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1990/06/26 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 内閣委員会 第11号
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1990/06/26 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 内閣委員会 第11号

#1
第118回国会 内閣委員会 第11号
平成二年六月二十六日(火曜日)
   午前九時四十五分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十五日
    辞任         補欠選任
     大島 友治君     須藤良太郎君
     八百板 正君     小川 仁一君
 六月二十六日
    辞任         補欠選任
     名尾 良孝君     井上  孝君
     翫  正敏君     深田  肇君
     野田  哲君     穐山  篤君
     中川 嘉美君     太田 淳夫君
    ─────────────
   委員長の異動
 六月二十六日板垣正君委員長辞任につき、その
 補欠として井上孝君を議院において委員長に選
 任した。
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         板垣  正君
    委員長         井上  孝君
    理 事
                大城 眞順君
                高橋 清孝君
                小川 仁一君
                山口 哲夫君
                吉川 春子君
    委 員
                岡田  広君
                須藤良太郎君
                田村 秀昭君
                名尾 良孝君
                永野 茂門君
                村上 正邦君
                穐山  篤君
                翫  正敏君
                角田 義一君
                野田  哲君
                深田  肇君
                三石 久江君
                太田 淳夫君
                中川 嘉美君
                吉岡 吉典君
                星川 保松君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       内閣総理大臣   海部 俊樹君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  塩崎  潤君
   政府委員
       内閣官房内閣内
       政審議室長兼内
       閣総理大臣官房
       内政審議室長   公文  宏君
       宮内庁次長    宮尾  盤君
       宮内庁長官官房
       審議官      河部 正之君
       皇室経済主管   永岡 祿朗君
       総務庁長官官房
       長        山田 馨司君
       総務庁行政管理
       局長       百崎  英君
       防衛庁参事官   内田 勝久君
       防衛庁防衛局長  日吉  章君
       防衛施設庁施設
       部長       大原 重信君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
       経済企画庁調整
       局長       勝村 坦郎君
       国土庁大都市圏
       整備局長     三木 克彦君
       外務省北米局長  松浦晃一郎君
       外務省欧亜局長  都甲 岳洋君
       外務省経済局次
       長        須藤 隆也君
       大蔵大臣官房審
       議官       石坂 匡身君
       大蔵省主計局次
       長        藤井  威君
       厚生省児童家庭
       局長       古川貞二郎君
       自治省行政局公
       務員部長     滝   実君
       自治省行政局選
       挙部長      浅野大三郎君
       自治省財政局長  持永 堯民君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        原   度君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○臨時行政改革推進審議会設置法案(内閣提出、衆議院送付)
○日本国憲法第八条の規定による議決案(内閣提出、衆議院送付)
○国の行政情報の公開に関する請願(第四号)
○暮らしと福祉の切捨てにつながる軍備の拡大反対に関する請願(第一〇八号外一五件)
○国土地理院の職員に対する普通旅費の支給に関する請願(第五五六号外一七件)
○元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する請願(第七五〇号外八件)
○傷病恩給等の改善に関する請願(第八三〇号外一一件)
○扶養手当の改善に関する請願(第二二八二号外一件)
○継続調査要求に関する件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○委員派遣に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(板垣正君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十五日、八百板正君及び大島友治君が委員を辞任され、その補欠として小川仁一君及び須藤良太郎君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(板垣正君) 前回に引き続き、臨時行政改革推進審議会設置法案を議題とし、これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○山口哲夫君 大変早朝から総理、御苦労さまです。
 きょうは、行政改革に関連をいたしまして、今行われている日米構造協議の中の特に公共投資の問題に関連して質問をしてみたいと思います。
 我が国は大変な経済大国になったわけでありますけれども、しかし国民生活の方を見ますと、住宅の方はウサギ小屋に住んでいると言われておりますし、それから下水道とか公園については先進
諸国に比べて大変立ちおくれていると思います。政府の方はこの公共投資の問題については、これまでの状態を見ますと、景気が悪くなったときに景気刺激策として行われてきたように思うわけです。それではなかなか我が国のいわゆる社会基盤の整備というのが進まないんじゃないだろうか、こんなふうに思うわけでございまして、ぜひ日米構造協議に関連する公共事業の拡大については、インフレに十分注意しながらも積極的に私どもとしては行ってもらいたい、こんなふうに思うわけであります。
 本来、この日米構造協議の中でアメリカ側から指摘されて公共事業を拡大するというのはおかしいわけでありまして、経済界が今非常に好景気に恵まれて利益も拡大しているわけですから、そういうときにこそ公共事業というものを積極的に拡大するべきではないだろうか、こんなふうに思います。
 ただ問題は、公共事業を拡大するに当たっての財源の問題でありますが、これまでのように国債を大量に発行したり、あるいは社会保障とか教育費の削減を行うだとか、そういう形で公共事業を拡大されては大変困るわけであります。幸い、行革に基づきまして民活導入が進められまして、その結果非常に経済界は大きな利益を上げたわけでございますので、この際、土地増価税などを含む土地の保有課税を中心に、またキャピタルゲインだとかあるいはそのほかたくさんの不公平税制がありますので、そういうものを財源といたしまして公共事業の拡大を積極的に図っていくべきだろう、私はこう考えておりますけれども、それに対する総理のお考えを述べていただきたいと思います。
#5
○国務大臣(海部俊樹君) 公共事業につきます考え方は、今御指摘がありましたように、おくれている社会資本を充実させることによって国民生活の質を高めていきたいという願いで、これは日米経済構造協議が始まってからやり始めたという問題ではないわけでございまして、きょうまでも政府は中長期計画をいろいろ立てながらそれなりの努力を続けてきたところでございますけれども、今回の構造協議では、最終報告をめぐってまさにきのうきょう公共投資の問題が焦点になっておることは事実でございますし、私の方も、今委員から御指摘がありましたように、インフレにならないように十分配慮をしながら、その中でできる限りの政策努力をしていかなければならないという基本的な立場を持っておるところでございます。
 さらに今、御説がありました土地保有税とか土地増価税を財源としたらどうかという御趣旨の御発言でありましたけれども、各年度の公共投資の水準やその財源をどうするかということにつきましては、各年度の予算編成過程におきまして、財政事情や経済情勢等を勘案しながらその都度慎重に検討してまいるものでございますけれども、今回はいずれにしても過去の実績、過去の積み重ねの上に立脚しまして思い切った規模で社会資本の充実には意を用いていきたい、こういった考えで取り組んでおります。
 そして、今般の土地税制の見直しは増収を目的として行っておるものではございませんので、今税制調査会で鋭意御検討をいただいておりますけれども、土地税制の見直しの本来の目的は、資産に対する適正な課税と土地政策の一環としての土地税制という二つの視点から進めていくべきものであると基本的には考えさせていただいております。
#6
○山口哲夫君 今総理は、日米構造協議によって公共事業の拡大を図るものではなくして、これまでもやってきたと言うんですけれども、これまでの公共事業の総額というのは大体二百七十兆円程度です。今度はそれが一躍四百十五兆円から三十兆円くらいに膨れ上がるんですから、今度の構造協議の中でそれこそ初めてと言っていいくらい公共事業が拡大されるわけでございます。これは紛れもない事実だと私は思っているわけであります。それだけに大変な財源を必要とするわけであります。ですから、今総理のお答えでは、土地増価税等については必ずしも増収を考えているんではない、そういうことになりますと、これだけ拡大する公共事業の財源はどうしてもやはり今までと同じように国債の増額になっていくんではないだろうか。
 せっかく行政改革の中で赤字国債の発行だけは何とか抑えることが今までできたわけです。ですから、今のような総理のようなお考えでやっていくならば、また我が国は大変な財政の苦しい状態に追い込まれるわけです。ですから、経済界が非常に、今利益を上げているわけですから、そういうことを中心とした財源、今言ったように土地保有税などを中心とした財源をもっと拡大をして、それを中心にして今度の公共事業を拡大していかなければ、これは我が国の財政はもうもたなくなるのではないでしょうか。ぜひひとつそこのところを、予算の中で検討したんではこれはもう間に合いませんので、今からそういう腹を総理としてお決めいただかなければならないだろう、そう思うわけであります。
#7
○国務大臣(海部俊樹君) 最初に申し上げましたように、社会資本の整備というものは中長期的な重要課題とまず受けとめております。
