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1990/04/26 第118回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第118回国会 予算委員会第三分科会 第1号
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1990/04/26 第118回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第118回国会 予算委員会第三分科会 第1号

#1
第118回国会 予算委員会第三分科会 第1号
本分料会は平成二年四月二十三日(月曜日)委員
会において、設置することに決した。
四月二十五日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
      井出 正一君    工藤  巌君
      葉梨 信行君    加藤 万吉君
      佐藤 敬治君    日笠 勝之君
      吉井 英勝君
四月二十五日
 工藤巌君が委員長の指名で、主査に選任された
 。
──────────────────────
平成二年四月二十六日(木曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
   主 査 工藤  巖君
      井出 正一君    葉梨 信行君
      大畠 章宏君    加藤 万吉君
      佐藤 敬治君    須永  徹君
      松前  仰君    和田 貞夫君
      東  祥三君    斉藤  節君
      竹内 勝彦君    日笠 勝之君
      森本 晃司君    菅野 悦子君
      吉井 英勝君
   兼務 秋葉 忠利君 兼務 小森 龍邦君
   兼務 清水  勇君 兼務 鈴木喜久子君
   兼務 野坂 浩賢君 兼務 児玉 健次君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 保利 耕輔君
 出席政府委員
        文部大臣官房長 國分 正明君
        文部大臣官房会
        計課長     吉田  茂君
        文部省生涯学習
        局長      横瀬 庄次君
        文部省初等中等
        教育局長    菱村 幸彦君
        文部省教育助成
        局長      倉地 克次君
        文部省高等教育
        局長      坂元 弘直君
        文部省高等教育
        局私学部長   野崎  弘君
        文部省学術国際
        局長      川村 恒明君
        文部省体育局長 前畑 安宏君
        文化庁次長   遠山 敦子君
 分科員外の出席者
        国立国会図書館
        副館長     下田 久則君
        外務大臣官房外
        務参事官    内藤 昌平君
        大蔵省主計局主
        計官      福田  誠君
        厚生省児童家庭
        局障害福祉課長 吉武 民樹君
        運輸省運輸政策
        局運輸産業課長 大辻 嘉郎君
        運輸省国際運
        輸・観光局観光
        部旅行業課長  中島 憲司君
        文教委員会調査
        室長      堀口 一郎君
        予算委員会調査
        室長      多田 俊幸君
    ─────────────
分科員の異動
四月二十六日
 辞任         補欠選任
  加藤 万吉君     大畠 章宏君
  佐藤 敬治君     須永  徹君
  日笠 勝之君     竹内 勝彦君
  吉井 英勝君     小沢 和秋君
同日
 辞任         補欠選任
  大畠 章宏君     堀込 征雄君
  須永  徹君     松前  仰君
  竹内 勝彦君     東  祥三君
  小沢 和秋君     吉井 英勝君
同日
 辞任         補欠選任
  堀込 征雄君     加藤 万吉君
  松前  仰君     和田 貞夫君
  東  祥三君     森本 晃司君
  吉井 英勝君     菅野 悦子君
同日
 辞任         補欠選任
  和田 貞夫君     佐藤 敬治君
  森本 晃司君     玉城 栄一君
  菅野 悦子君     金子 満広君
同日
 辞任         補欠選任
  玉城 栄一君     竹内 勝彦君
  金子 満広君     菅野 悦子君
同日
 辞任         補欠選任
  竹内 勝彦君     斉藤  節君
  菅野 悦子君     吉井 英勝君
同日
 辞任         補欠選任
  斉藤  節君     東  祥三君
同日
 辞任         補欠選任
  東  祥三君     斉藤  節君
同日
 辞任         補欠選任
  斉藤  節君     森本 晃司君
同日
 辞任         補欠選任
  森本 晃司君     日笠 勝之君
同日
 第一分科員鈴木喜久子君、第四分科員秋葉忠利
 君、野坂浩賢君、第七分科員小森龍邦君、清水
 勇君及び児玉健次君が本分科兼務となった。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 平成二年度一般会計予算
 平成二年度特別会計予算
 平成二年度政府関係機関予算
 (文部省所管)
     ────◇─────
#2
○工藤主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。
 本分科会は、文部省及び自治省所管について審査を行うことになっております。
 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。
 平成二年度一般会計予算、平成こ年度特別会計予算及び平成二年度政府関係機関予算中文部省所管について、政府から説明を聴取いたします。保利文部大臣。
#3
○保利国務大臣 平成二年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 平成二年度の文部省予算につきましては、我が国が、変化著しい国際社会において積極的にその役割を果たしていくとともに、来るべき二十一世紀に向けて、創造的で活力ある心豊かな社会を形成していくために、教育、学術、文化、スポーツの文教施策全般にわたり、その着実な推進を図ることとし、所要の予算の確保に努めたところであります。
 文部省所管の一般会計予算額は、四兆七千九百八十七億七千二百万円、国立学校特別会計予算額は、一兆九千八百八十八億二千五百万円となっております。
 何とぞ、よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれまして、会議録に掲載せられますよう御配慮をお願い申し上げます。
#4
○工藤主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま文部大臣から申し出がありました文部省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○工藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ─────────────
  〔保利国務大臣の説明を省略した部分〕
 以下、平成二年度予算における主要な事項について、御説明申し上げます。
 第一は、生涯学習の振興に関する経費であります。
 人々の生涯にわたる多様な学習活動の振興に資するため、広い視点から生涯学習の振興を図ることといたしております。
 まず、生涯学習基盤の整備充実の面では、文部省の生涯学習の振興のための重要事項等について調査審議する生涯学習審議会(仮称)を設置するとともに、地域における生涯学習に取り組む体制の整備、多様な学習情報の提供、生涯学習センター等の公立社会教育施設の整備、社会教育主事等の養成確保に努めることといたしております。
 次に、生涯学習機関としての学校の機能の充実につきましては、高等学校、専修学校、大学等の学校の機能や施設の開放を促進するとともに、放送大学の整備、専修学校教育等の振興を図ることといたしております。
 また、社会教育の活性化の面では、婦人・青少年等の学習機会の整備充実に努めるほか、長寿化対策事業の促進、家庭・地域の教育機能の活性化等を図ることとし、所要の経費を計上いたしております。
 さらに、国立少年自然の家の計画的な整備を進め、長野県高遠町に第十三番目の少年自然の家を機関設置するとともに、新潟県妙高村に置く第十四番目の少年自然の家の設立準備を行うことといたしております。
 第二は、初等中等教育の充実に関する経費であります。
 まず、義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の改善計画につきましては、いわゆる四十人学級については、児童減少市町村以外のその他市町村内の小学校の第五学年まで、中学校の第二学年まで、それぞれ施設余裕校について実施することとしたほか、教職員配置についても所要の改善を行うことといたしております。
 次に、教職員の資質の向上を図るため、初任者研修制度を小学校に引き続き、新たに中学校について本格実施することといたしております。また、新たに学校栄養職員に対する研修を実施し新規採用教員等研修の充実を図るとともに、教員の海外派遣、教育研究団体等への助成などを行うことといたしております。
 教育内容につきましては、新学習指導要領の趣旨徹底を図るため講習会を行うとともに、指導書の作成等を行うことといたしております。また、小中高等学校における情報化への対応を円滑に進めるため、教育用コンピューターの整備、教育用ソフトウェアの改善等の施策を推進するとともに、我が国社会の国際化への対応のため外国語教育の充実に努めていくことといたしております。
 また、義務教育教科書の無償給与につきましても、所要の経費を計上いたしております。
 次に、児童生徒の問題行動や登校拒否、高校中退などの学校不適応の問題について適切に対処するため、新たに登校拒否児童生徒を対象とした適応指導教室について実践的研究を行うとともに、学校不適応対策事業の一層の充実を図ることとしております。また、児童生徒の健全な育成を図るため、自然教室推進事業の拡充などの施策を充実することといたしております。
 道徳教育につきましては、児童生徒の豊かな人間形成を図る上で極めて重要な役割を担っていることにかんがみ、新たに、道徳教育推進指導資料の作成配布事業を実施するなど、学校と家庭・地域社会とのより密接な連携のもとでの道徳教育の一層の充実を図ることといたしております。
 幼稚園教育につきましては、保護者の経済的な負担の軽減を図るための幼稚園就園奨励費補助を行うなど、一層の振興を図ることといたしております。
 特殊教育につぎましては、心身障害児の指導方法等に関する調査研究を実施するとともに、特殊教育就学奨励費を充実するなど、その施策の振興に努めることといたしております。
 また、海外子女教育、帰国子女教育につきましては、日本人学校の増設、児童生徒数の増加に対応し、派遣教員を増員するとともに、在外教育施設における、現地社会との国際教育・文化交流等を一層推進するほか、中国等帰国孤児子女教育研究協力校を拡充することといたしております。
 さらに、児童生徒等の健康教育の充実に努めるとともに、学校給食につきましても、豊かで魅力ある学校給食を目指して、学校給食施設設備の整備を図ることといたしております。
 次に、公立学校施設の整備につきましては、校舎等建物の新増改築事業について所要の事業量を確保するとともに、コンピューター教室等情報化対応スペースの確保等の補助制度の改善を行うこととし、これらに要する経費として二千二百四十六億円を計上いたしております。
 なお、定時制及び通信教育の振興、理科教育及び産業教育の振興、地域改善対策としての教育の振興など各般の施策につきましても所要の経費を計上いたしております。
 第三は、私学助成に関する経費であります。
 まず、私立の大学等に対する経常費補助につきましては、平成元年度に対して三十四億円増の二千五百二十億五千万円を計上いたしております。このほか、教育研究装置施設整備費補助については、八十億五千万円を計上するとともに、研究設備等整備費補助についても十七億五千万円を計上し、それぞれ平成元年度と同額を確保することとし、教育研究の推進に配慮いたしております。
 また、私立の高等学校から幼稚園までの経常費助成を行う都道府県に対する補助につきましても、平成元年度に対して二十一億円増の七百七十六億円を計上いたしております。
 日本私学振興財団の貸付事業につきましては、政府出資金二億五千万円及び財政投融資資金からの借入金二百二十億円を計上し、自己調達資金と合わせて六百二十億円の貸付額を予定いたしております。
 第四は、高等教育の整備充実に関する経費であります。
 まず、大学院の充実と改革につきましては、北陸先端科学技術大学院大学の創設、大学院最先端設備の整備充実等を図るため、所要の経費を計上いたしております。
 また、国立大学の整備につきましては、東京工業大学に生命理工学部を新設するなど、教育研究上緊急なものについて推進することといたしております。
 附属病院につきましては、教育、研究、診療上特に必要性の高い分野及び社会的要請の強い分野について、診療科、救急部等を新設するなど、その充実を図ることといたしております。
 なお、国立学校の授業料等につきましては、諸般の情勢を総合的に勘案し、これを改定することといたしております。
 次に、育英奨学事業につきましては、平成二年度から奨学金貸与人員をふやすなど、その改善を図ったところであり、政府貸付金七百十九億円、財政投融資資金三百五十六億円と返還金とを合わせて、千七百五十億円の学資貸与事業を行うことといたしております。
 また、公立大学につきましては、医科大学、看護大学等の経常費補助及び教育設備整備費等補助について、所要の助成を図ることといたしております。
 第五は、学術の振興に関する経費であります。
 まず、科学研究費補助金につきましては、独創性に富むすぐれた学術研究を推進し、我が国の学術研究を格段に発展させるための基幹的研究費として引き続きその拡充を図ることとし、平成元年度に対して三十二億円増の五百五十八億円を計上いたしております。
 次に、学術研究体制の整備につきましては、研究組織の整備、すぐれた若手研究者の育成に資するための特別研究員制度の拡充、研究設備の充実、大学と民間等との共同研究の充実など各般の施策を進めるとともに、地球環境問題の諸課題の解明に資するため、名古屋大学附置太陽地球環境研究所の設置を初めとする諸施策の推進を図ることといたしております。
 また、天文学研究、宇宙科学等のそれぞれの分野における研究の一層の推進を図ることとし、これら重要基礎研究に要する経費として五百十四億円を計上いたしております。
 第六は、スポーツの振興に関する経費であります。
 広くスポーツ施設の整備を進めるため、社会体育施設及び学校体育施設の整備に要する経費として百七十六億円を計上いたしております。
 また、学校体育につきましては、学校体育指導の充実強化に努めるとともに、学校体育大会の補助についても所要の経費を計上いたしております。
 さらに、生涯スポーツ推進の観点から、指導者の養成確保、学校体育施設の開放、全国スポーツレクリエーション祭の開催など、幅広く国民のスポーツ活動を助長するための諸施策の一層の推進に努めることとし、所要の経費を計上いたしております。
 次に、競技スポーツの振興につきましては、日本体育協会の行う事業のうち、選手強化事業について拡充を図るとともに、スポーツ科学の推進を図るため、国立スポーツ科学センター(仮称)の実施設計に着手することとし、所要の経費を計上いたしております。さらに、国民体育大会の助成など各般の施策につきましても所要の経費を計上いたしております。
 第七は、芸術文化の振興と文化財の整備活用の推進に関する経費であります。
 まず、芸術創作活動の推進につきましては、舞台芸術の創作活動に対する助成、芸術祭の開催、芸術フェローシップによる人材養成等を推進するとともに、民間等の協力も得て、国の内外において意欲的な公演を実施する芸術活動の特別推進事業を拡充することといたしております。
 また、映画芸術の振興について、優秀映画鑑賞全国ネットワーク事業の充実等の諸施策を推進するとともに、新たに、アジア諸国の映画フィルムの収集事業を実施することといたしております。
 さらに、地域の文化振興の重要性にかんがみ、こども芸術劇場等の巡回公演事業や国民文化祭等に加え、新たに、地域文化振興特別推進事業を実施するとともに、全国的な文化情報システムの調査研究等を行うことといたしております。また、中国引揚者や外国人のための日本語教育の充実につきましても所要の経費を計上いたしております。
 次に、文化財の整備活用の推進につきましては、ふるさと歴史の広場の整備事業の拡充や史跡の整備・公有化を促進するほか、国宝、重要文化財等の保存整備、埋蔵文化財の発掘調査等を促し、また、天然記念物の保護及び食害対策を進めるとともに、国立劇場の事業を充実するなど、伝統芸能等の保存伝承を図ることといたしております。
 また、かねてより準備を進めてまいりました第二国立劇場(仮称)につきましては、建設用地の取得等建設推進に積極的に取り組むことといたしております。
 以上のほか、政府出資金と民間からの寄附金による芸術文化振興基金の運用益により、すぐれた芸術文化の多彩な展開とその普及及び文化によるまちづくりの推進を幅広く支援していきたいと考えております。
 第八は、教育、学術、文化の国際交流・協力の推進に関する経費であります。
 留学生交流については、二十一世紀初頭における十万人の留学生受け入れを目途に、国費留学生受け入れの計画的整備、私費留学生に対する援助施策の充実、宿舎の安定的確保、大学等における教育指導体制の充実等各般の事業を民間団体など各方面の協力も得ながら積極的に推進することとし、そのために要する経費として二百七十一億円を計上いたしております。
 さらに、外国人に対する日本語教育の充実を進めるとともに、識字教育事業に対する協力などユネスコを通じた教育協力、国連大学への協力等についてもその推進を図ることといたしております。
 次に、学術の国際交流・協力を推進するため、諸外国との研究者交流、特に次代を担う外国人若手研究者の受け入れを拡充するとともに各種の国際共同研究、拠点大学方式等による発展途上国との学術交流の促進を図ることといたしております。
 また、文化の国際交流についても、新たに、芸術フェローシップとして、海外の若手芸術家を招聘し、研修。交流の機会を提供するとともに、海外の優秀芸術家の招聘、海外フェスティバルへの参加公演、海外展の開催、遺跡保存の国際協力など各般の施策の充実を図ることといたしております。
 第九は、教育改革の総合的推進等に関する経費であります。
 ただいま御説明いたしましたように、教育改革の着実な推進を図るため所要の経費を計上いたしておりますが、このほかに、教育改革の実施に関する特別調査研究等の経費を計上するとともに、政策立案に資する調査研究機能の強化等を図るため、国立教育研究所について、前年度に引き続き整備を進めるため所要の経費を計上いたしております。
 以上、平成二年度の文部省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。
 何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
    ─────────────
#6
○工藤主査 以上をもちまして文部省所管についての説明は終わりました。
    ─────────────
#7
○工藤主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大畠章宏君。
#8
○大畠分科員 日本社会党の大畠章宏でございます。
 文部行政について幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 現在いろいろな形で日本の繁栄というものが評価されているわけでありますけれども、何といっても今日まで日本の繁栄をいろいろな面で支えてきたのは、やはり日本の教育制度ではないかなと思うのです。しかしながら、今日に至って日本の国に対する信頼性あるいは日本人に対する信頼性というのは大変落ちてきてしまっている。これは政治の問題もあると思うのですが、海外から、日本という国はどういうことを考えてどっちの方向に進んでいくのだろうか、非常にわからない国であるというような感じの評価が最近され始めたのではないかと思うところでございます。このことは、私たちは大変深刻に受けとめなければならないと考えているわけであります。
 この一つの原因というのは、これまでは非常に日本の経済を支えてきた日本の教育制度の中に、大学や高等学校に象徴されます学力偏重教育の弊害というものが大変大きく出てきてしまった。そしてそれが社会じゅうに充満してしまった結果、国際的な常識に合わない日本になってしまったのではないか、このように私は考えるわけであります。すなわち、最近いろいろな形で言われておりますが、自分さえよければいい、他人に対する思いやりよりも自分に対する利益のみをひたすら追求する日本人または日本になってしまったような感じかするわけであります。
 私は以前アメリカのジャーナリストの方のシンポジウムを聞いたことがあるのです。ちょうど三年くらい前だったですか、日米の貿易摩擦の問題あるいは円高の問題に対して、そういう問題を乗り越えるためにはこれからどうしたらいいのか。そのためには、一つは日本の産業界に貢献する学力偏重の社会から、音楽や絵や体操など、生まれながらにして身についている個人個人の特性が十分に生かされるような社会を築くことが、この問題を乗り越えるベースになるのではないかという話を聞きまして、非常に感銘を深めたわけであります。すなわち、欧米の社会の常識と同じような感じの国民性あるいは社会を築いてほしい、それがアメリカやヨーロッパとの間の信頼性を築くもとになるのではないかという観点で彼は指摘したんだと私は思うのですけれども、そういうことから、この彼の話というのは非常に現在の日本の社会の問題点を突いておると思うのです。
 そこで、文部大臣にちょっとお伺いしたいのですけれども、小学校、中学校、高等学校とございますが、今偏差値教育というのが行われているわけであります。例えば小学校でも、同じクラスの中で全員が八十点とったら、通信簿にどうやって一、二、三、四、五とか段階をつけようか、だれかが少し下でだれかが上でなければ困る。こういうことで、私は皆さんが八十点とったら、よくやったなという形でいい成績、評価をつけるべきだと思うのです。残念ながら今は、その偏差値といいますか、あなたは全体の中ではこういうクラスにいるんですよという形の評価しかすることができないような形になっているのですけれども、先ほどの話ではないですが、私はそろそろもっと個人が持っている能力を遺憾なく伸ばせるような、一生懸命やったら一生懸命やったで、よくやりましたねという評価を与えるような教育の評価方法に変えるべきだと思うのです。
 すなわち、絶対評価というものをまずベースにしまして、しかしながら、偏差値といいますか、あなたはこのクラスあるいは全体の学生の中ではこういう位置づけにあるんですよ、どういうクラスにあるんですよということをサブに併記する、そういう評価方式の教育に根本から変えるべきではないのか、それがそれぞれの個性を豊かに伸ばすことができるような教育環境のベースになるのではないかと私は思うのでありますが、文部大臣ほどのようにお考えでしょうか。
#9
○保利国務大臣 ただいま先生から御指摘をいろいろいただきました。欧米の社会に比べて日本の教育がどうだというようなお話もございました。私も海外でしばらく生活をしておりましたから、外国と日本のいわゆる文化の差というのも感じておりますし、また、教育制度をつくり上げてきた歴史的な過程というものもいささか承知をしておりますが、そういったところの何かギャップというものが最近出てきたような感じをいたしております。
 ただいまお話がありました絶対評価、相対評価、これは専門家の中でもいろいろな意見が分かれているようでございますが、現在のところはともすると相対評価になりがちである、いわば偏差値にいたしましてもいわゆる順番づけみたいな格好になるのではないか、こういうふうに思います。しかし、ある試験でいい成績をとったときにはやはり褒められたいという気持ちもあるし、先生にいたしましても、九十点をとった子には立派だったなということを言ってさしあげたいだろうというお気持ちもわかるような気がいたします。
 そこで、現在は学年末等での評価につきましては、五段階評価というものも行われているわけでございますが、こういった問題等につきましては、本年一月から、学識経験者などから成りますところの調査研究協力者会議を設けまして、現在検討を進めているところでございます。この協力者会議におきまして、児童生徒の学習の評価をめぐるさまざまの意見を参考にしながら、今後改訂期が来ておりますので十分検討を行ってまいりたい、このように考えております。
#10
○大畠分科員 大臣も海外でいろいろ生活されたということ、また、その中で向こうの文化の違いがあるかもしれないけれども、いろいろな意味で子供たちが本当に伸び伸びとやっているのじゃないか。要するに、個性というものを本当に大切にしながら社会が子供たちを大切に育てている。あるいは、他人との関係、他人に対する思いやりなんか現在ではかえって、もう欧米と一言で言っていいかどうかわかりませんけれども、向こうの方が非常に強くなってきたのではないか、こういう感じもするのであります。
 今、一月から検討中ということでありますが、ぜひこれは日本全体の、言ってみれば社会の価値観を左右する大変重要な選択だと思うのですよ。確かに偏差値の弊害というのは社会的に大変出てきているわけでありますから、今大臣もお話がありましたとおり、跳び箱が眺べたら、できてよかったねと、かつ今度は一生懸命努力したらそれなりに評価してあげる。あるいは、八十点とったらいいじゃないですか、よくやりましたね。そういう評価がわかるようにすればいいのに、八十点とっても通信簿を見たら一だ。なぜかというと、百点とっている人もいる、九十点とっている人もいる、あなたが八十点で一番びりだったのですよ、これだと非常にやる気をなくしますね。もっと、一生懸命やったら一生懸命やった、よくやりましたというような感じの、やればそういうふうに見てもらえるのだ、そういう子供たちが元気の出るような教育を推進していくためにも、委員会の中で方向づけができるように大臣の方からもぜひ御指導いただきたいと思うところでございますが、再度その件についてちょっと御意見をいただきたいと思います。
#11
○保利国務大臣 生徒に自信を持たせるというのも一つの教育の方法であろうかと思います。委員御指摘のような線というのは、私は教育の中のあり方として非常に重要な要素であろうかと思います。こういった要素を強く念頭に入れながら、この委員会の中で検討がなされることを私も強く希望をいたします。
#12
○大畠分科員 その点、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 次に、今回私も初めて質問させていただくわけでありますので、根幹的な、日ごろこれが教育上の大きな問題じゃないかなと思うのを二点目に申し上げさせていただきます。
 私も地域の方から出てきたわけでありますが、お父さん、お母さんにとっては今の高校の入試制度、大学の入試制度というのは本当に大変なんですね、子供にとっても大変なんですけれども。ただし、その入試さえ終わってしまうと、親御さんとももう受験地獄という社会的な問題に対しては忘れてしまう。
 したがって、根本的な問題、いわゆるこれは文部省で決めたのだからしょうがないのだというあきらめなんかもあるようでありますけれども、先ほど言いました日本の偏差値教育とともに大変大きな弊害だと思うのですが、この受験地獄というものをどういうふうにして解消していったらいいのだろうか。やはりこの受験地獄がある限りは、他人に対する思いやりなんかどうでもいいのだ、点数さえよければいいのだ。そして、他人をけ落としてまで一点でもいい点数をとって入ることが重要なんだ。道端で困っているおじいさんに手をかしてあげて塾に行く時間がおくれてしまったらそれだけ損するから、そんなのは余り気にしないでとにかく塾へ行く。とっとことっとこ一生懸命勉強しましていい大学に入った、そしていい会社に入ろうという、それが何か人生の目的のような感じに今の受験制度があるような感じがするのですよ。
 欧米の教育制度と日本の教育制度、いろいろな差がありまして、欧米では既に日本のよさを見習おうというので、逆に日本の教育を一生懸命勉強しながら取り入れようとされているわけでありますけれども、私は、日本も今のままでいいんだと思ってはいないと思います。いろいろ大学入試も変えられておりますが、根本的な解決になっていないのです。毎年毎年受験制度が変わってくる。これも受験生は非常に困惑している。一体日本の高校や大学、大学に的を絞りますが、大学の入試制度はどうなんだろうか。今回の入試ではいろいろ新たな試みをされている大学もあるそうでありますけれども、根本的な問題の解決には至っていないと思うのです。
 それで、これは私の持論といいますか提言ですが、難しいかもしれません、でも一度オープンにして、例えばどこの大学でもどうぞ入ってください、そのかわり一年から二年に上がるのはきついですよ、二年から三年に上がるのもきついですよ、そういう歯どめを越えて初めて大学を卒業したら、どこどこ大学というよりも文部大臣の名前で、大学の課程を修了したことを証すという証書を渡せばいいんじゃないか。あるいは高等学校でも、何も入ってないかばんを持って学校に通っている子供がいる。いや、とにかく高校を卒業したいんだ、高校を卒業しないと嫁さんも来ないし就職もできないんだ、だから、嫌だけれども、とにかく行けば何とかなるんだというので通っている子供さんも大変ふえてきているのです。したがって、高校を卒業するのは大変なんだ、高校を卒業したという文部大臣の証書というのは大変価値があるんだ、例えば百人入っても卒業できるのは三十人ぐらいしかいないんだ。
 そのくらいに高校も大学も卒業した者の価値を高めるためにも、今の入試制度を根本的に見直して、希望する人は全員入りなさい、そのかわり卒業するのはあなた方のうちにどのくらいいますかねぐらいの感じの抜本的な改革をすれば、今度は受験のためという形じゃなくて、この制度はまさにアメリカの制度でありますけれども、そういう何か本当に、高校に行っても卒業できるかどうかわからない、おれはこっちの道でいこうという人もあらわれるかもしれません。したがって、そういう意味で非常に多様化してくると思うのですけれども、そういう抜本的な入試制度の改善が必要な時期に来たんじゃないかと思います。
 この受験地獄は、今の子供たちを本当にむしばんでいる、あるいは日本の世界的な評価を、人間的なといいますか社会的な評価を落としている根本になっているんじゃないかと私は思うのですけれども、この大学の入試制度を今後どういうふうに改善され、どっちの方向に持っていこうとされるのか、その点について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#13
○保利国務大臣 日本の大学受験が非常に大変だ、これはもう毎年社会的な問題として取り上げられていることは事実でございます。その背景には、やはり私は、日本のいわゆる競争社会、全体としての競争社会があるような感じがいたします。これだけの島国に一億二千万人の人口が住んでおりますから、その日本のあり方そのものが競争を非常に激化させているという気持ちを持っております。
 しかし、事教育にかかわるこの大学入試の問題は、委員御指摘のように非常に大事な問題だと私も思いますし、また、大学を入りやすくしたらどうだ、そのかわり大学の中で上に上がることはなかなか難しいぞということについては、過日の予算委員会でも実は御指摘をいただいて、ドイツにおいては大学で学ぶのは平均六年間かかるというようなお話もございました。そういう考え方は多くの方がお持ちになっていらっしゃるのではないかと思っております。
 したがいまして、入学試験そのものにつきましては、大学審議会の中でいろいろ取り上げられながら討論が進められておるわけでございますし、そうした大学審議会の中の論議を待たなければいけませんけれども、これは非常に大きな変革をもたらす問題でございますから、慎重な検討が必要だと思います。しかし、大学の中で真に、本当に一生懸命勉強していただいて、日本の学術能力を高めるということは、これは日本の国家そのものにとっても大変大事な問題だと思いますから、こうした観点からの論議が大学審議会の中でも行われることを私は期待をいたしておるところであります。
#14
○大畠分科員 大臣、ぜひ今後ともよくその点、検討していただきたいと思うのですが、今や中学浪人という言葉も出てきていますし、その中学浪人を専門に扱う塾なんかもできているという話であります。これは十二歳の子どもで、浪人しながらいい中学に入ろうというので、中学に入らないで浪人している、ここまで来ているわけですよ。
 私はこの点、今大臣がお話がありましたとおり、教育というのは日本の根幹でありますから、しっかりと検討していただきたいと思うのですが、私はそろそろ日本の教育方針を、日本の繁栄のための教育から世界に貢献する日本の教育にしなければいかぬと思うのです。今の制度のままですと、日本の繁栄のためには非常に効果的でありますが、世界に貢献する、そういう広いマインドを持つ子供たちを育てるという意味では非常にマイナスになっているのじゃないかな、そんな感じもするのです。たとえどんなに優秀なコースを経て、優秀な大学を出ても、企業に入ってからほかの人との心の会話ができない、常に命令調で人の信望がない、そういう人は必ず企業の中でも伸びなくてダウンしているのですね。こういう傾向が少しずつ出てきているような感じがするのですよ、優秀な方こそ。そろそろ日本に貢献する教育制度から世界に貢献する教育制度に大きく方向転換すべき時期に来たと思いますので、ぜひとも大臣の方からも、今回の教育制度云々のいろいろな検討機関があると思うのですが、そういう形で検討しなさいという御指導をぜひしていただきたいと思うのですが、その点、大臣、どのように考えられますか。
#15
○保利国務大臣 先生から御指摘の諸点について、十分念頭に入れて私どもも考えていかなければならない問題だ、このように理解をいたしております。
#16
○大畠分科員 それでは、今度はちょっと細かな話に入りますが、先生方の能力を十分に発揮して生き生きと教育をしていただこうというのは、これは大変重要だと思うのですけれども、今地方では、その一つの弊害になっているのが事務職員の人数が非常に少ないという点じやないかと私は思うのです。
 昔は、どんな小さな学校にも用務員さんといいますかおじさんがいましていろいろやってくれたわけでありますけれども、現在いろいろ見ると、これは私、茨城県出身なんで茨城県のを調べてきたのですが、三学級しかない小さな学校においては、小学校と中学校の数を足してその四分の三を掛けた人数のみ事務職員を予算づけする、したがって、ある学校では事務職員がいるし、ある学校では事務職員がいない、そうすると何から何まで先生がやらなければならないということなんですね。非常に限られた時間の中で非常に中身の濃い、いい授業をしようと思っても、いろいろな雑用に追われてその授業に専念できないという状況が今まさにありまして、そういう全般的に足りないところでは、市町村がお金を出し合って事務職員を雇っているという状況もあるのですね。
 私は、先生方が云々ということもありますけれども、先生方が本当に授業に専念できるように、PTAのお金を集計したりあるいは授業の準備でいろいろなものを集めてきてばたばたやったりということもありますが、何とか先生の周辺の雑務を解消してあげたい、そして先生が授業に四十分だったら四十分間、五十分なら五十分間専念できるような態勢にぜひともしてあげるべきだと思うのですけれども、この事務職員の増員というのは、最低限でも各学校に一名ずつ事務職員を配置しようじゃないかというような計画はあるのですか。それから二つ目は、現在の基準をもっと高めようとしているような検討はなされているのでしょうか。あるいは、現在の授業の現場でのそういういろいろな声をどうやってつかまえようとされているのか。その三点を伺いたいと思います。
#17
○倉地政府委員 今先生お尋ねでございました三点について、一括したようなお答えになって大変恐縮でございますけれども、教職員定数の改善という問題にかかわる問題でございまして、学校の教員、事務職員を含めました定数の改善計画というのが今動いているところでございます。これは昭和五十五年から平成三年度までの十二カ年計画ということで動いているわけでございますけれども、その中で事務職員について申し上げますと、従来四校に三人の割合で事務職員が積算されていたわけでございます。この計画では、四学級以上の小中学校についてそれぞれ一人、それから三学級の小中学校については、四校につきまして三人の割合で事務職員を配置するようなことで改善計画を進めているところでございます。
 ただ、非常に厳しい国の財政事情などもございまして、この計画自体厳しい状況になっているわけでございますけれども、これの目標の達成に向けて今後とも努力を続けてまいりたい、そのように考えている次第でございます。
#18
○大畠分科員 わかりますけれども、教育問題についてお金を使っちゃいかぬなんということは国民は言わないと思うのですよ。逆に言えば、もっと充実してほしいというのが国民の声なんです。だから、三学級四校に三人と言ったけれども、じゃあと一校はどうするのですか。そういう基準では、確かに計算上は成り立っても、必ず一つの学校は事務職員がいないところが出てくるのですよ。これは逆に言えば、計算上、予算上からは出てくるかもしれませんけれども、どうもそこら辺、余りにも机上の論に過ぎるのじゃないかと思うのですが、この四分の三というのを、三学級以上は一人とかができないのですか。それが一つ。
 あと、今お話がありましたが、四学級以外になりますと、中学校では二十四学級までずっと一人、それから小学校では三十学級まで事務職員一人でしょう。その基準をちょっと確認したいと思うのですが、どうですか。
#19
○倉地政府委員 事務職員の算定でございますけれども、先ほど申し上げましたように、四学級以上については一人配置されているわけでございますけれども、二十四学級を超えるということになりますと、さらに一人の加配があることになっている次第でございます。
#20
○大畠分科員 ですから、二十四学級までは事務職員はずっと一人でしょう。違いますか。
#21
○倉地政府委員 先ほど二十四学級と申し上げましたけれども、これは中学校でございまして、小学校につきましては三十学級以上に一人でございまして、それまでは定数の積算としては一人ということになっている次第でございます。
#22
○大畠分科員 そこら辺も、算定方式、予算の関係ということもありますが、二十四学級もあって事務職員一人ということ、何か算定そのものがどうも予算から来ていて、教育の現場の声がなかなか反映されてないんじゃないかなと私は思うのですね。ですから、この話を長々やっても前進しないかもしらぬけれども、そこら辺はもうちょっと現場の教員の声あるいはお母さんの声とかお父さんの声、文部省も現地に出ていって現地の声をもっと聞く努力をぜひしていただきたい。そして、ぜひ改善の方向で頑張ってやってほしい。海部さんにいろいろ言ったりあるいは大蔵大臣にお話をしたりして、一生懸命現場の声をぶつけながら予算獲得の方にも努力していただきたい。
 大臣、現場の、田舎の学校ではこの件、本当に困っているんですよ。今申し上げましたように、四学級以上になりますと二十四学級までずっと事務職員一人なんですよ。これじゃ先生が大変なんですよ。おまえらいい教育せいといっても、PTAとか、あるいは今の社会的なニーズに合うような教育がなかなかできないわけでありますが、その事務職員の増員の件といいますか、ここら辺、大臣はこのやりとりを聞いておられてどういうふうに感じておられますか。
#23
○保利国務大臣 学校教育を支える重要な役割を果たすのが事務職員だと思います。ほかにも栄養関係の方がいらっしゃいますけれども、そういう方々の充実については、今後とも続けて努力をしてまいりたいと私ども思っております。関係省庁の御協力も必要でございますので、そういった点について委員から御指摘のことをよく体しまして、そして今後とも努力を重ねてまいりたい、このように考えております。
#24
○大畠分科員 時間が迫ってきたのですが、最後の質問になると思うのですが、もう一つは、ちょっといろいろあちこちしますが、私学助成の問題がございます。
 現在の法律といいますかある指針によりますと、大体公立の学校の費用の二分の一程度を目安とするということになっておりますけれども、現在のところ、いろいろ都道府県の実態を見てもそこまでいっているところはございません。お互いに他の都道府県の状況を見ながら私学助成の枠を決めているというのが実態のような感じがするのですけれども、欧米の方でも私学に対する助成というのは非常に高い位置を占めています。逆に言いますと、今私立学校をなくしてこの日本の繁栄というのはあり得ないような感じがするのですね。小学校も中学校も高等学校も私学も一生懸命頑張っている。独特の教育をやって、いい日本をつくろう、いい子供たちをつくろう、そういう努力をされている。それに対して、子供たちの数が非常に減ってきて経営が非常に難しくなってきているという状況がありますけれども、欧米の私学助成に対する現状と、それから、これから私学助成はどういう方向で、この法律といいますか、書いてあります二分の一というものを目指していくのか、そこら辺ちょっと、実際上担当されている方で結構ですから、お答えいただきたいと思います。
#25
○野崎(弘)政府委員 欧米の状況はちょっと私、今資料がございませんので、お答えはできかねるわけでございますが、先生の御指摘の点は高校以下の助成の関係かと思うわけでございますが、現在の私学振興助成法の規定によりますと、高校以下の助成は都道府県が行う、都道府県が行った場合に国がその一部を補助する、こういう形になっています。したがいまして、どの程度の補助を行うかというのは、基本的にはこれは都道府県が判断をするという形になるわけでございます。これにつきましては、都道府県の行う分につきましては、地方交付税上の措置をしております。
 そこで、現在国から出ておりますのは経常的経費の全体で五・九%でございます。これは年々率が落ちてきているわけでございますが、ただこの地方交付税で措置している分が経常的経費のうちの二一%ほどございます。したがいまして、足すと二六・九%ということで、これは最高で三割を超えたこともあるわけでございますけれども、この率も落ちてきているということでございます。私どもとしては国庫助成、地方交付税上の財政措置、これは自治省も関係するわけでございますが、そういうところと十分協議をしながらこの充実に努めてまいりたい、こう思っております。
#26
○大畠分科員 質問を終えますけれども、例えば先ほど大臣の方にも申し上げましたとおり、これからは世界に貢献する日本の教育の方向にしてほしいということを申し上げましたが、欧米はどうですかと言ったら、欧米の方はちょっと頭にございませんと言うので、それでは困りますよ、欧米のそういう状況についてもぜひ常に念頭に置いた形で今後とも行政はやっていただきたいということも希望しまして、質問を終わらせていただきます。大変ありがとうございました。
#27
○工藤主査 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。
