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1990/03/07 第118回国会 参議院 参議院会議録情報 第118回国会 本会議 第4号
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1990/03/07 第118回国会 参議院

参議院会議録情報 第118回国会 本会議 第4号

#1
第118回国会 本会議 第4号
平成二年三月七日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  平成二年三月七日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員及び裁判官訴追委員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員等各種委員の選挙
 一、日程第一
 一、議員横溝克己君逝去につき哀悼の件
 一、暴力行為の排除に関する決議案(下条進一郎君外九名発議)(委員会審査省略要求事件)
     ─────・─────
#3
○議長(土屋義彦君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 広中和歌子君から海外旅行のため来る十日から十二日間、猪木寛至君から海外旅行のため来る十日から十六日間、それぞれ請暇の申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ─────・─────
#5
○議長(土屋義彦君) この際、お諮りいたします。
 斎藤文夫君から裁判官弾劾裁判所裁判員予備員を、大島友治君から裁判官訴追委員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ─────・─────
#7
○議長(土屋義彦君) つきましては、この際、
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、
 裁判官訴追委員、
 日本ユネスコ国内委員会委員各一名の選挙
を行います。
#8
○上杉光弘君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#9
○菅野久光君 私は、ただいまの上杉君の動議に賛成いたします。
#10
○議長(土屋義彦君) 上杉君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員に田辺哲夫君を、
 裁判官訴追委員に鈴木省吾君を、
 日本ユネスコ国内委員会委員に小野清子君を、
それぞれ指名いたします。
     ─────・─────
#12
○議長(土屋義彦君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。三木忠雄君。
   〔三木忠雄君登壇、拍手〕
#13
○三木忠雄君 私は、公明党・国民会議を代表して、さきの施政方針演説に対し、総理に質問をいたします。
 初めに、日米首脳会談について伺います。
 海部総理の今回の訪問は、これまでの日米首脳会談から見て余りにも変則的であり、唐突の感を抱かざるを得ません。今日の日米間の摩擦は極めて厳しいものがあります。日米構造協議問題を見ても多くの困難があり、日米関係は安易な対応をもって事足りるような状況ではありません。私は、徹底した国会での論議を通じ、国民の理解のもとに腰を据えて取り組むべきであると思うのであります。総理、あなたは十分な準備や日米の懸案問題に対する日本政府の政策も明示せず、なぜ急いでブッシュ大統領と会談する必要があったのか、もう一つ理解できないのであります。
 総理は、今回の首脳会談でブッシュ大統領と何を話し合ったのか、また、具体的な個別項目の協議がなされたのではないか、日米間の緊張関係の改善に展望を開くことができたのかどうか、御説明をいただきたいのであります。
 また、日米構造協議など、日米間の懸案について政府の見解と今後の交渉の見通しを伺いたいのであります。
 次に、東欧諸国の激変、マルタにおける米ソ首脳会談、欧州における軍縮の合意、ソ連の政治体制の再検討等、戦後四十余年にわたった世界の冷戦構造が崩壊し、昨年来の国際政治は一九八九年革命とも言うべき歴史的な転換期を迎えているのであります。国際政治の現実は、軍縮によるデタントへと、また対話による共存へと、確実に、しかも大きく動いていることは紛れもない事実であります。
 私は、我が国が進んで、アジアはもとより、世界の平和と軍縮の前進に大きな役割を果たすべきであると思うのであります。しかし、海部内閣は、アジアの安全保障の環境は欧州と違って本質的に変化はないなどとして、旧態依然とした冷戦的な発想を転換できないばかりか、防衛力の増強政策を続けるなど、外交防衛政策の再検討の必要性を認めないことは、余りにも世界の現実と今後の展望を欠いたものであると言わざるを得ません。
 私は、総理に対し、新しい軍縮の時代にふさわしい外交防衛政策へと転換することを要求するとともに、当面する次の点について総理の見解を伺いたいのであります。
 第一に、今日の国際情勢をどう認識されているのか。特に米国防報告でも、ソ連の脅威はかつてなかったほど減少していると言っているのでありますが、総理はどう認識をされているのか。
 第二に、過日来日したチェイニー米国防長官は日本を含むアジアからの米軍の削減を明らかにしたのでありますが、これをどう見るのか。単なる合理化ではなく、長期的に撤退は避けられないのではないかと思うがどうか。この際、在日米軍基地の整理統合に本腰を入れるべきではないか。また、アジアでの米軍の肩がわりを日本政府が求められているが、どうこたえるのか。特に駐留軍経費の負担増、地位協定の改定についての見解を示していただきたいのであります。
 第三に、四兆円を超える防衛費が国際緊張の緩和の時代になぜ必要なのか明確に国民に説明すべきであります。まず防衛計画の達成ありきという考え方を改めるべきでありますが、どう考えているのか。また、ポスト中期防の防衛構想について総理はどのように考えているのか明らかにしていただきたいのであります。
 第四に、ゴルバチョフ議長の訪日が決まっており、期待されている北方領土返還の見通し、日ソ関係の改善をどう進めるのかということであります。さらに、国連中心の軍縮、国連の機能強化に取り組むべきでありますが、総理の具体策を伺います。
 さて、今国会の最重要問題である消費税問題と当面する国民生活に関する諸問題について伺います。
 九〇年代の政治の動向を占うと言われた総選挙の結果を踏まえ、国内的にも新しい政治の動きが開始されております。そうした中で、今国会の重要課題は、廃止か存続かを問われた消費税問題への取り組みであります。
 昨年の第百十六国会では、本参議院で消費税廃止関連法案が可決されております。今国会においても我が党は、野党四党共同で、衆院選の公約どおり、消費税廃止、税制再改革を目指し、消費税廃止関連法案を衆議院に提出することといたしております。自民党は消費税の見直しを選挙公約で掲げ、今国会に法案が提出されましたが、これまで指摘されているように、自民党が示している見直し案は、食料品の値下がりも余り期待できず、制度を余り複雑化させることによって事業者にも負担を強いるものであります。また、自民党の見直し案では、逆進性という消費税が持つ構造的欠陥は到底解決できるものではありません。その見直し案も、本院において与野党勢力が逆転している以上、成立する可能性はないのであります。そうであるならば、消費税は廃止する以外に道はないと思われます。
 税に対する国民の不信は、今もって払拭されているとは言えません。こうした現実を踏まえ、かつ総理が高齢化社会への対応を言うのであれば、消費税はまず一たん廃止し、国民が納得できる総合的な税制の再改革を行い、この消費税問題に決着をつけるべきであります。総理の考えを伺います。
 次に、国民生活の安定に欠くことのできない物価対策に関し、内外価格差是正問題について伺います。
 我が党は、九〇年代のあるべき政治の方向として、産業・経済優先の政治を改め、真の豊かさを実感できる国民生活を実現するため、市民、生活者の視点に立った政治への転換を強く主張しているところであります。さきの選挙中においても、我が国の高い物価水準を引き下げるために、日米構造協議でも取り上げられた内外価格差是正に関する具体的な提言を行っております。
 総理は、消費者の立場に立った政策を標榜しながら、この内外価格差是正については、総論ばかりで実効ある具体案は提示していないのであります。内外価格差の是正を実現するためには、いつごろまでにどの程度の水準までに引き下げるのか、それにはどうするかという目標及びこの達成のための具体策を示す必要があります。総理の具体的な見解を求めるものであります。
 国民生活に関するもう一つの重要課題は土地・住宅対策についてであります。
 国土庁の試算によると、日本全土の土地資産額は約千八百兆円。この日本の二十五倍の国土面積を有するアメリカの土地資産額は約四百四十兆円であります。実に、日本の土地価格はアメリカの百倍に相当します。ちまたでは今、千代田区一区を売ればカナダ一国の土地が買える。また、東京都二十三区を売ればアメリカ全土が買えると言われています。世界に類例を見ない異常な地価の高騰で、努力次第でマイホームが持てるというサラリーマンのささやかな夢を遠のかせてしまいました。また、土地を持てる者と持たざる者、持ち家世帯と借家世帯との資産格差は驚くほど広がり、国民の間に著しい不公平・不平等感をかき立て、ひいては勤労意欲を失わせています。この地価狂乱の責任は、挙げて政府の土地政策の無策にあると言っても過言ではありません。
 昨年末、ようやくにして土地基本法が成立し、本年はいよいよ具体的実行の年であります。今後の地価抑制と住宅用地の供給のための具体的実行に向けて、総理の所見を求めます。
 住宅問題に対する緊急対策として、我が党は、賃貸住宅居住者に対し、支払った家賃を所得控除する家賃減税、さらには一定の所得水準の借家世帯に対し、適正かつ標準的な家賃との差を家賃補助する制度の創設を早急に実現すべきと考えております。
 高い家賃が都市サラリーマンの生活を圧迫している深刻な住宅事情を少しでも改善するため、総理はこれらの政策の実現に直ちに取り組む考えがあるか、しかと伺います。
 次に、在宅福祉三カ年緊急整備計画を基礎に政府が示した高齢者保健福祉十カ年戦略については、我が党はそれなりの評価をするものでありますが、この目標を達成したとしても、公的介護サービスを受けられる高齢者は、この時期の六十五歳以上の人口の約一・五%から二%にすぎず、スウェーデンの二六%と比べても圧倒的に不足していることには変わりありません。また、地方公共団体が二分の一の負担をしなければならず、これにたえられない自治体も多くなります。さらに、在宅福祉は、家族介護者のための介護休暇や介護費用を確保するための医療保険や年金制度の改革などもあわせて実施していかなければ実効性が上がっていかないのであります。
 その意味で、十カ年戦略の前倒しを含め、これらの課題にどう対処するのか、総理の御見解を賜りたい。
 このほかに、豊かな国民生活を実現するためにはたくさんの諸課題が山積をいたしております。受験地獄解消と人間教育を目指す教育改革、老後の不安を解消する医療、年金、六十五歳定年延長と労働時間短縮、パート労働者の労働条件の改善、さらには心配な農業問題等、限られた時間内では論ずることができませんが、特に生活者に視点を置いた政治の実現こそ最も大切であります。
 これらの諸問題について、政府の責任ある対策を要望するものであります。
 私は、来るべき二十一世紀を展望するとき、この九〇年代に取り組むべき重要課題として、政治改革、財政改革、行政改革という三つの改革を強く主張するものであります。
 さて、総理、本年は我が国議会開設百年の記念すべき意義ある年であります。我が党は、国民の政治に対する信頼回復を与野党共通の責務として、総選挙後速やかに党首会談を開くべきことを主張してまいりました。また、選挙後の特別国会では、政治改革を最重要課題の一つと位置づけ、徹底した論議を行い、合意をつくるために政治改革特別委員会の設置を提案してきたところであります。この特別委員会では、当面する四つの問題、つまり、一つ政治資金、二つ政治倫理、三つ国会改革、四つ選挙制度の重点課題に絞って小委員会を設置し、徹底した論議を尽くすべきことも主張してまいりました。
 総理、これらの政治改革の推進について、具体的に今国会で取り組むか否か御答弁願います。
 総選挙の結果、衆議院における自民党多数は継続されたものの、昨年の参議院選挙によって参議院においては与野党勢力が逆転をいたしております。この状態は少なくとも今後数年間は続くことは確実であります。国会審議のあり方は、過去における多数党による強行採決、少数党による抵抗のための審議拒否が通用しない新しい状況が生まれております。
 こうした状況下にあって、衆参両院の本来的な機能を回復させ、活性化させるために具体的にどのような改革を進めるのか、総理の考えを伺いたいと存じます。
 次に、財政改革についてであります。
 我が国の財政は、ここ十数年来財政再建が優先され、本来財政が担わなければならない役割を果たし得なかったというのが実情であります。赤字国債の発行から脱却できたというものの、国債費や国債残高の計画的縮小を図らなければならないという大きな課題が横たわっておりますが、この機会に、豊かな国民生活を実現するために果たすべき財政の役割を再確認し、財政運営のあり方を見直すべきであります。
 そこで、私は、暮らしに役立つ財政改革として次の四点について総理に伺います。
 第一に、公共事業予算についてであります。
 国民の多くが豊かさを実感できない生活小国を嘆く大きな原因の一つに、政府の予算編成における生活環境整備の軽視が挙げられております。日米構造協議においてもこの点が指摘されておりますが、我が国の自主的な判断のもとに、固定化されたままの公共事業の配分を時代の変化と国民のニーズに対応したものにしていくべきであります。私は、公共投資に関する予算配分比率を産業活動重視から生活環境改善を重視する方向へと思い切った転換を図るべき時期と考えます。
 第二に、国と地方の機能分担の見直しと地方財政の強化についてであります。
 高齢化社会における多様なニーズに対応する施策を展開するためには、地方自治体の責任がますます重くなっております。住民生活に密着する行政分野の事務事業については、国から地方への権限移譲を進めるとともに、国、地方間の税源の配分割合を改めるべきであります。
 第三には、国民負担率の問題であります。
 将来ともに活力ある経済を維持していくためには、著しい国民負担率上昇は避けなければなりません。総理の将来の国民負担のあるべき姿はどの程度と考えているのか、お聞かせ願いたい。
 第四に、財政体質の健全化の問題であります。
 国債残高は百六十四兆円に上り、国債費比率は一般会計の二割に及んでいます。将来にわたって国債残高の減額をどう進め、適正な国債保有高をどの程度の水準におさめようとしているのか。
 以上の四点についての総理の基本的な考え方を伺いたいのであります。
 次に、行政改革について質問します。
 国民の政治不信の高まりや日本の制度、慣行に対する海外からの改善要望や対日不信の深刻化など、その後新たに発生した問題に対応していくには、今後の新たな理念として公正かつ透明な行政の確立を強く打ち出し、行政のあり方を国際的に通用するものへ変革することが求められております。そうした改革のかぎを握るのが国、地方を通じた公的規制の緩和であります。真の民間活力の発揮と国民負担の軽減のためには、公正で透明な行政の確立と、経済活動についての規制は、原則的には自由で、制限は極力例外とするということを行政の目標とすべきであると私は考えます。
 しかし、残念ながら総理の行革に対する熱意は全く感じることができません。第二臨調以降八年余にわたる行革を振り返ってみると、決して満足のいくものではありません。まず、行革に対する総理の基本的な考えをお示しいただきたいのであります。
 総理が積極的に行革に取り組むというのであれば、次の三点についてそのお考えを伺いたい。
 第一は、公団、事業団等特殊法人の民営化の問題であります。
 これらは三十年代の経済復興期に設立されたもので、今日の産業構造から見れば既に設立目的は達成しており、それらに国費の支出はもはや必要はないと言えるのであります。私は、こうした公団、事業団は民営化し、NTTのように株式を公開、売却することこそ財政負担の軽減につながると考えるものであります。
 第二は、政府系金融機関の民営化、株式の公開、売却であります。
 これらの機関は、戦後経済の復興と自立期、さらに高度経済成長期においてはそれなりの機能を果たしてきました。しかし、日本経済の発展と金融の自由化、国際化の中でその必要性は今やなくなり、ましてや国民から集めた財投資金を投入するといった必要などないのであります。政府系金融機関も、公団、事業団同様民営化し、株式公開、売却を実施し、金融機関として必要な資金はみずから市場で確保させるべきであります。
 第三は、許認可の整理であります。
 現在約一万四百件の許認可事項があり、これは全産業の三分の一にも規制の網を及ぼしている状況なのであります。こうした許認可や規制は癒着の構造にもつながることは、総理ならよく御存じのはずです。加えて、許認可を通じての行政指導は我が国特有のものであり、日本が国際社会で責任を果たしていく上での妨げにもなっているのであります。
 これら許認可事項を洗い直し、どのように整理するか、具体的な実行計画をつくるべきであると考えますが、総理はこのことを実行されるのか否か、伺います。
 質問の締めくくりとして、私は地球環境問題について伺います。
 総理、地球的環境保全は、人類の最重要課題として国際的な大きな枠組みの中で解決していかなければならない問題であります。その意味で、現在国連の補助機関にすぎない国連環境計画を地球環境保全理事会として安全保障理事会並みの権限を持った強力な機関に格上げしていくことが不可欠であり、我が国はその実現に向けて最大限の努力をしていくべきであります。総理の見解を求めるものであります。
 また、こうした国際的な枠組みの整備とともに、我が国は地球環境保全への国内の体制づくりが急務であります。そうした観点から、私は次の四点を提案するものであります。
 第一は、地球環境保全への国民の理解、協力、参加を呼びかけるために地球の日または地球環境週間を設け、さまざまな行事を企画するとともに、日本版地球環境白書を発行することであります。
 第二には、我が国の政府開発援助や民間企業のかかわる開発が東南アジア等において公害や環境破壊を引き起こしている多くの事例が指摘されている点を重視し、政府がこうした事態を把握するとともに、環境アセスメントの実施など公害や環境破壊を起こさないようしっかりとした対策を講じ、国内においても環境アセスメント法の制定を急ぐべきであります。
 第三に、世界的な緊張緩和を背景に我が国の軍事費を削減し、平和への配当として地球環境保全基金をつくるとともに、基金への企業、国民からの拠出については税の優遇措置を講ずるようにすべきであります。