 一方、我が国の財政につきましては、巨額の国債残高を抱えておりますので、高齢化社会に多大の負担を残さないよう国債残高の累増の抑制を図っていくということも重要な政策課題と心得ております。この観点から、特例公債発行下において続けられてきた建設公債を公債発行限度額いっぱい発行する財政運営については早急にこれを是正して、社会資本整備の財源として税財源を充当して公債依存度を引き下げていく必要があると私どもは考えておるわけであります。いずれにしましても、各年度の公共投資の水準やその財源をどうするかということについては、予算編成過程において財政事情や経済情勢を勘案しつつ慎重に検討してまいりたいと考えております。
 税負担の公平確保は、税制に対する納税者の信頼を得るために最も重要な理念の一つでございますから、政府はこの点について従来から努力を重ねてきたところでありますけれども、御指摘の株式売却益に対する課税については先般の税制改革において従来の原則非課税から原則課税に改められたところでありますし、また土地税制につきましては、土地基本法に示された基本理念にのっとりまして土地に関する施策全体を踏まえた上で税負担の公平の確保を図りながら、取得、保有、譲渡などの各段階における適正な課税のあり方について総合的な見直しを行いたいとしておりまして、税制調査会の土地税制小委員会においてただいま検討をいただいておるところであります。
#8
○山口哲夫君 答弁が大変矛盾していらっしゃると思うんです。公債残を減らしていかなければならない、そこに努力をしたいということをおっしゃいました。そういうことをお考えになれば、当然片方それにかわるべき財源としては、今言ったような土地の保有課税というものを大幅にふやしていかざるを得ないと思うわけであります。その点ひとつ十分今後財源については配慮をしていただきたいとお願いしておきたいと思います。
 それから、この公共事業を進めますと、公共事業の大体七五%は地方自治体が実際には執行しているわけでございます。そうなりますと、地方財政の中では公共事業の補助率をこれまで下げられてまいりました。それが現在まだ復元されていないわけであります。そこへもってきて今度の大幅な公共事業ということになりますと、一体地方財政はどうなるのかという心配があるわけであります。地方自治体にとっては、仕事はぜひ住民の福祉のためにやりたい、しかしかわるべき財源は一体どうなるのかという、その財源のしわ寄せが自治体に押し寄せてこないかという不安もあります。
 この公共事業の枠を決めるに当たりまして、アメリカと日本が協議をする。しかし、それと並行しまして、自治体と国との財源の配分は一体どうなるのかというようなことは当然私は並行してやるべきことではなかったんだろうかと思うわけで
あります。アメリカとの枠を決めてしまって、国と自治体との持分とかそういうものは後回しだということになりますと、大変自治体としては不安が残るわけでございまして、ぜひ地方財政には一切今後しわ寄せをさせないという、そういった方針を決めていただきたい、こう思うわけでありまして、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
#9
○国務大臣(海部俊樹君) 地方財政に関しましては、その運営に支障を生ずることがないように配慮しなければならないと考えますが、各年度の地方財政計画を適正に策定しているところでありまして、引き続き公共投資に必要な経費を含めて、地方財政については各年度の地方財政計画の策定を通じて適切に対処してまいる方針でございます。
#10
○山口哲夫君 ぜひ自治体にしわ寄せのないように御配慮をいただきたいと思います。
 それでは、次に次期防の問題でございますけれども、私は今我が国が軍縮を行うことが行革の最大の課題だろうと思うのでございますけれども、御案内のとおり、米ソの冷戦時代の終わりを迎えまして、ソ連のゴルバチョフ大統領もアジアの軍縮についても思い切った政策を打ち出していることは事実であります。
 それで、アジア・太平洋はこれからどんどん軍縮の時代に入る。それは、アメリカ側としてもそれにこたえる用意をしているわけでございます。そういうときに、来年ゴルバチョフ大統領も日本にいらっしゃるわけでございますけれども、世の中が今全部軍縮の時代に向かっているときに我が国がなぜ次期防を、しかも二十三兆四千億とか言われておりますけれども、今までの五兆円も大幅にふやすような次期防を作成しなければならないのか。世の中の動きというものを十分把握しながら、少なくとも一、二年はぜひ次期防の策定を見合わせるべきだ、今そういう時代ではないだろうか、私はこう思うのでございますけれども、次期防策定の延期を一、二年するべきであるという考え方に対するお考えをお示しいただきたいと思います。
#11
○国務大臣(海部俊樹君) 米ソの対立が今冷戦時代の発想を乗り越えつつあるということは私も率直にいい方向を目指しておると認識しております。
 ただ、これは終わってしまったものじゃなくて、進行形現在というのですか、進みつつある方向に向かって、米ソの首脳会談も行われましたけれども、その結果についてはヨーロッパでは非常にわかりやすい、NATOとワルシャワ条約機構という仕組みもありましたし、それを通じての軍備管理や軍縮を目指しての動き等も出てきておること、これは率直に私は評価したいと思っております。
 それから、アジアにおきましては、いろいろな関係からいって複雑にいろんなものが入り組んでおりますから、ただ単に東西の対決、対立が終わったという図式だけで、ヨーロッパと同じようにアジアにも手のひらを返したように平和と安定が来たということはまだ断言できない不安定、不透明な点もいろいろ残っておると思うんです。しかも、アジアには地域ごとにいろいろな理由がございます。例えば朝鮮半島をめぐる対決の問題や、あるいは今なお戦争の火種が残っておるカンボジアの問題にしましても、東西の対立という図式では割り切れない問題でございます。また中国も、一体東西のどちらに属している国なのかということになると、これまた極めて不透明な問題であります。
 私は、そういった意味で、アジアにおける一つ一つの平和と安定のための努力を続けて、アジアの平和と安定を確実なものにしていくための努力を今後も日本は積極的に行ってまいりますけれども、我が国の平和と安全をきちっと確保していくということはまた我が国自身の立場にとっても極めて大事なことだと思っております。
 したがいまして、今日までは平和時における節度ある防衛力の整備ということで作業をしてまいりましたが、平成二年度の予算において一応の区切りを見るわけであります。したがいまして、平成三年度以降の我が国の防衛力整備の問題に関しましては、国際情勢の変化とか経済情勢とか財政情勢とか、いろいろな状況を踏まえまして、今後安全保障会議の場で議論を続けてまいりたい、こう思っておるところでございますので、ただいまの御質問のいろいろな問題等も留意しながら、我が国の平和と安全のために節度ある防衛力の整備はいかにあるべきだろうかという根本問題についてもよく議論を続けていきたいと思っております。
#12
○山口哲夫君 アジアの平和に向かっている状態等について議論したいところですけれども、最後の時間でございますのでそれは省略いたしますけれども、少なくともニューヨーク・タイムズの中でも、ソ連がアジアで平和攻勢をかけている、極東で二十万人の軍隊を一方的に削減するというゴルバチョフの提案もある、太平洋艦隊を三分の二に削減するという物すごい大幅な軍縮を考えているわけでありまして、そういう背景の中で来年ゴルバチョフ大統領が日本に来るわけです。大幅な軍縮を恐らく提案してくるでしょう。そのときに我が国が五兆円も今までよりふえた次期防を策定しているということは、何か我が国だけが軍拡の方向に向かっているという印象はこれはもうぬぐい去られないと思うんです。
 私は、次期防を一年、二年先延ばしすることがこれからの日本の防衛に何ら支障はない、今こそ一、二年は延長してしっかりと国際情勢、アジアの情勢をきちっと把握した上で策定をするべきものである、そういうふうに考えております。そのことを特に念頭に置かれまして御検討いただくことを強くお願いして、私の質問を終わります。
#13
○三石久江君 私は、大変女性に理解のある海部総理に質問いたします。
 総理は施政方針演説の中で、「人口の高齢化の問題で忘れてはならないのは、高齢者がふえていくという側面だけでなく、我が国においては、誕生する子供の数の減少が進んでいることであります。出生数の減少は、我が国の将来にさまざまな問題を投げかけるものであります。若い人々の子供を持つ意欲を積極的に支えていくことに、日本の未来をかけて努力していかなければなりません。」と言われました。厚生省が六月九日付で公表いたしました「一九八九年の人口動態統計の概況」によれば、女性の一人当たりの平均出産数はこれまでの最低の一・五七人で、このまま進むと今世紀中に子供人口十四歳以下が老人人口六十五歳以上に追い抜かれると言われています。人口を維持するためには平均二・一人が必要とされているので、人口が減少傾向にあることは明らかですが、このまま推移していいのかどうか、真剣に考えなければならない問題だと思うわけです。
 厚生省の予測では、現在六十歳以上の年金受給者一人を六・四人で支えているのが二十年後では二・四人になるとのことです。この予測は、女性の就労者を低く見ているのであって、必ずしも妥当な数字とは思いませんが、かなりきつくなることは否定できません。
 そこで、このような人口動態の公表以来、各界各層におかれて出生率低下の原因についてかなり深刻な論議が行われています。総理も施政方針演説で、誕生する子供の数が減少していることに言及されていますが、若い人々が子供を持つ意欲を積極的に支えていく具体的な方策をどのように考えられていますか、お尋ねしたいと思います。
#14
○国務大臣(海部俊樹君) 人口構造の変化というものが今御指摘のように大変目につくようになりまして、片方では満百歳を超える方は三千七十八名に達したと言われる。生まれていらっしゃる方は、この間までは一・六六と私言っておりましたが、一・五七と御指摘のとおりに下がっております。去年生まれた子供さんの数がたしか百二十四万人、おととしの方が百三十一万人ということを単純に数字だけ並べてみましても、私は先が思いやられるという本当に心が痛む気持ちを持っております。
 ただ問題は、人間の本当に尊厳に触れる問題で
ありますから、これは物を生産するような発想で物を言うわけにいきません。ですから、お互いに若い人たちが子供を持ってやろうという意欲を持ってくださるような、意欲を持ってそれが当然いいことだと思ってもらうような社会の雰囲気をつくっていかなければならないというのが私の率直な気持ちなんです。
 それにはいろんな政策がございましょう。住宅問題も絡んできましょうし、北欧なんかで行われております育児休業の制度というようなものを、あれを日本の中でも普及を促進していくとか、あるいは男性が母親にかわって育児休業の方につくことも選択として可能であるとか、あるいは子を持つ母親の場合は八時間労働のところを六時間で二時間はあなたは帰ってよろしい、それはお金じゃなくて心の社会保障だというようなことも私は現地で聞かされてきたことがあるんです。そういったようなことを、できる限り何が今可能なんだろうかということをみんなで一回知恵を出して相談して政策努力を高めていくということがやっぱり一番大切なことなんだなということを私は思っております。
#15
○三石久江君 そうなのです。そのことは当たり前のことだと私は思います。ですけれども、それ以前の問題だと思うわけです。別の統計によりますと、夫婦の子供の数は減っていないということです。出生率の低下は、女性が結婚したがらない、また晩婚等が出生率を低下させている大きな要素になっているとある人口問題研究所が分析をしております。それが事実とすれば、そこに重大な問題があるのではありませんか。若い女性は結婚願望はあるわけです。しかし、女性が職業を持ちながら家事、出産、育児を一手に引き受ける大変さと老人介護まで考え、その上、生活自立をしていない男性を考えると、シングルを選ぶというわけです。
 逆説的に言いますと、今すぐ女性は家庭に戻り、男性が家庭経済を全面的に担うことになれば、出生率が容易に二・一人になることは必定です。しかし、日本の現状は、若い男性が一人で家庭を支えることはもう不可能であり、女性が社会から撤退すれば日本経済が成り立たないことは明らかです。