 次に、竹内勝彦君。
#28
○竹内(勝)分科員 ちょっと何点かありますので、ひとつできるだけ簡潔に一つ一つのものにお答えいただきたいと思います。
 まず、中学校の給食の現状、これを最初にお伺いします。
 小学校は給食はもうほとんど完全に普及されておる、そういう状況かと思いますが、特に中学に関しては各府県によってかなり差があるわけでございます。どういったところにそういう原因があるのか、同時に、この中学校の給食について今後どういうような取り組みをしようと考えておるのか、そういった点でお伺いしますので、まず全国の中学校の給食の普及率、それから平均数値、そしてその中でも特に関西はどんなような状況になっておるのか、そういった面を最初に御答弁いただきたいと思います。
#29
○前畑政府委員 学校給食は、現在、全体の数字で申し上げますと、いわゆる完全給食、補食給食、ミルク給食という形態がございますが、トータルいたしますと九三・一%という状況になっております。これは生徒数比でございます。
 しかしながら、ただいま先生御指摘ございましたように、中学校について見ますと、全体で生徒数比にいたしますと八二・六%、中でもいわゆる主食と副食、そしてミルクを提供いたします完全給食は六〇・六%ということになっております。これを地域別に見てみますと、やはり低いところは先生御案内かと思いますが、京都、大阪といったところでございまして、京都は全体で生徒数比でいいますと一八・四%、大阪が一七・六%、こういう状況になっておるわけであります。
 この原因についてもいろいろな見方がございますが、中学校の給食を始めたのが遅かったということもございますし、また中学校という年齢段階におけるいろいろな子供の嗜好の問題ということもございますが、私どもやはり何よりも一番大きな要因になっているのは、給食に関係する方々の御理解というものがなかなか中学校では得られない状況にある、このように承知をいたしております。
#30
○竹内(勝)分科員 京都においては一八・四%。私は、この分科会におきまして前も取り上げたわけでございますけれども、どうも中学校の給食が伸びていないのですよね、その普及率が。
 小学校の現状は京都においてはどうなっておるのか。それから、中学校が一八・四%、これは最近の普及率の経緯ですね、京都においてはどんなふうになっていますか。ほとんど伸びてないように私は伺っておりますが、いかがでしょうか。
#31
○前畑政府委員 まず、小学校の京都の状況について申し上げますと、生徒数比で申し上げますと、完全給食、捕食給食、ミルク給食全体を入れまして九九・九%、完全給食だけをとりましても九九・六%という状況になっております。
 経年経緯は京都について今ちょっと資料を持ち合わせておりませんが、中学校全体としてみますと、昭和六十二年度から平成元年度にかけて学校数で全体として〇・五%上昇しておるということでございますので、少しずつではありますが、全国的に見れば増加をしつつある、このようなことでございます。
#32
○竹内(勝)分科員 それではまず、中学校給食の意義についてどのように位置づけておりますか、確認しておきます。
#33
○前畑政府委員 私ども、中学校だけということでなくて、学校給食全体といたしまして、生徒の心身の健全な発達に資し、かつ、国民の食生活の改善に寄与することを目的として、教育の一環として実施するということでございますが、特に先生も御案内のとおり、最近における家庭の食生活の状況に照らしますと、子供たちに生涯にわたって健康な生活を営むためにはどういうふうな食事をとらなければならないかということを、きちっと学校給食を通じて教えていくということが大変重要なことでございますので、ぜひ中学校までその普及を進めていきたい、このように考えておるところであります。
#34
○竹内(勝)分科員 特に京都と大阪が低いわけですが、自治体の取り組みはどのようになっておりますか。
#35
○前畑政府委員 各自治体の方では、それぞれ鋭意努力をしていただいておるところでありますが、自治体の努力もさることながら、具体には給食を実施する各学校の関係の方々の御理解を得るということが大変重要なことでありますので、私どもいろんな機会をとらえて学校給食の意義についても御説明をし、御理解を得るように努力をいたしておるところでございます。
#36
○竹内(勝)分科員 その学校の関係の人たちの努力というものにはどういうことを、例えばこういった面で努力していかなければならない、こういうようにもうちょっと具体的に説明してください。
#37
○前畑政府委員 この問題は、物的施設設備の問題と、それから人的な問題があるわけでございますが、とりわけ政令指定都市を中心といたします地域では、給食を行うために必要な給食の施設を設置する場所を得ることがなかなか難しいという、そういった物理的な問題もございます。それからまた、実際に給食を行うということになりますれば、調理員、栄養職員はもとより、各担任の教員の方にも何がしかの負担がかかるわけでございますので、その辺のことについてはぜひ各学校の関係者の御理解を得たい、このように考えておるわけでございます。
#38
○竹内(勝)分科員 次に、この学校給食施設設備整備にかかわる補助金の推移について、ここ数年で結構でございます、御答弁いただきたいと思います。
#39
○前畑政府委員 まず、学校給食の施設の補助金について申し上げますが、昭和六十年度が六十四億三千四百万、六十一年度が五十七億六百万、六十二年度が五十億九千八百万、六十三年度が五十億五千四百万、平成元年度が五十億三千九百四十万、このようになっております。
 また、設備について申し上げますと、昭和六十年度が八億四千七百万余、六十一年度が七億八千七百八十五万七千、六十二年度が七億一千万、六十三年度が六億三千三百万、元年度が五億八千七百万、このような数字になっております。
#40
○竹内(勝)分科員 それと、小中学校の給食の中に今いろいろと問題になっておる食品添加物ですね、そういったものが含まれておる。いろいろこれは全般の大きな問題でございますが、そういったものに対して、給食でございますから選択するというわけにはいきませんよね。生徒が与えられたものを食べる、こういう形になるわけでございますので、この添加物の入った食品、そういったものに関してはどのように対応しておりますか。
#41
○前畑政府委員 御指摘のとおり、学校給食は何よりも安全性を重視していかなければならないわけでございますので、従来から私ども文書によりまして関係者に衛生管理の徹底について指導をいたしておるところでございます。食品添加物の問題はもとよりでございますが、まず何よりも全体としての衛生管理体制の整備、そして調理に従事する調理員の衛生管理、給食の施設設備の衛生管理、それから用いる物資の衛生管理ということについて指導をいたしておるところでございますが、特に給食用物資につきましては、できるだけ良質なものを選択するということはもとよりではございますが、不必要な食品添加物が添加された食品については使用しないようにということを指導いたしておりますし、またこの点につきましては、研修会等いろいろな機会をとらえて指導の徹底を図っておるところでございます。
#42
○竹内(勝)分科員 そういったことでぜひ問題点がないように、最も重要な点でございますのでお願いしたいと思いますが、時間の関係でほかに移ります。
 まず大臣、特に中学校の普及率の問題で、茨城県や栃木県や鹿児島あるいは沖縄、そのほか二十八県は完全に一〇〇%。ところが大阪府が一七・六%、京都府が一八・四%、和歌山が二七・六%、奈良が五八・五%、関西の状況を調べましたらそういうような実態でございます。かなりの差がございますし、そういった意味で学校教育においてこの給食というものが単なる食事というもので片づけられるものではございません。それはもう御承知のとおりで、教育におきまして大きな意義があるわけでございますので、大臣として、こういった非常に格差がある点、そして今後中学校給食に対しての完全普及という面に関しまして、御所見をお伺いしておきたいと思います。
#43
○保利国務大臣 給食の重要性、またその意義につきましては、ただいま局長からお答えを申し上げましたとおりでありますが、常に教育の一環であるという考え方に立ちましてこの普及には努めてまいらなければなりません。かかる意味におきまして、学校給食に携わっている皆様方にその意義についての関係者の理解をぜひ求めたいものだと思っております。
 同時に、給食の実施方法等につきましても、中学になりますと小学校の段階から一段階上がってまいりまして、嗜好等についてもいろいろ御要望があるようでございますので、そうした選択できる献立というような配慮などもしていかなければならないのではないかというようなこと等をあわせて、今後とも中学校の学校給食の普及には文部省としてしっかり取り組んでまいりたい、このような気持ちでおります。
#44
○竹内(勝)分科員 次に、国立国会図書館の関西館、仮称でございますが、その点に関してお伺いしておきます。国会図書館の下田副館長様、ありがとうございます。
 まず、この国立国会図書館、今まで第二国立国会図書館、仮称でございますが、それを設置していこうというような、そういう名称で進んでいたやに伺っておりますけれども、この関西館の設立に関する経緯をまず最初に御説明いただきたいと思います。
#45
○下田国立国会図書館副館長 この関西館構想につきましては、五十七年から関西プロジェクト調査会が設置されまして、それの答申を六十一年に受けております。その後、館といたしましては、その設立計画本部をつくりまして、現在その第二次基本構想を取りまとめている段階でございます。これにつきましてはなるべく早い時期にまとめまして、国会の御了承を得まして公表いたしたい、そのように考えております。
#46
○竹内(勝)分科員 まず場所でございますが、その構想は大体どの辺になっておるのでございましょうか。あるいは決定しておるのでございましょうか。
#47
○下田国立国会図書館副館長 地元からは関西文化学術研究都市の精華・西木津地区というようなことで要望を受けております。また、当館といたしましても、その地区が最も適当であろうかというふうに考えております。
#48
○竹内(勝)分科員 そうすると、場所的にはほぼ合意ができておるというように理解していいのでしょうか。
#49
○下田国立国会図書館副館長 現在のところは地元及び館の考え方はほぼ合致しておりますが、これについて明確な決定は、先ほど申しましたように国会の御了承を得た上で明確にいたしたいというふうに考えているところでございます。
#50
○竹内(勝)分科員 そうすると、これの設立計画本部でございますか、そういったものが設置されて、そして今後国会の了承を得て、いよいよ建設されていく。そしてこれが関西館としてみんなに利用してもらう、こういうようなものは大体どんなスケジュールで考えておるのか、その辺を御答弁いただきたいと思います。
#51
○下田国立国会図書館副館長 これからはいろいろな場を通じまして、関係諸機関あるいは各界の御理解と御支援を求めていきたいというふうに考えております。当館といたしましては、関西館の早期実現に向けて努力いたしたいというふうに考えておるところでございます。
#52
○竹内(勝)分科員 予算関係では大体いつごろから、どういうようにそういうものを計上していかなければならないとか、計画の関係費、そういったものはどういうふうになっておるのか。
 それから、第二国立国会図書館と今まで仮称で呼んできたように伺っておりますが、今後は国立国会図書館関西館、いずれも仮称でございますが、そういう考え方でいくのか、その点もあわせて御答弁ください。
    〔主査退席、井出主査代理着席〕
#53
○下田国立国会図書館副館長 当館といたしましては、現在関西館の設立計画のための調査費が予算として認められております。この調査費の段階から、さらに実現に向けての努力をこれからしていかなければならないというふうに考えております。予算の規模等でございますけれども、敷地の規模としては大体十六・五ヘクタールが必要であろうかというふうに考えております。また、その規模といたしましては、図書二千万冊相当を収蔵できる大規模な書庫を持ち、コンピューターや通信等の先端技術を駆使した新しい図書館をつくりたいというふうに考えておりますので、それに相応する措置をおとりいただきたいというふうに考えているところでございます。
 なお、第二点の関西館の名称の点でございますけれども、これにつきましてはいろいろな意見がございます。関西館は単に一地域に対するサービスを行う機関ではございませんで、現在の国立図書館としての国全体に対するサービスの組織の一部となるわけでございますので、そのような趣旨を明確にあらわしたような形の名称がいいのではないかというような御議論もあるようでございますが、とりあえずはこの関西館の仮称をしばらく続けたいというふうに考えております。
#54
○竹内(勝)分科員 二千万冊の図書といいますと、大体どういうような位置づけになりますか。その規模は、例えば諸外国と比較したり、あるいは国内の今まである図書館等を比較いたしましてどんな位置づけになるでしょうか。
#55
○下田国立国会図書館副館長 現在当館の図書は約五百万冊強でございます。二千万冊といいますとその約四倍程度になるわけでございます。なお、諸外国と比較いたしますと、アメリカ、イギリス、フランス等の各図書館では、すべて現在一千万冊を超える程度の規模を持っております。二千万冊と申しますと、アメリカの議会図書館は現在既に図書数約二千万冊、その他の資料を合わせまして八千万点の規模を持っているというふうに聞いております。
#56
○竹内(勝)分科員 それでは、この問題も余り時間がございません。大臣一言、この関西館、仮称でございますが、こういったものの要望に関しては、御承知のとおり京都は文化学術の都でございますし、その京都にかかわる関西学研都市、ここに一応場所におきましても合意ができておるわけでございますので、ぜひこれは早急に進めていただきたいというように考えますが、大臣の御所見、一言で結構でございます。
#57
○保利国務大臣 第二国立国会図書館は、前々からこの構想がございまして、私もいろいろな部署でこの問題にタッチをしてまいりました。文部大臣といたしましても、国会図書館についてはその運営について責任を持っておりますので、そういう意味も加えまして、この第二国立国会図書館ができるだけ早く関西の地域にでき上がるように、所定の目的が達せられるように努力を重ねてまいりたいと思います。
#58
○竹内(勝)分科員 あわせてもう一つ。全国には医学の大学、大学の医学部はもう数多くございまして、いわゆる病気を治す、そういったものに関しての学問を研究し、どんどん発展していっておるわけでございます。そこで私は、もうちょっと趣向を変えまして、栄養学、あるいは成長過程で例えばゼロ歳から何歳まではこういった栄養あるいは食物というものが大事なんだ、それからまた、本当に幼年のころはこういうものが大事である、それからまた、少年期はこういうものが栄養面で大事である。それから青年期、壮年期、老年、こういうふうになっていくわけでございますが、病気になってからそれを治すというものではなくて、むしろ病気にならないためのいわゆる健康科学、こういったものをぜひもっと発展させていく、これが必要ではないかと思います。
 そこで、これも提案でございますが、同じくこの学術文化を中心として、でき得れば関西学研都市あるいは京都、そういったところにいわゆる仮称、健康科学大学というようなものがもうそろそろ必要ではないか、こういうように思うわけでございます。これもあわせて御答弁いただきたいと思います。
#59
○坂元政府委員 確かに先生御指摘のとおりに、栄養学や子供の発達段階、発達過程に関する学問研究を進めることは、心身ともに健康な人間社会を実現する上で大変意義が深いことだというふうに考えております。先生も御指摘のように、このような人間の心身の健康的な成長と発達等にかかわる分野につきましては、さまざまな領域で研究を進めているところでございます。
 例えば、先生もただいま御指摘の医学部医学科、保健学科あるいは体育学部の保健科、家政学部の栄養学科、食物学科あるいは教員養成大学の同種の学科等において教育研究が行われているところでございます。こういう多様な教育研究の充実には私ども十分配慮して今後ともやってまいりたいと考えております。
 先生が御提言の国立の健康科学大学を今後考えていったらどうかというのも一つの検討課題ではあろうかと私どもも考えてはおりますが、ただ、健康科学という学問が多様な領域にわたっておりますだけに、一つの学問体系として成り立つのかどうかというのは種々これから専門的に詰めなければならない問題もございます。
 それから、先生御案内のように、現在の財政状況等のもとで、臨時行政調査会の答申でも、国立の大学の新設は極力抑制するという方針が出ておることもございまして、今直ちにこの問題が実現に向かうというのは大変難しいのではないかと考えております。
#60
○竹内(勝)分科員 私はこれに関しても、絶対に国立でなければいけない、あるいはまたそういった名称で進めていかなければならないというように固執しておるわけではございません。むしろこれだけ健康、それから病気にならないといった考え方が、今健康ブームというかいろいろなそういったもので、野放しと言ったらちょっとおかしいのですが、例えば健康食品とか産業とかいろいろなものがどんどん出ている。しかし、そこに問題かないかといえば、いろいろな問題が派生していっておる。そういう面から考えますと、私は何も国立とかそういうものにこだわるのではなくして、むしろこういった学問をさらに発展させていく必要があるのではないか。そこで、私の考え方を仮称健康科学大学という言い方で表現したわけでございます。
 ぜひそういう思考を今変えていかなければならない、そういったものに取り組んでいかなければならないという立場から、そのような大学が、国立あるいは私学というものにとらわれなくて、あるいはそのほかの研究機関でも結構ではございますが、そういう形で発展していくことが望ましいのではないか、こう考えるわけでございます。大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#61
○保利国務大臣 人間だれしも明るくて健康的な生活を、そして長い人生を送りたいという希望は昔から持ち続けておるわけでございます。そういった分野に貢献をしてまいりますのが恐らく先生御指摘の健康科学であろうかと思います。栄養学あるいは医学という分野のみならず、人間の持っておりますいろいろな機能を十二分に発揮するいわゆるスポーツの分野でありますとか、長寿社会そのもののあり方でありますとか、人間の老化現象でありますとか、そういったものを全部ひっくるめた非常に大きな分野の科学であろうかと思います。こういった御指摘を先生からちょうだいいたしましたことを大変ありがたく拝聴させていただきましたが、こういった分野のことで何ができるのか、十分に検討をしていくべき課題だと思います。
 ただし、今局長から御答弁申し上げましたとおり、いわゆる臨調の答申等がありまして、いろいろな施設等については強く抑えられている昨今でもあり、今直ちにそういったものについて何か施設をつくるというところへはいきませんけれども、そういうお考え方があるのだということ、そしてそのことについては私も十分に考えていかなければならないのだということを胸に入れてこれからいろいろと考えさせていただきたい、このように存じます。
#62
○竹内(勝)分科員 終わります。
#63
○井出主査代理 これにて竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、須永徹君。
#64
○須永分科員 おはようございます。須永徹でございます。
 まず最初に、識字について御質問をしていきたいと思います。
 ことし一九九〇年は、御案内のとおり国際識字年でございます。この十年間、二十一世紀までに非識字者をゼロにしていこうという方針が国連でも決まりました。ただ、現実には世界で九億六千万人という人たちが、あるいはアジアでもその四分の三の六億六千万の人がまだ非識字者としていらっしゃる状況にあるわけであります。そういう中にあって、日本の国内を見てみますと、まさに高学歴化社会あるいは経済大国というふうに一面では言われるわけであります。そしてまた、世界一の就学率と文部省等でも言っておるわけでございます。しかし、現実にまだ国内に三百万近い人たちが非識字者としているということ、そしてまた識字学級も行われているということを考え合わせますと、この国際識字年に当たりまして、文部省としてあるいは日本の政府として、これから非識字者に対する考え方、あるいはまた実態把握等をどう行っていくかということは極めて重要な課題であると実は思っています。
 そういう意味におきまして、文部大臣に識字に対する考え方等をお聞かせいただきたいと思っております。お願いいたします。
#65
○保利国務大臣 先生御指摘のとおり、ことしは国際識字年でございます。それから、世界で非識字者がかなりの数おられるということについても委員御指摘のとおりでございます。このような国際識字年を契機といたしまして、各国において識字教育の一層の推進が図られ、そのための各種の国際協力事業が進められているものと私も承知をいたしております。世界じゅうのすべての人々が読み書きできるようになる上で、こうした識字年というのは極めて意義深いことだと思います。
 また、日本におきましても、実情、詳細につきましては政府委員から答弁をさせますけれども、そういったことが存在をしているということについては私も承知をいたしておりますし、いろいろな形で識字教育というものを文部省としても進めていかなければならないのだということは先生御指摘のとおりでございます。
#66
○川村政府委員 ただいま大臣から御答弁を申し上げたとおりでございますが、具体の事柄につきまして若干補足をさせていただきたいと思います。
 ことしは国際識字年、御指摘のとおりでございまして、いろいろな事業がございますが、識字の対象となる方はどのくらいいるのか。今先生、全世界で九億人、アジアで七億人ということでございますが、これはユネスコの統計によっているわけでございます。
 我が国の場合に非識字の方がどれくらいおられるのか。これは一つは、個人の能力評価のどの辺に物差し、基準を置くのかということもございます。能力そのものにかかわることでございますから実態の把握がなかなか難しいわけでございますけれども、御指摘のございましたような例えば識字学級が行われている。これは国や都道府県の委嘱や市町村の委嘱等の形などいろいろな形で行われている。例えば識字学級の現在の受講者の数を見ますと、ちょっと古うございますが、六十一年で約一万五千人ほどの方が現実に受講されている。それから、別の角度から、国勢調査の際に、十五歳以上の人で未就学の人がどれくらいあるかという調査がございますけれども、全国で三十一万人というようなことがございます。そんなことで、我が国においても現実に読み書きができない方はかなりあるわけでございます。ですから、ことしの識字年を契機として、私どもは二つの取り組みをしていかなければいけない。
 一つは、大臣からお答え申し上げましたように国際的な取り組みでございます。アジアに七億人もいる非識字の方に対する対応を国際的に積極的にしていかなければならないということが一つ。もう一つは、もちろん国内の問題でございまして、国内的に今申し上げましたような方々がおられるというようなことでございます。新しく予算として、新規予算で平成二年度の予算案でお願いしておりますのは、識字教育の指導者の研究協議会を新しく開催しようということもございますし、従前からそれ以外の事業も行われております。そんなことをさらに充実していきたい、こういうことでございます。
#67
○須永分科員 今大臣からも考え方をお聞きしました。意義深いということもさることながら、さらに非識字者をなくしていくための努力をしていく、こういうことを伺ったわけでございます。同時にまた、実態についても今お話を伺いましたが、今の時代の中でその実態把握をする場合に、ただ単に、字が書けるのか読めるのか、それだけではなくして、やはり今の日常生活、特に今文明社会と言われておりますから、その文明社会において機能的な識字、いわゆる複雑な社会生活に対応できる力というものを持っているか持っていないか、ここのところが私は極めて重要だろうと思っております。
 そういう点から考えますと、これは昨日の群馬県の上毛新聞なんですが、実はこれだけ大きく識字学級の問題が取り上げられました。この中で見ますと、例えば群馬県でも識字学級が行われているわけでございますが、五年前のこの調査、特に被差別部落に関係するところの調査が行われたわけでありますが、十五歳以上の約六千四百人を対象にした調査を見ますと、全く字が読めないという人はそのうちの九十二名、一・四%、そして、不自由に感じている、こういうふうに思っている人が六千四百名のうちの三五・八%、あるいはまた、字を書くことができない、全く書くことができないと言っている人が百二名、一・六%、そして、書くことそのものを不自由に感じるのが四人に一人、こういうのが実態としてあらわれているわけであります。
 そういう点から考えますと、識字というものは私はまさに生きる権利だと思うのです。やはり今のこういう文明社会におきまして、免許証を取る、あるいは駅で切符を買うにしても、日常茶飯事の中でこのようなことが求められるわけであります。そういう意味では文部省としてもきちっとした実態把握、もっと言うならば、まだまだこの枠内に入ってこない人、識字学級に行きたくても行けない人、その理由とすれば、この社会の中において字を書けないあるいは字を読むことができないということを、実は偽ってといいますか隠しているということもお年寄りの中にはあるわけでありまして、そういう方々を見てみますと、もっともっと多くの人がいるのではないか。
 先ほど、十五歳以上未就学三十一万人、そして六十一年の調査によると一万五千人というお話もありましたが、やはりもっと多くの人が非識字者としているのではないか、このように思っているところでございます。そういう点では、この実態把握、そして今の識字学級の実施状況につきましてもう少し詳しくお聞かせいただければと思います。
#68
○川村政府委員 今先生から御指摘いただきましたように、実はこの識字問題の中で非常に大きいのは、機能的な識字の問題、国際的にもファンクショナルイリテラシーということでございまして、それは非常に広い意味で言えば、例えばこれだけコンピューターが普及してきたときに、コンピューターの操作ができないということをどう理解するか、これはコンピューターリテラシーの問題ではないかというようなことで、社会生活が複雑になればなるほどそういう部分が広がってくるわけでございますが、ユネスコなんかで主張しております識字問題で、コンピューターまで話を広げると非常に広がるから、まずともかく最低限社会生活に必要な読み書きができるということが基本ではなかろうか、こういうことでございます。
 そういう意味で、先ほど識字学級のことを申し上げたわけでございますけれども、今先生から御指摘がございましたのは、一つは、多分総務庁が実施した地域改善対策の対象地域となっている地域での非識字人口を押さえてみる。そうすると、例えば読むことでいいますと、調査対象になった十五歳以上の方の中で普通に読めるという人が八四・五%いるけれども、逆に言えば、それ以外の人は非常にそこにトラブルがあるわけでございます。そういうトラブルは多分日常生活に最小限必要な読み書きができないということであろうと思っております。
 先ほどちょっと識字学級のことを申し上げまして、もう少し詳しくということでございますけれども、現在国の委嘱事業としてやっております学級が二百三十学級ぐらいございます。その受講者が六千百十五人。それから、都道府県が委嘱をしたりあるいは助成をしたりして識字学級を開催するというのが現在二百十八学級ほどございまして、対象となっている方がこのときの調査で五千四百五十八人と出ております。それから、市町村がそれぞれ独自の判断で開催している識字学級が百二十五学級ほどございまして、三千五十五人ということでございます。それで、先ほど申し上げました全体で約一万五千人、正確に申せば一万四千六百二十八人という方が識字学級で学んでおられるということでございます。
 私どもとしては、基本的に、こういった社会生活を営む上での最も基礎的な条件である読み書きの問題は、国民にとって最小不可欠の資質でございますので、こういう識字学級に対して昭和五十七年度から助成を開始しておるということでございます。現在、そういう市町村あるいは都道府県の実態に応じて、要望がございますればそれに対してはもうほぼ一〇〇%対応している、それが先ほど申し上げた実施状況になっている、こういうことでございます。
#69
○須永分科員 時間がありませんので少し急いでいきたいと思いますが、先ほど、文部省としても、ことしは識字年である、したがって識字教育指導者研究協議会をつくるというお話がございましたが、具体的にどういうふうに考えていらっしゃるのか。また、識字年でございますが、それに対する予算案はどのぐらい要求されているのか。そしてまた、十年間でゼロにしていくという国連の方針があるわけでございますが、その具体的な方向というのは考えていらっしゃるのか、短くお願いできますか。
#70
○川村政府委員 第一点の識字教育の指導者の研究協議会でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように新規でお願いしていることでございますが、具体的には識字教育に関係をしております指導者でございますとか都道府県の教育委員会の実務担当者などの参加をいただきまして、識字教育に関する経験の交流でございますとか、識字教育の方法の改善でございますとか、この問題に対する啓発の進め方とか、そういうことにつきまして意見の交換をし、今後の識字教育の方向の明確化を図るという趣旨でございます。
 それから二番目に、ことしは識字年ということでございますので、国際的な貢献ということが大変重要に求められているわけでございますが、この関係で申しますと、この事業は、ユネスコがやはり国際的には一番大きな対応機関でございます。私ども、新しく平成二年度予算におきましてお願いしておりますのは、特にアジア地域の非識字者が最も多いわけでございますから、アジア地域の非識字問題の克服のためにユネスコに対して新しく拠出金を出す、七十万ドルということでございますから、約一億近い、九千二百万円でございますが、これを新規にお願いをしている、こういうことが一点ございます。
 それから、国際的にはやはり指導者の研修ということが非常に求められておりますので、そのための国際的な研修セミナーでございますとか、あるいは農村における識字教育の専門家のセミナーを開催する、これはすべてユネスコとの共同事業でございますけれども、そういった研修事業を開催するというのが三千万円ほど。
 それから、もう一つ重要なことは教材の開発でございます。もちろん、全く字の読めない方に勉強してもらうための教材とか、あるいはやっと字は読めるようになったけれども、先ほど先生から御指摘をいただきました、社会生活には使えない程度の方、これが国際的には案外多いんだそうでございます。そういうユネスコの言葉で言えば新識字者という方に対する教材の開発といったようなことで、新しく約二千四百万ほどというようなことでございます。
 そんなことで、この国際識字年に向けまして平成二年度の予算案でお願いをしております直接の事業費は、合計で約一億七千万ほどということをお願いをさせていただいているわけでございます。
 それから、二十一世紀に向けて非識字者をなくす、非識字問題を克服するということでございますが、これはユネスコが昨年の総会でこの問題に取り組んだときに行動計画というのをつくったわけでございまして、その行動計画のタイトルは、二〇〇〇年までに非識字を除去するための行動計画、こういうことでございますが、二〇〇〇年までに非識字を除去する、こういうことでございます。ただ、これを具体的に進めるために、ではどういうことで取り組んだらいいのかと今先生御指摘のことのために、ことしの三月に改めて万人のための教育世界会議というものがユネスコ等の主催で開かれました。それで具体の進め方を協議したわけでございます。
 この万人のための教育世界会議では、そういう世界宣言、それからもう一つは具体の行動のフレームワークを決めたわけでございますが、そのフレームワークの方で見ますと、現実問題として、二〇〇〇年までに非識字問題をすべて克服するというよりも、二〇〇〇年までに非識字率を現在のレベルの半分にすることが現実的ではないかということで、そういう目的を立てて、それを具体にやるために、それぞれの国レベル、あるいはアジアでありますかアフリカでありますか地域レベル、あるいは世界レベルでいろいろな取り組みの方法の御提案をした、それがこのフレームワークの方で示されているわけでございますから、私どももこういうフレームワークに従って、地域レベルの協力あるいは世界的なレベルの協力、そういったものにこれから取り組んでいきたい、こういうことでございます。
#71
○須永分科員 先ほど識字学級の部分で、いわゆる地対財特法、その指定地区においてはほとんどされているというような中身のお話がございましたが、今その指定地区が四千幾つ、そしてまた未指定、事業未実施のところが約千あるというふうに言われているわけであります。そういうところにまた非常に非識字者が多いことは先ほどのお話の中でも明らかになったと思いますが、同対審の答申が指摘するように、部落問題の解決に向けて教育の果たす役割というのは極めて重要な位置づけになっているわけでございますが、教育現場における差別事件なりがまだ起きておるわけでございます。文部省として、差別事件等の実態把握というものはどのぐらいされているのか、そして具体的な一番新しい数字等を明らかにしていただければというふうに思います。
#72
○菱村政府委員 まことに残念ではございますが、やはり学校におきましても差別事件が発生いたしております。私どもの方で毎年調査しておりますが、教育委員会の協力を得まして昭和六十三年度においての実態を調査いたしましたところ、全国で百八十一件の差別事象が報告されております。その内訳は、七割程度、すなわち百三十七件でございますが、これが児童生徒にかかわるものでございます。そのほか、三十三件が落書きなどでございますし、七件が教職員にかかわるものでございます。学校教育の現場におきましてこうしたことが今後生じないように、私どもも一層指導を充実していかなければならないと考えております。
#73
○須永分科員 私は、実際にはもっと多く事件が起きているのではないかというふうに実は思っているのです。やはり国に上がってくる部分については、あるいはまた教育委員会までいかない段階で処理をされているという件数も非常に多いのではないかというふうに思います。群馬県においても、桐生におきまして学校の落書き事件もございましたし、そういう意味では、事業の未実施地区におきまして、そういう学校、職場で起きているのが現実でございます。
 一方では、文部省とすれば、そこにおける事業の中で、その子どもたち全部に平等に機会均等に教育が行われなければならないと思いますが、実際に群馬県の桐生市等を見てみますと、被差別部落から通っている子供がいる地域におきましては、母子家庭いわゆる片親家庭、寡婦家庭が非常に多いというのが調査の結果明らかになっております。そういう点におきましては、そういう実態がまだまだ数多くある、またそういうふうに数として、全国で百八十一件と言いましたけれども、もっと多くの数が実は潜在しているんだ、こういうことをぜひ文部省としても御認識をいただければ、それにつきまして文部大臣の御所見をいただければというふうに思います。
#74
○保利国務大臣 ただいま局長からお話を申し上げました百八十一件以外にも、いわゆる報告をされない、隠れた数字がもっとこの裏にたくさんあるのではないかという御指摘でございます。そのようなことがあってはまずいと思いますけれども、報告ということになりますと限られたものであるのかなという感想は私自身も持っております。
 さらに、こうしたいわゆる同和教育の重要性にかんがみまして、基本的な人権尊重という精神のもとに、今後とも同和教育の充実については文部省としてもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
#75
○須永分科員 今同和教育をさらに推進するというお話があったわけですが、先ほど七件の教職員いわゆる学校の先生の差別事件があったという話もありました。今大学で同和教育を授業科目に入れている学校というのが、聞きますと四百九十の大学のうち百五十八校ですかで同和教育の授業が行われている。今学校の先生が、教職員の皆さんがそういう事件を起こすということは、やはりその人たちがきちっと基本的なこの同和教育というものを学んでいるかいないかということが非常に重要な課題だろうというふうに思います。そういう意味では、四百九十校もある大学のうち百五十八校ではなくして、もっと全体の大学の中でこのような教育かきちっと行われていかなければならない、このように思っているところでございますが、同和教育の推進ということを含めまして、大学における授業、いわゆるカリキュラムの中に入れる、さらにふやしていく考え方があるのかないのか、お考えをいただきたいと思います。
#76
○坂元政府委員 先生御指摘の数字は昭和六十三年の数字だったと思いますが、その後若干ずつですが数字はふえております。大学における同和教育では、先生御指摘のは同和教育という授業科目を明確に設定して教育を行っておるというものがそういう数字でございまして、そういう授業料目を設定していなくても、同和教育に関する理解を深めるための教育を行うようにということは私ども従来から指導しているところでございます。かなりほとんどの大学が、科目は別としてその種の同和教育の理解を深めるための教育は行っているものと私ども考えておりますが、今後とも各大学に対しまして、同和教育のための理解を深める教育を実施していくように指導してまいりたいというふうに考えております。
#77
○須永分科員 やはり人権というもの、そしてこれからの二十一世紀に向けて、今ボーダーレス時代とか言われるわけでございますが、そういう中にあって一番そのキーワードになっているのが人権と環境だというふうに私は思います。それだけ重要な問題に今なっているというふうに思いますが、その重要な課題である人権、差別、すべての差別をなくしていこうというその考え方をやはり文部省としてもきちっとその基本に据えて、これからの教育に邁進をしていただければというふうに思っているところでございます。
 最後に、先ほど来お話がありましたが、いわゆる就学の部分でございます。特にこれは六十三年だったですか、いわゆる貸与という形に変わったわけでございますが、その部分につきましてまだまだ被差別部落におけるところの就学率といいますか、それは非常に低い。そういうことを考えますとさらに引き上げていくという観点に立たなければならぬと思いますが、お考えをお聞かせいただければと思います。
#78
○菱村政府委員 文部省では、対象地域の同和関係者の子弟の進学を奨励するために、高等学校、高等専門学校の進学者に対しましては四十一年から、それから大学と短大の進学者につきましては四十九年度から進学奨励事業の補助事業を実施してきておりますが、御指摘のありましたように六十二年度からでございますか、これを貸与制に改めたわけでございます。これは昭和六十一年の地域改善対策協議会の意見具申に基づきまして、地域改善対策事業全体を見直す中でこういう措置がとられたわけでございますが、私どもといたしましては、その返還免除制度の導入とかその手続の簡素化という形で今後ともこの充実に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#79
○須永分科員 ありがとうございました。
 時間ですので、質問を終わります。
#80
○井出主査代理 これにて須永徹君の質疑は終了いたしました。
 次に、松前仰君。
#81
○松前分科員 私は、主に文部大臣の決意にかかわる事項じゃないかと思いますので、大臣に御答弁をなるべくしていただきたい、そのように最初から申し上げておきたいのですが、スポーツ、健康に対する行政のあり方、それから今後の対応ということについて御質問、それから御答弁をいただきたいと思っております。
 御承知のように、これからの時代というのは、これまでの高度成長、そしてまた日米間のぎすぎすした状況をつくり出すというようなこともあったりして、一層の国民生活のゆとりというものを追求していかなければいけない、こういうことで今世の中も変わりつつあると言ってもいいのではないだろうかと思っているわけです。いろいろな動きがあって、労働時間の短縮とか週休二日制の採用、それから有給休暇もふえる、そして夏季休暇も恐らく各企業を中心としていろいろなところでふえていく、そしてまた土日だけが休みというようなパターンも変わってくるでありましょう。いろいろな意味で余暇時間というものがふえる方向、要するに、個人がゆとりを持った生活、潤いを持った生活というものを要求するというか、そういう生活をしていくというような時代に変わっていかなければいけない。それがすなわち、大きな意味においても、国際問題としても、日本はやっぱりすごいいい国だなということになってきて、それが貿易摩擦とかそういうところの緩和にも役立っていくということが考えられるわけでございます。
 さらに高齢化社会、当然これは言われておりますが、高齢化社会時代と言われておりますけれども、いろいろな条件で自分の生活の充実感というものを何かの形で、会社じゃなくて自分のうちで、地域で、そして家族とともに、それからグループで、こういうことで要求をしているのが今日多くの国民の皆さんじゃないかと思います。
 そういう中で、いろいろ今日の国内を見てみますと、果たしてそれだけの環境がそろっているだろうかということを考えてみますと、どうも我が国の環境はそういう新たな時代に対応して全く不十分じゃないかと言えるのじゃないかと思います。いろいろなそういう例がたくさんございますけれども、とにかく会社を勤め上げて、一つの例は定年になってから後、スポーツをやりたい、健康づくりをしたい、自分の健康を自分で保ちたい。自助努力なんという言葉がありますが、自分で自分の健康ぐらいは保ったらどうだなんということを言われているのですけれども、それをやるにしても場所がないとか、それから学校を出てから、大学を出てから就職をする、高校を出てから就職をする。その後で、会社に入ってから地域でスポーツをやりたい、自分の周りでやりたいと言ったって、これはほとんどできない。これは学校の段階まではスポーツやら健康については非常に維持をすることができる、指導されるということもあったりして。ところが、卒業をしてしまうとそれが全然できないという形、それを補って会社が一生懸命厚生という格好でやっていますけれども、そういうような状況がある。
 こう考えますと、今日の状況というのは将来の日本の国民生活のあり方というものについて非常に健康政策の面で不十分だと私は思いますけれども、その辺について大臣、どのようにお考えになっていらっしゃるか、また現状は一体どうなのか、そして将来は文部省としてはどう考えているのかということについてもお答えいただければ幸いに思います。よろしく。
#82
○前畑政府委員 大臣に御答弁いただく前に、現状認識について申し上げたいと思います。
 今先生御指摘のところは、私どもも十分認識をいたしておるつもりでございまして、昨年の十一月でございますが、保健体育審議会から答申をちょうだいいたしました。余暇時間の増大であるとか、あるいは学校を卒業したらスポーツから離れていくとか、あるいはスポーツをやりたいと思っても施設がない、あるいは指導者が少ない、そういった現状を踏まえまして、二十一世紀に向けたスポーツの振興の基本的方向というものをちょうだいいたしたところでございます。私どもは、今後この答申の趣旨を踏まえまして、体育施設の整備、指導者の養成、そして高齢者の方々にも親しまれるような新しいスポーツプログラムの開発といったようなことに努めてまいりたい、このように考えております。