 第四に、地球環境保全において、公害防止等において多大な経験と技術を有する我が国の地方自治体の力を活用することが極めて重要であります。地球環境保全への地方自治体の参画を促すためにも、そのための援助体制を早急につくるべきであります。
 以上、四点について総理の誠意ある答弁を求め、私の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(海部俊樹君) 三木議員にお答えを申し上げます。
 今年初めから、ブッシュ大統領から議題を決めないでいろいろ率直に話し合いたいという親書を二度ほどもらっておりましたが、今、世界には大変劇的な変化も起こっております。特に、東欧諸国を中心に起こった変化、ドイツ統一の動きなどは、私がこの一月にコール首相とお話をしましたときから一カ月もたっていないのに、そのテンポが、当時の十年ぐらいを目盛りとしたお話し合いの見通しが一年程度の見通しに変わるほど激しい移り変わりと変化を起こしておるときであります。しかも、世界が冷戦構造の発想を乗り越えて、いまだだれも予想していなかった新しい平和共存と協力の関係をどのようにして模索していくかという劇的な移り変わりのときでもございます。私は、こういうときでありましたから、異例であったというお話もございましたけれども、世界の動きそのものが極めて異例な中でありますから、私は、日本の外交の一番基軸である日米関係の中において首脳同士が率直に話し合いをするということは必要であるという判断に立ちまして日米首脳会談に臨んだものでございます。
 そして、これは個々の具体的な問題について交渉をするとか取り決めをするとか、そういったことではなくて、やはり世界の新しい枠組み構築の中で日本は何ができるだろうか、またアメリカとの政策協調、話し合いの中から世界の平和と安定のために何をしたらいいのだろうか、大きな立場から率直な話し合いをしてまいりました。
 当面する日米関係についても、現在進んでおる実務者関係を通じての話し合いの中から新しいものが生まれてこないこの状況の中で、いつまでも放置しておくことは日米の間にとってもまた世界の経済にとっても好ましい問題ではないということで、今後、お互いにそれぞれ指摘し合っております構造問題の解決について一層の努力を続け、夏の中間的評価、最終報告、これに向けて両方ともに努力を続けていこうということで認識の一致を見、同時に、ヨーロッパで起こっておる平和と安定の関係をアジア・太平洋地域にも、そしてそれをすべて世界の地球的規模での平和と繁栄に結びつけていかなければならないその立場においての話し合いをしてきたものでございます。
 そして、構造協議につきましては、今申し上げましたように、日本としても今回初めて行っておるわけではなくて、三木先生よく御承知のように、前川レポートというものをつくりまして数年来、日本の経済構造を変えていかなければならぬ、世界に見合うようなものに改善していかなければならぬ、内需を振興して輸入を促進していかなければならない、この目標のもとに鋭意努力をしてきたのでありますが、それは、国民生活の質を高める努力、国会でもしばしば御議論になっておりますように、豊かさの実感のできる国内生活を築き上げていくためにはどうしたらいいかという角度で今日までも努力をしてきた問題でありますから、日本が自主的な立場に立って大いにこの方面に向かっては努力を続けていくということが、ちょうど今、日米の経済問題協議においてもお互いに指摘し合っている中の問題をそれぞれ解決するのに役立つものである。方向は同じでありますから真剣に取り組んでいこうと私も決意をし、この日米関係を改善するためにはこの努力は極めて必要なものであると、こう考えて意見を交換してきたところでございます。
 また、今日の国際情勢をどう認識しておるのかというお尋ねでございましたが、やはりヨーロッパを中心に東西の対決という枠組みは終わりを遂げ、そしてどのようにして平和、安定の世界ができるかという方に冷戦時代の発想を乗り越えた歩み寄りで米ソは合意、一致点を見出して、それに向かって歩みが続いておると私は考えております。
 ただ、率直に申し上げますと、今ヨーロッパに起こっておる劇的な変化がそのままアジア・太平洋地域に及んできておるとはまだ言い切れない不安定、不透明な面がございます。例えばカンボジアでは今なお戦闘が続いておるんです。朝鮮半島では軍事力をもって対峙しておるという現実もあるわけです。西側諸国との問題を解決し切っていない中国の問題もあります。日本とソ連との間にも問題がございます。
 私は、こういったことを一つ一つ努力をして解決しながら、アジアにおける平和と繁栄にもこの世界の国際情勢のいい方向性が及んでくるように、今後とも努力を続けていくべき考えを持っております。
 また、過日来日したチェイニー米国防長官との会談について触れられましたが、東アジア地区からアメリカの兵力削減の計画のお話があったことはそのとおりでございます。
 これは、アメリカの持ついろいろな諸情勢、諸問題からきて、その提案を私は聞きました。そして、それは結局日本におけるものについて具体的にどうするということよりも、今後十分相談をしながら二、三年の一つの期間を置いて一部の兵員の削減を考えておるということであります。ただ、それはまだ不安定な見通しの中におけるアジアでありますから、前方展開作戦の変更ではなく、戦略的なアメリカのプレゼンスを崩すものではない。十分相談してやっていくけれども、しかしこれは日米間の十分な話し合いと政策協調協議を踏まえてやっていかなきゃならぬ問題でありますから、この点について私は、今日までの日米安保条約の果たしてきた役割と、それを基本的に運営しながら平和を守ってきた日本の現状のもとで、でき得る限りの在日米軍の経費負担問題等も今日まで日本は行ってまいりましたけれども、それは今後とも日本の自主的な判断で考えていくということを思っておるわけであります。
 いずれにしても、日米の安全保障体制の効果的運用のためには極めて重要な問題であると考えております。
 デタントの時代になぜ四兆円を超える防衛費かということでありますが、現下の国際情勢については、私は、現実的な軍備管理とそして軍縮交渉を行うことによって初めて安定した安心できる基本的な枠組みができるものと考えております。我が国の防衛計画の大綱は、平和時に保有すべき防衛力の水準を定めたものでございます。そして、節度ある予算の中でこの防衛計画の達成を目指してきたわけでございまして、平成三年度以降の防衛力整備につきましては、その具体的内容について、国際情勢及び経済、財政事情等を勘案しながら、安全保障会議を中心とする適切な文民統制のもとに、逐次検討を重ねていくつもりでございます。
 北方領土返還の見通し、日ソ関係でありますが、私は、やはりソ連との関係は、隣国でありしかも超大国でありますから、安定した関係を構築していかなければならないと基本的に考えております。このような認識に立って、北方領土問題を解決して平和条約を締結することを最重要課題として、日ソ関係全体を均衡のとれた形で拡大させつつ改善を図っていきたいというのが基本的な考え方であり、これまでのところ平和条約交渉、平和条約作業グループ等において、北方四島の一括返還の実現に向けて粘り強く話し合いを続けておりますが、ゴルバチョフ議長から私のところへ参りました親書でも、一九九一年には日本に来るという問題が確認されておりますので、それを重要な契機と考えながら、さらに各界各レベルで粘り強い話し合いと拡大均衡した関係を続けていきたい、このように思っておるわけでございます。
 また、国連中心の軍縮、そして平和維持、地球環境、麻薬などの問題については、私は、やはり国連の活動、国連の役割はますます重要になってくると考えております。特に軍縮面において、昨年四月の国連軍縮京都会議の開催等を通じて日本も努力を続けてきておるところでありますが、今後とも核実験、化学兵器禁止等の分野において実現可能な、そして実効ある具体的措置の合意等を目指して、国連の努力に積極的に参画をしていく決意でおります。
 消費税の問題についてのお話がございましたが、私たちは、昨年の四月に行いました税制改革、これは広く社会が必要とする公共の費用を公平に負担していただくという立場に立って、税制改革の一環として消費税をつくったわけであります。ところが、いろいろ世論あるいは国会等を通じてさまざまな御指摘や御批判がございましたので、思い切って見直しもいたしました。そうして、その見直し案につきましては、人間性の尊厳に触れるような出産の費用とか、将来の児童のために大切な教育の問題とか、福祉に関する問題とか、家賃に関することなど、あるいは食品の小売段階非課税、流通段階半額、いろいろな問題を思い切って見直しをいたしました。
 ただ、私は、この間の選挙中も率直にこの見直し案については国民の皆さんに訴えて、税の話は楽しい話ではありませんけれども、皆さんにお認めをいただかなければならぬ問題ですから、御理解をいただきたいとお願いをし続けてまいりました。私は、この消費税は既に行われておる税制でありますし、二十一世紀を目指していろいろ負担の公平を考えていくという面からいっても必要なものであると考えておりますので、御議論をいただきながらこれの定着についての御理解と御協力を賜りたい、このように考えております。
 また、内外価格差の問題につきましては、政府・与党の中で内外価格差対策推進本部を設置して、五十二項目にわたる対策を行います。
 主なものだけ申し上げましても、内外価格差があるということの実態調査とその原因、なぜそうなっておるかということを公表し、規制の緩和をし、独占禁止法の厳正な運用などによる競争条件の整備、また予算や税制や関税等による輸入促進の一層の拡大、電話料金の引き下げなど、適正な公共料金政策を盛り込んだもの等を今後とも着実に進めて、内外価格差の是正には積極的に取り組んでまいります。
 土地問題についてお触れになりました。
 私は、昨年、国会において与野党の皆さん方のお話し合いによって御理解をいただき、せっかく土地基本法が成立し、その基本理念が国民の皆さんの前に示されておるわけでありますから、具体的施策として、昨年、土地対策関係閣僚会議において決めました今後の土地対策の重点実施方針に従いまして、大都市地域における住宅宅地供給の促進や土地税制の総合的見直し等について、近く税制調査会の御審議もいただき、平成二年度中に成案を得て国会にも御提案をし、重点的にその実施を図ってまいりたいと考えております。
 住宅問題に対する緊急対策として、家賃控除制度等についてもお触れになりましたが、住宅費負担の軽減については、融資、税制の活用により賃貸住宅供給コストの低減に努力をするとともに、低所得者の皆さんの世帯については、公営住宅など公共賃貸住宅の的確な供給に力を入れてまいります。
 なお、家賃そのものを所得から控除する制度の創設につきましては、税制面のあり方として、家賃は食費や被服費等と同様、典型的な生計費でありますことから、家賃だけを取り出して特別な控除制度を設けるということには基本的な問題があるものと考えております。
 また、福祉の問題につきましては、私たちは高齢者保健福祉十カ年戦略をつくりました。これは、すべての国民が安心して老後を送ることのできるよう、在宅福祉、施設福祉等の事業について今後十年間で従来の目標を大きく上回る水準を確保しようとしておるものであります。私は、今後、この目標の実現に向けて努力をしていくつもりでございます。
 なお、御指摘の事業の推進に当たりましては、地方公共団体の取り組みに支障がないようにという御注意でありますが、その点につきましては、御質問の趣旨も体し、最大限の配慮を行ってまいります。
 その他、まとめてお述べになりました数点の問題の中で、教育改革につきましては、受験地獄の解消と個性豊かな創造性をはぐくむ教育の実現が重要だということは全く同感でございます。
 また、豊かな国民生活を充実するために医療、年金制度の改善、これに力を入れるということでございます。私は、先般の改正において生活水準や賃金の上昇に応じた年金額の改善を行ったところでありますが、今後とも公的年金が老後生活を支えていけるように努力をしてまいりたいと思っております。
 また、豊かでゆとりある国民生活を実現するためには、勤労者の雇用の安定と福祉の向上を図ることが重要であり、このため、今後とも六十歳代前半層を重点とした高齢者雇用の推進、完全週休二日制の普及を基本とした労働時間の短縮、パート労働者の労働条件の改善などについて最大限の努力を払ってまいります。
 また、農政についてもお触れになりましたが、国民生活にとって最も重要なものは食糧であります。その安定供給の確保は国政の重要課題と認識をし、農業の生産性の向上を進め、国内での基本的な食糧供給力の確保を図りつつ、国民の納得できる価格での食糧の供給に努めることを基本としてまいるつもりでございます。
 また、豊かな国民生活を実現するため、生活者に視点を置いた経済運営を図れとのお言葉でありますが、それは全く同感でございまして、国民一人一人の生活に豊かさが実感されるためには、これまでに達成した我が国の経済力を国民生活にも生かして、居住水準、労働時間、生計費の問題等にさらに一層の政策努力を加えて、「世界とともに生きる日本」という経済計画に書いておりますように、輸出優先型、生産優先型の経済構造を転換して、経済発展の成果を国民生活の質的向上に結びつけていくという構造改革が必要なものであると私も確信をいたしております。
 また、政治改革にお触れになりましたが、政治改革こそは極めて重要な課題であり、前国会で公職選挙法の一部改正案を各党の御議論を通じて成立させていただいたことは第一歩であったと考えております。
 しかし、今、三木議員御指摘のように、政治資金に関する問題、政治倫理の問題、国会改革の問題、選挙制度の問題、この四つの問題点はいずれも政治改革として取り上げなければならない大切な問題であり、御指摘のように、ことしは国会開設百年であります。各党各会派の御理解と御協力をいただきながら、政治資金に関する法案その他も積極的に御議論をいただきまして、また選挙制度審議会の答申をいただいたならば、政治改革に対してさらに一層の御理解と御努力をいただきたいと考えております。
 国会運営の問題につきましては、私は、両院議長にお骨折りをいただき、与野党の皆さん方で協議を進め、国民の皆さんの前で実りのある討議が重ねられていきますことを政府も心から御期待させていただいております。
 政治家が保つべき政治姿勢の指針は政治倫理綱領に言い尽くされておると申されます。そのとおりであって、国会議員の資産公開を含む政治倫理の確立について、各党において法制化に向けた御努力が続けられておると承知いたしております。私は、そのことに期待をさせていただきます。
 議会制民主主義の原点は、現在の国会のねじれ現象の中でどうするのかと仰せられますが、基本的には、国民の皆さんの前で数の背景を初めから一〇〇%前に出してしまって、これで絶対にいい、絶対にだめだと決めてしまわないで、どうぞ建設的な御意見によって前進が図られていきますように、皆様方の御理解と御協力をお願いする次第でございます。
 公共事業に対する生活環境重視への思い切った転換を図るべきではないかと。
 私は、社会資本の整備状況をつぶさに眺めてみましても、いろいろと生活環境の中で下水道、公園、再開発などの事業にはおくれが目立ちます。進んでおる面もたくさんございます。こういうときには、御指摘のように、傾斜的な配慮によって社会資本の整備に努めてまいらなければならないと、十分に研究をさせていただきます。
 また、国から地方へいろいろな権限移譲を図るべきではないかとの御指摘でございますけれども、地方公共団体において処理できるように、臨調答申等に沿って権限移譲に今日までも努めてきたところでございますが、昨年十二月に行革審から、地域の活性化を図るなど、幅広い観点から四十七項目の権限移譲など国と地方の関係について提言をいただきました。積極的に取り組んでまいります。
 また、国と地方の税源の配分改善についてもお触れになりましたが、税源配分は、単に地方税だけではなく、地方交付税や国庫支出金のあり方、さらには国と地方の行政事務配分のあり方等を踏まえつつ、幅広い見地から検討を行っていくべきものと考えております。
 また、高齢化社会における国民負担率のあるべき姿につきましては、受益と負担のバランスを眺めながら国民的な選択が行われなければなりませんけれども、長期的に見ますとある程度国民負担率は上昇するものと考えられますが、臨調答申の趣旨を踏まえて、その上昇は極力制限すべく今後とも最大限に努めてまいります。
 国債残高の減額をどうするかという御質問でございますけれども、先進国中最高の水準でただいま国債発行高が累増しております。また、国債費も膨張を続け、一般会計歳出の二割を超えており、これも先進国中最高の水準であります。こうした状況を踏まえて、高齢化社会に向けて大きな負担をこれ以上残さないようにすること。すなわち、本格的な高齢化社会の到来時における国民負担率の水準の上昇を極力抑制することが重要でありますから、公債依存度の引き下げを図り、あわせて特例公債の早期償還に努めることによって国債残高の累増を抑制することが必要であると考えております。
 また、行政改革に対しましては、二十一世紀を展望した活力ある経済社会を構築するために、手綱を緩めることなく行政改革には取り組んでまいります。
 当面、国と地方を通ずる行政改革の推進、規制緩和の推進が最大の課題と考えております。これらに全力を尽くすとともに、来月予定されます臨時行政改革推進審議会の最終答申を最大限に尊重して、さらに新たな気持ちで行政改革を推進してまいりたいと考えております。
 公団、事業団の民営化の問題につきましては、昭和六十年に専売公社、電電公社の民営化、六十二年に国有鉄道の分割・民営化を行い、NTTの株式については既定方針に沿って逐次売却を行ってきておるところであります。
 また、日本航空株式会社等についても順次民営化を図るとともに、株式の売却を行ってきておるところであります。
 公団、事業団等の特殊法人につきましては、今後とも、社会経済状態の変化を踏まえて、行政の減量化と官民の事業分野の調整という観点から不断の見直しを行ってまいる考えであります。
 政府系金融機関についてもお触れになりましたが、政府系金融機関は、住宅対策、社会資本整備、国際協力推進、地域の活性化などさまざまな分野で重要な役割を果たしてまいっております。
 ただ、住宅金融公庫等の例をとってみましても、民営よりも低利で融資をしなければならないというその事柄の性質上もあり、社会情勢をいろいろ検討し、また業務内容や融資の対象等について必要な見直しを行うことによって国民の皆さんのニーズに適切に対応していきたいと考えております。
 最後に、国連の環境計画、地球環境の問題についてお触れになりました。
 私は、地球環境に関する諸活動を総合的に調整するとともに、国連の諸機関がその解決のために努力をするときには日本としても拠出など積極的な支援を行うとともに、地球環境問題解決のための中心的役割を果たしてまいりたいと考えており、今後とも一層国際協力を推進してまいる所存でございます。
