余りないわけですか。
#292
○政府委員(畠山蕃君) ただ、就職の口としては一〇〇%達成されておりますが、その質的な状況といいますか、給与水準あるいは仕事の質といったことについてまで立ち入って分析いたしておりませんけれども、そういった面とか、あるいは今なお我が国の労働者といいますか就職を求める者の側にとって根強い永久就職といいましょうか、生涯の職場を求めるというビヘービアがなお根強いと思いますけれども、そういった観点からいたしますと、二年、三年というような短任期で終わる職場というのはやはり生活の将来に対する不安というものがそこにあるだろうというふうに思っております。
#293
○田渕哲也君 この任期制の自衛官も二年、三年とはいえ、その間国の防衛のために職につかれるわけであります。その間、有事があれば身を賭して戦わなければならない。こういう人はやはり私は社会的にいろいろ配慮をするということが必要ではないか。例えば大企業とか一流企業などの協力度合いはいかがですか。
#294
○政府委員(畠山蕃君) 協力度合いという御質問の趣旨が必ずしもよくわからないんですけれども、就職先として大企業があるかという意味で言えば、ただいま申しわけございませんけれども手元に任期制自衛官の企業規模別の就職状況というのを持っておりませんので、確たることは申し上げられません。
#295
○田渕哲也君 こういう非常に公的な任務につかれる方は、特に若くして退職されるような方は、後のことについてやっぱり社会がきちんとそれを受け入れるというような環境があることが非常に大事ではないかと思うんですね。また、それに対して少なくとも一定の規模の企業はそういう社会的責任も果たしてもらう、そういう環境が整ってこそ本当の防衛体制というものが組まれるのではないかと思うんです。今は何となく自衛官というのは余り目立たない存在であると思いますね。だから、若い人にも自衛官というものに対する認識も非常に少ない。そういうことも私は募集難の一つの要因ではないかと思うんです。そういう意味で、これから次期防に入るけれども、私は次期防はこういう緊張緩和の情勢でもありますから正面装備重点というようなことではなくて、ソフト面をきっちりやっていくことが大事ではないかという気がします。ソフト面をやるというのは、ただ単に隊員に対する処遇とか環境の問題だけでなくて、社会環境の整備ということも非常に重要だと思うんですね。こんな点についてどう考えておられるか、防衛庁長官の見解をお伺いしたいと思います。
#296
○国務大臣(石川要三君) 先生の御意見に全く同感でございまして、次期防の策定に当たりましては、特に正面のそういう整備の拡大というよりもむしろ質的な面を図る、さらにまた隊員の魅力ある職場としての処遇の改善、こういう点、そして隊舎、宿舎等の整備を重点的にやっていきたい、このように思っております。
#297
○田渕哲也君 それから婦人自衛官の問題についてお伺いしますが、まだアメリカなどに比べると我が国は婦人自衛官の割合が非常に少ない。アメリカでは大体一〇%ぐらい婦人の軍人がおるけれども、日本の場合は二%程度だと言われておりますが、将来これをさらに増加することが可能かどうか、お伺いをしたいと思います。
#298
○政府委員(畠山蕃君) どの程度の数字にまで拡大するかということについては現段階までまだ確定いたしておりませんけれども、基本的な方向といたしましてかなりの大幅な増加を図っていく必要性があるのではないかというふうに思っております。
#299
○田渕哲也君 次に、限られた予算とか限られた資源の中で防衛をやるわけでありますから、やはり効率的な防衛ということを考えなければならないと思います。我が国の場合は三つの自衛隊がありますが、この三自衛隊の防衛力を総合的に発揮する体制になっておるのかどうか。現在、自衛隊においても統合訓練が行われているということは承知しておりますけれども、その形態は陸上自衛隊や海上自衛隊の訓練に航空自衛隊が航空機で部分的に支援するといったものが多いというふうに聞いております。果たして十分な統合作戦ができるのかどうか疑問である。統合作戦に関する防衛庁の認識を伺うとともに、自衛隊の現状について説明していただきたいと思います。
#300
○政府委員(日吉章君) 委員ただいま御指摘のように、統合運用ということは非常に重要でございまして、自衛隊法上の仕組みからいきましても統合運用が確保できるようなことになっております。問題はその仕組みの中で効率的に訓練等が行われているかということでございますが、私どもといたしましてはその方向で鋭意努力をし、統合運用の実を上げるという方向で努力をしているつもりでございます。
#301
○田渕哲也君 よく言われることは、三自衛隊の防衛構想が別々ではないかという意見もあるわけです。例えば陸上自衛隊は北海道を中心とする北方重視だと、海上自衛隊はシーレーンなどの南西海域重視、航空自衛隊は本土防空重視。確かに侵略の態様は多種多様なものだと思いますけれども、やはり自衛隊としてまとまっての優先順位を決めてやるということが必要ではないか。三自衛隊がそれぞれ予算獲得のためにこういうことを主張していくという嫌いがあるのではないかという意見もありますけれども、この点はいかがです
#302
○政府委員(日吉章君) 有事におきます陸海空三自衛隊の運用構想につきましては、毎年度、統合幕僚会議が中心となりましてその年度ごとの武力攻撃事態等が生起した場合の対処計画としての総合防衛計画をつくりまして、さらに三自衛隊の防衛計画を調整してその整合を図っているところでございます。
 ところが、ただいま委員から御指摘のような懸念が持たれるというようなことも私たち時々耳にするわけでございますが、この点につきましては実は現象面といいますか、で見ますと、三自衛隊がそれぞれの特性に応じた機能を持っているものでございますから、すなわち陸上自衛隊でありますと主として着上陸侵攻対処機能、海上自衛隊でありますと主として海上交通の安全確保機能、航空自衛隊でありますと主として防空機能というようなものを保有しそれを運用するということが目につくものでございますからそういう御議論もあるのかと思いますけれども、私どもといたしましては統合運用の実が上がるように、またそれぞれの防衛構想にそごを生ずることのないようにこれからも気をつけていきたい、かように考えております。
#303
○田渕哲也君 終わりに、一層効率的な防衛のためにもこの三自衛隊の機能面の統合化といいますか、これまででも補給面での統合化とかそういうことが行われてきておると聞いておりますが、さらにこれを進めて、同種装備あるいは器材の共通化、あるいは通信などの共通化、それから情報の共通化、こういったことを一層進める必要があると思いますが、この検討は行われておるかどうかお伺いします。
#304
○政府委員(日吉章君) 全くただいま委員御指摘のような問題意識を持っておりまして、そのような検討も進めかつその方向で努力しているところでございます。特に最近の私たちの問題意識といたしましては、総合的な情報処理体制の確立が図れないかというところで、情報関係組織のあり方について鋭意検討を進めているところでございます。
#305
○田渕哲也君 終わります。
#306
○委員長(板垣正君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございません
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#307