#83
○保利国務大臣 ただいま先生から御指摘をいただきましたスポーツの重要性、私も大変そのことについては強く感じております。私自身、学校では余り勉強のできる子ではありませんでしたけれども、中学、高校、大学を通じまして陸上競技に親しみまして選手生活を十年送り、そして体をつくってこの社会で幾らかでもお役に立てる人間になったということを考えますと、本当にスポーツの重要性というのは身にしみて感じております。同時にまた、スポーツのいい一面といたしましては、厳しい練習等に耐え抜く、いわゆる強い精神力を養うという意味からも、スポーツというものは私は奨励されるべきものだ、このように考えておるわけでございます。
 翻って、最近、現在のスポーツの状況というようなものを考えてみますと、ゆとりでありますとか余暇時間でありますとかというようなことができてまいりまして、随分スポーツも盛んになったなと思っております。冬になりますれば随分スキーを担いだ方がたくさんいらっしゃるし、そして私の娘なんかも行っておりますが、夜はいろいろな体育施設に通っておる。しかし、やや都会のスポーツは少しお金がかかり過ぎるというところに難点があるような気がいたします。
 その点、私は常日ごろ地元と東京の間を往復をいたしますが、地方におけるスポーツの振興の方がある意味では理想的な形でいっているのではないか、そういう部分もあるのではないかという感じを少しく抱いております。仕事の終わった農民が、学校の校庭につけられたナイター設備のもとでソフトボールに親しんでおりましたり、あるいはママさんバレーという形でいろいろな施設の中でバレーがにぎにぎしく行われている姿、あるいは私のところは海がすぐ近くでございますから、夏のレジャー、海でいろいろと体を鍛えているありさま、そういったものを見ますと、そういう環境には地方の方が恵まれているかなと思います。
 ただ、国民ひとしくやはり体を鍛えたいというお気持ちでございますから、今後都会の人口密集地域で一体どういうふうな形でこのスポーツという問題に取り組んでいったらいいのかということは、今後の大きな問題だと思います。私日身、冒頭で申しましたとおりスポーツで体を鍛えた人間でございますから、スポーツには大きな関心を持って今後とも振興策についていろいろ協議をしてまいりたいと思っておりますし、また考えたいとも思っております。
#84
○松前分科員 大臣も非常にスポーツに関心を持っていらっしゃるので、大変うれしいことだと思います。しかし、今文部省の方もお話しいただいたのですが、いろいろ答申をもらってこれからやらなければいけないということなんですが、やらなければいけないと言っていても、具体的に一体どうするのだ、今どういう考えを持っているのか。
 例えば今答申の話もありましたが、六十三年に、これは中曽根さんでしょうか竹下さんですか、スポーツ振興懇談会というのがあって、そこに懇談会の結果の報告があって、その中でスポーツ振興五カ年計画を策定したらどうかというようなことも書かれて、外部の方はいろいろこうやって計画的にスポーツ振興政策、健康政策というものを考えてほしいと言っているわけなんですけれども、どうも文部省の方を見ますとそれがよく見えないという点がございます。それから同時に厚生省の方を見ますと、アクティブ80ヘルスプランとかこんなことをやっていて、こんなことと言っても、これはいいことですけれども、やっておって、何か文部省と厚生省とがやっていることがばらばらだと言わざるを得ない。
 私どもは、これから後で申し上げますけれども、施設をつくるということが一番大事のように思いますが、そういうものをつくるにしても、今日の金余りの現象の中でアメリカの土地を買うくらいなら日本の国内にスポーツ施設をつくったらどうか、そのくらい思っているわけなんですね。そうすると、どこにお金が余っているかというと、保険会社とか銀行とかそういうところだ。厚生省はそういうところと一緒になってやろうと考えているというようなこともアクティブ80ヘルスプランにあるのですね。ところが、文部省側はそういう形が出てきていない。私どもはこれを一体どう考えればいいのか。スポーツ・健康政策についてこれから先地域で、先ほど地域が非常に進んでいるとおっしゃいましたけれども、私はもっと地域に施設をつくってもらいたい、そういうふうに思うのです。そういうときに、地域の人たちがいろいろ要求するときにどこに要求したらいいのか、その辺が本当にわからない。
 例えば、もっとほかの例を申し上げますと、西ドイツのアーベルベックというDOG、ドイツオリンピック協会の方が日本の実情を視察したときに、大体日本では学校体育は文部省、それから保健所の関係だと厚生省、勤労青少年については労働省、国民健康づくりは総理府、体育・スポーツ施設、生活環境整備計画などは自治省、こういうことですね。それから経済企画庁、都市計画による児童公園とかいろいろ建設省もありますね。いろいろなところにまたがっちゃっている。一つ健康・スポーツ政策というのを振興するに当たっても、あっちこっちに関連があり過ぎてどうしようもない。これと交渉する市町村は一体どういうことになるかという懸念を西ドイツの方が感想として漏らしている。これは何年前でしょうか、そんなに遠くない昔でございますけれども、言っているのですね。
 ですから、そういう点から考えると、私はずばり申し上げますが、そういうところでばらばらに、ばらばらと言っては語弊がありますけれども、それぞれ法律の担当の部署があるのでしょうけれども、それをやはり統合して、ある目的に向かって、将来はこうなんだから、高齢化社会やら余暇の時間増大のとき、そしてまた健康を守らなければいかぬ国民の要求が高まっている、そういう時期に合った健康・スポーツ政策を進める、そういう目的に向かって、一つの省としてまとまって、その中である目的を執行していくというような形をとるのが一番いいのじゃないだろうか。言うなれば災害におきます国土庁のような役割ですね。そういう中心的な場所をつくって、長期計画をつくって、そして国民の皆さんに将来本当に喜んでもらえるように、お金がいっぱいあるわけじゃないですから一挙にやれとは言いません、徐々に、少しずつでも振興できるように、計画を立ててやれば、これはもう国民の方にもよく見える。これはすごいな、いいな。そして、そういうことをやることによって、地域の人たちがどんどんスポーツに参加をしていく。余暇ができれば当然参加したいけれども、できない状況がありますから、それに参加させる。させるというか、参加していく。そして指導者もどんどんそこで養成する。
 指導者の養成も文部省と厚生省と両方あるそうですね。私なんか知っているスイミングでは、どっちをとろうかなんて言って困っているのです。権威はどっちがあるかといったら文部省の方があるみたいですけれども、そういうようなことで文部省の方をとったそうでございますが、いずれにしても、こんな一元化されない、両方あるということになると困ってしまう。ですから、そういうような、国民が参加をしていくというような状況をつくり上げる。そうすると、スポーツに親しむ底辺がふえる。ふえることになればこれはみんなスポーツに関心を持つ。そしてみんなできる。そうすると、将来優秀なオリンピック選手も育つであろう。そうすれば日本の国の日の丸の旗をオリンピック会場にたくさん上げることができる、こういうような形になるじゃないか。
 後でまとめてお答えいただきたいのでもうちょっと申し上げますと、今の日本の体育のあり方を見ますと、日本体育協会ですか、体協、この間はスキー場の件でごたごたしているようであります。何かよくわかりませんけれども、あんなことをやっていたんじゃ話にならないのであります。
 それは別として、きょうはその問題じゃなくて、体育協会が我が国のスポーツを握っているのですけれども、しかしそれをよく見ますと、かけ声は言っているけれども、それがほとんど地域のスポーツの方になっていない。一生懸命やる人が一部いて、ボランティアみたいにしてやっている。それが地域に広かっていっているというのが地方では結構あるわけですけれども、本当に体協というのは、よく見ると選手強化にえらい走っている。要するに、オリンピックに勝ちたい、この目的でもって何か体協はえらい動いているような感じしか見えない。私も静岡県のウエートリフティングの会長をやっていますからよくわかるのですけれども、そういうような状況なんですね。だから、そういう特定の人たちだけが親しむスポーツの環境というもの、これをつくるということじゃなくて、地域の国民みんながスポーツに親しめるような環境をつくっていく大きなプランをつくっていかなければいかぬ、そういうふうに思うのです。
 そういうことで、日本体育協会のあり方なんかも質問したいのですけれども、それは生臭いからやめておきます。いずれにしても、一元化して体育省というようなもの、スポーツ省でも何でもいいです、そういう名前を持ったものをまとめて、そしてその中できちっとした計画をつくって、大々的に日本国じゅうやっていく。そして、国民体育大会というのもいろいろ問題がございます。ああいう競技場をつくったりするだけのこと、たけと言ったら語弊がございますけれども、それが中心になってしまっているというような行き過ぎのところが出てきている。こういうものも是正しながら、そういうものをやるんだったら地域のスポーツ広場をもっとたくさんつくってほしいな、私たちはそういうふうに思うのですね。
 いつでもみんなが楽しめる、そしてその中から優秀な選手が生まれていく、こういう環境なつくっていきたい。それによって健康が保てる、健康づくりもできる、そしてみんなが生き生きとして生活できる。そうすれば外国の人も、日本人は何だか裏で何を考えているかわからぬなんということは全然ないのであって、国際交流もうまくいき、平和外交にも寄与する、こんなことになるのじゃないか。いいことずくめばかり申し上げましたけれども、そういうふうに思うのです。この辺について、決断をしていただければ本当にありがたいのですが、なかなかそうもいかないでしょうから、ちょっとお考えをまずお聞きしたい。お願いします。
#85
○保利国務大臣 先生御指摘のように、スポーツに対する行政がいろいろな省庁でやられておるではないかということは、私も率直に言って否定をするものではございません。そういったいろいろな省庁で行われておりますことを市町村長が大変細かく研究をされて、ここへ頼めばこういうものができるというようなことで随分御苦心をなさっていらっしゃる、また、あるいはうまく利用しておられるという言葉もあるかと思いますが、そういう形でいろいろな整備が地方で行われておるということが現状だと思います。
 文部省は、体育行政を主管する省としてスポーツの振興のために努力をしていかなければならないということはもちろんであります。厚生省は健康保持という観点から、農林水産省におきましては恐らく豊かな農村をつくっていこうという配慮から、通商産業省におきましては工業誘致を進める場合のいろいろな環境整備という観点から、労働省におきましては労働者のいわゆる健康保持あるいはレジャー確保というような意味からなされるでありましょうし、さらに建設省においては公園の整備というような観点から運動場の整備をおやりになるという場合もあろうかと思います。こういった形で行われておりますものを御指摘の体育省あるいはスポーツ省というような形で統合したら非常にすっきりするのではないか、私もそれはもうまさにそのとおりだろうと思います。そして指導者の育成でありますとかいろいろな形でスポーツというものをいわゆる行政の中で一つ格上げをしていくということには、基本的には私は賛成でございます。
 しかしながら、現在の行政改革の動向その他いろいろ制約条件がございますが、この問題はこうした問題も考えながら長期的な観点から検討すべき問題であろうか、このように考えております。
    〔井出主査代理退席、主査着席〕
#86
○松前分科員 非常に前向きなお話でございましたが、最後の行政改革のところで行き詰まる可能性があるというお話ですが、将来どうしてもそういう時代が来る。そしてさらに、日本じゃスポーツというのはかなり下に見られていたのですが、ヨーロッパあたりではもう権利として考えられているところもあるわけですね。そのスポーツ・健康政策がどれだけ市民に浸透しているかということによって市民の民主化の程度を知ることができるということさえ言われている。スポーツ・健康政策というのは、非常に重要視しているのが西ヨーロッパ、東ヨーロッパは東ドイツあたりでありましたけれども、ヨーロッパでは大変な重視をしているわけなんです。ですから、日本でも今までは学校教育の一環という考えで文部省が統括しておったのですが、学校体育というのが中心になって学校の指導というのが多かったのですが、これからはどうも地域がやらなければいかぬという時代になっている。ヨーロッパは既にそうなっている。
 ですから、非常に重要な政策でありますから、そういうものについては、行政改革というのはそういうものにするための改革ですから、そういう方向の省をつくることはいいんであって、行政改革というと、何かつぶすとか首切りとかこういうことしか考えられないのだけれども、そうじゃなくて、いいものはやるんだという行政改革、これをやるべきだと私は思っているわけなんです。恐らく同じ考えでいらっしゃるのでしょうけれども、行政のいろいろな考えを聞くとなかなか難しいという壁があちこちあるというのはわかりますが、その辺をどうか文部大臣としては強く主張していただいて、そして行政改革、こういうことは必要なのだということで、文部大臣としては、文部省ですけれども、新しい省をつくるので人が大臣になるかもしれないけれども、そういうことも人のためということで頑張っていただきたいな、そう思っております。
 それからちょっと申し上げますと、西ドイツはかなり進んでおります。フランスもかなり進んでいましたけれども、今はどうでしょうか。文化・スポーツ大臣という格好で大臣までいる。大臣のいるところがあとほかにもヨーロッパに幾つかあるわけです。それから担当大臣。大臣の下に担当大臣というのはよくわからないのですけれども、行政組織の中にそういう大臣がいるところがあるというのですから、これは相当な力の入れ方だ。御承知のように、西ドイツは地域のスポーツをいかにして高めるかということでゴールデンプランというのをかなり長いことやっております。これはもともとは民間からの発想で、ドイツ・オリンピック協会の方からの発想ですが、これはそっちだけではできないから行政が支援してやろうよということで、それで組織化して施設をつくってやろうということで一生懸命やっている。運営は、地域の人たちがみんな運営する。そのかわり、そのための指導員の養成とかそういうのはきちっと体制づくりをしてやっているということもあるわけです。したがって、今西ドイツのスポーツクラブに所属する人の数は全人口の三〇%を超えて、もう既に三五%ぐらいいっているのではないでしょうか。そのぐらいスポーツに親しんでいるということなのです。私、最近行っていませんからわからないけれども、恐らく自分の家の近所のあちらこちらに体育施設ができているだろうと思います、どのぐらい離れているか、全部視察しておりませんのでちょっとわかりませんけれども、そういうすごい状況でしょう。スポーツの関係では世界一になろうということで、スポーツ健康政策を西ドイツはやっておるようです。GNP一位になるということではなくて、スポーツ健康政策では世界一になろうよ、それが文化国家だという考え方でやっておるようでございます。
 そういうことを見ますと、私どももそれをまねるというのではないのですけれども、日本もやはり文化国家になろうじゃないか。勉強ばかりしているような秀才を生んで、貿易摩擦ばかり起こす、それはちょっと言い過ぎかもしれないけれども、そういう国ではなくて、本当に心身ともに健全な国民をつくり上げるということは必要ではないかと思います。そんなことは釈迦に説法で文部大臣も十分おわかりでしょうけれども、そういう意味で、ぜひともこのことについては進めていただきたい。進めていただきたいといっても、文部大臣が全部やるといったって、なかなかできませんから、私ども一生懸命やらせてもらいたいと思います。
 議員連盟があちらこちらありますけれども、スポーツ議員連盟はまだうまくいってないようですが、武道議員連盟の方は、おととしですか、こういうものをつくれということで決議をしているわけです。ですから徐々にそういう動きも強まってくるでしょう。行政改革のところの考え方をいかにして突破するかということなので、その辺をぜひとも文部大臣に、スポーツの重要性、そしてそれを目的にした行政改革でこれをつくりなさいという言い方をしていただければありがたいということなのです。その辺についてちょっと文部大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
#87
○保利国務大臣 今の海部総理が文部大臣であられた時代にも、この問題については前向きに取り組むというお話をしておられるようでございます。現在の状況を考えれば少し息の長い努力を重ねていかなければならないのではないかなと思いますが、今先生から御指摘をいただきましたことなど十分胸に入れて、私もできることならば、長い期間かかりましょうとも、このようなスポーツの振興について、さらには設備だけではなくて、設備があればスポーツが振興されたというのではなくて、その利用方法あるいは今御指摘の西ドイツにおけるスポーツクラブのあり方等、そういったものが日本の形でどういうふうに導入されるか等のソフトの面の考え方もあわせて、スポーツ振興のために今後も尽くしてまいりたい、このように考えます。
#88
○松前分科員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。私も一緒にやらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
#89
○工藤主査 これにて松前仰君の質疑は終了いたしました。
 次に、東祥三君。
#90
○東(祥)分科員 公明党の東祥三でございます。このたび初めて当選させていただきました。初めての質問でもございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 きょうは、すべて質問できるかどうかわかりませんけれども、時間の許す限り次の点について質問させていただきたいと思います。
 一つは日本語大辞典編さんについて、そして異年齢混成の教育、そして高校生留学の進捗状況について御質問させていただきます。
 初めに、日本語大辞典編さんについてでございます。現在、文化庁では日本語大辞典の編さん作業を進めていると聞いております。これは既にイギリスあるいはフランス等の諸国では、美しい国語を維持することは自国の文化の基本であるという認識のもとに国を代表する大辞典が編さんされておりますけれども、日本においては文化大国にふさわしい日本語大辞典がまだ編さんされていないという背景があると思います。この件については、私の先輩である有島前代議士が推進してきた経緯がありますけれども、ここでもう一度簡単に日本語大辞典編さんについての経緯並びに完成までのプログラムは一体どのようになっているのか、この辺のことからお聞きしたいと思います。
#91
○遠山政府委員 御指摘のとおり、日本語大辞典の仕事は大変大事なものであると考えておりまして、国立国語研究所が編集の準備作業を進めているわけでございますけれども、昭和五十二年度からこの国語大辞典編集のための準備に着手いたしまして、辞典編集の具体的な方法等について調査検討を行ってまいりました。そして、昭和六十年度にはその成果の一端といたしまして、標準語の確立に大きな影響を与えた国定読本の要領をまとめた「国定読本用語総覧 一」というものを作成いたしまして、以来毎年度続編を刊行してまいっているわけでございます。
 完成までのプログラムいかんという御質問でございますけれども、この国語大辞典の全体構想は大変壮大なものでございまして、日本語を上代、中古、中世、近世、現代の五つに区分いたしまして編集しようというものでございます。当面は現代編から着手することといたしておりまして、その現代を三期に分けて、特に現在は標準語が確立した時期に当たる二期の辞典をつくるために、準備作業といたしまして用例の採集を開始したところでございます。この用例の採集の成果を、先ほど申しましたような「国定読本用語総覧」ということでまとめております。
 これをもとにいたしまして、現代編の辞典の巻数は、第一期、二期、三期、各十巻、合計三十巻を予定しております。全体といたしましては、上代について四巻、中古の時代に関しまして四十巻、中世について四十巻、近世について五十巻ということで、現代編と合わせまして合計百六十四巻を予定しているところでございます。
#92
○東(祥)分科員 スタッフ、予算の推移についてはどうですか。準備委員会発足当時、五十二年から平成二年までの初めと現在。平成二年度で結構でございますが、スタッフ、予算、これはどのようになっていますか。
#93
○遠山政府委員 昭和五十二年度からこの準備作業を開始したものでございますけれども、昭和六十二年度までの間、スタッフに関しましては非常勤研究員二名のほか所内の研究員二名を兼務させて国語辞典編集準備室を設けたところでございます。そのメンバーのみならず、研究所外の専門家から成りますところの国語辞典編集準備委員会の意見を聞きながら進めてまいったところでございます。そして、昭和六十三年度には新たに定員措置を行いまして、国語辞典編集室を設置いたしました。これは定員二名でございますが、この専任の編集体制のもとに非常勤を二名、用語、用例の採集を担当する、地方研究員と称しておりますが、十名を配置いたしまして、着実にスタッフも整備をしてまいっております。また、平成元年度には、定員一名を振りかえで増員いたしまして三名にいたしました。非常勤研究員を二名増員するなど、体制強化を図ったところでございます。
 また、予算につきましても、昭和五十二年度には、辞典編集の調査会に要する経費といたしまして百八十二万円が認められたところでございますけれども、準備の進む段階に応じて逐次増額が図られてまいっておりまして、平成元年度には千五百三十四万円となっておりまして、平成二年度予算案につきましては二百十六万円増の千七百四十九万円の予算案を計上しているところでございます。
#94
○東(祥)分科員 私の資料ですと、昭和五十二年度には千八百二十五万円、平成二年度には千七百四十九万円となっておるのですけれども、いかがですか。
#95
○遠山政府委員 平成二年度は千七百四十九万円でございます。
#96
○東(祥)分科員 昭和五十二年度は幾らですか。
#97
○遠山政府委員 昭和五十二年度は百八十二方円でございます。
#98
○東(祥)分科員 昭和五十二年度から平成二年度で十年以上経過しているのですけれども、スタッフ、予算とも発足当時に比べて余り急激にふえていないような印象を与えられます。もちろん、この日本文化の骨格をなす日本語大辞典の編さんですから、拙速に過ぎてつまらないものをつくってもいけませんので、十年、二十年あるいは五十年ぐらいのタームで十分考えてよろしいものだろうと思います。
 しかし、文部大臣、この日本語大辞典編さん作業というのは、後世の歴史に残る文部省としての大事業だと私は思うのでございますが、大臣はどのようにお考えになっていますでしょうか。
#99
○保利国務大臣 まず最初に、日本語大辞典の仕事にお取り組みをいただいておりました有島先生の御意向を引き継がれまして国会にお出になられた議員に対して、心から敬意を表したいと存じます。
 先ほど、外国においてもその国の言葉を非常に大事にしておるというお話を承りましたが、その国の国語というものは、国家、民族の魂の所産であると同時に知恵の所産でもあろうかと思います。そのような大事な国語の変化、発展の跡をたどってまいります国語大辞典の編集事業の意味というものは、非常に大きいものだと私も考えております。
 国立の国語研究所では、昭和五十二年以来この国語大辞典の編集に向けて逐次体制や予算を充実しながら今のところ順調に事業の推進を図ってきたところでございます。
 本格的な国語大辞典の編集は我が国では初めてのことでございますが、長期間を要する大事業でもございますし、また、奈良時代から平安時代、室町、鎌倉、江戸とずっと言葉の変遷をたどる大きな辞典をつくるということでございます。非常に重要なことだと思いますので、今後とも十分な調査研究を重ねて遺憾なきを期してまいる所存でございます。立派な辞典ができますことは、我が国の文教行政をつかさどる文部省としてもこれはしっかりやっていかなければならぬことだと考えております。
#100
○東(祥)分科員 先ほどの文化庁の御説明をお聞きしておりますと、今後は人海戦術で優秀なスタッフと予算が伴えば、編さん作業は飛躍的に進むように受け取れましたが、そう理解してよろしいでしょうか。
#101
○遠山政府委員 先ほどお答えいたしましたとおり、現在は現代編につきまして編集準備作業としての用例の採集を行っているところでございます。この用例採集を通じまして辞典編集の方法論を確立しようという段階でございまして、当面は着実な作業の積み重ねが大事であろうかと思われます。
#102
○東(祥)分科員 大臣、お聞きのとおりでございます。先ほどの御答弁のように、この編さん事業はある意味で歴史に偉大なる足跡を残すものです。どうでしょうか、来年度からもっと本腰を入れて取り組むお考えはありますか。具体的には、スタッフ、予算ともに充実させていただけますでしょうか。
#103
○保利国務大臣 平成三年度の予算につきましては、平成二年度予算の御審議を終わり次第またこの編成作業に取り組んでまいらなければなりませんが、先生の御意向等体しまして順次これに取り組んでまいりますことを申し上げさせていただきます。
#104
○東(祥)分科員 予算に関しては、このような長期的国家プロジェクトについては、ファンドとして一定額な基金としてプールして使用するシステムもあると伺いましたけれども、可能であれば御検討いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#105
○遠山政府委員 辞典の編集作業は、申し上げるまでもなく極めて地味な仕事でございまして、その継続性なりあるいは全体的な整合性を保つという非常に大事な仕事でございます。したがいまして、この編集事業は国語に関する科学的、総合的な研究機関であります国立国語研究所の事業として実施してまいったところでございまして、今後とも、この作業の成果を踏まえまして、外部の専門家の協力も得ながら進めていきたいということでまいっております。その国語研究所の事業としての編集体制なり予算を充実してまいりたいと考えておりまして、基金方式によるということは当面考えていないところでございます。
#106
○東(祥)分科員 ともあれ、日本はただ経済的にのみ突出した経済先進国と言われておりますけれども、近いうちに文化大国日本、文化的に進んだ日本と言われるようになるためにも、この日本語大辞典編さんの成功を心から祈っておりますので、御尽力願いたいと思います。
 次に、異年齢混成の教育についてお尋ねいたします。
 平成元年三月に、文部省より異年齢混成の教育事例集な出版されました。その後一年がたちますけれども、反響はいかがでしょうか。また、幾つかの具体例を紹介していただけますでしょうか。
#107
○菱村政府委員 「異年齢集団活動の事例集」を出しましたところ、幸いに好評を得ております。この事例集に基づきまして各学校でさまざまな取り組みがなされていると承知しております。
 若干の例ということでございますので、一、二、御紹介申し上げますと、東京都のある小学校では、一年から六年までの子どもたち、児童が三十人程度で集団をつくりまして、定期的にゲーム遊びをしたり、それから遠足先での集団活動をしたり、集団下校、こういうのも異年齢集団の活動になるわけでございますが、上級生が下級生をいたわったり、下級生が上級生を慕うという豊かな人間関係を育成するという取り組みをしている報告がございます。
 それから、神奈川県の、これも小学校でございますが、一年と六年生を組み合わせたり、二年と四年生ないしは三年と五年というような組み合わせの中で学校農園とか花壇の栽培活動等を行わせております。作業面で異年齢集団が助け合う、そして、喜びの場をともにする、そういう経験をされまして、とかく人間関係が希薄になっております都市部の子どもたちにとって、こうした活動によりまして豊かな心を育成していく、そういう取り組みがなされているところでございます。
#108
○東(祥)分科員 私は、文部省が事例集を出版すること自体異例なことだろうと思っておりましたが、この本に書かれた事例を参考に、全国各地でさまざまな試みをされている学校が出てきていることと想像いたします。第二集を編集すれば、もっと特色のある事例が集まることと思いますけれども、今後も出版していく計画はあるのでしょうか。
#109
○菱村政府委員 これは昨年三月に出したわけでございますので、現在いろいろな講習会とか全国のいろいろな会合におきまして周知、普及を図っているところでございます。そして、学校も今この事例集を使って取り組み始めたところでございますので、これから私どもとしましてはこれをとにかく普及、徹底し、これに基づいて実際の取り組みをいろいろやっていただきたい、そういう段階でございますので、次のことまでは現在のところはまだ考えておりません。
#110
○東(祥)分科員 その辺の状況はわかっているつもりでございます。三万冊出したと聞いております。現在そのうち一万冊のみが売れたという状況でまだ二万冊ぐらい余っている、そういう意味で周知徹底させなければならない、また、それに関連した講習等も開いていかなければならない、その辺の事情はよくわかるつもりでございますが、ある意味で、これから社会のいろいろな変化の中でこの異年齢混成の教育についての理解も当然ますます深まってくると思いますし、その必要性もさらに増大していくと私は思います。そういう意味において、ただ今回事例集を出版したからその十六事例に限って異年齢混成の状況を固定するのではなくて、もっと幅広く、オープンな形でとらえた方がいいのではないか、このように私は考える次第でございます。そういう意味からしても、全国からもっと募集して、異年齢混成の教育の事例をある意味で集大成していけるような方向性、こういうものを持っていただけたらなと思うのですが、この点についてはいかがでございますか。
#111
○菱村政府委員 御指摘のように、これは十六事例にとどまっております。このほかいろいろあるわけでございますし、現実に学校でもこれ以外の取り組みがたくさん行われているところでございます。したがいまして、今後こういうのを積み重ねていくということが御指摘のとおり大変重要なことだと私どもも考えております。
 ただ、この事例集は、これはモデル的ではございますけれども、ほんの手がかりでございますので、各学校におきまして、この事例集を参考にしながら創意工夫ある活動をしていただきたいというふうに考えているのであります。
 繰り返しになりますが、とにかく今、つくりましたこれを活用したい、普及したいというところでございますので、この後のことにつきましては、また後日、今後の課題として受けとめさせていただきたいと存じます。
#112
○東(祥)分科員 今の子供は遊ぶときも同年齢の友達としか遊ばず、というよりも、そうせざるを得ないのかもしれません。また、家に帰ればテレビやファミコン。兄弟も少なくて、先輩後輩のつき合いもほとんどない状態です。このような子供を取り巻く社会状況の中にあっては、異年齢混成の教育が与える効果ははかり知れないものがあると私は思います。現在、集団登校や掃除、給食そして遠足などに異年齢混成のグループを編成して教育効果を上げているようでございます。
 こういう視点に立って、大臣、今お聞きになっていて御感想があれば述べていただけますでしょうか。
#113
○保利国務大臣 異年齢混成のお話でございます。
 私も実は小学校、中学校、高等学校、経験をいたしておりますが、特に中学の課程に進みましたときに、私は新制の第一回でございましたが、そのころの中学が二つに分かれまして中学と高等学校になったということでございますので、昔の中学の雰囲気がそのまま残っておりました。そのころ、やはり先輩に対してはある意味で畏敬の念を持っておりましたし、同時に、やさしくしてくださる先輩には本当に親しみを感じておりまして、学校生活の中でこういう体験をしたのはよかったなということを私自身も思っております。
 そういう意味で考えますと、今先生御指摘のような現状で、できるだけ異年齢混成の教育を進めることは必要だと思いますし、さらにいろいろなやり方もあろうかと思います。事例集の中で述べられていることもあろうかと思いますけれども、例えば課外活動において先輩後輩の関係でいろいろ指導してもらう、あるいは親しくしてもらうというような中で社会性の育成あるいは人間形成という形でこれを進めていくということは、教育の一つの大きな形ではないかと私も思っておりますので、今後ともこの問題については十分に念頭に置いて行政を進めてまいりたいと思います。
#114
○東(祥)分科員 時間がなくなってきてしまいましたので次に移らしていただきます。
 次は、高校生の留学の進捗状況についてでございますが、一昨年四月より高校生の留学が、一定の枠内でありますけれども、正式に認められるようになりました。今までは、留学するためには高校を休学しなければなりませんでしたので、大きな国際化への一歩だと私は思っております。二年たった今日、その進捗状況はどうでしょうか。簡単にお願いします。
#115
○菱村政府委員 文部省の調査によりますと、三カ月以上にわたって外国の高等学校において学習した国公私立高等学校の生徒の人数は、昭和六十一年度、すなわち制度化前でございますが、三千百六十五名でございました。これが二年後の、制度化しました六十三年度には四千二百八十三人となっておりまして、二年間で三五%の増加が見られた状況でございます。
#116
○東(祥)分科員 国公立と私立では、その実施状況は違いが見られますか。
#117
○菱村政府委員 私どもの調査によりますと、昭和六十三年度に三カ月以上外国で学習しました高校生の数は公立が二千六百二十三人、私立が千六百六十人、国立が七十人でございます。
#118
○東(祥)分科員 校数でいきますと、この高校生留学に関して全高校五千校の中で千三百十六校が校内規定を整備していると聞いておりますけれども、まだまだ少ないような気がしてならないのですが、今後の見通しについてはどのような状況でございましょうか。
#119
○菱村政府委員 この留学問題につきましては、制度化はいたしましたけれどもいろいろ問題がございます。今先生御指摘になりました校内規定の問題とか、向こうの受け入れ先の問題とか、それから途中のあっせん業者の問題とか、いろいろございますので、現在、文部省で外部の専門家を入れました検討会を行っておりますが、そうした中で十分検討してまいりたい、そしてそれの結果に基づきまして各高等学校を指導してまいりたいというふうに考えております。
#120
○東(祥)分科員 大臣、これからの学生はきれいな日本語を話せると同時に英語ができるのは当たり前という時代になってくると私は思っております。それならば、もっと積極的に国公立高校でも姉妹校をつくって高校生留学の推進に力を入れていかなければ、ある意味で私立に対して人気低下傾向にあるのではないか。その国公立の状況を見ますと、ぜひともこういった点においても力を入れていかなければならない、このように思うのでございますが、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
#121
○保利国務大臣 高等学校の過程において、大変頭のやわらかいうちに外国に行き、そして外国の学校で机を並べて勉強する、これは今の国際化社会ということを考えると大変重要な要素であるということは、私の経験からいっても大変大切なことだと思っております。特に、言葉だけではなく、いわゆる考え方それから思考過程、そういったものの違いというものを認識して、それを国際交渉その他の場で役立たせるようにする、そういう基礎の教育を若いときにするということは大変大事だと思いますので、今後とも公立学校等におけるこうした留学の問題等についてはよく相談をさせていただいて、前向きに取り組んでまいりたいと思います。
#122
○東(祥)分科員 御理解のある御答弁をいただきましてありがとうございます。今後とも何とぞこの高校生留学の件に関してさらなる御尽力をしてくださることを切望いたします。
 時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
#123
○工藤主査 これにて東祥三君の質疑は終了いたしました。
 次に、鈴木喜久子君。
#124
○鈴木(喜)分科員 鈴木でございます。お願いいたします。
 私は、文部省に対して、今文部省の中の、またそこの所管の大学の職員の昇格または昇給ということについて、これからいろいろと伺っていきたいというふうに思っております。
 この問題については、ずっと以前、もう十年ぐらい前になりますか、五十一年ぐらいのときに、既に内閣委員会それから文教委員会において同様の質問をされているところでございますけれども、その状況が現在まだ余り改まっていない。せっかくそこで関係谷委員の方々、そして大臣の方からもこれからの改善方をお約束していただいたにもかかわりませず、ここのところでちっとも改善がされていないのではないか、そう思われますので、この点またもう一度ここでその問題を繰り返しいろいろお聞きして、これからの善処というものをお願いしていきたいというふうに思っております。
 まず第一に、一九八三年ごろ、文教委員会におきまして、これは参議院でございますけれども、粕谷照美委員の方から質問をされましたときの状況がございまして、そのときに文部省の方から、各大学の職員、特に行政(一)と言われているところの職員についてのいろいろな御答弁がありました。そしてそのときに、大学の職員につきましては三級というところにとどまっている、そのころはちょっと職制が変わっていたと思いますが、大変頭打ちでその後の昇給のできない部分に非常に多くの職員の方がたまっているという状況があるというふうに伺っておりました。その後、現在まで十年間どのような御努力がされているのか、伺いたいと思います。
#125
○國分政府委員 ただいま大学の職員の待遇改善についてのお尋ねでございます。私どもも、毎年度人事院に対しまして大学の職員、特に中堅層の職員についての待遇改善というものを要望してきているわけでございます。例えば昨年の夏の人事院に対する要請、これは文部大臣名でやっているわけでございますけれども、中堅層職員について重要な職務を遂行していること等に配慮し、主任、専門職定数の拡大等の所要の改善を図る、こういう要望を人事院等に対してやってきているわけでございます。
 具体的にどのような状況になっているかということでございますが、一例を主任に例をとって申し上げてみたいと思います。
 主任につきまして、ちょうど十年前の昭和五十六年につきまして、これは現在の三級、四級、五級というようなところが対象になろうかと思いますけれども、五十六年の主任を国立学校全体で申しますと三千二百二十四名という定数でございます。これが平成二年度で見てみますと五千三百五十一ということで、これは主任定数だけでございますけれども、十年前に比べまして一・六六倍というような形で主任定数の増が図られた。これは一つの例でございますが、そういうような状況になっているところでございます。
#126
○鈴木(喜)分科員 十年ぐらいたって一・六六倍、数字にしますと大体二千ぐらいでしょうか、そのぐらいのふえ方ということになりますと、一年に二百ぐらい主任はふえている、国立大学全体にとってはそういうふうにふえているというふうに考えてよろしいことなんでしょうか。
#127
○國分政府委員 年々によって増の数が違うわけでございますが、大体二百名内外、平成二年度で申しますと三百九十六というようなことで約四百近い増員が図られている、こういうことでございます。
#128
○鈴木(喜)分科員 この定数というのは、大学全体についての配分、例えばここで東京大学の例をとってみますと、どのぐらいの数がふえているということになるのでしょうか。
#129
○國分政府委員 東京大学のいわゆる行政職の俸給表の一、俗に行(一)と呼んでおりますけれども、これの級別の在職者数、主任というよりは級別で見てみますと、三級の職員、東京大学の全体で六百五十九名、それから四級で六百五十二名、五級で三百六十五名、こういうふうになっております。
#130
○鈴木(喜)分科員 これは全体の数でございますけれども、ちょっとそれでは対比がよくわかりませんので、もう一度伺いたいと思うのですが、全大学の今おっしゃいました三級、四級、五級というところの人数、それからもう一つはその中の女子の人数というのはどういうふうになっておりますか、お答えいただきたいと思います。
#131
○國分政府委員 三級、四級、五級における女子の比率、人数でございますが、国立学校全体でまず申し上げてみたいと思います。
 国立学校全体で三級の職員が一万二千三百四十三名でございます。このうち女子が四千七百十三名ということで、率にいたしますと三八・二%、女子の占める比率でございます。それから四級について見ますと、全体で九千百十九名、うち女子が千三百九十一名、比率で申しますと一五・三%というふうになっております。それから五級について見ますと、全体で四千百三十八人、女子が五百一人でございまして、比率にいたしますと一二・一%、これは国立学校全体でございます。
 また、ただいま御指摘の東京大学について見ますと、東京大学では行(一)の三級の職員全体で六百五十九名、うち女子が二百九十九名でございまして、比率にいたしますと四五・四%というふうになっております。それから四級につきましては、全体で六百五十二名、うち女子が二百十八名で、比率が三三・四%。それから五級でございますが、全体で三百六十五名、うち女子が七十三名、比率にいたしますと二〇・〇%というのが東京大学の状況でございます。
#132
○鈴木(喜)分科員 数字ばかりで申しわけありませんが、もう一つだけ例を出してお伺いいたします。
 この東京大学の中の生産技術研というところの職員、行政(一)ですが、そこの数字についてまた同じことをお願いいたします。
#133
○國分政府委員 東京大学の生産技術研究所の行(一)の職員についてでございますが、三級で全体が五十七名、うち女子が二十一名、比率にいたしますと三六・八%。それから四級につきましては全体で四十九名、うち女子が十六名、比率で三二・七%。それから五級につきましては全体が二十六名、うち女子が四名で比率にいたしますと一五・四%という状況でございます。
#134
○鈴木(喜)分科員 このような状況というのは、文部省全体の職員の中で比べまして、非常に三級のところが多いという状況があるのではないでしょうか。
#135
○國分政府委員 文部本省と比較してという御趣旨かと思います。ちょっと手元に文部本省のただいま申し上げましたようなデータがございませんので、多少推測になろうかと思いますけれども、そう大きな差はないのではないかというふうに考えております。
#136
○鈴木(喜)分科員 そう大きな差はないどころではなく、大変な差があるというふうに私の方では調査といいますか、考えております。この差というものは四倍、五倍というところでございまして、三級というところに残っている数が非常に大きな数を占めている。この三級というクラスは何を意味しているかといいますと、その次の四級というところに上がれば、かなりのそれから先の昇給ということが望めるところになっているわけでございますけれども、何かの役がつきませんと、主任という形ですとか係長という形ですとか、そういうのがつかないとそこの級に上っていけない。私なんかはそういうふうな勤めは余りしたことがないものですから、級だの号だの格だのというものについて非常にわかりにくくて、幾ら聞いてもわからなくなってしまうような制度になっている。わからなくするためにこういう制度にしているのじゃないかと思うような形でもございますけれども、その中で私の理解したところではそのような形がとられているということでございます。