 地球の日や地球環境週間、地球環境白書の発行についてもお触れになりましたが、既に国連が六月五日を世界環境の日として設定しておりますし、一九七二年の人間環境会議の開催を記念して、これは我が国の提唱に基づき始められたものであり、政府としては毎年六月五日からの一週間を環境週間としております。また、政府は毎年環境白書を作成し、公表しておりますが、昭和六十三年の白書では地球環境の保全に向けての我が国の貢献をメーンテーマに掲げて、昨年の白書でも地球環境問題には重点を置いてまいりました。
 御意見を尊重しながら、今後とも、地球環境問題について内容の充実を図り、啓蒙資料の提供等にも努めていく所存でございます。
 また、民間企業の海外における活動、政府の海外における活動について投資先国の生活・自然環境の保全に十分努めていかなければならない、公害や環境破壊を引き起こしている現状をどのように解決していくかということでございます。
 これは極めて重要な問題でありますから、地球環境保全関係閣僚会議の申し合わせを踏まえて、援助の実施に際しての環境配慮の強化に努めてまいりますし、また、民間企業の海外における活動については、自主的に海外投資行動指針を策定して、投資先国の生活・自然環境の保全に十分努める旨申し合わせをしておるところであり、適切な環境配慮が行われるようこの指針の徹底方を政府としても貫いていきたいと思っております。
 環境アセスメント法の問題につきましては、昭和五十九年八月の閣議決定に従い、環境汚染を未然に防止していくよう努力を続けておるところでありますし、また、地球環境基金を我が国につくれというお話でございますが、国際的地位に応じた役割を積極的に果たしていくことが肝心であると認識をいたしております。
 また、防衛関係費については、厳しい財政状況のもと、他の施策との調和を図りつつ節度のある防衛力の整備を図るため、所要の予算措置を講じておるところでございます。
 また、最後に、地球環境保全の解決のために、我が国のような先進国を中心として国民の生活様式の見直しを含む足元からの対応が重要ではないかとおっしゃいました。
 我が国の社会経済活動を地球に優しい姿に変えていくためには、地域に密着した地方公共団体においても、地球環境保全のための地域住民に対する普及啓蒙や地域づくりが期待されるところであります。
 政府といたしましては、このような問題について地方公共団体とも一層連携を図りつつ、地球環境保全のために総合的な取り組みを推進してまいる所存であります。(拍手)
    ─────────────
#15
○議長(土屋義彦君) 山中郁子君。
   〔山中郁子君登壇、拍手〕
#16
○山中郁子君 私は、日本共産党を代表し、海部総理大臣の施政方針演説に対し質問いたします。
 総理は、この演説の冒頭で、新しい世界秩序と平和共存の世界構築に日本が積極的な役割を果たさなければならないなど、世界情勢と日本の役割について述べられました。
 日本共産党は、昨日の衆議院本会議における不破委員長の質問でも強調いたしましたように、世界の安定した平和を目指すならば、すべての軍事同盟の解体、外国軍隊の撤退が避けて通れない問題であると認識し、日米軍事同盟の解消、すなわち安保条約廃棄を一貫して主張してきているところであります。しかし、自民党政府は、依然として日米軍事同盟を強化し、軍拡路線に固執しているのが現状ではありませんか。
 総理は昨日も、安保条約など軍事同盟の力による均衡と抑止が効果があったし、今も必要であると答弁されましたが、これは、一切の戦力の保持を禁止し、国際紛争の解決は武力によらず話し合いによって平和的に解決するという我が国憲法の基本精神に反する考え方ではありませんか。総理の見解を求めます。
 日本は既に世界第三位の軍事大国になっていますが、一九九〇年度予算案では軍事費はさらに六・一%増額され、四兆一千五百九十三億円という莫大な金額が計上されています。さらに膨大な経費を必要とする次期防衛計画作業が進行しているのです。もし総理が真に平和共存の世界をつくることに貢献すべきだと考えておられるならば、憲法第九条に照らしても、また唯一の被爆国としての全人類への責務に照らしても、軍事費はまず半分に減らすなど、軍縮への決意を示すべきでありますが、見解を伺います。
 また、総理は、ことし一月、ベルギーでNATOの事務総長であるウェルナー氏と会談された際、アジア・太平洋地域ではもう少し情勢を見きわめるまで海軍軍縮は話し合えないのではないかなどと発言され、最近もまた、ミッドウェーの後継空母としてインデペンデンスが横須賀を母港とすることについても、これを歓迎すると述べました。これらのあなたの言動は、安保体制強化の路線を歩むものであり、軍事同盟、軍事ブロックは解体されるべきであるという世界の流れに逆行するものと言わなければなりません。あなたは軍事ブロックのない世界を望んでおられるのかどうか、率直にお答え願いたいと思います。
 あわせて、核問題について一点伺います。
 昨年末、核兵器水没事故を起こした米空母タイコンデロガの横須賀寄港の有無について米政府が回答を拒否したのに対し、非核三原則を堅持しなければならない日本政府みずからが理解を示し、核持ち込みはおろか、寄港の有無さえ調べようとしない態度は、核に関しては今後どんなことがあっても不問に付すという態度であり、まさに露骨な対米従属を示す重大な問題ではありませんか。軍事ブロック解体が大きな世界の世論となりつつある現在こそ、対ソ冷戦の産物である核の存否を明らかにしないという政策の転換をこそ迫るべきであります。アメリカに対してこのことを要求なさるつもりがあるかどうか、答弁を求めます。
 あなたは日米首脳会談で在日米軍経費負担増額の協力を約束されましたが、それは、これまでの三千七百億円に加えて、昨日防衛庁長官が記者会見で述べたように、安保地位協定までも改定してさらに約三千億円もの新たな負担増に踏み込むものではないのですか。明確にしてください。
 また、日米欧の三極協議なるものが合意されたと報道されておりますが、ブッシュ政権のねらいは、アメリカ主導のもとに東欧と中南米への援助資金を日本から引き出すことが目的だと言われています。ODAの改善、東欧への援助が重要であるとしても、軍事費とODAの名による戦略援助の増額に加え、何でもアメリカの言いなりに相次ぐ負担を引き受けるとすれば、どこに日本の自主性があると言えますか。事実かどうかを含め、答弁を求めるものであります。
 日米構造協議問題も含め、これら軍拡路線、核持ち込みなど、いずれもその根底に、日米軍事同盟、すなわち安保条約が存在しているのであって、ここからの脱却こそが国民的要求実現への道でもあることを、私はこの際重ねて指摘しておくものであります。
 さて、総理は選挙後の記者会見で、今度の選挙は消費税の国民投票だと言う人がいたが、その意味では支持をいただけたと語られましたが、果たしてそう言えるのか。選挙後の国民の声、例えばNHKの世論調査でも、七四%もの人が消費税が認められたとは思わないと回答し、認められたとする人が二五%にすぎないという結果が出ていることにおいても、消費税に反対する声が大勢であることが明らかであります。
 昨日、政府は国会に消費税見直し法案を提出いたしましたが、その内容は思い切った見直しとはほど遠く、一例を挙げるならば、業者の方たちには複雑な税体系と事務負担を強要するものになっているなど、国民の声に到底こたえ得ないものであります。この際消費税は無条件で廃止すべきであるというのが我が党の一貫した主張でありますが、総理の見解を承ります。
 また、政府が将来の税率引き上げを予定しながらその見通しについて全く口を閉ざしていることについて伺います。
 総理は消費税の税率について、二十一世紀を支えるために必要なものと特徴づけました。それならば政府は、消費税の税率について、海部内閣の間はなどと言わずに、二十一世紀を支えるいかなる計画を持っているのか国民の前に明らかにすべきでありますが、お答えいただきたい。
 また、政府・自民党は一方で、昨年の消費税導入と同時に、税制の抜本改革と称して法人税率を四二%から四〇%に引き下げ、さらに来年度からは三七・五%にすることを決めています。その上、輸入促進税制などの名目で新たな大企業優遇税制の拡大を図ろうとしているのです。これらの不公平税制こそ改めるべきではないのですか、見解を伺います。
 このように、アメリカの言いなりになり、大企業を優遇する自民党政治のもとで、国民各層の生活がますます脅かされています。
 ここで、私は当面するそれらの問題のうち五点について伺います。
 第一はパートタイム労働者の問題についてであります。
 パートタイム労働者は、労働白書によれば約八百万人と推計されており、とりわけ婦人労働者について見れば三人に一人の割合となります。
 最近、大阪地裁で三洋電機の婦人パートタイム労働者の解雇無効の判決が下されました。これは当然のことであります。パートタイム労働者の多くは、一般労働者とほとんど変わらない仕事をしているにもかかわらず、さまざまな差別があります。特に賃金でありますが、その水準は常勤の婦人労働者の七一%です。年間賞与その他特別給与に至っては約一五%にすぎません。その常勤の婦人労働者の賃金水準でさえ男性のほぼ五〇%なのですから、いかにひどい差別かおわかりになると思います。同一労働同一賃金の原則に基づき、その事業所の常勤の労働者と時間当たりで同一水準の賃金を支払うなど、速やかな解決のための施策を講ずるべきですが、ぜひお約束をいただきたい。
 第二は輸入食品の問題です。
 現在、日本は世界で最大の食品並びに食料品の輸入国になっているにもかかわらず、輸入食品の安全をチェックするための食品衛生監視員は全国でわずか八十九名しか配置されていないのです。これは、一人当たりにすると二十四万六千トンもの輸入貨物を検査しなければならないことになり、実際に不可能なことは明らかであります。最近もアメリカでペリエという清涼飲料水に化学物質が混入しているということで回収される事態が起こりましたが、これを日本では事前にチェックできませんでした。国民の不安、特に子供の健康を心配するお母さん方の不安は大変切実なものがあります。
 この不安に緊急にこたえるため、輸入食品検査体制を抜本的に強化するお考えはありませんか、具体的にお示しいただきたい。
 第三は年金の問題です。
 総理は、「生涯はつらつ、生涯しあわせ」を政治目標にすると述べられましたが、その基本理念を実施するための老後の所得保障である年金制度の充実については一言も触れられませんでした。厚生年金は平均で十二万九千六百四十円、国民年金は今後四十年間一カ月も休まずに保険料を納入し続けてやっと月額五万五千五百円です。これでどうして幸せではつらつとした老後が送れますか。去る三日、総理府が発表した調査でも、高齢期の生活について生き生きしていると答えた人はわずか二四%で、そう思わないという人は五五%にも達しています。
 総理は、年金の引き上げに具体的にどういう努力をされるのか、また厚生年金の支給開始年齢を六十五歳にしないと言明されますか、はっきりお答えいただきたい。
 第四は子供の権利についてであります。
 昨年十一月二十日、国連総会は児童の権利条約を採択いたしました。この条約は、子供の権利が普遍的で国際的な人権として承認された重要な内容を持つものであります。総理は子供は世の宝であると言われましたが、その立場に立つならば、直ちにこれを批准する意思を明らかにし、そのための準備を急ぐべきであります。総理の見解をお示しいただきたい。
 第五は、JRの雇用、不当労働行為問題です。
 国鉄がJRに移行後の不当労働行為に対して地方労働委員会は既に約九十件の救済命令を出していますが、そのすべてが国労、全動労の組合員を差別したという明白な不当労働行為として原職復帰させることを求めているものであります。にもかかわらず、JRは一向にこれに従おうとしません。このことは、公的義務である地労委の救済命令に従わない明らかな違法行為であるばかりか、組合差別はしないと繰り返し国会答弁をなさったその政府の態度にも真っ向からこれを踏みにじるものになるものであります。
 清算事業団職員の雇用対策は、残すところ今月いっぱいであります。しかし、清算事業団にはまだ約二千人の労働者が残されているのです。一人も路頭に迷わせないという国会での約束を果たす上でも、政府はJRに対し労働委員会の救済命令に直ちに従うよう毅然とした態度で指導すべきでありますが、総理の答弁を伺います。
 最後に、私は、総理が事あるごとに口にしている清潔な政治という問題についてただします。
 あなたは第二次海部内閣がクリーンであることを印象づけようと苦心されていますが、国民の見方は非常に厳しいものがあります。なぜなら、昨日総理が認めたように、あなた自身も含め、第二次海部内閣の閣僚の中にはリクルート社から献金を受けたりパーティー券を購入してもらった人が七名もいる。その上に、パチンコ業界及び外国人団体から献金を受けた人が十名に達しているではありませんか。これでは金権政治への反省が全くないと言われても当然であります。総理の御所見を伺います。
 さらに、最近またまた中曽根元総理や稲村元環境庁長官など、政治家の株のインサイダー取引や巨額の申告漏れが明るみに出ました。このようなことは絶対にあってはならないはずですが、総理の見解を明らかにしていただきたい。
 ここで、私は、総選挙後新たに問題となっている総理自身のリクルート社からの献金について端的にお尋ねいたします。
 あなたは、昨年八月初めて総理に就任された直後の記者会見でも、また昨日もさらに重ねて、リクルート社からの献金は過去五年間に一千四百四十万円であり、通常の政治献金であるから問題はないし、それ以上の献金はないと明言されました。しかし、最近の報道によれば、実際の献金はそれを約一千二百万円上回って、少なくとも総額二千六百三十万円になっていると伝えられているのです。なぜこのようなことが出てくるのか、国民の前に事実を明らかにすべきではないですか。本当にこれ以上ないのですか。あなた自身だけでなく、もしこれ以上の何かがあったら、総理はどういう責任をおとりになるつもりなのか、お答えいただきたい。
 国民を言葉だけで欺くことなく、真実を語るべきであることを強く要求します。
 今回の衆議院選挙をめぐって、これら金権政治に関し外国の通信社などは、政治とモラルという言葉は日本語には存在しないのかとか、日本の経済力と政治的未熟さのギャップは以前に増して広がるように見えるなど、多くの厳しい批判的見解を伝えています。
#17
○議長(土屋義彦君) 山中君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
#18
○山中郁子君 (続)これは、まさに日本の政治の民主主義のレベルが国際的に問われていることを示しているものであることを強く指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(海部俊樹君) 山中議員にお答えをいたします。
 最初に、平和的に国際紛争は解決するということを憲法は基本精神にしておるから安保条約は憲法違反ではないかと、こういう趣旨のお尋ねですが、政治の目的というのは、国の平和を守り、国民生活の安定向上を図るものでありまして、我が国の憲法も、平和主義、基本的人権尊重主義、民主主義というものを書いておるわけでありますから、安全保障条約のもとでの平和を守り続け、人権を守り続けてきた日本のこの態度というものが憲法違反だとは私は考えません。
 また、真に平和共存の世界をつくるために、私どもは、みずからの平和とみずからの安全だけはみずからで守らなければならぬというので、節度ある防衛力の整備をしてまいりましたが、これは常に平和時における防衛力の整備という大前提を置いての問題でございまして、これを直ちに変えるわけにはまいりません。現実的、具体的な軍備管理・軍縮促進の重要性はよく理解しておりますから、その努力は引き続き行っていくつもりでございます。
 また、軍事ブロックの解体という世界の流れの中でということでございますが、本当に軍事ブロックが全部なくなってしまって不透明感がなくなるという現実的な世界になれば、私はそういう世界を望んでおるのは当然でございます。しかし、今一番進んでおる東欧の問題にしても、あのドイツの統一問題の中でNATOとワルシャワ条約機構という軍事ブロックが現実的に安定を確保しながら話を進めていくというテーマの一つになっておるわけでありまして、NATOに対する統一ドイツとの関係というのが国際社会で今大きな議論になっておる、現実的に今も役を果たしつつあるのだという事実を見ますと、今直ちに世界の軍事ブロックを全部なくしてしまうのは一国の安全保障にとって現実的なものにはならぬわけでありますから、世界の動きをきちっと見据えて、その上に立って私は軍事ブロックのない世界を望んでまいりたいと考えております。
 また、日米安全保障条約の運用問題についてお触れになりましたけれども、常に説明がなされておるように、日米安全保障条約上は、艦船によるものをも含めて、核兵器の持ち込みが行われる場合はすべて条約上の義務として事前協議の対象となっておるわけであります。米国政府は我が国の立場及び我が国の特別な関心を十分理解しておりますから、政府としては、核持ち込みの事前協議が行われない以上、米国による核持ち込みがないことについては何らの疑いも持っておりません。
 また、これの効果的な運用を確保していくことは極めて重要であるという観点を持っておりますから、日米安全保障条約というものを運用するために必要なものについては、自主的にできる限りの努力を行ってきたところでありまして、今後とも駐留米軍に関する経費の問題については自主的に適切な対処をしていきたいと考えております。
 また、日米欧三極協議に合意したのは事実かとおっしゃいますが、今、世界的な規模での平和と安定、世界的な新しい秩序をつくろう、冷戦構造を乗り越えようという動きがあります。欧米二極のみならず、アジア・太平洋地域にある日本も加わって三極で話を進めていくことが極めて重要だということは、欧州各国の首脳も年頭の首脳会談ではっきり言われましたし、また私もそれは必要なことだと思って欧州との間も強化をしてまいります。そうして初めて世界の平和と安定が地球的規模でできるのではないでしょうか。御理解をいただきたいと思うわけであります。
 消費税の見直しの問題についてお触れになりましたけれども、私は、消費税は来るべき高齢化社会を目指して必要なものだと考えておりますし、重税感や不公平感をなくすることを目指して、社会共通の費用を広く薄く公平に分かち合う仕組みをつくるために努力をしてきたものでございます。そして、世論を尊重し、各党の御意見を聞きながら見直し案をまとめて、それを提案いたしたわけでありますから、どうぞ御議論をいただきたいと思います。
 同時に、税率問題についてもお触れになりましたが、私の内閣である限り税率を引き上げるということは考えておりません。それは、私の内閣でと申しますことは、未来永劫に責任を持てないことまで言うのはいかがかと思ったからでございます。
 また、輸入促進税制などの問題につきましては、税負担の公平の確保ということは最も重要な理念の一つでありまして、御指摘が租税特別措置の問題ということであれば、租税特別措置は、中小企業対策、技術の振興、地域の振興、環境対策など一定の政策目的を達成するために講じられているものでありますから、従来から社会経済情勢の変化に即応して常に見直しを行ってきておるものでございます。
