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1990/04/26 第118回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第118回国会 予算委員会第四分科会 第1号
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1990/04/26 第118回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第118回国会 予算委員会第四分科会 第1号

#1
第118回国会 予算委員会第四分科会 第1号
本分科会は平成二年四月二十三日(月曜日)委員
会において、設置することに決した。
四月二十五日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
      金子 一義君    戸井田三郎君
      林  義郎君    武藤 山治君
      和田 静夫君
四月二十五日
 林義郎君が委員長の指名で、主査に選任された
 。
──────────────────────
平成二年四月二十六日(木曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
   主 査 林  義郎君
      金子 一義君    戸井田三郎君
      秋葉 忠利君    仙谷 由人君
      辻  一彦君    常松 裕志君
      野坂 浩賢君    和田 静夫君
   兼務 住  博司君 兼務 山本 有二君
   兼務 上野 建一君 兼務 上原 康助君
   兼務 川島  實君 兼務 小林  守君
   兼務 小森 龍邦君 兼務 沢田  広君
   兼務 堀込 征雄君 兼務 近江巳記夫君
   兼務 貝沼 次郎君 兼務 竹内 勝彦君
   兼務 山口那津男君 兼務 吉井 光照君
   兼務 小沢 和秋君 兼務 菅野 悦子君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 津島 雄二君
        労 働 大 臣 塚原 俊平君
 出席政府委員
        厚生大臣官房総
        務審議官    加藤 栄一君
        厚生大臣官房会
        計課長     山口 剛彦君
        厚生大臣官房老
        人保健福祉部長 岡光 序治君
        厚生省健康政策
        局長      仲村 英一君
        厚生省保健医療
        局長      長谷川慧重君
        厚生省生活衛生
        局長      目黒 克己君
        厚生省社会局長 長尾 立子君
        厚生省児童家庭
        局長      古川貞二郎君
        厚生省保険局長 坂本 龍彦君
        厚生省年金局長 水田  努君
        厚生省援護局長 末次  彬君
        社会保険庁運営
        部長      土井  豊君
        労働大臣官房長 若林 之矩君
        労働大臣官房会
        計課長     廣見 和夫君
        労働省労政局長 岡部 晃三君
        労働省労働基準
        局長      野崎 和昭君
        労働省婦人局長 佐藤ギン子君
        労働省職業安定
        局長      清水 傳雄君
        労働省職業能力
        開発局長    甘粕 啓介君
 分科員外の出席者
        総務庁長官官房
        地域改善対策室
        長       萩原  昇君
        環境庁水質保全
        局水質管理課長 小澤 三宜君
        沖縄開発庁総務
        局参事官    樫福 保雄君
        法務省入国管理
        局警備課長   町田 幸雄君
        外務省経済協力
        局政策課長   大島 賢三君
        大蔵省主計局主
        計官      斎藤 徹郎君
        大蔵省主税局税
        制第一課長   長野 厖士君
        文部省生涯学習
        局青少年教育課
        長       富岡 賢治君
        運輸省地域交通
        局自動車業務課
        長       山下 邦勝君
        労働省労働基準
        局監督課長   氣賀澤克己君
        労働省労働基準
        局賃金時間部長 椎谷  正君
        労働省職業安定
        局業務調整課長 初谷  勉君
        建設省住宅局住
        宅政策課長   五十嵐健之君
        自治省行政局公
        務員部公務員第
        二課長     谷本 正憲君
        消防庁予防課長 海老 忠彦君
        社会労働委員会
        調査室長    滝口  敦君
        予算委員会調査
        室長      多田 俊幸君
    ─────────────
分科員の異動
四月二十六日
 辞任         補欠選任
  武藤 山治君     仙谷 由人君
  和田 静夫君     常松 裕志君
同日
 辞任         補欠選任
  仙谷 由人君     野坂 浩賢君
  常松 裕志君     辻  一彦君
同日
 辞任         補欠選任
  辻  一彦君     秋葉 忠利君
  野坂 浩賢君     武藤 山治君
同日
 辞任         補欠選任
  秋葉 忠利君     辻  一彦君
同日
 辞任         補欠選任
  辻  一彦君     和田 静夫君
同日
 第一分科員沢田広君、近江巳記夫君、貝沼次郎
 君、第二分科員上原康助君、山口那津男君、吉
 井光照君、第三分科員堀込征雄君、竹内勝彦君
 、小沢和秋君、菅野悦子君、第六分科員住博司
 君、山本有二君、第七分科員小森龍邦君、第八
 分科員上野建一君、川島實君及び小林守君が本
 分科兼務となった。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 平成二年度一般会計予算
 平成二年度特別会計予算
 平成二年度政府関係機関予算
 (厚生省及び労働省所管)
     ────◇─────
#2
○金子(一)主査代理 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。
 主査所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。
 本分科会は、厚生省及び労働省所管について審査を行うことになっております。
 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。
 平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算及び平成二年度政府関係機関予算中労働省所管について、政府から説明を聴取いたします。塚原労働大臣。
#3
○塚原国務大臣 平成二年度一般会計及び特別会計予算のうち労働省所管分について、その概要を御説明申し上げます。
 労働省の一般会計の歳出予算額は四千八百六十八億九千万円で、これを前年度当初予算額四千八百七十九億二千四百万円と比較いたしますと、十億三千四百万円の減額となっております。
 次に労働保険特別会計について御説明申し上げます。
 この会計は、労災勘定、雇用勘定及び徴収勘定に区分されておりますので、各勘定ごとに歳入歳出予算額を申し上げます。
 労災勘定歳入予算額は二兆二千百三十三億四千二百万円で、これを前年度当初予算額二兆五百十三億千八百万円と比較いたしますと、千六百二十億二千四百万円の増額となっております。また、歳出予算額は一兆三千百八十六億九千七百万円で、これを前年度当初予算額一兆二千五百三十四億三千百万円と比較いたしますと、六百五十二億六千六百万円の増額となっております。
 雇用勘定につきましては、歳入予算額は二兆四千三百二十億三千四百万円で、これを前年度当初予算額二兆三千六百十六億三千六百万円と比較いたしますと、七百三億九千八百万円の増額となっています。また、歳出予算額は二兆二千四百五十九億六千二百万円で、これを前年度当初予算額二兆三千六百十六億三千六百万円と比較いたしますと、千百五十六億七千四百万円の減額となっております。
 徴収勘定につきましては、歳入予算額、歳出予算額とも三兆六千七百五十一億三千九百万円で、これを前年度当初予算額三兆二千六十六億四千七百万円と比較いたしますと、四千六百八十四億九千二百万円の増額となっています。
 最後に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計の石炭勘定につきましては、当省所管分としては、炭鉱離職者の援護対策等に必要な経費としての二百四億三千八百万円で、これを前年度当初予算額二百二十一億八千六百万円と比較いたしますと、十七億四千八百万円の減額となっております。
 平成二年度の予算につきましては、特に、本格的な高齢化社会の到来に適切に対処するための雇用対策や、ゆとりある豊かな勤労者生活を実現するための対策等に十分な配慮を行うなど、限られた財源の中で、各種施策について、優先順位の厳しい選択と、財源の重点配分を行いながら、きめ細かく、かつ、効率的な実現を図ることといたしおります。
 以下、主要な事項についてその概要を御説明申し上げるべきでございますが、委員各位のお手元に資料を配付してございますので、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。
 何とぞ、本予算の成立につきまして、格別の御協力を賜りますようお願いを申し上げる次第であります。
#4
○金子(一)主査代理 この際、お諮りいたします。
 労働省所管関係予算の重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○金子(一)主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ─────────────
  〔塚原国務大臣の説明を省略した部分〕
 次に、その主要な内容について概略御説明申し上げます。
 第一は、六十歳代前半層の雇用確保を重点とした高齢者対策の推進に必要な経費であります。
 本格的な高齢化社会の到来を迎え、活力ある経済社会を実現するためには、高年齢者の能力が有効に発揮されるようにすることが重要であり、特に、六十五歳までの継続雇用を中心として高年齢者の雇用就業の場を確保していくことが極めて重要な政策課題であります。
 このため、六十歳定年を基盤とした六十五歳までの雇用の場の確保のための施策として、高年齢者の継続雇用を促進するための地域環境の整備を行う事業を実施するとともに、継続雇用制度導入奨励金制度の創設等の高年齢者雇用関係助成措置の充実を図ることとしております。
 また、これらの施策に加えて高年齢者キャリアセンターの拡充等、定年退職予定者の円滑な再就職の促進を図ることとしています。
 さらに、定年退職後等における臨時、短期的な就業の場を確保するためのシルバー人材センターについて大幅な拡充を行うとともに、各種の教育訓練施設も活用した特別の訓練により幅の広く高度な知識、技能を習得させるための事業の創設等により、高年齢者の能力開発を促進することとしております。
 これらに要する経費として千三十二億二千二百万円を計上いたしております。
 第二は、ゆとり創造社会の実現に向けた労働時間の短縮と余暇・福祉対策の推進に必要な経費であります。
 労働時間の短縮は、我が国の経済的地位にふさわしい豊かでゆとりある勤労者生活を実現するために是非とも達成しなければならない国民的課題であり、週四十時間労働制の早期実現を図る等経済運営五カ年計画の目標の達成に向けて労働時間対策を進める必要があります。
 このため、平成三年度を目途とした週四十四時間労働制への円滑な移行に向けての、特定業種労働時間短縮促進事業の創設等の援助の推進、連続休暇取得促進要綱の策定とその普及による連続休暇の取得促進、労働時間短縮についての国民的コンセンサスの形成を図るための事業を実施するとともに、勤労者の余暇や福祉を向上させるため、リフレッシュ休暇制度の普及促進を図る等の対策を推進することとしております。
 これらに要する経費として五百三十七億八千百万円を計上いたしております。
 第三は、労働者の安全・健康確保対策と労災補償対策の推進に必要な経費であります。
 産業活動の活発化等に伴い、死亡災害の増加が深刻な問題となっています。
 このため、その発生が特に集中している中小零細企業の安全衛生担当者等に対する能力向上教育の実施や、大企業等で安全衛生活動を担当した豊富な経験を持つ定年退職者を活用し、中小零細企業にふさわしい安全衛生活動を実施することとしております。
 また、勤労者の健康確保問題は社会的にも大きな関心が寄せられており、特に最近では業務の負荷に関連する疾病の問題が指摘されています。
 このため、作業関連疾患等の予防、治療等の総合的な調査研究を始めるとともに、労働者の健康確保を推進するための事業の拡充等を図ることとしております。
 さらに、労働者災害補償保険制度については、高齢化の進展等の経済社会の変化等に的確に対応し、また、一層の公平、均衡を図る観点から、年金給付等のスライド制の改善を図るなど所要の改正を行うこととし、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案を今国会に提出したところでございます。
 これらに要する経費として一兆千三百七十三億三千百万円を計上いたしております。
 第四は、女子の職場進出に対応した女子労働対策の推進に必要な経費であります。
 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保対策を推進するとともに、育児や介護のための休業制度の普及促進等女子労働者の就業に関する援助対策を推進することとしております。
 また、最近著しく増加しているパートタイム労働者の雇用労務管理改善に向けての指導、援助の推進やパートタイム雇用の円滑な需給の調整と雇用の安定を図る等の総合的パートタイム労働対策を推進することとしております。
 これらに要する経費として三十六億九千七百万円を計上いたしております。
 第五は、地域の創意による地域雇用対策の推進に必要な経費であります。
 地域雇用対策の推進については、雇用失業情勢をめぐる地域間不均衡の是正という観点のみならず、首都圏への一極集中の是正、過疎対策等地域の活性化という課題に対応した施策の充実強化が要請されております。
 このため、地域の実情に応じた雇用開発のための具体的なプランづくりへの援助を内容とする地域雇用開発プラン策定援助事業を実施するとともに、過疎地域等において、当該プランづくりから事業の具体的実施までの総合的な援助を内容とする過疎地域等雇用開発プロジェクトを実施するなど、地域の雇用構造の改善と活性化を図ることとしております。
 これらに要する経費として六百八十八億二千四百万円を計上いたしております。
 第六は、人材確保に向けた雇用・能力開発対策の推進に必要な経費であります。
 昭和四十年代以来の人手不足時代において人材の確保を図っていくため、労働力需給調整機能の強化や、魅力ある職場づくりのための中小企業等人材確保援助事業を実施するとともに、中小企業団体が行う人材育成のために必要な事業に特別の助成を行う等の対策を推進することとしております。
 これらに要する経費として三百十八億七千六百万円を計上いたしております。
 第七は、経済社会の変化に対応した職業能力開発対策の推進に必要な経費であります。
 高齢化に伴う職業生涯の長期化に対応するため、企業における職業能力開発推進体制の整備促進を図るとともに、労働者の自己啓発を促進することとしております。
 また、技術革新、情報化の進展等に対応するため、職業訓練短期大学校における関連テクニシャンの育成を図るとともに、元年度から実施しているソフトウエア人材養成のための地域ソフトウエア供給力開発事業を本格実施することとしております。
 さらに、経済社会の変化に対応した職業訓練を実施するため、公共職業訓練施設の充実を図り、中小企業の在職者や離転職者等の能力開発を推進することとしております。
 これらに要する経費として千百六億千五百万円を計上いたしております。
 第八は、労働条件改善対策の推進に必要な経費であります。
 全般的に労働条件管理の適正化がおくれている中小零細企業、第三次産業を対象とした労働条件適正化推進事業を実施するとともに、派遣労働者の労働条件管理の適正化を推進することとしております。
 これらに要する経費として十一億三千三百万円を計上いたしております。
 第九は、経済構造調整と就業形態の多様化に対応した雇用対策の推進に必要な経費であります。
 最近の雇用失業情勢は、景気の拡大局面のもとで全体的に改善が続いておりますが、特定の離職者については、引き続き各種の援助策を活用することにより、その再就職の促進を図ることとしております。
 これらに要する経費として一兆四千六百四十億七百万円を計上いたしております。
 第十は、中小企業労働対策の推進に必要な経費であります。
 中小企業は、約八割の労働者に雇用の場を提供するなど、我が国の経済社会の原動力として大きな役割を果たしていますが、大企業との間には雇用、労働条件等さまざまな面で格差が生じております。
 このため、中小企業の労働格差是正の計画的推進を図ることとしております。
 また、経済社会情勢の変化に対応した安定的な中小企業退職金共済制度の構築、同制度へのパートタイム労働者の加入促進等の整備を図ることとしております。
 これらに要する経費として百八十二億二千八百万円を計上いたしております。
 第十一は、国際化の進展に対応する労働行政の展開に必要な経費であります。
 我が国の国際的地位の向上に伴い、労働分野においても国際的地位にふさわしい国際協力が求められております。
 具体的には、国際機関等を通じた技術協力や開発途上国の人材育成のための外国人技能研修生の受け入れ事業の推進を図るとともに、今後における外国人研修生受け入れのあり方に関する検討を行うこととしております。
 また、外国人労働者の受け入れ問題については、受け入れに関する体制の整備を図り、不法就労対策を的確に推進することとしております。
 これらに要する経費として八十七億千三百万円を計上いたしております。
 第十二は、障害者等特別の配慮を必要とする人々に対する職業生活援助等対策に必要な経費であります。
 障害の重度化等により困難の度を増している障害者の雇用問題について、雇用率制度等に基づく雇用促進、職業リハビリテーション体制の強化を図るとともに、重度障害者対策として、民間企業と連携した職域開発援助事業を実施すること等により障害者の雇用対策を積極的に推進することとしております。
 また、インドシナ難民の受け入れ枠が増えることに伴い、我が国への定住促進を図るための就職援護措置を積極的に推進することとしております。
 これらに要する経費として八百五十一億八千百万円を計上いたしております。
 第十三は、労使関係安定対策に必要な経費であります。
 我が国が内外の厳しい状況のもとで、今後とも発展、繁栄していくためには、良好な労使関係を維持していくことが重要であります。
 このため、産業労働懇話会等の労使の対話の場を活用することなどにより、労使の相互理解と信頼を強化するための環境づくりを推進することとしております。
 これらに要する経費として二億六千七百万円を計上いたしております。
 第十四は、労働行政体制等の整備に必要な経費であります。
 今後の経済社会の変化に伴う行政需要に的確に対応するための行政体制等の整備を図るとともに、情報収集機能等を充実することとしております。
 また、政策対応のあり方について幅広い観点から検討し、総合的な労働政策の推進を図るために必要な経費及び一般行政事務等に必要な経費を計上いたしております。
 以上、平成二年度労働省所管一般会計及び特別会計の予算について概略御説明申し上げました。
 何とぞ、本予算の成立につきまして、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
    ─────────────
#6
○金子(一)主査代理 以上をもちまして労働省所管についての説明は終わりました。
    ─────────────
#7
○金子(一)主査代理 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。常松裕志君。
#8
○常松分科員 私は、国鉄清算事業団職員千四十七名の方々に対する解雇問題に絞って、この雇用対策につき労働大臣のお考えをお聞きいたします。
 まず第一に、解雇されたという現状をどういうふうに御認識なさっているかという点についてお尋ねをいたします。
 私は、現在四十九歳、昭和十五年の生まれですけれども、旧満州、ハルビンで生まれました。戦争に負けたときが満五歳で、家族そろって日本に引き揚げてまいりましたけれども、引揚者ですから、私の父にはろくな職はありませんでした。就職をするたびに倒産をする、あるいは整理解雇をされるということで、子供のころは失業者の家庭の暮らしをつぶさに経験してきたわけですけれども、解雇されるということは、いわば解雇された者にとってはおまえは死になさい、おまえは死ねと言われているに等しいということを、私自身の経験で身をもって体験してまいりました。一般論ですらそうでございますが、このたびの国鉄清算事業団職員千四十七名の方々につきましては、私はあってはならぬ解雇だというふうに考えております。
 なぜかと申しますと、この方々、もともとは国鉄に入社をいたしました。国鉄に入社をしたのは、国鉄は必ずしも労働条件はよくない、あるいは二十四時間勤務というふうに過酷な労働条件はあるけれども、しかし解雇されるとか倒産するということがない、整理解雇ですけれども、そうしたことがないということで就職をされた、こういうことが一つありました。ところが、それが国鉄改革ということで一たん整理をされる、旧国鉄を解雇されるということで清算事業団送りになった。その清算事業団に来るのも、決してみずから好んで清算事業団に来たわけではありません。いや、むしろ希望に反して清算事業団に採用された、あるいは希望に反してどころか、これまで各地区労働委員会で出されております労働委員会命令にございますように、国鉄労働組合員であるというそのゆえをもって、つまり特別の労働組合に所属をしているというそのゆえをもって採用差別が行われたという地方労働委員会の命令にありますように、そうした差別によって配属されたという事実さえある。
 こういうわけでありまして、いわばもともと特別な処遇を受けている。その上に政府は、再三にわたって一人も路頭に迷わせない、例えば八六年十一月二十二日に平井労働大臣は、全員速やかに再就職させるという趣旨の答弁を行っておりますし、とにかく一人も路頭に迷わせないということを基本にして再就職の活動をやってきたと理解をいたしております。にもかかわらず清算事業団に千四十七名の就職未内定者ができた。その就職未内定者に対して解雇を行うというようなことについては、四月一日付で解雇されたわけですが、これはあってはならないことだと私は認識をいたしております。
 この解雇に先立って、我が党の山口書記長は坂本官房長官に対して申し入れを行ったところですけれども、その際官房長官からは、労働省を中心にして再就職に役立つような雇用対策を一層努力をしていくという趣旨のお答えがあったやに伺っているわけでありますが、この際、かかる解雇という事態についての御認識及び今後の再就職あっせんの活動についての御所信をぜひ承りたいと存じます。
#9
○塚原国務大臣 まず、千名以上の方が解雇という状況になりましたことは本当に残念なことであるというふうに考えております。そして、今日までの我が省の対応でございますが、ともかく何とかそれぞれ仕事の場を確保していただきたいということで、JRの方はJRの方でそれぞれの地域でおいでをいただきたいという募集をしたわけでございますが、それに加えて、これは内容別には参議院等でも実は指摘をされたのですが、行ってみたら非常に劣悪な条件であったとか、あるいはここに会社があるといって行ったらなかったとか、そういうこともあるので、中にはそういうものも幾つかまざっていたかもしれませんが、私もその辺はちょっとよくわからないのですが、現実の問題としては三万件以上の仕事を一応御紹介申し上げて何とか皆さん全員に雇用の場が確保されますように努力をいたしてまいりました。
 雇用の場を確保されない方が多いという状況のもとでだんだん時間も迫ってまいりまして、そういったときに御党の田邊先生を委員長にする委員会の方からも大変に強い調子での御陳情をいただきました。私どもさらに再度その陳情を受けまして、各職業安定所に対しましてもう一度何とかお世話できるようにという通達も出したわけでございます。当初そのころの話では、そういう状況でも御党の見通しでも三百か四百くらい残るのかなという見通しがあったというようなことも伺ったのですが、私どもも、解雇される方ができるだけ少なくゼロに近くなってもらいたいと望んでいたわけですが、非常に大勢の方がこのように解雇されたということで、非常に残念だと思います。
 いよいよこれから後は私ども労働省がしっかり頑張らなければいけないわけでございまして、お話を伺うところによりますと、四月十五日現在で五百四十名の方が御相談においでいただいているということでございますので、何とかすべての皆様方に御相談に来ていただいて、できるだけいい結論が出せるようにこれからもさらに頑張ってまいりたいというふうに考えております。
#10
○常松分科員 ぜひ御答弁どおりの御努力をお願いしたいわけであります。
 ここで、今大臣からも御答弁がありましたが、これまでの再就職のあっせん活動などにつきましてお尋ねをし、今後の御参考にもしていただきたいと思いますし、またとりわけ御尽力、御努力をいただきたいわけですが、私は先ほど申し上げましたような理由で、この国鉄清算事業団の職員の方々に対してはその再就職のあっせん活動につきましては格別に誠意を持った、その職員の方々の一人一人の立場に立ったあっせん活動がされなければならなかったのではないか、こんなふうに思っております。一般的に申し上げましても、労働省が職業安定所を通して再就職のあっせん等をなさる場合には、賃金等の労働条件が著しく低下をするようなところを紹介あるいはあっせんすることはないわけでありまして、先ほど大臣から御答弁ありました再就職あっせんの三万件の口ということですけれども、その大部分は実際には国鉄清算事業団の職員の方々からすればとても現在の家族を養っていけるような賃金、労働条件になっていないという趣旨の訴えの手紙も私のところにも随分来ております。
 こういう三万件のお話がありましたけれども、そういう点、それらの三万件が実際にそういう条件を満たしているかどうかということについて、もしお答えいただければお答えいただきたいと思いますし、急な質問ですから後刻調べてということならそれで結構ですけれども、その点はぜひ明らかにしていただきたいと存じます。特に今回の場合は、先ほど申し上げましたように自分の意思に反して清算事業団に送られてきたわけですから、特に念入りな誠意のあるあっせん活動が必要だ。ところが、実際にはどうだったかといいますと、むしろ極めて形式的に流れていて、極論いたしますと、自分は無理やり追い出されようとしているのではないかというふうに職員の方々に受けとめられてもやむを得ないような実情があったのではないかというふうに実は私受けとめています。
 ちょっと済みませんが、そのオートバイを大臣ちょっと見ていただきたいのです。実は、私のところに随分手紙が参りました、あるいは訪ねてもおみえになりました、あるいはまた私が実際に北海道や九州にお訪ねをして実情の調査もしてまいりました。その際、北海道の音威子府の佐藤敏行さんという方からは実はこういう手紙が来ています。再就職のあっせんを一度も受けたことがない。この手紙につきましては、先日運輸委員会で私は概要について読み上げました。しかし、とにかくそういう手紙が私のところに現実に来ています。
 また、今大臣のところに持ってまいりましたのは、旭川の藤原秀康さんという方がつくった木工クラフトです。これは彼が一人でつくったものでありまして、非常に精巧に、大臣、ごらんになるとわかりますができています。これだけの腕を持っていますから、この藤原さんは木工クラフトの技術を生かした就職をしたいというふうに考えておられました。ところが、ここにこの方から来ている手紙もございますけれども、とにかく木工関係の仕事についてはただの一度も再就職のあっせんを受けていない。
 名寄に住んでいらっしゃる西根正春さんという人がやはり手紙をくれました。この方は奥さんと共働きで、奥さんは看護婦さんをなさっている関係で広域の採用については全く考えなかった。地元の民間ないしは公的部門での採用というものを考えていた。そこでさまざまな技術の習得もいたしまして、この方の場合は清算事業団に入ってから、ガス溶接とか大型自動車、大型特殊、建設機械、危険物とかボイラー、火薬の取扱保安責任者の資格とかそういう各種の資格を次々に取得をしています。ところが、この方から来た手紙によりますと、ほとんど就職あっせんをされてない。例えばこんなふうに書かれています。これまで自分は地元での再就職に重点を置いてきた。企業の訪問あるいは企業への売り込みといったらいいか、何とか使ってほしい旨を当局に話し、当局が動いた企業は三件、採用試験はわずか三回。当局は私が腰痛で悩んでいることを知りながら、あっせんしてくるのは土木関係ばかりでした。試験を受けた二件については一般公募だった。面接だけは絶対してくれるとのことだったけれども、結局はしてももらえなかった。これが民間を希望した西根さんの実情です。
 あるいは中川郡中川町の太田亨さんという人から手紙が来ましたが、この方の場合は、毎日が自習で、中身は、何もすることがないから自分でやってくれと無責任な態度であるばかりか、公的な希望者には資格は必要ないと資格取得を認めず、そして実際には資格の必要な再就職口を出してきて、これは政府あっせんの最後の公的部門のことなんですけれども、試験を受けたくても受けることができないというように、むしろ再就職を邪魔さえされた、こういう趣旨の手紙をいただいている始末であります。
 あるいは労働省の関係でも、秋田の労働基準局が最後の政府の案のときに一名の募集をした。これに一名名寄の方が応募された。ところが、一名募集に一名応募でこれが不採用になった、こういうふうな事実もお手紙その他でいただいております。
 こういうふうに見てまいりますと、この就職あっせんというものが本当に情の込もったものだったのか、誠意を尽くしたものだったのか、言いかえてみれば本当にベストが尽くされた、やり残したことはないというふうに言えるかどうかという点についてぜひひとつ労働大臣のお考えをお聞きいたしたいと存じます。
#11
○清水(傳)政府委員 これまで労働省として行ってまいりました再就職対策についてまず申し上げたいと思うわけでございますが、清算事業団職員に対する職業指導なり職業紹介、再就職対策、これは清算事業団が主体となって講じられてきたわけでございますが、労働省といたしましても、民間求人の確保、それから関係事業主、事業主団体に対する啓発、これを中心に最大の努力を行ってまいったというふうに考えております。
 具体的には、それぞれ専門の指導官を各地に配置をした体制をとる。それから先ほど大臣申し上げましたが、民間求人そのものは全体として二万数千件に及ぶわけでございますけれども、そのうちの三分の二を私どもの方で提供をいたしております。そしてさらに、具体的に直接安定所へおいでいただいて御相談に応じられる方々、これはもちろん門戸を広げまして登録をさせていただきまして、その方々の職業相談、職業紹介をさせていただく、こういう体制をとると同時に、清算事業団との協力態勢の中で安定所の持てる情報を提供し、それから職業講話とか職業相談とか、そうした面について、現地へ赴いてやらせていただけるものはできるだけやらせていただく、こういうふうな形で行ってまいりましたし、それから、それぞれの地域での事業主を集めた連絡会議というふうなことも再々開いて、その地域の求人を出していただける、御理解をいただけるような、そういう方向の努力もさせていただきました。直接安定所へおいでいただけた方々については、これは率直に申しましてそんなに数は多くはございません。しかし、その方々につきましても、何回となく紹介もいたしまして就職に結びつける、そういうふうな形で行ってまいったわけでございます。
 いろいろと個別の事情につきましては、ただいまお挙げになりましたようなケース、私も直接存じておるわけではございませんが、マクロ的な意味で一般的な求人の条件というのは賃金ということになるわけでございますけれども、その状況について申し上げますと、確保した民間求人の賃金が、大体年収二百五十一万から三百五十万までが四六%、これが最大の比重を占めております。件数にいたしまして約一万一千件に相当するわけでございます。それから百五十一万から二百五十万が三六・七%、約九千人分に相当いたします。それから三百五十一万円以上も一六・一%というふうな状況になっておりまして、こうした賃金の状況を清算事業団職員の方々の年収の分布と比較をいたしますと、大体北海道、九州だけで未内定者の方々の年収の平均が三百三十四万、こういうふうに私ども報告を受けております。年代によって額は違いますけれども、先ほど申しましたように、中には百五十万未満という求人もございますが、トータルとして見ましては、やはりそれぞれ年収の分布されているのを上回るような形の求人の確保はできておる状況でございます。現実に就職をされた方々の年収とそれから在職時の年収と比較をいたしますと、五十歳未満の方々の場合にはおおむね事業団職員としての年収を上回るところの就職になっておりますが、年齢が高い層の方々につきましては、必ずしもその面につきましてはやはり若干下回る面もある、こんなふうな状況になっておるわけでございます。
 何さまいろいろな現地の事情、北海道、九州は全般的に地域の雇用情勢が十分に改善を見ていない地域でございまして、そうした中におきまして、今申しましたような求人の確保にできる限り努力をさせていただいております。職業紹介に当たりましては、地域事情、それから賃金、時間等につきまして、あるいは職種の面につきまして必ずしも御本人の希望どおりにならないケースもないわけではございませんし、あるいはきめ細かな職業紹介をさらに講ずることによってもっと御希望に沿えるようなところをあっせんできる、そういう努力は限りなく続けていかなければならないことでございます。そういう方向で、残された方々につきまして、私どもさらに努力をさせていただきたい、このように考えております。
#12
○常松分科員 再就職あっせんの労働条件その他については、私の調べていることと御答弁との間に違いがありますけれども、きょうはそれは残して、質問について先に進ませていただきます。
 私は、とにかくそういうことで、残ったということ自体が極めて不十分だった、そうした反省の立場に立っていただきたいということですけれども、大臣、なおその上に次のような事情があります。
 一つは、広域採用に応じる、そして、その後残された家族に不幸が起こるというようなことが起こったりしています。例えば鳥栖の客貨車区から八尾駅の天王寺事業部に広域に応じて行った高尾秀敏さんという人のお母さんは一人住まいだったのですが、高尾トシ子さん、鳥栖市飯田町百二十七の二に住んでおられましたが、この方は一人住まいの中で殺されてしまうというふうな事件が起こりました。こういうことは清算事業団の職員の中に話としてだあっと広がっていきました。
 あるいは再就職していった場合に、その再就職先が倒産をする。例えば北海道の事例ですけれども、大雪石材とか新日本ツーリストというような会社が倒産をしてしまうというようなことが起こる。あるいは先日自殺をされた川合さんの場合などですと、とにかく清算事業団をやめて民間会社に就職した。就職したらそこで、おまえは元国労だったんだろうというようなことで、いわば嫌がらせをされるということでその会社をやめる。やめて、それからずっとあちこち転々としながら就
職口を探すのですけれども、どこも就職が見つからないということで、結局自殺に追い込まれるというような事件が伝えられる。そういうような心理状況の中に清算事業団の方々は置かれていたわけです。
 そのやさきに地方労働委員会の命令がまた出ました。御存じのとおりの内容です。そうなりますと労働大臣、私はぜひ伺いたいのですけれども、例えばここに田中忍さんという、これは奥様ですけれども、音威子府の方から来た手紙があるのです。これも本当は読みたかったのですが、時間がありませんから読めませんが、この方の御主人は緑内障という病気だそうです。そのお父様も国鉄マンで、五十四歳で分割・民営の年に退職をした。ところが、すぐ翌年に脳血栓で倒れた。それで、奥さんの方のお父さんも心臓とぜんそくで苦しんで病院通い、こういう状態だから、応じたくたって広域に応じられない。そういうやさきにこの地方労働委員会の救済命令が出る、こういうふうになりますと、大臣、こういう地方労働委員会の命令が出た以上、この清算事業団の職員の方々は、法治国家である以上この地方労働委員会の命令が守られるだろう、自分は両親のことを考えたりあるいは生活のことを考えたり、自分の病気のことを考えると、やっぱりこの際この地方労働委員会にすがって、何とか地元のJRに採用されるだろうということを、大臣、期待をするということは私は当然なんじゃないか、極めて当然のことなんじゃないか。そうじゃないんだ、当然そんなことを期待するのは間違いなんだ、そんなものを期待しないで、その地方労働委員会の命令なんかどだい守られっこないんだから、だからこれからの人生、これからの社会を生きていくためには、守られないということを前提に生きていけということなんでしょうか。私は、そうじゃない、やっぱり労働委員会命令が出た以上はそれが守られるだろう、法治国家日本である以上、そういうふうに期待をするのが当然だと思うわけですけれども、大臣いかがお考えでしょうか。これはぜひ大臣から御答弁していただきたい。
#13
○塚原国務大臣 地労委の命令は大変にこれはもう重みのあるものでございます。ただ、労政局長から事実的な面を御説明をすると、これはもう釈迦に説法になっちゃうと思うんですが、一応中労委というのがあるわけでございまして、そうすると、じゃあ中労委の方に話を持っていっちゃいけないというルールもまたないものですから、そうすると地労委というのは大変重いものですけれども、中労委もまた重いものだ。それで、中労委で今お話が進んでいるということになりますと、私どもの方からその地労委の決定についてどうだこうだというのはなかなかコメントしにくいというような状況でございます。ただ、中労委というのは大変重いものですけれども、やはり地労委も大変重いものであるというふうには考えております。
#14
○常松分科員 そうじゃないんです、大臣。私が伺っているのは、その清算事業団の職員の方々やあるいは家族の方々が、地方労働委員会の命令が出たときに、その命令が遵守されるだろうというふうに期待をするのは、そういう気持ちを持って見守るということはこれは当然のことじゃないか、当然のことじゃないかということをお尋ねをしているわけでありまして、中労委とかそういうことを聞いているのじゃないのです。そういう期待を持つのは当たり前じゃないかということをお尋ねしているのですから、その点に絞ってひとつ委員長さん、御答弁を絞っていただきたいと思います。
#15
○塚原国務大臣 裁判の場合でも地方裁判所で一つの結論が出ますと、当然それに対しては立場、立場で御評価があるわけでございまして、当然地労委におきましてもその立場、立場での御評価というものは当然あると思います。
#16
○常松分科員 私はそうだと思うんです。今大臣から御答弁がありましたように、それを受けとめて期待を持つというのは私は当然だ、そういうふうに思います。ところが、それが現在履行されていないわけですけれども、そこで、そういう中で解雇をされた今回の千四十七名の方々です。ぜひひとつ大臣、その千四十七名の方々に対して、一部にはごね得を許すなというふうなそういう向きもあります。そういうことを言っている向きもあります。しかし私は、そういうことではなくて、この方々は大きく言いましてやっぱり国鉄改革の犠牲者だ、大きな意味で、まあ社会党は反対いたしましたけれども、とにかくあの国鉄改革の犠牲者だったんだということの認識が必要でございましょうし、また一人も路頭に迷わせないという約束をしたけれども、そしてまあ労働省の方々にしてもあるいは清算事業団の方でも、誠意を尽くしたかもしれません。しかし、誠意というものは相手に伝わらなければ、そして現実にその効果があらわれなければいけないわけでありまして、現実にその職員の方々には皆さんが幾ら誠意は尽くしたと言ってもそれがそう映っていないとするならば、そういう方が、千人以上の方々いらっしゃるとするならば、やっぱりそこは重く受けとめていただきたいというふうに思います。
 そして、過去、駐留軍の離職者対策にいたしましても、あるいは炭鉱離職者対策にいたしましても、労働省が中心になって格段の措置をとってきたという経過があります。今回の場合におきましても、この千四十七名の方々に対して格段の御措置をとっていただいて、そして完全雇用というお約束を果たしていただきたい、こんなふうに思いますし、同時に、中でも地元のJRにぜひ採用してほしいというのが希望でありますから、その点につきまして労働大臣の格段の御尽力を心からお願いいたしまして、要望ということになりますし、質疑の時間が終わりましたので要望だけになりますけれども、ぜひひとつお願いをいたしたいということを御要望申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#17
○金子(一)主査代理 これにて常松裕志君の質疑は終了いたしました。
 仙谷由人君。
#18
○仙谷分科員 日本社会党の仙谷由人でございます。
 私は、本日の質問におきまして、今新聞紙上でも連日のごとく報道されておるわけでございますけれども、そしていわゆる九一年問題として日本の国際性といいますか、あるいは日本及び日本人が国際社会の中で人権、とりわけ外国人の人権というふうなものをどのように認識をして政治を行っていくのか、あるいは物事を処すことができるのかという問題が現在問われているというふうに理解をしておるわけですが、とりわけ日本の場合にはここに居住する在日韓国人、朝鮮人、つまり居住することが彼らの自由と責任ではなくして存在し生活せざるを得ないという、この在日韓国人、朝鮮人の方々の労働権、生活権にまつわる事柄を労働省に質問をさせていただきたいというふうに考えるわけでございます。
 といいますのは、私は昭和四十六年に弁護士登録をしたわけでございますが、一番最初に依頼を受けた事件が日立製作所の朴鐘碩という青年に対する就職差別です。在日韓国人であるがために採用を取り消したという事件でございました。これは日立側の言い分によりますと、本名を名のらなかった、新井鐘司というのが日本名でございましたが、本名を名のらなかった、本籍地に出生地を記載した、こういう理由で経歴詐称である、あるいは朴君という青年はうそつき人間であるということで採用を取り消したのであります。横浜地方裁判所に提訴をいたしまして、約四年の後に勝訴判決を受けて、その後日立も非を認めて朴君を採用いたしました。朴君は現在でも日立製作所でソフトウエアのプログラマーとして元気に働いています。
 皆さん方もここまで申し上げるといろんなイメージが浮かんでくると思いますが、今在日韓国人、朝鮮人が、いかに能力があろうとも、学歴があろうとも一部上場企業といいますか、二部上場企業といいますか、いわゆる一流企業にほとんど
採用されないという実態があるというふうに私は思うわけでございますが、こういう状況について労働大臣、いかがお考えですか。
#19
○塚原国務大臣 まず企業の採用選考の件につきまして、国籍を理由としました差別的な取り扱いが行われる、これは大きな問題ではございますし、人権尊重の観点から見ましても極めて遺憾なことであると考えております。
#20
○仙谷分科員 大臣から基本的な御認識を伺ったわけでございますが、新聞報道等によりますと、いわゆる三世問題ということで日本側の主張といたしまして、就職差別がないように企業へ指導、啓発に努めているという表現とか民間企業については政府として差別解消を積極的に訴えるということが報道されております。企業への指導、啓発に努めているという部分でございますが、今までに労働省が企業に対して、いわゆる在日韓国人・朝鮮人の就職に関してどのような指導あるいは啓発行動をなさったのか、お伺いをいたしておきたいと思います。
#21
○塚原国務大臣 具体的な話ですので政府委員の方から。
#22
○清水(傳)政府委員 職業安定法におきましても、職業紹介等について国籍を理由とした差別的取り扱いを禁止いたしているわけでございます。その趣旨にかんがみまして、企業の就職に当たりましてはあくまでもその本人の適性と能力を基本として行うべきである、こういう大原則のもとに企業に対してずっと粘り強い指導を行ってきております。
 具体的な活動といたしましては、できるだけ多くの企業にそういうふうな形でそういうふうな考え方を徹底する、そういう機会というのは、一つは、新規学卒者の採用に当たりまして全国の安定所単位で求人説明会というのを各地で多数の企業を集めまして行ってまいるわけでございます。そうした機会を通じまして、在日韓国人であるかどうかを問わず、応募者本人の適性、能力を中心に採用選考を行うように事業主に対する指導、啓発活動を展開をしてまいっておるところでございます。
#23
○仙谷分科員 今指導とおしゃったのは、求職説明会ですか。その場で口頭で労働省の担当者が企業関係者に話をする、こういう話ですか。それとも何か通達を出したりあるいはパンフレット等々で啓発活動をするとか、そういうことをなさっておるのかおらないのか、そのことを御教示願いたいのですが。
#24
○清水(傳)政府委員 就職差別問題そのものは、私どもの安定機関の全国的な活動の展開の中でそういう事案に遭遇することは従来からもあったわけでございますし、その都度そうしたことを強く是正をするための指導通達的なものはもちろん出しつつ、パンフレット等におきましてそうしたことを企業に徹底をするように指導をいたしております。
 ともかく本人の適性と能力に応じた採用選考が行われるように、また具体的な行為の中では、選考関係の書類なんかにおきましても、あくまでも本人の適性と能力ということが中心となるようなそういう書式を通じて行えるように、そういうことを繰り返してこれまで指導してまいっております。
#25
○仙谷分科員 通達とパンフレット等がおありになるということでございますので、それは後ほど私のところにお持ちいただきたいと思います。
 時間の関係もありますので、次に進みます。
 そういたしますと、いわゆる被差別部落に住む方々の就職問題のように、研修を企業の中で行うよう指導するというふうなことまではなさってないのでしょうか。
#26
○清水(傳)政府委員 在日韓国人や在日朝鮮人の方々の採用、就職の問題に限りまして研修等を行ってきたということはございません。
#27
○仙谷分科員 労働省のそういう通達等を含めた指導で、七〇年の十二月に発生した日立の就職差別事件以降どの程度就職差別がなくなった、あるいは在日韓国人・朝鮮人の採用が促進されたというその効果ですが、どのようにお考えですか。
#28
○清水(傳)政府委員 職業紹介そのものに当たりまして、在日韓国人や在日朝鮮人であるかどうかによって異なる取り扱いは行っていないわけでございますが、そうした方々の採用、就職状況につきまして、逆にまた人権侵害につながるおそれもなきにしもあらずということもございますので、現在までのところ特別にそういう面について調査をしたという形をとってきてはおりません。もちろんそういう事案が生じたような場合には、個別に十分な調査を行って指導強化をしてまいるということは当然でございます。
#29
○仙谷分科員 そうすると、労働省の今までの指導等ではどのくらい効果が上がったかわからない、こういうふうにお伺いしてよろしいですか。
#30
○清水(傳)政府委員 件数的にどうのこうのというのは非常に難しい問題でございますけれども、しかし採用、就職に当たりまして、本人の能力と適性を中心として行っていくべきであるという考え方は相当程度浸透してきつつあるというふうに私どもは考えております。
#31
○仙谷分科員 ちょっと話題を変えますけれども、上場一部と二部の企業で在日韓国人・朝鮮人が、特に大卒の男子が何人程度採用されて現在働いているか、高卒の方が何人働いているか調査なさったことはないのですか、あるのですか。
#32
○初谷説明員 御指摘のような問題について今まで調査した結果はございません。
#33
○仙谷分科員 なぜこういうことを言うかと申しますと、皆さん方も、既に自民党の代議士になっていらっしゃる方もいるわけでございますけれども、東京大学の法学部を出ても、朝鮮人のまま、韓国人のまま日本の一流企業に就職したいということを念願しても採用されないというのが実態なんです。私の二年後輩の親しい友達も、どこかの会社に就職したかったけれども、就職させてくれぬ、つまり門前で受けつけてくれない。そのために故郷に帰ってお父さんの仕事を手伝っています。事業なんていうレベルじゃない仕事を。それが実態なんです。
 そして、日立の事件以降二十年がたったわけであります。私は日本の労働市場が、企業経営者がもっと自由に、オープンになってきたのではないか、労働省も強力な指導をその後なさったのではないかということを期待しておったわけでございますけれども、今お伺いしますと、調査もなさってないのですね。これはある意味ではゆゆしい問題だというふうに私は考えます。早急にその点を調査していただきたい。そして調査をしていただくときには、必ず日本名で採用されて日本名のまま働いている人数、それから在日韓国人・朝鮮人として本名で採用されて本名で働いている人数、これをぜひお調べをいただきたいと思います。
 次に、問題をもう一歩進めますけれども、政府はこの三世問題等々で、民間企業については政府として差別解消を積極的に訴えるというふうな御意向をお持ちだということが新聞報道されております。その点は今後どのように積極的に差別解消策をとろうとしておるのか。調査もしないというふうな今までのレベル、まあ求職説明会で一般的に労働基準法三条がある、国籍によって差別してはいかぬ、そういうことをただ述べるだけなのか、本当に上場一部、二部企業の会社、こういう会社でも在日韓国人・朝鮮人が一つの民族として生きていく、そのために彼らの能力に応じて、適性に応じて採用するような強力な指導を具体的になさるおつもりがあるのか、ないのか。具体策があるのだったらお聞かせください。
#34
○清水(傳)政府委員 やはりこの問題につきましては、新聞等にも出ておりますような状況の中で一般的な関心もこれから非常に高まってくる問題であろうというふうに存じますし、そうしたことも背景としつつ、私どもといたしまして、就職差別がないようにするために通達を改めて出して、そういう指導を徹底することを行ってまいりたいと考えておるところでございます。
#35
○仙谷分科員 通達のほかには今お考えになっているようなことはございませんか。
#36
○清水(傳)政府委員 当然それはそうしたことを徹底させるための活動を展開するための基本的な施策でございまして、できる限り、いろいろな機会を通じての徹底のための方策というのをそうした中に盛り込んでまいりたいと考えております。
#37
○仙谷分科員 大臣、通達を出すというようなことで、行政当局の方は、まあ人の問題だから具体的に在日朝鮮人・韓国人の就職状況が改善されなくてもそれは労働市場は自由なのだからいたし方ないというふうに私には聞こえるのですね、こういう発言を聞きますと。今、日本が全世界の国々から求められる、特にアジアの国々から求められておるというのはそんなレベルの話ではないのじゃないかという気がするわけです。とりわけ在日韓国人・朝鮮人というのはパスポートを持っていない方々です。パスポートを持っていないというところにこの問題の本質がある。今、盧泰愚大統領の来日問題、三世問題ということで連日国民の関心も集め、かつまた韓国国内におる方々の関心も非常に集めておるようでございますけれども、労働法制の問題といたしまして、一歩進めて在日韓国人・朝鮮人の方々の就職を促進する、雇用を促進する法制を、あるいは通達の中であるいは行政指導の中で予算の裏づけを持ったそういう制度をこれからつくっていこう、そういうお気持ちになりませんですか。いや大臣に聞いているのです。
#38
○塚原国務大臣 一番の基本は、やはり雇用をする方とそこに働かれる方の関係ということになってきますので、逆にどうなんでしょう、その調査のときに、これは私、後で先生から御指導いただかなくちゃいけないと思うのですけれども、本当にその調査を絶対した方がいいのかどうか、まず冒頭にその話をこういう場じゃないところでまたいろいろと御指導もいただかなくちゃいけないと思うのですけれども、そういう問題とか、また特定の形で特別な措置を講ずるようなことがいいのか悪いのか、これは物すごく難しい問題だと思うので一生懸命勉強をさせていただきたいと思います。
#39
○仙谷分科員 障害者雇用促進法という法律があります。企業に障害者の雇用を促進させるために、枠を決めていわば半ば採用義務を課しておる、採用された方には金銭で給付金が出る、こういう制度があります。私は必ずしも大会社に給付金を与える必要はないと思うのです。そしてまた、個別の労働契約の中で能力があるか適性があるかという問題はまた別途の判断だろうと思うのです。しかし、ある種の割合で在日朝鮮人・韓国人という方々が存在するにもかかわらず一般的に学卒者を採用するのは皆無であるというこの実態、いわゆる一流企業において皆無であるという実態は、何らかの法的規制のもとに採用が促進されるような法制をつくらないと、何だ日本の国は、ということになってしまうのじゃないでしょうか。ひとつその点、労働省の当局の方でも、技術的にやや問題があるのかもわかりませんけれども、これは日本の歴史の清算ができていないということについての大変な深刻な問題でございますという受けとめ方から努力をしていただきたいと思います。
 例えば、今日本は経済力が非常に大きくなったと言われております。ドイツのワイツゼッカーという大統領が一九八五年五月八日、まさにドイツでいえば戦争の終わった記念日でございますが、この日、こういう演説をしております、この経済力で諸民族の間の社会的不平等の調整に寄与する責任を担っていることを承知しておる。こういうことを、日本の総理大臣とか労働大臣とか、今の段階でもおっしゃる方がいないというのが日本の政治の不幸だと私は思うのですね。そして、アメリカから構造協議というふうなことで、日本の民主主義って何だ、日本は民主主義でも異質じゃないかということを言われる大きな原因にもなっておると私は考えます。どうかこの在日韓国人・朝鮮人の法的な権利の問題もさることながら、生活の実態に直接最も関係のある就職差別の問題を具体的、実践的に解決できるような方策をお考えいただきたいというふうに思います。
 もう一点、日本の企業が特にアジアに進出をいたしまして、つい最近では特に韓国では亜細亜スワニーとか韓国スミダ電機とか、労働紛争を惹起させて日本に逃げ帰ってくるというふうな事態があります。韓国の労働法制と日本の労働法制とは違うと思いますけれども、やはり先進資本主義工業国と言われる国での労働法制、この中で共通の部分もいっぱいあると思うのですね。団体交渉しなければいけない、労働条件は労使合意のもとに進めなければいけないというふうなことはあると思うのですね。せんだっての亜細亜スワニー等々の労使紛争について、労働省として何か指導なさったのかどうなのか、その点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
#40
○岡部政府委員 韓国・馬山地区におきまして、御指摘のスワニーあるいはタナシン、スミダ電機等々の労使紛争が発生をいたしております。このうち、スワニー、タナシンにつきましては既に解決を見ているわけでございますが、スミダ電機はまだ解決の糸口をつかんでおりません。
 その間にあって労働省は何か指導をしたのかというお尋ねでございますが、公式的に申し上げますと、これは日本の民間企業が出資している現地企業における現地の個別的な紛争でございまして、つまり、適用法規、労働法は、現地主義と申しますか属地主義でございますので、韓国の法令が適用になる、それからまた、紛争解決に当たっての機構も韓国の労働省傘下の機構が当たる、こういうことが建前でございます。
 したがいまして、基本的には日本政府が直接に関与すべき立場にはないわけでございますが、これにつきまして日本の労働省としては、話し合いの再開に向けましていろいろ期待を申し上げますとともに、これはまことに非公式ではございますが、そういう労使にお会いをしたり、あるいは韓国大使館の方から事情を聞いたり、そのようなことが非公式にはございますが、公式な立場といたしましてはやはり当事者間の自主的な話し合いを期待する、こういう立場でございます。