 そこで、何ゆえに大学とか、または生産技術研は特にこうなんですけれども、こういうところにおいてそこに多くのプールされている人間がいるのか、三級のところにとどまっている人間が多くなってしまっているのか、その点についてお考えを聞かせていただきたいと思います。
#137
○國分政府委員 給与制度というのはかなり複雑でございまして、かなりかっちりした体系を持っているわけでございますが、先生御案内のように、この等級につきましては、これは大学の職員だけでなくて国家公務員全体についてそうでございますけれども、職務の複雑困難性あるいは責任の度合い等に応じまして、それぞれ主任等に発令され、あるいはまた給与格付がなされる、大まかに言いますとそういうような仕組みになっているわけでございます。
 文部省といたしましてもそういう趣旨を踏まえて、各大学において適切な人事の任用あるいは給与の格付をするようにということを指導しているわけでございまして、特に女性だからどうということではないというふうに私ども認識しておりますし、また、女性だからどうこうしてくれということはあってはならないことだ、やはり成績主義の原則に基づきましたきちっとした給与格付あるいは発令を行うべきだということを、御案内のように大学の職員の多くは学長が発令するわけでございますので、大学等に対して指導しているところでございます。
#138
○鈴木(喜)分科員 この問題の中で一つ、大学というところと文部省の本省というところのその差について伺ったわけなんですけれども、ちょっと違ったことになったかもしれません。
 この大学については、一般会計の中ではなくて特別会計という中で予算が組まれ、そこからの給与ということになるというふうに聞いております。この特別会計と一般会計ということの差によって、そこで給与の昇給の可能性が低くなったり高くなったりするようなことがあるのでしょうか。
#139
○國分政府委員 一般会計、特別会計というのは別の趣旨で設けられているわけでございまして、人事あるいは給与等につきましては同じく国家公務員法あるいは一般職の給与に関する法律、さらには人事院規則等で細目が定められているわけでございますが、同様に取り扱われているわけでございまして、一般会計だからこう、特別会計だからこうということはございません。
#140
○鈴木(喜)分科員 そうしますと、一般会計であっても特別会計であっても、係長という職は同じ比率に近い、係長にならないと四級、その上に上がっていけないという一つの段階があるというふうに聞いておりますが、同じような比率で係長のポストというものはあげておありになるということでしょうか。
#141
○國分政府委員 これは先生既に御案内のことかと思いますが、係長、課長あるいは主任等の職制というものは、それぞれの機関の性格あるいは職種等々によってどうあったらいいかというふうに決まってくるわけでございまして、全体の職員が何名いるから何%が係長である、あるいは何%が何級であるという形にはなっていないわけでございます。ただ、現実問題として、やはり処遇の改善というような観点も人事院等において考えているわけでございますので、それらのことを念頭には置きつつも、基本的にはそれぞれの組織、機関の性格等によって興なってくる、こういうことであろうと思っております。
#142
○鈴木(喜)分科員 そういうことは一般的にはそのとおりだと私も思います。しかし、それが現実に数字になってあらわれた場合に、何ゆえに大学と本省では差が出てくるのかということがいまいちわからないところです。確かに職務上主任、係長というものをつけにくい職場であるということもあるかと思いますけれども、それによって、同等の試験を受けて入った者が、その昇級なり昇格なりの機会が均等でないということになると、これは大変困った現象だと思うのです。そのあたりの一つの目安とかいうようなもの、例えば一・二倍ぐらいとか、そういう差というもの、めどというものは何もつけておられないのでしょうか。
#143
○國分政府委員 先ほど申し上げましたように、例えば本省の組織、機構と大学の組織、機構、また、大学といいましても本部もございますし、あるいは研究所もございますし、学部もございますし、図書館もある、あるいは病院もあるということで、それぞれ組織のあり方というのが異なるわけでございますから、それらの要素を抜きにして何%というような形というのは実際問題として困難であろう、やはり職制等の基本にかかわることではないだろうかというふうに思うわけでございます。さはさりながら、実態としてそういう問題があるわけでございますので、冒頭に申し上げましたように、私どもも人事院に対しまして中堅層職員の待遇改善というようなことについて毎年度要請している、こういうことでございます。
#144
○鈴木(喜)分科員 おっしゃることはわかりましたけれども、そうしますと、これから先、大学の職員を採用するときに、将来の昇級といいますか、待遇全体についての展望みたいなものをいろいろと示される、そういう計画はございませんか。聞くところによりますと、本省の上級職を受けられた方には、大体何年ぐらいたったらどのくらいのところへ行って、どういうふうな課長にはどのくらいになってというような説明があるというふうに聞いておりますけれども、そんなに具体的なことでなくても、職員に対して将来の待遇の展望について、見通し暗いよという説明になるのかどうかわかりませんが、そういうところを御説明するようなことはお考えになっていらっしゃいませんか。
#145
○國分政府委員 これはまさにいわゆる昇進、人事上の昇進と給与上の昇進とあろうかと思いますけれども、一律に、ある年に入った人はこういうふうになるという性格のものではないわけでございます。これは大学だけでなくて本省においても同じでございまして、基本的にはその人の能力あるいは適性あるいは勤務成績というようなことから人事上の取り扱いがなされ、またその裏づけとしての給与格付がなされる、こういう性格のものであろうと思います。したがいまして、何年たったらどうなるというのはまさに人によって違うわけでございますので、一律にこうだと言うことは難しいと思います。ただ、全体としてこんな流れの人が多いとか、こういうことがあるとかというような意味合いにおいてのことであるならば、それは十分御説明できることではないだろうかというふうに思います。
#146
○鈴木(喜)分科員 今のお話を伺って、一つは大変安心したところがあります。これからは、個別的には別として、一般的な意味でどうなるかということは、大体こんなふうなおよその流れがあるよということについて大学職員の採用に際して御説明があるのであるというふうに私は理解いたしましたし、そのようによろしくお願い申し上げます。
 それからもう一つですが、今までは役職なりなんなりというものは大学全体で一まとめにしてこれだけというような形で定数が決まっていたと思うのです。主任その他の役職についても各大学ごとの定数というものを決めたり要求したりする、そういうことをお考えではいらっしゃいませんか。
#147
○國分政府委員 もし御質問の趣旨を取り違えておりましたら御指摘いただきたいと思いますけれども、現在におきましては、人事院に対するいろいろな要望等は文部省において取りまとめて人事院に要請する、これは予算などにおいても各大学の要求、要請を受けて文部省が取りまとめて財政当局に要求する、こういう仕組みになっておりますので、そういう仕組みで特に問題はないのではないか、こんなふうに考えております。
#148
○鈴木(喜)分科員 時間が余りありませんのでもう一つだけ伺います。
 いろいろな他の省庁と文部省の本省の問題なんですけれども、そこで比べた場合にも、ほかの各省庁と比べて三級というところの職員の数が大変多い。また四級のところも多い。逆に七級、十一級というところの職員の方の数はまた非常に少ない。その少なさというものが数分の一というような形で少ないというような現実について御存じでいらっしゃいますか。
#149
○國分政府委員 私どもいろいろな方々からそんな話を聞かされることがあるわけでございます。これも、他省庁との比較と申しましても、その機関の性格あるいは組織の規模、それからそれぞれの機関に働いている人の年齢構成等々が皆異なるわけでございますので、一律的な比較ということはなかなか難しいのではないだろうかというふうに思います。しかし、そういうようなお話等も伺っておりますので、先ほど来申し上げておりますように私ども毎年度待遇改善ということについては人事院に対して要求しておりますし、また、引き続きそういうことで臨んでまいりたいというふうに考えております。
#150
○鈴木(喜)分科員 この人事院に対する要求というときの文部省の態度なんでございますけれども、要求はたくさんする、しかし結果としてはそれがばっさりと切られるというような状況が今までずっと続いてきているのじゃないかと思います。その辺についてもう少し強硬な要求というものはできないものなんでしょうか。
#151
○國分政府委員 強硬にということでございますが、私ども真剣に要求しておりますし、今後も真剣に要望を重ねてまいりたいと思っております。
#152
○鈴木(喜)分科員 その際に、特別会計の部分と一般の会計の部分ということに関して、そこの部分で要求の力の度合いというものに差は絶対にないものでしょうか。
#153
○國分政府委員 それは、先ほど来申し上げておりますように、一般会計だからあるいは特別会計だからということにおいて差は全くございません。
#154
○鈴木(喜)分科員 それははっきり承りました。差のないということはこれからもずっと堅持していただきたいと思うのですが、これが職員の人たちにとってはそのように見えてこないという現実がございます。やはりそこで出てくる成果というものが余りに少ないせいであろうと私は思います。もう少しこの点に配慮していただきたいと思います。
 そしてまた、男女差の問題についても、先ほどお示しの数字のように、女性の管理職というのは非常に少ない。本当に少ない数しかございません。こういう状況は、文部省という一番男女の格差をなくして男女平等であるよという教育をこれからずっとされていくお役所の中の体制としては、非常におかしな現象だと思います。内部からそういうことでは、子供たちに教育をするところでこうなのですよというのでは、大変示しのつかないことになると思います。まず率先して男女の格差をなくし、そしてそこでの管理職の登用に積極的に取り組んでいただきたいと思っております。この点についていかがでございましょうか、最後に伺いたいと思います。
#155
○國分政府委員 大臣が御答弁申し上げる前に、私の方から若干申し上げてみたいと思います。
 処遇の改善あるいは任用等につきましては、先ほど来申し上げておりますように、私ども成績主義ということで、男性だからあるいは女性だからという区別はしていないつもりでございます。具体的な任用行為は大学当局において現在やっているわけでございますが、御指摘のように女性を積極的に登用するという観点から、例えば人事異動等によりまして幅広い職務能力あるいは知識経験を積んでいただくとか、あるいは最近非常にふえてきたようでございますが、いろいろな研修を受けることで職能を磨く女性の方が非常にふえてきておるということでもございますので、私ども、男女を問わず、能力主義あるいは成績主義に基づいた人事が行われるよう、今後とも大学当局を指導してまいりたいと思っております。
#156
○鈴木(喜)分科員 大臣にも同様のことを今伺おうと思っているところですが、その前に一つだけ申し上げます。
 今のような講習制度ですね。そういうものを女性が受けましても、受けた上でその受講者の中で女性が登用されることが、現在積極的に受けているにもかかわらず、ないという状況を踏まえて、ここで大臣の御答弁をお願いいたします。
#157
○保利国務大臣 いろいろお話を拝聴させていただきました。文部省といたしましては、今までも国立大学等の職員の処遇につきましては、男性、女性ということを問わずその能力に応じて昇格が図られるように各大学を指導してきたところでございますけれども、先生の御指摘を念頭に入れ、今後ともそのような線で指導してまいります。
#158
○鈴木(喜)分科員 一点忘れたのでつけ加えさせていただきたいのですが、今後の見通しといいますか、二十世紀もあと十年です。この間に男女格差そして大学の中でのこういった格差をなくすための御努力について見通しをお持ちでいらっしゃいますかどうか。順序が逆で済みません。
#159
○國分政府委員 これは毎年毎年の努力によりまして待遇改善も図っていく、あるいは人事、給与格付がなされていくということでございますから、具体的に例えばいつまでという形での見通しは難しいかと思います。私どもも、今後、例えば事務局長会議あるいは人事を担当している担当部長、課長会議等もございますので、そういう機会に引き続き男女を問わない能力に応じた成績主義の原則にのっとった人事任用がなされるよう努めてまいりたいと思っております。
#160
○鈴木(喜)分科員 どうもありがとうございました。
#161
○工藤主査 これにて鈴木喜久子君の質疑は終了いたしました。
 午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五分休憩
     ────◇─────
    午後零時三十一分開議
#162
○工藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 文部省所管について質疑を続行いたします。小森龍邦君。
#163
○小森分科員 それでは、ただいまから質問をさせていただきます。
 私が質問を申し上げたいと思います大筋は、今日の我が国の教育の荒廃をめぐる問題であります。
 そこで、まず第一にお尋ねをしてみたいと思いますことは、最近マスコミ等でもるる報道されておりますが、児童生徒の不登校、つまり学校に行かない、こういう状況がかなり顕著に広がっておるようでありますが、今日のところ文部省は、児童生徒の不登校の状況について数字的にはどういう把握をなさっておられるでしょうか。
#164
○菱村政府委員 御指摘のように、最近児童生徒の登校拒否ないし不登校の問題が大きな課題になっておりますが、私どもの調査によりますと、昭和六十三年度の学校に行かなかった児童生徒数は、小学生で六千二百八十五人、中学生で三万六千百人、合計で四万二千三百八十五人となっております。中学生が大変多いわけでございます。
 そこで、登校拒否にはいろいろな原因があろうかと思いますが、またタイプがあろうかと思いますが、私どもの調査によりますと、学校という集団生活の場になじめないケースとか、それから、遊びとか非行グループに入って登校しなくなったケースとか、ないしは不安など情緒的混乱によって登校しないケースなどいろいろございます。
 その原因につきましても、友人関係や学校生活をめぐる問題ないしは親子関係等の家庭生活をめぐる問題等がいろいろございますし、それらが複合的にある場合もございますので、明確に特定できないケースが多いというふうに認識しております。
#165
○小森分科員 これは年間何十日以上という一つの物差しがあるように聞いていますが、例えば年間五十日以上行かない児童生徒の数をこういうふうにまとめておるとか、数字的にはどの辺で区切っておるのでしょうか。
#166
○菱村政府委員 五十日以上ということでまとめております。
#167
○小森分科員 そうすると私どもは、たとえそれが四十五日であろうが三十日であろうが、教育の課題とすれば五十日行かないことと本質的にはほぼ同じようにとらまえたいと思いますが、例えば病気で一週間休んだとか、何かのことでいろいろな特別な事情で休んでおるとかということを除いて、教育的に不登校あるいは登校拒否というような概念にまとめられるもの、そういうものが五十日以下の場合でもおよそ見当とすれば今どれくらいあるのでしょうか。
#168
○菱村政府委員 申しわけありませんが、五十日以下の場合は私どもでは把握しておりません。
#169
○小森分科員 これは広島県の例ですけれども、ある学校教師が、学校教師をやめて、そしてこういうケースの子供たちが、家に帰らないとか、つまり学校に来ないことはもちろんだけれども家にも帰らなくなるというような、そういう居場所不明の子供を捜すことを専門に献身的にやっている人がいることを私は知っています。つい数日前に、何新聞だったかちょっと覚えませんけれども、かなり大きい記事で顔写真入りでその人のことが紹介をされておりました。私は以前その人にお会いしたときに尋ねてみたら、その人いわく、この四万二千という数字のおおよそ十倍だということを聞きました。感触としてはどうでしょうか。
#170
○菱村政府委員 申しわけありませんが、その感触も私の方ではちょっと把握していないので、申し上げられない状況でございます。
#171
○小森分科員 そうしますと、これはぜひ文部省としては、調べようと思えば全国の県教委を通じてかなり機能的に調べることができると思いますので、例えば一カ月とかあるいは二週間とかそういうところで区切りをつけて数字を把握される方がよいのじゃないかと思いますね。今の我が国の教育が荒廃をしておることの数字的データとして正確につかんで、それに対する正しい対応策というものを考えていくために、やはりそれが必要なのではないかと思いますので、そこらを一度調査なさったらどうですか。
#172
○菱村政府委員 私どもこの調査は学校基本調査をベースにしておりますので、直ちに五十日以下につきましても全国的に調査をするということにはいろいろ問題がございますが、ただ、いろいろ問題のある地域等につきまして部分的に研究をする際に、そういう実態についても把握するというようなことは若干あるようでございますし、私ども今後そういうものも集めたり、ないしは調査をお願いしたりということで実態把握に努めてまいりたいと考えております。
#173
○小森分科員 先ほど私がお尋ねをしたときに感触としてということを尋ねたのは、そういった水準の数字でもおよそ見当でこれぐらいじゃないかということを文部省がつかんでおられないと、今の教育というものはどの辺まで深刻な状況になっておるかということがはっきり頭に描かれませんから、そういうことで私の方からそういう提起をしておりますので、何も画一的な方法でということは私は申し上げませんので、ぜひ実態をつかんでおいていただきたい、こういうように思います。
 そこで、さらにお尋ねをしたいと思いますことは、私の見た目では非常に校内暴力というのが激しく横行した時期、中学とか高校で校内暴力が横行した時期がございます。特に、教師が生徒から暴力を振るわれるというような大変な時期がございまして、その流れが今度はいじめ現象という方向に動いたというふうに思うのです。それから今度はいじめ現象が、今もいじめ現象の一つの変形としていじめられるから学校へ行かないというのもあると思いますけれども、総じてそのいじめ現象から登校拒否、その登校拒否は無気力ですね。自分の人生に対する希望とか、その辺に対する、その日その日を楽しく愉快に活力を持って生きていこうというのではなくて、学校へ行かぬくらいですから無気力ですね。中には学校を休んで乱暴なことをしておる者もおると思いますけれども、それはごくわずかで、行かない者は皆家に閉じこもっておるというのが大半だと思いますけれども、どうしてこういうふうな流れになると思われますか。私はこの十年間あるいは十年少々の教育の大きな流れというものをこういうふうにつかんでおることが、それはちょっとつかみ方が文部省と見解が違うというようなことがあるでしょうか、その辺をひとつお答えいただきたいと思います。
#174
○菱村政府委員 御指摘のように、ひところ校内暴力が大変問題になりまして、私どもも文部省それから教育委員会、学校挙げてこれに取り組んだわけでございますが、幸い校内暴力がやや鎮静化してまいりましたら、今、先生がおっしゃいましたようにいじめの問題が出てきたという流れがございます。そして、いじめにつきましても、私どももこれは何とかしなければいけないということでいろいろその対策に取り組んでまいりまして、幸いいじめもかなり発生件数は減少しております。
 例えば、昭和六十年には全国で十五万余のいじめの発生件数がございましたが、昭和六十三年には二万九千、非常に大幅に減少しているというようなことがございます。しかし、いじめの問題、校内暴力の問題もなお引き続き学校では現実に起きております。私どもは、こうしたことにならないように、教育委員会、学校とともども対応しているところでございます。
#175
○小森分科員 私の尋ねておるのは、こういう傾向にあるということを私は認識していますが、その認識は、今の説明でほぼ一致しているのだなということがわかりましたが、どうしてこういう流れになるのでしょうか、その点をお聞かせいただきたい。
#176
○菱村政府委員 いろいろな要素があると思います。一つは、今日の受験競争をめぐるような一つの教育上の問題もございましょうし、それから、こう豊かな社会になりまして子供たちは何でも手に入るわけでありますが、それがかえって欲望を肥大させて、子供たちがいろいろ欲求不満になる、フラストレーションを持つというようなこともございましょうし、それから都市化が進んでまいりますので核家族化が進んでまいります。それと同時に、少子化、子供の数が少ないというようなことで、家庭の教育機能がだんだん弱まってくるというようなこともございましょう。それから地域におきましても、昔は地域のコミュニティー、共同体があって、そこで教育機能があったわけでございますが、これも工業化、都市化に伴いましてコミュニティーがだんだん弱くなって地域の教育機能も弱まってくる。それから、もちろん学校の責任もいろいろあるわけでございますが、そうしました地域とか家庭とか社会とか学校とかのいろいろな諸機能が複合的な原因となって、こうした事態が出てきているのではないだろうかというふうに考えているわけでございます。
#177
○小森分科員 後ほどまた学校の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、こういう受験競争とか豊かな社会による欲望の肥大とか、そこから出てくるストレスあるいは都市化に基づく核家族の状況となって家庭の教育力というものが減退するとか、地域の教育に対する連帯感、コミュニティーというものが衰退しておるとか、大体私もそういうふうに思いますが、校内暴力からいじめ、無気力という状況が一方あって、そして現象的に数字的に見れば、同和地区の高等学校の進学率が衰退の方向に向かっておる、また、大学の進学率も衰退に向かっておる、こういう状況にございますが、その原因はどういうふうに把握をされておられるでしょうか。
#178
○菱村政府委員 高校の進学率等につきましては、現在全国的に見ますと九四%を超しているわけでございます。
 それから、ただいま先生御指摘の対象地区に限って申し上げますと、昭和三十八年には、全国平均が六六・八%に対しまして対象地域の生徒の進学率は三〇%、非常に大幅に低かったわけでございますが、その後いろいろ進学奨励施策等をとりました結果、昭和六十一年で申し上げますと、全国平均が九三・八%に対しまして対象地域では八七・九%にまで改善されたわけでございます。しかし、なお全国平均との間に格差が五・九%ございますので、私どもとしてはなお進学奨励につきまして一層充実してまいりたいというふうに考えております。
#179
○小森分科員 大学はわかりませんか。
#180
○菱村政府委員 大学の進学率につきましては、平成元年で申し上げますと、全国平均が三〇・六%でございますが、対象地域は一九・八%で、その間の格差は一〇・八%ございます。
#181
○小森分科員 例えば、去年の状況で見たりあるいは二年、三年前の状況で見てこういうことですが、微妙にこの数年間上昇カーブをたどっておるのか、下降線をたどっておるのか、その点についての認識はどうでしょうか。
#182
○菱村政府委員 近年の数字で見ますと、例えば高等学校の対象地域におきます進学率で見ますと、六十年度から申し上げますと、昭和六十年が八七・三%、それから六十一年が八七・九%、六十二年が八八・三%、六十三年が八九・二%、なお先ほど申し上げませんでしたが、元年が八九・五%で、若干ずつではございますが、進学率は増加しているというふうに認識しております。
#183
○小森分科員 数字のことばかりやりとりしておるとあとの時間がなくなるのですが、問題は、こういう数字が果たしてどういう方法でまとめられたかということも一つ問題でありますし、もう一つは、仮にこの数字が正しかったとして、卒業時点でどうなっているか、これはどうでしょうか。
#184
○菱村政府委員 それぞれの学校におきます卒業時点での数字は把握いたしておりません。
#185
○小森分科員 これはまたいずれ機会をとらえて議論させていただきたいと思いますので、その点がまた進路を保障するという意味で非常に大事でありますから、しかるべくひとつ整えておいていただきたい、これをきょうはお願いしておきたいと思います。
 そこでもとへ戻しますが、こういう進学率の差、それは同時にまた、その人の生涯の計画というものに非常に大きな影響を持つわけでありますが、先ほど局長が理由として挙げられた校内の暴力、いじめ、無気力というコースをたどった今日の我が国の教育の状況分析に受験競争というのが一つありますが、文部省はそれが理由として挙げられるという認識を持ちながら、むしろそのことを激化さす方向に方針を持っておられるのじゃないですか。
#186
○菱村政府委員 受験競争の激化の問題につきましては、かなり以前から問題になっておりまして、私どもはずっと、これは教育上の解決すべき重大な課題だというふうに思っております。そして、そのためにいろいろな施策をとりまして解消のために努力をしているわけでございますが、なかなかこの問題の解決につきましては難しくて、十分な解決の状況になってはいないというふうに認識しております。
#187
○小森分科員 今、学校の現場の先生方がなかなか承服をしておられない、いわゆるこの新学習指導要領、これによると、例えば小学校の間に覚えさす漢字の数、これも増加の傾向をたどっておるんじゃないですか。それから、算数の問題にいたしましても、例えば二年生で従来よりは少し難しい掛け算をやらせるようにするとか、そういう受験競争の激化ということが大きな問題だという認識がありながら、次第に詰め込み主義というか難しいことを教える。これは高度に発達しようとしている我が国の産業経済の状況に対応した子供をつくろうという考え方でしょうが、それをもう少し言葉をかえて言うと、企業に役に立つ人間、そのためには少々人間がストレスを感じて疎外状況に陥って、もう学校に行かなくなる者が出てもよい、こういう方針に文部省はなっているのではないか。
 私は、よくヨーロッパの方の教育の事情について、ヨーロッパを旅行したたびに子を持つ親の皆さんに意見を聞いてみますけれども、確かに日本は学力は高い、学力は高いがそれで最後の到達するところ、本当に円満な、全人格を持った次の世代の人間が養成されるか、これは日系の人がよく言いますね、ヨーロッパにおられる日系の人が。だから、そういう意味で、これほど物事がすべて完備しておるように見える我が国にあって、小中学校で四万二千人、もう学校に五十日以上行っていない。しかし、それが四十日ぐらいにダウンしたら、さらにそれの数倍になるだろうし、一カ月ぐらいに落としたら十倍ぐらいになるのではないか。
 結局は文部省の行政のやり方、何を文部省は考えてやっているのか、私よくわかりませんけれども、何だか権威主義的なことを進めていくことによって文部省の貫禄が上がるというふうに考えておられるのかどうか知りませんけれども、そういうような状況にあるということを私は憂えていますが、これはどうですか。
#188
○菱村政府委員 私どもは、今回学習指導要領を改訂いたしましたけれども、それは子供たちを心豊かな人間に育てたいという観点からでございます。
 ただいま漢字の御指摘もございましたが、御案内のように小学校の低学年では、今回社会科と理科をやめまして、生活科一本にいたしました。そこで、時間数が少なくなりますので、それを国語に回しております。したがいまして、国語の時間数はふえておりますので、漢字を若干ふやしました。しかし六年間で十字ふやしただけでございますので、これが子供たちのそんなに負担になるというふうには思っておりません。むしろ、今までも小学校では千字ちょっとしかやっていなかったわけでございますので、これらを十分定着した指導をするということに力を尽くして、基礎、基本を重視しようということで今回の改訂を行っているわけでございます。
 とにかく子供たちが詰め込み教育にならないように、単なる頭でっかちの子供にならないように、心豊かな人間に育つように、私どもは今回の学習指導要領を改訂したつもりでございます。
#189
○小森分科員 心豊かな人間をつくるということは、人間たる存在の自己と自分を取り巻く社会との関係について正しい判断を持てる、そういう人間でなければならぬと思うのですね。
 ところが、先ほどの話を聞きますと、理科と社会科を一緒にして生活料ということにして、そして一方では掛け算を難しくしたり、字の数をふやしたり、こうなると自分が存在をしておる、自分が人間として生きておるということは、人間というものは社会的動物ですからね、社会的な問題について目が行き届くということが、これはもう第一の要件なんであります。その方は少し後退をさせて、そして字が、十字だけふやしたと言うけれども、それはどっちかというとやはり詰め込みの方向に、字を覚えさす方向に物が行っておる、こういうことでありますし、さらに中学から高校への関係で言えば、職業科というのが物すごく多極化しておる。普通料の場合も、教科が分化するということで総合的な人間がつくりにくくなっているのではないか。文部省は何だかそういうことを進めょうとしておるんじゃないか。人間が人間たるの自覚というか、人間が人間たるの認識は次第に遠のいて、そしてこの産業社会の中の歯車の一こまとして動けばよい、こういう方向になっているのではないかと私は思いますが、それはどうですか。
#190
○菱村政府委員 お言葉でございますけれども、私どもは本当に心豊かな人間、基礎、基本をしっかり身につけた人間、それから長い生涯にわたって学習を続けていくための自己教育力と申しますか、みずから学ぶ意欲とか態度とか能力とか、そういうものをしっかり身につける人間をつくりたいということで今回の改訂を行ったわけでございます。
#191
○小森分科員 そういうことと関係しますけれども、例えば今日、我が国の新憲法下の基本的な考え方というのは主権在国民でありますけれども、あれも法律的根拠のないものを新学習指導要領という名のもとに、それがかすかに法律とのつながり、法律で運営されている国家行政機関が決めたということのかすかな法律的つながりで、この君が代を歌えということを学校で強要する。先生はどう教えるのですか、これ。「君が代は千代に八千代にさざれ石の」天皇様の地位は千年も八千年も続くように、どのように先生が教えたらいいですか、これ。それは、そういうことを戦時体制下で教えてきたわけでしょう。そういうふうに世の中のそういうことに対する批判能力は社会科で能力を削って、そして産業社会の歯車の一員としてはどんどん詰め込みでやらせる。ちょうど鶏に電気をともして夜飼いをするようなものです。それじゃ人間が自信を失って、初めは暴力で対抗しておるが、いじめへ転向して、しまいには無気力になる、このコースを歩むのは当然じゃないですか。
#192
○菱村政府委員 自国の国旗であれ他国の国旗であれ、国歌であれ、いずれもこれは大切なものだと思います。したがいまして、学校教育におきましてそれを尊重する態度ということ、それに十分他国の国旗にも自国の国旗にも理解をし尊重する態度ということを教えることは、学校教育の基礎、基本の一つとしてやはり重要なことであると私どもは考えているわけでございます。したがいまして、今回の新しい学習指導要領におきましては、そういう観点から国旗・国歌の取り扱いを明確化をいたしました。
#193
○小森分科員 それがあなた方のドグマというものですね。国旗・国歌の法的根拠はないということは、これは明確でしょう。私もいつか文部省とお話し合いをしたときに、小学校課長が出ていましたよ。国旗・国歌は法律的に根拠はありません、人がそう思うておるのです。思うておるなら、あなた方、勝手に思いなさい、思うてない人もいるんだから。それを公教育の場で強制力を持たすというのは、法治国家の軌道から外れているでしょう。どうなんですか、国旗・国歌という法的根拠はあるのですか。
#194
○菱村政府委員 日の丸・君が代を国旗・国歌であるとする一般的な法令はございませんが、しかし日の丸・君が代が国旗・国歌であるとの認識は、この長い、長年の慣行によりまして慣習法あるいは事実たる慣習として国民の間に定着しているものと考えております。政府においても国会等でその点はしばしば答弁しているところでございます。こうした点を踏まえまして、学校教育におきましてもこのたび学習指導要領におきましてその扱いを明確化した、こういうことでございます。
#195
○小森分科員 それが違うのですよ、あなたは。慣習だといったらそれは、慣習だとかみんながそう思っていることについて、勝手に思うだけのものであって、私は正確な名称を今覚えていないけれども、総務庁か総理府に公式制度調査何とか会というのがあって、そこでオリンピックを前に議論をして、元号の問題だけはできたけれども、ほかのものはできていないわけでしょう。公式制度を政府が正式に議論を始めたということは、それがはっきりしていないという証拠でしょう。
 これは私は、いつか機会をつくってあなた方と国会の正式の場で議論したいと思いますけれども、かりそめにも国旗・国歌だと言うからには、よその国のようにちゃんとだれもが認めるような手続もとり、そして歴史的経過として、嫌な感じのしておるものはかっちりと歴史的なけじめをつけて、反省するなら反省するとけじめをつけて、みんながそれを使おうという気にならなかったら意味がないでしょう。きょうはそういう点を指摘をいたしまして、終わらせていただきます。
#196
○工藤主査 これにて小森龍邦君の質疑は終了いたしました。
 次に、児玉健次君。
#197
○児玉分科員 最初に、保利文部大臣にお伺いしたいのです。
 きょうは四月二十六日です。全国の学校では新学期が始まりまして一斉に健康診断が行われている時期です。昨日私は、札幌市のある高校に電話をかけて今どんなぐあいかというのを聞いてみました。その学校は一学年が十一学級と十二学級、全部合わせて三十五学級です。一クラスが四十六人、四十七人、全体で約千六百人。内科健診が昨日行われたそうですが、学校医が中心になって、校医さんの知人のお医者さんなどを一生懸命集めて、学校としても八方手を尽くして合わせて七名の内科医が、昨日千六百名の子供たちを相手にして健康診断を行いました。
 この健康診断の計画と準備、実施の中心となるのが養護教諭です。学校保健法で言っている身体検査の項目、身長、体重、胸囲、座高等々、そういったものに加えて北海道では一学年について心電図の検査と貧血の検査もやっています。それらの結果を二十一日以内に子供と父母に通知しなければならない。多くの教師の協力を得るにしても、その中心になる養護教諭がどんな苦労をしているか。しかも一人です。
 大臣は、高校生でいらっしゃったとき健康診断を御経験になったと思いますけれども、学校で学校の重要な活動の一つとして行われている健康診断をごらんになったことがあるでしょうか。まずお伺いします。
#198
○保利国務大臣 小学校、私のときは国民学校でございますが、小学校、中学校、高等学校、そしてたしか大学においても健康診断を受けた経験がございます。ただその後、実社会に出ましてから会社の中での健康診断というのは私も受けたことがございますが、一般的に社会でどのような健康診断が行われているかということにつきましては、私は今までまだ見ておりませんけれども、先生からこのようなお話がございましたので、一遍現場というものは見てみたいという願望は持っております。
#199
○児玉分科員 国民学校ということであれば私と同じ世代でございますね。
 それで、養護教諭の役割についてですが、昭和四十七年に保健体育審議会が答申をなさっている。「養護教諭は、専門的立場からすべての児童生徒の保健および環境衛生の実態を的確に把握して、疾病や情緒障害体力、栄養に関する問題等心身の健康に問題を持つ児童生徒の個別の指導にあたり、また、健康な児童生徒についても健康の増進に関する指導にあたるのみならず、長くなりますから略しますけれども、これは一つの見方だと思います。私は、これだけで言い尽くせるものではないと思っています。
 いずれにしろ、これをやってのけるというのは超人的な努力であって、文字どおりスーパーウーマンでなければできないことです。疾病や情緒障害、体力、栄養に関する問題等心身の健康に問題を持つ児童生徒の個別の指導、それが現実に大規模な高校でどのように行われているか、ある養護の先生がこう言っています。一般に落ちついて生徒に対応できる人数は一日十五人から二十人が限界ではないか。北海道で二十九学級である学校、仮にA校としましょう、そこでは一日の子供の保健室訪問が四十人以上になった日数が八日、三十人を超した日数、これは四十人以上も含みますが、二十三日、年間に保健室に訪れた子供の数は四千人を超す。そのことを知ったある新聞は、「年間四千人の生徒を相手、孤軍奮闘も限界に養護教諭の悲鳴が聞こえる」という見出しつきでその努力を紹介しています。
 文部省は養護の先生方の御苦労をどのように承知していらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
#200
○前畑政府委員 今先生御指摘になりましたように、特に近年におけるいろいろな問題から、従来にも増して、例えば心因性の問題であったりあるいは家庭内におけるいろいろな問題であったり、そういうものを抱えて保健室を訪れる児童生徒が増加をしておることは承知いたしております。よく言われますように、保健室登校という言葉も出ておるようでございますが、学校には出てくるけれども、授業には出られない、ただ保健室に来て養護教諭の先生と一日過ごして帰るというふうな状況もあるやに聞いております。
 もとよりいろいろな仕事を、それぞれのお立場でいろいろな御苦労があるということでございますが、私どもの立場からいたしますれば、養護教諭のお世話をする立場ということで、若干養護教諭に同情的な立場ではございますが、養護教諭が多忙であるということについては、各方面からしばしば承っているところであります。
#201
○児玉分科員 同情しているお立場ではないだろうと私は思います。
 子供の心と体がいろいろと困難に直面している。そういった中で養護教諭の皆さん方の学校での日々の御苦労、それを彼女たちがみずからこのように言っています。子供たちが保健室を訪れたとき、養護教諭が留守だと動揺することが多いから、保健室を留守にしない努力に全力を挙げている。トイレを我慢して排せつ障害を起こした養護の先生もいらっしゃるそうです。
 これが二人だったらどうなるか。複数でこの仕事を経験したある教師はこう言っております。「複数で仕事のできる喜び」という短い文章ですが、「最大の利点は、同じ仕事をする仲間がいるという安心感だった。」「同じ視点で、同じ方向をみつめて仕事をする人がいると安心して分担ができた。それは、仕事量が半分に、いや三分の一になったような錯覚を覚え、仕事に向かう意欲につながった。」こう述べていらっしゃるわけです。
 一人の場合ですと、ともすれば保健室を守るということに中心がいく。二人になったら分担し合いながら教師の集団的な努力で学校保健を前進的な方向に組織する、そういった能動性が生まれる。文部省はこの際、養護教諭の複数配置に踏み切るべきではないか、こう思いますが、いかがですか。
#202
○倉地政府委員 先生のお尋ねの件は、高等学校における養護教諭の問題かというふうに今承った次第でございます。
 高等学校につきましては、養護教諭も含めまして、教職員定数の改善計画というのが今進行中でございます。この中では、四学級以上の高等学校について一人、それから三学級についてはその四校につき三校について措置するという計画が進行中でございまして、平成三年度に向けて、今私どもその完成に向かって努力しているところでございます。先生のお尋ねの件は、そういう状況でございますので、そうした計画が完成した後の一つの研究項目のものではないかというふうに考えている次第でございます。
#203
○児玉分科員 誤解しないでいただきたいのですけれども、義務制を含めて、皆さん方が今進めている定員の計画、それはそれで速やかにやらなければならない、そう思いますね。養護教員が配置されていない学校に速やかに養護教諭を配置する、その課題と、大都市の、大都市とは限りませんが、大規模校に複数の養護教員を配置する課題、これはぜひ統一して進めていただきたいのです。
 私は大臣にちょっと申し上げたいのですが、私のおります北海道では、平成二年度の国の文教施策に対する要望書、最初のものは北海道議会が、大臣の属していらっしゃる自由民主党を含めて全会派一致で文部省に要望したものです。昨年の八月四日、お持ちしたと思います。「大規模校に対する養護教諭の複数配置」」そのようにそこでは明記しております。次は北海道教育委員会が出したもので、平成二年度の国の文教施策に対する要望書、同様の内容です。もう一つは、これは北海道高等学校校長協会、この部分は北海道教育委員会を通して反映させたい、具体的に述べていまして、一学年九学級以上は複数配置にしてくれ。北海道高等学校教職員組合などの要求は言うに及ばず、この点では道民のコンセンサスが完全に形成されています。その点で、文部大臣として前進的な努力を始めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#204
○保利国務大臣 ただいまお話しの陳情等につきましては、私も承知をいたしております。
 大規模校は、この養護教諭の問題のみならず、校舎の問題その他いろいろございまして、私もそれは頭の中にあるわけでございます。現状等につきましては先ほど局長から御答弁申し上げたとおりでございますが、こういった事情があるということは十分念頭に入れて対処してまいりたいと思います。
#205
○児玉分科員 この点での格段の御努力を強く求めて、次の問題に移りたいと思います。
 障害児教育の充実強化についてです。養護学校の教育が義務化されてから十年以上が経過いたしました。この中で、どんなに障害が重い子供でも適切な教育によって発達することが可能だ、そのことが父母、教職員の中で実践的に受けとめられるようになっております。障害を持つ子供だからこそ、その発達のために後期中等教育を受けさせたいという願いが、今全国的に展開されている養護学校の高等部を増設してほしい、この運動の力になっています。
 文部省は昭和六十二年九月二日衆議院で、私どもの石井郁子議員の質問に対して、社会的自立が可能な中度、軽度の障害の生徒を高等部に受け入れようとしている県と、希望する者であれば重度の者も含めてほとんど受け入れる県がある、そういう点で全国的に二つの傾向があるとお述べになって、高等部がこのように各県ばらばらでは困ると答弁されたことがありました。
 そのことに関してなんですが、どちらかといえば社会的自立を中心にして中度、軽度の障害の子供たちを高等部で受け入れるという点で代表的だとよく言われている北海道で、父母、教職員のひたむきな努力が世論を動かしまして、最近北海道教育委員会も、障害の程度の重い生徒の後期中等教育が課題になると道議会で明言するようになりました。先日、教育委員会の担当者と私が会ったときに、重度の子供を受け入れる教育は中度、軽度の子供も当然含めて進められなければならない、ごく当たり前のことですが、そのように明快にお話しになった。
 そこで、私はまずこのことに関して文部省に伺いたいのですが、中度、軽度の子供を受け入れるか、重度の子供まで含めるか、これをあれかこれかの対立関係でとらえるのでなく、障害を持つ子供の可能な限りすべてを対象として養護学校高等部を確立していく、この方向で文部省の努力を強める必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#206