 御指摘の製品輸入促進税制は、現下の対外不均衡の問題に対応するため、総合的な輸入促進の一環として措置するものであり、中小企業を含む卸、小売、製造事業者に広く適用されるものでございます。
 また、パートタイム労働者について、その処遇及び労働条件の改善については私も一層推進する決意を持っております。
 食品の安全対策にお触れになりましたが、食品衛生法に基づいて食品、添加物の規格基準の設定、食品衛生監視員による監視、指導、検疫所を中心とした輸入食品の監視の充実など、今後とも安全性の確保には一層努力をしていく考えでございます。
 また、年金額については、先般の改正において生活水準や賃金の上昇に応じた改善を行ったところでありまして、保険料負担との関連からこれ以上のことを直ちにここで申し上げるのは困難かと思いますけれども、後代の負担を過大なものとならないようにするために避けて通れない問題として、厚生年金の支給年齢の引き上げについては御理解を賜りたいと思います。
 今後、高齢者雇用の確保に努めながら、前国会で設けられた見直し規定の趣旨を踏まえて総合的に検討をさせていただきます。
 児童憲章の問題につきましては、我が国国内法との関係、他の条約との整合性を勘案しながら、政府部内においてその検討を始めたところでございます。
 また、JR各社が不当労働行為として地労委の救済命令を受けていることは政府は知っておりますけれども、国鉄清算事業団職員の再就職促進のためには随分今日までも努力をいたしてまいりました。あと一カ月の期間も全力を挙げて再就職を希望する職員の再就職の促進に取り組むように国鉄清算事業団を指導してまいります。ただ、再就職をする意思と希望がある者については、これまでの対策で再就職の先は十分に用意して、御紹介の努力等もしておりますから、いまだ決まっておらない職員の方は、自分自身も真剣に再就職の努力を払うことを期待させていただきます。
 これらの事案については、中央労働委員会等において当事者間においてなお係争中でありますので、政府としてはコメントを差し控えることが適当であると考えております。
 なお、政治倫理に触れて、第二次海部内閣の閣僚の問題にお触れになりました。
 政治献金等は、日常の政治活動を支えるものの一つとして政治資金規正法により処理されたものである限り、政治家に対する正当な援助であると考えております。リクルート社が問題となった現内閣にあっても、各閣僚がそれ以前のものについて自主的に調査をし、自発的に申告したものについては、自民党の見解に照らして問題はないと私は考えております。
 また、昨年国会で取り上げられましたパチンコ業界などからの献金問題に関しましても、その後の自民党の調査によって、問題となる点はないと考えております。
 インサイダー取引については、一般投資家にとって極めて不公平な結果となるものであり、これが放置されれば証券市場に対する信頼が損なわれることになります。脱税は、それが株式譲渡に係るものであるかどうかを問わず、申告納税制度の根幹を揺るがしかねないものであり、放置することはできない問題だと考えております。
 なお、最後に、私の政治資金の中にリクルート社からのものもありましたが、五年間で千四百四十万円ということは申し上げたとおりでございます。同社が社会的問題になることがわかっていないとき、通常の政治資金として受け取ったものでございますが、今後とも十分に注意して戒めてまいりたいと思います。それ以上にはございません。(拍手)
#20
○議長(土屋義彦君) これにて午後零時五十五分まで休憩いたします。
   午前十一時三十三分休憩
     ─────・─────
   午後零時五十五分開議
#21
○議長(土屋義彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 議員横溝克己君は、去る二月二十三日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 同君に対しましては、議長は、既に弔詞をささげました。
 ここにその弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院はわが国民主政治発展のため力をつくされました議員横溝克己君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
    ─────────────
#22
○議長(土屋義彦君) 仲川幸男君から発言を求められております。この際、発言を許します。仲川幸男君。
   〔仲川幸男君登壇〕
#23
○仲川幸男君 本院議員横溝克己君は、去る二月二十三日、東京都千代田区の杏雲堂病院において急性心不全のため逝去されました。まことに痛惜哀悼の念にたえません。
 私は、ここに、皆様のお許しをいただき、議員一同を代表して、故横溝克己君の御功績をしのび、謹んで哀悼の言葉をささげます。
 君は、大正十三年五月東京都世田谷区において誕生され、昭和二十三年早稲田大学理工学部を卒業し、同大学大学院に進学、二十七年望まれて同大学理工学部副手に嘱任され、四十年に教授となられました。そして、平成元年、参議院議員に当選と同時に、教授を退職、客員教授となられたのであります。この間、数多くの大学において講師を務められました。このようなすばらしい御経歴は、君の資質が極めてすぐれたものであったことをいかなる言葉よりも如実に物語っております。
 君は、大学においては労働の安全と生産性の向上を中心に研究しておられました。特に、高齢者や身体障害者の作業能力の分析手法として有効なモダプツ法に着目され、これを我が国へ導入、普及するため、日本モダプツ協会を設立して、みずから会長となられました。これは、高齢者や障害者の機能評価、リハビリテーション、職能評価などに大いに利用されております。その会長の職務は大変激務であったと承っております。その職務にあって君の脳裏を片時も離れなかったものは、いかにしたら生産現場で苦労している人々が安全でしかも効率よく働けるかということであり、使命感と充実感に満たされた毎日であったのであります。また、会長として中国や韓国へもたびたび訪れ、その普及指導を行われました。さらに、君は、行動する学者として、国や地方公共団体からの委嘱に応じて、行政面でも大きな影響を与えられたのであります。このように、高齢者や障害者の働く機会の拡大、労働の安全性と産業の生産性の向上等の研究分野で大きな業績を上げられたのであります。
 君は、学問研究にすぐれていたばかりでなく、お人柄においても、まれに見る優しさと温かさをあわせ持ち、どのような人にも分け隔てなく接したのであります。また、責任感についても人一倍強く、これらのことは君を知るすべての人が認めているところであります。
 君の人生で最大の転機は、昨年七月、参議院議員に当選されたことでありました。大学教授の地位をあえてなげうち、政治家に転身する決意を明らかにしたとき、周囲の人々は予期せぬこととして大変驚きました。しかし、大学教授の立場では高齢者や障害者の福祉問題に取り組む際に限界がある、政策決定の場である国会においてみずから意見を述べなければならないと考えられたと承っております。
 君は、参議院では農林水産委員会と産業・資源エネルギーに関する調査会に所属し、活躍されました。委員会等での質問を大変楽しみにしておられまして、委員会等の開かれる前日は夜遅くまで勉強されていたのであります。そしてその質問は、大学教授時代のみずからの体験に基づいた鋭い示唆に富んだものであり、私も深い感銘を覚えることが多かったのであります。例えば、高齢者にとって現在の二十キロ単位の袋に包装された肥料では持ち上げるのに重過ぎるということを聞いたその経験を踏まえ、農作業の一つ一つを高齢者の身になって改善することが必要であると訴えておられました。また、高齢者の再就職用の訓練には、若い人の場合と比べ、二、三倍の費用と期間を必要とするという試算を挙げ、十分な予算を確保すべきであると主張されたのであります。
 君は、本年一月に体調を損ない、入院されましたが、二月二十三日に退院を予定し、入院中も委員会等の関係資料を熱心に勉強されていたのであります。ところが、楽しみにしていた退院予定日に、それまで健康と思われていた心臓が原因で突如として帰らぬ人となってしまわれたのであります。まさに思いがけない突然の出来事に、私は耳を疑うばかりでありました。
 政治の世界に身を置いてわずか八カ月、大成を期待されながら志半ばにして倒れた君の心中の御無念は察するに余りあるものがあります。
 現在、国政においては、早急に解決しなければならない難問が山積しております。このようなときに、君のような高潔な人格と豊かな識見を備えた国会議員を失ったことは、本院のみならず、国家、国民にとっても痛恨のきわみと言わなければなりません。
 今、君と幽明境を異にし、再び君の温顔にこの議場で接することができないことに改めて深い悲しみを覚えます。
 ここに、謹んで君の業績とお人柄をしのび、院を代表して心から御冥福をお祈り申し上げ、哀悼の言葉といたします。
     ─────・─────
#24
○議長(土屋義彦君) 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。井上哲夫君。
   〔井上哲夫君登壇、拍手〕
#25
○井上哲夫君 私は、連合参議院を代表して、海部総理の施政方針演説につき、以下御質問をいたします。
 まず、政治姿勢についてであります。
 さきに行われました総選挙は、自民党が従来の議席数を減らしたものの、いわゆる安定多数を確保されました。が、一方では、消費税の廃止を強く訴えた勢力が大幅に躍進をしたのも事実であります。
 私は、さらに指摘すべきこととして、今回の選挙で全国平均七三・三一%の高い投票率が示されたことを挙げておきます。
 そこで、総理、今回の選挙で示された民意はどこにあったかであります。
 自民党に政権を託した選択が国民の声であったとの認識は、衆議院での議席数だけを基準とすれば言えるでしょう。しかし、消費税廃止を訴えた候補の当選者もまた実に多数でありました。一方自民党の中にも、消費税をひとまず凍結すべきであるとか、その抜本的大幅な見直しを実現しますと訴えて選ばれた方も決して少なくありません。ですから、総理の言われる消費税は国民から信任されたとは決して申せません。むしろ、昨年の参議院選挙での明白な廃止を求める声が今回も根強く残ったと言えましょう。
 ところで、昨年十二月の一日示された消費税見直し案をそのまま提出されたそうですね。私どもは、この見直し案は、消費税が公約違反という重大な過誤のもとに生まれたものであることを別にしても、その内容が、免税点、簡易課税制度を温存し、また伝票制を採用せず、依然として逆進性を維持したままであり、まさに投網を打ったと評されるもので、到底賛同できません。
 消費税廃止の声もまた民の声で、決してこれを無視できないとすれば、思い切ってその凍結案や大幅かつ抜本的再見直し案を提出されるお考えはないでしょうか。この場合、私どもはそろって、凍結期間に現にある不公平税制を正し、これを実行することが前提と考えております。この点も含めてお尋ねをいたします。
 次に、今回の投票率が近年では意外に高い率であったことです。この事実は、国民の政治的関心が殊のほか高かったことを如実にあらわしており、その中身は次の二点と考えられます。
 一つは、政治家がまずその姿勢を正してほしいということです。次いで、政策決定過程の透明性こそ国民が今求めている最大のものであるということです。つまり、これまでのような数のごり押しや国対政治と言われるベテラン議員間による密室での協議でやっていただきたくないという声です。
 御承知のごとく、国政の場は衆参両院で与野党の勢力比率が異なります。見方を変えて言えば、参議院での厳しいチェックのもとで政府の施策が実行されるという構造、それも最低六年間続くという状況下にあります。そこで、早くも与野党相打ちによって現行の消費税がそのまま残るのではとの心配を国民はしております。また、与野党間での従来の硬直的対決を予想し、予算に伴う関連法案も暗礁に乗り上げるのではないかとの懸念もあります。そうなれば予算は通過しても、その執行ができない事態も起こり得ましょう。
 総理の言われる対話と協調が国会でのこれまでのような審議と政党間の協議であるならば、これで政治課題が果たして実現できるでしょうか。相も変わらない一問一答式で、そして制約された時間の中で政府関係者の紋切り型の答弁、さらに密室での進行を図るためと称する取り決め、そしてとどめは数の論理で押し切る。これがこれまでの国会審議であり、これを続ける限り国民の願いである政策決定過程の透明度は少しも高まることはないでしょう。
 私は、国会の外でも、公開の場所、つまり国民注視の中で何度でも重要な政治課題につき各党間で真剣な論議が繰り広げられることは必要なことだと考えます。さきのテレビでの公開党首会談も高い視聴率でありました。年四回ぐらいは国民の祝祭日に定例として持たれるのも結構なことではないでしょうか。国民から見て一番わかりにくいのは、パーシャル連合とかいう手法での、参議院の勢力比率を逆転させて、従来どおりの世に言う国対政治によるやり方です。
 一方、国会内では幅広い討論と協議ができますよう今こそ努力すべきでありましょう。私は、その一つに憲法が規定する両院協議会という機関の活用を図るべきだと考えます。衆参両院では、互いに白熱の議論をなして得られた結論が不幸にも異なるとき、廃案というエネルギーの消耗としか言えないみじめな結果を前にするのではなく、この結果から成案を生み出す新たな努力をしなければなりません。消費税廃止法案も昨年八十時間を費やして、そのあげく廃案でした。これがもし衆議院でも同じころ見直し法案が可決、通過していれば両院協議会が開かれたことでしょう。たとえこれが成案ならずとなりましても、国民から見れば国政選挙での判断の大きな資料となり得たでしょう。原子爆弾被爆者援護法案も同様でした。
 ところで、両院協議会は昨年内閣総理大臣の指名案件で久しぶりに開かれたのみです。しかし、過去を調べてみますと、昭和二十三年四月以来、昭和二十八年八月までの我が国の激動期の六年間で、実に二十八案件について開かれております。そして、両院のいずれの議決とも異なる内容の成案を得られた案件十二を含み、合計二十四案件につき協議調い成案を得ております。あのような時期にすばらしい実績と言えます。今回、国民的賛否の渦となった税制に関する案件も両院協議の場に出してかんかんがくがくの論議をなし、成案を期待することもあながち夢想とは言い切れません。この協議の持ち方や運営上に支障や難点があるのであれば、国会法や両院協議会規程の改正をした上でその活用を図るべきだと考えます。お困りのねじれ国会も捨てたものではありません。
 これが衆参両院での徹底論議を生み、かつ両院協議会では一転しての対話と協調が実現される、そうなれば国民の願いにかなう新しい政策決定過程の大きな土俵が生まれるとは思われませんか。この制度はアメリカや西ドイツでも活用されており、我が国で眠らせておく手はありません。
 次に、政治改革の問題です。
 昨年の国会で寄附行為に関して公職選挙法が改正されました。しかし、皮肉なことに、その直後の総選挙では企業ぐるみ金権選挙となり、買収容疑の違反行為でまた国民の厳しい非難にさらされております。政治家への企業などからの政治献金をこれ以上野放しにすることはできません。
 政治資金規正法案について与野党間での意見の相違もあるでしょう。しかし、国民から見るとき、依然として改めようとしない政治家の姿勢のみが浮き彫りになっております。この意味で、その抜本的改正は緊急を要する問題です。
 そして選挙区の定数是正の問題です。
 今回の総選挙も、これまでの最高裁判所判決からいえば違憲となる選挙区定数をそのまま放置して実施されました。この問題は、事柄の性質上、選挙の直前にはその実現が困難です。選挙が終わって、ほかの選挙制度の審議を待つことなく実行されなければなりません。今こそ時期です。少なくとも衆議院での定数を四百七十一名にして、その格差も最高二倍を目標とする公職選挙法の改正法案を速やかに提出すべきと考えます。
 国民は、国会決議までしながら、たなざらしの状態にいつまで置いておくのかと注視しております。不退転の決意であられる総理にお尋ねいたします。
 次いで、補正予算案についてであります。
 総額五兆九千億円に近い超大型補正予算といって手放しで喜べません。税収の過小見積もりも、その結果の自然増収額も、昨年度の補正と同様巨額となり、ついに本年度は前代未聞の大型補正と呼ばれております。しかし、財政法の精神はあくまで遵守されなければなりません。財政法第二十九条に定める補正予算の趣旨に反する基金創設に伴う部分や災害復旧対策費とまるで似て非なる対策費部分など、いわゆる政策経費予算と呼ばれ、あるいは今回は選挙向けと陰口をたたかれている部分を速やかに削除した上、組み直して円滑なる集中審議を要請すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 昨年、参議院では昭和六十一年度決算と昭和六十二年度予備費支出の案件がいずれも不承認となったことをここで思い起こさざるを得ません。たとえ一院のみといえ、予算執行に基づく承認案件が不承認となったことは、国民に対しその責任が極めて重大であると言わざるを得ません。今回無理やり通過させたとしても、決算承認の際に厳しいとがめを受けたとき、政府は一体どのような責任をおとりになるのですか、総理並びに大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 ところで、総理、あなたの演説には、「国民の間に豊かさの実感が乏しいのは、住生活の貧困が大きな要因と考えます。」とのくだりがあります。「貧困」という字句が唯一あったところです。東京通勤圏での百万戸住宅供給作戦とおっしゃいますが、これもいわゆる民間活力導入でのお話でしょう。これまでの民活と税制で果たして土地・住宅問題は解決できましたでしょうか。できずに貧困の事態を迎えたのではありませんか。国民は挙げて地上げ屋の横行に顔をしかめ、国の無策を嘆いております。この貧困からの脱出の裏づけ、見通しをぜひお聞かせください。
 次に、総理は農業問題に触れて、食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけ、供給熱量で五割の自給率となるよう努力すると申されました。穀物自給率は三割を割り込んで、その回復もままならないのが現状です。総理の言う五割の目標は、具体的にどのようなめどを立てておられるのでしょうか。農水大臣の御所見もお聞かせください。
 次いで、女性の地位向上の件でお尋ねをいたします。
 私どもは、野党共同で昨年参議院において議員立法として育児休業法案を提出しております。加えて本年二月二十日、大阪地方裁判所で注目すべき判決が出されました。円高不況による経営悪化を理由に一斉解雇されたパート労働の主婦がその解雇の無効を訴えたケースで、裁判所がこの訴えを是認したものです。
 女性の地位の向上が叫ばれて既に久しい今日、政府は育児休業法やパート労働法について早急にその法制度の確立を図るお考えがあるのか、お尋ねをする次第であります。
 次いで、行政情報公開制度の確立についてであります。