 戦後、私どもは女性の権利並びに地位向上の運動をしてまいりました。また、世界的にも国連の女性の十年などによってひたすら女性の地位向上を目指し、性別役割分担の固定化を否定してきましたが、なかなか男性社会においては理解されなかったのです。今や女性の存在を無視して行政、経済ともに立ち行かなくなったことは言うまでもありませんが、さらに性別役割分担のあしき慣習が今日の事態を引き起こした大きな原因だと思いま。
 さて、人口動態に示されました出生率の低下がなぜかくも予想以上に早まったかを考えますと、直接的には女性の非婚、晩婚、少産化でありましょう。さらにその原因を追求すると、結局は今の社会の男女不平等に行き着くのです。
 総理は、施政方針演説で、出生数の減少を認め、若い人々の子供を持つ意欲に期待をかけて効果的な環境づくりを進める決意を述べておられますが、それを女性のみに向けておられるのは誤りだと思います。
 総理は施政方針演説で言われました。女性が職業生活と家庭生活を調和させつつ、男性とともにその能力と経験を生かすことのためと言っておられますが、女性だけでは片手落ちなのです。私は、男性も女性もともに職業生活と家庭生活を調和させつつ、男女ともに能力と経験を生かすことができるよう、各種制度、慣習など社会環境の確立を積極的に図らなければならないと思います。とりわけ、育児休業が女性のみに認められるような法律であれば、育児の責任は依然として女性にかかるのは当然であり、出産、育児の大変さを考えれば結婚に踏み切れないのは当然ではありませんか。男性にも育児休業が認められることになれば、自然と性別役割分業の慣習が破られていくように思いますが、いかがでしょうか。
 また、家庭、育児すべてにわたって女性のみの役割ではなく、夫婦の共同作業であることを社会的に定着させることが必要であり、そのためには従来の男性社会中心に展開されてきた慣習からの脱皮を図るためにも、行政は謙虚に規則、法律を見直す必要があると思うわけです。
 未来を担う子供の数が減るのはもはや女性の問題ではなく、日本の将来を左右する重大な問題になっていることに思いをいたすべきであります。この数年来の出生率の低下を見るとき、このまま放置すればさらに低下の歯どめがきかなくなるでしょう。
 女性がでなく、若い男女が伸び伸びと生活できる環境をつくるためには、育児休業はもとより、公的、私的保育園の整備充実、場合によっては子育てが終わってからも再就職ができる制度などが必要であり、一時的に相当の経費がかかるとしても、人口を維持し、女性の勤労者数をふやすということで年金負担者の確保にもつながり、将来の安定社会への展望が開かれるのではありませんか。総理の御所見を伺いたいと思います。
 なお、臨調、行革審、新行革審と行政改革について九年間の成果の中に長期的な人口見通しが欠けていたことはまことに残念なことであり、その原因の一つに委員中に女性を入れなかった、が挙げられると思います。新委員には、委員を決定するのは総理ですから、一人と言わずぜひ二名以上の女性の登用をお願いしたいと思います。あわせて総理の御所見を伺いたいと思います。
#16
○国務大臣(海部俊樹君) お言葉を返すようで申しわけありませんが、委員は私の考えや立場をいささか誤解をされておるようでございますが、最初の答弁でも申し上げましたけれども、私は、男女同権で、男女がともに家庭を支えていかなきゃならぬということを基本的に思っておりますから、例えば育児休業のことでも、男性の方にその能力があったならば、話し合って奥さんは勤務に出られ男性が育児をしてもいいではないかという気持ちを私個人としては率直に持っておりますので、そのことはここのお答えの中でも申し上げたはずでございますから、どうぞそのように見ていただきたいと思います。
 また、女性が結婚したがらない、あるいは晩婚になられたから出生率がどうだという御指摘については、私は、平均寿命がこれだけ延びてきておりますのである程度晩婚になられるのもそうかなという、何にも理由はわかりませんけれども、漠然とした気持ちを持っておりますし、結婚したくないという人に結婚しろというのは、これは私の主義に反するわけでありますので、あるがままの事実ですから、そういったことも踏まえて、人間の尊厳に触れる問題でありますので、機械で物をつくるように子供さんをつくってくださいとだけ言うのではいけないという基本的な気持ちは最初に先生にお答えで申し上げておるわけであります。
 それをどうしたらいいかということでいろいろ考えました。その結果が申し上げたことでございますので、これは各党、皆さんそれぞれ御意見、御議論あろうと思います。そういった御意見、御議論をいただきながら、若い人が子供を持とうという気持ちになってもらうような環境、雰囲気を醸成できる、そんな政策努力をしていきたいという気持ちを持っておりますので、これからもこの出生率の問題に心を痛めながら、もっと大きくは家庭のあり方というもの、男女平等というもの、そういったものについて真剣に研究、検討をさせていただきたい、このように考えております。決して女性だけにすべてを任せ、女性だけにすべてをお願いしてしまって横を向いておろうというような気持ちは毛頭ありませんので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
 なお、法律を通していただきましたならば、第三次の行革審に入るわけでございます。いろいろな点を踏まえて、人選等の問題については法律が通りましてから十分御意見も踏まえながら処置をしていきたい、こう考えております。
#17
○三石久江君 終わります。
#18
○翫正敏君 第三次行革審の設置法案に関連して総理に御質問いたします。
 私は、今最も行革すべき、行革が必要なのは第一に在日米軍であり、日米安保の軍事同盟的な側面というものをこそ最も行革すべきである、このように考えております。また、我が国の軍備につきましても、自衛隊の軍隊的側面というものの行革が必要である。自衛隊にも災害出動、災害派遣というような私の考えや立場に立っても必要不可欠なものもあるわけでございますが、自衛隊の軍隊的側面の行革が必要である、このように考えております。そこで、安保、自衛隊の行革が必要な理由を若干申し上げつつ、総理の所見をお伺いしたいと思います。
 まず、ミッドウェーの火災事故が日本近海で発生いたしまして、非核三原則及び事前協議制に関しまして国民の疑惑が一段と大きくなっている今日の状況であります。さかのぼれば、ラロック発言があり、ライシャワー発言がありました。そして空母タイコンデロガの水爆水没事故がありました。その都度、政府は、事前協議制があるから大丈夫だと言い続けてきましたが、今や政府の答弁を聞いておりますと哀れを感ずるわけであります。そして喜劇的ですらあると私は感じます。
 タイコンデロガ事件の資料も事前にお渡しをしてございますけれども、服部学先生が書かれました「事件の教訓」というこの資料もお渡ししてございますが、こういうものについても、非核三原則があるから、事前協議制があるからという答えだけで政府が切り抜けようとしてきた、国民の疑惑を本当に晴らす対応策をとってこなかったということが、今日のミッドウェーの火災事故でまた国民の大きな不安を招いていると私は思うので、この非核三原則に関する国民の疑惑を晴らすための具体的対応というものをどのように考えておられるか、外務省が今までこの場でお答えになられたような壊れたテープレコーダーを聞くようなものではなく、具体的な、政治的な総理のお考えを述べていただきたい、そう思います。
#19
○国務大臣(海部俊樹君) 日米安保体制の中の自衛隊の軍事的側面を真っ先に行革してしまえという最初のくだりですけれども、私がちょうど国会に議席をもらいましたのが昭和三十五年でありまして、改定安保条約のスタートと同じときでございました。以来きょうまで、一日たりとも現実に平和を奪われなかったという、我が国の安全を確保し続けることができたということに私は大きな存在の意義を見出しております。
 同時に、我が国が現実に平和を守ってくることができたというだけではなくて、日米安保の枠組みというものがアジア地域の平和と安定にも役立っておるものである、私はこう思っておりましたが、つい二週間ほど前、テレビのサテライトを通じて、アジアの国々の首脳と私も出席をしてテレビの討論会というか、対談会というのをやりました。
 そのときに、例えばシンガポールのリー・クアンユー首相とかアジアの人々は、日本は日米安保条約をこれからもずっと維持していくがいい、それは日米安保条約があったがために、アメリカが東西対決の全面で二カ二分の一戦略と言われるほど、自国の防衛をはるかに超える二正面作戦、一地域作戦が同時にできるぐらいの軍事力を持ちながら平和と安定を守ってきたんだと。もしこれが、今一部で言われるように、日本が安保条約をアメリカとやめるというようなことがあるとすれば、アジア地域の人々は大変な懸念を持っておる。それは経済力のほかに新たな脅威が出てくるんじゃないか。せっかく平和と繁栄をきちっと秩序づけておる枠組みがあるんだから、そのもとにおいてやってほしいということを全世界の人の聞いておるテレビのセッションでも言われるわけであります。
 そこにアジア近隣諸国の見ておる考え方、日本の自衛隊を決して脅威と思っていない考え方、空白地帯をつくらないで、日本が専守防衛で責任を持ってみずからのことだけはきちっとでき得る限り処置をしていくということ、それらの果たしてきた役割をそれなりに評価をされておるものだと私は私なりに受けとめております。
 同時に、安保条約の中にはおっしゃったような軍事的側面のみならず相互協力に関する条約という条約の題名もあるわけでして、しかも第二条には経済協力やお互いに自由な制度をもっと発展していくとか、お互いに福祉の条件をもっと向上させていくとか、そういうようなことについて努力をしようというようなことも明確に出ておるわけで、それに基づいての交流でありますから、私は、日米安保条約の果たしてきた安全保障の面と、自由な制度、経済の豊かさ、そして福祉の条件を向上させるという条約に書いてある目的に向かってもそれなりの効果を上げてきた。アジア近隣諸国にも今言ったように安定感を与えておるということは事実でありますから、そういった評価をしておるというのが大前提でございます。
 それから、具体的なお話につきましては、これはきょうまでのいろいろの経緯とかアメリカとの間のやりとりその他がございますので、事前協議その他については担当局長からお答えをいたさせます。
#20
○翫正敏君 担当局長の話はわかりました、この間聞きましたので、いいです。非核三原則の問題について、事前協議の問題については、壊れたテープレコーダーのような話を聞いてもしようがないので、結構です。
 事前にこの米軍機の超低空飛行問題全国調査の資料もお上げをしてありまして、前回も質問しましたが、沖縄を中心とする在日米軍基地をめぐるさまざまな問題が一層深刻化している状況だと思います。この調査結果を見まして、前回も御質問申し上げましたが、最近の状況では、米国自身が自国本土に演習場をつくろうとしても住民から強い反対を受けてこれができないというような、そういう御時世というものになっているわけであります。こうした軍事基地をめぐる実態を踏まえ、さらには総理が六月二十三日に沖縄を訪問されました。現職総理として初めて訪問されたということに私は大変敬意を表したいわけでありますけれども、そういうお立場に立って、今後の日米関係のあり方についての所見をお聞かせ願いたいと思います、
 なお、駐留米軍経費を日米地位協定を改定してまで大幅増額するという政府の姿勢は時代錯誤も甚だしい、このように思います。米軍や自衛隊基地周辺住民のさまざまな基地被害の補償というものをまず先に解決すべきだ、このように思うところであります。
 さらにもう一点お聞きをしますが、この第三次行革審の設置というものと、それから日米構造協議が今進められております。この問題と、そして日米安保条約の第二条のいわゆる経済協力の促進の項目、この三つの項目については関連性というものがあるのかないのか。あるとするならばどのような関連性があるのか。国民としてどう受けとめればよいのか。それをお示し願いたいと思います。
#21