○菱村政府委員 養護学校の高等部の整備につきましては、もちろんこれを充実していかなければならないと思います。盲、聾、養護学校の高等部の施設設備の整備等に国庫補助などを行っているわけでございますが、私どもは、これは各部道府県で設立なさるわけでございますので、各都道府県において地域の実態に応じまして、学校以外の労働福祉関係機関等の設備状況等もございましょうから、そういうものも考慮しながら養護学校の高等部の整備が一段と促進されますように願っているところでございます。
#207
○児玉分科員 その答えは私の質問に答えていませんよ。中度、軽度を対象にしてというのと重度、それを対立関係でとらえてどっちかというのでなく、可能性を持つさまざまな障害のすべての子供を受け入れていく方向で指導を強めるべきでないか、文部省はどうなのかと聞いているんですよ。
 昭和六十三年四月二十一日参議院文教委員会で、私どもの佐藤昭夫議員の質問に対して文部省の岡崎さんは、「いろいろな県の考えもあるけれども、やはり希望する者はできるだけ高等部に進めるような措置を各県も講ずるべきではないかというふうなことで各県にも指導しておるわけでございます。」こう言っているじゃありませんか。あなたの答弁は明らかに後退している。どうですか。
#208
○菱村政府委員 先ほども申し上げましたように、設置者であります各部道府県の御判断によりまして、地域の実態に応じて整備をしていただく必要があろうかと思います。
#209
○児玉分科員 同じことを繰り返していらっしゃる。岡崎さんが答えたことからあなたの答弁は後退している。各県それぞれ考えがあるが「希望する者はできるだけ高等部に進めるような措置を各県も講ずるべきではないか」こういうことで各県を指導している、そう言っているんですよ。それを前進させることが今文部省の課題じゃないのですか。いかがですか。
#210
○菱村政府委員 高等部につきましては義務制ではございません。これは非義務制でございますし、全入が前提になっているわけではございませんから、各都道府県の実態に対応しまして、それぞれの御判断でその整備を一層図っていただきたいというふうに私どもは考えております。
#211
○児玉分科員 言葉を通わせなきゃなりませんよ。私が言っているのは、あなたが言われるように都道府県それぞれ自主性はありますよ。そうではあっても、具体的に「希望する者はできるだけ高等部に進めるような措置」、その方向で各県を文部省は指導しているというんですよ。わかりませんかね。文部省はその立場を離れたのですか、どうですか。
    〔主査退席、佐藤(敬治)主査代理着席〕
#212
○菱村政府委員 養護学校の高等部の整備状況につきましては、先生も御存じのように各部道府県におきましてかなりのばらつきがございます。進学率を見ましても各県によりまして違うことがございますし、それからその整備状況につきましても大変ばらつきがございますので、私どもとしましては、その設置状況の低い県はまず高めていただきたい、そういう低いところから高めていくような観点で指導しているところでございます。
#213
○児玉分科員 ちょっと真剣に答えてほしいですね。私が言っている意味がわかりませんか。あなたが今述べていることは、既に何回も国会で議論になったことです。それを前提にして私は述べている。進学率が二割合のところもあれば一〇〇%に近いところもある。二割合のところはどっちかというと中度、軽度を対象にしている。そして九割をぐっと超しているところは可能なすべてを受け入れているのですよ。文部省は、さっき言いましたように昭和六十三年に「希望する者はできるだけ高等部に進めるような措置を各県も講ずるべきではないか」、それで各県を指導していると述べた事実があるのですよ。あなたはそれを否定するのか。
#214
○菱村政府委員 方向としてはできるだけ多くの子供たちを収容できるように、そこで学習できるように整備をするということは同じでございますが、ただ、その整備状況の低い県から私どもとしてはとにかくそれを高めていただきたいというつもりでいるわけでございます。
#215
○児玉分科員 整備状況の低いところから高めていくというのは、それは大いに結構ですからそのようにしていただきましょう。
 そこで、各部道府県への助成問題です。この点もこれまで文部省は何回か決意を述べていらっしゃいます。私のところに北海道高等盲学校の先生から手紙が参りました。それを読みますと、校地の狭さが甚だしい。この学校はなかなかスポーツの盛んな学校で、全国のハイジャンプで二位になった子供も生まれたことがあるそうです。私も早速行ってみたのですが、グラウンドが本当に狭くて直走路が五十メートルしかとれません。そして、弱視の子供たちでサッカー部をつくっていて健常な子供たちのサッカーの大会にも出場しているぐらいですが、グラウンドは間借りです。そこで学校の先生たちが、道路一本隔てたところに民間所有の遊休地がある、この遊休地を何とか学校用地にしてもらえないだろうかと北海道教育委員会に要望したら、教育委員会から狭いからまずいというような校地に関する基準はない、こういう答えだったそうです。
 そこで伺いたいのですが、高等盲学校、高等聾学校、養護学校高等部について校地面積に関する基準があるのかないのか。あわせて、義務制の盲、聾学校、養護学校についてはどうか。あるのかないのかを聞かしてください。
#216
○菱村政府委員 まず高等部につきましても、それから小学部、中学部につきましてもそうでございますが、校地面積等の基準はございません。
#217
○児玉分科員 文部省がお出しになった「学校施設設計指針」というのがある。そこで、「校地は、校舎と異なって足りなければ直ちに拡張するということが困難な場合が多い。すなわち、拡張が必要とされる時期には、校地の周囲には家屋が建ち並び取得が困難となるのが普通である。したがって、校地の面積は、当初から将来計画を見込んで十分に確保しておくことが望ましい。」この当然過ぎるほど当然の指摘は、障害児教育の諸学校にも適用されると思うのですが、どうですか。それともこの指摘は障害児教育についてはらち外にあるんだとお考えでしょうか。どっちかと答えてください。
#218
○菱村政府委員 これはすべての学校についての指針として書かれているものと承知しております。
#219
○児玉分科員 当然のことだと思います。
 さて、そうなりますと文部大臣、学校教育法には明確に学校を設置する場合には設置基準があってそれに従えと言っているのです。高等学校には設置基準がある。生徒一人普通科七十平米、農、水、工については百十平米の校地を必要とすると書いている。小中学校についても基準面積があります。障害を持つ子供は動きが少ないから校舎についていえば基準は必要ない、こういう考えを文部省はお持ちなんでしょうか。
#220
○菱村政府委員 これは特殊教育語学校だから基準がないというわけではございませんで、今設置基準が定められておりますのは、ただいま先生御指摘になりましたように幼稚園と高等学校でございます。小中学校及び特殊教育諸学校につきましては、いずれも設置基準という形のものは定められていないわけでございます。しかし、学校教育法及び学校教育法施行規則におきまして、教育内容とか教職員の配置とか施設設備等につきましてのある程度の基準はございますし、そのほか国庫補助に関します基準等がいろいろございまして、それが実質上設置基準の役割を果たしているということはございます。
#221
○児玉分科員 どうも言葉が通じないような気がします。
 小中学校の用地については国庫補助の必要性から基準面積が定められている、よくよく承知していますよ。そのことはもう前提で言っておるのです。私が聞いているのはそのことでなく、障害を持つ子供を対象にした学校については、学校用地についての基準を文部省はいささかも示していない、障害を持つ子供は校舎の中に入っていればいいんだからという哲学が基礎にあるんじゃないのか、どうなんですかと聞いているのです。
#222
○菱村政府委員 特殊教育語学校の校地面蒲等につきまして国としての基準を定めておりませんが、都道府県におきましては、既存の学校の例とか高等学校設置基準等を参考にして、用地事情、土地事情がいろいろ異なりましょうから、それに応じまして財政当局とも調整を図って決定していただく、整備をしていただくということになっているわけでございます。用地事情につきましては地域によってかなり異なります。東京とか大阪等の大都市圏とその他の地域では相当の実情の差がございますので、地域の実態に応じまして各都道府県において整備をしていただきたいというふうに考えているのであります。
#223
○児玉分科員 ちょっと要望したいのですが、質問に答えてほしいのですね。さっき言ったようなお考えをあなたたちは持っているのか持っていないのかと聞いているのに対して、くどくどと学校用地の取得についてのあれこれを答えるというのはフェアでないですよ。私は、あなたたちは障害を持つ子供たちは閉じ込めておけばいいという考えで、校地についての基準を持っていないのではないかと聞いているのです。
#224
○菱村政府委員 もちろんそんな考えは持っておりませんので、それはもう持っていないということを前提に事情を御説明しているわけでございます。
#225
○児玉分科員 よくわかりました。
 それでは、学校教育法の施行規則七十三条に「盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校の設置基準並びに特殊学級の設備編制は、この章に規定するもののほか、別にこれを定める。」と出ております。別にこれを定めていますか。
#226
○菱村政府委員 別に定めておりませんが、これはたしか小中学校につきましても同じような規定があったかと思います。しかし、それも別に定めていないわけでございます。
#227
○児玉分科員 子供たちを校舎の中に閉じ込める、そういう気持ちはないと伺って大いに喜んでいます。しかし、障害児教育に対する文部省の牢固としたというか、敗戦後からずっと続いたそういった等閑視がさまざまなところに出ているように私は思います。
 例えば学校教育法の百二条に、「私立の盲学校、聾(ろう)学校、養護学校及び幼稚園は、第二条第一項の規定にかかわらず、当分の間、学校法人によつて設置されることを要しない。」こう書いてあります。これが決められてから相当たっていますが、今でも「学校法人によつて設置されることを要しない。」このままじゃないのですか。
#228
○菱村政府委員 そのとおりでございます。
#229
○児玉分科員 それで私は、この後は大臣に申し上げたいのですが、北海道では障害児教育に関するさまざまな苦労をしておりますけれども、養護学校の義務制については、北海道教育委員会の努力でおおむね三万五千平米の校地を取得してつくっています。高等部についてはおおむね四万五千平米です。学校施設設計指針で校地は云々という先ほどのくだりが養護学校なども適用されるそうですから、そうであればここのところを至急具体的に整備をする必要があるのじゃないか。
 具体的に申しますが、せめて小中学校に準じて、小中学校では生徒児童急増地域における小中学校の整備については国は補助をやっています。多くの場合、養護学校は設置者が確かに市町村でなくて都道府県です。しかし、市町村が設置しているところもあります。そういうところについて、とりあえず公立小中学校並みの校地取得に対する補助を行うことが必要ではないのか、そのためにも校地についての基準を設けることが今求められているのじゃないか、このように思うのですが、大臣のお考えを聞かせてください。
#230
○倉地政府委員 学校用地の補助の問題でございますけれども、これは、先ほど申しましたように、建物と異なりまして非償却財産ということでございます。そういうことで従来から、その取得費につきましては一般的に地方債でその財源措置をしてきたところであります。先生が今お話しになりましたように、市町村の小中学校につきまして過大規模校の解消などのために用地費補助をいたしておりますけれども、これはその実態に着目しまして特例として行っているものでございます。そういう考え方でございますので、養護学校の用地費に対する国庫補助ということは極めて困難であるというふうに考えている次第でございます。
#231
○保利国務大臣 養護学校の校地の問題につきまして御指摘をいただいたわけでございますが、障害者のスポーツ振興というような意味も考えますと、御指摘の点は非常に重要な点だろうと思います。しかし、現状は今局長から申し上げましたようないろいろ厳しい問題もございます。そういったことも勘案しつつ、なお障害者が明るく楽しく学んでいける、そして社会に参加できるようにしていくというために、こういった問題については検討を重ねていくことが必要だろうと考えます。
#232
○児玉分科員 終わります。
#233
○佐藤(敬治)主査代理 これにて児玉健次君の質疑は終了いたしました。
 次に、森本晃司君。
#234
○森本分科員 きょうから聖徳太子に大変ゆかりのある法隆寺の秘宝展が都内の百貨店で行われており、昼のニュースでは総理も御夫妻でその秘宝展を見学されたというのが報じられておりまして、文化、また日本のそういった伝統的なものに対する総理の関心度は極めて高いものであるなというふうに感じながら、きょうはニュースを見ておりました。
 そこで、きょう行われた秘宝展、聖徳太子ゆかりの地に関係があると言われている遺跡が、上之宮遺跡というのが去る三月九日、奈良県で発掘されました。桜井市の文化財協会が三月九日に発表したわけでございますけれども、これは日本で最古級の園池遺構が検出されたと言われるものであります。私も近くなものですから、ここの遺跡については非常によく知っており、また関心を高めているところでございますが、その桜井文化財協会の発表によりますと、七世紀前半の我が国最古級と言われる祭祀機能をあわせ持つ園池遺構を検出した、このように言われているわけであります。同時期のそういった遺構としては島庄遺跡等々が既に発掘されているわけでございます。これは明日香村にあるわけでありますけれども、その島庄遺跡よりもはるかに一級の企画性を持ったすばらしい遺跡が発掘されたと報道されているところでございますが、この発掘状況についてまずお尋ねしたいと思います。
#235
○遠山政府委員 上之宮遺跡につきましての御質問でございますけれども、昭和六十二年に土地区画整理事業に伴う事前の調査として発掘が行われたわけでございます。その結果、掘っ立て柱建物跡を中心とする多数の遺構群が発見されたところでございます。この遺構群をめぐりましては、当時専門家の間でもさまざまな説が出されたわけでございまして、それらの中には、この遺跡は聖徳太子が幼年期を過ごされた上宮の跡ではないかというふうなお考えも一部にあったようでございます。
 このような状況にかんがみまして、桜井市の教育委員会では、上之宮跡が上宮跡であるか否かについて確認をするためさらに調査を実施いたしましたけれども、この土地が上宮の跡地であるという確証はついに得られなかったわけでございます。このために、その遺跡の取り扱いにつきまして、その後関係者間で協議を行ってまいっているわけでございますが、それを埋め戻すことによりまして、その遺構の破壊を防止する形で当該土地の造成事業を実施するということで今日その事業は進んでいるところでございます。
#236
○森本分科員 文化庁としてこの上之宮と聖徳太子との関係はどのように受けとめていらっしゃいますか。今桜井文化財協会では、聖徳太子に関係のあるものが見つからなかったということでございますけれども、文化庁としては、これは聖徳太子の上宮であったかどうかということに関してはどういう見解を持っておられるか聞きたいと思います。
#237
○遠山政府委員 これは、専門家によります極めて綿密な調査が行われました結果、その上宮の跡地であるという確証が得られなかったということでございまして、文化庁といたしましても、その結果を結論として持っているところでございます。
#238
○森本分科員 おっしゃったように、聖徳太子のゆかりの地であるとも言われておりますし、あるいはまた阿倍一族のものかともいう、それぞれの学説があるわけでありますけれども、先ほどの答弁の中にありましたように、聖徳太子が揺籃期を過ごした、三十二歳までその土地におった、さらにそこで日本の律令国家の基本となる十七カ条憲法の草案を練った等々いろいろ伝承されてきているわけであります。日本書紀の中にも、恐らくその地が上宮であろうと言われることを書いたような文章がございます。「宮の南の上殿に居らしめたまふ。故、其の名を稱へて、上宮厩戸豐聰耳太子と謂す。」上宮というのは聖徳太子のことでございまして、この日本書紀の中に今回発掘されたところが上宮であったということが書かれておりますし、また、学説よりも大事にされているとも言われております伝承が四百年ほどそこであるのではないかと言われていることについて、文化庁ほどのように考えられますか。
#239
○遠山政府委員 そのようなお考えのある専門家もおられるということは承知いたしております。そのような角度から綿密な調査を行いまして、その結果その時代のものであるということの確認が得られてないわけでございまして、私どもといたしましては専門家の調査の意見を尊重しているところでございます。
#240
○森本分科員 史跡指定にする場合の基準はどういうものがありますか。
#241
○遠山政府委員 もちろん、抽象的な言い方でございますけれども、学術上非常に貴重な資料であるということが明確になった場合でございます。
#242
○森本分科員 学術上貴重な資料かどうかという基準は何ですか。
#243
○遠山政府委員 史跡として我が国の歴史の正しい理解のために欠くことができず、かつその史跡の規模なり遺構なり出土遺物等において学術上価値のあるものという考え方でございます。
#244
○森本分科員 その先の明日香村で発掘されております島庄遺跡よりももう少し小規模のものでありますが、その史跡の中の勾の池というのは近く史跡指定にされると聞いておりますが、いかがでございますか。
#245
○遠山政府委員 今の御指摘の史跡につきましては、昭和六十三年十月に史跡の答申を受けているところでございます。
#246
○森本分科員 史跡の指定になりますか。
#247
○遠山政府委員 四十八年に発見されました方池につきましては指定の予定でございます。これは六十三年十月に史跡の答申を得ておりますので、まだ未告示でございますが、指定の予定でございます。
#248
○森本分科員 いつ官報に告示されますか。
#249
○遠山政府委員 これは近々ということで、日時についてはまだちょっと申し上げることはできません。
#250
○森本分科員 上之宮は指定になるでしょうか、ならないでしょうか、見解を伺いたい。
#251
○遠山政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、その地の調査の結果、その地が先ほどの上宮の跡という確証が得られておりませんので、現在のところ指定の予定はございません。
#252
○森本分科員 上宮の跡でなかったといっても、今回発掘されたその園池は最古級のものでありますが、上宮の跡でなければ指定にならない。だけれども、この最古級の園池という角度から見て、私は保存に値するものだと考えているわけですけれども、上宮の論争はまた別にいたしまして、上宮でないから指定にならないのか、その最古級の園池が史跡として残すのにふさわしくないから史跡指定をしないのか、どっちですか。
#253
○遠山政府委員 史跡の指定に関しましては先ほど申しましたような基準を持っておりまして、それに該当するという確証が得られた場合には指定をするわけでございますけれども、先生御指摘の先般発見されました園池風の石組み遺構につきましては、桜井市を中心といたしましてその取り扱いについて検討をされました結果、工事の施工による破壊から守るとともに何らかの方法でその活用を図っていくという方向で、その面では前向きに対処をしていく意向であると聞いているところでございます。
#254
○森本分科員 桜井市を中心としてそういうふうに回答があったが、国はどう考えているのですか。
#255
○遠山政府委員 専門家の調査も背景といたしました桜井市の検討結果について尊重してまいりたいと考えております。
#256
○森本分科員 どのようにして保存されると国は伺っておられるのですか。
#257
○遠山政府委員 まだその辺の明確なところは聞いていないところでございますけれども、埋め戻すことによってもとのままの保存は行われます。ただ、そこの石組みのような形のものはどこか別の、例えば公園のようなところにそれに似たような形のものを再現させるとかいろいろな方法があるかと存じますけれども、その方法についてはまだ明確に聞いていないところでございます。
#258
○森本分科員 埋め戻すということですが、それはいつごろ埋め戻されると聞いておられますか。
#259
○遠山政府委員 突然の御質問でございますのでちょっとわからない点もございますけれども、現在工事中のように聞いております。ただ、正確なことはちょっと申し上げかねるわけでございます。
#260
○森本分科員 そこに間もなく家が建つのです、宅地造成がされるのです。埋め戻すといってもただ土をかぶせただけじゃなしに、その上にもう家が建たんとしているわけです。確かにその所有者にとっては大変厳しい状況になるかもわかりませんけれども、日本最古のものであれば、最古級のものが出た、そして伝承によって聖徳太子のゆかりの地となるかもわからない、あるいはこれからさらに発掘していけば、今はまだ何も証拠が出ていないかもわからないけれども、その可能性が十分あるということも言えるわけであります。この大事な日本の文化財が、基準に合わないということで埋められて、そしてその上に家が建つ。再びこの世にその土地でその遺跡を復元することはあり得ないわけです。幻の遺跡になってしまうのではないか、現地ではそれを大変惜しむ人の声があるわけです。
 例えば橿原考古学研究所の室長さんですけれども、「島庄よりも技術的に立派で一級の発見。もう少し範囲を広げ全体像をつかみたい」、また和田萃京都教育大教授の「全国的にも類例のない発見。このまま宅地にすると将来悔いを残す。行政も広い視野を持ってほしい」という声等々が相当あるわけです。私も、これはもう今早く手を打たないと――上宮である証拠があるとかないとかではなしに、文化庁としてはこういう場合にはどういう形で保存しようと考えていらっしゃるのですか。
#261
○遠山政府委員 先生御指摘のように、史跡関係のものはできるだけ保存をしていくという姿勢は非常に大事なことであろうと考えておりますが、今当面上之宮遺跡に関しましては、この地をどうしていくかということについて、関係機関の中で専門家の意見も尊重しながら協議を行ったところでございますし、また、その結果発見された遺構は、これを埋め戻しとはいいましても、その遺構の破壊を防止する形でやりたいということでございます。また、その遺構の発見当時の状況といいますものはきちんと記録に保存されるわけでございますし、また、その遺構の形等につきましては、別の地に復元を図るということを考えているわけでございます。そのような総合的な方法によりまして、その地の持っている歴史的な意味というものは継続的に守られていくというふうに考えているところでございます。
#262
○森本分科員 個人的な見解で結構でございます。惜しいとは思いませんか。
#263
○遠山政府委員 なかなか個人的な意見は申し上げにくいところでございます。ただ、精神として、遺跡を大事に保存していくといことは大事でございますけれども、いわゆる現代の開発のいろいろな問題との調和をどこでとっていくかというふうなことにも十分気を配りながら、これは桜井市を中心として関係者の間で十分協議され、最もよい方向で今結論が進んでいるものと考えております。
#264
○森本分科員 桜井市、桜井市とおっしゃいますけれども、むしろ桜井市の方から指定してもらえないだろうかという話じゃなかったのですか。
#265
○遠山政府委員 その史跡の調査に直接当たりました桜井市の意見を尊重しながら、今日の結論を得ているところでございます。
#266
○森本分科員 桜井市から史跡に指定してはどうかという話はなかったのですか。
#267
○遠山政府委員 一時そういうお話があったことは確かのようでございますけれども、先ほど来申しておりますような確証が得られなかったという時点におきまして今日の結論になったというふうに聞いております。
#268
○森本分科員 さっきの答弁を聞いていますと、桜井市がそういう意向がないから文化庁は関係ないのだというふうな答弁の仕方ですね。全部桜井市が、桜井市がと。その桜井市が、かつては史跡指定をしてくれたらどうかという話があったはずなんです。疑わしさは罰せずという言葉がありますけれども、文化財については、疑わしきはまず保存していこうという姿勢が文化庁になければ、だんだん開発されていきますから、開発されていきますからということで、開発との問題でということでは、大事な大事な日本の文化遺産がだんだんなくなっていくと私は思うのです。
 これは大臣、聖徳太子とのゆかりがあるかどうかというキーワードを持つ一つの遺跡でもあるのです、まだその証拠は出てきていませんが。政治というのはやはりそういった古代のロマンにも夢をはせていかなければならない、私はそう思うので、ぜひこの保存を何とか文化庁がいろいろな角度からもう一度考えて、この場で保存できるように、願わくは史跡指定をしてもらって、そしてそこに住んでいる方々との話し合いも大事でしょうけれども、現地、現地とばかり言わずに、文化庁が乗り出していって話をするぐらいの姿勢があってもいいのではないか、そのように思うわけです。
 惜しむ声が非常に多い。家が建つまでが勝負です。もうあとわずかの間が勝負です。建ってしまえばもうどうしようもないのです、この遺跡は。きっと、今御答弁いただいております遠山次長さん、あのとき本当に残せばよかったと、文化庁次長としての任務の中にそのことが残ってくるのではないだろうかと私は思うわけですが、次長、いかがですか。
#269
○遠山政府委員 先ほど来申しておりますように、桜井市の意見によってということではございませんで、市、県あるいは国の三者が協議をいたしまして今日の結論を得ているところでございます。先生の史跡保存に関します大変強いバックアップの御姿勢というのは私どもにもひしひしとわかるわけでございますし、私どものこれまでやってまいりましたいろいろな仕事との絡みあるいはその考え方に合致するものであれば、これは指定をし、あるいは保存という形になってまいろうかと存じますけれども、この上之宮遺跡に関しましては先ほど来のような方向で進んでおります。
 なお、先生の御指摘にもございますし、もちろん関係の機関とも協議をしてみたいとは思いますけれども、方向につきましては先ほど来申し上げておりますような方向かと存じます。
#270
○森本分科員 関係者とよく協議をすると今おっしゃいましたね、協議してみたいと思うと。こういうときはほとんどやらないんです。本当にもう一度関係者ときちっとやるかどうか、もう一回。
#271
○遠山政府委員 この件に関して関係者と検討をいたします。
#272
○保利国務大臣 史跡の保存か開発かという問題は日本各地でございまして、実は私の地元にもございます。大きな遺跡が出ておりますが、結論が出れば、そしてもし史跡としてある程度のものであって永久保存が必要ないということになれば、工業団地になるかならないかという大変大きな問題を抱えている場所がございます。
 その問題とあわせ考えまして、やはり御地元のいろいろな御熱意、それから皆様方のお気持ちというものは大切にしなければなりませんが、第一義的にはやはり地元の議会、県になりますか市町村になりますか、両方だと思いますが、そういったところの意思の統一がまず第一に必要だろうと思います。その上に立ってこの問題は判断をしていかなければなりませんので、今遠山次長が申しましたように、先生せっかくの御指摘でございますから、桜井市並びに奈良県、これは役場になりますか県庁になりますかあるいは教育委員会になるかもしれませんが、そういった関係者にもう一度、県としてのあるいは市町村としての、桜井市としての意向を私の方からも確かめてみたい、このように思います。
#273
○森本分科員 あさってから総理大臣は南西アジア、インドネシアの五カ国を訪問されるわけです。遺跡保存協力をその柱に行くということです。新聞報道によりますと、「経済優先主義と批判を浴びることの多いわが国としては、海部首相の歴訪を契機に「文化を大切にする日本」を強くアピールしたい考えで、首相はそうした方針をインド議会で行う基調演説の中で表明することにしている。」総理がインドで極めて格調の高い、文化遺跡を守ることに協力するということを言ってお帰りになりますが、確かにインドネシアなどのそういった問題に協力することは極めて大事だけれども、日本最高級のこういう遺跡を一体どうして守ろうと考えているのか。私は、帰ってこられたら、単なるアピールに行くよりも足元をきちんと固めたらどうかということをお願いしたいと思います。
 こういう遺跡の場合に証拠が出ない場合があります。それは七世紀前半か六世紀と言われるものですから、わからないことがたくさんありますよ。しかし、そういう場合に、保存していこうという文化庁の姿勢、あるいは日本書紀に書かれているような文献がある中でそういったものに取り組む姿勢こそが一番大事であり、私は先ほどから大変厳しいことを申し上げているようでございますが、むしろ文化庁、ほかにおろされないで、しっかりとそういう問題を頑張っていただきたい、私は心からお願いするところでございます。
 最後に、もう時間が参りましたが、同じような史跡で、奈良県、関西学術都市の中にも含まれておりますが、世界最大の古都の史跡であります平城宮跡でございます。平城宮跡、今、古都のシンボル再現へ向かって、朱雀門復元へいよいよ着手されまして、平成三年度、その基壇が完成される方向になっているようであります。その基壇完成後、いよいよ門の本体の復元に文化庁はさらに全力を挙げて積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
#274
○遠山政府委員 平城宮跡につきましては、それこそちょうど先生のおっしゃいますように、まさにこれは守るべき史跡ということで特別史跡に指定をいたしまして、その後、文化庁の限りある予算の中でもかなりの予算を投入いたしまして逐次整備を図ってまいっているところでございます。その一環といたしまして、朱雀門の基壇につきましてはその復元を進めているところでございます。
 この問題に関しましては、昭和五十三年に特別史跡平城宮跡保存整備基本構想というものをいただいておりまして、その中にさまざまの達成すべき事柄が書いてあるわけでございますけれども、今御指摘の朱雀門の問題も含めまして、この特別史跡の整備に関しましては逐次できる限りのことをやってまいりたいというふうに考えております。
#275
○森本分科員 最後に、大臣、遺跡に対する、特に先ほど申し上げました、要するに証拠がないけれども、伝承でいろいろとされているものを大事に残していこうということに対する大臣の考え方をお伺いしたいと思います。
#276
○保利国務大臣 世界各地にいろいろな遺跡がございます。日本も歴史の長い国でありますから、いろいろな遺跡があろうかと思います。こうした遺跡はつぶしてしまえばそれまでだということは、私自身も強く感じております。地域の住民の皆様方のいろいろな御意向もあろうかと思いますが、こうしたものに対してはできるだけ保存の措置を講じていくのが国として必要な施策ではないか、そのように考えております。
#277
○森本分科員 終わります。
#278
○佐藤(敬治)主査代理 これにて森本晃司君の質疑は終了いたしました。
 次に、清水勇君。
#279
○清水分科員 時間も短いわけですから、きょうは九八年に開かれる冬季オリンピックの長野開催について、実りあるものにするために、大臣を初め政府委員のしかとした方策を承りたい、こう思います。
 JOCは、一昨年七月に文部大臣に対して、このオリンピックの長野招致についての政府保証を依頼いたしました。これはオリンピック憲章に基づいてやっているわけですね。その後の情勢等を踏まえて、政府は昨年六月に、長野オリンピックを実りあるものにしようという意味合いを込めて閣議了解を行っているわけであります。
 そこで、まず最初に承りたいことは、政府として閣議了解をされ、九八年の冬季オリンピックの長野招致を実りあるものにしよう、こういうことで御努力をいただいてきていると思うわけでありますが、具体的にどのような対応をなされてきたか、初めにその点を承っておきたいと思います。
#280
○前畑政府委員 先生御案内のとおり、オリンピックの開催は都市がやるということになっておりまして、都市が立候補をする、国内で複数ありましたときにはその国のNOCがその中の一つを選ぶ、そして国がそれを了解する旨を決める、こういうことでございます。
 具体に政府としてどのような支援活動ができるか。具体の活動になると大変難しいわけでございますが、例えば昨年十月に招致委員会が大々的に改組をされまして、いわば従来の地方レベルであったものが中央レベルになった。その際にも、私ども、大臣が顧問として、そしてまた関係職員が委員として参加をいたしているところであります。また、本年二月に長野市が立候補届を提出いたしたわけでございますが、その際には、私どもの方が窓口となりまして、海部内閣総理大臣からIOC会長あての、政府としても長野市の立候補を支持する旨の親書を託したところであります。
 このようなことが現在の私どもの支援活動でありますが、さらに申しますと、長野市及びその関係者が外国においてIOCの委員等にいろいろな説明等を行うわけでございますが、そのような外国出張の際には、外務省において必要に応じ便宜供与を行う等の協力態勢を整えているところであります。
#281
○清水分科員 今体育局長からその後の対応についてお話がありましたが、主として招致委員会の活動を可能な限り支援をする、こういうふうにおっしゃっておられるわけでありますが、そこで、若干具体的に以下お尋ねをしていきたいと思うのです。
 今の答弁の中でも示されているように、昨年十月、従来の地方レベルの招致委員会を全国レベルの招致委員会に拡大発展をさせる、その際文部省も相応の協力をなされたわけでありますが、海部総理が最高顧問、衆参両院議長も最高顧問につく、また文部大臣は顧問ということで閣僚の中心的な役割を果たそう、また組織的にも我が国のいわば朝野を挙げてというか、官民一体の形でこの招致委員会を改組発展させる、こういうことになっているわけであります。
 そこで、具体的にお尋ねをしたいのは、何といっても九八年の冬季オリンピックの開催地は、明年六月英国のバーミンガムのIOC総会、最終的には一票投票になるでありましょう、これをクリアしないことには、このハードルを乗り越えないことには、九八年のオリンピックを実らせようと幾ら声高に叫んでみても、これは後の祭りになってしまう。そう考えますと、九八年というと随分先のことのように見えるわけですけれども、現実には明年の六月までがまさに勝負どころなんです。時間があるようで、もう一年余りしかないわけでございます。また加えて、ことし九月にはIOCの東京総会が開かれる。世界各国から九十数名のIOC委員が日本へ来られる。この東京総会が実は来年六月のバーミンガムで開かれる九八年冬季五輪の候補地決定に非常に大きな影響を持つことは間違いない、私はこう認識をしているわけでありますが、その辺はどのように認識をなすっておられますか。
#282
○前畑政府委員 御指摘のとおりでございまして、実は昨年の秋でございますが、IOCのサマランチ会長が来日をいたしまして、そのとき文部大臣、当時石橋文部大臣でございましたが、サマランチ会長が表敬をされたときに、大臣からも長野の冬季オリンピック開催について支援方をお願いをいたしました。その際サマランチ会長からは、この東京IOC総会の機会というのが非常に貴重な機会という、いわば御示唆もちょうだいをいたしております。私どもとしては、このIOC総会につきまして大変貴重な機会であるということで、関係者に対しましても重点的に取り組むよう指導をいたしておるところであります。また私どもといたしましても、このIOC東京総会が円滑に開催されますよう、その主催者となります日本オリンピック委員会に対しましての所要の補助金を、現在御審議いただいております平成二年度の予算案に計上いたしておるところであります。
#283
○清水分科員 この点は特に保利文部大臣に要請をしておきたいと思うわけでありますが、今局長が述べられたとおり、九月のIOC東京総会は非常に重要である、したがって政府において新年度予算案の中に相応の予算を盛って万全を期したい、こういうふうに言われるわけでありますが、やはり大臣として強い決意を持ち、またこれをどう一つのハードルとして越えていくか、こういう意味でどのような所感を持っておられるか、所感というより所信を持っておられるかお聞かせをいただきたい、こう思います。
#284
○保利国務大臣 冬季オリンピックの長野誘致の問題につきましては、私も個人的にではありますが、大変強い気持ちを持っております。そこで、先生御指摘の本年九月のIOC、九十六回になりますか、総会がたまたま日本で開催されるというこの機会は大変いい機会でございますから、この機会を十分活用して、この長野誘致のPRへ向けて私としても一生懸命努力をしてまいりたいと思っております。
    〔佐藤(敬治)主査代理退席、主査着席〕
#285
○清水分科員 せっかくの努力をこの機会に特にお願いをしておきたいと思います。
 さてそこで、長野以外に五つの都市が立候補をされておるわけであります。一々申し上げませんが、ソ連のソチなど五カ国五都市が立候補をしている。問題は、これらの五都市にいかにして優位な立場をいろんな意味で確保をするかということが長野開催を決定づけるポイントだと思っているわけでありますが、実際問題として、私は、来年六月のバーミンガムでの総会を乗り切るために幾つかのネックがあるんではないか、こういうことを想定をしているわけでありますが、文部省としてどういうネックを予感をされているか、あればお聞かせをいただきたい。無論それらは一つ一つ克服、乗り切っていかなきゃならぬ新しい課題になるんだろうと思うんです。
 私として申し上げると、例えば東京―長野間を約一時間程度で結ぶ交通手段が確保されることが望ましいという非公式なIOC側の示唆がある。その点から申し上げると、これは文部大臣の所管ではございませんけれども、かねて課題になっておりますいわゆる新幹線の整備、これは大臣に問うても仕方がありませんから申し上げませんが、そういう、つまり交通手段の整備というものが不可欠な要単になりはしないか。これは一つのヒントなんでありますけれども、そういう点で何かネックを予想されておるものがあるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
#286
○前畑政府委員 ただいま先生御指摘の新幹線問題については、私ども特に承知をいたしておりませんが、ただ私どもが懸念をいたしておりますのは、これも先生御案内のことでありますが、スキーのアルペン競技会場がいまだに確定をしていないという問題がございます。自然保護との関係では一応の解決を見て、裏岩菅山を断念をしたわけでございますが、今後招致活動を展開していくためには、競技会場が早期に決定されることが望ましいことは申すまでもないことでありますので、関係者の間で早急に新しいコースの決定がされることを期待いたしております。
#287
○清水分科員 今の点はつい最近の新しい情勢として出てきている問題でありますが、いわゆる八方尾根というものを使って岩菅コース以上のコースを確保しよう、こういう新しい動きがあるようでありますから、この点については文部省側としてもJOCなりスキー連盟なりともよく協議をいただきながら、速やかにこれが確定されるように特段の支援をあるいは指導を進めていただきたいというふうに期待をしておきます。
 新幹線については承知をしていないと言われるわけでありますが、そうであればこれは何らかの機会に、いずれにしても一時間程度で東京から長野を結ぶ交通手段ということが非公式に示唆をされているということは事実でございますので、この辺は念頭に置いて、後日機会があれば文部大臣から運輸大臣等にしかるべくこのことに関連をして指摘をしておいていただきたい、こんなふうに希望しておきます。
 さてそこで、先ほどいわば国の立場というものは、政府の立場というものは招致委員会を支援をするという立場である、こういうふうに言われましたが、私はこれは少々消極的に過ぎはしないか、こう申し上げたいと思います。現在、櫻内議長が会長になっておられるスポーツ議連が来月に総会を開かれようとされているわけでありますが、やはり九八年の冬季オリンピックを日本に呼ぼう、長野で開催をさせよう、そのためには単に招致委員会に任せるということではなしに、国自身が、例えば九八年冬季オリンピックの位置づけをナショナルプロジェクト並み程度に高く重く位置づける必要があるんではないか、こういう機運が超党派の議連の中にも芽生えているわけであります。この辺はどのように受けとめておられますか。
#288
○前畑政府委員 御案内のとおり、開催都市の決定というのはIOCの委員が投票で決めるわけでございますので、専ら現在の招致委員会の活動は、外国においてIOCの委員と接触をし、そしていろんな情報を提供しながら長野側の実情を説明をして理解を求める、そういうことで進んでおりまして、既にIOCの委員全員とは接触をし、また十数人については長野市に招いていろんな事情も実際に説明をした、このように伺っております。ただ、先生おっしゃるように、もちろん国内的にもそういった各方面の動きでもってこの運動を盛り上げるということになれば、招致委員会としても一層活発に運動を展開することにもなろうかと思う次第であります。
#289
○清水分科員 私がお尋ねをしている意味とちょっと違った答弁が返ってきているわけですが、今言われた点は、それで十二分に推進を図られるべきものだと思っておりますけれども、そうではなしに、やはり単に国が都市なりあるいは招致委員会なりを支援をする、こういう消極的とも思える立場から一歩進めて、何とかこれを国を挙げて招致に成功をする、さらに九八年の成功を図っていく、こういう位置づけというものが必要なんではないか。それは例えば超党派のスポーツ議連でも、九八年冬季オリンピック長野招致あるいは長野開催というものを国がナショナルプロジェクト並みに位置づけていく、そういう必要があるんではないか、こういう意向を来るべき総会等を通じて示されようとしていると承知をしております。ですから、政府自身も、これは文部省が所管でありますけれども、文部省が中心となってそういう高い、重い位置づけをする、招致委員会と文字どおり一体となって招致に向け、開催地が決定した後はその成功に向け最善の努力を尽くす、これが非常に必要じゃないか、こう思って承ったわけなんでありますが、どうですか。
#290
○前畑政府委員 国が招致活動を支援をするという支援の仕方、具体に何をやるかということになりますと、実は私どもも大変戸惑っておる次第でございまして、例えば先ほど申し上げましたように、長野市あるいは長野県側の要請に従って海部総理の親善をとるについて窓口となって仕事を進めたり、あるいは外務省ともよく相談をしながら外国出張に際しての便宜供与について協議をしたり等々のことをやっております。また、長野市あるいは長野県に対しましても、文部省としてやれることはできるだけの努力はするということは申し出てありますので、もし必要があれば先方から何らかの話が来ようと思いますが、具体にIOCの委員を説得することが一番大事なことでありますので、その点について考えてみますと、政府として一体何ほどのことがやれるかなと、ちょっとこう考え込んでおるところであります。
#291