 行政機関の持つ内外情報は国民から見れば知りたい情報で満ち満ちており、国民がその情報を持たず、またその獲得手段もないことほど民主政治に遠いものはありません。このことは、地球環境保全問題での政府開発援助行政を考えれば一目瞭然と言えましょう。総額一兆二千億円と世界で一、二の規模となった我が国のODAは、その拡充が被援助国での環境悪化やその破壊の片棒を担いでいるとの指摘もなされております。しかし、国民はその情報をほとんど得ることができません。
#26
○議長(土屋義彦君) 井上君、時間が超過しております。簡単に願います。
#27
○井上哲夫君 (続)国の行政情報についても法律でその公開を確立させる制度は今や必要不可欠と考えますが、いかがお考えかお尋ねをいたします。
 最後に、これは緊急提案でございますが……
#28
○議長(土屋義彦君) 井上君、簡単に願います。
#29
○井上哲夫君 (続)日米構造協議の問題につき、超党派国会議員の代表とアメリカ議会の代表との忌憚のない話し合いの場を設けられたらいかがでしょうか。総理の率直な御見解を伺います。
 以上、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(海部俊樹君) 今回の組閣に当たりましては、内外ともに大変大きな問題をたくさん抱えておりますから、そのような内政、外交にわたる当面の懸案を解決していかなければならない、そういう角度から人選を行った次第でございます。
 また、政府から提出された消費税見直し案は不十分であるから凍結をして、それから抜本的な再見直しを行うべきではないかとの選挙中のいろいろな問題を交えての御指摘でございますけれども、私どもは今度の選挙を通じて見直しの案について国民の皆さんに率直にお話をいたしました。街頭演説でも党首討論会でも私は率直に申し上げて御支持を訴えました。
 ある野党の方が今回の選挙は消費税の存廃をかけた国民投票であるとおっしゃいましたが、結果は自由民主党に安定多数をお与えいただけたということを謙虚に受けとめますと同時に、ただ、それをもってすべてこれが認められたものだとは短絡的に考えておりません。それこそ国会の場を通じていろいろな御意見をいただきたい。国民の皆さんの選挙の結果を心強く受けとめさせていただいておるというのが私の率直な今の考えでありますから、どうぞ野党の皆さんも、選挙中に御提言になった個別間接税の問題とか直間比率においてほどのような率がいいとかいうような具体的な御議論もあったわけですから、私はどこかでそれはすり合うところができる。選挙中のことですから、選挙後のこの国会でぜひおやりいただかないといけないと私は思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。
 また、国会運営につきましてはいろいろ御提案がございました。
 新しく移り変わる世の中でありますから、今までどおりの教科書や参考書が通用しないような新しい出来事も出てきております。そういうときに思い切って解決していくためには、今、議員御指摘のような話し合いの場、同時に衆参に現実にねじれ現象とも言われるものがあるとするなれば、お触れになった両院協議会の活用など、これは国会改革の問題でございますから、議長にお骨折りをいただくなり与野党で十分協議を進めていただいて、早急にその結論が出るように期待をして見守らせていただきます。
 また、政治資金規正法の問題につきましては、これは率直に申し上げて、前回の国会に公職選挙法の改正案とともに自由民主党からも原案を提出して御議論を願ったのですが、廃案となっております。各党の政治資金規正法の改正案をせっかく国会にお出しいただいたという去る国会の経緯もございますから、私は、引き続き各党間の御努力をお願いすると同時に、政府といたしましても、また選挙制度審議会には現在政治資金制度の改革についての御検討も願っておりますので、その答申をも踏まえてさらに努力を続けていきたいと考えております。
 また、衆議院議員の定数を四百七十一名として格差は二倍を目標とする公職選挙法の改正案を速やかにということでございます。
 この問題につきましては、定数是正は国会の御決議もございます。私は、国勢調査の結果等も踏まえて、この問題は今取り組んでいきませんと、憲法違反と言われるような状況をそのままほうっておくわけにはいかないと思います。政治資金の問題とともに、選挙制度の問題についても選挙制度審議会に今諮問をして答申をいただくところでございますから、そのときにも各党各会派の御理解と御協力をお願い申し上げたいと思います。
 また、補正予算につきましては、いずれも最近における諸情勢の変化に適切に対応するために特に緊急性を有する経費を計上したものでございます。
 その執行結果である決算についてお触れになりましたけれども、提出してお願いします以上、執行するときには院の御理解を得られるように適正、効率的な執行に努めてまいりたいと考えております。
 また、国民が豊かさを実感できる社会を築いていくために総合的な土地対策を進めるほか、住宅金融・税制の充実、公的住宅の的確な供給等によって国民の住生活の向上に努めておるところでありますが、特に深刻な状況にある大都市一般勤労者が良質な住宅を確保できるように新たな施策を確立するなど、総合的な対策を強力に進めてまいります。特に、遊休地の利活用とかあるいは土地税制の創設とか、国公有地をそういった公共住宅に回していくために地方公共団体との間でよく話し合いを進めていくとか、あらゆる政策を総合的に組み合わせてまいりたいと考えております。
 また、農業政策についてお触れになりましたが、国民の豊かで多様な食糧に対するニーズにこたえていくためには、国内農業の持てる力を最大限発揮し、食糧の安定供給に努めることが極めて大切でございます。ただ、近年の食糧の消費傾向というものがだんだん変わってきまして、どうしても食糧自給率は全体として低下の一途をたどってまいりました。私は、この低下傾向に歯どめをかけて、供給熱量で五割の自給率となるように努力せよという努力目標を閣議で決定して、そちらの方へ向かって努力をしてまいる決意でおります。
 国の行政情報公開も申されましたが、行政情報の公開問題については、国民の行政に対する信頼を確保する観点から、行革大綱等に基づいて文書閲覧窓口、閲覧目録の整備などにより公開に努めておるところであります。
 なお、今後とも検討すべき課題も多くあると思いますから、引き続いてこの問題については調査研究を進めてまいります。
 また、日米構造問題協議に関してできる限りの努力を払っていく観点から、幅広いレベルにおいて広く論議等が行われることは有意義なことであると私は認識をいたしております。したがいまして、議員のレベルにおいてアメリカ議会の代表と話し合う場を設けるべきだと今御提案をいただきました。私自身も日米議員会議のコアメンバーとして毎年交流もさせていただきましたし、また今月、来月にかけても超党派の一部有志の皆さんがアメリカに行ってお話をいただく計画があるというお話も承っておりますけれども、せっかくの御提案はいろいろなところでさらに話し合いをし、幅広いレベルにおいて議論が行われることは有意義なことであると認識いたしておりますので、そのようなことにどうぞお力添えをいただきたいと思います。
 残余の質問につきましては関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(橋本龍太郎君) 井上議員にお答えをいたします。
 平成元年度の補正予算におきましては、特例公債の減額、国債整理基金特別会計への繰り入れ、財政支出の繰り延べなどの特例的歳出削減措置の返済や返済見合い財源の確保など、財政体質の改善を図るための措置を講じますとともに、災害、給与改善、国際機関拠出、福祉、文化、農業、中小企業などにつきまして、最近の諸情勢の変化に適切に対処するための国民生活上緊要な措置を講じてまいりました。これらの措置は、いずれも法律等に基づく義務的経費や予算作成後に生じた事由に基づきまして特に緊要となった経費でありまして、いずれも国民生活の安定を確保し、我が国の国際的責務を果たすために、早期に実施することが必要不可欠なものであります。
 したがいまして、平成元年度補正予算につきまして、御審議の上速やかに御賛同いただくよう強くお願いを申し上げます。
 また、仮に将来、参議院の決算委員会において決算が不承認という事態になった場合というお尋ねでございますが、この補正予算につきまして御承認をいただきました場合には、その執行結果である決算につきましても院の御理解を得られるように、適切かつ効率的な執行に努めてまいる所存であります。(拍手)
   〔国務大臣山本富雄君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(山本富雄君) 井上議員にお答え申し上げます。
 総理からも御答弁がございましたが、食糧自給率の低下に歯どめをかけ、できればいささかなりとも高めたい、こういう気持ちは農政に携わる者の共通の認識でございます。
 先般、閣議で決定をいたしました農産物の需要と生産の長期見通しでは、国内農業の持てる力を十分発揮することにより食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけ、供給熱量で五割の自給率を見込んでおります。
 このために、米については国内での自給を基本とし、良質米や加工用米の供給など需要に即した生産を推進するとともに、小麦、大豆については品質、コスト面での改善を進めることにより生産の拡大を図ってまいる考えでおります。また、野菜、果実等その他の農産物についても、消費者ニーズ等需要の動向に対応して、多彩な自然条件を生かしながら国内生産の維持拡大を図ってまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣塚原俊平君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(塚原俊平君) 育児休業法、パートタイム労働法の制定が必要だと考えるが、政府の考えはというような御質問でございました。
 育児休業につきましては、女子労働者が職業生活と家庭生活を調和させつつ、その能力と経験を生かすことができるように、制度の確立に向けてさらに一層の普及促進に努めてまいりたいと考えております。
 また、パートタイム労働者につきましては、その労働条件の改善、雇用の安定等を図るため、パートタイム労働対策を総合的に推進してまいる所存であります。(拍手)
    ─────────────
#34
○議長(土屋義彦君) 橋本孝一郎君。
   〔橋本孝一郎君登壇、拍手〕
#35
○橋本孝一郎君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表し、先般行われた海部総理の施政方針演説に対し質問をいたします。
 総理、国際情勢はまさに大変動を続けております。
 昨年の米ソ首脳会談におけるいわゆる冷戦終結宣言に象徴されるように、米ソ関係は今や新たな段階に突入しつつあります。また、ソ連のペレストロイカに端を発した東欧の民主化の大きなうねりは、一党独裁と統制経済による共産主義の崩壊と民主社会主義への世界的な潮流を示すものであります。
 しかし一方、こうした緊張緩和と民主化への動きは、ともすればヨーロッパ中心であり、我が国周辺の北東アジア、北西太平洋においては、依然として緊張緩和とは言いがたい状態が続いております。また、中国、ベトナム、北朝鮮など、この地域における共産主義国の民主化も停滞を続けております。
 総理、こうした戦後世界の枠組みを変えるような大変動の中で、今後の我が国外交はどのような基本方針のもとに進めていくのか、まずこれをお示し願いたいのであります。
 さらに、我が国周辺の北東アジアにおける緊張緩和と軍縮の実現に向け、我が国としてはいかなるイニシアチブを発揮していかれるのか、あわせてお尋ねするものであります。
 我が党の永末委員長は、さきの代表質問において、北東アジア、特に朝鮮半島の緊張緩和のために、日、米、中、ソ、韓国、北朝鮮の六カ国会談を実現するよう提唱いたしました。もとよりこの実現は決して容易ではありませんが、我が国としてはその実現のために最善を尽くすべきであると考えます。
 同様に、この地域の緊張緩和にとっても日ソ関係の改善は重要であります。一月に行われたゴルバチョフ議長と安倍元幹事長との会談において、ソ連側は、我が国が北方領土の返還を要求することを日本の主権であり固有の権利であると認めるなど、明らかに変化の兆しを見せております。来年のゴルバチョフ議長の訪日こそ、北方領土の返還を実現し、日ソ関係の改善を図る絶好の機会であります。
 その際、四島返還の原則を堅持することは当然でありますが、実際に返還が実現されるまでには幾つかのプロセスがあり得るのではないでしょうか。総理の御所見を求めるものであります。
 次に、日米構造協議についてお伺いいたします。
 今後、我が国の外交にとって最も重要かつ困難なのは日米関係であります。米国内には、ソ連の軍事的脅威が薄らいだ現在、最大の脅威は日本の経済力、技術力であるとの認識が日増しに広がっております。また、東西の緊張緩和が進むとともに、日米安保は軍事的側面より経済協力の側面が重視されていくのは当然であります。
 先月の第三回構造協議において、アメリカ側は、大店法の廃止や二十三区内農地への宅地並み課税の繰り上げ、独禁法の罰則強化などを日本側に強く要求してまいりましたが、もはや実務者レベルの協議では解決し得ないものであります。このような大きな変革を行うには痛みや犠牲を伴うものであります。まさしく政治の決断が必要なのであります。
 そこで、先例のない手続で日米首脳会談が行われましたが、総理はどのような約束をしてこられたのか、国民の理解と協力を得るためにはその内容を国民の前に明らかにする必要があるのではないでしょうか。問題は極めて深刻であります。
 そこで、これまでのような日米交渉のパターンを改め、官民の有識者から成るハイレベルな常設の経済調整委員会を設置すべきであると考えますが、あわせて御所見を求めるものであります。
 次に、ODAについてお伺いいたします。
 大きな変動を続ける国際社会にあって、我が国がその国力を生かして平和と安定の実現に最も貢献できるのは経済協力の分野であります。我が国は既に世界一の援助実施国となっており、来年度予算にも八千百七十五億円が計上されているのであります。しかし、それが本当に途上国の平和と安定に貢献し、我が国の安全に役立っているかとなると、いささか疑問があります。
 私は、直ちにODAについての基本法を制定せよとまでは申しませんが、まず、当面、ODA実施体制の一元化、評価制度及びチェック体制の強化、国会のコントロールの充実などは、少なくとも目に見える形で直ちに実施すべきであると考えますが、総理の御答弁を求めるものであります。
 次に、消費税についてお伺いいたします。
 民社党では、消費税廃止のための法案を今国会衆議院に提出いたします。それに対し政府・自民党が見直しという存続法案を提出した場合、現在の国会勢力のもとでは両案とも成立せず、結果として現行の消費税法が残ることになり、国民大多数の意思に反する結果となります。
 これをどう打開するかは国会としてまことに重大な問題だと言わざるを得ません。与野党は真剣に協議をすべきであると考えますが、これを打開するための総理のお考えをお尋ねいたしたいのであります。
 続きまして、政治改革についてお尋ねいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 今回の総選挙において、いわゆるリクルート関係議員のほとんどが再選されました。一部には、これによってリクルート事件に関する政治的道義的なけじめはついたという意見もありますが、総理はこの選挙によってリクルート事件についてのけじめがついたとお考えかどうか、まず質問をいたします。
 私は、リクルート事件についての政治的なけじめは、この事件の教訓を踏まえ、本格的な政治改革を推進することであると確信いたします。先般の公職選挙法の改正に続き、政治資金規正法の改正や政治倫理法の制定を速やかに実現するとともに、さらにはイギリスのような政治腐敗防止法を制定すべきであります。同時に、民主政治に対する正当なコストを公に負担するため、政党に対する公費補助制度を創設すべきであると考えますが、この点についての総理の御所見を求めるものであります。
 また、政治改革の一環として、選挙制度の見直しが大きな課題となっております。しかし、現在の中選挙区制度にさまざまな問題があるとしても、政治改革の問題を選挙制度の見直しにすりかえたり、しかも最初に小選挙区制ありきということで、政府の選挙制度審議会の議論もそこに集約されているようでございますが、これはもってのほかであります。この点についての総理の御所見を求めるものであります。
 あわせて、政治権力による業界ごとの金集めあるいは党員集め等が横行するなど、多くの欠陥が指摘されております参議院比例代表制度についても見直しをしなければならないと思いますが、総理の御見解をお伺いするものであります。
 次に、労働力不足の問題についてお伺いいたします。
 内需主導型の景気拡大が続く中で雇用情勢は大幅に改善し、有効求人倍率も平成元年平均で一・二五倍と昭和四十八年以来の高い水準となっております。しかしながら、このような雇用情勢改善の一側面として人手不足感が特に中小企業を中心に広がっております。労働省の調査によれば、中小企業では人手不足の程度が五%以上という事業所が三分の二を占めており、人手不足は中小企業の経営に大きな影響を及ぼしつつあり、人手不足を理由とした倒産も増加しております。
 もとより、長期的には経営の合理化、近代化を進めるとともに、労働時間の短縮など労働条件の向上を図っていくことが中小企業における労働力不足解消のために必要であります。しかし、現在、人手不足から危機に陥っている中小企業に対しては緊急な対策が求められています。
 総理はこの中小企業の人手不足対策にどのように取り組んでいくのか、御見解をお伺いしたいのであります。
 さらに、将来の労働力不足解消のため、労働の供給力を高めていくには女性の労働力率を向上させていくことが必要であります。そのための条件整備として、育児をしながら仕事を続けることができるよう、全労働者に適用される育児休業法の成立が緊急課題であり、また、ふえ続けるパートタイム労働者の労働条件の向上を図るための立法措置も進めていかなければなりません。
 女性が働き続けるための条件向上、環境整備をどのように図っていくか、御所見をお伺いしたいのであります。
 次に、土地政策についてお伺いいたします。
 先日の日米構造協議では住宅・土地問題の解決が指摘されました。しかし、これは何もアメリカ側からの指摘をまつまでもありません。昨年、土地問題の抜本的解決に向けた土地基本法が制定されたところであり、要はこの土地基本法に基づき、国民の土地に関する意識、土地税制及び土地計画制度の改革などを着実に進めていくべきであると考えます。