○国務大臣(海部俊樹君) 米軍の基地整理統合の問題につきましては、本年二月にチェイニー国防長官が日本へ来て私と会談しましたときも、私は、当時から沖縄県では西銘知事がアメリカまでわざわざ行かれたり、また地元皆さんの要望として整理統合の問題が出ておることを踏まえて、でき得る限りこれは沖縄県の県民の要望も踏まえて対応してほしいということを国防長官にも伝えております。
 その結果、たしか十九日だったと思いますが、いろいろ日米合同委員会で協議の結果、たしか二十三の施設について、面積は千ヘクタール程度であったと思いますが、返還に向けて所要の調整、手続を行っていくということが確認できました。すべてこれで解決ではありませんけれども、私はそれなりの県民の皆さんの要望を踏まえての一歩前進であったと、こう受けとめておりますので、今後ともそれらの問題については、整理統合については積極的にお話を進めていかなければならないという気持ちを持っております。
 また、日米経済構造協議と、それから安保条約の二条と、それからもう一つ……
#22
○翫正敏君 今の行革審の法案。
#23
○国務大臣(海部俊樹君) これは、それぞれ条約の名前もあれも違いますけれども、大きく言えば、第二条というのは日米両国の経済協力、そして自由な制度の発展のためにということが基本的に書いてあるわけでありますから、大きな枠組みの中でいくと、日米安保条約の第二条の趣旨を踏まえて、日米両国がそれぞれ世界で四〇%近い経済力を負担する大きな責任のある国でありますから、お互いに話し合って協力をしていかなきゃならぬということでありますから、SIIというものの当面起こった問題は、貿易インバランスの是正というところに目標がありますが、しかしこれは無関係というものではない。
 また、行革審の方ももちろんそういったことを促進しなさい、開かれた制度をつくることは国民生活の質を高めることにも役に立つという願いを込めての答申でありますから、三つともそれなりのところで相交わる、関連性があると私は受けとめております。
#24
○翫正敏君 もう一点だけ質問させていただきますが、先ほど山口委員からもソ連のペレストロイカや、いわゆる意図という問題についての質問がありましたが、私は、政府はもっとソ連のペレストロイカについて積極的に評価をすべきであると思うわけです。経済問題が直接の動機になってペレストロイカが起こったということは間違いがないと思いますが、しかし民主化と言われているものの中身というのを注目してみますと、それはむしろ脱イデオロギー化と呼ぶものであって、資本主義か社会主義かというような体制の選択を超えた全人類的課題の重大性というものが訴えられていると思います。
 核兵器を今世紀中に廃絶するという訴え、そして地球環境を守るために全人類は協力すべきだというような訴え、そして大統領就任演説における四つの自由の尊重という訴え、こういうゴルバチョフ氏を中心とするソ連国民のいわゆる意図の変化というもの、こういうことはもはや疑うべきものではないと思いますので、ソ連の脅威、潜在的脅威というようなことを政府はおっしゃっておられるわけでありますけれども、そういうものが基本的に変わったという立場に立って我が国の軍備縮小、これを断行すべきである。これが行革の第一の課題である、このように思います。このソ連の呼びかけにこたえる政治決断を期待したいところであります。
 もう一点申しますと、防衛計画の大綱が昭和五十一年にできましたけれども、この見直しの問題につきましても、きのうもちょっと別の委員会でお答えになったようでありますが、私も質問したいのでお願いいたします。防衛計画の大綱の見直しというものは基本的に今後していくと、こういう御決意かどうか、お願いしたいと思います。
#25
○国務大臣(海部俊樹君) ソ連のペレストロイカについては私はその方向性を正しいものと認識をいたしております。ただ一点違いますところは、民主化そして自由化、自由市場経済体制というものをソ連はやっぱり志向しておるんじゃないでしょうか。だからこそ昨年の十一月も、ことしの四月も、モデルにすべきは市場経済だ、日本の経済の復興したあり方や現在の経済の仕組みについて調査研究したい、日本も積極的に経済調査団を受け入れて日本のあり方を十分誠意をもって見てもらい、御説明もしました。また、自由経済を守っていく根底であるガットにソ連はオブザーバーとしてでも参加をしたいという表明を出しておられる。
 だから、そういったことは第三の道をつくっていくというんじゃなくて、今東欧に起こっております自由化、そして経済は市場経済、そういったものを認めてそちらの方に移行していこうという政策的軸足の変化があるのではないかと私は率直に見させていただいておりますので、そのようなことに対して知的協力なり、あるいは経済調査団なりいろいろ要請があれば、それは平和条約の問題、北方四島の問題はありますけれども、それを横に置いたり、置き去りにしたりでない限り、拡大均衡の方法で日本はできるだけきょうまでの経験やいろいろな知的交流、御協力は幅広くしていきますよということで去年から始めておるわけでありますから、それはどうぞそのようにお認めをいただきたい、こう思います。
#26
○翫正敏君 大綱の見直しはどうですか。
#27
○国務大臣(海部俊樹君) これは平成三年度以降の防衛計画の大綱をどうするかということは、大綱の取り扱いも含めて国際情勢の変化とか経済財政情勢とか、いろいろなものを議題として、これは安全保障会議できちっと討議をしていこうということで、もう既にこの問題については討議を始めておりますが、簡単でありませんので、慎重に何回かこれから時間をかけて討議を進めていきたい、こう考えております。
#28
○翫正敏君 終わります。
#29
○大城眞順君 まず冒頭に、総理大臣にお礼を申し上げなければなりません。去る二十三日の沖縄県戦没者追悼式への御出席は、現職総理大臣として初めてでございまして、沖縄の戦後史の一ページを飾る画期的な出来事でございました。県民にとっても大変意義深く感激の一日でございました。私個人といたしましても、六十三年以来執念としてお願いし続けた一大懸案事項でございましたので、これ以上の喜びはございません。ここに県民にかわって衷心より感謝を申し上げます。
 そこで総理大臣、このたびの追悼式に対する御感想を簡単にお述べいただきたいと思います。
#30
○国務大臣(海部俊樹君) 日本の国土の中で直接地上戦闘の惨禍を体験された沖縄でありますので、私は二十万余柱と言われる沖縄県民初め日米双方の軍人犠牲者のみたまに、二度とこのようなことを繰り返してはならぬという決意と、沖縄県民の皆さんがそのとき、そしてそれ以後味わわれたであろういろいろな苦痛や御苦労を思いますと、これは本当に申しわけないことであったなという自分自身の強い気持ちもございましたので、率直に追悼式には参列させていただきたいと思って参りました。
 飛行機の中で、実はいただいていった原稿を読み返しながら、私自身何回も思い出して筆を加えながら行きました。二月に沖縄へお邪魔したときに、あのひめゆりの塔の横にできた祈念資料館も生き残った方の直接の御案内で見せていただいて、胸詰まる思いがいたしました。そういった万感を込めて追悼式に参加いたしました。行ってよかったと私は思っております。
#31
○大城眞順君 今後につきましてはそのときどきの総理の裁量にまたなければなりませんけれども、毎年とはいかなくても、数年に一度ぐらいは、遺族や県民を励まし、そしてまた慰めるためにも、定着した形で総理の御出席をいただくべきだと思いますけれども、総理の今回の体験を踏まえた上での率直なお気持ちはいかがなものであろうか、お伺いいたします。
#32
○国務大臣(海部俊樹君) 幸いことしは国会のお許しもいただきましたし、その他の情勢も許してくれましたので、私は喜んで参加をさせていただきました。
 今後のことにつきましては、それぞれのときにそれぞれの方の判断によるべきことかと思いますが、私はでき得れば参加をして心から御慰霊を申し上げるのがいいことではないかと思っております。
#33
○大城眞順君 沖縄の慰霊の日の休日は、地方自治体への権限委譲や地方の独自性の尊重等の立場からも、行革の一環として存続すべきものだと思いますし、またそれが遺族に対し国が差し伸べることのできる最大の愛情であり慰めになるのではないか、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
#34
○国務大臣(海部俊樹君) 慰霊の日の問題につきましては、昨年一月に施行された地方自治法の一部改正によって、沖縄県において土曜閉庁制度を入する際には慰霊の日を職員の休日として閉庁ることはできなくなりました。しかし、沖縄県
においては職員の休日の存廃と慰霊の日の持つ意義とは別のものであるというお考えに立って条例案を昨年六月議会に提案されましたが、継続審議、審議未了、廃案となったことから、これを踏まえて今後の対応を検討しておられると承っておりますし、また二十三日、現地でも知事、議長以下皆さんからのお話も聞いてまいりました。
 いずれにしても、沖縄県における慰霊の日の持つ特別な意義につきましては私も深く認識しておりますので、慰霊の日の取り扱いについては今後沖縄県の意向を十分聞きながら検討してまいりたいと考えております。
#35
○大城眞順君 最後に行革についてでございますけれども、五十六年に臨時行政調査会が発足して以来、第一次、第二次と九カ年経過してまいりましたけれども、その成果につきまして総理はどのように評価されておりますか。また、国鉄の民営化を初めいろいろの成果をおさめてまいったと思いますけれども、この第三次行革の中身につきまして、これからではございますけれども、総理の哲学は何かということで、一体テーマはどういったことになるのか、何を諮問し、何を柱としてこれからの行革に当たっていかれるお考えなのか、基本的な姿勢をお示しいただきたいと思います。
#36
○国務大臣(海部俊樹君) これまでの行革は、政府が税金のむだ遣いをやめて国民のためにひたむきに努力をしなければならないという姿勢を示しておるということをまずお認めいただきたいとともに、成果は何であったかと言われますと、思い出すままに申し上げれば、特例公債依存体質からの脱却という財政再建の第一段階をようやく達成することができたということと、また国鉄改革を初めとした三公社の民営化の達成など、各方面で成果を上げてきておると私は思っております。
 しかし、まだまだやらなきゃならぬことがたくさんございます。特に今度は、国際化時代における日本の体質、体制というものを国際化時代にふさわしいように調和させていくにはどうするかということが一つの柱でございましょうし、もう一つは行政の透明性、公正を確保していくということが大切なテーマでございますが、目指すところはそれらを通じて国民生活を質的に向上させていく、豊かさの実感を感じてもらえるような、そんな国民生活をつくり上げていくためにはどうしたらいいかという角度で第三次の行革は取り組んでいただきたい、私は今こう率直に考えております。
#37
○中川嘉美君 大変限られた時間ですので早速質問に入りますが、今日国内はもとよりアメリカを初めとした海外からも、我が国の政治、行政の硬直性という問題、このことが非常に問題視されているわけですけれども、こうした論議が行われること自体、明治維新以来の国家百年の間に築かれてきた我が国の政治、行政の体系に関する抜本的な問い直しと改革が問われていることである、このように思うわけです。ある人が、ある人といいましても総理が御存じの経済学者ですけれども、最近日本は要塞国家ではないのか、すなわち多くの要塞的な分野があって、不公正、不公平が存在するという意味の指摘をしておりますけれども、このことに対する総理の御見解、この辺を伺っておきたいと思います。
#38
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろな御意見がある、そして御批判もあるということを私はよく承知しております。そうして、特に今度の構造協議に直接私も出席して意見を聞いたり述べたりしながら思いますことは、これまで私たちがごく当たり前のことだ、この程度のことは普通のことだと思ってやってまいりました生活の仕組みやあるいは行政のあり方そのものが、実はよその国から見るとこれは不公平ではないか、不公正ではないか、もっとオープンにしろという非常に厳しい指摘があったことも再三ございました。歴史や文化や伝統や生活の態度も違いますから、それぞれ重ねのように合わせたときに皆完全に一致するということは、これは難しいかもしれません。