○清水分科員 これまでいろいろと努力をされてきていることは多といたしますし、今局長が述べておられる個々の、これまでなされてきた努力、この点についても多といたしますが、一口に言えば名古屋のオリンピックも実は失敗しちゃったわけですね。なぜ失敗したのか、なぜソウルに敗北をしたのか、こういう反省と名古屋の敗北を教訓として再び敗北をすることかないようにという、そういう意味合いからもやはり政府というか国というか、特段の取り組みについて一段と配慮を払ってもらう必要がある。
 私も、我が国においでのIOC委員の先生方に、先生方といってもお二人ですけれども、何回かお目にかかったことがございます。言われることを聞いておりますと、例えば名古屋とソウルを比較した場合、ソウルの場合には、ああいうお国柄でありますから、それは国威宣揚の一つのチャンスにしようという、我が国の今の置かれている立場とは異なった主体的な事情もあったのでありましょうが、いずれにせよ立候補と同時に、例えば競技施設の建設に入る、あるいは交通手段の整備を図る、有名なソウルの地下鉄なんていうようなものもその間にやる。IOCの委員の皆さんが視察に来られると、そこにまざまざと熱意がほとばしるように目に映る。一方、名古屋の場合、これは仄聞をしていることでありますから正確でないかもしれませんが、IOCの総会で開催地が決まったところで競技施設その他の段取りをしていこう。ですから、IOCの委員の皆さんの眼に映るものは、ソウルとは違った、何かそこにほとばしる熱意というものがうかがわれない。そういうものが最終的には大逆転でソウル開催というふうに決定を見ている、こういうことを言われているわけですね。
 ですから、たまたま海部総理は愛知県の御出身である。まさか二度までもオリンピックの開催地をめぐって敗北をされるというわけにはまいらない。また先日は、るる保利文部大臣がここにおいでになって、そういうような名古屋の二の舞を演じることはないだろう、こういう期待を持っているわけでありますが、そういう意味合いから、実は私はもうちょっと、何かできるかということ、それは今後の問題ですが、姿勢として政府があるいは国が大きく招致に向けて努力を尽くすことはやぶさかでない、こういうほとばしるような情熱、これがIOCの各委員に伝わるか伝わらないかということが非常に大事だと思うのです。そういう意味でちょっと大臣の政治家としての御判断を承りたい、こう思います。
#292
○保利国務大臣 オリンピックを日本で開くということば、先生はナショナルプロジェクトという言葉をお使いでございましたが、私もそのような気持ちは強く持っております。そこで私どもの取り組みとして、立場上のいろいろな問題もございますけれども、総理が最高顧問をおやりをいただいている招致委員会、また両院議長も最高顧問であられる、同時にまた文部大臣、不肖私も顧問を仰せつかっているというその招致委員会の活動を活性化させて、そしてこの招致に向けて、ことしの九月に開かれますIOCの総会等、大変貴重な機会でございますから、こういった機会等を十二分に利用するように努力を重ねていかなければならないのではないかと思っております。同時にまた、これはナショナルプロジェクトというようなことになりますれば、国民を挙げてこの招致という問題に関心を持っていただかなければならないわけでありますから、そういったところの環境の整備等についても十分に関係者の皆様方の御協力をお願いをしなければならないことではないか、このように考えております。
#293
○清水分科員 決意を承りまして意を強くいたしました。
 そこでこの機会に、最後になりますけれども、若干の意見がましいことを申し上げながら、一段と御努力を煩わしたいというふうに思います。
 言うまでもなく、経済大国と言われる我が国は、今日国際社会により大きな貢献をしていかなければならない、そういう責務を持っていると思います。特に、さまざまな国際交流を通じて世界の平和というものにどう貢献をしていくか、これは特に大事なことだと思っているわけでありますが、その意味で申し上げると、オリンピックというのはまさに平和の祭典である、そういう意味で九八年の冬季オリンピックを日本に迎えるという意味はまた格別なものがあるのだろうと思うわけです。札幌以来二十六年ぶりに、日本で今迎えられるかどうか、そういう状況に立っているわけでありますが、私は何としても、九八年のオリンピックを成功させるということを通じながら国際親善の機会を深めて、それから文部大臣自身、また文部省の皆さんがお考えになっているように、とかく我が国は、経済には強いが文化には弱い、経済は一流だが文化は三流だなどと指摘を受けるような側面もあるわけでありますから、この機会に文化なりスポーツの振興を積極的に図る、そういう機会に使うべきなんじゃないか、こういうような意欲をぜひ政府、とりわけ文部省に求めておきたいと思っているわけでございます。
 日米構造協議の経過を通じ、あるいはEC諸国からの指摘を待つまでもなく、どうも日本は経済中心で文化に弱いのではないかという批判もあるわけでありますが、この際、経済大国から文化大国への第一歩を踏み出すというような意味合いからも、この問題を重視してかかってもらいたい。特に大臣御指摘のように、ことしの九月、IOC東京総会、そして来年の六月のバーミンガム総会、ここまでが何といったって勝負どころなんですから、一層の意欲ある取り組みを行っていただきたい。
 時間がありませんから、最後に一言ずつ大臣と局長から所信を承って終わりにしたいと思います。
#294
○保利国務大臣 冬季オリンピック招致にかける先生の大変御熱意あふれるお話を承らせていただきました。そのお話をしっかり胸に入れまして、今後、来るべき招致活動に向けて努力を重ねたいと思います。
#295
○前畑政府委員 大臣の御指導をいただきながら、私どもとしても事務的に努力をさせていただきたいと考えております。
#296
○清水分科員 ありがとうございました。終わります。
#297
○工藤主査 これにて清水勇君の質疑は終了いたしました。
 次に、秋葉忠利君。
#298
○秋葉分科員 社会党の秋葉でございます。
 主に二つの問題について伺いたいのですが、一つは教育の国際化ということ、もう一つはそれと全く無関係ではありませんが、私学の役割といった点、その二点について主に伺いたいと思います。
 まず大臣に伺いたいのですが、臨時教育審議会の教育改革に関する最終答申が昭和六十二年に出ております。それから現在まで、その答申に盛られたさまざまな点があるわけですが、特に私が関心を持っておりますのは、教育の国際化という問題、それから、社会が多様化している、価値観が多様化している、そういった状況にかんがみて、教育がこれからどのような方向に向かっていくのか、文部省としてはその辺のところをどういうふうに考えているのか。最終答申が出てから少し時間がたっておりますので、最終答申に盛られた内容、それを現在でも文部大臣は尊重して、これから文部省の方針として国際化あるいは価値観の多様化という点についてお考えになるつもりか、あるいはその間に少し文部省としては方針の修正があったのか、その現状についてまず文部大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#299
○保利国務大臣 具体的な経過等につきましては政府委員から後ほど答弁をいたさせます。しかし、先生御指摘の国際化、あるいは最近は情報化という言葉もございます。また社会が大きく変化をしているというようなことが言われておりますが、こうしたいろいろな変化に対して主体的に応じていかれるような日本人を育成するというのはこれからの教育の大きな目的であろうかと思います。
 このために、豊かな心を持つ子供、さらにまた自己教育といいますか自分で進んで勉強しよう、そういう自発的な気持ち、さらに基礎となる勉強、いわゆる基礎・基本と申しておりますがそういったことへの取り組み、さらにまた、文化、伝統あるいは個性というようなものを尊重する教育、そういったところへこれから重点的にいろいろ考えていかなければならないのだろうと思っております。
 そういうような考え方で新学習指導要領をつくらせていただいたわけでございますが、こういった趣旨に沿ってこれからも努めてまいりたいと思っております。おっしゃられるように国際化の問題、大変大きな波を日本が受けておりますが、こうした中で日本が将来とも繁栄をしていくためには、やはりそれに対応する人材の育成ということが大変重要な任務であろうということを私も痛感をいたしております。
 細部の経過等につきましては政府委員から報告をさせます。
#300
○菱村政府委員 国際化の進展に伴いまして教育がそれに対応していく、その内容として一番重要なのはやはり学校の教育内容であろうかと思いますが、この教育内容の改善につきましては、先般学習指導要領を小中高変えまして、国際化に対応する教育ということをかなり重視してまいっております。それから臨教審で御指摘いただいております帰国子女の問題さらには国際学校の問題、また高校生の海外留学の措置と申しますか、外国で学んだことを日本の履修とみなすというような措置につきましても、それぞれ具体的な対応を図ってきているところでございます。
#301
○秋葉分科員 一応臨教審の答申を尊重して、その方針に従ってこれからの国際化あるいは価値観の多様化といった面に対応していくというお答えだと思いますが、その解釈が間違っていたら御指摘いただきたいと思います。
 そういたしますと、私、この臨教審の緑の表紙の最終答申を持っておりますが、例えばその十八ページに「また、異なる価値観や文化を受け入れる姿勢が大切である。」これは教育の評価に関して言っているところですけれども、姿勢としては、これからの教育において異なる価値観あるいは異なる文化を受け入れていく、そういった姿勢が教育において大事であるという指摘だと私はとっているのです。これは、ただ単に学校教育の場ではなくて、文部省がさまざまな施策を行う際に文部省自身の態度でもあるべきだ、そこまで表明しているというふうに私は解釈いたします。すなわち、学校の教育においては異なる価値観や文化を受け入れる姿勢が大事だけれども、文部省自体がその仕事を進めていく上では異なる価値観を重視する必要はないんだ、あるいは異なる文化を尊重する必要はないんだというようなことを言っているのではなくて、もちろん教育の内容においては他国の文化を尊重しなくちゃいけない、異なった価値観を尊重しなくてはいけない。同時に、いわばその教育の管轄を行う文部省においても同じような姿勢を持って行政の責任を果たしていく、そういうふうに解釈いたしておりますが、その解釈でよろしいのでしょうか、文部大臣。
#302
○菱村政府委員 異なるものに対する評価と申しますか、異質なものに対する評価、価値観に対する評価ということはこれからの国際化に当たって大変重要なことであると私どもも考えております。もちろん教育行政を行う上にもそれは基本的に大事なことだと思っております。
 ただ、いろいろ諸制度の改革ということになりますと、いろいろな分野での総合的な調整が必要となってまいりますので、なかなか難しい問題もあるということを日ごろ私どもも痛感しておるところでございます。
#303
○秋葉分科員 ありがとうございました。
 今私は後半の部分は伺わなかったわけですけれども、お答えの中に既に出てまいりましたので、文部省としては、確かに姿勢としては異なる価値観や文化を受け入れる姿勢が大切である、しかしながら、現実問題として文部省が行っていることはさまざまな問題があるから必ずしもその理想どおりにはいっていないのだという現状を非常に謙虚に自己分析され、ある意味で自己批判をされた今のお答えであると後半はとらせていただきます。
 実は、文部省も私も共有している価値観、もう一歩踏み込んで行うことはできないのか。例えば、先ほど幾つか列挙された中にも関連のあることですけれども、日本の学校の中でも、日本の国内でも、さまざまな国際的な教育がなされている。そういうものについて、文部省がいま一歩踏み込んで、それを日本全体の教育システムの中に取り込んでいくようなことは不可能なのか、その辺まで踏み込むとしたら一体どういう問題があるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#304
○菱村政府委員 例えば臨教審答申で新国際学校の設置の提言をしております。これは全く新しい学校制度として設置することも可能なのかもしれませんが、これにつきましてはいろいろ検討すべき課題が多いと思います。実際上、例えば東京都では今回新しく国際高校という帰国子女、外国人子女、一般の日本人子女がともに学ぶという学校をつくっておりますが、そういう意味では、全く新しいものをつくることはなかなか難しいけれども、漸進的に進んでいるというところはございます。
 それから、先ほどもちょっと申し上げましたが、高校生の留学生制度、単位の互換の措置のようなものも今回やっておりますし、私どもとしましてはできる限り国際化の方向で、その精神で行政を進めていきたいと考えているわけです。
#305
○秋葉分科員 それを伺って大変うれしいのですが、私も高校時代にアメリカに留学いたしまして、アメリカの高校の単位が日本で認められなかったということで大変苦労いたしました。そういうことが現実の問題として処理されていって、国際化がかなり進んでいるということで意を強くしているのです。
 国際学校についてはこれから新しくつくる姿勢である、しかし新規に設立するのは非常に難しいという現状把握なわけですが、私もそうだと思います。しかしながら、日本国内には既にそういった形での外国語によって教育を行う各種学校、これは学校法人としては認められていないようですけれども、さまざまな学校がある。新規に設立するのではなくて、新規に設立することが難しいとしたら、そういった現在日本国内にあるさまざまな国際学校、外国語で教育を行う学校について文部省がこれに承認を与える、学校法人として認める、あるいはそれ以上の措置をとるということで、現在、各種学校としてどちらかというと日の当たらない場所にいる、経営上も非常に難しいという点をもっと改善されるお考えはないのでしょうか。できたら文部大臣としてその大方針を伺わせていただければ大変ありがたいと思います。
#306
○菱村政府委員 日本にもアメリカンスクール等の各種のインターナショナルスクールがございます。これらは各種学校の認可を受けているのもございますし、そうでないのもございますが、これらが日本の学校教育法体系上に正当に位置づけられるべきではないかという御指摘かと存じます。
 もちろんこれらの学校が学校教育法に言います例えば第一条の学校の要件を満たせば、それはそれで一条学校として認められるわけでございますけれども、現在のところ、その一条学校の要件にはこれらの学校は該当しないということで一条学校としては認可を受けていないのであります。我が国の教育基本法それから学校教育法では国民の育成ということを言っておりまして、それに基づきまして現在の学習指導要領等が定められております。したがいまして、教育基本法、学校教育法、それらに基づきました学習指導要領を行う学校でありまして、その他の要件も満たせば、日本の一条学校、普通の小中高校と同じになるわけでございますが、これらの学校はそういうことではないので、それを直ちに認めるにはなかなか困難な問題が多いと思います。
#307
○保利国務大臣 私にもお尋ねでございますが、先ほどお答えを申し上げました中に国際化というお話をさせていただいた。私も実は五年ほどフランスで仕事をしまして、子供たちもフランスで教育を受けた体験がございます。そういう中で感じますことは、今国際化の問題が非常に広く言われ、さらにまた大きな波が日本に押し寄せてきている現状にあって、日本人とは一体どういうものであろうか、またどういうふうになるべきであろうかということを考えてみますと、これは非常に大きなテーマでございまして、一朝一夕にして結論がなかなか出しにくいことだと思っております。
 ただ、日本は二千年以上の伝統を持つ国でございますが、地理的条件から、日本という国の中でこれからも長い間民族が生活をしていかなければならない。そのときにこの日本列島に一番適合した人間というものをまず養成していかなければならない、日本人らしきというものを養っていかなければいけないのではないかなという考え方が一つございます。同時にまた、日本人と諸外国の皆さんとの間にも、先生も御経験がおありかと思いますが、意識のずれとか思考方法のずれとかいろいろな問題があると思います。それをいかにすり合わせていくかというところに国際化時代の教育の難しさがあろうかと思います。
 したがいまして、その両方を考えて、つまりいかに日本人らしい日本人をつくるかということ、そしてその日本人がいかに国際化に適合していくかというこの二つの問題を兼ねて考えていくことが、これから恐らく急激に日本の社会も変貌してまいりましょうから、時間がかかるかもしれませんけれども、真剣に取り組んでいかなければならないテーマではないかな、このように考えております。
#308
○秋葉分科員 ただいまの文部大臣のお答えの中に、日本のこれまでの二千年の歴史という言葉がありましたが、その歴史の上に立ってこれからの教育を考える、大賛成です。二千年の歴史の中には、私たちにとって非常に誇りに思う時期もありましたし、あるいは後悔とともに深い反省の念を持って振り返らなくてはならない時期もございます。
 大臣の方から歴史という話が出ましたので、私も歴史について少々考えてみたいと思います。
 この国際化にあっても私たちは歴史の重さを、それがどのような歴史であろうと担っていかなければいけないという現実がございます。その歴史の一部として、現在、日本国内には在日韓国・朝鮮人、そして三世の問題も最近非常に大きくクローズアップされておりますけれども、非常に多くの人が住んでおります。そして、去年も在日韓国・朝鮮人の子弟のいじめの問題が出てまいりました。さまざまな差別の問題も出てまいりました。今私がお伺いした中にも、こういった在日韓国・朝鮮人の子供たちの教育の問題も当然含まれているわけです。二千年の歴史を振り返って、その中で我々が反省すべき点は反省し、その謝罪の意を、例えば在日韓国・朝鮮人にもっと直接的に教育の場において示すのも歴史に対する責任の非常に大切な一つのとり方ではないかと思います。
 事実、きょうの分科会におきまして、外務大臣は、韓国・朝鮮に対する謝意を例えば私たちが国会で決議をすること、それに対しては賛成である旨の発言をされています。それをもう一歩踏み込んで、文部大臣としては、例えば在日韓国・朝鮮人の問題に関して、朝鮮人学校を、学校法一条の適格条件をすべて満たさないかもしれないけれども、少なくともその扱いにおいてはそれ以上の、それと同等の扱いをする、そういう例外規定を設けることによって、私たちの持っている歴史的な重み、私たちの持っている反省を公式に、しかも、はっきりと世界に向かって示す気はございますでしょうか。
#309
○菱村政府委員 在日韓国人の教育の問題につきましては、もちろん私どもの小中学校において御希望があれば受け入れるということで来ております。また、朝鮮人学校につきましては、これは先ほど申し上げましたように、現在の学校教育法第一条の学校の要件は備えていないというふうに思われますので、これを小中学校と同じように一条学校として位置づけるということは大変難しい問題であろうと思います。
#310
○保利国務大臣 ただいま局長から御答弁申し上げましたとおり、この問題は予算委員会の総括質問の中でもかなり出ております。考え方といたしまして、事日本人の教育ということに絡む問題でもございますし、そういった意味で慎重に検討していかなければならないことだと思っております。
 なお、日韓間においては現在いろいろな交渉がなされておりますし、交渉の過程のことでもございますから、これ以上の御答弁はこの場ではお許しをいただきたいと思います。
#311
○秋葉分科員 これ以上の答弁はということなんですが、子供たちの教育に関する問題、子供たちのいじめの問題あるいは差別の問題は時を待ちません。私自身は待っても構わないのですけれども、現在、日々こういったことで問題が生じている、そういう現実がございます。ですから、あえてもう一問だけこれに関して質問させていただきたいのです。
 それは、仮に法律上の制度に関していろいろ運用を柔軟にすることには問題があれ、私はぜひ柔軟な運用をしていただきたいと思うのですが、歴史的な責任をどういうふうに果たしていくのか。そのあたりのいわば覚悟といったところをお示しいただきたいのが一つ。
 それから、その覚悟の表現にはさまざまな方法があると思うのですが、例えば朝鮮人学校の生徒児童に対して通学の際の定期、この通学定期を発行する、そのくらいのところから始めて、普通の日本人の生徒児童と同じような扱いを徐々に実現していくといったことは可能だと思います。通学定期の件に関しても、例えば朝鮮人学校に関しては、私鉄は発行しているけれども、JRは発行していない。JRも私鉄になったのですから、本来だったらJRも当然発行しなければいけないのでしょうけれども、発行していない。一部の地域においてそういった報告もなされております。そういった簡単なところ、しかも、制度上も、あるいは国民感情からいってもほとんど問題のないようなところから始めて、徐々にそういった歴史的な責任を全うしていく、そういうことが必要ではないかと思うのですが、そのあたりの前向きの決意なりあるいはお考えをぜひ開陳していただきたいと思います。
#312
○保利国務大臣 まず最初に歴史のことでございますが、外務大臣のお話を引用されました。私もまだ直接に伺っておりませんが、過去において不幸な歴史があり、大変御迷惑をわかけしたということについては認識をともにいたしております。
 それから、通学定期の問題についてお話がございましたが、これは実は私どものところで管轄している問題ではなく運輸省の管轄の問題でございますので、私がお答えする立場にございませんものですから、これはひとつお許しをいただきたいと思います。
#313
○秋葉分科員 管轄が違うことはわかるのですが、例えば、現在日本で教育を受けている少年たち、少女たち、子供たちがどの国の人間であれ、教育上の観点から差別を受けることは望ましくない、その観点から運輸省としてもぜひ協力をお願いしたいといったような要請なり、あるいはこういったことが我々のところには報告されているといった意味での報告の取り次ぎ、そういった形での動きもできるのではないかと思うのです。そういった形でも結構ですから、ぜひ御協力をお願いしたいと思います。
#314
○國分政府委員 通学定期の問題でございますが、この問題については、ただいま大臣がお答え申し上げましたように、運輸省が所管しているわけでございます。先般も予算委員会で運輸大臣から検討するというような御趣旨の答弁があったところでございますが、先生の御希望の御趣旨あるいは御要請の御趣旨につきましては運輸当尚に伝えたいと思っております。
#315
○秋葉分科員 大変ありがとうございます。
 実はその問題ともう一点、私学のことについて伺いたかったのですが、余り時間がありませんので結論の部分だけ一つ二つ伺いたいのです。
 今私が申し上げてきた国際化の問題にしても、あるいは社会が非常に多様になっている、そういった現状から考えても私学の役割がこれからますます重要になってくると考えられます。その上で、これまでの国の私学助成の方針がどの辺にあるのかはっきりしないという問題が一つあるわけです。
 具体的に補助額を見てみますと、例えば高校の場合、公立の生徒に比べて私立の生徒は負担が約二・五倍というふうに重い、そういう統計がございます。概数ですから二・四かもしれませんし二・六かもしれませんが、大体その程度の負担を強いられている。それに対して、例えば、国の私学助成の大方針として公立の生徒にかけられる標準教育費の二分の一を私学の生徒に対して出してくれないか、こういう要請が長い間出ております。こういった形での科学の助成をこれから行われる気があるのか、もし障害があるとしたらそれはどのような点なのか、お聞かせいただければと思います。
 それから一つお願いなんですが、私たち社会党の新人議員で九〇(キューマル)会というのをつくっているのですが、その中で、先生と呼ばない、呼ばせないという運動をやっております。私は大学の教師ですので、先生と呼ばれて不思議はないわけですが、国会議員としてここで質問させていただいております。普通の、例えばさんづけでも結構ですし、あるいは議員でも結構ですが、先生という上下関係をあえて強調する呼び名を政治家と有権者の間に設けることは好ましくないという観点からこういう運動をしているのですが、もし御協力いただければ大変ありがたいと思います。
#316
○野崎(弘)政府委員 高校以下の経常費助成についてのお尋ねかと思うわけでございますが、高校以下の経常費助成につきましては都道府県が補助をする、都道府県に対して国は奨励的補助を行うということで、私どもとしましては都道府県の助成水準が高いところに国の助成も厚く行くというような考え方で国の助成を行っておるわけでございます。現在、都道府県におきまして若干高いところ、低いところがあるわけでございますが、基本的には地方交付税措置を受けまして県が努力していただいている、国はそれに対して経常費の助成を行っているわけでございます。最近財政が大変厳しい中でこの対応が難しいわけですが、ここ近年、十数億の単位でございますけれども、国の経常費助成もふやさせていただいている、こういう状況でございます。
#317
○秋葉分科員 形としてはそういうことになっているかもしれませんが、例えば全日制の高校の場合、学校がどのくらいの収入をどこから得ているかという分析がございます。全国的な数字を見ますと、児と県によるばらつきは非常に少なくて、この五、六年ほど、全体として大体四七、八%から五〇%を生徒が負担するという形で、しかも生徒の負担が少しずつではありますけれどもふえる方向、五〇%を超える方向での助成がなされている。うがった見方をすれば、国が地方自治体に対して指導性を発揮しながらこういった傾向をつくっているのではないか。そうでなければなぜこれほど非常に人工的な総額が出てくるのか、人工的な統計が出てくるのか、ちょっと理解に苦しむところがあるのですけれども、文部省としてはそういった指導を一切しない、全く地方自治体の独立性に任せている、しかも機構上も慣習上も地方自治体の独立性が保たれているのかといったところをお聞きしたいと思います。
#318
○野崎(弘)政府委員 高校以下につきましては所轄が都道府県知事ということになっておりますので、私どもとしては、その都道府県におきます振興策というものに期待をしているわけでございます。
 なお、生徒の負担の問題でございますけれども、私学振興助成法ができました昭和五十一年と平成元年度を比較いたしますと、これは授業料だけの比較になりますが、公立と私立の差が五・〇倍、つまり私立の方が五倍高かったわけでございますが、平成元年度ではこれが二・八倍というようなことで、国の措置、あるいは都道府県のそういう経常費助成の措借という面がこういうところにも反映をしてきていると私どもは考えております。
#319
○秋葉分科員 時間がなくなりましたので、実はこれからもう少し詳しい数字を挙げて御質問するつもりだったのですが、できません。
 最後に、一応私は、文部省が高校以下の私学の助成に関してもかなり大きな指導力を持って、日本全体に影響を与えているという前提で話をしておりますが、その前提の上に立って、やはりこれから教育の国際化、そして非常に多様な価値が出てくる社会、その社会の中での新しい若い人たちの教育、その質を確保するために、ぜひ私学助成にもっともっと大きく二歩も三歩も踏み込んでいただきたいというお願いを述べて、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#320
○工藤主査 これにて秋葉忠利君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井英勝君。
#321
○吉井(英)分科員 私は、高校生の海外留学問題、ホームステイ問題について伺いたいと思います。
 高校生の海外留学については、交換留学とかあるいは私費留学とか形態はそれぞれ異なっておりますが、まず文部省に、交換留学、私費留学について、そうした形態での海外留学生の最近の動向はどんな状況にあるか、簡単にお聞かせ願いたいと思います。
#322
○菱村政府委員 文部省の調査によりますと、昭和六十三年度に三カ月以上にわたりまして外国の高等学校で学習した高校生の数は、四千二百八十三人となっております。
#323
○吉井(英)分科員 短期と長期がありますね。短期では一カ月から二カ月、また二十日間ぐらいのものとかがありますし、長期になりますと一年、二年のものがあるわけですが、この期間は短期にしろ長期にしろ当然日本の学校は休学とか夏休み中とかそういうことになりますので、いずれにしろ日本の学校に在籍していることは間違いないわけですね。こうした海外留学生について、教育面からの指導の問題、またせっかくの海外留学の中で問題が起こっていないかどうかという実態の把握などが大事じゃないかと思うのですが、この点についてはいかがでしょう。
#324
○菱村政府委員 高等学校段階におきます留学は、適切な配慮のもとで実施されなければならないと思います。しかし、近年、残念ながら安易な気持ちで留学を希望して外国に出かける例とか、ないしは外国でいろいろ情報不足等からあつれきを生じたりトラブルを生じたりという問題が指摘されているわけでございますが、全体的な実態につきましては私の方で現在のところ把握いたしておりません。
#325
○吉井(英)分科員 外務省の邦人保護課のお話を伺うと、領事館からの報告を合計してみて、年間一千万人の方が海外渡航される中で、軽微なものを除いて邦人援護した件数というのは年間一万件ぐらいに上るということを伺っております。それが大体全体の状況のようですが、そうした中で、海外に留学する学生がふえてくるにつれてトラブルもふえてきております。外務省領事移住部長も、実は「THE高校留学」という本の「刊行に当たって」というところで「外務省領事移住部には、留学、特にホームステイ留学に関するトラブルの報告も増えてきました。」そういうことも触れられております。文部省の方に先に伺っておきたいのですが、一年なら一年の途中で帰ってくる人数、一年ならずして二カ月や四カ月で帰ってきた人数とか、その理由というのはどういうものであるか、これはつかんでいらっしゃるでしょうか。
#326
○菱村政府委員 全体的な悉皆の調査はやっておりませんのでその実態はわかりませんが、文部省関係の団体、AFSとかYFUないしは日本国際生活体験協会等におきまして最近の実態につきまして調査した例はございます。
#327
○吉井(英)分科員 実態をつかんで、調査されて、どういう点が問題になっておりますか。
#328
○菱村政府委員 いろいろな実態があるようでございますが、生徒の側の問題とか向こう側のホストファミリー側の問題とかあっせん団体の問題とかいろいろございますが、例えば不適応を起こした問題とか、それから食事のトラブル、ないしは向こうのルールとかマナーの違反の問題等もございますし、さらには性的なトラブル、それから本人の病気とか事故の問題とか、いろいろさまざまなようでございます。
#329
○吉井(英)分科員 実態はかなり深刻なものがあります。それについてはまたおいおい伺っていきたいと思うのですが、こうしたトラブルの増加に対応して、留学生あっせん団体とそれから文部省、運輸省、外務省の三省とで意見交換会を行ったり、あるいはそれぞれの省ごとに業者指導を行ったりしておられるということを聞いております。どのような内容のものであったかということについて、それぞれの各省ごとに伺いたいと思います。
#330
○菱村政府委員 私どもの方では、高校生の留学制度を制度化しましたので、それによりましてこのところ生徒数がかなりふえてきております。ふえましたのはいいのでございますが、今先生御指摘のようにいろいろとトラブルも起きておりますので、学校における指導のあり方とか本人それから向こうの学校との連携のあり方とかないしはあっせん団体、業者も含めまして、どのような点に気をつけて今後これに対応すべきかということを検討するために、文部省に調査研究協力者会議を設けまして、平成元年七月から検討しております。ここには県の行政担当の人とか学校の先生とかないしはマスコミ関係者、さらにはこうしたことに詳しい大学の先生方、商社の方などいろいろな方に入っていただいておりますし、また関係省庁の外務省、運輸省の方からもそれぞれの分野でのお話を聞いたりして、検討を重ねているところでございます。
#331
○内藤説明員 領事移住部の参事官でございます。
 外務省としては、やはり旅行業者の方でホームステイのあっせんをしている、そこからいろいろな問題が出ているということを感じておりまして、ここ二年間では四回ほど外務省に旅行業者に集まっていただきまして、同時に、これは外務省のみならず文部省さらには運輸省、運輸省が旅行業者の直接の主管官庁でいらっしゃいますので、皆さんで集まりまして、それでいろいろな指導を我々として行っております。
 具体的に申し上げますと、まずホストファミリーといいますか、ホームステイを受け入れる方ですけれども、そこに御厄介になるわけですから、行く生徒さんと十分に事前に連絡がとれるようにしてあげなければならないとか、そのためにもホームステイのホストファミリーを早く決めてもらわなければいけない。それから、募集をするわけで、そのパンフレットでは余り安易な希望を持たせないように事実に即した情報を与える必要がある、さらには行く前に、参加者は若い人たちですから、十分に事情を踏まえて行くように、いわゆるオリエンテーションということをしなければならない、さらに一番重要なことだと思いますが、送り込んだらそれっきりということでは困るわけでございまして、やはり生徒さんが大体住んでいる地域に、その旅行あっせん業者の方で責任を持っていざ問題が起きたときにいろいろ相談に乗ってあげられるような、そういう責任者がだれか現地に同行する必要がある、こういうことを我々出先の領事館からいろいろな問題に即して報告を受けておりますので、そういう問題に即した解決ができるように業者の方で十分踏まえてもらいたいということをその都度申し上げております。
 さらに、旅行業者を所管しておられる運輸省の方に対しても直接指導をお願いしている次第でありまして、その結果、私どもが理解しておるところでは、業界の方で一つのガイドラインを最近つくられたと聞いております。この問題は前から私どもも心配していたことでございますが、そういう我々のいろいろな指導を通じてだんだんと業界の方でも意識を高めてよい方向には向かっているのではないかと思っております。
#332
○中島説明員 ただいまの御質問でございますが、先ほどお話がございました外務省あるいは文部省で主宰されておられます会議に出席して意見交換を行う、あるいは関係の旅行業者を集めまして連絡会議を開催して周知徹底を図る、こういったことを行っておるところでございます。
 もう少し具体的に申し上げますと、ホームステイツアーのトラブルを防止し実りあるものとするために、日本旅行業協会におきまして運輸省の指導のもと「ホームステイ・ツアー主催取扱ガイドライン」というものを昨年十一月に作成したところでございます。これも含めまして周知徹底あるいは必要な指導、こういったものを行っておるところでございます。
#333
○吉井(英)分科員 今各省庁からお話を伺いましたが、特に問題が出ておりますのは、文部省の関係でいいますと、管轄の六団体で実際に行く留学生というのは少ないのですね。実際は八割から九割、場合によってはそれ以上が文部省管轄外の業者団体、いわゆる留学業者というのですか、人を送り出す業者の方なんですね、営利団体になっている。そして、外務省の方もおっしゃったのですが、実際にホストファミリーを早く決めるようにしなさいと言うのですがなかなか決まらない。そしてオリエンテーションは確かにやっているのだが、やりながら問題が出ているとか、ケアがうまくいっていない。運輸省の方のガイドラインを私も見せていただいたのですが、「出発日の一定期日前にホストファミリーの情報を、参加者に通知するものとする。」、そういうものを示していただいているのですが、実際にはそれでいながら――また、ガイドラインの中では「ホームステイに係わる苦情・トラブルが得てして、日本側参加者の理解不足、一方的思い込みに起因することが少なくない」ともしておられますし、あるいはさきにありました外務省監修の「THE高校留学」の中でも「最近ではむしろ留学生本人の準備不足・認識不足によるものが増えてきています。」と書いてあるわけですね。しかし、問題の所在を留学する本人の責任にしてしまうというわけにいかない問題が今出てきているというところに大きな社会問題化してきていることがあると私は思うのです。
 「婦人公論」のことしの一月号とか朝日、毎日、読売、あるいは大阪日日という新聞は一週間ほどシリーズで連載して取り上げたりいたしましたが、非常にたくさん出ている、被害者も実際に出ているわけですが、数ある被害者の中の一人の方について、私は特に事細かに事情をお伺いしてみました。
 これは大阪の富田林市の保科さんという方の息子さんのA君ということにしておきましょう。留学被害なんですが、被害者の言い分だけではあれですので、私は、このA君をオクラホマシティーに送り出した太平洋教育文化交流協会、略称PEACEですね、そのA君に関するリポートその他も読ませていただきました。
 問題を浮き彫りにするために、大臣に、ちょっと長くなりますが聞いておいていただきたいと思うのですが、このPEACEという団体の扱う昭和六十四年度アメリカ留学高校生募集という記事が八八年十月十四日付のある大新聞に載ったわけです。また、この新聞社後援となっておりまして、私はここに切り抜きを持ってきておるのですが、これを見たA君が留学を思い立ったわけです。
 約百万円PEACEに納めていよいよ出発となったのが昨年の八月なんですが、アメリカの何州のどこのだれの家にホームステイするか、またどこの高校へ行くか全くPEACEから教えられていなかったのですね。ですから、それは先ほど外務省のお示しいただいているもの、また運輸省のガイドラインからも随分違うわけですね。
 ようやくA君が大阪を出発して現地に着いた後、大阪を出てから十日後に、家の方にホストファミリーのプロフィールが送られてきました。A君は昨年の八月二十七日に現地に着いて、オクラホマシティーのBさんとしておきましょうか、そこへホームステイすることになりました。相手のホストファミリーというのは、留学生を受け入れるというお考えは余りないところで、十一歳、十歳、三歳、十カ月の男の子四人に妊娠八カ月の二十九歳の若奥さんがホストマザー。結局、行ってみて、ちょうどベビーシッターないしはメードさん役になっているわけですね。
 食事は一日一食、五センチ角のワッフル二枚、スープ一皿、私これ本当かいなとびっくりしたのですが、家族の人はレストランへ行って適当にとられたりもするわけです。
 ベッドは、私はここに写真を持ってきておりますが、床の上にスプリングがいっぱい飛び出ているのですね、そういうマットレスのような廃品を直接床の上に置いたもので、ここは冬場になりますと氷点下になるのですが、室内で大体八度ぐらい、そこで上布団はない、毛布もない、薄い布一枚で彼は過ごしてきました。冬場でも彼のシャワーは水で、お湯を使わせてもらえない。勉強しようにも、何しろ十五歳の高校一年生のA君がファミリーの三歳の幼児と同じ部屋ですから、この子供が勉強道具を持ち出してみたりとか邪魔をしてなかなか大変だ。夜は天井についた二十ワットの電灯しかつけさせてもらえず、とうとう目を痛めてしまったのですが、しょっちゅうイエローとかジャップとかネッグと呼ばれる。そういうことがありましたので、今地域のケアをする方というお話もありましたが、オクラホマシティーの地域担当員、いわゆるエリア・レップ、エアリア・レプリゼンタティブという方に改善を求めると、告げ口をしたと逆にホストファミリーから一層ひどくいびられるということになってしまった。PEACEの方からは、出発前の合宿のときに、オリエンテーションのときに、家の人が心配するだけだから家へ手紙を送るなと言われていたものですから、彼はずっと手紙を我慢していたのですね。しかし、昨年の十二月に入って、散髪も行かせてもらえなかったので、たまりかねて十五センチ伸びた髪の毛と長く伸びたつめを歯でかみ切ってそのかけらを手紙に張りつけて家へ送った。これで大阪の御両親は異変がわかったんですね。それまでも御両親がこのPEACEへ何度も問い合わされたのですが、誠意ある対応がなかったわけです。昨年十二月にPEACEの方から、ホストファミリーのBさんの家のA君の部屋の写真ですよ、どうぞ御安心くださいと手紙と写真が送りつけられたわけです。しかし、その写真に写っているベッドというのは、実はA君にあてがわれていた何本もスプリングが飛び出したようなベッドではなくて、これは全く別の新品のものを写したものだったのですね。そういうことがだんだんわかってきまして、これは大変だということで救出に行ったときにA君のベッドを写真撮影してこられたので、私もその写真を見せていただいて、ここに持ってきておりますが、知ったわけです。余りにひどいというのでPEACEに申し出てもなかなからちが明かないということで、とうとう御両親が直接アメリカへ出向かれて、十二月二十四日に救出されたということになったわけですが、私はここにA君の手記を持ってきました。長くなるとあれですので、彼の一番言わんとするところだけちょっと御紹介しておきたいと思うのですが、「どうもこの基本的人権の尊重と、健康で文化的な最低限度の生活を楽しむ権利のかけらもくそもない、受け入れ不適家庭のBさんのファミリーで、僕がこのままお正月越して、寒さと飢えと病と重労働の真っただ中で暮らしていたら、必ずあの世に行っていたと思う。この最悪条件の留学の中、僕自身身の危険を感じたので、みずから日本帰国をする気持ちになった。決して自分は「留学不適格者」や「何もできない過保護」の「留学失敗の逃亡」ではないと信じている。日本帰国後、いろいろな事実を僕は知った。いずれも悪質留学業者とかかわることだ。「何とかしないといけない」「苦しんでいる人を助けよう」、僕の今の心の中は、それで精いっぱいです。僕は今、忙しい毎日だけど、目標に向かって、一日一日着実に成長して、一つ僕の人生の中でスケールの大きい、そしてよい人の役に立つ仕事ができれば幸せです。」これは帰国されてからのA君の手記なんです。少し長くなりましたが、私が会って事情をお伺いしたこのA君の例というのは、最初はびっくりしましたが、しかし必ずしも特異な例じゃないのですね。ことし三月十二日から十六日の五日間にわたってNHKでも放映され、このA君のことも実は三月十二日に放映されたわけです。婦人公論の一月号その他に紹介されているのを見ても、実態は本当に大変です。
 私は、留学は全部こんなものだなどと乱暴なことを言っているのじゃないのです。留学生が急増している、ホストファミリーなどの受け入れ態勢ができないまま業者がどんどん送り出してきたところから今問題が深刻になってきているわけですね。
 さて、このA君の留学をあっせんしたPEACEというところ、太平洋教育文化交流協会というのは、日本の資本による国際交流団体としては古い歴史と実績を持つと説明されている団体なんですが、この問題についてPEACEの方は現地のリポートと称するものの中で、いわゆる誠実に対応していた、しかるにこのA君というのは未熟で留学に不適当だ、こういう烙印がそこからは押されてしまったのですね。いわば被害者が悪いの一言なんです。他の留学被害者の場合もいろいろ調べてみると、現地のリポートが送られてくるのですが、それによるとホストファミリーとそのホストファミリーと契約した現地の地区担当員が合作でリポートをつくるものですから、本人から苦情があってもねじ曲げられてしまうのですね。そしてこのレポートの中では、いかにホストファミリーは努力してきたか、本人はどんなに留学不適格者かということが書かれてしまって、そして被害者のことが結局受け入れられないままに強制送還となったり、あるいは本人が嫌な思いをして帰ってくるということが出ております。