#41
○仙谷分科員 進出されておる大企業も中小企業もあると思うのですけれども、こういうところに日本の労働省として、日本の労働法制はこうだ、経営者として守らなければならないことがありますね、あるいは、先進資本主義工業国と言われている国での共通の労働基準権に対する考え方というものも当然存在しますね。そういうことを踏まえた上で、確かに現地に行けば現地の法制に従うということはまず一番です。しかし、現地の法令に形式的に合致するからといって切り捨て御免というふうな、何をしてもいいということにはならないと思うのですね。合法的であっても、解雇してたたき切って、自分たちだけ財産を日本へ持って帰ってきてぬくぬくとする、そんなことはだれが見たって許されないわけであります。
 労働省としては、あらかじめそういうことのないように、今後、進出企業に対する指導をなさるおつもりはありませんでしょうか。
#42
○岡部政府委員 御指摘のとおりに存ずるわけでございます。
 現在、政労使三者構成の多国籍企業労働問題連絡会議というものを開催しているわけでございますが、これも近々開きまして、先生御指摘のような事情につきましては十分に協調してまいりたいと考えております。
#43
○仙谷分科員 時間が参りましたのでこの辺で終わらせていただきますが、労働行政も、労働もついに国境を越える時代になったんだということをひとつ十二分に御認識いただいて労働行政を進めていただく。そしてまた前提としては、どうしても在日韓国人・朝鮮人の問題を私ども自身の問題として解決しなければ、就職差別の問題も解決しなければ、アジアの中で日本が尊敬される存在には絶対にならないということを肝に銘じて取り組んでいただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#44
○金子(一)主査代理 これにて仙谷由人君の質疑は終了いたしました。
 次に、辻一彦君。
#45
○辻(一)分科員 私、きょうは、勤労青年の、ILOで前に採択をした有給教育休暇制というのがあるのですが、その問題について若干質問いたしたいと思います。それからもう一つは青年海外協力隊の問題について、その二点で伺いたいと思います。
 青年期にサークルであるとか青年団体等の集団活動に参加することが青年の人間形成に大きな影響をもたらす、これは言うまでもないことです。生涯教育にかかわりがあるので私まずちょっと文部省の方から伺いたいと思いますけれども、文部省は今、幼年から老人に至るまで全生涯の教育に力点を置いておる、いわゆる生涯教育ということに力を入れておりますが、生涯教育という観点から見た場合に、青年期における青年団体、集団活動をどういうふうに位置づけをしておるか、こんなことをまず文部省の方から伺いたい。
#46
○富岡説明員 生涯にわたって行います学習活動が、いろいろな場で行われるようになってまいっております。
 先生御指摘のとおり、青少年団体の活動は、地域におきます自己の生活の向上とかあるいは地域の課題の解決とかということを考える学習活動としまして、ボランティア活動とか学習活動等を通じていろいろな形で進められているわけでございます。これはあくまでも自発的でしかも自主的な活動を踏まえた活動でございますので、生涯を通じて行う学習活動を進めるという生涯教育の考え方からはまことに大事な問題だというふうな認識を持っております。
#47
○辻(一)分科員 私も、自分の青年期を集団活動というか青年活動の中でずっと過ごしてきた、そういう点で、人生に、全生涯に青年期の活動というものは非常に大きい影響を与えたのではないか、むしろ青年期の人間形成にとっては欠くことのできないのがこういう青年期の集団活動じゃないか、こういう感じがいたしております。
 そこで、こういう大きい役割を持つ青年の集団活動が、この十年を限って見ても、以前に比べて必ずしも活発であるとはなかなか言えない状況があらわれておる。青年が集団活動に参加しにくくなった幾つかの要因があると思うのですが、そういうのを文部省はどういうふうに理解していらっしゃるか、お伺いしたいのです。
#48
○富岡説明員 先生の御指摘のとおり、青少年団体のいろいろな活動について参加しがたいという理由としましては、いろいろ考えられるわけでございますが、例えば大学の進学者の増加とか高校の進学率の上昇というような問題とか、あるいは学校外の活動といたしまして、例えば塾へ通う等の時間が重なるというようなこともあろうかと思います。それから、基本的には現在の青少年が割合個人で過ごすという特質が多少ありまして、組織活動等必ずしも積極的でないというような事情もあろうかと思います。それから、自由時間等がとりにくいということにも多少原因があろうかと思いますけれども、いろいろな原因があろうかと考えておるところでございます。
#49
○辻(一)分科員 かつての地域の青年団体の職業構成を見ると、大部分が農村青年であったわけですが、それがずっと高成長期以来大きな変化をして、今、地域等における青年団体の主たるメンバーは、中小企業、零細企業等に働くいわゆる勤労青年が非常に多くなっておるというふうに思います。
 それを見ると、大企業に働く勤労青年は週休二日制というのがどんどんと拡充をされて、十分ではないのですが、かなりな余暇というか休みを持つようになってきている。それから公務員の場合は、今四週六休制というので隔週に土曜を休みということにして、これも十分ではありませんが、だんだんふえているという状況。
 ところが、中小企業または零細企業等に働く勤労青年はこの枠外に置かれておる、そのためにかつてのように時間が非常になくなったということですね。そして活動のために休暇をとるにも、職場の状況等とか周辺の状況からしてなかなか難しい、こういうことが大事な時期における青年の集団活動を非常に低調にさせている一つの原因ではないかと思うのですが、そこらをどう見ていらっしゃるか。
#50
○富岡説明員 先ほどお答えしましたようにいろいろな事情があろうかと思いますけれども、青少年がいろいろな地域の活動に参加しやすい条件としましては、やはり週休二日とか自由時間が多いと参加しやすい基礎条件があるわけでございます。そういう点で欠けている青年の場合に、そのような参加がしにくいという実情もあろうかという認識は持っております。
#51
○辻(一)分科員 私は一つの例を挙げてみたいのです。毎年行われている全国青年大会、勤労青年が大体一万人くらい神宮外苑に集まってスポーツや文化、いろいろな活動をやっておりますが、一九八八年十一月四日から七日の大会の参加者等七千三百人を対象にアンケートを行って、そのうち二千七百十六人から回収されている、回収率が三七%。かなり詳しいアンケートですが、これは主管団体であった日本青年団協議会という全国の青年団の組織が行った結果があります。
 時間の点から詳しいことは別としまして、一、二ちょっと挙げてみますと、勤労青年が海外研修などのやや長期の休暇を要する場合、一週間とか場合によれば十日ということになるわけですが、そういう休暇が参加者にとれるかどうかということが集計されておりますが、公務員の場合は五〇・六%が休暇がとれる、四九・四%がとれない。製造業は二〇・九%がとれるで七九・一%がとれない。この製造業が低いのは、恐らくここに参加する人は勤労青年というか中小企業等に働く青年が比較的多いということでこの数字が非常に低いのではないかと思いますが、全体としては三二・二%がとれる。青年団の場合だと三一・六%がとれて六八・四%、約七割がとれない、こういう数字が出ております。
 もう一つ、これは休暇をとる上で困難があったかどうかということを尋ねたものですが、公務員の場合二三・八%が困難があった、製造業三三・一、全体で三六・三、青年団の場合は三四・四、一〇〇から引いた残りの数字がなかったということですが、やはり勤労青年というか中小企業等に働く青年の場合は休暇もなかなかとりにくいという状況がこういう数字から出ておると思うのですね。大企業は週休二日制等かなりの休みがだんだんとれるようになってきた。公務員の場合も割と休暇を、十分ではありませんが中小企業等に働く青年に比べてはとりやすいという状況が一応このアンケートからうかがわれると思うのです。
 そこで、勤労青年、特に中小企業等に働く青年の人間形成の非常に大事な青年期における青年団体活動を保障するために、フランスを初め西欧においてかなり広く行われておる青年の有給教育休暇制度を考える必要があるのじゃないかと思いますが、これは労働省にもお尋ねしなければいかぬのですが、まずは文部省の方にこれについての考え方を伺いたいと思います。
#52
○富岡説明員 私どもといたしましては、働く青少年がいろいろな地域活動に参加しやすい条件をつくっていただくことが大事だと考えておりますので、そういう制度の趣旨そのものは大事なことだと思っております。具体的な点の現行法制との関係等につきましてもいろいろな問題があろうかと思いますが、私どもとしてはそういうことは大事だ、意義あるということは認識しておるところでございます。
#53
○辻(一)分科員 この問題は、有給教育休暇制度を見る観点なんですが、労働時間の短縮という観点から見ればこれは労働省の所管の問題になりますが、文部省の場合、勤労青年の教育、学習権という観点から見れば、働く青年の教育を受ける権利を保障するこういう有給教育休暇制度を考えていくことは、私は文部省の立場としても当然必要なことではないか、こういうふうに思います。労
働時間短縮といえば労働省の問題、これはこれから労働省にお尋ねしますが、文部省としてこれについてもうちょっとはっきり見解を示してほしいと思います。
#54
○富岡説明員 再三の繰り返しで申しわけありませんけれども、働く青少年が休暇をとりましていろいろな地域の学習活動に参加していただくということはとても大事なことだと考えておりますので、そういう制度の趣旨そのものについては大変意義のあることだという認識は私どもとしては持っております。
#55
○辻(一)分科員 文部省も、この問題は各省にわたる問題にもなりますから、よく考えてもらいたいということを強く要望しておきます。
 労働大臣にお尋ねしたいのですけれども、ILOは一九七四年第五十九回総会において有給教育休暇に関する条約を採択しております。賛成二百九十六票、反対四十三、棄権三十八で、これが国際条約として正式に有給教育休暇に関する条約第百四十号として採択されているという推移です。日本は政府と労働者代表が賛成をして使用者代表が反対をしている、こういう結果になっておりますね。この条約が成立して十六年近いのに、現在でもこの有給教育休暇制というのが我が国で制度化をされていない。条約の採択には政府代表も賛成をしておるのですが、批准もされてない、そういう特別な働きかけもなされたようには記憶していない。
 これは一体なぜこれだけおくれてきているのかということをお尋ねしたいのですが、ちょっとその前に私の方からこの内容に若干触れておきます。
 この条約は、(a)として「あらゆる段階での訓練」、(b)として「一般教育、社会教育及び市民教育」、それから(c)として「労働組合教育」について、「労働時間中に一定の期間、教育上の目的のために労働者に与えられる休暇であって、十分な金銭的給付を伴うもの」として有給教育休暇制度を定めた。これは、背景にはドイツ、フランス、イタリー等の産業においてこういう制度が実現しており、世界人権宣言以来すべての人は教育を受ける権利を有すると宣言し、科学・技術の発展、経済的、社会的関係の進展等教育の必要性と要求が生じておった、こういうことが背景に挙げられると思うのです。
 そこで、あれから先ほどのとおり十六年近くたっておるのに、我が国でいまだに批准がされていない、その理由は一体何か、こういうことをお尋ねしたいのです。
#56
○甘粕政府委員 有給教育訓練休暇、こういう仕組みにつきましては、こういう時代でございます、技術革新がどんどん進むという点もありまして、こういう休暇が労働者に広く認められることが非常に重要だという認識は私ども強く持っているところでございます。そういう意味で、先生の制度化という意味が非常に幅広いといいますか、若干違うかもわかりませんけれども、私どもの行政といたしましては、事業主がこういう有給訓練休暇を与えた場合に、その事業主に対しまして、支払った賃金あるいはそれに要した経費、こういうものに対して助成をするという仕組みを通じましてこの制度の普及を図っているところでございます。
 そういう状況の中で、ILO百四十号条約、これをいまだになぜ批准をしていないのかという点でございます。この点につきましては、条約の解釈上等の問題につきましてまだ問題等ございまして、その点でもう少し検討すべき点が残っておりますので、私ども今後関係省庁とも協議しながら検討を進めていくという態度で考えているところでございます。
#57
○辻(一)分科員 長い時間がたっておるのですから経緯はいろいろあったと思うのですが、しかし、この同じ条約を既にイギリス、フランス、東西両ドイツ、スウェーデン、また、ギニア、ケニアなどのアフリカ諸国、チェコ、ユーゴなどの東欧諸国など二十一カ国が国内で批准をし、その整備に入っているという具体的な事実があるわけですね。それは、それぞれの国の事情もありますし、また、条約のかなりの幅があるのでしょうから、その受けとめにもいろいろあるとは思うのですが、先進国を含めて二十一カ国が既に批准をしている、こういう中でなぜ我が国がやれないのかという点を、経緯は経緯として一応聞きましたが、これはなぜできないか、これからどうするのか、これを労働大臣にもひとつお尋ねいたしたい。
#58
○塚原国務大臣 今、甘粕局長の方からも御答弁したのですが、何かいわゆる条約の解釈上の問題で一つしっくりこないところがあるみたいなんですね。これも、どの部分がどうでこうでというといろいろな問題があるのでしょうけれども、少なくとも訓練については、これは我々からしてみると、今答弁したとおり今もう一つの制度を定着するように頑張っているというような感じなんですけれども、そこがどこまでの幅があるかわからないのですけれども、ですから、後の問題につきましても、確かに、では十何年何をしていたんだという話になるかもしれませんが、しっかりと解釈をして、お互いに意思疎通をして、そして果たしてどういう方向に持っていけるのか。私も、実は非常に勉強不足で、きょう辻先生から質問のあれがございまして慌てて勉強したというような状況でございますので、もうちょっと勉強させていただきたいというふうに思います。
#59
○辻(一)分科員 余り御関心が今までなかったということになるのじゃないかと思うのですが、いつでも勉強してもらうのは大変結構だと思うのです。
 先ほど局長からもお話がありましたが、企業の中の職能訓練等の強化ということがなされているということは承知をしておりますね。しかし、この条約の解釈がいろいろあるということですが、私が理解するのは、働く青年たちがいろいろな状況の中で時間がとれなくていろいろな活動に参加できない、あるいは教育を受ける権利を持ちながらこれが具体化していない、こういうことでこの条約が、西欧等における幾つかの、日本にもそういう先進的な例があるとは私は思いますが、それらを背景にして採択されたと思っております。
 そこで、解釈の相違というのは、一体どういう点が解釈上の問題になっているのか、ちょっと端的に聞かせていただきたいと思います。
#60
○甘粕政府委員 いろいろございますが、主なものを申し上げますと、今先生が御指摘になりました、対象となる問題が一般教育、社会教育、市民教育でございますが、こういうものをどういう内容として考えるのかという点が一点でございます。
 それからもう一点は、こういう制度につきまして、いわゆる制度といった場合に、私どもやっておりますようないわゆる援助という仕組みもございますし、義務づけるという点もございます。どこまでがこういう制度と考えるかというあたりにつきまして、実は率直に申し上げまして、ILO当局の方にそういう疑義解釈を投げかけたわけでございますが、私どもまだ返事をいただいていないという状況で、そういう点も含めまして、現在まだ批准に至らないし、検討を進めている、こういう状況だということでございます。
#61
○辻(一)分科員 範囲がどの程度かということがなかなか難しいとかいう幾つかの点が今あったのですが、少なくも、大企業に働く青年や公務員の皆さんもすべて勤労青年であることには変わりはないが、特にその中で多数を占めておる中小企業等に働く青年に、教育を受ける権利それから学習権を保障する、こういう面と、もう一つは、青年期の大事な団体活動等を通して人間形成を図っていく、そういう機会を与えるといいますか用意することが大変大事じゃないか。これを具体的に裏づける場合には、休暇等をとりやすくする、こういう有給教育休暇制というものがその裏づけになるのではないか。
 そういう点で、重ねて労働大臣の方から、この問題を具体的に検討する、ほかの省庁との関係もあろうと思いますから、それらと協議をして検討をする、こういう用意があるのかどうか、そこら
をひとつ聞かしていただきたい。
#62
○塚原国務大臣 ちょっと答弁の方が、もしかしたら――労働大臣の答弁ですからこれはもう絶対でありまして、役所からの答弁より私が突出をした答弁をすれば役所は当然突出をしてやらなくではいけないわけですけれども、実は私の地元でも、常に疑問に思っていたのは、今日までの日本の国というか今までの戦後のこの地域をつくり上げてきた一番の基本は青年団なんですね。それは間違いなかった。ところが、今茨城県は、JCと商工会議所の青年部と青年団の三つで一つの大きな青年の組織ができているのですね。そういった中で、JCは非常に活動している、商工会議所の青年部は大きい、それで、青年団の動きが非常に鈍いということで、これは私も疑問を持って、今日まで随分そこに入る人たちと議論をしてきた。そこで、余暇活用の価値観というのがだんだん変わってきたのだとか、そういう面で今までいろいろな議論があったわけなんですね。
 ところが、今ちょっと勉強不足をみずから認めちゃったのですが、今先生からの御指摘でこの面があるのかなとはっと気がついたので、今さら御質問に対してうんと興味を持ったと言ったらしかられるかもしれませんけれども、非常に大きな関心を持ちましたものでございますから、これは精いっぱい、先ほども御答弁しましたけれども、勉強して、もしこのことによって本当に地域の活性化がなされるということになれば本当にすばらしいことだと思いますので。
 そこまでの御答弁をさせていただきたいと思います。
#63
○辻(一)分科員 大変関心を深めでもらったようでありまして結構だと思っておりますが、地域の実態は同様に詳しく御存じのとおりでありますから、ぜひひとつこの問題に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、五分間で大変恐縮ですが、外務省、見えていますか。――同様、きょうは青年の問題が中心でありますので、青年海外協力隊、これは国際協力事業団がいろいろやっておるのですが、これについて二、三質問したいと思います。
 海外協力隊の事業は、国際化された日本の青年に大変大きな活動の場を与えておると思っておりますし、ここに参加した青年たちが、野菜をつくったり、あるいはNTTの職員であればこれは電話のいろんな通信を教えたり、保母さんであるとか、それから教師であるとか、バレーボールを教えるとか、非常に多岐な活動を開発途上国へ出かけて非常に献身的にやっている。この人たちは周辺に、いろいろケースはあると思いますが、なかなかいい影響を、プラスの影響を与えておると思いますし、それから、帰ってからもその人たちが自分の地域や周辺に非常にいい影響を与えている例がかなり多いわけなんです。
 今まで地方公務員の場合は、希望した場合、退職をしなければそういう海外の活動に参加ができない、せっかく行っても、いい経験を持って帰っても、今度はまた新しい仕事を探さなければいけない。こういう問題があるわけですね。ところが、さきに成立した略称、地方公務員の派遣法によって、一定の時間、休職をして、そして海外へ行って活躍して、帰ってきてまたその経験を生かすことができる、こういうことになって、この点は意欲のあるそういう青年たちに随分プラスになったと思うのです。
 ところが今、公務員に限らず企業に働く若い人たちの中にも、この自分の持っている能力や技術を一度海外で、開発途上国の中で役に立ててみたい、そういう経験を積んでみたい、こういう人が随分ふえてきておるようですね。これは、国際化されておる日本の中でそういう若い人がふえるということは大変いいことじゃないかと思うのですが、しかし、これには今言ったと同様の悩みがある。これは、やめて行くのではなかなか大変なので、せめて二年という期間、休職にして、帰ったらまたもとの職場に帰れるようなそういう方法が立たないか、こういう希望といいますか声を随分聞くんですが、これについて所管の外務省として何か対策がないのか。こういう派遣法等ができて前進になった面、それに一般の企業も含めて何らかのさらにひとつ対策が立てられないかどうか、これについて、余り時間がありませんが、お尋ねしたい。
#64
○大島説明員 今先生御指摘になりましたように、青年海外協力隊、昭和四十年にスタートいたしまして、半分は技術協力、それから、半分は青年の自己鍛錬といいますか教育ということで、大きな二つの理念を持ってスタートしたわけでございますが、ちょうどことし創立二十五周年を迎えます。現在派遣中の隊員を含めまして、経験者総数で一万人を超すところまで来ました。国内でも、今先生御指摘になりましたように大変に高い評価を得ておりますし、それよりも派遣国におきまして、非常にユニークな、独特な日本の協力制度であるということで高い評価を得ていると思います。
 今御指摘のございました派遣隊員に対します現職の参加制度でございますけれども、国家公務員それから地方公務員につきましては現在既に派遣法の適用が可能になっておるわけですが、今、民間企業の方々につきましては、五百社以上の企業におきまして現職による参加が可能となるような措置が講じられております。企業に働く人が協力隊に参加して二年間あるいはそれ以上海外に赴くためには、企業の理解が得られることが当然必要でございますし、それから、家庭の理解というもう一つの問題がございますけれども、企業の理解につきましては、そういうことで、企業によりましては労使協約の中で協力隊参加の場合に現職参加が可能となるような制度が講じられておりますし、それから、労使協約までいきません場合にも、個々のケースに応じまして現職による参加が可能になるような運用で対応してもらっておるわけでございますが、五百社以上がそういうことで、だんだん数がふえつつあるという状況でございます。
 そのほか、募集におきましては、社内報で広報をしていただくあるいは組合紙で広報をしていただくというようなことでいろいろ御協力をいただいておりまして、最近は特に、協力隊の経験をして戻った人が、一回りも二回りも若い人たちが成長して帰ってくるということでございますし、国内が国際化の状況を迎えておりますので、非常にそういう意味で頼もしがられておる、そういう状況でございます。
 そういうことでありますけれども、なおかつこの現職参加制度をもっともっと広げていく余地はございますので、この方面につきましては、国会はもとより関係各企業、国民の皆様に広く御協力と御理解を得ながら進めてまいりたいと思いますので、ぜひ御支援のほどをお願い申し上げたいと思います。
#65
○辻(一)分科員 時間が来ましたので、もう一、二お伺いしたい点がありますが、また、外国人労働者の問題も、不法就労についても若干伺っておきたかったのですが、時間の点から割愛いたします。
 終わります。
#66
○金子(一)主査代理 これにて辻一彦君の質疑は終了いたしました。
 次に近江巳記夫君。
#67
○近江分科員 我が国は確かに経済大国、勤労者の所得にいたしましても、ドル換算でいきますと世界最高の水準に入っておる、こういう中でそれだけの経済大国にふさわしい豊かさというものが本当に実感できるかどうか、こういう点からいきますと、さまざまな点で欧米先進国に比べまして非常に見劣りがする、豊かさの実感というのはほとんどないと思うのです。
 今日の我が国の発展というのは、やはり勤労者の汗と涙のそういう努力というものが非常に大きかったと私は思うのです。しかしながら、最近の特に住宅の問題を考えますと、本当に真剣に働いておっても持ち家などというものはもう本当に夢の夢、また、家賃にいたしましても全く高い、家計を圧迫する、こういうことで、子供たちの教育
費とあわせまして全く余裕がない、そういうことで勤労者の皆さんの意欲といいますかそういうものが非常に減退してきておる、非常にもう心配な点があるわけでございます。そういう点で、労働省としてもこの勤労者の皆さんの住宅問題というものは、これはもう本当に無視できない最も大きな重要な問題である、私はこのように思うのです。
 そういうことで、関連で建設省の方も来られておりますけれども、この勤労者の住宅問題ですね、労働省としてはどのように認識されておられるか、まずお伺いしておきたいと思います。
#68
○若林政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、大変に経済的に大きな力を持ってまいっておるわけでございますけれども、そしてまた、それを支えてまいりましたのは働く皆様方の汗の結晶であるわけでございますが、しかし、一人一人の働いている方が、言うところの豊かさを実感できないということは広く指摘されているところであるわけでございますし、また、その一つとして住宅問題があるということは御指摘のとおりでございまして、私どもも働く皆様方の生活の豊かさという面から、住宅問題というのは非常に重要な問題であると考えておるわけでございます。
 これはもとより建設省の所管に係ることでございますけれども、労働行政という側面からこの問題に取り組んでまいっておるわけでございまして、一番中心になりますのは御承知のとおりの財形制度でございます。財形制度によりまして勤労者の持ち家を促進していくということでございます。これにつきましては税制上の優遇制度がございまして、低利の融資を行っておるわけでございまして、最近とみにこの利用が伸びておる状況でございます。
 しかしながら、最近の土地問題がございまして持ち家取得というのもなかなか難しい状況にあるわけでございまして、そういう中で民間の賃貸住宅で生活しておられる方は多いわけでございます。こういった方々のそういった負担、特に低所得者の方々の家賃面からの負担というものを少しでも軽減させたいということで、税制面からも私どもの立場でいろいろと主張をさせていただいているということでございます。
#69
○近江分科員 特に、いわゆる家賃控除制度につきまして労働省、建設省両省で平成二年度の税制改正要求をされたわけでございまして、これは非常に皆さん方の御努力を多とするわけでございます。我々もこれを非常に注目しておったわけですが、しかしそれが実際に実現できなかった、これはまことに残念なことでございます。これは労働省、建設省、相当腹を決めて出されたと思うのですね。それはただ単に大蔵省が抵抗したからその壁を破れなかったという問題じゃないと私は思うのです。なぜこれが実現できなかったかということにつきましてお伺いしたいと思うのです。
#70
○長野説明員 平成二年度の税制改正の過程で家賃控除というものが検討されたわけでございますけれども、最終的にこの創設は困難であるという結論に達しましたのは、一つは、家賃というものは、衣食住と申しますけれども、やはり食費や被服費と同じような典型的な生計費でございますので、税の考え方としましては、そういう一般的な生計費につきましては基礎控除その他の課税最低限でカバーしていく性質のものと考えておりまして、家賃一つだけ取り出して考えるということになりますと、例えば、事例で恐縮でございますけれども、高家賃のところに住まえばほかのもろもろのコストが少なくて済むとか、あるいは遠くの方で家賃の少ないところに住まえば今度は逆の意味で交通費その他の生計費がかさむとか、いろいろ個別の事情がございます。そういった性質のものでございますから、家賃だけを取り出して税法上しんしゃくするというのは大変困難であるというのが一点ございます。
 それから、土地住宅問題という角度から考えましても、家賃に対する助成というものはいってみますと需要面からの対策でございまして、需要側を強める対策でございますけれども、むしろ現在求められておりますのは、土地住宅に関しましては供給サイドから需給を緩めていくような、供給促進というような観点から考えるべきではなかろうかと考えます。
 そのようなもろもろの点を考慮いたしまして家賃控除の創設は適当でないと判断した次第でございます。
#71
○近江分科員 今大蔵省が御答弁になったわけでございますが、このぐらいのことは両省としてお出しになるときに当然読んでおられるわけですね。国民だって大蔵省が今答弁したことぐらいは皆熟知していますよ。そこをあえてこれを出していただいたということは、私は本当に勤労者の立場に立って――これは単なる生計費としてとらえるべき問題ではない、住宅は家庭の城ですから。それが本当に今日困難な状況に入っておる、これが勤労者の意欲の低下にもつながるわけでございますし、何とかしなければならぬという、まことに労働省、建設省の真剣な取り組みの結果こういうものが出たと私は思うのです。したがいまして、当然それを読んでおられたと思うので、それを上回る論理を持って出されたと思うのです。その点についてお伺いしたいと思うのです。
#72
○若林政府委員 家賃の控除制度につきましては、賃貸住宅に居住する勤労者の方々、特に所得の比較的低い方々の家賃負担の軽減、それから居住水準の向上を目的といたしまして要求いたしたわけでございます。
 もとより私どもただいま大蔵省から御答弁のありましたような問題があるということは十分に認識の上でこれを要求したわけでございまして、その折衝の過程におきましては、ただいま答弁のありましたように、食費とか被服費等の典型的な生計費と同列の家賃だけを取り上げて特別の控除制度を設けることは難しいという議論でございました。これにつきましては、御承知のとおり平成二年度の税制改正におきましていわゆる消費税の非課税措置が講じられる政府案がまとまったわけでございまして、こういった経過の中で今回の平成二年度の税制改正が固まったということでございます。
#73
○近江分科員 労働省と建設省にこれをお出しいただいて、私はその御努力に非常に敬意を表するわけでございますけれども、大蔵省はさっき土地住宅の需給の点からもという一つの理由をおっしゃったわけですけれども、建設省は当然そういうことは一番よく御承知なんですね。そこをあえて労働省とともにこれをお出しになっている、非常に結構なことだと思うのです。建設省はその必要性といいますか、それをどのように認識されて出されたのか、お伺いいたします。
#74
○五十嵐説明員 お答え申し上げます。
 私ども税務当局に対しましてこういう要望を申し上げましたのは、やはり低所得者を中心といたします家賃負担の軽減と申しますか、その問題の重要性にかんがみて要望を出した次第でございます。先ほど労働省の方からも御答弁ございましたが、生計費の一部としての位置づけという問題点はあったわけでございますけれども、私どもはそれを上回る重要性があるということでお願いをしたわけでございます。
 ただ、税法でございますので、税体系理論と申しますか、全体の中での整合性ということがやはり問題となったわけでございまして、今回十分な成果を見るに至らなかったということが経緯でございます。
#75
○近江分科員 両省ともそういうことがわかった上でさらにその重要性を認識されてお出しになっているわけですから、これが大蔵省のそういう考え方で一応採択されなかったということでございまして、これはいわゆる勤労者にとりまして、もろ手を挙げてこれはぜひ制度化してもらいたい、これは本当にその反響は非常に大きかったわけでございます。したがいまして、大蔵省がそう言うからということで弱腰であってはならぬと思うのですね。少なくともこれは両省がそれだけの覚悟を持ってお出しになったわけでございますから、粘り強い闘いが必要だと私は思うのです。
 したがいまして、来年度要求に対しましても、両省がさらにそういう論理的な詰めも理論武装もされて、そして国民がこれだけバックアップしておるわけでございますので、この制度実現のためにひとつさらに努力をしていただきたい、このように思うわけでございます。その決意をお伺いしたいと思います。
#76
○若林政府委員 平成二年度の税制改正は御承知のとおりのまとまりになったわけでございますが、平成三年度どういうふうに対処していくかということにつきましては、ただいまございましたような税制体系そのものの基本的議論、また、今回消費税の一部の見直しという中での経緯等々も十分に考えまして今後検討してまいりたいというふうに考えております。
#77
○近江分科員 検討はされるわけですけれども、いわゆるそれを実現するために検討されるのですね。
#78
○若林政府委員 この問題につきましては、私どもこの一年間相当強力な議論をやってまいったわけでございます。もとより私どもは勤労者の方々、そういう賃貸住宅に入って生活しておられる方々、わけても低所得の方々の負担の軽減ということは大きな課題というふうに考えておりますけれども、これも、一年間の議論、また今回の非課税の経緯、こういうものを十分に考えて検討してまいりたいというふうに考えております。
#79
○近江分科員 建設省はどうなんですか。
#80
○五十嵐説明員 お答え申し上げます。
 平成三年度の税制改正要望につきましてはまだ全然検討なされておりませんけれども、基本的には、労働省側から御答弁ございましたように、これまでの経緯等も考えまして慎重に対処してまいりたいと考えております。
#81
○近江分科員 どうもまだその意欲といいますか、その強い決意というものが余り感じられないわけなんですけれども、しかし、いずれにしてもこれは両省が責任を持ってこの平成二年度に対して努力されたわけですから、大蔵省からちょっと言われたぐらいで引っ込む、そういうことであってはならぬと私は思うのです。本当に国民がこれだけ注視をしておる問題でございますから、これからもさらにひとつ強い意欲を持って実現できるように頑張っていただきたいと思います。大臣にひとつその決意をお伺いしたいと思います。
#82
○塚原国務大臣 どうしてもこういう交渉事は守ろうとする方が打ち破ろうとするよりは強いものですから、打ち破る場合にはやはりかなりの理論武装をしなくちゃいかぬということで労働省も頑張ったわけですけれども、今回は残念な結果になりました。今度消費税の見直し法案が出ております中で一応家賃は非課税になっているのですね。これは本当に均等に公平に非課税になりますものですから、まずこの法案の行く末をしっかり見守りながら、これから平成三年度どういう形で行くか詰めていきたいと思います。
#83
○近江分科員 これは特に要望しておきますので、両省さらに力を合わせていただいて実現に向けて努力をしていただきたい、強く要望いたしておきます。
 それから、私はここでもう一つ検討してもらいたいのは、非課税世帯につきまして我々はこう考えておるのです。いわゆる月収の一五%を超える分につきまして――当然家賃というものは一定の限度を設けなければ、どこまで出してもいいというものじゃございませんから、一定の線を決めまして、収入の一五%を超える分についてはいわゆる手当として支給する、こういうことを我々としては考えておるわけでございます。こういう点につきましてもあわせてひとつ考えてもらいたい、それをひとつ要求していただきたい、このように思うのですが、この点についてはいかがでございますか。
    〔金子(一)主査代理退席、主査着席〕
#84
○岡部政府委員 将来の問題といたしまして仮に家賃控除制度が設けられました場合に、先生御指摘のような低所得者、所得税あるいは住民税を課税されない低所得者層について一種の逆転的な議論が生ずるということは御指摘のとおりであると存じます。ただ理論的には、これは基本的に根っこの家賃控除制度実現の後の問題であるというふうなことでございますので、全体の整合性の中で私どもは検討を進めてまいりたいと存じます。
#85
○近江分科員 ぜひそれを実現できるように、一貫した問題として今後また強力な取り組みをしていただきたい、このように強く要望いたします。
 それから、本年度以降、住宅五カ年計画、政府は首都圏百万戸構想というものを打ち出しておると思うのでございますけれども、中部圏あるいは近畿圏等、そういう大都市圏があるわけですけれども、その他の地域についてはどのように考えておるのか、これについてお伺いしたいと思います。
#86
○五十嵐説明員 お答え申し上げます。
 今先生御指摘のように、住宅宅地問題は東京圏だけの問題とはとても考えておりません。東京圏、近畿圏、中部圏、三大都市圏におきます住宅問題というものは大変深刻になっておるわけでございます。現在、住宅宅地審議会におきましてもそういった点を一つの大きなポイントといたしまして審議が進められているところでございます。
 こういったような問題意識を踏まえまして、先日、政府提案ということでございますが、大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法の一部改正案、それから都市計画法及び建築基準法の一部改正案を提案させていただいておりまして、この法案におきましては三大都市圏、その三大都市圏それぞれの圏域ごとに基本方針を立て、それに整合した、適合した各都府県の計画をつくってそのような問題に対処していくということにしているところでございます。
 それ以外にも、平成二年度予算案におきまして、農地活用型の住宅供給に関する補助事業あるいは優良な住宅供給に関する補助事業等の創設をお認めいただきまして、その案の中に入れさせていただいておるところでございます。
 こういうような総合的な施策を三大都市圏を中心に展開してまいりたいと考えております。
#87
○近江分科員 今日まで政府がいろいろな土地住宅政策を打ち出してきましたけれども、本当にもう空振りに等しいような、なかなかその実を上げておらない、本当に国民の、勤労者の不満が高まる一方なんですね。したがいまして、本当にきめ細かな、実の上がる政策というものを一体となってやってもらいたいと思うのです。特に、勤労者の立場といいますか、それを一番把握されておるのはやはり労働省ですから、住宅、土地は建設省だ、そういう感覚では到底琴線に触れるような前進はないと私は思うのですよ。したがいまして、この問題は深刻な問題でございますから、労働省、特に建設省が本当に一体となって取り組んでいただきたい、このように思うのです。
 聞くところによると、労働省は終身社宅ですか、それからまた財形資金を利用して賃貸住宅をつくるとか、それから先ほど私がいろいろ申し上げました家賃の減税制度あるいは住宅補助費非課税制度というようなものを考えておられると聞いております。それから建設省がワラント債、ステップ持ち家制度ですか、こういうことも考えておるということでございますが、きめ細かな施策につきまして、こういうことを考えておるということがありましたら、今ここで両省からお伺いしたいと思います。
#88
○岡部政府委員 先生が今例示されましたことは、労働省における勤労者福祉懇談会で目下鋭意議論が行われているようなことでございまして、まだ形をなしているようなものではございません。しかしながら、いずれにいたしましても勤労者生活の福祉の向上、豊かさを実感できるような勤労者生活ということを目標に頑張ってまいりたいと思っております。
#89
○五十嵐説明員 お答え申し上げます。
 先生、先ほどステップ住宅というような御指摘ございましたが、事実あれは新聞に報道されたのでございますけれども、実態的には民間の研究団体が命研究しているのを建設省とちょっと取り違えて発表されたというような経緯がございます。
ただ、私どもとしては、そういう問題についてもできるだけ積極的に検討してまいりたいと思っております。現在は、住・都公団等を活用いたしまして、こういう社宅制度、特に中小企業等の社宅制度につきまして可能な限り事業の展開を図ってまいりたいと考えております。
#90
○近江分科員 時間があと五分足らずしかありませんので、あと、一、二点お伺いしたいと思います。
 パート労働法の問題でございますが、これがなかなか進まないわけでございます。努力されておることはよくわかるわけでございますが、法律をつくる前にパートタイム労働の指針というものを労働省がお出しになって、これで定着を図ろうとされておるのではないかと危惧いたしております。やはりパート労働法というものは制定すべきである。我が党としては以前から独自に出しておるわけでございますが、あと各党の皆さんが御理解いただくならば歩調をそろえていきたい、このように思っておりますが、既に我が党独自案は提出しておるわけでございます。今後労働省として、その指針だけにとどまらず、このパート労働法制定へ本当に意欲を持って取り組んでいかれるかどうか、その決意、また現在の作業、現状についてお伺いしたいと思います。それが一つです。
 それから、育児休業法につきましては、参議院の方から野党四党共同提案で出させていただいているわけでございますが、野党のそういう法案を待つまでもなく、政府が意欲を持って取り組むべきである、このように思うのです。以上二点について御答弁をお願いしたいと思います。
#91
○佐藤(ギ)政府委員 パートタイム労働問題につきましては、先ほど御指摘ございましたように、私ども、大臣の告示によります指針も出して周知徹底を図るほか、総合的な対策に努めているわけでございます。そのほか、法制につきましては、百十四国会で雇用保険法の改正が行われております。これによりまして昨年の十月からパートタイム労働者に対する雇用保険の適用範囲が拡大されておるわけでございます。
 さらに退職金の問題につきましては、中小企業退職金共済制度へのパートタイム労働者の加入促進等を図りますために、中小企業退職金共済法の一部を改正する法案を今国会に提出したところでございます。そういうことも含めまして、だんだんに法的整備も進んでいるところでございます。
 今後とも、私ども、それ以上の問題につきましても労使の合意の形成を図りながら努力をいたしてまいりたい、引き続き検討してまいりたいと考えております。
 それから育児休業につきましては、その普及に努めているわけでございますけれども、法制化のためにはさらなる普及の促進が必要だと考えておりまして、現在婦人行政を挙げて普及のために取り組んでいるところでございます。
#92
○近江分科員 最後に、以上の二点について大臣の決意をお伺いして、終わります。
#93
○塚原国務大臣 パートタイムにつきましては、一応指針を出しておりますものですから、何とかこれで頑張ってまいりたいというふうに思います。
 それから育児休業につきましては、本当にこれは大切な制度だと思いますので、無論パートタイムも非常に大切なわけですけれども、育児休業の場合はまた新しくこれからいろいろとやっていかなくてはいけない面もあるので、皆さんに御理解をしっかりいただいた上で、本当にそういうことで進めてまいりたいと思いますので、まず制度が定着するように努力をしてまいりたいと思います。
#94
○近江分科員 もうこれで終わりますけれども、先ほど申し上げた二つの法律につきましては、法の制定に向かって努力していただきますように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
#95
○林主査 これにて近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、沢田広君。
#96
○沢田分科員 大臣、今の日本の産業構造は、第一次と第二次、第三次でどの程度の割合になっているというふうにお考えですか。
#97
○清水(傳)政府委員 平成元年の状況でございますが、就業者の構成比で見てまいりますと、第一次産業が七・六%、第二次産業が三三・八%、第三次産業が五八・六%という状況でございます。
#98
○沢田分科員 大臣、日本の経済の状況からどういう程度の割合が――時間が短いですから、六分縮めてここでバランスとろうかと思っているから簡単に答えてもらいたいと思うのですが、私の言うのは、第三次が肥大化し過ぎているのではないかというのが一つの懸念なんですよ。このままで進んでいくと、楽に給料取れるところということに志向するのが多くなって、第二次産業はどんどん減っていってしまう。第一次産業はもちろん、諸外国の事情もあってこれも減っている。そういう傾向が続いて将来の日本がどういうふうになっていくかということは、労働人口の動態として極めて危惧する点なんですね。
 これは労働省か経済企画庁かわかりませんけれども、いずれにしても政府がある程度の目標をもって進んでいかなくてはならぬ課題だと思うのです。ここで答えていることは、分科会という意味ではなくてやはり政府の代表として答えてもらうわけですから、その点についての是正といいますか、正規の対応というものが必要になってきているだろうと思いますが、その点いかがですか。
#99
○清水(傳)政府委員 経済のサービス化が進展をいたしておりまして、そうした全体の流れの中で第三次産業の就業比率が上昇傾向にございます。ただ、最近の状況といたしましては、内需中心の景気拡大の中で、第二次産業自体におきましても二、三年前に予測された状況とはかなりさま変わりな形で、六十三年では前年に比べて五十五万人増、それから平成元年でも四十八万人増と第二次産業自身の大幅な就業の増加も見られたわけでございます。いろいろな研究機関を含めまして、将来予測としてやはり趨勢的には第三次産業化が進展をするという見方が多いわけでございますが、いずれにいたしましても我が国産業が活力を維持しながら発展をしていくためには、産業間でのバランスのとれた形の発展ということが望ましいと考えておるわけでございます。第三次産業自身につきましても、やはり魅力ある職場づくり、そういうことを基本としつつ、労働力の確保のためになるように特に中小企業に重点を置いた、そうした面での対策を労働省としても講じていかなければならないと考えております。
#100
○沢田分科員 労働時間短縮は、学校なんかは一応決めたのですが、学校はなかなか実行されておりませんがね。大臣、結果的には休んだ場合の余暇をどう利用するかということについてはどういう考え方を持っていますか。土曜と日曜を休んだら、あなたは何をやりますか。
#101
○塚原国務大臣 日本人は余暇利用が物すごく下手だというか、まだなれてないところがあるような感じがいたしまして、私がもし土曜、日曜を休ませていただきましたら、やはり一番時間を過ごすのが多いのは百貨店だと思います。
#102
○沢田分科員 これは労働省の問題じゃないですから後でまたやりますが、七十キロ渋滞なんて出てくるということは正常だと思いますか。
#103
○塚原国務大臣 やはりどうしでも行く場所が限られてしまう。ですから、今百貨店だと言ったのは、表に行くには込んでしまうからというようなことで、やはり行く場所が限られてしまっているのかなという感じがいたします。
#104
○沢田分科員 金がなくて百貨店に行って、何がおもしろいですか。ある人は別ですよ。
#105
○塚原国務大臣 やはりこれが私のものであったらすばらしいなと思っているところが、非常に楽しいです。
#106
○沢田分科員 結果的には、労働者の週休二日制にしても何にしても、持つものは持たないでこれを買えればなだけでよだれを垂らして見て歩いて、子供ならいざ知らず、大人だったらとてもじゃないが、それで我慢できるものじゃない。かえって余計差別感を感ずるだけですよ。ですか
ら、やはりそれに見合って、お金がかからないで時間が過ごせる。この前特に私が言ったのは、市民農園であるとか、太陽に当たるとか、土に親しむとか、そういう余り金のかからないレジャー農園等が育成されていくことが必要だ。今の子供は土を踏む味を知りませんからね。考えてみると、そういうものが考えられるということを言ったわけです。
 そこで、今の人不足を解消するために考えられているものが外国人労働者、高齢者の採用、女性の職場の拡充、その三つがあわせて考えられなければならぬ。結論的に言うと、こういう状態を迎えていると思うのですね。それぞれがバランスをとってやっていかなければならぬ。外国人労働者も今どの程度必要か。いろいろ組合関係でだめだという意見もなくはありませんが、それではやはりどうしても中小企業その他では人不足のために倒産という事態も出る。倒産すれば、その被害の大きさというものはやはり大きいですからね、飛行機がおっこちるくらいの被害が出るわけですから。そういう事態を起こさないためにはどの程度、私は外国人労働者が百万はあっていいと思っているのですね。今の日本の状況で。それ以外に高齢者の採用、女性の進出、そしてそれが第二次産業にどう向けられるかというところにその基本はあると思うのですね。そういう点についての見解をひとつお聞かせください。
#107
○塚原国務大臣 実は予算委員会のときにも、外務省の関係とか、法務省の関係とか、自治省の関係とか、そういうさまざまな要因を一切なしにして考えずに、日本の雇用を確保するとかそれは無論計算に入れて、実際に外国人、いわゆる単純労働者を一体何人まで受け入れが可能か、そういう人数が出ないかという御質問があったのです。
 それで、私どもは、今お話しになったような高齢者をこれから雇わなければいけないとか、地域間の格差があるとか、女性の職場を確保しなければいけないとか、いろいろなことを計算に入れて、それからどれくらい機械化が進むんだ、将来に向かって景気がどういう状況になるか、現実に昭和四十年の前半には外国人労働者を雇え雇えという話があったら、五十年には予期しない石油ショックでレイオフになったということがあったものですから、そういうあらゆるものを換算して何とかお出ししようと思ったのですけれども、これは出せなくて、ところが総括のときに質問が延びまして、次の一般質問のときにまた同じ質問で、その間一生懸命数字を出そうとしたのですけれども、やはり要件が多過ぎて、本当に申しわけございませんでしたけれども、人数が何人というのがなかなか出せないという状況でございます。
#108
○沢田分科員 念のため、さっきパーセンテージで言われましたけれども、第一次産業が大体四百三十万くらい、第二次産業が千三百三十万、第三次産業が三千三百万人なんですね。ですから、今の物を生産していく分野の千三百万人という数が、要すれば少ない。第二次産業と第三次産業が人不足を起こしているわけですから、やはりそういう分野においても、例えば市役所のごみ集めなどもなかなか入ってくる人はいない、ビル管なんかの警備員もほとんどいなくなってきているという人不足の部分が、ではどういうふうに補われていくかという形をとると、あとは内部調整をやる以外にないのですね。だから、そういう事態を起こす前に対応するのが労働省の仕事ですから、やはりそれをきちんとやる。高齢者の問題と女性の進出、あらゆる場所に出られるようにすること。
 それから、処遇ももちろんありますが、外国人労働者もある程度入れて刺激をして、そのかわり一年なら一年、二年なら二年で帰ってもらう。今の六畳間に二十人くらい入れさせているああいうやみを許しておったら、その被害は将来に及んでしまいますよ。今度は日本人がその国に行ったときには、泥棒に遭ったり迫害に遭ったり殺されたり、あるいはいろいろな被害を――その人たちはタコ部屋に入れられているのですから、必ず排日運動の先頭に立つわけです。これは恐ろしいことになります。我々の時代よりも後の時代にその被害が及んでくる。だから、労働省が手早くきちんと対策を講じておきませんと、タコ部屋に入っておる人たちは、カニ工船の二の舞じゃないですが、日本憎しと故国へ帰るわけですから、そういう憎悪の塊の人を大勢出していって日本がよくなるわけがありません。だからこれは早急に解決をして、友好関係を高める、勇断が必要です。このままに放置しておれば、そういう禍根を残す危険が多いということを申し上げておきたいと思います。大臣、そのことについて一言。
#109
○塚原国務大臣 まさに御指摘のとおりだと思います。それで、各省庁できっちりした話し合いをして、本当にしっかりした対応をしなければいけないということで、労働省が非常に、国内の雇用関係もございますものですから、過去の例等もございますのでかなり慎重なんですが、きのうあたりの予算委員会の質疑を見ていますと、省庁によってはちょっと積極的に前に出ようという省庁もあるようでございます。
 ただ、ではどういう形で、不法ではなくて法的に認められた形の方がお入りになるのだというような話はこれからの議論だと思いますけれども、そのときに、現在不法な状況の方がまた数多くいらっしゃるということになるとその間でまた大きなトラブルが起こることも考えられるものですから、ちょっと先生の御趣旨に反する部分があるかもしれませんが、六月から入管法が改正されますので、とりあえず不法な方については一度しっかりとした整理をきっちりさせていただきませんと、何かその後に進めないというような感じもございます。
 労働省の方としてできますことは、雇用をする方の方に対して御理解をいただくということでございまして、今割に正々堂々というようなところがあるものでございますから、不法な場合はいけないんだよという認識はしっかり持っていただくような努力をこれからもして、まず不法な方をできるだけ少なくする形をとっていかなければいけないのじゃないかなと思っております。
#110
○沢田分科員 不法な者にというのじゃ、これは厳罰主義で臨まないとさっき言ったような禍根を残すのですから、それはきちっとしたけじめをつけていかなければならぬ。甘いことをやったら、それはピンはねしているやくざだとかその他だけは喜ぶかもしれませんが、そのことが全日本に被害を及ぼすことを、これは見逃してはならぬ課題ですから、十分配慮してほしいと思う。
 それから女性の進出は、どういう方法で採用制限を撤廃させる、省令か政令かわかりませんけれども、そういうものでも出す決意はあるのですか。あらゆる職場において女性の採用はよろしい、こういうことの条件はありますか。
#111
○佐藤(ギ)政府委員 女性の採用の問題でございますけれども、雇用機会均等法が施行されましてから男女を問わない求人がふえてまいりまして、意欲、能力に応じて女性が採用される状況になってきているというふうに理解をいたしております。
#112
○沢田分科員 では、女性ではだめだという採用条件があったとすれば、違法として措置されるという罰則か何かありますか。また、罰則をつくる気はありますか。
#113
○佐藤(ギ)政府委員 現在、雇用機会均等法で募集、採用につきましては、使用者が男女異なる取り扱いをしないように努力しなければならないという努力義務規定がございまして、これに基づきまして大臣の指針がつくられております。ここで、男子のみ求むというものにつきましては、そうしたことが相当であると認められるごく限られた特別なものを除きまして、そういうものは指針に違反するものということでございますので、そういうものがあります場合には、婦人少年室が中心になりまして企業に強力な指導をいたしているところでございます。
#114
○沢田分科員 これは高齢者の場合もそうですが、それから大体公務員の採用だって三十五歳までとかというふうに決めているくらいでしょう。これはさっきこの問題をやったわけじゃないです
が、そういうくらいのもので、結局言っていることとやっていることが違うのですよ。あなたのおっしゃっていることは、ここだけの話。そういうことが望ましいというのは、だから車の規定で酒を飲ましてはならないという規定があるのと同じなんです。飲ましたってちっとも罪にならない。飲んだ方は罪になる。そういうことであって、そういうことでは規制が全然効かないということです。何にも処罰規定がないんだし、例えばそういうものを採用で差をつけたからといって、そのことが何ら違反になったり処罰になったりならない。もう少し何かちゃんとペナルティーをつけるという方法を講じなければ、これは実行なんかされませんよ。どうですか。
#115
○佐藤(ギ)政府委員 均等法案が議論されておりますときに、今御指摘のような御意見がたくさんあったのでございます。しかし、おかげさまで施行されまして、私どもさまざまな調査をいたしておりますが、男子のみ求むというのは激減をいたしております。もちろん、先生おっしゃいますように例外がないわけではございません。そういうものにつきましては、私ども精いっぱい努力をしているわけでございますが、おかげさまで好況が最近続いているということもございますし、また、かなり女性の能力というものが生かされるシステムがございます。それから、使用者側もこうしたことについて、女子の能力について認識を改めていただいているというようなところもございまして、予想よりはかなり進んでいるというふうに私どもは認識いたしております。
 もちろん、御指摘のような違反が全くないわけではないと存じますので、そういうものにつきましては今後とも精いっぱい努力してまいりたいと存じます。
#116
○沢田分科員 言いわけはここは要らないのですよ。問題は、そういうものを撲滅するというかなくすということに対する、これでだめなら次、これでだめならこの次、では省令で出す、いや政令で出す、次にはそれでは法律でつくる、こういうふうに――ただそういう抽象的に物を言って、実効が上がっているならいいけれども、そうは上がらぬ。それは微々たるものは上がっているかもしれませんよ。しかし、法律ができてその効力が発効しない。それは採用規定に入れればだめだ。実質的に全然採用しないということは、それは全然意味を、効果をあらわしてないことなんだ。これは高齢者の場合も同じですよ。