 しかし、国際化時代と言うなれば、自由と民主主義と自由経済の価値を同じくするんだと、こう言うなれば、なるほどそうだな、お互いに共通の認識が持てる程度のところには歩み寄っていかなければならないだろう、またそれが今後の国際化時代に生きていく日本の一つの使命でもある、こう考えまして、中間報告の取りまとめのとき相当いろいろな面に、制度、仕組みの国際的な横並びといいますか、市場開放といいますか、そういったようなことについても、できることとできないことがございますけれども、できる限りの努力をしながら調和を図っていきたいと努力をしておるところでございます。
#39
○中川嘉美君 もしもこの要塞的分野の存在というものがあるとするならば、やはりこれは変えていかない限り日本はいつまでも経済摩擦の要因と言われること、その事態を免れないというか、こういうことになると思います。きょうのところは時間がありませんので、このことは一応総理に対して問題提起をしておきたい、こんなふうに思うわけです。
 日米構造協議では公共投資が大きな議論を巻き起こして、日本の黒字問題がクローズアップしてきたわけでありますけれども、昨今は我が国のいわゆる黒字有用論、こういったものが出てきたことに対して、総理も御承知のとおり、アメリカから批判の声も上がっております。我が国の黒字は実は民間におけるお金であって、国の財政は大幅な赤字を抱えているわけです。黒字有用論といってもすぐに海外投資できる額は限られているものと言わざるを得ないわけですけれども、この黒字有用論についての総理の御見解を伺っておきたいと思います。
#40
○国務大臣(海部俊樹君) これはOECDの閣僚理事会においていろいろ御議論があって、資金需要の多いOECD地域全体としてより高い貯蓄率となることを必要とし、貯蓄率の上昇は対外不均衡の一層の削減を伴うことが重要との趣旨がOECDのコミュニケに盛り込まれたということは聞いております。
 しかし、これは日本の今の立場で、国際的に見られておる面からいいますと、日本の貿易インバランスを国際的に是正していく努力をすることが今日本には求められておる一つの大きな課題でもございますので、日本の立場でこの黒字有用論を殊さらに掲げたり、必要以上に黒字有用論だけを前へ出していったりするのではなくて、日本としては与えられた使命に邁進しなければならない、あくまでOECDのコミュニケの問題として理解をしていこう、私はこう思っております。
#41
○中川嘉美君 総理も言われましたとおり私自身もこのような有用論、これは海外に向かって声高に言うべきものじゃないんじゃないだろうか、このように思います。
 それで、次に答申で提言している国民負担率、これはどのような高齢化社会を展望するかということが前提となるはずであります。海部内閣はさきの新行革審答申を受けて、諸外国の指摘による対応ではなくて、政府みずからの行動計画を明確にして、具体的かつ抜本的な改革に取り組むべきではないか。特に福祉総合計画などを初め来るべき高齢化社会における中長期ビジョン、こういったものを速やかに策定すべきではないか、こう思いますが、この点についてどのようにお考えか、伺いたいと思います。
#42
○国務大臣(海部俊樹君) 政府といたしましては、福祉十カ年計画あるいはいわゆる福祉ビジョンを策定いたしまして、今後十年間に達成すべき具体的な福祉の姿というものもお示しをいたしておりますし、また閣議で決定いたしました細目に従ってそれができるだけ早く達成できるような努力等もしていかなければならぬと思っております。また、お触れになりました国民負担率については、行革審その他で五〇%を超えないという目標を一つ示されておりますが、そうなりますと、欧米型の福祉あるいはアメリカ型の福祉、今いろいろ言われますけれども、日本はやはり日本にふさわしいそれらの目標点を定めながら示しました十カ年計画を着実に実施しつつ、またほかで新しい福祉の需要も起こってくるわけでありますか
ら、そういったことには柔軟に対応しながらこの十カ年はやっていかなければならぬ、こう考えております。
#43
○中川嘉美君 時間が参りましたので、最後にもう一問だけ伺います。
 議会は民主主義の舞台そのものである、このように言われますけれども、行政改革が議論をされてはおりますが、一方国会改革、これも重要なテーマであると私は思います。昨今国会開設百年を期して国会を移転してみてはどうか、こういう提案がなされまして、国会決議という話も出たわけでありますが、私はこのことに個人的には賛成ですけれども、国会開設百年を迎えるときの総理として、総理みずからはこのことに対してどのように考えておられるか、この点をまず伺いたい。
 また、もう一点あわせて伺っておきますが、国会開設百年のときに、やはり私は民主主義の記念日という意味も込めてその日を議会の日として祝日にしてはどうか、このように思いますけれども、この点に対するお考えも伺っておきたいと思います。
#44
○国務大臣(海部俊樹君) 国会改革の問題につきましては、私も議会制度協議会の会長というのを何年か前にさせていただいたときに、各党の代表の皆さんと国会改革についていろいろ議論をしたことを今思い起こします。例えば国会の召集はいつが一番いいんだろうかとか、あるいは、参議院はその後一部改革なさいましたが、衆議院の方でも常任委員会制度のみならず調査会のような制度を考えたらどうだとか、いろいろな議論がございました。そういったことを踏まえて今後とも各党各会派の間で真剣な御議論がなされて、適切な改革がされることが大切ではないか、私はこう思います。
 また、国会の移転の問題は、国会の改革という問題と直接絡むかどうかは別にいたしまして、今議論されておる一極集中を何とかして排除していきたい、それは土地問題にもいい影響を及ぼすかもしれませんし、それから全国の有効利用という面からいっても一つの刺激になることも、効果が出ることも間違いございません。そういった意味で、これも超党派の調査会の御議論を私は注目させていただいておりますが、私個人の気持ちを言えとおっしゃるなれば、そういうひとつ思い切ったことをやることによって新たなる状況が生まれ、またそれにみんなが一緒に汗を流すことによって問題が片づいていけば結構なことではないだろうか、こう考えております。
 祝日の問題は、これはちょっと今ここで御答弁するには問題が大き過ぎますので、検討をさせていただき、皆さんの御意見もよく承らせていただきたいと思います。
#45
○中川嘉美君 終わります。
#46
○吉岡吉典君 総理にまずお伺いします。
 行政改革の重要な課題の一つ、すべてとは言いません、一つは、この法案にも述べられておりますが、「社会経済情勢の変化に対応した」云々と述べられておりますように、行政を取り巻く情勢の変化に対応し、古くなった制度や機構、事務事業等々を見直し、情勢に合った、しかも国民の願いに沿う、そういう効率的な行政を実現することにあると私は思いますが、総理いかがですか。
#47
○国務大臣(海部俊樹君) 「社会経済情勢の変化に対応した適正かつ合理的な行政の実現」とは、行政の見直しを行い、いろいろの改革を行うことにより、行政が変化に対応し、総合性を確保し、簡素で効率的であり、国民からの信頼を得るようにすることを言うものであると私も認識いたしております。
#48
○吉岡吉典君 そういう目的を一つの目的として掲げてこれまで行われてきたいわゆる行政改革の中で、私は実態がそれに伴っていない重要な問題の一つとして、昭和十八年に大東亜戦争遂行のためにつくられた法律、すなわち許可認可等臨時措置法という法律、それに基づく措置令が現行法として残され、国会答弁でも「有効に作動しておる、」、こう国会で述べられている。こういう法律があるということは、これは今の総理の答弁に照らしても大変奇妙な出来事だと思います。
 法律を詳しく私ここで読み上げませんけれども、この昭和十八年三月十八日につくられた法律は、冒頭から「大東亜戦争ニ際シ」云々というところから始まっている法律で、日本にある数多くの法律の中で大東亜戦争という言葉が使われているただ一つの法律だそうです。私は、大東亜戦争はもう四十五年も前に終わったもの、今さら大東亜戦争遂行のためにこういう法律が残っているとは思いません。しかし、情勢の変化に対応してというなら、当然こういう法律というのはもうとっくの昔に廃止されているのが当然だと思います。今なおこういう大東亜戦争のために云々というふうな法律が存在していることに総理は矛盾をお感じにならないのかどうなのか。
#49
○国務大臣(塩崎潤君) 法律論の答弁でございますから私の方からお答えを申し上げたいと思います。
 おっしゃるように大東亜戦争を動機とします許認可の権限委譲あるいは省略の法律が残っていて、ただ動機は違っておりますけれども、やっぱり民活の増進等の観点から許認可の簡素化あるいは省略は必要だということで、この法律をまだ効力を有せさせていただいておるわけでございます。
 しかしながら、今私が考えてみますと、私も大蔵省時代、終戦直後から大変苦労して片仮名の法律、戦前の法律を直してまいりました。できる限りやったつもりでございますが、やはりなかなか時間が割けない、しかも現実にそれが動いているような場合に、私は直す機会がなかなか参らないので今日まで残っているというのが第一だと思います。
 それから第二は、大変難しいことでございます、これはもうどうしても総理に決めていただいて、ひとつ着手しなきゃいかぬと思うのでございますが、このような各省に共通する法規は主管庁が決まっていないというような理由がありまして、これはやはり主管庁を決めて、これをできる限り早く改正することが必要である、こんなふうに思っているところでございます。
 この点につきまして昭和六十年の五月三十日に内閣委員会で柴田委員と後藤田国務大臣との質疑応答もございますので、私の経験から申しましても、実効性がある、効力を有しておるとすれば、その効力を生かしつつ新しい法律をできる限り早目につくっていくべきであろう、私はこういうふうに考えております。
#50
○吉岡吉典君 この法律が現実に行政改革に生かされているということですけれども、この法律の目的は、昭和十八年二月三日、時の総理大臣東条英機氏が提案理由説明を行っております。その提案説明によりますと、当時の情勢がいかに重大な時局であるかということを長々と述べて、この法律の目的は、「大東亜戦争ノ完遂、大東亜建設ノ完成ノ為ニハ」、こういう法律が必要だということが述べられているわけですね。こういう目的に沿ってつくられた法律を今活用できる部分があるから活用しているということは、私は今改正が望ましいという答弁がありましたのでそういうことを期待しますけれども、戦後四十五年たって、私は本当に驚くべき出来事が続いている事態であった、そういうふうに思います。目的にはっきりと「大東亜戦争ノ完遂、大東亜建設」と書いてあるんですから、こういう法律が日本にあるというのは世界じゅうが見たらびっくりしちゃうと思います。総理、矛盾をお感じにならないか、一言。
#51
○国務大臣(海部俊樹君) 「大東亜戦争ニ際シ」と冒頭から書いてありますが、これは今総務庁長官が申し上げましたように、そういったことがやはりいろいろ何というんでしょうか、誤解を生むというか、いまだに大東亜戦争のことをと言われる御質問が出るわけですから、よく総務庁で検討をして、新しいものをつくっていくのが望ましいという長官の意向を、私も率直にそうだと思いますから、こういった大東亜戦争という言葉はでき得れば第二次世界大戦というのにつくりかえていくとか、いろんな知恵があると思いますけれど
も、どうするのか一度よく慎重に検討をいたさせます。
#52
○吉岡吉典君 この問題は言葉だけではなく内容が戦争遂行のためにつくられたものですから、内容も非常に重大な問題がある。昭和五十七年二月十九日、大阪地裁の判決では、憲法違反である、こういうことも述べられている、そういう裁判例もある法律です。私はここで憲法違反か否かの論争をやろうとは思いません。