 実はこのPEACEの理事長、外務省監修の「THE高校留学」という本の執筆者の一人になっておられて、この本は外務省もよく目を通しておられるわけですが、こういうふうなトラブルが現に起こっていて、そして今後もこういう留学被害というものが生まれる可能性があるのです。それを食いとめていくために、これはA君の例にとどまらず、被害者の家族の人たちが集まられていろいろ要望もまとめておられますが、やはりそういう実態というものを外務省としてもこれはひとつよく調査をしていただきたい。そういうことをまず大臣の方にお願いしておきたいのですが、この点はいかがですか。
#334
○内藤説明員 私どもも、この問題は問題が起きてからでは遅いわけで、できるだけ起きないようにするという観点から、そういう過去の問題に学んで、繰り返されないようにしたいと思います。そういう意味では、今先生がお示しになったケースを含め、今後とも具体的なケースを詳細に調査いたしまして、さらに改善すべき点を常日ごろから心がけていきたいと思っております。
#335
○吉井(英)分科員 海外留学ホームステイ被害を考える会というのが被害者の方たちの間でつくられまして要望書も出ておりまして、私も要望書以外にもいろいろな情報を聞かせていただきましたが、例えば女子の留学生にもかかわらず父親と息子だけの家庭にホームステイをあっせんされて、そしてホストファミリーから繰り返しレイプを受けたという本当にひどい話も出てきたりとか、本当に深刻な実態になっているということを重ねて申し上げておきたいと思うのです。被害の根本原因というのは、やはり業者の受け入れ家庭に対する調査の不十分さや無責任な選択、業者は留学生やその保護者からの訴えに対して何ら適切な措置を講じないで、逆にこの被害の原因を留学生に転嫁してしまう、あるいはあげくの果てには帰国に追い込んでいくという、そういうことが今ふえてきているわけです。
 そこで文部大臣、随分時間をとってお聞きいただきましたのも、やはり海外旅行がふえ、外国への留学も今後ますますふえていくと思うのですね。トラブルの発生も今後ともふえることはあっても減ることはないと思いますが、この海外留学の期間が夏休みであったり休学して留学するという事態であっても、やはり子供が在籍しているということには間違いないわけです。まして短期ですと夏休みのときに行くわけですし、学校が関係しているわけでありますから、この問題については学校側に対しても必要な配慮を求めることも必要です。それからあっせん団体に対する指導、文部省管轄はもちろんやっていただいているのですけれども、それ以外のところも、それから留学先の相手国に対する必要な要請も必要になってくるかと思います。これは既に文部省、運輸省、外務省と三省にまたがって関係している問題もあるということで、お互いに譲り合っていると、なかなか解決どころか、複雑になってくるわけですね。そういう点では、私は、政府として今後どのように対応していくのかということ、ここが今問われている問題になっているのじゃないかというふうに思うわけです。
 被害者の方の団体から要望書が大阪府の教育委員会にも出ておりますし、また文部省の方にも二月ですか、届けられているというふうに伺っております。大臣に見ていただいたかどうか、私、わかりませんが、要望書が出ているわけですね。要望の中に七つの項目を挙げておられますが、いろいろな項目の中で特に海外留学被害に関してやはりまず速やかな実態調査をやっていただくということは、三省お互いに協力し合ってぜひやっていただきたい。それから、海外留学被害に対する適切、有効な対策を講じていく上での救済のための機関なり窓口についてはつくっていただきたいと思うのです。
 実は我が党の大阪府会議員が府議会で取り上げたときも、大阪府も、それぞれ所管がいろいろあるということで、大阪府の中に窓口をつくるということについてもちょっともたついておりますが、ただ、どうしても都道府県段階でもつくらなければいけないということに一応なってきております。この辺はやはり国として相談窓口というものを考えていただきたいと思うわけです。
 それから、この留学業者に対する指導と監督の強化、こういう点はやはりきちっとやらないと、せっかくの留学が業者のもうけの種になるだけで、青少年にとって本当に苦い思いだけ残したとか、本来の目的に外れると思うのですね。この点について大臣として、やはり国としての対応というものをぜひ力を込めてやっていただきたいと私は思うのですが、大臣の御経験も含めて、お考えを伺っておきたいと思うのです。
#336
○保利国務大臣 私は留学の経験はないのでございますが、議員になりましてからアメリカを一カ月ほど一人で歩き回り、そして農家に泊まったりさせていただいて、御指摘のあったいわゆるホストファミリーの雰囲気に触れたことはあります。幸いにして私の場合はきちんと対応していただいたと思っておりますが、そういったいろいろな現地の実情について熟知をしないまま行ってしまって、あちらでトラブルが起こるという例があったのではないかと、今お話を聞いていてそのように思いました。
 そこで、今御指摘のありましたようなことが本当であるとするならばまことに遺憾なことだと思います。安全で、教育上有益な留学というものは私は必要だと思いますし、これから先の国際化社会に対応していくいい教育方法だろうと思います。そこで、御指摘のいろいろな問題等々、現在、高等学校におきます留学等に関する調査研究協力者会議というものを設けまして、その方策についてことしの夏をめどにして目下検討中でございます。その結果を待ちまして、必要な措置をとってまいりたいと考えております。ただいま御指摘のあっせん業者等の問題につきましては、私どもの文部省で所管をしている事項ではございませんので、この検討結果が出た段階で、そういった問題について関係省庁ともよく協議をしていかなければならない事項ではないかな、このように考えております。
#337
○吉井(英)分科員 その実態調査の件と救済窓口の二点だけ。時間が参りましたので、ちょっと済みません、その点だけ。
#338
○菱村政府委員 実態調査につきましては、ただいま大臣が御説明しました検討会議の結果を待ちまして、どういう調査がいいのかも含めまして、検討、対応してまいりたいと思います。
 それから、窓口につきましては、私どもといたしましては学校教育を所管しているわけでございますので、学校教育の窓口としては当然教育委員会等の指導ということは十分してまいりたいと思います。ただ、全体的な窓口を文部省で引き受けるというのはなかなか難しい問題がございます。(吉井(英)分科員「ですから、政府としての対応は」と呼ぶ)政府としての対応は、ただいま大臣から御説明申し上げましたように、関係省庁と連携をとりながら対応していきたいということでございます。
#339
○吉井(英)分科員 終わります。
#340
○工藤主査 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。
 次に、和田貞夫君。
#341
○和田(貞)分科員 国立大学の図書館の定員外職員の問題についてちょっと質問させてもらいたいと思うのであります。
 国立大学の附属図書館、これは私、ちょうど昭和四十八年か四十九年ごろでございましたけれども、当時東京大学の図書館の臨時職員の問題が現場の方から陳情がございまして、現地にも寄せていただいていろいろとその職員の声を聞かせてもらって、当時国会で取り上げさせてもらってこの問題が解決の方向に向かうように議論したことがあるのですが、最近はむしろそのときの状況よりもなおひどい状況になっておるんじゃないかというように思うわけであります。
 国立大学の附属図書館の定員外職員の比率が、全体として正規の職員が二千六百三十八人、定員外職員が千三百十七人、六六・七%対三三・三%になっておるわけなんです。これは文部省の昭和六十二年度の国立大学図書館の実態調査の結果の資料に基づく数字であります。これだけ定員外の職員がおるのかなということでびっくり仰天しておるわけなんですが、特にその中でも大阪大学の場合は、今申し上げましたこの数字を上回って大変な比率になっております。ほぼ五〇%以下に正規の職員が配置されてパートの職員、それから日々雇用の職員を含め、その他派遣労働者も含めますと五〇%以上が正規の職員でないという比率に大阪大学の場合はなっておるわけなんです。申し上げましたように何年か前、十何年か前ですが、その実態よりも最近はなぜこんなに正規職員以外のパートを初めとした定員外職員がふえてきておるのか、そのことについてひとつその理由を聞かせてもらいたいと思う。
#342
○國分政府委員 いわゆる定員内の正規の職員以外の職員の問題でございますが、これには先生御案内のとおり大きく分けて二つの種類があるかと思っております。一つは、日々雇用職員という形で呼んでおります、一年内でございますけれども一定期間を採用する、まあ一般職の公務員になるわけでございますけれども、採用するという形態と、いわゆるパートタイムという形で雇用する、その二つがあるわけでございます。
 それで、私どもの調査によりますと、国立大学全体の問題といたしますと、最初に申しました日々雇用職員については、昭和五十年に九千二百九十人という人数でございましたが、平成元年度でございますと五千七百四十一名という形で、かなり日々雇用職員というものは減少してきております。一方、二つ目のパートタイムの職員でございますが、これにつきましては、昭和五十年で三千六百五十七名というのが平成元年で申しますと一万三百九十六人、こういうデータがあるわけでございます。
 したがいまして、日々雇用職員につきましては、御案内の昭和三十六年の「定員外職員の常勤化の防止について」という閣議決定を踏まえまして、真に臨時的あるいは季節的業務という建前に戻った運用が国立大学においてもなされているものと理解するわけでございますが、パートタイム職につきましては、このパートの実態もさまざまあろうかと思いますけれども、御指摘のようにふえているという状況になっております。
#343
○和田(貞)分科員 パートタイマーでも日々雇用職員でも、仕事の実態は正規職員と全く同じ責任を持った仕事をさせているのでしょう。
#344
○國分政府委員 日々雇用職員につきましては、先ほども申し上げましたように、本来臨時的あるいは季節的な業務あるいは仕事の量の変動する業務に従事するという建前になっているわけでございますけれども、先生御指摘のような実態が見られるというのも事実であろうかと思っております。
#345
○和田(貞)分科員 定員法の関係もございますが、そういう実態を放直しておっていいとお思いですか。
#346
○國分政府委員 何度も恐縮でございますが、私ども、日々雇用の職員につきましては、本来の趣旨に沿った運用をするようにという指導をしてきているところでございまして、先ほど申し上げました数字におきましても、日々雇用職員については、昭和五十年の九千名余りから平成元年の五千名余りに減っておる、こういうことであろうと思います。また一方で、真に恒常的な業務に従事する必要な職につきましては、もちろん緊急度もございますし、現下の定員事情もございますが、これを正規の定員として措置するということについての努力も重ねているところでございます。
#347
○和田(貞)分科員 日々雇用の点は今言われましたけれども、パートの場合は、むしろこのパートの定員外職員がおらなくなったら、どこの大学の図書館も運営できないという実態にあるのではないですか。
#348
○國分政府委員 パートにつきましては、日々雇用職員以上にと申しますか、本来臨時的あるいは一時的な行政需要があってパートをお願いするということであろうと思いますけれども、現に、先ほど申しました一万人余りのパートタイム職員がおるということからすれば、これがなくなってしまうということになりますと、図書館に限らず大学のいろいろな部門について支障が生じてくるであろうと思います。
#349
○和田(貞)分科員 そうすると、問題はパートによって勤めておられる方あるいは日々雇用で働いておられる方々は、これまた大半が女性の職員なのです。いわば女性であるがためにこれで辛抱するだろうという安易な気持ちでこういう形態で置いておるのではないかという気がするのですが、そうではないのですか。
#350
○國分政府委員 御指摘のとおり、実態的には女子職員が多いかと思います。しかし、これは建前として、先ほど来申し上げておりますような業務に従事するということで、しかも雇用される本人自体もそういうものであるという一種の契約という形で雇用されているものであると理解いたしております。
#351
○和田(貞)分科員 パートの場合は、三年雇用ということで採用するときから一札をとったりしているということはわかっているわけなんです。法的に問題かないような形でやっている。しかし、そのような職員がなければ、今お答えのように大学自体が、特に集中しておる図書館の運営自体ができないという実態を十分認識しながら、正規の職員でないパートの職員だとか日々雇用の定員外の職員を充てて事足れりという姿勢が私は問題だと思うのです。これをひとつ定員内の職員に漸次していくお考えはないのですか。
#352
○國分政府委員 非常勤と申しましても、日々雇用の職員とパートタイムと二種類あると冒頭に申し上げました。先生お話しの三年云々というのは、私どもの整理では日々雇用の職員ということにいたしております。それからパートといいますのは、もっと短期のあるいは一定時間だけ勤務していただく職員であるわけでございまして、先ほど申しましたように、本来臨時的あるいは季節業務的なものに従事していただくということでございますから、これを定員化という形にはなっていかないのではないか。ただ、その業務というものが恒常的に置く必要が真にあるものにつきましては、厳しい定員事情ではございますけれども、所要の定員増を図っていくことで対応してきているところでございます。
#353
○和田(貞)分科員 そのパートを含めまして、先ほども指摘いたしましたように大阪大学の場合は特にひどいわけです。大阪大学の附属図書館の実態というのは、正規の定員内の職員が五十六人、定員外の職員が、日々雇用、パートを含めまして五十四人、それ以外になお派遣労働者を雇用しているということですから、正規の定員内の職員よりも定員外の職員の方が多いという実態なんです。
 そこで、三年雇用と言われておるけれども、人によっては、三年雇用からさらに継続して雇用している場合もある、途中で解雇する場合もあるわけです。恐らく定員内の職員であればそういうことはできるはずがないわけです。そこにやはり人権問題が出てくるわけです。差別問題が出てくるわけです。定員外の職員というのを安易に考えてもらうと、そこで差別的に扱われ、あるいは安易な気持ちで放置いたしますと非常に問題が起こってきておる。大阪大学に三年雇用で勤めておった矢崎邦子という方が今係争中です。そういう問題が起こってくるわけです。そういうことのないようにしようと思ったら、やはり定員内の職員を、必要であれば定員を改正して配置するということでなければ、安易な気持ちでは困ると思います。
 私、冒頭に申し上げましたように、十何年か前に東京大学の図書館でそういう問題があって現場から訴えられて、私自身が内閣委員会で取り上げて定員化したということもあるわけです。それが非常に後退しておるように思えてならないのですよ。そういう紛糾事項や、あるいは裁判ざたになるようなこともないようにするために、ぜひとも定員外の職員というものをなくするように努力してもらいたいと思いますが、どうですか。
#354
○國分政府委員 非常勤職員につきましては、先生既に御案内のことでございますが、昭和三十六年の閣議決定をもちまして、これは大学だけでなくて公務員全体につきましてきちんとしようというようなことでの閣議決定があるわけでございます。それによりますと、こういう定員外の職員については、単年度、単年度で任用を定めるという内容が一つございます。また、その単年度の任期が終了したとぎには引き続きこれを勤務させないようにというようなこと、あるいはそのことをきちんと採用の際明示し、また任期が終了した場合にはその旨をきちんと通知するということによりましてトラブルの発生を防ごう、こういうような決定が三十六年にできているわけでございます。
 ただいま御引用の大阪大学のケースは、これを受けまして大学自体で、定員外職員の常勤化というようなことが生じないように、あるいは雇用期間が長期化しないようにということで学内全体で相談いたしまして、こういう非常勤職員については単年度を原則とする、そして、継続して雇用する必要がある場合でもその期間は二年を限度とする、特別の場合にあって三年を超えないものとするという学内の申し合わせをいたしました。これによって現在運用がなされているということでございます。
 先ほど御指摘の図書館勤務の方の訴訟の問題につきましては、これにのっとって取り扱われたものでございますが、訴訟にまで至ったというようなことについては残念に思っている次第でございます。
#355
○和田(貞)分科員 職員の配置の一覧表を見てみましたら、大阪大学の附属図書館の場合、例えば情報サービス課というのがあって、そこの資料運用掛といるのを見てみましたら、掛長が一人、文都事務官が一人、文部技官が一人、あと十人は全部定員外の職員なのです。定員外の職員がいなかったら、掛長と、事務職員と技術職員と二人だけ。仕事ができない、こういう実態です。ひどい実態でしょう。あるいは吹田分館の目録情報掛というのは、今正規の職員の掛長が欠員です。あとの四人は全部定員外の職員。同じく吹田分館の資料運用掛というのは、掛長が一人、事務官が一人。あとは全部定員外の職員。こんな実態でいいのか、少し常識外れじゃないですか。大部分を定員内の職員で運営して、不足する面をパートなり定員外の職員でカバーするというのなら話はわかりますよ。管理面からいってこんなひどい実態でいいのかどうかということです。
#356
○國分政府委員 大阪大学附属図書館の個々の実態について、現在私どもつまびらかにいたしておりませんけれども、手元に大阪大学の全体の数字がございます。これによりますと、これは大学全体の病院やら研究所やら全部まぜてでございますが、日々雇用職員が百九十三名ということでございます。また、パートタイム職員、このパートタイムの実態はこれまたさまざまであろうかと思いますが、全体として五百七十二名という状況になっております。
 こういうことでございますが、先生お示しの実態について、現在細部の数字もございませんので、私どもなりによく実態は聞いてみたいと思っております。
#357
○和田(貞)分科員 これは去年の四月一日の大学の一覧表ですよ。私がつくったのじゃない。そういう実態を今私は言ったのです。余りにもひどいじゃないかと私は思います。この改善策は定員をふやすしかないのです。そういう基本的な観点に立ってひとつ努力してもらいたいと思うわけなんですが、大臣、どうですか。
#358
○保利国務大臣 今大阪大学の例をお引きになりまして、非常勤職員が非常に多いというお話を拝聴させていただきました。もとより業務が合理化されて、さらに人が足りない場合、それでもなお臨時的に人を入れなければならないという場合があろうかと思います。その場合に臨時職員を入れるということについては、これはいたし方ないことだと思います。しかし、今御指摘のように非常に恒常化した形で臨時的な職員が使われているということになれば、これはやはり定員増に向かって努力をしていかなきゃならないということについては、私も同じような考えを持っております。
 したがいまして 今官房長から御説明申し上げたとおりでございますが、私どもも実情をもう少し把握させていただいて検討していかなきゃならない事項だなというふうに私は率直に感じております。
#359
○和田(貞)分科員 しかし、こういう問題を放置しておるから、先ほども指摘をいたしましたように「矢崎邦子さんの解雇撤回の訴訟というような問題が起こってくるのであります。
 この矢崎邦子さんの場合は、一九七九年八月七日にアルバイトとして採用されてから始まり、七九年九月一日には分館のパート定員外職員に採用されている。八〇年五月には文部省通達によって定員外職員の短期雇用化、今言われたのですが、そういう指導が入っておる。そのために八一年五月十一日に分館から本館の日々雇用定員外職員になったわけですが、翌年の八二年三月には図書館長から、三年で解雇することはないというふうに約束されているのです。その三年で解雇することはないという図書館長の約束にもかかわらず、八四年三月三十日に一方的に大学当局から解雇通知が出されたというところに紛糾の原因が起こっているわけです。
 この問題の解決ということについて、裁判で係争中だから結論を待たなければしょうがないというようなことなのか。その原因というものは、余りにもひどい定員外職員を放置しておったためにこういう原因が生まれてきておるわけですから、この問題の解決策を文部省としては考えられないかどうか。
#360
○國分政府委員 ただいま御指摘の大阪大学の非常勤職員の訴訟の件でございますが、私どもが把握している事実関係でございますと、五十四年九月から五十六年五月十日まで、これはいわゆるパートとして勤務したようでございます。それで、五十六年五月十一日から附属図書館に、いわゆる私どもの整理で申しますと、日々雇用職員という形で採用されたわけでございますが、約三年後にいわゆる任期満了という形で退職した、こういうことでございます。
 これにつきましては、原告側の主張としましては、任期期間等の定めが形式的にあったとしても、数回にわたる採用の反復更新により、任用期間の定めのない雇用契約になっているというのが主張点のようでございます。これにつきましては、国を相手取っているわけでございますが、国の主張としましては、任期満了により原告は公務員としての地位を失ったものということで、これらについては既に確立した判例等もございますので、そういう観点から主張を行っているということでございます。現在まで口頭弁論が二十四回開かれているようでございます。現在、司法の場で争っておりますので、その結果を見て対応いたしたいと考えております。
#361
○和田(貞)分科員 ところが、矢崎さんの言い分としては、みんながみんなそういうように扱われておったら問題もなかったのですが、矢崎さんと同じ立場のある人が三年で雇用期限が切れた、図書館から大学内の理学部の方にそのままさらに続けて雇用している、そういうものも出てきているわけです。だから、先ほど申し上げましたように、この種の雇用形態というのは、やはり管理者によってこの人とこの人という差別扱いというのが生じてくるわけですね。そこからこの問題が起こっているわけですから、こういう制度というものはやはりあってはいかぬ、なくさなければいかぬ、こういう問題が起こってくるからということを指摘させてもらったわけです。
 こういう言い分があるわけです。だからその実態というものは把握してもらって、矢崎さんに対してはそうであったけれども、矢崎さん以外の同じ立場の人には別扱いをしているという実態があるならば、やはりこの点については、もう裁判に、訴訟されておるのだから結論を待つわいというのじゃなくて、原因が原因でありますから、これはひとつ早急に解決するように、文部省の方もひとつ折れてもらって、そうして再び大学内でこういう問題が起こらぬように、その根本原因が、パートや日々雇用職員が定員内の職員よりも多い人員配置でないと運営ができないという、そこに根本原因があるわけですから、この問題の解決のためにひとつ努力をしてもらいたい、こういうように思うわけなんですが、ひとつ大臣、締めくくりの答弁をいただきたいと思います。
#362
○保利国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたとおり、本当に緊急に増員を要すると認められる部門については、これは私どもも努力をして増員をしていかなければならないことであると思います。
 それから、今の大阪大学の訴訟にかかわる件でございますが、これは目下訴訟もやられているわけでございますので、私どもとしてはその訴訟の結果を待たさせていただきたい、現在はこういうふうにお答えをさせていただきたいと存じます。
#363
○和田(貞)分科員 待つだけじゃなくて、ひとつ積極的に解決のために努力してください。希望要請いたしまして終わります。
#364
○工藤主査 これにて和田貞夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、菅野悦子君。
#365
○菅野分科員 大阪府下の養護学校、とりわけ知恵おくれの養護学校不足の問題は、もう御承知おきいただいていると思いますが、大変深刻な状況になっております。この問題では、昨年十一月二十二日に大阪の養護学校の実情について事情聴取をされているということですけれども、どのように実情を認識されたのか、またどのような助言指導をされたのかをまずお伺いしたいと思います。
#366
○菱村政府委員 大阪府立の養護学校につきまして、平成元年十一月に大阪府の教育委員会の担当の方に来ていただきまして、いろいろ話を聞いたわけでございますが、聞きましたのは、今の在籍児童生徒数の推移、それから入学希望者の増加の状況に対する対応、それから教育施設の現状についていろいろ御説明を聞いたわけでございます。
 そこで、大阪府の教育委員会といたしましては、精神薄弱養護学校の高等部の生徒は増加を続けてきておりますが、平成二年度をピークとして今後は減少傾向にあるということ、それから高等部の生徒の増加に対しましては、教室の増築、在籍者数の減少している肢体不自由養護学校への併置、それから通学区域の調整等によりましていろいろ対応している状況、さらには今後のこのようないろいろな事情を勘案しての養護学校の計画の策定等、そんなことをいろいろお伺いしたわけでございます。
 私の方といたしましては、これは基本的には大阪府教育委員会におきまして、いろいろな地域の実態に応じまして御検討なさることでございますが、学校の大規模化によって教育条件の低下を招くことのないよう、中長期的な観点から養護学校の整備について適切な対応をなさいますよう指導したところでございます。
#367
○菅野分科員 大阪府の回答の中に、今は大変だけれども今後減少傾向にあるというふうなことで、御安心されている面があるかもわからないのですけれども、これも実際をよく見てみると、必ずしもそういうことで安心するわけにはいかないという実情があるんじゃないかと思うのです。
 といいますのは、養護学校義務制施行に伴って、重度、重複の児童生徒というのは急増しておりますし、進学率のアップ、これはあるわけです。それともう一つは、地域的な人口の推移というのを見ていかなければなりません。これが画一的でないんですね。今あるところの周辺でいいますと、引き続き人口増加が著しいところに立地している養護学校というのが多いですし、加えて大阪の場合には、中小の宅地開発が今後ともやられようとしている、あるいは大型プロジェクトがメジロ押しになっておりますので、この点を踏まえた御指導をいただかなければならないのではないかというふうに思うわけでございます。中長期的な観点から養護学校の整備についてぜひ対応をというふうな御指導をいただいたということなんですけれども、この中身には新設も含まれているのかどうか、このことについてもぜひお伺いしておきたいのです。
#368
○菱村政府委員 大阪府教育委員会のお話では、現段階では新設の問題は考えてないということでございました。
#369
○菅野分科員 そういう御回答をいただくと、やはりもっともっと文部省として認識を改めていただきたい、もっと知っていただきたいということを切実に痛感するわけでございます。
 今知恵おくれの養護学校の大規模校ワーストテンのうち、三百五十人以上というのはすべて大阪に集中しております。私は高槻、豊中などの養護学校の実情を見てまいりましたけれども、ここではもう教育が満足にできるという状況ではない、もう限界の状態になっているということを感じるわけです。
 例えば高槻の場合ですけれども、六九年に高等部が設置されました。この当初は各学年三学級、合計九クラスで九十人だったのです。ところが、それが現在どうなっているかといいますと、二十八学級二百四十八人。約三倍近くなっているわけですね。ですから、このことでもわかるように、当初の実態から見て明らかに矛盾が出てくるというのは当然なわけで、これが授業全体に相当な無理としてかかってきているというふうに思うわけです。
 この矛盾をどういう形で今解決してきているのか、解決になってないわけなんですけれども、例えば間仕切りをして教室をつくる。図書室とかあるいは職員室、これを教室に転用する。例えば職員室ですけれども、これを食堂に移転させてその跡を仕切って二つの教室をつくるとか、あるいは作業室の一部を間仕切りして三教室を捻出するとか、こういうことが今までやられてきたその工夫の中身なんですね。こういうふうな状況の中で八八年度についてはついに校長室まで授業で使う、これは高槻などの状況なんですけれども、こういうことになっているわけです。
 こういう実態の中で、この影響というのは小中学部も含めて相当なことになっている。音楽室とか調理室とか教材教具室、こういうものはどんどん不足しておりますし、まともに音楽の授業などできない、こういう状況になっております。高等部などではほとんど二つのクラスを一緒に授業をさせる、これが常態化しているわけです。これで足りなくてロビーとか廊下でも授業をやる、こういうことがたびたびやられているのですね。例えば体育の授業など雨でも降ればもう体育館いっぱいですから、全部小中高突っ込むわけですからね、結局それがはみ出して廊下で授業をする、こういう状況になっています。ですから、肢体不自由、重複障害、こういう生徒がそのたびに教室をかえなければならないというふうな状況で、先生方はこれを称してジプシー授業、こう言っている状況があるわけです。ですから、大阪府が何とか苦労していろいろと転用してやっていますという中身は実はこういうことなんですね。
 そういう点でぜひ私はお聞きしたいのですけれども、文部省はこうした具体的な実態を承知していただいているのかどうか、そのことをお伺いしたいと思います。
#370
○倉地政府委員 平成元年の十一月に担当者からいろいろお聞きしたわけでございますけれども、私どもがお聞きしたところでは、平成元年度に四教室を増築するということでございまして、現在では特別教室の転用は一教室になっているということでございます。直接先生の今お話のあったようなことについてまで私ども御報告を受けていないわけでございますけれども、大阪府におきましては今後検討委員会を設けて、養護学校の整備充実について十分検討していくということでございますので、第一義的には設置者の総合的な判断を尊重してまいりたい、そのように考えている次第でございます。
#371
○菅野分科員 やはり現場の実態についての御認識が甘いということを言わざるを得ないのではないかというふうに思うわけです。文部省はこの間、教育上、学校運営上支障を来すようなことがあればこれは問題だというふうに言ってこられたわけですけれども、実際の現場を見ると、これは教育の現場どころか収容されているという感じすらするわけですね。まさに人権問題ではないかというふうに思うわけです。
 特別室も何とかできていますというお答えですけれども、例えば学校によっては小学部の音楽室がない、調理室がなくて実習室を使っている。しかし、実習室というのは、御承知のようにガスこんろ一つしかございません。ですから、調理室の実習なんてものじゃないわけですね。何とか苦労して料理をつくった、ところが人数分の食器もない、こういう状況です。
 更衣室ですけれども、これは大阪府に言ったら更衣室ありますよということになると思うのですが、教室の半分を更衣室ということでつくっています。ところが、九十三人の生徒が一斉にそこで着がえを始めるわけですね。隣の人とぶつかり合って脱いだものは踏みつけてしまうというふうな状況です。ですから、更衣自身がこの養護学校などでは身辺自立の教育指導の場ということになるわけですけれども、もうそれどころじゃない、本当に混雑する、こういう状況にあるわけです。
 また、小学部から高等部まで小中高と併設になっておりますけれども、体育館は当初のものがたった一つです。ですから、時によっては入り乱れて危険を感じる、何だか詰め込んで、もう立錐の余地がないというふうな場面もあるというふうに聞いております。また、プールにつきましても、これもたった一つですから、小学校から高等部までということになりますと、プール一つではなかなかいかぬのですね。水位の問題でもありますし、そういう状況の上に今度はそこへ入って水泳ということになりますけれども、実際は待ち時間の方が長くて入ってもまるでおふろだ、もうつかって上がるのが精いっぱいみたいな、プールと言うよりもおふろみたいなそんな状況があるというのが実態なんです。
 そういうふうなこと一つ一つとってみても本当に大変な状況があるわけですけれども、先生方にしてみても、人数が多くて一人一人の性格とか行動とか障害の実態を把握できずに、もう名前すら覚え切れないというふうに嘆いているというのが状況です。ですから、これで糊塗している、何とかいっていますというふうな報告とは余りにもかけ離れているというのが実態なんだということをぜひ知っていただきたいのです。これではまともな授業などできません。そういう点では、指導、教育という点で本当に問題だと思うのです。
 ですから、こういう状況の中で私は切にお願いしたいのですが、大臣にぜひ実態を知っていただきたいと思います。文部省として現場に出向いて、るる今まで大阪府から聞いていますというこの状況から一歩進めて、実態の調査をしていただけないものだろうかということをお願いしたいのですけれども、その点どうでしょう。
#372
○菱村政府委員 実態につきましては、先ほど申し上げましたように昨年もいろいろお伺いしたわけでございますが、なお足りなければまた教育委員会に来ていたださまして、いろいろ詳しく実情を聞いてまいりたいと思います。
#373
○菅野分科員 私が今なぜこれだけ詳しくるる時間をかけて実情を言っているかというのは、今まで大阪府からの説明だけではやはりこの実情についての御認識という点では不十分ではないかということがありますので、ぜひ文部省の方から足を運んで現場へ行っての調査ということをお願いしたいのですけれども、その点どうでしょうか。
#374
○菱村政府委員 これは各部道府県が責任を持って設置する学校でございますので、まず各都道府県において地域の実態、子供の実態等を踏まえてその整備を行うべき問題であろうと思います。私どもは、文部省の立場から、もしいろいろ問題があるならば、もちろんいろいろヒアリングをしたり助言をしたりしたいと思いますが、当面この問題につきましては大阪府教育委員会の整備計画、その実施にまちたいというふうに考えております。
#375
○保利国務大臣 今委員からいろいろとつぶさに実情について御指摘をいただいたことについては、私もしっかり承らせていただきました。実態の調査につきましては、今局長から御答弁申し上げたとおりでありますが、せっかく先生からこういう御指摘をいただいているわけですから、こういう御指摘があったということを示しつつ、実情の調査に努めたいと思います。
#376
○菅野分科員 ぜひ今の前向きの答弁、具体的な現場へ出向いての調査ということで実現できるようにということを重ねて要望しておきたいと思います。
 それからもう一つ、私は大阪の場合、この過密、過大の解消ということで、大阪からの報告の中にありました精肢併置の問題、これについてあわせて文部省へ御報告しておきたいというふうに思うのですけれども、知恵おくれの過密、過大を解消するということで肢体不自由児、この学校に知恵おくれの子供たちを突っ込んでいる。そして、今余り過密、過大はありませんよというふうにしている面があるわけなんですけれども、実はその精肢併置の学校で逆に違った形の矛盾が噴き出してきているということについても、ぜひ承知していただきたいというふうに思うわけでございます。
 八三年から交野、東大阪両養護学校でこの精肢併置がされました。八八年からは茨木、堺、この両養護も併設という形になったわけですけれども、ところがこの結果、非常に大変な状況になってきておりまして、当初肢体不自由児ということでつくられているにもかかわらず、実態としては知恵おくれの生徒の方が肢体不自由児の生徒を上回っているという状況になってしまっているわけです。ところが、二つの障害を一つにぶち込むということになるとどういうことになるかといいますと、肢体不自由児の方は体の自由がきかない、そういう子供たちです。ですから、相当きちっと手をかけて、こっち側からそこへ行っていろいろと援助してやらないかぬ子供たちなんですけれども、片一方ではパニック時にはもう暴れ阿る、動きの激しい子供たち、これが知恵おくれの方の実態なんですね。ですから、肢体不自由児の方は身の危険を感じる、逆に知恵おくれの方はほとんど手をかけてもらえない、こういうような不満が残るというふうな状況もありまして、相当な矛盾として噴き出してきているということが実情でございます。
 そしてまた、実態としてはそういう両面が、両方の子供たちが併置されているという中で、この肢体不自由児の学校に不可欠のADLの教室とか、職能訓練室とか言語訓練室とか機能訓練準備室など、これが普通教室に逆に転用されて、本来の教育機能をなくしていっているというふうな状況もありまして、一体どうこういう中で指導、教育できるのかという点でも問題が出てきております。そしてトイレの数も足らない、並んで待っていて待ち切れずに漏らすような生徒も出てくるし、そして小学部のトイレをその知恵おくれの高等部の子供たちのためにということでそこを使う、転用するというふうなことでの矛盾とか、相当な実態でございます。
 例えば和泉の養護の学校では、重度、重複の子供の教室すらない。訓練ホールがその子らの居場所だというふうな状況もあるわけです。ですから、そういう点で、障害の内容が異なり、教員の配置とか施設設備が十分考慮されなければならないのに、途中からの併合で対応できていない。むしろ矛盾が噴き出してきているというふうな状況があるわけです。
 ですから、私は精肢併置の問題も含めてこういう形でるる御説明したわけですけれども、こういうふうな養護学校の問題につきまして、国として適正配置基準、教職員の数とか、そういうことのみならず、施設とか設備、運営など含めた、こういうふうな配置基準を定める必要があるんではないかと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
#377
○倉地政府委員 先生の御指摘でございますけれども、養護学校につきましては児童生徒の障害の状態でございますとか、それから小学部、中学部、高等部がいずれも置かれているかいないかの問題もございますし、また発達段階の関係で、また年齢の幅も非常に広いということもございますので、その学校の実態、それから地域の実情など非常に複雑になっているわけでございます。そういうことでございますので、学級数などによりまして全国一律の基準を設けるというのはなかなか困難ではないかというふうに考えているところでございます。
#378
○菅野分科員 そのことにつきましてはぜひ再度御検討をよろしくということをお願いしておきたいと思います。
 現状ですけれども、今私はるる学校内の問題につきましてこの間御報告してきたわけですが、あわせてこういうふうな過密、過大がほかの点でも相当無理に無理を重ねてやってきたということで、適ったところでも、通学面でも相当矛盾が出てきているということについてあわせてお願いをしたいことがございます。
 といいますのは、通学面の問題なんですが、大規模校、今の実態の中で通学範囲が相当広うございます。それで実は広域通学ということになっておりまして、豊中の場合でも約一時間十分かけて五つの市から子供たちが集まっているわけなんです。特にひどい高槻とか和泉、寝屋川などでは、それぞれ一時間半から二時間通学にかかっているという状況があるわけです。健常児でもこれは大変な距離だと思うのですけれども、その体の不自由な子供たちが、実はこういう大変な距離の通学時間になっているということですね。運転手さんにも話を聞いたわけですが、一時間半とか二時間ですから途中でトイレのために何度も停車せないかぬ。トイレを探すのにも大変苦労する。また時にはバスの中で発作が起きる。パニック状況で大変な騒ぎになる。豊中などでは運転手さんが指をかみ切られた、こういう事故も起こっているわけです。そういう子供たちと一時間半、二時間つき合っているのは、添乗員としては二人ですけれども、一人は運転手ですから運転しておりますね、実際子供たちの中の世話をできるのはたった一人なんです。本当に一時間半、二時間も緊張の連続だというふうに言っています。
 お母さんたちはどうか。一方、お母さんの訴えをお聞きしますと、バスの中でおしっこを二度漏らした、そうしたらおむつをさせてください、そういうふうに言われたと言うのです。養護学校でむしろちゃんとそういうようなしつけができるようにということで学校に通わせているにもかかわらず、逆におむつをしてくれ、こんなことを言われたとお母さん、泣いていらっしゃいましたけれども、そういう状況なんです。長時間というのはこれだけでも相当ないろいろな状況ですけれども、危険性ということでも大変なんですね。添乗員一人ということでどうにもならないときが多い。しかもますます大都市部で車の渋滞でおくれるという傾向は強まっております。車がなかなか来ないという中で、車の中のパニックはともかく、あわせて一方では何の連絡もなしにその車を逆に待たされている子供たちがいるわけです。待っている側も一体いつ来るのかわからぬ。連絡をとりようにも全くとることもできない、こういうふうな状況があるわけです。
 ですから、これはもう体の不自由な児童生徒にとっては相当過酷なことじゃないかというふうに思うわけです。ですから、そういう点で、本当に子供たちに付き添う一人の先生方が、時には電話を探さないかぬ、トイレを探さぬといかぬ。そして、これが日常なんですけれども、場合によっては病院を探すことにもなる。ここまで来れば命にかかわることにもなりかねないというふうに思うのですけれども、私はそこで思うのですが、当面の緊急対策として、最低でもすべてのスクールバスに国の負担で電話、トイレなどをつけるというふうなことができないのかどうか。こういう子供たちにそれくらいの国としての優しさがあってもいいのではないかと思うのですけれども、大臣どうでしょうか。
#379
○菱村政府委員 スクールバスの配置につきましては国庫補助をしてきているわけでございますが、今の御指摘はそれに電話を設置するについてもという御指摘でございますが、電話を設置する必要のある地域は限られておりますし、現時点では全国的に国庫補助の対象とするということは難しいと存じます。ただ、大阪におきましては平成二年度から、緊急度の高いスクールバスにつきまして電話を設置することにしたというふうに聞いております。
#380
○菅野分科員 そういうふうな御回答の中でも、やはり府の報告と実態の違いを私はちょっと痛感せざるを得ないわけですけれども、実際はまだついていないバスが多いのです。そういう点で、ぜひ引き続き援助ということについても考えていただきたいというふうに思います。
 時間もございませんので先に行きますけれども、続いての問題は内部障害者への運賃割引の問題です。
 これにつきましては、この間一部適用されたということがありまして、大変喜んでいるわけなんですけれども、この内部障害者への運賃割引の適用の問題で、もう御承知おきいただいているかと思いますが、八九年十一月の決算委員会で当時の江藤運輸大臣とのやりとりがあるのです。このときに江藤運輸大臣が、内部疾患者の割引については五十万人積み残しがあるんだ、この解決のために厚生省にも検討してもらって、「実現のためにあらゆる努力を傾けていきたい、」というふうにこの決算委員会の中で言われているのですけれども、運輸省にお聞きいたします。この努力ほどこまで実っているのでしょうか、ぜひお伺いしたいと思います。
#381
○大辻説明員 まず、現在の身体障害者割引制度の仕組みについて御説明した上でお答えをしたいと思います。
 身体障害者割引制度は、昭和二十四年に身体障害者福祉法が成立しまして、その附則によって国有鉄道運賃法に運賃割引制度の規定が追加された、これを受けまして国鉄が二十五年から実施しまして、その後、私鉄、バス、航空各社がこれに追随をした。その後、御承知のように昭和六十二年に国鉄の分割・民営化によりまして国有鉄道運賃法が廃止されまして、これとともにこの運賃割引規定も消滅をしております。その後は、いわば過去の経緯を踏まえまして、交通事業者がその自主的判断により割引を継続しておるという実態でございます。