 ですから、そういうことでその差をなくしていくような手だてをつくらなければまずい。だから、今言った言いわけを聞こうとしていないんだ。だからそれをなくすという決意を、次から次へとこれでもだめだったらこれ、これでもだめだったら罰則、こういうことできちんとけじめをつけて、法の効果をあらわしてほしい、こういうことです。あなたはいいです。大臣、ひとつ……。
#117
○塚原国務大臣 これ、実は役所でつくった私の答弁の文章なんですが、この機会均等法については、法の趣旨は着実に浸透しているが、一部に問題のある企業も残っているという部分がございまして、労働省自体もその辺の認識はしっかり持っております。ですから、今先生の段階的な御指摘はまさに御正論だと私は思います。が、育児休業のときも何か同じような答弁をして、何だおまえ、同じことを言うのかとしかられますが、男女雇用機会均等法というのは本当に大切なものだと思いますので、皆さんに本当にできるだけ正しい御理解をいただいて、制度の定着を図っていくのが一番いいと思います。ともかく今の努力を続けていきたい。また言いわけだとおしかりを受けたら、申しわけございませんということなんですが。
#118
○沢田分科員 では、高齢者の採用の場合も同じですね。いいですか。同じかどうかだけ答えてください。
#119
○清水(傳)政府委員 高齢者につきましては、今般高齢者の雇用安定法の改正を国会にお願いをいたしております。考え方といたしましては、六十歳定年の定着化を一生懸命図っていくということをベースにいたしまして、六十五歳までの雇用ということについて事業主の方々に努力義務をお願いするという方向で進めていくわけでございます。御指摘のように…
#120
○沢田分科員 時間がないから、その趣旨はもういいです。だから、それは進めてください。
 問題は、パートもそうですが、これから女性が進出をすると共稼ぎの場合の後の年金の支払いに当たって、一方が死亡した場合の遺族年金等についての対応が難しくなってきます。二人で年金がついてくれば、六十万の基礎年金以外についてはその差額だけですからね。ですから、そういうことでせっかく両方が一生懸命働いてみたけれども、同じ職場で働いていれば自分でもらっている年金でツーペイになってしまう。だんなさんの分は全然来なくなってしまう。こういうこともあり得るわけですから、そういう場合のバランスというものは、パートの場合にしても共稼ぎの場合にしても、局長さんの方でひとつ十分考えてやらなければならぬということを要望しておきます。その辺のことまで考えないと進んでいかなくなってしまいますから。
 それから、パートの収入額を上げてやらないと、今度はオーバーしてもとはいかないのですね。これは大蔵でやってはいるのですけれども、百万とか百三十五万とかという金額だけではどうにもならない。今おっしゃったように、今度は有給休暇も退職金もとこう言っていくのだったら、やはり枠を広げてやりませんとこれはどうにもならないだろうと思うのですね。もし外れると、扶養家族から外れるだけでなくて、結果的には住民税はかかってくる、健康保険税は別にかかってくる。健康保険税は今度はその一人のために一家全部にかかってきますからね。そういう事態が起きることはわかっているでしょう。だから、そういう問題が起きますから、例えばそれだけの枠は広げてやらなければならぬということを検討してください。これはお願いだけしておきます。いいですか。まあ、首を縦に振っているから……。
 それから、もうあと二分ぐらいですが、失業保険の問題で、家庭で農業をやっている場合について、幾らぐらいまでを収入とみなして失業保険をもらっているのが違法だというのか、あるいは三万円もらっていれば違法というのか、その辺は失業保険の条件として、家庭の農業等についてはどのように理解をされておりますか。
#121
○清水(傳)政府委員 大変申しわけありませんが、具体的な金額は別といたしまして、考え方といたしましては、いわゆる内職収入的な取り扱いになりまして、そうしたものを減額をしていく、こういう取り扱いになっておるわけでございます。
#122
○沢田分科員 そうすると、新たに所得を得るまでの差額までは理解をするという意味と解していいですか。
#123
○清水(傳)政府委員 要するに失業給付でございますので、求職活動を十分にやっている、失業者として求職活動を行っている、こういうふうな前提で雇用保険を給付いたします。そういうふうに認定をできれば、当然に失業給付を行っていくということでございます。減額の問題はあるにいたしましても、基本的な考え方はそういう形になります。
#124
○沢田分科員 時間の関係できょうはこれまでにしますが、要すれば、その辺の解釈はもう少しきちんとしてもらわないと、やはりうっかりということも多いわけですよね。うっかりというものが故意でやったものと過失でやったものと、そういう場合がありますから、その辺の問題も同様とはいえないだろうということをつけ加えて、それから労災の認定で裁判の判決で過労死というものが出ました。これは今後の解釈の上で極めて難しい問題を起こしてくる。どこまでが過労で、休暇をやらなかったら過労というのかという問題にもなりかねない。だから、この点は十分に今後検討してもらって、質問で答えるという程度のものではなくて、この判決の結果を踏まえて、今後省令と
かそういうものを整備して、どこまでを過労と認ずるか、あるいは一昼夜交代勤務はどうなるのか、そういうことを検討されることを希望しまして、次の何かのときに質問しますから、そのときに答えられるよう準備することをお願いして、六分なるべく縮めるようにということで努力をしたつもりですが、以上で終わります。
#125
○林主査 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。
 次に、小森龍邦君。
#126
○小森分科員 では始めます。
 労働省にまずお尋ねをいたしたいと思いますことは、既にかなり世間に広く知れ渡っておることでありますが、JRの清算事業団にかかわりまして、いまだ千名を超える人が路頭に迷っておるわけでありますが、これにはもう相当数多くの地労委の裁定というものが出ております。おおむね地労委はどういうふうな裁定を出しておるか、お答えをいただきたいと思います。
#127
○岡部政府委員 現在まで地労委に二百五十八件係属をいたしまして、そのうち八十二件命令が出されておりますが、そのうち、これは取り下げになったものを除きまして、不当労働行為である旨の認定を行い、救済命令が出されているところでございます。
#128
○小森分科員 その救済命令の理由となっている基本的な考え方ですね、それはどういうところにポイントを置いておるんでしょうか。
#129
○岡部政府委員 ただいまの八十二件の内訳といたしまして、まず一番大きな問題は、JR発足当時における職員採用に関するものでございます。
 この地労委における主な論点と申しますものは、国鉄とJRの雇用関係の連続性の有無が中心でございます。これは国鉄改革法二十三条に基づきまして、国鉄が行いました採用候補者名簿作成に当たっての設立委員の責任ということも絡みまして問題が提起されております。そのほか、同じく六十二年の四月一日以前の段階におけるJR設立時における配属における問題、配属に絡む問題がございまして、これも同様に国鉄とJRの雇用関係の連続性の有無が問題の基礎となっているわけでございます。
 なお、六十二年四月一日以降のJR発足以後におけるJRの中における出向あるいは配転に関する事案、その他組合バッジ、脱退勧奨等々の問題もあわせて提起されているところでございます。
#130
○小森分科員 地労委の考え方は、その連続性というものを認めて、そこを救済しなければならないというふうに言っておられるようでありますが、JRはどういう理屈をつけてその連続性を否認しようとしておるわけでしょうか。
#131
○岡部政府委員 これは私ども、審理の途中でございますので、これにつきましては十分な資料を持っているわけではございませんけれども、例えばJR設立当時における連続性の可否の問題につきましては、例えば園部逸夫鑑定人の出した鑑定書によりますというと、国鉄が名簿作成行為を行ったのは、設立委員の委任または代行というようなものではなくて、独自の権限に基づいて行った行為である。したがって、その責任は設立委員には帰属をしないと考えるのが相当である。このような鑑定書に基づきまして、JR当局側の主張がなされているやに聞き及んでおります。
#132
○小森分科員 この時点で、我が国の労働行政の任に当たられる労働省としては、これだけの大改革に伴う未解決の問題でありますから、私は相当踏み込んで労働者の権利を守る、つまり憲法に言うところの勤労の権利、あるいはさらには生活の安定という意味では、健康で文化的な最低限の生活とか、さまざま憲法の条文の中でこの事実に対して突き当たる条文を思い出しますが、我が国の労働行政のかじ取りをされる省庁として、圧倒的多数というかほとんどすべての地労委が、今回JRがとっておる措置は不当である、救済しろ、こう言っておられるわけでありますが、ここから先労働省はどうなさろうと考えておられますか。
#133
○岡部政府委員 地労委が発しました救済命令につきましては、これは現在八十二件のうち七十六件が中労委に係属をいたしているところでございます。会社側がこの地労委命令を不服といたしまして中労委におきまして争っているところでございまして、このような係争中の事案でございますので、その推移を見守りたいというふうに考えます。
#134
○小森分科員 その推移を見守るという言葉が、言葉とすればここで物理的には吐けるわけです。しかし、この救済をしてもらわなければならぬ対象者は、日々の生活が不安に脅かされておるわけですね。憲法第十三条の精神というのは、「すべて国民は、個人として尊重される。」ここから出発しておるわけであります。そこから出発をしておる我が国の憲法の精神とかすべての法体系、そういうものを、司法裁判所でなくて行政の一つの裁定機関というかそういうものが、各地労委においてはもう例外なく救済をしろ、こう言っておるときに、現実にほうり出されておることについてはどうなさろうとされるのですか。
#135
○岡部政府委員 これにつきましては、各清算事業団職員の生活にかかわる極めて重要な問題であると受けとめているわけでございまして、まずはその雇用の安定ということを労働省としては第一義的に考えたところでございます。これは清算事業団あるいは運輸省とも協力をいたしまして、できる限りの雇用対策を講じてまいってきているわけでございますが、なお現在、四月一日付をもって解雇されました方々につきましての今後の雇用のお世話ということにつきましても、十分に考えていくことは申すまでもないことでございます。
#136
○小森分科員 それは通り一遍のことでありまして、問題は地労委の裁定で救済命令が例外なく出されておる、そういう状況下にあって、その救済命令たるや、JRの言っておることが不当だ、こういう論拠に立って言っておるわけでありますから、第三者的に何も行政に関係のないことから来た失業だって、我が国の労政の行政とか職安の行政とか労働省の行政はそれを進めていくことになっているわけであります。要するに、行政と深くかかわっておることでそういう問題が起きたときに、国民から言えば労働省は何をしておるんだということになるわけですから、その観点に立ってこれをどうするか、この点を私はお尋ねしているのです。
#137
○岡部政府委員 この問題は、発生以来、例えば何らかの労使における和解の道はないであろうかということも含めまして、私どもいろいろと非公式ながら各方面の御意見を承っているところでございます。しかしながら、この問題は政治的な解決も必要でございましょうけれども、その糸口がなかなかつかめないというのが現実でございます。
 もとより、私ども労働省といたしましては、JR各社の労使関係が安定することが極めて重要なことであると考えておりまして、当事者間の話し合いを基本といたしまして、円満な解決が図られることをそれこそ待ち望んでいるわけでございます。しかし、ただいま申し上げましたように、この問題というのは全国にわたりまして、また複雑微妙な問題を抱えている現状でございまして、なかなか糸口がつかめないということでございます。今後とも推移を見守りながら、我々なりの努力を続けてまいりたいと考えております。
#138
○小森分科員 どうも労働省は、この問題に対して、JRと労働者側、清算事業団の職員であった方との間に入って、いわば第三者的な立場のような発言を先ほど来なさっておられますが、労働行政を進めていく我が国唯一の行政庁としてこの時点でどうするのかということを私は尋ねているのです。この時点で、もうちょっと情勢を見守るのですというようなものじゃないでしょう。
 そこで、私はお尋ねしますが、千名を超える救済をこれからされなければならぬとされる対象者の所属組合の人数割合をひとつお知らせください。
#139
○岡部政府委員 ほとんどは国労所属組合員でございまして、勤労所属組合員が少数おる、こういう構成でございます。
#140
○小森分科員 そうしますと、我が国憲法が厳に戒めている「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」これは憲法の大前提ですよ。つまり、これは数字を見ると明確に所属組合によって差別的扱いをしておる。これが明確に目に映る限りにおいては、今のようなとろとろとした判断では憲法の精神を労働省が守っていることにならぬでしょう。その観点で私は尋ねているのです。
#141
○岡部政府委員 まさしくその点が現在係争中の事案であるゆえんと存じます。労働組合法におきましては、組合所属のゆえをもってこれを不当に差別することがあれば、それは労働組合法七条に違反する行為でございまして、不当労働行為の事案となるわけでございます。まさにその点をめぐりまして、現在、中労委における審理が進行中でございます。その審理を見守りたいというのもその辺でございます。
#142
○小森分科員 それならば、これはもう焦眉の急を要するじゃないですか。そういうことが争点になっておって、しかも地労委が今まで出してきたものは、ことごとくそういう観点に立って物を出しておるといえば、この辺で労働省は何らかの形で政治的に踏み込まなければならぬのではないですか。それが労働省の労働省たるゆえんでしょう。かつて中曽根総理は、犠牲者を出さない。あるいは当時の橋本運輸大臣も、それと同じようなことを言っておるわけでしょう、政治的判断の世界では。それが、現実の問題としてどこの労働組合に所属しておるかということによってそういうことになるということは、我が国の民主主義にとってゆゆしき問題ですよ。
 私は、部落解放運動の先頭に立つ者の一員ですけれども、私が一番問題にしておるのは、権力側が分裂支配を行って、そして分裂の一方を差別するというのが私にとって一番大きな問題ですよ。だから同和問題の解決は、同対審答申に書いてありますように焦眉の急を要する。これは人間の自由と平等に関する問題であって、人類普遍の原理である。JRの今言っている理屈は、この人類普遍の原理の前に持ってきたら、ちょうちんとつり鐘ほどの価値もないですよ。つり鐘に対してちょうちんほどの重みもないですよ。それが明確にわかっておって、労働省は何の動きもしないのですか。その動きは必ずしも法律に基づく動きとは限らないですよ。行政的感覚に基づく何らかの動きというものがあってしかるべきじゃないですか。その点はどうなんですか。
#143
○岡部政府委員 過去の大争議、例えば近江絹糸争議あるいは王子製紙争議、三井三池争議、いずれも中央労働委員会の介入によりまして解決を見た事案でございますが、私ども歴史から学びますに、そのようなときには政治的な根回しがまずございまして、その上で関係省庁による話し合いがあり、そのような土俵をつくった後に中央労働委員会が行司役となりまして、労使の話をそこで決着をつけていく、こういうふうなことであろうかと存ずるのでございます。
 現在、その根っこの政治的な解決そのものが糸口がつかめないという状況でございます。これは国会での国鉄改革法成立そのものに絡む問題でございます。非常に複雑微妙な問題でございますので、この辺につきまして現在国労は中労委の仲介を強く望んでいるわけでございますが、中労委におけるこの取り扱いなども含めまして、さらにアヒルの水かきを続けてまいりたいと私どもは思っております。
#144
○小森分科員 従来の大きな対立というか紛争解決をしたのは、やはり政治的な前段における根回しをもとにして中労委が問題の解決をしやすいようにしたという、その経過をこの場でお話しなさるということは、私は非常に結構なことだと思うのです。
 ただ問題は、そこから先ちょっと考えたらわかりそうなことですね。いかにもJRと清算事業団から今度解雇された千余名の労働者との関係のような態度をとっておるけれども、地労委の裁定自体が国鉄とJRとの継続性ということを問題にしておるわけでしょう。そうしたら、今回の改革をやったのは国でしょう。法律に基づいてやったわけでしょう。自分が方向を打ち出したことで、そこに不当労働行為が出てきたといったら、だれにもはばかることなくやったらいいじゃないですか。やれないというのは、ここで一つの架空の観念をつくり出して、何か違うところの当事者同士が対立しておるというような言い方ですが、根っこは政府じゃないですか。しかも、その政府も表向き、腹から言ったかどうか知りませんよ、私は大いに疑いますけれども、中曽根元首相のあの発言と橋本運輸大臣の発言は。疑いますよ、今日までこんなに放置しておるということは。一人の犠牲者も出さないと言っておるのですから、それの正統な政権の相続人である今日の海部内閣の労働大臣が先頭に立ったらいいじゃないですか。なぜそんなわかり切ったことができないのですか。それは力が及ばないということはあるいはあり得るかもわかりませんよ。けれども何らかの形の政治的な、今の話のように根回しの段階の動きがこの時点であっていいではないですか。
 しかも、私が言いたいのは、いろいろ労働委員会規則の五十一条だとか四十五条だとか、条文がここに書いてあるが見なきゃわからぬけれども、ちゃんと公定力を持たせておるでしょう、公定力を。労働委員会の裁定が出たらそのとおり速やかにやれと、公定力を持たせておるでしょう。公定力を持たせたままでき得るなら、それはまだ労働大臣が出る幕じゃないでしょう。しかし、公定力といういわゆる法規の定めておるところさえ踏みにじっておるわけでしょう。そうしたら、これはもう行政的な課題ですよ。高度な判断の行政的課題ですよ。あなた、これを守らなかったら労働行政はなきに等しいじゃないですか。どうですか労働大臣、この辺でお答えいただきたいと思います。
#145
○岡部政府委員 その政治的な根回し等々のお話でございまするけれども、これは先ほど来申し上げましたとおり、幾多の努力が水面下で行われております。しかしながら、糸口がつかめないというのが現状でございます。それだけこれは複雑微妙な問題であるということをひとつ御認識をいただきたいと思います。
 それから公定力の問題でございますが、地労委命令につきましては、これは労働組合法二十七条五項によりまして公定力がございます。しかしながら、これは当事者の任意の履行にゆだねられている制度でございまして、強制力はない、そのような不当労働行為制度ということでございます。したがいまして、これにつきましては先ほど繰り返して申し上げましたとおり、法的な面だけについていえば、現在継続中の事案でございますので、その法的な手続につきましては見守るという以外はないのでございます。しかしながら、先生御指摘のようにこの問題についていろいろ何らかの手だではないのか、この点は私どもも日夜考えていることでございます。その点につきまして、先ほどアヒルの水かきと申し上げましたような努力は今後とも続けていく所存でございます。
#146
○小森分科員 今後とも努力するというところはささやかに救われるのですけれども、しかしまず公定力のことから申しますと、条文に書いてあるのでしょう。守るのが原則ですよ。条文に書いてあって強制力がないということは、処罰規定がないという意味ですか。そうですか。今顔を縦に振っておられるから、そうでしょう。発言にないが、ここに書かなきゃならぬから繰り返すのですけれども。
 そうなると、民主主義の根本的精神について強制力がないから守らない、守れない。しかしながら、国鉄というものをJR、民間会社組織に法律でもって変えた生みの親は政府ですよ。つまり、政府が生み落とした子供の誤った行為を何はさておいて改めさせる、これが必要でしょう。これだけの民主主義の手続が書いてあって、処罰規定がないから守らぬのでどうもしょうがないのです、自分のところの子供が悪いことをしておって警察が連れに来てくれぬから仕方がないのです、それ
じゃ世間に通用しませんよ。だから、例えば先般私がラジオを聞いておったら、選挙公報があるいは選挙の放送か知らぬけれども、差別用語を使って選挙の放送をするというのがあったでしょう。あれは削除したでしょう。あれは法律は文章どおりやらせなさいとなっておるのですよ。それをしも人権という問題は、人間の自由と平等に関する人類普遍の原理である。この日本の憲法は、基本的人権、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除するとなっておるのですよ。そしたら、それは憲法の精神に基づいて、おっ取り刀で問題の解決をしなければいかぬでしょう。
 第一、国鉄をJRにしたときは、それは労働省が担当の省庁ではないけれども、しかし政府は連帯して、各省連帯して、閣内が不一致であってはいけません。だから、簡単に言うと政府がやったこと。政府のやったことで千名を超える人が今日路頭に迷うておる。しかも、その路頭に迷うておることは、自然的に災害のごとき状況でなっておるのでなくて、不当労働行為が加わってなっておる。その不当労働行為とは差別である。そしたら何かしなければいかぬじゃないですか。したがって、何かしなければならぬということをなぜ私が促すかといったら、他人事じゃないんですよ。政府の問題なんです。どうもやり方が難しいんですと言うけれども、簡単に言うたらそうでしょう。JRだって、JRにああいうふうにするために政府がずっとコントロールしてきたわけでしょう。そして、今後もいろいろコントロールの意図、道筋はあるわけでしょう。簡単に言うと、政府がオーナーでしょう。株式を公開するまではまだオーナーでしょう。オーナーの言うことを聞きませんか、JRが。だから、つまり政府ぐるみの不当労働行為でこういう事例を今日本の国の労働界にどんどんつくろうとしておるのじゃないか、そういう陰謀を持っておるのではないか、こういう考え方が出てくるのですよ。かなり高い政治的判断の問題ですから、労働大臣、答えてください。
#147
○塚原国務大臣 まず、先生の人権に対するお考え方は、もう至極御正論でございます。私ども、一人も路頭に迷わせない等の政府答弁がございました。それに沿って労働省といたしましても、精いっぱい雇用を確保するように努力はいたしてまいりました。ただ、その努力につきましては、予算委員会の総括、一般あるいは本分科会においても、それぞれ個別の事例で、その努力の中にも問題があったのじゃないかというような御指摘もいただきました。しかし、できるだけ多くのお仕事を御紹介しながら皆さんの雇用が確保されるような努力もいたしてまいりましたし、またJRといたしましても、その地域上の御希望にはかなえない部分もございましたが、何とかJRにお勤めいただきたいという努力もしてきたというふうに伺っております。
 ただ、やはりお住まいになっている環境、お育ちになった環境等から、あるいは御家庭の状況等からどうしても地元を離れられない等々の理由がある中で、また私どもの御紹介もやはりちょっと御満足がいただけないというような状況の中で、こういう何人解雇されるかなんていう見通しを当初することは非常に不謹慎であるわけでございますが、でも、どんなに多くてもこれぐらいの方で済むんじゃないかと思うそれをはるかに超える、千名を超える方が解雇という状況になりまして、まことに残念なことであるというふうに思っております。
 そして、そういう状況の中で地労委裁定が出たわけでございまして、地労委の裁定というのは、これは大変に重いものでございます。ただ逆に、中労委の方でまたもう一回お話し合いができるというような制度にもなっておりまして、また中労委裁定も非常に重いものでございまして、先生の御指摘のとおりの御答弁がなかなかできないで恐縮でございますが、何だ。大臣のくせに事務方と同じ答弁をするのかと言われるかもしれませんが、一応今のところは、中労委の仕事の状況をぜひとも見守ってまいりたいというふうに考えております。ただ、今のアヒルの水かきの中に何らかの引っかかる部分がありました場合には、精いっぱいの努力をいたしてまいりたいと考えております。
#148
○小森分科員 大臣自体も水かきという言葉をお使いになったので、この際に申し上げ、お尋ねをしておきたいと思いますけれども、その水かきというのは、JRと労働組合がやっているという意味ですか。それとも、労働行政の任に当たる労働省も幾らか、表面に出ると後、始末が難しくなってはいかぬから、余り目につかぬけれども、目につかぬところでは一生懸命努力しておるんだ、こういう意味なんですか。
#149
○塚原国務大臣 労政局長の使ったアヒルの水かきの意味は、もしかしたらちょっと私の意味とは違うかもしれませんが、これは非常に複雑な問題も秘めているわけでございまして、そういう中で一番いい結論を得るために、細心の注意を払って前へ進んでいるというような意味でございます。
#150
○小森分科員 私は先ほどからずっと申し上げておりますように、なるほど自然人としての労働大臣あるいは自然人としての内閣総理大臣、これは現在時点で何人かかわっておられるわけですが、しかし、政権としての当事者ということについてはかわっていないわけですね。つまり、地労委の裁定がJRと国鉄との雇用関係をめぐる問題についてやってきたことに継続性があるということになれば、その方針を打ち出した政府としても継続性を持ってやらなければならぬ、これは当然の結論だと思うのです。
 その場合に、私が入手しておる文書、文献によれば、これは調べていけば本物に突き当たると思いますけれども、JRの清水常務は、JRの不当行為の責任というものを地労委で既に認めておる。それからもう一つは、職員管理調書というものをつくって、つくったのは国鉄だとか、あるいはJRだとか、いやだれに依頼されたとか、いやそれは委任したとかいうような議論はあるけれども、この職員管理調書を基礎資料として、つまり今回採用するのとそこで解雇するのとをより分けしたということも事実として明らかになりつつあるわけです。その基礎資料をつくった当事者がどういうことを証言しているかというと、国労という労働組合を脱退したら黙っていても十点を上積みしてやる、そういう調書になっている。これはひとつ労働大臣、義を見て立たざるは勇なきなりですよ。幾らほかの労働行政で、私らも基本的方針には反対だけれども、なるほど政府が考える方針に落ちつけるために経過措置として労働省はさすがに労働問題を考えてうまいことをやっているなと思うようなところが見受けられますよ、しかし、この問題は全くそういうことになっていない。したがって、今水かきということを言われましたが、労働大臣、さらにこれを具体的にやって、そして物事の決着をつけるために最大の努力をしてください。
 以上で終わります。
#151
○林主査 これにて小森龍邦君の質疑は終了いたしました。
 次に、貝沼次郎君。
#152
○貝沼分科員 社会労働委員会でやってもいい問題ではありますけれども、予算の分科会でありますから、今回は障害者の単なる雇用問題ということでなく、障害者の雇用問題と共通する土壌を持つ高齢者の雇用問題も同じような意味で重なっておりますので、この分科会で取り扱わせていただくことにいたしました。
 まず初めに労働省にお伺いいたします。
 障害者の雇用問題というものはいわゆる障害者にのみ関係する雇用、こういうとらえ方で今まで施策をしてきたのではないかと私は思っておりますが、そのほかの意味でも障害者の雇用というものは考えておられるわけですか。
#153
○清水(傳)政府委員 障害者の雇用問題はもちろん障害者の方々がハンディキャップを負われながら自立をしていっていただく、そういうふうな形で社会的な参加をしていただく、その基盤となる雇用の場を確保する、これを眼目として進めてまいっておるわけでございます。
 またそれと同時に、そういう障害者の雇用が進
むということはその国あるいは社会のある意味におきます進化と申しますか、そうしたものの大きなバロメーターにもなり得る性格のものである、こうした認識で進めてまいってきておるところでございます。
#154
○貝沼分科員 私はそれはそれなりで大変結構だと思っております。
 本日私が申し上げたいことは、この障害者の雇用問題の実態的な面を見ますと、これから日本が高齢化社会に向かっていく上において、高齢者の雇用の場もそことダブってくる部分が非常に多い。つまり、障害者の働ける分野と高齢者の働ける分野がある意味においてダブってくる。それならば両方絡めた雇用の場の確保、あるいはその雇用のための受け皿、こういうものを考えておく必要があるのではないかというのが私の言いたいところなのでございまして、それで今こういう質問をしたわけであります。
 そういう考え方は私勝手に言っておるわけではございませんで、例えばこれは、岡山の吉備高原都市というのがございますけれども、そこのところにあるオーニックという会社の社長の難波啓介氏がいろいろと提言をしておるわけでございます。その提言の中で、いろいろございますけれども、例えば、障害者の雇用の確保ということだけに頭を使うのではなくて、障害者がおる社会というのは日本の社会なのですから、その方々が例えば技術を身につけることもこれは当然、と同時に営業や経理など経営全般の知識も培われていくとか、それから、いずれは彼ら自身が株主、経営者として経営そのものに携われるようになればいいのではないかというような方向性の問題、したがって開業資金や仕事面でも協力できるような仕組み、そして身体障害者に対する教育訓練そのものももっと多様化するべきではないのかというようなことも言っております。「より付加価値の高い教育を提供し、行政と民間が協力して障害者が働く職種を広げる必要がある。」というふうに言いまして、「現在、高齢化時代への対応が急がれているが、障害者が働きやすい職場は高齢者にとっても働きやすいはずだ。」したがって、こういうものを加味した意味で働く場というか雇用の場を確保する姿勢が労働省にあっていいのではないのか、その受け皿をつくるべきではないのか、こういう提言のように受け取れるわけでございますが、これについて何か御見解ございますか。
#155
○清水(傳)政府委員 私ども障害者の雇用対策を進める立場から、今お話しいただきました考え方、私ども自身もよく受けとめていかなければならない事柄ばかりだというふうに考えております。
 それで、御指摘の、高齢者とのある意味においては共通した雇用の受け皿的な意味合いのお話でございました。障害者の場合と高齢者の場合と、もちろんその就職の困難性ということの持つ意味合いは必ずしも同じではない面があるわけでございます。いわゆるハンディキャップを負っている、高齢化していくに従って加齢に伴う労働能力の低下という意味合い、そういう意味合いにおいての配慮という面におきましてはあるいは共通する面があるのかもしれないわけでございますが、障害者の方々の場合にはやはりどの時点から障害者になられたかということもございますけれども、心理的な面におきましても、社会への適応という点についていろいろな配慮をしなければならない、そういう面も一面においてございます。
 そうした意味合いでのマンツーマン方式の指導をあわせてやりながらやっていかなければならないということも障害者の場合にはございますし、そういうことに応じたきめ細かさということが非常に重要な事柄であろうかと思いますが、やはり基本は、自立の精神を持って、そういう確たる考え方をできるだけ持っていただいて、ノーマライゼーションという考え方の中で社会参加をしていただく、そのベースとなる雇用の場を確保していく、こういうことであろうかと思います。そういう幾つかの段階、過程を追いながら、ただいま御指摘になりましたような配慮というものをやっていく必要がある。そういうことに見合った形での援助策も、私どもといたしましてもさらに深めてまいらなければならない、このように考えております。
#156
○貝沼分科員 今の御答弁は、私は別に異論はないのです。障害者の雇用というものが非常に大事だからきょうは取り上げるわけであります。だけれども、これだけでなく、実は高齢化社会に向かっていくとその辺が競合することがたくさん出てくるので、そういったことも含め、同時に、ハンディキャップをしょっておるから何か手を差し伸べて雇用の場を差し向けるみたいな考え方ではなくて、ハンディキャップをしょっている人がおるのが社会なのですから、その方々はその方々で、もちろん自立の精神、根本ですけれども、それなりに訓練、あるいはいろいろな教育の面においても、将来社長としても、あるいはいろいろな職種に行くようなメニューをより多く用意する必要があるのではないか。そういう姿勢が大事なのではないのかということを申し上げておるわけでございます。
 したがって、労働省だけの問題ではなくて、これは厚生省ともよく連携をとりながら、あるいは総務庁も関係あるのかもしれませんけれども、そういう各省庁と連携をとりながら、こういう姿勢、方向性を確立してもらいたいというのが私の主張でございます。それできょうは分科会で取り上げさせていただいているわけでございますので、それについて大臣、お願いいたします。
#157
○塚原国務大臣 大変すばらしいアイデアのお話だと思います。
 障害者の方々につきましては、先生のお話もございましたが、それぞれの障害の程度によりまして、健常者と全く変わらない作業ができる状況から、あるいは特殊な機械等も使用しなければいけない状況等もございますので、そういう面のきめ細かな措置も大切なわけでございます。が、加えまして、今の、これからの高齢者の方の雇用をどう確保するかというのは非常に大きな政治課題でございますので、ただいまの御提言をいただきましたから、私どもも精いっぱい勉強させていただきたいと思います。
#158
○貝沼分科員 それでは、身障者の雇用問題について具体的にお尋ねしたいと思います。
 現在、障害者の雇用状況はどういうふうになっておりますか。
#159
○清水(傳)政府委員 平成元年度の障害者の雇用率の達成状況で申し上げますと、法定雇用率一・六%が適用される民間企業で雇用されている障害者数は、十九万五千二百七十五人でございます。これを実雇用率という形で見ますと、一・三二%という形にとどまっております。近年、障害の重度化という傾向が見られるわけでございまして、そうした中におきまして、雇用状況の改善という面におきましては必ずしも十分な事態ではない、このように認識はいたしております。
#160
○貝沼分科員 一般の民間企業において規模別に見るとどういう傾向がございますか。
#161
○清水(傳)政府委員 規模別に実雇用率で申し上げますと、百人未満の企業におきましては一・九九%、百人から三百人の間が一・五〇%、三百人から五百人の間が一・二四%、五百人から千人の間が一・一七%、千人以上が一・一七%、こういう状況でございます。
#162
○貝沼分科員 その数字を見て、これからどういうふうに政策を立てようとされますか。
#163
○清水(傳)政府委員 これは規模別で見ますと明らかなように、特に大企業の分野におきまして障害者雇用の改善が進んでいない、こうしたことは明らかに見てとれるわけでございます。したがいまして、重点は、やはり大企業分野における障害者雇用の理解を進めるための活動、それから、こちらからの求人を障害者向けにできるだけ出していただくための活動、こうしたものを私どもとして組織ぐるみで今後展開をしていかなきゃならない、このように考えております。
#164
○貝沼分科員 その方向性は正しいと思いますが、具体的に何をされますか。
#165
○清水(傳)政府委員 国連障害者の十年というのがございまして、この終期が平成四年ということになっております。私どもといたしましては、それまでの間に少なくとも数字の上でできる限りの実績を上げていくための努力をしていかなきゃならないと思います。そのための方針として幾つかの重点方針を先般策定をいたしたわけでございます。
 その第一は、徹底した求人開拓を特に大企業中心に行いまして、雇用率の改善指導によって障害者の働く場を広げていくということ。それから第二点といたしまして、助成制度の活用及びその充実によりまして重度障害者を多数雇用する事業所の設置、育成を進めるということ。それから第三番目には、来年度、障害者職業総合センターを開所する予定にいたしております。そこにおきまして障害者雇用のいろいろな問題点、手法、あるいはケースの進め方等の研究を進め、実践的なものをそこから導き出していく、そういうことをいたしておりますので、その成果を生かして新しい職域開発をやっていく。こうしたことを重点項目として今後展開をいたしてまいりたいと考えております。
#166
○貝沼分科員 規模別には大体わかりました。
 それでは、産業別に雇用率未達成企業の割合の悪い方から、未達成率の高いところから、どういうところがございますか。
#167
○清水(傳)政府委員 悪いところの主なものを申し上げますと、金融、保険、不動産業が七四・三%、それから卸売、小売、飲食店が六八・三%、電気、ガス、熱供給、水道業が六〇・二%。こうしたところが悪い方の部類に属する産業でございます。
#168
○貝沼分科員 こういう業種に対しては特に特別な方法をもって雇用率が上がるように考えておりますか。
#169
○清水(傳)政府委員 金融業が数字的に見て一番悪いわけでございますが、実態的に見ますと、国連障害者の十年が始まりましたときに金融業の雇用率が相当ぐんと、特に都市銀行を中心として進んだわけでございます。金融業の実態を見ますと、都市銀行系統につきましては、やはりそうした企業責任ということの面を私ども相当御理解をいただきまして、かなり高い勢いで進んでおります。
 残された分野というのは、中小の金融分野というところが残されているというふうな実態として認識をいたしております。今のような悪い分野につきましては、業種別に人事の担当の方々の会合を逐次開きまして、こうした面についても御理解をいただくような努力を展開をしていくことにいたしております。
#170
○貝沼分科員 幾らかよくなってはきておりますけれども、まだまだ努力しなければならない部分がたくさんありますので、ひとつ精力的に進めていただきたい、これも詳しくやっておりますと時間がありませんので、大体これぐらいにいたします。
 それで、先ほどそのやり方として助成制度等をいろいろ考えてやるというお話がございました。この助成の問題で一つだけお尋ねしたいと思います。
 これは実際あった話でございます。これはどの制度かといいますと、特定求職者雇用開発助成金、これは身体障害者または精神薄弱者を雇用した事業主に対して、雇い入れにかかわる者に、支払った賃金の四分の一、中小企業については三分の一というふうにいろいろ取り決めがありまして、そして雇い入れが何日かによっても変わってまいりますが、とにかく雇い入れをした日から一年、重度障害者の場合には一年六カ月これを支給する。受けることのできるのは次のすべての要件を満たす事業主ということで、条件があるわけでございますが、この特定求職者雇用開発助成金があるために雇用が成り立った、これは大変結構なことなんです。ところが、これが一年でやめるわけですね。そうすると会社の方も障害者の能力不足というものを理由にしてやめる。雇用を取り消す。そして最低賃金除外申請というものを労働基準監督署に提出をすれば、最低賃金よりまだ低い賃金で契約することができるというようになっているようでございますが、これはあり得ることですか。
#171
○清水(傳)政府委員 御指摘のように、特定求職者雇用開発助成金につきましては原則一年、それから特に配慮が必要な障害者は六カ月延長をするという形をとっております。助成の考え方といたしまして、やはり経済的なインセンティブという効果をねらいとしたものであると同時に、そうした就職困難な方が就職先での新しい仕事になれて能力を発揮できるようにしていただく、そういう期間というものを想定をいたしましてこういう仕組みにいたしておるわけでございます。あくまでもそうした誘導、導入、こういう考え方であるわけでございまして、確かに、長ければ長いほど雇いやすいというのは一般的にはこれは当然のこととして言えるわけでございますけれども、そうした形をとることが、やはりノーマルな形での雇用というふうなものへ持っていくための誘導策ということの性格からいたしましては、おのずから限界は制度として持つべきものであろうというふうに思っております。
 したがいまして、助成が切れたら解雇をするとかやめるとか、こういうふうな事例があるとすれば、私ども、まことに制度の趣旨に反して遺憾と言わざるを得ないわけでございます。そうした考え方で、助成金であたかも得をするかのような形で障害者雇用を進められるということはやはりこの対策の本旨に反するわけでございまして、もし、そういうことに伴いまして実質的な解雇に当たるような行為があるということが仮にありますれば、我々としては厳正に是正を求めていくような処置をとっていかなければならない、このように思います。
#172
○貝沼分科員 これは、私も質問しておりますが、非常に難しいのですね。今厳正にという言葉が出ましたけれども、下手に厳正にやられますと、雇用そのものができなくなってくる問題があるのです。私はそれを求めておるのではないのですよ。それを求めておるのではないけれども、しかし今お話しのように、解雇しても別に悪いわけではない。ただこちらの、こちらといいますかその制度をつくったときの趣旨から考えると、誘導策だからそれはできるだけ長く使っていただきたい、雇用関係が続いていただきたいということを念願にしてその制度をつくってあるということですから、それはそれでいい。ところが、現実はこういうふうに雇用がなくなりまして、そして結局は最低賃金も低い。それで、その後県のいろいろな訓練を受けておりましたが、結局雇用関係ということは難しいので今度は請負関係になっていくんですね。そうすると、これがまたまた大変給料が低くて、この人の場合は月二万六千円というところまで行ってしまって、これでは生活できないというので生活保護を今受けておるわけです。現実にこれあるんですね。したがって、この人を復帰させよとかそんなことを言っているわけじゃありませんが、こういうような状況であります。
 そして、今度はこれを受けた事業主はどうなるかというと、今特定求職者雇用開発助成金というのを一つだけ挙げましたけれども、そのほか、例えば税制上の恩典とかいろいろな面で障害者を雇う場合については国は考えていますね。それらは何年にもわたって、例えば償還期間が長いとかいろいろなことで恩典がある。肝心かなめの障害者の方は、それが切れると解雇されたりする場合が現実にあるということを考えたときに、労働省というのは、事業主が得するとかそういうことではなしに、障害者の雇用という面からもっともっときめ細かな施策、そしてまた、こういう助成金にいたしましても、一年とか一年半ではなしに、もう少し何らかの方法で期限を延ばすとか、あるいは別の方法を考えるとかいうことがあってしかるべきではないのかというのが私の質問したいところでございます。いかがでございますか。
#173
○清水(傳)政府委員 この種の助成制度そのものの物の考え方は、先ほど申し上げたわけでございます。さらに私ども、また長期間にわたって職場に適応するための配慮が必要なそうした重度障害者につきましては、今の仕組みとは別に支給期間が三年間の職場適応助成金制度を設けるとかそうした意味合いの配慮は行っておるわけでございます。いずれにいたしましても、それを軌道に乗るまでの呼び水的なものとして御活用いただくというのが本旨でございますので、きめ細かさということにつきましては、さらに通勤対策としての住宅の確保の問題なりあるいは障害の種類や程度に応じましたさまざまの、手話の方々の張りつけのための経費でございますとかあるいは駐車場対策でございますとか、そうした万般のものをきめ細かに講じつつ、今の助成制度は、今申しましたような形の一つの誘導策として適正な運営が図られるようにやってまいりたい、御趣旨は、そういうふうな形でいろいろな形のきめ細かさをさらに求めて進めてまいりたい、このように考えております。
    〔主査退席、戸井田主査代理着席〕
#174
○貝沼分科員 あと時間が二分しかありませんので……。
 とにかく、きめ細かいという言葉は簡単ですけれども、本当に障害者の雇用が進むように、実質的に進むようにお願いしたいと思います。
 それから、これはちょっと蛇足みたいな話ですが、事務当局のやり方は親切に窓口をやっていただきたいということでございます。例えば、これはある新聞に出ておったのですが、血友病患者が休業補償申請を労働基準監督署に出したということなんですが、これは勤務時間に取引先の玄関でひっくり返って足の骨を折った、長期入院の必要があったので、それを出したわけです。何日たっても何の連絡もない。そこで、自宅療養になった十月中旬に電話で問い合わせたら、血友病なので審査に時間がかかる。十二月に再度電話をすると、年明けの一月七日に自宅訪問されて事情聴取をして二月中には決定する。そして二月二十五日に郵便が届いて、業務遂行中ではあるが、業務に起因する災害とは認められないので業務外として不支給と決定した、こういう簡単な文書が届いた。会社から電話で問い合わせてもらったら、血友病であるため、こういう答弁であった。この中身を私、聞けばいいのですが、時間がありませんので……。
 私もこの血友病関係の方々とお話もしましたけれども、ともかく今社会的にああいう大変苦しい立場にあるわけですね。いろいろな説明をしなければならない。そういうような方々に対して、こういう木で鼻をくくったようなことばかり言っておりますと大変心配をするわけでありますので、こういう行政の姿勢というものをひとつもっと気をつけてやっていただきたい、これは一言だけ答弁をいただいて終わりにいたします。
#175
○野崎(和)政府委員 先生御指摘の事案につきましては、御指摘のとおり、監督署の段階では基礎疾病である血友病が原因となった骨折であるということで業務上でないとされたところでございますが、その後、東京労働基準局に審査請求がなされまして、昭和六十三年十一月二十八日付で業務上の転倒ということが事故の主たる原因であるということで、業務上に認定されているところでございます。
#176
○戸井田主査代理 これにて貝沼次郎君の質疑は終了いたしました。
 住博司君。
#177
○住分科員 住博司でございます。
 きょうの予算委員会の第四分科会で質問の機会をお与えをいただきましたことをまず心から御礼を申し上げます。
 私、議員になりましてからまだ二カ月、こういうまだ駆け出しの人間でございますけれども、この選挙に出る前までは取材記者をやっておりました。それから選挙の期間中もいろいろな方々とお会いをする機会が多うございました。きょうは、そういう関係から労働行政について若干お話を伺いたい、このように思います。
 今我が国では技術の日進月歩、これは革新的だと言えるぐらい進んでおります。それから情報化の急速な進展も進んでおりますし、それに伴う産業構造の変化というのも進んでおります。働く人の生活に大きくかかわる問題であろうかと思うわけであります。同時に、高齢化の問題も本当に大事な問題になってまいりまして、高年齢者の雇用機会の増大でありますとかあるいは確保、それから老後の生活保障は緊要な課題だ、こういうふうに考えております。その一方で、私どもも歩いていてよく感ずることなのですけれども、働くだけが生きがいじゃないんだ、こういうふうに考えられる人たちがだんだんふえてまいりました。そういう変化の中で、労働行政、今までとはまた違った形でやっておかなければならないというふうに考える次第ですけれども、その点の認識と、それから今後の展望について少しお話をしていただければありがたい、このように思う次第であります。どうかよろしくお願いいたします。
#178
○塚原国務大臣 まず、労働環境というものが大変大きく変化をしております。
 私の場合が、四十四年の入社でございますから、その時代から比べますと、例えば私のいた会社なんかでは人数はふえてないけれどもオフィスは倍必要だ、それはもう全部機械が入っているというような状況でございます。加えまして、御指摘いただきましたように、高齢化社会が進む、そういう中で高齢者の雇用対策というようなものが大変大きな問題になってきておる。高齢化社会もすばらしいことですし、また、もう一つすばらしいこととして男女雇用機会均等法が成立をいたしました。そういった中で、職場におきます女性の必要性というものを皆さん御認識をするような状況ができてきた。そういうときに当たって、逆に、私どもが入社した昭和四十四年は我々の気分はどういう気分だったかというと、人数は少なくていいから金をたくさんもらいたいということだったわけです。どんなに長く働いてもいいからその分金をもらえればいいんだという感じだったわけですが、最近はなかなかそうではなくて、しっかりと労働時間も短縮して余暇も十分に楽しみたい、趣味も大変に多様化をしてこられた。ですから、先ほども答弁しましたが、私どもの世代はどこかそこいら辺にちょっと車で行くぐらいしか余暇を楽しめないけれども、今の人たちは非常に幅広い余暇も楽しめる状況ができてきた。
 そういう意味で、日本の国の労働行政というものは、非常に不信感を持たれた時代から、委員の御父君なんかの大変な御努力がありまして、今まさに信頼を持たれる時代になってまいりました。それは労使並びに私ども行政側も頑張ったんだと思いますが、そういう非常な信頼感をつくった。なおかつ、労働組合の方も一つの再統一をされたというような中で、これから今言った新しい問題に向かっていくという、まさに転換期であろうというふうに思います。
 そういう時期に、委員から今のような御質問をいただきましたことは、私にとりましても大変にこれからの仕事の励みになりますし、初質問かなという気もするのですが、第一の質問にこの問題をお取り上げいただいたということ、労働省に対していろいろな御感情もあると思いますが、ぜひとも御理解をいただきまして、ますますの御指導、御支援のほどをよろしくお願いを申し上げます。
#179
○住分科員 いろいろな御感情と、そういうことは抜きにいたしまして、私は、労働省の仕事というのは大変多岐にわたって、いろいろな省庁との調整もあって、大変難しいところだ、こういうふうに思うわけでございますけれども、結局は働く人の生活と雇用の安定、こういうものを何とか確保してもらいたいということ、それから働く人の福祉の向上、これはどうしてもやっていかなければならない、これは我々が働いて生きている限りはどうしても必要な分野であろう、こういうふうに思うわけでして、どうか変化に対応して、しっかりとした、先を見通した、先見性のある政策を
打ち立てていっていただきたい、このように考える次第です。
 きょうは少し具体的な話を伺いたい、こういうふうに思っているわけです。私は、きょうは外国人の日本における就労の問題というものをまず取り上げてみたい、こんなふうに思います。
 私どもの国というのは、先輩の皆様方が御苦労なさって経済大国となって、国際社会において果たすべき役割も非常に大きくなった、こういうふうに思います。そして、そういう問題の中から、外国人の就労問題というのは避けて通れない問題になっている、このように考えます。最近では目に見えて外国人の就労者の数がふえてきたように感じますし、外国人労働者の受け入れについては積極論もありますし慎重論もありますし、あるいは条件づきだとか、こういうような議論がございますけれども、この問題についてやはり今整理をしておかなければならない時期に来たのではないかと思う次第です。
 そこで、法務省の方にお伺いをしたいのですけれども、現在日本におられる外国の方、外交官とかあるいは公用在留というのでしょうか、そういう方を除きまして今何人ぐらいおられるのでしょうか。
#180
○町田説明員 御質問の趣旨は恐らく働く、就労する可能性のある人、こういう御趣旨だろうと思うので、それに沿ってお答えいたしますと、まず在留資格に二種類ございまして、要するに我が国での活動について制限のある在留資格、それからもう一つは何でも自由にできる在留資格、この二種類ございます。活動に制限のある在留資格のうち就労の可能な者として昨年、平成元年度に我が国に新たに入国した人は約七万二千人でございます。それから活動に制限がない者として、例えば定住とか日本人やあるいは永住者等の配偶者というようなもので入った者を加えますとこれが約一万人ちょっとということでございます。このほかに我が国にずっと永住したり定住したり、そういうことでおられる方々、これは六十三年十二月末現在でございますが、在留者数が七十三万七千人ぐらいという状態でございます。
#181
○住分科員 もう一つお伺いしたいのですけれども、日本で働きたいとか就労を目的としている外国人というのはどんな条件を満たせば入国が認められて、在留が認められて、就労が認められるのか、その条件についてちょっとお伺いをしておきたい、こういうふうに思うのです。
#182
○町田説明員 これはそれぞれの在留資格によりまして基準とかそういったものが一応決められておるわけでございますが、我が国では、委員御承知のように、抽象的に言えば我が国の社会に必要だとされるようななるべく高度な技術を持った人とか、そういう方々についてはなるべく広く入れようという考え方に立っておりまして、他方、いわゆる単純労働者については入れないという考え方、大ざっぱに言えばそういうことでございます。
#183
○住分科員 要するに私は、就労条件というか、高度な技術を持っておられるとか、それからどうしてもこの方でなければできないという仕事をなさっている外国の方、これはどんどん積極的に受け入れていかなければならない、そんなふうに思う次第なんですけれども、そうした方でも、例えば賃金の問題であるとかあるいは仕事の内容の問題であるとか、国籍による差別がないかとか、それからもう一つは社会保障制度の枠の中に入れていただけるのだろうかとか、在留期間が短いということもあってそういうこともいろいろとあろうかと思うのです。この問題についてはまだ別の機会にお尋ねをするといたしますけれども、今お答えになったように、もう一つの問題として今一番考えられるのが不法就労、こういうことだと思うわけです。この問題についてきょうは格別問題になっている話だと思いますので、ちょっとお伺いをしたいと思うのです。
 つまり、観光客を装って観光ビザで入国をする、そして出入国管理法に違反をして不法在留をして仕事をしてしまう、こういう働くケース、これが不法就労だ、こういうふうに思うわけですけれども、この実態なんですが、大体今どれくらいおられるというふうに把握しておられるのでしょうか、内容がわかればちょっとお伺いいたしたいと思うのです。
#184
○町田説明員 不法就労者の実態、それは正確には、いわば私どもの管理の基本になっております在留資格とか在留期間、これをかいくぐっている人たちでございますので正確ではございませんが、私どもの電算機等で推計したところによれば約十万人を少し超えたぐらいかなというような感じでございます。
#185
○住分科員 それは摘発した人数じゃないのですね。
#186
○町田説明員 違います。
#187
○住分科員 それで、私の生まれたところというのが黒部峡谷の入り口の宇奈月町の温泉街なんですね。ここに十五軒のホテルとか旅館がありまして、この中ではどうも最近は布団の上げおろしであるとかあるいは掃除、こういったものについて委託をしなければいけない、つまり人手が足りないということで委託をするというケースがありまして、そういうホテルも幾つか出てまいりました。そうすると、派遣をされている方の中に例えばバングラデシュとかパキスタン、要するに不法就労者の方が含まれていて、つい去年も摘発されたケースがあったわけですけれども、ではこの摘発ということについて言えば、最近は数はかなりふえているのでしょうか。最近の新しい数字と過去数年間の増減についてちょっとお伺いをいたしたい、こう思います。
#188
○町田説明員 昨年度私どもで資格外活動及び資格外活動絡みの不法残留事犯ということで摘発した数は一万六千六百八名でございました。ちなみに、例えば五十九年につきましては四千七百八十三名、六十年が五千六百二十九名、六十一年が八千百三十一名、六十二年が一万一千三百七名、六十三年が一万四千三百十四名でございます。このように毎年少しずつふえているというのが実情でございます。
#189
○住分科員 摘発された人の仕事の内容というのはどんなものでしょうか。
#190
○町田説明員 男性につきましては主として建設業等を中心としたいわゆる工事等に携わる方々あるいは雑役、女性につきましては風俗関係の業務に従事しているというのがほとんどでございます。
#191
○住分科員 余り使いたくない言葉なんですけれども、いわゆる三Kというのでしょうか、つまり汚い、きつい、危険、こういう仕事をしている外国人の方が本当に目立つようになりました。どうもその話は、どうしてもそれは皆不法就労者ということになってしまうんだ、こういうふうに思うわけです。