 なぜこういうふうに私繰り返し取り上げたかといいますと、私のところの党の議員、いろいろな委員会でこれ何回も取り上げてきております。しかし、これまできちっとこういう法律は改める必要があるという答弁はなされておりません。後藤田総務庁長官時代に検討課題だという答弁はありますが、検討をされたかどうか別として、今日まで残っておるわけです。それで、私いろいろ政府関係者にもお伺いを法制局等にもしました。総理の決断がなければこれは実際にはできないものだという判断を私はするに至りましたので、総理の判断でこのような法律はきちっと処理する、それが行政改革のうたい文句である情勢の変化に応じてということの答えにもなると思いますので、再度総理のはっきりした答弁を求めます。
#53
○国務大臣(海部俊樹君) この問題につきましては、主管庁をきちっと総務庁といたしまして、総務庁長官にこの問題について新しいものにきちっと姿を変えていく指示をいたしましたから、そのように取り組みます。
#54
○吉岡吉典君 今指示が行われたそうですから、これは実現すると期待させていただきます。
 そこで、こういう問題も残っている機会ですので、私は行政改革そのものの目的ということに関連して、一言総理の見解をお伺いしておきたいと思います。
 戦後、アメリカで行政改革を進める際に設けられたフーバー委員会というのがございますが、ここでは行政改革の対象は何であるかということについて、戦前からの行政改革についてのアメリカの基本的立場である、我々が調査した範囲は行政管理の領域に限られると、政治の領域は除外したと、こういう立場が貫かれた。つまり、政治そのものには介入しないんだと、こういうふうに述べられております。
 ところが、臨調から第二次行革審、そしてこの最終答申、こういうのを見ますと、そういうものと違って国の内外政策全般にわたる問題がその対象範囲として取り上げられ、そしてこの最終答申でも内政だけでなく、ODAのあり方の問題とかあるいは日米構造協議に至る国の内外の基本政策そのものも取り上げられております。これは臨調発足以来ずっとそうなっております。
 そうなると、行政改革というのは一体何を対象にしているのか、こういうことになれば、いわゆる国民が期待するむだをなくすとか、あるいはきれいな政治の実現を望むというふうなことではなくて、日本の政治全般のあり方を審議する機関になっている。したがって、名前は行革審だけれども、これは政策審議機関、しかもそれが政府の事実上上にあって、その答申というものは尊重しなくちゃいかぬ。こういうことになると、行政改革というのは名前だけで、繰り返すようですが、政治審議会の設置と同じものではないかというふうに思いますが、行政改革ということで新しく第三次行革審をつくって、そこに取り組ませようとするのはどういうことなのかということを最後にお伺いしておきます。
#55
○国務大臣(塩崎潤君) 今、吉岡委員がおっしゃられましたのはアメリカのフーバー委員会その他で行われました行政改革の実例から言われたんだと思うのでございます。
 私は、アメリカの憲法体制、三権分立の状況と日本の憲法体制、三権分立の状況は非常に異なっていると思うわけでございます。アメリカは大統領が行政権を持っておりますけれども、法律の提案権もございません。そして、予算の提案権というものもございません。もう法律で決まりましたことを執行するのが大統領であり、法律で規定されないことにつきましては外交権等の場合に行使されることは聞いておりますが、とにかくアドミニストレーションとレジスレーション、立法とは全く分立した制度で、議会が立法を行う、御案内のとおりでございます。したがって、アメリカで行政改革といえば法律で決められた事項の執行状態についての種々の改善を行うことになるのは私は必然なことだと思うんです。
 一方、日本は御承知のように、憲法六十五条にあります内閣に課せられた権限はアメリカの大統領府、アドミニストレーションよりもずっと大きな権限を持っておることは御案内のとおりでございまして、法律の提案権、それから予算の提案権は内閣にあるわけでございます。これは国会改革につながる問題かもしれませんけれども、法律はほとんど内閣提案のものが多いのが私は現在の実情だと、こういうふうに思いますと、やはり内閣の権限を誠実に履行するためには、行政、単純な法律の執行問題のみならず予算に関する問題、そしてまた法律の提案に関する問題、このような問題を当然行革審で論議していただいて、適正なる御意見をいただいて、これらに基づいて必要な政治的なものは多分に法律と関連いたしますから、国会に法律案として提出して御審議を願う、そして成立させていただく、こういうふうになる日本の政治体制、憲法体制だと、こういうふうに思います。
 行革審は、政治という言葉と行政という言葉、なかなか政治という概念が大変難しいので、私も政治学を勉強したつもりでございまするけれども、まだまだその定義が非常に難しい。しかし、行政を超えたところの高度のものだといたしますれば、それは当然私は内閣の所管の中にある問題であり、行革の中で当然御検討を願うことが適正適切なるものだ、こういうふうに考えております。
#56
○吉岡吉典君 時間が来ましたので、終わります。
#57
○星川保松君 総理にお伺いをいたします。
 今日の行政改革の最大の課題は、私は、我が国における発展の不均衡、その不均衡から生ずる格差の拡大、これを是正するということではないか、こういうふうに考えております。
 その第一は、国土の発展の不均衡、これが非常に大きくなって開いておる。例えば都市と農山漁村の不均衡、これが過疎過密ということになって、非常に深刻な格差が広がっておるわけでございます。それから二番目は、国内産業の発展の不均衡が非常に大きくなってきておるということでございます。例えば商工業と農林水産業、それから大企業と中小企業あるいは零細企業、こうした不均衡、格差の拡大ということが非常に深刻になってきておる。また、よく言われますように、土地などに見られます持てる者と持たざる者との資産格差、こういうものがまた大きく開いてきておるということです。
 そういう不均衡と格差というのはこれまでの国の行政のもとで生じてきたものでありますから、今までと同じ行政を続けておったのではやはりこの不均衡、格差はどんどん拡大していくということになるわけでありますので、こうした格差の解消のための行政そのものの改革が必要ではないか、こう思うところでございます。今までの各種答申などを見てみますと、どうもこうした格差解消のための行政の改革という視点が欠けておるのではないか、こういうふうに思われてなりませんが、総理のひとつお考えをいただきたいと思います。
#58
○国務大臣(海部俊樹君) 地域間格差の是正のため、従来から国と地方を通ずる行政の簡素効率化及び地方自治の尊重という観点から、また多極分散型国土形成の観点からも、住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理できるよう臨調答申等に沿って権限委譲などに努めてきたところでございます。
 また、去る四月に提出された第二次行革審の最終答申では、国土政策について、多極分散型の国土形成を目指し、地域における経済の発展や魅力
ある文化の形成などを図るため、産業・行政等の機能の地方分散、交通・通信等社会資本の整備、地方における高等教育機関の個性化、多様化などの推進が提言されておるところでありまして、ただいま御指摘になりました地方と中央との格差是正ということを目指しながら、今後この答申の趣旨を踏まえて、社会経済の変化に対応した行政の実現に努めていかなければならないと考えております。
#59
○星川保松君 それから、いわゆる日本は経済成長は遂げたけれども、国民生活にその実感が伴わないということが言われておるわけでございます。そのようなことを受けて国民生活の質的向上を図るということを掲げておるようでありますけれども、そのためには今までのやはり審議会はどうもそのメンバーから見ても財界主導というようなことを言われておるわけでございます。したがって、国民生活中心の行政改革を進めるということになれば、やはり審議会の構成そのものも変えていかなければならない、こう思いますが、その点についてはどのようなお考えでしょうか。
#60
○国務大臣(海部俊樹君) 均斉と調和のとれた社会の発展を考える中で、特に国民生活の質の向上を目指していかなければなりません。消費者の立場に立って物を考えるというのも大切な視点の一つだと考えております。いろいろなことを踏まえまして幅広く各層の御意見を代表していただけるような委員の皆さんをお願いしたい、こういう気持ちを持っておりますが、法案が通りましてから具体的にそれらの方針を踏まえて、今委員の御指摘の点等も考慮しながら人選には当たらせていただきたい、こう考えております。
#61
○星川保松君 それから、こういう行政改革のための審議会等ができますと、行政改革はすべてこの審議会の答申待ちというようなことになってしまって、いわゆる政府が進めるべき行政改革の隠れみのになってしまうのではないかという声がありますけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。
#62
○国務大臣(海部俊樹君) あくまで責任は政府が負わなければならぬことは、これは当然のことだと思いますけれども、こういったことを考えますときに、直接各界、国民の皆さんの声をいろいろな立場で反映していただきながら、そういった声を十分尊重しながら進めていくというのも一つの視点であろう、こう考えておりますので、隠れみのにならないようにそれらのお声を十分に尊重しながら対応していきたいと思っております。
#63
○星川保松君 それから、審議会でいろんな答申が出てくるわけでございます。この答申が出ましてもそれが政策となって実行されなければどうにもならないわけでございます。そういうことで政策実行へのチェック機能がどうも弱いのではないか、こういうことが言われておるわけですが、この強化のためにどういうことをお考えになっておられるでありましょうか。
#64
○政府委員(百崎英君) 審議会の答申の実行を担保するための方策という御質問だと思いますが、これまで臨調以来行革審等もそうでございますけれども、答申を出す都度、政府としてまずこの答申を最大限に尊重するという基本方針を閣議決定いたしまして、その基本方針に基づいて今度はその答申の内容を具体的に各省庁と詰めまして、それをまた推進要綱等々あるいは行革大綱というような形でさらに閣議決定をしてこれを実施に移している。そういうことで、その実施状況につきましては、また私ども総務庁において各省庁の実行状況をチェックする、同時に行革審が活動しておりましたら、その行革審の方にも御説明をして行革審の方からもまたしりをたたいていただく、こんなようなやり方をしてまいっておるわけでございます。そういう意味で答申等は着実に私どもは実行されているものと考えております。
#65
○田渕哲也君 今まで政府の進めてこられた行政改革は、三公社の民営化ということもありましたが、それも含めて財政再建というものを優先させてきた。そして、行革の最も基本的な部分である中央官庁の組織の改編とか公的規制の緩和とか地方分権の推進、こういうことは余り進んでいないというのが現状であります。こういう問題はなかなか難しい問題で、よほど政府が強力な力を持っていないとなかなかできないんじゃないか。必ずしも審議会をつくればそれでできるというものではないと思いますし、また審議会がどういう答申をつくるかというのも非常に重要な問題だと思います。第二次行革審の審議会の答申は問題提起はたくさんされておりますけれども、非常に抽象的である、総花的である。こんな答申は幾ら出ても私は行革は進まないんじゃないかと思うんです。
 それから、どういう答申を出させるかということについて、やはりこれは政府が関与しておるわけでありますから、政府はいろいろ、あるいは政府とか与党がこうなったらまずいということで出させなかった面もあるわけですね。そういうことを考えると、私はやはり根本は政府の責任である。よほど強力な姿勢と決意でやらないとこれから先の行革は非常に進みにくいのではないかと思いますが、まずこの点について総理の決意をお伺いしたいと思います。
#66
○国務大臣(海部俊樹君) 答申の趣旨を尊重して、政府の責任においてでき得る限りのことをしていかなきゃならぬと決意をいたしております。