 私は、まず地価の引き下げを図っていくための阻害となっている金融機関による土地を担保とした融資への規制を強化すべきであると考えます。さらに、住宅にかかる負担の軽減を講ずるため、家賃控除制度などの創設及びサラリーマンの年収の四倍程度での住宅取得が可能となるよう国公有地の活用、住宅減税の拡充を進めるべきであると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 また、土地税制の抜本的改革が叫ばれて久しいが、資産格差の是正のためにも、相続税の適正化など土地税制の改革を急ぐべきであると考えますが、今後どのように対処していかれるか、あわせてお伺いいたします。
 二十一世紀に向け、国民が潤いとゆとりのある生活を実感できる社会づくりが緊急の課題となっております。特に、下水道、道路、公園など、欧米諸国に比べ著しく劣っている社会資本の整備はもとより、国民が余暇を豊かに過ごせる図書館などの文化施設及びスポーツ施設など社会資本の充実を図るべきであります。また、緑や快適さを求める国民の切実な要望にこたえた環境の整備も経済大国である日本の課題であります。
 社会資本の整備に当たり特に配慮しなければならないことは、地方の活性化を図ることであります。東京一極集中などで見られるがごとく、大都市への人口集中の一要因は、活力ある地域社会づくりを怠ってきた政府・自民党の失政そのものであります。
 総理はこれをどう反省し、地域住民の多様化するニーズにこたえた魅力ある地域社会づくりにどう取り組むか、御方針を伺いたいのであります。
 最後に、地球環境問題についてお伺いいたします。
 二十一世紀への道は国際化の道であると言われております。政治もグローバルな視点から地球的規模で諸問題の解決を図らなければなりません。とりわけ地球環境の保全は、人類の生存をかけた闘いであり、まさに全世界が一体となって取り組まなければならない重大な課題であります。地球の温暖化を一つとってみても、事は急を要するのであります。
 ある人によりますと、カエルを熱湯に入れると飛び出して助かるが、カエルを水に入れ、それを徐々に熱していくとカエルは死ぬ、これが温暖化であると語っております。これは人類にも言えることであります。知らぬ間に地球の温暖化が進めば人類の生存にかかわってくるのであります。
 地球環境の保全のための環境倫理の確立を図るなど、我が国の技術や資金面での積極的な貢献を果たさなければなりません。そのため、気候変動の把握のデータ蓄積と提供、途上国の発展と環境保全の両立などに向けた公害防止技術や環境に配慮した開発援助、国連環境計画など国際機関との連携、支援の強化などに積極的に取り組むべきであります。
 地球環境の保全に対する総理の御見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(海部俊樹君) 橋本議員にお答えを申し上げます。
 戦後最大の変化の中で外交の基本方針はとのお尋ねでありますが、私は、東西の対決、力による対立が米ソ双方の意識の転換によってマルタ会談において冷戦時代の発想を乗り越えたということは、これは大変な変化であります。そうして、力による対立から話し合いと協調によって、世界の人がすべて豊かで平和で明るい暮らしをしたいという願いを持ってどのような秩序をつくっていくか、新しい秩序の模索に世界の目が向いておるわけでありますから、私は、日本も積極的にそのような枠組みづくりの中に参加をして、世界の秩序のために今日まで蓄積してきた知識とか技術力とかあるいは経済力を生かして国づくりに協力をし、新しい秩序づくりに日本も積極的に貢献していくべきである、こういった基本で積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 具体的に朝鮮半島の問題にお触れになり、緊張緩和のために六カ国会談を開催する考えはないかとの御指摘でございます。
 ヨーロッパに起こったようなあの平和と安定の機運というものをアジア・太平洋地域にもつくるためには、朝鮮半島の安定化は避けて通れない大きな問題でございます。御指摘のようなことができれば私は極めて有意義で結構なことだと考えておりますし、また我が国は、今、北朝鮮と対話を開始したいというのでいろいろなレベルで呼びかけをいたしておるところでございまして、御提案のようなことが実現するような考え方が各国に起こってきたならば、我が国もできる限り対応をして、そういった会談が成功していくように努力をいたしたいと考えております。
 また、日ソ関係については、これは基本はやはり北方領土の返還、そして平和条約を締結するというのが最大の問題点でございますが、今、平和条約作業グループにおいて北方四島一括返還の実現に向けて粘り強く交渉をしておりますけれども、まだ不安定な面やいろいろな問題点が残っております。粘り強く交渉を続けてまいりますが、最近は、御指摘のように、安倍元自民党幹事長の訪ソにおけるいろいろな対話、また最近私のところに参りましたゴルバチョフ議長からの親書、切れ目なくいろいろな段階で接触をしながら、経済改革調査団の受け入れ等も日本は行っております。そのように実現可能な実務関係、人物交流あるいは文化交流等を通じて、幅広い拡大均衡のある日ソ関係の安定的な前進を図りながら、ゴルバチョフ議長の訪日が北方領土問題の解決に向けての一つの契機になるように期待をしながら、さらに一層の努力を重ねていきたいと考えております。
 また、日米首脳会談のときには、私は、今後、世界秩序の中で民主主義と自由経済の関係が世界の人々に今求められておるのでありますから、それらに日米両国が力を合わせるとともに、ヨーロッパの西側諸国との間の協力関係も協調をして一層の世界経済の繁栄のために協力していきたい、同時に、経済のみならず累積債務問題への取り組みや環境問題、麻薬問題、国際テロの問題など、世界的な課題について地球的なパートナーシップのもとで協力をしていこうということにも意見の一致を見ました。
 また、日米両国の抱えております問題の一つとして、安全保障条約の問題は将来にわたり一層の重要性を有するということ、また日米間の当面しておる経済問題につきましても、日米両国間の経済関係は世界経済全体の発展にとっても、その規模といい性格といい、極めて重要な関係を持っておるものでありますから、両国の話し合いによる一層の努力を継続するとともに、特に構造問題協議については、我が国はかねてから国民生活の質を向上させるために自主的に、前川レポートに示されておるように、内需拡大、輸入振興の努力を続けておりましたが、アメリカ側からは具体的に大きく分けて六項目の指摘を受け、日本からはアメリカに対して七項目の指摘をして、それぞれの項目について実務者の間で話し合いを続けておることは御承知のとおりでありますが、さらにそれを一層促進させて、話し合いによる経済摩擦の解決、日米間の貿易の不均衡を是正して真に安定した関係を確立していきたい、このようなことで意見の交換をし、約束ではございませんが、努力を双方でやろうということに合意をして、私も内閣の最重要課題として取り組み、これはだれのためでもない、日本のために真剣に取り組んでいかなければならないことだと決意をいたしております。
 また、経済問題を解決していくために、日米両国の官民の有識者から成るハイレベルの常設の経済調整委員会をつくってはどうかという貴重な御提言をいただきました。既にきょうまで、いろいろなレベルでの調整が行われておりますけれども、日本が物すごい努力をして輸入を促進し、製品輸入も世界的に見ると非常にふえておりますけれども、結果として、アメリカから見ると赤字、日本から見ると黒字でありますが、それはまだ依然として四百九十億ドルの線にあるということは、いろいろとお互いに日米間で話し合って努力をしなければならぬ問題があるのではないかという、そういった問題についても率直な御意見の交換が期待できるのではないかと考えております。
 既に、経済界の皆さん、民間の皆さんに話し合いをいろいろなレベルで行っていただいており、さらにまた来月には新しい一団も自主的に行っていただけるという報告も聞いておりますが、今後こういったことを一層積み重ねて、いろいろなレベルで相互理解を深めていくことは極めて大切なことだと考えております。
 ODAの問題にお触れになりましたが、ODA実施体制の中での評価の制度、チェック体制の強化、国会のコントロールというようなことにつきましては、政府は、従来より国会に承認していただいた予算の範囲内で相手国との協議を踏まえて援助を実施しており、国会に対しては、相手国の立場にも配慮しつつ、随時所要の説明、資料の提出を行ってきて、今後ともかかる措置を誠実に行っていく所存でございます。効果的、効率的な実施を確保するために、援助案件の評価についても今後緊密な御相談をしながら積極的に努力をしていきたいと考えておるところでございます。
 また、消費税の決着についての御提言がございましたが、私もこのことは、議員御指摘のとおり、国会の議論を通じて現在の消費税のあり方について我々の見直し案やその他の御意見がございましたら、そこで十分な御議論を通じて、御心配になられるような結果が起こらないように前進をさせていただきたい。このことを心からお願いさせていただきます。
 また、今度の選挙とリクルート関係のけじめについてのお尋ねがありましたが、私は、選挙というのは、その地域の有権者の皆さんと議員との間で一つの洗礼を受けたことになるのはこれは事実であって、選挙の結果というものを無視するわけにはまいりません。しかし、リクルート事件のけじめというのがそれで全部済んだという受けとめ方ではなくて、政治改革を思い切って行い、国民の信頼を取り戻すことがけじめであると私は考えております。
 与野党間で議論となっておる政治資金規正法の改正につきましても、政府はこれについてはさらに各党各会派の御議論を通じて前進していくことを期待いたしておりますし、また政府としては選挙制度審議会にこのことを踏まえて諮問をいたしておりますので、答申をいただいたら十分に対処させていただきます。
 また、政治家が保つべき政治姿勢の指針は、政治倫理綱領に言われております。
 国会議員の資産公開を含む政治倫理の確立について、前回の国会にこの問題の法制化について各党の御議論がなされたことがございます。引き続いて御努力を賜ることを強く期待いたします。
 また、イギリスの腐敗防止法を例にお引きになりましたが、先国会で皆さんの御努力で通過させていただいた公職選挙法も、連座制や公民権の停止など腐敗行為防止のための規定を持っておる公職選挙法をさらに改正したものでありますから、寄附禁止を守るためにこの法律の趣旨が守られていくことを期待いたしております。
 政党に対する公費補助制度の問題については、これは政治が公共性を持った仕事であるということで、既に欧米諸国で、いろいろ姿かたちは違いますが、公費助成制度が行われておることも事実であります。これらを視野に入れて、選挙制度審議会でも御議論願っておりますが、これは各党との間で御議論を重ねていきたいテーマの一つであると考えます。
 選挙制度につきましても、最初に小選挙区制ありきというのではなくて、お金のかからない選挙制度はどうしたらいいのか、政策中心に議論のできる選挙のあり方はどうしたらいいのかという角度で選挙制度審議会に対して諮問がしてございます。答申をいただいたならば、それを中心にまた幅広く御議論をいただきたいと考えております。
 参議院の比例代表制につきましては、かねてから参議院においていろいろな立場で御議論があり、我々もその御意見を承っておるところであります。この制度につきましては、政党本位の選挙制度を実現しようという目的で導入されたものであると承知しておりますけれども、制度の見直しの問題については、国会や審議会など各方面の御議論を踏まえて考えていかなければならぬことだと思っております。
 また、最近の人手不足に対応した労働対策のお尋ねがございましたが、私は、最近の労働力需給の状況は、一つは持続的な景気の拡大を反映して、特に中小企業を中心に人手不足感に広がりが見られるところで、やはり必要な労働力を確保するためには、年齢間、地域間、職種間に見られるいわゆる労働力需給のかみ合っていない部分の解消に向けて職業紹介機能の充実を図るとともに、労働時間の短縮等魅力ある職場づくり、不足している技術者の養成などを重点とした援助指導を徹底させていかなければならないと考えております。
 また、女性が職業生活と家庭生活を調和させつつその能力と経験を生かすことができるよう、就業条件の整備を進めることは御指摘のとおり大切でございますので、育児休業制度の確立に向けてさらに一層普及促進を図るとともに、パートタイム労働対策も総合的に推進してまいる所存であります。
 また、土地の問題についての御意見の中で、特に金融機関の土地関連融資について強い御指摘がございました。私は、土地基本法の理念に従い、土地は投機の対象にしてはならないということでありますから、不適正な融資を厳に排除するとの観点から、通達、個別の融資条件にまで踏み込んだ特別ヒアリングの実施などを通じて強力に指導してまいりたいと思っております。
 また、住居費負担の軽減についていろいろ御説明がありましたが、私は、融資、税制の活用等によって賃貸住宅供給コストの低減に今日までも努めてきておりますが、今後とも施策の充実に努力をしてまいります。
 ただ、家賃そのものを所得から控除する制度の創設については、他の被服費、食費などと同様に典型的な生活費であるところから、家賃だけを取り出して特別の控除を設けることには基本的な問題があるものと考えております。
 また、年収四倍程度で住宅が確保できるような政策については、これはいろいろな政策を組み合わせてやっていかなければなりません。総合土地対策要綱及び多極分散型国土形成促進法の趣旨を踏まえて、多方面にわたる政策を総合的に組み合わせて推進させるとともに、住宅取得促進税制については平成二年度税制改革において、持ち家取得を一層促進する見地から、控除期間を五年から六年にするなど拡充措置を講じる。また、税額控除の最高限度は一年間に二十万円でありますが、今回の措置の結果、六年間で合計百万円が百二十万円に達するようになり、適用される年間を通じて減収規模も五千八百億円を上回ることとなっております。現下の厳しい状況の中で最大限の配慮をしておることもどうぞお認めいただきたいと思います。
 土地税制につきましては、土地に関する施策を十分に考え、税負担の公平の確保を図りながら総合的な見直しを行うこととし、税制調査会の検討を踏まえて、平成二年度中に成案を得て所要の法律案の提出を図ることといたしております。
 さらに、豊かさを実感できる国民生活のために社会資本整備を推進することが重要との御説でございます。
 私は、日本の社会資本の着実な整備を推進していくことは国民生活の質の向上からいって極めて大切だと思っておりますので、引き続いて行っていくつもりであります。
 また、東京一極集中の是正を進めるとともに、地方圏を戦略的、重点的に整備し、その活性化を図ることが重要でございます。地方においては、新しい産業の育成やリゾート地域の整備を進めるとともに、地域みずからの創意と工夫を生かした地域づくりを推進しているところでございます。
 最後に、地球環境問題についての御指摘がございました。
 私は、この問題は国際的に極めて重要なものと認識をいたしておりますし、また地球の環境問題の東京会議を開いたり、あるいはまた国連の環境問題に対するいろいろな施策に対してはできる限りの協力もいたしてまいりました。今後とも、地球環境保全関係閣僚会議の申し合わせにあるように、国際的な枠組みづくりへの積極的な参加、科学的知見の強化のための観測・監視と調査研究、技術の開発普及に努め、開発途上国の環境保全努力を支援するための政府開発援助の拡充など、でき得る限りの努力を続けていくつもりでございます。
 政府一体となった施策の推進に対して皆様の御理解と御協力をお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
    ─────────────
#37
○副議長(小野明君) 田英夫君。
   〔田英夫君登壇、拍手〕
#38
○田英夫君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、主として激動する世界の動きに対応する政府のお考えをただしたいと思います。
 さきに行われた衆議院選挙では、主たる争点が消費税、政治改革及び農政問題などに絞られました。もちろん、これらの問題は我が国の政治にとって緊急に対応しなければならない重要課題であります。しかし、同時に現在の激動する世界情勢をどのように認識し、それにいかに対応するかは我が祖国日本にとって極めて重大な問題であるはずです。
 自民党が一時期、体制の選択という争点を提起されましたが、なぜか途中からトーンダウンされました。この体制の選択という考え方自身が現在の世界情勢を全く誤って理解していることの端的なあらわれであることに気づかれて引っ込められたのなら結構でありますが、海部総理のその後の発言などを見るとそうではないようです。
 以下、順次政府のお考えをただしたいと思います。
 最近のソ連や東ヨーロッパの変化は目をみはるものがあります。また、昨年十二月のマルタ会談では、アメリカのブッシュ大統領とソ連のゴルバチョフ議長との間で冷戦の終結が合意されました。海部総理はこのような世界情勢を基本的にどのように認識しておられますか。
 まず第一に、ソ連や東ヨーロッパの変化を社会主義の破綻とお考えになっているのではありませんか。だからこそ体制の選択という言葉が出てきたのでぱありませんか。あれはスターリンモデルの社会主義の終えんであって、今、ソ連、東欧で求められているのは、民主主義を大切にする社会主義、つまり人間の顔をした社会主義であります。また、米ソ両国首脳で合意した冷戦の終結というのは何を意味するとお考えですか。
 海部総理は一月十日のベルリン演説で、東欧の変化を歓迎しながら、一方で、ソ連は依然として軍事超大国であり、世界の安全が抑止力と力の均衡によって確保されていることに変わりはありませんと述べておられます。果たしてそうでしょうか。冷戦の終結とは、米ソが従来のイデオロギー対立の姿勢をやめ、つまり友と敵とを厳しく区別する外交戦略を改めて、新たに対話と交渉を通じて共通の利益を追求しようという関係に転じようということではないでしょうか。それは同時に超大国による力の支配という国際政治のあり方をも変えることを意味しているのではないでしょう
 そこで、このように激変しつつある世界情勢に日本がどう対応すべきかについて議論したいと思います。
 まず第一に、過去にさかのぼって、日本政府はあの侵略戦争に対する反省が全く欠如しているということではないかと思います。
 海部総理は花岡事件というのを御存じでしょうか。これは、終戦直前の一九四五年、昭和二十年六月三十日、秋田県大館市の郊外で起きた事件です。日本政府は、戦争が激化する中で国内の労働力を補うために、およそ百万人の朝鮮の人たちを強制連行し、さらに一九四二年、昭和十七年、東条内閣が閣議決定によっておよそ四万人の中国人を日本国内の百三十五の事業所に強制連行したのです。花岡事件は、このような中で日本官憲や企業側の極度の拷問と虐待に反抗しておよそ七百人の中国人が蜂起した事件です。そしてその結果、四百十八人が死亡しました。
 私は、昨年十二月中国を訪問した折に、この事件で生き残った四人の人々と会いました。彼らは当時残虐行為を行った日本の企業に対して合計四十九億円の賠償と謝罪を要求しています。しかし、これは一企業の責任でしょうか。総理は日本の政治の最高の責任者としてこのことをどうお考えか、お聞かせいただきたい。