 ところが、その背景には、私たちの国で働く人たちがどうもそれを嫌う傾向が出てきている、そういうふうに思うわけです。三Kの仕事は外国のいわゆる単純労働者にお任せしてしまえばいいじゃないか、そういう人もいるわけですけれども、私としてはそれは国際的な日本のあり方としてはとても許しがたいことではないかな、こう考えます。ところが、現実的には日本で働きたい、こういう欲望というのですか欲求のもとに観光ビザで入国をいたしまして就労する外国人が後を絶たない、その一方で企業もまた人手不足を理由にして受け入れてしまうという循環ができつつあるように考えます。入国させてしまえばあとは利用した方がいいんだ、利用した方が勝ちなんだ、こういうような考え方が出てまいりまして、後から後から外国人労働者の不法就労というのが出てまいりますと、ちょっとこれはどうしようもないのではないかな、こんなふうに考える次第です。
 今、そういう現状につきまして労働省としてはどういうふうにお考えになっているのか、ちょっとお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
#192
○清水(傳)政府委員 不法就労者がふえている背景といたしましては、まさに御指摘のようなとこ
ろでございますし、それから、いわゆる賃金格差と申しますか、所得格差と申しますか、そうしたものが発展途上国との間で非常に大きいものがある、それからまた、我が国の最近の人手不足の広がり、それが特に中小企業にしわ寄せになって出てきている、それから勤労者意識の変化の中で職業意識が変わりつつある、そういう中でこういう現象が起こっておるわけでございます。
 御指摘のように、日本の社会のあり方として、良好でない労働条件下における業務というのを外国人の人たちにゆだねる、こういうような形になっていくということは、国際的に見ても極めて遺憾なことというふうな感じもいたしますし、それからまた、一定の職種、分野に外国人の労働者が入られますと、日本人の人たちはそこの分野ではやろうとしない、逃げていくというような現象も生まれかねない。そういたしますと、特定の職業を外国人労働者にゆだねるという形になっていくということは、ある意味において非常に危険な事態も招き寄せる可能性がある、こういった意味で憂慮すべき事柄であるというふうに思っております。
 御承知のように、入管法の改正がこの六月一日から施行されるわけでございますし、その施行準備に向けて法務省の方で今いろいろと作業を進めていただいておるわけでございまして、私どもといたしましても、できる限りの御協力をいたしまして、適正な形で外国人労働者の受け入れが行われるように努力をしていかなければならない、適正な形での就労というふうなものが行われるように努力をしていかなければならない、これは最大の努力を重ねてまいりたいと存じます。
 それと同時に、そうした分野の存在というふうなものも大きな課題として考えなければならないわけでございます。これは、端的に申し上げますならば、そういう分野における労働力不足対策をどうするかという問題であろうかと思います。これらの点につきましても、特に中小零細企業の分野において、やはり生産性の向上を中心として、労働市場というのは全く市場と言われるようにマーケットでございますので、広い意味での労働力の対価というふうなことをメルクマールとして労働力の移動が行われるというふうな形になります。やはりそういう分野における条件アップというふうなことが図られていかなければならない。これらの点につきましても、特に中小企業対策、今後、中小企業庁、通産省とも相協力いたしまして努力を進めていかなければならない、このように存じます。
 それから、もう一つ重要な問題は、特に若年者の職業意識の問題をこれから十分勉強いたしまして、価値観の問題でございますので、健全な勤労観とは何ぞやというふうなことを、お上から押しつけるとかというふうなことは非常に問題であろうかと思いますけれども、そういう面についてのアプローチと申しますか、やはりいろいろな方の御意見も伺いながら、これは民間も御参画いただかなければならぬわけでございますが、そうした面について一つの運動的なものも展開をしていく必要に迫られているんじゃないか、そういう面での研究、検討も進めてまいりたいと思います。
 さらに、中期的に見まして、一九九五年以降労働力の供給構造の問題が大きく変化するという事態もございます。そうしたことも念頭に置きながら、いわゆる外国人労働者問題について相当客観的な視点からメリット・デメリットというふうな面、いろいろな問題点、その対応のあり方、そうした点についての整理、検討も進めていかなければならぬ、このように考えております。
#193
○住分科員 今そういう認識を持たれてそういう検討をされているということ、本当に心強く思うわけでございますけれども、ここで一つ忘れてはいけないのは、やはり不法就労だぞ、こういうふうに固めてしまうと、どうしてもアンダーグラウンド的な人たちがまた暗躍をすることになりかねない。しかも、もう一つ心配をしなければいけないのは、たとえ不法就労だといっても働いている方には変わりはないわけですから、そういう方々が不当な扱いを受けたりあるいは災害に遭ったときに隠されてしまったり、そういったことがないかどうかということは常に労働省としてはしっかり見ておかなければならない、こう思うのです。労災につきましては、不法就労であろうと補償の範囲の中に入っているというふうには伺っておりますけれども、今そういう不法就労絡みで労災の認定を受けている方が一体何人ぐらいおられるのか、そしてそれは果たして本当に現実と即応したものであるかどうかということについての数字と御認識についてお伺いをしておきたいと思います。
#194
○野崎(和)政府委員 外国人労働者、特に不法就労者が労働災害に被災したケースでございますが、私どもの把握しておりますのは、昭和六十二年度は四十件、昭和六十三年度は七十一件でございます。
 これが実態をどの程度反映しているかという点でございますけれども、私どもで把握しております災害は比較的重いものが中心であるということ、それからやはり不法就労ということがわかると強制送還というような事態にもつながりますので、軽いものについては恐らく私どもの方へ申請が来ていないのではないか、これ以外にまだ相当数あるのではないかというふうに認識しております。
#195
○住分科員 それから、アンダーグラウンドのブローカー的な存在というものについてはどういう認識を持っていらっしゃるのですか。
#196
○町田説明員 委員が御指摘のとおり、ブローカーみたいな方々がおられることは事実でございます。私ども、入国管理制度の根幹というのは、外国から順番に御説明しますと、まず外国政府がパスポートを発給して、そして、そこの我が国の在外公館でビザの発給を受けて我が国に来る、そこで入国審査をする、国内へ入ってから地方入管局で在留管理をする、こういうような体制になっておるわけでございます。ブローカー、外国労働者の送出国においてもブローカーが暗躍しておりますし、また我が国内にもブローカーがいる。そういう者たちがいろいろ情報交換したり提携したりしていながら、そういういろいろな在留管理の根幹をかいくぐるように、不正にビザの発給を受けたり、あるいは旅券やビザの偽変造をするとか、入国条件を形の上だけ満たすような工作をいろいろするとか、我が国に入っても在留管理を免れるためにいろいろな偽造文書等を使ってごまかすというようなことが現実に行われております。また、そういう過程で人権侵害的なこともある、そういうことは事実のようでございます。
 私たちは、そういうことからこのブローカー等の存在が我が国として何とかしなければならない存在であるというぐあいに考えております。そういう考え方のもとに出入国管理、いわゆる入管法の改正で不法就労助長罪というものを新設させていただいた、こういうわけでございます。
#197
○住分科員 ぜひそういう面でしっかり管理をしていただきたい。
 何度も繰り返すようですけれども、いかにどんな状態でおろうとも我が国、日本で働いている人たちですから、そういう方々の人権や安全というものはどうしても守っていただきたい。それと人手不足の問題であるとか不法就労の問題というのは別にしなければならないのではないかな、このように考える次第であります。
 同時に、これからそういういろいろな問題が起きてきますと、例えば受け入れる体制をもうちょっと緩和してみたらどうだとか、あるいはそういうときに余りにも殺到してしまう、制限しなければいけない、いろいろな条件がかかってくると思うのですね。それはただ単に法務省、労働省だけでなくて外務省ともいろいろ協議をなさらなければいけないというふうに思うわけですけれども、こういう問題のときに一番大事な省というのはやはり労働省だろうと思うわけです。そして、何とか調整機能をしっかり果たしていただいて、この問題の解決の糸口をぜひつかんでいただかなければならない。そうしなければ、また国際
的にも非常に、日本という国はただ外国人の労働者を安いお金で使って、そして使い捨てにしている、こういうふうな言われ方をされかねないと思うのです。私自身にも何人かこちらに不法就労で来られた友人もいますけれども、その方々は日本で働いていった後反日感情を持たれるというケースが間々あるわけでございまして、そのことをぜひ考えていただいてこの問題に対処していただければ、こう思う次第でございます。これは要望でございますので、御答弁は結構でございます。
 時間も大分なくなってまいりまして、女性労働者の対策についてぜひ基本線だけお伺いをしたい、こういうふうに思うわけです。
 男女雇用均等法というのが施行されてから四年ということになるわけですけれども、私どもいろいろな女性の方々とお話をしていますと、やはり雇用均等法があっでそれなりに門戸は開かれたところはあるけれども、しかし、例えば総合職とか一般職に分けられてしまうのだ、そして何となく昇進に差別があるのだぞ、あるいはむしろ残業がふえてしまって家庭と仕事が両立てきないのではないかという不安感に駆られたりする、そして、例えば休みをとって戻ったときにはどうも自分の職場がなくなってしまうのではないか、こういうような不安を口にされる方に何人もお会いすることがあります。
 そのことは労働省はとっくに考えておられることだと思うのですけれども、簡単にそれは法律や何かで縛り上げるということはできないかもしれませんけれども、そういった現状についてどうお考えになっていて、そしてその方向をどう改めていこうとしているのか、よろしければ御答弁をいただきたい、このように思います。
#198
○塚原国務大臣 まず、今御指摘の機会均等法ができたことによりまして、少なくとも受け入れ態勢はきちんと整ったと思います。あと、個々の問題があると思います。それは具体的に事実事実に対して改めていかなければいけないと思いますが、問題は、しっかりと雇用の場があって、かつ女性の重要性が認められて、でもやはり女性は男性と一番違う大きなところは、男は子供を産めないけれども女性は子供を産めるというところにあるわけでございまして、するとどうしてもある程度の期間はその場合には休まなければいけないという問題がございます。ですから、まずこの育児休業の場合にどうするかということ、それからその後もう一度働きに出る場合にどうするかという、この二点につきましてはしっかりした制度を確立していかなければいけないわけでございます。
 そういった面で、現在育児休業制度、今回の春闘でも大きな企業の中では大分テーマになったようでございますし、再雇用の問題につきましても随分テーマになったというふうに伺っておりますが、これをやはりもう一歩進めて法制化をしたらどうだというような御議論もございます。ただ、これから均等法が通って確保できて、女性が本当にその職場でより重要性を持って働いていくためには、この育児休業制度というのは特に避けては通れない問題でございますから、それであればあるほど、より皆さんにその制度の御理解と正しい認識をしてもらわなければいけないわけでございますので、そこで、それがしっかりできた時点でさらに一歩進めるということはもしかしたらあるかもしれません。今のところは労働省としては精いっぱいその制度の理解、認識をしてもらうような努力をしている最中でございます。
#199
○住分科員 御丁寧な答弁ありがとうございました。
#200
○戸井田主査代理 これにて住博司君の質疑は終了いたしました。
 次に、山口那津男君。
#201
○山口(那)分科員 私は、外国人労働者の問題についてお尋ねいたします。
 まず冒頭に、労働大臣の選出の選挙区であります茨城二区、こちらは日立製作所あるいは日本鉱業等の大企業傘下の中小企業がたくさんある町であろうと思います。かつて、技術者等外国人労働者も数多くこの町に来たこともあろうかと思います。大臣の御認識として、今この大臣の選挙区における外国人労働者の実態、合法不法含めてどのような感触をお持ちでしょうか。
#202
○塚原国務大臣 技術者の方とかあるいはその働く人たちに食料を提供してくださるいわゆる調理師の方とか、技術を持たれた方が非常にすばらしい活躍を私の地元でもしていただいております。
 それに加えまして、何といっても中小企業中心の町でございまして、中小企業が日立市をつくったということも言えると思うのですが、そういう状況の中でかなり人手不足感は深刻化をしておりまして、大臣になる以前、この前の選挙のときでございますけれども、私ともう一人梶山さんと二人自由民主党の国会議員がおるのですが、二人とも、ほかの地域にない非常に特徴的な傾向としては、中小企業の経営者とそこで働く方々が後援会のかなりの部分を占める、そういう支援体制で選挙に出ているという非常に特徴的なものがございます。
 そういった中で、その企業の経営者の方あるいは働いている方々から、人が足りなくて困る、ついては外国人を雇いたいのだというようなお話というものが随分私どもの方に参りました。そういったときに、いろいろな状況等の御説明を申し上げまして、例えば学生アルバイトの場合は二十時間ぐらいは認められているにしても、全体的に、いわゆる専門職でない部分、単純労働については不法になるケースが大きいのだというような説明をすると、何でいかぬのだ、もしかしたらあなたたちは戦争中の徴用のような形で我々が雇いたいと思っていると思っているのじゃないか、それは違うと彼らは言うわけです。だから、きっちり給料も払うしやることはやる、そこまではいいのですけれども、その次の話として、だけれども俊平さん、やはり給料はかなり安くていいのだろう、その話が必ずつくわけでございまして、やはりそういった面で、先ほどの議論にもございましたけれども、三Kに対して外国人労働者の方にちょっと手助けをいただきたいという気持ちは大変に多いなというような印象を受けました。
 それからもう一つ、労働大臣になってからさすがにそういう正々堂々とした話はないのですが、選挙中一衆議院議員候補であった場合には、外国人労働者を雇っていることに対して、現実に不法の場合でも余り罪悪感が雇用者の方にはないというような傾向がございまして、これもやはり一つの大きな問題だなとそのときは認識をいたしておりまして、その認識は今も続いております。
#203
○山口(那)分科員 私の選挙区は東京十区というところでありまして、足立区、葛飾区、江戸川区、御承知のように中小企業の大変多い町でありまして、今大臣の申されたと同様の実態があるわけであります。
 そこでお尋ねいたしますが、いわゆる出入国管理法についてこのたび改正が行われ、六月一日から実施と伺っております。政省令の制定を含めて、これからのこの法令の運用方針、特に不法就労については罰則が設けられたわけであります。また、附則の十一項でしたか、罰則の適用に関する経過規定もございます。その運用方針について、法務省の見解をお伺いいたします。
#204
○町田説明員 ただいま入管法の改正の施行のために政令等の準備を一生懸命やっている、最終的な準備段階に入っておる、こういう状況でございまして、いわゆる不法就労者に対する対策、これにつきましては、基本的な考え方は全く前と同じでございます。
 ただ、入管法の改正によりまして、主として不法就労者対策で三点ございます。その第一がいわゆる就労資格証明書、これによって雇い主の方々も雇っていいかどうかということもわかりやすくなるかなということが一つございます。それから第二点といたしましては、資格外活動についての制限の内容が非常に明確になってきた、適用しやすい形になったわけでございます。それから、第三点が不法就労助長罪ということでございます。
 この不法就労助長罪ができたわけでございます
が、私ども、法律的に言いますと、もともといわゆる助長罪で処罰されるような形態のものは、かなりのものがいわゆる幇助犯とか教唆犯というような形で旧法下でも処罰されるようなものであったわけでございます。ただ、それがより強力に、いわばわかりやすくするといいましょうか、というようなことを考えまして、独立にしてもう少し外国にも適用できるようにするとか、そういう適用しやすい形にしたわけでございます。そういうことで今度は、今まで幇助犯というような形であったのですが、直接処罰されることになりましたので雇う方々についても非常に認識が深まりやすくなったのではないか、こう思うわけでございます。そういうことから行政的に、いわば不法就労者は余り雇わないようにしてくださいよということが言いやすくなっている、こういう面があると思います。したがいまして、そういうことを踏まえまして、いろいろな各種の行政機関あるいはいろいろな団体等を通じて、そういう不法就労者を雇わないようにというキャンペーンをやりやすくなってきていると考えております。
 もう一つは、不法就労助長罪を直接に適用する警察あるいは検察庁、裁判所等の問題になるわけですが、そういう司法機関の方で不法就労助長罪の新設の趣旨を十分生かしていただいて適切にやっていただければありがたい、それについて私どもも積極的に協力していこう、こういう考えでおるわけでございます。
 それから、先ほどもう一ついわゆる附則の問題、附則十一項でございますか、それの御質問があったと思うのですが、これにつきましては、いわゆる不法就労助長罪、七十三条の二に規定してございます。その構成要件に該当するような者でありましても、その外国人が新法施行の六月一日より以前に我が国に在留しておって、その後引き続きずっといるという人を雇っているような場合、これについては処罰を免除しましょうという考え方でできているものでございます。これは、要するに不法就労助長罪が、外国から新たに我が国に入ってくる不法就労者のいわゆる吸引力になっている、あるいはそれを助長する人たちをそういうふうにさせないようにしようという考え方でできているものでございますから、既にそういう入っている者については若干その趣旨が弱くなるし、また、実際には我が国に長いことおられる人もいて、ある程度生活関係ができてしまっている方もおられるかもしれない、そういう事実状態も若干尊重しなければいけない、こういうような考え方から十一項を入れたわけでございます。
#205
○山口(那)分科員 罰則とまた別に在留資格については項目がかなり拡大をされたわけです。この意味では一見門戸が広がったように見えるわけですが、いわゆる単純労働目的で不法就労にある外国人が、他の拡大された在留資格のいずれかには該当する可能性があるという場合に、この在留資格の変更等の手続が可能であるか、また、その実際の運用についての方針についてお伺いいたします。
#206
○町田説明員 私ども実務を預かる者といたしましては、個別の案件を見て、在留資格ごとにまた違いますので、それを見ながら、こういう場合ならいいかな、これはまずいだろうとか、そういういわば個別ケースで処理しないといけないという面がございますので、一般的にはちょっとお答えしにくいわけです。
#207
○山口(那)分科員 それでは質問の仕方を変えますけれども、この抽象的な在留資格が広がった分だけその在留資格の変更の可能性は一般的には広がった、このように理解してよろしいですか。
#208
○町田説明員 法律的にはおっしゃるとおりであろうと思います。私どもとしては、主として、入国しやすくなってくる、そういう面が非常に大きいのではないかなと考えておるわけです。
#209
○山口(那)分科員 その場合、例えば外国の大学を卒業している資格のある方で観光ビザで来て今不法就労している方が、日本の大学に留学といいますか、また入学して日本で学びたいという場合に、その在留資格の変更を申請した場合、いかなる効果が出ましょうか。
#210
○町田説明員 御質問のケースは非常に困ったケースでございまして、その不法就労している方々は我が国に適法に在留する在留資格を持っていないわけでございます。したがいまして、在留資格の変更ということがあり得ない、そういうことなので、御質問ではございますが、ちょっとまずいのではないかと思います。
#211
○山口(那)分科員 そうしますと、いずれにしても不法就労の外国人労働者については、我が国に適法に滞在するためには、一たん帰国をして、それでこの拡大された在留資格のいずれかに基づいて入国し直す、こういう方法しか法律上ないということになりますか。
#212
○町田説明員 法律的に見ますと一つだけ道がございます。それはこういうことでございまして、不法就労外国人につきましては、入管法の二十四条に該当するわけでございますが、二十四条にいろいろ具体的に書いてございまして、それの各条項に該当する人はいわば日本から追い出します、そういう退去強制事由が定めてあるわけでございますが、その中におっしゃる話は入っているわけでございます。
 そうしますと退去強制手続きというものがその人については開始される。いわば裁判みたいなものでございまして、その過程で、いわば刑事裁判などでいえば最高裁判所に当たる法務大臣のところで特別在留許可というものがございまして、それに当たる外国人であれば、一たんは在留資格はなかったのですが、最終的にそういう特別在留許可という形であり得るということはできるわけです。
 ただ、いかなる場合にその特別在留許可をするのかというのは、やはりそれは無制限ではございませんで、非常に限定されております。しかし、法律的な道としてはそういうものがあるということでございます。
#213
○山口(那)分科員 今るるお話のあった点については、当の外国人労働者自身はほとんど理解をしていないのが実情であり、また、雇用者の方々もかなり無理解であるというのが実情であろうと思います。それに対して法務当局としては、この改正法の趣旨について、現状を尊重しながらどのようなPRといいますか指導をしていくか、この点についてお伺いをします。
#214
○町田説明員 私どもといたしましては、既に講演会あるいはそういう説明会というようなことを独自にもやっております。それからまた、再三にわたりましてマスコミ関係者にも御説明したりいたしております。ただ、こういう問題はかなり技術的な要素がございますので、一般の方々にわかっていただきにくい面があろうかと思います。そういうことがございますので、これからもますますそういう活動、これを積極的に展開してまいりたいと思っております。それにつきまして、例えば労働省等にも御協力を願ってやっていければと思っております。
#215
○山口(那)分科員 私どものところに来る相談事は非常にこの点が多うございまして、適用後あすにでも摘発され強制退去を求められるのではないか、そういう不安を訴える声が非常に強いわけであります。肝心なのは、やはり中小企業等で外国人労働者を雇っている、そういう人たちに声が届くということが大事なんでありまして、単なるマスコミ等のPRだけでは不十分であろうと思います。また、政省令についてもまだでき上がっていないということであるとすれば、これも早急に整えて、あわせて指導の実を上げられますように強く望んでおきたいと思います。
 続いて、この不法就労者の実数については法務省としてはどのようにとらえていらっしゃいますか。
#216
○町田説明員 不法就労者の実数は、先ほどもお答えいたしましたが、いわば私どもの管理の、何というのでしょうか、技術的なものでございます在留資格とか在留期間、これをくぐり抜けている方々でございますので正確には把握できていないわけでございますが、私どもが電算機等を使いま
して推計しているところでは、十万人を幾らか超えているかな、そういうような感じに見ております。
#217
○山口(那)分科員 そのような大量の不法就労者がいる状況のもとで、六月一日以降この不法就労者が徐々に減っていくのか、あるいはその見込みがかなり薄いのか、この点についての見通しをお聞かせください。
#218
○町田説明員 大変難しい御質問だと思います。あえて申しますと、ここ数年不法就労外国人が激憎いたしております。そういう過程にございますので、私どももこれを何とかしなければいけないというさまざまな努力の一環といたしまして、入管法の改正をやらせていただいたわけでございます。それは一つの手段でございますが、そういうことで、今後もその改正の趣旨を生かしまして努力してまいりたいと思っております。
 それから、不法就労外国人問題というのは、委員も御承知のとおり非常に根の深い、社会的背景の大きな案件でございまして、法務省の入国管理局だけで対処できる問題ではないと思っております。したがいまして、これは政府を挙げて取り組むべき課題なのではないかなと我々は思っております。そういう意味で、ほかの関係機関とも協力しながら有効に対処していくべきであろうという考え方でおります。
#219
○山口(那)分科員 そこで、外国人の不法就労のふえる背景の一つとして中小企業の求人難があるわけです。この雇用対策として、労働省はどのような有効な手だてをとるおつもりでしょうか。
#220
○清水(傳)政府委員 人手不足感に非常に広がりが見られる、特に中小零細企業にそれが大きい、これは現実に、私どものデータで欠員率というのがあるのでございますけれども、それで見てみましても、全体の平均としては四・六%ぐらいなのですが、大企業の場合は一%程度でございます。しかし、中小零細になるとこれが六とか八とかいう偏りを見せております。
 ただ、全体といたしまして、いわゆる高齢者の雇用の問題あるいは地域的にまだ改善が十分進んでない問題、それから、産業的に見ましても職種的に見ましても、例えば事務職系統などでは求人倍率は非常にだぶだぶしておるという形でございまして、いわゆる労働力需給のミスマッチというものがかなり広範に存在する中で中小零細企業を中心としての人手不足がある、こういうのが現在の状況でございます。
 したがいまして、労働力不足を解消するということは、基本的にはこうした労働力需給のミスマッチの解消、こういうことが現時点におきましては一番中心的な方策になってくるわけでございます。
 この起こってくるゆえんのものはいろいろあるわけでございまして、一つは、求人者サイドにおきましても若年者志向というものが物すごく強くございます。今まで、外国人労働力の話もございましたけれども、そうした外国人労働者を雇いたがっておられる企業、中小零細企業などで高齢者をどの程度雇用していただいているのか、定年制の状況がどうなっているか、そういうものを見ましても、五十歳代の定年制を持ちながら、やはり外国人労働者を雇いたいという形のところも事例として出てきておるわけでございます。
 また、求職者の方といたしましても、職業観が非常に大きく変容していると同時に、いろいろな業種、業態のここ数年の産業の高度化の中での職種の変化、そういう中身についても十分御理解をいただいていない、あるいは、特に新卒、学卒の場合、学校の先生方のそういう面での影響力が非常に強いわけでございますが、やはり固定した観念のもとで就職先を御指導いただく場合もございます。そうした面におきます正しい情報あるいは考え方を、求人者、求職者双方に十分御理解をいただく努力がミスマッチ解消のためには極めて重要であると思っております。
 情報提供といたしましては、安定所をオンラインで結んでおります総合的雇用情報システム、これは全国の状況が全部わかるシステムでございまして、それを活用して提供していく。それから、求職者、事業所双方に今申しましたような意味合いでの情報提供なりガイダンスを積極的に実施する、あるいは合同選考会を行っていくというミスマッチ解消の努力をいたしますと同時に、中小企業そのものの魅力ある職場づくりが非常に大事なことでございます。個々の努力だけではなかなか行いがたい面もございますし、こうしたものについては業種ごとあるいは地域ごとに共同して取り組んでいただく努力を我々は助長、助成をすることが非常に重要であろうと思っておりまして、そういうようなことを通じまして人手不足対策を進めてまいりたいと考えております。
#221
○山口(那)分科員 外国人労働者にも労働基準法あるいは労災等の適用は当然あろうかと思いますが、不法であるがゆえに労働保険を掛けにくいとか、それらの具体的な問題について相談がしにくいとかいう実態もあろうと思います。手厚く処遇したいと思っても、出入国管理の方針とのジレンマに陥って中小企業主としてはどうしていいかわからないという実態もあるわけです。
 そうした背景を踏まえて、例えば自治体の葛飾区役所等においては、外国人の相談コーナーを設けまして英語、中国語の堪能な相談員を置くということも始めました。しかし、それらの相談員も必ずしも出入国管理や労災関係の法令に通じた人ではありませんので、適切な説明ができるかどうかわかりません。
 そうした中で、法務あるいは労働関係各省庁におかれましては、日本人であるところの雇用者あるいは働く立場である外国人労働者に対しての開かれた相談窓口をぜひとも設けるようにお願いしたいと思うわけであります。これについて労働省としてはどういうふうにお考えになりますか。
#222
○野崎(和)政府委員 先生御指摘のとおり、労働基準法、最低賃金法等は日本国内で働く労働者の労働条件の最低基準を法定したものでございますので、外国人労働者であろうと不法就労者であろうと適用されるべきものと考えておりまして、決して不法就労を容認する趣旨ではございませんけれども、こういった法律の適用関係を含めまして、事業主の方々に対しては説明会等を開催しているところでございます。
 また、外国人は、合法就労者、不法就労者を含めまして、日本語ができないとか日本の労働慣行にふなれということがございますので、全国の労働基準局の中の主要な局に私どもも相談コーナーを設けまして外国語のわかる職員を置いております。そこに相談に来た場合に結局不法就労ということがわかって強制送還につながるということですと、相談に来られない。実は相談コーナーを開催した当初はそういうふうに伝わりまして開店休業の状態になったこともございますけれども、そういう趣旨で設けているわけではございませんので、直接は法務省等への通報にはつながらないということで運営しているところでございます。
#223
○山口(那)分科員 ぜひとも法務当局においても工夫を凝らしていただきたいと思います。
 時間もありませんので、次に参ります。
 労働時間短縮の問題についてであります。公務員について、例えば休日が新しく設けられた、あるいはフレックスタイムが導入された、これらの手だては労働時間短縮に効果があるとお考えでしょうか。
#224
○椎谷説明員 お答えいたします。
 公務員の週休二日は、言ってみれば、ほかの場合と違いまして民間企業の労働時間短縮にはかなり効果があると見ておりまして、国のレベルにおきましても関係閣僚会議等で率先して週休二日に向けて努力をしている、それに伴いまして民間企業の週休二日あるいは労働時間の短縮が進んでいる、こういうふうに思っております。
#225
○山口(那)分科員 フレックスタイムについてはどうですか。
#226
○椎谷説明員 まだ国家公務員に関してフレックスタイム制というのが導入されてはおりませんので、その辺これから検討しなければいけないかと思います。
 民間企業でも、現在、私ども今手元に詳しいデータがございませんが、一四・七%くらいの企業がフレックスタイム制をとっている、特に大企業の場合でございますが。そういうことからいきますと一定の効果があるかなというふうには思いますが、公務員の関係につきましては、まだ私どもとしては検討していかなければいけない課題だと思っております。
#227
○山口(那)分科員 地方自治体において、休日あるいはフレックスタイム制をとるとした場合について、これも時短の促進の効果がその限りであろうかと思いますけれども、自治体等からそうした地方の休日、フレックスタイムの導入について労働省に相談があった場合には、どのように対応をされるおつもりでしょうか。
#228
○椎谷説明員 労働省としましては、今申し上げましたように、時間短縮を進める上では地方で積極的に労働時間の短縮に向けてさまざまな努力をしていただくということは大変結構なことだというふうに思っておりまして、労働省としても、都道府県との連携をとりつつ、いろいろな労働時間短縮対策を進めておるところでございます。
 お話しの、地方公共団体でのフレックスタイムあるいは特に休日の問題になりますと、これはほかの地方公共団体との関係あるいは国の行政との連携、さらに住民に対するサービス、そういったさまざまな問題がございまして、事休日に関しては地方自治法上認められないというふうに聞いておりますので、それはちょっと無理かなと思いますが、例えば地方自治体が音頭をとりまして、ある一定の、例えばお祭りのときに皆さん年次有給休暇をとって、地域ぐるみで時間短縮に進んで頑張っていきましょうというようなことはできるかなというふうに思っております。
#229
○山口(那)分科員 最後に自治省にお伺いしますが、地方自治法によって休日の規定が設けられたわけでありますけれども、土曜日については、これは国あるいは地方の行政の一体性、円滑性を確保するために、これに限定をしたものだというふうに理解されているようです。この土曜日については、現状では各地方公共団体ばらばらに休みをとっておる、その限りでは一体性が損なわれる面もあろうかと思います。しかしそれは法の許容するところである、こういうふうに理解していいのだろうと思います。
 だとするならば、そういうわずかな一体性に欠ける面があったとしても、その趣旨に反しない限りは地方の休日というものはもっと幅を広げてとらえることができるんじゃないか、このように思います。労働省としては、労働時間短縮に向けては大いに望ましいことであるという今のお答えもありましたので、自治省としては地方自治法の解釈についてどのような見解をとられるか、今私の聞いた視点からお答えいただきたいと思います。
#230
○谷本説明員 確かに、労働時間の短縮という課題につきましては、これはやはり現下の大変大きな課題の一つであろうというふうに私どもも認識をしておるわけでございます。そういうことで、昨年一月、この自治法の一部改正というのを施行いたしたわけでございます。それによりまして、地方公共団体の休日制度というのを整備をいたしたわけでございます。
 先生御指摘のように、その地方自治法の第四条の二では、二項に定める日以外は地方団体は条例で休日を定めることができないということでございますので、これは限定列挙ということでございます。そういうことでございますので、これは理由は先生既に御承知のことと思いますので、ここでは繰り返して申し上げませんけれども、土曜閉庁の導入に伴いまして、地方公共団体が休日を定めようという場合には、地方自治法第四条の二第二項に定める日以外については休日は認められないということでございます。
#231
○山口(那)分科員 土曜休日が完全に実施されるとすれば自治法の休日はすべて満たされたという状態になるわけですから、新たな休日の可能性について検討する時期も参ろうかと思います。それに当たっては、ぜひ柔軟な、地方の休日促進の方策を考えていただきたい、このように申し上げまして、私の質問を終わります。
#232
○戸井田主査代理 これにて山口那津男君の質疑は終了いたしました。
 次に、小沢和秋君。
#233
○小沢(和)分科員 私は、まず労働時間の短縮についてお尋ねをいたします。
 自動車、電機の二業種で対米黒字の大部分を生み出していることはよく知られておりますが、この二業種だけに限らず、多くの産業でのすさまじい国際競争力の根源は、何といっても我が国の労働者の労働強化、過労死が国際語になるほどの長時間過密労働にあると思います。そのことはしばしば国際的な非難を引き起こしてまいりました。
 今度の日米構造協議でも、中間報告では改めて労働時間の短縮を約束させられていると思いますが、どうなっておりましょうか。
#234
○野崎(和)政府委員 日米構造協議の中におきましては、内需の拡大という見地から、労働時間短縮につきましても協議の話題の一つになっているわけでございます。その結果を受けまして、特に公務員を中心とした完全週休二日制の実現に向けての規定が内容に盛り込まれております。
#235
○小沢(和)分科員 民間部門についても、労働時間を短縮するため、その啓蒙普及を図るということになっているでしょう。――それはいいです。
 それで、政府はこういうような国際的な約束を実現するために今時短の目標を掲げて取り組んでいると思いますが、どういう目標を掲げているか、そして、それをやり上げるというと、日本経済に内需の拡大とかあるいは雇用創出効果などでどういうようなことが期待できるとお考えか、お尋ねをします。
#236
○野崎(和)政府委員 政府の労働時間短縮の目標は、御承知のとおり経済運営五カ年計画に定められておりまして、経済計画の期間中に、具体的には平成四年度末までに週四十時間労働制を実現する、それから、年間総労働時間を千八百時間に向けてできるだけ短縮するということを目標にいたしております。
 その目標が達成されたときの内需の拡大あるいは雇用の増加でございますが、これはいろいろな試算がございまして必ずしも正確なことは申せないと思いますが、内需の拡大でいえば、数兆の単位の内需の拡大が期待できるであろう、また、雇用の拡大については、数十万人の単位の拡大が期待できるだろうというふうに思っております。
#237
○小沢(和)分科員 私は、そういう目標をぜひ実現していただきたいと思っているわけですが、この前、予算委員会でも、大臣に、今残業時間が非常に全産業的にも長くなっている、特に私が問題にした自動車産業などの場合には百時間ぐらい長くなっているということを申し上げたわけでありますけれども、そういうように、実際には短縮の目標を掲げながら延びている現状をどうするのかということについで今どのように取り組んでおられるのか、改めてお尋ねをしたいと思います。
#238
○野崎(和)政府委員 我が国の労働時間の実情でございますけれども、先生よく御承知のとおり、大企業におきましては週休二日制が非常に進んでおりまして、その関係で所定内労働時間は短くなっているわけでございますけれども、残業時間が長いという形になっております。中小企業におきましては、週休二日制がおくれておりまして所定外労働時間が長いのでございますが、残業が比較的短いということで、大企業、中小企業あわせまして、ともに二千百時間前後というのが現在の姿でございます。
 御指摘の電機、自動車につきましては、特に最近の景気の非常な好調を受けまして、特に自動車などでは残業時間が非常に長くなっているということも否めない事実だと思います。しかしながら、我が国において残業時間の位置づけと申しますと、これもよく御承知のとおり、我が国の雇用慣行のもとで業務の繁閑による生産量の調整を、雇用量ではなくて労働時間、時間外労働によって行うという慣行がございまして、そういった慣行のために、どうしても景気の上昇期には時間外労
働が長くなる、しかしながら景気の下降期には時間外労働がまた大幅に短縮するということもございまして、好況不況の両者の平均的なところで残業時間の問題は考える必要があるというふうに思っております。
 しかしながら、いずれにいたしましても現状は好景気のためとはいえ残業時間が大企業を中心に非常に長くなっているということは事実でございますので、労使の努力によってこれが短縮されるよう私どもも強く期待し、指導してまいりたいと思っておるところでございます。
#239
○小沢(和)分科員 私は、企業というものは、できるだけのもうけをひねり出すためには、働く人はできるだけ減らしながらその人たちから最大限の労働を引き出すという立場で努力をするものじゃないかと思うのです。だから好況のときは好況のときで、不況のときは不況のときでそういうふうに努力をしていく。だから、公的な機関がよほど頑張ってそこの規制をしていかないというと、結局は、ただ啓蒙をするという程度のことだったら、労働時間は皆さんが短縮という声をかけている中でずるずると延びていくということになるんじゃないかと思うのですよ。
 私の地元は新日鉄、私自身もそこの出身でありますけれども、鉄鋼の場合などで見てみますというと、数年前に、円高で、このときは、不況になるぞ、特に海外との競争力がなくなる、このままだったら大変だといって大騒ぎして、それで古い、といっても私たちから見れば余り古くないが、施設はどんどんとめて、そして労働者をずっと減らした。減らすためには、いわゆる職場丸ごと出向というようなことで、有無を言わせず出向させるというようなことで裁判になるというようなケースまであちこちで起こっているのです。ところが、そういうふうにしたさなかに景気がよくなってきたというので、人をぎりぎりに減らした中で今度は生産の増大に対応する、だから鉄鋼などでも物すごい労働時間の延長になっているのですね。
 そちらの方からいただいた資料では、やはり残業時間が百時間くらい延びて、総労働時間では二千五十三時間から二千百四十九時間ということになっている。だから、人をぎりぎりに減らしたところでそういう好況になったから、労働者には長時間ひどい労働を押しつけて、会社の方は笑いがとまらぬような状況に今なっているわけです。こういうふうに、景気がよかろうと悪かろうと絶えずそういうふうな方向で努力をするのが企業だということだとすれば、もっと公的な厳しい規制をしなければだめなんじゃないでしょうか。
#240
○野崎(和)政府委員 今日に至ります経緯はただいま先生御指摘のとおりでございまして、オイルショック後の不況が非常に長く続きましたので、企業としては減量経営と申しますか要員の抑制を図らざるを得なかった、そういう期間が十年近く続いたわけでございますが、二、三年前から急激に景気が回復いたしまして、それと同時に労働力自身が不足するということで、要員の増加もままならないということで急激に残業が増加したというふうに認識しております。しかしながら、残業の増加も昨年の夏ごろをピークにいたしまして時間外労働は減少に転じておりまして、現在全産業平均で年間百九十時間ぐらいでございますけれども、これで頭打ちになっているのではないかというふうに思います。
 しかしながら、経済計画の千八百時間ということを達成するためには、残業の部分で申しますと年間百五十時間にしなければならない。それを四十時間ほどオーバーしておりまして、この後不況期のことを考えましても、現状は少し残業は長過ぎるというふうに私ども認識しておりますので、そういった短縮の努力を続けてまいりたいと思います。
#241
○小沢(和)分科員 いや、だから具体的にどういう努力をするのかということが、先ほどから抽象的でさっぱりわからぬわけです。もっと具体的に、例えば労働基準法などを改めて週四十時間制にするとか、あるいは今残業の規制は告示によって行っておるようですが、私が承知しているところでは、昨年二月の労働省の告示では年間四百五十時間、これでは余りにも枠が大き過ぎるのではないかと思うのですね。それから、休日などについても完全消化をすることをむしろ義務づけていく、こういったような具体的な強化策を講じないというと進まないのじゃないですか。
#242
○野崎(和)政府委員 私どもの具体的な施策の一つは、ただいま先生御指摘のとおりの時間外労働のガイドライン、一カ月五十時間、年間四百五十時間というのを設けておりますが、これ自体はいわば、いかに忙しい場合でもこれを超えないでいただきたいということでございまして、これが標準的と申しますか、ある程度許容できる残業時間だとは思っておりません。現実には労働組合等では年間百五十時間程度ということを目標に掲げている組合も多いようでございます。
 それから、御承知のように時間外労働というのは、工場、事業場ごとに労働者の代表と時間外労働協定を結びましで、その範囲内でしかできないわけでございますので、基本的にはそういう労働者の意向が残業の時間の長さには反映するシステムになっているということでございます。しかし、そういった状態のままでは現状のようになり、それがやや長過ぎるということも御指摘のとおりでございますので、これを具体的に縮めるためにはどうしたらいいかということを、現場部門の労働者の場合と、それから間接部門と申しますか第三次産業と申しますか、事情が違っておりますので、そういった部門についではどうしたらいいか、そういうことについての研究を鋭意進めてまいりたいと思っているところでございます。
#243
○小沢(和)分科員 今、全体として労働時間の延びも去年の夏ごろですかで頭打ちになってきたといったような楽観的なお話もあるんですけれども、私、ここでもう一つ問題を出したいのは、労働時間の実態というのは、労働省の方が把握をしているのは実情よりははるかに短いのではないかということです。どういうことかというと、いわゆるサービス残業というのが非常に最近広がってきているのではないか。
 私の地元北九州には安川電機という会社がありますが、これは私も実際にその労働者の申告を応援をしたからよく知っているのですけれども、小倉工場では残業しても自主的に残って働いたという形にして全く残業手当が払われてないということを問題にして、これについては払わせるようにしたはずです。そのいきさつについてちょっとここで説明してください。
#244
○氣賀澤説明員 御指摘の事案につきましては、昭和六十三年の七月に、北九州東労働基準監督署に当該事業場の労働者から時間外労働につきまして割り増し賃金が支払われていないというふうなことを中心として申告が行われた事案ではないかと考えております。
 この申告を受けまして、所轄の署で監督指導を実施をいたしまして事実関係を調査いたしましたところ、一部の労働者について時間外労働について割り増し賃金の支払いがなされていないという事実が確認できましたので、その是正の指導を行いますとともに、適正な労働時間管理について指導を行ったところでございます。
#245
○小沢(和)分科員 私の記憶では、それはごく一部の労働者だけれども、もう一千万円を超えるようないわゆるバックペイというのですか、払われたわけであります。そのとき私たちも指摘をしておいたのですけれども、その労働者が所属しているごく身の回りの人たちだけについて確かに確認できたということで払われたわけですけれども、工場全体でそういうことが横行しているということを私たちは指摘をして、それを改めて調査をして、その人たち全体について払わせたら何億円ということになるだろう、だから、それについてもよく調査をして、バックペイも含めて措置をしていただきたいということを申し上げたのですが、そのことは一体どうなっておりましょうか。
#246
○氣賀澤説明員 私ども監督指導を実施いたしましたのは、全体の労働者につきまして調査をいたしたわけですけれども、監督機関といたしまして確認ができましたのが一部の労働者についてでございます。その部分について是正の指導をいたしたわけでございます。
 そのほかの労働者あるいは全体としての適正な労働時間の管理につきましてもあわせて指導いたしまして、その結果といたしまして、事業場からの報告によりますと合計百四十名につきまして約一千万円についての支払いが行われたというふうに承知をいたしております。
#247
○小沢(和)分科員 いや、その一千万というのはあくまで私たちが提起をしたそのごく周りの人たちだけなんです。もっとあるんですよ。
 それで、私はそれについてはさらに努力を要請しておきますけれども、申し上げたいのは、自主管理活動だとか、さっきもフレキシブルタイムというのが問題になったけれども、いろいろな手法で、自主的に働いているからいいじゃないかというようなことで、残業と実際に時間内に働いているところとの境界がわからないような仕組みにして不払いの労働が広がっている。だから、実際には労働時間はそれを加えたらずっと長くなっているということを私はここで言いたいわけであります。
 そこで、大臣にこの問題の締めくくりとして、そういうような問題も含めてあなたのときにこの問題について抜本的な解決の方向が出たと言われるようにひとつ頑張っていただきたいと思うのですけれども、大臣の決意を伺いたいと思います。
#248
○野崎(和)政府委員 その前に事実関係を若干補足させていただきたいのでございますが、いわゆるサービス残業ということがあるということは世間でよく言われるのでございますが、その言葉は非常に多義でございまして、御指摘のように、現実に労働基準法上の時間外労働が行われているのにそれを割り増し賃金を払わないというケースも確かにございますけれども、そうではなくて、文字どおり本人が場合によっては会社の制止を振り切って進んで仕事をしてしまうというケースも現にございまして、その辺の境界が非常にあいまいでございます。
 しかしながら、労働基準法に定める時間外労働については当然時間外労働手当を払うべきものでございまして、私どもそう指導しているところでございます。
#249
○塚原国務大臣 時間短縮の方は、これは本当に国民的に進めていかなければいけないのですが、今のサービス残業についてのお話でございますが、使用者が労働時間の正確な把握を怠って、時間外労働に対して支払われるべき賃金が支払われないというようなことは、これは労働基準法に違反する事態でございまして、このような事実を確認した場合には、時間外労働に相当する賃金の支払いを行わせるとともに、今後の是正について厳正に指導をいたしてまいります。
#250
○小沢(和)分科員 私は、大臣には包括的に労働時間の短縮全体についてどういうふうに指導されるかという決意を伺いたかったのですが、その点については十分決意を持って対処されるということだと思って、時間がありませんから先へ進みます。
 次にお尋ねしたいのは、育児休業の法制化の問題であります。
 御存じのとおり日本の女子雇用者は千六百七十万に達しまして、雇用者総数の約三七%、この三十年間で二倍にふえているわけであります。その六七・五%が既婚者であります。ですから、大部分の女子労働者が育児や家事などで苦労しながら働いているということになります。既に我が国では、関係労働者の運動などの成果でもありますけれども、部分的には育児休業制度が法制化されておりますが、私は、これを一日も早く全体に普及していかなければならないと思います。
 大臣にお尋ねしたいのですが、そういう方向で取り組んでいかれる決意をお持ちかどうか。
    〔戸井田主査代理退席、主査着席〕
#251
○塚原国務大臣 育児休業制度というのは、これは本当に大切な、特に男女雇用機会均等法ができて女性の職場での重要性が今認められたときですから、これは絶対に必要な制度だと思います。ならばこそ皆さんにより正しい理解をしてもらって、認識をしてもらって、それをしっかりとした上でやはりその次の段階に進んでいきませんと、まだ余り認識もないうちにぼんと法制化という話になっちゃいますと、あれあれというので焦るような部分も随分出てくるのだと思うのです。
 ですから、今のところは労働省としましては、必要だし大切だからこそ、ともかく何とか制度が認識をいただくように定着に努力するというようなことで一生懸命努力をいたしておる最中でございます。
#252
○小沢(和)分科員 その認識はかなり広がってきているのじゃないでしょうか。昨年夏の人事院勧告でも、育児休業制度や看護休暇制度が検討すべき課題として盛り込まれておりますし、ことしの春闘では電機産業で一斉にその制度を導入することにもなっております。
 私は、むしろ労働省の内部でどのような検討が積み重ねられていっているかということをこの機会にお尋ねしたいのですが、四月十日に発表された雇用政策研究会報告では、労働省が従来オウムのように繰り返して言ってきた助成金制度をてこに普及を図るという方針を一歩進めた表現として、育児休業制度についてはその「確立に向けた総合的な対策を検討すべきである。」というふうに述べております。私は、さらに一歩進めていくためには、婦人少年問題審議会でこれを引き続いて諮問していただいて検討していくという方向に進まなければならないと思うのですが、どうも今のところそういうような動きが見られないような感じがするのですが、この点どうなっているか、大臣の決意も含めてもう一度お尋ねをしておきたいと思います。
#253
○佐藤(ギ)政府委員 その前にちょっと事務方から申し上げさせていただきたいと思います。
 先ほど大臣からも申し上げましたように、働きながら子供を産み、育てていく女性がふえておりますので、そうした方々が職業生活と家庭生活を両立できるようにしていくということは大変重要なことでございまして、今御指摘もございましたように、育児休業制度の普及それから機運の醸成は私ども全力を挙げているところでございます。また、先ほど御指摘ありました報告でも、確立に向けて総合的に努力していくということでございます。その線でやっているわけでございますが、審議会の問題につきましては、均等法案が議論されましたときにも、まだ普及率が一割強という段階で、中小零細企業も含めてすべての企業に法律をもって強制することは時期尚早なので、行政がまず普及に努めるべきであるという御結論をいただいているわけでございます。
 それに基づきまして、私どもいろいろな方策によりまして普及に努めてまいりましたが、残念ながらまだ二割弱というところでございますので、審議会のそうした皆様方の御意見がもう少し、先ほどお話がございましたような法制化とかそういうところに踏み込めるようになりますのには、さらに行政といたしましてはまず普及に努めなければというふうに考えておりまして、普及が進んでいき機運が高まっていくことが法制化への近道であるということで、私ども努力をいたしているところでございます。
#254
○塚原国務大臣 先生からお話しいただきましたように、認識は非常に広がっているというお話で、大変ありがたいことだと思います。
 さらに、もうちょっと意識の徹底を図るために、やはり具体的にある程度実施しているところを例として皆さんにお示しをしていくということがより認識を深めていただけると思うので、もうちょっとその普及や何かの面で頑張っていきたいというふうに思っております。
#255
○小沢(和)分科員 この点については努力をさらに見守っていきたいと思います。
 時間もぼつぼつ迫ってまいりましたので、最後
の問題でありますタクシー労働者の労働条件の改善についてお尋ねをしたいと思います。
 運輸省、お見えでしょうか。今、全国的にタクシー料金の値上げ申請が出されてきております。私の地元福岡県でも、去る三月二十六日に値上げの申請が行われております。前回、昭和五十八年の値上げ認可のときに、経営者に対して福岡陸運局長は文書で労働条件の改善を指示しております。しかし、その後賃金などの労働条件はさっぱり改善されていないというのが現状ではないかと思います。賃金については、福岡県下の男子常用労働者の平均が年収四百七十八万五千六百円に対して、タクシー労働者は二百九十一万二千八百円で、何と百八十七万二千八百円も低いのであります。しかも、福岡市の生活保護基準以下なのですね。生活保護基準を参考のために申し上げますと、祖父七十歳、夫四十歳、妻三十八歳、長男十五歳、長女十二歳の五人家族だと想定をした場合には、三百四十一万六千百円ということになります。ですから、タクシー労働者の労働条件の改善というのはまさに急務になっている。労働時間も非常に長いわけですね。
 そこで、運輸省にお答えいただきたいのは、このようなタクシー労働者の現状は、前回値上げのときの指示に明らかに反しているのではないか。今度こそ私の地元のようなタクシー労働者のひどい労働条件を抜本的に改善させなければならないと考えますが、どう指導されるか、お尋ねをいたします。
#256
○山下説明員 今先生から御指摘ございましたとおり、タクシー運転者の労働条件は、一般的に申し上げまして夜勤を含みます長時間労働でございまして、また賃金も確かに他産業に比べて低い水準にあるというようなことなど非常に恵まれていない状況にあるということで、改善の必要があることは運輸省も十分承知をいたしておるところでございます。特にタクシー事業は、全体のコストの中で占めます人件費の割合が非常に高こうございまして、典型的な労働集約産業でございます。このため、安全で安定的な輸送サービスを提供していくためには、私ども適切な運賃改定によりまして運転者の労働条件改善を図っていくということが必要だと考えておるところでございます。
 なお、九州地区におきます今回の改定申請も、労働条件の改善を行うことにより労働力の安定的な確保を図ることを通じましてサービス改善を図っていくということをその理由として出しておられるわけでございます。もしこういった理由で私どもが認めるということになりますれば、当然認可をいたしました私どもとして、その確実な実施ということについて注視をしてまいりたいと思っております。
#257
○小沢(和)分科員 時間が来ましたから質問を続けることはできませんけれども、前回既にそういうような条件を付して認めたのに実際にはそうなってない、だからそこのところを厳しくやっていただかなければならないと思うのです。
 私、最後に労働省にも、このタクシー労働者の労働条件の改善については他に比べて、これは道路を走っているわけですから、そういう公共性から考えても真剣に取り組んでいただかなければならない問題だと思いますが、労働省の姿勢をお尋ねして、終わります。
#258
○野崎(和)政府委員 御指摘のとおり、タクシー労働者の賃金とか労働時間は、他産業に比較しまして見劣りのあるのは事実でございます。したがいまして、今度の運賃値上げ等の際には、ぜひともそういった点の改善を重点的に行っていただきたいというふうに思っております。