 また、お触れになりました途中の審議会の問題等について、具体的な面についてはもし必要ならば総務庁長官から答弁いたさせます。
#67
○田渕哲也君 時間がありませんので、次の問題に進みます。
 第三次行革審の重要な課題の一つに国際的調和ということがあります。この国際的調和で問題になるのは、何といいましても公正な競争が確保されておるかどうか、フェアかアンフェアか、こういうことでよく問題にされておるわけです。それで、日本の社会とアメリカとかヨーロッパの社会と違いまして、向こうがアンフェアだと言っても日本人はそれを感じないということもたくさんあるわけです。しかし、これは極めて重大な問題で、自由で民主的な社会というのは公正な競争というものが非常に大事なことである。そういう面で私は、日本の社会というのは自由で民主的な社会、その程度がまだ欧米並みには来ていないんじゃないかという気がするわけです。それが我々が気がつかないアンフェアな面をたくさん持っておるのではないかと思います。
 行政の透明性とか公正の確保ということも第三次行革審の検討の課題の一つに挙げられおりますけれども、単にこれは行政機構をいじっただけでこういうものが解決する問題ではない。むしろ、政治体質とのかかわり合いが非常に強いと思うんです。海部内閣は政治改革を積極的に進められておりますが、政治改革の理念というものが大事だと思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。
#68
○国務大臣(海部俊樹君) 昨年、一昨年と政治と政治資金の問題に端を発して、いろいろと国民の皆さんから政治に対する批判、不信が増大してきたので、私どもとしてはまず御指摘のように政治改革を行って信頼回復をしなければならないということを強く感じております。
 また、これらの諸課題の解決のためには、政治が大きな役割を果たさなければならないわけでありまして、このような見地からも新しい時代に望まれる政治改革の中心は、やはり大前提は政治家一人一人の政治倫理の確立でございます。それとともに政治とお金の関係をわかりやすくきれいにするということ、また政党本位の選挙、政策中心の選挙に軸足を移していくようにして金のかからない選挙を目指すことが大切だと考えます。
 いずれにしましても、政治に対する国民の皆さんの信頼を回復するために政治改革を強力に進めていかなければならないと考えております。
#69
○田渕哲也君 私は、金のかかる政治とかあるいは政治家の倫理、個人の倫理性とかそういうものは重要だと思いますが、もっと大事なことがあると思うんです。その腐敗とか倫理にもとるようなことがなぜ起こるか。私は、政治の場における公正な競争が確保されていないといけないと思いま
す。これがやはり民主主義の基本だろうと思います。経済でも同じですけれども、政治の場で自由で公正な競争が確保されるということが大事である。
 海部内閣は選挙制度の改革にも熱心でありますけれども、選挙制度審議会が出された小選挙区制比例代表並立型というのは私は公正な案とは思いません。非常に自民党に有利である。過去の総選挙の例をシミュレーションで新聞社で計算しておりますけれども、恐らくいかなる総選挙でも、昭和三十年以降行われた選挙では自民党が圧倒的多数を占める制度ですね、この小選挙区並立型というのは。それから、普通の場合でも三分の二の議席を自民党が占める。前回の二月の選挙の得票率を当てはめてもそうですからね。五十八年、保革伯仲のときのあれを当てはめても三百五十ぐらいの議席を自民党が占める。現在参議院が与野党逆転しておりますけれども、衆議院で三分の二を占めれば、参議院で否決をされても衆議院でもう一遍それを三分の二の賛成で通すことができるわけです。こういうむちゃくちゃな、露骨な党利党略案を出して果たして野党の賛成が得られると思っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
#70
○国務大臣(海部俊樹君) 選挙制度というものについては、選挙制度審議会の答申をいただきましたその中に今御指摘のことが出ております。しかし、これは率直に申し上げますと、選挙制度審議会の答申の小選挙区になると自民党は絶対有利になるではないかということが当然のことのような御議論も行われておるわけですけれども、ただ前回の参議院の選挙の事実というものを今思い起こしてみますと、やはり一人だけを選ぶ一人区においてはあの結果でありますから、二対二十三という、これはよほど心してきちっとかからないと、これは制度の仕組みだけで自民党がどうのこうのというような甘い考えでおることは絶対によくない、私はこう思いますし、また直接関係があってはいけないことだと思います。
 同時にまた、公平で公正な競争というのは、やはり投票の価値というものについてもよく憲法違反の疑いがあるとか、一対三以上になっておってはいけないという御指摘もあったわけでありますけれども、今度の選挙制度審議会は、裁判所のその認定をはるかに乗り越えて一対二以下のところに選挙区ごとの票の格差を縮めるという厳重な御指摘もあるわけでありますから、これはひとつ各党各会派の御議論によってその中身を、はなからこれはいいとか悪いとかお決めになる前にいろんな立場の御議論もいただきたいものだと私は思っております。
 もう一つは、政策中心で、そして政党が争うことのできるようなそんな仕組みにすることの方が、有権者の皆さんの立場から見た選挙というものを想定いたしますとこれは選択のときにいろいろとまた別の基準が、今よりも変わったものが出てくるのではないだろうか、こんな感じもいたしますので、その点も御議論を賜りたいと思っております。
#71
○委員長(板垣正君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終わりました。
 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○委員長(板垣正君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#73
○山口哲夫君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました臨時行政改革推進審議会設置法案に反対の討論を行います。
 増税なき財政再建と小さな政府を旗印に九年間続けられてきた行政改革は、我が国の歩むべき進路を逆戻りさせる結果をもたらしたのであります。
 すなわち、第一に、財政再建に名をかりた公約違反の消費税強行導入は、我が国議会制度史上最大の汚点であるとともに、国民負担率を高めるなど国民に政治に対する不信感を植えつけました。
 第二に、国鉄、電電公社等の民営化は、政界、官界、財界の癒着を生み、リクルート疑獄という世界に恥ずべき事件を引き起こし、これまた国民の政治家に対する不信感を招くに至ったのであります。
 第三に、民間活力の導入は、国有地売却に代表されるごとく、東京を中心とする大都市の土地価格を暴騰させ、大企業には資産の莫大な高騰をもたらしたものの、庶民には大都市では家を持つことさえもできなくなり、富の不公平感を一層増大させたのであります。
 第四に、地方行革は、国の自治体に対する介入を強めたために、ますます中央集権化が進み、民主主義の後退を余儀なくさせました。
 第五に、軍事費だけは年々増加し、世界第三位の軍事大国になった反面、社会保障や教育は遅々として進みませんでした。
 このように、行政改革は発足当時に我が党が指摘したとおりの結果をもたらしたのであります。
 もともと審議会制度というものは、各省庁における専門的行政分野の方針を決定するに当たり専門家の意見を聴取する必要性から設置されるべきものであります。しかるに、臨調、行革審は我が国が目指すべき政策、すなわち外交、経済、社会保障、教育、行政組織、行政運営等にまで立ち入っているのであります。
 本来、国家の政策課題は内閣が立案し、国民の負託を受けた国権の最高機関である国会が決定すべきものであります。それを一握りの財界を代表する人物を中心にわずか数名の委員によって政策課題が論じられ、しかもその筋書きは官僚によって書かれているものが答申されていると言われるに至っては、内閣がみずから行うべき任務を放棄したものであり、本末転倒と言わざるを得ません。
 第三次行革審は、このような九年間の行革路線の延長線上にあるものであり、到底了解できるものではありません。行革審の設置はやめ、これまで答申されながら未解決となっている無数の諸政策のうち、国民生活の向上と地方分権の強化に結びつく政策の実現こそ政府が果たすべき今日的役割であることを付言し、反対討論といたします。
#74
○大城眞順君 私は、自由民主党を代表して、臨時行政改革推進審議会設置法案に対し、賛成の討論を行うものであります。
 昭和五十六年以降九年間、第二次臨調及び二次にわたる行革審は、増税なき財政再建を基本方針として、行政改革推進のためにたゆまぬ努力を払ってまいりましたが、自由民主党は、政権を担当する責任政党として、政府とともに、答申等の実現に努めてまいりました。
 その結果、平成二年度予算における赤字国債依存体質からの脱却、国鉄・電電・専売の三公社の民営化、年金、医療保険制度の改革等々の具体的成果を上げたほか、スリムな政府の必要性、国民の自立互助といった点に、国民の意識の改革が進んだことは、何よりも高く評価されてしかるべきと自負するものであります。
 第三次行革審設置法案は、これまでにおける行革の成果を踏まえ、二十一世紀においても日本が平和で活力に富み、かつ、国際的にも信頼され、世界に貢献する日本の再構築を図るため、抜本的な行革を実施しようとするものであります。その目的は、内外に多くの課題を抱える我が国にとっては、まことに時宜にかなったものであり、心より賛意を表し、一日も早い設置を望むものであります。
 なお、本委員会において、我が党委員からも指摘があった、中だるみ的行革の改善、審議会委員の選考のあり方等々について、政府は、十分に配慮し、真掌に対応されることを要望して、私の賛成討論を終わります。
#75
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、臨時行政改革推進審議会、第三次行革審設置法案に反対の討論を行います。
 第三次行革審は、臨調及び二次にわたる行革審の答申を受けて行政改革推進のための調査審議を行うとしています。しかし、この九年間、行政の
全分野からむだと浪費をなくすという国民の期待とは正反対のことが行われてきました。
 すなわち、財界主導の臨調行革によって社会保障関係費の伸びが八年間で一・三倍に抑えられるなど、医療や年金、福祉、教育、地方財政、中小企業、農業などあらゆる分野で国民に犠牲を強いる一方、軍事費と戦略援助中心のODAは突出し続けてきました。また、民活路線と規制緩和の推進によって、大企業には土地保有を初め巨大な利益が保障される反面、この八年で東京の商業地の地価が約六倍になるなど土地の異常な暴騰の結果、庶民のマイホームの夢は奪われてしまいました。さらに、増税なき財政再建といううたい文句にもかかわらず、結局は最悪の大衆課税である消費税の導入が強行されたのです。
 さらにこの間、KDD汚職、リクルート事件、名電工事件、パチンコ疑惑、国際航業事件と相次いで政治疑惑が発生しました。リクルート事件の主役が臨調委員だったことでも明らかなように、これらは臨調路線と密接な関係があったのです。
 新行革審は、この路線を引き継いで、国民に新たに一層の負担を押しつけようとするものです。第二次行革審の最終答申は、現在も四〇%になっている国民負担率を約五〇%にまで引き上げることを宣言し、そのために国民に痛みを伴うことを覚悟するように求めています。これが福祉や教育の一層の切り捨てや消費税の税率の引き上げにつながることは明らかです。
 さらに最終答申は、財政投融債の発行など、およそ財政再建に反する新たな大企業奉仕の政策や世界への日本の融合、国際的に受け入れられる制度、慣行への改革などの名による日米経済の事実上の統合まで打ち出されています。これらは、行政改革の課題をはるかに越えて、九〇年代から二十一世紀にかけての内外にわたる重大課題すら提起しようとするものです。