 ちなみに、西ドイツはナチスのユダヤ人虐待の責任をとって合計九兆円にも上る賠償を支払いつつあり、東ドイツも今回の変化の中で、過去に対する全ドイツ民族の責任を認めて対応する、こう伝えられていることを申し添えます。
 次に、世界が平和と緊張緩和の方向に進んでいる中で、日本は何をなすべきかということに移りたいと思います。
 政府はなぜ、世界が冷戦の終結、力の支配からの脱却という方向に進んでいる中で、日米安保条約にしがみつき、平成二年度予算でも防衛費をまたまた突出して増加させようとするのですか。
 今や、アメリカの中からもこれ以上の日本の防衛力増強は好ましくないという声があり、日米安保条約も変質させるべきだという意見が議会の中からも起こっていることを政府はよもや御存じないはずはありません。そしてアメリカのパウエル統合参謀本部議長は、去る二月一日の上院軍事委員会の証言で、日本周辺のソ連軍の脅威に対して、ソ連が敵対行動に出る可能性は薄まったと述べています。
   〔副議長退席、議長着席〕
また、さきに来日したチェイニー国防長官は、在日米軍を三年間でおよそ五千人削減をするのを初め、フィリピン、韓国などのアメリカ駐留軍の削減をも発表しています。なぜ防衛庁や外務省は、極東のソ連軍の脅威は変わらないとか、アジア・太平洋地域の軍縮は進んでいないと言い続けるのですか。世界的な冷戦終結、軍縮の時代になぜアジア・太平洋地域だけが冷戦構造を維持するとお考えになるのですか。根拠を伺いたい。
 それよりも、この地域の平和のために日本がより積極的な役割を果たすべきではありませんか。
 私は、この際、日本がアジア・太平洋平和会議を開くよう関係各国に呼びかけることを提案したいと思います。それは、東西ヨーロッパにまたがり、米ソも加わった全欧安保会議のアジア・太平洋版とも言えるものです。日本を中心に米ソ、そして中国、南北朝鮮、ASEAN諸国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、南太平洋島嶼国などにまたがった平和、軍縮と経済協力について話し合うものです。この提案について総理のお考えをお聞かせいただきたい。
 さらに、私のもう一つの提案があります。
 私は昨年末、アメリカのブッシュ大統領とソ連のゴルバチョフ議長に次のような内容の書簡を送りました。それは、第二次世界大戦が終わって五十年目に当たる一九九五年を目標として、現在世界各地に駐留しているアメリカとソ連のすべての駐留軍と、核兵器を含むすべての基地を完全に撤退させることで米ソが合意すべきだというものです。これに関連して早くも反応があります。アメリカのチェイニー国防長官は、去る二月一日の上院軍事委員会の証言で、ソ連は一九九五年までに欧州駐留兵力を全面的に撤退させる可能性があると述べています。この問題についての総理のお考えを聞かせていただきたい。
 さらに、非核三原則の厳守についてただします。
 さきのタイコンデロガの水爆沈没事故についての政府の対応を見ても、非核三原則の厳守などとはほど遠いと言わざるを得ません。世界は既にトラテロルコ条約、ラロトンガ条約あるいはニュージーランドの非核法などによって着々と核のない地域が拡大をしています。私どもは、政府がこれ以上間違った態度をとり続けるならば独自に非核法案を提出せざるを得ないと考えています。アメリカの核の所在を明らかにしないとの政策に対する批判は今や世界の声になりつつあり、第三回国運軍縮特別総会におけるスウェーデンのカールソン首相の演説はその代表的なものと言えるでしょう。唯一の被爆国の総理である海部さんのお考えを聞かせていただきたいと思います。
 次に、朝鮮半島の問題について議論したいと思います。
 世界が激動する中で、その影響が朝鮮半島に及ばないはずはありません。今や朝鮮民族の悲願である民族の統一が実現に向かって一歩踏み出せる環境は整いつつあります。そのような中で日本政府の対応は遅々たるものだと言わざるを得ません。
 昨年三月三十日の衆議院予算委員会で当時の竹下総理は、過去における我が国の行為が近隣諸国の国民に多大の苦痛を与えてきたことを深く自覚して、その反省と決意の上に立って平和国家としての道を歩むと述べ、我が国と最も近接している朝鮮半島との関係では、とりわけ銘記されるべぎものと考えると明言されました。さらに、新たな決意を持って対朝鮮半島外交を進めていきたい、朝鮮民主主義人民共和国との間においても、関係改善を進めていきたいと述べています。
 総理、外務大臣はこの答弁を継承されますか。
 竹下元総理は、日朝間の諸懸案について、前提条件なく話し合いたいとも述べておられますが、政府は、その後、第十八富士山丸の問題を含めて北朝鮮とどのような話し合いをどのような形でされてきたのですか。
 さらに、昨年秋の臨時国会での衆参両院予算委員会におけるいわゆるパチンコ問題をめぐる政府側の答弁は、まさしく北朝鮮敵視を露骨にあらわし、朝鮮総連たたきに終始したことば、前述の竹下答弁と全く矛盾したものと言わざるを得ません。海部内閣になって朝鮮半島政策は変わったのですか、伺いたい。
 次に、在日韓国人三世の法的地位の問題です。
 これは、さきに述べた過去の反省の上に立てば、強制連行で日本に連れてこられた人たちの子孫であるこの人たちへの結論はおのずから明らかではありませんか。一般外国人に対してもそうですが、特に在日韓国・朝鮮人に対して指紋押捺を強要し、法的に日本人との差別を拡大するやり方は納得できません。政府は、口先だけではなくて、本当に南北間の対話が進み、朝鮮民族の統一が平和のうちに一日も早く実現できるよう、その雰囲気づくりに努力することが最も大切ではないでしょうか。
 次に、カンボジア和平の問題です。
 アジアの平和のためにこの問題も当面の緊急の課題でしょう。さきにジャカルタで行われた非公式の会議も結論を得ませんでした。
 私は、去る一月中旬、カンボジア国民政府いわゆる三派連合政府の支配地域を訪問し、キュー・サムファン副大統領と会談をいたしました。そのときの同副大統領の言葉の中に、我々の敵はベトナムであり、カンボジアの戦いは内戦ではない。ベトナム軍は昨年九月全面撤退したことになっているが、今もへン・サムリン軍の服を着たベトナム兵が大勢いるし、入植者という形のベトナム人が多数カンボジア領内にいる。しかも、カンボジア人とベトナム人の区別は当事者しかできない。国連管理のもとに自由な選挙を行うというオーストラリア外相、国連常任理事国の御努力には感謝するが、第三者である国連の管理下で果たして正しい選挙ができるだろうか。現状では多くのベトナム人が投票する結果になると述べていた言葉が耳に残っています。
 カンボジア和平に対する政府のより積極的な関与を求めたいと思います。
 次に、地球環境保全の問題に触れます。
 海部総理は、さきの施政方針演説の中でも、地球環境の保全についてかなり熱っぽく訴えておられました。しかし、なぜか私たちの胸にずしりと響くものがありませんでした。それは、今や緊急に解決を迫られている地球環境の問題が山積しているにもかかわらず、政府の対応は余りにも消極的である現実を私たちはよく知っているからです。昨年日本で開かれた地球環境保全東京会議には、真剣に活動している多くの団体や個人が強く参加を希望したにもかかわらず、これを拒否し、しかもその会議を非公開にしたのはほかならぬ日本政府であり、内外の強い批判を浴びました。
 また、今国会に政府が提出する平成二年度予算案でも、例えば環境庁予算で地球環境保全対策費として計上されているのは、地球温暖化が日本に与える影響の調査費がわずか五百万円、オゾン層保護のためのフロン代替の研究調査費がこれまた五百万円、総計でも十八億二千七百万円でしかありません。総理の歯切れのいい言葉とは裏腹に、政府の地球環境問題に取り組む姿勢そのものが余りにもお粗末であることを示しています。
 こうした日本政府の消極的姿勢とは対照的に、世界では地球環境を守るため多くの人々が具体的な行動を起こしています。二十年前にカリフォルニアの一青年だったデニス・ヘイズ氏が呼びかけて一九七〇年に実現したアースデーの運動は、今や全世界に広がり、ことし四月二十二日のアースデー統一行動日には、世界百二十七カ国で、もちろん日本を含め数億人が参加をし、多様な行動を行います。
 地球に生存する全人類の共通の課題である地球環境の保全に対して、世界のGNPの一五%を占める経済大国日本の果たすべき役割はまさに重大ではないでしょうか。
 ところが、現実は逆です。私の親しい友人で、先日来日したフィリピンのファクトラン環境庁長官は私に、日本はODAで道路をつくってくれたが、その道路を使って我が国の熱帯雨林を切り倒した木材を運び出していると語っていました。熱帯雨林を乱伐している犯人は日本です。昨年秋の大気汚染と気候変動に関する閣僚会議で日本政府は、二酸化炭素、CO2の二〇〇〇年凍結に反対をして世界の批判を浴びました。
 私たちは、政府がこのような態度をとり続けるならば、国会で地球環境保全宣言を採択し、政府の姿勢転換を迫り、また、政府が国連に対して地球環境特別総会を開催するよう日本から提案することを求めます。さらにその特別総会で、国際的な総合観測、研究などを実施するための地球環境保全基金の設立が決定できるように提唱したいと思います。
 国際協力の問題も同様です。海部総理や中山外務大臣の演説でいかに力説されようと、我が国の国際協力は心のこもった基本理念に基づくものとは言いがたいのではないでしょうか。
 例えばODAに例をとっても、確かに事業規模と金額は世界一であります。しかしその内容は、借款が半分を占め、プロジェクトの決定も我が国のコンサルタントが介在をして、我が国の企業の利益につながるものが大半です。アルシュ・サミットへ提出された緊急提言であるシュミット委員会報告でも名指しで我が国を批判しています。ODAはあくまでも最貧国の最貧層の生活を向上するために直接役立つプロジェクトを優先すべきではないでしょうか。第一、政府開発援助という政府の言い方、表現自体に政府の思い上がりがあらわれていると言えないでしょうか。私たちは国際開発協力と呼んでいます。そしてその基本理念は、政府の言うような相互依存と人道主義というだけではなくて、平和、共存、平等、主権の尊重、内政不干渉の諸原則に従うものであること、また、軍事用途に転用されるおそれのあるものや自然破壊、公害につながるおそれのあるものは排除しなければならないはずです。また、基本的人権を守ることも大切でしょう。
 さらに、現在の政府のODAのやり方の最大の問題点は国民の前にガラス張りでないということです。一兆円にも及ぶ国民の税金が使われているにもかかわらず、国民にも国会にも全く示されず、行政府の一存で行われているという例は諸外国には全く見当たりません。しかも、これを実施している省庁は平成二年度では十八にも及び、また、借款はいわゆる四省庁体制で行われていますから当然責任の所在は明確でありません。ODA行政の一元化が必要ではないでしょうか。
 このような視点から、私たちはODAのあり方の基本を定めた国際開発協力基本法の制定が必要だと考えています。既に参議院では考え方を同じくする会派の間でこの法案作成の準備を進めていますが、この際政府みずからこうした法律を制定すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 以上、国際問題について議論してきましたが、ここで働く女性の声を代弁し、もちろん男性にとっても極めて重要な問題でありますが、育児休業法について伺いたいと思います。
 海部総理はさきの施政方針演説の中で、育児休業制度の確立などに向けて積極的に努力すると述べておられます。まことに結構なことです。ということは、政府が育児休業法案をみずから提出するという意味なのでしょうか、伺っておきたいと思います。
 ところで、海部総理は多忙な日程を縫って訪米され、ブッシュ大統領と会談されました。その御努力には敬意を表します。
 日米経済摩擦は、日米関係が我が国外交にとって重大な問題であるだけに、その解決には党派や立場の違いを超えて努力しなければならないのは当然であります。しかし、基本的には、自民党政府と財界が進めてきた対米輸出偏重の貿易構造を改めて、アジア・太平洋や中ソなど社会主義圏、EOなどと均衡ある貿易構造を目指すことが必要ではないでしょうか。
 また、行政府の不必要な許認可制度も重大な障害となっていると思います。こうした努力なしにアメリカの要求に対してその場しのぎの対応をしてみても、日米関係は悪化するばかりではないでしょうか。
 最近のアメリカの世論調査機関ワールド・ポリシー・インスティチュートの調査によると、アメリカ人は、ソ連を敵視しないが七二%、これに対し、日本はアメリカにとって脅威であるが七三%となっています。もちろん、日本の脅威とは軍事的なものではなく、経済的、そして先進技術の面でのことでしょうが、このようなアメリカ人の感情に十分配慮する必要があるでしょう。
 そして、この機会に念のために申し上げたいのは、このようなアメリカ側の気持ちを緩和するために在日米駐留軍の経費をさらに大幅に負担することで問題をそらすようなやり方は、絶対に反対であるということです。
 以上、国際問題に絞って議論してきましたが、激動する世界、それも人類の歴史に確実に残る大きな変化を遂げつつある世界に対して海部内閣の対応は余りにも遅々として消極的であることに深い不信感と不安を表明しつつ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(海部俊樹君) 田議員にお答え申し上げます。
 最近の世界の情勢の変化について、これらの変化を社会主義の破綻と考えているのではないか、また体制の選択という言葉を使ったのはどうなんだ、こう言われるわけであります。
 私は、率直に申し上げて、自由主義と社会主義の選択というような意味で体制の選択をしばらく前まではとらえておりましたが、もう世界のその対立はなくなったわけであります。率直に言うと、歴史の上で自由主義か社会主義かという体制の選択問題には答えが出たと私は思っております。特に、自由民主主義と市場経済、社会主義と統制経済、これはあのドイツ一つを例に見ていただきましても、教育が行き届き、文化があり、技術力の高いあのドイツの人々が壁で分けられて二十八年、片方が自由民主主義をとり、片方が社会主義、統制経済をとった結果あのような差ができたわけでありますから、壁は要らないといって崩壊になり、私は歴史が答えを出したのだと率直に言わせていただきましたし、また私自身が訪問した東欧諸国の中にも、もう社会主義という言葉を国の名前から外してしまった国さえ出てきたわけでありますから、この問題については私は田議員といささか見解を異にするわけでございます。
 そうして、これから日本が対応していかなければならぬ問題は、きょうまで鉄のカーテンの向こう側で、壁の向こう側で、統制経済の中で苦しんでいらっしゃった人々にも日本は手を差し伸べて、御協力できることがあったらともに新しい豊かな明るい生活づくりのためにできる限りの御協力はしますというのが基本的な考え方でございまして、そういった意味で努力をさせていただきたいと思っておるわけでございます。私は、先生が触れられたベルリン演説もそのような考え方に立って申し上げたということをどうぞ御理解いただきたいと思います。
 また、米ソ両国首脳で合意した冷戦の終結というのは何を意味するかと仰せられますけれども、やはりヨーロッパではそれはきちっとなっていきつつあることははっきりわかりますけれども、まだアジア・太平洋には、いつまでその古い考えを持っておるんだとおっしゃいますが、現実に今もカンボジアでは戦闘が続いておるわけです。朝鮮半島は軍事力をもって対峙している地域もあるわけです。西側諸国と中国との間にはいまだ一つの解決できていない対立点もあるわけです。私は、これが冷戦の解除と直ちに受けとめることはできないから、それらの問題一つ一つと私たちは取り組んで、アジアに本当の平和と安定が来るように、それぞれの国々の抱えておる問題について日本が積極的に前向きに対処して冷戦時代の発想を乗り越えた態勢をとらなければいけないと思っておるところです。
 また、花岡事件を知っておるかということでございました。
 過去の歴史に対する認識は、昭和四十年の日韓共同コミュニケ及び四十七年の日中共同声明に述べられているとおりでありまして、私もこのような認識でおります。
 御指摘の花岡事件につきましては、当時の状況から中国人労働者が極めて不幸な状態に陥られたということは甚だ遺憾なことだと思い、心を痛めました。我が国政府としては、戦争に係る日中間の問題は、昭和四十七年の日中共同声明発出の後、存在していないと、請求権の問題についてはそういう立場になっておりますが、いずれにせよ、我が国は戦後一貫して平和国家としての道を歩んできたところでありますが、今後とも平和国家として平和と安定のために貢献していきたいと考えております。
 世界が冷戦の終結、力の支配からの脱却という中で、なぜ日米安保体制を維持し、平成二年度予算に防衛費を入れるかということでございますが、現下の国際情勢について先ほども触れましたように、いまだアジア・太平洋地域には現実的な動きというものが見えず、不安定な要素が目の前にもあるわけでありますから、私どもは、米ソを中心とする軍備管理・軍縮交渉というものがさらに進んでいきますように、これがまたアジア・太平洋地域にも及んでくるように努力を続けていきたいと思っております。そのために、我が国の平和と安定をきちっと確保しなければなりませんから、みずから適切な規模の防衛力を保有する、平和時における日本の防衛力の基準に従った防衛力の整備をしておるわけでございますから、この点も御理解をいただきたいと思うわけであります。
 また、アジア・太平洋平和会議の御提唱がございました。
 私は、一般に適切な政治的環境が存在する地域において御指摘のような国際会議を開催することは、その地域の平和と安定に資するものと認識をいたしまして、でき得る状況があるなればそれはいいことではないかという感じを持っております。
 他方、アジア・太平洋地域はいろいろな問題を抱え、先ほど他の党の御質問にありましたように、六カ国の会議もまだできないという現実が目の前にあるわけでございます。私は個々の政治的状況の中でこれらの環境が整っていくように努力を続けてまいります。
 例えば、アジア・太平洋経済関係閣僚会議は、これはできるものの例であって、昨年我が国もそれに参加をして、引き続いてそのような枠組みの中でアジア・太平洋の問題について努力をしていこう、解決に向かって努力を続けておるところでございます。お考え、御意見には私も率直に同感をさせていただきます。
 また、アメリカのチェイニー国防長官がいろいろ全面撤退させる可能性があると述べているけれども、なぜアジアだけ軍縮が進んでいないのかと仰せられますが、これも答えがダブるようで恐縮ですけれども、現実にアジアにおいてはまだ戦争のあるところ、対峙しておるところ、問題の片づいておらないところ、いろいろあるわけでありますから、私は、それらの問題を解決するためには、本当の意味の軍備管理・軍縮による兵力削減ができるようになるために、一つ一つの国々との間の状態を安定的なものに構築していって初めてアジア地域全体の平和と安定のための枠組みができていく、日本はその方向に向かって解決に努力をしていくようにいたします。