 なお、そういったことで業界の中でも人材確保ということから労働条件の改善はもう避けることができないという機運も盛り上がっておりまして、私どもの承知しておりますところでは、労働時間もここのところずっと増加傾向でございましたのが、平成元年は昭和六十三年に比べまして初めて三十時間減少したというような実態もございます。こういう機会にぜひ労働条件の改善に私どもとしても努めてまいりたいと思います。
#259
○小沢(和)分科員 終わります。
#260
○林主査 これにて小沢和秋君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして労働省所管についての質疑は終了いたしました。
    ─────────────
#261
○林主査 次に、厚生省所管について政府から説明を聴取いたします。津島厚生大臣。
#262
○津島国務大臣 平成二年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算の概要について御説明申し上げます。
 平成二年度厚生省所管一般会計予算の総額は十一兆五千六百五十二億円でありまして、これを平成元年度当初予算額十兆八千三百七十二億円と比較いたしますと七千二百八十億円、六・七%の増加となっており、国の一般会計予算総額に対し一七・五%の割合を占めております。
 平成二年度一般会計予算につきましては、特例公債依存体質からの脱却を実現するとともに、公債依存度の引き下げを図るため、さらに歳出の徹底した見直し、合理化に取り組むという方針のもとに編成されております。
 厚生省予算につきましては、そのような厳しい財政事情のもとにあっても、今後の高齢化社会を国民が生涯を通じてその能力や経験を生かし、充実した生活を営むことができる明るい活力のある長寿・福祉社会とするため、先般、ゴールドプランすなわち「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を掲げたところであり、これに基づき各種高齢者対策の拡充強化を行うこととしております。
 また、障害者等社会的に弱い立場にある方々に対するきめ細かな施策の展開、次代を担う児童が健やかに生まれ育つための環境づくりの推進や健康づくり等の保健医療対策の拡充を図るとともに、科学技術の進歩、国際化の進展に対応するための施策等についても必要な予算を確保したところであります。
 この機会に各位の御支援に対し衷心より感謝申し上げますとともに、今後とも国民の健康と福祉を守る厚生行政の進展に一層の努力を傾注する決意でありますので、よろしくお願い申し上げます。
 以下、平成二年度一般会計予算における主要施策につき御説明申し上げます。
 第一に、高齢化社会を国民が健康で生きがいを持って安心して過ごせるように「高齢者保健福祉推進十か年戦略」に基づき、高齢者の保健・福祉施策の強力な推進を図ることとしております。まず、在宅福祉サービスを推進するための在宅介護支援センターを創設するほか、ホームヘルパー等のいわゆる在宅三本柱の大幅な拡充を図るとともに、施設へ入所が必要な方々のためには特別養護老人ホーム、老人保健施設、ケアハウス等の整備も推進してまいります。
 また、老後における大きな不安の一つである寝たきり老人の問題については、寝たきりは防げるという観点からその原因となる病気の予防、機能訓練の普及等各種の施策を総合的に展開することといたしております。
 さらに、福祉需要の高まり、多様化に対応するため、長寿社会福祉基金を設置し、民間の創意工夫を生かしつつ地域の実情に即した在宅福祉の推進を行ってまいります。
 このほか、明るい長寿社会推進機構の整備、高齢者の生きがいと健康づくり推進モデル事業、長寿科学総合研究等の大幅な拡充を図ることといたしております。
 第二に、障害者及び児童福祉対策について申し上げます。
 障害者福祉対策につきましては、身体障害者の自立や社会参加のための障害者の明るいくらし促進事業の大幅な拡充強化とその推進体制の整備を図るとともに、在宅心身障害児者に対する施設における地域療育サービスの実施、通園施設における重複障害児クラスの設置事業等を推進することといたしております。
 児童福祉対策につきましては、婦人の就労形態の多様化等に対応した一時的保育事業の創設を図
るとともに、乳児保育の推進、自然との触れ合いも含めた児童の遊び場づくりの充実、地域母子保健特別モデル事業等を実施することといたしております。
 第三に、医療保険制度につきましては、国民健康保険制度の運営の安定化を図るため、国の助成を強化することにより、低所得層対策としての保険基盤安定制度を確立することといたしております。
 第四に、年金制度につきましては、先般の制度改正で年金額の完全自動物価スライド制が導入されたことにより、平成元年の消費者物価上昇率に応じて年金額の引き上げを図ることといたしております。
 第五に、地域の保健医療の中核となる新保健所構想を推進することとし、健康づくりからリハビリテーションまでの包括的な保健医療サービスを実施するための体制整備を図ることとしております。
 健康づくり対策につきましては、バランスのとれた食生活の普及を図るほか、健康のための運動普及事業、職場の健康づくりの推進を図ることとしております。
 疾病対策につきましては、リューマチ疾患の原因究明、治療法の開発等の研究に取り組むほか、循環器疾患基礎調査、腎移植の普及、がん対策、エイズ対策の推進を図ることといたしております。
 第六に、国際協力の推進につきましては、国際医療協力の実施体制を充実強化するため、国際医療協力研修センターの整備を継続するほか、WHO活動の積極的支援、地球環境保全対策の推進のために大幅な増額を図ることといたしております。
 以上のほか、輸入食品の安全対策、医薬品等の安全対策、生活環境施設の整備、中国残留孤児対策などの諸施策の推進を図ることといたしております。
 以下、厚生省所管一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付いたしてございますので、お許しを得て説明を省略させていただきたいと存じます。
 何とぞ、本予算の成立につきましては、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
#263
○林主査 この際、お諮りいたします。
 厚生省所管関係予算の重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#264
○林主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ─────────────
  〔津島国務大臣の説明を省略した部分〕
 次に、厚生省所管一般会計予算を主要経費別に、その概要を御説明申し上げます。
 第一は、社会保障関係費のうち、生活保護費であります。
 生活扶助基準につきまして、国民生活の動向等を勘案し、平成元年度に比し三・一%引き上げることとしたほか、教育扶助基準等の改善を行うこととし、総額一兆一千八十七億円を計上いたしております。
 なお、生活保護については、引き続き制度の趣旨に沿って適正な運用を図ってまいります。
 第二は、社会福祉費であります。
 老人福祉関係では、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」に沿って、長期的視野に立ち各種の高齢者対策の拡充強化を図ることといたしております。すなわち、在宅介護支援センターを新設して、在宅介護をする家族が介護に関し、身近なところで気軽に専門家に相談でき、さまざまなサービスを受けられる体制の整備を図るとともに、ホームヘルパー(訪問し介護を行う者)の大幅な増員、ショートステイ事業(特別養護老人ホーム等に短期滞在する事業)及びデイサービス事業(日帰りで介護サービスを受ける事業)の実施箇所数の大幅な増を図ることといたしております。
 心身障害者等の福祉対策につきましては、障害者が家庭や地域の中で自立し、社会参加ができるような条件を整備するため、障害者の明るいくらし促進事業(障害者社会参加促進事業)の一県当たり事業費を大幅に増額し、事業内容も新規事業を加えて再編・拡充を図り、あわせてこの事業を効率的に推進するための身体障害者社会参加促進センターを中央と都道府県に創設するほか、新たに心身障害児者地域療育拠点施設事業及び心身障害児通園施設機能充実モデル事業を実施することといたしております。
 さらに、在宅障害者デイサービス事業(日帰りで創作的活動、機能訓練等を行う事業)、在宅重度障害者通所援護事業、精神薄弱者通所援護事業、精神薄弱者地域生活援助事業、日常生活用具給付事業等を拡充強化することといたしております。
 保育対策、母子・寡婦福祉対策及び家庭支援・児童健全育成対策につきましては、新たに一時的保育事業を創設するほか、乳児保育、夜間保育等の一層の充実を図ることといたしております。
 また、児童扶養手当の引き上げを図るほか、心豊かな子供を育てるため家庭支援相談等事業(子供・家庭一一〇番)の拡大を図り、新たに家庭養育支援事業を行うことといたしております。
 さらに、児童健全育成のため、新たに子供の遊び場づくり推進事業(こどもの町)、宿泊型の県立児童厚生施設の整備事業(こども自然王国)を行うことといたしております。
 社会福祉施設整備につきましては、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」に沿って、特別養護老人ホーム、ショートステイ、デイサービスセンター等の整備を図るとともに、待機者の多い重度の障害者施設について緊急に整備することといたしております。また、社会福祉施設の運営の改善につきましては、生活費等入所者の処遇改善、入所定数の増加、施設職員給与の改善を図ることとしております。
 以上のほか、地域における民間社会福祉活動を推進するため、学童生徒のボランティア活動普及事業、福祉ボランティアのまちづくり事業等の拡充を図ることとし、また、婦人保護事業及び地域改善事業の実施等につきましても所要の措置を講じております。
 以上申し上げました社会福祉費の総額は二兆四千五十六億円であります。
 第三は、社会保険費であります。
 まず、社会保険国庫負担金でありますが、政府管掌健康保険につきましては、医療費支出の適正化対策を引き続き強力に進めることとし、平成元年度まで行われてきた一般会計からの繰り入れの特例措置は行わないこととして、八千三百五十七億円の国庫補助繰り入れ、船員保険につきましては、七十一億円の国庫補助繰り入れをそれぞれ計上しており、総額九千三百四十六億円を計上いたしております。
 次に、厚生年金保険国庫負担金につきましては、平成二年四月から年金額の二・三%の引き上げを行うことといたしております。また、国庫負担額につきましては、平成元年度まで行われてきた国庫負担の繰り延べ特例措置は行わないことといたしまして、二兆一千四百四十二億円を計上いたしております。
 次に、国民年金国庫負担金でありますが、国民年金につきまして、平成二年四月から厚生年金と同様、拠出制国民年金額及び基礎年金額の引き上げを行うことといたしております。また、福祉年金につきましても、同様に平成二年四月から年金額の引き上げを行うことといたしております。
 これらの結果、国民年金特別会計への繰り入れに必要な経費として一兆四千二百三十億円を計上いたしております。
 国民健康保険制度につきましては、国の助成の強化により、保険基盤安定制度の確立と財政調整機能の強化を行うなど所要の改正を行うことといたしております。また、医療費支出の適正化対策を引き続き強力に推進することとし、療養給付費
等負担金一兆八千七百九十一億円、療養給付費等補助金二千五十六億円及び財政調整交付金四千六百億円を計上いたしております。
 これらの結果、国民健康保険助成費につきまして総額二兆五千四百九十億円を計上いたしております。
 以上のほか、健康保険組合の助成については、運営の安定化対策を講ずることとしております。さらに、児童手当国庫負担等に要する経費を含め社会保険費の総額は七兆九百八億円であります。
 なお、老人保健制度については、本年度から老人保健拠出金の加入者按分率が一〇〇%に移行することに伴い、当面の措置として、被用者保険の拠出負担額の緩和を初めとした、老人保健制度の基盤の安定化を図るための事業を実施することといたしております。
 第四は、保健衛生対策費であります。
 来るべき本格的な高齢社会を活力あるものとしていくため、積極的な健康づくりや成人病の発生予防を図って行くことが重要となっております。このような見地から運動習慣の普及に重点を置いた第二次国民健康づくり対策を推進することといたしております。
 また、老人保健事業については、寝たきり老人ゼロ作戦の一環としての健康教育、機能訓練等の充実を図るほか、基本健康診査を一層促進し、この事業を円滑かつ適正に実施するために必要な保健婦等の増員を行うことといたしております。
 救急・僻地保健医療等地域医療対策につきましては、引き続き救急医療体制の体系的整備と機能の強化を図るとともに、僻地中核病院を中心とした僻地保健医療対策を推進するための諸施策の充実を図ることといたしております。
 特定疾病対策といたしましては、がん、難病、循環器疾患等に関する研究費の充実、専門医療機関の整備を進めるとともに、腎不全対策として、腎移植推進本制の整備を図ることといたしております。また、エイズ対策につきまして、引き続き正しい知識の普及、予防・治療研究の充実、国際協力の推進等の充実を図ることといたしております。
 このほか、看護婦等医療従事者の養成確保につきましては、看護婦等養成所の整備、看護婦等就労促進事業及び有子看護婦確保事業等の拡充強化を図ることといたしております。
 精神保健対策につきましては、精神障害者社会復帰施設の増設を図るなど、精神障害者の社会復帰対策を一層充実することといたしております。
 原爆被爆者対策につきましては、医療特別手当等各種手当の引き上げ、被爆者が入所する特別養護ホームの新設等を行うことといたしております。
 保健所につきましては、新保健所構想に沿って地域における新しい保健医療の中核として位置づけ、二次医療圏単位で地域保健医療計画を策定し、健康づくりや個別保健・疾病対策、病院と診療所の連携等地域医療の体制整備を図り、地域住民に対して包括的な保健医療サービスを提供することといたしております。また、そのために国、県、保健所を通じる保健医療情報システムを整備することといたしております。
 以上のほか、公的病院の助成費、保健・医療施設の整備、血液対策推進費、麻薬・覚せい剤対策費などの経費を計上いたしており、保健衛生対策費の総額は五千五百七十七億円であります。
 第五は、恩給関係費のうち、遺族及び留守家族等援護費であります。
 戦傷病者戦没者遺族等に対する遺族年金等につきましては、恩給の引き上げに準じて額の引き上げを行うことといたしております。
 また、中国残留孤児等の援護対策につきましては、帰国孤児等の定着自立促進を図るため、自立研修センターにおける地域住民との交流事業を拡充するとともに、定着促進センター入所中の孤児二世を対象とした地域体験実習事業を実施することといたしております。
 これら遺族及び留守家族等援護費として、一千三百九十五億円を計上いたしております。
 第六は、公共事業関係費のうち、環境衛生施設整備費であります。
 水道施設整備費につきましては、簡易水道及び水道水源開発等の整備等を引き続き推進するとともに、新たに老朽化した水道管の更新事業及び水道未普及地域解消事業の拡大を進めることとして、八百九十九億円を計上いたしております。
 廃棄物処理施設整備費につきましては、第六次廃棄物処理施設整備計画の最終年度分として整備を促進するとともに、合併処理浄化槽設置整備事業の大幅な充実を図ることとして六百三十一億円を計上いたしており、環境衛生施設整備費の総額は一千五百三十億円であります。
 以上、平成二年度厚生省所管一般会計予算の概要を申し上げました。
 次に、平成二年度厚生省所管特別会計予算について申し上げます。
 第一に、厚生保険特別会計につきましては、政府管掌健康保険について、平成二年度においては保険料率を本来の料率である千分の八十四とすることといたしております。また、昭和六十年度から行われてきた政府管掌健康保険国庫補助繰り入れの特例措置及び昭和五十七年度から行われてきた厚生年金国庫負担の繰り延べ特例措置は行わないこととして、一般会計から三兆一千二億円の繰り入れを行い、各勘定の歳入歳出予算を計上いたしております。
 第二に、船員保険特別会計につきましては、平成二年度から保険料率を疾病部門は千分の八十五、年金部門は千分の二十六と改定することとし、一般会計から七十一億円の繰り入れを行い、歳入歳出予算を計上いたしております。
 第三に、国立病院特別会計につきましては、一般会計から一千八百十六億円の繰り入れを行い、各勘定の歳入歳出予算を計上いたしております。
 第四に、国民年金特別会計につきましては、一般会計から一兆四千二百三十億円の繰り入れを行い、各勘定の歳入歳出予算を計上いたしております。
 以上、平成二年度厚生省所管特別会計予算について申し上げました。
 何とぞ、本予算の成立につきまして、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
    ─────────────
#265
○林主査 以上をもちまして厚生省所管についての説明は終わりました。
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#266
○林主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本有二君。
#267
○山本(有)分科員 ただいま大臣から高齢化社会に向けての強い御意思の一端をお伺いすることができましたので、短いことでございますから、特に高齢化社会に向けての対策、さらにその中で国民の負担という面から御質問をさせていただきたいと存じます。
 去る七日、当予算委員会に大蔵省が示されました国民負担率、これが平成元年度当初三八・八%であったものが、本年度になりますと四〇・四%となることを明らかにされました。この原因は、好調な景気による税収の膨らみと厚生年金の保険料率の引き上げ、これが起因しておると思いますけれども、先ほども大臣御指摘によりましたように、厚生省所管予算の一般会計に占める割合というのが一七・五%ですから、その意味で国民負担率と厚生行政の関連が極めて緊密であろうと思います。
 そしてさらに臨調、昭和五十八年の臨調でもこの点について触れておりまして、欧州諸国の国民負担率の水準が五〇%前後、そして我が国における負担率はこれよりもずっと低位にとどめること
が必要であるというように言っております。さらに行革審におきましては、もっと具体的に「社会保障関係経費がかさむ高齢化のピーク時(二〇二〇年頃)においても五〇%を下回ることを目標とする。」というように述べられておりまして、この点におきまして、特に厚生省に今後の国民負担率の見通しというものをお伺いをさせていただきたいと存じます。
#268
○加藤(栄)政府委員 国民負担率につきましては、今先生おっしゃいましたように租税負担率と社会保障負担率になっておりますので、財政当局からお答えをすることが適当とは存じますけれども、昭和六十三年三月に厚生省と大蔵省から国会に「二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望」を出しておりますので、これに基づきまして昭和六十三年度当初予算ベースの国民負担率に社会保障関係の負担の増大を単に上乗せするということを前提といたしまして、経済成長率四ないし五・五%で推移するといたしますると、平成十二年度におきまして国民負担率は四一ないし四一・五%程度、平成二十二年度におきましては四四ないし四七%程度と見込んでおります。
#269
○山本(有)分科員 大分高くなってくるわけでありますが、さらに大臣にお聞かせいただきたいことは、我が国の防衛費の国民負担割合というのは欧米に比べて低位で推移しております。その面におきまして他国よりも有利な福祉行政の展開が可能となろうかと思われますけれども、これらを総合して国民負担率との関連におきまして、厚生行政の将来像についての大臣の御所見をお伺いいたします。
#270
○津島国務大臣 大変大きな問題点の御提起でございますけれども、将来社会福祉施策を充実していく、そして超高齢社会におきましても必要な施策を進めていくためには、それなりの負担の増高ということはやむを得ないと思います。私どもは、国民負担全体のことを考えながら進めなければならないけれども、しかし何と申しましても国民にとって必要な福祉・医療サービス等々の予算は確保していかなければならないと思っております。
 そういう中で、全体としての国民負担を過重なものにしないようにするにはどうしたらいいだろうか。新行革審の答申でも、とにかく五〇%の水準よりもできるだけ低い水準にとどめることが至当であると言われておりますが、これはなかなか容易ならざる仕事であろうと思っております。今委員御指摘のような、防衛費負担が相対的に少ないではないかということは事実として認めますが、またその一方で、日本はいわゆるインフラストラクチャー、社会資本におきまして総体的にまだまだ立ちおくれている面が多い。特に民生に近い分野においてその充実が甚だ望まれておるところでございまして、そういう面におきましては、社会保障関係以外にもまた負担を増高させる要因があるということを忘れてはならないと思います。
 いずれにいたしましても、福祉に必要な、また社会保障制度の基盤確立のために必要な予算はしっかりと確保しながら、全体としての国民負担が過重にならないようにするために、行政全般にわたって制度の絶えざる見直しをする、効率化を図るという努力を怠ってはならないと思います。難しい仕事であるけれども、どうしてもやり遂げなければならないと決意しておるところでございます。
#271
○山本(有)分科員 この問題は、先ほど大臣が申されましたように、国民の幸福を追求するのが政治である以上は、どうしても負担は軽く、福祉の質は高くという二律背反の要求があると思います。そんな意味で、時代が要求することでありまして、大蔵省で財政通である大臣が厚生省を所管されるということはまさに時宜を得たことでございますので、この点の御努力を切にお願い申し上げで、次の質問に移らせていただきます。
 次に、経済的負担が国民負担率の問題とするならば、非経済的面、すなわち肉体的、精神的負担というのは、家庭における高齢化対策でなかろうかと思います。私の大変懇意にさせていただいております県会議員さんは、御自分のお母さんが九十歳、奥さんの御両親も八十歳代で、全員が入院されておるということで、やむを得ず県議会を引退された経過がございました。私も身近にそういう高齢化の現実を見たときに、今本当に大変なことであると実感をしたわけであります。
 そこで、今後の要介護老人対策、特に家庭崩壊あるいは家庭の重負担につながる要介護老人対策につきまして、特に在宅老人対策につきましてその取り組みを厚生省にお伺いさせていただきたいと思います。
#272
○津島国務大臣 政府委員からお答えをいたします前に、今委員御指摘の点について私の考えている基本的な考え方を申し上げたいと思います。
 日本的な福祉を確立しなければならない、そういうことの中で、家庭のきずなのしっかりしている点を重視して、そしてまた国民の意識の中にも老後を家庭の中で過ごしたいという気持ちが強いことを踏まえてやるべきであるという御意見があるわけでございまして、それはまさにそのとおりではございますけれども、これからの日本の社会の変化を見通していきます中で、果たして家庭がいつまでも今期待されているような機能を果たし続けていけるかどうかという点には、やはりいろいろな問題があると思います。委員御指摘のとおりに、既に現実に家庭の維持が難しくなるような高齢者問題を控えているわけでございますから。
 そこで、私の考え方は、家庭の果たす役割を重視するけれども、しかし社会が変化をして家庭には過重な負担をかけてはならないという点は、社会全体で連帯して助け合うという立場で、言ってみれば社会的な親孝行をするというような考え方で福祉行政を組み立てていかなければならないと考えているわけでございまして、このたび打ち出しました十カ年計画もそういう考え方に基づいているものであるということを最初に申し上げておきたいと思います。
#273
○岡光政府委員 ただいま大臣からお話がありましたような方針で、特にこの十カ年戦略におきましては在宅対策を重視しております。ただし、家庭人にそういった介護を必要とするお年寄りを押しつける結果になってはいけませんので、したがいまして施設も並行して整備して、在宅サービスと施設のサービスと両々相まって必要な介護サービスが届くようにという発想で施策を組み立てていきたいと考えております。
 こういったことの推進のために、老人福祉法等の法律が関係をいたしますが、こういった関係法の改正をぜひともお願い申し上げて、市町村を主体にして在宅福祉サービスがどんどん進むような実施体制を強化していきたい、そういうふうに考えております。
#274
○山本(有)分科員 大臣の懇切丁寧な答弁をありがとうございました。
 そこで、在宅養護老人問題等々で家庭が重圧を感じるわけでありますが、ここでこの解消の一助になるのがどうしても施設福祉の問題であろうと思います。施設福祉の中で、本日は特に有料老人ホームについてお伺いしたいと存じます。
 最近、有料老人ホームが増加いたしまして脚光を浴びてきておりますけれども、高齢者が多額のお金を払って老後を託するところであるだけに、この有料老人ホームは絶対に問題が生じないようにしなければならぬと思っております。現在の老人福祉法では、ホーム設置後の届け出をすればよいとの極めて緩やかな規制になっておりますが、民間の創意工夫を損なわないような配慮を払わなければならないと思います。そこで、健全な経営を図るためにもう少し規制を強化してもよいのではないかと思います。そんな意味で法改正を考えているかどうか、また考えているならばその内容をお聞かせいただきたいと存じます。
 そして次に、民間事業である有料老人ホーム事業の健全な発展のためには、法規制等の行政側の関与と、あわせて事業者等による民間の自主的な努力、規制が有効であると考えます。この面での
取り組みにつきましてどのように考えているかについても、あわせお尋ねを申し上げます。
#275
○岡光政府委員 先生御指摘のように、お年寄りが食い物にされては困ります。一方では、民間の創意工夫も大いに発揮をしてもらわなければならない。そういうことを考えまして、有料老人ホームにつきましては先生御指摘のような法規制を許される範囲で強化をすべきではないだろうかということで、現在準備をさせていただいているところでございます。
 内容的には、現在有料老人ホームを設置する場合には、いわゆる設置した後、事後届けでいいということになっておりますが、それでは問題点が生じてからその届け出を受けるということになってしまう可能性もありますので、そういうことのないようにつくる前、事前に届け出をしてもらって、必要なチェックをした上でそれで建設に入ってもらおう、事前届け出制に改めたらどうだろうか。それから、現在の法規制では県知事による勧告権限がございますが、ただお勧めをするというだけでは場合によっては十分な対応ができませんので、改善命令、命令権限を与えるということにさせていただいたらどうだろうか。それから、あわせてこの権限につきましては、厚生大臣も行使ができるようにということにしていただいたらどうだろうかと思っております。
 最小限の規制を強化させていただきたいと考えておりますが、一方では御指摘のとおり民間のサイドでの自主的な努力が必要でございますので、その点を大いに考えていきたいということで、この有料老人ホームをつくる人たちで構成をする団体をつくってもらって、現にそれはございますのですが、倫理綱領をつくりましたりあるいは自主基準をつくりまして、それにのっとっていい有料老人ホームを提供しようではないかということにしておりますが、そういった団体を法的に位置づけまして、適切な情報の提供であるとか、利用者等から苦情があった場合の苦情処理をするとか、それから自主基準をつくってそれを励行するようにするとか、そういった入居者の保護と事業の健全な発展、両方をゆだねるような組織をつくりたい、こんなふうなことを考えておりまして、安心してお年寄りが住まっていけるような、そういう有料老人ホームをこしらえていきたいと考えております。
#276
○山本(有)分科員 老人福祉法を改正するという大変な作業に入られているようですから、ひとつよろしくお願い申し上げます。
 最後の質問であります。
 地方というのは格差が随分あるわけでありまして、今後すべての面でモデルになるのが地方自治体でなかろうかというように思います。老人人口比率が一位、二位を争う高知や島根あるいは青森のようなところは日本の将来像でありますから、そこに私が最後にご質問をしたいところがございます。
 いわゆる高齢者のゴールドプラン、ここの四番目に挙げられております施設の緊急整備、こういう施策をこれから大きな事業として展開するわけでありますが、その整備について優先順位を決めて、特に地方の、大臣の御出身の青森や私の出身の高知県のようなところへ優先的に配分をしたらどうかというようなことを思っておるわけでありますが、そのことと、七番目の総合的な福祉施策の整備、これにつきましても同様のことを考えていただけないだろうかということを最後の御質問にさせていただきます。
#277
○津島国務大臣 この高齢化の問題は、大都会でも非常に深刻な問題でございますが、やはり過疎地であるとか経済力の弱い地域には非常に大きな打撃を与える要素をはらんでおりまして、大問題でございます。委員が御指摘のような、委員の地元の高知県あるいは私の地元の青森県等々は、恐らくそういう意味では典型的な地域であろうと思います。特別養護老人ホーム等の施設整備に当たりましては、そういう地域の実情をよく踏まえまして緊急性の高い施設の整備を進めてまいりたい。こういう考え方からいけば、緊急性が高い、必要度の高い地域、高知県等々を優先して進めていくということは当然のことであろうと思います。全体としての整備状況、入所待機者の数または在宅福祉サービスとの取り組みの状況等々を総合的に勘案し、全体として国土の均衡のとれた発展を図るということを念頭に置いて進めたいと思います。
 また、総合的な福祉施設の整備に当たりましても、同じような考え方で地域の特性に応じて整備を進めてまいりたいと思います。
#278
○山本(有)分科員 どうもありがとうございました。終わります。
#279
○林主査 これにて山本有二君の質疑は終了いたしました。
 次に、野坂浩賢君。
#280
○野坂分科員 高齢化社会の時代を迎えまして、年々高齢者がふえていくという現状はお互い認識をしておるところでございますが、きょう私は、よく言われるぼけ老人の問題についてまず質疑をしたい、こういうふうに思っております。
 現在、要介護、介護を要する老人というのは大体どの程度か、在宅と施設に分けてお話をちょうだいしたいと思います。
#281
○岡光政府委員 いわゆる寝たきり老人が現在六十万人というふうに言われておりますが、このうち在宅の寝たきり老人が約二十二万人、老人ホームに入っていらっしゃる方が十二万人、病院が二十五万人というふうに把握をしております。
#282
○野坂分科員 全体で六十万人。私が聞いたところによりますと、百万人から百十万人じゃないかというふうに言われておりますけれども、今お示しになりました全体で二十二万人、十二万人、二十五万人というのが現状だというふうに認識をしまして、例えば特別養護老人ホームに入りたいといって待っている人、待機をしている方々というのはどの程度ございましょうか。
#283
○岡光政府委員 まず数字の点で失礼をいたしました。私、寝たきり老人だけで申し上げましたが、痴呆性の老人も含めて考えますと、御指摘がありましたように百万人程度になります。再度申し上げますが、百万人のうち七十万人が在宅、老人ホームが十三万人、病院が二十五万人という内訳になっております。
 それから、特別養護老人ホームの待機者でございますが、現在時点で約二万人の待機者がいるというふうに把握をしております。
#284
○野坂分科員 先ほども話がありましたが、痴呆症の御老人ということになりますと、在宅の場合、お勤めの場合は、家族のだれかがおやめになるかあるいは人を頼むかということになってまいりますし、経済的な負担が非常にというよりも異常なほど厳しい状況になってくる。しかも、二万人の待機組が特別養護老人ホームの場合にはおるわけです。これらをスムーズに施設なら施設に入れていくという対応措置を早期にとる必要があるのではなかろうかと思うのでありますが、それについて特別養護老人ホーム等の施設が不十分であるということになるではなかろうかと思います。待機組があるという前提に立って、それらに対する不満や不安の解消はいつごろにできるでしょうか。
#285
○岡光政府委員 私ども作成をさせていただきました「高齢者保健福祉推進十か年戦略」で、二万人の待機者とそれから毎年必要になってくるお年寄りの老人ホームへの入所数等を勘案いたしまして、十年先に二十四万床というものを確保したいという計算をしておりますが、御指摘のありました待機者についてはできるだけ早くこの解消を図りたいということで、十年待たないで、ここ五年のうちに緊急的に整備をしてその解消を早急に図りたいと考えております。
 あわせまして、施設に入所をされる方と同時に、在宅での痴呆の老人を抱えておられる家族の方は大変でございますので、この辺に対しまして家族への支援の強化をしようということで、いわゆる在宅福祉サービスの強化も並行して行わせていただきたいと考えております。
#286
○野坂分科員 五年間でそういう不満は完全解消するということでありますから、よろしくお願いをしたいと思うのです。
 今お話がありましたように、十カ年戦略とか三つの柱とか言われますが、今お話があったのはホームヘルパーあるいはショートステイ、デイサービス、こういう柱で進めるということではなかろうかと思うわけであります。この場合、どの県にもどの市町村にも、これらの在宅福祉サービスは町役場等に頼めば直ちにそういう措置をとるということが全国になされておるだろうか、こういうことを私は聞いておきたいと思うのです。
#287
○岡光政府委員 まず三本柱のうちのホームヘルプサービスにつきましては、ほとんどの市町村でその体制が進んでおりますが、いわゆるショートステイにつきましては、約七〇%余りの市町村で体制が整っているところでございます。日々お年寄りをお預かりしていろいろ機能訓練をするとか食事とか入浴サービスをするようないわゆるデイサービスでありますが、この実施状況が悪い段階でございまして、現在二〇%強の市町村でしか実施されていない状況でございます。
 したがいまして、私どもは、このホームヘルプサービス、ショートスティ、デイサービスにつきまして全国の市町村で体制を整えていただこうと考えて、実はそのようなことを踏んまえた法改正をお願い申し上げたいということで準備をさせていただいているところでございます。
#288
○野坂分科員 よくわかりましたが、このことは市町村の負担にもなるということで進まないのじゃないのかなと思っておるわけです。介護中心の場合は年間で大体その人たちは二百四十万、あるいは家事補助の場合は百六十万、こういうふうになっておるだろうと思いますが、このうち国の負担割合、県の負担割合、市町村の負担割合、特に町村が非常に厳しい財政状況でございます。したがって、二〇とか七〇しかならないというのはそういう意味合いではないかと思いますが、これに対する対応策もあわせてお話をちょうだいしたいと思います。
#289
○岡光政府委員 在宅サービスの国、県、市町村の負担割合でございますが、これは国が二分の一、都道府県が四分の一、市町村が四分の一でございます。この市町村の負担分については、地方交付税で基準財政需要に算定してございまして手当てしてある格好になっております。しかし、先生おっしゃいますように、こういったサービスの体制を整え、的確な仕事を進めていくためには、人と金の面で十分な手当てが要ろうかと思っております。その辺は今後ともいろいろ工夫を重ねさせていただきたいと考えております。
#290
○野坂分科員 基本的に年寄りになれば、ぼける。林委員長なんかはなかなかぼけぬでしょうけれども、一般的によくぼける。それは例えば高血圧の後遺症の場合とか、あるいはアルツハイマーとか聞きますけれども、自然に脳が収縮するという、二通りあると承知をしておりますが、その原因ですね、高血圧以外の、アルツハイマーのそれは、どういうところから起きてくる現象でしょうか。
#291
○長谷川政府委員 先生のお尋ねの老人性痴呆の原因につきましては、原因がわからないのがお話ございましたようにアルツハイマー型の痴呆ということでございます。脳出血の後老人性痴呆の状況を呈するのは原因疾患がわかっておりますので、そういうものについては原因疾患の予防、その治療方法ということでいろいろやっているわけでございまして、原因不明なアルツハイマー型痴呆的なものにつきましては、原因の究明を含めて治療法の開発研究というふうなことをいろいろやっておるところでございます。
#292
○野坂分科員 十カ年戦略に長寿科学研究センターというのがありますね。これは原因の究明や治療法の開発をやるところだと思いますが、東京では既に都立で研究に携わっておるということを聞いておるわけです。国としてもどこか、小平ですか、精神・神経センターで研究をなされておる。ことしも平成二年の予算の中で十億円、シルバー対策あるいはぼけ老人というものに組んであるわけですけれども、それはこの研究所につき込む金ではないわけですか。どういうことを具体的にやるわけですか。二点を教えてください。
#293
○長谷川政府委員 まず老人性痴呆に関する研究につきましては、六十三年度から老人痴呆疾患対策調査研究費という中で、アルツハイマー型の痴呆の原因究明なり治療法の開発研究をやってまいりました。六十三年度、平成元年度という形でやってまいりまして、平成二年度予算におきましては長寿科学研究費の中で、この痴呆の疾患を含めまして長寿科学に関するいろいろな研究をやろうという形で予算を組んでおるわけでございます。そういう面で、長寿科学研究費の中で、お話ございました武蔵にございます精神・神経センターにおける研究あるいはそれ以外のところの研究ということで、さらにこの痴呆の研究についても強力に進めてまいりたいと考えておるところでございます。
#294
○野坂分科員 それはやはり東京で研究をされることになりますか。
#295
○長谷川政府委員 長寿科学研究センターにつきましては、現在のところ愛知県の方に適地を設けましてそういうセンターをつくりたいということで諸準備を進めているところでございます。そういう面でセンターそのものは愛知県にできるわけでございますが、当面センターができるまでの間はいろいろな研究をやるということでございますので、その中身の中心は小平といいますか、武蔵にございます精神・神経センターにおきまして研究をやり、あわせて関連の分野の先生方にも研究をお願いするという形で進めてまいりたいというぐあいに思っております。
#296
○野坂分科員 今度の十カ年戦略の中で、在宅福祉等充実のための長寿福祉基金というのがありますね。七百億円の基金の設置ということが一つのポイントになっておるのですが、国はどれだけ出して、民間からどれだけ出して、どういう運営をするのか。例えばその利息で運営をするとか、そういうのがいろいろな年金なり恩給の場でよく考えられておりますが、この中身についてちょっと明らかにしてもらいたい。
#297
○岡光政府委員 まず、その基金を設置する場所でございますが、特殊法人社会福祉・医療事業団にこの長寿基金を設置さしていただくということでございます。その七百億は国から出資をする格好になっております。そして、その基金を運用しまして得られた果実を長寿社会のためのいろいろな仕事の推進に使いたいということでございます。
 どんなことを考えているかということでございますが、まず民間の事業者が行う在宅福祉であるとか在宅医療であるとか、あるいは生きがいづくり、健康づくりの事業を支援していきたい。それから、そういう事業に従事をする要員の養成であるとか研修、福祉機器とか高齢者の住みやすい住宅の研究開発普及であるとか、あるいは介護に当たる家族への支援とか、そういうもろもろの在宅福祉事業を行いたいというふうに考えております。
#298
○野坂分科員 有料の老人ホームの場合は五千万も六千万も出して入っていかれる人がいる。しかし、過疎地域は所得が少ないためにそういうことはなかなかでき得ない。したがって、民間の活力を活用するということも非常に不可能に近い。どうしても公的な施設、公的な財政、こういうことに依拠しなければならぬというのが現状だと思うわけであります。そういう中で、建てる順番、例えば養護老人ホーム等はそういう財政的に厳しいところをやはりバランスの上から考えるべきだなと思うわけですが、その点大臣はどう考えているかということが一点。
 二点目は、例えばお医者さんというのは割に所得がありますね。そういう状況から見て、お医者さんみずから特別養護老人ホームでもつくろうか。その場合に、自分が建てたいと思えば国や県の補助金が必要でありますから、県はやはりチェックをする。建てるだけではなしに、今度は
運営をやっていかなければならぬ。運営の場合は、やはり国が半分も運営費を持たなければならぬ、県も四分の一見なければならぬということになれば、おのずから施設を建設をするだけではなしにその運営費の見通しということもあるために、貧乏県ではなかなか思うとおりに進まないではなかろうかということを心配するわけです。その点については国としては十分対応措置ができるだろうか。その点について明らかにしてもらいたい。
#299
○津島国務大臣 野坂委員御指摘のとおり、高齢者用の施設の整備に当たりましては、地域の実情を十分に踏まえて進めていかなければならないと思います。そういう意味で、経済力が脆弱な地域につきましては、できるだけ公的な配慮を加えた上で施設整備をやるというのが基本的な考え方でございまして、私の地元なぞは典型的にそういう地域でございますから、特別養護老人ホームを中心とする施設の整備を県、市町村が一体となって進めてございます。地域の総合的な御判断を尊重しながらこれをお手伝いをしていくということの中から、結果としてそういう方向に行くのではないかと思ってございます。
 それから、施設整備を進めていく中でそれの運営管理のための財政負担が当然増高してまいりますことは御指摘のとおりでございまして、これは今後の国、地方の負担のあり方等を検討していく場合には十分に配慮をしなければならないと思います。
 そういうことで、例えば十カ年戦略を進める場合にも、地方財政を含めた全体像について絶えず話し合いをしながら進めていくということが問題の解決への道であろうと思っております。
#300
○野坂分科員 十カ年戦略の最後に、「公的事業主体による高齢者の生活、介護、健康づくり及び生きがい活動を目的とした総合的施設の整備を検討する。」つくるということですが、具体的な中身をこの際お話をいただきたいと思います。
 それから病院の再編成、例えば労働省関係の病院をなくするとか統合するとか、いろいろな話が出ておるわけですが、労災その他の病院等は厚生省、労働省等が十分話し合ってそれらの病院を引き受けるとか、そういう点についてはこれから話し合いに入ってその施設を活用するという意味は、国がそのまま維持発展させるのか、あるいはそれを市町村に出して市町村に運営をさせるか、どういうことを具体的にお考えになっておるでしょうか。
#301
○津島国務大臣 委員の御質問の最初の点でございますが、在宅支援、在宅介護サービスにつきましては、十カ年戦略で当面の目標を掲げてございまして、その目標に向けて平成二年度、今回の予算ではホームヘルパーについて三万五千九百五名の充実、ショートステイについては三千四百床ふやして七千六百七十四床にする、デイサービスセンターについては七百カ所ふやしまして千七百八十カ所というような年度の整備計画を出しておるわけでありますが、これを年々積み重ねていくことによって、ぜひとも目標を達成いたしたいと思っております。
 医療機関の再編成の問題については、政府委員から答弁をさせていただきます。
#302
○岡光政府委員 まちづくりの関連でございますが、お年寄りが生涯を通じて生きがいを持って健康で安心して生活を送っていただきたいということで、私ども、まちづくり計画を考えているわけでございます。そしてその際には、公的な施設整備とあわせまして民間事業者による民間施設、例えば疾病予防を考えた運動センターとか総合的な福祉センターとか介護サービスをするようなセンターとか、そういったものもあわせ相まって、一つの面として官民協力をしてまちづくりをしたいという発想で考えているものでございます。
 民間事業者につきましては昨年法律をつくっていただきまして、民間事業者による老後の保健及び福祉のための総合的施設の整備の促進に関する法律、こういうものをつくっていただきましたので、これに基づいて整備計画を認定して応援をしていくという仕組みでございます。
 国立病院等の用地の問題につきましては、これは国立病院の統廃合が進むとするならば、その用地は適切に活用すべきだろうと思いますので、こういったまちづくりの際にそういった用地の該当がありましたら、それを有効活用するということは考えております。
 それから、町の中での各種施設の連携を考える際には、そういった国立病院であるとか労災病院であるとか関連の施設とのネットワーク化ということはぜひとも必要だと考えております。
#303
○野坂分科員 その計画が具体化するのは、平成三年度から実施をする、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
#304
○岡光政府委員 さようでございます。何カ所もございますので順次やっていきますが、まず三年度からということでございます。
#305
○野坂分科員 最後に、私どものところには国民健康保険の負担軽減の問題について随分お話があります。組合健保とか政管健保とか、そういうものにつきましては私たちもよく承知をしておりますが、国民健康保険というのは農業者とか老齢者とか、言うなれば我々も現役を退いて収入がなくなってから国民健康保険の方にお世話になる。そうしますと、町の方はなかなか大変だ。年々上げなければならぬ。一般財源からも繰り入れなければならぬ。そういうことで、今度は法律改正をして、できるだけ平均化をして保険料の負担を少なくして、国が持ったりあるいは健保等にも持ってもらう、こういうことにして平均化をしよう、こういうことが考えられて提案されておりますが、これは保険者としてはどの程度減っていくのか。例えば我々も行くところがありませんから、国民健康保険で四十二万円払っておるわけですけれども、我々は一番高いところですけれども、年金その他で生活をしていらっしゃる方々が大半でありますから、それらの方々は国民健康保険というのは今度の法律改正によって平均してどの程度下がるのか、国はどれだけ負担が増大するのか、将来とも負担軽減についての考え方を大臣にお話を聞き、もし補足があれば説明をいただいて、私の質問をこれで終わりたい、そう思っております。
#306
○坂本(龍)政府委員 数字の問題について私からお答えを申し上げます。
 今回の国民健康保険制度改正によります財政効果でございますが、国民健康保険の保険料は市町村ごとにそれぞれ決めておりますし、またその実際の金額も被保険者の所得の状況あるいは世帯の家族の状況、資産の状況、いろいろ差異がございますので、一律に申し上げるのはなかなか難しゅうございますが、平均的な数字で申し上げますと、今回の改正によりまして国民健康保険の国庫負担の増と、さらに老人保健の拠出金の加入者按分率が一〇〇%になるという、これは別の制度からの影響でございますが、これが平成二年度同時に行われたといたしますと、全国で八百五十億円の保険料負担軽減効果が出てまいります。これを一世帯当たりに平均で計算いたしますと年間五千七百円という金額の軽減が可能になるわけでございます。ただ、実際の保険料そのものは市町村が具体的に決定いたしますので、どういう保険料の決め方をするか、これは個々の市町村の判断の問題になろうかと思うわけでございます。
#307
○津島国務大臣 ただいま委員御指摘のとおり、国民健康保険は大変難しい問題を抱えておりまして、委員の地元ばかりでなく私どもの地元でも市町村によるまた負担のばらつき等の問題も加えて、一層の基盤安定の必要が叫ばれておるところでございます。
 今回の措置につきましては、今政府委員からお話ございましたように、拠出金の按分率を加入比率一〇〇%にいたしますことによっておおむね六百十七億ぐらい負担が軽減されるであろう。それから低所得者に対する、今暫定的に国庫が負担しております分を恒常的な制度として強化することによって五百億を超える軽減になる。これに国庫負担の適正化というものを加味いたしまして、国
の負担では二百三十三億ぐらいの軽減になるだろう。これを合わせまして先ほど申し上げたような数字になるわけでございますけれども、ただ、これをもって国民健康保険の基盤は揺るぎないものになったとは私どもは言えないのではないだろうか、さらに引き続いて安定化のためにいろいろと努力をしなければいけないであろう、そのために今回本院におきまするいろいろな議論に真剣に耳を傾けて次のことを考えていかなければならないだろうと思っております。
#308
○野坂分科員 これで一応終わります。
#309
○林主査 これにて野坂浩賢君の質疑は終了いたしました。
 次に、上野建一君。
#310
○上野分科員 私は、ごみの問題を中心にいろいろとお伺いをいたしたいと思います。
 まず、最近のごみのふえ方というのはまさに異常な状態でふえておりまして、新聞などによりますと一年間に東京ドーム百三十杯分、四千八百二十八万トンごみが出ている。伸び率は三・九%。そういう意味で大変な状態にございます。ふえた理由は、これはもう言うまでもなくOA化とか使い捨て容器、プラスチックなどの増大、消費が活発になっておりますし、したがって家電関係の製品、粗大ごみと言われるようなものが多く出ています。さらに企業活動が活発でありますから、そのごみもまた相当なものだ、こういうことだろうと思います。
 そこで問題は、ごみはやはりなるべく出さないようにすることがまず第一だろうと思います。そういう意味では、厚生省も大分その方向をとって本気になって取り組み出した、こう理解いたしておりますけれども、そこで、ごみを出さないためには、粗大ごみを有料化しようとか企業ごみの処分の手数料を値上げしようとか、あるいはいろいろな容器類についてはこれを再回収するように企業に一定の責任を持たせよう、いわゆるリサイクルシステムというようなものも含めた、紙などは特にそうでありますが、そういうことで取り組もうといたしておりますが、そこでこういうごみに対する、今私が申し上げたようなことも関連をして、厚生省の姿勢といいますか方針といいますか、そういうものをまずお伺いいたしたいと思います。
#311
○目黒政府委員 私どもは、先生が御指摘になりましたように、廃棄物の発生量が増加しているとか、あるいは不法投棄を初めとする非常に不適正な事例があるとか、あるいは処分地がなかなか確保できないとか、減量化をしなければいけないといったような問題を解決いたしますために、先般大臣の方からもお答え申し上げておりましたように、法律改正を含めまして幅広にこの制度を検討してまいりたい、このように思っているところでございます。
#312
○上野分科員 法律改正も結構でございますが、既に今まで厚生省がいろいろ指導しておるわけなんですが、その中でまだ分別収集もしてないような地方自治体があったり、それから先ほど申し上げた企業からのごみ、それから瓶とか缶とかこういうものも含めて企業が一定程度引き取るとか、そういうことをもっと積極的に進めるべきだと思いますが、そこら辺は具体的にどうですか。進展状況と、またそういうことを積極的にやる意思があるのかどうなのか、それをちょっとお伺いしたいと思います。
#313
○目黒政府委員 今御指摘のごみの分別収集を初めといたしまして、資源の再利用といったような点についてでございますが、まず、ごみの分別収集につきましては、これは減量化する上で最も有効な手段であるというように私ども考えておりまして、各市町村においてはそれぞれの地域の実情に応じまして分別収集が行われておるのでございます。私ども厚生省では、平成元年の十二月にごみの減量、再資源化を促進するために、市町村に対しまして資源ごみの分別回収の導入を検討するように指示をしたところでございます。またさらには、本年二月に市町村に対しまして、ごみの再資源化の方法とかあるいは関連施設の整備を含めまして、再資源化の計画を策定するように指導しているところでございます。
#314
○上野分科員 そういう指導がどうも市町村段階から見ますと、その市町村段階でやらない方も悪いんですけれども、どうも厚生省の指導も出おくれているといいますか、何かこうおくれている感じがします。分別収集などはそんなに難しいことじゃなくて、やれるはずなんですけれども、まだそういうことをやっておらないところがあるし、まあようやく何とかしようというところもありますけれども、そこら辺の問題ではもうちょっと何か強力な指導というものをやる必要があるんじゃないかと思うことと、それからごみ処理というのはやっぱりそれぞれの、まあ県も含めてもいいんですが、地域的な、自治体の責任においてそれぞれ地域ごとに処理するというのが原則だと思いますが、その点はいかがでしょうか。
#315
○目黒政府委員 御指摘のように、このごみの処理の問題につきましては、市町村がそれぞれの自治体の責任において行っていただく、こういう制度になっているところでございます。したがいまして、それぞれの地方自治体がそれぞれの実情に応じまして、先ほど来申し上げておりますような再資源化等を含め、このごみの対策に臨んでいる、このように私ども理解しているところでございます。
#316
○上野分科員 そういうことだとすれば、厚生省はそういうことがまだ不徹底な段階でかなり前から広域ごみ処理場の設置、東京湾についてはフェニックス計画というものを打ち出していますが、そして今度のこのごみの増大に便乗してといいますか、これで一挙に何かこの計画を進めよう、こういうふうにも見られるんですが、この問題についての最近の厚生省の方針、態度はどういうものでしょう。
#317
○目黒政府委員 首都圏、特に東京を中心といたします高度に人口や産業が集中した地域では、おっしゃるように、広域的な最終処分場の確保が大変緊急を要する課題となっているのでございます。また、最終処分場の確保が非常に困難なために不法投棄を招く要因ともなっているわけでございます。そこで、首都圏におきます廃棄物の適正処理を確保するということで、東京湾におきます港湾区域の秩序ある整備を図り、厚生省は運輸省とも共同いたしまして、東京湾のフェニックス計画にかかわります基本構想を昭和六十二年四月に作成をいたしまして、その具体化について関係地方公共団体に働きかけておるのでございます。これを受けまして六都県市首脳会議、いわゆる首都圏サミットと称しておりますが、ここにおきましては都県域を越えた広域処理の可能性についての検討を行っているというように聞いておるのでございます。私どもでは、この都県域を越える広域処理の一つといたしましてフェニックス計画があるわけでございまして、これを推進いたしまして、この実現に最大限の努力を払っているところでございます。まだ残念ながら、現在のところ関係地方公共団体の合意を得るのに至っていないという状況でございます。
#318
○上野分科員 そう簡単に合意はできないと思いますが、そうすると厚生省はあくまでもこの計画は推進をしたい、こういうことだと受けとめてよろしいですか。
#319
○目黒政府委員 私どもは推進したい、このように思っているところでございます。
#320
○上野分科員 実は午前中に私は水産庁にちょっと質問をしたんですけれども、その中で東京湾というのは船の航路になっておったり、あるいはいろんなものに活用されているわけですね。そして特に陸に近いところは漁業が今、東京を中心にした関東の重要なたんぱく源の供給地として、この漁業も決して軽視してはならない状態にあります。アサリもそうですし、そのほかノリから、いわゆる東京湾でなければとれないようないろんなものがあります。そういうことなんです。ところが、無計画的に、乱開発といってもいいと思いますが、埋め立てをそれぞればらばらにやって、あるいはいろんな形でこの東京湾を埋め立てあるい
は底を掘る、その埋め立てのために海底から砂をとる、こんなことがありまして、今大きいところだけでも、東京湾の中で、皆千葉寄りなんですけれども、大きな穴が、水面から十七メーターから二十五メーターの深いところに穴がぼこぼことあいているんですね。そういう中で赤潮、青潮が発生しているのです。まさにこの東京湾の海というのは漁業の立場から見ると危機的状態にあります。