 このように、歴代自民党内閣が総理府の附属機関にすぎない一審議会に重要な国政問題の審議と決定を任せ、臨調、行革審を国権の最高機関たる国会を超越した最高の国策決定機関であるかのように扱っていることは、議会制民主主義の形骸化にほかならず許されません。しかも、政府は第三次行革審もこれまでの答申等に賛成する者だけで構成すると公言しています。
 以上の理由から本法案に反対であることを表明し、討論を終わります。
#76
○中川嘉美君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました臨時行政改革推進審議会設置法案に対し、賛成の討論を行うものであります。
 公明党・国民会議は、国民生活の安定と健全性を守る立場から、福祉や文教を切り捨てる施策には反対してまいりましたが、行政の簡素化、効率化に資する施策には積極的に協力し、平成二年度予算における赤字国債依存体質からの脱却、国鉄等三公社の民営化などについて具体的な提言をしてまいりました。
 我が党は、行政改革を引き続き推進することは、国民の要請であり、国民のための行政改革を推進するために、政府の行政改革を監視するとともに、さらなる改革課題を調査審議するための機関として新たな行革審を設けることは妥当な措置であると考え、本法律案に賛成するものでありますが、同時に、第三次行革審設置に際し、政府が次の諸点に留意すべきであることを強く主張いたします。
 第一は、行政改革はすべての行政分野に及び、聖域は絶対に設けてはならないということであります。これまでの行政改革においては、防衛、政府開発援助、ODAなどは手つかずのまま残されてきたのであります。今般設置される第三次行革審においては、一切の聖域を認めず、すべての行政分野に厳しい行政改革の視線を向けるべきであります。
 第二は、行政運営の透明性、公正性を確保するためには、ぜひとも行政情報の公開制度の確立が必要だということであります。我が党は、長年情報公開法制定の必要性を主張して、第百十六回国会には行政情報の公開に関する法律案を提出したところでありますが、政府はいまだ積極的な姿勢を見せておりません。国民の知る権利を保証するためには、この第三次行革審の設置を機に、法律制定への条件整備等、政府としてできる最大の措置を早急にとるべきであると考えます。
 最後に、行政改革推進の責任は、本来、政府にあるというべきでありますが、この法律案によって設置される行革審が、以上申し述べました諸点に留意し、真に国民のための行政改革に資する調査審議を行い、また政府が、その提言を受け、行政改革推進の施策を着実に実施することを要望して、私の賛成討論を終わります。
#77
○田渕哲也君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、臨時行政改革推進審議会設置法案に対し、賛成の討論を行います。
 第二臨調が設置されて以来、行革審、新行革審と九年にわたって行政改革の推進が図られてまいりました。しかし、国鉄や電電の民営化などの改革が行われたものの、我が党が主張し、実現を目指してきた行政改革とはなおほど遠い現状にあると言わなければなりません。
 行政改革は、税金をむだなく使い、健全財政を確立していくためにも必要ですが、そればかりではありません。時代の変化に即応して組織、機構、事業のあり方を見直し、国民のニーズにこたえられる効率的な行政を行うとともに、行政権力の肥大化、集中化を防ぎ、地方分権を進め、民間活力を増進し、活気に満ちた民主社会を築くことが目的でなければならないと考えるものであります。政府・自民党の進めてきた行政改革は、財政再建のみが優先し、中央官庁の組織の改編や公的規制の緩和、地方分権の推進など、行政改革の本体ともいうべき事項はほとんど進んでおりません。
 高齢化、情報化、国際化などの社会変化が急速に進行し、行政改革は極めて緊要な課題となっている今日、第三次行革審が、小手先の改革ではなく、地方分権や民間活力を妨げている中央集権的な権限の国への集中、陳情政治のもととなっている補助金行政、惰性的、縦割り行政などについて抜本的な改革案を提言することを強く期待して、私の賛成討論を終わります。
#78
○委員長(板垣正君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○委員長(板垣正君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 臨時行政改革推進審議会設置法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#80
○委員長(板垣正君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#81
○委員長(板垣正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#82
○委員長(板垣正君) 次に、日本国憲法第八条の規定による議決案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。坂本内閣官房長官。
#83
○国務大臣(坂本三十次君) ただいま議題となりました日本国憲法第八条の規定による議決案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 皇室が財産を譲り受け、または賜与するには、日本国憲法第八条の規定により国会の議決に基づかなければならないことになっておりますが、皇室経済法及び皇室経済法施行法の規定によりまして、通常の私的経済行為に係る場合、外国交際のための儀礼上の贈答に係る場合、公共のためになす遺贈または遺産の賜与に係る場合、天皇及び内廷にある皇族について一年間にこれらの方を通じ
て賜与する価額の合計が千八百万円、譲り受けの価額の合計が六百万円に達するに至るまでの場合には、そのたびごとに国会の議決を要しないこととなっております。
 御承知のように、本年十一月には即位の礼が挙行されることになっておりますが、さきに申し述べました場合のほか、皇室が、即位の礼を機に、本年十二月三十一日までの間において、社会福祉事業の資に充てるため、一億円以内を賜与することができるようにし、また、本年十一月一日から十二月二十日までの間において、内閣の定める基準により、天皇陛下の御即位を祝するために贈与される物品を譲り受けることができるようにする必要があります。
 以上が本案を提案する理由であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛成の議決あらんことをお願いいたします。
#84
○委員長(板垣正君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。――御発言もなければ、質疑はないものと認め、これより討論に入ります。――御意見もなければ、討論はないものと認め、これより採決に入ります。
 日本国憲法第八条の規定による議決案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#85
○委員長(板垣正君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#86
○委員長(板垣正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#87
○委員長(板垣正君) これより請願の審査を行います。
 第四号国の行政情報の公開に関する請願外五十七件を議題といたします。
 本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりであります。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第七五〇号元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する請願外二十件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第四号国の行政情報の公開に関する請願外三十六件は保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#88
○委員長(板垣正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#89
○委員長(板垣正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#90
○委員長(板垣正君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、両件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○委員長(板垣正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○委員長(板垣正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#93
○委員長(板垣正君) この際、一言お礼を申し上げます。
 以上で、今期国会における内閣委員会の案件処理はすべて終了することができました。
 委員各位の御協力に対し、心から感謝申し上げます。
 暫時休憩いたします。
   午前十一時四十二分休憩
     ─────・─────
   午後二時十七分開会
#94
○委員長(井上孝君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、野田哲君、翫正敏君及び中川嘉美君が委員を辞任され、その補欠として穐山篤君、深田肇君及び太田淳夫君が選任されました。
    ─────────────
#95
○委員長(井上孝君) この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 本日の本会議におきまして図らずも内閣委員長に選任されました井上でございます。
 当委員会は、御承知のとおり、国家行政組織、国家公務員制度、国の防衛等重要な諸問題を所管する委員会でございます。この重責を担う内閣委員長として、委員各位の御指導、御協力を賜り、公正円満な委員会運営を行っていく所存でございますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
 前委員長より発言を求められておりますので、これを許します。板垣正君。
#96
○板垣正君 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 私の委員長在任中は、皆様方の御協力によりまして大過なく過ごすことができました。これはひとえに皆様方のお力添えのたまものと深く感謝をいたしておる次第でございます。この場をおかりいたしまして厚く御礼申し上げます。
 なお、私は内閣委員として引き続きお世話になりたいと存じておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#97
○委員長(井上孝君) 次に、理事の辞任についてお諮りいたします。
 大城眞順君及び山口哲夫君から、それぞれ文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#98
○委員長(井上孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#99
○委員長(井上孝君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に板垣正君及び小川仁一君を指名いたします。
    ─────────────
#100
○委員長(井上孝君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#101
○委員長(井上孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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