 このような割引に伴って生ずる運賃の収入減少分につきましては、現在国からの特別の補てん措置というものは講じられておりません。私ども運輸省としましては、一般的にこういう公的な目的のために講ぜられる措置につきまして、他の利用者が負担するという仕組みを通じて割引制度を拡充適用していくということについては基本的に問題があるというふうに考えております。したがいまして、今お尋ねの件につきましても、私ども運輸省としては、精神薄弱者の方々に運賃割引を適用拡大することを交通事業者に求めること自身かなり問題があるし、困難であるというふうに理解をしております。何とぞ御理解をお願いしたいと思います。
#382
○菅野分科員 そういうことになりますと、この決算委員会で当時の江藤運輸大臣が言っているわけですね。実はそういう積み残しがある、これはこういう形になったけれども、厚生省とも相談をしなから「実現のためにあらゆる努力を傾けていきたい、こう考えておるところでございます。」所管大臣がこれだけ責任を持って言っていることに対して、ちょっと今のお答えでは問題があると思うのですけれども、その辺の責任の問題はどうなんでしょうね。
#383
○大辻説明員 追加して御説明を申し上げますと、交通事業者の負担により、あるいは交通事業者を通じて一般の利用者の負担により実施することは困難であるということでございまして、公的な措置によって実施されることが適当ではないか。それにつきましてはさきの江藤大臣の方から当時の厚生大臣の方にも検討をお願いしたということを承っております。
#384
○菅野分科員 では、その厚生省の方にお聞きしたいのですけれども、ここでは厚生省にも協力をお願いしてというふうにはっきり書いているわけですね。ですから、そういう点で厚生省の方はどうなんでしょうか。そういうふうな検討をと要請を受けて、何らかの進展があるのかどうか。
#385
○吉武説明員 精神薄弱者の問題を含めまして、障害者対策につきましては政府全体として取り組む課題でありますが、心身障害者対策基本法のもとで各省庁がそれぞれ必要な施策を推進するという体制になっているところでございます。
 先生御案内のとおり、厚生省の場合で申し上げますと、障害の基礎年金でございますとか特別児童扶養手当、あるいは私どもが実際に地方公共団体にお願いして実施をいたしておりますいろいろな通所や入所の施設におけるいろいろな訓練等のサービス、それから在宅の場合のホームヘルパーでございますとかショートステイ、こういった一般的な福祉対策を担当いたしておりますし、例えば文部省さんでは教育面を担当しておられる、それから労働省さんでは精神薄弱者の雇用の面を担当していただいている、こういう形で、障害者対策についてそれぞれ各省が御自分の分野で協力しながら担当しているということではないかと思っております。
 確かに、昨年の十一月十四日でございますか、内部障害者に対する運賃割引の適用拡大につきまして運輸省御当局あるいはJR各社で基本的にその方向でいこうということをお決めになりましたときに、当時の江藤運輸大臣から、一般的な福祉施策というようなお話で私どもの大臣にもお話があったようでございますし、記者会見でもお話があったようでございます。ただ、私どもといたしましては、障害者対策すべてについて厚生省の範疇で実施するというのは極めて困難でございまして、私どもは、この問題につきましては、まさに公共交通運賃あるいはその運賃割引の問題でございますので、基本的には公共交通機関の運営に責任を有する部局において総合的に判断される性質のものというふうに考えております。
 ただ、私どもといたしましても、一般的な福祉施策という意味で精神薄弱者の方々とは常にかかわりを持っておりますので、関係当局ともこれから引き続きよく御相談をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#386
○菅野分科員 その積み残しの部分というのがこういう本当に大変な状況になっておりますので、それぞれの省庁協力して、必要によってはそういう検討機関などもつくって、ぜひ前向きに実現の方向で努力をしていただきたいということを重ねて要望しておきたいと思います。
 最後になりますけれども……
#387
○工藤主査 質疑時間が既に経過しております。結論をお急ぎください。
#388
○菅野分科員 はい、わかりました。
 この知恵おくれの養護学校の増設の問題というのは大阪において本当に切実な課題になっております。具体的に運動もありまして、市によっては議会決議をするなどというふうな形で今取り組んでいるところでございますので、新設も含めてぜひ検討といいますか、具体的な国の指導、援助ということを強めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 最後になりますけれども……
#389
○工藤主査 結論を急いでください。
#390
○菅野分科員 文部大臣にお聞きしますが、橋本清元教育課程審議会委員も、大規模校が多い現在の姿を特殊教育の原点に戻して、居住する地域に密着した小規模校であってほしいと痛切に思われてなりませんというふうなことを言われておりますし、東京都の心身障害教育推進委員会第一次報告でも、やはり小規模校が必要だ、百五十名程度とするのが適正だというふうな報告も出ておりますので、その点で大臣の小規模化への考え方を伺って、終わりたいと思います。
#391
○保利国務大臣 障害者の皆様方の問題につきましては、これをしっかりと受けとめて対処していかなければならない問題だ、そのように考えております。
 ちょっと敷衍をさせていただきますと、先ほどの高槻市の問題でありますが、これは設置者であります大阪府の話を聞いてみるということでございまして、これを飛び越えて今すぐに実情調査をするということを申し上げたのではなく、委員の御指摘があったことを示しつつ大阪府の見解を聞いてみると申し上げたことでございますので、その点誤解のないようにつけ加えさせていただきます。
#392
○工藤主査 これにて菅野悦子君の質疑は終了いたしました。
 次に、野坂浩賢君。
#393
○野坂分科員 委員長に協力してできるだけ時間を縮めて質問を終わりたい、そういうふうに考えております。
 保利文部大臣にまず冒頭にお伺いをしたいと思います。
 保利さんは佐賀県の出身で非常に過疎地域にいらっしゃるわけでありますが、私も鳥取県で非常に過疎のところです。東京一極集中というのは適当ではない、多極分散型にしなければならない、こういったことが竹下内閣以来言われております。したがって、東京の大学等も東京を離れるという事態があちこちで生まれておりますが、具体的に文部行政で多極分散型にするということを考えるとするならば、文部大臣としては、この多極分散型ということを肯定した上でどのような文部行政のあり方がこの政策に合致するだろうか、そういう点についてどうお考えか、伺いたいと思います。
#394
○保利国務大臣 多極分散型の国土形成ということは今の日本に課せられた非常に大きな問題だと思っております。そのような観点に立ちまして私どもも物を考えていかなければなりませんし、また、文部省においてもそういった考え方を肯定しつつ、どういうふうにしたら多極分散の効果が出るかということについて研究していかなければならない課題であるという認識を強く持っております。
    〔主査退席、井出主査代理着席〕
 具体的にどこをどうするかという問題になりますれば、まだいろいろ研究の機関の問題もございましょうし、さらにまた、時間的にも時間をかけてやらなければならないことでありますが、基本的には先生御指摘のように、今日本の国土の中で東京、大阪、神奈川あるいは愛知、埼玉といったようなところに大変多くの人口が集中をしておるということ自体はやはり将来に向かっては解消する方向に持っていかなければならないのではないか、その線に即して文教政策も考えていくべき事項であるということを私は基本的な認識として持っておることを申し上げます。
#395
○野坂分科員 初中教育局長等がおられませんので、大臣でもどなたでも結構ですが、義務教育の場合、適正な規模というのは一学級何名だとお考えでしょうか。
#396
○坂元政府委員 私、高等教育を所管しておりますので初中のことは必ずしも正確じゃありませんが、私の記憶ですと、小中学校の適正規模というのは学級数で言うと大体十二から十八学級ぐらいのところじゃないかという記憶はいたしております。
#397
○野坂分科員 一学級は何名ですか。
#398
○坂元政府委員 一学級は先生御承知のとおりに、現在学級編制基準を計画的に改定している最中でございまして、今私どもがその計画で目指している学級の定員は四十名ということでございます。
#399
○野坂分科員 それでは、その四十名に完全になり切るというのは何年後ですか。
#400
○國分政府委員 官房長でございますが、所管局長がおりませんので私からお答え申し上げたいと思います。
 現在の法律によりますと、明年度、平成三年度に現在進行している定数の改善計画を完成させる、こういうことで平成二年度におきましても必要な定数増をお願いしておるということでございます。
 ただ、予算措置につきましては、毎年度毎年度の財政当局の折衝の結果決まってくる次第でございます。
#401
○野坂分科員 おっしゃるとおりだと思っておりますが、大臣、あなたは農業問題には特に詳しいのですけれども、文部行政にも詳しいから大臣になられたと思うのです。私どもは、学校の先生等に聞くと、三十五人学級というのが一番教育効果がある、その方向に向けて我々は運動を進めるということをよく聞くわけです。それについては大臣のお考えは一体どうなのか。大臣在職中に四十人が完結をして、次の時代を担って立つ義務教育、皆さん方の教育効果を上げるために三十五人学級ということは考えていただけるかどうか。どうお考えでしょうか。
#402
○保利国務大臣 教育の効果を上げますためには、理想的に申せばマン・ツー・マンという形がよろしいのじゃないかと思います。また、私も経験をいたしましたが、企業等で部下を掌握する場合には五人ぐらいが限度で、それ以上はちょっと掌握し切れないという言葉もあったようでございます。マン・ツー・マンに近い形の教育ができればこれは理想論として大変結構なことだと思いますが、多くの国民を限られた財源の中でやっていくということになりますれば、私の在任中というお話がございましたが、ただいまのところは四十人学級を完成させることに全力を尽くして、しかる後に考えていかなければならないことだと思っております。私の個人的な考え方を申すれば理想はマン・ツー・マンであるということでございますから、先生御指摘の三十五人は一歩理想に近づく姿であろうかというふうに認識をいたしております。
 なお、私が記憶をいたしておりますところでは、先生過疎とお話しになりましたけれども、児童減少市町村におきましては、昭和六十三年度までに小中とも一応四十人学級が完成をいたしておりますが、その他の市町村につきましては二年度で小学校は五年まで、中学は二年まで完成をさせる、三年度にすべて完成させるという法律の取り決めになっていると承知しております。
#403
○野坂分科員 マン・ツー・マンといいましても財政問題もございますので、三十五人学級に向けて文部大臣は全力を挙げていただきたいということをまず要望しておきます。
 そこで、中学校から高等学校に入学する、今進学率は何%で志望率は何%か。
#404
○菱村政府委員 高等学校の進学率は九四%ちょっとでございます。それから、進学を希望して実際に高等学校にどの程度入るかといういわば合格率でございますが、これは九八%。ちょっと今細かい数字を持ってきておりませんが、大体九八%程度でございますから、希望すれば、学校を選ばなければどこかの学校には大体入れるという状況でございます。
#405
○野坂分科員 そうしますと、高等学校に入るというのはほとんど一〇〇%に近い、ほとんど義務教育という格好になってくる。その場合、それに対応してどこかの学校に入れるという状況ですが、大学の場合の進学率と志望率というのはどの程度でしょうか。
#406
○坂元政府委員 大学の場合で申し上げますと、平成元年度の入学者で申し上げますと、志願率は四人・五%、これは大学、短大への志願率でございます。進学率は三六・三%でございます。
#407
○野坂分科員 そうしますと、三六・三%が大学に入っていく子供たちである。文部行政のあり方として、これからの日本の将来というものを考えながら、三六・三%が限界である、そういうふうにお考えでしょうか。それとも、高等学校のようにずっと以前は六〇%、七〇%でしたが、今や九八%。大学の進学志望率というのは非常に高まっておる。現状は約五〇%ですけれども、それ以上になる方向というのは今の状況から見て当然考えられるだろう、こういうふうに思うわけでありますが、それについて将来の進学志望率をどういう推定をなさっており、進学率というのは何%くらいを考えられるか、その辺を伺いたいと思います。
#408
○坂元政府委員 まず進学志望率でございますが、三、四年前までは、その前の十年間をとってみますと大体四五%前後で推移してまいりました。ここ三年くらいの傾向を見ますと、毎年一ポイントずつ上昇してまいりまして、先ほど申し上げましたとおりに平成元年度は四八・五%になっておる。毎年一ポイントずつずっと上がっていくのかいかないのか、この辺は必ずしもこの三年間の傾向がそのまま傾向値としてこれから十年先まで伸びるんだというふうには必ずしも言い切れないとはいうものの、志願率も相当伸びていくだろうと私ども思っております。
 一方、今度は進学率の問題でございます。進学率というのは、結局その当該年度に大学、短大に合格した者を分子にいたしまして、当該年度の十八歳人口で除する数字でございますが、これから先平成四年までが先生御承知のとおり十八歳人口が急激に伸びる期間ですが、私どもはこの期間も大体本年度と同じ程度の三六・三%くらいは維持できるだろうと思っております。ただ、平成五年度以降平成十二年、西暦二〇〇〇年まで八年の間に十八歳人口が五十万急減いたしますけれども、急増のために入学定員の間口を広くしておりますので、それを急に全部縮めるわけにはいきませんのでだんだん進学率は上がってくる。志願率は上がりますけれども絶対数が少なくなる。同時に入り口の入学定員のところの絶対数が多いものですからだんだん進学率は上がりまして、私どもが五年くらい前に立てた計画ですと西暦二〇〇〇年には大体四〇・五%くらいになるだろうというふうに予想しておりましたが、今はもうちょっと高くなるのじゃなかろうかという予想を持っております。四五%くらいになるのじゃなかろうかという感じもいたしております。ただ問題は、十八歳人口レベルの志願率がどの程度になるかということにも左右されまして、その点につきましては、現在文部省内に置かれております大学審議会の高等教育計画部会で、平成五年度以降十八歳人口が激変するときの高等教育の量的な推移をどう見るかということを検討している最中でございます。
    〔井出主査代理退席、主査着席〕
#409
○野坂分科員 これからの見通しとしては進学率は大体四〇・五%、もっと伸びる可能性もあるだろうと思うのです。
 そこで、今国立大学、私立大学合わせまして約五百というふうに承知をしておりますが、このうちで国立大学、私立大学そして短大はどの程度かということを数でお示しいただければありがたいと思います。
#410
○坂元政府委員 先生御指摘のとおりに、大学は平成元年五月一日現在で全体で四百九十九、約五百でございます。このうち国立が九十六、公立が三十九、私学が三百六十四、シェアで申し上げますと国立が一九・二、私立が七二・九、公立が七・八でございます。
 短大は数が五百八十四ございまして、国立が四十一、公立が五十三、私立が四百九十、シェアで申し上げますと私立八三・九、公立九・〇、国立七・〇というふうになっております。
#411
○野坂分科員 国立大学は授業料は私立大学に比べて安い。教育の機会均等という意味で、余りお金持ちでない皆さんはやはり国立大学をねらうということになるのは必然でございます。したがって、今の一九・二%というシェアをもっと伸ばすことはできないものだろうか。言うなれば、私立の場合は文科系統が比較的多い、国立の場合は理科系統が、投資額も高いわけですからそちらの方に重点が置かれているということになるのではなかろうかと思うわけであります。
 今も局長からお話をちょうだいしましたように、将来は志願率は伸びていくだろう、しかし人口が急激に減ることによってその間口は今でもつのではないかというふうにおっしゃったわけでありますが、大学の審議会ということもありましょうが、文部省としての見通しなりを考えて、機会均等、そして国立大学の充実ということになれば、安心して地域の皆さん方が国立大学に入っていくという状況で、今なかなか国立大学に入れないということになれば東京へ東京へと集中してくるというのが現状であるわけでありますし、東京一極集中が文部行政の中でも具体的にあらわれておるということになるのではなかろうかというふうに思うわけです。
 さきに文部大臣が、具体的なものはないけれども総体的には地方分散として地域の方に影響力を持っていく必要があろう、こういうふうにおっしゃっておるわけでありますから、それらについて将来国立大学を拡充強化をするという場合は、やはり多極分散といいますか過疎地域に持っていっていただかなければならぬのじゃなかろうかと思うのですが、その辺については、大臣でも結構ですが、大臣の方がいいんですが、御検討をいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
#412
○保利国務大臣 御承知のように今直ちに国立大学を設置できるような状況ではございませんけれども、しかし、日本の根幹となる政策の一つとして多極分散型国土形成というのは必要であることにかんがみまして、そういう方向で物を考えていかなければならないんじゃないかということは考えております。
#413
○野坂分科員 今すぐは考えられないというのは、五十六年の臨時行政調査会の答申に基づいて、五十七年からは国立大学の新設等は抑制なするという方向は全然変えないということでしょうか。
#414
○坂元政府委員 先生も御指摘になりましたとおりに、国立大学の整備の方向というのは、比較的財政投資を必要とする理工系関係を重点的に、しかも社会的需要の高い分野を重点的にこれから整備していかなければいけないのではなかろうかという感じが私はいたしております。今先生御指摘の臨調の答申もあり、あるいは国の財政再建という厳しい財政状況のもとでありましたけれども、私ども国立大学におきましても、真に社会的需要の高い、時代の進展に対応する学科定員増についてはずっと努力をしてきたつもりでございます。ちなみに、昭和五十一年度から六十三年度までの十三年間に国立大学の募集増をした、定員をふやした人数をトータルで申し上げますと二万一千八百五十八でございます。このうち大都市区域、いわゆる東京周辺あるいは近畿圏、大都市区域で定員増をしたのが四千六百、その他区域が一万七千二百、率で申し上げますと二〇%と八〇%でございます。こういう整備の方向につきましては、先生の御指摘の多極分散という国の大きな方針のもとで、私ども今後も変わらずにとっていくつもりでございます。
 ただ、ではもっとたくさん国立大学を、全体として大学をふやせ、学部をふやせという、仮にそういう御意見がございますと、今の財政状況等を考えますと、そう一度に地方に学部、学科を増加するということはなかなか難しいのではなかろうかというふうに考えております。くどいようでございますが、先ほど申し上げました、地方を重点的に国立大学は整備するという方向については今後も堅持したいというふうに考えております。
#415
○野坂分科員 委員長に協力をするという意味で時間はできるだけ少なくしなければなりませんが、今局長からお話をいただきましたように、私は鳥取県ですが、鳥取県の鳥取大学も医学部に生命科学科というのをつくっていただきました。非常にありがたいと思っておりますが、何か学科でわずかなんですよね。我々は学部ということですが、今局長がおっしゃったように社会的要請の高いものはやるのだ。だから、優秀な東京工大等では生命理工学部をつくったという実績もありますね。それから三重大学ですか、あそこは人文学部をつくっていただいたのですが、農林と水産は一つにせいという格好でスクラップ・アンド・ビルドといいますか、そういう姿になって、全体としてはふやさないでその枠の中しかやらないということですけれども、今お話がありましたように、私どものところは過疎地域だ、所得も少ない、東京にはなかなか出せない、医学部にはなかなか入れない、だから法学部とか経済学部とか文学部というのをつくってもらえば所得が少ない者でも行けるし、金がなくても行ける、高等学校に毛の生えたようなことで行けるのではないか、そういうことは県民の強い要望なんですよね。だから、そういう意味でそれならば地域でも活性化をするだろう。そして、四年なり五年なり他県からおいでになっても、そこに愛着もできて人口増にもなっていく。そういうことを踏まえて、教育は聖域でありますけれども、教育が社会に与える影響というのは実に数では言いあらわせないほどの効果があるだろう、こういうことをいつも皆さんから言われておるわけです。
 それで、調査会ももう十年も前の話ですから、新たな段階として志願率もふえて進学率も高めて、そして日本の教育水準、知的水準を上げようという時代、しかも日本の経済から見て今そのことが必要ではないのか、そういうふうに考えるわけです。そういう意味で、活性化の問題を含めてあるいは地域のバランスをとる意味において、そして教育の向上のために過疎地域における大学の学部設置方について十分御検討いただいて、善処、対応していただきたいということを申し上げて、文部大臣の見解を聞いて終わりたい、そういうふうに思います。
#416
○保利国務大臣 私も先生と同じような陳情あるいは要望というものを地元から受けております。日本国全体を見渡す立場でございますので、日本の全体の姿を描きつつ、そういった地域の活性化を含めて、そういった先生の御指摘の御意向を体しながら今後頑張ってまいりたいと思っております。
 なお、地方の活性化という観点も大きいものですから、これは文部大臣というだけではなく、国会議員としても努力をしていかなければならない事項ではないかなというふうに感じておりますので、率直に申し上げさせていただきます。
#417
○野坂分科員 それでは終わります。
#418
○工藤主査 これにて野坂浩賢君の質疑は終了いたしました。
 次に、斉藤節君。
#419
○斉藤(節)分科員 私は、公明党・国民会議の斉藤節でございます。
 きょうは大臣並びに関係の方々に大学院の質的高度化、活性化について御質問申し上げたいと思います。また、続いて大学の寮に関しまして御質問申し上げたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、今日の我が国の科学技術並びに産業の発達にはいろいろな理由があると思いますけれども、その中でも特に多くの人材が欧米先進諸国の大学や大学院に学びまして、直接基礎研究に参加いたしまして、その成果を持ち帰って我が国に貢献したことによるところが極めて大きいのじゃないか、そのように思うわけであります。私自身も一九七〇年にアメリカのイリノイ大学の方に留学いたしました経験を持っておりまして、いろいろとお世話になってきたわけでありますけれども、そういうことが非常に多かったんじゃないかと思うわけでありますけれども、しかしながら、今日の我が国は科学技術がこのように発達しておりますし、また経済発展もこのようにすばらしく遂げているわけでありますけれども、当時の欧米諸国のように基礎研究の場の提供が求められ、基礎研究の発信源になることが求められているのではないかな、このように私は思えてならないわけでございます。
 しかしながら、その基礎研究の中心となるべき我が国の国公私立の大学の大学院の現状はどうかというふうに思いますと、施設設備を含めましてその質的面におきましては企業の研究所に比べても大きく見劣りするのじゃないか。特に校舎などは老朽化しておりますし、また設備なども、企業の最先端を応用面でありますけれども研究している、そういう装置に比べると大学にはそれほどでないものが多いのじゃないかな、そんなふうに思うわけでございまして、このことは国際的に見ましても極めて憂慮すべき状況下にあるのではないか、そのように言っても過言ではないのじゃないかと思うわけでございます。早い話が、企業の研究所には応用面の研究のため欧米諸国からの留学生が多くある。私調べましたらそれほど多くなかったのでがっかりしていますけれども、基礎研究のためにこれらの大学院の留学は、一部にはあるといたしましても、全体から見ますとほとんどないと言ってもいいのじゃないか、そんなふうに思うわけであります。
 私の調べたところによりますと、企業における企業の研究所への受け入れでありますけれども、この科学技術庁の調べたあれによりますと、資本金が十億円以上の企業で問い合わせたものに対して回答があったものを調べた結果によりますと、今全体で大体千八百人ぐらいですね。そのうち欧米諸国から来ているのは八百七十四名、このぐらい受け入れている。逆にまた企業から外国へ派遣しているのを見ますと、これまた多いのですね、二千四百八十五名。そのうち欧米諸国には二千三十七人、非常に多いわけでございます。
 それに対して国立、私立また公立の大学の大学院に来ている数を見ますと、これは文部省の出している学校基本調査という調査でありまして、いわゆる留学生課で出している、調べている数字じゃないのでありますけれども、それによりますと、アメリカ百九十二名、英国が三十八名、フランスが五十三名、西ドイツあたりからほとんど来ていないという状況で、トータル二百八十三名ということでございます。ちなみに、留学生がどのぐらい来ているかなと私見ましたところ、大学院、大学並びに短大、それから高専、専修学校を含めまして日本に来ております留学生は三万一千二百五十一名である。そのうち第一位が中国で一万八百五十名、二位が韓国で六千五百七十五名、三番目が台湾でありまして六千六十三名、四番目がマレーシアの千三百十名、そして五番目にようやくアメリカが来るわけでありまして九百六十一名、そのうち大学院はさっき申しましたように百九十二名である。こういうことで、基礎のための研究にいわゆる先進諸国と言われる欧米諸国からの留学生が非常に少ないわけでありますけれども、これについてまず大臣、どのようにお考えになるか、御質問申し上げたいと思います。
#420
○保利国務大臣 日本の大学院は、これまで各専門分野における教育研究を通じまして基礎研究の推進及び研究者などの人材養成に貢献してきたことは事実でございます。しかしながら、我が国の研究は、欧米の基礎研究の成果を導入いたしましてその応用発展を図るという面が少なくなく、みずからの発想に基づく独創的研究は少ないと一部で指摘をされているところでございますが、私もそのように思います。今後我が国がさらに発展をいたしまして国際社会に貢献をしていくということを考えますならば、独創的な学術研究を積極的に進めることが必要でございまして、先生御指摘のように、こういった大学院の研究制度を充実させていくということが必要であろうと思います。
 一方、今の現状でございますけれども、学部学生数に対しまして大学院生の比率は、日本の場合、私が承知しておりますところでは約四・四%と非常に少ないと言わざるを得ない状況でございます。また、施設とか設備につきましても学部との共用がほとんどでございまして、これらの整備充実についても今後大きな課題があるということを考えております。
 将来にわたりまして我が国の学術研究の水準を世界のトップレベルに伍して発展をさせていくということを考えますならば、施設設備を含めまして大学院の一層の整備充実を図っていくことが目下の重要な課題であると思います。日本の学術レベルというものを引き上げるためには、先生御指摘のようにここへ力を入れていかなければならな・いのではないかということを私自身も考えております。
#421
○斉藤(節)分科員 今大臣御指摘のように、やはり設備なども確かにおくれているわけでございまして、我が国はノーベル賞受賞者が諸外国の先進諸国に比べて非常に少ないという点でも明らかであろうと思うわけでありますけれども、そういうことを加味してかどうかわかりませんが、このことに関連しまして、昨年の三月、文部大臣が大学審議会に対しまして諮問しているわけでございます。
 その諮問は、ちょっと読み上げてみますと、「教育研究活動の活発な大学院を、重点的に育成する必要があると考えております。そこで、このための具体的方策について、ご検討をお願いいたします。」ということで、まず大学の学術面における活性化について問うておるわけでありますけれども、特にさらに大学院に対しまして「また、我が国の大学院は、若干の独立研究科は別にして、ほとんどか」、先ほども大臣が言われましたけれども、「ほとんどが学部の教員、施設・設備に依存しているのが現実でありますが、大学院については、学部から独立した教育研究組織としての実体を具備するように、専任の教員、専用の施設・設備等の整備・充実を進めるべきであると考えております。」、このような諮問が昨年、西岡大臣でありましたけれども、文部大臣から審議会に対してされているわけであります。
 このように、いわゆる我が国の大学院が学部から独立していない、そういうような状況に今あるわけでありまして、これがやはり大きな問題であろうということで諮問なされていると思うのでありますけれども、この諮問に対する答申はいつごろ出される見通しなんでしょうか。これは審議会の方に聞かなければわからぬことでありますが、一応文部省としてもいつまでも答申は待っていますというわけにいかぬでありましょうから、いつごろをめどにしているのでしょうか。
#422
○坂元政府委員 先生今御指摘ございました大学審議会は、昭和六十二年に設置されまして、六十二年十月に「大学等における教育研究の高度化、個性化及び活性化等のための具体的方策について」ということで大学審議会に対して抽象的な文言でかなり広範な分野にわたる諮問をしたところでございます。
 大学審議会では、まず大学院問題を何とかしようということで大学院部会を設置いたしまして、最初の課題として大学院の教育研究の高度化の基盤となる大学院制度の弾力化について審議を行いまして、昭和六十三年十二月に「大学院制度の弾力化について」の答申をいただきました。この答申に基づきまして昨年九月大学院設置基準等について所要の改正を行いまして、答申を具体化したわけでございます。例えば、夜間大学院制度の位置づけ、あるいは優秀な学部三年次修了者に大学院の入学資格を付与する、あるいは優秀な学生は一年で修士課程を修了するようにする、あるいは学部に基礎を置かない独立大学院についての設置基準がございませんでしたので、その独立大学院の大枠の基準を設定するというような制度的な弾力化を行ったわけでございます。
 その後、先生今御指摘ございました昨年三月に当時の西岡文部大臣が大学審議会に対しまして、大学院問題だけで申し上げますと、優秀な大学に重点的に整備するという万策、あわせて専任の先生あるいは専用の施設を具備するとすればどういう方法がいいのかというようなことについて検討していただきたいという追加検討申請を行ったわけでございます。これらを受けまして大学院部会で現在鋭意検討しておりまして、昨年七月に大学院の重点的整備、ある一定の評価に基づいてすぐれた卓越した大学院について重点的に整備するというようなことなどにつきまして審議経過の概要というものを発表いたしました。この発表いたしました中身につきまして各方面の意見を聞きまして、現在鋭意その審議経過の概要に盛られた中身についてさらに詰めを行っている最中でございます。
 重点的整備の問題につきましては恐らく来年の春ぐらいまでには答申をいただけるのではないかというふうに私どもも考えておりますが、ただ、専任の職員あるいは専用の施設をどういう形で整備するかという問題につきましては、既存の学部と大学院との関係などもう少し細かく詰める問題がございますので、その部分の答申はもう少し先になるのではなかろうかという感じがいたしております。
 以上でございます。
#423
○斉藤(節)分科員 よくわかりました。いずれにしましても、大学院をこのように充実させるということになりますと、心配されるのは教員の問題ですね。これあたりもかなりどのように養成していくのかお考えになっておられると思いますので、その辺について重点を置いていただきたいと思うわけであります。
 さらに、私はここで申し上げたいのは、今緊急に求められておりますのは大学院の量的拡大策ではないのじゃないかなと思うのであります。よく各国立大学どこでも大学院をつくってくれということでかなり要望があるかと思います。先ほども前の委員がおっしゃっておられましたけれども、鳥取大学ですか、あちらの学部増設だとかそういうようなこともいろいろ言っておられたようでありますが、パイの大きさ、予算は決まっているのでしょうけれども、僕はもっと大きくしてほしいということを最後に申し上げるのですが、予算というのは余りべらぼうにあるわけじゃありませんから、この辺で集中的に幾つかの大学院をいわゆる大学院大学に持っていく必要があるのではないか、そんなふうに思っているわけでございます。その辺、大学院大学構想につきましてはどんなふうにお考えになっておられるのか。
#424
○坂元政府委員 確かに先生の、限られた国の資源の中で学術を振興する場合に現実的な対応は重点的な整備じゃないかという御指摘は、私どももそのとおりだというふうに思っております。ただ、すそ野の問題と申しますか、先ほど大臣も数字を申し上げましたが、学部学生に対する院生の比率というのが我が国は四・四%で諸外国に比べると極端に小さいという問題もございます。この辺の問題も考えなければいけないというふうにも思いますけれども、先生の現実的な提言は私どももそのとおりだと考えております。
 先ほど申し上げました大学審議会の大学院部会から公表されました審議概要にも次のようにございます。「大学院の現状にかんがみ、財政面を一層充実し、大学院の基盤的整備を図るとともに、」「現に卓越した教育研究活動を行っている大学院」「に対して、重点的な整備を行っていく必要がある。」という指摘もいただいているとおりでございます。ただ、「現に卓越した教育研究活動を行っている」という判定をどういう形で行うかというのはこれまた大変難しい問題でございまして、文部省の私ども門外漢が判定するわけにいかないということで、その現に卓越しているかいないかを客観的な第三者、これは学者やなんかでございますけれども、客観的な第三者に評価していただいて、文部省がその判断に基づいて財政運用していくという仕組みを検討していかなければいけないのではないかと考えております。
 なお、先生が御指摘になりました独立大学院大学、学部に基礎を置かない大学院大学につきましては、今回の国会におきまして私ども国立学校設置法の一部改正案を提案しておりまして、これは予算でもお願い申し上げておりますが、石川県に情報科学それから新材料学の二学科を持った国立の独立大学院を創設するということで、国会で御審議をお願いしている最中でございます。
#425
○斉藤(節)分科員 そのほかにもあるのではないでしょうか。文部省の調査費のもとにいわゆる新しい大学院構想が幾つかの大学で熱心に進められているというふうに聞いているのですけれども、その辺はいかがですか。もしあるとすればその進捗状況はどうなのか、それも教えていただきたいと思うのです。
#426
○坂元政府委員 そのほかに独立大学院構想といたしましては、既存の大学ではありませんで、石川に私ども構想しているのと同じようなもので今、奈良県に構想している独立大学院がございます。そのほか、北海道大学、それから、新聞にも報道されたことがございますが、東京大学、京都大学がそれぞれ、やや学部と切り離したような形で独立的に大学院を創設するという方向で現在学内で検討を進めている最中でございまして、まだ最終的な結論に達していない、なお若干学内でけんけんがくがくの議論を進めているようでございます。
#427
○斉藤(節)分科員 大変うれしい話を聞かせていただきまして私大変ありがたく思っているわけでありますけれども、文部省といたしまして大いにこの改革に向けて頑張ってやっていただきたいな、こんなふうに心からお願い申し上げる次第でございます。先ほどもお話がありましたけれども、財政的に限られているということでございますけれども、もし許されるなら公共投資みたいな格好でひとつ大学院の充実のためにやれないものかな、そんなふうに思うのですけれども、大臣その辺はいかがでございますか。
#428
○保利国務大臣 大学院の設置等につきましてはちょっと公共投資というものとは違うような気がいたしますが、ただ、現在日米構造協議の中で公共投資をふやせというアメリカ側の要請があっていることは事実でございます。その中で直接結びついてまいりますのは運動場の整備でありますとかあるいは学校施設の整備でありますとかというようなものがすっとくるわけでございますが、先日の予算委員会におきましても大蔵大臣が文教関係のこともあるしというようなことをちょっと言われたように私も記憶をいたしておりますが、財政当局もそこのところは配慮していただいているのではないかと私は勝手に推測をいたしておりますけれども、そうあってほしいものである。そして、公共投資という形ではなくても、こうした大学院の整備等についてはいわゆる国の学術レベルの向上というようなことも考え、あるいは国際的な貢献ということも考え、今後とも整備に力を入れていかなければいけないのではないか、このように考えております。
#429
○斉藤(節)分科員 ぜひともひとつこの教育問題は、特に大学院の充実ということは大変大切なことでございますから文部省におかれましてよろしくお願いしたいと思うわけでございます。
 次は、質問の要旨を変えまして、先ほど申しましたようにまず寮の問題です。今現在、特に国立大学の寮について私御質問申し上げたいのでありますけれども、どんなふうになっているのか、その辺教えていただければと思います。
#430
○坂元政府委員 国立大学の学生寄宿舎の昭和六十三年度の現状を申し上げますと、施設数は二百七寮、収容定員四万人、学生総数に対する収容率は約一割、正確に申し上げますと一〇・三%でございます。国立大学の学生寄宿舎の整備につきましては、各大学の計画をもとにいろいろな財政状況等総合的に勘案して進めてきております。当面は財政状況がこういう状況でございますので、既設大学における居住条件の悪い老朽寄宿舎の建てかえ、それから新設大学あるいは統合、移転大学における学生寄宿舎の整備を重点的に行いたいというふうに私ども考えておるところでございます。ちなみに、老朽寄宿舎というのが昭和五十年に百八ございまして、五十年から既に十五年たっておりますが、この十五年の間に建てかえを行ったものが六十七、寮が諸般の、学生も入らないというようなこともございまして廃寮にしたものが二十一、いまだに未整備であるものが二十残っておるという状況でございます。
#431
○斉藤(節)分科員 私にこのたび手紙をよこしまして、そして何とかしてもらえぬだろうかと言ってきましたのは、筑波大学の寮についてでありますけれども、筑波大学の寮というのはそんなに古くはないのでございますね、何年ぐらいですか。
#432
○坂元政府委員 ごく一部六十二年ごろ建ったのがございますが、大半は昭和四十八年から五十二年までの間に整備されたものでございます。
#433
○斉藤(節)分科員 十何年しかたっていないわけでありますから、そんなに古いはずないのでありますけれども、それが学生が大変困るぐらいいろいろの面で施設が悪いということで手紙があったのですけれども、ちょっと読んでみますと、間口が七尺ですか、奥行き二間ぐらいのコンクリートの部屋で扉は鉄で赤ペンキが塗ってあるそうですね、壁はもうカビだらけだと言うのです。天気のいい暖かい日でも部屋はじいんと寒いような、そういう骨身にしみて、ベッドで寝ていてもなかなか寝つかれないぐらい寒いのだ、こういうようなことなのです。この手紙をちょっと読んでみますと、学園都市で緑の筑波であって、全く外見はすばらしいビル、公園都市、道路も広い整備された町というニュアンスと裏腹に、学生の住まいは土管の中だというふうに書いてあるのです、土管の中の生活そのものです。月一万円ですが、五千円でも安いとは言えない、そういうものじゃないかと言うのです。炊事は家庭用のガスコンロ一つがぽつんとあるたけで、だれ一人自分でつくっている者もいないみたいだ、洗濯機は一つ、それも二階にはなくて一階までおりていってやらなければ使えないような状況だ、こう言うのですね。扉はもう傷んじゃってぎいぎいあげ閉めに音がする、そういうようなことで非常に悪いのじゃないかと言うのです。
 そしてしかも、この筑波大学の学生新聞にも、全代会というのがあるらしいのですね、これが副学長との懇談会らしいのですけれども、ここでやはり学生宿舎の関係の問題が大きく取り上げられておりまして、ここでは宿舎の老朽化、それから宿舎浴場、公衆電話の不足など学生に身近な問題が数多く提起された、学生側が改善を要望すると、教職員は改修工事など改善の手だては可能な限り行っているので、使う方もよく考えて宿舎に愛情を持って使ってほしいというようなことを言っているようであります。
 私は実際にまだ行ってみないでこんなことを言うのは大変申しわけないのでありますけれども、何かこの新聞の記事を見ましても、今申し上げたようなことのほかに、ある座談会で、この一年間宿舎の部屋には泣かされた。雨季のカビ、それから停電や断水、冬の寒さ、そういったことがあった。それから断水のために、学生が使用していて蛇口が開きっ放しで、水が出ないものだからそのままにしてくるらしいのですけれども、そうしますと、何か後で水が出て洪水になるというようなこともありまして大変厳しい状況であるというのですけれども、これについてどのような考えを持っておられるのか、改修されるかどうか、その辺のことをちょっとお知らせ願いたいと思います。もう時間が来ているようでありますが。
#434
○坂元政府委員 確かにそういうような状況があるようでございます。昭和四十八年から五十二年までに建てた段階では九平米、今先生の御指摘の手紙のあれは恐らく九平米でございますが、当時の学生の気分から見ますと九平米でも十分であったということもございます。今の学生から見れば九平米というと四畳半でそこにベッドや何かがあれば、これはもう狭いに決まっておる。そういう学生が部屋に持つ要望、要求の時代の変化もございますし、それから私ども先生から御指摘受けていろいろ聞いてみますと、雨漏りもちょいちょいしているというようなことで、そういう場合には応急的な修繕はその都度しているようでございます。
 それから断水は、あそこは霞ケ浦から水をとっておるのですが、これが雨量で大分断水を受けたりなんかする。それから、端的に申し上げますと霞ケ浦の水は非常にまずくて、あそこは、学園都市全体が水の状況はよくないのですが、そういうような断水のこともあるのだろうと思います。いずれにしましても、私どもも大学側と緊密に連絡をとりまして、学生に余りにもひどい支障が生じないような対応をとるように指導をしていきたいし、大学側の相談に応じていってやりたい、そう考えております。
#435
○斉藤(節)分科員 もう時間になりましたので、以上のことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
#436
○工藤主査 これにて斉藤節君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、文部省所管についての質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十七日午前九時から開会し、自治省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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