 さらには船舶の航路にいたしましても、これはもう大変な過密の状態で、特にこのフェニックス計画のねらっておる地域、海浜と千葉寄りの方のその地域は特に船舶の航路が過密なところなんです。したがって、東京湾横断道も川崎の方はトンネルにした経過は御承知のとおりです。そういう中にさらに埋立地をつくる、このこと自体がもう無理になってきていると思うのです。しかも厚生省の計画は、これは運輸省も関係あるのでしょうけれども、非常に安易な埋め立て計画といいますか、ごみが余るから海に埋め立ててやれ、こういう形ですね。広域処理というのは、必ずしも海を埋め立てることだけが広域じゃないと思います。そういう意味で、どう考えましても、東京湾の環境を保持して、さらに今失われつつある海の水の汚なさ、汚染を何とか回復しよう、こういうことで今それぞれ努力が始まっているときに、このごみを埋め立てるという計画それ自体が無理だと思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
 厚生大臣、やはり厚生省の段階では、計画を一たん立てますと、それを何とかやろうということになるだろうと思うのです。それぞれいわゆる縄張り根性もありますしいろいろやろうとする。しかし、国全体の環境問題、まさに地球的規模の環境問題すら論じられている状態の中で、東京湾を埋め立ててごみを処理するということ自体がもう時代おくれというよりも不可能なことだ、こう思いますけれども、厚生大臣、高い次元でどう考えられますか。
#321
○目黒政府委員 先にちょっと御説明申し上げます。
 先生がおっしゃいますように、一般に海は非常にさまざまな目的に利用する大変貴重な空間であることは間違いないことでございます。私ども厚生省といたしましても、安易にこれを埋め立てるべきではないと考えているのでございます。
 ただ、今後廃棄物処理をいたしてまいります場合には、私どもは当然排出の抑制あるいは再利用の促進あるいは中間処理、焼却場等の整備等々を図るということに最大限の努力を払わなければいけないと思っておるのでございます。また同時に、なるべく内陸部に処分場を確保することが重要だろうと思っているのでございます。
 しかし、人口が大変過度に集中をいたしました東京などのような大都市圏におきましては、内陸部に処分場を確保することは当然やっていただくわけでございますが、それと同時に、やむを得ない場合には海面埋め立てに依存せざるを得ない、こういう考え方をいたしているのでございます。したがって、ごみの処理につきましては埋め立てだけということではなくて、焼却する等の中間処理、埋め立てる、再利用、このような三本柱を並行して行ってまいったわけでございますし、今後もそういう方向でまいりたいということで私どもフェニックス計画を進めることとしているのでございます。
#322
○津島国務大臣 廃棄物の発生量が大変に増加をいたしまして、これらの対策は国はもとより地方団体の大変大きな頭痛の種になっておると思います。その対策として減量化とか再利用とかいろいろと考えられておるわけでありますけれども、とにかく公共が関与してやる場合には絶対に環境の汚染とか公害を出さないというのが前提でございますから、今言われておりますフェニックス計画でも当然そういう大前提で進められていくべきものであると受けとめております。
 その一方、内陸部ではどうするかということについては、先生よく御存じのとおりに首都圏のそれぞれの地方団体は困っておりまして、それを今度はかなり広域に移動して処理をしなければならない。そういうことの中から不法投棄とか不適正な処理事案も散見されておる。いわゆる引き受け方、廃棄物を受け入れる側からはまた別の角度からいろいろな問題を提起されておるわけでございます。ですから、こういうことを総合的に考えまして、もちろん減量化もやっていくということ、それから優良な山の方の処理施設を確保しなければならないとか、いろいろな問題はありますけれども、やはり公共的な管理のもとでしっかりとした処理をやるという選択肢の中でフェニックス計画は考えていただかなければならないというのが私どもの立場でございます。
 いずれにいたしましても非常に複雑な問題である、それから関係者も多い、また公共団体が広域的にかかわってくるという中で、どうすればもっと適切な対策が行われるであろうかということを制度改正、立法措置を含めて検討してまいりたいというのが私どもの現在の立場でございます。
#323
○上野分科員 厚生省の考え方というのは私どもまだ理解できない。しかも、ごみを多く出す原因なんかについても非常に態度が甘いといいますか、例えばOA化に伴って出てくる紙の問題とか、それから企業活動に伴って相当利潤を上げているところなどに対して今までも野放しですね。そして、その出た結果だけは自治体が処理しなければならぬ、あるいは責任を持たされるという形が非常に多い。そういうことから粗大ごみの有料化を例えば横浜などでも五月から始めると聞いておりますし、これだけの企業社会になれば企業の責任という形での処理の問題、それから分別の問題なんかももっと徹底させるとか、再利用はもちろんですが、そういうことについて厚生省の指導にしても、それから各取り組みについてもまだ緒についたばかりなんですね。ですから、この点をもっと徹底させることがまず先ではないのかと思うのです。
 それから、ごみの処理に困るから埋め立てるという観点、この計画というのはそれしか考えられない。埋め立てはもう限界に来ている。それほどごみを埋め立てしなければならぬというのなら、今まで埋め立てをしたところは随分あるわけです。むしろ埋め立ては大体終わっているという感じです。もう終わらせなければだめだという段階です。その段階になってごみのためにまた新たにやるというこの計画、フェニックスなどという立派な名前がついておりますけれども、内容は非常にお粗末な内容だと思います。したがって、非常に安易な処理の仕方がこの埋め立てになる、こう思いますけれども、その点はどうでしょう。
#324
○目黒政府委員 ごみの問題でございますが、発生量の方からまいりますと、いわゆる一般廃棄物と称するものが年間約四千数百万トン、それから産業廃棄物の方が三億二千万トンということで圧倒的に産業廃棄物が多いのは事実でございます。しかしながら、これらの廃棄物は消費活動とも密接な関係があるわけでございます。また私ども、非常に利害関係者の多くいる中で消費者あるいは排出事業者、処理業者等々多くの関係者の御意見を聞きながらこれからも検討を続けていきたいと思っているわけでございます。
 さはさりながら、現時点でも分別収集あるいは古紙の再生使用、古紙の再生紙を使用するようにといったような具体的な事例を含めてこれの推進を一方ではやっていっているわけでございます。先生、甘いという御指摘でございますけれども、私ども現状の制度の中でできるだけのことを今進めているところでございますので、御理解を賜ればと思っているわけでございます。また、当然この産業廃棄物等につきましては排出事業者の責任ということで今制度が組み立てられておりますので、当然その範囲内で行われていくということも事実でございます。
#325
○上野分科員 そうすると、先ほどあった法改正というのは、一体何をどこら辺までどうしようと考えておられるのですか。
#326
○津島国務大臣 上野委員に申し上げますが、私どもは別に初めにフェニックス計画ありきで申し上げているわけではありません。私どもはむしろ
廃棄物の発生量の増がいかに大きな社会問題になっているか、そういうことについて非常な危機感を持っておるわけでございます。これに対応するためには、生活環境審議会の諮問を含めて早急に専門家や有識者の意見を聞いて、そしてどういう具体的なことを勉強するかといいますと、どうしたらさらに一層減量化できるであろうか、それから最終処理場を確保することについてどうですか、それから事業者責任、これは委員御指摘のとおり基本的には発生者責任ということでありますから、これのあり方についてどういうふうに貫くのか、それから適正処理を行う業者、処理業者についてどういう問題があるか、それから廃棄物をめぐる行政について国、都道府県、市町村の役割分担はどうしようか、そのほか、今の分別処理の区分についての話だとか情報システムの組み立てとかこういう広範な問題を含んでおりまして、これを全体として真剣に検討して、そして、今まで法律改正を含めてということは実は厚生省は言ってなかったのでありますけれども、私が就任いたしましてから、これを放置することはできないから必要な場合にはできるだけ早く法律改正を含めてやろうではないかということで取り組んでいるわけでございます。ですから、我々はこの問題についてまずフェニックス計画ありきじゃないのでありまして、適正に処理をして環境をきれいに維持していく、そして、国民生活にまた地域生活に御迷惑をかけないためにはどうしたらいいかということをまず検討していくということが基本的な姿勢であることを御理解いただきたいと思います。
#327
○上野分科員 そうしますと今の大臣の御意見でいくと、私は大変共感できる点があります。ただそれが、しかし最終的にはフェニックス計画ですよ、いろいろやるのだけれども結局そこにいくのですよというふうに聞こえるのですね。ところが、それは大臣がおっしゃることでは、そうじゃないということになれば一番いいのですけれども、まず大臣が言われた公害を出さない方法というのは、埋め立ては無理なのですね。しかも、大体やることが遅いのですよ。例えばケネディ空港なんかはごみの埋め立てでつくったでしょう。羽田空港とかもっといろいろあるじゃないですか、関西空港だってあるし、いろいろあるのだけれども、関西空港なんかは特にそういうふうになっていませんね。今やっているものだってそうなっている。
 ですから、何かせっかくの計画なんだけれども、そういうようにむしろ既にもう埋め立てが限界に来た段階でやるという格好ですから、これは例えば千葉県にしたって賛成はなかなか無理だろうと思いますし、時間が来ましたのでそろそろやめますけれども、そういうことでぜひ大臣にお願いしたいのは、今大臣がおっしゃるような、発生者責任とか業界の問題とかいろいろおっしゃいましたが、そういうことをもっと積極的に推進してもらって、それで地方自治体にももっと積極的にやれよ、こうやってもらう。今ごろから分別では遅いぐらいだという形も含めて推進をまずしてもらいたい。そういうことをやって、その辺のところの成果が上がるまでは、それまではこのフェニックス計画は問題に持ち出さないでやられたらどうでしょうか。これがあると結局は、そっちへ持っていけばいいんだよということでせっかく大臣が今考えていることが安易に流れはしないか、こう思うのですが、最後にその辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
#328
○津島国務大臣 私は、最後にフェニックスありきという意味で申しあげたつもりはございません。一つの選択肢であるということでございまして、基本的な問題は、今委員御指摘のような基本問題を速やかに検討したいということでございます。御指摘の点は参考にさせていただきます。
#329
○上野分科員 では、終わります。ありがとうございました。
#330
○林主査 これにて上野建一君の質疑は終了いたしました。
 次に、秋葉忠利君。
#331
○秋葉分科員 私は社会党の秋葉でございます。主に二つの分野について質問をさせていただきたいと思います。この二つはほとんど関係がありませんが、まず最初に喫煙のことなんです。
 私は、アメリカに住んでおりまして、アメリカにおけるたばこの扱いと現在日本におけるたばこの扱いに非常に大きな差があることを痛感しているのですが、なぜ日本ではたばこの害が余り社会全体として取り上げられていないのか、特に私たちの健康、それから生命についてさまざまな国としての政策を施行する厚生省でもっと積極的に取り組んでもらえないのか、いささか歯がゆい思いを持ってこれを眺めてきたわけでありますが、実は次のような解釈をするとその理由がよくわかる。これは半分冗談なんですが、こんな解釈がございます。
 それは、まず平たく言ってしまえば日本人というのは非常に長生きだ。世界じゅうで一番長生きになってきている。しかしながら、たばこを吸っていてもとても長生きである。同時に、これもやはり厚生省の管轄でありますが、年金、それから高齢化社会になってきた場合のさまざまな問題、そういったことが生ずる。仮に厚生省が積極的にたばこの、喫煙の害についてPRをして禁煙の方向に持っていくと、日本人の寿命がもっと延びてしまう。平均余命が百歳ぐらいになってしまうのじゃないか。そうすると、厚生省としてはとんでもない大きな高齢化社会という問題を自分の懐に抱え込んでしまうので、そういった難問題をできるだけ避けるために、しかも余りお金を使わないようにするために、喫煙の害についてはできるだけおとなしく、少しはやるけれども消極的にやっていればいいのじゃないか、そういった解釈をいたしますと、非常によくわかる気がするのですが、まさか厚生省はそんなお考えで喫煙の害についで余り積極的な策をおとりになっていないというふうには思いませんが、いかがでしょうか。喫煙の害についてもっと積極的に今後取り組まれるお気持ちがあるのかどうか、厚生大臣、ぜひお伺いさせてください。
#332
○津島国務大臣 秋葉委員に申し上げますが、委員も大学の先生をやっておられたから、今の冗談は恐らく本気ではおっしゃっていないと思います。年金のコストも医療保険のコストも、高齢者であれ若い人であれ健康を害したときに一番コストが出るのであります。したがいまして、コストがかかるようなことをしてでも寿命を縮めたいなどということは理性のある行政機関が考えるはずはないわけでありまして、恐らくほんの冗談のつもりでおっしゃったと思います。私どもとしては、健康に対する被害、危険については常時PRを図っていかなければならないという立場でございます。
#333
○秋葉分科員 おっしゃるとおり冗談を冗談として解釈していただきまして大変ありがとうございます。
 それで、例えばアメリカの喫煙の害に対するさまざまな措置と現在日本で行われているさまざまな措置を比べた場合にいろいろなことが考えられます。例えばアメリカの例をとりますと、連邦政府の所轄している建物すべて、それから、それ以外の場合もありますけれども、大体連邦政府と何らかの契約関係があるような場所において喫煙を許してはいけない。例外的に喫煙をする場所を設けてそこで喫煙をすることはいいけれども、ともかく一般原則としては禁煙である、そういう大原則がございます。ここにいらっしゃる皆さんすべて御存じのように、国の中でも一番大事な建物の一つである国会議事堂の中でもそういった原則はございません。喫煙の害ということを認めれば当然そういった措置をとることも妥当だというふうに考えますけれども、これまでに疫学的な研究もあることですし、世界的にも喫煙の害を認める趨勢にあるわけですから、今後厚生省が音頭をとって国会の中でも原則として禁煙、政府それから行政省庁、国公立の建物の中でも原則として禁煙とするというような大なたを指導力を持って振るわれる、これからの政策の大転換をなさるおつもり
はありませんでしょうか。
#334
○長谷川政府委員 大臣のお答えの前に私の方から厚生省のやっております禁煙対策について概況を御説明申し上げたいと思います。
 特に、先生今お話ございましたように、いわゆる公共施設における禁煙の問題でございますが、私どもといたしましては、医療機関におきます禁煙、喫煙場所と喫煙してはいかぬ場所についてのいわゆる分煙問題については早急に手を打たなければならないということで五十三年から国立病院の関係、それから五十九年から一般の医療機関にそういう喫煙の場所とたばこを吸ってはいかぬ場所というものの区別をきちっとやってほしいということで行政指導をやっております。そういう面で、医療機関におきましては、たばこを吸う場所、吸ってはいかぬ場所というのはかなり区別されまして、患者さんの方々の健康にいい影響を与えている点があるだろうと考えておるところでございます。
 それ以外に、先生御存じのように、鉄道あるいは航空機等におきましても禁煙席というものをかなり設けているような状況にありまして、そういう面では一般的にたばこを吸う人と吸わぬ人との間が分かれて、たばこを吸わない人の健康についていろいろ配慮している状況にあろうかというように思う次第でございます。それ以外に厚生省といたしましては、いろいろな面での衛生教育等をやっておるところでございます。
#335
○津島国務大臣 喫煙の健康への影響という点は恐らく異論を唱える方はいない段階に来ていると思います。そういうことを踏まえて、厚生省としては従来ともいろいろな機会をとらえて正しくこのことを普及することに努めてきたということが今の答弁の趣旨でございます。
 私も実は、かなり前でございますけれども、専売事業にごく限られた期間出向を命ぜられたことがございまして、そのときにアメリカのサージャンゼネラルのああいう措置がとられた。それを日本でどうするかということで大議論がございました。それ以後の経過を見ておりますとやはり随分進歩していると思います。それは、委員から見られれば甚だ遅々としているというお考えかと思いますが、それでも随分進歩している。でございますから、こういう方向に向けて一層努力をして、少なくとも、いわゆる分煙対策と申しますか、喫煙をされる人は限られた場所で喫煙をされる、一般の方とは別のところでされるということはかなり普及してきていると思います。
 いずれにしても、この問題は国民全体の理解度を踏まえていたしませんと、公共の場でどこまでやれるかということがなかなかスムーズにいきませんものですから、我々としては一層努力をしてまいりますことをここに改めて決意表明いたしたいと思います。
#336
○秋葉分科員 そうですね、時間的に見てその努力を始められてからまだ時間が余りない、その間にかなり変化してきたというところは私もそのとおりだと思います。これまでのそういった御努力に関しては感謝をしたいと思います。
 同時にもう一つこのことに関して伺っておきたいことは、国民的な理解が浸透して例えば世論の九九%ぐらいがもうたばこはやめようということになれば、恐らく国会議事堂の中でも禁煙が通るだろう、そういうことはよく理解できるのですけれども、実は、九九%がたばこは嫌だと言えばあえて厚生省が音頭をとらなくてもその必要はなくなるという、これは自家撞着の論理があるわけですが、となると、どこの時点で厚生省が指導力を発揮するか。まだ吸いたいけれども、体には悪いけれども、制度的にある程度整備されれば当然くっついてくるたくさんの人もいるわけですが、厚生省が大英断を下す、そのためには例えば国民的な大デモが必要なのか、あるいはニュースキャスターが番組の途中で禁煙のいろいろな特典、いいことについてPRをすればいいのか。何かこういったことがあれば厚生省としても大英断を振るえるのだけれどもといったような条件が幾つかありましたら、ぜひ御教示いただきたいと思います。私も協力して厚生省とともに喫煙の害についてのPRをしたいと思います。
#337
○津島国務大臣 これができれば格段の前進が図れるというようなものは残念ながら我々は見つけることはできないわけでありますが、やはり喫煙率がある一定の水準以下まで下がる、九〇%でなくてもいいわけですね、それで公共の場所では禁煙にしようという声が全体を占めるというところに向けて一生懸命に頑張る以外にはないのじゃないかと思っております。無理にいたしましてもやはりその習慣をやめられない方もたくさんいるわけですから、少しでも多くの方に健康のことを考えてその習慣から離れていただくということが先決じゃないかというのが我々の考え方であります。
#338
○秋葉分科員 わかりました。この件は時間がありませんので次の問題に移りたいのですが、実はアメリカの場合には必ずしも世論が先行して禁煙の方向に行ったわけではありません。先ほどお話がありましたサーシャンゼネラルですけれども、彼の場合にはある意味で喫煙の問題に関して大英断を振るったために歴史的にその名を残した。それまでは政府内の非常に小さな一部局であったサーシャンゼネラルというものが、脚光を浴びそして歴史的に名を残すような大英断を振るったという前例もございますので、その辺のこともぜひ頭の隅に置いて、これから何らかのチャンスに大英断を振るわれることを期待し、この問題についてまた将来の御教示をお願いして、次の問題に移りたいと思います。
 次の問題は、小規模事業所、身体障害者の小規模作業所と言われるものですけれども、私の理解では一九七二年から小規模事業所に対する国庫補助制度が始まったということなのですが、現在の国の補助金ではどうも少ないのではないか。例えばここに資料がございますが、これは広島市にあるきつつき共同作業所という小さな共同作業所でつくってくれた資料です。これは推定ですけれども、日本全国で大体二千五百カ所の小規模事業所と言われるところがある。そのうち国庫補助を受けているのが約四分の一。その額は年間八十万円である。国庫補助が出てきたことは大変喜ばしいんだけれども、小規模作業所においてかかる年間の費用が一千二百万円。そのほかに、例えば県からも補助金が出る、それが約五百五十万円。何やかやで、どうしても一年に七百万円くらい不足になる。その額は、募金をしたりバザーをしたりさまざまな活動を行って埋めている現状だという報告がございます。
 私は、この国庫補助の制度ができたということはすばらしいことだと思いますが、国の立場から考えて非常に損な補助金の渡し方ではないかと思います。といいますのは、これは最初のうちは七十万円だったわけですが、かねと太鼓で今度は増額されるということになって、その結果八十万円になった。となりますと、せっかく増額しながら、それを受け取る側では七十万円が八十万円になった、すばらしい、ありがとうというのではなくて、何だもっと期待していたのにたったこれだけしか出ないのか、落胆の感情の方が非常に強くなります。それから、初めてこの補助金が交付される作業所に関しても、長い間運動してようやっともらえることになった、それはそれで確かにうれしいんだけれども、年間千二百万円かかるのに国からもらえるお金は八十万円、それも制度として非常に完備しているのならともかくなんですけれども、そうではなくて八十万円なんで、八十万円もらって本当にうれしい、厚生省はすばらしい制度をつくってくれたというふうに感謝をするかわりに、何だたった八十万円で、一体国は私たちの作業所についてどういう考えを持っているんだ、これは国としての我々に対する態度の非常にネガティブな表明ではないかというような否定的な感情が強くなってしまった、そういった制度になってしまっている、これはすべての面で非常に残念なことだと思います。
 ということで、この制度にその本来の意味を持たせて、作業所も喜ぶし、国としてもやったかい
があった、確かにこれは積極的な政策になっているんだ、そういう積極的な評価を得るためにはやはりどうしても増額をする必要があるのではないか、あるいは四分の一程度の作業所に補助金を出すのではなくて、せめて半分の作業所には補助金が行くようにできるだけ速やかに対策をとるべきではないか、そういうことを感じて、半分はお願いするつもりで質問に立っているわけです。その点について今後の厚生省の、こういった非常に小さな作業所も含めた身体障害者、精神障害者に対する施策、大まかな方針、方向を伺わせていただきたいと思いますし、これからこの制度が拡充される可能性はどのくらいあるのか、障害があるとすればそれは一体どんなところにあるのか、それを伺いたいと思います。
#339
○長尾政府委員 まず最初に、全体として身体障害者の方に対します私どもの対策の基本的な枠組みから御説明をさせていただきたいと思います。
 御承知のように身体障害者の方の持っておられますさまざまな要望、ニード、そういうものの中で今先生が御指摘になりました社会の一員として仕事を持つ、または生きがいのある活動をするという面につきましては、本来は身体障害者の授産事業という観点で、職業という意味では福祉的な就労ということを図っておりまして、そのうちの一部は福祉向上という形で私どもはやっておるわけでございます。生きがいという面におきましては、身体障害者の福祉センターでございますとかデイサービス施設でございますとか、こういうものの整備をいたしましたり、また各都道府県を通じまして社会参加促進事業という形でさまざまな事業についての助成をいたしておるわけでございます。
 こういった全体の枠組みの中で、御承知かと思うのでございますが、社会福祉事業として公が助成をいたします一つの基準の考え方といたしましては、こういった適所の施設につきまして一応二十人以上という基本的な考え方がございます。今お話しの小規模作業所と言われておりますものは、親御さんですとかボランティアの方々が、なかなか施設の整備が進みませんために地域の中でそういった方々が中心になって五人から十人くらいの障害者の方、精神薄弱者の方も御一緒のケースが多いように思いますけれども、そういう方々がいろいろな意味で福祉的就労までに至らない、また生きがい的なものも含めた形の活動をしておられるものであると思います。そういう意味では、全体の体系の中でやや正規の社会福祉事業として扱いの難しいところでございます。その実態、今先生は四分の一くらいしか私どもとして把握していないのではないかという御指摘がございましたが、確かに対象の把握も難しい点がございます。
 それから、今私はある一定の人数を五人以上と申し上げましたけれども、私どもが補助いたしておりますのがそういう意味で一定のレベル以上ということを考えておりますので、極端な話、五人以下のボランティアの方々の中心のお集まりもあることもあるのではないかと思っております。こういった方々に対しまして、いわばボランタリーな活動に対しまして助成をしていく、公のお金を出していくというのは、障害者の方のお立場から見ればある意味で当然そういう後援はしてくれてしかるべきではないかと思われると思いますが、公費をそういうところにお出しするということにつきましては、それが本当に公平な形で、適正な形で支出されるのかという意味の厳しさの面もあると思うわけでございます。私どもといたしましては、こういった障害者の団体、私どもでございますと日身連という団体を経由いたしましてこういったボランタリーな活動を援助するという形で助成をしてきたわけでございますが、確かにおっしゃるようにその受け取られる方一人一人にしますと不十分だというお気持ちが多いことも事実であろうと思います。
 今後の私どもの基本的な方向でございますが、施設が地域の中で十分ではない、身体障害者の方が地域の中で生き生きとした生活を送れるような場が非常に少ないということがこういうことになっておるわけでございまして、そういうものの基本的な解決方法を見つけることが私どもとしては基本の方向ではないかという気はいたしております。
 授産施設につきまして、小さな規模でできるようないろいろな工夫でございますとか、身体障害者の授産施設に精神薄弱者の方も適所できるようなことを一方で講じていきたいと思っておりますし、また生きがいという観点では、先ほど申しました生きがいを担当していただいております福祉センター等のこういった活動をもう少し広げていくような工夫というものも考えていきたいと思っておるわけでございます。
    〔主査退席、戸井田主査代理着席〕
#340
○秋葉分科員 大筋においてはそれほど違和感はないのです。例えばさまざまな大方針があるということはよくわかりますし、それから十年単位で非常に大きな福祉の総合青写真をつくらなくてはいけない、そういった時期に来ているとも思います。
 そういった方向で進んでおられるというお答えだと思いますのでそれは賛成なんですが、実はここで問題になっているのは、そういう大方針もさることながら、同時にすべての施策というものにはどうしてもすき間ができる、全体としてうまく働いているはずのさまざまな福祉上の措置からどうしてもこぼれてしまう場所がある、こぼれてしまう人がいる、まさにこの小規模作業所というのはそういった存在であると思います。
 その対応の仕方にしても、例えば人数の点で問題があるのであれば、例えば大きな作業所の支所として認めてもらった上で補助金を出してもらうとか、さまざまな対応策というのはその場その場に応じてあるんだと私は思っているのですけれども、要は、そういったすき間が生じることが当たり前だと考えた上で、すき間が生じたときにどういうことをやっていったらいいのか。福祉の問題というのは人間の問題ですから、どうしても時間的に早く対応しなくてはいけない、どうしても苦しむ人が出てくる、その場合の対応策を事前に考えた上で、できるだけ小回りのきく形で対応していくべきではないか、そういう観点から私は質問をしているのですけれども、まさにそのすき間にあるこの小作業所についての補助金も、先ほども申しましたけれども、補助金の出る箇所が作業所全体の四分の一、それから千二百万必要なところに八十万と、すき間の埋め方にしても余りにもギャップが大き過ぎるのではないか、もう少し何か積極的な手が打てるのではないかというのが私の質問の趣旨なんですが、その辺はいかがでしょうか。
#341
○長尾政府委員 まず最初に、訂正をさせていただきたいと思いますが、今お答えしております最中に、私どもが補助いたします要件といたしまして五名以上ということを申したということでございますが、社会局の障害者の場合は十名以上、児童家庭局の精神薄弱者の場合は十五名程度以上、それから精神保健関係は十名程度ということでございますので、そこは訂正させていただきたいと思います。
 今先生がおっしゃいましたように、私どもも、何か物事を非常に割り切って考えていきますと、確かにその間に入ってしまう事業、間に入ってしまう民間の皆様の大変ボランタリーな活動というものがあることは事実だと思いますし、また、そういったものを重視していくということも今後地域の中で福祉が生き生きと動いていくというためには大変必要なことだというふうに思っております。これの対処の仕方というのはもう少し私どもも勉強させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
#342
○秋葉分科員 大変前向きなお答えをいただきまして大変ありがたいのですが、その勉強についても実はやはり時間が非常に問題になってまいります。この小作業所の問題についても、十三年連続で請願が出ております。これから勉強されると言われると、これまでの十三年の請願の間一体何を
やっておられたのか、そういう疑問が当然生じます。勉強されるのは大変ありがたいと思いますけれども、やはり時間のある問題です。十三年前に二歳の子供はもう十五歳になっています。十五歳の人は三十歳近くになっているわけです。そういったことを考えて、できるだけ早急にこの小作業所に関してもそういうすき間にあるものに対する柔軟な対策ということをぜひお願いしたいと思います。
 時間がありませんので、もう少し詳しく伺いたかったのですが、また後日こういった問題についていろいろとお教えいただくということで、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#343
○戸井田主査代理 これにて秋葉忠利君の質疑は終了いたしました。
 次に、竹内勝彦君。
#344
○竹内(勝)分科員 最初に、食品添加物について若干お伺いしておきます。
 これはいつの時代でもそうです。また、特に現在健康という点に関しては、生活スタイルが変化してきておると言っても過言ではないほど食べ物に非常に気を使っているというか、健康という問題に関していろいろと関心が高まっておる、そういうときでございますが、特に私伺っておきたいのは、現在までの食品添加物、その中にも合成添加物あるいは天然添加物等がございますが、それの使用許可の品目数、これはどうなっておるのか、それをまず最初に御答弁いただきたいと思います。
#345
○目黒政府委員 化学的合成品たる食品添加物といたしましては、現在まで三百四十七品目のものを指定いたしているのでございます。また、化学的合成品以外の食品添加物、いわゆる天然添加物といたしましては、昨年十一月二十八日に、化学的合成品以外の食品添加物リストの中に千五十一品目のものを告示したところでございます。
#346
○竹内(勝)分科員 そこで、これは当たり前のことでございますが、疑わしきは使用を禁止すべきである、こういう観点がかねてより論じられておるのでございますけれども、この食品添加物の中に、発がん性の疑いがある、あるいは臓器などに影響を及ぼしたりするような発病性のあるような食品添加物は使用許可にはなっていないと思いますけれども、その辺、最初に確認しておきます。
#347
○目黒政府委員 私どもが指定いたしました食品添加物は、科学的な知見、根拠等に基づきまして安全性を確保したものでございます。
#348
○竹内(勝)分科員 それでは聞いておきますが、最近のがんの死亡数、それをキャッチしておりますか。あったら述べてください。
#349
○目黒政府委員 死亡原因の一番上の方にあるということは承知いたしておりますが、現在ちょっと具体的な数字は手持ちにないのでございます。
#350
○竹内(勝)分科員 それでは教えておきましょう。一九八八年、年間二十万五千四百七十人、これが根拠のあるデータとして出てきたものでございます。それから、念のために今から九年前、一九八一年、これは十六万五千六百人、こういうことでございます。特に一九八八年のは、先般厚生省からお伺いした数字でございますので、一切間違いございません。
 そこで、こういうものがふえてきておる、そして、死亡率でもトップです。それは御存じですね。がんによって死亡というものがトップである。それから、がんの死亡数も今申し上げましたようにどんどんふえてきておる。これをもう一度確認しておきます。
#351
○目黒政府委員 そのように理解しております。
#352
○竹内(勝)分科員 そこで、まず食品添加物の使用許可を出すその審査方法、審査状況、使用許可を出すに当たってどんな手続がとられるのか、それを概略説明してください。
#353
○目黒政府委員 化学的合成品たる食品添加物につきましては、食品衛生法第六条の規定に基づきまして、専門家から成ります食品衛生調査会におきまして安全性並びに有用性、必要性に関する十分な資料をもとにいたしまして、また科学的知見から審議を行いまして、ガット通報等の手続を経まして厚生大臣が指定をする、このような手続になっているのでございます。
#354
○竹内(勝)分科員 それでは具体的にお伺いします。
 まず、OPP、オルトフェニルフェノール、これはオレンジだとかレモンだとかグレープフルーツなどの輸入農産物などに使用される、収穫後に散布するものですね。そういう薬剤です、ポストハーベスト剤として。
 そういうものでございますが、これは一九八〇年七月、東京都の衛生研究所が動物試験で発がん性を報告しておりましたね。そして、厚生省はそれにつきまして、しかるべき研究機関で追試したい、それで対応していきたい、こういう発表もしております。新聞の記事もございます。当時の朝日新聞ですが、これは一九八〇年七月十一日付ですね。ここにも今のようなことがございまして、そして厚生省の見解もこの新聞報道にはありますが、厚生省としては、「「発がんがOPPによるものかどうかは、このデータだけでは判断できない」としており、早急にしかるべき機関で追試を行いたい、」こういう言い方で発表しております。
 そしてその後、いろんな報道があります。当面輸入禁止、こういうことで、このOPPのものに関しては輸入を禁止をしようという動きがありました。そして、特に東京都の衛生研が動物実験でやったそういったものに関しての結果として、これは輸入は禁止した方がいいだろう、こういう動きになったんですが、しかしその後はどういうようになったのか。今でもその先ほどの、三百四十七品目ございましたが、そこにはこのOPPは入っていると思いますけれども、その辺の確認と、その後しかるべきところで追試をして対応したいということはどうなったのか、御説明ください。
#355
○目黒政府委員 まず最初に、現在の指定品目の中にこのOPP、オルトフェニルフェノール等については入っております。
 それから、その後の経過でございますが、御指摘のような東京都の研究所の報告以後、名古屋市立大学でもマウスで追試験を行いましたところ、発がん性を認めなかった、こういうことでございます。それで、これらの結果について昭和五十九年に食品衛生調査会におきまして検討いたしましたところ、摂取量は極めて微量であると推定される上に、動物では体内残留、蓄積等が認められず、これらの知見を見る限り、人に対するリスクに直ちにつながるものとは考えられないということとされまして、さらに今後、安全性のデータが整備された時点でその安全性について検討することとなっているのでございます。
 また、FAO、WHOの国際機関の専門委員会では、一九八三年にADIを評価しております。さらに本年の九月に、国際機関において安全性についてより詳細な検討がなされる予定と聞いておりまして、私どもその評価については情報収集に努め、科学的に対処してまいりたい、このように考えているところでございます。
#356
○竹内(勝)分科員 名古屋のそこの機関において発がん性が認められなかったという発表をされたわけですが、それは、東京都の衛生研ではこのように発がん性があるというように出しておるものを、ただ単に名古屋の方でやったらそのものが認められないんだというような簡単なもので、これを発がん性の疑いはないんだというようなことに判断したことは、これは大きな問題があります。
 それと、さらに過酸化水素水、これは魚介練り製品やゆでめん、しらすなどの殺菌漂白剤、そういう形で使われているものですが、これは同じく一九八〇年十二月、広島大学の医学部の動物試験では発がん性がある、こういう報告がございましたが、しかしこの過酸化水素はそのまま使われておるわけでございますね。その点に関してはいかがでございましょうか。
#357
○目黒政府委員 先生御承知のような経過で、食品衛生調査会の意見に基づいて食品中に残存しないこととする使用基準に改めたことは事実でござ
いますが、過酸化水素は人体におきます代謝の過程で出てくる、生成される物質でございますして、生体内では酵素の働きによりまして速やかに分解されているというようなものでございます。また、この過酸化水素は天然の食品中にも広く存在していることが知られておるのでございまして、食品添加物としては現在の使用基準で安全性には問題がないというように私どもは考えております。
#358
○竹内(勝)分科員 次はBHA、ブチルヒドロキシアニソール、これは酸化防止剤、これはラットの前胃に扁平上皮がんなどの病理学的変化を生ずる、こういう報告がございますが、一九八二年五月に厚生省は最初この物質の全面使用禁止を決定し、翌年二月一日からそれを実施すると官報に告示したんですね。しかしその一日前、二月一日の一日前の一月三十一日になってその禁止を延期し、現在に至っているわけです。
 これはどういう経過ですか。これは余り長い説明をされると、まだ全部ありますから後でまとめてやりますから、ちょっとその経過を教えてください。
#359
○目黒政府委員 この点につきましては、内外で各種の動物実験によります試験が行われたわけでございますが、FAO、WHOの専門委員会でも一つの評価をしたわけでございます。先生おっしゃるようなラットの胃には出ましたけれども、いわゆる胃の一部分である前胃、これのない動物では認められない、発がん性がなかったということのためにBHAの一日摂取量が設定された、こういう状況でございます。また、米国、EC等についてはその使用が認められているといったようなことでございまして、私ども、今もFAO、WHO合同の食品添加物専門委員会、通称JECFAにおきまして、一部の補充実験を行って最終評価の段階にあるというように承知しているのでございます。
 私ども、今後とも、その評価結果を含めて、また国際的な動向に十分に留意しまして、最終的な判断を科学的に検討してまいりたい、このように思っておるところでございます。
#360
○竹内(勝)分科員 まだ全部言ってから言いますが、これは一九八〇年とかもう十年も前のことを今言っているのですから、鋭意検討してとかそんなものじゃないですよ。
 そこで、次のこと言います。
 サッカリン。これはカナダの動物試験でがんを起こすことが認められた。米国でも確認されている。一九七三年四月、厚生省は一たんサッカリン禁止を決定しました。が、今度は一九七三年の十二月に、同じ年の十二月に禁止が解かれて、そして今度は一九七五年八月、使用基準が大幅に緩和された。これは参考ですが、一九八二年六月、米国のFDA、食品医薬品局はサッカリンを発がん物質に指定しました。それも、もし正しければ正しいと言ってください。
 そういうものですが、我が国では禁止が解かれてそのままになっているのですね。これはどういうことですか。
#361
○目黒政府委員 FDAでは、今先生御指摘の点につきまして、サッカリンの発がん性についての動物実験については認めているものの、使用は許可をしているのでございます。
#362
○竹内(勝)分科員 いや、そんなことは言っていないのです。発がん物質に指定したのでしょう。使用とかそういうことを言っているんじゃない。発がん物質であるということをFDAが指定した、これは正しいかどうか。
#363
○目黒政府委員 おっしゃるように、動物実験が出ているということで発がん性があるということでございますが、現在使用は許可しているということです。(竹内(勝)分科員「そこまで聞いていない。指定したか、FDAが」と呼ぶ)動物実験で発がん性を認めております。
#364
○竹内(勝)分科員 そういう経過があるにもかかわらず、なぜ日本では今このまま使っているのですか。サッカリンについて、一たん禁止して、同じ年にまたその禁止を解いて、そしてそのまま現在に至っているのはどういうわけですか。
#365
○目黒政府委員 サッカリンにつきましては、国際的にも安全性が広く検討されておるわけでございまして、米国の例におきましてもその使用が認められているところでございます。したがいまして、FAOとWHOの合同の食品添加物専門委員会における評価の結果等々によりますADI等の設定について私ども承知をいたしておりまして、そのようなことを総合いたしまして、私どもこの使用を現在認めているところでございます。
#366
○竹内(勝)分科員 そこで大臣、時間の関係でほかのものをどうしてもやらなければなりませんので、大臣から御答弁いただきたいのです。
 特に、今私が述べた経緯から見て、動物実験やいろいろな経過の中で発がんの疑いがある、あるいは発がん性が認められた、そういうものが出てきますと、やはり疑いのあるものは使用すべきではない、ここが一番大事なところでございます。AF2は使用禁止になりました。しかし十年間野放しで、AF2はずっと人体実験されたのと一緒ですよ。そして、今がんの死亡者もどんどんふえてきておりますね。こういうことにかんがみ、それから、現在もう国民の意識というものはどんどん変わってきております。主婦のパワーというか、そういうものが安全な食品を求めてということでいろいろな動きがあることも大臣はもう御存じだと思います。
 そういう中で、特に輸入食品の検査について、わずか八十人の監視員で二十一カ所の検疫所をカバーしておるわけです。放射能汚染食品や有害薬品に汚染された穀物、果物等が問題になっておりますが、こういう輸入食品監視員の増員を図るべきであるといった点、それから最新の検査機器を導入しその能力向上を図る必要がある、これは発がんの疑いがあるとか、いやそれは実験の結果ないんだとか、先ほどの前胃のないものにはそれは関係ないんだというのは次元がちょっとおかしいんですよ。
 そういう意味から考えてみましても、この問題に関してはここでしかるべき対応を図っていかないと大きな問題になってくるのではないか、同時にまた、日本がそれをリードしていく立場ではないかと私は訴えるわけでございますので、まず大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
#367
○津島国務大臣 食品添加物の指定については、安全性等について十分審議を行い、一たん指定した後におきましても安全性の再評価を行う等、科学的観点に立って対応していくというのが基本的考え方であります。
 いろいろの添加物について御指摘がありましたが、我が国の食品衛生調査会の評価並びに国際機関の評価及び諸外国における知見についても十分配慮し、科学的観点から安全性確保を最重点に対処していくということでございます。
 輸入食品監視体制を充実強化すべきであるということについては賛成でございまして、私どもは今完璧であるとは思っておりません。そこで、昨年は食品衛生監視員を九名増員していただき、また高度検査機器等の整備等も行っていただきましたが、今年度、今御審議の予算におきましても食品衛生監視員の十名の純増をお願いしておるところでございます。
 また、輸入食品の輸出国における安全確保対策の推進についても、これを検討しなければならないと思いますので、必要に応じて関係諸国にも要請してまいりたいと思っております。
#368
○竹内(勝)分科員 それでは琵琶湖の実態を、時間の許す限り質問させていただきます。
 まず、湖沼法が成立し、指定湖沼としても第一番目に琵琶湖が指定されまして、その対応としていろいろ対策が練られ、また下水の普及等におきましても、滋賀県の努力もありましてだんだんと完備されつつあります。しかし、そういうものに反してと言っては過言かもしれませんが、とにかく近畿の一千五百万の人たちが飲んでおる水がめとしては、この琵琶湖の水質がどうもよくなっていかない、こういった状況を見て、まず最近の状況を言ってください。そして、この対応策として
もう一つ議論をさせていただきたいと思いますので、お願いしたいと思います。
#369
○小澤説明員 お答えいたします。
 琵琶湖の水質でございますけれども、有機性汚濁の代表的な指標ということで、CODの値で申したいと思います。
 琵琶湖は二つに分かれておりまして、北湖の方でございますが、六十三年度のCOD七五%値は二・三ミリグラム・パー・リッターでございます。南湖につきましては三・九ミリグラム・パー・リッターでございます。
#370
○竹内(勝)分科員 そうではなくて、最近はほぼ横ばいだとか、よくなってきたとか、それをちょっと言っていただきたい。
#371
○小澤説明員 それでは、北湖につきまして五年程度のことを申しますと、数値にいたしまして五十九年度が二・五、六十年度が二・四、六十一年度が二・五、六十二年度が二・七、六十三年度は先ほど申しましたとおり二・三でございます。南湖につきましては、五十九年度が三・六、六十年度が三・七、六十一年度が三・九、六十二年度が四・〇、六十三年度が三・九という数字になっております。
#372
○竹内(勝)分科員 今の数字では全然よくなっていませんね。これは、湖沼法あるいは洗剤の規制等、滋賀県においても一生懸命努力して行いました。そうしてまた下水の普及率もだんだん上げてきております。どういったところに原因があるのか。それから、湖沼法としてこの琵琶湖に関してどういうようなことをこのようにやっているんだというものを御説明いただきたいと思います。
#373
○小澤説明員 先ほど申し上げました水質を見ますと、年度によりまして多少上下ばらつきがあるのでございますけれども、何分湖は一たん汚れますとなかなかきれいにしにくいというようなところもあるわけでございます。
 琵琶湖につきましては、先生先ほどおっしゃられましたように、湖沼水質保全計画というものが六十一年度から平成二年度までの五カ年間の目標で今実施されておるわけでございますけれども、その計画の中で、六十年度の水質、南湖ですと三・七ppmというものが、そのまま対策をいたしませんと五年後には四ppmになるというものを、平成二年度に対策によりまして三・四ppmに持っていこうということでございます。それから、北湖につきましては六十年度二・四ppmのものを、ほうっておきますと二・六ppmという数字になるものを、対策をとりまして二・二ppmに持っていこうということでございまして、先ほどの六十三年度の北湖の二・三ppmあるいは南湖の三・九ppmというもので、私どもといたしましては、年度年度多少の変動はございますけれども目標には向かっているのではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
 対策といたしましては、水質の保全に資する事業ということで下水道の整備を初めといたします各種の排水の処理施設の整備というものもございますし、それから水質保全のための規制その他の措置ということで、工場、事業場の排水対策あるいは家庭排水対策といったことを総合的に実施しているわけでございます。
 そういうことでございまして、何分非常に大きい湖でございますので、汚れるのにも時間がかかったかと思いますけれども、きれいにするのにもなかなか時間がかかるという状況でございまして、一生懸命やっておるところでございますので御理解いただきたいと思います。
#374
○竹内(勝)分科員 あなた、この場限りの答弁じゃないのですからね。私はこれをずっと取り上げてやってきています。同じことをやってもう十数年になります。湖沼法をつくったそのときも、私があの湖沼法の原案というか、公明党が一番最初にこの湖沼法の法案を出させてもらいました。しかし、それはいろいろその後の経過で骨抜きになりましてああいう結果になったのですが、これはこの場限りの答弁じゃないのですから、よくやっていかないと、今後どうやっていったら――これは琵琶湖だけのことじゃないのです。今、指定湖沼ももう九ですか、九湖沼が決まったわけでございます。そして、どこの湖沼を取り上げでもほとんどが飲料水源ですよ。それがどうも汚れてきている。ある学者に言わせれば、このままいったのでは琵琶湖もあと二十年で死滅するだろう。そしたらもう飲料水源がないのです、ほかには。近畿の飲料水源としてはございません。あれが淀川に流れてきて、そして近畿の人たちはみんなその水を飲んでいるのです。それを今のままで、鋭意努力しておりますというようなそんなものじゃないんだよ。どうやっていったらよいのかという御答弁をもう一度いただきたい。
 それから、もう時間ですから、恐縮でございますが大臣、飲料水として水質をよくしていかなければならない、それは厚生省の管轄でございます。したがいまして、大臣としてぜひこの水質を、湖沼のみではございません、河川、地下水、そのほかもうあらゆるものの水質の向上のために努力をしていかなければならない立場でございますので、その御意見を最後に大臣からお述べいただきたい。
 その前に、環境庁の方からよろしくお願いいたします。
#375
○小澤説明員 琵琶湖につきましては、湖沼水質保全計画、ことし平成二年度が五年の最終年度でございます。そのことしの水質の状況というものもよく見まして、この五年間に実施されました事業の内容、それから水質の状況の推移ということをよく解析いたしまして、琵琶湖につきましては、引き続きまして第二次の計画という中で下水道を初めとします各種の対策を十分に考えていきたいということでございます。
#376
○津島国務大臣 竹内委員御案内のとおり、現在水道法に基づく二十六項目の水質基準のほか、トリクロロエチレン等四項目について暫定的な水質基準を定めて水道管理者が水の管理をやっておる、これが現状でございます。
 しかし、産業開発が進み科学技術が発展してまいりますと、一層多様な化学物質による水道水の汚染が心配されることは事実でございます。そこで、厚生省といたしましても、昨年から三年間ということで水質検査制度を含めた水質基準のあり方について再検討を行い、水質基準の全般的な見直しを行うことといたしております。
#377
○竹内(勝)分科員 終わります。
#378
○戸井田主査代理 これにて竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、上原康助君。
#379
○上原分科員 大変限られた時間ですから、端的にお尋ねしますので、ひとつよろしく御答弁を願いたいと存じます。
 まず最初に、沖縄県における遺骨収集の件についてお尋ねをさせていただきたいと思いますが、もう御案内のように、第二次大戦が済んでから既に四十五年が経過しようとしております。ところが、国内唯一の地上戦を余儀なくされた沖縄では、今なお、相当量といいますか相当数の遺骨が山野にあるいは地下に眠っているという状況下に置かれております。むろん厚生省、関係御当局としてもこれまでそれなりの御努力をやってきておられるわけですが、現在までの収集状況と今後の御計画についてまずお聞かせをいただきたいと存じます。
#380
○末次政府委員 沖縄におきます遺骨収集につきましては、政府による埋没地下ごう等の遺骨収集と沖縄県民及び沖縄県当局によります遺骨収集によりまして、戦没者概数十八万六千五百人のうち既に十八万三千七百柱、約九八%相当でございますが、その収骨を終えたところでございます。
 残されました二%弱の御遺骨の大半が、所在そのものが必ずしも明らかではない。また、埋没ごう等で所在がわかっているものにつきましては、県の報告によりますれば現在八カ所を把握いたしておりますが、これらの中には農耕地あるいは墓地に絡むものが多々あるわけでございます。したがいまして、これら八カ所の埋没地下ごうのうち実施可能なものにつきましては、早急に遺骨収集を実施するため、本年度におきましても政府の遺
骨収集団を派遣いたしたいというふうに考えております。
#381
○上原分科員 確かに確定した未収骨の数というのは推定が難しいかもしれませんが、おおよそどのくらいと見ておられますか。
#382
○末次政府委員 この現在把握しております八カ所につきまして極めて粗っぽく推計いたしてみますと、五百程度かなというふうに考えております。
#383
○上原分科員 その八カ所、五百程度を済ませばほぼ終えるのか、また、予算はどうなっているのか。
#384
○末次政府委員 現在把握いたしております情報がこの八カ所でございます。このほかにも、情報が入りますれば、私どもとしましてはそれぞれにつきまして遺骨収集作業を行いたいというふうに考えております。
 なお、遺骨収集経費総体で平成二年度予算に計上いたしております額は、一億二千二百五万三千円でございます。
#385
○上原分科員 ぜひひとつ早急に未収骨のものを収骨できるように、特段の御配慮を願いたいと思います。一説にはまだ五、六千もあるのじゃないかという見方もありますので、古老の皆さんあるいはそういった敗戦直後の状況というものを知った方々が老齢化をし、あるいは他界するという状況ではなかなか容易でないと思いますが、遺族の皆さんの御心境も察するなら、ことしは四十五年ですからね、そういう面で特段の御努力を要望しておきたいと思います。
 次に、これは直接厚生省かは定かでありませんが、開発庁も来ていると思いますので、不発弾の処理問題ですね。
 最近工事現場などからとみに大型の不発弾というか、まあ不発弾という言い方もどうかなという指摘もあるわけですが、一応慣例として不発弾というふうに言われておりますから……。細々した点は申し上げるまでもありませんが、相当政府として力を入れてこられて、最近では、地域住民からの情報提供などに基づいても探査をする、あるいは広域探査事業もやっておる、また、不発弾が埋没していそうな地域を重点に探査、発掘をやって処理をしているということで、進展はしつつあるようですが、現在どのくらい埋没しておって、全面的な処理をするにはあとどのくらいかかるのか、ぜひ改めてこの問題もお聞かせを願いたいと思います。
#386
○樫福説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、沖縄にはたくさんの不発弾等が埋没しているものと考えられております。沖縄戦におきましては約二十万トンの砲弾が落ちたというふうに推定されておるようでございますが、ただ残念ながら、そのうち幾らが不発弾として残り、あるいは戦後米軍あるいは日本の自衛隊等によって幾ら処理されたか、ここが実は不明でございまして、現在の埋没量といいますか、これは必ずしも推定ができないのでございますけれども、毎年五十トンないし六十トンの不発弾が発見、処理されておりますことから、こういう事態はまだまだ今後も続くのではないか、こういうふうに考えております。
#387
○上原分科員 これもさっきの遺骨収集の件も、もちろん性格は違いますし、共通的に考えるわけにはまいりませんが、最近の予算の計上状況あるいは発掘の仕方等、先ほど指摘しましたように力を入れてきていることは御承知のとおりです。しかし、今でも那覇市内の首里地域あるいは浦添市のあの一帯、また最近は南部、南風原町を中心に与那原町とかそういうところで大型の不発弾が発覚して、時折は二、三千人ないしそれ以上の住民が避難をして処理しているという状況なんですね。このまま続くと本当にあと七、八十年ないし百年近くかかるのじゃないかという見方さえあるわけですから、ぜひこれも継続して早目に処理できるように、特段の御努力を願いたいと存じます。よろしいですね。
#388
○樫福説明員 先生御指摘のように、沖縄の不発弾対策につきましては、私どもといたしましてもできる限り頑張ってやっていきたいと思いまして、特に平成元年度からは従来の不発弾の探査、発掘事業の予算を八倍強にふやしまして、現在約一億四千万ほどの予算をもちまして、御指摘のように広域探査、発掘事業とか、不発弾の情報をお持ちと考えられます六十五歳以上の高齢者の方々の聞き取り調査等によりまして不発弾の情報を集め、そこを速やかに探査、発掘して処理していく、そういうふうに頑張ってまいりたいと思います。
#389
○上原分科員 一説にはまだ一千万トンぐらいあるんじゃないかということさえ言われておりますので、ぜひ御努力を願いたいと思います。
 そこで、厚生大臣、お聞きになったと思いますが、今遺骨収集の件とか不発弾処理、もちろんこれは本土でも、東京大空襲とかいろいろな戦争被害を受けたところは不発弾が埋没されている地域もなきにしもあらずです。しかし、狭い一つの県として、これだけの遺骨がまだ未収骨であるとか大量の不発弾がある、こういう実態ということについての厚生大臣のご理解といいますか御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#390