 また、非核三原則の問題については、この非核三原則を堅持していくという方針は今後とも貫いてまいります。
 また、朝鮮半島政策についてお触れになりましたが、昨年三月の竹下元総理大臣の答弁で明らかになっておりますように、政府の基本姿勢は、日朝関係の改善を進めていきたく、そのため早期に対話を呼びかけ、それが実現し、双方が誠意を持って話し合うことができることを期待しておるわけでありまして、政府の基本姿勢は現内閣においても変わったところはございません。
 また、国連の地球環境の問題についてお触れになりました。
 地球環境の問題につきましては、東京会議を開いたり、あるいは地球環境担当大臣を置いたり、国連を通じての環境問題に積極的に参加、協力するなど、いろいろ努力をいたしておりますが、一九九二年に開催が予定されておる環境と開発に関する国連会議の成功に向けて我が国としては積極的に協力をしてまいる考えでございます。
 ODAについてお触れになりましたが、我が国の開発援助は、相互依存と人道的考慮という基本的な考え方に基づいて、開発途上国の経済発展、飢餓と貧困の救済、国民生活の向上への貢献を目的としてその自助努力を支援するものでありまして、かかる開発途上国の民生の安定、福祉の向上へ向けて支援を行うことば日本のやらなければならない問題の一つだと思っております。相手国の経済の持続的発展に役立つようにいろいろしておりますが、お金の援助のみならず、例えば青年海外協力隊のように、人間が直接行って生活と勤労をともにしながらその国の国づくり、人づくりに協力をしており、心のこもった協力も続けられておるということをどうぞ御理解賜りたいと思います。
 また、ODAは、現行組織体制の枠内で運用、改善を図り、その目的が達せられますように、また内閣でも、対外経済協力関係閣僚会議を積極的に活用すること等により、経済協力に関係する行政機関相互の密接な連絡が確保されるように努めてまいりたいと思っております。
 なお、御指摘の国際開発協力基本法を制定するという考えは、前述の努力を積み重ねることによって、ただいまのところは考えておりません。
 また、育児休業法についてのお尋ねでございましたが、女子労働者が職業生活と家庭生活を調和しつつその能力と経験を生かすことができるよう、育児休業制度の確立に向けてさらに一層の普及促進に努めてまいる所存でございます。
 また、日米経済協議について党派を超えた立場でこれは日本のためにも成功させていかなければならぬ、努力をするという御発言を賜りましたこと、ありがとうございました。
 私は、我が国の貿易政策の基本は多角的な自由貿易体制の維持発展にあり、これを通じてこそ我が国の経済の底力もついてくるもの、国際的な相互依存関係も高まると思っておりますが、ただ、今日このような日米構造問題を起こしたのは、アメリカ一辺倒の外交、アメリカ一辺倒の貿易ではなかったかという御指摘がございましたが、最近の我が国の貿易相手国の中では、アジアNIES諸国というものが極めて大きなウエートを占めておることは先生御承知のとおりであり、アジアNIES諸国は全体として世界の平均的な成長率の倍を超える発展をしておるわけでありますが、その日本とアジアNIES諸国の貿易量は極めて大きくなってきており、貿易も投資も日本がアジアNIES諸国の経済的な発展のために大きな貢献をしておるということも事実でございますし、またECからの輸入にも大いに努力をしておりますから、アメリカのみならず、世界の国々の貿易の均衡ある拡大発展によって我が国の貿易パターンも多様化させてきておりますので、どうぞそのことも御理解を賜りたいと思うのであります。
 残余の質問につきましては関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
     ─────・─────
#40
○議長(土屋義彦君) 御紹介いたします。
 本院の招待により、本日来日されましたローラン・デュ・リュアール君を団長とするフランス共和国上院議員団の御一行がただいま傍聴席にお見えになっております。
 ここに、諸君とともに心からなる歓迎の意を表します。
   〔総員起立、拍手〕
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   〔国務大臣石川要三君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(石川要三君) 東欧諸国の民主化への動きやアジア・太平洋地域との関連等につきましては、先ほど総理から詳細に御答弁がございました。
 私は、日本の防衛を所管いたします立場から御質問にお答えをさせていただきたいと思います。
 最近のソ連及び東欧諸国における民主化への動きや市場原理の導入等は、第二次世界大戦以降かつて例のない好ましい変化であります。東西関係は、STARTやCFEの進展に見られるように、対決緊張から対話協調へと大きな変化を遂げつつあります。
 しかしながら、アジア・太平洋地域においては、欧州とは政治、経済、地政学的環境を著しく異にしておりまして、NATOやWPOのような二極化された安全保障体制は存在しておりません。また、中国の存在や緊張を続ける朝鮮半島、流動的なカンボジア情勢など、この地域の情勢には複雑かつ多様なものがございます。
 ソ連軍備につきましては、その意図はともかくとして、能力の面から見れば今日その軍事力の蓄積というものは膨大なものとなっており、かつ依然として戦力の質的強化が続けられておることは御承知のとおりであります。
 このようなことから、最近の欧州における政治的大変化が直ちにこの地域の軍事情勢に根本的な変化をもたらすとは考えにくく、欧州とこの地域を同一に論ずることはいまだ時期尚早ではないかと考える次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(中山太郎君) 田議員のお尋ねにお答え申し上げたいと思います。
 まず、世界的に冷戦終結や軍縮の時代に向かっているが、外務省は極東、アジア・太平洋で緊張が続いていると述べている、これらの地域で冷戦構造を維持していると考える根拠は何かというお尋ねでございましたが、既に海部総理及び防衛庁長官からただいま御答弁を申し上げておりますので、外務省としての発言は同様でございますので、重複を避けさせていただきたいと思います。
 第二に、朝鮮半島問題に関する竹下総理答弁を外相は継承するのかと、こういうお尋ねでございますが、昨年三月の竹下元総理の答弁で明らかにしました対朝鮮半島外交につきましての政府の基本姿勢は、現内閣のもとでも変更はございません。
 次に、竹下元総理は日朝間の諸懸案について前提条件なく話し合いたい旨述べているが、外務省はその後北朝鮮との話し合いをどのような形でやってきたかというお尋ねでございます。
 外務省といたしましては、一昨年の夏以来いろいろのルートによって北朝鮮側に接触を続けておりますが、残念ながら現在までのところ北朝鮮側は対話に応じてきておりません。残念でございますが、今後この対話を継続してできるだけ北朝鮮との話し合いというものが一定の軌道に乗っていくことを期待しているものでございます。
 次に、パチンコ問題をめぐる政府側の答弁は北朝鮮敵視を露骨にあらわしたものであって、さきの竹下答弁と全く矛盾したものである、海部内閣になって朝鮮半島政策は変わったのかと、こういうお尋ねでございますが、昨年秋の臨時国会での答弁でも御存じのとおり、パチンコ問題につきまして、この関係は、我が国の国内の団体である朝鮮総連を我が国法令に従ってどのように認識しあるいは対処するかという問題でございまして、政府の北朝鮮に対する外交政策とは何ら関係がございません。別個の次元の問題であることをこの機会に申し上げておきたいと思います。
 重ねて申し上げますが、我が国の北朝鮮外交に対する基本的な考え方は竹下総理答弁で明らかにしたとおりでございまして、海部内閣におきましても同様の政治姿勢を堅持しております。
 次に、在日韓国人三世問題についてのお尋ねでございます。
 在日韓国人三世の我が国における居住につきましては、昭和六十三年十二月以来、日韓法的地位協定二条に基づきまして日韓両政府間で協議を実施しているところでございます。政府といたしましては、今後とも同協定の前文に示されている精神及び目的を十分に尊重しつつ、両政府間の協議を通じて可及的速やかに両国間の合意が得られるように努力をしてまいりたい、このように考えております。
 次に、カンボジア和平に関するお尋ねでございますが、先般のパリ国際会議の中断後、カンボジア和平問題は膠着状態になっておることはまことに残念と存じております。田議員も先般カンボジアをお訪ねになって、いろいろとこの問題について深い御造詣をお持ちでございますけれども、私どもはこのカンボジアの和平構築について、日本政府としましてはできる限りの協力をしなければならないという基本姿勢を堅持しておりまして、さきにこの和平問題につきましては外務省のアジア局長をベトナムに派遣いたしております。また、先日来日されました中華人民共和国の郷家華委員に対しても、私からこのカンボジア和平に対する中国の協力を要請いたした次第でございまして、この地域の平和が一日も早く構築されることを心から念じる次第でございます。
 次に、昨秋の大気汚染と気候変動に関する閣僚会議でなぜ二〇〇〇年凍結に反対したか、こういうお尋ねでございますけれども、我が国といたしましては、できるだけ早期にCO2排出を何らかの形で抑制することが必要であると認識をいたしております。他方、具体的な対策の策定は、科学的知見を踏まえた検討が必要でございまして、我が国の考え方を基本に、関係各国間で意見が大きく分かれましたCO2の排出抑制問題については、建設的な対策を提示することによりまして、コンセンサスの形成に終始積極的に役割を果たしていると存じております。
 現在、このコンセンサスをも背景に、気候変動に関する政府間パネルにおきまして定量的な目標を含む幅広い検討が行われております。
 最後に、ODAの問題は総理から御答弁を申し上げたとおりでございます。(拍手)
   〔国務大臣長谷川信君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(長谷川信君) 田先生の御質問に対してお答えを申し上げます。
 御質問の要旨は、指紋押捺制度を含め在日韓国人三世問題に対する法務大臣の基本的な考え方を問うということでございます。
 お答え申し上げますが、在日韓国人の子孫の法的地位に関しては、その歴史的経緯並びに日韓友好関係を考慮し、政府としては、日韓法的地位協定の前文に示されておる精神及び目的を十分に尊重しつつ、今後両国政府の協議を通じて可及的速やかに双方の満足し得る結論を見出すべく万全の努力をいたすつもりでおります。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣北川石松君登壇、拍手〕
#44
○国務大臣(北川石松君) 田議員より地球環境保全の問題についていろいろ御指摘がございました。私よりお答え申します。
 東京会議を非公開にいたしました。これは、昨年の東京会議におきまして、世界の有識者の方々にその専門知識を生かしていただき、自由な立場から十分御検討、御討議をいただきたいことが肝要と考え非公開といたした次第でございますので、御理解をしていただきたいと思います。
 なお、地球環境保全対策について予算が少ないと。
 この点につきましては、地球環境保全対策費が少な過ぎるとの御指摘ではございますが、我が国といたしましては、地球環境の保全に積極的な役割をいたしております。政府は、地球環境保全関係閣僚会議を設置するなど、その取り組みの強化に努めていることも御承知のほどお願いしたいと思います。なお、今国会に提出されました平成二年度予算においても、地球環境保全に重点的な配慮が行われ、環境庁が取りまとめたところによりますれば、各省庁の関係予算は総額で四千五百二十三億円、対前年度比六・三%の増となっております。とりわけ国際機関等への拠出、調査研究等の政策経費は新規施策が多く盛り込まれるとともに、対前年度比三五・九%の高い伸び率となっておりますことも御理解願いたいと思います。
 なお、アースデーにつきましては、米国の民間団体が中心となり、本年四月二十二日にアースデーの活動を行う計画があると承知いたしております。これは、民間団体等がそれぞれの立場から環境保全に取り組むことは意義のあることと考える次第でございます。
 政府といたしましては、従来から、国連が定めました世界環境の日である六月五日からの一週間を環境週間とし、環境保全のための啓発活動を行っており、今年も国のみならず地方自治体、企業、民間団体等にも呼びかけて、地球と地域の環境を守るための啓発活動を積極的に推進してまいります。
 なお、大気汚染と気候変動に関する閣僚会議について御指摘がございました。地球温暖化問題に対しましては我が国が消極的である旨の御指摘があったので、これについてお答えをいたしたいと思います。
 昨年十一月の大気汚染と気候変動に関する閣僚会議におきまして、二酸化炭素、CO2の抑制目標につきまして参加国の意見が大きく分かれた中で、我が国は、環境大臣会合として宣言を取りまとめることが重要と考えまして、国際的な合意形成のためのイニシアチブを発揮いたしまして最善を尽くしたところでございます。その結果、ノールドベイク宣言が採択されまして、先進工業国が二酸化炭素等の排出を安定化すること等のために合意をいたしました。安定化の水準等については、気候変動に関する政府間パネルの場で検討することとなされたところでございます。
 なお、我が国としては、かかる国際的な検討に積極的に協力し、宣言が着実に具体化され、また、枠組み条約が早期に締結されるよう引き続き努力してまいります。さらに、国内的にも温暖化防止策として省エネルギーの一層の推進等に着実に取り組んでまいります。
 なお、生きとし生きる万物の大自然、この地球環境の保全こそが、NO2、CO2等を科学的にあるいは政治的に、私は本院の皆さんの御理解の上に立ち、国民の御理解を得て、今こそ世界に貢献するところの環境庁であるように真摯に取り組んでまいります。
 ありがとうございました。(拍手)
#45
○議長(土屋義彦君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#46
○議長(土屋義彦君) この際、お諮りいたします。
 下条進一郎君外九名発議に係る暴力行為の排除に関する決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○議長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。
 よって、本案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。下条進一郎君。
   〔下条進一郎君登壇、拍手〕
#48
○下条進一郎君 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合の各会派共同提案に係る暴力行為の排除に関する決議案につきまして、発議者を代表して提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    暴力行為の排除に関する決議案
  近時、法秩序を無視して直接行動に訴えるがごとき危険な暴力行為の傾向が著しく台頭してきている。こうした風潮は、憲法の保障する自由と民主主義の原則に照らして憂慮にたえない。
  殊に、言論及び政治活動の自由は公正な社会生活を確立する上で最も重要な基本的権利であり、これを暴力により封殺することは正に民主主義に対する挑戦であって断じて容認できない。特に最近頻発する問答無用といったテロ行為は、国の内外に対し深刻な衝撃を与えた不祥事として誠に遺憾である。この際、テロの実態と背景を徹底的に調査し、その根源を速やかに一掃することは、法治国家として喫緊の課題である。
  本院は、かかる事態にかんがみ、ここに、暴力が自由と民主主義の最大の敵であることを改めて表明するとともに、政府に対しては、言論の自由を保障し、あらゆる暴力の根絶を図り、遵法精神の高揚に努め、もって社会秩序の維持に最善の努力を尽くし、国民の不安を除去するよう、強く要請する。
  右決議する。
 以上であります。
 近時、再び政治的暴力行為、テロ活動が台頭してきたことはまことに憂慮にたえないところであります。
 去る一月八日、常陸宮邸に対し過激派からと思われる金属弾が発射されるという事件が生じました。続いて同月十八日、長崎市長本島等君に対して加えられたテロ行為は、我が国の自由と民主主義の先行きに大きな不安を抱かせた憎むべき不祥事件であって、痛恨のきわみであります。さらに、今回の衆議院議員総選挙におきましても、立候補者に対し発砲・暴行事件等が相次いで発生したのであります。
 言うまでもなく、およそ暴力は、その動機や行われた態様を問わず、許されてはならないものであります。殊に、政治的暴力行為、テロ活動が憲法の保障する自由と民主主義の最大の敵であることは、戦前のナチス・ファシズムの台頭、我が国の軍部独裁に至った経緯などが示すように、広く内外の歴史の教えるところであります。もし仮にもこのような暴力を容認するならば、戦後我が国が築き上げてきた平和と繁栄、国際的信用といった貴重な財産がたちまち危機に瀕することとなります。それゆえに、最近の頻発する暴力事件に対する国民の不安と憂慮はまことに深いものがあります。
 この意味において、国会の権威を高めるためにも、本院は暴力が自由と民主主義の最大の敵であることを改めて表明するとともに、政府においては、言論の自由を保障し、法と秩序の維持を図るため、右翼団体、過激派等の政治的暴力行為、テロ組織の現況と背景を徹底的に究明し、あらゆる施策を講じて暴力の根絶を図り、もって国民の信頼にこたえるよう要望するものであります。同時に、国民もまた、その良識と勇気を持って協力せられんことを切望いたします。
 以上が本決議案を提案する趣旨であります。
 何とぞ皆様の御賛同を賜りたくお願い申し上げる次第であります。(拍手)
    ─────────────
#49
○議長(土屋義彦君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#50
○議長(土屋義彦君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 ただいまの決議に対し、法務大臣から発言を求められました。長谷川法務大臣。
   〔国務大臣長谷川信君登壇、拍手〕
#51
○国務大臣(長谷川信君) ただいまの決議の趣旨はまことにごもっともなものであります。
 政府といたしましても、御趣旨に基づきまして最大限の努力をいたしてまいりたいと考えております。
 以上であります。(拍手)
#52
○議長(土屋義彦君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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