○委員長(板垣正君) 御異議ないと認めます。
    ─────────────
#308
○委員長(板垣正君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、八百板正君及び大島友治君が委員を辞任され、その補欠として谷本巍君及び片山虎之助君が選任されました。
    ─────────────
#309
○委員長(板垣正君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#310
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、防衛庁職員給与法一部改正案に反対討論を行います。
 反対の第一の理由は、本改正案によって創設される若年退職者給付金制度によって必要な財源は、一九九六年には六百億円を超えることになり、将来にわたって軍事費増大の一因となることは明らかであるからです。
 世界は軍拡から軍縮の流れになっており、我が国政府が軍拡の口実としていたソ連脅威論が崩壊したにもかかわらず、政府は報道によれば二十三兆五千億もかけて相変わらず大軍拡すなわち次期防策定作業を推進しています。今回の措置によって自衛隊の強化を図るのは、まさに世界の流れに逆行するものと言わなければなりません。
 反対の第二の理由は、本法案は自衛官の若年定年制、年金財政の逼迫の解決策として提案されたものでありますが、全額国庫負担により救済し、自衛官のみを特別に優遇するものであるからです。
 我が党は、一般的に言えば、労働者が国の政策によって若年で退職を余儀なくされる場合、退職後の生活について国が責任を負うことは当然と考えます。ところが、元国鉄労働者の場合、国鉄の分割・民営によって清算事業団はもとより、多くの労働者が若年での退職を強制もしくは余儀なくさせられました。鉄道共済も破綻しています。これらによってもたらされた不利益をすべて旧国鉄、現JR労働者の犠牲と、年金については何の関係もない他の年金組合の組合員の負担によって切り抜けようとしています。一方でこのような犠牲を強いながら、自衛官についてこのような手厚い保護をするいかなる理由もありません。しかも、政府は今回の制度を他の公務員に広げる意図はなく、将来とも自衛官にのみ適用される特別の制度であることも私に対する政府の答弁の中で明らかになっています。加えて、これが軍人恩給に道を開く危険性を持っていることを指摘しておかなければなりません。
 日本国憲法の容認しない自衛隊に対して、このような特別扱いは到底認めることはできないことを強調し、反対討論を終わります。
#311
○委員長(板垣正君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございません
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#312
○委員長(板垣正君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 防衛庁職員給与法の一部を改正する法率案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#313
○委員長(板垣正君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 山口君から発言を求められておりますので、これを許します。山口哲夫君。
#314
○山口哲夫君 私は、ただいま可決されました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、検討の上善処すべきである。
 一 自衛官に対する若年定年退職者給付金制度は、やむを得ない特別の措置であり、将来は、自衛官の再就職の実態を踏まえ、給付金の調整方法を含め改めて再検討すること。
 一 今後の高齢化社会に向けて、自衛官の定年制度について不断の見直しを行うとともに、職業訓練の充実など再就職の条件整備に努めること。
 一 公務により人命救助等の活動に従事することによって、負傷又は殉職した自衛官に対する補償のあり方について改善を図ること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#315
○委員長(板垣正君) ただいま山口君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#316
○委員長(板垣正君) 多数と認めます。よって、山口君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、石川防衛庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。石川防衛庁長官。
#317
○国務大臣(石川要三君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を踏まえまして十分検討いたしたいと存じます。
#318
○委員長(板垣正君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#319
○委員長(板垣正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#320
○委員長(板垣正君) 次に、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。塩崎総務庁長官。
#321
○国務大臣(塩崎潤君) ただいま議題となりました国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 本年三月二十三日、人事院から国家公務員法第二十三条の規定に基づき、国家公務員災害補償法の改正に関する意見の申し出が行われました。この法律案は、この人事院の意見の申し出を踏まえ、国家公務員災害補償法について所要の改正を行おうとするものであります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、年金たる補償の額の算定の基礎として用いる平均給与額について、年度ごとに四月一日における職員の給与水準の変動に応じて計算する完全自動給与スライド制へ移行することといたしております。
 第二に、療養の開始後一年六月を経過した職員の休業補償に係る平均給与額については、その職員の年齢に応じ人事院が定める最低限度額を下回り、または最高限度額を超えるときは、それぞれ当該最低限度額または最高限度額をその職員の平均給与額とすることといたしております。なお、この最低限度額及び最高限度額は、労働者災害補償保険制度において用いられる額を考慮して人事院が定めることといたしております。
 以上のほか、この改正案におきましては、関係法律の規定の整備等を行うことといたしております。
 なお、以上の改正は、平成二年十月一日から施行することといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
#322
○委員長(板垣正君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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