○津島国務大臣 私も戦争中は、非戦闘員、中学校の生徒でありましたが、焼夷弾降る中を逃げ回った生々しい記憶を今でも持っております。東京のように空襲という被害を受けただけでもあれだけの恐ろしい修羅場であったのに、直接激しい戦闘が行われた沖縄はどんなことであろうな、まことに心痛む思いでございます。今の御遺骨そして不発弾という、その片りんを見ただけでも、やはりその歴史の重みというものに襟を正したい気持ちでございます。
#391
○上原分科員 大臣御自身戦争の御体験をなさっている、また、沖縄が唯一の地上戦であったこと等に対して、御理解ある御答弁があったわけです。
 そこで、そういう戦争によってもたらされた戦後処理といいますか、県民生活に与えた影響、しかも単に戦場になっただけじゃないわけですね。御案内のように、戦後二十七年間米軍支配下にあった、復帰してこの五月十五日で満十八年になりますけれども、いまだに格差の問題がいろいろある。政府が今日まで御尽力してこられたことに私は敬意を表しますし、前にお座りになっておられる委員長、戸井田前厚生大臣にもいろいろお骨折りをいただいたわけですが、まだまだ解決を見ない諸問題が相当あるわけですよ。これについては、お役人の皆さんはこれでもかこれでもかとしょっちゅう追加されるので困るという言い分もあるようですが、私は、しかしそういうわけにはいかぬ、ネバー・ギブ・アップ、あきらめるわけにはいかぬ。
 まず一つは、戦争マラリア補償というのがございます。これは、詳細は時間の都合上きょうは割愛いたしますが、沖縄県八重山地域における戦争マラリア犠牲者に対する国家補償というものをぜひやらにゃいかぬという強い関係者並びに県御当局の要望が既に出されております。これは一口で言うと、旧日本軍の命令によって八重山群島の地域住民が強制的にマラリア有病地帯に疎開をさせられた。その結果、一説に三千人とも言われているとうとい人命がマラリアによって失われた、こういう経緯があるわけですね。このことにつきましては、既に小泉元厚生大臣のころからいろいろ政府に関係者から要望が出され、私も直接お会いしたこともありますし、当時の戸井田厚生大臣にも強くお願いをした経過もございます。
 これまでのことにつきましては、どうなっているのか。県が一応実態調査をして、それを受けてからということは、大変残念ながら厚生省あるいは開発庁は消極的対応をしてきたような感じがしてならない。だがこれはどうしても解決を図らにゃ、これももう四十五年目ですからね。私はこういうことに対しては、もっと温かい心のある戦争犠牲に対する政府の姿勢というものが必要だと思うのですね。いかが御検討をしてこられたのか、今後どうなさろうとするのか、ぜひお聞かせをいただきたいと存じます。
#392
○末次政府委員 ただいま委員御指摘の問題につきましては、県あるいはいろいろな陳情を通じて中身は承ってきたわけでございますが、厚生省の所管しております戦傷病者戦没者遺族等援護法、これは軍人軍属等国と雇用関係のあった者、また雇用関係に類似の関係にあった者が戦争公務に従事している間に死傷した場合に、障害年金、遺族年金等を支給するというような構成になっておるわけでございまして、お聞きした範囲では、御指摘のような事例につきましてこの対象にはならないというふうに考えておるわけでございます。県におきまして調査中というふうに聞いておりますが、私どもの基本的な考え方はただいま申し上げたようなことでございます。
#393
○上原分科員 援護局長、この今のお答えはもう何度も聞かされた。援護法の厳密というか非常にシビアな解釈をすればそういうお答えになろうかと思うのですが、大臣、やはりこれは高度の政治の問題ですね。そこをぜひ御理解をいただきたいということと、その前に、厚生省として県の実態調査の報告はまだ受けていないわけですか。そこはどうですか。
#394
○末次政府委員 なお県の方で調査中というふうに承っておりまして、私どもは内容につきましてお聞きをしておりません。
#395
○上原分科員 それは、県も予算を組んでやっておるようですから、近々内容が明らかになると思います。
 それで、援護法の適用になじまないということを非常に強調なさるわけですが、私は、それは法律解釈上は理解をしないわけでもございませんが、戦後処理問題ということで考えるならば、例えば、過去においても類似の戦後処理問題として、疎開船の対馬丸の遭難問題等について、児童生徒の補償等々を解決をした経緯があるわけですね。これなんかももう援護法にはなじまない。当時の政府の態度というのは、最初はなかなか腰を上げようとしてくださらなかった。だが結局解決がされたわけで、そういう前例もあるということ。
 そしてもう一つ、私がここで改めてぜひ厚生省に御理解というか御検討いただきたいことは、この問題の処理を促進するに際して三省庁で協議をしていくということが、当時の小泉厚生大臣の御答弁として参議院でこの問題が持ち上がったときに出たわけです。沖縄開発庁、総理府を含めて厚生省としてぜひ三者協議を持って解決促進を図るということでしたが、この考え方は今も私はそのとおりだと理解をするわけですが、どうなっているのか、お考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
#396
○末次政府委員 昨年の六月二十日でございますか、社会労働委員会におきましてそのようなやりとりがあったということは私も承知をいたしております。その際の発言でございますが、この時点で初めて聞いたということもございますので、大臣といたしましては、近いうちに厚生省に陳情に来られるということで、その中身を聞いて対応するというような趣旨でお答えになったのではないかというふうに理解いたしております。
 この問題に関します国会質疑の内容あるいは厚生省の立場につきましては、関係省庁にその都度伝えてきておるところでございます。
#397
○上原分科員 そうしますと、窓口は一体どこが中心になってこの問題をやろうというお考えですか。
#398
○末次政府委員 本件につきましては、先ほど来申し上げておりますように、援護法を所管している立場から申しますと対象外ということでございまして、これにつきまして厚生省がイニシアチブをとるのはいかがかというふうに考えております。
#399
○上原分科員 私は、そういう突っぱねたといいますか、失礼ですが冷たい態度はいけないと思う。もちろん援護法になじむかなじまないかの判断は援護局がなさるでしょうが、戦後処理という面で考えるならば厚生省と無関係ではない。また、これまでの厚生大臣が、要望者に対してあるいは委員会で取り上げられたことに対してそれなりの御答弁をしているということは、私たちはそれなりの重さがあると思う。そういう面で、開発庁あるいは総理府ともよく御検討した上で対処願わなければならない。
 これは近々その調査結果も明らかになるでありましょうし、関係者もまた要請行動を展開すると思いますので、それを受けてひとつ御検討を願いたいと思うのですが、大臣の御見解をお聞かせください。
#400
○津島国務大臣 八重山群島のマラリアの犠牲になられた方々の問題については、前大臣からの引き継ぎにおきまして、その説明の中で私も事実はしかと承っております。
 それから、小泉大臣の御答弁と関連をいたしまして、関係各省庁には厚生省の考え方、国会の討議状態はきちっとお伝えをしてございます。
 今の援護の枠内では私どもの権限の枠に入らないということは、御答弁のとおりでございますが、一般的な戦後処理という問題になりますと、程度の差は確かにございますけれども、戦争の損害は国民がそれぞれの程度の差はあっても何らかの犠牲を余儀なくされているという問題もございまして、一人一人の立場、一つ一つのケースについて取り上げてこれに対策を講ずるということについては、私ども一般的に今イニシアチブをとれる立場ではないことは御理解をいただきたいと思います。我々としては、まず社会保障の充実強化ということの中から沖縄県民の皆様方にもできるだけのいい仕事をしてさしあげて、御期待にこたえることが先決ではないだろうかと思っております。
#401
○上原分科員 それは難しい事案であるということは私もわかります。反面、難しければこそそういうこの種戦後処理の問題について決断をしていただかなければいけないことなんで、一般的な戦争犠牲ということとこれと同一に扱うわけにはいかないと思うのです。御賢明な厚生大臣ですから、それはよく御理解をしてくださると思うので、ぜひひとつ関係者あるいは県当局から出されるこれからの要望について十分な御配慮を願いたいと思います。
 それと、今社会保障ということをおっしゃいましたが、最後に厚生年金の問題、この社会保障も欠落をしているのです、厚生大臣。これは本当に厚生省の年金局あるいは当時の戸井田厚生大臣にも大変お骨折りをいただいた。ただ正直申し上げて、私たちが期待をしたほどじゃないですね。私が社労委で取り上げたときにも当時の戸井田大臣は、
 沖縄住民がいわゆる本土とはおくれて加入せざるを得なかった歴史的な事情もありまして、これは住民の責任ではもちろんありませんし、そういった意味からいたしますれば、やはりこの格差処理という問題は積極的に対処していくことによって、沖縄住民の長い間の御苦労に報いていくゆえんではないか、こういうふうに考えて、今積極的に取り組んでいるところであります。
こう力強い御答弁があったわけですね。しかし、去る二月二十三日に沖縄の厚生年金格差是正に関する政令改正が閣議決定されたわけですが、問題点は皆さんがよく知っていらっしゃるから、時間もありませんからそれほど深く掘り下げるわけにはいきませんが、これはあくまでも高年齢者の保障の追加措置をやったというだけで、全体的に本土との格差の是正にはなっていないわけです。今、高齢化社会とか社会保障の充実というのにいろいろ理屈はあるでしょう。それは年金制度の問題とか掛金の問題とか。しかし、今度の改善措置によって掛金問題、被用者の追納はあるわけですから。そうしますと、やはり二十七年間異民族支配にあったがゆえに同等の権利を行使できなかった沖縄の厚生年金関係者については、同等の処理を戦後のあれでやってもらわねばいけないのですよ。私は、この件は絶対あきらめませんよ、完全格差の是正というのは。したがって、これからはもう与野党もなければ何にもない。全部経営者も
関係者一体となって、この面の全面格差是正というものを、近々また行動を起こすことになっておりますので、この年金問題はぜひもう一押し二押し、一肌脱いでいただきたいのですが、いかがですか。
#402
○津島国務大臣 歴史的な経緯から起こりましたところの年金についてのふぐあいな事情はよく承知をいたしておりますが、沖縄の厚生年金が発足する以前の就労期間についで何らかの救済措置を講ぜよという要望について、このたび私どもから見れば画期的な救済措置、中高年齢の十五年の受給資格期間について改善措置がとられた。これは上原委員を初めとする関係者の皆様方の本当に大変な御努力と、前大臣の御理解が実を結んだと思っております。私どもの方からいえば、これは大変な画期的な改善でございまして、今この改善によって一応関係者の方々にそれなりの御評価をいただきたいという立場に立っておるところでございます。この適用拡大について、さらに新たに厚生年金制度に加入することになった人すべてに関連する点まで再検討、拡充を図るということになりますと、これは保険制度の根幹に触れる点もございますので、現在はひとつよくここまで来たものだということで御理解をいただきたいと思います。
#403
○上原分科員 終えますが、現在はというところに私も救われた気もしますが、これはそうはいきませんよ。国民年金は、後ろで水田局長神妙に聞いていらっしゃるけれども、御苦労はわかる。だが、これは沖縄県民は絶対あきらめませんからね。ぜひこれからもっと――今度の改正も本当はもうどうしでもだめだと言っておった、最初は。だが、みんなが知恵を出し合ってここまで持ってきたわけですから、あと一肌、一肌は厚生省として、特にさっき申し上げた流れがありますから、御配慮いただきたいということを強く御要望申し上げて、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#404
○戸井田主査代理 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。
 次に、菅野悦子君。
#405
○菅野分科員 いわゆる有料老人ホームについてお伺いいたします。
 最近、入居一時金が数千万から一億円というような有料老人ホームがふえてきておりますけれども、こうしたものは医療体制とか万一寝たきりになっても十分介護するというふうな高度な付加価値が売り物になっているというふうに思うのですね。入居するお年寄りは、それまで住んでいた家とかマンションを売って、いわば全財産を処分して安楽な老後の保障を購入するという形になっていると思います。
 しかし、この有料老人ホームの運営というのは多くは株式会社などでありますし、経営が成り立たなくなって、最悪の場合には倒産するという事態になることもある。実際、東京の青梅でそういう事例がありましたね。また、最近では滋賀の大津で有料老人ホームが経営危機に見舞われるという問題が起きておりますけれども、入居者は財産を処分して入居するのが通例ですから、これはもう倒産ということになりますと路頭に迷うという状態にもなりかねません。最近の大津の有料老人ホームの経営危機、こういう問題などを契機に、厚生省としても有料老人ホームに対する法的規制を強化するということを検討しておられるようですけれども、どのような検討をしていらっしゃるんでしょうか、お伺いいたします。
#406
○岡光政府委員 まず大津のケースでございますが、御指摘のように経営危機に陥りましたんですが、経営者をかえるということで、次なる再建方策を新しい経営者のもとで講じておりまして、ようやく軌道に乗り始めたというところでございます。実は昨日も関係者集まりまして、再建方策について私どもも含めて検討をしておるような状況でございます。入居者の不安を生じないように、引き続き私どもも含めて努力をしていきたいと思っております。
 御質問にございましたように、どういうふうな対応を法律上考えておるかということでございますが、事業内容等につきましてあらかじめチェックできるというふうな方式にすると同時に、問題のある老人ホームにつきましては、行政庁の指導権限を強化するということを中心に改正を検討しているところでございます。
#407
○菅野分科員 問題がある場合の指導の中身ですね、もうちょっと詳しく……。
#408
○岡光政府委員 現在の法規制では、知事による勧告ということになっておりまして、それを改善命令ということで権限を強化するということのほかに、厚生大臣にもそういう権限を行使できるようにしようという趣旨でございます。
#409
○菅野分科員 じゃあ、問題があったときは勧告から罰則つき改善命令というふうに、具体的にそうするということだと思うんですけれども、東京の青梅での倒産事件が起きているのはもう昭和五十年ごろですから、そういう点ではちょっと遅過ぎるんじゃないかというくらいに思うんですけれども、厚生省として、むしろ規制の緩和、民間の自由な創意などを理由にして緩和する方向で動いてきたんじゃないかというふうに思うんですね。勧告から罰則つきの改善命令ということで規制の強化なんですけれども、問題があった場合という中身ですね、これは具体的にどういうことなんでしょうか。
#410
○岡光政府委員 有料老人ホームの設備とか運営にお年寄りの福祉を損なうような状況があったということを概念的に考えておりますが、具体的には、例えば提供されている食事の内容が非常に貧弱で必要な栄養量が確保できていないとか、あるいは施設内が極めて不衛生で入居者の健康を損ねるおそれがある、そういうふうなことを具体的には想定をしております。
#411
○菅野分科員 今おっしゃっていたような場合、行政が必要な手を打つというのはむしろ当然だと思うんですね。しかし、今盛んに売り出されている数千万からするような有料老人ホームというのは、例えば二十四時間の医療体制があるからとか、あるいはスポーツとか健康のための施設やケア、もっと言えば寝たきりになったときの十分な介護など高度なサービス、これが売り物になっていると思うんですね。入居者はそういう高度なサービスを買うということで、その数千万以上のお金を、高額なお金を出して買い物をしているというふうに思うんですけれども、例えば入居してみたら宣伝と実際が違っていた、あるいは当初はよかったけれども途中で言っていた医者がいなくなったとか、二十四時間体制でなくなって昼間だけになったとかいうふうな状態になった場合に、今の答弁のような老人福祉法に基づく勧告とか改善命令が可能なのかどうか、そのことをお伺いいたします。
#412
○岡光政府委員 まず、サービスの内容、そのほかの観点につきましては、その有料老人ホームに入ろうという決意をして契約を結ぶわけでございますが、契約の重要事項になっているわけでございます。サービスの内容なり、それから今お話しのような、具体的にお医者さんがどういうふうにいるかとか、それからもちろん私ども、その事業主体が老人ホームを経営するに当たって必要な経済的な基盤を持っているとか、あるいはお年寄りを処遇するに当たってその処遇するにふさわしい知識を持っておる、あるいは事業の円滑な運営をするとか、そういうふうな資格を持っておるということを念頭に置いてやっているわけでございます。
 で、まず具体的な契約内容でそういうことをうたうようにということを言っておりまして、利用される方もそういった具体的内容を事前にチェックをする、そして入居する前に場合によっては現場を見に行くなり、既に入っている方のお話を聞いてみるとか、あるいは県に行ってその有料老人ホームの内容についていろいろ情報をとるとか、そういう情報収集を十分やってくださいということをお願いをしております。その上で契約を結んでお入りいただこうということにしておるわけで
あります。
 次に、契約の内容がそれにそごするということになりますと、まず第一義的にはその契約を誠実に履行するということを求めなければなりませんが、それをいろいろ関係者、契約の相手が求めても実施されないということで、結果としてお年寄りに処遇上で大変なひどい状況を来しておるということでありますると、私ども行政指導の対象に十分なり得ると考えております。
#413
○菅野分科員 そういう点では、おっしゃっておられるように福祉法の観点だけでなくて、消費者保護というふうな観点から、情報の提供とかわかりやすい契約書の作成とか、それから具体的な介護費用などの負担方法の明確化とかいうふうなことで、そういう実際に契約するときに参考になるような点での指導、援助というのが非常に大事だというふうに思うんです。
 この消費者保護という問題と関連すると思いますけれども、例えば新聞の報道では、業界の自主的な規律という点でマル通マークの新設というふうなことなんかも考えているようですけれども、そういうことを把握されていらっしゃるかどうか。またマル適マークですが、この基準をクリアするにはどういうふうな基準をクリアすることがこのマル適マークにかなうのか、その中身についてちょっと……。
#414
○岡光政府委員 おっしゃいますように、この有料老人ホームのサービスも含めて民間がやっております大きな意味でのシルバーサービスを健全に育成しなければいけないということで、私どもシルバーサービス振興会というものを財団法人でつくっていただいております。その中で、一定の基準に達して非常にいいサービスが行われるというふうな業者を認定をいたしましてシルバーマークを適用をしておるというのが、現在、入浴のサービスと介護サービスについてございます。
 で、有料老人ホームにつきましてそういった認定をするかどうか、これが今御指摘の問題であろうかと思いますが、私どもは基本的には、そういった認定と同じような効果を生じるような何かが要るのではないだろうか。やはりこれだけの高い経費でもって生涯の住まいを得ようというわけでございますから、それには相当の決意を持ってなさっているわけで、それの保証というものは必ず要るだろう。そうしますと、そういった一定のレベルがその事業経営者みずからも確保されておるし、それから周りからもそれが保証されておるというふうな、そういう仕組みは必ず要るものだと思っておりまして、そういう方向で現在、関係の事業者グループとも相談をしながら内容を煮詰めているところでございます。
#415
○菅野分科員 業界のマル適マークですから、私はそういう点では相当これをきちっとどんな基準にするのか、何を満たしたマークなのかということをわかりやすくしなければ、マル適マークがあるからというだけで良好なサービスを受けられるというふうに誤解されないかという不安を感じるわけです。そういう点では、この有料老人ホームに関する情報提供とか苦情窓口、こういうものなども必要ではないかというふうに思うのですね。とりわけ有料老人ホームが民間の経営ということで成り立っているわけですから、当然いろんなトラブル、これが予想されるわけです。ここに違った形の福祉施設として公的な資金が使われていれば、それに伴う規制もつくわけですけれども、この有料老人ホームにはそれがない。しかも今おっしゃっているように、この買い物というのは相当財産を処分して買うという大きな買い物ですので、やり直しがきかないということがあると思うのです。ですから、そういう点でおっしゃっておられるように、一定規制ということを強めていくという方向は出ていると思うのですけれども、民間の契約などといって放置していたら大変な社会問題になるのではないかというふうに思うわけです。
 問題になった滋賀県大津のアクティバというホームも、社団法人全国有料老人ホーム協会というところで発行しているパンフレットを私も見ましたけれども、これを見る限りでは大変立派な施設として紹介されているわけですね。ですから、こうしたことを考えた場合に、業界任せにしているだけでは利用者に誤解を与えかねないんじゃないかな。厚生省としてマル適マークというふうな制度を考えているなら、それ自身に誤解や幻想を与えないような、そういう措置をきちんととってもらいたいというふうに思うのですけれども、その点どうでしょうか。
#416
○津島国務大臣 高齢社会を迎えまして、高齢者のニーズが多様化してきておる。そういう中で、みずからの余生をどういう形で送るかということについてたくさんの選択肢がある必要があるわけでございますね。その一方で、委員も指摘されるように、これはもう自分の人生のすべてを整理して、ついの住みかを求められるということでありますから、万が一にも不幸な事態にならないようにしなければならない。非常に重要な課題を抱えるわけでありますが、まず委員に申し上げたいのは、民間であればトラブルが多いというお考え方を私どもはとらないのであります。民間には民間のそれぞれの責任関係というのがありますし、法律上の権利義務関係もある。公的な規制だけやればうまくいくという考え方は、自由な一人一人の人間の創意工夫を抑圧することでございまして、そういう経済社会には幸せはないということは、最近のいろいろな事例で皆様方もよくおわかりのとおりであります。いい意味の一人一人の民間の創意工夫というのは生かしていくということが、社会の活性化のために何よりも必要である。
 そこで、そういう民間と、それから公的な保障といろいろ組み合わせて上手に育てていかなければならぬわけでありますが、私どもが申し上げでおるのは、公の規制というか、最小限の規制について、やはり制度の改善の必要があるということは先ほど政府委員から申し上げたとおりでありますが、また民間の皆様方の間でもいろいろ工夫をしていただく余地があるであろう。それから民間の方々の間で、例えばきちっとした制度があるわけでありますから、保険であるとか保障であるとか、それは民間ではできないということはないわけでございまして、民間の権利関係、義務関係をうまく組み立てていくことによってきちっとした制度ができるわけでありますから、そういう公的、私的両方の面をうまく組み合わせて、有料老人ホームに向けてのニーズにこたえられるようにこれから一生懸命やっていきたいと思います。
#417
○菅野分科員 大臣お答えになったように、民間が本当に信頼されるところばかりでないというところが実は問題でありまして、今高齢化社会を迎えるといういろんなキャンペーンもある中で、実態としてはシルバー産業というのはもてはやされているというのがあると思うのです。これに地価高騰もあって、不動産業界などからももうけの対象として有料老人ホームが注目されているという、実は残念な状況もあるわけです。
 ひどい例として一つここで明らかにいたしますが、大阪の吹田市で株式会社シルバーユニオン会館というのが、これは福祉団体のシルバーユニオンの関連会社で、シルバーユニオンの関連会社というのは大阪府の元副知事などが理事になっている福祉団体なんですけれども、その関連会社というふれ込みでもってこのシルバーユニオン会館というのが、有料老人ホームを建設するということで吹田市から土地を購入しているのです。この会社は後にシルバー会館と社名を変更しているわけですが、市としては、老人ホームということで十年以内に有料老人ホームを建設しなければ買い戻すという特約をつけて、実は二十億円という相当安い価格で売却をしているわけです。ところが、市と売却契約を結んだその当日に、このシルバー会館の代表者がシルバーユニオンの理事だった人から大阪の不動産業者に変更されているのです。さらに、三菱系のダイヤモンドファクターが、この土地を三十六億円で抵当権を設定するということになっています。
 つまり、一日でこの土地が二十億円から三十六億円というふうになったということなんですね。
しかも、地価高騰でこの土地の実勢価格は五十億円とも言われているのです。このシルバー会館という株式会社は、この土地しか所有していないというぺーパーカンパニーですので、この会社の株式を譲渡するという形でさらなる土地転がしが行われるのではないかというふうな観測も出ているほどなんです。問題は、市が売却契約をする段階で有料老人ホームを建てるという特約をつけているわけですから、こうした土地転がしを平然とやる業者が有料老人ホームを建設するということにもなりかねないということにあるわけです。
 ですから、この例に挙げた吹田のケースということではなく一般論としてですけれども、地価高騰とシルバー産業ばやりということで、本来老人福祉に手を出すにふさわしくない業者が有料老人ホームに進出するということになれば、これは社会問題になりかねないわけですね。ですから、大臣がるるおっしゃいました、そういう本当に信頼関係、信頼にこたえ得るところばかりではないということも出てきかねないというのが今の現状ではないかと思うのです。今申し上げました現行の事後届け出制度ではこうした問題に対応できないということで、研究者の論文などを見ますと、西ドイツやアメリカの州などでは許可制にしているというふうな報告もありますけれども、今の事後報告云々でなくて、また、それを事前にチェックするというだけでなくて、もっと突っ込んで許可制度、こういうふうなことなども必要ではないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
#418
○岡光政府委員 要するに、民間の創意工夫を生かすということと、それから利用をするお年寄りがその被害をこうむらないように、なお一層福祉が向上するようにという二つの目的を上手に生かさなければいけないのだと思います。
 先ほど御質問がありましたが、五十年代に不幸な事件もありましたので、そういう意味で老人福祉法の中で有料老人ホームの規定が入ったりして規制が進んでいったわけでございますが、今回はそういったいろいろな経緯をかんがみた上で事前届け出制にし、かつ勧告ではなくて改善命令という罰則つきの権限を付与しようではないか、こういう発想になってきているわけでございます。
 この冒頭申し上げました二つの目的に沿うようにということで、私どもそれなりに工夫をしているつもりでございます。かつ、今回の法律では、全国有料老人ホーム協会そのものを法律上の団体として位置づけまして、そこで会員に対しましてはきちっとした事業者として経営をやることと、そのほか自主的な基準を幾つかつくりまして、決して利用するお年寄りに御迷惑をかけないような、そういう会員でもって構成する団体にしようということをねらっているところであります。
#419
○菅野分科員 そうしたら、法規制の関係でもう一つお聞きしたいのですが、現行は都道府県知事への届け出ということになっています。市町村には、建築基準法での手続はあるのですけれども、一たん建ってしまえばなかなか情報も入らないという実情にもなるようですね。ところが、老人ホームという名前がついているために、市の老人福祉課に有料老人ホームに関する問い合わせが来ても何もわからないというふうなこともあるようです。ですから、届け出が都道府県ということを変えるのは困難だと思うのですけれども、市町村にも的確な情報が入る仕組みにするというふうな必要もあるのではないかと思うのです。
 また、既に建っている有料老人ホームを見てみますと、地域から遊離している傾向も見られます。これは防災などの面でも好ましいことではないし、入居者にとってもいいことと思えません。そういう意味でも地方自治体とのつながりを強化していくということが必要ではないかと思いますけれども、その点、どうでしょうか。
    〔戸井田主査代理退席、主査着席〕
#420
○岡光政府委員 おっしゃいますように、都道府県だけではなくて地元の市町村にも協議をするようにということで、私ども有料老人ホームの設置、運営、指導指針というものにおいて既に指導しておるところでございます。
 それから、行政的な手段としましては、地元の市町村に建築確認を出さなければなりませんので、それは土木関係のところにその確認が出てくるのだと思いますが、そういったところと連携をとって、市町村サイドもみずから具体的な情報が入るようにそういうことをお勧めしたいと思っております。
#421
○菅野分科員 事前にちゃんと地元の市町村と相談するようにということでの御指導がやられているというお話でございましたけれども、実は大阪の箕面市におきましても、そういう点でいってもこれは本当にどうなっているのかというふうな事実もあるわけです。これは、それこそ大阪ガスとか、きっとマル適マーク間違いないというふうなところが建設を予定しているところなんですけれども、建築申請すら出ていない段階で、昨年の夏から事実上の募集をやっている。優先選択権ということで二十万の手付金を取って、百九十の部屋に対してもう既に百四十申し込み受け付けをやっておる。ところが、地元ではいろいろるる問題が出てきておりまして、これは建物の高さとか階数の変更とかいうのはあり得るのに、実際こういうことがやられているという事実もあるわけですね。ですから、事前にちゃんと相談しなさいよというふうに言っておきながら、なかなかそうなってない事実もあるということについて報告をしておきますので、ぜひこの点での指導も強めていただきたいと思います。
 それで、別のことですが、有料老人ホームの防災の問題でも一つお聞きしたいのですが、最近の建物は高層化する傾向がございます。しかも、お年寄りだけが住んでいる施設でありまして、消防など万全な体制が必要だと思いますけれども、消防庁はどのような施策をとっているのでしょうか、お伺いいたします。
#422
○海老説明員 私ども、消防法令の中で、建物の用途とか規模といったようなものに応じまして消防設備等の設置を義務づける、あるいは指導申し上げるというふうなことで、安全の確保に努めておるところでございます。
#423
○菅野分科員 例えばスプリンクラーの設置の義務とか、そういう具体的なのはこの有料老人ホームはどうなっているのでしょう。
#424
○海老説明員 スプリンクラーにつきましては、有料老人ホームの場合は六千平米以上の延べ面積のものに対して設置が義務づけられておるところでございます。もちろん私ども、スプリンクラー設備というのは初期消火という点では非常に有効な設備でございますので、特に特別養護老人ホーム等の十六施設につきましては特別に千平米以上ということにしておるわけでございますが、そういった特別の義務以外のものにおきましても、施設の状況に応じて設置の促進を図るように、消防機関に対して指導を申し上げておるところでございます。
#425
○菅野分科員 今もおっしゃいました六千平方メートル以上には義務づけているということなんですけれども、実態としてはこの六千平米以下というのがかなり多いのですね。むしろ目につくのは、五千数百平米というものが案外多いということなんです。だから、ちょっとうがった解釈をすれば、そのスプリンクラー設置義務を避けて建てているのと違うかということを言いたくなるような状況があるわけです。本当にお年寄りばかりがこの施設の中にはいらっしゃるわけで、これも六千平米以上の義務ということについて特養と同じような状況があるということを考えますれば、やはりもうちょっと六千平方メートルというこの部分について検討する必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
#426
○海老説明員 特別養護老人ホーム等につきましてスプリンクラー設備の非常な強化を行いましたのは、もう御案内のとおり、六十二年の六月に発生しました松寿園火災の教訓を踏まえまして、特に火災が発生した場合において、施設の性格上自力避難が困難である者を多数収容している施設というものに対して、非常に厳しい、千平米以上のものに義務づけるということにいたしたわけでご
ざいます。この基準を強化する施設を決めるに当たりましては、自力避難が困難な者を多数収容している施設ということで、身体的または精神的に重度の障害を有する方が多数入所していること、さらに夜間これらの人が就寝する施設であることといったような要件を勘案いたしまして、厚生省とも調整をいたしまして、特別養護老人ホームあるいは身体障害者養護施設等の十六施設を指定をいたしておるところでございます。
 有料老人ホームにつきましては、当時決めますときに、この施設は給食その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設であるということで、自力避難困難者を多数収容する施設ではないという理解でこの特別強化する対象にいたしておらないところでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、初期消火という点でスプリンクラー設備の有効性にかんがみまして、ただいま申し上げました特別の施設以外のものでありましでも、その施設のそれぞれの実情に応じて設置の促進を図るように、消防機関に御指導申し上げているところでございます。
#427
○菅野分科員 じゃ最後に、大臣にお伺いいたします。
 有料老人ホームというのは、ますます増加する傾向にあるわけなんですけれども、非常に高い買い物ですし、もう本当についの住みかとして高額な入居一時金を払うなどしてお年寄りが買うという、こういう老人ホームですから、そういう点で問題があったら大変です。ですから、老人福祉の観点と同時に消費者保護という観点から、その不適切な業者の排除とかあるいは情報提供、苦情処理の機関などの設置あるいは法的な規制の強化などを含めて、厚生省としてどういうふうにお考えなのか、最後にお伺いして終わります。
#428
○津島国務大臣 先ほど委員にお答えをいたしましたように、老後の生活、貴重なひとときを過ごされるという施設でありますから、万が一にも御不幸な事態になってはならないと思っております。老人ホームのみならずシルバー産業が大変もてはやされているというのは、それだけニーズが多いということであると思います。ですから、このニーズにこたえて適切に供給側も対応していただくということが大事でございまして、そこにはまた責任と信義というものを重視する姿勢がなければならない、それから行政側も少なくとも最低限の保障をしてあげられるくらいの努力はしなければいけないと思います。
 ただ、今の御議論をずっと聞いておりまして、許認可をすれば安全であるとか、改善命令をすれば安全であるとか、行政介入が最上であるという考え方は私はとらないのであります。やはり供給と需要の側の間の本当の正しいマッチングをすることが必要だし、現実に立派に消費者の要望にこたえてやっておられるところが多いわけでありますから、そういう民間の創意工夫というものを十分生かしていかなければならないと考えております。この点をひとつどうか御理解をいただきたいと思います。
#429
○林主査 これにて菅野悦子君の質疑は終了いたしました。
 次に、小林守君。
#430
○小林(守)分科員 社会党の小林守でございます。
 早速、通告をいたしております廃棄物の処理法の改正の問題につきましてお伺いしたいと思っております。
 新聞によりますと、今日まさにごみの急激な増大ということ、社会的な背景としてはOA化の推進とかさらには使い捨て容器の増加、個人消費の拡大に伴って紙やプラスチック製品、そして家電製品の増加が目立つというふうに出ています。一つには、ごみ戦争とかごみ不況がやってくるとか、不法投棄につきましては一向に減らない、そして環境汚染という問題も非常に深刻になっている、こういう状況にありまして、廃棄物の処理及び清掃に関する法律が既に二十年経過しているわけですけれども、この法律の趣旨と中身、そして現実というものが大きく乖離をしてきている、そのような問題提起もされておるわけでございます。
 厚生省では、このような年々増加している、それに深刻になっている廃棄物の処理対策の抜本的な確立のために法改正に着手した、そのように新聞等でお聞きしているところでございますが、どのようにこの現実というものを把握し、どのように解決する方向を目指して法案作成に着手しようとしているのか、その骨子等についてまずお伺いをしたいと思います。
#431
○目黒政府委員 先生御指摘のように、ごみの問題につきましては、廃棄物の生産量が非常に増加している、あるいは内容が多様化している、あるいは不法投棄とか不適切な処理事例が発生している、あるいは処分場の不足から広域的な移動やそれに対応した受け入れ制限といったものがある程度始まりかけている、あるいは減量化とか再利用といったものが社会のシステムとして定着していない等々といったようなことが問題点として指摘されているわけでございます。
 私どもは、これらの問題点を解決いたしますために、法律改正を含めまして廃棄物対策について幅広く検討することといたしているのでございまして、この見直しにつきましては、広範な関係者から意見を十分に徴しながら進める必要がある、このように考えているところでございます。したがいまして、まだ具体的な法律改正とかそういうようなことではなく、そのようなものも一つの選択肢として含めながらこの問題点の解決のために検討を始めている、こういうことでございます。
#432
○小林(守)分科員 随分後退した御説明になってしまっているのですが、四月十九日の某新聞の記事によりますと、「廃棄物処理法改正へ 「減量化」「排出責任」が柱 厚生省着手」このようなかなり具体的に突っ込んだ記事が既に発表されているわけなんです。今のお話ですと、これから広範な人たちの意見を聞きながら総合的な対策を講じていきたいというような段階だということでございますけれども、もっと突っ込んだところまでも進んでいるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#433
○目黒政府委員 これは何度かいろいろな機会に御説明を申し上げているわけでございますが、私どもは先ほど申し上げました問題点に対応するものとして、何をどうするということではなくて、例えば減量化の促進をどうするか、あるいは処理施設の確保についてどうしたらよろしいかとか、事業者の責任のあり方についでどうしたらいいだろうかとか、廃棄物処理業者のあり方は今のままでいいのかどうかといったことを含めまして、従来からいろいろな場で御指摘いただいたことをすべて含めて検討いたしておるということでございます。前回の新聞の報道にございましたようなものもその中の一つとして、私ども当然減量のための資源再利用等ということで事項の一つに挙がっているということでございまして、具体的な法案のための骨子とかそういうことではなく、むしろもっと全般的な検討を今行っているということでございます。
#434
○小林(守)分科員 そういうことであれば、それを踏まえて質問の内容を切りかえていかなければならないわけですけれども、今例えばこういうことということで幾つか出されている問題については、既に当局におかれましても県や市町村等からさまざまな問題についての報告やら相談やらがあって、この問題について国としてどうするのかというような形で問題意識には上っているものだと私は理解をしているところですけれども、まず減量化とかリサイクルの促進という観点に立ったならば、どのような誘導政策が考えられるのか、その辺についてまずお聞きしたいと思います。
#435
○目黒政府委員 リサイクルとか再資源化の促進につきましては、分別収集といったようなことが一番重要なことになるわけでございます。したがいまして、各市町村に対しまして分別収集をもっと促進するようにとか、いろいろなレベルで再資源の利用のためのいろいろな形の対策が市町村ごとに行われているのがあるわけでございます。そういうようなものをさらに推進していただきた
い、こういうところが今のところ私どもがとっている対応策でございまして、また、この方法等についてもその都度いろいろ御意見があることは事実でございます。
#436
○小林(守)分科員 減量化とか再利用、リサイクルの観点で、円高の経済状況の中でそれが進まない、リサイクルするよりはむしろ新たなものを買ってきた方がコストの点で安く上がる、そういう経済情勢があったという経過の中でごみがますますふえてくる。そういうことが現実に進んできているわけですけれども、一つにはコスト低減という問題が大きな課題にもなってくると思います。
 そういう点で、現行法の四条三項の中に「国は、廃棄物の処理に関する技術開発の推進を図るとともに、市町村及び都道府県に対し、前二項の責務が十分に果たされるように必要な技術的及び財政的援助を与えることに努めなければならない。」ということになりますけれども、要は、技術的な開発の面でコスト低減というようなもの、またそれが不可能な現状であるならば財政的な援助でリサイクルや減量化というものを、中間処理ということも含めましてやらなければ、どうにもごみの増加に対処し切れない、そのような現状だと思いますけれども、これらについては、どのように取り組まれてきたのか、現状の法律の中でお答え願いたいと思います。
#437
○目黒政府委員 廃棄物が非常に質が多様化したとか、あるいは環境保全のニーズが高まった等々といったようなことで、技術的な問題についでもいかに効率的にあるいはうまく処理をするかということについても、私ども研究を行ってきているわけでございます。特に、私どもといたしましては、これらの調査研究といたしましては、廃棄物研究財団というものを発足させたということが一つあるわけでございます。またこのほかに、廃棄物の運搬用のパイプラインの開発事業とか、あるいは有害の重金属の高率の回収技術を研究する、あるいは高温ガス化の燃焼技術を開発するといったような技術的な開発研究等を行っているところでございます。
#438
○小林(守)分科員 それではまた質問を少し進ませまして、排出企業の責任の明確化とか処理業者の責任の問題とか、こういうものも言葉の中には出てきたと思いますけれども、排出企業の責任それから処理業者の問題という中で、特にこれは産業廃棄物にかかわってくる問題であるわけですが、確かに不法な投棄というか、実際に処分場はあっても決められたものを捨てないとか違うものを捨てたとか、いろいろな問題を起こして住民の不信や不安を買っている、そういう経過もあるわけです。
 排出企業の責任とか処理業者の責任の明確化という中で、私は一つだけ比べてみたいのは、一般廃棄物につきましては市町村自治体の責任において処理するということなんですが、その一部に委託もできるというような形になっております。委託をする際には、施行令の第四条七項ですか、「一般廃棄物の処分を委託するときは、市町村において処分の場所及び方法を指定すること。」このような規定になっておりますけれども、産業廃棄物については、排出事業者は処理業者また運送業者に委託することができるというふうになっております。原則は排出事業者の処理が原則ですけれども、委託ができるということになっていますが、一般廃棄物の場合は、その処分の場所や方法まで指定されているということで、そういう点では行き先がはっきりしている、責任体制がある程度確保できるというふうには言えると思います。もちろんこれは公共団体ですから、問題があれば最後まで責任を負わなければならぬという問題もありますけれども、民間事業者の排出責任の中で処理委託をした場合は、その辺についてはどう責任体制が追及できるのか、その辺に大きな問題があるのではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
#439
○目黒政府委員 先生の御指摘のように、排出の事業者、これはあくまでもごみの処理の責任を持っているわけでございます。したがいまして、みずからの責任において産業廃棄物の処理をしなければならないわけでございますが、委託をいたします場合には、産業廃棄物処理業者に委託します委託基準というのがございまして、これに従わなければならないということになっているわけでございます。また、排出されました産業廃棄物が排出事業者からいわゆる収集、運搬の業者を経て、処分業者、最終処分地、こういうところまで至るわけでございますが、その場合に、それぞれの従事する方々の責任を明確化する一つの方法といたしまして、産業廃棄物の種類とか量とか性状等を記入をいたしましたマニフェスト、つまり積み荷目録、これを産業廃棄物の流れに組み入れるということ、マニフェストシステムと我々呼んでいるいわゆる積み荷目録制、こういうものの導入を始めたところでございます。
 これは、もちろん各業界のいろいろな御理解を得ながら今進めているところでございまして、こういう事業を始めることによりましてかなり責任が明確になり、今行われておりますような不法投棄等がなくなってくるのではなかろうか、このように思っているところでございます。もちろん、これとて十分なものとは申し上げられませんけれども、以前に比べて、このような制度を導入することによってかなりのこの制度の適正化が行われるものと私ども認識をいたしているところでございます。
#440
○小林(守)分科員 今一つの方法として、新しい試みとして、マニフェストシステムというものが取り入れられて制度化されつつあるということでございますけれども、これの法的な裏づけというのですか、これについてはどうなっているのでしょうか。
#441
○目黒政府委員 これは法的な規制ということではございませんで、いわゆる私どもが指導と言っているレベルのものでございまして、各業界の御理解を得て行われているものでございます。
#442
○小林(守)分科員 そういうことで、一つの責任の流れを明確にしていくという点で非常に評価できるものだとは思いますが、実際にそのような仕組みでやっている部分というのは極めて少ないのではないか、そのように思っているところですし、このようなことがきちっと従来から行われているならばさまざまな問題は起こってこなかったのではないか、さらに最終処分場の確保の問題もこれほどまでに困難な状況にはならなかったのではないか、そのように思うのですけれども、今後この指導という形をさらに強める方向での法改正も準備されているということでありますから、この辺が新たな法改正の中で組み込まれていくというふうに考えていいのかどうか、その点はいかがでしょうか。
#443
○津島国務大臣 一般廃棄物、産業廃棄物を問わず、廃棄物処理の諸問題につきましては、今委員からいろいろと御指摘のたくさんの問題点がございます。また、政府側もいろいろと勉強いたしております。どうも勉強のスピードが遅いじゃないか、法改正と言われているけれども、新聞にはいろいろメニューが出ているがどうなっているんだという御指摘でございますが、委員も御理解いただけるように、実は基本的な問題が絡んでございます。
 まず第一に、製造、流通、消費という社会経済の全段階が関連している。それから製造・流通事業者、消費者それから排出事業者、処理業者と関係者がずっとございます。それから行政も、市町村から県、国、こういうたくさんの方が絡んでいる中で、一体基本的に廃棄物処理の負担を、これは産業廃棄物の場合なんかはもう原因者負担という基本がありますけれども、しかしそれだけでいいのかという負担のあり方。それから二番目に、規制を強化する必要がございますけれども、経済活動の自由、財産権の保障との関係をどう見るのか。それから、これの裏腹でございますけれども、廃棄物処理について公共関与というものが基本的にどういう姿で行われるべきであろうか。そ
して、最後に、これは恐らく委員の地元でも問題が起こっていると思いますけれども、首都圏のような人口、産業の過密地帯からずっと広域移動してくる、そういうものに対応して国土の均衡ある発展を考える上で廃棄物処理政策をどうするか。こういう基本問題がございますね。
 やはりこれをきちっと詰めて法制化したいということでございまして、私としては、時間をとらせるつもりはございませんけれども、例えば生活環境審議会に諮問するとか、相当立派な方に集まっていただいて御意見をいただくというのを早くやりまして基本的なスタンスを、これはもう皆さん方に御理解いただけるようなスタンスを決めて積極的に進んでいきたいというのが私どもの考え方でございます。一生懸命やりたいと思います。
#444
○小林(守)分科員 大いに期待をしたいと思います。
 それではもう一点。やはり今どこへ行っても問題になっておりますが、特に廃棄物を広域移動という形で他県に持ち出す、ところが、他県では住民感情も含めまして処分場の確保が極めて困難になってきているということで、よそからの搬入はお断りというような要綱での規制という状態にもなっておりまして、大変ごみ戦争みたいな状態になってきている、そんな状況であります。
 最終処分場の確保の問題について、我々も県議会等において、業者が少なくとも適法なやり方で、しかも、いろいろな保障システムまでつけてつくりたいという形で、社会的信用を、住民の不安や信頼をから得るすべを講じながら誠実な形で法的にきちんと進めていっても、実際には住民の反対運動が起こる。そして、設置反対の議会に対する陳情が出てくる。議会でも、このようなことでいつも住民の声ばかり聞いていたのでは廃棄物処理行政はどうにもならなくなる、そういう立場から不採択にするということがたびたび起こってきております。
 しかしながら、そうはいっても、住民感情からするならば、何でうちのそばに、うちの地域につくらなければならないのだ、もっと適地があるではないかとか、住民エゴの問題もあります。しかしながら、一つの廃棄物処理施設が地元に、地域にできるということは、確かに当分の間迷惑施設が導入される。少なくとも交通安全上の問題とか、いわゆるイメージダウンとか、将来にわたる安全性はもちろん、安全でなければ問題になりませんけれども、安全に対する不安だけが残っている。いいことがないのだということです。そういうことで、反対運動というものが、どうしても業者に対する不信も背景にあって起こってきておりまして、正規の法的な手続を踏まえながらも反対運動はなかなか静まらない。そして、市町村や県の立場からするならば、法的立場で正当だからといってそれを強引に推し進めるというのもこれまたできないという問題があります。
 そのために、私たちの県では救済制度的なもの、万一そういう問題、地下水の汚染があったならば水道を引きましょうとか、これはあってはならないことですが、それでも万一あった場合どうしてくれるということが問題になってきますから、そのときのために救済制度を創設する。さらには、どう考えても迷惑施設だ、社会的な必要性はよくわかるけれども迷惑施設には変わりはない、それではそのためのメリットは何があるのだという観点で、いわゆる跡地利用の計画を示しながら、例えば道路とか環境を整備するとか、こういう跡地の利用の仕方を約束するとか、そういうことを踏まえて住民に説得しよう、そのようなことまで含めて進めているところです。さらに、何を埋められるかわからない。安定型の廃棄物処理場だから、管理型のものではないから心配ないんだ、ガラスやごみくずや建築廃材だ、コンクリートだ、そういうことで絶対に安全なんだと言っても、しかし住民は、そうはいっても夜埋められたらわからないじゃないか、実際にコンクリートの中に危険なものを密封して捨てられたら、外はコンクリートだけれども中には危険なものが入っている、そういうこともチェックできないではないか、そういうさまざまな不信感があるわけです。そのために、それでは業者と公的機関が半々に人件費を持って住民代表の監視員を雇って処分場に入れましょう、そんなことも考えながら住民の不信感を取り除く努力もしているわけなんです。
 私がお聞きしたいのは、そのように法的に正当なやり方で全く問題がないという形で市や県に要望が出、法的な設置の届け出が出、許可をいただきたいという形が出た場合に、住民運動の中でできないという問題が出ております。それに対して、裁判に訴える業者も出てきました。大変困った状態になってきているわけなんですが、それらについて厚生省としてはどのような指導を県や市町村にするのか、その辺をお聞きしたいと思います。
#445
○目黒政府委員 ごみの処理全体については、基本的には、先ほど申し上げましたように、一つは再利用とかごみを減量するということ、二つ目が今御指摘のありましたいろいろな焼却場等とにかく施設を整備する、三つ目が最終処分地を確保する、この三つあるわけですが、特に中間の焼却場とかあるいは最終処分地の迷惑施設についてさまざまな御意見なりトラブルがあることは私どもも承知しているわけでございます。また、それぞれの地方自治体あるいはそれぞれの関係者が、先生御指摘の方法で工夫を凝らして確保にいろいろ努力しておられることも私ども承知しているわけでございます。
 現在私どもは、そのような努力を続けていただきたいということと同時に、先ほど来申し上げておりますようにそのような実情を私どもよく認識しておりますので、長期的には、そういう創意工夫あるいは処分地の確保等々含めて何がしかの行動と申しましょうか制度を導入しなければいけない、このように思っているところでございます。これも幅広い検討の中の選択肢の一つとして取り上げてまいりたいと思っておりますので、御理解いただければと思っている次第でございます。
#446
○小林(守)分科員 市町村や県では、住民の信頼をかち取るためにも、排出事業者責任という産廃の問題についてもどうにもこれは解決できない状態まで来ている。公的な機関の関与、第三セクターでやるとか、さらにいろいろな関与の仕方を考えながら、住民の信頼をから得、安全性の確保、そういう観点で廃棄物処理の問題に展望を開いていこうというふうに努力しているのですが、要は、国のレベルにおいても法的な背景でしっかりとした対策を打ち立てて、国民の信頼を確保しつつ適正な処理の仕方を確立いたしませんと大変な問題になってきているというふうに、言わずもがなの問題ですけれども指摘をさせていただいて、さらに積極的な法改正への取り組みをお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
#447
○林主査 これにて小林守君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井光照君。
#448
○吉井(光)分科員 私は、まず「高齢者保健福祉推進十か年戦略」に関連をいたしまして、マンパワーの確保と福祉専門学校の推進、こういったことにつきまして大臣の御所見を伺いたいわけでございます。
 御承知のように、超高齢化に備えるために政府は今年度から「高齢者保健福祉推進十か年戦略」、通称ゴールドプランをスタートさせるわけでございますが、これは寝たきり老人や老人性痴呆症患者を抱える家庭を支援するために、主に在宅福祉サービスの拡充がねらいのようでございます。私は、この十カ年戦略の実現のためには三つの視点が大事ではないか、このように考えます。
 その一つは、市町村の受け入れ態勢の整備であります。老人福祉は市町村が実施の主体、このようになるわけでございますが、各市町村の熱意ある取り組みは、これはもちろんでございますが、何よりも国が市町村等の福祉財政の執行に必要な強力な財政措置が必要である、このように思います。地方の責任のもと、独自のアイデアを生かし
たところの福祉行政、これは新行革審の答申にもありますように、地方分権の推進の第一歩でもあるわけですが、二つには、在宅福祉サービスと施設福祉サービスは一体的、一元的に運営を図ることが必要である、このように思います。三つ目には、利用者の立場に立ったところの福祉行政でなければならない。福祉サービスが住みなれた身近な地域で受けられること、また縦割り行政の弊害を改めて、ばらばらなサービスの窓口を簡素合理化すべきであると思います。例えば、寝たきりの高齢者に支給される老人福祉手当、それからホームヘルパーの派遣、これは東京でいえば区役所老人福祉課ですね。それから看護婦さんに来てもらう相談は、これは保健所、それから身体障害者手帳をもらうのは、これは福祉事務所、こういったぐあいに利用者はいつも、言われておるところのたらい回し、こういったたらい回しにされて、もう心理的な負担を強いられているのが現状ではないかと思います。
 以下、こうした視点を踏まえましてお尋ねをしたいのですが、まず、ゴールドプラン実現のかぎを握るのは、これはまさに二十一世紀の施設及び在宅福祉を支えるだけのマンパワーの人材確保ができるかどうか、これは一番大きい問題ではなかろうかと思います。例えば、一口に訪問介護するホームヘルパーを三万人から十万人にふやすといっても、この労働力不足、それから低い身分保障の中で、よりすぐれた人材の確保は並み大抵の覚悟と努力ではできません。政府はどのようにしてこの目標を達成されようとしておるのか。
 私は、それにはまず人材を育成をしていく、育てていくということから始まると思いますので、福祉専門学校、こうしたものに力を入れるべきだと思います。現在、社会福祉士、それから介護福祉士指定養成施設は全国で百八校あるようでございます。しかし、高齢率の非常に高い山口県にはまだありません。ただ、来年の四月に開校予定として、三隅町というところに山口福祉専門学校、これは仮称でございますが、これは介護福祉士養成の単独施設であって、これは全国でもまだ約三十校しかない、このように言われております。建設につきましては、町も一億円の補助金を出すけれども、約六億円の費用がかかる。厚生省の設置承認が必要とされているようですが、財政面の援助はどうなっているのか、なければこれは援助すべきではないか、このように思いますが、以上の諸点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#449
○長尾政府委員 ただいま先生御質問になられました社会福祉士、介護福祉士の養成施設の問題でございます。
 今後の在宅福祉対策を充実していきます上で、おっしゃいますように、マンパワーの充実問題というのは大変重要なことだと私どもも認識しております。そういう観点から、従来身分法がございませんでしたこれらの分野につきまして、社会福祉士、介護福祉士の身分法を制定をいたしまして、本格的な養成を開始するという時期になっておるわけでございます。先生の御提案は、こういった養成施設の重要性ということを考えれば何らかの財政的な援助、国からの助成ということを考えてもしかるべきではないかという御提案かと思っております。確かにそういった学校経営を行われるに当たりまして、財政面でなかなかにお苦しい事情があるということは私どもも承知をいたしておるわけでございますが、これは先生御承知のことと思いますけれども、厚生省が所管をいたしておりますさまざまな専門分野の、医療分野または福祉分野の身分を持ちますもの、養成施設、さまざまなものがございます。この中で今お話しのような助成が行われておりますものは、御承知のように保助春婦それから保母というものだけに限定をされておりまして、そのほかの分野についてはこういった助成がお行われておらないことでございます。そういう状況を考えますと、後発の制度でございます私どもの社会福祉士、介護福祉士につきまして、何らかの助成を開始するということはなかなか難しいという事情にあることを御了解いただきたいと思います。
#450
○岡光政府委員 マンパワーの確保策でございますが、先生御指摘がありましたように、まず私ども、手当とか活動費とか、そういった経費面でもって必要な見直しを行いまして処遇の改善を図りたい。それからまた、社会的な評価を高くしなければならない。したがって、そういう、今局長がお答えを申し上げましたが、介護福祉士の資格制度の普及を図るとか、いろいろなことをやりまして志望者をふやすようにPRをしていきたい。それから、勤務形態につきましても、市町村職員の確保のほかに委託であるとか非常勤のような形をとるとか、いろいろな形をとりまして多様に対応したい、かつまた、そういう勤務形態に応じた資質確保のための研修も大いに進めたい、そんなふうなことでマンパワー問題に対応しようと考えております。
#451
○津島国務大臣 これまで社会労働委員会で大変指導的な御活躍をいただいた吉井委員からの御質問でございますから、我々の抱えている問題、今度の十カ年戦略についての問題点を非常に鋭く指摘をされてございます。
 私の感じたところをかいつまんで申し上げますと、三つの問題点、まさにポイントだと思います。第一は、市町村から上がってくるような創意工夫を国の側はその予算をつけて育てていくというやり方でなければいかぬ、全く同意見であります。二番目に、在宅と施設の一元的、一体的な運用をしないといかぬ。これと同時に、三番目の利用者の立場に立った行政という要請。これにこたえていくためには、在宅福祉、施設の介護、それから同時に医療サービス、看護とか医療サービスまでやはり一元的にどこかで需要にこたえていくというシステムをつくる必要があるだろう、恐らくそれは在宅支援センターであって、これは在宅介護ばかりではなくて、例えば体が悪くなったときの看護婦さんの派遣とかそういうことまで手がけていくのが将来の望ましい姿であろう。大変示唆に富む御指摘をいただいて今感銘を受けた次第であります。
#452
○吉井(光)分科員 今私の方も大臣から非常に力強い御答弁をいただいたわけでございまして、どうかひとつ積極的にそれをすすめていただきたい、このように思うわけでございます。しかし、現実の問題として、私たちも地方へずっと行ってみますと、感じとしては、国はそうおっしゃるけれどもなかなか地方では、こういう感じを受けております。したがって、またこれはスタートして間もないことでもございますし、そういった地方の声もよく聞いていただいて、そして、この十カ年戦略がどんどん進むように御指導を願いたいと思います。
 次に、心身障害児者対策についてでございますが、これにつきまして、デイサービス、それからショートステイの利用と利用券発給方式の導入についてお伺いをしたいと思います。
 心身障害児者を持つお母さん方といろいろ懇談する機会が私たちもあるわけでございますが、そのとき私が実感することは、国がやっていることと実際の行政の現場とでは大きく食い違いがあるということでございます。そうなりますと、やはり本当に現場の声が国に届いているのだろうか、このように疑いたくなる場合もあるわけでございます。したがって、何点かについてお尋ねをしたいわけですが、まず肢体不自由児者、それから精神薄弱児者等のデイサービス及びショートステイの利用はどうなっているかという点であります。当然、介護者が冠婚葬祭、また病気、事故などで一時的に介護できないケースや、また一人暮らしの障害者が病気などで日常生活が困難になったときなどに利用できれば大変助かる、こういう声を聞くわけでございます。
 例といたしまして、東京の中野区では、障害児者を緊急一時的に預かる施設を区精薄者生活寮と併設利用して、そして専門指導員を配備して区営施設で実施をしております。また、これは山口県でございますが、御承知のように、昨年四月から実施をいたしました老人のショートステイ利用券発
給方式、これが非常に好評でございます。これは、これまで役所の窓口にその都度申請をし、そして入所するまで数日かかっていたやり方を改めて、最初の申請で利用券をもらったら、後は複数の施設にいつでも何回も利用できる、こういうことでございます。その結果を調べてみますと、いわゆる改善前の六十三年度の利用日数が五千七百日だったのが、平成元年十二月末ではこれが九千日弱にふえています。そして、二年三月までに一万二千日と推計をされているわけですが、もう倍増は確実であります。県ではさらにヘルパー派遣とデイサービスにこれを拡大した総合福祉利用券、こうしたものも発行したらどうかということで、今検討をしておるようでございますが、これをぜひ全国のお年寄りに活用すべきじゃないか、また、これを心身障害児者のショートステイ、それにデイサービスにも活用すべきだと思うのですが、これらの点についてお答えを願いたいと思います。
#453
○古川政府委員 一つは、デイサービスあるいはショートステイの利用状況がどうかというようなお話と、利用券の活用というようなことでございます。
 在宅福祉サービスの充実を図る観点から、心身障害児者に対するデイサービスあるいはショートステイ事業としまして、心身障害児通園事業及び在宅心身障害児者緊急保護事業というものを実施しているわけでございます。心身障害児の通園事業につきましては昭和四十七年度から実施されておりまして、平成元年度末で全国で二百二十六カ所、これは標準の定員が二十人ということでございます。それから、在宅心身障害児者緊急保護事業につきましては昭和五十一年度から実施をいたしておりまして、昭和六十三年度、六百九十一カ所ということで、利用人員は六千六百六十人に上ってございまして、ちなみに昭和六十一は四千四百五十四人、それから六十二年が五千五十三ということで、相当の利用の増加という状況でございます。
 御案内のようにショートステイにつきましては、看病疲れというようなことで休養のために旅行するという理由とか、あるいは疾病、出産、そういった冠婚葬祭、事故、そういったようなこと、あるいは学校に出かけるというようなこと等での対応をしているわけでございます。ショートステイの利用の問題でございますが、現在は児童相談所あるいは福祉事務所等の窓口におきまして、あらかじめ登録しておきまして、電話でそれを受けて迅速に対応する、こういうふうな利用者の便を図っているわけでございます。
 先生今お話しの、施設を指定した利用券を発行することについてどうかということでございまして、大変御示唆に富むお話だと思うのでございますが、現時点でこれは非常に慎重に検討する必要があるのではないか。と申しますのも、この利用券を事前に発行しておきますと、ショートステイを必要とする事情をその都度判断することが困難となるということでございまして、この障害児、子供の問題等につきましては、家庭の事情とかあるいはその子供さんの状況等を踏まえてその都度判断をして一番適切な方法での対応が必要である、こういうようなことで、利用券については現在慎重に検討する必要がある。ただ、いずれにしましても、先生のお話しのような利用者の利便を図るということは最大に考えなければいかぬことでございますので、相談所なりあるいは福祉事務所で登録されて電話で受けますと迅速に対応するように、現実にそうやっておるわけでございますが、その点については、私ども一層また御指導申し上げてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#454
○吉井(光)分科員 今御答弁をいただきましたけれども、先ほど申し上げましたように、私が実際こうした心身障害児を持つお母さん方と懇談をいたしますと、真っ先に出てくるのはやはりショートステイとかそういった問題でございます。こうしたお母さん方は、毎日の生活が大変なわけですから、いろいろな方法、制度についてもよく勉強していらっしゃいます。そういったお母さん方の中から出てくる声でございますので、ひとつどうかよろしくお願いしたいと思います。
 そこで、ふるさと21健康長寿のまちづくり事業への適用なんですけれども、こうした子供たちも十五歳前後に達しますというと、社会生活の交流、体験が、明るく伸び伸びと生きていく上において大変重要なことになるわけですが、現実にはそうした場所の提供が極めて限られておりまして、数も少ないわけでございます。心身障害児の療育通園事業、リハビリ、軽作業、研修、サークル活動の場となるほか、体育館であるとか温水プール、軽スポーツ施設等の多目的機能を持つところの心身障害児者の総合福祉センター、こうしたものが強く要望をされております。ところが、こうした施設を地方の財政力の弱い自治体では、これはやはりなかなか単独ではできません。そこで、民間活力を導入した民間老後施設促進法に基づくところの、今言った、ふるさと21健康長寿のまちづくり事業、これにお年寄りだけではなくして心身障害児者も対象にしたらどうか、こういうことでございますが、これについてはいかがですか。
#455
○岡光政府委員 健康長寿のまちづくりということで、国民が生涯を通じて健康で生きがいを持ち、安心して暮らせるようにということを考えているわけでございますが、その地域社会では多世代交流型ということを考えているわけでございます。かつ、老人の施設をつくった、こういう場合でも、その老人の施設を障害者もお使いをいただけるようにする、そして老人の施設ばかりではなくて、そのほかの障害を持つ方々についてもふさわしい施設をつくって総合的な整備をしようという発想でございます。
 いずれにしましても、老人の施設に限定して申し上げましても、障害者に役立つものであれば障害者は大いに利用していただきたい、そういうふうに考えているところでございます。
#456
○吉井(光)分科員 そこで、先ほどちょっとお触れになりました心身障害児の通園事業の広域適用のことなんですけれども、これはちょっと確認をしておきたいのです。
 実は山口県の岩国市で、国が二分の一、県が四分の一、市が四分の一という負担のもとに心身障害児通園事業、これを行っているわけでございます。ところが、市在住が入園条件となっておる。そして、近隣町村在住の心身障害児者が自分の町になくては入れない、そういう状況でございます。こうした場合どのような救済措置があるのか、また救済措置を考えていられるのか。この点はいかがですか。
#457
○古川政府委員 心身障害児通園事業とは、御案内のとおり、精神薄弱児の通園施設が利用できないというような場合に、地域で日常生活の基本的な動作の指導等を行うとか、そういったために市町村が実施主体として実施しているものでございまして、基本的には市町村がそれぞれ地域の実情に応じて実施するわけでございますけれども、対象者が非常に少ないというようなこと等、あるいはまたその他いろいろな事情で単独では実施が非常に困難な場合、そういった場合には複数の市町村で一部事務組合を結成して事業を広域的に行う、こういうことが現実に、これは、滋賀県の五町一村で湖西地区広域市町村圏事務組合、これを初めとしまして六つの事務組合ができているわけでございまして、そういった広域的な見地から対応されている。それからまた、これは一緒に今からつくろうというようなところでございますが、既にこういった通園事業を実施している市町村とこれから話し合いをされまして、隣村のあるいは近郷の町村の方がそういう既存の町村に参加しよう、こういうふうなこともあります。
 私どもとしては、地域の実情に応じまして市町村が互いによく話し合いをしていただいて、そういった広域的に利用することは何ら差し支えないし、今先生おっしゃったような、同じそういった地域に行政区画によってあれでないような、その
地域のそういった方々の通園というものが本来の通園事業の趣旨に合うような活用、利用のされ方をするということは大変望ましいことである、私どもこう考えておるわけでございます。
#458
○吉井(光)分科員 もう一点、療養通院費の負担軽減措置でございますが、御承知のように、北九州市に総合的な早期養育システムを持った非常に立派なセンターがございます。そこに山口県からもたくさん通っているわけでございますが、この通院をするのに、山口県でも片方は下関市、片方は岩国市、これは端から端まであるわけでございますが、時間と交通費に下関市の場合と岩国市の場合天地雲泥の差、開きがあるわけです。岩国市からでは受診料をはるかに上回るところの交通費の負担が要請をされる、経済的に続かない、したがって通院をあきらめざるを得ない、こういう人がたくさんいるわけでございます。そういった観点から、この負担軽減措置について何か考えられないものか、この点いかがですか。
#459
○古川政府委員 そういった意味で大変お困りの方もあろうかと思うのでございますが、現実にそういった運賃の割引の問題につきましては、現在身体障害児の場合あるいは児者の場合については対応があるわけでございます。割引の制度がございますが、今非常にいろいろ御要望等がございますのは、例えば精神薄弱児の場合等においては運賃割引の制度は今適用されてないということでございます。この問題につきましては、私ども基本的には、事柄の性質からいきまして、公共交通機関の運営に責任を有する部局におきまして、利用者への負担の状況とか事業者の経営状況等を勘案して総合的に判断される性質のものではなかろうか、かように考えておるわけでございます。各種の福祉施策とか税制などにおきましては、通常精神薄弱児者につきましても身体障害者と同様な施策が講じられておるというような状況でございますので、このような状況を踏まえて今後とも関係当局と十分相談をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#460
○吉井(光)分科員 このほか、これはここには関係ないかもしれませんけれども、社会に出ようと思ってもその受け皿であるところの雇用の場が少ないということであるとか、また今でも大変なのになぜ養護学校にまで週休二日制を導入するのかとか、あるいは教員の資質の問題、まだ数多くの問題点はあるけれども、時間も参りましたようで、一応指摘だけをしておきたいと思います。お母さん方にとっては、もう養護学校でも土曜日も本当に預かってもらいたい、こういうところですけれども、ほかの普通の学校は余りこういった話が出ないのに、なぜ養護学校から先に週休二日制の話が出てくるんだろうか、こういうこともおっしゃっておったわけでございます。
 いろいろと問題がたくさんございますけれども、時間もなくなりました。歯科保険対策の問題、こういったことにつきましてもお尋ねをしたかったわけでございますが、この辺で終わりたいと思います。どうか冒頭申し上げました十カ年戦略、これにつきましてはひとつ精力的に、十カ年を八カ年、七カ年と、このくらいの目標で達成できるようにひとつ御健闘を心からお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#461
○林主査 これにて吉井光照君の質疑は終了いたしました。
 次に堀込征雄君。
    〔主査退席、和田(静)主査代理着席〕
#462
○堀込分科員 私は、日本の国が今大変な経済大国になった、そして世界から非常に注視をされるような大国になって、世界に責任を果たしていかなければならない、そういうことになったわけでありますが、しかし人権の面から見ますと非常にいろいろな問題点がまだあるのではないか、たくさん正していかなければならない点があるのではないか、こう思うわけであります。主として同和対策の問題について質問をさせていただきます。
 同対審答申が出されて二十五年が経過しようという状況にあるわけでありますが、この間関係者の皆様の努力によってさまざまな施策が講じられてきた、一定の成果を上げてきたことは言うまでもありません。そういう意味で関係者の御努力に敬意を払うものでありますが、しかし残念なことに、今日今もって部落差別の実態は大変なものがございまして、差別事件が頻発をしておる、こういう状況が一方でございます。
 私は長野県でございますけれども、例えば昨年一年間だけでもたくさんの事件がございました。例えば電話でチョーリッポというような発言をして、一日に何回もかける、そのまま受話器を切ってしまうとか、あるいは子供たちの学校現場で、英語の時間中に「アイ アム エタ」とかそういう落書きが行われるとか、あるいは小学校の日記帳の一部にえた、非人というような文字が書かれるとか、そういういたいけな子供たちの学校現場でもたくさんの差別事件が現に発生をしているという事実がございます。私も資料を持っているのですけれども、昨年長野県における一年間の差別事件は従来よりも減ってはいない、こういう状況でございまして、何としてもこれらを正していかなければならないのではないかというふうに思います。
 これは実はほんの氷山の一角でございまして、そのほかにも就職をめぐって、結婚をめぐってあるいは教育など多くの分野で差別事件が発生をしているわけであります。こうした差別事件の解消のためにも、あるいは実態的な差別の解消のためにも、どうしても同対審答申の具体的実行が行われなければならない。もちろん旧同対事業特別措置法そして今地対財特法によって具体的に進められてまいってきておるわけでありますが、今この地対財特法の期限切れを二年後に控えておる、こういう現状でございますけれども、一層差別をなくしていく、あるいは人間の尊厳が保障される、そういう社会をつくっていく、そういう意味で国も地方公共団体あるいは私ども国民を含めて全体でやはり努力をしていかなければならないというふうに考えるわけであります。
 そういう意味で、厚生省としても同和対策として主として社会福祉に関する対策を中心に今日まで懸命の努力をされてまいったわけでありますが、ぜひここで厚生行政から見て今までの同和対策事業の総括といいますか成果を上げた点、そして問題を残した点あるいは課題などについていろいろお持ちだろうというふうに思います。その点で今の認識としてこれらの事業をどうお考えになっていますか、まずお尋ねをさせていただきます。
#463
○長尾政府委員 先生御承知のように、厚生省は昭和二十八年に隣保館の整備費を初めて予算に計上いたしまして以来、地区の道路でございますとか下水排水路など、そういった対象事業を拡大をしてまいったわけでございます。地区の生活環境の改善ということに努めてきたつもりでございます。
 現時点においてどのように評価をしているかというお尋ねでございますが、おかげさまでこういった生活環境の改善面につきましては、これは私どもの方の少し甘い評価かとも思うのでございますが、ある程度の成果を上げてきたのではないかというふうに考えておるわけでございます。残された問題点といたしましては、今先生からも御指摘があったわけでございますが、いわゆる心理的な差別ということが極めて大きな問題として現時点において不十分な状況にあるということは、残念ながら私どももそのように認識をいたしておるわけでございます。もちろん生活環境等の施設面の整備につきましては、現在の地対財特法の期限内にぜひ必要な事業量の完成ということは努力をさせていただきたいと思っております。
#464
○堀込分科員 今認識が示されたわけでありますけれども、同和行政、同対審答申が出されてからそれぞれ努力をなされてきた。答申にもありますように、「社会的、経済的、文化的に同和地区の生活水準の向上をはかり、」あるいは「一般地区との格差をなくす」、そしてまた「地区住民に対する差別的偏見を根絶すること」、こういうこと
を目的にしながらそれぞれ努力をされてまいったわけでありまして、これも関係者それぞれ努力をされたことに敬意を表するわけであります。
 しかし、今御答弁ございましたように、同和対策事業を本格的に実施されて約二十年たつわけでありますけれども、最近よく耳にしますのは、今の答弁でも生活面で多少前進成果があったという答弁でございましたけれども、部落の環境改善の面では大きく前進した、あるいは大きく改善された、道路や上下水道だとかあるいは住宅や各種公共施設はよく整備されたのではないか、だからこれ以上同和対策は進める必要はないのではないか、残事業だけやれば十分だという声が間々聞かれるわけであります。いわゆる同和対策事業打ち切り論が公然とささやかれる、こういう状況が一方にあるわけであります。
 そこで、厚生省としても、地域改善対策特定事業、幾つかの事業を現にやっておられるわけでございますが、既に生活水準の向上を図られた、一般地区との格差がなくなった、これから残事業のみを進めればよい、こういう考え方であるのかどうか、そういう考え方なり感想を今お持ちなのかどうか、あるいはもう少し踏み込んだ、本当に差別をなくすような事業展開を掘り下げて検討していく必要があるんだという考え方をお持ちなのかどうか、お尋ねをいたします。
#465
○長尾政府委員 同和問題の解決のために地域改善対策特定事業といわば法律で定められたものを推進していくということはもう当然のことであると思っておりますが、これだけで十分であるということはないという御指摘はそのとおりであると私どもも認識をいたしております。そういう意味では、その他の一般対策に移行いたしましたもの、それから一般対策の事業の中でこういった問題の解決のために必要な事業というものが当然あるわけでございまして、同和地区の実情にかんがみて優先的に実施すべきものがあれば地方公共団体の意向を勘案しつつその方向で採択をしていくなど、きめ細かな対応に気を配ってまいりたい、厚生全般の施策をそういう観点から配慮してまいりたいと思っております。
#466
○堀込分科員 そこで、先ほど残事業について二年内に、残された期間にやり抜きたい、こういう決意といいますか表明がございましたけれども、今この厚生省関係の残事業についての処理の状況、それから全国的な進行状況、それから今後残された期間、先ほどの説明ではおおむねいける、こういうお答えでございましたが、そういうことでよろしゅうございますか、御説明をお願いします。
#467
○長尾政府委員 昭和六十一年の十一月に厚生省所管の残事業量として把握されましたものは千四百三十二億円でございます。これは今先生御指摘のように地対財特法の施行期間でございます平成三年度末に達成を図るべく毎年度の予算を確保していかなければならないというものであると思います。
 この件につきましての実績状況でございますが、六十一年に今申し上げました千四百三十二億円という事業量をいわば枠として設定をいたしまして、六十二年度、この今のものをいわば六十二年度ベースに置きかえまして事業量を算定いたしますと千四百五十五億円になるかと思いますが、このうちこの年に二百八十六億円を執行いたしました。六十三年度は、今申しました執行額を差し引きましたもの、それをいわばその年度の価格に変更いたしまして千百八十四億円になるわけでございますが、そのうち二百七十五億円の執行をいたしました。したがいまして、五百六十一億円の執行になったかと思います。それで、平成元年度の予算におきまして三百十六・六六億円を予算額として計上をしております。また、平成二年度におきましても三百十一億九千五百万円の予算額を確保することといたしておるわけでございます。
 この残事業を実際に執行するに当たりましては、現実のいわば施設整備、道路の整備ということでございますので、各地域で関係者の方々の条件の調整ということにある程度の時間を要する事情があると思われまして、こういうような執行事情になっておるわけでございますが、私どもといたしましては残された期限内に実行すべく最大限の努力をさせていただきたいと思っております。
#468
○堀込分科員 そこで、次は生活保護問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 今、生活保護の受給世帯数、そのパーセント及び同和地区における受給世帯数、どのぐらいなのかお聞かせをいただきたいと思うのですが、全国的な調査の数字がおありなのかどうか、もしなければ一定地域に限られた調査でも結構でございますので、お聞かせをいただきたいと思います。できますれば、数字があるかないか、なければおよその見方でも結構でありますが、例えばこの十年間、その世帯数の増減などについて、ございましたらお聞かせをいただきたいというふうに思います。
#469
○萩原説明員 同和地区の生活保護の状況でございますが、昭和四十六年、五十年、それから昭和六十年度ということで調査がございます。
 保護人員という意味で申しますと、昭和六十年は抽出調査でございますので、全部そろえる意味で保護率というもので申し上げた方がよろしいかと思いますが、昭和四十六年が、生活保護はパーミルというものを使いますので、パーミルで申しますと七五・七パーミル、パーセントで申しますと七・五七でございます。昭和五十年が七六・〇、それから昭和六十年度が六七・七パーミルという状況になっております。
#470
○長尾政府委員 今、地区の保護率についてお答えがあったわけでございますが、これに見合う全国の保護率、同じくパーミルで申し上げますと、四十六年が一二・六、五十年が一二・一、五十五年が一二・二、六十年が一一・八という状況になっております。
#471
○堀込分科員 今、数字がありますが、私の想定では、今説明がありましたように、全体としての生活保護世帯は徐々に減っている。しかし、同和地区における生活保護の世帯率はやはり圧倒的に高いという数字が出ているというふうに思うのです。もう少し全体的な、具体的な調査をいただきますと、そういう結果が出るのではないかというふうに思うので、これは数字の出し方は難しいから、なかなか調査の方も難しいのだろうと思いますが、私はそういう感じを持っていますし、ある部分的な調査によりますと、はっきりしたそういう結果も出ているわけでありまして、この原因、要因、いろいろ考えられるわけでありますけれども、やはりしっかり分析をして、その中で特に同和対策地域における生活保護率を下げていくということが極めて重要な課題ではないか、こんなふうに思うわけでありますが、この辺はそういう分析をされておりますでしょうか。
#472
○長尾政府委員 今、数字を申し上げましたように、地区の保護率は全国平均の保護率に比べまして確かに高いように思います。この原因でございますが、さまざまな要因が複合していることの結果であると思いますし、保護率の高さの分析というのは、正直申し上げまして難しいと思っております。
 保護を受けておられます世帯の実態が、通常の形で、一般の形で高齢者世帯、母子世帯それから病弱者の世帯、こういった方々が多いわけでございますが、こういう面で地区の高齢者世帯、母子世帯、病弱者の比率が多いということも保護率が高い一つの理由であると思います。また、中高年層を中心に就業の形の中で収入が低い、それからかつ不安定な就労である、こういう方たちが多いということが原因の一つではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#473
○堀込分科員 ただいま答弁ありましたように、非常に幾つかの原因が重なって同和地区における生活保護の受給率が高い。そしてその推移を見ると、余り減っていないという、つまり改善されていない、長期受給世帯が非常に多いということが明らかになったと思うのです。私は、つまり部落の実態的差別の解消、あるいは同和地区住民の生活水準の向上、やはり内容的に余り達成されてい
ない、あるいはまだまだ問題点をはらんでいる、こういう現実があると思うのです。やはり同和地区の住民の多くは、健康状況や就労に必要な技術や学力、あるいは職業経験などさまざまな要因によって職業的自立を図るのに困難な人が多いのではないか、そのことが基本的には生活保護の受給率を高くして受給期間を長期にしている、こういう実態があると思うのです。
 そこで、やはり生活保護、そうした同和地域における実態に即した適用、憲法に言うまでもなく、健康にして文化的な生活に足る保護費の支給、そしてあわせて職業的自立を図るための施策があわせ行われなければ解決されていかないのではないか、こう思うわけであります。ぜひそういう意味できめ細かな生活保護行政、職業的自立が図られるような政策的配慮を関係省庁、労働省などとも連携を密にしながら具体的に結びつけていってほしいものだ、こういうふうに考えます。
 ぜひひとつ、くどいようでございますけれども、そういう意味で厚生行政における高い生活保護の水準、関係省庁との連携のもとにどう正していくのか、こういう点で問題意識はおありだと思いますので、ここで明らかにしていただきたいと思います。
#474
○長尾政府委員 今生活保護を受給する原因につきまして申し上げたわけでございますが、確かにその中の一つの大きな問題といたしまして、安定的な就労の場がなかなか確保できにくいという原因があるであろうということは推定されるわけでございます。こういった被保護者の方々が安定した職業に従事をされまして、自立した生活を送っていただけるようなそういった対策をとっていくこと、これはおっしゃるとおり私どもの大きな仕事だと思っております。
 私どもは、地区の住民の方の経済的な向上を図るための施策といたしまして、就労の場の提供といたしましては、共同作業場等の設置をいたしまして、こういう対策を設けているわけでございます。そういう意味で、厚生省はきめ細かな対策を今後も努力してまいりたいと思っておるわけでございますが、今先生からもお話がございましたように教育の問題、それから就労の場の確保の問題、これは私どもの省だけでなかなか力の及ばない分野もあるわけでございますので、関係省庁とも十分連携をとりながら、おっしゃいました方向を目指しまして教育の充実、就労機会の確保といった対策につきまして推進をしてまいりたいと考えます。
#475
○堀込分科員 ぜひそういうことで御努力をいただきたいと思います。
 なお、解放同盟という全国的に有力な団体もございますから、団体などとよく協議をされて、実効ある施策の展開を望んでおきたいと思います。
 続いて、きょうの質問の流れからちょっと外れるわけでございますが、お許しをいただきながら年金問題にちょっと触れて質問させていただきます。
 先日の新行革審の最終答申で、高齢化社会のピーク時で国民負担率をなおかつ五〇%未満に抑制するということを明示をしているわけでありますが、既に九〇年度予算案で四〇%を超えている、しかし、これはまだ給付、負担の関係がどうなるのか国民の前に明らかにされていないという現実がございます。
 公的年金の将来について非常に国民の間に不安があることも事実でございますけれども、新行革審の五〇%という国民負担率の数字をどういう決意で守っていくのか。あるいはその際、この掛金の負担増、現実には国民負担率五〇%と言ってもなかなかわかりにくいわけでありまして、国民の一人一人の月収の何%くらいをピーク時には納めるのか、そういう点についてもう少しわかりやすく国民に明らかにする必要があるのではないかというふうに思うのですが、給付水準などの展望を含めて簡潔にお答えをいただきたいというふうに思います。
#476
○水田政府委員 私どもは、厚生年金につきましては、現在、四十年加入で男子の平均賃金のおおむね七割程度の給付水準を維持するということで考えておりまして、私どもはやはり老後生活の支柱としては将来ともこの水準を維持していきたいな、こう思っておるわけでございますが、ピーク時の三十年後には老齢年金の受給者が現在の約三倍にふえますので、保険料が三一・五%にならざるを得ない、これは労使折半で三一・五%にならざるを得ない、こういう高い保険料を取っている国は世界を見てもないわけでございまして、到底後代の方の負担にたえ得る水準ではない。
 それで、私どもは、やはり最も日本と類似した制度で高い保険料を取っております西ドイツ、これが二六%程度でございますので、労使折半で二六%、この程度まで後代の方の負担を抑えてあげなきゃいかぬのじゃないか。そのためには、給付水準を維持しながら高齢者雇用の伸展に見合って開始年齢を段階的に引き上げていく、これが最も現実的な解決策ではないか、このように考えておる次第でございます。
#477
○堀込分科員 わかりました。わかりましたというのは理解したという意味ではなくて、議論はまた別な機会に譲らしていただきます。
 そこで、さまざまな年金問題があるわけでありますが、今日に至るもまだ無年金者というものが国民の中に相当あるのではないか。それは、例えば年金に加入せず保険料を支払わなかった人だとか、職を転々とかえて年金履歴がわからなくなってしまった人だとか、さまざまいると思うのです。
 私は、こういう人が同和地区に非常に多いということを実は聞いています。ちょっと古い資料で恐縮なんですがたとえば八二年の部落解放同盟が行った大阪の調査によりますと、二十歳から五十九歳の者で二〇%を超えていたという数字がございます。その後、行政などの努力によって徐々に改善をされているというふうに聞いていますけれども、こうした実情を厚生省は把握をしておられますでしょうか、あるいはこれらの実態の改善策をお持ちでしょうか、お尋ねをしたいというふうに思います。
#478
○土井政府委員 無年金者あるいは年金の未加入者の状況でございますが、私ども全国レベルで正確な統計というのはとっておりません。それで、現在私ども他の関係統計から推計をして数字を持っておりますが、無年金者につきましては、国民生活基礎調査等によりまして推計をいたしまして、約七十数万人程度全国レベルでいるのではないか。それからまた年金の未加入者でございますけれども、これは市町村で住民登録をされた方とかあるいは国保に加入している方等々をベースに推計した数字でございますが、約百万人程度いるのではないかというふうに推計をいたしております。
 なお、個々の地域あるいは同和地域等における個別の状況というのは掌握いたしておりません。
#479
○堀込分科員 個別の数字はありませんけれども、同和地域において非常に高いのではないか、私どもはこう思います。
 最後に、こうした今申し上げてきたような観点に立って再確認をさせていただきますけれども、同対審答申でうたった部落の解放についてはまだ非常に課題が多い、政府、関係省庁、地方公共団体、国民こぞって運動を進めていかなければならないという認識が明らかになったというふうに思います。ぜひ厚生行政の面からも、生活保護の支給率が高い、期間が長い、やはりこれを正すには職業的自立を含めた抜本的対策が必要なんだ、こういう視点に立って前進を図っていただきたい。残事業をこなせばよいとか一般事業の中で対応していけばいいとういう発想ではなくして、この同対審答申で言われているような部落解放の早急な解決を、国の責務で国民的課題としてやっていくのだ、こういうことで前向きな取り組みをお願い申し上げますが、もし厚生省の決意がありましたら、最後にお聞かせいただきたいと思います。
#480
○津島国務大臣 同和問題は、憲法の基本的人権に係る非常に重要な問題であるという認識をしております。法のもとの平等ということ、そしてまた経済的にも社会的にも本当の平等な社会を実現
するということは、民主社会の基本的な要請であろうと思っておりますが、ただいま委員の御指摘をいろいろ承っておりますと、まだ課題が残されているという印象は強いものがございます。
 私といたしましても、この地対財特法に基づいて、総務庁を初めとする関係省庁と協力するとともに、地方公共団体とも一体となって問題の解決のためにできるだけの努力をいたしますことをお誓いしたいと思います。
#481
○堀込分科員 終わります。
#482
○和田(静)主査代理 これにて堀込征雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、川島實君。
#483
○川島分科員 大変長時間にわたって会議が続いておりますので、簡潔に質問をし、答弁を簡潔に求めていきたいと思っております。御協力をいただきたいと思います。
 最初に私は、たばこの健康に与える害について以下お尋ねをしていきたいと考えております。
 世界から天然痘を撲滅したWHOは、喫煙を人類の健康を脅かす最大のものとしてとらえ、各国に再三たばこの消費を抑制する方策を講じるよう勧告を出しております。特に一九七五年の勧告では、加盟国政府にたばこ喫煙の制圧と予防のための諸事業を統合し監督するような中央委員会を設けることを呼びかけをいたしております。
 加盟先進国はこれに対して、この勧告に応じて多くの施策を講じておるところでございます。一九八九年の米国やカナダにおける新禁煙法の実施による飛行機内の喫煙禁止、一九九〇年のフランス政府によるたばこ及びアルコールの広告禁止、同じく一九九〇年のスウェーデンの広告規制、学校、病院などの喫煙教育、職場や公共施設内の喫煙所の設置、さらにベルギーやシンガポールでは禁煙法により公共施設での禁煙を実施し、違反者には罰金等が科せられるという、こういう実態があるわけでございます。
 そこで、厚生省の白書にあります煙害PRは今日どのように行われておるのか、またその効果はどうなっておるか、そしてまた我が国における禁煙の現状についてお尋ねをしておきたいと思います。
#484
○長谷川政府委員 まず、現在我が国におきます喫煙率から御説明申し上げたいと思います。
 まず、平成元年度の調査によりますれば、男子は六一・一%、女子が一二・七%でございます。そういうことで、経年的な変化の状況について申し上げますと、男子の場合は昭和四十一年の八三・七%を最高に低下の傾向を続けておりまして、女子の場合も四十一年の一八・〇%から低下を見せておるところでございます。しかしながら、近年といいますか、最近はいわゆる三十歳未満の若い女性の層において若干増加しておるというような問題もございまして、こういう面に私ども注意をしながら、健康教育といいますか、たばこの害についての健康教育をさらに徹底していかなければならないというぐあいに思っておるところでございます。
 それから、先生お話ございましたように、六十二年に厚生省で「喫煙と健康」という冊子をまとめまして既存の文献等の取りまとめをいたしまして、関係各方面にこの問題についてのPRといいますか、そういうものを行っているところでございます。
 それから、健康影響につきましては、先生もう十分御存じでございますけれども、肺がんや虚血性心疾患の危険因子ということでございますし、それから妊婦につきましては、喫煙の場合は低出生体重児あるいは早産、周産期死亡との因果関係があるというようなことをいろいろ言われているところでございまして、たばこの健康影響につきましてはいろいろなところで報告が出されているところでございます。
 そういうことで、厚生省といたしましてはいろいろな形でのたばこと健康影響についてのPRといいますか、健康教育、知識の普及を行っているところでございます。具体的には、保健所におきます健康教育の一環ということで、禁煙教室あるいは禁煙シンポジウムというのも実施いたしておりますし、それから、児童福祉機関等におきましては関係機関との連携のもとに未成年者に対する喫煙禁止のいろいろな指導をやっておる。それから、国内外のこういう喫煙対策の動向についてもいろいろ調査をする、あるいはパンフレットの作成等を行いましてPR活動を行っております。それから、先生もお話ございましたように、医療機関におきます分煙対策の推進というようなことを行っているところでございます。
 現在作業をやっているところでございますが、こういう禁煙、喫煙につきましての正しい知識の普及のために、一般の国民からシンボルマークあるいはシンボルマスコットというアイデアを募集いたしまして、そういうものの中から優秀作品につきましては大臣表彰というような形でそういうものを決めまして、ことしの五月三十一日の世界禁煙デーに合わせまして、広くキャンペーンの材料という形で今後とも正しい知識の普及に努めてまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
#485
○川島分科員 それで、具体的に現在我が国で禁煙がなされておると思われる病院だとか電車、航空機、映画館、デパート、これはどういう状況になっておりますでしょうか。
#486
○長谷川政府委員 鉄道の禁煙席の関係で申し上げますと、新幹線の禁煙車は自由席が二両、指定席が二両、グリーン車が一両。それから在来線の特急の禁煙車につきましては、自由席で三両、指定席で二両、グリーン車一両。
 それから、航空機の関係で申し上げますと、日本航空におきましては五〇%の便で禁煙席がございます。それから全日空なり日本エアシステムにおきましては、六〇%の便にそういう禁煙席が設けてあるということでございます。
#487
○川島分科員 私は現状から見まして、この禁煙に対する関心といいますか、特に女性の方たちが非常に多いわけでございまして、たばこを吸う人よりもそのそばにおる人たちが非常に健康的な影響を受ける、そういう点で、もう少し厚生省が主体的になって実はこの運動を推し進めていただきたいと思うわけでございます。特に、これは先ほども答弁がありましたように医療費の関係を大きく左右する、こう言われている多くの学説があるわけでございますので、そういう点でぜひお力添えをいただきたいと思うわけでございます。
 特に、まず厚生省のオフィスの中で禁煙が進められておるかどうか。例えば、今吸わない人たちが一日じゅう勤めなければならない部屋の空気の汚れといいますか、こういう部屋の中で一日じゅう我慢をしなければならないということは大変な苦痛であるわけでございまして、これを、禁煙者のために喫煙タイムを設けたりきちっと喫煙をする場所を取り設けてあげるということがこれからの新しい時代の対処の仕方でないかと思うわけでございますが、厚生省としては今どのような取り扱いを行っておるのか、その辺のところをひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#488
○長谷川政府委員 喫煙の問題は、先生御存じのとおり、個人個人の嗜好なり習慣にかかわる問題でございますので、一律に喫煙を規制するということは非常にいろいろな問題を抱えているわけでございます。
 そういう面で、厚生省としましては、たばこの健康影響につきましていろいろな機会にPRといいますか正しい知識の普及等を行っているところでございまして、厚生省の中におきましても、たばこを吸わないように、例えば私の部屋なんかも入り口にはたばこを吸わないようにというポスター等が張ってあるわけでございまして、そのほか、中でもいろいろなところにそのポスターあるいは健康影響についてのPRというものを張っておるわけでございます。現実的にそれぞれのオフィスでたばこを吸うなというのは、先ほど申し上げましたように非常にいろいろな問題がございますのでなかなか難しいということで、中といたしましては、会議室というようなところにおきましては、いわゆる灰皿を置かないような形でたば
こは吸えない、どうしても吸いたい人は廊下へ行って吸うというような形で努力いたしておるところでございますが、全般的に禁止というわけにはなかなかいかないということでひとつ御理解いただきたいと思います。
 なお、今後ともそういう厚生省の中におきます教育につきましても、さらに充実してまいりたいというぐあいに思っております。
#489
○川島分科員 そういう考えが基本的に間違っていると思うのです。国際的にたばこの害が指摘されて、広告をも禁止するという時代になってきている。しかし一番医療を扱っている大もとが――その一番の基本的な考え方として、全部吸わないことが本来の生活者の立場なんです。吸う人のために喫煙所を設けてあげたり、例えばこういう委員会でも、本来ならばたばこを吸って議論をするのじゃなくで、きれいな空気の中で、真剣に議論が闘わされておるわけですから、その時間はたばこを吸わない、そして、そういう吸う人のために適切な時間帯に委員長の権限でちゃんと休憩時間をとる、これが本来の姿で、各都道府県ではそのように委員会においてもきちっとやめている県だってあるわけでございます。だから、そういういいところをきちっと倣ってやっていかなければならないと思います。
 特に、今回は私ども社会党も女性議員がぐんとふえておりまして、一番困るのはたばこをお隣で吸っている害。例えば、私ども県議会の時代に食品工業試験場へ行きまして、一酸化炭素のグラフの機械に自分が吸ったものをぱっと入れても針は余り動きません、しかし、たばこの火のついたものを機械のそばへぱっと持っていきますと、機械の針がぴゅんと飛んでもうグラフに載せることができないほど激しく反応するわけで、これほどまでに害が指摘されているわけでございます。
 例えば、喫煙者が自分で車に乗っていて、その中で恐らくたばこをずっと吸いっ放しでおるということは、限られた空間の中ではやれないはずでございます。窓をあけて新しい空気を入れ込む努力をするでしょう。しかし、こういう部屋でございますと多くの皆さんの空気をその人が汚染しておるわけでございますから、これは少し御遠慮いただいて、きちっと喫煙所を設けていく、こういう立場でなければ、特に厚生省、医療の御本尊がそういう局長さんでは私はちょっと不服なんでございますけれども、いかがでございますか。
#490
○津島国務大臣 たばこが健康に影響があるという意味で、本来吸わない姿が自然だという委員の御意見と私は同意見でございます。
 問題は、これは公共施設でやれるようになるためにはそれなりの国民的なコンセンサスが必要でございます。ですから、コンセンサスができればそれはやった方がいいわけです。そのコンセンサスをつくっていくために、皆さんに私どもと同じ意見になってもらうというPRを今一生懸命やっている段階であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
#491
○川島分科員 最後にこの問題で、日本は国際的にもWHOに事務局長を今送り込んでいるのですね。だから、そういう観点からでも、やはりできるところから法律による規制を考えなければならないんじゃないか。先進各国がみんな法規制を一つずつでも前進させて行っているわけでございます。
 日本も、病院を初め、例えば交通機関でもきちっとした密室の場合はある程度、半分なら半分行うとか、昔は日本天井ではほとんど空気がすうすう抜けて自然換気があったわけでございますけれども、今はもう日本の建物の構造もほとんどサッシで空気が通わない、こういう中で子供たちにまで害を及ぼす時代になっておるわけでございますから、健康を害する喫煙にこの際強力な施策を講ずるために今後法規制を考えていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。大臣どうでございましょう。
#492
○津島国務大臣 法規制という段階にまでいくにはもう少しPRが必要かなという感じがいたしておりますのと、それから、このたばこ産業の所管の方の御意見との調整という問題もございますものですから、我々としては引き続き、とにかく喫煙をできるだけ避けてもらうという方向で努力をするということが先決であろうと思っております。
#493
○川島分科員 それでは次に移らせていただきます。
 先回の社会労働委員会の中で、私は保険局長と大臣からも御答弁をいただいたわけでございますが、どう考えてみましても国保の料金の格差の問題について実は納得ができないわけでございまして、年金生活者や所得の低い生活困窮者にとっては、例えばこの前は所得が百五十万、資産が百五十万という形で議論をしたわけでございますが、そのときに、同じようなところに勤めておって、隣が、少し距離が離れておることによって月保険料が片っ方では一万円、片っ方では二万円、こういうふうな開き、やはり各市が自主的にいろいろな保険料の算出方法でそういうような格差が開いておるといいながらも、これはほかから見ると政治的な貧困だという言われ方をせざるを得ないわけでございます。特に厚生省の立場からいけば、少なくともこれらの格差の是正のために御努力をいただかなければいかぬ立場にあると思います。
 さらに、例えば富山県の一つの例をとってみましても、所得が五百万、資産が五百万で、現在の上限が四十四万のところを三十九万に向こうが設定しておるわけでございます。そして、所得が百五十万で資産が百五十万の人の平均が年十九万七千五百八十円なんですよ。ところが五百万の人で三十九万円。国が言っております四十四万という形から切り捨てられている部分、そこまで上限はいっていませんで三十九万で切っているわけですから、八万九千円あるわけですね。こうなりますと、五百万の所得の人は八万九千円という、この富山の計算方式でいってそれだけ助かる。ところが百五十万の人は、結局十九万七千五百八十円という莫大な費用がもろにかかっている。百五十万の所得なんといったら本当に低いのに、夫婦子供二人の四人家族で出させておるわけでございますから、非常な格差なんですよ。これほど矛盾の多い、不公平の多いことはないと思います。
 これはやはり政治の立場からきちっと、少なくとも百五十万から二百五十万、三百五十万という一つずつの単位で、全国的にいろいろ格差があろうかと思いますけれども、こういう所得の人たちは標準の保険料というのはこれですよというものを厚生省はきちっと示してあげていただきたいと私は思います。そうすれば各市町村は、市の管理者の長は市長でございますから、自分の選挙の関係もあります、高齢者の皆さんやおのおのの人たちが、隣同士でこれほどまでに格差が開いておることについては、その政治のやり方がまずいんじゃないか。また、県は助成をするという形で昨年からなったようでございますけれども、そういう県自身の中においても、それほどまでに格差があればいろんな責任の問われ方がされるし、黙ってないと思います。みんなが努力して、英知を結集して、医療の問題について気をつけたり健康に気をつけたり、保険料ができるだけ納得がいくような形になるんではないでしょうか。このことについて御答弁をいただきたいと思います。
#494
○坂本(龍)政府委員 国民健康保険の保険料の格差問題は確かに非常に重要な問題でございまして、厚生省としても従来から、できる限り保険料負担の平準化を進めていくことが重要であると認識をいたしてきております。そのために、例えば財政調整交付金の交付を通じまして保険料格差の要因の一つである市町村の財政力格差を調整してまいってきておりますし、また、このたびの国民健康保険法の改正法案の中にも、低所得者の軽減に見合う公費補助という意味での保険基盤安定制度というのを盛り込んでおります。またそれとは別に、平成三年度以降に向けて平準化の検討に着手をいたしまして、地方関係団体とも協議を進めるということにいたしまして、今後とも平準化に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
 ただ、保険料の金額自体につきましては、これは一つには、市町村ごとに医療費の水準でございますとか被保険者の所得水準の状況、市町村の財政力の状況、いろいろと違いがありますと同時に、現在市町村という自治体において保険を実施しているという点から、市町村のある程度の自主的な判断また実情に見合った弾力的運営というものも必要になってまいりますので、その問題との調整をいかに進めていくか。できれば同じような医療費の市町村で、同じような所得の人は同じような保険料で負担していただく、これが理想でありますから、そのような方向に向けて鋭意努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#495
○川島分科員 時間もありますので簡潔に終わりますが、大臣もこの前の委員会で非常に御決意をいただきました。御承知のように、私どもはそういう不公正な現在のあり方について、今局長が申されたようにいろいろな努力をしていただくということは非常にありがたいわけでございまして、具体的に国民の皆さんから見て、隣、少なくとも県内でそういうものの格差が解消できるようにならないと、これは政治不信を買う一つだと思うわけです。
 これは、医療費がどうあろうとそこの管理者がどういう運営をされようと、最終的にはやはりその大元締めであります厚生省が、法律的にどうかというのを野放しにしておった、そういうことが責任を問われるのじゃないかと思うわけでございまして、そういうことがおのおのの市町村なり県レベルでなかなか難しいから、私は厚生省の中で議論をさせていただいているわけでございます。そういう点で、最後にひとつ大臣の御決意をいただきたいと思います。
 以上で終わります。
#496
○津島国務大臣 先般も委員にお答えをいたしましたが、国保の保険料が違うということは、委員がお感じになっていると全く同じように私どもも政治家として大変に厳しい問題として受けとめているのであります。平準化できれば平準化した方がいいということもだれしも一度は考える。しかしながら、実はこれは政治の貧困と言い切れない問題点がございますのは、これまでも保険料負担の平準化について市町村の中で議論していただいた。ところが、市町村の置かれている事情も多種多様でありますものですから、保険料の負担水準とか賦課に関する事務処理の問題もございまして、つまり市町村自体が低いところもあるものですからすぐに全体として合意がしていただけないという状況があるわけです。高いところは、低くしていただきたい、私のところは不公平だとおっしゃる。ところが相対的に低い方は、いやいや、一緒にされたら上がっちゃうじゃありませんかという議論がどうしても出てくるわけです。
 ですから、我々としてそれは手をこまねいているわけにいかないから、一つ一つのことで前進を図る以外にないのです、一挙にやろうといったって低い方は嫌だよと言うのだから。それは先生も政治家だからおわかりだと思うのです。私どもやれるものならやりたいのだ。しかし、それができないので、まず私どもとしては、低所得層が多いことによって出てくる不公平を解消するために今度は基盤安定化事業をいたしましょう、それから調整交付金の制度をますます弾力的に大きく使わせていただきましょう、こういうことをさせていただいたわけです。
 しかし、委員がまさに御指摘のように、こういう状況をそのままにしておきますと国保制度自体の基盤を不安定にすることは全くおっしゃるとおりでございまして、そこで、昨年末に大蔵、厚生、自治の三大臣が合意をいたしまして、保険料負担の平準化を進めるための具体的な方法、つまり目標としては私どもはやりたいのですけれども、それをどうやってやるかという具体的な方法等について、地方団体の意見も踏まえながら検討を進めていこうということを公式に発表させていただきました。ですから、私どもも決して手をこまねいているわけではなくて、積極的に取り組んでまいりますので、どうか委員の方からもいろいろなお考えを示していただきまして、具体的に前進するためのお力添えをいただきたいと思います。
#497
○川島分科員 ありがとうございました。
#498
○和田(静)主査代理 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十七日金曜日午前九時から開会し、引き続き厚生省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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